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税収における直間比率の是正に関する質問主意書
令和四年四月二十日提出 質問第五〇号 税収における直間比率の是正に関する質問主意書  平成の約三十年間で、直接税である所得税と法人税は減収となり、間接税である消費税は増収となっている。あるべき直間比率を検討するため、以下、質問する。 一 政府は、「直間比率の是正」と言い、直接税の比率を下げて、間接税の比率を引き上げてきた。政府の主張する「直間比率の是正」は、何を目的にしているのか。 二 税収において、直接税の割合が低下し、間接税の割合が増加した結果、税制の持つビルトイン・スタビライザー機能が損なわれた。景気対策を即時的に行うためにビルトイン・スタビライザー機能を確保するために、税収における直接税の割合を一定以上確保すべきと考えるが、政府の見解如何。 三 税収において、直接税の割合が低下し、間接税の割合が増加した結果、税制の持つ所得再分配機能が損なわれ、格差社会となってしまった。経済格差が拡大すると、消費性向の高い低所得者の消費が抑えられてしまう一方で、高所得者の消費は消費性向が低いので伸び悩み、社会全体としては消費が停滞することとなり、デフレの原因となる。国内消費を活性化することで経済成長を促すという観点から、経済格差を是正するために、税収における直接税の割合を一定以上確保すべきと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
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衆議院議員櫻井周君提出税収における直間比率の是正に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月二十八日受領 答弁第五〇号   内閣衆質二〇八第五〇号   令和四年四月二十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出税収における直間比率の是正に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「直間比率の是正」については、昭和六十二年及び昭和六十三年の抜本的税制改革において個人所得課税の負担軽減、消費税の導入等を内容とした改革が行われ、当時、こうした改革の内容を指して直間比率の是正と呼ばれたことがあると承知しているが、直間比率は、その時々の経済状況や税制の在り方の検討の結果として出てくる数値であって、政府としてその比率自体を是正するために税制改正に取り組んできたものではない。 二及び三について  御指摘の「ビルトイン・スタビライザー機能」や「所得再分配機能」については、税制以外の諸制度が果たす役割を踏まえ、税制のみならず、関連する制度全体として評価すべきものであり、また、御指摘の「税収における直接税の割合」は、その時々の経済状況や税制の在り方の検討の結果として出てくる数値であることから、税制におけるこれらの機能の確保の観点のみをもって、「税収における直接税の割合」の在り方を検討することは必ずしも適切ではない。
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所得税の負担の公平性に関する質問主意書
令和四年四月二十日提出 質問第五一号 所得税の負担の公平性に関する質問主意書  所得が一億円を超えると実効税率が低下し、累進どころか逆進になっているという問題について、政府の問題認識と取組みを質すため、以下、質問する。 一 所得が一億円を超えると実効税率が低下すると言われているのはなぜか。 二 所得が多い方が実効税率は低いという逆転現象について、解消すべきと考えるが、政府の認識と取組み如何。  右質問する。
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衆議院議員櫻井周君提出所得税の負担の公平性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月二十八日受領 答弁第五一号   内閣衆質二〇八第五一号   令和四年四月二十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出所得税の負担の公平性に関する質問に対する答弁書 一について  国税庁が行った令和二年分の申告所得税標本調査によると、各合計所得階級における源泉徴収税額と申告納税額との合計額が合計所得金額に占める割合(以下「所得税負担率」という。)は、五千万円超一億円以下の合計所得階級における二十七・一パーセントが最大となっており、一億円超の各合計所得階級における所得税負担率は五千万円超一億円以下の合計所得階級における所得税負担率よりも低い水準となっている。  所得税負担率が低下する理由としては、一億円超の各合計所得階級において、分離課税が適用される「株式等の譲渡所得等」の金額が合計所得金額に占める割合が高いこと等が考えられる。 二について  お尋ねについては、令和三年十二月十日に与党が取りまとめた「令和四年度税制改正大綱」において、「高所得者層において、所得に占める金融所得等の割合が高いことにより、所得税負担率が低下する状況がみられるため、これを是正し、税負担の公平性を確保する観点から、金融所得に対する課税のあり方について検討する必要がある。その際、一般投資家が投資しやすい環境を損なわないよう十分に配慮しつつ、諸外国の制度や市場への影響も踏まえ、総合的な検討を行う。」とされており、金融所得課税の在り方については、今後、与党税制調査会等において議論が行われていくものと考えているが、政府としては、当該議論を踏まえて対応してまいりたい。
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輸出還付金詐欺により血税が詐取されている問題に関する質問主意書
令和四年四月二十日提出 質問第五二号 輸出還付金詐欺により血税が詐取されている問題に関する質問主意書  消費税率引き上げにより、いわゆる輸出還付金に係る詐欺的行為の旨味が倍増している。 一 貴重な血税を詐取から守るために税務調査を徹底すべきと考えるが、政府の取り組み如何。 二 税務調査を徹底的に実施するために、税務署の人員を増強することを提案するが、政府の見解如何。 三 輸出還付金に係る詐欺的行為の旨味が倍増したのは、消費税率引き上げによる。消費税という制度の限界であり、税率を引き下げることで犯罪へのインセンティブを減じさせることを提案するが、政府の見解如何。  右質問する。
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衆議院議員櫻井周君提出輸出還付金詐欺により血税が詐取されている問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月二十八日受領 答弁第五二号   内閣衆質二〇八第五二号   令和四年四月二十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出輸出還付金詐欺により血税が詐取されている問題に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「貴重な血税を詐取から守るために税務調査を徹底すべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、虚偽の申告により不正に還付金を得ようとする行為については、課税の公平性を損ない、納税者の信頼を揺るがす大きな問題であると認識しており、消費税の適正課税の確保を税務調査における重点課題の一つとして位置付け、厳正に対処することとしている。 二について  お尋ねについては、税務の複雑性・困難性が増大している状況を踏まえ、引き続き必要に応じた税務署を含む国税庁の定員の確保等により、税務執行体制の強化に努めてまいりたい。 三について  御指摘の「輸出還付金に係る詐欺的行為の旨味が倍増した」の意味するところが必ずしも明らかではないが、消費税については、急速な高齢化を背景に社会保障給付費が大きく増大する中で、国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置付けられており、消費税率を引き下げることは考えていない。
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日本人義勇兵に関する質問主意書
令和四年四月二十二日提出 質問第五三号 日本人義勇兵に関する質問主意書  駐日ウクライナ大使館が本年二月末、外国人義勇兵を募集している旨を公式ツイッターに投稿したところ、約七十名の日本人から応募があったとセルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使が述べている。また、そのうち約五十名が元自衛官だったと報道されている。日本人志願者がウクライナに入国したとの報道もある。  本職もウクライナ救援のため活動する者であるが、これほど多くの日本人が命懸けでウクライナの人々を助けようとしていることに感嘆した。特に、多数の元自衛官が応募した事実は、「私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。」と服務の宣誓を行った自衛隊員の精強さや勇気、正義感を示すものであり、大変心強く思った次第である。  しかしながら、別の考え方が存在することも無視できない。ウクライナ語が堪能でない日本人がもっとも貢献できる方法は、兵士として従軍することでなく、人道支援活動や報道、国際世論への働きかけ等であるとする見解もある。また、日本人義勇兵を含め、外国人義勇兵がロシア軍に捕らえられた場合、人質のような存在となり、義勇兵自身が危険に直面するばかりか、その出身国の政府が直接紛争に巻き込まれ、当該政府が厳しい立場に立たされる危険もあり、結果的にウクライナの利益を損なうことにもなりかねないとの見解もある。  実際、四月十八日、ロシア国営テレビは、ウクライナ側の兵士として同国で戦闘に参加し、ロシア側の捕虜となった英国人とされる二名が、ウクライナ政府に対し拘束している親ロシア派政治家と自分達の交換を働きかけるよう、ジョンソン英首相に嘆願する映像を公開した。  そこで、以下、政府の見解を問う。 一 日本国憲法は、その前文で、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と規定し、また、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ」と規定する。国民として、自ら危険を引き受け、その危険につき政府による庇護を放棄して義勇兵として当該前文の趣旨を実践する国民に対し、国民の国外犯規定がある刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十九条の殺人罪及びその未遂罪について、令和四年三月二十四日の国際連合による人道決議がなされて以降は、外国政府の指揮命令の下で行った行為は正当行為として違法性は阻却されるか。政府の見解如何。 二 ジュネーブ条約他、国際法の下では、戦争の当事国の正規軍の兵士が負傷したり、捕虜となるなどして戦闘外に置かれたときには、復讐や拷問等、屈辱的な扱いを受けることがないよう保護されるものとされている。一方、外国人義勇兵や傭兵については、戦闘捕虜となった場合、正規の戦闘員と同等の保護を受ける権利も認められず、その扱いは各国政府の判断に任されている。  人の移動が国境を越えて自由になされている現代社会において、正規軍以外の戦闘に関与する者すべてを対象に正規軍同様の国際法上の合法的な地位を与えるよう、国際社会に新たな条約の締結を行うなど国際間での合意を図るべきとの見解があるが、政府の見解如何。  右質問する。
b208053
衆議院議員松原仁君提出日本人義勇兵に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月十日受領 答弁第五三号   内閣衆質二〇八第五三号   令和四年五月十日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員松原仁君提出日本人義勇兵に関する質問に対する答弁書 一について  犯罪の成否については、捜査機関が収集した証拠に基づいて個々に判断されるべき事柄であるため、一概にお答えすることは困難である。 二について  お尋ねについては、御指摘の「正規軍以外の戦闘に関与する者すべて」の具体的に指し示す範囲が明らかではなく、また、「正規軍同様の国際法上の合法的な地位」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
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改正労働契約法と有期雇用契約に関する質問主意書
令和四年四月二十二日提出 質問第五四号 改正労働契約法と有期雇用契約に関する質問主意書  我が国において多くの有期雇用労働者が大量に雇い止めされている問題について、お尋ねする。 一 我が国の労働者の約四割を占める有期雇用契約による非正規労働者の雇用安定化を目的として、「労働契約法の一部を改正する法律」が平成二十四年八月十日に公布された。有期労働契約が反復更新されて通算五年を超えたときは、労働者の申込みにより、無期契約に転換できるルールが平成二十五年四月一日に施行された。しかし、無期転換できた労働者はわずかであり、無期転換権の発生直前の雇止めが常態化している。  1 改正労働契約法の趣旨どおり、無期転換権を得て無期雇用に移行した労働者の人数について、政府が把握するところをお示しいただきたい。  2 多くの独立行政法人、企業等では、無期転換権の発生を阻止するために、更新五年上限の就業規則を設けているが、違法ではないか。政府の見解を求める。  3 改正労働契約法の趣旨が無視され、無期転換が行われていないとすれば、この労働契約法が空洞化していると言わざるを得ない。この状態を放置するならば、その理由をお示しいただきたい。 二 厚生労働省は、参議院・厚生労働委員会(平成二十八年)、衆議院・厚生労働委員会(平成二十九年)において、「無期転換ルールを免れる目的で雇い止めをしているような事案を把握した場合には、都道府県労働局におきましてしっかりと啓発指導する」「無期転換申込権を行使しないことを更新の条件とする等、労働者にあらかじめ無期転換申込権を放棄させることを認めることは、法の趣旨を没却することなので、こうした労働者の意思表示については、公序良俗に反し、無効と解される」旨答弁している。  1 厚生労働省の啓発指導に対してどのような対応があったのか、お答え願いたい。  2 啓発指導に即した対応がなかった場合、政府は今後どのように指導するのか。 三 平成二十五年十二月公布の「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律」(平成二十六年四月一日施行)により、大学等及び研究開発法人の研究者、教員等については、無期転換権発生までの期間を五年から十年とする特例が設けられた。  1 この特例に併せて二〇二二年度末の無期転換もしくは雇止めの状況について、政府が把握するところをお示しいただきたい。  2 加えて、どのような業務形態・業務内容の方が雇止めの対象となっているか、政府の把握するところをお示しいただきたい。  3 東北大学では約二百四十名が、理化学研究所では約六百名が、二〇二三年三月末に雇い止めされる可能性がある。無期転換権の発生直前の雇止めであり、労働契約法に反していないか。  4 二〇二三年三月末には、日本全国で数千名の教員・研究員が職を追われると推測される。雇い止めされるのは主に若手研究者である。日本の研究力の低下に拍車をかけ、科学技術力を損なう重大な事態である。これを放置することは、政府としての責任を問われることになるが、いかがか。  5 五年雇止めも、この十年雇止めも、労働契約法の潜脱であり、有期労働契約の労働者の雇用が法改正により不安定になっている。改善に向けた政府としての対応方針をお示しいただきたい。  右質問する。
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衆議院議員神谷裕君提出改正労働契約法と有期雇用契約に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月十日受領 答弁第五四号   内閣衆質二〇八第五四号   令和四年五月十日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員神谷裕君提出改正労働契約法と有期雇用契約に関する質問に対する答弁書 一の1について  お尋ねの「改正労働契約法の趣旨どおり、無期転換権を得て無期雇用に移行した」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省の「令和二年有期労働契約に関する実態調査(事業所調査)」等を基に推計すると、平成三十年度及び令和元年度の常用労働者五人以上の事業所における同調査にいう「労働契約法における無期転換ルールにより無期転換を申込む権利を行使して無期転換した人」の人数は、約百十八万人である。 一の2について  お尋ねの「無期転換権の発生を阻止する」及び「更新五年上限」の意味するところが必ずしも明らかではないが、就業規則に関し、有期労働契約の更新に関する事項について定めた法令はないことから、有期労働契約について、就業規則により有期労働契約の契約期間を通算した期間の上限等を設定することが直ちに法令に違反するものではないと考えている。なお、就業規則により当該期間の上限等を設定している場合において行われた御指摘の「雇い止め」が労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)に違反しているか否かについては、個別の事案に応じて、司法において判断されるものである。 一の3及び三の5について  御指摘の「改正労働契約法の趣旨が無視され」、「労働契約法が空洞化している」、「この状態を放置する」、「労働契約法の潜脱」及び「改善」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、政府としては、引き続き、労働契約法第十八条の規定に基づくいわゆる無期転換ルールの周知等に取り組んでまいりたい。 二について  都道府県労働局による御指摘の「啓発指導」の個別の事案に関わることについて、具体的にお答えすることは差し控えたいが、今後とも、都道府県労働局において適切に対応してまいりたい。 三の1及び2について  お尋ねの「二〇二二年度末の無期転換もしくは雇止めの状況」については現時点で明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、文部科学省が把握している限りにおいて、同省が所管する研究開発法人における雇用期間の定めがある労働者のうち、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(平成二十年法律第六十三号。以下「活性化法」という。)第十五条の二の規定による労働契約法第十八条第一項の規定の特例の対象者であって、令和四年度末において同項に規定する通算契約期間が十年となる者は、令和四年一月一日時点で、国立研究開発法人物質・材料研究機構において八名、国立研究開発法人防災科学技術研究所において九名、国立研究開発法人科学技術振興機構において三名、国立研究開発法人理化学研究所において六百三十六名及び国立研究開発法人海洋研究開発機構において一名であると承知している。また、これらの者の「業務形態」及び「業務内容」については、政府として網羅的に把握していない。 三の3について  労働契約法は労働契約に関する民事的ルールを明らかにするものであることから、具体的な事例が同法に違反しているか否かについては、司法において判断されるものであり、政府がお答えする立場にない。 三の4について  御指摘の「日本全国で数千名の教員・研究員が職を追われる」及び「これを放置する」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、政府としては、引き続き、活性化法第十五条の二及び大学の教員等の任期に関する法律(平成九年法律第八十二号)第七条に規定する労働契約法の特例の周知等に取り組んでまいりたい。
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日本国内居住者の海外でのビジネスによる所得に対する課税に関する質問主意書
令和四年四月二十八日提出 質問第五五号 日本国内居住者の海外でのビジネスによる所得に対する課税に関する質問主意書  電気通信技術の発達により、リモートワークが普及して国境を跨いでのビジネスが広まっている。さらに、海外に赴任していた日本人が新型コロナウイルス感染症対策として日本に帰国しながら海外赴任先の業務を継続しているケースも増えている。  さて、海外で行うビジネスであっても日本国内に居住していれば日本で所得税等を納税する義務がある。しかし、このような場合に日本での納税義務があることについて周知されているかは定かでない。また、給与の支払いが海外の事業者から海外に設けた口座に振り込まれていた場合には、税務当局は脱税について把握することは容易ではない。  そこで、以下質問する。 一 海外で行うビジネスであっても日本国内に居住していれば、それに伴う所得に対して日本で所得税等を納税する義務があることについて、該当者の間で周知されているのか。 二 税務当局は、日本国内居住者の海外でのビジネスによる所得を的確に把握できているのか。 三 日本国内に拠点のある企業に対して、海外で行うビジネスであっても日本国内に居住する者に所得が発生すれば、日本で所得税等を納税する義務があることについて周知することを提案するが、政府の見解如何。  右質問する。
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衆議院議員櫻井周君提出日本国内居住者の海外でのビジネスによる所得に対する課税に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月十三日受領 答弁第五五号   内閣衆質二〇八第五五号   令和四年五月十三日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出日本国内居住者の海外でのビジネスによる所得に対する課税に関する質問に対する答弁書 一及び三について  御指摘の「該当者の間」や「日本国内に拠点のある企業」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、国税庁としては、同庁ホームページの「タックスアンサー(よくある税の質問)No.二〇一〇 納税義務者となる個人」において、非永住者以外の居住者は、所得が生じた場所が日本国の内外を問わず、その全ての所得に対して課税される旨を、また、同ホームページの「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」において、居住者が外国法人の業務に従事し、当該外国法人から給与を受け取っている場合には、当該給与に係る給与所得を計算し、確定申告書の提出及び納税が必要となる旨を周知しており、引き続き、必要な周知に努めてまいりたい。 二について  国税庁としては、非居住者に係る金融口座情報を各国税務当局間で自動的に交換するための共通報告基準に基づき提供された金融口座情報を含め、租税条約等に基づく情報交換により得られる情報を活用するなどして、国外において生じた所得の把握も行った上で、適正かつ公平な課税の確保に努めている。
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「全体主義」に関する質問主意書
令和四年四月二十八日提出 質問第五六号 「全体主義」に関する質問主意書  ウクライナ政府のツイッターで配信された「現代ロシアのイデオロギー」と題した動画に昭和天皇、ヒトラー、ムソリーニが並べて掲載され、「ファシズムとナチズムは一九四五年に敗北した」などと記されていた問題に関し、四月二十五日、磯崎仁彦内閣官房副長官は、記者会見で「同列に扱うことは全く不適切で極めて遺憾だ。直ちに削除するよう申し入れた」と述べた。その際、産経新聞記者からの「今回の件でですね、先の大戦を巡りまして、日本がナチズムですとか全体主義国家だったという誤った認識が国際社会にいまだ根深いことが証明されたとも言えると思うんですが、ウクライナ侵略を厳しく指弾しまして、そのうえで人道支援ですとか、避難民の受け入れを行う中で極めて残念な出来事だというふうに思うのですけれども、事態を受けて、日本として改めて発信するお考えがあるか」との質問に対し、副長官は「本件につきましては、今申し上げましたとおり、ウクライナの方も、動画を削除し、該当部分を削除し、また謝罪のツイートもあったということでございまして、その点の認識はウクライナ政府としても持っているというふうに考えておりますので、今のこういうウクライナの情勢のもとで、やはり人道支援、またウクライナ支援というのは非常にG7全体でやっていくことの重要性は認識しておりますので、その点についてこれからもしっかりやっていくということをしっかり発信してまいりたいと考えています」と回答した。この回答における「その認識はウクライナ政府も持っている」との「その認識」が、産経新聞記者が述べた「日本が全体主義国家だったとの認識が誤りである」との認識を指すとすれば、歴史の事実や過去の政府答弁とも矛盾する発言だと考える。よって、以下の点について質問する。 一 磯崎副長官の述べたウクライナ政府が持っていると思う認識とは、「先の大戦を巡り日本が全体主義ではなかったという認識」という理解でよいのか。そうでないとすれば、どのような認識をウクライナ政府が持っていると考えているのか。 二 一九五一年二月十四日衆議院外務委員会での、天野貞祐文部大臣の「無謀な全体主義が、日本の社会において、いかに横暴をきわめていたかということは、当時思想界に住んでおった者の痛感いたしたことでございます。」との答弁は、岸田内閣でも維持するのか。 三 一九五一年十一月六日参議院平和条約及び日米安全保障条約特別委員会での、天野貞祐文部大臣の「戦前或いは戦時中はいわゆる全体主義というものが支配して」との答弁は、岸田内閣でも維持するのか。 四 一九六九年三月五日参議院予算委員会での、佐藤榮作内閣総理大臣の「日本の過去においてわれわれが選んだ道、いま言われるドイツのヒトラーが、あるいはナチス、いわゆる全体主義的な行き方に日本が同調しておった。しかし、その行き方はやはり間違っていた、真の行き方はやはり民主主義に徹することなんだ。その方向でわれわれの道を選び、われわれは不幸にしてアメリカと戦ったが、やはり民主主義の方向が間違いのない方向だ。かように敗戦後目ざめたと、かように思います。」との答弁は、岸田内閣でも維持するのか。 五 一九八六年五月十四日衆議院文教委員会での、海部俊樹文部大臣の「戦前の教育というのは、一言で表現しますと、富国強兵という言葉がありましたように、全体主義的なそういった思想が非常に背景にあった」「全体主義の中で人間一人一人の大切さとかとうとさというものを大切にしようという配慮が戦前の一時期の教育に欠けておったということ、それは御指摘のとおりであり、その反省に立って戦後は一人一人の資質や個性や能力を大切にしていきたい。」との答弁は、岸田内閣でも維持するのか。 六 一九八八年十月二十五日衆議院税制問題等に関する調査特別委員会での、宮澤喜一大蔵大臣の「私は、やはり我が国が英米と違いましてかつて全体主義的な権力的政治のもとに置かれた経験があって、国民がそういう経験をしまして」との答弁は、岸田内閣でも維持するのか。 七 一九九八年三月十一日衆議院文教委員会での町村信孝文部大臣の「戦前は個人の権利というものが非常にある意味ではミニマイズされていた、社会全体の責任とかそういうことが非常に強調されてきた、全体主義的な国家であったという見方もあるわけであります。」との答弁の、「見方もある」ことを認めた認識は、岸田内閣でも維持するのか。 八 二〇一四年二月六日参議院予算委員会での、安倍晋三内閣総理大臣の「基本的には歴史認識については政治家は謙虚でなければならないと思いますし、歴史認識について、そのものについては歴史家に任せるべきであろうと、このように思っておりますが、当時の政治状況等について今触れられたんだろうと、このように思うわけでございますが、歴史の事実の認識でございますから様々な御議論があると思いますが、言わば政党間の争いがある意味しょうけつを極めるところもあり、その中において政治に対する信頼も低下をしていたということもあったという指摘もあるわけでございますが、その中においてだんだん全体主義的な雰囲気が醸成されてきたという指摘もあるわけでありますが。いずれにいたしましても、こうした認識については歴史家に任せたいと、このように思うところでございます。」との答弁の、「指摘もある」ことを認めた認識は、当然岸田内閣でも維持するのか。 九 改めて伺うが、岸田内閣は、先の大戦前の日本の政治体制を全体主義と考えるのか。考えないとすれば、前掲した過去の政府答弁から変遷した理由は何か。  右質問する。
b208056
衆議院議員米山隆一君提出「全体主義」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月十三日受領 答弁第五六号   内閣衆質二〇八第五六号   令和四年五月十三日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員米山隆一君提出「全体主義」に関する質問に対する答弁書 一について  ウクライナ政府は、御指摘の「動画」の投稿は誤りであり、友好的な日本の人々を傷つける意図はなかった旨表明しており、そのような認識に基づいて「動画」が削除されたものと承知している。 二から八までについて  御指摘の答弁の引用部分は、個人の認識を含むものであり得ると考えられることから、「岸田内閣でも維持するのか」とのお尋ねにお答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、政府の歴史認識については、平成二十七年八月十四日に閣議決定された内閣総理大臣談話において示されているとおりである。 九について  御指摘の「全体主義」について確立した定義があるとは承知しておらず、お尋ねについて政府としてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、政府の歴史認識については、平成二十七年八月十四日に閣議決定された内閣総理大臣談話において示されているとおりである。
a208057
知床沖観光船事故に関する質問主意書
令和四年四月二十八日提出 質問第五七号 知床沖観光船事故に関する質問主意書  知床沖において観光船の痛ましい大事故が発生した。当該観光船を運航していた会社「有限会社知床遊覧船」(以下、当該会社)の安全管理規程についてお尋ねする。  安全管理規程については、海上運送法によって届け出義務が課せられている。そのような理解でよろしいか。  当該会社が届け出た安全管理規程には、発航の可否判断について、数字(風速、波高、視程)は記入されているか。具体的にはどのような数字とどのような記述か、お教え願いたい。  当該会社の安全管理規程の中に、風速八メートル/秒以上、波高一メートル以上などの条件に達するおそれがあるときは、発航を中止しなければならない、などという記述はあったのか。  また、視程三百メートル以下、という記述もあったのか。あったとすればどのような文脈での記述か。  事故当日、波浪注意報、強風注意報が発令されていたが、当該会社は「条件付き運航」(当該会社社長発言)、という形で、発航したとしているが、この「条件付き運航」というのはどのような考え方なのか。一般的に認められるのか。  当該会社の今回の運航については、当該会社の安全管理規程に違反しているとお考えか。お示し願いたい。  また、当該会社の安全統括管理者と運航管理者はそれぞれどなたか。双方とも社長が兼務しているのではないか。政府が把握しているところをお示し願いたい。  右質問する。
b208057
衆議院議員長妻昭君提出知床沖観光船事故に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月十三日受領 答弁第五七号   内閣衆質二〇八第五七号   令和四年五月十三日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出知床沖観光船事故に関する質問に対する答弁書  海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号。以下「法」という。)第二十三条において準用する法第十条の三第一項に定めるとおり、法第二十一条の二に規定する旅客不定期航路事業者は、安全管理規程を定め、国土交通大臣に届け出なければならないとされている。なお、有限会社知床遊覧船(以下「当該会社」という。)は、同条に規定する旅客不定期航路事業者である。  当該会社の安全管理規程に基づき定められた運航基準(以下「運航基準」という。)第二条第一項において、「船長は、発航前に運航の可否判断を行い、ウトロ漁港内の気象・海象が次に掲げる条件の一に達していると認めるときは、発航を中止しなければならない。」とされ、同項の表において、「風速」については「八メートル毎秒以上」と、「波高」については「〇・五メートル以上」と、「視程」については「三百メートル以下」とされており、また、同条第二項において、「船長は、発航前において、航行中に遭遇する気象・海象(視程を除く。)に関する情報を確認し、次に掲げる条件の一に達するおそれがあると認めるときは、発航を中止しなければならない。」とされ、同項の表において、「風速」については「八メートル毎秒以上」と、「波高」については「一・〇メートル以上」とされているものと承知している。さらに、運航基準第三条第四項において、「船長は、航行中、周囲の視程に関する情報を確認し、次の掲げる条件に達したと認めるときは、基準航行を中止し、当直体制の強化及びレーダの有効利用を図るとともにその時の状況に適した安全な速力とし、状況に応じて停止、航路外錨泊又は基準航路変更の措置をとらなければならない。」とされ、同項の表において、「視程」について「三百メートル以下」とされているものと承知している。なお、運航基準第四条において、「船長は、ウトロ漁港内の気象・海象に関する情報を確認し、次に掲げる条件の一に達していると認めるときは、入港を中止し、適宜の海域での錨泊、抜港、臨時寄港その他の適切な措置をとらなければならない。」とされ、同条の表において、「視程」については「三百メートル以下」とされているものと承知している。  「事故当日、波浪注意報、強風注意報が発令されていたが、当該会社は「条件付き運航」(当該会社社長発言)、という形で、発航したとしているが、この「条件付き運航」というのはどのような考え方なのか。一般的に認められるのか」とのお尋ねについては、御指摘の「「条件付き運航」(当該会社社長発言)」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、運航基準第二条第二項の規定については、先に述べたとおりである。  「当該会社の今回の運航については、当該会社の安全管理規程に違反しているとお考えか」とのお尋ねについては、現在、当該会社に対し、法第二十五条第一項の規定に基づく立入検査を実施しているところであり、現時点でお答えすることは困難である。  「当該会社の安全統括管理者と運航管理者はそれぞれどなたか。双方とも社長が兼務しているのではないか」とのお尋ねについては、法第二十三条において準用する法第十条の三第五項の規定に基づき当該会社が行った届出によれば、当該会社の代表取締役が安全統括管理者に選任され、かつ、運航管理者に選任されているものと承知している。
a208058
「円安はプラス」との見解に関する質問主意書
令和四年五月六日提出 質問第五八号 「円安はプラス」との見解に関する質問主意書  二〇二二年四月二十八日の会見で黒田日本銀行総裁は「円安がプラスという従来の評価を変えた訳ではない」旨の発言をしている。同時に「短期間での過度な変動は、先行きに不確実性を高めて、企業の事業計画の策定を難しくする面もある」旨述べている。  そこで政府にお尋ねする。  「円安がプラス」というのは、「短期間での過度な変動」でない限りという留保条件付きの見解なのか。政府の認識を問う。  政府は、現在の円安の流れは「短期間での過度な変動」と捉えているのか。仮にそう捉えていたとしても、「円安がプラス」という見解は変えないのか。  円安の流れは日銀の政策によって生み出されたものとの認識か。これからも「短期間での過度な変動」でない限り、円安の流れは容認するという姿勢なのか。  円安のプラス面とマイナス面をそれぞれ数字でお示し願いたい。また、それぞれGDPにどの程度影響するのかも併せて数字でお示し願いたい。  「円安がプラス」との見解について、誰にとってどのようにプラスなのか、わかりやすくお示し願いたい。  円安によって主に輸入物価が上がり、国民の生活を直撃している。これは円安のマイナス面として捉えているのか。この輸入物価上昇は消費にどの程度マイナスに作用するのか。また、GDPに対してはどの程度マイナスの影響を及ぼすのか。数字でお示し願いたい。  日本銀行は、「今年三月の輸入物価の上昇(前年比プラス三十三・四%)のうち、契約通貨分はプラス二十五・二%、為替分はプラス八・二%」と、「輸入物価の上昇に対する円安要因の寄与度は四分の一しかない」と説明している。仮に契約通貨分が変動しない場合、輸入物価の上昇に対する円安要因の寄与度が五十%を超えるのは、どのような円安水準となった場合か、数字をお示し願いたい。  政府は輸入物価が上がると格差の指標である相対的貧困率が悪化する傾向にあると理解しているか。そうであれば対策は考えているか。政府の見解をお示し願いたい。  右質問する。
b208058
衆議院議員長妻昭君提出「円安はプラス」との見解に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月十七日受領 答弁第五八号   内閣衆質二〇八第五八号   令和四年五月十七日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出「円安はプラス」との見解に関する質問に対する答弁書  「「円安がプラス」というのは、「短期間での過度な変動」でない限りという留保条件付きの見解なのか。」、「政府は、現在の円安の流れは「短期間での過度な変動」と捉えているのか。仮にそう捉えていたとしても、「円安がプラス」という見解は変えないのか。」、「これからも「短期間での過度な変動」でない限り、円安の流れは容認するという姿勢なのか。」及び「「円安がプラス」との見解について、誰にとってどのようにプラスなのか、わかりやすくお示し願いたい。」とのお尋ねについては、黒田日本銀行総裁の個別の発言の内容に関わるもの又はそれを前提としたものであり、政府としては、お答えすることは差し控えたい。  「円安の流れは日銀の政策によって生み出されたものとの認識か。」とのお尋ねについては、為替レートは、様々な要因を背景に市場において決まるものであり、一概にお答えすることは困難である。  「円安のプラス面とマイナス面をそれぞれ数字でお示し願いたい。また、それぞれGDPにどの程度影響するのかも併せて数字でお示し願いたい。」とのお尋ねについては、「円安のプラス面とマイナス面」の具体的に意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。  「円安によって主に輸入物価が上がり、国民の生活を直撃している。これは円安のマイナス面として捉えているのか。この輸入物価上昇は消費にどの程度マイナスに作用するのか。また、GDPに対してはどの程度マイナスの影響を及ぼすのか。数字でお示し願いたい。」とのお尋ねについては、「円安のマイナス面」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」(令和四年四月二十六日原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議決定)において、「我が国では、多くの原材料や穀物等を輸入で賄っているため、輸入物価や企業物価が国際商品市況の変動の影響を強く受けるが、このような価格高騰が、マインドの悪化や実質購買力低下を通じて、民間消費や企業活動を下押しするなど、実体経済への影響が顕在化する可能性が生じている」としつつ、「最近の円安の進行による輸入物価の上昇が家計や輸入企業等に与える影響にも注意が必要である」としている。また、この輸入物価の上昇による消費やGDPに対する影響については、家計や企業の反応等の不確実な要素が多いことから、一概にお答えすることは困難である。  「仮に契約通貨分が変動しない場合、輸入物価の上昇に対する円安要因の寄与度が五十%を超えるのは、どのような円安水準となった場合か、数字をお示し願いたい。」とのお尋ねについては、その趣旨が明らかではないことから、お答えすることは困難である。  「政府は輸入物価が上がると格差の指標である相対的貧困率が悪化する傾向にあると理解しているか。そうであれば対策は考えているか。」とのお尋ねについては、相対的貧困率の計算において用いる可処分所得が、物価動向を含め、経済状況等の様々な要因の影響を受けることから、一概にお答えすることは困難である。
a208059
欧米で禁止の農薬に関する質問主意書
令和四年五月六日提出 質問第五九号 欧米で禁止の農薬に関する質問主意書  欧米で使用が禁止されている農薬について日本での対応についてお尋ねする。  二〇二二年四月二十日の衆議院厚生労働委員会において、欧米で使用が禁止されている農薬について、その理由に関する質問をした。  ネオニコチノイド系の殺虫剤チアクロプリドについては、二〇二〇年一月にEUで使用禁止となったが、その理由について政府は「当該成分を人への生殖毒性があると推定されるものとした欧州化学品庁の分類結果等に基づいて、欧州食品安全機関が人の健康に及ぼす影響への懸念等も示した評価結果を提出したことを考慮し、欧州委員会が決定した」と答弁した。  ここでいう生殖毒性とは具体的にどのようなことか、政府が把握するところをわかりやすく説明願いたい。  また、有機リン酸系の殺虫剤クロルピリホスは二〇二二年二月に米国で食用作物への使用が禁止となったが、その理由について政府は「食品、飲料水等からの暴露量が神経毒性及び発達神経毒性の懸念されるレベルを超えることを踏まえ」と答弁した。  ここでいう「神経毒性」「発達神経毒性」とは具体的になにか、政府が把握するところをそれぞれ分かりやすくお示し願いたい。また、「発達神経毒性」とは、いわゆる発達障害に関係するものか。  この有機リン酸系の殺虫剤クロルピリホスは、二〇二〇年一月にEUでも使用が禁止された。その理由について政府は「遺伝毒性に懸念があること、発達神経毒性に影響が認められ、生殖毒性が懸念されること」と答弁した。  ここでいう「遺伝毒性」「発達神経毒性」「生殖毒性」とは具体的になにか、政府が把握するところをそれぞれ分かりやすくお示し願いたい。  また、除草剤であるパラコートについてEUで使用が禁止されているが、その時期と理由について、政府が把握するところをお示し願いたい。  日本では、チアクロプリドについては、二〇一八年十月に、クロルピリホスについては、二〇一八年七月にそれぞれ食品安全委員会において食品健康影響評価がなされたが使用禁止にはなっていない。この評価は、欧米で禁止される以前のもので、日本では欧米で禁止されて以降は評価・検査がなされてない。  欧米での禁止を受けて、日本でも緊急に健康影響への評価・検査をすべきと考えるがいかがか。再評価の仕組みを使って評価・検査をするとしているが、未だ評価・検査すら始まっていない。何年後までに評価・検査を終えるのか、およその年数をお示し願いたい。  再評価の仕組みでは、健康影響を調査するために、政府や大学等の研究機関で、改めて実験・検査などはしないと聞くが、それは事実か。政府や大学等の研究機関で、実験・検査などをして検証する必要があると考えるが、いかがか。  また、再評価の仕組みでは、農薬メーカーの提出した検査資料等を読み込むことが中心となり、欧米に比べチェックが甘いという指摘がある。現行の再評価の仕組みではなく、政府や大学等の研究機関で、改めて実験・検査ができる新たな仕組みをはじめるべきと考えるがいかがか。また、広く海外の論文なども参考にすべきと考えるがいかがか。  これまで日本で、健康上の理由で使用が禁止された農薬はどのようなものがあるか、理由と品目をお示し願いたい。  食品安全委員会は独立した機関だが、その独立性に疑問がある。食品安全委員会のすべての歴代事務局長の出身省庁と事務局長を辞めた後に出身省庁に戻ったか否かをお示し願いたい。事務局長経験者が農薬や食品関係企業に再就職した事例はあるのかお示し願いたい。事務局長は就任したら出身省庁に戻れないノーリターンルールにすべきと考えるがいかがか。農林水産省出身者が事務局長に座っていると農薬へのチェックが甘くなるという指摘もある。政府はどう考えるか。  特にEUでは予防原則という有害性が確実に認定される前に規制するという考え方がある。日本ではこの考え方は採用しないのか。  欧米では健康上の理由で禁止されている農薬が日本では野放しにされている。この現状について内閣の見解を問う。  右質問する。
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衆議院議員長妻昭君提出欧米で禁止の農薬に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月十七日受領 答弁第五九号   内閣衆質二〇八第五九号   令和四年五月十七日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出欧米で禁止の農薬に関する質問に対する答弁書  お尋ねの「殺虫剤チアクロプリド」及び「殺虫剤クロルピリホス」に係る「生殖毒性」については、食品安全委員会のウェブサイトに掲載している「食品の安全性に関する用語集」(以下「用語集」という。)にあるとおり「化学物質などが生殖・発生の過程に有害な反応を引き起こすこと」と解している。  お尋ねの「殺虫剤クロルピリホス」に係る「神経毒性」については、用語集にあるとおり「化学物質へのばく露や物理的要因により、中枢神経系や末梢神経系の機能及び組織に生ずる有害影響」と解している。  お尋ねの「殺虫剤クロルピリホス」に係る「発達神経毒性」については、用語集にあるとおり「化学物質や放射線等の因子が出生前から若齢期にかけて神経系の構造又は機能に及ぼす影響」と解している。お尋ねの「いわゆる発達障害に関係するもの」の意味するところが必ずしも明らかではないが、米国環境保護庁は、「殺虫剤クロルピリホス」について「発達神経毒性」の評価を示した公表資料において、注意欠陥多動性障害、広汎性発達障害等の発生頻度と臍帯血中に含まれる「殺虫剤クロルピリホス」の濃度との間に因果関係があるとは結論付けられていない旨を記載していると承知している。  お尋ねの「殺虫剤クロルピリホス」に係る「遺伝毒性」については、用語集にあるとおり「物質が直接的又は間接的にDNAに変化を与える性質」と解している。  お尋ねの「除草剤であるパラコート」については、平成十六年に欧州連合において使用可能な農薬の有効成分としての登録がなされたが、平成十九年に欧州連合の裁判所において登録に必要な要件を満たしていないこと等の理由により、当該登録が無効であるとの判決が出されたため「EUで使用が禁止されている」と承知している。  お尋ねの「健康影響への評価・検査」の意味するところが必ずしも明らかではないが、チアクロプリド又はクロルピリホスの食品を通じた人の健康に及ぼす影響については、食品安全委員会において、食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)第十一条第一項に規定する食品健康影響評価(以下「食品健康影響評価」という。)を行い、直近では、それぞれ平成三十年十月二十三日及び同年七月二十四日に、その結果を取りまとめたところであり、当該結果等を踏まえ農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)に基づきこれらの物質を有効成分とする農薬が登録されている。その後においても、当該農薬を適正に使用した場合における健康被害の報告等がないため、現時点において、食品健康影響評価を行う必要があるとは考えていない。  「何年後までに評価・検査を終えるのか」とのお尋ねについては、農薬取締法第八条第一項の規定による再評価(以下単に「再評価」という。)に係る制度が農薬取締法の一部を改正する法律(平成三十年法律第五十三号)の施行により我が国で新たに導入されたものであり、全ての登録された農薬について有効成分ごとに評価を行うこととされているところ、現時点においては再評価を行った実績がないこと、再評価を受けるべき者から提出される試験成績、少なくとも過去十五年分の公表文献等を基に専門家の意見も踏まえながら農薬の安全性その他の品質に関する審査を行う必要があること等から、予断を持ってお答えすることは困難である。  お尋ねの「実験・検査など」の意味するところが必ずしも明らかではないが、農薬取締法第三条第一項の農薬の登録に係る審査と同様に、再評価においても同法第八条の規定において再評価を受けるべき者から提出される試験成績等を基に審査を行うこととされており、同条の規定において「政府や大学等の研究機関で」試験を行うこととはされていない。  再評価を受けるべき者から提出される試験成績に係る試験のうち人に対する影響に関する試験(解毒方法又は救命処置方法の検索に関する試験等を除く。)については、経済協力開発機構が作成した試験方法に関するガイドライン及び試験を行う施設が満たすべき要件に関する基準に従って行われることとされており、当該人に対する影響に関する試験及びその試験成績の信頼性は確保されているものと考えている。また、欧州連合及び米国における再評価に相当する制度についても、農薬の製造者等から提出される試験成績等を基に審査を行うこととされており、このほかに「政府や大学等の研究機関で、改めて」試験を行うこととはされていないものと承知している。こうしたことから、再評価において、また、「現行の再評価の仕組みではなく」、「政府や大学等の研究機関で、改めて」試験を行うことが必要とは考えていない。  再評価においては、御指摘の「海外の論文」も含め、「公表文献の収集、選択等のためのガイドライン」(令和三年九月二十二日農業資材審議会農薬分科会決定)及び「残留農薬の食品健康影響評価における公表文献の取扱いについて」(令和三年三月十八日食品安全委員会農薬第一専門調査会決定)に基づき、収集及び選択をされた人に対する影響に関する公表文献を含む最新の科学的知見に基づき審査を行うこととしているところである。  お尋ねの「日本で、健康上の理由で使用が禁止された農薬」については、例えば、PCP(ペンタクロロフェノール)、CNP(二・四・六-トリクロロフェニル-四′-ニトロフェニルエーテル)及びPCNB(ペンタクロロニトロベンゼン)を有効成分とする農薬は、ダイオキシン類を含有することを理由として、農薬取締法第十八条第二項及び第二十四条の規定によりその販売及び使用が禁止されているところである。  食品安全委員会事務局長(以下単に「事務局長」という。)について、お尋ねの「歴代事務局長の出身省庁」は全て農林水産省であり、これまでに事務局長の職を退任した者(以下「事務局長経験者」という。)六人のうち五人が当該職の退任後同省へ出向した。事務局長経験者の国家公務員の退職後における再就職の状況については、公務を離れた個人の情報であり、一般に政府が把握すべき立場にないことから、お尋ねの全てにお答えすることは困難であるが、「公務員制度改革大綱」(平成十三年十二月二十五日閣議決定)、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百六条の二十五の規定等に基づき既に公表されている範囲において調べた限りでは、事務局長経験者が食品関連企業に再就職した事例がある。食品安全委員会は、食品安全基本法第十一条第三項、第二十三条第一項第二号及び第二十四条の規定に基づき、その時点において到達されている水準の科学的知見に基づいて客観的かつ中立公正に食品健康影響評価を行わなければならず、また、事務局長は、同法第三十七条第三項の規定に基づき、委員長の命を受けて、局務を掌理し、適正な事務の遂行に努めていることから、「農薬へのチェックが甘くなる」との御指摘は当たらないと考えており、お尋ねの「事務局長は就任したら出身省庁に戻れない」こととする措置が必要であるとは考えていない。  御指摘の「EUでは予防原則という有害性が確実に認定される前に規制するという考え方がある」及び「欧米では健康上の理由で禁止されている農薬が日本では野放しにされている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国においては、農薬の安全性その他の品質及びその安全かつ適正な使用並びに食品の安全性を確保するため、食品安全基本法、農薬取締法及び食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)に基づき、関係府省が連携し、科学的知見に基づく評価等を行い、その結果を踏まえ、農薬取締法に基づき、安全性その他の品質に問題がないと確認された農薬を使用可能なものとして登録し、販売及び使用の規制等を行っているところである。
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知床沖で事故を起こした観光船への検査等に関する質問主意書
令和四年五月六日提出 質問第六〇号 知床沖で事故を起こした観光船への検査等に関する質問主意書  知床沖において観光船の痛ましい事故が発生した。当該観光船を運航していた有限会社「知床遊覧船」(以下、当該会社)の事故を起こした小型船(以下、当該船舶)に対する検査について、政府が把握するところをお尋ねする。  事故前の四月二十日に当該船舶を、船舶安全法に基づき、認可法人である日本小型船舶検査機構が検査をした事実はあるか。  検査の詳細な内容と検査時間をお教え願いたい。  その際に、無線設備について携帯電話に変更したい、旨の申し出があったことは事実か。また、日本小型船舶検査機構の検査官は、その携帯電話が全航路をカバーしてない(通じない)、エリア外であることを認識しながら、変更を認めた事実はあるのか。そうだとすれば、なぜ、認めてしまったのか。  四月二十日の当該船舶に対する検査について適切に実施されたのか否か、内閣の見解を問う。また、不適切な部分があったとすれば、そのすべてを具体的にお示し願いたい。  また、現時点で、当該会社が、安全管理規程に違反していたと考えられるのは何点あり、どのような内容か。お示し願いたい。  今回の事故を受けて、内閣として小型船舶検査に関する改善策、または営業許可のあり方含め、事故再発防止策としてどのようなことをお考えか、お示し願いたい。  右質問する。
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衆議院議員長妻昭君提出知床沖で事故を起こした観光船への検査等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月十七日受領 答弁第六〇号   内閣衆質二〇八第六〇号   令和四年五月十七日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出知床沖で事故を起こした観光船への検査等に関する質問に対する答弁書  日本小型船舶検査機構(以下「機構」という。)からは、令和四年四月二十日午後一時三十分頃から約四十五分間、機構が、御指摘の「当該船舶」に施設された船体、機関、救命設備、消防設備、無線設備等について、船舶安全法(昭和八年法律第十一号)第五条第一項第二号に規定する中間検査を実施したと聞いている。  機構からは、当該中間検査において、「当該船舶」の船舶所有者である御指摘の「当該会社」が、「当該船舶」に施設される無線設備について、KDDI株式会社が提供する携帯電話サービスに係る携帯電話に変更することを申し出たと聞いている。また、機構からは、「当該船舶」の船長から当該携帯電話により陸上との間で常時通信できる旨の申告を受けたこと等から、当該変更を認めたと聞いている。  機構から当該中間検査は機構の定める検査方法に従い実施されたものと聞いているが、詳細の把握に努めているところであり、「四月二十日の当該船舶に対する検査について適切に実施されたのか否か、内閣の見解を問う。また、不適切な部分があったとすれば、そのすべてを具体的にお示し願いたい」とのお尋ねについては、現時点でお答えすることは困難であるが、いずれにしても、政府としては、「知床遊覧船事故対策検討委員会」を開催し、小型船舶を使用する旅客輸送について、船舶検査の実効性の向上を含め、安全対策を総合的に検討することとしている。  「現時点で、当該会社が、安全管理規程に違反していたと考えられるのは何点あり、どのような内容か」とのお尋ねについては、現在、「当該会社」に対し、海上運送法(昭和二十四年法律第百八十七号)第二十五条第一項の規定に基づく立入検査を実施しているところであり、お答えすることは困難である。  「今回の事故を受けて、内閣として小型船舶検査に関する改善策、または営業許可のあり方含め、事故再発防止策としてどのようなことをお考えか」とのお尋ねについては、先に述べたとおり、政府としては、「知床遊覧船事故対策検討委員会」を開催し、小型船舶を使用する旅客輸送について、船舶検査の実効性の向上や事業参入の際の安全確保に関するチェックの強化を含め、安全対策を総合的に検討することとしている。
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存立危機事態における「着手」に関する質問主意書
令和四年五月六日提出 質問第六一号 存立危機事態における「着手」に関する質問主意書  存立危機事態における「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」に関してお尋ねする。  ここでいう「発生」は「着手」も含むと考えてよいか。  個別的自衛権発動の要件の一つ、「我が国に対する武力攻撃の発生」には、「我が国に対する武力攻撃の着手」が含まれるというのが従来の政府答弁であり、「どの時点で武力攻撃の着手があったと見るべきかについては、その時点の国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等によるものであり」と説明している。  存立危機事態における「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃の着手」をどの時点で見るべきかは、同様に「その時点の国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等によるものであり」ということでよろしいか。お示し願いたい。  仮に「着手」と見て、存立危機事態が認定され他の条件も満たし、日本の自衛権が発動され武力行使が認められた場合、いわゆる敵基地攻撃(自民党によると反撃力)は、「万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、憲法上、法理上の自衛の範囲に含まれ、可能」であるのか、お教え願いたい。  政府は従来より、「政府としては、従来から、弾道弾等による攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、憲法上、法理上の自衛の範囲に含まれ、可能と考えてきております」との答弁をしているが、これはあくまでも個別的自衛権の話である。この答弁でいう「誘導弾等による攻撃」が「密接に関係する他国」へのものであっても、この答弁でいう「そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、例えば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、憲法上、法理上の自衛の範囲に含まれ、可能」となるのか。  右質問する。
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衆議院議員長妻昭君提出存立危機事態における「着手」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月十七日受領 答弁第六一号   内閣衆質二〇八第六一号   令和四年五月十七日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出存立危機事態における「着手」に関する質問に対する答弁書  武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第二条第四号に規定する「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生」した時点は、当該他国に対する武力攻撃の着手があった時点であると解され、どの時点で武力攻撃の着手があったと見るべきかについては、その時点の国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等によるものであり、個別具体的な状況に即して判断する必要がある。  また、お尋ねの「いわゆる敵基地攻撃(自民党によると反撃力)」の意味するところが必ずしも明らかではないが、従来から、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる「海外派兵」は、一般に、自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解してきている。  他方、政府としては、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定。以下「閣議決定」という。)を決定する以前から、誘導弾等の基地をたたくなどの他国の領域における武力行動で「自衛権発動の三要件」に該当するものがあれば、憲法上の理論としてはそのような行動をとることが許されないわけではないとしてきており、このような考え方は、限定的な集団的自衛権の行使も含め、閣議決定において示した、「武力の行使」の三要件の下で行われる自衛の措置としての「武力の行使」にもそのまま当てはまるものと考えている。
a208062
生活保護の扶養照会に関する質問主意書
令和四年五月六日提出 質問第六二号 生活保護の扶養照会に関する質問主意書  ホームレス等の方々とお話しすると生活保護を受けたいが、受けない理由として、扶養照会で家族や親族に知られてしまうことを挙げる方が多い。支援団体の調査でも同様の結果がある。先進国と比べて非常に厳しい扶養照会制度を改善しなければ憲法第二十五条の理念が全うできないのではないか。  そこでお尋ねする。  申請者が扶養照会を拒んだ場合、扶養照会を全くせずに、保護適用の可否の審査に進むことは法律を改正せずとも(通知等を変更すれば)可能か。また、その際、扶養照会を拒み、それをしなかったことが保護適用の可否の審査に影響を与えないようにすることも法律を改正せずとも(通知等を変更すれば)可能か。  右質問する。
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衆議院議員長妻昭君提出生活保護の扶養照会に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月十七日受領 答弁第六二号   内閣衆質二〇八第六二号   令和四年五月十七日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出生活保護の扶養照会に関する質問に対する答弁書  お尋ねの「扶養照会を拒んだ場合、扶養照会を全くせず」、「保護適用の可否の審査に進む」及び「保護適用の可否の審査に影響を与えないようにする」の意味するところが必ずしも明らかではないが、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第四条第二項において、「民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養・・・は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする」と規定されており、御指摘の「扶養照会」(以下「扶養照会」という。)は、扶養義務者による扶養義務の履行の可否及び程度を確認するために必要な手続である。なお、扶養照会については、厚生労働省において、都道府県等に対し、「扶養義務履行が期待できない者の判断基準の留意点等について」(令和三年二月二十六日付け厚生労働省社会・援護局保護課事務連絡)において、「要保護者等からの聞き取り等により、扶養の可能性の調査」を行った結果、「「扶養義務履行が期待できない者」と判断された場合は、個別に慎重な検討を行った上で・・・扶養照会を行わないこととして差し支えない」と示しているところであり、生活保護法第十九条に規定する保護の実施機関においては、要保護者が扶養照会を拒んでいるか否かにかかわらず、要保護者等からの聞き取り等を踏まえた慎重な検討により、扶養照会の要否の判断が行われるものであり、その結果、扶養照会を行わない場合においても、生活保護法による保護の基準(昭和三十八年厚生省告示第百五十八号)等に基づき、保護の要否の判断が行われるものである。
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地方公共団体の行政の政治的中立性に関する質問主意書
令和四年五月十二日提出 質問第六三号 地方公共団体の行政の政治的中立性に関する質問主意書  昨年十二月二十五日付の愛媛新聞朝刊に、愛媛県第四区選出の自民党の長谷川淳二衆議院議員の顔写真、経歴や政策、自民党のロゴとともに、四区内の十一の市町が名を連ねて、「私たちは、これからも走り続ける長谷川淳二氏を応援します‼」と書かれた広告が掲載された。  広告料は、一市町あたり三万三千円で市長交際費や広告費の名目で公金から支出されたことが分かっている。  この件に関して、政府の見解を求める。 一 自治体の名前を出して、税金を原資とする公金で、特定の政党の議員を応援する広告を出すことは、地方公務員法の定める行政の中立性に反するのではないか。また、公金の支出として違法ないし不適切ではないか。 二 仮に、このような広告が認められることになれば、金のかかる選挙を是正し、きれいな選挙の実現を図るため、選挙運動期間外でも政治活動用文書図画を掲示することに制限を設けている公職選挙法の規制を潜脱するものではないか。  右質問する。
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衆議院議員大西健介君提出地方公共団体の行政の政治的中立性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月二十四日受領 答弁第六三号   内閣衆質二〇八第六三号   令和四年五月二十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員大西健介君提出地方公共団体の行政の政治的中立性に関する質問に対する答弁書 一について  地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三十六条においては、行政の公正性や安定性を確立し、公務員の政治的中立性を確保するため、一般職に属する地方公務員について政治的行為の制限を定めているところである。お尋ねの「地方公務員法の定める行政の中立性」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、個別の事案が同条の規定に違反するか否かについては、個別具体的な事情により判断されることとなり、一概にお答えすることは困難である。また、後段の地方公共団体における公金の支出に関するお尋ねについては、各地方公共団体において適切に判断されるべきものと考えている。 二について  公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)において、政治活動は原則自由とすべきとの考え方に基づき、選挙運動期間外における政治活動に係る新聞広告については、同法第百五十二条第一項の規定による挨拶を目的とする有料広告の禁止及び同法第百七十八条の規定による選挙期日後の挨拶行為の制限のほかは、選挙運動と認められない限りにおいては、同法上特段の規制は設けられていないものと承知している。  なお、個別の行為が同法に違反するか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものと考える。
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「日銀は政府の子会社」に関する質問主意書
令和四年五月十三日提出 質問第六四号 「日銀は政府の子会社」に関する質問主意書  安倍晋三元総理は、五月九日、日本銀行による市場を通じた国債の買い入れを巡り、「日銀は政府の子会社だ」と発言した。日銀の独立性への信頼を揺るがしかねない発言、日銀の自主性への尊重を損ないかねない発言だと考える。  したがって、次の事項について質問する。 一 政府は、「日銀は政府の子会社である」との見解か。 二 日銀の黒田総裁は、四月の国会で、「日銀は政府の子会社ではない」と答弁したが、政府は、「日銀は政府の子会社ではない」との見解か。  右質問する。
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衆議院議員近藤和也君提出「日銀は政府の子会社」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月二十四日受領 答弁第六四号   内閣衆質二〇八第六四号   令和四年五月二十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員近藤和也君提出「日銀は政府の子会社」に関する質問に対する答弁書 一及び二について  お尋ねについては、令和四年五月十三日の衆議院財務金融委員会において、鈴木財務大臣が「政府は日本銀行に対して五十五パーセントの出資をしておりますけれども、議決権、これは有しておりません。また、日本銀行には、日本銀行法三条一項及び五条二項におきまして、金融政策や業務運営の自主性が認められております。こうした点を踏まえますと、日本銀行は政府がその経営を支配している法人とは言えないわけでありまして、会社法で言うところの子会社には当たらない、そのように考えております。」と答弁したとおりである。
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令和版所得倍増計画に関する質問主意書
令和四年五月十三日提出 質問第六五号 令和版所得倍増計画に関する質問主意書  政府は、「参議院議員小西洋之君提出岸田政権の令和版所得倍増の実態に関する質問に対する答弁書」(内閣参質二〇五第四七号。以下、「答弁書」という。)において、岸田内閣総理大臣が提唱している令和版所得倍増計画について、「平均所得や所得総額の単なる倍増を企図したものとしてではなく、岸田内閣総理大臣が令和三年十月十二日の参議院本会議において答弁したとおり、「一部ではなく、広く、多くの皆さんの所得を全体として引き上げるという、私の経済政策の基本的な方向性」として示されたものであり、池田内閣(当時)の計画のような具体的な数値目標を盛り込んだ経済計画を策定することは現時点で考えていない」旨答弁している。  その後、岸田内閣総理大臣は、本年一月五日、経済三団体の新年祝賀会において、「次世代を担う子育て・若者世代の世帯所得に焦点を絞って倍増を可能とするような制度改革にも取り組む」と発言した。また、一月二十五日の衆議院予算委員会において、「こども家庭庁を中心に、将来的に子供政策に関する予算倍増を目指す」と答弁した。さらに、五月五日には、英国の金融街ロンドン・シティにおいて講演し、「資産所得倍増を実現するため、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充や、国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など、「資産所得倍増プラン」を進める」と発言した。  これら三つの発言について、以下質問する。 一 これら三つの「倍増」それぞれについては、まさに所得や予算の「倍増を企図したもの」なのか。それとも「政策の基本的な方向性」を示したものか。 二 「倍増を企図したもの」であれば、いつまでに、どのような政策で、倍増させる想定か。  右質問する。
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衆議院議員泉健太君提出令和版所得倍増計画に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月二十四日受領 答弁第六五号   内閣衆質二〇八第六五号   令和四年五月二十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員泉健太君提出令和版所得倍増計画に関する質問に対する答弁書 一及び二について  「まさに所得や予算の「倍増を企図したもの」なのか。それとも「政策の基本的な方向性」を示したものか。」とのお尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、「倍増」という言葉については、令和四年五月十三日の衆議院内閣委員会において、岸田内閣総理大臣が「こうした政策に向けて強い意思を示すということは大事だと思いますし、その表現の仕方として、・・・倍増という言葉を多用させていただいている」と述べているところである。  御指摘の「三つの発言」について、それぞれの期限を区切ってはいないが、具体的な政策をしっかりと進めることとしている。まず、「次世代を担う子育て・若者世代の世帯所得」については、例えば、勤労者皆保険の実現、男女が希望どおり働ける社会づくり、賃上げ促進税制をはじめとする賃上げを支援するための環境整備、人への投資の抜本強化等に取り組むこととしている。次に、「子供政策に関する予算」については、こども家庭庁が設置されれば、同庁の下で、必要なこども政策を体系的に取りまとめ、社会全体での費用負担の在り方の検討と併せて、こども政策の充実に取り組むこととしている。さらに、「資産所得」については、投資家にとって魅力ある日本市場の構築に向けて取り組むとともに、貯蓄から投資への流れの促進に取り組むこととしている。
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柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護規定違反に関する質問主意書
令和四年五月十三日提出 質問第六六号 柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護規定違反に関する質問主意書  原子力規制委員会は、二〇二一年に発覚した東京電力ホールディングス株式会社の柏崎刈羽原子力発電所におけるIDカード不正使用事案及び核物質防護設備の機能の一部喪失事案に対する追加検査の中間とりまとめ(以降、中間とりまとめ)を二〇二二年四月二十七日に行った。  中間とりまとめ二頁目では、核物質防護設備の保全方式について、①時間基準保全(耐用年数などの一定期間毎に保守すること)、②状態基準保全(劣化の兆候を捉えるための状態監視を踏まえ保守すること)、③事後保全(故障等の機能喪失時に保守すること)の三つの方式があることを明らかにしている。  そして、柏崎刈羽原発以外の発電所における核物質防護設備の保全方式は、①と③を基本とし、柏崎刈羽原発では、①から②に切り替えて運用されていたが、②を実施するための判断基準を定めた保守管理計画が策定されておらず、結果的に③だったと書いてある。  しかし、東電が二〇二一年九月二十二日に公表した「IDカード不正使用および核物質防護設備の機能の一部喪失に関わる改善措置報告書」(以後、東電報告書)を併せ読むと、事態は追加検査の中間とりまとめよりも深刻であるため、以下、質問する。 一 「核物質防護の重要性の理解不足」について  中間とりまとめ十頁で、原子力規制委員会は「核物質防護の重要性の理解不足による迅速な対応の欠如(故障個所を複数まとめて修理依頼。完了期限の管理の甘さ)」を「対応を求める事項」として指摘している。  この指摘のとおり、「故障個所を複数まとめて修理依頼」したのであれば、壊れたら壊れた時に直すという③の保全方式でさえない。また、「複数」という記述から二、三個所をイメージするが、東電報告書の添付一-一によれば、機能喪失は、二〇二〇年三月から二〇二一年二月にかけての約十一カ月で二十一事案にものぼり、復旧までに最大で十一カ月以上が経過していた。  1 発電用原子炉の設置者の「核物質防護の重要性の理解不足による迅速な対応の欠如」はいわゆる原子炉等規制法第四十三条の三の六で求める許可基準を満たしていると言えるのか。  2 二十一事案、最大で十一カ月以上の放置は、中間とりまとめで記述する「故障個所を複数まとめて修理依頼」より深刻である。最終とりまとめを行う際には、より具体的な記述が必要ではないか。 二 原子力規制検査の追加検査の目的について  そもそも今回の中間とりまとめは、二〇一七年の原子炉等規制法の改正で導入された「原子力規制検査」の追加検査の途中経過である。また、追加検査は、二〇一九年十二月二十五日に原子力規制庁長官が決定した「原子力規制検査等実施要領」に基づいて実施されているものである。  1 原子力規制検査の目的は、検査の「実施方法を明確化する」ことであるという理解で間違いはないか。  2 追加検査で原子炉等規制法が求める設置許可の基準「発電用原子炉を設置するために必要な技術的能力」の欠如が明らかになった場合は、許可基準に立ち戻り、設置許可を取り消すことが規制のあり方であると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。 三 IDカード不正使用事案の核物質防護規定違反について  IDカード不正使用事案については、原子力規制委員会の更田豊志委員長が二〇二一年二月十日の衆議院予算委員会で、私の質問に対して、「私どもは、この核セキュリティー事案に関して、柏崎刈羽原子力発電所の核物質防護規定を既に認可をしております。今回の事例は、この核物質防護規定に対する違反でありますので、まず、この核物質防護規定としての取扱いを進めてまいりますし、検査の中で事案の重大さを、評価は、一定の評価を下して、検査の監視レベルを引き上げておるところでありますけれども、引き続き、この核セキュリティー事案の深刻さ、内容、そして、それに対して東京電力がどのような対処を取るかというのを見定めてまいりたい」と答弁している。また、二〇二一年三月九日の衆議院環境委員会で近藤昭一議員の質問に対して、同委員長は、「今回の事案は、原子炉等規制法第四十三条の三の二十七第二項において準用する第十二条の二第四項に対する違反であります。具体的には、発電用原子炉設置者及びその従業者は、核物質防護規定を守らなければならない」と答弁を行っている。  原子炉等規制法第四十三条の三の二十によれば、「第四十三条の三の二十七第二項において準用する第十二条の二第四項の規定に違反したとき」は、原子力規制委員会は、「設置許可を取り消し、又は一年以内の期間を定めて発電用原子炉の運転の停止を命ずることができる」と定めている。  1 法第四十三条の三の二十は、核物質防護規定違反が起きた時の処分は、設置許可取消しか、一年以内の運転停止のどちらかであるという理解で間違いはないか。  2 原子力規制委員会は、核物質防護設備の機能の一部喪失事案とIDカード不正使用事案を議題に、二〇二一年三月十六日と二十三日に非公開で会議を、三月二十四日と三十一日に公開会議を開催した。同じ事案であるにもかかわらず、十六日と二十三日の会議を非公開にしたのはなぜか。  3 三月二十三日の非公開会議の資料には、原子力規制委員会は三月十六日に「原子力規制検査等実施要領」で定めた対応区分を第四区分とした上で、「核物質防護設備の機能の一部喪失事案とIDカード不正使用事案を一体のものとして取り扱う」ことにした、と記述されている。   しかし、三月十六日の会議にはこのことを明記した資料は存在しない。単に議事要旨の最後に唐突に、「原子力規制委員会は、核物質防護設備の機能の一部喪失事案とIDカード不正使用事案を一体のものとして取り扱うこととし、事務局に対し、その方針に基づいて今後の規制上の対応の検討を行うよう指示した」と出ているだけである。議事録ではないので誰の発言であるかも不明である。   なぜ、核物質防護設備の機能の一部喪失事案とIDカード不正使用事案を一体で取り扱うことになったのか、決定過程と根拠を明らかにされたい。  4 原子力規制委員会は、二〇二一年三月二十三日の非公開会議でIDカード不正使用事案と核物質防護設備の機能喪失を一体で、約二千人・時間を目安に追加検査を行うことに決めたが、約二千人・時間の根拠は「原子力規制検査等実施要領」には見当たらない。約二千人・時間の根拠は何か。  5 原子力規制委員会の更田委員長は、対応区分が第四区分に変わったことについて、三月二十四日の会議で「設置許可の取消しというのは、必ずしも現時点で可能性まで排除されるものではないと思いますけれども、これから検査が行われるということを考えると、今の時点で設置許可を取り消すだけの根拠をきちんと示せるかどうかというのは疑問がある」と述べている。   ア 追加検査の結果、設置許可の取消しもあり得ることを述べたものだと解するが間違いはないか。   イ 更田委員長は、二十四日の会議で「原則として、核燃料の移動を禁ずるという形で、具体的にどういう命令を発出するかは、意思決定をしてから発出文について法的な意味も含めて検討してもらいますけれども、私としては、是正措置命令、そしてその内容は、核燃料の移動を禁ずる。問題となるのは期間ですけれども、検査区分が一に復帰するまでという是正措置命令ではどうかというのが私の考えです」と提案した。つまり、「法的な意味」は後回しで、対応区分が第一区分に是正されれば、核燃料の移動ができるようにしたことになる。検査区分が一になれば、核燃料の移動ができることにした根拠は何か。   ウ 原子力規制委員会は三十一日の会議で、後付けの検討の結果、違反法令として、「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則」第九十一条の複数項目の違反をあてはめ、是正命令の法的根拠を、原子炉等規制法第四十三条の三の二十三(施設の使用の停止等)第二項であるとした。    なぜ、国会で認めたように、違反法令として核物質防護規定(法第四十三条の三の二十七第二項において準用する第十二条の二第四項の規定)、およびそれに対応する条文(法第四十三条の三の二十(許可の取消し等))を適用しなかったのか。  6 原子力規制委員会が決めたように、事後的に事態を是正して、ほとぼりが冷めた頃に、是正命令で禁止された核燃料物質の移動が可能になるのであれば、核物質防護規定違反を犯しても、原子炉の再稼働が可能となるという間違ったメッセージを与え、規制の意味をなさないのではないか。  7 先述した二〇二一年二月の衆議院予算委員会で、更田委員長は、「東京電力がどのような対処を取るかというのを見定めてまいりたい」と答弁した。これは、東京電力の対処によっては、設置許可の取消しもあり得るという意味だと考えるがどうか。  右質問する。
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衆議院議員阿部知子君提出柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護規定違反に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月二十四日受領 答弁第六六号   内閣衆質二〇八第六六号   令和四年五月二十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員阿部知子君提出柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護規定違反に関する質問に対する答弁書 一の1について  お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「核物質防護の重要性の理解不足による迅速な対応」が「欠如」していること自体は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「法」という。)第四十三条の三の六第一項各号に掲げる許可の基準に直ちに抵触するものではない。 一の2について  現在、原子力規制検査等に関する規則(令和二年原子力規制委員会規則第一号)第三条第二項の規定に基づく追加の検査を行っているところであり、現時点において、お尋ねの「最終とりまとめ」の中で「二十一事案、最大で十一カ月以上の放置」といった「より具体的な記述」をするか否かについて、お答えすることは困難である。 二の1について  お尋ねの「原子力規制検査の目的は、検査の「実施方法を明確化する」ことであるという理解」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「原子力規制検査等実施要領」(令和元年十二月二十五日原子力規制庁長官決定。以下「検査実施要領」という。)の目的は、原子力規制検査の「実施方法を明確化する」ことである。 二の2について  お尋ねの「規制のあり方」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「追加検査」は、「発電用原子炉を設置するために必要な技術的能力」の「欠如」を明らかにすることを目的に行っているものではない。 三の1について  法第四十三条の三の二十第二項(第九号に係る部分に限る。)では、発電用原子炉設置者が法第四十三条の三の二十七第二項において準用する法第十二条の二第四項の規定に違反したときは、原子力規制委員会は、法第四十三条の三の五第一項の許可を取り消し、又は一年以内の期間を定めて発電用原子炉の運転の停止を命ずることができるとされている。 三の2について  令和三年三月十六日に開催された令和二年度第六十四回原子力規制委員会臨時会議(以下「六十四回委員会」という。)及び同月二十三日に開催された令和二年度第六十六回原子力規制委員会臨時会議(以下「六十六回委員会」という。)については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第五条第四号に掲げる不開示情報に該当すると考えられる核物質防護に関する情報が六十四回委員会及び六十六回委員会それぞれの審議内容及び資料に含まれることから、「原子力規制委員会議事運営要領」(平成二十四年九月十九日原子力規制委員会決定)第七条第一項ただし書の規定に基づき、六十四回委員会及び六十六回委員会それぞれの冒頭において、原子力規制委員会として、非公開で開催することを決定したものである。 三の3について  お尋ねの「一体で取り扱うこと」は、六十四回委員会での議論によって決定したところであり、お尋ねの「決定過程と根拠」については、六十四回委員会の議論の内容が非公開であることから、お答えは差し控えたい。 三の4について  お尋ねの「約二千人・時間の根拠」は、「原子力規制検査における追加検査運用ガイド」(令和二年三月三十一日原子力規制庁原子力規制部検査監督総括課作成)における「本追加検査に要する時間は、対応する検査官全員で約二千人・時間程度を目安とする。」という記載である。 三の5のア及び7について  お尋ねについては、令和三年三月二十四日に開催された令和二年度第六十七回原子力規制委員会(以下「六十七回委員会」という。)及び同年二月十日の衆議院予算委員会において更田原子力規制委員会委員長がそれぞれ述べているとおりである。 三の5のイについて  お尋ねの六十七回委員会における更田原子力規制委員会委員長の発言については、御指摘のように「「法的な意味」は後回しで、対応区分が第一区分に是正されれば、核燃料の移動ができるよう」にするという趣旨ではなく、法第四十三条の三の二十三第二項の規定に基づいて原子力規制委員会として発する是正措置等の命令の内容について検討した上で、「発出文について」検討するという趣旨である。また、検査実施要領に定める対応区分が「第一区分に是正」されることをもって、当該命令が効力を失うものではない。 三の5のウについて  お尋ねの「国会で認めたように」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和三年三月三十一日に開催された令和二年度第七十回原子力規制委員会において示した法第四十三条の三の二十三第二項の規定に基づく是正措置等の命令に係る方針については、六十七回委員会における審議を踏まえ、原子力規制委員会として、関係法令に基づき、事案の性質に応じ、規制上必要な処分を選択したものである。 三の6について  三の5のウについてで述べた方針については、原子力規制委員会として、関係法令に基づき、事案の性質に応じ、規制上必要な処分を選択したものであり、「規制の意味をなさないのではないか」との御指摘は当たらないと考えている。
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消えた年金に関する質問主意書
令和四年五月十三日提出 質問第六七号 消えた年金に関する質問主意書  かつて社会保険庁の不始末で多くの年金記録が個人と結びついていなかったり、消されてしまったり、無くなってしまったりする、いわゆる消えた年金問題が当時の民主党の追及で発覚した。そのうち、個人に結びついていない記録(基礎年金番号に未統合の記録)は約五千九十五万件あった。  いわゆる消えた年金(未統合記録)の最新状況について、政府が把握するところをお尋ねする。  これまで年金記録を取り戻した人(基礎年金番号に統合済の記録における人数ベース)は、何人か。また、その内、一人で二記録以上取り戻した(統合した)方は何人いらっしゃるか。また、受給者、被保険者別の人数もそれぞれお示し願いたい。  これまで消えた年金記録(未統合記録)を取り戻した(統合した)ことで、いくらの年金を取り戻す(回復する)ことができたのか。生涯額(六十五歳から受給した場合の回復総額)でお答え願いたい。  大切な年金記録紙台帳が放置されていた問題についてもお尋ねする。放置された年金記録紙台帳約六億件(名寄せすると約七千九百万人)をコンピューターに入力して記録を照合する作業は、紙台帳約六億件すべての照合は終了したか。終了したのはいつか。お示し願いたい。  未統合記録約五千九十五万件のうち、「名寄せ特別便等の対象となったが、未回答等のため持ち主が判明していない記録」は、ご本人から未回答のものが約二百二十万件、お知らせ便が未到達のものが約四十万件あった。この約二百二十万件について再度郵送したのは何件あるか、また、再々度郵送したのは何件か。また、訪問や電話をしたケースは何件あるのか。また、この約四十万件のうち、お知らせ便が未到達の理由はなにか。今後、どのような対応を取るのか、お示し願いたい。  右質問する。
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衆議院議員長妻昭君提出消えた年金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月二十四日受領 答弁第六七号   内閣衆質二〇八第六七号   令和四年五月二十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出消えた年金に関する質問に対する答弁書  「これまで年金記録を取り戻した人(基礎年金番号に統合済の記録における人数ベース)は、何人か」及び「受給者、被保険者別の人数もそれぞれお示し願いたい」とのお尋ねについては、未統合記録(平成十八年六月一日時点において基礎年金番号で管理されていなかった社会保険オンラインシステム上の年金記録をいう。以下同じ。)のうち、基礎年金番号に統合されたものに係る年金受給者等の人数は、令和四年三月時点において約千五百七十五万人であり、そのうち、年金受給者は約千八十一万人、被保険者又は被保険者であった者は約四百九十三万人である。また、「一人で二記録以上取り戻した(統合した)方は何人いらっしゃるか」とのお尋ねについては、日本年金機構において現在集計中であり、現時点でお答えすることは困難である。  「いくらの年金を取り戻す(回復する)ことができたのか」とのお尋ねについては、お尋ねの「生涯額(六十五歳から受給した場合の回復総額)」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本年金機構において、平成二十年五月から令和四年二月までに未統合記録が基礎年金番号に統合されたこと等により年金額が増加した者のその増加額の総額を基に、六十五歳時点における平均余命等を考慮して推計した年金額の増加額の総額は、約二・八兆円である。  「紙台帳約六億件すべての照合は終了したか。終了したのはいつか」とのお尋ねについては、社会保険オンラインシステム上の年金記録と約六億件の紙台帳等(国民年金被保険者名簿等の紙台帳又はこれをマイクロフィルム化し、若しくは磁気化したものをいう。)の記録の照合は、日本年金機構において、平成二十六年三月までに全て終了している。  「この約二百二十万件について再度郵送したのは何件あるか、また、再々度郵送したのは何件か」とのお尋ねについては、「再度」及び「再々度」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本年金機構においては、名寄せ特別便(未統合記録のうち基礎年金番号に統合される可能性が高いものを有していると考えられる者に対して送付するねんきん特別便をいう。以下同じ。)等の未回答者のうち、約四十五万人に対して、平成三十年五月から令和四年三月までの間に、順次、年金記録の確認のお知らせを送付したところであり、また、当該お知らせを再度送付する取組は行っていない。また、「訪問や電話をしたケースは何件あるのか」とのお尋ねについては、同機構において、名寄せ特別便等の未回答者に対して年金事務所等が訪問や電話をした件数は把握しておらず、お答えすることは困難である。  「お知らせ便が未到達の理由はなにか」とのお尋ねについては、社会保険オンラインシステム上に登録されている住所等と名寄せ特別便等が送付された時点で年金受給者等が居住している住所等が異なることなどによるものと日本年金機構から聞いている。  「今後、どのような対応を取るのか」とのお尋ねについては、日本年金機構において、引き続き、年金記録の確認のお知らせを送付するとともに、ホームページにおける年金記録の確認の呼び掛けや、年金請求書の提出のために年金事務所に来所した際の年金記録の確認等に取り組んでいるところであり、今後とも適切に対応してまいりたい。
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新しい資本主義に関する質問主意書
令和四年五月十六日提出 質問第六八号 新しい資本主義に関する質問主意書 一 岸田政権の目玉政策である新しい資本主義について、昨年十一月の岸田政権発足時の国会質疑では、総理より、当時点ではコンセプトの打ち出しのみであり、内容については有識者を含む政府内の議論を経て決定するとの答弁があった。既にコンセプトの打ち出しから半年以上が経過しており、日本の成長戦略や社会保障政策の根幹となる政権の目玉政策の絵姿が明らかにならないことに不安を覚えている国民は多く、政権を託された総理の姿勢として無責任であると考える。これまでの政府内及び有識者会議等の結果を踏まえ、現時点での新しい資本主義の定義を可能な限り詳細にお示し願いたい。 二 左記の新しい資本主義の定義について、次の点をお示し願いたい。  1 新しい資本主義とは、日本の社会経済構造の変革だけを目指した概念か。あるいは、世界全体を動かしている基幹的な社会経済システムである資本主義を新しい形に進化・発展させることも視野に入れた概念か。  2 (1の答えが後者の場合)世界では新しい資本主義の絵姿について様々なコンセプトが打ち出されている。そのうち、特に「サステナビリティ」を巡る国際的な議論の中で、現在の資本主義に基づく市場競争は企業の経済的利益の獲得に偏重しており、環境や社会に対する価値の創出を踏まえた新しい市場競争ルールを官民双方の努力で創り上げていくべきとする動きがある。日本では経済同友会等がこうした動向を踏まえて「サステナブルな資本主義」という新しい資本主義のコンセプトを打ち出している。このサステナビリティと岸田政権の掲げる新しい資本主義とどのような関係があるか。  3 (1の答えが後者の場合)2に近い問題意識と国際的な議論及び動向を背景として、日本経済団体連合会は「。新成長戦略」の中で、「ステークホルダー型資本主義」という資本主義のコンセプトを打ち出している。このステークホルダー型資本主義は、岸田政権の掲げる新しい資本主義とどのような関係があるか。 三 ロシアによるウクライナ侵略での武力闘争や経済制裁により、国際的な政治経済環境は大きく変化している。今後は平和と安定を基盤として世界が一つに繋がり自由競争が行われる経済システムとしての資本主義を想定するのは困難になっていくことが予想される。こうした国際環境に呼応し、各国は経済安全保障の体制整備を急速に進めており、物資・原料、技術、産業等の各要素別に経済のブロック化が進むことも想定される。この状況変化は新しい資本主義の定義及び議論の中でどのように考慮されているか。  右質問する。
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衆議院議員青柳仁士君提出新しい資本主義に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年五月二十七日受領 答弁第六八号   内閣衆質二〇八第六八号   令和四年五月二十七日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員青柳仁士君提出新しい資本主義に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「新しい資本主義」については、基本的に、「成長と分配の好循環」及び「コロナ後の新しい社会の開拓」を基本理念とする岸田内閣の目指す経済社会像を指すものとして用いており、令和四年二月二日の衆議院予算委員会において、岸田内閣総理大臣が「新しい資本主義においては、官と民が協働して、格差ですとかあるいは気候変動といった課題を解決する仕組みをこのモデルの中にしっかりと埋め込んで、そうした課題を解決しながら成長と分配の好循環を生み出していくということを申し上げています。まずは、成長戦略の中で課題とされている気候変動ですとか、あるいは経済安全保障ですとか、デジタルですとか、こういった課題を成長のエンジンにしていくという形で成長を実現していく。」と述べているところである。 二の1について  お尋ねの「日本の社会経済構造の変革だけを目指した概念」及び「世界全体を動かしている基幹的な社会経済システムである資本主義を新しい形に進化・発展させることも視野に入れた概念」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和四年一月二十五日の衆議院予算委員会において、岸田内閣総理大臣が「それぞれの経済政策、経済モデル、国の事情によって様々ではありますが、こうした経済政策について国際的な議論を深め、そして、当然のことながら、経済は一国の中で完結するわけではないわけですから、国際経済の中で、こうした同じ考え方の下に成長を共に果たすことができないだろうか、こうした議論を深めていくことは大事だ」と述べているところである。 二の2について  御指摘の「サステナビリティ」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和四年一月二十六日の衆議院予算委員会において、岸田内閣総理大臣が「今日までの資本主義の中で浮かび上がってきた課題を解決していかないと持続可能な経済をつくることができない、(中略)デジタル、気候変動、あるいは格差、さらには経済安全保障、こういったものを、まずは、成長と分配の好循環の中の成長の部分においても、この課題とされているものをまさに取り上げて、成長のエンジンに換えて成長していく。(中略)課題を解決しながら成長と分配の好循環を回していく。そうすると、結果として持続可能な経済を実現することができるのではないか。」と述べているところである。 二の3について  御指摘の「ステークホルダー型資本主義」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、新しい資本主義の実現に向けては、企業経営において従業員や取引先等の様々なステークホルダーを重視することが重要だと考えている。 三について  御指摘の「状況変化」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和四年三月十七日の衆議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「絶えず変化する国際情勢や厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、経済構造の自律性の確保、我が国の優位性、不可欠性の獲得、基本的価値やルールに基づく国際秩序の維持強化を目標として、そのための経済施策を総合的、効果的に推進していくことが経済安全保障の中心にある考え方です。」と述べているところであり、新しい資本主義においては、経済安全保障等の課題を解決することを成長のエンジンとすることで成長と分配の好循環を生み出し、持続可能な経済社会を実現することを目指している。
a208069
国家賠償法に基づく求償権行使の事例に関する質問主意書
令和四年五月二十三日提出 質問第六九号 国家賠償法に基づく求償権行使の事例に関する質問主意書  財務省の佐川理財局長(当時)から公文書改ざんを命じられ、心身に不調を来して自ら死を選んだ故赤木俊夫氏の遺族が提起した国家賠償請求訴訟につき、国は関係者の証人尋問前に突如として請求の認諾を行い、一億円を上回る請求額の全額を支払った。  しかしその後、関係者の具体的責任につき裁判所の判断を経ていないにもかかわらず、国は独自の判断により佐川氏らに故意または重過失が認められないとして求償権を行使していない。このような国の一連の対応について、事案の真相解明を強く求めてきた故赤木俊夫氏の遺族が不満を抱いているばかりでなく、国による公金支出の妥当性についても疑問が寄せられている。  そこで、近年の国家公務員の違法行為に関する国家賠償請求訴訟の結果と求償権行使の実態を明らかにするため、以下、質問する。 一 過去十年間における、国家公務員の違法行為につき、国家賠償法第一条を根拠に損害賠償請求訴訟が提起された件数を、各年別、各省庁別に明らかにされたい。 二 一のうち、国側敗訴判決が確定した件数および賠償額の合計を、各事案の概要(認定された賠償額を含む)と併せて明らかにされたい。 三 二のうち、国家公務員個人の故意または重大な過失が認められたものがあればその件数を、故意あるいは重大な過失の別に明示されたい。 四 一のうち、国が請求を認諾した件数および賠償額の合計を、各事案の概要(賠償額を含む)と併せて明らかにされたい。 五 三および四について、求償権を行使したことがあったか。求償権行使の有無それぞれにつき、その理由を明らかにされたい。 六 三および四について、行政処分または刑事処分ないしその両方の処分がなされたか。処分の有無それぞれにつき、その理由を明らかにされたい。また、その内容および確定した結果はどのようなものだったか明らかにされたい。 七 国家公務員制度改革基本法第九条第三号に定める措置として、これまでに政府が行ったことを明らかにされたい。 八 国は佐川理財局長(当時)に対し、求償権を行使すべきと考えるが見解を求める。  右質問する。
b208069
衆議院議員階猛君提出国家賠償法に基づく求償権行使の事例に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月三日受領 答弁第六九号   内閣衆質二〇八第六九号   令和四年六月三日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員階猛君提出国家賠償法に基づく求償権行使の事例に関する質問に対する答弁書 一について  過去十年間において国家公務員の違法行為を理由として国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号)第一条第一項に基づき損害賠償請求訴訟が提起され、国に訴状が送達された訴訟の全件数については、調査に膨大な作業を要するため、お答えすることは困難であるが、法務省において、令和三年一月から令和四年四月までの間について取り急ぎ調べたところ、現時点で確認できる範囲では、令和三年は二千百六十件、令和四年一月から四月までの間は六百件である。 二について  過去十年間において国家公務員の違法行為を理由として国家賠償法第一条第一項に基づき提訴され、国の敗訴(一部敗訴を含む。)が確定した訴訟の全件数及びその賠償額の合計等については、調査に膨大な作業を要するため、お答えすることは困難であるが、法務省において、令和三年一月から令和四年四月までの間について取り急ぎ調べたところ、現時点で確認できる範囲では、令和三年に確定した右件数は十四件、認容された賠償額の元本の合計額は五億千五百三十三万五千三百七十九円であり、令和四年一月から四月までの間に確定した右件数は三件、認容された賠償額の元本の合計額は千五百九十三万二千四百十円であった。各事案の概要は、以下のとおりである(括弧内は認容された賠償額である。)。  (1) 令和三年   ① 旧労働大臣の権限の不行使が違法であったとするもの(一億七千九百三十三万六千六百六十三円)   ② 旧入国管理局職員が違法な事務処理をしたとするもの(四十四万円)   ③ 旧労働大臣の権限の不行使が違法であったとするもの(二億千八百四万七千五百円)   ④ 防衛省職員が弁護人選任権を侵害したとするもの(十一万円)   ⑤ 刑務所職員が受刑者に違法な処遇をしたとするもの(三千円)   ⑥ 拘置所職員が違法な事務処理をしたとするもの(二千四百八十四円)   ⑦ 防衛省の公用車が交通事故を起こしたとするもの(五百六十四万五千五百六十五円)   ⑧ 拘置所職員が被収容者に違法な処遇をしたとするもの(一万円)   ⑨ 検察官が弁護士の接見を妨害したとするもの(十万円)   ⑩ 裁判所職員が違法な事務処理をしたとするもの(八十万三百十三円)   ⑪ 旧厚生大臣の権限の不行使が違法であったとするもの(二千六百七十五万円)   ⑫ 検察官の捜査活動が違法であったとするもの(七千四百六十八万九千八百五十四円)   ⑬ 旧入国管理局職員が違法な事務処理をしたとするもの(六十万円)   ⑭ 旧労働大臣の権限の不行使が違法であったとするもの(八百八十万円)  (2) 令和四年一月から四月まで   ① 財務局職員が情報公開請求について違法な開示決定をしたとするもの(三十三万円)   ② 拘置所職員が違法な事務処理をしたとするもの(十万円)   ③ 旧社会保険事務所職員が違法な事務処理をしたとするもの(千五百五十万二千四百十円) 三について  二についてで述べた十七件のうち、判決文において、国家公務員の故意が認められたものは(2)①の一件であり、重大な過失が認められたものはない。 四について  過去十年間において国家公務員の違法行為を理由として国家賠償法第一条第一項に基づき提訴され、国が請求を認諾した訴訟の全件数及びその賠償額の合計等については、網羅的に把握していないため、お答えすることは困難であるが、法務省において、現時点で把握している範囲では、右件数は二件であり、認諾した賠償額の元本の合計額は一億八百二十二万八千十七円である。各事案の概要は、以下のとおりである(括弧内は認諾した賠償額である。)。  ① 外務省の行政文書に対する情報公開請求について違法な不開示決定をしたとするもの(百十万円)  ② 財務局職員に対する安全配慮義務を怠ったとするもの(一億七百十二万八千十七円) 五について  三についてで述べた一件については、現在、対応を検討中である。四についてで述べた二件については、公務員に故意又は重大な過失があったとはいえないため、国が国家賠償法第一条第二項の規定に基づく求償権を有するとは考えていない。 六について  三についてで述べた一件については、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第一項の処分事由等に該当するため、関係者に対し、それぞれ、停職、減給若しくは戒告の処分を行い、又は厳重注意若しくは職務上の注意の措置を執った。また、把握している範囲では、右一件については公訴提起されたとは承知していない。  四についてで述べた二件については、特定の職員に対して行政処分を行う必要があるとは考えておらず、行政処分はしていない。また、把握している範囲では、右二件については公訴提起されたとは承知していない。 七について  国家公務員制度改革基本法(平成二十年法律第六十八号)第九条第三号に定める措置として、平成二十三年四月五日付けで、全ての国務大臣により構成される国家公務員制度改革推進本部(当時)において「国家公務員制度改革基本法等に基づく改革の「全体像」について」(以下「本部決定」という。)を決定した。本部決定においては、国家賠償法に基づく求償権の適正かつ厳格な行使について、「各府省において、国家賠償法の求償に係る規定について関係職員に周知するとともに、求償権の存否を判断する体制、手続等を明確にすること」等とされた。  なお、直近では、令和四年二月二十五日、内閣人事局から本部決定の内容につき改めて各府省に周知し、現時点で、全ての府省において、本部決定を踏まえた必要な措置が執られている。 八について  お尋ねについては、令和四年二月二日の衆議院予算委員会において、鈴木財務大臣が「今回の訴訟において、赤木さんが当時、森友学園案件に係る様々な業務に忙殺をされ、本省からの決裁文書改ざん指示への対応を含め厳しい業務状況に置かれる中、国として安全配慮義務を十分に尽くせなかったこと、このことについて、国として責任を認め、認諾をしたものであります。赤木さんにつきましては、国といたしましても、赤木さんを含む森友学園案件に関わる職員の業務負担を軽減すべく、人員の追加配置でありますとか業務配分の見直し等を行ったほかにも、赤木さんの休職後におきましても、リハビリ出勤を開始するなど復帰に向けた配慮に努め、また、・・・文書改ざんにつきましても、赤木さんを含む近畿財務局職員の反発の後、本省理財局幹部と近畿財務局幹部との間で相談がなされまして、結論として、赤木さんを含む統括国有財産管理官の配下の職員の方々にはこれ以上作業に関与させないとされたところでございます。当時、業務負担の軽減等の対応がなされたということを申し上げたところでございます。以上を踏まえますと、国として安全配慮義務を十分尽くせなかったといたしましても、重大な過失があるとは考えておらないところでございまして、求償権を有するとは考えていないところでございます。」と述べ、また、同月十七日の同委員会第三分科会において、階猛分科員の「私は、佐川氏に故意又は重過失がないとは言えないのではないかと思いますけれども、この点、いかがでしょうか。」との質問に対し、同大臣が「重大な過失と故意のことですけれども、・・・赤木さんが、本当に御不幸なことで申し訳ないことでありますが、公務に起因して精神疾患による自死に至るような結果までもあらかじめ認容して一連の様々な問題行為が行われたとは考え難いということでありまして、個々の職員において、求償要件である故意又は、前にも述べておりますけれども、重過失に当たると言うことは困難ではないかな、そんなふうに考えております。」と述べたとおりである。
a208070
町村の生活困窮者自立相談支援事業に関する質問主意書
令和四年五月二十四日提出 質問第七〇号 町村の生活困窮者自立相談支援事業に関する質問主意書  非正規雇用者やシングルマザーの増加など所得格差の拡大に伴い、貧困状態にある子どもは七人に一人といわれ、また、高齢者においても年金受給額が低いために、非正規雇用で働き続けざるをえない高齢者が増加しており、さらには、長引くコロナ禍の影響や、自然災害が頻発する中で、貧困対策は今後ますます行政の重要課題になっていくと思われる。  生活困窮者自立支援法においては、福祉事務所設置自治体のみが自立相談支援事業を必ず行うこととなっており、平成三十年の改正で町村も任意で行うことができるようになったところであるが、全国九百二十六町村中、まだ四十町村でしか実施されていない。  その結果、「町村住民は、身近なところで相談ができない」、「町村は、生活困窮者を自らの行政サービス対象者と認識していない。権限がないために、広報紙による周知・呼びかけも消極的である」、「市では、福祉事務所の担当者と生活困窮者支援事業の担当者が情報を共有し、連携して対応しているが、町村住民は、福祉事務所設置自治体の市民が受けているサービスが受けられず放置状態になっている」など、行政サービスに格差と不公平が生まれている。  そこで以下、質問する。 一 生活困窮者自立支援法の五年毎の見直しが来年に迫っているが、町村にも生活困窮者支援事業の実施を広げていく必要性について、現時点での政府の見解をあきらかにされたい。また、その必要性をどのくらいの町村が感じているか、調査をするべきではないか。 二 町村での生活困窮者支援事業の実施を広げていく方策について、これまで厚生労働省の検討会ではどのような改善策が議論されているか。町村に実施を義務化することについては、政府は現時点でどのような見解か。 三 財政力、行政能力の脆弱な町村が生活困窮者支援事業を実施したいと思っても、現行のように福祉事務所設置自治体と同じ補助率である四分の三では、不十分ではないか。補助率を引き上げることで、必要性を感じながら実施に踏み切れないでいる町村が、人的体制を整えやすくすることを検討するべきではないか。また、補助率の引き上げ以外に、人的体制を整えやすくする方策としてどのような方策が考えられるか。 四 町村には、域内事業所が少ないため、就労支援に関しては工夫が必要と考えるが、どのような方策が考えられるか。 五 現在検討会で議論されている案の一つとしての広域での対応では、生活困窮者がそのサービスにアクセスすることが困難にならないか。政府の見解をあきらかにされたい。  右質問する。
b208070
衆議院議員早稲田ゆき君提出町村の生活困窮者自立相談支援事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月三日受領 答弁第七〇号   内閣衆質二〇八第七〇号   令和四年六月三日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員早稲田ゆき君提出町村の生活困窮者自立相談支援事業に関する質問に対する答弁書 一について  生活困窮者自立支援制度の今後の在り方については、厚生労働省の「生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会」(以下「検討会」という。)が令和四年四月二十六日に取りまとめた「生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理」(以下「論点整理」という。)を踏まえ、今後、社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会(以下「部会」という。)において議論することとしており、福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第十四条第一項に規定する福祉に関する事務所をいう。)を設置していない町村(以下「福祉事務所未設置町村」という。)による相談事業(生活困窮者自立支援法(平成二十五年法律第百五号。以下「法」という。)第十一条第一項に規定する事業をいう。)(以下「福祉事務所未設置町村による相談事業」という。)の在り方についても、部会における議論等を踏まえつつ、検討してまいりたい。  また、お尋ねの「必要性をどのくらいの町村が感じているか」に関する「調査」については、同省「令和二年度生活困窮者就労準備支援事業費等補助金社会福祉推進事業」による「生活困窮者自立支援制度の実施状況の把握・分析等に関する調査研究事業」で行われた調査において、法第五条第一項に基づき生活困窮者自立相談支援事業を行う都道府県が設置した相談窓口が管内に「設置されていない」と回答し、かつ、福祉事務所未設置町村による相談事業を「実施しておらず、当面実施予定はない」又は「わからない」と回答した福祉事務所未設置町村のうち、福祉事務所未設置町村による相談事業を実施する必要性について、「とても必要性を感じている」又は「まあまあ必要性を感じている」と回答した町村の合計の割合は、四十六・九パーセントである。 二及び三について  検討会において、お尋ねの「改善策」についての具体的な議論はなされていないが、福祉事務所未設置町村における生活困窮者に対する支援については、論点整理において、「地域包括ケアシステムなどの他分野における取組や既存の社会資源を活用し、これらを生活困窮者支援に広げることにより、生活困窮者に対する包括的な支援体制の整備を進めることができるのではないか」といった論点が示されている。  また、福祉事務所未設置町村による相談事業に関し、御指摘の「義務化」、「補助率の引き上げ」及び「人的体制を整えやすくする方策」については、論点整理や部会における議論等を踏まえ、慎重に検討してまいりたい。 四について  論点整理においては、例えば、法第三条第四項に規定する生活困窮者就労準備支援事業や法第十六条第三項に規定する認定生活困窮者就労訓練事業に関し、「小規模自治体においても実施できるよう、国や都道府県が自治体の主体性を活かしながら積極的に広域実施に関与すべきではないか」、「社会資源の開拓・活用に関するスーパーバイザー等の活動を充実する必要があるのではないか」といった論点が示されているところであり、町村における生活困窮者に対する就労支援の在り方については、こうした論点や部会における議論等を踏まえつつ、引き続き検討してまいりたい。 五について  お尋ねの「広域での対応」及び「そのサービス」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにしても、町村における生活困窮者に対する支援の在り方については、部会における議論等を踏まえつつ、御指摘の「アクセス」のしやすさの観点も考慮して、引き続き検討してまいりたい。
a208071
現行憲法のもとで国会のオンライン出席は例外的に認められるとする衆議院憲法審査会の報告書を踏まえて自治体議会の本会議においてオンラインによる出席が認められるかどうかに関する質問主意書
令和四年五月二十五日提出 質問第七一号 現行憲法のもとで国会のオンライン出席は例外的に認められるとする衆議院憲法審査会の報告書を踏まえて自治体議会の本会議においてオンラインによる出席が認められるかどうかに関する質問主意書  総務省は、これまで自治体議会においてオンラインによる本会議の開催は認められないとの見解を示してきた。具体的には、総務省自治行政局行政課長通知(二〇二〇年四月三十日付総行行第百十七号)において、総務省は「なお、法第百十三条及び法第百十六条第一項における本会議への『出席』については、現に議場にいることと解されている」との見解を示した。加えて、二〇二二年一月二十八日の衆議院予算委員会における地方自治体議会におけるオンライン本会議についての中谷一馬委員の質問に対して、総務大臣は、「この出席が、現に議場にいることと解されており、憲法あるいは国会法に言う出席と同様の意義と解されております。したがって、オンラインによる本会議の開催は認められないものと考えております。」と答弁したところである。  一方で、二〇二二年二月から三月にかけての衆議院憲法審査会での討議を踏まえて、衆院憲法審査会の森英介会長は三月八日に衆議院の細田博之議長と海江田万里副議長に対して、現行憲法のもとで国会のオンライン出席は例外的に認められるとする憲法審査会の報告書を提出した。すなわち、憲法上のオンライン出席の可否について、衆議院憲法審査会が初めて解釈を示した。  そこで、以下、質問する。 一 衆議院憲法審査会が報告書において示した「国会のオンライン出席は例外的に認められる」という解釈に基づいて、自治体議会における本会議の「出席」の解釈とオンライン本会議の開催の可否について総務省の見解を再検討する必要があると考えるが政府見解如何。 二 自治体議会の会議規則等を改正すれば、当該自治体議会における本会議のオンライン出席を認めることができるか。 三 自治体議会の会議規則等を改正しても、当該自治体議会における本会議のオンライン出席を認めることはできない、とするならば、その根拠法は何か。 四 自治体議会の会議規則等を改正しても、当該自治体議会における本会議のオンライン出席を認めることはできない、とするのであっても、地方自治法を改正し、改正地方自治法に基づき当該自治体議会の会議規則を改正すれば、当該自治体議会における本会議のオンライン出席を認めることができるか。  右質問する。
b208071
衆議院議員櫻井周君提出現行憲法のもとで国会のオンライン出席は例外的に認められるとする衆議院憲法審査会の報告書を踏まえて自治体議会の本会議においてオンラインによる出席が認められるかどうかに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月三日受領 答弁第七一号   内閣衆質二〇八第七一号   令和四年六月三日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出現行憲法のもとで国会のオンライン出席は例外的に認められるとする衆議院憲法審査会の報告書を踏まえて自治体議会の本会議においてオンラインによる出席が認められるかどうかに関する質問に対する答弁書 一及び四について  「自治体議会における本会議の「出席」の解釈とオンライン本会議の開催の可否について総務省の見解を再検討する必要があると考えるが政府見解如何」及び「地方自治法を改正し・・・本会議のオンライン出席を認めることができるか」とのお尋ねについては、地方議会の本会議は、その団体意思を最終的に確定させる場であり、国会の本会議と同様に、議員の意思表明は、疑義の生じる余地のない形で行われる必要があるほか、住民が議論の状況を十分に知り得るよう会議の公開の原則に沿うことが求められていることから、政府においては、国会における今後の取扱いのほか、地方議会におけるオンラインによる委員会の開催状況や開催上の課題等を踏まえ、慎重に対応する必要があると考えている。  なお、御指摘の「報告書」については、衆議院憲法審査会における憲法第五十六条第一項の「出席」の概念に関する議論の大勢について報告されたものであると承知している。 二及び三について  地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百十三条及び第百十六条第一項に規定する「出席」は、現に議場にいることと解されていることから、お尋ねの「本会議のオンライン出席」は認められないと考えている。
a208072
地方公共団体の議会の本会議において議会の審議に必要な説明をすることがないのに普通地方公共団体の長等が議場に出席することに関する質問主意書
令和四年五月二十五日提出 質問第七二号 地方公共団体の議会の本会議において議会の審議に必要な説明をすることがないのに普通地方公共団体の長等が議場に出席することに関する質問主意書  地方自治法第百二十一条第一項においては、「普通地方公共団体の長、教育委員会の教育長、選挙管理委員会の委員長、人事委員会の委員長又は公平委員会の委員長、公安委員会の委員長、労働委員会の委員、農業委員会の会長及び監査委員その他法律に基づく委員会の代表者又は委員並びにその委任又は嘱託を受けた者は、議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、議場に出席しなければならない。」と規定されている。また、地方公共団体の議会(以下「地方議会」)の本会議の質疑においては、事前通告制が採用されており、本会議の前に、当該地方公共団体の執行機関の誰が当該本会議において説明を求められているかは明らかになっている。  しかし、地方議会において、普通地方公共団体の長、教育委員会の教育長、選挙管理委員会の委員長、人事委員会の委員長又は公平委員会の委員長、公安委員会の委員長、労働委員会の委員、農業委員会の会長及び監査委員その他法律に基づく委員会の代表者又は委員並びにその委任又は嘱託を受けた者(以下、「部長等」)が、答弁の予定がなくても地方議会の本会議への出席を求められているケースが散見される。すなわち、答弁予定がなくても部長等は本会議に全員出席としている地方議会が少なくない。  地方議会の本会議の開催日に、部長等が朝から夕方まで議場に拘束されてしまうのは、行政事務の効率を妨げることになりかねない。  そこで、以下、質問する。 一 答弁の予定がない部長等に対して、地方議会の議長が出席を求めるのは、地方自治法第百二十一条に違反すると考えるが政府の見解如何。 二 地方議会の議長が、部長等に対して、本議会の審議を聴かせるために本会議への出席を求めることは、地方自治法第百二十一条に違反すると考えるが政府の見解如何。 三 議会の運営のあり方について、国会の本会議においては、雛壇に座るのは答弁予定の大臣のみである。地方議会における地方自治法第百二十一条第一項の運用について、国会を参考にすることを提案するが政府の見解如何。  右質問する。
b208072
衆議院議員櫻井周君提出地方公共団体の議会の本会議において議会の審議に必要な説明をすることがないのに普通地方公共団体の長等が議場に出席することに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月三日受領 答弁第七二号   内閣衆質二〇八第七二号   令和四年六月三日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出地方公共団体の議会の本会議において議会の審議に必要な説明をすることがないのに普通地方公共団体の長等が議場に出席することに関する質問に対する答弁書 一から三までについて  御指摘の「答弁の予定がない部長等に対して、地方議会の議長が出席を求める」及び「地方議会の議長が、部長等に対して、本議会の審議を聴かせるために本会議への出席を求める」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「議会の運営」において、御指摘の「部長等」は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百二十一条第一項に基づき「議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、議場に出席しなければならない」とされているところであり、「議会の審議に必要な説明のため」具体的にどのような場合に出席を求めるかについては、各地方議会の議長において適切に判断されるべきものと考えている。
a208073
脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案に関する質問主意書
令和四年五月二十六日提出 質問第七三号 脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案に関する質問主意書  今国会に政府が提出した本法律案に関係する事項について質問いたします。 一 諸外国においては、省エネ基準適合義務の例外措置として、歴史的な価値を保護する建物、二年以内の使用が想定される仮設建築物、エネルギー需要の少ない工場、非居住用の農業用建物、外気に開放されている建築物等が設けられています。本法律案施行後、建築物に対する断熱化等の義務の例外となる建物はどのような建築物でしょうか。 二 建築基準法第六条の四第一項第三号に基づき、建築士が設計した木造二階建て以下、且つ、五百平方メートル以下の建築物は、所謂四号特例により、確認時には一部の審査が省略されていました。本法律案施行後は木造二階建てが二号となり、建築申請手続き時の審査が義務となり審査数が増加します。建築主の申請事務作業や自治体の審査・確認業務が義務となり行政側の審査が追いつかず、審査をする側の専門性の欠如や人員不足による間違いが起きかねないと憂慮しています。各自治体の審査体制の拡充を国土交通省としてどのように支援していくのかお答えください。 三 改正案に盛り込まれた建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律第六十七条の二等によって建築物再生可能エネルギー利用促進区域における再生可能エネルギーの導入促進が図られます。地球温暖化を抑えるために、屋根上の太陽光発電の導入は歓迎するところですが、震災が起きた時の対処方法について周知されているとは言い難く、太陽光パネルが損壊・破損した時の取り扱いを法律施行に合わせて周知すべきと考えますがいかがでしょうか。 四 経済産業省及び環境省のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の補助金の申請は、一般社団法人環境共創イニシアチブに登録されているZEHビルダー/プランナーが設計、建築や改修、又は販売している建築物のみが対象となるのでしょうか。 五 太陽光パネルは二十年から三十年で交換が想定されています。屋根上の太陽光パネルが推奨され、数十年後に古い太陽光発電パネルが屋根にのったまま空き家となることが想定されます。点検が行われず老朽化したモジュールやケーブルから火災が発生するような事態も想定されます。太陽光発電を促進するのであれば、長期的にパネルが放置された場合の影響についても検証すべきと考えますがいかがでしょうか。  右質問する。
b208073
衆議院議員神津たけし君提出脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月七日受領 答弁第七三号   内閣衆質二〇八第七三号   令和四年六月七日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員神津たけし君提出脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「建築物に対する断熱化等の義務の例外」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現在国会で審議中の脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律案(以下「法案」という。)第二条の規定による改正後の建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(平成二十七年法律第五十三号。以下「新法」という。)第二十条においては、現行の建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(以下「現行法」という。)第十八条と同様の適用除外規定が設けられており、新法第二十条の委任に基づく政令においても現行法第十八条の委任に基づく建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律施行令(平成二十八年政令第八号)第七条の規定と同様の内容を定める予定である。 二について  法案第四条の規定による改正後の建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第六条第一項及び第六条の二第一項の規定に基づく建築物の建築に関する確認(以下「建築確認」という。)に係る審査体制については、建築確認の申請者、建築主事(同法第四条第一項に規定する建築主事をいう。)及び指定確認検査機関(同法第七十七条の二十一第一項に規定する指定確認検査機関をいう。)における事務負担の軽減に資する建築確認に係る手続のデジタル化等を推進することにより支援してまいりたい。 三について  政府としては、災害等が発生した場合に備えて、太陽光発電設備の破損を防止するために保守点検に万全を期すこと、破損したパネルを発見した場合には当該パネルに近づかないようにすること等の注意喚起を行っているところであり、引き続き、こうした取組を続けてまいりたい。 四について  お尋ねの経済産業省及び環境省が実施するZEH(快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した住宅)の購入に対する補助事業であるネット・ゼロ・エネルギー・ハウス実証事業及び戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業においては、一般社団法人環境共創イニシアチブに登録されたZEHビルダー又はプランナーが設計し、建築し又は販売するZEHを施主が購入する場合に限り、補助の対象としている。 五について  一般論として、太陽光発電設備が長期間適切に保守管理されなかった場合には、パネルの破損、ケーブルの破断、パワーコンディショナーの故障による感電事故や電気火災等が発生するおそれがあるほか、太陽光パネルの架台にさびやボルトの緩みが生じることにより、当該太陽光発電設備の損壊等が発生するおそれがあるものと承知しており、引き続き太陽光パネル等の安全性に関する技術上の調査に努めてまいりたい。
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豚肉輸入と通商法との関係に関する質問主意書
令和四年五月二十七日提出 質問第七四号 豚肉輸入と通商法との関係に関する質問主意書 一 環太平洋パートナーシップ協定合意時、政府は豚肉輸入に関し「関税が発効後十年目に従量税五十円/kg・従価税無税に削減されるが、引き続き『分岐点価格で課税額が最小になる』仕組みは維持されており、基本的にはコンビネーション輸入が行われると想定。」と説明していた。  1 今年度から従量税部分が七十円/kgとなった。本日、確報が公表される今年四月分の貿易統計において、基本的にはコンビネーション輸入が行われていたか。統計上の数字を提示の上、答弁ありたい。  2 発効後十年目に従量税部分が五十円/kgとなる場合でも、基本的にはコンビネーション輸入が行われると想定しているか。 二 一般的に通商法において、「可変輸入課徴金」とは、輸入貨物に課せられる一種の課徴金であって、その金額が個別の法令上又は行政上の措置を要しない仕組みにより自動的に絶えず変化し、かつ、不透明で予測不可能なもの、「最低輸入価格」とは、輸入貨物の価格としきい値価格との差額に基づいて決定される関税を課することによって、当該輸入貨物が当該しきい値価格を下回って国内市場に入ることのないようにする措置と考えられている。そして、政府は累次答弁にて、豚肉の差額関税制度は「可変輸入課徴金」にも、「最低輸入価格」にも当たらないとしている。  1 差額関税制度は以下のいずれに該当するから、可変輸入課徴金に当たらないのか。要件毎に具体的な制度に即して答弁ありたい。   ア 輸入貨物に課せられる一種の課徴金ではない。   イ その金額が個別の法令上又は行政上の措置を要しない仕組みにより自動的に絶えず変化しない。   ウ 不透明で予測不可能なものではない。  2 差額関税制度は以下のいずれに該当するから、最低輸入価格に当たらないのか。要件毎に具体的な制度に即して答弁ありたい。   ア 輸入貨物の価格としきい値価格との差額に基づいて決定される関税を課していない。   イ 輸入貨物がしきい値価格を下回って国内市場に入ることのないようにする措置ではない。 三 衆議院議員緒方林太郎君提出差額関税制度に関する質問に対する答弁書(内閣衆質二〇七第三号)の「二について」において、累次政府答弁にあるような差額関税制度の「機能」については、平成十七年七月に農林水産省が開催した「平成十七年度第一回養豚問題懇談会」で説明したことがあるとの答弁があった。  1 同懇談会以降、環太平洋パートナーシップ協定交渉開始までの間、対外的にそのような説明をした他の事例はあるか。  2 WTO農業協定発効以降、同懇談会までの間、対外的にそのような説明をした他の事例はあるか。  3 政府は、差額関税制度の「機能」に関し、常に同懇談会で行ったような説明を対外的にしてきたか。  右質問する。
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衆議院議員緒方林太郎君提出豚肉輸入と通商法との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月七日受領 答弁第七四号   内閣衆質二〇八第七四号   令和四年六月七日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員緒方林太郎君提出豚肉輸入と通商法との関係に関する質問に対する答弁書 一の1について  財務省の「貿易統計」によれば、令和四年四月の豚肉の輸入量は約十万九千トンであり、このうち、一キログラム当たり七十円の従量税が課される一キログラム当たり三百九十九円未満の価格の豚肉以外の豚肉の輸入量は約十万三千トンである。当該豚肉については、豚肉の輸入業者からの聞き取りを踏まえると、基本的に高価格の部位と低価格の部位を組み合わせて輸入されている豚肉であると考えている。 一の2について  お尋ねについては、御指摘のとおり想定している。 二の1について  御指摘の「累次答弁」及び「差額関税制度は以下のいずれに該当するから、可変輸入課徴金に当たらないのか。要件毎に具体的な制度に即して答弁ありたい」の意味するところが必ずしも明らかではないが、豚肉の差額関税制度は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書一Aの農業に関する協定第四条2に規定する通常の関税であり、また、我が国が締結している経済連携協定等又は関係国内法令によりあらかじめ定められた関税率が適用されている関税であるため、「輸入貨物に課せられる一種の課徴金ではない」こと、「その金額が個別の法令上又は行政上の措置を要しない仕組みにより自動的に絶えず変化しない」こと及び「不透明で予測不可能なものではない」ことから、御指摘の「可変輸入課徴金」には当たらないと考えている。 二の2について  御指摘の「累次答弁」及び「差額関税制度は以下のいずれに該当するから、最低輸入価格に当たらないのか。要件毎に具体的な制度に即して答弁ありたい」の意味するところが必ずしも明らかではないが、豚肉の差額関税制度は、一定の基準輸入価格を基に定められる分岐点価格を境に、分岐点価格を超える価格の豚肉にあっては従価税を、分岐点価格以下の価格の豚肉にあっては従量税を課すとともに、分岐点価格前後の価格の豚肉について課税後の価格が逆転しないよう関税の率を定めているものであり、また、当該制度において分岐点価格より高価格の部位と低価格の部位を組み合わせ、一括して課税価格を算出して豚肉を輸入すること又は従量税を納めて豚肉を輸入することにより、基準輸入価格未満の価格の豚肉を輸入することも可能であることから、「輸入貨物の価格としきい値価格との差額に基づいて決定される関税を課していない」こと及び「輸入貨物がしきい値価格を下回って国内市場に入ることのないようにする措置ではない」ことから、御指摘の「最低輸入価格」には当たらないと考えている。 三の1及び2について  農林水産省において保存されている生産者団体等を対象とした説明会等の議事録を確認した範囲では、お尋ねの「対外的にそのような説明をした他の事例」に当たる議事録は確認できなかった。 三の3について  お尋ねについては、御指摘の豚肉の「差額関税制度の「機能」」について「同懇談会で行ったような説明を対外的にしてきたか」について網羅的に把握していないため、お答えすることは困難である。
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個別的自衛権の行使に関する質問主意書
令和四年五月三十一日提出 質問第七五号 個別的自衛権の行使に関する質問主意書  昭和五十六年六月三日の衆議院法務委員会において、個別的自衛権について、角田禮次郎内閣法制局長官(当時)が次のような答弁をしている。  ○角田(禮)政府委員 (略)いわゆる個別的自衛権、こういうものをわが国が国際法上も持っている、それから憲法の上でも持っているということは、御承認願えると思います。  ところが、個別的自衛権についても、その行使の態様については、わが国におきましては、たとえば海外派兵はできないとか、それからその行使に当たっても必要最小限度というように、一般的に世界で認められているような、ほかの国が認めているような個別的自衛権の行使の態様よりもずっと狭い範囲に限られておるわけです。そういう意味では、個別的自衛権は持っているけれども、しかし、実際にそれを行使するに当たっては、非常に幅が狭いということを御了解願えると思います。(以下略)  政府は、個別的自衛権についてこの答弁で述べられた立場を維持しているのか。  右質問する。
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衆議院議員緒方林太郎君提出個別的自衛権の行使に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十日受領 答弁第七五号   内閣衆質二〇八第七五号   令和四年六月十日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員緒方林太郎君提出個別的自衛権の行使に関する質問に対する答弁書  御指摘の昭和五十六年六月三日の衆議院法務委員会における角田禮次郎内閣法制局長官(当時)の答弁において示された政府の見解に変更はない。
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プライマリーバランス黒字化に関する質問主意書
令和四年五月三十一日提出 質問第七六号 プライマリーバランス黒字化に関する質問主意書  「経済財政運営と改革の基本方針二〇二一」においては、財政健全化目標として、二〇二五年度の国・地方を合わせたプライマリーバランス黒字化を目指すことが記載された。六月に策定予定の「経済財政運営と改革の基本方針二〇二二」において、二〇二五年度のプライマリーバランス黒字化を目指すことが記載されるのか否かについては、現時点では明らかではないが、本年五月十六日の令和四年第六回経済財政諮問会議の鈴木議員提出資料「財政制度等審議会の建議の方向」においては、「二〇二五年度PB黒字化等の目標を堅持し」と記載され、財政制度等審議会が本年五月二十五日に取りまとめた建議「歴史の転換点における財政運営」においては、「Ⅰ.総論」の「2.財政健全化目標の堅持の必要性」中「(2)重要性増すプライマリーバランス黒字化目標」等で、プライマリーバランス黒字化達成の必要性が強調されている。  そこで、以下質問する。 一 二〇二五年度の国・地方を合わせたプライマリーバランス黒字化を目指すことがなぜ必要なのか、根拠を示されたい。 二 プライマリーバランス黒字化を財政健全化の目標として採用している国はあるか、政府として把握しているところを教示されたい。 三 我が国においては、プライマリーバランス黒字化を、いつから、なぜ財政健全化の目標として用いることとなったのか、教示されたい。  右質問する。
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衆議院議員落合貴之君提出プライマリーバランス黒字化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十日受領 答弁第七六号   内閣衆質二〇八第七六号   令和四年六月十日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員落合貴之君提出プライマリーバランス黒字化に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねについては、二千二十五年度の国・地方を合わせたプライマリーバランス(以下「基礎的財政収支」という。)の黒字化を財政健全化目標とした「経済財政運営と改革の基本方針二〇一八」(平成三十年六月十五日閣議決定)において、「少子高齢化の進展や現役世代の減少などの人口構造の変動を踏まえれば、団塊世代が七十五歳に入り始めるまでに、社会保障制度の基盤強化を進め、全ての団塊世代が七十五歳以上になるまでに、財政健全化の道筋を確かなものとする必要がある。」とされている。 二について  お尋ねの「プライマリーバランス黒字化を財政健全化の目標として採用している国」については、現時点で、政府として把握しているわけではない。なお、欧州連合加盟国においては、基礎的財政収支に利払費を加えた財政収支を基準としたルールが設定されていると承知している。 三について  お尋ねの「プライマリーバランス」については、「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(平成十三年六月二十六日閣議決定。以下「骨太方針二〇〇一」という。)において、「平成十四年度において、財政健全化の第一歩として、国債発行を三十兆円以下に抑制することを目標とする。その後、プライマリーバランスを黒字にすることを目標として政策運営を行う。」とされた。  また、骨太方針二〇〇一において、「本格的な財政再建に取り組む際の中期目標として、まずは「プライマリーバランスを黒字にすること(過去の借金の元利払い以外の歳出は新たな借金に頼らないこと)」を目指すことが適切である。」とされ、その意義として、「現在の行政サービスにかかる費用は、将来の世代に先送りすることなく現在の税収等で賄うということであり、世代間の公平を図る上で重要である。」ということ及び「財政の中長期的な持続可能性を回復するためにも、プライマリーバランスを黒字にすることが、その前提となる。・・・金利が成長率を上回っている場合、つまり、元本と利子の合計がGDP以上のスピードで増える状況では、債務残高が対GDP比で増大することを止めるためには、まずは、元利払い以上の借金を新たに行わないことが必要条件となる。」ということが挙げられている。
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内閣官房及び内閣府のスリム化に関する質問主意書
令和四年六月一日提出 質問第七七号 内閣官房及び内閣府のスリム化に関する質問主意書 一 平成二十七年一月二十七日の閣議決定「内閣官房及び内閣府の業務の見直しについて」3.(3)において、以下のような記述がある。  「今後、内閣官房及び内閣府への業務の追加は、その必要性を十分勘案した上で判断するとともに、新たな業務を法律によって追加する場合には、原則として内閣官房又は内閣府において当該業務を行う期限を設けることとする。」  1 同閣議決定の後、法律によって、内閣官房又は内閣府に新たに追加した業務をすべて列挙ありたい。また、追加の必要性に関し、業務毎に説明ありたい。  2 追加した業務の内、当該業務を行う期限を設けたものをすべて列挙ありたい。  3 業務を行う期限を設けなかったものについて、その理由を業務毎に説明ありたい。 二 また、同閣議決定4.において、「内閣官房及び内閣府の業務は経済社会情勢の変化に応じ随時点検すべきものであり、三年後を目途として、次回の全面的な見直しを行うこととする。」とある。どのような全面的な見直しを行ったのか。  右質問する。
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衆議院議員緒方林太郎君提出内閣官房及び内閣府のスリム化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十日受領 答弁第七七号   内閣衆質二〇八第七七号   令和四年六月十日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員緒方林太郎君提出内閣官房及び内閣府のスリム化に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「内閣官房及び内閣府の業務の見直しについて」(以下「平成二十七年閣議決定」という。)を閣議決定した平成二十七年一月二十七日以降に公布され、及び施行された法律により、①新たに内閣官房に追加された事務、②当該事務を行う期限の定め(見直しを行う旨の条文を含む。)の有無及び③②が「無」の場合のその理由をお示しすると、それぞれ次のとおりである。  ①東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部に関する事務 ②有  ①官民データ活用推進戦略会議に関する事務 ②無 ③当該事務の性質上、業務を行う期限の定めを設けることが困難であるため  ①ギャンブル等依存症対策推進本部に関する事務 ②有  ①アイヌ政策推進本部に関する事務 ②有  ①国際博覧会推進本部に関する事務 ②有  ①新型インフルエンザ等対策推進会議に関する事務 ②無 ③当該事務の性質上、業務を行う期限の定めを設けることが困難であるため  ①内閣法(昭和二十二年法律第五号)第十二条第二項第二号から第五号までに掲げる事務であって、国家安全保障に関する重要事項のうち、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和三年法律第八十四号)に基づく重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止に関する政策の基本方針に関する事務 ②有  また、同日以降に公布され、及び施行された法律により、①新たに内閣府に追加された事務、②当該事務を行う期限の定め(見直しを行う旨の条文を含む。)の有無及び③②が「無」の場合のその理由をお示しすると、それぞれ次のとおりである。  ①国家戦略特別区域法(平成二十五年法律第百七号)第十六条の四第三項に規定する指針の作成に関する事務 ②無 ③当該事務の性質上、業務を行う期限の定めを設けることが困難であるため  ①女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成二十七年法律第六十四号)第五条第一項に規定するものをいう。)の策定及び推進に関する事務 ②有  ①活動火山対策特別措置法(昭和四十八年法律第六十一号)第二条第一項に規定する活動火山対策の総合的な推進に関する基本的な指針の策定に関する事務及び同法第三条第一項に規定する火山災害警戒地域の指定に関する事務 ②有  ①中心市街地の活性化(中心市街地の活性化に関する法律(平成十年法律第九十二号)第一条に規定するものをいう。)の総合的かつ一体的な推進を図るための基本的な政策に関する事務 ②無 ③当該事務の性質上、業務を行う期限の定めを設けることが困難であるため  ①都市の再生(都市再生特別措置法(平成十四年法律第二十二号)第一条に規定するものをいう。)及びこれと併せた都市の防災に関する機能の確保を図るための基本的な政策に関する事務 ②無 ③当該事務の性質上、業務を行う期限の定めを設けることが困難であるため  ①知的財産(知的財産基本法(平成十四年法律第百二十二号)第二条第一項に規定するものをいう。)の創造、保護及び活用の推進を図るための基本的な政策に関する事務 ②無 ③当該事務の性質上、業務を行う期限の定めを設けることが困難であるため  ①構造改革特別区域(構造改革特別区域法(平成十四年法律第百八十九号)第二条第一項に規定するものをいう。)における経済社会の構造改革の推進及び地域の活性化を図るための基本的な政策に関する事務 ②無 ③当該事務の性質上、業務を行う期限の定めを設けることが困難であるため  ①地域再生(地域再生法(平成十七年法律第二十四号)第一条に規定するものをいう。)の総合的かつ効果的な推進を図るための基本的な政策に関する事務 ②無 ③当該事務の性質上、業務を行う期限の定めを設けることが困難であるため  ①道州制特別区域(道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律(平成十八年法律第百十六号)第二条第一項に規定するものをいう。)における広域行政(同条第二項に規定するものをいう。)の推進を図るための基本的な政策に関する事務 ②無 ③当該事務の性質上、業務を行う期限の定めを設けることが困難であるため  ①総合特別区域(総合特別区域法(平成二十三年法律第八十一号)第二条第一項に規定するものをいう。)における産業の国際競争力の強化及び地域の活性化の推進を図るための基本的な政策に関する事務 ②無 ③当該事務の性質上、業務を行う期限の定めを設けることが困難であるため  ①地域再生法第十三条第一項の交付金に関する事務(同法第五条第四項第一号ロに掲げる事業に要する経費に充てるための交付金については、当該交付金を充てて行う事業に関する関係行政機関の経費の配分計画に関することに限る。) ②有  ①成年後見制度利用促進基本計画(成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成二十八年法律第二十九号)第十二条第一項に規定するものをいう。)の策定及び推進に関する事務 ②有  ①特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法(平成二十八年法律第四十三号)第三条第一項に規定する特定国立研究開発法人による研究開発等を促進するための基本的な方針の策定及び推進に関する事務 ②有  ①海洋に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な政策に関する事務 ②無 ③当該事務の性質上、業務を行う期限の定めを設けることが困難であるため  ①有人国境離島地域(有人国境離島地域の保全及び特定有人国境離島地域に係る地域社会の維持に関する特別措置法(平成二十八年法律第三十三号)第二条第一項に規定するものをいう。)の保全及び特定有人国境離島地域(同条第二項に規定するものをいう。)に係る地域社会の維持に関する総合的な政策の企画及び立案並びに推進に関する事務並びに計画(同法第十条第一項に規定するものをいう。)に基づき実施する事業に係る経費の見積りその他の当該事業に関する事務(他省の所掌に属するものを除く。) ②有  ①休眠預金等(民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律(平成二十八年法律第百一号)第二条第六項に規定するものをいう。)に係る資金の活用に関する事務(金融庁の所掌に属するものを除く。) ②有  ①衛星リモートセンシング記録の適正な取扱いの確保に関する法律(平成二十八年法律第七十七号)に基づく宇宙開発利用に関する施策に関する事務(他省の所掌に属するものを除く。) ②有  ①国家戦略特別区域法第十六条の五第三項に規定する指針の作成に関する事務 ②無 ③当該事務の性質上、業務を行う期限の定めを設けることが困難であるため  ①人工衛星等の打上げ及び人工衛星の管理に関する法律(平成二十八年法律第七十六号)に基づく宇宙開発利用に関する施策に関する事務(他省の所掌に属するものを除く。) ②有  ①匿名加工医療情報(医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(平成二十九年法律第二十八号)第二条第三項に規定するものをいう。)に関する施策に関する事務(他省の所掌に属するものを除く。) ②有  ①政治分野における男女共同参画の推進に関する法律(平成三十年法律第二十八号)の施行に関する事務(他省の所掌に属するものを除く。) ②無 ③当該事務の性質上、業務を行う期限の定めを設けることが困難であるため  ①地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律(平成三十年法律第三十七号)第四条第一項に規定する基本指針の策定に関する事務、同法第五条第一項に規定する計画の認定に関する事務及び同法第十一条の交付金に関する事務 ②有  ①生産性向上特別措置法(平成三十年法律第二十五号)第三十二条第一項に規定する事務 ②有  ①アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律(平成三十一年法律第十六号)第十条第一項に規定するアイヌ施策推進地域計画の認定に関する事務及び同法第十五条第一項の交付金に関する事務 ②有  ①棚田地域振興法(令和元年法律第四十二号)の施行に関する事務(他省の所掌に属するものを除く。) ②有  ①大学等における修学の支援(大学等における修学の支援に関する法律(令和元年法律第八号)第三条に規定するものをいう。)に関する関係行政機関の経費の配分計画に関する事務 ②有  ①地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律(令和元年法律第六十四号)に基づく特定地域づくり事業協同組合(同法第二条第三項に規定する特定地域づくり事業協同組合をいう。)の安定的な運営を確保するための事業に関する関係行政機関の経費の配分計画に関する事務 ②有  ①健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出(健康・医療戦略推進法(平成二十六年法律第四十八号)第一条に規定するものをいう。)の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な政策に関する事務並びに医療分野の研究開発及びその環境の整備に関する予算、人材その他の資源の配分の方針に関する事務 ②無 ③当該事務の性質上、業務を行う期限の定めを設けることが困難であるため  ①公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律(令和三年法律第三十八号)の規定による特定公的給付の指定に関する事務 ②有  ①預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律(令和三年法律第三十九号)の規定による預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理及び災害時又は相続時における預貯金口座に関する情報の提供に関する制度に関する事務(他省の所掌に属するものを除く。) ②有  ①産業競争力強化法(平成二十五年法律第九十八号)第十四条の三第一項に規定する事務 ②有  ①障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(令和四年法律第五十号)の施行に関する事務(デジタル庁及び他省の所掌に属するものを除く。) ②無 ③当該事務の性質上、業務を行う期限の定めを設けることが困難であるため  ①重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律に基づく重要施設の施設機能及び国境離島等の離島機能を阻害する土地等の利用の防止のための基本的な政策に関する事務並びに同法に基づく土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する事務 ②有  お尋ねのこれらの事務の「追加の必要性」については、内閣官房及び内閣府の基本的性格及び任務を踏まえつつ、それぞれの事務ごとに、内閣官房又は内閣府が所掌する事務との関連性や、内閣総理大臣が政府全体の見地から管理することがふさわしい事務であるかどうか等の観点から、総合的に判断されたものである。 二について  内閣官房及び内閣府においては、御指摘の平成二十七年閣議決定において、「内閣官房及び内閣府の業務は経済社会情勢の変化に応じ随時点検すべきものであり、三年後を目途として、次回の全面的な見直しを行うこととする」とされたこと等を踏まえ、内閣が取り組もうとする政策課題についてより機動的に対応し、重要政策に関する司令塔機能など本来の役割を十分発揮できるよう、既存の事務の不断の見直しを行い、できるだけ組織を効率的なものとしていく観点から、組織の統合や廃止等の必要な対応を行ってきているところである。
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銀行による不動産業務への進出に関する質問主意書
令和四年六月一日提出 質問第七八号 銀行による不動産業務への進出に関する質問主意書  銀行が不動産仲介業に参入したり、保有不動産の賃貸を自由化した場合、銀行にとって他業を営むことによるリスクが発生する懸念があるのみならず、過剰融資や抱き合わせ営業による利益相反やモラルハザードを発生させ、また、優越的地位の濫用につながるなど、消費者及び不動産市場全体に多大な不利益を生じさせる懸念があり、銀行の不動産仲介業参入及び保有不動産の賃貸自由化について認めるべきではないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。  右質問する。
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衆議院議員山本有二君提出銀行による不動産業務への進出に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十日受領 答弁第七八号   内閣衆質二〇八第七八号   令和四年六月十日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員山本有二君提出銀行による不動産業務への進出に関する質問に対する答弁書  御指摘の「不動産仲介業」が宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第二号に規定する宅地建物取引業のことであるとすれば、銀行は、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第十二条の規定に基づき、その業務として、当該宅地建物取引業を営むことはできない。銀行が当該宅地建物取引業を営むことは、銀行の健全性の確保や利益相反が生じるおそれ等に十分留意する必要があるため、お尋ねの「不動産仲介業参入」については、関係者の意見を踏まえつつ、中長期的な検討を要するものであり、直ちにこれを認めることは困難であると考える。  また、お尋ねの「保有不動産の賃貸自由化」については、金融庁が定めた「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」(以下これらを合わせて「監督指針」という。)に基づき、銀行の保有不動産の賃貸に係る業務が、銀行法第十条第二項に規定する「その他の銀行業に付随する業務」の範ちゅうにあるかどうかを判断することとしており、銀行が無制限に当該賃貸に係る業務を行えるものではなく、同庁としては引き続き、監督指針に則り、銀行の保有不動産の賃貸に係る業務の「その他の銀行業に付随する業務」への該当性について判断してまいりたい。
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欧米で禁止の農薬に関する再質問主意書
令和四年六月一日提出 質問第七九号 欧米で禁止の農薬に関する再質問主意書  欧米で使用が禁止されている農薬についてお尋ねする。  二〇二二年四月二十日の衆議院厚生労働委員会において、欧米で禁止されている農薬について、その理由に関する質問をした。  有機リン系の殺虫剤クロルピリホスは二〇二二年二月に米国で食用作物への使用が禁止となったが、その理由について政府は「食品、飲料水等からの暴露量が神経毒性及び発達神経毒性の懸念されるレベルを超えることを踏まえ」と答弁した。  この有機リン系の殺虫剤クロルピリホスは、二〇二〇年一月にEUでも使用が禁止された。その理由について政府は「遺伝毒性に懸念があること、発達神経毒性に影響が認められ、生殖毒性が懸念されること」と答弁した。  日本では使用されている農薬であり、大変、心配になる答弁である。政府は過去にチェックしているので、再度、安全性のチェック・検証はしないという立場を崩してない。  二〇二二年四月二十日の衆議院厚生労働委員会において、国立国会図書館専門調査員にクロルピリホスについて、「発達障害との関連性を疑うような、そういう論文について御紹介いただければと思います」と質問したところ以下の答弁があった。  樋口国立国会図書館専門調査員「クロルピリホスでございますけれども、雑誌「科学」の二〇二二年三月号に掲載されました遠山千春氏、木村・黒田純子氏らの論文は、クロルピリホスの暴露を胎児期から小児期にかけて受けた同一の児童を長年にわたり追跡してきた米国の疫学的研究を紹介しており、これによれば、建材用クロルピリホスの胎児期の暴露量が多いと精神発達への影響が顕著になること、クロルピリホスを含む有機リン系農薬の胎児期の暴露と、記憶力、知能指数の低下や注意欠如症状の増加との関係が認められたこと、胎児期の有機リン系農薬の暴露で、学童期に精神発達が遅延することなどが挙げられております」  そこでお尋ねする。  岸田内閣は、この樋口国立国会図書館専門調査員の答弁にある「米国の疫学的研究」についてご存じか。  また、その研究では「クロルピリホスを含む有機リン系農薬の胎児期の暴露と、記憶力、知能指数の低下や注意欠如症状の増加との関係が認められたこと、胎児期の有機リン系農薬の暴露で、学童期に精神発達が遅延する」ということが示されているということは事実か。政府の把握しているところを答えられたい。この研究結果について、岸田内閣はどう評価しているか。  また、岸田内閣は、この疫学的研究以外の、クロルピリホスが人体にどのような影響を及ぼすのかについて調査・研究した世界の論文をどの程度、ご存じなのか、またそれらの論文への評価もお示し願いたい。  岸田内閣は、海外での疫学的研究で、健康被害のおそれが確認できた場合は、農薬としてのクロルピリホスの使用について、なんらかの調査・検証を実施するおつもりはあるのか否か、お教え願いたい。  また、本来は人体への影響を確認した上で、使用を禁止すべきと考えるが、いかがか。  右質問する。
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衆議院議員長妻昭君提出欧米で禁止の農薬に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十日受領 答弁第七九号   内閣衆質二〇八第七九号   令和四年六月十日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出欧米で禁止の農薬に関する再質問に対する答弁書  御指摘の「樋口国立国会図書館専門調査員の答弁」において言及されている「遠山千春氏、木村・黒田純子氏らの論文」において「米国の三つの大学の研究者が別々に行った疫学調査」の記載があることは承知しているが、当該「疫学調査」が具体的にどの疫学研究を指すのかが明らかではないため、御指摘の「米国の疫学的研究」に係るお尋ねにお答えすることは困難である。  お尋ねのような「世界の論文」について網羅的にお答えすることは困難であるが、クロルピリホスの人の健康に及ぼす影響に関する論文として、例えば、平成二十三年四月二十一日に「Environmental Health Perspectives」に掲載された論文「Seven-Year Neurodevelopmental Scores and Prenatal Exposure to Chlorpyrifos, a Common Agricultural Pesticide」があることは承知している。平成三十年七月二十四日にクロルピリホスの食品を通じた人の健康に及ぼす影響について食品安全委員会において食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)第十一条第一項に規定する食品健康影響評価(以下「食品健康影響評価」という。)の結果を取りまとめた際には、当該論文に記載された人の健康に及ぼす影響について、「クロルピリホスの摂取との直接的な関連が不明確であり」、当該論文を食品健康影響評価に用いることは困難であると判断している。  クロルピリホスを有効成分とする農薬については、御指摘の「海外での疫学的研究で、健康被害のおそれが確認できた場合」に該当するか否かにかかわらず、農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)第八条第一項の規定による再評価を行うこととしており、当該再評価においては、御指摘の「海外での疫学的研究」も含め、「公表文献の収集、選択等のためのガイドライン」(令和三年九月二十二日農業資材審議会農薬分科会決定)及び「残留農薬の食品健康影響評価における公表文献の取扱いについて」(令和三年三月十八日食品安全委員会農薬第一専門調査会決定)に基づき収集、選択等をされた人に対する影響に関する公表文献を含む最新の科学的知見に基づく当該農薬の安全性その他の品質に関する審査を行うこととしている。また、当該審査の結果、同法第九条第二項の規定により当該農薬に係る同法第三条第一項に規定する登録について変更の登録をし、又は取り消した場合において、同法第十八条第二項の規定により当該農薬の使用に伴って農作物等の利用が原因となって人に被害を生ずるおそれがあることその他の事態が発生することを防止するため必要があるときは、農林水産大臣は当該農薬の販売の制限をし、又は禁止をすることができることとされており、当該禁止がされた農薬は同法第二十四条の規定によりその使用が禁止されることとなる。
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コロナ自宅死の実態調査に関する質問主意書
令和四年六月一日提出 質問第八〇号 コロナ自宅死の実態調査に関する質問主意書  二〇二二年五月二十六日衆議院予算委員会で二〇二二年五月に新型コロナウイルスでお亡くなりになった方が三万人を超えたことを受け、コロナ死の実態調査を岸田首相に要請した。  長妻委員が「実際、医療的ケアが受けられずにお亡くなりになった方はどのくらいおられるのか、何人に一人ぐらいなのか、そして、その教訓は何なのか、何が原因なのか、出来得る限り調査していただきたい」と質問したところ、岸田首相からは「過去を振り返りながら、将来のこうした感染症との戦いに備える意味からも、実態を把握し、検証していく、こういった姿勢は大事であると思っています」との回答があった。  今後、どのようなスケジュールで、どのように、どのような内容について実態を把握し、検証していくのか。  また、医療的ケアが受けられずにお亡くなりになった方はどのくらいおられるのか、何人に一人ぐらいなのか、そして、その教訓は何なのか、何が原因なのか、については、いつごろを目途に検証結果を発表するのか。  お示し願いたい。  右質問する。
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衆議院議員長妻昭君提出コロナ自宅死の実態調査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十日受領 答弁第八〇号   内閣衆質二〇八第八〇号   令和四年六月十日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出コロナ自宅死の実態調査に関する質問に対する答弁書  お尋ねの「医療的ケアが受けられずにお亡くなりになった方はどのくらいおられるのか、何人に一人ぐらいなのか」については、「医療的ケアが受けられずにお亡くなりになった方」の意味するところが必ずしも明らかではないが、自宅で死亡した新型コロナウイルス感染症の患者については、令和四年五月二十六日の衆議院予算委員会において、岸田内閣総理大臣が、「直接新型コロナが死因であるかどうか、それを確認するのが難しいケースもある」と答弁したとおり、その死因が明らかでない場合があり、その場合には、新型コロナウイルス感染症に係る医療が提供されなかったことによって死亡したかを判断することが困難であるため、新型コロナウイルス感染症に係る医療が提供されなかったことによって自宅で死亡した新型コロナウイルス感染症の患者の人数をお答えすることは困難である。  その他のお尋ねについては、厚生労働省においては、都道府県、保健所設置市及び特別区(以下「都道府県等」という。)に対して、自宅で死亡した新型コロナウイルス感染症の患者の事例について、死亡に至るまでの経緯等に関する調査を行い、同年四月二十七日に開催された厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリー・ボードの資料五「新型コロナ患者の自宅での死亡事例に関する自治体からの報告等について」において、「調査概要」、「結果概要」、「具体的な死亡事例について」及び「今後の対応」を感染症等に関する専門家に報告し、これを踏まえ、「令和四年一月以降の新型コロナウイルス感染症患者が自宅で死亡された事例を踏まえた自治体の対応について」(令和四年四月二十八日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)において、「各都道府県から報告のあった死亡事例」及び「自宅で死亡された事例を踏まえた取組事例」を都道府県等に周知しているところであり、現時点で同様の調査を行う具体的な予定は決まっていないが、今後も必要に応じ、都道府県等に対する調査を通じた実態の把握や事例の検証に努めてまいりたい。
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孤独死の全国調査に関する質問主意書
令和四年六月一日提出 質問第八一号 孤独死の全国調査に関する質問主意書  二〇二二年五月二十六日衆議院予算委員会で、孤独死が一体、何人おられるのか、政府は把握していないことが明らかになった。その上で、同委員会で政府に対して、孤独死の人数等の全国調査をやるべきとの観点から以下のやりとりをした。  長妻委員「孤独死が何人いるかぐらい把握するのは当たり前だと思うんですね、政府で。総理、いかがですか」  岸田首相「ご指摘の孤独死の把握については(略)そもそも定義を明らかにするところから始めなければならないと思います。定義を明らかにした上で実態を把握していく、こうした取組は政府としても進めていきたいと考えます」  そこでお尋ねする。「定義を明らかにした上で実態を把握」は、具体的に何を、どのように、いつまでにするのか。「実態を把握」とは、孤独死の人数も定義を明らかにした上で把握し、公表するということでよろしいか。孤独死人数の公表はいつごろを目途にされるのか。  右質問する。
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衆議院議員長妻昭君提出孤独死の全国調査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十日受領 答弁第八一号   内閣衆質二〇八第八一号   令和四年六月十日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出孤独死の全国調査に関する質問に対する答弁書  現在、御指摘の「孤独死」については、その実態の把握のために必要な用語の定義、把握方法等について検討しているところであり、現時点でお尋ねについて具体的にお答えすることは困難である。
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出産育児一時金の増額に関する質問主意書
令和四年六月一日提出 質問第八二号 出産育児一時金の増額に関する質問主意書  岸田首相は、令和四年一月の国会で「子ども政策に関する予算倍増」を表明した。そして、令和四年五月二十六日衆議院予算委員会の質疑の中で、岸田首相は、予算を倍増する子ども政策に関する予算の中には、出産育児一時金が含まれることを明らかにした。出産育児一時金も倍増とするのかという質問に対して、岸田首相は以下のように答弁した。  岸田首相「全ての項目を全部倍にするということは申し上げておりません。(略)トータルの予算について倍増を目指して努力したい」  そこでお尋ねする。出産育児一時金は少なくとも増額することを考えているのか。それはいつごろを目途に実施するのか。いくらぐらいの増額を想定しているのか。  また、改めてお尋ねするが、岸田内閣で「子ども政策に関する予算」を二倍にする、というのは本当なのか。  また、子ども政策に関する予算倍増、つまりトータルの予算倍増は、次期衆議院議員任期満了までには実施できる見込みか否か。  右質問する。
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衆議院議員長妻昭君提出出産育児一時金の増額に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十日受領 答弁第八二号   内閣衆質二〇八第八二号   令和四年六月十日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出出産育児一時金の増額に関する質問に対する答弁書  出産育児一時金については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二二」(令和四年六月七日閣議決定)において、「妊娠・出産支援として・・・出産育児一時金の増額を始めとして、経済的負担の軽減についても議論を進める」とされており、今後、令和三年度に厚生労働科学研究費補助金により実施した出産費用の実態把握に関する調査研究の結果等も踏まえ、お尋ねの支給額や実施時期も含めて検討してまいりたい。  また、「子ども政策に関する予算」については、期限や規模ありきではなく、こども家庭庁が設置されれば、同庁の下で、必要なこども政策を体系的に取りまとめ、社会全体での費用負担の在り方の検討と併せて、こども政策の充実に取り組むこととしている。
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いじめの重大事態の認定に関する質問主意書
令和四年六月二日提出 質問第八三号 いじめの重大事態の認定に関する質問主意書  二〇一三年にいじめ防止対策推進法及び同法に基づく「いじめの防止等のための基本的な方針」が策定・施行され、「いじめ」によることが疑われる不登校に関しては「重大事態」として対応することが法定化された。これにより、不登校の理由の的確な把握と対応が必要となり、いじめの顕在化に寄与することが期待されている。  一方で、同法第二十八条第一項第二号において「児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている」と記載されているのに対し、「いじめの防止等のための基本的な方針」においては「相当の期間」については不登校の定義を踏まえ年間三十日を目安とするとしており、現場ではこの三十日間を超えるかどうかで対応が大きく変わることが課題となっている。重大事態と認められた場合、調査を行う主体・組織には相当な負担が生じるため、三十日間に満たないように調整することが考えられる。また逆に、学校・教員に重大事態として対処してもらうために、三十日間欠席する児童生徒、保護者が現れることも考えられる。  三十日間の欠席という条件と、重大事案の認定に関して適切な対応が求められるため、以下質問する。 一 年間三十日以上の欠席が、いじめによるものか、自己都合による不登校か、どのような基準で判断されるのか。 二 欠席が年間三十日に満たないように、児童生徒が校門まで来ただけの日や保健室に来てすぐ帰ってしまったような日でも「出席」と算入させることで、学校側が欠席日数を調整してしまうおそれがあることについて、政府の見解はどうか。 三 仮に、いじめの加害者が被害者を装い、自身こそがいじめの対象であったと訴え年間三十日欠席した場合、重大事態と認められ調査することが義務となる。このような場合、重大事態の調査の途中で明らかに訴えの内容と相違していると判断できれば、調査の中断・完了などが可能なのか。教員や学校の負担増大を目的とした長期欠席が発生する可能性があることについて、政府はどのように対応するか。 四 同方針では「相当の期間」について年間三十日を目安とする一方、「ただし児童生徒が一定期間連続して欠席するような場合は迅速に調査に着手することが必要である」としている。年間三十日よりも、こちらの「一定期間の連続した欠席」を優先させることについて政府の見解はいかがか。 五 学校の設置者は調査を実施する学校に対して必要な指導、また、人的な措置も含めた適切な支援を行わなければならないとなっている。調査の支援だけでなく、教員の負担軽減のため、調査している期間に補助の教員を派遣することはできないか、政府の見解を求める。  右質問する。
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衆議院議員井坂信彦君提出いじめの重大事態の認定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十四日受領 答弁第八三号   内閣衆質二〇八第八三号   令和四年六月十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員井坂信彦君提出いじめの重大事態の認定に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「自己都合による不登校」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「不登校重大事態に係る調査の指針」(平成二十八年三月文部科学省初等中等教育局作成)においては、「不登校重大事態の場合は、欠席の継続により重大事態に至ることを早期の段階で予測できる場合も多いと思われることから、重大事態に至るよりも相当前の段階から設置者に報告・相談するとともに、踏み込んだ準備作業(既に実施した定期的なアンケート調査の確認、いじめの事実確認のための関係児童生徒からの聴取の確認、指導記録の記載内容の確認など)を行う必要がある。」としているところであり、これを踏まえ、学校の設置者又は学校において、いじめ防止対策推進法(平成二十五年法律第七十一号。以下「法」という。)第二十八条第一項第二号に規定する「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑い」の有無を判断することとなる。 二について  法第八条において「学校及び学校の教職員は、・・・学校全体でいじめの防止及び早期発見に取り組むとともに、当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。」と規定しており、お尋ねの「学校側が欠席日数を調整」することは適切ではないと考えている。 三について  お尋ねの「教員や学校の負担増大を目的とした長期欠席」の意味するところが必ずしも明らかではないが、法第二十八条第一項に規定する調査(以下「調査」という。)の目的等については、同項において「その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、・・・当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行う」と規定されていることから、お尋ねの「重大事態の調査の途中で明らかに訴えの内容と相違していると判断」される場合には、調査を終了することができる。文部科学省においては、こうした調査の目的等について、都道府県・指定都市等生徒指導担当者連絡会議等において、都道府県教育委員会等に対し周知を図っている。 四について  お尋ねの「年間三十日よりも、こちらの「一定期間の連続した欠席」を優先させる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、法第十一条第一項に規定するいじめ防止基本方針である「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成二十五年十月十一日文部科学大臣決定(最終改定 平成二十九年三月十四日))においては、法第二十八条第一項第二号に規定する「相当の期間」について「年間三十日を目安とする。ただし、児童生徒が一定期間、連続して欠席しているような場合には、上記目安にかかわらず、学校の設置者又は学校の判断により、迅速に調査に着手することが必要である。」としているところ、これを踏まえ、調査に着手するか否かは、学校の設置者又は学校において適切に判断すべきであり、「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(平成二十九年三月文部科学省作成)において「決して、安易に、重大事態として取り扱わないことを選択するようなことがあってはならない。」としているところである。 五について  お尋ねの「補助の教員を派遣すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、調査を実施する学校の教員の負担軽減のため、当該学校の設置者の判断により、教員を配置することは可能である。
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木材の高騰(ウッドショック)に対する政府の対策に関する質問主意書
令和四年六月二日提出 質問第八四号 木材の高騰(ウッドショック)に対する政府の対策に関する質問主意書  新型コロナウイルス感染症をきっかけに、輸入木材の値上がりが顕著となっている。米国では、郊外への住み替え需要が増しており、その建材である木材の供給が追い付いていない。隣国であるカナダが米国への木材の供給を行っているが、虫害などによる生産量の制限と相まって、価格の高騰を招いている。カナダから供給される木材の価格は、二○二一年には二○一九年の平均価格の約三・六倍にまで上昇した。  経済産業省の発表によると、我が国における木材・木製品・林産物の輸入価格は、二○二一年十二月には前年同月と比べて七十三%上昇している。また、合板は六十七%、丸太は二十七%といずれも上昇している。二○二二年以降はピークアウトすると言われていたが、依然として高水準で推移しており、合板や丸太は更に上昇継続が懸念されている。このままでは、建設費用への転嫁によって、住宅建設の着工が控えられ、建設不況をもたらすのではないかと心配されている。  こうした状況下で、当面は輸入木材への依存度を下げ国産材の利用を増やすことになるのだが、林野庁のデータでは国産材についても二○二一年六月以降、値上がりが続き、高止まりとなっている。  政府においては、木材の価格の安定、国産材の安定供給、環境への配慮を進めていく必要があると考え、以下質問する。 一 海外からの木材の調達先確保について、政府はどのように取り組んでいるか。 二 輸入木材の価格高騰に対し、税や手続きなどについて優遇措置を行うなど、対策を取るべきと考えるが、政府の見解はいかがか。 三 我が国では森林の約四割が木材生産のために育成された人工林である。そしてその多くは、植栽後三十~五十年を経過し収穫期を迎えている。ウッドショックの影響を少なくすべく、国産材を活用し木材自給率を高める必要があると考えるが、政府の見解はいかがか。 四 国産材の出荷にあたっては、林業者を支援し、建設業や消費者に価格転嫁の影響が少なくなるよう取り組むべきと考えるが、政府の見解はいかがか。 五 国産材の出荷は間伐にもなり、木と森の育成につながる。材木として使用できないものについては、合板や合成材への活用などを進め、計画的な人工林の間伐と出荷を進めるべきと考えるが、政府の見解はいかがか。 六 化石燃料や枯渇性資源に代わって、バイオマス燃料等の活用が重要になっている。端材、枝葉、樹皮などは燃料化して「カーボンニュートラル」を目指し、森林資源を最大限活用することを求めるが、政府の見解はいかがか。  右質問する。
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衆議院議員井坂信彦君提出木材の高騰(ウッドショック)に対する政府の対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十四日受領 答弁第八四号   内閣衆質二〇八第八四号   令和四年六月十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員井坂信彦君提出木材の高騰(ウッドショック)に対する政府の対策に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの輸入木材の「調達先確保」については、民間企業が木材の用途に応じて行っているものであり、政府としては、民間企業による安定的な輸入木材の「調達先確保」に資するよう、木材の輸入動向を取りまとめて毎月林野庁のウェブサイトに掲載するとともに、各国による木材の輸出規制等に関する情報を収集し、必要に応じて同ウェブサイトに掲載しているところである。 二について  輸入木材のうち、丸太等一部の木材は関税が無税とされており、また、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)及びこれまで我が国が締結した経済連携協定により、これらの協定が対象とする木材の関税の引下げ及び撤廃、物品の貿易手続の迅速化等を行ってきたところであり、政府としては、現時点において、御指摘の「輸入木材の価格高騰に対し、税や手続きなどについて優遇措置を行う」といった「対策」を講ずることは考えていない。 三及び四について  令和三年からの木材不足・木材価格の高騰を踏まえ、政府としては、国産材の安定供給を実現し、木材自給率を向上させることで、木材の国際的な需給のひっ迫の影響を受けにくい木材需給構造を構築し、「建設業や消費者」への木材不足・木材価格の高騰の影響を緩和することが重要であると考えており、このため、木材加工業者等による木材の乾燥施設等の整備、林業者による高性能林業機械の導入及び路網の整備等を支援しているところである。 五について  政府としては、健全な森林を育成し、森林の有する公益的機能を発揮させつつ、国産材の安定供給を実現するためには、間伐の実施と併せて、間伐材の利用の促進を図ることが重要であると考えており、このため、川上から川下までの関係者による間伐材を含む木材等の需給情報の共有を図るための会議を開催するとともに、間伐の実施と当該間伐により生産された間伐材を利用する合板工場等の木材加工流通施設の整備を支援すること等によって、計画的な間伐材生産を促進しているところである。 六について  政府としては、木質バイオマスをエネルギー源として利用することは、「カーボンニュートラル」の実現に資するものと考えており、木質バイオマスのエネルギー源としての利用の推進に当たっては、御指摘の「端材、枝葉、樹皮」も含めて、「森林資源を最大限活用する」こととしている。
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自衛隊におけるドローンの活用に関する質問主意書
令和四年六月二日提出 質問第八五号 自衛隊におけるドローンの活用に関する質問主意書  今般のロシアによるウクライナに対する侵攻においては、両軍が様々な用途でドローンを活用している。  二○二○年九月に発生した、ナゴルノカラバフ地域におけるアゼルバイジャンとアルメニアの戦闘において、無人機による戦果が世界に衝撃を与えた。アゼルバイジャン軍の戦法は、旧式の複葉機を無人飛行させ、囮として防空システムを反応させることにより対空攻撃拠点を発見し、その対空攻撃拠点にドローンによる攻撃をしかけるというものであった。その結果、人的被害を最小化しながら防空システムを破壊し、制空権を奪ったのである。使用されたドローンは、偵察と攻撃の複合機能を持つバイラクタルTB2と、レーダーを探知して突撃する自爆型のハーピーであり、多大な戦果を挙げたといわれている。この戦闘の結果を踏まえて、各国ではドローン戦争の時代到来として戦略の見直しを図っているといわれている。  我が国の自衛隊における無人機の活用については、予算計上され一部導入及び研究が行われている。また無人偵察機隊の編成も行われている。しかしながら、アメリカでは十年以内に千機以上の戦闘用ドローンを購入するともいわれており、世界各国が取り組む無人機の活用戦略からは大きく後れを取っている。  自衛隊の機能として攻撃に特化したドローンの運用は難しいとしても、偵察、迎撃、救助、輸送、囮、電子戦など、今後は無人機を活用した戦略が重要になると考え、以下質問する。 一 現在、自衛隊が保有するドローンについて、使用目的別の機数はどのようになっているか。 二 令和三年五月二十一日の安全保障委員会における岸防衛大臣の答弁では、「攻撃型のドローンにつきましては、現時点で具体的な取得計画はございません。」としている。偵察などと併せて防衛のために攻撃もできる複合型ドローンの取得について、政府の見解はいかがか。 三 無人機は航空機分野だけに留まるものではない。人的被害の最小化を考えると、車両や船舶の無人機を活用することも考えられるが、政府の見解はいかがか。 四 無人機の有効活用には、操縦とシステム管理が重要になってくる。自衛隊におけるドローン操縦士の育成と、システム管理ができる人材の育成について、どのように進めていくつもりか。 五 令和四年一月三十一日、自衛隊のF-一五戦闘機が墜落し、搭乗していた二名のパイロットの死亡が確認される痛ましい事故が発生した。原因は調査中であるが、空間識失調が推測されている。日常的な訓練が大事なのはもちろんであるが、ドローンによる偵察や、ドローンが訓練時の仮想敵を担うことで、パイロットの負担軽減が考えられるが、政府の見解はいかがか。 六 偵察用ドローンや輸送用ドローンは、災害時の活用が期待される。災害時専用のドローンだけでなく、軍事用ドローンを災害時にも活用することで日頃の訓練の成果が発揮できると考える。このように今後の無人機活用は、複合的にかつ効率的な運用をすべきと考えるが、政府の見解はいかがか。  右質問する。
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衆議院議員井坂信彦君提出自衛隊におけるドローンの活用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十四日受領 答弁第八五号   内閣衆質二〇八第八五号   令和四年六月十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員井坂信彦君提出自衛隊におけるドローンの活用に関する質問に対する答弁書 一について  自衛隊では、令和四年三月現在で、小型無人機(重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(平成二十八年法律第九号)第二条第三項に規定する小型無人機をいう。以下同じ。)を約千機保有しているが、情報収集をはじめとする様々な用途で使用しており、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。 二について  お尋ねの「複合型ドローン」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現時点で、御指摘のような偵察とともに攻撃を実施できる無人化された装備品の取得について具体的な計画はない。 三について  お尋ねに関し、無人化された装備品の導入により、搭乗員の生命及び身体に対する危険や負担を局限できると考えており、無人・自律型車両の研究や無人水中航走体の研究開発等について着実に取り組んでいる。引き続き、無人化された装備品についての我が国の防衛における重要性、技術動向や各国の運用状況等を踏まえつつ、無人化された装備品の着実な整備と積極的な活用を推進する考えである。 四について  お尋ねの「システム管理」の意味するところが必ずしも明らかではないが、自衛隊の保有する小型無人機の操縦者等の育成については、小型無人機を運用する部隊等において、運用上の所要に応じて行っているところであり、引き続き適切に行っていく考えである。 五について  お尋ねに関し、無人化された装備品の導入により、搭乗員の生命及び身体に対する危険や負担を局限できると考えている。 六について  お尋ねに関し、無人化された装備品について、着実な整備を進め、我が国の防衛に必要な警戒監視活動等の実施、災害対応等への積極的な活用を推進する考えである。
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国立競技場及び周辺整備に関する質問主意書
令和四年六月二日提出 質問第八六号 国立競技場及び周辺整備に関する質問主意書  東京五輪・パラリンピック(以下、東京大会)では、新たに改築された国立競技場が、開会式・閉会式をはじめとしたメイン会場として活用された。千五百億円を超える巨費を投じて建設され、我が国で最大の観客数を誇る国立競技場は、東京大会後にもレガシーとしての活用を期待されている。  東京大会実施前、「大会後の運営管理に関する検討ワーキングチーム(以下、WT)」の議論では、大規模な陸上競技大会で必要な補助競技場(以下、サブトラック)の設置に必要な土地を周辺に確保することが困難であり、陸上競技での利用は行わず、臨場感ある球技専用スタジアムに改修するという方向性が示されていた。  しかし令和二年十月、当時の萩生田文部科学大臣は記者会見で「将来も陸上のできるようなグラウンドとして残すことは一つの方策だと思っている」と述べており、また令和三年十月の報道では、政府関係者への取材結果として、球技専用化を見送り、陸上トラックを残す方針が伝えられている。主な理由は、陸上トラックの撤去と客席数増設にかかる改修工事費が最大百億円かかることと、年間維持管理費と採算性の問題だとされている。  もしWTの議論を撤回して陸上トラックを残すことになるのであれば、周辺の整備計画にも影響を及ぼすことが考えられる。大規模な陸上競技大会を実施するためにはサブトラックを新たに設置しなければならない。当初予定されていた新野球場、新ラグビー場、複合施設、テニスコート、公園などの計画にサブトラックを加えた計画が必要になる。  このように、国立競技場の東京大会後の運営については周辺整備にも大きな影響を与える可能性があるため、政府の考えを以下質問する。 一 国立競技場の今後の活用方針として、WTの議論を撤回して陸上トラックを残すということに対して、政府の見解はどうか。 二 陸上トラックを残す場合、大規模な陸上競技大会が開催できるようサブトラックを設置する必要があると考える。国立競技場に付設されるサブトラックであるから、当然国立になると考えられる。政府はサブトラックを整備するつもりはあるか。 三 サブトラックについて、東京体育館の二百メートルトラックを利用する案や、代々木公園の「織田フィールド」を利用する案が報道されている。大きさや、国立競技場からの距離に問題があると思われるが、こうした既存の施設をサブトラックとして大規模な陸上競技大会を開催することは可能なのか、政府の見解はいかがか。 四 国立競技場周辺整備として、神宮外苑再開発事業(仮称)が進められている。サブトラック用地を取得しなくても、例えば、新ラグビー場の建設にあたり、サブトラックとしての利用もできる計画にすることも考えられる。再開発事業にあたり、国立競技場と周辺施設が機能的に運営できるよう、個別の施設整備について計画を見直すべきと考えるが、政府の見解はいかがか。 五 国立競技場の改築は、この再開発事業の基礎となるものであり、国立競技場に併せての再開発ともいえる。国立競技場で大規模な陸上競技大会を開催するためには、政府がこの再開発計画にコミットし、サブトラックの課題を解決しなければならないと考えるが、政府はこの事業に関与するつもりはあるか。 六 仮に、国立競技場において大規模な陸上競技大会での使用を想定しておらずサブトラックが不要だとしても、この再開発計画は都市部のスポーツ施設の再編を中心とした重要な再開発計画である。全国の各種スポーツ団体・プロスポーツ・スポーツ愛好家などに多大な影響を与えるものであることから、政府が国策として積極的に関わり、スポーツの振興・充実のために協力して進めていくべきと考えるが、政府の見解はいかがか。  右質問する。
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衆議院議員井坂信彦君提出国立競技場及び周辺整備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十四日受領 答弁第八六号   内閣衆質二〇八第八六号   令和四年六月十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員井坂信彦君提出国立競技場及び周辺整備に関する質問に対する答弁書 一について  東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会後の国立競技場の運営管理については、「大会後の運営管理に関する基本的な考え方」(平成二十九年十一月十三日大会後の運営管理に関する検討ワーキングチーム決定)に基づき、独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「センター」という。)において、その民間事業化に向けて、民間事業者からの意見聴取を行うなど検討を進めているところ、民間事業者から陸上競技のトラック等を残す方が民間事業化に資するのではないか等の意見が示されていることや、国内外の大規模な陸上競技大会において国立競技場を使用することができる可能性があることを踏まえると、陸上競技のトラック等を残すことも一つの方策であると考えているが、いずれにせよ、文部科学省においては、センターをはじめとする関係機関等と協議の上、陸上競技のトラック等の在り方について検討していくこととしている。 二及び三について  陸上競技大会の開催に求められる補助競技場の要件については、公益財団法人日本陸上競技連盟やワールドアスレティックス等が定めるルールに基づき決定されるものであり、政府としてお答えする立場にない。  また、政府として、国立競技場近隣に新たに補助競技場を整備する計画はない。 四から六までについて  御指摘の「神宮外苑再開発事業(仮称)」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成三十年十一月に東京都が策定した「東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針」等を踏まえて関係事業者から提案されている「(仮称)神宮外苑地区市街地再開発事業」については、関係事業者が東京都知事の認可を受けて施行するものであるから、お尋ねについては、関係自治体及び関係事業者において検討されるべきものと考えている。
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褒章及び叙勲受章者の伝達式に関する質問主意書
令和四年六月二日提出 質問第八七号 褒章及び叙勲受章者の伝達式に関する質問主意書  毎年、多くの国民が褒章及び叙勲の栄誉を受章されていることは、受章者の努力や、公共に対する献身の賜物であり、受章された全ての方々に敬意を表するところである。受章の伝達にあたっては、天皇陛下への拝謁機会を賜ることとなり、日本国民にとっては最高の栄誉といえる。その栄誉は受章者本人のみならず、活動を支えてくださったご家族や関係者にとっても、かけがえのないものとなっている。  しかし今般の新型コロナウイルス感染症への対策として、天皇陛下との拝謁が行われる伝達式が開催されていない。一生に一度、受章の機会に天皇陛下への拝謁が叶うと努められてきた方々にとっては、本当に心苦しい状況となっている。  コロナ禍における伝達式については、各省庁によって対応が異なっており、それぞれ代替の策を講じている。しかし、自治体や所管部署に任せている状況もあり、天皇陛下との拝謁機会を補う対応となっていないケースも見られるため、以下質問する。 一 自治体等において開催している伝達式に対して、政府は予算措置を行い、適切な伝達式が開催されるように支援しているか。 二 自治体等において開催している伝達式について、政府は受章者への特段の配慮について指示を出し、またどのように行われたかという報告を受け、把握しているか。 三 政府は、現在行われている伝達式について、天皇陛下との拝謁機会を補う対応となっているという認識なのか。 四 コロナ禍における伝達式で天皇陛下との拝謁が叶わなかった受章者に対して、後日、拝謁機会を創出することは考えているか。 五 今後、どういった状況になれば天皇陛下との拝謁を復活させるのか。 六 屋外やガラス越しでの拝謁など、しっかりとしたコロナ対策を施すことで、拝謁を実施することはできないか。  右質問する。
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衆議院議員井坂信彦君提出褒章及び叙勲受章者の伝達式に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十四日受領 答弁第八七号   内閣衆質二〇八第八七号   令和四年六月十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員井坂信彦君提出褒章及び叙勲受章者の伝達式に関する質問に対する答弁書 一から四まで及び六について  お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、旭日中綬章、旭日小綬章、旭日双光章、旭日単光章、瑞宝中綬章、瑞宝小綬章、瑞宝双光章、瑞宝単光章、褒章等(以下「中綬章等以下の叙勲及び褒章」という。)については、「勲章、記章、褒章等の授与及び伝達式例」(昭和三十八年七月十二日閣議決定)第四条において、「所管大臣が適宜受章者に伝達する」とされているところ、各府省等が地方公共団体を通じて受章者に伝達している場合もあるが、こうした地方公共団体において行われる伝達式について、財政的に支援することや、内閣府においてその実施状況を統一的に把握することは行っていない。なお、例えば、同府においては、春秋の叙勲・褒章等に際し、各府省等に対し、伝達に当たって、新型コロナウイルス感染症の感染防止の徹底に留意するよう周知しているところである。  中綬章等以下の叙勲及び褒章に係る拝謁については、令和二年春の叙勲・褒章等以降、その人数の規模等からみて、拝謁のためのバス移動を含め、新型コロナウイルス感染症の感染防止対策の徹底を図ることができないことから、受章者の安全等に鑑みて、実施しないこととしている一方、現在、拝謁の代替として、「令和四年春の叙勲の親授式等について」(令和四年四月七日付け内閣府賞勲局総務課長事務連絡)等において記載されているとおり、感染防止対策の徹底を図ることができる形で、「宮殿内見学と写真撮影」を実施することとしているところである。 五について  お尋ねについては、新型コロナウイルス感染症の感染状況、感染防止対策に係る知見の集積等を踏まえつつ、検討してまいりたい。
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ジェノサイドに関与した者の入国拒否等に関する質問主意書
令和四年六月二日提出 質問第八八号 ジェノサイドに関与した者の入国拒否等に関する質問主意書  中華人民共和国(中国)新疆ウイグル自治区における中国当局によるウイグル人へのジェノサイドや人道に対する罪に関して、数万件もの内部資料が流出し、日米欧の十四の報道機関が検証したうえで本年五月二十四日に報道した。そのなかには、新疆ウイグル自治区の中国共産党委員会書記として弾圧の責任者であった陳全国氏による、「特に海外からの帰国者は片っ端から捕らえるのだ。重大犯罪者の取り扱いに従い、まず手錠をかけ、覆面をかぶせろ」「拘束した人間が数歩でも逃げれば射殺せよ。逃げる者を射殺するのに何の問題があるのか。とっくに許可している」との命令や、「(習近平)総書記が私を新疆に送り込んだ理由は、新疆を平定して共産党中央指導部に差し出させるためだ」「習総書記を核心とする党中央を安心させよ」との習総書記の関与を示唆する訓示等、録音に基づく発言記録が含まれる。陳全国氏は、アメリカ合衆国による制裁措置の対象者である。  日本国憲法前文に「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」とある。平成二十五年十二月十七日に閣議決定された国家安全保障戦略は、「さらに、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値やルールに基づく国際秩序を維持・擁護することも、同様に我が国にとっての国益である。」と明記する。  それらを踏まえ、以下、質問する。 一 出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第五条第一項第十四号は、「法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」に該当する外国人は、本邦に上陸することができないと定める。陳全国氏は、同号に該当する外国人であると考えるが、政府の見解如何。 二 いわゆるG7の国々のなかで、我が国だけが、海外で起きた深刻な人権侵害に責任がある者に対して制裁措置を講じる根拠となる、いわゆるマグニツキー法を有していない。このことは、日本国憲法前文や国家安全保障戦略で示された我が国のあり方に反していると考える。いわゆる日本版マグニツキー法の制定が急務であると考えるが、政府の見解如何。 三 岸田文雄首相は、令和三年十二月八日の衆議院本会議において、いわゆる日本版マグニツキー法について、引き続き検討していく旨発言している。そして、林芳正外務大臣も、令和四年三月四日の衆議院外務委員会で、引き続き検討してまいらなければならない旨発言している。このように政府は検討しているというが、検討期間が長くなれば長くなるほど、結局、日本は人権意識が低い国なのではないかと国際社会から疑念を抱かれるのではないかと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
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衆議院議員松原仁君提出ジェノサイドに関与した者の入国拒否等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十四日受領 答弁第八八号   内閣衆質二〇八第八八号   令和四年六月十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員松原仁君提出ジェノサイドに関与した者の入国拒否等に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねについては、個別の事案に関することであり、お答えを差し控えたい。なお、一般論としては、ある外国人が出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第五条第一項第十四号に定める「法務大臣において日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」に該当するか否かについては、個別具体の事情に即して判断する必要があるものと考えている。 二について  御指摘の「いわゆる日本版マグニツキー法」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「海外で起きた深刻な人権侵害に責任がある者に対して制裁措置を講じる根拠となる」法令等の整備については、令和四年四月十五日の参議院本会議において、岸田内閣総理大臣が「幅広い・・・理解が重要との観点から、超党派での議論が進んでいると承知をしています。その議論をよく見守るとともに、これまでの日本の人権外交を踏まえ、引き続き検討してまいります。」と述べたとおりである。 三について  お尋ねの「政府は検討しているというが、検討期間が長くなれば長くなるほど、結局、日本は人権意識が低い国なのではないかと国際社会から疑念を抱かれる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「検討」については、二についてでお答えしたとおりである。
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「専守防衛」及び「サイバー攻撃」に関する質問主意書
令和四年六月三日提出 質問第八九号 「専守防衛」及び「サイバー攻撃」に関する質問主意書 一 「専守防衛」とは「相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうもの」と定義されていると承知している。  そこで、以下質問する。  1 現在でもこの定義で間違いないか。  2 我が国と密接な関係のあるB国がA国から武力攻撃を受け、自衛隊法第七十六条第一項第二号(存立危機事態)に基づき防衛出動が行われている状況は、「専守防衛」の定義にある「相手から武力攻撃を受けたとき」には該当しないと解されるか。また、存立危機事態においては、自衛隊がA国から直接武力攻撃を受けない限りA国に対して武力の行使ができないのか。  3 専守防衛の定義に「その態様も自衛のための必要最小限にとどめ」とあるが、自衛隊法第七十六条第一項第二号(存立危機事態)に基づき防衛出動が行われ、自衛隊が武力を行使する場合、右記問2のA国について、A国領土内の基地を攻撃することはできるのか。  4 「専守防衛」の定義には「保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限る」とあるが、自衛隊法第七十六条第一項第二号(存立危機事態)に基づき防衛出動する場合に必要な防衛力とは具体的にどのようなものか。問2及び問3を踏まえ回答されたい。 二 近年海外からのサイバー攻撃の脅威が増している。どのように防御するのか、そして反撃をしていくのか、法令上整理をしておくべきではないか。そこで、以下質問する。  1 政府は、サイバー攻撃が武力攻撃に当たり得る(以下「サイバー武力攻撃」という。)場合があると答弁している(令和二年四月七日衆議院安全保障委員会河野国務大臣(当時)答弁)が、どのような場合か。具体的な例をあげて示されたい。  2 我が国がサイバー武力攻撃を受けた場合、サイバー攻撃ではない物理的な武力の行使による自衛権の行使も可能なのか。  3 サイバー武力攻撃の着手があったと認められる場合、「先制攻撃」に至らない範囲で、自衛隊の武力行使は可能か。  4 具体的にどのような場合にサイバー武力攻撃の着手があったと判断されるのか。  5 外国から武力攻撃に当たらないサイバー攻撃を受けた場合又はその着手が認められた場合、サイバー攻撃その他の反撃をすることは現行法制上可能か。  6 サイバー攻撃の予兆を探知することは、憲法上、電気通信事業法上の通信の秘密の保護との関係で可能なのか。可能であるとすればどのような法理で可能とされているのか。  右質問する。
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衆議院議員奥野総一郎君提出「専守防衛」及び「サイバー攻撃」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十四日受領 答弁第八九号   内閣衆質二〇八第八九号   令和四年六月十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員奥野総一郎君提出「専守防衛」及び「サイバー攻撃」に関する質問に対する答弁書 一の1について  「専守防衛」とは、相手から武力攻撃を受けたとき初めて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものであり、我が国の防衛の基本的な方針である。 一の2の前段について  「専守防衛」の定義にいう「相手から武力攻撃を受けたとき」には、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合も含むと解している。 一の2の後段及び3並びに二の2及び3について  憲法第九条の下で許容される「武力の行使」は、あくまでも「武力の行使」の三要件に該当する場合の自衛の措置としての「武力の行使」に限られているが、いかなる場合にいかなる態様の行為が「武力の行使」の三要件を満たすかは、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなるため、お尋ねについて、一概にお答えすることは困難である。 一の4について  お尋ねの「自衛隊法第七十六条第一項第二号(存立危機事態)に基づき防衛出動する場合に必要な防衛力」の意味するところが必ずしも明らかではないが、憲法第九条の下で保持することが許容される「自衛のための必要最小限度の実力」の具体的な限度については、本来、そのときどきの国際情勢や科学技術等の諸条件によって左右される相対的な面を有するものであり、一概にお答えすることは困難である。 二の1及び4について  特定のサイバー攻撃が武力攻撃に該当するかどうかについては、実際に発生した事態の個別具体的な状況に即して、政府が全ての情報を総合して客観的、合理的に判断することとなるため、一概にお答えすることは困難である。  また、どの時点で我が国に対する武力攻撃の発生、すなわち武力攻撃の着手があったと見るべきかについては、その時点の国際情勢、相手方の明示された意図、攻撃の手段、態様等によるものであり、個別具体的な状況に即して判断する必要があることから、一概にお答えすることは困難である。 二の5について  我が国の対応については、個別具体的な状況に照らして判断すべきであり、一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、我が国としては、関係する国内法令及び国際法に照らし、適切に対応することとなる。  なお、政府としては、サイバーセキュリティ戦略(令和三年九月二十八日閣議決定)を踏まえ、サイバー攻撃に対する防御力、抑止力及び状況把握力を向上させるとともに、我が国の安全保障を脅かすようなサイバー空間における脅威に対しては、同盟国・同志国とも連携し、政治、経済、技術、法律、外交その他のとり得る全ての有効な手段と能力を活用し、断固たる対応をとることとしている。 二の6について  お尋ねの「サイバー攻撃の予兆を探知すること」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
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居宅介護支援有料化に関する質問主意書
令和四年六月三日提出 質問第九〇号 居宅介護支援有料化に関する質問主意書  介護支援専門員(ケアマネジャー)は、介護保険法に規定された専門職で、介護サービス計画(ケアプラン)の立案を担うとともに、生活課題を制度横断的に対応できるソーシャルワーカーとしての役割を果たしている。指定居宅介護支援基準省令解釈通知第2の1基本方針では、指定居宅介護支援の事業は、利用者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、利用者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われるものでなければならない旨記載されており、支援を必要とする全ての利用者が公平に支援を受けられることが重要であるが、財政制度等審議会・財政制度分科会からは、居宅介護支援(ケアマネジメント)への自己負担導入の必要性が繰り返し提起されていることから、以下、質問する。 一 本来、間接支援である居宅介護支援と、直接支援を行う他の介護サービスは異なる位置づけであり、公的制度におけるソーシャルワークに対し、利用者負担を求めることは不適切ではないか。政府の認識を問う。 二 居宅介護支援の有料化が実施されれば、介護サービスの利用控えが進む可能性がある一方、利用者の意向次第で過剰なサービス計画となることも懸念される。この点についての政府の見解を問う。 三 居宅介護支援の有料化による利用者への影響を把握するための政府の取り組みを問う。  右質問する。
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衆議院議員大河原まさこ君提出居宅介護支援有料化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十四日受領 答弁第九〇号   内閣衆質二〇八第九〇号   令和四年六月十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員大河原まさこ君提出居宅介護支援有料化に関する質問に対する答弁書 一から三までについて  お尋ねの居宅介護支援(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第八条第二十四項に規定する居宅介護支援をいう。)に関する「有料化」を含めた給付の在り方については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇一八」(平成三十年六月十五日閣議決定)等に基づき検討することとされているところ、令和元年十二月二十七日に取りまとめられた社会保障審議会介護保険部会の「介護保険制度の見直しに関する意見」において、「ケアマネジメントに関する給付の在り方については、利用者やケアマネジメントに与える影響を踏まえながら、自立支援に資する質の高いケアマネジメントの実現や他のサービスとの均衡等幅広い観点から引き続き検討を行うことが適当である」とされたところであり、今後、お尋ねの「利用者への影響を把握するための政府の取り組み」も含め、第九期介護保険事業計画期間に向けて、同部会において議論されることとなっていることから、当該議論を踏まえ、引き続き検討してまいりたい。
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介護認定における不服審査に関する質問主意書
令和四年六月三日提出 質問第九一号 介護認定における不服審査に関する質問主意書  区市町村が行った要介護認定や介護保険料の徴収等、介護保険制度における行政処分に不服がある場合に、介護保険法第百八十三条の規定に基づき、都道府県に設置された介護保険審査会に対して審査請求(不服申立て)をすることができる。しかし、審査が長期化することなどから、保険者やケアマネジャーが区分変更申請で対応している事例が多数ある。要介護認定については、地域格差が生じており、要介護認定適正化事業も行われている。介護認定が正確に行われ、給付が国民に平等に行われる必要性があることから、以下、質問する。 一 介護認定における行政不服審査請求件数、区分変更申請率、介護認定審査会の変更率について政府が把握しているところを明らかにした上で、介護保険審査会がその機能を十分に果たしているかどうかについて政府の見解を問う。 二 多くの保険者が区分変更申請の理由として、「心身の状態変化に伴うもの」と同様に「認定結果に不満がある」という記載もしている。区分変更申請が審査請求を代替している現状についての政府の見解を問う。 三 被保険者本人の求めに応じて、市区町村の介護認定審査会の審査過程を公表することを可能とし、認定審査の透明性を確保すべきであるが、これについての政府の見解を問う。 四 介護保険法における審査請求については、より簡易、迅速かつ公正な運用に向けて制度改変が求められる。政府の見解を問う。  右質問する。
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衆議院議員大河原まさこ君提出介護認定における不服審査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十四日受領 答弁第九一号   内閣衆質二〇八第九一号   令和四年六月十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員大河原まさこ君提出介護認定における不服審査に関する質問に対する答弁書 一及び四について  お尋ねの「行政不服審査請求件数」については政府として把握していない。また、お尋ねの「区分変更申請率」については、要介護認定又は要支援認定を受けた者に占める要介護状態区分又は要支援状態区分の変更の認定の申請を行った者の割合は政府として把握していない。さらに、お尋ねの「介護認定審査会の変更率」については、要介護状態区分又は要支援状態区分について一次判定と二次判定が異なる割合は、令和三年度において約九・一パーセントである。  また、御指摘の「介護保険法における審査請求」については、審理を行う介護保険審査会は、その公正を確保するため、介護保険法(平成九年法律第百二十三号。以下「法」という。)第百八十五条第一項の規定により、被保険者を代表する委員、市町村を代表する委員及び公益を代表する委員をもって組織することとされているなど、関係法令に基づき適正な手続が執られているものと考えており、「制度改変」が必要であるとは考えていない。 二について  法第二十九条第一項の規定による市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対する要介護状態区分の変更の認定の申請(以下「区分変更申請」という。)については、要介護認定を受けた被保険者が、「その介護の必要の程度が現に受けている要介護認定に係る要介護状態区分以外の要介護状態区分に該当すると認めるとき」に行うものであり、また、法第百八十三条第一項の規定による介護保険審査会に対する審査請求については、「保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求に関する処分及び要介護認定又は要支援認定に関する処分を含む。)又は保険料その他この法律の規定による徴収金(財政安定化基金拠出金、納付金及び第百五十七条第一項に規定する延滞金を除く。)に関する処分に不服がある者」が行うものであるところ、区分変更申請の理由の詳細については、政府として把握しておらず、お尋ねの「区分変更申請が審査請求を代替している現状」について、その現状にあるか否かを含め、政府の見解をお答えすることは困難である。 三について  御指摘の「被保険者本人の求めに応じて、市区町村の介護認定審査会の審査過程を公表すること」については、各市町村の条例等に基づき適切に判断されるものと承知している。
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四大工業地帯に所在する地方自治体の工業用水道更新に係る事業に対する国の補助に関する質問主意書
令和四年六月三日提出 質問第九二号 四大工業地帯に所在する地方自治体の工業用水道更新に係る事業に対する国の補助に関する質問主意書  工業地帯の中でも、特に工業生産高の大きい京浜、中京、阪神、北九州の、いわゆる四大工業地帯は、かつて我が国の高度経済成長をけん引した。しかし、バブル崩壊以降、いわゆる「失われた三十年」を経る中で、日本の景気低迷、経済成長率の鈍化、製造拠点の海外移転、産業構造の転換などの影響もあり、四大工業地帯の相対的地位の低下が見られる。  このような背景の下で、インフラの老朽化という課題は全国の他の自治体と同様に、四大工業地帯が所在する自治体においても存在しており、早急な対応が求められている。一方、工業用水道等の設備の更新は、必然的に重厚長大にならざるを得ず、むしろ四大工業地帯に所在する自治体への負担の方が他地域のそれよりも重くのしかかっている実情がある。  また、四大工業地帯内の各地域の経済状況も、発展しているところもあれば衰退するところもあり、状況は一様ではない。自治体によっては一部の企業の撤退により、当該自治体の税収の減少に加え、水道の使用料収入が減少している。一方で、残存する企業にとっては当該工業用水道管が必要不可欠なものであり、当該自治体にとっても当該企業からの税収及び水道使用量収入が必要不可欠であるといった自治体も存在する。  このように、四大工業地帯におけるインフラの維持・更新に係る自治体の負担は他地域のそれよりも大きく、さらに前述のように企業の撤退等に直面し、老朽化したインフラの維持・更新費用の工面が困難な自治体も存在する。一方で現在、工業用水道管を耐震化する際の国の補助率は、四大工業地帯に存在することにより、他の地域より低く設定されている。  この点を踏まえ、以下、質問する。 一 四大工業地帯の相対的地位の低下が見られ、また、四大工業地帯内の各地域の経済状況も、発展しているところもあれば衰退するところもあり一様ではないが、国から自治体への補助にあたっては、四大工業地帯に所在していることを補助率の基準とする運用を今後も継続していく方針なのか。 二 前述の四大工業地帯に所在する地方自治体の工業用水道更新に係る状況を受けて、現在の法体系のもとで、自治体による工業用水道の耐震化事業に対する国の補助に関連して、一部の企業の撤退により、当該自治体の税収の減少に加え、水道の使用料収入が減る一方で、残存する企業にとっては当該工業用水道管が必要不可欠なものであり、当該自治体にとっても当該企業からの税収及び水道使用量収入が必要不可欠な状況にある。これらの実態に即して、耐用年数を大幅に超過している工業用水道管の耐震化整備事業に関しては、特例として補助率を引き上げる等、柔軟な運用を認める仕組みは存在しているのか。  右質問する。
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衆議院議員鈴木敦君提出四大工業地帯に所在する地方自治体の工業用水道更新に係る事業に対する国の補助に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十四日受領 答弁第九二号   内閣衆質二〇八第九二号   令和四年六月十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員鈴木敦君提出四大工業地帯に所在する地方自治体の工業用水道更新に係る事業に対する国の補助に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「国から自治体への補助」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、工業用水道事業費補助金については、お尋ねの「四大工業地帯に所在していることを補助率の基準とする運用を今後も継続していく」かを含めて、今後、我が国における経済社会情勢の変化を踏まえながら、必要に応じて検討を進めていく考えであるため、現時点でお尋ねにお答えすることは困難である。 二について  御指摘の「柔軟な運用」の意味するところが必ずしも明らかではないが、工業用水道事業費補助金において、お尋ねのような「耐用年数を大幅に超過している工業用水道管の耐震化整備事業に関して」「特例として補助率を引き上げる」仕組みは、現時点において存在していない。
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「衆議院議員選挙区の区割り改定案」に関する質問主意書
令和四年六月七日提出 質問第九三号 「衆議院議員選挙区の区割り改定案」に関する質問主意書  衆議院議員選挙区画定審議会(以下、審議会という)において、二〇二〇年の国勢調査結果を受け、衆議院議員選挙区の区割り改定案(以下、区割り改定案という)が審議されており、まもなく内閣総理大臣へ勧告されることとなっている。  今回の区割り改定においては、二〇一六年に成立した衆議院選挙制度改革関連法により、アダムズ方式で小選挙区の数を配分することが決まっている。  しかし、区割り改定案の審議が進むにつれ、同改正案に基づく区割り改定について、同法の提案者の一人を含め、一部の国会議員から反対の声が起きている。これは国会が自ら決めたことに対して後になって反対するという有り得ない行為であり、審議会の勧告どおりの区割り改定がなされるべきと考える。  そこで、以下質問する。 一 衆議院議員選挙区の区割り改定案作成における審議会及びその勧告の位置付けをどのように考えているか。政府の見解を求める。 二 衆議院議員選挙区画定審議会設置法では、第六条第二項において「委員は、国会議員以外の者であって、識見が高く、かつ、衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定に関し公正な判断をすることができるもののうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」とあり、また同条第七項において「委員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。」とされている。これは、委員の任命及び秘密保持に大変な縛りをかけることで、ゲリマンダーのように民主主義の公正性を損なう恣意的な事態が起こらないようにしていると考えるが、政府の見解を示されたい。 三 六月二十五日を期限に、審議会から内閣総理大臣に対して区割り改定案の勧告がなされる。法律の趣旨を考慮すれば、審議会の改定案勧告どおりの法案を内閣として閣議決定し、国会提出すべきと考えるが、政府の考えはどうか。また、過去に改定案勧告どおりの法案提出とならなかった事例が存在するのかも併せて示されたい。  右質問する。
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衆議院議員手塚仁雄君提出「衆議院議員選挙区の区割り改定案」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十七日受領 答弁第九三号   内閣衆質二〇八第九三号   令和四年六月十七日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員手塚仁雄君提出「衆議院議員選挙区の区割り改定案」に関する質問に対する答弁書 一及び三について  衆議院議員選挙区画定審議会設置法(平成六年法律第三号。以下「法」という。)第二条及び第四条第一項の規定により、衆議院議員選挙区画定審議会(以下「審議会」という。)は、国勢調査(統計法(平成十九年法律第五十三号)第五条第二項本文の規定により十年ごとに行われる国勢調査に限る。)の結果による人口が最初に官報で公示された日から一年以内に、衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案を作成して内閣総理大臣に勧告するものとされている。  従来から、審議会から当該改定案の勧告があったときは、当該勧告に基づき、当該改定案に係る法案を提出しているところであり、本年六月二十五日を期限とする勧告がなされた場合についても、同様の対応を行うこととなると考えている。 二について  法において審議会の委員の資格等について規定されている趣旨は、衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案の作成に際して、専門的に調査審議が行われ、客観的で公正な判断がなされることを期するためであると認識している。
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台湾積体電路製造(TSMC)への助成金交付に関する質問主意書
令和四年六月八日提出 質問第九四号 台湾積体電路製造(TSMC)への助成金交付に関する質問主意書  昨年十月、台湾積体電路製造(以下、TSMC)は日本に子会社「Japan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)」を設立すると発表し、同年十二月に台湾経済部はJASMが熊本県に二十八ナノメートル及び二十二ナノメートルの半導体工場を建設することを許可し、本年四月には工場建設が開始された。TSMCが熊本県の工場建設を決めた背景には、我が国政府が助成金交付を約束したからとされており、萩生田経済産業大臣は、TSMCの製造拠点設立表明を受け、複数年度にわたる支援の枠組みを速やかに構築すると表明している。そして、実際、令和三年度補正予算において先端半導体生産基盤整備基金を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に設立するため六千百七十億円を計上し、「先端半導体の生産施設整備等計画の実施に必要な資金の最大二分の一を補助する」とした。  米国政府もTSMCのアリゾナ工場に対して補助金の支給を表明しているが、アリゾナ工場では五ナノメートルの半導体を製造予定と言われている。TSMCの熊本工場設立が我が国にとって多額の補助金を出すに見合うものなのか疑問視する声もあるところ、次の事項について質問する。 一 TSMC/JASMへの助成  1 二〇二一年十二月十四日の衆議院予算委員会において、萩生田大臣は、TSMCの国内拠点を支援するということを政府で決めた事実はない旨答弁をしているが、本年二月十五日、TSMCはJASM熊本工場への投資額を、当初の計画より多い約八十六億ドルまで引き上げると発表している。TSMCがこのような発表を行い、なおかつ実際に工場建設まで着工したのは、日本政府からの助成を前提としたものと思われるが、TSMCもしくはJASMに対する助成の約束は口頭ベースを含め本当に存在しないのか。  2 現時点までにTSMCもしくはJASMから先端半導体生産基盤整備基金補助金に対して特定半導体生産施設整備等計画の申請はなされていないのか。政府の把握するところを答えられたい。 二 先端半導体生産基盤整備基金の運用  1 六千百七十億円もの税金を投入した先端半導体生産基盤整備基金は、真に「先端半導体の国内生産拠点を整備するとともに、その拠点での継続生産や、参画企業との共同研究開発等を進めることで、国内での先端半導体の安定供給」に資することが求められているが、そのためには助成を受けた企業が生産する半導体が国内の企業に供給されることの担保が必要になる。昨年十月十五日付日本経済新聞によると、JASMが製造する半導体は「国内に優先出荷する義務を課し、日本から撤退する場合は補助金を返してもらう仕組みにする方向」だとあるが、具体的にどのような仕組みになっているのか。政府が把握するところを答えられたい。  2 先端半導体生産基盤整備基金がどのように運用されるかについては国民の関心が高いと思われるが、同基金のお金がどの企業にいくら助成されているというような運用実績について、政府としてどのような形で情報公開するのか。  3 現時点で助成金交付を受けた企業がある場合には企業名及び助成金交付額について政府の把握するところを答えられたい。  右質問する。
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衆議院議員井坂信彦君提出台湾積体電路製造(TSMC)への助成金交付に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十七日受領 答弁第九四号   内閣衆質二〇八第九四号   令和四年六月十七日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員井坂信彦君提出台湾積体電路製造(TSMC)への助成金交付に関する質問に対する答弁書 一の1について  お尋ねの「TSMCもしくはJASMに対する助成」及び「口頭ベース」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府として、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited又はJapan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社に対し、先端半導体生産基盤整備基金補助金により造成された基金(以下「基金」という。)からの助成金の交付を約束した事実はない。 一の2について  特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律(令和二年法律第三十七号。以下「法」という。)第十一条第一項に規定する特定半導体生産施設整備等計画(以下「計画」という。)の同項の規定に基づく認定(以下「認定」という。)の申請を行った事業者に関する情報については、これを公にすることにより、当該事業者の権利又は競争上の地位を害するおそれがあることから、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)第五条第二号イに該当すると考えられるため、お尋ねにお答えすることは差し控えたい。  なお、認定を行った場合には、法第十一条第五項の規定に基づき、当該認定に係る計画の概要を公表することとされている。 二の1について  御指摘のような「国内に優先出荷する義務」は必ずしも認定を受ける事業者に課されてはいないが、法第十一条第三項各号において、需給がひっ迫した場合における増産を含む国内における安定的な生産に資する取組が行われると見込まれること等が認定の要件として規定されている。  また、認定を受けた者(以下「認定事業者」という。)が認定に係る計画に従って特定半導体生産施設整備等(法第二条第五項に規定する特定半導体生産施設整備等をいう。)を実施していない、又は法第十一条第三項各号の認定基準に適合しないものとなったと認められるときは、経済産業大臣は、法第十二条第二項及び第三項の規定に基づき認定に係る計画の変更を指示し、又は当該認定を取り消すことができるとされており、これを踏まえ、助成金の交付を受けた認定事業者に対して当該助成金の返還を請求することが必要な場合においては、認定事業者に対して基金からの助成金の交付に係る業務を行う国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構において、特定半導体基金事業費助成金交付規程(令和四年四月三十日付け国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構作成)に基づき、請求する返還額については経済産業省からの指示に従い、適切に対応していくものと承知している。 二の2について  お尋ねの「どの企業にいくら助成されているというような」詳細については、今後検討していくこととしているが、基金の助成金の交付実績については、適切に情報を公開していく考えである。 二の3について  現時点においては、「助成金交付を受けた企業」は存在しない。
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計画を超えるダムの堆砂に関する質問主意書
令和四年六月八日提出 質問第九五号 計画を超えるダムの堆砂に関する質問主意書  国土交通省は毎年度、全国のダム堆砂状況をまとめている。これは、百年間で堆積すると見込まれる計画堆砂量と実績(以後、堆砂量)をまとめたものだが、ウェブサイトに掲載している「国土交通省所管ダムの堆砂状況について」(以後、サイト掲載情報)で分かるのは概要だけで、個別ダムの堆砂状況や深刻度は分からない。そこで、資料請求を行い、「全国のダム堆砂状況について(二〇二〇年度末時点)」(以後、入手資料)を手にしたが、いくつかの疑問が浮かぶので、以下質問する。 一 堆砂対策費と費用便益比について  サイト掲載情報によれば、二〇二〇年度末時点で、国土交通省所管のダム五百七十一基のうち一割以上にのぼる六十二ダムで計画堆砂量を超過しており、四十八ダムで堆砂対策を実施中である。  1 国が支出している堆砂対策費は四十八ダムで年間合計どの程度か、把握できているのであれば、明らかにされたい。  2 堆砂対策費は、ダム建設前に公表している費用便益比に算定されているのか。していないとすればなぜか。  3 堆砂量が計画堆砂量を超過する要因、または計画堆砂量の過小評価が起きる原因にはどのようなものがあるか。 二 利根川水系の八ッ場ダムについて  入手資料によれば、八ッ場ダムは二〇二〇年三月に竣工したが、二〇二一年三月末時点で既に十七年分に相当する土砂がたまっている。つまり、総貯水容量一億七百五十万立方メートルのうち、計画堆砂量は千七百五十万立方メートルと見込まれていたところ、堆砂量は二百九十九万五千立方メートルである。  1 竣工後一年で十七年分相当の堆砂がダム湖に流入した要因をどのように考えているか。完成前の試験湛水中に襲来した二〇一九年十月の台風十九号はその要因の一つだと考えているか。また、その他の要因をどのように考えているか。  2 国土交通省は二〇一一年十二月一日に開催した「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」(以後、有識者会議)に提出した「八ッ場ダム建設事業の検証に関わる検討『堆砂計画』」で行った推定の何が間違っていたかを検証するつもりはあるか。  3 八ッ場ダムの堆砂対策は既に始まっているか。始めているとしたらどのようなものか。  4 有識者会議に提出された「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討『費用便益比算定』」には、堆砂対策にかかる費用が含まれていないように見えるが、間違いないか。含まれていないとすれば、費用便益比の「費用」は過小評価だったと言えるのではないか。堆砂量は、洪水調節容量や利水容量にも影響を与えるため、費用便益計算をやり直すべきではないか。 三 富士川水系の雨畑ダムについて  一九六七年竣工の雨畑ダムについては、二〇二一年五月二十日衆議院災害対策特別委員会の質問で、堆砂量は二〇一九年度末時点で約千二百五十七万立方メートルであること、これは計画堆砂量六百万立方メートルの倍以上であり、総貯水容量約千三百六十五万立方メートルの九割強であることが確認できた。  また、この堆砂量は、ダムの常時満水位の下に位置する土砂量であり、満水位より上に積み上がった土砂を含めれば、二〇二〇年十一月時点で千六百三十一万四千立方メートルと、総貯水容量の一・二倍を超えていることも確認できた。  この雨畑ダム湖の上流端の地域では二〇一九年の台風十九号による崩壊土砂で浸水被害が起きたため、ダム管理者である日本軽金属株式会社(以後、日軽金)が、二〇二〇年度に「雨畑ダム堆砂対策基本計画」を立て、同年度に計画の百五十万立方メートルを上回る百六十五万立方メートルの土砂移動と搬出を行った旨を国土交通大臣政務官が答弁した。  しかし、今回の入手資料によれば、二〇二〇年度末時点の満水位以下の堆砂量は千二百六十六万五千立方メートルと増えている。  1 常時満水位より上の土砂も含めた堆砂量も増えたと考えられるが、どの程度増えたのか、政府の把握するところを答えられたい。  2 先述の委員会で私は、雨畑ダムでの取水は不可能となり、既に水利権許可の四条件(公共の福祉の増進、水利使用の実行の確実性、安定的に取水を行える、治水上その他公益上の支障を生じさせるおそれがない)のどれも満たしていないので、日軽金に与えた水利権許可は取り消すべきではないかと尋ねた。これに対し、大臣政務官は日軽金の「堆砂対策の計画に基づく対策によりまして治水上の課題の改善が見込まれるため(略)、現時点においては許可を取り消すべきとは考えておりませんが、必要と認められる場合には、工作物の除去も含め、指導、技術的助言等の措置を行う」と答弁を行った。その後、一年が経過したが、政府は今でも治水上の課題の改善が見込まれると考えているのか。  3 発電目的の「水利使用の実行の確実性」も「安定的に取水を行える」見込みもないのであれば、大臣政務官が答弁したように、工作物の除去、すなわち雨畑ダムの撤去も含めた措置が必要ではないか、政府の見解を答えられたい。 四 肱川水系の山鳥坂ダムについて  二〇二一年十二月二十日の「山鳥坂ダム工事事務所ダム事業費等監理委員会」資料によれば、国土交通省は、ボーリング調査で地すべり地が新たに判明したため、地すべり対策等で事業費八百五十億円を千三百二十億円に増大、工期を二〇二六年度から二〇三二年度に延長するため、河川法に基づく河川整備計画の変更を進めようとしている。  1 ダムサイトを上流に移すことでダムの総貯水容量が減るとしているが、現計画で百七十万立方メートルとしている計画堆砂量はどうなるのか。  2 計画変更で事業費や維持管理費は増大する一方、総貯水容量が減れば、費用便益比は減じると考えられるが、計画変更前と後でどのような算出結果となっているのか。 五 計画堆砂量と堆砂量の情報公開について  雨畑ダムのような上流端での浸水被害の他、異常豪雨に伴う緊急放流なども鑑みれば、地域住民にとっては、個別ダムの堆砂状況は生命・財産を守るための重要な情報になり得る。サイト掲載情報のような概要にとどまらず、個々のダムの計画堆砂量や堆砂量についても公表すべきではないか。  右質問する。
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衆議院議員阿部知子君提出計画を超えるダムの堆砂に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月十七日受領 答弁第九五号   内閣衆質二〇八第九五号   令和四年六月十七日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員阿部知子君提出計画を超えるダムの堆砂に関する質問に対する答弁書 一の1について  国土交通省が所管するダムのうち、堆砂容量を超過しており、堆砂対策を実施しているものに係る当該対策に要する費用については、基本的には当該ダムに係る維持管理費用に含まれているが、現在、その具体的な額については把握していない。 一の2について  ダム事業の新規事業採択時評価等における費用対効果分析の算定基礎として、ダムの建設及び維持管理に要する費用を計上しており、当該費用には、当該ダムに係る堆砂対策に要する費用が含まれている。 一の3について  御指摘の「計画堆砂量」は、新設するダムの貯水池に百年間に堆積する土砂量について、当該貯水池と地質等が類似する地域に存在する既設ダムの貯水池の堆砂量等から推定したものである。  お尋ねの「堆砂量が計画堆砂量を超過する要因、または計画堆砂量の過小評価が起きる原因」の一つとしては、「計画堆砂量」を推定したダムの貯水池と当該推定に活用したダムの貯水池の存する地域の地質等が同一ではないことが考えられる。 二の1について  御指摘の「竣工後一年で十七年分相当の堆砂がダム湖に流入した」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、八ッ場ダムの貯水池の堆砂の原因について詳細に把握しているものではないが、令和三年三月末時点における当該ダムの貯水池の堆砂は、令和元年台風第十九号によるダムへの流入水の作用も原因と考えられる。 二の2について  お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、八ッ場ダムの堆砂容量については、近傍の既設ダムの貯水池の堆砂量等から八ッ場ダムの貯水池に百年間に堆積する土砂量を適切に推定して決定したものである。 二の3について  八ッ場ダムにおいては、維持管理の一環として、令和三年度に、その貯水池に堆積した土砂のうち約二万五千九百立方メートルを排除したところである。 二の4について  御指摘の「八ッ場ダム建設事業の検証に係る検討『費用便益比算定』」においては、八ッ場ダムの建設及び維持管理に要する費用を計上しており、当該費用には、八ッ場ダムに係る堆砂対策に要する費用が含まれている。 三の1について  雨畑ダムについては、国土交通省において、日本軽金属株式会社に対して定期的に堆砂量の報告を求めているところであり、その結果によれば、常時満水位を超える堆砂量も含めた堆砂量は、令和元年十一月時点で約千六百四十一万六千六百立方メートル、令和二年十一月時点で約千六百三十一万三千六百立方メートルであり、この一年間に約十万三千立方メートル減少していると承知している。 三の2について  令和二年四月に日本軽金属株式会社において策定された雨畑ダム堆砂対策基本計画に基づき、現在、同社において必要な対策が講じられていることから、政府としては、雨畑ダムにおける治水上の課題については改善が見込まれると考えている。 三の3について  三の2についてで述べたとおり、政府としては、雨畑ダムにおける治水上の課題については改善が見込まれると考えているため、現時点において、御指摘のような措置を講ずる必要はないと考えている。 四の1について  山鳥坂ダムの堆砂容量については、現行の肱川水系河川整備計画と変更後の当該計画において同量となる見込みである。 四の2について  令和四年四月二十二日に開催された「第七回肱川流域学識者会議」で示された現行の肱川水系河川整備計画に基づく山鳥坂ダム建設事業の費用便益比は一・三、同会議で示された当該計画の変更案に基づく当該事業の費用便益比は一・二となっている。 五について   御指摘の点については、今後、検討してまいりたい。
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令和四年度補正予算における生活困窮者対策に関する質問主意書
令和四年六月九日提出 質問第九六号 令和四年度補正予算における生活困窮者対策に関する質問主意書  政府はコロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援をうたいながら、低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金の再支給については打ち出したものの、正社員やフルタイムで働いているにもかかわらず生活保護の水準以下しか収入が得られない「ワーキングプア」の方や低年金者は、同様に新型コロナウイルス感染症と物価高のダブルパンチを受けて厳しい生活状況にあるにもかかわらず、令和四年度補正予算による施策の支援対象ではない。  そこで、令和四年度補正予算における生活困窮者対策に関して、以下質問する。 一 ワーキングプアの方や低年金者への支援を今後どうする考えか。政府において必要な措置を講ずるべきと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。  右質問する。
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衆議院議員城井崇君提出令和四年度補正予算における生活困窮者対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月二十一日受領 答弁第九六号   内閣衆質二〇八第九六号   令和四年六月二十一日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員城井崇君提出令和四年度補正予算における生活困窮者対策に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「令和四年度補正予算における生活困窮者対策」については、令和四年五月二十五日の衆議院本会議において、鈴木財務大臣が、「総合緊急対策は、物価高騰による影響を緩和するための対応を緊急かつ機動的に実施するとともに、円滑な価格転嫁や賃上げを促し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとするためのものです。総合緊急対策に盛り込まれた措置について、まずは、一般予備費及び新型コロナウイルス感染症対策予備費を使用するなど、迅速に対応した上で、令和四年度補正予算を編成いたしました」と答弁しているとおり、まずは、同年四月二十六日に、原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議において決定した「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」(以下「総合緊急対策」という。)に基づき、新型コロナウイルス感染症や物価の上昇の影響を受けた生活困窮者等を支援するため、低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金の支給、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充等の施策を講じているところである。  また、お尋ねの「ワーキングプアの方」への「支援」については、総合緊急対策に加え、最低賃金の引上げ及び賃上げが可能な環境の整備、非正規雇用労働者の正社員転換等の支援、求職者支援制度による就職支援、生活困窮者自立支援制度等による支援等の施策を講じているところであり、今後とも、必要な支援を継続してまいりたい。  さらに、お尋ねの「低年金者への支援」については、総合緊急対策に加え、年金生活者支援給付金の支給や、医療や介護の保険料負担の軽減等社会保障制度全体で措置を講ずることとしており、今後も適切に対応してまいりたい。
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高等教育における公費負担と家計負担に関する質問主意書
令和四年六月九日提出 質問第九七号 高等教育における公費負担と家計負担に関する質問主意書  新型コロナウイルス感染症の影響で、大学生・専門学校生の生活が苦しくなっていることが報告されている。保護者の収入が減り、自分のアルバイトも切られるというのが現状である。一日の生活費が二百円、大学生の五人に一人が退学を検討しているという調査結果もある。長期化したコロナ自粛により学校生活不適応での退学も増えているが、感染症によって学生の生活が脅かされ、退学まで考えないといけないというのは、大学の学費が高額な我が国ならではの問題と言えるのではないか。国立大学では年間五十万円超、私立だと百万円近くの学費がかかる。この負担を重いと思っている家庭は多いはずである。  学費が高い理由は、政府がお金を出さないからである。二〇一六年の統計によると、我が国の高等教育費用の負担内訳は公費が三十・六%、家計負担費が五十二・七%となっている。公費よりも私費負担が多いが、どの国でも同じような状況ではない。  OECD(経済協力開発機構)の加盟国のうち、我が国の五十二・七%という家計負担割合は、チリに次いで高い状況である。この数値が五十%を超える、つまり高等教育費の半分以上が家計負担でまかなわれている国は、我が国、チリ、コロンビアの三か国だけである。OECDの平均値が二十三・四%であることから、我が国の高等教育がいかに家計に負担を強いることで成り立っているかが分かる。  学生は普段からアルバイトをして学費をまかない、新型コロナウイルス感染症に見舞われてバイト先を失うと一気に生活困窮に陥る。なぜこのようなことになるのか。公費負担割合が少ないから、つまり政府がお金を出さないからである。それは、高等教育への公的支出額の対GDP比で見て取ることができる。  二〇一六年の我が国の値は〇・四二%となっている。学費無償のフィンランドは一・五二%と、我が国の三倍以上である。  公的教育費支出の対GDP比が高い国ほど、家計負担割合が低い傾向にある。ノルウェー、フィンランド、スウェーデンといった北欧諸国は公的教育費支出の対GDP比が高く、家計負担割合が低い。我が国はその対極で、政府がお金を出さず、家計の負担割合が重い国である。  北欧諸国は、高等教育進学率が高く、ノルウェーは八十二・〇%で、我が国の六十三・六%よりもずっと高いとの調査結果がある。量的に多い学生の高等教育費用のほぼ全額を公費でまかなえるのは、政府がお金を出しているからである。  そこで、高等教育における公費負担と家計負担に関して、以下質問する。 一 我が国の高等教育における公費負担と家計負担の負担内訳は、二〇一六年の統計によると、公費負担が三十・六%、家計負担が五十二・七%となっているが、公費負担の割合を家計負担の割合よりも多くするべきである。また、少なくとも高等教育の無償化を中間所得層まで拡大すべきであると考える。この実現のために、政府において必要な措置を講ずるべきと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。  右質問する。
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衆議院議員城井崇君提出高等教育における公費負担と家計負担に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月二十一日受領 答弁第九七号   内閣衆質二〇八第九七号   令和四年六月二十一日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員城井崇君提出高等教育における公費負担と家計負担に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「公費負担」、「家計負担」及び「二〇一六年の統計」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、文部科学省としては、高等教育段階における学生の経済的負担の軽減に取り組んでまいりたい。  また、御指摘の「高等教育の無償化を中間所得層まで拡大」することについては、令和四年五月十日に教育未来創造会議で取りまとめられた「我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について(第一次提言)」において、「学部段階の給付型奨学金と授業料減免の中間層への拡大」が提言されたところであり、これを着実に実施していく考えである。
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高等教育修学支援制度の適用範囲外で支援が必要な学生に関する質問主意書
令和四年六月九日提出 質問第九八号 高等教育修学支援制度の適用範囲外で支援が必要な学生に関する質問主意書  高等教育の修学支援制度が始まり、住民税非課税世帯の大学学費は無償になり、年収三百八十万円未満の世帯の学費は減額されることになった。しかし、高等教育修学支援制度の開始前には各大学の授業料減免の対象であったにもかかわらず、高等教育修学支援制度開始後は対象に入らず、大学全体の六十一・三%が実施している各大学等による独自の授業料等減免制度の対象にも入っていない、あるいは大学独自の授業料等減免制度がなく支援がないという大学生、専門学校生が相当数存在しているのが現状である。これらの学生は多くがいわゆる中間所得層の家庭である。  そこで、高等教育修学支援制度の適用範囲外で支援が必要な学生に関して、以下質問する。 一 高等教育修学支援制度の適用範囲外で支援が必要な学生はどのくらい存在するか。政府は把握している必要があると考えているが、現時点で政府が把握している具体的な人数を明らかにされたい。 二 文部科学省は、独自に授業料減免を行う大学等について大学ごとの要件や内容の詳細を把握していないと答えている。従来は、授業料減免の支援が届いていた中間所得層の家庭の多くの学生に新制度の下で支援が届かない状況を放置するべきではないと考える。政府において必要な措置を講ずるべきと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。  右質問する。
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衆議院議員城井崇君提出高等教育修学支援制度の適用範囲外で支援が必要な学生に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月二十一日受領 答弁第九八号   内閣衆質二〇八第九八号   令和四年六月二十一日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員城井崇君提出高等教育修学支援制度の適用範囲外で支援が必要な学生に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「高等教育修学支援制度の適用範囲外で支援が必要な学生」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。 二について  政府としては、大学等における修学の支援に関する法律(令和元年法律第八号)に基づき、低所得者世帯の者に対し、大学等における授業料等減免を制度化するとともに、独立行政法人日本学生支援機構における給付型奨学金を大幅に拡充する措置を講ずる等、真に支援が必要な低所得者世帯の者に支援が行き渡るよう制度を整備したところであるが、一方で、各大学がこれに加えて行う措置については、各大学が検討し、判断すべき事柄であると考えている。  また、令和四年五月十日に教育未来創造会議で取りまとめられた「我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について(第一次提言)」において、「学部段階の給付型奨学金と授業料減免の中間層への拡大」や「ライフイベントに応じた柔軟な返還(出世払い)の仕組みの創設」が提言されたところであり、これらの施策を着実に実施していく考えである。
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給付型奨学金と授業料減免の中間所得層への拡大に関する質問主意書
令和四年六月九日提出 質問第九九号 給付型奨学金と授業料減免の中間所得層への拡大に関する質問主意書  令和四年五月十日に、内閣総理大臣が議長を務める教育未来創造会議の第三回会合が開催され、第一次提言が取りまとめられた。この提言には、給付型奨学金と授業料減免の対象を中間所得層へ拡大することが盛り込まれている。  そこで、給付型奨学金と授業料減免の中間所得層への拡大に関して、以下質問する。 一 給付型奨学金と授業料減免の対象を中間所得層へ拡大する場合、具体的にどのような方を対象に、どのくらいの金額の給付型奨学金と授業料減免となるのか。政府の認識を明らかにされたい。 二 現行の給付型奨学金、授業料減免は、制度開始以降、利用者が政府の想定を下回っている。制度の周知が不十分で、受給対象であるにもかかわらず申請しないままになっている学生がいる可能性もあることから、現行の給付型奨学金、授業料減免の運用状況について検証する必要がある。その上で、給付型奨学金と授業料減免の対象を中間所得層へ拡大するべきであると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。 三 進学前に給付型奨学金の申請を行うことについて、高等学校では各家庭の事情に立ち入り個別に給付型奨学金の利用を勧めることが難しいとの意見がある。また、支援を必要とする学生が高等学校で詳しい説明を受けておらず、制度を知らない学生がいるため、中学校在学時から早期に周知を行うことで、進学への意欲が高まり、保護者の理解にもつながるとの意見もある。給付型奨学金の利用を促進するため早期に十分な周知を行うなど、政府において必要な措置を講ずるべきと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。  右質問する。
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衆議院議員城井崇君提出給付型奨学金と授業料減免の中間所得層への拡大に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月二十一日受領 答弁第九九号   内閣衆質二〇八第九九号   令和四年六月二十一日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員城井崇君提出給付型奨学金と授業料減免の中間所得層への拡大に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねについては、今後検討を進めていくこととしている。 二及び三について  独立行政法人日本学生支援機構が令和元年度に千四百六十三校の大学等を対象に実施した調査においては、学生等が大学等における修学の支援に関する法律(令和元年法律第八号)に基づく支援制度の対象であるにもかかわらず同制度に申込みをしていない理由として「手続きが面倒」、「制度を理解できていない」等が挙げられており、同制度の周知に関し課題があると認識している。政府としては、中学校段階からの周知は重要と考えており、各種会議を通じて中学校への周知を強化するとともに、政府広報等の媒体を活用して、引き続き積極的な周知に努めてまいりたい。  また、御指摘の「給付型奨学金と授業料減免の対象を中間所得層へ拡大」することについては、令和四年五月十日に教育未来創造会議で取りまとめられた「我が国の未来をけん引する大学等と社会の在り方について(第一次提言)」において、「学部段階の給付型奨学金と授業料減免の中間層への拡大」が提言されたところであり、これを着実に実施していく考えである。