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憲法第九条の解釈に関する質問主意書
令和四年六月十日提出 質問第一五〇号 憲法第九条の解釈に関する質問主意書  平成二十六年五月十五日に公表された「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(以下「安保法制懇」という。)の報告書(以下「報告書」という。)について、安倍晋三総理大臣(当時)(以下「安倍総理」という。)は、同日の記者会見において、憲法第九条の解釈の在り方について、「今回の報告書では、二つの異なる考え方を示していただきました。一つは、個別的か、集団的かを問わず、自衛のための武力の行使は禁じられていない、また、国連の集団安全保障措置への参加といった国際法上、合法な活動には憲法上の制約はないとするもの(中略)もう一つの考え方は、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方」と述べられた。  更に安倍総理は、同じ会見において、「二つの異なる考え方」のうち前者の「個別的か、集団的かを問わず、自衛のための武力の行使は禁じられていない、また、国連の集団安全保障措置への参加といった国際法上、合法な活動には憲法上の制約はないとする」考え方について、「いわゆる芦田修正論(中略)は政府としては採用しないということであります。」と述べられた。 一 安倍総理が述べられた「いわゆる芦田修正論」とは、報告書に示された「二つの異なる考え方」の一つ、前者の「個別的か、集団的かを問わず、自衛のための武力の行使は禁じられていない、また、国連の集団安全保障措置への参加といった国際法上、合法な活動には憲法上の制約はないとする」考え方を指すと理解して宜しいか、政府の見解を示されたい。 二 いわゆる芦田修正論について、政府が「採用しない」と決定した経緯、行政過程、具体的な行政手続きについて、政府の見解を示されたい。 三 政府が芦田修正論を「採用しない」と決定した理由について、政府の見解を示されたい。特に、安保法制懇が「二つの異なる考え方」の一つとして芦田修正論を報告書に明記したにもかかわらず、芦田修正論を「採用しない」と判断した理由について、政府の見解を示されたい。 四 平成二十六年七月一日付けで閣議決定された「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」には、「憲法第九条はその文言からすると、国際関係における「武力の行使」を一切禁じているように見えるが、憲法前文で確認している「国民の平和的生存権」や憲法第十三条が「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」は国政の上で最大の尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえて考えると、憲法第九条が、我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることを禁じているとは到底解されない。一方、この自衛の措置は、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置として初めて容認されるものであり、そのための必要最小限度の「武力の行使」は許容される。これが、憲法第九条の下で例外的に許容される「武力の行使」について、従来から政府が一貫して表明してきた見解の根幹、いわば基本的な論理であり(中略)この基本的な論理は、憲法第九条の下では今後とも維持されなければならない。」と記述されている。  いわゆる芦田修正論と当該「基本的な論理」との関係について、「基本的な論理」を維持したままでは芦田修正論を採用できないのか、場合によっては採用できる可能性もあるのか、政府の見解を示されたい。 五 前記四の「基本的な論理」は、憲法第九条の下では、いかなる場合にあっても維持されなければならないのか、あるいは、パワーバランスの変化や技術革新の急速な進展、大量破壊兵器などの脅威等により我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容した場合には、憲法第九条の下であっても、「基本的な論理」を見直す余地があるのか、政府の見解を示されたい。  右質問する。
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衆議院議員足立康史君提出憲法第九条の解釈に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月二十四日受領 答弁第一五〇号   内閣衆質二〇八第一五〇号   令和四年六月二十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員足立康史君提出憲法第九条の解釈に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「いわゆる芦田修正論」については、平成二十六年五月二十九日の参議院外交防衛委員会において、安倍内閣総理大臣(当時)が「確立された定義があるわけではないというふうに承知をしておりますが、一般に、憲法第九条第一項はいわゆる侵略戦争を放棄していると解釈した上で、第二項は、「前項の目的を達するため、」、すなわち侵略戦争を放棄するために戦力の不保持を定めているとし、侵略戦争ではない自衛のための、あるいは集団安全保障のための実力の保持や武力の行使には制限はないとする考え方である」と述べたとおりである。 二について  お尋ねについては、平成二十七年八月二十五日の参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会において、安倍内閣総理大臣(当時)が「昨年五月十五日に提出をされました安保法制懇の報告書では、二つの異なる考え方を示していただきました。一つは、芦田修正の経緯に着目し、個別的か集団的かを問わず自衛のための武力の行使は禁じられていない、また、国連の集団安全保障措置への参加といった国際法上合法な活動には憲法上の制約はないとする考え方であります。しかし、この考え方はこれまでの政府の憲法解釈と論理的に整合しないわけでありまして、私は、憲法がこうした活動の全てを許しているとは考えていません。したがって、この考え方、いわゆる芦田修正論は政府としては採用できないと判断いたしました。報告書のもう一つの考え方は、我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき、限定的に集団的自衛権を行使することは許されるとの考え方であります。この考え方は、従来の政府の基本的な立場を踏まえたものであります。このため、私は、報告書の提出後直ちに、前者の芦田修正を踏まえた考え方は採用せず、後者の従来の憲法解釈との整合性を踏まえた考え方について今後更に研究を進めていくという基本的な方針を指示しました。」と述べたとおりである。 三及び四について  従来からの憲法第九条に関する政府の解釈は、御指摘の「基本的な論理」で示されているように、憲法第九条はその文言からすると、国際関係における「武力の行使」を一切禁じているように見えるが、憲法前文で確認している「国民の平和的生存権」や憲法第十三条が「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」は国政の上で最大の尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえて考えると、憲法第九条が、我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることを禁じているとは到底解されず、一方、この自衛の措置は、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置として初めて容認されるものであり、そのための必要最小限度の「武力の行使」は許容される、というものである。  その上で、同条第二項の「前項の目的を達するため」という言葉は、同条第一項全体の趣旨、すなわち、同項では国際紛争を解決する手段としての戦争、武力による威嚇、武力の行使を放棄しているが、自衛権は否定されておらず、自衛のための必要最小限度の武力の行使は認められているということを受けていると解している。したがって、同条第二項は「戦力」の保持を禁止しているが、このことは、自衛のための必要最小限度の実力を保持することまで禁止する趣旨のものではなく、これを超える実力を保持することを禁止する趣旨のものであると解している。  このような政府の憲法解釈と、一についてで述べた「侵略戦争ではない自衛のための、あるいは集団安全保障のための実力の保持や武力の行使には制限はない」とする「いわゆる芦田修正論」は論理的に整合しないことから、政府として「いわゆる芦田修正論」を採用することはできないと考えている。 五について  一般論として、憲法をはじめとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えている。仮に、政府において、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられる。  その上で、御指摘の「基本的な論理」については、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)において「この基本的な論理は、憲法第九条の下では今後とも維持されなければならない。」としているところである。
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日本銀行が債務超過になった場合の日本銀行法第八条の出資の扱い等に関する質問主意書
令和四年六月十日提出 質問第一五一号 日本銀行が債務超過になった場合の日本銀行法第八条の出資の扱い等に関する質問主意書  去る四月十八日の決算行政監視委員会において、日本銀行に損失が生じたときに繰延資産で計上することが日本銀行法上、可能かどうかを質問したところ、財務副大臣は「日銀法には損失の繰延べを認める規定はございませんで、日銀が尊重すべき企業会計基準におきましても、損失を繰り延べるために繰延資産を計上することは認められていないと承知をしております。」と答弁された。また、日本銀行が債務超過になることは日本銀行法上許容されるのかを質問したところ、財務大臣は「現行法令上、日本銀行が債務超過、すなわち負債の総額が資産の総額を上回る状態を禁止する、そういう規定はございません。」と答弁された。これらに関連して、以下質問する。 一 日本銀行が債務超過になった場合においても日本銀行法第八条による政府及び政府以外の者の出資による一億円は毀損されないこととなるのか。 二 現行法令上、債務超過を禁止する規定がないことは、債務超過であっても日本銀行法第五十二条第一項に基づく承認がなされることを否定しないと解釈されることになるのか。 三 日本銀行において自己資本比率計算上の自己資本を上回る損失の会計処理において、日本銀行が政策委員会の議決を経て、債務超過を回避できるよう会計規程を変更することは、現行法令に照らして許容されるのか。  右質問する。
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衆議院議員藤岡隆雄君提出日本銀行が債務超過になった場合の日本銀行法第八条の出資の扱い等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月二十四日受領 答弁第一五一号   内閣衆質二〇八第一五一号   令和四年六月二十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員藤岡隆雄君提出日本銀行が債務超過になった場合の日本銀行法第八条の出資の扱い等に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「毀損されない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本銀行法(平成九年法律第八十九号。以下「法」という。)には、日本銀行の資本金の取崩しについて定めた規定はない。 二について  法には、日本銀行が債務超過である場合に法第五十二条第一項に基づく承認を禁止する規定はない。 三について  お尋ねについては、「損失の会計処理において、日本銀行が政策委員会の議決を経て、債務超過を回避できるよう会計規程を変更すること」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
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円安が日本経済に与える影響の評価に関する質問主意書
令和四年六月十日提出 質問第一五二号 円安が日本経済に与える影響の評価に関する質問主意書  令和四年六月八日の衆議院財務金融委員会において、野田佳彦議員の円安に関する質問に対し、財務大臣は「円安が一概に良いとか悪いとかいえるものではない」と答弁され、令和四年四月十八日の決算行政監視委員会において財務大臣に対して質問をしたとき、円安が日本経済にとってプラスかどうかについて、一概にいいとは言えない、どちらか分からないという認識で良いかを問うたところ、「そのような御認識でいいと思います。」と答弁された。  一方、黒田日本銀行総裁は、四月二十八日の金融政策決定会合の後の記者会見において、円安が進んでいる状況に関し、日本経済にとってメリットの方が大きいとみていらっしゃるかと問われたことに対し、「全体として円安がプラスという評価を変えたわけではありません」と言及されている。  本年四月二十一日の衆議院本会議における内閣官房長官の答弁にみられるように、政府と日本銀行の間で、短期的な為替の急激な変動が望ましくないという意味で為替の安定が重要という点は一致していると思われるが、日本の経済構造全体に鑑みて円安が日本経済全体に与える影響の評価については、政府として財務大臣と日本銀行総裁の間で異なっているという認識で良いかどうかを答弁されたい。  右質問する。
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衆議院議員藤岡隆雄君提出円安が日本経済に与える影響の評価に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月二十四日受領 答弁第一五二号   内閣衆質二〇八第一五二号   令和四年六月二十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員藤岡隆雄君提出円安が日本経済に与える影響の評価に関する質問に対する答弁書  お尋ねについては、令和四年五月二十六日の衆議院予算委員会において、岸田内閣総理大臣が「黒田総裁も、プラスの面、全体としてプラスとおっしゃったということでありますが、マイナス面についても触れられている。両方の面があるんだということについては、黒田総裁も鈴木大臣も発言に矛盾はないと私は理解しております。」と答弁しているところである。
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令和四年度一般会計予備費使用に関する質問主意書
令和四年六月十日提出 質問第一五三号 令和四年度一般会計予備費使用に関する質問主意書  予備費の使用については、財政民主主義の観点から真に緊急性を要するものなどに限定されるべきであり、とりわけ国会開会中は必要な支出について補正予算を編成し国会に提出して、国会の議決を経て支出していくことが大原則であり、閣議決定(「予備費の使用等について」(平成十九年四月三日改正))において、第三項に「国会開会中は、第一項の経費及び次に掲げる経費を除き、予備費の使用は行わない。」と定められているところ、本年四月二十八日に閣議決定された一般会計予備費使用の十一件について、以下、質問する。 一 当該一般会計予備費使用の十一件のうち、こどもみらい住宅支援事業に必要な経費及びサプライチェーン対策のための国内投資促進事業に必要な経費は、それぞれ、当該閣議決定の第三項のいずれの経費に該当するのか。 二 一の二項目の経費が、「予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費」に該当すると答弁されるならば、その根拠を答弁されたい。特に、こどもみらい住宅支援事業は、令和三年度補正予算で創設されたものであるが、当初の交付申請期限は令和四年十月末までであった。この事業に関し、予備費の使用決定により交付の申請期限を令和五年三月末まで延長するなどされたが、令和四年度本予算の修正、より早期の補正予算による対応又は本年五月に成立した補正予算で対応といった方法のいずれかの対応をしなかったのはなぜか、その理由を含めて詳細に答弁されたい。また、サプライチェーン対策のための国内投資促進事業に必要な経費についても、予備費の使用決定を受け、「ウクライナ情勢の影響を受ける原材料等の安定供給対策分」として五月二日から二十日まで補助金の受付を公募しているが、令和四年度本予算の修正又はより早期の補正予算による対応といった方法のいずれかの対応をしなかったのはなぜか、その理由を含めて詳細に答弁されたい。  なお、言うまでもなく、ここでは、両事業自体の是非を問題にしているわけではなく、当該事業が本予算又は補正予算によらず、政府の裁量で決定される予備費の使用によって行われることの是非を明らかにする観点から質問をしていることを申し述べておく。  右質問する。
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衆議院議員藤岡隆雄君提出令和四年度一般会計予備費使用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月二十四日受領 答弁第一五三号   内閣衆質二〇八第一五三号   令和四年六月二十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員藤岡隆雄君提出令和四年度一般会計予備費使用に関する質問に対する答弁書 一及び二について  令和四年度予算成立後の状況に鑑み、御指摘の「こどもみらい住宅支援事業に必要な経費」については、原油価格及び物価の高騰への対策として、同事業を継続して実施するために緊急に対処する必要があったことから、また、御指摘の「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業に必要な経費」については、ロシア連邦によるウクライナ侵略などの影響により、国民生活や経済活動に不可欠な物資の安定供給が滞り、サプライチェーンの問題が続くおそれがあり、緊急に対処する必要があったことから、「予備費の使用等について」(昭和二十九年四月十六日閣議決定)第三項(3)に規定する「予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費」に該当するものとして、予備費の使用を決定したものである。
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研究者の有期雇用及び雇止めに関する質問主意書
令和四年六月十日提出 質問第一五四号 研究者の有期雇用及び雇止めに関する質問主意書  去る六月七日の科学技術・イノベーション推進特別委員会において、研究者の雇止めに関する問題について質問したところ、文部科学副大臣が、「労働契約法の特例の適用者で今年度末において通算雇用期間が十年となる者の数は把握しておりますが、そのうち、無期転換した者の数については把握いたしておりません。」と答弁された。更に、「本特例の適用から十年を超えることになる令和五年四月以降に本特例に基づき無期転換する研究者等が生じることになるため、その前後の状況を踏まえつつ、実態把握をする必要があると考えております。」と答弁された。これらに関連して、以下質問する。 一 「その前後の状況を踏まえつつ、実態把握する必要がある」との答弁について、実態把握は、雇止め(雇用契約の終了)が生じる前である今年度中の早い時期に速やかに行うべきであると考えるが、政府は、実態把握の調査を行う時期をいつ頃と予定しているのか。 二 研究者を志す若者の将来の雇用に対する不安を解消し、研究者が腰を据えて研究に打ち込める環境を整えていくなどのため、大学等における労働契約法の特例の適用者で今年度末に通算雇用期間が十年となる者のうち、令和五年四月以降も雇用を継続する予定の者の数及び令和五年三月末までに雇止め(雇用契約の終了)を予定している者の数、雇止め(雇用契約の終了)をする理由を、政府は、今年度中の早い時期に速やかに実態把握すべきと考えるが見解如何。  右質問する。
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衆議院議員藤岡隆雄君提出研究者の有期雇用及び雇止めに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月二十四日受領 答弁第一五四号   内閣衆質二〇八第一五四号   令和四年六月二十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員藤岡隆雄君提出研究者の有期雇用及び雇止めに関する質問に対する答弁書 一及び二について  お尋ねの実態把握の調査時期及び調査項目については、現在、文部科学省において検討を進めているところである。
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地域医療構想に関する質問主意書
令和四年六月十日提出 質問第一五五号 地域医療構想に関する質問主意書  厚生労働省の資料「地域医療構想について」によれば、地域医療構想は「二〇二五年に向け、病床の機能分化・連携を進めるために、医療機能ごとに二〇二五年の医療需要と病床の必要量を推計し、定めるもの」とされている。二〇一九年九月二十六日、厚生労働省はこれに基づき、医療体制の見直しを進めるため、千四百五十五の公立・公的病院の診療実績を分析・公表し、うち三割の四百二十四病院について、病床数や診療体制を見直す検証が必要だとして、翌二〇二〇年までに各病院に結論を出すように求めた経過がある。  他方、総務省は、令和四年三月二十九日、「新公立病院改革ガイドライン」を改定し、「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」を策定した。  従って、次の事項について質問する。 一 総務省の「公立病院改革ガイドライン」は平成十九年に発出され、平成二十七年三月三十一日に「新公立病院改革ガイドライン」へと改訂された。他方、地域医療構想は、「公立病院改革ガイドライン」による改革が進められる中、平成二十六年六月成立のいわゆる「医療介護総合確保推進法」に基づき医療計画の一部として位置付けられ、都道府県は、「新公立病院改革ガイドライン」発出後となる平成二十七年四月以降、地域医療構想を策定するとされたものである。  これを受けて「新公立病院改革ガイドライン」では、地域医療構想に触れ「こうした医療制度改革と密接な関連があり」「今後の公立病院改革は、医療法に基づく地域医療構想の検討及びこれに基づく取組と整合的に行われる必要がある」と明記されている。  厚生労働省は、先日、医政局長名で「地域医療構想の進め方について」との通知を発出した。しかし「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」に先立つ三月二十四日付であり、かつ令和四年四月二十八日の地方創生に関する特別委員会では、厚生労働大臣政務官が「厚生労働省として方針転換を行ったものではない」旨の答弁をしている。  政府は、地域医療構想と密接な関係があり、整合性を問われるガイドラインの大幅な改定にもかかわらず、なぜ地域医療構想について修正、変更を行わないのか。 二 厚生労働省は「公立病院改革ガイドライン」以降の総務省のガイドラインと、地域医療構想との関係について、連携はとっていると答えてきた。令和四年二月十六日の予算委員会第五分科会における私の質問に対しても、後藤厚生労働大臣からは、「地域医療構想を進めていくに当たりまして、公的病院、また今回のガイドラインを決めました総務省とも連携しながら」との答弁がある。  では、総務省がこれまで示してきた「公立病院改革ガイドライン」「新公立病院改革ガイドライン」「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」と、厚生労働省の示してきた地域医療構想とは、いかなる関係に立つものか。また厚生労働省の述べる地域医療構想と総務省の一連のガイドラインとの間でとられている連携とはどのようなものか。具体的に述べられたい。 三 公立・公的病院は、公・民の適切な役割分担の下、民間では担うことが難しい診療科やへき地医療、高度先進医療等を提供し、とりわけ多くの地方においては医療体制の基幹を担って、住民の暮らしと健康を守ってきた。しかし厚生労働省は、二〇一九年九月二十六日に病床数や診療体制の見直しを求めたように、公立・公的病院の統廃合を求めてきた経過がある。  他方、令和四年四月十二日の衆議院総務委員会における金子総務大臣の答弁によれば、「新たなガイドラインは、もとより公立病院の病床削減、統廃合は前提としておりません」としたうえで、「これまでの公立病院改革ガイドラインとは異なり、持続可能な地域医療提供体制の確保のために、限られた医師、看護師等の医療資源を地域全体で最大限効率的に活用するという視点を最も重視している」とされている。  そこで問うが、政府としては地域医療構想においても、今後総務省の「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」の考え方と同様、「公立病院の病床削減、統廃合を前提とせず」「これまでと異なり、持続可能な地域医療提供体制の確保のために、限られた医師、看護師等の医療資源を地域全体で最大限効率的に活用するという視点を最も重視」する、との見解に立つものと考えてよいか。  右質問する。
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衆議院議員梅谷守君提出地域医療構想に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月二十四日受領 答弁第一五五号   内閣衆質二〇八第一五五号   令和四年六月二十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員梅谷守君提出地域医療構想に関する質問に対する答弁書 一から三までについて  お尋ねの地域医療構想については、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成二十六年法律第八十三号)により、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の四第一項の規定に基づき都道府県が定める医療計画の記載事項として位置付けられ、各都道府県において、その達成に向け、公立病院も含め、病床機能の分化及び連携の取組を進めることとしているところである。「公立病院改革ガイドライン」(平成十九年十二月二十四日付け総財経第百三十四号総務省自治財政局長通知別添)、「新公立病院改革ガイドライン」(平成二十七年三月三十一日付け総財準第五十九号総務省自治財政局長通知別添。以下「新改革ガイドライン」という。)及び「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」(令和四年三月二十九日付け総財準第七十二号総務省自治財政局長通知別添。以下「経営強化ガイドライン」という。)については、地域医療の確保のために重要な役割を果たしている多くの公立病院における経営状況の悪化や医師不足等の厳しい状況を踏まえ、公立病院の経営改革や経営の強化の取組を通じて、持続可能な地域の医療提供体制を確保するために策定されたものである。  地域医療構想とこれらのガイドラインとの関係性については、新改革ガイドラインにおいて、「今後の公立病院改革は、医療法に基づく地域医療構想の検討及びこれに基づく取組と整合的に行われる必要がある」とし、「地域医療構想の進め方について」(平成三十年二月七日付け医政地発○二○七第一号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知)においても、「病院事業を設置する地方公共団体は、「新公立病院改革ガイドライン」・・・を参考に、公立病院について、病院ごとに「新公立病院改革プラン」を策定した上で、地域医療構想調整会議において、・・・具体的対応方針を協議すること」としているところであり、また、経営強化ガイドラインにおいて、経営強化ガイドラインを参考に策定する「公立病院経営強化プラン」について、「「地域医療構想の進め方について」(令和四年三月二十四日付け厚生労働省医政局長通知)により、当該公立病院の地域医療構想に係る具体的対応方針として位置付けることとされていることも踏まえ、地域医療構想と整合的であることが求められる」とし、「地域医療構想の進め方について」(令和四年三月二十四日付け医政発〇三二四第六号厚生労働省医政局長通知。以下「令和四年通知」という。)においても、「病院事業を設置する地方公共団体は、・・・「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」を踏まえ、病院ごとに「公立病院経営強化プラン」を具体的対応方針として策定した上で、地域医療構想調整会議において協議する」こととしているところであり、相互に整合を図っていることから、今般の経営強化ガイドラインの策定に伴って、お尋ねの地域医療構想の「修正、変更」を行う必要はないと考えている。  お尋ねの「地域医療構想においても、今後総務省の「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」の考え方と同様(中略)の見解に立つ」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地域医療構想については、令和四年通知において、基本的な考え方として、「各構想区域における地域医療構想の実現に向けた病床機能の分化・連携の取組など、地域全体での質が高く効率的で持続可能な医療提供体制の確保を図る取組を進めることが重要であること」や「地域医療構想の推進の取組は、病床の削減や統廃合ありきではなく、各都道府県が、地域の実情を踏まえ、主体的に取組を進めるものである」と示しているほか、公立病院については、御指摘の「見解」に基づき策定された経営強化ガイドラインを参考に、公立病院を設置する地方公共団体が「公立病院経営強化プラン」を具体的対応方針として策定した上で、地域医療構想調整会議において協議することとしているところである。
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消費税の時限的減税に関する質問主意書
令和四年六月十日提出 質問第一五六号 消費税の時限的減税に関する質問主意書  岸田総理は、これまで消費税減税を否定し、令和四年六月一日の衆議院予算委員会においても、「消費税減税は考えておりません」と断言されている。  従って、次の事項について質問する。 一 岸田総理は消費税減税を行わない理由として、「機動的に対応することは不可能である」と、六月一日の答弁において述べている。  しかし国立国会図書館の調査によれば、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い付加価値税の減税を行った国は、これまで先進国・発展途上国を問わず五十四カ国に及ぶ。  総理は答弁中、システム変更や準備期間などを課題として挙げているが、諸外国がこのように「機動的に対応」する中、わが国だけが対応できないとする理由を明確に述べられたい。 二 岸田総理は、同じく消費税減税を行わない理由として、「社会保障の安定財源として重要である」ことを、同じ答弁において述べている。  しかし政府は、これまでコロナ対策や物価高騰対策として実施してきた施策について、その主たる財源を公債発行に求めてきた。  消費税は、社会保障財源の一部を構成しているに過ぎない。一時的・時限的な施策の費用を公債発行等で手当てするにあたって、その施策が消費税の時限的減税であろうと、消費税減税以外の措置であろうと、財政に対する影響は何ら異なるところがなく、消費税減税を否定する理由とはならない。  時限的な消費税減税が社会保障の安定財源性を損なうと、政府が判断する明確な根拠を示されたい。 三 帝国データバンクの調査によれば、食品一万七百八十九品目で今年中の値上げが実施、または予定されているという。食料品をはじめ、生活に欠かせない必需品・サービスの広範な値上げは、今後さらに本格化することが見込まれる。こうした状況に対し、総理も五月二十七日の予算委員会などで、「生活を守るために様々な国の支援は必要だと思います」と答弁している。  国の支援として、給付や補助金などの措置は、適切に実施すれば迅速性などで優れる点もあるが、支援の穴もまた生まれやすい。物価の上昇に対しては物価を引き下げることで対応すること、すなわち消費税の減税こそが、国民に対しあまねく、最もきめ細かく行き届く支援となる。  また消費税は、高所得者ほど所得に占める税負担の割合が小さくなるという点において、逆進的な税である。物価高騰が生活を直撃し、とりわけ低所得者を中心に影響を強く受ける状況においては、逆進性を緩和する施策が必要である。  昨年の予算委員会第三分科会において、当時の麻生財務大臣は「いまの消費を喚起ということだけ見れば、その点は決して間違っていない」と述べられている。この一年で、物価高騰等により国民生活や中小事業者の事業環境はより深刻になっており、「生活を守るための国の支援」としては、時限的な消費税減税こそが最も適切な対策だと考えられる。  一、二で触れた、政府が消費税減税を行わないとする理由は別として、消費税減税を実施した場合の効果について、政府は現時点でどのように考えているのか、見解を問う。  右質問する。
b208156
衆議院議員梅谷守君提出消費税の時限的減税に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年六月二十四日受領 答弁第一五六号   内閣衆質二〇八第一五六号   令和四年六月二十四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員梅谷守君提出消費税の時限的減税に関する質問に対する答弁書 一から三までについて  お尋ねの「諸外国がこのように「機動的に対応」する中、わが国だけが対応できないとする理由」の意味するところが必ずしも明らかではないが、消費税率の引下げは、多くの事業者に関わるものであり、システムの改修、価格設定の見直し、値札の変更等により、準備期間の確保が必要となるなど、経済情勢の変化等に機動的に対応して実施することは困難と考えている。  また、我が国における消費税については、急速な高齢化を背景に社会保障給付費が大きく増大する中で、国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の安定財源として位置付けられ、令和元年十月の消費税率の引上げは、全ての方が支え合う、持続可能な全世代型社会保障制度へと大きく転換していくために必要なものとして実施されたところ、時限的にせよ、消費税率を引き下げることは社会保障の安定財源を確保していく観点から適切ではないと考えている。  こうしたことから、「消費税減税を実施した場合」との仮定を前提としたお尋ねにお答えすることは差し控えたい。
a209001
国葬儀の形式で安倍晋三元内閣総理大臣の葬儀を行うことに関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第一号 国葬儀の形式で安倍晋三元内閣総理大臣の葬儀を行うことに関する質問主意書  岸田文雄内閣総理大臣は二〇二二年七月十四日の記者会見において、国葬儀の形式で安倍晋三元内閣総理大臣の葬儀を行うことを表明した。そこで、安倍晋三元内閣総理大臣の葬儀を国葬儀の形式で行うことについて、以下、質問する。 一 国葬儀の法的根拠は何か。一九二六年に制定された国葬令は一九四七年で失効したと承知している。安倍元総理の葬儀は、内閣府設置法第四条の「国の儀式」として行うとしているが、国葬令に基づく国葬とは何が違うのか。 二 安倍元総理の葬儀の費用について、「全額が国費による支弁となる」と表明したが、戦後の総理大臣の葬儀を全額国費による支弁とした例はあるのか。今回の葬儀の費用を全額国費による支弁とする場合の法的根拠は何か。また、二〇二二年度予算に安倍元総理の葬儀費用は計上されていないと承知しているが、どの予算項目で支出するのか。 三 国葬儀とすることの第一の理由として、岸田総理は安倍元総理の在任期間が「憲政史上最長の八年八か月」であることをあげたが、何年以上であれば国葬儀の要件を満たすのか。 四 国葬儀とすることの第二の理由として、「卓越したリーダーシップと実行力をもって、厳しい内外情勢に直面する我が国のために内閣総理大臣の重責を担ったこと、東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開等の大きな実績を様々な分野で残されたことなど、その御功績は誠にすばらしい」と功績をあげた。一方で、安倍元総理は、問題と疑惑についても指摘されてきた。安倍元総理の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会をめぐって、国会において総理大臣として百十八回もの虚偽の答弁を行った。また、磁気ネックレスなどの預託商法を展開しその後に詐欺罪で有罪判決を受けたジャパンライフ株式会社の山口元会長を安倍内閣は政府主催の桜を見る会に招待したが、ジャパンライフはその招待状をチラシに印刷するなど、客の勧誘に利用していたことが明らかになり、ジャパンライフ問題の被害拡大につながった可能性を否定できない。さらに、霊感商法で社会問題となった旧「統一教会」(現「世界平和統一家庭連合」)の関係団体「天宙平和連合(UPF)」の集会に祝電やビデオメッセージを送るなどしたことも問題の深刻化につながった可能性を否定できない。このように政治家の功績には、プラスとマイナスの両面がありえるが、マイナス面も評価した上で国葬儀が相応しいと判断したのか、政府の見解如何。 五 国葬儀とすることの第三の理由として、岸田総理は安倍元総理の「外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価」をあげたが、亡くなった元首脳について外交儀礼として「高い評価」をするものと考えるべきである。むしろ、日本国として「国の儀式」とするのであれば、日本国内においての評価こそ重要であると考えるところ、日本国内での安倍元総理の評価を岸田内閣としてどのように認識しているのか。 六 国葬儀とすることの第四の理由として、岸田総理は安倍元総理が「民主主義の根幹たる選挙が行われている中、突然の蛮行により逝去されたもの」をあげた。蛮行が遂行されてしまったのは警備に問題があったことの証左であり、すなわち警察行政の大失態であり、その責任を有耶無耶にしてはならないと考える。しかし、その責任を負うべき内閣が国葬儀とする判断を行うことは責任を有耶無耶にしようとしているとの疑念が生まれかねないと考えるが、政府の見解如何。 七 安倍元総理の葬儀を国葬儀の形式で行うかどうかは、不十分な警備で蛮行をゆるした内閣が判断するものではなく、国権の最高機関であるところの国会での審議を経て決定することを提案するが、政府の見解如何。  右質問する。
b209001
衆議院議員櫻井周君提出国葬儀の形式で安倍晋三元内閣総理大臣の葬儀を行うことに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第一号   内閣衆質二〇九第一号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出国葬儀の形式で安倍晋三元内閣総理大臣の葬儀を行うことに関する質問に対する答弁書 一について  前段のお尋ねについては、「法的根拠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、閣議決定を根拠として国の儀式である国葬儀を行うことは、国の儀式を内閣が行うことは行政権の作用に含まれること、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四条第三項第三十三号において内閣府の所掌事務として国の儀式に関する事務に関することが明記されており、国葬儀を含む国の儀式を行うことが行政権の作用に含まれることが法律上明確となっていること等から、可能であると考えている。後段のお尋ねについては、その趣旨が必ずしも明らかではないが、国葬令(大正十五年勅令第三百二十四号)の規定により国葬として行われたものについては、様々なものがあると承知しており、故安倍晋三国葬儀について、「国葬令に基づく国葬とは何が違うのか」とのお尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、例えば、同令第四条においては、「皇族ニ非サル者國葬ノ場合ニ於テハ喪儀ヲ行フ當日廢朝シ國民喪ヲ服ス」と規定されているが、故安倍晋三国葬儀については、その実施に際し、国民一人一人に喪に服することを求めるものではない。 二について  お尋ねの「戦後の総理大臣の葬儀を全額国費による支弁とした例」について、故吉田茂国葬儀及び「故三木武夫」衆議院・内閣合同葬儀のため必要な経費は、その全額を国費で支弁している。お尋ねの「今回の葬儀の費用を全額国費による支弁とする場合の法的根拠」の意味するところが必ずしも明らかではないが、故安倍晋三国葬儀のため必要な経費は、「故安倍晋三の葬儀の執行について」(令和四年七月二十二日閣議決定)により全額を国費で支弁することとしたものである。また、故安倍晋三国葬儀のため必要な経費は、これまでに内閣が関与した元内閣総理大臣の葬儀と同様、一般会計予備費の使用を想定している。 三について  お尋ねの「国葬儀の要件」の意味するところが必ずしも明らかではないが、元内閣総理大臣の葬儀の在り方については、これまでも、その時々の内閣において、様々な事情を総合的に勘案し、その都度ふさわしい形を判断してきたところであり、一定の在任期間を超えることのみをもって判断しているものではない。 四及び五について  お尋ねについては、令和四年七月十四日の記者会見において、岸田内閣総理大臣が「安倍元総理におかれては、憲政史上最長の八年八か月にわたり、卓越したリーダーシップと実行力をもって、厳しい内外情勢に直面する我が国のために内閣総理大臣の重責を担ったこと、東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開等の大きな実績を様々な分野で残されたことなど、その御功績は誠にすばらしいものであります。外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けており、また、民主主義の根幹たる選挙が行われている中、突然の蛮行により逝去されたものであり、国の内外から幅広い哀悼、追悼の意が寄せられています。こうした点を勘案し、この秋に国葬儀の形式で安倍元総理の葬儀を行うことといたします。」と述べているとおりである。 六及び七について  お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、閣議決定を根拠として国の儀式である国葬儀を行うことが可能であることについては、一についてで述べたとおりであり、また、安倍元内閣総理大臣の葬儀を国葬儀の形式で行うこととした考え方については、四及び五についてで述べた趣旨を記者会見等の場で説明しているところである。いずれにせよ、政府としては、故安倍晋三国葬儀の実施について国民の理解が更に得られるよう、これからも丁寧に説明する努力を続けてまいりたいと考えている。
a209002
予備自衛官制度の充実に関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第二号 予備自衛官制度の充実に関する質問主意書  国家的有事に対応するためには自衛隊において多くの隊員が必要となる。一方で、多くの隊員を平時から保有することは財政的・社会的に効率的ではない。そこで、我が国では、平時においては必要最小限の隊員で対応することとしつつ、有事においては早急に人員を集めることができる予備自衛官制度を設けている。  一方で、自衛官について定数割れが続いており、人員不足は重大な課題である。有事の際に自衛隊を補完する予備自衛官の定数割れはさらに深刻である。  そこで、以下質問する。 一 予備自衛官制度と予備自衛官募集の広報を充実させる必要があると考えるが、政府の見解及び取組み如何。 二 国家公務員、地方公務員、地方議会議員は、予備自衛官に登録することができるが、国会議員は予備自衛官の登録から排除されている。国会議員についても地方議会議員と同様に予備自衛官への登録の道を開くべきと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
b209002
衆議院議員櫻井周君提出予備自衛官制度の充実に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第二号   内閣衆質二〇九第二号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出予備自衛官制度の充実に関する質問に対する答弁書 一について  防衛省・自衛隊においては、予備自衛官、即応予備自衛官及び予備自衛官補(以下「予備自衛官等」という。)として必要な人材を確保するため、予備自衛官補から予備自衛官を経て即応予備自衛官に任用できる制度を設けるとともに、当該制度に係る訓練招集手当及び予備自衛官補の教育訓練招集手当の増額、予備自衛官及び即応予備自衛官の職務に対する理解と協力の確保に資するための給付金制度の導入等により、予備自衛官等制度の充実を図っている。また、退職予定の自衛官及び一般の方に対するSNSやパンフレット等を活用した予備自衛官等の募集にも取り組んでいるところ、引き続き、幅広い国民・年齢層から予備自衛官等として必要な人材を確保するよう努めてまいりたい。 二について  お尋ねについては、国会に関する事柄であることから、政府としてお答えする立場にない。なお、予備自衛官等は国家公務員であるところ、国会議員の兼職については、国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第三十九条において、「議員は、・・・別に法律で定めた場合を除いては、その任期中国又は地方公共団体の公務員と兼ねることができない」とされていると承知している。
a209003
住民自治の形骸化に関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第三号 住民自治の形骸化に関する質問主意書  横浜市の市民団体が、横浜市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート施設(IR)について、地方自治法第七十四条に基づいてその是非を問う住民投票を実施するための条例制定を二〇二〇年十二月に直接請求したが、二〇二一年一月に横浜市議会はこの直接請求を否決した。また、大阪市の市民団体が、大阪府と大阪市によるカジノを含むIRについて、地方自治法第七十四条に基づいてその是非を問う住民投票を実施するための条例制定を二〇二二年七月に直接請求したが、同月に大阪府議会はこの直接請求を否決した。  日本国憲法が規定する「地方自治の本旨」は、団体自治と住民自治で構成されていると解される。その住民自治を実現するために地方自治法では住民の直接請求を規定している。特に、自治体議会の議決や首長の方針と、住民の意見が異なる場合には、住民の直接請求が重要となる。ところが、住民の意思を確認する機会すら自治体議会が封じることになれば、住民自治は形骸化してしまう。  日本国憲法が規定する「地方自治の本旨」を構成する住民自治が機能するために、地方自治法において同法第七十四条等に準ずる住民投票の規定を設けるべきと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
b209003
衆議院議員櫻井周君提出住民自治の形骸化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第三号   内閣衆質二〇九第三号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出住民自治の形骸化に関する質問に対する答弁書  お尋ねの「地方自治法において同法第七十四条等に準ずる住民投票の規定を設けるべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国の地方自治制度は、住民の意思の反映に関しては、住民の直接選挙を通じて選ばれた長や議会が中心的な役割を果たすことを基本としているところであり、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)において、いわゆる住民投票を制度化することについては、住民投票の対象とすべき事項、選挙で選ばれた長や議会の権限との関係、投票結果の拘束力の在り方など様々な論点があり、慎重な検討が必要と考えている。
a209004
投資という名目での詐欺に関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第四号 投資という名目での詐欺に関する質問主意書  投資という名目で資金を集める詐欺が後を絶たない。先月も芸能人の投資トラブルが大きく報道された。これまでも、様々な詐欺事件が発生し、それらを踏まえて法改正が行われてきた。  こうした詐欺を防止するため、いわゆる特定商取引法、預託法、金融商品取引法を改正するなどして対策を進めてきた。これらの対策は、商品や金融取引など投資実態があれば、取り締まりの対象となる可能性がある。  一方で、詐欺の中には、首謀者が顧客から集めた金を配当に回す単純なスキームであって投資実態がないものもある。すなわち、首謀者が顧客から拠出金として集めた資金の一部を顧客への配当として支払うことで高利回りを実現できるという信頼感を顧客に持たせ、更に顧客から拠出金を集めるとともに、新たな顧客を獲得して拠出金を集める。しかし、顧客が増えれば配当に充てる金額が増加し、拠出金として集めた金額が配当に充てる金額を上回ると破綻する。破綻を前提としたスキームであり、投資実態がなければさらに悪質であると考えられる。取り締まりの対象とすべきと考えるところ、以下、質問する。 一 破綻が明らかなスキームによる詐欺であって投資実態がない場合には、どの法律で取り締まることができるのか。 二 破綻が明らかなスキームによる詐欺であって投資実態がない場合に、現時点において取り締まる法律がないのであれば、新たに法律を制定することを提案するが、政府の見解如何。  右質問する。
b209004
衆議院議員櫻井周君提出投資という名目での詐欺に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第四号   内閣衆質二〇九第四号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出投資という名目での詐欺に関する質問に対する答弁書 一及び二について  御指摘の「破綻が明らかなスキームによる詐欺であって投資実態がない場合」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
a209005
旧統一教会に対する内閣の対応に関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第五号 旧統一教会に対する内閣の対応に関する質問主意書  世界平和統一家庭連合(以下、「旧統一教会」)についての平成十年九月二十二日の参議院法務委員会での中村敦夫参議院議員の質問に対して、豊嶋秀直公安調査庁長官は「公安調査庁といたしましては、統一協会が種々社会的な問題を引き起こしている団体であるということは十分承知」「大いなる関心を持って統一協会という団体の動向については広く情報を集めております。」と答弁するなど、公安調査庁は旧統一教会を監視していた。そこで、以下、質問する。 一 旧統一教会の動向についての情報収集した結果、政府として旧統一教会の何を把握し、旧統一教会をどのような団体と認識してきたのか。平成十年の答弁時から現在に至るまで旧統一教会を監視しつづけているのか。もし、平成十年の答弁後に旧統一教会を監視対象から外したのであれば、いつの誰のどのような判断によるのか。 二 旧統一教会は、種々社会的な問題を引き起こしている団体であり、旧統一教会の名称変更を認めれば、旧統一教会とは気づきにくくなり、問題が拡大するリスクがあった。平成九年に旧統一教会は文化庁に世界基督教統一神霊協会から世界平和統一家庭連合への名称変更を申請したが、文化庁は霊感商法などへの批判をかわすための名称変更申請は認められないとして名称変更を認めず、その後も文化庁は同様の対応をとってきたと承知している。しかし、文化庁は平成二十七年になって一転して旧統一教会の名称変更を認めた。文化庁が名称変更を認めたのはなぜか。  右質問する。
b209005
衆議院議員櫻井周君提出旧統一教会に対する内閣の対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第五号   内閣衆質二〇九第五号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出旧統一教会に対する内閣の対応に関する質問に対する答弁書 一について  公安調査庁がいずれの団体を調査の対象とするかについては、その時々の公安情勢や団体の活動実態等に応じて判断するものであり、現時点において、同庁が調査の対象としている団体を明らかにすることや、同庁の調査の具体的内容を明らかにすることは、今後の業務遂行に支障を来すおそれがあるので、お答えを差し控えたい。 二について  宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)第二十八条第一項の規定においては、宗教法人の所轄庁は、宗教法人から規則の変更の認証の申請を受理した場合には、当該申請に係る事案が同項各号に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、その要件を備えていると認めたときは、当該規則の変更を認証する旨の決定をしなければならないとされているところ、宗教法人世界基督教統一神霊協会(当時)の所轄庁である文部科学大臣は、平成二十七年に、同法人から名称変更を内容とする規則の変更の認証の申請を受理し、当該申請に係る事案が同項各号に掲げる要件を備えているかどうかを審査した上で、その要件を備えていると認めたことから、当該規則の変更を認証する旨の決定を行ったものである。
a209006
旧統一教会に対する内閣の認識と政務三役の対応に関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第六号 旧統一教会に対する内閣の認識と政務三役の対応に関する質問主意書  世界平和統一家庭連合(以下、「旧統一教会」)は、信者の人権を抑圧し、霊感商法的手口による反社会的行為による違法な資金獲得とその資金の韓国本部への送金を継続してきたことは、それらの被害者救済を行ってきた弁護士等の団体「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が繰り返し指摘してきた。また、旧統一教会による被害についてはマスメディアにも取り上げられてきた。  さらに、旧統一教会についての平成十年九月二十二日の参議院法務委員会での中村敦夫参議院議員の質問に対して、豊嶋秀直公安調査庁長官は「公安調査庁といたしましては、統一協会が種々社会的な問題を引き起こしている団体であるということは十分承知」と答弁するなど、公安調査庁は旧統一教会の問題を認識していた。  一方で、少なくない国会議員が旧統一教会およびその関連団体(以下、「旧統一教会等」)の集会や式典に出席し、祝辞を述べ、祝電を送るなどの関係を有していたことが明らかになっている。  そこで、以下、質問する。 一 国会議員、特に現職大臣が旧統一教会等と関係を持つことは、その関係を旧統一教会の宣伝に利用されるリスクがあり、ひいては旧統一教会について公的団体としての信用を付与する効果を持つリスクがある。したがって、国会議員、特に現職大臣が旧統一教会等と関係を持ってはいけないと考えるが、政府の見解如何。 二 安倍晋三内閣官房長官(当時)が内閣官房長官の肩書を付して統一教会(当時)の総裁が設立した天宙平和連合(UPF)の集会に祝電を送ったことは、国務大臣として適切な行動であったと考えるか。 三 現職の閣僚に旧統一教会およびその関連団体(以下、「旧統一教会等」)の集会や式典に出席し、祝辞を述べ、祝電を送るなどした大臣はいるか。その確認のために、該当する大臣の有無について調査を行ったか。 四 質問三に該当する大臣がいるならば、その責任はどのように考えるか。また、旧統一教会の宣伝に利用されないようにするために、さらには旧統一教会による被害拡大を防止するために、大臣を辞職するべきと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
b209006
衆議院議員櫻井周君提出旧統一教会に対する内閣の認識と政務三役の対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第六号   内閣衆質二〇九第六号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出旧統一教会に対する内閣の認識と政務三役の対応に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねは、各国会議員個人の政治活動に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。 二について  お尋ねは、安倍晋三内閣官房長官(当時)個人の政治活動に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。 三及び四について  お尋ねは、各国務大臣個人の政治活動に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。
a209007
サントリーホールディングスによる安倍元総理後援会への酒類無償提供に関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第七号 サントリーホールディングスによる安倍元総理後援会への酒類無償提供に関する質問主意書  政府主催の「桜を見る会」の前日に、安倍晋三元総理大臣の後援会が開催した夕食会を巡り、二〇一五年から二〇一九年に、その夕食会の会場となったホテルニューオータニが酒類の持ち込み料を無料にしていたことが、明らかになった。また、その夕食会では、サントリーホールディングス株式会社が四百本近い酒類を安倍晋三元総理大臣の後援会側に無償提供していたことも明らかになった。  一方で、サントリーホールディングスの代表取締役社長を務める新浪剛史氏は、経済財政諮問会議の議員など政府の役職に就いている。これらの政府の会議体は、重要政策の決定に影響を及ぼしうる。政府の役職に就けてもらった見返りに、総理大臣の後援会が開催した夕食会に酒類を無償提供したのではないのか、という疑念が生じうる。また、酒類無償提供が行われた時期は、ビール、第三のビール、発泡酒の税率統一が検討されており、サントリーホールディングスに有利な取り計らいになるようにするための働きかけだったのではないか、という疑念が生じうる。企業から政治家の後援会への物品の無償提供は違法な企業献金にあたる可能性がある。  そこで、以下、質問する。 一 これらの疑念と違法の可能性について、政府の見解如何。 二 以上のような疑念をサントリーホールディングスは抱えているところ、サントリーホールディングスの新浪剛史代表取締役社長が政府の役職にあり続けることは不適当と考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
b209007
衆議院議員櫻井周君提出サントリーホールディングスによる安倍元総理後援会への酒類無償提供に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第七号   内閣衆質二〇九第七号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出サントリーホールディングスによる安倍元総理後援会への酒類無償提供に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「夕食会」については、安倍元内閣総理大臣個人の政治活動であると承知しており、政府としてその内容を把握する立場にないため、お尋ねの「疑念」について政府の見解をお示しすることは困難である。  また、お尋ねの「違法の可能性」については、政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第二十一条第一項の規定により、会社、労働組合、職員団体その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはならないとされているが、個別の事案が政治資金規正法の規定に違反するか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものと考える。 二について  お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府に設置された審議会、政府が開催する会議等の人選については、それぞれの会議等の目的、所掌事務等に照らして適切と考えられる者を選任しているところである。
a209008
サハリン2における本邦企業の権益に関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第八号 サハリン2における本邦企業の権益に関する質問主意書  岸田文雄総理大臣は七月十四日の記者会見において、ロシアでの石油・天然ガス開発事業「サハリン2」について引き続き日本の企業の権益を守る、と発言した。サハリン2については、これまでもロシアは海外投資企業であるシェルと三井物産株式会社、三菱商事株式会社に対して一方的に出資比率の変更を迫るなど法的な安定性が著しく欠けるという問題があった。そもそも、ロシアは、ウクライナへの侵略にみられるように法とルールを無視する傾向がある。そのようなロシアにエネルギー供給を委ねることは、我が国の経済安全保障にプラスにはならないと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
b209008
衆議院議員櫻井周君提出サハリン2における本邦企業の権益に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第八号   内閣衆質二〇九第八号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出サハリン2における本邦企業の権益に関する質問に対する答弁書  お尋ねのロシアに限らず、特定の石油、天然ガス等の供給源に過度に依存することは、「我が国の経済安全保障にプラスにはならない」と考えている。  なお、従前より海外における資源開発事業への投資等を通じて石油、天然ガス等の供給源の多角化に向けた取組を進めているところであり、その中で「サハリン2」における資源開発事業については、同事業が安価な天然ガスの長期的かつ安定的な確保に資する我が国のエネルギー安全保障にとって重要なプロジェクトであることから、我が国の企業が引き続き権益を維持できるように官民一体となって対応していく方針である。
a209009
地方自治体に対する節電への協力依頼に関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第九号 地方自治体に対する節電への協力依頼に関する質問主意書  資源エネルギー庁は、電力需給が逼迫していることから「二〇二二年度夏季の省エネ・節電へのご協力のお願い」を国民と事業者に依頼している。また、資源エネルギー庁は、第四十七回総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会で配布した資料において、「二〇二二年度冬季の電力需給の見通し」として、「現時点では二〇二三年一月、二月に東京から九州の全七エリアで安定供給に必要な予備率三%を確保できない見通し」を示した。  一方で、地方自治体の中には、地方創生臨時交付金を活用して街の賑わいを取り戻すためとしてイルミネーション事業など電力消費を増加させるような事業を計画しているところがある。  そこで、以下、質問する。 一 政府は国民と事業者に対して節電への協力をお願いしているが、地方自治体に対しても節電への協力をお願いしているのか。 二 政府が節電を国民と事業者に要請しているときに、電力消費を増加させる地方自治体の事業に国からの財源が充当されることは不適切と考えるが、政府の見解如何。 三 地方創生臨時交付金は、新型コロナウイルス対応のための取組である限り、原則、地方公共団体が自由に使うことができるとなっているが、政府の政策方針とは相反する事業であっても国は交付金を交付するのか。  右質問する。
b209009
衆議院議員櫻井周君提出地方自治体に対する節電への協力依頼に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第九号   内閣衆質二〇九第九号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出地方自治体に対する節電への協力依頼に関する質問に対する答弁書 一について  「地方自治体に対しても節電への協力をお願いしているのか」とのお尋ねについては、政府としては、令和四年六月七日に開催された電力需給に関する検討会合において、電力需給の安定に万全を期すべく、電力需給に関する総合的な対策を決定したところであり、これを受けて、経済産業省においては、各都道府県知事に対して、「夏季の省エネルギーの取組について」(令和四年六月二十七日付け二〇二二〇六一三資庁第一〇号資源エネルギー庁長官通知)を発出し、省エネルギー及び節電の取組の推進への協力並びに当該取組に係る市区町村、関係団体及び関係機関への周知を依頼したところである。 二及び三について  新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金に関して、「電力消費を増加させる地方自治体の事業」に「充当されることは不適切と考えるが、政府の見解如何」及び「政府の政策方針とは相反する事業であっても」「交付するのか」とのお尋ねについては、同交付金は、新型コロナウイルスの感染拡大の防止及び感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活の支援等を通じた地方創生を図るため、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」(令和二年四月二十日閣議決定)に掲げる全ての事項、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」(令和二年十二月八日閣議決定)に掲げる「新型コロナウイルス感染症の拡大防止策」及び「ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現」の二つの事項、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和三年十一月十九日閣議決定)に掲げる「新型コロナウイルス感染症の拡大防止」、「「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え」及び「未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動」の三つの事項並びに「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」(令和四年四月二十六日原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議決定)に掲げる全ての事項についての対応として、「地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに効果的・効率的で必要な事業を実施できるよう」交付されるものであり、同交付金を活用する事業については、個々の事業の必要性や妥当性等を踏まえ、各地方公共団体において適切に判断されるものである。
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「統一協会」=世界平和統一家庭連合に関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第一〇号 「統一協会」=世界平和統一家庭連合に関する質問主意書  安倍晋三元首相が殺害された事件で、容疑者は、世界平和統一家庭連合(旧名称世界基督教統一神霊協会。以下、「統一協会(家庭連合)」と略)の信者である母親が「多額の寄付をして破産させられ、家庭生活が滅茶苦茶にされ、統一協会に恨みがあった」と供述していると報じられている。  また、容疑者は「去年九月、統一協会の代表らが設立した天宙平和連合(UPF)の集会に寄せられた安倍元首相のメッセージを見たころに殺害を決意した」と述べていると報じられている。  (かつて、アメリカ下院の外交委員会国際機構小委員会(フレーザー委員会)の最終報告書では、「文鮮明が関係している多数の教会、企業、委員会、財団その他の集団は、文の中央集権的な指導と統制下にある実質上単一の世界的機関の一部分である」「これらの多数の組織のあいだには、主として諸組織間の人事異動や財政の混合の点で、あれこれの構成要素を一体であるかのように使用する点で、そしてもちろん、文という人物において、たえまない、緊密な交流がある」として、それらを総称して「文鮮明機関」と呼んでいる。  「統一協会(家庭連合)」は、国際勝共連合、原理研究会、ハッピーワールド、世界日報、世界平和女性連合、天宙平和連合、世界戦略総合研究所、勝共UNITEなど様々な顔を持ち活動しているが、この質問主意書では、これらを「統一協会(家庭連合)」もしくは「統一協会系団体」と呼ぶ。)  これを踏まえ、以下、質問する。 一 「統一協会(家庭連合)」は、組織的な活動として、先祖因縁や霊界の恐怖を煽る脅迫的行為によって、国民・信徒に対して社会的に不相当な高額な献金・物品購入を強いる(いわゆる霊感商法)など、大きな被害を広げてきた。全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、把握されている被害は、一九八七年から二〇二一年までに、三万四千五百三十七件、被害額は、千二百三十七億円余にのぼる。「統一協会(家庭連合)」の「霊感商法」は、刑事裁判で断罪され、民事裁判でも違法性が繰り返し認定されてきた。  また、「統一協会(家庭連合)」の伝導・教化活動そのものについても、被勧誘者に対する違法な行為であることを認めた一連の判決がでている(二〇一三年十月三十一日の札幌高裁判決など)。  政府として、「統一協会(家庭連合)」の反社会的な行為を、どう把握しているのか。把握している内容を明らかにされたい。また、政府として、「統一協会(家庭連合)」をどう総体的に認識しているのか、示されたい。 二 一九八七年六月四日参院決算委員会で、佐藤昭夫議員が、「統一協会」(「統一協会系団体」含む)による組織的違法活動への対処を求めたのに対し、遠藤要法務大臣は「刑罰にかかわる問題のときには厳正な対応をしたいということは当然でございますが、さらにまたその根を絶やす方途もこれから検討していかなければならぬ問題だ」と答弁している。  しかし、全国霊感商法対策弁護士連絡会によれば、今日なお、「統一協会(家庭連合)」(「統一協会系団体」含む)による被害が続いている。  1 今日にいたるまで、「統一協会(家庭連合)」(「統一協会系団体」含む)の反社会的な行為の根を絶やす方途の検討は、どのようにおこなわれたのか、明らかにされたい。  2 「統一協会(家庭連合)」(「統一協会系団体」含む)による霊感商法等について、政府は「違法行為があれば各種の法令を適用して、厳正な取り締まりを行っていく所存」(一九八七年七月二十八日衆院地方行政委員会)と答弁しているが、警察はどう取り締まってきたのか。警察が、「統一協会(家庭連合)」(「統一協会系団体」含む)による霊感商法等について、詐欺罪、恐喝罪、脅迫罪、特定商取引法(旧訪問販売等に関する法律)、薬機法(旧薬事法)、迷惑防止条例等を適用して、これまでに検挙した件数は何件か。うち有罪となったものは何件か。可能な限り答えられたい。  3 消費者行政として、「統一協会(家庭連合)」(「統一協会系団体」含む)の霊感商法等(高額献金を含む)に対して、国民生活を守るためにどう取り組んできたのか。全国の消費生活センター、国民生活センターに寄せられている、「統一協会(家庭連合)」(「統一協会系団体」含む)の霊感商法等の相談件数、平均契約金額、手口、契約当事者の特徴などを国は把握しているか。「統一協会(家庭連合)」(「統一協会系団体」含む)の霊感商法等の被害件数、被害額は、行政処分に値すると思われるが、行政処分の検討はこれまでおこなってきているのか。  4 人権擁護局や全国の法務局に「統一協会(家庭連合)」にマインドコントロールされた「入信者」の家族から、「入信者の家族の所在を知りたい」「入信者と連絡をとりたい」「入信者を救出したい」など「統一協会(家庭連合)」に関わる相談はこれまで何件寄せられているか、可能な限り答えられたい。「統一協会(家庭連合)」にかかわる多数の相談に、どのような対応をとってきているのか、可能な限り答えられたい。 三 深刻な被害が広がる中、警察が全国的に「統一協会(家庭連合)」の霊感商法等の違法行為の摘発をすすめ、二〇〇七年秋以降二〇一〇年にかけて、特定商取引法違反、薬事法違反、公選法違反などで、十三件、三十人以上の信者が逮捕された。いわゆる「新世事件」の二人は懲役刑(執行猶予つき)、それ以外は罰金刑に処せられた。これらの摘発の際、警察は、「統一協会(家庭連合)」系のダミー会社だけでなく、各地の教会についても強制捜査をおこなっている。  新世事件の判決では、信者らの販売活動は、「統一協会(家庭連合)」の「相当高度な組織性が認められる継続的犯行の一環」とされた。  一方、新世事件の摘発をうけて、二〇〇九年に「統一協会(家庭連合)」は、会長名で「教会指導者に対する注意と指導」と題する文書を二度にわたって公表したが、「統一協会(家庭連合)」の組織的責任を認めるものではなく、信者の個人的な活動だと誤魔化そうとするものであった。  全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、その後も、「統一協会(家庭連合)」の被害は続いている。政府は、二〇〇九年以降も、「統一協会(家庭連合)」がおこなう、先祖因縁や霊界の恐怖を煽る脅迫的行為によって、社会的に不相当な高額な献金を強いる等の被害が続いているとの認識があるか。被害の根絶に向けて、捜査姿勢を見直す必要があるのではないのか。 四 宗教法人法は、第八十一条において、「裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる」とし、一として、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」、二として、「第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと」を挙げている。  問三で述べたように、立件された「統一協会(家庭連合)」の信者らの霊感商法などの販売活動は、「統一協会(家庭連合)」の「相当高度な組織性が認められる継続的犯行の一環」とする判決が出ている。二〇〇九年以降にも違法な献金勧誘行為があったことが複数の判決で明らかになっている。「統一協会(家庭連合)」が、霊感商法や自己破産に追い込むほどの献金勧誘行為を繰り返していることは「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」にあたるのではないか。  問一で述べたように、いわゆる「青春を返せ裁判」において、「統一協会(家庭連合)」の伝導・教化過程について、被勧誘者に対する違法な行為であることを認めた判決がでている(二〇一三年十月三十一日の札幌高裁判決など)。これは、「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」にあたるのではないか。  これらの「統一協会(家庭連合)」の違法行為は、「一部の教会員の行き過ぎた活動」ではなく、長年にわたり、組織的な活動としておこなわれてきたとの認識はあるか。  「統一協会(家庭連合)」の活動は、霊視商法詐欺事件の詐欺行為を理由に宗教法人の解散命令が出された「明覚寺」を大きく上回る被害額を出している。「統一協会(家庭連合)」による被害根絶のために、宗教法人法第八十一条に基づく、解散命令を視野に入れた検討をすべきではないのか。 五 フランスではカルトの被害の防止のための法律(「人権および基本的自由を侵害するセクト的団体の防止および取締を強化する二〇〇一年六月十二日の法律」)が作られている。同法では、カルト法人等やその幹部が、複数回、詐欺など法律の定める犯罪を複数回宣告された時は、解散が宣告されうるとしている。また、マインドコントロール等にかかわって、「重大または反復した圧力行為または判断を歪めうる技術の結果、心理的または身体的服従状態にある者に対して、その者に重大な損害を与えうる作為または不作為に導くために、その者の無知または脆弱状態を不法に利用することは、三年の拘禁刑および三十七万五千ユーロの罰金に処せられる」などとする無知・脆弱状態不法利用罪が設けられている。  こうした事例も参考にしながら、カルトの被害の防止のための法的規制について検討をすすめるべきではないか。 六 「統一協会(家庭連合)」の「信者」の子どもたち(いわゆる統一協会二世)から、親の「献金」による困窮や信教の自由、結婚・恋愛の自由が認められないことへの悲痛な声が上がっている。  フランスでは、「統一協会」被害者の運動から生まれた「UNADFI」(家族と個人を守る会全国連合)が、公益団体として国から補助を受けて、研究、対策、被害者の救済、情報提供、予防などの活動をおこなっている。  「統一協会(家庭連合)」などのカルトの被害について、カルト問題にとりくむ民間団体へ財政的支援をおこなうなど民間団体と協力しながら、「二世」のみなさんの苦しみも含めて、被害者救済・支援に取り組む必要があるのではないか。  また、「統一協会(家庭連合)」の「信者」が子等に、子等の意思にそむいて「信仰」を押しつけることは、児童虐待に当たると考えるか。親が子どもの奨学金を献金に回すなど、行き過ぎた献金により子どもが進学ができなくなるようなケースは児童虐待にあたるかと考えるか。カルト教団の信者である親の行動で、子どもの人権がふみにじられている場合は、児童相談所や自治体は積極的に行動すべきではないか。 七 全国霊感商法対策弁護士連絡会は、繰り返し、国会議員に対して、統一協会やそのダミー組織のイベントに参加したり、賛同メッセージをおこなわないこと、選挙で「統一協会(家庭連合)」信者らからの支援を受けないことを求めている。その理由として、「統一協会(家庭連合)」は反社会的団体であり、違法活動にお墨付きを与えかねないこと、政治家によるお墨付きは、「統一協会(家庭連合)」による反社会的な活動を容易にし、また、その反社会的活動の是正を困難にするものとして悪用されることをあげている。  1 岸田内閣の、閣僚、副大臣、政務官で、「統一協会系団体」の催しに、参加したり、賛同メッセージを出した者がいれば、把握するところを明らかにされたい。  2 岸田内閣の、閣僚、副大臣、政務官で、選挙にあたって、「統一協会(家庭連合)」信者らから支援を受けた者がいれば、把握するところを明らかにされたい。  3 岸田内閣の、閣僚、副大臣、政務官で、自らが代表をつとめる政党支部や自らの資金管理団体、関係政治団体に対して、「統一協会系団体」、またはそれらの役員から、寄付を受けたり、パーティー券を購入してもらっている者がいれば、把握するところを明らかにされたい。また、逆に、「統一協会系団体」に会費を支払っている者がいれば、把握するところを明らかにされたい。  4 岸田内閣の、閣僚、副大臣、政務官で、「統一協会系団体」から、秘書を受け入れている者がいれば、把握するところを明らかにされたい。  5 政治家が「統一協会系団体」の催しに参加したり、賛同メッセージを送ること自体が、「統一協会(家庭連合)」の反社会的活動を容易にしているとの認識はあるか。今後、岸田内閣の閣僚、副大臣、政務官は、問七の1~4に挙げた行為は厳に慎むべきではないか。  右質問する。
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衆議院議員宮本徹君提出「統一協会」=世界平和統一家庭連合に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第一〇号   内閣衆質二〇九第一〇号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員宮本徹君提出「統一協会」=世界平和統一家庭連合に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「反社会的な行為」の意味するところが明らかではないため、お尋ねの「把握している内容」についてお答えすることは困難である。また、お尋ねの「「統一協会(家庭連合)」をどう総体的に認識しているのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、宗教法人世界平和統一家庭連合は、宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)に基づき設立された宗教法人であると承知している。 二の1について  御指摘の「反社会的な行為」の意味するところが明らかではなく、また、お尋ねについては、捜査機関の活動内容に関わる事柄であり、お答えすることは差し控えるが、一般論として、捜査機関においては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処しているものと承知している。 二の2について  御指摘の「「統一協会(家庭連合)」(「統一協会系団体」含む)による霊感商法等」の具体的な範囲が明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにしても、警察としては、いわゆる霊感商法については、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき厳正な取締りを行っている。 二の3について  お尋ねの「国民生活を守るためにどう取り組んできたのか」及び「霊感商法等の相談件数、平均契約金額、手口、契約当事者の特徴など」については、御指摘の「「統一協会(家庭連合)」(「統一協会系団体」含む)の霊感商法等」の具体的な範囲が明らかではないため、お答えすることは困難であるが、消費者庁及び独立行政法人国民生活センターにおいては、いわゆる霊感商法による消費者被害に関する注意喚起を行っているところである。  お尋ねの「行政処分の検討」については、御指摘の「「統一協会(家庭連合)」(「統一協会系団体」含む)の霊感商法等」の具体的な範囲が明らかではなく、また、個別の事案に関することであり、お答えすることは差し控えたい。 二の4について  前段のお尋ねについては、御指摘の「入信者」の父母からの、「入信者」の所在を確認したい、「入信者」と連絡をとりたい旨の相談に対して、人道上の見地から東京法務局を窓口として仲介を行った件数は、昭和五十六年から昭和六十二年までの間に合計百七件(ただし、昭和六十年六月から昭和六十一年十二月までの間を除く。)であるが、その余の件数については、統計的に把握していないため、お答えすることは困難である。  後段のお尋ねについては、その前提である「「統一協会(家庭連合)」にかかわる多数の相談」の意味するところが必ずしも明らかではないが、法務省の人権擁護機関においては、人権に関する相談を受けた場合、その内容に応じ、必要な対応を行っている。 三について  御指摘の「先祖因縁や霊界の恐怖を煽る脅迫的行為によって、社会的に不相当な高額な献金を強いる等の被害」及び「被害の根絶」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、いずれにしても、捜査機関においては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処しているものと承知している。 四について  お尋ねの「「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」にあたる」か否かについては、個別具体的な事案に応じて裁判所において判断されるものであり、政府としてお答えする立場にない。  お尋ねの「長年にわたり、組織的な活動としておこなわれてきたとの認識」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。  お尋ねの「解散命令を視野に入れた検討」の意味するところが必ずしも明らかではないが、同項に基づく解散命令の請求を行うことについては、所轄庁、利害関係人又は検察官が、宗教法人の個別具体的な状況に照らして判断する必要があるところ、個別の宗教法人に関するお尋ねについてお答えすることは差し控えたい。 五について  お尋ねについては、御指摘の「カルトの被害」の具体的な範囲が明らかではないため、お答えすることは困難である。 六について  お尋ねの「被害者救済・支援に取り組む必要があるのではないか」については、御指摘の「カルトの被害」及び「カルト問題」の具体的な範囲が明らかではないため、お答えすることは困難である。  お尋ねの「児童虐待に当たると考えるか」については、御指摘の「子等の意思にそむいて「信仰」を押しつけること」及び「親が子どもの奨学金を献金に回すなど、行き過ぎた献金により子どもが進学できなくなるようなケース」の意味するところが必ずしも明らかではないが、ある行為が児童虐待の防止等に関する法律(平成十二年法律第八十二号)第二条に規定する児童虐待に当たるか否かについては、児童及び保護者の状況、生活環境等を総合的に考慮して個別具体的に判断する必要があることから、一概にお答えすることは困難である。  お尋ねの「児童相談所や自治体は積極的に行動すべきではないか」については、御指摘の「カルト教団の信者である親の行動で、子どもの人権がふみにじられている場合」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、例えば、児童虐待を行った保護者に対しては、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)及び児童虐待の防止等に関する法律の規定に基づき、児童福祉司による必要な指導等を行うなどの適切な措置を講じることとしている。 七について  お尋ねは、各国務大臣、各副大臣及び各大臣政務官個人の政治活動に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。
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「統一協会(家庭連合)」の名称変更に関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第一一号 「統一協会(家庭連合)」の名称変更に関する質問主意書  安倍晋三元首相が殺害された事件で、容疑者は、世界平和統一家庭連合(旧名称世界基督教統一神霊協会。以下、「統一協会(家庭連合)」と略)の信者である母親が「多額の寄付をして破産させられ、家庭生活が滅茶苦茶にされ、統一協会に恨みがあった」と供述していると報じられている。  「統一協会(家庭連合)」について、文化庁は、二〇一五年に「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」に、名称変更を認証している。前川喜平元文部科学事務次官は、ツイッターで「一九九七年に僕が文化庁宗務課長だったとき、統一教会が名称変更を求めて来た。実体が変わらないのに、名称を変えることはできない、と言って断った」と発信している。  前川喜平氏は、「日刊ゲンダイ」のインタビューで、「霊感商法で多くの被害者を出し、損害賠償請求を認める判決も出ていた。青春を返せ裁判などもあった。「世界基督教統一神霊協会」として係争中の裁判もあり、社会的にもその名前で認知され、その名前で活動してきた実態があるのに、手前勝手に名称を変えるわけにはいかない。問題のある宗教法人の名称変更を認めれば、社会的な批判を浴びかねないという意識はありました」と述べている。  また、前川喜平氏は、「しんぶん赤旗」インタビューで、「教義など団体の実体に変化がないと名前は変えられないと伝えた。役人は前例を重んじる。その後も同様の理由で断ってきたはずだ」「行政は継続性、安定性が大事。部長レベルでは方針変更を決定できない。しかも旧統一協会と自民党の関係はみんな知っているからより慎重になる。政治的圧力があった可能性が高いと思う」と述べている。 一 一九九七年から二〇一四年まで、文化庁が「統一協会(家庭連合)」の名称変更の求めについて申請そのものを拒否してきた理由はなにか。二〇一五年に、「統一協会(家庭連合)」の名称変更の申請を受け付け、認める姿勢に転じたのは、誰の判断か、理由はなにか。名称変更の求めを拒否してきた経過や名称変更を認める姿勢に転じる経過を示す記録はどのような形で残っているか。 二 一九九七年から二〇一五年にかけて「統一協会(家庭連合)」から名称変更の事前の相談があった年月日と、その際の対応概要を、可能な限り明らかにされたい。 三 二〇一五年の名称変更の認証に際して、名称変更の件について事前に説明した文部科学省政務三役名及び官職名(宗務課長以外)を、可能な限り明らかにされたい。下村博文文部科学大臣(当時)への事前の説明はいつ頃か、どういう内容の説明をしたのか、下村大臣からはどのような意見があったのか、なぜ決裁権者でない下村大臣に事前説明をしたのか、明らかにされたい。また、その記録は残っているか。  加えて、下村大臣に事前に説明した情報の中には、「統一協会」の霊感商法や高額な献金が断罪されてきたこと、伝道・教化が違法との判決が出ていること、悪名高い名称を変えれば被害の拡大につながりかねないことなどを含んでいるか、可能な限り明らかにされたい。 四 二〇一五年の「統一協会(家庭連合)」の名称変更の認証に関して、当時の総理、官房長官、官房副長官、総理大臣補佐官、与党政治家に、事前に説明することはあったか。「統一協会(家庭連合)」の名称変更の申請書類を受理する前に、それらの者から宗教法人の名称変更の手続きについての問い合わせはあったか。あれば、日時、氏名を可能な限り明らかにされたい。  右質問する。
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衆議院議員宮本徹君提出「統一協会(家庭連合)」の名称変更に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第一一号   内閣衆質二〇九第一一号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員宮本徹君提出「統一協会(家庭連合)」の名称変更に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「名称変更の求めについて申請そのものを拒否してきた」、「名称変更の申請を受け付け、認める姿勢に転じた」及び「名称変更の求めを拒否してきた経過や名称変更を認める姿勢に転じる経過」の意味するところが必ずしも明らかではないが、宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)第二十八条第一項の規定においては、宗教法人の所轄庁は、宗教法人から規則の変更の認証の申請を受理した場合には、当該申請に係る事案が同項各号に掲げる要件を備えているかどうかを審査し、その要件を備えていると認めたときは、当該規則の変更を認証する旨の決定をしなければならないとされている。御指摘の平成九年から平成二十六年までに、宗教法人世界基督教統一神霊協会(当時)から名称変更を内容とする規則の変更の認証の申請がなかったところ、同法人の所轄庁である文部科学大臣は、平成二十七年に、同法人から当該申請を受理し、当該申請に係る事案が同項各号に掲げる要件を備えているかどうかを審査した上で、その要件を備えていると認めたことから、当該規則の変更を認証する旨の決定を行ったものである。 二について  お尋ねの「「統一協会(家庭連合)」から名称変更の事前の相談があった年月日と、その際の対応概要」については、平成九年に宗教法人世界基督教統一神霊協会(当時)から名称変更について相談があったと承知しているが、当該相談の詳細や、このほかの相談の有無等については、現時点において明らかではないことから、お答えすることは困難である。 三について  お尋ねの「名称変更の件について事前に説明」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十七年に宗教法人世界基督教統一神霊協会(当時)から認証を申請された名称変更を内容とする規則の変更を認証する旨の決定に当たり、文化庁文化部長、文化庁文化部宗務課長、文化庁文化部宗務課課長補佐、文化庁文化部宗務課宗教法人室長、文化庁文化部宗務課宗教法人室室長補佐及び文化庁文化部宗務課宗教法人室法人係長の決裁を経ており、このほか、少なくとも下村文部科学大臣(当時)に対して、当該申請を受理すること及びこれを認証する旨の決定を行うことについて、それぞれ事前に報告している。また、お尋ねの「下村大臣からはどのような意見があったのか、なぜ決裁権者でない下村大臣に事前説明をしたのか」及び「その記録は残っているか」については、当時の詳細な経緯が現時点において明らかではないことから、お答えすることは困難であるが、一般的には、決裁権の有無にかかわらず、国務大臣に対して職務の状況について報告を行うことはあり得るものと考えている。また、「下村大臣に事前に説明した情報」の内容に関するお尋ねについては、御指摘の「「統一協会」の霊感商法や高額な献金が断罪されてきたこと、伝道・教化が違法との判決が出ていること、悪名高い名称を変えれば被害の拡大につながりかねないことなどを含んでいるか」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。 四について  お尋ねについては、調査に膨大な時間を要することから、お答えすることは困難であるが、現時点では御指摘の事実は確認されていない。
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医療提供体制の逼迫状況のモニター方法に関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第一二号 医療提供体制の逼迫状況のモニター方法に関する質問主意書  新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況及び医療提供体制の逼迫状況をモニターするために、地方自治体は様々な指標を活用している。地方自治体は、これらの指標を緊急事態宣言または蔓延防止等重点措置の発令の必要性の判断の基礎としている。また、これらの指標に基づいて、医療供給体制の調整を行っている。さらに、これらの指標を公表することで、住民へ注意を喚起している。したがって、これらの指標は、状況を的確に示すものである必要があると考える。  これまでは、新規陽性者数、検査の陽性率、病床使用率、重症病床使用率などが利用されてきたが、必ずしも医療提供体制の逼迫状況を的確に示すものとはなっていなかった。つまり、病床使用率や重症病床使用率は新型コロナウイルス感染症の病床に関するものであって、新型コロナウイルス感染症以外の疾患にかかる病床の状況を示すものではない。すなわち、新型コロナウイルス感染症の病床を拡充すれば、その他の疾患の病床を削減することになり、新型コロナウイルス感染症の病床使用率が低い場合であっても、その他の病床が十分確保できていることを示すものではない。例えば、大阪府では新型コロナウイルス感染症の重症病床使用率は約六割であるが、新型コロナウイルス感染症以外の患者の入院受入れが困難な状況になりつつあるとの現場の声を聞いている。  東京都においては、救急車の搬送状況を「救急医療の東京ルールの適用件数」として指標化している。この指標であれば、新型コロナウイルス感染症の患者のみならず、救急医療全般の医療提供体制の逼迫状況を概観することができる。  そこで、総務省消防庁が調査公表している「搬送困難事案件数」を医療提供体制の逼迫状況の指標として、全国の地方自治体で活用することを提案するが、政府の見解如何。  右質問する。
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衆議院議員櫻井周君提出医療提供体制の逼迫状況のモニター方法に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第一二号   内閣衆質二〇九第一二号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出医療提供体制の逼迫状況のモニター方法に関する質問に対する答弁書  御指摘については、「今夏の感染拡大を踏まえた今後の新型コロナウイルス感染症に対応する保健・医療提供体制の整備について」(令和三年十月一日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)で、都道府県において「コロナ医療と一般医療の両立を図りつつ、陽性確認前から回復・療養解除後まで切れ目なくコロナ患者に対応可能な、地域住民が安心できる総合的な保健・医療提供体制を整備する」ことを求めており、また、医療提供体制が適切に機能しているかどうかを判断する指標としては、「今後の感染拡大に備えた新型コロナウイルス感染症の医療提供体制整備について」(令和三年三月二十四日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)において、「救急搬送困難事案件数」を例の一つに挙げているところである。各都道府県においては、これらの事務連絡も踏まえ、適切な指標を用いて、新型コロナウイルス感染症に対応する医療提供体制の状況について、一般医療への影響も含めて把握しているものと承知している。
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浸水想定区域に立地する災害拠点病院の浸水対策実施状況に関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第一三号 浸水想定区域に立地する災害拠点病院の浸水対策実施状況に関する質問主意書  令和四年四月一日現在、全国七百六十五病院が災害拠点病院の指定を受けている。  令和三年会計検査院年報によれば、調査対象の労働者健康安全機構の三病院、国立病院機構の二病院、地域医療機能推進機構の一病院は、自家発電等の浸水対策の計画をたて、本部において対策実施状況を確認するための体制を整備したとある。  また令和三年七月公表の読売新聞が実施したアンケート調査(床上以上が水につかると予想される浸水深〇・五メートル以上の災害拠点病院二百五十二病院を対象に実施。百七十二病院から回答)によれば、最大規模の浸水時に医療を継続できるかの質問に対し、自家発電機の水没などで五割超が外来診療にも入院患者にも対応できないとし、水害対応の防災マニュアルを作成していない病院が三割とのことである。  災害拠点病院の役割の重要性を鑑みれば、早急な浸水対策を講ずべきと考え、次の事項を質問する。 一 令和二年に会計検査院より改善の処置を要求された独立行政法人三団体傘下の六病院について、浸水対策状況を答えられたい。 二 独立行政法人三団体以外が開設主体の災害拠点病院の浸水対策状況について政府の把握するところを答えられたい。 三 災害拠点病院には事業継続計画(BCP)の策定が令和元年四月一日から義務化されているが、令和三年七月時点で水害対応の防災マニュアルが未作成ということはあり得るのか。あり得る場合は、その理由及び今後の対応について答えられたい。  右質問する。
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衆議院議員吉田はるみ君提出浸水想定区域に立地する災害拠点病院の浸水対策実施状況に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第一三号   内閣衆質二〇九第一三号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員吉田はるみ君提出浸水想定区域に立地する災害拠点病院の浸水対策実施状況に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「独立行政法人三団体傘下の六病院」における「浸水対策状況」については、会計検査院の指摘を受け、独立行政法人労働者健康安全機構、独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構において、自家発電設備等の浸水被害を防止するため、止水板の設置又は土のうの調達を行ったところであり、さらに、御指摘の「六病院」のうちの四病院においては、当該四病院が立地する区域の浸水深を踏まえた自家発電設備等の設置に係る整備計画を策定する等、災害発生時に必要な医療を提供できるよう、適切に対処しているものと承知している。 二について  厚生労働省においては、毎年度、都道府県に対し、都道府県知事の指定を受けた災害拠点病院に関する現況確認の結果等を報告することを求めており、令和三年六月に実施した「災害拠点病院の現況確認結果の報告について(依頼)」(令和三年六月九日付け厚生労働省医政局地域医療計画課救急・周産期医療等対策室長事務連絡)に基づく調査の結果、同年四月一日時点では、一で御指摘の「独立行政法人三団体傘下の六病院」を含む七百六十一の災害拠点病院のうち、「ハザードマップ等による洪水・内水の浸水想定地域内」に所在するものの数は二百八十九であり、そのうち何らかの浸水対策が行われている病院は二百十六である。また、同調査において、「ハザードマップ等による津波・高潮の浸水想定地域内」に所在するものの数は九十七であり、そのうち何らかの浸水対策が行われている病院は七十一である。 三について  御指摘の「水害対応の防災マニュアル」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省においては、「災害時における医療体制の充実強化について」(平成二十四年三月二十一日付け医政発〇三二一第二号厚生労働省医政局長通知)の別紙「災害拠点病院指定要件」として、被災後、早期に診療機能を回復させるための業務継続計画を策定することが規定されており、全ての災害拠点病院において策定済みであることを確認している。また、その実効性を向上させるため、災害拠点病院を含めた医療機関を対象とした「事業継続計画(BCP)策定研修事業」において、浸水のリスクの高い医療機関における水害等を想定した業務継続計画の策定についての研修を行っているほか、当該研修資料を同省ホームページに掲載して周知を図っているところである。  さらに、洪水等による災害発生時においても必要な医療が適切に提供される体制を確保することを目的として、令和二年度から「災害医療対策事業等実施要綱」(平成二十一年三月三十日付け医政発第〇三三〇〇〇七号厚生労働省医政局長通知の別添)に基づく医療施設浸水対策事業により、災害拠点病院等が実施する止水板等の設置、医療設備の移設、電気設備の移設等に係る費用を助成しているところであり、引き続き、こうした取組を通じて、災害拠点病院における浸水対策を推進してまいりたい。
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年金の一括請求時の税負担等に関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第一四号 年金の一括請求時の税負担等に関する質問主意書  年金制度の改正によって令和四年四月から繰下げ受給の上限年齢が七十歳から七十五歳に引き上げられ、令和五年四月からは一括受給の制度が新しくなり、七十歳の誕生日から八十歳の誕生日の前々日までに一括受給を請求した場合に増額された年金を一括受給できるため、一括受給の対象者が増加することが予想される。  但し一括請求して受給した場合に、過去の各年の所得に振り分けられ、所得税及び住民税並びに国民健康保険及び介護保険の保険料の追納が発生し、延滞税や延滞金が請求される可能性がある。延滞税の賦課に関して過去に裁判になった事例もあり、今後の混乱を未然に防ぎたいため、次の事項を質問する。 一 令和五年四月以降に一括請求が増加する可能性があるが、所得税及び住民税並びに国民健康保険及び介護保険の保険料について過去に遡って算出し賦課する方法は変更がないということで良いか、答えられたい。 二 日本年金機構から郵送される「年金に関する大切なお知らせ」には、「繰下げによる年金額の増額によって、医療保険・介護保険等の自己負担や保険料、税金が増える場合があります。」との注記があるが、受給者が一括請求を選んだ場合に延滞税や延滞金が賦課される可能性があることまで想定して判断できないと考えるが、政府の見解は如何か。 三 一括請求の場合は、過去の各年の所得に振り分け、修正申告をして延滞税を含めて納付するのではなく、一括請求した年の所得として税金や保険料を算出するほうが、受給者にとってわかりやすく納得度は高いように考えるが、政府の見解は如何か。  右質問する。
b209014
衆議院議員吉田はるみ君提出年金の一括請求時の税負担等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第一四号   内閣衆質二〇九第一四号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員吉田はるみ君提出年金の一括請求時の税負担等に関する質問に対する答弁書 一及び三について  御指摘の「一括請求」の意味するところが必ずしも明らかではないが、老齢基礎年金又は老齢厚生年金(以下「老齢年金」という。)は、その支給を支払期日ごとに受けることができる権利(以下「支分権」という。)に基づいて支払われるものであり、所得税、個人住民税、国民健康保険料(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定による国民健康保険税を含む。)及び介護保険料の額の計算の基礎となる所得金額等(以下「所得金額等」という。)の算定においては、老齢年金に係る支分権が発生した時期と同じ時期に計上すべきものであることから、老齢年金の受給権者がその受給権を取得した日から起算して一年を経過した日後に当該老齢年金を請求し、かつ、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第二十八条第一項又は厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第四十四条の三第一項の規定に基づく申出をしない場合に、過去に発生した支分権に基づき一括して支払われる老齢年金については、当該支分権が発生した各月の属する各年において計上することが適当である。  また、御指摘の「過去に遡って算出し賦課する方法」の意味するところが必ずしも明らかではないが、所得金額等の算定に当たり、支分権が発生した各月の属する各年において計上すべきとする取扱いについては、令和五年四月以降も変更はない。 二について  御指摘の「受給者が一括請求を選んだ場合に延滞税や延滞金が賦課される可能性があることまで想定して判断できない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、老齢年金の受給権を取得した日から起算して一年を経過した日後に当該老齢年金を請求する者等に対しては、年金請求時の確認書類等において「過去分の年金を一括して受給することにより、過去にさかのぼって医療保険・介護保険等の自己負担や保険料、税金」等に影響がある場合がある旨説明しており、引き続き、受給権者に対して丁寧な説明に努めてまいりたい。
a209015
中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)に関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第一五号 中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)に関する質問主意書  都立高等学校入学者選抜において、英語四技能のうち「話すこと」の能力をみるために、令和五年度入学者選抜(令和四年度実施)から東京都中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の導入が進められている。これは、英語学力検査において、スピーキングテストがないことが理由であると思われる。  まず、当該スピーキングテストの受験対象は、都内公立中学校第三学年の全生徒となっており、私立中学校、国立中学校の生徒は対象外となっている。  次に、当該スピーキングテストの不受験者については、「仮のESAT-J結果」を算出することとなっているところ、その算出方法は、英語学力検査の得点で順位を決め、不受験者と英語学力検査の得点が同じ者のESAT-J結果をあらかじめ決められた表に基づいてそれぞれ点数化し、その平均値により求めるというものである。  また、当該スピーキングテストの申し込み方法は、学校単位の申し込みではなく、受験生個人が保護者の同意を前提として、民間企業である株式会社ベネッセコーポレーションが運営するウェブ上の生徒用マイページに個人情報を登録し申し込むという方法をとっている。  以上のような当該スピーキングテストの導入は、公正・公平であるべき都立高等学校の入学者選抜としての妥当性及び個人情報保護の観点から大いに疑問がある。  したがって次の事項について質問する。 一 中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の不受験者の取り扱いは、英語学力検査を元に仮想の点数を求めるものであって、「話すこと」の能力をみるという本来の導入趣旨から外れている上に、学力検査との相関性も不明であるから、公正・公平であるべき都立高等学校の入学者選抜として妥当性に欠けるのではないか、政府の見解を答えられたい。 二 中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の申し込み方法について、都内公立中学校第三学年の全生徒が受験対象であることから学校単位での申し込みが可能かつ容易であるにもかかわらず、民間企業がウェブサイトを通じて受験生個人から個人情報を収集するという申し込み方法は、情報漏洩のおそれなど個人情報保護の観点から問題があるのではないか、政府の見解を答えられたい。  右質問する。
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衆議院議員吉田はるみ君提出中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第一五号   内閣衆質二〇九第一五号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員吉田はるみ君提出中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)に関する質問に対する答弁書 一について  高等学校の入学者選抜の実施方法等は、都道府県教育委員会等入学者選抜の実施者が決定することとされており、お尋ねの「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の不受験者の取り扱い」については、都立高等学校の入学者選抜の実施者である東京都教育委員会において適切に判断されるべきものであることから、政府として見解を述べることは差し控えたい。 二について  お尋ねの「中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)の申し込み方法」については、御指摘の「個人情報保護の観点」を含め、同テストの実施者である東京都教育委員会等において適切に判断されるべきものであることから、政府として見解を述べることは差し控えたい。
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ウクライナに提供した装備品及び物品に関する質問主意書
令和四年八月三日提出 質問第一六号 ウクライナに提供した装備品及び物品に関する質問主意書  ロシアによるウクライナ侵略を受け、防衛省・自衛隊は、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)に基づき防衛装備移転三原則(平成二十六年四月一日閣議決定)の範囲内で非殺傷の物資を提供するべく、令和四年三月から、防弾チョッキ、鉄帽(ヘルメット)、防寒服、天幕、カメラ、衛生資材・医療用資器材、非常用糧食、双眼鏡、照明器具、個人装具、防護マスク、防護衣、小型のドローンを自衛隊機等により輸送し、ウクライナ政府への提供を実施した。  令和四年三月八日に東京において、林芳正外務大臣とセルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使との間で、自衛隊の装備品及び物品の贈与に関する交換公文への署名が行われた。この交換公文は、我が国から贈与された装備品及び物品が、目的外に使用されることを禁止し、第三者移転する場合には我が国の事前同意を義務付けることにより、移転後の適正な管理を確保するものとされている。  輸送された防弾チョッキ等は既にウクライナ側に引き渡されたと承知しているが、引き渡された装備品及び物品が、1.目的外に使用されていないこと、2.第三者移転されていないこと、3.輸送後の適切な管理の確保について、政府としてはどのように確認をとっているのか。  右質問する。
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衆議院議員鈴木庸介君提出ウクライナに提供した装備品及び物品に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年八月十五日受領 答弁第一六号   内閣衆質二〇九第一六号   令和四年八月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員鈴木庸介君提出ウクライナに提供した装備品及び物品に関する質問に対する答弁書  我が国がウクライナ政府に譲与した装備品等については、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第百十六条の三の規定及び防衛装備移転三原則(平成二十六年四月一日閣議決定)を踏まえ締結した自衛隊の装備品及び物品の贈与に関する日本国政府とウクライナ政府との間の交換公文(令和四年外務省告示第百十五号)において、ウクライナ政府は、「贈与された装備品及び物品が適正にかつ国際法違反の侵略を受けているウクライナの防衛に関連するウクライナ政府による活動(国際連合憲章の目的及び原則と両立するもの)のためにのみ使用されるようにすること」及び「日本国政府の書面による事前の同意を得ないで、贈与された装備品及び物品がウクライナ政府以外の者(他の政府を含む。)に移転されないようにすること」のために必要な措置を採ることとされている。ウクライナが侵略を受けている現状に鑑みれば、ウクライナ政府が我が国が譲与した装備品等を「ウクライナの防衛に関連するウクライナ政府による活動(国際連合憲章の目的及び原則と両立するもの)」以外のために使用したり、ウクライナ政府により「日本国政府の書面による事前の同意を得ないで、贈与された装備品及び物品がウクライナ政府以外の者(他の政府を含む。)に移転」されたりすることは想定していないが、ウクライナ政府との個別のやり取りについては、相手国との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。
a213001
飲食店の倒産件数の増加に対する認識と対策に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第一号 飲食店の倒産件数の増加に対する認識と対策に関する質問主意書  株式会社帝国データバンクが本年一月九日に公表したレポートによれば、「『飲食店』の倒産、前年比七割増 居酒屋・カフェは過去最多」とされています。その背景や理由として、「手厚い公的支援の期限切れ」「物価高に加えて深刻な人手不足で店舗運営が困難」などが挙げられています。  そこで以下のとおり、質問します。 一 飲食店の倒産件数が大幅に増大していることに対する、政府の見解を示して下さい。 二 政府として、中規模、小規模の飲食店の経営状況についてどのように認識していますか。 三 経営の苦しい中規模、小規模の飲食店に対して、政府はどのような支援を行っていますか。 四 経営の苦しい中規模、小規模の飲食店に対する支援策として、飲食店の店舗の家賃を支援する施策を検討すべきではありませんか。政府の見解を示して下さい。  右質問する。
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衆議院議員山井和則君提出飲食店の倒産件数の増加に対する認識と対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月六日受領 答弁第一号   内閣衆質二一三第一号   令和六年二月六日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員山井和則君提出飲食店の倒産件数の増加に対する認識と対策に関する質問に対する答弁書 一について  民間の調査会社が取りまとめたデータによると、令和五年の我が国における飲食店の倒産件数は、新型コロナウイルス感染症の感染が拡大していた令和三年及び令和四年に比べ増加し、同感染症の感染が拡大した令和二年以前の水準に戻りつつあると認識している。 二及び三について  「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(令和五年十一月二日閣議決定)において、飲食店を含む中小企業等について「物価高の影響により厳しい状況にある」としているところであり、これを踏まえ、飲食店を含む中小企業等向けの支援策として、令和五年度一般会計補正予算(第一号)において、株式会社日本政策金融公庫による資金繰り支援、小規模事業者持続化補助金による支援等に必要な予算を計上しているところである。 四について  お尋ねの「飲食店の店舗の家賃を支援する施策」については、政府が新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)第三十二条第一項の規定に基づき発出した「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」により飲食店の経営に多大な影響を及ぼしていた状況においては、令和二年度一般会計補正予算(第二号)に計上した家賃支援給付金により措置していたところであるが、現時点においては、このような状況にはないことから、これを実施することは検討していない。
a213002
マイナンバーカードの健康保険証利用登録の解除に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第二号 マイナンバーカードの健康保険証利用登録の解除に関する質問主意書  令和五年八月に取りまとめられた「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会 最終とりまとめ」(以下、「最終とりまとめ」という。)において、「マイナンバーカードの健康保険証利用登録は任意の手続であることを踏まえ、利用登録の解除を希望する方については、資格確認書の申請を条件とした上で、任意に解除の手続を行うことができるよう、システム改修を行う。」と記載されています。  そこで以下のとおり、質問します。 一 「最終とりまとめ」で言及されている「システム改修」は何月までに完了する見通しですか。 二 一について、健康保険証の廃止が本年十二月二日とされている中で、マイナンバーカードの健康保険証利用登録解除の手続の周知や実際の手続の必要な期間はどの程度と想定していますか。 三 健康保険証の廃止の後でも、マイナンバーカードの健康保険証利用登録解除は可能ですか。 四 一について、「システム改修」が本年十二月二日までに完了しない場合、健康保険証の廃止を延期することを政府として検討しますか。  右質問する。
b213002
衆議院議員山井和則君提出マイナンバーカードの健康保険証利用登録の解除に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月六日受領 答弁第二号   内閣衆質二一三第二号   令和六年二月六日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員山井和則君提出マイナンバーカードの健康保険証利用登録の解除に関する質問に対する答弁書 一及び四について  御指摘の「システム改修」については、令和六年十月頃までに完了することを予定しており、御指摘の「「システム改修」が本年十二月二日までに完了しない場合」については想定していないため、お尋ねの「健康保険証の廃止を延期することを政府として検討」することは考えていない。 二及び三について  御指摘の「マイナンバーカードの健康保険証利用登録解除」については、現行の健康保険証が発行されなくなる令和六年十二月二日以降も可能とすることとしており、当該解除に係る御指摘の「手続の周知」は同日以降も継続的に実施することを考えているため、当該周知に係るお尋ねの「必要な期間」は想定していない。  また、当該解除に係るお尋ねの「実際の手続の必要な期間」については、当該解除に係る申請を医療保険者が受け付けた月の翌月末までの間に当該解除を実施することを想定している。
a213003
在日米軍基地のPCB廃棄物に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第三号 在日米軍基地のPCB廃棄物に関する質問主意書 一 日本政府は、二〇〇三年(平成十五年)四月十七日の参議院外交防衛委員会において、政府参考人(海老原外務省北米局長)が、「米国の国防省が、二〇〇二年八月二十八日に、在日米軍の施設・区域にある米国製及び日本製のすべてのPCB含有物資を米国に搬出して処理、廃棄するという方針を決定した」「在日米軍が管理するPCB(ポリ塩化ビフェニル)含有物資の総重量は、約三千百十八トン」旨を答弁している。では、この答弁以降現在までの約二十年で、どれだけのPCB含有物資が米国に搬出されたのか、そして現在、在日米軍施設・区域にどれだけのPCB含有物資が残されたままになっているのか、政府として把握しているところをお聞きする。  あわせて、日本政府は、国民の命と健康を守るため、米国側に強く情報開示を求めるべきであり、主権国家としての責務を果たすべきと考えるがいかがか、政府の見解を問う。 二 二〇二三年(令和五年)十一月十日の衆議院環境委員会における私、堤かなめの質疑に対し、政府参考人(山野防衛省地方協力局次長)は、「二〇一八年度から二〇二二年度までの間に、返還地を含む全国の在日米軍施設・区域から発生をしたPCB廃棄物の処理に要した費用は約四千九百万円であり、総量は約八十九トン」と答弁した。そこで、二〇〇三年以降、現在に至る二十年間の返還地を含む全国の在日米軍施設・区域から発生したPCB廃棄物の処理に要した費用および総量の内訳を施設・区域ごとに、可能な限り示していただきたい。  あわせて、米国自身が示した「在日米軍の施設・区域にある米国製及び日本製のすべてのPCB含有物資を米国に搬出して処理、廃棄する」という方針を確実に履行していただくべきであり、日本がPCB廃棄物の処理をこれ以上肩代わりすべきではないと考えるが、政府の見解を問う。 三 同じく、二〇二三年(令和五年)十一月十日の衆議院環境委員会における私、堤かなめの質疑に対し、伊藤環境大臣は、「今御質問の在日米軍施設・区域内のPCB廃棄物についても、日本のPCB処理行政の趣旨等を尊重し、適切に対応いただくように、防衛省、外務省と綿密に連携して進めてまいりたい」と答弁した。では、この答弁以降、どのように防衛省、外務省と連携し、どのような進展があったのかお聞きする。 四 PCB処理施設JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)は、北九州事業所が二〇二四年三月末、残る四施設も二〇二六年三月末までに閉鎖されると聞いている。住民の抵抗感が強い処理施設を地域に受け入れてもらうため、あらかじめ地元に操業期間や処分量の目安を示し、終了後は撤去することを約束したという経緯があり延長すべきではないと考えるが、それぞれの施設の閉鎖日について、政府が承知していることをお聞きする。  あわせて、従前の閉鎖日を延長する施設、および延長の可能性がある施設があるのか、その理由はなぜなのか、在日米軍のPCBの処理が理由となっているのかも、政府の把握しているところをお聞きする。 五 我が国が加盟する「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)では、PCBに関し、二〇二五年までの使用の全廃、二〇二八年までの適正な処分を求めており、日本政府は、在日米軍施設・区域を含め、国内のPCB廃棄物について、この条約に従った対応をすべきと考えるが、政府の見解を問う。 六 在日米軍施設・区域内のPCB廃棄物の調査・搬出・処理等に要する費用は、上述のように、本来は排出者である米国自身が負担すべきと考えるが、令和六年度予算において、在日米軍施設・区域内のPCB廃棄物の調査・搬出・処理等にかかる費用を計上しているのか。計上しているとすれば、その総額と内訳を示されたい。 七 同じくドイツ、イタリア、韓国など同条約加盟国の在外米軍施設・区域において、PCB含有物資の処理はどうなっているのか、その処理方法や費用負担について政府として把握しているところをお聞きする。  右質問する。
b213003
衆議院議員堤かなめ君提出在日米軍基地のPCB廃棄物に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月六日受領 答弁第三号   内閣衆質二一三第三号   令和六年二月六日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員堤かなめ君提出在日米軍基地のPCB廃棄物に関する質問に対する答弁書 一、二の後段、三及び五について  残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(平成十六年条約第三号)及びポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成十三年法律第六十五号。以下「法」という。)等に基づき、国内の法第二条第一項に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物(以下「PCB廃棄物」という。)への対応を行っている。  在日米軍施設及び区域内の御指摘の「PCB含有物資」については、お尋ねの「現在までの約二十年で、どれだけのPCB含有物資が米国に搬出されたのか」及び「現在、在日米軍施設・区域にどれだけのPCB含有物資が残されたままになっているのか」を現時点において把握しておらず、これらの情報の把握を含め、米国との間で、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二十五条1の規定に基づき設置された合同委員会等様々な場で、外務省、環境省、防衛省等関係省庁で連携しつつ、適切に処理されるよう働きかけるなど、環境対策が実効的なものとなるよう取り組んでいる。 二の前段について  お尋ねについては、防衛省が把握している限りにおいて、平成十五年度から令和四年度までに要した費用及び総量の内訳について、返還地を含む在日米軍施設及び区域の別にお示しすると、次のとおりである。  三沢飛行場 約二百万円 約九トン  横田飛行場 約三十万円 約一トン  旧深谷通信所 約千百万円 約四十トン  根岸住宅地区 約六百万円 約二十二トン  旧上瀬谷通信施設 約千五百万円 約二トン  岩国飛行場 約三百万円 約八トン  佐世保海軍施設 約二百万円 約七トン  旧知覧通信所 約二千四百万円 約七トン  旧恩納通信所 約二億六百万円 約百四トン  旧嘉手納飛行場 約二千七百万円 約二百十八トン  嘉手納飛行場 約七百万円 約十二トン  旧キャンプ桑江 約千四百万円 約〇・五トン  旧キャンプ瑞慶覧 約一億千九百万円 約十一トン  旧牧港補給地区 約百万円 約〇・〇三トン  牧港補給地区 約千百万円 約二十一トン 四について  お尋ねの「閉鎖日」及び「従前の閉鎖日」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法(平成十五年法律第四十四号)に基づき設立された中間貯蔵・環境安全事業株式会社が整備したPCB廃棄物の処理施設については、北九州事業所、豊田事業所及び大阪事業所は令和五年度末までに、東京事業所及び北海道事業所は令和七年度末までに、PCB廃棄物の処理を行う事業を終了する予定であり、法第六条に基づき定められた「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」(令和四年五月三十一日閣議決定)で定める「事業の時期」を超えて当該事業を実施する予定はないと承知している。 六について  お尋ねについては、約五百万円を計上しており、その内訳は、三沢飛行場が約三百万円、富士営舎地区が約二百万円である。 七について  お尋ねは、各国政府による「在外米軍施設・区域」に係る対応に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。
a213004
買春規制の在り方に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第四号 買春規制の在り方に関する質問主意書  「売春防止法」(昭和三十一年法律第百十八号)第三条は「何人も、売春をし、又はその相手方となつてはならない。」とし、売春及び買春を禁止している。しかし、同法では、売春の相手方になるように勧誘することや誘引すること等売春に係る罰則が規定されているが、買春を行った者(第三条違反)に対する罰則は規定されていない。なお、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(平成十一年法律第五十二号)第三条の二では、十八歳未満の者(児童)に対する買春が禁止され、同法第四条は児童買春をした者に対する罰則が規定されている。  これに関連して、次の事項について質問する。 一 売春防止法において、買春を行った者に対する罰則が規定されていない理由は何か。 二 政府は、十八歳以上の者に対し買春を行った者に対し罰則を科す必要性について、どのように考えるか。 三 政府は、十八歳以上の者に対し買春を行った者に対する罰則を設けた場合、具体的にどのような問題が生じると考えるか。  右質問する。
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衆議院議員原口一博君提出買春規制の在り方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月六日受領 答弁第四号   内閣衆質二一三第四号   令和六年二月六日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員原口一博君提出買春規制の在り方に関する質問に対する答弁書 一から三までについて  売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)は、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗を乱すものであることに鑑み、売春を助長する行為等を処罰することによって、売春の防止を図ることを目的とするものであることから、御指摘の「罰則」は規定されていないところ、十八歳以上の者による売春について、その相手方となる行為を処罰の対象とすることについては、その必要性の有無及び程度や、国民の権利との関係など、様々な観点からの慎重な検討が必要であると考えている。
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警察行政の信頼性に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第五号 警察行政の信頼性に関する質問主意書  「週刊文春」において、木原誠二衆議院議員の親族が不審死事件の重要参考人として警視庁に事情聴取されていた旨が報じられている(二〇二三年七月十三日号、同年七月二十日号等)。  同事件に関し、令和五年七月十三日の国家公安委員会委員長(代理)記者会見において、露木警察庁長官から、「警視庁において、捜査等の結果、証拠上事件性が認められない旨を明らかにしておりますので、人権上の理由から、事案の詳細についてお答えをすることは差し控えたい」旨の発言があった。  これに関連して、令和五年十一月二十四日に「警察行政の信頼性に関する質問主意書」(質問第六九号)を提出したところ、内閣から「衆議院議員原口一博君提出警察行政の信頼性に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二一二第六九号)(以下「答弁書」という。)を受領した。答弁書の内容を踏まえ、次の事項について質問する。 一 右事件に関して、「記者会見において、警察庁長官が事件性の有無に関する発言をした」理由について、答弁書においては、「個別の事案に関する質問を受けたことから、(中略)必要な回答をしたものである」とされている。今後、警察庁は、国会審議において個別の事件の事件性の有無に関する質問を受けた場合、右記者会見と同様に、必要な回答をしていただけると理解してよいか。 二 「警察法」(昭和二十九年法律第百六十二号)の施行以来、右事件のほかに、右事件と同様に、個別の事件に関して、「記者会見において、警察庁長官が事件性の有無に関する発言をした」例はあるか。また、例があるとすれば、それはどのような理由からそのような発言をしたのか。 三 国家公安委員会による警察行政の政治的中立性の確保について、法令又は内規において、具体的にどのように規定されているか。なお、「内規」とは、例えば、広辞苑(第七版)によれば、「内部の規定。内々のきまり。」とされている。 四 国家公安委員会において、国家公安委員会委員長は、具体的にどのような役割を果たし、どのような業務を行っているか。なお、「役割」とは、例えば、広辞苑(第七版)によれば、「役をそれぞれに割り当てること。また、割り当てられた役目。」とされている。また、「業務」とは、例えば、広辞苑(第七版)によれば、「事業・商売などに関して、日常継続して行う仕事。なすべきわざ。仕事。」とされている。 五 国会議員が警察庁の職員に直接働きかけ、警察行政の公平中正が歪められることのないよう、法令又は内規において、具体的にどのように規定されているか。また、国会議員が警察庁の職員に個別に警察行政に関する要望等を行った場合、どのように対応することとなっているか。 六 国会議員の働きかけや国会議員への忖度により捜査の公平中正が歪められることはあってはならないと考える。都道府県警察における捜査が、個別の国会議員からの捜査に関する要望等の影響を受けることのないよう、法令において、具体的にどのように規定されているか。また、捜査が個別の国会議員からの要望等の影響を受けているのではないかとの疑念を招くことがないよう、政府は国民に対してどのような内容の説明を行っているか。  右質問する。
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衆議院議員原口一博君提出警察行政の信頼性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月六日受領 答弁第五号   内閣衆質二一三第五号   令和六年二月六日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員原口一博君提出警察行政の信頼性に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねのような質問に対する答弁の内容については、個別の事案ごとに判断されるべきものであり、一概にお答えすることは困難である。 二について  お尋ねの「右事件と同様に、個別の事件に関して、「記者会見において、警察庁長官が事件性の有無に関する発言をした」例」の具体的に指し示す範囲が明らかではないため、お答えすることは困難である。 三について  お尋ねについては、警察法(昭和二十九年法律第百六十二号。以下「法」という。)第四条第一項において「内閣総理大臣の所轄の下に、国家公安委員会を置く」と、法第五条第四項において「国家公安委員会は・・・警察庁を管理する」と、それぞれ規定されるなどしているところである。 四について  お尋ねについては、先の答弁書(令和五年十二月五日内閣衆質二一二第六九号)三から五までについての後段でお答えしたとおりである。 五の前段及び六の前段について  お尋ねについては、法第二条第二項において「その責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない」と規定されるなどしているところである。 五の後段について  お尋ねの「対応」については、個別の事案ごとに判断しているところであるが、いずれにせよ、警察庁においては、不偏不党かつ公平中正を旨として各般の警察行政に取り組んでいるところである。 六の後段について  警察においては、不偏不党かつ公平中正を旨として各般の警察行政に取り組んでいるところである。その上で、警察活動の状況について、例えば、警察白書に記載するなどしているところである。
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旧統一教会の創始者である文鮮明氏の上陸特別許可に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第六号 旧統一教会の創始者である文鮮明氏の上陸特別許可に関する質問主意書  出入国管理及び難民認定法(入管法)は、「日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者」(第五条第一項第四号)を上陸拒否の対象とする一方、上陸拒否事由に該当する外国人であっても、「法務大臣が上陸を特別に許可すべき事情があると認めるとき」(第十二条第一項第三号)は、その者の上陸を特別に許可することができるとしている。  平成四年に旧統一教会の創始者である文鮮明氏が我が国への入国を希望した際、法務省は、文氏が過去に米国において所得税法違反により一年を超える刑に処せられていたことから上陸を拒否する方針であったが、自由民主党の金丸信議員(当時の同党副総裁)が文氏の身元を保証したことから、最終的に入国を認めた。この事実は、令和五年四月に韓国外務省が公開した外交文書により改めて確認されている。  文氏の入国を認めた経緯について、これまで政府は「文鮮明氏は、入管法第十二条に規定されている、法務大臣の裁量的処分である上陸特別許可を受けて入国したものと承知しています。上陸特別許可の許否判断につきましては、個々の事案ごとに、上陸を希望する理由、該当する上陸拒否事由の内容、上陸拒否事由が発生してから経過した期間、内外の諸情勢その他諸般の事情を総合的に考慮しています。」「刑の確定後既に七年が経過していたこと、入国目的が朝鮮半島及び北東アジアの平和の在り方について我が国の国会議員の会の方々と意見交換することにあったこと、一週間程度の短期間の滞在であり布教活動はしないとの誓約がなされたことなどの諸事情を総合的に考慮した結果、上陸を認めたものであります。」(いずれも令和五年四月十日衆議院決算行政監視委員会・松野博一内閣官房長官)、「文氏については、当時の法務大臣が当時の諸事情を総合的に考慮した結果、法令上の根拠に基づき上陸を認めたものと承知しており、当時の法務大臣の判断としては適切であったと承知しております。」(令和五年四月二十四日衆議院決算行政監視委員会第一分科会・門山宏哲法務副大臣)などと答弁している。  これらを踏まえ、以下質問する。 一 出入国在留管理庁ウェブサイトで公表されている出入国管理統計によると、文氏が入国した平成四年の上陸特別許可の総数は千二百二十七件である。このうち、入管法第五条第一項第四号の上陸拒否事由に該当する者に上陸特別許可を付与した件数を示されたい。 二 令和五年四月二十四日の衆議院決算行政監視委員会第一分科会において、門山法務副大臣は「上陸許可をした者のうち、過去に罪を犯した者の数は何件かという問いに対してでございますが、御指摘の数については、統計として把握しておりません」と答弁している。上陸を特別に許可した者のうち、法令違反により刑に処せられた人数を政府が把握していないのであれば水際対策として不十分であり、我が国の安全保障の観点から問題ではないかと考えるが、政府の見解を問う。 三 文氏は入国後、千人規模の信者に対する講義等を行うなど、布教活動をしない旨の誓約や入国目的に反した活動を行っていたとされている。このような状況を踏まえてもなお、文氏に対する上陸特別許可は適切であったと評価しているか、また、このような事実が判明した時点で即時に上陸特別許可を取り消し、退去を求める必要があったと思われるが、政府の見解を問う。 四 文氏のケースのような上陸特別許可が今後も繰り返されるのであれば、明らかに我が国に対する害意をもって入国しようとする者が時の政権との密接な関係を背景に上陸特別許可を受けることにより、我が国の国益を損なう結果を招くことを阻止できないものと思われる。一般に、上陸特別許可に係る法務大臣の裁量は、講学上のいわゆる「羈束裁量」というよりは「自由裁量」であると解されているが、我が国の国益を害する危険性が高いと認められる場合には、法務大臣の裁量権の幅は縮小され、毅然として上陸を拒否する義務が生じるものと考えるが、政府の見解を問う。  右質問する。
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衆議院議員原口一博君提出旧統一教会の創始者である文鮮明氏の上陸特別許可に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月六日受領 答弁第六号   内閣衆質二一三第六号   令和六年二月六日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員原口一博君提出旧統一教会の創始者である文鮮明氏の上陸特別許可に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの件数については、統計的に把握していないため、お答えすることは困難である。 二について  上陸を特別に許可するか否かについては、個々の事案ごとに御指摘の「法令違反により刑に処せられた」か否かも含めた諸般の事情を総合的に勘案して慎重に判断しており、「我が国の安全保障の観点から問題」があるとは考えていない。 三について  御指摘の「布教活動をしない旨の誓約や入国目的に反した活動を行っていた」との事実については承知していないが、いずれにせよ、御指摘の「文氏に対する上陸特別許可」の判断の適否については、令和五年四月二十四日の衆議院決算行政監視委員会第一分科会において、門山法務副大臣が「お尋ねの文氏については、当時の法務大臣が当時の諸事情を総合的に考慮した結果、法令上の根拠に基づき上陸を認めたものと承知しており、当時の法務大臣の判断としては適切であったと承知しております。なお、この判断は上陸時において行うものでございますので、上陸後の事情により直ちにその判断が適切であったかどうか左右されるものではございません。」と答弁しているとおりである。 四について  御指摘の「我が国の国益を害する危険性が高いと認められる場合」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「上陸特別許可」について規定している出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第十二条第一項は、法務大臣が、同法第七条第一項に規定する上陸のための条件に適合していない外国人について、同法第十一条第一項に規定する異議の申出に理由がないと認める場合でも、当該外国人が同法第十二条第一項各号のいずれかに該当するときは、その者の上陸を特別に許可することができる旨を規定したものであり、御指摘の「上陸を拒否する義務」を規定するものではない。
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我が国の入管収容施設における医療環境等の整備等に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第七号 我が国の入管収容施設における医療環境等の整備等に関する質問主意書  令和三年三月、名古屋出入国在留管理局の収容施設に収容されていたスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの死亡事案が発生した。本件死亡事案の発生を受け、出入国在留管理庁は同年八月、医療体制の強化等の改善策を盛り込んだ「令和三年三月六日の名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する調査報告書」を公表した。  また、調査報告書で求められた医療体制の強化についての具体的な内容を検討するため、同年十月に「出入国在留管理官署の収容施設における医療体制の強化に関する有識者会議」が設置され、同有識者会議は令和四年二月に「入管収容施設における医療体制の強化に関する提言」を取りまとめた。  さらに、先の通常国会において成立した改正入管法では、被収容者の処遇は人権を尊重しつつ適正に行わなければならないことや、入管収容施設においては社会一般の水準に照らし適切な保健衛生上及び医療上の措置を講ずるものとすることが明記された。  入管収容施設は、収容期間の長短はあるものの被収容者が日々の生活を営む場であるから、そこでの処遇や医療体制を含む生活環境の整備は、特に被収容者の尊厳に配慮したものとし、ウィシュマさんのような事例が今後二度と起きないよう配慮されたものとする必要がある。  これらを踏まえ、以下質問する。 一 入管収容施設における現在の常勤医師の在籍状況を示されたい。その際、令和五年四月一日以降における常勤医師の異動の有無についても併せて示されたい。 二 令和四年一月に策定された「救急対応マニュアル」においては、要救急対応者や重病兆候者について特に医師不在時にはちゅうちょなく迅速に一一九番通報を行うこと等とされているが、実際に当該マニュアルに沿った対応が取られているのか、被収容者の救急搬送を行った実績の有無等を含め、その運用状況を示されたい。 三 令和三年十二月に策定された「体調不良者等に係る仮放免運用方針」に従い、出入国在留管理庁本庁への報告・回答を踏まえ仮放免を行った件数を示されたい。また、医師の所見を踏まえ、本庁への回答を待たずに仮放免を行った件数についても併せて示されたい。 四 令和四年四月に出入国在留管理庁に設置された出入国在留監査指導室の情報提供窓口への情報提供件数及び当該窓口への情報提供を端緒とした職員の処分件数について示されたい。また、出入国在留監査指導室は、当該窓口に寄せられた情報を被収容者の処遇の改善につなげるなど、その役割を十分に果たしているといえるのか、政府の見解を伺いたい。 五 先の通常国会において成立した改正入管法を受けて、出入国在留管理庁が検討を行っている入管収容施設における医療体制の改善策について、その全体像(政省令の改正や運用の見直しを含む。)を示されたい。また、医療体制のほか、入管収容施設における生活環境の整備・拡充を図るための措置についても併せて示されたい。  右質問する。
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衆議院議員原口一博君提出我が国の入管収容施設における医療環境等の整備等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月六日受領 答弁第七号   内閣衆質二一三第七号   令和六年二月六日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員原口一博君提出我が国の入管収容施設における医療環境等の整備等に関する質問に対する答弁書 一について  令和六年一月三十一日時点の出入国在留管理庁の収容施設に所属する御指摘の「常勤医師」の人数は、入国者収容所東日本入国管理センター、東京出入国在留管理局、東京出入国在留管理局横浜支局及び名古屋出入国在留管理局に各一人である。  令和五年四月一日以降、東京出入国在留管理局横浜支局及び名古屋出入国在留管理局に各一人の「常勤医師」が採用され、入国者収容所大村入国管理センター及び大阪出入国在留管理局に所属していた各一人の「常勤医師」が離職している。 二について  出入国在留管理庁の収容施設において被収容者の救急搬送を行った件数については、統計的に把握していないため、お尋ねの「被収容者の救急搬送を行った実績の有無等を含め、その運用状況」についてお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、救急対応の必要がある被収容者を把握した際には、「被収容者に対する救急対応マニュアル」(令和四年一月二十七日付け入管庁警第二十四号出入国在留管理庁出入国管理部長通知別添)に従い、適切に対応するよう努めているところである。 三について  お尋ねの「令和三年十二月に策定された「体調不良者等に係る仮放免運用方針」に従い、出入国在留管理庁本庁への報告・回答を踏まえ仮放免を行った件数」及び「医師の所見を踏まえ、本庁への回答を待たずに仮放免を行った件数」については、統計的に把握していないため、お答えすることは困難である。 四について  令和四年四月から同年十二月までのお尋ねの「出入国在留監査指導室の情報提供窓口への情報提供件数」は、百二十五件である。なお、令和五年以降の同件数については、現在集計中であり、現時点でお答えすることは困難である。  お尋ねの「当該窓口への情報提供を端緒とした職員の処分件数」については、統計的に把握していないため、お答えすることは困難である。  御指摘の「出入国在留監査指導室」は、受け付けた情報を被収容者の処遇の改善を含めた出入国在留管理庁における適正な業務運営にいかしており、引き続きその役割を果たしてまいりたい。 五について  お尋ねの「医療体制の改善策について、その全体像(政省令の改正や運用の見直しを含む。)」及び「生活環境の整備・拡充を図るための措置」の具体的な範囲が必ずしも明らかではないが、出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律(令和五年法律第五十六号)による改正後の出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第五章の二「被収容者の処遇」においては、被収容者の処遇について、保健衛生及び医療、外部交通等に関する事項を明確化するための規定が設けられ、現在、これらの規定の施行に向けて、所要の政省令の改正、運用の見直し等について検討中であり、現時点で具体的な検討状況をお答えすることは困難である。
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新型コロナワクチン接種に用いられるRNAワクチンの安全性及び有効性に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第八号 新型コロナワクチン接種に用いられるRNAワクチンの安全性及び有効性に関する質問主意書  新型コロナウイルス感染症に係る予防接種(以下「新型コロナワクチン接種」という。)に用いられるファイザー社やモデルナ社のメッセンジャーRNAワクチン(以下「コロナRNAワクチン」という。)の安全性及び有効性については、世界各国において様々な指摘がなされている。特に、SNS等においては、コロナRNAワクチンの安全性や有効性について立場を異にする者に対する脅迫めいた発言も見られる状況にある。厚生労働省ウェブサイトの「新型コロナワクチンQ&A」にも「SNSやメディアでは、新型コロナワクチンに関して様々な情報が溢れています。特に、SNSでは発信者が不明、または科学的根拠や信頼のおける情報源に基づいていない、不正確な情報があり、注意が必要です。」と記載されており、新型コロナワクチン接種について正確な情報を適切に提供することの重要性は、政府にも共有されていると考える。以下、質問する。 一 SNS等において、新型コロナワクチン接種が危険であることや効果がないことを理由に接種を中止した国があるとの指摘が見られる。  1 新型コロナワクチン接種を実施していた国において、コロナRNAワクチンの安全性や有効性を理由に新型コロナワクチン接種を中止した国を政府は把握しているか。把握している場合には、その国名を示されたい。  2 SNS等においては、タイの王女が新型コロナワクチン接種後に心疾患となり、タイ政府がファイザー社との契約の破棄を検討しているとするものがある。これに対して、タイ王室庁はパチャラキティヤパー王女がマイコプラズマ感染による心臓の炎症で深刻な不整脈を発症したと発表したと報じられている。また、タイ公衆衛生省疾病管理局がSNSで「ファイザー社との契約を解除した」とのニュースは誤った情報であると発信したとされる。政府としては、タイ政府が新型コロナワクチン接種を中止したと理解しているのか、あるいは、現在も新型コロナワクチン接種を実施していると理解しているのか。 二 SNS等においては、ファイザー社のコロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)(以下「ファイザー社コロナワクチン」という。)について、「SV四〇というがんウイルス由来のDNAが混入しており、ターボがんの原因となっている」と指摘するものがある。  1 まず、SNS等において「SV四〇というがんウイルス」とされるウイルスは、シミアンウイルス四〇であると理解する。シミアンウイルス四〇の発がん性については、シミアンウイルス四〇が混入したポリオワクチンを接種したヒトに追跡調査がなされたががんを引き起こしたという根拠は得られなかったとの指摘も見られる。一方で、シミアンウイルス四〇は、ハムスター等を用いた動物実験では発がん能があったとされる。シミアンウイルス四〇は、ヒトにがん腫瘍を発生させるのか。この点については論争が続いているとの指摘もあるが、政府の見解を伺う。  2 SNS等においては、ファイザー社コロナワクチンにシミアンウイルス四〇に由来する塩基配列が含まれているとの指摘も見られる。ファイザー社コロナワクチンに含まれるmRNAの塩基配列にシミアンウイルス四〇の塩基配列と共通する箇所があることを政府は把握しているか。また、ファイザー社コロナワクチンに含まれるmRNAからシミアンウイルス四〇のタンパク質が産生される可能性はあるのか。政府の見解を伺う。  3 ワクチンに様々なウイルスのDNAの断片が混入することはありうることであり、ウイルスのDNAの断片がワクチンに混入したからといって直ちにそのワクチンが危険であるというわけではない、との指摘も見られる。コロナRNAワクチンを接種した者が、がん患者となる確率が高まることを示す研究等について、政府は把握しているか。また、コロナRNAワクチンにはがん腫瘍の発生を促進させる効果があるとする研究等を政府は把握しているか。政府の見解を伺う。 三 コロナRNAワクチンの有効性について、厚生労働省ウェブサイト「ファイザー社の新型コロナワクチン(一価:従来株)について」では「新型コロナウイルス感染症の発症等を予防します。」、「初回接種における臨床試験の結果、接種から一定の期間における発症予防効果は、十六歳以上では約九十五%、十二~十五歳では百%、五~十一歳では九十・七%」とされている。また、厚生労働省ウェブサイト「ファイザー社のオミクロン株対応一価ワクチンについて」では、「新型コロナウイルス感染症の重症化の予防を目的として接種します。」、「本剤(オミクロン株対応一価ワクチン)の非臨床試験における初回接種や追加接種により、オミクロン株亜系統に対する中和抗体の産生が確認されたことから、一定の有効性が期待されています。」とされている。  1 「ファイザー社の新型コロナワクチン(一価:従来株)」では「新型コロナウイルス感染症の発症等を予防」とされ、「ファイザー社のオミクロン株対応一価ワクチン」では「新型コロナウイルス感染症の重症化の予防」とされている。なぜ、従来株型ワクチンとオミクロン株対応ワクチンとで、その効果が変化したのか。また、その変化はいつ生じたのか。政府の見解を伺う。重症化予防の効果しかないのであれば他者への感染を防ぐ効果は期待できず、予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第一条の「伝染のおそれがある疾病の発生及びまん延を予防する」ことにならないのではないか。政府の見解を伺う。  2 従来株対応ワクチンについては、発症予防効果が「十六歳以上では約九十五%」等の数値で表されていたのに対し、オミクロン株対応ワクチンでは「一定の有効性が期待」と数値が示されていないのはなぜか。オミクロン株対応ワクチンの効果について従来株対応ワクチンのように数値で示すことはできないのか。もし、先行する研究が見当たらないために数値を示すことができないのであれば、政府において調査して、公表すべきではないか。政府の見解を伺う。  右質問する。
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衆議院議員原口一博君提出新型コロナワクチン接種に用いられるRNAワクチンの安全性及び有効性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月六日受領 答弁第八号   内閣衆質二一三第八号   令和六年二月六日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員原口一博君提出新型コロナワクチン接種に用いられるRNAワクチンの安全性及び有効性に関する質問に対する答弁書 一の1について  お尋ねについては、政府としては把握していない。 一の2について  お尋ねについては、政府として詳細を把握していないため、お答えすることは困難である。 二の1について  お尋ねの「シミアンウイルス四〇の発がん性」に関しては、政府として、化学物質の発がん性の評価等を実施している国際がん研究機関においてグループ3(人に対する発がん性について分類できないもの)に分類されていると承知している。 二の2について  お尋ねの「シミアンウイルス四〇の塩基配列と共通する箇所」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「ファイザー社コロナワクチンに含まれるmRNAの塩基配列」の中に「シミアンウイルス四〇の塩基配列」の中の特定のたんぱく質を生成する塩基配列は含まれていないため、お尋ねの「mRNAからシミアンウイルス四〇のタンパク質が産生される可能性」は考えられない。 二の3について  御指摘の「研究等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘のような「がん患者となる確率が高まること」やがんの「発生を促進させる効果」を確認した研究について、政府として把握していない。なお、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第六十八条の十第一項及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号)第二百二十八条の二十第一項第二号ロの規定により、医薬品の製造販売業者は、当該医薬品の副作用若しくはそれらの使用による感染症によりがんその他の重大な疾病、障害若しくは死亡が発生するおそれがあること、当該医薬品の副作用による症例等若しくはそれらの使用による感染症の発生傾向が著しく変化したこと又は当該医薬品が承認を受けた効能若しくは効果を有しないことを示す研究報告を知ったときは、厚生労働大臣にその旨を報告しなければならないとされているところ、新型コロナウイルス感染症に係る予防接種に使用するワクチン(以下「新型コロナワクチン」という。)の製造販売の承認がされた令和三年二月十七日から現在までの間に、製造販売業者から、御指摘のような研究に関する報告はなされていない。 三の1について  お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、厚生労働省ウェブサイトにおける御指摘の「新型コロナウイルス感染症の発症等を予防」との記載は、令和三年二月十五日等に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、「ファイザー社の新型コロナワクチン(一価:従来株)」について「COVID-十九発症予防効果が期待できる」とされたことを踏まえ記載したものであり、御指摘の「新型コロナウイルス感染症の重症化の予防」との記載は、令和五年六月十六日の同分科会において、「ファイザー社のオミクロン株対応一価ワクチン」のような「流行株の成分を含むワクチンは、・・・重症化予防効果はもとより、発症予防効果への寄与も期待される」とされたことを踏まえ記載したものである。  また、「重症化予防の効果しかないのであれば・・・予防接種法・・・第一条の「伝染のおそれがある疾病の発生及びまん延を予防する」ことにならないのではないか」とのお尋ねについては、御指摘の「オミクロン株対応ワクチン」は、前述のとおり、同分科会において、「重症化予防効果はもとより、発症予防効果への寄与も期待される」とされているところ、令和二年十一月十三日の衆議院厚生労働委員会において、政府参考人が「対象となるワクチンに感染予防の効果があるか、若しくは、感染予防効果までは期待できなくても、ある程度の発症予防効果や重症化予防効果があり、集団での発症、負荷の軽減を期待できれば、蔓延予防の効果を有するものとして、臨時接種の目的である疾病の蔓延予防に資するものであるというふうに考えております」と答弁しているとおりであり、「疾病の発生及びまん延を予防する」ために接種することとしている。 三の2について  御指摘の「従来株対応ワクチン」に係る記載については、令和三年二月十五日等に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において、臨床試験についての御指摘のような「数値」等の結果について確認されたことを踏まえ記載したものである一方、御指摘の「オミクロン株対応ワクチン」に係る記載については、令和五年九月八日の同分科会において、「非臨床データ」により「中和抗体の誘導が認められた」と確認されたことを踏まえ記載したものであり、「数値」の記載はないところであるが、引き続き、「オミクロン株対応ワクチン」を含めた新型コロナワクチンに係る有効性等について、「数値」も含め、科学的知見を収集し、必要に応じて国民の皆様に情報提供してまいりたい。
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東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の処分に係る農林水産省の対応等に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第九号 東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の処分に係る農林水産省の対応等に関する質問主意書  令和五年十一月九日に提出した第二百十二回国会の質問主意書第二二号において、ALPS処理水の処分に係る農林水産省の対応等について質問を行った。これに対する政府の答弁等を踏まえ、以下、質問する。 一 東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の処分について、漁業者や漁業団体から反対の声がある中、政府は、令和五年八月二十二日に開催された第六回廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議及び第六回ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議(以下「合同会議」という。)において、農林水産大臣又は経済産業大臣から、漁業者や漁業団体による理解がまだ十分ではない状況についての発言等はなかったと説明している。さらに、そもそも、合同会議は、「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)の着実な実行に向けた対策等について進捗を確認するための会議であり、漁業者や漁業団体による理解について議論する場ではないと説明している。しかし、基本方針では、例えば2(2)③において、海洋放出に当たっての対応の方向性について「国民・国際社会の理解醸成に向けた取組に万全を期す必要がある」としている。4(2)①においては、風評影響を最大限抑制するための国民・国際社会の理解の醸成について、「国内の消費者等や風評影響を受け得る様々な事業者の理解を深める取組を徹底する」としている。5①では、今後の海洋放出に伴う、水産業を始めとした関係者における特有の課題を幅広く継続的に確認し、必要な対策を検討するための枠組みとして「ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議」(以下「実行会議」という。)を設置するとしている。さらに、6③では、「風評影響への対応については、さらに、広く関係者にも参加いただきつつ議論を続け、その不断の見直しを図り、政府一丸となって」対策を講じていくとしている。また、実行会議が設置された際には、主な検討事項として、ALPS処理水の処分による風評影響の実態の把握、基本方針に定めた事項の実施状況の確認及び課題の抽出、追加的な対策の検討等が示されている。以上を踏まえれば、漁業者や漁業団体による理解は、合同会議においても重要な課題であり、当然に議論の対象となるべきだと考える。漁業者等による理解を議論の対象外とした合同会議でのALPS処理水の海洋放出に係る決定は、判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないものであり、重大な瑕疵があったのではないか。それにもかかわらず、政府が議論の対象外であると説明した理由を明確に示されたい。その上で、合同会議において両大臣が当該発言等に至らなかった理由について、改めて明らかにされたい。 二 当時の野村農林水産大臣が、令和五年八月二十五日の大臣記者会見において、ALPS処理水の海洋放出を受けた中国による日本産水産物の全面的な輸入禁止について、「全く想定していませんでした」と述べたことに関連して、政府は、農林水産大臣も出席した合同会議において、中国による全面禁輸という事態を含む事態等の可能性についての認識を共有していたと説明している。また、農林水産大臣が当該発言に至った要因については、野村農林水産大臣が、中国による全面禁輸という事態が生じたことについての所感を述べたことによるものであると説明している。  1 この説明によれば、政府としては合同会議においてあらゆる可能性を想定し、出席閣僚・関係者が認識を共有していたにもかかわらず、野村農林水産大臣が当該発言を行ったということであり、農林水産省としてはもとより、政府全体としても深刻な危機管理上の問題である。このような事態を受けて、農林水産省内において情報共有・危機管理体制の在り方等に係る問題点を分析し、必要な改善を行って然るべきと考えるが、そのような事実の有無について明らかにされたい。また、具体的な改善を行った場合は、その内容についても明らかにされたい。  2 政府としてあらゆる可能性を想定したとする具体的なケースについて、政府は、輸入規制措置等の撤廃に向けた働きかけを行っている中で、それを明らかにすることは、今後当該働きかけに影響を与えるおそれがあることなどから、回答を差し控えると説明している。ここで説明している「当該働きかけに影響を与えるおそれ」について、具体的にどのような影響を与えると考えているのか明らかにされたい。  3 令和五年十月中旬にロシアが中国の措置に追随する方向で日本産水産物の輸入規制措置を強化することを決定し、今後、同様に輸入規制措置を強化する国が世界各国に広がっていくことが強く懸念されることについて、政府は、あらゆる機会を通じて、科学的根拠のない輸入規制措置の即時撤廃を強く求めていくとともに、ALPS処理水の安全性について高い透明性を持って国際社会に発信していくと説明している。昨年十一月以降、政府が実際にこれらの取組を行った具体的な場及び発信内容並びにその成果について明らかにされたい。 三 政府が策定した総額一千七億円の「『水産業を守る』政策パッケージ」(以下「政策パッケージ」という。)は、①国内消費拡大・生産持続対策、②風評影響に対する内外での対応、③輸出先の転換対策、④国内加工の体制の強化対策、⑤東京電力株式会社による迅速かつ丁寧な賠償の五本柱からなるとされているが、政府は、⑤を除く各柱に見込む経費について、総額一千七億円の内訳等を明らかにしていない。  1 例えば、①の国内消費拡大・生産持続対策について、総額一千七億円のうちどれほどの経費が見込まれているのか。また、同対策の中で「産地段階における一時買取・保管や漁業者団体・加工/流通業者等による販路拡大等への支援」を行うとされているが、その支援に係る経費の具体的な積算根拠について、例えば、一時買取・保管に係る単価、漁業者団体・加工/流通業者等の数、販路拡大等の具体的内容及び単価等について、どのように見込んでいるのか明らかにされたい。②から④の柱についても、対策等に見込む経費及び積算根拠について、同様に明らかにされたい。  2 農林水産省による「#食べるぜニッポン」キャンペーンに関連して、当時の宮下農林水産大臣が令和五年九月二十九日の大臣記者会見において、ホタテガイの令和四年の国民一人当たりの国内消費量が約七粒であり、追加で五粒、年間合計十二粒を食べることで、中国向けの輸出をそっくり国内消費できると発言したことに係る積算根拠について、政府は、住民基本台帳に基づく人口等による推定値であると説明している。住民基本台帳に基づく人口について、新生児等も含めた総人口である場合、国民一人当たりの単純平均を基にした宮下農林水産大臣の当該発言は実態に即したものではなく、年間合計十二粒という目安はかえって国民の誤解を招くものであったと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。併せて、「#食べるぜニッポン」キャンペーンのこれまでの実績について明らかにされたい。  3 政府は、今般の中国、香港をはじめとする各国・地域の輸入規制の強化により想定される全体的な影響及び被害額について、水産物の生産から流通までの各段階で影響が生ずるなどその対象が多岐にわたることから、網羅的な回答は困難であるが、政策パッケージにおいて、我が国の水産業支援に万全を期すべく、対策を実施すると説明している。昨年九月に政策パッケージを策定して以降、一部の国・地域の輸入規制強化により実際に発生した影響及び被害額並びにこれまで政策パッケージにより支援を行ってきた具体的な内容及び支援に要した経費について、明らかにされたい。 四 ALPS処理水の海洋放出に関して、政府は、合同会議における当時の西村経済産業大臣の発言を踏まえて、漁業者やその他事業者、地方公共団体からの一定の理解は得られていると認識しており、「国内外において十分な理解が得られていない状況」には当たらないと説明している。  1 しかし、国内においては、福島県漁業協同組合連合会及び全国漁業協同組合連合会から明確に「ALPS処理水の海洋放出には反対である」との会長コメント等が示されている。また、国外においては、中国、香港、ロシアをはじめとする各国・地域による輸入規制措置の強化が継続されている。このような状況にあって、政府の当該説明は、「一定の理解」が得られたことをもって「十分な理解」が得られたものとすり替えているのではないか。「十分な理解」とは具体的にどの程度の割合の理解が得られている状況だと考えているのか明らかにされたい。  2 現状を打開するため、海洋放出を一時停止し、漁業関係者の理解を大前提として国内外の諸課題を解決した上で、海洋放出の再開時期等について改めて検討すべきとの指摘に対し、政府は、海洋放出を一時停止する予定等はないと答弁している。しかし、中国等による輸入規制措置が長期化することも見込まれる中、海洋放出の一時停止等も含めて輸入規制措置の撤廃に向けた外交交渉を精力的に行い、ALPS処理水の海洋放出に係る諸問題の全面的な解決を図るべきであると考えるが、改めて政府の認識を明らかにされたい。  右質問する。
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衆議院議員原口一博君提出東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の処分に係る農林水産省の対応等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月六日受領 答弁第九号   内閣衆質二一三第九号   令和六年二月六日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員原口一博君提出東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の処分に係る農林水産省の対応等に関する質問に対する答弁書 一について  先の答弁書(令和五年十一月二十日内閣衆質二一二第二二号。以下「前回答弁書」という。)一についてでお答えしたとおり、令和五年八月二十二日に開催された第六回廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議及び第六回ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議(以下「合同会議」という。)は、「東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針」の着実な実行に向けて風評による影響に関する対策等について進捗を確認するための会議である一方、平成二十七年に福島県漁業協同組合連合会の要望に対して経済産業省から関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない旨回答しているところ、当該理解を得たかどうかに係る判断は、一義的には、同省が行うものであり、合同会議前日に同判断を行ったため、御指摘の「漁業者や漁業団体による理解」を得たかどうかについては合同会議において議論するものとは考えていない。  その上で、同回答については、同月二十一日、西村経済産業大臣(当時)等との面談の場において、全国漁業協同組合連合会から、国際原子力機関(以下「IAEA」という。)の包括報告書や安全性の説明を通じて、安全性への理解は深まった旨、漁業者が子々孫々まで安心して漁業を継続できるよう、漁業者に寄り添い、今後数十年の長期にわたろうとも国の全責任において必要な対策を講じ続けることを求める旨及び廃炉となりわい継続は、漁業者の思いであり、漁業者のなりわい継続に寄り添った政府の姿勢と安全性を含めた対応について、我々の理解は進んできていると考えている旨の発言があったこと、また、同面談の場において、福島県漁業協同組合連合会から、廃炉の安全な完遂とその時点での漁業のなりわいの継続が確認されて、理解は完了し約束は果たされたことになる旨、漁業者と国・東電は、復興と廃炉という共通目標に向けて、同じ方向を向いて進んでいる旨及びしたがって、約束は果たされていないが、破られたとは考えていない旨の発言があったこと、さらに、地方公共団体や漁業者以外の事業者等への説明や意見交換において、ALPS処理水の処分の必要性や安全性、事業内容等を説明してきている中で、これらの内容を理解したとの声もいただいたことも踏まえ、同省として、漁業者や漁業者以外の事業者、地方公共団体からの一定の理解は得られていると判断したものである。したがって、「漁業者等による理解を議論の対象外とした合同会議でのALPS処理水の海洋放出に係る決定は、判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないものであり、重大な瑕疵があった」との御指摘は当たらない。  また、こうしたことから、合同会議において、農林水産大臣又は経済産業大臣から、御指摘の「漁業者や漁業団体による理解がまだ十分ではない状況についての発言等」はなかったと認識している。 二の1について  御指摘の「野村農林水産大臣が当該発言を行った」ことについては、前回答弁書二の2についてでお答えしたとおりであるため、政府として「政府全体としても深刻な危機管理上の問題である」とは認識しておらず、お尋ねの「事実」はない。 二の2について  お尋ねについてお答えすることは、各国及び地域との今後のやり取りに支障を来すおそれがあることから差し控えたい。 二の3について  お尋ねについては、政府としては、令和五年十一月以降にも、在京外交団への情報提供、外国報道機関への説明等を行ってきたほか、外務省のSNSでの継続的な発信などを含め、一貫して、様々なレベルにおいて、国際社会に対し、海洋放出について、科学的根拠に基づき丁寧に説明してきている。これらを踏まえ、ALPS処理水に係る我が国やIAEAの取組に対し、幅広い地域の国々が理解・支持を表明するなど、ALPS処理水の海洋放出に対する理解は広がっていると認識している。また、日本産の食品に対する科学的根拠のない輸入規制措置を導入している国や地域に対しては、例えば、日中首脳会談等の二国間の場や世界貿易機関の衛生植物検疫措置に関する委員会等の多国間の場において、科学的根拠のない輸入規制措置の即時撤廃を強く求めるなど、同様に一貫して、様々なレベルにおいて、その即時撤廃を強く求めてきているところである。 三の1について  令和五年九月四日に取りまとめた「「水産業を守る」政策パッケージ」(以下「政策パッケージ」という。)のうち、御指摘の「国内消費拡大・生産持続対策」に係る経費については、令和三年度補正予算において措置された「ALPS処理水の海洋放出に伴う需要対策事業」の三百億円の内数及び令和四年度補正予算において措置された「ALPS処理水の海洋放出に伴う影響を乗り越えるための漁業者支援事業」の五百億円を見込んでいる。  御指摘の「産地段階における一時買取・保管や漁業者団体・加工/流通業者等による販路拡大等への支援」は「ALPS処理水の海洋放出に伴う需要対策事業」の内数を見込んでおり、当該事業に要する経費については、既存の水産庁事業の執行実績等を勘案して、新たな販売先の開拓等に必要な所要額を積算したものである。  政策パッケージのうち、御指摘の「風評影響に対する内外での対応」に係る経費については、「ALPS処理水の海洋放出に伴う需要対策事業」の三百億円の内数を見込んでいる。積算根拠については、ALPS処理水に関する国内外に向けた科学的根拠に基づく透明性の高い情報発信や、販売促進・消費拡大に向けた働きかけやイベント、小売業界の継続的な取引に向けた環境整備等を行うために要する経費である。  政策パッケージのうち、御指摘の「輸出先の転換対策」に係る経費については、令和五年度予備費において措置された「新規需要開拓事業」及び「代替販路開拓事業」の約百五十六億円を見込んでいる。積算根拠については、漁業者団体によるホタテ等の輸出の減少が顕著な品目の海外を含む新たな需要の開拓等を支援するために要する経費である。  政策パッケージのうち、御指摘の「国内加工の体制の強化対策」に係る経費については、令和五年度予備費において措置された「国内加工体制の強化対策事業」の約五十一億円を見込んでいる。積算根拠については、既に稼働している水産加工場の利活用に向けた人材活用の支援及び国内の加工の能力強化に向けた加工業者が行う機器の導入等の支援のために要する経費である。 三の2について  御指摘の「宮下農林水産大臣の当該発言」については、令和五年九月二十九日の閣議後記者会見において、国民一人当たりの消費量を単純平均した場合の数字をお示ししたものであり、「国民の誤解を招くもの」であるとは考えていない。  また、お尋ねの「「#食べるぜニッポン」キャンペーンのこれまでの実績」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「「#食べるぜニッポン」キャンペーン」について、例えば、農林水産省のSNSにおいて、同月七日から同年十二月末までの間に計七十八回の発信を行ったところである。 三の3について  お尋ねの「実際に発生した影響及び被害額」については、前回答弁書三の3についてでお答えしたとおり網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、我が国の水産物の全面的な輸入規制措置を講じている中国に対する我が国からの水産物の輸出額は、財務省の「貿易統計」によると、令和五年九月から同年十二月までの四箇月間の合計額は、対前年同期比で二百六十億円の減少となっている。  また、政策パッケージでは、令和六年二月二日時点において、「ALPS処理水の海洋放出に伴う需要対策事業」における漁業者団体による水産物の販路拡大等への支援については約七十五億円、「ALPS処理水の海洋放出に伴う影響を乗り越えるための漁業者支援事業」における省エネ活動を通じたコスト削減に向けた取組等への支援については約五十五億円、「新規需要開拓事業」における漁業者団体によるホタテ等の輸出の減少が顕著な品目の海外を含む新たな需要の開拓等への支援については約三億円、「代替販路開拓事業」における商談会の開催の海外市場開拓等への支援については約五十億円、「国内加工体制の強化対策事業」における加工業者が行う機器の導入等への支援については約六千万円の交付決定を行っているところである。 四の1について  御指摘の「「十分な理解」が得られたものとすり替えている」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、御指摘の「十分な理解」について、理解の度合いを一律に判断することは困難であるが、一についてでお答えしたとおり、全国漁業協同組合連合会からは、IAEAの包括報告書や安全性の説明を通じて、安全性への理解は深まった旨、漁業者が子々孫々まで安心して漁業を継続できるよう、漁業者に寄り添い、今後数十年の長期にわたろうとも国の全責任において必要な対策を講じ続けることを求める旨及び廃炉となりわい継続は、漁業者の思いであり、漁業者のなりわい継続に寄り添った政府の姿勢と安全性を含めた対応について、我々の理解は進んできていると考えている旨の発言があり、福島県漁業協同組合連合会からは、廃炉の安全な完遂とその時点での漁業のなりわいの継続が確認されて、理解は完了し約束は果たされたことになる旨、漁業者と国・東電は、復興と廃炉という共通目標に向けて、同じ方向を向いて進んでいる旨及びしたがって、約束は果たされていないが、破られたとは考えていない旨の発言があったこと等から、ALPS処理水の海洋放出に関して、西村経済産業大臣(当時)が発言しているとおり、関係者の一定の理解を得たと判断している。  なお、国外においても、ALPS処理水に係る我が国やIAEAの取組に対し、幅広い地域の国々が理解・支持を表明するなど、ALPS処理水の海洋放出に対する理解は広がっていると認識している。 四の2について  御指摘の「ALPS処理水の海洋放出に係る諸問題」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、一部の国・地域による輸入規制強化に対して、引き続き、科学的根拠のない措置の即時撤廃を強く求めていく考えであり、御指摘の「海洋放出の一時停止」を行う予定はない。
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食料・農業・農村基本法の見直しに係る政府の基本的認識に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第一〇号 食料・農業・農村基本法の見直しに係る政府の基本的認識に関する質問主意書  令和五年十一月九日に提出した第二百十二回国会の質問主意書第二一号において、農地及び農業者関係並びに基本計画及び食料自給率目標関係について質問を行った。これに対する政府の答弁等を踏まえ、以下、質問する。 一 農地及び農業者関係  1 我が国の農地面積がピーク時の昭和三十六年から三割減少していることに関連して、政府は、荒廃農地が発生する主な要因として、「高齢化、病気」や「労働力不足」により適切な農業生産活動を行うことが困難となっていることが挙げられると説明している。また、非農業用途等への転用が発生する原因として、例えば、民間企業が住宅や工場を建設する場合に土地の価格等の観点から農地が選好されやすいことが考えられると説明している。このような状況等を踏まえ、政府としては農地の維持・確保のためにどのような対策を講じようとしているのか明らかにされたい。  2 現行の食料・農業・農村基本計画(以下「基本計画」という。)の参考資料「農地の見通しと確保」において、令和十二年時点で確保される農地を四百十四万ヘクタールとしていることの妥当性について、政府は、農地面積が減少すると推計している一方、耕地利用率が平成三十年の九十二パーセントから令和十二年に百四パーセントへと、約十二ポイント上昇すると見込んでいることを前提に、基本計画において令和十二年度の食料自給率の目標として定めている四十五パーセントを達成することは可能であり、妥当な農地面積であると説明している。しかし、耕地利用率について毎年平均で約一ポイントの上昇が見込まれているにもかかわらず、令和四年の耕地利用率は、平成三十年より上昇するどころか、逆に〇・三ポイント低下している。このように耕地利用率が見込み通りに上昇していない実態を踏まえると、基本計画における食料自給率目標を達成するためには、農地面積の方を四百十四万ヘクタールよりも多く確保する必要があると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。  3 令和三年度に実施された相続未登記農地等実態調査(以下「相続未登記実態調査」という。)の結果において所有者不明農地等(相続未登記農地及び相続未登記のおそれのある農地)は百二万九千百一ヘクタールで、農地面積の約二割であることについて、政府は、そのほとんどは相続人等により利用又は管理が続けられており、遊休農地はそのうちの五万七千六百二十九ヘクタールに留まっていると説明している。しかし、相続未登記実態調査は、近年、農地について相続が発生しても登記名義人が変更されず、権利関係が不明確となるケースが多くなっており、農地の集積・集約化を進める上で阻害要因となっているとの指摘を受けて実施されたものである。その趣旨を踏まえれば、遊休農地が六万ヘクタール弱に留まるとしても、相続未登記農地等の解消は重要な課題である。当該調査で相続未登記農地等とされた農地のうち、これまでに適正に相続登記がなされた農地面積の実績について明らかにされたい。また、政府は、平成三十年の農業経営基盤強化促進法等の一部改正以降、所有者不明農地の農地中間管理機構への貸付実績が令和四年度末までに百六十八ヘクタールとなっていることから、相続未登記農地等の有効利用につながっていると説明している。しかし、この面積は相続未登記実態調査での所有者不明農地等の面積と比べて極めて微小である。全農地面積の約二割が所有者不明農地等という深刻な状況を改善するためには、抜本的な対策の見直しが必要であると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。  4 これまでの農政が規模拡大推進一辺倒であるとの指摘に関連し、政府は、経営規模の大小や家族経営・法人経営の別にかかわらず、意欲的に農業経営に取り組もうとする農業の担い手を幅広く育成・確保するとともに、農業の担い手に対する農地の利用集積を推進してきた結果、多くの品目で、農業の担い手が農業生産の相当部分を担う農業構造を実現してきていると説明している。しかし、政府は、令和五年度までに全農地の八割を担い手に集積するという目標を掲げているところ、令和四年度の農地集積率の実績は六割にも届いておらず、目標の達成は絶望的である。このような状況を踏まえて、これまでの農地及び農業者に係る施策の問題点を真摯に分析すべきだと考えるが、改めて政府の認識を明らかにされたい。  5 多様な農業人材に係る基本法の規定の在り方について、政府は、検討を進めている現時点で答える段階にはないと説明している。その後、令和五年十二月二十七日に開催された食料安定供給・農林水産業基盤強化本部において、「食料・農業・農村基本法の改正の方向性について」が決定され、その中で「生産基盤の確保に向けた担い手の育成・確保とそれ以外の多様な農業人材の役割の明確化」が掲げられている。家族経営、中小規模の経営体、農業を副業的に営む経営体の位置付けと農地の集積・集約化の関係の整理について、答申以降の検討内容を明らかにした上で、基本法において関係する条文をどのように規定することを検討しているのか、改めて明らかにされたい。 二 基本計画及び食料自給率目標関係  1 食生活の多様化に対する評価について、政府は、「どのような食生活を営むかは、消費者の自由な選択に委ねられるべきものであり、政府としてお答えする立場にない」と説明している。食料自給率の向上及び国内農業の存続のためには、米などの安全な国産農産物の消費が必要であり、これを政府が推奨する必要があると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。  2 食料自給率の向上及び国産農産物の消費の拡大のためには消費者の役割が重要であるが、「食料・農業・農村基本法の改正の方向性について」においては、「食料安全保障の確保に向け、食料の価格形成に当たっては、農業者、食品事業者、消費者といった関係者の相互理解と連携の下に、農業生産等に係る合理的な費用や環境負荷低減のコストなど、「食料の持続的な供給に要する合理的な費用」が考慮されるようにしなければならないことを明確化する」とあり、食品の価格形成の観点から消費者について言及している。食料の持続的な供給が不可能となった場合に最も困るのは消費者であり、食料の持続的な供給に要する合理的な費用を考慮した食料の価格形成は、農業者のみならず消費者の利益にかなうものである。他方で、令和三年以降、食品の相次ぐ値上げにより、家計の圧迫に苦しむ経済的弱者も存在する。様々な経済状況の国民が存在する中で、食料消費に係る施策の政府の基本的認識を明らかにするとともに、基本法において消費者に関係する条文をどのように規定することを検討しているのか、明らかにされたい。  3 食料自給率目標が達成されないことの要因として、政府は、「例えば、自給率の高い米穀の国内における需要が年々減少する中で、海外からの輸入に依存している飼料の利用により生産された畜産物の消費が増大していることが要因」と説明している。食料自給率の向上のためには、米の需要拡大、国内需要のある農産物の生産の増大、飼料自給率の向上に向けた施策の展開が必要である。平成十二年策定の基本計画においては、米について「需要動向に即した計画的な生産を図ることを基本として、米と麦、大豆、飼料作物等を組み合わせた収益性の高い安定した水田農業経営の展開、生産規模拡大等による低コスト化、多様なニーズに対応した生産・流通体制の確立等の取組を一層進めることが課題」、飼料作物については「転作田等における飼料作物の作付けの拡大、低・未利用地の活用、生産技術の向上や優良品種の導入等による生産性の向上(生産コストの三割程度の低減)及び品質の向上、飼料生産受託組織の活用による生産の組織化・外部化(飼料生産受託組織による受託面積の三倍程度の拡大)、我が国の土地条件及び自然条件に適応した日本型放牧の普及等の取組を通じ、自給飼料生産の大幅な増大を図ることが課題」としており、こうした課題は、現状の課題と共通するものである。米及び飼料作物に係る課題が二十年以上解決されてこなかった要因をどう分析しているのか明らかにされたい。  4 二十年以上前から示されていた課題が解決されず、食料自給率が向上しなかったのは、累次の基本計画における課題の設定及び施策が間違っていたといえる。食料自給率の向上のためには、基本計画における適切な目標と課題の設定のみならず、食料・農業・農村政策において農業者、食品事業者、消費者等の相互理解及び連携・協力に国が積極的な役割を果たすための枠組みが必要だと考えるが、基本法において関係する条文をどのように規定することを検討しているのか、明らかにされたい。  右質問する。
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衆議院議員原口一博君提出食料・農業・農村基本法の見直しに係る政府の基本的認識に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月六日受領 答弁第一〇号   内閣衆質二一三第一〇号   令和六年二月六日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員原口一博君提出食料・農業・農村基本法の見直しに係る政府の基本的認識に関する質問に対する答弁書 一の1について  お尋ねの「農地の維持・確保」のための対策については、荒廃農地(現に耕作に供されておらず、耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地をいう。以下同じ。)の発生に関しては、農業経営基盤強化促進法(昭和五十五年法律第六十五号)第六条第一項に規定する基本構想を定めている市町村で令和七年三月までに定めるものとされている同法第十九条第一項に規定する地域計画(以下「地域計画」という。)において、その区域において農業を担う者ごとに利用する農用地等(同法第四条第一項に規定する「農用地等」をいう。以下同じ。)を地図に表示し、これを特定した上で、農地中間管理事業の推進に関する法律(平成二十五年法律第百一号)第十七条第二項の規定に基づき、当該区域において農地中間管理事業(同法第二条第三項に規定する農地中間管理事業をいう。以下同じ。)を重点的に行い、農業の担い手への農地の集積・集約化を図ることにより、荒廃農地の発生を抑制していく考えである。また、農地転用に関しては、令和五年十二月二十七日に食料安定供給・農林水産業基盤強化本部で取りまとめた「「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」に基づく具体的な施策の内容」において、「将来にわたっての農地の総量確保と適正・有効利用のための措置を強化する」として「令和六年の通常国会への改正法提出も視野」に、「地域計画内農地の転用規制強化の観点から、地域計画内農地の農用地区域への編入を促進する」等の施策の具体化の方向性について定めたところである。 一の2について  御指摘の「参考資料「農地の見通しと確保」において、令和十二年時点で確保される農地を四百十四万ヘクタールとしていること」は、食料・農業・農村基本法(平成十一年法律第百六号。以下「基本法」という。)に基づく食料・農業・農村基本計画(以下「基本計画」という。)において定められている食料自給率の目標を前提としているところ、基本法については、令和五年十二月二十七日に食料安定供給・農林水産業基盤強化本部で取りまとめた「食料・農業・農村基本法の改正の方向性について」(以下「改正の方向性」という。)に基づき、現在、その一部を改正する法律案の今国会への提出に向けて必要な検討を進めていることを踏まえると、農地面積の見通しについても、基本法の改正の内容を踏まえた次期の基本計画の策定過程の中で同時に見直すことが適当であると考えており、現時点でお答えすることは差し控えたい。 一の3について  お尋ねの「適正に相続登記がなされた農地面積」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、令和三年度に農林水産省が実施した「相続未登記農地等の実態調査」において把握した「相続未登記農地」及び「相続未登記のおそれのある農地」(以下「相続未登記農地等」という。)について、その後相続未登記農地等に該当しなくなった面積は把握していない。  また、御指摘の「抜本的な対策の見直し」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第四十一条及び農地中間管理事業の推進に関する法律第二十二条の二から第二十二条の五までの規定に基づく相続未登記農地等に対する農地中間管理権(同法第二条第五項に規定する農地中間管理権をいう。)の設定がより円滑に実施されるよう必要な措置を講じ、相続未登記農地等の有効利用を促進していくことに加え、民法等の一部を改正する法律(令和三年法律第二十四号)による改正後の不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第七十六条の二の規定により令和六年四月一日から義務化される相続登記の申請について、その周知及び適正な運用の確保を行うことにより、相続未登記農地等の発生防止を図る考えである。 一の4について  御指摘の「これまでの農地及び農業者に係る施策」が具体的にどの施策を指すのか必ずしも明らかではないが、これまでの農業の担い手への農地集積については、相対の農地の貸借によるものが中心となっており、このため、一般的に、農地の分散錯圃が解消されず、農業の担い手に使い勝手の良い形での農地集積が図られないことが、農業の担い手への農地集積が進まない要因となっていた。  このため、地域計画において、その区域において農業を担う者ごとに利用する農用地等を地図に表示し、これを特定した上で、農地中間管理事業の推進に関する法律第十七条第二項の規定に基づき、当該区域において農地中間管理事業を重点的に行うことにより、相対の農地の貸借ではなく、農地中間管理機構との貸借の活用による農業の担い手への農地の集積・集約化を進めていくこととしている。 一の5について  お尋ねの「家族経営、中小規模の経営体、農業を副業的に営む経営体の位置付けと農地の集積・集約化の関係の整理」の「答申以降の検討内容」については、令和五年九月十一日の食料・農業・農村政策審議会の答申において、「離農する経営の農地の受け皿となる経営体や付加価値向上を目指す経営体の役割が重要であることを踏まえ、これらの者への農地の集積・集約化を進める」及び「農業を副業的に営む経営体など多様な農業人材が一定の役割を果たすことも踏まえ、これらの者が農地の保全・管理を適正に行う」とされたこと等を踏まえ、改正の方向性において、「効率的かつ安定的な農業経営の育成・確保を引き続き図りつつ、農地の確保に向けて、担い手とともに地域の農業生産活動を行う、担い手以外の多様な農業人材を位置付ける」としたところである。御指摘の「多様な農業人材に係る」基本法の規定の具体的な在り方については、改正の方向性における当該記載を踏まえ、現在検討を進めているところであり、現時点でお答えする段階にない。 二の1について  御指摘の「国産農産物の消費」の推奨については、政府としては、令和二年三月三十一日に変更された基本計画において、「ライフスタイルの変化等により、国民が普段の食生活を通じて農業・農村を意識する機会が減少しつつあることから、できるだけ多くの国民が、我が国の食料・農業・農村の持つ役割や食料自給率向上の意義を理解する機会を持ち、自らの課題として将来を考え、それぞれの立場から主体的に支え合う行動を引き出していくことが重要である」という考え方の下、「消費者や食品関連事業者に積極的に国産農産物を選択してもらえるよう、農林漁業体験、農泊、都市農業、地産地消などの取組間の連携強化により消費者と農業者・食品関連事業者との交流を進め、消費者が日本の食や農を知り、触れる機会の拡大を図る」等としているところである。 二の2について  御指摘の「食料消費に係る施策」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、改正の方向性において、「円滑な食品のアクセスの確保に関する施策も新たに位置付け」及び「食料の価格形成に当たっては、農業者、食品事業者、消費者といった関係者の相互理解と連携の下に、農業生産等に係る合理的な費用や環境負荷低減のコストなど、「食料の持続的な供給に要する合理的な費用」が考慮されるようにしなければならないことを明確化する。その上で、食料の持続的な供給の必要性に対する国民理解の増進や、関係者による食料の持続的な供給に要する合理的な費用の明確化の促進、消費者の役割として持続的な食料供給に寄与することなどを明確化する」とした上で、このための具体的な施策としては、「円滑な食料の入手のための環境整備」、「持続的な食料供給に要する費用を考慮した価格形成の推進」等を挙げているところである。  また、お尋ねの「基本法において消費者に関係する条文をどのように規定することを検討しているのか」については、改正の方向性におけるこれらの記載を踏まえ、基本法の規定の具体的な在り方について現在検討を進めているところであり、現時点でお答えする段階にない。 二の3について  御指摘の「二十年以上解決されてこなかった」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成十二年三月二十四日に策定された基本計画(以下「平成十二年基本計画」という。)等に基づき、食料自給率目標の達成に向けて様々な施策を講じてきたところであり、御指摘の平成十二年基本計画に記載した「米及び飼料作物に係る課題」に関しても、平成十二年基本計画が策定された平成十二年当時と比べ、主食用米から麦・大豆等といった需要があり、かつ、海外からの輸入に依存している作物への転換等により、麦・大豆等の国内生産量が増加し、国内の飼料生産を受託する組織数が増加した等の一定の成果を上げてきていると考えているが、国内における主食用米の需要が年々減少をする中で、当該減少による主食用米の作付面積の減少分と比較して麦・大豆等の作付面積の増加分が十分でないこと、我が国の畜産業において、一戸当たりの飼養頭羽数が増加してきた中で飼料作物の増産のために必要な労働力を確保することが困難な畜産農家が多いこと等から、更なる取組が必要と認識しており、引き続き必要な施策を講じてまいりたい。 二の4について  御指摘の「食料・農業・農村政策において農業者、食品事業者、消費者等の相互理解及び連携・協力に国が積極的な役割を果たすための枠組み」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにしても、基本法の規定の具体的な在り方については、改正の方向性を踏まえ、現在検討を進めているところであり、現時点でお答えする段階にない。
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有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律第二十二条第一項の発動等に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第一一号 有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律第二十二条第一項の発動等に関する質問主意書  令和五年十一月九日に提出した第二百十二回国会の質問主意書第二三号において、「有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律」(平成十四年法律第百二十号。以下「有明特措法」という。)第二十二条第一項の発動等について質問を行った。これに対する政府の答弁等を踏まえ、以下、質問する。 一 佐賀県議会が令和五年三月十日付けで内閣総理大臣、農林水産大臣等に提出した「有明海再生に係る諸問題について解決を図るよう求める意見書」においては、「タイラギについても十一年目の休漁となり、他の二枚貝も採れない状況が続いており、有明海再生に至っていない」とされている。一方、同月二日の農林水産大臣談話「有明海の再生を願う皆様へ」(以下「農林水産大臣談話」という。)においては、有明海の水産資源の回復の兆しが見られる旨の発言がなされている。この発言に至った根拠等について、政府は、一部の漁場における漁業者からの声、アサリの浮遊幼生やタイラギの着底稚貝の増加等によるものと説明している。  1 これに関連して、アサリ、タイラギ等で漁業者の経営が成り立つためには、幼生や稚貝が成貝に育ち、一定の漁獲、販売ができるようになる必要があることから、二枚貝類の成長等に係る今後の見通しについて質問を行った。この質問に対して、政府は、有明海及び八代海等を取り巻く社会経済情勢等も大きく変化しており、また、気候変動に伴う気温や水温の上昇、豪雨やそれに伴う大規模出水等による影響も顕在化している状況であることから、現時点において具体的な見通しを示すことは困難であるが、有明海・八代海等総合調査評価委員会の平成二十九年三月の報告における「有明海・八代海等の海域全体に係る再生目標」(以下「再生目標」という。)等を踏まえ、アサリ、タイラギ等の資源回復に向けた取組を進めていると答弁している。   再生目標においては、①稀有な生態系、生物多様性及び水質浄化機能の保全・回復、②二枚貝等の生息環境の保全・回復と持続的な水産資源の確保が掲げられており、これらの目標は、独立しているものではなく、共に達成されるべきものとされている。また、目標時期を令和八年度とし、目標達成に向けた再生方策を関係省庁等で実施することとされている。特に再生目標の②の「二枚貝等の生息環境の保全・回復と持続的な水産資源の確保」について、漁業者が一定の漁獲等を行えるよう、幼生や稚貝が成貝に育つことまで、当然に含まれているものと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。  2 また、1で述べた政府の説明のように、二枚貝類の成長等に係る今後の見通しについて、現時点において具体的な見通しを示すことが困難であるとすれば、一部の漁場における声や二枚貝の稚貝の増加等を根拠に、有明海の水産資源の回復の兆しが見られるとした農林水産大臣談話は、経営状況のひっ迫や休漁に苦しむ佐賀県の漁業者等を蔑ろにするものであり、極めて不適切である。これらを踏まえて、有明海における水産資源の回復の進捗状況について、改めて政府の認識を明らかにされたい。 二 「赤潮等による漁業被害者の救済」について規定している有明特措法第二十二条第一項に関連して、政府は、「赤潮等による漁業被害等に係る支援等」について規定している同法第二十一条第一項において「漁業被害」とされ、同法第二十二条第一項において「著しい漁業被害」とされていることから、同項の「著しい漁業被害」は同法第二十一条第一項の「漁業被害」よりも漁業者に対する被害がより深刻なものを指していると解し、「被害が複数県に及ぶなど広域的かつ被害額が甚大である」ことを同法第二十二条第一項の発動要件としてきたと説明している。一方、政府は、同項に係る運用細則等は定めておらず、特定の漁業被害が同項に規定する「著しい漁業被害」に該当するか否かについては、法の趣旨にのっとり、当該漁業被害の状況を踏まえて個別具体的に判断するものであることから、当該発動要件に該当すると判断する際の基準となる具体的な数字、金額及び根拠等は設けていないと説明している。また、平成二十三年の法改正により同法第二十二条第一項の努力義務に係る規定が加えられて以降、政府として同項の規定を適用するような状況は生じていないと考えていることから、同項の規定の運用を見直す予定はないと説明している。  しかし、同項に規定する「著しい漁業被害」に該当するか否かについて、漁業被害の状況を踏まえて個別具体的に判断するものであるとすれば、「被害が複数県に及ぶなど広域的」な場合に限ることは適切ではなく、単一の県や一部地域において甚大かつ深刻な被害が発生したような場合についても、それこそ法の趣旨にのっとり、「著しい漁業被害」に該当し得るものとして同項の発動を検討すべきである。政府による「被害が複数県に及ぶなど広域的かつ被害額が甚大である」という発動要件のうち、漁業者に対する被害がより深刻であるということから当然に導き出されるのは「被害額が甚大」という要件だけであり、「被害が複数県に及ぶなど広域的」という要件は政府が恣意的に付加したものではないか。  政府が「被害が複数県に及ぶなど広域的」という要件が必要であるとする理由を法の趣旨から明らかにされたい。明らかにできないのであれば、同法第二十二条第一項の発動要件について、広域的な場合に限らない方向で見直すべきであり、併せて、当該発動要件に該当すると判断する際の基準となる具体的な数字、金額及び根拠等、同項の規定の運用について、透明性のあるものにすべきだと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。  右質問する。
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衆議院議員原口一博君提出有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律第二十二条第一項の発動等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月六日受領 答弁第一一号   内閣衆質二一三第一一号   令和六年二月六日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員原口一博君提出有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律第二十二条第一項の発動等に関する質問に対する答弁書 一の1について  御指摘の「再生目標の②」及び「漁業者が一定の漁獲等を行えるよう」の意味するところが必ずしも明らかではないが、有明海及び八代海等を再生するための特別措置に関する法律(平成十四年法律第百二十号。以下「法」という。)第二十四条に基づき設置された有明海・八代海等総合調査評価委員会の平成二十九年三月の報告において「有明海・八代海等の海域全体に係る再生目標(全体目標)」として、「有明海、八代海等を水産資源の宝庫として後世に引き継ぐためには、海域環境の特性を踏まえた上で、底生生物の生息環境を保全・再生し、二枚貝等の生産性の回復をはじめとする底生生態系の再生を図り、ノリ養殖、二枚貝及び魚類等(養殖を含む)の多種多様な水産資源等の持続的・安定的な確保を図る」こととされており、御指摘の「幼生や稚貝が成貝に育つことまで」含まれるものと認識している。 一の2について  御指摘の「これら」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「水産資源の回復の進捗状況」に関し、例えば、アサリについては、農林水産省が有明海沿岸各県に委託して実施した令和四年度秋季の浮遊幼生の調査の結果を、先の答弁書(令和五年四月十八日内閣衆質二一一第四九号)一についてでお答えしたところであるが、令和五年度春季の同調査の結果によれば、浮遊幼生は、対前年度比で約一・七倍の約三万四千個体となり、春季の浮遊幼生の調査を開始した平成二十八年度以降最多となったと承知している。  なお、「有明海の再生を願う皆様へ」(令和五年三月二日農林水産大臣談話)において述べているとおり、「有明海の水産資源については、沿岸の漁業団体から、一部の漁場で水産資源の回復の兆しが見られるとの声が寄せられて」いるところ、「道半ばにある回復の兆しを持続へと発展させ、一刻も早く、国民的資産である有明海を豊かな海として再生させるとともに、未来の成長へとつなげるため、全力を挙げて」まいりたい。 二について  有明海及び八代海等は、海域の閉鎖性が高く、広範な海域にわたる赤潮の発生のおそれが高いという特性を有するところ、法第二十一条第一項において「漁業被害」とされ、法第二十二条第一項において「著しい漁業被害」とされていることからすれば、同項に規定する「著しい漁業被害」は、法第二十一条第一項に規定する「漁業被害」よりも漁業者に対する被害がより深刻なものを指していると解されることから、政府としては、「被害が複数県に及ぶなど広域的かつ被害額が甚大である」ことを法第二十二条第一項の「発動要件」としているものであり、「「被害が複数県に及ぶなど広域的」という要件は政府が恣意的に付加したもの」との御指摘は当たらない。
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普天間飛行場代替施設建設に必要な経費総額の検証に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第一二号 普天間飛行場代替施設建設に必要な経費総額の検証に関する質問主意書  普天間飛行場代替施設建設事業に要する経費総額の妥当性と当該事業の必要性に関し、政府は、「衆議院議員原口一博君提出普天間飛行場代替施設の建設に必要な費用に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二一二第三八号)において、財務省としては、「同事業に要する各年度の予算については防衛省からの要求を踏まえて査定を行っているところであるが、御指摘の『経費総額の見積り』について査定を行ってはいないことから、その妥当性について責任をもって評価する立場にない」と答弁している。  しかしながら、建設事業の内容が経費総額の見積額から見て妥当なものであるかどうか、その金額をかけてまで事業を行う必要があるのかどうか等を見極めた上でなければ、各年度の予算の査定などできるはずはなく、仮に費用対効果の面で事業が無駄なものであった場合には、毎年の予算の査定は無意味なものとなる。現在は経費総額の見積りについての査定を行っていないとしても、今後、経費総額の見積りから見た事業の必要性・妥当性の評価を行うつもりはあるか。行うつもりがないとするならば、その理由は何か。  右質問する。
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衆議院議員原口一博君提出普天間飛行場代替施設建設に必要な経費総額の検証に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月六日受領 答弁第一二号   内閣衆質二一三第一二号   令和六年二月六日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員原口一博君提出普天間飛行場代替施設建設に必要な経費総額の検証に関する質問に対する答弁書  普天間飛行場代替施設建設事業に要する御指摘の「経費総額の見積り」については、財務省として査定を行うものではないが、毎年度の予算編成においては、御指摘の「経費総額の見積り」も含めた利用可能な様々な情報を活用し、同事業について、その必要性や緊急性も踏まえた妥当な予算措置を検討していくことになる。
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FMS調達後の合理性の検証等に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第一三号 FMS調達後の合理性の検証等に関する質問主意書  政府は、「衆議院議員原口一博君提出FMS調達後の合理性の検証等に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二一二第三二号)において、FMSによる調達の合理性を検証するに当たり、「装備品等のプロジェクト管理に関する訓令(平成二十七年防衛省訓令第三十六号)等に基づき、装備品等の調達の進捗状況、経費の発生状況等について、当該調達に当たってあらかじめ定めた計画との比較を行うとともに、その結果の分析及び評価を行うなど所要の確認を行うこととしているほか、各年度の予算編成過程において、調達した装備品等について、その必要性、性能、代替案、価格等の確認を行うこととしている」と答弁している。  これを踏まえ、次のとおり質問する。 一 「装備品等の調達の進捗状況、経費の発生状況等について、当該調達に当たってあらかじめ定めた計画との比較を行うとともに、その結果の分析及び評価を行うなど所要の確認を行う」としているが、これにより改善された具体的なFMSによる調達品は何か。 二 「各年度の予算編成過程において、調達した装備品等について、その必要性、性能、代替案、価格等の確認を行う」としているが、令和六年度予算の編成過程において、これらの確認を行った結果として継続して調達することとした主な装備品は何か。また、当該装備品を継続して調達することとした理由について、右記確認の観点から説明されたい。  右質問する。
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衆議院議員原口一博君提出FMS調達後の合理性の検証等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月六日受領 答弁第一三号   内閣衆質二一三第一三号   令和六年二月六日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員原口一博君提出FMS調達後の合理性の検証等に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「改善された」の意味するところが必ずしも明らかではないが、米国の有償援助による調達を含めた装備品等の調達に係る契約の締結後、装備品等の調達の進捗状況、経費の発生状況等について、当該契約の前にあらかじめ定めていた計画と比較し、その結果の分析及び評価を行うなど所要の確認を行い、必要に応じ適切な対応策を講ずることとしており、例えば、弾道ミサイル防衛用迎撃ミサイル(SM-三ブロックⅡA)については、ライフサイクルコストを抑制するために必要な対策を検討し、計画の見直しを行ったところである。 二について  令和五年度予算において調達した装備品等のうち、例えば、F-三五A戦闘機については、高度な性能を有する戦闘機であって、我が国の防衛力の強化のために必要なものであり、これを調達したことは、必要性、性能、代替案、価格等に照らし適切であったと考えられることから、令和六年度予算案においてもその購入に係る経費を計上したところである。
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グローバルホークブロック30の調達理由に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第一四号 グローバルホークブロック30の調達理由に関する質問主意書  令和二年四月七日の衆議院安全保障委員会・鈴木政府参考人(防衛省整備計画局長)の答弁では、グローバルホークブロック30は「主に地上の静止目標についての画像情報の収集に適したもの」としているのに対し、「衆議院議員原口一博君提出FMS調達後の合理性の検証等に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二一二第三二号)では、「我が国周辺海空域において」警戒監視を行うために必要な能力を有しているとしている。  これを踏まえ、次のとおり質問する。 一 これら二つの答弁は矛盾しているのではないか。 二 「海域」及び「空域」での警戒監視においても有益であるとする根拠は何か。 三 同答弁書では「隙のない警戒監視態勢を強化するために極めて有益な装備品」としているが、「極めて有益」とまでいえる根拠は何か。  右質問する。
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衆議院議員原口一博君提出グローバルホークブロック30の調達理由に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月六日受領 答弁第一四号   内閣衆質二一三第一四号   令和六年二月六日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員原口一博君提出グローバルホークブロック30の調達理由に関する質問に対する答弁書 一について  先の答弁書(令和五年十一月二十日内閣衆質二一二第三二号。以下「前回答弁書」という。)二についてで述べたとおり、滞空型無人機RQ-四Bは、我が国周辺海空域において常時継続的な情報収集及び警戒監視を行うために必要な能力を有しており、具体的には、我が国周辺海空域から主に地上の静止目標についての画像情報の収集に適した能力を有しているところ、「これら二つの答弁は矛盾しているのではないか。」との御指摘は当たらない。 二及び三について  御指摘の「「海域」及び「空域」」の指すところが必ずしも明らかではないが、前回答弁書二についてで述べた「我が国周辺海空域」とは、我が国周辺の海域の上空を指しており、滞空型無人機RQ-四Bは、我が国周辺海空域において常時継続的な情報収集及び警戒監視を行うために必要な能力を有しており、具体的には、我が国周辺海空域から主に地上の静止目標についての画像情報の収集に適した能力を有していることから、「極めて有益」であると考えている。
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FMS調達で未納入となっている装備品の必要性等に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第一五号 FMS調達で未納入となっている装備品の必要性等に関する質問主意書  政府は、「衆議院議員原口一博君提出FMSに係る未納入・未精算問題に対応するための政府の取組に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二一二第四一号)において、FMS調達の未納入の具体的な原因として、「新たに製造を行う必要があるため通常よりも時間を要し、未納入になるということがあります」と答弁している。  そこで、次のとおり質問する。 一 新たに製造を行う必要があることから未納入となっている装備品の具体的な品目は何か。また、当該装備品について、調達予定時期からどの程度の遅延が見込まれるのか。 二 政府は、我が国として保有すべき防衛力の水準を示し、その水準を達成するための中長期的な計画として防衛力整備計画を定めている。政府は、同計画の策定に当たり、保有すべき装備品をFMSにより調達しようとする場合には、当該装備品の調達の遅延を想定し、それを踏まえて同計画を策定しているのか。 三 二において、調達の遅延を想定せずに同計画を策定しているとする場合、当該装備品の調達の遅延は、必要な防衛力の整備に支障を来す事態を招くことになるのではないか。 四 FMS調達については、一般的な輸入調達では調達することのできない機密性の高い装備品や、米国でしか製造できない能力の高い装備品の調達が可能とされているが、FMSによる装備品の調達が遅延した場合、政府は、その代替策を講じているのか。過去に代替策を講じたことがあるのであれば、その具体的な事例を示されたい。 五 四において、「講じている」とする場合、代替措置が可能であるにもかかわらず、当該装備品をFMSにより調達することとした理由は何か。  右質問する。
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衆議院議員原口一博君提出FMS調達で未納入となっている装備品の必要性等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月六日受領 答弁第一五号   内閣衆質二一三第一五号   令和六年二月六日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員原口一博君提出FMS調達で未納入となっている装備品の必要性等に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「未納入となっている装備品」については、例えば、令和五年四月二十五日の衆議院財務金融委員会において、井野防衛副大臣(当時)が「航空自衛隊、海上自衛隊で使用する航空機や艦船のための維持部品だったり整備部品などが主になっておりまして、未納入になっているものの大半は維持部品などであり」と答弁しているところ、その「具体的な品目」や「どの程度の遅延が見込まれるのか」については、米軍の在庫の状況を明らかにするおそれがあり、米国政府との関係もあることから、お答えを差し控えたい。 二及び三について  「防衛力整備計画」(令和四年十二月十六日閣議決定)は、我が国が保有すべき防衛力の水準を示し、これを達成するための内容等を記載しているものであるが、個々の装備品の調達の詳細についてあらかじめ決定しているものではない。その上で、お尋ねの「調達の遅延」による影響について一概にお答えすることは困難であるが、米国の有償援助による調達(以下「FMS調達」という。)について課題が生じた場合には、米国政府との交渉・協議等を通じて適切に対応しつつ、防衛力の整備を行っていくこととしている。 四及び五について  御指摘の「代替策」及び「代替措置」の意味するところが必ずしも明らかではないが、二及び三についてでお答えしたとおり、FMS調達について課題が生じた場合には、米国政府との交渉・協議等を通じて適切に対応しつつ、我が国として必要となる防衛装備品を調達していくこととしている。
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無人機関連予算の増額に関する質問主意書
令和六年一月二十六日提出 質問第一六号 無人機関連予算の増額に関する質問主意書  政府は、新たな戦略三文書において無人アセット防衛能力を防衛力の抜本的強化に当たって重視する能力として位置付けた。その後、岸田総理は、防衛力整備計画の下で、各種無人機や無人車両、無人潜水艇等の研究開発を進め、積極的に導入をしていく考えを示している(令和五年四月四日衆議院本会議)。  また、政府は、衆議院議員井坂信彦君提出攻撃型ドローンに関する質問に対する答弁書(内閣衆質二一一第六七号)において、自衛隊が所有しているミサイルや砲撃と比較した場合の「小型攻撃用UAV」の優位性について、一般論としつつも「比較的安価であること、操縦が比較的容易であること、自衛隊員の生命及び身体に対する危険や負担を局限できることといった利点がある」として、無人機の有用性を認めている。  それにもかかわらず、令和六年度当初予算においては、F-三五戦闘機などの装備品のFMS調達に多額の予算を計上している一方、無人機関連予算は、それに比べてはるかに少額の予算しか計上していない。  防衛力強化に当たっては、様々なアセットを組み合わせることが重要であることは承知しているが、我が国の防衛力を高めるためには、FMSによる高額な装備品の調達を抑え、無人機関連にさらなる予算を投じるべきと考えるが、政府の見解を伺いたい。  右質問する。
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北朝鮮による拉致被害者の帰国が実現した場合の万景峰九十二号の入港許可など制裁緩和及び解除の条件に関する質問主意書
令和六年一月二十九日提出 質問第一七号 北朝鮮による拉致被害者の帰国が実現した場合の万景峰九十二号の入港許可など制裁緩和及び解除の条件に関する質問主意書  本職は、北朝鮮による日本人拉致問題の解決のために、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)への破産申立て、金正恩国務委員長への経済制裁措置、高麗航空への経済制裁措置、朝鮮総連の中央委員及び専従職員全員への再入国禁止措置、国際連合安全保障理事会(国連安保理)決議に基づく在日北朝鮮当局職員等への退去強制手続、北朝鮮関連国連決議の提出国復帰、国連安保理における北朝鮮人権状況に関する公開会合の開催要請等の具体策を提案し、政府に実現を迫ってきた。昨年八月、我が国、アメリカ合衆国等の要請で、国連安保理における北朝鮮人権状況の公開会合が実現したことについては、政府を評価したい。  一方、本職は、拉致問題担当大臣兼国家公安委員会委員長として在任中、いわゆる「松原三原則」を発表した。その主旨は「日本側は拉致問題の一定の解決について関係者間で共有認識を持ち、その解決について認められる回答と実行があった時には、人道支援を行い、また建設的な議論を始める」とする、北朝鮮との交渉にあたって日本がとるべき姿勢を示したものである。具体的には、拉致被害者が解放され、我が国に帰国して肉親と再会できたならば、対北朝鮮制裁の解除について前向きに検討するということである。  対北朝鮮制裁には、国連安保理決議に基づいていて我が国独自の判断で解除できないものと、我が国独自の制裁であり政府の判断において解除できるものがある。 一 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法(平成十六年法律第百二十五号)に基づいて入港禁止となっている北朝鮮船籍の万景峰九十二号を、人道支援物資輸送に目的を限定して実施する前提で、政府の独自の判断で、入港を許可することはできるか。 二 北朝鮮政府が拉致被害者を帰国させた場合、制裁の緩和を行うためには、人道支援目的に限定するための具体的な方法や範囲の議論、検討が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。  右質問する。
b213017
衆議院議員松原仁君提出北朝鮮による拉致被害者の帰国が実現した場合の万景峰九十二号の入港許可など制裁緩和及び解除の条件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月九日受領 答弁第一七号   内閣衆質二一三第一七号   令和六年二月九日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員松原仁君提出北朝鮮による拉致被害者の帰国が実現した場合の万景峰九十二号の入港許可など制裁緩和及び解除の条件に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねについては、御指摘の「人道支援物資輸送に目的を限定して実施する前提で」及び「政府の独自の判断で」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、我が国の対北朝鮮措置として、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法(平成十六年法律第百二十五号)第三条第一項の規定に基づき、我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるときは、閣議において、期間を定めて、同法第二条第二項に規定する特定船舶について、本邦の港への入港を禁止することを決定する等、同法の規定に基づく措置を実施してきているところ、お尋ねの場合を含め、特定の船舶が本邦の港への入港を禁止する対象となるか否かについては、同法の規定に基づき決定することとなる。 二について  お尋ねについては、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、政府としては、我が国の対北朝鮮措置の在り方について、拉致、核、ミサイルといった諸懸案をめぐる北朝鮮の対応や国際社会の動きを総合的に勘案し、不断の検討を行っているところである。
a213018
羽田空港の管制体制及び滑走路の構造的処理能力に関する質問主意書
令和六年一月二十九日提出 質問第一八号 羽田空港の管制体制及び滑走路の構造的処理能力に関する質問主意書  令和六年一月二日に発生した民間航空機と海上保安庁航空機の衝突事故について、航空関連の専門家から、羽田空港の管制の人的配置を含めた体制の脆弱さや、羽田空港の滑走路の構造的処理能力の限界との因果関係の可能性が指摘されている。一方、国土交通省による本件事故を受けた緊急対策及び羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会における検討内容は、本件事故がフェイルセーフをすり抜けたことへの対策が主な課題として想定されている。  そこでお尋ねするが、運輸安全委員会もしくは羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会において、現状の羽田空港の管制の体制や滑走路の構造に基づく便数処理能力に対して、本件事故との因果関係は検討されるか。また、この際、前述の二委員会、政府省庁内の部局、特別に立ち上げられるタスクフォースやプロジェクトチーム、外部委員会などにおいて、それらの体制や能力を公の立場で再検証する予定はあるか。  右質問する。
b213018
衆議院議員松原仁君提出羽田空港の管制体制及び滑走路の構造的処理能力に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月九日受領 答弁第一八号   内閣衆質二一三第一八号   令和六年二月九日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員松原仁君提出羽田空港の管制体制及び滑走路の構造的処理能力に関する質問に対する答弁書  前段のお尋ねについては、現在、運輸安全委員会において御指摘の「衝突事故」に係る原因について調査中であり、現時点でお尋ねについてお答えすることは困難である。  後段のお尋ねについては、お尋ねの「公の立場で再検証」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「体制や能力」を検証するか否かについては決まっておらず、現時点でお尋ねについてお答えすることは困難である。
a213019
羽田空港における民間航空機と海上保安庁航空機の衝突事故を受けた対策検討委員会に関する質問主意書
令和六年一月二十九日提出 質問第一九号 羽田空港における民間航空機と海上保安庁航空機の衝突事故を受けた対策検討委員会に関する質問主意書  本年一月二日に羽田空港で発生した民間旅客機と海上保安庁所属の航空機による衝突事故について、国土交通省ホームページに「羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会」の設置とその方針が示されている(https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk13_000045.html)。ホームページ内「資料2-1本検討委員会の設置趣旨及び今後の進め方」では、第一ステップが緊急対策、第二ステップが羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会、第三ステップが運輸安全委員会の調査報告を受けた抜本的対策と三段階のプロセスが示されている。 一 第一ステップの「緊急対策」について、本件事故に関連しうる原因を想定し、羽田空港または本邦各空港において既に実施されている対策を示されたい。 二 第二ステップ「羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会」において、主な検討事項としてパイロットと管制官に対する注意喚起システムの強化の必要性、パイロットと管制官の交信の見直しの必要性などが示されている。本項において検討される対策の具体的な目的は「滑走路上における航空機等の衝突防止」に限定されるか。その他に想定される目的があれば示されたい。 三 第三ステップの「運輸安全委員会の調査報告を受けた抜本的対策」について、同時並行で議論される運輸安全委員会による調査及び報告と羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会の今後の関係性について示されたい。  右質問する。
b213019
衆議院議員松原仁君提出羽田空港における民間航空機と海上保安庁航空機の衝突事故を受けた対策検討委員会に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月九日受領 答弁第一九号   内閣衆質二一三第一九号   令和六年二月九日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員松原仁君提出羽田空港における民間航空機と海上保安庁航空機の衝突事故を受けた対策検討委員会に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「本件事故に関連しうる原因を想定」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、国土交通省が令和六年一月九日に取りまとめた「航空の安全・安心確保に向けた緊急対策」において、「管制機関及び航空事業者等への基本動作の徹底指示」、「管制官による監視体制の強化」、「パイロットによる外部監視の徹底、視覚支援」、「滑走路進入に関するルールの徹底」及び「関係者間のコミュニケーションの強化」といった対策を緊急的に講ずることとしており、これらの緊急対策については、同年二月二日の参議院本会議において、斉藤国土交通大臣が「既に羽田空港においては全ての緊急対策を実施済みであり、その他の空港においてもほぼ全ての緊急対策を実施しております」と答弁したとおりである。 二について  お尋ねについては、御指摘のとおり「「滑走路上における航空機等の衝突防止」に限定」される。 三について  羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会は御指摘の「第二ステップ」における検討のために設置したものであり、今後、御指摘の「第三ステップ」において、同委員会を存続させるか否かについては、現時点で決まっておらず、また、運輸安全委員会において事故調査報告書の作成に向けて調査中であるため、お尋ねの「今後の関係性」についてお答えすることは困難である。
a213020
治療用装具に関する質問主意書
令和六年一月三十日提出 質問第二〇号 治療用装具に関する質問主意書  二〇一八年二月九日発出の厚生労働省保健局医療課長通知「保医発〇二〇九第一号」(以下、「二〇一八年二月九日の通知」と呼ぶ)で、「保険医の診察や義肢装具士への指示を経ずに患者への採型・採寸、装着又は販売等がされた治療用装具について、保険者が療養費を支給することは適当でないこと」との記述がなされた以降、いくつかの保険者が、それまでの方針を変えて、義肢装具士資格を持たない整形靴業者の治療用装具(靴型装具等)について、療養費の支給を認めず、装具による治療が必要な方や障害のある方への人権侵害が生じている。私は、二〇二〇年に二度にわたり、衆議院厚生労働委員会で問題を指摘したが、是正されていない。さらに、二〇二三年三月十七日には、厚生労働省保健局医療課長通知「治療用装具に係る療養費の支給の留意事項等について」及び同医療課事務連絡「治療用装具に係る療養費の取扱いに関する疑義解釈資料の送付について」(以下、「二〇二三年三月十七日の事務連絡」)が発出され、医師の指示により被保険者が当該の医療機関から直接購入した「既製品の治療用装具」であっても、義肢装具士が関与していない場合は「療養費の支給対象にならない」との説明を行っている。  以下、質問する。 一 二〇二〇年四月十四日の衆院厚生労働委員会において、政府参考人は、「二〇一八年二月九日の通知」の記述について、「御指摘の通知は、保険医から義肢装具士への指示を経ずに提供された治療用装具について療養費を支給することは適当でない旨を示したものでございますけれども、これは従来からの義肢装具士法上の解釈を明確化したということでございまして、取扱いについて変更したということではございません」と述べている。この「従来から」とは具体的にいつからなのか、明らかにされたい。また、「従来からの義肢装具士法上の解釈」が記載されている行政文書名(保存されている最も古いもの)とその内容を明らかにされたい。 二 一九八八年四月一日発出の厚生省健康政策局長通知「義肢装具士法の施行について」(健政発第一九九号)に「義肢装具の採型適合等のうち、従来医師又は看護婦等のみができることとされていた医行為の範疇にわたるものについても、義肢装具士が診療の補助として行うことができるものとされたこと」と記述し、その「別記様式」で「私は、義肢装具士法附則第三条の趣旨が、これまで医療の現場において実際に適法に義肢装具の採型(採寸を含む。)、製作及び適合の業務を行ってきた者に、法施行後も継続して業務を行うことができるようにするために設けられた特例措置であることを理解し」と記述している。一九八七年に義肢装具士法が制定される以前も、治療を要する患者に対して、医師の指示のもと、装具製作者が「採型・採寸」を行い治療用装具が作製され、療養費が支給されてきた事実を認めるか。 三 一九八八年四月一日発出の「義肢装具士法の施行について」(健政発第一九九号)のうち、問二で引用した部分を踏まえれば、義肢装具士とは、「義肢装具の採型適合等のうち、従来医師又は看護婦等のみが」行っていた業務を行うことができる資格であり、義肢装具士法制定前に義肢装具製作者が「適法に義肢装具の採型(採寸を含む。)、製作及び適合の業務を行って」提供していた「治療用装具」に該当するものの提供業務については、義肢装具士法施行に伴って、資格の有無に関しては何ら影響を受けないのではないか。 四 二〇二〇年五月十三日の衆院厚生労働委員会において、厚生労働大臣は「医行為に該当するかについては、最終的には個別具体的な判断になりますけれども、一般的には、治療を要する患者の患部への義肢装具の採型、適合については、適切に行わなければ患者の患部に危害を及ぼすおそれがあると考えられるため、医行為に該当するというふうに考えているということであります。医行為に該当しない場合ももちろんあります」と答弁している。「治療を要する患者の患部への義肢装具の採型、適合」について、担当医が採型、適合による侵襲性がないと「個別具体的に判断」すれば「医行為に該当しない場合」にあたることとなるとしか考えられないが、それで良いか。 五 義肢装具士法は、治療を要する患者に対しての「義肢装具の製作適合等」の業務を義肢装具士に限るという、業務独占の法律であるか否かを明らかにされたい。 六 健康保険法で、療養費の支給・不支給要件として、「義肢装具士が患者への採型・採寸、装着又は販売等を行った治療用装具」であるか否か、に言及した規定等はあるのか。あるならば示されたい。 七 「二〇二三年三月十七日の事務連絡」において、「保険医から義肢装具士への指示を経ずに患者が保険医療機関等で購入した既製品装具は、治療用装具療養費の支給対象とはならない」との記述がある。保険医が治療上必要であると認めているにもかかわらず、既製品装具の購入について、義肢装具士の関与がなければ、療養費の支給対象にならないとするのは、まったく理解できない。いったい、どの法律のどの条項を根拠としているのか、示されたい。  法的根拠を示せない場合は、保険医が治療上必要であると認めているにもかかわらず、既製品装具の購入について、義肢装具士の関与がなければ、療養費の支給対象にならないとするのは、どのような理由に基づくものなのか、示されたい。 八 「二〇二三年三月十七日の事務連絡」において、「保険医から義肢装具士への指示を経ずに患者が保険医療機関等で購入した既製品装具は、治療用装具療養費の支給対象とはならない」との記述がある。保険医が治療上必要であると認めているにもかかわらず、既製品装具の購入について、義肢装具士の関与がなければ、療養費の支給対象にならないとするのは、保険医の患者に対する治療内容に関して、保険医の判断よりも、義肢装具士の判断を上位に置くものとなるのではないか。  右質問する。
b213020
衆議院議員宮本徹君提出治療用装具に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月九日受領 答弁第二〇号   内閣衆質二一三第二〇号   令和六年二月九日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員宮本徹君提出治療用装具に関する質問に対する答弁書 一について  前段のお尋ねについては、義肢装具士法(昭和六十二年法律第六十一号)の施行の日(以下「施行日」という。)である昭和六十三年四月一日からである。  また、後段のお尋ねについては、「義肢装具士法の施行について」(昭和六十三年四月一日付け健政発第一九九号厚生省健康政策局長通知)の「第五 義肢装具士の業務について」の記載のとおりである。 二について  お尋ねについては、義肢装具士法の施行日前に、御指摘の「装具制作者」が医師の指示の下、同法第二条第三項の規定により義肢装具士が業として行うことができるとされている、義肢及び装具の装着部位の採型並びに義肢及び装具の製作及び身体への適合(以下「義肢装具の製作適合等」という。)のうち、医行為(医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為をいう。以下同じ。)に該当しない行為を行った場合については、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第八十七条等の規定により、療養費の支給が行われてきたものと承知している。 三について  御指摘の「資格の有無に関しては何ら影響を受けない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、義肢装具の製作適合等のうち、医行為に該当する行為については、義肢装具士法の施行日前は、医師法(昭和二十三年法律第二百一号)及び保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)の規定により、医師であれば医業として、看護師、准看護師、保健師及び助産師(以下「看護師等」という。)であれば診療の補助として行うことができることとされていたが、義肢装具士法の施行日以後は、義肢装具士についても診療の補助として行うことができることとなっており、一方で、医行為に該当しない行為については、同法の施行にかかわらず、従来より、医師、看護師等又は義肢装具士でない者であっても行うことが可能である。 四について  ある行為が医行為に該当するか否かについては、御指摘の「侵襲性」の有無のみならず、その行為の態様に応じ個別具体的に判断する必要があるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。 五について  お尋ねの「業務独占の法律」の意味するところが必ずしも明らかではないが、義肢装具の製作適合等のうち、医行為に該当する行為については、医師法、保健師助産師看護師法及び義肢装具士法の規定により、医師であれば医業として、看護師等又は義肢装具士であれば診療の補助として行うことができ、一方で、医行為に該当しない行為については、医師、看護師等又は義肢装具士でない者であっても行うことが可能である。 六から八までについて  お尋ねについては、療養費の支給に当たって、支給対象となる行為の質の確保や支給の適正化を図るため、保険者が当該行為等の内容を確認し、必要と認めた場合に限り支給するといった、健康保険法第八十七条等の趣旨を踏まえ、義肢装具の製作適合等に当たって、医師が患者の状況を踏まえ、必要な行為を義肢装具士に対して指示し、その指示に基づき義肢装具士は、当該医師と連携しながら、御指摘の「既製品装具」の身体への適合等も含め、義肢装具の製作適合等を行うことで、その質を確保すること等とし、その一連の行為を保険者において確認し、必要と認めた場合に限り療養費を支給することとしたものであり、「保険医の判断よりも、義肢装具士の判断を上位に置くもの」との御指摘は当たらない。
a213021
神宮外苑再開発計画における秩父宮ラグビー場の移転に関する質問主意書
令和六年一月三十日提出 質問第二一号 神宮外苑再開発計画における秩父宮ラグビー場の移転に関する質問主意書  神宮外苑地区において、秩父宮ラグビー場と神宮球場の場所の入れ替え、商業施設等が入る高層ビルの新築等を内容とする市街地再開発事業が計画されている。この事業は、東京都が平成三十年十一月に策定した「東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針」を踏まえ、事業地区内の土地・建物の権利者でもある三井不動産株式会社、宗教法人明治神宮、伊藤忠商事株式会社及び独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)を事業主体として進められているものであり、権利者全員の同意に基づいて従後の権利形態を決定する、全員同意型の権利変換方式によるものとされ、各権利者は、従前の資産に見合う資産を取得することが予定されている。  事業計画において、神宮球場と場所の入れ替えが予定されている秩父宮ラグビー場は、その運営をJSCに行わせるために国が土地・建物を出資し、JSCの資産となったものであり、西の花園ラグビー場と並ぶラグビーの聖地である。秩父宮殿下の御遺徳を偲び、「秩父宮ラグビー場」と名付けられたこのラグビー場は、これまで多くの国際試合、日本選手権試合、学生試合等の会場として使用されてきたもので、その歴史的・文化的価値に鑑みれば、本来は移転・新規建設ではなく、現地建て替えなどにより、後世に引き継がれるべき我が国の財産だと考える。仮に、現地建て替えが困難だとするならば、秩父宮ラグビー場の持つ有形・無形の価値が十分に評価された上で、その価値を損なうことがない方法によらなくてはならない。  これを踏まえ、次のとおり質問する。 一 JSCは、保有する重要な財産である秩父宮ラグビー場について、再開発事業における権利変換を行う場合、独立行政法人通則法第四十八条の規定に基づき、文部科学大臣から財産処分の認可を受ける必要がある。昨年十一月十五日の文部科学委員会における質疑に対する答弁では、同時点においてJSCによる秩父宮ラグビー場の権利変換に係る財産処分の認可申請は行われていないとのことだった。  1 その後、認可申請は行われたのか。  2 いまだ認可申請が行われていないとすれば、いつまでに行われなければならないものなのか。工期敷地引渡し時期等との関係を含めてご教示願う。  3 認可申請が行われていないとすれば、行われないまま、「新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業」契約が締結されている現状について文部科学省はどのように考えているか。  4 認可申請の申請書に記載される「センターの業務運営上支障がない旨及びその理由」の検討の際には、座席数を減らしたことによる影響やイベントに係る需要予測等の調査・シミュレーションが必須と思料される。これらの妥当性を判断した上で認可がなされるべきと考えているか。判断に際してパブリックコメントなど、国民の声を聴く予定はあるか。  5 認可申請の申請書に記載されたセンターの業務運営上支障がない旨の理由の如何によっては不認可もあり得るか。 二 権利変換に向けた協議において、JSCは秩父宮ラグビー場の資産価値をどのように評価したか、政府として把握しているか。 三 資産価値には必ずしも直結しない秩父宮ラグビー場の歴史的・文化的価値について、どのように評価されるべきとお考えか文部科学省の見解を伺う。 四 権利変換によりJSCが取得することが予定されている資産は何か伺う。また、JSCはこの取得予定の資産価値が、秩父宮ラグビー場の資産価値に見合うと判断した上で、「新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業」契約を締結したものと思料するが、その理由について、秩父宮ラグビー場、神宮球場の価格差、交換面積、容積率等を示しつつ、所管官庁として具体的に説明されたい。  右質問する。
b213021
衆議院議員牧義夫君提出神宮外苑再開発計画における秩父宮ラグビー場の移転に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月九日受領 答弁第二一号   内閣衆質二一三第二一号   令和六年二月九日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員牧義夫君提出神宮外苑再開発計画における秩父宮ラグビー場の移転に関する質問に対する答弁書 一の1について  令和六年二月七日時点において、独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「センター」という。)から文部科学大臣に対し、秩父宮ラグビー場に係る独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)第四十八条の規定に基づく重要な財産の処分等の認可(以下「財産処分の認可」という。)の申請は行われていない。 一の2について  秩父宮ラグビー場に係る財産処分の認可の申請の時期については、センターを含む関係事業者間における協議の状況等を踏まえつつ、センターにおいて判断されるものと考えている。 一の3について  御指摘の事業は、東京都が策定した「東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針」等を踏まえ、センターが関係自治体及び関係事業者と協議しながら実施しているものであり、政府としてお答えする立場にない。 一の4の前段及び5について  通則法第四十八条の趣旨は、独立行政法人が重要な財産の処分等を行おうとする場合にこれを主務大臣の認可に係らしめ、当該処分等が当該法人の業務運営を阻害しないことを確認できるようにするものであり、秩父宮ラグビー場に係る財産処分の認可についても、その趣旨にのっとり判断することとなると考えている。 一の4の後段について  お尋ねの「国民の声を聴く」の具体的な内容が必ずしも明らかではないが、政府としてパブリックコメントを実施する予定はない。 二及び四の後段について  御指摘の「権利変換」の具体的な内容については、センターを含む関係事業者間で協議中であると承知しており、政府としては、お尋ねの「秩父宮ラグビー場の資産価値」及び「取得予定の資産価値」については、今後、センターから財産処分の認可の申請書が提出された場合には、その内容を確認する予定である。 三について  お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。 四の前段について  秩父宮ラグビー場の移転に伴い新設されるラグビー場の用に供する土地及び建物を取得する予定であると承知している。
a213022
利益率の極めて高い政治資金パーティーに関する質問主意書
令和六年一月三十一日提出 質問第二二号 利益率の極めて高い政治資金パーティーに関する質問主意書  今、大問題になっている自民党の派閥の資金集めパーティーや政治家個人のそれであって、利益率が極めて高いものは、「形を変えた企業・団体献金」ではないか、との問題意識から、以下、質問する。 一 極めて利益率が高い派閥や政治家個人のパーティーについて、パーティー券のほとんどを企業・団体が購入している場合、その利益は事実上、本来、禁止されている企業・団体献金とみなすことができ、政治資金規正法第二十一条第一項違反に当たるのではないか。 二 西村康稔議員は、経済産業大臣在任中の令和五年十二月八日、都市センターホテル(東京都千代田区平河町)会議室にて、会費二万円の政治資金パーティー「西村やすとし茶話会」(西村議員の政治資金管理団体主催)を開催したが、パーティー券の購入者は出席せず、十人足らずの経産官僚が出席したのみの「架空パーティー」であったと報道されている。当該パーティーは、まさしくパーティーの形式をとった企業・団体献金の受け取りに他ならず、政治資金規正法第二十一条第一項違反に当たるのではないか。 三 二のような政治資金パーティーを政治家個人が開催した場合、当該パーティーは、まさしくパーティーの形式をとった企業・団体献金の受け取りに他ならず、政治資金規正法第二十一条第一項違反に当たるのではないか。  右質問する。
b213022
衆議院議員江田憲司君提出利益率の極めて高い政治資金パーティーに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月九日受領 答弁第二二号   内閣衆質二一三第二二号   令和六年二月九日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員江田憲司君提出利益率の極めて高い政治資金パーティーに関する質問に対する答弁書 一及び三について  政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第四条第三項において、寄附とは、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。」と規定されており、一方、同法第八条の二に規定する政治資金パーティーに係る収入については、当該政治資金パーティーへの参加の対価に係るものであるため、寄附とは性質が異なるものと解されているが、個別の事案が同法の規定に違反するか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものと考える。 二について  お尋ねは、西村康稔衆議院議員個人の政治活動に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。
a213023
ハマスに拉致された人質の救出のための我が国の協力に関する質問主意書
令和六年一月三十一日提出 質問第二三号 ハマスに拉致された人質の救出のための我が国の協力に関する質問主意書  イスラム過激派テロ組織ハマスは、昨年十月七日、イスラエル国に大規模なテロ攻撃を行い、一千人以上を殺害するとともに、二百人以上を拉致した。現時点でも、我が国の同盟国であるアメリカ合衆国の国民六人を含む、百人以上を人質として監禁している。長年、北朝鮮による拉致問題に取り組んできた者として、人質やその家族の心痛は、察するに余りある。  ハマスに対して強い影響力を行使できるのは、支援を行ってきたイラン・イスラム共和国、及びハマスが重要拠点を置くカタール国である。特に、カタール国は、ハマスが事務所を構えて活動することを許可しているばかりか、イスマイル・ハニヤ現指導者、ハーリド・マシャアル前指導者等の滞在を許可している。カタール国は、本来であれば刑事裁判を受けさせるためにハマス最高幹部を移送すべきなので、人質救出のための決定的な力を有している。  北朝鮮による拉致問題で苦悩してきた日本国民にとって、同盟国及び友好国の国民が人質として監禁されていることは、とりわけ重要な問題である。政府は、イラン・イスラム共和国及びカタール国に対して、ハマスに即時かつ無条件で全ての人質を解放させるよう、強く働きかけるべきと考えるが、見解如何。  右質問する。
b213023
衆議院議員松原仁君提出ハマスに拉致された人質の救出のための我が国の協力に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月九日受領 答弁第二三号   内閣衆質二一三第二三号   令和六年二月九日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員松原仁君提出ハマスに拉致された人質の救出のための我が国の協力に関する質問に対する答弁書  お尋ねについては、政府としては、御指摘の「人質」の即時解放等に向けて、イラン・イスラム共和国及びカタール国に対して、様々な機会を捉え、今般のイスラエル・パレスチナをめぐる情勢に関する我が国の立場を説明し、働きかけを行ってきているところであり、当該働きかけの詳細を明らかにすることは、今後の対応に支障を来すおそれがあることから差し控えたいが、いずれにせよ、引き続き、両国を含む関係国と緊密に意思疎通を行いながら、こうした働きかけなどの外交努力を続けていく考えである。
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高麗航空との金融取引に関する質問主意書
令和六年一月三十一日提出 質問第二四号 高麗航空との金融取引に関する質問主意書  北朝鮮の高麗航空は、国営の航空会社であり、いわゆるコロナ禍の前は、北朝鮮の外貨獲得に大きく貢献していた。獲得された外貨は、大量破壊兵器開発計画に優先的に使用されたと推定される。  高麗航空について、国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号に基づいて設置された専門家パネルは、過去に公表した複数の報告書において、スカッド・ミサイルの部品の密輸に関与したことや、朝鮮人民軍と極めて密接な関係にあることを記している。アメリカ合衆国(米国)は、林芳正外務大臣(当時)が令和四年十一月十一日の衆議院外務委員会で答弁したとおり、高麗航空を制裁対象に指定している。また、米国は令和四年十一月八日、高麗航空丹東事務所代表のリ・ソクが電子部品の密輸に関与したとして、同人を制裁対象に指定した。大韓民国は昨年二月二十日、同様の理由で同人を制裁対象に指定した。本来であれば、我が国は、高麗航空を経済制裁措置の対象に指定していなければならない。  我が国においては、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)の傘下企業が、高麗航空の代理店業務を行ってきており、いわゆるコロナ禍の前は、日本国民を含む訪朝者のために高麗航空の航空券を手配するなどして、北朝鮮の外貨獲得に貢献してきた。  金融活動作業部会(FATF)は、過去に発表した数多くの声明において、北朝鮮のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の体制に重大な欠陥があるとし、加盟国に対して、効果的な対抗措置を適用すること等を求めてきた。  これらを踏まえ、以下質問する。 一 我が国の金融機関等は、高麗航空と、送金又は決済に関わる取引を行うことは許されるか。マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の観点から、政府の見解如何。 二 警視庁公安部は、昨年十二月、朝鮮総連傘下の貿易会社が海外に不正な送金を行った疑いがあるとして、複数箇所を家宅捜索した。金融機関を利用して我が国から海外に送金しようとする依頼者が、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策を回避する目的で、送金目的について事実と異なる説明をすることは、一般的に法令に違反するか。政府の見解如何。 三 国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号第十八項は、加盟国に対し、北朝鮮の核関連、弾道ミサイル関連又はその他の大量破壊兵器関連の計画又は活動に貢献し得る金融サービスの提供等を、防止するよう要請した。我が国は、本決議を、誠実に遵守することを必要とするか。政府の見解如何。  右質問する。
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衆議院議員松原仁君提出高麗航空との金融取引に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月九日受領 答弁第二四号   内閣衆質二一三第二四号   令和六年二月九日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員松原仁君提出高麗航空との金融取引に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「許されるか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策については、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号)第四条第一項の規定による顧客等の本人特定事項等についての取引時確認等、同法第八条第一項の規定による疑わしい取引の届出等を金融機関等に義務付けているほか、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平成十一年法律第百三十六号)その他の法令により、金融機関等が犯罪収益等(同法第十条第一項に規定する「犯罪収益等」をいう。以下同じ。)を隠匿した場合、情を知って、犯罪収益等を収受した場合等には刑事罰の対象となるものとされている。また、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)等において、金融機関等は、その営む業務の内容に応じ、健全かつ適切な業務が運営されるための十分な体制の整備が求められている。  その上で、お尋ねについては、個別の事案がこれらの法令に違反するか否かについて、個別具体的な事実関係に即して判断する必要があるため、一概にお答えすることは困難である。 二について  一般論として、お尋ねの「金融機関を利用して我が国から海外に送金しようとする依頼者が、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策を回避する目的で、送金目的について事実と異なる説明をすること」は、犯罪による収益の移転防止に関する法律その他の法令に違反するおそれがあるが、個別の事案がこれらの法令に違反するか否かについては、個別具体的な事実関係に即して判断する必要がある。 三について  政府として、国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号に定める義務を誠実に履行する必要があると考えている。
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周庭氏や黎智英氏等に対する弾圧に関する質問主意書
令和六年一月三十一日提出 質問第二五号 周庭氏や黎智英氏等に対する弾圧に関する質問主意書  我が国で広く知られている香港特別行政区の民主活動家の周庭氏が、昨年十二月、留学先のカナダで事実上の亡命意思を表明したところ、香港警察は、「全力を挙げて逮捕する」と表明した。周氏は、集会を扇動したなどの罪で不当な実刑判決を受けて服役し、出所後は、中国大陸で愛国教育を受けさせられ、「祖国の偉大な発展を理解することができ警察に感謝します」との謝辞や、過去の抗議活動についての反省文を書かされた。周氏は、前述の判決とは別件で、令和二年八月、香港国家安全維持法違反容疑で逮捕されており、同罪で起訴される可能性があった。  中国共産党に批判的だった「蘋果日報」創業者の黎智英氏は、複数の裁判で実刑判決を受け、昨年十二月、香港国家安全維持法違反に問われた裁判の審理がはじまった。有罪となれば、終身刑を言い渡される可能性がある。黎氏の身柄拘束は、すでに一千日を超えている。  そもそも、香港国家安全維持法は、香港基本法、及び、法的拘束力を有して国際連合に登録されている英中共同宣言に基づく「一国二制度」に合致しない、不法なものである。我が国は、自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値を掲げる国として、香港国家安全維持法に基づく不当な弾圧を断固非難すべきと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
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衆議院議員松原仁君提出周庭氏や黎智英氏等に対する弾圧に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月九日受領 答弁第二五号   内閣衆質二一三第二五号   令和六年二月九日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員松原仁君提出周庭氏や黎智英氏等に対する弾圧に関する質問に対する答弁書  御指摘の事案のような、御指摘の「香港国家安全維持法」施行後の香港の情勢をめぐる動向については、香港の繁栄を支えてきた「一国二制度」の根幹である言論の自由や報道の自由といった基本的な価値の尊重に対して深刻な疑念を抱かせるものであり、我が国として、重大な懸念を強めているところであり、引き続き、関係国とも連携しつつ適切に対応していく考えである。
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防衛省の秘密保全体制に関する質問主意書
令和六年一月三十一日提出 質問第二六号 防衛省の秘密保全体制に関する質問主意書  英国の新聞報道によれば、英国海軍は昨年、海軍艦艇内で中国人の民間人が洗濯職人として勤務する約八十年間続いてきた慣習を、秘密保全のために廃止した。家族が香港に居住する勤続三十九年の中国人職人が解雇されたほか、三人の中国人職人が空母への乗艦を禁止された。理由は、中華人民共和国(中国)当局が中国国内にいる職人の家族に危害を加えると脅迫して英国海軍の秘密情報を漏洩させる事態が危惧されたためである。慣習廃止の後、英国海軍の広報官は、「すべての民間人請負業者は、セキュリティ・クリアランス制度に基づく適切なアクセス権を保持していると保証する。」と述べた。  近年、中国による不法な情報収集活動の激化に伴い、我が国が属するいわゆる自由主義圏において、同盟国及び同志国に対する責任として、秘密保全の重要性が増している。そこで、防衛省の秘密保全体制についてお尋ねする。 一 防衛省は、庁舎の清掃役務、防衛駐在官候補者等に対する語学教育、防衛省職員英語通訳研修プログラム、インターネット回線の敷設及び回線の利用、空調設備等整備役務、給排水設備等整備役務、中水処理設備補修役務、消防設備補修役務、業務無線機整備役務、能力構築支援事業に係る支援役務、内部部局職員英語オンライン研修プログラム、蒸気設備補修役務、内装補修役務、電源設備整備役務、LANケーブル敷設等役務、計装設備整備役務、各国持回りの国際会議の運営に係る役務、生化学分析装置の点検役務、放送設備整備役務、ウクライナ負傷兵の自衛隊病院への受け入れに係る運営業務、執務室レイアウト変更に係るケーブル等の敷設、撤去等役務、能力構築支援事業に関する翻訳役務、総合職官庁訪問に係る会場設営に関する業務等の一般競争入札を実施しているが、実施にあたり、不法な情報収集活動又は暴力的破壊活動を行う者が落札しないよう、いかなる措置を講じているか。 二 防衛省は、前項で列挙した役務等を落札した者が、契約業務の履行に当たる使用人として、不法な情報収集活動又は暴力的破壊活動を行う者を雇用又は委託することがないよう、いかなる措置を講じているか。 三 昭和四十二年に警視庁が検挙したいわゆる外務省スパイ事件では、在日本朝鮮人総聯合会傘下組織の幹部である北朝鮮工作員が、外務省東欧課の事務官に現金を渡して、焼却予定の秘密文書を入手していた。本事件は、日本で秘密となっている東欧諸国に関する資料及び情報分析のデータが、北朝鮮等の共産圏諸国でそのままの形で公になる事件が複数回起きたことから、警視庁が捜査して摘発したものである。官公庁の庁舎においては、秘密保全につき、特に細心の注意を払わなければならないと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
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衆議院議員松原仁君提出防衛省の秘密保全体制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月九日受領 答弁第二六号   内閣衆質二一三第二六号   令和六年二月九日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員松原仁君提出防衛省の秘密保全体制に関する質問に対する答弁書 一及び二について  御指摘の「不法な情報収集活動又は暴力的破壊活動を行う者」の意味するところが必ずしも明らかではないが、防衛省においては、秘密保全の徹底は我が国防衛を全うする観点から必要不可欠との認識の下、一般競争入札においては、役務等契約条項に契約の相手方である事業者及びその使用人に秘密保全に係る義務を課す条項があることを受け、その手続において当該条項があることの同意を得た上で、落札した事業者と契約を締結するといった秘密保全のために必要な措置を講じているところである。 三について  政府としては、外国情報機関により我が国に対する情報収集活動が行われているとの認識に立ち、引き続き、御指摘の「官公庁の庁舎」における秘密保全を含め、カウンターインテリジェンスに関する施策に取り組んでいく考えである。
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地方における農業の振興と農村地域の活性化に関する質問主意書
令和六年一月三十一日提出 質問第二七号 地方における農業の振興と農村地域の活性化に関する質問主意書  日本の農業は、近年の異常気象による品質の低下や収量の減少によりその経営に大きな影響をもたらしている。また、食料自給率が低く、多くを輸入に頼る日本においては、世界的な人口増加や気候変動の影響、あるいは外国の政情不安等に伴う食料生産の不安定化等により、我が国の食料安全保障を取り巻く環境は激変している。  更に、農業従事者も減少の一途であり、確実な食料供給体制の確保と農地等の保全が喫緊の課題である。そのためにも、早急な課題解決のための措置を講ずるべきと考える。 一 複雑化、多様化する国際情勢の中で、食料自給率が低く、多くの食料を輸入に頼っている我が国において、将来にわたって安定的に食料を確保するためには、食料自給率を高めることが不可欠である。そのためには現在輸入している農作物の増産をはじめとした農業生産体制を確立しなければならないことから、農地の集積や大規模化、農業経営の複合化や輸出等に取り組む意欲ある農業経営体等に対して、農産物価格の変動に応じた所得補償を行い、農業所得の安定化を図るべきと考えるが政府の見解を伺う。 二 農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」であるが、慣行農業と比較して有機農業の収量は少ない傾向にあり、環境負荷の低減には一定のコストも要するところである。  1 適正な価格の形成に向けた取組や直接支払制度の創設等、安定的な農業所得につながる施策の拡充が必要であると考えるが、政府の見解を伺う。  2 有機農業を広めていくためには、農家を支援する有機農業指導員の確保や教育分野等地域の食料システムに取り組む自治体への支援拡充等を図ることも有効であると考えるが、十分な予算措置の必要性について政府の見解を伺う。 三 近年の異常気象、とりわけ高温化による品質の低下や収量の減少は今後も続くことが想定されることから、高温耐性品種の開発等にも措置を講じられたいと考えるが、品種開発等の措置の必要性について政府の見解を伺う。 四 法定化された「地域計画」を実質化するためには、新規就農者等の担い手を確保する必要があるため、就農前後の農業技術の習得や生活の安定を見通した研究施設や支援策が不可欠である。そのため今後廃校予定である農業高校の校舎等を国の研修施設として再活用するなどの取組を強化し、関係機関(農業改良普及所や農業高校、大学農学部、JA等)が連携して就農教育カリキュラムを開発し活用することが望まれるが、政府の見解を伺う。 五 水田活用直接支払金交付対象の水田の見直しが図られているところであるが、農業所得の安定化のため、戦略的作物助成交付単価や産地交付金分配単価、畑地化促進助成支援単価の充実を図るべきであると考えるが、政府の見解を伺う。 六 国は、農村型地域運営組織(農村RMO)の推進、支援をしていくこととしているが、こうした運営組織を軌道に乗せるためには、一律的な補助要件ではなく、地域の現状に応じた補助制度にするべきだが、その支援の具体的な取組について伺う。 七 畜産、酪農においては化学肥料原料の国際価格の高騰が続いていることから生産コストが高止まりしており、依然として厳しい経営を強いられている。この問題の解決に向けた取組と、支援策についての施策を伺う。 八 全国各地において、鳥獣による農作物被害が大きな問題となっている。  1 被害防止に向けた国の各種補助制度の拡充の施策について伺う。  2 狩猟免許保持者や猟友会員等の高齢化等による担い手不足もその一因であると思われることから、担い手育成に向けた予算措置が必要であると考えるが、政府の見解を伺う。  右質問する。
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衆議院議員小熊慎司君提出地方における農業の振興と農村地域の活性化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和六年二月九日受領 答弁第二七号   内閣衆質二一三第二七号   令和六年二月九日        衆議院議長 額賀福志郎 殿 衆議院議員小熊慎司君提出地方における農業の振興と農村地域の活性化に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「農産物価格の変動に応じた所得補償を行い、農業所得の安定化を図る」ことの具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論としては、農業者の所得を補償する施策については、農業経営の改善に向けた取組を妨げる懸念があること等から、その導入は考えていない。 二の1について  御指摘の「安定的な農業所得につながる施策の拡充」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和三年五月に農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」に掲げる目標の実現に向けて、同省においては、環境保全型農業直接支払交付金等により有機農業などの自然環境の保全に資する農業の生産方式を導入した農業生産活動の実施を推進するとともに、農林水産物の生産等における環境への負荷の低減の状況をラベルの貼付等により可視化し、消費者の選択に資する取組を進めている。また、令和五年十二月二十七日に食料安定供給・農林水産業基盤強化本部において取りまとめた「食料・農業・農村基本法の改正の方向性について」において、「食料の価格形成に当たっては、農業者、食品事業者、消費者といった関係者の相互理解と連携の下に、農業生産等に係る合理的な費用や環境負荷低減のコストなど、「食料の持続的な供給に要する合理的な費用」が考慮されるようにしなければならないことを明確化する」としていること等を踏まえ、食料・農業・農村基本法(平成十一年法律第百六号)の一部を改正する法律案の第二百十三回国会への提出に向けて必要な検討を進めているところである。 二の2について  御指摘の「教育分野等地域の食料システムに取り組む自治体」の意味するところが必ずしも明らかではないが、農林水産省においては、みどりの食料システム戦略推進交付金により、御指摘の「有機農業指導員の確保」に取り組む都道府県や、地域全体で有機農業に取り組む市町村への支援を行っているところであり、引き続き必要な予算の確保に努めてまいりたい。 三について  農作物の高温障害として、例えば、米穀の白濁化や果実の着色不良が挙げられ、農林水産省としては、これらの問題に対処する必要があると認識している。このため、同省においては、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が行う高温の環境下においても白濁しにくい水稲の品種や着色不良が発生しにくいりんごの品種の開発等を支援しているところである。 四について  農林水産省においては、新規就農者育成総合対策により、都道府県や市町村等が行う、新たに就農しようとする者が農業の技術を習得するための研修施設の整備、就農準備段階や経営開始直後の青年就農者を対象とした資金の交付、農業に関する学科を置く高等学校等における企業や他の教育機関、研究機関等の関係機関と連携した教育の実施等について支援を行っているところであり、こうした取組を通じて農業の担い手の育成・確保を推進してまいりたい。 五について  御指摘の「戦略的作物助成交付単価や産地交付金分配単価、畑地化促進助成支援単価」については、主食用米から麦・大豆といった需要があり、かつ、海外からの輸入に依存している作物への転換等が進むよう設定等をしているところである。 六について  お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、農林水産省においては、御指摘の「農村型地域運営組織(農村RMO)の推進、支援」に当たり、農村型地域運営組織形成推進事業により、中山間地域等において、複数の集落が、地域の実情に応じて、自治会等を含めた多様な主体の連携・協働により、農地保全対策又は地域資源の活用の取組及び当該取組と併せて行う生活の利便性の向上に向けた取組を実施する場合、これらの取組に関する計画の策定や、当該計画に応じた調査、実証等の経費に対する補助を行っているところである。 七について  農林水産省においては、御指摘の「化学肥料原料の国際価格」の影響を受けにくい畜産経営を確保すること等を目的として、国内肥料資源利用拡大対策事業により、地方公共団体又は民間事業者等による家畜排せつ物や下水汚泥等の国産の肥料原料の利用拡大に向けた取組に対する支援を行っているほか、飼料自給率向上緊急対策事業により、飼料生産を行う農家等と畜産農家との連携の強化等による国産飼料の生産及び利用拡大の推進等を行っているところである。 八の1について  お尋ねの「被害防止に向けた国の各種補助制度の拡充の施策」の意味するところが必ずしも明らかではないが、野生鳥獣による農作物等の被害を防止するため、農林水産省においては、鳥獣被害防止総合対策交付金(以下「交付金」という。)により、鳥獣の捕獲等による個体数調整、侵入防止柵の設置等による被害防除及び緩衝帯の設置等による生息環境管理の取組を支援している。交付金については、これまでも鳥獣被害をめぐる状況の変化に応じてその拡充や見直しを行ってきており、例えば、令和五年度補正予算においては、鳥獣による農作物等への被害の増大の主要な原因となっているシカに対応するため、都道府県等が行う、これを効果的・効率的に捕獲する取組等への支援を強化したところである。 八の2について  農林水産省においては、野生鳥獣による農作物等の被害を防止するためには、鳥獣の捕獲に係る優れた技術を有する専門家の確保及び育成が重要であると考えており、交付金により、市町村ごとに開催される農業者等を対象とした捕獲技術の取得に関する講習会や、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)第三十九条第一項の狩猟免許の取得等に関する講習会の開催に対する支援等を行っているところである。
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政府が保有する日本電信電話株式会社の株式の処分に関する質問主意書
令和六年二月一日提出 質問第二八号 政府が保有する日本電信電話株式会社の株式の処分に関する質問主意書  内閣衆質二一二第二五号「衆議院議員原口一博君提出政府が保有する日本電信電話株式会社の株式の処分に関する質問に対する答弁書」を令和五年十一月二十日に受領したが、答弁内容に不十分な部分があるので、質問の意図をより明らかにした上で再び質問する。 一 政府の答弁書では、「仮定に基づくお尋ねについてお答えすることは差し控えたい」としているが、総務省の情報通信政策特別委員会等において、日本電信電話株式会社の株式に係る「政府の株式保有義務」について論点として挙げられているなど、具体的な検討がなされていると承知している。我が国の経済安全保障の確保を図る上で、本議論を活性化させることは非常に重要であると考えている。  そこで、当該義務が撤廃され、政府による同社発行済株式の保有が総数の三分の一を下回った場合でも、外国株主等の特定の者から経営の支配や株主権の濫用を回避し、同社の経営の安定と適正な事業運営を確保することができるのか、政府の見解を伺いたい。 二 政府では、「市場環境の変化に対応した通信政策の在り方」として、日本電信電話株式会社等に関する法律(以下「NTT法」という。)の在り方について活発に議論されているが、市場環境の変化は今に始まったことではない。NTT法は、そうした環境変化に鑑み、これまで必要に応じて累次の改正がされてきており、国民が負担して整備された電柱や管路等の特別な資産を外資等から保護する目的から、今後もその重要性が失われることはないと考えている。  政府による昨今の議論は、電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律(令和二年法律第三十号)附則第五条にある、「この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずる」との規定を名目として行われている。しかし、この附則の検討条項は、NTT法の存続を当然の前提とされていたはずである。よって、政府による廃止も含めたNTT法の在り方に関する議論はあまりにも唐突であり、かつ、拙速に議論が進められていることに大きな疑問を覚える。  また、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社には、NTT法第三条の規定に基づき、「国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供の確保に寄与する」責務が課せられている。この「電話の役務」の対象となる「加入電話」はメタル回線に限らず、光IP電話の一部も含むものと承知している。よって、NTT法は、一部で指摘されるようなメタル回線を前提とした法律ではなく、現在のままでも十分に役割を果たせると考えられる。  そこで、政府はいかなる理由から、今になって、NTT法の在り方について集中的に議論しているのか。その理由を明らかにしたうえで、当該議論を開始した背景とその目的について、政府の見解を具体的に回答されたい。  右質問する。