id
stringlengths
7
7
title
stringlengths
11
157
content
stringlengths
6
18.3k
a204211
原子力損害の賠償負担金に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二一一号 原子力損害の賠償負担金に関する質問主意書  電気事業法施行規則第四十五条の二十一の二「一般送配電事業者は、当該通知に従い、賠償負担金をその接続供給の相手方から回収しなければならない。」に基づき、一般送配電事業者は託送料金に賠償負担金を上乗せして回収している。賠償負担金は、次の法令及び閣議決定等により規定されている。  電気事業法施行規則第四十五条の二十一の三では「賠償負担金」を「(前略)原子力損害(原子力損害の賠償に関する法律第二条第二項に規定する原子力損害)の賠償のために備えておくべきであった資金であって、旧原子力発電事業者が平成二十三年三月三十一日以前に原価として算定することができなかったものを、一般送配電事業者が行う接続供給によって回収しようとするとき」の資金と規定している。  原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(以下、「支援機構法」という)第四十一条第一項第一号では、「当該原子力事業者に対し、要賠償額から賠償措置額を控除した額を限度として、損害賠償の履行に充てるための資金を交付すること」を「資金交付」と規定している。  二〇一六年十二月二十日閣議決定「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針について」では、その二十六ページで、「国民全体で福島を支える観点から、福島第一原発の事故前には確保されていなかった分の賠償の備えについてのみ、広く需要家全体の負担とし、そのために必要な託送料金の見直し等の制度整備を行う。」としている。  さらに注十四で「回収する金額の規模は、現在の一般負担金の水準をベースに、一KW当たりの単価を算定した上で、これを前提に、(略)二〇二〇年前の二〇一九年度末時点までに納付した又は納付することになると見込まれる一般負担金の合計額を控除した約二・四兆円とし、これを上限とする。」とし、「資金の回収に当たっては、適正な託送料金水準を維持していく観点から、年間約六百億円程度を、二〇二〇年度以降、四十年程度にわたって回収していくものとする。」と書かれている。  これら賠償負担金の規定等につき、以下質問する。 一 東京電力福島第一原子力発電所事故(以下、事故と言う)以前の電気料金は、規制料金であり法令及び買電契約約款等の手続きに基づき適正に支払われたものである。一方、昨年十月から導入された賠償負担金は事故前の「原子力損害(原子力損害の賠償に関する法律第二条第二項に規定する原子力損害)の賠償のために備えておくべきであった資金であって、旧原子力事業者が平成二十三年三月三十一日以前に原価として算定することができなかった」分を全需要家に負担させるものである。全需要家が過去分の電気料金を遡及して負担しなければならない法的根拠を示されたい。 二 電気料金の算定における過去分の保険料等の算入決定についても、電気料金審査専門小委員会において算定・算入の判断をしており全需要家に責任はない。したがって、全需要家は算定できなかった過去分を電気料金で負担する義務はないのではないか。見解を問う。また、義務があるとすれば、その法的根拠を示されたい。 三 事故後に保険金等を「備えておくべきだった」として、「過去の保険料」を電気料金で需要家に請求することのできる法的根拠を示されたい。 四 事故前に「原価として算定することができなかった」費用を、二〇二〇年度から全需要家に託送料金で負担させることは、本来、託送料金の原価ではない「原子力損害(原子力損害の賠償に関する法律第二条第二項に規定する原子力損害)の賠償のために備えておくべきであった資金であって、旧原子力事業者が平成二十三年三月三十一日以前に原価として算定することができなかった」費用を算入することになる。これは総括原価方式の原則に反するのではないか。見解を問う。また、反しないとするならば、その理由を示されたい。 五 そもそも、政府は事故を起こした責任は誰にあると考えているのか。また、事故による損害の賠償責任は誰が負うと考えているのか。見解を問う。現在の原子力損害の賠償負担金の仕組みでは、全需要家に事故責任と損害賠償責任を負わせる仕組みとなっているが、その法的根拠を明確に示されたい。仮に、誰にも責任がないとすれば「備えておくべきだった資金」を全需要家が負担する法的根拠を示されたい。 六 今後、原子力発電による事故が起きて原子力損害が生じた場合に備える責任は誰にあるのか。見解を問う。「備えておくべきだった資金」をすべての需要家が負担する根拠はないと考えるが、仮に全需要家に責任があるとするならば、その法的根拠を示されたい。 七 そもそも事故前に「原子力損害の賠償に備えておくべきであった資金」とは何かを明確に示されたい。電力システム改革貫徹のための政策小委員会のとりまとめによれば、福島事故前に確保されておくべきであった賠償への備えは三・八兆円である。これは事故前の費用である。一方、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の借入金は、事故後に発生した費用である。この全く意味も趣旨も違うものを支援機構法でいう「一般負担金」として、混同させて負担、回収することは法令に反するのではないか。見解を問う。法令に反しないとするならば、その法的根拠を示されたい。  右質問する。
b204211
衆議院議員山崎誠君提出原子力損害の賠償負担金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二一一号   内閣衆質二〇四第二一一号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員山崎誠君提出原子力損害の賠償負担金に関する質問に対する答弁書 一から六までについて  お尋ねの「法的根拠を示されたい」が具体的に何を想定しているのか必ずしも明らかではないが、需要家は、小売電気事業者の定めた小売供給に係る料金を小売電気事業者に支払うこととなっており、小売電気事業者が、託送供給等に係る料金の変更に伴い、小売供給に係る料金をどのように定めるかについては、電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)上、特段の定めはない。  また、お尋ねの「本来、託送料金の原価ではない「原子力損害(原子力損害の賠償に関する法律第二条第二項に規定する原子力損害)の賠償のために備えておくべきであった資金であって、旧原子力事業者が平成二十三年三月三十一日以前に原価として算定することができなかった」費用を算入すること」が「総括原価方式の原則に反するのではないか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」(平成二十八年十二月二十日閣議決定。以下「基本指針」という。)において、「福島第一原発の事故前には確保されていなかった分の賠償の備えについてのみ、広く需要家全体の負担」としたことを踏まえ、電気事業法施行規則(平成七年通商産業省令第七十七号)の改正を行い、一般送配電事業者が「福島第一原発の事故前には確保されていなかった分の賠償の備え」に相当する額を、託送供給等に係る料金の原価に含むことができることとした。  「事故を起こした責任は誰にあると考えているのか」とのお尋ねについては、基本指針において、被災者・被災企業への賠償は、「東京電力の責任において適切に行う」としている。  「原子力発電による事故が起きて原子力損害が生じた場合に備える責任は誰にあるのか」とのお尋ねであるが、原子力損害の賠償に関する法律(昭和三十六年法律第百四十七号)第三条第一項において、「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる」としている。 七について  お尋ねの「原子力損害の賠償に備えておくべきであった資金」については、基本指針において、「福島第一原発の事故前には確保されていなかった分の賠償の備え」として「広く需要家全体の負担」としたものである。  また、お尋ねの「原子力損害賠償・廃炉等支援機構の借入金は、事故後に発生した費用である。この全く意味も趣旨も違うものを支援機構法でいう「一般負担金」として、混同させて負担、回収すること」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。
a204212
新型コロナウイルス感染症のワクチン接種におけるワクチン有給休暇に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二一二号 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種におけるワクチン有給休暇に関する質問主意書  新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が優先順位に基づいて順次進められているが、今後は働く世代のワクチン接種が本格化する。一方で、現在、接種が進められているファイザー社製とモデルナ社製のワクチンについては、特に二回目接種の後に疼痛や発熱などの副反応が約半数の接種者に現れている。多くの場合、この副反応は一から二日間で収まっているが、副反応が現れたときには、無理に出勤するのではなく、仕事は休んだ方がよいと考えられる。  働く世代へのワクチン接種としては、既に医療関係者への接種が行われている。このときには疼痛などの副反応があった場合には、有給休暇を取得していたケースが少なくない。しかし、有給休暇は本来、労働者が好きなタイミングで取得するべきものであり、ワクチン接種のために取得するのは本来の趣旨から外れるものである。  そこで、以下質問する。 一 ワクチン接種した全ての労働者にワクチン接種の翌日は特別に有給休暇を与えるワクチン休暇制度を設けることを提案するが政府の見解如何。 二 非正規雇用など有給休暇がない労働者は、副反応が出ても休暇を取りにくい。休暇を取得した場合には、減収となってしまう。非正規雇用で有給休暇がない労働者についてもワクチン休暇制度を適用することを提案するが、政府の見解如何。 三 ワクチン休暇制度を設けるとなると、中小零細事業者には負担が重くなることがありえる。そこで、ワクチン休暇制度を設けた中小零細事業者に対して助成金を支給する制度を設けることを提案するが、政府の見解如何。  右質問する。
b204212
衆議院議員櫻井周君提出新型コロナウイルス感染症のワクチン接種におけるワクチン有給休暇に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二一二号   内閣衆質二〇四第二一二号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員櫻井周君提出新型コロナウイルス感染症のワクチン接種におけるワクチン有給休暇に関する質問に対する答弁書 一から三までについて  御指摘の「働く世代へのワクチン接種」については、令和三年六月一日の記者会見において、加藤内閣官房長官が「ワクチン接種に関する地域の負担を軽減し、接種の加速化を図っていくため六月二十一日から企業や大学等において、職域(学校等を含む)単位でワクチンの接種を開始することを可能とすることといたします」と述べ、現在、企業等における労働者等に対する新型コロナウイルス感染症に係る予防接種(以下「職域接種」という。)が行われているところである。現時点において、御指摘の「提案」についての具体的な検討は行っていないが、職域接種を進めていく中で、労働者等が安心して接種を受けることができるよう必要な対応について検討してまいりたい。
a204213
高等学校におけるICT教育の推進にあたっての保護者の費用負担のあり方に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二一三号 高等学校におけるICT教育の推進にあたっての保護者の費用負担のあり方に関する質問主意書  政府は、GIGAスクール構想として、学校教育における一人一台の端末環境の整備を進めており、文部科学大臣は「一人一台端末環境は、もはや令和の時代における学校の「スタンダード」であり、特別なことではありません。これまでの我が国の百五十年に及ぶ教育実践の蓄積の上に、最先端のICT教育を取り入れ、これまでの実践とICTとのベストミックスを図っていくことにより、これからの学校教育は劇的に変わります。この新たな教育の技術革新は、多様な子供たちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学びや創造性を育む学びにも寄与するものであり、特別な支援が必要な子供たちの可能性も大きく広げるものです。」とのメッセージを発信している。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う一斉休校などがあり、ICT(情報通信技術)の活用はますます重要になっている。  政府は、ICT教育の重要性を強調するものの、政府が推進するGIGAスクール構想の対象は、小学校・中学校・特別支援学校であり、高等学校は対象となっていない。高等学校において、実際には、教科書などと同様に保護者がタブレット端末を購入することとなっている。そこで、以下、質問する。 一 高等学校の教育において、ICT活用は小学校・中学校教育と同等またはそれ以上に重要であると考えるが、政府の見解如何。 二 政府は、GIGAスクール構想の実現にあたって、文部科学大臣は「多様な子供たちを誰一人取り残すことのない」と表明しているが、タブレット端末の購入は低所得世帯には大きな経済的負担であり、教育格差の原因になりかねない。高校授業料無償化の対象となる低所得世帯については、タブレット端末の購入費についても公的支援を行うことを提案するが政府の見解如何。  右質問する。
b204213
衆議院議員櫻井周君提出高等学校におけるICT教育の推進にあたっての保護者の費用負担のあり方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二一三号   内閣衆質二〇四第二一三号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員櫻井周君提出高等学校におけるICT教育の推進にあたっての保護者の費用負担のあり方に関する質問に対する答弁書 一及び二について  ICTを活用して質の高い教育を行うことは、高等学校においても義務教育段階と同様に重要である。そのため、文部科学省では、令和二年度第三次補正予算において、経済的な理由によって情報端末を購入することが困難な家庭の高校生等への貸与を目的として学校の設置者が行う情報端末の整備に対して、一台四万五千円を上限とする補助を行っているところであり、また、経済的な理由によって自宅等におけるICT環境の整備が困難な家庭に学校の設置者が貸与するモバイルルータ等の整備に対する補助や、低所得世帯の高校生等の保護者への通信費の支援を行っているところである。
a204214
ミャンマーでの軍事クーデター発生から四か月を経過した現状において日本国政府に求められる対応に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二一四号 ミャンマーでの軍事クーデター発生から四か月を経過した現状において日本国政府に求められる対応に関する質問主意書  二〇二一年六月八日に衆議院本会議において「ミャンマーにおける軍事クーデターを非難し、民主的な政治体制の早期回復を求める決議案」を賛成多数で可決した。本決議では、「政府においては、本院の意を体し、国際社会とも連携し、あらゆる外交資源を駆使して、これらの事項の速やかな実現に全力を尽くすことを強く要請する」とある。これに対する政府の具体的な取組方法等を確認するため、以下、質問する。 一 本決議では「国軍や警察による民間人に対する暴力が継続し、多数の民間人が死傷している」と認定した。一方で、令和三年四月二十日の衆議院財務金融委員会において櫻井周の質問に対して麻生太郎財務大臣は、「起きております銃弾の音等々は、今も、ヤンゴンだとかネピドー、ネピドーは首都ですけれども、ここでは全く聞こえていませんものね。起きておりますのは、カチン族とか、あそこは部族がいろいろおりますので、タイ国境側とか、そういったところの地域で起きておる。」と答弁した。政府は、この答弁のような現状認識なのか。 二 本決議で、衆議院は「自らの自由と人権、民主主義を取り戻すために声を上げ行動を続けているミャンマー国民と共にあることを表明」した。ミャンマーの国民は、デモやジェネラル・ストライキを行うなど軍事クーデターを引き起こした国軍による現体制に反対を表明している。「民間人に対する残虐行為の即時停止、アウン・サン・スーチー国家最高顧問をはじめとする不当に拘束された国内外の人々の即時解放、人権及び人間の安全保障の尊重、民主的な政治体制の早期回復」が実現するまでは、国際協力機構が実施する円借款事業の貸付実行を一旦停止することを提案するが、政府の見解如何。 三 この決議において、「クーデターを引き起こした国軍による現体制の正当性は全く認められない」としているが、ミャンマーは国軍によって実効支配されている状況である。こうした状況において、日本国政府とミャンマー国政府との交換公文に基づいて実施されている政府開発援助の事業を実施すれば、国軍による現体制をミャンマー国政府として認めることになるのではないか、それは衆議院の決議に反することになるが、政府の見解如何。  右質問する。
b204214
衆議院議員櫻井周君提出ミャンマーでの軍事クーデター発生から四か月を経過した現状において日本国政府に求められる対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二一四号   内閣衆質二〇四第二一四号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員櫻井周君提出ミャンマーでの軍事クーデター発生から四か月を経過した現状において日本国政府に求められる対応に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねのミャンマー連邦共和国(以下「ミャンマー」という。)における現状については、現地の状況が刻々と変化しているため一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、政府としては、重大な懸念を有しており、引き続き、ミャンマー国軍に対し、暴力の停止、被拘束者の解放及び民主的政体への回帰を強く求めていく考えである。 二及び三について  御指摘の決議について、現在我が国が実施しているミャンマーに対する経済協力は、ミャンマー国民の生活水準の向上やミャンマーの経済発展のため、また、人道上の観点から実施してきているものであり、クーデターの正当性を認めるものではない。いずれにせよ、円借款事業を含むミャンマーに対する経済協力の今後の在り方については、事態の推移、関係国の対応等の状況を注視しつつ、引き続き、検討を進めてまいりたい。
a204215
政府系の開発金融機関の業務において人権を尊重することを担保する手続きの整備に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二一五号 政府系の開発金融機関の業務において人権を尊重することを担保する手続きの整備に関する質問主意書  企業の経済活動がグローバル化し、企業活動が社会に与える影響が大きくなる中で、企業に対して責任ある行動が求められるようなった。企業がSDGsや人権を尊重しているか否かについて社会の注目が高まっている。「ビジネスと人権」の理念に関する意識の高まりを受け、各企業に対してサプライチェーンも含め、人権尊重を求める動きが広まっている。政府は、ビジネスと人権に関する行動計画に係る関係府省庁連絡会議を設けて、啓発活動に努めている。  また、SDGsや人権尊重を求める動きは、企業のみならずそれら企業に投融資する金融機関に対しても広まっている。特に、日本から開発途上国への投融資にあたっては、開発途上国の住民の人権侵害に加担することとならないか、注意深く確認するべきである。しかしながら、例えば本年二月一日に軍事クーデターが発生したミャンマーにおいては、政府系金融機関や官民ファンドなどが関わる事業が実施されてきたが、そうした事業にはロヒンギャに対する虐殺など人権侵害に加担した疑惑があるミャンマー国軍が関わっているとの指摘がある。すなわち、日本の政府系金融機関や官民ファンドなど日本国民の税金が、間接的ではあってもミャンマー国軍の人権侵害を幇助することになったのではないか、という疑念がある。  そこで、以下、質問する。 一 ヤンゴン市内都市開発(通称「Yコンプレックス」)では、ミャンマー国軍が所有する土地を借り受けて事業開発を行っている。この事業には、多数の日本企業とともに、国際協力銀行と海外交通・都市開発事業支援機構など政府が関わる機関が投融資している。本事業の継続は、ミャンマー国軍への土地代の支払いの継続を意味し、それはミャンマー国軍の人権侵害を幇助することになる。したがって、国際協力銀行と海外交通・都市開発事業支援機構は、本事業から撤退せざるをえないと考えるが、その場合の損失は実質的に国民負担となるのか。 二 国際協力銀行と海外交通・都市開発事業支援機構など政府系金融機関等は、人権侵害のリスクについて敏感であるべきと考えるが、ミャンマーでの投融資については相手方の選定を含めて、杜撰であったと言わざるをえない。国際協力銀行は「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」を制定しているものの、Yコンプレックス事業への融資では十分なチェックができていたとはいえない。国際協力銀行は「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」の見直しを含めて、政府系金融機関等が国際世論が求めるSDGsや人権尊重を十分に確保した上で投融資を行う体制と規則を整備することを提案するが、政府の見解如何。  右質問する。
b204215
衆議院議員櫻井周君提出政府系の開発金融機関の業務において人権を尊重することを担保する手続きの整備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二一五号   内閣衆質二〇四第二一五号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員櫻井周君提出政府系の開発金融機関の業務において人権を尊重することを担保する手続きの整備に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「本事業」において、特別目的会社を通じて、我が国事業者及び株式会社海外交通・都市開発事業支援機構が出資し、かつ、株式会社国際協力銀行(以下「JBIC」という。)が融資する現地法人Y Complex Company Limitedは、令和三年二月一日以降、「本事業」用地に係るサブリース契約の相手方であるミャンマー企業に対し、賃料の支出をしていないものと承知している。今後の対応については、「本事業」に参加する我が国事業者が同機構と検討中であり、JBICも当該事業者の方針を踏まえて適切に対応していくものと承知しており、お尋ねの点については、現時点で予断をもってお答えすることは差し控えたい。 二について  御指摘の「政府系金融機関等が国際世論が求めるSDGsや人権尊重を十分に確保した上で投融資を行う体制と規則を整備すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、JBICの「環境社会配慮確認のための国際協力銀行ガイドライン」においては、当該ガイドラインは、環境社会配慮全般及び人権に関する国際的な枠組みの中での議論等を踏まえて策定されたものであり、これらの進展を勘案して今後も必要に応じ見直されるものとされていると承知している。
a204216
地方自治体における首長の予算編成権と自治体議会議員の条例提案権との関係に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二一六号 地方自治体における首長の予算編成権と自治体議会議員の条例提案権との関係に関する質問主意書  地方分権と地域主権の重要性が指摘される中で、自治体議会が果たすべき役割はますます大きくなっている。一方で、自治体議会は、首長が提案した条例案を採決するのみで、議会として住民の意見の反映など十分な役割を果たしていないのではないか、という批判があった。そうした中で、住民福祉の向上のために議会改革を推進する自治体議会が増えてきている。自治体議会の活動が活性化したときに、問題となるのが、地方自治法第百十一条で規定する自治体議会議員の条例提案権と、地方自治法第九十七条及び第百四十九条で規定する首長の予算提出権との関係である。  地方自治法第九十七条では「普通地方公共団体の長の予算の提出の権限を侵すことはできない」と規定している。首長の予算を伴う条例案の提案については、地方自治法第二百二十二条で予算確保の見込みが得られるまでは、議会に提出できないこととなっている。議員提案の条例案にはこのような予算確保に係る規定はないものの、二百二十二条の趣旨を尊重すれば条例案の提案に先立って首長との連絡調整を図ることが望ましいと考えられる。一方で、首長提案ではなく、わざわざ議員が条例案を提案するのは首長と自治体の運営方針が異なっている場合もあり得るところ、首長が拒絶すれば条例案を提案できないとなると、第百十二条の議員の条例提案権が意味をなさなくなる。ひいては、行政と議会の二元代表制を定めた地方自治法の趣旨が損なわれることとなる。  そこで、以下、質問する。 一 条例案提案者と首長との間で調整が整わず予算確保の見込みが立たない状況で第百十二条に基づき議員は予算を伴う条例案を提案することができると考えるが、政府の見解如何。 二 予算確保の見込みが立たないままに予算を伴う議員提案条例案が当該自治体議会において可決された場合に、当該条例は有効と考えるが、政府の見解如何。 三 当該自治体の首長が当該条例に必要な予算を予算案に盛り込まなかった場合には、当該自治体議会は、当該条例に必要な予算を増額する修正をすることができると考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
b204216
衆議院議員櫻井周君提出地方自治体における首長の予算編成権と自治体議会議員の条例提案権との関係に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二一六号   内閣衆質二〇四第二一六号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員櫻井周君提出地方自治体における首長の予算編成権と自治体議会議員の条例提案権との関係に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの状況において、普通地方公共団体の議会の議員は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百十二条第一項の規定により、新たに予算を伴うこととなる条例案を議会に提出することはできるが、計画的かつ健全な財政運営を確保するため、あらかじめ執行機関と調整した上で提出することが適当であると考えている。 二について  お尋ねの場合において、普通地方公共団体の長は、地方自治法第百七十六条第一項の規定により、当該議決について異議があるときは、これを再議に付することができ、再議に付された議決は、当該議決のときに遡ってその効果を有しないこととなる。 三について  お尋ねの場合において、普通地方公共団体の議会は、地方自治法第九十七条第二項の規定により、普通地方公共団体の長の予算の提出の権限を侵さない限りにおいて、予算について、増額してこれを議決することができる。
a204217
在宅医療等におけるタスクシフトの推進に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二一七号 在宅医療等におけるタスクシフトの推進に関する質問主意書  今国会で成立し、五月二十八日に公布された、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律により、医師の働き方改革の一環としてのタスクシフトとして、診療放射線技師など四職種については業務範囲の拡大を法律事項として行う一方で、看護師については、今回の法改正の対象になっていないが、コロナ対応をみても、とりわけ救急医療や在宅医療における看護師へのタスクシフトは急務である。 一 今回の法改正に伴い、救急医療の現場においては、検査目的の採血などを医師の指示前に看護師が行えるようにする通知を準備中と聞いているが、これだけでは全く不十分である。今回の法改正で見送られた、アメリカ合衆国における、Nurse Practitioner(診療看護師)のように、裁量権をもった看護師資格の法定化について、引き続き法改正の検討を、積極的に続けるべきではないか。 二 在宅医療においては、多職種連携の推進が、医師から看護師へのタスクシフトの鍵となることは言をまたないが、実際にどの程度進んでいるか、厚生労働省に照会したところでは、情報通信機器(ICT)活用の好事例しか示されず、二〇一七年に作られた「情報通信機器(ICT)を利用した死亡診断等ガイドライン」に基づく看護師による看取りの実績はわずか一例に過ぎない。コロナ禍もあって、日本医師会に委託した在宅看取りに関する看護師に対する研修事業も思うように実施できていないと承知している。在宅医療において、多職種連携がどの程度深まっているか、医師が単に会合に参加するのみならず、実質的に連携に参加しているのかどうか、医師から看護師、看護師から他職種へのタスクシフトがどのくらい進んだのかなどの具体的な評価項目、評価基準を作り、好事例を収集し公表することで、推進に努めるべきではないか。政府の見解を求める。  右質問する。
b204217
衆議院議員早稲田夕季君提出在宅医療等におけるタスクシフトの推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二一七号   内閣衆質二〇四第二一七号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員早稲田夕季君提出在宅医療等におけるタスクシフトの推進に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「裁量権をもった看護師資格の法定化」の意味するところが必ずしも明らかではないが、米国の「ナース・プラクティショナー制度」に類似する制度については、令和二年十二月二十三日に公表された「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会 議論の整理」において、「特定行為研修制度に関する議論において、「特定行為で限界となる部分に対しては、ナース・プラクティショナーのような新たな職種を創設することで、医師の負担が軽減されると思われることから、今すぐ実現可能というわけにはいかないかもしれないが、長期的に検討を続けていって欲しい」といった意見が出された。一方で、「特定行為研修の修了者を輩出して間もない現時点の状況で限界が見えているのか疑問であることから、まずは特定行為研修制度をしっかり動かして問題点を洗い出してから議論すべき」との指摘があった。二千三十五年度末を目標とした中長期的な視点での更なるタスク・シフト/シェアについては、現行制度下におけるタスク・シフト/シェアの取組状況を含む、今後の医師の働き方改革の進捗状況を踏まえ、全ての医療専門職それぞれが、自らの能力を活かし、より能動的に対応できるよう、医師事務作業補助者や看護補助者等へのタスク・シフト/シェアも含め、引き続き検討を進めていくことを決意し、この検討会の議論の整理とする。」とされたところであり、こうした議論や「タスク・シフト/シェア」の取組状況等を踏まえ、引き続き検討を進めてまいりたい。 二について  在宅医療における御指摘の「多職種連携」及び「タスクシフト」に関して、お尋ねの「具体的な評価項目、評価基準を作り、好事例を収集し公表すること」については、「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制構築に係る指針」(平成二十九年三月三十一日付け医政地発〇三三一第三号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知別紙)において、都道府県が、医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第三十条の四第一項に規定する医療計画に在宅医療について記載するに当たって、良質かつ適切な在宅医療を提供する体制について、事後に定量的な評価を行えるよう、地域の実情に応じた目標項目やその数値目標等を記載することとしており、目標項目に係る具体的な指標の例として、「在宅看取りを実施している診療所・病院数」、「機能強化型訪問看護ステーション数」等を示しているほか、厚生労働省において、都道府県等による在宅医療における「多職種連携」等に関する好事例の収集及び公表を行っているところである。こうした取組等により、引き続き、在宅医療における「多職種連携」及び「タスクシフト」を推進してまいりたい。
a204218
医師、看護師、保育士の公的職業紹介事業の推進に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二一八号 医師、看護師、保育士の公的職業紹介事業の推進に関する質問主意書  有料職業紹介事業、いわゆる人材紹介事業は、求職者に比べ事業者が情報の優位性を持ち、中間搾取のおそれがあるため、労働者保護の観点から許可制となっており、職業安定法第三十二条の十一の規定により、港湾運送業務、建設業務は紹介が禁じられている。同条では「その他有料の職業紹介事業においてその職業のあつせんを行うことが当該職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがあるものとして厚生労働省令で定める職業」も禁止の対象となっているところ、現時点ではいかなる職業も省令で定められていない。  一方で、多くの医療機関においては、いわゆる医局制度の変容に伴い、医療従事者の確保を人材紹介事業者に頼っており、その紹介手数料が経営を圧迫している。昨年十月に公益社団法人全日本病院協会、一般社団法人日本医療法人協会、独立行政法人福祉医療機構が共同して行った調査によれば、医師一名の紹介を受けるための手数料が平均三百五十一万七千円(最高六百万円、最低百万円)、同じく看護師で平均七十六万円(最高百二十四万円、最低三十万円)となっている。  また看護師、保育士については、いわゆるエッセンシャルワーカーとしての職責に見合った報酬が支払われていないとして、その処遇改善が国政の長年の懸案事項となっている。  診療報酬が主な収入源となっている医療機関に勤務する医師や看護師、また賃金水準について公定価格が定められている保育士は、適正な報酬が支払われ、かつ医療機関や保育事業者の経営を紹介手数料が圧迫しないよう、無料の職業紹介を原則とするべきであり、そのためにハローワークやナースセンター、医療のお仕事Key-Netなどの公的な職業紹介事業を大幅に拡充するべきであって、例外的に有料の人材紹介が認められる場合であってもその手数料には上限を設けるべきと考える。 一 医師、看護師、保育士について、職業安定法第三十二条の十一の規定に基づき、当該職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがある職業として厚生労働省令で定めていない理由をそれぞれ明らかにされたい。 二 公益社団法人全日本病院協会、一般社団法人日本医療法人協会、独立行政法人福祉医療機構が、先述の調査結果を踏まえて提言しているように、医療従事者については紹介手数料の一定の基準設定、つまり上限を定めるべきではないか。このような提言はかねてより求人側から繰り返されており、厚生労働省は今年度に求人側の納得度調査を行うと承知しているが、二〇一七年の法改正による手数料引き下げの効果はどのくらいあったのか。現時点で政府として承知しているところをあきらかにされたい。 三 厚生労働省は二〇二〇年度、日本人材紹介事業協会に委託して、医療・介護・保育分野の適正な有料職業紹介事業者の基準を定め、現在その周知に努めているとのことだが、現時点では求職側は全くその存在を知らされておらず、なんのメリットもないのではないか。手数料については、金額の公表が求められているだけで上限は設定しないこととしているが、この程度の取組だけで、実際どの程度手数料の引き下げの効果が見込めると考えているのか。実効性ある制度とするためには、単に基準を公表するだけでなく、求職側にもメリットがあるよう、基準に適合した優良事業者の認定などを進めるべきと考えるが、政府の見解をあきらかにされたい。 四 ハローワークにおいては、正規職員の削減と非正規相談員の増員の傾向に歯止めをかけて、人員の拡充を行い、医療機関や保育施設など求人側への営業力をこれまで以上に増強するとともに、平日日中にハローワークに行かなくても、求職者側の登録や応募などの手続きが二十四時間いつでもスマホなどでできるよう、ハローワークインターネットサービスの改修を早急に進めるべきではないか。 五 近年ハローワークでは看護師、保育士の求人側への営業に力を入れているとのことだが、医師については特に力を入れておらず紹介実績も少ない。その理由を厚生労働省に問うと、高賃金に比例して紹介手数料も高額となるために、補完関係にある民間の人材紹介事業に任せているとの回答であった。国民が負担する保険料や窓口負担が、人材紹介事業者への高額な手数料となり、医療機関の経営を圧迫していることを踏まえれば、医師についても求人側への営業により力を入れてもよいのではないか。 六 コロナワクチン接種関連業務への潜在看護師の活用にあたり、各都道府県に設置されているナースセンターがにわかに注目されているが、いわゆる潜在看護師七十万人のうちわずか五万人しかナースセンターに登録していない。ナースセンター及び医療のお仕事Key-Netの周知が、求人側にも求職側にも十分に進んでいない原因をどのように分析し、今後どのような改善に取り組むつもりか。それぞれいつまでにどのくらいの求人数、求職者数を目指すのか、数値目標をEBPM(エビデンスに基づく政策立案)推進の観点から定めるべきではないか。政府の見解をあきらかにされたい。 七 人材紹介事業は、人身売買や中間搾取であるとして、長く禁止されてきた歴史的経緯があり、昨今の行き過ぎた規制緩和による弊害を踏まえれば、公的な無料の職業紹介事業を拡充しても、民業圧迫との批判は全く当たらない。ハローワークやナースセンター、医療のお仕事Key-Netが、求人側にとっても求職側にとっても民間の人材紹介サービス利用とそん色のないよう、これまで述べたような改善のほかにも、民間の優れたサービス、機能を研究し取り入れて、使い勝手の良さを極めるべきではないか。政府の見解をあきらかにされたい。  右質問する。
b204218
衆議院議員早稲田夕季君提出医師、看護師、保育士の公的職業紹介事業の推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二一八号   内閣衆質二〇四第二一八号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員早稲田夕季君提出医師、看護師、保育士の公的職業紹介事業の推進に関する質問に対する答弁書 一について  有料の職業紹介事業については、中間搾取、強制労働等の弊害を伴うおそれがあることから、その業務の適正な運営を確保するため、職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第三十条第一項において、厚生労働大臣の許可を受けた者(以下「有料職業紹介事業者」という。)のみが行うことができることとされており、さらに、同法第三十二条の十一第一項において、有料職業紹介事業者は、例えば、現実に重層的な下請関係のもとに業務処理が行われている中で、雇用関係が不明確になることによる雇用管理改善への悪影響が懸念される建設業務に就く職業のように、その職業のあっせんを行うことが当該職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがあるものとして厚生労働省令で定める職業を求職者に紹介してはならないとされているところ、お尋ねについては、医師、看護師及び保育士の職業のあっせんを行うことが、これらの職業の雇用の実態等を踏まえれば、必ずしもこれらの職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがあるとは認められないことから、同項の厚生労働省令で定める職業として規定していないものである。 二について  職業紹介に係る手数料の水準は労働市場の需給の状況に応じて変動し得るものであり、また、職業紹介に要する経費も求人の内容に応じて様々であるため、御指摘の「紹介手数料の一定の基準設定、つまり上限を定める」ことについては、慎重な検討が必要であると考えている。また、お尋ねの「二〇一七年の法改正」は、職業紹介事業の適正な事業運営を確保するために行ったものであり、必ずしも職業紹介に係る手数料の引下げを目的としたものではないため、「二〇一七年の法改正による手数料引き下げの効果」についてお答えすることは困難である。 三について  御指摘の「医療・介護・保育分野の適正な有料職業紹介事業者の基準」については、令和二年度に、有料職業紹介事業者と業界団体が参画する「職業紹介事業に関する協議会」において、「適正な有料職業紹介事業者の基準」として、医療、介護及び保育の分野ごとに策定されたものであるところ、必ずしも職業紹介に係る手数料の引下げを目的としたものではないため、「手数料の引き下げの効果」についてお答えすることは困難である。厚生労働省としては、引き続き、求人者へのこれらの基準の周知等を通じて適正な職業紹介事業者の利用を促し、労働市場において職業紹介事業者が適切にその役割を果たせるようにしてまいりたい。また、御指摘の「基準に適合した優良事業者の認定」については、今後検討してまいりたい。 四について  厚生労働省においては、公共職業安定所の人員について、雇用情勢の変化等に的確に対応できるよう、必要な体制の確保に努めている。  御指摘の「医療機関や保育施設など求人側への営業力をこれまで以上に増強する」ことの意味するところが必ずしも明らかではないが、公共職業安定所においては、医療や保育をはじめとした人材不足の分野に係る専門窓口を拡充し、求人者の支援を実施している。また、御指摘の「ハローワークインターネットサービスの改修」については、令和三年度中に、求職の申込みや求人への応募等をスマートフォン等から二十四時間受け付けることを可能とする予定である。 五について  御指摘の「求人側への営業により力を入れ」の意味するところが必ずしも明らかではないが、公共職業安定所においては、医師についても職業紹介の対象としているものの、現時点においては、公共職業安定所において医師の職業紹介を希望する求職者が極めて少ないことから、大規模な求人開拓を行う状況ではなく、求職者の要望に応じて個別に求人開拓等の対応をしてまいりたい。 六について  いわゆる「潜在看護師」(以下「潜在看護師」という。)の全てが、ある時点で就労意欲を持っているわけではなく、また、就労意欲を持っている潜在看護師は、都道府県ナースセンターのほか、公共職業安定所や民間の職業紹介事業者への求職の申込みなど多様な求職活動を行っていることから、都道府県ナースセンターの周知が御指摘のように「求人側にも求職側にも十分に進んでいない」とは一概には言えないと考えるが、政府としても、潜在看護師の活用を進める観点から、都道府県ナースセンターの周知は重要であると考えている。このため、都道府県ナースセンターにおいては、公共職業安定所や地方公共団体と連携し、ポスターやチラシの配布、新聞広告、広報誌、ホームページ等による周知広報等を行っており、厚生労働省においても、中央ナースセンターのホームページ等における都道府県ナースセンターの事業に関する広報活動に対する支援を行っているところである。特に、今般の新型コロナウイルス感染症に係る予防接種に従事する人材の確保に関する求人に当たっては、市町村(特別区を含む。以下同じ。)に対する都道府県ナースセンターの周知が課題の一つであると考えられたことから、市町村等に対し、「新型コロナワクチンの接種体制の強化に向けた協力依頼について」(令和三年五月二十六日付け厚生労働省健康局及び医政局事務連絡)を発出し、都道府県ナースセンターの事業について周知を図ったところであり、引き続き、様々な手段により周知に努めてまいりたい。  また、御指摘の「医療のお仕事Key-Net」は、新型コロナウイルス感染症に対応する地域の医療機関等の求人情報を掲載したものであり、その活用状況も踏まえつつ、同省のホームページやSNS等を通じて周知を図ってきており、周知が「十分に進んでいない」とは一概には言えないと考えるが、引き続き、様々な手段により周知に努めてまいりたい。  また、御指摘の「求人数、求職者数」については、社会経済情勢によって変化するものであり、また、地域の実情によって様々であること等から、現時点で数値目標を定めることは考えていないが、看護師等の確保については、令和七年時点の看護職員の需給推計等を踏まえ、都道府県ごとに地域偏在や領域偏在等の地域の実情に応じて進めることが重要であり、新規養成、離職防止及び定着促進に関する取組を総合的に講じていくこととしている。 七について  御指摘の「公的な無料の職業紹介事業」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「ハローワーク」、「ナースセンター」及び「医療のお仕事Key-Net」については、求人のオンラインによる受付など、利用者のニーズを踏まえた利便性の向上に努めてきており、引き続き、求人者及び求職者の双方のニーズを踏まえ、サービスの向上に努めてまいりたい。
a204219
ダブルケア支援のための宅幼老所(地域共生型サービス)等の推進に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二一九号 ダブルケア支援のための宅幼老所(地域共生型サービス)等の推進に関する質問主意書  育児と介護が重なる「ダブルケア」の問題は、晩婚化が進み、高齢出産が増えたことなどから指摘されるようになってきたが、ヤングケアラーにおいても、厚生労働省の子ども・子育て支援推進調査研究事業による中高生アンケート調査結果では、親や祖父母だけでなく、障がいを抱える家族や幼いきょうだいの面倒を見ていること、支援を必要とする家族が複数いるケースもあることがあきらかになっている。  ヤングケアラーを含むダブルケアを担うケアラーの孤立を防ぎ、様々な悩みを相談しやすくするためにも、高齢者、障がい者や子どもが同じ場所でサービスを受けることができる選択肢の普及が望まれる。そのようなサービス形態は、富山市内の民間団体によって一九九三年に始められ、一九九七年に富山県が全国にさきがけて補助を出したことから「富山方式」と呼ばれているが、二十年以上経っても、全国での広がりにかけているといわざるを得ない。  この富山方式を、政府は「宅幼老所(地域共生型サービス)」と名付け、小規模で家庭的な雰囲気の中、高齢者、障がい者や子どもなどに対して、一人ひとりの生活リズムに合わせて柔軟なサービスを行う取組であって、デイサービスなどの「通い」のみのほか、ショートステイなどの「泊まり」やホームヘルプなどの「訪問」、グループホームなどの「住まい」などの提供も行うなど、地域のニーズに応じて様々にサービス形態を設定でき、空き店舗を活用した子育て支援や、高齢者交流施設の設置・運営事業の申請も可能な取組であるとして、周知に努めてきた。さらには「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部において実現に向けた改革の方向性、工程を示した「地域共生社会」の担い手の一つに位置づけ普及に努めてきたと承知している。 一 しかし、掛け声ばかりで、全国的には普及が進んでいないのではないか。二〇一三年一月に厚生労働省は「宅幼老所の取組」なる冊子を作成し、その中で十二の事例を紹介しているが、現時点で宅幼老所(地域共生型サービス)は全国でどのくらい存在するのか。政府の承知しているところをあきらかにされたい。 二 宅幼老所(地域共生型サービス)という選択肢が全国どこの地域にも存在するようにするために、政府はどのような取り組みを検討しているのか。 三 政府は二〇一七年度の介護保険法改正で、介護保険サービスと障害福祉サービスの一部を相互に乗り入れる「共生型サービス」を介護報酬・障害福祉報酬に導入した。これは学童保育や保育などの児童福祉事業が含まれていないものではあるが、一歩前進ともいえる。しかしこの「共生型サービス」も普及が進んでいないのではないか。報酬請求書類の書式が異なるなど事務処理の煩雑さを理由に挙げる識者もいるが、政府は普及が進まない理由をどのように分析し、今後どのような改善を検討しているのか。この春の定期改定では何も新たな措置がなされなかったが、次期改定を待つことなく、すみやかに報酬上のインセンティブを検討するべきではないか。 四 そもそも児童福祉事業を含む「地域共生型サービス」と、児童福祉事業を含まない「共生型サービス」という判別しにくい名称を採用し、かついずれも法律上の定義を作らぬまま放置していることに、政府のやる気のなさを感じざるをえない。宅幼老所という名称ももう少し工夫の余地があると考える。「地域共生型サービス」と「共生型サービス」という名称を再検討すべきことについて、政府の見解をあきらかにされたい。 五 宅幼老所(地域共生型サービス)の普及の決め手として、担い手確保の観点から、それぞれの専門性に配慮しつつ、介護と保育の資格の共通化の検討をさらに進めるべきではないか。政府の見解をあきらかにされたい。 六 二〇一六年三月十六日の参議院厚生労働委員会において、富山方式について意見を問われた公益社団法人日本介護福祉士会の内田千惠子副会長は「介護には介護の、保育には保育の専門性があって、それを、中途半端な能力でどちらにも関わるとどちらに対しても良くない」と発言しつつも、「小規模なところで、それなりの能力を持った職員がおられればそれも可能」「高齢者にとって子供がそばにいるというのはとてもいい話ですし、それから子供にとっても高齢者がそばにいるというのはマイナスなことではありませんので、そこは本当にきちんと能力を持った人たちにやっていっていただければいいのではないか」とも発言している。  フィンランドの「ラヒホイタヤ」のように介護と保育の資格の共通化が進んでいる国もある中、日本においては、保育士と介護福祉士の資格取得にあたって試験科目の一部免除などにとどまっている。政府は二〇一七年に、オランダの制度を参考にして、保健医療福祉の各資格を通じた基礎的な知識や素養を身につけた専門人材の養成を目指して共通基礎課程の創設を検討課題として打ち出したが、その後の検討はどうなっているのか。  右質問する。
b204219
衆議院議員早稲田夕季君提出ダブルケア支援のための宅幼老所(地域共生型サービス)等の推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二一九号   内閣衆質二〇四第二一九号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員早稲田夕季君提出ダブルケア支援のための宅幼老所(地域共生型サービス)等の推進に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「宅幼老所(地域共生型サービス)」の設置状況については把握していない。 二について  政府としては、介護事業者等が地域の実情に応じて適切なサービスを提供する際の参考としていただくため、引き続き、御指摘の「宅幼老所(地域共生型サービス)」の取組事例等の周知に努めてまいりたい。 三について  御指摘の「共生型サービス」は、福祉に携わる人材に限りがある中で、地域の実情に合わせて人材を活用しながら適切にサービスを提供する等の観点から創設されたものであるが、今後の普及に向けた課題については、令和三年三月に公表された令和二年度老人保健事業推進費等補助金による「共生型サービスの実態把握及び普及啓発に関する調査研究事業」の報告書において整理されたところである。御指摘の「報酬上のインセンティブ」は現時点で検討していないが、当該報告書において「共生型サービスの開始にあたって必要な基本情報を提供することが効果的である」とされたこと等を踏まえ、同事業において、「共生型サービス」に係る基本的事項等を記載した「共生型サービスはじめの一歩」がとりまとめられたところであり、政府としては、その周知に努めるなど、「共生型サービス」の普及に向けて適切に対応してまいりたい。 四について  御指摘の「共生型サービス」は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第七十二条の二第一項等において規定されている共生型の居宅サービス事業者等が提供するサービスを指す用語として使用しているところ、御指摘の「地域共生型サービス」は特定の事業を指す用語として使用していないことから、お尋ねの名称の「再検討」については、政府として検討を行う必要はないと考えている。 五及び六について  お尋ねの「介護と保育の資格の共通化」及び「共通基礎課程の創設」については、「ニッポン一億総活躍プラン」(平成二十八年六月二日閣議決定)を踏まえ、介護福祉士及び保育士については、一定の要件を満たした場合は、資格取得に当たり一定の科目の履修を相互に免除すること等としたところであり、また、平成二十八年度から、厚生労働行政推進調査事業費補助金により、保健医療福祉資格に共通する能力と教育課程に関する研究を行っているところである。
a204220
東京オリンピック・パラリンピック選手村・部屋における飲酒に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二二〇号 東京オリンピック・パラリンピック選手村・部屋における飲酒に関する質問主意書  東京オリンピック・パラリンピックの大会関係者、選手等の飲酒の是非について、国民的議論となっている。報道によれば、東京オリンピック・パラリンピック選手村での飲酒について、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下「東京オリパラ組織委員会」)の武藤敏郎事務総長は六月九日、メインダイニングなどでのケータリングサービスでの提供については、国内の新型コロナウイルス感染状況による制限を踏まえた判断も必要であるとし、「今までの前例を見ると、選手の祝勝会などでそういうことがある。今回もこれをやれるのか考えたい」と語ったと報じられている。一方、選手が自身の宿泊する部屋での飲酒については「ホテルの部屋で飲むのと同じこと。これを禁止するのは考えにくいと思いますが、きちんと整理したいと考えています」と発言したとされている。(二〇二一年六月九日スポーツ報知)。  飲酒と感染リスクの関係については、以下の知見が存在する。新型コロナウイルス感染症対策分科会「分科会から政府への提言」(令和二年十月二十三日、以下「上記提言」とする)によれば、 【場面1】飲酒を伴う懇親会等 ・特に敷居などで区切られている狭い空間に、長時間、大人数が滞在すると、感染リスクが高まる。 【場面2】大人数や長時間におよぶ飲食 ・大人数、例えば五人以上の飲食では、大声になり飛沫が飛びやすくなるため、感染リスクが高まる。 等が「感染リスクが高まる『五つの場面』」として列挙されており、分科会は「政府においては、『感染リスクが高まる五つの場面』及び『感染リスクを下げながら会食を楽しむ工夫』を、国民・社会に幅広く伝わるよう発信して頂きたい」と提言している。  また、出入国在留管理庁が「日本に在留する外国人の方々やその支援者の方々に対して有用な情報を提供するために開設されました。」と位置づけている「外国人生活支援ポータルサイト」からは、内閣官房「新型コロナウイルス感染症対策」ページにリンクが貼られており、飲酒時の注意点に関する「五つの場面」が多言語対応で掲載されている。  さらに、新型インフルエンザ等対策特別措置法の「都道府県対策本部長の権限」は以下のとおりである。 第二十四条 9 都道府県対策本部長は、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるときは、公私の団体又は個人に対し、その区域に係る新型インフルエンザ等対策の実施に関し必要な協力の要請をすることができる。  以下質問する。 一 「自主的な研究の成果の発表」と上記提言について  1 これまでに、新型コロナウイルス感染症対策分科会が政府に出した提言はいくつ、どのようなものがあるか。そのなかで、「自主的な研究の成果の発表」であると政府が認識しているものはあるか。  2 政府は、上記提言は「自主的な研究の成果の発表」であるという認識か。  3 政府は、上記提言における「五つの場面」は、新型コロナウイルス感染症の感染リスクが高まる場面として適切であるという認識か。  4 政府はこれまで、「政府においては、『感染リスクが高まる五つの場面』及び『感染リスクを下げながら会食を楽しむ工夫』を、国民・社会に幅広く伝わるよう発信して頂きたい」という上記提言に基づき、どのように発信してきたか。また今後どのように発信していくか。  5 東京オリンピック・パラリンピックでの発信は「国民・社会に幅広く伝わる」機会だと考えるが、政府の認識はいかがか。 二 「感染リスクが高まる『五つの場面』」について  1 東京オリンピック・パラリンピックの期間中、東京都内の飲食店で飲酒を伴う五人以上の飲食が行われた場合、提言における「感染リスクが高まる『五つの場面』」に相当するという認識か。  2 東京オリンピック・パラリンピックの期間中、東京都内の宿泊施設の部屋等で飲酒を伴う五人以上の飲食が行われた場合、提言における「感染リスクが高まる『五つの場面』」に相当するという認識か。  3 東京オリンピック・パラリンピック選手村のメインダイニングにおける「祝勝会」等で、飲酒を伴う五人以上の飲食が行われた場合、提言における「感染リスクが高まる『五つの場面』」に相当するという認識か。  4 東京オリンピック・パラリンピックの選手・関係者・記者が自身の宿泊する部屋等で、飲酒を伴う五人以上の飲食を行った場合、提言における「感染リスクが高まる『五つの場面』」に相当するという認識か。  5 政府は、上記提言に基づき、東京オリンピック・パラリンピックの選手・関係者・記者に対し、選手村や宿泊する部屋等における飲酒を伴う五人以上の飲食が、新型コロナウイルス感染症の感染リスクを高めることを発信し、控えるよう伝えるべきと考えるがいかがか。今後行う予定があるか。  6 政府は、上記提言に基づき、東京オリパラ組織委員会に対し、選手村や宿泊する部屋等における飲酒を伴う五人以上の飲食が、新型コロナウイルス感染症の感染リスクを高めることを発信し、東京オリンピック・パラリンピックの選手・関係者・記者にそうした行為を控えさせるよう伝えるべきと考えるがいかがか。今後行う予定があるか。 三 出入国在留管理庁「外国人生活支援ポータルサイト」  1 東京オリンピック・パラリンピックの選手・関係者・記者は、出入国在留管理庁によるところの「日本に在留する外国人の方々」に相当するか。  2 そうであれば、「五つの場面」等の飲酒時の注意は、同様に適用されると考えるか。そうでない場合は、「日本に在留する外国人の方々」と東京オリンピック・パラリンピックの選手・関係者・記者の違いを明確にされたい。 四 新型インフルエンザ等対策特別措置法第二十四条の第九項について  1 東京オリンピック・パラリンピックの選手・関係者・記者は、同規定における「公私の団体又は個人」に相当するか。  2 東京オリパラ組織委員会は、同規定における「公私の団体又は個人」に相当するか。  3 都道府県対策本部長が、東京オリンピック・パラリンピックの選手・関係者・記者に対し、選手村や宿泊する部屋等における飲酒を伴う五人以上の飲食を控えるように要請することは可能という認識か。  4 都道府県対策本部長が、東京オリパラ組織委員会に対し、「東京オリンピック・パラリンピックの選手・関係者・記者に対し、選手村や宿泊する部屋等における飲酒を伴う五人以上の飲食を控えるように要請する」ことを要請することは可能という認識か。  右質問する。
b204220
衆議院議員手塚仁雄君提出東京オリンピック・パラリンピック選手村・部屋における飲酒に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二二〇号   内閣衆質二〇四第二二〇号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員手塚仁雄君提出東京オリンピック・パラリンピック選手村・部屋における飲酒に関する質問に対する答弁書 一の1及び2について  お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会(以下「分科会」という。)が取りまとめた文書は令和二年七月六日から令和三年三月三十一日までに二十九件、新型インフルエンザ等対策推進会議新型コロナウイルス感染症対策分科会が取りまとめた文書は同年四月一日から同年六月十六日までに四件あると認識しており、これらを踏まえ、新型コロナウイルス感染症対策を行ってきたものである。 一の3について  令和二年十月二十三日の分科会の「分科会から政府への提言 感染リスクが高まる「五つの場面」と「感染リスクを下げながら会食を楽しむ工夫」」(以下「提言」という。)において示された「感染リスクが高まる「五つの場面」」(以下「五つの場面」という。)については、政府としては、一般的には、新型コロナウイルス感染症の感染リスクが高まる場面であると認識している。 一の4及び5について  御指摘の「東京オリンピック・パラリンピックでの発信」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、五つの場面について、これまで、五つの場面を紹介したポスターや五つの場面を解説した動画等を作成し、内閣官房のホームページやSNS等で発信してきており、東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会(以下「大会」という。)の開催期間中も含め、今後とも幅広く適切に発信してまいりたい。 二の1から4までについて  提言においては、五つの場面について、「大人数、例えば五人以上の飲食では、大声になり飛沫が飛びやすくなるため、感染リスクが高まる」と記載されているが、お尋ねのような状況における新型コロナウイルス感染症の感染リスクについて、個別具体的な状況が必ずしも明らかではないため、一概にお答えすることは困難である。  なお、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下「組織委員会」という。)からは、御指摘の「選手村のメインダイニング」では、酒類の提供は行わないと聞いている。 二の5及び6について  国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会及び組織委員会が大会において参加者が遵守すべき新型コロナウイルス感染症対策上のルールを令和三年六月に取りまとめたプレイブックにおいては、「食事の際は他者との接触を最小限に抑えるため、二メートルまたは指定の距離を保ち、なるべく一人で食事をしてください」との趣旨の記載があり、こうした旨が御指摘の「選手・関係者・記者」に対して周知されるものと承知している。 三について  御指摘の「選手・関係者・記者」が訪日外国人なのかが必ずしも明らかではないため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、いずれにせよ、二の5及び6についてでお答えしたとおり、「食事の際は他者との接触を最小限に抑えるため、二メートルまたは指定の距離を保ち、なるべく一人で食事をしてください」との旨が、「選手・関係者・記者」に対して周知されるものと承知している。 四について  新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)第二十四条第九項の規定に基づき、都道府県対策本部長が、当該都道府県の区域に係る新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅速に実施するため必要があると認めるとき、御指摘のような公私の団体又は個人に対して、御指摘のような協力の要請をすることは、同法上妨げられていないと考えている。
a204221
中村医師殺害に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二二一号 中村医師殺害に関する質問主意書  アフガニスタンの地で三十五年間にわたってそこで暮らす人々の医療への支援や生活改善のための灌漑工事などに携わってこられた中村哲医師が、一昨年二〇一九年の十二月四日の朝、アフガニスタン東部ナンガルハル州の州都ジャララバードで殺害されました。州政府によると中村さんと共に行動していた運転手の方を含めて六人が銃撃によって命を落としました。  中村哲医師は、アフガニスタンの人々の幸せを願う地道な活動は広く同国民の信頼と希望を得ることにつながり、同年十月にアフガニスタン国政府から名誉市民権を授与されたばかりでした。  事件から一年半が経過していますが、いまだに犯人逮捕どころか特定にもいたらず、誰が何のために中村医師の命を奪ったのか、事件の真相は全く明らかになっておりません。そして、アフガニスタンの人々の希望であり、アフガニスタンと日本の信頼関係の構築に大きなご貢献をされた日本国民の死について、邦人保護の責任をもつ日本政府がどこまで真剣に真相を究明しようとされているのかわからない、との指摘もあります。  そこで 一 中村哲医師がアフガニスタンの地においてなされた人道支援の働きが、どのようにアフガニスタンの平和と人々の生活改善に貢献したと日本政府は評価しているか。 二 中村哲医師の活動が、日本とアフガニスタン両国の信頼関係構築、二国間関係強化にどのように貢献したと日本政府は評価しているか。 三 中村哲医師の殺害犯人の逮捕と事件の真相究明に、日本政府はこれまでどのように取り組んできたのか、特にアフガニスタン政府への働きかけとアフガニスタン政府の反応は如何か。 四 二〇二一年二月十日朝日新聞の報道によると、一月二十九日に別の事件で撃たれて死亡した男を中村哲医師殺害事件主犯格としてアフガニスタン国当局が特定したとするが、日本政府の見解は如何か。 五 中村哲医師の殺害事件の捜査に当たったナンガルハル州の警察官でソーシャルメディアを通して事件についての訴えを発信していたハーメド・スタナクザイ氏は、日本大使館へも事件に関してメッセージを送っているが日本政府の対応は如何か。 六 中村医師の殺害犯人の逮捕と事件の真相究明に、今後、日本政府としてどのように取り組んでいく決意か。 七 中村医師の殺害事件を含め、今後、アフガニスタンの人々のための支援に取り組む邦人の安全と生命が脅かされることがないよう、日本政府としてはアフガニスタン政府にどのような対応を求めていく考えか。  右質問する。
b204221
衆議院議員山川百合子君提出中村医師殺害に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二二一号   内閣衆質二〇四第二二一号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員山川百合子君提出中村医師殺害に関する質問に対する答弁書 一及び二について  中村哲氏については、三十年以上にわたり、アフガニスタン・イスラム共和国(以下「アフガニスタン」という。)等において、かんがい水路の整備、医療サービスの提供等を通じて公衆衛生の確保等に多大な貢献を行い、アフガニスタン国民等の民生向上に努め、我が国とアフガニスタンの友好関係の促進に寄与したと評価している。 三から七までについて  お尋ねの「事件」については、現在捜査中であると承知しており、詳細についてお答えすることは差し控えるが、我が国は、アフガニスタン政府に対して累次にわたって「事件」の真相究明、在留邦人の安全確保等の働きかけを行ってきており、アフガニスタン政府からは、全力で捜査を行うとともに在留邦人の安全確保に努める旨の説明を受けている。我が国としては、引き続き、「事件」の真相究明、在留邦人の安全確保等のため、アフガニスタン政府と協力していく考えである。
a204222
大学入学金の納付等に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二二二号 大学入学金の納付等に関する質問主意書  現在、日本の大学入学金の納付期限には学校ごとに違いがあります。そのため、いわゆる第一志望校の合格発表日よりも、早く納付時期が設定されている大学については第一志望校に合格すれば入学はしないのですが、万が一、第一志望校に合格できなかった場合に備え入学金を払う必要があります。このケースについて、全国大学生活協同組合連合会が二○二○年度の大学新入生の保護者を対象に行った調査(約二万人回答)によれば、入学しなかった私立大に支払った入学金などの納付金は平均二十九万四千円とのことです。  六月三日に丹羽秀樹文部科学副大臣に「大学受験における機会均等のための入学金に関する要望書」を提出した「入学納付金延期を求める有志の会」が、都内大学を対象に実施した調査によれば、二月中に入学金納付期限が到来する入試方式が四十二%にのぼると言います。仮に、この状況の中で、三月に合格発表のある大学を第一志望とした場合、入学しない大学に入学金を払うのが難しい受験生は、当該四十二%の大学を受験の選択肢から外さざるを得ない可能性が高くなります。入学しない大学にも入学金を払わざるを得ない今の仕組みが、受験生の選択肢を狭めており、教育の機会均等を奪っているとも思われます。このことは、とりわけ低所得世帯においては深刻であり、進学のチャンスすら奪っているともいえます。  これらに関連する以下の点に対する政府の見解を明示されたい。 一 入学しない大学に入学金を支払う必要がないよう、入学金の納入期日の延長等の措置が必要と考えますが、政府の見解を明らかにされたい。 二 入学金納付期日延長などにより大学収入が減少し大学経営に支障が生ずる場合は、当面、政府がその補填を行い、受験生の負担を軽減すべきと考えますが、政府の見解を明らかにされたい。 三 世帯としては一定の所得がありながら、子どもの学費への支出を拒む保護者や、虐待などの事情から、 学校納付金を払ってもらうことが困難な受験生・学生は、現行制度のもとでは世帯所得があるため、給付型・貸与型ともに奨学金等の受給ができず、大変苦慮しております。そこで世帯の状況にかかわらない受験生・学生個人の経済の実態に対応した支援制度を設けるべきと考えますが、政府の見解を明らかにされたい。 四 受験生が入学しない大学にどの程度入学金を支払っているのか、世帯に一定の所得がありながら虐待などの事情により学校納付金を親から払ってもらえない受験生などがどの程度存在するのか、全国の大学の入学金の納付期日と合格発表はどのような実態なのか等、受験期における学校納付金の家庭負担に関する全国調査を行うべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。  右質問する。
b204222
衆議院議員逢坂誠二君提出大学入学金の納付等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二二二号   内閣衆質二〇四第二二二号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員逢坂誠二君提出大学入学金の納付等に関する質問に対する答弁書 一について  大学の入学料の納付期限等の在り方については、最高裁判所の判例において「学生が大学に入学し得る地位を取得する対価の性質を有する入学金については、その納付をもって学生は上記地位を取得するものであるから、その後に在学契約等が解除され、あるいは失効しても、大学はその返還義務を負う理由はない」とされている(最高裁判所平成十八年十一月二十七日第二小法廷判決)ことも踏まえつつ、各大学の設置者において判断されているところであるが、文部科学省としては、各大学の設置者に対し、学生の経済的負担の軽減を図る観点から、入学料の額の抑制、減免、分割納入等の措置を積極的に講ずるよう要請してきているところである。 二について  文部科学省としては、一についてで述べたとおり、各大学の設置者に対し、入学料をはじめとした学生納付金の負担軽減措置を積極的に講ずるよう要請するとともに、特に私立大学については、私立大学に在学する「学生に係る修学上の経済的負担の軽減を図る」とともに私立大学の「経営の健全性を高め」る目的を達成するため、私立学校振興助成法(昭和五十年法律第六十一号)第四条第一項の規定に基づき、これを設置する学校法人に対して経常的経費の一部を補助しているところである。 三について  独立行政法人日本学生支援機構が実施する奨学金事業等においては、奨学金の支給等を受けようとする学生等から、家庭内暴力により保護者と別居している等の家庭の事情に関する申出があった場合、当該学生等本人の所得等に基づき、審査を行っているところである。今後とも、意欲と能力のある学生等が経済的な理由によって、大学等への進学を断念することがないよう、高等教育段階における教育費の負担軽減に取り組んでまいりたい。 四について  お尋ねの「受験期における学校納付金の家庭負担」に関する状況について、政府として網羅的に把握していないが、例えば、入学しなかった大学に納付した入学金等の額については、全国大学生活協同組合連合会が行った「二千二十年度保護者に聞く新入生調査」によれば、国公立大学の入学者で平均二十七万七千三百円、私立大学の入学者で平均二十九万四千百円であると承知しているところであり、政府としては、こうした民間団体の調査も活用しつつ、家庭における教育費負担の現状について、必要に応じてその実態を把握してまいりたい。
a204223
電動キックボードの運用に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二二三号 電動キックボードの運用に関する質問主意書  新たな移動手段である小型で電動走行する次世代モビリティーは、そのニーズから海外では普及が進み、中でも電動キックボードは欧米で普及が進んでいる。このような動きに応じ、国内でも、その展開を図る観点から、関連事業者等から諸規制の緩和等を含むルール整備について求められていた。  このような状況を踏まえ、国家公安委員会及び国土交通省は、産業競争力強化法に基づき、本年四月、ヘルメット着用を任意とする等の内容を含む規制の特例措置を整備した。これを前提に、電動自転車シェアリングサービス事業を展開する会社など四社が認定を受けて、東京都内や千葉県内等で電動キックボードのシェアリングサービス事業を展開している。  関連し、以下質問する。 一 経済産業省が所管する産業競争力強化法に基づく新事業特例制度に基づき、令和三年四月二十三日に認定された電動キックボードに関する四件の認定案件では、「貸し渡される小型電動車に係る交通事故があった場合その他当該新事業活動の安全な実施に支障が生じた場合における国家公安委員会への報告その他の必要な措置が行われる旨が記載されていること」とされている。また、令和二年十月十六日から令和三年三月三十一日までに認定された電動キックボードに関する認定案件では、「貸し渡される原動機付自転車に係る交通事故があった場合その他当該新事業活動の安全な実施に支障が生じた場合における警察庁、経済産業省、国土交通省への報告その他の必要な措置を行うこと」とされている。  これらの電動キックボードに関する各事業が認定を受けてから現在までの当該事業における交通事故の発生件数、安全な実施に支障が生じたとして国家公安委員会、警察庁、経済産業省又は国土交通省へ行われた報告件数及び報告の概要をそれぞれ回答されたい。また、「その他の必要な措置」が行われているのであれば、その件数及び具体的内容について回答されたい。 二 新事業特例制度は、新事業活動を行おうとする事業者がその支障となる規制の特例措置を提案し、「企業単位」で、具体的な事業計画に即して規制の特例措置の適用を認める制度となっているが、道路交通法に関する規制の特例措置により、道路の交通に係る安全性等の確保が疎かになるようなことがあってはならず、我が国の現実的な道路状況に即して安全性を確保する措置が講じられる必要がある。そこで以下質問する。  1 海外において電動キックボードの公道走行を許可したことにより死亡事故が発生している事例を把握しているか。把握しているのであれば、国別にその件数を伺いたい。海外事例を踏まえて、我が国において死亡事故等を防止するために、飲酒運転や二人乗りといった危険行為に対して、一般的に利用開始に向けたハードルが高くない電動キックボードの特性を考慮して特に講じている対策を回答されたい。  2 道路交通法上、自転車は車道から歩道に乗り入れることが可能であるが、電動キックボードは歩道走行が一切禁止されている。この点、例えば電動キックボードが駐停車車両を避ける場合、自転車と同様に歩道に一時的に乗り入れようとする場面が想定される。自転車と異なり、電動キックボードは歩道を走行できないことを特に周知する必要があるのではないか。  3 電動キックボードは普通車両と規格や構造等が大きく異なることから、車道又は歩道上の違法駐車が比較的容易に行われ得るものと考えられるが、例えば、自転車の違法駐輪と同様に、警察において行われている見回り・監視・取締の対象とする等の違法駐車防止措置を講ずるべきではないか。  4 電動キックボードに係る規制緩和は、特定の事業者・特定の地域に限って認められていることから、規制緩和の対象であることやその内容について必ずしも広く一般の知るところとなっていないものと思われる。このため、通常の交通ルールを前提に道路を通行する一般の歩行者や車両運転手にとっては、電動キックボードの通行ルールが分からず、予見可能性を欠いた電動キックボードの通行により接触事故等を招く可能性が否定できない。今般の規制緩和に伴い、当該規制の特例措置及び認定内容について、事業者任せにすることなく広く一般向けに周知を徹底する必要があると考えるが、政府においてはこのための予算確保を含め、どのような取組を行っているか。  5 新事業特例制度に基づく電動キックボードの道路交通法上の法的位置付けは、令和二年九月三十日に整備された規制の特例措置(以下、「前回の特例措置」という。)では原動機付自転車であったが、令和三年四月八日に整備された規制の特例措置(以下、「今回の特例措置」という。)では小型特殊自動車となり、運転時のヘルメット着用が任意となることによって利用者の利便性が向上した。一方で、小型特殊自動車に位置付けられた電動キックボードはいわゆる二段階右折が禁止されており、自動車と同様にいわゆる小回り右折を行う必要があるが、当該電動キックボードの最高速度が時速十五キロメートルであり、車体が小さく他の車両からの視認性が低いことから、直進車との衝突事故の危険性が否定できない。認定事業者によっては、交通量の多い交差点では小回り右折をせずに、交差点の手前で電動キックボードを降りて歩行者として横断することを推奨している場合があるが、これは法的義務ではなく事業者による推奨にとどまるため実効性の観点から不十分である。電動キックボードにおける右折に関する現状の取扱いで、事故回避が可能であるとする根拠を示されたい。また、将来的な二段階右折の導入の可能性について、回答されたい。  6 電動キックボードの最高速度について、前回の特例措置では時速二十キロメートルだったのに対し、今回の特例措置では時速十五キロメートルとされているところ、このように取り扱うことになった理由、経緯及び政府における議論の過程を伺いたい。また、時速二十四キロメートルでの補助力停止が求められる電動アシスト自転車と比較しても著しく低速な時速十五キロメートルでは、交通渋滞を誘発する可能性があり、後方からの追突事故の危険性が高まるのではないかとの声があるが、これに対して政府としてどのように考えるか。併せて、電動キックボードの固有の最高速度を設定するための法整備に向けた検討の有無又は政府の方針を伺いたい。 三 電動キックボードは、道路運送車両法上は原動機付自転車に分類されることから、点検及び整備の法的義務はない状態となっている。一方で、原動機付自転車のメーカーや販売店では日常点検整備や定期点検整備に準じた点検及び整備を推奨し、レンタルサービス店においてもこれらが実施されているようである。  今後、電動キックボードの走行場所の拡大等の検討に当たり、電動キックボードを所有者が使用する場合や、シェアリングサービスの事業として電動キックボードが貸し出される場合において、安全な走行環境を整える観点から、点検及び整備を推進する必要があると考えるが、どのような対応を検討しているか。また、法令上の義務付けを検討するか。見解を伺う。 四 道路運送車両法上の原動機付自転車の保安基準を満たさない状態で、市販の電動キックボードを公道に走行させる行為による事故事例が報じられている。  平成十四年十一月の警察庁交通局による「いわゆる「電動キックボード」及び「電動スクーター」について」の発出以降、法令違反状態のキックボード走行により道路交通法違反として取締を行った件数と、これに起因して発生した事故の件数を回答されたい。併せて、当該違法事案に対する政府の対応策を伺いたい。  右質問する。
b204223
衆議院議員丸山穂高君提出電動キックボードの運用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二二三号   内閣衆質二〇四第二二三号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員丸山穂高君提出電動キックボードの運用に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「令和二年十月十六日から令和三年三月三十一日までに認定された電動キックボードに関する認定案件」については、お尋ねの「交通事故の発生件数」は、政府として把握している限りでは、令和三年六月十一日現在で零件であり、また、お尋ねの「安全な実施に支障が生じた」との「報告」は、同日現在で受けていない。さらに、当該「認定案件」に係るお尋ねの「その他の必要な措置」の「具体的内容」としては、電動キックボードの利用者(以下単に「利用者」という。)に対する交通ルール等の事前教育及び確認テストの実施、利用者に対する乗車用ヘルメットの着用が義務であることの周知並びに発生した道路交通法違反の件数並びに利用者及び利用者でない者に対するアンケートの実施結果の国家公安委員会及び経済産業省への報告が挙げられる。  御指摘の「令和三年四月二十三日に認定された電動キックボードに関する四件の認定案件」については、お尋ねの「交通事故の発生件数」は、政府として把握している限りでは、同年六月十一日現在で三件であり、また、お尋ねの「安全な実施に支障が生じた」との「報告」は、同日現在で受けていない。さらに、当該「四件の認定案件」に係るお尋ねの「その他の必要な措置」の「具体的内容」としては、利用者に対する交通ルール等の事前教育及び確認テストの実施、利用者に対する乗車用ヘルメットの着用の推奨並びに発生した道路交通法違反の件数並びに利用者及び利用者でない者に対するアンケートの実施結果の同委員会及び同省への報告が挙げられる。  なお、お尋ねの「その件数」については、その具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。 二の1について  お尋ねの「電動キックボードの公道走行を許可したこと」による「死亡事故」の具体的な範囲が明らかではないため、その「事例」や「国別」の「件数」等についてお答えすることは困難である。 二の2について  お尋ねの「電動キックボードは歩道を走行できないこと」については、事業者が行う利用者に対する事前教育等の機会を通じて周知されているものと承知している。 二の3について  お尋ねの「違法駐車防止措置」については、都道府県警察において適切に行われているものと承知している。 二の4について  御指摘の「規制の特例措置」については、令和二年七月三十日及び令和三年二月四日に国家公安委員会のウェブサイトで公表しており、また、御指摘の「認定内容」については、令和二年十月十六日、令和三年一月十五日、同年三月一日及び同年四月二十三日に経済産業省のウェブサイトで公表している。 二の5について  御指摘の「小型特殊自動車に位置付けられた電動キックボード」については、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第三十七条の規定により、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならないとされており、こうした規定を遵守することにより、御指摘の「事故回避」は可能であると考えている。  その上で、お尋ねの「将来的な二段階右折の導入」については、今後とも、その必要性も含めて検討していきたいと考えている。 二の6について  御指摘の「今回の特例措置」の対象となる電動キックボードについては、実際の道路環境における走行状況や走行速度、車体の大きさ等を踏まえ、現時点では、道路交通法第七十七条第一項の規定による許可を受けて行う搭乗型移動支援ロボットの公道実証実験において使用される一部の自動車と同様に、小型特殊自動車として位置付けることが適当であるとし、その上で、道路交通法施行規則(昭和三十五年総理府令第六十号)第二条の表小型特殊自動車の項の規定により小型特殊自動車は十五キロメートル毎時を超える速度を出すことができない構造のものであることが要件とされていること等を踏まえ、最高速度を十五キロメートル毎時としたものである。  政府としては、当該電動キックボードについて、御指摘のように「後方からの追突事故の危険性が高まる」とは考えてはいないが、いずれにせよ、御指摘の「電動キックボードの固有の最高速度」の「設定」については、今後行う自転車の実勢速度に関する調査の結果等を踏まえ、十五キロメートル毎時を超える速度とすることについても検討する。 三について  御指摘の「安全な走行環境を整える観点」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第三項に掲げる原動機付自転車に該当する電動キックボードについては、その他の原動機付自転車と同じ規模の原動機を備えているものであり、異なる対応を検討する必要があるとは考えていない。 四について  お尋ねの「法令違反状態のキックボード走行により道路交通法違反として取締を行った件数と、これに起因して発生した事故の件数」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和三年四月二十三日から同年六月二日までの間に発生した電動キックボードの道路交通法違反の取締り件数及び電動キックボードが第一当事者又は第二当事者であった交通事故の発生件数については、警察庁において警視庁、千葉県警察、神奈川県警察、大阪府警察、兵庫県警察及び福岡県警察から報告を受けている限り、それぞれ四件及び十四件である。  政府としては、御指摘の「違法事案」が発生しないよう、引き続き、あらゆる機会を通じた利用者に対する交通ルールの周知徹底等の対策を進めていきたいと考えている。
a204224
東京オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリに関する再質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二二四号 東京オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリに関する再質問主意書  東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に当たっては、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期すことが求められている。  昨年十二月に開催された「東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策調整会議」において、外国人観客向けのアプリ等の導入が検討することとされ、本年一月十四日、オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリ(仮称)(以下「オリパラアプリ」という。)及びデータ連携基盤の開発・運用・保守一式に関する契約が締結された。その後、三月の海外からの観客の受入れ見送りを受け、五月三十一日、契約内容を見直したところであると承知している。  これを踏まえ、次のとおり質問する。 一 令和三年六月一日の平井国務大臣の閣議後記者会見に関する報道によると、「システムのユーザーは、アクレディテーションを有する選手等の大会関係者とする」と述べているが、本オリパラアプリの対象者の具体的な範囲はどのようになるのか。報道関係者、国内からの観戦者、各国・地域の要人や随行員は対象となるのか。それぞれ具体的に回答されたい。 二 本年四月に公表された「公式プレイブック(第二版)」(以下「プレイブック」という。)において、「日本訪問者はすべてスマートフォンを持参し、二つのアプリケーション(健康観察アプリ、接触確認アプリ(COCOA))をダウンロードし使用することが求められます。」とされているが、これらのアプリをダウンロードし、使用していることをどのように担保するのか。使用していない場合の対処策など、実効性を持たせるための方策を示されたい。 三 様々な国から来日する選手や大会関係者に対応するため、多くの言語に対応させる必要があると考える。オリパラアプリの言語対応については仕様書において六言語とされているが、六言語で対応は十分か、今後追加をする予定はあるか。政府の考えを示されたい。 四 プレイブックによると、オリパラアプリのダウンロードが求められているが、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に参加する全ての国・地域においてダウンロードできるのか。国や地域によっては、仕様書においてオリパラアプリを公開することとされているアップストアやグーグルプレイを利用できないことも考えられるが、このような場合への対応方法も併せて示されたい。  また、オリパラアプリの対応OS(オペレーティングシステム)については、アンドロイド及びiOSの二種類が原則となっているが、世界にはブラックベリー、Tizen OS等、前述の二種類以外のスマートフォンOSの利用者も一定数存在している。アンドロイド及びiOSの二種類以外のOSを対象とするものはあるか。加えてオリパラアプリの選手や大会関係者の来日予定者へのオリパラアプリの具体的周知方法について、政府の考えを示されたい。 五 現在、海外からの入国・帰国の前後において、健康状態に異常のない者も含め、検疫所長の指定する場所(自宅など)で入国日を零日として十四日目まで待機し、空港等からの移動も含め公共交通機関(航空機、バス、電車、タクシー等)を使用しないこと等の対応を求めているが、選手や大会関係者はオリパラアプリを使用すれば十四日間の待機が免除となるのか。  また、プレイブックによれば、日本訪問者はすべてスマートフォンを持参することとされているが、スマートフォン等を所有していない選手や大会関係者については、スマートフォンの貸し出しをする、入国に当たり十四日間の待機を義務付ける、また、入国をさせない等の措置を講じるのか。具体的措置対応について回答されたい。 六 平井国務大臣は、令和三年六月一日の閣議後記者会見において、オリパラアプリの契約について、必要な機能の見直し等により、三十四・七億円減額し、契約金額を三十八・五億円に変更することを公表した。減額した三十四・七億円について、見直しをおこなった機能ごとの内訳を示されたい。  また、平井国務大臣は、オリパラアプリの契約期間をオリパラ終了後の九月十五日までとする一方で、「オリパラ後については、今開発しているアプリのソースコードや情報連携基盤といったシステムの資産を活用しながら必要な見直し、拡充をして、広く日本への入国者全体向けのシステムとして活用すべく、円滑な移行を図っていきたいと思います。」と述べている。「広く日本への入国者全体向けのシステムとして活用」とは、具体的にどのような活用か。また、管理運用の費用はどの程度が想定され、誰が負担するのか。 七 アプリ及びデータ連携基盤の開発・運用・保守一式に関する契約は、NTTコミュニケーションズ株式会社、日本ビジネスシステムズ株式会社、日本電気株式会社、株式会社アルム及び株式会社ブレインの五社で構成するコンソーシアムと締結しているが、六で触れたように、必要な機能の見直し等により三十四・七億円減額し、契約金額を三十八・五億円に変更することを公表している。  今回の変更によって、五社の受注額及び受注内容等の状況について、各社ごとの変更前と変更後の状況を明らかにされたい。  また、関連する契約の再委託(再委託の相手方がさらに再委託を行うなど複数の段階で再委託が行われる場合を含む。以下同じ。)先の事業者名、再委託先への委託金額、委託内容等の現時点での状況について、具体的に示されたい。併せて、どのような条件であれば国外の事業者に対して再委託することが可能なのか。国外の事業者に再委託した事例があれば、具体的に国外の事業者名等を示されたい。 八 オリパラアプリは、仕様書上では東京オリンピック・パラリンピック競技大会のテストイベント向けにリリースし、フルリリースに向けてブラッシュアップするとされていたが、令和三年五月二十一日の衆議院厚生労働委員会における時澤内閣官房内閣審議官の答弁によれば、テストイベントにおけるテストは行っていないとのことである。テストが少ないことにより、実際の使用開始後に不具合が発生した場合、適切な対応ができるか懸念される。今後のテストの実施日程・方法について示されたい。また、使用開始後に不具合が発生した場合における対処法についても示されたい。 九 令和三年六月十一日の朝日新聞朝刊において、平井国務大臣は、今年四月の内閣官房IT総合戦略室の会議で同室幹部らに請負先の企業を「脅しておいた方がよい」「徹底的に干す」などと、指示していたと報じられた。  1 平井国務大臣は、六月十一日の記者会見において、オリパラアプリの開発をめぐり、自らに不適切な発言(以下「不適切な発言」という。)があったと明らかにしたが、どのような発言がどのような点で不適切であったと考えているのか。具体的に示されたい。  2 同報道において、朝日新聞は同オンライン会議の音声データを入手したとしている。実際に音声データが流出したのであれば、セキュリティーの観点から問題があると考えられるが、政府の見解を伺う。   また、当該音声データの真偽及び流出の経緯について調査する必要があると考えるが、その予定はあるか。同室のオンライン会議における音声データについては、どのような管理がなされており、外部流出等の不適切な取り扱いがなされていた場合、政府は関係した者の処分を含めどのような対応をとるのか。それぞれ具体的に回答されたい。  3 国が不当な圧力をかけて請負金額の減額を迫ったとすれば優越的地位を背景とした事実上の強要であり問題だとの指摘もある。大臣の不適切な発言によって今回のオリパラアプリの契約変更に対する影響はなかったのか。また、今回のオリパラアプリの開発及び契約変更において、政府の優越的地位を背景とした企業への事実上の強要に当たるものが実際になかったのか。それぞれについて、政府の見解を明確に回答されたい。  4 3について、関係する政府職員や契約先企業に詳細なヒアリングを行うなど、改めてその経緯を調査し、結果を公表するべきではないか。今後調査を行う予定はないか。政府の認識を問う。  右質問する。
b204224
衆議院議員丸山穂高君提出東京オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリに関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二二四号   内閣衆質二〇四第二二四号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員丸山穂高君提出東京オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリに関する再質問に対する答弁書 一について  「オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリ(仮称)及びデータ連携基盤の開発・運用・保守一式」の調達に係る契約(以下「原契約」という。)の一部を変更した後の契約(以下「変更後の契約」という。)により開発するシステム(以下「本システム」という。)が提供するスマートフォンのアプリケーション(以下「本アプリ」という。)の利用者は、原則として、国際オリンピック委員会(以下「IOC」という。)が発行するオリンピックID兼アクレディテーションカード又は国際パラリンピック委員会(以下「IPC」という。)が発行するパラリンピックID兼アクレディテーションカードを保有する東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会(以下「大会」という。)の関係者(以下「大会関係者」という。)のうち要人及びその随行員を除くものであり、具体的には、大会出場選手、IOC、IPC、国際競技連盟等の職員・関係者、大会スタッフ、報道関係者等である。 二について  大会関係者の入国に係る措置については、令和三年四月二十八日に開催した「東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策調整会議」で示した「変異株等に対応した追加的な対策について(案)」(以下「追加的対策」という。)において、大会関係者の健康管理については、「アプリ等による健康状態の報告等」を行い、「感染疑いを把握し、又は陽性判明時に陽性登録を行うため、接触確認アプリを利用」する等としたところである。また、御指摘の「二つのアプリケーション」については、大会関係者の受入責任者である公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下「組織委員会」という。)等が、空港において、各大会関係者のスマートフォンにダウンロードされ、必要な事項にデータが入力がされているか等について確認するとともに、我が国への入国後は、その使用状況について監督することとしている。  これらの内容については、大会において各大会関係者が遵守する新型コロナウイルス感染症対策に関する行動ルールを定めた「アスリート・チーム役員公式プレイブック(第三版)」(以下「プレイブック」という。)等に掲載されており、仮に大会関係者が当該アプリケーションを使用していなかったなど、ルール違反が認められる場合には、違反者の大会参加資格剝奪等の措置が講じられることとされているところである。 三について  本アプリについては、日本及び海外からの大会関係者が幅広く利用できるよう、日本語、英語、中国語、韓国語、フランス語、スペイン語の六言語に対応することとしているところであり、このようなことから、本アプリが対応する言語を追加する予定はない。 四について  本アプリは、App Store及びGoogle Playからダウンロードができることとしているが、大会に参加する各国・地域における諸事情によっては、ダウンロードができない可能性があると認識している。そのため、オペレーティングシステムとしてAndroid OSを使用するスマートフォンに関しては、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室が構築し、運用するインターネット上のウェブサイトから本アプリをインストールするためのプログラムのダウンロードを可能とすることとしている。また、本アプリをダウンロードできるスマートフォンを所有していない大会関係者に対しては、その受入責任者である組織委員会等が、到着空港において、本アプリをダウンロードできるスマートフォンを貸し出すこととしている。  本アプリが対応するオペレーティングシステムは、iOS及びAndroid OSであり、本アプリの周知方法としては、大会関係者に配布するプレイブック等に掲載したことに加え、大会関係者を対象とした説明会における説明等を予定している。 五について  お尋ねについては、追加的対策において、「受入責任者(組織委員会等)の監督」の下、「滞在先や移動手段を限定する等の厳格な行動管理、健康管理、また、出国前検査や入国時検査に加え、定期的な検査など、必要な防疫上の措置を講じる」ことを前提に、入国後十四日間の待機期間中の活動を認めることとしたところである。  また、四についてで述べたとおり、本アプリをダウンロードできるスマートフォンを所有していない大会関係者に対しては、その受入責任者である組織委員会等が、到着空港において、本アプリをダウンロードできるスマートフォンを貸し出すこととしている。 六について  お尋ねの「内訳」について、①原契約の契約金額の内訳(千万円未満を四捨五入した数字)及び②変更後の契約の契約金額の内訳(千万円未満を四捨五入した数字)を原契約により開発することとしていたシステム等の機能ごとにお示しすると、次のとおりである。  統合型入国者健康情報管理システム ①十七億六千万円 ②十三億二千万円  データ連携基盤 ①十四億三千万円 ②八億千万円  顔認証サービス ①五億円 ②零円  医療機関向けサービス ①五億円 ②四億五千万円  サポートセンター ①十六億六千万円 ②三億千万円  多言語対応及びGDPR対応等 ①三億七千万円 ②三億三千万円  プロジェクト管理費及び一般管理費 ①十一億円 ②六億三千万円  本システムが提供する機能の大会終了後の取扱いについては、我が国に入国する者の更なる利便性向上の観点から、査証申請等との連携や、新型コロナウイルス感染症をめぐる情勢等を踏まえた水際対策への活用等の検討を行い、当該検討の結果も踏まえて対応していく考えであるが、必要な機能の見直し及び拡充の具体的内容は検討中であることから、お尋ねの「管理運用の費用」等について現時点でお答えすることは困難である。 七について  お尋ねの「受注額」について、①原契約の契約金額の内訳(百万円未満を四捨五入した数字)及び②変更後の契約の契約金額の内訳(百万円未満を四捨五入した数字)を御指摘の「五社」ごとにお示しすると、次のとおりである。  株式会社アルム ①四億九千五百万円 ②四億五千二百万円  エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 ①四十五億七千六百万円 ②二十三億二千八百万円  日本電気株式会社 ①四億九千五百万円 ②零円  日本ビジネスシステムズ株式会社 ①十四億三千万円 ②八億六百万円  株式会社ブレイン ①三億千九百万円 ②二億六千三百万円  お尋ねの「受注内容等の状況」の意味するところが必ずしも明らかではないが、原契約において日本電気株式会社が履行することとされていた顔認証サービスの開発、運用、保守等については、変更後の契約では調達を行わないこととしている。  また、変更後の契約による調達(以下「本件調達」という。)に係る令和三年六月十一日現在における業務の再委託(再委託の相手方がさらに業務の一部の再委託を行う場合を含む。以下同じ。)の相手方の名称及び再委託の金額(百万円未満を四捨五入した数字)をお示しすると、次のとおりである。  株式会社アイエンター 三千三百万円  株式会社アイムシステムサービス 千百万円  株式会社アルファバージョン 二千二百万円  株式会社アローグラフ 千百万円  株式会社インバウンドテック 一億四千三百万円  ARアドバンストテクノロジ株式会社 千百万円  SCSK株式会社 二千八百万円  エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 八千八百万円  NTTコムエンジニアリング株式会社 零円  NTTコムソリューションズ株式会社 三億三千万円  エヌ・ティ・ティ・データ先端技術株式会社 零円  株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・フロンティア 一億三千二百万円  株式会社NTTネクシア 零円  株式会社エヌ・ティ・ティマーケティングアクト 三億三千万円  エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社 四千四百万円  エヌ・ティ・ティレゾナント・テクノロジー株式会社 六百万円  株式会社オーク 零円  株式会社キャフィック 二千二百万円  國居貴浩 六百万円  合同会社ジェイリーム 六百万円  Japan Business Systems Technology 千百万円  特定非営利活動法人スラッシュ 百万円  TS4G株式会社 三百万円  株式会社dirbato 一億三千二百万円  株式会社デジタルハーツ 一億五千百万円  特定非営利活動法人アイ・コラボレーション神戸 二百万円  中村三良 三百万円  日本情報通信株式会社 零円  日本電気株式会社 三百万円  株式会社ネクサスウィング 六百万円  株式会社ネクストスケープ 六億六千万円  株式会社パソナテック 千百万円  株式会社ピーアンドアイ 百万円  株式会社PIVOT 二千二百万円  フェンリル株式会社 三億八千五百万円  プライマルホールディングス株式会社 四百万円  三井物産セキュアディレクション株式会社 七千七百万円  モリソン・フォースター法律事務所 五千五百万円  レバテック株式会社 六百万円  本件調達に係る再委託された業務の内容は、アプリケーションの設計、開発、試験、運用、保守等、サポートセンターの基盤構築、運用等及び関係省庁等データ連携基盤の設計、開発、試験、保守等に係る業務の一部である。  原契約及び変更後の契約において、お尋ねの「国外の事業者に対して再委託すること」に係る要件は設定されていない。  お尋ねの「国外の事業者に再委託した事例」としては、Japan Business Systems Technologyへの再委託がこれに該当する。 八について  本システムの開発においては、変更後の契約の受注者等において、システムの動作確認、システム相互の接続の確認、システムの脆弱性の診断等の必要なテストを日々実施しているところであり、お尋ねの「今後のテストの実施日程・方法」についてお示しすることは困難である。  お尋ねの「不具合が発生した場合における対処法」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、本件調達においては、二十四時間体制での本システムの監視及び障害対応を行うこととしているほか、本システムの利用者及び大会の関係機関からの障害等に関する申告があった場合には速やかに必要な対応を取ることとするなど、本システムに障害等が発生した場合に必要な対応を取る体制を整備することとしている。 九の1について  お尋ねについては、平井国務大臣が令和三年六月十一日に行った記者会見において、一部報道において引用されている発言について「強い覚悟で国民の立場になって交渉をするということを幹部二人に強い口調で申し上げたことが、今回ある意味、表現が不適当であったと思います」と述べたとおりである。 九の2について  御指摘の「音声データ」について、御指摘の報道機関がどのように入手したかは政府として承知しておらず、御指摘の「流出」を前提としたお尋ねについては、お答えすることは困難である。  なお、一般論として申し上げれば、電磁的記録の取扱いについては、「内閣官房情報セキュリティポリシー」(平成二十四年三月三十日内閣官房情報セキュリティ委員会決定(最終改定 平成三十年十二月十一日))において、「職員は、自らが担当している業務の遂行のために必要な範囲に限って、情報を利用等する」と規定されており、各職員において適切に対処されるべきものと考えている。 九の3及び4について  変更後の契約の締結に当たっては、原契約に基づき、原契約に基づく調達の受注者と適切に協議し、合意したものであって、御指摘の平井国務大臣の発言の影響はなく、「国が不当な圧力をかけて請負金額の減額を迫った」という事実もないと考えている。  また、御指摘の「事実上の強要に当たるもの」及び「その経緯」の意味するところが明らかではなく、その余のお尋ねにお答えすることは困難である。
a204225
コロナ禍における入国管理に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二二五号 コロナ禍における入国管理に関する質問主意書  新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、我が国への入国又は帰国に際して、検疫所への「出国前七十二時間以内の検査証明書」の提示、検疫所が確保する宿泊施設での待機・誓約書の提出、スマートフォンの携行、必要なアプリの登録・利用等が求められている。新型コロナウイルス感染拡大に対応するための水際対策としての入国者又は帰国者に対して講ずる措置の在り方について、以下質問する。 一 厚生労働省のウェブサイトには、「誓約書の誓約事項を実施するため、位置情報を提示するために必要なアプリ等を利用できるスマートフォンの所持が必要となります。検疫手続の際に、必要なアプリを利用できるスマートフォンの所持を確認できない方は、入国前に、空港内でスマートフォンをレンタルしていただくよう、お願いすることになります。」とある。  1 これらの要請に応じない場合には、入国を拒否することが可能なのか。可能である場合には、その法的根拠及び実際に入国を拒否された者の人数及び入国者に占める入国を拒否された者の割合を示されたい。  2 入国者又は帰国者のうち位置情報を提示するために必要なアプリ等を利用できるスマートフォンを所持していないため、スマートフォンをレンタルした者の人数又は入国者若しくは帰国者に占めるスマートフォンをレンタルした者の割合を政府は把握しているか。把握している場合には、その人数又は割合を示されたい。  3 スマートフォンを所持することが検疫手続の際に確認できない者は、日本国籍を有している者であっても帰国することができないのか。帰国できない場合、これまでにスマートフォンを所持していなかったことを理由に帰国することができなかった者の人数及び帰国者に占める割合を示されたい。 二 厚生労働省のウェブサイトに掲載されている「日本へ入国・帰国した皆さまへ「十四日間の待機期間中」のルール」によれば、①位置情報確認アプリ(OEL)による位置情報の報告、②メール・ウェブサイトによる健康状態の報告、③ビデオ通話アプリMySOS等による居所確認、④スマートフォンの位置情報記録の保存設定、⑤COCOA(接触確認アプリ)の利用が求められている。また、「正当な理由なく、健康状態や位置情報の報告を怠った場合など、誓約に違反した場合は、氏名(外国人の場合は氏名および国籍)や感染拡大の防止に資する情報が公表されることがあります。外国人の場合は出入国管理法に基づく在留資格取消手続きおよび退去強制手続きの対象となることがあります。」とされている。  1 これらのアプリのインストール等を要請する法的根拠について、条文を含めて示されたい。  2 前記①及び②の報告並びに③の健康状態の確認をしていない入国者及び帰国者の数を政府は把握しているか。把握している場合には、アプリの運用開始からこれまでの人数及び入国者又は帰国者の合計に占める当該報告や確認をしていない者の割合を示されたい。  3 これまでに、誓約に違反したとして、氏名を公表された者は何人いるのか。また、在留資格取消手続及び退去強制手続の対象となった外国人は何人いるのか。  4 東京オリンピック・パラリンピック競技大会における入国者については「オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリ(仮称)」が開発・運用されると承知しているが、前記①から⑤までのアプリ利用・設定等は、東京オリンピック・パラリンピック競技大会における入国者も行わなければならないのか。 三 厚生労働省ウェブサイト掲載の「過去十四日以内に、インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、モルディブ、アフガニスタンに滞在歴のある入国者の皆様へ」には、これらの国からの入国者に対して検疫所が確保する宿泊施設において十日間待機してもらう旨が記載されている。この措置は、インドにおいて変異した新型コロナウイルス、いわゆる「デルタ株」の対策として講じられたものと考えるがいわゆる「デルタ株」は既にこれらの国以外にも広がっている。  1 「デルタ株」の感染者が確認された国からの入国者又は帰国者についても検疫所が確保する宿泊施設において十日間待機を求めるべきと考えるが、政府の見解を伺う。  2 「アルファ」、「ベータ」、「ガンマ」、「デルタ」の各変異株の他にもベトナムにおいて確認された「アルファ株」と「デルタ株」両方の変異をもつ変異株などの警戒すべき変異株が広がっている国についてもいわゆる「デルタ株」対策と同様に十日間待機の措置を早急に講ずるべきではないか。 四 厚生労働省のウェブサイト「令和三年度厚生労働省所管予算案関係 令和三年度厚生労働省予算案の主要事項」に掲載されている「Ⅲ 主要事項」には、令和二年度第三次補正予算に「検疫所及び国立感染症研究所の機能強化」として五百八十四億円が計上されており、「検疫における検査体制及び人員体制の確保など、水際対策の強化を進める。」ことが記されている。また、検疫体制強化として定員を百七十七人増加して千三百四十九人としたとの報道もある。これらの人員強化は、新型コロナウイルス感染症対策としての水際対策のためのものか。定員増は、期間が限定されているのか。 五 本年四月下旬、南アフリカの空港から日本に帰国しようとした会社員男性が「政府指定の書式ではない」ことを理由に検査証明書が無効であるとして航空会社職員から搭乗を拒否されたと読売新聞が報じている。また、こうした搭乗拒否の事例は少なくとも米国、中国、英国、イタリア、タイ、イスラエルで確認され、日本政府関係者が航空会社に搭乗を拒否された事例もあったと報じられている。  1 検査証明書の書式について政府指定の書式でなくても記載すべき内容が示されていれば差し支えないことは事実か。現時点までに、日本国籍を有する者が帰国の際に提出した検査証明書が政府指定の書式とは異なることを理由に航空会社に搭乗拒否された事例を政府は承知しているか。承知している場合には、件数及び具体的な拒否の態様を示されたい。  2 「日本のように証明書の書式まで指定されるのは世界的に珍しい」、「厚生労働省は書式を指定する理由について、「政府が求める検査方法の実施を確実にするため」と説明する。だが、例外も認めるとする日本側の複雑な対応は、各国の航空会社へ十分には周知されていない模様だ。」と報じられているが、政府は、検査証明書の書式を指定していること及び検査証明書に記載すべき内容が満たされていれば任意の書式でも差し支えないことを各国の航空会社へどのように周知しているのか。 六 関西空港で本年四月十九日にオランダから到着した日本人男性が複数の検体を混ぜて検査を受けていたことから書類や検査方法などに不備があるとしてオランダに送還されたことをNHKが報じている。また、成田空港でも本年四月十九日、アメリカから到着した女性が検体の採取から出国までに七十二時間以上が経っていたためにアメリカに送還されたことが報じられている。  1 全国の空港で検査証明書の書式又は内容の不備を理由に帰国を許されなかった日本国籍を有する者の人数を明らかにされたい。  2 NHKは「これまでは、書類や検査方法などに不備がある場合、検疫所が管理する宿泊施設で待機してもらうなどしていましたが、十九日から原則として入国を拒否しています。」と報じているが、本年四月十九日から日本国籍を有する者であっても検査証明書に不備がある場合には送還することとされているのか。日本国籍を有する者を送還する場合、その法律上の根拠はどのようなものか。  3 市民的及び政治的権利に関する国際規約第十二条4は「何人も、自国に戻る権利を恣意的に奪われない。」としている。また、日本国憲法第二十二条は、居住、移転及び職業選択の自由を保障している。検査証明書の書式や内容に不備があるとしても帰国の際、検査を実施し、検疫所が管理する宿泊施設で待機してもらう等の方法により検疫法の目的を達成することは可能ではないか。検査証明書に不備があることを理由とする送還は、日本国籍を有する者の自国に戻る権利を過度に制約し、「公共の福祉」による制限としては重すぎるものではないかと考える。こうした措置が憲法第二十二条に反しないと考える解釈の根拠について、政府の見解を伺う。  右質問する。
b204225
衆議院議員丸山穂高君提出コロナ禍における入国管理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二二五号   内閣衆質二〇四第二二五号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員丸山穂高君提出コロナ禍における入国管理に関する質問に対する答弁書 一の1及び3について  お尋ねの「要請」については、検疫法(昭和二十六年法律第二百一号)第十六条の二第二項の規定に基づき、感染症の感染の防止に必要な協力として求めているものであり、御指摘の「スマートフォンを所持することが検疫手続の際に確認できない者は、日本国籍を有している者であっても帰国することができない」ことはないものである。 一の2について  御指摘の「スマートフォン」の「レンタル」については、「スマートフォンをレンタルした者」と「スマートフォン」の「レンタル」を行う者との契約に基づく行為であるため、お尋ねの「スマートフォンをレンタルした者の人数又は入国者若しくは帰国者に占めるスマートフォンをレンタルした者の割合」については、政府として把握していない。 二の1について  お尋ねの「要請」については、検疫法第十六条の二第二項の規定に基づき、我が国への入国をしようとする者に対し、感染症の感染の防止に必要な協力として求めているものである。 二の2について  お尋ねの「報告」及び「確認」を「していない」の具体的に差し示す範囲が明らかではないため、お答えすることは困難である。 二の3について  お尋ねの「氏名を公表された者」及び「在留資格取消手続及び退去強制手続の対象となった外国人」の人数については、現時点で零人である。 二の4について  東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会における入国者に係る措置については、令和三年四月二十八日に開催された「東京オリンピック・パラリンピック競技大会における新型コロナウイルス感染症対策調整会議」で示された「変異株等に対応した追加的な対策について(案)」(以下「追加的な対策案」という。)において、「基本的な考え方」として「滞在先や移動手段を限定する等の厳格な行動管理、健康管理、また、出国前検査や入国時検査に加え、定期的な検査など、必要な防疫上の措置を講じる」こととされ、健康管理については、「アプリ等による健康状態の報告等」を行うこと、「感染疑いを把握し、又は陽性判明時に陽性登録を行うため、接触確認アプリを利用」すること、「陽性者が判明した場合、さかのぼって行動を確認するため、地図アプリで位置情報」を「保存」すること等とされたところであり、お尋ねについては、追加的な対策案において、「受入責任者(組織委員会等)の監督のもと」「アスリート等や大会関係者」に対して「行動管理、健康管理」を行うことを基本としていることから、お尋ねの「①位置情報確認アプリ(OEL)による位置情報の報告」、「②メール・ウェブサイトによる健康状態の報告」及び「③ビデオ通話アプリMySOS等による居所確認」については、使用しないこととしている。一方、「④スマートフォンの位置情報記録の保存設定」については、陽性者が判明した場合や行動に疑義があった場合に行動履歴を確認するため、「⑤COCOA(接触確認アプリ)」については、感染疑いの把握及び陽性判明時に陽性登録を行うため、使用することとしている。 三について  御指摘の「「アルファ」、「ベータ」、「ガンマ」、「デルタ」の各変異株の他にもベトナムにおいて確認された「アルファ株」と「デルタ株」両方の変異をもつ変異株などの警戒すべき変異株が広がっている」の意味するところが明らかではなくお答えすることは困難であるが、政府としては、現時点では、令和三年五月十八日及び同月二十五日に内閣官房等が示した「水際対策強化に係る新たな措置(十三)」、「水際対策強化に係る新たな措置(十四)」等に基づき適切に対応していくこととしている。 四について  お尋ねの「これらの人員強化」及び「定員増」については、検疫所における「新型コロナウイルス感染症対策」に必要な体制整備を図るために実施したものであり、また、「期間が限定されている」ものではない。 五の1について  御指摘のとおり「検査証明書の書式について政府指定の書式でなくても記載すべき内容が示されていれば差し支えない」取扱いとしている。また、御指摘の「日本国籍を有する者が帰国の際に提出した検査証明書が政府指定の書式とは異なることを理由に航空会社に搭乗拒否された事例」は報道等を通じて承知しているが、お尋ねの「件数及び具体的な拒否の態様」については承知していない。 五の2について  お尋ねについては、厚生労働省が作成したリーフレットを同省のホームページに掲載することや、国土交通省から各国の航空会社に対してメールにより連絡すること等により周知を行っている。 六の1について  御指摘の「全国の空港で検査証明書の書式又は内容の不備を理由に帰国を許されなかった」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、検疫所長により検疫法第二十三条の二の規定に基づき送還を要請された航空会社により送還された「日本国籍を有する者」の人数については、政府として把握している限りでは、令和三年六月十日現在、二十五人である。 六の2及び3について  所定の要件を満たす「検査証明書」の提示をしない者について、検疫所長は、当該者が乗ってきた航空機の長に対し、検疫法第十八条第一項の規定による仮検疫済証の交付を行わないこととしており、この場合、当該者は同法第五条の規定により我が国への上陸ができず、検疫所長は、同法第二十三条の二の規定に基づき当該航空機の所有者又は長に対して、当該航空機の長の責に帰すべきとは認められない場合を除き、当該者を速やかに送還するよう必要な協力を求めることとしている。これらの対応については、令和三年三月十九日から開始したところであり、航空会社への周知期間を考慮し、同年四月十九日から当該協力を求めることを徹底することとしたものである。これらの対応に関し、当該協力の求めは、防疫上必要な措置であり、また、真に外国への送還が困難な者については、同法第五条第三号に該当するものとして我が国へ上陸することができることとするなど人道上必要となる配慮を行っているところである。
a204226
東京都で緊急事態宣言が発出されていても東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催するのかに関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二二六号 東京都で緊急事態宣言が発出されていても東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催するのかに関する質問主意書 一 世界的に著名な医学誌であるアメリカの医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」において、医学者のグループが日本のワクチン接種率が経済協力開発機構(OECD)諸国で最低となっていることを指摘しつつ、「私たちは、オリンピックを進めるというIOC(国際オリンピック委員会)の決意は最高の科学的証拠の情報に基づいていないと信じている」という旨の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する論評を発表したと報道されている。ワクチン接種が諸外国と比べて遅れていることに関する政治責任を政府はどのように受け止めているのか、所見を伺いたい。 二 アメリカの「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会が行われれば「選手を含む参加者はオリンピック中に感染し、二百カ国・地域以上に帰国するリスクを引き起こす可能性がある」と指摘している。  またイギリスの「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」でも、日本の限定的な検査体制とワクチン接種の遅れは政治的指導力の欠如が原因だと指摘した上で、科学的根拠や倫理的責任を無視して東京オリンピック・パラリンピック競技大会を日本国内の政治的理由及び経済的な目的で開催することは、人類の健康と安全に日本が貢献することと矛盾していると評している旨が報道されている。  そして、日本においても東京都医師会の尾崎治夫会長が、「ステージ二、(東京都内の一日の)感染者が百人くらいに収まっていないとやはり国民、都民の色んな思い、感情からしてオリンピックが本当にできる状態なのかなと、みなさん考えられるのではないかと思う。それくらいに感染を抑えた状況でないと、(令和三年)七月、八月にリバウンドが来るということが予測されているので、なかなか難しいのではないかと思っている」と指摘し、「場合によっては感染状況によるが、中止という選択肢もありうるのかなと思っている」と述べたとも報道されている。  政府は、こうした世界各国の医学界における専門家からの意見を黙殺し、科学的な根拠を示さないまま、「国民の命と健康を守る」という精神論を強弁した上で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を強行しようとしているのは何故か、その詳細について政府の所見を伺いたい。 三 日本を含む世界の新型コロナウイルス感染症の感染状況が変異株の出現などで昨年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の延期時よりも深刻化していることが各所から指摘されている。そうした中、令和三年五月二十四日提出質問第一四〇号緊急事態宣言が発出されている区域及びまん延防止等重点措置の実施区域における東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に関する質問主意書において、「一 国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長は令和三年五月二十一日、東京で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が発出されていても、七月二十三日に始まる予定の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催する旨の発言をしたが、政府においても緊急事態宣言が発出されていても東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催するべきであると考えているのか、所見を伺いたい。」、「二 まん延防止等重点措置が実施されている区域において、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催するべきであると考えているのか、併せて所見を伺いたい。」と尋ねた際、「開催に当たっては、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じることにより、安心して参加できるようにし、国民の命と健康を守っていきます。今般、日本政府が調整をした結果、ファイザーから各国選手へのワクチンの無償の提供が実現をし、さらに、選手や大会関係者と一般の国民が交わらないようにするなどの厳格な感染対策を検討します。こうした対策を徹底することで、国民の命や健康を守り、安全、安心の大会を実現することは可能と考えており、しっかり準備を進めてまいります。」という令和三年五月十九日の参議院本会議における菅義偉内閣総理大臣の発言を引用して答弁しているが、この答弁は、東京都に緊急事態宣言が発出されていても東京オリンピック・パラリンピック競技大会を実現することは可能であると考えて、準備を進め、開催する意向であるということであるのか、国民の命と健康を守る立場にある政府の真摯かつ明瞭な見解を伺いたい。 四 令和三年五月二十四日提出質問第一四一号緊急事態宣言が発出されている区域及びまん延防止等重点措置の実施区域における東京オリンピック・パラリンピック競技大会の観戦に関する質問主意書において、「二 国際オリンピック委員会(IOC)のジョン・コーツ調整委員長は令和三年五月二十一日、東京で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が発出されていても、七月二十三日に始まる予定の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催する旨の発言をしている。緊急事態宣言が発出されている区域における東京オリンピック・パラリンピック競技大会の観戦のための外出・移動は、不要不急のものではないと考えているのか、政府の見解を伺いたい。」、「三 まん延防止等重点措置実施区域における東京オリンピック・パラリンピック競技大会の観戦のための外出・移動は、不要不急のものではないと考えているのか、政府の見解を伺いたい。」と尋ねた際に、「令和三年四月二十八日(日本時間)に開催された国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、東京都及び政府による五者協議において、『観客上限については、海外からの観戦を認めないとの大きな事情変更がある中で、変異株による国内感染の状況も踏まえ、観客数に係る判断は六月に国内のスポーツイベント等における上限規制に準じることを基本に行うこと』で合意したところである。」という答弁を頂いたが、「観客数に係る判断は六月に国内のスポーツイベント等における上限規制に準じることを基本に行う」ということは、緊急事態宣言が発出されている区域及びまん延防止等重点措置実施区域における東京オリンピック・パラリンピック競技大会の観戦のための外出・移動は、不要不急のものではないと考えているという理解でよいか、国民の命と健康を守る立場にある政府の見解を確認したい。その際、お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないなどとはぐらかすことなく、真摯かつ明瞭に詳細についてご答弁を頂きたい。  右質問する。
b204226
衆議院議員中谷一馬君提出東京都で緊急事態宣言が発出されていても東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催するのかに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二二六号   内閣衆質二〇四第二二六号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員中谷一馬君提出東京都で緊急事態宣言が発出されていても東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催するのかに関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「ワクチン接種が諸外国と比べて遅れていること」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、新型コロナウイルス感染症に係る予防接種(以下「予防接種」という。)については、政府としては、「予防接種法及び検疫法の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(令和二年十一月十八日衆議院厚生労働委員会)の趣旨等を踏まえつつ、一日でも早く国民の皆様が安全かつ有効な予防接種を受けることができるよう取り組んできたところであり、引き続き、可能な限り早く国民の皆様が予防接種を受けることができるよう、政府を挙げて取り組んでまいりたい。 二から四までについて  東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会(以下「大会」という。)の開催については、令和三年六月七日の参議院決算委員会において、菅内閣総理大臣が「まずは、緊急事態宣言を解除する、ここに全力を挙げたいと思います。また、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、世界から選手が安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく、これが大会の前提と考えており、そうしたことが実現できるように対策を講じていきたいと思っています。」及び「具体的な対策としては、来日する大会関係者のまず人数を絞りこんで、これ当初の半分以下であります。選手や大会関係者にワクチン接種、ここは私自身が訪米したときに、ファイザーからこのオリンピック大会、パラリンピック大会への提供を受けましたので、そうした中でIOCで提案をする中で、約八割のワクチン接種を行っているということです。そして大会関係者の行動管理をして、一般の国民との接触、ここは防止をします。入国する前に検査を二回、入国時にまた検査をし、さらに翌日からまた検査をする。」と答弁したとおりである。また、当該答弁において言及されている「行動管理」及び「検査」については、国際オリンピック委員会(以下「IOC」という。)、国際パラリンピック委員会(以下「IPC」という。)及び公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下「組織委員会」という。)が大会において参加者が遵守すべき新型コロナウイルス感染症対策上のルールを同月に取りまとめたプレイブック(以下「プレイブック」という。)に記載されているところ、プレイブックは、専門家の科学的知見に基づく議論も踏まえられたものと承知している。さらに、東京オリンピック競技大会における観客については、同月二十一日(日本時間)に開催されたIOC、IPC、組織委員会、東京都及び政府による五者協議において、「七月十二日以降、緊急事態宣言又はまん延防止等重点措置が発動された場合の観客の取扱いについては、無観客も含め当該措置が発動された時の措置内容を踏まえた対応を基本とする」ことで合意したところである。
a204227
菅義偉内閣総理大臣の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に係る見解に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二二七号 菅義偉内閣総理大臣の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に係る見解に関する質問主意書 一 令和三年六月九日の党首討論において、菅義偉内閣総理大臣は、「五十七年前の東京五輪の時、私は高校生だったが、『東洋の魔女』の回転レシーブ、マラソンのアベベ選手、敗者に敬意を払った柔道のヘーシンク選手など今も鮮明に覚えている。そうしたことを子どもたちにも見てほしい」「当時、パラリンピックの開催が共生社会を実現するための一つの契機になった。素晴らしい大会をぜひ、今の子どもや若者が見て、希望や勇気を与え、伝えたい。さらに、心のバリアフリー、こうしたものもしっかり、大きな学習にもなるのではないか」「世界の人たちに東日本大震災から復興した姿も見てほしい」などの旨を訴えたが、世界的に新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し、東京では緊急事態宣言が発出されている現下において、大会の開催について精神論が優先され、科学的根拠が欠如することを懸念する。  そこで、伺うが、菅義偉内閣総理大臣は、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として東京オリンピック・パラリンピック競技大会を開催すると述べられているが、現在は、「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った」状態であると考えているのか政府の所見を伺いたい。 二 報道によれば、東京都医師会の尾崎治夫会長は、令和三年六月八日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会について、東京都内の新規感染者数(週平均)が四百人を超えている現状を踏まえ、「(東京都内の一日あたりの新規)感染者が百人程度に収まった状態じゃないと、七、八月にリバウンド(感染再拡大)が起こるおそれがある」と指摘し、感染状況が改善せず、大会期間中の感染防止対策がとれない場合には、中止すべきだとの考えを述べたとされている。こうした状況を踏まえて伺うが、菅義偉内閣総理大臣は令和三年六月七日の国会答弁で、開催の判断基準について、「国民の命と健康を守ることが大前提になってますから、そのことが私にとっては基準としたい」と述べられているが、国民の命と健康を守ることを前提とした開催の判断基準というのは、PCR検査の陽性率、療養者数、新規感染者数、病床使用率、ワクチン接種率、感染経路不明割合など何がどのような状態になったら、開催できる状態であるのか、科学的根拠を踏まえた上での政府の詳細の見解を伺いたい。  右質問する。
b204227
衆議院議員中谷一馬君提出菅義偉内閣総理大臣の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に係る見解に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二二七号   内閣衆質二〇四第二二七号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員中谷一馬君提出菅義偉内閣総理大臣の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に係る見解に関する質問に対する答弁書 一及び二について  お尋ねに関しては、令和三年三月十六日の参議院内閣委員会において、丸川国務大臣が「コロナの感染状況に関しては、まず感染拡大の防止に全力で取り組んでいくということを旨としておりまして、新型コロナウイルスの克服に全力を尽くし、安全、安心な大会を実現する、まさに人類がウイルスに打ちかったあかしとして東京大会を開催できるよう、内外の感染状況等を注視しながら、引き続き、IOC、東京都、組織委員会等と緊密に連携をして準備を進めてまいります。」と述べ、また、同年六月七日の参議院決算委員会において、菅内閣総理大臣が「まずは、緊急事態宣言を解除する、ここに全力を挙げたいと思います。また、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、世界から選手が安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく、これが大会の前提と考えており、そうしたことが実現できるように対策を講じていきたいと思っています。具体的な対策としては、来日する大会関係者の人数を絞り込み、選手や大会関係者にワクチン接種を行い、大会関係者の行動を管理して一般の国民との接触を防止をする。既に国内でテスト大会も実施され、万全の感染防止に努めており、東京大会に向けてしっかり準備をしていきたい、このように思います。」と述べているところである。
a204228
政府が民間事業者に委託している検疫業務にかかる支援業務に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二二八号 政府が民間事業者に委託している検疫業務にかかる支援業務に関する質問主意書  政府は大型連休明けの五月七日以降に民間航空会社などに成田空港国際線での新型コロナウイルスの検査の補助業務を委託しているとの報道がある。  その業務内容は、成田空港国際線において乗客が検疫で検査を受ける際の受付や誘導、必要書類の確認等であるとされている。この補助業務の運用体制について、以下、質問する。 一 検査補助業務において、検査補助業務終了後に補助業務の従事者に対してPCR検査を実施しているのか、詳細について政府の把握するところを確認したい。 二 検査補助業務の従事者の中に国際線業務に従事する客室乗務員は含まれているのか、詳細について政府の把握するところを確認したい。 三 検査補助業務に従事した客室乗務員が検査補助業務終了後にPCR検査を受けずに、国際線業務に臨んでいると報じられているが、このような事実があるのかについて、政府は確認を行っているのか、所見を伺いたい。 四 検査補助業務に従事している航空会社職員は、検疫所の指導のもと、それぞれの場所に適した感染防護具等を使用し、乗客の誘導や質問票等の関係書類の確認を行っていると認識しているが、これらの感染防護具等は、航空会社から支給されているのか、それとも職員自らが用意しているものであるのか、詳細について確認したい。  右質問する。
b204228
衆議院議員中谷一馬君提出政府が民間事業者に委託している検疫業務にかかる支援業務に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二二八号   内閣衆質二〇四第二二八号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員中谷一馬君提出政府が民間事業者に委託している検疫業務にかかる支援業務に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「検査補助業務」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、成田空港検疫所は、同検疫所において実施する新型コロナウイルス感染症に係る検疫に関する業務を補助する業務の一部(以下「補助業務」という。)を航空会社等に委託しているところ、補助業務に従事する者に対し、PCR検査を実施していない。 二及び三について  御指摘の「検査補助業務」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、成田空港検疫所と航空会社等との補助業務に関する契約において、同検疫所において実施する補助業務に従事する者の属性については指定しておらず、「国際線業務に従事する客室乗務員は含まれているのか」とのお尋ねについては把握していない。また、「このような事実があるのかについて、政府は確認を行っているのか」とのお尋ねについては確認を行っていない。 四について  御指摘の「検査補助業務」及び「それぞれの場所に適した感染防護具等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、成田空港検疫所と航空会社等との補助業務に関する契約において、例えば、同検疫所において実施する補助業務に従事する者に対して、当該補助業務において使用するマスク、フェイスガード及び手袋を支給することとしている。
a204229
安定した食の安全・安心の実現に向けた調理師法改正及び飲食店に対する新たな給付支援に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二二九号 安定した食の安全・安心の実現に向けた調理師法改正及び飲食店に対する新たな給付支援に関する質問主意書 一 毎年、夏季だけではなく冬季でも大量の食中毒患者が発生し、また新型コロナウイルスをはじめとする感染症の危険など、消費者を取り巻く環境は厳しい状況にある。安定した食の安全・安心の確保は課題であり、調理業務に従事する調理師の役割が一段と重要になっているので、関連して以下質問する。  1 安定した食の安全・安心の確保のためにも、飲食物を提供する一定規模以上の施設における調理師配置の義務化、そして調理師免許取得後の定期的な講習受講及び免許の更新の義務化が必要であるという趣旨の意見を、一般社団法人神奈川県調理師連合会が述べている。政府としては、こうした意見について、その必要性をどのように考えているのか、所見を伺いたい。  2 新型コロナウイルスをはじめとした感染症対策や、増加している外国人の調理従事者の資質と知識の向上が急務であると言われている。そのため、調理師試験の受験資格に満たない者や外国人などを対象とした新たな資格制度の創設をはじめとする、調理業務に従事するにあたっての一定基準を確保することが必要だと、一般社団法人神奈川県調理師連合会から意見が述べられているが、政府としては、こうした意見について、その必要性をどのように考えているのか、所見を伺いたい。 二 帝国データバンク及び東京商工リサーチが本年一月に発表した飲食店倒産動向調査では、二〇二〇年の国内飲食店倒産件数が、過去最多と発表された。関連して以下質問する。  1 私が令和三年一月十八日に提出した質問主意書「緊急事態宣言下における営業制限に伴う事業者補償と新型コロナウイルス感染拡大で厳しい影響を受けている事業者への給付支援に関する質問主意書」に対する答弁書(内閣衆質二〇四第二号)において、飲食店への支援について、政府は「引き続き、事業と雇用を支えるため、都道府県等と連携して、緊急事態宣言により経営に影響を受ける事業者に対する重点的・効果的な支援に万全を期してまいりたい」と答弁されているが、その認識は現在においても変わりはないか。政府の見解を伺いたい。  2 昨年に続いて、首都圏をはじめ一部の地域においては三度目の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出された。発出された地域の飲食店においては営業時間の短縮などの自粛が求められ、それ以外の地域においても自粛ムードの中、経済的に厳しい環境での営業を強いられている。事業再構築補助金など新たな補助金が措置されているが、現状の業務形態での営業継続を望む事業者向けに、持続化給付金や家賃支援給付金の再給付または新たな補助金の創設など、事業転換や拡大が難しい飲食店に対する支援策の必要性について、どのように考えているのか。政府の見解を伺いたい。  右質問する。
b204229
衆議院議員中谷一馬君提出安定した食の安全・安心の実現に向けた調理師法改正及び飲食店に対する新たな給付支援に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二二九号   内閣衆質二〇四第二二九号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員中谷一馬君提出安定した食の安全・安心の実現に向けた調理師法改正及び飲食店に対する新たな給付支援に関する質問に対する答弁書 一の1について  御指摘の「一定規模以上の施設における調理師配置の義務化」については、「一定規模以上の施設」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、当該義務が課される者の負担等についても十分考慮して慎重に検討する必要があると考えている。なお、調理師法(昭和三十三年法律第百四十七号)第八条の二の規定に基づき、多数人に対して飲食物を調理して供与する施設又は営業の設置者又は営業者に対しては、調理師の設置に関する努力義務が課されているところである。  また、御指摘の「調理師免許取得後の定期的な講習受講及び免許の更新の義務化」については、調理師の供給に多大な影響を及ぼすと考えられることから、調理師として必要な知識及び技能を保持するために必要な措置であるかについて慎重に検討する必要があると考えている。 一の2について  御指摘の「調理業務に従事するにあたっての一定基準を確保すること」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。  なお、調理師の資格は、調理師法に基づき調理の業務に従事する者の資質の向上等を目的として定めているものであり、御指摘の「感染症対策や、増加している外国人の調理従事者の資質と知識の向上」のために「新たな資格制度の創設」が必要であるとは考えていない。 二の1について  政府としては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の協力要請推進枠(以下「協力要請推進枠」という。)、雇用調整助成金等により、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)第三十一条の四第一項に規定する新型インフルエンザ等まん延防止等重点措置(以下「まん延防止等重点措置」という。)又は同法第三十二条第一項に規定する新型インフルエンザ等緊急事態宣言(以下「緊急事態宣言」という。)により経営に影響を受ける飲食店等を支援しているところであり、現在においても、事業と雇用を支えるため、都道府県等と連携して、まん延防止等重点措置又は緊急事態宣言により経営に影響を受ける事業者に対する重点的・効果的な支援に万全を期してまいりたいと考えており、お尋ねの「その認識」に変わりはない。 二の2について  お尋ねの「事業者」に対する「支援策」については、政府としては、協力要請推進枠、雇用調整助成金、小規模事業者持続化補助金、中小企業等事業再構築促進事業等の支援策を講じているところであり、今後とも、飲食店の経営状況や意向を踏まえつつ、支援策の活用を促し、飲食店が事業を継続することができるよう支援してまいりたい。
a204230
令和三年の衆議院選挙の日程に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二三〇号 令和三年の衆議院選挙の日程に関する質問主意書  現在の衆議院議員の任期は令和三年十月二十一日までと承知している。また、公職選挙法第三十一条第三項では、衆議院の解散による総選挙は解散の日から四十日以内と定められている。  加賀谷健参議院議員による「衆議院選挙の日程に関する質問主意書」(平成二十一年五月十四日提出、答弁書受領平成二十一年五月二十二日)における「任期満了当日の平成二十一年九月十日に解散をすることは法律上可能か否か、政府の見解を示されたい。」という質問に対し、政府は「衆議院議員の任期満了日に衆議院を解散することは、可能であると解される。」と答弁している。  以下質問する。 一 任期満了当日の令和三年十月二十一日に解散をすることは法律上可能か否か、政府の見解を示されたい。 二 仮に、本年十月二十一日の解散が可能という場合、次の総選挙の実施時期として一番遅い時期は本年十一月三十日となるのか。また、その直前の日曜日としては本年十一月二十八日で間違いないか。 三 仮に、任期満了による総選挙の期日が本年十月五日公示・十月十七日投票とされた後、公示日の前日である本年十月四日に国会が召集され解散が行われた場合は、公職選挙法第三十一条第三項「衆議院の解散に因る衆議院議員の総選挙は、解散の日から四十日以内に行う。」という規定に基づき、総選挙の実施時期として一番遅い時期は本年十一月十三日となるのか。また、その直前の日曜日としては本年十一月七日で間違いないか。 四 公職選挙法第三十一条第一項「衆議院議員の任期満了に因る総選挙は、議員の任期が終る日の前三十日以内に行う。」及び第二項「前項の規定により総選挙を行うべき期間が国会開会中又は国会閉会の日から二十三日以内にかかる場合においては、その総選挙は、国会閉会の日から二十四日以後三十日以内に行う。」に基づけば、仮に本年八月二十八日までに国会が召集されなかった場合、もしくは八月二十八日時点で国会が閉会していた場合は、総選挙を行うべき期間は九月二十一日から十月二十日となり、その期間に該当する日曜日は本年九月二十六日、十月三日、十月十日、十月十七日で間違いないか。 五 公職選挙法第三十一条第一項「衆議院議員の任期満了に因る総選挙は、議員の任期が終る日の前三十日以内に行う。」及び第二項「前項の規定により総選挙を行うべき期間が国会開会中又は国会閉会の日から二十三日以内にかかる場合においては、その総選挙は、国会閉会の日から二十四日以後三十日以内に行う。」に基づけば、仮に本年八月二十八日に国会が召集され、十月二十一日に閉会した場合、総選挙の実施時期は本年十一月十四日以降十一月二十日となるのか。また、その期間に該当する日曜日としては本年十一月十四日で間違いないか。 六 新型コロナ禍で、全国の自治体は、ワクチン接種の促進や厳しい生活におかれている方々への支援など、住民の命や生活を守るために通常とは異なる対応に追われている。総選挙に係る自治体の事務の負担を考慮すれば、たとえ法的に可能であったとしても、いったん定めた選挙日程を政府・与党の政治都合で変更するような政治のあり方は、厳に慎むべきと考えるがいかがか。  右質問する。
b204230
衆議院議員手塚仁雄君提出令和三年の衆議院選挙の日程に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二三〇号   内閣衆質二〇四第二三〇号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員手塚仁雄君提出令和三年の衆議院選挙の日程に関する質問に対する答弁書 一について  衆議院議員の任期満了日に衆議院を解散することは、可能であると解される。 二について  お尋ねについて、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号。以下「法」という。)上、次の総選挙の期日を最も遅く定めることができるのは、現在の衆議院議員の任期満了日である令和三年十月二十一日に衆議院が解散された場合であり、その解散による総選挙は、法第三十一条第三項の規定に基づき、同年十一月三十日までに行われることとなり、同日の直前の日曜日は、同月二十八日である。 三について  お尋ねの令和三年十月四日に衆議院が解散された場合、その解散による総選挙は、法第三十一条第三項の規定に基づき、同年十一月十三日までに行われることとなり、同日の直前の日曜日は、同月七日である。 四について  お尋ねの「仮に本年八月二十八日までに国会が召集されなかった場合、もしくは八月二十八日時点で国会が閉会していた場合」又は令和三年八月二十八日に国会が閉会した場合であって、同月二十九日以降に国会が開会されていないときは、現在の衆議院議員の任期満了による総選挙は、法第三十一条第一項の規定に基づき、同年九月二十一日から同年十月二十日までに行われることとなり、この期間における日曜日は、同年九月二十六日、同年十月三日、同月十日及び同月十七日である。 五について  お尋ねの場合においては、現在の衆議院議員の任期満了による総選挙は、法第三十一条第二項の規定に基づき、令和三年十一月十四日から同月二十日までに行われることとなり、この期間における日曜日は、同月十四日である。 六について  お尋ねの「たとえ法的に可能であったとしても、いったん定めた選挙日程を政府・与党の政治都合で変更するような政治のあり方は、厳に慎むべきと考える」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である。
a204231
生活保護の生活扶助基準に関する再質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二三一号 生活保護の生活扶助基準に関する再質問主意書  本年四月十六日に提出した「生活保護の生活扶助基準に関する質問主意書」に対する政府答弁に重大な問題がある。再度質問する。 一 前回の質問主意書の中で、厚生労働省の生活扶助相当CPI(物価指数)の計算について「生活保護世帯の実態からはかけ離れている」と指摘し、それについての見解を尋ねたところ、それに対する答弁の中に「生活扶助基準については、一般国民の消費実態との均衡を図る観点からその水準を調整することとしており、生活保護受給世帯の消費実態を基に定めることは適当ではないと考えている」との記載があった。  この答弁は、生活保護法の条文を無視しており、極めて問題だと考える。  生活保護法では、第八条で生活保護基準を決めるときの原則が説明されており、第一項の条文には「要保護者の需要を基とし」という文言があるので、生活保護基準を改定する際は、要保護者、つまり、生活保護の利用者や今後利用者となりうる人の需要を考慮せねばならない。また、第二項の条文には、要保護者の事情を考慮しなければならない旨の記載がある。  ところが、前回の主意書に対する政府答弁の内容では、生活保護世帯の消費実態を考慮せずに生活扶助基準を改定したと考えざるを得ない。前回の主意書に対する政府答弁は生活保護法第八条に違反すると判断せざるを得ないが、内閣の見解をご教示願いたい。 二 前回の質問主意書の中で、二○○五年~二○一○年の期間のパーシェ・チェックについてお尋ねした。それに対する政府答弁では、この期間のCPI(「持ち家の帰属家賃を除く総合」の年平均指数)の下落率がラスパイレス式では○・三%、パーシェ式では六・九%だったことを認めている。  この五年間の統計誤差のない正しいCPI下落率は、ラスパイレス式の計算値に近いと考えている。この五年間の物価が概ね小動きであったことを前提に日本では経済政策や金融政策が運営されていたからである。そのため、前回の質問主意書では、パーシェ式の六・九%という下落率について「正しいCPI下落率から大きく乖離しているのではないか」という趣旨で、「大きな統計誤差を含んだ数値ではないか」と尋ねた。  それに対する政府答弁は「国際労働機関等により作成された『消費者物価指数マニュアル:理論と実践』に基づく計算手法により適切に算出したものであり、統計上の誤差が大きいとは考えていない」であった。  パーシェ・チェックの計算が消費者物価指数マニュアルに基づいているのは当然だが、それによって、正しいCPI変化率に近い計算値が算出されるとは限らない。お答えしてほしいのは「正しいCPI下落率と比べて大きな統計誤差があるのではないか」という疑問に対する回答である。  パーシェ式の下落率の六・九%が大きな統計誤差を含んでいないとすると、この五年間のCPI下落率は六%台とか七%台といった非常に大きな下落率だったことになる。これはかなりのデフレ状態にあったことを示す下落率である。その当時、政府や日本銀行はそのようなかなりのデフレ状態にあったという認識で経済政策や金融政策をしていたか、内閣の見解を問う。  かなりのデフレ状態にあったとの認識がないにもかかわらず、パーシェ式の下落率が六・九%だったとすると、この下落率は大きな統計誤差を含んだ数値ではないのか、内閣の見解をご教示願いたい。 三 前回の質問主意書で、厚労省の二○○八年~二○一○年の期間の生活扶助相当CPIの計算についてお尋ねした。この期間の生活扶助相当CPIの下落率は約四・三%と著しく大きい。まず、その原因について前回の質問主意書では「テレビやビデオレコーダー、パソコンなどの電気製品の価格指数低下の影響が非常に強く出ているのが一番の原因だと思科しているがいかがか」と尋ねた。また、「厚労省が二○○八年~二○一○年の期間をパーシェ式にしたのは、結果的に、テレビなどの電気製品の価格指数低下の影響が非常に強く出て生活扶助相当CPIの下落率が顕著に膨らむ計算方法を選ぶ行為だった、と考えざるを得ないが、政府の見解をご教示願いたい」と尋ねた。  この二つの問いは、二○一三年の生活扶助基準改定の妥当性を検討する上では極めて重要であるが、前回の政府答弁書では回答がなかった。回答がないということは、こちらの見解が妥当である、と内閣が認めるという理解でよいか。そうでないならば、二つの質問に対する内閣の見解をご教示願いたい。  右質問する。
b204231
衆議院議員長妻昭君提出生活保護の生活扶助基準に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二三一号   内閣衆質二〇四第二三一号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員長妻昭君提出生活保護の生活扶助基準に関する再質問に対する答弁書 一について  御指摘の「生活保護の利用者や今後利用者となりうる人の需要を考慮せねばならない」及び「生活保護世帯の消費実態を考慮せずに生活扶助基準を改定した」の意味するところが必ずしも明らかではないが、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第八条第一項においては、「保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする」と規定されているところ、同項は、保護の程度について、厚生労働大臣の定める基準により算出した要保護者に係る最低生活費のうち、当該要保護者について認定した収入を差し引いた分とする旨を規定したものであり、「生活保護基準を改定する際」の考慮要素を規定するものではない。また、同条第二項においては、同条第一項の基準について、「要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない」と規定されており、生活扶助基準(同項の基準のうち同法第十二条に規定する生活扶助に係るものをいう。)を定める際に、必ず生活保護受給世帯の消費実態を基に定めなければならないこととされているものではないことから、先の答弁書(令和三年四月二十七日内閣衆質二○四第一○三号。以下「前回答弁書」という。)二及び四についてで「生活扶助基準については、一般国民の消費実態との均衡を図る観点からその水準を調整することとしており、生活保護受給世帯の消費実態を基に定めることは適当ではないと考えている。」とお答えしたことは、同法第八条に違反するものではないと考えている。 二について  政府としては、平成十三年四月から平成十八年六月までの間の月例経済報告において、我が国経済は緩やかなデフレ状況にあると判断していた。その後、政府としては、平成二十一年十一月の月例経済報告において、物価下落が半年程度続いていたことや需給ギャップも大幅なマイナスであったこと等から、再び、我が国経済は緩やかなデフレ状況にあると判断し、この判断を平成二十五年十一月まで継続していた。  御指摘の「ラスパイレス式」及び「パーシェ式」に基づく下落率は、それぞれ平成十七年及び平成二十二年における品目別ウエイト(消費支出全体に占める品目ごとの支出額の割合をいう。)を用いて算出したものであり、これらの数値を用いる上では、その特性等を踏まえ、利用目的に応じて適切に判断することが重要であると考えている。いずれにしても、いずれも適切に算出したものであり、統計上の誤差が大きいとは考えていないことは、前回答弁書三についてでお答えしたとおりである。 三について  前回答弁書二及び四についてでは、「電気製品の価格指数低下の影響が非常に強く出ている」及び「電気製品の価格指数低下の影響が非常に強く出て」との御指摘について、その評価の前提条件が明らかではなく、その意味するところが必ずしも明らかではなかったことから、その旨お断りした上で、「生活扶助相当CPIについては、恣意的な判断を排除する観点から、テレビやビデオレコーダー、パソコン等の電気製品を含め、生活扶助から支出することが想定される全ての品目について算出したもの」であり、「平成二十二年基準消費者物価指数の品目及び全国品目別ウエイトを用いて、平成二十年から平成二十二年までの期間を含む平成二十年から平成二十三年までの期間における生活扶助相当CPIの変化率を算出したこと」については、「可能な限り最新の消費実態を反映した物価の動向を勘案するため、消費者物価指数の品目及び全国品目別ウエイトについて、当時の最新のデータであった平成二十二年のものを用いて当該変化率を算出したもの」であることから、適切なものであったと考えている旨をお答えしたものである。お尋ねが「前回の質問主意書」と同様のものであれば、前回答弁書二及び四についてでお答えしたとおりである。
a204232
東芝の第一八一期定時株主総会に関する調査報告書及び国会質疑における経産省答弁に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二三二号 東芝の第一八一期定時株主総会に関する調査報告書及び国会質疑における経産省答弁に関する質問主意書  株式会社東芝(以下「東芝」という)は、二〇二一年六月十日、二〇二〇年七月開催の第一八一期定時株主総会が公正に運営されたか否かに関する三名の調査者による調査報告書(以下「本件報告書」という)を公表した。本件報告書は、東芝の同株主総会が「公正に運営されたものとはいえない」と結論付けるとともに、東芝が経済産業省と連携し株主の権利行使に関し「不当な影響」を与えたと明記している。具体的には、「東芝は、本定時株主総会におけるいわゆるアクティビスト対応について経産省に支援を要請し、経産省商務情報政策局ルートと緊密に連携し、改正外為法に基づく権限発動の可能性を背景とした不当な影響を一部株主に与え、経産省商務情報政策局ルートといわば一体となって株主対応を共同して行っていた。」(本件報告書一二〇頁)等としている。なお、本件報告書によると、経産省商務情報政策局ルートとは、経産省大臣官房政策立案総括審議官であったK2審議官及び経産省商務情報政策局情報産業課をいう。  以上を踏まえ、以下質問する。 一 本件報告書に先立つ二〇二一年五月十二日の衆議院経済産業委員会における松平浩一委員の質疑において、同委員から、東芝の二〇二〇年株主総会での米ハーバード大学基金運用ファンド(以下「HMC」という)の議決権行使に関し経済産業省の関与があったかについて問うたところ、平井政府参考人は、「経済産業省から水野元参与に対して、報道にあるような個別投資家の議決権行使に対する働きかけを依頼したことはございません」と答弁(以下「本件答弁」という)している。  しかしながら、本件報告書においては、東芝は、経産省商務情報政策局(主に本件報告書上の「K1課長」)を通じて、HMCに議決権を行使しないよう水野元参与(本件報告書上の「M氏」)に事実上交渉を依頼し、同参与はHMCと接触し、結果としてHMCは議決権を行使しなかったと認定されている。本件報告書には、随所に、K1課長がM氏にHMCとの交渉・働きかけを依頼していると思われるメール等のやり取りの記載があり、「東芝が、(省略)経産省といわば一体となって、具体的にはK1課長を介して、経産省参与の地位にあるM氏に対してHMCと交渉を行うことを事実上依頼した」(本件報告書一一七頁)とされている。  このような本件報告書の内容を踏まえれば、本件答弁は事実に反する、または少なくともその可能性が非常に高いと思料するが、本件答弁を維持するか、修正するかについて政府の見解を示されたい。なお、本質問はあくまでも本件答弁と本件報告書の内容を比較しての政府の見解を問うものであるから、本件報告書を受けて今後東芝が行う対応等に関わりなく現時点での政府の回答を求める。 二 外国為替及び外国貿易法は二〇一九年十一月に改正され、同改正は二〇二〇年五月八日に施行された(以下「改正外為法」という)。これは、投資促進と安全保障上重要な技術情報の流出防止とを調和させる趣旨のものであり、規制を厳格化する改正として、行為時事前届出制度の拡大(代表者等一定の関係のある者の取締役選任議案への同意等が事前届出の対象となった)がある。  1 改正外為法の趣旨は、アクティビストの排除をすることを目的としたものではないという理解でよいか、政府の見解を示されたい。  2 本件報告書は、調査により確認できた詳細なメール等の資料を基に、「商務情報政策局ルート及び東芝は、エフィッシモの株主提案権の行使表明を受けて、(省略)①安全保障貿易管理政策課による正式ルートの改正外為法に基づく手続きの進行を巧みに活用し、これに加えて、②東芝による「太陽政策」と③商務情報政策局ルートによる趣旨不明瞭な「会話」を緊密に連関させることで、エフィッシモの株主提案を取り下げさせようとした。」(本件報告書九十七頁)と認定している。   その上で、「東芝及び商務情報政策局ルートがいわば一体となって行った一連の行為は、エフィッシモを排除すべきアクティビストであると決めつけることから出発して、改正外為法上の当局の権限を発動させ、あるいは、かかる権限を背景とした働きかけによって、エフィッシモの株主提案に対処しようとしていたものと評価できる。」(本件報告書一〇四頁)とし、「少なくとも改正外為法の趣旨を逸脱する目的で、不当に株主提案権の行使を制約しようとするものであると評価できる」(本件報告書一〇七頁)と結論付けている。   本件報告書での当該認定事実は、政府の認識する事実と同様であるか。当該認定事実が政府の認識する事実と同様である場合、上記評価についての政府の見解を示されたい。仮に当該認定事実が政府の認識する事実と同様であるかどうか不明である場合、政府による詳細調査を要求する。なお、本質問はあくまでも本件報告書への政府の見解を問うものであるから、本件報告書を受けて今後東芝が行う対応等に関わりなく現時点での政府の回答を求める。 三 本件報告書では、「株主提案を取り下げようとした一連の動きは、随所に法令等に抵触する疑いのある行為すら見受けられ」(本件報告書一〇七頁)ると指摘されているところ、本件報告書の調査者である中村隆夫弁護士によれば、国家公務員法の守秘義務違反の疑いがあるとの見解が示されている(二〇二一年六月十日に行われた調査者による記者会見)。  この点、本件報告書においては、「K1課長がエフィッシモから入手した協働エンゲージメントを求めるレターに関する情報を東芝に漏洩した」(本件報告書一〇四頁)との認定事実がある。当該認定事実が政府の認識する事実と同様であれば、当該行為は、国家公務員法第百条第一項に規定する守秘義務違反であると思料するが、政府の見解を示されたい。仮に当該認定事実が政府の認識する事実と同様であるかどうか不明である場合、政府による詳細調査を要求する。 四 本件報告書は、東芝が株主総会の対処方針を菅官房長官(当時)に説明したと推認している。具体的には、「(二〇二〇年七月開催の第一八一期定時株主総会前の)七月二十七日朝に車谷氏の部下である加茂氏が、菅官房長官との朝食会に出席し、持参した資料に基づき菅官房長官に説明し、菅官房長官から「強引にやれば外為で捕まえられるんだろ?」などとコメントされていた」(本件報告書六十一頁)、「七月二十七日午前十時頃、K2審議官が菅総理大臣に対して、東芝に関する報告を行ったことが窺われる」(本件報告書八十六頁)等と指摘している。  しかしながら、菅総理大臣は、この件に関する二〇二一年六月十日の記者からの質問に対し、「全く承知していない。そのようなことはあり得ない」と否定している。  当時官房長官であった菅総理大臣は、本件報告書で指摘されている五月十一日と七月二十七日の朝食会に出席したか。出席していれば東芝担当者とのやり取りの内容について政府の見解を示されたい。 五 梶山経済産業大臣は本件報告書公表の翌日である六月十一日の定例記者会見で、まずは東芝の本件報告書を受けての対応を待ちたいと述べた。しかし、既に指摘したように、本件報告書においては、株主権の行使の制約について経産省幹部の関与の指摘、水野元参与への依頼について本件国会答弁と矛盾する事実の指摘、さらには随所に法令等(国家公務員法等)に抵触する疑いのある行為があるとの指摘がなされている。  本件報告書の記載が真実であるとすれば、行政の公正や信頼を大きく損なうものであり、もはや東芝のガバナンスの問題に留まらない問題である。本件報告書記載の事実関係が政府の認識する事実と異なるのであれば、民間企業である東芝の対応を待つことなく、どの部分がどのように異なるのか政府から国民に説明をすべき責任があると思料するが、改めてどのように対応するのか、政府の見解を示されたい。  右質問する。
b204232
衆議院議員松平浩一君提出東芝の第一八一期定時株主総会に関する調査報告書及び国会質疑における経産省答弁に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二三二号   内閣衆質二〇四第二三二号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員松平浩一君提出東芝の第一八一期定時株主総会に関する調査報告書及び国会質疑における経産省答弁に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねについては、令和三年五月十二日の衆議院経済産業委員会において、政府参考人が、「経済産業省は、本年一月まで経済産業省参与であられました水野氏から、コーポレートガバナンスや外為法の運用についてアドバイスをいただく関係にはございましたが、経済産業省から水野元参与に対して、報道にあるような個別投資家の議決権行使に対する働きかけを依頼したことはございません。」と述べたとおりであると認識している。 二の1について  外国為替及び外国貿易法の一部を改正する法律(令和元年法律第六十号)は、日本経済の健全な発展につながる対内直接投資の一層の促進を図る一方、国の安全等を損なうおそれのある投資について、昨今の主要国における対応強化の動向を踏まえ、適切な対応を図ることを目的とするものであり、いわゆるアクティビストを排除することを目的としたものではない。 二の2及び三から五までについて  御指摘の「本件報告書」には、根拠や説明が不十分な推論等が含まれていると認識しており、また、「本件報告書」は、株式会社東芝の株主総会の運営に関する報告書であるところ、まずは、同社において対応すべきものであることから、「本件報告書」に記載されている内容についてお答えすることは差し控えたい。
a204233
平井卓也デジタル改革大臣の「徹底的に干す」発言と我が国の商取引に係る姿勢に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二三三号 平井卓也デジタル改革大臣の「徹底的に干す」発言と我が国の商取引に係る姿勢に関する質問主意書  六月十一日付け朝日新聞によれば、平井卓也デジタル改革大臣は四月上旬にあった内閣官房IT総合戦略室のオンライン会議で、減額交渉に関連して、「NECには(五輪後も)死んでも発注しない」(発言一)「今回の五輪でぐちぐち言ったら完全に干す」(発言二)「どこか象徴的に干すところをつくらないとなめられる」(発言三)などと発言したと、言われている。さらに、NEC会長の名をあげ、幹部職員に「脅しておいて」(発言四)と求めていた、とされている。  当該発言について、平井大臣は「交渉するスタッフが弱腰になったら、いくら取られるかわからない。国民の血税だから強気で交渉しろ、と伝えた」(発言五)「国会で野党から、契約額が高いと迫られていた。自分も追い込まれていた」(発言六)「同社の顔認証機能が不要になった。すでにNECが開発済みのシステムを使ったサービスなので払う必要はない。現場には裁判になってもいい、と指示して交渉させた」(発言七)と回答したと報じられている。  公正取引委員会のホームページ「優越的地位の濫用及び下請法の概要」によれば、「優越的地位の濫用とは、自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当事者が、取引の相手方に対し、その地位を利用して、正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為のことです。この行為は、独占禁止法により、不公正な取引方法の一類型として禁止されています。」とされている。裁判に発展しかねないことを自覚した上で、「(五輪後も)死んでも発注しない」「完全に干す」という意図を減額交渉に臨む担当者に伝えた上で、取引の相手方を「脅しておいて」と指示を出した本件大臣の行為は正常な商慣習に照らし不当に不利益を与える行為であり、独占禁止法により、不公正な取引方法の一類型として禁止されている優越的地位の濫用にあたるのではないかと危惧する。このような取引が日本政府との間で恒常的に行われているとすれば、今後民間事業者は日本政府と安心して商取引を行うことができず、政府の信用と我が国の利益を著しく損なうものと考える。  以下質問する。 一 発言一~発言四について  1 平井大臣が同会議で、発言一~発言四を行ったことは事実か。事実であるとすれば、当該会議の議事録から正確な発言を明らかにされたい。  2 減額交渉において政府職員は、大臣指示に従い民間事業者を「脅し」たのか。また、「死んでも発注しない」「完全に干す」という大臣の指示を先方に伝えたのか。 二 発言五~発言七について  1 平井大臣が取材に対し、発言五~発言七を行ったことは事実か。  2 発言五「いくら取られるかわからない」とあるが、それはどのような理由によるものか。  3 発言六「野党から、契約額が高いと迫られていた」と発言しているが、平井大臣自身も「契約額が高い」という認識だったのか。  4 発言七「現場には裁判になってもいい、と指示して交渉させた」とあるが、平井大臣は本件が「裁判になる」可能性があると認識していたのか。なぜそのような指示をしたのか。どのような点が争いになると認識していたのか。 三 本件契約について  1 本件の契約締結日と支払日はいつか。  2 本件について事実上発注行為を行ったのはいつか。  3 本件について契約金額の減額を強いたのは、事実上発注行為を行った以後か。  4 本件について契約金額の減額を強いたのは、契約が締結された以後か。  5 本件について契約金額の減額を強いたのは、支払いが行われる以前か。 四 優越的地位の濫用について  1 公正取引委員会のホームページ「よくある質問コーナー(独占禁止法)」によれば、「Q3独占禁止法は、国や地方自治体にも適用されることがあるのですか。」という問いに対し「独占禁止法は、事業者又は事業者団体の行為を規制する法律です。したがって、国や地方自治体が事業活動を行っている場合には、独占禁止法上の事業者として規制対象となります。」と回答している。本件は右記事業活動に該当するのか。  2 本件大臣の行為は、正常な商慣習の範囲内にあたるという認識か。  3 本件大臣の行為は、取引相手に対し不当に不利益を与えたという認識か。  4 本件大臣の行為は、独占禁止法で禁止される「優越的地位の濫用」にあたるという認識か。 五 本件大臣の行為は、政府の信用を著しく損なったと考えるがいかがか。 六 本件大臣の行為が許されるものであれば、我が国の将来の利益を著しく損なうことになると考えるが、政府の認識を明らかにされたい。 七 デジタル改革関連法案検討推進委員会について  1 内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室が委嘱した委員は何名いるのか。その中で、「デジタルの日」に関する指導・助言等を行っている委員は何名いて、どなたか。  2 右記「デジタルの日」に関する指導・助言等を行っている委員の報酬はいくらか。  3 右記委員の就任日を明らかにされたい。  右質問する。
b204233
衆議院議員尾辻かな子君提出平井卓也デジタル改革大臣の「徹底的に干す」発言と我が国の商取引に係る姿勢に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二三三号   内閣衆質二〇四第二三三号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員尾辻かな子君提出平井卓也デジタル改革大臣の「徹底的に干す」発言と我が国の商取引に係る姿勢に関する質問に対する答弁書 一の1について  お尋ねについては、令和三年六月十一日に行った記者会見において平井国務大臣が「私自身としては・・・担当者、担当責任者とは何度か打ち合わせを行って、いろいろ指示を出したということだと思います。報道されている音声データについては、その中の一部ではないかと私は思います」と述べたとおりである。 一の2について  お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の平井国務大臣の発言は、「オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリ(仮称)及びデータ連携基盤の開発・運用・保守一式」の調達(以下「本件調達」という。)に係る契約の契約金額について、当該契約の一部を変更した後の機能に見合った額に引き下げなければならないという趣旨でなされたものであって、その趣旨も踏まえて、契約事業者と適切に交渉が行われたものと認識している。 二について  御指摘の平井国務大臣の発言は、報道機関からの取材に対して、同大臣が行ったものであり、その趣旨については、令和三年六月十一日に行った記者会見において同大臣が「国民の血税をお預かりする立場として、国民目線で調達の無駄をなくしていくという強い気持ちを持っておりまして、今回の契約の見直しに関しても、可能な限り契約金額を圧縮するため、担当者、担当責任者とは何度か打ち合わせを行って、いろいろ指示を出した」と述べたとおりである。 三について  御指摘の「本件」が、本件調達に係る契約の一部を変更した後の契約を指すのであれば、同契約を締結したのは令和三年五月三十一日であり、その支払日は履行後払いとされ、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社から適法な支払請求書を受理した日から起算して三十日以内に支払うこととされている。  また、御指摘の「事実上発注行為を行った」及び「契約金額の減額を強いた」の意味するところが明らかではないため、これらに関するお尋ねについてお答えすることは困難である。 四から六までについて  御指摘の「本件」及び「本件大臣の行為」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。 七の1について  内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室がデジタル改革関連法案検討推進委員会の委員を委嘱した者は十八名おり、そのうち「デジタルの日」に関する指導、助言等を依頼した委員は西村博之氏である。 七の2について  お尋ねの報酬額は、一時間当たり一万千三百円である。 七の3について  お尋ねの「就任日」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、西村氏からは、令和三年四月二日付けで委員委嘱についての承諾が得られている。
a204234
東京オリンピック・パラリンピックの延期に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二三四号 東京オリンピック・パラリンピックの延期に関する質問主意書  二〇二〇年四月一日朝日新聞が、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(当時)への取材で以下のように報じている。  森会長は、二つの問いを投げかけた。一つは「二年延ばした方がいいのではないですか」。新型コロナウイルスの感染拡大を念頭に置いたものだったが、安倍首相は「日本の技術力は落ちていない。ワクチンができる。大丈夫です」と応じたという。もう一つは、「政治日程も考えないといけないよな」。安倍首相の自民党総裁の任期が来年九月に満了することを意識した発言だったが、安倍首相は「あまり気にしないで下さい」と苦笑いで話したという。  以下質問する。 一 東京オリンピック・パラリンピックを「二年延期」でなく「一年延期」としたのは安倍前総理の判断でよいか。 二 菅総理は、当時官房長官として、東京オリンピック・パラリンピックを「二年延期」でなく「一年延期」としたのは安倍前総理の判断であると知っていたか。 三 菅総理は、当時官房長官として、森前会長が「二年延期」を主張したことを知っていたか。 四 菅総理は、当時官房長官として、「二年延期」を主張したか。 五 安倍前総理の「日本の技術力は落ちていない。ワクチンができる。大丈夫です」という発言は、国産ワクチンの開発を指していると考えるが、現段階でこの判断は正しかったと認識しているか。  右質問する。
b204234
衆議院議員辻元清美君提出東京オリンピック・パラリンピックの延期に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二三四号   内閣衆質二〇四第二三四号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員辻元清美君提出東京オリンピック・パラリンピックの延期に関する質問に対する答弁書 一から五までについて  個々の報道を前提としたお尋ねについて、政府としてお答えすることは差し控えたいが、東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の開催については、安倍内閣総理大臣(当時)が令和二年三月二十四日の記者会見において「先ほど、森会長、小池都知事、橋本大臣同席の下に、バッハIOC会長と電話会談を行いました。まず、改めて、東京オリンピック・パラリンピックの中止はないということについて、バッハ会長と確認いたしました。そして、その上で、開催国日本として、東京五輪について、現下の状況を踏まえ、世界のアスリートの皆さんが、最高のコンディションでプレーでき、そして、観客の皆さんにとって、安全で安心な大会とするために、おおむね一年程度、延期することを軸として、検討していただけないか、という提案をいたしました。バッハ会長から、百パーセント同意する、という答えをいただきました。そして、遅くとも二千二十一年の夏までに東京オリンピック・パラリンピックを開催するということで合意いたしました。」と述べているとおりである。
a204235
「SBS理論」に基づく「子ども虐待対応の手引き」の見直しを求めることに関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二三五号 「SBS理論」に基づく「子ども虐待対応の手引き」の見直しを求めることに関する質問主意書  乳幼児揺さぶられ症候群(SBS)を研究する大学教授や弁護士でつくる「SBS検証プロジェクト」などによると二〇一四年以降、SBSが疑われる頭部傷害致死事件などで、一審や二審で無罪判決が出たのは全国で十四事件で、このうち十一件は無罪が確定している。  いわゆるSBS理論は、硬膜下血腫、網膜出血、脳浮腫の三症状があれば、激しく頭を揺さぶったと推定できるとされ、一九七一年に英国の小児神経外科医が提唱し、主に米国で広まったが、日本では近年、揺さぶり以外の原因でも三症状が起きる「中村一型」の可能性が改めて指摘され、脳神経外科医をはじめとする臨床家や研究者らが警鐘を鳴らしている。  このことについて、以下質問する。 一 SBSが疑われる傷害事件の相次ぐ無罪判決により、厚生労働省も実態把握を迫られ、令和二年度子ども・子育て支援推進調査研究事業、「児童相談所における虐待による乳幼児頭部外傷(AHT)事案への対応に関する調査研究」(PwCコンサルティング合同会社)を実施、本年四月に報告書が公開された。  調査には全国の児童相談所(児相)の約七、八割に当たる百七十一カ所が回答した。虐待の疑いがあるとして二〇一九年に対応した件数は九十六児相、二百四十三件に上り、そのうち百二十五件で児相の判断に基づき子どもを保護者から引き離す「一時保護」が行われたことが明らかになったが、解決すべき今後の課題についての問いには、「けがが故意か、事故か判断が難しい」との回答が二十四件(二十四児相)と最も多く、虐待か事故か判断に迷う現場の混乱が伝わる結果であった。こうした課題についてどのように認識し、どのように対策するのか。 二 一時保護が行われた百二十五人中、さらに半数の六十五人には二カ月から半年にわたる長期親子分離が行われている。親との分離は、とりわけ乳児期において愛着関係が形成されず、子どもの情緒や対人関係に問題が生じる「愛着障害」が指摘されている。愛着障害を最小限に抑えるための頻繁な親子面会や一時帰宅等、必要不可欠な配慮については、どのように指導され実施されてきたのか。政府の把握するところを答えられたい。 三 兵庫県明石市では、二〇一八年に起きた生後五十日の男児が右腕を骨折したことで児相に虐待を疑われた結果、一時保護が一年三カ月にも及び、その間親子の面会も月に一、二回しか認められなかった事例をきっかけに、第三者委員会を立ち上げ、一時保護の在り方を検証する仕組みを作った。こうした、行政をチェックする装置を行政の外に作ることが、情報公開と併せて最も求められていることではないか。地方の先駆的な取り組みを国としても学んでいただきたいがどうか。 四 横浜市立児相では、三月に一時保護に審査請求を行った乳児がいたが、家庭裁判所が「一時保護の再々延長」を認めず、約五カ月で一時保護は解除になった。一方、横浜市は、審査請求に対し、一時保護は解除されたのだから、法的利益はないだろうと、請求を却下した。この間の「親子分離」に、行政の責任はないのか。 五 報告書のその他の課題として「セカンドオピニオンの実施が難しい児童相談所がある」ことや「児童福祉司の児童虐待に係る医学的知識が不足する場合がある」ことなどが上げられている。セカンドオピニオンについては脳神経外科医に意見を求めた例は六・八%と極めて少ない一方、法医学分野に四十九・六%が求めていた。重軽傷にかかわらず、頭部外傷の臨床の専門は脳神経外科医であり診断・治療の実績もある。脳神経外科医を自治体がセカンドオピニオンとして登録し、児相に照会する仕組みを構築してはどうか。 六 六月四日、日本小児神経外科学会において発表された六病院共同研究の調査結果によれば、脳神経外科で硬膜下血腫と診断された乳幼児百六十例を分析したところ、約六割を低い場所からの転倒・転落が占め、虐待が疑われる例は約三割だったとのことである。  一方、厚生労働省「子ども虐待対応の手引き」はSBSを「子どもの頭部が暴力的に揺さぶられることによって生じる頭部外傷」であり、「家庭内の低いところ(九十センチメートル以下の高さ)からの転落や転倒では起きない」として、硬膜下血腫等の三症状があった場合に虐待を疑うよう求めているが、それに従えば、この分析事例の多くが虐待と認定される可能性が生じる。このことについて見解を問う。 七 日本では「中村一型」として、つかまり立ちなど、低い位置からの転倒や落下の軽い衝撃で硬膜下血腫などの外傷を受けることは、すでに一九六五年より報告があり、近年は海外でも認識され、無罪判決が出ているという。  ノルウェーのAHT研究所によると、二〇〇四年から二〇一五年までにノルウェーで有罪を言い渡された十七件を検討した結果、うち十六件で揺さぶり以外の原因があった可能性があるとの報告が、脳神経外科医や法医学者の共著で示されたとのことである。  乳幼児の病気や事故についての医学的な判断が正確でないと、児相の介入に影響する。国内の臨床家や研究者からも「SBS理論」に基づく「子ども虐待対応の手引き」は、医学的妥当性のある内容に見直すべきとの指摘がされているが、改訂の予定はあるか。  右質問する。
b204235
衆議院議員阿部知子君提出「SBS理論」に基づく「子ども虐待対応の手引き」の見直しを求めることに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二三五号   内閣衆質二〇四第二三五号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員阿部知子君提出「SBS理論」に基づく「子ども虐待対応の手引き」の見直しを求めることに関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「けがが故意か、事故か判断が難しい」という「課題」については、「子どもの虐待対応の手引きについて」(平成十一年三月二十九日付け児企第十一号厚生省児童家庭局企画課長通知。以下「手引き」という。)において、「支援にあたっては子どもの治療を最優先する。さらに、子どもの状態が安定し、受傷にいたる経過の解明の中でSBSの疑いが強ければ、子どもの安全確保のために職権による保護を行う。乳幼児の親子分離が親子関係の形成を阻害し、二次的な虐待の素地を作るというマイナス面を考慮にいれても、受傷の原因が特定できず虐待の可能性がある限りは、安全を第一に分離の判断をせざるを得ない」と示しているとおりである。  また、「どのように対策するのか」とのお尋ねについては、手引きにおいて、「乳幼児揺さぶられ症候群や代理によるミュンヒハウゼン症候群のような事例では、医学的判定がきわめて重要な根拠になる。そのため、法医学の専門家を確保して、セカンドオピニオンをとるなどの必要がある」ことや「MRI、CT、全身骨撮影、眼底所見、出血傾向の検査などの医学的精査がなされているか、保護者から説明した受傷機転の内容が記載されているかなどを医師に質問し、慣れていない医療機関の場合には、虐待に詳しい医師や医療機関と連携して、十分な医療情報を集める必要がある」ことを示すとともに、「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律の施行について」(令和二年三月三十一日付け府共第二百四十五号・子発〇三三一第二号内閣府男女共同参画局長及び厚生労働省子ども家庭局長連名通知)及び「児童虐待対応における法医学との連携強化について」(令和二年六月十八日付け厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課事務連絡)により、都道府県等に対して、大学における法医学教室等との連携の強化に努めるよう依頼しているところであり、引き続き手引き等について周知してまいりたい。 二について  「必要不可欠な配慮については、どのように指導され実施されてきたのか」とのお尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、「一時保護ガイドライン」(平成三十年七月六日付け子発〇七〇六第四号厚生労働省子ども家庭局長通知別添)において、「一時保護の期間は一時保護の目的を達成するために要する必要最小限の期間とする」ことや、一時保護中の家族との面会等の制限について、「子どもの安全の確保が図られ、かつ一時保護の目的が達成できる範囲で必要最小限とする」ことを示すとともに、「家族との面会等に関しては、子どもの安全と安心を前提に、子どもの意思や気持ちも踏まえ総合的に判断する必要がある。また、子どもの意見を十分に聴取し、面会等を拒否してもよいことを伝え、拒否することによる保護者の反応を不安に思っている子どもには安心感をもたらすケアが必要である。その際には、現状や今後の見通しについて子どもに説明し、子どもの不安の軽減や疑問に答えるようにする」ことを示しており、都道府県等において、これらを踏まえた対応が行われているものと考えている。 三について  「地方の先駆的な取り組みを国としても学んでいただきたい」との御指摘の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和三年四月二十二日に公表された「児童相談所における一時保護の手続等の在り方に関する検討会とりまとめ」において、「児童相談所から独立した第三者機関が、保護者、子ども、児童相談所からの申立てに基づき、これらの者の意見も聴取した上で、一時保護の手続に関与する仕組みを設けることも検討すべきとの指摘もあった」とされているところであり、政府としては、こうした点を踏まえて、一時保護の手続等の在り方について引き続き検討してまいりたい。 四について  お尋ねについては、個別の事案に係るものであることから、お答えすることは差し控えたい。 五について  「脳神経外科医を自治体がセカンドオピニオンとして登録し、児相に照会する仕組みを構築してはどうか」とのお尋ねについては、令和二年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「児童相談所における虐待による乳幼児頭部外傷事案への対応に関する調査研究」において作成された報告書において、「セカンドオピニオンを求める先が少ない地域でもAHTの診断実績がある医師にアクセスできるよう、該当する全国の医師の情報を国がまとめ、全国の児童相談所に周知することが期待される」とされているところであり、政府としては、御指摘の脳神経外科医を含め、「AHTの診断実績がある医師」に係る情報の周知の在り方について、今後検討してまいりたい。 六について  御指摘の「日本小児神経外科学会において発表された六病院共同研究の調査結果」について、政府として詳細を把握していないため、お答えすることは困難である。 七について  お尋ねの手引きの改訂については、現時点で具体的な予定はないが、法制度の変更や知見の蓄積等児童虐待に関する動向を踏まえながら、その必要性について検討してまいりたい。
a204236
沖縄戦没者遺骨収集の加速化と本島南部からの土砂採掘計画の撤回を求めることに関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二三六号 沖縄戦没者遺骨収集の加速化と本島南部からの土砂採掘計画の撤回を求めることに関する質問主意書  戦没者の遺骨収集を「国の責務」と位置付けた二〇一六年のいわゆる戦没者遺骨収集推進法の制定から五年が経過した。しかしながら収集数は減少の一途をたどり、身元特定も遅々として進まない現状である。  こうした中、名護市辺野古の新基地建設に使う埋め立て土砂を沖縄本島南部から採取する計画が明らかになった問題で、昨年四月に沖縄防衛局が県に提出した工事の設計変更申請によれば、糸満市と八重瀬町からは県内土砂調達可能量の七割に当たる約三千二百万立方メートルを調達するとされている。また、南部地域は沖縄戦跡公園に指定され、自然公園法で開発が規制されているにもかかわらず、糸満市米須では土砂採掘業者が同法に基づく開発の届け出を出さないまま開発に着手。県からの指導を受け、今年一月に届出を提出した経緯がある。県はさらに五月十四日に採掘開始前に遺骨の有無を確認することなどを求める措置命令を発出している。関連して以下質問する。 一 政府は沖縄戦最後の激戦地となった南部地区の土砂には、現在も多くの戦没者の遺骨が残っていることを認識しているか。 二 このような遺骨が混入した沖縄南部地区の土砂を辺野古埋め立てに使用する計画について、厚生労働省が認識したのはいつか。その際、防衛省に説明を求めたのか。 三 南方等戦闘地域の遺骨については、交戦国の国立公文書館等に所蔵されている戦闘報告書、地図、写真等の海外資料から、日本人戦没者の埋葬等に関する記述を抽出・取得・分析することにより有効な遺骨情報を収集することとされ、その結果、現時点で遺骨収集等の実施に繋がる可能性のある埋葬地点は、推定で千六百九十五か所とされている。  沖縄については百七十七か所だが、そのうち調査を終えたところは現在何か所で、収容に移行しているところは何か所か。  また、戦後すぐから伝承等で遺骨があるとされ、従前から収集に取り組んできた箇所は何か所あるか政府として把握しているか。明らかにされたい。 四 戦没者遺骨収集推進法により、二〇一六年(平成二十八年)~二〇二四年(令和六年)までを集中実施期間として取り組みの促進を図るとされ、さらに二〇一九年(令和元年)十二月に決定した戦没者遺骨収集推進計画における現地調査の加速化により、現地調査は二〇二〇年(令和二年)~二〇二二年(令和四年)の三年間で実施することとされたが、すでに本年で二年目である。  糸満市での遺骨収集に繋がる可能性のある情報についての個所数は十五か所、八重瀬町は二十三か所、合計三十八か所であるが、このうち調査が終了しているのは十か所のみである。期限となる来年までに調査が終了する見通しはあるのか。 五 調査結果を踏まえて、二〇二四年(令和六年)までに遺骨収集を実施するという計画であるが、このペースでは到底収集まで至らないことは明白である。調査体制の見直しが急務と考えるがどうか。 六 令和二年度第四回戦没者の遺骨収集に関する有識者会議資料(令和二年十二月十七日)によれば、沖縄県の戦没者概数は十八万八千百三十六人、収容遺骨概数十八万七千四百六十六柱、未収容遺骨概数六百七十柱とされている。一方沖縄県は未収容遺骨数を二千七百九十柱と公表している。この差は何か。可能な限り詳細に説明されたい。 七 沖縄平和祈念資料館は沖縄戦の死者数を、日本十八万八千百三十六人、アメリカ一万二千五百二十人と公表している。米国国防総省のDPAA(戦争捕虜・行方不明者捜索総合指令部)の報告書では、沖縄戦で死亡し、遺骨が未回収となっている米兵数は、判明しているだけで二百二十八人とのことである。沖縄において現在までに確認された米兵の遺骨は何柱か。政府の把握するところを答えられたい。 八 今回の辺野古埋め立てのための土砂採掘計画により、土砂に遺骨が混入する可能性のあることについて、政府は米国DPAAに情報提供はしているのか。しているとすれば米兵の行方不明者の遺骨収集の今後について、どのような意見交換が行われたのか。 九 米国DPAAは六百人を超える専属スタッフにより、「国の約束を果たす」として、過去の戦争で行方不明になった兵士らの捜索、遺骨収集、遺族への情報提供、遺骨返還を行っている。こうしたDPAAの体制、遺骨収集作業の具体的内容に積極的に学び、取り入れ、情報共有しつつ、日本での作業に活かすべきではないか。 十 戦没者遺骨収集推進計画において二〇二〇年度(令和二年度)における現地調査の派遣回数を昨年度からほぼ倍増することを計画したものの、当該年度以降は新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、海外への現地調査派遣は行われていない。  かつて民主党政権下において菅直人首相が政府内に特命チームを作り、硫黄島の遺骨収集に精力的に取り組んだ結果、収容数を飛躍的に増やした貴重な経験がある。コロナ禍において海外派遣がままならない現在、そのマンパワーを沖縄の調査・収容に集中し、総力を挙げて取り組んではどうか。 十一 戦没者遺骨収集推進法第二条には、「『戦没者の遺骨収集』とは、今次の大戦により沖縄、東京都小笠原村硫黄島その他厚生労働省令で定める本邦の地域又は本邦以外の地域において死亡した我が国の戦没者の遺骨であって、いまだ収容され、又は本邦に送還されていないものを収容し、本邦に送還し、及び当該戦没者の遺族に引き渡すこと等をいう」とある。遺骨は集めて終わりではなく、身元を特定し遺族に引き渡すことが国の責務であり目標である。  戦没者の血が染み込み、遺骨が混入している沖縄県南部地区の土砂を軍事基地建設のための埋め立てに使うのは、戦没者の尊厳を冒涜する行為であり、国の責務を自ら放棄する行為ではないか。  右質問する。
b204236
衆議院議員阿部知子君提出沖縄戦没者遺骨収集の加速化と本島南部からの土砂採掘計画の撤回を求めることに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二三六号   内閣衆質二〇四第二三六号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員阿部知子君提出沖縄戦没者遺骨収集の加速化と本島南部からの土砂採掘計画の撤回を求めることに関する質問に対する答弁書 一及び十について  先の大戦において凄惨な地上戦が行われ、多くの尊い命が失われた沖縄県においては、戦後間もなくより沖縄の方々によって戦没者の遺骨収集が行われる等、これまでに多くの戦没者の遺骨が収容されてきたが、同県内では、今日においてもなお、地下壕や開発工事の現場等において、戦没者の遺骨が発見されているところである。  こうした歴史的経緯を踏まえ、同県内では、厚生労働省と同県とが役割を分担しながら、戦没者の遺骨収集事業を実施しており、ボランティアや開発業者等が遺骨を発見した場合には、市町村や警察へ通報し、同県が設置した戦没者遺骨収集情報センター(以下「センター」という。)が戦没者の遺骨を収容する仕組みが構築されているところである。  政府としては、今後とも、こうした仕組みの下、同県と戦没者の遺骨収集を進めていくこととしている。  なお、国外における戦没者の遺骨収集については、新型コロナウイルス感染症の影響により、関係国への入国が困難な状況であるが、当該感染症の感染状況を踏まえ、速やかに、国外における戦没者の遺骨収集事業を再開できるよう、関係国政府等との協議等を引き続き行っているところである。 二、八及び十一について  普天間飛行場代替施設建設事業については、令和二年四月二十一日、沖縄防衛局長から沖縄県知事に対し、公有水面埋立法(大正十年法律第五十七号)第四十二条第三項において準用する同法第十三条ノ二第一項の規定に基づく都道府県知事の承認に係る申請を行ったところであるが、当該承認がなされた後における埋立てに使用する土砂の調達先については、工事の実施段階で決まるものであり、沖縄県内と同県外のいずれから調達するか、また、御指摘のような「沖縄南部地区の土砂を辺野古埋め立てに使用する」か否かも含め、現時点で確定していない。このため、同県内から当該土砂を調達することを前提としたお尋ねにお答えすることは困難である。 三から五までについて  御指摘の「百七十七か所」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮にそれが米国の国立公文書館等が保有する資料の調査により戦没者の遺骨収集につながる可能性があるとされた百七十七箇所の情報を意味するのであれば、当該百七十七箇所については、国が沖縄県に委託している戦没者の遺骨収集等に係る事業の一環として、センターが計画的に調査を実施しているところであり、引き続き、御指摘の糸満市や八重瀬町も含め、速やかに調査を進めていきたいと考えている。  また、当該百七十七箇所のうち、令和三年三月末現在で調査を終了したところは、七十九箇所であるが、いずれも戦没者の遺骨の収容にはつながっていない。  さらに、お尋ねの「戦後すぐから伝承等で遺骨があるとされ、従前から収集に取り組んできた箇所」については、その意味するところが必ずしも明らかではないが、同県においては、米国施政下の戦後間もなくより沖縄の方々によって多くの戦没者の遺骨が収容されてきたことから、当該収容が行われた箇所の数については把握していない。 六について  沖縄県においては、国立沖縄戦没者墓苑に納骨した遺骨の数及びセンターにおいて保管されている遺骨の数を合計したものを、同県における戦没者の遺骨の収容数として公表しているものと認識している。  他方で、政府としては、戦後間もなくより沖縄の方々によって収容された遺骨の数、琉球政府によって収容された遺骨の数、同県によって収容された遺骨の数及び政府によって収容された遺骨の数を合計したものを、同県における戦没者の遺骨の収容数として公表している。  御指摘の「差」については、こうした違いから生じているものと認識している。 七について  政府が実施する戦没者の遺骨収集事業においては、平成二十六年に沖縄県浦添市において米国通貨等とともに二柱の遺骨を収容し、鑑定機関の鑑定により、米国人である可能性が高いとの結果が示されたことから、平成二十八年に米国側に返還している。 九について  厚生労働省と米国国防総省捕虜・行方不明者調査局との間では、平成三十一年四月に「社会・援護局が代理人となる日本国厚生労働省と捕虜・行方不明者調査局が代理人となるアメリカ合衆国国防総省との取決め」を結び、DNA鑑定等の技術面での情報交換を行うなど連携しているところであり、今後とも、情報交換や技術面での交流を進めていくこととしている。
a205001
日本共産党についての政府見解に関する質問主意書
令和三年十月四日提出 質問第一号 日本共産党についての政府見解に関する質問主意書  日本共産党に対する岸田内閣の見解について、以下質問する。 一 令和三年九月十四日、加藤勝信官房長官(当時)は記者会見において、政府としては日本共産党のいわゆる「敵の出方論」に立った暴力革命の方針に変更はないものと認識している旨、及び志位氏の発言によって政府の認識は何ら変更するものではない旨発言している。日本共産党の「敵の出方論」に立った「暴力革命の方針」に変更がないという見解は、岸田内閣においても変わりはないか。 二 警察庁が平成十六年に発行した「焦点」第二六九号(警備警察五十年~現行警察法施行五十周年記念特集号~)の記事について  1 日本共産党が昭和二十年代後半に暴力的破壊活動を行ったことは歴史的事実であり、そのことは「白鳥警部射殺事件」(昭和二十七年一月)、「大須騒擾事件」(昭和二十七年七月)の判決でも認定されている旨の記述がある。この歴史的事実に関する認識について、岸田内閣においても変わりはないか。  2 平成十六年一月改定の日本共産党綱領において、民主主義革命から引き続き社会主義革命に至るという「二段階革命」方式、統一戦線戦術といった現綱領の基本路線に変更はなく、このことは「敵の出方論」に立つ同党の革命方針に変更がないことを示すものである旨の記述がある。岸田内閣においては、令和二年一月改定の日本共産党綱領に関しても同様の認識か。 三 岸田内閣において、日本共産党について破壊活動防止法に基づく公安調査庁の調査対象団体としていること、及び警察庁が日本共産党の動向に注意を払っていることに変わりはないか。  右質問する。
a205002
災害時における地方公共団体の情報システムの継続性確保に関する質問主意書
令和三年十月四日提出 質問第二号 災害時における地方公共団体の情報システムの継続性確保に関する質問主意書  政府は、「地方公共団体におけるICT部門の業務継続計画(BCP)策定に関するガイドライン」(平成二十年八月)(以下「ICT-BCPガイドライン」という。)において、地方公共団体は、災害時に、地域住民の生命・身体の安全確保及び被災者支援並びに企業活動復旧のために、災害応急業務、復旧業務及び平常時から継続しなければならない重要な業務を実施していく責務を負っており、これらの業務の継続を確保するためには、災害時に情報システムが稼働することが極めて重要と明らかにしている。それに加えて、情報システムを所管するICT部門の業務継続計画(以下「ICT-BCP」という。)の策定に向けた地方公共団体の取組を支援するため、「ICT部門の業務継続計画〈初動版サンプル〉」(平成二十五年五月)等を作成・公表している。  しかしながら、総務省「地方自治情報管理概要」(平成二十六年三月及び令和三年八月)によれば、市区町村におけるICT-BCPの策定率は、平成二十五年四月時点の十・八%から令和二年四月時点で四十三・六%に上昇したものの、未だ半数以上の市区町村は未策定となっている。特に、町村においては、令和二年四月時点で六十八・九%が未策定であり、このうち五十・三%が策定予定はないとしている。  これらに関連し、以下質問する。 一 災害に強い電子自治体に関する研究会「第八回ICT部門の業務継続・セキュリティWG」(平成二十四年九月二十七日)における配付資料「『災害発生時の業務継続及びICTの利活用等に関する調査』にかかる補足調査について」において、ICT-BCP未策定の理由などに関する調査(以下「補足調査」という。)の結果が取りまとめられている。  1 補足調査の結果によれば、ICT-BCPの策定推進に有効と思われる手段について、「ICT-BCPのサンプル提供」と回答した地方公共団体が八十%と最も多く、「ICT-BCPの意義、地域防災計画との関係性などの明確化」と回答した地方公共団体も六十七%となっている。   政府は、平成二十五年五月に、ICT-BCPの初動版サンプル、初動版解説書、ICT-BCPとその意義に係る資料等を作成・公表し、地方公共団体における取組を支援している。そうであるにもかかわらず、市区町村におけるICT-BCPの策定率が四十三・六%にとどまり、中でも町村の六十八・九%がICT-BCPを未策定であり、このうち五十・三%が策定予定なしと回答している現状を、どのように評価しているか。また、策定が進んでいない理由をどのように認識しているか、見解を示されたい。  2 補足調査の結果によれば、ICT-BCP未策定の理由について、「ICT部門の要員不足」を理由とした地方公共団体が六十一%と最も多くなっている。そこで、ICT-BCPの策定率を向上させるため、ICT部門の要員不足解消に向けて行った人的支援について、実績も含めて回答されたい。また、更なる策定推進のため、地方公共団体に対し、より一層の人的支援を行うべきであると考えるが、見解を示されたい。  3 補足調査の結果によれば、ICT-BCPの策定推進に有効と思われる手段に係る「その他」の意見として、地方公共団体から財政措置を求める意見が挙げられている。このような意見も踏まえ、ICT-BCPの策定推進のため、これまで地方公共団体に対して行った財政的支援について回答されたい。行っていないのであれば、その理由について回答されたい。また、更なる策定推進のため、地方公共団体に対し、財政的支援を実施又は拡充すべきであると考えるが、見解を示されたい。  4 補足調査のようなICT-BCP策定の阻害要因等を把握するための調査について、平成二十四年以降に行った実績について回答されたい。また、直近の調査において、ICT-BCP未策定の理由及び策定推進に有効と思われる手段について、地方公共団体からどのような意見が寄せられたか回答されたい。調査を行っていないのであれば、その理由は何か。ICT-BCPの重要性に鑑みれば、早急に調査を行う必要はないか、見解を示されたい。 二 ICT-BCPガイドライン等においては、バックアップデータの保管場所に関して、「同時被災しない場所に保管する」ことが推奨されている。  一方、本年二月、日本放送協会(NHK)が、国土交通省の公表している国土数値情報(津波浸水想定データ)等を用い、全国に津波で被災する可能性のある地方公共団体の庁舎がどの程度あるか調査を行ったところ、百八十二庁舎が該当したとのことである。さらに、該当する団体に対し、重要な行政データのバックアップの状況について聞き取り調査を行ったところ、百八十二庁舎のうち二十九庁舎について、「バックアップが終わっていない」「保存場所が同じ庁舎内で、被災する可能性がある」などバックアップに課題があったとのことである。  1 政府は、地方公共団体のバックアップデータの保管場所、バックアップしているデータの範囲、具体的なバックアップの方法について把握しているか。把握している場合には、バックアップデータがサーバのある庁舎と同一庁舎内に保管され、同時被災の可能性がある地方公共団体の数を回答されたい。把握していないのであれば、早急に現状を把握する必要があると考えるが、見解を示されたい。  2 政府において把握している、津波浸水想定区域内にあるなど、津波で被災する可能性のある本庁舎を有する地方公共団体の数を回答されたい。加えて、このうち、バックアップデータが同庁舎内に保管されている地方公共団体の数を回答されたい。把握していないのであれば、なぜ把握していないのか回答を求めるとともに、今後把握する必要はないか、見解を示されたい。 三 政府は、地方公共団体の情報システムのうち、住民記録、税務、社会保障などの基幹系システムの標準化・共通化の取組を進めており、原則、全ての地方公共団体において、令和七年度末までに、ガバメントクラウド上で提供される標準準拠システムに移行することを目指している。一般的に、情報システムのクラウド化は、災害時の業務継続の観点から効果的とされているが、ガバメントクラウドに関しては現時点で不明な点も多い。このため、ガバメントクラウドに移行した場合の災害時の業務継続に係る次の事項について、政府の見解を伺う。  1 ガバメントクラウド上のデータのバックアップを行う主体やその方法、バックアップデータの分散管理の方法について、現在の見通しを示されたい。また、ガバメントクラウドへの移行後、各地方公共団体は、基幹系システムのデータのバックアップや、バックアップデータの保管を行う必要がなくなるのか、見解を示されたい。  2 災害等によって、庁舎が利用できなくなった場合、庁舎への電力供給が停止した場合又はガバメントクラウドとのネットワークが切断された場合において、被災した地方公共団体は、どのようにガバメントクラウド上の基幹系システムに接続するのか。災害時等において、代替庁舎や他の地方公共団体の庁舎等からガバメントクラウド上の基幹系システムに接続することも可能となるのか、見解を示されたい。  3 ガバメントクラウドのデータセンターが被災した場合、多くの地方公共団体の業務に支障が生じることとなるが、このようなリスクに対して、どのような対策を講じるのか、見解を示されたい。  右質問する。
a205003
消費者を誤認させるステルスマーケティングの手法によるアフィリエイト広告等の是正に関する質問主意書
令和三年十月四日提出 質問第三号 消費者を誤認させるステルスマーケティングの手法によるアフィリエイト広告等の是正に関する質問主意書  インターネットを用いた通信販売(ネットショッピング)については、新型コロナウイルス感染症への対策として、「新しい生活様式」において、その利用が拡大している。総務省が公表している家計消費状況調査においても、令和二年五月にはネットショッピングを利用する二人以上の世帯の割合は、調査を開始した二〇〇二年以降で初めて五割を超えた。こうした中で、消費者を誤認させるステルスマーケティングの手法によるアフィリエイト広告等の事例が問題となっており、消費者庁においてもこのような問題への対策について、令和三年中を目途に一定の結論を得るよう、「アフィリエイト広告等に関する検討会」(以下、「検討会」という。)で対策の検討を進めることとしている。  右を踏まえ、次の事項について質問する。 一 米国では、広告主がニュース形態などの出所、性格を誤認させる広告、アフィリエイトによる報酬を受け取った事実を隠した推奨や、ステルスマーケティングの手法により、「広告でない」と誤認させる広告については、連邦取引委員会法第五条に違反すると明示されており、連邦取引委員会が措置を講じている。また、連邦取引委員会は、「広告における推薦及び証言の使用に関するガイドライン」(二〇〇九年)において、広告主と推奨者との関係の有無や金銭授受の有無を開示する義務を課すことによる規制を設けている。「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」(平成二十四年五月九日改定)において、連邦取引委員会のガイドラインを引用していることから、消費者庁では、内容把握をしているものと思われる。我が国においても、同様の規制を広告主及び推奨者に課すことが必要であると考えるが、現在、規制対象としていない理由は何か。政府の見解を問う。 二 EU(欧州連合)では、不公正取引方法指令(二〇〇五年)において、誇大広告やおとり広告等の不公正とみなされる取引方法を列挙した附属書一がある。この中の項目十一で、ステルスマーケティングの手法について、「販売業者が広告費を支払ってメディアのコンテンツを作成させ、かつ、その事実を消費者が明確に識別できるよう明示していない場合」として、具体的に挙げて禁止している。我が国の現行の、いわゆる景品表示法では、優良誤認表示などを伴う広告が不当表示として規制対象とされているが、「公正な市場秩序を乱す行為」として、例えば金銭を受け取っていながら公平な消費者や専門家の独立した意見であるかのように装って推奨表現している広告などについて、EUのような具体的な列挙による規制を行っていない理由は何か。政府の見解を問う。 三 検討会においては、アフィリエイト広告が不当表示につながりやすい点への懸念が示されている。しかし、一般的にはアフィリエイターは商品販売をしないため、現行の景品表示法の規制では、その適用対象とならず、あくまで広告主を対象とした規制にとどまるものとなっている。  1 消費者庁においては「広告も創作物に当たり、表現の自由を損なわないよう慎重な対応が必要」という姿勢であるが、報酬を得る目的で不当表示を行うことを、表現の自由として認めることは、消費者への不当行為を放置することになりかねないのではないか。検討会において、報酬等利益を得る目的で作成された不当表示について、商品を供給する事業者以外の者に対しても罰則を科すなど悪質な行為を防止するような対策を検討する必要があるのではないか、政府の見解を問う。  2 中立な第三者の見解と消費者に誤認させるステルスマーケティングの手法については、事業者又は第三者が行う場合のいずれについても、不当に顧客を誘引し、消費者の合理的な選択を阻害する表示にほかならず、景品表示法第五条第三号の規定にある内閣総理大臣の指定により、当該表示を不当表示として禁止することで対策を講じる必要があるのではないか、政府の見解を問う。  3 景品表示法第五条は、事業者が「自己の供給する商品又は役務の取引について」、優良誤認表示などをすることを禁止しており、推奨者のような事業者以外の者が、事業者の供給する商品又は役務の取引について不当表示を行うことは規制の対象とはなっていない。しかし、景品表示法第一条の「一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護する」との目的を踏まえれば、事業者であるか推奨者であるかを問わず、消費者の合理的な選択を阻害する行為自体を規制すべきではないか、政府の見解を問う。  4 表示規制の対象について、現行の景品表示法では、「自己の供給する商品又は役務の取引について」として、自己の供給に限定している。この限定を残した表示規制では、消費者の合理的な選択を阻害する要因を残すことになるものと考えるが、検討会においてはこの点を検討しているか。また、消費者庁としては、現時点で消費者の合理的な選択を阻害する要因を解消するための方策としてどのようなものを考えているか、政府の見解を問う。 四 ステルスマーケティングの手法は、著名人等に自らの体験談を語らせる方法等により、インターネット以外の場であるテレビ番組や雑誌等においても行い得るものであり、また、人を雇って入店待ちの行列を作らせて人気店を装うなど、実店舗においても行われ得るものである。米国及びEUでは、インターネット以外でのステルスマーケティングについても規制があることから、このような場合についても規制することが必要ではないのか。また、事業者と推奨者以外にも、代理店やフランチャイズの店舗といった関係者(アフィリエイト広告においてはアフィリエイトサービスプロバイダーなど)が、ステルスマーケティングの手法に関与することが考えられるが、このような者についても規制が必要ではないか、政府の見解を問う。  右質問する。
a205004
選挙公営制度における適正な公費負担に関する質問主意書
令和三年十月四日提出 質問第四号 選挙公営制度における適正な公費負担に関する質問主意書  公職選挙法では、選挙運動の機会の均等を図り候補者の資産状況による当落への影響を防ぎ、お金のかからない選挙を実現するため、選挙公営制度が設けられている。選挙運動用自動車の使用並びに選挙運動用ビラ及び選挙運動用ポスターの作成に係る経費については、その実施については選挙管理委員会が関与しないものの、公職選挙法において、国政選挙については供託金が没収となった候補者を除き公費で負担する旨が定められている。また、地方公共団体の議会の議員及び長の選挙については、国政選挙に関する規定に準じて、条例で定めることにより公費負担ができる旨が定められている。しかしながら、この制度について、不適切な請求に係る住民監査請求や行政訴訟、公費負担の返還や議員辞職などの問題も全国的に見られている。  右を踏まえ、次の事項について質問する。 一 選挙運動用自動車の借入れに係る費用の公費負担について、対象となるのは選挙運動期間に選挙運動用自動車として使用するのに要した費用である。また、車両本体に取り付けてある音響機器等の借り入れなどの費用については対象とならない。選挙運動用自動車の借入れについて、過大請求があったとして公費が返還された事例では、音響機器の借入れ及び設置費用を含めていたことや車両整備などのために事前に借りた期間分も借入れ料に合算したことが事由として挙げられている。  この問題について、候補者が業者との契約を選挙管理委員会に届け出る際に、公費負担の対象となる車両の借入れ料のほかに、当該契約に含まれる費用のうち、車両本体以外に係る経費が明らかとなる契約内容の明細を添付することを義務付ければ、過大請求は防げると考える。選挙運動用自動車の借入れに係る公費負担について、候補者の選挙管理委員会への契約届出に明細を添付することを義務付けるよう、公職選挙法施行規則を改正する必要はないか、政府の見解を問う。 二 選挙運動用ポスターについて  1 選挙運動用ポスターについては、受注業者の「公費上限額は手作業で制作していた昔の基準が残っているため、今の相場よりかなり高い」とのコメント(令和元年十二月三十日付『熊本日日新聞(朝刊)』)をはじめ、公費負担の上限額が高いという業界の共通認識が報道されている。公職選挙法施行令第百十条の四に定められている選挙運動用ポスターの作成単価の上限額は、何を基準としてどのように算定しているのか。  2 選挙運動用ポスターの作成単価の上限額は、これまで物価上昇や消費税増税を理由に引き上げられてきたと承知している。しかし、「印刷単価は画像ソフトや技術の向上で、この二十年で三分の一以下になった」(令和元年七月三十日付『中国新聞デジタル』)と報道されている。より適正な選挙公営を行うため、選挙運動用ポスターの作成単価の上限額について、実勢価格を反映した額に改めるべきであると考えるが、政府の見解を問う。  3 選挙運動用ポスターの作成に係る費用の公費負担の適正化には、選挙運動用自動車の燃料代の公費負担に関する見直しが参考となる。これは、平成二十年に公職選挙法施行規則を改正し、燃料供給業者が国や自治体に支払いを請求する際に、自動車のナンバーの記載された給油伝票の写しの添付を義務付けることにより、不適切な請求を難しくしたものである。さらに、愛知県豊橋市や福島県いわき市で、企画料やデザイン料等契約の詳細な内訳を示す明細の提出を義務付けた事例を踏まえ、選挙運動用ポスターの公費負担のあり方や経費の確認の仕組みについて検討し、関係書類の記載事項等の様式変更や証拠書類の添付を求めるなど、行政側も明細の確認が可能な仕組みとすることが適切と考えるが、政府の見解を問う。  右質問する。
a205005
ファクシミリを用いた業務の廃止に関する質問主意書
令和三年十月四日提出 質問第五号 ファクシミリを用いた業務の廃止に関する質問主意書  令和三年六月十五日の河野太郎行政改革担当大臣(以下、「大臣」という。)は、大臣記者会見において、「テレワークができない理由の中で、ファックスがあるからというのがありましたので、それはメールに切り替えてください。」と述べた。その後、七月七日の北海道新聞の報道によると、内閣府の行政改革推進本部へ四百件程、各省庁からの廃止が難しいとの回答があり、現時点でもファクシミリ(以下、「ファックス」という。)を用いた行政事務は継続している。  また、令和三年七月七日北海道新聞及び令和三年七月八日ニュースサイトSAKISIRUの記事には、内閣官房行政改革推進本部事務局がとりまとめたファックスの廃止が難しい理由について記載されている。  関連して、以下質問する。 一 ファックスの廃止が難しい理由について、大臣記者会見において詳細は語られていない。内閣官房行政改革推進本部事務局が把握しているファックスの廃止が難しい理由及び理由ごとの件数について、明らかにされたい。 二 ファックスの廃止ついて、「通信環境が十分ではない」ことが反論として示されているが、具体的にどのようなことか。通信環境が十分でないというのは、各省庁が通信環境の計画的な整備を怠った結果であり、令和二年度末に政府ネットワーク環境の再構築も完了したことから、ファックスの存続を認める理由にしてはならないと考えるが、政府の見解を問う。また、ファックス回線をメール専用の通信回線にすることで、通信環境は確保できると考えるが、政府の見解を問う。 三 ファックスを存続させる理由として、「セキュリティ確保のため」という、情報漏えいを防ぐ観点からの反論が示されている。しかしながら、ファックスの誤送信は、民間や地方自治体でも発生しており、新型コロナウイルス感染症の感染者情報が漏えいした事例もある。また、ファックスは、電話番号さえ分かれば複合機を乗っ取りネットワーク侵入が可能であるため、電子署名や暗号化技術など様々なセキュリティ対策を追加しやすいメールの方が優れていると考えられる。ファックスの存続根拠として、セキュリティの確保は理由にならないと考えるが、政府の見解を問う。 四 ファックスについて、「ニュースをクリッピングし、ファックスで送ってもらう民間のサービスを利用しているがメールで送付にすると料金が二倍以上に跳ね上がり、予算的に難しい。」点が反論として示されている。しかし、SAKISIRUの記事によると、クリッピングサービスを行う事業者の料金表において、基本料金はファックス送付の方が高く、一記事当たりの単価はファックスもネット送信でも同額であったとされる。このクリッピング契約はどのようなサービスを内容とする契約で予算はいくらであるか。また、予算面の反論は、算定根拠が妥当であるか検証し、妥当でない場合は、メールへの切替えを促す必要はないか、政府の見解を問う。  右質問する。
a205006
老朽化等マンションの建替え等促進策に関する質問主意書
令和三年十月四日提出 質問第六号 老朽化等マンションの建替え等促進策に関する質問主意書  老朽化が進行したマンションは、外壁の剥落等によって居住者や近隣住民の生命、身体、財産に危険を及ぼすおそれがあり、また周辺地域の景観や治安の悪化にもつながるなど、その弊害は極めて大きい。令和二年末時点において築四十年超のマンションは約百三万戸存在し、その数は十年後には約二百三十二万戸、二十年後には約四百五万戸へと急速に増加することが見込まれており、適切な対応がなされなければ、我が国の経済社会全体に深刻な悪影響をもたらす懸念がある。令和二年にはマンションの老朽化等に対応するための「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律」が成立し、除却の必要性に係る認定(以下「要除却認定」という。)の対象の拡充等が措置されたが、赤羽国土交通大臣が自ら答弁で認めたように「一歩前進」に過ぎず(第二百一回国会参議院国土交通委員会会議録第九号、令和二年四月七日)、更なる対策強化が不可欠である。  上記を踏まえ、以下質問する。 一 老朽化等マンションの建替え等に対する容積率緩和特例の効果等  1 国土交通省の資料によれば、平成二十六年の「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」(以下「マン建法」という。)の改正で導入された耐震性不足のマンションを対象とした容積率緩和特例の許可の実績は、令和二年四月時点で三件とされている。令和二年四月以降の実績について政府として把握しているか、また把握しているならば何件か。  2 令和二年末時点において、築四十年超のマンションは約百三万戸存在し、その中には相当数の耐震性不足のマンションが含まれており、その建替え等を促進する必要性は高い。しかしながら、令和二年四月時点における実績を見る限りでは、容積率緩和特例の活用が進んでいるとは評価しがたい状況にある。その要因について政府としてどのように分析しているのか、また、今後の活用の見通しについて、政府の見解を問う。  3 令和二年のマン建法改正により、要除却認定の対象が拡充され、外壁の剥落等により危害が生ずるおそれがあるマンション等についても容積率緩和特例が活用できることとされた。新たに対象とされた類型における容積率緩和特例の活用の見通しについて、政府の見解を問う。  4 要除却認定の対象となり得るマンションであっても、容積率以外の斜線制限や日影規制等の建築規制により、容積率緩和特例が活用できない場合が生じうる。特に既存不適格建築物については、建替え前と同規模のマンションでさえ建築できない可能性もある。そのような実例について把握しているのか、それらが容積率緩和特例の活用に及ぼす影響についてどのように分析しているのか、政府の見解を問う。  5 これまでの活用実績やその他の建築規制等を考慮すれば、容積率緩和特例による老朽化等マンションの建替え等の促進に対する効果は限定的なものにとどまると考えられる。容積率緩和特例が活用できない老朽化等マンションに対する建替え等促進策を早期に導入する必要があると考えるが、政府の見解を問う。 二 令和二年のマン建法改正で拡充された要除却認定の対象に係る要件の在り方等  令和二年のマン建法改正で拡充された要除却認定の対象の認定基準については、国土交通省に設置された「要除却認定基準に関する検討会」(以下「検討会」という。)において検討が行われ、令和三年八月二十七日には認定基準案の概要が検討会において概ね了承され、引き続き施行に向けた検討が進められている。そこで、  1 新たな要除却認定の対象のうち、外壁の剥落等により周辺に危害を生ずるおそれがあるもの及び配管設備の劣化により著しく衛生上有害となるおそれがあるものに関しては、容積率緩和特例を受けるために、故意に修繕等を行わずに劣化を放置するといった行為を誘発する懸念がある。検討中の認定基準は、この懸念に十分対応したものとなるのか、政府の見解を問う。  2 バリアフリー性能が確保されていないものに関する認定基準により要除却認定を受け、マンションを建て替える場合、建替え後のマンションがバリアフリー基準を満たすことは要件とはされない見込みである。この点について、検討会の議事要旨によれば「運用面での対応」がなされるとのことだが、具体的にはどのような対応が想定されているのか。また、「運用面での対応」で建替え後のマンションがバリアフリー基準を満たすことを確実に担保することができるのか、政府の見解を問う。 三 老朽化等マンションの建替え等促進策の抜本的強化の必要性  既に述べたように、現状においても、容積率緩和特例による効果は限定的である可能性が否定できない。さらに、我が国の世帯数は令和五(二〇二三)年をピークに減少局面に入ると推計されていることを踏まえれば、今後は容積率緩和特例の恩恵を受けることができるのはごく一部の好立地のマンションに限定されることとなり、中長期的に持続可能な施策ではない。急増する老朽化等マンションに対応するには、建替え等促進策を抜本的に強化する必要がある。そこで、  1 我が国ではマンションの建替えや敷地売却には区分所有者等の五分の四以上による決議を要することとされているが、韓国では、一定の場合、区分所有者等の四分の三以上による決議で足りるとされている。我が国でも少なくとも韓国並みに要件を緩和する必要があるのではないか、政府の見解を問う。  2 国土交通省は「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(平成二十三年四月国土交通省)を策定し、適正な修繕積立金の設定や積立てを促してはいるものの、同ガイドラインでは、建替えや除却などは想定されておらず、それらに要する費用に関する記載はない。また、実態として修繕積立金の水準が不十分なマンションも多数存在している。老朽化が進行したマンションが大きな外部不経済をもたらすことに鑑みれば、修繕や除却に要する最低限の費用の積立てを法的に義務付けることは十分に正当化され得る施策である。その導入に向けた検討を速やかに開始すべきと考えるが、政府の見解を問う。  右質問する。
a205007
子ども総合基本法と総合的な子ども・子育て政策の必要性に関する質問主意書
令和三年十月四日提出 質問第七号 子ども総合基本法と総合的な子ども・子育て政策の必要性に関する質問主意書  立憲民主党は子育て困窮世帯の当事者や支援団体など多くの方からいただいたご要望、ご意見をもとに、二〇二一年五月三十一日、衆議院に子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的な推進に関する法律案(子ども総合基本法案)を提出した。この法案は、子どもの貧困率を十年間で半減させることを目標に、欧州諸国と比べると半分程度の子ども・子育て予算を大幅に増やして児童手当・児童扶養手当を拡充するとともに、十八歳未満の児童にとどまらず、子どもが成人になった後の関連する施策も含め、子どもから若者まで切れ目のない支援を行い、「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」の理念にのっとり、全ての子どもの最善の利益が図られ、その人権が保障され、社会全体で子どもの育ちを支援する社会を実現することを目指して「子ども省」の設置を検討するものである。  提出以来、私たちは与党に審議入りを働きかけているが、このままでは衆議院解散ないし任期満了に伴い、廃案となってしまう。この法案と総合的な子ども・子育て政策の必要性をあきらかにするために、二〇二一年九月十七日、政策プラットフォームPoliPoliの意見交換会においていただいた当事者や支援団体からのご要望、ご意見を踏まえ、以下、質問する。 一 コロナ禍で生活が困窮し、食料支援や現金給付などのしくみへのアクセス方法などの情報が必要な、十代の単身世帯の子どもたちからの相談が急増している実態を、政府はどのように認識しているか。 二 親が一緒にいて電話できない、また電話自体に不慣れな、いわゆるZ世代以降の子どもたちから生活の困窮相談を受け付けるために、電話ではなくSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での相談窓口を一日も早く整備すべきと考えるが、民間との連携も含め、政府の見解をあきらかにされたい。 三 文部科学省では、「二十四時間子供SOSダイヤル」を全都道府県及び指定都市教育委員会において整備しており、ヤングケアラー専門の相談窓口を設ける自治体もあるものの電話しか受け付けていないなど、SNSの活用が進んでいない現状について、どのように認識しているか。また、全国共通番号の「二十四時間子供SOSダイヤル」は、各地の教育委員会につながって主にいじめなどの教育相談を対象としており、生活困窮の相談件数が極端に少ない現状について、どのように認識しているか。そもそも受け付けなかったり、たらい回しにしているのではないか。政府の見解をあきらかにされたい。 四 子どもの貧困に関する相談体制の整備は、子どもの貧困対策の推進に関する法律を根拠に取り組まれるべきところ、二〇一九年の子供の貧困対策に関する大綱においても明記されなかった理由をあきらかにされたい。 五 子供・若者育成支援推進大綱においては、困難を有する子供・若者やその家族の支援として、SNS相談体制の充実が明記されているが、私の事務所が二〇二一年九月二十七日に問い合わせた段階で、政府のどの部署がこの施策の責任を担うのか、内閣府、厚生労働省、文部科学省の間で十分な情報共有がなされておらず、調整が図られていなかった。SNS相談体制の整備が進まない背景として、国の子ども・子育て政策における府省縦割りの弊害があるのではないか、政府の見解をあきらかにされたい。 六 子どもの貧困の連鎖を断ち切る重要な施策は教育であることは言を俟たない。立憲民主党は高等教育の無償化を目指し、まずは大学の学費半減を来たる総選挙で訴えることにしている。安倍・菅政権による格差拡大政策とコロナ禍で生活が困窮する世帯がますます増えているところ、生活保護受給世帯の子どもが世帯分離せずとも大学進学できるように、生活保護制度を見直すべきではないか。  私たち立憲民主党は二〇一八年三月に、生活保護受給世帯の子どもが大学進学にあたり世帯分離不要とする議員立法を提出していたが、与党の賛同を得られず成立に至らなかった。また、二〇一九年五月には国会において厚生労働省の大口善徳副大臣が「生活保護費を受給しながら大学等に修学することにつきましては、(中略)認めていない」と答弁し、八神政府参考人が「生活保護法第三条に規定をいたしますこの法律により保障される最低限度の生活に、保護を受けながら大学や専門学校等へ通学することは含まれていない」と答弁しているが、コロナ禍で「生活保護は権利です」と広報する厚生労働省は、現時点においてもこの答弁を維持するつもりか。政府の見解をあきらかにされたい。 七 地域における人間関係の希薄化、核家族化の進展、虐待の連鎖、そして児童虐待による死亡で一番多いのはゼロ歳児である現状において、被虐待経験があったり、精神疾患を抱える母親等への訪問支援体制が、乳児家庭全戸訪問事業を行う四か月目以降においては不十分ではないかと考えるが、政府の見解をあきらかにされたい。  具体的には、自治体の九割が取り組んでいる養育支援訪問事業は、保健師などの担い手不足のために必要な頻度での訪問ができていないので、わが国初の心理職の国家資格である公認心理師もその担い手に加えるなどして、悩みや不安を適時に相談でき、傾聴などの必要な支援が行えるよう体制を強化するべきではないか。また精神疾患を抱える母親への訪問診療を行っている医師の指示や訪問看護ステーションとの連携の下、PT(理学療法士)やOT(作業療法士)同様に公認心理師も訪問し、専門的な役割を果たせるよう報酬上の取扱いを検討するべきではないか。 八 安倍政権による大学無償化策として二〇二〇年度に開始された高等教育の修学支援制度は、高校卒業後三年を過ぎてしまったケースは、高卒で就労した人との公平性を理由にその対象としていない。親の虐待による被虐待児症候群からの回復に時間がかかるなどして、二十代半ばになってから大学進学しようとする者に対して、単に年齢でその支援対象から外すことは、むしろ高卒者に対して不公平であって見直すべきではないか。  また、退学後一年以上経ってから再入学したケースもその対象としていないが、休学の場合は二年経っても三年経っても復学すれば対象となりえるにもかかわらず、経済的な理由で退学してから二年経ってから学び直ししたいと思っても支援の対象とならないのは、制度の趣旨に照らし不適切であり、コロナ禍での退学者が増えている現状も踏まえ、制度を見直すべきではないか。政府の見解をあきらかにされたい。 九 実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関として二〇一九年度より専門職大学が制度化されたが、専門職大学が十四校、専門職短大が三校、専門職学科を設置した大学が一校にとどまっており、一般の大学が専門職大学に転換した例がない現状についてどのように認識しているか。平成の三十年間で三百校も一般の大学が増えているが、今後の高等教育の質を確保していく上で、文部科学省内の縦割りを乗り越えて、一般の大学から専門職大学への転換を政策誘導する必要性について、政府の見解をあきらかにされたい。 十 子どもの虐待や貧困をなくし、ヤングケアラー問題などを解決するためには、子ども自らが自分の身を守ったり、対処できるようになったり、子どもの貧困問題の解決を求めたりできるようになることが重要である。そのためにも、早い段階から「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」について深く学ぶ必要があるが、現行の学習指導要領には、子どもの権利条約を教えるという記載はなく、また国会図書館による調査によれば、多くの小中学校の教科書では、条約名や批准年などを知識として学ぶ記載のみであり、これでは不十分ではないか。  児童生徒が自分が権利の主体であることを理解し、自らの日常生活の中で権利行使できることを目的とした教育が必要であって、教員はじめ、子どもを取り巻く大人が子どもの権利について深く理解し、児童生徒がきちんと権利行使をできるような指導力を付けることが求められると考えるが、そのためにも全ての子どもが子どもの権利について学ぶことを必修化することについて、政府の見解をあきらかにされたい。  右質問する。
a205008
コメ先物上場廃止を踏まえた我が国のコメ政策に関する質問主意書
令和三年十月四日提出 質問第八号 コメ先物上場廃止を踏まえた我が国のコメ政策に関する質問主意書  農林水産省は、堂島取引所によるコメ先物本上場認可申請について不認可との判断を下したと承知している。日本人の主食であるコメに関する政策は、生産者である農業従事者、流通業者、消費者たる国民全体にとって極めて重要である。コメに関する政策を巡っては、戦後長らく続いた固定価格による国の買入れや厳格な流通統制を核とする食糧管理法の廃止、食糧法の改正による流通と価格形成の完全自由化、更には、足もと二〇一八年度からは生産数量目標配分が廃止され、コメの産地自ら需要に応じた生産に取り組む流れにある。こうしたコメを巡る政策の変遷の中、コメの先物取引のもつ意義は益々高まっていたものと思料する。すなわち、先物市場で形成された価格は、需給の実態、市場の予想を的確に反映したものであり、コメの円滑・公正な取引の実施のため極めて有益なものといえる。特に生産者が自らの経営判断で生産を行うための社会インフラの一部を担うものとも言え、コメ政策の方向性にも合致するものと理解している。  以上を踏まえ、右質問する。 一 コメに関する政策において、先物取引の果たすべき役割をどのように考えるか、政府の認識と見解を問う。 二 堂島取引所におけるコメ先物の本上場認可申請に不認可との結論が下された今、事実上、コメの先物取引はこの国から無くなることとなる。一方、中国・大連では二〇一九年よりジャポニカ米の先物取引が開始されている。今後、ジャポニカ米の国際的な取引が盛んになるに伴い、そもそも生産量で日本を大きく上回り、先物取引の市場も存在する中国にコメの価格決定権を奪われる懸念がより現実的なものとなっていると思料する。我が国のコメの価格指標の在り方について、現在活用できる指標はあるのかも含め、政府の認識と見解を問う。 三 また、農産物の輸出振興を国策として掲げる政府において、先物取引の発展は価格指標としての有用性・信頼性を更に高めることに繋がり、将来のコメ輸出事業の展開など、産業育成にも資することを踏まえれば、今回の決定は、こうしたコメを巡る政策の方向性と逆行するとの見方もできるが、この点について、政府の認識と見解を問う。  右質問する。
a205009
女性警察官の受傷事故等防止対策に関する質問主意書
令和三年十月四日提出 質問第九号 女性警察官の受傷事故等防止対策に関する質問主意書  近年、全国の都道府県警で女性警察官の割合が増加し、職域が拡大するとともに幹部登用も進んでいることは喜ばしい。しかしながら、職域が拡大するにつれ受傷事故や拳銃強奪の危険が増加することも懸念される。  米国や英国などの警察では、圧縮窒素によって電極を飛ばして電流を流し、対象者に一時的な麻痺を起こさせることによって制圧する、いわゆるテーザーガンが広く採用され、大きな効果を上げている。米国の警察幹部研究フォーラムが平成二十一年に発表した調査結果によれば、テーザーガンを採用した法執行機関と採用していない機関を比較したところ、警察官の受傷は七十六パーセント減少し、対象者の受傷は四十パーセント以上減少していた。また米国ウェイク・フォレスト大学教授のウィリアム・ボーズマン医学博士が平成二十一年に米国緊急医学会の学会誌に発表した論文によれば、テーザーガンが犯罪容疑者に使用された千二百一件の事例を調査したところ、九十九・七五パーセントの対象者は全く負傷していないか軽微なけがをした程度だった。負傷した三件のうち二件は転倒した際の頭部外傷で、残る一件は横紋筋融解症だった。ボーズマン博士は、「警察が暴力的または戦闘的な容疑者を制圧するとき用いる他の選択肢と比較すると、これらの武器(テーザーガン)はたいへん安全のように思える」と述べている。  我が国でも女性警察官にテーザーガンを携帯させ、警察官等けん銃使用及び取扱い規範とは異なる規則に基づいて運用されるべきと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
a205010
品川区を舞台とする北朝鮮による拉致・殺人事件に関する質問主意書
令和三年十月四日提出 質問第一〇号 品川区を舞台とする北朝鮮による拉致・殺人事件に関する質問主意書  東京都品川区に所在した北朝鮮秘密工作組織ユニバース・トレイディング株式会社(在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)第一副議長だった金炳植氏が設立)を舞台に昭和四十九年に発生した、日本人女性渡辺秀子さんと子の高敬美さん・高剛さん姉弟の拉致事件(いわゆる姉弟拉致容疑事案)について、次の質問に答えられたい。 一 警察庁は、高敬美さんと高剛さんについて北朝鮮による拉致行為があったと判断しているが、渡辺秀子さんを拉致被害者と認定していない。渡辺秀子さんは、北朝鮮工作員によって日本国内で殺害されたとの証言も聞く。警察庁は、渡辺秀子さんは殺害された可能性が高いとみるか。 二 平成十九年四月に警視庁は、ユニバース・トレイディング株式会社について参考人として事情を聴くため、朝鮮総連の徐萬述議長(当時)と許宗萬責任副議長(現議長)、南昇祐副議長の三名に、書面で出頭を要請したが、三名は応じたか、政府として把握していれば答えられたい。 三 朝鮮総連最高幹部三名が前項の出頭要請に応じなかったとすれば、事案の重大性に鑑み、現在も在職中の二名が出頭するまで粘り強く説得を続け、事情を聴くべきと考えるが、政府の見解如何。 四 警察庁は高姉弟拉致の主犯である北朝鮮工作員・洪寿惠こと木下陽子容疑者について、逮捕状の発付を得て国際手配を行うとともに、外務省を通じて、北朝鮮に対し、身柄の引き渡しを要求している。木下容疑者は、昭和五十二年六月二十七日に帰化許可を受けて日本国籍を取得しているが、国籍法が定める素行善良の要件を満たしておらず、詐欺に基づき帰化許可処分が行われたといえる。政府は、捜査の結果、木下容疑者が現在北朝鮮国籍を有し、工作活動に悪用する目的で詐欺による帰化許可申請を行っていたことが明らかになったときは、木下容疑者への帰化許可処分を取消すべきと考えるが、見解如何。 五 読売新聞の平成十九年四月二十六日付社説によれば、ユニバース・トレイディング株式会社の関係者が、在日朝鮮人を親族に持つ若者など「三十人ほどを拉致した」と証言している。一つの工作拠点だけで三十人も拉致されているならば、全体で相当な規模であると推認できる。現在、高姉弟を含めて十九名が拉致被害者と認定されているが、それ以外に多数の拉致被害者が存在する可能性について、政府の見解如何。  右質問する。
a205011
沖縄県石垣市が申請した尖閣諸島への上陸許可に関する質問主意書
令和三年十月四日提出 質問第一一号 沖縄県石垣市が申請した尖閣諸島への上陸許可に関する質問主意書  沖縄県石垣市が尖閣諸島の字名を刻んだ新しい行政標柱を尖閣諸島に設置するため、令和三年九月三日付で総務省に上陸許可を申請していたが、政府は九月二十八日付で上陸を認めない旨石垣市に通知したとのことである。そこで、以下質問する。 一 政府が上陸を認めないと石垣市に通知したことは事実か。上陸を認めないとした理由を明らかにされたい。 二 内閣官房領土・主権対策企画調整室のホームページには現在の尖閣諸島の行政標柱の写真が掲載されているが、政府としては行政標柱を日本の有効な支配を示すものとして認識しているか。 三 現在の行政標柱は昭和四十四年に石垣市により設置されたもので経年劣化しており、また、石垣市は、令和二年に尖閣諸島の字名を変更していることから、これを新しい行政標柱に置き換えたいとのことであるが、政府としては置き換える必要性をどのように考えているか。 四 石垣市に上陸を許可しないのであれば、政府が石垣市に代わって行政標柱を設置することについてはどのように考えるか。  右質問する。
a205012
日本への私費留学生の入国再開に関する質問主意書
令和三年十月四日提出 質問第一二号 日本への私費留学生の入国再開に関する質問主意書  昨年来の新型コロナウイルス感染症の蔓延により、海外からの外国人留学生の多くが日本に入国できない状況で、日本での入学許可を得た多くの外国人留学生が入国待ちを続けている。  一方で、主要先進国やアジアの近隣諸国は、外国からの留学生の受け入れを長期にわたって停止してはおらず、水際対策を行った上で留学生の受け入れを続けている。  したがって、日本への留学を希望してきた学生の中には、待ちきれず日本への留学を諦めて、他のアジア諸国、例えば、中国や韓国などに行き先を変更する学生も出てきている。  そこで、以下質問する。 一 日本の大学への入学許可を得ている私費留学生が日本に入国できずに、待ち続けている現状を政府はどのように認識しているか。 二 令和三年九月末で緊急事態宣言は全国で解除された。この機会に、水際対策を十分に行うことを条件としつつ、私費留学生の入国を再開すべきと考えるが政府の見解如何。 三 私費留学生の入国が禁止されている一方で、国費留学生については入国が許可されている。国費留学生か私費留学生かで、感染症のリスクが変わるものではない。日本に好意を抱いていた留学生たちの中には、医学的根拠に乏しい方針をとる日本政府に落胆し、日本に失望しているものもいる。政府は、留学生に対して、我が国の感染症対策を的確に発信するとともに、医学的根拠が不明な政策を改めるべきと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
a205013
水上オートバイによる危険行為の処罰に関する質問主意書
令和三年十月四日提出 質問第一三号 水上オートバイによる危険行為の処罰に関する質問主意書  夏はマリンスポーツが盛んになる時期であるが、今夏も水上オートバイによる遊泳やサーフィンを楽しむ者の近傍でスピードを落とさない危険操縦がみられた。また、河川において操業中の漁船の近傍で引き波を立てつつ走行するなどの危険操縦がみられた。このような水上オートバイの危険操縦に対して、さらなる安全性が確保できるよう法的整備等が必要であると考え、以下質問する。 一 政府は沿岸の海域での水上オートバイなどによる危険操縦について、現状をどのように把握しているか。 二 水上オートバイの危険操縦に対して、船舶職員及び小型船舶操縦者法で免許取消などの行政処分はあるものの、死亡事故が引き起こされかねない危険操縦に対する罰則としては軽微にすぎ、再発防止効果も乏しいと考える。そこで、罰則強化が必要と考えるが政府の見解如何。 三 交通安全に関して、例えば道路交通法においては、事細かくルールが定められているものの、海上交通においてはそのような事細かなルールは定められていない。海上の利用者の大半は、従来は運輸業や水産業など事業者であって、プロフェッショナルの世界として事細かなルールの必要性は低かったのかもしれない。しかし、沿岸の海域においては遊泳やサーフィン、水上オートバイなどレジャー目的の者が多く集まっており、事細かなルールが必要と考えるが政府の見解如何。 四 我が国は海で囲まれた地形であり、沿岸の海域は広範囲にわたる。全ての沿岸海域で取り締まることは困難であるが、監視カメラ設置やドローン活用など監視体制を強化する必要があると考えるが政府の見解如何。  右質問する。
a205014
保健所の業務効率化に関する質問主意書
令和三年十月四日提出 質問第一四号 保健所の業務効率化に関する質問主意書  新型コロナウイルス感染症の蔓延により、保健所の業務が逼迫している。そこで、保健所の業務の中で優先度の低いものについて、廃止するなどの業務効率化を進める必要がある。そこで、以下質問する。 一 保健所の業務効率化のための業務見直しを政府としてどのように進めてきたか。 二 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の自立支援医療は、有効期間が一年であり、毎年更新の手続きが必要である。保健所の業務が逼迫している中では有効期間を複数年に延ばすか、必要でなくなったときに返納するなど、一年更新の制度を改めることを提案するが政府の見解如何。 三 新型コロナウイルス感染症の入院医療費について、陽性となった後の入院費や治療費、病院から提供される食事代等については、公費負担となることが原則だが、患者及び生計を同一にする世帯員全ての市町村民税の所得割額を合算した額が五十六万四千円を超える方は、入院費や治療費等において、月額二万円を上限に自己負担となる。このため、保健所は新型コロナウイルス感染症の陽性者から課税証明書などを取り付ける必要があり、業務負担となっている。保健所の業務が逼迫している中では、治療費の所得制限を廃止することを提案するが政府の見解如何。  右質問する。
a205015
北京冬季五輪の外交的ボイコットに関する質問主意書
令和三年十月五日提出 質問第一五号 北京冬季五輪の外交的ボイコットに関する質問主意書  中華人民共和国(中国)で開催予定の二〇二二年北京冬季オリンピック・パラリンピック競技大会(北京冬季五輪)の式典に、政府首脳や政府代表等を一切出席させない、いわゆる外交的ボイコットを求める声が、欧米で高まっている。  ナンシー・ペロシ米国下院議長は議会公聴会で本年五月十八日、中国のジェノサイド(民族大量虐殺)に沈黙することは許されず、世界各国の国家元首は北京冬季五輪に出席すべきでないとして、外交的ボイコットを呼びかけた。ペロシ議長は、ジェノサイドを行っている中国政府に敬意を表する国家元首は、今後人権について語る道徳的権威を失うと強調した。  欧州連合の欧州議会は本年七月八日、欧州委員会と欧州理事会、加盟国に対して、香港やウイグル、チベット、内モンゴルその他の地域の人権状況について中国政府が検証可能な改善を見せない限り、政府代表や外交官への北京冬季五輪出席の招待を拒否するよう求める決議を採択した。  英国下院議会は本年七月十五日、「本議会は、その国の政府が大規模な残虐犯罪を行っているとの信頼に足る告発を受けている国で、二〇二二年北京冬季五輪は開催されるべきでないと考える。そして英国政府に対して、中国政府が新疆地域での残虐行為を終結させ、英国の議員や市民、団体への制裁措置を解除しない限り、政府代表への二〇二二年北京冬季五輪出席の招待を拒否するよう求める」との決議を採択した。  アントニー・ブリンケン米国国務長官は下院外交委員会の公聴会で本年六月七日、北京冬季五輪への対応について共通のアプローチを確立するため、同盟国等と協議していると述べた。ドミニク・ラーブ英国外務大臣は本年七月二十九日、北京冬季五輪に出席する可能性は非常に低いと発言した。  こうした状況のなかで、我が国の政府首脳または政府代表が北京冬季五輪の式典に出席すれば、中国政府に誤ったメッセージを送り、ウイグル人ジェノサイドやチベット人への人権侵害、香港民主派への弾圧等を助長する。また、我が国に対する国際社会の信頼を著しく損なう。我が国は、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認しているのであって、ジェノサイドや人道に対する罪、人権侵害に目を閉ざすことは決して許されない。  香港やウイグル、チベット、内モンゴルその他の地域の人権状況について中国政府が検証可能な改善を見せない限り、北京冬季五輪の式典に政府関係者を一切出席させてはならないと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
a205016
中国電力島根原発に関する質問主意書
令和三年十月六日提出 質問第一六号 中国電力島根原発に関する質問主意書  中国電力株式会社島根原子力発電所(松江市鹿島町片句)について、以下質問する。 一 1 中国電力島根原発三号機増設のための「原子炉設置変更許可申請書」は二〇〇〇年十月、国に提出され、敷地に隣接する半島部「宮崎鼻」一帯は、保安上必要な「取得予定地」とされていた。ところが地権者との交渉が難航したため、中国電力は敷地境界を変更し、二〇〇五年に許可を受けた経緯がある。    建設中の三号機の炉心から五百六十メートルの位置にある敷地境界の隣接地には、二〇〇四年に釣り人用の小屋が建設され、現在も日常的に釣り人が周辺を訪れている。国は当該建屋があることを、三号機の設置許可時に認識していたか。   2 原発の保全のために必要だと説明していた土地を取得しないまま三号機の建設や二号機の再稼働手続きを進める中国電力の姿勢が、地域住民に問題視されている。建造物が設置され、フェンスもなく容易に原発敷地に立ち入ることができた二〇〇五年当時、対策を求めることなく国が原子炉の設置を許可した理由について説明されたい。 二 1 本年六月十六日、いわゆる重要土地等調査法が国会で成立した。島根原発三号機の敷地に隣接する「宮崎鼻」は複数の地権者が所有し、片句区民の共有林やノリ漁が行われる岩場が含まれている。当該地は同法による安全保障上重要な「注視区域」に該当するか。   2 「注視区域」とされた場合、地域住民が立ち入りを制限される等、私権制限の懸念があるが、政府の見解は如何か。また土地利用が規制される場合、国による損失の補償はあるか。 三 1 本年六月二十三日、原子力規制委員会は、秘密保持契約を結んでいたテロ対策施設に関する非公開文書を中国電力が無断で廃棄していたことを明らかにした。島根原発二号機の再稼働に係る審査合格が決まるヤマ場の局面であり、廃棄に意図が介在したか等、無断廃棄の経緯が判明した後に、改めて審査書案を議論すべきだったと考えるが、如何か。また、無断廃棄を知っていたにもかかわらず、審査合格とした理由について説明されたい。   2 島根原発に関するテロ対策文書に「宮崎鼻」の建屋についての記述はあるか。  右質問する。
a205017
特別定額給付金十万円の再給付に関する質問主意書
令和三年十月六日提出 質問第一七号 特別定額給付金十万円の再給付に関する質問主意書  米国政府は、新型コロナウイルス感染症に関する家計支援として、二〇二〇年三月に、一人当たり最大千二百ドル(二〇二〇歴年の実績値一ドル百六・七三円で計算(以下同じ方法で計算)すると、日本円換算で約十二万八千円)の現金給付を行い、同年十二月にも一人当たり最大六百ドル(約六万四千円)の現金給付を行った。これに加え、ジョー・バイデン米大統領は、一人当たり千四百ドル(約十四万九千円)の現金給付を行っており、これらを合計すると、一人当たり最大三千二百ドル(約三十四万一千円)の現金給付が行われた。  ジョー・バイデン米大統領は、国民への現金給付を含む新型コロナウイルスの感染拡大に対する一兆九千億ドル(約二百二兆七千八百七十億円)規模の追加景気刺激策を発表した際に、「危機的状況下で人々が深く苦しんでいるのは明白であり、ぐずぐずしている暇はない」「国内の労働者や家計にしっかりと焦点を当てて、今、大胆かつ賢明な投資を行えば、国内経済を強化し、不平等を解消し、国の財政はかつてないほど持続可能な方向に向かう」と述べており、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた米国内の経済を回復させるため、積極的に財政出動を行い、迅速に対処する必要があると強調した。  ジョー・バイデン米大統領の発言は、国民を想うリーダーの姿として大変共感するものであり、こうした米国における経済対策は、日本においても参考になる事例であると考える。  そうした中、岸田文雄首相においても、「今は国の危機だ。借金をしてでもしっかりと治療しなければならない。思い切った財政出動をしなければならない。」「分配なくして需要喚起、次の成長はない。」と述べられており、積極的な財政出動により分配を重視する意向を示されている。こうした発言を踏まえ、成長と分配を好循環させる具体的な戦略として、再度、国民一人当たり一律十万円の給付を行い、国民生活を支援すべきと考えるが如何か。所見を伺いたい。  右質問する。
a205018
コロナ禍における消費税の考え方に関する質問主意書
令和三年十月六日提出 質問第一八号 コロナ禍における消費税の考え方に関する質問主意書 一 令和三年九月十八日に開催された日本記者クラブ主催の討論会において岸田文雄首相は、消費税率について「十年程度は上げることは考えない」と答えているが、今から十年後にあたる二〇三一年頃までは消費税率を引き上げることはしないということで間違いないか、見解を確認したい。 二 岸田文雄首相は、「すぐに増税で財政(赤字)を埋めることはまったく考えていない」と説明する一方で、「財政は国の信用の礎なので財政再建の旗はおろしてはならない」と述べられている。これは、消費税を十年程度は増税することはないが、それ以降には財政再建を行うために消費税の増税を行うことを考えているという理解でよいか、所見を伺いたい。 三 国立国会図書館の調査によれば、コロナ禍において付加価値税(我が国における消費税に相当)を何らかの形で減税した国は、ドイツやイギリスなど四十五か国確認されている。  ドイツ経済研究所のマルセル・フラッシャー所長は、「付加価値減税は迅速に実施でき、全ての国民に恩恵をもたらす利点がある」と述べているが、こうした諸外国の事例を日本政府としては、どのように考察しているのか、所見を伺いたい。 四 令和三年九月二十七日に立憲民主党は、衆院選公約で打ち出す経済政策を発表し、消費税率を時限的に五%へ引き下げることを提案している。  岸田文雄首相においても、「今は国の危機だ。借金をしてでもしっかりと治療しなければならない。思い切った財政出動をしなければならない。」とも述べられていることを考えれば、時限的にでも消費税を減税し、国民負担を軽減すべきと考えるが如何か。所見を伺いたい。  右質問する。
a205019
外国人技能実習生に対する人権侵害に関する質問主意書
令和三年十月七日提出 質問第一九号 外国人技能実習生に対する人権侵害に関する質問主意書  アメリカ合衆国(以下「米国」という)が公表した二〇二一年『人身取引報告書』には、日本について、「外国を拠点とした人身取引犯や国内の人身取引犯は、外国人労働者を搾取するために政府が運営する技能実習制度を引き続き悪用した。技能実習制度の下での日本国内の移住労働者の強制労働が依然として報告されたにもかかわらず、またもや当局は、技能実習制度における人身取引事案や被害者を積極的には一件も認知しなかった。技能実習制度において、政府と送り出し国との協力覚書は、借金を理由に技能実習生を強要する主な要因の一つである外国に拠点を持つ労働者募集機関による過剰な金銭徴収を防止する上で効果を発揮しておらず、募集を行う者と雇用主に対して政府は、虐待的な労働慣行と強制労働犯罪の責任を課さなかった。」旨が記載されている。  その上で、次の項目が優先勧告事項とされている。 「・技能実習制度やその他のビザ付与制度の下で日本にいる人たちや入国者収容施設に収容されている人たちなど、移住労働者の中で強制労働の被害者である人たちの認知、保護支援サービスへの照会など、関係府省庁の標準的な手順を策定し体系化して実施する。・第三者のあっせんを介すことなく商業的な性的搾取を受けた児童、技能実習制度の下での移住労働者、特定技能ビザを含む新たなビザ制度で日本に入国する移住労働者などの被害者が、適切に認知され、かつ支援サービスを受けられるようにし、また人身取引犯に強要されて犯した違法行為によって、拘束または強制送還されることがないよう、被害者の審査を強化する。・外国人技能実習機構および出入国在留管理庁の職員を対象とした被害者認知の研修、外国人技能実習機構と非政府組織(NGO)との連携の向上、技能実習計画認定前の全ての契約の審査、雇用主に対する調査の増加、労働者が支払う過剰な手数料やその他金銭を課す外国の募集機関との契約解除などにより、技能実習制度改革法の監督および執行措置の実施を強化する。」  このように現在の技能実習制度に関し、他国から厳しい批判を受けていることは、特に、他国が同盟国である米国であり、国際社会の中で、同国を中心とする人権を尊重する国々と結束を強めなければならない時期をも考えると、深刻に受け止めるべきと考える。  そこで、次のとおり質問する。 一 同報告書に対する対応について  1 政府として、同報告書に記載されている技能実習に関する記述に反論があるか。また、反論があるとしたら、どのような反論か明らかにされたい。  2 上川陽子法務大臣(当時)は七月二日の記者会見で、同報告書に関し、「米国が独自に作成したものだ。法務省として答える立場にない」と述べている。しかし、米国は、日本にとって安全保障のみならず、気候変動を含む経済面においても重要な同盟国であることは明白なことである。そして、人権尊重は、米国が最も尊重している価値観といえる。このことを前提にしても、なお、政府として、同報告書中の日本に関連する記載に関し、真摯に検討した上で、コメントを公表する意思を有しないか。  3 前項の日本と米国の関係を前提とすれば、同報告書の日本に関連する記載に関し、日本を主たる拠点としない国際的に人権活動の評価の高いNGOなど第三者に、その事実の有無の検証を委託すべきと考えるが、政府として如何。また、その必要性がないと判断するのであれば、その理由を明らかにされたい。 二 同報告書を踏まえた政府対応について  1 同報告書を前提にすると、外国人の技能実習生に対する人権侵害が日常化しているかのように受け取られかねない。これでは、米国を中心とする人権を尊重する国々との間で結束を強めようにも、日本だけ置き去りにされる危険性があると懸念する。このような懸念が生じること自体が国際社会における日本の存在感に影響を与えるのであるから、技能実習制度の抜本的見直しに着手すべきと考えるが、政府として如何。  2 同報告書によると、技能実習制度が、労働の搾取に利用され、参加企業に不当な利益をもたらしていると考えられるが、政府がこのような不当な利益を強制的に徴収し、被害を被った技能実習生の被害弁償に充当する制度を導入すべきと考えるが、政府として如何。  右質問する。
a205020
企業の人権意識向上を推進する政府活動に関する質問主意書
令和三年十月七日提出 質問第二〇号 企業の人権意識向上を推進する政府活動に関する質問主意書  企業の人権に関する取り組みを数値化しベンチマークする国際的なイニシアチブであるCorporate Human Rights Benchmark(以下「CHRB」という)によると、国内大手自動車メーカーの人権への取り組みに関する数値が同業国際平均を下回るなど、業界国際平均を下回る大手企業が多く公表されている。  国際社会の中で、アメリカ合衆国を中心とする人権を尊重する国々と結束を強めなければならない時期に、国内企業の人権意識が低い状況が続くのであれば、日本の存在感に影響する懸念がある。  そこで、次のとおり質問する。 一 政府は、「ビジネスと人権」に関する行動計画(二〇二〇-二〇二五)を策定して公表しているが、その進捗状況は如何。 二 政府として、一般社団法人日本経済団体連合会に対して、さらなる人権意識の向上を会員企業に働きかけるべく申し入れなどを行うべきと考えるが、政府として如何。  右質問する。
a205021
オンラインゲームをめぐる法規制等に関する質問主意書
令和三年十月八日提出 質問第二一号 オンラインゲームをめぐる法規制等に関する質問主意書  オンラインゲームの業界団体である一般社団法人日本オンラインゲーム協会が行った調査によると、オンラインゲームの令和二年の国内市場規模は一兆二千五百六十六億円まで拡大しており、また、スマートフォンゲームユーザーの課金率については、前年に比べて若年層の伸びが目立っているとの報道がある。しかし、オンラインゲームをめぐっては、ガチャの高額課金、リアルマネートレードを利用した詐欺、マネーロンダリングなどの問題が指摘されている。一方、ガチャに課金する際の上限額、出現率の明記を義務付ける法律や、リアルマネートレード自体を規制する法律はなく、業界の自主規制に委ねられているのが現状である。  右を踏まえ、次の事項について質問する。 一 消費者庁が公表した「オンラインゲームの『コンプガチャ』と景品表示法の景品規制について」(平成二十四年五月十八日、平成二十八年四月一日一部改定)によれば、ガチャとは、「オンラインゲームの中で、オンラインゲームのプレーヤーに対してゲーム中で用いるキャラクターやアイテムを供給する仕組みのこと」とされている。  1 ガチャについては、オンラインゲーム上の希少なアイテムを入手するために高額な課金をすることが問題になっており、消費者庁においてもオンラインゲームにおける課金について注意喚起を行っている。しかし、現時点ではガチャの課金上限額について法規制は設けられていない。そこで、オンラインゲームのガチャについて高額課金をしてしまうという消費者トラブルの防止対策を講ずる必要があると考えるが、政府はこれまでどのような対策を行い、また、今後どのような対策を講ずるべく検討を行っているのか。  2 ガチャは、スマートフォンなどを通じて容易に課金できるため、未成年者によるガチャの課金が繰り返され、後に高額の請求を受けるといったケースが見られる。学校教育において一人一台の情報端末配備が進められる中、子どもがインターネットに接する機会が増え、今後ますます未成年者によるガチャの高額課金が増えることも考えられる。そこで、未成年者によるガチャの高額課金に対し政府として対策を講ずる必要があると考えるが、政府はこれまでどのような対策を行い、また、今後どのような対策を講ずるべく検討を行っているのか。  3 ガチャの出現率について、現在の法規制では、出現率を表示していた場合においてその表示された出現率と実際の出現率が異なるときは、景品表示法上問題があるとされるが、ガチャの出現率を明記すること自体は法律上の義務ではないとされる。過去には、ガチャの出現率がアップするとのゲーム会社からの告知を受け、高額の課金を行ったが、欲しいアイテムを入手できなかったとして、消費者庁に検査を求める署名運動が行われたとの報道もある。このような状況を踏まえ、ガチャの出現率の明記を義務付けるなど規制を設けることも考えられるが、政府はこれまでどのような対策を行い、また、今後どのような対策を講ずるべく検討を行っているのか。 二 オンラインゲームに関連する問題の一つとして、リアルマネートレードが挙げられる。日本オンラインゲーム協会スマートフォンガイドラインワーキンググループが二〇一三年に定めた「スマートフォンゲームアプリケーション運用ガイドライン」によると、リアルマネートレードとは、「ゲームで提供されるID、アイテム、ポイント等を現金と取引する行為」と定義されている。  1 リアルマネートレードに関して、ゲーム内で提供されるアイテム等との取引をうたって金銭を騙し取るなどの詐欺行為に利用者が巻き込まれる懸念や、暴力団等によるマネーロンダリングに利用される懸念について指摘がなされている。政府はこのような問題を認識しているか。認識しているのであれば、これらの問題について、どの省庁がどのような役割を担当し、これまでどのような対策を行い、また、今後どのような対策を講ずるべく検討を行っているのか。  2 平成二十八年九月に内閣府消費者委員会が公表した「スマホゲームに関する消費者問題についての意見」においては、スマートフォンゲームで見られる電子くじ(ガチャ)について、「電子くじで得られたアイテム等を換金するシステムを事業者が提供しているような場合や利用者が換金を目的としてゲームを利用する場合は、『財産上の利益』に該当する可能性があり、ひいては賭博罪に該当する可能性が高くなる」とされている。また、韓国においては、オンラインギャンブルの仮想通貨が、犯罪組織の資金源になるなどの社会問題が生じたことを背景に、リアルマネートレードを包括的に禁止する法律が制定されている。海外における規制状況等を踏まえ、我が国においても、リアルマネートレードを規制すべきと考えるが、政府はこれまでどのような対策を行い、また、今後どのような対策を講ずるべく検討を行っているのか。 三 近年、ゲームに過度にのめりこむことにより、日常生活や社会生活に著しい悪影響を及ぼすゲーム障害が問題となっている。二〇一九年には、世界保健機構が国際疾病分類においてゲーム障害を精神疾患として位置付けている。ゲーム障害については、特に若年層に多いとされ、そのため、学校現場などにおける予防教育が有効だと考えるが、現在、ゲーム障害の予防教育について政府においてどのような取組を行っているのか。また、ゲーム障害については、治療できる医療機関が少ないとの指摘もあるが、この点に対し政府としてどのような検討を行っているのか。さらに、ゲーム障害については、どの省庁がどのような役割を担当することになっているのか。  右質問する。
a205022
新型コロナウイルス感染判明後の迅速な医療提供等に関する質問主意書
令和三年十月八日提出 質問第二二号 新型コロナウイルス感染判明後の迅速な医療提供等に関する質問主意書  新型コロナウイルスに感染し、自宅等において容態が急変して亡くなられた方が本年八月に二百五十人に達し、本年七月の三十一人から約八倍と急増したことを警察庁が発表した。そして、新型コロナウイルス感染症対策本部が本年九月二十八日に決定した「新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組」も「想定を上回るスピード・規模での感染拡大が生じた結果、自宅療養者が急激に増加し、療養調整・医療提供体制に大きく負荷がかかり、自宅で適切な医療を受けられずに死亡するケースも生じた」として、保健所の調整機能がひっ迫したこと等による「自宅死」の発生を認めている。今後、医療を受けられずに自宅で亡くなるような「自宅死」の発生は、二度とあってはならない。  この冬の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況については、インフルエンザとの同時流行の懸念の指摘や「第六波」の波の高さが過去の波を上回るとの指摘がある。仮にこれらの指摘が正しかった場合、発熱等の症状を訴える者の数が膨大なものとなることが想定される。このような場合には、従来の保健所による入院・自宅療養・宿泊施設療養の調整や健康観察を中心とする仕組みでは再び保健所等の業務がひっ迫し、十分な医療を受けられない者が多数発生する可能性がある。こうした状況に対処するには、新型コロナウイルスに感染していることが判明した場合、直ちに当該感染者が必要な医療を受けられる体制を整備する必要があると考える。  そこで以下質問する。 一 保健所等による調整等の前の医療提供の可否等  1 感染症法は、二類感染症の患者等を発見した医師に対して直ちに保健所に通報することを求め、保健所は当該患者等を感染症指定医療機関に入院させることとしている。そのため、「新型コロナウイルス感染症は二類相当であるから、発生届提出後は保健所主導で動き、かかりつけ医等地域の医療機関では積極的な医療は提供できないのだ」との誤解が医療機関等にあるとの指摘がされている。こうした誤解を解消するための情報提供をすべきと考えるが、政府見解を伺う。  2 「自宅死」を防ぐには医療提供だけではなく生活支援も必要である。本年二月に施行された改正感染症法で都道府県知事に自宅療養者等への食事の提供等を行う努力義務が規定され、本年八月二十五日に厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部が都道府県と市町村の連携に関する事務連絡も発出されている。だが、本年九月の報道によれば、多くの都府県が個人情報保護を理由に自宅療養者の情報を市町村に伝えていないとのことである。また、市町村が自宅療養者等の情報が得られず苦労しているとの指摘もある。「第六波」の到来前に改めて都道府県・市町村間の情報連携が個人情報保護法・条例に抵触するものではないことや、「自宅死」防止のために積極的な情報連携が求められることを都道府県・市町村に示すべきと考えるが、政府見解を伺う。 二 感染判明後の迅速な医療提供  1 中和抗体薬や経口薬等の抗ウイルス薬については、症状発現後速やかに投与するほど効果が高いとの指摘がある。発熱等の症状を訴える者について、抗原検査キット等により迅速に新型コロナウイルスの感染の有無を判定し、感染が判明した場合には保健所等による調整等を待たず直ちに抗ウイルス薬を投与できる体制を構築すべきと考えるが、政府見解を伺う。  2 発熱等の症状がある者については、かかりつけ医等の地域の医療機関が最初に対応する可能性が高いと考えられる。しかしながら、資材の不十分さ等から院内感染の危険性が払拭できず、これらの地域の医療機関は不安を覚えているとも聞く。年内の経口薬承認を見据えて、早急にこれらの地域の医療機関において新型コロナウイルス感染症の検査及び抗ウイルス薬の投与が行える体制となるよう、検査キットや防護服等の資材供給、検査方法や治療方法の情報提供といった支援を実施すべきと考えるが、政府見解を伺う。  右質問する。
a206001
コメ先物上場廃止を踏まえた我が国のコメ政策に関する質問主意書
令和三年十一月十日提出 質問第一号 コメ先物上場廃止を踏まえた我が国のコメ政策に関する質問主意書  農林水産省は、堂島取引所によるコメ先物本上場認可申請について不認可との判断を下したと承知している。日本人の主食であるコメに関する政策は、生産者である農業従事者、流通業者、消費者たる国民全体にとって極めて重要である。コメに関する政策を巡っては、戦後長らく続いた固定価格による国の買入れや厳格な流通統制を核とする食糧管理法の廃止、食糧法の改正による流通と価格形成の完全自由化、更には、足もと二〇一八年度からは生産数量目標配分が廃止され、コメの産地自ら需要に応じた生産に取り組む流れにある。こうしたコメを巡る政策の変遷の中、コメの先物取引のもつ意義は益々高まっていたものと思料する。すなわち、先物市場で形成された価格は、需給の実態、市場の予想を的確に反映したものであり、コメの円滑・公正な取引の実施のため極めて有益なものといえる。特に生産者が自らの経営判断で生産を行うための社会インフラの一部を担うものとも言え、コメ政策の方向性にも合致するものと理解している。  以上を踏まえ、右質問する。 一 コメに関する政策において、先物取引の果たすべき役割をどのように考えるか、政府の認識と見解を問う。 二 堂島取引所におけるコメ先物の本上場認可申請に不認可との結論が下された今、事実上、コメの先物取引はこの国から無くなることとなる。一方、中国・大連では二〇一九年よりジャポニカ米の先物取引が開始されている。今後、ジャポニカ米の国際的な取引が盛んになるに伴い、そもそも生産量で日本を大きく上回り、先物取引の市場も存在する中国にコメの価格決定権を奪われる懸念がより現実的なものとなっていると思料する。我が国のコメの価格指標の在り方について、現在活用できる指標はあるのかも含め、政府の認識と見解を問う。 三 また、農産物の輸出振興を国策として掲げる政府において、先物取引の発展は価格指標としての有用性・信頼性を更に高めることに繋がり、将来のコメ輸出事業の展開など、産業育成にも資することを踏まえれば、今回の決定は、こうしたコメを巡る政策の方向性と逆行するとの見方もできるが、この点について、政府の認識と見解を問う。  右質問する。
b206001
衆議院議員松原仁君提出コメ先物上場廃止を踏まえた我が国のコメ政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年十一月十九日受領 答弁第一号   内閣衆質二〇六第一号   令和三年十一月十九日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員松原仁君提出コメ先物上場廃止を踏まえた我が国のコメ政策に関する質問に対する答弁書 一について  一般に商品先物取引は、商品の価格変動リスクの回避や公正な指標価格の形成などの機能を有しており、米穀の生産者及び流通業者に対しても同様の機能を果たし得るものと考えている。 二について  米穀の取引の指標となる価格に関する情報提供は重要であると考えており、米穀の取引価格については、農林水産省において、米穀の出荷業者と卸売業者との間の取引の価格を主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律(平成六年法律第百十三号)第五十二条第一項の規定に基づき出荷業者に報告をさせ、同法第五十条の規定により、当該取引の価格の平均を定期的に公表しているところである。 三について  御指摘の「コメを巡る政策の方向性と逆行する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「今回の決定」は、「堂島取引所によるコメ先物本上場認可申請」に対し、商品先物取引法(昭和二十五年法律第二百三十九号)第百五十六条第五項の規定に基づき、米穀について同項第三号に定める同法第八十条第一項第三号から第六号までに掲げる基準に照らし、適切に判断した結果である。
a206002
女性警察官の受傷事故等防止対策に関する質問主意書
令和三年十一月十日提出 質問第二号 女性警察官の受傷事故等防止対策に関する質問主意書  近年、全国の都道府県警で女性警察官の割合が増加し、職域が拡大するとともに幹部登用も進んでいることは喜ばしい。しかしながら、職域が拡大するにつれ受傷事故や拳銃強奪の危険が増加することも懸念される。  米国や英国などの警察では、圧縮窒素によって電極を飛ばして電流を流し、対象者に一時的な麻痺を起こさせることによって制圧する、いわゆるテーザーガンが広く採用され、大きな効果を上げている。米国の警察幹部研究フォーラムが平成二十一年に発表した調査結果によれば、テーザーガンを採用した法執行機関と採用していない機関を比較したところ、警察官の受傷は七十六パーセント減少し、対象者の受傷は四十パーセント以上減少していた。また米国ウェイク・フォレスト大学教授のウィリアム・ボーズマン医学博士が平成二十一年に米国緊急医学会の学会誌に発表した論文によれば、テーザーガンが犯罪容疑者に使用された千二百一件の事例を調査したところ、九十九・七五パーセントの対象者は全く負傷していないか軽微なけがをした程度だった。負傷した三件のうち二件は転倒した際の頭部外傷で、残る一件は横紋筋融解症だった。ボーズマン博士は、「警察が暴力的または戦闘的な容疑者を制圧するとき用いる他の選択肢と比較すると、これらの武器(テーザーガン)はたいへん安全のように思える」と述べている。  我が国でも女性警察官にテーザーガンを携帯させ、警察官等けん銃使用及び取扱い規範とは異なる規則に基づいて運用されるべきと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
b206002
衆議院議員松原仁君提出女性警察官の受傷事故等防止対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年十一月十九日受領 答弁第二号   内閣衆質二〇六第二号   令和三年十一月十九日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員松原仁君提出女性警察官の受傷事故等防止対策に関する質問に対する答弁書  御指摘のとおり、警察官の受傷事故防止等は極めて重要であると認識しており、引き続き、お尋ねの「テーザーガン」といった新たな装備資機材の整備及び活用の在り方について検討してまいりたい。
a206003
品川区を舞台とする北朝鮮による拉致・殺人事件に関する質問主意書
令和三年十一月十日提出 質問第三号 品川区を舞台とする北朝鮮による拉致・殺人事件に関する質問主意書  東京都品川区に所在した北朝鮮秘密工作組織ユニバース・トレイディング株式会社(在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)第一副議長だった金炳植氏が設立)を舞台に昭和四十九年に発生した、日本人女性渡辺秀子さんと子の高敬美さん・高剛さん姉弟の拉致事件(いわゆる姉弟拉致容疑事案)について、次の質問に答えられたい。 一 警察庁は、高敬美さんと高剛さんについて北朝鮮による拉致行為があったと判断しているが、渡辺秀子さんを拉致被害者と認定していない。渡辺秀子さんは、北朝鮮工作員によって日本国内で殺害されたとの証言も聞く。警察庁は、渡辺秀子さんは殺害された可能性が高いとみるか。 二 平成十九年四月に警視庁は、ユニバース・トレイディング株式会社について参考人として事情を聴くため、朝鮮総連の徐萬述議長(当時)と許宗萬責任副議長(現議長)、南昇祐副議長の三名に、書面で出頭を要請したが、三名は応じたか、政府として把握していれば答えられたい。 三 朝鮮総連最高幹部三名が前項の出頭要請に応じなかったとすれば、事案の重大性に鑑み、現在も在職中の二名が出頭するまで粘り強く説得を続け、事情を聴くべきと考えるが、政府の見解如何。 四 警察庁は高姉弟拉致の主犯である北朝鮮工作員・洪寿惠こと木下陽子容疑者について、逮捕状の発付を得て国際手配を行うとともに、外務省を通じて、北朝鮮に対し、身柄の引き渡しを要求している。木下容疑者は、昭和五十二年六月二十七日に帰化許可を受けて日本国籍を取得しているが、国籍法が定める素行善良の要件を満たしておらず、詐欺に基づき帰化許可処分が行われたといえる。政府は、捜査の結果、木下容疑者が現在北朝鮮国籍を有し、工作活動に悪用する目的で詐欺による帰化許可申請を行っていたことが明らかになったときは、木下容疑者への帰化許可処分を取消すべきと考えるが、見解如何。 五 読売新聞の平成十九年四月二十六日付社説によれば、ユニバース・トレイディング株式会社の関係者が、在日朝鮮人を親族に持つ若者など「三十人ほどを拉致した」と証言している。一つの工作拠点だけで三十人も拉致されているならば、全体で相当な規模であると推認できる。現在、高姉弟を含めて十九名が拉致被害者と認定されているが、それ以外に多数の拉致被害者が存在する可能性について、政府の見解如何。  右質問する。
b206003
衆議院議員松原仁君提出品川区を舞台とする北朝鮮による拉致・殺人事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年十一月十九日受領 答弁第三号   内閣衆質二〇六第三号   令和三年十一月十九日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員松原仁君提出品川区を舞台とする北朝鮮による拉致・殺人事件に関する質問に対する答弁書 一について  渡辺秀子氏は、昭和四十八年以降行方不明となっており、同氏に係る事案については、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案として、関係機関が連携を図りながら、捜査・調査を推進しているところである。これ以上の詳細については、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えを差し控えたい。 二及び三について  お尋ねについては、個別具体的な事案における捜査機関の活動内容に関わる事柄であり、お答えを差し控えたい。 四について  一般論として申し上げれば、申請者の詐欺等重大な不正行為に基づき帰化許可処分が行われた場合には、法務大臣において、当該帰化許可処分の取消しにより回復される公益と申請者の受ける不利益等を総合考慮した上で、当該帰化許可処分を取り消すこともあり得ると考えているが、取消しの可否については、個別の事案に応じて判断されるものである。 五について  北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律(平成十四年法律第百四十三号)第二条の規定により北朝鮮当局によって拉致された日本国民として認定された者十七名及び御指摘の「高姉弟」以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者が存在しているとの認識の下、関係機関が連携を図りながら、捜査・調査を推進しているところである。
a206004
北京冬季五輪の外交的ボイコットに関する質問主意書
令和三年十一月十日提出 質問第四号 北京冬季五輪の外交的ボイコットに関する質問主意書  中華人民共和国(中国)で開催予定の二〇二二年北京冬季オリンピック・パラリンピック競技大会(北京冬季五輪)の式典に、政府首脳や政府代表等を一切出席させない、いわゆる外交的ボイコットを求める声が、欧米で高まっている。  ナンシー・ペロシ米国下院議長は議会公聴会で本年五月十八日、中国のジェノサイド(民族大量虐殺)に沈黙することは許されず、世界各国の国家元首は北京冬季五輪に出席すべきでないとして、外交的ボイコットを呼びかけた。ペロシ議長は、ジェノサイドを行っている中国政府に敬意を表する国家元首は、今後人権について語る道徳的権威を失うと強調した。  欧州連合の欧州議会は本年七月八日、欧州委員会と欧州理事会、加盟国に対して、香港やウイグル、チベット、内モンゴルその他の地域の人権状況について中国政府が検証可能な改善を見せない限り、政府代表や外交官への北京冬季五輪出席の招待を拒否するよう求める決議を採択した。  英国下院議会は本年七月十五日、「本議会は、その国の政府が大規模な残虐犯罪を行っているとの信頼に足る告発を受けている国で、二〇二二年北京冬季五輪は開催されるべきでないと考える。そして英国政府に対して、中国政府が新疆地域での残虐行為を終結させ、英国の議員や市民、団体への制裁措置を解除しない限り、政府代表への二〇二二年北京冬季五輪出席の招待を拒否するよう求める」との決議を採択した。  アントニー・ブリンケン米国国務長官は下院外交委員会の公聴会で本年六月七日、北京冬季五輪への対応について共通のアプローチを確立するため、同盟国等と協議していると述べた。ドミニク・ラーブ英国外務大臣は本年七月二十九日、北京冬季五輪に出席する可能性は非常に低いと発言した。  こうした状況のなかで、我が国の政府首脳または政府代表が北京冬季五輪の式典に出席すれば、中国政府に誤ったメッセージを送り、ウイグル人ジェノサイドやチベット人への人権侵害、香港民主派への弾圧等を助長する。また、我が国に対する国際社会の信頼を著しく損なう。我が国は、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認しているのであって、ジェノサイドや人道に対する罪、人権侵害に目を閉ざすことは決して許されない。  香港やウイグル、チベット、内モンゴルその他の地域の人権状況について中国政府が検証可能な改善を見せない限り、北京冬季五輪の式典に政府関係者を一切出席させてはならないと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
b206004
衆議院議員松原仁君提出北京冬季五輪の外交的ボイコットに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年十一月十九日受領 答弁第四号   内閣衆質二〇六第四号   令和三年十一月十九日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員松原仁君提出北京冬季五輪の外交的ボイコットに関する質問に対する答弁書  オリンピック・パラリンピック競技大会の開会式又は閉会式への各国・地域の要人の出席については、当該国・地域のオリンピック委員会及びパラリンピック委員会による申請を国際オリンピック委員会及び国際パラリンピック委員会が認証する仕組みとなっている。第二十四回オリンピック冬季競技大会・第十三回パラリンピック冬季競技大会の開会式又は閉会式への我が国要人の出席については、こうした仕組みも踏まえつつ検討することとなるが、現時点では何ら決まっていない。
a206005
外国人技能実習生に対する人権侵害に関する質問主意書
令和三年十一月十日提出 質問第五号 外国人技能実習生に対する人権侵害に関する質問主意書  アメリカ合衆国(以下「米国」という)が公表した二〇二一年『人身取引報告書』には、日本について、「外国を拠点とした人身取引犯や国内の人身取引犯は、外国人労働者を搾取するために政府が運営する技能実習制度を引き続き悪用した。技能実習制度の下での日本国内の移住労働者の強制労働が依然として報告されたにもかかわらず、またもや当局は、技能実習制度における人身取引事案や被害者を積極的には一件も認知しなかった。技能実習制度において、政府と送り出し国との協力覚書は、借金を理由に技能実習生を強要する主な要因の一つである外国に拠点を持つ労働者募集機関による過剰な金銭徴収を防止する上で効果を発揮しておらず、募集を行う者と雇用主に対して政府は、虐待的な労働慣行と強制労働犯罪の責任を課さなかった。」旨が記載されている。  その上で、次の項目が優先勧告事項とされている。 「・技能実習制度やその他のビザ付与制度の下で日本にいる人たちや入国者収容施設に収容されている人たちなど、移住労働者の中で強制労働の被害者である人たちの認知、保護支援サービスへの照会など、関係府省庁の標準的な手順を策定し体系化して実施する。・第三者のあっせんを介すことなく商業的な性的搾取を受けた児童、技能実習制度の下での移住労働者、特定技能ビザを含む新たなビザ制度で日本に入国する移住労働者などの被害者が、適切に認知され、かつ支援サービスを受けられるようにし、また人身取引犯に強要されて犯した違法行為によって、拘束または強制送還されることがないよう、被害者の審査を強化する。・外国人技能実習機構および出入国在留管理庁の職員を対象とした被害者認知の研修、外国人技能実習機構と非政府組織(NGO)との連携の向上、技能実習計画認定前の全ての契約の審査、雇用主に対する調査の増加、労働者が支払う過剰な手数料やその他金銭を課す外国の募集機関との契約解除などにより、技能実習制度改革法の監督および執行措置の実施を強化する。」  このように現在の技能実習制度に関し、他国から厳しい批判を受けていることは、特に、他国が同盟国である米国であり、国際社会の中で、同国を中心とする人権を尊重する国々と結束を強めなければならない時期をも考えると、深刻に受け止めるべきと考える。  そこで、次のとおり質問する。 一 同報告書に対する対応について  1 政府として、同報告書に記載されている技能実習に関する記述に反論があるか。また、反論があるとしたら、どのような反論か明らかにされたい。  2 上川陽子法務大臣(当時)は七月二日の記者会見で、同報告書に関し、「米国が独自に作成したものだ。法務省として答える立場にない」と述べている。しかし、米国は、日本にとって安全保障のみならず、気候変動を含む経済面においても重要な同盟国であることは明白なことである。そして、人権尊重は、米国が最も尊重している価値観といえる。このことを前提にしても、なお、政府として、同報告書中の日本に関連する記載に関し、真摯に検討した上で、コメントを公表する意思を有しないか。  3 前項の日本と米国の関係を前提とすれば、同報告書の日本に関連する記載に関し、日本を主たる拠点としない国際的に人権活動の評価の高いNGOなど第三者に、その事実の有無の検証を委託すべきと考えるが、政府として如何。また、その必要性がないと判断するのであれば、その理由を明らかにされたい。 二 同報告書を踏まえた政府対応について  1 同報告書を前提にすると、外国人の技能実習生に対する人権侵害が日常化しているかのように受け取られかねない。これでは、米国を中心とする人権を尊重する国々との間で結束を強めようにも、日本だけ置き去りにされる危険性があると懸念する。このような懸念が生じること自体が国際社会における日本の存在感に影響を与えるのであるから、技能実習制度の抜本的見直しに着手すべきと考えるが、政府として如何。  2 同報告書によると、技能実習制度が、労働の搾取に利用され、参加企業に不当な利益をもたらしていると考えられるが、政府がこのような不当な利益を強制的に徴収し、被害を被った技能実習生の被害弁償に充当する制度を導入すべきと考えるが、政府として如何。  右質問する。
b206005
衆議院議員松原仁君提出外国人技能実習生に対する人権侵害に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年十一月十九日受領 答弁第五号   内閣衆質二〇六第五号   令和三年十一月十九日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員松原仁君提出外国人技能実習生に対する人権侵害に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「報告書」(以下「報告書」という。)は、米国国務省が同国の国内法の基準に照らして独自に作成したものであり、報告書の内容について、政府としてコメントする立場になく、また、「第三者」による検証を行うことも考えていない。 二の1について  外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(平成二十八年法律第八十九号。以下「法」という。)附則第二条において、「政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」とされていることを踏まえ、現在、法の施行状況について把握に努めているところであるため、お尋ねについて現時点でお答えすることは困難である。 二の2について  御指摘の「このような不当な利益を強制的に徴収し、被害を被った技能実習生の被害弁償に充当する制度」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。なお、外国人技能実習機構等が技能実習生について人身取引が疑われる事案等を把握したときは、関係機関と連携して調査を行うこととしており、法その他出入国又は労働に関する法令に違反する行為が認められれば、主務大臣等による行政処分等も含めて厳正に対処することとしている。
a206006
企業の人権意識向上を推進する政府活動に関する質問主意書
令和三年十一月十日提出 質問第六号 企業の人権意識向上を推進する政府活動に関する質問主意書  企業の人権に関する取り組みを数値化しベンチマークする国際的なイニシアチブであるCorporate Human Rights Benchmark(以下「CHRB」という)によると、国内大手自動車メーカーの人権への取り組みに関する数値が同業国際平均を下回るなど、業界国際平均を下回る大手企業が多く公表されている。  国際社会の中で、アメリカ合衆国を中心とする人権を尊重する国々と結束を強めなければならない時期に、国内企業の人権意識が低い状況が続くのであれば、日本の存在感に影響する懸念がある。  そこで、次のとおり質問する。 一 政府は、「ビジネスと人権」に関する行動計画(二〇二〇-二〇二五)を策定して公表しているが、その進捗状況は如何。 二 政府として、一般社団法人日本経済団体連合会に対して、さらなる人権意識の向上を会員企業に働きかけるべく申し入れなどを行うべきと考えるが、政府として如何。  右質問する。
b206006
衆議院議員松原仁君提出企業の人権意識向上を推進する政府活動に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年十一月十九日受領 答弁第六号   内閣衆質二〇六第六号   令和三年十一月十九日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員松原仁君提出企業の人権意識向上を推進する政府活動に関する質問に対する答弁書 一について  令和二年十月に「「ビジネスと人権」に関する行動計画(二千二十-二千二十五)」(以下「行動計画」という。)が策定されて以降、各府省庁において、行動計画に記載された取組を進めている。例えば、各府省庁のホームページ・広報資料による発信、行動計画の配架等による周知、国際会議や国内関連セミナー等での発信、業界団体等を通じた企業への周知活動の実施等を通じて、国内企業におけるビジネスと人権に関する一層の理解の促進と意識の向上を図り、責任ある企業行動を促しているところである。  また、行動計画の実施状況の確認等に当たって、必要な検討及び決定を関係府省庁が連携して行う場として「ビジネスと人権に関する行動計画の実施に係る関係府省庁連絡会議」を令和三年三月に設置し、経済団体を含む幅広い関係者との対話の場として「ビジネスと人権に関する行動計画推進円卓会議」の第一回会合を同年七月に開催した。 二について  政府としては、国内企業におけるビジネスと人権に関する一層の理解の促進と意識の向上のため、一般社団法人日本経済団体連合会に対して同連合会会員企業に対する行動計画の周知を要請するとともに、当該会員企業等が参加するセミナーの開催等を行っている。  なお、同連合会の企業行動・SDGs委員長は、一についてで述べた「ビジネスと人権に関する行動計画推進円卓会議」に構成員として参加している。  引き続きこれらの取組を行ってまいりたい。
a206007
水上オートバイによる危険行為の処罰に関する質問主意書
令和三年十一月十日提出 質問第七号 水上オートバイによる危険行為の処罰に関する質問主意書  夏はマリンスポーツが盛んになる時期であるが、今夏も水上オートバイによる遊泳やサーフィンを楽しむ者の近傍でスピードを落とさない危険操縦がみられた。また、河川において操業中の漁船の近傍で引き波を立てつつ走行するなどの危険操縦がみられた。このような水上オートバイの危険操縦に対して、さらなる安全性が確保できるよう法的整備等が必要であると考え、以下質問する。 一 政府は沿岸の海域での水上オートバイなどによる危険操縦について、現状をどのように把握しているか。 二 水上オートバイの危険操縦に対して、船舶職員及び小型船舶操縦者法で免許取消などの行政処分はあるものの、死亡事故が引き起こされかねない危険操縦に対する罰則としては軽微にすぎ、再発防止効果も乏しいと考える。そこで、罰則強化が必要と考えるが政府の見解如何。 三 交通安全に関して、例えば道路交通法においては、事細かくルールが定められているものの、海上交通においてはそのような事細かなルールは定められていない。海上の利用者の大半は、従来は運輸業や水産業など事業者であって、プロフェッショナルの世界として事細かなルールの必要性は低かったのかもしれない。しかし、沿岸の海域においては遊泳やサーフィン、水上オートバイなどレジャー目的の者が多く集まっており、事細かなルールが必要と考えるが政府の見解如何。 四 我が国は海で囲まれた地形であり、沿岸の海域は広範囲にわたる。全ての沿岸海域で取り締まることは困難であるが、監視カメラ設置やドローン活用など監視体制を強化する必要があると考えるが政府の見解如何。  右質問する。
b206007
衆議院議員櫻井周君提出水上オートバイによる危険行為の処罰に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年十一月十九日受領 答弁第七号   内閣衆質二〇六第七号   令和三年十一月十九日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出水上オートバイによる危険行為の処罰に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、船舶職員及び小型船舶操縦者法(昭和二十六年法律第百四十九号。以下「法」という。)第二十三条の三十六第三項の規定に違反する事実について、国土交通省においては、法第二十三条の三十八の規定に基づく海上保安官又は警察官による国土交通大臣への通知によって把握しているほか、地方運輸局(神戸運輸監理部、運輸支局及び海事事務所を含む。)及び沖縄総合事務局が海上保安部署及び警察機関と連携して行うパトロール活動によって把握している。 二について  法第二十三条の三十六第三項において、小型船舶操縦者が、人の生命、身体又は財産に対する危険を生じさせるおそれがある操縦として国土交通省令で定める方法で、小型船舶を操縦することを禁止している。また、このような操縦により人の死傷等が生じた海難について、海難審判法(昭和二十二年法律第百三十五号)に基づき、海難審判所が審判を行い、その結果、小型船舶操縦士の職務上の故意又は過失によって発生したものとされた場合においては、当該小型船舶操縦士に対し、免許の取消し等の懲戒を行うこととなる。加えて、法第二十三条の三十六第三項の規定に違反した者に対して、教育による資質の改善を図ることを目的として、再教育講習を実施しているところである。  その上で、水上オートバイの危険操縦に対する罰則については、各地域の事情等を踏まえて、各地方公共団体が必要に応じ、条例において措置していると承知しているが、罰則の強化については、政府においても、水上オートバイの事故の発生状況等を踏まえつつ、必要に応じて検討していきたいと考えている。 三について  御指摘の「事細かなルール」がどのようなものを指すのか必ずしも明らかではないが、法は、小型船舶操縦者として小型船舶に乗船させるべき者の資格及び遵守事項等を定め、もって船舶の航行の安全を図ることを目的としており、法第二十三条の三十六第三項の規定に基づき定められた船舶職員及び小型船舶操縦者法施行規則(昭和二十六年運輸省令第九十一号)第百三十六条において、人の生命、身体又は財産に対する危険を生じさせるおそれがある操縦の方法として、遊泳者その他の人の付近において、小型船舶をこれらの者との衝突その他の危険を生じさせるおそれのある速力で航行する操縦の方法及び遊泳者その他の人の付近において、小型船舶を急回転し、又は縫航する操縦の方法を規定し、これらの方法で小型船舶を操縦することを禁止している。また、海上衝突予防法(昭和五十二年法律第六十二号)は、国際規則の規定に準拠して、船舶の遵守すべき航法等に関し必要な事項を定めることにより、海上における船舶の衝突を予防し、もって船舶交通の安全を図ることを目的としており、船舶に対し、他の船舶との衝突を避けるための適切かつ有効な動作をとること又はその時の状況に適した距離で停止することができるように、常時安全な速力で航行すること等を義務付けている。なお、これらの法律は、御指摘のような「遊泳やサーフィン、水上オートバイなどレジャー目的の者」が多く集まる沿岸等の特定の海域におけるルールを定めているものではない。  いずれにせよ、「レジャー目的の者」が多く集まる沿岸海域の状況は、それぞれの海域で異なると考えられることから、それぞれの海域の事情に即したルールについては、各地方公共団体において、必要に応じ、策定されることが適切であると考える。 四について  水上オートバイによる危険操縦の対策のために監視カメラ及び無人航空機を活用することについては、予算やこれらを操作する人員の確保等の課題が存在することから、水上オートバイによる危険操縦の対策に係る関係行政機関において慎重に検討する必要があるものと認識している。いずれにせよ、監視体制の強化については、関係行政機関において水上オートバイの危険操縦に係る事故の発生状況等を引き続き注視しつつ、必要に応じて検討することを考えている。
a206008
保健所の業務効率化に関する質問主意書
令和三年十一月十日提出 質問第八号 保健所の業務効率化に関する質問主意書  新型コロナウイルス感染症の蔓延により、保健所の業務が逼迫している。そこで、保健所の業務の中で優先度の低いものについて、廃止するなどの業務効率化を進める必要がある。そこで、以下質問する。 一 保健所の業務効率化のための業務見直しを政府としてどのように進めてきたか。 二 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の自立支援医療は、有効期間が一年であり、毎年更新の手続きが必要である。保健所の業務が逼迫している中では有効期間を複数年に延ばすか、必要でなくなったときに返納するなど、一年更新の制度を改めることを提案するが政府の見解如何。 三 新型コロナウイルス感染症の入院医療費について、陽性となった後の入院費や治療費、病院から提供される食事代等については、公費負担となることが原則だが、患者及び生計を同一にする世帯員全ての市町村民税の所得割額を合算した額が五十六万四千円を超える方は、入院費や治療費等において、月額二万円を上限に自己負担となる。このため、保健所は新型コロナウイルス感染症の陽性者から課税証明書などを取り付ける必要があり、業務負担となっている。保健所の業務が逼迫している中では、治療費の所得制限を廃止することを提案するが政府の見解如何。  右質問する。
b206008
衆議院議員櫻井周君提出保健所の業務効率化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年十一月十九日受領 答弁第八号   内閣衆質二〇六第八号   令和三年十一月十九日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員櫻井周君提出保健所の業務効率化に関する質問に対する答弁書 一について  政府としては、新型コロナウイルス感染症の感染の拡大により、保健所の業務に様々な課題が生じていることを踏まえ、例えば、新型コロナウイルス感染症の軽症者等であって自宅療養を行う者の健康観察を効率化するシステムの開発、住民からの問合せに係る業務の地域の医師会等への委託の積極的な活用等による保健所の業務に関する体制の見直しの方針や縮小・延期等の柔軟な対応が可能な業務の都道府県等に対する周知等により、新型コロナウイルス感染症の対応に関する保健所の業務の効率化に取り組んできたところである。  さらに、都道府県等に対して、今般、改めて「今後の感染拡大に備えた新型コロナウイルス感染症に係る保健所体制の整備等について」(令和三年十月一日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)により、今後の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に対応するための「保健・医療提供体制確保計画」の策定に当たり、全国の保健所の業務の効率化に関する好事例を示しつつ、保健所の体制整備等を依頼したところである。 二について  障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五十二条第一項の規定による自立支援医療費の支給認定については、当該支給認定の申請に係る障害者等の治療状況に加え、当該障害者等又はその属する世帯の他の世帯員の所得の状況に応じた適正な給付を確保する観点から、その有効期間を一年以内としており、当該有効期間を一年を超えるものとすることは考えていない。 三について  御指摘の「治療費の所得制限を廃止する」の趣旨が明らかではないが、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号。以下「法」という。)第三十七条第二項の規定においては、負担能力に応じた負担とするという観点から、都道府県等は同条第一項に規定する患者若しくはその配偶者又は民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条第一項に定める扶養義務者(以下「患者等」という。)が法第三十七条第一項各号に掲げる医療に要する費用(以下「医療費」という。)の全部又は一部を負担することができると認められるときは、その限度において、医療費の負担を要しないとされているところ、都道府県等は、当該規定の趣旨を踏まえ、患者等の所得税額等の必要な情報を把握し、医療費の負担を求める対象者及びその限度について適切に認定を行う必要があると考えている。  なお、今般、新型コロナウイルス感染症の影響により、保健所の業務負担が増加していること等を踏まえ、「新型コロナウイルス感染症に係る感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による医療の公費負担の申請手続について(周知)」(令和三年五月二十六日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)において、同条第二項の規定に基づき患者等が全部又は一部を負担することができると都道府県等が認めるに当たって、退院後の当該患者等の居所が不明であること等により連絡をとることが困難な場合等は、所得証明書等の添付書類の提出を省略して差し支えないことを周知しているところである。
a206009
柔軟仕上げ剤等によるいわゆる「香害」の調査等に関する質問主意書
令和三年十一月十日提出 質問第九号 柔軟仕上げ剤等によるいわゆる「香害」の調査等に関する質問主意書  独立行政法人国民生活センターが令和二年四月九日に公表した「柔軟仕上げ剤のにおいに関する情報提供」(以下「国民生活センター情報提供」という。)によると、「柔軟仕上げ剤のにおい」に関して、年間百三十から二百五十件程度の相談が寄せられている。その相談内容は、他人が使用した柔軟仕上げ剤のにおいにより、呼吸器障害、皮膚障害、頭痛、吐き気、めまい等が発生したとするものが多い。いわゆる「香害」と呼ばれるものであり、多種の微量な化学物質に反応する「化学物質過敏症」の一因との指摘もある。「化学物質過敏症」は、花粉症のように、誰にでも起こる可能性があるとも言われている。  この「香害」については、消費者庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省及び環境省の五省庁による「その香り困っている人がいるかも?」と題されたポスターも作成されている。  また、学校における「香害」に関して、令和三年二月二十六日の予算委員会第四分科会において、萩生田文部科学大臣が「においというのは人によって好き嫌いがいろいろあるかもしれないんですけれども、実際に体に異常を来して、ましてや学校に来れなくなるという児童がいるというようなことだとすれば、これは極めて重い課題だというふうに思います。」と答弁しており、各教育委員会での取組も行われていると承知している。  「香害」については、周知啓発に加えて、更なる施策が必要と思われるので、以下質問する。 一 令和二年十月二日「衆議院議員丸山穂高君提出柔軟仕上げ剤等によるいわゆる香害に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二〇二第一五号。以下「政府答弁書」という。)において「『いわゆる香害と化学物質との因果関係』に係る調査や研究については、実施していない。」と答弁されているが、これまで政府において「香害」の原因となる物質、健康被害の発生状況等について調査又は研究を行ったことがあるか。行ったことがある場合には、その結果の概要を示されたい。行ったことがない場合には、今後行う予定はあるか。 二 政府答弁書において、柔軟仕上げ剤を家庭用品品質表示法の指定品目に追加し、香料を含めた成分表示を義務付けることの必要性について「政府としては、引き続き、こうした各事業者による取組の効果を注視していきたい」と答弁されているが、「注視していきたい」という政府の考えに変化はないか。また、洗濯用合成洗剤や衣料用漂白剤が指定品目とされ、柔軟仕上げ剤が指定品目とされないのはなぜか。 三 消費者庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省及び環境省の五省庁による「その香り困っている人がいるかも?」とのポスターは、「柔軟剤などの香りで頭痛や吐き気がする」、「不快に感じる」、「香りの強さの感じ方には個人差があります」と記載されてはいるものの、このポスターでは、実際の「香害」の被害が具体的に伝わらないように思われる。国民生活センター情報提供によって明らかとなった年間の相談件数や被害の状況を示すとともに、香料等に含まれる化学物質により健康被害がもたらされる可能性について、注意喚起や普及啓発をする必要があると考えるが、政府の見解を伺う。 四 令和三年二月二十六日の予算委員会第四分科会において、政府参考人が「学校環境衛生基準の中では、学校の建物それから大きな設備、備品等から発せられる物質で、いわゆるシックハウス症候群、通称シックスクールというものがあり、それについて正確な検査をする際に、子供たちがいない状態での検査を行わせていただいている」と答弁をしている。学校における安全性の検査ならば、子供たちがいる状態での検査が実態に即しているように思われるが、「子供たちがいない状態での検査」が「正確な検査」となる理由を説明されたい。また、学校において「香害」による健康被害を訴える児童生徒の調査や研究はされているか。  右質問する。
b206009
衆議院議員前原誠司君提出柔軟仕上げ剤等によるいわゆる「香害」の調査等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年十一月十九日受領 答弁第九号   内閣衆質二〇六第九号   令和三年十一月十九日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員前原誠司君提出柔軟仕上げ剤等によるいわゆる「香害」の調査等に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「「香害」の原因となる物質、健康被害の発生状況等」について、調査又は研究を行ったことはなく、今後行う予定もない。 二について  お尋ねのうち、「政府の考え」については、御指摘の答弁書(令和二年十月二日内閣衆質二〇二第一五号)二についてで述べたとおりであり、この政府の認識に変わりはない。  また、柔軟仕上げ剤は、現時点においては、一般消費者がその購入に際し品質を識別することが著しく困難であり、かつ、その品質を識別することが特に必要であると認められるものに該当しないと考えられるため、家庭用品品質表示法(昭和三十七年法律第百四号)第二条第一項の家庭用品に該当しないと考えている。 三について  柔軟仕上げ剤の匂いに関し、独立行政法人国民生活センターが運営する全国消費生活情報ネットワーク・システムに各地の消費生活センターから令和三年十月末までに登録された令和二年度に受け付けた相談件数は、百十五件であり、例えば、柔軟仕上げ剤の匂いで頭痛や吐き気がするなどの相談があるものと承知している。  また、御指摘の「香料等に含まれる化学物質」と健康被害との因果関係が明らかではないため、「香料等に含まれる化学物質により健康被害がもたらされる可能性について、注意喚起や普及啓発をする」ことは困難である。 四について  御指摘の予算委員会第四分科会における答弁については、学校環境衛生基準(平成二十一年文部科学省告示第六十号)において、ホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物の検査は、外気とは異なる学校環境特有の状況を検査するため「児童生徒等がいない教室等において、三十分以上換気の後五時間以上密閉してから採取」することとされていることを踏まえ、同基準に基づく正確な検査を行う際に「子供たちがいない状態での検査」を行う旨を答弁したものである。  また、御指摘の「学校において「香害」による健康被害を訴える児童生徒の調査や研究」を行ったことはない。
a206010
オンラインゲームをめぐる法規制等に関する質問主意書
令和三年十一月十日提出 質問第一〇号 オンラインゲームをめぐる法規制等に関する質問主意書  オンラインゲームの業界団体である一般社団法人日本オンラインゲーム協会が行った調査によると、オンラインゲームの令和二年の国内市場規模は一兆二千五百六十六億円まで拡大しており、また、スマートフォンゲームユーザーの課金率については、前年に比べて若年層の伸びが目立っているとの報道がある。しかし、オンラインゲームをめぐっては、ガチャの高額課金、リアルマネートレードを利用した詐欺、マネーロンダリングなどの問題が指摘されている。一方、ガチャに課金する際の上限額、出現率の明記を義務付ける法律や、リアルマネートレード自体を規制する法律はなく、業界の自主規制に委ねられているのが現状である。  右を踏まえ、次の事項について質問する。 一 消費者庁が公表した「オンラインゲームの『コンプガチャ』と景品表示法の景品規制について」(平成二十四年五月十八日、平成二十八年四月一日一部改定)によれば、ガチャとは、「オンラインゲームの中で、オンラインゲームのプレーヤーに対してゲーム中で用いるキャラクターやアイテムを供給する仕組みのこと」とされている。  1 ガチャについては、オンラインゲーム上の希少なアイテムを入手するために高額な課金をすることが問題になっており、消費者庁においてもオンラインゲームにおける課金について注意喚起を行っている。しかし、現時点ではガチャの課金上限額について法規制は設けられていない。そこで、オンラインゲームのガチャについて高額課金をしてしまうという消費者トラブルの防止対策を講ずる必要があると考えるが、政府はこれまでどのような対策を行い、また、今後どのような対策を講ずるべく検討を行っているのか。  2 ガチャは、スマートフォンなどを通じて容易に課金できるため、未成年者によるガチャの課金が繰り返され、後に高額の請求を受けるといったケースが見られる。学校教育において一人一台の情報端末配備が進められる中、子どもがインターネットに接する機会が増え、今後ますます未成年者によるガチャの高額課金が増えることも考えられる。そこで、未成年者によるガチャの高額課金に対し政府として対策を講ずる必要があると考えるが、政府はこれまでどのような対策を行い、また、今後どのような対策を講ずるべく検討を行っているのか。  3 ガチャの出現率について、現在の法規制では、出現率を表示していた場合においてその表示された出現率と実際の出現率が異なるときは、景品表示法上問題があるとされるが、ガチャの出現率を明記すること自体は法律上の義務ではないとされる。過去には、ガチャの出現率がアップするとのゲーム会社からの告知を受け、高額の課金を行ったが、欲しいアイテムを入手できなかったとして、消費者庁に検査を求める署名運動が行われたとの報道もある。このような状況を踏まえ、ガチャの出現率の明記を義務付けるなど規制を設けることも考えられるが、政府はこれまでどのような対策を行い、また、今後どのような対策を講ずるべく検討を行っているのか。 二 オンラインゲームに関連する問題の一つとして、リアルマネートレードが挙げられる。日本オンラインゲーム協会スマートフォンガイドラインワーキンググループが二〇一三年に定めた「スマートフォンゲームアプリケーション運用ガイドライン」によると、リアルマネートレードとは、「ゲームで提供されるID、アイテム、ポイント等を現金と取引する行為」と定義されている。  1 リアルマネートレードに関して、ゲーム内で提供されるアイテム等との取引をうたって金銭を騙し取るなどの詐欺行為に利用者が巻き込まれる懸念や、暴力団等によるマネーロンダリングに利用される懸念について指摘がなされている。政府はこのような問題を認識しているか。認識しているのであれば、これらの問題について、どの省庁がどのような役割を担当し、これまでどのような対策を行い、また、今後どのような対策を講ずるべく検討を行っているのか。  2 平成二十八年九月に内閣府消費者委員会が公表した「スマホゲームに関する消費者問題についての意見」においては、スマートフォンゲームで見られる電子くじ(ガチャ)について、「電子くじで得られたアイテム等を換金するシステムを事業者が提供しているような場合や利用者が換金を目的としてゲームを利用する場合は、『財産上の利益』に該当する可能性があり、ひいては賭博罪に該当する可能性が高くなる」とされている。また、韓国においては、オンラインギャンブルの仮想通貨が、犯罪組織の資金源になるなどの社会問題が生じたことを背景に、リアルマネートレードを包括的に禁止する法律が制定されている。海外における規制状況等を踏まえ、我が国においても、リアルマネートレードを規制すべきと考えるが、政府はこれまでどのような対策を行い、また、今後どのような対策を講ずるべく検討を行っているのか。 三 近年、ゲームに過度にのめりこむことにより、日常生活や社会生活に著しい悪影響を及ぼすゲーム障害が問題となっている。二〇一九年には、世界保健機構が国際疾病分類においてゲーム障害を精神疾患として位置付けている。ゲーム障害については、特に若年層に多いとされ、そのため、学校現場などにおける予防教育が有効だと考えるが、現在、ゲーム障害の予防教育について政府においてどのような取組を行っているのか。また、ゲーム障害については、治療できる医療機関が少ないとの指摘もあるが、この点に対し政府としてどのような検討を行っているのか。さらに、ゲーム障害については、どの省庁がどのような役割を担当することになっているのか。  右質問する。
b206010
衆議院議員青山大人君提出オンラインゲームをめぐる法規制等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年十一月十九日受領 答弁第一〇号   内閣衆質二〇六第一〇号   令和三年十一月十九日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員青山大人君提出オンラインゲームをめぐる法規制等に関する質問に対する答弁書 一の1及び3について  御指摘のオンラインゲームの「ガチャ」に係る「消費者トラブルの防止対策」については、政府として、オンラインゲームに係る高額課金等に関する注意喚起を行っているところであり、引き続き、消費生活相談情報の内容や件数を踏まえつつ、必要な取組を適切に行ってまいりたい。  また、オンラインゲームに係る御指摘の「出現率」に関し、不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第五条の規定に違反する不当な表示に該当する表示がなされた場合には、厳正に対処しているところである。さらに、オンラインゲームの供給を行っている企業においても、御指摘の「出現率」に関し、自主的な規制が行われているものと承知しており、政府としては、引き続き、こうした企業による取組の効果を注視していきたいと考えている。 一の2について  御指摘の「未成年者によるガチャの高額課金」については、政府として、オンラインゲームの高額課金の問題に関する青少年に対する啓発活動や、相談窓口の周知に取り組んでいるところであり、引き続き、必要な取組を適切に行ってまいりたい。 二について  御指摘の「リアルマネートレード」に関しては、犯罪に悪用されることが懸念されていることは承知しているところ、捜査当局において、刑罰法令に触れる行為があると認める場合には、法と証拠に基づき適切に対処するものと承知している。また、オンラインゲームの供給を行っている企業の業界団体においても、利用者間のトラブルの防止等の観点から、自主的な規制、広報啓発活動等が行われているものと認識しており、政府としては、引き続き、「リアルマネートレード」に係る動向を注視しつつ、必要に応じて、警察庁、金融庁、内閣府等の関係省庁が連携して、それぞれの所掌事務に基づき必要な取組を行ってまいりたい。 三について  お尋ねについては、例えば、文部科学省において、御指摘の「ゲーム障害」を含めた行動嗜癖に関する教育を行うに当たっての教員向けの資料を作成するなどの取組を行ったり、経済産業省において、ゲーム産業の健全な発展のため、業界団体における自主的な取組とも連携し、消費者向けの普及啓発を図ったりしているほか、厚生労働省において、御指摘の「ゲーム障害」の診療を行っている医療機関の実態調査や標準的な治療・回復プログラムの開発等を行っているなど、関係省庁が緊密な連携の下、それぞれの所掌事務に基づき必要な対策に取り組んでいるところである。
a206011
新型コロナウイルス感染判明後の迅速な医療提供等に関する質問主意書
令和三年十一月十日提出 質問第一一号 新型コロナウイルス感染判明後の迅速な医療提供等に関する質問主意書  新型コロナウイルスに感染し、自宅等において容態が急変して亡くなられた方が本年八月に二百五十人に達し、本年七月の三十一人から約八倍と急増したことを警察庁が発表した。そして、新型コロナウイルス感染症対策本部が本年九月二十八日に決定した「新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組」も「想定を上回るスピード・規模での感染拡大が生じた結果、自宅療養者が急激に増加し、療養調整・医療提供体制に大きく負荷がかかり、自宅で適切な医療を受けられずに死亡するケースも生じた」として、保健所の調整機能がひっ迫したこと等による「自宅死」の発生を認めている。今後、医療を受けられずに自宅で亡くなるような「自宅死」の発生は、二度とあってはならない。  この冬の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況については、インフルエンザとの同時流行の懸念の指摘や「第六波」の波の高さが過去の波を上回るとの指摘がある。仮にこれらの指摘が正しかった場合、発熱等の症状を訴える者の数が膨大なものとなることが想定される。このような場合には、従来の保健所による入院・自宅療養・宿泊施設療養の調整や健康観察を中心とする仕組みでは再び保健所等の業務がひっ迫し、十分な医療を受けられない者が多数発生する可能性がある。こうした状況に対処するには、新型コロナウイルスに感染していることが判明した場合、直ちに当該感染者が必要な医療を受けられる体制を整備する必要があると考える。  そこで以下質問する。 一 保健所等による調整等の前の医療提供の可否等  1 感染症法は、二類感染症の患者等を発見した医師に対して直ちに保健所に通報することを求め、保健所は当該患者等を感染症指定医療機関に入院させることとしている。そのため、「新型コロナウイルス感染症は二類相当であるから、発生届提出後は保健所主導で動き、かかりつけ医等地域の医療機関では積極的な医療は提供できないのだ」との誤解が医療機関等にあるとの指摘がされている。こうした誤解を解消するための情報提供をすべきと考えるが、政府見解を伺う。  2 「自宅死」を防ぐには医療提供だけではなく生活支援も必要である。本年二月に施行された改正感染症法で都道府県知事に自宅療養者等への食事の提供等を行う努力義務が規定され、本年八月二十五日に厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部が都道府県と市町村の連携に関する事務連絡も発出されている。だが、本年九月の報道によれば、多くの都府県が個人情報保護を理由に自宅療養者の情報を市町村に伝えていないとのことである。また、市町村が自宅療養者等の情報が得られず苦労しているとの指摘もある。「第六波」の到来前に改めて都道府県・市町村間の情報連携が個人情報保護法・条例に抵触するものではないことや、「自宅死」防止のために積極的な情報連携が求められることを都道府県・市町村に示すべきと考えるが、政府見解を伺う。 二 感染判明後の迅速な医療提供  1 中和抗体薬や経口薬等の抗ウイルス薬については、症状発現後速やかに投与するほど効果が高いとの指摘がある。発熱等の症状を訴える者について、抗原検査キット等により迅速に新型コロナウイルスの感染の有無を判定し、感染が判明した場合には保健所等による調整等を待たず直ちに抗ウイルス薬を投与できる体制を構築すべきと考えるが、政府見解を伺う。  2 発熱等の症状がある者については、かかりつけ医等の地域の医療機関が最初に対応する可能性が高いと考えられる。しかしながら、資材の不十分さ等から院内感染の危険性が払拭できず、これらの地域の医療機関は不安を覚えているとも聞く。年内の経口薬承認を見据えて、早急にこれらの地域の医療機関において新型コロナウイルス感染症の検査及び抗ウイルス薬の投与が行える体制となるよう、検査キットや防護服等の資材供給、検査方法や治療方法の情報提供といった支援を実施すべきと考えるが、政府見解を伺う。  右質問する。
b206011
衆議院議員青山大人君提出新型コロナウイルス感染判明後の迅速な医療提供等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年十一月十九日受領 答弁第一一号   内閣衆質二〇六第一一号   令和三年十一月十九日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員青山大人君提出新型コロナウイルス感染判明後の迅速な医療提供等に関する質問に対する答弁書 一の1について  お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)の規定は、いずれも、地域の医療機関による医療の提供を妨げる趣旨のものではなく、本年夏の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により保健所の業務負担が増加していた状況においても、「地域の医療機関等の協力による健康観察等の推進について」(令和三年九月二日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)を発出し、都道府県等に対し、「地域の実情に応じて、診断を行った医療機関などの地域の医療機関等においても、症状に応じて、例えば一日一回、患者の状態確認を行うことや、患者からの医療的な相談を受けること(症状が悪化するリスクの小さい患者に対しては、都道府県等の医療相談窓口を案内することも考えられる)、必要な患者には同意を得た上で電話等による診療を行うこと等について、地域の医療関係者と連携の上、積極的にご検討いただくよう」お願いし、地域の医療機関等と連携した健康観察等の推進を図ってきたところである。 一の2について  お尋ねについては、都道府県と市町村が連携して行う自宅療養者等に対する生活支援の重要性に鑑み、厚生労働省及び総務省において、「感染症法第四十四条の三第六項の規定による都道府県と市町村の連携について(自宅療養者等に係る個人情報の提供等に関する取扱いについて)」(令和三年九月六日付け健感発〇九〇六第二号・総行行第二九七号厚生労働省健康局結核感染症課長及び総務省自治行政局行政課長連名通知)を発出し、都道府県等に対し、「都道府県と市町村が連携して自宅療養者等に対する生活支援を行うよう」お願いし、「都道府県から市町村への自宅療養者等の個人情報の提供については、各都道府県がそれぞれの個人情報保護条例に照らしてその可否を判断することとなりますが、連携規定に基づき市町村が自宅療養者等の食料品、生活必需品等の提供などの生活支援を行うために必要な市町村への個人情報の提供は、一般的には、人の生命又は身体の保護のため、緊急の必要があるときの個人情報の提供と考えられる」ことを周知しているところ、都道府県においては、市町村と連携して行う自宅療養者等に対する生活支援に当たり、必要に応じて市町村に対して自宅療養者等に関する情報提供が行われるものと考えている。 二の1について  お尋ねについては、都道府県等に対し、「「新型コロナウイルス感染症の検査体制整備に関する指針」について」(令和三年十月一日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)において、「PCR検査、抗原定量検査及び抗原定性検査の特性を踏まえつつ、これらの検査方法の適切な組み合わせにより、迅速で効率的な検査体制を構築しておく必要がある」ことを示すこと等により新型コロナウイルス感染症に係る検査を受ける必要がある者が迅速かつ円滑に検査を受けられるよう、検査体制の強化に努めるとともに、「中和抗体薬」については、「新型コロナウイルス感染症における中和抗体薬の医療機関への配分について(疑義応答集の修正)」(令和三年七月二十日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)において、「投与対象となりうる患者が受診等する可能性のある診療・検査医療機関において、患者に対し本剤を投与する医療機関を迅速に紹介できるよう、都道府県においては、当該医療機関のリストを作成し、管内の診療・検査医療機関に共有いただくようお願いします」等と示すことにより、保健所が関与することなく迅速に投与ができる体制の整備を進めているところである。また、新型コロナウイルス感染症の「経口薬」は、いまだ開発中のものであると承知しており、お尋ねについてお答えすることは困難である。 二の2について  お尋ねについては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大時においても安定した医療提供体制を継続できるよう、抗原簡易検査キット並びにマスク、ガウン、フェイスシールド及び手袋を政府において必要に応じて確保し、医療機関等に対して配布する仕組みを整備するとともに、検査方法や治療方法の情報提供については、令和二年度厚生労働行政推進調査事業費補助金による「マスギャザリング時や新興・再興感染症の発生に備えた感染症サーベイランスの強化とリスクアセスメントに関する研究」において作成された「新型コロナウイルス感染症(COVID-十九)病原体検査の指針(第四・一版)」及び令和二年度厚生労働行政推進調査事業費補助金による「一類感染症等の患者発生時に備えた臨床的対応に関する研究」において作成された「新型コロナウイルス感染症(COVID-十九)診療の手引き(第六・〇版)」において示されており、いずれも厚生労働省のホームページ等を通じて周知しているところである。
a206012
子ども総合基本法と総合的な子ども・子育て政策の必要性に関する質問主意書
令和三年十一月十日提出 質問第一二号 子ども総合基本法と総合的な子ども・子育て政策の必要性に関する質問主意書  立憲民主党は子育て困窮世帯の当事者や支援団体など多くの方からいただいたご要望、ご意見をもとに、二〇二一年五月三十一日、衆議院に子どもの最善の利益が図られるための子ども施策の総合的な推進に関する法律案(子ども総合基本法案)を提出した。この法案は、子どもの貧困率を十年間で半減させることを目標に、欧州諸国と比べると半分程度の子ども・子育て予算を大幅に増やして児童手当・児童扶養手当を拡充するとともに、十八歳未満の児童にとどまらず、子どもが成人になった後の関連する施策も含め、子どもから若者まで切れ目のない支援を行い、「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」の理念にのっとり、全ての子どもの最善の利益が図られ、その人権が保障され、社会全体で子どもの育ちを支援する社会を実現することを目指して「子ども省」の設置を検討するものである。  この法案と総合的な子ども・子育て政策の必要性をあきらかにするために、二〇二一年九月十七日、政策プラットフォームPoliPoliの意見交換会においていただいた当事者や支援団体からのご要望、ご意見を踏まえ、以下、質問する。 一 コロナ禍で生活が困窮し、食料支援や現金給付などのしくみへのアクセス方法などの情報が必要な、十代の単身世帯の子どもたちからの相談が急増している実態を、政府はどのように認識しているか。 二 親が一緒にいて電話できない、また電話自体に不慣れな、いわゆるZ世代以降の子どもたちから生活の困窮相談を受け付けるために、電話ではなくSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)での相談窓口を一日も早く整備すべきと考えるが、民間との連携も含め、政府の見解をあきらかにされたい。 三 文部科学省では、「二十四時間子供SOSダイヤル」を全都道府県及び指定都市教育委員会において整備しており、ヤングケアラー専門の相談窓口を設ける自治体もあるものの電話しか受け付けていないなど、SNSの活用が進んでいない現状について、どのように認識しているか。また、全国共通番号の「二十四時間子供SOSダイヤル」は、各地の教育委員会につながって主にいじめなどの教育相談を対象としており、生活困窮の相談件数が極端に少ない現状について、どのように認識しているか。そもそも受け付けなかったり、たらい回しにしているのではないか。政府の見解をあきらかにされたい。 四 子どもの貧困に関する相談体制の整備は、子どもの貧困対策の推進に関する法律を根拠に取り組まれるべきところ、二〇一九年の子供の貧困対策に関する大綱においても明記されなかった理由をあきらかにされたい。 五 子供・若者育成支援推進大綱においては、困難を有する子供・若者やその家族の支援として、SNS相談体制の充実が明記されているが、私の事務所が二〇二一年九月二十七日に問い合わせた段階で、政府のどの部署がこの施策の責任を担うのか、内閣府、厚生労働省、文部科学省の間で十分な情報共有がなされておらず、調整が図られていなかった。SNS相談体制の整備が進まない背景として、国の子ども・子育て政策における府省縦割りの弊害があるのではないか、政府の見解をあきらかにされたい。 六 子どもの貧困の連鎖を断ち切る重要な施策は教育であることは言を俟たない。立憲民主党は高等教育の無償化を目指し、まずは大学の学費半減を来たる総選挙で訴えることにしている。安倍・菅政権による格差拡大政策とコロナ禍で生活が困窮する世帯がますます増えているところ、生活保護受給世帯の子どもが世帯分離せずとも大学進学できるように、生活保護制度を見直すべきではないか。  私たち立憲民主党は二〇一八年三月に、生活保護受給世帯の子どもが大学進学にあたり世帯分離不要とする議員立法を提出していたが、与党の賛同を得られず成立に至らなかった。また、二〇一九年五月には国会において厚生労働省の大口善徳副大臣が「生活保護費を受給しながら大学等に修学することにつきましては、(中略)認めていない」と答弁し、八神政府参考人が「生活保護法第三条に規定をいたしますこの法律により保障される最低限度の生活に、保護を受けながら大学や専門学校等へ通学することは含まれていない」と答弁しているが、コロナ禍で「生活保護は権利です」と広報する厚生労働省は、現時点においてもこの答弁を維持するつもりか。政府の見解をあきらかにされたい。 七 地域における人間関係の希薄化、核家族化の進展、虐待の連鎖、そして児童虐待による死亡で一番多いのはゼロ歳児である現状において、被虐待経験があったり、精神疾患を抱える母親等への訪問支援体制が、乳児家庭全戸訪問事業を行う四か月目以降においては不十分ではないかと考えるが、政府の見解をあきらかにされたい。  具体的には、自治体の九割が取り組んでいる養育支援訪問事業は、保健師などの担い手不足のために必要な頻度での訪問ができていないので、わが国初の心理職の国家資格である公認心理師もその担い手に加えるなどして、悩みや不安を適時に相談でき、傾聴などの必要な支援が行えるよう体制を強化するべきではないか。また精神疾患を抱える母親への訪問診療を行っている医師の指示や訪問看護ステーションとの連携の下、PT(理学療法士)やOT(作業療法士)同様に公認心理師も訪問し、専門的な役割を果たせるよう報酬上の取扱いを検討するべきではないか。 八 安倍政権による大学無償化策として二〇二〇年度に開始された高等教育の修学支援制度は、高校卒業後三年を過ぎてしまったケースは、高卒で就労した人との公平性を理由にその対象としていない。親の虐待による被虐待児症候群からの回復に時間がかかるなどして、二十代半ばになってから大学進学しようとする者に対して、単に年齢でその支援対象から外すことは、むしろ高卒者に対して不公平であって見直すべきではないか。  また、退学後一年以上経ってから再入学したケースもその対象としていないが、休学の場合は二年経っても三年経っても復学すれば対象となりえるにもかかわらず、経済的な理由で退学してから二年経ってから学び直ししたいと思っても支援の対象とならないのは、制度の趣旨に照らし不適切であり、コロナ禍での退学者が増えている現状も踏まえ、制度を見直すべきではないか。政府の見解をあきらかにされたい。 九 実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関として二〇一九年度より専門職大学が制度化されたが、専門職大学が十四校、専門職短大が三校、専門職学科を設置した大学が一校にとどまっており、一般の大学が専門職大学に転換した例がない現状についてどのように認識しているか。平成の三十年間で三百校も一般の大学が増えているが、今後の高等教育の質を確保していく上で、文部科学省内の縦割りを乗り越えて、一般の大学から専門職大学への転換を政策誘導する必要性について、政府の見解をあきらかにされたい。 十 子どもの虐待や貧困をなくし、ヤングケアラー問題などを解決するためには、子ども自らが自分の身を守ったり、対処できるようになったり、子どもの貧困問題の解決を求めたりできるようになることが重要である。そのためにも、早い段階から「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」について深く学ぶ必要があるが、現行の学習指導要領には、子どもの権利条約を教えるという記載はなく、また国会図書館による調査によれば、多くの小中学校の教科書では、条約名や批准年などを知識として学ぶ記載のみであり、これでは不十分ではないか。  児童生徒が自分が権利の主体であることを理解し、自らの日常生活の中で権利行使できることを目的とした教育が必要であって、教員はじめ、子どもを取り巻く大人が子どもの権利について深く理解し、児童生徒がきちんと権利行使をできるような指導力を付けることが求められると考えるが、そのためにも全ての子どもが子どもの権利について学ぶことを必修化することについて、政府の見解をあきらかにされたい。  右質問する。
b206012
衆議院議員早稲田ゆき君提出子ども総合基本法と総合的な子ども・子育て政策の必要性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年十一月十九日受領 答弁第一二号   内閣衆質二〇六第一二号   令和三年十一月十九日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員早稲田ゆき君提出子ども総合基本法と総合的な子ども・子育て政策の必要性に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「十代の単身世帯の子どもたちからの相談が急増している実態」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。 二について  御指摘の「親が一緒にいて電話できない、また電話自体に不慣れな、いわゆるZ世代以降の子どもたちから生活の困窮相談」の意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省においては、寄り添い型相談支援事業の中で、生活困窮者等からの相談を受け付けるためのSNSを活用した相談窓口を開設しているほか、令和二年度第三次補正予算において、児童虐待防止の観点から、SNSを活用した全国一元的な相談受付体制を構築するための費用を計上している。また、文部科学省においては、スクールカウンセラー等活用事業の中で、都道府県、指定都市等におけるSNSを活用した相談窓口の開設を推進している。 三について  お尋ねの「SNSの活用が進んでいない現状」の意味するところが必ずしも明らかではないが、文部科学省においては、電話やSNSを活用した相談体制を整備することが重要であると考えており、スクールカウンセラー等活用事業の中で、都道府県、指定都市等におけるSNSを活用した相談窓口の開設を推進している。  お尋ねの「全国共通番号の「二十四時間子供SOSダイヤル」は、各地の教育委員会につながって主にいじめなどの教育相談を対象としており、生活困窮の相談件数が極端に少ない現状」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和三年六月に文部科学省が行った二十四時間子供SOSダイヤルの実施状況についての調査によれば、二十四時間子供SOSダイヤルを開設する六十一の地方自治体のうち、五十九の地方自治体において、受け付ける相談内容を限定せず、「悩み全般」を相談対象としており、また、全ての地方自治体において、相談内容に応じ他の専門機関を紹介する等の対応も行っているものと承知している。 四について  御指摘の「子どもの貧困に関する相談体制の整備」の意味するところが必ずしも明らかではないが、子どもの貧困対策の推進に関する法律(平成二十五年法律第六十四号)第八条第一項の規定に基づいて定められた「子供の貧困対策に関する大綱」(令和元年十一月二十九日閣議決定)において、相談体制も含めた支援体制の強化等について記載している。 五について  お尋ねの「府省縦割りの弊害」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「子供・若者育成支援推進大綱」(令和三年四月六日子ども・若者育成支援推進本部決定)を踏まえ、関係府省が連携しつつ、子供・若者やその家族が抱える複雑化・複合化した課題に対し、市町村による包括的な支援体制の構築、SNSや電話による相談体制の拡充等の取組を支援しているところである。 六について  御指摘の令和元年五月二十一日の参議院文教科学委員会における大口善徳副大臣(当時)及び政府参考人の答弁については、現在においても変更はなく、お尋ねの生活保護制度の見直しについても、慎重に検討すべきものと考えている。 七について  「養育支援訪問事業は、・・・公認心理師もその担い手に加えるなどして、・・・体制を強化するべきではないか」とのお尋ねについては、養育支援訪問事業における訪問支援は、「養育支援訪問事業ガイドラインについて」(平成二十一年三月十六日付け雇児発第〇三一六〇〇二号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)において、「保健師、助産師、看護師、保育士、児童指導員等が、・・・実施すること」としており、職種を限定して列挙していないところ、公認心理師が養育支援訪問事業の訪問支援者となることも可能であると考えている。  また、お尋ねの「専門的な役割を果たせるよう報酬上の取扱いを検討」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の公認心理師も含めた専門職種が、医師の指示の下で精神疾患を有する者を訪問した場合の診療報酬上の評価の在り方については、今後、必要に応じ検討してまいりたい。 八について  大学等における修学の支援に関する法律(令和元年法律第八号)に基づく支援制度では、高等学校等卒業後二年以内の進学者を支援の対象としているところであり、これは、高等学校等を卒業し、短期大学や二年制の専門学校に進学した者は、概ね二十歳以上で就労し、一定の稼得能力があることとの均衡を考える必要があるという理由によるものであるので、現時点において、この制度を見直すことは考えていない。 九について  お尋ねの「一般の大学が専門職大学に転換」の意味するところが必ずしも明らかではないが、専門職大学は、深く専門の学芸を教授研究し、専門性が求められる職業を担うための実践的かつ応用的な能力を展開させることを目的とした大学であり、専門性が求められる職業に就いている者等の関係者の協力を得て教育課程を編成する等、専門職大学以外の大学とは異なる教育課程や教員組織等に関する基準等を設けている。こうした専門職大学の設置については、これを行おうとする者が自らの判断の下、専門職大学及びそれ以外の大学の目的や基準等の違いを踏まえて行うものである。  政府としては、大学の設置を検討している者に対し、専門職大学及びそれ以外の大学の目的や基準等の違いについて、情報提供を行っている。 十について  御指摘の「早い段階から」及び「不十分」の意味するところが必ずしも明らかではないが、児童の権利に関する条約(平成六年条約第二号)については、中学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十四号)における社会科の公民的分野や技術・家庭科の家庭分野において、基本的人権の尊重の理解や子供が育つ環境としての家族の役割についての理解など、同条約に関連する記述があり、これらの記述に関連するものとして、例えば、令和三年度から中学校で使用されている、技術・家庭科の家庭分野の教科書において、三点中三点の教科書に、同条約の条約名や批准年だけでなく、同条約が定める四つの権利の内容などが記載されているところである。  また、御指摘の「子どもの権利」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、「人権教育・啓発に関する基本計画」(平成十四年三月十五日閣議決定)において、「子ども」を人権課題の一つと位置付け、学校教育における人権教育の充実に向けた指導方法の研究を推進するとともに、同計画に基づき、地域の実情や児童生徒の発達段階に応じた人権教育の取組が各学校において行われるよう促している。
a206013
デジタル庁が十月二十六日に基本契約を行ったAWSに関する質問主意書
令和三年十一月十日提出 質問第一三号 デジタル庁が十月二十六日に基本契約を行ったAWSに関する質問主意書  デジタル庁は、全国の自治体がばらばらに管理してきた国民のデータベースを中央で一括管理する「ガバメントクラウド」システムの構築にあたり、そのデータを保管するサーバーとして、米国アマゾン社のAWS(アマゾンウェブサービス)を導入することとしているが、同盟国の企業とはいえ、国民の個人情報を外国企業のサーバーに保管することについて懸念があるので以下質問する。 一 日本企業と契約しなかったことについて、デジタル庁に問うたところ、AWSは政府情報システムのためのセキュリティ評価制度であるISMAP(イスマップ)に登録されており、不正アクセス防止やデータ暗号化などにおいて、最新かつ最高レベルの情報セキュリティが確保できることに加え、データセンターの物理的所在地が日本国内であることや、「一切の紛争は、日本の裁判所が管轄するとともに、契約の解釈が日本法に基づくものであること」を契約等により担保できることなどから、問題がないものと判断したとのことだが、多少契約金額が高くても、日本企業との契約を優先的に検討するべきではなかったのか。応札した日本企業は何社あったのか、あきらかにされたい。 二 今回の契約は、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律及び個人情報保護法に照らして問題がないのか、総務省及び個人情報保護委員会の見解をあきらかにされたい。 三 報道によれば、英国の諜報機関もAWSとの契約をしたところ、英国議会がこれを知り、自国の極秘情報を別の国のクラウドサーバーで管理してよいのかという問題認識から本件を調査するとのことであり、米国においても、CIA(中央情報局)がAWSと契約を結んだ件で、NSA(国家安全保障局)が再検討の指示を出しているとのことだが、これらの動きについて政府の見解をあきらかにされたい。 四 EUやシンガポールにおいては個人情報を域内から出すことを禁じている措置があることを個人情報保護委員会に問い合わせたところ、日本とEUの間では日EU相互認証の枠組みが発効されていて同等の法制を有しており、日本とシンガポールもともにAPEC(アジア太平洋経済協力)におけるCBPR(越境プライバシールール)という企業認証制度を推進しており、同等の仕組みを有しているとの見解であったが、それらの国々の法制においても、データセンターの物理的所在地が国内(域内)であれば、外国企業のクラウドサーバーでの保管が許されているのか。政府として承知しているところをあきらかにされたい。 五 私たちの個人情報は、年明けからAWSに順次保管されていくことになると承知しているが、万一その個人情報が他国や他者に漏洩した場合、デジタル庁は米国アマゾン社に対して賠償金を請求することになるとのことだが、仮に一人の日本国民の住所と生年月日が漏洩した場合、いくらの賠償額となるのか。またその場合、自治体や個人は、デジタル庁に対しても賠償を求めることができるのか。また行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律及び個人情報保護法に基づき、デジタル庁はどのような責任が問われるのか。  右質問する。
b206013
衆議院議員早稲田ゆき君提出デジタル庁が十月二十六日に基本契約を行ったAWSに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年十一月十九日受領 答弁第一三号   内閣衆質二〇六第一三号   令和三年十一月十九日        衆議院議長 細田博之 殿 衆議院議員早稲田ゆき君提出デジタル庁が十月二十六日に基本契約を行ったAWSに関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねのデジタル庁において公募を行った「デジタル庁におけるガバメント・クラウド整備のためのクラウドサービスの提供-令和三年度地方公共団体による先行事業及びデジタル庁WEBサイト構築業務-」に係る調達については、令和三年四月十四日の参議院本会議において、平井国務大臣(当時)が、「クラウドサービスの選定基準としては、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度であるISMAPに登録されたサービスから調達することを原則とし、不正アクセス防止やデータ暗号化などにおいて、最新かつ最高レベルの情報セキュリティーが確保できること、データセンターを国内に置くことを含め、契約から開発、運用、廃棄に至るまで、国によってしっかりと統制できることなどを検討しております。これらの要件を満たす事業者から、国内企業か外国企業であるかによらず選定されることとなると考えます。」と答弁したとおりである。また、当該調達に係る公募参加者は、いずれも外国企業であった。 二について  お尋ねについては、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)及び個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の規定に基づいて、お尋ねの契約を締結した行政機関の長及び当該契約に基づいて行政機関から個人情報の取扱いの委託を受けた者が個別具体的に判断すべき事柄であり、総務省及び個人情報保護委員会として、お答えすることは困難である。 三について  他国の政府機関の動向について、政府として評価を述べることは差し控えたい。なお、政府としては、情報セキュリティの確保に係る国際的な動向について、引き続き注視してまいりたい。 四について  お尋ねの欧州連合やシンガポールの法制において「データセンターの物理的所在地が国内(域内)であれば、外国企業のクラウドサーバーでの保管が許されているのか」については、政府として承知していない。 五について  お尋ねについては、個別具体の事実関係を踏まえて判断されるものと考えられるため、一概にお答えすることは困難である。