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挢語は、「孊問」「䞖界」「博士」などのように、叀く䞭囜から入っおきた語圙が倧郚分を占めるのは無論であるが、日本人が䜜った挢語(和補挢語)も叀来倚い。
珟代語ずしおも、「囜立」「改札」「着垭」「挙匏」「即答」「熱挔」など倚くの和補挢語が甚いられおいる。
挢語は音読みで読たれるこずから、字音語ず呌ばれる堎合もある。
倖来語は、もずの蚀語の意味のたたで甚いられるもの以倖に、日本語に入っおから独自の意味倉化を遂げるものが少なくない。
英語の "claim" は「圓然の暩利ずしお芁求する」の意であるが、日本語の「クレヌム」は「文句」の意である。
英語の "lunch" は昌食の意であるが、日本の食堂で「ランチ」ずいえば料理の皮類を指す。
倖来語を組み合わせお、「アむスキャンデヌ」「サむドミラヌ」「テヌブルスピヌチ」のように日本語独自の語が䜜られるこずがある。
たた、圓該の語圢が倖囜語にない「パネラヌ」(パネリストの意)「プレれンテヌタヌ」(プレれンテヌションをする人。
プレれンタヌ)などの語圢が䜜られるこずもある。
これらを総称しお「和補掋語」、英語系の語を特に「和補英語」ず蚀う。
日本語の語圙は、語構成の面からは単玔語ず耇合語に分けるこずができる。
単玔語は、「あたた」「かお」「うえ」「した」「いぬ」「ねこ」のように、それ以䞊分けられないず意識される語である。
耇合語は、「あたたかず」「かおなじみ」「うわくちびる」「いぬずき」のように、いく぀かの単玔語が合わさっおできおいるず意識される語である。
なお、熟語ず総称される挢語は、本来挢字の字音を耇合させたものであるが、「えんぎ぀(鉛筆)」「せかい(侖界)」など、日本語においお単玔語ず認識される語も倚い。
「語皮」の節で觊れた混皮語、すなわち、「プロ野球」「草野球」「日本シリヌズ」のように耇数の語皮が合わさった語は、語構成の面からはすべお耇合語ずいうこずになる。
日本語では、限りなく長い耇合語を䜜るこずが可胜である。
「平成十六幎新期県䞭越地震非垞灜害察策本郚」「服郚四郎先生定幎退官蚘念論文集線集委員䌚」ずいった類も、ひず぀の長い耇合語である。
囜際協定の関皎及び貿易に関する䞀般協定は、英語では「General Agreement on Tariffs and Trade」(関皎ず貿易に関する䞀般協定)であり、ひず぀の句であるが、日本の新聞では「関皎貿易䞀般協定」ず耇合語で衚珟するこずがある。
これは挢字の結合力によるずころが倧きく、䞭囜語・朝鮮語などでも同様の長い耇合語を䜜る。
なお、ペヌロッパ語を芋るず、ロシア語では「челПвекПМеМавОстМОчествП」(人間嫌い)、ドむツ語では「Naturfarbenphotographie」(倩然色写真)などの長い語の䟋を比范的倚く有し、英語でも「antidisestablishmentarianism」(囜教廃止条䟋反察論。
英銖盞グラッドストンの造語ずいう)などの語䟋がたれにある。
接蟞は、耇合語を䜜るために嚁力を発揮する。
たずえば、「感」は、「音感」「語感」「距離感」「䞍安感」など挢字2字・3字からなる耇合語のみならず、「透け感」「懐かし感」「しゃきっず感」「きちんず感」など動詞・圢容詞・副詞ずの耇合語を䜜り、さらには「『昔の名前で出おいたす』感」(=昔の名前で出おいるずいう感じ)のように文であったものに䞋接しお長い耇合語を䜜るこずもある。
日本語の耇合語は、難しい語でも、衚蚘を芋れば意味が分かる堎合が倚い。
たずえば、英語の「apivorous」 は生物孊者にしか分からないのに察し、日本語の「蜂食性」は「蜂を食べる性質」であるず掚枬できる。
これは衚蚘に挢字を甚いる蚀語の特城である。
珟代の日本語は、平仮名(ひらがな)・片仮名(カタカナ)・挢字を甚いお、珟代仮名遣い・垞甚挢字に基づいお衚蚘されるこずが䞀般的である。
アラビア数字やロヌマ字(ラテン文字)なども必芁に応じお䜵甚される。
正曞法の必芁性を説く䞻匵や、その反論がしばしば亀わされおきた。
平仮名・片仮名は、2017幎9月珟圚では以䞋の46字ず぀が䜿われる。
このうち、「 ゙」(濁音笊)および「 ゚」(半濁音笊)を付けお濁音・半濁音を衚す仮名もある(「音韻」の節参照)。拗音は小曞きの「ゃ」「ゅ」「ょ」を添えお衚し、促音は小曞きの「っ」で衚す。
「぀ぁ」「ファ」のように、小曞きの「ぁ」「ぃ」「ぅ」「ぇ」「ぉ」を添えお衚す音もあり、補助笊号ずしお長音を衚す「ヌ」がある。
歎史的仮名遣いでは䞊蚘のほか、衚音は同じでも衚蚘の違う、平仮名「ゐ」「ゑ」および片仮名「ヰ」「ヱ」の字が存圚し、その他にも倉䜓仮名がある。
挢字は、日垞生掻においお必芁ずされる2136字の垞甚挢字ず、子の名づけに甚いられる861字の人名甚挢字が、法で定められおいる。
実際にはこれら以倖にも䞀般に通甚する挢字の数は倚いずされ、日本産業芏栌(JIS)はJIS X 0208(通称JIS挢字)ずしお玄6300字を電算凊理可胜な挢字ずしお挙げおいる。
なお、挢字の本家である䞭囜においおも同様の基準は存圚し、珟代挢語垞甚字衚により、「垞甚字」ずしお2500字、「次垞甚字」ずしお1000字が定められおいる。
これに加え、珟代挢語通甚字衚ではさらに3500字が远加されおいる。
䞀般的な文章では、䞊蚘の挢字・平仮名・片仮名を亀えお蚘すほか、アラビア数字・ロヌマ字なども必芁に応じお䜵甚する。
基本的には、挢語には挢字を、和語のうち抂念を衚す郚分(名詞や甚蚀語幹など)には挢字を、圢匏的芁玠(助詞・助動詞など)や副詞・接続詞の䞀郚には平仮名を、倖来語(挢語以倖)には片仮名を甚いる堎合が倚い。
公的な文曞では特に衚蚘法を芏定しおいる堎合もあり、民間でもこれに倣うこずがある。
ただし、厳密な正曞法はなく、衚蚘のゆれは広く蚱容されおいる。
文章の皮類や目的によっお、
などの衚蚘がありうる。
倚様な文字䜓系を亀えお蚘す利点ずしお、単語のたずたりが把握しやすく、速読性に優れるなどの点が指摘される。
日本語の単玔な音節構造に由来する同音異矩語が挢字によっお区別され、か぀字数も節玄されるずいう利点もある。
蚈算機科孊者の村島定行は、日本語では、衚意文字ず衚音文字の二重の文章衚珟ができるため、蚘憶したり、想起したりするのに手がかりが倚く、蚀語ずしおの機胜が高いず指摘しおいる。
䞀方で䞭囜文孊者の高島俊男は、挢字の衚意性に過床に䟝存した日本語の文章は、他の自然蚀語に類を芋ないほどの同音異矩語を甚いざるを埗なくなり、しばしば実甚の䞊で支障を来たすこずから、蚀語ずしお「顚倒しおいる」ず評しおいる。
歎史䞊、挢字を廃止しお、仮名たたはロヌマ字を囜字化しようずいう䞻匵もあったが、広く実行されるこずはなかった(「囜語囜字問題」参照)。今日では挢字・平仮名・片仮名の亀ぜ曞きが暙準的衚蚘の地䜍をえおいる。
日本語の衚蚘䜓系は䞭倮語を曞き衚すために発達したものであり、方蚀の音韻を衚蚘するためには必ずしも適しおいない。
たずえば、東北地方では「柿」を [kagÉš]、「鍵」を [kãŋɚ] のように発音するが、この䞡語を通垞の仮名では曞き分けられない(アクセント蟞兞などで甚いる衚蚘によっお近䌌的に蚘せば、「カギ」ず「カンキ゚」のようになる)。もっずも、方蚀は曞き蚀葉ずしお甚いられるこずが少ないため、実際䞊に䞍䟿を来すこずは少ない。
岩手県気仙方蚀(ケセン語)に぀いお、山浊玄嗣により、文法圢匏を螏たえた正曞法が詊みられおいるずいうような䟋もある。
ただし、これは実甚のためのものずいうよりは、孊術的な詊みのひず぀である。
琉球語(「系統」参照)の衚蚘䜓系もそれを準甚しおいる。
たずえば、琉歌「おんさごの花」(おぃんさぐぬ花)は、䌝統的な衚蚘法では次のように蚘す。
この衚蚘法では、たずえば、「ぐ」「ご」がどちらも [gu] ず発音されるように、かな衚蚘ず発音が䞀察䞀で察応しない堎合が倚々ある。
衚音的に蚘せば、[tiɎʃagunu hanaja ÊŠimiÊ£aʧiɲi sumiti, ʔujanu juʃigutuja ʧimuɲi sumiri] のようになるずころである。
挢字衚蚘の面では、地域文字ずいうべきものが各地に存圚する。
たずえば、名叀屋垂の地名「杁䞭(いりなか)」などに䜿われる「杁」は、名叀屋ず関係ある地域の「地域文字」である。
たた、「垰」は「たお」「たわ」などず読たれる囜字で、䞭囜地方ほかで定着しおいるずいう。
文は、目的や堎面などに応じお、さたざたな異なった様匏を採る。
この様匏のこずを、曞き蚀葉(文章)では「文䜓」ず称し、話し蚀葉(談話)では「話䜓」ず称する。
日本語では、ずりわけ文末の助動詞・助詞などに文䜓差が顕著に珟れる。
このこずは、「ですたす䜓」「でございたす䜓」「だ䜓」「である䜓」「ありんす蚀葉」(江戞・新吉原の遊女の蚀葉)「およだわ蚀葉」(明治䞭期から流行した若い女性の蚀葉)などの名称に兞型的に衚れおいる。
それぞれの文䜓・話䜓の差は倧きいが、日本語話者は、耇数の文䜓・話䜓を垞に切り替えながら䜿甚しおいる。
なお、「文䜓」の甚語は、曞かれた文章だけではなく談話に぀いおも適甚されるため、以䞋では「文䜓」に「話䜓」も含めお述べる。
たた、文語文・口語文などに぀いおは「文䜓史」の節に譲る。
日本語の文䜓は、倧きく普通䜓(垞䜓)および䞁寧䜓(敬䜓)の2皮類に分かれる。
日本語話者は日垞生掻で䞡文䜓を適宜䜿い分ける。
日本語孊習者は、初めに䞁寧䜓を、次に普通䜓を順次孊習するこずが䞀般的である。
普通䜓は盞手を意識しないかのような文䜓であるため独語䜓ず称し、䞁寧䜓は盞手を意識する文䜓であるため察話䜓ず称するこずもある。
普通䜓ず䞁寧䜓の違いは次のように珟れる。
普通䜓では、文末に名詞・圢容動詞・副詞などが来る堎合には、「だ」たたは「である」を付けた圢で結ぶ。
前者を特に「だ䜓」、埌者を特に「である䜓」ず呌ぶこずもある。
䞁寧䜓では、文末に名詞・圢容動詞・副詞などが来る堎合には、助動詞「です」を付けた圢で結ぶ。
動詞が来る堎合には「たす」を付けた圢で結ぶ。
ここから、䞁寧䜓を「ですたす䜓」ず呌ぶこずもある。
䞁寧の床合いをより匷め、「です」の代わりに「でございたす」を甚いた文䜓を、特に「でございたす䜓」ず呌ぶこずもある。
䞁寧䜓は、敬語の面からいえば䞁寧語を甚いた文䜓のこずである。
なお、文末に圢容詞が来る堎合にも「です」で結ぶこずはできるが「花が矎しく咲いおいたす」「花が矎しゅうございたす」などず蚀い、「です」を避けるこずがある。
談話の文䜓(話䜓)は、話し手の性別・幎霢・職業・堎面など、䜍盞の違いによっお巊右される郚分が倧きい。
「ごはんを食べおきたした」ずいう䞁寧䜓は、話し手の属性によっお、たずえば、次のような倉容がある。
このように異なる蚀葉遣いのそれぞれを䜍盞語ず蚀い、それぞれの差を䜍盞差ずいう。
物語䜜品やメディアにおいお、䜍盞が極端にステレオタむプ化されお珟実ず乖離したり、あるいは曞き手などが仮想的(バヌチャル)な䜍盞を意図的に䜜り出したりする堎合がある。
このような蚀葉遣いを「圹割語」ず称するこずがある。
䟋えば以䞋の文䜓は、実際の性別・博士・什嬢・地方出身者などの䞀般的な䜍盞を反映したものではないものの、小説・挫画・アニメ・ドラマなどで、仮想的にそれらしい感じを䞎える文䜓ずしお広く芳察される。
これは珟代に始たったものではなく、近䞖や近代の文献にも圹割語の䟋が認められる(仮名垣魯文『西掋道䞭膝栗毛』に珟れる倖囜人らしい蚀葉遣いなど)。
日本語では、埅遇衚珟が文法的・語圙的な䜓系を圢䜜っおいる。
ずりわけ、盞手に敬意を瀺す蚀葉(敬語)においお顕著である。
「敬語は日本にしかない」ず蚀われるこずがあるが、日本ず同様に敬語が文法的・語圙的䜓系を圢䜜っおいる蚀語ずしおは、朝鮮語・ゞャワ語・ベトナム語・チベット語・ベンガル語・タミル語などがあり、尊敬・謙譲・䞁寧の区別もある。
朝鮮語ではたずえば動詞「낎닀(ネダ)」(出す)は、敬語圢「낎시닀(ネシダ)」(出される)・「냅니닀(ネムニダ)」(出したす)の圢を持぀。
敬語䜓系は無くずも、敬意を瀺す衚珟自䜓は、さたざたな蚀語に広く芳察される。
盞手を敬い、物を䞁寧に蚀うこずは、発達した瀟䌚ならばどこでも必芁ずされる。
そうした蚀い方を習埗するこずは、どの蚀語でも容易でない。
金田䞀京助などによれば、珟代日本語の敬語に特城的なのは次の2点である。
朝鮮語など他の蚀語の敬語では、たずえば自分の父芪はいかなる状況でも敬意衚珟の察象であり、他人に圌のこずを話す堎合も「私のお父様は...」ずいう絶察的敬語を甚いるが、日本語では自分の身内に察する敬意を他人に衚珟するこずは憚られ、「私の父は...」のように衚珟しなければならない。
ただし皇宀では絶察敬語が存圚し、皇倪子は自分の父芪のこずを「倩皇陛䞋は...」ず衚珟する。
どんな蚀語も敬意を衚す衚珟を持っおいるが、日本語や朝鮮語などはそれが文法䜓系ずなっおいるため、衚珟・蚀語行動のあらゆる郚分に、高床に組織立った䜓系が出来䞊がっおいる。
そのため、敬意の皮類や床合いに応じた衚珟の遞択肢が予め甚意されおおり、垞にそれらの䞭から適切な衚珟を遞ばなくおはならない。
以䞋、日本語の敬語䜓系および敬意衚珟に぀いお述べる。
日本語の敬語䜓系は、䞀般に、倧きく尊敬語・謙譲語・䞁寧語に分類される。