id
stringlengths
7
7
title
stringlengths
11
157
content
stringlengths
6
18.3k
a207042
政府の生活保護利用の積極的な広報活動に関する質問主意書
令和三年十二月十六日提出 質問第四二号 政府の生活保護利用の積極的な広報活動に関する質問主意書  新型コロナウイルスは災害と考える。そこにどのような施策が必要かを問うとともに提案したい。まずは現実の共有から行いたい。  総務省の最新の労働力調査では、仕事を失った状態が一年以上続く「長期失業者」は、今年七月から九月は月の平均で六十六万人に上り、昨年の同じ時期より十八万人増えたという。新型コロナの影響により「失業が長期化する傾向が続いている」と総務省はコメントしている。  他にも、国税庁・「民間給与実態統計調査」を見れば、民間企業で働く人の令和二(二〇二〇)年一年間の平均給与は四百三十三万円余りで、おととしに比べ〇・八%少なくなった。役員を除く、正社員と非正規雇用の人で比べると、二〇二〇年一年間の平均給与でみれば、正社員が四百九十五万七千円、非正規が百七十六万二千円で、差は三百十九万五千円と、おととしより九万三千円小さくなっている。  また、厚生労働省発表では、二〇二〇年の自殺者数の確定値が二万千八十一人と、前年より九百十二人増え、十一年ぶりに増加した。女性や若年世代の自殺者が特に増え、新型コロナによる生活の変化などが影響した可能性があるとコメントしている。  さらに、内閣府の二〇二一年十一月十五日発表によると、七~九月期の実質国内総生産(GDP)速報値は前期比年率三・〇%減と事前予想を上回るマイナス幅となり、プラス成長を維持する米国や欧州に比べて回復力の弱さが鮮明で、新型コロナによる低迷から抜け出せずにいる様子が明らかである。  経済の低迷は人びとの暮らしを直撃している。例えば新宿で毎週土曜に開催されている「もやい」と「新宿ごはんプラス」の食品配布には、コロナ禍前は八十人ほどしか来なかったが、コロナ禍でどんどん増え続け、九月二十五日には三百九十四人、十一月二十日には四百八人と過去最高を更新し続けている。  一方、池袋の「TENOHASI」の炊き出しに並ぶのは、コロナ禍前は百五十人ほどだったのが、九月二十五日には四百十六人、十一月十三日には四百三十四人、十一月には過去最高となる四百七十二人にまで増えている。  ちなみに「TENOHASI」の炊き出し人数のコロナ禍以前の最高はリーマンショック直後の四百六十人であり、現場の支援者たちは、過去最高人数が更新され続けることについて、「いつが最悪なのかわからない。これからもっと増えるのではないか」と語っている。  コロナ禍以前は近隣で野宿する中高年男性がメインだった炊き出しや食品配布に、今や女性や子連れ、カップルが並ぶ。路上やネットカフェ暮らしの人もいるが、家がある人も多い。コロナで仕事を切られた人、シフトを減らされて収入が半分以下になった人、失業期間が長引いている人たちだ。  新型コロナという災害の影響により生活困窮に陥る、又はその手前にいる人々の数は相当数にのぼるという危機感が政府には足りないように思える。  困窮状態にある者を直ちに救済することはもちろんのこと、困る手前でしっかりとセーフティーネットにより生活を立て直すことが、更なる困窮者を増やさない基本と考える。  一方で唯一といえるセーフティーネット、生活保護は捕捉率が低い。つまりは受けるべき状態にある者の多くが受給していない。実際、支援の現場においても、例え困窮状態にあっても、生活保護だけは受けたくない、という反応が非常に強いことが多数報告されている。  年末年始を迎えるにあたり、弁護士たちが生活保護に関し、無料で電話相談に応じる「生活保護ホットライン」が全国一斉に行われるなど、生活に困窮しているにもかかわらず、生活保護の利用を知らない人びとの支援活動を行っているが、これまで事実上の受け皿を善意で務め続けてくださっている民間は、すでに限界を超えている。  政府が本気で救済に本腰を入れなければ、困窮者も支援者も共倒れになる寸前と感じている。  ここで、政府に問う前に提案を行いたい。  政府広報による、「生活保護を積極的に受けてください」「生活保護はあなたの権利です」「困る前に受けてください」という趣旨の大々的な宣伝を行う必要があると考える。  イメージとしては「三密を避けろ」と徹底して流された政府広報レベルで、最も多くの人々に情報提供が可能なテレビCMを大量かつ集中的に流す必要があるだろう。  一方で、政府は十分ではないが、広報は行っている。  昨年十二月二十二日、厚生労働省のウェブサイトに「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を申請する可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください」との文言を掲げ、社会保障制度の利用を促す広報を行った。  その後、生活保護の問題に詳しい有識者(稲葉剛氏、以下、上記参考人)は、参議院厚生労働委員会(令和三年五月六日)において、参考人として、「公式サイトにおいて生活保護の申請は国民の権利ですという広報を始めましたが、ネットでの広報には限界があります」と述べた上で、「一部の政治家が主導した過去のバッシングによって浸透してしまった生活保護に関するマイナスイメージを払拭するためには、テレビのコマーシャルや駅の広告など、様々なツールを活用した広報を行う必要があります」と述べ、マイナンバーカード並みの予算を投入して広報を展開してほしいと広報活動の強化を要望している。  内閣府・政府広報室のウェブサイトでは、その業務内容として、「内閣が進める重要政策について、各府省庁と連携しつつ、首相官邸ホームページ等、様々な媒体を活用した広報を推進」、及び「内閣の重要政策に関する広報について、政府一体となって戦略的に取り組んでいくため、各府省庁との総合調整を実施」と説明している。  そこで、当方では、政府広報室に対して、政府広報がどのような分野で積極的に行われているか、及び、生活保護の広報予算が全体のどの程度を占めるのかを探るべく、内閣府だけではなく、各省庁も含めた過去三年間の政府広報予算の総額や、予算の媒体別配分割合、政策分野別配分割合について問い合わせた。  その結果、政府広報室の予算総額(令和三年度では約百八十五億円)で、媒体別の配分では、テレビ・ラジオが約一割、新聞が約二割、インターネットが約二割、複合的に活用するクロスメディアが約五割とその内訳は回答を得たものの、項目ごとの予算配分がわかる資料はない、との回答であり、ほか省庁の広報予算の情報は一体的に把握していない、とのことだった。  先に引用したとおり「内閣の重要政策に関する広報について、政府一体となって戦略的に取り組んでいくため、各府省庁との総合調整を実施」するはずの政府広報室が、政府広報の効果を測定するために必要不可欠な項目別の予算配分の情報を把握できていないことは、まことに遺憾と言わざるを得ない。  一方、当方が、厚生労働省に生活保護利用呼びかけの実績を問い合わせたところでは、以下のような回答が得られた。 「○政府広報 政府広報を活用し、令和二年十一月十六日~二十二日にかけてYahoo!ニュースにバナー広告を掲載し、「日々の暮らしに大変お困りのときは国民には最低限度の生活が保障されます ご相談は、地域の福祉事務所へ」と呼びかけを行いました。 ○Twitter 厚生労働省の公式ツイートにおいて、以下のとおりツイートしています。 ・ツイート内容「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください」 ・時期 令和二年十二月二十四日、二十五日、二十八日、令和三年八月十三日 ○新聞、テレビCM、ネット動画CM、街頭オーロラビジョン、電車等の動くCMなどを利用した生活保護の利用を呼びかけた実績はありません」  つまり、政府は過去の実績ではウェブ広告やSNSを活用した広報は行っているが、新聞、テレビCM、ネット動画CM、街頭オーロラビジョン、電車等の動くCMといったインターネットにアクセスすることなく見ることができる媒体を通じての広報は依然として行っていない、ということである。  そこで、以下に政府の見解を問う。 一 この冬にも政府は昨年に行ったような手法で、生活保護の利用を呼びかける方針か。その規模は昨年を上回るものか。 二 今後、年末年始から春に向け、これまでのウェブサイトに加え、上記の未活用の媒体(特にテレビCM)を通じて生活保護の利用について、「利用は権利である」と呼びかけることで、緊急に保護を必要としている人に必要な情報を効果的に伝達することが可能になるとともに、生活保護の捕捉率の引き上げにもつながると考えるが、政府はどのように考えるか。 三 「生活保護の申請は国民の権利である」と厚生労働省が広報する中で、上記参考人が指摘する、一部の政治家がその権利の行使を萎縮させる問題が再び発生しないように、政府としてはどのような取り組みを行っていく方針か。 四 政府広報を効果的に実施するためには、政府広報室が、各省庁も含めた政府広報予算、それらの予算がどのような分野にどれだけ配分されているかを継続的に把握し、常に政策効果を検証するべきではないかと考えるが、政府はどのように考えているか。  右質問する。
b207042
衆議院議員山本太郎君提出政府の生活保護利用の積極的な広報活動に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年十二月二十八日受領 答弁第四二号   内閣衆質二〇七第四二号   令和三年十二月二十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員山本太郎君提出政府の生活保護利用の積極的な広報活動に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「その規模は昨年を上回る」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、昨年から引き続き、生活保護の要件や申請方法等について、厚生労働省のホームページに掲載するとともに、令和三年十二月十七日には、SNSを通じ、ためらわずに福祉事務所に御相談いただきたい旨を呼びかけ、地方公共団体においても、このような情報のホームページへの掲載、「保護のしおり」の配布等による周知・広報を行っているところである。 二について  政府としては、一についてで述べた取組等により、適切に周知・広報を行っているところであり、現時点で御指摘のような「上記の未活用の媒体・・・を通じて・・・呼びかける」ことは考えていないが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、引き続き、保護を必要とする方が申請をためらうことのないよう、適切な方法により、周知・広報に取り組んでまいりたい。 三について  お尋ねの「一部の政治家がその権利の行使を萎縮させる問題が再び発生」の趣旨が明らかではないが、いずれにせよ、政府としては、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、引き続き、保護を必要とする方が申請をためらうことのないよう、生活保護制度について周知・広報に取り組んでまいりたい。 四について  お尋ねの「各省庁も含めた政府広報予算」の意味するところが必ずしも明らかではないが、内閣府大臣官房政府広報室においては、政府広報(同室が実施する政府の重要な施策に関する広報をいう。以下同じ。)の実施に当たって、必要に応じて、関係省庁において実施する広報の内容等を把握するとともに、政府広報の実施後には、アンケート調査を行うなどにより効果を把握しているところであり、引き続き、関係省庁とも連携し、効果的、効率的な政府広報の実施に努めてまいりたい。
a208001
衆議院議員選挙区画定審議会設置法に関する質問主意書
令和四年一月十七日提出 質問第一号 衆議院議員選挙区画定審議会設置法に関する質問主意書  政府として、衆議院議員選挙区画定審議会設置法第三条第二項に定めるとおり、衆議院小選挙区の都道府県別定数配分は、いわゆる「アダムズ方式」により行うとの立場か。  右質問する。
b208001
衆議院議員緒方林太郎君提出衆議院議員選挙区画定審議会設置法に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年一月二十八日受領 答弁第一号   内閣衆質二〇八第一号   令和四年一月二十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員緒方林太郎君提出衆議院議員選挙区画定審議会設置法に関する質問に対する答弁書  衆議院議員選挙区画定審議会設置法(平成六年法律第三号)第二条及び第四条第一項の規定により、衆議院議員選挙区画定審議会は、国勢調査(統計法(平成十九年法律第五十三号)第五条第二項本文の規定により十年ごとに行われる国勢調査に限る。)の結果による人口が最初に官報で公示された日から一年以内に、衆議院小選挙区選出議員の選挙区の改定案を作成して内閣総理大臣に勧告するものとされているところ、衆議院議員選挙区画定審議会設置法第三条第二項の規定により、当該改定案の作成に当たっては、各都道府県の区域内の衆議院小選挙区選出議員の選挙区の数は、いわゆる「アダムズ方式」により計算した数とすることとされている。  政府としては、同審議会から当該改定案の勧告があったときは、当該勧告に基づき、速やかに、必要な法制上の措置を講ずることとなるものと考えている。
a208002
日米貿易協定及びRCEP協定に関する質問主意書
令和四年一月十八日提出 質問第二号 日米貿易協定及びRCEP協定に関する質問主意書  令和四年一月十七日の施政方針演説において、岸田総理は「TPPの着実な実施、高いレベルを維持しながらの拡大に取り組みます」と述べ、外交演説において、林外務大臣は「TPP11協定のハイスタンダードの維持やRCEP協定の完全な履行の確保に取り組む」と述べている。  日米貿易協定及びRCEP協定は、高いレベルやハイスタンダードが維持された協定か。  右質問する。
b208002
衆議院議員緒方林太郎君提出日米貿易協定及びRCEP協定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年一月二十八日受領 答弁第二号   内閣衆質二〇八第二号   令和四年一月二十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員緒方林太郎君提出日米貿易協定及びRCEP協定に関する質問に対する答弁書  お尋ねについては、日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定(令和元年条約第十号)及び地域的な包括的経済連携協定(令和三年条約第七号)において「高いレベルやハイスタンダードが維持された」の意味するところが必ずしも明らかではなく、一概にお答えすることは困難である。
a208003
感染症法に関する質問主意書
令和四年一月十八日提出 質問第三号 感染症法に関する質問主意書  令和三年十二月十七日に開催された第五十七回厚生科学審議会感染症部会において、「現行の感染症法等における課題・論点」という資料が厚生労働省から配布された。同資料の中には多岐に亘って「主な課題(案)」及び「論点(案)」が提示されている。これを踏まえ、以下のとおり質問する。 一 同資料で述べられている認識を現在も引き続き有しているか。 二 同資料で述べられている「主な課題(案)」及び「論点(案)」に取り組むため、今国会において内閣として感染症法等の改正は不要であると考えているか。  右質問する。
b208003
衆議院議員緒方林太郎君提出感染症法に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年一月二十八日受領 答弁第三号   内閣衆質二〇八第三号   令和四年一月二十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員緒方林太郎君提出感染症法に関する質問に対する答弁書 一について  現在においても、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)等の関係法令について、令和三年十二月十七日に開催された第五十七回厚生科学審議会感染症部会の資料一-三「現行の感染症法等における課題・論点」(以下「部会資料」という。)において示している課題及び論点があるものと認識している。 二について  お尋ねについては、岸田内閣総理大臣が、令和四年一月十九日の衆議院本会議において、「息の長い感染症対応体制の強化策として、本年六月をめどに、危機に迅速的確に対応するための司令塔機能の強化や、感染症法の在り方、保健医療体制の確保など、中長期的観点から必要な対応を取りまとめます。現下の危機対応を行いつつ、これまでの対応を客観的に検証し、広く関係者と協力の上検討するためには必要な期間であると考えております」と答弁したとおりであり、部会資料において示している課題に対応するための感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の関係法令の改正についても、同年六月をめどに必要な対応を取りまとめる過程において検討することとしている。
a208004
北朝鮮による本邦内でのマネー・ローンダリングに関する質問主意書
令和四年一月二十日提出 質問第四号 北朝鮮による本邦内でのマネー・ローンダリングに関する質問主意書  北朝鮮の国営通信社『朝鮮中央通信』は令和三年四月十四日、金正恩国務委員長が在日本朝鮮人総聯合会に対して、在日朝鮮人の民族教育のために二億一千九百六万円の教育援助費及び奨学金を送金し、過去の累計は百六十七回で四百八十八億七千九百三十九万三百九十円になったと報じた。  金正恩国務委員長の個人資産及び北朝鮮政府の資金の相当部分が、国際連合安全保障理事会(安保理)の決議で禁止された武器の密売や、いわゆるサイバー攻撃による詐取、覚醒剤の密売等によって得られた犯罪収益であることは、安保理専門家パネルや各国の調査で明らかになっている。報道が事実なら、我が国に犯罪収益が移転されたことになる。  我が国は、金融活動作業部会の勧告等に基づき、犯罪収益の移転に対して厳格な姿勢で臨む責務を負っている。  そこで、次のとおり質問する。 一 『朝鮮中央通信』が報じた右送金について、政府の知るところを明らかにされたい。 二 外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく日本銀行に対する「支払又は支払の受領に関する報告書」において、過去十年の間に、金正恩国務委員長を取引相手とする報告書の提出があったか。当該報告書が存在する場合、年月日と金額を明らかにされたい。 三 現在、金正恩国務委員長は外為法に基づく資産凍結等の措置対象者に含まれているか。含まれていないとすれば、どのような理由からか明らかにされたい。  右質問する。
b208004
衆議院議員松原仁君提出北朝鮮による本邦内でのマネー・ローンダリングに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年二月一日受領 答弁第四号   内閣衆質二〇八第四号   令和四年二月一日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員松原仁君提出北朝鮮による本邦内でのマネー・ローンダリングに関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の報道は承知しているが、お尋ねについては、個別の取引に関する事柄であり、お答えすることは差し控えたい。 二について  外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)に基づく各種の報告について、その有無や内容を明らかにすることは、同法の報告制度の運用に支障を来すおそれがあることから、お尋ねにお答えすることは差し控えたい。 三について  お尋ねの「金正恩国務委員長」については、外国為替及び外国貿易法に基づく御指摘の「資産凍結等の措置」の対象として指定しているものではない。これ以上の詳細については、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。
a208005
朝鮮総連への制裁に関する質問主意書
令和四年一月二十日提出 質問第五号 朝鮮総連への制裁に関する質問主意書  北朝鮮は本年一月五日、十一日、十四日及び十七日、国際連合安全保障理事会の複数の決議に違反してミサイルを発射し、我が国と国際社会の平和と安全に深刻な脅威をもたらした。断固とした非難に値する。  しかるに我が国は、北朝鮮政府、朝鮮労働党及びそれらの支配下の団体を金融制裁措置の対象者に指定している米国と異なり、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)を野放しにしたままである。国外で北朝鮮船舶を差押えて競売にかける等を行っている米国と比べると、我が国の対北朝鮮独自制裁は格段に緩いものであり、北朝鮮に誤ったメッセージを送ってしまっている。  朝鮮総連は、自ら裁判で「日本と国交を有する諸外国における大使館にも比すべき活動」を行っていると陳述したとおり、事実上北朝鮮の在外公館である。『高麗ジャーナル』は平成三十一年三月二十八日、北朝鮮の宋日昊朝日国交正常化交渉担当大使が「日本にある総聯とは即ち我が共和国であり、日本の一番身近な共和国とは即ち総聯である」と発言し、朝鮮総連は北朝鮮そのものであると明確にしたことを報じた。  朝鮮総連の機関紙『朝鮮新報』は本年一月十二日、ミサイル発射について「主体的国防工業の指導史に刻んだ朝鮮労働党の輝かしい功績を再び全世界に誇示」したと賞賛し、金正恩国務委員長が「歴史的な聖業で引き続き立派な成果をもたらすべきであると鼓舞、激励した」と報じた。  朝鮮総連は、北朝鮮の核・ミサイル開発資金調達に貢献してきた。安倍晋三内閣総理大臣(当時)は平成二十七年二月二十日に開かれた衆議院予算委員会において、朝鮮総連が支配下に置いていた朝銀信用組合の経営破綻について、「朝銀信組の破綻の問題は、他の信組の問題とは違って、いわば破綻することがわかっているにもかかわらず、後で預金保険機構あるいは公的資金が入ることを前提にどんどん貸していく、そして大きな穴をあけた結果なんですね。投資の失敗だけではなくて、いわば不正融資というか、北朝鮮に金が渡るということを前提に貸し手側と借り手側が一体となっていたという問題がありました」と答弁している。  株式会社整理回収機構による朝鮮総連からの債権回収は、絶望的な状況である。衆議院議員松原仁君提出朝鮮総連からの債権回収に関する質問に対する答弁(内閣衆質二〇七第三三号)によれば、平成二十九年八月二日から令和三年十二月二十一日までの間に発生した遅延損害金は約百四十二億円であるのに対し、同期間に回収できたのは約三億円に過ぎない。この間、株式会社整理回収機構では多額の人件費やその他の経費が支出されている。  これらのことから総合的に判断して、朝鮮総連に対して破産手続開始の申立てをする必要があると考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
b208005
衆議院議員松原仁君提出朝鮮総連への制裁に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年二月一日受領 答弁第五号   内閣衆質二〇八第五号   令和四年二月一日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員松原仁君提出朝鮮総連への制裁に関する質問に対する答弁書  お尋ねについては、個別具体的な債権回収に関わる事柄であり、株式会社整理回収機構における今後の債権回収業務に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。
a208006
香港における報道弾圧に関する質問主意書
令和四年一月二十日提出 質問第六号 香港における報道弾圧に関する質問主意書  中華人民共和国香港特別行政区(香港)で、報道の自由が抹殺されようとしている。  香港紙『蘋果日報』の創業者・黎智英氏は一昨年、香港国家安全維持法に違反したとして逮捕され、昨年実刑判決を受けた。さらに昨年六月、同紙の複数の幹部も同法に違反したとして逮捕されるとともに、同紙の資産が凍結され、発行停止に追い込まれた。これを受けて米国のバイデン大統領は昨年六月二十四日、声明を発表し、「香港と、世界中のメディアの自由にとって悲しい一日となった」と述べたうえで、「中国政府は独立した報道機関を標的にすることをやめ、拘束しているジャーナリストやメディアの幹部を解放しなければならない。ジャーナリズムに基づく行動は犯罪ではない」と強く非難した。  昨年十二月には香港のネットメディア『立場新聞』の幹部らが逮捕されるとともに、運営会社の資産が凍結され、事業停止に追い込まれた。さらに本年一月、香港のネットメディア『衆新聞』も、「やむをえない選択だ」として運営停止を発表した。  報道の自由は、民主主義の基盤である。中国政府による報道弾圧は、国際社会の普遍的価値に真っ向から挑戦するものであり、断じて許されない。  香港における中国政府による報道機関への弾圧について、政府の見解如何。  右質問する。
b208006
衆議院議員松原仁君提出香港における報道弾圧に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年二月一日受領 答弁第六号   内閣衆質二〇八第六号   令和四年二月一日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員松原仁君提出香港における報道弾圧に関する質問に対する答弁書  香港は、我が国にとって緊密な経済関係及び人的交流を有する極めて重要なパートナーであり、「一国二制度」の下、香港において自由で開かれた体制が維持され、香港が民主的及び安定的に発展していくことが重要であるというのが我が国の一貫した立場である。  御指摘の「香港国家安全維持法」施行後の香港の情勢をめぐる動向については、香港の繁栄を支えてきた「一国二制度」の根幹である言論の自由や報道の自由といった基本的な価値の尊重に対して深刻な疑念を抱かせるものであり、我が国として、重大な懸念を強めているところであり、引き続き、関係国とも連携しつつ適切に対応していく考えである。
a208007
自立援助ホームに関する質問主意書
令和四年一月二十一日提出 質問第七号 自立援助ホームに関する質問主意書  生まれ育った環境に左右されることなく、全ての子供たちが、誰一人取り残されることなく夢と希望をもって育つことができる社会づくりのために重要な施設である自立援助ホームについて質問します。 一 自立援助ホームとは、児童福祉法第六条の三第一項に基づき、基本的に児童養護施設を退所した十五歳から二十歳未満の子供を対象に、共同生活を行う中で自立を図っていく制度です。児童養護施設では、職員配置の少なさなどから、暴力やネグレクトのある家庭で育った子供たちに対して一人ひとりの自尊感情や自主性を育む余裕がないのが現状であると聞いています。このため、児童養護施設を退所した子供たちを、より良い環境の中でサポートする自立援助ホームのもつ役割や意義は大きいと考えますが、この点について政府の見解をお聞きします。 二 政府が把握している自立援助ホームの都道府県別の設置か所数、定員及び利用者数、利用者のうち障がいのある子供の利用状況をお聞きします。また、同じく政府が把握している直近の一年間で閉鎖したホーム数及び主な閉鎖理由についてお聞きします。 三 自立援助ホームの新設、移転、改築などの際に利用できる国の補助金の有無、国の補助金がある場合のその補助金の名称及び予算額をお聞きします。 四 自立援助ホームを利用する子供自身あるいは保護者の利用料の平均額はいくらか、コロナ禍でアルバイト代が減少するなど止むを得ない事情で利用料が支払えない場合はどうなるのか、政府として把握するところをお聞きします。 五 自立援助ホームのスタッフは、二、三日に一回の宿直、食事の支度、子供たちの指導、人間関係の調整や喧嘩の仲裁、悩み相談、地元企業回りなど就職先の開拓や就職の斡旋、中卒の子供が高校卒業資格を取得するための学習支援等々、膨大な業務を抱え、疲弊していると聞いています。このため、福岡市では市が単独で一人分の人件費を補助していますが、他の自治体が補助をしている事例はあるのでしょうか。政府が把握するところをお聞きします。また、二〇二〇年度『全国自立援助ホーム実態調査』によると、多くのホームが職員体制の不十分さ、職員の待遇の低さ、職員確保の困難さを訴えており、「安定した運営が見通せないため不安を感じる」と答えた自立援助ホームが約七割を占めています。今のままでは、自立援助ホームが子供・若者を支援し続けていけるのか懸念せざるを得ません。国の職員配置基準を手厚くすべきと考えますが、政府の考えをお聞きします。 六 自立援助ホームも、小規模とはいえ児童養護施設と同じく集団生活となっています。自立援助ホームを退所した後は、アパートでの一人暮らしとなりますが、自分一人で掃除・洗濯・料理などの家事、家賃・水光熱費の支払いなどの家計管理ができないため、挫折してしまう事例も多いと聞いています。アパートでの一人暮らしへスムーズに移行できるようにするには、自立援助ホームのスタッフの指導のもと、アパートの一室で生活訓練を半年程度行うための「ステップハウス」が有用であると考えますが、政府の見解をお聞きします。 七 大半の自立援助ホームは、利用者である子供たちに真摯に向き合い、丁寧に支援しておられると思います。しかし、過重労働などにより、虐待やハラスメントが生じてしまう可能性は否定できません。自立援助ホームには、児童養護施設と違い監査規定や第三者評価の受審義務はないのでしょうか。また、自立援助ホームにおいて、子供たちがハラスメントや虐待を受けることがないよう、政府としてどのような取り組みを行っているのかお聞きします。  右質問する。
b208007
衆議院議員堤かなめ君提出自立援助ホームに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年二月一日受領 答弁第七号   内閣衆質二〇八第七号   令和四年二月一日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員堤かなめ君提出自立援助ホームに関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「自立援助ホーム」(以下「自立援助ホーム」という。)については、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号。以下「法」という。)第六条の三第一項第一号に規定する「満二十歳未満義務教育終了児童等」等の社会的自立の促進を図る上で重要であると認識している。 二について  自立援助ホームについて、都道府県別に、①令和元年十月一日時点の設置箇所数、②同時点の入居定員の総数、③平成三十年二月一日時点の入居者の総数及び④同時点の入居者のうち厚生労働省が平成二十九年度に実施した児童養護施設入所児童等調査において「児童の心身の状況」に掲げる項目のうちいずれかの項目に該当する者の総数をお示しすると、次のとおりである。  北海道 ①十五箇所 ②九十四人 ③四十五人 ④二十五人  青森県 ①零箇所 ②零人 ③零人 ④零人  岩手県 ①一箇所 ②六人 ③六人 ④二人  宮城県 ①四箇所 ②二十五人 ③十七人 ④四人  秋田県 ①一箇所 ②六人 ③四人 ④四人  山形県 ①一箇所 ②六人 ③一人 ④一人  福島県 ①二箇所 ②十二人 ③三人 ④一人  茨城県 ①五箇所 ②三十一人 ③二十一人 ④四人  栃木県 ①五箇所 ②三十六人 ③二十五人 ④十四人  群馬県 ①一箇所 ②六人 ③五人 ④三人  埼玉県 ①十箇所 ②六十七人 ③四十八人 ④二十八人  千葉県 ①十五箇所 ②九十六人 ③三十六人 ④十四人  東京都 ①二十箇所 ②百三十八人 ③九十九人 ④三十九人  神奈川県 ①十箇所 ②五十八人 ③三十四人 ④十六人  新潟県 ①二箇所 ②十一人 ③三人 ④三人  富山県 ①一箇所 ②六人 ③四人 ④三人  石川県 ①一箇所 ②九人 ③零人 ④零人  福井県 ①零箇所 ②零人 ③零人 ④零人  山梨県 ①二箇所 ②十二人 ③四人 ④零人  長野県 ①二箇所 ②十二人 ③七人 ④五人  岐阜県 ①二箇所 ②十八人 ③十人 ④三人  静岡県 ①四箇所 ②二十四人 ③八人 ④五人  愛知県 ①七箇所 ②四十六人 ③十六人 ④四人  三重県 ①二箇所 ②十五人 ③七人 ④三人  滋賀県 ①二箇所 ②十八人 ③六人 ④二人  京都府 ①四箇所 ②二十四人 ③十二人 ④四人  大阪府 ①九箇所 ②五十人 ③十八人 ④九人  兵庫県 ①五箇所 ②四十三人 ③二十九人 ④十一人  奈良県 ①二箇所 ②十二人 ③五人 ④四人  和歌山県 ①五箇所 ②二十九人 ③八人 ④二人  鳥取県 ①三箇所 ②二十一人 ③十五人 ④十人  島根県 ①一箇所 ②六人 ③三人 ④一人  岡山県 ①五箇所 ②二十九人 ③十七人 ④十五人  広島県 ①四箇所 ②二十三人 ③零人 ④零人  山口県 ①四箇所 ②二十四人 ③九人 ④二人  徳島県 ①一箇所 ②六人 ③一人 ④一人  香川県 ①五箇所 ②三十六人 ③十五人 ④十人  愛媛県 ①四箇所 ②二十四人 ③八人 ④四人  高知県 ①二箇所 ②十一人 ③三人 ④零人  福岡県 ①九箇所 ②五十六人 ③二十八人 ④十二人  佐賀県 ①零箇所 ②零人 ③零人 ④零人  長崎県 ①四箇所 ②二十二人 ③十二人 ④四人  熊本県 ①三箇所 ②十八人 ③一人 ④零人  大分県 ①一箇所 ②六人 ③零人 ④零人  宮崎県 ①二箇所 ②十二人 ③六人 ④五人  鹿児島県 ①三箇所 ②二十一人 ③十一人 ④四人  沖縄県 ①二箇所 ②十三人 ③六人 ④四人  また、お尋ねの「直近の一年間で閉鎖したホーム数及び主な閉鎖理由」については、把握していない。 三について  自立援助ホームの新設、修理、改造等の施設整備については、厚生労働省において、次世代育成支援対策施設整備交付金により、それらに要する経費の一部について補助を行っており、令和三年度予算において、当該補助に要する経費として、約六十四億円を計上している。 四について  御指摘の「自立援助ホームを利用する子供自身あるいは保護者の利用料」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、法第五十六条第二項の規定による徴収金(以下「徴収金」という。)又は児童福祉法施行規則(昭和二十三年厚生省令第十一号。以下「規則」という。)第三十六条の十第一項に規定する入居者に負担させることが適当と認められる費用の額(以下「費用負担金」という。)を意味するのであれば、それらの「平均額」については、政府として把握していない。また、徴収金については、法第五十六条第二項において、「負担能力に応じ、・・・徴収することができる」と規定しており、「児童福祉法による児童入所施設措置費等国庫負担金について」(平成十一年四月三十日付け厚生省発児第八十六号厚生事務次官通知)において、税額等による階層区分ごとに徴収金の基準額を示しているほか、「「児童福祉法による児童入所施設措置費等国庫負担金について」通知の施行について」(平成十一年四月三十日付け児発第四百十六号厚生省児童家庭局長通知)において、「前年に比して収入が減少したり、不時のやむを得ざる支出が必要となる等の事情により、世帯の負担能力に著しい変動が生じ、費用負担が困難であると都道府県知事又は指定都市、中核市若しくは児童相談所設置市市長が認めた場合は、当該年の課税額を推定し、階層区分の変更を行って差し支えない。この場合、階層区分が二階層以上変動しない場合は、変更しないものとする」としている。また、費用負担金については、規則第三十六条の十第二項において、「入居者の経済的負担を勘案した適正な額とするよう配慮しなければならない」と規定しているところであり、「児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)実施要綱」(平成十年四月二十二日付け児発第三百四十四号厚生省児童家庭局長通知別紙。以下「要綱」という。)により、当該規定について都道府県等に周知しているところである。御指摘の「止むを得ない事情」の意味するところが必ずしも明らかではないが、自立援助ホームの入居者が徴収金を納付し、又は費用負担金を支払うことができない場合については、都道府県知事等又は法第六条の三第一項に規定する児童自立生活援助事業(以下「児童自立生活援助事業」という。)を行う者において、徴収金に係る階層区分の変更、費用負担金の調整等の入居者の状況を十分に配慮した対応が行われているものと考えている。 五について  御指摘の「自立援助ホームのスタッフ」の人件費を地方公共団体が独自に補助している事例については、政府として把握していない。また、「国の職員配置基準を手厚くすべき」とのお尋ねについては、児童自立生活援助事業の内容や自立援助ホームの入居定員等を踏まえ、規則第三十六条の八において、自立援助ホームに配置する指導員等の基準を定めており、また、自立援助ホームの職員に要する人件費については、「児童福祉法による児童入所施設措置費等国庫負担金」(以下「国庫負担金」という。)により負担していることから、政府としては、自立援助ホームの運営に当たり適切な配置基準の設定等を行っているものと考えている。 六について  お尋ねについては、政府としては、自立援助ホームに入居している児童等が一人暮らし又は少人数での共同生活を体験することは、当該児童等の円滑な自立を推進する上で有用であると認識しており、令和三年度から、新たに、当該児童等が一人暮らしを体験するための賃貸物件の賃借料等を国庫負担金の対象とするなど、取組を強化しているところである。 七について  御指摘の「監査規定」の意味するところが必ずしも明らかではないが、自立援助ホームについては、法第三十四条の五第一項において、「都道府県知事は、児童の福祉のために必要があると認めるときは、・・・児童自立生活援助事業・・・を行う者に対して、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその事務所若しくは施設に立ち入り、設備、帳簿書類その他の物件を検査させることができる」と規定しており、当該規定に基づき、「児童福祉行政指導監査の実施について(通知)」(平成十二年四月二十五日付け児発第四百七十一号厚生省児童家庭局長通知)等を踏まえ、都道府県知事等による指導監査が行われているところである。また、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第七十八条第一項において、「社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立つて良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならない」と規定していることを踏まえ、自立援助ホームについては、規則第三十六条の二十三において、「児童自立生活援助事業者は、自らその提供する児童自立生活援助の質の評価を行うとともに、定期的に外部の者による評価を受けて、それらの結果を公表し、常にその改善を図るよう努めなければならない」と規定し、第三者評価の受審について努力義務を課している。なお、児童養護施設については、法第二十七条第一項第三号の規定による措置に係る施設であること、児童虐待を受けた児童が増加していること等により、施設運営の質の向上が必要であるため、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和二十三年厚生省令第六十三号)第四十五条の三において、「児童養護施設は、自らその行う法第四十一条に規定する業務の質の評価を行うとともに、定期的に外部の者による評価を受けて、それらの結果を公表し、常にその改善を図らなければならない」と規定し、第三者評価の受審を義務付けているものである。  また、御指摘の「自立援助ホームにおいて、子供たちがハラスメントや虐待を受けること」を防止するため、厚生労働省においては、要綱において、「利用者の権利擁護及び虐待の防止を図るため、・・・措置を講じること」と示し、周知徹底を図っているところである。また、「「児童福祉行政指導監査の実施について」の着眼点について」(平成二十一年六月二十九日付け雇児福発第〇六二九〇〇二号の二厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課長通知)において、都道府県知事等による指導監査の際に確認すべき項目として、「被措置児童等虐待の防止に向けた体制整備状況」や「被措置児童等虐待や不適切な取扱い、権利侵害のおそれのある事案が発生していないか」を示し、自立援助ホームの適正な運営が図られるよう努めているところである。
a208008
北朝鮮による日本人拉致問題の実際の規模に関する質問主意書
令和四年一月二十七日提出 質問第八号 北朝鮮による日本人拉致問題の実際の規模に関する質問主意書  法務省は、刑事政策として効果的な治安対策を考える場合、その前提として、犯罪の発生状況を正確に把握しておくことが必要不可欠として、警察等に認知されていない犯罪の件数(暗数)を含め、どのような犯罪が、実際どのくらい発生しているかという実態を調べる暗数調査を行っている。令和元年版犯罪白書によれば、性的事件の被害申告率は十四・三パーセントで、大多数が警察等に認知されていないことが分かっている。北朝鮮による日本人拉致問題においても、被害者救出のため、犯罪の発生状況を把握しておく必要がある。  北朝鮮による日本人拉致は、多数の被害者が警察等に認知されていないことが、容易に推認できる。たとえば昭和五十五年に原敕晁さんが拉致されたいわゆる辛光洙事件で、犯人の北朝鮮工作員は、発覚を防ぐために身寄りがない日本人男性を狙うよう命令されていた。原さんが対象に選定されると、工作員らは架空の貿易会社の社長や専務、常務の役を演じるなど巧妙な手口で原さんを騙し、宮崎県の海岸まで誘導した。工作員が韓国で逮捕され犯行を自白していなければ、原さんは拉致の可能性を排除できない、いわゆる特定失踪者にもなっていなかった可能性が高い。また、昭和五十三年に曽我ひとみさんと曽我ミヨシさんが拉致されたいわゆる母娘拉致容疑事案は、暴力的に行われたものであり、詐欺による拉致よりも発覚する確率が格段に高いが、北朝鮮側が曽我ひとみさんの拉致を認めるまで、二人は拉致の可能性があると認識されていなかった。これらのことから、いわゆる認定被害者やいわゆる特定失踪者以外にも、多数の拉致被害者がいることは間違いない。  右の点をふまえて、以下質問する。 一 北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律第二条の規定により、内閣総理大臣は北朝鮮当局によって拉致された日本国民として十七名の日本人を認定している。当該十七名が、政府が北朝鮮当局によって拉致された日本国民として認識している全てか。政府の認識を問う。 二 前項において、政府が北朝鮮当局によって拉致された日本国民が前項の十七名に限られないと認識しているのであれば、政府として北朝鮮当局によって拉致された日本国民の総数を何名と認識しているか。 三 北朝鮮による日本人拉致で、警察等に認知されていない件数(暗数)は、どの程度であると考えるか。政府の把握されているところを説明されたい。 四 いわゆる認定被害者以外に、いわゆる特定失踪者や警察等に認知されていない被害者が多数いるとの事実認識を、北朝鮮との交渉や、政府による拉致問題啓発活動の中核に据えるべきと考えるが、見解如何。  右質問する。
b208008
衆議院議員松原仁君提出北朝鮮による日本人拉致問題の実際の規模に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年二月八日受領 答弁第八号   内閣衆質二〇八第八号   令和四年二月八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員松原仁君提出北朝鮮による日本人拉致問題の実際の規模に関する質問に対する答弁書 一から三までについて  北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律(平成十四年法律第百四十三号)第二条第一項第一号の認定がされている拉致被害者(以下「認定拉致被害者」という。)の人数は十七名であるが、政府としては、認定拉致被害者以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者が存在していると認識している。これ以上の詳細については、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えを差し控えたい。 四について  御指摘の「中核に据えるべき」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、認定拉致被害者以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者が存在しているとの認識の下、拉致問題の全面解決に向けて、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くし、拉致に関する真相究明及び拉致実行犯の引渡しを引き続き追求していくとともに、広く拉致問題についての関心と認識を深めるための啓発の取組を引き続き推進していく考えである。
a208009
「検査を行わなくとも臨床症状で新型コロナウイルス感染者と診断してよい」との方針変更に関する質問主意書
令和四年一月二十七日提出 質問第九号 「検査を行わなくとも臨床症状で新型コロナウイルス感染者と診断してよい」との方針変更に関する質問主意書  厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は本年一月二十四日、「新型コロナウイルス感染症の感染急拡大時の外来診療の対応について」との事務連絡(以下「当該事務連絡」という。)を各自治体に向けて発出した。当該事務連絡は、今後感染がさらに継続して急拡大した場合に備え、患者の症状や重症化リスク等に応じて、適切な医療の提供が確保されることを目的として、各自治体(都道府県又は保健所設置市)の判断で行うことを可能とする種々の対応を示したものと理解しているが、当該事務連絡による方針変更(以下「当該方針変更」という。)は、各自治体、医療機関はもとより広く国民に不安と混乱を生じさせかねないと懸念される。  以上を踏まえて当該方針変更に関する岸田内閣の認識を確認すべく、以下質問する。 一 当該事務連絡によって「自治体(都道府県又は保健所設置市)の判断で下記の対応を行うことが可能であることをお示しします。」として示された各々の対応について、これまで可能としていなかった理由は何か。その根拠となる法令の条文の該当箇所を明示するとともに明確に説明されたい。 二 当該事務連絡の発出によって、いかなるメリットおよびデメリットが生じ得るか。現時点で岸田内閣として想定しているものをそれぞれ網羅的かつ具体的に列挙されたい。 三 当該事務連絡の「地域の感染状況に応じて、診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合」では、「発熱等の症状がある場合でも、重症化リスクが低いと考えられる方については、医療機関の受診前に、抗原定性検査キット等で自ら検査(以下「自己検査」という。)して」受診することを呼びかけるとしている。現在、診療・検査医療機関を有症状者が受診した際、医師が必要と認めた場合に行われる新型コロナウイルス感染症に対するPCR検査もしくは迅速抗原検査(以下「PCR等検査」という。)にかかる費用については公費負担とされているところ、当該方針変更によって呼びかけられる自己検査にかかる費用は全額自己負担となるのか、あるいは後日全部もしくは一部還付されるのか、現時点において政府として決定している措置を明らかに示されたい。 四 上記三に関して、自己検査によって陽性であった患者が医療機関を受診した際に、医師の判断で再度のPCR等検査を行った場合、当該検査にかかる費用は公費負担となるのか。加えて当該患者の持参した自己検査の陽性結果のみをもって医師が新型コロナウイルス感染症との確定診断を行いつつ症状に対して投薬を行い、さらに当該患者の希望によってPCR等検査を行った場合は、そのすべてが公費負担となるのか。政府の見解を明らかにされたい。 五 上記三に関して、自己検査によって陰性であった患者が診療・検査医療機関以外の医療機関に治療を求めて受診した場合、その受診を断った医療機関は医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十九条第一項における「正当な事由」なく患者の診療を拒否したことになるのか、岸田内閣の認識を明らかに示されたい。 六 当該方針変更では「同居家族などの感染者の濃厚接触者が有症状となった場合には、医師の判断により検査を行わなくとも、臨床症状で診断すること(以下「当該臨床診断」という。)」も自治体の判断で可能としている。当該事項について以下を問う。  1 当該臨床診断は、同居家族ではない職場や学校等における濃厚接触者に対して同様に行っても問題ないか。  2 当該事務連絡における「濃厚接触者」とは、いかなる者のことを指すのか。改めてその考え方を具体的に示されたい。  3 前記六の2での考え方に基づけば、保健所等によって判断された者以外でも当該事項における濃厚接触者に該当し得るか。  4 前記六の3において「該当し得る」とする場合、自己申告の者であっても濃厚接触者と判断して問題ないか。また、第三者によって申告された者であっても濃厚接触者と判断して問題ないか。  5 前記六の2での考え方に該当しない者であっても、感染者の同居家族であれば濃厚接触者と判断して問題ないか。  6 当該事項の注釈※3では、その有症状の濃厚接触者(以下「有症濃厚接触者」という。)を医師が検査を行わずに診断し届け出る場合について「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)(以下「感染症法」という。)第十二条第一項に基づく医師の届出に当たっては、疑似症患者として届け出ること」としている。医師の判断で診断してよいとの事務連絡に基づき診断したにもかかわらず、当該有症濃厚接触者を「患者(確定例)として届け出ること」としないのはなぜか。その理由を明確に示されたい。加えてこの届出によって当該有症濃厚接触者は自治体が公表する新規感染者数に加えて計上されることになるのか否か、岸田内閣としての認識を明確に示されたい。 七 厚生労働省健康局結核感染症課が令和三年二月十日に発出した「「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の改正について(新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律関係)」に関するQ&Aについて」という事務連絡(以下「当該Q&A」という。)では、新型コロナウイルス感染症の疑似症患者の取扱いについて「新型コロナウイルス感染症の疑似症を呈しており、医師等が新型コロナウイルス感染症にかかっていると疑う場合には、当然「疑似症患者であって、当該感染症にかかっていると足りる正当な理由のあるもの」に該当します。」としている。一方、「感染症法第十五条第四項を新設した趣旨如何。」との問いに対しては、「行政検査を行うに当たって、都道府県知事等は、無症状者を含む患者の迅速な発見のため、感染症の性質、地域の感染状況、感染症が発生している施設・業務等を考慮することを明示したものです。」と回答し、「当該規定の新設に当たっての具体的な考え方」として「感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者」を明確化するとともに、これらの者に対して積極的な行政検査の実施を求めている。すなわち当該方針変更は「当該感染症にかかっていると足りる正当な理由のあるもの」である疑似症患者を診断するに当たって必ずしも検査を行わなくとも問題ないとするものであって、当該Q&Aで示されている感染症法第十五条第四項の新設趣旨と著しく齟齬をきたしていると考えるが、岸田内閣の認識如何。 八 当該臨床診断によって新型コロナウイルス感染症疑似症患者とされた者(以下「当該疑似症患者」という。)に関して、以下を問う。  1 当該疑似症患者と新型コロナウイルス患者(確定例)とは法的にすべて等しく扱われるのか。  2 当該疑似症患者に対して新型コロナウイルス感染症に関する治療が行われた場合、そのかかる医療費は全額公費負担となるのか。  3 前記八の2において、全額公費負担となる場合、当該疑似症患者が呈していた症状が、後日新型コロナウイルス感染症以外の疾患に起因するものであったと判明した際、すなわち当該疑似症患者が新型コロナウイルスに感染していなかった際には、それまでにかかった医療費についてはいかなる措置がとられるのか。 九 令和三年十二月二十四日に厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部及び医薬・生活衛生局総務課より発出された「新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬の医療機関及び薬局への配分について」の別添「「新型コロナウイルス感染症における経口抗ウイルス薬の医療機関及び薬局への配分について」に関する質疑応答集(Q&A)について」の「抗原定量検査陽性例でも、PCR検査を実施せずに、本剤を処方することができるのか。」との問いに対しては「抗原定量検査でSARS-CoV-2感染が確認された場合は、再度PCR検査を行わずとも本剤を処方することが可能です。」との回答が示されている。また当該事務連絡では当該疑似症患者に対して「経口薬など治療薬の投与が必要となる場合等は、医師の判断で検査を行うことが可能であること。」とされている。  これら政府の見解を鑑みた場合、当該疑似症患者に対して経口抗ウイルス薬をはじめとした新型コロナウイルス感染症治療薬を処方・投与する際に、PCR等検査が必須であるのか否かが明らかにされていないことから医療現場をはじめ国民に不安と混乱を生じかねないと懸念される。当該方針変更にともない、当該疑似症患者に経口抗ウイルス薬をはじめとした新型コロナウイルス感染症治療薬を投与する場合、その投与前にPCR等検査を行わなくとも問題ないとするのか。岸田内閣としての認識を明確に示されたい。 十 前記六の6、八の1及び九に関して、当該疑似症患者が後日新型コロナウイルス感染症患者でないことが明らかになった場合、当該疑似症患者が疑似症患者と診断されたことに起因して被った不利益に対して政府はいかなる措置を講じるつもりか。各々について個別具体的に説明されたい。加えて当該疑似症患者が当該臨床診断が誤っていたことによって不利益を被ったことに対する一切の責任は、当該方針変更を行った政府にではなく、当該方針変更に従った各自治体あるいは当該臨床診断を下した医師にすべて帰するとの理解で問題ないか。岸田内閣としての認識を明確に示されたい。 十一 当該臨床診断が可能とされることによって、医療機関に対して当該臨床診断のもと「新型コロナウイルス感染症」との診断名を記した診断書の発行を求める有症濃厚接触者が急増し、医療機関の負担がむしろ増えるのではないかとの懸念が現場の医師から示されているが、そのような事態が生ずることは想定しているか。現時点での岸田内閣の認識を明確に示されたい。 十二 当該方針変更によって外来医療のひっ迫にいかなる効果をもたらし得るのか、科学的に分析あるいは試算したデータ、エビデンスが存在するのであれば、具体的に提示されたい。 十三 当該方針変更は、暫定的なものかあるいは恒久的なものか、明確に示されたい。暫定的なものであるとする場合、PCR等検査の試薬もしくはキットが潤沢に流通した時点で当該方針を見直すことはあり得るのか、明確に示されたい。加えて他に見直すことがあり得る状況がある場合、いかなる状況となった場合に見直すのか、現時点で岸田内閣として想定している状況を具体的に示されたい。また恒久的なものであるとする場合、今後新たな変異株が出現した場合であっても見直すことはないのか、明確に示されたい。  右質問する。
b208009
衆議院議員山本太郎君提出「検査を行わなくとも臨床症状で新型コロナウイルス感染者と診断してよい」との方針変更に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年二月八日受領 答弁第九号   内閣衆質二〇八第九号   令和四年二月八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員山本太郎君提出「検査を行わなくとも臨床症状で新型コロナウイルス感染者と診断してよい」との方針変更に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「当該事務連絡」(以下「令和四年事務連絡」という。)においては、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「感染症法」という。)等に基づく対応について、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、その長。以下「都道府県知事等」という。)の判断で行うことが可能なものを明確化したものであり、御指摘のような「これまで可能としていなかった」ものではない。 二及び十二について  お尋ねの「メリットおよびデメリット」については、「当該事務連絡の発出によって」影響を受ける対象は様々であることから、網羅的かつ具体的にお答えすることは困難であるが、令和四年事務連絡については、令和四年一月十三日に国立感染症研究所が公表した「実地疫学調査により得られた情報に基づいた国内のオミクロン株感染症例に関する暫定的な潜伏期間、家庭内二次感染率、感染経路に関する疫学情報(二千二十二年一月十日現在)」、専門家の議論等を踏まえ、「今後感染がさらに継続して急拡大した場合に備え、患者の症状や重症化リスク等に応じて、適切な医療の提供が確保されるよう」、「地域の感染状況に応じて、診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合」及び「外来医療のひっ迫が想定される場合」において、都道府県知事等の判断で行うことが可能な対応を示したものであり、各都道府県知事等により適切な対応が行われることにより、御指摘の「外来医療のひっ迫」を改善する効果が生じ得ると考えている。また、令和四年事務連絡においては、「本人が希望する場合には検査前でも医療機関への受診は可能であることや、症状が重い場合や急変時等には速やかに医療機関を受診するよう、併せて呼びかけること」等と示しており、必要な検査や医療が受けられるよう配慮している。 三について  お尋ねの「自己検査にかかる費用」については、感染症法第十五条第一項に基づく調査(以下「行政検査」という。)として行われる、都道府県知事等及び都道府県知事等から委託を受けた事業者等が発熱等の症状がある同条第三項の「感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のある者」に対して配布した新型コロナウイルス感染症に係る検査キットの使用により当該者が自ら行う検査の場合は、感染症法第五十八条第一号及び第六十一条第三項の規定により都道府県及び国が負担することとなるが、行政検査の場合以外で自ら検査した場合は、当該検査に係る事情が様々であると考えられることから、負担を行う者について一概にお答えすることは困難である。なお、御指摘の「後日全部もしくは一部還付」することは、現時点では考えていない。 四について  前段のお尋ねについては、「新型コロナウイルス感染症に係る行政検査の取扱いについて」(令和二年三月四日付け健感発〇三〇四第五号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)において示しているとおり、医療機関において医師の判断により診療の一環として行われる新型コロナウイルス感染症に係る検査は行政検査として扱うこととしており、御指摘の「当該検査」は行政検査に当たることから、その費用は、感染症法第五十八条第一号及び第六十一条第三項の規定により都道府県及び国が負担することとなる。後段のお尋ねについては、当該医師が行った診断等の内容に応じて個別具体的に判断する必要があるため、一概にお答えすることは困難である。 五について  医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第十九条第一項の規定による診療に応ずる義務の有無を判断するに当たっては、同項にいう正当な事由の有無を個々の事例に即して具体的に検討することが必要であるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。 六の1及び2について  お尋ねについては、令和四年事務連絡の別添「本事務連絡に関するQ&A」の「Q五.一.③の「同居家族などの感染者の濃厚接触者」とはどのような濃厚接触者か」において、「感染している可能性が非常に高い濃厚接触者として、家族等の同居人が感染者となった場合やクラスターが発生した施設の従業員で明らかな曝露歴がある場合などを想定しています。なお、あくまでも医師の裁量として検査を実施しなくても十分に新型コロナウイルス感染症の疑似症患者であって当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のあるものと言える場合を想定しています」と示しているとおりである。 六の3から5までについて  御指摘の「濃厚接触者」については、都道府県知事等が、令和四年事務連絡の別添「本事務連絡に関するQ&A」の「Q五.一.③の「同居家族などの感染者の濃厚接触者」とはどのような濃厚接触者か」、国立感染症研究所が作成した「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領(令和三年十一月二十九日版)」、「B.一.一.五二九系統(オミクロン株)の感染が確認された患者等に係る入退院及び濃厚接触者並びに公表等の取扱いについて」(令和三年十一月三十日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)のⅠの二の③等において示されている取扱いを踏まえ、個別具体的な状況に応じて判断することとなるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。 六の6について  前段のお尋ねについては、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第十二条第一項及び第十四条第二項に基づく届出の基準等について(一部改正)」(令和三年二月十日付け健感発〇二一〇第五号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)の別紙「医師及び指定届出機関の管理者が都道府県知事に届け出る基準」の第七の一の(三)において、「患者(確定例)」の届出基準については、「(二)の臨床的特徴を有する者について、(四)に該当すること等から新型コロナウイルス感染症が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、当該者を新型コロナウイルス感染症と診断した場合」としているところ、令和四年事務連絡の一の③により診断された者は、医師の判断により検査を行わず、臨床症状で診断しているため、当該「患者(確定例)」に該当しないことから、「患者(確定例)」として届け出ることとしていないものである。後段のお尋ねについては、令和四年事務連絡の別添「本事務連絡に関するQ&A」の「Q九.一.③の疑似症患者は、自治体が公表している新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数に含めるのか」において、「一.③の疑似症患者は、自治体の公表において、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者数に含めていただくようお願いします。その際、新規陽性者数の内数として、一.③の疑似症患者の数を明示する形で公表するようにご留意ください」と示しているとおりである。 七について  感染症法第十五条第四項については、「感染症の患者を迅速に発見することにより、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため」と規定し、御指摘の「当該Q&A」においても、「例えば、新型コロナウイルス感染症については、無症状でも感染させるリスクがあること等のその特性に鑑み、現に感染が発生した施設等に限らず、特に医療機関、高齢者施設等を中心に、地域の関係者を幅広く対象に、検査を実施することが重要です」等と示すなど、地域における感染拡大の防止や早期発見を目的として幅広く検査を行うことが想定されている一方、令和四年事務連絡は、「今後感染がさらに継続して急拡大した場合」においても「適切な医療の提供が確保されるよう」、新型コロナウイルス感染症の患者を診断するに当たっての取扱いとして、「医師の判断により検査を行わなくとも、臨床症状で診断すること」を可能とすることを示したものである。したがって、同項と令和四年事務連絡とでは、趣旨・目的、想定する状況や措置の内容等が異なることから、御指摘のような「齟齬」が生じるものであるとは考えていない。 八の1について  お尋ねの「法的にすべて等しく扱われるのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、感染症法第八条第二項において、「新型インフルエンザ等感染症の疑似症患者であって当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のあるものについては、新型インフルエンザ等感染症の患者とみなして、この法律の規定を適用する」と規定しているところ、御指摘の「当該疑似症患者」については、令和四年事務連絡において、「感染者の濃厚接触者が有症状となった場合」において医師により臨床症状で診断されているため、同項の「新型インフルエンザ等感染症の疑似症患者であって当該感染症にかかっていると疑うに足りる正当な理由のあるもの」(以下「新型コロナ疑似症患者」という。)に該当するものである。 八の2及び3について  御指摘の「新型コロナウイルス感染症に関する治療」の意味するところが必ずしも明らかではないが、感染症法第八条第二項の規定により新型インフルエンザ等感染症の患者とみなして適用する感染症法第二十六条第二項の規定において準用する感染症法第十九条又は第二十条の規定により入院の勧告又は入院の措置が講じられている新型コロナ疑似症患者の入院に要する費用については、感染症法第三十七条及び第四十二条並びに第五十八条第十号及び第十二号並びに第六十一条第二項の規定により都道府県及び国が負担することとなり、また、当該入院以外の新型コロナ疑似症患者に対する医療のうち、「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養及び自宅療養における公費負担医療の提供について」(令和二年四月三十日付け健感発〇四三〇第三号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)の「二.補助事業の対象となる医療」に要する費用については、「都道府県が医療機関等に対して・・・保険給付後のなお残る自己負担額を補助した場合、その費用を新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の対象として補助する」こととしているところである。これらの取扱いについては、お尋ねの「それまでにかかった医療費」についても同様である。 九について  お尋ねについては、令和四年事務連絡の別添「本事務連絡に関するQ&A」における「Q六.一.③の「同居家族などの感染者の濃厚接触者」について、経口薬など治療薬を投与する場合などにおいても検査を実施しなくてよいのか」において、「経口薬など治療薬を投与する場合や他疾患の可能性も相応に高く鑑別が必要な場合などにおいて、診断を確定する(※)ために検査を実施することは当然に必要となります」と示しているとおりである。 十について  お尋ねについては、御指摘の「不利益」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。 十一について  御指摘の「当該臨床診断が可能とされることによって・・・医療機関の負担がむしろ増える」事態については、現時点では想定していない。 十三について  令和四年事務連絡は、現在の感染状況等を踏まえ、「地域の感染状況に応じて、診療・検査医療機関への受診に一定の時間を要する状況となっている等の場合」及び「外来医療のひっ迫が想定される場合」において都道府県知事等の判断で行うことが可能な対応を示したものであるが、その見直しの必要性については、今後の感染状況、医療機関の状況、専門家の意見等を踏まえ総合的に判断する必要があると考えており、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。
a208010
水田活用の直接支払交付金に関する質問主意書
令和四年二月一日提出 質問第一〇号 水田活用の直接支払交付金に関する質問主意書  令和四年度当初予算における「水田活用の直接支払交付金」に関し、農林水産省資料において「輸出等の新市場開拓に向けた低コスト生産の取組(略)を支援」との記述がある。この表現そのものがWTO農業協定第九条1における輸出補助金に該当するのではないか。政府の見解を求める。  右質問する。
b208010
衆議院議員緒方林太郎君提出水田活用の直接支払交付金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年二月十日受領 答弁第一〇号   内閣衆質二〇八第一〇号   令和四年二月十日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員緒方林太郎君提出水田活用の直接支払交付金に関する質問に対する答弁書  御指摘の水田活用の直接支払交付金は、輸出であるか否かを問わず新市場開拓に向けた米の低コスト生産の取組等を支援するものであり、御指摘の「「輸出等の新市場開拓に向けた低コスト生産の取組(略)を支援」との記述」は、その旨を説明したものである。いずれにせよ、同交付金は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定(平成六年条約第十五号)附属書一Aの農業に関する協定第九条1に掲げる輸出補助金に該当しない。
a208011
ヒトラーに例えて政治家等を論評する行為などの法的評価に関する質問主意書
令和四年二月三日提出 質問第一一号 ヒトラーに例えて政治家等を論評する行為などの法的評価に関する質問主意書  ヒトラーに例えて政治家等を論評する行為などについて、「国際法上あり得ない」「国際的にはご法度」、さらには「ヘイトスピーチに厳しいフランスやドイツの法規制ではヘイトスピーチに該当する可能性がある」などとする見解が、政治家、学者、有名なコメンテーターなどによりマスコミ等を通じて流布されている。正しい国際法、国内法規制等の認識を確認するために、以下の発言を例に政府の見解を問う。 1 二○一二年三月十八日、谷垣禎一自由民主党総裁(当時)は、橋下徹氏が率いる「大阪維新の会」の国政進出に期待が高まる政治状況について、講演で「政党政治が駄目だということで昭和十年代に日本で軍部が出てきた。ヒトラー、ムソリーニが出てきた時もそういう雰囲気だったのだろう。」と発言した(以下「谷垣発言」という。)。 2 また、二○一三年七月二十九日、麻生太郎副総理(当時)は、憲法改正議論について、「(ヒトラーの)あの手口を学んだらどうかね。」と発言した(以下「麻生発言」という。)。 3 さらに、二○一五年十一月二十四日、自民党の西田昌司参議院議員は、自身のインターネット動画で、一般の方からの「ここ最近、橋下徹がヒトラーに見えてきました。私は眼科診断に行くべきでしょうか」との質問に対し、「普通そう見えるんですけどね。見えるというか、おそらくですね、橋下さんはヒトラーの研究をされてるんじゃないですかね。ヒトラーが世の中を、ドイツを制してきたのはまさに大衆から支持されてですね、熱狂の中で選ばれてきてるんですよね。この熱狂がヒトラーを生み出すんですよね。だから、橋下さんのやり方、熱狂させる、そのためにはありとあらゆることでメディアを使い、やってるってことで、ヒトラー戦略そのものをやっておられんじゃないか、ということで。ですから、正しく見えておられんじゃないでしょうか。」と発言した(以下「西田発言」という。)。  これらの、谷垣発言、麻生発言、西田発言のそれぞれについて、法的な観点からどう捉えるべきか、以下質問する。 一 谷垣発言、麻生発言、西田発言それぞれは、日本政府の見解として、国際法に反するまたは抵触すると認識するか。反するまたは抵触すると認識する場合は、具体的な国際法の法条とともにご回答されたい。 二 谷垣発言、麻生発言、西田発言のそれぞれは、外国で行われた場合、日本政府の見解として、当該国の法律で犯罪に該当すると認識するか。該当すると認識する場合は、具体的な国名、法条とともに回答されたい。特に、「公共の平穏を乱す形で、民族的・人種的・宗教的な集団を罵倒・中傷し、人間の尊厳を傷つけ、憎悪を煽り、暴力を誘発するような行為」「ナチ支配下で行われた行為を是認し、否定し、歪曲化する行為」「集会等でナチ支配を賛美・正当化し公共の平穏を乱す行為」などを禁止したドイツの「刑法百三十条」、「人種等を理由とする名誉棄損及び侮辱、人種等を理由とする差別・暴力行為・憎悪の扇動」などを禁止したフランスの「出版自由法」に該当すると認識するか。政府の把握するところを答えられたい。 三 谷垣発言、麻生発言、西田発言のそれぞれは、日本の国内法に反するまたは抵触するか。抵触すると認識する場合は、具体的な法条とともにご回答されたい。  右質問する。
b208011
衆議院議員米山隆一君提出ヒトラーに例えて政治家等を論評する行為などの法的評価に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年二月十五日受領 答弁第一一号   内閣衆質二〇八第一一号   令和四年二月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員米山隆一君提出ヒトラーに例えて政治家等を論評する行為などの法的評価に関する質問に対する答弁書 一及び三について  御指摘の各発言が御指摘の「国際法」又は「日本の国内法」に違反するか又は抵触するか否かについては、具体的な状況等に即して判断されるべき事柄であり、お尋ねについてお答えすることは困難である。 二について  お尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたい。
a208012
国務大臣の定数に関する質問主意書
令和四年二月十日提出 質問第一二号 国務大臣の定数に関する質問主意書  内閣を構成する内閣総理大臣以外の国務大臣の定数は内閣法により規定されているが、復興庁、国際博覧会推進本部及び東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部が置かれている間は二十人以内とすることができるとなっている。  東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部の設置期限は、令和四年三月三十一日までとなっているため、四月以降、閣僚を減らす必要があるが、いつまでに、どのような手続きを経て行うこととなるか。政府の見解を明らかにされたい。  右質問する。
b208012
衆議院議員大西健介君提出国務大臣の定数に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年二月二十二日受領 答弁第一二号   内閣衆質二〇八第一二号   令和四年二月二十二日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員大西健介君提出国務大臣の定数に関する質問に対する答弁書  お尋ねの「手続き」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「内閣総理大臣以外の国務大臣の定数」については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)等の規定に従って令和四年三月三十一日までに適切に対応するための検討を行っているところであり、これ以上の詳細については、現時点において、お答えすることは困難である。
a208013
ミャンマー国軍関係者の受け入れに関する質問主意書
令和四年二月十日提出 質問第一三号 ミャンマー国軍関係者の受け入れに関する質問主意書  防衛省は自衛隊法に基づき、ミャンマー国軍関係者を留学生として防衛研究所や自衛隊の幹部学校などで受け入れている。途上国に関しては、授業料が免除される他、幹部には月十四万四千円、幹部候補生には月八万三千円の給付金が支給されるが、これらに関し、以下について政府の見解を明らかにされたい。 一 本事業を通じて築かれた人的ネットワークは、どのような形で活かされているのか。 二 政府は、昨年二月の国軍によるクーデターを「強く非難する」談話を発表しているが、クーデター後も留学生の受け入れを続けることは、この政府の立場と矛盾するのではないか。 三 国際社会が国軍による人権侵害に厳しい目を注ぐ中、留学生の受け入れを続けることは国益に反するものであり、受け入れを一旦、停止すべきではないか。 四 類似のプログラムを有している他の国の政府がどのような対応をしているか確認し、その内容について政府として把握しているところを明らかにされたい。  右質問する。
b208013
衆議院議員大西健介君提出ミャンマー国軍関係者の受け入れに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年二月二十二日受領 答弁第一三号   内閣衆質二〇八第一三号   令和四年二月二十二日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員大西健介君提出ミャンマー国軍関係者の受け入れに関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「本事業を通じて築かれた人的ネットワーク」の意味するところが必ずしも明らかではないが、防衛省・自衛隊において他国からの留学生を受け入れることは、防衛省・自衛隊の関係者と当該留学生との間で人的関係が構築されるとともに、我が国と当該留学生の派遣国との間の相互理解及び信頼関係を増進する意義があると考えている。 二及び三について  御指摘の「政府は、昨年二月の国軍によるクーデターを「強く非難する」談話を発表している」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、ミャンマー連邦共和国(以下「ミャンマー」という。)の情勢に関し、国際社会からの度重なる呼び掛けにもかかわらず、暴力によって多くの死者が発生している状況を強く非難している。  その上で、防衛省・自衛隊において他国からの留学生を受け入れることは、一についてで述べた意義があると考えている。また、当該留学生に対して、民主主義国家である我が国における、厳格な文民統制の下で運用される実力組織の在り方を示す効果もあると考えている。  このような考え方に基づき、防衛省・自衛隊においてミャンマーからの留学生を受け入れることは、先に述べた政府の立場と矛盾するものではないと考えている。いずれにせよ、防衛省・自衛隊におけるミャンマーからの留学生の受入れについては、一についてで述べた意義等を踏まえ、適切に対応してまいりたい。 四について  お尋ねの「類似のプログラムを有している」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、二で御指摘の「昨年二月の国軍によるクーデター」を受けて他国の政府が行った対応については、政府としてお答えする立場にない。
a208014
コロナ禍における旅費に関する質問主意書
令和四年二月十日提出 質問第一四号 コロナ禍における旅費に関する質問主意書  新型コロナウイルス感染症の拡大から二年がたち、官民問わずリモートによる会議が普及しており、遠方への出張をともなう会議は激減している。民間企業においては大幅に削減された旅費を、在宅勤務や二拠点生活など、ウェルビーイングにつながる新しい働き方への支援に活用している。国においても、不要となった旅費は大胆に削減し、新しい働き方への支援など有意義に活用するべきである。 一 令和元年度から四年度までそれぞれ、一般会計当初予算における旅費(予算書の目的分類において08のコードを付与されている費目)の総額および省庁別の金額はいくらか。 二 コロナ禍を受けて不要となった旅費は、これまでどのように取り扱っているか。 三 旅費について、ニューノーマルに合わせて削減していくのか、いずれコロナ前の水準に出張需要が戻るとの立場で現状維持をしていくのか、政府の考えはどちらか。  右質問する。
b208014
衆議院議員山岸一生君提出コロナ禍における旅費に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年二月二十二日受領 答弁第一四号   内閣衆質二〇八第一四号   令和四年二月二十二日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員山岸一生君提出コロナ禍における旅費に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの旅費(予算書の目別分類において〇八のコードを付与されている費目)については、令和元年度当初予算において、総額は千九十九億円、国会所管は九十五億円、裁判所所管は四十五億円、会計検査院所管は五億円、内閣所管は十三億円、内閣府所管は二百二十八億円、総務省所管は十五億円、法務省所管は六十五億円、外務省所管は百六億円、財務省所管は百七億円、文部科学省所管は四十四億円、厚生労働省所管は二十六億円、農林水産省所管は五十五億円、経済産業省所管は二十九億円、国土交通省所管は百十八億円、環境省所管は九億円及び防衛省所管は百三十八億円であり、令和二年度当初予算において、総額は千百億円、国会所管は九十四億円、裁判所所管は四十四億円、会計検査院所管は五億円、内閣所管は十三億円、内閣府所管は二百三十億円、総務省所管は十五億円、法務省所管は六十六億円、外務省所管は百二億円、財務省所管は百九億円、文部科学省所管は四十三億円、厚生労働省所管は二十六億円、農林水産省所管は五十五億円、経済産業省所管は二十九億円、国土交通省所管は百二十億円、環境省所管は十億円及び防衛省所管は百三十九億円であり、令和三年度当初予算において、総額は千八十五億円、国会所管は九十五億円、裁判所所管は四十五億円、会計検査院所管は五億円、内閣所管は十三億円、内閣府所管は二百二十二億円、デジタル庁所管は一億円、総務省所管は十五億円、法務省所管は六十七億円、外務省所管は九十八億円、財務省所管は百三億円、文部科学省所管は四十三億円、厚生労働省所管は二十八億円、農林水産省所管は五十三億円、経済産業省所管は二十九億円、国土交通省所管は百二十億円、環境省所管は九億円及び防衛省所管は百四十億円であり、令和四年度予算において、総額は九百八十七億円、国会所管は九十五億円、裁判所所管は四十二億円、会計検査院所管は五億円、内閣所管は十三億円、内閣府所管は百四十三億円、デジタル庁所管は二億円、総務省所管は十四億円、法務省所管は六十五億円、外務省所管は九十五億円、財務省所管は百億円、文部科学省所管は四十三億円、厚生労働省所管は二十七億円、農林水産省所管は五十二億円、経済産業省所管は二十八億円、国土交通省所管は百十五億円、環境省所管は九億円及び防衛省所管は百三十九億円である。 二について  御指摘の「コロナ禍を受けて不要となった旅費」については、新型コロナウイルス感染症の影響で不要となった旅費を網羅的に特定することはできないため、お尋ねの「どのように取り扱っているか」についてお答えすることは困難である。 三について  旅費については、各年度において各省各庁の事務及び事業に応じて必要と見込まれる額を予算計上するものであり、お尋ねについてお答えすることは困難である。
a208015
学級崩壊の早期対応に関する質問主意書
令和四年二月二十一日提出 質問第一五号 学級崩壊の早期対応に関する質問主意書  文部科学省による児童生徒の問題行動等に関する調査結果を見ると、いじめ、暴力行為は近年増加傾向にある。小一プロブレム、中一ギャップなどの言葉に代表されるように、小中学校の義務教育において教員の指示、指導に従わず授業が成立しなくなる、学級崩壊状態の増加が懸念される。  文部科学省は、こうした学級崩壊状態について「子どもたちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず、授業が成立しない学級の状態が一定以上継続し、学級担任による通常の手法では問題解決ができない状態に至っている場合(学級がうまく機能しない状態)」と説明しているが、勝手な行動の程度や、一定以上とした期間についての記述はない。そのため学校現場においては、どの段階において学級崩壊と認定するか判断がつかない状況に陥っている。学級担任が、学年が終わるまでそのまま放置してしまったり、学級担任が辛い状況に置かれていても学校長が自力解決を求めてしまうと、根本的な解決に着手することなくやり過ごすことになる。  結果として、勝手な行動をする児童生徒は指導による改善がなされず、また他の多くの児童生徒が必要な授業を受けることができないなど、将来にわたって影響を残すおそれがある。また学級担任においても学級運営に対する負担が増加し、メンタルヘルスを害してしまい、休職に追い込まれることも懸念される。  自治体の教育委員会や文部科学省が、学級崩壊に、早期にそして適切に介入することにより、こうした問題を改善できる可能性があると考え、以下の質問をする。 一 学級崩壊について、定量的な定義や基準はあるか。 二 一について、程度や期間などについて定量的な視点を盛り込んだ定義を設け、段階や種類に応じた名称や分類の枠組みを作ることについて、政府の見解はどうか。 三 学級崩壊の状況や段階に応じて、どのような対応を取るべきかという指針を策定し、これを踏まえた指導を学級や学校から児童生徒そして保護者に対して実施するよう、対処方針を策定することについて政府の見解はどうか。 四 学級担任及び学校長に、定義に当てはまる状況が確認できた場合、教育委員会へ報告する義務を課すことについて、政府の見解はどうか。 五 教育委員会は、報告を受けた学級崩壊に対して適切な助言と支援を行うとともに、統計的なデータの蓄積を行って、学級崩壊への対処法をブラッシュアップさせていく必要があると考えるが、政府の見解はどうか。 六 文部科学省はこうしたデータを基に、学級崩壊に対する現場の状況を把握し、より専門的な見地から対処方針をブラッシュアップする必要があると考えるがどうか。  右質問する。
b208015
衆議院議員井坂信彦君提出学級崩壊の早期対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月四日受領 答弁第一五号   内閣衆質二〇八第一五号   令和四年三月四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員井坂信彦君提出学級崩壊の早期対応に関する質問に対する答弁書 一及び二について  御指摘のいわゆる「学級崩壊」については、国立教育研究所(当時)内外の研究者や学校現場の関係者等で構成された「学級経営研究会」が平成十二年三月に公表した「学級経営をめぐる問題の現状とその対応-関係者間の信頼と連携による魅力ある学級づくり-」(以下「報告書」という。)において、「学級がうまく機能しない状況」とされており、これは、「子どもたちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず、授業が成立しないなど、集団教育という学校の機能が成立しない学級の状態が一定期間継続し、学級担任による通常の手法では問題解決ができない状態に立ち至っている場合」を指すものとされているところ、その状況は様々であり、お尋ねの「程度や期間などについて定量的な視点を盛り込んだ定義」や「段階や種類に応じた名称や分類の枠組み」を設けることは困難であることから、これを行うことは考えていない。 三から六までについて  一及び二についてで述べたとおり、御指摘の「程度や期間などについて定量的な視点を盛り込んだ定義」や「段階や種類に応じた名称や分類の枠組み」を設けることは困難であり、また、「学級がうまく機能しない状況」については、報告書において、「複合的な要因が積み重なって起こる。また、問題解決のための特効薬はなく、複合している諸要因に一つ一つ丁寧に対処していかなければならない」とされていることから、文部科学省としては、各学校や教育委員会等に対してスクールカウンセラー等を活用した教育相談体制の充実等の必要な支援を行っているところであり、お尋ねのような指針や対処方針の策定等を行うことは考えていない。
a208016
中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する質問主意書
令和四年二月二十一日提出 質問第一六号 中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する質問主意書  昨今議論が活発になっている中央銀行デジタル通貨(以下、CBDC)は、経済や社会を根本から変革する可能性を有している。外国政府発行のCBDCが我が国でも利用されるようになれば、日本国民・企業のお金のやり取りは当該政府に筒抜けになる危険性もある。実際、中国は二〇一九年末より、対象地域を順次拡大しながら、パイロット実験を実施しており、昨年末現在で、ウォレットアプリの個人ユーザ数は二億六千百万に達するとされる。また、欧州中央銀行(ECB)は、昨年七月十四日にデジタルユーロ・プロジェクトの「調査フェーズ」を立ち上げ、二年をかけて様々なステークホルダーを巻き込んでの検証を行うと発表しており、ファビオ・パネッタ(Fabio Panetta)ECB理事は調査フェーズ終了の三年後を目途にデジタルユーロの導入を目指すという見解を示している。  我が国においては、昨年四月から日本銀行がCBDCに関する概念実証フェーズ一を開始したものの、日本銀行としては、「現時点でCBDCを発行する計画はない」という姿勢を崩しておらず、中国やEUの後塵を拝している感は否めないところ、次の事項について質問する。 一 CBDCの導入について  1 今年度の骨太の方針「経済財政運営と改革の基本方針」において、「CBDCについて、政府・日銀は、二〇二二年度中までに行う概念実証の結果を踏まえ、制度設計の大枠を整理し、パイロット実験や発行の実現可能性・法制面の検討を進める」としている。中国やEUをはじめとする各国がCBDC導入への動きを見せる現在、日本政府としてもCBDC導入への道筋を明確につけるべきではないのか。本年一月二十八日、日本銀行の黒田総裁は、衆議院予算委員会において、「CBDCの発行可能性を二〇二六年までに判断できるか」という質問に対し、「個人的にはそう思う」と述べた。政府としてはCBDCの導入要否をいつまでに判断するのか。  2 日本銀行は、本年四月から概念フェーズ二を実施予定としているが、同フェーズの実施期間は未定とされている。その後パイロット実験を行うかについては、「概念実証を経て、さらに必要と判断されれば、民間事業者や消費者が実地に参加する形でのパイロット実験を行うことも検討していく」としているにとどまる。CBDCのパイロット実験をいつからどのような形で行うか、日本政府は議論を主導していくべきだと考えるが、政府の見解如何。 二 現在、我が国では交通系や流通系のICカード、QRコード決済サービスなど電子マネーが多数存在し、それらの互換性がないことが課題とされている。日本銀行が二〇二一年十月十五日付資料「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み」で述べているように、中央銀行と民間部門による決済システムの二層構造を前提にするのであれば、第二層を担う電子マネーの標準化や統合を進めるべきだと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
b208016
衆議院議員井坂信彦君提出中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月四日受領 答弁第一六号   内閣衆質二〇八第一六号   令和四年三月四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員井坂信彦君提出中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する質問に対する答弁書 一の1について  中央銀行デジタル通貨(以下「CBDC」という。)については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二一」(令和三年六月十八日閣議決定)において、「国際的な動向にも十分留意しつつ」、「政府・日銀は、二千二十二年度中までに行う概念実証の結果を踏まえ、制度設計の大枠を整理し、パイロット実験や発行の実現可能性・法制面の検討を進める」こととしており、今後、日本銀行における「概念実証」等による技術的実現可能性の検証に加えて、法制面の検討が必要であるため、お尋ねについて現時点でお答えすることは困難である。 一の2について  御指摘の「CBDCのパイロット実験」については、令和二年十月九日に日本銀行が公表した「中央銀行デジタル通貨に関する日本銀行の取り組み方針」(以下単に「方針」という。)において、「概念実証を経て、さらに必要と判断されれば、・・・民間事業者や消費者が実地に参加する形でのパイロット実験を行うことも視野に入れて検討していく」とされ、日本銀行において適切に判断されるものと承知しており、政府としても、日本銀行と適切に連携してまいりたい。 二について  CBDCについては、方針において、「CBDCを運営するシステムについては、民間決済システムなどとの相互運用性を確保していること・・・が重要である」とされ、また、イノベーションの促進等を考慮しつつ、中央銀行と民間事業者の協調・役割分担の在り方をしっかりと検討していく必要があるとされており、政府としても、このような観点に留意しながら、検討を進めることが重要であると考えている。
a208017
介護保険制度における「ケアプランの公正中立性」に関する質問主意書
令和四年二月二十一日提出 質問第一七号 介護保険制度における「ケアプランの公正中立性」に関する質問主意書 一 居宅介護支援事業所が作成するケアプランは、特定の事業者に不当に偏ることがないよう「公正中立」が求められる。そのために導入された特定事業所集中減算制度は特定の事業者によって提供されるサービスの割合が八十%を超えて集中している場合、「公正中立」を阻害するものとして、居宅介護支援事業所の基本報酬が二百単位減額される仕組みである。  しかし、質の高いサービスを提供している事業者や、供給量の少ないサービスを提供している事業者に利用者が集中することは当然であり、一律に「集中減算」することは地域の実態や利用者のニーズを無視した机上の論議と言わざるを得ない。この点について政府の認識を問う。 二 二〇一六年に会計検査院が、この減算について「合理的で有効な施策ではない」、「むしろ一部で集中割合の調整を行うなどの弊害を生じさせる要因となっている」と指摘し、見直しを求めた。この指摘に政府はどのような措置を講じたのか。 三 訪問看護などの医療系サービスでは医師の指示があり、ケアマネジャーの裁量がききにくいという実情がある。「医療・介護連携の推進」が謳われる中で、介護保険サービス受給者の生活実態やニーズにあわせたケアマネジメントよりも、医師の判断が優先される事態が生じるケースについて、政府としてどのように認識しているのか。 四 二〇一六年四月二十二日開催の社会保障審議会・介護保険部会では、出席委員から「中立性・公正性のベースには『ケアマネジャーの独立性』の担保が必要で、報酬の引き上げ」を考慮すべきとの提案があった。  ケアマネジャーに公正中立を求めるのであれば、併設型ではなく、居宅介護支援事業そのものを独立させるべきであると考えるが、政府の見解を問う。 五 政府は介護保険制度スタート時から居宅介護支援事業所の併設型を認め、居宅介護支援事業の介護報酬を低く設定してきた経緯がある。  介護関連事業者の経営実態に関しては、過去二十年間、居宅介護支援事業所の収支のみ赤字で推移していることを踏まえ、居宅介護支援事業の安定的な運営の必要性について、政府の認識を示されたい。 六 併設型事業所においては、訪問介護事業等、他の居宅サービス事業の収入を居宅介護支援事業に回し、赤字補てんせざるを得ない経営実態があると聞く。  そうした経営者において、ケアプランを自社サービスに誘導するのは当然という考え方が横行しているとすれば、そもそも居宅介護支援事業所に併設型を認めた制度の欠陥であり、制度設計に瑕疵があるのではないか。政府の認識を問う。  右質問する。
b208017
衆議院議員阿部知子君提出介護保険制度における「ケアプランの公正中立性」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月四日受領 答弁第一七号   内閣衆質二〇八第一七号   令和四年三月四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員阿部知子君提出介護保険制度における「ケアプランの公正中立性」に関する質問に対する答弁書 一について  居宅介護支援費における特定事業所集中減算については、厚生労働大臣が定める基準(平成二十七年厚生労働省告示第九十五号)第八十三号において、その基準について、「正当な理由なく、指定居宅介護支援事業所において前六月間に作成した居宅サービス計画に位置付けられた指定訪問介護、指定通所介護、指定福祉用具貸与(指定居宅サービス等基準第百九十三条に規定する指定福祉用具貸与をいう。)又は指定地域密着型通所介護(以下この号において「訪問介護サービス等」という。)の提供総数のうち、同一の訪問介護サービス等に係る事業者によって提供されたものの占める割合が百分の八十を超えていること」と規定しているところ、「正当な理由」については、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について」(平成十二年三月一日付け老企第三十六号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)において、「サービスの質が高いことによる利用者の希望を勘案した場合などにより特定の事業者に集中していると認められる場合」や「居宅介護支援事業者の通常の事業の実施地域に訪問介護サービス等が各サービスごとでみた場合に五事業所未満である場合などサービス事業所が少数である場合」等を例示した上で、「実際の判断に当たっては、地域的な事情等も含め諸般の事情を総合的に勘案し正当な理由に該当するかどうかを市町村長において適正に判断」することとしているところであり、「一律に「集中減算」することは地域の実態や利用者のニーズを無視した机上の論議」との御指摘は当たらない。 二について  御指摘の平成二十八年三月二十五日に会計検査院が参議院に報告した「介護保険制度の実施状況に関する会計検査の結果について」において、「ケアマネジメントの公正・中立を確保するための合理的で有効な施策の在り方等について、特定事業所集中減算の見直しも含め、十分に検討すること」と指摘されたことを踏まえ、平成三十年度介護報酬改定において、居宅介護支援費における特定事業所集中減算について、主治の医師等の指示により利用するサービスが決まる医療サービス等を対象から除外する見直しを行うとともに、指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十八号。以下「基準省令」という。)を改正し、指定居宅介護支援事業者(介護保険法(平成九年法律第百二十三号。以下「法」という。)第四十六条第一項に規定する指定居宅介護支援事業者をいう。以下同じ。)に対し、利用者は複数の指定居宅サービス事業者(法第四十一条第一項に規定する指定居宅サービス事業者をいう。以下同じ。)等を紹介するよう求めることができること等を説明することを義務付け、さらに、令和三年度介護報酬改定においては、基準省令を改正し、指定居宅介護支援事業者に対し、前六月間に作成した居宅サービス計画における訪問介護等ごとの回数のうちに同一の指定居宅サービス事業者等によって提供されたものの回数が占める割合等について、利用者に説明を行うとともに、介護サービス情報の公表制度において公表することを義務付ける取組を行ったところである。 三について  お尋ねの「介護保険サービス受給者の生活実態やニーズにあわせたケアマネジメントよりも、医師の判断が優先される事態が生じるケース」の意味するところが必ずしも明らかではないが、介護支援専門員については、基準省令第十三条第八号において、「居宅サービス計画の原案を作成しなければならない」と規定しているところ、同条第十九号から第二十号までにおいて、介護支援専門員が居宅サービス計画に訪問看護、通所リハビリテーション等の医療サービスを位置付けようとする場合の取扱いを規定し、例えば同号においては、「介護支援専門員は、居宅サービス計画に訪問看護、通所リハビリテーション等の医療サービスを位置付ける場合にあっては、当該医療サービスに係る主治の医師等の指示がある場合に限りこれを行うものとし、医療サービス以外の指定居宅サービス等を位置付ける場合にあっては、当該指定居宅サービス等に係る主治の医師等の医学的観点からの留意事項が示されているときは、当該留意点を尊重してこれを行うものとする」と規定しているところであり、また、指定居宅サービス等については、同条第十号において「利用者の同意を得なければならない」と規定しているところであり、お尋ねの「介護保険サービス受給者の生活実態やニーズにあわせたケアマネジメント」が適切に行われるよう必要な措置を講じているところである。 四から六までについて  御指摘の「居宅介護支援事業そのものを独立させる」の意味するところが明らかではなく、また、「ケアプランを自社サービスに誘導するのは当然という考え方が横行している」とは認識していないが、いずれにしても、居宅介護支援(法第八条第二十四項に規定する居宅介護支援をいう。以下同じ。)の事業については、利用者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、利用者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われるものでなければならないことに鑑み、指定居宅介護支援事業者については、基準省令第一条の二第三項において「指定居宅介護支援の提供に当たっては・・・利用者に提供される指定居宅サービス等・・・が特定の種類又は特定の指定居宅サービス事業者・・・等に不当に偏することのないよう、公正中立に行われなければならない」と規定し、また、当該規定の実効性を担保する観点から、一について、二について及び三についてで述べたような措置を講じてきているところであり、事業所の設置形態にかかわらず、利用者のニーズ等を踏まえた居宅介護支援が公正中立に提供されるよう事業を行うことが必要であると考えている。  また、政府としては、指定居宅介護支援事業者が、事業所の設置形態にかかわらず、安定的に運営されることは重要であると考えており、令和三年度介護報酬改定において、居宅介護支援について基本報酬の引上げ等を措置する等の取組を行っているところである。
a208018
賃上げ企業優遇公共調達制度に関する質問主意書
令和四年二月二十一日提出 質問第一八号 賃上げ企業優遇公共調達制度に関する質問主意書  政府が令和四年四月一日から施行しようとしている、いわゆる「賃上げ企業優遇公共調達制度」は、その法的根拠と実施に疑問を感じる。したがって、以下の事項について質問する。 一 これまで政府は、公共調達について会計法令における「経済性の原則」との整合性を図るため、付帯的政策を実施する際には、別途法律を制定し整合性を保持した。しかし、この制度の実施に関しては法律の制定がなされていない。政府に以下の項目について見解を伺う。  1 本制度の法的根拠は如何。法的根拠が政省令等である場合、これらが法律の効力を超えることはあるのか。  2 本制度については法律を制定せずとも会計法令との整合性が保持されていると考える理由は如何に。  3 付帯的政策である本制度と会計法令の原則と整合性をどのように担保するのか。 二 賃上げを評価する場合、各公共調達案件において賃上げ分の費用の価格転嫁を認めるべきと考えるが、かかる費用の予算措置、最低価格及び予定価格の見直しを行う方針か。 三 賃上げ企業優遇公共調達制度について、以下、公正取引委員会の見解を伺いたい。  1 会計法令の定める公共調達における経済性の原則と公正の原則に則さないのではないか。  2 発注者側の政府が賃上げを評価するにもかかわらず、受注者側に賃上げ分の価格転嫁を認めない政府の姿勢は、いわゆる独占禁止法や下請法の考えに反するのではないか。  3 受注者が賃上げに係るコストを下請け企業に転嫁することを防ぐ措置を講じないことは、下請け企業に対する不当な値下げ圧力につながるおそれがあるのではないか。 四 本制度は、前年度の賃金支払の実績と賃上げにかかる人件費増額分を公共調達の評価者が分からなければ対応が難しい制度である。我が国の公共調達に参入を考えている外国企業が不利な扱いを受けることはないのか。また、WTOの政府調達に関する協定に違反するおそれがあると思うが、政府の見解を求める。 五 本制度の実施には、下請け企業へ「賃上げのつけ」をさせない観点からマルチステークホルダー宣言が必要と考える。大企業に対する賃上げ税制では同宣言を必要条件としているのに、調達がより深く関係するこの制度においては、同宣言を求めていない。これに対しての政府の見解を伺う。  右質問する。
b208018
衆議院議員神津たけし君提出賃上げ企業優遇公共調達制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月四日受領 答弁第一八号   内閣衆質二〇八第一八号   令和四年三月四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員神津たけし君提出賃上げ企業優遇公共調達制度に関する質問に対する答弁書 一の1及び2について  御指摘の「本制度」については、会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第二十九条の六第二項の規定に基づいており、会計法令との整合性は保持されている。 一の3について  御指摘の「付帯的政策である本制度」の意味するところが明らかではなく、お尋ねについてお答えすることは困難である。 二について  予算の編成に当たっては、翌年度の賃上げや資材価格の変動等の見通しが不透明な中で、執行実績等の趨勢も踏まえながら、様々な要素を総合的に勘案して所要額を計上しており、また、予定価格については、取引の実例価格等を考慮して適正に定めているところ、今般の総合評価落札方式における賃上げを実施する企業に対する加点措置の実施に伴う予算措置及び予定価格の見直しを行うことは考えていない。  また、御指摘の「最低価格」については、その意味するところが明らかではないため、お尋ねにお答えすることは困難である。 三の1について  会計法令については、公正取引委員会としてお答えする立場にない。 三の2及び3について  御指摘の「発注者側の政府が賃上げを評価するにもかかわらず、受注者側に賃上げ分の価格転嫁を認めない政府の姿勢」及び「受注者が賃上げに係るコストを下請け企業に転嫁することを防ぐ措置を講じない」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。 四について  御指摘の「本制度」については、政府調達に関する協定(平成七年条約第二十三号)に整合的な制度設計及び運用を行うこととしている。 五について  御指摘の「本制度」は、幅広い企業において賃上げが実施されることを促すための施策の一つとして設けたものであり、できる限り多くの企業に利用していただく観点から、御指摘の「マルチステークホルダー宣言」を求めていない。
a208019
半導体生産に対する助成金と国際協定との関係に関する質問主意書
令和四年二月二十二日提出 質問第一九号 半導体生産に対する助成金と国際協定との関係に関する質問主意書  「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律」によって、高性能な半導体生産施設整備等に係る計画認定制度の創設、認定された計画の実施に必要な資金に充てるための助成金交付等の措置が講じられた。この助成金とWTO補助金及び相殺措置に関する協定との関係について、次のとおり質問する。 一 助成金は、協定第二条にて規定される「特定性」を有するか。 二 助成金が、協定第三条「禁止」にて規定される「補助金」に該当する可能性はないか。 三 助成金が、協定第五条にて規定される「悪影響」を他の加盟国の利益に及ぼす可能性はないか。 四 助成金は、協定第八条にて規定される「相殺措置の対象とならない補助金」に該当するか。  右質問する。
b208019
衆議院議員緒方林太郎君提出半導体生産に対する助成金と国際協定との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月四日受領 答弁第一九号   内閣衆質二〇八第一九号   令和四年三月四日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員緒方林太郎君提出半導体生産に対する助成金と国際協定との関係に関する質問に対する答弁書 一から三までについて  特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律(令和三年法律第八十七号)第一条の規定による改正後の特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律(令和二年法律第三十七号。以下「法」という。)第二十九条第一号に規定する助成金(以下単に「助成金」という。)は、特定半導体(法第二条第四項に規定する特定半導体をいう。以下同じ。)の国内における安定的な生産を確保すること等を旨とする特定半導体生産施設整備等(法第二条第五項に規定する特定半導体生産施設整備等をいう。)を行うために必要な資金に充てるためのものであり、助成に係る特定半導体について国産の材料や装置を用いて生産することを求めておらず、また、外国製の半導体を市場から排除するものではない。  したがって、助成金は、世界貿易機関を設立するマラケシュ協定附属書一Aの補助金及び相殺措置に関する協定(以下「補助金協定」という。)第二条に規定されている法令が補助金の交付の対象を明示的に一の産業に限定している場合に該当し、同条の特定性を有するものの、補助金協定第三条において禁止されている輸出を条件として交付される補助金及び輸入物品よりも国産物品を優先して使用することを条件として交付される補助金には該当せず、また、補助金協定第五条に規定されている他の加盟国の利益に対する著しい害等の悪影響を及ぼすものではないと考えている。 四について  補助金協定第八条の規定は、既に失効していると承知している。
a208020
医療従事者等の国家試験に関する質問主意書
令和四年二月二十四日提出 質問第二〇号 医療従事者等の国家試験に関する質問主意書  新型コロナウイルスに罹患し、年に一度の医師、助産師、看護師、保健師、臨床検査技師、薬剤師、介護福祉士の国家試験(以下、医療従事者等の国家試験)が受験できない者のために、追試を求める質問が衆参両院でなされてきた。二〇一四年の大雪に際しては、看護師の国家試験においても、追試が行われた実例があるために、新型コロナウイルスも災害とみなして追試を行うべきではないかと問われている。  しかし、政府は、国家試験の予備問題の存在をたずねられても、「追加試験を実施するために必要な試験問題を作成、確保している状況にはない」(二月十日衆議院予算委員会)などと直接の回答を避けて、聞かれたことに答えていない。  一方、NHKの報道では、「国家試験の元試験委員」の話として、ア 国は災害時などを想定して予備の問題も作成している、イ 予備問題は本試験の問題と比べると完成度は高くないので、追試を行うならブラッシュアップの必要が出てくる、ウ 予備問題を本試験と同等の完成度に仕上げる作業を本試験を作っているメンバーに同時並行でお願いすることは難しい旨が、紹介されている。  そこで以下、アからウに関して尋ねるので、個々に回答をされたい。 一 政府は、コロナ禍が、感染症災害であるという認識はあるのか。 二 医療従事者等の国家試験のうち、災害時を想定して国が粗々な予備問題を作成しているものが存在していることは事実か。 三 災害時の追試の実施に際しては、災害の程度を含め、追試を実施するか否かの判断基準が定められているのか。判断基準がないとすれば、どこでどのように追試の実施が判断されるのか。 四 予備問題を使って追試を実施する場合は、それを本試験と同等の完成度に仕上げる作業が必要であることは事実か。 五 本試験を作成するメンバーに同時並行で依頼することは困難であるにしても、数カ月時期をずらして依頼することは、不可能ではないと考えるがどうか。 六 コロナ禍が過ぎ去らないことは想定しておくべき事態であり、追加試験の準備を整えておけば、追試は可能だったと考えられる。今からでも遅くはないのではないか。  右質問する。
b208020
衆議院議員阿部知子君提出医療従事者等の国家試験に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月八日受領 答弁第二〇号   内閣衆質二〇八第二〇号   令和四年三月八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員阿部知子君提出医療従事者等の国家試験に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「感染症災害」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。 二について  お尋ねは、医師、保健師、助産師、看護師、臨床検査技師、薬剤師及び介護福祉士(以下「医師等」という。)の国家試験の試験問題の作成に係る具体的な内容に関するものであり、機密性を確保する観点から、お答えすることは差し控えたい。 三について  医師等の国家試験については、追加試験の実施に係る判断基準は定めておらず、「どこでどのように追試の実施が判断されるのか」とのお尋ねについては、個々の具体的な状況に応じて判断する必要があると考えており、一概にお答えすることは困難である。 四から六までについて  お尋ねの「数カ月時期をずらして」の意味するところが必ずしも明らかではないが、医師等の国家試験については、医師等が業務を行うに当たり必要な知識及び技能を担保するための国家試験であることや、例えば、医師国家試験の試験問題の作成に関しては、百人以上の臨床に関わっている医師により八箇月程度の期間を要しているなど、試験問題の作成に相当程度の体制の確保等が必要であることを踏まえれば、仮に追加試験を実施する場合には、本試験と同等の質及び量を担保した試験問題により実施する必要があるが、これを短期間又は本試験の試験問題と並行して作成し、試験を実施することは困難であること及び従来から心身の不調を理由とした追加試験は実施していないことを考慮すれば、令和四年の医師等の国家試験について、追加試験を実施することは困難であると考えている。
a208021
国連の国内避難民特別報告者の訪日受入れに関する質問主意書
令和四年二月二十五日提出 質問第二一号 国連の国内避難民特別報告者の訪日受入れに関する質問主意書  国際原子力機関(以後、IAEA)職員六名と八名の専門家(米国、英国、フランス、ロシア、中国、韓国、ベトナム、アルゼンチン)が、二月十四日から十八日にかけて訪日し、東京電力株式会社福島第一原子力発電所(以後、一F)におけるALPS処理水に関する調査を行った。  昨年十二月中旬に訪日予定だったが、政府は、新型コロナウイルスオミクロン株の感染拡大対策で、外国人の入国を原則停止していたため、延期された後に実現した。外国人の入国原則停止は未だ続いているが、どのようにして訪日が可能になったのかを資源エネルギー庁に尋ねた。  すると、資源エネルギー庁原子力発電所事故収束対応室は、「水際対策の特例で、厳格な防疫措置をとって行った。一行は、入国前に検査を受け、入国後は待機期間なしで、空港、宿泊施設、経済産業省、福島第一原子力発電所を訪れたが、公共交通機関を使わず、外に出ず、PCR検査を毎朝受けて陰性を確認した」旨を回答した。  一方、一F事故の避難者調査を行う国際連合の国内避難民特別報告者セシリア・ヒメネス・ダマリー氏は二〇一八年から三回、訪日を求めているが、実現していない。  しかし、二〇二一年十二月十日参議院本会議で青木愛参議院議員にこの問題を問われ、岸田総理は、「ダマリー国内避難民特別報告者の訪日受入れについて(略)は、新型コロナウイルス感染症の流行状況もみつつ、関係省庁において、検討を行っている」と前向きに答弁を行った。  そこで質問する。 一 IAEA一行の訪日にあたっては、経産省が、外務省領事局政策課と厚生労働省との間で協議・調整を行ったと聞くが、国連の国内避難民特別報告者の訪日についても外務省領事局政策課と厚労省は共に検討を行っているのか。 二 ダマリー氏の特別報告者としての任期は今年十月までであり、報告書準備のためには三月中に訪日調査をする必要があるとされ、人権団体からも度々、訪日調査の要請受入れの日程確定が要望されているが、検討結果はいつ出るのか。  右質問する。
b208021
衆議院議員阿部知子君提出国連の国内避難民特別報告者の訪日受入れに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月八日受領 答弁第二一号   内閣衆質二〇八第二一号   令和四年三月八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員阿部知子君提出国連の国内避難民特別報告者の訪日受入れに関する質問に対する答弁書 一及び二について  お尋ねのセシリア・ヒメネス・ダマリー国内避難民特別報告者の訪日の受入れについては、政府としては、外務省が先方とのやり取りを行いつつ、関係府省庁において、それぞれの所掌に応じ検討を行っているが、政府部内の検討過程における詳細についてお答えすることは差し控えたい。  また、お尋ねの「検討結果はいつ出るのか」については、現下の新型コロナウイルス感染症の国内外の感染状況等に鑑み、現時点でお答えすることは困難である。
a208022
コロナ対策についての反省に関する質問主意書
令和四年三月三日提出 質問第二二号 コロナ対策についての反省に関する質問主意書  政府はコロナ対策について反省の弁を述べることはほとんどない。的確な反省をして教訓を噛みしめることが今後のコロナ対策の過ちを低減する道である。そこで二〇二二年二月二十一日衆議院予算委員会における長妻昭委員と岸田首相とのコロナ対策の不備を巡る質疑に関して、お尋ねする。  岸田首相の答弁「亡くなられたことについては、至らなかったことはお詫びを申し上げる」について、「至らなかったこと」とは具体的に何を指すのか、お尋ねする。  また、岸田首相の答弁「現実に様々な混乱や不都合がある、これは謙虚に受け止めなければならない」について、「様々な混乱や不都合」とは具体的に何を指すのか。例示でも結構なのでお示し願いたい。  また、岸田首相の答弁「その一つ一つについては様々な指摘がある、これは謙虚に受け止めたい」について「様々な指摘」とは具体的に何を指すのか。例示でも結構なのでお示し願いたい。  これらを踏まえて、この答弁以降、どのようにコロナ対策を改善したのか、お尋ねする。  最近は質問主意書に対する手抜き答弁が目に余る。ごまかすことなく、真摯にご答弁いただきたくお願い申し上げます。  右質問する。
b208022
衆議院議員長妻昭君提出コロナ対策についての反省に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月十五日受領 答弁第二二号   内閣衆質二〇八第二二号   令和四年三月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出コロナ対策についての反省に関する質問に対する答弁書  お尋ねの「至らなかったこと」については、令和四年二月二十一日の衆議院予算委員会において、岸田内閣総理大臣が、長妻昭委員の「なぜ自宅死が起こるんですか、総理。・・・必要な医療を提供している、なぜ自宅死が起こるんですか、これほど」、「亡くなった方に対して何か言葉はないんですか」等との質問に対し、「政治は結果責任でありますから、亡くなられたことについては、至らなかったことはおわびを申し上げ」と答弁しているとおり、結果として「自宅死」が生じたことを指している。  お尋ねの「様々な混乱や不都合」については、同日の同委員会において、岸田内閣総理大臣が、「全体像に基づいて医療提供体制をしっかり用意することに努力をしてきました。・・・全体像としては、病床の数、重症病床の数、これは余力があるということを申し上げてきたわけであります」と答弁しているとおり、「全体像」に基づいて医療提供体制の整備に努めており、例えば、新型コロナウイルス感染症の感染者数が特に多い東京都においても、厚生労働省が公表している「新型コロナウイルス感染症患者の療養状況、病床数等に関する調査結果」における「重症者用病床」の「確保病床使用率」は、同月において最も高かった同月二十三日零時時点で四十八パーセントにとどまっていたが、そのような状況においても、「様々な混乱や不都合」、例えば、救急患者が多い時期に、発熱等により新型コロナウイルス感染症にかかっていることが疑われる方の医療機関への搬送が増えた結果、救急患者の受入れが難しい事例(以下「救急患者受入れ困難事例」という。)が生じていることを指している。  お尋ねの「様々な指摘」については、例えば、オミクロン株による感染拡大が先行した地域では入院患者数が増加しており、今後他の地域でも同様の傾向となる可能性があるとの指摘や、一部の地域において一時的に新型コロナウイルス感染症に係る抗原定性検査キット(以下「抗原定性検査キット」という。)が入手しづらい状況が生じたこと等に関する指摘を指している。前者については、「オミクロン株の感染流行を踏まえた医療提供体制の対応強化について」(令和四年二月八日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部、医政局総務課、医政局地域医療計画課、健康局結核感染症課、健康局がん・疾病対策課、老健局高齢者支援課、老健局認知症施策・地域介護推進課、老健局老人保健課及び保険局医療課事務連絡)を発出し、都道府県等に対し、「臨時の医療施設・入院待機施設」の確保や、「後方支援病院の拡充」のため、「コロナ回復患者の退院後の受入先として、重点医療機関のコロナ病床以外の病床(慢性期病床を含む。)等で患者を受け入れることを促進すること」を要請したところであり、こうした要請に加えて、東京都及び大阪府が「臨時の医療施設」を確保するために必要な医療従事者の確保を支援している。また、後者については、「新型コロナウイルス感染症オミクロン株感染拡大に備えた抗原定性検査キットの安定供給について(依頼)」(令和四年一月十四日付け内閣官房新型コロナウイルス等感染症対策推進室並びに厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部及び医政局経済課事務連絡)、「新型コロナウイルス感染症オミクロン株の発生等に伴う抗原定性検査キットの安定供給に向けた優先付けについて」(令和四年一月二十七日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部及び医政局経済課並びに経済産業省商務・サービスグループ医療・福祉機器産業室事務連絡)等を発出し、製造販売業者に対して抗原定性検査キットの増産を要請するとともに、需給が安定するまでの間、抗原定性検査キットが必要なところに確実に供給されるよう、優先度に応じた物流を確保するなどにより対応してきた。  「これらを踏まえて、この答弁以降、どのようにコロナ対策を改善したのか」とのお尋ねについては、オミクロン株の特性を踏まえ、必要に応じて対策を見直してきており、「この答弁」以降においては、例えば、救急患者受入れ困難事例が生じていることを踏まえ、「オミクロン株の特性を踏まえた保健・医療提供体制の対策徹底について」(令和四年三月二日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部、医政局総務課、医政局地域医療計画課、健康局結核感染症課、老健局高齢者支援課、老健局認知症施策・地域介護推進課、老健局老人保健課及び保険局医療課事務連絡)を発出し、都道府県等に対し、一時的に救急患者を受け入れる病床を確保した場合に一床当たり四百五十万円の支援を行う「令和三年度新型コロナウイルス感染症患者等入院受入医療機関緊急支援事業補助金」を積極的に活用することを促すこととし、「救急搬送受入体制」の強化に取り組んでいるところである。
a208023
新型コロナウイルス対策に関する質問主意書
令和四年三月四日提出 質問第二三号 新型コロナウイルス対策に関する質問主意書  高齢者施設等のクラスター発生を防ぐためにも当該施設職員等への新型コロナウイルスの検査が大変重要となっている。  毎週二回は検査をすべきと考えるが内閣の見解をお示し願いたい。  また、現状では全国平均でどの程度の頻度で検査が実施されているのか、政府としてきちんと把握しているのか。  政府が言うところの第六波での死亡者数累計全数と、政府が言うところの第一波~第五波まで、それぞれの死亡者数累計数をお示し願いたい。  第五波と第六波の死亡に至るまでの過程で特徴的な違いがあれば対策とともにお示し願いたい。  右質問する。
b208023
衆議院議員長妻昭君提出新型コロナウイルス対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月十五日受領 答弁第二三号   内閣衆質二〇八第二三号   令和四年三月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出新型コロナウイルス対策に関する質問に対する答弁書  「毎週二回は検査をすべき」とのお尋ねについては、高齢者施設等の従事者等に対する新型コロナウイルス感染症に係る検査(以下「検査」という。)について、「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(令和三年十一月十九日新型コロナウイルス感染症対策本部決定、令和四年一月七日変更)において、「特定都道府県等は、集中的実施計画を策定し、感染多数地域の高齢者施設等の従業者等に対する検査の頻回実施を行う」としていることを踏まえ、「高齢者施設等の従事者等に対する集中的実施計画の実施方針等について」(令和四年一月七日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡。以下「令和四年事務連絡」という。)により、「緊急事態措置区域又はまん延防止等重点措置区域である都道府県並びに措置区域に定められた区域のある保健所設置市及び特別区」に対し、検査の集中的実施計画(以下「集中的実施計画」という。)の策定及び集中的実施計画に基づく検査の実施を要請している。集中的実施計画に基づく検査については、可能な限り頻回に実施することが望ましいと考えているが、PCR検査等の実施に係る作業手順、時間等も考慮し、令和四年事務連絡により、「緊急事態措置及びまん延防止等重点措置の趣旨を踏まえ、できる限り週に一回程度実施」すること、「全ての対象施設において週に一回程度実施することが困難な場合であっても、少なくとも二週間に一回程度は実施」すること等を求めているところである。  また、令和四年事務連絡により、集中的実施計画に基づく検査の「検査実施施設数」、「検査実施件数」等について把握しているが、お尋ねの「全国平均でどの程度の頻度で検査が実施されているのか」については把握していない。  お尋ねの「政府が言うところの第六波での死亡者数累計全数と、政府が言うところの第一波~第五波まで、それぞれの死亡者数累計数」については、「政府が言うところの第六波」及び「政府が言うところの第一波~第五波」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。  御指摘の「第五波と第六波の死亡に至るまでの過程」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和四年二月十六日に開催された厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリー・ボードの資料一「直近の感染状況の評価等」において、「今回の感染拡大における死亡者は、高齢者が中心である可能性が示された。その中には、侵襲性の高い治療を希望されない場合や基礎疾患の悪化などの影響で重症の定義を満たさずに死亡する方も含まれるとの指摘もある」とされているところである。現在の新型コロナウイルス感染症の感染の主流となっているオミクロン株への対応については、「新型コロナウイルス感染症対応に係る保健所等による健康観察等について」(令和四年二月九日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)において、重点的に健康観察を行う対象者について、「①六十五歳以上の者」、「②四十歳以上六十五歳未満の者のうち、重症化リスク因子を複数持つ者」及び「③妊娠している方」と具体的に明示し、都道府県等に対し、酸素飽和度や呼吸の状況のみによらず、「重症化リスクの高い陽性者の健康観察を重点的に行う」ようお願いしている。また、ITを活用しながら地域の医療機関において健康観察を行い、症状が悪化した場合には、オンライン診療や往診等により速やかに対応する体制を構築するとともに、それらに対応する地域の医療機関について、「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」(令和三年十一月十二日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)に基づく保健・医療提供体制確保計画において確保した約一万二千医療機関を三割上回る約一万六千医療機関を確保する等の対策を講じている。
a208024
国際条約で製造が禁止されているクラスター弾を製造する企業及びロシア企業への年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による投資運用に関する質問主意書
令和四年三月四日提出 質問第二四号 国際条約で製造が禁止されているクラスター弾を製造する企業及びロシア企業への年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による投資運用に関する質問主意書  日本も批准する国際条約で製造が禁止されているクラスター弾を製造している企業に対して、日本の年金積立金による株の保有や運用が二〇一七年時点で確認されている。以下、政府として把握しているところを答えられたい。  これは事実か。  現在もそれは続いているのか。  現時点で、クラスター弾を製造している企業及び過去に製造していた企業のうち、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が株を保有運用している企業名を国別にすべてお示し願いたい。  政府として問題との認識はあるのか。また、是正するつもりはあるのか。  GPIFの説明によると厚生年金保険法第七十九条の二によって、現時点で、GPIFはクラスター弾を製造する企業の株式保有を止めることができない、としているがそれは事実か。法律を変えなければ保有を止めることが不可能であるということか。  また、クラスター弾を製造しているといわれるイスラエルの企業の株をGPIFは保有運用している。現在も保有運用しているのか。企業名をお示し願いたい。この企業が製造するクラスター弾がどの国に販売されたかお示し願いたい。  現在、ウクライナに対して、使用されているクラスター弾を製造(部品の製造も含む)している企業の株式をGPIFが保有運用している事実はあるのか。  現在、GPIFが保有運用しているロシア企業の株は約二十社約千七百億円に上るとされている。これは事実か。この中にクラスター弾、核兵器、ミサイル、戦車、戦闘機をはじめとする兵器を製造(部品も含む)している企業及び過去に製造していた企業はあるのか。  また、GPIFはロシアの債券を約五百億円保有しているという話がある。これは事実か。  ウクライナ問題でロシアに対する経済制裁が強まっている。GPIFは、ロシア企業の株式保有運用やロシアの債券保有について見直すつもりはないのか。見直す予定があればいつまでにどのように見直すのか。株式と債券、それぞれについて見解をお示し願いたい。  最後に、GPIFが株を保有運用しているすべての企業の中で、ロシアに武器を輸出・供与している企業はあるのか、お尋ねする。  最近、質問主意書の手抜き答弁が目に余る。真摯に答弁していただきたい。  右質問する。
b208024
衆議院議員長妻昭君提出国際条約で製造が禁止されているクラスター弾を製造する企業及びロシア企業への年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による投資運用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月十五日受領 答弁第二四号   内閣衆質二〇八第二四号   令和四年三月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出国際条約で製造が禁止されているクラスター弾を製造する企業及びロシア企業への年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による投資運用に関する質問に対する答弁書  年金積立金管理運用独立行政法人(以下「GPIF」という。)が行う年金積立金の運用は、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第七十九条の二及び国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第七十五条の規定に基づいて、専ら被保険者の利益のために行われており、「専ら被保険者の利益のため」という目的を離れて他の政策目的や施策実現のために年金積立金の運用を行うこと(以下「他事考慮」という。)はできない仕組みとなっている。また、年金積立金の運用における外国株式の運用については、年金積立金管理運用独立行政法人法施行令(平成十六年政令第三百六十六号)第十一条に規定する投資一任契約によりGPIFが委託した運用受託機関の判断により、市場平均の収益を目指す運用方法であるパッシブ運用を中心として、外国の株式市場を構成する主要な銘柄を対象に幅広く投資する方法により行われており、GPIFが特定の企業を投資対象とする等の個別の銘柄選択や指示をすることはできない仕組みとなっている。  御指摘の「国際条約で製造が禁止されているクラスター弾を製造している企業に対して、日本の年金積立金による株の保有や運用が二○一七年時点で確認されている」ことについて「これは事実か。現在もそれは続いているのか」とのお尋ね、「現時点で、クラスター弾を製造している企業及び過去に製造していた企業のうち、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が株を保有運用している企業名を国別にすべてお示し願いたい」とのお尋ね、「クラスター弾を製造しているといわれるイスラエルの企業の株をGPIFは保有運用している。現在も保有運用しているのか。企業名をお示し願いたい。この企業が製造するクラスター弾がどの国に販売されたかお示し願いたい」とのお尋ね、「現在、ウクライナに対して、使用されているクラスター弾を製造(部品の製造も含む)している企業の株式をGPIFが保有運用している事実はあるのか」とのお尋ね、「クラスター弾、核兵器、ミサイル、戦車、戦闘機をはじめとする兵器を製造(部品も含む)している企業及び過去に製造していた企業はあるのか」とのお尋ね及び「GPIFが株を保有運用しているすべての企業の中で、ロシアに武器を輸出・供与している企業はあるのか」とのお尋ねについては、先に述べたとおり、法制度上、政府及びGPIFとして、GPIFが株式を保有している個別企業の事業内容を網羅的に把握する立場にないため、お答えすることは困難である。  「政府として問題との認識はあるのか。また、是正するつもりはあるのか」とのお尋ねについては、年金積立金の運用や年金積立金の運用における外国株式の保有や運用については、先に述べたとおり、厚生年金保険法等の規定に基づいて行われているものであり、また、現時点で制度変更は検討していない。  また、「GPIFはクラスター弾を製造する企業の株式保有を止めることができない、としているがそれは事実か。法律を変えなければ保有を止めることが不可能であるということか」とのお尋ねについては、先に述べたとおり、年金積立金の運用における株式投資については、他事考慮及び特定の企業を投資対象とする等の個別の銘柄選択や指示をすることはできない仕組みとなっているところであり、年金積立金の運用における株式投資に当たって、特定の企業を投資の対象外とすることについては、政府として検討しておらず、その方法についてお答えすることは困難である。  また、御指摘の「ロシア企業の株」については、令和三年三月末時点において、GPIFが認識している「ロシア企業」の株式の投資先の数は二十一社であり、その保有額の合計は約千七百億円であると承知している。また、御指摘の「ロシアの債券」については、同月末時点において、GPIFが認識している「ロシアの債券」の保有額は約五百億円であると承知している。  「GPIFは、ロシア企業の株式保有運用やロシアの債券保有について見直すつもりはないのか」とのお尋ねについては、GPIFにおいて、GPIFが認識している「ロシア企業の株式」及び「ロシアの債券」を含む株式及び債券の市場環境を注視し、専ら被保険者の利益を図る観点から、投資一任契約によりGPIFが委託した運用受託機関を通じて、適切な投資行動が行われるものと承知している。
a208025
ウクライナ国内の原発への武力攻撃に関する質問主意書
令和四年三月四日提出 質問第二五号 ウクライナ国内の原発への武力攻撃に関する質問主意書  ウクライナ国内の原子力発電所への武力攻撃が発生したことを岸田内閣はご存じか。どの国による攻撃だったのか。放射線漏れは発生したのか。どのような攻撃だったのか。被害の状況はどのようなものか。  翻って、日本国内の原発は武力攻撃に耐えられるのか、お答え願いたい。  また、武力攻撃が日本国内の原発になされた場合、その被害の程度について武力攻撃の態様ごとに例示願いたい。  日本国内の原発は上空からミサイル攻撃や爆撃があった場合、どの程度の威力までであれば耐えられるように設計されているのか、政府の把握するところをデータとともにお示し願いたい。  右質問する。
b208025
衆議院議員長妻昭君提出ウクライナ国内の原発への武力攻撃に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月十五日受領 答弁第二五号   内閣衆質二〇八第二五号   令和四年三月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出ウクライナ国内の原発への武力攻撃に関する質問に対する答弁書  お尋ねの「ウクライナ国内の原子力発電所」への「攻撃」及び「被害の状況」については、令和四年三月四日及び五日(現地時間)の国際原子力機関の発表によれば、ウクライナ側から同機関に対し、同月四日、同国内のザポリッジャ原子力発電所において、発射物が訓練用の建物に当たり、局所的な火災を引き起こした後に鎮火となった旨及び同原子力発電所敷地内の研究棟・管理棟にも被害があった旨の報告があったと承知している。また、「どの国による攻撃だったのか」とのお尋ねについては、ロシア連邦によるものと承知しており、「放射線漏れは発生したのか」とのお尋ねについては、同発表によれば、ウクライナ側から同機関に対し、放射性物質の放出はなく、放射線レベルは通常どおりであった旨の報告があったと承知している。  「日本国内の原発は武力攻撃に耐えられるのか」、「武力攻撃が日本国内の原発になされた場合、その被害の程度について武力攻撃の態様ごとに例示願いたい」及び「日本国内の原発は上空からミサイル攻撃や爆撃があった場合、どの程度の威力までであれば耐えられるように設計されているのか」とのお尋ねについては、御指摘の「武力攻撃」及び「ミサイル攻撃や爆撃」の具体的な内容が明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第四十三条の三の六第一項第四号の規定に基づき定められた実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第五号)において、故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムに対処するための対策に係る基準を定めている。
a208026
「ねんきん定期便」の談合によって損害を受けた年金保険料に関する質問主意書
令和四年三月四日提出 質問第二六号 「ねんきん定期便」の談合によって損害を受けた年金保険料に関する質問主意書  日本年金機構の「ねんきん定期便」の印刷・発送業務等における談合事件で、公正取引委員会は二〇二二年三月三日に二十六社の独占禁止法違反を認定した。そこで質問する。  今回の談合事件に関わる各社の売り上げ(課徴金算定根拠となったもの)は計約百八十三億円であるが、日本年金機構からの、この支払財源はすべて国民の年金保険料によるものか。政府の把握するところを答えられたい。そうだとすれば、いくらの年金保険料が払い過ぎとなったのか、概算金額をお示し願いたい。  二十四社に計十七億円を超える課徴金納付命令が出されたとのことだが、このお金は年金保険料収入に充当するのか。  独禁法違反を認定した二十六社から日本年金機構が払い過ぎた代金を取り戻し、年金保険料収入に充当する、との確約をいただきたいが如何か。  それを実行する場合、いつまでにどのような手段でなされるのか。  公正取引委員会は「日本年金機構は、平成二十八年一月末頃、特定データプリントサービスの入札において、いわゆる入札談合が行われている旨の情報について通報を受け、内部調査を行ったにもかかわらず、その結果を含む本件談合情報を公正取引委員会に通報しなかった」と指摘している。これは事実か。政府として把握するところを答えられたい。  これに関して、政府として、日本年金機構に落ち度は全くなかったとの認識か。  一連の談合について日本年金機構の職員への処分はなされるのか、政府としての見解を示されたい。  右質問する。
b208026
衆議院議員長妻昭君提出「ねんきん定期便」の談合によって損害を受けた年金保険料に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月十五日受領 答弁第二六号   内閣衆質二〇八第二六号   令和四年三月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出「ねんきん定期便」の談合によって損害を受けた年金保険料に関する質問に対する答弁書  「日本年金機構からの、この支払財源はすべて国民の年金保険料によるものか」とのお尋ねについては、日本年金機構が発注するねんきん定期便の作成及び発送準備業務、保険料納入告知額・領収済額通知書の作成及び発送準備業務、年金生活者支援給付金支給決定通知書・不該当通知書の作成及び発送準備業務等の業務について令和四年三月三日に公正取引委員会が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号。以下「独占禁止法」という。)の規定に基づき排除措置命令及び課徴金納付命令(以下「排除措置命令等」という。)を行った事案(以下「本件事案」という。)に係る契約(以下「本件契約」という。)に基づき、同機構が本件事案において課徴金納付命令の対象となった事業者に対して支払った費用の財源は、国民年金保険料、厚生年金保険料、全国健康保険協会が管掌する健康保険の保険料、子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)第六十九条第一項に規定する拠出金及び年金生活者支援給付金の支給に関する法律(平成二十四年法律第百二号)第二十六条第二項に基づく国庫負担である。  「いくらの年金保険料が払い過ぎとなったのか、概算金額をお示し願いたい」とのお尋ねについては、「いくらの年金保険料が払い過ぎとなった」の意味するところが必ずしも明らかではないが、本件事案に係る談合がなければ存在したであろう落札価格については、落札価格に影響を与えた要因を個別具体的に検討する必要があること等から、現時点でお答えすることは困難である。  「このお金は年金保険料収入に充当するのか」とのお尋ねについては、独占禁止法に基づく課徴金納付命令により国庫に納付される課徴金は、一般会計の歳入となる。  「払い過ぎた代金を取り戻し、年金保険料収入に充当する、との確約をいただきたいが如何か」及び「それを実行する場合、いつまでにどのような手段でなされるのか」とのお尋ねについては、「払い過ぎた代金」の意味するところが必ずしも明らかではないが、同機構において、本件事案に係る談合を行ったとされた事業者に対し、可能な限り速やかに、本件契約に基づく違約金の請求を行った上で、損害賠償の請求を行う予定であり、これらの請求により同機構に支払われた違約金及び損害賠償金については、先に述べたそれぞれの財源に充当するものと承知しているが、これらの請求を行う具体的な時期については、本件事案における排除措置命令等が確定する時期が不明であること等から、現時点でお答えすることは困難である。  「これは事実か」及び「落ち度は全くなかったとの認識か」とのお尋ねについては、同機構に対して、ねんきん定期便の作成及び発送準備業務において談合が行われている旨の匿名による情報提供があったことを受け、同機構において、当該業務の応札を希望する事業者に対するヒアリング等を行ったが、談合の事実が確認できなかったことから、談合に関する情報提供があった場合の対応に関する同機構の対応要領(以下「対応要領」という。)における同委員会への通報を行う必要がない場合に該当したため通報を行わなかったものであり、対応要領にのっとった対応がなされたものと考えているが、結果として、同委員会から同機構に対し、同委員会に通報しないこととした判断が適切なものとはいえないものであったとの指摘がなされたものである。  お尋ねの「職員への処分はなされるのか」については、同機構において、対応要領にのっとった対応がなされたことを踏まえ、適切に対処されるものと承知している。
a208027
政治資金収支報告書のオンライン提出に関する質問主意書
令和四年三月八日提出 質問第二七号 政治資金収支報告書のオンライン提出に関する質問主意書  国会議員関係政治団体は、政治資金収支報告書の提出にあたり、「政治資金関係申請・届出オンラインシステム」を利用することに努めよと、努力義務として政治資金規正法第十九条の十五の規定がある。 一 この「政治資金関係申請・届出オンラインシステム」に関して、導入にあたり国の初期費用はいくらか、また、運用費、維持管理費等毎年発生する費用はいくらか。 二 令和三年に公表された国会議員関係政治団体の政治資金収支報告書の提出は全体で何件か、うち、オンラインシステムを利用しての提出は何件か。 三 「政治資金関係申請・届出オンラインシステム」は積極的に活用すべきであり、政府としてどのように利用を促していく方針か、その見解を求める。  右質問する。
b208027
衆議院議員鈴木庸介君提出政治資金収支報告書のオンライン提出に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月十八日受領 答弁第二七号   内閣衆質二〇八第二七号   令和四年三月十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員鈴木庸介君提出政治資金収支報告書のオンライン提出に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「国の初期費用」及び「運用費、維持管理費等毎年発生する費用」の意味するところが必ずしも明らかではないが、総務省においては、平成二十一年度から平成二十二年度までの間に「政治資金関係申請・届出オンラインシステム」(以下「システム」という。)の構築に要した経費として二億四千三十三万五千五百五十円を支出し、令和二年度におけるシステムの運用及び保守に係る経費として五千八百二十三万二千九百円を支出したところである。 二について  お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、総務省が令和三年十一月二十六日に公表した令和二年分の国会議員関係政治団体の政治資金収支報告書は六百八十三件であり、そのうちシステムの収支報告書作成ソフトを利用して作成されたものは五百四十八件、そのうちシステムにより提出されたものは三十件である。 三について  総務省においては、ホームページによる情報提供、啓発チラシの国会議員事務所への配布、システムの利用方法に関する電話相談窓口の設置、政治団体の意見を踏まえた領収書等の写しの提出を可能とするシステムの改修等を行ってきたところであり、引き続き、システムの普及啓発と利便性向上に努めてまいりたい。
a208028
「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する厚生労働省令」の解釈に関する質問主意書
令和四年三月九日提出 質問第二八号 「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する厚生労働省令」の解釈に関する質問主意書  性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の第三条(「本法」という。)では、取扱いの変更を求める「その者の請求により」、家庭裁判所は「性別の取扱いの変更を審判することができる」ことが規定されている。  この場合、同法第三条第二項により「性同一性障害者に係る前条の診断の結果並びに治療の経過及び結果その他の厚生労働省令で定める事項が記載された医師の診断書を提出しなければならない」と規定されている。  いわゆる「カルテ」、診療録は医師が診療時に必ず記載しなければならない。  医師法第二十四条では「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」とされ、同条第二項では「前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない」と保存年限を定めている。  保険医療機関及び保険医療養担当規則第九条においては「保険医療機関は、療養の給付の担当に関する帳簿及び書類その他の記録をその完結の日から三年間保存しなければならない。ただし、患者の診療録にあつては、その完結の日から五年間とする」とも規定されているが、言い換えれば、保存年限が過ぎたものには法令上の保存の義務はなく、保存スペースの確保などの問題から破棄されてしまうことがほとんどである。現行制度が診療録の保存は保険請求のために用いることを念頭にしており、その期間を過ぎると診療録の保存は必要ないという判断であると解される。  本法に基づき性同一性障害者の方が性別の取扱いの変更を申請する場合、その審判は家庭裁判所で行われるが、裁判官の主たる判断材料となるものは、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律第三条第二項に規定する医師の診断書の記載事項を定める省令(「本省令」という。)に基づいて提出される医師の診断書であると承知している。本省令には、診断書に記載すべき個別具体的な事項についての規定はあるものの、診療録の提出については明示されていないと解されるが、家庭裁判所への申請にあたってはその診療録の提出を求められることがある。  例えば、平成十四年に治療が終わったある申請希望者Aさんは、家庭裁判所への申請にあたり、当時のカルテの提出や染色体検査結果の提出を求められたものの、約二十年前の事案であり、カルテや染色体検査結果そのものが失われており、対処することができなかった。カルテがないことを申し述べ、代替え措置として性別の変更の手術が終わっているとの診断書を医師に作成してもらったものの、家庭裁判所では難色を示されたと承知している。このような者が改めて診療を受ける場合、さらに数年の期間が必要となるとともに、多くの時間的、金銭的負担が必要となり、社会生活を行っていくにも明らかな不利益が生じる。  またAさんは五十代にさしかかり、パートナーとの間で法律婚をすることの急務を感じて今次の申請を行ったものの、本省令の現行の運用が性別の取扱いの変更の阻害要因となっている。このような運用で不利益を被る者は少なくないと考える。  日本国憲法第十三条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とされる。本省令では明確にカルテなどの提出を義務づけていないと解されるにもかかわらず、かかる運用がなされることは、そのような者の幸福追求権を妨げるものと言わざるを得ない。  また日本国憲法第十四条は「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と規定しているが、法定の保存年限を超えた過去に手術を受け診療録等が失われているために家庭裁判所での申請で不公平な扱いを受けることは、日本国憲法の理念に反するものであろう。  従って、本省令の解釈は、技術的側面も含まれることから、政府の責任において明確にすべきであり、家庭裁判所はその解釈に基づき審判すべきであろう。  すなわち診療録の保存年限を規定しているのは厚生労働省の所管する法令であり、かかる法令の制定当時想定しなかった事案が発生している現状においては本省令の解釈は見直されるべきである。そうでなければ、その者の責に帰さない事由で診療録が破棄されているにもかかわらず、性別の取扱いの変更を求めることが困難になる。  右を踏まえて、以下質問する。 一 本省令でいう「医師の診断書の記載事項」では、治療時の診療録や染色体検査の提出を必ず求めているのか。 二 一に関連して、関係法令で定める保存年限を過ぎて診療録等が破棄されていることで性別の取扱いの変更時に、その申請者が申請を受け付けられないなどの不利益を被るのは合理性に欠けるのではないか。 三 本省令の記載事項については、申請者の責に帰さない事由で診療録等が破棄されている場合、可能な範囲で医療機関での受診歴、治療の経過及び結果が分かる資料を集め、医師が診断書を作成することで事足りるのではないか。 四 三に関連して、Aさんについては、約二十年前、当時医療チームとして手術にも加わった産婦人科医師が、現在生殖腺がないこと、または生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあることと、他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていることを診察し、性同一性障害であるという診断書を作成したと承知しているが、かかる診断書は本省令でいう医師の診断書に該当しないのか。そもそも当時の診療録等が破棄されている以上、取り得る方法は他にはないのであり、専門的知見のある医師の判断を尊重すべきと考えるが、政府の見解を問う。 五 このような本省令の運用について、新戸籍を編製する責務も負う法務省は、法務省設置法第三条でいう「法秩序の維持、国民の権利擁護、国の利害に関係のある争訟の統一的かつ適正な処理」の趣旨に反すると考えないのか。申請する者の「権利擁護」が図られないのではないか。 六 本法は、施行にあたり法務大臣と内閣総理大臣が署名していると承知しているが、政府内で検討を進め、このような運用上の問題が顕在化している今、「性同一性障害者及びその関係者の状況その他の事情を勘案し、必要に応じ、検討が加えられる」べきではないか。政府内で検討チームなどを設置すべきではないか。 七 日本国憲法第十三条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とされる。本省令では明確にカルテなどの提出を義務づけていないにもかかわらず、かかる運用がなされることは、そのような者の幸福追求権を妨げるものではないか。政府は早急に本省令の解釈を明確にすべきではないか。  右質問する。
b208028
衆議院議員徳永久志君提出「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する厚生労働省令」の解釈に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月十八日受領 答弁第二八号   内閣衆質二〇八第二八号   令和四年三月十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員徳永久志君提出「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する厚生労働省令」の解釈に関する質問に対する答弁書 一について  性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(平成十五年法律第百十一号。以下「法」という。)第三条第二項に規定する医師の診断書(以下「医師の診断書」という。)については、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律第三条第二項に規定する医師の診断書の記載事項を定める省令(平成十六年厚生労働省令第九十九号。以下「省令」という。)において記載事項を定めるとともに、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律第三条第二項に規定する医師の診断書の記載要領について」(平成十六年五月十八日付け障精発第〇五一八〇〇一号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神保健福祉課長通知。以下「通知」という。)において記載要領を示しているところ、省令及び通知においては、省令に規定する記載事項に関し、医師の診断書に診療録等を添付することは義務付けていない。 二について  政府としては、お尋ねのような事例が生じているとは認識していないが、いずれにせよ、一についてで述べたとおり、省令及び通知においては、医師の診断書に診療録等を添付することは義務付けていないところであり、また、法第三条第一項の規定による性別の取扱いの変更の審判の請求の受理に係る事務については、家庭裁判所において、法令等に基づき、適切に処理されているものと考えている。 三について  お尋ねの「事足りるのではないか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、法第三条第一項の規定による性別の取扱いの変更の審判の請求に当たっては、一についてで述べたとおり、省令及び通知においては、医師の診断書に診療録等を添付することは義務付けていないところである。 四について  お尋ねについては、御指摘の事案の詳細な事実関係が明らかではないことから、お答えは差し控えたい。 五について  御指摘の「「法秩序の維持、国民の権利擁護、国の利害に関係のある争訟の統一的かつ適正な処理」の趣旨に反する」及び「「権利擁護」が図られない」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、一についてで述べたとおり、省令及び通知においては、医師の診断書に診療録等を添付することは義務付けていないところであり、また、法第三条第一項の規定による性別の取扱いの変更の審判の請求の受理に係る事務については、家庭裁判所において、法令等に基づき、適切に処理されているものと考えている。 六及び七について  医師の診断書に診療録等を添付することを義務付けていないことは、省令及び通知の内容から明らかであり、また、御指摘の「このような運用上の問題が顕在化している」とは認識していないことから、法について検討を加え、「政府内で検討チームなどを設置」することは考えていない。
a208029
サハリン2からの撤退に関する質問主意書
令和四年三月九日提出 質問第二九号 サハリン2からの撤退に関する質問主意書  英国シェル等がロシア・サハリンの資源開発、いわゆる「サハリン2」から撤退を決めた。一方で日本政府は、サハリンにおける資源開発事業から撤退か継続か思案中である。  「日本だけが自国のエネルギー事情を言って、あたかも何もなかったかのように振る舞うのは違う。このまま同じように続けることはありえない」と政府系金融機関の前田総裁が二〇二二年三月三日の記者会見で声を上げたとの報道がある。その一方で、これに関して萩生田光一経済産業相は二〇二二年三月八日「撤退することがロシアに対する経済制裁になるのだったら一つの方法だが、われわれがいま心配しているのはその権益を手放したときに、第三国がただちにそれを取ってロシアが痛みを感じないことになったら意味がない」と国会で答弁している。  政府は未だ思案中である。撤退か継続か、判断するための材料を政府は積極的に開示するべきと考える。そこでお尋ねする。  いわゆる「サハリン1」「サハリン2」から撤退を決めた企業・組織について、政府が把握するところを国別にお示し願いたい。  日本政府が撤退か、継続か、を決めきれず思案中の主な理由をお示し願いたい。  日本が撤退する場合のメリット、デメリットをそれぞれ具体的にお示し願いたい。また日本が継続する場合のメリット、デメリットもそれぞれ具体的にお示し願いたい。  また、萩生田大臣は「撤退することがロシアに対する経済制裁になるのだったら一つの方法」と答弁しているが、日本が撤退することはどの程度、経済制裁として効果を上げると政府は分析しているのか。日本の撤退は経済制裁として効果を示さないと考えているのか。それぞれお示し願いたい。  また、萩生田大臣は「権益を手放したときに、第三国がただちにそれを取ってロシアが痛みを感じないことになったら意味がない」と答弁するが、ロシアへの経済制裁に関しては中国等が加わっておらず、既に中国はロシアに対する経済制裁の痛みを緩和する役割を果たしている。経済制裁をしない第三国の存在を理由として、経済制裁に加わらないとの理由は妥当なものなのか。その真意をお示し願いたい。また、萩生田大臣の言う「第三国」は中国がなり得ると日本政府はお考えか。  また、中国からのロシアに対する経済的支援に関する実態を日本政府は把握しているのか。把握しているのであればどのような経済的支援を中国はロシアにしているのか。お示し願いたい。  政府の情報開示がほとんどなされないために、撤退か継続か、判断する材料が余りにも少なすぎる。いずれにしても政府は判断材料を積極的に示して国民的合意も得ながら結論を急ぐべきであると考えるが、最後に岸田内閣の見解を問う。  右質問する。
b208029
衆議院議員長妻昭君提出サハリン2からの撤退に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月十八日受領 答弁第二九号   内閣衆質二〇八第二九号   令和四年三月十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出サハリン2からの撤退に関する質問に対する答弁書  御指摘の「サハリン1」及び「サハリン2」における資源開発事業(以下「本事業」という。)から、現時点においては、米国のエクソン・モービル社及び英国のシェル社が撤退の方針を表明していると承知している。  「日本政府が撤退か、継続か、を決めきれず思案中の主な理由」に係るお尋ねについては、令和四年三月三日の記者会見において、岸田内閣総理大臣が「我が国は、ロシアによるウクライナ侵略を受けて、国際的なロシア制裁強化の動きの中でG7や国際社会と連携しながら取り組んでいるわけですが、エネルギーの安定供給と、それから安全保障、これを最大限守るべき国益の一つとして対応していかなければならないと思っています。・・・エネルギーの安定供給あるいは安全保障の観点から、我が国としてどう対応するのか、これは、状況をしっかり判断した上で決定すべきことであると思っています。今は、様々な動きが昨日来報じられていますが、その状況をしっかり把握した上で、我が国としての方針は決定していきたいと思っています。今はまだその段階です。」と述べているとおりであり、「日本が撤退する場合のメリット、デメリット」、「日本が継続する場合のメリット、デメリット」及び「経済制裁として」の「効果」に係るお尋ねについては、本事業に係る我が国の方針は現在検討中であることから、現時点ではお答えすることは困難である。  お尋ねの「経済制裁をしない第三国の存在を理由として、経済制裁に加わらないとの理由は妥当なものなのか。」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、本事業については、各国の状況も踏まえながら対応していくことが肝要であると考えている。また、「第三国」については、特定の国を指したものではない。  「経済的支援」に係るお尋ねについては、その具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、中国とロシアとの間の経済を含む二国間関係については関心を持って注視しているところである。  「政府は判断材料を積極的に示して国民的合意も得ながら結論を急ぐべき」とのお尋ねについて、政府としては、適切な情報提供を進めて国民の理解を得ながら、我が国のエネルギー安定供給の確保に向けた取組を進めていく考えであり、引き続き、本事業についてもこの考え方に基づき対応してまいりたい。
a208030
核兵器不拡散条約(NPT)第二条に関する質問主意書
令和四年三月十日提出 質問第三〇号 核兵器不拡散条約(NPT)第二条に関する質問主意書  日本が締約国となっている核兵器不拡散条約(NPT)第二条には、「締約国である各非核兵器国は、核兵器その他の核爆発装置又はその管理をいかなる者からも直接又は間接に受領しないこと、核兵器その他の核爆発装置を製造せず又はその他の方法によつて取得しないこと及び核兵器その他の核爆発装置の製造についていかなる援助をも求めず又は受けないことを約束する」とある。  核兵器を日本国内の自衛隊基地若しくは米軍基地内で、自衛隊と米軍が共同で管理することは、核兵器不拡散条約第二条に違反又は抵触するか。  右質問する。
b208030
衆議院議員米山隆一君提出核兵器不拡散条約(NPT)第二条に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月二十二日受領 答弁第三〇号   内閣衆質二〇八第三〇号   令和四年三月二十二日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員米山隆一君提出核兵器不拡散条約(NPT)第二条に関する質問に対する答弁書  お尋ねの「自衛隊と米軍が共同で管理すること」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
a208031
副大臣、大臣政務官、総理補佐官の資格要件に関する質問主意書
令和四年三月十一日提出 質問第三一号 副大臣、大臣政務官、総理補佐官の資格要件に関する質問主意書  副大臣、大臣政務官、総理補佐官の資格要件に関し、以下、質問する。 一 国務大臣の資格要件の一つとして、憲法第六十六条第二項に「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」と定められている。  この規定には、副大臣、大臣政務官、総理補佐官も含まれるかどうか。政府の見解を明らかにされたい。  右質問する。
b208031
衆議院議員伊藤俊輔君提出副大臣、大臣政務官、総理補佐官の資格要件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月二十五日受領 答弁第三一号   内閣衆質二〇八第三一号   令和四年三月二十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員伊藤俊輔君提出副大臣、大臣政務官、総理補佐官の資格要件に関する質問に対する答弁書 一について  憲法第六十六条第二項は、「内閣総理大臣その他の国務大臣」について定めた規定であり、内閣総理大臣補佐官、副大臣及び大臣政務官について定めたものではない。
a208032
金正恩委員長への経済制裁措置と政策の一貫性に関する質問主意書
令和四年三月十七日提出 質問第三二号 金正恩委員長への経済制裁措置と政策の一貫性に関する質問主意書  政府は今月、ロシア連邦のウラジーミル・プーチン大統領に対して、資産凍結等の措置を実施した。一方、拉致・核・ミサイル問題で我が国にロシア連邦以上の害を及ぼしている朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正恩国務委員長に対しては、資産凍結等の措置を講じていない。  北朝鮮は、金正恩国務委員長が二〇一二年一月に最高指導者の地位を継承して以来、この十年間に、確認されたものだけでも四回に及ぶ核実験を行い、我が国の近海上空を飛行し、我が国の排他的経済水域に落下したものを含め、九十五回以上の弾道ミサイル発射実験を行っている。こうした北朝鮮の軍事動向は、我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威であり、国際社会の平和と安全を著しく損なうものとなっている。一方、この間、日本人拉致被害者の帰国は、誰一人として実現していない。  このような両国に対する経済制裁措置発動に関する一貫性を欠く我が国の姿勢は、国際社会において、いわゆるダブル・スタンダードであるとの誹りを免れないと危惧する。  我が国の同盟国であるアメリカ合衆国は、金正恩国務委員長を資産凍結措置の対象に指定している。また、朝鮮労働党及び北朝鮮政府を資産凍結措置の対象と定め、その範囲は北朝鮮政府支配下の団体に及ぶとしている。  経済制裁措置の発動にあたっては、政策の一貫性や、同盟国との協調が重要であると考えるが、政府の見解如何。また、北朝鮮の金正恩国務委員長に対して、未だ資産凍結等の措置を講じていない理由を説明されたい。  右質問する。
b208032
衆議院議員松原仁君提出金正恩委員長への経済制裁措置と政策の一貫性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年三月二十九日受領 答弁第三二号   内閣衆質二〇八第三二号   令和四年三月二十九日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員松原仁君提出金正恩委員長への経済制裁措置と政策の一貫性に関する質問に対する答弁書  前段のお尋ねについては、いわゆる経済制裁を発動する場合を含め、いかなる事態においていかなる対応をとるかは、当該事態の個別具体的な状況に照らし、いかなる対応が当該事態の改善及び解決につながるかという観点から、検討され、判断されるべき事項であると考えている。また、後段のお尋ねについては、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。
a208033
国家公務員の両立支援のための給付制度に関する質問主意書
令和四年三月十八日提出 質問第三三号 国家公務員の両立支援のための給付制度に関する質問主意書  少子化が進行する中、少子化対策のための取組は急務である。仕事及び育児の両立支援は不可欠であり、官民問わず、出産・育児にかかる費用や休暇及び休業の取得による収入減少に対しては、十分な支援を行う必要があると考える。  そこで、国家公務員の出産・育児に関する給付等について伺いたい。 一 国家公務員が次の休暇を取得している期間中、それぞれ給与の取扱いについてどうなるのか具体的に示されたい。  1 産前休暇(人事院規則一五-一四(職員の勤務時間、休日及び休暇)(以下「規則」という。)第二十二条第一項第六号)  2 産後休暇(規則第二十二条第一項第七号)  3 配偶者出産休暇(規則第二十二条第一項第九号)  4 育児参加のための休暇(規則第二十二条第一項第十号) 二 出産費用に係る支援について、  1 国家公務員及びその被扶養者が出産した場合に、給付を行う制度について、その名称、根拠法令、具体的な要件及び給付額を御教示いただきたい。  2 平均的な出産費用を踏まえ、1の給付額は十分なものと考えているか。  3 出産費用が1の給付額を超えた場合に、その費用を支援する仕組みはあるか。  4 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第百一条に規定する出産育児一時金も含め、出産による費用負担が可能な限り軽減されるよう、出産に対する経済的支援を拡充する必要性について、政府の見解を問う。 三 雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第六十一条の六から第六十一条の八までに規定する育児休業給付金の受給要件として、雇用保険被保険者である必要があり、同法の規定の適用が原則として除外されている国家公務員には、同給付金は給付されないこととなる。  1 国家公務員が原則として雇用保険法の規定の適用除外となっている理由は何か。  2 国家公務員は、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)第六十八条の二の規定に基づき、育児休業給付金に相当する育児休業手当金が支給されることとなるが、雇用保険法に基づく育児休業給付金と比較して、支給額の算定の仕組みについての相違点はあるか。ある場合、具体的に明示されたい。  3 2に関し、相違がある場合、そのような相違が生じている理由は何か。  4 雇用保険法における育児休業給付のための雇用保険料率は、千分の四とされ、労使折半で千分の二ずつ負担することとされているが、国家公務員共済組合において、育児休業手当金のための国家公務員(組合員)の負担については、どの程度の割合(率)となっているのか。官民で負担の割合(率)に相違がある場合、そのような相違が生じている理由は何か。 四 二及び三に関し、厚生年金保険制度は官民で制度が一元化されたが、出産及び育児休業に係る給付の制度について官民で一元化することについて、どのように考えるか。実現が難しいとすれば、どのような理由か。政府の見解を伺う。  右質問する。
b208033
衆議院議員牧義夫君提出国家公務員の両立支援のための給付制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月一日受領 答弁第三三号   内閣衆質二〇八第三三号   令和四年四月一日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員牧義夫君提出国家公務員の両立支援のための給付制度に関する質問に対する答弁書 一について  人事院規則一五-一四(職員の勤務時間、休日及び休暇)第二十二条第一項第六号、第七号、第九号及び第十号に掲げる場合における休暇は、有給の休暇である。 二の1について  国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)第六十一条に規定する出産費及び家族出産費(以下「出産費及び家族出産費」という。)については、国家公務員共済組合(以下「組合」という。)の組合員(以下「組合員」という。)である国家公務員が出産した場合(組合員の資格を喪失した日の前日まで引き続き一年以上組合員であった者が退職後六月以内に出産した場合を含む。)及び組合員の被扶養者が出産した場合に、四十万八千円が支給されるものである。加えて、国家公務員共済組合法施行令(昭和三十三年政令第二百七号)第十一条の三の七ただし書の規定等に基づき、一万二千円を上限に加算される場合がある。 二の2について  出産費及び家族出産費の金額は、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第百一条に規定する出産育児一時金(以下「出産育児一時金」という。)と同額であり、公的病院の平均的な出産費用を踏まえたものである。 二の3について  出産費用が出産費及び家族出産費の金額を超えた場合に、その費用の超過分を支援する仕組みはない。ただし、国家公務員共済組合法第五十一条の規定等に基づき、組合は、出産費及び家族出産費を支給する場合に、附加給付として、組合が定款で定める金額を支給することができることとなっている。 二の4について  出産育児一時金の支給額については、出産費用の上昇などに伴い、数次にわたり引き上げを行ってきており、また、国家公務員の勤務条件は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二十八条の規定に基づき、社会一般の情勢に適応させるという情勢適応の原則の下、民間の労働条件と均衡させることを基本として措置しているところであり、国家公務員及びその被扶養者の出産に対する経済的支援の拡充についても、この考え方に準じて、出産育児一時金の支給額の状況等を踏まえて措置することが適当であると考えている。 三の1について  常時勤務に服することを要する国家公務員等については、国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)等が適用されることとなり、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第六条第六号に規定する「国・・・の事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令・・・に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者であつて、厚生労働省令で定めるもの」に該当し、同法が適用されないためである。 三の2及び3について  支給額の算定の仕組みにおいては、育児休業給付金は、雇用保険法第六十一条の七の規定に基づき、被保険者が育児休業給付金の支給に係る育児休業を開始した日の前日を受給資格に係る離職の日とみなして同法第十七条の規定を適用した場合に算定されることとなる賃金日額に相当する額を、育児休業手当金は、国家公務員共済組合法第六十八条の二の規定に基づき、同法第四十条第一項の規定に基づく標準報酬の日額を用いることとしている。 三の4について  国家公務員共済組合法第九十九条第一項第一号に規定する育児休業手当金を含む短期給付に要する費用は、同条第二項第一号の規定に基づき、その百分の五十を組合員の掛金、その百分の五十を国の負担金をもって充てるとされ、短期給付に係る掛金率は、各組合において定めることとなっているところ、令和三年度の在外公館に勤務する外務公務員及び自衛官を除く国家公務員に適用される各組合の短期給付に係る掛金率は、千分の三十・一九から千分の四十二・四六までとなっている。 四について  お尋ねの「出産及び育児休業に係る給付の制度について官民で一元化すること」の具体的に意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。
a208034
大阪府・市によるカジノを含むIR事業の認定に関する質問主意書
令和四年三月二十五日提出 質問第三四号 大阪府・市によるカジノを含むIR事業の認定に関する質問主意書  平成三十(二〇一八)年に公布された特定複合観光施設区域整備法(以下「IR整備法」という)によると、カジノ事業を希望する都道府県等はカジノを含む区域整備計画を作成し、国土交通大臣の認定を申請する(第九条)とされている。大阪府・市が認定を申請すると予想されるが、その場合について以下の点を明確にされたい。 一 区域整備計画の認定申請期間は二〇二一年十月一日から二〇二二年四月二十八日までとあるがそのとおりか。期間が経過した後の申請は可能か。 二 IR整備法第九条第十一項第七号によると、カジノは三カ所以内となっているが、期限までに申請が三カ所に満たない場合はどうなるのか。後日の追加申請は可能なのか。 三 IR整備法第九条第八項によると、都道府県等が認定を申請するには議会の議決を経なければならないとあるが、大阪府と大阪市が申請するには府議会と市議会での議決が必要ということか。 四 区域整備計画の認定の審査はどのような手続で行われるか。国土交通大臣の認定を申請することができるとなっているが、認定の判断は特定複合観光施設区域整備推進本部(以下「IR推進本部」という)メンバーの全員一致で決まるのか。 五 IR推進本部は全閣僚とカジノ管理委員会委員長がメンバーとなっているが、そのうち一人でも反対があった場合はどうなるのか。閣議決定の場合と同様に一人でも反対があれば決定できないのか。  右質問する。
b208034
衆議院議員菅直人君提出大阪府・市によるカジノを含むIR事業の認定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月五日受領 答弁第三四号   内閣衆質二〇八第三四号   令和四年四月五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員菅直人君提出大阪府・市によるカジノを含むIR事業の認定に関する質問に対する答弁書 一及び二について  特定複合観光施設区域整備法(平成三十年法律第八十号。以下「法」という。)第九条第十項において、同条第一項の規定による区域整備計画(同項に規定する区域整備計画をいう。以下同じ。)の認定の申請は、政令で定める期間内にしなければならないとされており、その期間は、特定複合観光施設区域整備法第九条第十項の期間を定める政令(令和二年政令第三百六十五号)において、令和三年十月一日から令和四年四月二十八日までとしている。 三について  法第九条第八項において、都道府県等(法第六条第一項に規定する都道府県等をいう。以下同じ。)は、法第九条第一項の規定による区域整備計画の認定の申請をしようとするときは、その議会の議決を経なければならないとされている。  その上で、区域整備計画の認定の申請については、都道府県等の判断によるものであり、特定の都道府県等による区域整備計画の認定の申請に係るお尋ねについて、政府としてお答えすることは差し控えたい。 四及び五について  区域整備計画の認定に当たっては、法第九条第十一項の規定に基づき、法第五条第一項の規定に基づき定められた「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針」(令和二年十二月十八日特定複合観光施設区域整備推進本部決定)に基づき国土交通省に設けられた有識者から構成される審査委員会による審査の結果に基づき、法第九条第十二項の規定に基づく特定複合観光施設区域整備推進本部からの意見聴取等を経て、国土交通大臣が区域整備計画を認定することとされている。
a208035
BWR型原発の水素爆発対策に関する質問主意書
令和四年三月二十九日提出 質問第三五号 BWR型原発の水素爆発対策に関する質問主意書  原子力規制委員会は、東京電力株式会社福島第一原子力発電所(一F)と同型の沸騰水型軽水炉の原発(以後、BWR型原発)の、いわゆる原子炉等規制法に基づく適合性審査を進めてきている。そして、二〇一七年十二月に柏崎刈羽原子力発電所六、七号機(東京電力)の設置変更申請を許可したのをはじめ、二〇一八年九月に東海第二発電所(日本原子力発電株式会社)、二〇二〇年二月に女川原子力発電所二号機(東北電力株式会社)、二〇二一年九月に島根原子力発電所二号機(中国電力株式会社)の申請を許可した。  しかし、BWR型原発の水素爆発対策は不十分であるとの懸念が専門家や地域住民から寄せられている。そこで、二〇二二年三月十五日に原子力規制庁からの聴き取り(以後、聴き取り)を行ったところ、事後回答を含めて重要な事項が明らかになったため、以下、その確認を含めて質問する。 一 水素爆発対策の重要性についての認識  一F事故では、一号機、三号機、四号機で水素爆発が発生したとされる。原子炉建屋は爆発で吹き飛んだため、汚染を封じ込める機能を喪失して原発敷地内外に汚染を拡散させただけでなく、建屋内外における事故処理、さらには事故検証さえも著しく困難にさせている。そのため、適合性審査で水素爆発防止策を確認する重要性は極めて高いと認識している。政府としての認識を明らかにされたい。 二 水素爆発が起きた位置についての検証  聴き取りで、「一F事故に係る三、四号機の水素挙動の解析を行い、再現性を確認しているのか。確認している場合、それに関する資料を教えてほしい」旨を尋ねたところ、手元に資料がないとして、後日、原子力規制庁の東京電力福島第一原子力発電所事故対策室から次のような文書回答が届いた。  「東京電力にて実施している水素挙動解析は福島第一原子力発電所一号機に関するものであり、三、四号機に関する解析は実施しておりませんでした。」  1 この回答に間違いはないか。  2 原子力規制庁の文書回答はさらに、「一号機の水素挙動解析については『福島第一原子力発電所一~三号機の炉心・格納容器の状態の推定と未解明問題に関する検討第五回進捗報告』(平成二十九年十二月二十五日、東京電力ホールディングス株式会社)の添付一-十に示されています」として、東京電力のウェブサイト「一号機原子炉建屋で発生した水素爆発の解析」を示した。   ア この水素爆発の解析は、新潟県が設置した「新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会」(以後、技術委員会)での二〇一三年の議論がきっかけで始まり二〇一六年までに完了したものである。聴き取りでは、原子力規制委員会は、この解析をもとにBWR型原発の水素爆発の防止対策の妥当性を審査したとのことだったが、技術委員会ではその後も検証は続き、二〇二〇年十月二十六日に新潟県に提出した報告書「福島第一原子力発電所事故の検証」では、一号機の水素爆発について、「五階からの爆風のみで四階の内部が大きく損傷するとは考えにくい」「起点は五階よりも四階の可能性が高い」として、水素爆発が起きた位置については東京電力とは異なる結論を出した。二〇二〇年十月の技術委員会の結論を政府は認識しているか。   イ 水素爆発が起きた位置を原子力規制委員会が認識しているかどうかは、水素爆発を回避する上で重要であると考えるが、どうか。  3 どのように水素爆発が起きたのかを、東京電力は一号機では検証したのに、三、四号機では行っていないのはなぜか、政府の知るところを明らかにされたい。  4 東京電力による「一号機原子炉建屋で発生した水素爆発の解析」は、最後の「まとめ」の後に、柏崎刈羽原発の水素爆発対策の提案を行っている。第三者が見れば、再稼働を行いたい事業者が、再稼働をしやすい対策で済むような解析結果を出したのではないかと疑われても仕方がないと思われるが、政府の見解を明らかにされたい。  5 政府として独自に、一、三、四号機でなぜ、どこで水素爆発が起きたのかを早急に検証すべきではないか。 三 水素爆発の検証結果に基づく新規制基準への反映  1 原子炉等規制法に基づく「実用発電用原子炉及びその付属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則」、いわゆる新規制基準では、「水素爆発による原子炉格納容器の破損を防止するための設備」(第五十二条)と「水素爆発による原子炉建屋等の損傷を防止するための設備」(第五十三条)で、水素爆発対策を定めている。   ア 同規則は幾度もの改正を経ているが、現在の第五十二条及び第五十三条とその解釈が定められたのはいつか、年月日で明らかにされたい。   イ 同規則とその解釈では、BWR型原発等に、水素爆発対策のための装置設置を義務づけはしたが、設置位置についての義務付けはない。しかし、前述の技術委員会の報告書「福島第一原子力発電所事故の検証」を鑑みれば、水素爆発の回避には、水素爆発対策のための装置は単に設置すればいいのではなく、規則の名称にもあるとおり、設置「位置」が極めて重要である。政府は水素爆発対策のための装置の設置位置について軽視しているのか、重視しているのか、見解を明らかにされたい。  2 原子力規制委員会の「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係る検討会」は、二〇二一年三月五日に「東京電力福島第一原子力発電所事故の調査・分析に係る中間取りまとめ~二〇一九年九月から二〇二一年三月までの検討~」(以後、中間取りまとめ)を取りまとめ、原子力規制委員会はそれを二〇二一年三月十日に了承した。   聴き取りの中で、水素爆発対策である水素濃度制御設備や水素排出設備の設置位置などに関する調査・分析を踏まえ、「適合性審査で部分的にやりなおさなければならないという認識があるかどうか」を問われ、原子力規制庁は、「現在は規制の上乗せの必要性の有無について結論を出していない。検討中である」旨を回答した。   検討の結果、規制を上乗せする可能性があるという理解で間違いはないか。  3 聴き取りで、一、三、四号機で爆発が起きた原因が、水素以外の可燃性ガスである可能性についても、「中間取りまとめでその可能性はあるとされているため、調査中」である旨を原子力規制庁は回答したが、調査はいつまでに進めるつもりか。  右質問する。
b208035
衆議院議員阿部知子君提出BWR型原発の水素爆発対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月八日受領 答弁第三五号   内閣衆質二〇八第三五号   令和四年四月八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員阿部知子君提出BWR型原発の水素爆発対策に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねについては、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第四十三条の三の六第一項第四号の規定に基づき定められている実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則(平成二十五年原子力規制委員会規則第五号)等に係る適合性審査(以下「新規制基準適合性審査」という。)において同規則第五十三条の規定により「水素爆発による当該原子炉建屋等の損傷を防止するために必要な設備を設け」ることを確認することとしているとおり、「水素爆発対策の重要性」を認識している。 二の1について  御指摘の「回答」のとおりであるが、更に詳細に述べると、東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)の実施した東京電力福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)一号機に関する水素挙動解析は原子炉建屋で発生した水素爆発に係るものであり、東京電力は、福島第一原発三号機及び四号機に関する同様の解析は実施していないが、一般的な水素挙動解析は福島第一原発三号機に関しても実施していると承知している。 二の2のアについて  御指摘の「報告書」において、福島第一原発一号機の「水素の漏洩経路・着火源・爆発起点」に関して、「技術委員会」の「委員見解」として、御指摘の記載があることは承知している。 二の2のイ及び5について  原子力規制委員会においては、福島第一原発における水素爆発の発生メカニズムや発生場所等を理解することは、水素爆発による原子炉建屋等の損傷防止に係る対策を検討する上で重要であると認識しており、優先的にそれらの調査・分析に取り組んでいるところである。 二の3及び4について  福島第一原発における事故に係る東京電力の調査は東京電力が独自に行っているものであり、「どのように水素爆発が起きたのかを、東京電力は一号機では検証したのに、三、四号機では行っていないのはなぜか」とのお尋ねについては、政府としては承知しておらず、御指摘の「解析」の内容については、政府としては評価していない。 三の1のアについて  お尋ねの「現在の第五十二条及び第五十三条とその解釈が定められた」のは、「第五十二条及び第五十三条」にあっては平成二十五年六月二十八日、「その解釈」にあっては同月十九日である。 三の1のイについて  お尋ねの「軽視しているのか、重視しているのか」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「水素爆発対策のための装置の設置位置」については、新規制基準適合性審査の中で確認しているところである。 三の2について  御指摘の「中間取りまとめ」から得られた知見の規制への取り入れに関しては現在検討中であるため、お尋ねについて現時点においてお答えすることは困難である。 三の3について  お尋ねの「調査」を「いつまでに進めるつもりか」については、特段期日を定めているものではない。
a208036
弾道ミサイルと排他的経済水域に関する質問主意書
令和四年三月三十日提出 質問第三六号 弾道ミサイルと排他的経済水域に関する質問主意書  平成二十九年三月十日の衆議院外務委員会において、次のようなやり取りがある。  ○緒方委員 (略)国連海洋法条約では、排他的経済水域そして大陸棚には主権的権利というのが認められています。主権ではないですけれども、主権的な権利という非常に微妙な言葉が使われているわけでありますが、今回日本のEEZにミサイルが落ちたことによって、私は、実は、日本の主権ではない、だけれども主権的権利というものが侵害をされたのではないですかというふうに、昨日お伺いしました。  通告がありませんでしたので、きょう再度お伺いをさせていただきます。岸田大臣、いかがお考えでしょうか。  ○岸田国務大臣 昨日、委員の方から御質問をいただきまして、改めて私も国連海洋法条約を確認してみました。  そうしますと、国連海洋法条約五十六条の一に、沿岸国はEEZにおいて天然資源の探査、開発、保存及び管理等のための主権的権利を有している、こう記されています。要は、この主権的権利とは、天然資源の探査、開発、保存及び管理、こうしたことを行うことを指していると承知をします。そして、その上で、今度は五十八条の三には、他国のEEZにおいて、沿岸国の権利及び義務に妥当な考慮を払わなければならない、こうした規定が設けられています。  そして、委員の御質問は主権的権利が害されたかどうかということだと思いますが、要は、この条約上、軍事訓練が行われたとしても、妥当な考慮が払われていたならばそれは可能であるとされています。EEZ内で軍事的な訓練を行うということは、これは先ほど言いました天然資源の探査、開発、保存及び管理といったこの権利を害するかどうか、これは判断が大変難しいものがありますが、そうだとしても、条約上は、妥当な考慮が払われていればそれは可能であるというふうに解釈するべきであると承知をしています。  そして、今回の北朝鮮によって発射された弾道ミサイル、我が国のEEZ内に落下したわけでありますが、これは、何らの事前通報もなかったことを鑑みれば、我が国の権利及び義務に妥当な考慮を払ったとは言いがたい、このように考えるべきであると考えます。  ○緒方委員 いや、最後の一言がなかったんですけれども、妥当な考慮が払われていなかったことをもって主権的権利が害されたというふうに大臣はお考えですか。  ○岸田国務大臣 主権的な権利が害されたかどうかというのは大変難しい判断であると聞いております。  そして、害されたかどうかを判断するよりは、妥当な考慮が払われていたかどうか、これが重要であるというのが、この条約の解釈の仕方であると認識をいたします。これは、軍事訓練であっても事前通報があれば可能であるというのが、この条約における解釈のありようだと承知をしています。  そのことを考えますと、妥当な考慮が払われたかどうか、これこそ最も重要なことであり、今回は払われていなかった、これはその点で問題であると認識をいたします。  以上を踏まえ、次のとおり質問する。 一 我が国に事前通報をした上で、その権利及び義務に妥当な考慮を払えば、他国は我が国のEEZ(排他的経済水域)に弾道ミサイルを落下させる事が可能なのか。 二 政府として、上記岸田国務大臣(当時)の答弁で表明された立場を踏襲しているか。  右質問する。
b208036
衆議院議員緒方林太郎君提出弾道ミサイルと排他的経済水域に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月八日受領 答弁第三六号   内閣衆質二〇八第三六号   令和四年四月八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員緒方林太郎君提出弾道ミサイルと排他的経済水域に関する質問に対する答弁書 一について  国際法上、いずれの国も、排他的経済水域においてその権利を行使するに当たり、沿岸国の権利及び義務に妥当な考慮を払うものとされている。その上で、お尋ねについては、個別具体的な状況に応じて判断する必要があるため、一概にお答えすることは困難である。 二について  御指摘の答弁で示された政府の立場に変わりはない。
a208037
食の安全に関する質問主意書
令和四年三月三十日提出 質問第三七号 食の安全に関する質問主意書  食の安全について、お尋ねする。 一 今回の食品添加物表示のガイドライン改定(消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」等)によって「無添加」「不使用」との表示ができなくなると聞く。  1 それは事実か。仮に本当に添加物を使用していない食品であっても「無添加」と表示できなくなるのか。そうである場合、合理的な理由をお示し願いたい。  2 「人工甘味料不使用」との表示は事実であっても不可能となるのか。そうである場合、合理的な理由をお示し願いたい。政府は「表示が事実なら禁止しない」と説明するが、それはどのように確認するのか。  3 不使用表示ガイドラインでは食品添加物使用について加工助剤も含むとされている。例えば、塩、砂糖、水道水を使用したら無添加という表示は不可能となるのか。 二 欧米(米国又はEU)のいずれかの国で安全性の問題で使用できない食品添加物を、新たに日本で使用可能としたケースについてお尋ねする。  1 そのような食品添加物があれば、使用可能とした理由とともにすべての物質名をお示し願いたい。 三 食品添加物である臭素酸カリウムは安全性等の観点からEU等で使用することができない。しかし、日本では加工助剤として、生産段階で使用されても最終商品に残留しないことを条件に使用が認められている。  1 つまり、臭素酸カリウムの残留基準値は零(ゼロ)ということでよいのか。また、生産の途中で消滅して製品(完成品)には残留しないことは、誰によってどのように確認されるのか。また、国は臭素酸カリウムを使用した食品について、年間何検体、残留していないことを検査で確認しているのか。また、国、自治体、民間で、臭素酸カリウムの残留を確認する検査手法は確立しているのか、このような検査ができる機関は全国で何か所あるのか、政府の把握しているところを答えられたい。また、これまで小売店からは、臭素酸カリウムが最終商品に残留していたケースが報告されているが、政府として把握しているケースがあれば把握時期別に、すべてお示し願いたい。また、臭素酸カリウムが残留したケースに関して、政府には責任は無いのか。また、残留がないことを確認する仕組みに不備があると考えるが、いかがか。  2 臭素酸カリウムを加工助剤として使用する場合は表示を免除されている。   なぜ表示が免除されるのか。臭素酸カリウムが最終商品から消滅していない事例がある以上、臭素酸カリウムを加工助剤としてでも使用した場合、表示する必要があると考えるがいかがか。また、表示しない場合、臭素酸カリウムを使用した食品を食べたくないと思う消費者はどのようにして商品を選べばいいのか。また、表示免除は消費者の選ぶ権利を奪うことになってはいないのか。臭素酸カリウムが残留したケースがある以上、EU同様に臭素酸カリウムを指定削除するべきと考えるがいかがか。臭素酸カリウムのように最終商品に残留しないことが定められている他の食品添加物について、最終商品における残留が確認された事例があれば、政府として把握しているところを確認された時期別にすべてお示し願いたい。  3 加工助剤のうち残留が認められない物質はいくつあるのか。  4 それらの物質に限定して、具体的物質名も表示すべきと考えるがいかがか。表示が無ければどうやって残留の有無を民間機関は確認できるのか。 四 欧米で認められていない、または制限されている食品添加物等についてお尋ねする。  1 欧米に属する国で安全性の観点から使用が認められていない食品添加物のうち、日本で使用が認められている食品添加物を使用が認められた理由も含めて、政府が把握するところをすべてお示し願いたい。欧米で認められていない食品添加物等のうち、着色料である食用赤色一〇四号、同一〇五号、同一〇六号、漂白剤である次亜硫酸ナトリウム、防カビ剤のジフェニルは、日本では使用が認められている。それぞれ安全性はいつ、誰によって、どのように確認されたのか。着色料である赤色二号は米国では使用が認められずEUでも使用が制限されている。日本では使用可能だが、安全性はいつ、誰によって、どのように確認されたのか。赤色二号の安全性は十年以内に確認されたのか。  2 二酸化チタン(着色料)については二〇二一年に欧州食品安全機関が「遺伝毒性の懸念を排除できない」との評価を示した。これを受けて二〇二二年にEUは二酸化チタンの食品添加物への使用を禁止した。日本では使用可能だが、安全性はいつ、誰によって、どのように確認されたのか。  3 食品添加物ではないが、トランス脂肪酸については米国では心筋梗塞や虚血性心疾患などのリスクを高める等として、水素を添加したトランス脂肪酸の食品添加が原則禁止されている。日本では使用可能だが、安全性はいつ、誰が、どのように確認したのか。  4 農薬であるプロピコナゾールについては、EUは生殖毒性や内分泌器官への有害作用の懸念から二〇一八年に認可を更新せず、二〇一九年に農薬登録が失効した。日本では使用可能だが、安全性はいつ、誰によって、どのように確認されたのか。  5 ネオニコチノイド系の農薬についてEUは安全性の懸念から使用できる種類を一種類に絞っている。日本では七種類が使用可能であるが、それぞれ安全性はいつ、誰によって、どのように確認されたのか。また、ネオニコチノイド系の農薬と発達障害との因果関係があると指摘する論文について政府は把握しているか。この指摘は事実なのか。かつて政府は、「『ネオニコ系の農薬の使用と自閉症や広汎性発達障害との関係』については、政府としては、その因果関係は確認されていないと考えている」と答弁しているが、「因果関係は確認されていない」という事実を、いつ、誰が、どのようにして確認したのか。また、「因果関係は確認されていない」というが、根拠となる論文は存在するのか。お示し願いたい。 五 安全性の観点から日本では使用できない農薬が、海外で使われているケースがある。  1 その海外で使われた日本では使えない農薬によって育てられた農作物が日本に輸入される場合、その農作物の日本での流通を止めることはしないのか。止めることをしないのであればその理由を根拠となる論文等を示しながらお教え願いたい。  2 国内産、できれば輸入品についてもできるだけ使用農薬を農産物に表示する制度を作るべきと考えるがいかがか。QRコードなどでインターネット上に表示するなど工夫を加え検討すべきと考えるが、政府の見解を問う。  3 欧米で安全性の観点から使用が認められていない農薬のうち、日本で使用可能な例はあるか。使用可能としている理由とともに物質名について、政府が把握するところをお示し願いたい。 六 政府が定めた食品添加物表示のルールに一括名表示というものがある。単に一つの名称、例えば「香料」「増粘多糖類」「酸味料」「調味料」「加工デンプン」などとカテゴリーを書けば具体的な物質名の表示はたとえ多くの物質を使っていたとしても、免除されるというものである。  1 本来は、一括名とともに、具体的物質名もすべて明記すべきと考えるが、なぜ、それができないのか。表示する物質名が多くなってしまうのであれば、QRコードなどを利用してインターネット上に表示すべきと考えるがいかがか。  2 一括名表示に該当する物質名が一つの場合のみ、物質名を書くことが政府によって指導されているが、物質名を隠したい場合は二つ以上の物質を使えば一切、物質名を書かなくて済むこととなる。これは事実か。事実とすれば、添加物の多用を進めてしまう弊害が出てしまうのではないのか。政府によって物質ごとに使用量の上限や残留量の上限が定められているが、一括名だけで具体的物質名がわからなければ、民間機関などが、それをチェックすることが困難になってしまうが、改善することは考えていないのか。  右質問する。
b208037
衆議院議員長妻昭君提出食の安全に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月八日受領 答弁第三七号   内閣衆質二〇八第三七号   令和四年四月八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員長妻昭君提出食の安全に関する質問に対する答弁書 一について  「食品表示基準Q&Aについて」(平成二十七年三月三十日付け消食表第百四十号消費者庁食品表示企画課長通知)の別添「食品表示基準Q&A」の別添「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」は、添加物の不使用表示に関して、消費者に誤認等を与えないよう留意が必要な具体的事項をまとめたものであり、添加物の不使用表示を一律に禁止するものではなく、食品関連事業者等が、食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)第九条の規定により、一般用加工食品の容器包装に表示することが禁止されている事項(以下「表示禁止事項」という。)に該当するか否かについて、自己点検を行う際に用いることができるものとして公表しているものである。  添加物の不使用表示については、同条に違反しない限り可能であるが、当該不使用表示が、表示禁止事項に該当するか否かは、商品の性質、消費者の知識水準、取引の実態、表示の方法、表示の対象となる内容等を踏まえて判断する必要があるため、一概にお答えすることは困難である。 二について  御指摘の「欧米(米国又はEU)のいずれかの国で安全性の問題で使用できない食品添加物」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「欧米(米国又はEU)のいずれかの国」で使用できない添加物を「新たに日本で使用可能とした」かどうかについて、政府として把握していないことから、お尋ねについてお答えすることは困難である。 三の1について  お尋ねの「臭素酸カリウムの残留基準値は零(ゼロ)ということでよいのか」及び「臭素酸カリウムが残留したケースに関して、政府には責任は無いのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、臭素酸カリウムは、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第十三条第一項の規定に基づき定められている食品、添加物等の規格基準(昭和三十四年厚生省告示第三百七十号。以下「規格基準」という。)において「使用した臭素酸カリウムについては、最終食品の完成前に分解し、又は除去しなければならない」と規定されており、臭素酸カリウムが最終食品に残留していないことについては、同条第二項の規定に基づき、一義的には、食品又は添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、保存し、販売し、又は輸入する者が確認する責務を負う。  政府としては、同法第二十七条の規定に基づく届出において、使用された添加物の品名を輸入届出書に記載させた上で提出させており、提出された輸入届出書の内容について審査を行った結果、過去十年間においては、臭素酸カリウムが使用された食品の輸入届出書は提出されておらず、御指摘の「残留していないことを検査」する機会はなかった。  また、国内の小売店等に対する同法第三十条第二項の規定に基づく監視指導は都道府県知事、保健所を設置する市の市長及び特別区の区長(以下「都道府県知事等」という。)が実施しており、政府としては、臭素酸カリウムが使用された食品の国内における検査については都道府県知事等が当該監視指導の中で実施しているものと承知しているが、お尋ねの「年間何検体、残留していないことを検査で確認しているのか」及び「臭素酸カリウムが最終商品に残留していたケース」は把握していない。  御指摘の「臭素酸カリウムの残留を確認する検査手法」については、「食品中の臭素酸カリウム分析法について」(平成十五年三月四日付け食基発第〇三〇四〇〇一号厚生労働省医薬局食品保健部基準課長通知)で示しているところであるが、お尋ねの「このような検査ができる機関は全国で何か所あるのか」については、政府としては把握していない。  国にあっては同法第二十三条第一項の規定に基づく輸入食品監視指導計画に基づき、適切に食品等の監視指導を行っており、都道府県、保健所を設置する市及び特別区(以下「都道府県等」という。)にあっては同法第二十四条第一項の規定に基づく都道府県等食品衛生監視指導計画に基づき、適切に監視指導がなされているものと承知しており、「残留がないことを確認する仕組みに不備がある」とは考えていない。 三の2について  加工助剤として使用される臭素酸カリウムは、食品の加工の際に添加される添加物であって、当該食品の完成前に除去されるものであることから、食品表示基準第三条において表示が免除されている。御指摘の「臭素酸カリウムが最終商品から消滅していない事例」及び「臭素酸カリウムが残留したケース」については、適切な製造方法等の下で使用した場合に、添加物としての有効性を保ちつつ、遵守が可能なものとして設定された添加物の使用に関する基準を定めている規格基準が遵守されていない事例であり、規格基準に違反した食品が確認されたことをもって、直ちに表示を義務付け、又は食品衛生法第十二条の規定に基づく指定を取り消す必要はないと考える。  「消費者の選ぶ権利」に関するお尋ねについては、食品表示基準が、食品を消費者が安全に摂取し、及び自主的かつ合理的に選択するために必要と認められる事項を内容とするものであるところ、臭素酸カリウムは、食品の加工の際に添加される添加物であって、当該食品の完成前に除去されるものであることから、当該事項に含めていないものである。  お尋ねの「臭素酸カリウムのように最終商品に残留しないことが定められている他の食品添加物について、最終商品における残留が確認された事例」については、政府としては、検疫所における平成十二年四月以降の輸入食品に対する輸入時の同法の違反状況について把握しており、同年に過酸化水素、平成十三年にアセトン及び過酸化水素、平成十四年及び平成十五年に過酸化水素及び二酸化ケイ素、平成十六年から平成二十一年までに過酸化水素、平成二十二年に過酸化水素及びヘキサン並びに平成二十四年及び令和三年に二酸化ケイ素の残留を確認している。 三の3及び4について  お尋ねの「加工助剤のうち残留が認められない物質」の意味するところが必ずしも明らかではないが、添加物のうち規格基準において、分解し、除去し、又は中和しなければならない旨が定められているものは、二十種類である。これらの添加物については、食品の加工の際に添加される添加物であって、当該食品の完成前に除去されるものであることから、食品表示基準第三条において表示が免除されている。当該添加物が最終食品に残留していないことの確認については、食品衛生法第十三条第二項の規定に基づき、一義的には、食品又は添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、保存し、販売し、又は輸入する者が確認する責務を負う。また、国にあっては同法第二十三条第一項の規定に基づく輸入食品監視指導計画に基づき、適切に食品等の監視指導を行っており、都道府県等にあっては同法第二十四条第一項の規定に基づく都道府県等食品衛生監視指導計画に基づき、適切に監視指導がなされているものと承知している。 四の1について  御指摘の「欧米に属する国で安全性の観点から使用が認められていない食品添加物」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「欧米に属する国」で使用できない添加物であって、人の健康を損なうおそれのないものとして、食品衛生法第十二条の規定に基づき「日本で使用が認められている食品添加物」としては、例えば、米国においては食用赤色二号及び英国においては臭素酸カリウムがあると承知している。  食用赤色二号、食用赤色一〇四号及び食用赤色一〇五号については昭和二十三年七月十三日に、食用赤色一〇六号及び次亜硫酸ナトリウムについては昭和三十二年七月三十一日に、ジフェニルについては昭和四十六年二月二十六日に、人の健康を損なうおそれのない添加物として指定されたところであるが、お尋ねの「安全性はいつ、誰によって、どのように確認されたのか」について、その当時の資料が現存していないことからお答えすることは困難である。なお、食用赤色二号にあっては、平成十四年七月に、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加物合同部会において、「食用赤色二号に関しましては発がん性はないだろうということで、現行どおり使用を認めるということで問題ないという結論をいただいた」とされ、次亜硫酸ナトリウムにあっては、平成十五年九月に、食品安全委員会が、食品安全基本法(平成十五年法律第四十八号)第十一条第一項に規定する食品健康影響評価(以下「食品健康影響評価」という。)の結果を取りまとめ、「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会毒性・添加物合同部会において行われた「その安全性について現段階で新たな対応をとる必要はないと考えられる」との評価の結果は妥当」であると評価している。 四の2について  二酸化チタンについては、昭和五十八年八月二十七日に、人の健康を損なうおそれのない添加物として指定されたところであるが、お尋ねの「安全性はいつ、誰によって、どのように確認されたのか」について、その当時の資料が現存していないことからお答えすることは困難である。 四の3について  トランス脂肪酸の食品を通じた人の健康に及ぼす影響については、食品安全委員会において、食品健康影響評価を行い、平成二十四年三月八日に、その結果を取りまとめたところである。 四の4について  プロピコナゾールの食品を通じた人の健康に及ぼす影響については、食品安全委員会において、食品健康影響評価を行い、直近では平成二十九年七月四日に、その結果を取りまとめたところであり、当該結果等を踏まえ、プロピコナゾールを含む農薬の登録に当たっては、農薬取締法(昭和二十三年法律第八十二号)に基づき、農薬の安全性その他の品質に関する審査を行い、農薬の使用方法を定めている。 四の5について  我が国において使用可能な七種類のネオニコチノイド系農薬の有効成分であるアセタミプリド、イミダクロプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、チアクロプリド、チアメトキサム及びニテンピラム(以下「アセタミプリド等」という。)の食品を通じた人の健康に及ぼす影響については、食品安全委員会において、食品健康影響評価を行い、直近では、それぞれ平成二十六年十二月十六日、平成二十八年七月十二日、平成二十六年十月七日、平成二十九年二月十四日、平成三十年十月二十三日、平成二十七年七月二十八日、平成二十八年五月十七日に、その結果を取りまとめたところであり、当該結果等を踏まえ、アセタミプリド等を含む農薬の登録に当たっては、農薬取締法に基づき、農薬の安全性その他の品質に関する審査を行い、農薬の使用方法を定めている。  御指摘の「ネオニコチノイド系の農薬と発達障害との因果関係があると指摘する論文」の意味するところが必ずしも明らかではないが、アセタミプリド等の食品健康影響評価に当たり収集し、参照した資料においては、アセタミプリド等と発達障害との間の因果関係が確認されたとする論文はなく、政府としては、当該因果関係は確認されていないとしたものである。 五の1について  御指摘の「その海外で使われた日本では使えない農薬」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国に輸入される食品を含む食品中の残留農薬については、我が国では使用できない農薬も含め、食品衛生法第十三条の規定に基づき規制を行っている。輸入時においては、海外での検出事例等を踏まえ、農薬取締法に基づき我が国で使用できる農薬として登録されていない農薬も、モニタリング検査の対象としており、食品衛生法に違反している食品があった場合は、当該食品は廃棄等されることとなる。 五の2について  農産物に使用した農薬の表示の義務付けに関しては、消費者における表示の必要性、事業者における表示の実行可能性及び国際整合性を踏まえて慎重に検討する必要があると考えている。 五の3について  御指摘の「欧米で安全性の観点から使用が認められていない農薬」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、「安全性の観点」が人の健康に及ぼす影響を意味するものであるとすれば、農薬に含まれる個別の有効成分が欧州連合及び米国において使用可能なものとして登録されていない理由に関する情報が公表されているとは限らないことから、網羅的には把握できないが、我が国においては、チアクロプリドを含む農薬については、農薬取締法に基づき、科学的知見に基づく評価の結果、農薬の安全性その他の品質に問題がないものとして登録されているところ、欧州連合においては、チアクロプリドについては、登録の更新手続時に、人の健康に及ぼす影響への懸念も考慮し登録が取り消されたと承知している。 六の1について  御指摘のように具体的物質名を事業者の判断で記載することは可能であるが、使用量が少ない香料や、嚥下を目的としないガムベース等の添加物は、通常複数の組合せによって機能を果たすことが多く、個々の成分を表示する必要性が低いことから、また、有機酸、アミノ酸等の添加物は、食品中にも常在することから、食品表示基準等においてそれらの成分の機能等を一括する名称の表示をもって物質名の表示に代えることができることとしているものである。  「QRコードなどを利用してインターネット上に表示すべき」との御指摘については、食品の購入時に、全ての消費者が容易にインターネットに接続できる環境が整っていないため、現時点では、容器包装上の表示に代わる方式として「QRコード」等を利用してインターネット上に表示することを義務付けることは困難であると考えている。 六の2について  御指摘の「一括名表示」については、六の1についてで述べたとおりであり、使用する添加物の数によって表示の方法が変わるものではない。お尋ねの「添加物の多用を進めてしまう弊害」については、公衆衛生の見地から必要なものに対し、規格基準において添加物の使用量及び残存量の上限が定められており、規格基準への適合性は、食品衛生法第十三条第二項の規定に基づき、一義的には、食品又は添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、保存し、販売し、又は輸入する者が確認する責務を負う。また、国にあっては同法第二十三条第一項の規定に基づく輸入食品監視指導計画に基づき、適切に食品等の監視指導を行っており、都道府県等にあっては同法第二十四条第一項の規定に基づく都道府県等食品衛生監視指導計画に基づき、適切に監視指導がなされているものと承知している。
a208038
旧一般電気事業者による高圧受電顧客の新規受付停止に関する質問主意書
令和四年四月一日提出 質問第三八号 旧一般電気事業者による高圧受電顧客の新規受付停止に関する質問主意書  経済産業省制定「電力の小売営業に関する指針」には、各電力会社は、需要家(消費者)が料金水準の適切性を判断しやすくなるように、標準メニューを公表することが望ましいと明記されているところである。しかし、現状では、標準メニューを公表しているものの、実際に契約をすることができない事例が生じているとされている。そこで、次のとおり質問する。 一 報道(福井新聞(二〇二二年三月二十七日)や日経クロステック(二〇二二年三月九日))によれば、旧一般電気事業者が高圧標準メニューによる新規受付を停止していると報じられている。前記報道(福井新聞)によると、北陸電力株式会社は他の電力会社からの高圧の契約切り替え申込みについて、現状の供給力では対応出来ないとして高圧標準メニューによる新規受付を全面停止している(新規受付停止)とあるが、事実か。他の旧一般電気事業者についてもこのような事実はあるのか。政府の把握するところを答えられたい。 二 経済産業大臣直属の電力・ガス取引監視等委員会「第七十一回制度設計専門会合」(二〇二二年三月二十四日)資料三-二の九頁によると、「実際に最終保障供給への申込みも増加しているところ、現状の市場価格を踏まえると本年四月以降に更なる申込み増加が起こることも予想される。」との記載がある。通常、消費者は最終保障供給に至る前には、自由化前からある旧一般電気事業者に高圧標準メニューが申し込めないか試みるはずであり、前記資料の記載は、旧一般電気事業者が高圧標準メニューでの新規受付を停止しているからではないか。政府の見解はいかがか。 三 北陸電力が高圧標準メニューによる新規受付停止の対象としているのは、「他電力会社から旧一般電気事業者に契約を戻したい民間・企業の高圧契約」のみか。また、他の旧一般電気事業者についてはどうか。政府の把握するところを答えられたい。 四 北陸電力は、それ以外の「旧一般電気事業者が現在契約していて満期に伴い契約更新が必要な民間・企業の高圧契約」、「建物を立てて新設で受電する民間・企業の高圧契約」及び「民間・企業ではない官公庁の高圧契約(における公共入札)」について、高圧標準メニューでの契約は受付を停止しているのか。また、他の旧一般電気事業者についてはどうか。政府の把握するところを答えられたい。 五 「他電力会社から旧一般電気事業者に契約を戻したい民間・企業の高圧契約」のみが受付停止の扱いを受けている場合には、いわゆる「戻り需要」に対する差別的な扱い(公正取引委員会、経産省の「適正な電力取引についての指針」)に該当すると考えるが、政府の見解はいかがか。 六 旧一般電気事業者が、「他電力会社から旧一般電気事業者に契約を戻したい民間・企業の高圧契約」について、標準メニューの新規受付を全面停止しているにもかかわらず、ホームページ上では、依然としてこの受付を行っているように表示しているが、政府はこの状況を把握しているか。 七 特定商取引に関する法律が適用される取引の場面において、六のように事実と異なる表示(新規受付をしていないにもかかわらず受付を行っているかのような表示)を行うことは、消費者に対する不実告知(虚偽の説明)(特定商取引に関する法律第六条)に該当すると考えるがいかがか。 八 六のように取引の申出に係る商品・サービスについて、取引を行うための準備がなされていないにもかかわらず表示がなされている場合、いわゆる景品表示法第五条第三号の規定に基づく告示である「おとり広告に関する表示」に該当すると考えるがいかがか。 九 旧一般電気事業者の高圧標準メニューは、自由化前に適用していた規制料金を踏襲している。消費者が他の電力会社を含めたサービスを選択する際には、当然ながらこの旧一般電気事業者の高圧標準料金を参考にすると同時に、他の電力会社が経営難に陥った場合でも旧一般電気事業者への再契約が可能であるからこそ、不安なく電力会社を選択できるものと考えるが、政府の見解はいかがか。 十 二のように、消費者が電力会社を選ぶ選択肢が全くなく、どの小売電気事業者にも受付を断られ、最終保障供給への申込みが急激に増加し、それが常態化することは、「電力システムに関する改革方針」(二〇一三年四月二日閣議決定)で定められている「需要家が電力会社、メニューを選択出来るようにする」という趣旨に反し、需要家の選択肢を奪うことにならないか。ならないとすればその理由は何か。  右質問する。
b208038
衆議院議員逢坂誠二君提出旧一般電気事業者による高圧受電顧客の新規受付停止に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月十二日受領 答弁第三八号   内閣衆質二〇八第三八号   令和四年四月十二日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員逢坂誠二君提出旧一般電気事業者による高圧受電顧客の新規受付停止に関する質問に対する答弁書 一、三及び四について  お尋ねについては、小売電気事業者のうち旧一般電気事業者十社の一部において標準メニューによる高圧電力の契約の申込みの受付の一部を停止している状況が発生していることは承知しているが、これ以上の詳細については、これを明らかにすることによって旧一般電気事業者十社の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると考えており、お答えすることは差し控えたい。 二について  お尋ねの「前記資料の記載」については、小売電気事業者のうち旧一般電気事業者十社の一部において標準メニューによる高圧電力の契約の申込みの受付の一部を停止している状況、卸電力取引所における売買取引の価格の高騰、小売電気事業者の事業からの撤退等を勘案して記載したものである。 五、七及び八について  お尋ねの場合が「適正な電力取引についての指針」(平成十一年十二月公正取引委員会・通商産業省作成、令和四年三月改定)における「戻り需要に対する不当な高値設定等」、特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号)第六条第一項に規定する不実のことを告げる行為又は不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第五条第三号の規定に基づくおとり広告に関する表示(平成五年公正取引委員会告示第十七号)に該当するか否かは、個別具体的な事情により判断されるものであり、お答えすることは困難である。 六について  小売電気事業者のうち旧一般電気事業者十社の一部において、標準メニューによる高圧電力の契約の申込みの受付の一部を停止する一方で、その旨をウェブサイト上で明らかにしていない事例があることは承知している。 九について  お尋ねの「不安なく電力会社を選択できる」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、「旧一般電気事業者の高圧標準料金を参考にすると同時に、他の電力会社が経営難に陥った場合でも旧一般電気事業者への再契約が可能であるからこそ」需要家が電気の供給者を自由に選択できるようになるとは考えていない。  なお、政府としては、どの小売電気事業者とも契約が締結できなかった需要家に対する電気の供給を保障するため、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第十七条第三項の規定に基づき、規制料金が撤廃されている電力小売自由化部門において一般送配電事業者に当該需要家に電気を供給する最終保障供給の義務を課しているところである。 十について  お尋ねの「需要家の選択肢を奪うこと」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、相当数の小売電気事業者が存在していることから、御指摘のような事態が生じる可能性は低いと考えているが、仮に万が一、御指摘のような事態が生じた場合には、需要家による電気の供給者の自由な選択が阻害される可能性があると考えている。  なお、現在、政府としては、最終保障供給の今後の在り方を含め、需要家が電気の供給者を自由に選択できる環境を更に整備するために必要な具体的措置の検討を行っているところである。
a208039
副大臣、大臣政務官、総理補佐官の資格要件に関する再質問主意書
令和四年四月五日提出 質問第三九号 副大臣、大臣政務官、総理補佐官の資格要件に関する再質問主意書  副大臣、大臣政務官、総理補佐官の資格要件に関し、以下、質問する。 一 衆質二〇八第三一号の質問主意書の答弁において、憲法第六十六条第二項に「内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない」と定められているが、この規定は、副大臣、大臣政務官、総理補佐官について定めたものではないとの答弁を得たが、副大臣、大臣政務官、総理補佐官は文民でなければならないと定めた法令はあるか、伺いたい。 二 副大臣、大臣政務官、総理補佐官は文民でなければならないと定めた法令がない場合、政府は副大臣、大臣政務官、総理補佐官は文民でなくても任命できると考えるか、伺いたい。  右質問する。
b208039
衆議院議員伊藤俊輔君提出副大臣、大臣政務官、総理補佐官の資格要件に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月十五日受領 答弁第三九号   内閣衆質二〇八第三九号   令和四年四月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員伊藤俊輔君提出副大臣、大臣政務官、総理補佐官の資格要件に関する再質問に対する答弁書 一について  内閣総理大臣補佐官、副大臣及び大臣政務官について「文民でなければならない」と規定した法令はないと承知している。 二について  お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、内閣総理大臣補佐官、副大臣及び大臣政務官の任命については、任命権者である内閣が、適材適所の考え方から行っているものである。
a208040
原材料費等高騰下における価格転嫁対策に関する質問主意書
令和四年四月六日提出 質問第四〇号 原材料費等高騰下における価格転嫁対策に関する質問主意書  原材料や原油価格等の高騰等により二〇二一年末から物価上昇の勢いが増している。原材料費高騰下における価格転嫁の状況は、日本商工会議所二〇二一年十一月の調査では八割超が転嫁できていないという。中小企業庁が同時期に実施した調査においても価格交渉できなかった企業や価格転嫁がまったくできなかった企業は、およそ三割に及んでいる。政府は、こうした状況において下請け企業が価格転嫁を行いやすくするためとして「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化の取組について」(以下、転嫁円滑化パッケージ)を取りまとめた。また経済団体等とも連携し、取引先企業との共存共栄を目指して適正価格で取引を行うことを表明する「パートナーシップ構築宣言」を行った企業(以下、宣言企業)を拡大する取り組みも展開している。転嫁円滑化パッケージやパートナーシップ構築宣言など取引適正化に向けた取り組みの状況や今後の方向性等について以下、質問する。 一 転嫁円滑化パッケージ、パートナーシップ構築宣言の効果の検証  1 昨年二〇二一年十二月に取りまとめられた転嫁円滑化パッケージは毎年一月から三月までを「集中取組期間」と定め取り組みを強力に進めることとしている。先月三月までの集中取組期間を経て、この間行った具体的施策についてはその施策ごとに取り組みの効果を検証し、更なる取り組みの強化や追加の具体策を講じなければならないと考えるが、取り組みの効果の検証や検証結果を踏まえた施策の展開について今後どのように進めていくのか政府の見解を問う。  2 パートナーシップ構築宣言については転嫁円滑化パッケージにおいて、その実効性の強化がうたわれているものの、宣言企業は資本金三億円以上の企業でみると全体の一割にとどまっているという調査結果がある。今後、宣言企業の拡大に向けてどのような施策を講じていくか。 二 コロナ禍と物価高の二重苦で非常に厳しい状況にある中小企業にとって資源価格高騰は死活問題であり、政策資源の総動員は一刻の猶予も許されない状況にある。政府には、実効性を高めていくための具体的措置が求められる。そこで以下質問する。  1 欧州においては、電力やガスといったエネルギーにかかる付加価値税の税率引き下げや電力税の引き下げといった措置がとられている。日本においても、補助金申請における優遇措置のみならず全省庁横断的な取り組みへと対策を強化し、税制の議論も避けることなく検討すべきと考えるが政府の見解を問う。  2 原油価格高騰対策としてのトリガー条項凍結解除によるガソリン税の一部引き下げ等の措置のみならず、電力やガス、水道、原材料など資源・エネルギー全般を対象に、消費税を減税することを検討すべきと考えるが政府の見解を問う。  右質問する。
b208040
衆議院議員青柳陽一郎君提出原材料費等高騰下における価格転嫁対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月十五日受領 答弁第四〇号   内閣衆質二〇八第四〇号   令和四年四月十五日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員青柳陽一郎君提出原材料費等高騰下における価格転嫁対策に関する質問に対する答弁書 一の1について  お尋ねの「効果の検証」及び「施策の展開」を「今後どのように進めていくのか」については、「集中取組期間」以降の取組の実施状況も踏まえながら検討していく考えであり、これ以上の詳細については、当該検討を踏まえる必要があることから、お答えすることは困難である。 一の2について  お尋ねの「宣言企業の拡大」に向けた「施策」としては、これまで、経済団体、業界団体、全国の都道府県等を通じた周知を行うとともに、複数の補助金において「宣言企業」に対する加点措置を講じてきているところである。今後、引き続きこれらの取組を進めるとともに、「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」(平成二十九年三月三十一日経済産業省策定)を改訂し「パートナーシップ構築宣言」が望ましい取組であることを示すなどの必要な施策を行っていく考えである。 二について  御指摘の「コロナ禍と物価高の二重苦で非常に厳しい状況にある中小企業」に対する支援策としては、関係府省庁が連携して、令和四年三月四日に開催された原油価格高騰等に関する関係閣僚会合において取りまとめた「原油価格高騰に対する緊急対策」に基づき関連する施策を実施しつつ、同年四月末を目途に取りまとめを予定している「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」に必要な施策を盛り込むことを検討しているところである。  また、「税制の議論も避けることなく検討すべき」とのお尋ねについては、「税制の議論」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、一概にお答えすることは困難であるが、例えば、消費税については、急速な高齢化を背景に社会保障給付費が大きく増大する中で、国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置付けられており、全世代型社会保障制度を支える重要な財源であることから、お尋ねの「資源・エネルギー全般を対象に」するか否かにかかわらず、消費税率を引き下げることは考えていない。
a208041
「中枢への攻撃」に関する質問主意書
令和四年四月十二日提出 質問第四一号 「中枢への攻撃」に関する質問主意書  安倍晋三元総理は、四月三日、「敵基地攻撃論」に関して、「基地に限定する必要はない。中枢を攻撃するべきだ」と発言した。「中枢」が何を指すのか必ずしも明確ではないが、相手国の首都を指すのであればもちろん、相手国の議会、大統領(総理)官邸などの政治的中枢を意味するとすれば、民用物と軍事目標を明確に区別し、軍事目標のみを軍事的行動の対象とすることを規定し、日本も締約国である戦時国際法(国際人道法)・ジュネーヴ諸条約第一追加議定書に違反すると考える。  相手国の首都、さらに議会、大統領(総理)官邸などに対する軍事攻撃は、ジュネーヴ諸条約第一追加議定書第五十一条2、第五十二条1に違反するか。  右質問する。
b208041
衆議院議員米山隆一君提出「中枢への攻撃」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月二十二日受領 答弁第四一号   内閣衆質二〇八第四一号   令和四年四月二十二日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員米山隆一君提出「中枢への攻撃」に関する質問に対する答弁書  お尋ねの「相手国の首都、さらに議会、大統領(総理)官邸などに対する軍事攻撃」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、個別の事案が千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書Ⅰ)(平成十六年条約第十二号)第五十一条2又は第五十二条1の規定に違反するか否かについては、具体的な状況に即して判断されるものであり、一概にお答えすることは困難である。
a208042
対ウクライナ支援とふるさと納税の関係に関する質問主意書
令和四年四月十三日提出 質問第四二号 対ウクライナ支援とふるさと納税の関係に関する質問主意書  現在、対ウクライナ支援の寄付の機運が高まり、数多くのご厚志が集まっている。私自身、その動きを最大限支援したいと思っている。その前提に立ち、税制のあり方に疑問を持つ所があるため、本質問主意書を提出するものである。  ふるさと納税の仕組みを活用して、対ウクライナ支援の寄付を募集している地方自治体がある。この場合、原則として自己負担額の二千円を除いた全額が税控除の対象となる。  他方、一部の特定公益増進法人に対する対ウクライナ支援の寄付は特定寄付金となり、所得税法上の寄付金控除の対象となる。  以上を踏まえ、次のとおり質問する。 一 このような差異が生ずることを問題だと思わないか。 二 ふるさと納税の仕組みを活用した対ウクライナ支援を行う場合、総務省告示第百七十九号第二条第二号のルールは適用があるのか。 三 ある場合、寄付金の額の合計額の内、最大二割に相当する額が、募集に要した費用の額として、例えば広報、決済等、事務に従事する者に支払われることとなる。対ウクライナ支援という寄付の性質上、このようなことは特段問題は無いと考えるか。  右質問する。
b208042
衆議院議員緒方林太郎君提出対ウクライナ支援とふるさと納税の関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月二十二日受領 答弁第四二号   内閣衆質二〇八第四二号   令和四年四月二十二日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員緒方林太郎君提出対ウクライナ支援とふるさと納税の関係に関する質問に対する答弁書 一について  都道府県、市町村又は特別区(以下「都道府県等」という。)に対する寄附金と御指摘の「一部の特定公益増進法人」に対する寄附金については、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号。以下「法」という。)第三十七条の二第一項及び第三百十四条の七第一項の規定に基づき寄附金税額控除が行われるところ、都道府県等に対する寄附金に係る寄附金税額控除については、これらの規定に規定する特例控除額を加算した金額を控除するものである。  このように、寄附金の支出先に応じて、適用される制度に差異を設けているところである。 二について  ふるさと納税制度(都道府県等に対し寄附を行った場合に、当該寄附に係る寄附金について個人住民税の寄附金税額控除を適用する制度をいう。)の対象となる寄附金については、法第三十七条の二第二項及び第三百十四条の七第二項において、寄附金の募集の適正な実施に係る基準として総務大臣が定める基準(以下「募集適正基準」という。)に適合する都道府県等として総務大臣が指定するものに対するものとされており、寄附金の募集に当たっては、募集適正基準として定めた平成三十一年総務省告示第百七十九号(以下「告示」という。)第二条各号に適合する必要がある。 三について  法第三十七条の二第二項及び第三百十四条の七第二項の規定による指定を受けた都道府県等が、受領した寄附金の一部を当該寄附金の募集に要する費用に充てることについては、告示第二条第二号の規定に基づき、都道府県等において適切に判断いただくものと考えている。
a208043
大規模地震発生後の復興事業費の財源確保に関する質問主意書
令和四年四月十三日提出 質問第四三号 大規模地震発生後の復興事業費の財源確保に関する質問主意書  南海トラフ地震、首都直下地震が十年以内に三十%程度、三十年以内に七十%程度の確率で発生すると予想されており、その被害額は東日本大震災の約十六・九兆円を大幅に上回るため、政府の復興関連支出は東日本大震災の約三十二・九兆円(平成二十三年度~令和七年度)の数倍にも及ぶことが予想される。一方で東日本大震災発生時の二〇一〇年度末の政府の債務残高は五百九十四兆円(特例公債残高三百五十六兆円、建設国債残高二百三十八兆円)に対して、二〇二一年度末においては九百九十兆円(特例公債残高七百兆円、建設国債残高二百八十五兆円、復興債残高六兆円)の見込みであり、債務残高の対GDP比は二〇一〇年二百五・七%に対して、二〇二一年二百五十六・九%と大幅に悪化している。また日本国債の格付は二〇一〇年時点でムーディーズがAa2、S&PがAAであるのに対して、二〇二二年二月末時点では各々A1、A+と二段階落ちており、資金調達能力は低下している可能性がある。そこで、次のとおり質問する。 一 予想されている大規模地震が発生した場合、政府が想定している復興事業費の調達方法を答えられたい。 二 大規模地震が発生し経済のファンダメンタルズや国の財政状態が悪化することで日本国債の格付けが低下することが予想されるが、国債の金利が大幅に上昇した場合、利払費の増加等が国の財政に与える影響について答えられたい。 三 東日本大震災の復興事業費の財源確保のために二〇三七年までの二十五年にわたる長期の復興特別所得税等が創設されたが、今後の生産年齢人口の大幅な減少に鑑み、大規模地震が発生した後に財源を確保するだけでなく、事前に基金等を積み立てるなどの準備をしておく必要があると考えるが、政府の見解を求める。  右質問する。
b208043
衆議院議員吉田はるみ君提出大規模地震発生後の復興事業費の財源確保に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月二十二日受領 答弁第四三号   内閣衆質二〇八第四三号   令和四年四月二十二日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員吉田はるみ君提出大規模地震発生後の復興事業費の財源確保に関する質問に対する答弁書 一及び三について  御指摘の南海トラフ地震や首都直下地震等からの復旧・復興に係る財源の確保については、それぞれの地震の規模や被害の状況等に応じて対応するものと考えており、お尋ねの「復興事業費の調達方法」について一概にお答えすることは困難である。 二について  金利上昇が国の財政負担に与える影響については、令和四年一月二十一日に財務省が公表した「令和四年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算」において、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二一」(令和三年六月十八日閣議決定)等の記述に基づき、前提となる経済指標を仮置きし、金利上昇に伴う国債費の増加を、他の前提となる経済指標は不変であると仮定して試算を行っている。同試算において、令和五年度以降、金利が一パーセント上昇した場合には、国債費は同年度に〇・八兆円、令和六年度に二・一兆円、令和七年度に三・七兆円増加すると見込まれ、また、金利が二パーセント上昇した場合には、国債費は令和五年度に一・七兆円、令和六年度に四・一兆円、令和七年度に七・五兆円増加すると見込まれている。
a208044
独立行政法人国立病院機構におけるいわゆる「名ばかり管理職」問題に関する質問主意書
令和四年四月十八日提出 質問第四四号 独立行政法人国立病院機構におけるいわゆる「名ばかり管理職」問題に関する質問主意書  独立行政法人国立病院機構の外科系診療部長が二〇一九年五月、宇部労働基準監督署に、自身は管理職に該当せず時間外労働等について労働基準法の適用がされるべき旨を申告したところ、二〇二一年六月同監督署は、申告人が「労働基準法の労働時間等に関する規定が適用されない『管理監督者』(同法第四十一条第二号)には該当しない」と判断した。  この問題は右記申告人にとどまらず、国立病院機構全体の問題と考えられる。更に、日本の医療界や社会全体の大きな問題であると考えられる。そこで、以下、質問する。 一 右記申告について二〇一九年九月、宇部労働基準監督署が国立病院機構に指導票を交付した。しかし、その後厚生労働省本省が検討して結果を出すまで、相当の時間が経過している。監督署が早期に「管理監督者には該当しない」と判断しているにもかかわらず、本省がそれを抑えるようなことは適切とはいえないのではないか。労基法違反の申告に対し、もっと迅速に対応すべきではないか。 二 本件と同様の実態が、国立病院機構全体に存在する懸念がある。右記申告人は、国立病院機構本部の管轄である品川労働基準監督署にも報告した。国立病院機構全体の管理監督者の実態について、政府の把握するところを明らかにされたい。本件と同様の実態を把握していないなら直ちに調査し、「管理監督者」に該当しない労働者がいれば是正すべきではないか。 三 宇部労働基準監督署の二〇一九年九月の指導票には「今後において、時間外労働休日労働に関する協定届の適用、割増賃金の支払い、休憩時間の取得など、法に沿った管理を行う必要があります」と記載されている。また、右記申告人は「私が国立病院機構の職員であった二〇〇六年四月から二〇二〇年三月までは、タイムカードなどの労働時間の記録は全くなかった」とも指摘する。本件を含め、右記法に沿った管理が実行されているか政府が把握するところを明らかにされたい。 四 右記申告人は労働基準監督署に「文章での報告を求めたが、拒否された。社会通念上、社会常識上、文章での回答が常識である」と指摘しており、当然である。労基法違反の申告に対し、文書回答すべきではないか。政府の見解を求める。 五 右記申告人が、本件申告・改善措置にかかわる監督復命書などを、いわゆる行政機関個人情報保護法によって開示請求したところ、不開示部分が過剰であった。しかも、厚生労働省は不開示の理由説明書に、不開示とする裁量権の根拠判例として「最高裁判所昭和五十三年十月四日大法廷判決」(民集三十二巻七号千二百二十三頁)を引用する。しかし、この判例は「外国人は、憲法上、わが国に在留する権利ないし引き続き在留することを要求しうる権利を保障されていない」などとして法務大臣の裁量権を認めたもので、不開示の裁量権をこのように広く解釈するのは、憲法上の国民の権利に照らし不適切である。このような判例の引用を撤回し、監督復命書などを申告人に適切に開示すべきではないか。 六 右記五の理由説明書で、厚生労働省は「これらが開示されることとなれば、当該事業場を始めとして事業場と労働基準監督官との信頼関係が失われ、今後労働基準監督官に対する関係資料の提出等について非協力的となり、また、労働基準監督官の指導に対する自主的改善についても意欲を低下させ、さらにはこの結果として法違反の隠蔽を行うなど、検査事務という性格を持つ監督指導業務の適正な遂行に支障を及ぼすものであり、ひいては犯罪の予防に支障を及ぼすおそれがある」と弁明する。そうだとするならば、国立病院機構全体にまん延すると考えられる「名ばかり管理職」という労基法違反の防止措置を、各人の申告を待たず、厚生労働省として積極的に行うべきではないか。  右質問する。
b208044
衆議院議員近藤昭一君提出独立行政法人国立病院機構におけるいわゆる「名ばかり管理職」問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月二十八日受領 答弁第四四号   内閣衆質二〇八第四四号   令和四年四月二十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員近藤昭一君提出独立行政法人国立病院機構におけるいわゆる「名ばかり管理職」問題に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねについては、個別の事案に関することであり、また、労働基準監督機関における今後の業務に支障を来すおそれがあることから、お答えを差し控えたいが、一般に、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第百四条第一項の規定に基づく申告がなされた事業場に対しては、必要に応じて、同法第百一条第一項の規定に基づく臨検等を行い、同法違反の有無について確認を行うこととしているところ、これらの対応に当たっては、当該申告を行った労働者の就労状況等の事実関係を確認するための調査等を行う必要があるため、一定の時間を要するものである。 二、三及び六について  お尋ねの「国立病院機構全体の管理監督者の実態」及び「右記法に沿った管理が実行されているか」については、政府として把握していない。また、「本件と同様の実態を把握していないなら直ちに調査し、「管理監督者」に該当しない労働者がいれば是正すべきではないか」及び「「名ばかり管理職」という労基法違反の防止措置を、各人の申告を待たず、厚生労働省として積極的に行うべきではないか」とのお尋ねについては、独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第三条第三項において、独立行政法人の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならないとされていることを踏まえれば、独立行政法人国立病院機構における管理監督者の取扱いについては、同機構の各事業場において、労働基準関係法令に基づき適切に対応されるべきものであると考えている。なお、一般論として、労働基準監督機関においては、管理監督者の適正な取扱いについて、事業場に対する監督指導、集団指導等を通じて、使用者に対して必要な指導を行っているところである。 四について  労働基準法第百四条第一項の規定に基づく申告を受けて労働基準監督機関が実施した監督指導の結果について、当該申告を行った労働者に対して文書で回答することは、同法上義務付けられていない。 五について  お尋ねについては、個別の事案に関することであり、お答えを差し控えたいが、いずれにしても、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)第七十六条の規定に基づく自己を本人とする保有個人情報の開示の請求があった場合には、当該請求を受けた行政機関の長等において、当該請求の対象となる文書に記載された情報が同法第七十八条各号に掲げる不開示情報に該当するか否かについて適切に判断しているところである。
a208045
円安が我が国経済に与える影響に関する質問主意書
令和四年四月二十日提出 質問第四五号 円安が我が国経済に与える影響に関する質問主意書  三月上旬には一米ドル百十五円前後であったのが、四月中旬には百二十五円を超える円安ドル高になった。一カ月あまりで十円以上の円安というのは大きな変動であり、我が国経済に様々な影響を与えると考えられるところ、以下、質問する。 一 令和四年三月二十五日の衆議院財務金融委員会での中川正春委員の質問に対して日本銀行の黒田東彦総裁は「為替円安が全体として経済と物価を共に押し上げ、我が国経済にプラスに作用しているという基本的な構図は変わりない」と答弁した。一方で、日本経済新聞が四月に行った市場関係者調査によると、現在の円安が日本経済に与える影響について「マイナス」と答えた回答比率は半数以上であった。円安が日本経済にとってプラスなのかマイナスなのか、政府の見解如何。 二 円安の効果について主体別に分析すると、円安は輸出企業と海外投資企業にとってはプラスであるが、部品を国内企業に納品する製造業を含めて国内市場向けの企業や国内消費者にとってはマイナスと考える。すなわち、結果として国内消費者から輸出事業者への所得移転と同様の効果を生じることとなると考えられるが、政府の見解如何。 三 かつては円安に振れれば、輸出ドライブがかかり円高要因が発生して円安を抑制することとなったが、現在はこのような抑制作用が働かなくなっており、円安に歯止めが効かなくなるリスクがあると考えられるが、政府の見解如何。  右質問する。
b208045
衆議院議員櫻井周君提出円安が我が国経済に与える影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月二十八日受領 答弁第四五号   内閣衆質二〇八第四五号   令和四年四月二十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出円安が我が国経済に与える影響に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「円安が日本経済にとってプラスなのかマイナスなのか」について、一般論として申し上げれば、輸出企業や海外展開をしている事業者等の収益は改善する一方、輸入物価の上昇により、仕入価格の上昇を通じた企業の収益悪化や消費者への負担の増加になり得ると考えている。 二について  お尋ねについては、御指摘の「所得移転」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。 三について  為替レートは、様々な要因を背景に市場において決まるものであり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。
a208046
円安への対処方法に関する質問主意書
令和四年四月二十日提出 質問第四六号 円安への対処方法に関する質問主意書  三月上旬には一米ドル百十五円前後であったのが、四月中旬には百二十五円を超える円安ドル高になった。一カ月あまりで十円以上の円安というのは大きな変動であり、さらに円安が進んだときには円の通貨防衛が必要になると考えられるところ、以下、質問する。 一 通貨の防衛策として諸外国が一般的に行っているものとして金利の引き上げがある。しかし、日本銀行は国債を五百兆円以上保有している。日本銀行の政策金利を、日本銀行が保有する国債の金利よりも高い水準に引き上げると、日本銀行としては逆鞘が生じて赤字要因になると考えられるが、政府の見解如何。 二 通貨の防衛策として諸外国が一般的に行っているものとして金利の引き上げがある。しかし、政府は毎年多額の新規と借り換えの国債を発行しており、例えば令和三年度では二百兆円以上も発行している。金利を引き上げれば、たちまち利払費が財政を圧迫することとなると考えられるが、政府の見解如何。 三 日本銀行の逆鞘リスクと政府の財政悪化リスクを勘案すれば、通貨防衛のために金利を引き上げたくても引き上げられない状況に陥っていると考えられるが、政府の見解如何。 四 日本国内で金利を引き上げられない、すなわち日本銀行と日本政府は通貨防衛の有力な手段が使えないと見透かされれば、投機筋などに狙われるリスクがあると考えられるが、政府の見解如何。 五 為替介入は、円高に対する対策としては無限にできるので必ず勝てるが、円安に対する対策としては日本の外貨準備が上限になることから投機筋に負けるリスクがあり、為替介入は常に有効とは限らないと考えられるが、政府の見解如何。 六 アベノミクスにより、日本銀行が巨額の国債を抱えることとなり、財政再建が遠のいた。このことが、円安と物価上昇から国民生活を守る手段を損なうこととなったと考えられるが、政府の見解如何。  右質問する。
b208046
衆議院議員櫻井周君提出円安への対処方法に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月二十八日受領 答弁第四六号   内閣衆質二〇八第四六号   令和四年四月二十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出円安への対処方法に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねについては、仮定の御質問であり、お答えすることは差し控えたいが、一般論として申し上げれば、日本銀行の財務状況は、様々な要因に左右されるため、一概にお答えすることは困難である。 二について  お尋ねの「金利」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国債の金利が上昇すれば、利払費の増大により財政の硬直化が引き起こされるおそれがあると認識している。 三について  お尋ねの「金利」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、日本銀行による金融政策の具体的な手法については、同行の金融政策運営に関するものであり、同行の自主性を尊重する観点から、政府としてお答えすることは差し控えたい。 四について  お尋ねについては、仮定の御質問であり、お答えすることは差し控えたいが、一般論として申し上げれば、本邦通貨の外国為替相場の安定は重要であり、今後とも、外国為替市場の動向を注視し、適切に対応してまいりたい。 五について  お尋ねの「有効」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、外国為替平衡操作の効果については外国為替市場の状況等に応じて変わりうるものであり、一概にお答えすることは困難である。 六について  経済再生を進める中で歳出・歳入両面の改革を行い、第二次安倍内閣発足から二千十年代後半にかけて、国・地方を合わせた基礎的財政収支の赤字の対GDP比が縮小するなど、財政健全化に大きな道筋をつけてきたと考えている。その後、新型コロナウイルス感染症対策に係る経費を賄うため多額の国債を発行することとなったが、国民の命と暮らしを守り抜くために必要なものであったと認識している。政府としては、経済再生と財政健全化には引き続き取り組んでいくこととしており、また、今般の原油価格や物価の高騰による国民生活や経済活動への影響に対しては、「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」(令和四年四月二十六日原油価格・物価高騰等に関する関係閣僚会議決定)に基づき、緊急かつ機動的に対応することとしている。
a208047
日本国内の金融資産の動向が為替レートに与える影響に関する質問主意書
令和四年四月二十日提出 質問第四七号 日本国内の金融資産の動向が為替レートに与える影響に関する質問主意書  日本国内には、約二千兆円ともいわれる金融資産がある。この金融資産の運用が為替レートに小さくない影響を与えると考えられるところ、以下、質問する。 一 現状は多くの金融資産が国内で運用されているが、その理由の一つとして円高リスクの回避が考えられる。しかし、海外の金利が高く、円の先安感により海外での外貨運用の方が有利となると考えられるようになると、日本国内の金融資産が海外で運用されるようになると考えるが、政府の見解如何。 二 日本国内の円での金融資産が海外で外貨で運用されるようになることは円安要因になり、円安が円安を呼ぶ状況に陥るリスクがあると考えられるが、政府の見解如何。  右質問する。
b208047
衆議院議員櫻井周君提出日本国内の金融資産の動向が為替レートに与える影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月二十八日受領 答弁第四七号   内閣衆質二〇八第四七号   令和四年四月二十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出日本国内の金融資産の動向が為替レートに与える影響に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねについては、様々な要因に左右されるものであり、一概にお答えすることは困難である。 二について  為替レートは、様々な要因を背景に市場において決まるものであり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。
a208048
為替レートの長期的動向に関する質問主意書
令和四年四月二十日提出 質問第四八号 為替レートの長期的動向に関する質問主意書  日本国内の年齢構成が高齢化し、生産年齢人口の割合が減少すれば、国内生産額に対する国内消費額の割合が高まり、結果として貿易赤字の要因となると考えられる。我が国の人口動態を勘案すれば、長期的には円安に振れる可能性があると考えられるが、政府の見解如何。  右質問する。
b208048
衆議院議員櫻井周君提出為替レートの長期的動向に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月二十八日受領 答弁第四八号   内閣衆質二〇八第四八号   令和四年四月二十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出為替レートの長期的動向に関する質問に対する答弁書  為替レートは、様々な要因を背景に市場において決まるものであり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。
a208049
国債に関する金利とリスクの関係に関する質問主意書
令和四年四月二十日提出 質問第四九号 国債に関する金利とリスクの関係に関する質問主意書  金融市場の原理として、リスクと金利は正比例の関係にある。リスクの高い債券にはそのリスクに見合う金利を上乗せさせるからである。実際、世界の主要先進国の国債の金利と債務残高GDP比率は概ね正比例の関係にある。 一 日本は例外で、主要先進国の中で政府債務残高対GDP比が最も高い、すなわち最悪であるにもかかわらず、国債金利は最も低いのはなぜと考えるか。 二 イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)によって日本の国債市場は、価格形成機能が損なわれたのではないか。政府の見解を求める。 三 令和四年四月五日に新規発行の十年物国債の入札において、表面利率を年〇・一%から〇・二%に引き上げたのはなぜか。  右質問する。
b208049
衆議院議員櫻井周君提出国債に関する金利とリスクの関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和四年四月二十八日受領 答弁第四九号   内閣衆質二〇八第四九号   令和四年四月二十八日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出国債に関する金利とリスクの関係に関する質問に対する答弁書 一について  国債金利は、経済・財政の状況等の様々な要因を背景に市場において決まるものであり、その動向について言及することは市場に無用の混乱を生じさせかねないことから、国債金利の動向に関するお尋ねにお答えすることは差し控えたい。 二について  令和三年四月十六日の衆議院財務金融委員会において、黒田東彦日本銀行総裁は「国債市場の機能度を確保しつつ、他方で零パーセント程度というイールドカーブコントロールの金融緩和効果をしっかり確保していく」と述べているものと承知しており、日本銀行においては、二パーセントの物価安定目標の実現に向け、国債市場の機能の確保も含め、経済、物価及び金融の情勢を踏まえつつ、適切に金融政策の運営を進めているものと承知している。 三について  国債の表面利率は、国債の入札を行う際、市場で流通している国債の利回りを参照する等、国債市場の実勢に応じて決定しているものである。