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自序若い時の気強に己やれと思ふた細工も老武者のかなしさは息子に及ず浮世を裏の三畳に避て正風の俳諧を楽しめども根が職人の文盲だけこそけれ
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が啁につかへらんらめらしもらつしこくたいされとも人間活物にて心を使ふか手足をつかふかじっとしては居られぬならひ醤で茶漬をしてやりながら思ひ付たる物類名義年久しく
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住む馬食町の食ふといふから始りて先食物の故事付案事仮名違ひやらあて字やら訛片言あたりまへめったやたらに書つづれは其数几て何十条是より次第に嘘が上り天門地理と
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門部をわけ追々嘘をつきならはゞ嘘八百にも満ぬべし然るを近処の書林何某これも同じく嘘つき弥次郎薮の中で屁をひりあふ交り浅からず我嘘を梓に鋳め己歟嘘の
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虚南留別志巻之上江戸木屑庵述飯めしいいはんまんま▲命司めいしをつめてめしいのちをつかさどるの宝なるゆへめしなるべしまんまはまゝなるべしすべて物をつぐをまゝといふいのちをつぐまた母の無き子後の母をたのみ育をまゝ母といふも子の命をつぐゆへにまゝはゝなるべし▲意根世根何れも米の名いのちの根なり▲汁しるはつけなるべしめしのかたはらに付て食ふ
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ゆへつけおの字をそへておつけか又けの字しるなり▲菜さいはそへて食ふゆへにさへなるべしそとさと通ず▲香物はにほふ故にかふ〱なるべし▲爰に膳にならぶ所の具によりて食類の惣名とするものなり平坪猪口鱠是は家具の考にいふなれども食にならぶ故先考をこゝに解
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▲開ひらくの略ひらなるべし▲蕾つぼむの略つぼなるべし有来り用ゆる文字の坪は地坪の預る所ゆへ土へん也膳部にはあやまりなるか▲しばらく食類をさし置て家具の考をとくむかし大和国に和気の棟春といふ人あり何れの事にも才能ある者にて土にて挽物器作るより考付て挽台をよこに用ひ色々の堅木をもってうつわを挽出す工夫を
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なせり大となく小となく或は浅く深くさま〱の器を挽出せり近郷の貴賎はなはだ調法して悦び日々繁栄せり後々はやごとなき御方へもさし上るやうになりける爰において名あるべくと人々の問ふに名はいまだ考へずと申けり其ころ或先生和気が宅へ朝暮あそびに来り給ふゆへ棟春この人について曰我が工夫にて製し来る所の器いまだ名これなし衆人名あってこそ然るべけれと望む先生是に名をほどこし給へと頼みければ先生考へて箇やうの品に名を
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付る事よふいならず是は天地自然の数をもって付宣しきと申きあるじこたへて数とはいかにと申ければ小の数を三といゝ大の数を八といふ故に大なるを八ととなへ小成を三と申ていかにとぞ申ける是奇なりとて大をはちと小を三といひなせりすべて大成を餅など入て木ばち火を入て火ばち余はこれになぞらへてしるべし又小の具三のすうへらの文字を添てさんらあさきうつわをおさんなどゝいひならはし今もさかづきにこの名
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あり▲又是よりめししるを食ふべき器を案んじ挽出せり尤いにしへは土器にてすみしものなり又五器といふものあり右は天笠仏在世のとき鉄にて製し五つ組に作りしてつぱつともいふこれは直に下より火をたき鍋かれこれに用ひ五つ組ものゆへに五きといふかあるじの工夫は四つ組にてきせふたをかねたり是にも名を付んと例の先生へ
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問ければ先生まうされけるは此たびいろ〱のうつわものを工夫なし給ふて後世に残し用ゆるゆへ右の具へは足下の名をすぐさまつけてのちの世にのこする宜しと和気の棟春を頭字において▲わむ今もって用ひ来るなるべし▲猪口いのしゝの口といひならはせりいかゞちいさき壷やうなる物ゆへちょこなるべし
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▲鱠は生魚生青物へ酢をかけ用ゆるゆへこれは此まゝになますなるべし▲箸はしはすべてかけわたすゆへめしを口へわたすゆへにやはりはし成べし▲餅もちは腹にたもつもの故もちなるべし豆腐類変名▲とふふは豊臣秀吉公朝鮮御陣のとき兵糧下奉行に岡部治部右衛門といふ人あり後
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御かいぢんのとき豆腐の製しかたを箇のくにより覚へ来り日本にてはじめて是を作り給ふ此ゆへに豆腐をおかべといひ又ぢぶどうふなどゝもいふ猶其後町方にて製し売初めぬとうふに紅葉を付るも人のおふくかうよふにとの事と聞及びし▲八へ豆腐有行脚奥州南部の八のへといふ宿に泊りけるとうふをいと細く
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打あじよくあつものにして平につけ出しぬ甚軽くして美味なりそのゝち宿にかへり酒食のそへにして友人などに製しふるまひぬ名も南部八のへにて食せしゆへ其まゝはちへどうふなるべし八はゐとうふといふはいかゞなるにや▲野狐豆腐都にとふき片田舎には易占といふ事もなけ
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れば狐に吉凶を問ふその術は住所の穴の口へ生なる所のとうふをそなふ食ふとくらはざるにて善悪を定むる事なりそれゆへに生にて食するをやことうふなるべし奴豆腐とはいつの時よりかまちがひなりけんちん豆腐▲備前の国刀鍛治おふきうちに水由軒と
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いふ人殊に剣の名人なりしかれども容易に細工出来あがる事なし或男この人に刀を頼みけるとき能時分やら早束に出来せりことの外よろこび彼鍛治をまねき馳そうすべきと其友なる人に好めるたべ物をきゝあはせけるに彼人とかく何事も油にて製したる物をこのめりといひけるにそれより豆腐をしぼりさま〲の青物かんぶつもの等
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種々いれて油にて美味に料理し酒飯をとゝのへかの鍛治をもてなしける客ことの外よろこびて是まで己れも知らざる所の菜也これは此ほどの剣のちんかとほめしより剣賃豆腐なるべしちなみにいふむかし天下おふいにかんぱつのせつ天子より或僧に雨ごひの和歌よみ候やう仰せ付らるゝ其歌の徳にて雨たゞ
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ちに降ければ御よろこびに歌人へ餅をたまはりける歌ぬし是は歌のちんなるかといひしより餅を歌ちんとよび習はせり▲でんがく摂津の国四天王寺の楽人なにとかいへる老翁あり楽笛に妙をきわめ得たり其門人おふくありたる其内にひとりこと〲く笛に妙をきわめたれども還城楽は伝受ものなりとて
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翁ゆるし給はずある春の日箇の老翁門人の宅に来りあそび給ふ門人なる男いろ〱ともてなし其うへ山海のちん味をつくし終りに老人の事なれば豆腐を二寸ほどづゝに切串にさし焼て木のめ味噌をつけ出し老に酒食をすゝめけり翁師うまし〱と手をうちて悦びのあまり還城楽の笛の伝をこの門人に免し給ふ是よりしてとふふ焼て味噌をつけ
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しを代に伝楽とよび習ひけり予が禿髪のころまで伝楽と所々のあんどうにもしたゝめありしがいつしか田楽と書直しけり此ゆへにでんがくなるべし一節に田楽法師といふ猿楽あり此すがたに似たるといふせつあれとも非なるか▲湯婆出羽の国田河郡湯殿山は日本の霊山なり
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参詣の人おふく尤登山は精進けつさいにて四季ともにとうべる物なし山中なれば麓泊りやにても料理艸にはこまりける其中に金糸屋といふ旅人屋老女豆を引製してさま〲に工み油にても揚などして向づけひらなどに用ひ食させけるその味上ひんにてよろしく心あるものは其製しかたきゝて所々にてあるひは角につゝみ又袋のさまにして
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都方にても精進のりやうりにも用ひたる元より何と名もなきものゆへ湯殿山下の婆々が製しはじめければ自然と湯婆と謂なるべし▲ふろふき大根漆細工をなすものを塗師職といふこゝに冬寒気つよき節はうるしぬりの物何品にても一向にかわきひることなしこれによって彼むろ共
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ふろともいふ戸棚のさまに作りたる内へ水を吹酒をふき火気にてあたゝめてもかわかず難渋する物なり然るにある僧の申にはよき大根に塩をいれよく〱煮てその湯をむろへ吹ぬりものを入て宜とまうされぬ右職人僧のをしえの如くせしかばひし〱とかわくゆへきびしき寒さのうちにて大根の湯にてかわかしぬさてゆでたる大根日々たまりたるに捨るにもあらざれば隣家など
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へも頼みつかはししょくしてもろふなりこの謂に味噌なんど付てあたゝめくらその侭に名に呼でふろふき大根なるべし▲千六本大こんむかし子を産れて乳なき女千手観世音並に地蔵菩薩へ大根を清浄にして糸ほそく打一心祈念して是を供じさげて汁に焚きて食すきわめて乳汁出ると申来りける右千本
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は観世音へ供じ六本は六地蔵尊へ供し奉つるその汁世間に流行しておの〱願なくとも汁になしぬ又大根を羅葍といふ是をこまやかに打ゆへせんらふと謂とも此節いかゞなるにや▲たくあん漬大根をとしの内より糠塩を加減して漬おきよく年内香のものにて大商人大職人たいぜい
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人をつかふ所の常食とするなり月々を越し夏秋におよべば塩のからきのみにて高味なく数々は食せず甚徳用の品ゆゑ多くわん漬なるべし▲沢庵禅師のつけはじめ給ふとも又年より年へたくわへ漬ともいふいづれか▲雷ぼし浅瓜丸漬瓜塩にあて土用の照る日中一日干し
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あぐるくる〱と巻て稲づまの形のごとしこれをくらへば音かしましく歯にこたへ音する故にかみなりほしなるべし▲もり口摂州池田伊丹の酒問屋にてはだなのごとき大根を酒樽のふしのぬけたるへさしおき江戸諸国へつみ出しのとき右の節へ杉のせんをさしかへ莚包にして出すその口へ差したる大根を
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器に取り茶漬などのそへ物に用ゆ酒の気にて甚高味なりもりへ差おきしゆへもり口なるべし▲天麩羅魚類を油にて揚たるを名とすはじめは天麩羅阿希と万葉の仮名にてかんばんに書てうりしものなりいつしか揚の字をぬきて天麩羅と斗りかきしゆへ都ててんぷらと惣
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名になりけり天といふ文字をあめのかなにてあとよませたるあぶらあげの略てんぷらなるべし▲さしみ鰹鯛平目まぐろすべて角どりて薄くきり酢みそ大根おろしにくらふ是をさしみといふ其名のおこりは九州の海辺にて鯨大漁ありければ物差にて何尺〱と差して
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売買を定めしものなり則魚を角どりてさすゆへに鯨さしの名今も残れり其のちは量りにてまた〱うりかいをなし目方がへなり右の鯨にならひ何魚にても角どり並ぶを差身といひならはせりこのゆゑにさし身なるべし虚南留別志巻之上終
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虚南留別志巻之下江戸木屑庵述▲すし海上に雎鳩といふ鳥よく魚をとり得て岩の間に隠す船のもの是をしりてわるさに取てくらふ美味して自然に酢しゆゑにすしなるべし▲寛永のころは只今のほど江戸町にも料理茶屋と
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いふものも沢山はなかりしとぞ日本橋に桜屋京橋ふくろやと謂ふうち此二軒名高く其内に桜屋にては蛸を煮る名代なり袋屋にては蚫を煮るが名物なり二軒ともに其味に妙を得たりそのゆへか蛸の桜屋煮蚫の袋屋煮是をたこのさくらにあわびのふくら煮といひならはせりむかしのおごらざるしつそを知るべし
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▲かまぼこはんへい寿永年中平家追討として八しま檀のうらへ鎌倉将軍代官として判官殿蒲殿御出馬ありこゝに源氏方のうちより鮫ケ谷半兵衛といふもの平家へ裏切をなしあまつさへ御道のほとりへ陣をとり御先をさゝへたり源家のつわものにくき鮫ケ谷のふるまひかなと我さきにと鉾先を揃ひ弓馬をかけたて一時に半兵衛をうち
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とり筋骨をぬきかち時をあげ軍陣血祭よしとすぐさま八島へおもむきけり先惣兵をやすめ兵糧かた〲所の漁師どもに申つけて魚をとらせ軍兵どもへ大将蒲殿より給はりける荒海の事なれば鮫の魚のみ沢山にとれたりけり下々軍兵より上へこれを申あげ此まゝ差上べくやと伺ければ上の御意は鮫ケ谷もすぢ骨をぬきければその如くなし其魚も骨をさりたゝき摺りて湯がき然るべし
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とおふせにより右に仕上ケ煮もし焼もして皆々食しける誠に蒲殿の鉾さきつよきによりさめがやも一時にほろびことにとられた魚も鮫なればせいほうの名をしゅくして蒲鉾と名づけしもおかしはんぺいの名も半兵衛の略かまた源氏方にありながら半分平家へ味方せしゆへ半平なるべし
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つみいれはつまみいれなるべし▲しゅんかん暑中のせつ膳の向ふ付に煮ざましの内に竹の子を入たるをしゅんかんと謂ふ筍の文字をしゅんとよむゆへそれをつめたく煮ざましたれば寒也そのゆゑしゅんかんなるべし▲糸粉煮
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唐より雄略帝のとき呉織漢織といふ者きたり錦その外の絞あるもの色々をおり出せし女なりそれより日本にこれを伝ふ九月十八日に彼等を祭るにさま〲の物を汁にたきそへ家内にてもくらふ右は色々の色いとをこま〲にきりて煮る形なりそれゆへ糸くずを略していとこ煮になるべし
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▲梅が枝でんぶ京の片辺りに何某といへる人少々の風のここちより病おもり食事さらに進まず妻なるものこれをうれゐ神仏に昼夜きせいをかけて祈りければうぶ神ある夜の夢になんじ貞心により庭の梅の枝に一つ紙の符をさづくるなり此ごとくせばとみに食づき病早〱平癒うたがひなしとの御つげに朝とく起出梅のえだを尋ぬるに
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そうゐなく一つ紙の符あり取もどり開き見れば上々の土佐鰹節をこまかにして上酒しゃう油にてよく〱製し食をすゝめよとあるに早そく右のごとく仕立すゝめけれは日をへずして快気なしけりそれより此品をせいしおのれも食ひ人々にもつかはせし世の人みな高味なりとて世間にもて弘まりし物とはなんぬ名も其まゝ梅が枝伝夫なるべし
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梅のゑだに婦人へつたへ謂なるか▲しづぽく周の御代に鬼神を祭るにその器かならず七宝の具をもってすと尤神に供するものこと〲く油をもって揚その外青物肉種々品ありこの祭祀すみてより右の供物をさげ皆いちどうに鍋に入のこらず焚てくらふと申事也其ゆゑに七宝のうつはにて供ずるゆへ
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しつぽくうなるべし我日の本にてもあぶらあげまたは一同にいれて焚てくらふ物に此名のこりける▲洗馬煮木曽かい道に洗馬宿といふ所あり尤山中の事なれば海へ遠く生魚まれ〱なり其故に塩魚かつほ鮭のるい何によらず塩魚をよく〱湯にてゆでこぼし塩気をさりてそれより松魚節
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の出しをくわへ煮あげ酒食になす俗に云うしほ煮のごとしせば宿にて製すゆへせんばなるべし▲なんばん煮大坂難波に油問屋何某といひける主人何事も煮るにも手まへ物ゆへ油をいれて製すたとはゞ葱大根魚鳥の肉もろ〱なり少々紅毛めけども甚高味なり右をまなびて製す
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ものをなんばにといへりなんばんなるべし▲くらま牛房ごぼうのかわを残し中を小刀にてくり捨かわ斗りあんかけなどに用ゆ合をくり捨るゆへくり間ごぼうなるべし▲のっぺい是は大きなるひらなどへさいしょ仕立出せし薄
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葛ものなり平のうちぬらつくゆへぬつ平なるべし▲かくや香の物すべてがくやは物をさま〲しこうする隠所の名也香の物も古くなりて味ひあしくなるを色〱として酒しやう油などにつけて出せば又ひとしほうまみもつくものゆへがくやなるべし
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又中村かくやといふ女形の役者ありて是は茶をよくし元祖拍遠に茶を出せしとき此かう〱をはしめてしこうしたる甚客ほめて亭主の名をすぐに香々の名とすとむかしの人の語りきいつなるや▲菓子の考果子なりすべての果物をくわしと謂なるかたとはゞ梅桃の実梨子批把かぞふるにいとまなし是を水菓子とよぶ米にて製
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すもの干ぐわしといふ▲まんぢう又饅頭いづれの御代の御事なりしか止事なき御かた米の御ことぶきを祝し奉るとてあふらげをせいしあぐへきよしを仰せ出されけりいかゞ致し申べくと伺ひける所八十八才のうへまでも御寿をいわ井まし然るべくとにより一つ百の数をかたどり種々工夫をめぐらしける所一つ白のはく
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は麦にかよひ又上への一はちいさくとあんじ則小麦にてせいしうちに饀を包て餅に仕立よろしくと申窺ひける所しかるべしとにより是を献じけるよって満寿なるべし▲よねまんぢう是はかわを米にてせいすゆへ米まんぢうなり▲あん
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餅何事も中に包むをあんといふ外より見へずいまだ乾坤わかたざるゆへ闇あんはやみなりくらきなりゆへにあんなるべし▲今坂餅今川何某といふ賢人ありて子息につね〲しめして曰兎かく人たるものは仁義礼智信の五常をまもりかり初にも酒はあしき物なりと今川状の
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教へしごとくまうされければ其外あまたの門弟中までこれをよくつゝしみかりにも酒は飲ざりけるある門人より五色のあんのいりたる餅を献じける先生これは見事なる餅なりとおふせられければ則五色は仁義礼智信また青黄赤白黒と先生つね〱仰せらるゝゆへ仕立申とおん答申あげたれば甚御よろこび召せける其せつ此五色の餅めづらしとこと〲
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く流行なしける爰かしこのさかり場にてもさかって製しあきなひける今盛るを略して今さか餅なるべし今川焼といへるもやはり此たぐひなるか▲紅毛にていらめいらといへる二人の兄弟ありけるよし此ものども中睦しく二人申あはせ菓子家業をおもひつきけるあにのていらはいかにも売先を手広く貸出しせんと申せば弟もしか
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りと申す左様ならば砂糖その外も問屋を借てこそ然るべしと申兄はかすにかゝり弟はかるにかゝりけるゆへしぜんと時の人よんで兄をかすていら弟をかるめいらとよび菓子の名となるもおかしき▲ようかん何れの国主にか殊のほか御心たけ〲敷公のおわしましけり御家人御そば附の者御心にそむけ
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ば御前をとほざけらるゝ者数をしらずそのうへ御我侭短慮にてみな〱薄氷をふむ心地こそいたしける折から京都よりある典薬の頭くだられけるに用役のもの早〱御目通りねがひ主人の短慮も御病気にてはあるまじやと伺ひければ御医師の仰にまったく御疳症のなす所也かん薬召上なば早〱御全快にも相なるべしと申されけるに用役のものさて其薬第一御きらひにて
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召上させられずこまり入ると噺されければしばらくかんがへさよふなれば御菓子に仕立御茶のせつ上てはいかゞと申あげたればそれは一段の御事さやうなればめし上らるゝもしれずと申願ひけりそれより御菜を極細末にいたし米の粉あづき蜜氷おろし辰砂にくわへむし物にして何となく上ければ殊の外御こゝろに叶ひめし上りけるに御心もやわらぎ疳気薄らぎける是より世間に
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此製きこえ小児そのほか疳の病ひのもの専ら用ゆる事とはなりぬ疳を養ふ所の菓子なれば養疳なるべしひつじのあつものと何ものか唐めかしき名を付しもよふ考たる物なり▲落雁やんごとなき御方年久しく御奉公を勤老人あり公常々汝はわが家にある事久し何ぞのぞみ
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はなきやと仰られければ箇の爺が曰く誠に年久しく御厚恩にあづかりて何の望か候べき只しゃうがいを楽にねがひたきと朝ゆふに申き公の御じやうに河内の国道明寺といふ寺あり是なん此ほど明おれば右へ参り老をしづかにやしなひ申べしとありければ則此寺へうつりくらしける此寺に昔よりいかがのゑんあるにや仙台産物のほしいをとりあつかいけり
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右寺号をよびて世に道明寺〱とほしいをいひ習しけり右のほしいに砂糖をくわへかの爺がひまにあかして菊梅いろ〱の形をおこし是にいれてぬき右の干飯をひぐわしにこしらへ先菅神へも備へ先の旦那へも献じけりこれは爺が細工には妙なりと御ほめによりやんごとなき雲の上々方へもあげられけり偖めづらの菓子なりと名を御尋に及びけるに名は何とも
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なく只楽をねがひ候へば公より箇の所につかはされひまの余りに製し只々朝暮楽を願ふより思ひ付事ゆへに楽願と申なるべし▲花ぼふるむかし白拍子に名護や花ほるといひしものあり何事もきよふにて舞の手その外所作事に妙を得て天下おしなべて彼をひゐきせ
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しものおほくなりければ浴衣のもやう扇その外何へれ彼が定紋を作り出し染出し天下の流行ものとはなりけらしその紋所かくのごとき紋なり世うつりかわりて干菓子にのみこの紋所今に残れりかほるの文字を花とよみかへて花ぼるなるべし▲せんべい
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天正年中のころ堺に納屋の与四郎といふ人あり茶の湯に名を得てやごとなき御方まで召よせられ茶の湯日々ありけるこの業によって千之利久としゃうじける門人数多ありその中に幸兵衛といふ人これも茶の道をよくし殊にさま〲の事に才能あって菓子なんど能製しけりその頃は大ひに天下乱れ菓子屋などゝいふもなく口取その外にも事をかきけるに
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此人小麦に砂糖をあわせ焼出し程よくさましもちひけりよって貴人のもてあそびとなりこの者へも千之利久に申つけ千の一字をゆるし則菓子の名も千の幸べい〱と謂ならはしけるいつしか幸の字をはぶきてせんべい〱といふなるべし此ほどは昔にかへり香べいと口取もまた〱出来たり
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▲あるへい糖今はむかしの事なりける二色島有平といふ力士あり角力の手知りにて古今強く大関にすゝみ其上横綱免許の大力なり右も目出たく勝通し隠居して年寄かぶになりけるが元来酒をこのまずあまき物のみ食して朝夕おりける其頃肥前崎陽より紅毛やしきを勤めしもの此居に食客となりけるが関取の朝夕砂
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糖のみを食ふを見てその砂糖を製して食し給ひ一段美味なりと申きいづれにして宜やと申ければ先さとうのあくを抜銅の鍋にてねりつめ曳てさましあたへけり是よりだん〱是に紅みどりの島をつけ菓子になし人々にも遣はしけりたゞ有平糖〱とよびけるがいつしか是もうをあるとよびかへあるへい糖なるべし
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二色の島をつけるも名の縁かとし寄になり腰まがりたるを大こしまげ又むすび横つなのしゆめになぞらへてねじりたるなどてしりといふも此有平の名に残しぬ▲飴春の雨は膏雨といふてねばり夏の雨は白雨とてしらたまの如し秋雨は万菓に甘みを付冬の雨は氷てたん切の如しけづりて雪をあざ
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むくゆゑあめは雨の名に元づくなるべし▲おこし奈良の国は朝とくよりおき出る国のならひにて小児といへども朝寝をさせず短夜のころ朝おきかぬるに米をいりて朝のたべ物にあたへぼんよおきよ〱と起しては此いり米をくわせけるこれが常になりてねざる時は
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おこし米くれいと申習はしけりそれゆへ世におこしなるべし虚南留別志巻之下終
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序今般余か述る所の鼎左秘録なるものは余か弱冠のとき家父の命を奉し四方に漫遊せしとき西州の異人長氏なるものより伝る所の青物砂糖漬の伝書にして風流喫茶の客座右一日も欠へからさる珍書なり此書一本を懐中すれは後園に有合松のみとりあるひは小池に生したる蓮の根なとほりとりてやかて砂糖をもて製すれは咄嗟の間
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天上の醍醐味も指頭の間に調すへきなりされは雪月の窓春花の下にて故旧相対し煙を吸ひ炒豆をかみて時事を談するときにあたりて酒茗と三分鼎峙すれは則これ昇平の一大楽事にあらすやと云爾たにはの国亀の山かけに住る嘉永五年春国華陳人題
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南蛮餅十八小倉野十八真盛豆十九味噌松風十九砂糖蜜廿あげまき廿寒晒粉製方廿六炒米廿六蓮玉子法廿七鮒淀川煮廿七諸魚類骨とも和らかに煮る法廿七肴を寒水に漬る法廿七煮ぬき玉子の法廿八風流すひもの廿八又方同
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辛螺の実ぬきやう廿八同つほ焼の法廿九長命酒卅山の芋結ひ法同山葵なき時早速わさひ造る法同湯香煎の方同漬雪花菜の法卅六柚青づけの法同手製胡麻の油の法同
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松茸のたくはへの法卅七柿のたくはへの法同辛味大根のなき時からくする法同餅にかびの出さる法同酢に白衣の生せざる法同弁当重箱に煮たる物入て移香せぬ法并損ぜぬ法三十八夏日酢又梅酢漬にかびを出さぬ法卅八酒もちの悪き陶をよくもたす法同胡椒を粉にする法卅九
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○諸雑門水上に墨にて文字を書く法卅九白紙を火に炙りて文字をあらはす法四十白紙に火をつけ文字ほりぬきになる法同白紙を水につけ白き文字あらはるゝ法同煎じたる茶茶碗の中にて水と分る法同竹筒に蛍を入れ外へ光りを出す法同豆腐に絵にても字にても書て落ざる法同歩行するとき股ずれを治する法同
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艸花より紅粉をとる法四十五貝類象牙角るい生付の様に画を顕はす法同光沢布の法同即席焼印の法四十六丸竹の節をぬく術四十七虱紐の方同懐中らうそくの法同花の露製方同天井の絵を写し取る法四十八
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蓮根をかたくする法四十八絹布にどうさを引ずして文字ちらぬ法同銅道具垢つきよごれを落す法同割たる道具つぎやう四十九遠路を歩行て足いたまざる法同足にまめ出来ざる妙法同終夜寐ずして眠らざる法同磁石の説同薫物の方又方又方梅花といふ五十
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薫物を調和する蜜の方五十一花生竹の切る法五十二朱を以て水銀を製する法同辰砂を以て水銀を製する法五十三朱から又は古朱器を以て水銀を製する法同乙の符の説五十四目次了
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鼎左秘録山陰国華山人述○青物砂糖漬之法一凡青物砂糖漬の法は先漬んと思ふ青物を随意にきり刻みあるひは細くきり或は輪切など其物に応じて夫々に切刻みて是をよく〱湯煮するなり此湯煮するに少しづゝ煮かげんもあるものなれども大抵のものは煮へ過たるをよしとす右のく湯煮したるものをいかきにとりあげ大抵に水気をしぼり鍋に入其青ものゝかさほど白砂糖を入れ水をこと
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五六滴ほど入れよくかきまぜ武火にて漸々に煮つめるなり煮る間は暫時も手を止めず撹せ居るなり段々煮へつまりたるを見て其砂糖をつふし試るによくねばり糸を引やうになりたるところ是砂糖十分に煮え熟したるなり其時鍋のそこにたまりある水気を別の器へしたみつくし其上また別に砂糖を多分に投し入れ後は文火にてそろ〱と煮るなり水気さつはり乾きてから〱となる位になりたるを度として別器へ取入れ三盆白の砂糖をふりかけよくまぶし貯へ置なり
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一切の青物つけやうみな斯のことくするなり右のことく砂とうにて煮上ケたるものを世上の方言にさとうづけと称する也是は右やうに煮あげたるをしらすしていふことばなり○生姜随分大なる生姜をゑらみうすく輪ぎり或ははすかひに切てよく〱湯煮し取あげ清水一升の中へ上品の石灰弐合入れかきまぜ此水に二日二夜ひたし置とり上けふたゝひ清水にてよく〱あらひ流にしてその上前法のことく砂糖にて煮るなり凡辛味のあるものは皆かくの如くすべし
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天門冬生よく蒸し皮をさり心をぬきさる也よく蒸さりたるときは皮よくむけるものなりさてよく蒸さりたるを堅にわりて中の心をぬきさり是を再びよく湯煮してさて早稲藁の灰汁一升の中へ枯礬細末壱両入れよくかきまぜ此水に三日ひたし取あげ清水にてあらひ流しにして其上前法のごとく砂糖にて煮つめるなり凡苦味のあるものゝ煮法みなかくのことし右枯礬のかはりに萆撥にてもよしとする也松のみどり但し春の末松のしんに立たる物をとり用ゆべし
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よく湯煮して清水一升の中へ石決明細末拾匁石灰弐合かきまぜ此水に二昼夜ひたしおきとり出して清水にて流しあらひにして其うへ前法のごとく砂糖にて煮つめるなり凡しぶみあるもの煮法みなかくの如くすべし仏手柑だい〱の若きものを輪切にして是を仏手柑と号して漬るなりこれをうすく輪ぎりにしてよく〱湯煮し煮法松のみどりの如くすべし金柑小刀にて所々へ少しつゝ切目を入れよく〱湯煮して其上前法の如く砂糖にて煮つめるなり
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茄子いたつて小さなるものをとりもちゆべし小刀にて所々へ切目を入れよく〱湯煮して其上前法の如く砂糖にて煮詰る也凡丸なるもの或は大なる物都て小刀にて切目を入煮也蓮根うすく輪ぎりあるひははすかひにきるなり竹の子輪ぎり黄瓜至てわかきものを輪ぎりにきるなり朝瓜皮をむき去り角にふとくきるなり冬瓜皮をむき去りほそく角にきるなり西瓜皮をむきさりほそく角にきるなり
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牛房皮をむき去りうすくはすにきるなり人参うすくたんざくに切るなりゆり根土をよく去り黒きはだをさるべしそら豆至て大粒をゑらぶべし兼て水にひたし置麦門冬其まゝよく洗ふうど茗荷ノ子右十三種何れもよく〱湯煮して前法のごとく砂糖にて煮つめるなり
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豆腐厚さ三四分くらゐに切り壱つ〱紙につゝみて木灰の中へ半時ばかり埋みおき取出しよろしき位にきり前法のごとく砂糖にて煮つめるなり椎茸随意にほそく切り水にてあらひよくしほり前法のごとく砂糖にて煮つめるなり椎茸と豆腐との二品は湯煮するに及はず右之外一切のもの湯煮せざるものなしとしるべし
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鼎左秘録附録国華山人述○煉羊羹の方白小豆壱合こしあんに製し置雪白砂糖八拾匁氷砂糖弐拾匁白かんてん四寸五分是は別器にて水煮しておくなり水壱合右五味合せて文武火にてゆる〱とにるなり
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大抵長日なれば一時半短日なれば二時半ばかり煮也鍋の内にて竹の箸にて文字を書き試るに其文字きへざるやうになりたるときを度として火を徹しうるし塗の箱にながし込なり其まゝ冷し置き一夜を経て十分にしまる也是を極上々の煉羊羹と称する也又下品の羊羹は氷砂糖を用ひず又さとうをも減へし○朧羊羹の方白大角豆をよく煮て味噌こしを水につけ角豆をすれば肉は下へ落ち皮は上にとまるなり右の肉をいさせその上
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澄をさり布袋に入れ水気を絞りさりほろ〱となる是をこし粉といふさとうをくはへてあんといふ此上へ引飯を三分ばかり交せ合せ砂糖多くくはへとろりとまぜて蒸篭に布をしきよく蒸し冷しいかやうにも切り用ゆるなり○餡の方赤小豆一合こしあんにして置白砂糖八拾匁水一合金糸飴少是は幾日へてもあんのかはらざる物也此仕やう奥にあり
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右四品微火にて誠にゆる〱とたき箆にてすくひ上るにばた〱として落るくらゐになるまで煮つめるなり○又方赤小豆をよく煮て擂盆にてよくすり随分細かなる迄すりて篩にて漉し淪させおき生木綿か布かに少しづゝ入れかたく絞るなり此しぼり粉百目白砂糖百目水五拾匁
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是は何ほどにても右の割合をもつて用ゆる也右砂糖垢の去りやうはよき山のいもの皮をさりて少しばかり砂糖へおろし入れよくかきまぜ水を入せんじにへ立たるとき暫し休ませれば砂糖のあか残らずかたまりて上に浮なり其とき網杓子にてすくひ去れば速かになるなり布にて漉し右のさとうを煎じつめ塩を合せ右のしぼり粉を入れ又よき堅さに煉りつめて鉢にいれ貯へ置なりこれ餡の極上々のこしらへなり○カステイラの方
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鶏卵壱つ砂糖拾匁温飩粉拾匁右三品鉢にてよく〱すりまぜおき鍋のうちに厚紙をしき其中へどろりと流しこみ蓋をして蓋の上には至て強き火をのせ置下の火はいたつてよわくして焼なり下火はあれども無きがごとくぬるき火にて焼べし焼かげんを見るには藁すべを一筋鍋の中へ通し試むべし火よく廻りたる時はすべはねばりつかず
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火いまだ不足なれば蕊にねばり付としるべし○カステイラ鍋と称するものあり赤銅にて角につくりたるものなり大小いろ〱ある也若此鍋なきときは一通りの赤がねのうすなべにて行灯の火ざらを覆に用ひてもよし○中華饅頭鶏卵大一つ雪白砂糖拾匁うどんの粉拾匁右三品カステイラの方の通り能々すり交ぜたる処へ
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水を入れゆるくどろりとなるやうに煉まぜ赤がねの皿の上へながし焼にして餡をつゝむなりあんの仕やう前にしるす○薯蕷饅頭宇陀山の芋百目粳米の粉二合白砂糖百目右三味すりばちにてよく〱すり手をぬらし丸め餡を包み布を水にしめし蒸篭にしきそれへ並べむせはふうわりと浮上るなりねばりさる時をみてあげる也餡をつゝむとき随
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分手がるく形よきやう包むべし餡は前に出す○葛饅頭の法上さらし葛の粉を葛餅のごとく少しかたくねりて箸にて能ほどに切り又葛の粉の細かなるをとり粉にして右の葛餅を平たくし赤小豆のよく煮たる丸つぶに砂糖をまぶし是を包み形を饅頭のごとくなし蒸篭にて蒸し出す也○洲浜糕豆の粉一升汁飴百目
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白砂糖百五十目青粉見斗右は先しる飴を銅鍋にてよく煮てよくとけたるとき其まゝ豆の粉を入れよくかきまぜ其うへゝ砂糖を入よくかきまぜ又青粉を見はからひに入れよく〱かきまぜ十分に煉り合し細長く棒のごとくに煉り上三本の竹をもつてはさみ洲浜のかたちに仕上るなり○求肥糕糯の粉寒さらし一合水にてこねむし置
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白砂糖六十目別に煮て蜜になし置也水一合五勺汁飴少し右四味文火にてゆる〱と煮るなり長日なれば一時半ほと短日なれば二時半ほど手を止めず撹せ煮る也右よく煮たるものを別の器に大極上々のとり粉をしき置其上へとろりと流し込なり一夜を経れば自然と出来上る也○益寿糕糯の粉寒さらし一合
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白砂糖六十目別に煮て蜜にして置也汁飴五十目桂辛三分胡椒三分清水一合五勺右六味よく交ぜ合せ文火にてゆる〱手をやめず撹ぜにるなり長日なれば一時半短日なれば二時半ばかり煮つめるなり右の通よく煮たるものを別の器にとり粉をしき置き其
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上にとろりと流し込なり一夜を経れば自然と出来上る也○白雪糕粉百目粉のこしらへやう落雁糖にあり砂糖八十目煎じ砂糖弐十目煎じさとうのこしらへは求肥糖に有右三品よくませ合し蒸篭にてむす也○蒸篭の法は餅をむすごとくして内へわくをこへ其中に布巾をしきて其上へ右のませ合したる白雪糕を入るなり尤よくおし付て蒸なり蒸かげんは湯
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気通るか通らぬか程にむしてよき也○養命糖糯の粉寒さらし五合葛の粉五十目太白砂糖五百目別にあかをさり置清水百目右四味撹ぜよくとき炭火にて煉つめ中ほどにてしる飴三百八十目入てまた煉りつめ大概仕上ケのとき
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芡実十五匁蓮肉十五匁薏苡仁弐拾匁山薬廿五匁右四味極細末にしてまぶし入また練り合せ求肥糕のごとく別器へとり粉をしき置其上へとろりとうつしよく冷し五六日も過て右の粉を布にてふきとり砂糖ふりかけよきほどに切て風引ぬやうに箱に入おけばいつまでもたもち得るなり
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○落雁糕粉百目砂糖八十目右煎し砂糖弐十匁入よく交せ合せよく〱もみて色々の形に盛なり尤色は何なりとも好にまかせて染るなり○右の粉の仕やうは上々餅米壱粒つゝ択みてこは飯にむしよく干上り壱粒づゝはなれしを鍋にて白くいり臼にて挽羽二重にてふるひて用ゆるなり
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○求肥飴米粉壱升水壱升右よく煉り合し鍋へ入れ炭火にて半日ばかり煮て其所へ煎砂糖一升弐合入れよく煉りて水に入つき立の餅のやうに和らかになりたる時別器にとり粉をしきその内へとろりと流し込よく冷し色々に切り用ゆ○米の粉の法上々餅米の極白を水の清むまであらひよく乾し臼にてひき羽二重にてふるひ用ゆる也
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○煎じ砂糖の方上々太白砂糖壱〆目水壱升入煎し上に渦出しを捨て白き渦出たるをも取すて絹にて漉し又鍋へ入れて壱升を七合に煎じ詰る也○金糸飴餅米極上白一斗麦もやし八合うすにて細末にひく湯一斗五升湯のわきかげんは手引かげん先餅米を蒸し冷ざる内に麦もやしと一緒に合し湯の中にてかきまぜ桶を藁むしろにてよく包み此中へ
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