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a204161
竹島問題に関する質問主意書
令和三年六月四日提出 質問第一六一号 竹島問題に関する質問主意書  竹島について、以下質問する。 一 公益財団法人「日本国際問題研究所」は二〇二〇年十月、島根県の竹島を日本領と記した米国政府の一九五三、五四年作製の航空図二点を、米国立公文書館で発見したと発表した。さらに本年二月、竹島を日本領と記した、一九五五年から一九九七年作製の米国政府の航空図九点が新たに見つかったと発表した。計十一点の航空図は、サンフランシスコ平和条約の起草国である米国が、起草時から一九九〇年代まで変わらない領土認識を持っていることを示しており、日本側の主張を補強する資料とすべきと考えるが、政府の見解は如何か。 二 1 韓国は竹島の占拠を正当化するため、日本海呼称問題を国際社会に提起し、戦略的に「東海」への改称や、近年は併記を訴え続けている。また韓国は、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の公式サイトの日本地図に、韓国が領有権を主張する島根県の竹島が記載されているとして日本政府に抗議し、オリンピック不参加の可能性も懸念されている。竹島は歴史的にも国際法的にも、島根県隠岐郡隠岐の島町に属する我が国固有の領土であり、日本政府は韓国に対して毅然と対応するとともに、国際社会への情報発信を強化すべきと考えるが、如何か。   2 韓国は政府系研究機関として東北アジア歴史財団を設置し、竹島問題に関して戦略的に国際社会に働きかけている為、地図の表記や日本海呼称問題について今後も提起が繰り返されると想定すべきである。日本も竹島に限らず、北方領土、尖閣諸島等、国境に関して戦略的に対応するための専門機関を設置し、調査や資料の収集、保存などを積極的に展開すべきと考えるが、政府の見解は如何か。 三 「領土・主権展示館」の設置は首都における啓発活動として評価するが、隠岐の島町は竹島問題や国境離島に関する啓発施設を町内に設置するよう政府に要望している。隠岐島への訪問者に対する情報発信は必要と考えるが、政府の見解は如何か。 四 日本の学校における歴史教育は、古代から幕末までの歴史に偏重し、明治以降の近代史の授業時間が不足している。領土問題を解決すべき次世代を育成するためには、近代史を充実させる必要があると考えるが、政府の見解は如何か。  右質問する。
b204161
衆議院議員亀井亜紀子君提出竹島問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十五日受領 答弁第一六一号   内閣衆質二〇四第一六一号   令和三年六月十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員亀井亜紀子君提出竹島問題に関する質問に対する答弁書 一及び二について  竹島は我が国固有の領土であり、大韓民国による竹島の占拠は不法占拠である。政府としては、今後とも、竹島の領有権の問題の平和的解決を図るため、粘り強い外交努力を行っていく考えである。  また、政府としては、我が国の領土・主権に関する立場について、客観的な事実に基づいて国際社会に対して働きかけることは重要であると認識しており、その一環として、国際共同研究支援事業費補助金により、我が国の研究機関による自主的な領土、主権及び歴史に関する調査研究、研究成果の国内外への発信等を支援しているところであって、御指摘の資料についてもこの支援による調査研究の一つとして発表されたものであり、その一部を領土・主権展示館の地方巡回展で展示し活用している。  政府としては、二の2で御指摘の「調査や資料の収集、保存などを積極的に展開」することを含め、引き続き、我が国の領土・主権に関して戦略的に対応するための有効な方策を不断に検討していく考えである。 三について  政府としては、隠岐の島町が、竹島に関する住民の証言や資料の収集を目的として、「久見竹島歴史館」を運営していると承知しており、竹島問題に関する我が国の立場についての正確な理解が浸透するよう、同館と領土・主権展示館の一層の緊密な連携に取り組んでまいりたい。 四について  御指摘の「明治以降の近代史」については、小学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十三号)、中学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十四号)及び高等学校学習指導要領(平成三十年文部科学省告示第六十八号)において、それぞれ扱うこととしており、中学校及び高等学校における指導に当たっては、「領土の画定などを取り扱うようにすること。その際、北方領土に触れるとともに、竹島、尖閣諸島の編入についても触れること」としている。また、高等学校学習指導要領では、地理歴史科の科目構成を見直し、現代的な諸課題の形成に関わる近現代の歴史を考察等する共通必履修科目としての「歴史総合」を設置したところである。  政府としては、今後とも、右に述べたとおりの学習指導要領の着実な実施に努めてまいりたい。
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消費抑制型政策実現策の排除に関する質問主意書
令和三年六月七日提出 質問第一六二号 消費抑制型政策実現策の排除に関する質問主意書  令和三年六月四日、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律が成立した。  本法律の目玉として、コンビニ等でのスプーン、フォークなどの、消費者に商品やサービスとともに無償で提供されていたプラスチック製品の有料化が強調されている。  当職としても、プラスチックごみの削減とリサイクル促進という趣旨については全く異論がない。  もっとも、プラスチック製買物袋の有料化についても同様のことがいえるが、消費者に金銭負担が課されることとなってしまうと、消費者の消費意欲を減退させ、消費が抑制されてしまうという懸念がある。  そこで、次のとおり質問する。 一 プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律におけるプラスチックごみの削減とリサイクル促進という趣旨を本職も支持するが、同趣旨の実現は、プラスチック製のスプーンなどを辞退した消費者に同製品の仕入れ費用を給付することでも可能と考えるが、政府として如何。 二 前項に関連し、正当性が認められる政策実現に消費者による消費意欲を抑制するような政策を取り止め、政策目的実現に資する行動をとった消費者に利益が与えられる方向での政策実現を検討すべきと考えるが、政府として如何。  右質問する。
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衆議院議員松原仁君提出消費抑制型政策実現策の排除に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一六二号   内閣衆質二〇四第一六二号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員松原仁君提出消費抑制型政策実現策の排除に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「製品の仕入れ費用を給付すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(令和三年法律第六十号)第二十八条第一項の規定により、主務大臣は、同項に規定する特定プラスチック使用製品提供事業者が「特定プラスチック使用製品の使用の合理化によりプラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制するために取り組むべき措置に関し、当該特定プラスチック使用製品提供事業者の判断の基準となるべき事項を定める」こととされており、当該判断の基準となるべき事項の具体的な内容については、今後、商品の販売又は役務の提供に付随して消費者に無償で提供されるプラスチックが使用されている製品の実態等を踏まえつつ、有識者を始めとして、広く国民の意見を聴きながら、検討していく予定である。 二について  お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、政策の実現のための手法については、それぞれの政策課題を巡る状況等を踏まえて、総合的な観点から検討されるべきものであることから、一概にお答えすることは困難である。
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新型コロナウイルス感染症発生起源調査に関する質問主意書
令和三年六月七日提出 質問第一六三号 新型コロナウイルス感染症発生起源調査に関する質問主意書  令和二年四月七日の新型コロナウイルス感染症(SARS-CoV-2)に係る緊急事態宣言から、一年以上過ぎた現在も我が国は三度目の緊急事態宣言下にある。このような同感染症パンデミックが収束する兆しすら認められない中で、アメリカ合衆国(以下「米国」という)では、同感染症の感染源に関する調査を進める動きが認められる。  新型コロナウイルス感染症については、未だ解明が進んでいない。今後、同様の感染症の発生を防止するためにも、新型コロナウイルスと、その感染経路についての解明を進めることは、公衆衛生の観点から、極めて重要である。そして、その第一歩は、新型コロナウイルスの起源を解明することにある。  そこで、次のとおり質問する。 一 新型コロナウイルス感染症発生起源調査について  1 日本も米国を中心とした他国と連携して同感染症発生起源調査を進めるべきと考えるが、政府として如何。  2 前項に関し、日本は、中華人民共和国(以下「中国」という)政府に対して、同感染症パンデミックに対する責任追及を行わないことを明確にした上で、同感染症発生起源調査に協力するよう働きかけるべきと考えるが、政府として如何。 二 同感染症発生起源調査の国際連携について  1 同感染症発生起源調査について、「世界保健機関(WHO)新型コロナウイルス起源調査に関する共同声明」に我が国も参加するなどしているが、WHOによる同感染症発生起源調査について、政府としてどのように評価しているか。  2 同感染症発生起源調査について、米国、中国を含めた他の国々とWHOが連携して進めていくことが必要と考えるが、政府として、米国及び中国の連携を促すとともに、WHOとも連携した同感染症発生起源調査の枠組みを構築するよう働きかけることを検討すべきと考えるが、政府として如何。  右質問する。
b204163
衆議院議員松原仁君提出新型コロナウイルス感染症発生起源調査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一六三号   内閣衆質二〇四第一六三号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員松原仁君提出新型コロナウイルス感染症発生起源調査に関する質問に対する答弁書 一及び二について  御指摘の「新型コロナウイルス感染症発生起源調査」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和二年五月に開催された第七十三回世界保健総会において採択された決議に基づき、現在、世界保健機関において、米国及び中国を含む各国並びに関係機関と連携しつつ、新型コロナウイルス感染症の発生源を特定するための調査が実施されているところであり、政府としては、引き続き、各国とも連携しながら、当該調査に必要な協力をしてまいりたい。  また、お尋ねの「評価」については、当該調査が現在も実施されているものであることから、現時点で予断をもってお答えすることは差し控えたい。なお、令和三年三月三十一日に我が国を含む十四箇国が共同で発出した「世界保健機関(WHO)新型コロナウイルス起源調査に関する共同声明」においては、「将来のパンデミックを防ぐための我々の備えをするには、迅速で独立した、専門家主導の、干渉を受けない起源の評価が不可欠である」、「全てのデータが揃っていれば、国際社会はCOVID-十九の起源を独立して評価し、このパンデミックから貴重な教訓を得て、将来の病気の発生による壊滅的な結果の招来を防ぐことができる」等と表明している。
a204164
新型コロナウイルス感染症蔓延期間中の航空路線の運休・減便を契機として空港の騒音対策を促進させることに関する質問主意書
令和三年六月七日提出 質問第一六四号 新型コロナウイルス感染症蔓延期間中の航空路線の運休・減便を契機として空港の騒音対策を促進させることに関する質問主意書  新型コロナウイルス感染症の蔓延により航空路線の旅客需要が大幅に減少した。これへの対応として、航空会社は運休・減便などを行っている。特に、緊急事態宣言発令中は離発着数が大幅に減少している。この結果、空港周辺の騒音が大幅に軽減されている。例えば、大阪国際空港の周辺では長らく航空機騒音に係る環境基準を満たせていなかったが、今般の離発着数の大幅な減少によって、当該環境基準を満たせるレベルにまで航空機騒音が軽減された。  これまでは、空港の離発着数が大幅に増減することはなかったため、空港周辺の騒音レベルと便数・機材の関係は必ずしも明らかではなかった。今般の減便・運休によって、どの程度、減便すれば空港周辺の騒音に関する環境基準を満たせるのかが明らかになった。  そこで、以下、質問する。 一 昨年の四月以降、新型コロナウイルス感染症の蔓延状況に応じて、空港を離発着する便数と機材が変更されている。例えば、大阪国際空港では、運休に加えて、ボーイング七七七等の大型機材からボーイング七三七等の小型機材への変更、ボーイング七六七等の機材からボーイング七八七最新式低騒音機材への変更などがあった。様々な便数と機材の組み合わせに対応する航空機騒音のデータがあれば、空港周辺の騒音レベルと便数・機材の関係をシミュレーションできる。そこで、便数と機材の変更の都度、航空機騒音を測定することを提案するが、政府の見解如何。 二 環境基本法に基づいて定められている航空機騒音に係る環境基準について、法令に基づいて達成期間が示されているものの、これまでは達成時期が見通せていなかった。しかし、シミュレーションを行うことによって、達成方法と達成時期が見通せるようになると考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
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衆議院議員櫻井周君提出新型コロナウイルス感染症蔓延期間中の航空路線の運休・減便を契機として空港の騒音対策を促進させることに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一六四号   内閣衆質二〇四第一六四号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員櫻井周君提出新型コロナウイルス感染症蔓延期間中の航空路線の運休・減便を契機として空港の騒音対策を促進させることに関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「便数と機材の変更の都度」の意味するところが必ずしも明らかではないが、空港周辺における航空機騒音の測定については、これまでも各空港において、空港管理者等により必要に応じて適切に実施されていると承知している。 二について  航空機の騒音レベルについては、様々な要因によって変動し得るものであり、一において御指摘の「便数と機材の組み合わせ」のみにより定まる性質のものではないため、二において御指摘のように「シミュレーションを行うこと」のみにより、直ちに、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項の規定に基づく航空機騒音に係る環境基準について(昭和四十八年環境庁告示第百五十四号)に定める環境基準の「達成方法と達成時期が見通せるようになる」とは考えていない。
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成育過程における側弯症の早期発見・早期治療のための学校健診の推進に関する質問主意書
令和三年六月七日提出 質問第一六五号 成育過程における側弯症の早期発見・早期治療のための学校健診の推進に関する質問主意書  側弯症は、早期に発見できれば、大がかりな手術を行うことなく矯正などの治療で治癒することができる。しかし、発見が遅れ、成人してから治療を開始すると大がかりな手術が必要になり、患者への負担が大きいとともに、高額な治療費がかかることから医療財政への負担も大きくなる。したがって、学校での健診による早期発見が極めて重要である。そこで、以下、質問する。 一 側弯症は、学校保健安全法の検査項目に含まれていることから全国の学校において検査は行われている。側弯症の発症に地域差があるとは考えられないが、学校保健統計調査によれば発見率は地域によって大きな差がある。この差は、モアレ検査など機器検査を導入して早期発見に努めている自治体と視触診で健診を済ませている自治体との検査方法の違いによるものと考えるが、政府の見解如何。 二 学校での健診による早期発見を確実に行うために、モアレ検査など機器検査による健診を全国の統一基準とするべきと考えるが、政府の見解如何。 三 学校健診の費用は学校の設置者である地方自治体の負担となっている。一方で、モアレ検査など機器検査による健診を全国の統一基準とするためには、検査機器の購入などのための財源確保が必要となる。したがって、国において必要な財政措置を講ずる必要があると考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
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衆議院議員櫻井周君提出成育過程における側弯症の早期発見・早期治療のための学校健診の推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一六五号   内閣衆質二〇四第一六五号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員櫻井周君提出成育過程における側弯症の早期発見・早期治療のための学校健診の推進に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「学校保健統計調査によれば発見率は地域によって大きな差がある」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、学校保健統計調査は脊柱・胸郭・四肢の状態に係る疾病・異常者数を調査項目としており、側わん症の発症者数を調査項目としているわけではないところ、側わん症の発症者数の「地域差」については把握していないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。 二及び三について  御指摘の「モアレ検査など機器検査による健診」については、その検査体制、検査費用等の観点から課題があり、また、「モアレ検査など機器検査」の種類も多様であることから、現時点で、「モアレ検査など機器検査による健診を全国の統一基準とする」ことや、そのための財政措置を講ずることは考えていない。
a204166
新型コロナウイルス感染症の変異株の蔓延に対応するために濃厚接触者の対象者を広げる必要性に関する質問主意書
令和三年六月七日提出 質問第一六六号 新型コロナウイルス感染症の変異株の蔓延に対応するために濃厚接触者の対象者を広げる必要性に関する質問主意書  昨年のはじめから新型コロナウイルス感染症が断続的に全国に蔓延しており、未だ感染の収束が見通せない状況である。  感染拡大防止策として、感染の連鎖を断ち切ることが重要であり、そのためには感染者を早期に発見し、早期に隔離することが必要であると考える。感染者の早期発見には、PCR検査などのウイルス検査を幅広く実施することが必要であることから、以下、質問する。 一 感染症を収束させられていない現状を踏まえれば、感染の連鎖を十分に断ち切れていなかった、すなわちウイルス検査が不十分であったと考えざるを得ない。例えば、ある施設において感染者が確認され、当該感染者と濃密に接触していた者であっても当該感染者がマスク等を着用していた場合には「濃厚接触者に該当しない」とみなされて、行政検査を受けられないという事案が多発している。濃厚接触者の対象が狭すぎて、行政検査が不十分となっているのではないか、感染の連鎖を十分に断ち切るためには濃厚接触者の定義を幅広くとることによってウイルス検査を拡大するべきと考えるが、政府の見解如何。 二 今年に入ってからは感染力が強い変異株が主流になっており、感染症対策を強化する必要性が高まっている。厚生労働省は、国立感染症研究所感染症疫学センターが示す濃厚接触者の定義に準拠しているが、国立感染症研究所感染症疫学センターが示す濃厚接触者の定義の最終改定は令和三年一月八日であって、令和三年二月以降に感染拡大した変異株に対応したものとはなっていない。変異株の主流化に対応して、濃厚接触者の定義を広げる必要があると考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
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衆議院議員櫻井周君提出新型コロナウイルス感染症の変異株の蔓延に対応するために濃厚接触者の対象者を広げる必要性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一六六号   内閣衆質二〇四第一六六号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員櫻井周君提出新型コロナウイルス感染症の変異株の蔓延に対応するために濃厚接触者の対象者を広げる必要性に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「行政検査」については、政府としては、「新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組」(令和二年八月二十八日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)等により、都道府県(保健所を設置する市及び特別区を含む。以下同じ。)に対して、新型コロナウイルス感染症の感染者が多数発生している地域等において、感染拡大を防止する必要がある場合には、御指摘の「濃厚接触者」に限らず、関係者を幅広く検査するよう要請しているところである。 二について  御指摘の「濃厚接触者の定義」については、国立感染症研究所が作成した「新型コロナウイルス感染症患者に対する積極的疫学調査実施要領」(以下「要領」という。)において示しており、要領については、その時々の科学的知見を踏まえ、同研究所が随時見直しを行っているところである。政府としては、「新型コロナウイルス変異株流行国・地域に滞在歴がある入国者等の方々の健康フォローアップ及びSARS-CoV-二陽性と判定された方の情報及び検体送付の徹底について」(令和二年十二月二十三日付け厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)において、都道府県に対して、「懸念される変異株に感染した者または感染が疑われる者については、当該者からの感染拡大リスクを踏まえ、当該変異株に感染した者の濃厚接触者に加え、濃厚接触者以外の幅広い関係者への検査の実施に向け積極的な対応をお願い」しているところであるが、引き続き、同研究所を中心に、御指摘の「変異株」に関する情報も含め、国内外の様々な情報を収集して科学的知見の集積に努めるとともに、要領の見直しについても、こうして得られた科学的知見を踏まえ、必要に応じて検討していくこととしているところである。
a204167
動物福祉の推進に関する質問主意書
令和三年六月八日提出 質問第一六七号 動物福祉の推進に関する質問主意書  本年五月十一日、英国議会の開会式でエリザベス女王が政府施政方針について演説し「最高水準の動物福祉」を促進するための法案提出について言及し、翌五月十二日、同国環境・食糧・農村地域省は、動物が知覚を持つことを法的に認識するとともに、ペット・家畜・野生動物の保護のための革新的で幅広い動物福祉政策の実施をまとめた「動物福祉に関する行動計画」を発表した。  スウェーデンでは、近年の動物保護に関する社会の意識変化等を踏まえ、二〇一八年に動物保護法の全面改正が行われ、二〇一九年から施行された新しい動物保護法の目的には、良好な動物福祉及び動物の尊重の促進が明記されている。  一方、我が国においては、新型コロナウイルスの流行で自宅で過ごす時間が増える中、ペットを安易に飼う人が増え、飼育に行き詰まった結果としての飼育放棄の増加につながりかねず、動物の福祉への悪影響が懸念されている状況にある。  諸外国が動物福祉政策の推進を進める中、我が国においても動物福祉政策を推進すべきとの立場から、以下質問する。 一 諸外国における「動物福祉政策」の動きについてどう考えるか。また、我が国において動物福祉を進めるに当たり、動物福祉を法律上、明確に定義付けることが必要ではないか。  政府の見解を求める。 二 台湾においては、義務教育の中に動物福祉科目を設定していると承知しているが、我が国は義務教育において、「動物福祉」や「動物愛護」に関する課題を取り上げているか。 三 令和元年六月に公布された改正動物愛護管理法において、「動物福祉」や「動物愛護」に関してどのような改正が行われたのか具体的に示されたい。 四 昨年十二月三日、超党派「動物福祉(アニマルウェルフェア)を考える議員連盟」が加藤官房長官に面会し「犬猫肉食用禁止国際条約の推進を求める要望書」を提出した。米国、英国の超党派議員も同様の活動をしているが、こうした動きを政府はどう受け止めるか。  右質問する。
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衆議院議員牧義夫君提出動物福祉の推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一六七号   内閣衆質二〇四第一六七号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員牧義夫君提出動物福祉の推進に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「動物福祉政策」については、各国の事情に応じ、個別の法令等により推進されているほか、平成十七年以降は、国際獣疫事務局において、加盟国に対し義務を課すものではないが、「陸生動物衛生規約」における動物福祉に関する勧告が順次採択されているものと承知している。  また、我が国においては、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)第二条において、動物の取扱い等に係る基本原則を規定しており、同条第一項においては、「動物が命あるものであることにかんがみ」、「その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない」ことについて、また、同条第二項においては、「適切な給餌及び給水、必要な健康の管理並びにその動物の種類、習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない」ことについて定めている。当該基本原則を踏まえ、同法に基づき、適正な飼養管理を図るための具体的措置が図られている等、動物福祉の定義の有無にかかわらず、動物の愛護及び管理について必要な施策を講じてきたところである。 二について  小学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十三号)及び中学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十四号)では、「動物を飼ったり植物を育てたりする活動を通して、・・・生き物への親しみをもち、大切にしようとする」こと、「生命の尊さを知り、生命あるものを大切にすること」、「自然のすばらしさや不思議さを感じ取り、自然や動植物を大切にすること」、「生命を尊重し、自然環境の保全に寄与する態度を養う」こと等を規定しているところである。 三について  お尋ねの「「動物福祉」や「動物愛護」に関してどのような改正が」の意味するところが必ずしも明らかではないが、動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第三十九号)においては、動物取扱業の更なる適正化及び動物の不適切な取扱いへの対応の強化を図るため、例えば、動物の所有者等が遵守すべき責務の明確化、動物取扱業者が遵守すべき基準の具体化、動物虐待に対する罰則の引上げ等が措置されたところである。 四について  お尋ねの「要望書」については、御指摘の議員連盟所属の国会議員により提出されたものと認識しているが、政府としては、現時点において、「犬猫肉食用禁止国際条約」を推進することは検討していない。また、他国の「議員」の活動については政府としてお答えする立場にない。  いずれにせよ、動物を取り巻く課題については、動物の取扱いについて定めた各種法令に従い適切に対処してまいりたい。
a204168
両親が離婚した場合の子どもの「共同親権」に関する質問主意書
令和三年六月八日提出 質問第一六八号 両親が離婚した場合の子どもの「共同親権」に関する質問主意書  欧州連合の欧州議会本会議は昨年七月、我が国での親による子どもの連れ去りにより生じる子どもの健康や幸福への影響について懸念を表明し、我が国に対して、いわゆるハーグ条約を履行し、「共同親権」を認めるよう国内法の改正を促す決議を賛成多数で採択してから、まもなく一年が経とうとしているが、我が国でも、法制審議会が上川法務大臣の諮問を受けてこうした問題について議論を始めたと聞く。これらを受けて以下、質問する。 一 令和三年三月三十日に開かれた法制審議会家族法制部会で、離婚後の養育費の不払い問題や、親権のあり方に関する制度の見直しについて上川法務大臣の諮問を受けて、議論が始まったと承知している。両親が離婚後も子に対する「共同親権」を認めることに関して、欧州議会本会議では、我が国に対してハーグ条約を履行し、「共同親権」を認めるよう国内法の改正を促す決議が採択されたのは昨年七月のことであり、間もなく一年が経とうとしている。こうしたことに鑑み、我が国で「共同親権」についての考えをまとめることは喫緊の課題だと考えるが、法制審の答申はいつ頃になる予定か。また、議論の内容についても可能な限り情報を公開していただきたいと考えるが、政府の見解を問う。 二 法務省は、私が令和二年十一月二十五日に提出した「欧州連合欧州議会本会議より、我が国での子の連れ去りに関する決議が採択され、『子どもへの重大な虐待』と強調されたことに対する質問主意書」に対する十二月四日付答弁書で、「法務省では、父母の離婚後の子の養育に関し、養育費及び面会交流に関する合意書のひな形及び記入例を掲載するなどしたパンフレットを作成し・・・」としているが、パンフレットの存在を知る当事者はほとんどいないのが実情である。パンフレットの効果について、その認知度や、読んだことのある当事者の割合などについて検証したことがあるか。 三 離婚した両親の子どもで、別居親と面会したいと思っているにもかかわらず、同居親の妨害などにより、面会できないでいる子どもが何人いると政府は考えているのか。調査などが行われていないとするなら、その理由も明らかにされたい。 四 令和元年十一月二十七日の衆議院法務委員会で、当時の手嶋最高裁判所長官代理は、「これらの審判及び調停で面会交流の回数を具体的に定めたものの内訳につきまして、平成三十年で申しますと、一回以上の定めのものが約六一・五%、そのほかに、月二回以上の定めのものが約一二・九%、週一回以上の定めのものが約二・三%となっております」と答弁しているが、この回数は世界の主要国の両親が離婚した子どもの面会回数と比較して、極端に少ないと考えられるが、その理由は何処にあると政府は考えるか。 五 昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大により、社会のオンライン化、リモート化は急速に進んでいるが、法務省はホームページの中で面会交流において、親子が直接会うことに対する代替的な交流の方法の一つとして、ビデオ電話を挙げているが、今後も、オンラインによる面会交流によって、面会交流の回数が増える可能性があると思われるが、裁判所に対してオンラインによる面会交流促進を求める考えはないか。  右質問する。
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衆議院議員海江田万里君提出両親が離婚した場合の子どもの「共同親権」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一六八号   内閣衆質二〇四第一六八号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員海江田万里君提出両親が離婚した場合の子どもの「共同親権」に関する質問に対する答弁書 一について  離婚及びこれに関連する制度に関する規定等の見直しについては、令和三年二月十日に法務大臣の諮問機関である法制審議会に諮問がされ、法制審議会家族法制部会において調査審議が行われているところであり、現時点で、その答申時期の見込みをお答えすることは困難である。  また、御指摘の「議論の内容」については、法務省ホームページにおいて、同部会の議事録等を公開しているところである。 二について  御指摘の「パンフレット」について、「認知度」及び「読んだことのある当事者の割合」は、政府として把握していないが、法務省では、同パンフレットを作成して、全国の市町村等において離婚届の用紙と同時にこれを離婚をしようとする者等に配布することができるようにするなどの周知活動に取り組んでいるところである。 三について  御指摘の「離婚した両親の子どもで、別居親と面会したいと思っているにもかかわらず、同居親の妨害などにより、面会できないでいる子ども」の人数については、その具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、離婚後に親子の面会交流が実施されていない事案について、その理由や事情等を網羅的に調査することはその性質上困難であるものと考えている。 四及び五について  御指摘の「世界の主要国の両親が離婚した子どもの面会回数」については、政府として網羅的に把握していないため、「その理由は何処にある」とのお尋ねにお答えすることは困難である。  また、面会交流の具体的な方法等については、法務省ホームページ等において、必要な情報提供を行っているところであるが、その決定の在り方等について、裁判所に対して働きかけをすることは、司法権の独立等の観点から相当でないものと考えている。  いずれにせよ、審判及び調停での具体的な面会交流の頻度、方法等については、裁判所において、子の利益の観点から、事案の性質に応じ、様々な事情を総合的に考慮した上で適切に定められているものと承知している。
a204169
性被害の治療支援で生じている自治体間格差を解消するために治療支援費用を全額国庫負担とすることに関する質問主意書
令和三年六月八日提出 質問第一六九号 性被害の治療支援で生じている自治体間格差を解消するために治療支援費用を全額国庫負担とすることに関する質問主意書  性犯罪と性暴力の被害者の治療や相談に一元的に対応するために、各都道府県ではワンストップ支援センターが設置されている。しかし、被害者の治療費などを公費で賄う仕組みに都道府県間で格差があり、経済面で支援を受けられない場合がありうる。例えば、居住地でない都道府県で被害にあった人が、緊急避妊や性感染症検査にかかる費用や治療費を自己負担せざるをえない場合がありえる。こうした問題が生じるのは、都道府県でワンストップ支援センターの運用が異なることが理由である。  これに対して、内閣府は全国統一の指針を通知することとした。しかしながら、未だに被害者が支援を受けられるケースとそうでないケースが混在する状態は解消されていない。  そこで、以下、質問する。 一 被害者は、住所地と被害を受けた場所などに拘わらず、等しく支援を受けられるべきと考えるが、政府の見解如何。 二 そもそも、多くの都道府県において、公費支援の対象を居住者に限定しているのは、財源を地方自治体が負担しているからである。全国どこで被害にあっても等しく支援を受けられるようにするためには、内閣府は全国統一の指針を通知するだけでは不十分であり、被害者の治療費の都道府県による支援に必要な財源については全額国庫負担とすべきと考えるが政府の見解如何。  右質問する。
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衆議院議員櫻井周君提出性被害の治療支援で生じている自治体間格差を解消するために治療支援費用を全額国庫負担とすることに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一六九号   内閣衆質二〇四第一六九号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員櫻井周君提出性被害の治療支援で生じている自治体間格差を解消するために治療支援費用を全額国庫負担とすることに関する質問に対する答弁書 一及び二について  性犯罪・性暴力被害者(以下「被害者」という。)に対する急性期の医療費等支援については、被害者の居住地及び被害の発生地にかかわらず等しく支援を受けられることが望ましく、また、国と性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(以下「ワンストップ支援センター」という。)の設置主体である都道府県との役割分担を踏まえ、国及び都道府県がその経費を適切に負担すべきものと考えている。  これを踏まえ、ワンストップ支援センターを通じて医療機関を受診した被害者を対象として医療費等を補助する医療費等公費負担事業においては、各都道府県に対し、「性暴力・配偶者暴力被害者等支援交付金(性犯罪・性暴力被害者支援事業)交付要綱」(令和二年三月三十一日付け府共第百九十四号内閣総理大臣通知別紙)に基づき、当該事業に係る経費の三分の一について補助を行っており、これには他の都道府県居住者の被害の支援に係る経費も含まれているところである。  その上で、内閣府においては、各都道府県に対して、「夜間休日対応のコールセンター設置に伴う相談対応の整備及び性犯罪・性暴力被害者に対する急性期の医療費支援について(通知)」(令和二年十二月二十五日付け府共第六百八十九号内閣府男女共同参画局男女間暴力対策課長通知。以下「本通知」という。)を発出し、急性期の医療的支援を必要とする被害者が、ワンストップ支援センターを通じて医療機関を受診した場合には、被害者の居住地及び被害の発生地にかかわらず、当該ワンストップ支援センターを所管する都道府県において医療費等支援の対象とするよう依頼し、引き続き本通知への理解と協力を求めているところであって、「指針を通知するだけでは不十分」との御指摘は当たらないと考えている。
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現行の公職選挙法はコロナ禍におけるテレワークでの選挙運動が行える規定であるのかに関する質問主意書
令和三年六月八日提出 質問第一七〇号 現行の公職選挙法はコロナ禍におけるテレワークでの選挙運動が行える規定であるのかに関する質問主意書  公職選挙法において、第百三十条(選挙事務所の設置及び届出)、第百三十一条(選挙事務所の数)、第百三十二条(選挙当日の選挙事務所の制限)、第百三十三条(休憩所等の禁止)、第百三十四条(選挙事務所の閉鎖命令)など選挙事務所に関する規定が定められているので、これらに関連して、以下質問する。 一 ぎょうせいが発行している「逐条解説公職選挙法(下)」九八一頁の記載によれば、「選挙事務所の概念は、必ずしも明瞭ではない。判例によれば、選挙事務所とは、『選挙運動に関する事務を取り扱う一切の場所的設備をいう』(昭七、一二、二四大審院)ものとされている。」とされているが、政府はこの見解を支持するか、支持しないか、その考えに至った根拠の詳細を交えながら見解を示されたい。 二 ぎょうせいが発行している「逐条解説公職選挙法(下)」九八一頁及び九八二頁の記載によれば、「例えば、特定の候補者のための選挙運動用ポスターの作成や、選挙用葉書の宛名記入その他特定の候補者のための選挙運動に関する事務を取り扱っている場合には、特定の候補者のための選挙運動に関する事務を取り扱っているものと見られるべきものであるから、本条(公職選挙法第百三十条)にいう選挙事務所に該当するものと考えられる(昭七、一二、二四大審院)。」とされているが、政府はこの見解を支持するか、支持しないか、その考えに至った根拠の詳細を交えながら見解を示されたい。 三 ぎょうせいが発行している「逐条解説公職選挙法(下)」九八二頁の記載によれば、「候補者の選挙運動員が、ポスターの掲示、無料葉書の頒布等の事務を執っている所であるが、これらは、たとえ選挙事務所の看板を掲げないで、単に何某候補者連絡所と表示している場合でも、その実体から判断して選挙事務所とみるべき場合が多いであろう。」とされている。同書は総務省自治行政局選挙部選挙課長経験者の編著となっているが、政府はこの見解が今でも正しいと考えているか、それとも何かしらの変化があるか、その考えに至った根拠の詳細を交えながら見解を示されたい。 四 総括主宰者が、特定の候補者のための選挙運動用ポスターの作成や、選挙用葉書の宛名記入その他特定の候補者のための選挙運動に関する事務を自宅においてテレワークで行っている場合には、自宅は公職選挙法第百三十条にいう選挙事務所に該当するのか、しないのか、政府の見解を伺いたい。 五 候補者の選挙運動員が、ポスターの掲示、無料葉書の頒布等の事務を自宅においてテレワークで行っている場合には、自宅は公職選挙法第百三十条にいう選挙事務所に該当するのか、しないのか、政府の見解を伺いたい。 六 平成二十五年四月の公職選挙法改正により、インターネット等を利用する方法による選挙運動が解禁され、ウェブサイト等や電子メールを利用することにより、リモートでの選挙運動用文書図画の頒布が可能となった。  一方で、電話での選挙運動においては、選挙運動員の密集を避けるため、選挙事務所以外の場所から分散して架電するような場合に、その態様によっては当該場所が選挙事務所とみなされ、選挙事務所の届出義務(公職選挙法第百三十条第二項)や数の制限(同法第百三十一条第一項)に違反する可能性があるなど、リモートの促進が困難な選挙運動もあると考えられる。  公職選挙法では、選挙運動費用軽減等の趣旨から選挙事務所について一定の制限を加えているが、令和三年五月二十八日に改訂された「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」では、職場への出勤について、人の流れを抑制する観点から、在宅勤務(テレワーク)の活用や休暇取得の促進等により、出勤者数の七割削減を目指すこととされている。  そこで伺うが、選挙については、公職選挙法で定められている事項を踏まえて選挙事務所において選挙運動に関する事務を行うべきであり、自宅でのテレワーク作業が制限されることも仕方がないと考えているのか、それとも現行の公職選挙法では、デジタル環境の普及及び感染症蔓延時の想定がなされておらず、同法が現在の実態に即していない状態であることを鑑みて、リモートでの選挙運動を想定した規定の整備を行い、新型コロナウイルス感染症の拡大抑制に資するべきであると考えているのか、その詳細について政府の見解を伺いたい。  右質問する。
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衆議院議員中谷一馬君提出現行の公職選挙法はコロナ禍におけるテレワークでの選挙運動が行える規定であるのかに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一七〇号   内閣衆質二〇四第一七〇号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員中谷一馬君提出現行の公職選挙法はコロナ禍におけるテレワークでの選挙運動が行える規定であるのかに関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「この見解」の意味するところが必ずしも明らかではないが、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第百三十条等に規定する選挙事務所については、大審院昭和七年十二月二十四日第三刑事部判決において、選挙事務所とは、選挙運動に関する事務を取り扱う一切の場所的設備をいう旨等を判示されており、政府としても同様の見解である。 二から五までについて  選挙事務所についての見解は一についてでお答えしたとおりであるが、個別の場所的設備が選挙事務所に該当するか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものである。 六について  選挙事務所についての見解は一についてでお答えしたとおりであり、また、お尋ねの「リモートでの選挙運動を想定した規定の整備」については、選挙運動の在り方の問題であることから、各党各会派において御議論いただくべき事柄と考えている。
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「子供」の表記に関する質問主意書
令和三年六月九日提出 質問第一七一号 「子供」の表記に関する質問主意書  政府の公用文における「子供」の表記については、平成二十二年十一月の「公用文における漢字使用等について」(内閣訓令第一号)(以下「訓令」という。)により、常用漢字表に基づき、固有名詞、専門用語又は特殊用語を書き表す場合などを除いて基本的に「子供」が使用されている。  平成二十五年八月三十日熊本日日新聞朝刊の記事によると、文部科学省は平成二十五年度に行われた省内の協議において、「子供」の表記について差別表現でないと結論を出して、常用漢字表に基づき「子供」に統一した旨を省内に周知している。しかしながら、全国の教育委員会では、文部科学省が従前使用してきた「子ども」「こども」の表記(以下「その他の表記」という。)が残り、学識者より教育行政及び教育現場での表記のあり方に関する指摘もなされている。文部科学省は、訓令がその他の表記を禁ずる趣旨のものではなく、「子供」を使うよう呼びかける考えはないとのことだが、この考えは差別表現ではないという見解とのずれがある。  右を踏まえ、以下質問する。 一 平成二十二年十一月の訓令における「子供」の使用、及び文部科学省が平成二十五年度に行われた省内の協議において、「子供」の表記について差別表現でないと結論付けたことは、現在も有効か。 二 文部科学省は政府の一部であることから、当然政府全体として、「子供」の表記について差別表現でないという認識にあるということで間違いないか。 三 厚生労働省を含めた他省庁や地方公共団体においては、その他の表記が未だに公用文や組織名称等で用いられ、平成二十五年度の文部科学省内での周知以前のその他の表記もそのまま残っている。差別表現でないと文部科学省で見解を出しているにもかかわらず、同じ政府内でその他の表現を続けることで、表記による差別が存在しその為にその他の表記の使用を避けているとの誤解を与えかねない。このことから、訓令に反した状態にある公文書についてはその他の省庁や地方公共団体を含め「子供」に表記を統一させていく必要はないか、政府の見解を問う。 四 昭和二十五年の文部省用字用語例においては、「仮名書きが望ましいが、漢字書き、交ぜ書きも可」としており、文部科学省がその他の表記を用いてきたことに従い、他省庁や地方公共団体もその他の表記を使ってきた。この経緯を踏まえれば、「子供」の表記で統一したことは、その運用の前提が変わったことになる。文部科学省は運用の前提が変わり、「子供」の表記を使用している旨の通知を発出しなければならないのではないか、政府の見解を問う。 五 令和三年四月九日の衆議院内閣委員会において、坂本哲志内閣府特命担当大臣は、「子供」の表記について「世論の動向、こういったものを注視してまいりたい」と発言している。「子供」の表記が差別表現でないことを通知しなければ、「子供」の表記に関する世論の認識も差別表現との誤解が残るのではないか。どのようにこの誤解を解いていくのか、政府の見解を問う。 六 法令上の固有名詞について、報道される「こども庁」の創設提言に関する政府の取組を見る限り、その他の表記と漢字両方の記載が残ることは混乱を生じる。今後、新法制定及び改正法令において「子供」で統一し、混在を解消してはどうか、政府の見解を問う。  右質問する。
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衆議院議員丸山穂高君提出「子供」の表記に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一七一号   内閣衆質二〇四第一七一号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員丸山穂高君提出「子供」の表記に関する質問に対する答弁書 一及び二について  「公用文における漢字使用等について」(平成二十二年内閣訓令第一号。以下「訓令」という。)は、現在も効力を有している。また、文部科学省においては、平成二十五年七月十六日に、公用文を作成する際には「文部科学省用字用語例」(平成二十三年三月文部科学省)を遵守するよう同省内において周知徹底を図ったが、御指摘のように「「子供」の表記について差別表現」であるかについて同省において判断したことはなく、政府としてもこれについて判断したことはない。 三について  政府の各行政機関が作成する公用文における漢字使用は、訓令に基づき、「常用漢字表」(平成二十二年内閣告示第二号。以下「現行常用漢字表」という。)の本表及び付表(表の見方及び使い方を含む。)によることとしており、公用文においては、原則として、「子供」の表記を用いている。ただし、訓令においては、特別な漢字使用等を必要とする場合にはこれによらなくてもよいこととしており、各行政機関が、当該場合に該当するかどうかを個々の事情に応じ判断している。訓令は、地方公共団体が作成する文書を対象としておらず、地方公共団体が作成する文書における表記については、各地方公共団体において適切に判断されるべきものであると考える。 四について  「子供」の表記については、「常用漢字表」(昭和五十六年内閣告示第一号。以下「旧常用漢字表」という。)の本表の漢字欄に掲げられた「供」の例欄に「子供」が示されたことにより、「子供」と表記することが目安として周知されるとともに、「公用文における漢字使用等について」(昭和五十六年十月一日事務次官等会議申合せ)により、政府の各行政機関が作成する公用文における漢字使用は、旧常用漢字表の本表及び付表(表の見方及び使い方を含む。)によることとされ、原則として、「子供」の表記を用いることとされた。現行常用漢字表及び訓令においても同じ取扱いとされていることから、平成二十五年七月十六日の周知徹底により「運用の前提が変わった」との御指摘は当たらず、御指摘のような「通知」を発出する必要はないと考えている。 五について  お尋ねの「「子供」の表記に関する世論の認識も差別表現との誤解」の意味するところが必ずしも明らかではないが、「子供」の表記に関する国民の認識の在り方について、政府として積極的に働き掛けることは考えていない。 六について  政府としては、子供のために何が必要かという視点に立って、必要な施策を進めていくことが重要と考えており、子供に関する様々な課題に総合的に対応するための新たな行政組織の創設及びそのために必要な法令の整備については、その行政組織の名称を含め、与党の議論も踏まえ、適切に検討していくこととしている。
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選挙運動及び政治活動における公職選挙法違反行為に関する質問主意書
令和三年六月九日提出 質問第一七二号 選挙運動及び政治活動における公職選挙法違反行為に関する質問主意書  公職選挙法において、選挙運動のために使用する選挙運動用ビラの頒布の方法については、一定の制限が課されている。また、政治活動のために使用するたすきを、街頭等において行う公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。以下「公職の候補者等」という。)の政治活動に用いる場合、公職の候補者等の氏名又は氏名が類推される事項(以下「氏名等」という。)が記載されたものを使用することはできないとされている。これらに違反した場合には、それぞれについて罰則規定が存在する。  右を踏まえ、次の事項について質問する。 一 選挙運動時の選挙運動用ビラについて  1 街頭演説における選挙運動用ビラの頒布は、聴衆と通行人に直接頒布する以外の方法は許可されていないと解してよいか。  2 選挙運動用ビラの頒布方法について、公職選挙法第百四十二条第六項では、「新聞折り込みその他政令で定める方法によらなければ、頒布することはできない」とされており、同条に基づき頒布方法を定める公職選挙法施行令第百九条の六では、ポスティングは認められていない。街頭演説をしている場所において、その演説が聞こえる範囲で住宅の郵便受箱や二輪車のかご等へ選挙運動用ビラを頒布することは、聴衆と通行人への直接頒布に該当せず、公職選挙法上認められていないと解してよいか。  3 選挙運動用ビラについて、公職選挙法第百四十二条の規定に違反して文書図画を頒布し、同法第二百四十三条の罰則が適用された事例はあるか。また、それらの事例のうち、同法第百四十二条第六項に違反して文書図画を頒布し、同法第二百四十三条の罰則が適用された事例はあるか。把握しているのであれば、直近の事例について詳細を伺いたい。 二 政治活動のために使用するたすきで、街頭等における公職の候補者等の政治活動に用いる場合、氏名等が記載されたものは、公職選挙法第百四十三条第十六項で掲示が許可されたものには該当せず、使用は認められない。しかしながら、こうしたたすきの使用がいまだに続いている。  1 現在公職にない者が、公職の候補者として政党からの公認が内定しておらず、立候補を表明していない時点であっても、選挙運動期間でないことから、街頭等において政治活動をする際に、その者の氏名等が記載されたたすきを使用することは、公職選挙法上認められていないと解してよいか。   また、その者の氏名等が記載されたたすきは、個人の政治活動用ポスターの任期満了の日の六月前の前日までは掲示が認められるという基準に関係なく、選挙運動期間外は文書図画の掲示として認められていないと解してよいか。  2 政治活動のために氏名等が記載されたたすきを使用することは、憲法に保障された表現の自由に含まれる政治活動の自由として認められているか。  3 たすきの使用に関して、公職選挙法第百四十三条第十六項の規定に違反して政治活動における文書図画の掲示禁止行為を行い、同法第二百四十三条の罰則が適用された件数及び違反内容の詳細について、把握しているのであれば、詳細を伺いたい。  右質問する。
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衆議院議員丸山穂高君提出選挙運動及び政治活動における公職選挙法違反行為に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一七二号   内閣衆質二〇四第一七二号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員丸山穂高君提出選挙運動及び政治活動における公職選挙法違反行為に関する質問に対する答弁書 一の1及び2について  お尋ねの「直接頒布」の意味するところが必ずしも明らかではないが、選挙運動のために使用するビラの頒布方法については、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第百四十二条第六項及び公職選挙法施行令(昭和二十五年政令第八十九号)第百九条の六の規定により、新聞折込み又は当該ビラに係る候補者等の選挙事務所内、個人演説会等の会場内若しくは街頭演説の場所における頒布に限られている。また、「街頭演説の場所」とは、一般には、街頭又はこれに類似する場所であって、街頭演説の聴衆がいる一定の範囲内の場所をいうものと解されているが、いずれにしても、個別の行為が同項の規定に違反するか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものと考える。 一の3について  お尋ねの「選挙運動用ビラについて・・・同法第二百四十三条の罰則が適用された事例」を政府として把握することとはしておらず、お答えすることは困難である。 二の1及び2について  お尋ねの「政治活動のために氏名等が記載されたたすきを使用することは、憲法に保障された表現の自由に含まれる政治活動の自由として認められているか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。以下「公職の候補者等」という。)の政治活動のために使用される当該公職の候補者等の氏名又は氏名が類推されるような事項を表示する文書図画及び公職選挙法第百九十九条の五第一項に規定する後援団体(以下「後援団体」という。)の政治活動のために使用される当該後援団体の名称を表示する文書図画については、同法第百四十三条第十六項各号に掲げるもの以外は掲示することができないこととされている。  一方、後援団体以外の政党その他の政治活動を行う団体の政治活動のために使用されるたすきについては、一般的には、選挙運動のために使用されるたすきと認められない限りにおいては、掲示することができるものと考えている。  いずれにしても、個別の行為が同法に違反するか否かについては、具体の事実に即して判断されるべきものと考える。 二の3について  お尋ねの「たすきの使用に関して・・・同法第二百四十三条の罰則が適用された件数及び違反内容」を政府として把握することとはしておらず、お答えすることは困難である。
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駐車場におけるスプリンクラー消火設備の有効性及び二酸化炭素を用いた消火設備の危険性に関する質問主意書
令和三年六月九日提出 質問第一七三号 駐車場におけるスプリンクラー消火設備の有効性及び二酸化炭素を用いた消火設備の危険性に関する質問主意書  諸外国の駐車場における消火設備の状況及び「衆議院議員丸山穂高君提出二酸化炭素を用いた消火設備の危険性に関する質問に対する答弁書(内閣衆質二〇四第一〇〇号)」(以下「答弁書」という。)を踏まえ、次の事項について質問する。 一 駐車場におけるスプリンクラー消火設備の有効性について  1 総務省消防庁において、令和元年七月三十一日から開催されている「特殊消火設備の設置基準等に係る検討部会」(以下「検討部会」という。)の令和元年度第一回配付資料の「海外における消防用設備等の設置基準に係る資料文献調査事業報告書(概要版)」によれば、米国では、消火設備の設置要件は、IFC(International Fire Code)で規定されており、消火設備の具体的な技術基準やメンテナンス基準は、全米防火協会(NFPA)が発行する技術基準を参照するのが一般的であるとされている。   米国以外の国においても、法令等を策定する際に、消火設備の設置要件や技術基準について、全米防火協会の基準を参照している国がある。このことから、全米防火協会の基準は国際的な信頼度が高いと推察されるが、日本においても消火設備の設置要件や技術基準を規定するに当たり、全米防火協会等の外国の基準を参考にすることはあるか。  2 令和元年度第一回検討部会における配付資料の「特殊消火設備における現行基準の整理」によれば、米国、英国、仏国及び韓国においては、建物の規模による設置基準の差はあるが、駐車場に通常設置される消火設備は、スプリンクラー設備とされている。   また、英国では、コミュニティ・地方自治省(当時)が二〇〇七~二〇〇九年に駐車場を模したスペースに三台の車を並べた状態での火災試験の結果を報告書(Fire spread in car parks–BD2552)にまとめている。報告書によると、スプリンクラー設備は一台の車両から隣接する車両への延焼防止に有効であったとされている。   右記の諸外国の状況を踏まえると、スプリンクラー設備には一定の有効性が認められると考えられるが、駐車場内の火災に対するスプリンクラー設備の有効性について、政府はどのように考えているのか、回答されたい。  3 我が国の消防法令では、駐車場へのスプリンクラー設備の設置を認めておらず、一般的に駐車場に設置する消火設備としては泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備が採用されている。この理由の一つとして、乗用車の燃料として使用されるガソリンや軽油等の引火性液体(消防法危険物第四類)の火災の消火に水を使用すると、むしろ火災を広げてしまうおそれがあるためと推察されるところである。しかし、スプリンクラー設備は、前述の英国の報告書で延焼防止に有効であったとされていることに加え、放出されるのは、発がん性が疑われる薬剤や、人体に危険な二酸化炭素等のガスではなく人体に安全な常温の水である。このように一定の有効性が認められ、人体にも安全なスプリンクラー設備を駐車場の消火設備の対象から除外してきた合理的理由について、政府の見解を問う。   また、前述の「特殊消火設備における現行基準の整理」では、「電気自動車や燃料電池自動車等の普及や自動車に求められる安全基準の変化等により、駐車場において大量にガソリン等の燃料が漏れ出し、それに伴い火災が発生することは想定されにくくなっているのではないか」との指摘がなされている。今後、このような社会情勢の変化にあわせて、駐車場へのスプリンクラー設備の設置を認めるなど、消火設備に関する法令等の見直しについて、検討する予定はないか、政府の見解を問う。 二 二酸化炭素を用いた消火設備の危険性について  1 我が国においては、近年、常時人がいない昇降機等の機械装置により車両を駐車させる構造の駐車場(以下「機械式駐車場」という。)における二酸化炭素を用いた消火設備(以下「二酸化炭素消火設備」という。)による死傷事故が相次いでいる。   機械式駐車場の防護区画内は、通常人が立ち入ることはないが、点検、工事等でやむを得ず人が立ち入ったこと等に起因して、これまでの死傷事故が発生していることから、機械式駐車場に二酸化炭素消火設備を設置する場合、どのような安全対策を講じても、人体に対する危険性を完全に排除することはできないと思われる。人の生命や安全を守る観点からは、機械式駐車場に二酸化炭素消火設備を設置すること自体適切ではないと考えるが、政府の見解を問う。  2 令和元年度第三回検討部会における配付資料の「自走式駐車場に設置される消火設備の検討」及び「駐車場において発生した火災事例一覧」において、平成二十一年から三十年までの駐車場等における火災事例について分析されている。この中で、不活性ガスあるいはハロゲン化物消火設備が設置されていた機械式立体駐車場における火災事例が四件報告されており、そのうち一件が、二酸化炭素消火設備が設置されている事例であった。この事例は、二酸化炭素消火設備を手動起動させたものの、センサーが異常を感知したため作動しなかったものである。政府は答弁書「一について」において、「二酸化炭素を用いた消火設備は有効な消火設備の一つであると考えている」としているが、当該資料では、二酸化炭素消火設備を設置している機械式立体駐車場における火災事例の報告が十年間で一件という中で、その有効性をどのように判断したのか。   また、当該資料に記載されている事例以外で、火災時に二酸化炭素消火設備が作動し消火活動に有効性が認められた事例及び火災時に二酸化炭素消火設備が作動しなかった事例について、政府が把握しているのはそれぞれ何件か。  3 米国におけるNFPA12(Standard on Carbon Dioxide Extinguishing Systems)では、既設を含めた全ての全域放出方式の二酸化炭素消火設備及び一部の局所放出方式の二酸化炭素消火設備について「ロックアウトバルブ」の設置を義務付けている。このロックアウトバルブは、二酸化炭素消火設備の二酸化炭素の放出弁を閉鎖し施錠するもので、これにより、防護区画内への二酸化炭素の放出を物理的に遮断することが可能となるため、防護区画内において点検、メンテナンス、工事等を行う人々を危険から守る重要な手段とされている。総務省消防庁が平成九年に発出した「安全対策上のガイドライン(全域放出方式の二酸化炭素消火設備の安全対策ガイドラインについて(通知))」(以下「安全対策上のガイドライン」という。)の中ではロックアウトバルブに関する言及は無いが、これまで総務省消防庁等の発出した通知等でロックアウトバルブについて、言及したことはあるか。   また、ロックアウトバルブの設置の義務付けについて、具体的な検討を進める予定はあるか、政府の見解を伺いたい。  4 二酸化炭素消火設備については、消防法令及び安全対策上のガイドライン等において、半年に一回の機器点検及び年一回の総合点検が義務付けられている。   報道によると、二酸化炭素消火設備が設置されている建物について、点検費用を惜しむ等の理由により、三十年以上、点検を怠り続けている事例もあったとのことである。これまで政府は、二酸化炭素消火設備の点検について、建物の管理者等にどのように実施を促してきたのか、また、点検を怠る建物の管理者等に対してどのように対処してきたのか、回答されたい。   加えて、政府は、答弁書「二について」において、「消火設備の技術基準やガイドラインに基づき必要な安全対策が講じられる場合には、安全上の問題はないと考えているが、今回の事故を踏まえ、安全対策の徹底等について注意喚起を行ったところであり、また、一層の安全対策について検討することとしている。」とある。二酸化炭素消火設備による死傷事故が相次いだことを踏まえ、一層の安全対策について、どのような検討を行うこととしたのか、具体的に示されたい。また、安全対策の一環として、設備の点検強化を促すため、何らかの措置を講ずることとしたのか、検討状況を含めて回答されたい。  右質問する。
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衆議院議員丸山穂高君提出駐車場におけるスプリンクラー消火設備の有効性及び二酸化炭素を用いた消火設備の危険性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一七三号   内閣衆質二〇四第一七三号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員丸山穂高君提出駐車場におけるスプリンクラー消火設備の有効性及び二酸化炭素を用いた消火設備の危険性に関する質問に対する答弁書 一の1について  「日本においても消火設備の設置要件や技術基準を規定するに当たり・・・外国の基準を参考にすることはあるか」とのお尋ねについては、必要に応じて諸外国の実例などを参考にすることがある。 一の2及び3について  「駐車場内の火災に対するスプリンクラー設備の有効性」、「スプリンクラー設備を駐車場の消火設備の対象から除外してきた合理的理由」及び「駐車場へのスプリンクラー設備の設置を認めるなど・・・法令等の見直し」に関するお尋ねについては、御指摘の「駐車場」及び「スプリンクラー設備」の意味するところが必ずしも明らかではないが、消防法施行令(昭和三十六年政令第三十七号。以下「令」という。)第十三条の規定において、防火対象物の駐車の用に供される部分については、一定規模以上の場合、水噴霧消火設備、泡消火設備、不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備のうち、いずれかを設置することとしており、このうち水噴霧消火設備は、令第十二条及び消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号。以下「規則」という。)第十二条の二から第十五条までの規定において技術基準が定められているスプリンクラー設備と同様に水を用いる消火設備であって、令第十三条及び第十四条並びに規則第十六条及び第十七条の規定において必要な技術基準を定めており、駐車の用に供する部分における火災に対して有効な消火設備の一つであると考えている。  なお、駐車の用に供される部分に設ける消火設備のあり方については、総務省消防庁において開催している「特殊消火設備の設置基準等に係る検討部会」(以下「検討部会」という。)における検討結果を踏まえ、適切に判断してまいりたい。 二の1について  「人の生命や安全を守る観点からは、機械式駐車場に二酸化炭素消火設備を設置すること自体適切ではない」との御指摘について、二酸化炭素を用いた消火設備(以下「二酸化炭素消火設備」という。)については、二酸化炭素を用いることによる危険性を考慮し、令第十三条及び第十六条並びに規則第十九条の規定において、必要な技術基準(以下「二酸化炭素消火設備の技術基準」という。)を定めるとともに、「全域放出方式の二酸化炭素消火設備の安全対策ガイドラインについて(通知)」(平成九年八月十九日付け消防予第百三十三号・消防危第八十五号消防庁予防課長及び消防庁危険物規制課長連名通知)において、安全対策上のガイドライン(以下「ガイドライン」という。)を示してきたところであり、常時人がいない昇降機等の機械装置により車両を駐車させる構造の駐車場において、二酸化炭素消火設備の技術基準やガイドラインに基づき必要な安全対策が講じられる場合には、二酸化炭素消火設備は有効な消火設備の一つであると考えているが、検討部会において、一層の安全対策について検討している。 二の2について  二酸化炭素消火設備の「有効性をどのように判断したのか」とのお尋ねについては、二酸化炭素は、消火剤として用いることで酸素濃度を低下させ、消火する作用を有することに加え、貯蔵容器から放出された際は火炎の冷却に寄与する性質も有しており、消火剤としての有効性があるものと承知している。  また、「当該資料に記載されている事例以外で・・・政府が把握しているのはそれぞれ何件か」とのお尋ねについては、網羅的に把握していない。 二の3について  「これまで総務省消防庁等の発出した通知等でロックアウトバルブについて、言及したことはあるか」及び「ロックアウトバルブの設置の義務付けについて、具体的な検討を進める予定はあるか」とのお尋ねについては、既にガイドライン及び「ハロゲン化物消火設備・機器の使用抑制等について(通知)」(平成三年八月十六日付け消防予第百六十一号・消防危第八十八号消防庁予防課長及び消防庁危険物規制課長連名通知)において、点検時の安全を確保するための対策として閉止弁を設けることとしているが、検討部会において一層の安全対策について検討することとしている。 二の4について  「二酸化炭素消火設備の点検について・・・どのように対処してきたのか」とのお尋ねについては、総務省消防庁として、毎年二回の全国火災予防運動等を通じ、防火対象物の関係者に消防用設備等の点検・整備の重要性を認識させ、定期点検及び点検結果報告の徹底を図るとともに、消防用設備等の適正な維持管理が行われるよう全国の消防本部に対して促しつつ、「立入検査標準マニュアル」(平成二十六年三月四日現在消防庁予防課)及び「違反処理標準マニュアル」(平成二十六年三月四日現在消防庁予防課)を定めることで、全国の消防本部における必要な対応を促進してきたところである。  また、「一層の安全対策について、どのような検討を行うこととしたのか」及び「安全対策の一環として、設備の点検強化を促すため、何らかの措置を講ずることとしたのか」とのお尋ねについては、検討部会における安全対策に関する検討状況を踏まえ、適切に判断してまいりたい。
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日本脳炎・おたふく風邪ワクチン不足等に関する質問主意書
令和三年六月九日提出 質問第一七四号 日本脳炎・おたふく風邪ワクチン不足等に関する質問主意書  日本脳炎ワクチン及びおたふく風邪ワクチンの供給について、ワクチンメーカーの製造工程上の不備により本年度は必要な数量を確保できない旨の報道がされている。日本脳炎ワクチンについては、予防接種法上の定期接種と位置付けられており、予防接種法第二十三条第二項により、国はワクチン供給確保の義務を負っているものと理解している。感染症対策の充実及び所得格差が健康格差につながることのないよう、有効なワクチンは、できるだけ予防接種法上の定期接種等に位置付け、その供給を確保し、国民の生命と健康を守るべきであるという観点から、以下、政府の見解を伺う。 一 日本脳炎ワクチン及びおたふく風邪ワクチンの供給不足について、政府はそれぞれ平年と比べてどの程度の供給不足が生じると見込んでいるのか。また、これらの供給不足を補うためにどのような対策を講じているのか。 二 日本脳炎ワクチン及びおたふく風邪ワクチンの供給不足解消の時期について、政府は把握しているか。把握している場合には、その時期を示されたい。また、供給不足が解消された場合には、その旨を国民にどのように周知するのか。 三 厚生労働省の日本脳炎に関するウェブサイトでは、日本脳炎ワクチンの供給不足により、一部の方について接種の案内時期が延期される旨、公表されている。  1 この案内時期の延期により接種時期がずれた者の人数又はずれる見込みの人数を政府は把握しているか。把握している場合には、その人数を示されたい。  2 過去に接種できなかった時期がある高校三年生相当の方に対する接種は通常どおり行うとされているが、これらの者は今年度中に確実に接種できるのか。来年度に延期となり二十歳を過ぎる者はいないと政府は考えているのか。  3 日本脳炎ワクチン接種が翌年度へ延期されることにより、十分な抗体が産生されなかった等日本脳炎ワクチンの効果への影響はないのか。影響の有無が判明している場合、その根拠を示されたい。 四 おたふく風邪ワクチンについては、日本小児科学会の資料において、接種を推奨した上で「その重要性は、定期接種のワクチンと全く同じです。」としている。おたふく風邪ワクチンを予防接種法上の予防接種と位置付けるべきではないかと考えるが、これまでの検討の経緯を含めて、政府の見解を伺う。  右質問する。
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衆議院議員高井崇志君提出日本脳炎・おたふく風邪ワクチン不足等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一七四号   内閣衆質二〇四第一七四号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員高井崇志君提出日本脳炎・おたふく風邪ワクチン不足等に関する質問に対する答弁書 一及び二について  お尋ねの「日本脳炎ワクチン及びおたふく風邪ワクチンの供給不足」、「平年と比べてどの程度の供給不足」及び「供給不足解消」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本脳炎ワクチンの供給量については、令和二年度と比較して、令和三年度は八十万本程度減少する見込みであるところ、政府としては、地方公共団体等に対して、「乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンの定期の予防接種に係る対応について」(令和三年一月十五日付け健健発〇一一五第一号厚生労働省健康局健康課長通知。以下「課長通知」という。)等により、当該ワクチンの供給量について今後の見通しを周知しているほか、日本脳炎に係る予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)第五条第一項の規定による定期の予防接種(以下「定期接種」という。)の対象者が対象期間内に接種を受けることができるよう、個別通知の発送時期の調整や対象期間の終期が近い年齢の者への優先接種の実施を依頼しているところである。また、令和四年度の当該ワクチンの供給量は令和二年度の供給量を上回る見込みであり、引き続き、地方公共団体に対する通知や厚生労働省ホームページ等により必要な情報提供を行ってまいりたい。  おたふくかぜワクチンについては、おたふくかぜが定期接種の対象疾病とされていないため、当該ワクチンの供給量について政府として詳細には把握しておらず、周知も行っていないが、現在、一時的に当該ワクチンの出荷を停止しており、令和三年十月末に出荷を再開する予定である旨を発表している当該ワクチンの製造販売業者があることは承知している。 三の1について  お尋ねの「接種時期がずれた者の人数又はずれる見込みの人数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本脳炎に係る定期接種の対象者が御指摘の「案内」を受けた後、対象期間内のどのタイミングで接種を受けるかについては、個々人によって様々であり、政府として把握していない。なお、政府としては、一及び二についてでお答えしたとおり、日本脳炎に係る定期接種の対象者が対象期間内に接種を受けることができるよう、必要な取組を行っているところである。 三の2について  お尋ねの「確実に接種できる」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、御指摘の「高校三年生相当の方」のうち日本脳炎に係る定期接種が完了していない者について、対象期間内に接種を受けることができるようにするため、課長通知において、「二千二十一年度の個別通知を行う際には、・・・二千三(平成十五)年度生まれの特例対象者に通知すること」と示すなどにより、対象期間の終期が近い年齢の者への優先接種の実施を依頼しているところである。 三の3について  お尋ねの「日本脳炎ワクチンの効果への影響」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一及び二についてでお答えしたとおり、定期接種の対象者が対象期間内に日本脳炎ワクチンの接種を受けることができるよう、必要な取組を行っているところであり、当初予定していたタイミングより接種が遅れたとしても、対象期間内に接種を受けることにより、日本脳炎の予防効果があるものと考えている。 四について  おたふくかぜワクチンについては、平成二十四年五月二十三日に厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会で取りまとめられた「予防接種制度の見直しについて(第二次提言)」において、「広く接種を促進していくことが望ましい」ワクチンの一つとされたことを踏まえ、厚生科学審議会等において当該ワクチンの技術的論点の検討が続けられており、政府としては、引き続き、当該審議会における議論等を踏まえて必要な検討を行ってまいりたい。
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中国への軍事転用可能技術の供与に関する質問主意書
令和三年六月九日提出 質問第一七五号 中国への軍事転用可能技術の供与に関する質問主意書  本年一月一日付の読売新聞は、海外から優秀な研究者を集める中華人民共和国(中国)の人材招致プロジェクト「千人計画」に、少なくとも四十四人の日本人研究者が関与しており、日本政府から多額の研究費助成を受け取った後、中国軍に近い大学で教えていた事例もあると報じた。中国は民間の最先端技術を軍の強化につなげる「軍民融合」を国家戦略として推進し、最新鋭兵器を開発・導入するとともに、日本周辺でも覇権主義的な行動を強めていると読売新聞は警鐘を鳴らしている。中国軍に近い「国防七校」のうち北京理工大学のロボット研究センターに所属していた研究者は、読売新聞の取材に、「私の研究も、大学で進むロボットの研究も、軍事転用は可能だ」と語った。  本職が平成二十八年五月十二日に開かれた衆議院北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会において、我が国の技術が北朝鮮の核開発やミサイル開発に使われた可能性が極めて濃厚であることについて感想を尋ねると、岸田文雄外務大臣(当時)は「我が国の科学技術が流出することによって我が国の国民の命や暮らしや安全保障が脅かされるとしたならば、これはゆゆしきことであり、これは許してはならないことであると思います」と答弁し、加藤勝信拉致問題担当国務大臣(当時)は「日本の、特に国公立の研究所等で研究をされている方々が、そこの情報を、特に我が国の安全保障に大変脅威のある国に対して持って出るということは、断固として許してはならない、こういうふうに私は思います」と答弁した。続いて本職が、特定技術の外国への提供について質問すると、高木陽介経済産業副大臣(当時)は「大量破壊兵器の開発などに転用され得る特定技術を外国において提供することを目的とする取引は、それを行おうとする者の国籍にかかわらず、これは外為法第二十五条第一項において、経済産業大臣の許可を要することになっておりますので、この許可をとらずに技術を提供した場合は外為法違反となります」と答弁した。  これらを踏まえて、お尋ねする。 一 中国は、技術開発などの様々な分野において軍隊資源と民間資源の双方向での結合を目指す軍民融合政策を推進していると政府は認識しているか。 二 中国は、軍事利用が可能な先端技術の開発・獲得に積極的に取り組んでいるか、また、その先端技術には、将来の戦闘の様相を一変させる技術、いわゆるゲーム・チェンジャー技術が含まれるか、政府が把握しているところを答えられたい。 三 中国政府、企業、大学等の関係者が、先端科学技術を有する我が国の企業等を積極的に訪問するとともに、あらゆる機会を通じて中国への進出や共同研究、技術提供を働き掛けるなどの動きが見られることについて政府の認識を問う。 四 米国で、中国の「千人計画」などの人材招致計画への参加について虚偽申請を行ったなどとして、大学・研究機関関係者が逮捕された事案について、政府は承知しているか。承知しているならば、何件くらいあったか。 五 米国のクリストファー・レイ連邦捜査局(FBI)長官は昨年七月七日、「FBIは、十時間に一件の割合で、中国に関連した新たな諜報事案の捜査に着手している」と述べたが、我が国の同盟国である米国は、中国によるスパイ活動をどの程度深刻に捉えていると政府は考えるか。 六 いわゆる外為法第二十五条第一項において、大量破壊兵器の開発などに転用され得る特定技術を提供することを目的とする取引を特定の外国と行おうとするときは経済産業大臣の許可を受けなければならないと定められている。「特定の外国」に、中国は含まれるか。 七 外為法第二十五条第一項の規定に違反した者に対する罰則規定を示されたい。 八 外為法第二十五条第一項の「特定の外国」に中国が含まれるならば、本職は元国家公安委員会委員長として、違法行為について徹底した取締りを推進すべきと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
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衆議院議員松原仁君提出中国への軍事転用可能技術の供与に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一七五号   内閣衆質二〇四第一七五号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員松原仁君提出中国への軍事転用可能技術の供与に関する質問に対する答弁書 一及び二について  お尋ねは、中国の政策に関するものであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。なお、令和三年三月に第十三期全国人民代表大会第四回会議において採択された「第十四次五箇年計画」においては、「軍民の科学技術の協調イノベーションを深化させ、海洋、航空・宇宙、サイバー空間、バイオ、新エネルギー、AI、量子科学技術等の分野の軍民一体での発展を強化」とされていると承知している。 三について  お尋ねの「先端科学技術を有する我が国の企業等」、「積極的に訪問」及び「中国への進出や共同研究、技術提供を働き掛けるなどの動き」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難であるが、一般論としては、科学技術の発展と技術の流出防止の両立を図ることは重要であると認識している。 四について  御指摘の事案及びその件数について、政府としてお答えする立場にないが、米国司法省が、ハーバード大学のチャールズ・リーバー教授が、米国の国防総省及び国立衛生研究所から資金支援を受けており、外国の政府や団体からの資金支援を含む外国利益相反について報告することが求められていたにもかかわらず、中国の「千人計画」に参加し資金支援等を受けていたことを隠し続けたため、虚偽申告で逮捕されたことを公表したことは承知している。 五について  米国政府の見解については、政府としてお答えする立場にない。 六について  中国は、御指摘の「特定の外国」に含まれる。 七について  外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第六十九条の六第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定において、同法第二十五条第一項の規定による許可を受けないで同項の規定に基づく命令の規定で定める取引をした者は、七年以下の懲役若しくは二千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされている。ただし、当該違反行為の目的物の価格の五倍が二千万円を超えるときは、罰金は、当該価格の五倍以下とすることとされている。  また、同法第六十九条の六第二項(第一号に係る部分に限る。)の規定において、特定技術であって、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機のうち外国為替令(昭和五十五年政令第二百六十号)第二十七条第一項で定めるもの(以下「核兵器等」という。)の設計、製造若しくは使用に係る技術又は核兵器等の開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術として同条第二項で定める技術について、同法第二十五条第一項の規定による許可を受けないで同項の規定に基づく命令の規定で定める取引をした者は、十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされている。ただし、当該違反行為の目的物の価格の五倍が三千万円を超えるときは、罰金は、当該価格の五倍以下とすることとされている。  さらに、同法第七十二条第一項(第一号に係る部分に限る。)の規定において、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、同法第六十九条の六第二項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して十億円以下(当該違反行為の目的物の価格の五倍が十億円を超えるときは、当該価格の五倍以下)の罰金刑を、その人に対して同項の罰金刑を科することとされている。  加えて、同法第七十二条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定において、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、同法第六十九条の六第一項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して七億円以下(当該違反行為の目的物の価格の五倍が七億円を超えるときは、当該価格の五倍以下)の罰金刑を、その人に対して同項の罰金刑を科することとされている。 八について  「特定の外国」がいずれの国であるかにかかわらず、外国為替及び外国貿易法に触れる行為があった場合には、捜査当局が関係機関と連携し、取締りを行っており、今後とも、これを徹底してまいりたい。
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行政手続のオンラインシステム化の推進等に関する質問主意書
令和三年六月九日提出 質問第一七六号 行政手続のオンラインシステム化の推進等に関する質問主意書  行政手続のオンライン化を進めることは、時間に拘束されないサービスの提供や手数料の低減、処理時間の短縮等メリットが大きく、可能な限り早期に実現していくことが望ましいと考える。  関連し、以下質問をする。 一 政治資金規正法第十九条の十五は、国会議員関係政治団体の政治資金収支報告書及び政治資金監査報告書の提出については、電子情報処理組織を使用する方法により行うよう努めるものとすると規定している。  令和二年十一月二十七日の閣議後に開かれた平井卓也デジタル改革担当相の記者会見において、政治資金収支報告書のオンラインシステムについての記者からの「オンライン提出については、政治資金規正法で努力義務として規定されている、さらにシステムの運用からこれまで二十億のコストがかかっていて、ランニングコストにしても毎年六千万円ずつかかっているというのが現状です。もし使い勝手が悪いのであれば改善するなり、システムを廃止するなり、そういったことは考えていますか。」という質問に対し平井大臣は、「国が全てのシステムに関して、BPRも含めたデジタル化を進めていくという中で、極端にそれが使われていないということに関しては、これは大きな問題だと思うので、それは当然、検討しなければならないと考えています。結局、使われないデジタル化というのはもうやっても意味がないので、そういうものに関しては抜本的な見直しが必要だと思います。」と述べている。  平井大臣が示した「抜本的な見直し」とはどのようなものか。また、政治資金規正法第十九条の十五に規定されている電子情報処理組織を使用する方法について、平井大臣の発言以降、BPR(抜本的な業務改革)も含めた見直しは進んでいるか。進んでいる場合、その内容を詳細に述べられたい。 二 総務省における政治資金関係申請・届出オンラインシステムについて  1 OS(オペレーティングシステム)のソフトウェア環境は現在、Internet Explorer11及びMicrosoft Edgeが利用可能となっている。   しかし、本システムを利用し、衆議院議員丸山穂高を代表とする政治団体「NHK党近畿支部」の設立届を令和三年五月十九日に申請しようとした際、Microsoft Edgeでは添付書類に電子署名を付すことができず、政治資金ヘルプデスクに確認した上でInternet Explorer11に切り替えてセキュリティーレベルを下げて再度行ったところ、電子署名を付すことができた。   Microsoft Edgeが使用できない条件があるのか。またブラウザのセキュリティーレベルでの設定における制限はあるのか。そうした条件がある場合、政治資金関係申請・届出オンラインシステムにおける案内については修正する必要があると考えるが、回答をされたい。  2 政治資金関係申請・届出オンラインシステムを利用して申請した手続の内容が、オンラインシステム上で審査される期間がかなりの長期に渡り、手続がスムーズに完了しないという批判がある。   本システムを利用し、衆議院議員丸山穂高を代表とする政党支部「NHKから国民を守る党近畿支部」の届出における本部規約の変更を行うため、届出事項等の異動届を令和二年十二月二十三日に申請したところ、実際に内容の審査が完了されたのは令和三年五月二十一日であった。   ① 審査完了までに五箇月かかるというスピード感のない状況であるが、本システムにおける総務省の審査完了までの処理手続はどのようなものか。具体的手続を順番に全て回答されたい。   ② その際、オンラインで申請した内容が実際に反映されるまでに要する時間について標準処理期間を設けているのか。審査完了までにかなりの時間を要することに対し不満の声も上がっているが、なんらかの改善予定はあるか。届出事項等の異動届以外のオンライン申請ができる各手続において処理時間及び処理手続の相違はあるか。各件について明確に回答されたい。 三 国会議員関係政治団体の収支報告書についてはオンラインシステム利用による提出が努力義務となっている。特に、国務大臣等は率先してオンラインシステム利用により提出すべきものと考えるが令和三年五月三十一日時点の、菅義偉内閣における各国務大臣、各府省の副大臣及び大臣政務官並びに内閣総理大臣補佐官が届け出た国会議員関係政治団体の令和二年定期分の政治資金収支報告書(提出期限は令和三年五月末)について、オンラインシステム利用による提出をした者の人数及び氏名を伺いたい。同様に、令和三年五月三十一日時点の、衆参両院の現職国会議員が届け出た国会議員関係政治団体の令和二年定期分の政治資金収支報告書について、全体におけるオンラインでの提出割合を伺いたい。 四 行政手続のオンライン化を進めていくには、当然その利便性の向上も含め推進していかなければ意味はない。しかしながら既にオンライン化されている行政手続の一部において、使用するに当たり対象のOSやブラウザが限定されているものがあり、その利用に不便が生じている。  1 総務省におけるマイナンバーカードを活用し、便利な暮らしと地域の活性化を図ることを目的としたマイキープラットフォーム事業において、IDの作成や登録については現在、OSはMicrosoft Windows(7、8・1、10)とし、ブラウザについてはInternet Explorer11、Microsoft Edge(Ver・79以上)、Google Chrome(Ver・79以上)に限定されている。   同事業のシステムについては、平成三十一年二月十九日の衆議院総務委員会において、「ユーザー目線に立ったシステムの改修を行う必要があると考えますが、いかがでしょうか。」との質問に対して政府が「マックOSでもマイキーIDの設定を利用可能とするように対応したいと考えております。」と答弁している。加えて、令和二年六月二十二日の参議院決算委員会においても「ほかのOSやブラウザに拡張する予定はないのでしょうか。」との質問に対して政府は「現在その取組を進めているところでございます。可能な限り早期に対応できるように取り組んでまいります。」と答弁している。その後更に一年近く経過している中で、現在もマックOSは利用できないと承知しているが間違いないか。また、利用できない場合、現在、どのような取組を進めており、いつまでに利用可能となるのか。具体的に回答されたい。  2 総務省における政府調達手続に関する一連の業務・情報を提供する調達ポータルサイトの使用については現在ソフトウェア環境として、OSはMicrosoft Windowsとし、電子証明書を利用する場合のブラウザについてはInternet Explorer11(32bit版)に限定されている。   本件については、平成三十一年三月十三日の衆議院厚生労働委員会の質疑において、政府は調達ポータルの導入検討段階において、利用することが多い企業側のブラウザの利用状況を見たところ、Internet Explorer11が最も多く、OSについてはInternet Explorer11を標準搭載しているMicrosoft Windowsを推奨環境としたと説明しつつ、「対象の拡大について私ども検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。」と答弁している。それから二年以上経過して、現在の利用状況はさらに変化しており、実際、StatCounterが発表した令和三年三月のデスクトップブラウザの国内シェアによると、Internet Explorerのシェアは六・九一%と低く、政府の対応と乖離が生じている。調達ポータルサイトにおけるブラウザ及びOSの推奨環境について、今後変更していくのか。変更を行わない場合、如何なる理由で変更しないのか。回答されたい。 五 各府省庁の行政手続のオンラインシステムにおいて、現在、前述した政治資金関係申請・届出オンラインシステムの運用、マイキープラットフォームの運用及び調達ポータルサイトの運用以外で、利用可能なOSをMicrosoft Windowsに限定しているもの、または、利用可能なブラウザをInternet ExplorerやMicrosoft Edgeに限定しているものは他にもあるか。ある場合、全て列挙されたい。また、OS及びブラウザが限定されている場合改善すべきと考えるが、政府の見解を問う。 六 米Microsoft社は、令和三年五月十九日、WebブラウザInternet Explorerのサポートを米国時間令和四年六月十五日(日本時間六月十六日)に終了すると発表した。  1 これまで質問したように、国民が利用するオンラインシステムによる各種の行政手続きの中にはInternet Explorerブラウザを前提としたシステム運用になっているものが散見される。サポート終了への早急な対応が必要であり、喫緊の課題であると考えるが、今後、現在の使用ブラウザ状況をどのように変更する予定か。具体的な計画内容とスケジュールを示されたい。  2 政府内で使用されているPC等の端末においても、Internet Explorerブラウザに限定した仕様となっているものが未だあるのか。ある場合、今後、使用ブラウザをどのように変更する予定か。具体的な計画内容とスケジュールを示されたい。  右質問する。
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衆議院議員丸山穂高君提出行政手続のオンラインシステム化の推進等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一七六号   内閣衆質二〇四第一七六号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員丸山穂高君提出行政手続のオンラインシステム化の推進等に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「抜本的な見直し」とは、デジタル化の効果を最大限に発揮するため、デジタル化の目的である利用者中心の行政サービス等に立ち返った業務改革に取り組むとともに、それを踏まえたシステム整備を行うことを意味するものである。また、「政治資金規正法第十九条の十五に規定されている電子情報処理組織を使用する方法について、平井大臣の発言以降、BPR(抜本的な業務改革)も含めた見直しは進んでいるか」とのお尋ねについては、政治資金関係申請・届出オンラインシステムの利用促進に向け、「デジタル・ガバメント実行計画」(令和二年十二月二十五日閣議決定)に基づき、システムの利便性の向上等について検討しているところである。なお、政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)第十九条の十五に規定する内容の見直しについては、政党その他の政治団体の政治活動の自由と密接に関連する事柄であり、各党各会派において御議論いただきたいと考えている。 二の1について  「Microsoft Edgeが使用できない条件があるのか」及び「そうした条件がある場合、政治資金関係申請・届出オンラインシステムにおける案内については修正する必要があると考えるが、回答をされたい」とのお尋ねについては、御指摘の「Microsoft Edge」のうち、令和二年一月に配信されたMicrosoft Edge(Chromium)では、仕様により添付書類への電子署名の付与ができないが、その改善に向けて検討を進めているところであり、御指摘を踏まえ、現在Microsoft Edge(Chromium)では添付書類への電子署名の付与ができないことについて、利用者への案内を行ったところである。また、「ブラウザのセキュリティーレベルでの設定における制限はあるのか」とのお尋ねについては、その意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「Internet Explorer11」については、必要に応じて添付書類への電子署名の付与ができるよう設定を変更することができるところである。 二の2について  お尋ねの「本システムにおける総務省の審査完了までの処理手続」については、総務省において政治団体から提出された届出書類を受け付け、当該届出書類の内容について必要に応じて政治団体に確認を取りながら形式審査を行って審査完了となる。御指摘の「標準処理期間」は設けていないところであるが、審査完了までに要する時間の短縮に向け、事務の見直しに係る取組を進めてまいりたい。また、「届出事項等の異動届以外のオンライン申請ができる各手続において処理時間及び処理手続の相違はあるか」とのお尋ねについては、一概にお答えすることは困難であるが、例えば、政治資金規正法第十二条第一項に規定する報告書(以下「報告書」という。)の提出については、同法第二十条第一項の規定において、総務大臣又は都道府県選挙管理委員会は、報告書を受理したときは当該報告書が提出された年の十一月三十日までにその要旨を公表するものとすると規定されていることから、報告書の受理後、公表までの間に総務省及び都道府県選挙管理委員会において形式審査等を行っており、「届出事項等の異動届」に係る処理時間及び処理手続とは相違があるところである。 三について  御指摘の「令和三年五月三十一日時点の、菅義偉内閣における各国務大臣・・・が届け出た国会議員関係政治団体の令和二年定期分の政治資金収支報告書(提出期限は令和三年五月末)」及び「令和三年五月三十一日時点の、衆参両院の現職国会議員が届け出た国会議員関係政治団体の令和二年定期分の政治資金収支報告書」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「オンラインシステム利用による提出をした者の人数及び氏名」及び「全体におけるオンラインでの提出割合」については、報告書の提出先が都道府県選挙管理委員会であるものもあるため網羅的には把握しておらず、お答えすることは困難である。 四の1について  お尋ねについては、御指摘の「マイキープラットフォーム」の改修により、令和二年八月二十日に措置済みである。 四の2について  御指摘の「調達ポータルサイト」における「電子証明書を利用する場合のブラウザ」として、御指摘の「Internet Explorer11(32bit版)」に加え、令和四年五月より、Microsoft Edge及びGoogle Chromeにも対応できるようにする予定である。また、お尋ねの「OS」について、御指摘の「Microsoft Windows」以外のものについても、利用企業の意見を踏まえて、推奨環境の対象に追加することを検討してまいりたい。 五について  現時点で把握している限りでは、国民が利用する行政手続のオンラインシステムのうち、御指摘の「利用可能なOSをMicrosoft Windowsに限定しているもの」は、総務部資格審査システム、金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム、金融庁業務支援統合システム、総合無線局監理システム、登記・供託オンライン申請システム、財政融資資金電算機処理システム、政府借入金入札システム、医師等免許登録確認システム、医薬品医療機器申請・審査システム、科学的介護情報システム、統合型臨床研修プログラム検索サイト、一元的な輸出証明書発給システム、農林水産省電子入札システム、品種登録業務関連システム、化審法低生産量・少量新規化学物質申出システム、化審法届出書作成支援ソフト、鉱業原簿登録システム、産業標準策定システム、省エネ法・温対法電子報告システム、フロン法電子報告システム、空域使用計画管理機能、港湾整備事業支援統合情報システム、自動車登録検査業務電子情報処理システム、自動車保有関係手続のワンストップサービスシステム、電子契約システム(工事・業務)、電子入札システム、特殊車両通行許可システム、道路占用システム、放射線源登録管理システム、建設CALS及び中央調達システムであり、また、御指摘の「利用可能なブラウザをInternet ExplorerやMicrosoft Edgeに限定しているもの」は、総務部資格審査システム、金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム、金融庁業務支援統合システム、総合無線局監理システム、登記・供託オンライン申請システム、財政融資資金電算機処理システム、政府借入金入札システム、医師等免許登録確認システム、科学的介護情報システム、統合型臨床研修プログラム検索サイト、一元的な輸出証明書発給システム、植物防疫所業務システム、農林水産省電子入札システム、品種登録業務関連システム、鉱業原簿登録システム、JCM登録簿、港湾整備事業支援統合情報システム、自動車登録検査業務電子情報処理システム、自動車保有関係手続のワンストップサービスシステム、電子契約システム(工事・業務)、電子入札システム、特殊車両通行許可システム、放射線源登録管理システム、建設CALS及び中央調達システムである。「OS及びブラウザが限定されている場合改善すべき」との御指摘については、各オンラインシステムの状況等に応じて、対応できるよう取り組んでまいりたい。 六の1について  国民が利用する行政手続のオンラインシステムのうち、御指摘の「Internet Explorerブラウザを前提としたシステム運用になっているもの」については、他の「使用ブラウザ」に対応できるよう取り組んでまいりたい。 六の2について  御指摘の「政府内で使用されているPC等の端末」の範囲が必ずしも明らかではないが、各府省LANを利用している端末について申し上げれば、現時点で把握している限りでは、御指摘のような「Internet Explorerブラウザに限定した仕様となっているもの」も一部存在するところ、これについても、他の「使用ブラウザ」に対応できるようにするなど適切に取り組んでまいりたい。
a204177
JA厚生連の運営する病院の役割を生かす政策についての質問主意書
令和三年六月九日提出 質問第一七七号 JA厚生連の運営する病院の役割を生かす政策についての質問主意書  JA厚生連(厚生農業協同組合連合会)の運営する病院(以下「厚生連病院」という。)は、地域医療の担い手という一定の社会的役割を務めている。  しかし、農業協同組合法の規制を受けるため、員外利用規制や、同法施行令及び同法施行規則に基づく固有の数式の固定比率規制を受けるなど、病院運営において、その沿革に由来する特有の課題を長年抱えている。特に固定比率規制については、他のJA(農業協同組合)組織事業と比べ厚生事業は固定資産の値が大きい傾向にあるため、建物老朽化対応の投資決断さえもしづらく、皺寄せが人件費に行きやすいという指摘もJA厚生連からなされている。  一方で、農協改革により員外利用規制等のない社会医療法人への転換という選択肢が与えられたものの、不採算医療の実施が要件になっている他、特別養護老人ホーム等の開設運営ができないなどの制約が生じる。  厚生連病院は公的三病院の中でも、人口の少ない地方自治体に多く存在し、今後、農村部では人口減少と高齢化が進むことが予想されるため、社会医療法人への転換という選択肢は、厚生連病院が医療機関不足に悩む地域医療を支える公的病院の役割を担っているという特質にそぐわない。つまり何ら課題を解決するものではなく、具体的議論が尽くされたとは言い難い。  さらに、新型コロナウイルス感染症拡大の中、厚生連病院はコロナ患者の受け入れを行い、公立病院並みに最前線で地域医療に貢献している。同時に、そこでの医療従事者には相当な負荷がかかっている。にもかかわらず、一般診療機能の縮小、受診控え等から、今後病院経営が悪化した場合には人件費削減へとつながりかねない。  そこで、以下、質問する。 一 農村地域社会に根差した公的医療の担い手という厚生連病院の特徴を生かしつつ、その機能が弱体化しないよう、前述した特有の課題の緩和解消に向けての取組や財政支援策が必要と考えるが、政府の具体的取組や今後の対策の検討状況について伺う。  右質問する。
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衆議院議員青山大人君提出JA厚生連の運営する病院の役割を生かす政策についての質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一七七号   内閣衆質二〇四第一七七号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員青山大人君提出JA厚生連の運営する病院の役割を生かす政策についての質問に対する答弁書 一について  厚生農業協同組合連合会(以下「厚生連」という。)が運営する病院(以下「厚生連病院」という。)については、法人税の非課税措置に加え、農村地域における医療を担う公益性の高い医療機関であることを踏まえ厚生連病院において直接その用に供する一定の固定資産に対する固定資産税の非課税措置その他の課税の特例の措置を講じているほか、厚生連病院を含む公的病院等(特別交付税に関する省令(昭和五十一年自治省令第三十五号)第二条第一項第一号の表第四十六号に規定する公的病院等をいう。以下同じ。)については、公的病院等に対する地方公共団体の助成に要する経費について、特別交付税措置を講じている。また、新型コロナウイルス感染症への対応として緊急に必要となる感染拡大防止策の実施、医療提供体制の整備等については、厚生連病院を含む医療機関に対し、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)等による支援を行っている。  お尋ねの「農業協同組合法の規制」については、その適用に当たって、各厚生連から丁寧に意見を伺い、必要な対応を行ってまいりたい。
a204178
GIGAスクール構想実施にあたって発達期にある児童生徒の心身に与える影響への配慮に関する質問主意書
令和三年六月九日提出 質問第一七八号 GIGAスクール構想実施にあたって発達期にある児童生徒の心身に与える影響への配慮に関する質問主意書  PISA(OECD(経済協力開発機構)の生徒の学習到達度調査)の二〇一八年調査結果にもあるように日本では学校の授業におけるデジタル機器導入が海外と比べて遅れている実情があり、GIGAスクール構想(以下、「構想」という。)の実施自体は否定するものではない。  しかし、構想の実施にあたって、発達期にある児童生徒の心身への影響につき配慮が十分になされているか懸念がある。VDT症候群(デジタル機器の利用が原因で心身が不調になる状態)が存在し、「スマホ脳」という本が近年ベストセラーとなるように、我々成人においてもデジタル機器利用においては自己管理が難しいところがある。  まして、身体が発達途上の児童生徒に対しては、スクリーンタイムが増えることで、睡眠トラブル、集中力低下、視力や筋骨格等への悪影響の可能性、手書きで文字を書く等で養われる運動能力の低下のおそれが、すでに眼科や小児科等の医学専門家から指摘されている。視覚と聴覚刺激のみのデジタル機器利用の時間が長くなれば、脳の発達への影響も懸念される。また、海外で子ども・若者への複数の調査結果をまとめたところ、スクリーンタイムが長時間になるほど鬱のリスクが高まるという報告もある。  日本の児童生徒も学校外でのデジタル機器利用は進んでおり、構想の実施でさらに利用時間が今後増えることが容易に予想される。  IT化の進む韓国では、国を挙げて二〇〇〇年から青少年のネット依存問題に対して取組を始め、レスキュースクールという仕組みがある。授業でのデジタル機器利用時間がOECD諸国の中でも上位にあがるスウェーデンでは、授業開始前に体を動かす運動を取り入れたところ児童の集中力改善につながったという取組事例が見られる。  これらからして、心身発達への影響の配慮が不十分なまま、全国一斉にデジタル機器利用を推進していくことは、児童生徒の心身発達へ重大な影響を与えかねず、将来、取り返しのつかない社会的損失になりかねない。  一方、構想では、デジタル機器利用における自己の健康管理対策については、啓発広報の他、今年三月十二日発出の文部科学省による通知(二文科初第一九六二号)では教育現場の配慮に委ねられ、重点が置かれているとはいえず、実効性が担保されていない。  発達期にある児童生徒の健康に関わる問題であり、全国一斉に取り組む構想だからこそ、ぜひ国を挙げて、デジタル機器導入推進と同時に心身への影響への具体的対策やフォローアップが必要だと考える。  そこで、以下質問する。 一 構想において、デジタル機器を使う場合には必ず運動する時間を取り入れることや長時間スクリーンを眺めやすくなるドリル学習にはデジタル機器を用いない等、児童生徒の心身発達への影響に十分配慮した実効性のある具体的対策は含まれているか。含まれていない場合、検討すべきと考えるが、政府見解を伺う。 二 構想において、デジタル機器利用の児童生徒の心身への影響について、長期に渡る科学的な追跡調査を行うことは、今後政策の検証や改善をする上で有用と考える。このような追跡調査を行う予定はあるか。ない場合、検討すべきと考えるが政府見解を伺う。  右質問する。
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衆議院議員青山大人君提出GIGAスクール構想実施にあたって発達期にある児童生徒の心身に与える影響への配慮に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一七八号   内閣衆質二〇四第一七八号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員青山大人君提出GIGAスクール構想実施にあたって発達期にある児童生徒の心身に与える影響への配慮に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「実効性のある具体的対策」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、学校の設置者に対し、「GIGAスクール構想の下で整備された一人一台端末の積極的な利活用等について(通知)」(令和三年三月十二日付け二文科初第千九百六十二号文部科学省初等中等教育局長通知)の別添二「ICTの活用に当たっての児童生徒の目の健康などに関する配慮事項」において、「端末を使用する際に良い姿勢を保ち、机と椅子の高さを正しく合わせて、目と端末の画面との距離を三十センチメートル以上離すようにすること」、「長時間にわたって継続して画面を見ないよう、三十分に一回は、二十秒以上、画面から目を離して、遠くを見るなどして目を休めること」等を示すとともに、同通知の別添三「一人一台端末の利用に当たり、保護者等との間で事前に確認・共有しておくことが望ましい主なポイント」において、「学校・家庭での利用を通じて、子供たちの健康影響に配慮しながら使うことが重要であること」を示しているところであり、ICTの活用に当たって児童生徒の健康に適切な配慮がなされるよう、引き続き必要な取組を推進してまいりたい。 二について  御指摘の「長期に渡る科学的な追跡調査」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、現時点においては、児童生徒の視力への影響を注視していくことが必要と考えており、今後必要な調査を実施してまいりたい。
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外国船舶に対し入域の事前通報を求める制度に関する質問主意書
令和三年六月九日提出 質問第一七九号 外国船舶に対し入域の事前通報を求める制度に関する質問主意書  いわゆる国連海洋法条約によって、すべての船舶は、外国領海において無害通航権を有し(同第十七条)、沿岸国は、領海における外国船舶の無害通航を妨害してはならない(同第二十四条1)と定められている。  他方、沿岸国は、無害でない通航を防止するため、自国の領海内において必要な措置をとることができる(同第二十五条)とされ、我が国も「領海等における外国船舶の航行に関する法律」を制定して、無害でない外国船舶の通航の取り締まりを行っており、同法は、「外国船舶の船長等は、領海及び内水において停留等をする必要がある場合等は、その理由が明らかな場合を除き、あらかじめ、その理由等を最寄りの海上保安庁の事務所に通報しなければならない」旨定めている。  しかしながら、無害でない通航であるか無害通航であるかにかかわらず、世界には、少なからぬ国々が国内法で、外国船舶が領海や排他的経済水域等に入域するに際して、その旨を事前に沿岸国に通報するよう求めている。こうした事前通報制度は、海洋国家である我が国にとって極めて大きな影響を与えることは言うまでもない。  そこで、日本政府は、こうした事前通報制度が無害通航権を定める国際法との関係でどこまで許容されると判断してきたのか、また、問題があるとして当該国に対し外交的な対処を求めてきたのかを、以下の場合に分けて、質問する。 一 軍艦の通航について事前許可を必要とする国の場合  中国の領海及び接続水域法は、外国の軍用船舶が中国の領海に入る場合には中国政府の許可を必要とすると定めている。  同様に事前の許可を求める国には、アルバニア、アルジェリア、アンティグア・バーブーダ、バングラデシュ、バルバドス、カンボジア、カーボベルデ、オマーン、パキスタン、フィリピン、ポーランド、ルーマニア、ソマリア、スリランカ、スーダン、シリア、ベトナムなどがあるが、こうした国の国内法の規定は、国際法違反であるのか否か、また、違反と判断する場合であれ、違反とまでは言えないと判断する場合であれ、その理由も含め日本政府として、どのように考えているのか説明願いたい。  また、中国等の領海を我が国の自衛艦が過去に通航した際、実際に事前の許可を得てきたのか否か、お答え願いたい。その際、南シナ海や尖閣諸島周辺海域など、我が国が中国の領海であると認めていない海域については、どのように対処してきたのか説明願いたい。 二 軍艦の通航について事前通報を必要とする国の場合  軍艦の通航について事前の許可までは求めていないが、事前通報を求めている国としては、エジプト、フィンランド、ガイアナ、韓国、インド、マルタ、モーリシャス、セーシェルなどがあるが、こうした国の国内法の規定は、国際法違反であるのか否か、また、違反と判断する場合であれ、違反とまでは言えないと判断する場合であれ、その理由も含め日本政府として、どのように考えているのか説明願いたい。  また、韓国の領海を我が国の自衛艦が過去に通航した際、実際に事前の通報を行なってきたのか否か、お答え願いたい。その際、竹島周辺の領海については、どのように対処してきたのか説明願いたい。 三 外国の民間船舶等の通航について事前許可を必要とする国の場合  軍艦以外の外国船舶で、原子力船、核物質・危険・有害物質運搬船の航行について事前の許可を求めている国としては、エジプト、イラン、オマーンの三国があるが、こうした国の国内法の規定は、国際法違反であるのか否か、また、違反と判断する場合であれ、違反とまでは言えないと判断する場合であれ、その理由も含め日本政府として、どのように考えているのか説明願いたい。 四 外国の民間船舶等の通航について事前通報を必要とする国の場合  中国では、二〇二一年四月二十九日の全国人民代表大会で可決された海上交通安全法の改正(同年九月一日施行)により、「海上交通の安全に危害を及ぼすおそれ」のある外国籍の船舶に対し、領海に入る際の事前報告が義務付けられた。そうした事前報告の対象となる船舶としては、(1)潜水機、(2)原子力船、(3)放射性物質又はその他の有毒・有害物質を輸送する船舶、(4)法律、行政法規又は国務院が規定する、中華人民共和国の海上交通の安全を脅かす可能性のあるその他船舶とされ、違反者に罰金を科すことができるとしている。  そこで、こうした中国国内法の規定は、国際法違反であるのか否か、また、違反と判断する場合であれ、違反とまでは言えないと判断する場合であれ、その理由も含め日本政府として、どのように考えているのか説明願いたい。  次に、二〇二一年四月三十日、加藤官房長官は、記者会見で、この中国の海上交通安全法の改正について、「政府としては、本法の施行によっては、わが国を含む関係国の正当な権益が損なわれることがないよう、関連する動向を含め、引き続き注視をしていく考えでありますが、中国側に対しては、こうした考え方について、昨日、外交ルートを通じてしっかりと申し入れを行ったところであります。」と述べているが、どのような場合に、「わが国を含む関係国の正当な権益が損なわれる」リスクがあると考えているのか、説明願いたい。  さらに、軍艦以外の外国船舶について、同様に事前の通報を求める国としては、原子力船についてジブチとイエメンが、また、原子力船、核物質、危険・有害物質運搬船について、パキスタンとアラブ首長国連邦があるが、こうした国の国内法についても、中国の海上交通安全法の改正と同じ評価であるのか否か、違う場合には理由も含め説明願いたい。 五 我が国が事前通報制度を活用する可否について  二〇一六年八月に、二百~三百隻の中国漁船が尖閣海域に侵入するという事件が発生した。現在、フィリピンの排他的経済水域内にも多数の中国漁船が居座り続けるという事件が起こっているが、こうした事態に対処するための最も効果的な方法は、自国の領海や接続水域等にそうした漁船が入る前に、侵入を阻止することであると思われる。  そこで、カナダでは一定の水域を設けて、そこへの入域に際し、事前通報を義務付けていたり、米国、カナダ、ニュージーランドでは、外国漁船が自国の排他的経済水域に入域する際に、事前通報を義務付けているが、我が国も同様な事前通報制度を設けて、「沿岸国の平和、秩序、又は安全を害する」懸念がある漁船が領海等へ侵入するのを阻止するために活用すべきと考えるが、政府として、こうした考えをどう評価するのか説明願いたい。 六 海洋環境保護に事前通報制度を活用する可否について  オーストラリアは、国際海事機関(IMO)の特別敏感海域(PSSA)制度の指定を受けているグレートバリアリーフ海洋公園について、船舶に事前通報を義務付けているが、こうした海洋環境の保護のために、船舶に事前通報制度を義務付けることを、政府としてどのように評価するのか説明願いたい。  右質問する。
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衆議院議員篠原豪君提出外国船舶に対し入域の事前通報を求める制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一七九号   内閣衆質二〇四第一七九号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員篠原豪君提出外国船舶に対し入域の事前通報を求める制度に関する質問に対する答弁書 一について  前段のお尋ねについては、御指摘の「こうした国の国内法の規定」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難であるが、一般論として、外国の軍艦に対し、沿岸国が、当該国の領海に入域する場合に事前の許可を求めることについて、海洋法に関する国際連合条約(平成八年条約第六号。以下「国連海洋法条約」という。)上明文の規定はないと考えている。  後段のお尋ねについては、自衛隊の艦艇が他国の領海を通航する際、国連海洋法条約等の関連規則に従って、適切に対応してきている。 二について  前段のお尋ねについては、御指摘の「こうした国の国内法の規定」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難であるが、一般論として、外国の軍艦に対し、沿岸国が、当該国の領海に入域する場合に事前の通報を求めることについて、国連海洋法条約上明文の規定はないと考えている。  後段のお尋ねについては、自衛隊の艦艇が他国の領海を通航する際、国連海洋法条約等の関連規則に従って、適切に対応してきている。  なお、竹島は、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土であり、こうした我が国の立場に基づき、適切に対応している。 三について  お尋ねの「こうした国の国内法の規定」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難であるが、一般論として、軍艦以外の外国の原子力船及び核物質又はその他の本質的に危険若しくは有害な物質を運搬する船舶に対し、沿岸国が、当該国の領海に入域する場合に事前の許可を求めることについて、国連海洋法条約上明文の規定はないと考えている。 四について  お尋ねの各国の国内法については、御指摘の「こうした中国国内法の規定」及び「こうした国の国内法についても、中国の海上交通安全法の改正と同じ評価」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。  また、お尋ねの加藤内閣官房長官の発言については、政府として、御指摘の改正後の「海上交通安全法」の施行により我が国を含む関係国の正当な権益が損なわれることがないよう関連する動向を注視していく考えを述べたものであるが、これ以上の詳細については、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。 五について  お尋ねの「同様な事前通報制度」、「「沿岸国の平和、秩序、又は安全を害する」懸念がある漁船」及び「領海等へ侵入」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、一般論として申し上げれば、排他的経済水域においては、沿岸国は、国連海洋法条約に基づき、海底の上部水域並びに海底及びその下の天然資源(生物資源であるか非生物資源であるかを問わない。)の探査、開発、保存及び管理のための主権的権利を有する一方、全ての国は、沿岸国であるか内陸国であるかを問わず、排他的経済水域において、国連海洋法条約の関連する規定の定めるところにより、国連海洋法条約第八十七条に定める航行の自由を有する。また、領海においては、沿岸国は、国連海洋法条約に基づき、国連海洋法条約及び国際法の他の規則に従い、沿岸国の漁業に関する法令の違反の防止等の事項について沿岸国の領海における無害通航に係る法令を制定することができる一方、沿岸国は、国連海洋法条約に定めるところによる場合を除くほか、自国の領海における外国船舶の無害通航を妨害してはならず、特に、国連海洋法条約又は国連海洋法条約に従って制定される法令の適用に当たり、外国船舶に対し無害通航権を否定し又は害する実際上の効果を有する要件を課してはならないとされている。 六について  お尋ねの「こうした海洋環境の保護のために、船舶に事前通報制度を義務付けること」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、一般論として申し上げれば、排他的経済水域においては、沿岸国は、国連海洋法条約に基づき、国連海洋法条約の関連する規定に基づく海洋環境の保護及び保全のための管轄権を有する一方、全ての国は、沿岸国であるか内陸国であるかを問わず、排他的経済水域において、国連海洋法条約の関連する規定の定めるところにより、国連海洋法条約第八十七条に定める航行の自由を有する。また、領海においては、沿岸国は、国連海洋法条約に基づき、国連海洋法条約及び国際法の他の規則に従い、沿岸国の環境の保全並びにその汚染の防止、軽減及び規制等の事項について沿岸国の領海における無害通航に係る法令を制定することができる一方、沿岸国は、国連海洋法条約に定めるところによる場合を除くほか、自国の領海における外国船舶の無害通航を妨害してはならず、特に、国連海洋法条約又は国連海洋法条約に従って制定される法令の適用に当たり、外国船舶に対し無害通航権を否定し又は害する実際上の効果を有する要件を課してはならないとされている。
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北陸新幹線敦賀-新大阪間の建設計画に関する再質問主意書
令和三年六月九日提出 質問第一八〇号 北陸新幹線敦賀-新大阪間の建設計画に関する再質問主意書 一 「衆議院議員前原誠司君提出北陸新幹線敦賀-新大阪間の建設計画に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二〇四第一四四号)に関して確認する。北陸新幹線の敦賀-新大阪間のルート決定は与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会(以下「整備検討委員会」という。)において決定されたものであり、政府としては答える立場にないとの回答であった。このことは整備検討委員会が政府から北陸新幹線のルート決定を行う裁量を委託されているという理解でよいか。  また、ルート決定の裁量権が整備検討委員会にあるならば、ルート選定の説明責任を負うのは整備検討委員会という理解でよいか。 二 平成二十八年五月二十七日提出質問第三〇二号の田島一成君提出「北陸新幹線敦賀以西ルート整備に関する再質問主意書」に対する答弁書の「一について」で、政府は当時以下のように答弁している。  「(米原町附近を経由するルートと、小浜市附近を経由するルートについて)諸項目を総合的に検討した結果、北陸新幹線福井市附近・大阪市間のルートについては、流動の多い北陸と近畿圏とを短絡し、工事費が少なく、かつ、用地確保が容易なBルート(注:小浜市附近を経由するルート)を選定した。」  この答弁は、当時の政府が、既にあった調査結果等を総合的に検討し、「主体的」にルートを選定したと読み取れる。  他方、一で述べたように、政府は、ルートについては整備検討委員会において決定されたものであり、政府として回答する立場ではない旨答弁しているが、上記田島一成君提出の質問主意書に対する答弁と整合的でないと考える。  上記田島一成君の質問主意書が提出された当時と現在とで整備検討委員会の位置づけが変更されたのかどうか、また、右二つの答弁が整合的でないと思われる点について、政府の見解を伺う。 三 整備新幹線のルート決定にあたり、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの役割とその役割の法的根拠及び国土交通省との関係、また、整備検討委員会のルート決定にあたっての整備新幹線問題検討会議、整備新幹線問題調整会議、国土交通省鉄道局が果たす役割と責任について説明頂きたい。  右質問する。
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衆議院議員前原誠司君提出北陸新幹線敦賀-新大阪間の建設計画に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一八〇号   内閣衆質二〇四第一八〇号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員前原誠司君提出北陸新幹線敦賀-新大阪間の建設計画に関する再質問に対する答弁書 一について  御指摘の「整備検討委員会が政府から北陸新幹線のルート決定を行う裁量を委託されている」、「ルート決定の裁量権が整備検討委員会にある」及び「ルート選定の説明責任を負う」の意味するところが必ずしも明らかではないが、先の質問主意書(令和三年五月二十五日提出質問第一四四号。以下「前回質問主意書」という。)一でお尋ねの「小浜・京都ルート及び松井山手を経由するルートが採択された理由」について、先の答弁書(令和三年六月四日内閣衆質二〇四第一四四号)一の前段及び二についてでお答えしたとおり、「小浜・京都ルート及び松井山手を経由するルート」については、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム北陸新幹線敦賀・大阪間整備検討委員会(以下「与党整備検討委員会」という。)において決定されたものであることから、政府としてお答えする立場にない。いずれにしても、今後、全国新幹線鉄道整備法(昭和四十五年法律第七十一号)における手続としては、北陸新幹線敦賀・新大阪間の建設主体である独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構から、工事実施計画の申請があった場合には、同法第九条第一項の規定に基づき、具体的な線路の位置、駅の位置等を含め当該工事実施計画の内容を審査した上で、適当と認められる場合には、国土交通大臣が認可することとなると考えている。 二について  御指摘の質問主意書(平成二十八年五月二十七日提出質問第三〇二号)一におけるお尋ねは、全国新幹線鉄道整備法第七条第一項の規定に基づき昭和四十八年十一月十三日に運輸大臣(当時)が決定した整備計画についてのものであり、御指摘の答弁書(平成二十八年六月七日内閣衆質一九〇第三〇二号)一についてにおいては、当該整備計画に記載されている北陸新幹線福井市附近・大阪市間のルートについてお答えしたものである。一方、前回質問主意書一でお尋ねの「小浜・京都ルート及び松井山手を経由するルート」については、平成二十九年三月に与党整備検討委員会において決定されたものであり、「答弁が整合的でない」との御指摘は当たらない。また、お尋ねの「整備検討委員会の位置づけが変更されたのか」という点については、政府としてお答えする立場にない。 三について  御指摘の「整備新幹線のルート決定」及び「整備検討委員会のルート決定」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、前回質問主意書一でお尋ねの「小浜・京都ルート及び松井山手を経由するルート」については、与党整備検討委員会において決定されたものであり、与党整備検討委員会における「小浜・京都ルート及び松井山手を経由するルート」の決定に係る検討に際しては、国土交通省鉄道局は、与党整備検討委員会の求めに応じ、必要な資料等の提供及び説明をする立場であった。また、お尋ねの「与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの役割」については、政府としてお答えする立場にないが、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームについてはその役割等が法令に位置付けられているものではない。さらに、御指摘の整備新幹線問題検討会議及び整備新幹線問題調整会議については、整備新幹線の整備に関する基本方針及び当面の整備新幹線の整備方針を検討するなどのため、平成二十一年十二月に、国土交通省政務三役会議において設置が決定されたものであるが、平成二十四年を最後に開催されていない。
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尖閣諸島をめぐる問題に関する質問主意書
令和三年六月九日提出 質問第一八一号 尖閣諸島をめぐる問題に関する質問主意書  尖閣諸島をめぐる問題は目下、日中友好関係の阻害要因となっており、その問題を改善することは我が国の安全保障を考えるうえで極めて重要であると指摘されている。同諸島周辺海域の情勢とその管理について質問する。 一 尖閣諸島の領土編入(一八九五年一月十四日)について、日本政府は、「国際法上、正当に領有権を取得するためのやり方に合致しています」(外務省発行『尖閣諸島』六頁)と説明している。  国際法上、無主地に対する領域権原の原始取得は「先占」によることとされ、「先占」による権原が成立するためには、実効的な支配に加え、国家による領有の意思の明示が必要であると承知している。この点に関し、日本政府は、一八九五年一月十四日、尖閣諸島に標杭を建設する旨の閣議決定を行っているが、当該閣議決定によって、日本の領有意思が明らかになったとの理解でよろしいか。 二 日中両国は、「漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定」(以下「協定」という。)に基づき、相互入会の措置をとるとともに、かかる措置をとらない水域においては、日中漁業共同委員会の協議を通じ、保存措置などを講じることとしている。  1 協定第六条(b)で規定する水域については、日本国外務大臣と駐日中国大使との書簡により、日中双方が、それぞれ相手国の国民に対して自国の漁業関連法を適用しないこととしているが、これまでに、中国公船(中国海警局に所属する船舶を含む。以下同じ。)が当該書簡に反して、当該水域において日本漁船に対し、臨検や拿捕などの取締りを行った事案は存在するか。  2 二〇一八年から二〇二〇年までの三箇年における中国公船が尖閣諸島周辺の領海に侵入した事案について、それぞれの「領海に侵入した日時」「領海侵入時間」「領海に侵入した公船の隻数」を明らかにされたい。  3 協定上、日中漁業共同委員会は毎年開催され、協議の上、保存措置などを決定等することとされているが、これまでに開催された同委員会において決定等が行われた保存措置などについて、その概要を会合の回次ごとに示されたい。  4 二〇一八年から二〇二〇年までの三箇年における尖閣諸島周辺海域(上記海域の範囲は任意とする。ただし、答弁書においては、答弁の前提として画した水域の範囲を明示されたい。)での年間総漁獲量について政府の把握するところを明らかにされたい。  5 二〇一八年から二〇二〇年までの三箇年における日本漁船が尖閣諸島周辺の領海に入域(操業を含む。以下同じ。)した事例について、それぞれの「領海に入域した日時」「領海内に滞在(操業を含む。)していた時間」「領海に入域した漁船の隻数」を明らかにされたい。 三 日中関係は、二〇一八年に首脳の相互訪問が実現したことを契機として改善基調に入った。しかし、中国公船による尖閣諸島への接近(接続水域入域・領海侵入)は、その後もやむことなく継続して行われており、事態は常態化の様相を呈している。  1 中国公船による尖閣諸島周辺の領海への侵入の状況については、日数、隻数ともに二〇一四年に減少に転じ、その後は、日数は年間三十日前後、隻数は年間約八十隻から約百二十隻までの間で推移している。二〇一四年に日数及び隻数が減少に転じたこととその後の状況について政府はどのように認識しているのか。所見を示されたい。  2 中国公船による尖閣諸島周辺の接続水域への入域の状況については、二〇一九年以降、日数、隻数ともに過去最多のペースで推移しているが、政府はこうした状況をどのように認識しているか。所見を示されたい。   また、中国公船による尖閣諸島周辺の接続水域への入域については、国際法上、どのような問題が懸念されるか。政府の見解を示されたい。  右質問する。
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衆議院議員屋良朝博君提出尖閣諸島をめぐる問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月十八日受領 答弁第一八一号   内閣衆質二〇四第一八一号   令和三年六月十八日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員屋良朝博君提出尖閣諸島をめぐる問題に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「日本の領有意思が明らかになった」の意味するところが必ずしも明らかではないが、尖閣諸島は、明治二十八年に、現地に標杭を建設する旨の閣議決定を行い、正式に我が国の領土に編入したものであるところ、同諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、現に我が国はこれを有効に支配している。 二の1について  お尋ねの「臨検や拿捕などの取締り」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、漁業に関する日本国と中華人民共和国との間の協定(平成十二年条約第二号。以下「協定」という。)が発効した平成十二年六月以降、「協定第六条(b)で規定する水域」において、中国公船が我が国の漁船に対して臨検又はだ捕を行った事案については承知していない。 二の2について  お尋ねの「中国公船が尖閣諸島周辺の領海に侵入した事案」について、平成三十年一月一日から令和二年十二月三十一日までの間の①「領海に侵入した日時」、②「領海侵入時間」、③「領海に侵入した公船の隻数」をお示しすると、次のとおりである。  ①平成三十年一月七日午前九時四十八分 ②一時間四十分 ③四隻  ①平成三十年一月十五日午前十時十三分 ②一時間四十六分 ③三隻  ①平成三十年二月十三日午前十時十三分 ②一時間四十六分 ③三隻  ①平成三十年二月二十一日午前十時零分 ②二時間 ③三隻  ①平成三十年三月二日午前十時六分 ②一時間五十三分 ③四隻  ①平成三十年三月二十三日午前十時二十二分 ②一時間三十八分 ③三隻  ①平成三十年四月三日午前十時四十二分 ②一時間四十九分 ③三隻  ①平成三十年四月二十三日午前十時一分 ②一時間四十七分 ③四隻  ①平成三十年五月十八日午前十時二十九分 ②一時間三十一分 ③四隻  ①平成三十年五月二十四日午前十時一分 ②二時間 ③四隻  ①平成三十年六月五日午前十時十五分 ②一時間四十四分 ③四隻  ①平成三十年六月二十五日午前十時十六分 ②一時間四十五分 ③四隻  ①平成三十年七月四日午前十時十九分 ②一時間四十分 ③三隻  ①平成三十年七月二十九日午前十時十二分 ②一時間四十九分 ③四隻  ①平成三十年八月七日午前十時五分 ②一時間五十五分 ③四隻  ①平成三十年八月二十四日午前十時十七分 ②一時間四十二分 ③四隻  ①平成三十年九月七日午前十時十一分 ②一時間五十分 ③四隻  ①平成三十年十月十七日午前十時十二分 ②一時間四十八分 ③四隻  ①平成三十年十一月十一日午前十時六分 ②一時間五十四分 ③四隻  ①平成三十一年一月五日午前十時十八分 ②一時間四十二分 ③四隻  ①平成三十一年一月十二日午後二時二分 ②一時間五十六分 ③四隻  ①平成三十一年一月十八日午後二時十五分 ②一時間五十分 ③四隻  ①平成三十一年二月十一日午前十時六分 ②一時間五十八分 ③四隻  ①平成三十一年二月二十日午前十時零分 ②二時間一分 ③四隻  ①平成三十一年二月二十六日午前十時零分 ②二時間 ③四隻  ①平成三十一年三月二日午前十時十六分 ②一時間四十二分 ③四隻  ①平成三十一年三月十九日午前十時六分 ②一時間五十四分 ③四隻  ①平成三十一年三月三十日午前十時六分 ②一時間五十四分 ③四隻  ①平成三十一年四月五日午後二時六分 ②一時間五十四分 ③四隻  ①平成三十一年四月八日午前十時六分 ②一時間五十五分 ③四隻  ①平成三十一年四月十七日午前十時零分 ②一時間四十分 ③四隻  ①令和元年五月九日午前十時零分 ②一時間四十一分 ③四隻  ①令和元年五月二十日午前十時一分 ②一時間五十四分 ③四隻  ①令和元年五月二十四日午前八時五十九分 ②十三分 ③二隻  ①令和元年五月三十日午後三時十六分 ②一時間四十四分 ③四隻  ①令和元年六月十日午後四時零分 ②二時間 ③四隻  ①令和元年六月十七日午前十時十六分 ②一時間四十四分 ③四隻  ①令和元年七月十日午前十時零分 ②一時間五十四分 ③四隻  ①令和元年七月十五日午後四時一分 ②二時間 ③四隻  ①令和元年七月二十七日午前十時十七分 ②一時間四十三分 ③四隻  ①令和元年八月六日午前十時十三分 ②一時間四十七分 ③四隻  ①令和元年八月十六日午前十時零分 ②二時間一分 ③四隻  ①令和元年八月二十九日午前十時零分 ②一時間五十三分 ③四隻  ①令和元年九月十六日午前十時十二分 ②一時間四十八分 ③四隻  ①令和元年十月七日午前九時五十九分 ②一時間四十一分 ③四隻  ①令和元年十月十六日午後三時四十六分 ②一時間四十四分 ③四隻  ①令和元年十月二十六日午前十時二分 ②一時間五十分 ③四隻  ①令和元年十一月八日午前十時十三分 ②一時間四十八分 ③四隻  ①令和元年十二月十一日午前十時十七分 ②一時間四十三分 ③四隻  ①令和元年十二月十七日午前十時零分 ②一時間五十一分 ③四隻  ①令和元年十二月三十日午前十時四十六分 ②一時間四十三分 ③四隻  ①令和二年一月四日午前十時零分 ②一時間五十九分 ③四隻  ①令和二年一月十四日午後四時十二分 ②一時間四十八分 ③四隻  ①令和二年二月五日午前十時零分 ②二時間五分 ③四隻  ①令和二年二月十三日午前十時一分 ②一時間五十一分 ③四隻  ①令和二年三月二十日午後四時零分 ②二時間二分 ③四隻  ①令和二年四月八日午前十時零分 ②二時間一分 ③四隻  ①令和二年四月十七日午前十時十二分 ②一時間四十九分 ③四隻  ①令和二年五月八日午後四時零分 ②二時間 ③四隻  ①令和二年五月九日午後六時三分 ②二十六時間二十分 ③二隻  ①令和二年六月八日午前十時十三分 ②一時間四十六分 ③四隻  ①令和二年六月二十二日午後三時三十一分 ②三時間五十九分 ③四隻  ①令和二年七月二日午後四時九分 ②三十時間十七分 ③二隻  ①令和二年七月四日午前二時二十三分 ②三十九時間二十三分 ③二隻  ①令和二年七月十四日午前十時一分 ②二時間 ③四隻  ①令和二年八月九日午前八時十七分 ②一時間四十二分 ③四隻  ①令和二年八月十七日午前九時三十分 ②一時間四十分 ③四隻  ①令和二年八月二十八日午前六時四十五分 ②十四時間八分 ③二隻  ①令和二年十月十一日午前十時四十七分 ②五十七時間三十九分 ③二隻  ①令和二年十月十五日午前十時四十二分 ②一時間四十三分 ③二隻  ①令和二年十一月六日午後四時十三分 ②一時間四十七分 ③四隻  ①令和二年十一月七日午後零時三十二分 ②七時間六分 ③二隻  ①令和二年十二月九日午前九時四十三分 ②一時間四十六分 ③四隻  ①令和二年十二月二十三日午前二時五十四分 ②十六時間十五分 ③二隻  ①令和二年十二月二十六日午後四時八分 ②四時間十六分 ③二隻 二の3について  お尋ねの「保存措置など」の意味するところが必ずしも明らかではないが、これまでの日中漁業共同委員会の決定等における日本側及び中国側の①協定第三条に規定する他方の締約国の国民及び漁船の漁獲割当量並びに②協定第七条1に規定する暫定措置水域における漁獲量の上限についての努力目標値の概要をお示しすると、次のとおりである。 (一) 日本側  第二回(平成十三年四月三日)①七万三千トン  第三回(平成十三年十二月十八日)①六万二千五百四十六トン ②平成八年の漁獲実績(十万九千二百五十トン)  第四回(平成十五年二月十九日)①五万四千五百三十三トン ②平成十四年の努力目標値と同数  第五回(平成十五年十二月十九日)①四万七千二百六十六トン ②平成十五年の努力目標値と同数  第六回(平成十六年十二月十六日)①一万二千七百十一トン ②平成十六年の努力目標値と同数  第七回(平成十八年一月十三日)①一万二千三百九十七トン ②平成十七年の努力目標値と同数  第八回(平成十九年一月十九日)①一万二千三百九十七トン ②平成十八年の努力目標値と同数  第九回(平成二十年一月十七日)①一万二千百四十一トン ②平成十九年の努力目標値と同数  第十回(平成二十一年二月十二日)①一万千七百四十一トン ②平成二十年の努力目標値と同数  第十一回(平成二十一年十二月十八日)①一万七百四十一トン ②平成二十一年の努力目標値と同数  第十二回(平成二十三年十一月七日)①一万二百七十二トン ②平成二十二年の努力目標値と同数  第十三回(平成二十四年四月二十日)①一万二千二百六十三トン ②平成二十三年の努力目標値と同数  第十四回(平成二十五年八月九日)①九千八百十四トン ②平成二十四年の努力目標値と同数  第十五回(平成二十六年十二月十八日)①九千四百四十一トン ②平成二十五年の努力目標値と同数  第十六回(平成二十七年七月十六日)①九千三百四十一トン ②平成二十六年の努力目標値と同数  第十七回(平成二十八年十一月二十四日)①八千七百二十トン ②平成二十七年の努力目標値と同数 (二) 中国側  第二回(平成十三年四月三日)①七万三百トン  第三回(平成十三年十二月十八日)①六万二千五百四十六トン ②平成八年の漁獲実績(二百十三万六千トン)  第四回(平成十五年二月十九日)①五万四千五百三十三トン ②平成十四年の努力目標値と同数  第五回(平成十五年十二月十九日)①四万七千二百六十六トン ②平成十五年の努力目標値と同数  第六回(平成十六年十二月十六日)①一万二千七百十一トン ②平成十六年の努力目標値と同数  第七回(平成十八年一月十三日)①一万二千三百九十七トン ②平成十七年の努力目標値と同数  第八回(平成十九年一月十九日)①一万二千三百九十七トン ②平成十八年の努力目標値と同数  第九回(平成二十年一月十七日)①一万二千百四十一トン ②平成十八年の漁獲量と同数  第十回(平成二十一年二月十二日)①一万千七百四十一トン ②平成十九年の漁獲量と同数  第十一回(平成二十一年十二月十八日)①一万七百四十一トン ②平成二十年の漁獲量と同数  第十二回(平成二十三年十一月七日)①一万二百七十二トン ②平成二十一年の漁獲量と同数  第十三回(平成二十四年四月二十日)①一万三千九百八十八トン ②百七十万三千百六十一トン  第十四回(平成二十五年八月九日)①九千八百十四トン ②百六十九万四千六百四十五トン  第十五回(平成二十六年十二月十八日)①九千四百四十一トン ②百六十八万五千二百七十七トン  第十六回(平成二十七年七月十六日)①九千三百四十一トン ②百六十六万二千三百七十二トン  第十七回(平成二十八年十一月二十四日)①八千七百二十トン ②百六十四万四千トン 二の4について  政府としては、特定の海域における年間総漁獲量は把握していないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。 二の5について  政府としては、平成三十年から令和二年までに我が国の漁船が尖閣諸島周辺の「領海に入域した日時」、「領海内に滞在(操業を含む。)していた時間」及び「領海に入域した漁船の隻数」については把握していない。 三について  政府としては、御指摘のような「日数」、「隻数」等を含む船舶の動向を注視しているが、その評価についてお答えすることは差し控えたい。  中国海警局等に所属する船舶が、尖閣諸島に関する中国独自の主張を繰り返しながら、我が国の領海を航行することは、国際法上認められた無害通航に当たらず、全く受け入れられない。したがって、政府としては、このような航行を防止するために、中国海警局等に所属する船舶が我が国の接続水域を航行していることが確認された時点において、中国政府に対して申入れを行っている。
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我が国のイカ不漁問題に関する質問主意書
令和三年六月十日提出 質問第一八二号 我が国のイカ不漁問題に関する質問主意書  近年の我が国のイカ不漁問題に関して、次のそれぞれの事項に対する政府の見解を明示されたい。 一 日本のイカ漁獲量は、ここ三十年余りのピーク時に比較し、近年はどの程度まで落ち込んでいると政府は認識しているか、具体的データを用いて明らかにされたい。 二 近年のイカ不漁はどのような要因によると政府は認識しているか、具体的に明らかにされたい。 三 令和三年六月四日に発表された政府の「不漁問題に関する検討会とりまとめ」(以下、「検討会とりまとめ」という。)において、「スルメイカの不漁の要因としては外国漁船による漁獲の影響も大きい」と指摘されているが、これら外国漁船の操業の現状(操業隻数、漁船の規模、漁法など)を政府はどのように把握しているか、具体的に明らかにされたい。 四 スルメイカに関し、外国漁船は違法操業によって、どの程度の漁獲量を得ていると政府は認識しているか、具体的に明らかにされたい。 五 検討会とりまとめにおいて、「違法操業の停止等を関係国に対し、繰り返し申し入れる」ことが指摘されているが、政府がこれまでに取り組んだ申入れの具体的内容と今後の取組予定を、具体的に明らかにされたい。 六 検討会とりまとめにおいて、「我が国EEZから退去させるなど厳しい対応を行っていく必要がある」と指摘されているが、政府が現在行っている退去のための具体的対応(対応にあたる日本船の規模や隻数、退去させた外国漁船など)を明らかにされたい。 七 検討会とりまとめにおいて、「(日本海のスルメイカについては、)二国間の漁業交渉において違法操業に対する実効的措置を求めていくなど資源の保全に向けた交渉をしていくことが必要」と指摘されているが、政府がこれまでに取り組んだ交渉の具体的内容と今後の交渉予定を明らかにされたい。 八 検討会とりまとめにおいて、「日本海のスルメイカについては、多国間の漁業管理機関が設けられていない」との記述があるが、今後において、多国間の漁業管理機関を設けることに対する政府の見解を明らかにされたい。  右質問する。
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衆議院議員逢坂誠二君提出我が国のイカ不漁問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十二日受領 答弁第一八二号   内閣衆質二〇四第一八二号   令和三年六月二十二日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員逢坂誠二君提出我が国のイカ不漁問題に関する質問に対する答弁書 一及び二について  お尋ねの「イカ」が具体的にどの種類のいかを指すのかが明らかではないが、我が国のいかの漁獲量の大宗を占めるするめいかの漁獲量については、農林水産省の海面漁業生産統計調査によれば、過去三十年で見ると、最も多かった平成八年に約四十四万トンとなって以降減少傾向にあり、令和元年には約四万トンと最も少なくなっている。  近年のするめいかの漁獲量の減少については、国立研究開発法人水産研究・教育機構によれば海水温の上昇により、するめいかの産卵が可能な海域が縮小するとともに、するめいかの幼生が成長に適さない海域に海流により流されたことが主な原因であることに加えて外国漁船の操業も影響していると考えられており、政府としても同様に認識している。 三について  国際連合食糧農業機関(FAO)の統計によれば、平成三十一年及び令和元年の北西太平洋の海域における諸外国によるするめいかの漁獲量は、韓国にあっては約五万二千トン、ロシアにあっては約九千九百トンである。公式の統計値が存在しない中国については、国立研究開発法人水産研究・教育機構が人工衛星の画像や船舶自動識別装置等から得られる情報から試算したところ、約十五万トンと推測していると承知している。また、外国漁船の漁法としては、二そうびきや釣り等を確認している。 四について  お尋ねについては、外国漁船の漁獲量は違法操業によるものとそれ以外によるものに区別することができない場合があること等から、お答えすることは困難である。 五について  我が国の排他的経済水域における中国漁船及び北朝鮮漁船による違法操業に関し、これまでも、累次の機会に、中国側及び北朝鮮側に対して違法操業の停止等を申し入れてきている。  特に、中国漁船による違法操業については、令和二年十一月二十四日の日中外相会談及び令和三年四月五日の日中外相電話会談の機会を含め、中国側に対し日本側の懸念を繰り返し伝達するとともに、漁業者への指導等の対策強化を含む実効的措置を講ずるよう繰り返し強く申し入れてきている。  政府として、引き続き、我が国の排他的経済水域における外国漁船等による違法操業の防止のため、毅然と対応していく。 六について  お尋ねについては、例えば、大和堆周辺の我が国の排他的経済水域においては、令和三年一月一日から五月二十七日までの間にあっては中国漁船延べ三百二十隻に対して、令和二年にあっては中国漁船延べ四千五百隻及び北朝鮮漁船一隻に対して退去警告を実施するとともに、これらのうち令和三年一月一日から五月二十七日までの間にあっては中国漁船延べ九十一隻に対して、令和二年にあっては中国漁船延べ七百八十二隻に対して放水を実施している。 七及び八について  中国政府に対しては、日中漁業交渉等の二国間協議や外交ルートを通じて、漁業者への指導等の対策強化を含む実効的措置を講ずるよう繰り返し強く申し入れてきている。  水産資源を持続的に利用するためには、関係国とも協調して、資源管理に取り組んでいくことが重要であるが、日本海のするめいか資源については、その保存及び管理を図るための地域漁業管理機関等の国際機関が存在しておらず、直ちにこのような機関を設けることは困難であることから、当面は、関係国との二国間協議や外交ルートを通じて、するめいか資源の保護に向けて努力していく考えである。
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新型コロナウイルス感染症の水際対策の法的根拠等に関する質問主意書
令和三年六月十日提出 質問第一八三号 新型コロナウイルス感染症の水際対策の法的根拠等に関する質問主意書  現在、政府は、新型コロナウイルス感染症の水際対策を強化するため、出国前検査証明書の提示、入国時の検査、検疫所が確保する宿泊施設等での待機、公共交通機関の不使用などの誓約書の提出などを行っているとしている。それぞれの事実関係および法的根拠について質問する。 一 出国前検査証明書の提示について  1 現在、検疫所は、我が国への入国者に対し、出国前検査証明書の提示を求めている。出国前検査証明書の提示は、入国者の法的義務なのか、協力事項にとどまるのか、根拠条文とともに明らかにし、あわせて提示を拒否した事例の有無、件数および日本人帰国者の内訳を示したうえで、提示拒否への対応を説明されたい。  2 厚生労働省サイトの「水際対策の抜本的強化に関するQ&A」には、「令和三年三月十九日より、検査証明書を提出できない方は、検疫法に基づき、日本への上陸が認められません。」と記されている。この「検査証明書を提出できない方」には、日本人帰国者が提出した検査証明書を検疫官が無効と判断した場合も含まれるのか。また、検査証明書の不提出、または証明書の無効により、上陸を拒否する場合、その措置の根拠条文は何か。  3 検査証明書の不提出、または証明書の無効により、日本人帰国者が出発地の外国に送還された事例があると報道されている。そうした事由により上陸を拒否した件数、出発地の外国に送還した件数、およびそれぞれの日本人帰国者の内訳を明らかにされたい。また、出発地の外国に送還された日本人帰国者がいる場合、当該外国で問題なく受け入れられ、その後、無事帰国を果たしているのか、根拠条文とともに明らかにされたい。  4 3の事例のうち、出発地の外国に送還された日本人帰国者がいる場合の送還措置は、我が国が批准している「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」の第十二条4「何人も、自国に戻る権利を恣意的に奪われない」との規定に抵触する可能性があり、送還ではなく空港で留め置き、検査を行うこともできたのではないかと考えられる。当該措置が適法、適切であったと言えるのか、明らかにされたい。  5 3の措置を行ったことがある場合、行政手続法第十二条ないし第三十一条に基づく所定の手続きがとられているのかどうか、行政指導に従わなかったことを理由とする不利益な取扱いを禁止する同法第三十二条第二項に違反していないと言えるのか、明らかにされたい。 二 入国時の検査について  1 現在、我が国への入国者に対し、新型コロナウイルスの検査を実施しているが、入国時の検査は、入国者の法的義務なのか協力事項にとどまるのか、根拠条文とともに明らかにされたい。  2 入国者が1の検査を拒否した事例において、送還、宿泊施設での待機要請、または停留処分その他の措置は行政手続法第十二条ないし第三十一条に基づく所定の手続きがとられているのかどうか、行政指導に従わなかったことを理由とする不利益な取扱いを禁止する同法第三十二条第二項に違反していないと言えるのか、明らかにされたい。  3 入国者が1の検査を拒否した事例において、2のいかなる措置もとらず、検査を実施しないまま入国を認めたことがある場合は、その件数、および日本人帰国者の内訳を、そのような対応をとった理由とともに明らかにされたい。 三 宿泊施設での待機について  1 現在、検疫所は、我が国への入国者に対し、入国後十四日間の自宅等での待機を求めるとともに、一部の国、地域に過去十四日間滞在歴がある者については、検疫所が指定する宿泊施設で三日間ないし十日間の待機を求めているが、宿泊施設の待機は、入国者の法的義務なのか、協力事項にとどまるのか、根拠条文とともに明らかにされたい。  2 入国者が1の要請を拒否した事例がある場合、どのように対応したか。送還、停留処分その他の措置(不利益な取扱いを含む)を行ったことがある場合は、根拠条文とともにそれぞれの件数、および日本人帰国者の内訳をお示しいただきたい。また、それらの措置をとらず、対象者に宿泊施設での待機もさせないまま、入国を認めたことがある場合は、その件数および日本人帰国者の内訳、そのような対応をとった理由についても、明らかにされたい。  3 2の措置は行政手続法第十二条ないし第三十一条に基づく所定の手続きがとられているのかどうか、行政指導に従わなかったことを理由とする不利益な取扱いを禁止する同法第三十二条第二項に違反していないと言えるのか、明らかにされたい。 四 誓約書の提出について  1 現在、検疫所は、我が国への入国者に対し、十四日間の公共交通機関の不使用、自宅等での待機、健康状態の報告、位置情報の保存・提示、接触確認アプリの導入について誓約書の提出を求めているが、誓約書に記載された誓約事項及び誓約書の提出は、入国者の法的義務なのか、協力事項にとどまるのか、根拠条文とともに明らかにされたい。  2 入国者が誓約書の提出を拒否した事例、および全部または一部に同意しない意思を示して誓約書を提出した事例がある場合、どのように対応したか。公表、停留処分その他の措置(不利益な取扱いを含む)を行ったことがある場合は、それぞれの件数、および日本人帰国者の内訳を明らかにされたい。これらの措置もとらず、入国を認めたことがある場合は、その件数、および日本人帰国者の内訳も明らかにされたい。そのような対応をした理由についても、明らかにされたい。  3 2の措置を行ったことがある場合、当該措置は行政手続法第十二条ないし第三十一条に基づく所定の手続きがとられているのかどうか、行政指導に従わなかったことを理由とする不利益な取扱いを禁止する同法第三十二条第二項に違反していないと言えるのか、明らかにされたい。 五 停留について  1 検疫法は、検疫法第二条第二号に掲げる感染症に感染したおそれのある者について、検疫所長が、合理的に必要と判断される限度において停留させることができ、その場合、検疫所長が指定する宿泊施設内に収容する方法により停留させることができるとする(検疫法第十四条第一項第二号、第十六条第二項)。ここにいう「感染症に感染したおそれのある者」とは「感染症の患者と接触した者」をいうとの政府答弁がある(第百六十九回国会参議院厚生労働委員会、平成二十年四月二十四日)が、この見解に変更はないか。もし変更したのであれば、いつ、どのような形で変更されたのか、明らかにされたい。  2 1の見解に変更がないのであれば、入国者が提示した出国前検査証明書による陰性証明が有効と判断され、かつ、入国時の検査で陰性と判断された場合、当該入国者が「感染症の患者と接触した者」であると確認されない限り、「感染症に感染したおそれのある者」に該当しないため、検疫法に基づく停留はできないと考えられるが、そのような認識でよいか。  3 検疫法に基づく停留に関しては、平成二十一年五月十三日付けで、厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部事務局が各検疫所長に向けて発出した「検疫法に基づく停留の期間に関する考え方について」と題する事務連絡があり、停留開始日時は「新型インフルエンザの疑いのある者が患者であると確定した時刻」、とする考え方が示されたことがある。この見解は、新型インフルエンザに関するものであるが、新型コロナウイルス感染症が確認されて以降、専門家に諮問するなどして、検疫法に基づく停留の考え方を整理したことはあるのか、もしあればその内容を明らかにされたい。  4 検疫法第十四条第一項第二号に基づく停留を受けた者が検疫所長に停留の解除を求めたときは、検疫所長は、感染症の病原体を保有しているかどうかの確認をしなければならず、感染症の病原体を保有していないことが確認されたときは停留を解除しなければならないとされる(検疫法第十六条第四項、第六項、第七項)。新型コロナウイルス感染症の水際対策に関連して、停留処分を受けた者が停留解除の申立てをしたことがある場合、その申立て件数、停留解除の件数、および日本人帰国者の内訳を明らかにされたい。 六 個人情報の取得について  1 入国者は、誓約書に基づき、健康状態や位置情報などの個人情報の提供を誓約させられているが、誓約書には、誓約に違反したとき、または誓約書の提出に応じないときは停留処分を受ける可能性があることが記され、実際に誓約書の提出に応じず停留処分を受けた入国者の事例があったと承知している。これは、個人情報の取得につき同意を強制していることにならないか。入国者からの個人情報取得につき、個人情報保護委員会の見解を得ている事実はあるか、あればその内容を明らかにされたい。  2 入国者が誓約書に基づき提供した健康状態や位置情報などの個人情報が、検疫所が委託した民間事業者に提供されている事実はあるか。検疫所や検疫所が委託した民間事業者が保有する入国者に関する個人情報は、自宅等の待機期間満了後、どのように取り扱われているのか、明らかにされたい。  右質問する。
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衆議院議員山尾志桜里君提出新型コロナウイルス感染症の水際対策の法的根拠等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十二日受領 答弁第一八三号   内閣衆質二〇四第一八三号   令和三年六月二十二日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員山尾志桜里君提出新型コロナウイルス感染症の水際対策の法的根拠等に関する質問に対する答弁書 一の1及び2について  出国前七十二時間以内に新型コロナウイルス感染症に係る検査を受け、医療機関等により発行された証明書(以下「出国前検査証明書」という。)の提示をせずに我が国への入国をしようとする者がいる場合においては、提示された出国前検査証明書を「検疫官が無効と判断した場合」を含め、検疫所長は、当該者が乗ってきた航空機の長に対し、検疫法(昭和二十六年法律第二百一号)第十八条第一項の規定による仮検疫済証の交付を行わないこととしており、この場合、当該者は同法第五条の規定により我が国への上陸ができないこととなる。  また、お尋ねの「提示拒否への対応」については、「提示を拒否した事例の有無、件数および日本人帰国者の内訳」を含め、「提示拒否」及び「日本人帰国者」の具体的に意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。 一の3について  お尋ねの「日本人帰国者」の具体的に意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難であるが、お尋ねの「検査証明書の不提出、または証明書の無効」により、検疫法第五条の規定により我が国への上陸ができず、航空会社により外国へ送還された者は、政府として把握している限りでは、令和三年六月十日現在、七十四名である。また、「出発地の外国に送還された日本人帰国者がいる場合、当該外国で問題なく受け入れられ、その後、無事帰国を果たしているのか」とのお尋ねについては、その具体的に意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。 一の4について  お尋ねの「3の事例」について、具体的な事例が明らかではないため、お答えすることは困難である。 一の5について  お尋ねの「3の措置」が外国への送還を意味するのであれば、当該措置は、航空会社により行われるものであり、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二条第四号に規定する不利益処分又は同条第六号に規定する行政指導には該当しないと考えている。 二の1から3までについて  検疫所長は、我が国への入国をしようとする者に対して、検疫法第十三条第一項の規定により、入国時の新型コロナウイルス感染症に係る検査を行っている。また、入国時に当該検査を拒否する者については、同法第三十六条第四号に該当するものとして罰則の対象となり得るが、令和三年六月十日現在、我が国への入国をしようとする者が当該検査を拒否した事例は把握していない。 三の1及び2について  入国前十四日以内に、厚生労働省のホームページの「変異株流行国・地域に該当する国・地域について」及び「変異株B.一.六一七指定国・地域に該当する国・地域について」で示した国・地域に滞在歴がある入国者については、検疫法第十六条の二第二項の感染症の感染の防止に必要な協力として、検疫所の確保する宿泊施設での一定期間の待機を求めている。当該求めに応じない場合には、感染症の感染拡大の防止のため、検疫所長は、原則として、同法第十四条第一項第二号の規定による停留の措置をとることとしており、こうした場合に停留の措置を講じた事例は、政府として把握している限りでは、令和三年六月十日現在、三件である。なお、お尋ねの「日本人帰国者の内訳」については、「日本人帰国者」の具体的に意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。 四の1及び2並びに六の1について  お尋ねの「誓約書の提出」は、検疫法第十六条の二第二項の規定により、我が国への入国をしようとする者に対し、感染症の感染の防止に必要な協力として求めているものであり、同条第三項の規定により、当該協力を求められた者はこれに応ずるよう努めなければならないこととされているが、同項の違反に対する罰則はなく、「誓約書の提出」は当該協力を求められた者の意思に基づき行われていることから、「個人情報の取得につき同意を強制していることにならないか」との御指摘は当たらないと考えており、「入国者からの個人情報取得」について、個人情報保護委員会の見解を得た事実はない。  また、お尋ねの「誓約書の提出を拒否」した者又は「全部または一部に同意しない意思を示して誓約書を提出」した者に対しては、検疫法第十六条の二第二項の規定により、感染症の感染の防止に必要な協力として、検疫所の確保する宿泊施設での一定期間の待機を求め、当該求めに応じない者がいる場合には、検疫所長は、原則として、同法第十四条第一項第二号の規定による停留の措置をとることとしている。このような場合において検疫所の確保する宿泊施設での一定期間の待機を求め、又は停留の措置を講じた事例は、政府として把握している限りでは、令和三年六月十日現在、九件である。なお、お尋ねの「日本人帰国者の内訳」については、「日本人帰国者」の具体的に意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。 三の3及び四の3について  検疫法第十四条第一項第二号の規定による停留の措置は、即時強制行為であることから、行政手続法第二条第四号イの事実上の行為であり、同号に規定する不利益処分には該当せず、また、検疫法第十六条の二第二項に規定する協力の求めは、行政手続法第二条第二号に規定する処分には該当せず、いずれも同法第三章の規定は適用されないものと考えている。また、検疫法第十四条第一項第二号の規定による停留の措置をとること及び同法第十六条の二の規定により協力を求めることは、行政手続法第三十二条第二項に違反するものとは考えていない。 五の1及び2について  御指摘の平成二十年四月二十四日の参議院厚生労働委員会においては、厚生労働省健康局長が「感染症の病原体に感染したおそれのある者は、・・・感染症の患者と接触した者というようなことを想定」しており、「感染症において感染しているおそれがあり、感染症を広げる可能性を否定できない方々」である旨を答弁しており、「「感染症に感染したおそれのある者」とは「感染症の患者と接触した者」をいうとの政府答弁がある」との御指摘は当たらない。 五の3について  お尋ねの「検疫法に基づく停留の考え方」の具体的に指し示す範囲が明らかではないため、お答えすることは困難である。 五の4について  お尋ねの検疫法第十四条第一項第二号の規定により停留されている者が同法第十六条第六項の規定による求めを行った事例については、政府として把握している限りでは、令和三年六月十日現在、二件であり、このうち一件については医療上の理由から当該停留を解き、残り一件については誓約書の提出がなされなかった者について停留の措置を行ったものであるが、停留中にその提出があったことを踏まえて当該停留を解いている。なお、お尋ねの「日本人帰国者の内訳」については、「日本人帰国者」の具体的に意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。 六の2について  厚生労働省において、入国者の健康確認の業務等を行う入国者健康確認センターの運営を民間事業者に委託しており、お尋ねの「入国者が誓約書に基づき提供した健康状態や位置情報」については、厚生労働省と当該民間事業者との業務委託契約書に基づき、当該民間事業者が適切に管理を行っている。
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トランプ米国大統領の訪日における諸行事の経費負担に関する質問主意書
令和三年六月十日提出 質問第一八四号 トランプ米国大統領の訪日における諸行事の経費負担に関する質問主意書  衆議院議員森山浩行君提出トランプ米国大統領の訪日における諸行事の経費負担に関する質問に対する答弁書(内閣衆質二〇一第八一号)の「二について」において、「令和二年四月三十日までに精算を終了する。」と回答されていることから、次の通り質問する。 一 当該精算が終了している場合、次の各質問について改めてお答え願いたい。  1 令和元年五月二十五日より二十八日のトランプ大統領訪日に係る経費は全て政府の負担によるものか。また、その経費の金額と内訳を示されたい。  2 1のトランプ米国大統領訪日に係る経費のうち政府の負担によらないものがあれば、その金額と内訳について政府の承知するところを示されたい。  3 「安倍総理大臣とトランプ米国大統領とのゴルフ」に係る経費の金額と内訳を示されたい。  4 「安倍総理大臣夫妻とトランプ大統領夫妻との非公式夕食会」に係る経費の金額と内訳を示されたい。  5 今回のトランプ米国大統領訪日に係る経費負担の妥当性について政府の見解を示されたい。 二 当該精算が終了していない場合、「令和二年四月三十日までに精算を終了する。」と回答されたことを踏まえ、当該精算が終了していない理由を明らかにされたい。  右質問する。
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衆議院議員森山浩行君提出トランプ米国大統領の訪日における諸行事の経費負担に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十二日受領 答弁第一八四号   内閣衆質二〇四第一八四号   令和三年六月二十二日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員森山浩行君提出トランプ米国大統領の訪日における諸行事の経費負担に関する質問に対する答弁書 一の1、3及び4並びに二について  御指摘の「精算」は終了しているところ、政府における令和元年五月二十五日から同月二十八日までのトランプ米国大統領(当時)の来日に要した経費(ただし、要人の安全に係るものであって、公にすることにより、犯罪の予防に支障を及ぼすおそれがあるものを除く。)は、四千二十二万八千三百五十円であり、その主な内訳は、首脳会談、記者会見等の設営のための経費が千二百四十万二百二十二円、宿泊のための経費が七百三十二万八千七十七円、車両の借上げのための経費が五百七十六万九千百二十八円、国旗等の手配のための経費が三百七十八万七千九百七十五円、写真撮影等のための経費が二百四十六万七千九百三十二円、非公式夕食会に係る経費が二百六万三千八百八十円(うち夕食会場利用のための経費が百万九千八百円、目隠しテント設営のための経費が五十二万九千二百円、赤じゅうたん敷設のための経費が三十万八千八百八十円)、ゴルフに係る経費が百三十六万二千八百円(うちゴルフ場利用のための経費が九十九万九千円)、通訳及び翻訳のための経費が六十一万六千四百十円である。 一の2について  お尋ねの「トランプ米国大統領訪日に係る経費のうち政府の負担によらないもの」については、政府として把握していないことから、お答えすることは困難である。 一の5について  一の1、3及び4並びに二についてでお答えした経費については、国賓として来日したトランプ米国大統領(当時)に対して儀礼を尽くし、同大統領を公式に接遇するために必要なものであり、公費から支出することは妥当であると考えている。
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生活保護制度における就労継続支援B型の工賃に対する基礎控除に関する質問主意書
令和三年六月十日提出 質問第一八五号 生活保護制度における就労継続支援B型の工賃に対する基礎控除に関する質問主意書 一 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成十八年厚生労働省令第百七十一号)第二百一条第一項の規定に基づき、指定就労継続支援B型の利用者に支払われる工賃に対して、生活保護制度における就労収入の基礎控除(以下「基礎控除」という。)は適用されるか。 二 前項の工賃の他に基礎控除が適用される収入がある場合でも、当該工賃に対する基礎控除は適用されるか。  右質問する。
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衆議院議員森山浩行君提出生活保護制度における就労継続支援B型の工賃に対する基礎控除に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十二日受領 答弁第一八五号   内閣衆質二〇四第一八五号   令和三年六月二十二日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員森山浩行君提出生活保護制度における就労継続支援B型の工賃に対する基礎控除に関する質問に対する答弁書 一及び二について  お尋ねの「指定就労継続支援B型の利用者に支払われる工賃」については、生活保護制度において、保護の程度を決定するに当たり、就労に伴う収入として認定することとしており、基礎控除(「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和三十六年四月一日付け厚生省発社第百二十三号厚生事務次官通知)に基づき、就労に伴う収入額から、勤労に伴う必要経費として一定額を控除することをいう。以下同じ。)が適用される。また、当該工賃の他に基礎控除が適用される就労に伴う収入がある場合には、当該工賃と当該就労に伴う収入の合計額に応じて、基礎控除が適用される。
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犯罪加害者家族に関する質問主意書
令和三年六月十日提出 質問第一八六号 犯罪加害者家族に関する質問主意書  犯罪加害者家族に関し、以下質問する。 一 令和三年三月十七日に開催された衆議院法務委員会において、私、中谷一馬から「自ら選択できない属性によって差別、排除にさらされる加害者家族の子供たちを適切に保護することができなければ、子供たちは健全に成長することができず、世代間連鎖のような負のスパイラルを結果として社会に生み出すことになると思いますので、これらの課題感を基に更に議論を行っていきたい」との発言の後に、上川陽子法務大臣より、「誰一人取り残さないというこうした大きな流れの中で、いろいろな方々が誹謗中傷の中でさらされているということについては、これは、特に、加害者家族の皆さん、特に子供たちということについては、先のことを考えますと、非常に重要であるというふうに考えております。少なくとも、誰一人取り残さないという中にあって、先ほど先生がおっしゃったように、光を照らしていくということについては極めて重要であるというふうに考えます。」との答弁があった。  この一連のやり取りを踏まえて伺うが、日本社会において子どもたちを含めた犯罪加害者家族に関する問題が生じていることについて、政府は、課題解決に向けた議論を今後も積み重ねていくという理解でよいか。 二 令和三年三月十七日に開催された衆議院法務委員会において、犯罪加害者家族に関して政府として実態の把握を行っているかという趣旨の質問をしたところ、上川陽子法務大臣から「法務省として実態調査をしたという事実はございませんでした。」という答弁があったが、政府全体としても犯罪加害者家族に関する実態調査を行っていないという認識でよいか、確認したい。 三 NPO法人ワールド・オープン・ハートや山形県弁護士会が行った調査によれば、犯罪加害者家族が置かれている実態として、相談者の約九割が「自殺を考えたことがある」と回答しており、インターネットを含む周囲の中傷で、転居や進学断念を余儀なくされたケースも多く、殺人事件の場合は大半が転居に追い込まれている。  その損害としては大きく三つある。第一に、世間の目が気になって外出が困難になることや、犯罪加害者と同じ血が流れていることへの自責の念などの心理的損害、第二に、一家の支柱を失うことによる生活の困窮、被害弁償や弁護士費用の負担などの経済的損害、第三に、就職、進学、結婚に際しての差別、学校での子どもに対するいじめ、職場や近隣での嫌がらせ等の社会的損害、であり、さらには、憎悪の対象としての攻撃や、社会的無関心による差別を受けている実態が明らかになっている。  政府は、こうした損害があるということを認識した上で、実態を把握するために調査研究を行う必要があると考えているのか、それとも考えていないのか、その考えに至った根拠を明らかにして見解を示されたい。 四 犯罪被害者をなくすために最も必要なことは、シンプルに犯罪をなくすことだと考えるが、政府の認識と相違はないか。もし相違があれば、政府として犯罪の被害に遭う方をなくすために最も必要なことは何であると考えているのか、所見を伺いたい。 五 再犯防止の観点において、社会学者のトラヴィス・ハーシが、社会的きずな理論の中で、「人は社会との絆がある時には犯罪することを留まるが、愛着・コミットメント・規範意識・関与の社会的な絆が弱まった時に犯罪を起こす。」ということを検証している。  犯罪加害者家族の支援をすることは、犯罪加害者が刑務所から出所した際に、きずなの受け皿を作ることになり、再犯の防止にもつながることから、結果として社会の利益になると考えられており、アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリアなどの諸外国では多種多様なアプローチで犯罪加害者家族の支援が行われている。これらの国々で犯罪加害者家族の支援が社会的に認知されている背景には、支援による再犯防止が期待されている点が挙げられ、長期受刑によって、受刑者と家族の関係が断たれることにより、出所する受刑者の帰住先が失われ、再犯が繰り返されることを予防しようという目的がはっきりと共有されている事実があると考える。  政府は諸外国における犯罪加害者家族の支援政策に関する調査や研究を行っているのか。行っている場合、どのようなことを調査・研究しているのか、詳細についても伺いたい。 六 社会的に厳しい環境下に置かれている犯罪加害者家族を支援する意味合いとしては、第一に、犯罪加害者家族の「個人」の尊厳を守り、マイノリティを排除しないこと(個人の尊重)、第二に、犯罪加害者家族の九割が自殺を考えたという調査結果を踏まえて、犯罪加害者家族の自責の念を払拭するための自殺対策を講じられること(自殺防止)、第三に、法律や心理面などにおける専門職の早期介入によるケアにより、犯罪加害者本人と、その家族の信頼関係の維持を図り、犯罪加害者の再犯の抑止と更生を目指すこと(再犯防止)、などが挙げられると考える。  そこで伺うが、政府は、犯罪加害者家族の支援を行うことは、再犯防止及び更生保護に資すると考えているのか、それとも考えていないのか、その考えに至った根拠を明らかにして見解を示されたい。 七 長期的な問題を抱える犯罪加害者家族に対する支援としては、第一に、子どもの真の成長発達権を保障するための支援、第二に、法律専門職等の早期介入によって、刑事手続など非日常的な出来事に対するストレスを最小限に抑えるための法的支援、第三に、就労や資金援助など個人の尊厳を保持する生活を実現するための経済的支援、第四に、自殺を防ぎ、心の傷を最小限に抑えて自尊感情を高め、人生を諦めないようにするための心理面での支援、第五に、彼らを取り巻く環境の調整、偏見をなくすための啓発活動などの社会的支援、などが挙げられると考えるが、政府は、犯罪加害者家族、特に家族が犯罪を起こした子どもたちに対する支援を行うことを考えているか、それとも考えていないのか、その考えに至った根拠を明らかにして見解を示されたい。  右質問する。
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衆議院議員中谷一馬君提出犯罪加害者家族に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十二日受領 答弁第一八六号   内閣衆質二〇四第一八六号   令和三年六月二十二日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員中谷一馬君提出犯罪加害者家族に関する質問に対する答弁書 一、三及び七について  御指摘の「日本社会において子どもたちを含めた犯罪加害者家族に関する問題が生じていること」、「実態を把握するために調査研究」及び「犯罪加害者家族、特に家族が犯罪を起こした子どもたちに対する支援」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一般に、犯罪をした者及び非行のある少年(以下「犯罪をした者等」という。)の家族への対応については、再犯防止を始めとする様々な施策の検討に際して、必要に応じて議論するものと認識している。 二について  お尋ねの「犯罪加害者家族に関する実態調査」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、把握できる限りにおいて、犯罪をした者等の家族に特化した調査は行っていない。 四について  御指摘の「シンプルに犯罪をなくす」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「犯罪被害者をなくす」ためには、犯罪防止のための各種取組を推進するとともに、犯罪を早期かつ的確に検挙していくことが重要であると考えている。 五について  お尋ねの「諸外国における犯罪加害者家族の支援政策に関する調査や研究」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、把握できる限りにおいて、諸外国における犯罪をした者等の家族への支援施策を対象とした調査や研究は行っていない。 六について  御指摘の「犯罪加害者家族の支援」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、犯罪をした者等の家族に対して、犯罪をした者等の出所に向けた相談支援等を実施することは、当該犯罪をした者等とその家族との関係性によっては、当該犯罪をした者等の再犯防止や改善更生に資する場合があるものと考えている。
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国際協力機構が実施する円借款における貸付条件と実施体制の見直しに関する質問主意書
令和三年六月十日提出 質問第一八七号 国際協力機構が実施する円借款における貸付条件と実施体制の見直しに関する質問主意書  我が国は、ミャンマーにとっての最大の支援国として同国の民主化プロセスを支援してきたが、本年二月一日に発生したミャンマー国軍による軍事クーデターは、民主化への努力と期待を踏みにじるものである。政府開発援助による民主化支援は、極めて重要な取り組みであるが、一方でこのような反動のリスクがある。このようなリスクに的確に対処しつつ、民主化支援を推進するために、以下、質問する。 一 世界銀行とアジア開発銀行は、軍事クーデターの発生後に速やかに貸付実行を一旦停止している。我が国の円借款事業についても、ミャンマーで発生した軍事クーデターのような政変が起きて、当初の援助の目的が損なわれた場合には、円借款など政府開発援助による支援事業は一旦停止できる条項と、既に貸し付けた資金の即時繰り上げ返済を要求するような条項を、予め貸付契約等に盛り込んでおくべきと考えるが、政府の見解如何。 二 ミャンマーの軍事クーデターの後、アメリカがミャンマー軍関係企業のMEC(ミャンマー経済公社)に対して経済制裁を発動したが、MECは円借款事業のサブコントラクターになっていたことが後になって明らかになった。軍関係企業が円借款事業によって利益を得ることは、民主化支援という目的を踏まえれば不適切である。下請けを含めて軍関係企業を調達先から排除する仕組みが必要と考えるところ、円借款の調達ガイドラインなどによってサブコントラクターなど調達内容全般をチェックできる手続きを整備すべきと考えるが、政府の見解如何。  右質問する。
b204187
衆議院議員櫻井周君提出国際協力機構が実施する円借款における貸付条件と実施体制の見直しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十二日受領 答弁第一八七号   内閣衆質二〇四第一八七号   令和三年六月二十二日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員櫻井周君提出国際協力機構が実施する円借款における貸付条件と実施体制の見直しに関する質問に対する答弁書 一について  独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)と円借款の借入人である相手国政府との間で締結される貸付契約には、一定の条件の下でJICAが講じ得る措置として、JICAは借入人の権利の一部又は全部を停止し、及び貸付実行を終了することができる旨規定する条項が設けられていると承知している。  いずれにせよ、円借款の借入国において軍事クーデター等が生じた際には、政府及びJICAとしては、刻々と変化する現地の状況や国際状況などを踏まえ、適切に対応していく考えである。 二について  御指摘の「円借款事業のサブコントラクター」については、相手国政府との間で円借款事業に係る契約を締結した企業において選定するものであるが、政府及びJICAにおいて、必要に応じ、適切な形で当該企業から報告及び相談を受けている。  いずれにせよ、円借款事業を含む政府開発援助事業については、国際社会の平和と安定及び繁栄の確保に積極的に貢献することを目的として実施してきているところ、政府として、引き続き、それぞれの事業がこれらの目的に資するものであることを確認しながら必要な取組を進めていく考えである。
a204188
学校教育の体育の授業および運動部の活動における新型コロナウイルス感染症の感染対策に関する質問主意書
令和三年六月十日提出 質問第一八八号 学校教育の体育の授業および運動部の活動における新型コロナウイルス感染症の感染対策に関する質問主意書  新型コロナウイルス感染症の感染が拡大して以降、学校では感染対策として原則として児童生徒にマスク着用を義務付けている。一方で、体育の授業でマスクを着用したまま持久走など激しい運動を行い死亡するという事故が発生していることから、文部科学省は体育の授業では十分な間隔を確保した上でマスク着用は不要との通知を発出している。  一方で、感染力の高いデルタ株が増加しつつある。従来株では、若い世代には、あまり感染しない、感染しても軽症で済むといわれていた。しかし、デルタ株(L452R変異)は、若い世代にも感染し、実際に学校でデルタ株によるクラスター感染が発生している。  学校現場での運動と感染症対策の両立が困難となりつつある現状を踏まえて、以下、質問する。 一 文部科学省は、これまで新型コロナウイルスの変異株であるアルファ株(N501Y変異)についての対策を通知してきた。しかし、今後、アルファ株よりも感染力が強いとされるデルタ株の流行が懸念されるところ、デルタ株に対応できる対策を先手で打つべきと考えるが、政府の見解如何。 二 感染力が強いデルタ株が流行すれば、体育の授業と感染症対策の両立が困難になることが予想される。そうなれば、体育については学習指導要領の履修が困難になることが予想されるが、感染症対策が学習指導要領の履修よりも優先することを明確にし、その旨を学校現場に通知することを提案するが、政府の見解如何。 三 運動部の部活動については、感染力が強いデルタ株が流行すれば、夏の大会の実施などが困難になることが予想される。一方で、最高学年の夏の大会は、生徒にとっては一生に一度の機会であり、通常の大会を開催できない場合であっても代替の措置(バックアップ計画)を準備しておくことを提案するが、政府の見解如何。  右質問する。
b204188
衆議院議員櫻井周君提出学校教育の体育の授業および運動部の活動における新型コロナウイルス感染症の感染対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十二日受領 答弁第一八八号   内閣衆質二〇四第一八八号   令和三年六月二十二日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員櫻井周君提出学校教育の体育の授業および運動部の活動における新型コロナウイルス感染症の感染対策に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねについては、令和三年三月二十四日の衆議院文部科学委員会において、萩生田文部科学大臣が「変異株であっても、三つの密の回避やマスクの着用、手洗いなど、基本的な感染症対策が奨励されておりますので、各学校においては、これらの基本的な対策を改めて徹底いただきたい」及び「文科省としては、変異株について必要な対応が明らかになった場合には、速やかに厚生労働省等と連携し、学校の設置者への情報提供や注意喚起の対応を行ってまいりたい」と答弁しており、御指摘の「デルタ株」についても同様に考えている。 二について  文部科学省においては、都道府県教育委員会等に対し、「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」(令和二年五月二十二日文部科学省作成、令和三年四月二十八日改訂)において、「感染症対策を講じてもなお感染のリスクが高い学習活動」として、「体育、保健体育における「児童生徒が密集する運動」・・・や「近距離で組み合ったり接触したりする運動」」を挙げ、「地域の感染レベルの状況に応じて」、これらの活動を行わないようにすることや、実施について慎重に検討すること等を周知していることから、現時点において御指摘のような「通知」を新たに発出することは考えていない。 三について  運動部活動の大会の実施については、各大会の主催者が判断すべき事柄であると考えている。なお、文部科学省においては、公益財団法人日本中学校体育連盟や公益財団法人全国高等学校体育連盟等に対し、「中学生・高校生等を対象とした全国大会・コンクール等における感染拡大予防ガイドラインの策定及び生徒の成果発表の機会の確保等に係る取組について(依頼)」(令和三年六月二日付けスポーツ庁政策課学校体育室及び文化庁参事官(芸術文化担当)付学校芸術教育室事務連絡)を発出し、「部活動の大会等についても、生徒にとって日頃の活動の成果を発揮できる貴重な機会でありますので、十分な感染防止対策を講じた上で、できるかぎり実施」するよう依頼しているところである。
a204189
精神科病院における患者虐待防止のための取組みに関する質問主意書
令和三年六月十日提出 質問第一八九号 精神科病院における患者虐待防止のための取組みに関する質問主意書  神戸市西区にある神出病院において看護師らによる患者に対する虐待事件が二〇二〇年三月に発覚した。この事件は、内部通報ではなく別の事件の捜査で発覚したものである。  神出病院での事件を受けて、厚生労働省が二〇二〇年に実施した調査によれば、二〇一九年度までの五年間に地方自治体が把握した、精神科病院内での虐待の疑いがある事案は、合わせて八十九件で、このうち暴行が全体の六割以上にあたる五十七件、暴言が十四件、猥褻行為が七件などとなっている。ただし、地方自治体が虐待を把握したきっかけは、病院の内部通報は全体の約半分で、残りの半分は患者や家族、匿名の人からの通報などで発覚していた。このことから、虐待の疑いがある事案は氷山の一角にすぎないのではないか、という指摘がある。精神科病院の改善の必要性に鑑み、以下、質問する。 一 精神科病院で虐待が発生する原因として、精神科病院の持つ閉鎖性があげられる。行政及び精神医療人権センターが、精神科病院の病棟へ視察し、患者等から聞き取りを行うなどして精神科医療にかかる患者の権利擁護制度の整備が急務と考えるが、政府の取組み如何。 二 日本では身体拘束の件数が激増している。厚生労働省の調査によれば、二〇一九年六月三十日時点の身体拘束件数(拘束指示が出ている人の数)は一万八百七十五人であり、五千人超だった二〇〇〇年代から倍増している。身体拘束がエコノミークラス症候群に結びつきやすいことは明らかであるにも拘わらず、身体拘束が頻繁に行われ死亡事例は少なくない。我が国の精神科医療における身体拘束の多さは世界的に見ても異常であり、大幅に削減すべきであると考えるが、政府の取組み如何。 三 いわゆる障害者虐待防止法においては、障害者福祉施設従事者等及び使用者による障害者虐待については地方自治体への通報義務が課されることによって障害者の虐待防止を図っているところ、医療機関従事者による障害者虐待についても同様に通報義務を課すことを提案するが、政府の見解如何。  右質問する。
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衆議院議員櫻井周君提出精神科病院における患者虐待防止のための取組みに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十二日受領 答弁第一八九号   内閣衆質二〇四第一八九号   令和三年六月二十二日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員櫻井周君提出精神科病院における患者虐待防止のための取組みに関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「権利擁護制度の整備」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、都道府県及び指定都市(以下「都道府県等」という。)に対し、都道府県等が実施する精神科病院に対する実地指導において、虐待が疑われる事案について病院職員や入院患者に対して聞き取りを行うことを要請しており、また、都道府県等を通じて精神科病院に対し、虐待が疑われる事案が発生した場合には、速やかにその概況を都道府県等に報告するよう周知徹底しているところである。これらの取組を通じて、精神科病院における虐待の防止等を図ることにより、患者の人権の保護に努めてまいりたい。 二について  身体的拘束は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号。以下「精神保健福祉法」という。)第三十六条第三項において、精神保健指定医が必要と認める場合でなければ行うことができないとされており、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十七条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(昭和六十三年厚生省告示第百三十号)において、対象患者の要件や、身体的拘束が漫然と行われることがないよう、医師は頻回に診察を行うものとすること等の基準を定めている。また、現在、令和三年度厚生労働行政推進調査事業費補助金による「持続可能で良質かつ適切な精神医療とモニタリング体制の確保に関する研究」(以下「調査研究」という。)において、身体的拘束の最小化の手段について研究を行っているところである。  身体的拘束については、精神保健福祉法の規定に基づき、必要最小限の範囲内で行われることが基本であると考えており、調査研究から得られた知見等を踏まえながら、引き続き、患者の人権に配慮した適切な医療が提供できるよう努めてまいりたい。 三について  医療機関は一般的に障害の有無にかかわらず利用される機関であることに鑑みれば、障害者への虐待のみが通報対象となると医療機関において障害者と障害者以外の方との間に不整合を生じさせることになること、及び精神保健福祉法第三十七条の二の規定に基づき、精神保健指定医は、精神科病院に入院中の者の処遇が著しく適当でないと認めるときは、当該精神科病院の管理者にその旨を報告すること等により、当該管理者において当該精神科病院に入院中の者の処遇の改善のために必要な措置が採られるよう努めなければならないとされていることから、現時点では、政府としては、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成二十三年法律第七十九号)において、医療機関に従事する者による障害者虐待に係る通報義務を課すことは考えていない。
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電力使用量削減のための信号機のLED化の推進の必要性に関する質問主意書
令和三年六月十日提出 質問第一九〇号 電力使用量削減のための信号機のLED化の推進の必要性に関する質問主意書  我が国は、いわゆる地球温暖化対策推進法において二〇五〇年までのカーボンニュートラルの実現を明記するなど地球温暖化対策を推進しているところである。この実現に向けて、様々な方向からの取組みが必要であるが、省電力化は重要な取組みの一つである。特に、地方自治体を含めて政府部門で保有する設備における省電力の取組みは、直ちに取り掛かるべきと考えるところ、以下、質問する。 一 信号機のLED化は、視認性向上と玉切れ防止の効果から交通安全対策として有効であるだけでなく、電力使用量の大幅削減を実現できると考えるが、省電力効果について政府の見解如何。 二 現状は、都道府県で信号機のLED化の取組みに大きな差がある。取組みが遅れている地方自治体に対して、LED化を加速させるための取組みが必要であると考えるが政府の見解如何。  右質問する。
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衆議院議員櫻井周君提出電力使用量削減のための信号機のLED化の推進の必要性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十二日受領 答弁第一九〇号   内閣衆質二〇四第一九〇号   令和三年六月二十二日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員櫻井周君提出電力使用量削減のための信号機のLED化の推進の必要性に関する質問に対する答弁書 一及び二について  政府としては、道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第四条第一項の規定により都道府県公安委員会が設置し、及び管理する信号機の灯器を、電球式からLED式へ転換すること(以下「信号灯器のLED化」という。)については、消費電力量を低減させる効果があり、ひいては二酸化炭素排出量の削減に資するものと認識している。  これを踏まえ、「地球温暖化対策計画」(平成二十八年五月十三日閣議決定)においては、運輸部門における二酸化炭素排出量の減少傾向を一層着実なものとするための対策の一つとして「信号灯器のLED化の推進」を掲げている。  その上で、現在、警察庁においては、信号灯器のLED化を推進する観点から、信号灯器のLED化に要する費用の一部を補助するといった取組を進めているところであり、引き続き、こうした取組を進めていきたいと考えている。
a204191
中小企業の数と生産性に関する質問主意書
令和三年六月十日提出 質問第一九一号 中小企業の数と生産性に関する質問主意書  菅政権においては、合併等により中小企業の規模を拡大し、生産性を引き上げていくことは重要である、との認識をお持ちであり、関係法令等の改正を通じて、中小企業の中堅企業への「成長」を促してく方向であると承知している。  一方、令和三年五月十二日の、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案の審議に関し行われた衆議院経済産業委員会の参考人質疑において、中小企業家同友会全国協議会の広浜泰久会長より提出のあった資料には、「日本の中小企業は、他の先進国と比較しても人口比では多くはありません。中小企業の多寡と一国経済の「生産性」の高低には因果関係がないとされています。歴史的に見ても中小企業の増加と生産性向上は正の関係にありました。」との記載がある。  そこで、以下質問する。 一 菅政権においては、我が国の中小企業は多すぎると考えているのか、その根拠と併せて示されたい。 二 菅政権においては、我が国の中小企業の生産性は、主要先進国と比較して低いと考えているのか、その根拠と併せて示されたい。 三 菅政権においては、我が国の中小企業の数が多いので、我が国の中小企業の生産性が低いと考えているのか、その根拠と併せて示されたい。  右質問する。
b204191
衆議院議員落合貴之君提出中小企業の数と生産性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十二日受領 答弁第一九一号   内閣衆質二〇四第一九一号   令和三年六月二十二日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員落合貴之君提出中小企業の数と生産性に関する質問に対する答弁書 一及び三について  平成二十八年の経済センサス活動調査によると、我が国の中小企業は約三百五十八万者存在するが、政府としては、この多寡については評価しておらず、我が国の中小企業の数と我が国の中小企業の生産性の関係についても評価していない。 二について  国によって中小企業の定義が異なること等から、我が国の中小企業の生産性について、主要先進国と一概に比較することは困難である。
a204192
フリーランスなど個人事業主に対する傷病手当金の支給に関する質問主意書
令和三年六月十日提出 質問第一九二号 フリーランスなど個人事業主に対する傷病手当金の支給に関する質問主意書  本年四月二十一日の厚生労働委員会において、国民健康保険(国保)の被保険者のうち、非正規雇用の方々に対する傷病手当金の支給を法定化すべきことについて、山川百合子議員が質問したところ、田村厚生労働大臣から「被用者だけ傷病手当を法制化すると個人事業主から批判される」との趣旨の答弁があった。  ならば個人事業主も含めて傷病手当金を支給すべきと考える。今回の新型コロナウイルス感染症に係る特例措置で、非正規雇用の被用者を対象として、八割の自治体が国保の特別調整交付金を使って傷病手当金を支給しているが、二〇二〇年度の交付額を厚生労働省に問い合わせたところ、わずかに一億三千万円とのことで、これは、コロナ以前、二〇一九年度の特別調整交付金交付額千三百二十七億円のわずか〇・一%にすぎない。つまり財源は十分あると考える。  国保制度の制定経緯からみても、国保の保障対象を広げるのは時代の流れである。厚生労働省は「個人事業主の場合は、金額の算定根拠がない」というが、全国芸能従事者労災保険センターが把握しているだけでも、このコロナ禍にあって、自治体の単独予算でフリーランスなど個人事業主に傷病手当金を支給している自治体は、岩手県陸前高田市、宮城県松島町、愛知県東海市、岐阜県飛騨市、鳥取県岩美町、愛媛県宇和島市、北海道赤平市の五市二町あり、それぞれに金額の算定に工夫をしている。  また、やはり自治体の単独予算で一定額の傷病見舞金(一時金)制度を設けた自治体は、同じく全国芸能従事者労災保険センターが把握しているだけでも、北海道美幌町、埼玉県深谷市、埼玉県朝霞市、埼玉県志木市、埼玉県和光市、埼玉県新座市、埼玉県上里町、滋賀県甲賀市、滋賀県野洲市の七市二町あり、十万円~三十万円を支給している。 一 例えば、コロナ以前の過去二~三年分の同月の税務申告書(八月分なら同月分)と、医療機関や業務委託契約先からの証明書を要件として、傷病手当金の金額を決定している自治体があるが、このような方法で全国一律の金額を決定することは可能なのではないか。政府の見解を求める。できないのであれば、その理由を明らかにされたい。 二 厚生労働省は昨年七月に五つの自治体で同様の取組を行っていると調べただけで、その後、実態把握を行っていない。多様な働き方が増える中、またコロナでフリーランスなど個人事業主が苦しむ中、国保の傷病手当金を法定化するのは時代の流れではないか。フリーランスの保護、支援を国として取り組むとしているにもかかわらず、居住自治体によって支援があるなしの差があるのは不公平である。コロナはそれ以前の社会の課題、矛盾をあぶりだしたと言われるが、このコロナ禍を奇貨として、国保に加入している個人事業主、非正規雇用の被用者に対しても傷病手当金を支給することを法定化することを視野に、まずは全国でどれくらいの自治体が単独予算で個人事業主に傷病手当金や傷病見舞金を出しているかを調べ、そのような先進的な自治体が、それぞれどのような工夫をして金額を算定しているか、実態把握し、分析し、公表するべきではないか。  右質問する。
b204192
衆議院議員早稲田夕季君提出フリーランスなど個人事業主に対する傷病手当金の支給に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十二日受領 答弁第一九二号   内閣衆質二〇四第一九二号   令和三年六月二十二日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員早稲田夕季君提出フリーランスなど個人事業主に対する傷病手当金の支給に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「コロナ以前の・・・証明書を要件として、傷病手当金の金額を決定」及び「このような方法で全国一律の金額を決定すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第五十八条第二項に規定する傷病手当金(以下「傷病手当金」という。)については、被保険者が疾病又は負傷のため労務不能となり一時的に収入の喪失等を来した場合に、これをある程度補塡し、生活保障を行うことを目的とするものであるところ、個人事業主に対し、全国一律の基準により、傷病手当金の支給を行うこととすることについては、令和三年三月十六日の参議院厚生労働委員会において、濵谷厚生労働省保険局長が「個人事業主につきましては、被用者と異なりまして、やっぱり療養の際の収入の減少の状況も多様でございます。また、所得補塡としての妥当な支給額の算出も難しいといった課題もございます。」と答弁しているとおり、様々な課題があると認識している。 二について  政府としては、今般、令和三年三月三十一日時点において国民健康保険の国庫負担金等の算定に関する政令(昭和三十四年政令第四十一号)第四条第三項に規定する特別調整交付金による財政支援の対象とならない傷病手当金等の支給を行うこととしている市町村について調査を実施したところであり、今後、当該市町村における当該傷病手当金等の支給額の算出方法等について公表することとしている。
a204193
障がい児・者を含む若者の健康診断受診率の把握に関する質問主意書
令和三年六月十日提出 質問第一九三号 障がい児・者を含む若者の健康診断受診率の把握に関する質問主意書  本年四月二日の厚生労働委員会において私は、知的障がいを持つ息子のいる横浜市民からの要望を踏まえ、障がいのあるなしで寿命に差ができないよう、いわゆる「労働者性」が一切認められていないB型の就労継続支援事業所や地域活動支援センターにおいても、通所者の健康診断を行うべきと田村厚生労働大臣に質問したところ、「就労継続B型の場合は、福祉施策の中で、しっかりと運用指針で、健康診断も含めて健康確保をしていただきたいということはお願いをする」旨の答弁があった。しかし実態は、B型の就労継続支援事業所においては嘱託医による健康診断をするのが望ましいとされているだけで、その費用への補助等は一切なく、事業所負担で実施しているところもあれば、当事者負担で希望者のみ実施しているところ、まったく実施していないところ等、事業所によって様々であり、地域活動支援センターにいたってはほとんど実施されていないと承知している。 一 厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課によれば、労働安全衛生法に基づく定期健康診断を受けた割合は、二十歳未満において三〇・三%であり、他の年齢層と比較してきわめて低いが、障がいなどの理由で就学も就労もしていない未成年がいることも踏まえれば、この数値は改善されるべきではないのか。 二 国民生活基礎調査において、未成年の健康診断受診率を調査していない理由を、厚生労働省政策統括官付参事官付世帯統計室に照会したところ、「飲酒の状況、喫煙の状況等と一体的に把握する調査設計としているため対象外としている」という回答を得たが、子どもの頃の健康状態が、大人になってからの健康や、将来の健康寿命に大きな影響を与えることは周知の事実であり、とりわけ少子化の時代にあって、子ども庁の設置を検討しようとしている政府においては、子どもの健全な発育の把握は国民生活基礎調査の政策目的に加えるべきであって、未成年の健康診断の受診率も調査対象とするべきではないのか。 三 成人年齢が二〇二二年四月から十八歳に引き下げられることは従前より決まっていたにもかかわらず、二〇二二年度の国民生活基礎調査において、二十歳以上しか健康診断受診率を調査しない計画となっているのは不適切ではないか。その理由を厚生労働省政策統括官付参事官付世帯統計室に照会したところ、二〇二一年三月の社会保障審議会統計分科会において、二〇二二年度の国民生活基礎調査の調査票案について、委員の先生方から特段の意見はなかったからであるとの回答を得たが、それだけの理由をもって十八歳、十九歳を調査対象に含めないこととしているのは、事務方の不作為にあたるのではないか。 四 他方、文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課保健指導係に照会したところ、学校保健安全法等の法令に基づき、各学校で実施されている定期健診については、定期健診を行っている学校の割合や、児童・生徒が定期健診を受診している割合について、文部科学省において調査も把握もしていないとのことだが、これも行政の不作為ではないか。学校保健安全法はじめ関連法令で受診率の把握が定められていないのであれば、ただちに改正して国なり自治体が、国籍、学籍の有無を問わず、また不登校である子どもも含めて、学齢期の子どもの受診率を把握し、受診を促進することとするべきではないか。 五 様々な理由で小中学校に登校していない児童・生徒の健康について、また中学校卒業後、就労も就学もしていない未成年の若者の健康について、国は健康診断受診率が把握できない状況であるが、この国のどの府省庁のどの部署が責任を持つのか。障がいのあるなしにかかわらず、就学・就労の有無にかかわらず、すべての未成年の若者の健康診断率を、厚生労働省も文部科学省も把握していないのはきわめてゆゆしき問題であり、国を挙げて取り組むべき子ども政策の一丁目一番地として、今後はこれを調査対象として、すべての未成年の若者の健康診断を促進するべきではないのか。  右質問する。
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衆議院議員早稲田夕季君提出障がい児・者を含む若者の健康診断受診率の把握に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十二日受領 答弁第一九三号   内閣衆質二〇四第一九三号   令和三年六月二十二日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員早稲田夕季君提出障がい児・者を含む若者の健康診断受診率の把握に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「障がいなどの理由で就学も就労もしていない未成年がいることも踏まえれば」の趣旨が必ずしも明らかではないが、労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第四十四条第一項の規定に基づき、事業者は、常時使用する労働者に対し、一年以内ごとに一回、定期に、健康診断(以下「定期健康診断」という。)を行わなければならないこととされているところ、政府としては、御指摘の「二十歳未満」の常時使用する労働者に対しても定期健康診断が確実に実施されるべきであると考えており、毎年九月を「職場の健康診断実施強化月間」としてその重要性の周知啓発を行うこと等を通じて、今後とも事業者に対して定期健康診断の実施及び労働者への受診の勧奨を指導してまいりたい。 二及び三について  国民生活基礎調査の健康票については、世帯員の傷病、治療、健康管理等の状況を調査することを目的としており、世帯員の生活習慣である飲酒の状況及び喫煙の状況を把握した上で、健康診断、健康診査及び人間ドックの受診状況(以下「健診等の受診状況」という。)を把握する調査票としているところ、未成年者飲酒禁止法(大正十一年法律第二十号)及び未成年者喫煙禁止法(明治三十三年法律第三十三号)において二十歳未満の者の飲酒及び喫煙が禁止されていることを踏まえ、健診等の受診状況の調査対象を二十歳以上の者に限ることとしている。国民生活基礎調査は、保健、医療、福祉、年金、所得等国民生活の基礎的事項を調査し、厚生労働省の所掌事務に関する政策の企画及び立案に必要な基礎資料を得ることを目的とするものであるところ、未成年者の健診等の受診状況を調査することについては、今後検討してまいりたい。 四及び五について  学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)第十三条第一項において、「学校においては、毎学年定期に、児童生徒等・・・の健康診断を行わなければならない」とされており、また、当該健康診断を受けることができなかった者に対しては、学校保健安全法施行規則(昭和三十三年文部省令第十八号)第五条第一項ただし書において、「疾病その他やむを得ない事由によつて・・・健康診断を受けることのできなかつた者に対しては、その事由のなくなつた後すみやかに健康診断を行うものとする」と定めているところであり、政府としては、各学校において健康診断が適切に実施されているものと考えており、必ずしも政府又は地方公共団体において児童生徒の健康診断の受診率を把握する必要があるとは考えていないが、引き続き、学校の設置者等に対して、健康診断に係るマニュアル等の周知を通じて適切な健康診断の実施を促すことにより、児童生徒の健康診断の受診が促進されるよう努めてまいりたい。  また、御指摘の「様々な理由で小中学校に登校していない児童・生徒」及び「中学校卒業後、就労も就学もしていない未成年の若者」の態様は様々であることから、「どの府省庁のどの部署が責任を持つのか」とのお尋ねについて一概にお答えすることは困難である。なお、未成年者の健康診査の推進については、将来的な健康診査全体の在り方を検討する中で、必要に応じて検討してまいりたい。
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東京オリンピック・パラリンピック競技大会の実施及び中止の費用試算に関する第三回質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第一九四号 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の実施及び中止の費用試算に関する第三回質問主意書  本職が令和三年五月七日に提出した「東京オリンピック・パラリンピック競技大会の実施及び中止の費用試算に関する再質問主意書」に対する、令和三年五月十八日「衆議院議員松原仁君提出東京オリンピック・パラリンピック競技大会の実施及び中止の費用試算に関する再質問に対する答弁書」(内閣衆質二〇四第一二五号)は、主権者国民に対する情報開示に後ろ向きであり、国民代表の国会からの質問に対する真摯な態度に欠けると認められ、納得のいくものとはいえない。  そこで、次のとおり三度、質問する。 一 本職は、これまで拉致問題の解決を含めて日本国民の生命と身体の安全を最優先に考えてきた。東京オリンピック・パラリンピック競技大会についても、同大会での金メダル獲得を目指して、日夜想像を絶する鍛錬を行い続けているアスリートのためにも、できる限り開催を目指すべきとの思いに変わりはない。しかしながら、新型コロナウイルス感染症及びそれに対する国内のワクチン接種状況を考慮すれば、現状では、日本国民の生命と身体に重大な影響がなく同競技大会が実施できるか、不安を払拭できない状況にあると考えざるを得ない。丸川珠代東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当大臣が、令和三年五月二十五日の記者会見で、「感染拡大防止に全力を尽くし、安心して大会を迎えられると思ってもらうことが重要だ」と発言しているように、人々が安心して参加できることが同競技大会実施の前提となるはずである。この点、新型コロナウイルス感染症パンデミックが解消されない現状は、危機管理上、残念ながら、最悪の想定を行わなければならない状況にある。また、「国が負担義務を負う費用の個別予算及び予算総額を精査すること」と、「同競技大会開催に向けた準備が進められている」ことは両立することである。  この点、令和三年五月十八日「衆議院議員松原仁君提出東京オリンピック・パラリンピック競技大会の実施及び中止の費用試算に関する再質問に対する答弁書」(内閣衆質二〇四第一二五号)から明らかでないため、政府として、同競技大会を開催することのみ想定しているのか明らかにされたい。また、政府として、日本国民の生命と身体への重大な影響を払拭できずに同競技大会を中止する事態も想定している場合には、その場合の国が負担義務を負う費用の個別予算及び予算総額を精査しているか、並びに、精査している場合には、国が負担義務を負う費用の個別予算及び予算総額を明らかにされたい。 二 日本国内で開催に向けた準備が進められている同競技大会に関し、政府として、菅義偉首相が同競技大会の中止を決定することはできないとの認識であるか。また、小池百合子東京都知事について、都知事には同競技大会の中止を決定する権限はないという認識であるか。 三 前項に関連し、日本国が契約当事者でないとしても、政府として、東京都、公益財団法人日本オリンピック委員会及び公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(当該三団体を合わせて「日本側当事者」という)と協議の上、契約当事者が契約解除を考える上で、通常行われる合意解除について、日本側当事者がIOC(国際オリンピック委員会)と日本国内における同パンデミックの現状を考慮して、双方が損害賠償請求権を放棄することを前提とした合意解除に向けて協議を始めることは可能であると本職は考えている。  立教大学の角紀代恵名誉教授も令和三年六月九日の日本経済新聞朝刊の「私見卓見」において、IOCにのみ解除権があるかのような規定は、「IOCが中止の判断をしても損害賠償義務を負わないという点にあり、日本に中止の権利がないと明記しているわけではない」と述べられている。その上で、「道義的な是非は別として、法律論にのっとって考えると日本側も五輪の中止を決めることができる」という。また、「賠償責任の有無は一義的には、日本側とIOCが結んだ開催都市契約にのっとって判断される。だが開催都市契約は、日本側が一方的に契約を破棄した場合の賠償責任を明記していない」というとともに、「契約が準拠する法律に基づいて賠償責任の有無が判断される。開催都市契約はスイス法を準拠法と定める。日本やスイスが採用する『大陸法』では契約を履行しないことが『債務者の責めに帰すべからざる事由』による場合は、損害賠償の義務は負わないとされている」とし、「コロナ禍は日本の責めに帰すべき事由とは考えがたい。契約法の立場からすれば、仮に中止を判断しても日本が賠償義務を負うことはないと考えるのが妥当だろう」としている。  政府としては、同パンデミックの状況が日本国民の生命と身体への重大な影響を払拭できないとして同競技大会を中止せざるを得ないと考える場合であっても、前記合意解除に向けた働きかけを日本側当事者に行うことを考えていないか、政府としての現状認識を明らかにされたい。  右質問する。
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衆議院議員松原仁君提出東京オリンピック・パラリンピック競技大会の実施及び中止の費用試算に関する第三回質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第一九四号   内閣衆質二〇四第一九四号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員松原仁君提出東京オリンピック・パラリンピック競技大会の実施及び中止の費用試算に関する第三回質問に対する答弁書 一及び三について  東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会(以下「大会」という。)については、令和二年三月三十日(スイス時間)に開催された国際オリンピック委員会臨時理事会において、東京オリンピック競技大会の開催日程は、令和三年七月二十三日から同年八月八日までとなることが、東京パラリンピック競技大会の開催日程は、同月二十四日から同年九月五日までとなることが承認されたものと承知しており、大会開催に向けた準備が進められているところであることから、お尋ねにお答えすることは差し控えたい。なお、大会の開催については、同年六月七日の参議院決算委員会において、菅内閣総理大臣が「まずは、緊急事態宣言を解除する、ここに全力を挙げたいと思います。また、選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、世界から選手が安心して参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく、これが大会の前提と考えており、そうしたことが実現できるように対策を講じていきたいと思っています。具体的な対策としては、来日する大会関係者の人数を絞り込み、選手や大会関係者にワクチン接種を行い、大会関係者の行動を管理して一般の国民との接触を防止をする。既に国内でテスト大会も実施され、万全の感染防止に努めており、東京大会に向けてしっかり準備をしていきたい、このように思います。」と述べているところである。 二について  お尋ねに関しては、令和三年六月七日の参議院決算委員会において、大会について、菅内閣総理大臣が「私自身は主催者ではありません。これは、東京都、組織委員会、JOC、JPC、IOC、こうした中で最終決定がされると思いますけど、私自身は我が国の国民の安全、安心を守る、そうした使命が内閣総理大臣としてはあると、このように考えています。」と述べているところである。
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尖閣領海侵入の責任者に対する経済制裁に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第一九五号 尖閣領海侵入の責任者に対する経済制裁に関する質問主意書  我が国固有の領土であることが歴史的にも国際法上も明らかな尖閣諸島の周辺の領海に、中華人民共和国(中国)の公船が我が国の主権を侵害する明確な意図をもって侵入し、実力によって現状変更を試みる事案が頻発している。中国は本年二月一日、国際法に反して海警局に武器使用の権限を付与する海警法を施行させたこともあり、日本国民の憤りは頂点に達しようとしている。  そこで以下お尋ねする。 一 外国為替及び外国貿易法(外為法)は、我が国の平和及び安全の維持のため特に必要があるときは、閣議において、対応措置を講ずべきことを決定し、主務大臣は、所定の経済制裁措置を発動することができると定めている。  しからば、領海侵入に責任を負う中国政府の高官に対して、ただちに資産凍結等の経済制裁措置を発動すべきと考えるが、政府の見解如何。 二 外為法による資産凍結等の制裁措置は、海外の金融機関が我が国に設置した支店や出張所等の営業所にも適用されるか。政府の見解を問う。 三 外為法による資産凍結等の措置は、対象者が実質的に支配する法人や、実質的に所有する親族名義の資産にも及ぶか。政府の見解如何。 四 金融機関は、法人の顧客についてその実質的支配者は誰か調査し、正確に把握することを求められているか。また、金融機関は、個人の顧客についてどのような人物で、どのような取引目的を有しているか、資金の流れはどうなっているかなどの情報を調査し、把握することを求められているか。政府の認識如何。  右質問する。
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衆議院議員松原仁君提出尖閣領海侵入の責任者に対する経済制裁に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第一九五号   内閣衆質二〇四第一九五号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員松原仁君提出尖閣領海侵入の責任者に対する経済制裁に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねについては、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。 二について  お尋ねの「海外の金融機関が我が国に設置した支店や出張所等の営業所」は、本邦内に主たる事務所を有する金融機関と同様に、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号。以下「外為法」という。)による資産凍結等の措置に係る義務を履行する必要がある。 三について  お尋ねの「対象者が実質的に支配する法人」については、外為法による資産凍結等の措置の対象者として指定することにより当該措置が適用される。また、お尋ねの「実質的に所有する親族名義の資産」についても、外為法による資産凍結等の措置の対象者が当該資産を実質的に所有する場合には、当該措置が適用される。 四について  「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(平成三十年二月六日金融庁公表)においては、金融機関等が顧客と取引を行うに当たっては、当該顧客がどのような人物・団体で、団体の実質的支配者は誰か、どのような取引目的を有しているか、資金の流れはどうなっているかなど、顧客に係る基本的な情報を適切に調査し、講ずべきリスク低減措置を判断・実施することが必要不可欠であるとしている。具体的には、金融機関等においては、自らが行ったリスクの特定・評価に基づいて顧客の受入れに関する方針を定めること、当該方針の策定に当たっては、顧客及びその実質的支配者の職業・事業内容のほか、経歴、資産・収入の状況、資金源、居住国等、利用する商品・サービス、取引形態等の顧客に関する様々な情報を勘案すること、顧客及びその実質的支配者に係る本人特定事項を含む本人確認事項、取引目的等の調査に当たっては、信頼に足る証跡を求めてこれを行うことなどが求められているところである。
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新型コロナウイルス感染症における地域連携の見直しに関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第一九六号 新型コロナウイルス感染症における地域連携の見直しに関する質問主意書  令和二年四月七日の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に係る緊急事態宣言から、一年以上が経過しようとしているが、その収束は未だ見通せていない。同感染症ワクチンの接種が進んではいるが、人口比で十パーセント程度の接種率では、ワクチン接種により、多くの人が免疫を持つことで感染が広がりにくくなる状態を生じさせる、いわゆる「集団免疫」を獲得するに至っていないことは明らかである。  このような状況の中、令和三年六月六日の日本経済新聞朝刊に、同感染症第四波の最中、大阪府で人工呼吸器を使えない患者が相次いだ一方、他方でピーク時に全国では受け入れ可能だった人工呼吸器の六割、約千二百台が活用されていなかった旨の記事が出た。同感染症パンデミックが一年以上も継続しているのに、同感染症治療で多く使用されている医療機器の地域連携が未だなされていないことに、本職は疑問を禁じ得ない。  そこで、次のとおり質問する。 一 政府として、人工呼吸器、体外式膜型人工肺(ECMO)の都道府県別使用状況を随時把握しているか明らかにされたい。また、把握している場合、どの程度の頻度で把握しているか明らかにされたい。 二 前項に関連し、同感染症感染者数が日々増加し続ける状況を第何波と呼称するかは別として、大阪府で連日千人前後の同感染者が発生し、第三回目の緊急事態宣言が発せられた令和三年四月二十五日前後一週間の期間の人工呼吸器、体外式膜型人工肺(ECMO)の都道府県別使用状況を、政府として調査及び把握しているか明らかにされたい。また、調査及び把握している場合は、その時期はいつか明らかにされたい。 三 前二項に関連し、本職は、人工呼吸器、体外式膜型人工肺(ECMO)の都道府県別使用状況に偏りがある場合に、政府が同医療機器若しくは同医療機器を必要とする患者の移動を調整すべきと考えるが、政府として如何。また、前項の期間、政府がそのような調整を行わなかったとしたならば、それがいかなる理由からか明らかにされたい。  右質問する。
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衆議院議員松原仁君提出新型コロナウイルス感染症における地域連携の見直しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第一九六号   内閣衆質二〇四第一九六号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員松原仁君提出新型コロナウイルス感染症における地域連携の見直しに関する質問に対する答弁書 一及び二について  政府としては、医療機関等情報支援システムを通じて、お尋ねの「人工呼吸器、体外式膜型人工肺(ECMO)の都道府県別使用状況」を含む全国の医療機関の医療提供体制の状況について、御指摘の「令和三年四月二十五日前後一週間の期間」を含め、一日単位で把握している。 三について  新型コロナウイルス感染症の患者への対応については、患者等の身体的負担等に鑑みて、当該患者が居住する都道府県内での医療提供を原則としているが、人工呼吸器や体外式膜型人工肺(ECMO)を必要とする患者について、搬送(当該都道府県外への搬送を含む。)が必要となった場合には、二において御指摘の「令和三年四月二十五日前後一週間の期間」を含め、厚生労働省において実施している「重症者治療搬送調整等支援事業」により、都道府県からの求めに応じて、搬送の調整に係る支援を実施しているところである。
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アフターコロナの新時代を見据えた最低賃金の見直しに関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第一九七号 アフターコロナの新時代を見据えた最低賃金の見直しに関する質問主意書  新型コロナウイルス感染症パンデミックが継続し、国民の生活は困窮の度を深めていくばかりである。同感染症ワクチンの接種が進んでいるが、同ワクチンにより、多くの人が免疫を持つことで感染が広がりにくくなる状態を生じさせる、いわゆる「集団免疫」を獲得するまでには至っていない。  同感染症パンデミックが社会全体に与えた影響は大きく、消費の落ち込みも大きい。令和二年には労働者に占める割合が三十七・一パーセントに達している非正規雇用労働者は、特に実質的に雇用の調整弁となっていることから、景気落ち込みの影響を大きく受けてしまう。  我が国の国内総生産に占める家計消費の割合は五十%を超えるが、同感染症パンデミック発生前においても、消費支出の伸びは低迷している。同感染症パンデミックにより疲弊した日本経済を加速度的に回復させるためには、消費の下支えを担う労働者の収入を安定させる必要がある。  そこで、次のとおり質問する。 一 令和二年における労働者に占める非正規雇用の割合は三十七・一パーセントに達している。また、同年の非正規雇用労働者に占める女性の割合は、六十八・二パーセントとなっている(正規雇用労働者に占める女性の割合は、三十三・七パーセントである)。同年は女性の自殺者が二年ぶりの増加となって七千二十六人となった。政府も、令和三年六月八日の新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対策関係閣僚会議において、「最低賃金を引き上げやすい環境整備に取り組む」ことを表明している。  最低賃金の低さは雇用の調達において、労働者派遣のサービスを利用しやすくしているとも言える。最低賃金が高ければ派遣サービスのマージンが上昇し、企業が派遣サービスを長期に亘って利用することのメリットが減り、派遣から、より安定した正規雇用への切り替えのインセンティブも増すと考えられる。  本職も、女性非正規雇用労働者の生活と精神を安定させるためには、収入を安定化させることが最優先に検討されるべきと考えるが、そのために最低賃金の大幅な引き上げが不可欠である。政府の見解如何。 二 前項に関連し、菅義偉首相は全国平均時給千円を目指すことを公表しているが、東京都は平均千十三円となっている。本職は、緊急事態宣言による影響をもっとも受けているのは都内の飲食業界及びその関連の業界と考えている。政府としても、全国平均という視点に加えて、同感染症パンデミックの影響の地域差を加味して、特定地域の最低賃金引き上げという視点も必要と考えるが、政府として如何。また、東京都というような特定の地域について検討を加えることを行わないとするのであれば、何が障害となるか明らかにされたい。 三 我が国の最低賃金水準は国際比較においてどのような水準であると認識しているか。政府の見解を示されたい。また、東京の最低賃金は、他の先進国の同様な経済活動が見られる都市と比べて、どのような水準にあると認識しているか。  右質問する。
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衆議院議員松原仁君提出アフターコロナの新時代を見据えた最低賃金の見直しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第一九七号   内閣衆質二〇四第一九七号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員松原仁君提出アフターコロナの新時代を見据えた最低賃金の見直しに関する質問に対する答弁書 一について  最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)第一条においては、「この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」とされており、政府としては、御指摘の「女性非正規雇用労働者」に限らず、労働者の生活の安定等を図るため、「経済財政運営と改革の基本方針二○二一」(令和三年六月十八日閣議決定)等を踏まえ、最低賃金について、より早期に全国加重平均千円とすることを目指し、本年の引上げに取り組んでまいりたい。 二について  お尋ねの「同感染症パンデミックの影響の地域差を加味して、特定地域の最低賃金引き上げ」の意味するところが明らかではないため、お答えすることが困難であるが、最低賃金については、最低賃金法第九条第二項及び第十条第一項の規定に基づき、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して、一定の地域ごとに決定することとされているところである。 三について  御指摘の「他の先進国の同様な経済活動が見られる都市」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国により最低賃金が適用される労働者の範囲や物価水準等が異なるため、お尋ねの「我が国の最低賃金水準」及び「東京の最低賃金」の水準と諸外国の最低賃金の水準を一概に比較することは困難である。
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アフターコロナ時代の経済再生に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第一九八号 アフターコロナ時代の経済再生に関する質問主意書  菅義偉首相は五月二十八日、新型コロナウイルス感染の感染拡大の影響を受けて困窮する世帯向けに、新たに最大三十万円の支援金を給付することを表明した。  政府が同感染症パンデミックにより極めて困窮した世帯に対してだけでも、三カ月間で最大三十万円を七月以降に給付するとしたことは評価できる。もっとも、令和二年三月十六日、世界保健機関(WHO)が同パンデミック宣言を行って以降、未だ収束宣言が見通せない状況にある中、過去に例をみない長期間の同パンデミックは、日本国内のほぼ全ての人に悪影響を与えている。  そこで、次のとおり質問する。 一 政府は、令和三年一月二十九日付「衆議院議員中谷一馬君提出一人につき十万円の特別定額給付金を再給付することに関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二〇四第八号)において、「特別定額給付金を、再度給付することは考えていない」ことを明示している。この考えは、令和三年四月二十五日からの第三回緊急事態宣言入り後も変わらないか。 二 前項に関し、昨年来の同パンデミックにより多くの国民が疲弊し、経済的影響を受けたが、政府がこのような国民の経済的回復に直接効果を有する給付金の支給を行う考えがないのであれば、広く影響を受けた国民の経済的回復を図るために、一体どのような方策を検討しているのか明らかにされたい。 三 現在、食料品などにつき消費税が減額される消費税の軽減税率制度が導入されている。これは、消費税の逆進性を緩和するためとされている。そうであるならば、同感染症パンデミックの長期化により最も影響を受けている経済的弱者に有効な経済的施策は、生活必需品等にかかる消費税率を時限的にゼロにすることである。本職は、早急にこれを実現すべく検討を開始すべきと考えるが、政府として如何。  右質問する。
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衆議院議員松原仁君提出アフターコロナ時代の経済再生に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第一九八号   内閣衆質二〇四第一九八号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員松原仁君提出アフターコロナ時代の経済再生に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の答弁書(令和三年一月二十九日内閣衆質二○四第八号)四についてでお答えした「特別定額給付金を、再度給付することは考えていない。」との考えに変わりはない。 二について  「国民の経済的回復を図るために、一体どのような方策を検討しているのか」とのお尋ねについては、当面は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に全力を尽くすとともに、感染症の厳しい経済的な影響に対し、引き続き、重点的・効果的な支援策を躊躇なく講じ、事業の継続と雇用の確保及び生活の下支えに万全を期すこととしている。今後とも、感染状況や経済的な影響を注視し、状況に応じて、令和三年度一般会計新型コロナウイルス感染症対策予備費の活用により臨機応変に必要な対策を講じていくとともに、我が国経済の自律的な経済成長に向けて、躊躇なく機動的なマクロ経済政策運営を行っていくこととしている。 三について  御指摘の「消費税」については、急速な高齢化を背景に社会保障給付費が大きく増大する中で、国民が広く受益する社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置付けられており、消費税率を引き下げることは考えていない。
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羽田空港新飛行ルートに関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第一九九号 羽田空港新飛行ルートに関する質問主意書  昨年三月二十九日から開始された羽田空港離着陸時の新飛行ルートについては、ルート変更後一年以上が経過しているが、ルート直下の住民などから騒音等への苦情が絶えず、落下物等に対する住民の不安も解消されていない。その後、「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討委員会」が組織されたことなどもあり、現時点で直ちに確認したい問題点につき以下、質問する。 一 航空機の離着陸時に生じる「後方乱気流問題」について国際民間航空機関(ICAO)の動向を受け、我が国でも二〇二〇年三月二十六日から成田国際空港、羽田空港の離着陸機について、「後方乱気流区分の再分類に伴う管制方式問題の試行運用」が行われ、二〇二〇年十一月五日付けで管理方式基準が改正されたと聞く。これらの措置によって到着機間、出発機間の管制間隔が短縮されることになると思うが、この間の試行運用が管制間隔短縮に与えた効果について明らかにされたい。 二 こうした管制間隔短縮に関する問題について、今後、「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討委員会」で、検討するつもりはあるか。 三 羽田空港の新飛行ルートの運航実態について、国土交通省はこれまで「(二〇二〇年)六月中旬から九月にかけて新到着経路を実際に飛行したパイロット(本邦七社)及び航空管制官と意見交換を実施し、安全上問題なく運航できていることを確認した」との見解を飛行ルート直下の自治体の議会などに対して説明してきた。他方、二〇二一年三月三十一日付け、公益財団法人航空輸送技術研究センターが国土交通省航空局安全部安全企画課長宛ての「令和二年度航空安全情報自発報告制度に基づく提言について」の中で、「二〇二〇年三月二十九日から開始された羽田空港の新飛行経路の運用(新運用)に関わり、風の状況によっては、最終進入において操縦の困難度が高かったとの自発報告が多数寄せられている」との記述があるが、こうした現場のパイロットの声を国土交通省はどう認識するか。  右質問する。
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衆議院議員海江田万里君提出羽田空港新飛行ルートに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第一九九号   内閣衆質二〇四第一九九号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員海江田万里君提出羽田空港新飛行ルートに関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「後方乱気流区分の再分類に伴う管制方式問題の試行運用」及び「管制間隔短縮に与えた効果」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国土交通省においては、令和二年三月二十六日から同年十一月四日までの間、東京国際空港(以下「羽田空港」という。)及び成田国際空港において、先行機と後続機の相互間の間隔を短縮した後方乱気流管制方式(以下「新方式」という。)について試行運用を実施し、安全性に問題がないことを確認した上で、同月五日から新方式による運用を開始している。新方式の運用により、先行機と後続機の組合せにより先行機と後続機の相互間の間隔が短縮される場合があることから、より円滑な航空交通が確保され、航空機の飛行時間の短縮に一定の効果があると考えている。 二について  お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会は、最近の航空管制及び航空機の技術革新の進展を踏まえ、羽田空港における新たな飛行経路(以下「新経路」という。)の航空機の騒音による影響の軽減、固定化回避等の観点から、新経路の見直しが可能な方策がないかについて技術的観点から検討を行うものであり、新方式について検討することは考えていない。 三について  新経路の運用に際しては、実際に新経路を飛行した航空会社のパイロットと羽田空港において管制業務に従事している航空管制官との間で意見交換を行っているところであり、御指摘のような「現場のパイロットの声」があることについては承知している。御指摘の「令和二年度航空安全情報自発報告制度に基づく提言について」においては、「天候状況に応じた柔軟な滑走路運用を含めた羽田空港の安全運航に資する共通認識を持つため、当局レギュレーターを含めてパイロットや航空管制官との今後の継続的な意見交換」を実施することが提言されているところであり、今後もパイロットと航空管制官との間で意見交換を継続的に実施することで、安全運航を確保することが重要であると認識している。
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「ワクチン証明書」制度のあり方に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二〇〇号 「ワクチン証明書」制度のあり方に関する質問主意書  今般政府により新型コロナウイルスワクチン接種が進められているが、ワクチン接種完了後にすみやかに経済活動を再開させる上で「ワクチン証明書」の有効性が注目されており、制度の確立が経済界からも求められていると承知している。既に欧州連合(EU)では域内移動の解禁に向けて七月から一部の加盟国で運用を開始すると承知しているが、このような国際的潮流を鑑みれば、企業活動による海外出張者等の移動を支えるうえで「ワクチン証明書」の確立が我が国においても一刻も早く必要とされていると考える。以上の問題意識より、以下質問する。 一 欧州における「ワクチン証明書」制度導入の動きに鑑み、我が国においても「ワクチン証明書」の早期の導入がいち早く、具体に求められているものと承知している。政府は経済界に対してもその導入目処を示す責務があると考えるが、「ワクチン証明書」制度の開始はいつになるのか、お尋ねする。また、紙媒体、あるいはスマートフォン等の電子媒体を想定するのか、お尋ねする。 二 七月末に開催される予定の東京五輪においては、我が国に海外のアスリート及び関係者が多く入国することになると承知している。この際、我が国に入国する海外アスリート等に対してPCR検査の陰性結果証明に加えて「ワクチン証明書」の表示を求め、「ワクチン証明書」の制度導入の契機としてはどうか。またEUで先行する電子媒体を活用する予定はあるか、お尋ねする。 三 「ワクチン証明書」は経済活動を安心して再開するにあたって非常に有効な制度であると承知しているが、その管理方法としてはアプリの導入が利便性の観点から必要と考える。政府は「ワクチン証明書」の管理アプリをサイバーセキュリティ等の観点より国の責任で開発し標準化してはどうか、検討状況をお尋ねする。また「ワクチン証明書」と共に、PCR検査の陰性結果証明も同時に表示可能なシステムとすれば、海外出張者及び帰国者等のグローバルな企業活動を停滞させず、より利便性の高いシステムとなると考えるがどうか、お尋ねする。  右質問する。
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衆議院議員古本伸一郎君提出「ワクチン証明書」制度のあり方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二〇〇号   内閣衆質二〇四第二〇〇号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員古本伸一郎君提出「ワクチン証明書」制度のあり方に関する質問に対する答弁書 一から三までについて  新型コロナウイルス感染症に係る予防接種(以下「予防接種」という。)を受けたことを証明する証明書(以下「接種証明」という。)の導入については、諸外国において様々な議論及び動きがあるものと承知している。接種証明の導入に当たっては、予防接種のワクチンに係る感染予防効果、その効果の持続期間等に関する科学的評価、予防接種を受けていないことを理由として不利益な取扱いが行われないようにすることなど様々な論点があると認識している。このため、加藤内閣官房長官の下で、内閣官房において、接種証明の導入について必要な総合調整を行っているところ、二〇二〇年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会を御指摘の「制度導入の契機」とすることは考えていないが、まずは、令和三年七月中旬又は下旬を目途に、市町村(特別区を含む。)において接種証明を書面により交付することが可能となるよう準備を進めているところである。また、接種証明に係る管理方法等の具体的な内容については、引き続き、諸外国の状況について情報の収集に努めるとともに、国内外の議論の動向を踏まえて検討してまいりたい。
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ワクチン接種実施に係る政府と自治体の連携のあり方に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二〇一号 ワクチン接種実施に係る政府と自治体の連携のあり方に関する質問主意書  現在、政府の主導により進められている新型コロナウイルス感染症のワクチン接種について、高齢者の接種に係る予約券の送付や予約方法のあり方が議論となっている。予防接種法上、ワクチン接種の実施主体は市町村であり、政府は今回のワクチン接種においても予約券の送付や予約方法の判断を市町村に一任したが、予約開始直後に電話やインターネットアクセスが殺到する等、各地で混乱が生じているものと承知している。  こうした混乱を回避する目的で自治体毎に工夫された結果として、自治体間で接種券の送付方法や時期、接種に至るまでのタイミングに大きなばらつきが生じている。国を挙げて行うワクチン接種のあり方としては、ナショナルミニマムとして接種時期のばらつきを一定範囲内に収まっておらず、一元化・効率化が不十分な状況にあると考えられる。自治体間による接種体制の不公平性は、行政と地元医師会の連携の具合により、接種の進み具合が変わってしまう等の問題も明らかになるなかで、河野太郎ワクチン接種推進担当大臣は、国の方針を明示せずにワクチン接種の実務を市町村に一任し、結果混乱を招いている状況を「失敗」と認め陳謝しているものと承知している。以上の問題意識から、高齢者の接種と並行して自治体によっては一般接種が開始される状況であることにも鑑み、自治体間のコロナ関連の行政サービスの格差をこれ以上拡大させないためにも、ワクチン接種における国と自治体との連携のあり方について、以下質問する。 一 今回の新型コロナウイルスに対するワクチン接種は、国が計画し、費用についても全額国費負担であり、実務だけは市町村が行う形で進めていると承知しているが、その根拠法となるのは何法か、お尋ねする。また過去、ワクチン接種に関して法律に基づき接種を実行した際、実務に関しては今回のワクチン接種と同様に自治体一任の対応をとっていたか、お尋ねする。過去も自治体一任であった場合、今回のワクチン接種は対象者が十二歳以上の全国民であり、大規模に実施されているものと承知しているが、政府が行ったワクチン接種として過去にこれほどまで大規模に実施された前例はあるか。ないとしたら、前例踏襲のやり方で接種を実行することは、どのような根拠で判断したか、お尋ねする。 二 政府は高齢者のワクチン接種の実務のあり方は市町村毎の政策判断に委ねたと承知している。しかし接種完了の目標については令和三年七月末までとする等、政府が計画を立て実行する以上、その間の工程管理も含めて、政府は監督責任として接種の進捗を把握し必要な対策を打つ必要があると考える。ワクチン接種の状況について、全市町村ごとの接種券の発送開始日、一回目のワクチン接種が開始された日にち、二回目のワクチン接種が開始された日にち、各々の希望者については接種完了日の目処、それぞれについて政府は一元的に把握しているのか、お尋ねする。 三 例えば愛知県における高齢者へのワクチン接種予約券の送付について、最も早く送付されたのは春日井市の三月二十八日であり、最も遅かったのは豊田市の五月十七日と承知しているが正しいか、お尋ねする。送付にあたっては、七十五歳以上で区切らず最初から六十五歳以上に送付する自治体、或いは高齢者施設の入所者への接種を優先させる自治体等様々であったため、このような差が生じたものと考えられるが、接種券の送付開始日だけでも愛知県に限ってみてもおよそ二か月間もの違いが生じていると理解している。愛知県以外の都道府県において、域内の市町村間で同様のかたちの格差が生じている事例について、政府の承知しているところをお示し願いたい。自治体間で接種の時期に不平等が存在してしまうと、国民感情としては納得しがたいものがあると考えられるが、見解を伺う。このような事態を避けるためにも、接種券の送付~予約~会場設営~接種実施に至る一連の「接種実務」に関して、この間効率的に実施できた自治体(例:八王子市は管内の小中学校の体育館を接種会場として活用した)を参考に政府の責任で統一的な「接種事務」を定めて自治体に徹底するよう改めてはどうか、お尋ねする。 四 「三」の具体例として、高齢者へのワクチン接種の予約方法について、「先着順」の予約方式を採った自治体において、電話やインターネットによる予約が殺到することとなり、システム障害等、受付事務において混乱が生じ、予約者にも不都合をおかけしている状況があるものと承知している。「先着順」の予約方式は、効率性よりも平等性を重視するものであるが、接種希望者が多数存在する現状では、予約殺到により迅速な接種がかえって困難にもなると考えられる。予約方法については、「先着順」以外にも「抽選制」や「完全年齢順」、又は予め接種日と場所が指定される「割当制」の方式が、効率性の観点では優れているとの指摘が有識者からも出ていると承知しているが、政府として現状の「先着順」を改め、その他の方式を採用するつもりはあるか。またより効率的な予約システムを自治体に周知し採用を指示してはどうか、お尋ねする。高齢者のワクチン接種の完了目標である七月末を待たずして、すぐにも一般の方々への接種が順次開始される状況を踏まえ、対象者の規模が高齢者よりはるかに多い一般接種を万全の体制とする趣旨から、政府の方針を尋ねる。 五 一般接種の完了はいつ頃と目標を定め今後取り組むのか、政府の意志をお示し願いたい。  右質問する。
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衆議院議員古本伸一郎君提出ワクチン接種実施に係る政府と自治体の連携のあり方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二〇一号   内閣衆質二〇四第二〇一号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員古本伸一郎君提出ワクチン接種実施に係る政府と自治体の連携のあり方に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「今回の新型コロナウイルスに対するワクチン接種」の「根拠法」については、予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号。以下「法」という。)である。  「過去、・・・実務に関しては今回のワクチン接種と同様に自治体一任の対応をとっていたか」及び「政府が行ったワクチン接種として過去にこれほどまで大規模に実施された前例はあるか」とのお尋ね並びに御指摘の「前例踏襲のやり方」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難であるが、新型コロナウイルス感染症に係る予防接種については、法附則第七条の規定に基づき市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)が行うこととされ、市町村長は、法、予防接種法施行令(昭和二十三年政令第百九十七号)、予防接種法施行規則(昭和二十三年厚生省令第三十六号)、予防接種実施規則(昭和三十三年厚生省令第二十七号)等の関係法令の規定に基づき同感染症に係る予防接種に関する事務を行っているところであり、政府としても、必要な支援を行っているところである。  また、同感染症以外の疾病に係る予防接種についても、法第五条等の規定に基づき市町村長が行ってきたところである。 二について  お尋ねの市町村(特別区を含む。以下同じ。)における新型コロナウイルス感染症に係る予防接種(以下「予防接種」という。)の実施体制の整備に係る取組状況については、厚生労働省において、全ての市町村に対して、令和三年四月七日時点における「高齢者向け接種券の発送開始予定日」、「高齢者接種の一回目の開始予定時期」等について聴取し、その結果を同省のホームページにおいて公表しているところであるが、お尋ねの「全市町村ごとの接種券の発送開始日」、「一回目のワクチン接種が開始された日にち」及び「二回目のワクチン接種が開始された日にち」については把握していない。  また、お尋ねの「各々の希望者については接種完了日の目処」の意味するところが必ずしも明らかではないが、総務省及び厚生労働省において、高齢者に対する予防接種の終了時期の見込みについて各都道府県の状況を取りまとめ、同年五月十二日、同月二十一日、同年六月二日及び同月十七日に総務省及び厚生労働省のホームページにおいて公表しているところである。 三及び四について  「愛知県における高齢者へのワクチン接種予約券の送付について、最も早く送付されたのは春日井市の三月二十八日であり、最も遅かったのは豊田市の五月十七日と承知しているが正しいか」とのお尋ねについては、政府として把握していない。また、お尋ねの「愛知県以外の都道府県において、域内の市町村間で同様のかたちの格差が生じている事例」については、「同様のかたちの格差」の意味するところが明らかではなく、また、御指摘の「接種券の送付開始日」を政府として網羅的に把握しておらず、お答えすることは困難である。  御指摘の「自治体間で接種の時期に不平等が存在」及び「政府として現状の「先着順」を改め、その他の方式を採用」の具体的に意味するところが明らかではないが、「ワクチン接種の予約方法」等の予防接種の実施体制の整備については、国や都道府県の支援の下、予防接種の実施主体である市町村において、地域の医療関係団体等と連携して地域の実情に合わせた対応が進められているものと承知しており、政府としては、引き続き、必要な支援を行ってまいりたい。 五について  政府としては、令和三年十月から十一月にかけて、希望する国民が予防接種を終えることができるよう全力で取り組んでいるところである。
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「二〇五〇年カーボンニュートラル」実現に向けた施策のあり方に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二〇二号 「二〇五〇年カーボンニュートラル」実現に向けた施策のあり方に関する質問主意書  政府は昨年十月「二〇五〇年カーボンニュートラル宣言」を発出し、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを掲げている。また自動車に関しては、二〇三五年までに乗用車新車販売で電動車百%を実現できるよう、包括的な措置を講じるものと承知している。  地球温暖化を阻止するための「脱炭素」の動向は、二〇一五年に採択されたパリ協定に象徴されるように、国際的にも関心を集め続けており、我が国としてもその潮流に適切に対処することが更に産業の国際競争力を高めることに繋がると理解している。一方、「脱炭素」に向けては、広範な業種の民間企業に対して社業の構造転換を国が強いる可能性のある極めて影響の大きなものである。いわゆるグリーン化による経済成長の期待感も喧伝されているが、カーボンニュートラル社会がかえって日本社会・経済を弱くさせては本末転倒である。かかるカーボンニュートラル社会は産業・企業・働く人々が目標に共感できるものでなければ国家として一つになれないと考える。  とりわけ自動車産業は、カーボンニュートラル政策として新車販売における電動化目標が期限つきで政府により明示されている点には十分注意を向ける必要がある。自動車産業の歴史を振り返れば、十九世紀末においてものづくりの先人たちが内燃機関を発明し、二十世紀全般にかけて自動車が大衆化し現在に至るまで、ガソリンエンジンを前提とするパワートレインが主流となり、経済発展と人々の暮らしを豊かにすることに極めて大きく寄与してきた点を忘れてはならない。その歴史と技術的な蓄積に対して政府は民間企業の自由な商品開発・製造の分野に踏み込み、二〇三五年までに大変革を求めている状況に留意しなければ今後の判断を誤りかねない。自動車産業において地球温暖化対策は早くより取り組みがされているが、欧州メーカーがクリーンディーゼルがより温暖化対策に資するとされた二〇〇〇年代にあって、日本ではハイブリッド自動車の開発・販売等、エコカーの生産・販売が民間企業の創意工夫で政府に先んじてなされてきた経緯がある。今回の産業構造の電動化シフトという大変革は、政府が民間の自由な研究開発を電動化領域に集約させるものであり、その実施にあたっては内政では政治による開発と普及のための霞ヶ関の前例踏襲主義(行政が政策判断を行う際にこれまでの慣例に倣うこと)の枠を大きく超える破格の支援が必要である。また外政では、近年急速に進みつつあるカーボンニュートラルの国際的潮流は、デファクトスタンダードづくりにおける我が国の外交敗北に等しい点も深く省みつつ、自国ファーストで攻めてくる欧米諸国に対しては毅然として国境間炭素税等の国際的な枠組み交渉を行い、以って日本のものづくりの国際競争力の維持・強化に尽くさなければならない。以上の問題意識を踏まえ、政府の進める「二〇五〇年カーボンニュートラル」施策のあり方について、あらゆる産業・民生・家庭に関わる課題ではあるが、自動車産業の事例を中心に以下質問する。 一 (カーボンニュートラルを通じた国家の姿)二〇五〇年までのカーボンニュートラルの実現、及び二〇三五年までの乗用車新車販売における電動車百%の実現を、政府が関連産業・ユーザーの理解も不十分なまま、二〇二一年一月の菅首相施政方針演説にて表明された電動車化目標を掲げるに至った理由は何か。単に欧米諸国や中国をはじめとする国際的動向に乗り遅れないよう対処するという表面的な理由ではなく、我が国がカーボンニュートラルを通じていかなる国家の姿を描くのか、目標実現にあたっての本質であると考えるが、政府の見解を問う。 二 (時間軸と達成目標の強制力)地球環境破壊を原因とする気候変動問題が差し迫った課題となっていることを鑑みれば、政府は「一」で指摘した国家の姿としてカーボンニュートラルを実現するための時間軸を、政治の意思として明確にする必要があると考えられる。政府が掲げる二〇三五年までの新車販売における電動車百%は、「目標」と考えているのか、或いは期限以降は民間メーカーが新たなガソリン車を販売できなくなるような「規制」を加えると考えているのか、政府の方針を問う。 三 (全体から見た自動車によるCO2排出量)「二」で指摘したとおり、カーボンニュートラルの達成は自動車部門の努力だけで実現可能となるものではない。そこで実態として自動車によるCO2排出量は、我が国のCO2排出量全体のうち何割に相当するのか、製造段階及び走行段階、さらには廃棄・リサイクル段階について、お尋ねする。また自動車部門を上回る排出量の部門があるとすれば、お示し願いたい。 四 (LCAで考える必要性)「三」で指摘したとおりカーボンニュートラルに伴うCO2排出量の削減は自動車産業だけでなく日本全体で取り組まなければ効果が上がらない。その観点から言えば、二〇三五年までの新車販売における電動車百%実現にあたっては、自動車の「使用段階」だけではなく、原料調達から生産・流通、さらには廃棄・リサイクルに至るまでの一連の「ライフサイクル」という、より大きな観点でCO2排出抑制のあり方について検討する必要がある。こうした「ライフサイクルアセスメント(以下LCA)」と呼ばれる考え方は、国際的には一九九〇年代に国際標準化機構(ISO)による基準化が進められたのを背景に、日本においても経済産業省主導による国家プロジェクトが推進され、二〇〇四年にはLCAデータベースの整備が行われる等、取り組みが広がってきたと承知している。このような歴史的経緯の中、欧州連合(EU)はLCAの観点に基づく排出量規制を検討し始めるなど、より進んだ議論がなされている現状にあるが、日本はこの間、CO2排出量を考える上で大変重要なLCA制度の標準化を、外交、通商交渉において対外的にどういう方針で働きかけてきたのか、お示し願う。また国内的にも、自動車の新車販売の電動化比率を上げていくだけではなく、日本全体でCO2削減を果たすためには、LCAの観点による素材・部品・製造・物流・整備・廃棄・リサイクルの全体を通じて解決策とする必要がある。政府としてまずはLCAをどう定義し、次にそれをいかにして機能する仕組みとするか、いつ頃に内外に示すのか、お尋ねする。 五 (電源構成を見直す必要性)「四」のLCAの観点からすると、電気自動車、及び燃料電池車等の電動車の普及にあたっては、車両製造や使用段階、加えて車載バッテリー、及び水素燃料の製造時等の消費電力の発電に伴うCO2排出量が多い問題が指摘されている。現状日本の電源構成からみると、七割以上の電力が石油・石炭等の化石燃料由来となっており、仮に電動車の普及によりガソリン消費が減少しCO2排出量が減ったとしても、上記の電源構成を見直さない限り、効果は縮減してしまう恐れがあると考えるが正しいか、お尋ねする。政府はエネルギー基本計画において平成二十八年に示されたエネルギーミックス(そのなかでは二〇三〇年において、化石燃料由来の電力は五十六%、原子力は二十~二十二%、再生エネルギーは二十二~二十四%と目標設定されている)のあり方を、「二〇五〇年カーボンニュートラル宣言」という新たな前提を踏まえ、どのように見直し、いつ頃発送電事業者等に対して示していくつもりなのか、お尋ねする。 六 (電動化の不可避性と限界)「四」「五」から考えると、温暖化を防止し地球環境を守る上で自動車の電動化は避けては通れない潮流であることは理解する。しかし電動車の普及が本当の意味でCO2排出量の少ないクリーンな施策とするためには、電動車の生産過程、走行段階、及び廃棄・リサイクル、その全ての段階で使用する電気がクリーンな形で発電されることが求められる。この点を政府は、二〇三五年までの新車販売における百%電動車目標を掲げるにあたって、電源が再エネ等の脱炭素由来でなければ効果が縮減してしまうと理解しているのか、お尋ねする。右の通り理解しているとすれば、自動車の電動化においてもその点を十分に強調し、LCAを踏まえ電動車のために使用される電気がクリーンエネルギーとなる施策の導入を並行的に行うことが、当然必要と思われるが、どのように導入するのか併せてお示し願う。 七 (普及政策のあり方、ノルウェー王国の事例)「三」「四」で指摘したとおり、本来カーボンニュートラルは産業・民生・家庭の日本全体で取り組むべきものであるにもかかわらず、現状自動車産業が突出して二〇三五年までの新車販売目標を通じて特段の努力が求められているものと承知している。それでもなお政府は電動車の普及を行おうとするのであれば、よほどの政治の覚悟が必要である。電動車の普及促進における霞ヶ関の前例踏襲主義にこだわらない破格の支援を政府の意志として示す必要があると考えられる。支援内容は自動車の製造・販売を担う企業側に対してのみならず、電動車を購入するユーザー側の購買意欲を著しく高めるものでなければならない。例えば電気自動車の新車販売シェアが約七割と普及が進むノルウェー王国においては、電気自動車の高速道路走行料金の減免や、購買時の付加価値税二十五%の免除等の極めて野心的な普及政策を実施していると承知している。現状、日本においても電気自動車及び燃料電池車の購入補助金や、自動車関係諸税の一部減免が認められていると承知しているが、こうした既存の政策に加え、ノルウェー王国の事例等に倣い高速道路走行料金の減免や消費税をはじめ自動車関係諸税の大胆な減免といった普及政策を導入してみてはどうか。政府の検討状況についてお尋ねする。 八 (ノルウェー王国の普及策、人口規模の問題)「七」で例示したノルウェー王国における電気自動車の普及政策を我が国においても検討を行う際には、人口規模の違いによる自動車保有台数の差を考慮する必要がある。ノルウェー王国における乗用車保有台数は約二百六十万台である一方で、日本においては約六千万台と約二十三倍の差がある。このような規模の差を考えると、日本における電動車の普及は、ノルウェー王国の普及政策にも増して手厚い支援が必要と考えるが、政府は今後、既存の支援策以上に電動車普及策の拡充を行うつもりはあるのか、お尋ねする。ある場合、財源規模を明確にしたうえで普及策を具体的にお尋ねする。 九 (ノルウェー王国の普及策、電源構成の問題)ノルウェー王国における電気自動車の普及政策を考える際には、ノルウェー王国の電源構成のあり方にも注目する必要がある。ノルウェー王国は電力の約九割を水力発電により賄っており、クリーンエネルギーを前提に電気自動車の普及がなされている。日本でノルウェー王国と同じような普及策を実施するとしても、「五」で指摘したように我が国の電源構成は化石燃料を由来とする電力が現状約七割を占めており、電気自動車の普及と同時に再生エネルギーを前提とする電源構成に移行する必要があると考えられる。政府は今後電源構成をCO2排出の少ないクリーンエネルギーとして置き換えていくにしても、現状は七割が化石燃料由来の電気であり、自動車産業及びユーザーに対して、それでも電動車が地球温暖化対策上、優れていることについてどう説明するのか、お尋ねする。 十 (燃料供給ステーションの普及)電気自動車及び燃料電池車の購入・利用にとって障壁となるのは、いざ保有し利用するに至った段階で、電気や水素の供給が便利に行えるのかという、インフラ整備に対する懸念も大きな点としてあげることができる。現在、ガソリンの供給所は約三万箇所ある一方で、充電スポットはその約六割の約一万八千箇所、水素ステーションにいたっては全国で約百三十箇所しか存在しないと承知している(一般社団法人次世代自動車振興センター調べ)。そこで、充電スポット及び水素ステーションをガソリン供給所と同規模にまで設置するには、単純計算で総額いくらかかるか、政府の認識についてお尋ねする。また現在ステーション設置にあたっては国の補助があると承知しているが、既存の補助金制度のまま充電スポット及び水素ステーションをガソリン供給所と同規模にまで設置した場合、国費負担の総額はおよそいくら程度になるのか、お尋ねする。またその予定はあるのか、お尋ねする。 十一 (内燃機関の再考①合成燃料)序文で示したとおり、十九世紀末からの内燃機関の技術的な蓄積をカーボンニュートラル政策によりやがて失えば、雇用の喪失を招き、歴史的に培ってきた高度なものづくりの技術を損なうおそれがある。そこで例えば二酸化炭素と水素を合成して製造される合成燃料・再エネ由来の水素を用いたe-fuel等が実用化されれば、内燃機関をクリーンな形で発展的に存続させることが可能である。この度、政府は合成燃料に関して「二〇四〇年までの商用化」目標を掲げたが、民間企業が今後独自に研究開発する際には巨額の資金が必要になると考えられる。政府は民間企業による合成燃料の研究・開発を、補助金及び設備投資への法人税減税や償却資産に係る固定資産税の減税等を通じて後押ししてはどうか、お尋ねする。また、合成燃料等の実用化が果たされ、既存のガソリン車でもカーボンニュートラルが実現できるとなれば、二〇三五年までの新車販売における電動車百%目標の前提が根底から変わると考えられるが、政府は目標見直しを想定しているのか、お尋ねする。想定していないとすれば政府の合成燃料の実用化目標と齟齬をきたすと考えられるが、見解を問う。 十二 (内燃機関の再考②水素エンジン車)内燃機関の仕組みを利用したクリーンな自動車として近年注目されているのが水素エンジン車である。水素エンジンは既存のガソリンエンジンの開発・製造において長年蓄積された技術やノウハウを活かすことができ、環境負荷の少ない水素というクリーンエネルギーが使用されるため、普及により急激な脱炭素化シフトによる産業・雇用への様々な影響を軽減できると考える。水素エンジンはトヨタ自動車をはじめとする民間企業が技術開発に乗り出したと承知しているが、政府は民間主導で開発が行われる水素エンジンの可能性に対して、カーボンニュートラル政策においても重要な施策であると認識しているのか、お尋ねする。またどのような支援策を用意するつもりなのか、お尋ねする。 十三 (ポートフォリオの明確化)電気自動車及び燃料電池車の普及政策を考える際には、新車販売の観点だけに注目して政策を考えるのではなく、保有台数の観点から普及目標を立て、達成の年限を設定し、そのための財源を示し、民間の企業活動、特に雇用に対する一定の配慮を行いつつ政府として目指すパワートレインごとの割合、いわゆるポートフォリオを明確にする必要があると考えられる。そこで重要となるのは既存ガソリン車の電動車への置き換えであるが、我が国の乗用車保有台数である約六千万台が全て電動車に置き換わるのは、自動車の平均保有年数は十三年(自工会調べ)とも言われるなかで、何年かかると政府は想定しているのか、お尋ねする。また保有の観点における電動車への置き換え目標について、政府として電動車のどの車種をどの程度増やすのかといった具体的な数値目標と年限を検討する必要があると考えるが、その検討状況の有無をお尋ねする。 十四 (財源論)カーボンニュートラルは我が国すべての産業・民生・家庭が一丸となり取り組まなければ実現できない。素材部品から始まり、製造過程、出荷、物流、整備、アフターサービス、そして車両の廃棄リサイクルに至る全ての段階でCO2が発生する。産業の構造転換を大きく求め、民生・家庭にも省エネ・グリーン化を様々に求めることになるが、そのためには大きな財政支援が必要となる。かかる費用をどの程度と目論み、またどう財源調達するのか、お尋ねする。この際、「社会保障と税の一体改革」に倣い、カーボンニュートラル社会と税の一体改革を行う必要があると考えるが、どうか。  右質問する。
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衆議院議員古本伸一郎君提出「二〇五〇年カーボンニュートラル」実現に向けた施策のあり方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二〇二号   内閣衆質二〇四第二〇二号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員古本伸一郎君提出「二〇五〇年カーボンニュートラル」実現に向けた施策のあり方に関する質問に対する答弁書 一及び二について  政府としては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、電動車の導入の在り方等について検討したところ、諸外国の動向、日本における電動車の普及状況等を踏まえ、令和十七年までに御指摘の「乗用車新車販売における電動車百%」との目標を掲げるに至ったものである。  現時点では、お尋ねの「規制」を加えることは考えていないが、この目標の達成を通じて、我が国産業の国際競争力の強化を実現することが重要であると考えており、そのために必要となる包括的な措置を講じてまいりたい。 三について  お尋ねの「走行段階」における「自動車によるCO2排出量」は、我が国が本年四月に国連気候変動枠組条約事務局に我が国の令和元年度における二酸化炭素の排出量として報告した値の約十六パーセントに相当する量である。また、御指摘の「製造段階」及び「廃棄・リサイクル段階」の具体的な範囲が必ずしも明らかでないが、自動車が製造、再資源化等される際に排出される二酸化炭素量については、これらの量を算定するための統計が存在しないことから、お尋ねの「製造段階」及び「廃棄・リサイクル段階」における「自動車によるCO2排出量」についてお答えすることは困難である。  お尋ねの「自動車部門を上回る排出量の部門」については、御指摘の「自動車部門」の具体的な範囲が明らかではないため、お答えすることは困難である。 四について  お尋ねの「LCA制度」の意味するところが必ずしも明らかではないが、ライフサイクルアセスメントに関連する政策として、例えば、日本政府としては、平成二十六年から、欧州委員会が欧州連合域内の共通手法として進める、個別製品のライフサイクルアセスメントの考え方に基づく環境負荷の計測手法の標準化に向けたプロジェクトについて、日本企業等の参加を支援してきた。  お尋ねの「LCAをどう定義し、次にそれをいかにして機能する仕組みとするか、いつ頃に内外に示すのか」の想定するところが必ずしも明らかではないが、デジタル技術も活用した、製品等の生産、利用、廃棄等のサプライチェーン全体でのライフサイクルアセスメントに基づく温室効果ガス排出等の環境影響の把握等を進めることとしている。 五及び六について  御指摘のとおり、自動車のライフサイクル全体での温室効果ガス排出削減のためには、電動車の導入とともに、脱炭素化された電力が必要である。二〇五〇年カーボンニュートラルの目標を踏まえた、具体的な電源構成の在り方やその実現に向けたエネルギー政策については、今後、脱炭素化された電力が電動車に使用されることも見据えながら、エネルギー基本計画に向けた議論の中で検討を進めてまいりたい。 七及び八について  政府としては、環境性能に優れた自動車の普及の促進のため、クリーンエネルギー自動車導入促進補助金や、自動車税及び軽自動車税の環境性能割等の税制上の措置といった支援措置を講じている。これらの支援措置及び高速道路料金の減免も含めた電動車の普及に向けた施策の今後の在り方については、御指摘の「ノルウェー王国の事例」を含む諸外国の動向、電動車の普及の状況、財政面での制約等も踏まえつつ、検討してまいりたい。 九について  御指摘のとおり、自動車のライフサイクル全体での温室効果ガス排出削減のためには、電動車の導入とともに、脱炭素化された電力が必要であり、再生可能エネルギーの最大限の導入及び原子力の活用、さらには、水素及びアンモニアの活用、CCUS(二酸化炭素の回収、有効利用及び貯留をいう。)等により脱炭素化を進めていく。自動車のカーボンニュートラル化に向けた施策とエネルギー分野の脱炭素化に向けた取組は車の両輪として、総合的に進めていくこととしており、自動車産業及びユーザーに対してもその旨を説明してまいりたい。 十について  電動車の充電設備と水素ステーションの設置に当たって必要となる費用は、その機能、設置場所等によって変動するため、御指摘の「充電スポット及び水素ステーションをガソリン供給所と同規模にまで設置する」場合に要する費用の総額についてお示しすることは困難である。また、御指摘の「充電スポット及び水素ステーション」の二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた設置の在り方については、電動車の普及状況、技術革新等も踏まえ、今後、検討していくこととなるため、お尋ねの「国費負担の総額」や「その予定」についてお答えすることは困難である。 十一について  御指摘の「合成燃料の研究・開発」については、政府としては、令和二年度から五か年の事業として、「CO2からの液体燃料製造技術の研究開発」を実施しているところであり、引き続き、民間企業に対して、必要な支援を検討してまいりたい。  また、お尋ねの「目標見直し」については、仮定の質問であり、お答えすることは差し控えたい。 十二について  自動車分野における二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けては、御指摘の「水素エンジン」も含めて特定の技術に限定することなく、多様な道筋でその実現を達成していく必要がある。「水素エンジン」に対する具体的な支援策については、今後の電動車の普及状況、技術革新等も踏まえ、その必要性も含めて、検討してまいりたい。 十三について  我が国において保有されている全乗用車が電動車に置き換わるまでの期間については、今後の電動車の普及状況、技術革新等により変動し得ることから、その見通しをお示しすることは困難である。  御指摘の「数値目標と年限」については、今後の電動車の普及状況、技術革新等も踏まえ、その設定の必要性も含めて、検討してまいりたい。 十四について  御指摘の「「社会保障と税の一体改革」に倣い、カーボンニュートラル社会と税の一体改革を行う」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた具体的な方策の在り方について、現在検討中であり、お答えすることは困難である。
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フードデリバリー配達員の労働環境の改善に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二〇三号 フードデリバリー配達員の労働環境の改善に関する質問主意書  長期化するコロナ禍で、地域の暮らしを支えるに必要不可欠なフードデリバリー業が急拡大している。この一年間で、利用者数は三倍増、市場規模は五十パーセント増、加盟店数が七倍増の事業者もあるなどの各種統計が出ており、いずれも業界全体の大幅成長の様子が見てとれる。それに伴い、新たに登録して働く配達員数が急増しており、自転車などで飲食物を運ぶ際の交通ルール違反が、一部で大きな社会問題となっている。  危険走行を厳に取り締まる観点から、東京都などの自治体で配達員の識別番号表示を義務づける方針が検討されているが、そもそも配達員の多くは、いわゆる「ギグワーカー」と呼ばれるフリーランスで働く人たちが多く、法律的には一般に個人事業主として扱われるため、労働者としての保護の外側に置かれてしまい、最低賃金制度や雇用保険、労災保険なども適用されないケースが放置されている。  昨今の世界各国の事例を見れば、最低賃金の保障、残業代の支払い、有給休暇の取得、各種労災保険の適用、企業年金の適用など、フードデリバリー事業者が配達員を直接雇用することを義務づける法整備が進んでおり、重要な社会インフラの一部を担うフードデリバリー配達員の労働条件が大幅に改善されている。  日本においては、保険料を配達員側が自ら負担して労災に入る特別加入制度の適用が検討されているが、抜本的な労働環境を改善するため、個人事業主と取り扱うことに制限をかけ、一方的に不利な労働条件を強いることを法で禁ずるべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。  右質問する。
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衆議院議員手塚仁雄君提出フードデリバリー配達員の労働環境の改善に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二〇三号   内閣衆質二〇四第二〇三号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員手塚仁雄君提出フードデリバリー配達員の労働環境の改善に関する質問に対する答弁書  お尋ねの「個人事業主と取り扱うことに制限をかけ、一方的に不利な労働条件を強いることを法で禁ずる」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、御指摘の「フードデリバリー配達員」(以下「配達員」という。)の働き方は多種多様であると考えられることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、配達員が労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者に該当する場合には、労働条件について、労働関係法令が適用されることとなる。  なお、フリーランスについて、令和三年三月に内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁及び厚生労働省において策定した「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」において、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)、下請代金支払遅延等防止法(昭和三十一年法律第百二十号)及び労働関係法令との適用関係を明確化する中で、「フリーランスとして業務を行っていても、実質的に発注事業者の指揮命令を受けて仕事に従事していると判断される場合など、現行法上「雇用」に該当する場合には、労働関係法令が適用される」こと等を示しているところであり、引き続き、フリーランスとして安心して働ける環境の整備に努めてまいりたい。
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GoTo商店街事業の一時停止措置等に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二〇四号 GoTo商店街事業の一時停止措置等に関する質問主意書  政府は、新型コロナウイルスの感染拡大により打撃を受けている観光や飲食業を支援するため、令和二年度補正予算事業として需要喚起策「GoToキャンペーン」の実施を決めた。そのうちの一つ「GoTo商店街キャンペーン」は、商店街等への誘客や、商店街等での購買に繋がるイベントなどの取組を支援するもので、周辺地域で暮らす人々が、地元や商店街の良さを再認識し、商店街等のにぎわい回復を図ることなどを目的としている。  具体的な事業の内容は、商店街イベント等を実施する商店街に対して、三百万円を上限に支援金を支給し、参画する商店街は支援金をもとに、地域に応じたイベント等の取組を実施するものである。  実施の期間は、先行期間と通常期間を設け、通常期間は令和二年十二月一日から令和三年二月十四日に開始する事業を対象としている。  ところが、令和二年十二月二十八日から令和三年一月十一日までの期間、政府の判断により、外出による感染リスクを最小限にするために集客を伴う商店街イベント等を全国一斉に一時停止して以降、累次に渡り停止措置が延長され、現在も全国で一斉停止の状態が続いている。事業期間自体は令和三年十二月三十一日まで延長されたものの、『今後の事業再開については、感染状況等を踏まえて慎重に判断すること』とされており、再開の目途は立っていない。この停止措置に関して、GoTo商店街事務局ホームページでは、集客を伴う商店街イベント等の停止措置の根拠は『全国一律に新型コロナウイルス感染症の感染対策を強化する必要があります。そのため、外出による感染リスクを最小限にするため』としている。また停止措置があったために事業内容を見直すことにより、事業に要する費用が増加した場合について、『契約条件に則り、契約上限額以上のお支払いはできません。』としている。さらに、審査中のものについても『全国的に新型コロナウイルス感染症の感染対策を強化していく必要があるため、全国一律の対応』として『審査を一時停止し、採否の判断を保留』されている。  これらを踏まえ、以下質問する。 一 GoTo商店街事業の目的は、周辺地域で暮らす人々が地元や商店街の良さを再認識し、商店街等のにぎわい回復を図るということからすれば、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出されていない地域にまで停止措置を講じる必要性はないと考える。比較的感染が少ない地域まで停止措置を行う合理的、科学的な根拠はあるのか、またこのような地域では事業を実施すべきだという考え方に対して政府の見解を求める。 二 通常期間に実施する事業として採択されたものの、度重なる停止措置の延長によって今に至るまで全く開催ができていない事業があると聞くが、そのような事実は承知しているか。また、このような停止措置の影響を受ける事業で、停止措置の延長に伴って発生した追加経費については補償すべきだと考えるが、どのように考えるか。また実際に、補償に向けた検討や予定はあるか、回答を求める。 三 審査保留の状態が半年以上経つ中で、商店街側の不安や負担が大きくなっているものと推察される。このような不安や負担を軽減する、あるいは停止措置解除後に速やかに事業実施を開始できるようにする観点からも、少なくとも審査だけは行うなり、明らかに不採択なものについては結果を通知するなり、何らかの措置を取るべきだと考えるが、政府の見解を求める。  右質問する。
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衆議院議員源馬謙太郎君提出GoTo商店街事業の一時停止措置等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二〇四号   内閣衆質二〇四第二〇四号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員源馬謙太郎君提出GoTo商店街事業の一時停止措置等に関する質問に対する答弁書 一及び三について  令和二年十二月十一日に開催された新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会における配布資料「今後の感染の状況を踏まえた対応についての分科会から政府への提言」等において、年末年始における人の動きや接触機会の更なる低減策を講ずることが必要であると指摘されたことを踏まえ、「GoTo商店街事業」については、同月二十八日から、集客を伴う商店街イベント等について全国一斉に一時停止することとし、現在においても、この措置を継続しているところである。  政府としては、「GoTo商店街事業」の今後の取扱いについては、今後の感染状況等を踏まえ、改めて判断する予定である。 二について  お尋ねの「GoTo商店街事業」で採択された事業者のうち、令和二年十二月二十八日からの全国一斉の一時停止措置により、現時点において、予定していた事業を実施できていない事業者が存在することは承知している。  また、お尋ねの「停止措置の延長に伴って発生した追加経費」の意味するところが必ずしも明らかではないが、当該一時停止措置により、予定していた事業を中止した場合に発生した費用については、GoTo商店街事務局と事業者の契約金額の範囲内において、当該事業者が支払いを受けることが可能である。
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戦没者の慰霊に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二〇五号 戦没者の慰霊に関する質問主意書  我が国では、政府主催による、先の大戦における戦没者三百十万人を追悼するため、天皇皇后両陛下御臨席のもとに毎年八月十五日「全国戦没者追悼式」が日本武道館で挙行されている。  この式典には政府関係者や各界の代表、全国からの遺族代表など約六千人が参列しており、参列遺族の一部には国費による旅費の負担も行われている。  一方で、我が国では、日本国内のみならず、世界各所に日本人戦没者慰霊碑が建立されており、現地で戦没者の追悼を執り行うことも必要であると考える。しかしながら、無人となった離島等においては、慰霊碑や当時居住していた日本人の墓碑が放置されたままになっている状況がある。  そこで、次のとおり質問する。 一 政府として、国内国外に限らず、日本人戦没者慰霊碑が建立されている離島について、調査及び把握をしているか。 二 前項につき調査及び把握がなされている場合、戦没者慰霊碑について、保守管理がなされているかについても調査及び把握しているか。また、保守管理がなされている場合に、保守管理がどのようになされているかについても調査及び把握しているか。 三 第一項につき調査及び把握がなされている場合、日本人戦没者慰霊碑が建立されている離島につき、戦没者を追悼する慰霊祭等が実施されているか、政府として調査及び把握しているか。  右質問する。
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衆議院議員松原仁君提出戦没者の慰霊に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二〇五号   内閣衆質二〇四第二〇五号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員松原仁君提出戦没者の慰霊に関する質問に対する答弁書 一から三までについて  お尋ねの「保守管理」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、離島にあるか否かに関わらず、国内及び国外の戦没者の慰霊碑については、政府が建立したものにあっては、管理状況等を把握しており、厚生労働省が現地の事業者又は現地政府等に委託して定期的な清掃等の維持管理を行っている。また、民間団体等が建立した戦没者の慰霊碑(以下「民間慰霊碑」という。)にあっては、網羅的には把握していないが、建立者等が維持管理を行ってきているものと承知している。ただし、民間慰霊碑のうち、建立者等が不在となること等により維持管理が困難となっているものについては、同省において、移設、埋設等に対して補助等を行う事業を実施しており、当該事業の実施に当たり民間慰霊碑の管理者及び管理状況等に関する調査を行っているところである。  また、お尋ねの「日本人戦没者慰霊碑が建立されている離島につき、戦没者を追悼する慰霊祭等が実施されているか」については、調査していないため、網羅的には把握していない。なお、御指摘のとおり、政府においては、今次の大戦における全戦没者に対し国を挙げて追悼の誠をささげるため、毎年八月十五日に政府主催により全国戦没者追悼式を実施している。
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精神科医による患者に対する不適切行為に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二〇六号 精神科医による患者に対する不適切行為に関する質問主意書  精神科医と患者の間には地位・関係性に圧倒的な力の差があり、主治医の言いなりにならないと治療してもらえない、見捨てられたくないという不安や恐怖の心理が患者側に働く。入院中の患者は、退院の制限、隔離・拘束等の行動制限、強制投薬、懲罰的治療への恐怖から主治医の機嫌を損ねないよう従順にならざるを得ない状況がある。治療の特性上、患者が抑圧してきた秘密や悩みを打ち明けることで、相手に恋愛感情のようなものを抱いてしまう「陽性転移」が患者側に起こりやすい。治療はしばしば密室で行われるため、抵抗し難く、被害の立証も困難である。また、治療に使われる向精神薬を意図的に悪用することで、患者の判断能力を奪ったり、依存させたりすることが可能である。医師側が患者の心理や障害特性に乗じることで、正常な判断ができない相手に形式上の合意をとることは容易である。被害を訴える相手に「精神科患者の妄想」等とレッテルを貼ることで、その証言の信憑性を貶めることが可能である。こうした中で行われる性暴力の特徴は、必ずしも「暴行・脅迫」を伴うわけではないため、現行法では取り締まることが困難である。暴行・脅迫要件が撤廃されたとしても、形式上の同意があるために、不同意が要件である限り取り締まることは難しい。  また、診療中の女性患者にわいせつ行為をし、強制わいせつの罪に問われた精神科医が本年二月に有罪判決を受けた事例や、診察を装って女子中学生の患者にわいせつ行為をし、児童福祉法違反の罪に問われた児童精神科医が昨年十二月に起訴され、現在公判前整理手続中である事例など、刑事裁判に発展するわいせつ事例も目立つようになっている。一方で、そもそも精神的悩みを抱えて治療に訪れた患者にとっては、事件が公となることで病状の悪化が引き起こされる可能性があり、被害届の取り下げや示談に応じるのは自然なことである。そのため、逮捕されて加害の事実を認めていた精神科医が不起訴となった実例もある。このような場合、加害の事実があったとしても、刑事裁判に至らないことから、「罰金以上の刑に処せられた者」を対象とした医師法による行政処分にかからず、医業を問題なく継続できることになり、被害が繰り返されるおそれがある。  医師法第七条においては、「罰金以上の刑に処せられた者」以外にも「医師としての品位を損するような行為のあったとき」も行政処分の対象となることが明示されているが、それを適切に適用することで、患者に危害を与えるわいせつ医師を排除し、患者を守ることが可能ではないかと考えられる。  政府においても、「性犯罪に関する刑事法検討会」を設置して、このような問題に対して、しかるべき対応を行うべく議論を深めていると承知している。  そこで、次のとおり質問する。 一 精神科医が患者に対してわいせつな行為をした場合、同意があっても処罰の対象となり得るような規制を政府主導で進めるべきと考えるが、政府の見解は如何。 二 医師法第七条が示す「医師としての品位を損するような行為」とは具体的に何か。その中に地位・関係性を利用して患者にわいせつ行為を働くことは含まれるのか。政府の見解を問う。 三 児童の虐待を防止するために設けている「児童相談所」のような制度や、性的虐待を受けている患者が「精神科患者」あるいは「障がい者」であることを理由に門前払いされることのない相談支援システムを設けるべきと考えるが、政府として如何。  右質問する。
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衆議院議員松原仁君提出精神科医による患者に対する不適切行為に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二〇六号   内閣衆質二〇四第二〇六号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員松原仁君提出精神科医による患者に対する不適切行為に関する質問に対する答弁書 一について  お尋ねの「同意があっても処罰の対象となり得るような規制」の具体的に意味するところが明らかではないため、見解をお示しすることは困難である。 二について  医師法(昭和二十三年法律第二百一号)第七条の規定に基づく処分は、個別の事案ごとに諸般の事情を総合的に勘案して行っているものであり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。なお、同条第一項に規定する医師としての品位を損するような行為のあったことを理由として同条の規定に基づく処分を行った直近の事例としては、昭和五十七年に、多数の入院患者に対する診療を放棄したことを理由に処分を行ったものがある。 三について  お尋ねについては、「性的虐待を受けている患者が「精神科患者」あるいは「障がい者」」である場合を含め、患者又はその家族からの医療機関における医療に関する苦情に対応し、又は相談に応ずる施設である医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第六条の十三第一項に規定する医療安全支援センターが、令和二年十二月一日時点において、全国で三百九十五箇所に設置されている。
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東京オリンピック・パラリンピック競技大会における首都高速道路料金に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二〇七号 東京オリンピック・パラリンピック競技大会における首都高速道路料金に関する質問主意書  新型コロナウイルス感染症パンデミックにより東京オリンピック・パラリンピック競技大会も規模の縮小を余儀なくされる事態となっている。  同パンデミックを考慮に入れていないと考えられる東京都及び公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会がとりまとめた「東京二○二○大会における首都高速道路の料金施策に関する方針」によると、東京オリンピック・パラリンピック競技大会期間中、夜間(零時~四時)に首都高速道路を利用する交通の料金を五割引し、昼間(六時~二十二時)に首都高速道路の都内区間を利用するマイカー等へ料金が上乗せ(千円)されることとなっている。  もっとも、前記の通り同競技大会が縮小される見込みとなっている状況では、このような首都高の交通量を抑制するための政策は不要と考えられる。  そこで、次のとおり質問する。 一 同競技大会期間中の首都高速道路の料金施策は、道路整備特別措置法第三条に基づいて国土交通大臣の事業許可の下、なされているが、同感染症パンデミックによる同競技大会の規模縮小を見据えて、本職は同事業認可を撤回すべきと考えるが、政府として如何。また、政府として撤回を考えないのであれば、それはどのような理由からか。 二 前項に関連し、首都高の料金に関して、同競技大会期間中の人流増加を想定し、政府として、同期間中の人流抑制策として実施することを決定している前項以外の施策を明らかにされたい。また、前項以外の人流抑制策の実施を決定している場合、政府として、同競技大会の縮小を見据えて、同実施の見直しを検討しているか明らかにされたい。  右質問する。
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衆議院議員松原仁君提出東京オリンピック・パラリンピック競技大会における首都高速道路料金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二〇七号   内閣衆質二〇四第二〇七号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員松原仁君提出東京オリンピック・パラリンピック競技大会における首都高速道路料金に関する質問に対する答弁書 一及び二について  東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会(以下「大会」という。)の開催に当たっての首都高速道路の料金施策は、大会期間中の円滑な大会輸送と経済活動・市民生活の両立を図るため、東京都及び公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下「組織委員会」という。)から首都高速道路株式会社に対する協力依頼を踏まえ、同社が道路整備特別措置法(昭和三十一年法律第七号)第三条第六項の規定に基づき、首都高速道路の料金の額及びその徴収期間の変更について国土交通大臣からの許可を受けて実施するものである。  令和三年五月二十八日に東京都、組織委員会、政府、同社等により開催された「東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会輸送連絡調整会議(第十五回)」で示された資料二「大会輸送の準備状況」において、「新型コロナウイルス感染症が長期化する中、」「道路交通においては、首都高速道路や都内の一般道の平日の交通量が、概ね例年並みの水準まで回復しつつある」とされ、「東京二〇二〇大会の交通マネジメントの実施目標及び実施方針については、今後の需要回復等も見据え、これまでと同様とする」旨が確認されている。  いずれにせよ、大会の「交通マネジメント」の一部である首都高速道路の料金施策の必要性は変わらないと承知しており、御指摘のように許可を撤回することは考えていない。  また、首都高速道路の料金に関して、政府として、大会の「交通マネジメント」として実施することを決定している施策は、以上に述べた施策以外にはない。
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国会議員等に対する金融取引の監視強化に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二〇八号 国会議員等に対する金融取引の監視強化に関する質問主意書  令和三年八月に公表されるのではないかといわれているFATF(Financial Action Task Force on Money Laundering:金融活動作業部会)全体会合による第四次対日相互審査の結果に、国際社会の関心が高まっている。  令和三年六月五日閉幕した日本を含む主要七か国(G7)財務大臣・中央銀行総裁会合で採択された声明にも、「全ての国に対し、金融活動作業部会(FATF)基準を完全に実施し、強化することを求める」との一文が含まれている。これまで日本は、平成二十年十月十七日付第三次対日相互審査報告書概要で、全四十九項目(マネー・ロンダリング対策に関する勧告四十項目、テロ資金供与対策に関する特別勧告九項目)の勧告中、十五項目一部履行及び十項目の不履行の合計二十五項目の不備を指摘された。この結果は、相互審査対象国二十七カ国中十八位という非常に低いものであった。  同第四次対日相互審査においても、もし第三次同様に非常に低い評価結果が出されて、FATFからハイリスク・非協力国として国名公表されるようなことがあると、我が国金融機関が他国金融機関と行う取引に遅延が生じるなど、取引そのものが回避されてしまうリスクが懸念される。本職は、このリスクは、我が国の経済発展に致命的な大打撃を生じさせ得る程の重大なものと考えている。  そこで、次のとおり質問する。 一 政府は、FATF第三次対日相互審査で四段階ある評価のうち最低の不履行との評価を受けた顧客管理の項目について最優先で対応を図る姿勢を示していたが、同第四次対日相互審査までにどのような対応を行ったか明らかにされたい。 二 前項に関連し、重要な公的地位にある者(PEPs)に関し、外国のPEPsについては対応がなされたとされているが、政府として、国内のPEPsに対して、同第四次対日相互審査までにどのような対応を行ったか明らかにされたい。 三 前項に関連し、国内PEPsに該当する本職の立場から、同第四次対日相互審査の結果が明らかになる前に、政府が率先して金融機関に対して、国内PEPsの金融取引を厳しく監視できる体制を構築すべく指導すべきと考えるが、政府として如何。  右質問する。
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衆議院議員松原仁君提出国会議員等に対する金融取引の監視強化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二〇八号   内閣衆質二〇四第二〇八号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員松原仁君提出国会議員等に対する金融取引の監視強化に関する質問に対する答弁書 一から三までについて  政府としては、御指摘の「FATF第三次対日相互審査」の評価等を踏まえ、平成二十三年四月一日には、取引時の確認事項の追加等を内容とした犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案を第百七十七回国会に提出した。同法律案は同月二十七日に成立し、平成二十五年四月一日に全面施行された。  また、平成二十六年十月十日には、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号。以下「犯罪収益移転防止法」という。)第四条第六項に規定する取引時確認等を的確に行うための措置に係る努力義務の拡充等を内容とした犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案を第百八十七回国会に提出した。同法律案は同年十一月十九日に成立し、平成二十八年十月一日に全面施行された。  さらに、平成二十七年九月十五日には、犯罪収益移転防止法第四条第二項第三号に規定する「犯罪による収益の移転防止のために厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引として政令で定めるもの」として、「外国の元首及び外国の政府、中央銀行その他これらに類する機関において重要な地位を占める者として主務省令で定める者並びにこれらの者であった者」等との間で行う同条第一項に規定する特定取引を追加すること等を内容とした犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成二十七年政令第三百三十八号)を制定した。同令は平成二十八年十月一日に施行された。  最後に、御指摘の「国内のPEPs」については、犯罪収益移転防止法や「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(平成三十年二月六日金融庁公表)等において明示的な定めはないところ、同ガイドラインにおいては、各金融機関等に対して、「全ての顧客について顧客リスク評価を行うとともに、講ずべき低減措置を顧客リスク評価に応じて判断すること」を求めているところである。
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温室効果ガス削減目標四十六%の根拠に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二〇九号 温室効果ガス削減目標四十六%の根拠に関する質問主意書  四月二十二日に開催された米国主催気候サミットにおいて、菅総理大臣は二〇五〇年カーボンニュートラルの長期目標と整合的で、野心的な目標として、我が国が、二〇三〇年度において、温室効果ガスの二〇一三年度からの四十六%削減を目指すことを宣言した。  二〇一五年に我が国が提出したNDC(国が決定する貢献)の約束草案においては、二〇三〇年度に温室効果ガス排出量を二〇一三年度比二十六%削減すると記載されているが、この二十六%削減という水準は、現行のエネルギーミックスと整合的に、技術的制約、コスト面の課題等を十分に考慮した裏付けのある数字として示されている。  これまでの委員会質疑に対する答弁では、今回の四十六%という新たな目標について、総合エネルギー調査会、中央環境審議会、産業構造審議会の合同会合等の議論を踏まえ、四月二十二日の地球温暖化対策推進本部にて総理より表明されたとのことであるが、なぜ四十六%になったのか、具体的な積み上げ根拠が示されていない。  産業界では、その実現可能性について懸念や不安、あるいは産業変革への期待が入り交じった感情があるものと理解している。これら産業界の不安を払拭するために、以下質問する。 一 NDCでは、二十六%という温室効果ガス排出量の削減目標について、いずれも二〇一三年度比で、我が国の温室効果ガス排出量の九割を占めるエネルギー起源二酸化炭素を▲二十五%、非エネルギー起源二酸化炭素を▲六・七%、メタンを▲十二・三%、一酸化二窒素を▲六・一%、HFC(ハイドロフルオロカーボン)等4ガスの排出量を▲二十五・一%の水準とすることとし、それぞれの目標の積み上げの基礎となった対策・施策が示されている。  今回、目標が四十六%となったことで、これらの目標数値については見直しされるものと承知しているが、現在までの検討の経過について伺う。 二 NDCの削減目標積み上げに用いられているエネルギーミックスは、二〇三〇年度に再生可能エネルギー二十二から二十四%程度、原子力二十から二十二%程度、石炭二十六%程度、LNG(液化天然ガス)二十七%程度、石油三%程度とされている。  四十六%の目標達成に向けたエネルギーミックスでは、石炭火力発電や原子力発電については増やしていくのか、政府の考えを伺う。  なお、本質問は、JCI(気候変動イニシアティブ)の事務局団体であるWWFジャパンは、政府の四十六%という野心的な目標を評価しているが、その達成に向けては、次の具体策の策定が必要であると提言していることを踏まえたものである。  ・石炭火力を二〇三〇年までに全廃止すること  ・既設ガス火力の稼働率を六十から七十%程度にあげること(ガス火力発電所の新設なし)  ・自然エネルギー(風力・太陽光)の電力比率を約五十%に引き上げること  ・省エネルギーにより最終エネルギー需要を二十一・五%減(二〇一五年比)  ・原発は稼働三十年で廃止、稼働中及び再稼働が見込まれている原発のみ想定し、二〇三〇年には約二%、二〇四〇年までに全廃  WWFジャパンは、このエネルギーミックスの実現で、エネルギー起源二酸化炭素排出量は二〇三〇年に二〇一三年比四十九%の削減が可能としている。 三 四十六%に積み上げの不足分があれば、それは政府の野心的な政策目標と推測するが、不足分は四十六%のうち何%になるのか。また、その値はどのように決まったのか。  右質問する。
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衆議院議員浅野哲君提出温室効果ガス削減目標四十六%の根拠に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二〇九号   内閣衆質二〇四第二〇九号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員浅野哲君提出温室効果ガス削減目標四十六%の根拠に関する質問に対する答弁書 一について  御指摘の「目標数値」の「見直し」については、中央環境審議会地球環境部会中長期の気候変動対策検討小委員会・産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会地球温暖化対策検討ワーキンググループ合同会合及び総合資源エネルギー調査会基本政策分科会において審議中であり、検討を深めているところである。 二について  お尋ねの「四十六%の目標達成に向けたエネルギーミックス」については、「二〇五〇年カーボンニュートラル」や新たな二千三十年度温室効果ガス削減目標を踏まえ、現在、総合資源エネルギー調査会において審議中であり、その結果が出ていないため、現時点でお答えすることは困難である。 三について  御指摘の「四十六%」の内訳については、現在検討中であり、お尋ねについて現時点でお答えすることは困難である。
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オリンピック憲章「オリンピズムの根本原則」に沿った東京オリンピック・パラリンピックの開催に関する質問主意書
令和三年六月十一日提出 質問第二一〇号 オリンピック憲章「オリンピズムの根本原則」に沿った東京オリンピック・パラリンピックの開催に関する質問主意書  近代オリンピックの父と呼ばれるフランスの教育者ピエール・ド・クーベルタン男爵はオリンピズム、オリンピックの精神とは「スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍など様々な差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」と唱え、この理念は今も「オリンピズムの根本原則」に引き継がれている。  この、オリンピック憲章「オリンピズムの根本原則」には「一 オリンピズムは肉体と意志と精神のすべての資質を高め、バランスよく結合させる生き方の哲学である。オリンピズムはスポーツを文化、教育と融合させ、生き方の創造を探求するものである。その生き方は努力する喜び、良い模範であることの教育的価値、社会的な責任、さらに普遍的で根本的な倫理規範の尊重を基盤とする。」「二 オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである。」「四 スポーツをすることは人権の一つである。すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。オリンピック精神においては友情、連帯、フェアプレーの精神とともに相互理解が求められる。」「六 このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。」などが列挙されており、「東京オリンピック・パラリンピック競技大会」(以下「東京大会」という)の開催にあたっては、改めてこの「オリンピズムの根本原則」を想起する必要があると考える。  そこで、以下、質問する。 一 「オリンピズムの根本原則」では、「二 オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである。」とされているが、政府は東京大会が「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指す」ものと認識しているか。 二 「オリンピズムの根本原則」では、「四 スポーツをすることは人権の一つである。すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。オリンピック精神においては友情、連帯、フェアプレーの精神とともに相互理解が求められる。」とされているが、政府は東京大会の開催にあたって、「スポーツをすることは人権の一つである。すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。」との認識を持っているか。 三 「オリンピズムの根本原則」では、「六 このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。」とされているが、政府は東京大会の開催にあたっても「オリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、政治的またはその他の意見、国あるいは社会的な出身、財産、出自やその他の身分などの理由による、いかなる種類の差別も受けることなく、確実に享受されなければならない。」ものであると認識しているか。  右質問する。
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衆議院議員尾辻かな子君提出オリンピック憲章「オリンピズムの根本原則」に沿った東京オリンピック・パラリンピックの開催に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
令和三年六月二十五日受領 答弁第二一〇号   内閣衆質二〇四第二一〇号   令和三年六月二十五日        衆議院議長 大島理森 殿 衆議院議員尾辻かな子君提出オリンピック憲章「オリンピズムの根本原則」に沿った東京オリンピック・パラリンピックの開催に関する質問に対する答弁書 一から三までについて  お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、一般論として、オリンピック競技大会・パラリンピック競技大会は、御指摘の「オリンピズムの根本原則」にのっとって開催されるものと認識している。