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内閣の施政発表方式に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十二年六月二十八日
昭和二十二年六月二十八日提出 質問第一號 内閣の施政発表方式に関する質問主意書  政府は六月十二日経済緊急対策を発表し、同日各界の協力を求め、六月十九日労組代表の協力を要請し、六月十二日より十五日まで関西の財界及び労組に協力を懇請し、六月二十一日には新日本建設國民運動の要領を発表し、六月二十七日には各界代表と懇談するとか、更に食糧緊急対策を決定し、これを政令によつて発表せられる意図を持たれている等、組閣以來政府の施政方針を逐次迅速に明確にされつつある。  一方、國会は政府の希望を容れて六月四日より二十二日まで休会し、二十四日よりは自然休会となつているが、政府の重要なる施政の方針は、残念ながら國会全般には説明されないで、各界代表に優先的にされている実情にあることは、卒直に申して國会の立場を輕視するものではないかと思はない訳にはいかない。この点について新憲法下の内閣として愼重なる考慮を促したいと思う。  此のことは内閣の行政上の措置であつて、違法ではないと考えられるが、経済緊急対策は法律によつて実行されるものが多いので、立法府に対してこそまず第一に説明せられることが妥当であると信ずる。特に食糧緊急対策の一部が政令によつて実行されるようなことは、誠に遺憾にたえない次第である。  國会議員は自他ともに許す國民の代表であるが、休会中各地において演説会を開催して、國民に中央政界の報告をする際、政府の重要なる施政の一端を單に新聞や早耳の範囲で説明しなければならないことは、民主政治のため残念に思うのである。國会開会当初における内閣総理大臣の施政方針演説は、從來の慣行であるが、今後はこのような形式を打破して刻々の施政方針をできるだけ多くの機会に、書面により又は、会合を利用して、國会全般に明瞭にされることを要望すると同時に、これについて内閣の所見を伺いたい。
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衆議院議員櫻内義雄君外二名提出内閣の施政発表方式に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十二年七月四日 答辯第一號   内閣衆甲第七二号      昭和二十二年七月四日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員櫻内義雄君外二名提出内閣の施政発表方式に関する質問に対する答弁書  政府は組閣以來鋭意政策の立案整備に努め來つたのであるが、当面の危機突破のためには、全國民一丸となつての協力を必要とし、且つ又、危機の重大性に鑑み極めて迅速に、政府の政策を各界に徹底させる必要上、休会中全國会議員の参集を得ることは困難であつたので、緊急止むを得ず衆参両院正副議長、常任委員会委員長、各政党の幹部をはじめとし、諸團体の代表と懇談し、その協力を求めた次第である。  尚質問の趣旨には、政府も賛成であるので、今後とも政策の発表に当つては出き得る限りこの趣旨に副つて行く所存である。
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淡路島の電氣供給確保に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十二年七月五日
昭和二十二年七月五日提出 質問第二號 淡路島の電氣供給確保に関する質問主意書  第九十回議会の建議委員会において淡路島の電氣供給確保に関する建議案が可決された。その際、政府(商工省当局)は、関係会社を督励し万難を排して、明石、岩屋間の海底電線を必ず昭和二十二年六月中に敷設完了させるとの旨を言明した。しかるに、本年六月に至つてもなお敷設を見るに至らない。しかもその間数回にわたつてこの経過を質し、その完成を熱望したのであるが、その都度前回と同樣の答弁があつたにかかわらず、いまだにその完成をみないことは、政府の怠慢と断ずるの外はない。ゆえに、ここに政府の怠慢を責め、その責任を問い、且つ今後の見通しとその決意を問う所以である。
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衆議院議員原健三※(注)君提出淡路島の電氣供給確保に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十二年七月十四日 答辯第二號   内閣衆甲第七五号      昭和二十二年七月十四日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員原健三(注)君提出淡路島の電氣供給確保に関する質問に対する答弁書  明石、岩屋間の海底ケーブルは、製造者古河電氣工業株式会社に対し所要の期日に製作を完了するよう商工省当局として極力斡旋督励した結果、ほゞ予定の通り昭和二十二年四月末同社横濱工場で全亘長二万米の完成を見たので、直ちに布設船につみ込み六月十日迄に現地において敷設竣工せしめる予定であつたが、たまたまケーブル敷設水域の機雷に対する掃海作業が未了であつて、これが掃海作業を依(注)中の所、関係方面の諒解を得ることが困難であつたため工事の遅延を來した次第である。しかし政府は万難を排して問題の打開に努力する決意で、目下の見込では七月中旬から下旬にかけて掃海を行い得る予定であるから、八月中旬には海底ケーブの敷設を完了させることができる見込である。
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産業科学研究機関の設置に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十二年七月三十日
昭和二十二年七月三十日提出 質問第三号 産業科学研究機関の設置に関する質問  生産増加は何よりも大切である。インフレ克服も、生活安定も、生産さえ増加すれば、その目的を達し得るのである。  生産増加には、種々の方策があるが、就中、最も重要なのは、産業科学知識の應用である。  わが國の科学水準は低い。しかも実際の生産技術は、それよりも更に低い。故に、この際学者を動員し、既に習得した科学知識を実際に應用し、生産技術を引上げることだけでもその効果は偉大である。  わが國は敗戰によつて産業を制限された。その制限の範囲内において、今後如何なる産業を発達せしむべきかについては、篤と研究を要する。それには学者を動員することと、相当規模の実驗機関を設置することが必要である。  以上二つの理由から、この際、産業科学の研究機関を設置することが必要のように考えられる。戰前のドイツ政府は科学に対して一省を設けていた。アメリカが一九二九年時代に支拂つた産業改善の研究費は日本の陸海軍費の六〇%に相当した。日本はこの際生産増加のために大規模の研究機関を設置することが極めて必要のように考えられる。これに対する政府の意向を問う。
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衆議院議員石山賢吉君提出産業科学研究機関の設置に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十二年八月六日 答辯第三号   内閣衆甲第七八号      昭和二十二年八月六日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員石山賢吉君提出産業科学研究機関の設置に関する質問に対する答弁書  御質問の趣旨にあります通りインフレの克服も生活の安定も一にかかつて生産の増加にあり、生産の増加には産業科学技術の振興が極めて重要な役割を果すものであることは申すまでもありません。このために科学を應用し、生産技術の水準を上げるよう努力すべきであることについては誠に同感でありまして、政府としましても産業科学研究の振興には極力力を注いでおり、特に研究が或る程度完成し今一歩研究すれば應用できるというような研究で経費その他の点で行き詰つているような研究に対しては、政府補助金を交付致してこれを助成し、又この種の民間研究機関に対しても優秀な研究業績を有しながら経営上困窮しているものに対しては補助金を交付してその機能を維持せしめるよう努力して参つております。  ただ、産業科学研究機関の新設の点でありますが、現在國家として窮迫した資材、財政事情等では新しい研究機関を設置することは極めて困難なばかりでなく、たとえ新設することができたとしましても、それが十分な研究活動を行う成果を挙げるに到るには相当長い日子を要するものと考えられます。  一方わが國には産業科学研究機関としては相当有力なものがかなりの数あるのでありますが、それらは残念ながら現在種々の理由で活発な活動を阻害されているという現状であります。  かれこれ勘案致しますと現在のわが國の事情では、先ず以て既存の研究機関を最大限に活動できるようにすることが実際上最も時宜に適した有効な方途であろうと考えられるのでありまして、政府としましては、この方面に重点を置いて施策を進めているのであります。勿論画一的な考えではいけませんので、産業科学の部門でも既存の研究機関で果し得ないような研究部門があり、且つ緊急を要するようなものがあるとすればこれに対してできるだけの努力をはらいたいと思います。
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凶惡犯人保釈出所に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十二年八月二日
昭和二十二年八月二日提出 質問第四号 凶惡犯人保釈出所に関する質問主意書  最近凶惡犯罪著しく増加し、警察は全力を挙げて犯罪予防檢挙に当つているが、治安は容易に回復しそうにない。その原因は沢山あろうが、新憲法施行以來凶惡犯人の保釈出所が増加し、これらの者が重大犯罪を犯していることが目立つて來た。例えば本年一月以降四月までに岡山刑務所から保釈出所した者は強盗三十二名、窃盗百五十五名に達し、この中出所後直ちに犯罪を犯して五月末日までに再び檢挙された者は三十一名の多きを数へている。この数字は盗犯の檢挙率が約二九%なることを考察すると、保釈出所後犯罪を犯している者は百八十七名中の過半数の百七名に相当する訳で、治安はこの一角から崩れているといえるであらう。  なお保釈出所者の状況を見ると、近く再び刑務所に繋がれるということが生業に親しませぬこととなり、あるいは上訴保釈中の者はいくら犯罪を犯しても、確定前で一罪として処断され罪は加重されないというようなことを考え、犯罪を繰り返す状況である、岡山刑務所における二、三の事例を見ても誠に戰慄を感じるものがある。  以上の通り強窃盗等の凶惡犯人の保釈が現下の混乱した社会情勢下、治安上重大な影響を及ぼしているのであつて、これは至急関係法令を改正し、保釈出所を吟味すべきであると思うが、これについて司法大臣の所見を伺いたい。
b001004
衆議院議員※(注)原亨君提出凶惡犯人保釈出所に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十二年八月十五日 答弁第四号   内閣衆甲第八〇号      昭和二十二年八月十五日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員(注)原亨君提出凶惡犯人保釈出所に関する質問に対する答弁書  日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律は、保釈制度につき別段の改正を加えなかつたが、新憲法施行以來保釈制度の運用においても、新憲法の人権尊重の精神を(注)み、保釈人員の増加を來していることは、否定し難いところである。然しながら最近の統計によると、昭和二十一年一月から昭和二十二年六月までの水戸地方裁判所外二十二地方裁判所における盗犯保釈総人員五、〇三〇人中保釈を取り消された人員は、七二人に過ぎず仮にその全部を再犯と仮定しても、これを同一期間中の全國盗犯発生件数一、六九七、〇八七件、盗犯檢挙件数七七三、一六〇件に比較すると、再犯のため保釈を取り消された人員は、極めて僅少と言わなければならず、必ずしも、本件質問主意書に掲げられた数字によつて、全般の傾向を推論し難いものと思われる。  なお、第一回國会に提出された刑法の一部を改正する法律案によれば、刑法第五十五條が削除されるので、今後所謂連続犯は一罪として処断されるとの考から犯罪を繰り返す虞はなくなるものと考える。  然しながら、強竊盗等の凶惡犯人が保釈後同一犯罪を繰り返すということは、治安上看過し得ないところであるので、目下司法省において立案準備中の刑事訴訟法改正法律案においては、十分この点についても研究したいと考える。  なお、参考のため左記保釈、同取消人員数並びに取消事由調を添附する。
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菊花紋章の標示に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十二年八月十三日
昭和二十二年八月十三日提出 質問第五号 菊花紋章の標示に関する質問  十六弁菊花の紋章が皇室の家紋であることは、あまねく知悉されているところである。しかるに新憲法施行以後に発行せられた各種の通貨、印紙及び郵券等の上部には、依然としてこの紋章が配置されている。思うにこれは菊花紋章がかつて軍旗、軍艦、砲、銃等に配されて、天皇の軍隊を誇り、無謀なる戰爭に突入して人類の平和を攪乱し、わが國を今日の惨状に導いた帝國主義日本の象徴であることを、何ら自ら顧みようともせず、温存せんとするものと断ぜざるを得ない。  從つて、わが國が天皇主権制を改廃して、主権在國民制を確立し、且つ帝國主義を廃棄して平和愛好國家として再出発したる今日、何ら日本國の正式紋章にもあらざる皇室の家紋を、通貨、印紙、郵券等に標示することは、憲法の規定する日本國成立の根本義と背反するばかりでなく、延いては帝國主義的影響を温存せしむるの作用を、必然的に伴うものである。右について政府の所見を質し文書答弁を求める。
b001005
衆議院議員加藤靜雄君提出菊花紋章の標示に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十二年八月二十二日 答弁第五号   内閣衆甲第八二号      昭和二十二年八月二十二日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員加藤靜雄君提出菊花紋章の標示に関する質問に対する答弁書  新憲法施行後なお各種の通貨、印紙及び郵券に菊花紋章を標示することは適当でないと考え、政府は、すでに郵便切手等郵券については今後新に発行する図案には菊花紋章を標示しないことに措置し、現に過日発行した貿易再開記念切手にはこれを標示しなかつた。通貨についてもまた、今後新な樣式を以て製造に著手するものについてはこれを標示しないよう措置する方針である。
a001006
法文の用語に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十二年八月十三日
昭和二十二年八月十三日提出 質問第六号 法文の用語に関する質問 一、「尊属」及び「卑属」という用語は、尊いものと卑しいものとの存在を意識するものであつて、必然的に封建的身分観念を温存し、且つ國民平等の原則と一致しないものである。よつて例えば「先属」及び「後属」というが如き用語に改める必要があると信ずる。 二、「嫡出子」という用語の存在は、嫡出子にあらざるものとの身分的差別を肯定する前提に立つている。  かくの如きは、何ら本人の関知しない出生の経緯によつて、その生涯の運命を傷つけ、且つ自由及び幸福を侵害し、償うことのできない結果を招來する危險を持つものである。  右に対する政府の所見並びに改正の計画があるか政府の文書答弁を求める。
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衆議院議員加藤靜雄君提出法文の用語に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十二年八月二十二日 答弁第六号   内閣衆甲第八二号      昭和二十二年八月二十二日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員加藤靜雄君提出法文の用語に関する質問に対する答弁書 一、政府としても「尊属」「卑属」という用語の可否に疑問を持つている。適当な用語があれば此の次の民法の大改正の機会に改めよう。 二、正当の婚姻によつて生れた子と、然らざる子とは、その氏の定め方、親権者の定め方等について別々の規定が要るので、或る程度呼び方に区別を設けるのは立法技術上避け難いことであるが、「嫡出子」の語が適当かどうかは、將來民法の本格的改正をする迄に充分に研究したい。
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略式命令の違憲性に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十二年九月十八日
昭和二十二年九月十八日提出 質問第七号 略式命令の違憲性に関する質問 裁判の民主化と略式命令の違憲性 一 民主々義政治の原理は、人民の政治、人民による政治、そして人民のための政治を行うことに在り、裁判は政治そのものではないけれども、民主政治の支柱として、人民の信任を背景とし、民主國家の発展に奉仕する國家機関の作用であつて、その生命は、公正の二字に終始すると思う。およそ裁判の公正なくしては、民主々義の発展は期待することができない。 二 裁判の一種に略式命令なるものがあつた。罰金又は科料を科すものであつたが、戰時中は体刑をも科していた。その審理は、純然たる書面審理であり、裁判官は、被告人の顔すら見ないで裁判をしていた。まして、その弁解をきゝ泣訴に耳を傾けることもなかつた。被告人はまた、裁判官の氏名も顔も知るに由なく、もとより自己のために、どのように不利な記録ができ上つているか知るすべもなく、日本の刑事訴訟法は起訴状を被告人に送達しないから、何時自分が起訴されたのかも判らぬ、刑を科せられたことを知つた瞬間、即ち略式命令の謄本が送達されたその時まで、弁護人を依頼することもできなかつた。率直にいへば所謂天降り式裁判であつて、たゞ、不服があれば、正式裁判を申し立てたらよからうというに過ぎない。まことに、民は依らしむべし知らしむべからずの裁判であつた。 三 新憲法は、日本の夜明けを宣言した。主権の存する國民の権利と義務と、そして自由とが、いかなるものであるかを明かにした。即ち、第三十七條は、すべての刑事々件において、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有すること、すべての証人を審問する機会を充分に與えられること、いかなる場合にも、弁護人を依頼することができ、貧しい者は國費で弁護人を付けてもらえることさえ明かにし、第三十八條は、何人も自白を強要されることなく、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合は、有罪とされ、刑罰を科せられることが絶対にないことを明かにし、第八十二條は、裁判の対審と判決とは必ず公開法廷でこれを行うべく、公序良俗を害する虞あるときは、例外として傍聽禁止が許されるが、政治犯、出版罪、基本的人権が爭となつた事件については、どんな場合でも例外なく絶対にその裁判を公開しなければならぬことを明かにしたのである。これらの條規は、國民が過つて刑事被告人の地位に立つた場合の、最低限度の人権保障であり、一面においては、裁判官に対する行動の規範を與えたもので、また、憲法を擁護ずる責任ある立場におかれた裁判官の職務上の義務を定めたものであるとみなければならない。 四 賢明なる國民諸君は、すでに略式命令なる裁判が、新憲法に違反するものであることを感づかれたことと思うのであるが、ここに一つの理解しがたい現象がある。それは、今日なお、全國多数の簡易裁判所において、依然としてこの暗黒裁判が行われているということである。その原因は、去六月十二日司法省が「どうも違憲ではない・・・・」という極めて非科学的な理由をつけて、全國の檢事に対して、略式命令が可能であるとの見解を通牒し、一部の判事がこれに迎合した結果であると思う。ところが、これに先だち、旧最高裁判所臨時刑事委員会は、五月十七日十対四の多数決をもつて、略式命令が憲法違反であることを決議していたのであり、その論拠は、略式手続は憲法第三十七條、第三十八條、第八十二條等に牴触するといふのである。しかるに、八月四日成立した最高裁判所は、未だこの問題について権威ある判決を與える機会に惠まれず、簡易裁判所の判決に対する上告審である高等裁判所においても、未だはつきりした判決を與えるに至つていない。憲法第九十八條は、日本國憲法は國の最高法規であつて、その條規に反する法律は一切効力を有しないことを定めているので、第一線の裁判官は、一日も早く、この問題の解決が與えられることを期待しつつ今日に至つたのであるが、客観情勢は、もはや暢氣に構えていることを許さぬものがあるし、漫然と上告審の判決を待望している間に、刻一刻と憲法の保障する裁判の迅速性は失われて行く。 五 刑事裁判の理想は、文化的・政治的・若しくは経済的な社会の秩序を維持し、人類社会の平和を實現するに在り、その技術は、無知又は誤解から刑事被告人の地位に立つた國民を対象とし、その基本的人権を擁護しつつ、その社会的適合性を復活させるに在り、その方法は、往々にして被告人の利益を奪う。けだし、公共の福祉のためには、一個人の利害得失のみを眼中におくことはできないからである。檢察官が、涙をのんで國民を起訴するのも、たゞこれがためであつて、若し被告人の意思や希望、あるいはその利害のみを眼中におくとするならば、むしろ初めから起訴しないであらう。檢察宮が、いやしくも起訴する以上、そこには必ずや個人たる被告人の利害を超え、それ以上に保護すべき社会の利害があるからであり、公益の代表者として、被告人を公開の法廷に立たしめ、堂々と起訴の理由を公開し、正義の法廷をして、公正なる裁判をなさしむべく要求し、自己を信任せる人民に対して、檢察の公正と法の威信とを知らしめることこそ、檢察官本來の任務であり、公正なる檢察は、公正なる裁判の前提であることを知らねばならない。被告人もまた隸從と偏狹を去り、公開法廷に起つて、自己の主張すべきことを主張し、非を非として、公正な裁判を受ける権利こそ憲法の保障するところであれ、非公開のまま、徒らに軽い刑罰をのみこれ希うは、單なる欲望であつて権利ではないことを認識しなければならぬ。 六 從來、被告人が略式命令に対して正式裁判を請求した殆んどすべての場合が、より軽い罰金刑を希望したためであり、そして事実その希望を達した場合が多かつた。しかし、それは、公開裁判の賜であつたことを忘れてはならない。刑そのものに不服のない場合、略式命令は確定していた。しかし、若し新憲法の下においても、略式命令が許されるとしたならば、それが確定した場合、非公開で裁判したこと、即ち公開裁判を受ける被告人の権利を奪つた責任は、一体、裁判官以外の何人がこれを負担するのであらうか。若し人あつて、確定後、この点に関する不服を主張したとしたら、どうなるか。被告人の打算によつて、裁判官はその都度、憲怯違反を余儀なくされ、その汚名を押し付けられるに至るではないか。しかし、問題は、單に被告人と裁判官のみの利害に限られる事柄ではない。裁判の公開は実に憲法上の鉄則であつて、これなくしては、裁判の公正は絶対に確保されない。歴史の証明するとおり、非公開裁判の弊害は、その極端な場合に想到するときは、戰慄すべきものがあるのであつて、裁判の公開こそは、罰金の多少や裁判官の責任と比較するには、あまりに貴い民主政治の支柱をなすものである。アメリカの略式裁判が、すべて公開法廷で行われていることを想起せよ。また、罰金刑にも執行猶予の制度が設けられている先進國のあることにも思いを致さなければならぬし、経済事情の惡化により、罰金を納めることが不能な境遇に陷れば、罰金に代えて労役場に留置される運命にあることも考えねばならぬ。更に、新憲法の施行に伴う刑事訴訟法の應急的措置に関する法律の第九條は、予審制度を廃止したのであるが、司法省は、その論拠として、予審制度は非公開主義であり、新憲法の裁判公開の原則に反するからであると説いているのであるが、実体上の裁判を行わぬ予審でさえ、憲法違反であるとするならば、現実に刑を科する略式命令のみが、憲法に違反しないという論理は、どこから生れて來るのであらうか。予審を経由した事件は、正式裁判請求の有無にかかわらず、当然公開裁判を保障されているのに、更に、反対論にとつて致命的なことは、憲法第八十二條の規定である。例を選挙違反に採つて考察するに、同條により、選挙違反事件の対審は、絶対的公開主義であるから、檢察官が公判請求の形式で起訴する限り、常に公開裁判が行われるのであるが、若し新憲法の下においても、略式請求の形式で起訴することが合憲法的として許容されたなら、これは非公開で裁判されることとなり、政府の方針如何によつては、起訴不起訴の決定ばかりでなく、起訴の方式までも、自由に変更され、選挙に対する一種の干渉の道具に供され、第八十二條を空文と化し去るのみならず、反民主々義的政府の樹立を可能ならしめるごとき危險きわまる萠芽を残す虞なしとしないからである。 七 民主々義政治が、人民による人民の政治であり、裁判の民主化が、その支柱である以上、被告人もまた、無分別な打算から自己を解放して、憲法上の鉄則たる公開裁判を擁護するために、勇氣を鼓して民主法廷に起たなければならぬ。それが、新憲怯の下における刑事被告人の民主的な責務である。裁判官は、もはや天皇の官吏でなく、人民のため、人民の信任を唯一の基礎として、法廷に臨んでいる。人民は先ずその念頭から、封建的な白洲の連想を取り去ることが必要だ。法廷は人民のものである。   すべての刑事々件について、公開裁判が行われ、その公正が、國民によつて確認されるようになつたなら、清貧と心労と苦難とに常に直面している日本の裁判官の使命は、ほぼ果されたといえるであらう。憲法を擁護し、眞理を貴ぶが故に、私は、略式命令が憲法違反であることを強調し、世の批判を待つものである。
b001007
衆議院議員林百※(注)君提出略式命令の違憲性に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十二年九月二十六日 答弁第七号   内閣衆甲第九六号      昭和二十二年九月二十六日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員林百(注)君提出略式命令の違憲性に関する質問に対する答弁書  御質問の趣旨は、刑事訴訟法第五百二十三條は、憲法第三十七條、第三十八條、第八十二條に違反するにもかかわらず、政府の見解が不明確であるため、各地の裁判所においてその取扱が区々となつているので、これに関する政府の見解と対策を明かにせよというに在るものと思う。  結論を申せば、政府は、当初から、略式命令は憲法違反でないと解して居り、この見解は、新憲法施行前から機会ある毎に明かにして居るので、全國の檢察官は勿論、裁判官も充分承知している筈である。  略式命令は、なる程書面審理の上発せられるものであるが、これを受ける者は、常に正式裁判を請求し得るのであつて、正式裁判の請求があれば、裁判所は、第一審からすべて通常の手続に從つて審判をなし略式命令に拘束されないのであるから、審級の点において、裁判の公開の点において、弁護権の点において、將又証拠の点において、略式命令が発せられた場合と然らざる場合との間には、何等差異はないのである。從つて仮に略式命令が発せられたとしても、國民が憲法によつて保障されたこれらの権利を奪われることはなく、唯國民が自由な意思に基いてこれらの権利を放棄するならば書面審理による裁判が確定するというに過ぎない。憲法は、行政機関が前審として裁判を行うことすら認めて居り、政府は、右に述べた國民の権利が憲法上絶対に放棄できない権利であるとは考えていない。  搜査官憲の取調を受けた者で、略式命令による裁判を希望する者が極めて多いことにも特に考慮を拂う必要がある。  なお、統計的にいえば、略式命令によつて確定する事件は、全刑事々件の七割に達するのであつて、現在の限られた我が國の財力を以て、全刑事々件をすべて通常の手続で裁判することは、殆んど不可能に近いことに思を致すならば、軽微な爭なき事件については比較的簡易な手続による裁判を行い、眞に爭のある事件及び体刑を以て臨むが如き比較的重要な事件については、愼重な裁判を行うことこそ、実質的に國民の権利を尊重し、これを保障する最も妥当な途であると信ずるのである。  或る裁判所が政府とその見解を同じくして略式命令を発し他の裁判所がこれに反する見解に立つているのは事実であるが、これは政府の見解が不明確なためではなく、それぞれの裁判所の憲法の解釈に差異があるからであつて、裁判の性質上やむを得ないところである。これは、具体的事件について、最高裁判所の判決が下るまでは、続くであらう。政府には、これに対し何等採るべき方策が與えられていないのである。
a001008
農地に非ざる土地の米麦等を以てする物納地代に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十二年十月三日
昭和二十二年十月三日提出 質問第八号 農地に非ざる土地の米麦等を以てする物納地代に関する質問主意書  農地の小作料については農地調整法第九條ノ二において原則として金納と規定せられているが、農地に非ざる宅地その他の土地の物納地代については何等の規定がない。併しながら米麦等の主要食糧を以てする地代の物納は、食糧管理法の実施によつて供出と配給とが統制せられている現在においては履行することができない。從つて米麦等を以てする物納地代にかえて金銭を支拂つているのが実情であるが、その法的根拠が明白でない。  第一に米麦等の主要食糧を以てする物納地代を金銭に換算する換算率は   (イ) 農地調整法第九條ノ二に基く額(米一石七十五円)か   (ロ) 生産者價格(石五百五十円)か   (ハ) 消費者價格(石千五百円)か  あるいは主要食糧を以てする物納地代の契約は、食糧管理法施行の日以後無効と解して   (ニ) 附近類似の土地の金納地代に準じたる相当額と解すべきか  第二に物納借地契約全体が無効なるか、そのまま有効なるか、又は契約全体の内の物納の部分のみが無効となると解すべきか、又無効とすれば何年何月何日より無効となりたるものと解すべきか  第三に非農地の主要食糧を以てする物納地代にかえて金銭を以て履行するについて法規制定の意思なきか
b001008
衆議院議員細野三千雄君提出農地に非ざる土地の米麦等を以てする物納地代に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十二年十月十日 答弁第八号   内閣衆甲第一〇〇号      昭和二十二年十月十日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員細野三千雄君提出農地に非ざる土地の米麦等を以てする物納地代に関する質問に対する答弁書 一、宅地に関する限りは地代家賃統制令第二十四條によつて昨年十月一日から全面的に物納地代は禁止されている。即ち從來物納であつたものは、金納に改められ、又將來も絶対に物納地代は定めることはできなくなつた。   從求物納であつた地代は、その地代に関する限り契約は一部無効となり、地代家賃統制令第六條により新しく金納地代として認可を受けて定めなければならない。   只御質問に関連して代金納地代の問題があるが、代金納地代の換算率について現行の取扱方法は、まず第一に地方的慣習又は契約当事者間の特約により小作料換算價格によるとか、生産者價格による等定まつて居る場合はそれによることとし若しこのようなものが存在しない場合は昨年九月三十日現在における消費者價格で算出した額まではとれるようになつている。但し消費者價格によつて換算されたものが一般金納のものと比較して高い場合は都道府縣知事は職権をもつて一般金納の水準まで減額命令することができることになつている。 二、農地及び宅地以外の土地(山林、原野等)の物納地代の禁止については現在直接的には法的処分がされていないがその必要を認めている。
a001009
輸出綿織物專業小工場の機能発揮に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十二年十月十八日
昭和二十二年十月十八日提出 質問第九号 輸出綿織物專業小工場の機能発揮に関する質問主意書 一、要旨  わが日本建設のためこの度自由貿易が認められ、原綿の個人買付が許されたことは、斯業発展のため一進歩と認められるが、この機において從來の諸弊害となつていた諸事情を再檢討して、眞に民主的な行き方を確立することが要務であると確信する次第である。  思うに從來はややもすれば、一部の封建的組織が、その規模の厖大なことを利用し、小企業家を圧迫し、独占的に利潤を追求し、いわゆる財閥を確立した点より観れば、およそ企業は、その企業の大小にかかわらず、生産面においては同一の立場においてこれに当り得る仕組を確立することが必要である。  右の観点よりする時、機業界においてその弊害として次の三点が挙げられると思う。即ち、  第一に、織元制度である。本制度は特に雜綿布等の製織を主体とする零細工場地区に行はれ、綿糸需給関係に立つ紡績会社と織物工場との間に、織元という中間商が介在し、製織工場の小規模で、資金その他無力なのに乘じて、紡績会社と提携して零細な織布業者をリードし、その中間搾取を擅にしたものである。  第二に、いわゆる紡績リンク制である。本制度は紡績会社の織布業者に比し、その規模の大で資金その他の強大なことを利用し、自己の計画の下に、織布業者に綿糸を與え、製織させてその工賃のみを支拂い、もつて織布業者を、紡績会社出張所のような奇景を呈せしめて、独占せしめるものである。  第三に考えられるのは、現在行われている原糸の契約前の先渡行爲である。これを放任するときは、特殊関係業者は、その余力を利用し、優先的に原糸の先渡を受け、そのため連繋のない業者は、原糸の配給を遅延せしめられ、その生産能率、製品の品質において全く浮ばれない破目に追いやられ、なお、これによる制裁は、同樣に課せられるのである。  以上の点を除去し、全國三分の二を占める中小織布工場としても、生産面においては堂々と他の大工場の間に伍して、各自の能力を最大限に発揮せしめることこそ、民主主義の発展の上、貿易振興のため、眞に緊喫の要務であると確信する。 二、対策  右の主旨に即應するためには、先ず取りあえず次のような組織対策を緊要とするので、速かな政策の樹立を要する。 (一)先ず雰細工場の大工場への対抗のため、零細工場(現在の協同組合)は、同種の織機約百五十台に達するまで協同体を結成せしめ、この責任者を選定し、代表者を定め、大規模工場と同等の地位に置くこと。 (二)原糸の受入、受出については、紡績同業会と、綿スフ織物工業会との対等の立場において、その協議により紡績部門と織布專業者部門との大割を定め、各々に配分するものとすること。
b001009
衆議院議員竹山※(注)太※(注)君提出輸出綿織物專業小工場の機能発揮に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十二年十月二十八日 答弁第九号   内閣衆甲第一〇五号      昭和二十二年十月二十八日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員竹山(注)太(注)君提出輸出綿織物專業小工場の機能発揮に関する質問に対する答弁書  機業界に存する從來の弊害として織元制度、紡績リンク制及び先渡行爲の三者が挙げられているが第一の織元制度は織布業が曾つて農村において農閑期を利用して行われた時代に存したものであつたが、これは昭和十四、五年頃より原糸の逼迫と共にその姿を消し、現在では銘仙その他に僅かに見られる他殆んどその姿を消してをり、第二の紡績リンク制は昨年一杯を以て完全に廃止されているものである。  輸出綿布については「指定生産資材割当規則」及び「指定纎維資材配給規則」を準用して取扱うこととなつているが、それによれば直接織布業者に対し原糸の割当発券をなし、織元制度及び紡績リンク制はこれを認めざる方針である。第三の先渡行爲は、現在も行われているものであるが、前述の規則では切符と引換に非ざれば原糸の受渡をなしてはならぬことを規定すると共に、切符をもつて原糸を要求する織布業者に対して糸供絵者(紡績業者及び糸販賣業者)は正当の理由なくしては、これを拒み得ない事を規定し、先渡行爲による弊害を除去せんとしている。しかし如何に法規を以て規制しても資本力の相違によつて零細工場が種々の不利益を受けることは当然生ずるものであるから、これが対策として御説の如く零細工場を協同体となすことが必要である。そのためには、織機約百五十台位を以て適当なりと考えられるのであるが、かかることは政府が強制してできるものではなく、業者の自覚により可能なるものと思う。小規模の事業者が相互扶助を目的として協同し、市場において大規模の事業者と競爭しうる体制を整えることは、公正且つ自由な競爭の促進、事業活動の活発化に資するものであり、独占禁止法も、協同組合については適用除外すると規定してゐる(二十四條)なお織布業者が貿易廳との間に輸出綿布の委託加工契約をなす時零細工場については協同組合が契約者となりうるのである。  対策の二として紡績同業会と綿スフ織物工業会とが対等の立場において紡績関係織物工場と織布專業工場との原糸の受入の大割を定めることが指摘されているがこれは既に両者の共同委員会により行われているものであり、今後においては商工省において直接各工場別生産実績等に應じ原糸の割当をなすのであつてこれが割当については諮問委員会等の意見を十分取り入れその適正公平を期する方針である。
a001010
日本銀行の仮拂金その他に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十二年十一月四日
昭和二十二年十一月四日提出 質問第一〇号 日本銀行の仮拂金その他に関する質問主意書  一、日本銀行の仮拂金本年一月以降月別にその内訳を答えられたい。  二、政府資金の撒布超過とその原因如何。  三、昭和二十二年度國民所得推計総額並びにその内訳(調整項目の内訳を含む)、及び國民所得の計算方法並びにその基準。  四、昭和二十二年度資金需要(財政資金、産業資金、國民消費)並びに資金計画の総額及びその内訳(一般融資、その内訳、復金債券の内訳、直接投資の内訳)  五、昭和二十二年度貯蓄増加の推定並びにその計画。  六、通貨増発の見込。  七、税目毎にその徴税予定並びにその実績。  八、專賣收入を項目別にその收入予定並びにその実績。  九、鉄道ならびに逓信收入の予定並びにその実績。  十、物動計画(本年度第一、第二四半期)並びにその実績、及び追加予算を裏づける第三、第四四半期における重要物資の需要部門別の配給計画。 十一、貿易計画(相手國別、品目別輸出入計画)の第一、第二四半期の実績並びに第三、第四四半期の計画。 十二、貿易資金特別会計の第一、第二四半期の実績並びに第三、第四四半期の計画。 十三、復金融資先(一千万円以下も含む)別金額。
b001010
衆議院議員野坂參三君提出日本銀行の仮拂金その他に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十二年十一月十四日 答弁第一〇号   内閣衆甲第一〇七号      昭和二十二年十一月十四日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 一、日本銀行の仮拂金勘定は、日本銀行の勘定公表面では、雜勘定の中に含めて発表されているが、之はその名の通り処理未決済の支拂勘定を整理しているもので、日本銀行資産総体から見れば大した金額ではない。即ち本年一月以降各月末における本勘定の残高は一月一一、〇五七百万円、二月六七一百万円、三月八二六百万円、四月一、〇二四百万円、五月一、一四三百万円、六月一、三一一百万円、七月一、四七〇百万円、八月一、五四九百万円、九月一、六八六百万円となつているが、内主なるものは、次の二つで、本仮拂金勘定の殆んど大部分を占めており、これは孰れも日本銀行としては所謂通り拔け勘定で経理技術上の勘定であり、その他は全く処理未済の微々たる金額に過ぎない。尚一月末の金額が特に多額なのは、尚月末迄は、進駐軍関係諸費の立替拂金が本勘定で処理されていた爲めである。 二、政府資金撒布超過とその原因 三、昭和二十二年度國民所得推計総額並びにその内訳(調整項目の内訳を含む)及び國民所得の計算方法並びにその基準 四、昭和二十二年度資金需要(財政資金、産業資金、國民消費)並びに資金計画の総額及びその内訳(一般融資、その内訳、復金債券の内訳、直接投資の内訳) 五、昭和二十二年度貯蓄増加の推定並びにその計画 六、通貨増発の見込 七、 八、昭和二十二年度專賣局特別会計收入 九、 一〇、 一〇、昭和二十二年度通信事業收入調 十、其の一 十、其の二 十一、左記資料を以て答弁に代える。 十二、貿易資金特別会計の実績並びに計画については、目下資料を作製中であり近く完成を俟つて國会に提出の予定であるから御諒承願いたい。 十三、復金の融資先について、ここに答弁することは、種々の影響を考慮して差控えることと致したい。
a001011
主食の遅配状況についての質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十二年十一月十九日
昭和二十二年十一月十九日提出 質問第一一号 主食の遅配状況についての質問主意書 (一)十月三十一日現在における全國並に都道府縣及び主要都市に於ける主食の遅配状態を示されたい。 (二)本年五月三十一日現在における(一)同樣の主食遅配状態を示されたい。
b001011
衆議院議員木村榮君提出主食の遅配状況についての質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十二年十一月二十五日 答弁第一一号   内閣衆甲第一〇八号      昭和二十二年十一月二十五日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員木村榮君提出主食の遅配状況についての質問に対する答弁書 (一)昭和二十二米穀年度における配給不足数量(單位玄米石) (二)遅配状況
a001012
水産官廳拡大強化に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十二年十二月八日
昭和二十二年十二月八日提出 質問第一二号 水産官廳拡大強化に関する質問主意書  水産官廳の拡大強化は、日本経済の再建復興途上緊急且つ至大の要件である。これをもつて衆議院水産常任委員は終始一貫その実現を要望し來り又全國の漁業者團体においてもこれが貫徹を促進して止まない所である。  然るに政府は專任農林大臣の補充をこの会期正に終らんとする今日なお断行せずして空位にまかす。これをもつて本件に関し政府の所信を聽くこともできず。よつてこの際政府は速かに右に関し責任ある答弁をなさんことを望む。
b001012
衆議院議員石原圓吉君外一名提出水産官廳拡大強化に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十二年十二月九日 答弁第一二号   内閣衆甲第一一三号      昭和二十二年十二月九日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員石原圓吉君外一名提出水産官廳拡大強化に関する質問に対する答弁書  政府は水産官廳の充実強化が水産の振興上必須の要件であることを認めるが、官廳組織の問題については、目下行政機構全般について研究中であり、それと合せて研究したい。
a002001
入場税の税額に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年二月四日
昭和二十三年二月四日提出 質問第一号 入場税の税額に関する質問主意書  昭和二十一年度及び昭和二十二年度(四月以降判明せる月迄の分)における入場税の都道府縣別税額を第一種、第二種に分ち、更に各種別(映画、サーカス、競馬等)毎に承知いたし度い。
b002001
衆議院議員中村元治※(注)君提出入場税の税額に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年二月二十日 答弁第一号   内閣衆甲第九号      昭和二十三年二月二十曰          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員中村元治(注)君提出入場税の税額に関する質問に対する答弁書 一、昭和二十一年度都道府縣別種類別の入場税の税額は別表の通りである。(税務統計による。) 二、昭和二十二年度都道府縣別種類別の入場税の税額は、各財務局から報告を徴していないので今直ちに提出することは困難であるが、各財務局別入場税の税額については、目下集計中であるから、これが完了次第提出する見込である。
a002002
酪農業に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年二月六日
昭和二十三年二月六日提出 質問第二号 酪農業に関する質問主意書 一、畜産行政機構は各省各局に分れ特に酪農関係は、その弊害はなはだしく指導奬励方針も区々のため、酪農振興を阻害する点少なからず、これが行政機構の一元化を図ること。 二、現在の不合理なる牛乳及び乳製品公定價格を他の物價と均衡の保てるよう至急改正すること。 三、政府は供出牛乳一石につき麦類三斗三升の還元を公表せるも、未だに実行不充分なるを以て確実に履行するようにせられたきこと。 四、乳牛維持飼料は現在最低必要量の二割乃至三割程度の配給あるのみにて、しかも不確実のため飼養管理上重大危機に直面せるを以て今少しく高率且つ確実に配給すること。 五、生後十八箇月以上の乳牛に対し畑地一段歩を飼料專用圃として供出対照外において年間保有し得るよう法的措置を講ぜられたきこと。 六、牛乳供出者に対する報奬物資の配給は政府公表にも拘らず、現実的には殆んど履行されざるを以て他の主食又は農産物に対すると同様の措置を講ずると共に迅速確実に実行するようにされたきこと。 七、牛乳生産者及び乳業者に対し自轉車、リヤカー、タイヤ、チユーブ、作業衣、エプロン生地、牛乳濾過布、手袋、ゴム長靴、地下足袋、搾乳バケツ、牛乳輸迭罐、サイロ用セメント、畜舎補修用木材、同釘、石鹸等の生産資材、処理資材、生活資材、運搬用資材を配給するようされること。
b002002
衆議院議員千賀康治君外二名提出酪農業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年二月二十日 答弁第二号   内閣衆甲第一〇号      昭和二十三年二月二十日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員千賀康治君外二名提出酪農業に関する質問に対する答弁書 一、酪農に関する行政機構は牛乳衛生に関しては厚生省、牛乳の生産取引及び加工に関しては農林省食品局、乳牛の増殖、飼料の配給等に関しては農林省畜産局が夫々所管し、その指導奬励方針については連絡を保持するように鋭意努力して來たが、その間において必ずしも充分とはいえない点もなしとは断じえないので、畜産振興五箇年計画の具体的遂行に当つては、これが円滑なる実現を図るため酪農行政の連絡緊密化についても充分考慮したいと思う。 二、牛乳及び乳製品の公定價格は、昭和九、十及び十一年の三箇年平均價格を基準とし、パリテイ計算法に基き決定しているが、今日までは飼料及び生産資材の確保がこれに伴わない憾みがあるので牛乳生産者より價格改訂を要求されているが、價格改訂は他物價との均衡及び綜合的物價体系の維持等にも関連するので、現在はこれ等生産用資材を確保すべく万全の努力を傾倒している。 三、供出牛乳にリンクする飼料の配給が遅延していることは、甚だ遺憾であるが現在の食糧事情から麦そのものでの配給が困難な実情にあり、その他の飼料で必ずこれを配給する方針である。 四、乳牛の飼料については從來とも重点的に考え配給を行つているが、統制数量が僅少であるため所要量を充しえない事情にある。   今後公團の設置輸入の促進及び國内飼料資源の合理的利用等に努めその目的を達したい。 五、二十三年春作において禾本科飼料作物一〇万町歩、荳科肥飼料作物一七万六千町歩に対し肥料一万四千瓲を割当てその増産を講じつつあり酪農家の積極的協力を期待したい。   但し穀類及び藷類等供出の対象となる主要食糧については、食糧事情の現状から予め作付割当を行うことが困難であるので飼料の自家保有の問題として十分考慮したい。 六、牛乳生産並びに輸送に必要な各種生産用資材の確保は、牛乳の増産及び價格維持のため緊要なのであるが、現下の資材需給状態からなかなか困難であつて、昨秋発表のあつた緊急食糧対策に基き、自轉車、タイヤ、チユーブ、地下足袋、ゴム長等を報奬物資として配給することとなつたが目下遅配状態である。   なおこれ等とは別途に乳牛舎補修用資材及びサイロー用資材の配給確保に努めつつあるが、その配給量は需要量に比し極めて低位であつて誠に遺憾の状態であるが今後とも十分に努力する方針である。
a002003
供米問題に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年三月十五日
昭和二十三年三月十五日提出 質問第三号           衆議院議長 松岡駒吉 殿 供米問題に関する質問主意書 一、農民の保有米の確保はポツダム宣言、憲法並びに食糧管理法によつて認められている農民の権利であると思うが如何。 一、食糧管理法第三條第一項の命令の具体的内容如何。 一、保有米にくいこむ割当は割当の期限後でも変更しうるかどうか、出來るとすればその法的根拠を示せ。 一、保有米にくいこんで出した供出農家の飯米は如何にして保証するか、又その法的根拠は如何。
b002003
衆議院議員木村榮君提出供米問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年三月二十三日 答弁第三号   衆甲第一号      昭和二十三年三月二十三日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員木村榮君提出供米問題に関する質問に対する答弁書 一、政府は現在、食糧管理法に基き主要食糧の供出割当を実施しているのでありますが供出割当数量の算定は各農家の主要食糧の生産見込数量より一日一人当平均四合の基準で算出した農家保有量を差し引き決定しているのでありますが、これはわが國現下の諸情勢から判断して決定したものでありまして、これを食糧管理局長官より各都道府縣知事に対する通牒により実施しているのであります。從いまして食糧管理法は、供出割当のみを規定しているのでありまして、農民の保有米の優先確保については、実定法上何等の規定もしていないのであります。 一、食糧管理法第三條第一項の命令の具体的内容は食糧管理法施行規則第一條、第二條、第三條であります。 一、供出割当決定後、その供出割当が著しく保有米にくいこむ場合には、原則としてその農家に対し配給を行い農家の再生産に支障なからしめているのであります。但しその割当が災害その他眞に已むを得ない理由により著しく不合理となつた場合には、市町村長は都道府縣知事の指示に從い、食糧調整委員会の議決を経て、供出割当数量を改定する事が出來る事を食糧管理法施行規則第一條第三項で規定してあります。 一、保有米にくいこんで出した供出農家の飯米は、農家に対する配給により再生産に支障のないように致しているのでありますが、現在配給業務に関しましては、食糧管理局長官より各都道府縣知事に対する通牒によりこれを実施してをりますので、法的根拠はこれを欠いている次第であります。
a002004
保有米供出農家の取扱に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年三月十九日
昭和二十三年三月十九日提出 質問第四号 保有米供出農家の取扱に関する質問主意書 一、昨年十一月十五日の農林委員会で農家保有量は前年通りを割る考えはないと述べている、然るに山口縣では縣全体として一一%割当当初から保有量を切り下げて供出せしめており、末端では保有米を皆無にしその上麦(昨年産)まで出さねばならない程のことをあえてしている。これは甚しい私権の侵害であり政府の背信行爲である。このような行爲をあえてした地方廳その他の官廳及び自治体に対し如何なる措置を講ぜられるか、又今日まで默過してきた理由及び保有量を皆無にし供出せしめた法的根拠について。 二、保有全量を供出し食糧皆無になつた農家に対し二箇月近くも配給を行わないであえて緊急行爲に出でしめているのは、当局の怠慢と無責任から生じたことでありその責は当局にある。一月廿七日山口縣副知事は「一〇〇%供出完遂をして保有量の皆無となつた農民には必ず食糧の配給を考慮する」と公約しているが、中央政府の意向が決定しないので実行が出來ないようである。政府は当然割当の修正をなすか、還元配給を行うべきである。この点如何に考えられるか、若し何れをも実行せずとせばその理由。 三、政府が定めた農家規制保有量(平均四合)を還元配給しなければならない、然るに昨年は二合五勺とした。割当の不当から生じた還元配給を農業労働に堪え得られない処罰的にさへ考えられる二合五勺を配給量とした理由及び本年は如何なる量を還元されるか。 四、昨年は二合五勺の配給さえ完全に実施せず八十三日間の欠配をあえてした。政府はかような暴挙をした地方当局の行爲を默過している理由。 五、還元配給價格はその性質上当然買上價格から農家の負担した輸送費を差引いた價格でなければならない。然るに政府は消費者價格による意向のよう聞くが價格をどうするか、なお消費者價格とする時はその理由。 六、本件のような事例は全國到る処にあると聞くがその実体を調査されているか、いれば公表されたい。又調査されていなければ、即時調査し、善処されたいがその意思あるか。
b002004
衆議院議員重富卓君提出保有米供出農家の取扱に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年四月二日 答弁第四号   衆甲第一九号      昭和二十三年四月二日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員重富卓君提出保有米供出農家の取扱に関する質問に対する答弁書 一、昨年産米の供出は、昨秋未だ実收高の決定しない時期に收穫見込高に基いて割当てたのでありますが、一度決定した供出割当数量はわが國内外の諸事情からこれを修正することが困難な事情にありますので、農家には供出割当量の完遂を要請致したのであります。その法的根拠は食糧管理法であります。   以上のような事情から、正確な実收高の決定後、保有米を喰いこんで供出された農家に対しましては、飯用不足数量はこれを還元配給することに致したのでありまして、政府といたしましても農家の再生産確保には最善の措置を講じているのであります。 二、一に申し述べました趣旨から、農家配給食糧の増額を必要とすると認められる地方に対しましては地方廳と協議の上その増額量を決定し配給を実施しつつある次第であります。 三、農家に対する配給の基準量は、わが國現下の食糧事情から一般消費者並でありますが、主食の受配農家に対しましては、農業労働に支障のないよう農業経営の規模に應じて農繁期特配並びに農業雇傭労務者に対する特配を実施計画中であります。 四、昨年十月末日をもちまして遅配を打ち切りました当時における山口懸の平均日数は七日でありまして、八十三日間の欠配は一部保有農家の轉落限界日等について縣当局の見解と農家の見解に相違があつた結果と推察されます。 五、還元配給價格は、その特質に鑑みまして、配給経費(公團手数料)はこれを免除する方針でありますが、その他の諸経費につきましてもこれを農家の負担と致しますことは妥当でない点がありますので、目下具体的に檢討中であります。 六、農家保有米の実態については、都道府縣当局とも充分打合は致しており今後もその実態を可及的確実に把握し得るよう努力致す方針であります。
a002005
書道教育に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年四月二十四日
昭和二十三年四月二十四日提出 質問第五号 書道教育に関する質問主意書 一、わが國の文化國家建設と書道との関係を如何に考えているか承りたい。 二、新学制の教科課程においては枯渇した人間的の情操陶冶、精神的修練に乏しく平和愛好の個人完成、文化日本建設に寄與する國民の養成には物足らぬ感があるがこれに対しては如何なる考えであるか承りたい。 三、「請願第五号」(文相に直接請願したものと同一)の請願は全國学生、生徒、兒童並びに父兄及び全國各書道團体の声でこれこそ輿論であるがこの輿論を何とみらるるか、又これに対して今後の方針を承りたい。 四、請願に対しては教育刷新委員会会員(渡邊銕造博士等)の賛意をえているがこれが審議に関して如何なる態度をとるか承りたい。 五、マ司令部に対しては昨年來二回にわたつて懇談、オスボン氏から「國民の輿論であり適当と認める場合は即刻制度の変更にやぶさかでない」との回答をえているがこれに対して文相の態度意見を承りたい。 六、この請願書が衆参両院を通過可決の場合は制度変更、教科課程変更実施の考えありや、又文相の立場としてGHQに制度教科課程変更実施方の努力をなさるるかどうかを承りたい。 七、請願第五号が実施されるとすればその時期を予め承りたい。 八、実施に際しては請願書中の実施案に対して何と考えるか。   イ、小学校、中学校において書道科を各学年に毎週二時間ずつ必須科目とする   ロ、新制高等学校においては藝能科(書、音、図、工)は必須科目として毎週四時間以上とする   ハ、教員養成機関に書道を重視すること     1 書道專門学校の設立     2 長期講習による実力の養成     3 教員檢定制度の復活     4 師範学校書道教育の刷新
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衆議院議員中野四※(注)君提出書道教育に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年五月四日 答弁第五号   衆甲第二二号      昭和二十三年五月四日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員中野四(注)君提出書道教育に関する質問に対する答弁書  文化國家建設の上から書道は大切なものと思いますが、書道を学校教育でどうして教えるかについては兒童生徒の身心の発達と兒童生徒の生活を囲む現在の社会事情及びその要求を考慮して書道教育の方法を考えてゆかなければなりません。さて現今の社会においては毛筆よりも硬筆(鉛筆又はぺん)の方がはるかに多く使用されており且つ能率的であります。又幼少の兒童には毛筆よりも硬筆の方がはるかに使い易いことは明白であります。これ等の見地から現在の教科課程では小学校の間は國語の中の書方として硬筆習字を課し、中学校になつて毛筆習字を課することになつております。高等学校においては各個人の特性を充分伸ばしてやりたいとの見地から國語、体育及び社会科の一部だけを必修教科とし他は悉く選択教科としています。この見地からして書道もまだ選択教科とすることが適当であると考えます。從つて今急に小学校、中学校、高等学校の書道の時間数を変えることは考えておりません。
a002006
林政一般に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年四月二十日
昭和二十三年四月二十日提出 質問第六号 林政一般に関する質問主意書 一、三党政策協定はその重要項目の一として、農地改革の徹底的推進を掲げ、世上これを第三次農地改革と受け取り、山林に対しても農地同様これを開放の対象として考えられる懸念よりして、造林意欲の低下は固より幼齢林の伐採が相次いで行われる現状である。前内閣以來農林当局はこれを打ち消し、根拠なきことを声明しているが、まだ全く解消されたというには至つておらない。この際改めて政府の見解を積極的に発表して載きたい。 二、杭木、薪炭等の原材確保のため、林野の全面的國家管理説が流布されている向もあり、ために立木の賣急ぎの現象もなしとしない。これがため林地の所有に不安を來しているが、この点についての所信如何。 三、林業の経営適正規模は農業とは自らその性格を異にするものであり、大面積経営の優越性は欧米においても立証済である上、わが國にあつても大経営が優れていることはあまねく認められている。林地を徒らに分割零細化することは、決して生産力の発展にならないと思料するが、政府の見解如何。 四、林業は林産物の收穫を目的とする経済性のかたわら、國土保安、治山治水という公共目的を有することは論をまたない。從つて單なる経済合理主義にのみ委ねる訳にゆかず、國家の保護助成が要請されるゆえんである。いわんや戰時中経済外的強制力を以て供出せしめられた伐採跡地に対し、インフレ高進の今日、長年月にわたる資本投下は困難であり、民間の力にのみ造林を期待することは不可能に近いと考えられる。政府はこれに対して如何なる助成対策を有せられるか。 五、今日造林を困難ならしめている一つの理由として樹苗の不足がある。これは苗圃が食糧作付と競合関係にある上、戰時中縮小したままで、これを拡張する場合は農地調整法によつて拘束を受けるのである。苗圃に対しては旧墾地と雖も食糧供出の対象たることを免じて可及的拡張の余地を認められたいが如何。また國営圃場を設置して苗木の増産に当られる意図ありや、さらに竿頭一歩を進めて苗木の國による無償交付にまでも及ぶ用意ありやを伺いたい。 六、林木伐採に当つては必ず造林を前提とする意味において伐採跡地の造林について法的強制力を持たしめる考えはないか、これがため造林法ともいうべき單行法の制定を準備せられる意思ありやを伺いたい。もちろんこのためには國家よりする相当額の財的裏付乃至金融的措置を必要とすると思うが如何。 七、森林による所得に対する現行所得税は、既往に要した必要経費をのみ控除する建前となつているが、インフレ高進の現下にあつてはその控除額は僅少に失し、伐採跡地の再造林を不可能ならしめている。森林所得税において再造林費を考慮に入れた特別な方式を採用されたいと思うが、この点所見如何。 八、農家の自家用薪炭林、放牧地、採草地については、使用権の復活乃至開放の途が開かれているが、使用希望者と森林所有者との協議を前提としている。しかしてこの際森林組合や薪炭林等委員会に諮問することになつているが、実際は農地委員会の行き過ぎが多く、随所に問題を惹起している。政府はこの点末端に徹底せしめ、無用の摩擦をなくするよう善処ありたいが、所見を問う。 九、緊急開拓計画に基く未墾地開拓事業は買上げをめぐつて至るところ森林所有者と入植者若しくは増反希望者との間に紛爭を起している、開墾適地の選定に当つては科学的、技術的観点に立つて、絶対的林地と相対的林地の区別を明確にすべきである。防風林を開墾したため既耕地の收穫が減少したり、上流傾斜地の開墾が下流美田を流失せしめたような例は枚挙に暇がない。又單に所有権だけを目的に開墾に便乘しようとする奸策もなしとしない。かかる土地利用区分に当つては、綜合的國土計画の見地からすべきであり、農地委員会の攻勢による林地不安に対しては、是正を要望するものであるが、政府の考を問う。 十、政府は昨年國有林野の統一を完成多年の懸案を一挙に解決したが、その結果國有林はある一地方に偏在し、必ずしも全國的分布において均衡を得ていない。由來國有林制度は明治維新草創の際、地方民の利害を度外視して設定せられた例が極めて多い。特殊な歴史的沿革的事情を有し、且つ経済的にも理由を持つ地方においては、これが開放の要望に應えてしかるべしと考えるが政府にその用意があるか。 十一、奥地林分の開発には林道網の整備が絶対に必要であり、これによつて未利用林木に経済的價値を生ぜしめる。しかも林道工事は労力が主であつて、資材を多く要しないので、失業対策事業としても極めて適切である。公共事業費等を思い切つてこの方面に活用して欲しいが本年度の予算的見透し如何。 十二、民有林の保続経営に当つては施業案に基く計画施業が絶対に必要である。しかしてわが國の民有林の所有形態は極めて小規模なるを以て、これを協同化した森林組合をもつて経営の任に当らしめるの外ない。森林組合の育成強化に対し政府の所信を問う。又そのため森林法の改正を企図せられるか。 十三、林業の特殊性に鑑み、長期低利の金融が絶対に必要である。農林復興金庫の設置はこの点からも要望せられるのであるが、その用意があるか。 十四、第九十議会において制定せられた林業会法は、今日死文に等しい状態に置かれ、本法に拠る日本林業会はすでに解体一歩手前にある。地方林業会又帰趨に迷つている現状であるが、政府は本法を廃止する意思であるか、又その時期如何。さらに本法に代るべき何らかの立法を用意しておられるかを伺いたい。
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衆議院議員井出一太※(注)君提出林政一般に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年五月六日 答弁第六号   衆甲第二三号      昭和二十三年五月六日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員井出一太(注)君提出林政一般に関する質問に対する答弁書 一、農地改革の進行につれて、山林についても同様な措置がとられるのではないかというような懸念から、造林意欲が低下し幼令林の伐採が行われているのは遺憾ながら事実であり、政府としてもこれに対しては前内閣以來あるいは新聞であるいは議会において度々発表しているように山林の特殊性に鑑み、山林自体を農地改革と同様な方式で開放するということは全然考えていない。この点については今後機会あるごとに発表して造林意欲の向上につとめたい。 二、杭木、薪炭材の原材確保のため、林野の全面的國家管理説が流布されているとのことであるが、これは全くの流説であり、前号の問題と連関をもつているものと考えられるが、当局としてはかかる考は全くない。 三、林業の適正規模が農地とはその性格を異にし、より大面積な規模においてその優越性を示すことは御説の通りであつて、現在の所有形態を分割し、これをより零細化するようなことは林業生産力高度化の見地からは全然考えられないと思う。現在において林地は相当に零細化しており、大経営の利を攝取するためにはどうしてもそこに協同組合による協同作業が必要であり、森林組合が組織されている所以もそこにあるのであつて、今後とも森林組合の如き協同組合組織より大経営の利をとつて生産力の発展をはかりたい。 四、現在の如きインフレ昂進期において造林を單なる経済合理主義にのみ委ねておくことは、その資本の回轉率の長期なることに鑑み非常に無理であり、当局としてもでき得る限りの保護助成をはかりたいのであるが、國家財政窮乏の折柄、意の如くならないのは誠に遺憾である。しかしこの乏しき財源を以て造林單價の引上(約五倍平均一町歩八三八〇円)をはかつたが、それとともに山林所有者の造林意欲の向上により造林の促進につとめたいと念願している。   その具体策としては、造林五箇年計画により昭和二十三年から二十七年まで約一九三万町歩の造林をする計画であるが、昭和二十三年度約三十八万町歩を予定している。 五、苗圃の拡張は必要であるので、造林計画に應じた必要面積をそれぞれ各都道府縣に割り当て、食用作物の作付との調整の下に既耕地えも拡張させる方針である。この際苗圃地には食糧供出の義務はない。なお、苗圃経営の特殊性に鑑み、既耕地以外の土地をあらたに開墾し、苗圃としたものは自作農創設特別措置法に規定する制限を超えて所有することを認めて拡張を容易ならしめた。なお、民有林造林用苗木の需給を調整するために、國営を以て二十二年度は約一億五千万本、二十三年度は二億一千万本の苗木の養成を行つている。苗木の無償交付は今のところ考えていない。 六、伐採跡地の造林について法的強制力をもたせることは諸般の事情を考慮して決定したい。したがつてこのため造林法というが如き單行法を制定するか、森林法に所要の改正をするか否かもまだ決定していない。もし法的強制力をもたせるとすれば当然相当額の財的裏付乃至食糧的措置を必要とすると思う。 七、山林の伐採所得に対する再造林費の控除については、現在の如きインフレーシヨンの段階において山林の伐採所得が再造林費を償わない現状から、造林の必要性に鑑み当局としても山林の伐採所得に対する所得税の財源にあたつては、経費を控除するのでなく、再造林費を控除するよう努めたのであるが、これは所得税体系全般にわたる問題であり、現在の所得税体系では困難ではないかと思われる。 八、農家の自家用薪炭林、放牧地、採草地の利用権あるいはその開放については、御説の如く林地と関係するところ極めて多く、林業関係者の意見をきく必要があるので、森林組合の意見を反映させ、あるいは薪炭林等委員会の構成員として森林組合の代表者をいれる等の措置をとつているので、この点なお末端まで徹底するように努力したい。 九、未墾地開拓がその進展とともに各地において種々の紛爭をおこしていることは遺憾ながら事実である。これに対しては國土の綜合的利用という見地から、農林畜の調整をはかることに閣議決定をみたので、この閣議決定の線にそつて、林地については林業関係者の意思が開拓適地の選定にあたつて充分反映するように措置している。 十、國有林の偏在に関しては、御説のように一地方に偏在していることは事実である。國有林を、特殊な歴史的沿革的事情を有し且つ経済的にも理由ある地方には開放せよということであるが、現在國有林はあるいは地元施設(委託林、部分林等)としてはあるいは農地又は放牧地、採草地として、可能な限り開放して、それは全面積の六二%に及んでいる。今後とも地元の要望にこたえてでき得る限り開放したい。しかし國有林の立地的な地方的な偏在を、今後全國的に均衡を得た分布にすることは、國有林の保安的使命に鑑み考えられることであるが、現在その用意はない。 十一、奥地林分の開発のため林道施設に対しては、民有林の奥地林九十五万町歩蓄積三億六千万石を対象として、昭和二十一年以降十年間一七、四一七粁の計画を樹て、二十三年度は一、七四二粁六億七千万円の予算を要求しているが、現在の見透しは一億四千四百五十万円程度なので、現在復活要求中である。 十二、民有林の計画施業は絶体必要であるので、そのにない手として森林組合は今後とも育成強化してゆくつもりであるが、森林組合の組織、運営については今後の産業全体のあり方と関連するところが多いので、その点も充分考えて善処したい。しかし現在は森林法を改正して森林組合を改組する考はない。 十三、林業については、その資金の固定が長期にわたる等のため、特殊の金融機関が必要なことはいうをまたないところで、その成立につき研究中である。農村復興金庫については、目下関係方面と接衝中で、これが設立については林業方面においても大いに関心をもち、その急速な実現を希求している。 十四、林業会法制定時と今日とではその社会的、経済的基盤が変化したため、林業会が当初意図した事業の主要なものを行い得なくなつたことは事実であり、又日本林業会が昭和二十二年安本訓令第三号に基く指定團体として解体一歩手前にあることもお説の通りである。そこで政府としては、地方林業会についてもその成立の経緯に鑑み、同法に基く特別法人としての重要性が失われたことを認め、その開散については、地方林業会の意思にまかせようと考えている。そうなれば林業会法は当然改正をみるわけで、そのあとにくる林業團体に関する法制は森林法に基く森林組合と林業会法に基く林産組合のみとし、その提携協力については、これら團体の任意の意向に基づくものとしたい意向である。
a002007
農業会從業員の退職金、諸手当、賃銀に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年五月十九日
昭和二十三年五月十九日提出 質問第七号 農業会從業員の退職金、諸手当、賃銀に関する質問主意書 一、既に五月十七日政府の責任において農政局長が全日本農業團体從業員組合と確約せる事項は政府の責任において実質的に実行すべきものと思うが如何。 二、政府は從業員組合の要求が正当なるものであることを承認しているが、これは日本政府の責任において名目の如何にかかわらず実質的に実施すべきものと思うがこの点如何。 三、農業会と從業員組合との間に労働組合法に基いて締結された團体交渉(労働協約)の結果は法律の完全実施の立場から拘束せざることを至当と思うがこの点如何。 四、農業会の資産処分に関する政府の認可方針と從業員の退職金、諸手当、賃銀等に対する認可方針とは明確に区別すべきものと思うが如何。 五、本年二月十日波多野前農林大臣は全日本農業團体從業員組合に対し正式に文書を以て團体協約の結果を認めるという確答を與えているが、これは五月十七日政府と前記組合との間に交わされた確認書において再確認されているものと解するがこの点如何。 六、從業員に対する正規の賃銀、諸手当を制限する場合は政府の知らざるうちにかえつて不当なる方法を以て農業会の資産が処分される危惧が充分あるが、この点に関する政府の考え方及び対策如何。
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衆議院議員山口武秀君提出農業会從業員の退職金、諸手当、賃銀に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年五月二十八日 答弁第七号   衆甲第二六号      昭和二十三年五月二十八日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員山口武秀君提出農業会從業員の退職金、諸手当、賃銀に関する質問に対する答弁書  農業協同組合法の制定に伴う農業團体の整理等に関する法律第二條によつて、農業会の資産は常務による場合の外行政廳の認可を受けなければこれを処分することができないと規定している。  この規定の目的は、農業会員の多年の蓄積による資産の不当処分を防止しその保全を図ろうとすることにあるのであるが、同時に從業員の給與の適正を期することも極めて重大であつて、このことと農業会の資産保全とは相互に調和するように取り扱わるべきものである。  かような見地に基き農業会從業員に対する給與については善処すべく鋭意努力中である。
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昭和二十三年度予算に対する資料要求に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年五月十九日
昭和二十三年五月十九日提出 質問第八号 昭和二十三年度予算に対する資料要求に関する質問主意書 一、昭和二十三年度重要物資の品目別、産業部門別、生産計画を四半期別に示されたい。  又、昭和二十二年度同計画並びに実績を四半期別に示されたい。  (特に石炭、鉄鋼、電力、セメント、木材、石油、苛性ソーダについては、右計画を必ず示されたい。) 二、昭和二十三年度重要物資の品目別、産業部門別、割当計画を四半期別に示されたい。  又、昭和二十二年度同計画並びに実績を四半期別に示されたい。  (特に石炭、鉄鋼、電力、セメント、木材、石油、苛性ソーダについては右計画を必ず示されたい。) 三、昭和二十三年度資金計画及び昭和二十二年度の計画並びに実績を四半期別に示されたい。 四、昭和二十二年度徴税実績を次の両項に分つて示されたい。  a 税種別   但し、所得税については勤労所得、農業所得、山林所得、漁業所得、商業所得、工業所得、配当利子……等に分けて表示されたい。  b 予算並びに実績及び予算に対する実績の比率   註 及ぶかぎり最近の数字を表示されたい。 五、昭和二十三年度の税種別徴税見込み額並びに課税対象並びにその計算根拠。 六、昭和二十三年度專賣益金の品目別收入見込み額並びにその計算根拠。 七、昭和二十三年度生活必需物資の配給見込みを期別に、総額並びに一人当りをもつて表示されたい。 八、昭和二十三年度生計費の闇及び丸公依存率見込率を期別に示されたい。 九、GARIOA.IROA.Fund による対日物資供給による國際貸借関係を明確にされたい。 一〇、回轉基金(政府及び民間)の條件並びに見透しを示されたい。 一一、昭和二十三年度租税收入における間接税、直接税の比率並びにその計算根拠。 一二、昭和二十三年度歳出における物件費、人件費の予算單價を示されたい。 一三、昭和二十二年度貨物運賃の單位当りコスト及び收入実績を示されたい。   昭和二十二年度旅客運賃の單位当りコスト及び收入実績を示されたい。   以上二項において値上げした場合の收益予想を示されたい。 一四、石炭その他の重要物資價格引上げの國鉄会計に及ぼす影響を示されたい。 一五、國鉄の戰災程度、終戰以來現在に至る各年度の恢復状況、本年度の恢復状況、將來の建設計画を示されたい。 一六、國鉄復興に必要な重要物資の必要量並びに金額。 一七、國鉄関係下請、代行、委託、発註機関名並びに責任者氏名、作業内容、その量、單價、契約月日、入札その他方法、総計金額一覽表を示されたい。 一八、國鉄への政府拂下げ資産の内容を示されたい。但し、帳簿外、帳簿上に分け、その簿價又は見つもり價格、拂下單價、総額を示されたい。 一九、昭和二十三年度予算における人件費、物件費の割合並びにその計算根拠。 二〇、公共事業費の内訳(但し六・三制、災害復旧費をふくむ)並びに物資割当計画。 二一、六・三制、災害復旧完全実施のために必要なる経費(費目別に)並びに所要物資量を示されたい。  (附、それに対する本年度予算計上額の割合並びにその不足分に対して如何なる処置をするか。) 二二、昭和二十三年度官業財産拂下げ收入の種類、品名、数量、見込單價。 二三、昭和二十三年度重要物資並びに專賣品並びにサービスの原價計算明細を示されたい。 二四、昭和二十三年度終戰処理費内訳並びに物資別割当計画を示されたい。
a002009
生産國民所得の推計等に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年五月二十日
昭和二十三年五月二十日提出 質問第九号 生産國民所得の推計等に関する質問主意書 一、生産國民所得の推計を次の四項に分つて表示されたい。  1 昭和十年の産業部門別國民所得  2 昭和二十三年の昭和十年に対する産業部門別活動指数  3 昭和十年價格による昭和二十三年の生産國民所得  4 昭和二十三年の各部門別並びに平均実効價格指数 二、昭和二十三年度國家資力バランスを次の各項に分つて示されたい。  1 生産國民所得  2 調整項目 振替所得、間接税、專賣益金、減價、在庫品調整額等々  3 財政資金 國家財政(一般、特別に分けて)、地方財政  4 産業資金 一般融資、復金債券、直接投資  5 國民消費基金(推計の方法並びにその基礎を明記のこと。)
a002010
低位生産地に対する農産物價格取扱に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年五月二十四日
昭和二十三年五月二十四日提出 質問第一〇号 低位生産地に対する農産物價格取扱に関する質問主意書 一 政府はインフレ抑圧と國民生活の安定とを図るため米價を他の物價より抑圧している。從つて水田農家は経済的に苦境に追い込まれ、半農半労働の飯米農家が続出し、日本農業は二、三反経営に細分化されつつある。   東北並びに北海道の如き單作地帶、殊に北海道の如き低位生産地帶では農産物價格が全國一律のため現下の経済政策では水田農業の如き單一経営は成立せず、蔬菜栽培あるいは酪農農業による自給体制確立の見地より折角の水田が畑地に還元されている、故にこれらの地帶では事前割当あるいは作付の統制に一大支障ありとして反対している。これらに対し政府はいかなる対策をもつているか。 二 低位生産地における價格差の要求は当然であると考える。一般官公吏の待遇に対しても地域的に改善され、生活が保障されているのに、ひとり農民は政府の一方的計画により從順に働いている。これら低位生産地に対し肥料の合理的な配給とか、低利資金の融資、生産資材の助成等は積極的に行わるべきであるが、政府はいかなる具体策があるか。 三 さきに政府は現下の実情より米價の價格差買上は困難なりと発表して、別途考慮するというが、昭和二十二年度にいかなる方策がとられたか、又二十三年度にいかなる具体策があるか、数字的に答えられたい。
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衆議院議員河口陽一君提出低位生産地に対する農産物價格取扱に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年六月一日 答弁第八號   衆甲第二七号      昭和二十三年六月一日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員河口陽一君提出低位生産地に対する農産物價格取扱に関する質問に対する答弁書 一 米價は農業パリテイ計算方式により算出しているが、パリテイ計算の本質は農産物の價格を農家購入品の價格と均衡を得しむることにあるのであつて、從つて米價が他物價に比し抑圧されているわけではない。   單作地帶と二毛作地帶とを截然と区分することは困難であるから、それぞれに差別した米價を定めることは行い難いと思われる。從つて單作地帶については、農産物價格面からではなく、別途に特別の考慮を拂うべきであつて、例えば早期供出奨励金の制度は多分にこの種考慮の入つたものと見ることができる。 二 一に同じ。 三 二十二年度においては、早期供出奨励金として、九月末まで供出のものについては、石当五〇〇円、十月十日までの分については石当四五〇円、同じく十月二十日までの分については石当三〇〇円、十月末日までの分については石当二〇〇円を供出農家に交付することとしたのであつて、二十三年度においても概ね二十二年度に準じて取り進めるべく準備中である。
a002011
仙臺市の都市復興計画に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年五月二十七日
昭和二十三年五月二十七日提出 質問第一一号 仙臺市の都市復興計画に関する質問主意書  仙臺市の都市計画は、宮城縣都市計画委員会の満場一致による答申書に基き、政府は民主的に民意を尊重され、昭和二十一年十一月十一日附内閣戰災復興院告示(第二四四号)を以て該都市計画書を公許告示されたのである。  よつて仙臺市は該告示を仙臺市民に周知徹底させ、同時に該告示による戰災都市としての新仙臺都市計画にすでに着手したのである。  然るに東北本線仙臺駅前、川内線(幹線道路)に対してすでにこの路線は告示により決定し、人家も続々と許可をえて合法的に建築済となつているにかかわらず、突如として該既定路線を仙臺駅が、現場より北方へ五十米程移轉するからとの理由で、直線変更派という運動が猛烈に開始され、告示原案派との間に建設院を回つて両派の運動が熾烈化したので、本年四月十五日仙臺市長は建設院都市局長より宮城縣知事宛の公文(原案通りの指示)に接したにかかわらず、同月二十三日、一松総裁の名で、現地実査、公聽会開催の上再檢討するから該公文は一時保留せよとの電報が宮城縣知事宛に発せられたのである。  本年五月十七日一松総裁は仙臺市に出張され、宮城縣、仙臺市公職者、地元代表等五十有余名を一堂に招致され、総裁自ら座長を勤められ詳細に関係者の声を聽取されたのである。  復興事業は一日も等閑に附しえないのである。仙臺市民に不安感を永く與えてはならぬのである。政府の朝令暮改、朝三暮四的な公理無き改変は爲政者の権威のために惜しむのである。仙臺駅は北方に移轉はしないのである。  総裁、仙臺市より帰京されてすでに十日を経たが、再檢討の上、將た又都市局長発の公文を一時保留されたる上の最後の裁断、果して如何。速かに仙臺市民のため一松総裁の回答を要望する。
b002011
衆議院議員庄司一※(注)君提出仙台市の都市復興計画に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年六月二十五日 答弁第一一号   衆甲第三四号      昭和二十三年六月二十五日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員庄司一(注)君提出仙台市の都市復興計画に関する質問に対する答弁書  仙台駅前街路変更の問題につきましては、質問主意書にもあります通り、既定計画路線である仙台駅川内線を直線に変更するという運動が一部に起り、市会においても、これが変更の請願について、駅舎が北方に移轉することが可能であることを前提として議決され、市会当局よりその旨陳情があつたのであります。  そこで建設院事務当局としては直ちにこれが檢討調査をいたしたのは勿論でありますが、総裁も五月十七日仙台市に赴きました際、同市長主催の「仙台駅川内線関係者懇談会」に列席いたしまして、原案及び変更案双方の支持者の意向を十分聽取し、種々懇談檢討いたしたのでありますが、運輸省の意向といたしましては、技術的にみても、駅舎を北方に移轉するとすれば東北本線に急カーブを生ずるので、運輸技術上よりみてどうしても非罹災地域の既存集團高層建築物の位置に路線を移設することが必要であるというのでありまして、これが撤去に要する経費は数億を要することが明かとなつたのであります。  これがため懇談会においては、市会の直線論の議決も前述のやうに駅舎移轉を前提としての結論であり、旁々駅舎移轉がこのような障害負担を伴うものであるとすれば寧ろ原案にしかずとの意見が多かつたので、その後專門的技術者の見解及び実例、文献等を愼重檢討の結果、原案執行の裁決を下した次第であります。  なお本旨につきましては、本質問主意書の提出があつた翌五月二十八日附で都市局長より宮城縣知事及び仙台市長宛に「総裁現地視察による意見書」を送付いたしてあります。
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農業会從業員の退職金、諸手当、賃銀に関する再質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年六月九日
昭和二十三年六月九日提出 質問第一二号 農業会從業員の退職金、諸手当、賃銀に関する再質問主意書 一、労働協約その他退職金等に関する規定はその成立の期日により差別せざることを当然と考えるが如何。(差別をつけるということは農業團体整理法実施後に締結した労働協約退職金給與規定等は認めないという考えである。) 一、農業会從業員の賃銀が特に官公廳職員の水準に拘束される如何なる理由もないと思うが如何。 一、農業会では現在退職者が、急激に増加しつつある現状であるから、農業会と從業員組合との間に締結せる協約規定通り確実、速急に実施して欲しいが如何。
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衆議院議員山口武秀君提出農業会從業員の退職金、諸手当、賃銀に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年六月二十二日 答弁第九號   衆甲第三三号      昭和二十三年六月二十二日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員山口武秀君提出農業会從業員の退職金、諸手当、賃銀に関する再質問に対する答弁書 一 農政局長は、勤労農民の利益を保全し農業協同組合の発展を期すると同時に農業会從業員の最低生活を保障しようとする本年二月二十日波多野前農相の從業員組合に対する回答以來の政府の方針を卒直に明かにしたのであるが、これが実施については関係各方面の許可を前提とするものであり、許可の範囲を超えての実行は許されない。 二 質問一に対する回答で諒承されたい。 三 農業会の財産を分散せしめることなく完全に農業協同組合に引き継がしめる見地に照し、農業会と從業員組合との間に締結された團体交渉の結果と雖も、ある場合においては拘束されることもあると考えている。 四 農業会の資産は、通常の業務による場合の外行政廳の認可を受けなければこれを処分することができないという規定の目的は、農業会の多年の蓄積による資産の不当処分を防止し、その保全を図ろうとすることにあるのであるが、同時に給與の適正を期することも極めて重大であつて、このことと農業会資産の保全とは相互に関連するものであり、両者の調和を保つように取り扱はるべきものであると考えている。 五 質問三に対する回答と同じ。 六 政府は関係各方面と打ち合せの上、從業員に対しては正当な賃銀、諸手当を支給し、農業会資産の不当処分が行われないようにしたいと思つている。 七 本件については協約その他の規定の内容が社会的基準及び農業会の財産状態より見て妥当である限り、その成立の期日如何により差別をつけるべきものであつてはならぬと思う。しかし、これが実施については行政廳の認可を要するものである。 八 解体直前にある農業会としては、從業員の賃銀が一般的給與基準である官公廳職員の水準によることは至当であると思う。 九 農業会從業員に対する退職金給與の件については、目下関係方面と折衝中であり、近く決定の見込である。
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町村農地委員会の不法行爲に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年六月十日
昭和二十三年六月十日提出 質問第一三号 町村農地委員会の不法行爲に関する質問主意書 一、かかる町村農地委員会の行爲は、農地調整法違反であるが、政府はかかる違反行爲を生ぜしめないよう、これまで町村農地委員会の活動につき、如何に調査をし、指導してきたのであるか。 二、かかる行爲をなした町村農地委員会は農地改革阻害として解散に値するとは思わないか。 三、この種の問題は、全國的にも相当数あることではないかと思われるが、政府はこの調査、更にそれらに対して必要な処置を講ずる意向はないか。
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衆議院議員山口武秀君提出町村農地委員会の不法行爲に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年六月二十二日 答弁第一〇号   衆甲第三二号      昭和二十三年六月二十二日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員山口武秀君提出町村農地委員会の不法行爲に関する質問に対する答弁書 一 農地調整法第九條第三項の取扱については、特に留意し、改正法律施行以來巡回講演、農地委員・書記講習会、農地相談所、ポスター、ラジオ等によつて趣旨の普及に努めるとともに、農地委員会の会議には極力係官が出席して指導いたしている。又陳情、投書、農地改革完遂調査等により疑義ある農地委員会については、特別の調査、指導を行い、不法行爲のないよう指導いたしている。 二 常に農地改革の趣旨に副わない運営を行い、農地改革を阻害しているが如き農地委員会は、縣農地委員会の請求により解散を行うべきであるが、具体的に御指摘の二農地委員会については至急縣農地委員会とも連絡し実情調査の上決定いたしたい。 三 農地改革の完遂を期するため、農地改革完遂調査、農地台帳等によつて昭和二十年十一月二十三日以後に返還のあつた小作地については充分調査を行うとともに投書、陳情等によつて調査し、遡及買收の徹底を図るとともに、保有面積の範囲内の在村地主の小作地の不当取上げについては昭和二十二年法律第二百四十号附則第三條により耕作権の回復を行うよう指示しているし、運営上不適正な農地委員会の指導については、縣農地委員会、縣農地部等が緊密に連絡して匡正につとめておるのであるが、なお、その趣旨の徹底を図る考えである。
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防風・砂林についての質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年六月三十日
昭和二十三年六月三十日提出 質問第一四号 防風・砂林についての質問主意書 一、この畦畔と防風・砂林は國家買收をなし、耕作者に賣渡しをなし得ないか。 一、この防風・砂林を伐採することを禁止する法的根拠はないか。   又は政府において、濫伐防止のため、何らかの処置をなす意向はないか。 一、この種の田地の対價(國家買收の際の)は一般用地に比して、低廉であるべきと思うが如何。
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衆議院議員山口武秀君提出防風・砂林についての質問に対し、別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年七月五日 答弁第一二号   衆甲第四一号   昭和二十三年七月五日        衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員山口武秀君提出防風・砂林についての質問に対する答弁書 一、防風砂林で農地を保護する目的をもつて農地の周辺に特に設けられているものは、農業用施設としてその農地が買收又は物納されれば自作農創設特別措置法第十五條の規定により買收することができる。 二、防風砂林で保安林に編入されているものは森林法で伐採が禁止されているが現在農業用施設としての防風砂林で保安林に編入されていないものは伐採を禁止する法的根拠はないが自作農創設特別措置法第十五條の規定によつて買收計画を樹て公告すれば公告の日から都道府縣知事の許可を受けなければ伐採はできないこととなる。 三、御質問の如き農地は実情を調査しないと明かではないけれど一般農地に比して生産力が低く賃貸價格が低いのが普通である。從つて一般農地に比して價格を低廉であると思われる。
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所得税徴收における税務官吏の行爲についての質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年十月十三日
昭和二十三年十月十三日提出 質問第一号 所得税徴收における税務官吏の行爲についての質問主意書 一、多くの税務署は、所得税申告及び納税について町村に出張して、納税者に対して次の如く説明している。「農業所得の計算は、だれも税務署で指示する反当所得基準によつて計算する。もし、それを実行しないときは更正又は仮更生をする」。「営業者の昭和二十三年度の予定申告は、昨年度の倍額にして申告する」。  所得はそれぞれの事情で各納税者ごとに異なるものであり、反当所得もそれぞれに異なつている。しかるに右の説明のごとく一律に所得計算をなすものならば、申告納税なるものは全く意味がない。政府はいかなる法律によつて、税務官吏に右の如き説明をなさせるのであるか。 一、又右の説明について、「反当所得基準による所得計算の強要は申告制の破壊ではないか」と追及したところ、ある税務官吏は「農民は多く自己の経営收支を記帳していないから、所得不明であるので、参考に示すのだ」と答弁した。もし、そうであるならば、記帳のないものには、基準の内訳を、收入と必要経費の具体的数字を詳細に示してこそ、参考になる筈である。この場合の内訳の説明のない基準の指示は明らかに強要となる。これに関して、昭和二十三年八月十二日、茨城縣太田税務署長は「基準の内訳は東京財務局長の命令で公表できない」と言明しているが、東京財務局長はかかる命令をいかなる理由で出したのか。 一、昭和二十三年八月十一日、茨城縣水戸税務署所得税主任は七百名の農民に対して、署を代表すると前提し、次の如く言明した。「農業所得は署で示した反当所得基準で、たれもが計算し申告する。現在、申告納税制がとられてはいるが、それは理想で実際には行えない。申告制とは言つても、税務署が税額を決定して、納税者に告知するのと同じことである。」これは容易ならざる言明である。   なお、水戸税務署管内の小川町役場税務主任は、一律に基準で計算しない申告書は、役場において税務署へ送付する労はとらないと、その受付を拒否している。そのため農民は一毛作の畑地所得を二毛作畑地として所得を計算して申告している始末である。法律を官吏が無視する如きことを放任できない。かかる行爲をなしている水戸税務署の責任を政府はいかにせんとするか。 一、同八月十日、茨城縣麻生税務署直税課長は次の如く言明した。「農業所得を署で示した反当所得基準で計算しないものは更正する。その際当然不当な更正もなされることになろうが、それも承知でやる。これは東京財務局長の指示である」。   所得税法によれば、申告に対しては、政府の調査によつて更正がなされる。更正するときの政府の調査とは、かかる無責任のものであつてよろしいのか。東京財務局長はかかる無法な指示を出しているのか。 一、昭和二十二年度農業所得の確定申告に対して、政府は全面的に近い更正をなしている。この場合税務署は署の基準で、それに満たないものには一律に基準による計算で更正している向が多い。したがつて開墾地、粗惡耕地などで收穫の少いところ、被害のため收穫の少いところも、一般並の收穫のあつたものとして更正している。   それぞれに事情が異り、したがつて所得の異る納税者を一律に扱う結果は、不当更正の濫発となつた。なるほど、更正に対しては、審査請求をなしうるが、請求に対して決定を見るまでは更正額の納税は猶予されない。その間納税者は政府の誤りのため不当に苦むのである。しかも審査請求をする納税者は、税務官吏から、きわめて不親切な取扱を受け、容易に正当に権利の行使ができないで泣寢入をする場合が多いのである。   かかることが行われてよろしいのか。かかる無責任な調査なるもので更正して、追徴税を課してよろしいか。税務署が誤りを承知した場合は、直ちに更正取消をなすべきではないか。審査請求期間中は、ある程度まで納税猶予の処置をとるべきではないか。 一、税務官吏の行爲には、依然として人民支配の観念に支配されているものが見受けられる。これはただに納税者を不法に苦しめるばかりでない。民主化途上にある日本國民の民主主義的成長を、官吏が抑壓するという許すべからざる罪惡である。これらの点について政府は至急調査し、改むべきは改めさせ、責任を取らすべきは取らせるべきでないか。   附記 以上のことについて、政府が調査に必要ならば、小生において、証人その他を示す。
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衆議院議員山口武秀君提出所得税徴收における税務官吏の行爲についての質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年十月二十三日 答弁第一号   内閣衆甲第五〇号      昭和二十三年十月二十三日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員山口武秀君提出所得税徴收における税務官吏の行爲についての質問に対する答弁書 一、所得税の課税標準たる所得金額は、各納税者ごとに毎年の收入金額から收入を得るために要した必要経費を控除して計算すべきであつて、税務当局は、個別的に正確な所得計算の行われることを期待しているが、納税者の最近における申告の状況に照し、正確な所得計算が困難な場合は、一應の申告の目安を與えるのが納税者に便宜であると考え、農業所得と反当所得基準によつて計算し又は営業者の予定申告を前年度分の一定倍数により計算することを示唆したものであつて、納税の現段階においては相当な措置であると考える。 一、所得申告の参考のため一應申告の目安を示唆したものであること前記のとおりである。目安は、内容にわたつて示唆することが適当な場合もあり又内容にわたらないで示唆しても事足る場合がある。要は具体的な事例について、その要不要乃至その程度を判断すべきであつて、当該税務署は、その趣旨の説明をなしたものと考える。 一、質問主意書摘示の水戸税務署及び小川町役場に関する二事実については、その事実の詳細を調査した上、おつて回答する。 一、質問主意書摘示の麻生税務署に関する事実については、事実の詳細を調査した上、おつて回答する。 一、昭和二十二年分農業所得の確定申告に対する更正に際しては、中庸と認められる基準により所得金額を計算している場合が多いことは事実であるが、これは平準化していると認められる農家又は農地に対してであつて、開墾地、粗惡耕地又は災害耕地等平準化していない農地については、適当な調整を図つており、所得の異る納税者を一律に取り扱うような結果に陷らないことに留意している。しかし、多数の納税者について十分調査が徹底しない向もあつたので、税務署がその誤りを知つた場合は、直ちに訂正を行い、且つ、その誤りを是正した結果によつて追徴税を課すべきか、課すべきでないかを決めている実状に在る。なお、審査請求があつた場合においても、誤りが明瞭な場合等においては、税金の全部又は一部の徴税の猶予をなしている場合もある。 一、申告納税制度を根幹とする現在の税務の運営については、税務官吏は、一面において納税者の相談相手となり、他面において正当に納税が行われたか行われないかの審判者となり、究極において、税法に定められた納税が公正に実現されることを念願としている。
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所得税徴收における税務官吏の行爲についての再質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年十一月八日
昭和二十三年十一月八日提出 質問第二号           衆議院議長 松岡駒吉 殿 所得税徴收における税務官吏の行爲についての再質問主意書 一、税務当局は各納税者ごとの個別的申告を期待するが、正確な所得計算に困難がある場合には、申告の目安を與えるのが納税者に便宜であると考えるという答弁を得た。これは諒承できる。ところが先に質問したごとく、税務署は、納税者に便宜のため申告の目安を示唆するのでなくて、税務署でつくつた基準で所得計算をすることを、各納税者に一律に強要しているのである。   税務官吏のかかる行爲は政府の命令でなされているのか、現地官吏の独断行爲であるのかを明らかにされたいのである。 一、所得申告の参考のために示唆する目安は、内容にわたつて示唆することが適当な場合もあり、又内容にわたらないで示唆しても事足る場合があるといわれる。   農業所得の目安については、内容にわたつて説明される場合はほとんどないと思う。政府は農業所得の目安は、内容にわたつて説明しなくても事足ると考えていられるのか。それならばその理由を明らかにせられたい。 一、昭和二十三年八月十二日、太田税務署長が言明した東京財務局長の命令なるものは、眞実出されているものかどうかを明らかにされたい。
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衆議院議員山口武秀君提出所得税徴收における税務官吏の行爲についての再質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年十一月十三日 答弁第二号   内閣衆甲第五二号      昭和二十三年十一月十三日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員山口武秀君提出所得税徴收における税務官吏の行爲についての再質問に対する答弁書 一、税務署が所得計算の基準を示唆しているのは、納税者の申告の便宜を考慮し、且つ、適正な課税が行われることを趣旨とするものであつて、各納税者は、個別的実情に即應し、自己の信ずるところにより申告を行つているわけであるから、税務署が、各納税者に一律に基準を強要していると考えることは誤解である。税務官吏が、右のような趣旨で税法を執行することは、税務行政の現状において適当な措置であると考える。 一、農業所得の目安についても、現地税務署においてその判断により、内容の説明を省略している場合があり、又内容にわたつて説明している場合もある。昭和二十三年分の農業所得の目安については、今後その内容の概略について説明をする準備を進めているところである。 一、昭和二十三年八月十二日茨城縣太田税務署長は、本年の七月予定申告に際し、田畑所得標準率を公開されたいという一部の要望に対し、「その当時の状況においては公開することは適当でない。このことは署長の考えでもあり、又上司の意向でもある。」との趣旨の答弁をしている。東京財務局長は、管内の税務署長に対し、口頭で同趣旨の意向を表明しているが、当時の状況においては、相当であると考える。   なお、前回留保した分に対し、次の通り答弁する。 一、昭和二十三年八月十一日茨城縣麻生税務署直税課長は、「税務署で考えている標準率によつて、農業所得の申告がなされていない場合は、東京財務局の指示をまつて更正することを考えている。標準率で計算した所得によつて更正した場合において異議がある納税者は、審査の請求をすることができる。」との趣旨の説明をしたのであつて、將來の方向について一應の意見を表明したのに止まるのであつて、質問の趣旨はこの一連の言動の断片をとり上げた誤解に基くものと思われる。 一、昭和二十三年八月十一日茨城縣水戸税務署所得税主任は、「申告納税制度は、まだ実施の初期であり、完全無欠に運営されていないという点で、現実の状態は、理想の域には逹していない。税務署が税額を決定して納税者に告知するのと同じような結果になることが、このことを意味する。」という趣旨の説明をし、納税者の申告納税制度に対するより完全な理解と税務官吏のこれに対する一層の努力を必要とするとの見解を述べたのである。質問の趣旨は、この一連の言動の断片をとり上げた誤解に基くものと思われる。   なお、水戸税務署管内小川町役場税務主任が、一律に基準で計算しない申告書については、これを税務署に送付する労をとらなかつたという事実はない。
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松江地方裁判所の不法処置に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年十一月十日
昭和二十三年十一月十日提出 質問第三号           衆議院議長 松岡駒吉 殿 松江地方裁判所の不法処置に関する質問主意書  不法侵入容疑にて松江刑務所に收容中の平井英雄外九名の要求に基く拘留理由開示裁判が、昭和二十三年十月三十日松江地方裁判所において開廷されたとき、当日の裁判長木村判事は、九名の被疑者に不当の発言をしたとの理由で退廷を命じたが、何らの発言もせず、退廷を命じられなかつた高津傳次(注)を看守及び警察官が暴力をもつて廷外に連れ出した事件がある。当日暫く休憩の後、裁判を再開し、退廷を命じられなかつた高津傳次(注)を再入廷させて、裁判長は拘留理由を述べたが、不法に退廷させられた責任を裁判長に追及したところ、裁判長は何らの答弁をしなかつた。  以上の処置は、すべて不法なる処置と信ずるが、この問題に関する眞相を明かにし、且つ法務総裁の意見を求める。
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衆議院議員木村榮君提出松江地方裁判所の不法処置に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年十一月二十日 答弁第三号   内閣衆甲第五五号      昭和二十三年十一月二十日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員木村榮君提出松江地方裁判所の不法処置に関する質問に対する答弁書  被告人平井英雄外九名に対する騒擾及び建造物侵入被告事件の勾留理由開示手続の法廷は、昭和二十三年十月三十日松江地方裁判所において開かれたのであるが、この法廷において、被告人高地傳次(注)を除くその余の被告人等は、再三にわたり裁判官の制止を聞かず、革命歌の高唱、その他の怒号喧燥の行爲を反覆し、その結果裁判官から被告人高地傳次(注)を除くその余の被告人全員に対し退廷を命ずるに至つたものである。  この裁判官の退廷命令の執行にあたつて、執行を命ぜられた警察官が、人違いのため被告人高地傳次(注)に退廷を求めようとした事実があるが、同人がこれを拒否したため、警察官においてその人違いを認め、直ちにその要求を撤回した。  質問主意書記載のごとく被告人高地傳次(注)を法廷外に連れ出した事実はない。  なお、被告人高地傳次(注)に対しては、同日引き続き右の法廷において、裁判官から勾留理由の開示手続を完了しているからその旨申添える。
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強制疎開宅地並びに換地完了宅地の徴税に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年十一月十一日
昭和二十三年十一月十一日提出 質問第四号           衆議院議長 松岡駒吉 殿 強制疎開宅地並びに換地完了宅地の徴税に関する質問主意書 一、強制疎開の宅地にして目下都市区劃整理中に属するものはまだ換地未了のため貸地料を徴收し得ない事情にある。しかるに宅地租は依然納入せねばならぬ。無收入にして納税するは不合理である。よつて強制疎開宅地にして換地未了のものは免税すべきであると考える。政府の見解如何。 一、宅地所有者にしてその市の区劃整理組合に加入したるものは換地にあたり組合費として所有面積の約三割を差引き七割の換地を受けている。しかるに納税にあたつては旧面積に対して賦課されていることは不合理である。右は新面積に賦課せらるべきであると考える。政府の見解如何。
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衆議院議員古賀喜太※(注)君提出強制疎開宅地並びに換地完了宅地の徴税に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年十一月二十日 答弁第四号   内閣衆甲第五六号      昭和二十三年十一月二十日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員古賀喜太(注)君提出強制疎開宅地並びに換地完了宅地の徴税に関する質問に対する答弁書 一、かかる場合は、実際の状況に即し地方税法第二十九條の規定により、各地方公共團体において適宜減免の措置を講ずることが適当であると考える。 一、賦課期日までに換地が行われていないものについては金額を賦課すべきである。賦課期日当時すでに換地終了のもので土地台帳面の訂正が行われていないものについては、法文上旧面積全部に対して課税し、組合費として支拂つた部分については、旧所有者と耕地整理組合との相互間の決済に委ねざるを得ない。
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昭和二十四年度施用肥料配給に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年十一月十九日
昭和二十三年十一月十九日提出 質問第五号           衆議院議長 松岡駒吉 殿 昭和二十四年度施用肥料配給に関する質問主意書 一、肥料生産力の向上と連合軍の輸入許可により化学肥料の配給量は、漸次上昇の傾向にあるは承知せるも、昭和二十四年度に農家が施用できる窒素燐酸加里肥料(いずれも化学肥料のみ)の配給さるる数量及び戰前の使用量に対する各パーセンテージ如何。 二、北海道において昭和二十三年度施用配給肥料のうち窒素は、戰前と同量なるも、燐酸四八%、加里一一%と聞くが、北海道農業の如き熱と光に惠まるること少き、氣候冷凉にして発育期間の短き地帶は、特に燐酸加里肥料を必要とするが、これに対し政府は如何なる考慮を配給面に拂つているか。
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衆議院議員河口陽一君提出昭和二十四年度施用肥料配給に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年十一月三十日 答弁第五号   内閣衆甲第六二号      昭和二十三年十一月三十日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員河口陽一君提出昭和二十四年度施用肥料配給に関する質問に対する答弁書 一、化学肥料の生産及び輸入は漸次上昇の傾向にはあるのであるが、電力石炭及び硫化鉱等の主要原材料の需給状況よりして、急激に増加することは望み得ないのであるが、政府としては化学肥料の供給増加のために萬般の措置を最優先的に講じて、以て農業生産の増進を図りつつあるのである。   しかして昭和二十三年八月より昭和二十四年七月の間においては窒素質肥料(硫安換算)一、四五〇千瓲、燐酸質肥料一、〇七〇千瓲見当にして、主要食糧農作物である稻作に対しては全國平均反当窒素質肥料五貫五百匁、燐酸質肥料三貫匁見当の見込である。   これを戰前の消費量に比較すると、窒素質肥料は約七〇%、燐酸質肥料は約六〇%程度である。   次に、加里質肥料については全量輸入に依存しておるので確たる見透しは至難なのであるが、最近の見込では約一〇〇千瓲見当と思われるのであつて、戰前消費の四〇%程度である。 二、北海道における配給化学肥料が、昨年は窒素質肥料は戰前と同率、燐酸質肥料四八%、加里質肥料一一%であつたのは、供給事情に基く点もあつたのであるが、明年においては御説の如く燐酸及び加里質肥料を窒素質肥料との均衡において、過去の、試験成績等をも勘案して作物別、地域別に合理的に配給いたしたいと、現在檢討研究中である。
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学生政治活動取締に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年十一月二十日
昭和二十三年十一月二十日提出 質問第六号           衆議院議長 松岡駒吉 殿 学生政治活動取締に関する質問主意書  十月八日附の文部次官通牒に便乘し、不当に学生運動を彈圧している事実が頻々として起つている。学生の学問の自由、思想の自由は、ポツダム宣言第十項にも「……言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立せらるべし」とあり、又憲法第十九條には「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」とあり、同第二十一條第一項には「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」とある。次官通牒第一項にも「……政治の自由、批判の自由は、学校内においても尊重せらるべきである」といい、第三項に、「学生が個々に結社に加入する自由は禁止すべきではないが、学校の政治的中立性、教育の自主性を守るためには特定の政党の支部又はこれに類する学外團体の支部を学内にもつことは極力回避さるべきである」と、極力回避さるべきこととしておるのであつて、禁止しておるのではない。  なお十月、大学新聞連盟代表が日高教育局長と本問題に関して会見の際にも、日高局長は「これは通牒であり、命令ではない」、「惡用して学生をいじめるような態度をとる者は教育者ではない。文部省ではこの通牒の惡用を希望しない」と答えておるにもかかわらず、長野師範学校長岩波喜代登氏は十月十五日共産党細胞及び青共の解散を命令し、同十八日学生八名に退学を命令、更に同二十二日内七名の退寮を要求するとともに、デモ、集会、ビラ張りの禁止、学外團体解散等の学校條令を布告、同二十八日更に八名に対して退学処分を行い、なお学生寮に宿泊中の者に対し家屋不法侵入の廉をもつて告訴し、逮捕状を発し且つ学生一名を投獄した。岩波校長は、十月二十日教職員組合をも解散させており、更に昨年度卒業生中進歩的と見られていた二十五名に対し、(1)卒業後政治活動をしない、(2)政治團体の役員にならぬ、(3)善良な日本國民になるとの三箇條を宣誓せしめてやつと卒業させている等、非民主的な言動が多い。なお同様事態は、秋田師範学校においても惹起されている。  学生の自主的な教育復興鬪爭こそ民主革命を推進するものであるにかかわらず、以上の学校当局の措置は全くポツダム宣言、新憲法の精神を蹂躪し、次官通牒を不当に惡用したものであると信ずる。この点に関する文部大臣の責任を、本問題の眞相を調査するとともに、明らかにせられたい。
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衆議院議員林百※(注)君提出学生政治活動取締に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年十一月三十日 答弁第六號   内閣衆甲第六三号      昭和二十三年十一月三十日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員林百(注)君提出学生政治活動取締に関する質問に対する答弁書  質問の要点は、学校が文部次官の「学生の政治活動」に関する通牒に便乘して学生運動を不当に彈圧していないかというにあると解せられる。学生の政治活動については、さきに第二回國会において森戸前文部大臣が文部省の見解を表明したのであるが、なお政治運動の限界について疑義をもたれる向もあつたので、文部省は本通牒を発し、更に具体的な見解を表示して学校長の判断の参考に供せんとしたものである。  この通牒の要旨は、第一に学内における政治の研究、批判の自由を尊重し、進んで学生が個々に結社に加入する自由を禁止せず、学生運動の健全な発展を期待したのである。第二には学内の政治活動に関し学園の政治的中立性と各学校の教育上の自主性を保持する必要から各学校の実情に應じ、学園の秩序を阻害する如き運動が起らないよう指導をし、それに必要な適切な措置が講じられるべきことを明らかにしたもので、これは教育基本法第八條の趣旨から言つて当然であり、学校の教育活動あるいは、学校管理の問題である。第三には学園内の自治活動について直接行動や成心ある少数者の支配を戒めたものであり、このことはわが國の政治が國会民主々義の原則に基いている点からして明瞭である。  以上が次官通牒の趣旨であつて、これはあくまで学校長の判断の参考資料としたもので、この通牒をもつて学校長が学生運動を不当に彈圧しているとは考えていないし、又しばしば学校長会議や大学総長学長会議の機会をつくつて、その趣旨の闡明や徹底に努力している。  長野師範学校においては、青年共産同盟を研究の自由から認めて來たが、その行動において学校経営に支障を來したので、学校としてはやむなく解散を命ずる等の措置を講じたものと認めた。又秋田師範においては、生徒が学校側の勧告を無視して試驗時間にあえて大会を開いて試驗をボイコットしたので、その首謀者を処分したものであつて、いずれも各学校の自主性に基く学校管理措置であつて、ポツダム宣言、新憲法の精神を蹂躪し、次官通牒を不当に惡用したものとは考えられない。
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農地買收に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年十一月二十七日
昭和二十三年十一月二十七日提出 質問第七号           衆議院議長 松岡駒吉 殿 農地買收に関する質問主意書  埼玉縣北足立郡片山村天沼四八〇二地主岩(注)豊一耕作者永崎喜三一に係る農地は、地主岩(注)豊一は明らかに不在地主なるにもかかわらず、片山村農地委員会は買收計画を立てずと耕作者永崎喜三一より申出あり。政府の見解如何。
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衆議院議員河口陽一君提出農地買收に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年十一月三十日 答弁第七号   内閣衆甲第七一号      昭和二十三年十一月三十日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員河口陽一君提出農地買收に関する質問に対する答弁書  御質問になつた問題は、詳細なる事情が判明しないが、不在地主なれば自作農創設特別措置法第三條の規定により当然買收すべきでありますので、至急充分に調査いたします。
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公職適否資格審査の指定及び政令違反に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十三年十二月四日
昭和二十三年十二月四日提出 質問第一号           衆議院議長 松岡駒吉 殿 公職適否資格審査の指定及び政令違反に関する質問主意書 第一に、本人に通告がなされなかつたことについて、政府は省令を無視しても差支えなきものなるや否や 第二に、法令を無視して通知せず、これがために生じたる政令違反事件あらば、これ政府の責任にあらずや 第三に、何故に省令を無視したるや、その間の事情を明白にされたきこと 第四に、覚書該当者に禁ぜられている政治上の活動とは如何なるものか、その意義と範囲を明らかにされたきこと 第五に、前項政治上の活動と公務員法改正に関する人事委員会試案に示されたる政治的行爲との差違如何      (註、昭和二十三年十一月二十七日、毎日新聞に掲載されたる)
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衆議院議員齋藤晃君提出公職適否資格審査の指定及び政令違反に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十三年十二月十四日 答弁第一号   内閣衆甲第七三号      昭和二十三年十二月十四日          衆議院議長 松岡駒吉 殿 衆議院議員齋藤晃君提出公職適否資格審査の指定及び政令違反に関する質問に対する答弁書  第一乃至第三 覚書該当者としての仮指定の実施は、関係方面より時間を限られたため、本人の住所を徹底的に調査する暇がなかつた。そこで相当数のものは、住所不明のまま昭和二十二年閣令内務省令第一号第五條の規定により官報に掲載して仮指定を行つた。省令を無視したという所論は、全く当を得ない。  なお、いわゆる公職追放令(昭和二十二年勅令第一号及び同勅令の施行令たる昭和二十二年閣令内務省令第一号)の解釈及び実施の最終決定権は、連合國総司令部にある。  第四 覚書該当者に政治上の活動を禁止しているのは、昭和二十一年一月四日の覚書及び昭和二十二年勅令第一号の趣旨にかんがみ、覚書該当者の政治えの影響一切を阻止せんとするにある。從つて、その範囲は連合國総司令部によつても極めて廣く解せられている。  しかして勅令第一号の運用上如何なる事項が政治上の活動に該当するやは、前述した法令の趣旨に照して個々の具体的事件につき決定されるべきものであつて、今日までに、政治上の活動として認められている事項を挙げれば次の通りである。 1 選挙に関する活動 2 政治團体の支援、反対に関する行爲 3 政策の論議、批判又は政策実現に関與する行爲  第五 前項の政治上の活動の意義と範囲は、公職追放の特殊事情よりして、公務員法改正に関する人事委員会試案に示された政治的行爲とは自ら解釈を異にするものである。
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上田纎維専門学校の單科大学昇格に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十四年三月二十六日
昭和二十四年三月二十六日提出 質問第一号           衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 上田纎維専門学校の單科大学昇格に関する質問主意書 一、文部当局は上田纎維專門学校を單科大学として昇格せしめ、以て理想的纎維綜合大学を設置するの意思ありや否や。もしその意思なしとすれば、その理由如何。 一、われわれの見る所によれば、すでに水産大学、商船大学等の設置が決定せられたる以上、纎維工業國たるわが國として一箇の纎維大学をもたざるべからざるは自明の理に属する。然らば、國立新制大学の発足と同時に、上田纎維專門学校を單科大学として昇格せしむべきは、これまた言を俟たぬところである。文部当局はこの際同校の單科昇格を断行するの意思ありや否や。   いたづらに問題の解決をせん引して、地元縣民をして陳情請願を繰返えせしむるは、取りも直さず、政治の貧困を意味するものにして、当局の責任重且つ大なりと考えられるが、これに対する文部当局の所見如何。 一、文部事務当局は、該件がいまだ大臣の正式決裁を得ないにもかかわらず、いな、大臣が大臣個人としては、賛意を表し、その実現を希望せられしにもかかわらず、大臣の意向をいささかも顧慮することなく、つとに絶対反対を表明し、敢て讓らざるは、そもそも如何なる権限に基くや。決裁権は大臣にありや、はたまた事務当局にありや。文部事務当局は、民主政治を如何なるものと思惟するや。 一、上田纎維專門学校の單科昇格の可否は、大学設置委員会に附議し、その答申を俟つて、決裁せらるべきものと聞く。   しかるに、文部事務当局がいまだ同委員会にこれを附議せざる時に当つて絶対反対を表明して憚らざりしは、同委員会を無視したるにあらずんば、その答申の内容を予断したものといわねばならない。文部当局は大学設置委員会を如何なるものと思惟するや。大学設置委員会の性格如何。
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衆議院議員降旗※(注)弥君外三名提出上田纎維専門学校の單科大学昇格に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十四年四月五日 答弁第一号   衆甲第七号      昭和二十四年四月五日          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 衆議院議員降旗(注)弥君外三名提出上田纎維専門学校の單科大学昇格に関する質問に対する答弁書  昭和二十四年度から新制大学を発足させるについては、六・三制の完全実施の必要経費の計上も困難なる情勢から見て、新制大学実施に要する予算措置は、若し各学校の希望する通りに單科大学で計画するとすれば國費の支出過大となり、実施不可能であると考えたので、一府縣一國立大学設置の原則を樹て、特に人口稠密、地域の廣大、高等專門学校数の多さ等による数地方の例外を除いてこの方針によることとした。 一、理想的纎維綜合大学設置の趣旨は結構であるが、これがためには現在の纎維專門学校の教員組織、施設等相当拡充せねばならず、年々支出の経常費も非常にかさむことであり、今日國立学校の全般的轉換の際においては、他との均衡上はなはだ困難である。  專門学校が新制大学となる場合には、全面的に教員組織、施設等の拡充を必要とするが、特に一般教養学科の部面においては少なからず充実を要し、この点から見ても單科大学とするには極めて困難な事情もあるので、上田纎維專門学校についても、他の東京纎維專門学校及び京都纎維專門学校の場合と同様に他の学校と合併し、綜合信州大学の一学部として、主として專門部面(纎維学部)を担当することがこの際より適切な措置と考える。 一、水産大学や商船大学が單科大学として設置されようとしているが、これは他省所管という特殊事情もあり、目下文部省としても関係方面に折衝し、一定期間を限り他省の所轄とする話合い中でもあり、これをもつて單科大学の設置を一般化する理由にはならない。 一、大学設置委員会としては、文部大臣の諮問に対して大学設置の可否を審議し、それを答申するのを任務とするもので、國立大学の場合は文部省において当該学校その他関係方面と協議し、大学設置の具体案を作成して、しかる後大学設置委員会に諮問することになつている。  右答弁する。
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農地改革についての質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十四年三月三十一日
昭和二十四年三月三十一日提出 質問第二号      衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 農地改革についての質問主意書 一、山林使用権の設定は、現在いかなる程度まで進行しているか。私はこの設定が殆どなされておらず、農村民主化の阻害と農業経営を不安定ならしめる重大要因になつていると考える。   これについて政府は、これまで如何なる具体的指導をなし、今後如何なる見透しと計画をもつているのか。 一、未墾地開放に関連して、茨城縣に町村開拓協議会なるものがつくられている。   この協議会は、開拓用地の取得、開拓者の募集、詮衡、営農指導などを目的にかかげている。しかし、この協議会には、農地改革の趣旨に反すると思われる幾多の活動が見うけられる。   この協議会には、多く山林所有者又はその縁故者が参加している。したがつて、未墾地開放に対する農民の要望あるいは農地委員会の計画を圧殺する役目を果しているのが通例である。かかる状態でよろしいのか。また、未墾地開放に反対する山林所有者は、その主張が敗れると、この協議会を拠点として、開放された未墾地をその配分の際自己の一党のみをもつて独占し、一般農民への配分を阻んでいる。   この著しい例は茨城縣行方郡大生原村に見られる。さらに、東茨城郡上野合村、竹原村にもその例がある。町村開拓協議会は、地方事務所長の指導のもとに町村長がつくることになつている。   かやうな指導は直ちに是正さるべきものと考える。   開拓協議会の委員に、未墾地開放反対者を加えることは、その目的から見ても誤りであり、それらの委員は当然除外されなくてはならない。   大生原村の場合は、協議会の大半が、猛烈な未墾地開放反対者で構成されており、極めて反動的役割を果している。この場合は、当然解散させるべきと思うが如何。
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衆議院議員山口武秀君提出農地改革についての質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十四年四月八日 答弁第二号   衆甲第八号      昭和二十四年四月八日          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 衆議院議員山口武秀君提出農地改革についての質問に対する答弁書 一、山林使用権の設定は根拠法律もないし、從つて政府は何ら指導等は行つていない。  この事業は、從來市町村農地委員会が農地開放事務に忙殺されていたことと、薪炭林等の使用権に関する慣行の調査が不充分であつたことと、これらの使用料が全國区々で適正使用料の認定が極めて困難であつたことの三つの理由から政府は余り強くは指導して來なかつた。  昨年末より右に関する調査に着手、目下進行中で、これが完了次第、近く具体的指導を開始する。 二、開拓に関する調査審議の機関は、現在では各都道府縣に開拓委員会、更にその下部機構として地方事務所毎に未墾地買收予定地審査会を設けている。開拓地の取得については、農地委員会が未墾地として買收せんとする地区は、予め縣開拓委員会適地調査部又は未墾地買收予定地審査会が政府の定めた「開拓適地選定の基準」に準拠して、技術的に見てその地区の開拓が妥当であるかどうかを審査し、農地委員会はその結果に基いて買收計画を樹てるような指導措置をとつている。しかも右適地調査部及び審査会は、開拓適否に関し、技術的に公正な判断を下すに必要な公務員及び專門技術者のみをもつて構成させてあるから、その決議が地方の個人的若しくは階級的利害に左右されることはない。  開拓者の選衡については縣開拓委員会に入植者選衡部会を設置せしめ、開拓者の選衡について縣知事に協力せしめる方針で指導している。開拓地における営農指導の方法についても縣開拓委員会において審議することとなつている。  地方において、これら開拓委員会及び未墾地買收予定地審査会の下部機構として町村開拓協議会を設置し、開拓事業の推進に当らしめるのは縣知事の自発的な権限であるが、若しその運用が農地改革の趣旨に反し、反民主的活動を行つている事実があるとするならば当然是正措置をとる必要があるから、縣当局と打合せの上善処したい。 右答弁する。
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農業者の所得税の合理化に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十四年四月二日
昭和二十四年四月一日提出 質問第三号           衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 農業者の所得税の合理化に関する質問主意書 一、現在の農家に対する所得税の課税状況は   地帶別に見ると山村に重く、純農村これに次ぎ、都市近郊が軽く、経営別には零細農に過重であり、経営組織別には蔬菜作、普通畑作に重く、米麦作がこれにつぎ、果樹等は比較的軽いといわれるが、果してかかる事実があるか、もしありとせばこれを是正する考はないか。 二、昭和二十二年度所得に対する所得税は、全國的に税務署の更正が農家の申告を約三〇%から四〇%、はなはだしきは七〇%も上廻つており、しかも税務署財務局の間にも色々差異があるが、  (1) かかる超過査定は農業所得以外の所得の査定に比して不公平を生じてはおらぬか。  (2) 各税務署財務局間に相当の差異があることにより、地方的に負担の不公平を生じてはおらぬか。 三、農業所得の申告と査定にあたつて、反当所得標準の收入と経費の算出にあたつて、年度により價格の変動があり、且つ收入の年度が異るにもかかわらず、これを無視して收入が過大に評價せられていることは不合理と考えるが、これを是正する考はないか。  (註) 藁に関しては年度による價格の変動を考慮しているが、自家用米、供出米についてはその考慮が拂われておらぬので所得が過大に算出される。 四、わが國の農業が家族労作経営で、その所得は、形は事業所得であるが、実質は勤労所得である。從つて現在勤労所得について認められている勤労控除を農業所得にも認め、仮りに同一世帶内で二人の農業從事者があれば、二つの基礎控除を行うべきではないかと考えられるが、右に関する考はどうか。 五、現在の所得税は申告制度になつているが、特に徴税の促進強化に対應して所得額の決定の公平と均衡を図るために、各市町村、税務署、財務局ごとに所得の賦課更正、決定の諮問機関として所得調査委員会(仮称)を設置するが適当と考えられるが、政府の意見はどうか。
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衆議院議員床次※(注)二君提出農業者の所得税の合理化に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十四年四月十二日 答弁第三号   衆甲第九号      昭和二十四年四月十二日          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 衆議院議員床次(注)二君提出農業者の所得税の合理化に関する質問に対する答弁書 一、現行の所得税は、所得金額を課税標準とし、累進税率により課税しているので、政府は、各農家の所得金額を調査する上において、できる限り適正公平を得ることに努めている。特に、課税の具体的結果が、地帶別に、経営別に、又、経営組織別に不公平とならないように、調査上格段の考慮を加えているのであるが、今後においては、一層この趣旨を徹底せしめたいと考えている。 二、所得税の更正は、正当な所得金額を調査してこれを行うのであり、各種の所得間に調査の難易の存することは、もちろんであるが、一般的には  (1) 農業所得の査定が、超過査定であり、且つ、農業所得以外の所得の査定に比して不公平を生じているとは、考えられない。  (2) 各税務署、各財務局間の権衡については、相当の注意を加えているので、地方的に負担の不公平を生じているとは、考えられない。しかし、全國多数の農家については、若干の問題なきを保し難いので、的確な所得金額の査定について、格段の努力を続けている。 三、農家の所得を計算する場合においては、農産物は、收穫の年における所得とし、その收入金額を收穫時における價格によつて算定している。このことが、現行の所得税法の建前からみて、收入を過大に評價しているものとは考えられない。 四、農業所得について、いわゆる勤労控除を行うことは、適当でないと考える。同一世帶内で二人の農業從事者がある場合の控除については、立法問題としては、目下研究中である。 五、所得の賦課、更正、決定の諮問機関として所得調査委員会を設置することは、申告納税制度との関係上種々問題があるので、差し当り適当な審査機関の設置について目下研究中である。  右答弁する。
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昭和二十四年度農業計画割当についての質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十四年四月四日
昭和二十四年四月四日提出 質問第四号           衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 昭和二十四年度農業計画割当についての質問主意書  茨城縣では軍政部より各町村の農業計画の個人割当とその公表を三月十八日までに終了するよう勧告されている。縣下大多数の町村長は軍政部の指示した日までに、個人割当を完了したと、縣に報告している。  しかし事実は全く相違している。完了したと報告した町村のほとんど全部が、事実は割当をしていない。割当したという町村も調査したところ、仮割当若しくは暫定割当と称して、昨年度の供出割当をそのままの比率に移行させたり、部落への割当をしたに過ぎない。  しかもそれは、町村当局が非公開で、完了報告の名目のためにしたもので、農民は関知せず、食糧確保臨時措置法に基くものは全くない。  縣当局はこの間の事情は知悉している筈であるにもかかわらず、町村長の虚僞の報告を默認している。もし本事情を知らないとすれば、縣当局の怠慢は論外の話である。  かかる虚構の事実を基礎として、今後の処置が取られるとすれば、更に無理と違法が重ねられることになる。縣当局は、速かに虚僞と違法を認めて、白紙にかえり、適法の個人割当を無理なく行うよう町村長に指示すべきと思うが如何。  仮割当若しくは暫定割当なるものは、食糧確保臨時措置法にはない。かかる誤れる方法は取るべきでないことを注意すべきと思うが如何。
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衆議院議員山口武秀君提出昭和二十四年度農業計画割当についての質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十四年四月十二日 答弁第四号   衆甲第一〇号      昭和二十四年四月十二日          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 衆議院議員山口武秀君提出昭和二十四年度農業計画割当についての質問に対する答弁書  右質問については、全く御説の通りである。政府は、すでに別記昭和二十四年三月十八日付二四食糧第一三一九号通達をもつて、生産者別割当があいまいにならないように、各都府縣知事に対し指導方を要望した。           記  二四食糧第一三一九号(企画)     昭和二十四年三年十八日        知 事殿    昭和二十四年産主要食糧農産物の農業計画の生産者に対する指示に関する件  昭和二十四年産米、いも類の農業計画の各生産者別割当の公表は、昭和二十四年一月十一日附二四食糧第一五七号通達による指示の通り先月中に完了し現在は各生産者に対する指示の段階にあると存ずるが、現行食糧確保臨時措置法第七條による各生産者に対する農業計画の指示は口頭でも差支えないことに成つているため各生産者の事前供出割当数量が、あいまいと成り超過供出分の特別價格による買入の事務処理等につき種々の不都合が起る虞れがあるから、二十四年産主要食糧農産物の農業計画は必ず別紙様式の文書により市町村長から生産者に指示するよう指導願い度いこれについては食糧確保臨時措置法の改正の際法律に明記する方針である。  なお右の措置に併せて市町村長は個人別割当を完了次第個人別割当の明細書を市町村の食糧檢査官に速に送付するよう特段の指導を煩したい。 別紙様式の指示書は食管にて印刷の上送附するから念爲右通達する。 第    号
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税務代理士法違反に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十四年四月六日
昭和二十四年四月六日提出 質問第五号      衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 税務代理士法違反に関する質問主意書 一、三月二十八日大阪檢察当局は、税務代理士法違反のかどで生活権擁護同盟員五名を逮捕したが、市内五警察に大がかりな搜査本部を設け、今日まで同盟員五百名以上の喚問取調を行い、税金には何ら関係なき左の如き事項を取り調べている。  1 お前は共産党員か  2 お前はいつ入党したか  3 共産党にいくら金を出したか  4 共産党が金銭を強要せぬか  5 同盟にいつ加入したか   これは明らかに政治的意図を持つ不法な彈圧であり、違憲である。政府はこれに対しいかに考えるか。 二、三月二十二日午後大阪市城東区生活権擁護同盟事務所を武裝警官八十名で包囲し、家宅搜査を行つた事実があるが、税務代理士法違反などの搜査としては、余りに大がかりであつて、市民の各層が自ら組織したところの、税金に限らずすべての生活権を自発的に擁護するを目的とする民主的團体に対し、官憲による全く必要以上の脅迫と威圧とを加えている不穏当極まる行爲である。政府はこれをいかに考えるか。 三、税務代理士法は、同法第一條により税に関して「…代理を爲し若は相談に應ずるを業とす」る者に関する法律で、これを「業」としない者に対して適用さるべきものでないことは勿論であるが、大阪檢察当局は單なる個人といわず、社会事業家といわず、同業組合の世話人といわず、すべて税金に関する相談に應じた者は代理士業務とみなすといつているが、政府はこれらの税金相談ですら全部違法として禁圧するものであるか。   今後一般市民はいかに不当な更正決定を設けた場合にも、何人にも相談すらできないのみならず、異議申立等の法規、手続に関してほとんど知識のない一般市民は、税務代理士に依(注)すれば、多額の料金を請求され、又代理士の数は極めて少い。從つて税問題に関しては市民はいかなる場合でも泣寢入り以外にない。これは事実上において人民の権利を抑圧するものたるは勿論、納税に対する善良なる人民の意志を國家自ら破壞するものである。この点に関し政府はいかに考えるか。 四、税務代理士法は昭和十七年二月二十三日の法律であつて、その本旨は税務代理士業を保護するためのものである。從つて制定以後この法律違反問題が起つた例がないのである。しかるに今日、急にこの法律を全國にわたつて適用し廣汎に檢挙者を続出させているが、これは現在の税が担税力以上の極端な重税であるばかりでなく、不法なデコボコ課税を強行しつつある証拠であると同時に、それに対する人民の異議申請を全面的に彈圧するために用いている証拠である。これに対し政府はいかに考えるか。 五、このような法律は新憲法下当然廃止さるべきであると思うがどうか。 六、本件取調に当り、大阪檢察当局は、業者に対して現在被疑されている行爲を、向後やらないことを誓約すれば釈放すると言つているが、このような事実は、全く人民に対する不法な抑圧であり、違憲であると思うが、政府はいかに考えるか。
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衆議院議員川上貫一君提出税務代理士法違反に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十四年四月十五日 答弁第五号   衆甲第一一号      昭和二十四年四月十五日          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 衆議院議員川上貫一君提出税務代理士法違反に関する質問に対する答弁書  税務代理士法の趣旨は、納税に関する書類作成、代理行爲及び相談をすることを業とする者を税務代理士として認め、この業務を円滑に行うに充分な知識経驗を有し、脱税等不法行爲を計画しない人物を税務代理士たらしめるために資格を制限し、許可制を採つて、一般納税義務者が安心して税務代理士に依(注)し、容易に適正な納税をなし得る途を設けるというのがその目的であり、一般納税者の利便及び租税徴收の円滑化を図つたものである。  全國において税務代理士は三千名以上あつて、その数必ずしも少なくはなく、手数料も税務代理士会の会則によつて定められ、過当とならないようになつている。從つて、税務代理士の制度を維持することは、右に述べたように國民の便宜に資するものであつて、少しも國民の租税に関する異議申立の権利を制限するものではない。  税務代理士法は、現在の税制の下においては益々その必要性を高めこそすれ、その廃止を考える余地はないと考える。又一面税務署においても、租税に関する相談があればこれに應じ種々指導しているところである。  税務代理士法第一條の「業」の意味は、本法の趣旨から見て、有償であると無償であるとを問わず、反覆継続の目的で所定の行爲をすることであることは明白であつて、税務代理士以外の者が業として所定の行爲をすれば、税務代理士法違反となるのであつて、これを檢挙することは、法の目的とするところを実現するに止まり、國民の権利を不法に彈圧するものではない。  質問主意書にある檢挙等に関する事実については、申すまでもなく檢察当局は細心の注意をもつて檢挙処理をなしているのであつて、何ら不当なことはないと認められるが、萬一不法不当の事実があれば直ちにこれを是正するに吝かではないのである。  右答弁する。
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上田纎維専門学校の單科大学昇格に関する再質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十四年四月九日
昭和二十四年四月九日提出 質問第六号           衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 上田纎維専門学校の單科大学昇格に関する再質問主意書  四月五日附答弁書により再質問をするに当り理由の一端を述べれば 一、長野縣は、東京、京都の両都等と異なり、今もなお本邦最大の養蠶製糸縣であつて、この点については、文部省が率先上田蠶糸專門学校を設置したる当時と毫も変らない。 一、上田纎維專門学校は、その名は專門学校であるが、その実は、つとに纎維に関する最高学府であり、大学であつたのであつて、その施設においても、その教授陣容等においても、優に大学の資格を具備するものと考えられる。 一、長野縣は本邦屈指の大縣であつて、上田、長野、松本、伊那等の各都市間の距離遠く、各学部相互間の連絡を図ることは極めて困難であるから、上田纎維を強いて綜合大学に編入してみても、却て不利、不便のみ多くして、綜合大学の利便を亨受することは毫もない。またこれを財政的にみても、毫も経費の即減とならず、却てその増嵩をもたらす部面すらもあることを看過してはならない。   この点において、上田の場合は、他の同種学校とは著しくその事情を異にする。 一、二校を合併して一大学を設置する場合と異り、上田の場合はこれを独立せしめて單科大学とするも毫も信州大学の成立を妨げるものではない。いな、長野縣は面積廣大、地形複雜であつて最近においても分縣論さへ唱道されたほどであるから、上田はこれを独立せしめて、二大学を設置するを妥当とする。二大学設置というも、上田の場合は差当り看板の書き換えに過ぎないから、これがため、毫も経費の増嵩をもたらす惧れはない。 一、六三制の完全実施及び新制大学の健全なる発展は、文化的平和國家建設の要諦であるが、これがためには輸出貿易の振興により大いに外貨を獲得するのほかはない。しからば、上田纎維專門学校を改組・拡充して理想的纎維綜合大学を設置し、以て本邦輸出貿易の大宗たる纎維産業の振興を助成すべきは、文教政策的見地らみてもまた喫緊の要務でなければならない。 一、國立新制大学の設置については「新制大学設置要領」、すなわちいわゆる十一原則なるものがあることは承知しているが、しかしこれとても絶対不動の原則ではなく、いかなる事情があるにもせよ、一縣一大学の原則を貫徹せねばならぬという趣旨のものではない。ただ「同一地域にある学校はなるべく統合して一大学とし、一府縣一大学の実現を図る」というに外ならぬ(『新制大学の実施について』による)。現に、水産大学、商船大学等の設置が決定せられたるはこれがためであろう。   されば、上田纎維、秋田鉱山等については、「極力(一縣一大学の)原則に基いて解決するよう努力するが、最後的決定は文部省と大学設置委員会とに委せられることを総司令部、CIEも承認している筈である(『新制大学の実施について』による)。   また、「國立新制大学えの轉換の具体的計画については、文部省はできるだけ地方及び学校の意見を尊重してこれを定める。」とは十一原則自体の明記するところであり、民主政治の本質上、固より当然といわねばならない。 それぞれ独立を主張してやまざる二百数十の大学、高等、專門学校等を統合して六十九の新制大学を設置するは実際容易なる業ではなく、これを推進して今日に至つた文部事務当局の労苦と信念と勇氣とに対しては衷心敬意を表するに吝なるものではないが、しかし上田纎維の昇格問題については、右に例挙したる諸理由からみて、即時これを昇格せしめ、一般の國立新制大学と同時に、纎維大学として発足せしむべきが当然と考えられる。先般の大学設置委員会において、同校の昇格決定が保留せられたるは、如何なる事情によるのであるか。   文部当局は、『新制大学の実施について』によつて決定せられたる文部当局の既定方針に基き、なるべく急速に同校の昇格問題を大学設置委員会に諮問し、以てその実現を期すべきものと考えられるが、これに対する文部当局の所見如何。もし飽くまでもこれを否認せんとするならば、万人をして首肯せしむるに足るだけの理由を詳細且つ明確に公表せられるか否か。   上田纎維の昇格は、從來單科昇格を主張してきた爾余の諸校とは全くその事情を異にするものであることを看過してはならない。   同校の單科昇格要望の理由は、右に例挙したるところにとどまるものではない。これについては長野縣民大会の要望理由二十三箇條がある。これを仔細に閲覧点檢するに、一として肯綮に中らざるものはない。もとより、文部事務当局は、その立場上、率先して同校の單科昇格を承認するわけに行かず、最後にこれを承認すべきものであることは、われわれの熟知するところである。けれども、事理は極めて明白であり、解決は、いつまでも遷引せらるべきではない。今や文部当局は大乘的見地に立ち、親切心をもつて、善処せられ、その既定方針に基いて、この際急速に上田纎維の單科昇格を断行せられるや否や、文部当局の所見如何。
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衆議院議員降旗※(注)弥君外七名提出上田纎維専門学校の單科大学昇格に関する再質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十四年四月二十日 答弁第六号   衆甲第一四号      昭和二十四年四月二十日          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 衆議院議員降旗(注)弥君外七名提出上田纎維専門学校の單科大学昇格に関する再質問に対する答弁書  新制大学の教育の目標は旧制大学、專門学校の如く專門の学術の研修に偏せず、廣く人格教養の向上に努め、併せて專門の学術を研修するにある。從つて從來の國立專門学校等をそれぞれ單独で新制大学に轉換するには一般教養に関する教員組織、施設等を大幅に増強する必要があり、これは現下の國情から実施不可能と考えられるので、特別の場合を除いて、一府縣一國立大学の方針を立て、それぞれ数個の旧制学校を統合し、その内容を更に拡充して、一大学の中になるべく多くの教科を設け、学生の自由選択の幅を廣くし、且つ將來各種の方面に進む学生が互に切瑳してその眼界を廣くし、教養の向上に努めるようにしたい。 一、上田纎維專門学校は纎維に関する專門学校としてはよい学校ではあるが、右の目的を達するには必ずしも充分でないと考えられる。  理想的纎維綜合大学とするには、なお相当の教員組織施設の充実を要し、今日國立学校の全面的轉換には、他との均衡上はなはだ困難であるのみならず、信州大学は医、工、農、文理、教育の諸学部を備えているから、新制大学の重要目標たる教養ある纎維技術志望者の教育には、信州大学の一環としての纎維学部となるのがよい道と考えられる。 一、大学設置委員会としては、文部大臣の諮問に対して大学設置の可否を審議し、それを答申するのを任務とするもので、國立大学の場合は文部省において当該関係学校その他関係方面と協議し、大学設置の具体案を作成して、しかる後大学設置委員会に諮問することになつている。上田纎維專門学校を纎維学部として信州大学の中に加えることについては、文部省と学校及び関係方面との間に完全な諒解がついていないので、設置委員会において決定を保留したのである。   右答弁する。
a005007
塩の買上價格に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十四年四月十二日
昭和二十四年四月十二日提出 質問第七号           衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 塩の買上價格に関する質問主意書 一、昭和二十四年度の塩の買上價格決定に際し平均労働賃銀は何程に見積つてあるか。 二、塩のトン当り買上総数量、買上單價及び食塩の消費者價格を問う。 三、前回の物價改訂による食塩消費者價格は据え置くつもりかどうか。
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衆議院議員中原健次君提出塩の買上價格に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十四年四月二十二日 答弁第七号   衆甲第一五号      昭和二十四年四月二十二日          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 衆議院議員中原健次君提出塩の買上價格に関する質問に対する答弁書 一、三、七〇〇円ベースの業種別平均賃銀における製塩業平均賃銀一人当り一箇月三、一四五円を見積る予定である。 二、國内塩の買上総数量は年間四十五万トンの予定で、買上單價は目下檢討中であるが、食塩の消費者價格は、現行消費者價格据置きの予定である。   現行家庭用食塩の政府賣渡價格一トン一六、二一〇円(包裝費を含む) 三、目下檢討中であるが、現行食塩消費者價格は差しあたつては、据え置く予定である。   右答弁する。
a005008
長野縣における教員の不当彈圧に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十四年四月十三日
昭和二十四年四月十三日提出 質問第八号           衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 長野縣における教員の不当彈圧に関する質問主意書 一、本年二月二十三日長野縣教育委員は、縣下教職員に対する人事判定標準をつくり、その政治的中立性を問題として、(一)教員の組合活動における役割、地位 (二)一般選挙並びに教育委員選挙における活動状態等をあげ、これを基礎として縣視学を通じ、教育委員会の決定と称し、組合活動に從事した多数の民主的教員に対し、退職、轉任、格下轉補などを強要している事実がある。これは極めて不当なる彈圧人事であり、労組法第十一條に違反し、違憲である。これに対し政府はどう考えるか。 二、七二会小学校長松林実及び更府小学校長市川慶造の両氏が本件に関し、縣視学風間元と面会したことにつき、同視学は事実無根にもかかわらず、強要罪をもつて両名を告訴し、両名は不当にも四月六日長野市警察に連行檢挙されたが、これは当局が一連の退職、休職などの強要に反対の態度を持していた両名に対し、警察と結託して行つた不当な彈圧と考えるが、その明確な理由を質したい。
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衆議院議員林百※(注)君提出長野縣における教員の不当彈圧に関する質問に対し別紙答弁書を送付する。
昭和二十四年四月二十二日 答弁第八号   衆甲第一七号      昭和二十四年四月二十二日          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 衆議院議員林百(注)君提出長野縣における教員の不当彈圧に関する質問に対する答弁書 一、長野縣教育委員会について、労組法第十一條違反の事実があつたかどうかについては、念のため同委員会に照会中である。  もし、労組法第十一條違反の事実があり、これに対する地方労働委員会の請求があれば、檢察廳において適正に処理する。 二、強要罪の告訴事件は、長野市警察において犯罪の嫌疑ありと認め、被疑者両名を逮捕の上長野地方檢察廳に制規の事件送致をなしたものである、本件は、長野地方檢察廳でなお捜査中であり、追つて結果は判明するものと思うが、被疑者両名の身柄は、檢察廳で直ちに釈放したものである。本件について目下のところは警察側の不当彈圧と認める事情はない。   右答弁する。
a005009
日本國憲法第二十六條に関する質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十四年四月十六日
昭和二十四年四月十六日提出 質問第九号           衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 日本國憲法第二十六條に関する質問主意書  義務教育は無償とするとあるのは、その原則を定めたものであると思う。從つて学校の施設、教職員の配属並びに教材の付輿等は当然であつて、子女は学校に登校すれば自ら教育を受けられるものでなくてはならぬ筈である。これらの費用は國全体の負担であつて、個々の父兄又は保護者の支弁すべきものでないことは理の当然であらねばならぬ。しかるに現行制度は國、地方、父兄又は保護者が各、負担しているのは憲法の精神に反するものではないか、いかが。
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衆議院議員生田和※(注)君提出日本國憲法第二十六條に関する質問に対する別紙答弁書を送付する。
昭和二十四年四月二十七日 答弁第九号   衆甲第二一号      昭和二十四年四月二十六日          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 衆議院議員生田和(注)君提出日本國憲法第二十六條に関する質問に対する答弁書  憲法第二十六條において「義務教育は、これを無償とする。」とありますのは、國家が一方において義務教育を課しているのでありますから、原則としてその教育に要する経費は、これを保護者の負担としないことを掲げたものであろうと存じます。しかしこれは理想としての原則でありまして、すでに立法当時いろいろと論議がありましたように、このことは國および地方公共團体の財政負担能力と切りはなしては考えられない問題であつて、また「無償」の範囲等についても明確ではありませんので、さしあたつては少くとも「授業料を徴收しない」という意味に解釈しているのでありまして、教育基本法の第四條および学校教育法の第六條にはまずこの点を明示した次第であります。  敗戰後今日まで國および地方公共團体の財政が極度にひつ迫しておりますうえに、新教育の急速な実現の必要から六、三制等を実施したために、この方面から保護者に対しましていろいろな形で多くの負担が加えられてきていることは、率直にこれを認めなければなりません。しかしこのことは今日のわが國の経済力その他の國情からくるものでありまして、まことに遺憾なことでありますが、もとより政府としましてはすみやかに國の経済を安定させて、眞に憲法の趣旨にそう教育を実現できるよう努力いたしておる次第であります。  右答弁する。
a005010
農業者の所得税の合理化に関する再質問主意書 右の質問主意書を提出する。   昭和二十四年四月十六日
昭和二十四年四月十六日提出 質問第一〇号           衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 農業者の所得税の合理化に関する再質問主意書  前回の質問の第三項に対して政府の答弁は、現行の所得税法の建前から見て農家の收入を過大に評價したものとは考えられぬとのことであるが、これは事実に相違する。即ち、大藏省主税局の指示する「農業所得に対する所得税の実務要領」に基く各税務署の農家の所得税の査定課徴の方法によると、所得算出の基礎を主として收穫年度に置いているために、実際の所得より過大に査定せられ、從つて税負担が不当に重くなることが認められる。これは農林省農政局の計算によつても所得がおよそ一・四倍程過大に算出せられることが明かになつている。(参照 農林省農政局発行 農業所得税折衝に関する経過概要)  かかる状況にあるにもかかわらず、政府の答弁は、はなはだ遺憾である。現在農村の負担は頗る重大であるから、眞に実情に即した所得の査定を行い、不合理な重課を是正するような処置をとることを要望する。
b005010
衆議院議員床次※(注)二君提出農業者の所得税の合理化に関する再質問に対する別紙答弁書を送付する。
昭和二十四年四月二十七日 答弁第一〇号   衆甲第二三号      昭和二十四年四月二十七日          衆議院議長 (注)原喜重(注) 殿 衆議院議員床次(注)二君提出農業者の所得税の合理化に関する再質問に対する答弁書  現行税法の建前としては、いわゆる收穫年度計算法により所得を計算し、これに即應する負担となるような基礎控除、扶養控除及び税率を定めているのである。この計算方法は、所得税法施行以來採用し來つている方法であつて、不合理とは考えない。もし、いわゆる期間計算法を採用するとすれば、他の所得の計算方法にも影響があり、税率その他の綜合的檢討を要する次第であり、税務署が、現に農業所得を過大計算しているわけではない。なお、農林省農政局発行「農業所得税折衝に関する経過概要」の記載によると、五十八頁には、收穫年度計算法によれば、期間年度計算法に比較し所得が一、一八倍となるという報告があり、且つ、七十三頁に記載された一、四倍の計算は、他の業種との比較であつて、その設例の取り上げかたは、必ずしも適当ではない。  右答弁する。

Japan Diet Q&A Sessions Dataset

Summary

  • This dataset was created by scraping the parliamentary questions and answers webpage.
  • As of March 27, 2024, it includes 216 sessions.

Data Fields

  • id: Consists of three parts.
    • The initial alphabet indicates whether it is a question (a) or an answer (b).
    • The next three digits represent the session number of the parliament.
    • The last three digits are the question number within the parliament session.
  • title: The title of the question or answer.
  • content: The content of the question or answer.

Data Source

Scraping Code

License

  • MIT

国会の質問答弁データセット

概要

  • 国会質問答弁のHPをスクレイピングし、作成しました。
  • 2024/03/27現在までの216回分が登録されています。

データフィールド

  • id: 3つのパートで構成されています。
    • 最初のアルファベットが質問か回答を表し、aが質問でbが回答です。
    • 次の3桁の数字が何回目の国会かを表しています。
    • 最後の3桁が国会内での質問番号になります。
  • title: 質問や答弁のタイトル
  • content: 質問や答弁の内容

データソース

スクレイピングコード

ライセンス

  • MIT
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