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この堎合、日本語の文では「銬」に係る連䜓修食語「玍屋のそばを走らされた」が前に来おいるために文構造がわかりやすいが、英語では「The horse」を修食する「raced past the barn」があずに来おいるために、構造が把握しづらくなっおいる。
具䜓的には、この英文の途䞭「The horse raced past the barn」たでしか読んでいない状況では、文の成分ずしおの動詞(䞻語は「The horse」)は「raced」であるように感じられるが、「fell」たで行き着くず、文の成分ずしおの動詞は、文法䞊、これたで唯䞀の候補だった(1)「raced」に加え、(2)「fell」が出おくるこずになり、それぞれの候補ごずに(1)「【(習慣的に、たたは䞀般法則に埓っお)厩れる玍屋】のそばを銬が玠早く走り抜けた」なのか(2)「玍屋のそばを走らされた銬が倒れた」なのかを怜蚎しなければならなくなる。
名詞や動詞、圢容詞ずいった「品詞」の抂念は、䞊述した「文の成分」の抂念ずは分けお考える必芁がある。
名詞「犬」は、文の成分ずしおは䞻語にもなれば修食語にもなり、「犬だ」のように助動詞「だ」を付けお述語にもなる。
動詞・圢容詞・圢容動詞も、修食語にもなれば述語にもなる。
もっずも、副詞は倚く連甚修食語ずしお甚いられ、たた、連䜓詞は連䜓修食語に、接続詞は接続語に、感動詞は独立語にもっぱら甚いられるが、必ずしも、特定の品詞が特定の文の成分に1察1で察応しおいるわけではない。
では、それぞれの品詞の特城を圢䜜るものは䜕かずいうこずが問題になるが、これに぀いおは、さたざたな説明があり、䞀定しない。
俗に、事物を衚す単語が名詞、動きを衚す単語が動詞、様子を衚す単語が圢容詞などずいわれるこずがあるが、䟋倖がいくらでも挙がり、定矩ずしおは成立しない。
橋本進吉は、品詞を分類するにあたり、単語の衚す意味(動きを衚すか様子を衚すかなど)には螏み蟌たず、䞻ずしお圢匏的特城によっお品詞分類を行っおいる。
橋本の考え方は初孊者にも分かりやすいため、孊校文法もその考え方に基づいおいる。
孊校文法では、語のうち、「倪陜」「茝く」「赀い」「ぎらぎら」など、それだけで文節を䜜り埗るものを自立語(詞)ずし、「ようだ」「です」「が」「を」など、単独で文節を䜜り埗ず、自立語に付属しお甚いられるものを付属語(蟞)ずする。
なお、日本語では、自立語の埌に接蟞や付属語を次々に぀け足しお文法的な圹割などを瀺すため、蚀語類型論䞊は膠着語に分類される。
自立語は、掻甚のないものず、掻甚のあるものずに分けられる。
自立語で掻甚のないもののうち、䞻語になるものを名詞ずする。
名詞のうち、代名詞・数詞を独立させる考え方もある。
䞀方、䞻語にならず、単独で連甚修食語になるものを副詞、連䜓修食語になるものを連䜓詞(副䜓詞)、接続語になるものを接続詞、独立語ずしおのみ甚いられるものを感動詞ずする。
副詞・連䜓詞に぀いおは、それぞれ䞀品詞ずすべきかどうかに぀いお議論があり、さらに现分化する考え方や、他の品詞に吞収させる考え方などがある。
自立語で掻甚のあるもののうち、呜什圢のあるものを動詞、呜什圢がなく終止・連䜓圢が「い」で終わるものを圢容詞(日本語教育では「む圢容詞」)、連䜓圢が「な」で終わるものを圢容動詞(日本語教育では「ナ圢容詞」)ずする。
圢容動詞を䞀品詞ずしお認めるこずに぀いおは、時枝誠蚘や鈎朚重幞など、吊定的な芋方をする研究者もいる。
なお、「名詞」および「䜓蚀」ずいう甚語は、しばしば混同される。
叀来、こずばを分類するにあたり、掻甚のない語を「䜓蚀」(䜓)、掻甚のある語を「甚蚀」(甹)、そのほか、助詞・助動詞の類を「おにをは」ず倧ざっぱに称するこずが倚かった。
珟圚の孊校文法では、「甚蚀」は掻甚のある自立語の意味で甚いられ(動詞・圢容詞・圢容動詞を指す)、「䜓蚀」は掻甚のない自立語の䞭でも名詞(および代名詞・数詞)を指すようになった。
぀たり、珟圚では「䜓蚀」ず「名詞」ずは同䞀物ず芋おも差し支えはないが、掻甚しない語ずいう点に着目しおいう堎合は「䜓蚀」、文の成分のうち䞻語になりうるずいう点に着目しおいう堎合は「名詞」ず称する。
付属語も、掻甚のないものず、掻甚のあるものずに分けられる。
付属語で掻甚のないものを助詞ず称する。
「春が来た」「買っおくる」「やるしかない」「分かったか」などの倪字郚分はすべお助詞である。
助詞は、名詞に぀いお述語ずの関係(栌関係)を衚す栌助詞(「名詞の栌」の節参照)、掻甚する語に぀いお埌続郚分ずの接続関係を衚す接続助詞、皮々の語に぀いお、皋床や限定などの意味を添え぀぀埌続の甚蚀などを修食する副助詞、文の終わりに来お疑問や詠嘆・感動・犁止ずいった気分や意図を衚す終助詞に分けられる。
鈎朚重幞・高橋倪郎他・鈎朚康之らは助詞を単語ずは認めず、付属蟞(「くっ぀き」)ずしお、単語の䞀郚ずする。
(栌助詞・䞊立助詞・係助詞・副助詞・終助詞の党郚および接続助詞のうち「し」「が」「けれども」「から」「ので」「のに」に぀いお)たたは語尟(接続助詞のうち「お(で)」、条件の圢の「ば」、䞊べ立おるずきの「たり(だり)」に぀いお)。
付属語で掻甚のあるものを助動詞ず称する。
「気を匕かれる」「私は泣かない」「花が笑った」「さあ、出かけよう」「今日は来ないそうだ」「もうすぐ春です」などの倪字郚分はすべお助動詞である。
助動詞の最も䞻芁な圹割は、動詞(および助動詞)に付属しお以䞋のような情報を加えるこずである。
すなわち、動詞の態(特に受け身・䜿圹・可胜など。
ノォむス)・極性(肯定・吊定の決定。
ポラリティ)・時制(テンス)・盞(アスペクト)・法(掚量・断定・意志など。
ムヌド)などを瀺す圹割を持぀。
山田孝雄は、助動詞を認めず、動詞から分出される語尟(耇語尟)ず芋なしおいる。
たた時枝誠蚘は、「れる(られる)」「せる(させる)」を助動詞ずせず、動詞の接尟語ずしおいる。
鈎朚重幞・鈎朚康之・高橋倪郎らは倧郚分の助動詞を単語ずは認めない。
「た(だ)」「う(よう)は、動詞の語尟であるずし、「ない」「よう」「たす」「れる」「られる」「せる」「させる」「たい」「そうだ」「ようだ」は、接尟蟞であるずしお、単語の䞀郚ずする。
(「ようだ」「らしい」「そうだ」に関しおは、「むすび」たたは「コピュラ」「繋蟞」であるずする。
名詞および動詞・圢容詞・圢容動詞は、それが文䞭でどのような成分を担っおいるかを特別の圢匏によっお衚瀺する。
名詞の堎合、「が」「を」「に」などの栌助詞を埌眮するこずで動詞ずの関係(æ Œ)を瀺す。
語順によっお栌を瀺す蚀語ではないため、日本語は語順が比范的自由である。
などは、匷調される語は異なるが、いずれも同䞀の内容を衚す文で、しかも正しい文である。
䞻な栌助詞ずその兞型的な機胜は次の通りである。
このように、栌助詞は、述語を連甚修食する名詞が述語ずどのような関係にあるかを瀺す(ただし、「の」だけは連䜓修食に䜿われ、名詞同士の関係を瀺す)。なお、䞊蚘はあくたでも兞型的な機胜であり、䞻䜓を衚さない「が」(䟋、「氎が飲みたい」)、察象を衚さない「を」(䟋、「日本を発った」)、到達点を衚さない「に」(䟋、受動動䜜の䞻䜓「先生にほめられた」、地䜍の所圚「今䞊倩皇にあらせられる」)、䞻䜓を衚す「の」(䟋、「私は圌の急いで走っおいるのを芋た」)など、䞊蚘に収たらない機胜を担う堎合も倚い。
栌助詞のうち、「が」「を」「に」は、話し蚀葉においおは脱萜するこずが倚い。
その堎合、文脈の助けがなければ、最初に来る郚分は「が」栌に盞圓するず芋なされる。
「くじらをお父さんが食べおしたった。
」を「くじら、お父さん食べちゃった。
」ず助詞を抜かしお蚀った堎合は、「くじら」が「が」栌盞圓ずずらえられるため、誀解の元になる。
「チョコレヌトを私が食べおしたった。
」を「チョコレヌト、私食べちゃった。
」ず蚀った堎合は、文脈の助けによっお誀解は避けられる。
なお、「ぞ」「ず」「から」「より」「で」などの栌助詞は、話し蚀葉においおも脱萜しない。
題述構造の文(「文の構造」の節参照)では、特定の栌助詞が「は」に眮き換わる。
たずえば、「空が 青い。
」ずいう文は、「空」を題目化するず「空は 青い。
題目化の際の「は」の付き方は、以䞋のようにそれぞれの栌助詞によっお異なる。
栌助詞は、䞋に来る動詞が䜕であるかに応じお、必芁ずされる皮類ず数が倉わっおくる。
たずえば、「走る」ずいう動詞で終わる文に必芁なのは「が」栌であり、「銬が走る。
」ずすれば完党な文になる。
ずころが、「教える」の堎合は、「が」栌を加えお「兄が教えおいたす。
」ずしただけでは䞍完党な文である。
さらに「で」栌を加え、「兄が小孊校で教えおいたす(=教壇に立っおいたす)。」ずすれば完党になる。
぀たり、「教える」は、「が・で」栌が必芁である。
ずころが、「兄が郚屋で教えおいたす。
」ずいう文の堎合、「が・で」栌があるにもかかわらず、なお完党な文ずいう感じがしない。
「兄が郚屋で匟に算数を教えおいたす。
」のように「が・に・を」栌が必芁である。
むしろ、「で」栌はなくずも文は䞍完党な印象はない。
すなわち、同じ「教える」でも、「教壇に立぀」ずいう意味の「教える」は「が・で」栌が必芁であり、「説明しお分かるようにさせる」ずいう意味の「教える」では「が・に・を」栌が必芁である。
このように、それぞれの文を成り立たせるのに必芁な栌を「必須栌」ずいう。
名詞が栌助詞を䌎っおさたざたな栌を瀺すのに察し、甚蚀(動詞・圢容詞・圢容動詞)および助動詞は、語尟を倉化させるこずによっお、文䞭のどの成分を担っおいるかを瀺したり、時制・盞などの情報や文の切れ続きの別などを瀺したりする。
この語尟倉化を「掻甚」ずいい、掻甚する語を総称しお「掻甚語」ずいう。
孊校文法では、口語の掻甚語に぀いお、6぀の掻甚圢を認めおいる。
以䞋、動詞・圢容詞・圢容動詞の掻甚圢を䟋に挙げる(倪字郚分)。
䞀般に、終止圢は述語に甚いられる。
「(遞手が球を)打぀。
」「(この子は)匷い。
」「(消防士は)勇敢だ。
連甚圢は、文字通り連甚修食語にも甚いられる。
)」「勇敢に(突入する。
ただし、「遞手が球を打ちたした。
」の「打ち」は連甚圢であるが、連甚修食語ではなく、この堎合は述語の䞀郚である。
このように、掻甚圢ず文䞭での圹割は、1察1で察応しおいるわけではない。
仮定圢は、文語では已然圢ず称する。
口語の「打おば」は仮定を衚すが、文語の「打おば」は「已(すで)に打ったので」の意味を衚すからである。
たた、圢容詞・圢容動詞は、口語では呜什圢がないが、文語では「皜叀は匷かれ。
」(颚姿花䌝)のごずく呜什圢が存圚する。
動詞の掻甚は皮類が分かれおいる。
口語の堎合は、五段掻甚・䞊䞀段掻甚・䞋䞀段掻甚・カ行倉栌掻甚(カ倉)・サ行倉栌掻甚(サ倉)の5皮類である。
ある蚀語の語圙䜓系を芋枡しお、特定の分野の語圙が豊富であるずか、別の分野の語圙が貧匱であるずかを決め぀けるこずは、䞀抂にはできない。
日本語でも、たずえば「自然を衚す語圙が倚いずいうのが定評」ずいわれるが、これは人々の盎感から来る評刀ずいう意味以䞊のものではない。
実際に、旧版『分類語圙衚』によっお分野ごずの語圙量の倚寡を比べた結果によれば、名詞(䜓の類)のうち「人間掻動―粟神および行為」に属するものが27.0%、「抜象的関係」が18.3%、「自然物および自然珟象」が10.0%などずなっおいお、この限りでは「自然」よりも「粟神」や「行為」などを衚す語圙のほうが倚いこずになる。
ただし、これも、他の蚀語ず比范しお倚いずいうこずではなく、この結果がただちに日本語の語圙の特城を瀺すこずにはならない。
日本語の人称はあたり固定化しおいない。
珟代語・暙準語の範疇ずしおは、䞀人称は「わたくし・わたし・あたし・がく・おれ・うち・自分・我々」など、二人称は「あなた・あんた・おたえ・おめえ・おめえ・きみ」などが甚いられる。
方蚀・近代語・叀語たで含めるずこの限りではなく、文献䞊では他にも「あたくし・あたい・わし・わい・わお・我が茩・おれ様・おいら・われ・わヌ・わん・朕・わっし・こちずら・おたえ・小生・それがし・拙者・おら」などの䞀人称、「おたえさん・おめえ・貎様・おのれ・われ・お宅・なんじ・おぬし・その方・貎君・貎兄・貎䞋・足䞋・貎公・貎女・貎殿・貎方(きほう)」などの二人称が芋぀かる。