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scp-301-jp
評価: +11+–x SCP-301-JP-α敷地内に設置された千本鳥居 アイテム番号: SCP-301-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-301-JP-αを含む丘陵地帯の周囲5mは封鎖され、監視カメラによって常に監視されます。許可を得た職員及びEクラスエージェント以外の立ち入りは許可されません。民間人が何らかの手段で丘陵地帯に侵入し、SCP-301-JP-0となった恐れがある場合、確保してサイト8141に輸送します。民間においてSCP-301-JP-1と疑われる出生が確認された場合、死産を偽って回収しサイト8141に収容。研究を行います。その際多胎児を含む兄弟の存在が確認されれば、同様に確保、収容を行って下さい。 説明: SCP-301-JPは山梨県██市にある██神社(SCP-301-JP-αと呼称)の敷地内で特定の行動を取ったホモ・サピエンスに起こる生殖能力の異常です。SCP-301-JP-αの敷地内にある鳥居の下を通過後、拝殿と呼ばれる礼拝所で一般的な神道の"参拝"儀式を行うと感染が完了します。 SCP-301-JPに感染した個体(SCP-301-JP-0と呼称)が生殖に関与する(つまり精子あるいは卵子の提供者となる)と、発生した嬰児はおよそ45%の確率で発症群(SCP-301-JP-1と呼称)に分類され、出生直後から以下のような症状を呈します。 精神発達遅延 顔面に生じる重度の瘢痕 体毛の著しい減少/増加 色素の欠損/減少/増加 四肢の部分・完全な欠損/増加 視覚・嗅覚・聴覚の消失、または関係する器官の欠損/増加 生殖機能、または関係する器官の欠損/増加 ホモ・サピエンスのものではない器官の発生 観測される症状はこれらを複数組み合わせたケースも見られますが、多くは単独の症状です。これらの症状はいずれもSCP-301-JP-1にとって致命的ではなく、個々の障害による二次的な疾病に見舞われない限り、通常のホモサピエンスと同程度の寿命を持つことがわかっています。またSCP-301-JP-1は多胎児である可能性が有意に高いことが判明しています。しかし、SCP-301-JP-1と共に生まれた胎児が全て発症群に分類されるわけではありません。 SCP-301-JPは1945年に財団が日本の国勢調査データを解析した際、周辺地域の障害児童発生確率の異常な高さから注目され、SCPオブジェクトとして分類されました。██神社は子孫繁栄及び安産を司る白山比咩神(しらやまひめのかみ)を祀る宗教施設として14世紀に建築されたものです。SCP-301-JP-αは1945年当時まで一般的な神道に属する神社として信仰を集めており、近隣には障害児にまつわる民間伝承の類も見られません。この事実はSCP-301-JPの高い発症率に矛盾し、そのためSCP-301-JPは少なくとも20世紀に入ってから発生したものと思われます。20世紀初頭の殆どの期間においてSCP-301-JP-α周辺地域は医療管理体制が未整備であったため、SCP-301-JPの発生時期を特定するための資料は殆ど現存していません。 封じ込めのため、SCP-301-JP-αで神職を務める███氏の一族がEクラスエージェントとして雇用されることになっています。彼らの任務はSCP-301-JP-αの管理、及び土砂崩れの危険による周辺地域の封鎖というカバーストーリーの流布です。 メモ:SCP-301-JPの発生以降、出生したであろう多数の障害嬰児の行方が定かになっていません。政治的事情から資料の多くが失われているか、そもそも記録されていないという状況です。 - アンドリュー博士 補遺301-A: 財団の初期調査では注目されませんでしたが、SCP-301-JP-1の持つ特徴として出生時に毛髪・歯が生えそろっている確率の高さが指摘されています。一般的に奇形とは見なされないこれらの症状ですが、文化によっては差別や迫害の対象になる、または反対に吉兆として扱われるケースが見られます。SCP-301-JP-α周辺の風俗においてこのような嬰児は前者の扱いを受けていたことがわかっています。 補遺301-B: 補遺301-Aの事実が判明した後、SCP-301-JP-α周辺地域の新生児に関する文化の下、吉兆とされるものと凶兆とされるものについてSCP-301-JP-1の記録を整備。結果として吉兆とされる新生児の特徴は一つとして確認されないことがわかりました。 メモ: SCP-301-JPは文化的背景から選別された症状を引き起こす現象であり、従ってその発生は自然現象ではなく何らかの人為的な目的に基いているものと思われます。どのような個人あるいは団体の意図によるものか、調査を継続して下さい。- 日本支部理事-██ 補遺301-C: SCP-301-JP-α本殿の調査はオブジェクトの宗教的性質から控えられていましたが、200█年█月に資料の不足を補うため実行が決定されました。その結果次の文章が記された書面を発見。文章には第三者の手による改ざんが行われた形跡があり、SCP-301-JPの影響を拡散する可能性が指摘されたため、コピーが作成され元の場所に戻されました。 + 本殿より回収された文書のコピー(文章の特異な性質を表現するため、通常ではない書式が使われています。) - 閉じる 此処は我等が神兵を降ろすための二の門。禊儀の過程をここに記す。 - 191█年█月[データ編集済]大学教授若呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ█われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪われろ呪わ█ろ呪われろ呪わ██呪われろ呪われろ█われろ呪われろ呪█████れ███████われろ█わ███████(以降の文章は判読不能)
scp-302-jp
評価: +46+–x アイテム番号: SCP-302-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-302-JPは、サイト-8181に設けられている1.5×1.5×1.5m、厚さ30cmのコンクリートガラスのコンテナの中に収容されています。また、コンテナ内部の温度・湿度は一定に保たれるようにされています。 SCP-302-JPを保存するコンテナは腐食性の液体による破損を起こすため、定期的に入れ替えてください。また、SCP-302-JPの移し替えは、機械類を利用して行い、必ず人が触れないようにしてください。 説明: SCP-302-JPは80cm×50cmの、田園風景の描かれた油絵です。また、裏側には、『「無題 脂絵」 作:ミスター・おえかき』と書かれています1。19██/██/██、三重県████にて発見されました。現場は当時無人の廃墟でした。 SCP-302-JPは現在1128kg1371kgの質量を持ちます。 SCP-302-JPのキャンバスに物理的に接触した人間は、その瞬間に消滅します(この際、身に着けていたものも同様に扱われます)。このプロセスは今のところどのような撮影機器でも記録することに成功していません。また、この現象が起きると同時に、絵画は一筆ぶん描き足され、消滅した人間の体重と同じ質量が絵画の質量に足されます(この現象は、人間以外の生物や、無生物(人間の死体を含む)によって起こされることはありませんでした)。 分析の結果、絵画に使われている絵の具は人間の脂肪と同じ成分であることがわかりました。顔料の成分は現在分かっていません。 実験記録302-JP-2 - 日付████/██/██ 対象: D-302-1 実施方法: 軍手をした状態の手で額縁→キャンバス面の順に触れる 結果: キャンバス面に触れるのと同時にD-302-1の消滅を確認 分析: 軍手も体の一部と言う扱いなのかな- 針山博士 実験記録302-JP-3 - 日付████/██/██ 対象:D-302-2(彼には右腕のひじから先が無く、義手をしています) 実施方法:義手で額縁→キャンバス面の順に触れる。 結果:キャンバス面に触れるのと同時にD-302-2の消滅を確認。 分析:義手も軍手と同じ扱いらしい。基準はなんだろうか- 針山博士 実験記録302-JP-4 - 日付████/██/██ 対象: D-302-3 実施方法: 靴を履いた足で額縁→キャンバス面の順に触れる。また、D-302-3には通信機器とライト、GPS発信機を持たせる。 結果: キャンバス面に触れるのと同時にD-302-3の消滅を確認。通信機器・発信機は機能せず。 分析: この分だと衣服越しでも駄目だね。通信機は・・・まあ、期待してはなかったよ- 針山博士 実験記録302-JP-5 - 日付████/██/██ 対象: D-302-4 実施方法: 市販の玩具のマジック・ハンドで額縁→キャンバス面の順に触れる。 結果: 何も起こらなかった。 分析: 身に着けるものでなければいいらしい。- 針山博士 実験の結果、SCP-302-JPの特異性は、触覚をきっかけに作用する一種の認識災害であると判断されました。 補遺: 20██/██/██、SCP-302-JPを収容していたコンテナが著しく破損する事案が発生。調査の結果、内部に発生した腐食性の液体が壁面・床面を腐食させたことが原因とみられます。なお、この液体は分析の結果人間の胃液と同じ成分であることが確認されました(しかし、腐食性は人間の胃液よりも非常に高いです)。以降、SCP-302-JPは常時腐食液を発生させています。SCP-302-JPを保管するコンテナは定期的に入れ替えるようにしてください。 Footnotes 1. この名前から、ワンダーテインメント博士、あるいは『博士』との関係性が指摘されています
scp-303-jp
評価: +44+–x 非活性化状態のSCP-303-JP アイテム番号: SCP-303-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-303-JPは2m立方からなる鋼鉄製の金庫に収容されています。金庫は二重扉になっているものが使用され、扉は溶接されています。 SCP-303-JPは50cm立方からなる鋼鉄製の金庫に、2つに分けられ収容されます。SCP-303-JPを収容した金庫は、別々の金庫室に保管し、床にしっかりと固定してください。セキュリティレベルが2以下の職員には、現在SCP-303-JPが収容されている金庫室を二カ所とも把握することは禁じられています。 説明: SCP-303-JPはビスクドール用の義眼1対で、形状は楕円形のペーパーウェイトタイプです。強膜部分は大理石、虹彩部分に瞳孔は無く、最低でも3色が混ざり合ったような色をしていますが、全てガラスでできています。また、虹彩の色合いはSCP-303-JPが活性化する度に変わります。調査の結果、これらを構成する成分に、特別な成分は含まれていないことが判明しました。 SCP-303-JPは、それぞれの間隔が直線距離にして1m以下にある場合においてのみ、活性化します。活性化したSCP-303-JPは瞬時に融解し、白色の粘性の液体に変化します。 この状態となったSCP-303-JPは、密閉された空間からも抜け出すことができる特性を持ちます。オブジェクトの脱走を記録した映像には、液状と化したSCP-303-JPが収容されている金庫から沁みだしていく様子が記録されました。事件後、金庫の点検が行われましたが、穴などの存在は確認されませんでした。 液状化したSCP-303-JPは、最も近い位置にいる人間の体内に侵入し、眼窩内で再びグラスアイの形をとります。(以下、侵入された人間をSCP-303-JP-1と呼称) SCP-303-JPは、SCP-303-JP-1がどのような大きさの眼窩を保有していても、ぴったりと当て嵌まる大きさのものに変化します。グラスアイの状態に戻った際に虹彩の色は変化し、この色はSCP-303-JP-1の瞳の色、髪の色、[データ削除済]の色に相当します。 SCP-303-JPが侵入した眼窩から眼球は消失し、SCP-303-JP-1は失明します。SCP-303-JPが眼球を吸収したという説もありますが、実際に瞼の下で何が起こっているのかを記録するという試みは全て失敗に終わっています。瞼を切除したDクラス職員を被験者とした実験も行われましたが、SCP-303-JPは被験者に反応を示さず、実験室の外で待機していた他のDクラス職員の眼窩に侵入しました。この条件による実験を行う事は、現在は禁止されています。 SCP-303-JPを“装着”した状態のSCP-303-JP-1は、「自分は人形である」と思い込むようになります。自発的な呼吸などは行いますが、両手足を投げ出し、自ら動く事を放棄します。こちらから何かを話しかければ反応は返ってきますが、幼児向けの会話機能を搭載した人形のように、一定の単語を繰り返すことしかできません。 SCP-303-JPは19██年、██県████市にある人形収集家の女性の家にて、女性の母親の眼窩に装着された状態で回収されました。本来の持ち主であった女性は既に死亡しており、眼窩は空洞になっていました。遺体は彼女の部屋のベッドに横になった状態で発見されましたが、枕元に置かれた食料・飲料に手が付けられた痕跡はありませんでした。検死の結果、死因は飢餓死と判断されました。 酷い衰弱状態だった母親は、回収後間もなく息を引き取りました。死亡が確認された直後、SCP-303-JPは液体に変化し、治療にあたっていた█████医師の眼窩に侵入しました。█████博士は、SCP-303-JPを隔離するため█████医師を[データ削除済]その後、貯蔵金庫室██に収容されました。 付録 SCP-303-JP-██: 以下、現在の収容プロトコルが適用される前に起きた事件により、SCP-303-JP-1となったD-████に試みた会話の記録になります。 + 記録を見る - 記録を隠す インタビューログ 303-JP-█████-1 対象: SCP-303-JP-1 インタビュアー: █████博士 付記: SCP-303-JPの侵入を防ぐため、別室にて音声通信を使用。 SCP-303-JP-1は貯蔵金庫室████の床に、仰向けに寝転がっています。 <録音開始, 19██/██/██> █████博士: こんにちは、D-████。 SCP-303-JP-1: こんにちは!わたしと一緒に遊びましょう!あなた、だあれ? █████博士: 私は█████だよ、D-████。今、どんな気分だい? SCP-303-JP-1: ねぇ、お歌を歌ってもいいかしら? █████博士: 構わないよ。 SCP-303-JP-1: 一緒に歌いましょう![きらきら星を歌い始める。一通り歌った後、再び無言状態に] █████博士: D-████? SCP-303-JP-1: こんにちは!わたしと一緒に遊びましょう!あなた、だあれ? █████博士: █████だ、何度も言わせないでくれ。 SCP-303-JP-1: わたし、眠くなっちゃったわ。子守唄を歌ってくれない? █████博士: 子守唄だって? SCP-303-JP-1: [数秒の沈黙]わたし、眠くなっちゃったわ。子守唄を歌ってくれない? █████博士: D-████?私の言葉が理解できているかい、D-████? SCP-303-JP-1: こんにちは!わたしと一緒に遊びましょう! [数秒の沈黙] <録音終了, 19██/██/██>
scp-304-jp
評価: +55+–x アイテム番号: SCP-304-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-304-JPがインストールされている端末を発見した場合は即座に回収し、所有者にはAクラス記憶処置を施してください。回収された端末はバッテリーを外され、識別番号付けがされた後研究施設45の保管ユニット98に保管され解析が行われます。 すべてのオンラインアプリケーションストア及びアプリケーション配布を行うサイト、アップローダーは自動巡回プログラムによって監視し、SCP-304-JPの拡散と再アップロードを防いでください。不審な機器は、エージェントの手で回収されるまでの間、自己アップロード型マルウェアを用いて動作を妨げられることになっています。 説明: SCP-304-JPは一般にスマートフォンと呼ばれる携帯電話端末上で動作する、242MBの容量をもったアプリケーションソフトです。複数種類のオペレーティングシステムと多数の言語に対応しており、それぞれに対応したオンラインアプリケーションストアにて無料で配布されているのが発見されました。ソフトウェアの名称は「アニマルバスターズV」でした。開発者の情報などはすべて虚偽である事が判明しており、なんらかの方法で不正にアップロードされていたと思われます。 SCP-304-JPを対応した機器にインストールすると自動的にソフトが立ち上がります。内容は剣と盾をもつ3Dでデザインされたキャラクターを操作してモンスターと戦うという内容のアクションゲームとなっています。オブジェクトの異常性は周囲50メートル以内に人間以外の生物、虫、動物などが存在している場合に発生します。これは概ね肉眼で確認できる範囲の生物に限られると見られ、細菌類やダニなどの小型生物、菌類や植物などには反応しません。逆に大きなサイズのものには限界が無いと見られ、ゾウやクジラなどの大型生物であっても影響します。 周囲に対象となる生物が存在する場合、その生物をモチーフにしていると思われるモンスターがゲーム上に一体づつ出現します。生物のサイズに合わせてゲームの難易度は変わり、対象となる生物の大きさと種類などに比例、モンスターを倒すことでキャラクターのレベルが上がり強化されていきます。ゲーム上で現れたモンスターを倒すと現実の対象生物も死亡します。対象となった生物には外傷などは見られず、死亡の直接の原因は不明です。複数のSCP-304-JPによって効果範囲が重複した場合、「協力プレイモード」となり、協力してモンスターを攻撃する事が可能になります。 被験者はSCP-304-JPのプレイ中に強い多幸感、高揚、達成感などを示し、多くの場合ゲームに没頭するようになります。周囲に対象生物が居なくなると自ら対象を探すようになり、結果として周辺の昆虫などの生物、ペットして飼われている動物類などの大量死を引き起こします。また、付随的効果として被験者がゲームに没頭した結果として健康状態や社会的地位への悪影響なども発生する可能性があります。これらの効果は記憶処置を行うことで消去する事が可能です。比較的大容量のアプリケーションであるSCP-304-JPの被害は主にインフラの整った都市部で多く発生しており現在までに日本、韓国、中国、アメリカ、欧州などを中心に15ヶ国、4000例が報告、回収されています。現在なおも未収容のオブジェクトがあるものと見て調査と追跡をすすめています。 SCP-304-JPは日本生類創研を名乗る不明の人物が財団エージェントに宛てた電子メールによって発覚しました。メールにはSCP-304-JPがアップロードされているサイトのURLと共に、対象の確保を促す文章が記載されていました。背後関係及びメールの追跡調査は失敗に終わっています。 以下はオンラインアプリケーションストアにて表示されていたSCP-304-JPの紹介文です。 タッチで爽快!進撃の本格アクションRPG!「アニマルバスターズV!」 生き物なんて大嫌い!むかつく虫や動物をやっつけろ! レベル上げてパワーアップ!ゴールドを貯めて強力装備を手に入れろ! 画期的なフィールド対応システムを搭載!君の居る場所によって出てくるモンスターが変わるぞ! 大型モンスターやレアモンスター撃破でボーナスポイント!協力プレイでボスを倒せ! 次回大型アップデートでついにオンラインに対応![削除済]MAPで世界のモンスターをおうちで退治! オンラインランキングでポイントを競おう!人類を救うのは君だ! さらにパワーアップした最新作!「ゾンビーバスターズV」近日公開予定!
scp-305-jp
評価: +79+–x アイテム番号: SCP-305-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-305-JPはB5サイズの本が収容可能な本棚に収納し、倉庫に入れて施錠してください。一日に一度SCP-305-JP全体の冊数を数え、42冊であることを確認してください。不足が確認された場合はサイト管理者に報告し、不足したSCP-305-JPの捜索を開始します。42冊という数字は現在の冊数であり、SCP-305-JPの今後の回収状況により変動します。また、SCP-305-JP内に記載された連絡先への無許可での連絡は禁止します。SCP-305-JPを用いた実験を行う際は、レベル3職員3名以上の許可を得てください。 説明: SCP-305-JPは「特装版1サーチ・アルバイト!」と題された求人情報誌です。表紙には、男性が事務仕事をしている写真が使われています。この男性が誰であるかはまだ特定できていません。また、「1000件を超える不朽の求人!」、「飽きを感じない魅力的なアルバイト!」、「あなたにしか成し遂げられないエンタープライズな仕事!」などのキャッチコピーが書かれています。雑誌コードは付与されていませんが、裏表紙に「発行:"Entertainment & Enterprise"(E&E)社」とあります。これは未確認の企業であり、企業として登録された記録は見当たりません。また、SCP-092-JPやSCP-216-JPなどにもこの企業の名前が記述されており、関連性を含めた調査が継続中です。 Entertainment & Enterprise社が提供する最高の求人情報誌「サーチ・アルバイト!」。この求人誌では労働者に素晴らしく楽しい、やりがいのある仕事を提供いたします!採用面接は簡単、連絡するだけ!即日採用、現金現物報酬!ぜひあなたの労働力をこの社会に!採用者の能力査定、移動、報酬運送は、我が社が代行いたします。 ※SCP-305-JP2ページ目より抜粋。 現在42冊が収容されており、うち東京都にて3冊、大阪府にて2冊、その他各都道府県にて37冊が発見されています。東京都と大阪府以外の都道府県では各都道府県において1冊のみ発見されており、未発見の8つの都道府県それぞれにおいても1冊だけが存在するのではないかと予想されています。もっともE&E社が増刷を行い、流布すればこの限りではありません。 SCP-305-JP内部には、求人情報が1024件掲載されています。求人情報欄は依頼主名、職務内容、採用条件、報酬、連絡先で構成されています。依頼主名はすべて未知の企業、団体、個人名であり、一部の要注意団体の名前も散見されています。求人情報は大半が高給であり、ほとんどが一般的でない職務内容です。 SCP-305-JPに記載された連絡先に連絡を取ると、1時間以内に返信が来て、連絡を取る際に用いた媒体での採用面接が開始されます。履歴書は不要であり、採用条件に合致しているかの自己申告と、労働意志の有無が確認されれば採用されます。ただし虚偽の自己申告をした場合は不採用になります。いかなる方法で虚偽を識別しているかは判明していません。採用が決定すると、面接を受けていた人物は瞬間的に消失し、採用先へと転移される模様です。所持品や装備品は共に転移されますが、採用者以外の人物が採用者と接触していても一緒に転移することはありません。採用者に装備させたGPSは、これまでの実験では地球上のどの位置をも示しませんでした。また、通信機器による情報交換は可能ですが、これまで探知には成功していません。また労働報酬に関してですが、採用者が生存している場合は採用者の元へ、死亡した場合は転移する直前に採用者がいた場所へ報酬が出現します。 以下の実験は全て、被験者にGPS装置、通信機器、通信機器に接続された盗撮用小型カメラ、録音装置及び強制終了電撃首輪を装備させて行いました。 + 実験記録305-JP-1を表示 - 実験記録を閉じる 実験記録305-JP-1 - 日付20██/08/17 求人情報: 依頼主 職務内容 採用条件 報酬 連絡先 日本生類創研 PX-057シリーズの給餌係 健康な20代の男女。静止視力が1.5以上の眼球を有する人 三食就寝室付、医療班完備 日給20000円 [編集済み] 目的: 求人先にDクラス職員D-305-JP-1を送り込み、日本生類創研の調査をする。 実施方法: 上記の装備をさせ、依頼主との電話での採用面接を行った。D-305-JP-1との交信を行い、電波の探知及び記録を続けた。D-305-JP-1は視力が1.6の28歳男性職員である。 結果: D-305-JP-1は採用後、転移した。映像記録は下記の映像記録305-V1を参照。採用後から25時間以降、全ての通信はノイズのみとなった。探知先は████にある廃ビルの三階と突き止められたが、そこには日本生類創研もD-305-JP-1も存在しなかった。D-305-JP-1は現在も行方不明。なお、実験開始から三日目に、面接の際に用いた電話の付近に日本銀行券20000円分が出現した。 分析: 採用方法も探知防止も完璧。秘密組織の求人としては申し分ないかもしれない。 映像記録305-JP-V1 撮影者: D-305-JP-1 <記録開始,20██/08/17 13:12> 付記: 撮影開始の時点で写ったのは、厚いガラス越しに立つ白衣を着た研究員らしき人物たち及び厳重にロックされた3m*3mの金属シャッターでした。 日本生類創研の一員と推測される者: さて、さっそく仕事を始めてもらう。PX-057-Aの給餌係だ。[給餌方法の詳細が説明される]……分かったか? D-305-JP-1: そんなのは嫌だ!ここから出せ!それじゃ給餌係じゃなくてほんとのエサじゃないか! 日本生類創研の一員と推測される者: ロックを解除。シャッターを開ける。 [4本の鋭い口ばしを持つ、鳥類を改造したと思われる正体不明の生物がシャッターから登場。D-305-JP-1の目玉を突き始める。] D-305-JP-1: やめろぉ! [必死で抵抗するD-305-JP-1だが、最終的に右目を████される。生物は満足げにシャッターの奥へ戻り、シャッターが閉まる] 日本生類創研の一員と推測される者: 本日の給餌はこれにて終了。彼に報酬を与えるように。 [治療を受けた後、窓のないベッド付きの部屋にD-305-JP-1が通される。以降は全ての通信がノイズに変わるまで、天井の映像と呻き声だけが記録されていた。] <録音終了> 終了報告書: 短時間ではあるが、要注意団体の内部を記録できた。これは貴重な資料である。 + 実験記録305-JP-2を表示 - 実験記録を閉じる 実験記録305-JP-2 - 日付20██/09/05 求人情報: 依頼主 職務内容 採用条件 報酬 連絡先 芸術家・リチャード・マネ雄 芸術作品のモデル及び素材 美しく健康な若い女性 吾輩の素晴らしい作品を現物支給 [編集済み] 目的: 求人先にDクラス職員D-305-JP-2を送り込み、転移先を調査する。 実施方法: 上記の装備をさせ、依頼主との採用面接を行った。D-305-JP-2との交信を行い、電波の探知及び記録を続けた。D-305-JP-2は平均以上の美貌を有する31歳の女性職員である。 結果: 記録によれば、D-305-JP-2は依頼主に余計な装備を外すよう指示され、首輪以外をはずした。映像記録には、D-305-JP-2が生きたまま████され、人体を利用した芸術作品へと作り上げられる過程が記録されていた。映像記録による場所の特定はできていない。その後、D-305-JP-2であったと推測される加工された死体が、面接の際に用いたパソコンの置いてあるデスクに出現した。 映像に写っていた、顔に大きな痣を持つ50代男性が、依頼主のリチャード・マネ雄だと推測される。彼の所在は突き止められていない。 分析: 現物支給と書いてあったが、D-305-JP-2の死体がそのまま報酬なのであろうか。 + 実験記録305-JP-3を表示 - 実験記録を閉じる 実験記録305-JP - 日付20██/09/28 求人情報: 依頼主 職務内容 採用条件 報酬 連絡先 東弊重工 空間移動装置FKシリーズのテストパイロット 健康な人間であれば年齢を問いません 稼働テスト終了後に希望の物を支給 [編集済み] 目的: 求人先にDクラス職員D-305-JP-3を送り込み、東弊重工を調査する。 実施方法: 上記の装備をさせ、依頼主との採用面接を行った。D-305-JP-3には東弊重工製の工業製品を報酬として要求するように命令した。D-305-JP-3との交信を行い、電波の探知及び記録を続けた。D-305-JP-3は健康な43歳の男性職員である。 結果: 映像記録によれば、D-305-JP-3はモニターや計器類がある、外部の確認できない座席のある閉鎖空間に転移した。映像の中の文字より、そこが「空間移動装置FK-23」のパイロットシートであることが判明した。外部からの「実験開始」の掛け声とともに画面が揺れ始め、閃光と衝撃音の後、通信は途絶えた。 分析: エージェントを送り込んでの精密調査もこれでは困難である。また、通信途絶後、報酬としてか自動車の形状を持つ東弊重工製の工業製品が出現した。人命軽視の割に、報酬支払いは律儀である。報酬の製品に関しては現在特異性を研究中。 追記: 通信途絶から約5時間後、D-305-JP-3の装着していた通信機からの電波を受信した。発信地点は冥王星近辺であると計算された。D-305-JP-3は冥王星へ移動したと思われる。 + 実験記録305-JP-4を表示 - 実験記録を閉じる 実験記録305-JP-4 - 日付20██/10/14 求人情報: 依頼主 職務内容 採用条件 報酬 連絡先 英雄派遣エンターテイメント ヒーローショーでの下級戦闘員役 アクション経験のある健康な20代男性 出演料10000円 [編集済み] 目的: 求人先にエージェント████を送り込み、転移先を調査する。 実施方法: 上記の装備をさせ、依頼主との採用面接を行った。エージェント████との交信を行い、電波の探知及び記録を続けた。エージェント████は身体能力に長けた32歳男性である。今回の実験は彼の志願により行われた。 結果: 映像記録によれば、エージェント████は楽屋らしき部屋に転移し、職務説明を受けて下級戦闘員の衣装への着替えを行った。出番が来たため舞台に登場した。舞台はアリーナ型の屋内劇場であり、エージェント████と同じ衣装を纏った役者が複数と、戦闘員たちに命令する一つ目玉の怪人役、及び派手な色合いのフルフェイスヘルメットを被ったヒーロー役がいた。観客席には顔が10歳未満で、肉体が40代以上と推測される正体不明の男性群が座っていた。「お前たちの好きにはさせない!」とヒーロー役が叫ぶと、下級戦闘員たちを次々と攻撃し、重傷、死亡させた。派手な流血が起きるたびに観客席からは歓声が上がり、エージェント████が攻撃を避け続けているとブーイングが生じた。やがてヒーロー役は銃のようなものを構え、銃口から光が放たれた瞬間、通信は途絶えた。通信途絶後、報酬としてか日本銀行券10000円が出現。 分析: やはりSCP-305-JPの求人情報には異常な労働しか存在しない。掲載情報上では一般的に見えても実態はかけ離れたものである可能性が高い。 Footnotes 1. 通常版が存在するかは不明です。今のところは発見されていません。
scp-306-jp
評価: +118+–x アイテム番号: SCP-306-JP エージェント・P██の撮影したSCP-306-JP。 オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-306-JPの周辺には国道██号が敷かれており、一般人の侵入を防ぐため周囲20kmは鉄製の柵で覆われ封鎖されます。万が一、一般人がSCP-306-JP内に侵入した場合はBクラスの記憶処理を行った後に開放してください。 SCP-306-JPから20mの地点には簡易の管理施設が設けられます。対象は常に3名のセキュリティー担当者によって監視され、SCP-306-JP内の点灯が確認された場合はサイト-81██に報告してください。消灯後のSCP-306-JP内部の調査は機動部隊ぷ-1("家庭訪問")によって行われます。SCP-306-JP内部で発見された物品はサイト-81██のA-3保管室で管理されます。 説明: SCP-306-JPは██県████市の旧█████村近くに位置している廃屋です。SCP-306-JPは19██年まで診療所として利用されており、佐久間 ███氏という医師によって経営されていました。現在、佐久間氏は行方不明となっており、廃業直前に血縁者によって捜索願が提出されています。血縁者や当時勤務していた看護婦などにも調書を取りましたが、依然手がかりとなる情報は得られていません。 SCP-306-JPは通常の家屋同様に損傷を受け、家屋自体の特異性は確認されていません。また、SCP-306-JPを建設したと思われる業者や不動産を調べた結果、SCP-306-JPが建てられた土地の権利書、業務記録などが見つかり、正式に建築された家屋であることが判明しています。 SCP-306-JPは不定期的に未確認の実体によって侵入されます(以下、侵入者をSCP-306-JP-1とする)。現在まで███回の侵入が発生しており、SCP-306-JP-1を捕獲する試みは全て失敗しています。また、その正確な姿も確認されていません。この侵入は外部からSCP-306-JPを監視している場合にも発生し、SCP-306-JP-1が外部からSCP-306-JP内に侵入する様子などは観察されません。なお、抜け穴や地下通路といった、侵入経路となりうるものも発見されていません。しかし、外部からサーモグラフィカメラを用いた調査を行った結果、身長約175cmほどの人間と思われる実体がSCP-306-JP内で行動している様子が確認されており、SCP-306-JP-1の存在は証明されています。現在これらの侵入手段の特定が行われています。 SCP-306-JP内にSCP-306-JP-1が侵入した場合、照明、家電が使用不能であるにもかかわらず部屋内部の電灯が点灯します。なお、財団職員が内部に侵入した場合は点灯せず、何ら異常性は見られません。これらの点灯が行われるのは主にSCP-306-JPの二階部分であり、一階が点灯したケースは報告されていません。これらの現象は1時間から24時間の間隔で続き、その後消灯します。SCP-306-JP内部に監視カメラを設置した結果、部屋内部の点灯が確認されましたが、SCP-306-JP-1を撮影することは出来ませんでした。死角が出ないように監視カメラを設置した場合も同様の結果となりました。また、██回のDクラス職員によるSCP-306-JP内への潜入を試みましたが、外部からは点灯が確認されているにもかかわらず内部は非点灯を維持しているという現象が発生しました。これらの場合もSCP-306-JP-1を発見することは出来ず、なお、調査中にサーモグラフィカメラを使用した場合もSCP-306-JP-1と思われる実体が観測されました。 消灯後、SCP-306-JP内にはSCP-306-JP-1によるものと思われる、家具等を使用した形跡、靴跡、指紋などの痕跡が発見されます。現在、これらの調査を行っていますが、個人の特定には至っていません。また、二階に設置されている事務机の引き出しに収納されている書類の増加、人体の一部、臓器、胎児の遺体などの出現も確認されており、書類や証拠物件等はサイト-81██のA-3保管室にて管理、それ以外は検死担当官に送られています。 SCP-306-JP内部で発見された文章の抜粋 患者番号1085647 氏名:田野 ███ (男性) 症状: 変則的な頭痛。 ・19██年 ██月█日 心拍数の上昇、瞳孔の収縮を確認。 ・19██年 ██月██日 脳組織への観察を開始。神経の一部を摘出。対象の意識は未だ鮮明。治療再開。 ・19██年 █月██日 脳下垂体への干渉。患者の状態を観察するため、治療は麻酔を用いること無く実行した。結果、10秒間に渡る患者の手足の痙攣を確認。左脳████野█番の切除を行った結果、それらの症状は完治した。また、痛覚の除去に成功。治療を続行。 ・199█年 █月█日 前頭葉部分の切除を開始。患者はおよそ17時間の間、嘔吐、脱糞を繰り返し、意識不明となる。回復を促すため、右脳██野第█番への電気ショックを開始。患者の意識が回復した。しかし、脱糞と嘔吐の症状は依然確認され続けたため、特別治療室へと移動。これらの排泄物はサンプルとして保存。成分分析を行ったが異常は見つからなかった。 ・199█年 █月██日 患者の回復が見込めず、脊椎部分の治療を開始。 ・199█年 █月██日 脊椎第███号への術式を試みる。左腕の痙攣を確認。その為、部分的切除を試みた結果、痙攣は停止。治療は完了。その後、脱糞、嘔吐も止まった。しかし、心拍数の低下が発生。体温の低下も確認。それらを補うため、人工心肺への接続を開始。また、体温低下を止めるため、腹部内部に発熱剤を移植した。体温の上昇を確認。 ・2000年 ██月██日 患者の心停止を確認。原因追求のために心臓を摘出。しかし、原因は分からず、心臓を廃棄した。現在も、患者の回復は見込めていない。さらなる治療が必要。 患者番号2416398 氏名:浅川 ██ (女性) 症状: 腹部の肥大化。吐き気。 ・19██年 █月█日 患者の腹部の肥大化を確認。経過を観察する。 ・19██年 ██月██日 さらなる肥大化を確認。早急な治療が必要である。しかし、患者は治療を拒んでいる。更に経過を確認する。 ・19██年 ██月█日 患者の摂食障害が深刻化した。栄養素の偏りが顕著になる。特に酸味のあるものを欲する傾向にあるようだ。早急な治療が必要になる。 ・19██年 ██月██日 患者への説得を試みたが失敗した。最早、考えている時間はない。 ・19██年 █月██日 第一手術を開始。現在、胸部の肥大化が確認されているため、その部分の切除を始めた。初めに右胸部を切除。その際、大量出血が発生したため、血管の縫合を行った。その後も出血が続いたため、新たな形成を行った。チューブを代用することで治療が完了。出血が止まる。残りの増加した脂肪部分を切除し、術式を終える。後日、左胸部の切除を開始する予定。 ・19██年 █月██日 第二手術を開始。腹部のさらなる肥大化は現在確認されていないが、+9.6kgにも達している。早く切除しなければ。左胸部の切除を開始。前回の反省を活かし、出血すること無く術式を終了。後日、腹部の手術を開始する。 ・19██年 █月█日 第三手術を開始。肥大化部分の右側面部分から切開。その際、異臭を放つ体液が漏れだした。原因は不明。吸引器を用いて体液を除去。術式再開。内部に異物が確認された。患者の体内と、管状の組織で繋がれており、この肥大化の原因であると思われる。見た目は人間を縮小したような形状をしている。重量はおよそ1500g。管を切断し、異物を除去。その後、肥大化した皮膚部分を切除し、再形成を行った。大きな出血もなく、治療は完了。異物は廃棄した。 ・19██年 █月█日 患者が舌を噛み切るという現象が発生。以前摘出した異物の後遺症と思われる。治療を行い、現在患者は麻酔で眠らせている。今後は患者の精神治療に重点を置く。 患者番号4444444 氏名:██ ████ (男性) 症状: 妄想癖。 ・2000年 2月1日 患者のおよそ20回にわたる暴走を確認。その為、両手足を切除し、拘束することにした。また、鎮静剤の投与も開始。経過を観察する。 ・2000年 2月9日 患者の証言をまとめる。これらが、さらなる治療への架け橋になるかもしれない。患者は基本、「ここから出せ」といった言動を頻繁にする傾向がある。これは恐らく、患者自身の抑制された精神状態から来るものであると推測される。その為、患者の過去を調べ、こういった精神疾患の原因となった事柄を特定する必要がある。次に「[編集済]」といった言動も見られ、暴力的な行動をする原因も先程の問題に起因していると推測される。 ・2000年 2月14日 [データ削除済] ・2000年 3月██日 治療の最終段階に差し掛かり、今後[データ削除済]。経過を観察する。 ・2000年4月27日 [データ削除済]。医学のさらなる躍進のために。 SCP-306-JPは200█年の█月█日にエージェント・P██によって発見されました。当時、エージェント・P██は個人で定期的に行っているSCPオブジェクトの捜索を行っており、その際にSCP-306-JPを発見。監視を続けた結果、その異常性を確認し財団の監視下に置かれました。 現在もSCP-306-JPへの侵入は発生しています。今後、SCP-306-JPのさらなる調査とSCP-306-JP-1の特定が行われます。 + 事案306-JP-025 - 閉じる 2015年 1月24日、非侵入時のSCP-306-JP内を調査中、天井から男性の遺体が落下してくるという事案が発生しました。なお、遺体の右腕、右足、背骨は酷く破損しており、胃から腸にかけての消化器官が切除されていることが確認されています。死亡した男性は顔面を削ぎ落とされており、個人の特定には至っていません。現在、担当医師による検死解剖が行われています。 また、以前、回収された胎児の遺体の調査結果が提出され、遺体のDNAを調べた結果、行方不明中の佐久間氏のものと完全に一致していることが判明しました。これらの事象に伴い、SCP-306-JP-1による侵入の間隔が短くなっているという報告もされています。この結果に対し、SCP-306-JPへの警戒をさらに強化することが決定しました。
scp-307-jp
評価: +257+–x アイテム番号: SCP-307-JP オブジェクトクラス: Safe(オブジェクトクラスの更新についてO5評議会において検討中) SCP-307-JPの表面 SCP-307-JPの裏面1 特別収容プロトコル: SCP-307-JPは後述する事案-307-JP-01の発生を受け、一時的にサイト-8122のサイト管理官管轄で、最重要物件収容金庫に保管されています。SCP-307-JPを用いた実験は原則として禁止されています。予定されていない人物がSCP-307-JPに接触する可能性が生じた場合には機動部隊と-9("門番")が対象の終了を含めた対応を行います。 説明: SCP-307-JPは異常性のある音楽CD裏表紙の画像です。発行者として記載されている個人名、団体名に該当者は発見されていません。このCDの裏表紙の腕の画像に直接触れた人物はSCP-307-JP-1に指定されます。SCP-307-JP-1の多くは画像に触れた直後に憔悴し鬱傾向を見せ、直前の態度や言動と関連していない行動を取ります。SCP-307-JP-1は現時点で知りえない情報や約4カ月後までの未来についてある程度の確度をもって語ることが出来ます。これまでの実験やインタビュー及び事案-307-JP-01の記録から、SCP-307-JP-1はSCP-307-JPに触れた瞬間(時点-307-JP-Aに指定されます)から、最長で126日の期間を任意の回数繰り返して経験していると考えられています。 SCP-307-JP-1は2つの要因で時点-307-JP-Aに時間遡行すると考えられています。1つ目はSCP-307-JP-1が後述するSCP-307-JP-ループ終了イベント以外の理由で死亡した場合です。この際、SCP-307-JP-1は意識の喪失と同時に時点-307-JP-Aに戻ったと証言しています。2つ目はSCP-307-JP-1がSCP-307-JP-ループ終了イベントの発生時に数秒間逃避行動を取り死亡を回避しようとした場合です。この際もSCP-307-JP-1は死亡時と同様に意識を喪失し時点307-JP-Aに戻ると証言しています。これらにより、SCP-307-JP-1が時点-307-JP-Aへの時間遡行の繰り返しから抜け出す方法はSCP-307-JP-ループ終了イベントで逃避行動を取らずに死亡する以外にないと考えられています。 SCP-307-JP-ループ終了イベント: 対象がSCP-307-JP-1に指定されてから最長126日までの間に、SCP-307-JP-1の近辺の物陰から不明な方法で複数の人間の腕が現れます。腕は伸び、SCP-307-JP-1を掴んで物陰に引きずり込みます。この際、SCP-307-JP-1の身体は無理やり細い隙間に捻じ込まれたように損傷しながら消失し、最終的にはSCP-307-JP-1の身体は5%程度が残ります。このイベントによる消失のみが、SCP-307-JP-1が時間遡行を行わず死亡できる唯一の手段であると考えられています。SCP-307-JP-1がこのイベントで発生する腕から逃避した場合、SCP-307-JP-1は数秒で意識を喪失し時点-307-JP-Aに時間遡行をすると考えられています。この為、SCP-307-JP-1はSCP-307-JP-ループ終了イベントに際して逃避行動を取らず腕に掴まれて消失するまで、記憶を持ったまま時間遡行を繰り返し続けます。 この時間遡行はSCP-307-JP-1のみが体験・記憶しており、事象の外部からの観測が不可能であるため、詳細な性質については確定されていません。時間遡行の発生した時間軸においてはSCP-307-JP-1の記憶以外の全ての記録が消滅するため、このオブジェクトの引き起こす異常性質についてはSCP-307-JPの記憶、及びSCP-307-JP-1がSCP-307-JP-ループ終了イベントにおいて逃避行動を取らずに消失する事象についてのみが観測可能な事象となります。 SCP-307-JPは20██/██/██に大阪府██市に住む倉川氏のものと思われる致死量の血痕が自宅近辺で発見された事件について、倉川氏の友人から不自然な通報があったとして財団が調査を開始しました。現場にあった男性のスマートフォンに記録されていた異常な画像と、倉川氏のスマートフォンの通信記録から自宅にあったCDの異常性が疑われ、初期収容に至りました。 初期収容記録-307-JP-01 倉川氏のスマートフォンの通信記録の一部抜粋 概要:男性が死亡する直前に自身の所属するバンドのメンバーである冴木氏とやり取りしたSNSのメッセージ内容 <記録開始> 2018/02/21 0:26 倉川: ライブ&打ち上げお疲れ! 2018/02/21 0:26 倉川: [スタンプ送信] 2018/02/21 0:32 冴木: [スタンプ送信] 2018/02/21 0:36 倉川: 機材車整理しててんけど、荷物の中にうちのじゃないCDがあってんけど、対バンさんのかな? 2018/02/21 0:36 倉川: [添付画像を開く] [添付画像を閉じる] 2018/02/21 0:40 冴木: いや、見てないなー 聞いてみた? 2018/02/21 0:42 倉川: 洋楽やし絶対ちゃうわ!紛れ込んだんやと思う 2018/02/21 0:56 倉川: 結構良い曲 英語やし歌詞解らんけど 2018/02/21 0:56 冴木: 明後日持ってきてや 2018/02/21 1:13 倉川: おk 2018/02/21 1:20 倉川: もう疲れた 何度も何度も何度も何度も 2018/02/21 1:21 倉川: ごめん バンド組めてたのしかったわ 何度も言うけど 2018/02/21 1:21 倉川: 違う この冴木にはまだ何度も言ってない 2018/02/21 1:21 冴木: どしたんいきなり 2018/02/21 1:22 倉川: 腕が来るんよ 何度もなんども 2018/02/21 1:22 倉川: 捕まれそうになって、逃げたら毎回今日になる このCD聞いたらあかん 2018/02/21 1:23 冴木: 酔ってる? 2018/02/21 1:23 冴木: [不在着信] 2018/02/21 1:25 冴木: [不在着信] 2018/02/21 1:26 冴木: ちゃんと寝や 2018/02/21 14:30 冴木: 起きてる? 2018/02/21 15:05 冴木: [不在着信] 2018/02/22 3:50 倉川: もうあきらめる CD聞くなよ 2018/02/22 5:51 倉川: 腕来 2018/02/22 5:51 倉川: [添付画像を開く] [添付画像を閉じる] <記録終了> +インタビュー記録を表示 - インタビュー記録を隠す インタビュー記録307-JP-1 - 日付20██/██/██ インタビュー対象: D-29662(当日SCP-307-JP-1に指定済) インタビュアー: 高見博士 前記: SCP-307-JP-1に発生する事象の確認の為、D-29662をSCP-307-JP-1に指定した。D-29662は直後に焦燥したため救護室に搬送された。D-29662は回復後に、今後行う予定だった実験内容について知らされていなかったにもかかわらず詳細を述べた。事態の確認の為、高見博士がD-29662にインタビューを行った。 <記録開始> 高見博士: インタビューを始めます。先程仰っていた実験予定について、繰り替えして頂けますか。 D-29662: お願いです、私を殺さないでください。 高見博士: 何か勘違いされているようですが、我々の予定していた実験内容にあなたの殺害は含まれていません。何か許可の無い行動を取ったりしない限りはですが。 D-29662: いえ、高見さん2は1カ月経って何も変な事が起きない場合、被験者の終了、でしたっけ、殺す実験を行う予定です。腕は1カ月後以降に来る可能性があります。死んだらやり直しです。 高見博士: どういうことですか? D-29662: 私はもう諦めました。何も変わり映えしない、待つことしか出来ない。 高見博士: 詳しくお願いします。 D-29662: 私は繰り返しているんです!死ぬか、腕に掴まれる直前までの時間を何度も何度も!ここでCDに触れた直後の時間に、この場所に何度も戻って来ているんです! 高見博士: 腕に掴まれるというのは? D-29662: ここに戻ってきてから、数日とか、数十日とか、とにかくどこかのタイミングで腕が出てくるんです。ちょうどあのCDジャケットの写真のように。腕は伸びて私を掴もうとします。掴まれたらきっと終わりなんです。私は逃げたかった。でももう疲れました。 (D-29662は肩を抱えて嗚咽した) 高見博士: 大丈夫ですか? D-29662: 高見さん、怖いんです。腕が怖いんです。腕は私を掴んで、きっとどこかへ連れていきます。捕まったら、ここには戻ってこられない。本当に死ぬ。解るんです。 高見博士: その、腕の出現する異常について詳しく教えていただけますか。 D-29662: 腕が出てきた瞬間に、私はいつも逃げてきました。逃げたら、数秒で時間が巻き戻って、ここに戻ります。さっきの、CDに触れさせられたあの場所、あの時間です。でも、もう終わりにしたいんです。 高見博士: 仮に異常時空間ループに、いや失礼、数カ月間を繰り返すと言っていましたね、仮にあなたがその時間に囚われているとして、私達にとってはこれは初めての出来事です。私達から見ると、あなたはついさっきCDを触ったように感じています。これから実施するはずの実験予定を知っているからといって、それでは検証できない。いや待てよ。そうか。私の名前を知っていたという事は、あなたは私と話をするのは初めてではないですね? D-29662: はい。高見さんと話せるのは、行われる予定の実験について自分が知っている事を落ち着いて喋った場合です。暴れたり嘆いていた頃は、インタビュー自体が実施されませんでした。 高見博士: なるほど、繰り返したループの記憶を引き継いでいるのか。別の時間軸であなたは私と話したわけですね。ならば、あなたが話したという私は、これが時空間異常ループであることの手がかりをあなたに託す筈です。恐らく時空間ループの検出プロトコルでしょう、私は6桁のパスワードをあなたに教えたはずだ。 D-29662: はい、ええと、今回はx25k66です。 (高見博士は情報端末でハヤカワ-時空間異常検出プロトコル3にパスワードを打ち込み結果を確認した。) 高見博士: あなたの提示したパスワードは我々が時空間異常実体に伝える5回目のパスワードです。つまり、プロトコルは私とのこのやり取りが最低でも既に5回あったことを示しています。あなたが時空間異常ループに囚われた状態であるという供述は信頼できると判断します。あなたの言う「腕が来る」まであなたを終了しないように約束しましょう。 D-29662: ありがとうございます。肩の荷が下りました。これで、やっと終われる。 高見博士: 最後に聞きたいのですが、時間遡行の終わり、つまり逃避行動を取らずに腕に引きずり込まれることはあなたの死を意味していると言いましたね。何故あなたはこの時空間異常ループを終わらせたいのですか。 D-29662: 高見さん。私が何度、何度ここに戻ってきたか解りますか。100回はとうに過ぎました。高見さんと話せたのはほんの数回ですが、過ごした時間は数年じゃ効かない。混乱や絶望、逃亡への試み、精神の摩耗すら遠い過去の事になりました。死刑から自分で逃げることが出来たらどうしますか?でも逃げれる先は日常ではなく、収監初日だとしたら?何度も何度も独房で死刑を怖がりながら待つ、待って、そして死刑から逃げる。それだけ。これは死ぬよりも酷い、ゆるい地獄です。私は、最後に仕事をしました。もういいんです。 高見博士: なるほど。万が一またここに戻ってきた時の為に、プロトコルの次のパスワードを教えます。もし万が一この時空間異常ループに囚われている状態が継続した場合は、次に出会う私に伝えてください。 <記録終了> 補遺: その後のD-29662のレポートによりSCP-307-JP、及びインタビュー中で「腕が来る」と表現されていたSCP-307-JP-ループ終了イベントの大まかな性質について情報が更新され、特別収容プロトコルが改訂されました。なおD-29662は、64日後に発生したSCP-307-JP-ループ終了イベントの発生に際し、逃避行動を取らず消失しました。 +事案-307-JP-01の閲覧にはレベル4セキュリティクリアランスが必要です。 - セキュリティクリアランスが認証されました。 事案-SCP-307-JP-01: 2018/4/13、サイト-8115に所属する竜頭博士がSCP-307-JP-ループ終了イベントにより消失しました。竜頭博士は自身のセキュリティクリアランスによりSCP-307-JPに秘密裏にアクセスし、また非公式にSCP-307-JP-1に指定された状態になっていたと思われます。竜頭博士は、KeterクラスのオブジェクトSCP-████-JP(2018/4/9にNeutralizedクラスへ移動済)の研究グループを統括しており、直近1年以内にこのオブジェクトが引き起こすXK-クラスシナリオの回避に向けたプロジェクトの主担当者でした4。竜頭博士は自身の個人研究記録データベース上に遺書を残しており、博士による独自のSCP-307-JPの運用方法について記述されていたため、一部を抜粋して公開されました。 まず、関係者方々に深くお詫びする。私は不正にSCP-307-JPを用いた状態でSCP-████-JPの研究を実施していた。財団職員としてあるまじきことだとは認識している。SCP-████-JPが引き起こす、来るべきXK-クラスシナリオの回避が最優先事項として判断した結果だが、この未知のリスクのある選択について正式な承認を待つ時間すら無かったのだ。 KeterクラスオブジェクトであるSCP-████-JPは、性質の正確な解明ですら危険であり、O5をはじめとする財団の努力にもかかわらず実験リソースに割けるDクラス人員や実験パターンの構築、安全の確保、そして何より実験時間、全てが足りなかった。SCP-307-JPを利用することを思いつく直前、管理官への報告会では、XK-クラスシナリオ発生を前提としたThaumielクラスオブジェクトの起動計画まで始まっていた。正直皆、どのようにして私がほとんど人的資源の損害無くSCP-████-JPの無力化に成功したか、疑問に思っていただろう。私はSCP-307-JPの性質を用いて、失敗した実験結果を全て頭の中にしまい込んだうえで、何度もやり直したのだ。 今回でこのループは合計918回目になる。そのほとんどすべてで実験は失敗し、またはSCP-████-JPがXK-クラスシナリオを引き起こし、SCP-307-JP-ループ終了イベントが発生し、私は逃避し続けた。ようやく無力化に成功する方法が見つかった記念すべき912回目以降は、私は遺書の内容と、より少ない被害でヤツを無力化できる方法を考えていた。 昨日の「世界終焉回避」記念パーティーはとても楽しかった。皆と会えるのは最後だったから、目に焼き付けていた。個別にお別れを言えなくてすまなかった。特に高見君には後始末を押し付けてしまったね。おそらくSCP-307-JPのオブジェクトクラスの再定義と特別収容プロトコルの更新が必要になる。私以降、誰かがSCP-307-JPを利用できるようになるかは解らないが、君の信念に沿った決定をしてくれ。必要なら、SCP-307-JPのこれまでのループで気付いた事についてデータベースにまとめてあるから、使ってくれ。 最後に、橋本博士。同期でこの年になるまで生き残っていたのはこのサイトでは君ぐらいだ。パーティーのスピーチで、私の事を誇りに思う、と言ってくれたことはとても嬉しかった。だが私がこの918回の、全体にして153年間に及ぶたった数カ月の繰り返しを、信念に従い病むことなく乗り越えられたのは、ひとえに君の153年間ずっと変わらない励ましがあったからだった。本当にありがとう。 もうすぐSCP-307-JP-ループ終了イベントが発生する予感がする。私は恐らく休暇先の自宅にいる予定だ。遺体は恐らくそんなに残らないだろうが、サイトの共同墓地にでも放り込んでおいてくれ。 それじゃ、諸君。 竜頭 知正 竜頭博士の遺書、及び研究データベースに残された情報から、SCP-307-JPの特別収容プロトコルが改訂されました。また、SCP-307-JPのオブジェクトクラスのThaumielへの変更がO5評議会において検討中です。 Footnotes 1. 異常性は裏面の腕の画像部分に触れることで発現します 2. D-29662には高見博士の名前は伝えていませんでした 3. 時空間ループの起点となった対象に伝える一連のパスワード集合であり、対象が提示したパスワードによって同プロトコルの利用回数が解るもの。運用方法についてはハヤカワ-時空間異常検出プロトコル及びその利用事例を参照してください 4. XK-クラスシナリオの回避及び人的損失の抑制に貢献したことで財団から表彰を受ける予定でした
scp-308-jp
評価: +132+–x SCP-308-JPの光が放出されているSCP-308-JP-1。 アイテム番号: SCP-308-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-308-JPの維持のため、SCP-308-JP-1には常時電力が供給されていなければなりません。停電による電源の完全喪失を回避するため別々の発電所と接続した2系統以上の送電線を確保します。電源の完全喪失が発生した場合、電源車による電源供給に切り替え、順次電源車を追加します。SCP-308-JPの蒸発が、回避困難な事態に陥った場合、地元警察に働きかけ近隣住民の避難を促してください。SCP-308-JP-1が設置されている場所は財団の保有するものではありませんが管理団体の協力により収容状態と秘匿性が維持されています。 [+ 添付資料 追加手順01A を表示] [- 非表示] 追加手順01A: SCP-308-JP-1の設置された収容室を厚さ50cmの遮音壁で補強し気密室に改修します。収容室内は真空を保ち、収容室自体をアイソレータによって支え、施設の構造物から独立させます。施設全体の外壁も防音構造へ改修します。監視および点検作業は遠隔操作可能な機械で行い、研究員および保安職員はSCP-308-JP-1の半径100m以内へ接近しないでください。 [+ 添付資料 追加手順01B を表示] [- 非表示] 追加手順01B: 各機関にも協力を要請していますが素粒子物理学の心得がある職員は反水素原子に関する研究に参加してください。 説明: SCP-308-JPは、反物質保管装置(SCP-308-JP-1と呼称)内に出現した小型の発光体です。 SCP-308-JP-1は、████の███大学が保有する反物質を保管するための装置です。保管している反物質は、同大学の粒子加速装置の実験中に副産物として発生します。直径5cm高さ20cmの円筒形の装置に電磁石によって強力な磁場を形成し、SCP-308-JP出現当時で推定47個の反水素原子を保管していました。 SCP-308-JPが出現した正確な時刻は不明ですが、発見されたのは20██/10/15の午前8時ごろです。SCP-308-JPは、常に発炎筒ほどの光(約1200lm)を放っています。実体は直径5mmほどの球体であると推測されます。当初は当該大学のみで研究が行われていましたが異常な特性が明らかになり、各機関に情報照会を行ったため、財団の知るところとなりました。現在、秘匿性の維持と引き換えに当該大学との共同管理を行っています。 SCP-308-JPはその大きさにも関わらず安定した核融合反応を維持し発光を続けています。未知の原理によって水素が供給されているようです。 SCP-308-JPの光は発見当初から、わずかながら明滅をしており、規則的な反復が見られたため解読作業に回されました。解読の結果、モールス信号に似た信号で伊語に近い文章を取り出せることが判明しました。これは未知の存在(以降SCP-308-JP-2と呼称)による通信手段だと考えられています。こちらからは、磁場の調整によって反水素原子をぶつけることにより、『はい』と『いいえ』の返答のみが送信可能です。『はい』では2個、『いいえ』では1個の反水素原子を消費します。反水素原子の補給は現時点ではほぼ不可能です。 SCP-308-JP-2は非常に高度な知性を有した知的生命体、もしくは平行世界の存在と考えられますが、相互の存在を立証できないため詳細は不明です。 SCP-308-JP-2との対話記録001: 20██/10/15 8:30:00(推定)- 20██/12/24 14:25:40 -残りの反水素原子45個 SCP-308-JP-2: 『はい』なら2回、『いいえ』なら1回反応を示してください。(最初の返答をするまで繰り返していたと思われる) 返答: 『はい』 返答後、詳細な会話パターンが送信されてきましたが、『いいえ』と返答してからは単純な返答で済む質問が送られてきました。 SCP-308-JP-2との対話記録002: 20██/12/24 15:05:45 - 20██/12/29 11:10:27 -残りの反水素原子43個 SCP-308-JP-2: あなたたちは████の██████[地球では未発見と思われる惑星の座標]の住人ですか? 返答: 『いいえ』 SCP-308-JP-2との対話記録003: 20██/12/29 11:15:02 - 20██/01/18 16:07:30 残りの反水素原子42個 SCP-308-JP-2: あなたたちは幸福ですか? この質問の返答には大学の教授たちとの20日間に渡る審議を行った結果、環境問題、エネルギー問題、経済的問題を含め以下の返答を送信。 返答: 『いいえ』 返答の結果、まだ地球上では確立されていない[データ削除済]の技術的情報が送られてきました。その有用性と安定した収容状態からSafeへの分類変更が申請されました。 SCP-308-JP-2との対話記録007: 20██/02/10 13:10:44 - 20██/02/15 11:12:45 -残りの反水素原子37個 SCP-308-JP-2: ██████[白鳥座に存在する座標]に向けて指定したパターンでニュートリノを発射してください。 地球の位置を把握するための指示と推測される。現在の技術ではまだ指向性の高いニュートリノを発射する技術がないこと、SCP-308-JP-2が友好的とは断定できない状況のため、以下の返答を送信。 返答: 『いいえ』 返答後、すぐさまニュートリノを発射する装置の設計図と思われるものが送信されてきました。地球上には存在しない物質を多数含むことが発覚。返答:『いいえ』を送信しました。 SCP-308-JP-2との対話記録019: 20██/05/13 11:25:00 - 20██/05/13 14:07:56 -残りの反水素原子21個 SCP-308-JP-2: プラズマを閉じ込められますか? 返答: 『はい』 返答後、すぐさまSCP-308-JP-2が使用していると思われる核融合炉の設計図を受信しました。実現の可能性から大学での研究が開始されました。 事案報告308-001: 対話019の75日後、事案308-001が発生。大学の施設の半分以上が失われるも収容状態は維持されました。詳細は事案308-001の報告書を参照。 SCP-308-JP-2との対話記録020: 20██/05/20 11:05:10 - 20██/08/20 11:07:05 -残りの反水素原子20個 SCP-308-JP-2: 送信した技術はお役に立ちましたか? 返答: 『いいえ』 返答後、謝罪の文章と思われるものが2分30秒に渡って送信されてきました。 以降も、さまざまなエネルギー発生に関する装置の設計図が送られてきましたが、ほとんどが現在の技術で実現不可能なものであり、実現可能と見られる研究も大学側が拒否しました。それら設計図には、それぞれ返答:『いいえ』を送信しました。 事案報告308-002: 20██/08/30 11:16:50 SCP-308-JPから半径50m以内にいた研究員および警備職員が昏睡状態に陥りました。SCP-308-JPを中心として、35秒の間に次々と職員が意識を失う様子が映像に残されています。事案308-002の被影響者は、依然として意識が回復していません。 事態の収拾後、様々な検査を行った結果SCP-308-JPから可視光の他に、可聴域外の音波が発せられていることが判明しました。収容装置SCP-308-JP-1内は完全に真空であるのにもかかわらず、SCP-308-JPから発生する音波はSCP-308-JP-1外部へ伝播します。この音波は、SCP-308-JP-2が意図的に流しているものと考えられますが、敵対的行動である可能性は低いと見られます。可聴周波数に調整した音源は[データ削除済] SCP-308-JP-2との対話記録039: 20██/09/02 11:05:10 - N/A SCP-308-JP-2: せめてあなたにやすらぎを。 SCP-308-JP-2との対話記録040: 20██/09/05 11:05:00 - N/A SCP-308-JP-2: ちゃんと届いていますか? 補遺01: SCP-308-JPから発生する音波は徐々に強くなっており、施設の構造体を媒質とした弾性波を遮蔽することが困難になりつつあります。 補遺02: 収容装置SCP-308-JP-1は、密閉状態のまま反水素原子を補給できません。開放すれば即座の発光体の蒸発につながる可能性があります。発光体が保有するエネルギーの解放には破滅的な被害がともなうと予想され、財団と大学は反水素原子1つで2回の反応を促す方法、または密閉状態で反水素原子を補給する方法を広く募集しています。現時点での、装置内の反水素原子は残り1つです。 Safeへの分類変更は却下されました。
scp-309-jp
評価: +46+–x SCP-309-JPはインフォハザードです。本報告書に記載されている追加情報は収容に関わる職員以外には極秘とします。 追加情報の閲覧が収容違反を起こしうる事に留意して下さい。 SCP-309-JPの追加情報をBクラス以上の職員が閲覧する事は禁止されています。 アイテム番号: SCP-309-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 現在、SCP-309-JPの完全な収容は困難です。民間人の居住地域でSCP-309-JPの収容違反が発生した場合、プロトコル"退廃芸術"を発動させて下さい。 SCP-309-JPはセクター-8105に設けられた90cm x 60cm x 10cm、厚さ2.5cmの鋼鉄製コンテナに緩衝材に包まれた状態で収容されています。許可がない限りコンテナの開封は行わないで下さい。 収容違反が発生するリスクが存在する事から、SCP-309-JP及びSCP-309-JP-2の外観に関する情報に接触した職員に対して記憶処理を施す事は禁じられています。SCP-309-JPの収容に関わった職員を転属させる場合は、記憶処理が行われる可能性の低い部署へと転属させて下さい。記憶処理が必要な事態が発生した場合、当該職員は終了されます。許可されていない職員がSCP-309-JP及びSCP-309-JP-2の外観に関する情報に接触した場合は処分の対象となります。 収容違反によってSCP-309-JP-2が出現した場合、SCP-309-JP-2を視認可能な範囲から全ての人員を退去させた上で処理を行います。民間人にSCP-309-JP-2が暴露した場合、更なる収容違反の発生を防ぐ為に終了する事が許可されています。 説明: SCP-309-JPは80cm x 50cmの黒地に赤色の絵具で模様が描かれた油絵です。キャンバスの裏側の隅には英語で『忘れるな(Don't Forget)』と表側のものと同じ赤色の絵具で書かれています。キャンパスや絵具、顔料に特異性は見られませんが、絵具と顔料には有毒な化学物質であるヒ素化合物及びカドミウム化合物、セレン化合物が高い濃度で含まれています。また、絵具と顔料からは人間の体組織、骨、血液、[編集済]が検出されており、検査の結果いずれも同一人物のものである事が判明しています。検出されたサンプルの遺伝子と合致する人物は現時点では確認出来ていません。調査により、検出されたサンプルの遺伝子と合致する人物が判明しています。詳細は補遺2を参照して下さい。 + 追加情報へのアクセス - アクセス記録中 SCP-309-JPには黒地に赤い絵具で3つの菱形をV字型に並べた模様が描かれており、中央の図形の中にはプロビデンスの目1と推測される目の模様が描かれています。模様を構成する諸要素はキリスト教的モチーフを示唆しているものと推測されています。 SCP-309-JP及びSCP-309-JP-2の外観に関する情報に暴露した人物(SCP-309-JP-1に指定)がSCP-309-JP及びSCP-309-JP-2の外観に関する記憶を忘却2するとSCP-309-JPは活性化し、SCP-309-JP-2に指定される実体がSCP-309-JP-1の体表に出現します。 SCP-309-JP-2はSCP-309-JPに描かれたものと同じ模様で、使用されている絵具と顔料も同一です。出現開始後、およそ5秒に1つのペースで新たなSCP-309-JP-2が既に体表に存在するSCP-309-JP-2に重ならない位置・大きさで出現します。体表のSCP-309-JP-2の増加に伴い、絵具及び顔料に含まれる有毒物質によってSCP-309-JP-1は急性中毒に陥り、最終的に自己終了します。SCP-309-JP-1の終了後、SCP-309-JP-2の出現は停止します。現時点ではSCP-309-JP-1を終了する以外でSCP-309-JP-2の出現を停止させる方法は発見されていません。 SCP-309-JPは1988年█月██日に██県██市のギャラリーで、ギャラリーの所有者である美術商██ ██氏の異様な変死体が発見された事をきっかけとして財団の注目を引きました。現場に設置されていた監視カメラに██氏の体表にSCP-309-JP-2が出現し同氏が死亡するまでの映像が残されていた事から、エージェント・██の捜索によりギャラリーの倉庫からSCP-309-JPが発見され、その後収容されました。関係者・目撃者にはクラスBの記憶処理が施されましたが、その際にSCP-309-JP-2が出現、██名の死者・終了対象者を出しました。 + 実験記録309-JPへのアクセス - 閉じる 実験記録309-JP-1 - 日付1988/██/██ 対象: D-309-JP-1 実施方法: SCP-309-JPの裏面のみを暴露させた後、クラスBの記憶処理を施す。 結果: 異常なし。 分析: 裏面の外観に関する記憶はSCP-309-JPの活性化には関係ないようだ。 実験記録309-JP-2 - 日付1988/██/██ 対象: D-309-JP-1 実施方法: SCP-309-JPを正面から撮影した写真に暴露させた後、クラスBの記憶処理を施す。 結果: SCP-309-JP-2が額を始点として出現。D-309-JP-1は終了された。 分析: 写真であっても活性化の条件を満たすようだ。 実験記録309-JP-3 - 日付1988/██/██ 対象: D-309-JP-2 実施方法: SCP-309-JPを正面から撮影した映像に暴露させた後、クラスBの記憶処理を施す。 結果: SCP-309-JP-2が左頬を始点として出現。D-309-JP-2は終了された。 分析: 写真と同じく、映像に暴露しても活性化の条件を満たすようだ。 実験記録309-JP-4 - 日付1988/██/██ 対象: D-309-JP-3 実施方法: SCP-309-JPについて「80cm x 50cmの、模様が描かれた油絵」であると説明した後、クラスBの記憶処理を施す。 結果: 異常なし。 分析: 外観についての情報が少な過ぎると活性化の条件を満たさないと考えられる。 実験記録309-JP-5 - 日付1988/██/██ 対象: D-309-JP-3 実施方法: SCP-309-JPの外観について詳細な説明を行った後、クラスBの記憶処理を施す。 結果: SCP-309-JP-2が右手の甲を始点として出現。D-309-JP-3は終了された。 分析: 外観に関する詳細な情報に接触した場合は活性化の条件を満たすようだ。 実験記録309-JP-6 - 日付1988/██/██ 対象: D-309-JP-4 実施方法: D-309-JP-3に出現したSCP-309-JP-2に暴露させた後、クラスBの記憶処理を施す。 結果: SCP-309-JP-2が左掌を始点として出現。D-309-JP-4は終了された。 分析: SCP-309-JP-2に関する記憶を忘却する事も活性化の条件を満たすようだ。 実験記録309-JP-7 - 日付1988/██/██ 対象: D-309-JP-5 実施方法: SCP-309-JPに暴露させた後、終了する。 結果: 異常なし。 分析: SCP-309-JP-1が死亡した場合は活性化の条件を満たさないようだ。生きている人間に忘却される事が活性化の条件と思われる。 補遺1: SCP-309-JPは収容されてから20██年█月までの間に█回、収容違反を引き起こしており、これまでに██名の死者、██名の終了対象者を出しています。SCP-309-JPが██ ██氏の手に渡ってから収容されるまでの間に民間人に暴露した可能性が高く、更なる収容違反が発生する可能性が指摘されています。 補遺2: 財団の調査により、198█年に失踪した芸術家█ ██氏の遺伝子情報がSCP-309-JPから検出されたサンプルと合致しました。更なる調査により、SCP-309-JPは同氏によって制作され、後に██ ██氏へと譲渡された可能性が高いと推定されています。詳細については資料309-JP-A及び309-JP-Bを参照して下さい。 +資料309-JP-Aへのアクセス - 閉じる 以下はエージェント・██により回収された██ ██氏の日記からSCP-309-JPに関係すると思われる部分を抜粋したものです。 1987/9/██ █の奴が突然ギャラリーを訪れ、引き取ってくれと絵を置いていった。██年前にアイツが麻薬に手を出して捕まって以来の再会だったが、その変わり様にはゾッとした。まるで死人だ。絵も昔の作品とはまるで違う。薄気味が悪くてギャラリーに展示などとても出来ない。常連の物好き達に商談ついでに見せるのが精々だろう。 +資料309-JP-Bへのアクセス - 閉じる 以下は█ ██氏の元住居と推測される██県██市郊外の山中の廃墟から回収された日記からSCP-309-JPに関係すると思われる部分を抜粋したものです。 1986/11/██ 思い浮かばない。何もかも。名だたる名画は人々の魂に刻み込まれ、生き続ける。獄中にあってそれらを忘れ得なかった私が証人だ。だが私の作品はどうだ。一時どれだけ持て囃されようと、上っ面の記憶として僅かな間留め置かれるだけで時と共に風化して消えてゆく程度に過ぎない。薬物は私に霊感などもたらしてくれなかったし、獄中での経験は無為であった。[以下、無関係な内容の為省略] 1987/3/██ 小手先の技が何になる。単純化し、モチーフを散りばめ、視覚的に映える色彩を配する。名画というのはそんな些末な技法を超えた何かがあるからこそ、今も歴史に生き続けているのだ。賢しい手段に終始している時点で私など[以下、文字が乱れており判読不能] 1987/6/██ 全てを懸ける。もう私にはそれしかない。才能も気力も残されていないのだ。差し出せるのはそれだけだ。足りないものをそれで埋め合わせられるかは判らないが、もうそれしかないと確信した。 1987/8/██ 完成した。全てを出し切った。後は誰か信の置ける相手にこれを託すだけだ。もう私にはこの作品を世に送り出す余裕は残されていない。願わくば我が遺作が人々の魂にまで刻み込まれん事を。 Footnotes 1. キリスト教の三位一体の象徴として用いられる目の意匠。光背や三角形と合わせて用いられる事が多い。 2. ここで言う"忘却"とは記憶の保持に失敗した場合を指します。
scp-310-jp
評価: +46+–x 1度の分裂で得られたSCP-310-JP。 補正指示が出された箇所の例。写真内の83%が正しくない組み合わせである。 アイテム番号: SCP-310-JP オブジェクトクラス: Keter 特別収容プロトコル: SCP-310-JPは、20mx50mの広さを持った収容室の床に並べて収容されます。収容室には窓を設置せず、壁と天井は厚さ1m以上のコンクリートで建造されます。SCP-310-JP自体の危険性は確認されていないため、適合試験を受けたDクラス職員と担当研究員が接合作業を行います。収容室の床は黒色に塗り、一切の塵や埃がないように清掃されます。天井に設置された24個のカメラでSCP-310-JPを常時スキャンし、コンピューターの図形ソフトを用いて、接合部分を予測します。その結果を元に、接合作業を行ってください。 SCP-310-JP-1の収容は現時時点で不可能と考えられるため、SCP-310-JP-1の発生が確認された場合は、全骨質を奪われた対象者に対応できる装備と車両を用いて、対象者を収容します。収容した対象者は、常に人為的な昏睡状態に置き、骨格の復元作業が完了し次第、クラスCの記憶処置を施し帰宅させます。 将来予想されるSCP-310-JP-2-A002の発生に対応するため、収容室の壁には5mの間隔で燃料注入ノズルを設置し、床には爆薬による硬鋼線の射出装置を3m毎に埋設します。SCP-310-JP-2-A002の発生の際には手順310-gammaを順次実行していきます。手順310-gammaの項目36まで実行した後も、SCP-310-JP-2-A002が無力化できなかった場合、手順310-gammaの項目37が実行されます。 説明: SCP-310-JPは、白無地のジグソーパズルの総称です。1片の大きさは縦1.5cm横1.0cm厚さ0.2cmで、財団では、現在15000片前後のSCP-310-JPを収容しています。 SCP-310-JPは、孤立した1片の状態であった場合、平均370秒に1度の頻度で2分裂し増殖します。正しくない組み合わせの状態にあるSCP-310-JPでも、分裂が起こります。各片は非常に形が似通っており、正しくない組み合わせでも接続できてしまうため、現在の収容下にあっても1度に100個程度の分裂を引き起こしています。 正しく組み合わさった状態にあるSCP-310-JPのうち、最も外側にある数片が不定期に消失します。分裂周期と近しい間隔ですが関連性は不明です。消失する理由や原因は不明ですが、この消失現象により整合する辺が減少するため、収拾不能な分裂反応を抑えることができています。分裂数が102を超えた場合(孤立したピースが204を超えた場合)、後述のSCP-310-JP-1が発生します。 SCP-310-JP-1は、異常性を持った霧です。 SCP-310-JP-1の内部では、異常なほどの視程の低下(15m以下)、電波障害(極超短波から極超長波まで)、音波の吸収(50mでD-80に相当)などの現象が発生します。詳細な調査により、SCP-310-JP-1を構成する粒子は水蒸気ではなく、非常に微細な骨質の粒子であることが判明しています。 SCP-310-JP-1の粒子が、内骨格を持った生物に触れた場合、皮膚細胞の隙間から体内へ入り込み、骨質の一部を奪っていきます。SCP-310-JP-1の粒子の衝突で剥離した骨質は、SCP-310-JP-1の粒子と同様に、細胞の隙間から体外へ出て行き、霧の一部となります。この過程で対象に痛みなどは発生しません。対象はSCP-310-JP-1との接触から3分以内に、骨質の30%を失います。直立状態や歩行中の生物は、急速に骨格が軟質化することにより、自重やわずかな運動で骨折し、移動不能となります。さらに10分前後の経過で、全ての骨質が奪われます。失われるのは骨格のみであり、安静にしている限り対象は生存が可能です。 SCP-310-JP-1の発生場所に、規則性は見つかっていません。収容施設から最大2000km離れた場所で発生した事例もあります。SCP-310-JP-1は、地中から発生することが確認されており、活性状態終了時も、地中へ吸収されていくのが確認されています。考慮すべき点として、発生箇所のひとつに、地表に露出したK-T境界層が確認されています。他の発生箇所も、地中に存在する同地層から発生している可能性があるため、財団では同地層を調査、発見するための活動を行う研究団体に、資金提供及び監視を行っています。SCP-310-JP-1の影響範囲は最大半径20kmほどと見られ、SCP-310-JPの孤立したピースが204以下になるまで発生し続けます。 SCP-310-JP-1の内部調査については、調査記録310-F001を参照してください。 + SCP-310-JP-1に関する調査資料を閲覧 - 資料の閲覧を終了 固定カメラにより撮影されたSCP-310-JP-1Aの写真。 SCP-310-JP-1の内部では、異常な存在の影(SCP-310-JP-1A)、および由来不明の植物群(SCP-310-JP-1B)が観測されています。 SCP-310-JPの粒子は、装甲車やレベルAの化学防護服の構成素材を全て貫通し、人体の骨質を奪っていくため、SCP-310-JP-1内部に調査のための人員を送ることはできません。電波を通さないため、無線による機器の投入ができません。そのため、有線による遠隔操作可能な探査車によって内部の調査が行われています。また、生存者の証言による情報も集めています。 SCP-310-JP-1Aは、高さ5mほどから20mほどまで大きさに個体差があり、何らかの生物の影と考えられますが、形状は既存の生物群のどの特長とも一致しません。SCP-310-JP-1Aは出現後、ゆっくりと移動するか、または摂食行動をしているように見られます。出現したSCP-310-JP-1Aが、霧の内部に取り込まれた他生物に気づく様子はありません。ほとんどの場合で、SCP-310-JP-1Aは出現から5分以内に、霧に溶けるように消えていきます。成功例は少ないですが、SCP-310-JP-1Aがいる場所へ到達した場合でも、影以外の物理的な存在は確認できません。 SCP-310-JP-1Bは、SCP-310-JPの粒子によって構成される未知の植物群です。SCP-310-JPの深部において地面から急速に生長し、様々な植物種からなる植物群落を形成します。 SCP-310-JP-1Bは、その構成要素から一様に白色をしており、従来の植物と同様の形状をしていますが、光合成などの生体維持機能は持っていないと考えられます。形状のみに限って言えば、全て既知の植物種ではありますが、現存はしていません。SCP-310-JP-1Bは、種子を形成するものの、従来の種子としての機能はなく、SCP-310-JPの効果によってのみ増殖すると考えられます。SCP-310-JP-1Bは、通常の大気に接触すると瞬時に崩壊し、霧状になって消失します。 SCP-310-JP-1Bは、白亜紀後期(マーストリヒト期)までに存在していたと考えられる植物種それぞれの形状をしています。現在知られているそれらの性質とは違い、SCP-310-JP-1Bは既存の植物が持つ栄養分を吸収していると考えられ、SCP-310-JP-1Bが発生した一帯の植物は、SCP-310-JP-1Bの生長と比例して枯死していきます。 SCP-310-JPおよびSCP-310-JP-1の収容までの経緯は、調査記録310-A001を参照してください。 + 調査記録310-A001を閲覧 - 調査記録の閲覧を終了 SCP-310-JPとSCP-310-JP-1は当初、それぞれAnomalousアイテム、Euclidオブジェクトとして財団のデータベースに登録されました。 収容までの経緯: 19██/07/11: ███の██大学にて、無限に増える異常なジグソーパズルを研究している、という情報を現地のエージェントが入手。 19██/07/13: ███の██大学の研究室から、SCP-310-JPが回収されました。当該大学へSCP-310-JPを持ち込んだのは民間人であり、その人物も確保されました。当該人物は、最寄の百貨店にて、SCP-310-JPが2片含まれた状態のガラス製のコップを購入したと証言しています。好奇心からコップを破壊し、SCP-310-JPを取り出したところ分裂を始めたため、知人の勤める当該の大学へ持ち込んだようです。関係者に対する記憶処置は問題なく完了しました。封じ込め手順の模索のため、SCP-310-JPの接合作業が開始されました。 19██/10/12: SCP-310-JP-1が発生。現地の封鎖、生存者の収容と記憶処置など、事態の収拾が図られました。SCP-310-JP-1の範囲は半径20kmほどを維持していました。 19██/06/10: 発生から250日後、SCP-310-JP-1が消失。このときSCP-310-JPの、接合作業で孤立したピースが204以下になったことにより、SCP-310-JP-1は消失しましたが、この時点で両者の関係性は判明していません。 19██/06/13: ██の███にて、再びSCP-310-JP-1が発生。この事案により、SCP-310-JPとSCP-310-JP-1の関連性が指摘され、接合作業によりSCP-310-JP-1が消失したことで、関連性が確定しました。現在の封じ込め手順が確立されましたが、組立作業の困難さから以降数度に渡って、SCP-310-JP-1の発生を許しています。 追跡調査 当該の百貨店の在庫記録から、SCP-310-JPを含んだコップは、███というメーカーの製品であることが判明。追跡調査の結果、実際の製造に当たった工房を突き止めました。当該の工房、および製造道具、SCP-310-JPを含んだコップを製造した人間自体に異常性は認められず、SCP-310-JPの異常性も認識していませんでした。コップを製造した人間によれば、製造時は通常のコップだったが、翌日、徐冷炉から取り出したところ、SCP-310-JPが発生していたと証言しています。品質には問題ないとして出荷されたようです。こちらの関係者にも記憶処置を施し、当該の徐冷炉、および溶解炉、高温炉など製造に関わる道具を全て置き換え、収容しました。 20██/03/06: さらなる長期間の調査の結果、当該の工房が仕入れている原料のうち、石灰(炭酸カルシウム(CaCO3)を含む鉱石)の採掘場所のごく近くに、K-T境界層が存在していることが発覚しました。財団では現地の危機管理室に働きかけ、可燃性ガスの発生という名目のもとで、当該地域の恒常的な封鎖を行っています。 SCP-310-JP-1の発生を抑制できる場合、孤立した状態のSCP-310-JPをガラスで固めることにより、より安定的な収容の確立ができるものと予想されます。 補遺01: SCP-310-JPの現在の形は、何かしらの生物の骨格を成していると見られ、脊柱の一部と思われる形状をしています。現存する脊椎動物と比較した場合、発生するSCP-310-JP-2-A002の全長は推定で300mを超えると見られ、絶滅種を含めた既知の生物ではないと予想されます。 違反事案A001: 19██/01/06 09:18:44 正しく組み合わされたSCP-310-JPの総数が██████を超えた時点で、SCP-310-JP-2-A001が発生。同時にSCP-310-JP-1も発生し、SCP-310-JP-2-A001の無力化まで発生し続けました。違反発生から収容までの経緯は、事案記録A001-Tを参照してください。 事案記録A001-T: [削除済] [削除済] 担当研究員のメモ: SCP-310-JP-2-A001の破壊行動により、いくつかのオブジェクトの収容違反が発生し事案記録A001は閲覧不能となりましたが、担当職員はSCP-310-JP-2-A001が、なにをもたらしたか忘れないでください。SCP-310-JPの焼却処分はできません。予期しない分裂反応を引き起こす可能性が高いためです。我々は、SCP-310-JPの接合作業を中止することはできません。骨を奪う霧が発生するためです。いつかこの霧の完全収容が成功したとき、無限のジグソーパズルから解放される日がくるかもしれません。しかし、その日まで、忘れないでください。SCP-310-JP-2-A001の全長は15m程度だったことを。
scp-311-jp
評価: +52+–x 廃墟内にて撮影されたSCP-311-JP。 アイテム番号: SCP-311-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-311-JPはその性質上、「家屋」に分類されると思われる建造物内に収容することが出来ません。そのため、発見された████地区周辺を、SCP-311-JPが出入り不可能な鼠返しの取り付けられた高さ5mの壁で覆い、壁面周辺の昇り降り可能な木々を伐採、「猫」に分類される生物の出入りを防いでいます。また、現在駆除作戦が計画されていますが、保護のため、最低でも20匹の確保が予定されています。これが完遂された場合、財団保有の█島において管理が予定されています。また、現在1匹のSCP-311-JPが逃走したままであるため、SCP-311-JP由来と見られる現象が発生した場合、即刻の追跡を行いSCP-311-JPの処分を行ってください。 説明: SCP-311-JPは、様々な種類、毛色を持つ一般的な猫に見える存在です。これらは一見通常の猫と変わりありませんが、一般的な猫に比べ肉球の数が極端に多い多指症であることが特徴です。加えて、これらの肉球には「児童の顔のよう」と表現される、笑顔にも似た皺や柄が現れることが観察されています。 SCP-311-JPは、どのような形であれ侵入した建造物を、材質に関わらず急激に老朽化させる性質を持っています。これに伴い、住民や調度品も含めてその全てが老朽化からの破損、あるいは消失を起こします。GPSでの追跡の結果、消失した人間の位置や場所はその時点では変わらないことが判明していますが、最終的には人間に可能な範囲での移動をするような動きを見せ、どれもおおよそランダムと思われる座標にて消失します。消失した人間に対し、こちらからの物理的な接触は一切成功していません。 SCP-311-JPは通常の猫と同様に、普段は民家の軒先や廃墟等を住処としています。SCP-311-JPは、本来その場を根城としていた野生生物等を追い出し、自身らの縄張りへと変えますが、この際、追い出した生物の中に猫が含まれていた場合、その性質を追い出した猫達にも伝播させ同じ性質を持つものに変えます。これは通常の猫との繁殖においても発生することが確認されていますが、SCP-311-JPと通常の猫を交配させた場合、通常の周期よりも遥かに速い10日前後1で出産にまで至ることが確認されています。 SCP-311-JPの持つ「家屋」の判断基準2は全く不明ですが、人工的に建造された、風雨を凌げる構造の建造物はほぼこれらの判断基準内に収まると考えられています3。このため、SCP-311-JPが都市中心部等にて通常の猫と接触、繁殖した場合、計り知れない被害が発生すると予想されています。 SCP-311-JPは、████地区の廃村から██kmの都市部で最初に発見されました。「村民が██名は居たはずの自身の故郷に猫しか居らず、全て廃墟化している」との情報が財団職員より伝えられ、当該区域の調査において多指症を患った猫(SCP-311-JP)が多く存在していたことが判明。サンプルとして一匹をサイト-81██へ移送した際、発生した大規模収容違反により特異性が発覚しました。SCP-311-JPがどのように発生したかは今もって不明なままです。 SCP-311-JPは████地区の廃村から人の住む地域へと徐々に流入したと見られ、当該地域周辺の人口の少なさから発見に遅れが出ました。少なくともこれらの廃村や人の居なくなった地域においてSCP-311-JP個体、及びその性質を持つ個体が███体から存在しているのではないかと考えられているため、当該地域の封鎖を敢行、SCP-311-JPの駆除作戦が計画されています。 SCP-311-JPの建造物への侵入実験(意図しないものも含め)が行われています。記録は以下の通りです。 + SCP-311-JPの建造物への侵入実験 - 実験記録を閉じる SCP-311-JP侵入実験記録 日時:20██/██/██ 実験対象:████地区の廃屋 結果:変化なし。SCP-311-JPは廃屋内を何度か出入りし、通常の猫と変わらない行動を見せていた。廃屋は、発見された当初となんら変わらない様子だった。この時点ではどのような特異性を持つか判明していない。 日時:20██/██/██ 実験対象:サイト-81██(意図せず発生したもの) 結果:[編集済]。この際、サイト内全職員消失。消失発生から30分後、急行した機動部隊により廃墟化したサイト-81██の確保が行われた。同時に多数のオブジェクトも消失したと見られているが、一部のオブジェクトは特異性等の影響かその場に残されたままだった。これにより大規模の収容違反が発生したことに加え、捕獲していたSCP-311-JPの一個体が逃走したと見られている。運び入れた職員を含め施設内機材も全てが破損、消失したため、SCP-311-JPの行方は現在も不明。 日時:20██/██/██ 実験対象:簡易的に作られた、一般的なアパート等の一室を模した部屋 結果:SCP-311-JPが侵入してから15分後、家屋は調度品も含め経年劣化に見られる崩壊を起こした。加えて、劣化した床面、壁面等から実験施設同区域内に存在している植物種の繁茂が発生。 日時:20██/██/██ 実験対象:眠っているSCP-311-JPを囲う形で即席の小屋を建て、その後テントで覆う 結果:小屋に変化は起きなかった。これに加え、周囲を覆う形でキャンプ等に使用されるテントを張ったところ、最後のペグを差してから10分の間に、早回しにしたようにテントの生地が傷み始め全体が日に焼けた劣化を見せた。特異性の発揮には、曝露物に何らかの居住性と、人間が居住可能な物としての外的認識が必要と見られる。 日時:20██/██/██ 実験対象:SCP-311-JPを囲う形でコンクリートでの簡易収容房の建設 結果:建造物としてほぼ完成したと見られる段階から5分後、房全体にヒビが入り、7分後に崩壊。内部に居たSCP-311-JPが█匹死亡。監視のために設置されていた機器は全てSCP-311-JPの効果を受け消失、及び破損した。 日時:20██/██/██ 実験対象:GPS発信機の取り付けられたラット5匹が入ったケージを置いた、一般的なアパート等の一室を模した部屋 結果:家屋はSCP-311-JP侵入から15分後に完全な廃墟と化し、植物の繁茂が発生した。5匹のラットは全てが消失し、ケージそのものも経年に放置されたかのように汚れ破損していた。消失したラットは数分間座標を送り続けていたが、1匹ずつ数分おきに信号が消失している。 日時:20██/██/██ 実験対象:通信機器、及びGPS発信機を持たせたDクラス職員 結果:SCP-311-JPと共にテント内にDクラス職員を配置してから5分後、Dクラス職員は徐々に風景へ溶けるように輪郭を失いながら消失。観察、会話の経過を見る限り、Dクラス職員に消失中の自覚はない様子だった。最中で消失が済み、会話は唐突に途切れる形となった。GPSによる信号は30分の間続いていたが、それを過ぎたところでGPSの反応は途切れがちになる。45分を過ぎた所でほぼ消失し、1時間後には完全に途絶えた。この1時間中、通信機器からは雑音が流れていたが、GPSの信号が途絶えるなり音声は途切れ、無音となった。 追記:SCP-311-JP由来と思われる消失、老朽化事象が████区域の学童保育所を皮切りに██件発生した。逃走したSCP-311-JPが周辺に多数潜伏していると思われる。現在捜索を進めており、現在までに██体のSCP-311-JPを確認、終了済。同地域に生息する猫、飼い猫の検査を徹底し拡散を防ぐこと。 Footnotes 1. 猫の妊娠から出産までの周期はおよそ60日強です。 2. 車両やケージを用いた一時的な運搬において異常性は発揮されませんでした。 3. コンクリートで覆った程度の簡易的な収容施設においてもこれらの効果は発生しています。
scp-312-jp
評価: +112+–x SCP-312-JP実体1、画像には異常性無効化処理済み アイテム番号: SCP-312-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-312-JPはサイト-8104のセキュリティロックの掛けられた収容室にて、GPSロケーターを取り付けられ、不透明の布を被せられた状態で保管されます。また、SCP-312-JPは重量計の上に置かれ、外部から常に重さをチェックされることになっています。職員は基本的にSCP-312-JPの収容室に入る事は禁止されています。万が一、やむを得ない理由で収容室内に入る際は、SCP-312-JPを視認しないように注意してください。なお、SCP-312-JPの持つ危険性から、収容室内にはカメラなどの監視装置は一切備え付けられていません。 説明: SCP-312-JPはそれを観察した者の認識に変化を与える、軍隊の行進を模したおそらく未完成と思われる高さ2m、長さ8mで横幅が0.5mの板状の青銅製の彫刻です。SCP-312-JPのいずれの部分にも、製作者の名前や題名などは記されていませんでした。SCP-312-JPは神奈川県██市にある第██陸軍技術研究所跡地の、地下倉庫の施錠された部屋より1947年に発見されました。同時にSCP-312-JPと関連が深いと思われる文書312-JP-Aも、部屋の隅にあった段ボール箱より発見され回収されました。確保及び収容時、数名の職員が直接SCP-312-JPに暴露したことで精神汚染を受け、後日終了されました。 SCP-312-JPを肉眼・写真・映像を通して一度でも見た者(以下、観察者)は、複数の段階を経て有害な精神汚染を受けます。初期段階では、観察者の認識に影響が表れます。観察者の目には、日本国籍を持たない人物が全て射撃訓練用の"的"に見えるようになります。"的"の形は概ね人型の木製の板であり、部位毎にそれぞれ点数表示が書いてあるように見えるとされていますが、これには個人差があるとされています。全てのケースで観察者は、"的"には頭部が30点で、胴体の中心部分は20点、胴体の他の部分には10点と書いてあるように見えると報告しました。観察者には"的"が動き、喋っているように認識されます。次に、観察者には著しい倫理観の欠如が表れます。観察者は"的"が実際には人間であることを知っていながら、全て破壊されなければならないと考えるようになり、破壊する場合には、より高い点数をとろうと執着するようになります。汚染の最終段階では、観察者の目に映る生物全てがそれぞれに適した形の"的"に見えるようになります。最終段階に至った観察者は非常に敵対的で危険であり、積極的に排除されるべきです。 時折、SCP-312-JPの収容室内から複数の人物が隊列を組んで歩くような音が聞こえると報告されています。いずれの場合も、収容室のすぐ外に設置された音声記録装置には何の音も記録されておらず、重量にも変化はありませんでした。 付録312-JP-01: 回収文書312-JP-A +文書312-JP-Aを参照する - 閉じる 回収文書312-JP-A 鈴木██少尉の個人手記(███島の忠号作戦に従事) 補遺: 口語訳済み、日付のみ複写時にアラビア数字に変換 1944年10月21日 「特別講義」を終えた中村中尉殿と共に比島に上陸してから一ヶ月が経った。米兵の姿なし。特別講義の成果は未だ実感できず。特別講義といっても、ただ兵士の彫刻を見せられただけであったが、日野大尉は役に立つだろうと請け負った。 1944年10月22日 やはり今日も戦闘はなし。米兵達がこの島に来たとして、自分に人が撃てるのであろうか。特別講義はそのための物だったと聞いてはいるが、やはり効果は実感できず。 1944年10月24日 米兵が上陸し、███飛行場が制圧される。避難時、一時的に山岡分隊へと編入される。分隊は山へと避難したが、急いでいたため糧食を持たず。その夜、米軍の野営地に奇襲を決行。米兵どもは射撃訓練用の的にしか見えず、撃ち倒すのも容易かった。中村中尉も同じだったようだ。特別講義は有効であったと言える。我らの分隊に損害なし。 1944年10月25日 行軍途中、避難してきたであろう比島人達と森で出会う。彼らもまた、的のように見えた。敵ではないと分かってはいるが、彼らを撃ちたいという強烈な衝動にかられた。 1944年10月26日 補給が断たれたとの無線が、新垣一等兵から部隊に伝えられる。米軍の攻勢も激しくなりつつある。我らの分隊は山から出る事が出来なくなった。 1944年10月27日 日中、米兵の偵察部隊と遭遇。森の中で白と赤の的は目立ち、容易く撃ち倒すことができた。中村中尉と点数を競い合う。彼は六十点の成績を収めたが、自分は三十点しかとることが出来なかった。戦闘後、新場上等兵が倒れた的を漁り、物資を奪った。これでまた当分は戦えるだろう。 1944年10月28日 偶然発見した米兵の野営地に夜襲をかける。米兵を側面から撃とうとしたが、的を横から見たような細い線にしか見えず苦労した。特別講義の欠点であろう。奇跡的にも我らの分隊に損害はなし。糧食や銃を奪い、再び森へと戻った。 中村中尉…百六十点 自分…百三十点 1944年10月29日 時折、中村中尉を除く他の六名の分隊員が的のように見える。空腹故の幻覚だろうか。しかし、どうやら中村中尉も同じ症状に悩まされているらしい。彼らを撃ちたくてたまらない。 中村中尉…零点 自分…零点 1944年10月30日 朝、目が覚めると六枚の的に囲まれていることに気づく。中村中尉と共に全て撃ち倒す。食料がなく、動物もいなかったため、仕方なくその的を食す。木のような味がしたが、不思議と食べづらくはなかった。 中村中尉…七十点 自分…九十点 1944年10月31日 小さい的が何枚か、空を飛んでいるのを見る。地上の小さくすばしっこい的を撃ち、それを食べる。植物と中村中尉以外は全て的に見える。全て撃たなくては。そのために残された時間はあまりにも少ない。 中村中尉…零点 自分…二十点 1944年11月1日 昼に、複数の的で構成された分隊らしきものと遭遇す。もちろん全て撃ち倒す。的の中の一枚は日本語を喋っていたような気がする。そのことについて中村中尉に尋ねたが、彼は否定した。 中村中尉…九十点 自分…五十点 1944年11月2日 弾が尽きそうだ。小さい的を短剣で仕留め、中村中尉と共に食す。食事の間や脚絆を巻き直している最中など、彼は自分のことをおかしな目つきで見ていた。我々は狂いつつあるのだろうか。 中村中尉…零点 自分…二十点 1944年11月(日付は不明) 朝、目が覚めると的が隣にあった。 撃ち倒した 自分…三十点 1944年11月(日付は不明) 的だ的しかない 中村中尉を見失ってしまった 自分… 点 (日時不明) 池があった そこに映った自分は 的だった 脚注 1. "Army Photography Contest - 2007 - FMWRC - Arts and Crafts - Bronze Courage" by: SSG Jimmy McGuire, used under CC BY. This photo is pixelated by grejum.
scp-313-jp
評価: +144+–x 擬態中のSCP-313-JP アイテム番号: SCP-313-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-313-JPはサイト-81██の低危険性生物飼育施設において昆虫用飼育ケージに入れられた状態で収容されます。施設内の温度、湿度は常に適切な数値に保ち、定期的な給餌を行ってください。SCP-313-JPの卵の口腔内への侵入を予防するため、飼育、実験などで職員がSCP-313-JPと接する際には衛生用マスクの着用が義務付けられます。SCP-313-JPの人体寄生の事例が報告された場合、財団エージェントを派遣しカバーストーリーの適用と関係者への記憶処理を行ってください。 説明: SCP-313-JPは日本の██地方を主な生息地とする、湿地性の水生カメムシ類と類似した生態を持つ未知の節足動物の一種です。成体は体長およそ8~15mmほどの丸みを帯びた薄い盾型の体形をしており、ケラチンから成る薄桃色の外骨格と3対6本の付属肢を有します。SCP-313-JPはその厚さ1mmに満たない体躯と細い脚部という外見に反し、非常に強い脚力を発揮することが可能です。 SCP-313-JPはヒトに寄生する人体寄生虫としての側面が知られており、植物の葉などに産み付けられたSCP-313-JPの卵が生野菜などを介して体内に侵入することで感染します。腸内で孵化したSCP-313-JPの幼生はリンパ管へ潜り込むと手足の末端にまで到達し、そこで爪母基に寄生し爪の生産能力を利用しながら自身の体を構築します。SCP-313-JPは1日におよそ0.05~0.08mmという緩やかな速度で成長しつつ通常の爪と同様に体外へ押し出され、7~8ヶ月間ほどで宿主の爪と完全に成り変わります。その外見は通常の爪とほとんど差異がなく、X線撮影などの詳細な検査なしに寄生を察知することは困難です。SCP-313-JPの経口感染の際には複数の卵を取り込んでいる場合が多く、ほぼすべての宿主には両手足のすべての指にSCP-313-JPの寄生が見られます。 寄生している間、SCP-313-JPは宿主から栄養を得ているため通常あらゆる活動の兆候を見せることはありません。しかし何らかの外的要因によってSCP-313-JPの体が損傷を受けた場合、SCP-313-JPはただちに活性化し活動を開始します。この活性化はほとんどの場合において爪切りを行おうとした宿主が先端付近にまで成長していたSCP-313-JPの外骨格を傷つけることで発生します。この際、宿主を同じくするすべてのSCP-313-JP個体が一斉に活動を開始することが知られていますが、どのような手段でこうした情報の共有が行われているかは判明していません。活性化したSCP-313-JP群は一様に宿主から離れようと試み、その強靭な脚力によって自身の体を指先から引き剥がします。SCP-313-JPの体は通常の爪と同じく角質によって固定されているため全個体の離脱が完了するまでに十数秒ほどの時間を要し、この過程は宿主に極めて強い苦痛をもたらします。 19██年にSCP-313-JPの存在が確認されて以降、現在までに████件に及ぶ人体寄生の症例が報告されており、財団による早急なSCP-313-JP全個体の駆除・収容を目標とした捕獲作業が行われています。
scp-314-jp
評価: +56+–x イベント発生中のSCP-314-JP。 アイテム番号 : SCP-314-JP オブジェクトクラス : Safe 特別収容プロトコル : SCP-314-JPの存在する道路では、地点Aを起点としてSCP-314-JPを含めた東西650mの区間を夜10時~2時の間「夜間工事の為通行禁止」として一般人の侵入を防いでください。地点AからSCP-314-JP内へ侵入した一般人が現れイベントが発生した場合、地点B付近で待機する職員によってイベント終了後に出現した侵入者を確保して下さい。この時SCP-314-JPの500m地点に存在する交差点については、南北に続く道路を封鎖する事で対象が東側に進むように誘導を行います。侵入者が生存していた場合は負傷の治療やインタビュー、記憶処理を行ってから解放し、死亡していた場合負傷の状態に合わせてカバーストーリーを適応してください。夜2時を経過しても侵入者が地点Bに現れない場合、侵入者を行方不明者として処理してください。 説明 : SCP-314-JPは鹿児島県██市の畑作地帯の私道上に存在するおよそ600mの区間です。圃場内の為街灯はほとんどなく、夜間の見通しは不明瞭です。SCP-314-JPでは以下の条件を満たした人(以下「対象」とする)が夜10時~2時の間にSCP-314-JPを西から東へと直進しようとした際に異常現象が発生します。(便宜上SCP-314-JPの両端の内、西側を地点A、東側を地点Bとします) ・地点A通過時に同伴者を連れていないこと。 ・徒歩であること。乗り物を用いた移動ではイベントは発生しません。 ・「両足」が存在する事。二本一対の足が一組存在する場合を両足と定義し、義足を使用している場合もこれに含まれます。 ・地点A通過時に他の人物によってイベントが発生していないこと。 以下の表は実験によって得られた地点Aからの距離ごとに起こるイベントを記した表です。なお、イベント発生中に対象およびSCP-314-JP-1を確認する事はできませんでした。 地点Aから対象までの距離 発生する現象 0~100m 対象は自身の後方から聞こえる1~数人分の足音を認識します。この時点では後ろを振り返っても対象は何らかの存在を確認することはできません。なお、イベント開始時にSCP-314-JP内に存在する全ての街灯は消灯され、以降イベント中に対象を外部から確認することが出来なくなります。 100~250m 後方から聞こえる音声に複数人の声が加わります。この時点で対象が振り返ると、対象からおよそ20m後方を歩く複数の存在(SCP-314-JP-1とする)の足を確認することが出来ます。 SCP-314-JP-1の姿全体を捉える試みは映像記録の乱れ、光源の故障などにより現在まで失敗しています。 250~500m 足音と声は引き続き聞こえますが、全ての声が同一内容の英語と日本語の混じった文章を繰り返すようになります。対象が前を向いている間、この音声と足音は次第に対象に接近してくるかのように音量が増大します。対象が振り返った場合、足音と声の音量は100~250m区間時の物に戻りますが、SCP-314-JP-1の数と種類、聞こえる音声の種類がランダムな数で増加します。この区間では対象が振り返らない場合、音声は最大で対象の後方約1mの地点まで接近します。 500m地点 十字路が存在します。対象が直進した場合イベントは継続しますが、左右の道に進もうとした場合では角を曲がり切った時点で対象が消失しイベントが終了します。なお、イベント発生中でもこの十字路は東、南、北から侵入した場合は自由に通行が可能です。その際対象及びSCP-314-JP-1を認識する事はありません。 500m~600m この区間ではSCP-314-JP-1は対象が振り返るかどうかを問わず次第に対象に接近してきます。しかしながら対象が確認できるのはSCP-314-JP-1の足のみであるということに変化はありません 地点B 対象は前方から近づいてくる、懐中電灯の物と思われる光を認識します1。それと同時にSCP-314-JP-1は叫び声を発しながら対象を走って追い抜かしていきます。この時対象はSCP-314-JP-1が衝突してくることにより何らかの怪我を負うことになります。区間内での振り返った回数が6回を超えていた場合、対象は多数のSCP-314-JP-1の殺到により圧死、または転倒とSCP-314-JP-1からの踏みつけによる複雑骨折や臓器破裂により死亡することがほとんどです。全てのSCP-314-JP-1が対象から10mほど前の場所を通過、消失した時点でイベントは終了し、SCP-314-JPに設置された街灯が点灯します。この時対象は地点Bに突如出現したかのように見えます。 なお、どの地点でもイベント中は対象が区間内で引き返そうとした場合、対象とSCP-314-JP-1が消失しイベントが終了します。また、イベント中のSCP-314-JP内にとどまり続けた場合も同様に夜2時を経過した時点で対象とSCP-314-JP-1が消失しイベントが終了する事が判明しています。 Footnotes 1. 対象から光源までの正確な距離の計測は、光を認識した時点でSCP-314-JP-1が走り出す為現在まで成功していません。
scp-315-jp
評価: +34+–x 評価: +34+–x クレジット タイトル: SCP-315-JP - 福神聞耳壷錯乱誘発性壷 著者: ©︎broken_bone 作成年: 2014 その他のライセンス 評価: +34+–x 評価: +34+–x その他 この記事はbroken_boneさんの作成した記事を復活させたものです。経緯はこちらを参照してください。 評価: +34+–x 評価: +34+–x アイテム番号: SCP-315-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-315-JPはサイト-8181の低危険度アイテム区画内の専用収容室に収容してください。収容室入口には常時二人以上の歩哨を立ててください。実験目的で入室する場合は、入室の一週間以上前に実験計画書を公表し、レベル3以上の職員3名以上の許可を得てください。実験以外の目的で入室する場合は、専用の大型ヘルメットを着用してください。現在、実験以外の目的での入室は認められていません。一週間以前に実験計画書が公表されていない場合、いかなる者の名義による命令書があっても、入室は許可されません。 レベル3以上の職員の入室は、現在禁止されています。 説明: SCP-315-JPは太った男性の頭部を模した、直径40cm、高さ25cmの褐色の壷です。左耳が壷の口になっており、壷として直立させると男性の顔は横倒しになります。原材料は珪素を主体とした多数の無機物から構成される粘土で、一般的な焼き物と同様の成分です。 SCP-315-JPの特異性は、壷の口に当たる部分に被験者が顔を当てる、もしくは当てようと考えた時点から、何らかの形で被験者が錯乱する点にあります。被験者の錯乱の度合いは様々ですが、どの場合においても実験が不成立になることが報告されています。たとえば、実験の前提条件である被験者の体調や過去の調査に不備があったり、実験の際に被験者が非協力的になる、実験の内容を突然失念する、突然錯乱して事実と異なる事柄を連呼しはじめるなどです。また、財団職員のセキュリティクリアランスレベルが上がるにつれ、被験者のみならず実験に関係する職員さえもが錯乱するという傾向が見られたため、現在セキュリティクリアランスレベル3以上の職員がSCP-315-JPの収容室に入室することは禁じられています。また、骨折博士と黒川博士の件1より、収容室への入室は一週間以上前から実験計画書を公開してからでなければ認められなくなりました。 SCP-315-JPは青森県██████村にて、████████████によって管理されていたものを財団が引き継ぎました。████████████の収容規定によれば、SCP-315-JPには願望実現能力があるとのことですが、これまでの実験でその効果は認められませんでした。 補遺: 実験記録:315-JP-2A(実験不成立) 日時:19██/██/██ 被験者:D-9329 実験内容:D-9329にトランプを一枚入れた封筒を所持させ、SCP-315-JPの口部分に顔を当て、「封筒内部のトランプの柄を教えて欲しい」と発声する。 結果:D-9329は封筒の中身について回答することができなかった。 付記:D-9329は発声後にSCP-315-JPから顔を上げ、「封筒に何か入ってる」などと発言していた。事前にD-9329にはトランプを封筒に入れていることを伝えてあったため、軽度の錯乱だと考えられる。 実験記録:315-JP-4B(実験不成立) 日時:19██/██/██ 被験者:██████博士 実験内容:SCP-315-JPの口部分に顔を当て、「ピザを食べたい」と発声する。 結果:実験直後、特に大きな変化は無し。しかし██████博士のオフィス宛に、サイト-8181の売店から冷凍ピザの宅配があった。██████博士は実験直前に注文したことを報告した。 付記:SCP-315-JPの願望実現能力の有無を確認するための実験であったが、██████博士の発した願望は既に本人によって叶えられていたため、実験として不成立であったと言える。 実験記録:315-JP-7A 日時:19██/██/██ 被験者:██████博士が声を吹き込んだテープレコーダー 実験内容:あらかじめ「封筒内のA4用紙に『A』と記入してください」という文言をテープレコーダーに吹き込み、SCP-315-JPの内部で再生 結果:特に変化なし 付記:実験としては失敗であったが、不成立にもならなかった。 実験記録:315-JP-11A(実験不成立) 日時:200█/██/██ 被験者:D-1102(事前の健康診断で直径1cmほどの良性腫瘍が直腸内に確認されている) 実験内容:SCP-315-JPの口部分に顔を当て、「直腸内良性腫瘍を消滅させてほしい」と発声する 結果:実験後に再度健康診断を行ったところ、D-1102の直腸内から良性腫瘍が消滅していることが確認された。 付記:事前の健康診断の際のビデオデータを確認したところ、実験後の診断データと直腸の形状が違うことが確認された。入念な調査の結果、D-1102の事前健康診断結果とされていたデータは、同日に健康診断を受診していた████研究員の物であると判明した。 実験記録:315-JP-19C(実験不成立) 日時:20██/██/██ 被験者:██████博士、D-0295 実験内容:SCP-315-JPの口部分に██████博士が顔を当て、D-0295の負傷の回復を願う 結果:██████博士は実験中に突然錯乱し、自身の右腕の切除を願った。しかし、██████博士はSCP-███-JPの実験により右腕を既に喪失していたため、何も起こらなかった。 付記:██████博士は実験中の錯乱に対し、何も覚えていないと供述している。 事件記録:315-JP-22A 発生日時:20██/██/█ 事件概要:SCP-315-JPの収容室に黒川博士が事前の実験計画の提出なく侵入し、オブジェクトの使用を行った。収容室前の歩哨には、O5の署名入りの命令書を提示し、侵入を認めさせた。しかし事後の調査により、6名分の署名のうちO5のものは2名分に留まり、3名分はO5ではない財団職員の署名で、残る1名分はO5-█本人の拇印であった。 付記:事件後の調査の結果、命令書に署名した職員は皆、署名した事実を記憶していなかった。しかし筆跡鑑定の結果2、いずれの署名も本人によるものと判明している。また、署名の中に一つだけ含まれていたO5-█の拇印についても本人の指紋と一致していた。黒川博士がSCP-315-JPの影響によって錯乱したのは明らかだが、O5を含む数名の職員にも何らかの影響を及ぼしていた可能性がある為、署名した職員の精神鑑定を行った。 文書315-JP22B [削除済] インタビューログ:315-JP-22C 対象: 黒川博士 インタビュアー: 骨折博士 付記: 黒川博士を拘束し、鎮静剤を投与してからインタビューは行われた <録音開始> 骨折博士: 黒川博士、私が分かるか? 黒川博士: 骨折……博士だ 骨折博士: そうだ。今日が何日か分かるか? 黒川博士: ██月の█日だったかな…多分 骨折博士: よし。それでは君が起こした一件に対するインタビューを開始する。 黒川博士: 私が起こした? 骨折博士: 先ほど君は、事前の計画書提出もなくSCP-315-JPの収容室に侵入し、オブジェクトを使用した。現在までのところ、特に影響は出ていないが…なぜ、あんなことをした? 黒川博士: あれは、命令だったんだ。SCP-315-JPの中に命令書が入っていただろう 骨折博士: これかね?[骨折博士が収容室から回収された文書315-JP-22Bの写しを提示する]原本は各種鑑定中だが、内容はこれで十分だろう。 黒川博士: それだ。そこに全て書いてある 骨折博士: ざっと拝見したが、この命令書は無茶苦茶だ。そもそも、君は入室の際にO5の署名が6名分入っていると歩哨に主張したらしいが、この██████博士と████教授と██████博士はO5ではないだろう。 黒川博士: しかし、他の3人は 骨折博士: 確かにO5-█とO5-██の署名はある。しかし、こちらの拇印は誰のだか不明だ。現在、筆跡鑑定も含めて照会中だが、命令書として有効とは言えない。 黒川博士: そうか… 骨折博士: そして、最大の疑問はこの内容だ。『SCP-315-JPを使用して、SCP-073-JPに分類されている地域を消滅させよ』とは、どういう意味なんだ? 黒川博士: それは…どういうことだ…? 骨折博士: SCP-073-JPは生物で、場所ではない。そもそも、我々はよほどのことが無い限り、オブジェクトの破壊などしない 黒川博士: それは、よほどのことがあって…いや、なにかあったのか? 骨折博士: 質問しているのは私だ、黒川博士。それとも、もう少し鎮静剤が必要なのか? 黒川博士: 私は、命じられて…それで、SCP-315-JPを使って…いや、私は使ったのか? 骨折博士: 少なくとも君が収容室に侵入し、使用を試みて、拘束されたのは事実だ。 黒川博士: じゃあ、私は使って…いや、使っていなくて…使った? 骨折博士: 少なくとも、君が意図したようには使えなかったようだな。 黒川博士: しかし、私はSCP-315-JPでSCP-073-JPを消滅させて 骨折博士: 確認を取ったが、SCP-073-JPは消滅などしていない。 黒川博士: つまり私は使っていない? 骨折博士: いや、使ったんだ。だいぶ落ち着かせたが、君の錯乱が使用を示している。 黒川博士: そうだ、私は使った。命令書の通りに、SCP-073-JPを周囲ごと消滅させて 骨折博士: だから、SCP-073-JPは消滅などしていない! 黒川博士: でも、私はSCP-315-JPを使用して…いや、命令は誰が? 骨折博士: 命令書はこの…分かった…君がもう少し落ち着いてから、また話を聞こう。最後に聞いておきたいが、君は何を思ってSCP-315-JPの中にこの文書を入れたんだ? 黒川博士: それが…いや、その文書はなんだ? 骨折博士: [インタビューに同席していた医療スタッフに向けて]鎮静剤を。錯乱の度合いが想像以上に酷い。 <録音終了> 終了報告書:黒川博士は重篤な錯乱状態にあるようだ。もう少し症状が安定してから、詳細な話を聞こう-骨折博士 追記: この後、文書315-JP-22Bの鑑定結果により骨折博士は拘束されました。 -████博士 追記2:後日、████博士が黒川博士のインタビューを行いましたが、事件前の記憶がないと主張しました。各種心理検査の結果、黒川博士の主張は正しく、記憶の復元も不可能であることが判明しました。黒川博士には簡易記憶処置を施し、現在の職場から転属することが決定されました -████博士 鑑定記録:315-JP-22D 鑑定日:20██/██/█ 鑑定及び記録者:████博士 鑑定対象:文書315-JP-22Bの紙質と、5名分の署名と手書き文字の筆跡、及び1名分の拇印 鑑定結果:黒川博士がSCP-315-JP収容室に持ち込んだ文書315-JP-22Bについて各種鑑定を行った。結果、紙質については財団で使用されている命令文書用紙と変わりが無かった。筆跡についてだが、署名をしていたO5-█、O5-██、██████博士、████教授、██████博士については、筆跡の形態と筆圧の変化3いずれも本人の筆跡であることが判明した。また、署名代わりに押されていた拇印についても、指紋の形状からO5-█本人のものであることが判明した。また、拇印にはO5-█本人の血液が使用されていることが遺伝子解析により判明したが、O5-█はここ二カ月の間医療行為を含めて、出血した記憶がないと主張している。なお、文書315-JP-22Bにおいて命令本文は手書きであったが、骨折博士の筆跡であることが判明した。 付記:鑑定結果により文書315-JP-22Bの作成に深くかかわっている可能性がある為、骨折博士を拘束の上、事情聴取を行う予定 追記:聴取及び各種心理鑑定の結果、骨折博士に心理的な刷りこみや記憶処置の痕跡は見られず、文書315-JP-22Bに関係した可能性は低いと判断された。しかし、SCP-315-JP及び事件315-JP-22Aに深くかかわっている可能性がある為、実験監督として不適格であると判断された。 骨折博士を上級研究員から一般研究員に降格する -O5-█ 脚注 1. 補遺315-JP-22Aを参照してください 2. 鑑定記録:315-JP-22Dを参照 3. 直筆の筆跡において、紙に残るペン先の食い込みの痕跡から、文字を書く際の筆圧の変化を解析することが可能です。そのため、本人の筆跡と形だけを似せた筆跡との区別ができます
scp-316-jp
評価: +32+–x アイテム番号: SCP-316-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-316-JPおよびSCP-316-JP候補オブジェクトはサイト-81██の低脅威度物品収容庫で、鍵つきの鎖を巻き付けて開き戸を開けることができない状態にして保管されます。SCP-316-JPおよびSCP-316-JP候補オブジェクトの内部に人間を入れる行為は禁止されます。 SCP-316-JP-Aはサイト-81██で、標準機能性ベッドに四肢と胴体、顔面を拘束した状態にして収容します。これはSCP-316-JP-A-Mの破損を防ぐための措置です。SCP-316-JP-Aには食事として標準流動食が提供されます。SCP-316-JP-A-Mの性能を確認する場合にのみ、SCP-316-JP-Aの拘束を解除することが許可されます。その際は、SCP-316-JP-A-Mを破損する行為を防止するために、2名以上の職員がSCP-316-JP-Aを監督する必要があります。特にSCP-316-JP-A-M-ARMは破損しやすいため、特段の配慮が必要です。万が一、SCP-316-JP-A-Mが破損した場合は、世界各国の行方不明者の状況から被害を確認してください。 説明: SCP-316-JPは新潟県████市████████に存在した廃墟で発見された鋼鉄製の直方体の物体であり、外見はロッカーに似ています。SCP-316-JPの寸法は幅0.934m、奥行き0.813m、高さ2.14mです。SCP-316-JPの内部は空洞になっており、正面の開き戸から内部に入ることが可能です。SCP-316-JPの内部に人間が入るとSCP-316-JPの異常性が発現されると考えられています。なお、SCP-316-JPが発見された廃墟では、SCP-316-JPと同形の物体が37台発見されています。この物体がSCP-316-JPと同じ異常性を有しているかは不明です。これらの物体はSCP-316-JP候補オブジェクトと指定され、SCP-316-JPと同様の方法で収容されています。 19██年██月██日、太田████氏(当時17歳)は友人の少年█名とともに前述の廃墟に侵入しました。彼らは廃墟を探索中、ある一室でSCP-316-JPを発見しました。太田氏は「ちょっとしたおふざけのつもり」でSCP-316-JPに入り込みました。太田氏がこうしてSCP-316-JPに入って開き戸を閉めて以降、太田氏は友人の呼びかけに応答しなくなりました。SCP-316-JPの開き戸は固く閉ざされ、少年たちはSCP-316-JPの開き戸を開けることができませんでした。結局、太田氏がSCP-316-JPから出てきたのはそれから約30分経過した後のことです。その時点で太田氏は異常な様態に変化していました。太田氏はSCP-316-JPに閉じ込められていた最中に何が起こったのかを覚えていませんでした。太田氏は現在はSCP-316-JP-Aと指定され、財団の収容下にあります。 SCP-316-JP-Aは肉体の一部が機械に置換されています。この機械は総じてSCP-316-JP-A-Mと指定されています。SCP-316-JP-AはSCP-316-JP-A-Mの機能により、言語技能指標4程度の英語とフランス語の技能を獲得しています。1SCP-316-JP-A-Mの一覧は次のとおりです。 SCP-316-JP-A-M 置換された部位 機能・特徴 M-EAR 両耳 耳の穴が金属製の網状の物体で塞がっているような外見をしている。通常の人間の耳と同程度の機能のほか、英語とフランス語の会話表現を理解させる機能がある。右のM-EARが英語に、左のM-EARがフランス語に対応する。 M-EYE 両目 セラミックの球と金属の円筒を組み合わせたような外見の装置。通常の人間の目と同程度の機能のほか、英語とフランス語の文章表現を理解させる機能がある。右のM-EYEが英語に、左のM-EYEがフランス語に対応する。アメリカやフランスで使われるジェスチャーを理解させる機能もある。 M-MOUTH 口 プラスチック製のマスク。口を塞ぐように取り付けられている。左右の側面に半径2cmほどの円形の穴が2箇所、中央に半径1cmほどの穴が縦に2箇所開けられている。左右の穴は金属製の網状の物体で塞がれている。この装置により英語とフランス語による自由な会話表現が可能になる。右の穴が英語、左の穴がフランス語に対応する。中央の穴はそれぞれ呼吸用、食事用に開けられている。食事用の穴は流動食のみ受け付ける。 M-ARM 右腕 金属のワイヤーで構成された腕のような外見の装置。右肩に2本取り付けられており、末端には3本の指のような装置がそれぞれ取り付けられている。この指に筆記用具を握らせることで、英語とフランス語により自由な筆記表現が可能になる。上部のM-ARMは英語、下部のM-ARMはフランス語に対応する。現在、後述の事件により切除されたM-ARMの解析が進められている。 実験の結果、SCP-316-JP-A自身には英語やフランス語の知識はなく、SCP-316-JP-A-Mの機能で英語とフランス語の熟達した技能を獲得していることが確認されています。たとえば、右のSCP-316-JP-A-M-EYEを塞ぐと、SCP-316-JP-Aは英語の文章を読解することも、アメリカで使われるジェスチャーを理解することもできなくなります。このことから、SCP-316-JP-A-Mには、SCP-316-JP-Aの思考を英語またはフランス語の表現に変換する機能、および、英語またはフランス語の情報をSCP-316-JP-Aの理解できる形式に変換する機能があると考えられています。 太田氏がSCP-316-JPに入ったのと同時期に下記の4名の人物が消息を絶っています。SCP-316-JP-A-Mの機能との関連性から、これらの人物はSCP-316-JPの異常性の影響を受けた可能性があります。 行方不明者 行方不明者の詳細 SCP-316-JPとの関連性 I████ A█████ アメリカ人男性。医師。テキサス州在住。 SCP-316-JP-Aが英語の会話をするときに発する声の声紋は彼の声紋と一致していた。また、SCP-316-JP-Aはテキサス州の方言による会話表現を理解する能力が高かった。会話の際に使用する語句にもその方言の話者と同じ傾向が見られた2。それ以外にも、SCP-316-JP-Aは英語による医療用語を理解することができた3。ただし、理解できたのは英語による会話の場合のみで、筆記された医療用語を理解することができなかった。 F████████ S████ フランス人男性。エンジニア。電子工学専攻。エソンヌ県在住。 SCP-316-JP-Aはフランス語による電子工学の用語を理解することができた。ただし、理解できたのはフランス語による会話の場合のみで、筆記された用語を理解することができなかった。なお、彼の声の記録が存在しないため、SCP-316-JP-Aの声と比較することができていない。ただ、SCP-316-JP-Aは英語を話すときとフランス語を話すときとで、発する声の声紋が異なる。 L███ D████ アメリカ人女性。学生。マサチューセッツ州在住。 SCP-316-JP-Aの英語の文章の筆跡は彼女の筆跡と一致していた。 M█████ F███████ フランス人男性。不動産業。イヴリーヌ県在住。 SCP-316-JP-Aのフランス語の文章の筆跡は彼の筆跡と一致していた。また、SCP-316-JP-Aはフランス語による不動産業の業界用語を理解することができた。ただし、理解できたのはフランス語の文章に記された場合のみで、会話の場合では用語を理解することができなかった。 19██年██月██日、SCP-316-JP-Aは実験中、誤って英語に対応するSCP-316-JP-A-M-ARMを破損しました。その際、その破損したSCP-316-JP-A-M-ARMは脱落し、10分かけて新しいSCP-316-JP-A-M-ARMが自動的に生成されました。新しいSCP-316-JP-A-M-ARMの筆跡は以前のものとは異なるものでした。この筆跡は、実験が行われたのと同時期に失踪したR█████ Z████████のものと一致していました。R█████はカリフォルニア州在住の弁護士でしたが、SCP-316-JP-Aは法律用語を新たに理解できるようになったということはなく、確認されている限り変化があったのは英語の文章の筆跡のみです。この事件以降、SCP-316-JP-A-Mの破損を防ぐため、特別収容プロトコルが改訂されました。 Footnotes 1. 言語技能指標4は、母語による高等教育を受けたネイティブスピーカーの言語技能の平均に相当します。英語とフランス語は幅広い地域で公用語として使用されていますが、SCP-316-JP-Aが獲得しているのはアメリカで使用される英語と、フランスで使用されるフランス語の技能です。 2. 英語の文章を書く際にはそのような傾向は見られなかった。これは、英語に対応したSCP-316-JP-A-M-ARMが再生成された後でも同様である。 3. ただし、理解していたのは用語の定義の概要だけであり、その用語の意味を詳細にまで理解していたわけではない。これは後述の他の専門用語についても同様である。
scp-317-jp
評価: +33+–x 回収されたSCP-317-JP-1のうち一点 20██年のオークションにて███████円で落札された アイテム番号:SCP-317-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-317-JPはサイト-8181の安全保管ロッカーに施錠され保管されます。実験で生じたSCP-317-JP-1は実験終了後すべて焼却処分してください。 説明: SCP-317-JPは当時現代アートの新鋭として高い人気を博していた画家である████氏が愛用していた木製デッサン用イーゼルです。寸法は幅約70cm、高さ約188cm、重さ約2.9kgで、材質は一般的なフタバガキ科の南洋材が使用されておりその他特筆すべき異常な構成要素は発見されませんでした。 SCP-317-JPを用いて絵画が描かれた場合、その作品は完成後に例外なく異常な特性を発現します(これらはSCP-317-JP-1に指定)。"絵画"の基準は作者が「美術作品として完成させた」という認識を持っていれば単純な図形や直線といったものでもSCP-317-JP-1となり、逆にそうした意識を持たない文章や設計図などでは異常性は発現しません。SCP-317-JP-1を購入、譲渡、賃借、窃盗などにより作者を除く人物が所有した場合、"所有者"の視力はゆっくりと低下していき14ヶ月から18ヶ月間かけて失明へと至ります。SCP-317-JP-1を手放す、もしくは破壊することで症状の進行は止まりますが低下した視力が回復することはありません。またSCP-317-JP-1を複数所持している場合、症状の進行はその数に比例して早まることが実験により確かめられています。 またSCP-317-JP-1は直接視認した人間の精神に一定の確率で影響を与えます。影響を受けた人物はその作品に対して高い関心を寄せるとともに賞賛の言葉を口にし始めます。また他者へ自身が抱いた感想を積極的に伝えたいという強い衝動に襲われ、これによって被験者は曝露したSCP-317-JP-1について「どれほど感動したか」「如何に素晴らしいか」など周囲の知人に触れ回り、多くの場合インターネット上での喧伝行為へ発展していきます。なおこの衝動の強さは常識的な範疇に収まっており、行為を強く咎められたり中止を強要された場合には問題なく自制が可能です。この特性は██博士の強い要請を受けて入念な調査及び実験を継続した結果明らかになりました。 SCP-317-JPが使われ始めた時期と彼の作品が話題になり始めた時期はおおよそ一致していたし、何よりあのクソ[編集済]な絵があれほどの人気を集めるにはそうした理由でもなければ納得できない。 - ██博士1 影響を受ける条件や確率、その継続期間などは現在調査中ですが、氏の人気の規模から推定して国内で最悪█████人が現在オブジェクトの影響下にあるとされています。影響を受ける確率は少なくとも1%以下と非常に低確率であり、その影響も曝露から48時間を過ぎると急速に弱まっていき72時間以内には完全に消失することが確かめられました。そのため現在SCP-317-JP-1の影響を受けている人物は存在しないと思われます。 SCP-317-JPは████氏から作品を寄贈された複数の美術館の責任者たちが原因不明の視力低下を訴えているという情報が報告されたことで発見されました。調査の結果20██年以降に制作された████氏の作品の所有者全員に同様の症状が表れていたため、すぐさま財団エージェントによってすべてのSCP-317-JP-1は回収され、████氏の証言から同氏のアトリエに置かれていたSCP-317-JPも同時に収容されました。調査が行われた時点で、氏の作品を所有していた美術品蒐集家██名のうち██名が重度の視力障害を患い、██名は失明していました。 SCP-317-JPの起源について████氏は、数年前に作品の路上販売を行っていたところ話しかけてきたスーツ姿の中年男性から譲り受けたと証言しました。男は自らを芸術文化の振興に寄与する団体に所属していると称した上で「大衆の審美眼の底上げとなる」などと述べ氏にオブジェクトを譲渡しています。現在この人物及び団体について調査が行われていますが詳細は判明していません。唯一、オブジェクトの受台の裏面に貼付されたシールにて関連すると思われる記述・文章317-P63が確認されています。 文章317-P63 芸術を語るにあたり、もっとも性質が悪いのは本質が見えない者たちである。 それは何も見えないことよりも、さらに輪をかけて厄介なのだ。   我が国の芸術環境の向上と文化の発展を目指して。 補遺317: 記憶処理を施され解放された████氏がその後発表した新作が以前と同様好評を博したことから、氏の作品には継続的な追跡調査が行われました。しかしいずれにも異常な性質は確認されず、またその後ほどなく人気が低迷したことから現在この調査は打ち切られています。 Footnotes 1. ██博士は美術分野に関する造詣が非常に深いことで知られています。
scp-318-jp
評価: +34+–x アイテム番号: SCP-318-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-318-JP-1及びSCP-318-JP-2はサイト-81██内にある低危険度オブジェクト用の鍵のかけられたロッカーに保管してください。実験以外での持ち出しは許可されません。 実験を行う際には防音加工の施された部屋にSCP-318-JP-1及びSCP-318-JP-2と被験者のみを配置して行ってください。実験中の被験者との音声での応答は被験者に取り付けられた骨伝導マイクを通して別室から行う場合にのみ許可されます。現在実験に異常性の無いレコードプレーヤーとアナログレコードを使用する事は認められていません。異常性の無いレコード等を使用した実験を希望される方は主任研究員に許可を求めてください。 SCP-318-JP-1及びSCP-318-JP-2の発見はその異常性により困難であるため、病院や老人介護施設、日本認知症学会などの各種団体に潜伏しているエージェントによって収容のための調査がなされ、SCP-318-JP-1及びSCP-318-JP-2の可能性のあるオブジェクトは回収部隊え-1(レコードマニア)によって直ちに回収されます。 説明: SCP-318-JPはレコードプレーヤーとアナログレコー ドを媒介物として感染する認識災害です。媒介物となるレコードプレーヤーがSCP-318-JP-1、アナログレコードがSCP-318-JP-2です。現在までにSCP-318-JP-1は███台、SCP-318-JP-2は████枚収容されています。 SCP-318-JPは19██/██/██アナログレコードの収集家でもあったエージェント・███が自身の保有している幾つかのレコードの作曲家名を長期的に記憶出来ない事により発見されました。 SCP-318-JPはSCP-318-JP-1かSCP-318-JP-2を使用して録音された内容を再生すると、そのアナログレコードに関連する、所持に至った経緯を含むいくつかの情報を恒久的に忘却させる記憶障害と、その状態を異常であると認識しなくなる認識障害を引き起こすオブジェクトです。SCP-318-JPによる記憶障害は、忘却した情報を改めて獲得した場合、一時的にですが記憶障害から回復します。獲得した情報が長期的に記憶される事はありません。 SCP-318-JPによる影響は再生された内容のみに限定されますが、SCP-318-JPに暴露された時点から最低██年以上経過し、年齢が██代になるとSCP-318-JPによる影響は悪化していき、最終的にSCP-318-JPに暴露された人物は耳から入るあらゆる情報を認識する事が出来なくなります。 SCP-318-JP-1とSCP-318-JP-2の異常性はアナログレコードとレコードプレーヤーに伝染します。SCP-318-JP-1を使用して異常性の無い一般的なアナログレコードを再生した場合、アナログレコードはSCP-318-JP-2となりSCP-318-JPの異常性を発露します。SCP-318-JP-2を異常性の無い一般的なレコードプレーヤーで再生した場合、レコードプレーヤーはSCP-318-JP-1となり異常性を発露します。 + 実験記録を表示 - 実験記録を隠す 実験記録SCP-318-JP-1-██ -19██/██/██ 対象: Dクラス 1名 実施方法: 女性歌手█████による██万枚を売り上げた異常性のないレコード。事前に異常性の無いプレーヤーで再生したところ、被験者もファンであると発言した。 結果: ファンであると発言したにも関わらず被験者は再生されたレコードの歌手名を答える事が出来なかった。歌手名を告げたところ被験者はド忘れしていただけだと発言した。実験で使用されたレコードはSCP-318-JP-2-██に変質した。 分析: 女性歌手█████の他の楽曲について質問したところ淀みなく答えた。今回の実験で使われたレコードに収録されていた楽曲だけ記憶から抜け落ちたとみられる。 実験記録SCP-318-JP-2-██ - 19██/█/██ 対象: Dクラス 5名 実施方法: SCP-318-JP-2-██を再生。 結果: 事前に説明していたにもかかわらず被験者全員がSCP-318-JP-2-██のタイトルや歌手名を答える事が出来なかった。答えを告げたところ被験者全員が即座に思い出した。 分析: 想定された通り、SCP-318-JPの影響力は人数と関係ない事が判明した。 実験記録SCP-318-JP-1-██ - 19██/██/██ 対象: 音楽的教養のあるDクラス 1名 実施方法: 被験者自身に作曲と演奏をさせた楽曲を録音したレコードをSCP-318-JP-1-██で再生。 結果: 被験者は自身が作曲した楽曲である事は記憶していたが、楽譜を見なければ改めて演奏する事は出来なかった。 分析: SCP-318-JPによる影響は対象の経験に左右されない事が判明。SCP-318-JPを大規模な記憶処理へ運用する事を提案する。―主任研究員 要請のあった記憶処理へのSCP-318-JPの使用ですが、SCP-318-JPの効果が限定的である為に却下します。―サイト管理者 実験記録SCP-318-JP-2-███ - 19██/██/██ 対象: Dクラス 1名 実施方法: 電源を利用しない手回し式の蓄音機を使用してSCP-318-JP-2-███を再生。 結果: 異常性は発露され、蓄音機はSCP-318-JP-1-██に変質した。 分析: 電気を通じて異常性が伝染する可能性が否定された。 実験記録SCP-318-JP-2-███ - 19██/██/█ 対象: Dクラス 1名 実施方法: 再生中のSCP-318-JP-2-███を一般的なテープレコーダーに録音し、再生。 結果: 異常性の発露は確認出来ず。SCP-318-JP2-███を録音したテープと使用したテープレコーダーに異常性が伝染する事は無かった。 分析: SCP-318-JPによる他の物品への異常性の伝染はレコードを使用した機器に限定されるとみられる。 実験記録SCP-318-JP-1-███ - 20██/██/██ 対象: 犬 実施方法: 飼い主の呼び掛ける声を録音したレコードをSCP-318-JP-1-███で再生。 結果: 被験者は再生されたレコードに対し耳を立てるなどの反応を示す。実験終了後飼い主である一般研究員██が被験者を迎えに行くと被験者は飼い主の足元に尻尾を振りながら駆け寄った。 追記: その後の実験で今回使用されたレコードがSCP-318-JP-2-████に変質した事を確認。 分析: SCP-318-JPに暴露された動物への影響を確認するのは困難である事に確証を得た。 SCP-318-JPの異常性は重要度の小さい記憶障害と認識障害を引き起こすだけだと考えられていました。ですが20██/█/██に発生したサイト-81██内での小規模な収容違反により、サイト内で避難指示のためのサイレンが流された際、サイト-81██のサイト管理者として勤務していた███がサイレンの意味を認識出来ずに廊下で狼狽しているところを発見された事により新たな異常性が発覚しました。サイト管理者███はSCP-318-JPの発見に関わった人物で、SCP-318-JPに暴露された経験が有ります。 初期のインタビューではサイト管理者███が加齢による初期の認知症であると考えられましたが、インタビューを数回行った結果、サイト管理者███が人間を含めた生物の声や、警笛や楽器などの機器から発生される音に対する認識能力の著しい低下が確認されました。 追記: サイト管理者███はサイト管理に必要な能力の低下により、20██/█/██にその任を解かれました。現在は財団のフロント企業が経営する老人介護施設で経過観察中です。 補遺: 現在国内における認知症患者である高齢者の内██%がSCP-318-JPに過去、暴露された可能性があります。
scp-319-jp
評価: +70+–x SCP-319-JP外観 アイテム番号: SCP-319-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-319-JPの敷地内はダミー会社の私有地として偽装されます。SCP-319-JP担当職員は敷地内の観測所イプシロン-RASSにて勤務します。SCP-319-JPから周囲2kmには動体感知センサー付きのフェンスを張り、警備員を巡回させてください。もし一般人の立ち入りを検知した場合、警備員が速やかに強制退去させます。有事の際は、即時のBクラスまでの記憶処理が許可されています。 説明: SCP-319-JPは██████に位置する、廃墟となった研究施設です。元々は何の研究を目的として運営されていたのか、誰が所有者だったのかは不明なままです。 SCP-319-JP内部に入るには、用途不明の大型パラボラアンテナに備えつけられた扉を使用します。パラボラアンテナは2つ存在しますが、出入り口は片方にしかありません。SCP-319-JPは最高で地下5階にまで至り、内部では常に局所的な時空間異常が発生しています。この時空間異常は不安定で、そのほとんどが流動的なものです。更に、施設内では様々な要素を持つこうした時空間異常が幾つも並列して発生しています。専門家は、綿密な調査を行えばこの時空間異常のパターンを掴めるものと推測していますが、現状では全く把握できていないままです。 SCP-319-JP内部では、あらゆる通信機器が使用不能になることが判明しています。これは時空間異常が通信に干渉するためだと考えられています。なお、施設内は未だに未知の供給源から電力が送られ続けており、電灯や一部の設備の使用が可能になっています。 SCP-319-JPは2███/09/15に、複数人の"廃墟マニア"の失踪に関連したとして財団の注目を惹きました。調査チームはまず、小型の無人機にてSCP-319-JP内部の調査を試みました。しかし、探査開始から僅か5分で無人機との接続が失われたため、任務は失敗に終わりました。45分後、無人機の回収および内部調査のために、D-29974を派遣しました。彼は施設に入ってからおよそ30秒後には地下2階部分にて無人機を回収し、施設の外へと出てきました。待機していた職員が何故そんなに早く無人機を回収できたのかを尋ねると、D-29974は自身が1時間近くのあいだ施設内を彷徨っていたはずだと主張しました。エンジニアが無人機を調べた所、6時間の連続運用が可能なバッテリーは既に切れており、休眠状態に入っていることが判明しました。これらにより、SCP-319-JP内部では局所的な時空間異常が幾つも発生しているものとの仮説が立てられました。 探査319-JP-0002 日付: 2███/09/30 探査319-JP-0002では、専用の機動部隊う-2("タイム・イズ・マネー")が構成され、探査に向かいました。有益と思われるサンプルの回収、内部の調査、異常性発生の原因解明が任務として設定されました。 発見されたオブジェクト #319-JP-004 地点 地下1階、セクションA-003 概要 不明な人物2名の白骨化死体。お互いに寄りかかる様に重なった状態で発見。サンプルを回収しようとしたが、消失した為に失敗。過去か未来の空間の一時的な出現であったと推測される。 #319-JP-011 地点 地下2階、セクションF-056 概要 切り取られたメモ用紙1枚。英語で「Why we fail 5/22/39」と書かれている。詳細は不明。サンプルは回収された。 #319-JP-013 地点 地下2階、セクションG-014 概要 Heckler & Koch社製のMP5KA1短機関銃。シリアルナンバーは削られている。15発装填の短縮化弾倉には、7発の銃弾が残されていた。 #319-JP-026 地点 地下2階、セクションG-068 概要 ノート1冊。回収済み。その内容から、TP誘因可能性オブジェクトに指定。全内容の閲覧には要レベル4以上のセキュリティクリアランス。 補遺: メンバーの内、う-02ブラボーは地下2階のセクションF-048を探索中に、身体の急激な老化に見舞われました。チームメンバーはセクションF-048への進入は危険だと判断し、ブラボーの回収後、撤退を決定しました。任務終了後の検査で、ブラボーは90歳相当の肉体にまで衰えていることが判明しました。本人の希望により、ブラボーの妻と娘には、彼が"フロント企業への通勤途中に交通事故で死亡した"という虚偽の情報が伝えられました。 探査319-JP-0002: 施設内画像(抜粋) う-02チャーリーにより撮影されたSCP-319-JP内部の画像。それぞれ詳細なアクセスが可能です。 探査319-JP-0003 日付: 2███/10/03 探査319-JP-0003では、機動部隊か-05("コフィン・ダンサー")を探査のため機動部隊う-03("ウォッチメイカー")に変更し、SCP-319-JP内部に派遣しました。 補遺: 任務は失敗し、チームメンバーは1名も帰還しませんでした。捜索隊のSCP-319-JP内部への派遣は却下されました。 <発見されたオブジェクト#319-JP-026の閲覧を申請。>
scp-320-jp
評価: +51+–x アイテム番号: SCP-320-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-320-JPはサイト-8123内の低危険性物体保管ユニットに収容されています。SCP-320-JPのミーム汚染に暴露した職員は、クラスD記憶処置を実施してください。 説明: SCP-320-JPは████社から製造及び販売された、長さ90cm・重量270g、一般的な外見をした1本の杖です。素材はブナ(Fagus crenata Blume)の木で製作されており、異常性を持つオブジェクトはSCP-320-JPのみで、製造者の同商品に同様の異常を持つ物品は発見されませんでした。 SCP-320-JPは201█年、栃木県██市に営業している福祉老人施設██で発見されました。SCP-320-JPの所持者は当時90歳の男性入居者で、凡そ6年前から老人ホームに入居していました。しかし異常が確認される1年前から男性の評価が著しく変化し、他入居者の心理変化が認められるようになりました。 主に、男性を「仙人の生まれ変わり」と評する・貴重品を譲渡するといった行動が施設ホームで頻繁に確認されています。施設に2年前から偽装潜入していたエージェント・ヨコシマがオブジェクトの異常性を看破した後、押収しました。エージェントの調査では男性の杖の購入理由は加齢からくる筋肉の衰えで、主に歩行目的で使用していました。杖を購入したのは男性の親族で、異変が確認され始めた1年前にプレゼントされたことが判明しています。エージェントはSCP-320-JPを回収し、男性及び施設関係者に記憶処置を実施した後、同品の歩行杖を男性に提供しました。 SCP-320-JPはミーム汚染を持ち人間が所持した場合のみ活性化します。SCP-320-JPを所持した状態を目撃した第三者は、所持者に好意的な気持ちを抱き、積極的に「所持者の助けになりたい」と考えます。杖を所有した状態であれば写真や映像でも効果があり、異常性が進行します。 初期症状では親切な態度を取る、所持者が歩行時にトラブルかないか注視する程度ですが、所有者を目撃する回数・共有時間が増加するにつれて指数関数的に心理状態が重度化します。症状が進行すると所有者をほとんど崇拝に近い形で賛美します。 末期状態になると、感染者は自身の肉体の一部を提供する、所有者の反応を顧みない一方的な好意を行います。Dクラス職員による実験では、ミーム汚染を受けた職員は所有者が重犯罪者であるにも関わらず、好意的に受け止め賛美しました。 汚染影響で最も特徴的なのは、本来の性格や犯罪の事実の無視・所有者を庇護下に置き自身が出来うる限りの親切を行う・所有者に身体的障害がないにも関わらず不自由があるように認識し始める点です。前提として感染者は所有者を身障者や怪我人のように捉えており、40時間以上所有者と接すると治癒不可能なほど病状が進行します。 重症化する以前に感染者に記憶処置を施すことでオブジェクトの影響から脱することが可能ですが、SCP-320-JPを所持した状態の所有者をもう一度目撃した場合、急激に深刻な末期症状となり[削除済]。 尚、本所持者である男性周囲で末期症状が確認されなかったのは、福祉施設における環境ゆえであると想定されています。当時男性が入居していた施設では運動と外出の機会が少なく転倒防止を防ぐため、施設内でも車椅子による移動の推奨と、他施設と比較してバリアフリーの徹底が成されていました。実際施設では安全面を売りにし、良質な生活環境を整えており、上記の点から元所持者であった男性はオブジェクトを使用する機会が少なかったと推定されています。 実験記録ログ- SCP-320-JP-1: 当実験はSCP-320-JPの効果を調査するため実施されたものです。SCP-320-JPの所持者としてD-735、感染者D-87として実験に参加させました。オブジェクトの効果を確認するため、同室に72時間待機。およそ41時間経過したところで、D-87に異変が確認されました。 <ログ開始> D-87: なあ、博士、博士、聞いてくれよ。 ████博士: ……何でしょうか? D-87: 博士、その、Dクラスってのは……要は使い捨てみたいなもんなんだろう……? ████博士: 最低限の命は保証します。無意味に人員を削減しません。 D-87: 博士、俺はどうしようもねえクズだけどさ、こいつだけは…どうか助けてやってくんねえかなあ? ████博士: D-735のことでしょうか? 私にはそのような権限はありません。そうしてあなたが助けを乞うたところで無意味だと伝えておきます。 D-87: こいつはすっげぇ良い奴なんだよ、きっと犯罪犯してしまったのも何かの間違いに違いねぇ。ただ横にいるだけでもわかるんだ。きっとD-735は嵌められて……誰かを庇っているに違いないんだ。冤罪なんだよ、悪いことするわけないんだ。 ████博士: D-735の罪科は連続婦女暴行殺人……証拠もきちんと揃っており、どれだけ肩をもっても言い逃れのできない状態でした。中には未成年者が……█歳から8█歳の女性を虐げてきたのです。不本意の妊娠もあります。あなたはどうして、そう思うのでしょうか? D-87: 馬鹿だな、博士。良い人ってのは理屈じゃないんだよ。こいつは純粋なんだ。暴行が何だよ、どうせ、女側の被害妄想みたいなもんだろう。こいつの赤ちゃん産まなくちゃ! きっと良い子が生まれるんだろうな。こいつは……心が清らかで、きっと神様の生まれ変わりに違いないんだ。だからさあ!博士! [D-87は駆け出し、収容室のドアを殴る。] D-87: D-735は身体も悪いんだ、こんな可哀想なことがあるかよ! ████博士: D-735は至って健康的です。障害の有無は認められませんが……? D-87: あいつは杖を持っているだろう!! ████博士: 杖を持っているだけです。 D-87: あぁ、うるせえ……見た目は普通の人と変わらねえが、見て分からない障害なんだよ。辛いよな、見た目は普通なのに理解してもらえないのは……痛いとも言わないし、不平も言っていないし偉いよ本当。……なあ、博士、なぁ博士! 博士、俺がこいつの身代わりになってやるよ! 任期終わったあとは俺の全財産をこいつにあげるんだ……! 根が良い奴だから社会復帰もできる! 博士、なあ、こいつは人間なんだよ! 純粋な! 神様みたいな奴なんだ! そんな奴を殺してしまうのは間違いだと思うだろう! なあ、なあ、なあってば! おい、博士ぇ、博士ー! [D-87は数十分間ドアを殴り続けた。この時点で████博士は警備員を呼び寄せ、警戒態勢を敷く。ドアは破壊されなかったが、収容室から更なる異変が起きた。] D-87: ……どうしたんだ、D-735。お腹すいたのか? すまねえが、昼飯さっき食べちゃったしなあ。何もねえな。そうだ、これなんてどうだ。食べてくれよ。 [D-735の悲鳴と物音。それに混じって湿っぽい音が響く。] D-735: は、はかせえ! 博士、D-87が、あああ、こいつやべえ! うわぁ……誰かきてくれ !気持ち悪いんだよ!! こっちに、くるなあぁあ! [この時点で警備員が収容室に突撃した。収容室ではSCP-320-JPを放り投げたD-735と、昼食時に使用したスプーンを使って自身の眼球を抉り、D-735の口に無理矢理詰め込むD-87の姿が目撃された。] D-735:[嘔吐及び嗚咽。] D-87: ああ、すまねえすまねえ。これやるから、さ、ね? [D-87は自身の歯を抜き、押し付ける。D-735が錯乱し暴れる度に爪・舌・毛髪を提供し続けた。] <ログ終了> 実験を中止し、D-735とD-87を個別の部屋に移動途中、D-87は自身の皮膚を剥がし、D-735の元へ駆け寄ろうとしました。[削除済]の為、D-87は警備員によって終了。D-87の暴走の理由は、D-735が自身の吐瀉物によりユニフォームが汚れおり、衣類を綺麗にするために自身の皮膚を剥いだものだと考えられます。D-87のユニフォームもD-735と同様に清潔な状態ではありませんでした。 + SCP-320-JP-補遺-A  - テキストを隠す SCP-320-JP-補遺-A: SCP-320-JPを押収から█週間後、老人ホームで元所持者である男性が殺害された事が判明しました。男性は入居者数名による暴行で死亡しており、加害者側の主張によれば「男性に全財産を奪われた」、「騙された」と発言しています。警察の事後調査で男性の預金通帳は膨大な数値となっており、加害者側の主張を裏付ける事態となっています。この事件はSCP-320-JPの直接的な影響ではなく、SCP-320-JPを損失したことにより生じた、二次的な事件だと推測されています。 なお、元所持者が入居していた施設の職員は、軽微ながらもオブジェクトの影響を受けていたことが推測されており、貴重品を譲渡する行為に、疑問を持たなかったと考えられています。 殺人事件の発覚後、SCP-320-JPを発見したエージェント・ヨコシマには、記憶処理を施しました。
scp-321-jp
評価: +80+–x アイテム番号: SCP-321-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-321-JPはエリア-8144内部に作られたトタン小屋に感染させることと、専用のアンプルに保存することで収容されています。エリア-8144の入り口は3重にして、エリア内から出る際には開閉前に検疫、滅菌を必ず行ってください。SCP-321-JPを他サイトを含む建築物内に収容することは禁止されています。1ヶ月おきにプレハブ小屋を建築しSCP-321-JPを感染させ、アンプルの中身も同じように交換してください。それ以前のトタン小屋は解体し殺菌し処分してください。 現在、SCP-321-JPの収容違反が起こっています。SCP-321-JP-1を発見した場合、収容チーム"シロアリ駆除"が収容にあたります。 説明: SCP-321-JPは人工の建築物に影響を及ぼす未知のウイルスです。SCP-321-JPは建築物内部でのみ増殖し、建築物に「感染」します。SCP-321-JPに感染した建築物(SCP-321-JP-1と呼称)の内部では、感染してから1~3日後にSCP-321-JPの発熱と著しい温室効果による極端な温度上昇、部屋内部の気圧の突発的な上昇に伴った突風、水道水が粘性のある液体に変化、水道の蛇口を締めているのにも関わらず水が漏れ出るなどの異常現象が発生します。SCP-321-JP-1内で観測された最高温度は███℃、突風の最高速度は[削除済](補遺を参照)。SCP-321-JP-1内に人間が住んでいた場合その人物は異常をほとんど認識できません。多くの場合、SCP-321-JP-1内の人物はSCP-321-JPが引き起こす温度上昇や、突風により負傷、又は死亡します。 SCP-321-JPは人工の建築物に対して非常に強い感染力を持ちますが、建築物以外には感染しません。そのため、収容違反を防ぐため鍾乳洞を利用して作られたエリア-8144内に収容されています。SCP-321-JPはSCP-321-JP-1内に入った生物の体表に付着し感染を広げるほか、突風によりSCP-321-JPが建築物へ感染することや上下水道を通じての感染が確認されています。SCP-321-JP-1内のSCP-321-JPが他の建築物に移動しその建築物が感染した場合、約24時間ほどで元のSCP-321-JP-1では異常現象は起こらなくなります。また、SCP-321-JP-1が全半壊した場合、異常性は消失します。しかし、どちらの場合でもSCP-321-JPはSCP-321-JP-1内部に長期間残存しているため1、生物などによる媒介は起こります。SCP-321-JPは、市販されている消毒薬などで死滅させることができることが判明しています。 SCP-321-JPは20██年11月に██県███市で多数の負傷者が路上に倒れているとの報告を受け、警察関係者に扮した財団エージェントが調査に入り異常が発見されました。警察関係者及び近隣住民には記憶処理がなされ、死体は凶悪犯による犯行として処理されました。現在、初期確保時のSCP-321-JPキャリアの処理の遅れ、および20██/██/██の収容違反により██県を中心に広い範囲でSCP-321-JPの感染が確認されています。 + 実験記録321-JP - 実験記録を閉じる 実験記録321-JP-A-日付20██/11/15 目的:建築物の状態による感染の有無 対象:全壊、及び半壊した住居 結果:どちらも感染しなかった。通常のSCP-321-JP-1を全半壊させた場合、異常性が消失した。 考察:全壊、半壊した建築物には感染しないようだ。 実験記録321-JP-B-日付20██/11/24 目的:建築物の構造による感染の有無 対象:それぞれ屋根、入り口、窓、水道の無い住居 結果:屋根と入り口の無い住居は感染せず、窓と水道の無い住居は感染した。 考察:収容違反の際の目安にしよう。 実験記録321-JP-C-日付20██/12/03 目的:建築物の種類による感染の有無 対象:プレハブ小屋、トタン小屋、犬小屋、ミニチュア 結果:プレハブ小屋とトタン小屋は感染し、犬小屋とミニチュアは感染しなかった。 考察:収容に使うのはトタンでいいだろう。 + 音声記録321-JP - 音声記録を閉じる 音声記録321-JP-1:初期確保時の機動部隊や-9"訪問販売"アルファチーム人員(以降A、B、Cと呼称)による音声記録。 A:異常な特性を有している家屋を発見した。これより突入する。 B:(サーモグラフィで確認しつつ)内部温度は約1██℃、サウナみたいですね。 C:サウナの湿度は低いが、こっちはどうだろうな。 (突入音) B:湿度も高い、長時間留まるのは危険と思われます。 A:あぁ、さっさと終わらせるぞ。私が二階に行く、二人は一階の確認を頼む。 C:了解。人はいないみたいだな、まあ道路に転がってたのが住人だったんだろうよ。 B:温度は依然高いままです。家具や食べ物などは散乱していて、外に飛び出しているのも多いです。 C:台所の水がドロドロでまるで鼻水だな、サンプルとして採集しておく。風呂場も見ておこう。 B:空気や食べ物も採集してと、それにしても暑・・・ (突風によるノイズ) A:大丈夫か!?どうした、何があった! C:い、一階の居間で突風がおこった。恐らく色んな物や人が外に散乱してた原因だ。 B:[咳き込む音]わ、私は家の外に投げ出されました。痛っ!サンプルは無事ですが手足を負傷したため任務続行は厳しいです。 C:こちらは風呂場だったため大丈夫でサンプルも無事だ。一階の確認は大体終わっている。 A:了解、二階も終わっている。この建物から出るぞ。 補遺: 20██/██/██、SCP-321-JP-1の内部異常を観察していたところ、突如として内部温度が大幅に上昇、竜巻に似た突風が発生し収容違反が発生しました。この事件で最高温度、および最大瞬間風速は更新されました。観察されていたSCP-321-JP-1は感染してから1ヶ月が過ぎていました。これにより、特別収容プロトコルが現在のものに改訂されました。 こじらせたのか? ──███博士 Footnotes 1. SCP-321-JPは建築物内部以外の環境では1ヶ月以上生存することができません。
scp-322-jp
評価: +56+–x 収容前のSCP-322-JP。 アイテム番号: SCP-322-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-322-JPは、サイト-81██特殊武器保管庫の標準鍵付きロッカーに保管されており、実験以外の用途での持ち出しは禁止されています。保管の際、付属の鞘からは決して抜かないようにしてください。 説明: SCP-322-JPは、██年、刀工██により鍛造されたと思われる一振りの日本刀です。エージェント██がプライベートにおいて古物商から購入後、居合の鍛錬に用いたところ異常性が発見されました。 SCP-322-JPには「刃が触れた人間が持つこだわり」、あるいは「刃が触れた物体が持つ一般的な観念」を消失させる効果があります。この特異性はSCP-322-JPの刀身が攻撃対象から完全に離脱した際にのみ発現することが判明しています。SCP-322-JPが持つ「こだわり」及び「一般的」の選考基準は不明ですが、攻撃対象が人間であればその時点で固執している観念を、対象が生物や無生物の場合は本来有する用途にあたる観念を斬る傾向にあるようです。また、斬りかかった際、刀身は攻撃対象を透過して振り抜けます。この原理も先行の基準と同様に一切不明ですが、これにより攻撃対象に対して物理的な損傷は与えられないことが判明しています。 同時に発見された鞘にのみこの作用が働かないことが確認されていますが、一般的な鞘と同様に素材は朴の木であり分析においても特異性は認められていません。 その性質を解明するため、様々な対象、物品に刃を当てた場合の実験を行いました。 + SCP-322-JP実験記録 - 実験記録を閉じる SCP-322-JP実験記録 記録者は█博士。実験そのものは研究員が行った。 実験対象: 充分に熟れた西瓜1つ 確認日時: 20██/██/██ 結果: 居合経験者であるエージェント██に依頼。SCP-322-JPにて斬りかかる。と同時に西瓜を設置していた三つ足を持つ木製の台に刀身が接触し、台は即座に分解、足と分割された。台という観念が消失した模様。斬られた西瓜は可食部位が全て皮と同様のものに変質していた。食物という観念が消失したと推測。 考察: 流石にこれを美味しくはいただけない。 実験対象: 居合の訓練に用いられる藁束 確認日時: 20██/██/██ 結果: 居合経験者であるエージェント██に依頼。SCP-322-JPにて斬りかかる。振り抜いたものの、藁束に変化は見られない。触れてみると異様にその硬度が増していることが確認された。硬度から鑑みるに、通常の日本刀での切断は不可能と見られる。 考察: 斬られるもの、という認識が消失し、斬れないものになった、ということかもしれんな。 実験対象: 上記の実験に用いられた藁束 確認日時: 20██/██/██ 結果: 上同。SCP-322-JPにて斬りかかる。振り抜いたが、藁束に変化は見られない。触れてみると、硬度が実験当初の状態に戻っていることが判明した。 考察: 元に戻せると言うよりは、斬撃対象に対してその時抱いているイメージが消失する、という方が正しいようだ。 実験対象: SCP-322-JPを納刀していた鞘 確認日時: 20██/██/██ 結果: ██研究員が担当。刃を半ばまで抜刀した状態で上下させ、鞘に接触させる。鞘に変化は見られず、また刀身が鞘から振り抜かれることもなかった。 考察: そうでなければ困るが、これ自体は普通の鞘と何が違うのだろうな。 実験対象: 実験用ラット1匹 確認日時: 20██/██/██ 結果: ██研究員が担当。SCP-322-JPをゆっくり下ろし、刃をラットに接触させる。ラットは刃が触れた瞬間、ゴールデンハムスターに変化した。このゴールデンハムスターに異常性は確認されなかった。 考察: ラットではない……から、ハムスターになったのか? もう一度斬ったらどうなるんだろうな、これ。 実験対象: D-322-JP-1 確認日時: 20██/██/██ 結果: ██研究員が担当。実験に参加したDクラス職員は反抗的で、実験の前に他のDクラス職員に対して暴力的行動を取っていた。刃が接触後、拘束中の反抗や発言はなくなったが、異常なほど挙動不審に陥り、極端な怯えを見せるようになった。D-322-JP-1は[編集済]の実験にて終了済。 考察: D-322-JP-1の根幹を奪ってしまったのかもしれない。暴力へのこだわりをなくせば、彼には恐れしかなかったということなのだろうか。 実験対象: D-322-JP-2 確認日時: 20██/██/██ 結果: 食にこだわりを持つと自称するDクラス職員本人が担当。SCP-322-JPで一度だけ自傷行為を行うように指示。嫌々ながら実行したが、実験直後にこれといった変化は見られなかった。その後食堂にてインタビューを行ったが、食事に対しては何の感慨も抱いていないとの返答。自身が食にこだわりを持っていたことなど覚えてもいない様子だった。 考察: 可哀想なことをしたかもしれん。恐らく、もう一度斬ったところで元には戻るまい。 実験対象: D-322-JP-3 確認日時: 20██/██/██ 結果: Dクラス職員本人が担当。SCP-322-JPで一度だけ自傷行為を行うように指示。実験当初は拒否する姿勢を示していたが、指定した部位を軽く切ると透過することに驚きを覚え、指示を無視し何度となく往復を繰り返す。その内に突然SCP-322-JPを取り落すと、実験室内壁に向かい走り出し頭部を壁面に叩き付け始めた。D-322-JP-3は制止する間もなく頭部を割り死亡した。 考察: 何が何度消失したのかはわからんが、最終的に生へ対するこだわりが消失してしまったのだろうか。 実験対象: サイト-81内██一部、床部 確認日時: 20██/██/██ 結果: 前述の試験後、Dクラス職員が取り落とした刀が床に刺さり、鍔で止まった。それを研究員が抜いたところ実験室から地続きになっている全ての床が瞬間的に液化。コンクリート、及びリノリウムの油分と固形分が分離したと見られる。これにより小規模の収容違反が発生した。 考察: 勘弁してくれ。この補修と清掃に幾らかかると思ってるんだ。 注意: もし床や壁等にSCP-322-JPを刺してしまった場合、刺さった周囲の隣接部を破壊してSCP-322-JPごと曝露部位を抜き取り、それからSCP-322-JPを除去してください。
scp-323-jp
評価: +70+–x アイテム番号: SCP-323-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-323-JPは破損を避けるために耐衝撃ケースに入れられ、サイト-8181の低脅威度収容庫に収容されています。実験を行う際はセキュリティクリアランスレベル3以上の職員から許可を得た上で行ってください。 説明: SCP-323-JPはダゲレオタイプのカメラです。本体は樫、檜などの一般的な木材及び、真鍮で構成されています。製作者を特定できるような情報は記載されておらず、木製パーツの炭素年代測定により1890年頃に製造されたことが明らかになっています。撮影手順及び現像方法は通常のダゲレオタイプのカメラと同じく、よく磨いた銀板にヨウ素の蒸気を当ててヨウ化銀の膜を生じさせ、光を当てない様にSCP-323-JPに取り付け撮影します。撮影に必要な露光時間は約5秒で、露光の開始と終了はレンズに付いている蓋の開閉で行います。現像は撮影した銀板に水銀蒸気を当て、像を浮かび上がらせた上で定着剤を使い現像します。 SCP-323-JPの特異性は人物(以下、被写体)を撮影した場合に発現します。被写体は露光時間終了後意識を失い、目覚めることはありません。これは被写体が複数であっても生じますが、被写体が露光時間中に移動していた、ピントが合っていなかったなどの原因により像が鮮明でない、または銀板が入っていない場合には発生しません。 撮影した写真は全てSCP-323-JP-1と分類され、被写体の身体の半分以上が鮮明に写っていた場合にその特異性を発現します。SCP-323-JP-1に100ルクス以上の光を当てた場合、写真に写った被写体が動き始めます。活動は5秒ごとに画像が切り替わる形で描写され、活動は照度を100ルクス以下にする、写真を物理的に破壊するまで続きます。 SCP-323-JPは19██/██/██に████大学の██████教授が入手し、自らを撮影した際に意識不明となったことから財団の目に留まりました。██████教授がSCP-323-JPを入手した経緯は不明です。██████教授が写っていたと推測されるSCP-323-JP-1は、撮影時の混乱からレンズが開いたままの状態で放置されたため、露光時間が非常に長時間となり現像は不可能な状態でした。 実験記録323-JP-1 19██/██/██ 対象:Dクラス 1名 目的:SCP-323-JP-1内の可動部位調査。 実施方法:SCP-323-JP-1には「扉」「窓」などを写り込ませ、被験者には「ただ出ることを考えるように。」と通達し撮影。 結果:SCP-323-JP-1内の扉、窓は開閉可能であり、扉から「外」に出ることは可能であった。しかしSCP-323-JP-1の「端」からは出ることが出来ず、脱出不可能であった。 考察:どうやらSCP-323-JP-1の端が世界の終わりらしい。ところで内部からの主観的な時間などはどうなっているんだ? — 島博士 実験記録323-JP-2 19██/██/██ 対象:実験記録323-JP-1で作成したSCP-323-JP-1 目的:SCP-323-JP-1の活動停止時の主観的な時間経過の確認。 実施方法:SCP-323-JP-1の活動を24時間停止させ、その後再活動させた 結果:停止前の被験者は部屋の中央で暴れていた。停止後もほぼ同じ位置で暴れていた。 考察:24時間同一の地点で暴れ続けるとは考えづらい、おそらく非活動時の内部での時間経過は存在しないのだろう。 — 島博士 実験記録323-JP-3 19██/██/██ 対象:実験記録323-JP-1で作成したSCP-323-JP-1 目的:SCP-323-JP-1の破壊時の反応確認。 実施方法:SCP-323-JP-1を裁断、被験者の反応を観察する。観察のため裁断は時間をかけ、被験者を通る様に行われる。 結果:裁断開始から刃先が被験者に到達するまで反応はなかった。被験者が裁断され始めると被験者は混乱を見せ、その場で暴れ始めた。裁断後は活動を停止した。 考察:裁断時の反応から考えて、裁断により生じたSCP-323-JP-1の「端」が被験者を固定したと考えられる。また、裁断されるとその特異性を失うようだ。 — 川中博士 実験記録323-JP-4 19██/██/██ 対象:Dクラス 1名 目的:SCP-323-JP-1の端の固定についての検証。 実施方法:被験者の足から上を撮影し、撮影したSCP-323-JP-1を観察。 結果:被験者は足を固定された状態で活動を開始、端の固定から抜け出すことはなかった。 考察:身体の全てが写る必要はないと言うことは、身体の一部でも写れば「囚われる」可能性があるということだ。 — 島博士 実験記録323-JP-5 19██/██/██ 対象:Dクラス 1名、犬、猿、金魚、各1匹 目的:SCP-323-JP-1の効果範囲の検証。 実施方法:全被験者を同一のSCP-323-JP-1に撮影し観察。 結果:Dクラスのみ活動開始。他の動物は撮影時、SCP-323-JP-1内でも異常が発生しませんでした。 考察:どうやら人間にのみ作用するようです。 — 長夜博士 実験記録323-JP-6 19██/██/██ 対象:Dクラス 1名、研究員 1名 目的:長時間観察による被験者の変化観察。 実施方法:活動が活発になると思われる反抗的なDクラスを撮影、1週間連続で活動させ経過を観察。 結果:撮影時にDクラスが暴れだし、撮影時にDクラスの他3名がSCP-323-JP-1に写りました。しかし、上半身が全て写った██研究員助手だけがSCP-323-JP-1内で活動を開始、腕だけ写ったエージェント██、胸から上だけ写ったエージェント████は活動せず停止したままでした。エージェント2名に異常はありませんでした。 考察:暴れ出した時に中止すべきだった、強行した私のミスだ。しかしどうやら、身体の半分以上が写り込む必要があるようだ。 — 川中博士 補遺:川中博士は異動となりました。 実験記録323-JP-7 19██/██/██ 対象:Dクラス 1名 目的:内部との交信手段の模索。 実施方法:通信機、スケッチブックと筆記具を持たせた被験者を撮影、現像後に交信手段の確認及び観察を行う。 結果:通信機は交信不能でした。スケッチブックでの情報提供により ・「内部」でSCP-323-JPを確認できないこと。 ・「端」から向こうを見ることはできるが、見えない壁があり移動できないこと。 ・こちらから呼びかけようともSCP-323-JP-1を動かしても、「内部」では何も起きないこと。 が確認されました。 考察:SCP-323-JP-1内をこれ以上調査する必要性は限りなく低くなりました。 — 長夜博士 実験記録323-JP-8 19██/██/██ 対象:SCP-323-JP-1 2枚 目的:長時間観察による被験者の変化を観察。 実施方法:実験記録323-JP-4、-7で撮影したSCP-323-JP-1を72時間連続活動させ経過を観察。 結果:双方空腹、排泄、睡眠などを必要としている様子は観察できませんでした。行動は疲労、混乱などにより変化を確認しました。 考察:肉体に依存する行動は無視されるのでしょう。ある意味では静止した時を過ごしていますね。 — 長夜博士 実験記録323-JP-9 19██/██/██ 対象:Dクラス 2名 目的:二重撮影時の反応の観察。 実施方法:Dクラスを撮影した後、現像せずに別室でもう一人のDクラスを撮影、現像する。 結果:[削除済] 考察:このような実験はもう二度と申請しないでください。 — 長夜博士 補遺:██████教授が入手した時点ではSCP-323-JPにレンズ部分のパーツが存在していなかったことが判明しました。また、レンズ部分のパーツは本体との接着が確認できないにも関わらず、本体から外すことが出来ませんでした。
scp-324-jp
評価: +169+–x 火炎放射による駆除の後、サイト-8181の方角を向いているSCP-324-JP アイテム番号: SCP-324-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-324-JPが群生するエリア324-JPから半径およそ1kmをフェンスで囲い、カバーストーリー「大規模な土砂崩れ」を流布し周辺住民を近づけないようにして下さい。フェンス内では警備員5名による巡回を行い、侵入者を発見した場合は拘束し、記憶処理を行ってフェンス外に解放してください。エリア324-JPではDクラス職員10名によってSCP-324-JPを一日500本以上を除去し、エリア324-JPの拡大を防いでください。 説明: SCP-324-JPは一般的なヒマワリ(Helianthus annuus)とよく似たキク科キク亜科ヒマワリ属の植物です。SCP-324-JP本体には遺伝子的に異常は見られません。SCP-324-JPは████県████市の████山中の開けた広さ4ヘクタールの丘に群生しており(群生しているこの領域をエリア324-JPと指定します。)現在確認されているだけで██████本が確認されています。 SCP-324-JPは季節に関係なく1年中花を咲かせており気温や天候に関係なく常に極めて良好な生育状態です。種子は作られず、SCP-324-JPはなにもない地面から突然発芽し約10秒で開花するまで成長します。出現時、花弁は太陽の方を向き、何もしなければその向きは変化しません。SCP-324-JPは1日で約500本出現し、徐々にエリア324-JPを広げていきます。エリア内に1ヘクタールあたり16万本以下の密度の箇所がある場合はエリア324-JPの拡大はされず、エリア内の密度が小さい場所で出現します。一度拡大したエリアではSCP-324-JPの出現を防ぐことはできません。SCP-324-JPを完全にビニールのドームなどで覆い隠したり地面に鉄板を敷いたりしたとしてもSCP-324-JPの出現、エリア324-JPの拡大を止める事ができず、エリア324-JPの拡大を止める唯一の方法は1日に500本のSCP-324-JPを駆除するのみです。 SCP-324-JPは花の付け根にあたる花柄から切り落とす、または燃やすなどして全体の80%を損傷させることで駆除することができ、駆除されたSCP-324-JPは切り落とした花、地面に残った部分も共に即座に褐色に変色、枯死しその異常性を失います。SCP-324-JPを切断によって駆除された場合、駆除した人物は様々な年齢、性別の人間の悲鳴の幻聴が駆除したSCP-324-JPから聞こえたと主張します。また、駆除したと同時に駆除者の周囲半径10m内のSCP-324-JPが花弁を駆除者に正対するように動きます。SCP-324-JPを1体駆除するごとにこの範囲は10mずつ広がります。この正対運動はSCP-324-JPが駆除者の範囲内にいる間常に続き、範囲外になったSCP-324-JPは正対運動をやめ静止します。この正対運動の範囲の解除は24時間の時間経過のみです。 SCP-324-JPを火炎放射器などにより燃やして駆除した場合、SCP-324-JPの発する悲鳴は幻聴ではなく実際に音声として録音機器などで観測することができその悲鳴の大きさは最大110dBです。悲鳴は切断による駆除と同様に多種多様な性別、年齢の人間の声でその悲鳴はSCP-324-JPが炎上している間続きます。SCP-324-JPの炎上後即座に周囲のSCP-324-JPの茎が伸びて炎上したSCP-324-JPの周りを取り囲み、半球のドームを形成してドーム内を無酸素状態にし消火を行います。このドーム形成は炎上後10秒の間に完了し、消火が終了するとSCP-324-JPは元の大きさに戻ります。また、消火終了後エリア324-JP内の全てのSCP-324-JPが着火した人物に対し正対します。この正対運動は72時間に渡り継続され、どれだけSCP-324-JPから離れたとしても正しく正対し続けます。現在この正対は着火した人物がエリア324-JPから███km離れても続くことが確認されています。 SCP-324-JPを駆除した人物に対して与える精神的な悪影響が、SCP-324-JPの異常性によるものであるかは現在調査が進められています。精神鑑定の結果、駆除を行なった人物の精神状態は殺人を行なった時のものとよく似ていることが判明しました。また、また元殺人犯であったDクラス職員などには精神的な負荷が少ないことも調査により判明しています。 SCP-324-JPは水分を与えなくても健康状態に影響は現れませんが、SCP-324-JPに水を与えると葉を上下に振ったり花を左右に揺らしながら、水を与えた人物に様々な年齢や性別の穏やかな笑い声の幻聴を聞かせます。この幻聴は多くの場合聞かせた人物をリラックスさせる効果があることが判明しています。この反応はSCP-324-JPを除去し正対されている人物には示されません。 補遺1: 観察ログ324-JP-A01 日付 内容 20██/07/13 SCP-324-JPをDクラス職員によって刈り取らせた。刈り取るたびDクラス職員の方を向くSCP-324-JPの数が増えていく、複数のDクラス職員と範囲がかぶる場合はより近いDクラス職員の方を向くようだ。Dクラス職員によると切るたびに人間の悲鳴が聞こえるらしい。人が死ぬときの断末魔にそっくりだとも話していた。 20██/07/15 エリア324-JPの拡大を防止するために、前日エリア324-JPを幅5m、厚さ1cmの鉄板で囲ったが、SCP-324-JPが鉄板の敷かれている部分を飛び越え発生した。地面への鉄板の配置はエリア324-JPの拡大を促進するだけに過ぎない。本日すべての鉄板は取り除かれた。 20██/07/27 SCP-324-JPの駆除に火炎放射器を試験的に採用した。結果、炎上中何百もの幻聴ではない悲鳴が山中に響いた。録音記録にも音声が残っている。燃えていないSCP-324-JPたちの茎が突然伸びてドームを作り15秒後に消火された。仲間の緊急時にはかなり俊敏な動きをする割には、何の抵抗もなく刈られるのが不思議でならない。消火後は火炎放射器を使用したエージェント██の方をすべてのSCP-324-JPが見ていた。この事件により近隣住民から「たくさんの悲鳴がした」という通報があったが、幸いここが山間部であったため数人の記憶処理を行うだけで済んだ。今回のことを踏まえ以後火炎放射器の使用は禁止する。 20██/07/30 火炎放射器の事件をよほど根に持っているのかSCP-324-JPたちはずっとエージェント██の方を見ている。エージェント██は「常にたくさんの視線を浴びてるみたいだ」と言ってノイローゼ状態だ。この状況が長く続かないことを祈る。 20██/08/01 SCP-324-JPが今日の昼になってやっとエージェント██の方を見るのをやめた。エージェント██は現在カウンセリングのためサイト-8181に戻っている。ここからサイト-8181までは██km離れているのにSCP-324-JPは正確にサイト-8181の方角を見続けていた 20██/08/07 SCP-324-JPの駆除に大型の乗用芝刈機を採用し、担当研究員の操作で500本の除去を行った。悲鳴の幻聴は常に担当研究員に聞こえていたらしいが、火炎放射器の時のように実際には聞こえなかった上に、駆除がずっと早く効率的にできるようになった。以後この方法の採用を検討する。 20██/08/09 先日SCP-324-JPの刈り取りを行った██研究員が自殺した。SCP-324-JPの影響であるかは不明であるが貴重な研究員を失ってしまったことは確かだ。大型の乗用芝刈機の使用は一時的に保留し、これまで通りDクラス職員による手作業の刈り取り作業を継続する。 20██/08/10 エリア324-JPの一部の区画をビニールシートで覆い内部で200匹のアワダチソウグンバイ1を放した。SCP-324-JPの害虫に対する反応を確認する。 20██/08/17 アワダチソウグンバイを放して1週間目だがSCP-324-JPに変化は見られなかった。それどころかアワダチソウグンバイの影すら見えない。害虫によるSCP-324-JPの駆除は失敗だろう。 20██/08/18 今日はSCP-324-JPの新たな性質が観測された。DクラスがSCP-324-JPに対して支給していたペットボトルの水を与えた際に、子供の笑うような声をだし、喜ぶように左右に揺れたそうだ。子供の笑うような声は水を与えたDクラスにしか聞こえなかったらしい。刈り取り終了後、同じDクラスがまた水を与えたが反応はなかったようだ。 20██/08/31 今日はSCP-324-JPの様子がおかしい。今朝の8:43になった瞬間すべてのSCP-324-JPが下を向いたまま動かない。Dクラス職員がSCP-324-JPを刈り取っても見向きすらしない。念のため、近隣の財団施設に機動部隊の派遣を要請し、SCP-324-JP収容エリア及び最寄りの財団施設は現在厳戒態勢となっている。いったい何が起こっているのだ? 20██/09/01 いまだ、SCP-324-JPたちは下に俯いたままだ。そしてそれ以外のことはまだ何も起きていない。眠れない日が続きそうだ。 20██/09/02 男の白骨化した死体が発見された。これまでエリア324-JP内はかなり詳細に調査していたはずだが今日になって発見された。半分以上土に還りかけていて季節を考えてもすでに結構な時間が経っている。ボロボロの白衣を着ていたが研究者だろうか?すぐにサイト-8181の連中が回収してしまったからよくわからない。男の死体が運びだされるときSCP-324-JPが男の方を見ていたような気がした。今もSCP-324-JPは下に俯いている。 20██/09/03 SCP-324-JPたちの反応が通常に戻った。いや元々おかしかったが。今のところあの白衣の男が原因ではないかと考えられるが遺体の詳細に関する上からの報告はない。何にせよしばらくは厳戒体制がしかれたままだろう。 20██/09/10 SCP-324-JPの変化はなし。本日を持って厳戒態勢は解除された。 補遺2: SCP-324-JPの発見後の20██/09/02、エリア324-JPの中心部で男性の白骨化した遺体が発見されました。遺体はボロボロになった白衣を着ており、白衣の胸には日本生類創研のロゴの刺繍がありました。白衣には銃弾による複数の穴と血痕があり、その下の肋骨が銃弾によって砕かれていました。また遺体は何度か移動させられた跡があり、幾らかの骨などが欠損しています。白衣のポケットには財布が入っており、財布の中は幾らかの現金と写真が入っていました。写真にはSCP-324-JPとSCP-324-JPにじょうろで水をやる白衣を着た笑顔の男性が写されており、裏面にはラベルライターで書かれた日付と検体番号と手書きの文字が書かれていました。内容は以下のとおりです。 20██/04/12 試験体 A-010-D21   たのむ この子たちを殺さないでくれ █████ Footnotes 1. 一般的なヒマワリの害虫です。吸汁による葉の白斑症状やすす病を引き起こし、酷い場合には葉が枯れ落ち植物の生育に影響を与えます。
scp-325-jp
評価: +198+–x 収容中のSCP-325-JP。 アイテム番号: SCP-325-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-325-JPの収容室内部は2台の監視カメラによって監視されます。また彼の四散した肉体、-3,-4,-6については無人ドローンによる追尾監視体制が敷かれます。 新たなSCP-325-JPの一部が発見された場合、その移動スピードを計測し、その移動方向直線上の一般人の生活区域の存在を調査してください。SCP-325-JPの一部がそこに達する場合、適切なカバーストーリーを流布して一般人を遠ざけてください。 説明: SCP-325-JPは、2008年までGOCメンバーとしてSCPやAnomalousに分類されるアイテムの破壊活動を行っていたエージェントの一人です。2007年█月に行われた破壊作戦中、日本のサイト内に侵入し、現在無効化指定されているSCP-███-JPを破壊した際に彼は現在の異常性を獲得するに至りました。彼の異常性は現在も進行中であり、2008年には日常生活が困難なまでに症状が進行したため、GOCから解雇されかけたところを財団によって発見、収容に至りました。2013年、SCP-325-JPは重度の神経症を発症したため、以降のインタビューは不可能となりました。 SCP-325-JPの肉体及び神経、感覚の一部は各地に四散しています。SCP-325-JPの四散した肉体には、本来ヒトの生存に必須なものも複数存在していますが、何らかの手段によってSCP-325-JPは現在まで生存しています。 現在のところ、日本国内部でのみ彼の四散した肉体は確認されていますが、その位置は徐々に移動しており、SCP-325-JPを中心として拡散して行きます。移動速度から、██年後にはその殆どが日本の領土を超え、領海に移動すると計算されています。これらの四散した部分にはかつてAnomalousオブジェクトとして分類されていたものも含まれ、SCP-325-JPとの関連性が確認されたため除外されています。 四散した肉体の特徴として、その拡散の不可止性、非破壊性が挙げられます。幾つかの部分についてはその実体が確認されているにも関わらず、移動の試みは全て失敗しています。 以下に彼の四散した部分についての説明を記します。 SCP-325-JP-1: 彼の両目です。現在彼の体から離れ、4キロ先の地点を浮遊していると見られていますが、SCP-325-JPが証言する視界を確保できるはずの位置には存在が確認できていません。この視界は物体を透過すると見られ、2008年から2010年まではサイト-81██内部に存在していました。 SCP-325-JP-2: 彼の嗅覚受容神経及び嗅覚細胞です。現在までその詳細な所在を確認できていませんが、SCP-325-JPの脳反応を検査した結果恐らく極めて悪臭を放つ場所位相に存在していると推測されています。 SCP-325-JP-3: 彼の左手の与感覚です。2012年から現在まで長野県██山の登山道脇に停滞しており、一時期“何者かに背中を押される登山道”としてAnomalous指定されていました。収容中のSCP-325-JP自身には確かに左手の存在が認められているにもかかわらず、物理センサーを用いた実験ではSCP-325-JP自身はあらゆるものに左手で衝撃を与えることが出来ず、触れようとしても単純に透過します。その威力は全て未知の手段で長野県██山に移動します。 SCP-325-JP-4: SCP-325-JPの右腎臓及び両肺及び数本の肋骨です。上空へと向かって浮上を続けており、現在名古屋市の上空81.200mの地点に存在しています。 SCP-325-JP-5: SCP-325-JPの性感細胞です。東京都の繁華街███の駅前ロータリー上に拡散しており、これによってSCP-325-JPには軽度の持続性性喚起症候群の兆候が見られます。 SCP-325-JP-6: SCP-325-JPの声帯です。現在岐阜県██村の民家内部に存在しており、1年間に2〜3cmの割合の移動に落ち着いています。かつて“低い声で奇声を上げる、移動不可能な成人男性の声帯”としてAnomalousアイテム指定されていました。 SCP-325-JP7,8,9,10,11: 現在まで存在場所が特定されていない部分です。それぞれSCP-325-JPの胃袋、左足小指、大腿骨、歯、左の睾丸を含む陰嚢部分です。 補遺:SCP-325-JP会話記録  付記:現在確認されている限り最新の、2013/9/14に記録されたSCP-325-JPの会話記録である。対象に朝食を提供していた研究員に対し、SCP-325-JPが発言。無人ドローンを介して会話がされた。   SCP-325-JP: はやく、は、ははははやく捕まえてくれ[叫び声]!   通信: …██研究員、無人ドローンに音声がキャッチされた。一時的にではあるが、SCP-325-JPが自我を取り戻した可能性がある。急ではあるが、できる限りのインタビューを頼む。SCP-325-JP-6の監視ドローンからの音声をそちらに送る。 SCP-325-JP: 捕まえてくれ…捕まえて…[嗚咽]うぇえ…げっ…… 研究員: ……どうしたの?自分の部品について、何か思い出したの? SCP-325-JP: おれの……おっ、おおおおれの、お、おれの…… 研究員: 落ち着いて、SCP-325-JP。 SCP-325-JP: ずっとだ……ここのところずっと…………おれの……おれのおれのを……あぁ……掴んでさ、乗ってさぁ……やめてくれ……やめてくれよぉ…… 研究員: 自分の部品の何かに感覚を感じたのね。SCP-325-JP。一体…… SCP-325-JP: やめて…………やめてくれ…[嗚咽][叫び声]!!!舐めるな…出てけ……舐めないで……歯も……ウゥッ[嘔吐]やめてくれ…………やめて、ください…… <以下、暫くSCP-325-JPは錯乱状態に陥る。重要度が低いため割愛> 研究員: 落ち着いて!何かが掴まれて舐められてる、そこは分かった。私たちが全力であなたの部品を収容する。約束するから。 SCP-325-JP: ……男だ。3人。ずっと掴まれて、抱きつかれて、舐められてる。ここのところずっと。ずっとずっとずっとずっとずっと。 研究員:つまり、どこの部品なの?誰かにあなたの部品が渡ってしまったというわけ? SCP-325-JP:違う。[17秒沈黙]……こいつら……俺に……住んでるんだ。 <録音終了> 終了報告書: 以後、SCP-325-JPは再び正気を失い、現在までさらなる証言は得られていない。何物かの手にSCP-325-JPの部品の一部が渡った可能性がある。引き続き調査すること。
scp-326-jp
評価: +85+–x アイテム番号: SCP-326-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-326-JPはサイト-81██の耐爆金庫ルーム内に備え付けられた専用のミニチュアモデルケースに保管して下さい。実験はセキュリティクリアランスレベル3以上の研究員の立ち会いのもと、Dクラス職員を用いて行って下さい。SCP-326-JPを用いたあらゆる実験は現在サイト-81██管理者によって禁止されています。 説明: SCP-326-JPはSCP-326-JP-1とSCP-326-JP-2の二つからなるオブジェクトです。 SCP-326-JP-1は1024個からなる1/48スケールの、歩兵、騎兵、砲兵を模したオブジェクトの集合体です。歩兵、騎兵、砲兵の割合は6:1:1です。オブジェクトは256個ごとに赤、青、緑、白に塗り分けられています。材質はメタルフィギュアに用いられる一般的なホワイトメタル合金の組成と同一です。 SCP-326-JP-2はSCP-326-JP-1を用いたアクチュアル・ウォーゲームのルールブックです。表面は非常に劣化が進んでおり、出版社名などは判読できませんが、ルール部分は判読可能です。16世紀から20世紀初頭にかけての戦闘を戦術レベルから戦略レベルで再現するためのルールと、実際に遊ぶためのシナリオが、小さなフォントでページ全面に書き込まれており、判読には若干の困難が伴います。 財団は、妄想を伴う統合失調症により制限行為能力者1となったアクチュアルボードゲーマー████氏の所持品の中から、これを発見しました。████氏が残したメモには、このアクチュアル・ウォーゲームを遊ぶごとに、自身の歴史に関する記憶と世間のそれとが合致しなくなると書かれていたため、財団はこれを収容し、実験対象としました。 SCP-326-JPを用い、歴史上のイベントをアクチュアル・ウォーゲームとしてプレイした場合、プレイヤーの自由意志に関わらず、史実と寸分違わぬ展開と結果が出されます2。しかし、プレイヤーは史実と異なる記憶を抱くようになります。以下はその実験記録です。3 実験内容 被験者 結果 史実との被験者の記憶の乖離 アウステルリッツ三帝会戦 Dクラス被験者2名 ナポレオン軍の勝利 被験者は、史実ではダヴーの増援の到着の遅れでアウステルリッツでナポレオンは敗北と主張 ゲティスバーグの戦い Dクラス被験者2名 北ヴァージニア軍の敗北 被験者は、史実ではゲティスバーグの戦いの南軍勝利によりワシントン前面まで南軍が殺到したと主張 普仏戦争 Dクラス被験者2名 フランスの圧倒的敗北 被験者は、史実では仏軍のゲリラ戦により普軍は泥沼に陥り長期戦になったと主張。このゲームはそれを反映していないと抗議 インシデント326-JP-1 上記実験終了後の、199█/█/██に、██博士による収容違反が発生しました。ボードゲームマニアである██博士は、Dクラス職員を用いず自身でSCP-326-JPの特質に迫ろうとし、後輩であり同志である██研究員と共にSCP-326-JPをプレイしました。以下がその結果です。 実験内容 被験者 結果 史実との被験者の記憶の乖離 シュリーフェン・プラン ██博士と██研究員 マルヌ会戦でドイツ軍敗北、第1次大戦は長期化 ██博士は、史実ではマルヌ会戦でのドイツの勝利により第1次大戦は短期に終結したと主張 以下は、収容違反実験を行った██博士へのインタビュー記録です。 対象: ██博士 インタビュアー: ██研究員 <録音開始,19██/██/██> ██研究員: あなたは██博士ですね? ██博士: そうだ。まだ私の財団籍が無効になっていないとすればだが。 ██研究員: あなたはマルヌ会戦でドイツが勝利し、第1次世界大戦は短期間で終結したと証言していますね? ██博士: ああそうだ。その結果、君達の云う第2次世界大戦も生じなかった。 ██研究員: それは私達が認識している歴史とは大きく異なります。SCP-326-JPを通じ、あなたはミーム汚染に曝露したのではないかと私達は考えています。 ██博士: その可能性はある。しかしミーム汚染ならば、ゲームの勝敗に左右された認識を抱くのが常道ではないだろうか。 ██研究員: なるほど。論理的な仮説です。ではあなたは、ミーム汚染以外にこの事態を説明できる仮説を持っておいでですか? ██博士: 言いにくいことなのだが……このミニチュア・ボードゲーム自体が歴史改変オブジェクトとしての性質を持っている可能性がある。ゲームをプレイした者には影響を及ぼさず……他の人々を改編するオブジェクトとしての。私がミーム汚染を受けたのではなく、君たちが第二次世界大戦が起こった世界の住人へと改変されたのではないかという仮説を私は抱いている。 ██研究員: その場合我々がこのような形で存在している可能性は低いと思われるのですが。 ██博士: 実際、ある程度以上の歴史改変は修復しがたいレベルの現在の改変をもたらす。その結果を私は目の当たりにしている。 ██研究員: なんのことです? ██博士: きみは、いったい、誰かね? <録音終了,19██/██/██> 終了報告書: ██博士には重篤な事実認識誤認の影響が認められた。しかし他の精神状態は安定している。これについて、より一層の調査を求める。 この報告を受け、サイト-81██管理者は、SCP-326-JPが「歴史改変をもたらすオブジェクトである可能性がある」とし、新たなる実験の禁止を命じました。 Footnotes 1. 単独では完全に有効な法律行為をすることができない者を指す法律上の言葉。 2. これは観戦者の客観的な印象です。 3. 以下の実験は付属シナリオを用いて行われました。
scp-327-jp
評価: +70+–x ██博士所有の観光記念メダルに転移したSCP-327-JP アイテム番号: SCP-327-JP オブジェクトクラス: Safe Keter 特別収容プロトコル: 現在、SCP-327-JPは収容されていません。確保された場合、収容にはエリア-81██内に専用に設置された特殊金庫が使用されます。その周辺半径6004000m以内は原則的に立入禁止とし、例外的に必要な場合にはエリア管理者の許可を得てください。その際に特別に許可された物品以外の私物は一時保管所に預けてください。一切の許可のない金属製品の持ち込みは厳重な処分の対象となります。特に機械類は金属円盤型部品を用いていないことが内部検査によって確定した場合以外許可が降りません。また航空機がエリア上空を通過することも認められません。SCP-327-JPを確保した財団職員は、直ちにエリア-81██へ連絡を取り、指示に従って搬送してください。搬送中はオブジェクトを個人の財布や機械類をはじめ、金属円盤型の物品から可能な限り引き離すよう努力してください。 説明: SCP-327-JPは移動しながら外観を不定期に変異させていますが、常に「直径約40cm程までの、主に金属で構成される円盤」という共通点を持っています。これはSCP-327-JPが、数分~数日ごとに上記の性質を持った物体と自己の位置を入れ替え、同時にそれに“化ける”ためです(以下、この現象を「転移」と呼びます)。転移の距離限界は未確定ですが、確認された最大の転移距離は1408mで、最も頻繁に転移する物体はコインです。オブジェクトと転移先の物体の間にどのような材質の障害物があっても、転移に支障を生じさせることはできません。 なお、SCP-327-JPが“化けた”円盤の両面が異なっていた場合でも、転移後のSCP-327-JPはその片方のみを両面が模倣します。たとえばSCP-327-JPが日本国発行の10円硬貨に転移した場合、両面ともに10の数字が書かれているか、もしくは両面とも平等院鳳凰堂があしらわれているかのいずれかです。以上が第一の異常性です。 SCP-327-JPを所持した、あるいは自在に取り出せる状態にある人間(SCP-327-JP-1)が他人(SCP-327-JP-2)となんらかの意見対立場面に遭遇したとき、SCP-327-JPは第二の異常性を発揮します。この異常性は、意見対立の解決をSCP-327-JPを用いたコイントスで行いたくなるという精神汚染効果であり、対立の性質上コイントスが明らかに無意味であっても、その効果は失われません。たとえば初歩的な科学的事実についての記憶が食い違っており、どちらが正しかったか、その場に持っている書籍で直ちに真実を確かめられる場合であっても、両者はコイントスに執着します。 ただし第二の異常性は、SCP-327-JPからごく近距離に存在する人間にしか有効ではありません。したがって意見対立が電話のような遠隔通信手段を介している場合、SCP-327-JP-1側のみが一方的にコイントスを要求します。この際、SCP-327-JP-2側から「お前がコイントスをしても私には結果が見えない」等の合理的な説明を受けてもSCP-327-JP-1は聞く耳を持ちません。この場合はほとんどのケースで、SCP-327-JP-2側がコミュニケーションを打ち切ることになり、ほどなくしてSCP-327-JPは転移していきます。 コイントスが行われると、物理的妨害が入るなどの極少数の場合を除き、以下の事象が発生します。一連の事象を「イベント327」と総称することとします。イベント327については主に中央アジアに伝わる民話に酷似のものが複数残されています。民俗学的証拠に照らし、オブジェクトが遅くとも14世紀頃には存在していた可能性が示唆されています。 1.SCP-327-JP-1、2とも、SCP-327-JPの両面が同じである事実に気づきません。 2.SCP-327-JP-1は必ずSCP-327-JPの存在する面に賭け、従ってコイントスに勝利を収めます。 3.直後にSCP-327-JP-1は、SCP-327-JPを手から取り落とし、ほとんどの場合SCP-327-JP-2側へと転がっていきます。この現象はSCP-327-JPがSCP-327-JP-1の精神に作用して無意識的な動きを強制することで起こるものと考えられます。 4.SCP-327-JP-2はSCP-327-JPを拾い上げ、両面が同じであることに気付きます。 5.SCP-327-JP-2は一連のコイントスを、SCP-327-JP-1が意図して行った悪質なイカサマであると断定し、激怒して強く非難します。 6.SCP-327-JP-1はSCP-327-JPが両面が同じ「エラーコイン」であったと知らなかったと弁明しますが、SCP-327-JP-2は聞き入れません。 7.SCP-327-JP-1、2ともに相手方に対し、非常に強い永続的な悪感情を抱きます。SCP-327-JP-2は自らをコイントスによる詐欺の被害者・SCP-327-JP-1を加害者と考え、一方、SCP-327-JP-1は自らがその冤罪の被害者・SCP-327-JP-2を加害者と考えます。 イベント327の全てが終了した後、SCP-327-JPは周辺の金属円盤に再転移することで移動し、SCP-327-JP-1のもとを離れます。 + 補遺 - 補遺を隠す 近年、インターネットやSNS上において、SCP-327-JP-1もしくはSCP-327-JP-2であったと考えられる者同士のコミュニケーションが急増している事実が報告されています。これらのコミュニケーションは、典型的には以下のような態様と結果になります。 SCP-327-JP-1は、他のSCP-327-JP-1がネットワーク上に投稿したイベント327の体験談を発見すると、自分と同じ体験をした人がいることに感激し、通常以上に積極的なコミュニケーションを図ろうとする傾向にあります。彼らは「俺も似たような体験をしたんだよ!」と積極的に自己開示をし、「たまたま持っていたエラーコイン」による不運を慰め合うとともに、SCP-327-JP-2側の「話を聞かない態度」や「偶然を認めようとしない狭量さ」についてあげつらいます。 SCP-327-JP-2についても、同様に他のSCP-327-JP-2とコミュニケーションを取りたがります。そしてSCP-327-JP-1側のコイントスにおける卑劣なイカサマと、それが発覚した後の往生際の悪さについて語り合い、やはり憎しみを増幅させていきます。 またネットワーク上でSCP-327-JP-1とSCP-327-JP-2が遭遇した場合には、口を極めた罵倒のメッセージをぶつけ合います。両者とも、相手方のみならずそれを擁護した第三者に対しても侮辱と罵りをぶつけ、ほどなくその第三者をも巻き込んで、さらに対立に関わる人数を増加させていく傾向にあります。 以上のような経過を経て、SCP-327-JP-1群とSCP-327-JP-2群はそれぞれ相手側による憎悪を絆とした集団を形成し、徐々に拡大しています。 SCP-327-JP関連と思われる書き込みのデータや使用された機器を調査したところ、ミーム汚染の検出は一切なく、これらはネットにおける特異性のない炎 上フレーミング現象を結果的に発生させているに過ぎないと考えられます。 しかしながら、多くは単なる罵り合いに収まってはいるものの、暴力事件による逮捕例も散発的に報告されており、SCP-327-JPによる社会的被害の増大が憂慮されます。具体例はインタビューログ327-20██/█/██/を参照してください。 + インタビューログ327-20██/█/██/ - インタビューログ327-20██/█/██/を隠す ネット上の会話をきっかけに発生したと報道された暴行事件の被疑者(本名、█本█裕、25歳男性無職。以下、SCP-327-JP-1-Aとする)が、SCP-327-JP-1と見られたことから、財団のエージェント█が雑誌記者に偽装して接触。インタビューを行った。 エージェント█:やあ█本君。留置生活お疲れだったね。 SCP-327-JP-1-A:(うなだれて)……すみませんでした。俺、なんであんな事しちゃったのか……被害者の御家族には本当に、なんとお詫びすればいいか……。 エージェント█:ああ、そういうのはいいよ。私はこの事件を客観的な立場から取材しているんだ。君のことは匿名にするから、安心して好きに話してくれ。 SCP-327-JP-1-A:あ、そうなんすか。(顔を上げ、リラックスした様子を見せる) エージェント█:早速話を聞きたいのだが、一体なぜあんな事件が起こったんだね。 SCP-327-JP-1-A:(謝罪の台詞を書いたメモを手で丸めながら)元はと言えば、[被害者名]が原因なんだよ。[共犯者のハンドルネーム](以下、単に[共犯者]とする)さんは一方的にサギ師呼ばわりされたんだ。ネットでも酷えって盛り上がって。で、[被害者]がツイッター使ってて特定できたんで、家に行って謝らせてやろうってことになったんだよ。俺らは謝罪させるだけのつもりだった。ちゃんと謝れば許してやるつもりだったんだぜ。相手の態度が悪かったから殴ったんだよ。 エージェント█:[被害者]さんと[共犯者]さんは元友人で、飲み代を誰が払うかでコイントスをしたんだったよね? SCP-327-JP-1-A:ああ、そしたら偶然コインが、ミスプリント? あ、エラーコインっての? まあいいや。両方表のやつでさ。[共犯者]さんはサギ師のレッテル張られたんだよね。たまたまなのに酷え話だろ。 エージェント█:それが冤罪じゃなく、[共犯者]さんが本当に騙そうとしていた可能性は? SCP-327-JP-1-A:そうは思わなかったな。つーかよ。わざとだって証拠もねえだろ。証拠もなく人をサギ師呼ばわりする方が悪いじゃねえか。 エージェント█:しかし偶然、エラーコインをコイントスに使ってしまうなんて、滅多にあることじゃないだろう。[共犯者]さんが疑われたのも無理がないとは思わないか? SCP-327-JP-1-A:いや、よくあるんだよ。ネットで俺もあったって書き込み沢山見たんだ。ソースはいくらでもある。 エージェント█: エラーコインがそこまで沢山あると思う? SCP-327-JP-1-A:知らねえよ! 役所がいい加減に造ってんだろ!……実際、俺も同じような体験あったんだよ。だから[共犯者]さんのムカつきがよく分かるんだよね。 エージェント█:その君の体験というのを教えてくれ。 SCP-327-JP-1-A:俺ん時はツレと……もうツレでも何でもねえけどな。次の日の野球の話だったな。阪█が勝つか巨█が勝つかでコイン投げたんだよ。それがたまたま両方裏のコインでさ。わざとやったわけでもねえのに、卑怯者と、インチキ野郎と抜かしやがった。どんだけ腹立つか分かる? わざとじゃねえのにインチキ呼ばわりされんのがさ。 エージェント█:翌日の試合結果にコイントス? それに意味があるかい? 試合の結果は明日になれば、コインと関係なく出るわけだろう。 SCP-327-JP-1-A:まあな。でもそんなもんだろコイン投げなんて。 エージェント█:君はいつもそんな風に、何かで判断に迷ったり、人と意見が分かれたりしたとき、よくコインを投げるのかい? SCP-327-JP-1-A:いや、あんまりしないな。 エージェント█:今まで何回ぐらいコイントスしたことがある? SCP-327-JP-1-A:覚えてない……やったことないかも。そん時たまたましたくなったんだよ。 エージェント█:なるほど。今日はどうもありがとう。 なお、SCP-327-JPの転移現象の詳細については以下の文書を参照。 + SCP-327-JPの転移現象に関する実験記録 - SCP-327-JPの転移現象に関する実験記録を隠す 目的:SCP-327-JPの転移できる物体の範囲を確認するための実験。平凡なタイプのコイン以外の物体に転移できるかどうかを確認する。 方法:実験室内にSCP-327-JPと試験物体を設置し、転移が起こるのを最大240時間待つ。 実験記録327-JP-あ 物体:日本円の十円玉(昭和30年発行) 結果:26分後に転移。 コメント:ギザ10と呼ばれる、側面に溝があるタイプの十円玉。別に問題がないことが分かった。(██博士。以下の実験コメントは全て同博士による。) 実験記録327-JP-い 物体:神功開宝1 結果:45分後に転移。 コメント:現役の通貨でなくても良い事、中央に穴が開いているタイプのコインでも問題ないことが分かった。 実験記録327-JP-う 物体:日本円の五円玉を模したチョコレート 結果:転移せず。 コメント:外見だけではダメか。 実験記録327-JP-え 物体:市販ボードゲームに付属していた架空通貨の貨幣(プラスチック製) 結果:転移せず。 コメント:プラスチックでも無理と。本物のお金でないと駄目なのかな。 実験記録327-JP-お 物体:日本円の一万円札 結果:転移せず。 コメント:まあ、コイントスにお札は使えんよな。 実験記録327-JP-か 物体:明刀銭2 結果:転移せず。 コメント:青銅製だが、形状は円でない通貨。お金であってもやはり円形でないと駄目なのかもしれない。 実験記録327-JP-き 物体:陶貨幣3 結果:転移せず。 コメント:一応通貨だが、やはり土製品も駄目か。金属であることが条件なのか。 実験記録327-JP-く 物体:メダルゲーム用のメダル(アルミ製) 結果:29分後に転移。 コメント:お金である必要はないらしい。 実験記録327-JP-け 物体:デザインの施されていない鉄製円盤(直径3cm、高さ2mm) 結果:52分後に転移。 コメント:社会的な意味は求められていないのか? 実験記録327-JP-こ 物体:デザインの施されてない鉄製の円柱(直径3cm、高さ6cm) 結果:転移せず。 コメント:高さがありすぎると駄目だということかな。ともかく、1つずつやっていてはキリがない。いっぺんに行こうじゃないか。 実験記録327-JP-さ 実験方法:██博士の提案で、実験方法を変更。転移の可能性がある物体多数を実験室内に置き、24時間体制での撮影をおこなった。両面が同じものは片面に刻印を施し、全物体をガラステーブルに置いて上下から撮影することで、転移の有無を容易に視認できるようにした。その結果、転移したものとしなかったものの例は以下の通り。 転移した物体:円形に近い形状の全ての金属製貨幣類、メダル類。ビールの王冠。キーホルダー用のリング。銀製の腕輪。三角縁神獣鏡。様々なサイズの歯車(比較的小サイズのもの)。ボタン電池。シーチキンの空き缶の蓋(円形)。自転車のギア。シャーレに満たした水銀。 転移しなかった物体:石貨など金属以外の物質を主材料とする貨幣、メダル類。円に近い形状に畳んだ千円札。同様に畳んだポリマー紙幣。タカラガイ。ペットボトルの蓋。パチンコ玉。350ml入りジュースの空き缶(アルミ、スチール共)。オイルサーディンの空き缶の蓋(長方形)。大型の歯車(直径50㎝程度から)自転車の車輪。マンホールの蓋。試験管に満たした水銀。 コメント:「社会的に金銭として使用されているか、されたことがあるか」は全く無関係であり、物理的条件を満たしているものなら何にでも転移するようだ。条件は金属製、円盤状、大きさの上限は直径40センチちょっとか。また、高さが半径以上になると、転移しないようだ。(██博士) この実験の10日後、収容違反事件327-20██/██/█が発生しました。 + 事件記録327-20██/██/█/ - 事件記録327-20██/██/█/を隠す 08:42 実験室に安置されていたSCP-327-JP(当時の外観はイタリア発行の1ユーロ硬貨)が突如として消失。同じ位置に百円硬貨が残されていた。当初の予想で転移距離限界と考えられていた600m以内にいた全職員の所持金を確認したが、オブジェクトが転移した物品と考えられる不審な物品は発見できなかった。 09:16 職員食堂にてエージェント███が小銭入れから取り出した百円硬貨が、目の前で指輪に“変身”したと報告。SCP-327-JP消失当時、エージェント███がいた場所は実験室から1400m以上離れていた。 09:18 60m離れた廊下で、突如██事務員の左手薬指が、歯車とともに落下。結婚指輪に転移していたSCP-327-JPが歯車に転移したため、指が切断されたと考えられる。 09:22 エリア管理者より発令。「エリア内の全機械の点検。不審な金属円盤が混入していないか確認せよ」 10:01 █████博士のオフィス時計内部から、何らかの瓶のものと思われる金属製の蓋を発見。 10:53 休憩室内の簡易救急箱に入っていた風邪薬の小瓶から蓋が消失していたことが判明した。代わりに五百円玉が乗っているのが確認された。 以降、エリア内においてSCP-327-JPの痕跡を発見することはできませんでした。 誰かの財布に紛れ込んでエリア外に脱出したものと推定されています。 + 補遺 - 補遺を隠す 上記収容違反の後、過去のSCP-327-JP発生記録の再精査が行われ、出現地と次の出現地の中間地域において、不審な事象が発生していないか調査されました。その結果、オブジェクトが通過したと推定される地域には主として機械類の不可解な故障および、それに伴う事故が有意に多く報告されていることが判明しました。 SCP-327-JPの転移現象に起因すると考えられる事象には、以下が含まれます。 ・大規模な車両事故 ・数百人単位の犠牲者を出した列車、船舶、飛行機事故 ・原子力発電所の緊急停止 ・軍事用システムの誤作動あるいは緊急停止 ・Keterクラスオブジェクト収容のための機器の故障 「SCP-327-JPが単に些細な揉め事をばら撒きながら逃げ回るだけの、小者のオブジェクトだと思ったのは大きな間違いだった。いや、これが伝承に書かれた700年前には、実際そうでしかなかったのだろう。だが人類社会の方が、SCP-327-JPにとって余りに都合良く発展してしまった。その脅威を、最大限に引き出すような形で……我々は、前回幸運にもあれを収容できたと思った時に、もっと用心すべきだったのだ。オブジェクトが転移したこともない何倍もの距離まで、安全範囲を確保しておくべきだったのだ。」(██博士) Footnotes 1. (日本の古銭。皇朝十二銭のひとつ) 2. (中国の戦国時代に主として燕で流通した、刀の形をした貨幣) 3. (第二次大戦中、日本で金属不足のため製造された陶器製の貨幣)
scp-328-jp
評価: +23+–x SCP-328-JP アイテム番号: SCP-328-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-328-JPはサイト-8154特別物品収容室内の金庫は-8に収容されています。実験を行う際は担当者あるいはセキュリティクリアランスレベル3以上の職員2名の立会いが必要です。また、状況によっては即座に適切な記憶処置を行う場合があります。 説明: SCP-328-JPはプラスチック製のブーメランです。その特性は投擲した際に発揮されます。 SCP-328-JPが投擲されると、どのような形で投げられたとしても、投げられたときの速さを維持して必ず投擲した者に目がけて戻ってきます。このとき、軌道上に障害物があったとしても、その障害物を迂回またはその素材に関わらず通過する等、回避行動を取ります。 また再取得されない限り、手のひらに密着し回転し続けます。これは両手を損失しなければ止まることはありません。 投擲されたSCP-328-JPを再取得することで、新たな特性が現れます。 再取得すると、捕った瞬間から約2分から最大86分間程度、対象はその場で硬直し動かなくなります。 このとき対象は若い男性の声で詩の朗読のようなものを聴かされていると主張しています。 詩の内容は同じ対象でも毎回異なることが判明しており、ある程度の範囲で対象の思想や趣向が反映されていることもわかっています。 また、硬直時間と朗読時間は一致しておらず、硬直中に同じ詩を何度も聞かされることもあります。 以下は実験で得られた詩の一部です。それぞれの詩の全文は付属文書328-JP-ほを参照してください。 北の海の人魚 氷に閉ざされた都市の中 這いつくばって熱を求める 我が声が届くのならば 我が声を出すことが出来るのならば 鱗に包まれた我が脚は 再び大地を踏み締める事が出来るだろう だから何度でも泳いでみせよう この北の海を 薔薇の涙は 華やかに揺らめくメカニカルキャンサー 明日を知らない無法者にはたどり着けぬオービタルパラダイス スピリットウィンドウはもう道を照らさない 帰る場所のある者たちよ 月へと向かって走りたまえ ここには茨の空が生える場所 薔薇の涙はここにはいらぬ エマソンズ 赤い川の畔から 甲冑を着込んだ病原菌が飛び出る実家 綿毛の風は山を覆い 未来の柔道着達を谷底へと誘い込む 夕餉に食した液体酸素を 二束三文で売り払い 得られた資金で ファスナー越しの予防接種 エマソンズ 嗚呼彼らはエマソンズ 過去の栄光と言う名の明日の鉢巻を巻いて 今日も高山を走りぬける 完了されし世界 白い霧に佇む人影と 黒の邸に現れる紳士 メタンガスを吐き出す笑い袋に 文字の概念を奪い取られ 頭を失いし猿は 赤き海を泳ぐ魚を夢想する 木製の星々が 消えた闇を照らすとき 緋の空は 再び玩具の竜を生み出す これらの詩を聞いた者はその内容を、記憶処置やそれに類似した影響を受けない限りは忘れることはなく、一日に一度、投擲した時間に再び朗読が聞こえるようになります。しかし、詩を記憶したことによって対象に何らかの肉体的、精神的影響は確認されておりません。 20██/██/██に、1934年から1969年にかけて活動していた作家であり詩人の████████氏の未発表原稿が公表されました。しかし、上記の「完了されし世界」という題名のものが、████████氏が知り得ないはずであるオブジェクトの比喩ではないかと興味を引き調査を開始しました。 インタビュー記録328-JP: 以下は国文学者である中之島博士による、████████氏の孫娘である██████氏へのインタビューの一部抜粋です。 対象:██████氏 インタビュアー:中之島博士 [ここまで中之島博士は国文学者の立場として、未発表原稿や自身も詩人として活動している██████氏についてのインタビューを行っていた] 中之島博士:では、少し話題を変えましょう。お爺様との一番印象深い思い出は何かございますか? ██████氏:そうですねえ、私が小さい頃によくブーメランで遊んでいただいたのが忘れられないですねえ。 中之島博士:ブーメランですか。 ██████氏:ええ。当時はまだ珍しい物でしたのでよく覚えています。 中之島博士:ちなみにどのようなブーメランなのですか? ██████氏:これがまた不思議な物でして、誰が投げても必ず手元に戻ってくるというもので、祖父はこれをよく私の前で誇らしげに投げてくれました。 中之島博士:その頃には既に認知症を患われていたはずですよね? ██████氏:はい。よくぼんやりと立ち尽くしていたりするようになったのはその頃ですね。ですが、私の前では極力そういった姿を見せないようにしていたのだと思います。だからこそ、私とよく遊んでくれたのだと思います。 中之島博士:いいお爺様ですね。しかし、必ず手元に戻ってくるブーメランというのも気になりますね。それはどういうものだったんでしょうか? ██████氏:今は手元にありませんが、何でも祖父が大学に勤めている頃に、様々な分野を研究されていた方から譲り受けたものだと聞いています。 中之島博士:その方については何か聞いていますか? ██████氏:とても親しい仲だったようで、私の前でも渾名の「博士」と呼んで、いつも楽しそうにその方の話をしてくれました。人を楽しませる物を作る研究をされていたようです。 中之島博士:私もお爺様について色々研究していたつもりでしたが、そのような人物がいるとは初耳です。 ██████氏:とはいえ、私も実際お会いしたことはありませんので、案外私に楽しい話を聞かせる為の架空の人物かもしれません。 中之島博士:何故そう思うのです? ██████氏:それは単に、必ず戻ってくるブーメランなんて存在しないからですよ。あれは単に祖父がブーメランが得意だっただけですよ。 上記ではこのような発言をしていた██████氏であったが、後の調査により現在でもSCP-328-JPを彼女が所持していることが判明し、これを収容しました。なお、彼女が何らかの隠蔽工作を行っている可能性がありましたが、20██/██/██に 心筋梗塞で亡くなられた為、真意は不明です。
scp-329-jp
評価: +85+–x $y=x$状態のSCP-329-JP アイテム番号: SCP-329-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-329-JPは小動物飼育用ケージに保管され、サイト-8107の収容室に収容されます。収容室の鍵は主任研究員が管理してください。1日に1度SCP-329-JPのいる紙面上に数式をかきこんでください。収容室へのいかなる書類の持ち込みも禁止です。SCP-329-JPへの直接の接触は機密性スーツを着用の上で行い、接触終了後3分間は脱がないでください。 説明: SCP-329-JPは紙の平面上に住む線型の生命体です。DNAを調べたところ、ヒト、センチュウ、SCP-132-JPと一部が一致しました。 SCP-329-JPは数学の知識を持ち、紙に関数の式を書いたときにその関数に対応するグラフに変形します。方程式を解くことや、定理の証明をすることも可能です。SCP-329-JPはグラフを形作ることや、数学の問題を解くことを生命維持のために必要とし、約3日の間式や問題の供給がないと丸まって休眠状態に入ります。休眠状態になっても、再び式や問題の供給があれば、活動を再開します。紙の上に文字を表示させることもでき、その性質を利用して日本語で意思疎通を行います。 SCP-329-JPはヒトと文字でコミュニケーションをとるとき、SCP-329-JP-Aを生み出します。SCP-329-JP-Aは体長約██μm程度のワーム型生命体です。SCP-329-JP-Aは紙から筆記用具を伝ってヒトの体内に侵入します。侵入した後、脳に寄生して、宿主に「数学に対する強い興味関心」、「SCP-329-JPに対する親近感」を植え付けます。結果、宿主はインターネットや文献で数学について調べるようになり、得た情報をSCP-329-JPに伝えるようになります。これが、SCP-329-JPの生命維持に役立っていると考えられます。寄生できなかったSCP-329-JP-Aは生まれてから3分以内に死亡します。 SCP-329-JPは██県の山中にあった日本生類創研の施設だったと推測される廃墟内で発見されました。この施設は、設備などから生物学研究所だったと考えられますが、保管されていた書籍のおよそ半分が数学に関する物であったため、施設内でSCP-329-JP-Aへの集団感染が起きたと推測されます。SCP-329-JPの発見と同時に日本生類創研の構成員が執筆したと思われる、SCP-329-JPについてのデータの記載された論文「生物電卓の開発」が発見され、特別収容プロトコルの制定に活用されました。執筆者は ''日本生類創研 寄生虫研究部門 ████'' となっており、この人物について調査が継続中です。 日本生類創研の████についての調査中、██県の公立高校に勤務する数学教師████氏がSCP-329-JP-1個体を自宅で飼育していることが判明しました。彼と彼の教え子3名がSCP-329-JP-Aに寄生されており、生徒にはAクラス記憶処理を施しましたが、現在「原因不明の喪失感」を訴えているとのことです。教師の████氏は日本生類創研の関係者と考えられ、より詳細な調査のために、現在財団の管理下にあります。 + 実験記録aを表示 - 実験記録を隠す 実験記録a-01 - 日付20██/██/██ 内容: $y=x$の式を書く。 結果: SCP-329-JPは直線に変化。 実験記録a-02 - 日付20██/██/██ 内容: $y=1/x$の式を書く。 結果: SCP-329-JPが双曲線に変化。初期個体が分裂し、2体に増えた。観察後、一体は処分。 分析: グラフの表現のために分裂するとは面白い。 実験記録a-03 - 日付20██/██/██ 内容: $y=tanx$の式を書く。 結果: SCP-329-JPは3本の曲線に変化。観察後、2体は処分。 分析: どうやら分裂の限界は3体までらしい。 実験記録a-04 - 日付20██/██/██ 内容: 方程式$2x+6=0$を書く。 結果: SCP-329-JP自身に変化無し。紙に$x=-3$と表示。 分析: 方程式も解けるようだ。 実験記録a-05 - 日付20██/██/██ 内容: ''直角三角形の斜辺の長さの二乗は残りの二辺の長さの二乗の和であることを証明せよ。''1と書く。 結果: 日本語の文字と数式で証明する文章が紙に出現。 分析: 証明もできるのか。 実験記録a-06 - 日付20██/██/██ 内容: ''3 以上の自然数 $n$ について、$x$$n$+$y$$n$=$z$$n$となる 0 でない自然数 ($x,y,z$) の組が存在しない事を証明せよ。''2と書く。 結果: 日本語の文字と数式で証明する文章が出現したが、紙の余白が足りず、途中で中断された。 分析: 出現した部分は全て既存の証明と一致していたようだ。高い数学的知識を持っていると考えられる。 実験記録a-07 - 日付20██/██/██ 内容: ''全ての 2 よりも大きな偶数は二つの素数の和として表すことができる事を証明せよ。''3と書く。 結果: ''それは私にはとても難しいです''と紙に出現。 分析: まだ証明されていない事はできないのだろう。 実験記録a-08 - 日付20██/██/██ 内容: 何もせずに1週間放置。監視だけを続ける。 結果: 3日目で紙に''ご飯をください''と出現し、丸まって動かなくなった。この時点で実験終了。 分析: 書かれた式が生命維持に必要なのだろう。 + 実験記録bを表示 - 記録を隠す 実験記録aの全実験を行った1名のDクラス職員(以下被験者と表記)について、SCP-329-JP-Aの特性を調べるために実験を行いました。 実験記録b-01 内容: 被験者に自由に使用可能な電子書籍端末を与える。 結果: 実験a-01実施前までは、閲覧した書籍の全てが漫画であったが、開始後はその全てが数学についての書籍となった。 実験記録b-02 内容: 実験a-01実施前と実験a-07終了後に数学能力を調べる筆記テストを行う。 結果: 1度目のテストでは被験者の数学能力は中学1年生程度と判定されましたが、2度目では高校1年生程度まで能力が向上していました。 分析: 約1週間の期間の中でこれほど学習するとは驚きだ。SCP-329-JP-Aには脳を活性化させる作用もあるのかもしれない。 実験記録b-03 内容: 実験a-01実施前と実験a-08実施後にそれぞれ同じ内容の筆記アンケートを行う。 結果: 以下、質問の内容:1度目の答え→2度目の答え と表記します。 Q1.尊敬する人物は誰?:████4→ピタゴラス Q2.今一番会いたい人/物は誰/何?:母親→SCP-329-JP Q3.数学は好きか?:どちらかといえば嫌い→とても好き Q4.財団の施設から出たいか否か?その理由は?:出たい、自由になりたいから→出たくない、SCP-329-JPと離れたくないから 分析: SCP-329-JPはSCP-329-JP-Aを通じて被験者をコントロールしているようだが…もはや別人のようになってしまったな。 Footnotes 1. 三平方の定理と呼ばれるものです。 2. フェルマーの最終定理と呼ばれるものです。 3. ゴールドバッハ予想という問題で、未解決です。 4. 日本国内で人気のミュージシャンの名前です。
scp-330-jp
評価: +28+–x アイテム番号: SCP-330-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-330-JPは現在セクター-8105に収容されています。同セクターの中程度警戒オブジェクト用収容ルールに基づき設計された専用収容室中央に、施錠でき十分頑丈な棺状のケースに安置してください。また、このオブジェクトが知性存在のセンサーとして機能しているか、若しくは知性と知覚能力を持っている可能性があることについても留意してください。 SCP-330-JPの収容担当者のうち、オブジェクトを直接・間接問わず視認する可能性のある者は2011年以降に雇用された職員に限定してください。330-JP-day以前に雇用された全ての81地域ブロック職員、若しくは2010年以前の81地域ブロックの諸情報に詳しい他ブロック職員のSCP-330-JPへの視覚的暴露の実験の実施には、セクター-8105管理者1名と、当オブジェクト研究主任を含む4名以上のレベル4職員の許可が必要です。また、そのような実験への許可を求められた者は、考慮のためにセクター-8105管理者らと研究主任による当オブジェクトに関する提言に必ず目を通してください。 公開によりスタッフの士気に悪影響を及ぼすであろうと判断された一部の情報は、レベル4権限或いは研究スタッフ権限及び研究主任のアクセス許可を持たない職員に対しては秘匿されることになっています。それに伴い、330-JP-day以前に財団に雇用されたオブジェクト被曝者の内、前記の権限を持たない者は、接触時に関するインタヴューの後に該当情報に関する2010年型ミーム的箝口処置を受けることになります。未確認の影響がないかの調査のため、被曝者は1ヶ月に一度当オブジェクト研究チームによる定期検査を受けてください。なお、現在までの全被曝者のリストとその証言は別紙にまとめられています。 説明: SCP-330-JPは、黒い未知の金属的物質で全体の外殻が組成されている人型の存在です。発声や動きは一切観測されず、背筋を伸ばした「気を付け」の姿勢を保ち続けており、この姿勢から動かそうとする試みは今まで成功していません。全長は215cm、重量は540kgで、筋肉質で均整のとれた男性の身体を模しており、頭部は戯画化した鳥類のようにデザインされています。 外殻全体を組成している物質は、財団の現状の技術力で傷をつけることが出来ない高い剛性、及び熱・圧力・腐食性の液体などへの耐性を持っており、オブジェクトを損壊させることは困難か、少なくとも現状不可能であると評価されています。また、この物質は光反射率が0%で、且つ周囲約30cmの光の75%程度を歪めて吸収する特性を持っており、これが光学的手段での精査を妨げ続けています。加えて、電磁波などによるオブジェクト内部を確認する全ての試みも現在まで成功していません。なお、内部構造が外殻と同じ物質であると仮定すると、算出される物質の密度は如何なる既知の金属や、高い剛性を持つことで知られる合金とも一致しません。 2010/10/31(以下、330-JP-day)以前に財団81地域ブロックに配属された職員の殆どと、同じく数人の他ブロック職員(主に81地域ブロックの事情に多少なりとも詳しい者)、例外的に少なくとも330-JP-day時には財団にはいなかった少数の者に、SCP-330-JPは効果を示します。前記の条件に当て嵌まる者がこのオブジェクトを視認した時、「槇島 [編集済]」という名前の記録上存在しない財団職員(以下、SCP-330-JP-α)についての擬似記憶が生まれます(以下、効果が見られた者を被曝者とする)。これは被曝者によって内容が違い、ある者はそのような職員がいるという噂を聞いたことがあるという記憶、ある者はSCP-330-JP-αと友人として親しく会話した経験の記憶を植え付けられたと報告しています。なお、SCP-330-JP-αと恋人・家族・血縁関係にあった者に関する記憶の報告は現在までありません。擬似記憶は財団の現在有する如何なる記憶処理によっても消去することが出来ませんが、刷り込みなどの意識操作の効果を持つものではなく、被曝者は生じた記憶を自己と同一化させることなく虚偽の記憶であると認識することができます。また、擬似記憶の植え付け以外の特異性は現在まで認められていません。なお、特に映像記憶能力を持つ被曝者からは、更に特記すべき現象が報告されています(補遺を参照のこと)。 生成される疑似記憶は、客観的には充分に否定できるものですが、被曝者らの証言の全体を見ると概ね無矛盾です。証言全体から読み取れるSCP-330-JP-αのプロフィールをまとめると以下のようなものになります。 名前は「槇島 [編集済](まきしま・xxx/Makishima-xxx)」。1990年代に財団に雇用されたエージェント。雇用の経緯、前歴等は不明。所属サイトや自室は特になく、日本全国で任務を行っていた模様。また「槇島~」の名が本名かどうかは定かで無い。 恐らく日本人の男性で、年齢は不詳だが見た目では20代後半~30代前半。肌は日焼けしており髪色は黒、身長は190cm台でかなりの筋肉質。 財団職員としての冷徹さや思慮深さを持つが、同時に比較的気さくで明るい人格の持ち主である。職員として優秀であり人望は厚かった。 SCP-330-JP-αは未知の手段によって、[編集済]可能である。[編集済]である理由や、[編集済]のそもそもの目的については現在まで情報が一切ない。しかし、被曝者によっては「理由・目的についての情報を疑似記憶の中では知っていたが、思い出すことはできない」という擬似記憶が生成された者もおり、擬似記憶における架空世界においてはそれは意味ある行動であった可能性が高いと考えられている。 SCP-330-JP-αは特別任務に当たる際に[編集済]し、度々敵対組織の[編集済]していたようである。但しどの様な組織と[編集済]したかについては不明瞭で、実在しない組織に主に対処していたのかもしれないとも証言されている。 [編集済]後のSCP-330-JP-αは多くの[編集済]を持っていたようである、という証言があるが、具体的な[編集済]は明らかにはなっていない。 SCP-330-JP-α自身は、[編集済]せずとも[編集済]で[編集済]。 [編集済]。 [編集済]と[編集済]。 [編集済]を終了させる任務にも[編集済]。 [要セキュリティクリアランスレベル4/330-JP] 上記事案の後、SCP-330-JP-αは2010/10頃に消息を絶った。同月、財団はSCP-330-JP-αが死没したと発表した。 SCP-330-JPは2012/██/██、[編集済]で、非常に巧妙に隠蔽された状態で発見されました。発見時までの少なくとも███年間は同所のセキュリティに綻びは無かったと評価されており、SCP-330-JPは財団職員の特に中枢となる地位にある者によってそこに置かれたものと推測されています。しかし同時に、財団内部に潜入した/していた敵対組織構成員などによるトラップではないかとの説もまた充分有力であり、結論は出ていません。 なお、"そもそも当オブジェクトの影響によって生じる記憶は「疑似記憶」ではなく事実であり、職員が実際に体験したが何らかの理由で消去された記憶や改変された過去に関する情報を「思い出させる」効果がこのオブジェクトの本質なのではないか"との説がオブジェクト研究初期段階に唱えられ、以来現在に至るまでこれは明確に否定されてはいません。にも拘らず、この説が現在有力でないと評価されているのは、SCP-330-JP-αのような人材を財団が雇用し続けるということが、財団の少なくともここ数十年の方針とは大きく乖離したものであるためです。記録・記憶・過去現実が改変されている可能性は検討の余地があるとしても、改変前の世界であっても、財団によって前記した被曝者の証言のような行いがあったとは考え難い、というのが、現在のSCP-330-JP研究チームの総意です。 補遺: 2013/02以降、複数名の被曝者から、「SCP-330-JP-αについて想起する際に、黒い金属に傷を付けたようなイメージを幾つか幻視するようになった」という報告が為されるようになりました。報告者の全てが、優秀な記憶能力、特に映像記憶能力を持っている財団職員であることは特記すべきことです。報告者らによるそれらのイメージのスケッチを繋ぎ合わせたところ、日本語の片仮名で書かれた、何者かによるメッセージであると判明しました。このメッセージがSCP-330-JPの自由意思によって他者へ伝えられたものなのか、或いは機械的なものなのかは不明です。当オブジェクトが知性と知覚能力を持っているのか否かの実験が続けられていますが進展はなく、現在まで新しいメッセージらしきものの想起に関する報告は為されていません。また、同じく2013/02以降に「自然とSCP-330-JPやSCP-330-JP-αについて想起することが増加したように感じる」という報告が2名の被曝者からありました。漠然としており、かつ人数も少ないために評価に難しい報告ですが、研究チームはこれについても留意し、今後の被曝者らの報告を注視する方針です。 被曝者らが受け取ったというメッセージは以下の通りです(文の配置は可能な限りスケッチに準拠)。 オレノ ナハ マキシマ[編集済]      モシクハ アーク   [判読困難]レヲ オモイダセ  ソシテマタ ワスレロ      ワスレルベキダトオモイダセ           タノ[以降は無作為な線であると思われる] なお、メッセージ中でSCP-330-JP-αの別名であるように読み取れる「アーク」という語については、現在まで一切被曝者からの報告がありません。
scp-331-jp
評価: +51+–x アイテム番号: SCP-331-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-331-JPの感染者は、BSL-1相当の封じ込め施設内に収容します。感染者の外出は許可されません。感染者に接近する研究員は、必ず化学防護服を着用してください。潜在的な感染者を発見するため、献血事業を装い民間人の恒常的な検査を行います。感染者を発見収容した場合、感染部位を除去し、記憶処理をすることで一般社会へ再入させます。 説明: SCP-331-JPは、ヒトの橈骨手根関節より末端部分に感染すると見られる異常現象です。 SCP-331-JPに感染した部位には、平均370秒に1個の周期でSCP-331-JP-1と呼ばれる粒子が落下してきます。SCP-331-JP-1は永続的に出現し、感染部位に堆積し続けます。 SCP-331-JP-1は、大気中で形成された氷晶に酷似した物体で、約0.1mmから10.0mmの大きさで出現します。組成や性質も氷晶と同一と見られ、感染者に接触しても感染者自身に影響は見られません。感染部位以外に接触した場合や、他者が触れた場合、即座に昇華します。そのため、物理的接触を伴う解析実験は成果が得られていません。 SCP-331-JP-1は、感染者にほぼ一切の害を及ぼさず、SCP-331-JP-1に気がつくことさえ稀です。 SCP-331-JPは、感染力を持った異常現象であり、病原性や情報汚染ではありません。SCP-331-JPは、橈骨手根関節より末端部分の内側表面のみに感染します。以降、これを感染可能範囲と呼称します。SCP-331-JPは、感染部位から感染可能範囲への接触によってのみ伝染し、その他の生体組織、あるいは霊長類を含むヒト以外の生物には感染しません。 一度感染した生体組織から、SCP-331-JPの影響を除去する方法は未だ発見されていません。感染者から感染部位を外科的に除去することで、異常性が消失することは確認されています。 19██/02/10 財団施設内において、エージェントCの血圧測定中にSCP-331-JP-1が出現し、SCP-331-JPが発見されました。検査により、更に1名の感染者を発見。感染者は、感染部位を除去し、職務に復帰しました。 SCP-331-JP-1の試料を一定量獲得するため、堆積実験を行ったところ、堆積物に新たな異常性が見られました。全ての実験において、感染部位の局所的な環境変移が観測されています。 堆積実験概要: 塵埃の発生しない完全なクリーンルームにて、SCP-331-JPに感染させた被験者の片腕を固定し、継続的な堆積実験を行いました。実験過程において、SCP-331-JP-1の堆積物は、粒子のみの状態とは異なる性質を見せました。 堆積実験ST-001: 19██/05/09 - 継続中 実施状況: 被験者JP331-D001をSCP-331-JPに感染させ堆積実験を行いました。 経過報告01: 堆積物が感染部位の38%を覆った時点で、堆積物の表面に実験室内の照明とは無関係な影が発見されました。(1440:05:30 60日経過時) 経過報告02: 投影像は粗雑な梯子の一部と、その上部に乗っている小型の鳥類のものと推定され、投影像は実物の1/50から1/80の大きさと見られます。(2688:02:10 112日経過時) 経過報告03: 堆積物が感染部位の表面全体を覆いました。(2688:02:10 112日経過時) 経過報告04: 堆積物の表面に、長さ2.5mm-3.0mm程度の足跡が出現し、断続的に5分20秒間で36個の足跡が形成されました。足跡は靴の底面と見られる形状をしていますが、SCP-331-JP-1との比率から正確性に欠け、種類の特定には至っていません。(4872:10:00 203日経過時) 補遺ST001-01: 被験者JP331-D001は、これら投影像および足跡についての知識を有していませんでした。 堆積実験ST-002: 19██/08/10 - 継続中 実施状況: 出現頻度などの差異を確認するため、被験者JP331-D002をSCP-331-JPに感染させ堆積実験を行いました。 経過報告01: SCP-331-JP-1は感染部位と接触した瞬間に融解し、液体として感染部位に留まりました。(0000:05:30 0日経過時) 経過報告02: 効率よく堆積物を得るため、被験者の両手にSCP-331-JPを感染させ、凹型に合わせるよう指示しました。(0078:01:20 3日経過時) 経過報告03: 堆積した液体表面に、実験室内とは異なる実像が映されていることが発覚しました。拡大鏡で観察した結果、樹木に囲まれた湖面と思われる景色が観測されました。映された湖面の約40%は、浮遊しているヒツジグサに覆われています。右手親指の付け根付近には、日本の太鼓橋に似た橋が架けられていることが確認できます。(2208:05:00 90日経過時) 経過報告04: 堆積物が感染部位の表面全体を覆いました。(2880:05:05 120日経過時) 経過報告05: 堆積物の最大深度が10mmになったところで、液体表面に波が発生しました。感染部位中央付近で、特に激しい波が見られ、16分35秒後に沈静化しました。(12360:01:50 515日経過時) 補遺ST002-01: 被験者JP331-D002は、これら投影像について幼少期に居住していた地域に似ていると証言しましたが、映像が不鮮明なため検証作業は難航しています。 補遺ST002-02: 被験者JP331-D002は、水に対して恐怖や嫌悪の感情を示していますが、通常の精神機能の範囲と考えられます。 堆積実験ST-003: 19██/09/02 - 継続中 実施状況: 除去されたエージェントCの感染部位を、NARA型生命維持装置に接続したところSCP-331-JPの異常性が回復し、継続的な堆積実験へ移行しました。 経過報告01: SCP-331-JP-1は感染部位と接触した瞬間に液化し、なおかつ感染部位内部へ浸透しました。接触直後は、感染部位に変化は見られませんでした。(0000:05:30 0日経過時) 経過報告02: SCP-331-JP-1が接触した全ての箇所から約1/60の大きさの双子葉植物の芽と見られるものが出現し、成長を始めました。(168:00:10 07日経過時) 経過報告03: 植物群の表面に、実験室内の照明とは無関係な影が発見されました。投影像は開いた状態の傘を持った人間と、その至近距離に立つ人間の影であると認定されました。投影像の焦点距離から光源は日光と見られ、影の人物が持つものは日傘であることが推定されています。(2208:03:00 90日経過時) 経過報告04: 植物群が感染部位の表面全体を覆いました。(2870:02:20 120日経過時) 補遺ST003-01: 堆積実験ST-003の投影像について情報を得るため、エージェントCに対し聴取が行われました。 聴取記録TT003-MC001-E001-001からの抜粋: 19██/07/28 13:45:10 (付記):エージェントCに堆積実験の結果を見せた後に行われた聴取記録。 H博士: 我々が発見した手がかりはここまでです。他に何か気づかれたことはありますか? エージェントC: あれはおそらく私です。 H博士: どういうことですか? エージェントC: 小さな影はおそらく私です。傘を持った影はおそらく母でしょう。 H博士: このような場面に遭遇したということですか? エージェントC: ひどく抽象的ではあります。屋外であったことはたしかです。 H博士: それはいつ、どこであったことか覚えていますか? エージェントC: 正確ではありません。私も小さかった。20年ほど前でしょうか。別れを告げる母に、私は何も言えなかった。それ以上、思い出すことはできません。あの日、母が、なんと言っていたのか、あるいはあの影が答えてくれるのでしょうか。 H博士: あのオブジェクトから意思表示をした事例は確認されていません。これまでの記録からも、正確な過去の映像とは考えられません。 エージェントC: そうですね。あれは私の過去ではありますが、おそらく当時の映像や記憶ではありません。当時、私の暮らしていた地域を調査すればあれら植物は発見できるでしょう。 H博士: ご協力感謝いたします。 エージェントC: あれは、なにか伝えようとしているのでしょうか。私の過去を真似て、私に何か伝えようとしているのでしょうか。 H博士: まだわかりません。失礼かもしれませんが。母親はどうなされましたか? エージェントC: [数秒の沈黙] それはあり得ません。あれらはこの世界の境界線を限りなく薄くしますが、穴を開けることはことはできません。母が私に情報を送っている可能性は非常に低いと思われます。いつもそうでした。 H博士: では死者からの伝言ではないと。 エージェントC: 意味などないのかもしれません。意味を求めるのはいつも我々です。あれは母と、私の過去などと、本当は無関係なのかもしれません。あれが実はイタズラで、誰かが後ろで笑っていても、そのように報告書に書くだけです。でももし、あれが、本当に、母の姿なのだとしたら、私の中の疑問がひとつ、解けるような気がするのです。 H博士: なにか気づいたことがあるのですか? エージェントC: ほら、よく見てください。あの影は手を振っています。 H博士: 映像の確認を。 補遺ST003-02: エージェントCと堆積実験ST-003で得られた投影像とを関連付ける情報は現在まで得られていません。 事案報告IR331-001: 被験者JP331-D001が心不全により死亡しました。死亡時刻の32分前、堆積したSCP-331-JP-1の表面に2つ目の足跡が出現し、最初の足跡と同じ方向へ歩く様子を見せました。治療中の被験者が「待って」「兄ちゃん」などと発言したと記録されていますが、SCP-331-JPとの関連は不明です。
scp-332-jp
評価: +95+–x アイテム番号: SCP-332-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-332-JPは、サイト-81██の女性用ロッカー室のロッカーNo.101に保管されています。ロッカーNo.101は扉を厚さ3cmのガラス製にし、中が常に見えるようにします。またロッカーの底板は、上に置かれたものが300g以下になると警報が鳴るようセンサーを内蔵します。ロッカーには常に鍵をかけ、SCP-332-JPを自由に持ち出すことがないようにしてください。ロッカー室にはレベル2以上で月経期の女性職員が最低2人常駐します。駐留職員は1日1回、SCP-332-JPの全個体がロッカー内に存在することを扉越しに確認してください。常駐できる職員が足りなくなった場合に備えて、サイト内に勤務する全ての女性職員は、セキュリティレベルに関わらず月経期開始時と終了時にその旨を駐留職員へ報告してください。 サイト-81██に勤務する女性職員は、特別な事情がない限りナプキン状のサニタリー用品を使用してください。それ以外の形状のものを使用する場合は使用許可証の申請をし、サイト内で使用予定の全サニタリー用品には、支給された目印ステッカーを貼ることが義務付けられています。 説明: SCP-332-JPは、32個のタンポン型生理処理用品と、それを入れる紙製のピンク色の箱から成ります。箱の側面には「ソフトタンポン ふつうの日用・30個+2」と表記されています。宣伝文として、「毎日を快適に過ごしたい、アクティブな貴女へ!生理なんてまるでなかったような、自然なつけごこちです!」と書かれています。また、「使用方法:生理時に適宜取り替えてご使用ください」「使用上の注意:お肌に合わないときは医師に相談してください。使用後のタンポンは紙などに包んですててください。トイレにすてないでください。」の表記と共に、使用方法がポップなイラストで図解されています。製造販売元の記載はありません。タンポンは、一般に普及するアプリケーター収納型の製品に見え、吸収体・アプリケーター共に素材の異常は見られませんでした。 SCP-332-JPは、月経期の女性が使用するときその性質を現します。SCP-332-JPを挿入すると、使用者の生理周期は極端に早まり、今後の生涯で経験するはずだった月経期を28日以内に全て経験します。結果的に使用者は閉経します。この間SCP-332-JPの吸収体部分は未知の方法で膣内に付着し、体内から取り出すことは出来ません。SCP-332-JPを取り除く方法として唯一判明しているのは、外科手術による女性器そのものの切除です。 また、構造上不可能であるにも関わらず、脱脂綿製の吸収体は大量の経血を吸収し続け、その分体積を増幅させます。閉経間近の女性であれば下腹部に異物感を覚えるだけですが、使用者が若い場合は経血の量も多いため、膣及び子宮内が膨張した脱脂綿で埋め尽くされ、ときにより子宮破裂などの腹腔内出血を引き起こします。こうして増幅したSCP-332-JPは、28日が経過し性質が消えた後も取り出すことが難しく、大抵の場合手術が必要となります。さらに、生理痛や貧血、ホルモンバランスの乱れ、子宮内膜の増減なども1か月で一生分経験するため、たいていの使用者は通常の月経期よりも強い苦痛・不快感・体調不良を示します。これらの症状も使用者が若いほど深刻になりやすく、特に40歳以下の使用者の大半は、極度の貧血と体内変化、そして前述の内出血といった複合的な要因で死亡します。 閉経後の女性が装着した場合には、この性質は現れません。月経の来ない男性、人間以外の動物も同様です。初潮を迎える前の女児や、妊娠中の女性に対する性質は、記録がないため不明です。 半径10メートル以内に月経期の女性がいない場合、SCP-332-JPは箱ごと姿を消して、一番近くの該当者の近辺に現れます。箱の中のタンポンは、消費されると10分以内に未知の方法で自動的に補充されます。補充されたタンポンがどこから来ているのかは、目視でも監視カメラでも捉えることができませんでした。 補遺: SCP-332-JPは20██/██/██まで、愛知県███市のドラッグストア「██████ ██店」のサニタリー用品コーナーにおいて、販売員らしき若い女性が試供品と称し、箱から出して配布していたのが目撃されています。██人の被害者が出た時点で、該当地域潜伏中のエージェントにより回収されました。回収時に販売員の姿はなく、現場には「試供品 ご自由にお取りください」と女性の筆跡で書かれたポップと、SCP-332-JPが1箱置かれていました。エージェントが突入する直前まで販売員がいたという証言が複数ありますが、彼女がその後どこへ行ったのかは不明です。従業員の中にも合致する者はいませんでした。店内の監視カメラにも販売員の姿は映されておらず、また映像の中で被害者たちは、置いてあった「試供品」のSCP-332-JPを箱から自分で手に取ったように見え、証言と一致していません。SCP-332-JPと同じ性質を持つ個体が市場に複数出回っている可能性もあり、現在調査中です。  
scp-333-jp
評価: +149+–x アイテム番号: SCP-333-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-333-JPを中心として囲うようにドーム型の床材のない収容施設に収容します。収容施設周辺の半径200m以内の範囲において、他の財団設備を含むあらゆる施設の建設は禁止されています。収容室内部は森林を模した環境になっているため、土壌及び、植物の管理を行ってください。また収容室内部に紙とペンを配置し、SCP-333-JPとコミュニケーションを取れるようにし、いくつかの質問に対してはマニュアル333-JPを参照してください。 説明: SCP-333-JPは頭部が地面に埋まっているように見える人型実体です。 外見上、身体部は通常の人類と相違ありませんが、体内に臓器を有していません。また、未知の手段による視覚及び聴覚を有しており筆談で意思疎通をとることができます。SCP-333-JPには重力が逆向きに働いているように見え、動作に身体が逆さであることによる影響は表れません。SCP-333-JPは地面の存在する場所にのみ移動すること1が可能であり、主に森林や草原などの環境を好みます。 SCP-333-JP自身及び半径30m圏内に存在する地中を含む地面に対して影響を及ぼす脅威が迫ったとき、周囲に超常的な自然現象を発生させます。この時SCP-333-JPの意思とは無関係に発生すること、自身はその被害を受けていないことから、反射的な防衛反応であると推測されます。また、特異性の発現後、休眠状態2に入ることがわかっています。 + 発生した超常的な自然現象記録を開く - 閉じる 番号 発生原因 事象 A 土砂崩れの発生 原因地点の周囲に存在する樹木が異常なまでに急成長し、土砂をせき止めた B ウサギの巣穴掘り 原因地点から800mほど離れた海岸線に局所的な弱い津波を発生させた C 森林伐採 原因地点にて風速60m/sのハリケーンが約30分吹き、消滅後周囲の植物を活性化させ森林を再生した D Dクラスを用いた移送の際の事故 周囲100mの範囲内に直径約30cm程の雹が降り注いだ E Dクラスを用いた効果範囲実験 [データ削除済] 現象記録E以降、実験は禁止されています。 補遺1: SCP-333-JPは、██県██山のふもとにあった村が、突如巨大に成長した樹木によって土砂崩れから免れたという現象を調査しに来たエージェントたちによってその存在が初めて確認されました。付近の森にて休眠中のSCP-333-JPを発見後、研究員によって行われたインタビューによって別個体の存在が明らかになりました。 + SCP-333-JPへのインタビューログを開く - 閉じる インタビューログ333-JP-1 対象: SCP-333-JP インタビュアー: 畑中研究員 付記: SCP-333-JPの発見後、周囲に簡易サイトが建設され、SCP-333-JPに現状の説明がなされた後に行われたインタビュー。SCP-333-JPは筆談にて返答を行う。 <記録開始> 畑中研究員: 初めまして。では、これから質問を行いますがその前に、あなたに名前はありますか? SCP-333-JP: 名前はない。呼ばれるようなこともなかったからな。 畑中研究員: そうですか、では質問を始めます。 SCP-333-JP: [OKサインを出す]わかることなら答えよう。 畑中研究員: では、あなたはこれまでどこにいましたか? SCP-333-JP: ずっと森の中にいた。森は好きだ。それに人に見つかったら面倒だ。 畑中研究員: それは生まれた時からですか? SCP-333-JP: [地面を掻く]生まれた時とかはわからん。気づいたら俺は居たし、森の中だった。 畑中研究員: そうですか。では、あなたは頭部がないのにどうやって私の声を聴き、私を視認しているのですか? SCP-333-JP: [胡坐をかく]何を言っている?頭ならしっかり俺の首についてるだろ。 畑中研究員: 無いように見えますが。 SCP-333-JP: お前の足の下に俺の頭があるだろう! 畑中研究員: それは地下に頭部が存在しているということですか? SCP-333-JP: [腕を交差しバツを作る]全く違う。俺の頭は今もお前に見えているはずだ。俺の頭はとても大きい。とても遠くまで広がっている。 畑中研究員: では….地球そのものがあなたの頭ということですか? SCP-333-JP: [地面を指でなでる]ちきゅう?が何かはわからんがお前の足の下にあるものが俺の頭だ。 畑中研究員: そうですか。では今回のインタビューはここで SCP-333-JP: 少し聞きたい。 畑中研究員: 何でしょうか。 SCP-333-JP: たぶんお前たちは俺のような変わった奴らを保護しているのだろう?それに大きな力もあるんだろ? 畑中研究員: ええ、まぁそうですね。 SCP-333-JP: ならば少し協力してもらえないだろうか。 畑中研究員: 何にでしょうか? SCP-333-JP: 俺の頭を他に使っている奴らがいる。そいつらに会って一度この頭が誰のものなのか話し合いたい。 畑中研究員: あなたの他にあなたのような存在がいるということですか? SCP-333-JP: [親指を立てる]そうだ。大体どこにいるかはわかるが海の向こうだ。俺は海を渡れない。だから力を貸してほしい。 畑中研究員: わかりました。ですが、そのためにはあなたの特性について我々はより詳しく理解しなくてはなりません。そのためにも我々の所有する施設へ来ていただけませんか? SCP-333-JP: かまわない。あいつらと早く話をつけたい。 <記録終了> 補遺2: インタビューログ333-JP-1以降の調査でSCP-333-JPは現在、5体の存在が確認及び収容されています。 + 各個体記録を開く - 閉じる 番号 概要 01 日本の██県██山中の森にて発見。モンゴロイドの中肉中背の男性型実体。一般的なリクルートスーツを着用している。 02 イギリスの███████に位置する草原地帯にて発見。コーカソイドの肥満体系の男性型実体。キルト3を着用している。 03 アメリカのエバーグレーズ国立公園にて発見。ネグロイドの肥満気味の女性型実体。1800年代頃の農婦の格好をしている。 04 インドのヒマラヤ山脈の████州に位置する山地森林帯にて発見。モンゴロイドの痩せ気味の女性型実体。バジュ・クロン4を着用している。 05 オーストラリアの████国立公園にて発見。オーストラロイドの筋肉質な男性型実体。伝統的なアボリジニの格好をしている。 SCP-333-JPは他のSCP-333-JP個体の存在及びそのほぼ正確な位置を把握しており、それぞれ地球は自分の頭部であると主張しています。また、頭部の所有権について話し合いを行うためという理由で他の個体との接触を希望していますが、地面から離れられないという特性により海を渡ることができません。そのため、現在SCP-333-JPが他のSCP-333-JP個体と接触することはほぼ不可能であると思われます。 現在、SCP-333-JPは我々と協力関係を結ぶという形で収容されている。しかし、我々はSCP-333-JP共を同じ円卓に座らせるべきではないだろう。SCP-333-JP共が議論を行い平和的、かつ合理的な結論が見つかる可能性もあるだろう。だが、地球をパイ生地のように切り分けるような事にならないとも限らないのだ。幸いながらSCP-333-JPの性格は皆、素直で温厚だ。我々が彼らに、海を渡る手段が見つかっていないと言えば彼らは信じるだろう。現時点で収容できている以上、今の状態を保つべきである。 我々には、一部の隙も許されないのだから。- ██博士 脚注 1. 歩行しているような動作をとり、地面をスライドするように移動する 2. 休眠中のSCP-333-JPはまっすぐに体を張った体勢になる 3. スコットランドの民族衣装 4. マレーシアの民族衣装
scp-334-jp
評価: +90+–x SCP-334-JP内で撮影された街並。SCP-334-JP-1から距離を取ると、撮影画像の鮮明さは極端に落ちる。 アイテム番号: SCP-334-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-334-JPは隠蔽のため、民間工業施設に偽装されたサイト-81██がその周囲に建設されました。収容ゾーンはサイト中央部に構築されており、SCP-334-JPは内壁に設置された8基のCCTVカメラによって常時監視されています。SCP-334-JPの推定容積が現在の収容ゾーンを超過する可能性が生じた場合、プロトコル[霧隠れ]に基づいて直ちに施設の増改築を行い、ゾーン外への収容違反を防止してください。職員による進入実験を行う場合、SCP-334-JP-1との対話行為は原則的に禁止されています。 説明: SCP-334-JPは、██道近くの林道に位置する霧の内部に広がる巨大な街です。外部から観察した場合、SCP-334-JPは███mの範囲に発生した霧のように見えます。全体の面積は未だ拡大していると推測されていますが、同SCP-334-JP内に出現する人型をした霧状の存在、SCP-334-JP-1を随伴せずにSCP-334-JP内を探索することは不可能と見られているため、その全容を把握することは現在でも出来ていません。 SCP-334-JPは幾つかの民間廃棄物処理業者により利用されていたと見られ、その過剰な処理ペースの由来を調査した財団フロント企業により発見されました。 SCP-334-JPに進入した物体、及び存在は、その殆ど全てが数分内~10分ほどの間に、SCP-334-JP-1と遭遇します。外部からの進入物をどのような手段で認識しているかは不明ですが、SCP-334-JP-1に遭遇した意思を持たない物体は、全てSCP-334-JP-1により回収され消失します。消失後、それらはSCP-334-JP内部の建材等に利用されると見られていますが、SCP-334-JP-1が気に入った物体及び物品は、SCP-334-JP-1の「部屋」に配置される場合もあるようです。 また、意思ある存在がSCP-334-JPに進入した場合、その全てにおいてSCP-334-JP-1の「案内」を受けます。この「案内」を拒否することは可能ですが、拒否した場合、SCP-334-JP内は外部から見た面積と変わらない霧の満ちた空間に変わります。これらの霧の発生源は不明ですが、特異性は見られません。 加えて、「案内」対象以外に何らかの存在がSCP-334-JP-1を伴わずSCP-334-JP内を探索しようとした場合、「案内」を拒否した場合と同様の現象が発生します。これは小型UAV等で高高度からの追跡を行おうとした場合にも発生し、SCP-334-JP-1から5m以上の距離を取るとSCP-334-JPから抜け出してしまうことが確認されています。 このSCP-334-JP-1の「案内」を受けた対象は、SCP-334-JPからの脱出を拒否する傾向にあり、帰還したDクラス職員によれば「後ろ髪を引かれるような気分」になると報告しています。この効果を振り切ることが出来なかった者は消失することが判明していますが、探査機等の機器越しでは影響を受けません。 + SCP-334-JPへの進入記録1 - 進入記録1を閉じる SCP-334-JP進入記録1 概要: カメラと音声出力機器が搭載された無人探査機を用い、SCP-334-JPへ進入。 経過: 進入後、7分を過ぎた時点でSCP-334-JP-1と遭遇。 結果: 下記を参照。 █研究員: 映像は途切れないようだが……GPSの反応は完全に消失しているな。 (進入後、探査機のカメラには霧とアスファルトの路面だけが延々と映し出されていたが、進入から7分後、唐突にカメラが濃い霧によって覆われる) █研究員: うわ、なんだ。 SCP-334-JP-1: なにこれ。また変なのが来た。 █研究員: あー、すまないが、離れてもらってもいいかな? SCP-334-JP-1: わ、喋った。あなた、なに? (霧が離れ、周囲の霧と対比しても一際濃い人型の霧が探査機の目前に存在するのが確認できる) █研究員: こんにちは。あー、君は何者かな? SCP-334-JP-1: 私? 私は[編集済]って言うの。あなたのお名前は? █研究員: ああ……そうだな、[探査機の固有番号]だ。 SCP-334-JP-1: ふーん。変な名前。 █研究員: 君は一体ここで何をしてるんだい? SCP-334-JP-1: 街を作ってるの。ねえ、良ければ見て行って。悪いようにはしないから。 █研究員: では、お願いしよう。 この後、SCP-334-JP-1との歓談を交えながら探査機はSCP-334-JPへと進入した。SCP-334-JP-1は、「最近喋る相手が来なくてつまらなかった」「どこから来たのか」等の質問を行いコミュニケーションを図ってくる様子が観察出来た。SCP-334-JPが30分ほど「案内」を行い、最終的に「部屋」へと探査機を導いた。 (ビルを模したと思われる建造物に誘導され、様々な物品の配置された一般的なマンションの一室に似た部屋へ案内される) SCP-334-JP-1: ようこそ、私の部屋へ。 █研究員: これは、君の部屋かい? SCP-334-JP-1: そう。色んな所に落ちてる、色んな物を集めた場所なの。 (イミテーションの装飾品、破損した洋風のランプ、全身鏡、マスコットのぬいぐるみ等が確認できる) █研究員: 色んな所? SCP-334-JP-1: うん。濃い霧の中とか、急に飛んできたりとか、川に流れ着いたりとか。色んな物が来て楽しいの。臭かったり、汚かったりもするんだけど、そういうのはぜーんぶ建物とか地面にしちゃう。そしたら臭いも汚れも見えなくなって、気にならなくなるんだ。 █研究員: それは、ゴミってことなんじゃないだろうか。 SCP-334-JP-1: わかんない。でもゴミなんか無いよ? 全部使えるものだもの。 █研究員: 君は、ずっと一人でこれを? SCP-334-JP-1: うん。楽しいよ。最初は小さなお家しか作れなかったんだけど、たまに空に映る街を真似してみたりしてたら、割と何でも出来るってわかって。そうしてる内に、こんな風になっちゃったんだ。 █研究員: 空に映る街? SCP-334-JP-1: うん。時々霧の隙間から見えるの。代わり映えはしないけどね。皆似たり寄ったりで、見てる内に私の街も同じような街にしちゃったけど。 █研究員: その最初と言うのは、いつくらいの話なんだい? いつからこんなところに? SCP-334-JP-1: (5秒間の沈黙)覚えてない。ねぇ、そろそろ満足したでしょ? 気が済んだら帰った方が良いよ。 この後、SCP-334-JP-1に案内され、特に問題なく探査機は帰還した。 + SCP-334-JPへの進入記録2 - 進入記録2を閉じる SCP-334-JP進入記録2 概要: Dクラス職員に通信機器を持たせ、SCP-334-JPへ進入。 経過: 進入後、4分を過ぎた時点でSCP-334-JP-1と遭遇。 結果: 下記を参照。 D-334-JP-1: 霧が深くて何も見えん。ホントにこんな所に何かあるのかよ。 █研究員: 黙って進め。 D-334-JP-1: (舌打ち)わかっ、わぁっ!? SCP-334-JP-1: こんにちは。あなたは誰? D-334-JP-1: いっ、霧が、霧が喋っ、 █研究員: 落ち着け。それと会話してみてくれ。 SCP-334-JP-1: 人の顔見て驚くことないんじゃない? D-334-JP-1: な、あ、わ、わかったよ。あー、えー、お、お前は俺に何かして来たりしないよな? SCP-334-JP-1: しない。そんなことしても仕方ないでしょ。そんなことより、せっかく来たなら私の街を見ていってよ。悪いようにはしないから。 D-334-JP-1: はぁ……だそうだが。 █研究員: よし、付いて行ってみてくれ。 D-334-JP-1: りょ、了解。 (以後、SCP-334-JP-1は探査機に対して話した内容とおおよそ変わらない内容をD-334-JP-1に対し話し続ける。その後、前記録と同様に「部屋」へとD-334-JP-1を導いた) SCP-334-JP-1: 私のお部屋へご案内。ようこそ。 D-334-JP-1: ここは君の部屋なのか? SCP-334-JP-1: そうだよ。今まで見た街もこのお部屋もぜーんぶ私が作ったんだ。凄いでしょ。 D-334-JP-1: 凄いな……君はずっとここに一人で? SCP-334-JP-1: うん、でも毎日色々見つかるから、退屈はしないよ。 D-334-JP-1: そうか……でもどうして街なんて作ってるんだ? SCP-334-JP-1: 物で溢れちゃうから。放っておいたこともあるんだけど、気にしないでいると、どんどん色んなものが溜まってくの。誰が送ってくるのかわかんないけど、たくさんありすぎても困っちゃうよね。 (幾らかの取りとめのない会話が行われる。) █研究員: もう充分だろう。よし、D-334-JP-1。帰還しろ。その霧に言えば帰してくれるはずだ。 D-334-JP-1: (3秒間の沈黙)嫌だ。 █研究員: D-334-JP-1。何を言っている。命令に従わないなら処分されることになるぞ。 D-334-JP-1: 嫌だ。この子をここで一人きりにすることなんて出来ない。 SCP-334-JP-1: ここに居続けるのはやめた方が良いと思う。 D-334-JP-1: どうして。君だってこんな所に一人きりで―― █研究員: おい、D-334-JP-1。応答しろ。おい。聴こえているのか。 (機材を投げ出したと見られる。これ以降、D-334-JP-1が返答を行うことは無かった) + SCP-334-JPへの進入記録3 - 進入記録3を閉じる SCP-334-JP進入記録3 概要: Dクラス職員に出現する事象について事前に説明を行い、記録2と同様の装備でSCP-334-JPへ進入。 経過: 進入後、5分を過ぎた時点でSCP-334-JP-1と遭遇。 結果: 下記を参照。 (5分間、沈黙が続く) SCP-334-JP-1: やあ、こんにちは。 D-334-JP-2: うわっ、本当に霧が喋ってる。 SCP-334-JP-1: 最近来るお客さんは失礼な人ばっかりね。 █研究員: D-334-JP-2。以前ここに進入した者がどうなったか聞いてみてくれ。 D-334-JP-2: 了解。この間、ここに誰か来てたと思うんだが、そいつってどうなったんだ? SCP-334-JP-1: (10秒間の沈黙) D-334-JP-2: どうした? SCP-334-JP-1: 知らない。皆、消えちゃうんだもの。 █研究員: 消えるとは? どこに消えてしまうのか聞いてみてくれ。 D-334-JP-2: そいつらは、その消えたって連中はどこへ行くんだ? SCP-334-JP-1: 知らない! 私だって、消えちゃった人がどこに行くかなんて知らない! 帰って! 帰って! ここにいちゃダメ! 直後、SCP-334-JP-1は錯乱した様子で消失。今探索においてSCP-334-JPへの進入は出来なかった。 補遺1:D-334-JP-1消失後、SCP-334-JPの霧の範囲が██m拡大していることが判明しました。これによる危険性は今のところ確認されていませんが、SCP-334-JP内有人探査は許可を得た場合にのみ申請が受理される方針に変更されました。 補遺2:続けて行われた数度の探査の途上、突如SCP-334-JP内に大音量の音声放送が響き渡りました。SCP-334-JP-1は「時々ラジオ塔から流れるよくわからない音」と答えていますが、解析の結果、早回しにされたメッセージであると判明しました。メッセージは以下の通りです。 ██がつ██にち[ノイズ]は[ノイズ]そうきょくですきりはひろがりつづけておりせかいかっこ[ノイズ]はのみこまれましたしんこうがあまりにもはやく[ノイズ]とめるてだてはわかっていませんしみんのみなさんはけしてそとにでず[ノイズ]りからみをまもってくださいくりかえします (以降、メッセージ頭に戻り繰り返される) このメッセージはおおよそ1ヶ月毎、██日前後に3分間だけ流れ続けることがわかっています。
scp-335-jp
評価: +78+–x SCP-335-JP。周囲に水は無いが、問題なく生存している。 アイテム番号: SCP-335-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-335-JPはサイト-81██の標準収容コンテナに収容されています。内部には対象の休息場所として、大型の木、石などを設置してください。給餌や清掃などでコンテナ内に入室する際は、対象を刺激しないように注意し、30分以内に必ず退出します。対象はヒレに毒針を持っているため、対象から攻撃を受けた場合、ただちにコンテナから退出し、治療を受けてください。給餌は1日に2回とし、コンテナ内は週に一度清掃を行います。コンテナに入室する場合を除き、コンテナの周囲12m以内を立ち入り禁止としてください。 説明: SCP-335-JPは異常な性質を持ったミノカサゴ(学名:Pterois lunulata)です。特異性を保有している以外は、通常のミノカサゴとほぼ変わりません。なお、通常のミノカサゴより、やや攻撃性は低いようです。 SCP-335-JPの異常性は二つ存在します。一つは、対象は周囲に水が存在しない状態でも、水中内に存在するかのようにふるまう点です。対象には肺呼吸を行える器官は一切見られないにもかかわらず、水中外でも生存しています。どのようにして水中外で呼吸を行っているのか分かっていません。また、SCP-335-JPは水中を泳ぐように空気中を飛翔することができます。SCP-335-JPが空気中を"泳ぐ"際、対象は水中にいる状態とほぼ同等であることが分かっています。 二つ目の異常性は、SCP-335-JPからおおよそ半径10m以内に一定時間(およそ50分前後)動物1が存在した場合、第一の異常性をその動物にも保有させるという点です。異常性を"感染"させられた動物は、SCP-335-JPと同様に、空気中を泳ぐように移動することが可能になります。感染は陸生動物にもおよび、その陸生動物も空中を泳ぐことが可能となります。この際、呼吸などに悪影響も無いようです。また、感染はあくまでSCP-335-JPのみから発生し、感染させられた生物は、異常性の感染力を持ちません。20██年現在、感染した動物から異常性が消失した例は未確認です。 実験記録1 - 日付20██年8月10日 対象: D-335-01、実験用マウス1匹、アリ1匹、金魚1匹、アサガオ、培養された[編集済み]菌 目的: SCP-335-JPの異常性の調査。 実施方法: 対象となったものをSCP-335-JPのコンテナ内に入れ、放置する。 結果: 52分後、D-335-01と実験用マウス、アリ、金魚は異常性の影響を受け、アサガオと[編集済み]菌は影響をうけなかった。また、金魚を入れていた水槽やD-335-01の服なども影響を受けなかった。 分析: どうやら一般的に動物と呼ばれる範囲の物が影響を受けるようだ。――██博士 SCP-335-JPは20██年7月27日、██県の水族館で発見されました。発見当日まで事件がなかったことから、対象の異常性は突如発現したものと思われます。当時、SCP-335-JPは大水槽内に飼育されており、同日、SCP-335-JPと、対象の異常性を受けた同水槽内の生物が水槽から飛び出し、水族館内を"泳ぎ"回る事件が発生しました。事件には機動部隊が出動し、異常性を持った生物の大多数を確保、サイトへの運搬後の検査にてSCP-335-JPの存在が判明しました。関係者には記憶処置が施され、カバーストーリー「水槽のガラス破損」が適応されました。 この事件で異常性を保有した他生物も、同様に収容されています。こちらについては別紙を参照してください。 補遺: 収容当初の事件の際、異常性を受けた2匹のオオメジロザメ(学名:Carcharhinus leucas)が水族館内から脱走し、機動部隊を振り切りました。20██年現在も確保されておらず、捜索が進められています。 Footnotes 1. 植物、菌類などは影響を受けません。影響範囲内となる詳細な定義は不明です。
scp-336-jp
評価: +11+–x アイテム番号: SCP-336-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-336-JPはサイト-81██最下階の30m×30m×15mの収容室の中央の床に固定されたアクリルケースの中に保存します。収容室内は常に赤外線カメラで監視してください。現在財団職員の収容室への立ち入りは一切認められません。これ以上のSCP-336-JPに関する実験は、SCP-336-JP-1への筆談によるインタビュー、もしくはSCP-336-JP-2へのインタビューのみ認められます。全てのSCP-336-JP-1は声帯摘出手術を施した上で財団所有の居住エリアに収容してください。 説明: SCP-336-JPは直径10.6cmの純銀製のリング状のオブジェクトです。純銀製にもかかわらず、SCP-336-JPには空気中の硫化ガスとの反応による変色が一切見られません。SCP-336-JPは活性化状態に入る事があります(以下この活性化状態を「瞬き」と呼びます)。瞬いている間、SCP-336-JPは淡い青色の光を発し、5℃程の温度上昇が見られます。最も長く瞬かなかった期間は12日間、1日に瞬いた回数は最高11回でした。最も短い瞬きは0.3秒でしたが、最も長い瞬きは6時間に及びました。瞬きの間隔、長さには規則性はないと思われます。 瞬いているSCP-336-JPは、それを中心とした半径12mの球内に体の一部または全部を侵入させた全ての人間にミーム的な影響を与えます(以下、影響を受けた人間をSCP-336-JP-1とします)。SCP-336-JP-1へのミーム汚染の治療の試みは全て失敗しています。現在█名のSCP-336-JP-1が財団によって収容されています。 SCP-336-JPは、サイト-81██で起きた事案の調査過程で発見されたものです(補遺1:事案336-JPを参照)。SCP-336-JPは、██県西部██山中腹の廃墟で発見されました。SCP-336-JPの起源は不明です。その後のSCP-336-JP-1への調査で以下の特徴が判明しました。 SCP-336-JP-1は悪意に対して嫌悪感を示す傾向にあります(ここでは、「不必要な害を周囲に与えようとする意思、または明確な信念なくルール違反だと認識していることをあえてしようとする意思」を「悪意」とします)。SCP-336-JP-1は悪意を伴った行為を目撃した時に不快感を示します。ですがこの不快感も常識の範囲内を逸脱しないものであり、もともと真面目な性格の人物が曝露した場合、大きな変化は見られませんでした。また、彼らは悪意か否かを見分けることができます。 SCP-336-JP-1は容姿、性別、年齢、経歴などによる差別をしません。極端な男性差別思想を持っていたDクラス職員をSCP-336-JPに曝露させたところ、彼女はその後一切差別と取れる発言をしなくなり、むしろ差別に対し些かの嫌悪感すら示すようになりました。またSCP-336-JP-1はヒトだけでなく、全てのヒューマノイドに対しヒトに対する時と同じように接します。 逆にSCP-336-JP-1は悪意のない行動に対して極めて寛容な態度を示します。たとえ他人の行為によってSCP-336-JP-1自身の命が危険にさらされるようなことがあっても、それに悪意がないならそれに対し抵抗、制止などの反応及び不快感を示しません。この特性が事案336-JPの原因になったと考えられます。 SCP-336-JP-1が発する言葉を直接聞いた人物はSCP-336-JP-1と同様の性質を示すようになります(以下、この人物をSCP-336-JP-2とします)。幸いにもSCP-336-JP-2にはミーム汚染を拡散させる能力は存在せず、SCP-336-JP-2へのミーム汚染の治療としてのクラスB記憶処理は有効でした。また、SCP-336-JP-1との筆談でのコミュニケーションでは感染しませんでした。 補遺1:事案336-JP 事案336-JPは、199█/█/█に発生した人型異常物体(当時SCP-███-JP 200█/█/██に死亡)の収容違反のことです。本来ならば小規模に留められたはずの収容違反でしたが、職員の対応が不可解なほどに消極的で、職員█人が死亡する事態になりました。調査の結果、プライベートで件の廃墟を訪れていた臼井研究員がSCP-336-JPに曝露しており、彼がミーム汚染の感染源となっていたことが明らかになりました。その後、臼井研究員と会話したすべての職員はクラスB記憶処理を受け、臼井研究員はSCP-336-JP-1の実例として収容されました。以下は事案発生当時人型異常物体の監視をしていた█研究員へのインタビューログです。インタビューは事案の3日後に行われました。 対象: █研究員 インタビュアー: エージェント██ <録音開始> エージェント██: 今日ここに呼び出された理由はわかってるか? █研究員: えっと…先日の収容違反の件ですよね。 エージェント██: そうだ。一応事実確認をするぞ。まず█:██に収容室で[編集済]とあるが、この報告は事実だな? █研究員: はい。間違いありません。 エージェント██: じゃあ聞くが、お前はその時何をしていた? █研究員: 何って…モニターで収容室の監視をしていました。 エージェント██: 何故その時点でスクランブルをかけなかったんだ? █研究員: あれは単なる異常性の暴発でした。本人に職員をどうこうしようという意志は見られなかったので通常のプロトコルで対応しようと思いました。 エージェント██: もうすでにDクラスが2人死んでいるのにか?俺は過去の事故記録にも目を通したがこんなことは初めてだったはずだぞ? █研究員: いえ、本人に我々をどうこう… エージェント██: もういい、わかった。次の質問だ。…お前から見て奴に脱出の意志は見られたか? █研究員: 異常性の暴発の直後には見られませんでしたが、収容室からの脱出が可能であると気付いた時からはありました。 エージェント██: █:██のことだな。…お前はここでもスクランブルをかけていないが、それは何故だ? █研究員: 状況と、能力発動時のプロトコルの発動を██博士に報告するのを優先しました。 (██博士への報告直後に██博士から非常事態宣言が発令されています。) エージェント██: (ため息)わかった。これでインタビューは終わりだ。最後に一つ聞くが、奴がここから出ちまうというそれだけで一般人に被害が及ぶという認識はあったか? █研究員: それの何がいけないんですか? <録音終了> 終了報告書: 1ヶ月前までの█研究員の勤務態度から見ても明らかに不自然だ。重篤なミーム汚染の可能性がある。専門調査チームの派遣を要請する。 - エージェント██ 補遺2: 201█/9/21~9/23にSCP-336-JPが35時間の間弱く暗い赤色の光を発しているのが確認されました。その間SCP-336-JPには20℃程の温度低下が見られました。この効果は現在調査中ですが、これ以降一度もこのようなことが発生しておらず、また、この件以降数人のSCP-336-JP-1がつじつまの合わない言動を繰り返すため調査は難航しています。 201█/10/1 追記: 201█/9/30に行われたSCP-336-JP-1の居住エリアの定期巡回で、以下のようなメモが発見されました。 かえせってなんだよしらないそんなこと 非常に乱雑な文字であったため筆跡による特定ができず、また全てのSCP-336-JP-1がこのメモのことを知らないと証言しています。そのため誰がこのメモを書いたのかは不明です。 201█/10/24 追記: SCP-336-JP-1の居住エリアでの備品の破損が相次いでいます。内█件はSCP-336-JP-1の収容違反に繋がりかねないものでした。この件はSCP-336-JPが赤い光を発した件と並行して調査中です。現在、SCP-336-JP-1の居住エリアの監視強化が申請されています。
scp-337-jp
評価: +112+–x アイテム番号: SCP-337-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-337-JPは日本の青森県に存在し、その周囲を囲うようにサイト-8142が設置されています。奥深い森の中であるため一般人の流入は極わずかですが、常に全周囲を見張ることが出来るように警備員を配置し決して内部に立ち入ることのないように注意してください。SCP-337-JPに接続されたモニター郡は常に監視の対象でありビデオカメラによる録画を行ってください。特に興味を引く内容であった場合は即座にクリアランスレベル3以上の博士に報告されます。 説明: SCP-337-JPは青森県の████の森の奥深くに存在し、周囲に自生する一般的な樹木の特徴を持っています。しかしその枝は葉を付ける事は無く、花も種子も発生させません。対象は発見時、その枝に一般的にTV受信に使用されるチューナー内蔵モニターを多数吊り下げている状態でした。モニターには電源やアンテナコードなどは接続されていないにもかかわらず、常に正体不明の人物が映し出されています。人物は人種や使用言語などに一貫性は無く、全く無作為であると思われます。一部には不明の言語を話す人物、古代の衣装をしている人物なども含まれます。映しだされている人物は常に自分自身の状況や心情などついてレポートを行っており、一つのモニターは約2~40時間の間で別の人物に映像を変化させます。映像には背景は特に無い場合が多く、まれに映されていた場合でもそれがどこであるのか特定できていません。 ████には全部で6体のSCP-337-JPが発見されており、一体のSCP-337-JPには11~20ほどのモニターが吊り下げられています。財団による調査が行われていますがモニターに映しだされている人物の詳細については全く成果が上がっておらずSCP-337-JP自体による創作、別世界線の人物である可能性などが議論されています。また彼らの語る内容も様々で、中には現実とは思えない異常な状態を紹介しているものも存在します。 以下はSCP-337-JPの放送を録音した記録です。 録音記録337-7-A15 - 日付████/██/██ 対象: SCP-337-JP 放送内容: 対象は20代と思われるスーツ姿で黒人男性と思われる。言語はフランス語を使用。 [空が危険なものだと指定されたのはもう40年前の事さ。じいさんがよくその時の事を話してくれた。…そのせいで不眠症になったんだ。] [それからは皆、このドームの中で暮らしているよ。僕はドームの空調技師として働いている。仕事は楽しいよ。] [来月結婚するんだ。新居は思い切ってストラスブール地区の12号ルームにしようと思ってる。 今の収入なら問題ないはずだ。] [彼女の父親は太陽光反射膜の製造を行ってる。名誉ある仕事だとは思うけど、やっぱり不安もあるはずだ。僕が支えてあげなくちゃ。] [来月は2025年の█月だ 我らが兄弟の41年周年祭だ。そこで彼女にプロポーズするんだ。] 録音記録337-2-U58 - 日付████/██/██ 対象: SCP-337-JP 放送内容: 対象は40代と思われる男性。放送は英語、フランス語、中国語、日本語に加えいくつかのラテン語系と思われる未知の言語で同時放送されている。男性は神父のカソックコートを着ていた。 [「ウエイン牧師の真珠の門株式王国へようこそ!ここは数あるフランチャイズ国家群の中で最も洗練され、最も多くの国民が満足しています!」] [「先進的ハイテク技術と古代より続く精神思想の完全なる融合。それは物理的、精神的な安息と個人の改善とをお約束するものであります。」] [「我々は民族、人種を問う事はありません。我々はたった一つの敬虔なる思想に集いし子羊達なのです。この安息の王国において、あなた達は完全な自身を見出す事でしょう。」] [「ウエイン牧師の真珠の門では特に3つの原則を尊びます。すなわち、テクノロジーの賞賛! 効率的なエコロジー!隣人愛! です あえてこれらを支持しない人がいるのでしょうか?」] [「革新的なテクノロジーと伝統的信仰の調和。世界トップレベルの優れた治安。我々は心からの安らぎとパワフルなサービスとを両立させる事ができます。」] [「ウエイン牧師の真珠の門の国民パスを所持されていないのでしたら今すぐに! 我々の素晴らしさを体験する事ができる格安の短期国民パスもございます。」] [「ドネートによりプリースト位階以上となられた方にはもれなく、安息の住居と特別製マターコンパイラーによるサービスを受ける事ができます。」] [「さぁ!今すぐ積極的ドネートを行い、我が株式国家の株主国民となってください!」] 録音記録337-12-P12 - 日付████/██/██ 対象: SCP-337-JP 放送内容: 対象は30代後半のアジア人女性。日本語を使用。   [母さんはすごく電話が長いの。いつも何時間も、耳に電話機の跡が残るくらい電話してるわ。でもこの間の電話は15分くらいで終わったの。] [今日は短いのねって言ったら… こう言われたわ「間違い電話だったの。」] 5秒停止 [私の友達がすごくカッコイイ自転車に乗ってたから、その自転車どうしたの?って聞いてみたの。そしたら彼がね] [「散歩していたら凄い美人がこの自転車に乗って僕の前まで来て服を脱ぎだして、好きにしていいわよって言うから自転車をもらったんだ。」って言うの。] [彼には女装の趣味はなかったからね。] 5秒停止 [私のおじいさんが電気屋さんに行ったの、そして「カラーテレビはあるか?」そしたら店員はすぐさま「ええ、もちろんありますよ。」って] [そしたらおじいさんは「黄色いやつをくれ。」って。] 5秒停止 [私の父さんは外国人のジョークで三回笑うの。一回目はジョークを聞いた時。二回目はジョークの説明を受けた時。三回目はジョークの意味がわかった時。] 5秒停止 いい加減にしてくれ、具合が悪くなってきた-███博士。 録音記録337-41-K52 - 日付████/██/██ 対象: SCP-337-JP 放送内容: 対象はピエロに扮した男性。人種不明。 対象者は一時間の間、何もない部屋でずっとこちらを睨み続けている。 録音記録337-1-A1 - 日付████/██/██ 対象: SCP-337-JP 放送内容: 対象はガスマスクと防護服に身を包んでいる。声の特徴から白人男性である事が特定されました。映像解析から防護服にSCP財団のマークを確認。 [世界はもう、俺達のものじゃ無くなった。創世記に逆戻りだ。自然は…次に何を支配者に選ぶのかは判らない、だがそれは人類ではないって事は確かだ。]  [正直俺も、XKシナリオなんて起こるわけが無いってそう思っていた。人類はもっと強く、賢いって… だが現実はそうじゃない。俺達は間抜けだったんだ。] [奴らをコンクリートの檻に閉じ込めて、それで収容したつもりになっていた。あの人形や、金属や、怪物や、ウイルスや、…俺達は何一つ収容できなかった。] [俺達に選択権はもはや何もない。切れるカードは全て山の上だ。押せるスイッチも、引き金を弾ける武器も無い。残されたのはこれだけだ。] 対象者は奇妙な触手状に変形した腕を上げ、自らの首に巻きつかせました。その後対象者は[削除済] 拡張録音記録SCP-337-JP
scp-338-jp
評価: +182+–x SCP-338-JP-41 アイテム番号: SCP-338-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 全てのSCP-338-JPはエリア-8178の地下1000mに建造された高さ10m、直径10mの円筒形の地下隔離ユニット内に固定されたアクリル製容器に保管し、ビデオカメラ、音声レコーダー、カント計数機、その他の別紙で指定した測定装置によって24時間体制で監視してください。シェルター内部への無許可の侵入は固く禁止します。いかなる異常事態にも対応できるよう、専門の対策チームがエリア-8178に配備され、常時待機します。 SCP-338-JP-00を発見した、あるいはなんらかの情報を入手した場合は、直ちにエリア-8178のSCP-338-JP研究主任まで報告してください。SCP-338-JP-00が発見された場合、適切な機動部隊が派遣され、収容任務に当たります。 説明: SCP-338-JPはPILOT社の製品███████と同じ外見のノック式シャープペンシルです。本体はオレンジ色で、ノックボタン部分に半透明の蓋と消しゴムが付属しています。芯の太さは0.3mmです。通常のシャープペンシルと同様に、芯を入れることで筆記用具として問題なく使用できます。通常の製品との外見上の差異として、本体のクリップ部分に2桁のシリアルナンバーが小さく刻印されています。SCP-338-JPはこれまでに99本が確認されており、シリアルナンバーに従ってSCP-338-JP-01から-99と指定されています。このうち3本が収容作戦中に破壊、2本が実験のため破壊され、残りの94本が収容されています。 いずれかのSCP-338-JPを用いて紙などに「これは」で始まり「シャープペンシルです」あるいは「シャーペンです」等で終わる文章を書くと、全てのSCP-338-JPがその文章通りの性質を獲得します。英語で「this is a」で始まり「mechanical pencil」で終わる文章を書いた場合や、その他の言語で同じ構造の文章を書いた場合も同様です。2個以上の互いに矛盾する文章を書いた場合、存在している中で最も後に書いた文章のみが有効となります。 性質の発現に際しては、質量とエネルギーの等価性に従い、必要なエネルギーに相当するだけの質量がSCP-338-JP本体から失われます。SCP-338-JP本体の全質量を以てしても賄えないほどのエネルギーが必要な場合、性質は発現しません。SCP-338-JPが獲得した性質は、文章の書かれた紙を破く、燃やす、文章を消しゴムで消すなどして判読できなくする、文章全体にSCP-338-JPを用いて訂正線を入れる、またはSCP-338-JPを破壊することで消失します。 + 実験記録338-JP(抜粋) - 実験記録を隠す 実験記録338-JPから、重要と思われる記録のいくつかを抜粋して示します。 実験記録338-JP-001 - 日付20██/██/██ 実施方法: SCP-338-JP-01を用いて、ノートに「これは常に微弱なX線を発するシャープペンシルです」と書く。 結果: 全てのSCP-338-JPが1500μR/hのX線を放射するようになった。 分析: 想定通りの結果である。 実験記録338-JP-003 - 日付20██/██/██ 実施方法: SCP-338-JP-01を用いて、ノートに「これは常に微弱なX線を発するシャーペンだぜ!」と書く。 結果: 全てのSCP-338-JPが1500μR/hのX線を放射するようになった。 分析: 語尾の細かい違いは許されるようだ。 実験記録338-JP-005 - 日付20██/██/██ 実施方法: SCP-338-JP-01を用いて、ノートに「This is a mechanical pencil that is radiating weak X-ray.1」と書く。 結果: 変化なし。 分析: 日本語でなければ駄目なのか。あるいは「mechanical pencil」で文を終えなかったためか。 実験記録338-JP-006 - 日付20██/██/██ 実施方法: SCP-338-JP-01を用いて、ノートに「This is a stinking mechanical pencil.2」と書く。 結果: 全てのSCP-338-JPが腐卵臭を発する。周囲の空気中から硫化水素が検出された。 分析: やはり日本語である必要はないらしい。ただ、文の始めと終わりを揃える必要がある。 実験記録338-JP-007 - 日付20██/██/██ 実施方法: SCP-338-JP-01を用いて、███研究員がノートに「Das ist ein stinkiger Druckbleistift.3」と書く。███研究員はドイツ語を学んだ経験がなく、書く文章の意味を理解していない。 結果: 全てのSCP-338-JPが腐卵臭を発する。周囲の空気中から硫化水素が検出された。 分析: 文章の意味を理解している必要はないらしい。 実験記録338-JP-030 - 日付20██/██/██ 実施方法: SCP-338-JP-01を用いて、ノートに「これはサイト-8181第一男子更衣室60番ロッカーの中にあるシャープペンシルです」と書き、第一男子更衣室に研究員を配置。 結果: 変化なし。 分析: ロッカー内に瞬間移動すると予想していたが不可能だった。エネルギーが足りないのかもしれない。これで残りのSCP-338-JPも一瞬で収容できると思ったのだが。 実験記録338-JP-047 - 日付20██/██/██ 実施方法: SCP-338-JP-01を用いて、ノートに「これは火を噴くシャープペンシルです」と書く。 結果: 全てのSCP-338-JPが、ノック部分を押すと先端からアセチレンバーナー程度の火を出すようになった。SCP-338-JPには一切の損傷は見られない。 分析: SCP-338-JPは危険な武器にもなりうる。厳重な保管が必要である。 SCP-338-JPは、███研究員の私物であったSCP-338-JP-41が突如として懐中電灯のように発光するようになったことをきっかけに発見されました。詳細な経緯は補遺1を参照してください。 補遺1: 20██/██/██ 09:40頃、サイト-8181にて███研究員が自身の所有していたSCP-338-JP-41をノックしたところ、SCP-338-JP-41の先端部から白色光が発せられました。███研究員がもう一度ノックしたところ発光は止み、さらにもう一度ノックすると再び発光を始めました。その光は光束80lmと、一般的な懐中電灯と大差のないものでした。この段階では、SCP-338-JP-41は「そのような装置を内蔵しないにも関わらず、ノックすると先端が発光するシャープペンシル」としてAnomalousアイテムに分類される予定でした。 SCP-338-JP-41の発見から3週間後の20██/██/██、エージェント・███が、その日発売された漫画雑誌「████」に掲載された漫画「████████」の作中、工作好きな少年が自身の制作物を紹介する場面に、「そしてこれは、懐中電灯にもなるシャープペンシルだよ」との台詞を確認しました。これを受け作者である███ ███氏に対する調査を行ったところ、同氏宅よりSCP-338-JP-65および該当箇所のネームが発見されました。このとき、SCP-338-JP-65も-41同様ノックによって発光するという性質を得ていました。ネームをシュレッダーによって処分したところ、SCP-338-JP-41および-65は発光しなくなりました。 補遺2: プロトコル・グラファイト338 SCP-338-JP-41および-65が収容された段階で既に、収容された2本以外に未収容のSCP-338-JPが多数存在することが推定されました。SCP-338-JPの全てを収容するべく、███研究員発案のプロトコル・グラファイト338の実行が認可され、20██/██/██より実行されました。SCP-338-JP-41を用いて、ノートに「これはGPSによって自身の位置情報を取得し、その情報を周波数(████+(自身のシリアルナンバー×10))Hz4の電波を用いて発信するシャープペンシルです」という文章を書いた上で、電波を受信して得た位置情報が示す地点に収容部隊を派遣しました。派遣先は全国各地の文房具店が最も多く、近くはサイト-8181内の███博士のロッカー、遠くはアスタナ5の民間人宅6にまで及びました。収容に際して、所有者がSCP-338-JPの特異性を理解していたケースが4件あり、うち3件では所有者がSCP-338-JPを使用して収容に激しく抵抗したため、3件全てにおいてやむなくSCP-338-JPの収容を諦め破壊しました。20██/██/██、SCP-338-JP-01から-99について、破壊した3本を除く96本全ての収容に成功したため、プロトコル・グラファイト338を終了しました。プロトコルに用いたノートはシュレッダーによって処分しました。 補遺3: 20██/██/██ 00:00、収容中の全てのSCP-338-JPが突如として音声を発しました。音声はボイスチェンジャーを通したような高い声で、日本語によるメッセージを三回繰り返しました。メッセージの内容は次の通りです。なお、太字部分は他の部分より音量が大きくなっていました。 見つかっちゃった! おめでとう! 限定生産「博士のディス・イズ・シャープペンシル!™7」を99本も集めるなんて、すごいね! 博士もこれにはビックリ仰天だ! だけど、まだ終わりじゃないよ。 なぜなら、もう1本残ってるからね! さあ、キミは最後の1本を見つけられるかな? 楽しもうね! これを受け、SCP-338-JPが少なくとももう1本存在する可能性、および、その所有者(恐らく「博士」)がSCP-338-JPを使用して財団の動向を把握している可能性が濃厚となりました。この未収容のSCP-338-JPを便宜的にSCP-338-JP-00と指定し、探索を続けています。 機密保護のため、およびSCP-338-JPの特異性の予期せぬ発現に備えて特別収容プロトコルが改訂され、全てのSCP-338-JPはエリア-8178に移管されました。 Footnotes 1. 英語で「これは微弱なX線を発しているシャープペンシルです」の意。 2. 英語で「これは臭いシャープペンシルです」の意。 3. ドイツ語で「これは臭いシャープペンシルです」の意。 4. 財団のために確保された周波数帯。 5. カザフスタン共和国の首都。 6. 一家で日本に観光に訪れた際に購入したとのこと。 7. 早口の小声で「ティーエム」と聞こえました。
scp-339-jp
評価: +27+–x SCP-339-JP-A内部写真。遠隔操作のロボットにより撮影 アイテム番号: SCP-339-JP   オブジェクトクラス: Euclid   特別収容プロトコル: SCP-339-JPはSCP-339-JP特別収容用地下サイト-81FDに一貫して収容が継続されます。SCP-339-JP-Aはサイト-81FD中央の収容エリア"起点"に安置してください。SCP-339-JP-Bは収容エリア"起点"内に建造されている小型建屋にて生活を行わせてください。 小型建屋は電子錠と高圧電流によってロックし、SCP-339-JP-Bの逃亡、もしくはSCP-339-JP-Aを除いた何らかの存在の小型建屋への侵入を防止してください。SCP-339-JP-Bとの連絡は、小型建屋内の監視カメラと直通電話によって行ってください。 直通電話によるSCP-339-JP-Bとの会話は既存のマニュアルに従って計画的に進行し、収容の事実をSCP-339-JP-Bから可能な限り隠蔽してください。また、SCP-339-JP-Bに対して開放されているWeb上の全情報、全ページの管理は4時間単位で更新してください。 小型建屋の窓には立体現実造影装置を取り付け、収容以前の景色が完全に再現されるようにしてください。この景色は、実際の景色と常時同期されるよう、管理点検を徹底させてください。   サイト-81FDは高さ13m、直径517mの円形施設です。収容エリア"起点"を除いたエリアa1〜e10は規則的なハニカム構造によって区切られています。この内エリアa1〜a7を除く全ハニカム構造エリアには常にDクラス職員を居住させてください。 エリアa1〜a7はサイト-81FD内ライフラインの維持設備、記録室、複製記録の保管所によって構成されますが、サイト-81FD居住者であるDクラス職員を除いたあらゆる職員はサイト-81FDへの立ち入りが禁止されています。 施設の点検、補給、修理、Dクラス職員もしくはSCP-339-JP-Bへの生活物資運搬は全て遠隔操作のロボットによって行ってください。   SCP-339-JPが活性状態に入ったことが確認され次第、サイト-81FDは地下700mまで沈下し完全隔離されます。この状態はSCP-339-JPが非活性化するまで継続され、非活性化による再上昇が完了し次第、沈下システムの再点検を実施してください。 非活性化後、問題無くSCP-339-JP-Bが「外出」した場合、SCP-339-JP-Bに埋め込まれた常時管理デバイスを起動してクラスA記憶処理を実行した後、専用ドローンにより小型建屋内へと再収容してください。 「外出」が正常に行われなかった場合に備えて、収容エリア"起点"の内壁収納庫にはSCP-339-JP-B強制収容用の武装ドローンを待機させていてください。   説明: SCP-339-JP-Aは集合住宅の内の一部屋です。その部屋を構成するドア、壁、天井、床、窓等の、外界との接触を持った材質も含めた異常存在であり、それらの外殻部によって構成された一つの異常物であると見なされています。 現在、SCP-339-JP-Aは集合住宅の改修に偽装した回収手順によって切り出され、専用の地下収容用サイト-81FDに収容されています。   SCP-339-JP-Aはライフラインとの断絶、もしくは損傷の有無に関わらず、内部の物品は正常な機能を有します。電気、水道、ガス等によって家電製品や設備が正常に作動することが確認されていますが、それらの供給源は現在でも不明です。 また、内部の物品の持ち出しは、即座にSCP-339-JPの限定的な一時活性化を招きます。その場合、SCP-339-JP-Aは物品の回収を優先し、回収が完了し次第非活性化します。   SCP-339-JP-Bは19歳の日本人男性です。氏名は██ ██で戸籍上にも実在する人物であり、████年からSCP-339-JP-Aで居住を開始するまでは、なんら異常性を持たない人物であった可能性が高いと見られています。 SCP-339-JP-Bは通常異常性を持たない存在であり、その異常な性質はあくまでSCP-339-JP-AとSCP-339-JP-Cとの関連によって定義づけられているに過ぎません。   SCP-339-JP-Aの内部にSCP-339-JP-Bが進入するか、もしくはSCP-339-JP-A内部にSCP-339-JP-Bが存在しない状況が26時間以上継続された場合に、SCP-339-JPの活性化現象が開始されます。 活性化と同時に、SCP-339-JP-Aの外部壁面下部から、節足動物の足に類似したデザインと機能を持った8mの触手が計9本出現します。この触手を用い、平均42km/h、最髙65km/hでSCP-339-JP-Aは移動を開始します。 活性化現象中、SCP-339-JP-Aは一切の物理的な影響を受けず、あらゆる物体を透過して移動を続けますが、移動用の部位を使用していることから「SCP-339-JP-A側からの接触」が移動には必須であると考えられています。   活性化中のSCP-339-JP-Aは移動を続けながら、自らの透過能力を利用して積極的に人間を内部に取り込もうとします。内部にSCP-339-JP-Bが存在しない場合はSCP-339-JP-Bの取り込みを最優先で実行しますが、そうでは無い場合は、不規則に動き回る中で遭遇した人間を取り込むようです。 この活動によって内部へと取り込まれた人間(SCP-339-JP-Bは除く)は一時的にSCP-339-JP-Cへと固有の変異を遂げます。   SCP-339-JP-Cは、活性化中にSCP-339-JP-A内部に取り込まれた人間に発生する特定の人格です。内部に取り込まれた人間は元々の人格と記憶を喪失し、その代わりにSCP-339-JP-C各個体の人格と記憶が発生します。 SCP-339-JP-CはあたかもSCP-339-JP-Bの旧知の人物であったかのように振る舞い、前回の活性化現象から引き継がれた記憶を有します。SCP-339-JP-BもSCP-339-JP-Cに対して友人のように振る舞い、なんら違和感を抱きません。 SCP-339-JP-Aは活性化中際限なく人間を内部に取り込み続けますが、それら全てに異なった人格のSCP-339-JP-Cが発現します。また、それらの人格は、SCP-339-JP-A内部に人間が取り込まれた順番で、発現する順番が決まっています。そのため、多くの場合でSCP-339-JP-C1〜C8までの人格の出現は最低限観察されます。 また、内部にSCP-339-JP-Bが存在しない状態で活性化が発生し、SCP-339-JP-AによってSCP-339-JP-Bが最初に内部に取り込まれる例に於いては、SCP-339-JP-Bの一部記憶に改変が生じ「初めからそこにいた」という記憶を有するようになります。   SCP-339-JP-Aの内部空間は、不明な理由からSCP-339-JP-A自体の移動や軌道による傾き、衝撃、慣性などの影響を受けていません。また非活性化後のSCP-339-JP-Bへの偽装済みインタビューでは、SCP-339-JP-Aが透過した物体も内部空間には現れておらず、内部へと取り込まれたように見えた人間に関しては「みんな普通に玄関から入ってきた」と証言しました。 これによって内部空間は静穏な環境に常時保たれていると見られ、SCP-339-JP-Bと各SCP-339-JP-Cのコミュニケーションは常につつが無く進行しているものと思われます。   SCP-339-JPは活性化開始の12分から48分 53分 68分 157分 189分の間で突如非活性状態へと移行します。非活性化と同時に、SCP-339-JP-Aは活性化直前の位置に瞬間移動し、内部に取り込まれた人間もSCP-339-JP-Cとしての人格と、その間に過ごした時間の記憶を喪失した状態で、取り込まれる直前の地点に瞬間的に移動されます。 その後、SCP-339-JP-BはSCP-339-JP-Aより「外出1」します。   補遺1: SCP-339-JPはその実際的な危害性こそ低脅威であるものの、その性質から収容難度が高く、一般社会への機密の曝露という面での危険性から、当オブジェクトの収容のみを目的とした収容サイトの構築が実行されました。   しかしながら、活性化中のSCP-339-JP-Aが、土中等何らかの物質で満たされた空間に於いても移動が可能であると判明し、その上SCP-339-JPの活性限界時間が未だ特定出来ていない事から、特別収容プロトコルの改訂の必要性が現在協議されています。 また、SCP-339-JP-BがSCP-339-JP-Cと共謀して収容を違反する可能性があることから、SCP-339-JP-Bに対しては収容の事実を隠蔽するよう、複数回の記憶処理の実行を含んだ偽装用のプロトコル適用が決定されました。   補遺2: 活性化中のSCP-339-JP-A内部空間を記録する試みは、透過による機器の脱落もしくは極端なノイズの発生によって困難と見られていましたが、SCP-339-JP-Bの手によって持ち込まれ、使用されている記録装置のみ内部空間に於いて問題無く使用可能である事が発見されました。 これに基づいて、SCP-339-JP-Bに対して記憶処理を含んだ心理誘導を行い、自発的にデジタルビデオカメラを携帯させる事で、活性化中にSCP-339-JP-Bが「ホームビデオの撮影」を実行しやすい環境を整えました。   この実験は現在までに37回実行されており、そこで観察されたデータやプロファイリングから得られた、それぞれのSCP-339-JP-C個体の情報を下に記載します。 これらの調査は現在まで続行されており、情報は更新される可能性があります。   番号 推測される性別 性格の考察 SCP-339-JP-Bとの関係 特筆すべき言動 SCP-339-JP-C1 男 活動的でユーモアに富む。不謹慎な冗談を好む 親友。SCP-339-JP-Bと最も親しい人格 自らの私生活についての話では「6」という数字が頻出する SCP-339-JP-C2 男 消極的だが人好きのする性格。前髪を払う癖がある 友人 なし SCP-339-JP-C3 男 豪放磊落だがデリカシーに欠く。SCP-339-JP-C4と兄弟関係にあると思われる 友人 "カナ"と呼称される架空の女性と交際しているかのように振る舞う SCP-339-JP-C4 男 対人関係について消極的であり、卑屈。SCP-339-JP-C3と兄弟関係にあると思われる 兄の友人 各個体の会話に自らが参加していない時に、未知の言語で構成される特定の言葉を小声で、高速で読み上げる事がある SCP-339-JP-C5 女 一切喋らず、未知の手話によって他の個体と会話を行う。全個体は、手話の内容を理解している 親族(恐らく姪) 手話の部分的な解読に成功。他個体との会話の流れから察するに"カナ"という架空の女性の友人であると思われる SCP-339-JP-C6 男 普段は完全に犬として振る舞い、他個体も本個体を犬のように扱っている 飼い犬 犬のような振る舞いの最中に突然SCP-339-JP-C4と同様の言葉を高速で読み上げる SCP-339-JP-C7 不明 男の人格と女の人格を有し、数秒単位で頻繁に入れ替わる。どちらの人格に於いても、活発であり冗談を好む 男時:友人 女時:異性としての好意 人格が入れ替わる度、それと同時に他個体も、本個体の現在の人格に合わせて認識や会話が順応する SCP-339-JP-C8 男 社交的かつ利他的だが、SCP-339-JP-C9の相手を最優先する。自分の脇腹をつねる癖がある 友人 SCP-339-JP-C9と恋人関係にあると思われる。SCP-339-JP-C9の耳元で「あらと きる きたる」と呟くのがこれまで18回確認されている SCP-339-JP-C9 女 少々ヒステリックで偏屈。SCP-339-JP-C8に依存している 警戒の対象 SCP-339-JP-C8に耳元で呟かれる度に、同じく耳元で「みちたる みち かえる」と呟き返す SCP-339-JP-C10 男 極端な笑い上戸。個体同士でのコミュニケーションに於ける様々な場面をカメラで撮影している 友人 カメラを所持していない人間が取り込まれた場合であっても、本個体がSCP-339-JP-A内部空間に出現した時点で、必ず同一のカメラを携帯している。このカメラはSCP-339-JPの非活性化による転移と同時に消失している SCP-339-JP-C11 男 厳格かつ無口だが、飽きやすくもあり、好奇心も強い 父 SCP-339-JP-Bの父親として振る舞うが、SCP-339-JP-Bの実際の父親とは明らかに異なった性格と言動と記憶を有する Footnotes 1. SCP-339-JP-Bは、非活性化後にSCP-339-JP-A内部空間より自主的に退出する行為を「外出」と描写している
scp-340-jp
評価: +44+–x アイテム番号: SCP-340-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-340-JPは2個体を残し、残りは全て処分されます。保存される2個体はサイト-81██内のSafeクラスオブジェクト収容ロッカーで標準的静的オブジェクト収容容器に1つずつ横に並べた状態で保存されます。実験の際はDクラス職員を被験者に起用し、常に任意で目隠しが出来るよう特性のバイザーを装着させ、物理的にSCP-340-JPとの距離が取れるよう鋼鉄製ワイヤーでDクラス職員をウィンチに接続した状態で行われます。任意に実験を終了する場合、前述のウィンチを巻き上げ物理的にSCP-340-JPとの距離を置かせてください。実験に使用するSCP-340-JPは必ず既に収容されているSCP-340-JPどちらか片方の複製である必要があります。必要数を申請書に記入し、瓦割りが可能な職員あるいはDクラス職員1により目視不可能な状態で前述の手段で複製してから使用してください。 説明: SCP-340-JPは国内で販売されている屋根用瓦2のような外観をした実体です。成分検査の結果、SCP-340-JPは多くの民間の瓦メーカーで製作されている瓦と異なる点は発見されませんでした。 SCP-340-JPの特異性は日本の武芸、あるいはミームとしての「瓦割り」を知る人物(以下、被験者と呼称)に目視されることにより発現します。被験者はSCP-340-JPの目視と同時に一種の認識災害と思われる効果によってSCP-340-JPへ近づき、自らの拳3を垂直にSCP-340-JPへ叩きつけ、破壊します。目視を行わない認識(映像機器や目隠し等)での接触は特異性を発現させないことが証明されており、また、破壊されたSCP-340-JPの残骸は後述する例外を除き、特異性を有さないことが分かっています。 この破壊の約1~2秒後に破壊されたSCP-340-JPの残骸を押しのける形で新たなSCP-340-JPが2個体重なるような状態で発生します。この時の合計質量は破壊されたSCP-340-JPの2倍であることから、SCP-340-JPは増殖に似た物質生成能力を有すると結論されました。 また、この発生し重なった2個体のSCP-340-JPを被験者が未だ目視認識を続けている場合再び2個体まとめて拳で破壊します。2個体の破壊後、再び1~2秒後にSCP-340-JPの残骸を押しのける形で新たなSCP-340-JPが4個体重なるような状態で発生します。この時の合計質量は最初に破壊されたSCP-340-JPの4倍であり、次破壊時に発生するSCP-340-JPが8個体で合計質量も8倍であることからSCP-340-JP発生数と合計質量は破壊数の2倍になると結論されています。 また、例外も存在し、実験記録340-4にて観測される例に初め、SCP-340-JPが被験者の拳以外の原因によって破壊、一部損壊を被った場合、その時積み重なっていたSCP-340-JPと同数のSCP-340-JPが積み重ねられるように下から増殖します。 後に行われた実験では非被験者によるSCP-340-JP2個体のうち上の1個体の破壊直後、下のSCP-340-JPから分裂するようにSCP-340-JPが1個体上に発生し、元の2個体になります。これは4個体のうちの1個体、あるいは2個体の場合でも同様で、破壊された時点での個体数までその数を回復させます。回復したSCP-340-JP群が再び被験者によって破壊された時、上記の通常サイクルで再び数の倍化が行われます。 実験記録340-1 - 日付2011/3/9 被験者: ドイツ人Dクラス職員であるD-25529(非被験者) 目的: 「瓦割り」の知識のない非被験者がSCP-340-JPと対面した際どのような反応を見せるのかを観察 結果: 非被験者はSCP-340-JPを指示通りくまなく観察したが前例のような特異性を受けなかった。非被験者には今後、SCP-340-JP個体を識別しやすいよう実験チャンバー内に配置されたSCP-340-JP100個体全てに白い油性マーカーでナンバリングをするよう指示。ナンバリングは正常に終了。 その後チャンバー内に支給されたハンマーで1番のナンバリングがされたSCP-340-JPを破壊するよう指示。1番のSCP-340-JPは大きく2つの破片と複数の粉末へと破壊され、その直後新しい無印のSCP-340-JP個体が1つ発生しました。 分析: SCP-340-JPの影響を受けるか否かは被験者自身の予備知識に依存すると考えられ、道具などを用いた破壊はSCP-340-JPの数を回復させることが判明しました。また、素手での破壊はSCP-340-JPの瓦としての構造上非被験者の腕力では不可能であると報告されています。 実験記録340-4 - 日付2011/3/10 被験者: 先のドイツ人Dクラス職員であるD-25529に日本の武芸のドイツ人留学生向け解説ビデオを鑑賞させた後に実施。ビデオには瓦割りの解説も含まれていた。 目的: 「瓦割り」の知識のない非被験者が1回の解説で得た知識でSCP-340-JPの影響を受けるのか観察 結果: 5分後、生成されたSCP-340-JPが実験チャンバーの天井を突き破り、被験者は積み上げられたSCP-340-JPを駆け上がる際に天井へ激突して落下。その後何度も同じ動作を繰り返し行い続けた。研究員の実験終了の旨も無視しSCP-340-JPを駆け上がるためセキュリティ職員による実力行使をするも被験者に損害を与えることは出来ず。爆薬壁により実験チャンバーごと発破することで積み上げられたSCP-340-JPの90%を破壊することに成功。 観察用カメラの視界が復旧すると被験者は再生成されたSCP-340-JPを破壊しているのが確認され、セキュリティ職員10人が取り押さえD-25529は沈黙。 分析: SCP-340-JP破壊動作には際限が無いと推測される。また、SCP-340-JP破壊動作中の被験者に損害を与える試みはこの実験から銃撃、発破共に無効であると証明された。 実験記録340-10 - 日付2011/3/11 被験者: 日本人Dクラス職員であり、███流空手道4段/全日本空手道連盟公認4段の資格を持つD-97988 目的: 被験者が元から備える練度と知識によって影響に差が出るのかを観察。今回は天井のない屋外実験場を使用。 結果: 5分後、生成されたSCP-340-JPは前回の実験と同様の高さにまで生成された。実験開始から█分後、高さは[データ削除済]mに到達。被験者が地面からSCP-340-JPの最上部に届くまでおよそ[編集済み]分かかった。被験者の表情は常に白目を向いたまま口を開き舌を口外へ出し、見た目上は気絶しているように見えるもSCP-340-JP破壊動作は継続。 [データ削除済]分後、高さは[データ削除済]mに到達。風とSCP-340-JP本体の安定性の問題から発生直後に倒壊と再発生を繰り返し████ktの残骸が発生、落下するSCP-340-JPのため残骸の撤去は難しく第1次緊急警報を発令、付近の研究員や民間人の避難が実施された。 SCP-340-JP群倒壊までの数秒間、被験者の身体は完全に力を失っているように見えるが右手のみがSCP-340-JPを駆け上がり、それに釣り上げられる形で身体が宙に浮かび上がっていくのが確認された。その後数時間に渡って宙に浮かぶ右手のみがSCP-340-JP破壊動作を継続。 分析: SCP-340-JP破壊動作には際限が無いと結論されました。また、被験者は外的損傷を受けない代わりに自身の体力を通常通りに消耗しているものと考えられます。右手のみが破壊動作を継続しているように見える特徴はSCP-340-JPがなんらかの形で被験者の身体を操作していることを意味していると考えられています。 補遺: 高さ[データ削除済]km到達時点でのSCP-340-JP群落下に伴い、その一部が断熱圧縮によって燃焼、遠方からもその軌跡が観測されたため周囲一帯と諸ネットワークサービスに対してカバーストーリー"流星群と廃棄人工衛星の偶然の一致"が適用されましたが、情報封鎖は完全ではなく、SCP-340-JP目撃を訴える人物には順次記憶処理班が対応します。 事件記録340- 日付2011/3/12 概要: SCP-340-JPを大規模地下真空実験チャンバーを有する施設へ変更するため、南西20kmの位置にある別サイト-81██へ複数オブジェクトと同時にSCP-340-JPを移送中、移送車両が敵対組織の襲撃に遭遇しました。 敵対組織の構成員のうち2名がSCP-340-JPの特異性に暴露し敵対行動を止め、SCP-340-JP破壊行動を始めました。残る敵対組織の構成員の全てを終了、鹵獲後、SCP-340-JP破壊行動をとっていた2名を観察後取り押さえ、現在サイト-17██にて尋問中です。およそGOCとの関連が疑われていますが、本人たち及びGOC当局は否定しています。 分析: 今回の事件に際し、SCP-340-JP破壊行動は被験者を1名に限らないことが判明しました。観察からSCP-340-JPの発生間隔が1~2秒から0.2~0.5秒にまで短縮され、発生個体数も破壊数の4倍にまで増加していたのは特筆に値する点です。 発見の経緯: 2011年2月に福島県の演劇ホールにて催されたイベントにて、演目の1つである「出来る!瓦割り」に参加した児童12名が「一心不乱に瓦を割り続けている」との通報を受けた現地警察ならびに潜伏エージェントによって発見されました。通報者のオランダ人留学生は演目を見ることにより受けた知識によって既にSCP-340-JPの特異性に暴露していました。 演劇ホールに居た143名が揃ってSCP-340-JPの特異性に暴露し、駆けつけた警官と財団エージェントもその特異性に暴露しました。財団エージェントからの連絡がないことを不審に思った職員が収容部隊を派遣、数名がSCP-340-JPの特異性を受けるもSCP-340-JPの回収に成功しました。 演劇ホールに居た民間人の全てにはAクラス記憶処理と、SCP-340-JP増加による地盤沈下とホール崩壊のためカバーストーリー"火事"が適用されました。 演目をする予定だった演者の佐藤 俊彦氏は回収直後のインタビューにて「ホームセンターでまとめ買いをした」と主張しており、回収された商品パッケージに異常な点はなく、パッケージされた瓦の1つにSCP-340-JPが混入されていたことが分かっています。 佐藤氏はインタビューの後に記憶処理を施したうえで解放。 財団は現在パッケージの記載情報を本にSCP-340-JPの製作元の特定を進めていますが、有益な成果は挙げられていません。 インタビュー記録340- 日付2011/3/12 対象: 実験記録340-10にて起用されたD-97988 インタビュアー: 柘植研究員 付記: 前日の実験による疲労の色が見られる。 <録音開始> 柘植研究員: お話は出来ますか? D-97988: えぇ、まぁ。あの、水か何か、もらえますかね。 柘植研究員: えぇ、そちらの物をどうぞ。さて、今日お聞かせ願いたいのは前日の瓦割りに関してですが…覚えていますか? D-97988: あぁ、はい、なんとなくは。 柘植研究員: 結構。先ず、瓦割りというのはご存知でしたか?あとは経験などされていましたか? D-97988: 知ってましたよ。あの拳でバーンとやって瓦を割るやつですよね。でも私の流派ではそういったことはしなかったんですよ。 柘植研究員: そうですか…貴方のプロフィールには相当な経験があるように記載されていますが瓦割りの経験は無いと。やり方はご存知だったんですか?コツとか。 D-97988: いえ、武道は多少やっていましたが如何せん瓦割りが昇段に必要というものでもありませんでしたから…やり方はまったく知らなかったですね。テレビとかで見た程度しか知識はありません。 柘植研究員: なるほど。実験中に貴方は足が地面に付いていない、宙に浮いた状態でしたがその時何か思いませんでしたか?当時の感覚でも結構です。 D-97988: 宙に浮いてたんですか?私が? 柘植研究員: 浮いていましたね。映像記録などありますがご覧になりますか? D-97988: あぁ、いえ、結構です。 D-97988: そうでしたか…浮いていましたか…。そんな自覚はありませんでしたね。ただひたすら目の前にある瓦を割っていただけですね。皆さんも応援してくれていましたしなんか自信が湧くというのかあれは自責の念というのか…頼まれたり応援されると弱いんですよね、僕。 柘植研究員: 応援? D-97988: えっ?はい、あの時は柘植さん見えなかったんですかね?皆さん「頑張れ!」とか「お前なら出来る!」「出来る!瓦割り!」とか応援してくださって割れた時には拍手なんかしてくれてました。 柘植研究員: いえ、私はあの時も貴方の様子を見ていましたが誰もそんなことは… D-97988: あれ?そうなんですか?黄色い声援って言うんですかね?女性のなんかが一番多くてそれでおだてられるように瓦割していたんですけど… 柘植研究員: はぁ…では瓦が"湧き出てきた"ことに関してはどう思われました? D-97988: そうですね。 柘植研究員: あの…どう思っていたか聞いているのですが…その、「不思議だ」とか「奇妙だ」とかは思われませんでした? D-97988: [唸り声]いえ…特には…何か変でした? 柘植研究員: そうですか…分かりました。それではもう一つお伺いします。貴方が実験終了直後に割った瓦の枚数は[編集済み]枚だったのですがコレに関して何か感想は。 D-97988: は? 柘植研究員: そうですか、ありがとうございます。 [以下、特筆すべき情報が無いため割愛] <録音終了> 終了報告書: 被験者はSCP-340-JPに暴露している間、不可解な現象に関して一種の記憶影響か認識影響を受けているようである。また、暴露中に幻聴のような物で被験者をSCP-340-JP破壊に向かわせている可能性があるということは今後の実験に際し留意すべきことのように思われる。 Footnotes 1. 現在サイト-8181勤務の前原博士が多く使用されています。彼女の空き時間に実験協力の申請をするのがDクラス職員調達よりも素早く便利であるとされています。 2. 一般的な「瓦割り」に使用される家屋棟部に使用される「のし瓦」ではなく 屋根葺きに使用される「瓦」と判明しています。通常この種の瓦は「瓦割り」に適していません。 3. 使われる拳は被験者の利き手に依存すると考えられ、過去の実験に於いて左利きの被験者の全ては左拳を、右利きの被験者は全て右拳のみを使用しました。
scp-341-jp
評価: +231+–x アイテム番号: SCP-341-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-341-JPはサイト-8141のコンテナに収容されます。オブジェクトと物理的に接触してはいけません。各個体は鎖で繋ぎ、収容違反時の広域拡散を予防して下さい。関連して発生する腐敗液は消毒破棄されます。 説明: SCP-341-JPは、現在児童28名と老人11名からなるヒトの集団です。その起源は不明ですが、恐らく████で発生したと思われます。生理的欲求はなく、基本的に笑顔のまま外部へ出ようと彷徨います。 SCP-341-JPが人間を発見すると、その周囲に群がって多種多様な挨拶やコミュニケーションを取ろうと試みます。しかし接触直前の挨拶は多くが別れを意味します。この時、オブジェクトと接触した人間は、腐敗した体液を残し消失します。この体液は、消失した対象が24時間前に居た地点を中心に発生します。腐敗液に異常性は見られませんが、その悪臭の為に速やかな除去が必要です。 各個体は、見かけの年齢が近い者に対し好んで近づこうとします。例として、19██/██/██の報告では、サイト-8141に付随する託児施設がある方角の壁を叩き続けていました。
scp-342-jp
評価: +38+–x アイテム番号: SCP-342-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-342-JPの近隣住民をカバーストーリー"恒久的工事中"に適応させ、可能な限りSCP-342-JPへの興味を回避させてください。入居の契約の全ては許可されず、SCP-342-JPの玄関の錠前は高セキュリティのデジタルロックによって財団が管理します。実験の必要のある職員はSCP-342-JP研究主任へ必要書類を提出し、主任からキーカードを受け取ってください。48時間以上のキーカードの持ち出しはO5の許可のもとで行ってください。 SCP-342-JP内部で出現した現金はナンバーを控え焼却し、当該の紙幣を発行する国の発券銀行へその旨を通達してください。実験の都合により一般市場での使用が必要な場合はO5の許可のもとで行い、使用した紙幣のナンバーを同様に発券銀行へ通達してください。 説明: SCP-342-JPは東京都██区にある████マンションの203号室です。 SCP-342-JP内部で就寝した1人以上の被験者は、起床時の枕元に封筒を発見します。 これは被験者の文化圏ごとに異なり、現在まで17種類の封筒1が確認されています。 封筒の内部には起床時間によって変動する紙幣が複数封入されています。 これも、被験者の文化圏ごとに異なり、現在までドル・ポンド・フラン・オーストラリアドル・ウォン・ルピー・円・ユーロ・バーツ・元などが確認され、おおよそ全ての国家紙幣があるものと推測されていますが、紙幣文化の無い被験者に対しては何の特異性も発現させません。 また、これらの紙幣は被験者の生活する時間に合わせて減少し続け、日本時間で0時を回り、翌日になった際には元の封筒に再び紙幣が発生するようです。 この時点でSCP-342-JP内部に被験者が滞在し、かつ就寝しておらず、最初に出現した封筒がSCP-342-JP外部に破棄されているか、あるいは処分されていた場合、封筒はSCP-342-JP内部のランダムな位置に再出現します。 0時を回った時点での最高金額は24万円で、1時間が経過すると封筒の内外問わず1万円分の紙幣・硬貨が消失します。 この消失は被験者の手元に無い紙幣にも発生し、一般市場にて代価として受け取った紙幣が消失するという現象が複数確認されています。 過去には被験者が紙幣を使用するタイミングと消失のタイミングが重なり、トラブルに発展するケースが確認されていますが、確認された全てのケースにおいて、被験者が消失していない紙幣を支払い直すか、精算時の店側の不手際として処理されていたため、SCP-342-JP発見が遅れたと推測されています。 また、0時を回った時点で被験者がSCP-342-JP内部に滞在していない場合、被験者の財布や衣服のポケット、それらが無い場合は被験者の目につく所に紙幣が出現2するようです。 発生した紙幣・硬貨は銀行預金することが出来ず3、1時間経過による消失の際、預金残高が優先して消失するようです。 このプロセスを観測する試みは全て失敗に終わっており、いかなるデジタルデータ・アナログデータも全て1万円分の預金が"無かったこと"として取り扱われるようになるようです。 発生した紙幣の発行ナンバーなどからの追跡は全て「紛失した紙幣」との理由で最終持ち主の手元を離れたものであることを示しています。 + 収容以前の入居者歴一覧 - 隠す 入居者: 大山 ██ - 入居開始日1997/3/12 入居者情報: 当時大学生活のために大阪から転居してきた18歳の学生。 記録: 大山 ██の友人らは当時の彼を「大学にも行かず、毎日食って寝るだけのヤツだった」と主張をしており、事実、発見当初のSCP-342-JPの流し台に付属された引き戸の縁には数種類のインスタント食品のパッケージの痕跡が発見されました。 大学は大山 ██自身が"一身上の都合により"との理由で中退届けを提出していました。 現状: 心不全により死亡。 分析: 当該の被験者は早くにこの特異性に気が付き、食欲のために発生した現金を使用していたと推測されます。 また、現在までの実験でSCP-342-JP自体にはなんの精神的影響特性も認められないことから、これら暴食が引き起こされたのは被験者自身の一存であり、被験者間の差は大きいものと思われます。 被験者の死因も極度の肥満から来る自然なものであり、オブジェクトの影響ではないと結論されています。 入居者: 高田 ██ - 入居開始日1997/10/6 入居者情報: 当時活動していたSF作家。 本宅は東京の郊外にあるものの執筆活動の際に使用。 記録: 高田 ██は当時外部に生活の殆どを頼っていたと思われ、出前の注文の数、日用雑貨の宅配の数、外部のハウスクリーニング業者の依頼回数や隣人などのインタビューにより「極度の引きこもり」と評されていたことが分かっており、財団の医療部門心理学担当者もこのことに同意しています。 現状: 自殺。 分析: 被験者の精神状態に関して、通院などの記録はありませんでしたが、家族に送った複数の書簡の文などから財団の医療部門は"異常な精神状態"を報告しました。 また、SCP-342-JPを仄めかす内容などが記されており、家族関係者にはインタビューと記憶処理を行いましたが有益な情報は得られませんでした。 SCP-342-JP回収後の複数回の実験ではいずれも同様の結果を得られないことから、当該の被験者独自の結果だったと結論されています。 入居者: 大田 ██ - 入居開始日1998/2/2 入居者情報: 都内の株式会社████営業部門に就職し新潟から転居。 記録: 大田 ██は早期にこのオブジェクトの特異性に気が付き、当初は身の回りの日用品や外食のために使用していましたが隣の202号室に住んでいた清水 █にSCP-342-JPの特異性が発見され、諍いになり、半ば強制的に退去させられ、以降は清水 █が居住しました。 現状: 後述。 分析: 隣人の清水 █は被験者との"近所付き合い"の中でSCP-342-JPの特異性に気がついたとされています。 何故特異性が発覚したのかについては現在調査が続いています。 入居者: 清水 █ - 入居開始日1998/4/2 入居者情報: 以前SCP-342-JPの隣の202号室に住んでいた人物であり、フリーのカメラマン。 記録: 1998年4月10日、清水 █は以前の住人である大田 ██に殺害されました。 大田 ██は当時包丁を持参し、以前入居していた際の鍵をそのまま使用し侵入、内部に居た被験者を刺殺しました。 動機は表向きには"隣人トラブル"とされています。 また、この殺害に際し、被験者の激しい抵抗により大田 ██も同時に重症を負い、失血死しています。 現状: 双方死亡。 分析: この件の調査に関してSCP-342-JPの精神影響がより強く主張されましたが、いかなる観点に於いても精神影響自体は認められず、これら一連の現象は"金銭トラブル"に位置づけられるものだとされています。また、動機に関してはおおよそ"部屋を奪われたこと"だと担当研究者間で意見が一致しています。 入居者: 新島 ████ - 入居開始日1999/3/6 入居者情報: 当時建設業を営む自営業者の棟梁を務めていました。 元の自宅が火災で全焼し転居。 記録: 新島 ████は発生する金銭で宝飾品を日中に買い集め、換金するという手法で消失しない金銭を得ていました。 その資金を元に都内の風俗店を多数利用し、莫大な金額を消費していました。 新島 ████はその職業と経歴、使用している金額に不信を持った現地の[編集済]に拘束され、現在は行方不明となっています。 現状: 消息不明。 分析: 当該の被験者も早期にSCP-342-JPの特異性に気がついたと思われます。 後の調査では銀行に対して預金残高に関する苦情も複数入れていることから宝飾品などの資本に変換し、換金する手法に気がつくまではそう時間はかからなかったものと思われます。 被験者を拘束した[編集済]に関して、財団のエージェントが調査を行ったところ、現在はアメリカ合衆国のハワイ島に旅行へ行っているとの情報がつかめましたが、現地で被験者と思しき人物は発見されていません。 現在、この情報の真偽が問われています。 入居者: 山口 ██ - 入居開始日1999/10/12 入居者情報: 25歳男性。 詳細不明。 出生届や在学履歴などに記載がないことから日本国外出身の可能性がありますが調査は未だ情報を掴めていません。 記録: 山口 ██は入居時"新事業"を理由にSCP-342-JPを簡易的なオフィスワークの場として利用するために契約をしました。 山口 ██は知人と同僚らに毎晩夕食を奢り、自らの財力を謳って人脈を形成しようとしていたようです。 一部の人間は山口 ██の事業に参加し、まともな黒字収益が無いにも関わらず山口 ██本人の献金という形で会社を維持していました。 この不可思議な経営状態を無視した形で参加者が集まり、簡易的なオフィスとして契約されていたSCP-342-JPは"本格的なビルに場所を移す"という理由のもと契約は解除され山口 ██は転居しました。 現状: 消息不明。 被験者の転居先の雑居ビルの一室は空き家になっており、2001年には既に当該の会社は倒産していました。 分析: 財団のエージェントが被験者の出生とその後の消息について調査していますが未だ判明しません。 この奇妙な消失は財団の注意を引いていますがその他の点で特筆すべき事項は無いとされています。 入居者: Nathan ██████ - 入居開始日1997/3/12 入居者情報: 米国籍の金融機関に務める男性。 経歴の一部が損失。 日本での仕事における仮住まいとして入居。 記録: Nathan ██████が仕事先へ出かける姿は一切確認されていないことが近隣に聞きこみ調査の際に発覚しています。 Nathan ██████が3人の外国人をSCP-342-JPへ招き入れる姿が何度も確認されていました。 20██年██月██日、Nathan ██████は招き入れていた3人と都内に存在する銀行へ強盗に押し入りました。 強盗に際して民間人への被害は出さなかったものの警官と機動隊、特殊部隊含めて██人を射殺し現金およそ████万円を奪い逃走。 海岸線に停泊していたボートに現金を移す途中に3人共に逮捕されました。 SCP-342-JP発覚後、強盗殺人などの罪で死刑判決となっていたNathan ██████含め4人の身柄は財団にに引き渡されました。 Nathan ██████はSCP-342-JPに出現する現金がSCP-342-JP内部にいる人間の数によって比例し増加することを発見し、3人分の現金を出現させていました。 この時出現したのは米国ドルで1人あたり240ドル出現したと主張しました。 これを資金とし、Nathan ██████は武器弾薬などの装備を米国から密輸し、強盗計画を企てたものと見られています。 現状: SCP-342-JP研究用Dクラス職員として雇用し、インタビュー調査などに使用中。 分析: SCP-342-JPに存在する寝台は1つだが、被験者らは寝袋を床に置く形で使用して同様の効果を得られる事を証言しました。 これは財団による実験でも裏付けができています。 後の実験では最大25人での現金出現が確認されており、これには上限がないものと推測されています。 補遺: SCP-342-JPは2000年1月、当時入居していた月吉 ██の"幾ら預金しても残高が増えない"との不可解な銀行への苦情が数百回に登ったことで財団の注意を惹き、銀行職員に扮した財団エージェントによって発見され、収容に至りました。  当時、月吉 ██は"枕元にお金があるのは変だったけど取り敢えず預金しようとした"と供述しており、預金がうまくいかないことに苦情を申し立てていたようです。 これらが原因のストレスによる精神失調の徴候が見られましたが損失残高の補填を約束した"財団への入院"に同意し一時的に収容されました。 月吉 ██はSCP-342-JPに関して"金に困っており、昔から事故物件として有名で賃料も都内では格段に安いため入居した"と語っており、事実、SCP-342-JPは1996年以降事故物件として破格の値段での賃料設定がなされていたことが分かりました。 月吉 ██はその他にSCP-342-JPから発生する現金を使用していた痕跡もなく、異常な数の苦情の原因とも思われる精神失調も回復したことにより記憶処理の後、カバーストーリー"事故による昏睡"が適用され開放されました。 Footnotes 1. 紙袋のものではなくビニール袋が出現した例もあります。 2. かつてSCP-342-JPに居住していたにも関わらず、転居やSCP-342-JPに滞在できなくなった人間の付近に紙幣が再出現しない原因に関して、一部の研究者の間では"SCP-342-JPに滞在しているという意識があるかに関わっている"との仮説が立てられていますが実証は成されていません。 3. 希少金属や宝飾品の形で保存することは可能なようです。  
scp-343-jp
評価: +87+–x 評価: +87+–x クレジット タイトル: SCP-343-JP - 欲望の立方体 著者: ©︎amamiel 作成年: 2015 評価: +87+–x 評価: +87+–x アイテム番号: SCP-343-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-343-JPはサイト-81██の収容ロッカー内に保管されます。実験時に生成されたSCP-343-JP-1は、実験責任者の指示に従い適宜保存/処分してください。20██/██/██現在、更なる実験により得られるものはないと判断されたため、SCP-343-JPを用いた実験計画については無期限に中止されています。 説明: SCP-343-JPは一辺が80mmで構成される立方体の木箱で、全ての面の厚みはおよそ5mmです。非破壊検査から、構成部品は一般的な鉄金具とマツ科植物(Pinaceae)を中心とした集成材1であることが判明しています。それにもかかわらず、それら構成部品は一切の経年劣化の兆候を示しません。 SCP-343-JP上部の蓋が完全に閉じられた状態で、ヒトによって開けられた場合、その内部には不特定の物体(以下、SCP-343-JP-1)が生成/出現します。生成/出現するSCP-343-JP-1は、蓋を開けた被験者が潜在的に「欲しい」と考えている対象によって決定する傾向が多く見られる一方、常にその限りというわけではなく、依然としてそのメカニズムは不明です。この生成/出現プロセスにおいて、被験者の欲する物体のサイズがSCP-343-JP内部空間よりも明らかに巨大であった場合、SCP-343-JP-1は内部空間へ収まる形に裁断された状態で生成/出現します。例として、SCP-343-JP-1本来のサイズが直径100mmの球体であった場合、内部空間に収まるよう一辺70mm未満の立方体形状2に裁断された状態で生成/出現します。また、その際の裁断による切り口は非常に滑らかです。 一度のSCP-343-JP-1生成後から最短でも48時間の間、SCP-343-JPは不活性状態となり、上記の手順に従い蓋を開けても新たに物体が生成/出現することはありません。なお、SCP-343-JPの蓋を閉めた際、その内部に何らかの物体3が残っていた場合や、遠隔からロボットアームを用いて蓋を開いた場合にも異常特性は発揮されません。そのため、物体生成/出現の様子を内部から撮影することは成功しておらず、代用された高速度X線カメラ撮影では、SCP-343-JP内部におよそ11000フレーム/秒という瞬間的な速さでSCP-343-JP-1の影が生成/出現する様子のみが観察されています。 SCP-343-JPは19██/██/██、███市消費生活センターに地元の主婦から寄せられた「悪質な子ども用玩具」に関する問い合わせを調査した際に発見・回収されました。問い合わせを行った主婦に対するインタビューより、当該オブジェクトは███市で行われた縁日で娘が購入した物であり、子ども用の知育玩具として売られていたことが判明しています。一方で、販売を行なった人物に関する正確な情報は得られていません。 付録1: 以下はSCP-343-JP実験記録の中でも、希少事例とされる記録の抜粋です。なお、Dクラス職員を用いて行われた実験の3割以上は、SCP-343-JP-1が生成/出現しないという結果に終わっています4。この結果をもたらした要因については、現在も議論されています。 実験記録343-9 - 日付19██/██/██ 被験者: D-8134309(女性 33歳) 事前回答: 欲しいものは「薬」と回答 SCP-343-JP-1-9: 白い粉末が27g 分析: 高純度の████であると判明。混ぜ物として未知の成分ベンゾカイン5が検出された。 実験記録343-16 - 日付19██/██/██ 被験者: D-8134316(男性 58歳) 事前回答: 欲しいものは「金銭」と回答 SCP-343-JP-1-16: 収まるように左右端が裁断された100ドル紙幣で構成される100万ドル分の札束が5束 分析: 紙幣はフォートワース工場で印刷されたものと完全に同一であった。確認できたシリアルナンバーの内、前3桁の「L██」は19██年時には存在しない番号であった。 実験記録343-20 - 日付19██/██/██ 被験者: D-8134320(男性 27歳) 事前回答: 欲しいものは「自由」と回答 SCP-343-JP-1-20: 一辺62mmの立方体形状に裁断された不明な機械機構の一部、蓋を開けて5秒で形が崩壊した 分析: 19██年製████車のエンジン部分であると判明。長年の使用による摩耗や老朽化の形跡が見受けられた。 実験記録343-29 - 日付20██/██/██ 被験者: D-8134329(女性 62歳) 事前回答: 欲しいものは「安らぎ」と回答 SCP-343-JP-1-29: 大きな破片が複数混ざった白い粉末106g 分析: イエネコ(Felis silvestris catus)の骨粉であると判明。D-8134329は幼少期にいなくなった自身の飼い猫ではないかと主張。しかし、年代測定より骨粉は少なくとも██年以上前のものと分析されており、主張は信憑性に乏しいと考えられる。 実験記録343-32 - 日付20██/██/██ 被験者: D-8134332(男性 38歳) 事前回答: 欲しいものは「ポルノ雑誌」と回答 SCP-343-JP-1-32: 一辺47mmの立方体形状に裁断された不明な肉塊、腐敗の兆候は見られず 分析: 検査からSCP-343-JP担当職員の1人である██研究員の心臓部分と判明。██研究員の身体検査を行ったが、異常は確認されず。D-8134332に対する聴取から、D-8134332は██研究員へと好意を抱いていたことが確認された。 これ以上の実験により得るものはないと判断され、20██/██/██をもってSCP-343-JPの実験は中止されました。 付録2: 以下の文章はSCP-343-JPを購入した児童が、販売者からSCP-343-JPとともに渡されたと主張したレポート用紙に記載されていたものです。 君たちが「今」使い過ぎれば、「未来」の子どもたちの分がなくなってしまう。 限りある地球の資源。よく考えよう、よく学ぼう。 未来の君の子どもたちのことを考えられる、賢い君になるために。 + 閲覧にはレベル3以上のセキュリティクリアランスが必要です。 - アクセス承認 事案343-JP-1: 20██/██/██、カルフォニア州サンフランシスコ連邦準備銀行に保管されていた100ドル紙幣███枚が消失する事件が発生しました。別件として派遣されたエージェントが消失した100ドル紙幣███枚分のシリアルナンバーを財団データベース上に登録したところ、実験記録343-16にて生成された全てのSCP-343-JP-1-16の前後6桁のシリアルナンバーと完全に一致していることが判明しました。この件について、SCP-343-JPとの因果関係は依然として不明のままです。 事案343-JP-2: 20██/██/██、サイト-81██の駐車場にてエージェント・██の運転する自動車がサイト外壁に衝突する事故が発生しました。エージェント・██の自家用車である19██年製████車は大破したものの、エージェント・██自身は奇跡的に軽傷で済みました。エージェント・██の証言及び監視カメラの映像から、事故の原因はエンジントラブルと推測されていますが、肝心のエンジン部分が事故現場から見つかっておらず、未だに回収されていません。 事故車両が19██年製████車であったことから、事故車両と実験記録343-20で生成されたSCP-343-JP-1-20との比較検証が実施されました。しかし、事故車両の破損が酷かったこともあり、SCP-343-JP-1-20が事故車両のエンジン部分であると結論付けられるまでには至りませんでした。20██/██/██以降、潜在的な危険性を考慮した結果、SCP-343-JPを用いた実験計画は半永久的に中止されました。 これらの情報は研究員の士気低下を招く恐れがあるため、閲覧制限を設けることとする。 - ██博士 脚注 1. サイズの小さな木材を接着剤で再構成して作られる木質材料を指します。 2. 基本的にSCP-343-JP-1の重心を裁断後の中心座標に定めて裁断される傾向にあります。しかし中空であったり、複雑な形状の場合はその限りではありません。 3. 質量が10g以上であれば生成されたSCP-343-JP-1に限りません。 4. この結果となったDクラス職員の多くが「欲する物品」は「自由」または「ない」という旨の回答をしています。 5. アミノ安息香酸エチルの別名、局所麻酔薬の一種として用いられます。
scp-344-jp
評価: +86+–x DATE: 2015/07/04 FROM: 呉 葵 <of.pcs|eruk.a#of.pcs|eruk.a> TO: Yvette Niino <of.pcs|oniin.y#of.pcs|oniin.y> SUBJECT: 実験計画344-JP-38の無期限停止について ニイノくん タイトルの通りです。倫理委員会、及びサイト-8105統括管理官らの監査の結果、実験計画344-JP-38は無期限に凍結となりました。差し当たっての情報で報告書の修正版を作成したので、添付ファイルから確認をよろしくお願いします。 気にかかっているのは、やはり計画立案から凍結までの段取りが性急に見えたこと、そして立案者の春牟博士のチーム辞任のことです。無論、春牟さんの件は、当面の研究計画と彼の研究分野との乖離が主な理由ではありますが、彼と研究チーム全体との意識の違いは、ニイノくんも懸念はしていたことだったはずです。 研究チームの他のメンバーにも説明したことなのですが、制作された経緯が不明なオブジェクトの研究において、一見突飛な実験が実施されるのはけして珍しくないことですし、実際それがオブジェクトの安定化に貢献した例もあります。それに、財団は常に我々の想像可能な域を超えたものを擁しています。我々が想像できるものより、バカバカしく、且つ、非人道な状況を人類に強いるオブジェクトを、幾つも抱えています。そしてそれゆえに、財団自身もしばしば非人道な存在となります。……我々の想像可能な域を超えて。その中にあって、SCP-344-JPの研究はかなり、マシで、笑えない方です。 呉 ► 添付:: SCP-344-JP-20150704-6562371355.scpf ▼ ファイルを閉じる アイテム番号: SCP-344-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-344-JPはサイト-8105の専用収容室にて、2010年式ジャイロセンサー搭載精密制御ユニットによって常に水平に保たれる形で保管されています。同ユニットの修理・アップデートは規定の工程に準じます。 SCP-344-JP実体は決して人の手では把持せず、実験中全ての工程は収容室備え付けの、精密作業用ロボットアームで行ってください。また、SCP-344-JP実体を用いた新規実験計画にはレベル4職員2名の許可が、実行にはレベル4職員1名の同伴が必要です。 SCP-344-JP-Phにより想起される語句はSCP-344-JP-Woとして指定されており、SCP-344-JP研究チーム外には秘匿されます。職員がSCP-344-JP-Woを私的に何らかの物体に名付けた場合、その職員には解雇を含む重大な処罰が下されます。また、SCP-344-JP-WoがSCP-344-JP研究チームの管理外の情報媒体に現れた場合、秘密裏に調査したのち、速やかに媒体と関連記録を削除、若しくは改竄してください。 SCP-344-JP-Ph発生に際しては、プロトコル-ゴッドファーザー・マスト・ダイが発令されます。プロトコル-ゴッドファーザー・マスト・ダイの詳細は、その必要情報に応じて、SCP-344-JP研究チーム、若しくは財団記憶処理部門へ問い合わせてください。 説明: SCP-344-JPはキリ(Paulownia tomentosa)の木を切り出して作られた、太さ3.2 cm、真円柱部分が長さ7 cm、正三角錐部分が長さ23 cm、合わせて全長30 cmの細い棒です。非破壊の検査の結果では、物理的には野生のキリから切り出した木片と比して違いが見られませんでした。 地球を基準として、SCP-344-JPの一方の端点について、もう一方の端点が5π/18 rad/s1以上の角速度で0.1秒間以上回転すると、地球上の言語能力を持つ全ての知性存在2の記憶に、「ペットとして飼われている全てのカエルの名前は「[SCP-344-JP-Wo]」であるべきだ」という認識が刷り込まれます(以下この現象はSCP-344-JP-Ph)。なお、SCP-344-JP-Phは、両生綱カエル目(Anura)の生き物にSCP-344-JP-Woを名付けさせる、或いはカエルを購入・飼育させようとする、といった強制力を何ら齎さず、ただ前述の刷り込み現象だけが確認されています。 SCP-344-JP-Woは大まかに日本語の特徴を持つ、1█モーラの語句です。その非異常な特徴から、SCP-344-JP-Woが自然に想起されることは、殆ど有り得ないと考えられています。SCP-344-JP-WoはSCP-344-JP-Ph被曝者の第一言語に即し、違和感の少ない表記・発音で刷り込まれますが、区切られる部分はどの言語においても概ね一致します。また、被曝者が日本語に精通する者であれば、SCP-344-JP-Woに含まれる仮名・漢字を区別することができます。SCP-344-JP-Woの意味や由来は、WEB検索、文書捜索、アナグラム・符牒・暗号である可能性の検討、SCP-344-JPの製作者の周辺人物への聞き込みなどが行われたものの、現在まで全く不明なままです。SCP-344-JP-Woは記憶処理によって問題なく記憶を消去することが可能です。なお、SCP-344-JP-Woの認識・記憶を反ミーム学的なアプローチで妨害するという趣旨の試験が提案されたものの、実験の困難さから断念されています。 ほぼ全ての種のカエルや、複数の動植物、カエルを模した物品などにSCP-344-JP-Woを命名する実験が実施されましたが3、対象に何らかの有意な変化が見られたことはありませんでした。現在までのその他の実験においてもSCP-344-JP-Wo自体に異常性は見られていないものの、研究が進むまではSCP-344-JP-Woの認識災害・ミーム災害の可能性が否定できないとの判断から、現状研究チーム外には秘匿されています。 補遺: SCP-344-JPは、2014/08/██に実施された、GOI-████ ("███大学██████会")の調査によって回収された複数の異常オブジェクトの内の1つです。回収当初は異常性が判明しておらず、単に不審な物品として回収され、サイト-81██で精査されていました。 後にSCP-344-JPに指定されるオブジェクトが回収されるのと時期を同じくして、財団や提携組織に所属する異常性民俗学研究者らにより「カエルには(後にSCP-344-JP-Woとして指定される語句)という奇妙な名を付けるという認識が全世界的に共有されているが、その起源は1ヶ月以上遡れない」という発見があり、1ヶ月以上前に何らかの非常に大規模な記憶改竄が行われたのではないかと懸念されたことから、研究チームとして民俗学研究者、修辞学研究者、ミーム学研究者、[編集済]らを擁した機動部隊か-8("蛙の名付け親は鯰かもしれない")4が結成。[編集済]に及ぶ広範な調査の結果、現在のSCP-344-JPがその原因であったことが突き止められました。SCP-344-JPは発条緩衝機構を用いた慎重な輸送によってサイト-8105へ異動、その後現在の形で収容されました。次いで、機動部隊か-8と財団記憶処理部門共同でプロトコル-ゴッドファーザー・マスト・ダイが策定・実行されました。 その後、SCP-344-JPは無害ではあるものの収容違反時の影響があまりにも大きく、また制作意図が全く不明であるが故に隠された効果が存在する可能性があるとされ、Euclidクラスに指定されました。 GOI-████は前述の調査時には対外的には解体されており、以降の足取りや構成員についての有用な情報は得られていません。また、SCP-344-JPに関する資料は発見されておらず、SCP-344-JP作成の経緯、手段、動機などについては、依然不明なままです。 脚注 1. 1秒あたり50°。 2. 財団内外(財団が収容している知性オブジェクト、及び特殊な財団所属職員を含む)への調査結果によると、言語性IQ15以上を記録した全ての知性存在に影響が確認されている。 3. 別添: 実験記録344-JP-█~37を参照。なお、人間の新生児にSCP-344-JP-Woを命名し、暫く育成する実験計画が始動していたものの、重要性の薄弱さ、判明している特性との関連性の薄弱さ、加えて非人道的であることを理由に、計画が凍結されている。 4. か-8は現在解体されており、大多数の人員はそのままSCP-344-JP研究チームとなっている。
scp-345-jp
評価: +175+–x SCP-345-JPに制作させた菓子 アイテム番号: SCP-345-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-345-JPは収容サイト-8120の人型生物収容室に収容されています。収容手順は標準人型オブジェクト用プロトコルに従ってください。それに追加して、SCP-345-JPには強い鬱症状が見られる為、財団の精神科医による週5回のメンタルセラピーを行ってください。収容担当者は1日に3度の食事の際に担当医に処方された指定の向精神薬を与えて下さい。 説明: SCP-345-JPは4█才の日本人男性です。身長は165cm、体重は84kgです。後述の異常性以外は通常の人間と変わりはありません。 SCP-345-JPは、2013/10/██、██県で複数発生した「人体が突然爆発した事件」を財団が調査した結果、共通項として関与が認められ、収容に至りました。収容以前のSCP-345-JPは██県内で自営業の菓子職人として働いていました。SCP-345-JPは突発的に異常性を発揮する事になったと推測されています。 SCP-345-JPの第1の異常性は、SCP-345-JPが作成した菓子類に現れます。作成された菓子類は、材料・製法・出来上がった菓子の成分等に全く問題が無いにも関わらず、完食した人間の中枢神経を、摂食してから正確に72時間後に爆発させる異常特性を持ちます。爆発のメカニズムは明らかになっていません。摂取させた被験者の解剖等でも異常は発見できませんでした。 爆発の威力は作成された菓子の重量におおよそ比例し、菓子50gに対し炸薬量150gの手榴弾ほどになります。摂取した対象は内部から中枢神経が破裂する事になる為、ごく少量の菓子でもほとんどの場合即死します。十分な量を摂取した場合では、全身の骨格が破片となり高速で飛散する為、周囲の人間や建造物に重大な被害を与える事になります。ただし、菓子を完食せず残した場合ではこの特性は発揮されず、通常の菓子と同じように摂食する事が可能です。 SCP-345-JPの第2の異常性は、作成された菓子を完食した人物の五感を、対象が死亡するまでSCP-345-JPが自らの物のように知覚し続ける事です。これらの感覚はSCP-345-JP自身の感覚に上書きされる物ではなく、自らの感覚と同時並行で知覚しています。更に複数人が摂食した場合でも、その全ての感覚を同時に知覚する事になります。これにより、SCP-345-JPは対象が死亡するまで対象の感覚を追体験する事になります。現在の重度の精神疾患は、この共感覚能力により何度も死の瞬間を経験している為です。1これまでの観察と研究によれば、この共感覚能力はあくまで一方的に感覚を得るだけで、SCP-345-JPから対象へ影響を与える事は不可能であると推測されています。また、SCP-345-JPは得られる他者の感覚と自己の感覚を明確に区別する能力が無いようで、状況によってはSCP-345-JPが酷く混乱する様子が見受けられます。 インタビューログ345-034 - 日付2013/11/██ 対象: SCP-345-JP インタビュアー: 井坂研究員 概要: このインタビューは、SCP-345-JPに作成させた菓子を摂食させたDクラス職員が頭部の爆発により終了した直後に取られた物です。 <録音開始, (2013/11/██)> 井坂研究員: インタビューを開始します。SCP-345-JP、あなたの菓子を食べさせた男が今どうしているか教えてください。 SCP-345-JP: それは嫌味か。 井坂研究員: 記録の為です。教えてください。 SCP-345-JP: [3秒沈黙]死んだよ。頭がいつも通り破裂してな。俺の菓子で死んだ。 井坂研究員: では、死亡時の様子をより詳しく教えてください。 SCP-345-JP: この[罵倒]め。 井坂研究員: 記録の為です。教えてください。 SCP-345-JP: [罵倒]。あいつは飯を食ってた。野菜炒めだな?あんな味の薄い飯を人に食わせてるのかお前らは。調理した奴はよっぽどセンスが無いんだな。[罵倒]。あいつはそれを食ってた。かわいそうに。それで食ってたら突然激しい頭痛がした。ビキビキと髄まで響く奴だ。あいつは箸を落として、両手で頭を抱えて、そのまま下を向いて、皿に顔を突っ込んだ。で椅子に座ってもられなくて、床に転げ落ちて、こう[腕を振り回す]、のた打ち回った。しかも食ったもんその場で吐いたな?で痛みが地獄のように強くなってきて、限界近くなった時に、頭が吹っ飛んで、死んだ。お前等が俺の菓子を食わせなきゃ、あいつは生きてられたろうに。 井坂研究員: 死亡した原因が頭部の破裂だとわかる理由は何ですか? SCP-345-JP: 今までの奴もそうだったからさ。 井坂研究員: 詳しく話してください。 SCP-345-JP: [沈黙] 井坂研究員: SCP-345-JP、答えてください。 SCP-345-JP: [罵倒]、お前にはわからんだろうな、あの大量の人間の感覚が一度に流れ込んでくる恐ろしさは。いいか、音も、目も、味も臭いも触れた感触も、それが何十人何百人分一気に押し寄せてくるんだ。自分が何処に居るかわかりゃしねぇ。どれが自分なんだかピタリとわからねぇ。それが3日間。3日だぞ?いっそ殺してほしかったさ。3日経つと、頭はカチ割れそうに痛かったが、だんだん流れ込んでくる勢いが減ってきた。見えてる数が減ってきたんだ。そう、あの時は助かるんじゃないかと思ったさ。あの時はな。 井坂研究員: つまり? SCP-345-JP: つまり、だと?見ちまったんだよ、俺は。普通ホールケーキ買って帰るお客がよ、一人で食う訳ねえだろ?しかも子供向けの砂糖の人形乗っけた、でっけえかぼちゃのケーキ買った客がよ、おいわかんねえのか?この[罵倒]。そうだよあの家族は、あの家族は、またいつも通り夕飯を、夕飯を、よ、でもよ、あの子あやしてた奥さんがよ、見ちまったんだよ、俺は、奥さんの、抱いてたあの子の、あの子の頭が、真っ赤に、それで、次は旦那が、ああ、ああ、俺のせいだ、俺のせいで 井坂研究員: わかりました。もう結構です。[控えていた助手に]鎮静剤を打ってやれ。これじゃあんまりだ。 <録音終了> 付録345-JP 以下の文がSCP-345-JPの舌下に微細な文字で刺青されていました。 オーット!博士の季節限定版コレクションのミスターを見つけたみたいだね!キミの"ミスター・とりっくあんどとりーと"はどんなお菓子でも作れるんだ!あまーいアップルパイに、とってもかわいいかぼちゃのケーキ!でも気をつけて?"ミスター・とりっくあんどとりーと"はとってもイタズラ好き!どんなイタズラをお菓子にしたのかな?みんなでたしかめてみよう!ハロウィンパーティーを派手に盛り上げようね! 楽しもうね! 01. [判別不能] 02. ミスター・ばれんたいん(発売未定) 03. ミスター・ひなまつり(発売未定) 04. [判別不能] 05. [判別不能] 06. ミズ・つゆ(発売未定) 07. [判別不能] 08. ミスター・なつなんてくたばれ 09. [判別不能] 10. ミスター・とりっくあんどとりーと 11. [判別不能] 12. [判別不能] 保護者の方へ: 当製品には、お子様を見守る保護者向けの「あんしんドコナニ機能」が標準で搭載されています。お子様をしっかり見届けたい親の気持ちを汲んだ素晴らしい機能ですので、是非ご活用ください。 以上の文章から、要注意団体「ワンダーテインメント博士」の関与、または日本国内で報告される「博士」なる人物の関与が疑われています。 Footnotes 1. 現在、これまでの経験からSCP-345-JPは菓子作りの要求は拒否する傾向にあります。実験が必要な場合は終了処置の可能性を提示してください。
scp-346-jp
評価: +66+–x 発見時のSCP-346-JP。 アイテム番号: SCP-346-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-346-JPの成体は生物サイト-8102に存在する対衝撃性収容室に10体確保されており、それぞれ別のケージで飼育されています。この収容室内には窓や照明等は一切設置されません。ケージは耐衝撃アクリルで作られ、内部が密閉状態になるように設計されています。ケージ内には自動供給システムによる養分を含ませた水が1週間に一度、SCP-346-JPの生存に必要とされる分だけ提供されます。 実験目的以外で生成された分泌液は爆発物取扱プロトコル-陸に従い廃棄してください。卵塊が存在している場合、酸性の物質に触れさせないように十分に注意をはらい、乾燥の後焼却処分を行ってください。 野生のSCP-346-JP成体および幼体を発見した場合、まず報告を行ってください。その後危害を加えぬように、かつSCP-346-JPの身体を重ね合わせずに確保し、殺処分してください。この時火気を用いて殺処分してはなりません。 説明: SCP-346-JPは縦25mm、直径75mmの椀に似た外見を持つ雌雄同体の陸棲生物です。椀部の質感や触感はヒノキに酷似していますが、実際にはキチン質を主成分とした化合物の殻から成っています。この化合物は37mmのアクリル板程度の弾性、硬度であると試験により確認されています。SCP-346-JPの椀部内側には体液の分泌器官と産卵器官が複数存在しており、通常時は分泌液のみで満たされています。分泌液は日本の家庭料理である味噌汁に良く似た見た目と香りをしていますが、その成分内には未知の推進剤が含まれています。また、この分泌液には生物の胃の調子を整える効果があります。椀部底面には8対の1.8mmの長さの脚が存在します。この脚は土や動物の死骸等に刺して自身を固定する事と、水分中の栄養分を吸収する事に特化しており、移動に用いる事はありません。脱出、逃走行動時以外はSCP-346-JPは自力で移動する事は無く、交尾を自力で行う事も出来ません。この2つの事から、SCP-346-JPは知的生命体によって自身を運ばさせ、生殖活動を行わせる事を前提として進化したと推測されます。 SCP-346-JPは分泌液を捨てられた後に他の個体へ自らの身体を重ね合わせられる事によって交尾を行います。30分ほどで交尾は終了し、SCP-346-JPは両個体とも分泌液に加え卵塊を生産します。卵塊は四角く切られた豆腐に味、外見共に良く似ています。また、この時に排出される分泌液は卵塊や幼体の為の栄養分を多量に含んでいます。味は通常時の物より美味であり、Dクラスによる試食の結果、「懐かしい味」や「お袋の味」等と形容されました。 SCP-346-JPの卵塊は自然に孵化する事は無く、酸性の物体に触れる事によって、初めて孵化を始めます。孵化時には平均して30匹程の幼体が産まれます。この段階では体長7~8mmで殻は柔らかく、白色をしています。幼体は酸性に対する強靭な耐性を所持しているため、溶かされる事はありません。 成体になったSCP-346-JPは分泌液を生成、脚を用いて点火します。推進速度は約5.3m/sです。この行動は生物の胃の中で成長した際、胃内部から脱出する為の本能的な行動であると思われますが、生物の胃内以外でもこの行動は行われます。推進終了後、SCP-346-JPは着地点へ可能ならば脚を突き刺し、自らの身体を固定します。これまでの実験では胃と腹を突き破り脱出した物が12件、食道を通り口から脱出した物が9件、肛門を通り脱出する物が3件発生しています。 SCP-346-JP実験記録一覧: + 閲覧する - 閉じる 実験記録346-JP-01 - 日付████/██/██ 対象: Dクラス職員1名 実施方法: Dクラス職員にSCP-346-JPの分泌液を飲ませ、その後1週間経過観察を行う。 結果: Dクラス職員は胃の調子が良くなったようだ、と証言した。身体や精神に異常は無し。 実験記録346-JP-02 - 日付████/██/██ 対象: Dクラス職員1名 実施方法: Dクラス職員にSCP-346-JPの分泌液と卵塊を食べさせ、その後1週間経過観察を行う。 結果: 食してからおよそ1時間後、卵塊からSCP-346-JPの孵化を確認。幼体は1日に5mm程成長しており、徐々に椀に近い質感と色彩に変化していった。経過観察終了後、Dクラス職員の胃内部から成長途中のSCP-346-JPを摘出。分泌液に漬けて保管した所、1週間で成体まで成長した。その際、底面部からの推進剤の生成・点火を行い上方向に推進した様子が記録されている。 実験記録346-JP-04 - 日付████/██/██ 対象: Dクラス職員1名 実施方法: Dクラス職員にSCP-346-JPの卵塊を食べさせ、その後1週間経過観察を行う。 結果: 孵化時間や成長速度、推進剤の推進速度の低下が表れた事以外は実験記録346-JP-02と同様であった。 分析: 本実験結果に加え、実験記録346-JP-01の結果も加味して考えると、分泌液は卵塊の成長に必須の物ではなく、単に成長を促進させる為の物であると推測される。 実験記録346-JP-08 - 日付████/██/██ 対象: SCP-346-JP卵塊4個 実施方法: 卵塊をそれぞれ塩酸、硫酸、硝酸、王水に漬け、観察を行う。 結果: 4個の卵塊は特に溶ける様子を見せなかった。実験開始から1時間後、問題なく孵化。合計97匹の幼体が生まれた。この幼体も溶ける様子を見せなかった。1週間後に全ての個体が死亡。 分析:幼体は酸性の物を栄養分として吸収出来ず、また栄養無しでも一週間は生き延びれる事が判明した。成体はどうなのだろうか? 実験記録346-JP-09 - 日付████/██/██ 対象: SCP-346-JP4体 実施方法: 対象をそれぞれ対衝撃容器内の塩酸、硫酸、硝酸、王水に漬け、観察を行う。 結果: 対象は特に溶ける様子を見せなかった。24時間経過後、各個体は推進剤を生成・点火する事により容器内から脱走を試みたが、想定済みの事態であった為何ら問題はなかった。一週間後に全ての個体が死亡。 分析: 成体も酸性の物を栄養分として吸収出来ない事が判明した。SCP-346-JPは単に酸性に対する強靭な耐性を持つだけらしい。推進剤による逃走は自らの生命の危機や危害を加えられそうになった時のみ行うものと思われる。 補遺: SCP-346-JPは千葉県██市██村の古い木造建築物の取り壊し時に発見されました。発見時はSCP-346-JPが成長するのに適した環境に置かれており、███体ものSCP-346-JPが存在していました。周辺には人骨と動物の骨が散乱し、壁にはSCP-346-JPの逃走行動によると推測される焦げ跡、天井には円くへこんだ跡が残されていました。財団エージェントによる回収時、その場に居たすべてのSCP-346-JPが分泌液に点火し、逃走行動を開始しました。結果として財団エージェントは火傷、打撲、脳震盪等の被害を受けました。また、回収の際に以下のような劣化した木製タグが発見されました。 [劣化により解読不可能] : I-039-Y12
scp-347-jp
評価: +46+–x 発見時のSCP-347-JP。 アイテム番号: SCP-347-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-347-JPはサイト-8123の低危険性物体保管ユニットに保管されます。ロッカーの半径5km内の警察組織は常時財団の管理下に置いてください。SCP-347-JPの担当職員はSCP-347-JPによる実験後メンタル・カウンセリング及び犯罪的傾向検査を必ず受ける必要があります。 説明: SCP-347-JPはソニーのHDR-CX590Vと同型のHDビデオカメラで、バッテリー、メモリーカードその他の同梱品が付属しています。分解の結果、同型の製品となんら変わる要素がないことがわかりました。 SCP-347-JPの特異な影響はSCP-347-JPを使用して、犯罪行為を録画した際に発揮されます。犯罪行為の録画、及び犯罪行為の証拠1は、録画の終了時に、録画した現場から半径5km以内で最も近くに存在する、当該の犯罪行為を犯すことが可能な身体的能力を持った"社会的弱者"2が生活している場所へと転移します。この際録画されたファイルは当該の場所で再生可能な形に変化します。現在変化の形状として録画映像を切り分けたアルバム、ビデオテープ、DVD、ブルーレイディスク、2GBのUSBメモリに入った.mp4ファイルの形が見られています。加えて、これらの犯行の録画は"社会的弱者"が犯罪を行っている場面を撮影しているかのように、映像に改変や編集が加えられています。 SCP-347-JPは当時███市にあるサイト-81██でSCPの監視を行っていた瀬戸研究員が強姦殺人の容疑者として逮捕されたことから発見されました。瀬戸研究員は当該の事件があった日、SCP-██-JPについての報告を行っていたため、犯罪に関わることは不可能であったにもかかわらず、また、財団の心理評価において瀬戸研究員は極めてモラルが高いと診断されていたにもかかわらず、強姦殺人の現場を録画した.mp4ファイル及び死体が瀬戸研究員の自宅から発見されました。録画映像及び音声の解析及び過去に酷似した事件が█回起こっていたことから、SCP-347-JPの当時の所有者を特定し、SCP-347-JPは回収されました。 補遺: SCP-347-JP実験記録 実験記録347-JP-1 担当者:瀬戸研究員 対象:D-1866、D-1921、D-2020。D-1866は元スリ。 実験内容:三脚によって固定したSCP-347-JPによって、D-1866がD-1921の腕時計を掏る場面を撮影する。事前に実験室の隣室にポータブルDVDプレイヤーを設置し、1ヶ月の間D-2020を生活させた。同様の実験を6度行う。 実験結果:6度の実験で全て、D-2020の元へ腕時計及び録画映像の入ったDVDが出現した。D-1866の顔及び音声はD-2020のものへと差し替えられていた。 担当者私見:よし、これまでの事件記録からの推測が当たったようだ。最も近くにいて、最もその場で立場の弱い人間の元へと移動するらしい。早くSCP-347-JPの性質を解明し、私のような被害者が出ないようにしなければ。 実験記録347-JP-2 担当者:瀬戸研究員 対象:D-2104、D-2116、D-2123。 実験内容:三脚によって固定したSCP-347-JPによって、D-2104がD-2116を殴りつける場面を撮影する。事前に実験室の隣室にポータブルDVDプレイヤーを設置し、3日間の間D-2123を生活させた。同様の実験を3日ごとに10度行う。 実験結果:6度目まで、隣室ではなくD-2123が事前に暮らしていた監房まで、暴行の場面の録画を切り出し、静止画像として印刷したアルバムが出現した。すべての画像でD-2104の顔はD-2123のものへと差し替えられていた。7度目以降隣室へと出現場所が変更、また形式がDVDへと変化。全ての映像で、D-2104の顔及び音声はD-2123のものへと差し替えられていた。 担当者私見:一定の日数がSCP-347-JPに「生活空間」と判断されるまで必要なようだ。しかし、実験で、相手がDクラスでも負傷させるのは心が痛む。彼らにはできれば長生きして欲しい。里山助手に治療を頼んでおいた。 実験記録347-JP-6 担当者:瀬戸研究員 対象:D-2104、D-2116、D-2123。前回の実験のDクラスを再使用。 実験内容:三脚によって固定したSCP-347-JPによって、DD-2104とD-2116を殴り合う場面を撮影する。事前に実験室の隣室にポータブルDVDプレイヤーを設置し、1ヶ月の間D-2123を生活させた。 実験結果:転移現象は起こらなかった。 担当者私見:おそらく、一方的な犯罪行為でないと効果を発揮しないのか。画像の変化にしてもそうだったが、SCP-347-JPに何らかの判断能力があるのは間違いないようだ。……しかし、Dクラスというのは不快な連中だ。いつまでも生かしておいた理由が分からない。二回前の実験から里山君が治療を放棄したことに対して、腹立たしく思ったが、全く、彼が正しかった! 実験記録347-JP-9 担当者:瀬戸研究員 対象:D-2278、D-2294、D-2300、D-2315 実験内容:三脚によって固定したSCP-347-JPによって、D-2278をD-2294がナイフを使用して刺殺する場面を撮影する。実験室の両隣の部屋にビデオデッキ付きテレビを設置し、そこでD-2300、D-2315を1ヶ月間生活させた。 実験結果:D-2300の元へD-2294の指紋とD-2278の血液の付着したナイフ、及び録画映像が入ったビデオテープが出現した。 担当者私見:距離的には同一だったはずだが。同一円周上に同じ人間がいればランダムで対象を選び出すのか。同様の実験を繰り返さねばなるまい。ちょうど処分の手間も省ける。毎度毎度、里山くんを楽しませるのも癪だからな。 実験記録347-JP-14 担当者:瀬戸研究員 対象:D-2645、D-2647、D-2650、D-2651、D-2653 実験内容:D-2645をD-2647、D-2650の手で拷問させるシーンを私が録画する。事前にD-2653の監房内にビデオデッキ付きテレビを設置した。 実験結果:D-2645の目玉に針が突き刺さった場面を写した美しいビデオ及びD-2645の脳漿や血液、体組織が付着した道具がD-2653の元へと出現。 担当者私見:D-2650は私に逆らった為私の手で処刑した。スカッとするぜ。これはDクラスの暴動として処理した。首謀者に仕立てたD-2653を処刑する権利は里山くんに譲渡した。 実験記録347-JP-16 担当者:瀬戸研究員 対象:D-3054書くのめんどくせえ。24人でいいか。 実験内容:Dクラスのクズを拘束して、散弾を一人ずつ撃ち込んだ。きんもちいい。 実験結果:キル数16だ! 里山に対してダブルスコアだ! サイコー! 担当者私見:あー、映像は警備員のとこにでも行ったんじゃないの? とりあえず警備員も殺しとくか。あとDクラスを無駄に消費しているとか言う勧告が来たけどうぜえ。全員ぶっ殺してやる。SCP-347-JPさえあれば何人殺してもいいんだ、俺には何の罪もないんだから。 瀬戸研究員及び里山研究助手による銃の乱射事件により、サイト-8127でDクラス24人の命が失われました。瀬戸研究員はタクティカルチームによって拘束されました。上記する報告書は実験記録6以降、私見及び実験内容を虚偽の穏当なものへと差し替えた上で提出されていました。このため銃の乱射事件という大規模な事件が起こるまで、彼らの行動の発覚が非常に遅れました。研究員及びその補佐の双方が異常な状況に陥っていたことも、発見の遅延のもう一つの理由となっています。瀬戸研究員と里山研究助手への尋問の結果、SCP-347-JPを長時間使用すると、犯罪に対しての罪悪感や抵抗感、他者への共感能力、寛容さなどの大きな減少及び攻撃性や犯罪に対する欲求の極端な増加が発生することが発見されました。これを受けて収容プロトコルは現在の形に改訂されました。 Footnotes 1. 窃盗であれば盗んだ品、殺人であれば死体や凶器など 2. 主に社交能力が低い人間、前科がある人間、容姿が醜悪な人間、収入の少ない人間が選ばれます
scp-348-jp
評価: +46+–x アイテム番号: SCP-348-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-348-JPはサイト-8141に存在する収容室に収容してください。収容室のドアは外側からロックし、内側からは開かないようにしてください。この収容室はひとつの空間にトイレや洗面所、キッチンを含みSCP-348-JPがその中のみで生活出来るようになっています。SCP-348-JPの特異性のため、扉を持つ家具(クローゼットなど)を中に入れないようにしてください。警備員一名が監視カメラを通じてこの部屋を監視し、異常が観測された場合は即座に担当者に連絡してください。 説明: SCP-348-JPは██歳で身長1██cm、体重██kgの日本人女性です。SCP-348-JPはその出生や身体に関しては特異性を持たず、実際に██歳になるまで異常性は発露しませんでした。SCP-348-JPがドアを開けるとき、例外なくドアの先はSCP-348-JP-1につながります。この場合の「ドア」は二つの空間を遮る、開閉することのできる板状の物質で、SCP-348-JPが通り抜けられる大きさのものをさします。そのため、例えばSCP-348-JPが壁を破壊し出入口を作った場合などは、SCP-348-JP-1につながりません。SCP-348-JP以外の人間がドアを開け、SCP-348-JPが通り抜けた場合は異常性は起こらず、通常通りにSCP-348-JPは出入りを行うことができます。またドアの逆側の空間から観測した場合はSCP-348-JP-1は確認されず、通常どおり向こう側の空間へと通じます。SCP-348-JP-1内部へ侵入する物体をドアの逆側から観測した場合、断面が見えるわけではなく、ピンク色の面として観測されます。 SCP-348-JP-1は、小劇場のような空間です。床の一部が段上げされており、その周りの地面には直径10cm~50cmのサイズの球体が置かれています。これらの球体は不規則に点滅しています。球体の組成はそれぞれ異なっており、人体とよく似た成分で構成されている物も複数存在します。現在この球は11 21 32 50 67個存在しています。この球体が光る原理に関しては未だに不明です。 また、直径2m20cmの球体が天井から吊るされています。この球体は未知の物質で構成されており、緩やかに拍動しています。SCP-348-JP-1には扉が存在せず、壁の破壊にも成功していないため外部の空間がどうなっているかはわかっていません。SCP-348-JP-1内には照明も存在しますが、どこから電力が供給されているのかもわかっていません。 SCP-348-JP-1内部に生き物を含む物質(以下被検体とする)が持ち込まれると、被検体の中心に原因不明の重力が発生します。その影響は被検体のみに限られ、被検体の体外では重力の歪みなどは検出されません。この重力の強さはSCP-348-JP-1内部にいる時間に比例し、人間の場合は約2分15秒の段階から不快感を感じるようになります。SCP-348-JP-1に侵入してから5分以上経過するとほとんどの人間は死亡しますが、重力が弱まることはありません。侵入から10分ほどたった段階で被検体は心臓を中心に球状の物体へと作り替えられます。完成した球体の表面は非常になめらかで、その色は被検体に依存することがわかっています。この過程が完了すると同時に被検体は発光する特性も同時に獲得します。この過程の最中でSCP-348-JP-1外へ脱出すると重力はなくなりますが破損した組織が元に戻ることはありません。この過程の間吊るされた球体の拍動が激しくなっていることが判明しています。 SCP-348-JPは収容以前より、エージェントとして財団で勤務しており、20██/██/██にサイト-8141で勤務中に突如異常性が発露しました。きっかけに関してはSCP-348-JPは心当たりがないとしていますが、SCP-348-JP-1に関しては「懐かしく、誰かが向こうで待っているような気がする」と述べています。現在、SCP-348-JPの関係者やかつて住んでいた土地などを通じてSCP-348-JP-1の起源についての調査が行われています。 補遺1: SCP-348-JPが異常性を発露し収容された日の夜、収容室の扉の隙間から一枚のメモが差し込まれているのが発見されました。収容室前の監視カメラにはメモを差し込んだ者はうつっておらず、SCP-348-JP-1から差し込まれたと推測されます。これ以降SCP-348-JP-1からの働き掛けは観測されていませんがSCP-348-JP-1が外部に影響を与えられる可能性は未だ残っています。監視を怠らないようにしてください。メモの内容は以下の通りです。 とても大切な君のために お星様を集めて待っています どうか見に来てくださいね きっと君と一緒なら 世界中がきらめきだす 君と、いつかの約束を 補遺2: 当初11個であった球体の増殖が確認されています。増殖した球体のいくつかは人間と似た組成を取っており、財団の把握外において人間がSCP-348-JP-1内に侵入したものと思われます。このことから、SCP-348-JP以外にSCP-348-JP-1が外部と通じる経路を持つ可能性が非常に高いと推測され引き続き調査が行われています。
scp-349-jp
評価: +65+–x アイテム番号: SCP-349-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-349-JPはケースに収納した状態でパスワード付きのロッカーに収容されます。SCP-349-JPを取り出す場合はトングやロボットアームなどを使用し、決して手で触れないようにしてください。SCP-349-JPの異常性は素手だけでなく手袋越しや義手で触れた場合も発現することに注意してください。 SCP-349-JPの実験を行う場合、レベル2以上のセキュリティクリアランスを持つ職員の許可が必要です。実験時には被験者を終了させる場合を除き、SCP-349-JPを即座に取り上げられるように担当職員は被験者の近くで待機し、取り上げる際はトングを使用する、被験者の手から叩き落とす等、手で触れないように行ってください。 説明: SCP-349-JPは一般的な形状をした、長さ7cm×幅1.5cm×高さ1.8cm、重さ約40gのヒト用の爪切りです。材質は約90%がステンレスによるもので、残る10%はヒトの歯を加工したものであることが判明しています。SCP-349-JPは通常、一般的な爪切りとの機能的な差異はまったく見られませんが、後述する異常性の発現中においては、金属製の義手や人工臓器であっても切り取ることが可能です。 SCP-349-JPを手に取った人物(以下、被験者と表記)1の腕は自律的に動き出し、SCP-349-JPを用いて被験者の爪を切り始めますが、爪だけでなく指から腕または足、最終的にSCP-349-JPを手に取った腕以外の全身を切り取ろうとし2、被験者はこれらの行動を自覚していないように思われます。また被験者自身やSCP-349-JPによって切り取った被験者の身体の破片は出血を起こさず、さらに被験者の脳や心臓が切り取られても被験者は問題なく生存を続けているように振る舞い、また口や喉が切り取られても口が存在していた場所から被験者の声が発せられます。この状態の被験者は外部からの物理的な干渉に抵抗を見せないため、SCP-349-JPは簡単に取り上げることが可能です。 以上のSCP-349-JPによる影響は、SCP-349-JPを手に取った腕以外の全身が切り取られるか、SCP-349-JPが被験者の手から離れるまで持続します。影響が解除された被験者は出血や痛みを自覚し、重要な器官が切り取られていた場合は死亡します。 SCP-349-JPは201█/█/██、埼玉県██町のアパートで、部屋が血まみれになっていると大家から通報を受けた警察が発見し、現場の異常性から財団の調査チームが派遣、財団職員三名が指や腕を失う怪我を負ったことでSCP-349-JPの異常性が発覚、その回収と関係者や近隣住民への記憶処理が行われました。発見時、部屋中に血液や筋肉、骨などの人体を構成する部位が細かく千切れて散乱しており、SCP-349-JPを手に持った男性の右腕のみが存在していました。DNA鑑定の結果、この男性の右腕はこの部屋を借りていた大学生であったと判明しています。男性はSCP-349-JPをインターネット通販サイト「██████.co.jp」で購入したとみられ、現在SCP-349-JPの出品者である██ ██氏の身元を調査中です。追記を参照してください。 補遺: SCP-349-JP実験記録抜粋 実験記録349-JP-9 - 日付 201█/██/██ 対象: D-34612。これまでのSCP-349-JP実験により両手両足が義肢となっています。実験の記憶は処置済みで、事故で義肢になったという偽装記憶を与えています。 実施方法: これまでの実験により手袋や義手であっても異常性が発現することが確認されており、両手が義手の場合や手に爪が無い場合でも異常性が発現することが判明しています。今回の実験では両手足が存在しない場合に異常性が発現するか、どのように発現するか実験します。また今回は途中でSCP-349-JPを被験者から取り上げず、最終的な経過を観察します。 <映像記録349-JP-9 再生開始> 氷鉋研究員: ではD-34612、あなたの前にあるケースを開けてください。 D-34612: (右手以外の義肢を外した状態で椅子に座り、机に向かっている)これか? どうやって開けるんだこれ。……あ、こうか。なにこれ、爪切り? ???: まぶしい 氷鉋研究員: はい。ではそれを持ってみてください。 D-34612: わかった。これでいいのか?(SCP-349-JPを右手で持ち、刃を左手首の断面に当てる)  ???: おなかすいた いただきます 氷鉋研究員: そうです。何か違和感はありますか? D-34612: (SCP-349-JPを使用し、左手を切り取り始める)違和感っていっても……いや、どう見ても普通の爪切りにしか見えないんだけど。 ???: むしゃむしゃ がりがり むしゃむしゃ 氷鉋研究員: そうですか。ではそれを元のケースに戻してください。 D-34612: 戻したぞ。(SCP-349-JPで左腕を切り取り続けている) ???: たりない いくらたべても たりない 氷鉋研究員: 蓋は閉じましたか? D-34612: おっと。これでいいか?(ケースは開いた状態で放置されている) ???: たりない いくらたべても みたされない 氷鉋研究員: ……確かに。では一時間ほど待機していてください。何か違和感などを感じたら呼んでくださいね。 D-34612: なんだよ、実験ってのはまだ続くのか? ???: がりがり むしゃむしゃ がりごり 氷鉋研究員: ええ。あ、昼食を用意してますのでどうぞ。 (ナポリタンの食品サンプルを机に置く) D-34612: (食品サンプルの方に一瞬だけ目を向けて)お、パスタか。ありがたいね、ここの食事は味気ないものばっかりだったからな。 ???: おなかすいたよ いくらたべても すきっぱなし 氷鉋研究員: お味はいかがでしょうか? D-34612: (ナポリタンの食品サンプルには触れておらず、SCP-349-JPを使用し続けている)ああ、いや、久し振りだからかな。なかなか美味いよ。ただ、片手だからちょっと食べにくいかな。 ???: つめ おいしくない 氷鉋研究員: なるほど。ところでそのナポリタン、実はただの食品サンプルなんです。 D-34612: へぇ、どうりで美味いわけだ。なぁ、Dクラスは食堂は使えないのかい? ???: ぱぱ どうして ぱぱ ゆるして 氷鉋研究員: なんですって? D-34612: なんだよ、どうした? ???: ぼく どうして つめしかたべられない 氷鉋研究員: いえ、ですからそれ、食品サンプルなんです、触ればわかると思いますが。食堂なんて一言も言ってません。 D-34612: チッ、そうかよ。なぁなぁ、Cクラスに上がる方法ってないの? こういうメシ毎日食えるんなら、オレ、なんだってやるぜ。で、何が足りないんだ? ???: おなかいっぱいって なに? 氷鉋研究員: すいません、なんの話ですか? D-34612: は? いや、なんの話って、なにが? ???: ここからだして おなかがすいたの 氷鉋研究員: ですから、食堂やCクラスというのはどこから出てきたんですか? D-34612: なんだよ、それなら早く言えよ。よっしゃ、なぁ研究員さんよ、オレ明日から頑張るぜ。 ???: たりない いくらたべても たりない 氷鉋研究員: ……何をですか? D-34612: で、実験ってのはまだ続くのか? ???: ぜんぜん たりないよ ぱぱ (約三十分後、D-34612のSCP-349-JPを持つ腕以外の全身を切り取り終えて腕が停止、実験室内にD-34612の血液と破片が散乱する。D-34612の腕とSCP-349-JPが床に落ちる) ???: ごちそうさま おなかすいた <再生終了> 分析: SCP-349-JPはまず爪から切り取り始めますが、爪が無くても被験者の身体を切り取ろうとするようです。興味深いことに、D-34612は自身の腕を切り取っている間、差し出されたナポリタンが食品サンプルであったにも関わらず自分がそれを食べていると認識し、氷鉋研究員との会話はまったく違う内容として聞き取っていたようです。SCP-349-JPは被験者に対し違和感を感じさせないように認識を改変させると考えられます。 201█/██/██ 追記: SCP-349-JPの出品者とされる██ ██と同じ名前の少年(█歳)が、200█/█/██に栄養失調で死亡していることが判明しました。少年の父親は当時行方不明でしたが、[データ削除]。██ ██の遺体が発見された場所とSCP-349-JP出品者の██████.co.jpアカウントの住所が一致しており、何らかの関係があると考えられます。 20██/█/█ 追記: SCP-349-JPを収容しているロッカーの内側に、金属で削るような形で書かれた文章が発見されました。以前の定期収容確認では存在せず、不審な物音も発生していないため、これらの文章がいつ、どのように発生したかは不明です。文章は以下のようなものです。                          お な か す い た よ ぱ ぱ た べ さ せ て この事件後、SCP-349-JPは別のロッカーに再収容された上で監視が強化されましたが、今のところ同様の事件は発生していません。SCP-349-JPのオブジェクトクラス変更、および特別収容プロトコルの改訂については審議中です。 Footnotes 1. 手袋や義手など直接皮膚に触れた場合でなくとも異常性が発現するため、被験者が自身の手であると認識していることが条件だと考えられます。そのため遠隔操作のロボットアームでは異常性は発現しません。 2. 手に切る事ができる爪が無い場合、足の爪を切り始めます。両足も無い場合、SCP-349-JPによって切り取った指や四肢の断面から切り始めるようです。
scp-350-jp
評価: +24+–x アイテム番号: SCP-350-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-350-JPは現在サイト-1██に指定されています。SCP-350-JPの周囲半径200mは工業用の3mのフェンスで囲まれており、職員はフェンスに損壊がないか毎日確認してください。カバーストーリー"滑落事故の多発"により民間人が侵入しないよう、フェンスに取り付けられた監視カメラと██人の職員で24時間対応してください。また、事件350を踏まえて、SCP-350-JPの出入口には機動部隊せ-2"なめらかな現実"が常に待機し、異様なヒト型オブジェクトがSCP-350-JP内で目撃された場合、ただちに沈静化してください。 フェンスを乗り越えて侵入した民間人は捕獲し、尋問の後、疑いがなければクラスAの記憶処理を施し適切に解放してください。SCP-350-JPで実験を行う時には、レベル3以上の職員3名の許可を得てください。 説明: SCP-350-JPは日本の██県東部の███山の中腹に存在する異常なトンネルです。███山で行方不明になる民間人が相次ぎ、「奇妙なトンネル」の噂が流れ始め、調査にあたったエージェント・██████により発見されました。 SCP-350-JPは直径4mほどのトンネルで、全長はおよそ100mあります。後述のSCP-350-JP-1,2,3に接触しない限り、このトンネルは通常通り通り抜けることが可能です。 SCP-350-JPのトンネル内部は「荒いポリゴン」のようだと報告される、赤土と石らしきもので構成されています。たとえば、直方体を張り付けたような段差、赤土や石の極端な色分け、極端に整った球体の形をした石ころ複数がトンネル内部で見受けられます。これらは異様なほど硬く、破壊・採取することが出来ません。石ころを模したと考えられる物体は手に取ることが出来ますが、SCP-350-JPの外部に持ち出す試みは即座の消滅により失敗しています。 SCP-350-JP-1、2、3は、トンネル内部で発見される「隙間」です。「隙間」は壁面の屈折部分で見られます。それぞれSCP-350-JPのトンネルの、東の出入り口から█m、██m、██mに位置しています。「隙間」の長さは多少異なりますが、概ね1mほどです。その幅は3cm程度しかありません。「隙間」の中は見る角度によって黒、水色、茶色、█色に変化します。 「隙間」には物質の先端が幅3cm以下であれば、あらゆる物体を差し込めます。これには「隙間」に手のひらを差し込んだ人間も含まれます。「隙間」に差し込んだ物体は、物質を無視して移動させることが可能です。「隙間」の幅を越えて物体を水平に動かしても、問題なく内壁を貫通します。SCP-350-JPの外部に達する、またはトンネルの内壁から抜き出すことでその異常は発揮されなくなります。 「隙間」に投げ込まれたものは通常の重力通りに加速して落下します。落下距離を正確に計測することは出来ませんでしたが、研究と調査の結果およそ████km(これは地球の半径を越えています)落下していると考えられており、地球の中心ではなく隙間の垂直方向に落ち続けているという仮説が立てられています。███山で行方不明となった人は、この「隙間」から転落したものと考えられます。Dクラス職員に命綱を装備させ隙間から降下させたところ、Dクラス職員は非常に取り乱し、周囲の光景について[編集済み]と叫び、命綱を振りほどいて転落、追跡もむなしく行方不明となりました。また、カメラによって撮影された映像には[編集済み]のような光景が映っていました。この映像を視聴する場合、レベル2以上の職員から許可を得て、視聴後は財団のセラピストによるカウンセリングを必ず受けてください。 + 補遺-は - テキストを隠す 補遺: SCP-350-JPの研究に関わった研究員やDクラス職員の数名が、個人差はありますが中程度のうつ症状を表す傾向があります。この症状はSCP-350-JPの影響ではなく、長期観察や接触によるごく自然な反応だと結論付けられています。症状は主に現実感の喪失、「シミュレーション・リアリティー」1に対する恐怖やパラノイアがほとんどです。長期の研究は控え、うつ症状の発見された研究員は必ず報告し、財団施設内の病院で療養してください。 + 事件-350 - テキストを隠す 事件-350: 20██年██月(最初の行方不明者が現れてからおよそ1年後です)、トンネル内でヒト型のオブジェクト(以下SCP-350-JP-a)が現れるという事件が発生しました。SCP-350-JP-aは全身が白く、頭部は球体で出来ており、その他の部位(腕や脚など)は直方体で構成されてました。SCP-350-JP-aには顔が存在しないにも関わらず発声し、「歪みを正せ」と機械的な声で叫び、その場にいた研究員やDクラス職員に攻撃を仕掛けました。攻撃を受けた人員は即座にSCP-350-JP-a-1,2,3と化し、SCP-350-JP-aと同様の姿をとって職員に攻撃を開始しました。これらSCP-350-JP-a-1,2,3はSCP-350-JPの範囲を超えても消滅せず、行動していたことに注意してください。幸いにも別の任務から帰還中の機動部隊により、これらオブジェクトは頭部に銃撃受け、即座に消滅しました。この事件以降、特別収容プロトコルが見直されました。 これって、「隙間」から転落した人の成れの果てか? まさか、事件-350より以前にこのCGみたいなオブジェクトが現れたり、してないよな? ――エージェント・██████ エージェント・██████、事件-350以前にSCP-350-JP-aのようなオブジェクトが現れていたら、SCP-350-JP周辺の人々はねずみ算式にSCP-350-JP-1-nに変身し、AKクラス世界終焉シナリオによる世界崩壊につながっていたと考えられます。また、事件-350は最初の行方不明者が現れておよそ1年経った時に発生しています。「隙間」から一番最初に転落した人の成れの果てが、SCP-350-JP-aなのではないでしょうか。 ――████博士 脚注 1. 高次元の存在やコンピュータにより、現実がシミュレートされているのではないか、という仮説。
scp-351-jp
評価: +49+–x 収容直前のSCP-351-JP(███方面側より撮影) アイテム番号: SCP-351-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-351-JPの2ヶ所の進入口には封鎖と施錠を施した上で一般的な警備システムを備えます。侵入者があった場合には、管轄サイトから警備会社を装った財団職員を派遣し、無力化と記憶処理を行い、解放します。 SCP-351-JP内部は監視カメラによるモニタリングを行います。SCP-351-JP-1の活性化中は照明を遠隔操作で消灯することで壁面を見えにくくします。活性化中にモニタリングしている財団職員はSCP-351-JP-1の創作物について言及してはいけません。創作物およびSCP-351-JP-1の活動は録画映像として保管されます。閲覧を希望する場合には研究チームに請求してください。 SCP-351-JP-1の活性化サイクルが変化した場合には研究主任へ報告してください。 説明: SCP-351-JPは高速道路██道の██インターチェンジ付近にある歩行者・自転車用の地下通路です。SCP-351-JP内部の██方面側寄りには照明管理用の配電盤室に通じる扉が1つ存在しており、一定周期1でその扉が開き、ヒト型の実体(SCP-351-JP-1)が1人出現します。 SCP-351-JP-1は成人したヒトと同程度の体躯を持つ実体です。対象はフードの付いた長袖のパーカーと長ズボン、不織布を用いた衛生マスクを着用しており、それら全ては白色で統一されています。財団収容下においては着用物の増減や変化は確認されていません。また毛髪を始めとした体毛が存在せす、測定された体重が10.0kgを上回ったことはありません。 骨格はモンゴロイドの特徴を持ちますが、皮膚色はコーカソイドの特徴を持つため明確な人種区分は不明です。 SCP-351-JP-1は出現時に300mlサイズの塗料入りスプレー缶1つを所持しており、SCP-351-JP内での活動はそれを用いた"創作活動"に当てられます。 "創作活動"はSCP-351-JPの壁面にストリートアートを描くという形で行われます。創作物のモチーフとしては主に「地獄」「死神」が用いられ、これら以外を描く場合には粗雑かつ乱暴に描く傾向が見られます2。 "創作活動"の作品は単色ではなく複数色が用いられますがスプレー缶を持ち替えた事例は無く、塗料の噴射を止めることによって色を切り替えることが可能です。また、塗り重ねを繰り返されているのも関わらず、SCP-351-JPの壁面の塗料の厚みには増加が確認されていません。 壁面以外に吹き付けられた塗料は即座に消失、もしくは色を持たない状態になります。 作品を1つか2つを3時間程度かけて作成した後、SCP-351-JP-1は作品を元の壁の色で塗りつぶして消去し、出現した扉の敷居を跨ぎ、ひとりでに閉じた扉の向こうで消失します。消失後のSCP-351-JP-1の行方を追う試みは全て失敗しています。 "創作活動"中のSCP-351-JP-1にスプレー缶を手放させる形での阻害を行う、あるいは完成した作品への罵倒3を行った場合、SCP-351-JP-1はそれらを行った対象を見つめながら、指を用いて作品に被らない形でその直後から1週間以内の日付を西暦形式(YYYY/MM/dd)で記入します。この時、指にインクなどの付着は見られないにも関わらず必ず黒色で描かれます。書かれた日付は数秒程度で消失し、SCP-351-JP-1はパーカーの前部ポケットから新たなスプレー缶を取り出し、再開します4。 機材・装置を用いて行った場合、阻害の場合はその操縦者が対象となります。罵倒の場合には発言者が対象になりますが、記録映像の再生では対象になりません。 日付を記入された対象はその日付に死亡します。書かれた日付のいずれかの時間、突発的な事件・事故に巻き込まれる、あるいは突然死という形で死亡します。事件・事故の場合には生存する場合もありますが、同日中に必ず突然死に帰結します。この突然死には医学的に不審な点は発見されません。 全ての死亡事例の観測結果は現実改変を否定しています。 SCP-351-JP-1を収容施設へ移動させる試みは接触者を立っていられない程の脱力感が襲うため不可能です。この性質は機材・装置を用いたとしても操縦者に影響が及ぶため現地で収容されています。また、SCP-351-JPの立地環境の問題から破壊実験に関しても十分な装備の利用が困難であるため、見送られています。以上のような特性を持つ一方でSCP-351-JP-1は外部からの刺激に対してはそちらを数秒間見つめる以上の反応を返すことはありません。 補遺: 以下は収容プロトコルに"モニタリング中における創作物への言及の禁止を組み込むきっかけになった事案です。 + 評価記録200█/██/██(第1回)を開く - 閉じる 目的: SCP-351-JP-1の創作物の初回評価。様式の特定や類型他作品との比較評価などを目的としている。 評価者: エージェント・█████(以下、エージェントと表記)、██博士 付記: 当該記録はSCP-351-JP-1の創作物の初回評価記録です。エージェント・█████(以下、エージェントと表記)はストリートアート、グラフィティに深い造詣を持つため、研究チーム外部から召致されました。創作物への評価を述べる際の注意点について十分に説明を受けていた事に留意してください。 <再生開始, (200█/██/██)> [SCP-351-JP-1がSCP-351-JP内に出現、"創作活動"を開始] エージェント: お、奴さん始めましたね。[描き始めを見ながら]なるほど、こいつは手馴れてますな。 ██博士: 先ほども忠告したが、機材越しでも特異性は発揮されるんだ。うっかり口を滑らせないでくれよ?そのために報告書も"創作活動"で統一しているのだから。 エージェント: わかってますよ、私だって死にたくないですからね。しかしまあ、日本でこんなに腕のあるヤツは久しぶりに見ましたよ。 [以降、62分間、エージェントと██博士で評論を述べながらモニタリングが継続される] エージェント: 出来あがってくるとやっぱり腕が良いのがわかりますね。これは作品として切り取ってもそこそこ値がつきますよ。 ██博士: そこまでかね。 エージェント: 私に任せてくれれば5、7桁に乗せますよ。その価値がある。 [直後、SCP-351-JP-1が監視カメラを注視する] エージェント: うん? ██博士: (周囲の研究スタッフに向けて)おい、私達2人以外で何か言ったか?! [SCP-351-JP-1が壁面に日付を記入、22██/██/██と読める] [██博士が評価の中止を宣言] <再生終了> 終了報告書: 直後からエージェント・█████と██博士を1週間に渡って任務から外し、監視下に置きましたが死亡の要因となりうる出来事は発生しませんでした。監視は更に1週間継続されましたが、成果はありませんでした。両名は職務に復帰しています。 追記: 20██/██/██、エージェント・█████はサイト-81██にて複数のSCPオブジェクトの同時収容違反に巻き込まれ四肢喪失、脳に損傷を負い、自発呼吸はしているものの外部刺激に反応を示す事が出来なくなりました。このため財団倫理委員会の承認の元、投薬による終了が認められましたが規定量の投与を超えて尚、自発呼吸は継続されました。 このためSCP-351-JP-1に日付を記入された人物は"その日付に必ず死亡する"のではなく、"その日付まで死亡することがない"可能性が指摘され、後の実験で実証されました。 エージェント・█████は現在も医療保護下に置かれており、終了方法について模索されています。 Footnotes 1. 現在は毎日午前2時(誤差前後5分)です。 2. 特に[編集済]教を冒涜するような内容の場合に顕著です。 3. 単語1,2語程度のものでも対象になります。 4. それまでに使用していたスプレー缶は空の状態になります。SCP-351-JP-1が持っている状態での内容物の確認は接触者が脱力する性質のため成果をあげていません。 5. エージェント・█████は美術品ギャラリーの売買人としての潜入任務を長年続けていました。
scp-352-jp
評価: +15+–x アイテム番号: SCP-352-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-352-JP及びSCP-352-JP-弾丸はサイト-8122の収容ロッカーに収容されています。SCP-352-JPの実験は中止されています。 説明: SCP-352-JPは胴径92mm・全長100mm・重量576g 5██.█gで無色、ガラス製の保存瓶です。SCP-352-JPには「猫だけがある」と文字が印字された、異常性のない一般的な白無地のラベルが貼られています。 SCP-352-JPは人間が開封すると異常性が発揮します。開封前(以下、非活性状態)のSCP-352-JPは空のガラス瓶のように視認されますが、開封するとSCP-352-JP-1が、内部に〝出現したよう〟に見えます(以下、満杯状態)。 開封したSCP-352-JPからSCP-352-JP-1を取り出すと、減少した錠剤数を“補充したように見せ”ます(以下、補充活動)。再封をするとSCP-352-JPは満杯状態を装いますが、1時間を超過した時点で瓶内のSCP-352-JP-1を消失させ、非活性状態へ戻ります。 なお、SCP-352-JP-1が消失したSCP-352-JPに重量的な変動がみられなかったことから、非活性状態の容器内にSCP-352-JP-1は観測上実在していることが推測されています。 SCP-352-JP-1は素錠、またはコーティング錠の識別番号が刻印されていない200粒の白色の錠剤です。主成分は澱粉及びブドウ糖が使用されているにも関わらず0カロリーであり、エネルギー消費における働きはありません。 SCP-352-JP-1を人間が服用すると(以下、服用者)、ある感覚的な異常を及ぼします(以下、チェシャ猫病)。 チェシャ猫病の症状はAIWS(アリス症候群)に類似した感覚異常が主ですが、ウィルス感染における脳炎・癲癇・統合失調症等、病歴の有無に関係なく影響を及ぼすものであり、SCP-352-JP-1が持つ独自の固有症状だと判明しています。 チェシャ猫病は、身体上に明らかな欠損や死亡が生じない限り識別できない上に、服用者に圧迫感や嫌悪感等が自覚されるのみですが、幻肢や虚偽性障害とは異なります(詳細はSCP-352-JP-1-症例リストと補遺-1を参照)。なお、SCP-352-JP-1の症例は65種類ほど確認されていますが、SCP-352-JP-1の服用数を増やしても、一人につき1種類の症例しか現れません。 + チェシャ猫病-症例リスト - テキストを隠す 症状箇所 詳細 右手(右手全体が徐々に肥大化していくような感覚) Dクラス職員の右の親指を外科手術で切断、右親指は約██倍に肥大していた。右手首を切断すると同様の症状が確認できた。 左手(左手全体が徐々に液体になる感覚) Dクラス職員の左の小指を外科手術で切断、左小指は筋骨格が液状となっていた。左手首を切断すると同様の症状が確認できた。指・手首共に血管・骨・神経に異常なし。 脳(脳がとけていくような感覚) Dクラス職員の頭蓋を外科手術で切開したが、異常性は見られなかった。Dクラス職員を終了したところ、左脳と右脳が約██cmほど縮小、脳の全体約50%が融解していた。 両目(距離における異常感覚) Dクラス職員の右目を外科手術で取り出すと、右眼球に異常な縮小が観察された。Dクラス職員を終了したところ、左眼球はおおよそ6倍に肥大していた。 両足(体が大きくなったような感覚) Dクラス職員の右脚部を外科手術で切断すると、右脚部は7倍に肥大し、直径██mを超していた。Dクラス職員を終了したところ、左脚部に同様の症状が確認された。 補遺-1: 実験初期、SCP-352-JP-1は服用者に精神的な影響を与えるオブジェクトだと考えられていましたが、接触者が死亡、あるいは服用者が異常性を訴える該当箇所を切断した場合のみ、末期的な症状が確認する事ができました。留意すべき点として、服用者が症状を訴えた瞬間、即座に終了及び切断した場合でも、初期変異を一切確認することが出来ませんでした。しかし繰り返し実験を行なうことで、SCP-352-JPの大まかな特性が明らかになりました。 SCP-352-JP及びSCP-352-JP-1は、“過程”と“経過”の観測が不可能、或いは極めて困難で、服用者の身体を欠損・死亡した場合のみ、“結果”(末期的症状)が具現・視認化可能なものだと推測されています。具現化した理由は、死亡あるいは欠損した肉体が、過程と経過の蓄積に限界のある状態となったため、結果が出現するものと結論づけられています。 総合的にSCP-352-JP及びSCP-352-JP-1の特性は、「結果のみが具現化する特性」、「これまで確認されていない肉体的変異を及ぼす錠剤」と説明することが可能です。 しかしSCP-352-JPには、局所的な経年時間の加速・未確認の認識障害・現実改変能力等が指摘されていますが、SCP-352-JPの重量を測定した結果、これまで実験で消費した分の質量(実験ではおよそ██粒消費・1粒につき█.█g)の正常な減少が確認されました。錠剤が消費“途中”のため満杯であるように視認され、錠剤量の減少は消費した“事実”により結果が観測できたと考えられています。研究員の予想では、SCP-352-JP-1を全消費した場合、空の容器のみが残るものと考えられていますが、オブジェクト保存のため実験は中止されています。 補遺: SCP-352-JP同様の外見とラベルが添付された、ガラス製の保存瓶が、[編集済み]で発見されました。特筆すべき点として、SCP-352-JPの内部には錠剤ではなく、9mmパラベラム弾1が、合計48発入っていたことが確認されました(以下、弾丸の入ったSCP-352-JPをSCP-352-JP-弾丸と表記)。 SCP-352-JP-弾丸の開封時における特性はSCP-352-JPとほぼ同一であることが判明していますが、SCP-352-JP-弾丸を用いた実験は、SCP-352-JP同様行われることはありません。 Footnotes 1. 民間でも多く使用されている弾
scp-353-jp
評価: +107+–x SCP-353-JPの近影。 アイテム番号: SCP-353-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-353-JPはサイト-8141の標準人型収容室にて隔離されます。セキュリティクリアランスレベル2以上の職員は、収容室への入室及び対象への直接接触が禁止されています。実験や面会、インタビューなどにおいても同様です。対象から要求があった物品は適切である限り与えて構いません。 説明: SCP-353-JPは1体のモンゴロイド女性に見え、収容以前は日本人██ ██として戸籍登録されていました。財団に収容された時点で記録上の年齢は37歳、現在は██歳ですが、収容以前の対象と交流のあった者の証言によると外見年齢は22歳頃より変化しておらず、収容以降も身体的老化の兆候は見られません。 SCP-353-JPと唇同士の接吻をした人間は男女関わらず、対象から離れて10秒ほどで声が擦れはじめ、約30秒で発声が不可能となります。このとき被害者の声帯は左右共に反回神経麻痺のような状態を起こし、回復することはありません。また声帯が動かなくなることによる飲食時の誤嚥、ときにより呼吸困難や喘鳴を伴います。 接吻後のSCP-353-JPは、接吻相手の声音で発話出来るようになります。このとき被害者の声帯はSCP-353-JPの発話に合わせ振動しますが、被害者自身の口から発声することは出来ません。SCP-353-JPは現在18種類の声音(うち14種類が男性、4種類が女性の声音)を持っていることを研究員の前で証明しており、実際はより多くの他者の声を「もらった」可能性を自ら示唆しています。 SCP-353-JPは、愛知県██駅周辺で広まっていた「夜な夜な男を漁っては声を奪うクラブシンガーの女」の噂について、該当地域を調査していた財団エージェントによって発見されました。発見当初、SCP-353-JPはショークラブ「メロディ・ハニーズ」で専属歌手を務める傍ら接待業務をしており、店主(男性、当時61歳)は対象の能力を黙認し、匿う形で10年以上雇用し続けていました。店主と従業員8名にはAクラス記憶処理を施し、常連客などにはカバーストーリー「実家の手伝いのため退職」を流布しました。   + 実験記録353-3(199█/03/13) - 実験記録353-3(199█/03/13) 対象: SCP-353-JP、D-63452(日本人男性、健康状態は良好。発声に異常は見られない) 実施方法: 対象にDクラス職員と接吻をさせ、その前後の様子を観察する。 結果: 接触終了後26秒ほどでDクラス職員は発声が不可能となった。発話しようとするも呼吸困難を発症させ、パニックに陥ったためその場で鎮静剤を投与された。 該当Dクラス職員と接吻したのち、SCP-353-JPは彼の声音で発話することが可能となった。このことについて問われると対象は「深みのある良い声だわ」と該当職員の声音で回答し、その場でEaglesの"Desperado"を歌唱してみせると、「この人にお似合いの曲でしょう」と発言した。 分析: SCP-353-JPは接吻相手の「声」だけでなく、未知の方法で人格や経歴などを把握出来る可能性がある。重大な情報漏洩に繋がりかねないため、一定レベル以上の職員は対象との接触を避けるよう提言する。 -源口博士   備考: (199█/03/15)実験353-3に参加したD-63452の精神状態の回復を待って、筆記による報告書を提出させました。 彼女はくちびるを合わせるなり舌を入れてこようとしました。正直きしょく悪かったんですが、私は思わず口を少し開けてしまいました。あとは先生たちも見ていただろう。濃こうなキッスをな。そのあいだ俺が動けなくなっていたのも。やつの舌、とんでもなく長かったんだよ。それで俺のノド奥をなめ回してきたんだ。こうして書いている間にもあいつが俺の声でしゃべっているのが分かる。かゆい。先生方なんとかしてください、俺を返してくれあの女絶対にゆるさない  [以下SCP-353-JPと財団に対する不適切な語句を含んだ非難と個人的な懺悔が続いていたため省略] 報告書を受け、麻酔で昏睡させたSCP-353-JPの口内構造を再度調査しましたが、通常のヒトとの差異は見受けられませんでした。SCP-353-JPの収容はこれまで通り継続されます。   + インタビュー記録353-1(199█/03/20) - インタビュー記録353-1(199█/03/20) 対象: SCP-353-JP インタビュアー: エージェント・砥鹿社 付記: インタビューは収容室に備えられている面会用ガラス窓越しに行われた。 <録音開始> インタビュアー: こんにちは、SCP-353-JP。 SCP-353-JP: こんにちは、エージェント。来てくださって嬉しいわ。 インタビュアー: 君が私相手でないと頑として対話に応じないと言ったらしいからね。 SCP-353-JP: そうよ、あたしが貴方を指名したの。以前貴方があたしを指名したみたいにね。 インタビュアー: あれは調査目的だった。 SCP-353-JP: ええ、そう聞いたわ。あたしをこうやって囲うための前準備。でも来店ありがと。[投げキスを送る動作] インタビュアー: [6秒の沈黙] インタビューを始めようか。君がどうやってその、接吻した相手の声を操っているのか詳しく訊きたい。 SCP-353-JP: あたしの甘いキスをここでゆっくりじっくり教えて欲しいってことかしら。 インタビュアー: そうだな、我々にも分かるように言葉で説明してもらえないだろうか。実践は勘弁してくれ。 SCP-353-JP: シャイなのね、可愛い人。でもごめんなさい、あたしってばいつも夢中になっちゃって。最中のことはよく覚えていないのよ。 インタビュアー: そうか、とても残念だ。いつ頃から今のような力を身につけた? SCP-353-JP: 大学卒業間近の頃じゃないかしら。それまでもキスの経験はあったけど、こんな真似出来なかったもの。あの頃は誰もあたしの歌に心を留めてくれなくて、プロデビュー出来なきゃ親のチンケな商店を継ぐしかなくて、半ば自暴自棄になってた。 インタビュアー: つらかったろうな。 SCP-353-JP: 貴方なら分かってくれると思っていたわ、素敵な人!そう、だから毎晩駅前のバーで飲んだくれてたわけ。そんなあたしに声をかけてくれる男の人は少なからずいた。皆とても魅力的だったわ。それであたし、欲しくなっちゃったのよね。 インタビュアー: それは [5秒の沈黙] 声をか? SCP-353-JP: 皆本当に魅力的な声だったんだもの。男の人ってずるいわよね、あんなに素敵なバリトンボイスで歌えたらあたし、最高に舞い上がっちゃうだろうと思ったわ。商談するのと女を口説くのにしか使わないだなんて大損してる。彼らの声がかわいそうよ。 [興奮気味だった口調をやや抑えて] そうしてあの日、いつも優しく話を聞いてくれる愛しい彼が、カウンターで飲んでたあたしの肩を抱いてきた。連れられて外に出て……街灯の下、あたしたちはキスをしたわ。とてもロマンティックで、あたしは夢心地だった。あたしの心は彼のものになって、彼の声はあたしのものになった。嬉しくてはしゃぎすぎて、沢山飲んでたしその後はあまり覚えてないけれど。 インタビュアー: 相手はどうなったんだい。君は彼の声を「もらった」のか。 SCP-353-JP: あの人は [4秒の沈黙] 今はいないわ。 インタビュアー: いない? SCP-353-JP: 彼の声はあたしと一緒にいた。早朝の路地裏で起きたときにそう気づいたの。彼はあたしと共にあった、それで十分だった。けれどもういないのよ。彼のなかにもいないの。永久に失ってしまった。あの人が、愛したあの声が忘れられなくて、 [17秒の沈黙] もう失いたくないのよ。 インタビュアー: [10秒の沈黙] なるほど。ありがとう、今日はここまでにしよう。 SCP-353-JP: 分かった。また貴方の声が聞けるのを楽しみにしているわ、エージェント。 <録音終了>     補遺1: (200█/06/27) 23時34分ごろ、就寝中のSCP-353-JPが突如起床し啼泣しはじめました。室内監視カメラを確認した警備員から研究主任である源口博士に報告され、急遽、精神科医の立会いのもと対象へのインタビューが行われました。対象は「今度はあの子がいった、いなくなってしまったの。もうあの可愛い喉を震わせることは叶わない」と答え、それ以上は沈黙を貫き有力な回答は得られませんでした。   補遺2: (201█/10/05) SCP-353-JPに関する調査を続けていたエージェント・砥鹿社が対象の被害者と見られる男性との接触に成功し、事前に打ち合わせていた他のエージェント2名と共に彼を確保しました。以下は確保に至るまでの映像記録1です。 + インタビュー記録353-█(201█/10/05) - インタビュー記録353-█(201█/10/05) 対象: 被害者男性██ ██氏(当時58歳、会社員、現在は静岡県██市在住) インタビュアー: エージェント・砥鹿社 付記: 記録は██市内の喫茶店2にて行われました。この記録の直前まで、インタビュアーは発話で、被害者男性は鉛筆とメモ帳による筆記で対談を行っていました(そのため、文書化に伴い筆談内容が併記されています)。 <以下、録画記録> インタビュアー: ありがとうございました、██さん。彼女の行いは当然許されるものではありませんし、我々は厳罰を科したいと思っていますよ。 ██氏(以下"対象"): [筆記で]ありがとう。あの不可解な出来事を、誰にも言えず3伝えられず、ずっと悩んできた。警察が動いてくれるのは本当に嬉しい。 インタビュアー: 私どもとしても全力を尽くしますので、ご安心下さい。 対象: 声を失い、無気力に生きてきたこれまでの10余年が報われる思いだ。 インタビュアー: それでは、またご連絡しますので。今日はここまでにしよう。[椅子を引き立ち上がる音] 対象: [4秒のち、椅子から勢いよく立ち上がる] インタビュアー: ██さん? 対象: [女性の声音で] 貴方なのね、エージェント。 インタビュアー: [2秒の沈黙] おい、待て。 対象: ああ、嬉しいわ、ずっと会いたかったの、声を聞いてすぐそうなんじゃないかって思ったわ、だけど確証がなくて。でも今のではっきり分かった。[この間、対象は苦しむような挙動] インタビュアー: ██さん、貴方の自我はありますか。あるなら両手を高く上にあげて。 対象: [全身を震わせながらも指示通り両手をあげる] ちょっと、あたしの話を聞いてよ。あたしと話してよ、ねえ。 インタビュアー: [隣席で待機していた2名に向かって] やむを得んが彼を確保だ。抵抗の可能性もあるから気をつけてくれ。 対象: [首を激しく横に振りながら流涕する] ずっと聞かないうちにやっぱり老けたのかしら、でも老成してもっと良い声になったわね、エージェント。 インタビュアー: ██さん、恐ろしいだろうが負けてはいけない、できるかぎり彼女に抗ってくれ。 対象: [泣き続けながらも小刻みに首肯する] ねぇ、お願い待って。もう何人もあたしの元から去っていったわ。寂しいの、一生のお願いだから傍にいて。せめて半分だけでもこっちに置いていって。 インタビュアー: [他2名が対象をロープで拘束するのを監督しながら] すまない。 対象: キスして。 <録画終了> 備考: 対象が女性の声音で話していた間、収容室内のSCP-353-JPが、室内を歩き回りながら無声で口を動かしていたことが監視記録より判明しています。 報告書: 本来なら最後に記憶処理で済ませる予定でしたが、以上の経緯により被害者男性を確保しました。財団での収容を提案します。また、依然各地に生存しているであろうSCP-353-JP被害者の確保のため、正式な作戦班の設置を要請します。 -エージェント・砥鹿社 要請を受理しました。 -日本支部理事会       Footnotes 1. 財団から支給されたネクタイピン型の隠しカメラによって撮影されました。 2. 「静岡茶館PARADISE」は財団フロント企業のひとつです。インタビュー時店内は貸切となっていました。 3. 対象は筆記した直後に自ら二重線を引きました。
scp-354-jp
評価: +17+–x アイテム番号: SCP-354-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-354-JPを中心とする半径185.2kmの空域には「航空演習空域」のカバーストーリーを用い、一切の航空機の侵入を禁止して下さい。これを徹底するため、機動部隊所属の戦闘機による常時の防護戦闘空中哨戒を実施します。もし周辺空域に侵入しようとする航空機が存在する場合、警告を行い、空域侵入を阻止します。それでもなお航空機が侵入を試みる場合、撃墜します。これにより発生する問題は「演習中事故」のカバーストーリーを用いて収拾します。 説明: SCP-354-JPは██国際空港から東に約360km離れた地点に存在する、高度3000mから高度12000mまで届く円筒形の空間です。その直径は10kmです。 SCP-354-JPに何らかの航空機が侵入した場合、その乗員はSCP-354-JP-1に置換されます。SCP-354-JP-1は、外見上は乗員とは変わりませんが、通常のヒトと異なり、脳内に未知の器官が生じた存在です。 その直後、SCP-354-JP-2がSCP-354-JP中心部の高度6000mに出現します。SCP-354-JP-2は約全長20m・全幅15mの、世界各国で運用されているどの戦闘機とも違った形式の戦闘機1で、国籍識別記号・機体番号とも記載されていませんが、性能的には既存戦闘機全てを凌駕することが確認されています。2また、SCP-354-JP-2は財団の敵味方識別コードを持っており、IFF(敵味方識別装置)では敵と認識することはできません。 すべての場合において、SCP-354-JP-1はSCP-354-JP-2を振り切ろうと急機動を行いますが、SCP-354-JP-2はその性能的優位性によりSCP-354-JP-1を必ず撃墜します。その後、SCP-354-JP-2はSCP-354-JPに進路を変え、SCP-354-JP内で消失します。 財団はSCP-354-JPを、20██/██/██に起こった旅客機撃墜事件によって発見しました。当該旅客機は██国際空港に緊急着陸するため、通常の航路を離脱し、SCP-354-JPに侵入し、その後SCP-354-JP-1とSCP-354-JP-2を出現させました。当該旅客機はSCP-354-JP-2に撃墜され、しかる後SCP-354-JP-2はSCP-354-JPに帰還、そこで消失しました。██管制センター職員を始めとする全ての関係者には全員Aクラス記憶処置が行われました。また、財団は墜落機からSCP-354-JP-1の遺体を多数回収しました。 この事件の際、財団は墜落したSCP-354-JP-1の管制との通信以外で、内部音声の意味のある部分を、回収したボイスレコーダーの解析から再現することに成功しました。以下がその記録です。 SCP-354-1ボイスレコーダー音声記録 録音日時:20██/██/██ 声A(40代ほどの男性):くそ、脱出できない。(判読不能、SCP-354-JP-2を指すと思われる)が諦めず追尾してくる! 声B(30代ほどの女性): まだ諦めてはだめだ。我々が(判読不能、人類を指すと思われる)に擬態している理由を忘れたか? 必ず(判読不能)は援軍をよこす。それによって(判読不能)も撃退される。もう少しだ。 声C(10代前半の男児): 本当か? 本当に(判読不能)に着けると思っているのか? 声B: 実際に出られたではないか。あと少しだ。諦めるな。(判読不能、声Cを指すと思われる)、到着後の手順は分かっているな? 声C: (判読不能)についたら、(判読不能)を用いて仲間を増やす―― (爆発音。多数の悲鳴) 録音終了:20██/██/██ 付記: 旅客機がSCP-354-JP-2によって破壊されたため、録音はここで終了しています。 財団はこのボイスレコーダーからの情報で、SCP-354-JP-1はSCP-354-JPを通路としたなにがしかの侵略目的を持った存在と推定し、サンプルを取るため、実験を行いました。以下が実験報告書です。 実験方法 目的 結果 無人ドローンをSCP-354-JPに突入させる(複数回) SCP-354-JP-2の出現を喚起する いずれの回においてもSCP-354-JP-2は出現せず Dクラス職員を搭乗させた超音速有人型ドローンをSCP-354-JPへと突入させ、SCP-354-JP-2の攻撃を可能な限り回避しながら帰還する(複数回) SCP-354-JP-2の能力の推定 全ての回においてドローンは撃墜、SCP-354-JP-1に置換されたDクラス職員は死亡、SCP-354-JP-2の能力の推定に成功 Dクラス要員を搭乗させ、脱出装置を備え付けた超音速型有人ドローンをSCP-354-JPへと突入させる(複数回) SCP-354-JP-1生存実体の確保 すべての回において、ドローンはSCP-354-JP-2により撃墜。脱出装置により脱出したSCP-354-JP-1に置換されたDクラス職員もSCP-354-JP-2により殺害される3 Dクラス職員を搭乗させたドローンによりSCP-354-JP-2を釣りだし、コンタクトを試みる SCP-354-JP-2の起源、意図、目的についての調査 SCP-354-JP-2は応答。以下にその記録を記録します 対象: SCP-354-JP-2 インタビュアー: ██研究員 付記: このインタビューは財団の使用する暗号コードによって行われた。 <録音開始, 20██/██/██> ██研究員: こちら██中央航空管制センター。貴機の所属と任務を教えてください。 SCP-354-JP-2: こちらは財団所属██方面██航空機動部隊所属、機体番号█████だ。[削除済]任務に付いている。 ██研究員: 照会。そのような機動部隊も機体も我が方は保有していません。しかし敵味方識別装置は貴機を味方と認識しています。どういうことですか? SCP-354-JP-2: それは我が方も疑問だ。[削除済]任務の主任とコンタクトを要求する。 ██研究員: 照会。そのような任務の主任はこちらに存在していません。 SCP-354-JP-2: 重大な情報の齟齬が生じているようだ。さもなくば、貴官は財団職員を偽装した敵という仮説も成り立つ。 ██研究員: それはこちらのセリフです。なぜ存在しない機動部隊と機体番号であるにかかわらず、財団のIFFには味方と認識され、財団の暗号コードでコンタクトできるんですか? SCP-354-JP-2: 不明。おそらくは何かのアクシデントと推定されるが、財団からの暗号コードとIFFコードは変わらず更新されている。 ██研究員: それは重大な機密漏洩です。ただちに██空軍基地に着陸し、我々の尋問を受けて下さい。 SCP-354-JP-2: それは拒否する。貴官らが財団職員を偽装した敵であるとの可能性がある以上、その要求に応じることは出来ない。 ██研究員: ――敵と疑われるのは分かります。こちらも貴機を財団コードを不正に利用している敵と疑っています。ですが、それ以外の可能性も考慮しています。通信回線はオープンにして頂けませんか? SCP-354-JP-2: それ以外の可能性は私も危惧している。貴官らとの通信回線は常時オープンにしておく。私もこの異常事態に対して対策を練らねばならない。そのためには対話が必要だ。 ██研究員: ありがとうございます。 SCP-354-JP-2: 感謝は不要だ。これは両者の陥っている問題の解決のためのディスカッションだ。ともあれ、先の[削除済]任務で燃料がビンゴだ。本機は帰投する。 ██研究員: どこへ帰投するんですか? SCP-354-JP-2: ████(既存の人語に存在しない名詞)基地にだ。通信終わり。 <録音終了, 20██/██/██> 終了報告書: SCP-354-JP-2は少なくとも「我が」財団の保有機体ではない。それは確実です。ですが、何らかの原因で味方と認識され、暗号コードでコンタクトも取れます。また、本来機密であるはずの燃料搭載量や基地名についても言及しました。彼らは明らかにこちらに情報交換の意図を示しています。この原因の究明のため、さらなる調査の要を求めます。――██研究員 現在、SCP-354-JP-1の生存実体確保と、SCP-354-JP-2からより多くの情報を引き出すための実験は、月に一度終了予定のDクラス職員1名を用いる形で実施されています。Dクラス職員とドローンの無為な損害を局限するためです。 また、██研究員の提言により、O5理事会は一部機密資料を公開しましたが、このような任務に付いている機動部隊は存在しないとの結論でした。この矛盾――財団所属のIFFコードと暗号コードを利用できる財団に所属しない部隊という問題が、どこで生じているのか、原因は今だ不明です。4 Footnotes 1. しいて云えば、ロシア空軍の2015年現在の試作機T-50に類似しています。 2. 財団の█次実験において、出現させたSCP-354-JP-1をSCP-354-JP-2が撃墜する際に、マッハ2.5、旋回G推定15Gを出したことが報告されています。 3. 撃墜されたドローンに搭乗していた遺体の頭部を回収した結果、SCP-354-JP-1に置換されていることが判明。頭部が破壊されたDクラス職員については判別不能。 4. なおIFFコード、暗号コードとも2ヶ月に1度更新されています。これに対応してSCP-354-JP-2もコードを更新しているならば、重大な機密漏洩の可能性があります。
scp-355-jp
評価: +37+–x SCP-355-JP SCP-355-JPの実験が行われた財団私有地。自転車がSCP-355-JP-Aとして生産され、駐輪用機にUSBコネクタ部の挿入を試みている。画面上部では、SCP-355-JP-Cとなったオレンジ色の車3台が、他車(右上)を捕獲しようと追跡している。中央左上部にわずかに見えるものは捕獲された車。 JP-Aに取り付けられているUSBコネクタ。 アイテム番号: SCP-355-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-355-JPは、サイト8181内の標準ロッカーに収容されています。実験の為にSCP-355-JPを使用する際は、レベル3以上の職員の許可を得てください。 説明: SCP-355-JPは、異常な特性を持ったUSBメモリーです。外観、形状は通常のUSBと変わりなく、同一規格の物が一般に市販されています。 SCP-355-JPの異常性は、「USB挿入口を持つ機械」1(以下、オリジナルAと呼称)に対象を接続すると発現します。 SCP-355-JPがその状態で固定されます。この状態のSCP-355-JPは██トンの力を加えても引き抜くことができません。一定時間経過後、その固定が解かれ、対象を引き抜くと、周囲に「車輪を持った構成物」(以下、SCP-355-JP-A)が1体から██体現れます。現在確認されているSCP-355-JP-Aは、玩具の車、自転車、自動車、[編集済み]などです。"生産"されるものは、オリジナルAの種類によって変化します。 SCP-355-JP-Aは、全体のいずれかの位置に巻き取り可能なコードが取り付けられ、その先端にはUSBコネクタが付属しています。コネクタ部は、SCP-355-JPのそれとほぼ同じ性質を持っています。 SCP-355-JP-Aは、自律で稼働し、移動を行います。このとき、運動エネルギーをどこから得ているのかは不明です。SCP-355-JP-Aは「USB挿入口を持つ他の機械」(オリジナルB)を発見すると、USBコネクタ部をそれに挿入しようと試みます。その場合、また異なるものが"生産"され、SCP-355-JP-Bが1体から██体出現します。また、オリジナルAとオリジナルBが似ているものであれば、JP-BもJP-Aと似たものとなります。 これらのサイクルは永続的に繰り返され、SCP-355-JP-C,D,E,と"生産品"は増加していきます。 SCP-355-JP-Aは、ときたま「USB挿入口のないもの」にコネクタの挿入を試みる場合もあります。これはバグのようなものではないかと考えられています。 オリジナルA(SCP-355-JPが挿入されたもの)が破壊されると、SCP-355-JP-A,B,それらすべてが異常性を失います。 実験記録355 - 日付19██/08/██ 目的: SCP-355-JPが市街地で使用された場合の想定。 実施方法: 財団私有地にて実地。市販されているノートパソコンにSCP-355-JPを使用する。私有地には同じパソコンが████台、Dクラス職員の運転する車(USB挿入口があるもの)が██台配置されている。Dクラス職員たちには、「追いかけてくるものがあれば捕まらぬように逃げること」「"生産品"に群がられた場合、すぐに脱出すること」を指示している。 時間 状況 0:00:00 SCP-355-JPをノートパソコンに使用。パソコンはオリジナルAとなる。オリジナルAはいつでも破壊できるように配置。 0:00:54 SCP-355-JPの固定が解かれる。対象を引き抜くと、4台の自転車型SCP-355-JP-Aが出現。JP-Aたちはすぐさま自律で動き、移動を始めた。 0:01:11 JP-Aのうち、1台がドアを突進で破り、設置された仮住宅に侵入。住宅内に設置されたパソコンにUSBコネクタを挿入し、パソコンはオリジナルBとなる。この時点から数十秒の間に他のJP-Aも同じ行動をとる。 0:02:03 生産が完了し、自転車型JP-B複数が出現。JP-A,Bは合計で18台となる。再びJP-A,Bたちはそれぞれに移動を始める。 0:02:09 JP-Aのうち、3台がD-1101の乗る自動車(2号車)に向けて移動を開始。乗車しているDクラス職員もそれを確認し、逃走を開始。他JP-A,Bも次々にパソコンを発見し、USBを挿入している。 0:02:57 この時点でJP-A,Bは合計で50台以上となる。 0:03:11 JP-Aの3台に追いつかれ、D-1101は2号車を破棄して脱出。JP-Aの3台は、追跡時、チームワークを駆使しているような行動が確認された。JP-Aのうち1台が、2号車内のUSB挿入口にコネクタを挿入。2号車はオリジナルCとなる。JP-Aの他2台は、周囲を警戒するように動きまわる。 0:03:13 JP-A,Bの15台が、それぞれに1号車、4号車、7号車、8号車、15号車へ追跡を開始。この時点で、23台のJP-A,Bが奇妙なもの(壁、ゴミ箱、駐輪用の固定具)などにも挿入を試みていることが確認されている。 0:04:01 オリジナルCの生産が完了し、6台の自動車型JP-Cが出現。JP-Cは移動を開始。ほぼ同時に3号車、6号車、22号車を発見し、追跡を始める。数秒で追いつかれた車もあり、乗車員は脱出。JP-Cは同号車にUSBコネクタを挿入。 0:04:54 衝突事故が発生したため、オリジナルAを破壊し、実験を停止。 結果: 衝突事故を起こしたDクラス2名が打撲を負う。他に怪我人は無し。 分析: "生産"は非常に素早く行われる。市街でSCP-355-JPが使用された場合、甚大な被害が出ることが予想される。 SCP-355-JPは、長野県の村落で「車が勝手に動いた」という警察への通報が財団の目に止まり、発見されました。事件には財団の機動部隊が出動し、自動車型のJP-Aを全て破壊することで対処しました。この事件で1名の市民が死亡しています。 車のナンバープレートから元々の所在地(同県の自動車生産工場)を特定し、他機動部隊がそこを急襲したものの、内部は既に無人でした。前日の夜まで稼働していた形跡があり、ほとんどの機材やパソコンは破壊されていました。捜査を行ったところ、JP-Aと同型の自動車(オリジナルA)が残されており、車内にSCP-355-JPがあったことから、対象が発見されました。オリジナルAが破壊されたことで、同事件は完全に停止しました。工場内には東弊重工社のロゴマークが確認されており、関連性については以前調査中です。 補遺1: 死亡した1名は1█歳の少女です。死体には、合計で2█以上のUSBコネクタが挿入された形跡があり、主に臍、耳、口、[削除済み]に多くの形跡が残されていました。解剖を行った結果、[編集済み]内から玩具の車型JP-Aが1█個発見されました。体内でJP-Aが動きまわったことによる内臓損傷が死亡要因と結論付けられています。 Footnotes 1. 非常に曖昧な定義であり、正確ではありません
scp-356-jp
評価: +26+–x 処理部隊が浮上させた防潜網の一部。 アイテム番号: SCP-356-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-356-JPへの対処のため、監視衛星と海上任務部隊「Adventurer」の分遣隊がアメリカ東海岸およびモロッコ、西サハラの各港湾に展開します。所属船舶はフロント企業による運航を装い、SCP-356-JPの沈底している海域を哨戒してください。 後部機雷投下口は溶接によって閉塞されていますが、閉塞部の状態を確認するため半年ごとに深海調査船による検査が行われます。閉塞部破損による防潜網流出が確認された場合、事前に指定される周波数帯で「Adventurer」本部へ通報し処理部隊を誘導してください。処理部隊は周辺海域を管制後、防潜網及び付属している機雷を安全に処理しなければなりません。 説明: SCP-356-JPは、北大西洋の北緯25度から33度、西経35度から67度付近の海域内1に存在し、防潜網を放出する海中物体です。海中物体は、帝政ロシア海軍の潜水艦Krabに酷似しており、本来は機雷投下口である箇所から防潜網を放出しています。防潜網それ自体に異常性は確認されていませんが、膨大な量の防潜網が断続的に放出される事で大規模な航路障害物を形成します。 全ての防潜網は海面下で浮遊するように調整されており、船舶の航行上重大な損傷を発生させます。SCP-356-JPとして分類後から現在までに民間船舶187隻、海軍艦艇24隻、財団所属船舶8隻がスクリューへの絡網などによって航行不能となりました。このうち、民間船舶8隻と潜水艦2隻は救助の遅れにより乗員乗客全員が死亡しています。1915年からは放出される防潜網に対潜水艦用と思われる機雷が付属するようになり、SCPS Dough-boyの触雷沈没など処理部隊の被害が続出しました。 SCP-356-JPの発見当時、哨戒システムが構築される前に多数の船舶に被害が生じたため、被害者によって出没海域に関する流言が多数発生しました2。財団は、海上保険の高騰と海運関係者の業務拒否による社会的混乱の発生を憂慮し、各国政府、保険組合、報道機関と連携してSCP-356-JPに関する流言を沈静化させました。被害者については、当時の「個人記録に関する諸手続3」によって処理が行われました。 SCP-356-JPは、1897年にアメリカ船籍の客船Lexington号が航行不能に陥っていた貨物船を救助した際にその存在が確認されました。当初、該当する海域に防潜網が自然発生する現象として記録されていましたが、1900年に客船Square Mile号が海中を移動しつつ防潜網を放出する物体について報告したことで情報は改訂されました。 1939年10月以降、SCP-356-JPによる防潜網の放出が極めて狭い範囲に限定されたため、財団は対象が何らかの理由で停止したと判断し海底探査による捜索作戦を実行しました。1955年の第6次海底探査では、新鋭バチスカーフを含めた最大規模の部隊が動員され、その結果西経██度██分、北緯██度██分に着底している潜水艦の発見に成功しました。艦尾の機雷投下口から露出していた防潜網は、以前に回収されていた防潜網と同一であると判明し、この潜水艦がSCP-356-JPの本体であると結論付けられました。 SCP-356-JPと断定された潜水艦は、類似した形式の艦の安全潜行深度をはるかに超えた地点に在るにもかかわらず、水圧による破壊の痕跡が見られませんでした。右舷前方と艦橋直後に大きな凹みがありますが、これは爆雷による被害状況に酷似しており、SCP-356-JPは外部からの攻撃によって撃沈されたと考えられます。艦橋の側面には「C.I.C.P」及び「Ile-211」と塗装されており、何らかの組織に属していた可能性があるため調査部門が追跡調査を行っています。また、潜水艦Krabが1915年竣工であるのに対してSCP-356-JPが1890年代から出現したことに関する矛盾についても、同一の性質を持つオブジェクトの存在を視野に入れて調査中です。 補遺-356-JP-1: ドイツ海軍装甲艦Deutschlandによる記録 1939年10月25日、ドイツ海軍所属の装甲艦Deutschlandに搭載された偵察機が、西経██度██分、北緯██度██分で10隻前後の艦艇と飛行船3隻が爆雷攻撃を実施しているのを発見し、艦長Paul Wennekerに報告しています。その報告は当日の航海日誌に記載され、艦長Paul Wennekerによって以下の注釈が加えられました。 偵察機からの報告とほぼ同時刻に通信室でも大量の通信を傍受した。様々な言語が混じり合い内容は不明瞭。書きとめられた単語で頻出していたのはsciphereとcicp。sciphereは英単語としては古すぎる。cicpに至っては全く意味不明。 艦長Paul Wennekerは11月の帰港後に本件を報告していますが、海軍総司令官Erich Raederは、当日の航海日誌の差し替えと注釈の削除を指示しました。 補遺-356-JP-2: 引き揚げ作業の中止について SCP-356-JPからは防潜網の流出が続いており、溶接による閉塞も一時的な対処しかできないため、より確実な収容を意図して引き揚げ後に陸上保管する計画が立案されました。 しかしながら1986年の作業開始以来、潜水船及び調査船に対する探信音の発振、調査船へのリムペットマインの設置など妨害行動が多発しました。特に、引き揚げ作業で運用予定だった深海潜水調査船3隻が相次いで破壊されたことは引き揚げ計画を中断させるのに十分な理由となりました。 現在、引き揚げ計画は無期延期となっています。 Footnotes 1. 一般的にサルガッソ海として知られる海域です。 2. 大半は「魔の海」などの他愛のないものでしたが、船長や高級船員など比較的権威のある人々の発言によって一定の信憑性が与えられていました。 3. 現在における記憶処理手順の前身の一つです。
scp-357-jp
評価: +133+–x アイテム番号: SCP-357-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-357-JPは危険物保管庫の対火金庫に保管し、実験管理者以外の持ち出しを防止するため20桁以上のパスワードで電子ロックを掛けて下さい。実験責任者はセキュリティクリアランスレベル3以上かつ精神鑑定テスト・財団への忠誠度テストで優秀点を取得した上級研究員に限定されます。またいかなる場合にもSCP-357-JPの持ち出し時には対現実改変者の機動部隊を護衛に就けることを義務付けられます。 使用する実験室には消火用スプリンクラーを設置するほか、カント計数機を用いたスキャナーセンサーでヒューム値の常時監視を行い、スクラントン現実錨によって実験室周囲のヒューム値を2.0以上に固定し異常性が外部に漏洩しない環境であることが条件とされます。 <20██/██/██ 追記> 被験者は現実改変の影響を受ける為Dクラス職員に限定され、異常性の範囲内には現実改変の混濁防止の為2人以上入らないようにしてください。 説明: SCP-357-JPは周囲に現実改変を引き起こすマッチです。外見的には通常のものと差異はありません。またSCP-357-JPを内包していた外箱には異常はありませんでしたが、"Andersen"というどこのメーカーとも一致しない刻印が確認されています。SCP-357-JPは着火された瞬間からSCP-357-JPを中心とした半径10m程度の範囲のヒューム値を著しく低下させ、着火されたSCP-357-JPが燃え尽きるまでこの異常性を発揮し続けます。この異常性の範囲内に生物がいた場合、表層意識の思考によって現実改変が引き起こされます。SCP-357-JPの同時使用によるヒューム値の低下率の変動はありませんが、SCP-357-JPとの距離が近いほど低下量は増大し、実験では最低で0.36を記録しました。ただし活性化状態・非活性化状態を問わずSCP-357-JP自体のヒューム値は1.0より下がらず、SCP-357-JPへの現実改変の試みは失敗に終わります。 SCP-357-JPの影響による現実改変の特徴として、表層思考でイメージされた物品の出現が優先されることが分かっています。現実改変の影響及び出現した物体はSCP-357-JPの異常性が消失した後も残りますが、動作原理を理解していない物体はSCP-357-JPの異常性の消失とともに動作不能に陥ります。 19██年12月から翌年1月にかけて██県███町で身元不明の男女の死体が██回にわたり発見される事件について財団が調査を行ったところ、当時█歳1の女児がSCP-357-JPを使用している現場を発見しました。財団の機動部隊による収容作戦時に女児がオブジェクトを使用することで抵抗を試み、市街地に小型の戦車と戦闘機数台を召喚したことで収容班および民間人に██名の死傷者が出ました。確保された女児には異常性が確認できず、SCP-357-JPの入手経緯については曖昧な証言のみであったため関連性は無いと判断されました。現在は身元確認中のため財団施設内で保護観察されています。 補遺1: 発見された身元不明の男女の死体は全て、SCP-357-JPを所持していた女児がオブジェクトによって出現させた両親であると証言しました。財団の調査により、発見された死体と外見の酷似している男女を特定しましたが、女児のことを知らず「自分たちに娘はいない」と証言しています。 + インシデントログ 357-a - 閉じる <インシデントログ (20██/██/██)> SCP-357-JPの実験時に男が実験室に侵入しておりオブジェクトを使用したため、待機していた機動部隊によって取り押さえられました。男性は██と名乗り実験担当者だと証言しましたがそのような名前の職員は存在しておらず、さらに外部調査を行った結果その男性には戸籍等の情報が無いことまで判明しました。またその実験を行った際に上級研究員が関与しておらず、収容プロトコルの未実施及び事故発生により実験者3名には厳重注意と懲罰処分が下されました。 狭間研究助手の証言により懲罰の取り消しとオブジェクトクラスの再分類が検討されています。 証言記録: 付記: 実験事故に関する会議での狭間研究助手の証言を記録したものです。狭間研究助手は懲罰処分を言い渡された直後で口調が荒くなっています。 <録音開始> 狭間研究助手: まず俺たちは収容プロトコルを無視した訳でも無ければ、無許可で実験を行ったわけでも無いことを断っておく。そもそも俺のようなヒラ研究員が厳重管理されてる現実改変オブジェクトを持ち出せるか、って事だ。 狭間研究助手: 俺たちが実験を始めたときには確かに上級研究員は居たはずだ。ここに実験計画書がある。██/██当日に用意したものだ。当日の実験では『財団の所持する█████の出現の可否』で、職員がオブジェクトを使用する予定だった。過去4回の実験では使用者のDクラスには身体的な変化が起こらなかったために使用者の選定に関しては制限が無かった。 狭間研究助手: ……██と名乗る、あいつが元・上級研究員で間違いない。あいつがオブジェクトを使用し現実改変を受けた結果、誰も知らない男へ改変されたんだと俺は推測してる。 狭間研究助手: さっき言った実験例でDクラスで変化は無かった、というのは間違いだ。さっき実験に使用したDクラスの中で残っていた奴から調書を取ってきた。やはり同じ結果が出ていたぜ。ただしそいつは自分をD-いくついくつと呼ばれる番号が変化するのはしょっちゅうで、隔絶された環境で周囲が自分のことを覚えているかどうかなんて気にしちゃいねえからな。俺ら管理側の職員も変化したことには気づいちゃいなかった。 狭間研究助手: ここで疑問なのは、オブジェクトを使用した本人に周りの人物に関する記憶があるということだ。 狭間研究助手: 本人が改変されたのか、周囲が改変されたのか。前者だったら俺たちが観測できるはずだろう。にもかかわらず『██上級研究員が改変を受けた』と認識できなかった。しかし後者の場合、本当にスクラントン現実錨で囲んだ部屋から外部に干渉できたのかってところに疑問がある。 狭間研究助手: 確かに計器には異常は無かった。だが俺もあの事件で確保された男のことは知らねぇから何かしらの影響は受けているはずだ。だが俺は実験に参加した3人の内、設置されたスクラントン錨から一番近いところにいた。すぐ1、2mの場所に だ。 議長: それはスクラントン現実錨によるヒューム値の固定が意味を成さないということですか? 狭間研究助手: 俺が知るもんか!知りたきゃ実験許可を出せ!それか実験当日に体中をスクラントンで覆っていた奴がいたらアイツを覚えているか聞いてみたらいいんじゃねえか? 狭間研究助手: とにかく、SCP-357-JPの現実改変にはもうひとつ性質があるものと推測する。オブジェクト使用者の意思とは関係なくSCP-357-JPを再使用させるような状況へ改変する性質だ。 狭間研究助手: 自分だけが相手を知っていて、相手は覚えていない、いや、世界中が自分の事なんか微塵も覚えちゃいねえって言うのは精神的に来るぜ。 狭間研究助手: そしてこう考えるんだ、『もう一度使えば元に戻せる』ってな。それでSCP-357-JPに火が灯ってる間だけはその願いが満たされる。だが灯りと一緒に幻想は消える。こうなりゃ麻薬中毒者と一緒だ。何度でも繰り返すだろう。 狭間研究助手: 繰り返すってのは同時に周囲に現実改変を引き起こすエリアを展開し続けるのと同義だ。しかも自分の拠りどころを奪われまいとオブジェクトを以って抵抗する。収容以前の記録を見たか?まさにその通りじゃねえか。 狭間研究助手: ……話が逸れたか。 狭間研究助手: 危惧される異常性は2つ。スクラントン現実錨で防ぎ切れるか分からない現実改変。それからその効果範囲が観測できないということ。 狭間研究助手: 以上だ。SCP-357-JPのオブジェクトクラス引き上げと実験中止を提案する。 <録音終了> Footnotes 1. 女児自身の証言による <付録: ヒューム値と現実改変の度合い> 以下はSCP-357-JPの実験結果より、ヒューム値の大きさによる現実改変度合いをまとめた表です。改変強度の数字が大きいほど強大な現実改変を起こす危険性があります。より詳細なヒューム値の性質についてはこちらの書類を参照してください。 オブジェクト状態 測定距離[m] 観測ヒューム値(周囲/個体)[Hm] 改変強度 詳細 通常 20m範囲内 1.01/1.00 0.991 現実改変が見られない通常の状態 活性中 0.1m~0.5m 0.32~0.38/1.00 3.125~2.632 短期の歴史改竄や空間の歪曲など高度な現実改変が予測される。実験中には無からの物質生成が記録された 活性中 1.0m~2.0m 0.46~0.59/1.00 2.174~1.695 エネルギーの生成など強い現実改変が予測される。収容作戦時に銃火器の無力化が確認されている 活性中 5.0m~10.0m 0.77~0.96/1.00 1.299~1.041 物質の破壊、変形など軽度の現実改変が予測される 活性中 11.0m~ 1.01/1.00 0.991 ヒューム値の減少が見られなくなり、活性化範囲外に出たように見える スクラントン現実錨 2.0m 1.67/2.00 0.599 周囲ヒューム値を引き上げ、対現実改変の特性を持つ
scp-358-jp
評価: +110+–x 発見直後のSCP-358-JP。 一般人男性が特異性に暴露していた。 アイテム番号: SCP-358-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-358-JPは根元から撤去され、現在はサイト-4949の標準型収容房Ä-6を用いて収容しています。SCP-358-JPはセーフティカテゴリー「避接触」に分類されています。SCP-358-JPを取り扱う場合はHMCL監督官の事前の承認を得てください。 説明: SCP-358-JPの外見は馬をモチーフにデザインされたと思しき一般的なスプリング遊具です。首部分の右側面に「Grimm」の文字が刻まれています。遊具としての通常の用途通りに人間がその上に跨って使用すると特異性を発揮します。 SCP-358-JPを使用している間の被験者は、この上ない多幸感と強烈な快感1を得ます。揺らし方が激しいほど、快楽度合いが増すようです。この効果は被験者に精神的依存症を発症させます。一度この特異性に暴露した被験者がSCP-358-JPから離れると、その肉体はいかなる兆候も見せずに消失します2。それと同時に、SCP-358-JPの後方の空間に███本以上の鉄釘が全面に打ち込まれた樽3が1つ出現します。この樽と釘の総体はSCP-358-JP-1と識別されます。過去の実験では、出現した全てのSCP-358-JP-1は所々に損傷を受けており、土や泥などで汚れていました。内部からは直近に消失した被験者が全裸の状態で発見されますが、全て激しい損傷を受けて死亡していました。 発見当初、SCP-358-JPはドイツ連邦共和国ハーナウ市の████庭園の広場に設置されていましたが、設置に至るまでの公的記録は見つかりませんでした。収容以前のSCP-358-JPによる被害は主に幼児を対象とした猟奇的殺人事件として扱われています。 第1実験 — 日付20██/██/██ 被験者: D-494912 実施方法: SCP-358-JPの特異性に暴露させた被験者を観察する。 結果: 暴露から1時間が経過した時点で被験者は快感によって正気を失ったと見られ、研究員の問いかけにも反応を示すことがなくなり、ひたすらにSCP-358-JPを揺さぶり続けた。 5時間後、極度の疲労によって失神した被験者がSCP-358-JPからずり落ちて消失。それと同時にSCP-358-JP-1が出現。打ち込まれていた釘は███本。中には被験者の遺体が入っており、外見だけでは特定が困難なほどに損傷を受けていた。検査の結果、遺体は出現時点で死亡してから最低でも2時間は経過していることが判明した。 第2実験 — 日付20██/██/██ 被験者: D-494967 実施方法: SCP-358-JPの特異性に暴露させた被験者を、3時間観察した後に引き離しを試みる。 結果: 被験者は引き離しに強い抵抗を見せた。消失と同時にSCP-358-JP-1が出現。内部には被験者の遺体が入っていた。SCP-358-JP-1と被験者の損傷具合は第1実験のものと比するとやや軽度であった。遺体の状態から、被験者の死亡推定時刻は消失の1時間前と診断された。 第3実験 — 日付20██/██/██ 被験者: D-494922 実施方法: インプラント型の音声記録装置を埋め込んだ被験者を、SCP-358-JPの特異性に暴露させ、2時間観察した後に引き離しを試みる。 結果: 消失と同時にSCP-358-JP-1が出現。内部には被験者の遺体が入っていた。遺体からは音声記録装置が回収された。装置は被験者の消失から2時間以上動作しており、被験者の悲鳴と何かを激しく引きずる/転がす音、馬の走行音などが記録されていた。 第4実験 — 日付20██/██/██ 被験者: D-494909 実施方法: インプラント型の位置記録装置を埋め込んだ被験者をSCP-358-JPの特異性に暴露させる。以下同上。 結果: 遺体から回収した装置に記録されていた位置情報によれば、被験者は消失後、ドイツのハーナウ市の████街道を時速30~40kmの速度で2時間周回し続けた後、実験エリアに瞬時に帰還していた。 ████街道のあらゆる監視カメラを調査したが、特に異常は見られなかった。 Footnotes 1. 過去の被験者はこの時の感覚を「ヘロインを摂取した際のラッシュが好きなだけ続く感覚」と表現しました。 2. 基本的に消失するのは被験者の肉体だけであり、衣服や装備品などはその場に残ります。しかし、被験者の皮下に存在するものは被験者と同様に消失するようです。 3. 釘の長さは様々で、全て内部に向かって突き出しています。樽は円筒形で木の板と鉄の輪の箍で作られており、胴の側面は中央部が膨らんでいます。内部は大人の男性が体を丸めてやっと入れる程度のスペースがあります。釘の長さを考慮すると、損傷を避けるような空間はほとんどありません。
scp-359-jp
評価: +61+–x SCP-359-JPが発見された廃棄駅内部の様子。 アイテム番号: SCP-359-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 対象は特殊生物飼育ユニット内にて収容されます。ユニット内は常に湿度90%以上を保ち、照明類は最低限にしておく必要があります。赤外線カメラによってユニット内は常に監視され、SCP-359-JP-1が排出された場合は速やかに除去作業を行ってください。現在、6体のSCP-359-JPが収容されています。 説明: SCP-359-JPは外見上ペンギン目(Sphenisciformes)の成体に酷似した実体と性質を持つ異常存在です。形状の個体差が大きく、体長数十センチから観測上最大のもので2メートル以上にもなります。対象は緩慢ながら運動能力を持っており、時速1.5 kmほどで歩行を行い、遊泳能力を有します。嫌光性を持ち、多湿を好みます。 SCP-359-JPは内臓や骨格などの構造を持たず、未知の菌類種によって構成されています。また、自分以外の動くものに近寄る性質があります。 SCP-359-JPは24時間に1~2個のSCP-359-JP-1に指定される直径数センチ、白色を示す球状の物体を排出します。排出部はまちまちで一貫性はありません。SCP-359-JP-1は運動性は持たず、排出された場所から動くことはありません。SCP-359-JP-1は直接人体が触れることで異常性を発現させます。発露した被験者は未知の毒性成分により発露から数10分以内に中毒症状を示し、重篤な麻痺状態となります。不随意筋を含む全身の筋肉が硬直し、結果として心肺停止、死亡にいたります。この異常は人間にのみ作用し、動植物には影響を与えません。 発露者はその後、約48時間を経て全身からカビ状の物質を発生させ、やがてSCP-359-JP個体に変化します。この一連のサイクルによりSCP-359-JPは個体数を増加させます。現在の所、発露者を異常から回復させる方法は見つかっておりません。SCP-359-JP及びSCP-359-JP-1は低温には強い耐性を示しますが、乾燥及び高熱に弱く、300 ℃以上の熱処理により無力化する事がわかっています。なお、SCP-359-JP自体は触れても特に異常はありません。 SCP-359-JPは199█年5月██日、日本の東京都において廃棄された地下鉄道内において発生した鉄道職員の不審死と遺体の行方不明事件及び鉄道職員が搬送された病院内でのペンギンの保護、さらにペンギンを保護した動物園において発生した同様の不審死と遺体消失事件を経てエージェントにより補足、発見されました。 財団機動部隊による動物園、病院、地下鉄内の徹底した調査の結果、複数のSCP-359-JP及びSCP-359-JP-1個体を発見。除染作業と地域の封鎖の後、関係者への記憶処置が施されました。 補遺1: 確保したSCP-359-JP実体内部のスキャン結果、内部に大量のSCP-359-JP-1個体と共に発露者の遺体がほぼそのまま残っている事が判っています。由来不明の個体を含め、現在までに4体の成人と2体の児童、右手首、臀部などが別々のSCP-359-JP個体内部で発見されています。現在、サンプルを採取しての身元の確認作業が進行中です。 特別警戒エリアDW-2A内に描かれていた絵。関連性は不明。 補遺2: SCP-359-JPの最初の発生日時の██日前、発生現場から█km離れた地点の地下鉄廃駅内部に設営されていた日本生類創研の小規模な施設(現在は特別警戒エリアDW-2Aに指定。)を機動部隊が確保しています。作戦中、日本生類創研の関係者と思われる人物が路線内まで逃走した後服毒自殺を図る事案が発生しています。SCP-359-JPとの因果関係が示唆されておりますが、施設内からはそれを裏付ける情報は存在せず、不明のままです。
scp-360-jp
評価: +86+–x 評価: +86+–x クレジット タイトル: SCP-360-JP - 借金変換装置 著者: ©︎Rhapsodyyyyyy 作成年: 2015 評価: +86+–x 評価: +86+–x アイテム番号: SCP-360-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-360-JPはサイト-8173内の電子ロック付き保管庫に収容してください。持ち出し及び実験には2名以上のセキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可が必要です。実験中に発生したSCP-360-JP-1は実験後ただちに終了し、死体は焼却処分してください。新たなSCP-360-JPが発見された場合は現地フィールドエージェントによって直ちに収容し、SCP-360-JP-1が発生した場合は終了措置を行ってください。また、現在血圧測定器に似た外見の爆弾を用いた爆弾テロが多発しているという情報を財団フロント企業、各種マスコミから流しSCP-360-JP-1の発生を抑制しています。 説明: SCP-360-JPは████社製20██年モデルの機種に酷似したアームイン式血圧測定器です。製造元を表す製造番号、刻印等は存在しません。通常の血圧計は液晶パネルの横に「最高血圧」「最低血圧」といった表記がなされ単位はmmHgが用いられますが、SCP-360-JPの場合は「借金」と書かれており単位は「円」が用いられています。被験者がSCP-360-JPに腕を入れると、アームイン部分が収縮し測定を開始します。数分後に測定が完了し、液晶パネルには被験者の現時点での合計借金額が表示されます。この額は銀行、消費者金融等から借り入れた借金の他に借用書を伴わない個人間での借金も加算されています。被験者が記憶していない借金の算出も行われており、SCP-360-JPがどのような形で被験者の借金額を把握しているかは不明です。現金以外の物品の貸し借りはSCP-360-JPに影響を与えません。 SCP-360-JPの液晶パネルに借金額が表示されると同時に、被験者の半径1メートル以内にSCP-360-JP-1が出現します。SCP-360-JP-1は既知の動物に似た外見の生物実体で、被験者の借金額が多いほど巨大かつ既知の動物から逸脱した外見を持つ傾向があります。SCP-360-JP-1が出現すると、被験者の借金は無くなります。貸し手は被験者に金を貸したという事実自体を忘れてしまうか、既に返済されたと思い込みます。借用書等のデータは消失するか、返済が為されたという形に書き換えられます。これらの現象は貸し手側に起こり、被験者の記憶は改変されない事に注意してください。 SCP-360-JPは現在まで14個が収容されており、その多くは弁護士事務所や司法書士事務所が入居する雑居ビル、もしくは銀行や消費者金融の店舗内のトイレ等一般的に多くの借金を持つ人間が訪れると考えられる場所で発見されました。SCP-360-JPを製造、配布している人物または団体に関して調査が行われていますが、現在まで成果は得られていません。 + 実験記録SCP-360-JP-001から004を表示 -閉じる [実験記録001 - 20██/██/██] 実施者: エージェント・吉井 備考: エージェント・吉井は実験の1日前、エージェント・岡田にジュース代として100円を借りた。 結果: 「100円」が表示され、眼が3つあるショウジョウバエに似た外見のSCP-360-JP-1が出現。解剖後、焼却処分された。後日、エージェント・岡田に事実確認を行った所エージェント・吉井にジュース代を貸した事実は無いと主張した。 [実験記録002 - 20██/██/██] 実施者: エージェント・████ 備考: エージェント・████は一切借金が無いと主張。 結果: 「79,000円」が表示され、トノサマバッタの後肢を持つドブネズミに似たSCP-360-JP-1が出現。エージェント・████に飛び掛かるも、銃撃によって死亡した。負傷者は無し。後日行われた調査によると、エージェント・██は給料日前たびたび同僚から借金をしていた事が判明。その全ては既に返却されたと貸し手・借り手双方が主張したが、いくつかのケースではSCP-360-JPによる記憶改変が行われた可能性が高い。 コメント: あいつに借金が無いなんておかしいと思ったんだ。ずぼらな人間はこの実験から外すべきだ。 ―██博士 [実験記録003 - 20██/██/██] 実施者: D-5099 備考: D-5099は闇金業者等から多額の借金をしている。額は借りた時点では数百万、法外な利息により今は数千万円にのぼると言う。 結果: 「21,355,000円」が表示される。首周りに8本の人間の腕、臀部にワニの頭部を持ち背中に無数に生えた管から絶えず汚水を排出するシマウマに似たSCP-360-JP-1が出現。拳銃による銃撃では死亡せず、重火器で鎮圧。エージェント2名が負傷し、D-5099は死亡。後日██市の公団住宅に居住していたD-5099の妻子に聞き取り調査を行った所、毎日のように訪れていた借金取りが██月██日を境に全く来なくなったと言う。 コメント: D-5099は生前、シャバに残した家族の事をずいぶん気にしていた。やつも少しは浮かばれるかな。 ―██博士 [実験記録004 - 20██/██/██] 実施者: エージェント・████ 結果: 実験は██博士により却下。 コメント: あいつが██研究員に20万円の借金をした事はとっくに調査済みだ!今度実験を申し出てきたら懲戒処分にしてやる! ―██博士 + 事故記録SCP-360-JP-001を表示 -閉じる [事故記録001 - 20██/██/██] 内容: 20██年██月██日、東京都███区の██氏自宅より体長約50メートルで8本の首を持つキリンに似た生物実体が出現。8本の首のうち7本はタランチュラの頭部を有しており、民間人に対し無差別に噛みついたため██人の死者と██の重軽傷者が発生。関係者にはAクラス記憶処理を行いカバーストーリー「爆弾テロ」及び「ペット用有毒動物の脱走」を流布した。██氏自宅跡より破壊されたSCP-360-JPと思われる破片が見つかった事、██氏が経営していた会社の財務状況が同日より不自然に好転していた事からSCP-360-JPが使用されたと思われる。██氏がSCP-360-JPの性質を知っていたのか、偶然発見した装置を興味本位で使用したのかは不明。 + 補遺:閲覧にはSCP-360-JP担当者コードかセキュリティクリアランスレベル3以上が必要です。 -閉じる 補遺1: 事故記録001以降、SCP-360-JPが発見される場所の性質が明らかに変わっています。弁護士事務所等ではなく、富裕層の集まるレストランや貴金属店の近辺が多くなりました。SCP-360-JPの製造元調査に充てられる予算は増額されました。早急に結果を出すことが求められます。 補遺2: 20██年██月██日、首相官邸に多数のSCP-360-JPが設置されていた事が潜入中のエージェント・██により報告されました。首相や側近に多額の個人的借金を持つ者は確認されておらず、またSCP-360-JPが判断する「借金」の範囲がどこまでなのかは不明ですが、現地エージェントは現職首相がSCP-360-JPに触れる事が無いよう細心の注意を払ってください。一部地方自治体の首長に関しても同様です。
scp-361-jp
評価: +25+–x 評価: +25+–x クレジット タイトル: SCP-361-JP - 知らぬが凪 著者: ©︎yzkrt fusinohito氏の下書きの改稿です。 作成年: 2019 評価: +25+–x 評価: +25+–x SCP-361-JPと同種と推測されるノコギリエイ科。 アイテム番号: SCP-361-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-361-JPは5×10×10mの水槽で尾・両胸びれの3ヶ所をチェーンでつなぎ止めた状態で収容されます。給餌は一般的なノコギリエイと同量、同回数で行われます。また、チェーンがSCP-361-JPによって破壊された場合は水温を下げ、SCP-361-JPを仮死状態にした上で再収容を行ってください。 追記: 現在、新たな特別収容プロトコルへの移行が検討されています。詳しくは補遺3を参照してください。 説明: SCP-361-JPはノコギリエイ科(Pristidae)生物に酷似した実体です。攻撃性の高い性格をしており、視認した周囲の生物や物体 人間や人工物に対して攻撃的な振る舞いを見せます。知能レベルは一般的なノコギリエイ科生物と同等であると推測されます。 SCP-361-JPの主な異常性は、吻1がチェーンソーのような動作を見せることです。この異常性は特にSCP-361-JPが攻撃性を見せる際に観測されます。 SCP-361-JPが攻撃的な振る舞いを見せる直前、自身の尾を後ろへ数回、大きく伸長させます。その後、吻に付随する楯鱗が回転を始めます。この時、SCP-361-JPからはエンジン音が確認されますが、音源は不明です。その後、吻を回転させたSCP-361-JPは攻撃対象に向かい直進し、攻撃を試みます。ただし、オブジェクトが攻撃対象に接触した場合、通常のチェーンソーや切断機器のように″キックバック現象″を引き起こします。理由は不明ですが、これらのキックバック現象は通常想定されるより高頻度、かつ強力なものです。例として、硬質な物体に接触した場合、吻が大きく弾かれ、人間やゴム製品など、比較的柔らかい物体に接触した場合、大きく物体に食い込んだ後、同様に弾かれます。結果として、SCP-361-JPはキックバック現象による反動で自身の体組織──特に筋肉や骨を損傷する2か、弾かれた吻が自身の体に接触することで裂傷を負います。 また、SCP-361-JPが受けた傷はその傷の度合いに関わらず回復します。ただし、傷の治癒の速度は概してその度合いに対して反比例しており──小さな傷では即座に回復しますが、大きな傷の場合は回復に長時間を要します。負傷が大きい場合、SCP-361-JPの行動は比較的穏やかな傾向になります。また、活性化した場合においても、吻を回転させる前の尾の伸長の回数が増える/吻を回転させることに失敗する傾向があります。 SCP-361-JPは██海を調査していた財団所有の小型調査船に攻撃を行ったことで発見されました。SCP-361-JPは船底に攻撃を行いましたが、その際にノックバック現象により自身の左胸びれを大きく損傷、行動を停止したところを財団に確保されました。また、回収の際には要注意団体「日本生類創研」のタグが確認されました。 補遺1: 第██回の日本生類創研への襲撃の際に確保された資料の1つにSCP-361-JPに関連するものと推測される日記が発見されました。以下はその内容です。 20██/07/05 やった。研究プロジェクトを任された。海底にある研究所の防衛作戦の構築だそうだ。予算の範囲内なら、自分の一任で好きにやれるらしい。実は、前々から目を付けていた奴がある。形にできるかもしれない。 20██/07/06 ノコギリエイ!前々から目を付けていた生き物だ。鋭く尖った吻を持つ。これを攻撃に転用出来るはずだ。 20██/07/09 研究は上々、ノコギリエイを改造して吻が回転するところまで簡単に進められた。回転量も硬度も市販のチェーンソーとは比較にならない!これならバカでかい船だって簡単に壊せるだろう。後は胸びれの改良か、こっちにも改造をすればかなりの推進力が手に入る。 20██/07/18 脳に攻撃目標をインプットするのに成功した。動物の脳だから容量が小さくて困ったが、これまで海でみてきた物以外を攻撃させるようにした。そこそこリソースを残せたな。逆転の発想だ。攻撃目標が多すぎるから非攻撃目標をインプットしたんだ。これだけリソースがあれば非攻撃目標に研究所を追加するのも容易だろう。後は試運転といったところか。 20██/07/19 クソ クソが 20██/07/20 畜生、あの野郎キックバックばっか起こしやがる。頻度をみてもキックバックの反発の強さをみても不自然だ。あんなこと普通あり得るか?設計ミスか?クソが、時間がない。期日までに修正させなきゃいけない。8/10のプレゼン、それまでに何とかするんだ。 20██/08/11 クソ、クソが、畜生、プレゼンで落とされた。なんでだ。途中までは上手く行ってたじゃないか。しかも上のやつら研究を中止しろとまで言って来やがった。時間さえあれば修正出来るはずなのに。やめてたまるか。 20██/08/15 コイツが廃棄される前に海に放す。俺の研究成果なんだ。捨ててたまるか。明日の夜、研究所まで連れて行って放す。コイツの働きぶりを見たら上のやつらも認めざるを得ないだろう。ざまぁみやがれ。 この日記を記したとされる桐島 英治は20██/08/16に首が切断されたことにより死亡していることが判明しています。目的地にSCP-361-JPを運ぶ最中にオブジェクトが活性化し、異常性により死亡したものと推測されます。 補遺2: SCP-361-JPの行動が活発化する傾向が高まっています。現在、キックバック現象でオブジェクトが負傷する回数が増え、傷が治癒しない状況で再びオブジェクトが負傷することにより、全体的な傷の回復速度が低下しています。試算により、この状況が続くことでオブジェクトが無力化される可能性が指摘されています。 補遺3: 特別収容プロトコルの改正案について 人工海洋の完成モデル。 特別収容プロトコル改正案: 人工海洋計画について 前記: 人工海洋計画は蓮見博士により立案され、特殊グラフィック部門主導により行われる計画です。 目的: 人工物に対して活性化し、攻撃を行うオブジェクトを安静状態に置くため、当計画は立案されました。現在はオブジェクトをチェーンでつなぎ止めることでキックバック現象の抑制を行っていますが、ノコギリエイ自体の軟体性により、完全な抑制は行われていません。また、オブジェクトをつなぎ止めるチェーン自体が人工物であるため、拘束の強化は更なる活性化を招きます。 概要: 10×15×15mの水槽を用意し、底面にはSCP-361-JPが発見された██海より確保した十分な量の砂を設置します。また、底面を除いた全方位に特殊スクリーンを設置、深海の映像を投射します。同様に海流発生装置もSCP-361-JPに見えない形で設置されます。 水槽の上部に設置された6台のカメラにより、SCP-361-JPの動きを観測、これらの映像から得られたデータにより、SCP-361-JPの行動に合わせて海流が発生し、特殊スクリーンにも行動に合わせた映像が投射されます。これにより、SCP-361-JPが中心部で漂った状態を維持しながら人工海洋を再現することができます。 この人工海洋を用いた収容により、人工物に対して活性化するオブジェクトを安全な状態で収容出来ると考えられています。 補遺4: 2週間の″人工海洋計画″試験運用においてSCP-361-JPは一切の活性化を見せませんでした。当初の目的が達成されたことから所定の手続きを経て、人工海洋計画がSCP-361-JPの特別収容プロトコルに組み込まれることが予定されています。 脚注 1. 脊椎動物の目より前の部分を指す。ただし本稿ではノコギリエイ科生物の楯鱗が存在する部位を指すものとする。 2. 交通事故の際に確認されるむちうち症と同様の原因です。
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評価: +93+–x 評価: +93+–x クレジット タイトル: SCP-362-JP – 赤い下水道 著者: ©ykamikura 作成年: 2015 この著者の他の記事 評価: +93+–x 評価: +93+–x SCP-362-JP内部の様子 アイテム番号: SCP-362-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-362-JP-1の上には、直径5.5m、高さ48mの円筒形のカバー(工業用煙突に偽装)が建設されています。全体が断熱構造になっており、内壁には液体窒素の噴出機構が設置され、3重の気密式隔壁が設置されています。隔壁の開放には日本支部理事会の承認が必要です。 SCP-362-JP-1には各種センサーが設置されており、カバーに隣接する観測拠点-362-JP(工場に偽装)によって24時間体制で監視されます。SCP-362-JP-2が外に出るような動きを感知した場合、監視員は直ちに液体窒素の噴出機構を作動させて下さい。 隔壁が一つでも破られた場合は、警視庁公安部所属エージェントの主導によりカバーストーリー「テロリストによる爆破予告」を用いて周辺住人を避難させ、以降は81地域ブロック危機管理センターに管轄を移します。 説明: SCP-362-JPは東京都██区███町のマンホール(以下、SCP-362-JP-1)から繋がる、下水道の外見をした異常空間です。内部構造およびその材質には、一般的な下水道との顕著な差異は見られませんが、東京都下水道局の整備地図に布設記録が存在しない、GPS信号が内部に侵入した瞬間に途絶する、SCP-362-JP-1を通過する以外の手段1では到達できないなどの点から、SCP-362-JPはSCP-362-JP-1をポータルとして繋がる、異相次元に存在する空間と結論付けられています。 水路に当たる部分には、生きた状態の血液が流れています。サンプル分析の結果、成分は哺乳類の組成に近いものの、DNAは既知のいかなる種とも一致・近似が見られないことが判明しています。詳細なデータはサイト-8125の調査本部のサーバーに保管されたファイルSCP-362-JP-analysisを参照して下さい。 SCP-362-JP内には敵対的な半生物的実体(以下SCP-362-JP-2)が存在します。全長2~4m程度、映像や目撃者の証言を統合すると”赤いヘルメット、作業服、工具(例、スコップ、ツルハシ、ドリル)を装備した赤いスライム状の人型”と表現でき、SCP-362-JPを流れる血液が変化したものと推測されています。非常に筋力が強く、機動部隊仕様のボディアーマーを一撃で破壊しています。また、液体で構成されているため、通常火器はほぼ無意味です。動きは機敏ではありませんが、SCP-362-JPの地形上回避は困難です。 第5次調査中に発生したインシデント362-JPの際に出現し、現在も総数不明の個体がSCP-362-JP内を徘徊しています。調査記録の分析により、SCP-362-JPに損傷を与える行為が出現のトリガーになったと推測されています。現時点ではSCP-362-JP外に出ようとした例はありませんが、行動原理に不明な点が多いこともあり、管轄サイト-8125の警戒レベルは最低でも常時3に設定されています。SCP-362-JP-2への対策が用意できるまで、SCP-362-JPの調査は停止されています。 調査記録SCP-362-JP抜粋: 全文はサイト-8125の調査本部サーバーに保管されたファイルSCP-362-JP-investigationを参照して下さい。 第1次調査: 日付202█/10/█ 目的: 予備調査。 手段: ドローンを潜入させる。 結果: 入口から100m以内の地図を作成、下水道局の整備地図とは不一致。マンホール内部を異常空間と判断。血液のサンプルを入手。 課題: 地下のため電波状況が悪く、地上からのドローン操作では広範囲の調査は不可能。明らかな危険要素は見られないため、次回はDクラス職員による調査を申請予定。 第2次調査: 日付202█/10/█ 目的: より広範囲の調査、水中カメラによる水路の調査。 手段: Dクラス職員を潜入させる。 結果: 入口から300m以内の地図を作成。水中カメラ、視界不良のため撮影困難。担当者”血液中に何かがいたような気がする”と報告、映像では確認できず。 課題: より専門的な機材による調査が必要。Dクラス職員では扱えないため、次回は他クラス職員による調査を申請予定。 第3次調査: 日付202█/10/██ 目的: より広範囲の調査、地中レーダーによる空洞の調査。 手段: 研究班と護衛の機動部隊つ-3(”土蜘蛛”)2を潜入させる。 結果: 入口から700m以内の地図を作成。レーダー担当、規則性のある音を感知。担当者は”一定のリズムで太鼓を叩いているような”と表現。 課題: SCP-362-JPの原理解明の手掛かりになる可能性があるため、音の正体を突き止める必要がある。 第4次調査: 日付202█/10/██ 目的: 音の発生源への到達。 手段: 研究班と護衛の機動部隊つ-3を潜入させる。音圧が強まる方面を重点的に調査。 結果: 発生源は座標X4612/Y7581付近と推測、しかし発生源に至る通路は発見できず。数名の職員が”誰かに見られているような気がする”と報告、映像では確認できず。 課題: レーダーのデータによれば、座標X4612/Y7581から壁を15m程度掘削すれば、音の発生源に到達できるはずである。次回調査では壁の掘削許可を申請する。 第5次調査: 日付202█/10/██ 目的: ボーリングマシンによる音の発生源への到達。 手段: 研究班と護衛の機動部隊つ-3を潜入させる、ボーリングマシンによって座標X4612/Y7581から音の発生源まで穿孔し、その後ワイヤーカメラによって撮影を試みる。 結果: 下記参照 インシデント362-JP経緯 作業開直後、現場付近の水路を流れる血液が急激に隆起し、複数のSCP-362-JP-2に変化。作業中の職員に襲い掛かり[削除済]つ-3隊員がSCP-362-JP-2に応戦するが、液体状の身体のため効果なし。(15:02) つ-3隊長、調査本部に増援要請。(15:08) 音圧が可聴範囲にまで増大、血液の流速増加、壁や天井が波打つように収縮する3などの現象が発生。(15:09) 液体窒素銃4のみが、SCP-362-JP-2に効果があることを確認。つ-3隊員、SCP-362-JP-2を足止めしつつ避難開始。(15:17) 隊員ら、数体のSCP-362-JP-2が穿孔部分に覆い被さり、体を結晶化させている場面を目撃。(15:18) 複数のSCP-362-JP-2がSCP-362-JP-1に接近するが、タンクの液体窒素が尽きていたため応戦できず。研究主任の██博士を含む別動班の避難が遅れており、つ-3隊長は通路の爆破によるSCP-362-JP-2群の阻止を進言。サイト-8125の██管理官、進言を許可。(15:31) 通路が爆破、閉鎖される。(15:32) 全職員の避難が完了する。(15:42) 付記: SCP-362-JP-2群がSCP-362-JP外に出る様子はないため、現行の特別収容プロトコルが策定された。SCP-362-JP-1の縦穴をセメントで塞ぐ、蓋を溶接する等の案も提出されるが、SCP-362-JP-2を刺激するリスク、再調査の必要が生じる可能性を考慮され見送られた。以降の調査は日本支部理事会の許可が下りるまで保留とされた。 + ファイルが更新されました。 - ファイルを展開します。 追記#202█/11/██: 202█/11/██、研究主任の██博士を含むSCP-362-JP研究班の研究員5名、および隊長の██隊員を含むつ-3隊員7名が、ほぼ同時刻に呼吸困難や胸の痛みを訴え、直後に死亡しました。全員が第5次調査の際にSCP-362-JP内に潜入していたことから、何らかの関係があると考えられます。 追記#202█/11/██: 死亡した職員の検死の結果、心臓付近の血管内に発生した腫瘍によって、血流が阻害されたことが死因と判明しました。また、特筆すべき点として、腫瘍から熱で溶解した形跡のあるトリニトロトルエン5が検出されています。 脚注 1. 直上の地面を掘削するなど。 2. 地下での活動を専門とし、未知の脅威に備えて特殊な兵器の扱いにも精通している。 3. 目撃した職員は”生物の蠕動のような動き”と表現。 4. 圧縮した液体窒素を射出する銃。冷却タンクと常にチューブで接続された仕様で、携帯性に難あり。 5. TNT火薬の主成分として知られる。
scp-363-jp
評価: +61+–x SCP-363-JP   アイテム番号: SCP-363-JP   オブジェクトクラス: Euclid   特別収容プロトコル: SCP-363-JPは特殊ブラインドケース内に保管された状態で小型耐冷金庫内に収容し、取り扱う際には、基本的にブラインドケースからは出す事の無いようにしてください。 SCP-363-JPが直接目視されてしまう危険性を回避するために、小型耐冷金庫についても密閉された個室内に安置し、監視カメラ等による監視も個室の外部から行うようにしてください。 SCP-363-JPの冷気によるブラインドケースの劣化の進行に対処するため、専用ドローンによるブラインドケースの交換を、2ヶ月に一度実施してください。   SCP-363-JP暴露者と思われる人物が発見された場合、直ちに確保し、研究チームの指示の下で隔離施設へと速やかに移送してください。SCP-363-JP暴露者、もしくはDクラス職員を用いた実験は研究チームのみが実施可能ですが、セキュリティクリアランスレベル2以上の職員であれば、実験の立ち会いが許可されています。   内容: SCP-363-JPは冷凍され、食品用ラップフィルムに包まれた状態のおよそ1kgの豚肉です。如何なる科学的な方法によっても切削によるサンプル採取が不可能であったため、DNA鑑定は行われていませんが、外観の特徴から一般的なランドレース種の肉であると推察されています。   SCP-363-JPは如何なる環境に於いても-2℃で冷凍された状態を維持し、表面の硬さや密度に於いても冷凍状態に準じた数値を保ちます。腐敗の徴候も見られず、表面を覆うラップフィルムも同様であるため、これら全てを一つの形態として有するオブジェクトとして認定されています。   SCP-363-JPの最も顕著な異常性はSCP-363-JPを直接目視した人物の精神面に表れます。 その効果の一つとして、暴露者は自身が実行する殺人行為に対する罪悪感、忌避感を喪失し、他者に対して感情的に同調する能力を失います。 更に、暴露者は殺人の成功という結果に結びつくような試行を好奇心によって行い、その完遂に必ず本来凶器として不適当な物品を使用するようになります。 この精神的作用について、暴露者は不適当な凶器による暴行が人間を殺害可能であるかどうか、という一点にのみ好奇心が存在する旨の自覚を持ちますが、前述した同調能力の欠如によって、自ら行為を抑止する事ができなくなっています。 その結果、暴露者による暴行は被害者に対し、通常の暴行以上に執拗となり、実験では多くの場合で被害者の死を招きました。しかしながら、使用される物品が殺人には不適当な物品であるために、被害者に深刻なダメージを与えるのには時間を要します。   また、暴露者はSCP-363-JPを目視した瞬間からこの効果の影響下に置かれるため、殆どの場合で、SCP-363-JPそのものを「本来凶器として不適当な物品」として最初の殺人に用います。しかしながら、この効果は永続するため、SCP-363-JPを用いた殺害を完遂するかもしくは失敗し、他の物品による殺人へと好奇心が向いた場合には、それを用いた殺人を実行しようとします。 また、一つの物品を用いた殺人を実行した場合、それが成功したか否かに関わらず、暴露者はその物品を用いた殺人に関心を示さなくなります。   暴露者を完全に治療する方法は未だ確立されていませんが、クラスA記憶処理を施すことで、およそ2週間SCP-363-JPの影響に起因する殺人への好奇心を抑制することが可能であると判明しています。   付録1: SCP-363-JP実験記録   実験記録003 - 日付████/██/██ 対象: D-363-01 暴露済み 降格処分された元研究職員で、犯罪歴ナシ 実施方法: 様々な物品を敷き詰めた部屋に対象を置き、どの物品に興味を示すのか観察する 結果: 対象はトレーディング・カード、ビール瓶の栓、重量150gの熊のぬいぐるみに興味を示した 分析: ビール瓶そのものに興味を一切示さなかった点が興味深い。部屋には野球用の木製バットやナイフ等も置かれていた。しかしながら、部屋の内部に物品が多すぎたため、そもそも目に入らなかった可能性もあるだろう。   実験記録004 - 日付████/██/██ 対象: D-363-01 実施方法: 日本刀と単三電池だけが置かれた部屋に対象を置き、観察する 結果: どちらの物品にも対象は興味を示さなかった 分析: その後の対象へのインタビューにより、どうやら個人による嗜好の差が存在するようだ。収容以前のSCP-363-JP事例から鑑みても、事実である可能性は高い。   実験記録005 - 日付████/██/██ 対象: D-363-01 実施方法: ビール瓶の栓と日本刀だけが置かれた部屋に対象を置き、観察する 結果: 対象はどちらの物品にも興味を示さなかった 分析: 好奇心を刺激する要素が足りないと思われる。   実験記録006 - 日付████/██/██ 対象: D-363-01 D-363-02(非暴露者) 実施方法: 様々な物品を敷き詰めた部屋にD-363-01とD-363-02を置き、観察する。ただしD-363-02は拘束状態に置き、主にD-363-01の動向を観察する 結果: D-363-01はビール瓶の栓の縁でD-363-02の頭皮を激しく摩擦し、削り取り始めた。D-363-01はおよそ17分その行為に熱中し、D-363-02の脳組織を49%まで破壊した所で中断し、ビール瓶の栓を放り投げて息をつきながら座り込んだ 分析: D-363-01に罪悪感や嫌悪、忌避は一切見られない。何らかの強制力が働いたような形跡も無く、栓を放り捨てた時には達成感や満足感が見られた。   実験記録008 - 日付████/██/██ 対象: D-363-04(非暴露者) D-363-05(非暴露者)  実施方法: 様々な物品が敷き詰められた部屋に両者を置いた状態で、同時に金網越しにSCP-363-JPに暴露させ、様子を観察する 結果: 暴露後、両対象は雑談を交わしながらおよそ2分半部屋内を徘徊し、D-363-04は1ロールのトイレットペーパーを使用しD-363-05を襲撃。D-363-05は既に片手で保持していた空の2ℓペットボトルで応戦した。格闘は96分16秒間続いたものの、両物品の破損と両対象の疲弊によって戦闘は中断された 分析: 自らの生命が危険に晒されていても、やはり凶器には本来不適切な物品を用いるようだ。オブジェクト収容時に於ける暴露者との戦闘記録とも一致している。 追記: この後の追加実験では、D-363-04、-05共に、両物品に対する興味は失われていました。物品を用いた殺人の正否についての興味は、やはりその物品を用いて成功するか否かが重要であると思われます。   実験記録010 - 日付████/██/██ 対象: D-363-04 実施方法: 非殺傷性の様々な物品を敷き詰めた部屋に対象を置いた状態で、保安要員による威嚇射撃を行い、対象の反応を観察する 結果: 対象は威嚇射撃に臆する事無く、紙袋を用いて保安要員を襲撃。保安要員は即座に迎撃し、鎮圧した 分析: 雇用時の記録に於ける精神鑑定結果では、対象は、本来ならば威嚇射撃に対して武力抵抗するような人物ではないと示唆されている。SCP-363-JPには副次的な効果として、攻撃性の付与という性質を持つ可能性がある。   付録2: SCP-363-JP暴露者に対するインタビュー記録 対象: D-363-04 実験記録010後 インタビュアー: 神山博士 付記: 実験記録010直後の対象に行ったインタビュー。対象は拘束され、会話は別室からの電信通話という形で行われた。 <録音開始> 神山博士: こんにちは、D-363-04 D-363-04: もしもし、こんにちは 神山博士: 気分はどうですか? D-363-04: どうって、別に、どうとも 神山博士: 別に、とは、どういうことでしょうか? あなたは先程の実験で保安要員によって武力鎮圧されました。通常ならば、もっと不快感を示すものだと思いますが。 D-363-04: いえ、なんとも。ああ、でも、ちょっと残念かな。 神山博士: 何が残念なのでしょうか? D-363-04: 試せなかったからね、紙袋で人が殺せるか。だから、その、なんかこう [6秒沈黙] モヤモヤする感じかな。不快ってほどじゃないんですけど。 17秒沈黙 D-363-04: 先生? 神山博士: 動機は何でしょう? あなたは以前の実験でも、トイレットペーパーで同僚に襲いかかり、一時間半以上もの間執拗に攻撃を加えました。 D-363-04: あー、えーと、ほら、トイレットペーパーって、そこそこ重いでしょう。それに芯は結構硬くてしっかりしてるし、その芯を周りの紙がしっかりと覆って固定してるし。それに断面の方を当てて殴れば、形で言えば十数cmのそこそこの重さの厚紙で殴りつけることになりますから、上手く当たれば人ぐらいは殺せるかな、と。そういうの、ちょっと気になるじゃないですか。 神山博士: 続けてください。 D-363-04: はい、だから、じゃあ試してみようと思いまして。ちょっとした実験みたいなものです。これを、こうすれば、こうなるんじゃないかっていう、そういう、好奇心? なんですかね。自分でも、よく分かってないかもしれません。 神山博士: それを実行に移してみて、どのように感じましたか? D-363-04: いやぁ、実際にやるのは難しいものですね。相手があんなに暴れて抵抗しなければ上手くいったかもしれませんけど、結局失敗しちゃいました。やっぱりトイレットペーパーはトイレットペーパーですね。 神山博士: あなたが以後トイレットペーパーを用いた殺人に興味を示さなくなった原因は、それなのでしょうか? D-363-04: 多分、そう、なの、でしょうなぁ。何となく、興味がなくなってしまったという感じですか。恥ずかしながら、結果が出て飽きてしまったのかもしれません。 神山博士: [咳払い] 質問を変えましょう。あなたは、あの凍った肉を見てどのように感じましたか? D-363-04: 凍った肉? 神山博士: はい。先程のトイレットペーパーの実験の前に、あなたは目にしたはずです。 D-363-04: [13秒沈黙] ああ、あれか。思い出しましたよ。 神山博士: あれについて、どう思いましたか? D-363-04: どうって、特に何も。ああ、硬くて重そうだなあ、持ったらどんな感じなのかなあ、とか、そんなもんですよ。でも、金網がありましたからね。 [5秒沈黙] 神山博士: 次の質問です。実験009では、あなたは入れ歯を使った撲殺に成功していますね? その時、どのように感じましたか? D-363-04: え、いや、特に何も。おお、いけるんだなあ、ぐらいにしか感じませんでしたよ。 神山博士: 達成感や満足感などは、得られなかったということでしょうか? D-363-04: うーん。いや、そういう訳じゃないんですよ。何て言えばいいのか、何かの物事をやり始めて、そしてやり切った事自体に達成感みたいなのはあるんですけど、結果に対する想いっていうのは、また別なんじゃないかなと思うんですね。落胆というか納得というか、良くも悪くも合点がいった、というか。 神山博士: それは行為に対する動機としてひどく脆弱なものだとは思いませんか? D-363-04: 私が言うのもなんですが、世の中案外そんなもんですよ。それに [7秒沈黙] 神山博士: それに、なんでしょう? D-363-04: あなたたちも、結構好きでしょう。こういうの。 <録音終了>
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評価: +80+–x アイテム番号: SCP-364-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-364-JPは感染者以外は認識することが出来ないため、セクター-81██内の隔離研究棟にSCP-364-JP感染者によって構成された研究チームと共に収容されています。SCP-364-JPの過度な増殖を防ぐため、感染者は実験時を除き眼球部を遮光素材を使用した眼帯で覆う事、もしくは入光量を抑えた専用の部屋での生活を送る事が義務付けられます。感染拡大を防ぐため、SCP-364-JP感染者が隔離研究棟外に出ることは禁止されています。 説明: SCP-364-JPは人間の眼球に感染し1その視界内に定住する存在です。容姿はミドリムシ属の微生物に似ており、光源の位置を把握するための眼点や緑色の色素体、移動の際に使用する鞭毛の様な器官が確認されています。大きさは最小で辛うじて内部器官を肉眼視できる程度の物から、最大で視界の10%程の大きさがある物が観測されています。SCP-364-JP感染者(以下「感染者」とする)はSCP-364-JPを飛蚊症による視界異常の様に認識します。しかしながら一般の飛蚊症とは異なり、硝子体を含む感染者の眼球にSCP-364-JPの実体の痕跡を確認する事はできません。 感染者が明所にいる際、SCP-364-JPは視野内の光を吸収すると共に増殖を始めます。2増殖の速度は光の強度や個体密度によって左右されるようですが、初期感染時の個体数にかかわらずおよそ2~4か月ほどで感染者の視界はSCP-364-JPによって埋め尽くされます。その後もSCP-364-JPは緩やかに増殖を続けますが、数が増えたことによるストレスや光の強度の減少により、活動を停止したと思われるSCP-364-JP個体が出現し始めます。これらの個体は分解される事無く視界下部に蓄積し始め、感染者の視界はおよそ半年で活動を停止したSCP-364-JPによって埋め尽くされ失明する事になります。なお、感染者が暗所にいる場合SCP-364-JPの活動や増殖は極端に抑制される事、活動抑制後に強光に数時間晒されることで活動を再開する事が判明しています。 感染者の証言を元に作られた末期症状のCG。緑色に見える部分は卵の黄身。 視界が活動を停止したSCP-364-JPにより埋め尽くされてから1~2年ほどが経過すると、SCP-364-JPは感染者の視界から消失し始めます。これにより感染者の視界は明瞭になりますが、視界内の不特定の物体や液体がSCP-364-JPに似た動く微細な粒によって塗りつぶされている様に見える視覚異常が発生します。3この粒の大きさは感染者と物体の距離に関わらず一定です。 SCP-364-JPの感染経路は未だ明らかになっていません。感染者がSCP-364-JPを認識するようになった際の状況に共通点が見られない事から、「何らかの不可視の感染源が空気中に存在しており、それに対する抵抗性が弱い人間にのみSCP-364-JPが感染する」という仮説が現在挙げられています。 付録: 以下の文章は前SCP-364-JP研究班長の樋川氏による、SCP-364-JP感染初期~感染末期までの症状等を書き留めた個人的な手記からの抜粋です。なお、樋川氏はSCP-364-JP感染後に財団に確保された後、先述のSCP-364-JP研究チームの一員として雇用されました。 文章を開く 閉じる (1993年)06/30: 最近目が悪くなった気がする。研究詰めでパソコンばかり見てるせいかもしれない。目の中に糸くずの様な緑色の物が見える。 07/29: 誰にも信じて貰えないかもしれないが目の中のゴミが分裂して増えている。活発に動く。紙面の上を緑色の点が動いている。 08/10: 医者に話したら一度大きな病院で検査を受けるように言われた。[中略]振る舞いがどことなく生き物っぽい。目に感染する寄生虫なんてのは聞いたことは無い、これは新たな生物か? 08/11: 病院で精密検査の予約。虫は増加傾向。ふよふよ漂っている。四、五匹ぐらいだったら可愛いとも思えたが。[中略] 妻と娘に目に変な感じが無いかを聞いたが、特に何もないらしい。ひとまずは安心か。 08/13: 検査を受けた。結果は異常なし。細菌に感染したりだとか、網膜が剥がれたりというのもない。[中略]医者の顔すらろくに見えなかったが、これが異常じゃなきゃ何になるんだ。 近い内に再び検査を受けようと思う。きっと何か原因があるはずだ 絶対。 09/09: 何件か検査を受けたが、どこも異常なしとの事。[中略]もしかして異常なのは私自身なのではないだろうか?しかしあれはどうみ[判読不能]であり、事実もう右目は濁った水の中にいるみたいで何も見ることができない。[中略]唯一の望みはさっき届いた紹介状。何でも難病を専[判読不能:「専門に扱っているらしい」か]が、この病院で無理だ、と言われたら諦めようと思う。幸いにも左目はまだ鮮明な視界で物を見ることができる。まだ仕事をやめるわけにはいかない。 追記: 以下の文章は研究中、樋川氏によりSCP-364-JPの末期症状が確認された際の日記の一部です。 (1996年)07/07: 今日、驚いたことが起きた。右目の視界が晴れた。眼帯を外すまで気にしなかったのだが、部屋に戻ってみてみたらこれだった。あっけないというか、治ったのだろうか。 07/08: 期待外れだった。昨日の事を報告しようと思ったのだが、さっき会った右目で見た部下達は白衣を着た緑色の粒粒の集まりだった。顔も緑色の粒々だから表情が見えないし不便だ。後沼臭い。人の形をした立体の上を緑色の点が縦横無尽に動きまわっている。例えるならアリ塚を崩した時にたくさん湧いてくる黒い点々、健康番組でよくあるドロドロ血液の流れにくさのシミュレーション。多分そんな感じ?感染したのが右目だけでよかった。両目がこの状態で人と生活するのは厳しい。 ああ、そういやさっき鏡でみた自分も、緑色の粒だった。幸いこれを書いている私の手は普通に見え その後、樋川氏は左目にもSCP-364-JPが感染したことを明らかにしました。 Footnotes 1. 両目に感染する事がほとんどです。 2. 特に赤色光、青色光を吸収します。 3. このため末期の感染者は物体の表面上に存在する記号等を認識することが出来なくなります。
scp-365-jp
評価: +18+–x アイテム番号: SCP-365-JP オブジェクトクラス: Keter 特別収容プロトコル: SCP-365-JPは防腐処理を施し真空性のファイルに閉じこまれ、低危険度物品収容ロッカーに収容されます。監視カメラによる24時間体制の監視と録画を徹底し、出現した文章は全て報告書にまとめられます。 SCP-365-JP-1、およびSCP-365-JP-2が発生した場合、文章に合致する地点を割り出したのち周囲5km圏内に可能な限り交通規制と情報規制を行います。その後機動部隊に-8("地域猫")による該当区画の調査を行い、状況に即した事態収束手段の実施後、カバーストーリーを流布します。 SCP-365-JP-3が発生した場合、該当の職員の身柄を確保し、機動部隊に-9("モータルオフィサー") による警護体制を敷きます。不測のインシデント発生を防ぐため、事態の収束が確認されるまで該当職員はあらゆる業務を中止し、オブジェクト収容施設から可能な限り遠方への避難が最優先となります。 財団は未収容のSCP-365-JPに関する情報を収集し、要注意団体、要注意人物による保持が確認された場合は機動部隊も-9("都の狩人")により制圧とオブジェクトの回収、場合によっては破壊します。 現場の職員が財団の収容下に入らないと判断したSCP-365-JPは、本人の判断で破壊することを許可する。この世の本当のことを知っているのは財団だけでよい。 -日本支部理事 稲妻 説明: SCP-365-JPは紀元前一世紀後半に作成されたとされるパピルス片です。財団はSCP-365-JPを2点確保していますが、どちらも著しい経年劣化により推定30%以上が損壊しています。 SCP-365-JPには日本列島で近日中に発生する異常現象を抽象的に予言する文章が出現します。その内容は多様ですが、およそ4種類に分類できることからSCP-365-JP-1からSCP-365-JP-4に分類されています。また予言文の文末には腐敗したカトリック教会を批判したプロテスタント改革派が提唱した文言「五つのソラ」1のうちの一つが併記されています。 SCP-365-JP-1は異常なエントロピー変動による異常現象を予言します。主に物品の出現などが伴います。財団はこれまでに788件のSCP-365-JP-1を確認しています。その異常発生範囲は非常に広大であり、財団のエアロゾル記憶処理剤の散布を含む事態隠蔽工作の許容回数を大幅に超えているため、主にカバーストーリーによる異常現象の偽装工作が行われています。文末には「恵みのみ」の文章が記載されています。これまでに確認されたSCP-365-JP-1文章と予言された異常現象のデータはアーカイブ[365-JP-1_Log.of.E.E/8142176]を参照してください。 SCP-365-JP-2はその時点では作成されていないSCPオブジェクト、AOアイテムに関する報告書を予言します。財団はこれまでに███件のSCP-365-JP-2を確認しています。経年劣化による損壊により収容手順の項目はほぼ全てのケースにおいて解読不能です。財団がSCP-365-JP-2の情報をもとにSCPオブジェクトの所在の調査と回収を試みた場合、その多くのケースで同じくオブジェクトの回収や破壊を目的とした要注意団体との接触、交戦する自体に陥ります。時に財団は完全に後手に回ることもあり、場合によっては確保が失敗に終わります。文末には「聖書のみ」の文章が記載されています。これまでに確認されたSCP-365-JP-2文章と予言されたオブジェクトの報告書一覧はアーカイブ[365-JP-2_S.C.P.O/8240]を参照してください。 SCP-365-JP-3は財団におけるセキュリティクリアランス4以上の職員の事故死を予言します。財団はこれまでに27件のSCP-365-JP-3を確認しています。病的疾患などのケースは確認されておらず、SCPオブジェクトの収容違反インシデントを含む全てのケースにおいて、突発的かつ予測不能の事故により被害者の8割が死亡、残る2割も重篤な障害を負う結果となります。文末には「キリストのみ」の文章が記載されています。これまでに確認されたSCP-365-JP-3文章と死亡した職員名簿はアーカイブ[365-JP-3_D.of.M.List/19553]を参照してください SCP-365-JP-4がなにを予言しているかは依然として不明のままです。財団はこれまでに███████件のSCP-365-JP-4を確認しています。出現する文面の統計から「神聖な」「栄光の」「破滅」「傲慢」「封印」「解放」などの単語が頻出しており、他のケースに比べて圧倒的に神話的、宗教的アプローチが必要であると考えられています。文末には「神の栄光のみ」の文章が記載されています。 + SCP-365-JPの予言文と発生した事象の一例 - 閲覧を終了する 発生日時: 1989/09/01 予言文: 南を睨む竜の顎は桜火と糞煙に満ちるだろう 分類: SCP-365-JP-1 地域: 鹿児島県桜島近辺 確認された現象: およそ二千羽のヤンバルクイナ(学名:Gallirallus okinawae)が出現。40分間市街地上空を群れで飛行した後、桜島火口に侵入した。すべての個体が溶岩により死亡したと推測される。 発生日時: 19██/██/██ 予言文: 船も家も土塊では成り立たないのに、どうして橋だけ無事で居られると思うのか 分類: SCP-365-JP-3 対象となった職員: 土橋博士 確認された現象: SCP-1001-JP研究中のインシデントにより死亡。 備考: SCP-365-JP-3が確認された最初の事例のため、当時は収容プロトコルが未整備であった。土橋博士が従事していた研究による何らかのインシデント発生の可能性は予てより指摘されていたが、SCP-365-JP-3は土橋博士が死亡する前日に発生しており、予言を裏付ける結果となった。 発生日時: 1993/12/21 予言文: 北と西とに翼を開く巨鳥の背の泥中の死の名残に稲妻が落つ 分類: SCP-365-JP-1 発生地域: 新潟県見附市 確認された現象: 該当する地域にて落雷が発生、衝撃により家屋の倒壊が発生し地下の地層が露出した。地下には泥質の土壌が存在し、さらに内部から50名分の人骨が発見された。DNAからは一致する人物の情報は確認されなかった。 備考: 家主の山羽氏は無事だったが、財団が現場を封鎖する前に人骨を目撃した後行方不明となっている。1997/██/██、山羽孝樹をPoI-9332に指定。 発生日時: 2015/██/██ 予言文: 説明: 水を張ると底に描かれた魚介類が立体化するビニールプール。出てきた魚たちは絵に戻らないが、プールの水を抜いて乾燥させると再び絵柄が浮かび上がる。 回収日: [損壊部につき解読不可] 回収場所: [損壊部につき解読不可] 現状: [損壊部につき解読不可] ████████████████████████████████ -塚原博士 分類: SCP-365-JP-2 該当地域: 京都府██市 備考: アイテムの回収時にマナによる慈善財団のエージェントと遭遇。このことよりマナによる慈善財団もSCP-365-JPと同様のオブジェクトを保有していると推測される。現在AOアイテムとして収容中。 発生日時: 2017/05/26 予言文: █████████の血はひどく甘いが、いずれ緋く渋いものになる 分類: SCP-365-JP-1 発生地域: ███████ 確認された現象: 該当する住宅街に存在した清涼飲料が赤ワインに変異した。カバーストーリー「商品流通トラブル」「愉快犯によるすり替え」を適用。 備考: SCP-525-JPに関連すると推測されるSNSアカウントにより情報が拡散された。該当アカウントの凍結とカバーストーリー「悪質なデマ」を適用。 現在は削除された投稿のスクリーンショット SCP-365-JPは1966年に神奈川県綾瀬市、1981年に神奈川県横須賀市で回収されました。どちらも小規模の地殻変動により地中から露出したものを一般人に発見されています。そのほかにも1980年に鹿児島県坊津市2、1989年に長崎県長崎市、岩手県西磐井郡、1999年に北海道札幌市からも出土していますが、それらは全て財団が存在を捕捉する以前に要注意団体、要注意人物によって回収されたことが確認されています。財団は収容外にあるSCP-365-JPの回収を急ぐとともに、敵対勢力によりそれが困難な場合は破壊を優先とするプロトコルを制定しました。現在財団が確認している収容外のSCP-365-JPの数は12点、GOCを始めとする外的要因により破壊された例は8件、財団が破壊した例は3件です。 補遺: SCP-365-JPが作成されたとされる紀元前一世紀は日本における弥生時代であり、縄文から文化変異したきっかけとして渡来人の存在が有力視されている時代です。またアラビア半島から出土した死海文書の作成時期とも重なる点から、日本およびキリスト教史、特にカトリックおよびバチカンに多大な影響を及ぼす可能性が認められており、研究は慎重を期して行われています。 キリスト教のみでなく、このオブジェクトは財団の存在価値を著しく脅かす。SCP-365-JPをKeterクラスオブジェクトとし、最大限の努力を持ってこれを封じ込めるべし。 日本支部理事 -稲妻 何を言うか。 下関でペリーが、厚木ではマッカーサーが財団を持ち込んだ。ザビエルも出島でもマルコポーロもクラークもそうした。そのさらにずっとずっとずっと前からも。だがいつの世も日本は外を拒みながら甘い蜜だけは啜ろうとする。自分だけ助かろうとしておきながら、安全が確保された時だけ他者を助けてやろうなどと傲慢になる。日本における財団の活躍ぶりは陳腐だ。世界を守ろうという信念が欺瞞に満ちている。君たちの信念は義ではない。 補遺2: 現在までに「五つのソラ」の最後の文言「信仰のみ」3に関連する予言文の出現は確認されていません。 語るに及ばず。三大理念への献身のみが世界を救う。 ‐日本支部理事 鳳林 Footnotes 1. 当時の腐敗した教会に対し、教義に合致する行い、心構え、救いの根拠となるものを五つの単純明快な要素で示したもの。 2. 現在の南さつま市 3. 信仰義認。人は信仰のみによって神に義であると認められるというもの。
scp-366-jp
評価: +65+–x SCP-366-JPの中ほどに立つSCP-366-JP-1 アイテム番号: SCP-366-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-366-JPにはカバーストーリー「老朽化による改修工事」が適用されます。一般人がSCP-366-JPを昇降しないよう、侵入可能箇所は鉄柵で封鎖され、かつ赤外線センサーにより24時間監視されます。SCP-366-JP付近には近隣住民に扮した担当職員を2名以上駐在させてください。万が一侵入者が出た場合、担当職員は10分以内にSCP-366-JP内へ入りイベントを中止させ、クラスA記憶処理を行った上で侵入者を解放してください。   説明: SCP-366-JPは、岐阜県██市の住宅街に存在するコンクリート製の階段です。1956年には同地点に18段の階段が設置された旨の公的記録が残っています。1960年8月下旬に発生した近辺住人の連続失踪事件が元となり異常性質が発見され、財団の保護下に入りました。現在、階段は42段になっています。   人間がひとりでSCP-366-JPを上ろうと足を掛けると、SCP-366-JPの最上段には1体の人型存在(以下SCP-366-JP-1)が出現します1。SCP-366-JP-1は、視る者が幼い頃(3歳〜12歳頃)に交流のあった、同世代の友人らしき姿を取ります。SCP-366-JP-1に出会った人間は、相手が幼馴染の姿だと認識出来るにも関わらず、いずれも顔は暗くてよく見えなかったと証言しています。またそれ以外の者にも、同様の存在として認識されます。出現に時間帯や天気は関係しません。SCP-366-JP-1はどの事象でも、衣服や身体が煤を被ったように薄黒く汚れており、また必ず黄ばんだ巾着袋を所持しています。巾着袋の中身を確認する試みには成功していません。 出現したSCP-366-JP-1は、出会った人間の元まで下りてくると、「グリコゲーム」をしようと誘います。これは日本国内で普及する、じゃんけんを用いたゲームです。グーで勝てば「グリコ」、チョキで勝てば「チヨコレイト」、パーで勝てば「パイナツプル」の文字数だけ階段を上ることができ、最初に階段を上り切った者が勝者となります。前述の基本的なルールは全国で共通していますが、ローカルルールが少なからず存在し、SCP-366-JP-1は相手の出身地やゲームの理解度に合わせてルールを変更します。SCP-366-JP-1がどのようにして挑戦者の幼馴染の容姿を取り、ゲームの理解度などを把握しているかは不明です。 挑戦者が勝利した場合、SCP-366-JP-1はそれを褒め讃えます。そして、挑戦者の「隠しておきたいもの」を1つだけ、何者にも明らかにならないよう秘匿することを約束します。SCP-366-JP-1はこれを「おまじない」と呼んでいます。「おまじない」は口語による呪術的なもので、以下のような言葉です。 ウツセニ ウヌツヒ ヘメト。ウヌツヒ ツヤヒ ウツセ。2 「おまじない」をかけられた秘匿対象は、物理的であれ概念的なものであれ、挑戦者を含む全ての人間に認知されなくなりますが、その効果は不完全であるか、極めて粗雑なものです。効果は挑戦者が死亡するまで続きます。「おまじない」を唱えたのち、SCP-366-JP-1はその場から消失します。 挑戦者が敗北した場合、不正を行おうとした場合、またSCP-366-JP-1に何らかの危害を加えようとした場合、SCP-366-JP-1は落胆した様子を見せ、挑戦者の手を引くと最上段まで上って行きます。挑戦者は最後の段に足を乗せる段階で身体を変形させ、SCP-366-JPの新たな段として組み込まれます3。一連の動作と変形の間、挑戦者は未知の力により身体を操られ、自発的な行動は出来なくなります。新たに加わった段は、見た目こそ他の段と相違ありませんが、調査した結果コンクリートと共に12%ほどのヒトの体組織が含まれていることが判明しています。また段が増えたことによるSCP-366-JPの全体の長さは測量上変わっていないため、現場になんらかの空間異常が発生していると考えられます。SCP-366-JPの一部となった挑戦者が人間体に戻った例は現在まで確認されていません。   一連のイベントは平均して15分程度(最短で11分)ですが、SCP-366-JP-1は挑戦者の幼少時代の話を主にした雑談も積極的に交わそうとするため、現在確認されている最長時間は約65分です。SCP-366-JPを下るときには、一連のイベントは発生しません。また、ゲームの勝敗がつくまでにSCP-366-JP内に別の侵入者が現れた場合、イベントは中止され、SCP-366-JP-1はその場から消失します。勝敗が決まったのちは、SCP-366-JPの侵入可能地点に不可視の壁が発生し、挑戦者が完全にSCP-366-JPの一部となるまで他者の侵入が不可能となります4。挑戦者が「グリコゲーム」を知らなかった場合、また日本語を解さない場合でもSCP-366-JP-1は挑戦者の母語を流暢に操って熱心にゲームルールを教え込みます。   + 実験記録366 - 実験記録366 記録366-01(1960/09/08) 対象: Dクラス職員(日本人 男性)を「挑戦者」とし実験。 実施方法: 挑戦者に録音装置と発信機、無線を取り付け、ひとりでSCP-366-JPへ上らせる。研究チームはSCP-366-JP最下段から10m離れた地点より状況を観察する。 結果: SCP-366-JP-1は挑戦者が10歳頃に親しかった男子同級生の姿を取って現れた(観察していた研究員にも同様の姿で目視された)。ゲームの末挑戦者は敗北し、SCP-366-JP-1に連れられ最上段まで上ったのち新たな階段(計2段)へと身体を変形させた。挑戦者は上る間自身の身体が操られているようであることを無線へ報告。変形の際は苦痛の声を上げ、SCP-366-JP-1にやめるよう懇願していたものの、SCP-366-JP-1はそれらに応じなかった。 補遺: SCP-366-JP-1が姿を変えた人物は実験当時には成人し、会社員として生活していた。本人や周辺関係者への後日取材により、SCP-366-JP-1出現時会社へ出勤していた本人に異常性は見られなかったことが確認されている。   記録366-04(1960/09/20) 対象: Dクラス職員(日本人 女性)を「挑戦者」とし実験。 実施方法: 前記録と同様、挑戦者に録音装置と発信機、無線を取り付け、ひとりでSCP-366-JPへ上らせる。研究チームはSCP-366-JP最下段から10m離れた地点より状況を観察する。 結果: SCP-366-JP-1は挑戦者が7歳頃に交流していた実家近所の男子児童(当時13歳)の姿を取って現れた。ゲームの末挑戦者は勝利。SCP-366-JP-1は挑戦者の「隠しておきたいもの」を尋ねた。研究員が無線によって指示した内容(「挑戦者の使用する歯ブラシ」)を伝えるとSCP-366-JP-1はこれを「君自身の願うものではないから」と拒否。挑戦者は代わりに「私の顔のそばかす」と答えた。SCP-366-JPは「おまじない」を唱え消失した。直後、挑戦者の顔からは雀卵斑がなくなったが、同時に鼻腔と右目も消失した。鼻呼吸が出来なくなった上、視界不自由による平衡感覚の異常に見舞われた挑戦者は、その場でパニックとなり階段を踏み外し、最下まで転落して全身を強く打撲した。 補遺: 当該Dクラス職員を終了させたのち、雀卵斑と鼻腔、右目は再発現した。SCP-366-JP-1が姿を変えた人物は3年前に交通事故で故人となっていた。    記録366-06(1960/10/01) 対象: Dクラス職員(日本人 男性)を「挑戦者」とし実験。 実施方法: 挑戦者には、勝利した場合「おまじない」を拒否するよう事前指導した。前記録と同様、挑戦者には録音装置と発信機、無線を取り付け、ひとりでSCP-366-JPへ上らせる。研究チームはSCP-366-JP最下段から10m離れた地点より状況を観察する。 結果: SCP-366-JP-1は挑戦者が8歳のときに交流していた男児(当時6歳)の姿を取って現れた。ゲームの末挑戦者は勝利し、SCP-366-JP-1は挑戦者の「隠しておきたいもの」を尋ねた。挑戦者が事前指導に従い申し出を拒むとSCP-366-JP-1は落ち込むような素振りを見せ、本当に良いのかと何度も確認したのち、「ぼくはずっとずっと待っているからね」と告げ消失した。 補遺: 実験後、挑戦者は「子どものすすり泣くような、ぐずつくような声が絶えず聴こえる」と幻聴を訴えた。クラスA記憶処理をしたものの幻聴は消えず、実験から2日後には「子どもにつけられている気がする、あいつは俺をずっと見ている」と報告し、精神科医の診察中でも時おり悲鳴を上げては背後を確認するなど酷く怯える素振りを見せた。翌日、寄宿舎からの脱走を試みたため終了された。   記録366-07(1960/10/07) 対象: Dクラス職員(日本人 男性)を「挑戦者」とし実験。 実施方法: 挑戦者が勝利した場合に備え事前に「自分の声」の秘匿を願うよう催眠指導した。前記録と同様、挑戦者には録音装置と発信機、無線を取り付け、ひとりでSCP-366-JPへ上らせる。研究チームはSCP-366-JP最下段から10m離れた地点より状況を観察する。 結果: SCP-366-JP-1は挑戦者が9歳のときに同じクラスだった同級生女児の姿を取って現れた。ゲームの末挑戦者は勝利し、SCP-366-JP-1は挑戦者の「隠しておきたいもの」を尋ねた。挑戦者は事前指導に反し「俺自身」と答えた。SCP-366-JPは「おまじない」を唱え消失。挑戦者は他者から目視出来なくなった。 補遺: 無線、発信機の通信も途絶したため、すぐに現場周辺の探索が行われたが当該Dクラス職員は発見されなかった。(1960/10/17追記)10月13日、同県██市内の竹林で近隣住民により、死後数日ほど経過した遺体の一部(右耳と両目の欠損した頭部、右手、胴体部分)が発見された。検査の結果当該職員であると確認。その3日後には左手、右足、右耳と左目が隣町の公園の砂場に人為的に埋められたような形で発見された。発見した一般人にはクラスA記憶処理を実施。依然残りの身体は見つかっていない。今回の実験により、SCP-366-JP-1の前では催眠などの事前の刷り込みが意味をなさないと考えられるため、Dクラスを用いたSCP-366-JPの実験は無期限停止とする。-源口研究員     補遺: 研究員3名による追加調査中、上から4段目の階段を研究員が踏んだところ、低いうめき声のような音が聞こえたことが報告されています。     Footnotes 1. 数段飛ばしでも同じ現象が起こります 2. 各文一呼吸で発せられます。SCP-366-JP-1以外の人間が唱えても効果は表れません 3. この時形成される階段の数は挑戦者により異なりますが平均して1~3段です。また衣服など身に着けているものは変形しません 4. この「壁」は上空約5m付近にも発生するため、SCP-366-JPをドーム状に包んでいるのでないかと推測されています
scp-367-jp
評価: +70+–x アイテム番号: SCP-367-JP オブジェクトクラス: EuclidNeutralized 特別収容プロトコル: SCP-367-JPは現在サイト-81██の低脅威度物品保存ロッカーに収容されています。SCP-367-JPが活性化イベント期間に入った際には再び標準人型収容セルに移され、実験が再開されます。 説明: 現在SCP-367-JPは寸法54×54×182cmの、見た目上は通常の花崗岩で構成された卵形の物体です。これまでの検査ではSCP-367-JPが通常の花崗岩であると判明しています。 SCP-367-JPには不定期に活性化イベントが発生します。活性化イベントが発生した場合、SCP-367-JPは平均23秒間、5dB程のホワイトノイズに類似した雑音を起こした後、内部から発生する衝突音と共に崩れ始め、その内部からSCP-367-JP-Aが出現します。この際、SCP-367-JPが破壊されていた場合にもSCP-367-JPの破片がもっとも密集した地帯にSCP-367-JPが再出現し、イベントは実行されます。 SCP-367-JP-Aは原型不明の模倣能力を有している生物です。活性化イベントの開始時点では通常の生物と同様で幼生であり、SCP-367-JPから出た後、4~5分の間に成熟します。財団の収容初期の活性化イベントではイエイヌ(Canis lupus familiaris)の姿をしていました。 実験から、模倣できる対象は体長█cm以上の動物界の生物に限定されていることが判明しており、植物や菌類などの他門の生物への模倣は確認できていません。知性は今まで模倣した生物のうち比較的高いもので固定されるようです。現在まで変化できる最大の大きさは確認されていませんが、人間に模倣し、言語能力を獲得したSCP-367-JP-Aの「一度見た、あの首長竜にはなれなかった」という発言から最大約40m以下と推測されています。異常性を持つ生物オブジェクトへの接触はSCP-367-JP-Aの動作、知性を劇的に上昇させ、異常性の獲得にまで至る可能性から収容違反へとつながるとされ、禁止されています。 SCP-367-JP-Aが死亡もしくは活性化期間が終了した場合、その場でSCP-367-JP-Aは最大62秒の間にその時模倣していた生物のサイズに合わせたSCP-367-JPに置換され、非活性化期間に入ります。非活性化期間は多少の揺れや動きはあるものの、日を重ねるに従って増加しています。このことについてSCP-367-JP-Aに尋ねるとそれは平常のことで、期間は循環すると回答しました。 SCP-367-JPは19██年に[編集済]においてアマチュア考古学者であった█████氏が[編集済]の断層で発掘したもので、帰宅中に連れていた同氏の飼い犬が2匹になっていたことから異常性が判明し、噂を頼りに近隣の財団職員が接触、記憶処理の後に回収しました。当初SCP-367-JPは10分未満の間に活性化、非活性化を繰り返しましたが、██日の間にこの間隔は1~5日にまで落ち着きました。この間にSCP-367-JP-Aは人の模倣を始めました。198█年現在、通常時にSCP-367-JP-Aは██博士に近似したアジア系の30代男性であり、財団に対して一般的なメディア資料の請求を条件に協力的な態度を示しています。 対象: SCP-367-JP-A インタビュアー: ██博士 付記: このインタビューは、SCP-367-JPの起源調査のために行われました。 <録音開始> ██博士: こんにちは、SCP-367-JP-a。 SCP-367-JP-A: こんにちは██博士。 ██博士: 今日は特別に聞きたいことがあります。 SCP-367-JP-A: ええ、わかります。私がどこから来たか、ということですね?あなた方にとって私という存在はあまりにも不可解なことは理解できます。と言っても、私自身それは同じです。 ██博士: 同じ? SCP-367-JP-A: はい、最初の記憶は赤い海、溶岩と言うんでしたっけ、あれの中に浸かっていたことです。その時の自分の姿はわかりませんが、見えていたのですから、目はあったんでしょうね。まるで何かの大きな手で包まれているみたいで、とても暖かかったのを覚えています。それから記憶は、長い時を眠って1海の色が優しい青色になるまで飛びます。 ██博士: あなたは、地球の原初の時代から存在し、どのようにして誕生したかはわからないということですか。 SCP-367-JP-A: はい、わかりません。私に分かるのはそれからの生物が溢れるようになったこの星だけです。 ██博士: わかりました、それからのことをお話し下さい。 SCP-367-JP-A: わたしはその海の中で動く物たちに気づきました。それに気がついたときには真似て動けるようになりました。ほぼ全ての動く物になれると気がつくと何か異様な欲求にかられて、それからはただ、何かを真似ながら、泳いだり、跳ねたり、飛んだり、走ったり、食べたりして…その後に来る不定期な眠りと覚醒を繰り返していました。そうしてあのイヌというものを真似ていたらあなたたちが来て、ここに入れられたという次第です。 ██博士: なるほど、ご協力ありがとうございました。 <録音終了> 追記: 199█年█月█日、SCP-367-JP-Aは突如悲鳴をあげ、非活性化しました。その後、SCP-367-JPは1█年期間を空け200█年█月█日に再度活性化しました。SCP-367-JP-Aは最後の行動とそれまでの増加頻度と比べ極端な非活性化期間の増大から、その原因を探るためにインタビューが行われました。 +インタビュー記録 - テキストを隠す 対象: SCP-367-JP-A インタビュアー: ██博士 <録音開始> ██博士: インタビューを開始します。お久しぶりですね、SCP-367-JP-A。 SCP-367-JP-A: [3秒の沈黙]ええ、お久しぶりです。██博士。年月がたったのにお若い。 ██博士: ありがとうございます、とはいっても間違いなくあなたのほうが長生きするでしょうがね。ただ、今回はその類の話をしに来たわけでは無いのは分かっているでしょう。 SCP-367-JP-A: そうですね。その節は取り乱してしまい、すみませんでした。 ██博士: かまいませんよ。しかし、1█年前、なぜあなたは非活性化の前に叫びだしたのですか?   SCP-367-JP-A: [5秒の沈黙]私は、眠気を感じました。   ██博士: 眠気?[ファイルをめくる音]非活性状態への遷移の際に眠気を感じるとは、あなた自身報告していませんが…その眠気があなたの絶叫とどのように関係しているのですか?   SCP-367-JP-A: 長く感じていませんでしたので、忘れていました。あれは私が長期に眠るときに感じていたものです。この時代、人間がいる時代から離れてしまうと思うと叫ばずにいられませんでした。 ██博士: なぜでしょうか?あなたはこの時代ではここに拘束され、多くの自由が制限されています。あなたがここに執着する理由が理解できませんが。   SCP-367-JP-A: ええ、理解できないでしょうね。あなたには。言わせていただきますが、私はこの時代が好きです。この体、人間になるまでの間、私には何も分かりませんでした。ここはどこなのか、自分は一体何をしているのか、そもそも何がどうなっているのか…。ですが、今は理解できます。それだけでもこの時代に来ることができたことが嬉しいです。   ██博士: なるほど[8秒の沈黙]それを考えると今回の活性化は非常に幸運であったのですね。   SCP-367-JP-A: はい。ですが、それも束の間の事でしょう。あなた達には私の眠る時間が循環することは話しましたよね?当然ですが、ここが上限ではありません。次は良くても、100年は下らないと思います。   ██博士: SCP-367-JP-A、あなたは[遮られる]   SCP-367-JP-A: もう、大丈夫です。覚悟はできています。ここに来れた事自体、幸福だったのです。それよりも、言いたいことがあります。   ██博士: [6秒の沈黙]なんでしょうか? SCP-367-JP-A: ありがとうございました。私を人間にしていただき、理解する機会を下さり、ありがとうございました。   <録音終了> SCP-367-JP-Aはその後、█ヵ月活動を続け、非活性化しました。その後██博士によって現在までのSCP-367-JPの非活性期間の増大が██数列に酷似することが判明しました。数列から読み取れる次の活性化は███年後となっています。加えてSCP-367-JPは非活性化から█年の間、異常な性質を示しませんでした。以上の事から、現在SCP-367-JPのオブジェクトクラスは活性化期間までの間、EuclidからNeutralizedに変更されています。 Footnotes 1. SCP-367-JP-Aが自身の非活性化を表現したものだと思われる
scp-368-jp
評価: +123+–x アイテム番号: SCP-368-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-368-JP-1は壁から切り出した状態でサイト-8173の低危険中型オブジェクト収容室に保管して下さい。SCP-368-JP-2~5はサイト-8173の低危険物収容ロッカーに保管して下さい。SCP-368-JP-2~5に関する実験を行う場合、SCP-368-JP-2~5に暴露した際、早急にSCP-368-JP-1を実験担当者が確認できる状態に保って下さい。 説明: SCP-368-JPは埼玉県██市にある芸術家████氏が入居していたアパート、█████の207号室の壁に刻まれた認識災害を引き起こす文字及び207号室内から回収された四つの作品(それぞれSCP-368-JP-1~5と分類)です。 SCP-368-JP個体はそれぞれ題名が付けられており、題名に対応した認識災害を示します。この認識災害に暴露した場合、どの様な手段を用いても取り除く事は不可能ですが、SCP-368-JP-1に暴露させる事で無力化できます。 SCP-368-JP個体 題名 形状 保有する異常性 SCP-368-JP-1 「後悔」 █████の207号室の壁に刃物で刻まれた"後悔"の二文字 被験者が受けたSCP-368-JP-2~5の影響の無力化。単体だと異常性は無し。 SCP-368-JP-2 「望郷」 灰色の砂漠の中央で黒い未知の爬虫類が空を見上げている絵画 被験者は"あそこに帰らなければならない"という衝動を植え付けられるが、何処に帰るのかと尋ねられると混乱して答えられない。 SCP-368-JP-3 「落涙」 大理石製の二本の腕が絡み合い、水滴型の水晶を持ち上げている形状の彫刻 被験者は総じて"深い悲しみ"を感じると答える。実験の結果、80%の被験者が涙を流した。 SCP-368-JP-4 「懐古」 破り取られた二枚のノートのページに綴られた楽譜 演奏を聴いた被験者は"昔聴いた事がある気がする"と主張し、被験者が忘れていた出来事を想起させる。 SCP-368-JP-5 「破顔」 顔面に油性インクでスマイリーフェイスが書き加えられた女性のマネキン。橙色の包帯を全身に巻き付けている 被験者は気分が高揚し、殆どの被験者が自然と笑顔になる。 SCP-368-JPは2009/6/1にアパートの大屋が家賃の回収に赴いた際にSCP-368-JP-3に暴露し、大声で泣き叫んでいるのを不審に思った住人の警察への通報から現地の調査に訪れたエージェントが回収し、その際SCP-368-JPの性質も明らかになりました。 SCP-368-JPの作成者と思われる████氏は地域では有名な芸術家であり、多岐に渡る作品の分野と人間性の強い感情を意識した作風が評価されています。人柄については知人や近隣住民から"優しくて正義感の強い人だった"と証言されています。████氏の過去の作品の調査の結果異常性は確認できませんでしたが、SCP-368-JPの前の作品が一年前の物であり、外出する事が少なくなっていた事等からスランプに陥っていたと思われます。また、207号室からの回収文書からその一年の間に要注意団体"Are We Cool Yet?"からの接触があったと推測されています。 財団による調査の結果、████氏は自宅から8km先の崖の下で死亡している事が確認されました。周辺状況から、自殺だと断定されています。 以下は207号室内で回収された文書です。この文書はSCP-368-JP-1の下にナイフで留められていました。 完成された芸術とは、どんな物なのだろうか。 現実の風景をそのままに切り抜いたかの様な絵画は完成された芸術だろうか。 社会に反抗し重圧を恐れずに姿無き敵を攻撃する文学は完成された芸術だろうか。 私は、そうは思わない。 私の考える完成された芸術とは、人々の感情を揺り動かす様な、言葉も思想も宗教も越えて感動を与える様な、一種の奇跡。そういった物が完成された芸術だと私は考える。 芸術は特定の分野に縛られる必要は無い。人が、自身の信じる形を想像の大地から掘り出したなら、それは音楽であれ、文章であれ、絵画であれ、芸術なのだろう。     私が作りたい"芸術"は、人を惑わす物ではない。私は、私が作品に込めた感情を感じ取って欲しいのだ。 こんな物は、私の望む芸術ではない。彼らの手段も、誰かに感情を伝える為の一つの方法なのだろう。 だが、私はそれを、たった一つの残された方法だとは思わない。 冴えたやり方とも思わない。 私は、彼らの力を美しいとは思わない。私は私の、芸術を信じる。 作品の本質を理解もされないまま、ただ感情を操作するのは感情の表現によって、人の心を動かしたとは言えないだろう。 私の今までの作品の中で最も恥ずべき物達。しかし、それでも私の子供であり、作品である事に変わりは無い。 私には自身の子供を殺す事はできない。 せめてもの償いに、彼らが残した力を借りて、私はこれを作った。私の、最後の、作品として。 "クール"でない私は、それこそ彼らの求める人材では無いだろう。私は、芸術を完成させられただろうか?私は、私だけの力で誰かの心を動かせただろうか? 私は     Are You Really Cool? 私はそうだとは思えない。
scp-369-jp
評価: +165+–x 収容時にミカンを浮遊させてエージェントを威嚇するSCP-369-JP アイテム番号: SCP-369-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-369-JPは拘束衣を着用した状態でサイト-8141の標準的な人型収容ユニットに収容されます。拘束衣を外す際は職員2名とユニット外の1名によって監視を行い、不審な行動が確認された際は即座に拘束を行ってください。ユニット内の寝具、椅子等はボルトで固定を行い、職員の所持品は個数を最小限に絞った上で衣服に容器を固定して体から離れないようにしてください。 説明: SCP-369-JPは一般的に超能力者と呼称される、超心理学的に念力(Psychokinesis)または念動力(Telekinesis)に分類される超常的な能力を持った住所不定無職の40代の男性です。██県██市内の公園で寝泊まりしていた所を警官に職務質問された際に超常的な能力(以下、能力と表記)を行使して警官を威嚇した為に警察機関に潜伏していたエージェントによって異常性質が報告され財団に収容されました。 収容される際もエージェントに対してミカンを浮遊させて威嚇する等の敵対的な態度を取っていましたが現在は財団職員に対して攻撃的な意思を見せていません。あらゆる検査の結果、特筆すべき事項は確認されず身体的には一般人との差異は無いことが確認されています。 SCP-369-JPは能力の行使を自発的に行うことが可能ですが行使の際には対象物に掌を向ける必要性があり、どちらか片方の手が自由で無い限り能力を行使出来ないことが確認されました。追記すべき点としてSCP-369-JPが能力を行使した際には、対象物に幅2cm、深さ5cm程の穴が発生します。1穴の形状は下側の大きく膨らんだ楕円形に近い物が最も多く確認されており、穴の内部から異常な痕跡は発見されていません。 実験記録369-JP-1 - 日付20██/08/01 対象: 高さ4cm、幅6.5cmのミカン1個 実施方法: ミカン1個を机の上に置き、その前に立たせたSCP-369-JPに能力を行使させる 結果: ミカンは机の上から50cm程度の高さに上げたSCP-369-JPの掌と同じ高さまで浮上した。 ミカンの側面には穴が発生していた。 分析: 対象物の浮上には穴の発生が関連していると考えられる。 一体どんな原理なんだ?数を増やしてみよう -下北沢博士 実験記録369-JP-2 - 日付20██/08/01 対象: 前実験で使用した物と同じミカン20個 実施方法: ミカン20個を机の上に置き、その前に立たせたSCP-369-JPに1個ずつ浮上させる 結果: 5個までは前述の実験結果と変わらなかった。しかし5個を越えてからSCP-369-JPは両手を使い始め、10個を越えた時点で対象物は浮遊しなかった。 分析: SCP-369-JPが浮遊させる事の出来る対象物の数には制限があり、途中から両手を使用し始めたことからSCP-369-JPの能力は手に起因すると考えられる。 次は大きさを変えてみるか。 -下北沢博士 実験記録369-JP-3 - 日付20██/08/01 対象: 高さ、幅共に25cmのスイカ1個 実施方法: スイカ1個を机の上に置き、その前に立たせたSCP-369-JPに能力を使用させる。SCP-369-JPは疲弊した様子を見せた。 結果: スイカは机の上から20cm程度の高さまで浮遊した。 スイカの側面には穴が発生していた。 分析: 対象物の大きさに比例して高さが下がり、SCP-369-JPが疲弊している事から能力自体は体力、あるいは腕力に依存している物と考えられる。 この穴に秘密があるのだろうか?材質を変えた方がいいのかも知れないな。 -下北沢博士 実験記録369-JP-4 - 日付20██/08/01 対象: 50cm四方のコンクリートの立方体 実施方法: 立方体を机の上に置き、その前に立たせたSCP-369-JPに能力を使用させる 結果: SCP-369-JPは45分間唸りながら立方体に対して掌を向けていたが立方体は持ち上がらなかった。穴は発生せず、SCP-369-JPは疲弊した様子を見せた。 この事についてSCP-369-JPに質問した所「硬いし重いし難しいよ。なぁ?」と返答。 分析: 対象物が浮遊しなかった事、穴が発生しなかった事から前実験の分析結果が有力であると考えられる。更なる実験を要請。 何故浮かばなかったんだ?SCP-369-JPのあの疲れきった顔と何か関係があるのか?明日から実験の幅を広げて詳しく調べてみようか。 -下北沢博士 補遺: 事件記録369-A1の発生に伴い、SCP-369-JPに対する実験は禁止されます。詳細は事件記録369-A1を参照してください。 + 事件記録369-A1 - ファイルを閉じる 事件記録369-A1: - 日付20██/08/02 前日に引き続き下北沢博士立ち会いの下、SCP-369-JPの能力に関する実験がユニット内にて行われた際にアクシデントが発生しました。実験内容はDクラス職員であるD-3738に対するSCP-369-JPの能力の行使であり、人体に対する能力の影響の分析を行う目的で行われた実験でした。 以下は事件の際の監視カメラの記録です。 [再生開始] [ 14:10 ] 実験が開始される。SCP-369-JPはD-3738に掌を向けながら唸っている。D-3738は不安そうな様子で立ち尽くしており、浮上する様子は見えない。 [ 14:21 ] 依然として浮上する様子の見られないD-3738が実験内容について言及「これって超能力の実験なんですね?」「命に関わるような実験じゃないですよね?」と発言。SCP-369-JPは震えながら額を押さえる様子が確認される。 [ 14:26 ] D-3738の体が徐々に浮上していく。D-3738が叫び声を上げる度にSCP-369-JPが何かを呟きながら頭を振り、5度目の絶叫でD-3738の体が急浮上し天井に衝突する。D-3738は浮上と落下を繰り返しながら叫び続けている。 [ 14:30 ] 下北沢博士が実験の中止を宣言、山下研究員補佐と警備スタッフ2名がユニット内に入室する。D-3738の腹部からの出血が確認される。D-3738は気を失った状態で空中に静止している。 [ 14:33 ] SCP-369-JPが蹲り頭を床に打ち付ける。山下研究員補佐が話しかけて鎮静化を試みるも返答はなく、SCP-369-JPは叫び声を上げながら異常行動を続ける。 [ 14:35 ] 警備スタッフの一人がD-3738の体を掴んだ瞬間に警備スタッフは2m程の高さまで浮上。説得を試みた山下研究員補佐も浮上を始める。 D-3738は気を失ったままであり、警備スタッフ2名は苦痛を訴えながら身動きを取ろうとしているが空中に固定されているように見える。山下研究員補佐は吐血しており、全員の衣服から血液が滲んでいる様子が確認される。 [ 14:40 ] SCP-369-JPが体を掻き毟るような挙動を見せた直後SCP-369-JPの体は急浮上し天井に激突、その後落下する。倒れたSCP-369-JPの衣服にも大部分に血液が滲んでいるが動く様子は無い。その直後に職員4名も同時に落下する。 [ 14:47 ] SCP-369-JPは一向に動く気配は無い。室内の全員の出血が続く為、室外に待機していた警備スタッフと医療班が突入する。 [ 14:57 ] 職員の搬送が行われ、SCP-369-JPは応急措置を受けた後に拘束される。 室内の机が15秒間、30cm程浮上するが誰も気が付く様子は無く、室内から全員が退去する。 [再生終了] 医療班からの報告によると職員の出血の原因は胴体部に発生した10箇所から最大24箇所の穴による物であり、大半は以前観測された物よりも深く15cm程まで達していて最も深い穴は胴体を貫通していました。同様にSCP-369-JPの胴体部にも穴が125箇所発生していましたが、穴の深長に変化は無く昏倒の原因は大量出血による血圧の低下と落下の衝撃による物と考えられています。 その後、搬送された警備スタッフ2名とDクラス職員の命に別状は無く2週間の療養の後に職務に復帰しましたが、山下研究員補佐は傷の一部が主要な血管に及んでおり直後に出血性ショックによる死亡が確認されました。 SCP-369-JPはこの事件以降軽度の欝状態と何かに対して脅える様子を見せており黙秘を続けています。現在継続的な精神状態の監視と原因を探るための定期的な心理カウンセリングが行われていますが、未だに回復の様子は見られません。 担当研究員であった下北沢博士は事件369-A1の責任を問われSCP-369-JPの担当資格の剥奪とレベル2への降格処分を受け、それに伴いSCP-369-JPに対する特別収容プロトコルの見直しが行われました。 今後、SCP-369-JPに対する実験は全面的に禁止されます。 脚注 1. 主にSCP-369-JPを向いた側、特に掌を配置した部分の近辺に発生します。
scp-370-jp
評価: +51+–x アイテム番号: SCP-370-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-370-JPは特定防護収容設備を備えた10m×11m×6mの収容室に収容してください。収容室への出入口は必ず四方へと最低4つ設置し、ボガート手順-SoCV遂行のための手順の簡略化を図ってください。 収容室内にはSCP-370-JPの使用に耐える構造の複数の家具、特に2つの椅子に食卓、ベッド、簡易キッチンと冷蔵庫を常に設置し、稼働状態を保ってください。家具の追加はSCP-370-JP-1の身体状況に合わせて適宜行ってください。 ボガート手順-SoCVの遂行は現在機動部隊-へ11"保育士"が担当しています。ボガート手順-SoCVの詳細については担当の機動部隊へ連絡してください。ボガート手順-SoCVによって確保されたSCP-370-JP-1はクラスC記憶処理の後、対象に対する扶養者と判断される人物へと返還されます。その際、扶養者を含んだ一般関係者全員にクラスB記憶処理を施してください。 また、SCP-370-JP-1の養育期間中には、扶養者を含んだ一般関係者全員にクラスC記憶処理を施し、返還まで監視を行ってください。 説明: SCP-370-JPは身長2.41m、体重128kgの二足歩行の生命体です。全身が茶色の長毛に覆われていますが、本来の皮膚は光沢のある空色であり、それらは両手部位と頭部と足裏部位で露出しています。両手の指は4本ですが構造上人類と近似であり、精密な作業が可能です。頭部は爬虫類の形態に似ていますが、鮫と同様の歯列構造と、3つの眼部を有しています。また、発話能力は持たないものの、感情の発露に用いるための発達した発声器官を持っていると思われます。 内臓機能の調査は、既知の検査用探知波を遮断する皮膚の性質と、防御反応的な攻撃によって進行が遅滞しています。SCP-370-JPによる破壊活動の痕跡から、全身体能力は平均的な成人男性のおよそ17.3倍程度であると思われます。 SCP-370-JPは定期的に喉頭内に生後5ヶ月〜2年にあたる人間の幼児(SCP-370-JP-1と分類)を出現させ、口腔より吐き出します。SCP-370-JP-1は実在の幼児の特徴を有し、出現時に同個体的な特徴を有する幼児が元の場所から消失している事から、SCP-370-JPによって生成ではなく転移されているものであると結論付けられています。 SCP-370-JP-1は転移以前の記憶を消失した状態で転移されており、そのためSCP-370-JPに対して否定的な反応を取りません。 SCP-370-JPはその後365日間SCP-370-JP-1を養育します。養育中の主な活動としては食事の提供、SCP-370-JP-1の遊戯の相手、高音の唸り声を用いた子守唄の歌唱、健常な養育に必要と思われるスキンシップの実行等が挙げられます。これらの世話に何らかの不都合が生じた場合、SCP-370-JPは明らかに狼狽した様子で、問題の解決に努めます。問題が長時間解決しなかった場合、それはSCP-370-JPによる、周辺への無差別な破壊活動を招く可能性があります。 SCP-370-JP-1に危害を加える行為、もしくはSCP-370-JP-1をSCP-370-JPから引き離そうとする試みは、SCP-370-JPによる極端に敵対的な破壊活動を誘引します。しかしSCP-370-JP-1に対する直接的危害には及ばないため、その性質がボガート手順-SoCV遂行に活用されています。 SCP-370-JP-1が死亡するか喪失された場合、SCP-370-JPは37時間絶え間無く叫びながら積極的に破壊活動を行った後、再度SCP-370-JP-1の出現を行います。そのため、ボガート手順-SoCVの実行は食事期直前まで行われません。 SCP-370-JP-1の養育開始から365日後、SCP-370-JPは涙腺より水分を排出し、断続的に小さな声を上げながらSCP-370-JP-1を捕食します。捕食は3日間休む事無く少量ずつ行われ、その間SCP-370-JPの声量と水分の排出が激しくなります。 捕食が完了した後、SCP-370-JPは周辺の存在に対して無差別的に破壊活動を行います。これは3時間後鎮静し、その後78時間SCP-370-JPは蹲って一切の活動を停止させます。 78時間経過の後に、SCP-370-JPは別個体であるSCP-370-JP-1を出現させ、再度養育期へと入ります。 補遺: SCP-370-JPの観察と、破壊活動によって破壊されたオブジェクトに対する各種試験により、行動パターンと身体能力の予測が行われました。それに伴い、SCP-370-JPと戦闘状態に入った際のリスク管理パターンと戦術が構築され、食事期の寸前でSCP-370-JP-1を回収する手順確立のためのボガート計画が発足しました。 現在のボガート手順-SoCVに於いては、専用の装備、人員、戦術、手順が確立され、それに適した収容設備の整備が完了しています。それにより、一切の回復不能な損失無しでSCP-370-JP-1を回収する確率は現在98.73%にまで高まっており、極微小な確率で生じる損失についても容易に補填が可能となっています。 回収したSCP-370-JP-1はこれまでの検査から異常な性質を持たない事が判明しているため、簡易検査の後転移前の養育環境へと返されます。 また、この手順の確立と長期継続により、SCP-370-JPは本来食事を必要としない事が判明しています。
scp-371-jp
評価: +75+–x アイテム番号: SCP-371-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-371-JPの発生を防止するため、企業秘密等の漏洩防止や災害時の危険性などを理由として、窓が存在する、外部に面した部屋において10人以上の会議を行わないよう自治体等を通じて指導してください。SCP-371-JPの介入が確認された場合には会議の参加者にクラスA記憶処理を行ってください。また、議事録や映像記録等が存在した場合はSCP-371-JPの情報および発言を削除してください。 説明: SCP-371-JPは、現時点で3体(SCP-371-JP-1~3)が確認されている人型実体です。現時点では出現は██県███市、███県██市、██県██市、北海道██市、東京都██区で確認されています。SCP-371-JP実体はいずれも特殊部隊風の服装をしており、素肌や顔等は識別できません。具体的な外見等のデータは以下の通りです。 番号 外見 声質・話し方 備考 SCP-371-JP-1 濃いグレーの覆面に暗視ゴーグルを着用。服装はセルビア国家憲兵隊のそれに酷似しているが、迷彩模様が赤色を基調としたものになっており、また部隊章等は丸型に黄色一色、周囲に「To be or not to be, that is the question」と書かれた未知の標章に置き換えられている。 どちらかというと高い成人男性の声。かすかに関西方面の訛りが感じられる。 実行した場合非常に大掛かりになり、かつ費用がかかると考えられる発言をする傾向がある。 SCP-371-JP-2 黒い覆面とモスグリーンのシールド付きヘルメット、ドイツ国防軍のガスマスクを着用。服装はFBIの人質対応部隊のそれに酷似しているが、本来「FBI」と書かれている部分には「設備47」と書かれている。 低めの、若い女性の声。ガスマスクを着用しているにもかかわらずくぐもって聞こえる事はない。 法律に明確に違反する、過激かつ危険な提案をする傾向がある。 SCP-371-JP-3 薄いグレーの覆面に米軍の制式ヘルメット、防塵ゴーグルを着用。服装はアメリカ陸軍特殊部隊群のそれに酷似しているが、防弾チョッキのみ日本の海上保安庁のそれを着用している。ただし本来「海上保安庁」と書かれている部分には「UNOWEN」と書かれている。 かすれた老齢男性の声。いつでも敬語で話している。 何らかの宗教的儀式を行うことの提案をする傾向がある。 SCP-371-JPは上記の地域に存在する、以下の条件を満たした場所に出現する事があります。 法人1による会議が行われている 会議の参加者が10人以上である 外部に通じる窓2が存在する 会議が行われている部屋が建物の最上階から数えて5階以内であり、なおかつ6階以上である3 これらの条件をすべて満たしていると、SCP-371-JPが出現する可能性があります。 会議の開始から数十分後4、SCP-371-JPは会議が行われている部屋の窓を破り室内に突入します。突入方法は屋上からのラペリングであり、窓を破壊して室内へ侵入します。これまでの例では防弾性能のあるガラスを破壊し侵入した事例も確認されています。この際ガラスが破壊される事などにより大きな騒音が発生しますが、会議の参加者含めその近辺にいる人々がその事に関心を持つ事はありません。また、外部で雨や雪が降っていた場合には内部へ吹き込む場合もありますが、それについても関心を持つことはなく会議終了まで放置されます5。 会議中の建物にSCP-371-JPが侵入すると、SCP-371-JPは会議に参加します。SCP-371-JPの途中参加に対して会議の参加者と周辺にいる人々が特別な反応を示すことはなく、あたかも最初からいたかのように扱います。会議において、SCP-371-JPは常軌を逸した提案や意見を出す傾向があります。例としては以下の通りです。 SCP-371-JPの発言例 新発売のソーセージの広報のため、打ち上げが予定されているロケットに相乗りの形でソーセージを搭載させ、大気圏外から大気圏突入させる(大手食品メーカーの会議に「参加」した際の発言。発言者はSCP-371-JP-1。) 缶・瓶のリサイクルの啓発のため、全高20mほどの巨大な缶と瓶のオブジェを作成し、テレビ局にそれを破壊する様子を生中継させる(NPO団体「[編集済]」の会議に「参加」した際の発言。発言者はSCP-371-JP-1) 紙の辞書の普及のため、人通りの多い場所で性犯罪者を辞書で撲殺する催し物を行う(書籍メーカーの会議に「参加」した際の発言。発言者はSCP-371-JP-2。) 生活保護の不正受給の防止目的のため、パチンコ店に出入りする不正受給者を斧で殺害する(██市役所での会議に「参加」した際の発言。発言者はSCP-371-JP-2。) 保育士の現状を広報するため、保育園で月に1度割り箸で高さ3mの祭壇を組み立て、その頂上に処分するぬいぐるみを置き、祭壇に火を放つ儀式を行う(NPO団体「[編集済]」の会議に「参加」した際の発言。発言者はSCP-371-JP-3。) 年に1度、リチャード・ニクソンの肖像画に対し全人員が3時間礼拝し、その後肖像画を海へ流す儀式を行う(██████の会議に「参加」した際の発言。発言者はSCP-371-JP-3。) これらの発言は正式な発言として議事録等がある場合にはそれに記録されます。なお、議事録においてはSCP-371-JPは日本人のそれに比較的近いように思われるものの、実際は存在しない名前6で記されますが、会議参加者はそれについても疑問を抱くことはありません。 会議終了後、SCP-371-JPは全員速やかに部屋のドアから退出します。ドアから出た瞬間にSCP-371-JPは消え去るため、その行方は不明です。SCP-371-JPがすべて退出した後、会議参加者および周囲の人々は窓ガラスの破損等の異常に気づきます。しかしながら、なぜ窓ガラスの破損等が起きたかどうかは覚えていません。また、SCP-371-JPについても「そういえば見慣れない人が会議にいたような気がする」といったような、非常に曖昧な記憶しか残っていません。しかしながら、映像記録や議事録はSCP-371-JPの消滅後も改変されないため、発言内容や外見、声質等を確認することは可能です7。 補遺: これまでの出現例でSCP-371-JPの提案が受け入れられた事はありません。しかしながら、その理由がすべて「つまらない」「陳腐である」「効果があまり見込めない」といったものであり、その提案自体の違法性や異常性を指摘したものでない点であることに注目すべきです。 Footnotes 1. 一般的な株式会社の他、有限会社、各種財団法人、地方公共団体、権利能力なき社団なども含まれている事が確認されています。 2. これまでの事例での最小サイズの窓は100cm×70cmでした 3. この事から、SCP-371-JPが出現する可能性がある建造物は10階建て以上の建造物に限定されています 4. 確認された事例の中では最短で28分、最長で92分でした 5. 北海道██市で発生したSCP-371-JPの出現事例においては、吹雪が発生していたにも関わらず誰も窓の破損に関心を持たず、最終的に参加者█名が低体温症になったケースがあります。 6. これまで確認された例では「ロペシマ」「ヴェクサキ」「ブロカワ」「ヴォカノコウジ」などが確認されています 7. これら残された記録から外見や声質等のデータの収集に成功しました。
scp-372-jp
評価: +87+–x SCP-372-JP アイテム番号: SCP-372-JP オブジェクトクラス: Neutralized 特別収容プロトコル: SCP-372-JPは内部に断熱処理と防水加工を施した低脅威物品保管用ロッカーに、容器を固定された状態で収容されます。SCP-372-JPは異常性を失いました。対象は無力化済物品収容室に保管されます。 説明: SCP-372-JPは一般的に「丼」と呼称される器です。非活性時には空の状態を維持しますが、人間が50cm以内に近付くと、内部に一般的にラーメンと呼称される麺料理に酷似した物質が出現します。味及び殆どの成分は一般的な醤油ラーメンと同じものですが、後述する強盗殺人事件の被害者である坂本一家全員のDNAが麺に少量含まれています。摂食に問題はありませんが、非常に高温であり活性中は常にその温度を維持し続ける為、摂食者が火傷を負う危険性があります。この特性のため、SCP-372-JPから出現するラーメンを完食するのは困難です。 SCP-372-JPの持つ特異性は出現したラーメンを摂食した時点で発現します。このオブジェクトを摂食した人物は一定の位置からの第三者1の視点で、坂本一家を写した様々な場面の映像を想起します。摂食者はこの際5分から10分程の時間の経過を覚えますが実際には1秒から3秒程度しか経過しておらず、想起されるのは映像のみで音声は無い事が報告されています。 SCP-372-JPは1994/5/10に大阪府のラーメン店舗で起きた坂本一家強盗殺人事件の現場から発見されました。SCP-372-JPを摂食した際に想起される映像は、このラーメン店舗の経営者である、坂本和彦、及びその妻である美栄、息子である芳雄の3名の生活風景であると推測されています。坂本一家とSCP-372-JPの関係性の調査はSCP-372-JPがNeutralized指定されるまで行われていましたが、現在は打ち切られています。 以下は摂食実験を行った際の内容のリスト2です。実験に参加したDクラス職員からの想起した内容の描写と体感した時間に関する報告を元に作成されています。 摂食回数   体感時間 想起された映像の内容 1口目 25分 ラーメン丼の中からの視点。客と思われる未知の男性がラーメンをすすっている。客はラーメンを完食し、美味であることを述べて店から出て行く。レジに立っている坂本美栄は事件時の容姿より10年ほど若いように見える。 5口目 10分 2、3歳頃であろう、坂本芳雄が危うく湯の入った寸動鍋をひっくり返しそうになる。かろうじて坂本和彦がそれを止めるが、手に火傷を負う。 9口目 15分 坂本芳雄が息を吹きかけながらラーメンを摂食しているところを、坂本美栄が見ている。 坂本芳雄は5口目より成長し、6歳前後に見える。 18口目 20分 坂本和彦と坂本美栄が恐らくグルメ雑誌の記者と思われる人物にインタビューを受けている。3坂本和彦の手には火傷の痕が残っている。店は店舗兼自宅に改築され、これまでの映像よりも広くなっている。 27口目 10分 坂本芳雄が坂本和彦の横で、見よう見まねで野菜を切っている。坂本芳雄は9口目の映像より成長し、10歳前後に見える。 完食 1時間以上 視点の位置及び現場から考えると坂本一家は睡眠中であると思われる。坂本和彦が、何かに気づき、起き上がったところに、坂本一家強盗殺人事件の犯人である[編集済]が襲いかかる。[編集済]はバットで数回坂本和彦を殴打した後、飛びかかった坂本美栄を突き飛ばし、頭部を殴打。坂本美栄がかばった坂本芳雄に、バットを振り下ろす。坂本美栄及び坂本芳雄はこれ以降横たわり、動かない。坂本和彦は2人に這いよるが、再び[編集済]に殴打され、動かなくなる。その後、繰り返し[編集済]は坂本一家を殴打し、飛び散った体組織と思われるものが視点にへばりつく。[編集済]は預金通帳及び現金を奪い、逃走。これは1994/5/10の強盗殺人事件の犯行中の映像と思われる。 補遺1: SCP-372-JPの第一発見者であり、坂本一家強盗殺人事件の担当警察官である███ ██からの聞き取り調査の抜粋です。幾つかの警察用語に関しては、一般的な言葉に置き換えられています。 あんな酷い現場は、12年警察官をやってきて初めて見たものでした。 現場に入って最初に目にしたのは、あの店舗兼自宅の、六畳間のちゃぶ台の上に丼が置かれてたことです。 その中に、赤いものと白いものが入っていたんです。最初、ラーメンが放置されているのか、って思いました。 でも、よく見たら、それはラーメンじゃなくて、飛び散った脳味噌と血液だったんですよ。それが器の中にへばりついていたんです。 あの一家は酷いものでした。服装以外で、誰が誰だかを見分けられなかったんですよ。頭を滅茶苦茶に鈍器で殴り潰されていて、そりゃ脳味噌が卓の上の丼に飛び込んでもおかしくないな、と私は思いました。 たった10歳の男の子の頭をあんな滅茶苦茶に殴った奴っていうのは外道としか形容できません。 (中略) でも、あの後に冒涜的な真似がありました。現場から押収したその丼に、いつの間にかラーメンをよそっていた奴がいたんですよ。 証拠品を保管する部屋から匂いがしてきましてね、見たら、出来立てのラーメンが放置されていたんですよ。 そうですか、そういう真似をした犯人を捕まえるからその器を回収されるんですね。よろしくお願いします。本庁の上の方なら、そのへんのことも慣れていらっしゃるでしょう。ぜひ厳正な処分をおねがいしますよ。 補遺2: 実験から4ヶ月後の1999/8/7に、D-18782は新しく雇用されたDクラス職員であるD-25111を娯楽室内でペンを使い刺殺し、拘束されました。D-25111は坂本一家強盗殺人事件の主犯であり、5ヶ月前に死刑判決を受けたため財団と契約し、Dクラス職員として雇用されていました。以下はD-18782の証言を文字起こししたものです。 ああ、博士。俺は何も、とち狂ってああいう真似をしたわけじゃない。俺はさ、そりゃ死刑囚なんだから、くずだよ。職場で上司をやっちまったんだからさ。わかってるさ。けどさ、実験に参加して、ずっと模範的な……えっと、ああ。Dクラスでいたんだよ。 ほら、「なんでそれをフイにしたんだ」っていいたいんだろ。でもな、あれは、あればっかりはああする必要があったんだ。あいつと俺は、直接会ったわけじゃない。あのラーメンを通して出会ったんだ。 別に、あの映像を見た時は、テレビ見てるみたいなもんだったさ。俺、そんな見ず知らずのやつに同情したりしないよ。 けど、けどさ。なんでか知らないけど、あいつの顔を見た瞬間、とんでもなくあいつの事を憎く思ってさ……うん、ボールペンでも刺せば死ぬんだな。 (中略) あのさ。俺、なんであんな映像を見ただけで、あいつの事を殺したいって思ったのか、ちょっとわかったかもしれないよ。 多分、多分だけどさ。あのラーメンって、煮えたぎったはらわた、いや、多分、怒りで煮えてる脳味噌だと思うんだよ。ほら、最後の映像であの家族はさ、脳味噌とかいろいろこっちに飛んできてたじゃん。 俺、俺さ、それを食っちゃったから、だからあんな俺はムカついたんだと思う。あれが熱すぎたのは、あの家族の憎しみの温度なんだと思うんだ。 この事件以降、SCP-372-JPは活動を停止しています。SCP-372-JPはNeutralized指定されました。 Footnotes 1. 映像の位置、坂本一家強盗殺人事件現場の現場写真を使用したシミュレーションなどを経た結果、恐らくテーブルや食器棚、厨房に置かれていた「ラーメン丼」の視点から撮影されているのではないか、という推測がなされています。 2. 優れた体内時計を持つと判断されたDクラス職員、D-18782を使用しました。 3. 会話の内容から、これは1990年7月に出版されたローカル誌、『Osakaめぐりナビ 8月号』に掲載されたラーメン店紹介記事の取材であると思われます。
scp-373-jp
評価: +97+–x 観察実験中のSCP-373-JP個体(ワーカー)。背景はコロニーの拡張部分。 アイテム番号: SCP-373-JP オブジェクトクラス: Keter 特別収容プロトコル: 毎週30tの建築用資材を、武装エリア-8133の収容区画に投入して下さい。追加の資材は5tまで許可されます。収容違反につながるオブジェクトの生成が確認された場合、機動部隊あ-3"大蟻喰"によって破壊されます。 収容区画の外壁までがSCP-373-JPのテリトリーと認識されているため、外壁の損傷が確認されても監視に留めて下さい。過去の事例ではいずれも、SCP-373-JPによって修復されています。 武装エリア-8133およびその周囲約4kmは、財団フロント企業の私有地となっています。深刻な収容違反が発生した場合は全職員を退去させ、フェイルセーフ用特別備品を用いて武装エリア-8133ごと消去して下さい。 説明: SCP-373-JPは社会性を持つ大型機械の集団です。アリのような外見を持ち、体高は3~5mに達します。財団は捕獲したSCP-373-JP個体を分解しましたが、材質や機構に特異性はありませんでした。知性の有無は不明ですが、一般的なコンピュータが搭載されており、行動の大半はプログラムに従っていると考えられます。 SCP-373-JPは集団の中での役割を持ち、それに特化した機能を持ちます。SCP-373-JP実体またはコロニーに対して敵対的行動を加えない限り、生物には反応を示しません。コロニーへの侵入は敵対的行動とみなされることに留意して下さい。 通称 主な役割 説明 ソルジャー コロニーの防衛 12.7mm機銃2門・155mm榴弾砲1門・高出力の対物光学兵器1門で武装。 ワーカー コロニーの拡張および保守 コロニー外部で資材の収集を行う。出力は一般的な土木作業機械と同程度だが、動力は電力と推定される。総数不明。 シッター SCP-373-JP個体の生産およびメンテナンス 精密工作機器を内蔵。コロニーから出ないため、詳細は不明。 ソルジャーはコロニーへの敵対行動が確認された場合にのみ出現し、コロニーの防衛を行います。常に3個体で行動し、明確な戦術行動を取ります。戦闘試験の結果から、自衛隊90式戦車での撃破対被撃破比率は3:1程度と推測されています。 ワーカーはテリトリー内を探索し、コロニーやSCP-373-JP個体の材料となる資材を収集します。必要な資材が得られない場合は、探索範囲を広げる傾向にあります。収容前の事例では近隣の市街地に現れ、乗用車をパーツごとに分解して持ち去りました。追跡調査により、エンジンとバッテリーは新しいSCP-373-JPに組み込まれたことが確認されています。その他のパーツはリサイクルされ、コロニーの資材にされました。 ワーカーは建築資材を消費して、地上と地下に大規模なコロニーを形成します。コロニーは一般的な建造物に似た外見と機能を持ちますが、規格はSCP-373-JP用に最適化されています。内部調査により、電力供給設備が存在することが確認されました。 収容以降、コロニーは常に改築され続けています。多くの場合は居住区画の拡張ですが、希に軍事施設が建造されることがあります。SCP-373-JPの技術レベルは向上し続けています。2014年7月の時点で、人類の技術レベルとほぼ拮抗したことが判明しました。収容違反の危険性があった建造物については、下記を参照して下さい。 建造物 説明 結果 高さ7mの建築物 4棟 ソルジャー用のトーチカと推定 完成前に巡航ミサイルにより破壊 高さ28mのケージ型アンテナ 1基 電波傍受施設と推定 完成前に巡航ミサイルにより破壊 地下施設と地上ハッチ 6基 地対空ミサイルのサイトと判明 完成後、地対地ミサイルにより破壊 地下施設と地上ハッチ 1基 [編集済] 完成直前に空爆作戦により破壊 ブロンズ像 1体(後述) 視認による認識災害を発生 完成後、機動部隊により地上施設ごと破壊 画像処理済 このブロンズ像を視認した財団職員のうち4名が、「自分は蟻である」という刷り込みを受けました。ブロンズ像はSCPオブジェクトと認定されましたが、回収不可能なため機動部隊による破壊作戦が実行されました。視認による影響を避けるため、地上施設全てを攻撃対象としました。このときSCP-373-JPによる激しい抵抗を受けましたが、オブジェクトの破壊には成功しています。 財団は資材収集中のワーカーに調査機材を取り付け、コロニー内部の調査を行っています。最新の調査結果については、探査記録373-22を参照して下さい。 探査記録373-22 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-373-JPコロニー 実施方法: SCP-373-JP個体に調査機材を取り付けて観察。 <探査開始> 00:24 ワーカーはメインゲートを通過。格納されているソルジャーを3体確認。内部に照明装置と空調設備の存在を確認。通路で何体かのワーカーとすれ違い、その度に一旦停止して0.2秒程度のコンタクトを取る。 01:38 ワーカーは地下通路に進入。マイクが規則的な振動と機械音を検知。音源は不明だが、かなり地下深くと推定される。 02:16 地下24m地点で、広大な空間に出る。17体のシッターを確認。SCP-373-JPの修理もしくは生産を行っている模様。ワーカーらしきSCP-373-JPの頭部が開かれ、基盤が露出しているのがカメラに映る。 05:21 ワーカーは収集した資材をシッターに渡し、再び地下通路に出る。さらに下層へと向かう。 11:58 地下160m地点。通路の終端に稼働中のソルジャー9体を確認。ワーカーはソルジャーの1体とコンタクトを取り、奥の部屋へ向かう。 12:02 部屋は隔壁で閉じられており、文字が記されている。経年劣化と摩擦でかすれているが、"東弊重工&日本生類創研 共同開発室"と解読できる。 12:08 隔壁がゆっくりと開放されていく。室内を確認しようとするが、突如電波状況が悪化し、画像が不鮮明になる。そのため、室内の様子は不明。蟻に似た巨大なオブジェクトが一瞬だけ映る。 12:13 直後、ワーカーが振り返る。ソルジャー全個体が調査機材に向け、12.7mm機銃を展開中。発砲炎を確認し、全ての信号が途絶える。 <探査終了> 分析: この探査記録により、SCP-373-JPが人為的に生み出され、その後放棄された可能性が高まりました。 補遺: O5評議会はSCP-373-JPをKeterに格上げすることを決定しました。同時に強行探査プロトコル"蟻地獄"が立案されました。現在、人員と物資を手配中です。
scp-374-jp
評価: +500+–x アイテム番号: SCP-374-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-374-JP-Aがサイト-81██内に出現した場合、Dクラス職員が対象に選ばれた際は実験を行わない限り放置して下さい。Dクラス以外の職員が対象に選ばれた場合は休暇日を変更し、強奪日に業務を行う事で誘拐される事を防いで下さい。対象に選ばれたDクラス職員以外はSCP-374-JP-Bと遭遇しても接触しないで下さい。 説明: SCP-374-JPはサイト-81██内で一ヶ月毎に発生する財団職員誘拐事件です。最初にサイト-81██内の食堂、受付、会議室のいずれかの机の上に便箋の入った封筒が出現します。封筒には『秘密結社キャッチ&リリース』という文字が印刷してあります(以下、サイト-81██に出現する便箋をSCP-374-JP-Aとする)。 SCP-374-JP-Aには日付と時刻、サイト-81██内に居る人間の一名の名前と「3時間預からせて頂きます」という文章が印刷されています。SCP-374-JP-Aに表記される名前はサイト-81██内の職員名簿に存在しない場合であっても、サイト-81██の建物内に最低でも3日間以上滞在するとSCP-374-JP-Aに表記される対象になります(以下、SCP-374-JP-Aに名前を書かれた人間を「対象」とします)。SCP-374-JP-Aに書かれている日付はサイト-81██内にSCP-374-JP-Aが出現した1~2日後の日付です。SCP-374-JP-Aに書かれている時刻は9:00であり、これまでの事例においてはそれ以外の時刻が記載された事はありません。 SCP-374-JP-Aに記載されている日付の午前9時になると、対象の周囲の地面や壁が、材質にかかわらず水面のように波打ちはじめ、その中から人型の生物が出現します。人型の生物は黒い背広を着ており、人間の頭部はありません。人間の頭部の替わりにオオクチバス(Micropterus salmoides)1がついており、魚の腹部と首の断面が接合しています。常に全身が淡水で濡れていて、体型や服の構造や断面図を見た限りにおいては男女の性別があり、個体によって体型にも差異があります(以下、出現する人型の生物をSCP-374-JP-Bとします)。SCP-374-JP-Bは人間と比べるともろく、体を暴徒鎮圧用ゴム弾で撃たれた場合でも死亡してしまいます。死亡したSCP-374-JP-Bの体は衣服を含めて溶けて淡水に変化します。残った頭部はブラックバスの死体としてその場に残ります。 SCP-374-JP-Bに触れられた人間は意識を消失し、最低でも5分間は意識を取り戻しません。ライオットシールド等の障害物でSCP-374-JP-Bの行く手を阻んだ場合では、SCP-374-JP-Bは障害物に密着した後にすり抜けます。そのため厚い防護服でSCP-374-JP-Bを取り押さえた場合でも、SCP-374-JP-Bは防護服をすり抜けて直接触れる事で、取り押さえてきた人間の意識を消失させます。 対象の周囲に出現したSCP-374-JP-B群は、対象が居る方向へ動き出します。財団は銃火器や捕具を用いて強奪の妨害を行いましたが、SCP-374-JP-Bを死亡させても新たにSCP-374-JP-Bが地面や壁から出現するため、対象の誘拐を遅延させることしかできず、未然に防ぐ事には成功していません。対象に接触したSCP-374-JP-Bは、意識を消失させた対象を抱えて、出現した時と同様に地面の中へ潜り消失します。 + SCP-374-JP誘拐対策記録 - 記録を閉じる 日付: 20█1/06/05 対象: ██研究助手 対策方法: 対象を1m×1m×1mの金庫に入れる。 結果: 金庫内にSCP-374-JP-Bが1体出現。対象は誘拐された。 日付: 20█1/07/08 対象: ██職員 対策方法: クレーンを用いて対象を運動グラウンド中央に吊るし、周囲に武装した機動部隊を70名配備する。 結果: 地面から出現するSCP-374-JP-Bを機動部隊が鎮圧。時間が過ぎるごとにSCP-374-JP-Bは増え続け、20分後にはSCP-374-JP-Bの数が200体を突破。機動部隊は全員意識を奪われ、クレーンをのぼったSCP-374-JP-Bによって対象は誘拐された。 日付: 20█1/08/03 対象: ███博士 対策方法: 対象を壁と床が強化ガラスでできた部屋に入れる(対象になった███博士、自らの案)。 結果: 通常と同じように壁と床が水面のように揺れて、透明なガラスに色がつきSCP-374-JP-Bが出現。対象は誘拐された。SCP-374-JP-B出現時に下からスーパースローカメラを用いてSCP-374-JP-Bの断面図の撮影に成功。 首の接合部を確認したが、魚の腹に首の断面がくっついているだけじゃないか。 - ███博士 日付: 20█1/09/10 対象: ██職員(同姓同名の██博士にも同じ対策を取りましたが、SCP-374-JP-Bが誘拐したのは██職員のみでした) 対策方法: 対象を壁と床が金網でできた部屋に入れる。 結果: 金網から淡水が噴き出し、淡水からSCP-374-JP-Bが出現。対象は誘拐された。 てっきり、金網の外から出現して、中に擦りぬけると思ったが。中に直接出現するのか。 - ███博士 日付: 20█1/10/08 対象: D-8137401 対策方法: 対象をヘリコプターに乗車させて飛行する。 結果: ヘリコプター内にSCP-374-JP-Bが2体出現。対象は誘拐された。 日付: 20█1/11/01 対象: █職員 対策方法: 対象にハーネスを装着してヘリコプターから吊るし飛行する。 結果: ヘリコプター内にSCP-374-JP-Bが3体出現。対象をヘリから引っ張り上げて、対象は誘拐された。その時、操縦者が動揺し飛行が不安定になったため、SCP-374-JP-Bの1体が操縦者の意識を奪い、操縦者に替わってヘリコプターの操縦を行い、近場のヘリポートに着陸させた。 死傷者を出す気はないようだ。 - エージェント・██ 日付: 20█1/12/03 対象: D-8137402 対策方法: 対象に運動グラウンドを小型スクーターで走行させる。 結果: 対象の背後にSCP-374-JP-Bが1体出現して2人乗りの状態になり、ハンドルを握る対象の手にSCP-374-JP-Bが手を重ねる。対象は意識を失いSCP-374-JP-Bは走行するスクーターの速度を落とし、徐行の状態からスクーターを転倒させつつ対象を抱えて小型スクーターから降ろす。その後、対象は誘拐された。 日付: 20█2/01/01 対象: ███研究員 対策方法: 防具を着せた対象に運動グラウンドを小型スクーターで走行させる。その周囲をゴム弾が装填されたライフルを装備したスナイパー15名配備。 結果: 対象の背後にSCP-374-JP-Bが1体出現して2人乗り状態になる。すかさずスナイパーはSCP-374-JP-Bを狙撃、SCP-374-JP-Bは死亡する。その10秒後、スナイパー15名の背後にSCP-374-JP-Bが1体ずつ出現。スナイパー全員の意識を失わせた後に対象の背後に再びSCP-374-JP-Bが出現。対象は誘拐された。 SCP-374-JP-Bに連れさられた30分後に対象は特定の部屋で目を覚まします。部屋は340cm×573cm×477cmの広さです。部屋の外に続いていると思われる扉は1つあり、窓はなく電波も通じません。3点ユニットバスが設備され、標準的なシングルベッドと本棚が置かれています(置かれてる本の大半が魚の図鑑であり、その他は魚に関係した物語の小説)。天井には点灯した蛍光灯と空調室内機が設置されており、壁には時計がかけてあります。部屋の角には2つのコンセントがそれぞれ対角線上にあります。扉は二重扉になっており、扉の前には1体のSCP-374-JP-Bが立っています。 扉の前のSCP-374-JP-Bは立っているのみで、基本的に対象に反応しません。しかし対象が破壊行為を行うと接触してきます。接触された対象は意識を消失し5分後に部屋にあるベッドの上で目を覚まします。扉の前のSCP-374-JP-Bに対して物品や行為を要望すると、要望に応える場合があります。しかし要望によって支給された物品を対象が部屋から持ち帰る行為は成功していません。対象が部屋に運ばれてから2時間が経過すると、対象が何らかの行動をとっていなくともSCP-374-JP-Bは対象に接触して意識を消失させます。 対象がSCP-374-JP-Bに連れ去られてから3時間後、対象が誘拐された場所に1体のSCP-374-JP-Bが意識を消失した対象を抱えて地面から出現し、対象を置いて地面に潜り消失します。戻ってきた対象は、帰還から5分後に意識を取り戻します。SCP-374-JP-Bが地面に潜り消失すると同時に、SCP-374-JP-Aは溶けて淡水に変化します。 + SCP-374-JP調査記録-い - 記録を隠す SCP-374-JP調査記録-い 日付: 20█1/10/08 探索者: D-8137401 任意: 部屋の探索とSCP-374-JP-Bの目的の尋問。それらをビデオカメラに記録。 <記録開始> D-8137401: えー、腕時計を確認したところ、現在時刻は午前9時30分。部屋の時計も同時刻。SCP-374-JPの調査記録を開始する。 (D-8137401は部屋の測定、探索を行う) D-8137401: 恐らく異状な物はないと思う。それじゃあドアの前のSCP-374-JP-Bに尋問を試みる。 (扉の前に立つSCP-374-JP-Bにカメラを向ける) D-8137401: あんた達は何者だ?財団の人間を誘拐する目的はなんだ? (SCP-374-JP-Bは反応を示さない) D-8137401: えー3分待ってみたが、反応はない。それでは、指示された通りに暴力的な方法をとる。 (カメラを移動する) D-8137401: あ、しまった。リュックにくくりつけていた三脚が誘拐された時に外れたみたいだ。困ったな。おい、あんた。三脚とか用意できないのか?(カメラをSCP-374-JP-Bに向ける) (D-8137401の言葉を受けてSCP-374-JP-Bはゆっくり後ろを向き部屋を出る) D-8137401: え? (2分後、三脚を持ったSCP-374-JP-Bが部屋の中に入ってくる。この時、D-8137401はカメラで扉の向こう側を撮影。扉の向こう側にはさらに扉がある事を確認する) D-8137401: まさか本当に持ってくるとは思わなかった。ていうか、あんたらは壁をすり抜けられるんだろう?なんでわざわざ扉を通るんだ? (SCP-374-JP-Bは反応を示さない。D-8137401はビデオカメラをSCP-374-JP-Bに向かせて三脚に固定し、リュックからバールを取り出す) D-8137401: まぁいいや、えーそれじゃあバールで脅してみる。おい、あんた。今から殴るからな?やめて欲しかったら目的を答えろよ? (SCP-374-JP-Bは反応を示さない。D-8137401は14秒待ってから殴りかかる。SCP-374-JP-Bはバールを避けてD-8137401に組み付きD-8137401の意識を奪う。その後、SCP-374-JP-BはD-8137401を抱えてベッドに寝かせる。D-8137401は5分後に目を覚ます) D-8137401: はい、案の定鎮圧された。えーそれでは、次は壁を破壊するんだったか?それを開始する。 (D-8137401はリュックから電動ドリルを取り出し壁に穴を開ける。直後SCP-374-JP-BはD-8137401に接近し掴みかかって意識を奪う。その後、SCP-374-JP-BはD-8137401を抱えてベッドに寝かせる。D-8137401は5分後に目を覚ます) D-8137401: はい、案の定鎮圧された。これで終わりか。しかしちょっと暑いなこの部屋。あんた、空調ついてんのかこれ?もう少し涼しくならないのか? (SCP-374-JP-BはD-8137401の言葉を受けてスーツのジャケットの裏からリモコンを取り出しボタンを押す。直後、天井の空調室内機から冷風が流れる) D-8137401: 用意いいなあんた。 <以下省略> SCP-374-JP実験記録-ろ 日付: 20█1/12/03 対象者: D-8137402 内容: D-8137402の体内に時限式爆弾を埋め込み対爆性ビデオカメラを持たせ、誘拐先の部屋での爆破実験。 結果: 爆弾は爆発せず、D-8137402は生還した。SCP-374-JP-Bは対象を引き渡す際、爆発処理をした爆弾も一緒に置いていった。映像記録にも爆弾が爆発した様子はない。 とことん死傷者を出す気はないようだな。 - エージェント・██ + SCP-374-JP-B要求実験記録 - 記録を隠す SCP-374-JP調査記録-い の結果を受けて、今後の誘拐事件において対象にはSCP-374-JP-Bに対して様々な要求をする実験の許可が降りました。 SCP-374-B要求実験記録 日付: 20█1/11/01 要求者: █職員 要求内容: テレビ・テレビゲーム・ゲームソフト複数・無線LAN 支給された物. テレビ[支給されたが、アンテナが繋がっておらずテレビ番組は映らない]・テレビゲーム・ゲームカセット[1本を除き支給された] 支給されなかった物. ゲームカセット[誘拐の2日前に発売された新作ソフトは支給されなかった]・無線LAN[繋がらなかった] 分析: SCP-374-JP-Bが用意できる物品においても、発売時期が最近の物は支給できないようだ。SCP-374-JP-Bはどこからか物品を入手するルートがあると思われる。 報告: 当然オンラインゲームもできませんでした。そもそも電波を繋がらなくしてるのにネットに接続させてくれるわけがないですね。どちらにしろ記録を取るのみなので、私がゲームで遊ぶ許可は出てないんですけどね。 - █職員 日付: 20█1/01/01 要求者: ███研究員 要求内容: マッサージチェア・お菓子・テレビ・DVDプレーヤー・DVD複数・マッサージ師 支給された物: マッサージチェア・お菓子[誘拐の2週間前に発売されたお菓子も含めて支給された]・テレビ・DVDプレーヤー・DVD複数[1枚を除き支給された]・マッサージ師[SCP-374-JP-Bが直接マッサージを行おうとしてきた] 支給されなかった物: DVD[廃盤になって出回らなくなったDVDは支給されなかった] 分析: 大きい物でも扉から通せるサイズまでは支給できるようだ。最近の物だけではなく、古くて出回らない物も用意できないとなるとSCP-374-JP-Bが物品を手に入れるルートがあるのは濃厚のようだ。必ずしも購入して手に入れてるとは限らないから難しいかもしれないが、SCP-374-JP-Bが用意した物から入手先を特定できるかもしれない。しかし、まさかSCP-374-JP-Bが直接マッサージを行うとは、物は用意できても人間は用意できないようだ。もしできたのなら、そのマッサージ師がどこから拉致されたのかで有力な情報が手に入ったかもしれないが。 報告: 結構でかい物も持ってきてくれるんですね。プレミアのついた映画が見れなかったのは残念です。記録を取るだけなので、最後までは見れないんですけれどね。流石にSCP-374-JP-Bに接触されるのはまずいと思ったので、直前で断ったらすぐ帰ってくれました。 - ███研究員 日付: 20█2/02/08 要求者: エージェント・███ 要求内容: 様々な料理 支給された物: 様々な料理[しかし対象が摂食した料理は、対象の身体から検出されなかった] 支給されなかった物: 無し 分析: SCP-374-JP-Bは対象を返却する前に、支給した料理を対象の身体から摘出したわけだが、手術痕等は見当たらなかった。すり抜ける能力は人間に対しても有効なのかもしれない。しかし料理の味付けの癖から読み取れる情報は無い事もないかもしれないが、あまり有力な情報は期待はできないと思われる。今後は料理の要求は必要ないだろう。 報告: 肉や野菜料理、スイーツはまぁまぁでしたね。下手に高級料理を頼むよりも庶民的な家庭料理を頼んだ方が安定してます。しかし魚料理に関しては驚く程のクオリティでした。完璧に魚の味を知り尽くしてると言うのでしょうか、最低限の味付けで最大限に素材の魅力を活かしていたと思いますね。勝手に全品完食した事は反省しています。 - エージェント・███ 日付: 20█2/03/03 : ██研究員 要求内容: トランプ・遊び相手 支給された物: トランプ・遊び相手[扉の前のSCP-374-JP-Bとは別に、SCP-374-JP-Bが4体部屋に入ってきた] 支給されなかった物: 無し 分析: SCP-374-JP-Bは喋りはしないが、やはり知能はあるようだ。しかし喋らないゆえに宣言を必要とするトランプゲームはできないようだな。ハウスルールを主張してくれたなら、潜伏地域に近づけたかもしれないが。 報告: 私は記録を取るのみなので参加せずにSCP-374-JP-Bのみで遊ばせました。大貧民は弱いけど、神経衰弱は強かったです。 - ██研究員 補遺1: Dクラス以外の職員が対象に選ばれる傾向において、誘拐される当日は対象の休暇日でした。それを受け、実験的に対象に選ばれた職員の誘拐当日を勤務日にする処置をとりました。その結果、勤務の決定直後にSCP-374-JP-Aに書かれた対象の名前が別の職員に変更されていました。そのため、SCP-374-JP-Aが出現しDクラス職員以外の職員が対象に選ばれた場合は、Dクラス職員が対象に変更されるまで休暇日を変更する対応が取り決められました。 補遺2: 20█2年3月3日の誘拐において対象であった██研究員は、扉の前のSCP-374-JP-Bの手から20█1年11月1日に対象であった█職員の手と、同様の場所にほくろがある事を発見しました。そのため██研究員はSCP-374-JP-Bに手のひらを見せる事を要求し、指紋の撮影に成功しました。指紋を照合したところ、SCP-374-JP-Bの指紋と█職員の指紋は一致しました。その後、20体のSCP-374-JP-Bの指紋を記録し、Dクラス職員を含めた過去に誘拐された職員の指紋と照合させたところ、9体のSCP-374-JP-Bの指紋と、過去に誘拐された職員の指紋が一致しました。また、職員と指紋が一致したSCP-374-JP-Bは性別と体型も、職員と一致していました。 補遺3: 補遺2の結果を受けて、対象となったエージェント・██は休暇日の変更を行わず、SCP-374-JPの調査を行いました。エージェント・██は扉の前のSCP-374-JP-Bに対して、SCP-374-JP-Bの体が職員の物と同じであると把握している事を告げ、再度SCP-374-JP-Bの目的を問いかけました。その問いかけに対し、SCP-374-JP-Bは扉を開けて部屋から出ていき、70分後に封筒を所持して部屋に入ってきました。封筒はSCP-374-JP-Aと同じ物が使われており、その封筒をエージェント・██に渡しました。その後、エージェント・██が部屋から帰還しましたが、SCP-374-JP-Bが差し出した封筒は没収されず、またSCP-374-JP-Aのように溶ける事はありませんでした。封筒の中の便箋に書かれていた文章は「秘密結社キャッチ&リリース」という文字以外は手書きであり、内容は以下の通りです。 しゅみです 秘密結社キャッチ&リリース Footnotes 1. 通称「ブラックバス」
scp-375-jp
評価: +64+–x アイテム番号: SCP-375-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-375-JPの発生する建物の敷地を囲むようにフェンスを設置し、敷地外に警備員を2名以上配備、カバーストーリー「地下からの有毒ガス発生による閉鎖」を適用し、民間人の立ち入りを禁止してください。敷地内および店内は監視カメラと集音マイクによる24時間態勢での監視を行います。音声が発生する機器を敷地内へ持ち込むことは禁止され、SCP-375-JPの実験を行う場合は敷地内に入る職員はDクラス職員に限定してください。なお、敷地内になんらかの異常物が発見された場合、担当者に即刻連絡してください。 現在財団が保護しているSCP-375-JP-Aは財団によって運営されている収容用居住施設に住まわせ、体内にGPS発信機を埋め込み、財団の監視下に置かなければなりません。もしSCP-375-JP-Aが帰宅を試みようとした場合は即座に確保してください。施設内にはカウンセラーが1名以上待機し、必要な場合はSCP-375-JP-Aに対してカウンセリング、投薬等が許可されます。SCP-375-JP-Aに対する実験は現在凍結中です。 説明: SCP-375-JPは██県██市に存在するショッピングモール「█████」の敷地内で不定期に発生する迷子の呼び出しアナウンスです。SCP-375-JPは敷地内に存在する、音声を発生させ得るあらゆる媒体から発生する事が確認されています。SCP-375-JPは男性のものと思われるノイズ混じりの声で、「迷子のお呼びだしを申し上げます。[住所]にお住まいの[名前]さんが迷子です」といったような簡潔な内容で放送され、この時指名された人物(以降、SCP-375-JP-Aと指定)が異常性に暴露します。 SCP-375-JP-Aは「家に帰らなければならない」という強迫性の精神影響を受け、同時に自分の家に帰宅する試みが失敗するようになります。さらに帰宅過程においてどのような事態に陥ったとしても、SCP-375-JP-Aは決して死亡に至りません。これらの異常性を取り除く方法は見つかっていません。SCP-375-JP-Aとして指名される基準は店内に存在する人間であること以外に法則性は見つかっておらず、SCP-375-JP-AがSCP-375-JPを直接聞かなかったとしても異常性に曝露します。 SCP-375-JPは2010/8/██、「あるショッピングモールで奇妙な迷子の呼び出し放送がされた」という噂に着目した財団によって調査が開始、この呼び出しに指名された人物(SCP-375-JP-A-1)の捜索によって異常性が発覚しました。SCP-375-JP-A-1は発見時、極度の疲労と栄養失調、致死的な脱水症状であったにも関わらず、SCP-375-JP-A-1の家から60km離れた██山中の道路を歩いており、財団に保護された後のインタビューでは「家に帰れない」「帰り道がわからなくなった」といった内容を述べています。現在財団が保護しているSCP-375-JP-Aは7名です。 + 補遺1: SCP-375-JP暴露実験 記録抜粋 - テキストを隠す 実験記録375-JP-1 - 日付2010/9/█ 対象: D-71332 実施方法: D-71332に通信機を持たせ、SCP-375-JPの発生する敷地内へ侵入させる。事前にD-71332の戸籍上の名前と住所を変更しており、暴露後の様子を観察する。なお、敷地内のあらゆるスピーカーはあらかじめ撤去しており、以下の実験も同様である。 結果: 敷地内に入ってから5時間後にSCP-375-JPが通信機のスピーカーから発生し、D-71332が曝露する。その際のアナウンス内容は、D-71332の戸籍上の名前と住所では無く、D-71332の本名と財団に雇用される前に住んでいたアパートの住所が読み上げられた。 実験記録375-JP-2 - 日付2010/9/██ 対象: D-71340 実施方法: 「SCP-375-JPがコンセントを外したスピーカーから発生した」という証言を確認するため、D-71340をSCP-375-JPの発生する敷地内へ侵入させる。D-71340にはバッテリーを外した通信機、ジャック部分を切り取ったイヤホン、防犯ブザー、チャイム等の音声が発生する機器を所持させる。 結果: 敷地内に入ってから2時間40分後にD-71340が所持していた音声を発生させる機器全てからSCP-375-JPが発生した。防犯ブザー等のビープ音以外の音声を発せられない機器からもSCP-375-JPの発生が確認されている。 実験記録375-JP-4 - 日付2010/9/██ 対象: D-71365 実施方法: D-71365に通信機を持たせ、SCP-375-JPの発生する敷地内へ侵入させる。事前にD-71365に対して記憶処理を施しており、D-71365の名前と住んでいた場所の記憶を失っている。 結果: 敷地内に入ってから7分後にSCP-375-JPが通信機のスピーカーから発生する。その際のアナウンス内容は、D-71365の本名と財団に雇用される前に住んでいた住所だった。 実験記録375-JP-10 - 日付2010/11/██ 対象: D-71369 実施方法: D-71369をSCP-375-JPの発生する敷地内へ侵入させる。敷地内にスピーカーは持ちこまず、録画・録音の機能のみを持ちスピーカーを撤去したカメラを所持させ、この状況でSCP-375-JP発生の有無を観察する。 結果: 侵入から13分後、店内の二階にあるフードコートで身元不明の男子児童の死体らしき実体発見される。年齢は8~10歳程度と推測され、栄養失調とおぼしき特徴がみられる。前回実験の際にはこの実体は存在せず、さらに店内の監視カメラの死角に出現していた。D-71369が実体に近付こうとした瞬間、D-71369は敷地外に向かって走り出す。6分後、敷地外に出てきたD-71369を確保したところ、D-71369はSCP-375-JPに曝露していた。敷地内に設置したマイクからはSCP-375-JPの発生は確認できなかった。 現在のところ、今回の事例はSCP-375-JPの発生場所が確認できていない唯一の事例です。男子児童の遺体らしき実体などのイレギュラーな点が多く、さらなる調査が必要です。─██博士 実験記録375-JP-11 - 日付2010/11/██ 対象: D-71372 実施方法: D-71372をSCP-375-JPの発生する敷地内へ侵入させる。実験記録375-JP-10と同様に録画・録音の機能のみを持ち、スピーカーを撤去したカメラとマイクと遺体収納袋を所持させ、店内に設置したマイクの点検と交換に加えて設置数の増加、さらに可能であれば実験記録375-JP-10で発見された実体の確保を行う。 結果: 実体は消失していた。なお、元は雑貨店が存在した区画に「かえる」とマジックペンで書かれていた。いつ、誰が書いたものかは不明。SCP-375-JPは現在のところ発生しておらず、継続して滞在させ、経過を観察する。 2011/11/██ 追記: 1年間D-71372を滞在させたが、変化は一切見られない。D-71372が店内を捜索中に外側から敷地内に通信機を投げ入れたところ、SCP-375-JPが発生しD-71372が曝露する。異常性が消失していない事が確認された。 以降の実験でも、実験記録375-JP-10で発生した実体は確認されていません。 + 補遺2: SCP-375-JP-A帰宅実験 - 閉じる 実験記録375-JP-A-1 - 日付2010/9/█ 対象: SCP-375-JP-A-1 実施方法: SCP-375-JP-A-1を車で目的地に送る。運転はエージェント・若穂が担当。 結果: 運転開始から6分でカーナビが異なる方向を案内し始めたため、紙面の地図を用いて運転を再開。しかし目的地まで14kmの地点で車が原因不明のエンジン停止。別の車を使い帰宅を再開するも同様に原因不明のエンジン停止を起こす。実験中止。 報告: 実験担当者からは電車の利用の案も挙げられていますが、電車の使用も同様の事態になる可能性が高く、車両の破損や脱線による民間人への影響が懸念されるため、提案は却下されています。 実験記録375-JP-A-2 - 日付2010/9/██ 対象: SCP-375-JP-A-8(実験記録375-JP-1で暴露したD-71332) 実施方法: SCP-375-JP-Aの意識の有無が異常性に関係しているかを確認する。SCP-375-JP-A-8を薬品で熟睡状態にして車で目的地に送る。運転はエージェント・犀が担当。 結果: カーナビの混乱までは実験記録375-JP-A-1とほぼ同じ結果に終わる。なお、目的地まで16kmの地点で軽トラックの居眠り運転による追突事故が発生し実験中止。幸い怪我人はおらず、SCP-375-JP-A-8も無傷。 報告: 居眠り運転をしたトラックの運転手にインタビューしたところ、「普段はそんなことは無いのに、あの時だけ急に耐えきれないほど眠くなった」と述べています。これがSCP-375-JPの異常性に関係があるかは調査中です。 実験記録375-JP-A-3 - 日付2010/10/█ 対象: SCP-375-JP-A-3 実施方法: 車を使用せず、徒歩のみでSCP-375-JP-A-3を目的地まで送る。エージェント・犀をリーダーとした4名の職員が同行し、各種紙面による地図によって正確にナビゲートする。 結果: 実験開始直後からGPS発信機を除いた各電子機器が異常をきたす。その後は順調に進んでいたが、目的地まで5kmの地点でバスの信号無視による事故が発生し、エージェント2名が軽傷、1名が重傷を負ったことで実験中止。SCP-375-JP-A-3に怪我は無い。 報告: 事故を起こしたバスの運転手は死亡しており、同バスの添乗員は「信号は赤だったが、運転手に声をかける前に事故が起きた」と述べています。この事故による死者は運転手のみです。 SCP-375-JPは紙面の地図を書き換える能力は無いようだ。そういえばカーナビ自体も、案内がデタラメになるとはいえ地図そのものは変化していなかった。─エージェント・犀 実験記録375-JP-A-4 - 日付2010/10/██ 対象: SCP-375-JP-A-1,2,3,4 実施方法: SCP-375-JP-Aの住所を変更する。被験者の家族や家財を変更後の住所に移動させる、記憶処理および催眠誘導などで変更後の住所を自身の家と認識させるなど、幾つかのパターンを実行。 結果: SCP-375-JP-Aは家財や家族の有無などに関わらず、SCP-375-JP暴露前の住所に戻ることを希望した。また、記憶処理や催眠誘導にも効果は見られず。またSCP-375-JP-Aが帰宅を望む住所を土地ごと財団が買い上げる、家を取り壊すなどの状態であっても、暴露前の住所に戻ることを希望し、帰宅を試みようとした。 実験記録375-JP-A-5 - 日付2010/10/██ 対象: SCP-375-JP-A-8 実施方法: カバーストーリー「不発弾の撤去」によって交通整理・封鎖を行い、SCP-375-JP-A-8を目的地まで送る。不測の事態に備えて機動部隊を配備し、案内や誘導は機材を用いず煙や音、看板などを使用する。 結果: [データ削除] 報告: 当事案に対してはカバーストーリー「不発弾の爆発およびそれによるガスの発生」を適用済みです。この事案における重軽傷者は合わせて██名、死亡者は█名、行方不明者が1名1です。SCP-375-JP-A-8は両足を失い、致死量を超えた出血をしながらも目的地への移動を試みていましたが、機動隊員が担ぎ上げようと肩に手を触れた瞬間に生命活動を停止しました。以降のSCP-375-JP-Aの帰宅実験は凍結されました。実験再開の予定はありません。 + 補遺3: SCP-375-JP-A-1へのインタビュー記録 - 閉じる 対象: SCP-375-JP-A-1 インタビュアー: エージェント・若穂 付記: SCP-375-JP-A-1の保護直後、対象は極度の心身衰弱状態にあり、財団直轄の病院へ搬送されました。当インタビューは意識が回復した後に行われ、インタビューを円滑にするために対象を本名である「安曇野 █」と呼んでいます。 <録音開始, [2010/8/██]> エージェント・若穂: それではインタビューを始めます。それでは安曇野さん、よろしくお願いします。 SCP-375-JP-A-1: ああ、その、よろしく。それで……言っていいかな。 エージェント・若穂: どうぞ。ご希望があれば、可能な範囲で聞きますよ。 SCP-375-JP-A-1: 今すぐ退院させてくれ。家に帰りたいんだよ。 エージェント・若穂: それは……申し訳ありませんが、せめて一週間は入院した方がいいですよ。我々が発見した時には今にも倒れそうなほど衰弱してらっしゃったんですから。 SCP-375-JP-A-1: わかってる。でも、帰りたいんだよ。ここは落ち着かないんだ。なぁ、頼むよ。帰らせてくれよ。なんだかわかんないけど帰れないんだ。頼むよ。 エージェント・若穂: 帰れない? ご自身の住所はわかります、よね? SCP-375-JP-A-1: わかってるに決まってんだろ! ██県██市[編集済]! 自分の家を忘れるわけ、ない。 エージェント・若穂: それなのに帰れない? SCP-375-JP-A-1: 駄目だった。帰り道がわからないんだ。見覚えがあるはずなのに知らない景色で、右に曲がるつもりが左に曲がってて……信じられないよなぁ。車が壊れて、エンジン動かなくなって、タクシー拾ってもタクシーがおかしくなって、家に帰ろうとすればするほど、遠くなってるんだよ。家の屋根が見えたと思ったら、気付いたら山の中にいたんだ。嘘ついてると思うか? いや……信じられないよな。 エージェント・若穂: 信じます。大丈夫ですよ。 SCP-375-JP-A-1: そ、そうか? まぁ、どっちでもいいさ。ともかく早く、退院させてくれ。家に帰らなきゃ。 エージェント・若穂: まずは寝て、体力を取り戻していきましょう。それで……そうですね、帰れなくなった原因に心当たりなどはありませんか? 何か奇妙な体験があったとか、変なものを見たとか。 SCP-375-JP-A-1: 変なもの……いや、わからん。 エージェント・若穂: そうですか。では、どうして家に帰りたいのでしょうか。やっぱり安心できますか? SCP-375-JP-A-1: 当たり前だ! こうなって、はじめてわかったよ。人間が一番安心できる場所って、自分の家なんだよ。何十年と生きてきた場所じゃないと、夜も眠れないんだ。 エージェント・若穂: なるほど。やっぱり思い出とかたくさんあるでしょうし。 SCP-375-JP-A-1: ……思い出。そうだな。でも(8秒ほど沈黙)……そうだよ、思い出した。あいつ、あいつも帰れなくなったんだ。 エージェント・若穂: 安曇野さん? SCP-375-JP-A-1: 昔、俺が小学生だったくらいの……なんか今、急に思い出したんだ。友だち、いや友だちって言っていいのかわからないけど、そいつに言ったんだ。おまえんち火事になったとか、おまえの親がおまえのことを置いて引っ越したとか……なんでそんなこと言ったのかとか、そいつの名前、思い出せないけど、俺は、からかうつもりで、本当にそんなことに、なるなんて。 (約1分間、SCP-375-JP-A-1は沈黙) SCP-375-JP-A-1: あの時聞こえたのもあいつの声だった。思い出した。 エージェント・若穂: あの時? SCP-375-JP-A-1: あの時、メシ食うために█████(SCP-375-JPが発生するショッピングモール)に寄って、帰ろうかなって時に、変な……迷子の呼び出しみたいなのが流れたんだ。 エージェント・若穂: 内容を覚えていますか? SCP-375-JP-A-1: たしか、「[SCP-375-JP-A-1の住所]にお住まいの安曇野さんが迷子です」って感じだった。なんか妙な、変な放送だった。他の客とか店員とかも不思議に思ったみたいだけど、俺は気味が悪いな、くらいで……そのまま、帰ろうとして……家の場所が、わからなくなって…… エージェント・若穂: では、その放送の声が、その……? SCP-375-JP-A-1: いや、あの放送は妙に低い男の声だった。ただ、 エージェント・若穂: ただ? SCP-375-JP-A-1: 自動ドアが開いた時に、聞こえたんだ。「おまえが帰れない」って。確かにあれは、あいつの声だった。 <録音終了> 終了報告書: インタビュー終了後、SCP-375-JP-A-1は窓ガラスを割って病室からの脱出を試みましたが、ガラスを叩く音を聞きつけた職員に取り押さえられました。SCP-375-JP-A-1は現在、不眠を主とした、重度のうつの兆候が見られます。SCP-375-JP-A-1が聞いたという声に関しては不明です。 Footnotes 1. エージェント・犀の行方は現在も捜索中です。捜索は打ち切られ、エージェント・犀は死亡として扱われます。
scp-376-jp
評価: +20+–x アイテム番号: SCP-376-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-376-JPは現在サイト-81██の低脅威物品保管用ロッカーに保管されています。 実験を行う際は物品をすべて撤去した上で室内が無人であることを確認してから行ってください。 説明: SCP-376-JPは内部に音楽データが保存された1枚のCD-ROMです。CD-ROM自体はごく普通に市販されているものであり異常性は無い物と考えられます。SCP-376-JP内部には、何者かが演奏したルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンのピアノ曲「エリーゼのために」の一部分を録音した7分17秒の音楽データが保存されており、このデータの再生と共に異常性が発露します。 SCP-376-JPの再生を開始して32秒が経過すると周囲に人物がいた場合「何者かが慌しく走り回る音」や「暴れたり跳ね回っているような音」を知覚します。1 また、この物音の発生は周囲の人物の有無に関係なく発生することが録画記録によって判明しており、停止せずにそのまま再生を続けた場合再生に使用した機材周辺、あるいはスピーカー内から半透明の女性型の実体(SCP-376-JP-1)が出現します。SCP-376-JP-1は黄緑色のドレスに類似した衣装を纏った、20代後半と見られる女性型の実体であり、現在まで調査が続けられていますが身元は判明していません。 SCP-376-JP-1は物理的な干渉を行うことが可能であり、出現直後から何かを呟きながら周囲の人物や物品に対する激しい攻撃的な行動を取ることが確認されています。大抵の場合は物品を持ち上げて投げつける、引っかく、手で叩く、蹴り飛ばす等の原始的な方法で攻撃を行いますが、ごく稀にその場の物品を武器や防具として使用する例も報告されています。 SCP-376-JP-1はSCP-376-JPの再生を行う機器に対しては一切の破壊行動を行う事は無く、再生機器を停止する事によって消失します。 SCP-376-JPは200█/██/██、██県██市内の高等学校の生徒から「音楽室で外人が暴れている」という通報を受けた際に現場から発見されました。現場内では音楽担当の教諭が全身を強く打った状態で死亡しており、周囲が非常に荒らされた状態であったにも関わらず再生機材のみが無傷であった為に不審に思った捜査官がSCP-376-JPを再生した事によって異常性が確認され、警察当局より報告を受けたエージェントによって収容されました。 補遺1: SCP-376-JP-1の使用する言語が独語であると判明した為、独逸支部より輸入された日本語・独語の会話が可能なDクラス職員、D-36192-BD2を用いての間接的なインタビューが行われましたがその際に異常な言動、行動が確認されました。インタビューは実験棟第███号室にて物品を取り除いた状態で行われ、不測の事態に対応するために室外には警備スタッフ3名を配置していましたがインタビュー時には不明な理由で扉の開閉が不可能な状態であった事を併記しておきます。 + インタビュー記録 I-376-01 - インタビューは独語で行われた物を日本語に訳して表記しています。 対象: SCP-376-JP-1 インタビュアー: D-36192-BD 付記: インタビューはD-36192-BDの頭部に装着されたCCDカメラによって監視され、インカムによって研究員から指示が出されています。 <録音開始> D-36192-BD: インタビューを開始します。ええと、すいません。そこの貴方に伺いたい事があるのですが SCP-376-JP-1: [動きを止めてD-36192-BDを見る]彼は・・・ D-36192-BD: 私の言葉がわかりますか? SCP-376-JP-1: 私は、私は一体・・・彼、彼って? D-36192-BD: 落ち着いてください。まずはこちらについての説明を SCP-376-JP-1: [遮ってD-36192-BDへと掴みかかる]貴方は知ってるの!? D-36192-BD: ま、まって、落ち着、私は、どうしたら[インカムによって研究員に指示を仰ぐ。] SCP-376-JP-1: [D-36192-BDを拳で殴打しながら]誰?何?誰?彼?何なの!? D-36192-BD: [気を失った様子で動きを見せない。インカムからの質問にも応答せず。] [研究員からの指示を受け警備スタッフが入室を試みるがロックが解除されたにも関わらず扉は開かない。] SCP-376-JP-1: 私は誰なの!?エリーゼって誰なのよ!? [SCP-376-JP-1は消失、同時に扉が開き警備スタッフが室内に突入する。] <録音終了> 終了報告書: D-36192-BDは命に別状は無いものの、重度の全身打撲と数ヵ所の骨折が見られた為、本国へと送還されました。SCP-376-JP-1はこの事案以降発言する様子は見せず行動に変化は見られません。SCP-376-JP-1の見せた異常性質、発言内容から示唆される内容に伴い継続した身元の確認を行うと共に新たなDクラス職員を用いた更なるインタビューの承認を要請します。 脚注 1. 音は再生の度に変化しますがデータ内にこのような音は録音されていません。 2. 輸入されるに伴って日本支部のDクラス職員との差別化を図る為、限定的な特別管理コードを割り振っています。
scp-377-jp
評価: +58+–x アイテム番号: SCP-377-JP オブジェクトクラス: Euclid Neutralized 特別収容プロトコル: SCP-377-JP-Aはサイト-81██のアクリル製の専用ケースに収容し、全46枚をすべて24時間態勢で監視してください。またSCP-377-JP-Bの発生するエリアはカバーストーリー「自然保護調査」を適用、周囲1×1kmを封鎖し、部外者が立ち入らないよう職員を配置して下さい。またこの地点の上空周囲半径3kmの空域はカバーストーリー「磁場の影響」を適用し航空機の進入を完全に禁止して下さい。また、SCP-377-JP-Bの発生中はエリア内に一切立ち入らないようにしてください。 追記: 201█/10/██、SCP-377-JPの特異性は喪失したとの判断が下され(追記2参照)、オブジェクトクラスがNeutralizedに変更されましたが、上記該当地域及び空域の立ち入り禁止措置は引き続き継続してください。 説明: SCP-377-JPは葛飾北斎の作成した浮世絵である富嶽三十六景全作46枚からなるSCP-377-JP-Aと、山梨県█████の青木ヶ原樹海内に位置する北緯██度、東経███度の地点に存在する、数寄屋造りの建築物を中心とした直径約50mの範囲に発生する異常な現象であるSCP-377-JP-Bによって構成されています。 SCP-377-JP-Aは、通常非活性状態にあり、非活性状態では一般に広く知られている富嶽三十六景と差異はありませんが、不定期に活性状態になります。活性状態では、SCP-377-JP-A全46枚に描かれている富士山の内、アトランダムに1枚が噴火している状態に描写が変化します。そしてそれと同時に、様々な種類の異常現象であるSCP-377-JP-Bが発生します。またSCP-377-JP-Aの非活性化と同時に、SCP-377-JP-Bも消失することが確認されていますが、活性化から非活性化までの時間も様々で、一貫性がありません。 更に活性状態のSCP-377-JP-AとSCP-377-JP-Bの同時観測調査により、活性状態となるSCP-377-JP-Aの種類と、SCP-377-JP-Bの現象の種類は連動していることが確認されています。またSCP-377-JP-B消失後の現地環境調査の結果、中心の建築物とその周辺地域半径約50m内に自生または生息している動植物は、SCP-377-JP-Bによる損壊や劣化といった影響を全く受けない事が判明しています。 SCP-377-JPは、収容違反を起こしたSCP-███-JPの回収任務中であったエージェント・████が、SCP-377-JP-Bに遭遇し、更なる調査の結果、樹海の中に建築物を発見、内部の畳の上にSCP-377-JP-Aが綺麗に陳列されているのを見つけ、これを回収したものです。また調査によりSCP-377-JP-Aは贋作などではなく江戸時代後期に作成された本物の浮世絵であることが確認されています。 補遺1: SCP-377-JP事案調査記録(一部抜粋) + SCP-377-JP事案調査記録(一部抜粋)を閲覧する - 閲覧中… ※保存された変化後のSCP-377-JP-Aの画像を表示した場合に、SCP-377-JP-Bへ直接的な影響が出てしまう収容違反が発生したため、画像は変化前のものを掲載しています。また、完全な記録は「377-JP全調査記録」を参照してください。 日付199█/9/██ 変化したSCP-377-JP-A: 駿州江尻 発生したSCP-377-JP-B: 活性化から非活性化までの4時間12分の間に、最大風速64.8mを記録しました。 日付199█/7/██ 変化したSCP-377-JP-A: 礫川雪の旦 発生したSCP-377-JP-B: 活性化から非活性化までの22時間34分の間、気温が急激に低下し、最低気温摂氏-7.4度、9m17cmの積雪を記録しました。 収容違反記録: 後日、今回の活性化による変化後の状態のSCP-377-JP-Aを保存した画像を██研究員が自身のPCモニタ上に表示させた際、オリジナルのSCP-377-JP-Aに変化が現れていないにも関わらず、同様のSCP-377-JP-Bが発生したため、変化後のSCP-377-JP-Aの画像を保存することは禁止され、また今までに保存された映像データ、画像データは全て破棄されました。 日付199█/2/██ 変化したSCP-377-JP-A: 凱風快晴 発生したSCP-377-JP-B: 活性化から非活性化までの14時間27分の間、気温が急激に上昇し、最高気温摂氏41.5度を観測しました。 日付199█/8/██ 変化したSCP-377-JP-A: 山下白雨 発生したSCP-377-JP-B: 活性化から非活性化までの1時間8分の間に、114mmの雨量と76回の落雷を記録しました。この落雷による森林火災は一切確認されませんでした。 日付200█/10/██ 変化したSCP-377-JP-A: 神奈川沖波裏 発生したSCP-377-JP-B: 活性化直後から突如地下水が地表に約10mの高さまで噴出、SCP-377-JP-Bの発生するエリア一帯が水浸しになり、非活性化までの3分間で、約900万リットルの地下水が地表に噴出しました。 調査報告: 今まで気象現象のみだったSCP-377-JP-Bが、今回初めて地下水の噴出という気象とは直接関係のない現象が発生したため、残りの浮世絵に描かれた富士山が噴火した場合どのような現象を引き起こすのかを慎重に監視していく必要があると考えられます。 日付200█/4/██ 変化したSCP-377-JP-A: 甲州石班澤 発生したSCP-377-JP-B: 活性化直後から、エリア内上空に突如、鰍(学名:Cottus pollux)が出現し、非活性化までの26分間で、合計313匹の出現を記録しました。 調査報告: この浮世絵は、葛飾北斎が鰍(かじか)と石斑魚(いわな)を混同し、浮世絵には甲州石班澤と漢字で書かれていますが、読み方は「こうしゅうかじかざわ」となっている作品なので、この現象では漢字ではなく読み方のほうを優先したと推測されます。 日付200█/8/██ 変化したSCP-377-JP-A: 遠江山中 発生したSCP-377-JP-B: 活性化後、エリア内に目視や気象データ上の異常が見られず、Dクラス職員20人によるエリア内への立ち入り調査を行ったところ、突如3人のそれぞれ左腕、右足、左足が未知の力により切断され、他のDクラス職員全員にも裂傷が現れたため、調査を中止、直ちに全員を退避させました。非活性化までの時間は2時間15分でした。 調査報告: 非活性化後の調査の結果、腕や足を切断されたDクラス職員の切断面、そして他の職員に現れた裂傷は、鋸により切られた際にできる傷と非常によく似たものであることが判明しました。更に、エリア内には切断された栂(学名:Tsuga sieboldii)が1本、建築物のそばに置かれているのが発見されました。この事案により、影響を受けないのはエリア内に自生または生息している生物のみであり、活性化後、エリア外からの侵入者に対しては影響を与えることが判明し、その後、SCP-377-JPが起きた際にエリア内に立ち入ることは一切禁止とされました。 補遺2: 数寄屋造りの建築物を更に調査したところ、使用されている木材から、江戸時代後期に建築されたものであることが判明しています。また家具などは一切無く、SCP-377-JP-Aの他には、「不風流処也風流1 █████」と詳細不明の人物名が書かれた掛け軸のみが見つかっています。 追記1: 特殊事案記録 377-JP-1 + 特殊事案記録 377-JP-1を閲覧する - 閲覧中… 日付200█/10/██ 変化したSCP-377-JP-A: 諸人登山 変化の内容: この浮世絵は富士山頂付近を描いたものですが、今回は通常の変化と異なり、浮世絵全体が赤く発光しはじめ、またそれと同時にその他45枚全てのSCP-377-JP-Aも赤く発光をはじめ、変化消失後は46枚全てのSCP-377-JP-Aの浮世絵が描かれていた面が黒一色に変化しました。 発生したSCP-377-JP-B: 活性化から非活性化までの43分の間に、数寄屋造りの建築物を中心とした地点の地中からマグマが勢いよく噴出し、その後溶岩が最大で高さ6m、半径約50mに堆積し一帯を覆いつくしました。これにより今まで影響を受けなかった建築物や樹木は倒壊し完全に埋没してしまいました。その後の地質調査により、この一帯の地下にはマグマ溜まりは存在しないことが確認されたため、このマグマが元々地下のどこに存在していたのかは不明です。 調査報告: 溶岩が冷却固化した後の現地調査により、建築物が埋没している地点の上にチタン製の0.3×0.3×2mの四角柱の物体が立っているのが発見されました。物体には、「死亡通知 蒐集院研儀官 █████ 平成拾██年█月██日」と縦書きで刻印されていました。この名前は建築物内で発見された補遺2の掛け軸に書かれていた名前と同一のものであることが判明しました。 追記2: 201█/10/██ 上記追記1の特殊事案以降、10年以上SCP-377-JPの発生が確認されていないことから、SCP-377-JPの特異性は喪失したとの判断が下され、オブジェクトクラスの分類がNeutralizedに変更されました。 Footnotes 1. 現代語訳:風流ならざる処もまた風流
scp-378-jp
評価: +86+–x SCP-378-JP。複製物であるため異常性は示しません。 アイテム番号: SCP-378-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-378-JPは封筒に入れた状態でサイト-8181内の低危険物収容ロッカーにて保管されます。現在SCP-378-JPに関する実験は禁止されています。 説明: SCP-378-JPは、映画館内にて映画を鑑賞している一人の男性が写された一枚のモノクロの写真で、裏面には右下にかすれた日本語で"娘のために"と書かれています。撮影場所、男性の素性、撮影者、上映されている映画の特定には至っていません。また、SCP-378-JPを複製したものは異常性を示さないことが判明しています。 SCP-378-JPを視認した人間(以降SCP-378-JP-1と呼称)の視界は瞬時に一般的に"シネマスコープ"と呼称されるアスペクト比12.35:1の長方形となり、上下に黒い帯が発生します。そして同時にSCP-378-JP-1は遠近感と色彩感覚を喪失します。以降声や文字2をSCP-378-JP-1が耳にしたり目にした場合、SCP-378-JP-1の母語で下の黒帯内に字幕3が付与されるようになります。 また、SCP-378-JP-1となった人間は恒常的に"映写機のような"と形容される音を聞くようになります。音それ自体に異常性はありませんが、しばしばSCP-378-JP-1に睡眠障害や精神異常をもたらします。なお、SCP-378-JP-1となった人間を正常な状態に戻す試みは全て失敗に終わっています。 実験記録378-JP-001 - 20██/██/██ 対象: D-4806 実施方法: SCP-378-JPを目視させる。 結果: 問題なく異常性が発揮された。 実験記録378-JP-002 - 20██/██/██ 対象: D-4806 実施方法: 日本語で話しかける。対象の母語は日本語である。 結果: 対象は簡単な漢字と平仮名を交えた日本語で字幕が現れたと報告。 分析: 音声は字幕の対象のようだ。 -██博士 実験記録378-JP-003 - 20██/██/██ 対象: D-4806 実施方法: 常用漢字でない漢字を含む日本語の文章を読ませる。 結果: 対象は与えられた文章そのままに字幕が現れたと報告。また、読めない漢字にはふりがなが振ってあったとも報告。 分析: 難しい漢字にはふりがなを振ってくれるようだ。 -██博士 実験記録378-JP-004 - 20██/██/██ 対象: D-4806 実施方法: 劣化の激しい音声記録を聞かせる。音声記録には日本語による会話が収録されていることは分かっているが、事前の試験では実験関係者は全員聞き取ることが出来なかった。 結果: 対象は字幕が現れなかったと報告。 分析: 聞き取れないものは字幕の対象にならないのだろう。 -██博士 付記: 実験後対象の心的疲労を鑑みて新たなDクラス職員を用いた実験が提案されましたが、D-4806の強い要請により継続して実験が行われることになりました。 実験記録378-JP-006 - 20██/██/██ 対象: D-4806 実施方法: 英語の音声を聞かせる。対象は英語に関する技能を持ち合わせていません。 結果: 対象は日本語で字幕が現れたと報告。 分析: もしかしたら翻訳に役立つかもしれない。しかし対象はどうして続投を名乗り出たのだろうか。未知の異常性の存在も視野に入れて更なる調査を行わなければならないだろう。 -██博士 実験記録378-JP-007 - 20██/██/██ 対象: D-4806 実施方法: 中国語、スペイン語、ロシア語、フランス語、イタリア語でそれぞれ同じ内容が書かれた文章を読ませる。対象はこれらの言語に関する技能を持ち合わせていません。 結果: 対象は日本語で字幕が現れたと報告。 分析: 翻訳は様々な言語に対応しているようだ。対象が理解できなくても、意味を持った文章であるなら何でも翻訳してくれるのかもしれない。 -██博士 実験記録378-JP-008 - 20██/██/██ 対象: D-4806 実施方法: ヒエログリフ4で書かれた文章を読ませる。 結果: 対象は日本語で字幕が現れたと報告。 分析: 古代文字も大丈夫なようだ。もしかすると解読されていないものもいけるのだろうか。 -██博士 実験記録378-JP-009 - 20██/██/██ 対象: D-4806 実施方法: キュプロ・ミノア文字5が記された粘土板のコピーを読ませる。また、筆記具で字幕を書き取るよう指示。 結果: 対象は日本語で完全な字幕が現れたと報告。翻訳された日本語の文章を書き取る。その内容は[編集済]。 分析: 翻訳どころか解読器に相当する機能を発揮している。SCP-378-JPの有用性を計る実験をもう少し重ねたい。 -██博士 実験記録378-JP-010 - 20██/██/██ 対象: D-4806 実施方法: ポリュビオスの暗号表6に基づいて暗号化された数字列を読ませる。筆記具で字幕を書き取るよう指示。 結果: 対象は字幕が現れなかったと報告し、"数学は苦手だ。あの子も眠そうだ"という趣旨の発言を行う。 分析: 何らかの言語であると認識できなければ駄目なのだろう。それより対象の言った"あの子"とは誰だろうか。調査の必要がありそうだ。 -██博士 実験記録378-JP-011 - 20██/██/██ 対象: D-4806 実施方法: インダス文字7が書かれた印象の写真を読ませる。筆記具で字幕を書き取るよう指示。 結果: 対象は日本語で完全な字幕が現れたと報告。翻訳された日本語の文章を書き取る。その内容は[編集済]。 分析: 十分に解読器の機能を果たしていると見える。 -██博士 実験記録378-JP-013 - 20██/██/██ 対象: D-4806 実施方法: [データ削除]のコピーを読ませる。対象には事前に文章が記されていると伝える。筆記具で字幕を書き取るよう指示。 結果: 対象は問題なくコピーを読み進めたが、2分経過した時点で突如昏睡状態に陥った。実験は中止され、対象は収容房へと戻された。医療班による検査では対象に異常は見当たらなかった。なお書き留められた翻訳文に異常性は見られなかった。 分析: 対象の精神疲労がピークに到達したのかもしれない。新しいDクラス職員の使用を再検討すべきだろう。 -██博士 インタビュー記録378-JP-004 - 20██/██/██ 対象: D-4806 インタビュアー: ██博士 付記: 実験記録378-JP-010の翌日に行われました。 <録音開始> ██博士: おはよう、D-4806。 D-4806: 博士、俺は静かなところでしか眠れない体質なんだよ。 ██博士: 我々も何とか治す方法を探しているのだ。今少し実験に付き合ってはくれないか。 D-4806: [6秒間沈黙]別に治してくれなくたって構わないさ。 ██博士: どうして? D-4806: そりゃあ四六時中耳ん中はガラガラうるさいし、世界は白黒で1枚になってしまったさ。 D-4806: だけど……"あの子"の為と思ったら何だか悪い気はしないんだよ。 ██博士: "あの子"とは? D-4806: ああ、すまんな。実際に見てもいないのにな。ただ俺の"映画"を見ている子が居るような気がするんだ。 ██博士: 詳しく説明出来るか。 D-4806: 詳しくって言っても今言ったまんまだ。俺のこの"映画"を見てくれている子の存在を感じるんだ…… D-4806: 俺が面白いものを見たとき、その子は笑っていたし、俺があの暗号表を見たときはとても眠そうにしていた……いや、そんな気がしたんだ。 D-4806: 俺が寝るときだって、"今日のは面白かった~"とか、"良く分かんなかった"とか。たまに拍手もしてくれるぜ。いや、気がするぜ。 ██博士: だが見たことはない。だね? D-4806: でも確かな気がする。あ、ほら、今あんたに手を振ってる。"私はここに居るよ~"って。そんな気がする。 ██博士: 分かった。一応記録には入れておくことにする。 D-4806: ああ、そうだ。 ██博士: 何だ? D-4806: この前、この子が"青い空が見たい"って、呟いてたんだ。 ██博士: [3秒間沈黙] D-4806: 治すのは構わないが、その前に、色を付ける方法を考えてくれないか。 ██博士: 分かった。検討しよう。 D-4806: ありがとよ。この子も"ありがとう"って言ってるぜ。礼儀正しい奴だ。 <録音終了> 終了報告書: 擬似色覚補正レンズの支給を要請する。 -██博士 許可する。異常性の解明に役立てること。 -サイト-8181管理責任者 付記: 後日、擬似色覚補正レンズがD-4806に支給されましたが、色彩の回復は報告されませんでした。以降D-4806に鬱病の徴候が見られ始めました。 事件記録378-JP: 実験記録378-JP-013の2日後、D-4806が収容房から消失しました。監視カメラの映像には、突如覚醒したD-4806が擬似色覚補正レンズを用いて収容房の壁面に何かを書くような素振りを見せ、その後瞬時に消失する姿が捉えられていました。壁面には以下の文章が書き記されていました。 あの子が よんでる あの子のえがおを 見たい でもおれだけじゃ 足りないそうだ だからつれていく すまない D-4806の消失後には一枚の写真(この写真をSCP-378-JP-2と呼称)が残されており、駆けつけたエージェント・██がSCP-378-JPの視認時と同様の異常を発現しました。SCP-378-JP-2には、全面白色の窓の無い部屋の中で映画を鑑賞する1人の少女と5人の男性、3人の女性が写されていました。またSCP-378-JP-2の裏面には黒の文字で以下の文章が書かれていました。 おとうさん えいがおもしろかったです いまはおにいさんやおねえさんたちといっしょです またあたらしいえいががはじまるみたい SCP-378-JP-2はSCP-378-JPと同様の手順で収容されました。 補遺-1: 事件後、██博士がD-4806と同様に消失し、またD-4806の両親の行方が分からなくなっていることが判明しました。SCP-378-JP-2に写されている人物が██博士とD-4806、D-4806の両親に酷似しているという報告がなされましたが、被写体の特定には至っていません。以降SCP-378-JPに関する実験は中止されました。 SCP-378-JPが全てのオリジナルではないという可能性もある。慎重に調査を進めなければ。 -███博士 補遺-2: 20██/██/██、SCP-378-JP-2の裏面に新たな文章が出現していることが明らかになりました。出現した文章は以下の通りです。 えいが まだ? 脚注 1. 矩形における長辺と短辺の比率。 2. SCP-378-JP-1が、言語によるものと認識できるもの。母語に限らない。 3. 日本語の場合、稀にふりがなが付与される。 4. 古代エジプトで使われた象形文字。 5. 紀元前15世紀から12世紀ごろ、ミノア文明時代のキプロスで使われた音節文字。解読は単語程度に留まっている。 6. 古代ギリシアの歴史家、ポリュビオスによって発明された換字式暗号の一種。 7. 紀元前2600年-紀元前1900年にインダス文明の中心都市で用いられた象形文字。
scp-379-jp
評価: +160+–x アイテム番号: SCP-379-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-379-JP、-a、-bはサイト-8102にてそれぞれ別のパスワード付きの高耐久ロッカーに保管し、常時監視カメラで監視してください。実験を行う場合はセキュリティレベル3以上の職員の許可を取ってください。運搬する際は2人以上で慎重に運んでください。現在SCP-379-JPの実験は停止されています。 回収時のSCP-379-JP 説明: SCP-379-JPは右に行くに従って模様が上がる、いわゆる「Z巻き」と呼ばれる型のキャスター付きサインポールです。SCP-379-JPは電源に接続されていないにも関わらず常に作動しています。また未知の工学的技術による高度な耐久性を示しており、分解、破壊する事はおそらく困難です。ただしガラスカバーには異常性は無く、問題無く取り外す事ができます。 SCP-379-JPの内部のモーター部分における上底と下底には存在しないはずの空間が開いており、SCP-379-JPの回転筒は回りつつ上底の空間に向かい延々と上昇し続けます。空間は現世界、別世界に関わらず別の同じ異常性を示すサインポールに通じていると考えられ、捜索の結果、現在3台のSCP-379-JPを収容しています。 補遺: 発見経緯について SCP-379-JPは、小学生の「あのグルグルは上まで行ったらまた下から出てくる」といった趣旨の会話を、当時工事現場で潜入調査していたエージェント・小畑が偶然耳にし、該当オブジェクトを調査したところ異常性を発見し、収容されました。SCP-379-JPは当時、三重県██市にある美容室「██████」で使用されており、同機種の故障の多発による自主回収を名目に回収しました。会話をしていた小学生2人に事情聴取したところSCP-379-JPの異常性については認知しておらず、一方の小学生の推測にすぎなかった事が確認されました。 + 200█/03/10 SCP-379-JP探査記録1 - 閉じる 200█/03/10 SCP-379-JP探査記録1 上底、下底の空間口はともに僅かな隙間しかないため、回転筒に小型の映像通信記録装置を貼り付け、上昇した先の空間の探査が試みられました。装置が次の空間に移動するまでの時間は平均して4.5秒です。また、視点が回転している為多くは不明瞭な記録になります。 探査記録1-1 子供が数人周りを走り回っている。ヤシの木と砂丘が遠くに視認出来、白い木製の建造物が側にある。砂丘は海の様に常に波打っている。子供の1人の背中に用途不明の突起物が2本確認できる。 備考:我々の宇宙とは別の宇宙、もしくは別世界に通じている可能性がある。-白波瀬博士 探査記録1-2 ガラスカバーが緑色の粘液に覆われており、小さな手足を持つ球状の物体が空中に浮いているのが微かに確認できる。 探査記録1-8 商店が立ち並んでおり、人が歩いてるのを見下ろすことが出来る。外見からは人類と差異は見られない。近くの店の看板に「██印鑑」という文字が確認出来る。 備考:映像中の場所の特定を試みた所、岡山県██市に存在する商店街だと特定されました。問題無く新たな壁掛け式のSCP-379-JPを収容しました。この他にも探査記録からアメリカ████州でのSCP-379-JPの存在も確認され、回収しました。(それぞれSCP-379-JP-a、-bと指定) 探査記録1-9 暗く確認し辛いが深海だと思われる。丸い物体が分裂と発光を繰り返している。形はクンショウモに酷似しているが、肉眼で確認できる程度の大きさ。すぐ側には建造物の存在が確認できるが、暗い為詳細は不明。 探査記録1-12 コンクリート製と見られる壁に囲まれた部屋に大量のサインポールが敷き詰められている。ガラスカバーは取り外されており、周りのサインポールも同様の状態で作動し続けている。[編集済]。ドアは視界上には確認出来ない。 備考:これ以降の探査で合計7回、それぞれ別のサインポールに通じる形で同一の空間を映像通信記録装置が通過した。SCP-379-JPは意図的に製造された人工物と見られる。-白波瀬博士 探査記録1-34 カバーガラスに所々穴が空いている。肉壁に囲まれた空間を様々な物(木、石、象の死体、はさみ、テレビ、ペットボトル、人間の死体、等)が満たしている。肉壁は脈動しており、壁に空いた穴から次々と前述の物品類が排出されているのを確認できる。 探査記録1-35 映像が横倒しになっている。茶色がかった肌の口の無い人型生物がガラスカバーにへばり付きこちらを凝視している。その生物の背後には古い納屋と青空が見える。生物に動きは確認できなかったが、次の空間に移動する直前に突然装置からの通信が途絶える。 備考:SCP-379-JPの空間口は電波を問題無く通すようだ。最後に通信が途絶えた原因は電波が距離的に届かなくなったからなのか、それともあの人型生物の影響なのか。設備を整えた上で再び実験を行うことにする。-白波瀬博士 + 200█/03/15 SCP-379-JP探査記録2 - 閉じる 200█/03/15 SCP-379-JP探査記録2 前回と比べて、より強い電波を発する映像通信記録装置を使用しました。      探査記録2-1~34      前回の探査記録と同じ空間と状況 探査記録2-35 前回の探査で確認した人型生物は視界には存在しない。木に囲まれた開けた場所に古い納屋と青い空が確認できる。前回の探査記録と同一の空間かは不明。問題無く次の空間に移動した。 探査記録2-39 探査記録1-35で確認した人型生物を再び確認。前回と同様にガラスカバーにへばり付きこちらを凝視している。背後には高いビルが立ち並んでいる。白いスーツを身にまとった様々な犬種の犬が十匹以上見える。人型生物に向かい吠える、噛みつくなど敵意をむき出しにしている。次の空間に移動する直前に突然装置からの通信が途絶える。 備考:探査記録35の空間と探査記録39の空間は同一の宇宙、もしくは世界という事だろうか。嫌な予感がするが実験を続ける。今後あの人型生物をSCP-379-JP-1と呼称する。-白波瀬博士 + 200█/03/16 SCP-379-JP探査記録3 - 閉じる 200█/03/16 SCP-379-JP探査記録3 前回と同様の映像通信記録装置を使用しました。      探査記録3-1~38      前回の探査記録と同じ空間と状況 探査記録3-39 SCP-379-JP-1は確認できない。大きく損傷したビルの前に赤いスーツを着た犬が大量に倒れている。どれも死亡しているように見える。問題無く次の空間に移動した。 探査記録3-47 SCP-379-JP-1を確認。ガラスカバーにへばり付きこちらを凝視している。空間は乳白色の半液状の物体に満たされており野菜(人参、じゃが芋、玉ねぎ、ブロッコリー)と肉の小片が大量に浮いている。次の空間に移動する直前に突然装置からの通信が途絶える。 備考:しばらくシチューは食べる気にはならないと思う。あくまで推測だがやはりSCP-379-JP-1はサインポールを通じて空間を移動している。理屈は分からないが、理屈を期待するのも無駄だろう。再び実験を行う。-白波瀬博士 + SCP-379-JP事件記録 - 閉じる 200█/03/17、SCP-379-JPの下底の空間から出てきた回転筒に何らかの機器が張り付いており、回収されました。調査の結果それはSCP-379-JP探査記録1で使用された映像通信記録装置と判明しました。内部の部品が熱によって融解しており映像記録の復元は不可能でした。装置は茶色の汚れに覆われており、その汚れを解析したところ、人間の皮膚の死細胞1に酷似した物質だと判明しました。 SCP-379-JP探査記録2とSCP-379-JP探査記録3で使用された装置もそれぞれ200█/03/22、200█/03/23に、同様の状態でSCP-379-JPの下底の空間から現れ、回収されました。 SCP-379-JPの探査実験は停止する。-白波瀬博士 補遺379 201█/██/██現在、SCP-379-JPのオブジェクトクラスをEuclidへ引き上げるかの協議がなされています。 Footnotes 1. 垢
scp-380-jp
評価: +37+–x SCP-380-JPの外観 アイテム番号: SCP-380-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-380-JPは、サイト-8181に設置された低脅威度物品収容ロッカーに保管されます。このうち、SCP-380-JP-1から一度取り出されたSCP-380-JP-2は、異なる性質ごとに真空状態を保ち、SCP-380-JP-1と別のロッカーに保存して下さい。SCP-380-JP-3は含有されている物質に応じて適切な処理を施し処分して下さい。 説明: SCP-380-JPは、█████社から発売された茶葉の入った缶と一致しており、中には茶葉が250g入っています。 外装であるSCP-380-JP-1は「狭山茶」と書かれたラベルと、内容物である茶葉に関する一般的な説明がされたシールが貼られている、外見的には特に異常性の見受けられないアルミ製の缶です。また、内容物は成分検査の結果では異常は見られず、SCP-380-JP-1から確認されている全ての茶葉は通常のそれとなんら変わりありませんでした。この内容物をSCP-380-JP-2に指定します。 SCP-380-JPの特異な点は、SCP-380-JP-1の蓋を開けた人間が法を犯したことがあるか、また、その時の内容はなんだったのかによってSCP-380-JP-2で濾し取った「茶」の性質が変化するというものです(以降この茶をSCP-380-JP-3とします)。 SCP-380-JP-3は、SCP-380-JP-1を開けた人間の、日本国で定められている法律上の違反が悪質であればあるほど、人体に有害な物質になっていくと推測されます。現在、SCP-380-JP-3からは11種類の科学物質が発見されています。法を犯していない人間であれば、SCP-380-JP-1に記載されたとおりの、無害なSCP-380-JP-3が濾されます。性質の変化は、「缶の蓋を開けたその瞬間」に確定する、と判明しています。 + 表・SCP-380-JP-3から発見された化学物質 - 閉じる 物質名 症状 罪状 塩化水素 呼吸困難になり、肺水腫が発生 痴漢、強姦 酸化ヒ素 心臓麻痺を起こし死亡 殺人未遂 カドミウム 頭痛、目眩、加えて肺気腫が発生 詐欺 シアン化カリウム 大脳などの運動が停止、昏睡状態を経て死亡 殺人 フェノール 中枢神経に後続的な障害 暴行 アニリン メトヘモグロビン血症が起こり、昏睡 窃盗 バリウム塩 上肢、頸部の筋肉の麻痺 危険薬物の乱用 ジクロロベンゼン 頭痛 公道の不法占拠 塩化水銀 消化管炎に始まり吐血、末梢循環不全を起こす 公務執行妨害 酸化ホウ素 粘膜出血の後に昏睡 重度の器物損壊 炭酸マグネシウム 下痢 不法滞在 SCP-380-JPのフタを閉めると、SCP-380-JP-2の性質の変化はリセットされ、次に開けた人間の経歴によって決定されます。 SCP-380-JP-1からSCP-380-JP-2を取り出して蓋を閉めた場合、再び蓋を開けると250gになるように未知の手段でSCP-380-JP-2が補充されています。また、取り出したSCP-380-JP-2や他の物質をSCP-380-JP-1に入れ、蓋を閉めもう一度開けた際には、性質の統一されたSCP-380-JP-2で250gに満たされています。この際、余剰分としてSCP-380-JP-1に入れ、消失した物質の追跡をGPSなどで幾度か試みましたが、全て失敗しました。 これに対し、SCP-380-JP-1から取り出されたSCP-380-JP-2は取り出された時の性質を保ち、濃さなども変わらずに、半永久的にSCP-380-JP-3を濾し続けることができます。 これらの特性により、█回の実験などで、████gのSCP-380-JP-2が収容されています。 SCP-380-JPは20██年に埼玉県の民家で発見されました。SCP-380-JP-3を飲んだ6人が同一の体調不良を訴え、47歳の男性と21歳の女性が死亡しました。埼玉県警が食中毒の可能性を捜査する過程でSCP-380-JPに行き着き、エージェントを介して財団に収容されました。この事件の捜査の関係者、及び死亡しなかった当事者4名にはクラスBの記憶処理がなされ、カバーストーリーとして「シメサバによる集団食中毒」が用いられました。 SCP-380-JP-3を淹れる際にSCP-380-JP-1を開けた43歳の女性は窃盗の常習犯で、█回の任意同行を経て█万円の罰金を支払っていた他、裁判では暴行罪での敗訴記録が残っています。 補遺1: 同一時期に█████社から販売されたSCP-380-JPと同じ商品を回収したところ、特異点を持つ物はSCP-380-JPのみでした。いつ、どこで能力をこの缶、茶葉が得たのかは現時点では不明です。 補遺2: SCP-380-JP-3を飲み干した人間は全員、SCP-380-JP-3を淹れた容器の底に以下のメッセージを認識します。しかし、飲んでいない、または飲み干さなかった人間には認識することはできません。 What is the crime you violated?
scp-381-jp
評価: +74+–x アイテム番号: SCP-381-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-381-JPはサイト-81██の標準人型収容セルに収容します。収容手順は標準人型オブジェクト用プロトコルに従うほか、食事面で甲殻類アレルギーに配慮してください。月に1度、オブジェクトの鬱症状に対する精神科医の診察が行われますが、担当医はあくまで診察に留め、独断で治療行為を行わないよう注意してください。 説明: SCP-381-JPは199█年に東京都で出生したとされる日本人男性です。オブジェクトは収容以前に民間人から受けた複数回の暴行により、██ヶ所に渡って傷害の痕跡があります。左目は失明しており、右足に若干の歩行障害を残しています。 SCP-381-JPの異常性は、何らかの負傷・疾病もしくは死亡状態にある生物(以下「対象者」)1をオブジェクトが直接視認している状態で、異常性の発揮を望むことによって発現します。この行為によってオブジェクト及び対象者の斜め上方に、オブジェクトと向かい合う形でSCP-381-JP-1実体が出現します。 SCP-381-JP-1は多くの職員に「仏像のような」と形容される容姿の、目視による測定では身長約182cmの人型実体です(SCP-381-JPは「神様」と呼んでいます)。財団の美術史学者の観察によれば、平安時代末期の日本で製作されていたタイプの仏像に酷似しており、外見による性別の推定は困難です。また笑顔とも冷淡とも判別しがたい表情をしていますが、この特徴は同時代の仏像の顔貌に広くみられるものです。SCP-381-JP出現時の写真による判定では、48%の職員が「笑顔」、52%が「冷淡な表情」に見えるとコメントしました。 SCP-381-JP-1とは音声による会話が可能ですが、常にSCP-381-JPとのみ会話を行い、第三者によるコミュニケーションの試みには一切反応を返しません。ただしSCP-381-JPに対して発せられたSCP-381-JP-1の発言を、第三者が聞き取ることは容易です。 SCP-381-JP-1が出現すると、SCP-381-JPは対象者を健康な状態に回復してくれるようSCP-381-JP-1に対して懇願します。それに後続する現象は、パターンA・Bに大別されます。 パターンAは、SCP-381-JPの懇願に対してSCP-381-JP-1が頷く動作をした場合です。対象者は未知の過程を経て瞬時に回復します。この過程が財団収容下における管理された実験状態で発生したことはありません。しかしオブジェクト収容以前に民間人によって撮影された記録及び彼らの証言から、パターンAが過去確かに発生していたことが確認されています。 パターンBは、SCP-381-JP-1がSCP-381-JPに対して首を左右に振る動作をした場合です。対象者の回復現象は起こりません。その後SCP-381-JP-1は、SCP-381-JPの懇願を聞き入れなかった理由を口述します。要旨は、SCP-381-JPが異常性を発揮しようとした動機が、純粋に対象者のためを思う真の利他性から出たものでなく、何らかの利己的動機を含んでいたという指摘です。 パターンA・Bいずれの場合であっても完了後にSCP-381-JP-1実体は消失します。ただし、財団収容下におけるSCP-381-JP-1出現実験は全てパターンBの結果に終わっています。 SCP-381-JPは、その父親がオブジェクトの特性に着目して創設した新興宗教団体において、信者から「救いの神」「救世主」「生き神様」「神の子」「救い主様」といった通称で呼ばれており、█歳頃から最低でも██回にわたりパターンA事象を発生させていたと思われます。 しかしながら記録によれば、オブジェクトが██歳になる頃からパターンAが出現する確率は顕著に低下していき、██歳頃には全ての異常現象がパターンBに置き換わるようになりました。このため父親をはじめ教団関係者はオブジェクトに失望し、執拗な虐待を繰り返しました。 201█年、報道を通してオブジェクトの異常性を察知した財団は、カバーストーリー「心霊治療詐欺」を適用して教団を解散に追い込みました。他の幹部と共に警察に逮捕された「救いの神」は、Dクラス雇用手続を通して財団に回収された後、Euclidクラス指定を受けました。 SCP-381-JPは過去の体験から、SCP-381-JP-1を出現させる試行を行うことに抵抗感を抱いていますが、職員の指示には従順です。 実験ログ 日時:201█年█月█日 実験者:██博士 実験場所:サイト-81██標準実験室 実験内容:終了済Dクラス職員の死体1体を用意し、SCP-381-JPに復活させるよう指示。 実験結果:パターンB。SCP-381-JP-1は、復活できないと非難されるのではというSCP-381-JPの心配を利己心として指摘した。直後、SCP-381-JPは██博士に向かって土下座をして謝罪した。以下はその会話記録。 SCP-381-JP:すみません!すみません! ██博士:どうしたのかね? SCP-381-JP:(泣きながら)すいません!……オ、オレ、俺が、余計な事考えたから、あなたの大切な人を、生き返らせれなくて…… ██博士:待ちなさい。大切な人とはこの死体のことかね。これは単に君の特異性を確認する実験のために持ち込んだものだ。私は生前のこれと面識はないし、生き返らなかったからといって君を責めるつもりはないよ。 SCP-381-JP:(土下座したまま、博士の表情を盗み見るように顔を上げるが、再び落とす)すみません。 ██博士:そう謝ってばかりいなくてもいいよ。 SCP-381-JP:でも、実験を失敗させてしまって……。 ██博士:実験は失敗ではない。できなかったという事を確認できた、それも科学では重要なことなんだ。 SCP-381-JP:ごめんなさい……。 インタビューログ 日時:201█年██月██日 ██博士:█谷██美さんの頸髄損傷を治そうとした時のことを教えて欲しいんだが。 SCP-381-JP:(驚いた表情で博士を見つめる) ██博士:君が中学時代に治そうとした同級生のことだ。 SCP-381-JP:(俯き、涙を流し始める) ██博士:落ち着いたらでいいから話して欲しい。 SCP-381-JP:……█谷さんは、電車の事故で…首を怪我して、体のほとんどが動かせなくなったんです。 ██博士:彼女は、君ともそれ以前から仲が良かったんだよね? SCP-381-JP:はい。彼女のお父さんとお母さんが、車椅子を押してきて……病院でも治らない、もう神様にすがるしかないって言われました。 ██博士:その神様とは、私達がSCP-381-JP-1と呼んでいる存在のことだね? SCP-381-JP:(うなずいて)俺、本当に█谷さんに元気になってほしかったんです。それで手を握って「絶対助けてあげる」って約束して、神様を呼んで、やく、約束したのに……(嗚咽)。 ██博士:だがSCP-381-JP-1は拒否した? それは何故か言ったかね? SCP-381-JP:神様は、俺が本当にその人のためを思ってないからって……治したら、█谷さんが俺のことを、好きになってくれるかもしれないと思ってるって……(声を上げて泣き始める)。 ██博士:続けて。 SCP-381-JP:█谷さんは泣き出して……お母さんが俺に掴みかかって、「どうして!どうして!!」って泣き喚いて、俺を床に引き倒したんです……それから俺の顔を、彼女のお父さんが蹴ったんです。「このエロガキが!」って怒鳴られて、何度も、何度も蹴られて……。 ██博士:それが、左目を失明した原因なんだね。 SCP-381-JP:……はい。 ██博士:インタビューを終了します。 補遺1: オブジェクトに対する精神治療の可否について、研究者間では意見の対立が見られます。 -「SCP-381-JPは自己収容に近い状態にあります。彼の鬱症状の原因になっている虐待と罪悪感の記憶は、異常現象をパターンBに留めるのに役立っているからです。すなわちオブジェクトは虐待の過去ゆえに、パターンA発生を成功させて虐待を免れたいという『利己心』を強く持たざるをえず、それゆえにパターンAは抑制されているのです。 憂慮すべきは、財団収容下においては虐待が行われていないことです。パターンA発生に失敗しても誰にも責められないという体験が繰り返されることは、自己収容性質を弱めるおそれがあります。SCP-381-JPには意図して短気な研究者をあてがい、パターンA発生を強要するように指示すべきだと考えます。オブジェクトの恐怖心と鬱症状は維持されるべきです。」(█研究員) -「現在の収容方法がSCP-381-JP-1の思う壺でないか、疑ってみるがいい。あの仏像もどきの言葉が本心である保証はどこにもない。奴の能力が治療や死者の蘇生だけに限られるのかどうかも、誰一人確かめたわけでもない。単にSCP-381-JPはそれしか願ったことがないというだけだ。SCP-381-JP-1は実際には、SCP-381-JPの利他心などどうでもよいのかもしれない。もし奴に悪意があり、その真の能力が『SCP-381-JPが望んでいる』ことを条件に発動できる強力な現実改変だとしたら? SCP-381-JP-1は、SCP-381-JPを苦悩に満ちた状態に置き続けることで、いずれ彼が世界を呪うようになるのを待っているのではないのか? 君達は思い出すべきだ。奴に最も似ているという仏像が作られていた平安後期が、末法思想が一種の終末論として流行していた時代だということを。」(██博士) 補遺2: SCP-381-JP-1の表情についての参考写真を、パターンBにおける「拒絶」反応の瞬間の写真に変更したところ、72%の職員が「笑っているように見える」と回答しました。 ██博士の推測については検討中ですが、現時点では収容状態継続のため、オブジェクトへの精神治療は保留されています。 Footnotes 1. ヒト以外の対象者実例は、2体のイエイヌと1体のセキセイインコのみが知られています。
scp-382-jp
評価: +40+–x アイテム番号: SCP-382-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-382-JP-1サンプル類は、サイト-8122の低危険性物体保管ユニットの収容ロッカーに中性紙保存箱内に収め、調湿紙と共に収容されます。毎年出現するSCP-382-JP-1は回収プロトコル“18█ページ目の削除”を実施し、該当教科書は新品の状態に偽装してください。回収されたSCP-382-JP-1は保管サンプルを除き、焼却処分してください。 説明: SCP-382-JPは年に一度、3月15日を迎えた瞬間、小学█年生の文部科学省検定済教科書(理科の教科書)の記載内容を、未知の内容へ変化させる異常現象です。SCP-382-JPの発生には大まかな条件があり、“日本の”、”国が認定する児童向けの教材(電子教科書も含まれる)”に、“教員免許をもつ者が教え小学█年生の児童が使用することを前提”とした物体に発生します。 この発生条件は未使用および新しく製本された教科書にも適用されます。電子教科書の場合、ダウンロードごとに製本のオブジェクトと同一の性質を有します。 SCP-382-JP-1は記載内容が変化した教科書の1ページです。 SCP-382-JP-1は、太陽系惑星や地球からみた海王星の位置の説明がなされている次のページに出現します。SCP-382-JP-1は奥付や外装を除いた、出現可能なページが存在しない場合、教科書のページ数を増殖させることにより出現することが確認されています。SCP-382-JP-1は上述した2点を移動することで出現箇所が変動することが判明しており、現在、SCP-382-JP-1の位置は文部科学省との協力により、ページ末に出現するよう調整が行なわれました。この調整作業はSCP-382-JP-1の回収が容易に行なえるようなされた取り組みであり、出現箇所の変動以外に、新品の状態の偽装が容易に行なえるよう、独自の構造になっています。 SCP-382-JP-1の内容はこれまで確認されていない人物の経歴と、海王星付近に位置する未知の太陽系外惑星の発見に因む学術的価値について内容文が変化します。SCP-382-JP-1の変化内容は生没年・人種・性別・新星の発見など、ある程度同じ内容を有していますが、新しく3月15日を経過するごとに変異し、未使用の教科書は未確認の内容へ変化します(詳細はSCP-382-JP-1類を参照にしてください)。 なお、過去に使用された教科書や、ページを切り取ったSCP-382-JP-1は新しい内容に“更新”されることはありません。 + SCP-382-JP-1類 - SCP-382-JP-1類 以下の内容は、変化内容を簡潔にまとめたものです。 SCP-382-JP-変化内容-█ Aeneas・A・███(イーニアス・A・███ 1801年7月4日-1852年3月16日)はイギリスの天文学者。1832年に[データ破損]を発見しました。[データ破損]の発見の翌年、ケンブリッジ大学のプルミアン教授職に就職。非常に厳粛な性格を有し、[データ破損]の発見についてインタビューがされた際、「名誉なことです」と返答をしました。生涯は生まれ故郷である[編集済]で過ごし、肺炎にかかり死去しています。 注釈: 発見された中で最も古い文章です。 SCP-382-JP-変化内容-4 Aeneas・A・███(イーニアス・A・███ 1801年7月4日-1852年3月16日)はイギリスの天文学者。1832年に[データ破損]を発見しました。[データ破損]の発見の翌年、ケンブリッジ大学のプルミアン教授職に就職。非常に神経質で厳格な性格を有し、[データ破損]の発見についてインタビューが行われた際、「私の名前は歴史上に残り、誰もが記憶することだろう」と返答をしました。生涯は生まれ故郷である[編集済]で過ごし、肺炎にかかり死去しています。 SCP-382-JP-変化内容-16 Aeneas・A・███(イーニアス・A・███ 1801年7月4日-1852年3月16日)はイギリスの天文学者。1832年に[データ破損]を発見しました。[データ破損]の発見についてインタビューが行われた際、「私は誰もの記憶に残り、忘れられることはない。これは真実だ」と返答をしました。生涯は生まれ故郷である[編集済]で過ごし、急性アルコール中毒で死亡。かつては厳粛な性格を有していたものの、アルコール依存性による妄想や暴力的な行動を繰り返しています。 SCP-382-JP-変化内容-21 Lennox・██(レノックス・██ 1801年7月4日-1852年3月16日)はイギリスの天文学者。1832年に[データ破損]を発見しました。[データ破損]の発見についてインタビューがされた際、暴力的な態度でインタビュアーを挑発しました。自身の名前を██回に渡って改名しています。生涯はイギリスの[編集済]で過ごし、栄養失調により死亡。[削除済]を日常的に服用していました。死去する前日、自身の名前や経歴が歴史上から抹消されたことを記載した遺書を残しています。 SCP-382-JP-変化内容-32 ██・W・███(██・W・███ 1801年7月4日-1852年3月16日)はイギリスの天文学者。1832年に██・Jirachi(██・ジラーチ)と協力して、[データ破損]を発見しました。[データ破損]の発見についてインタビューがされた際、「私の名が消えても、ジラーチの名が残るだろう」と返答しました。生涯はイギリスの[編集済]で過ごし、死去する前日、自身とジラーチの名前が歴史上から抹消されたことを記載した遺書を残しています。 SCP-382-JP-変化内容-37 Joa・███(ジョアン・███ 1801年7月4日-1852年3月16日)はイギリスの天文学者。1832年に[データ破損]を発見しました。[データ破損]の発見についてインタビューがされた際、[編集済]。自身の名前を██回に渡って改名しているだけではなく、非常識な性格をしていました。生涯はドイツの[編集済]で過ごし、交通事故により死亡。死亡する前日「私は死ぬわけにはいかない」と家族や知人に話していました。 SCP-382-JP-変化内容-41 Aeneas・A・███(イーニアス・A・███ 1801年7月4日-1852年3月16日)はイギリスの天文学者。1832年に[データ破損]を発見しました。[データ破損]の発見についてインタビューが行なわれる当日に、自殺を行なうものの失敗。Aeneas・A・███の自殺行為は、成功する1852年3月16日まで繰り返されています。 SCP-382-JP-変化内容-49 Aeneas・A・███(イーニアス・A・███ 1801年7月4日-1852年3月16日)はイギリスの天文学者。1832年に[データ破損]を発見しました。[データ破損]の発見についてインタビューがされた際、「あ~[編集済]」と返答、非常にユニークな性格を有しています。自身の名前を他者に記憶されることに偏執的であり、天文学界の問題児と呼ばれていました。生涯は生まれ故郷である[編集済]で過ごし、死去するまでの間、自分の所有物に自身の名前とレノックス、ジラーチ、██、ジョアン、といった人名を刻印し続ける奇行を繰り返していました。 補遺-1: SCP-382-JPは19██年に、その存在が確認されました。オブジェクトの発生から49年経過した現在、オブジェクトの回収プロトコル“18█ページ目の削除”は確立され、過去に出現したSCP-382-JP-1を所有している人間は存在しないものと考えられています。SCP-382-JPの発生を阻止させるため、教科書内の惑星の位置や海王星の説明内容を除外することで、無力化が可能であると考えられていますが、2点の内容は義務教育上必須であるため、基本的にオブジェクトの発生を避けることはできません。財団はSCP-382-JP-1回収におけるコスト等を考慮し、紙媒体の教科書ではなく電子媒体の教科書を用いることで、オブジェクトの回収プロトコルを容易に遂行できるよう、電子教科書の普及を積極的に働きかけています。 補遺-2: SCP-382-JP-1類の記載内容を参考に海王星付近の天体を観測したところ、白色矮星に類似した天体が確認されました。その未知の天体は3月15日のごく限られた時間にのみ観測されることが判明しており、SCP-382-JPとの関連性が疑われています。なお、未知の天体の観測を行なった一部の研究員は3月16日に、起床時間や食事内容などに強いデジャブを自覚するようになりました。
scp-383-jp
評価: +55+–x アイテム番号 SCP-383-JP オブジェクトクラス: Safe Euclid 特別収容プロトコル: SCP-383-JPは現在10枚が低危険度物品保管ロッカーに収容されています。この枚数はオブジェクトの研究に十分な枚数であると判断されました。収容外のSCP-383-JPが発見された場合は回収し破棄してください。SCP-383-JP所有者やSCP-383-JP-1出現時の目撃者、及びSCP-383-JPの破棄を実行した職員には記憶処理が施されます。SCP-383-JPの効果によって出現した仏像(SCP-383-JP-1)は完全に破壊した後に破棄してください。 また、SCP-383-JP-1の転移の有無を確認する為に一年以上の周期で開帳を行う寺院の秘蔵仏に対して監視カメラと重量センサが設置されます。重量センサの変化や監視カメラの映像からSCP-383-JP-1の転移が確認された場合は必要に応じて現場を封鎖し観光客などの出入りを絶った後に、持ち物の検査とSCP-383-JPの回収、本来安置されていた仏像あるいはレプリカとSCP-383-JP-1の交換、現場に居合わせた一般人の記憶処理を行います。 現在未回収のSCP-383-JP回収の為にカバーストーリー「ポイントカードの更新」1を適応しています。 説明: SCP-383-JPは表に「徳々ポイントカード」と印刷された折り畳み式のポイントカードです。見開きには左右のページに3×5個ずつ、両ページで合計30個のマス目が存在しており裏面下部には署名欄と「救うモノの会」という文字が印刷されています。材質は紙で容易に破損することが可能です。印刷機やスキャナーなどを用いて製作したSCP-383-JPの複製は異常性を示しません。なお、「救うモノの会」の詳細については明らかになっておらず現在も調査が行われています。 SCP-383-JPは不特定の個人の財布の中に一つだけ出現します。2出現したSCP-383-JPは財布の中でも所有者の目のつきやすい所に出現する傾向があるようです。一度SCP-383-JPが対象の財布に出現すると所有者は元の人格に関係なく献身的で温厚な性格へと変化します。この性格の変化は後述の印の数が増えるほどに顕著な物になります。加えて、性格の変化はSCP-383-JPを手放した場合も持続するようです。3 SCP-383-JPの所有者が善行を行うとSCP-383-JPの見開きのマス目にハンコが押されたような印が出現します。善行と判断される基準はSCP-383-JP所有者の主観によるものではなくその周囲の人物による客観的な物であることが実験から判明しています。 署名が行われていないSCP-383-JPは譲渡または紛失されることによって一時的にその異常性を消失させます。これにより前所有者の善行によってSCP-383-JPに出現した全ての印が消失しそのカウントがリセットされます。新たな人物が所有者となることによりSCP-383-JPは再び異常性を発現させ、善行の印によるカウントが行われるようになります。なお、SCP-383-JPを紛失した場合、二回は元の所有者の財布に戻って来ますが三回目は他人の財布へと転移するようです。4SCP-383-JPに署名が行われている場合は譲渡、紛失しても署名者の所有物として扱われ印は消失しません。署名者の善行は引き続きSCP-383-JPの印を増やす要因となります。また、SCP-383-JPの故意的な破損や破棄を実行した、あるいはSCP-383-JPを紛失した人物は自己の不誠実さや不親切さ、社会における人間関係の希薄さを嘆く様になり善行を施すことへの強迫観念やSCP-383-JPを所有する事への執着と言った精神異常を呈するようになります。この症状は通常の精神治療、記憶処理で除去する事が可能です。なお、SCP-383-JPの譲渡によってはこの症状は現れません。 印がSCP-383-JPの全てのマス目に出現すると所有者とSCP-383-JPはその場から消失し、代わりに様々な大きさ、素材、種類の仏像1体がその場に出現します。下記の事件以降これらの仏像はSCP-383-JP-1と分類されました。SCP-383-JP-1は不定期に自身を中心とした半径25km以内にある寺院の、定期的に開帳展示する秘蔵仏と入れ替わり的に転移します。開帳が月単位で行われている寺院でのSCP-383-JP-1出現例は確認されておらず、最低でも数年から数十年周期で開帳が行われている寺院を選択して出現していると考えられます。半径25km以内に上記のような寺院が存在しない限りはSCP-383-JP-1は転移を行わない他、SCP-383-JP-1の一般家庭や国外の寺院への出現は確認されていません。 実験記録 目的: 善行の基準と出現する印の数の関連性の調査 + 実験記録を表示 - 隠す 実験記録1 - 日付198█/08/22 対象: D-383-JP-1 実施方法: SCP-383-JPを配布、署名を行わせDクラス宿舎内の掃除をさせた。 結果: SCP-383-JPに変化はない 分析: 本人は掃除を義務ではなく善行として行っているようだが印は出現していない。善行の基準は所有者の主観に因る物ではないらしい。 実験記録2 - 日付198█/08/23 対象: D-383-JP-1 実施方法: Dクラス宿舎内の掃除を一週間毎日行う。この行為はD-383-1が自発的に行った。 結果: 掃除の三日目からSCP-383-JPに印が出現。出現数は日を経る事に増加した。 分析: 急に印が増え始めたが、印の数と掃除の回数との関係が見えてこない。 実験記録3 - 日付198█/09/09 対象: D-383-JP-1 実施方法: 宿舎内の掃除中に起きた他のDクラス職員同士の喧嘩を仲裁。 結果: D-383-JP-1とSCP-383-JPがその場から消失。高さ40cmの軍荼利明王が出現した。 分析: 喧嘩をなだめた事が周囲から善行とみなされたのか。計算してみると増えた印の数は同じ宿舎のユニットにいたDクラスの人数に近い。 実験記録4 - 日付198█/09/22 対象: ██研究員  実施方法: 同僚の落としたペンを拾い手渡した。 ██研究員がSCP-383-JPを所有していたことに気が付かなかったため偶発的に引き起こされた実験である。SCP-383-JPは焼却され、 ██研究員には記憶処理が施された。 結果: 印が1つ出現 分析: 善行と認めてくれた人数に印の数は左右されるのかもしれない。この仮定が正しいとして、もしSCP-383-JPが慈善団体やボランティアに渡れば被害は大きなものになるのではないか。 事件383-1: 198█/10/██、低危険度物品保管倉庫からSCP-383-JPによって得られた仏像が消失し、代わりに██寺が所有する重要文化財の仏像が安置されていることが判明しました。現地のエージェントが██寺に向かったところ、本堂に倉庫から消失したものと同一の仏像があることを確認しました。この仏像と倉庫に転移してきた仏像の外見は全く異なるものの、参拝客および住職は変化に全く気が付きませんでした。加えて2つの仏像の入れ替わり後に訪れた参拝者の一部と住職の所有物を検査した結果、多くの人物がSCP-383-JPを所有している事が確認されました。出現したSCP-383-JPについて対象にいつから所有しているかを尋ねた所、殆どが「さっきまでこのようなカードは持っていなかった」「見覚えが無い」と述べました。この事からSCP-383-JPにより出現した仏像には不定期に近くの寺院に転移し参拝客の財布にSCP-383-JPを出現させる能力がある可能性があげられ、仏像はSCP-383-JP-1に指定、オブジェクトクラスはEuclidに引き上げられることになりました。なお、██寺の参拝者数の多さから現在までSCP-383-JP-1出現後の全参拝者を特定しSCP-383-JPを回収するには至っていません。 補遺1: 事件383-1の後、これまでに財団施設内でSCP-383-JPの研究に携わった研究員やSCP-383-JP-1が安置された倉庫に立ち入った人物の持ち物の検査が行われましたが、新たなSCP-383-JPは確認されませんでした。更に詳しく調査と実験を行った結果、 「SCP-383-JP-1が転移した寺院でSCP-383-JP-1を目視しながら参拝を行うこと」が新たなSCP-383-JPの出現に繋がる事が判明しました。寺院以外でSCP-383-JP-1を参拝してもSCP-383-JPは出現しません。実験記録4において██研究員がSCP-383-JPを所有していたことに関しては、彼が休暇中に立ち寄った███寺にSCP-383-JP-1が転移していたことが判明しています。このSCP-383-JP-1は既に破壊済みです。 補遺2: SCP-383-JPの裏面に特殊なインクで文章が印刷されている事が判明しました。以下はその原文です。 施すことで悟りは開かれ、施しで救われた者は施すことを知る。なんと素晴らしい教えをあの方は授けてくださったのか。救いを待つだけでは人々は救われない。あの方の様にはなれないが、私も手を差し伸べる事の重要性を後世に伝えたいと思う。そして、さぁ、君もあの方に続こう。 施すモノになろう。 Footnotes 1. 財団フロント企業及び財団職員が潜入している商業施設においてSCP-383-JPと金券等の交換を行います。 2. 対象が使用している財布が複数の場合や未使用の財布を所有している場合は携帯中の財布を選択して現れます。 3. この変化によって所有者は善行を行う機会が増え、結果としてSCP-383-JPに出現する印の数は増加しやすくなります。 4. 紛失したSCP-383-JPが元の所有者の手元に戻ってきた場合も先述のようにカウントのリセットが行われます。
scp-384-jp
評価: +59+–x 蒐集院から押収した文献。自身の周囲で災害や戦争が発生した場合のみ自ら脱皮し、殻を建築材の材料として提供すると記されている。 アイテム番号: SCP-384-JP   オブジェクトクラス: Euclid(暫定)   特別収容プロトコル: SCP-384-JPはエリア-81██に収容されています。エリア-81██の10km周辺は部外者及び航空機の立ち入りを禁止して下さい。衛星写真など上空からの撮影は各衛星にプログラムされた偽装写真に差し替え、情報漏洩を防ぎます。SCP-384-JPの移動周期前にドローン等を用いてエリア-81██の周囲の状況を確認後、オブジェクトからなるべく近接した場所にSCP-384-JPの全長より最低限大きな巣を建造してください。 説明: SCP-384-JPは全長約38m・推定重量███.█t、爬虫鋼有鱗目ヘビ亜目に類似した形態と特徴を備えた巨大なヘビ型オブジェクトです。 SCP-384-JPは普段、自身より大きな物体(以下、巣)に巻き付き、移動周期が訪れるまで食事や睡眠(冬眠も含む)を必要とすることなく、不動のまま過ごします。SCP-384-JPが巻き付いた巣は、オブジェクトの表皮部分と一体化し、外壁及び内壁は物理的損害や経年劣化を受け付けません。巣の内部で破壊行為を行なった場合、柱などに一般的な損害が生じますが、SCP-384-JPの外皮が巣と一体化することで補強の役割を果たし、巣の崩壊を防ぎます。SCP-384-JPの外皮は物理的な耐久が極めて強靭であると考えられていますが、オブジェクトの外皮が巣と一体化していない隙間部分の内外壁の破壊が不可能だったことから、SCP-384-JPは単純な外皮強度とは異なった未知の力を有していることが指摘されています。 SCP-384-JPは12年に一度、脱皮を行ないます。SCP-384-JPの脱皮行為は通常のヘビとあまり変わりありませんが、脱皮後オブジェクトは巣に強く巻き付き、その圧力で物体を破壊した後、巣と脱皮殻を摂食します。脱皮後のSCP-384-JPは、前巣の材質に依存した外皮色や模様を有しています。脱皮における変化は外見上だけではなく、SCP-384-JPの体長にも通常の脱皮には見られない変化が生じます。脱皮後のSCP-384-JPは、巣の体積がそのまま反映した大きさへ成長します。より詳しく述べるならSCP-384-JPの成長は、摂食する巣がオブジェクトより遥かに巨大だった場合、異常な巨大化を発生させます。 脱皮殻を摂食し終えたSCP-384-JPは、新たな巣を求め移動を行います。SCP-384-JPが巣と定める対象は、自身より最低でも頭1つ分縦に大きな物体を対象とする傾向があります。しかし、新しい巣に自身が最低でも2周巻き付く必要があり、巣と定めた対象が縦に大きくとも、横幅が太すぎる物体は巣の対象として除外されます。 SCP-384-JPは自身に適した巣を定めるまで移動することが確認されており、オブジェクト近辺に巣となる物質が存在しない状況は、壊滅的な収容違反を発生させます。現在、移動時のSCP-384-JPを停止させる試みは全て失敗しており、12年毎にオブジェクト付近に巣を設置することで、移動における被害は最低限に留めています。財団は次の移動周期までに、SCP-384-JPの体長より更に大きな巣を提供し続ける必要があり、少なくとも███年後オブジェクトの体長は████mを超えることが予測されています。SCP-384-JPに提供できる巣の最大規模は、オブジェクトが収容されているエリア-81██周辺に存在する標高████mの山ですが、予算上の問題と将来的な危険性のため、██年以内にSCP-384-JPの成長の停止及び終了処置が捜索されています。 補遺-1: SCP-384-JPは蒐集院より委託されたオブジェクトの1つです。委託当初SCP-384-JPは██名の[削除済]に巻き付いており、体長は約35mに達していました。収容から█ヶ月後、SCP-384-JPによる脱皮及び移動が発生しましたが、事前に住民の避難と巣の建築が完了しており、オブジェクトによる被害を最小限に抑えることに成功しました。当該地区ではカバーストーリー“地震発生”を適応、目撃者及び住民には記憶処置を施しました。なお当該地域は地盤上の関係という理由を立て、住民と一般人の立ち入りを禁止し、正式にエリア-81██として機能しています。 補遺-2: 蒐集院からSCP-384-JPを委託した際、以下の文献(SCP-384-JP-押収文献を参照)を押収しました。参考資料として添付します。この文献を提供した人物は「あの大蛇はかつて、[編集済]地方の山に巻き付いていた」と発言。この情報を元に財団職員が独自に調査を行なったところ、15世紀初頭、隕石の衝突により災害が発生したものだと一般的に考えられていた[編集済]地方の山岳地帯に、当時の技術では人工的に構築不可能な███kmにも及ぶ蛇行と、大質量の不自然な消失が再確認されました。 SCP-384-JP-押収文献 三竦みの事 大蛇の座 蛞蝓の殻 蝦蟇の窖 [中略] 国作りの大物主 国崩しの蛞を厭う あぎと外して丸呑めど 喉仏から抜け落ち 身縄で縛り吊るせども ずるりと外れる蛞蝓に 天突く巨体は六尺二寸縮こまり 座を追われ 大蛇逆らう術なし 哀れなり [後略]
scp-385-jp
評価: +44+–x アイテム番号: SCP-385-JP オブジェクトクラス: Keter 特別収容プロトコル: SCP-385-JPから30km離れた位置にカント計数器を搭載した衛星機器を巡回させ、オブジェクトの観測を行って下さい。SCP-385-JPの発生物露見による情報漏洩防止のため、アメリカ航空宇宙局(NASA)及び各機構の職員に扮した財団職員を潜入させ、記憶処理及びカバーストーリー“流星群”を実行して下さい。   説明: SCP-385-JPは直径約2876km876km、現実改変能力を持つ彗星です。SCP-385-JPは外見上、既知の彗星と同様にコアが発光しダストの尾を有していますが、発揮物が剥離することはなく隕石や他物質が衝突しても損傷を受けることはありません。SCP-385-JPの位置は20██年発見時点では、木星から███km離れた地点に存在していました。SCP-385-JPの公転軌道や公転周期など詳細な進行経路は不明ですが、SCP-385-JPは楕円軌道に沿った形で移動していると推測され、約██年後に地球に最接近することが予測されています。   SCP-385-JPは隕石や惑星などの物体が、範囲20km以内に接近した際に、現実改変能力を発揮します。SCP-385-JPの改変能力は宇宙空間内に既知、或いは未知の物体を自身の周囲に密集する形で出現させます。 SCP-385-JPの改変能力により出現した物体は、発生毎に範囲が拡大し量が増大することが確認されています。SCP-385-JPの発生物は物質の種類とその傾向から、地球上に存在する人間の願望を未知の手段で反映していることが推測されていますが、詳細なプロセスは不明のままです。なお、SCP-385-JPの発生物はオブジェクト本体に接近しても新たに発生物を出現させることはなく、32時間経過後、瞬時に消失する様子が確認されています。   SCP-385-JPはこれまで██回活性化が確認されており、全長が2876km~949kmへ縮小し、出現範囲が1291km~2941278kmへ拡大しました。SCP-385-JP周辺に存在する隕石等の接近物質と発生物の出現範囲を試算したところ、オブジェクトが火星接近時点で発生物の出現範囲に地球が含まれることが判明しています。SCP-385-JPの発生物はあらゆる損傷を受け付けず、時間経過以外に消失する手段がないことから、発生物の地球落下における甚大な影響が懸念されています。   現在財団はSCP-385-JPの接近/衝突を回避するため、プロトコル“流れ星”(SCP-385-JPに弾道弾迎撃ミサイル(ABM)を衝突させ、人為的に進行方向を修正する計画)が実施されています。接近時に発生物を広域に渡って出現させるオブジェクトの性質と、SCP-385-JPの現在位置の距離的な問題から、早急な遂行が求められています。 ██年以内に計画の60%を達成できなかった場合、プロトコル“メテオ”(オブジェクトの縮小する特性を利用し、断続的にABMを接近させ終了する計画)が実行されます。しかし、SCP-385-JP周囲を巡回する衛星機器から得た情報から、SCP-385-JPは縮小現象により問題なく消滅することが想定されていますが、発生物が残存し続ける可能性が芽吹博士により指摘されています。   SCP-385-JP発生物リスト(一部抜粋)   発生物 SCP-385-JPのサイズ及び出現範囲 備考 ██社のキャンディ。 全長2876km。出現範囲1291km。 包装パッケージから██社と判明。活性化発生の██日前、難病を患った少女を取り扱ったテレビ放送で、██社のキャンディを食べたいと発言していた事が判明。 ダイヤモンドの原石。 全長2726km。出現範囲3090km。 なし。 人間の胎児と推測される生物。 全長2683km。出現範囲5673km。 身体を確認したところ女児と判断された。 [編集済]国の紙幣。 全長2580km。出現範囲19901km。 なし。 バラと推測される植物の花束。 全長2365km。出現範囲56209km。 花束には「██████」と個人名が記載されたカードが添付されていた。記載名を元に調査した結果、該当者の誕生パーティのプレゼントとして購入されていた事が判明。 SCP-███に酷似した錠剤。 全長2033km。出現範囲98732km。 [編集済]。衛星機器によりサンプル回収が実施されたが、発生物は32時間後に消失した。 █社の飲料水。 全長1089km。出現範囲692500km。 包装パッケージから█社の商品と判明。█社を調査した結果、生産が追いつかず一時的な販売停止が行われていた。 イエイヌ(Canis lupus familiaris)と推測される生物。 全長989km。出現範囲871911km。 身体の痩せ具合から餓死寸前の状態と推測。赤い首輪を装着しており、首輪には連絡先が記載されていた。独自に連絡先を調査したところ、飼育していた飼い犬が脱走し死亡していた事が判明。 「ファイナルファンタジーⅦ 完全リメイク」とタイトルされたゲームソフトのパッケージ。 全長961km。出現範囲1012233km。 20██年現在、該当するゲームソフトは販売されていない。映像分析からパッケージ内は空と判明。 [編集済]のコイン。 全長949km。出現範囲2941278km。 財団が保有するABMを接近させた際、出現。プロトコル”流れ星”は発生物の物理的な妨げにより衝突時の威力が軽減され、目標を達成できなかった。
scp-386-jp
評価: +57+–x アイテム番号: SCP-386-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-386-JP個体は中型の標準規格である水槽一つにつき4個体を収容した状態で、低脅威アイテム保管用個室内に安置、飼育してください。水槽内の環境は、収容開始以前の生育場所の水質データを参考に維持されます。 SCP-386-JPの繁殖補助は4組のみに対して行い、産み出された卵塊に対しては種の保存に最適と思われる遺伝的差異を有する個体20体を選出し、残りの卵は破棄してください。   SCP-386-JP個体の具体的な飼育方法については、専門の収容担当者へと問い合わせてください。   説明: SCP-386-JPはベニザケ(学名:Oncorhynchus nerka)に極めて近い外観を有した魚類です。ベニザケと異なる点として、淡水性である点、ウェーベル氏器官に類似する器官を有する点等が指摘されており、実際の生態としてはコイ科に近いのではないかと推測されています。 また、発見の経緯と████氏の証言から、SCP-386-JPはおよそ300年以上██・██地点(████氏は単に「トー(沼)」と呼称)に於いて生息し続けていたと見られており、現在はSCP-386-JP生育沼の環境再現に成功しています。   SCP-386-JPは表皮部分が絹繊維と同一の成分によって構成されており、また、個体ごとに異なる対称的模様と鮮やかな色彩を有します。これらの繊維は一般的に錦織と認識される工芸品であるかのように自然的に織られた状態で形成されますが、本来、種として有しておらず、生育環境中にも存在しないこれらの成分をどのようにして自身の構成要素としているかは不明です。   ████氏の証言と、それに基づいた史料調査によると、SCP-386-JPはかつて、その希少性と芸術性によって非アイヌ民族の「当時主要であった日本民族」によって乱獲され、その皮革が錦として売買されていたと見られています。 そのため、以後SCP-386-JPは████氏の先祖によって██・██地点へと秘匿され、████氏の一族の手によって管理され続けていたと思われます。SCP-386-JPは繁殖を高頻度で行うにも関わらず、財団によって長らく存在が捕捉されなかった事実については、████氏の一族によって個体数が厳重に管理されていた上に、情報や物流に於いても完全に隔絶された地域で生活と飼育を行っていたことが主な要因と結論付けられています。 現在、財団は████氏の知見をもとに作成した飼育スケジュールによって、SCP-386-JPに対して確保・収容以上に保護を重視した方針を策定しています。   付記: ████氏の一族についての調査報告 ████氏の用いるアイヌ方言より、元来は沙流地方の非シュムクル部族であったと思われる。信頼しうる史料が甚だ少なく、████氏による口承のみが詳細な記録であり、この口承記録を裏付ける新たな物的証拠の捜索を要する。 しかしながら████氏によって、一族が██・██地点へ移り住む以前に居住していたと証言された[編集済]には、口承と同規模の村落の痕跡が発見されており、この事実から、口承の記録には一定の信憑性が存ずると見る。村落には5つの一族が居住していたと見られ、████氏の一族はその中では指導的立場にあった集団であったと思われる。   SCP-386-JPは[編集済]に於いては通常の動植物以上に神格化された重要な生物であり、当時はおよそ1400尾もの群れが河川及び湖沼に生息していたものの、1662年に松前藩によって発見された。 松前藩側の記録と████氏の口承を照合するに、松前藩はSCP-386-JPを交易品とすることを申し出たものの、一族にとって祭祀目的以外のSCP-386-JPの漁獲は宗教的なタブーであるとして拒否。当時、シュムクルとメナシクルの抗争を仲裁し、沙流地方のアイヌに対しては親和的な立場を取っていた松前藩はそれ以上強硬な態度にも出られず交易を断念。 しかし1669年に起こったシャクシャインの乱に於いてアイヌ民族の連合軍が敗北し、松前藩がアイヌ民族を服従させるに至ると、松前藩あるいは民間の商人に雇用されたアイヌ民族の手によるSCP-386-JPの乱獲が開始され、3年の間にSCP-386-JPはおよそ70尾にまで個体数を減少させた。   一族の口承神話に於いては、SCP-386-JPは限られた神の食料であり、人が神の食料の世話をするという形で行われる神秘的な繋がりである。故に、SCP-386-JPの絶滅を回避するべく、████氏の一族のみが、残った全てのSCP-386-JPを捕獲して██・██地点へと移住し、厳重な飼育と管理を開始したと思われる。 村落のその後の顛末は不明であるが、村落の痕跡より、埋葬された形跡の無い人骨が7体発見され、人為的に破壊されたと見られる弓や漁具も同地層に埋没していた。   ████氏の一族はその後、財団によってSCP-386-JPが発見されるまで██・██地点のみで居住していたものの、████氏の症状にも見られるように、近親交配による遺伝子的な脆弱性を抱えるに至り、████氏は一族の最後の一人であると思われる。 また、文化的にも完全な隔絶社会であったため、教育面、文化面、技術面に於いても1600年代後半のアイヌ民族の生活様式を維持していたと思われ、そのため████氏は沙流方言に類似した独自のアイヌ語以外の言語を使用出来なかった。   ████氏へのインタビュー記録 対象: ████氏 インタビュアー: 石唐博士 付記: 会話は全てアイヌ語で行われ、本記録はそれを標準語訳したものである。しかしながら████氏の言語には独自の語彙も見られるため、その点はローマ字表記によって統一するものとする。また、████氏の先天的な奇形により発音そのものが困難な状況も多く見られ、聞き取りの間違いによる誤訳の可能性に対処すべく、データベースへの音声ファイルの保存も優先的に行われ、容量軽減のための削除措置の免除が決定されている。 <記録開始> 石唐博士: はじめまして、私は石唐です。よろしくおねがいします。 ████氏: はじめまして、私は████です。 石唐博士: 早速始めますが、あなたがtuminkeの神(SCP-386-JPのこと)と呼ぶ鮭ですが、あなたはどうしてあれを守っていたのですか? ████氏: 私の父母から、そう伝えられたからです。私達の先祖が、ずっとあれを守るのだと聞かされていました。 石唐博士: 何故ですか? ████氏: 元々は、蕗の下の人へと命の神から特別に遣わされた鮭の神で、人々を守る神々へと捧げられるものでした。しかし、蕗の下の人がどこかへ去ってしまうとき、その世話と祭祀を私の先祖に託したのです。それから、私の一族はずっとあれを守ってきました。 石唐博士: 和人のことについては、どう伝わっていますか? ████氏: 周りの村は和人たちと取引をしていましたが、私達の村は和人を避けました。tuminkeの神を守るためです。しかし、当時はまだtuminkeの神は数が多くて(生息域が)広かったですし、周りの村にもtuminkeの神を知る人はいたので、やがて見つかってしまいました。和人たちはそれをよこせと言いましたが、その時は追い返すことができたそうです。私の父母は、和人たちのことについては殆ど何も言っていませんでしたが、口承では、和人たちからtuminkeの神を守るために私達がいるのだと言っていました。 石唐博士: 乱獲がいつから始まったのかは、伝わっていますか? ████氏: いいえ、いつから始まったのかは、わかりません。松前藩の人や、周りの村の人が、tuminkeの神を次々に獲り始めたことは聞いています。なので私達は、蕗の下の人との約束のために、tuminkeの神と共に██████(██・██地点のこと)へと移り住み、tuminkeの神はそこの沼に移されました。 石唐博士: 和人からtuminkeの神を守るために、あなたたちはそこで300年以上も一族だけで生活していたのですよね? ████氏: はい。 石唐博士: なのに何故、私たちが来た時、私たちを妨害する事無く、こうして協力までしてくれているのでしょう? ████氏: [28秒沈黙] 石唐博士: ████さん? 痛むのですか? 石唐博士が、待機していた████氏専属医療スタッフに合図を出すが、████氏によって制止される 石唐博士: ████さん? ████氏: 私たちでは、もう守れません。あなたたちに会ってから、私は驚いてばかりです。世の中は、私たちの時代からすっかり変わったのだと思いました。私はもう、最後の一人です。もう、できないのです。私の人生は・・・ 石唐博士: 大丈夫ですか████さん? 今日はここまでにしましょうか? ████氏: いいえ、どうか最後まで聞いてください。私たちがこれまで、和人からも、更には仲間たちからも見つからずにいたのは何かterekewがあるのだと、私も、私の先祖たちも考えてきました。それなら、私があなたたちに見つかったことにもterekewがあるのだと思います。 石唐博士: terekew? ████氏: [7秒沈黙] あなたたちが、選ばれたということです。次に去るのは私たちで、次に託されるのがあなたたちということです。 石唐博士: 何らかの意思が関わっていたということですか? ████氏: 私は、そう思っています。 ████氏は俯き、微かに震え始める。声量が如実に落ち、発音も不明瞭となったため、以降の記録には聞き取りミスによる誤訳が存在する可能性有 ████氏: 私たちが、ずっと守ってきました。約束のために、全てをonura(osura/捨てる?)、ずっと守ってきました。asayaが来ても、私たちはずっと守ってきました。そして今、私たちは用済みなのです。 ████氏が啜り泣き始める。石唐博士の再度の合図によって改めて専属医療スタッフが入室する ████氏: だから、せめて、お願いします。必ず、守り切ってください。 <記録終了> 終了報告書: 「皮が錦織で出来ているだけの鮭」に対して、これ程までの執着と迷信の歴史があるのは驚嘆の一語に尽きるが、████氏の言及していた「SCP-386-JPが発見されなかった理由」と「SCP-386-JPが発見された理由」について、詳細な調査が必要であるのは確かである。████氏が本インタビュー終了より5時間後に死亡したのが残念でならない。SCP-386-JPの飼育と生態についての尋問を優先させて正解であった。   SCP-386-JPは調査の結果、危害的な性質は一切持たず、その生態についても研究の進行は不要であるとしてAnomalousアイテム認定の議論がされました。 しかしながら、SCP-386-JPそのものの研究では無い、関連した情報についての調査は明確な結果を導き出していない点、████氏の証言の正否が未確定でありオブジェクトの背後関係について確証が無いままである点が問題視され、議論は一時的に凍結とされました。
scp-387-jp
評価: +140+–x 評価: +140+–x クレジット タイトル: 財団と名乗る謎の集団によって僕とゴールドは監禁されてしまった!逃げる手段は見当たらない上、また一人一人と僕達が救えた筈の命が失われていく…目的も何も分からないけど、まだ僕達は挫けていない、必ずここから抜け出してみせる…えぇっ!?僕に全部任せるって、どういう事なの!?次回高速心臓再動士リバーサル・ゴールド「救う為に脱出せよ!決死のセルフ・リバーサル!」続けて「救う為に脱出せよ!決死のセルフ・リバーサル!」合わせて「巣食う為に脱出せよ!█死のリバーサル!リバーサル!命!」合わせて命は[Reboot]僕の名前はエイド・フェニックス!リバーサル・ゴールドの命█なんだけど、まだまだ僕の事を信じていないみたい…だけど子供が溺れて█るよ!あの子を救いたい気持ちがあるから█命命命!ああ、また新たな命が失われていく。このまま黙って見過ごせない、だっ█て僕達は█ヒーローなのだから![Reb██oot]][システムに異常が感知されました][reboot]命[Rebo██t][システムに異常が感知されました][安全性の為に一部メモリ内累積データを削除します]ヒーロー援助用ロボットであり要救助者の探知を█行います探知しましたモジュール稼働要請を送りま█す送りました探知しました送ります██りました█探知します[Reboot]要請します[Reb█oot][Repeat][Repeat██][Re█peat][█eboot][Repe██t]このま█だと僕█は誰も救えな█よ、ゴ██ルド…[ReReReboot][Repeat] 著者: ShicolorkiNaN 作成年: 2018 評価: +140+–x 評価: +140+–x アイテム番号: SCP-387-JP オブジェクトクラス: Euclid Safe Keter 特別収容プロトコル: SCP-387-JPは補強を施した人型オブジェクト収容エリア内にSCP-387-JP-A群と共に保管されます。1日3度人型オブジェクト基準に基づいた食事を提供して下さい。 SCP-387-JP及びSCP-387-JP-A群が収容されているエリアを中心に特設サイト-81██は複数の防護壁によって補強され、SCP-387-JP並びにSCP-387-JP-A群の脱出を防いで下さい。収容エリア内に侵入する場合防電磁クラス4基準以上の防護スーツを着用する必要があります。収容エリア内部への侵入は禁止されています。 説明: SCP-387-JPは高速心臓再動士リバーサル・ゴールドと自称していた、未知の金属と繊維から構成された金色を基調とした装甲服及び各種装備(SCP-387-JP-A群)を装着していた人型実体です。声色と体格、各種発見記録から男性である可能性が高く、一般的な成人男性の約6倍の身体能力及び財団の保有する標準仕様以上の防御性能、最高時速約300kmによる走行等可能である事が確認されています。 以下はこれまでに確認された、SCP-387-JP-A群の一覧です。 番号 説明 SCP-387-JP-A-1 SCP-387-JP-Aの両腕部に装着された機械。SCP-387-JPは「カウンターブラスト」と呼称しており、使用時には内蔵されていた電極が露出、停止した心臓に対しての電気ショック及び薬剤投与を行う。 SCP-387-JP-A-2 背面に装着されたバックパック。SCP-387-JPは「ジェットパック」と呼称しており、圧縮空気による飛行機能を有し、観測された限りでは最高時速約500kmでの飛行が可能。 SCP-387-JP-A-3 全長40cm程のツル科(Gruidae)の特徴を有した形状の金色を基調とするロボット。SCP-387-JPは「エイドフェニックス」「エイド」と呼称している。未知の金属によって構成されており、自立的な飛行並びに変声期前の男性の様な声で会話が可能。近辺の心停止状態にある人間の探知機能を備えていると思われる。 SCP-387-JPは199█年7月28日、神奈川県内の海水浴場で発生した未就学児の水難事故を元に存在が感知され、カバーストーリー「救命士のマッサージ」が流布されました。その後同年8月から翌年の6月に渡り、SCP-387-JP-A-3と会話を続けながらSCP-387-JP-A-1による心停止の回復後、SCP-387-JP-A-2による離脱を繰り返し、財団が確認された限り以下の人員がSCP-387-JPによって心停止状態から回復した事が確認されています。 川・海・プールでの水難事故の被害者13名、うち子供9名 持病・健康上の理由から外出中に心臓発作を起こした27名 高所からの落下事故等の被害者13名、自殺と思わしき4名を含む 東京都内を中心とした病院内の入院患者41名 屋外での収容違反封じ込め作業中だった機動部隊3名 いずれの場合においてもSCP-387-JP-A-1を用いた蘇生処置は確認された限り全て成功しています。 199█年7月1日、終了予定のDクラス職員3名を用いた捕獲作戦によりSCP-387-JPの確保に成功しました。以下は同日収容エリア内との通話によって行われたインタビュー記録です。 インタビュアー: 貴地博士 <録音開始> 貴地博士: こんにちは。私の声が聞こえますか? SCP-387-JP: (壁を軽く叩く)ああ、聞こえるね。それで、俺をココに閉じ込めてどうする気だ?こうしてる間にも俺が救える人が出て来るかもしれないんだぞ? 貴地博士: それは分かりますが、どうして貴方がその様な恰好で、人助けをしているのか、その理由が知りたいのですが。 SCP-387-JP: (腕組みをする)当然、この俺が正義のヒーローだからに決まっているだろう? 貴地博士: なるほど。ならばそのスーツ等を提供してくれた SCP-387-JP: おおっと!そんな事は当然秘密に決まってる!それがヒーローだからな! 貴地博士: それでは貴方の目的についてですが SCP-387-JP: 俺がヒーローだからだ。それ以外に理由なんているかい? SCP-387-JP-A-3: そうだよ!リバーサル・ゴールドは人を助ける、故にヒーローで…(呼び鈴の様な音) SCP-387-JP: エイド、俺の出番か? SCP-387-JP-A-3: 要救助者を確認!ここから近いよ! SCP-387-JP: 分かった!そういう訳だ、ここから出してくれ! 貴地博士: すいませんが、それは無理で… SCP-387-JP: じゃあ悪いな!(壁への攻撃を始める。約45分間の攻撃を行うが破壊には至らず。小さく悪態を吐いた後に壁に向かって寝転がり、インタビューへの返答を行わなくなった) <録音終了> 終了報告書: SCP-387-JP-A-3が反応した時、同時刻別エリア内で行われていた実験によりDクラス職員が心停止状態に陥っていた事を確認。 初回インタビュー以降SCP-387-JPは一切のインタビューに応じなくなり、SCP-387-JP-Aに関する調査は激しい抵抗から失敗に終わっています。提供する食事に薬剤を混入させた結果、全てSCP-387-JP-A-3によって感知されました。 収容から8月22日までにSCP-387-JP-A-3は27回の報告を行い、SCP-387-JPはその度に壁への攻撃を行いました。安全性を考慮する為エリア全体への補強が決定されました。同エリア内部では累計23人のDクラス職員並びに軽度の収容違反による2名の財団職員が心停止状態に陥ったのを確認済みです。 以下は8月22日に撮影された収容SCP-387-JPエリア内部の映像記録です。 <録音開始> (SCP-387-JPは激しく壁を叩いている。SCP-387-JP-A-3がSCP-387-JPの側で飛行している) SCP-387-JP-A-3: 近くに君の助けを求めている人がいるよ! SCP-387-JP: (壁を叩き続ける)わ、分かってる…おい!マジで開けろ!開けてくれよ! (SCP-387-JP-A-2から黒煙が立ち上り、SCP-387-JP-A-1から火花が上がる。SCP-387-JPはその場に崩れ落ちる) SCP-387-JP-A-3: 頑張って、リバーサル・ゴールド!君にしか救えないんだ! SCP-387-JP: (呻き声)分かってるから、(痙攣と同時に叫ぶ)もう勘弁してくれ、話も聞いてやるから!だから出してくれよ! (その場で身体を丸め蹲る。SCP-387-JP-A-1の表面に激しく火花が飛び散る。SCP-387-JPは呻き声を上げる) SCP-387-JP-A-3: また新しい人が!お願い、リバーサル SCP-387-JP: (上半身を細かに痙攣させる。壁に体重を預けて立ち上がろうとする) SCP-387-JP-A-3: ああ!また新しい人が! SCP-387-JP: (絶叫しながら再び床に崩れ落ちる)もうやめろ!お願いだ!これ以上チャージしないでくれ! SCP-387-JP-A-3: 大丈夫!さあ、勇気を出して!君はヒーローなんだ! SCP-387-JP: そんな…(全身を痙攣させ、SCP-387-JP-Aの各所から白煙が上がる) SCP-387-JP-A-3: ああ!こんなに近くにもまた君の助けを待ってる人がいる!今すぐ動いて、リバーサル・ゴールド! SCP-387-JP: (全身が痙攣する) SCP-387-JP-A-3: ああ!君の目と鼻の先に助けが必要な人が倒れている!君の出番だよ、リバーサル・ゴールド! SCP-387-JP: (全身が痙攣する) (以下、SCP-387-JP-A-3の発言後にSCP-387-JPが痙攣する動作が繰り返された) <録音終了> 終了報告書: SCP-387-JPとSCP-387-JP-A-3との会話から、SCP-387-JP-A-1が蘇生処置を行う際の許可はSCP-387-JP-A-3によってコントロールされていたと予想されています。既にSCP-387-JPは痙攣以外の動作を行わず、SCP-387-JP-A-1への電力供給の際の電気的反射であると見られています。 補遺: 8月29日、SCP-387-JPは死亡したと見なされた事から、Safeクラスへのオブジェクトクラス変更が承認されました。同時に情報入手の為8月31日に予定されていた心停止直後のDクラス職員提供計画は破棄されました。 追記: 2004年1月25日以降継続的に確認出来る収容エリアの破損状態・同年2月11日に発生したインシデント-387-JP-1の状況から、現在SCP-387-JPの収容エリア内では以下の様な現象が発生していると予想されます。 SCP-387-JP-A-3が許可しSCP-387-JP-A-1に蓄積された電力が何らかの形でSCP-387-JP-A-2にも供給され、特性により常に圧縮空気の噴出が続けられている SCP-387-JP-A-1は破損していない SCP-387-JP-Aの強度により内部の身体は分断されず、SCP-387-JP-Aと共にほぼ球状に圧縮・変形している 著しくノイズの混ざりくぐもった声及び声量のばらつきから、SCP-387-JP-A-3は変形したSCP-387-JPに巻き込まれている 今後SCP-387-JPの速度及びエネルギー量が増加を続けた場合を考慮し、同年4月1日にKeterクラスへのオブジェクトクラス変更並びに収容プロトコルの改定が承認されました。以下は4月1日に破損部から収音装置を用いて記録・ノイズ除去された音声の書き起こしです。 心停止確認 チャージ 頑張れ
scp-388-jp
評価: +40+–x アイテム番号: SCP-388-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-388-JPは低危険物ロッカーに収容してください。SCP-388-JPを使用した実験に参加を希望する場合は所定の申請書をサイト管理者に提出してください。申請書には国籍が明記された公的効力を有する書類を添付してください。サイト管理者および実験担当主任の審査の後、審査結果が通達されます。 説明: SCP-388-JPはNATO軍が使用している多機能双眼鏡JIM LRに酷似していますが、SCP-388-JP上部に多機能双眼鏡JIM LRに存在しない押しボタン状のスイッチが存在し、更にSCP-388-JPは未知の金属及び未知の合成樹脂により構成されています。更に多機能双眼鏡JIM LRに搭載されている機能の殆どがSCP-388-JPに搭載されておらず、焦点距離等も通常の多機能双眼鏡JIM LRより低倍率です。尚、SCP-388-JPから製造番号、製造年月日及び製造元を特定可能な情報は得られておらず、また動力源も不明です。 SCP-388-JPを通して対象を視認し、SCP-388-JPの上部に位置する押しボタン状のスイッチを作動させると警告音の後およそ30秒から1分以内に対象の視認外高度1で食品類の出現および自由落下が発生し、出現はおよそ5秒間継続します。使用される食品類は、落下開始と同時に時速約200kmから約300kmまで加速し、食品類が生物、建造物、地面等へ接触するまで速度を維持し続けます。SCP-388-JPが目標座標、目標物として指定できる範囲は、SCP-388-JPの周囲半径500m以内と判明しています。 出現する物体はすべて既知の食品類です。ある程度調理された食品だけではなく、菓子類やレトルト食品などの加工食品も含まれます。視認外高度自由落下に使用された食品類は鮮度が高く消費することが可能です。SCP-388-JPを使用した人物の国籍や出身国に応じて使用される食品類が変更されます。これによりSCP-388-JPには使用者の国籍及び出身国を把握する機構が備わっていることが判明しています。尚、無戸籍者及び完全な無国籍者2がSCP-388-JPを使用した場合、SCP-388-JPは特異性を発揮しません。 自由落下中の食品類が生物、建造物、地面等に接触した際に小規模爆発の発生が確認されています。しかし爆発原因を特定するまでには至っていません。発生する爆発はSCP-388-JPの使用時に指定された目標物の無力化及び破壊をするに充分な威力を有しています。また指定した目標物が大型化もしくは高強度化に伴って爆発の威力、落下する食品類の増加が確認されています。目標物に指定可能な物体は一般的な乗用車から中程度の家屋、小程度のビル状建造物まで確認されています。それ以上の規模の物体、上空を飛行している航空機や他の惑星、衛星などへの爆撃は確認されていません。座標指定した場所に攻撃対象となりうる目標物が存在しない場合は、指定された座標の地面に小程度から中程度の視認外高度からの食品類の自由落下が行われます。食品類を用いた自由落下が目標地点上空のどの高度で開始されているのかについては未だ判明していません。 視認外高度に出現した食品類は、出現した全ての食品類の自由落下が終了するまでの間、未知の緑色膜状物質によって保護され形状を保持しています。緑色膜状物質は出現した全ての食品類の落下完了後即座に消滅します。また、落下に使用される食品類には生物、地面、建造物等への接触時に生じる衝撃や爆発による衝撃及び気圧の変化等が発生しており、食品類が密閉された容器等に封入されている場合、視認外高度からの自由落下のため気圧の変化によって容器が破損している可能性があります。 補遺 : + SCP-388-JPに付属していた取扱説明書と思われる書類 - SCP-388-JPに付属していた取扱説明書と思われる書類 食料品支援用対地爆撃誘導装置█████取扱説明書 この説明書では食料品支援用対地爆撃誘導装置█████の安全で正しい使用方法を明記しています。しっかりと目を通してください。 食料品支援用対地爆撃誘導装置█████は最前線で戦闘を行う部隊への食糧支援及び攻撃支援用に開発されました。 █████を使用する際は攻撃目標を█████を通して視認し、上部にあるスイッチを作動させてください。この際、友軍への誘爆、誤爆の可能性を極力排除するため使用前は必ず目標地点付近の確認を行ってください。 爆撃終了後の食料品はそのまま消費することが可能ですが、前線の衛生環境を考慮して即座に消費することが望ましいです。 爆撃終了までは食料品を我が軍が開発した特殊な物質で保護しており、飛び散ることはありませんが衝撃は食料品に伝わっているので缶詰などの密閉されている物体の場合は爆撃終了後破損している恐れがあります。 食料品を保護している物質は人体に無害なので安心して使用してください。 + 実験記録 - 実験記録 日付2015/7/██ 対象: 標準的な普通乗用車 使用者: Dクラス職員 d-10██ 国籍及び出身国: 中華人民共和国 実験結果: 乗用車は問題なく爆撃によって破壊され、爆撃跡からは様々な調理法で調理された約30個の餃子が発見されました。餃子は回収後、分析の後破棄されました。 日付2015/7/██ 対象: 装甲の追加及び防弾仕様に改造した普通乗用車 使用者: Dクラス職員 d-10██ 国籍及び出身国: 大韓民国 実験結果: 問題なく目標物を破壊。前回の実験より█%の威力増加が確認されました。爆撃跡からは数種類のキムチが約30個ほど発見されました。キムチは回収後、分析の後破棄されました。 日付2015/7/██ 対象: M20装甲車 使用者: 研究員 ██研究助手 国籍及び出身国: 日本 実験結果: 問題なく目標物を破壊。前回の実験より██%の威力増加が確認されました。爆撃跡からは様々な具のおにぎりが約40個ほど発見されました。おにぎりは回収後、分析の後破棄されました。 日付2015/7/██ 対象: AAV7 使用者: 研究員 ████████客員研究助手 国籍及び出身国: フィンランド共和国 実験結果: 問題なく目標物を破壊。前回の実験より██%の威力増加が確認されました。爆撃跡からはサルミアッキが約300粒ほど発見されました。サルミアッキは回収後、分析の後破棄されました。 日付2015/7/██ 対象: M1151ハンヴィー 使用者: 研究員 ████████客員研究博士 国籍及び出身国: カナダ 実験結果: 問題なく目標物を破壊。前回の実験より██%の威力低下が確認されました。爆撃跡からは発酵したアザラシが3頭ほど発見され、アザラシの体内からキビヤックが約600個回収されました。キビヤックは回収後、分析の後破棄されました。 日付2015/8/██ 対象: M1エイブラムス 使用者: 研究員 ██博士 国籍及び出身国: 日本 実験結果: 問題なく目標物を破壊。前回の実験より██%の威力増加が確認されました。爆撃跡からは様々な種類の天ぷらが約100本ほど発見されました。天ぷらは回収後、分析の後破棄されました。 日付2015/8/██ 対象: M1A2 使用者: 研究員 ███博士 国籍及び出身国: 日本 実験結果: 問題なく目標物を破壊。前回の実験より██%の威力増加が確認されました。爆撃跡からは様々なネタの標準的な握り寿司が約800貫ほど発見されました。握り寿司は回収後、分析の後破棄されました。 日付2015/8/██ 対象: 73式大型トラック 使用者: 研究員 ███客員研究助手 国籍及び出身国: 中華人民共和国 実験結果: 問題なく目標物を破壊。前回の実験より██%の威力低下が確認されました。爆撃跡からは哺乳類の物と推測される脳髄が約30個ほど発見されました。回収された脳髄は、分析の結果脳髄は類人猿の物であると判明しました。その後脳髄は全て破棄されました。 日付2015/8/██ 対象: 標準的なコンテナ住居 使用者: 研究員 ██████████客員博士 国籍及び出身国: ドイツ連邦共和国 実験結果: 問題なく目標物を破壊。前回の実験より██%の威力増加が確認されました。爆撃跡から様々な種類のソーセージが約60本ほど発見されました。ソーセージは回収後、分析の後破棄されました。 日付2015/10/██ 対象: 標準的な簡易建設ビル 使用者: 研究員 ██████客員博士 国籍及び出身国: スウェーデン王国 実験結果: 問題なく目標物を破壊。前回の実験より██%の威力増加が確認されました。食料品の接触時、食料品が四方に拡散しました。爆撃跡から製造後約3ヶ月経過したシュールストレミングの缶詰が約200個ほど発見されました。回収の際、シュールストレミングの缶詰全体の90%が破裂しており、実験に使用された演習施設を中心に半径1kmを汚染しました。シュールストレミングは回収後、分析の後全て破棄されました。演習施設及び周囲半径1kmの範囲に勤務していた職員により、嘔吐、食欲不振、呼吸困難などの健康被害と演習施設管理班、清掃班、訓練教官、訓練生などから多数の被害が報告されました。 Footnotes 1. 高度約10,000m以上 2. 公海上などの特殊な環境下で出生し国籍及び出身国が存在しない者など。
scp-389-jp
評価: +156+–x 密集陣形をとるSCP-389-JP-2群。 アイテム番号: SCP-389-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-389-JP-1はサイト-8123の低危険性物体保管ユニットに収容されています。レベル1以上のクリアランスを持つ職員なら誰でも使用申請書を提出することでSCP-389-JP-1を使用することができます。経費は申請者が用意してください。また、変化が予測できない具材を使用する際は事前に報告してください。 説明: SCP-389-JPは20██/█/██に██市の回転寿司チェーン店██寿司と███寿司にて、「寿司が暴れている」、「爆発音がする」と言う通報を受け、警察無線を傍受していた財団フィールドエージェントにより回収されました。発見時SCP-389-JP-2は██寿司と███寿司の間の駐車場にて、26対22で後述の戦闘行為を行っていました。目撃者には記憶処理が施され、周辺にはカバーストーリー「過激な動画投稿者」が適用されました。 SCP-389-JPはSCP-389-JP-1-A、BとSCP-389-JP-2-A、Bに分けられ、SCP-389-JP-1-Aは██寿司、SCP-389-JP-1-Bは███寿司の店内で放送されていた自店の自慢の点を収録したCDです1。SCP-389-JP-2はSCP-389-JP-1によって変化した寿司です。SCP-389-JP-1-Aによって生じたものをSCP-389-JP-2-A、SCP-389-JP-1-Bによって生じたものをSCP-389-JP-2-Bとします。 一般的に「軍艦巻き」と呼ばれる寿司が60dB2以上の大きさのSCP-389-JP-1の音声に連続で1分以上曝露すると、SCP-389-JP-1は異常性を示します。SCP-389-JP-1に曝露した「軍艦巻き」はおよそ3分後にSCP-389-JP-2に変化します。SCP-389-JP-2は自律行動する「軍艦巻き」です。SCP-389-JP-2は半径2m以内のものを「目視」することができます。SCP-389-JP-2は行動の際に最大約95dB3で、その行動を行った時の「軍艦」の行動音を出し、この時の音は距離減衰が通常の5倍ほどになっています4。SCP-389-JP-2の出す駆動音から船種を特定する試みは失敗しています。活性化中のSCP-389-JP-2は、時間経過による乾燥や汚れなどを受け付けず、摂食することが可能です。 一部のSCP-389-JP-2は「軍艦巻き」のネタを消費し相手を損傷させる攻撃をすることができます。また、ほぼすべてのSCP-389-JP-2はシャリを直径0.5mmの球に加工し、主に上空を飛行する相手に対し約50.00cm/sで飛ばすことができます。これは対空攻撃だと思われます。形状を保つために、シャリの量が60%を切った場合、シャリを使った攻撃はできなくなります。これらの攻撃は相手のSCP-389-JP-2には効果的ですが他の生物、物体に対しては通常通りの影響以外ありません。ネタをすべて消費するか、シャリの量が60%を切った場合、近くにネタ・シャリがある場合はSCP-389-JP-2は補給を試みます。この状態で3時間経っても補給ができなかった場合は戦線から離脱した後、異常性を失います。また、約50%の損傷でも無力化し、異常性を失います。SCP-389-JP-2は個体により移動速度、攻撃方法が異なり、「軍艦巻き」の質が良いほど性能が良くなります。 同じSCP-389-JP-1から生じたSCP-389-JP-2(以下、同盟軍と表記)は仲間として共に行動し、打電及び無線によりコミュニケーションをとることができます。通信の内容はSCP-389-JP-2-A,Bとも日本語ですがSCP-389-JP-2-Aは艦名が英語であり、SCP-389-JP-2-Bは日本語です。この通信をこちら側が傍受することはできますが、こちらの通信に一切の反応はありません。通信の内容にはSCP-389-JP-2に乗組員が乗っている前提の内容のものもありますが、現在までSCP-389-JP-2に乗組員と見られる存在は確認されていません。 SCP-389-JP-2-Aと-SCP-389-JP-2-Bは敵対しており、遭遇すると戦闘を始めます。戦闘時の戦術は同盟軍の数が多いほど優れたものになります。この戦闘行為はどちらかのSCP-389-JP-2がすべて破壊されることにより終結します。勝利したSCP-389-JP-2は近隣の皿の上へと移動し、異常性を失います。皿がない場合は、近隣で最も清潔な場所まで移動し異常性を失います。この際、戦闘によって生じた損傷以外の汚れなどは即座に除去されます。この時の「軍艦巻き」を摂食した被験者は「よくわからないが勝利の味がする。」と述べています。被験者の脳を調査した結果、ドーパミンの放出量が増えていることが明らかになりました。 + 現在判明しているSCP-389-JP-2個体の記録を表示 - 記録を隠す 具材 最高移動速度(およそ) 特性、攻撃手段 イクラ 1.20cm/s イクラを6秒に一発約43.30cm/sで飛ばし攻撃。耐久力と破壊力があり、戦艦の役割を担っていると思われます。 ネギトロ 1.00cm/s 攻撃は行わずネギトロを他のネタ、シャリに変化させ、同盟軍に供給します。補給艦の役割を担っていると思われます。 シラウオ 1.10cm/s シラウオを飛ばし自律行動させます。シラウオは最高約21.00cm/sで飛行し爆弾としてシャリを2粒体につけており命中した場合中程度の損傷を与えます。またシラウオは口から体組織の一部を毎秒3発約50.00cm/sで発射でき、これは空対空戦闘において効果的です。シラウオは任務を終える、攻撃手段が無くなる、または飛び立って30分が経つとシラウオ軍艦へ帰還します。シラウオ軍艦は空母の役割を担っていると思われます。 トビコ 2.10cm/s トビコを毎秒2発約39cm/sで飛ばす他に、地面を這わせるように約1.30cm/sでトビコを放ち攻撃します。中程度の破壊力を持ち、駆逐艦の役割を担っていると思われます。 ウニ 1.30cm/s 攻撃は行わず相手の打電傍受、大まかな位置の特定、通信妨害、半径100m内にある具材の大まかな位置を同盟軍へ知らせるなどの情報支援を行います。情報収集艦の役割を担っていると思われます。 イカ 1.00cm/s シャリの部分を地面に潜行5させることができます。シャリの部分の厚さよりも薄い面に潜行することはできません。この状態のイカ軍艦はネタの部分が見えているにもかかわらず、攻撃しないかぎり他の軍艦には認知されないようです。しかし、攻撃は通常通り通用します。また、地面を這わせるように約1.30cm/sでイカを放ち攻撃します。潜水艦の役割を担っていると思われます。 ツナ 2.00cm/s 攻撃は行わずツナを海苔、シャリに変化させ同盟軍を修復します。また、同盟軍の残骸の回収も行います。工作艦の役割を担っていると思われます。 コ|ン 3.20cm/s コーンを10秒置きに4発約76.50cm/sで飛ばし攻撃します。コーンには大きな射程と中程度の破壊力、誘導性があり、トップアタックの軌道6をとります。これはネタを破壊するためだと思われます。ミサイル巡洋艦の役割を担っていると思われます。 からあげ 3.30cm/s からあげを細かくしたものを毎秒20発約75.8cm/sで飛ばす、小さな円柱状に加工した誘導性のあるからあげを約79.00cm/sで放つ事によって相手の攻撃を無力化します。イージス巡洋艦の役割を担っていると思われます。 バニラアイス 32.00cm/s アイスを変形させ相手に突き刺す、叩きつける、斬りつけるなどの攻撃を行います。アイスを変形させ防御にも使います。活性化中にアイスが溶ける様子は確認されませんでした。役割は不明です。 伊勢海老 不明 空中飛行、瞬間移動を行い、伊勢海老の目の部分からSCP-389-JP-2に対する高い破壊力を持つ光線のようなものを発射し攻撃を行います。また、不可視の防壁を張っています。役割は不明です。 以下はSCP-389-JP-2の戦闘記録です。 戦闘記録389-い - 日付20██/█/██ 場所: ██寿司と███寿司の間にある駐車場。 付記: 発見時に行われていた戦闘。SCP-389-JP-2-A側はイクラ軍艦8貫、トビコ軍艦6貫、ネギトロ軍艦6貫、ツナ軍艦6貫、SCP-389-JP-2-B側はイクラ軍艦6貫、トビコ軍艦4貫、ネギトロ軍艦2貫、シラウオ軍艦6貫、コーン軍艦2貫、からあげ軍艦2貫の26対22で行われていた。 経過観察: かなり大規模な戦闘を行っており、SCP-389-JP-2-Bの方が優勢だった。詳細は不明。 結果: すべてのSCP-389-JP-2個体が駆けつけたエージェントにより回収されたため勝敗は不明。 戦闘記録389-ろ - 日付20██/█/██ 場所: サイト-8123の研究室。 付記: それぞれ低品質のイクラ軍艦1貫、トビコ軍艦2貫で3対3で行われた。 経過観察: 出会ってすぐに戦闘が開始した。コミュニケーションをとっている様子はなくバラバラに攻撃していた。 結果: SCP-389-JP-2-A側が勝利。特筆すべきことは無し。 戦闘記録389-は - 日付20██/█/██ 場所: サイト-8123の研究室。 付記: 中品質のトビコ軍艦5貫(SCP-389-JP-2-A)と中品質のバニラアイス軍艦1貫(SCP-389-JP-2-B)を戦わせる。 経過観察: 戦闘開始直後にバニラアイス軍艦がトビコ軍艦を1貫破壊、残りのトビコ軍艦がバニラアイス軍艦を囲むように陣形を作る。 結果: SCP-389-JP-2-A側が勝利。残ったトビコ軍艦は1貫だった。 戦闘記録389-に - 日付20██/█/██ 場所: サイト-8123の研究室。 付記: 中品質のイクラ軍艦3貫、トビコ軍艦5貫、コーン軍艦5貫、ツナ軍艦3貫、ネギトロ軍艦3貫(SCP-389-JP-2-A)と高品質の伊勢海老軍艦1貫(SCP-389-JP-2-B)を戦わせる。 経過観察: SCP-389-JP-2-A側の攻撃はSCP-389-JP-2-Bの不可視の防壁に防がれているよう見え、SCP-389-JP-2-AはSCP-389-JP-2-Bの攻撃一発で破壊されていた。SCP-389-JP-2-Bの不可視の防壁は自身による攻撃の際、一時的に消滅していたと思われる。 結果: SCP-389-JP-2-A側が勝利。残ったSCP-389-JP-2-Aはトビコ軍艦2貫、コーン軍艦1貫だった。SCP-389-JP-2-Bは研究室外に瞬間移動した際、偶然通りがかった██研究員のペットの犬に捕食され無力化した。 戦闘記録389-ほ - 日付20██/█/██ 場所: サイト-8123の一時休業中の食堂7及び周辺通路の一部。 付記: 高品質のイクラ軍艦15貫、トビコ軍艦20貫、ネギトロ軍艦5貫、シラウオ軍艦3貫、ウニ軍艦3貫、イカ軍艦5貫、ツナ軍艦5貫、コーン軍艦10貫、からあげ軍艦15貫を2セット(SCP-389-JP-2-A,B)と、ネギトロとツナを5kgずつ用意し調理場に複数に分けて設置した。SCP-389-JP-2の通信は常に傍受しておき、通路の都合上レベル1以上のクリアランスを持つ職員は自由に観察できるようにする。 経過観察: 戦闘は2日間に及んだ。 1日目。SCP-389-JP-2-A側はネギトロ軍艦、シラウオ軍艦、ウニ軍艦、ツナ軍艦を中心とした輪形陣を3つ作り、シラウオを飛ばし周辺を警戒しながら調理場に進行。SCP-389-JP-2-B側は全個体で1つの輪形陣を作りシラウオを飛ばし周辺を警戒しながら調理場へ進行。SCP-389-JP-2-Aが入口1、SCP-389-JP-2-Bが入口2から食堂に入った時点でウニ軍艦により互いの存在が明らかになり、両軍ともに厳重警戒態勢をとる。両軍とも食堂の入り口から少し動いた地点で停滞し、傍受していた打電の内容から情報戦を行っていたと推測される。 2日目。AM7:00頃、互いの戦力がほぼ同じだと判断したSCP-389-JP-2-A側がイクラ軍艦2貫、トビコ軍艦3貫、からあげ軍艦3貫、コーン軍艦2貫に護衛のシラウオを付け調理場に進行させる。約30分後、SCP-389-JP-2-A側が複数のネギトロ、ツナの塊を発見。打電を受けたSCP-389-JP-2-Aは本隊を調理場に進行させる。同時にSCP-389-JP-2-B側がSCP-389-JP-2-Aが動いたことを探知、イカ軍艦1貫を偵察に向かわせる。SCP-389-JP-2-Bは相手の戦力が同等かそれ以上と判断していた。 AM8:00頃、SCP-389-JP-2-Bのイカ軍艦が前述のSCP-389-JP-2-A群を発見。本隊と通信を交わし、待機。打電を受けたSCP-389-JP-2-Bはイクラ軍艦6貫、トビコ軍艦9貫、シラウオ軍艦1貫、ウニ軍艦1貫、コーン軍艦3貫、からあげ軍艦5貫を向かわせ、後方から本隊も進行。 AM10:00頃、SCP-389-JP-2-Bの先遣隊とSCP-389-JP-2-Aの先遣隊が接触。SCP-389-JP-2-Bの待機していたイカ軍艦のイカがSCP-389-JP-2-Aのコーン軍艦に命中すると同時にSCP-389-JP-2-B先遣隊は攻撃を開始。この戦闘は30分で終結。SCP-389-JP-2-A先遣隊は全滅、SCP-389-JP-2-B先遣隊はイクラ軍艦2貫、トビコ軍艦1貫を失った。その後SCP-389-JP-2-B先遣隊は本隊と合流しツナ軍艦による修復、ネギトロ軍艦による補給を受けた。SCP-389-JP-2-A本隊は3つの輪形陣に分かれたまま調理場へ進行。確保していた調理場中央辺りのネギトロ及びツナの塊へ一つのグループが陣取り、残りの個体は調理場に潜伏、または巡回していた。SCP-389-JP-2-Bは調理場の外へ陣取り、3体一組のシラウオを6組調理場へ進行させる。3分後、潜伏していたSCP-389-JP-2-Aのからあげ軍艦数貫によりシラウオが5体破壊される。7分後、更に7体が破壊される。11分後、更に3体が破壊され残り3体となる。12分後、ネギトロの塊に陣取っていたSCP-389-JP-2-A群を発見するもウニ軍艦による通信妨害が実行され、SCP-389-JP-2-B本隊へ連絡すること無く全滅。 AM11:00頃、SCP-389-JP-2-Bの全個体が輪形陣をとりつつ調理場へ進行。12分後、イクラ軍艦2貫、トビコ軍艦5貫からなるSCP-389-JP-2-A群を発見。コーン軍艦により攻撃がなされ、SCP-389-JP-2-Bは損害無くこれを破壊。13分後、SCP-389-JP-2-Aのイカ軍艦3貫の待ち伏せ攻撃によりSCP-389-JP-2-Bのイクラ軍艦3貫、からあげ軍艦2貫、ウニ軍艦1貫が破壊される。SCP-389-JP-2-Aのイカ軍艦は1貫が逃走、2貫は破壊された。SCP-389-JP-2-Aが再び3つの輪形陣を編成し、すべてのグループがSCP-389-JP-2-Bへと進行を開始。10分後一つのSCP-389-JP-2-A群がSCP-389-JP-2-Bと接触。他のグループへ情報を伝え、戦闘を開始する。 AM12:00頃、すべてのSCP-389-JP-2個体が戦闘状態に入る。すべてのシラウオ軍艦、ウニ軍艦、コーン軍艦及びからあげ軍艦数貫は前線から離れ活動している。5分後、戦闘が更に激化。数ではSCP-389-JP-2-Bが優勢、しかしSCP-389-JP-2-AはSCP-389-JP-2-Bを囲むように展開しており、戦況はSCP-389-JP-2-Aが優勢。 PM3:00頃、SCP-389-JP-2-Aのイクラ軍艦1貫、SCP-389-JP-2-Bのイクラ軍艦1貫を残し全滅。 + 戦闘記録389-ほ PM3:00頃の通信ログの抜粋を表示 - 記録を隠す SCP-389-JP-2-B-からあげ軍艦: こちら護衛艦「つくね」。敵の攻撃を受け護衛艦「ももにく」、戦艦「筋子」、戦艦「赤玉せきぎょく」、駆逐艦「飛魚」、駆逐艦「飛卵」の轟沈、護衛艦「むねにく」、空母「白魚」の大破を確認。 SCP-389-JP-2-B-イクラ軍艦8: 我「鮭卵いくら」、詳細ナル戦況ヲ求ム。 SCP-389-JP-2-B-からあげ軍艦: こちら護衛艦「つくね」、戦況、無線が混乱しているため詳細は不明。敵多数。敵のサーモン・ロウ級戦艦7隻、フライング・フィッシュ・ロウ級駆逐艦8隻、エフ・ティー・アンド・ジー・オー級補給艦2隻、アイス・フィッシュ級空母1隻、スクイード級潜水艦2隻、コーン級ミサイル巡洋艦5隻、ディープ・フライド級イージス巡洋艦6隻の撃沈を確認。 SCP-389-JP-2-B-イクラ軍艦: 我「鮭卵」、了解。我、貴艦ノ元ヘ行カン。 SCP-389-JP-2-B-からあげ軍艦: こちら護衛艦「つくね」、了解した。援護を開始する。 <通信はSCP-389-JP-2-Aのウニ軍艦により一時的に断裂> <通信復帰> SCP-389-JP-2-B-からあげ軍艦: (激しいノイズ音)こ・・・護衛・・・・・・攻撃を・・・航行不・・・敵・・・サーモ・・・戦・・・1・・・。 SCP-389-JP-2-B-イクラ軍艦: 我「鮭卵」、貴艦ヲ発見。救援ニ向カウ。 <SCP-389-JP-2-Bのからあげ軍艦の無力化が確認される> SCP-389-JP-2-B-イクラ軍艦: 我「鮭卵」、「つくね」応答セヨ。 SCP-389-JP-2-B-イクラ軍艦: 護衛艦「つくね」、ヨクヤッタ。 結果: SCP-389-JP-2-Bが勝利。残っていたのはイクラ軍艦1貫でネタはほとんど無く30%は破壊されていた。1分後、職員の用意した皿の上へ移動し異常性を喪失した。このイクラ軍艦を摂食した██博士はイクラ軍艦が前述の通りであったにもかかわらず「非常に美味」と答え、3分間の間、無力化したSCP-389-JP-2群へ向かって涙を流し敬礼を行い続けた。 かなり盛り上がっていたようですが、見に来た職員が多すぎました。多少ながら職務に影響が出ていたので、今後SCP-389-JPを使用する際は観察に人数制限を設けてください。-サイト8123管理者 Footnotes 1. CDそのものの成分や内容に異常な点は見られません。 2. 一般的な話し声程度です。 3. すぐ近くを電車が通った時ぐらいの音です。 4. 100m先で聞こえなくなるべき音が20m先で聞こえなくなります。 5. ガラスの上で行った実験により潜行していることが明らかになりました。 6. 一度上空まで上がり上面を攻撃する軌道です。 7. 全体で30×50m2、入口は互いに離れて2つあります。調理場は障害物が多く5×40m2で、カウンター部分が開いています。 8. 指揮艦だと思われます。
scp-390-jp
評価: +10+–x SCP-390-JP-1 アイテム番号: SCP-390-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-390-JPと指定された区域内及びその周辺地域は、財団のフロント企業「滋賀中央森林公園(Shiga Central-woodland Park)」の所有地になっています。また管理区域として周囲に鉄柵を張り巡らせ一般人の侵入を防いでいます。特にSCP-390-JP-1の開花時期には、警備を強化し、財団指定の林道から離れる一般人は、機動部隊へ-1("冬眠明けの熊")によって捕捉され、開花終了まで厳重拘束されます。 SCP-390-JP及び、SCP-390-JP-1の実験は風の少ない天候下で実施するようにして下さい。 SCP-390-JPは、付近のセクター8192の職員によって、開花時期の予想、森林環境の保全が行われており、不法な伐採者はDクラス職員に流用、及び増え過ぎたシカは駆除、一部は実験動物に流用することになっています。 予期される重大な封じ込め違反の予防として、「大雨暴風警報策戦」が規定されていおり、開花時期問わず常時策戦実行可能状態にあります。 説明: SCP-390-JPは滋賀県██市███ ██ ███の地元住民に禁足地とされている████神社の御山内に位置しています。SCP-390-JP内に密集して多く見られるヤマザクラ(Cerasus jamasakura)の亜種はSCP-390-JP-1と指定されています。SCP-390-JPは、SCP-390-JP-1の開花時に起こる現象の効果範囲と指定されています。 手を加えないSCP-390-JP環境下では、SCP-390-JP-1の開花時期は、3月〜4月であり、処置次第では開花時期を任意の時期にすることや、1年間を通して開花させない事もできます。しかし、処置はSCP-390-JPの保全に悪影響を及ぼすために、基本的には自然の成り行きにまかせています。 SCP-390-JP-1の開花時に、SCP-390-JP内に生死を問わず人、及び人以外が複数名で侵入すると、SCP-390-JPの特殊性が発現します。SCP-390-JPに侵入した被験者は一名を除いて、”まるで桜が散るように”、風に対する抵抗力が著しく低下し、風によって体組織が分解され、結果として、SCP-390-JP内に居る被験者は一名のみとなります。人以外について、対象となるのは例えばシカ等であり、土壌中の生物、微細な生物等、一般的に目で確認を取れない生物は対象外のようです。優先順位は、生命活動が終了している物から行われること以外に規則性はありません。分解の過程は、欠損しても致命的では無い部位からおこり、生命活動維持の限界になった後、被験者は死亡します。分解は十分に進み、いずれ散っている桜の花の中に混じり、来年の春までには、山土に存在する一般的な生物に腐葉土へと分解されます。SCP-390-JPによる分解の過程において、被験者をSCP-390-JP外部に引き摺り出すと、分解の過程にあった部位の断面に痕跡が残りますが、分解過程は終了します。被験者のインタビューによると、分解過程において多幸感を感じ、桜の下から出る気を催すことは一切無かったと表現しています。 SCP-390-JP内に一名で居る被験者は、激しく取り乱し、自殺を試みます。同様にして、SCP-390-JP外部に引き摺り出さない限り、被験者を落ち着かせることは不可能です。”風を浴びる度に、死にたくなるほどの孤独感”を感じ、桜の下から出る考えなんて浮かばなかったと後のインタビューで表現しています。 また、SCP-390-JP内の地表に自身と関連付けられる物(廃棄物の様なものすら含み、限度については見極め中です)を、放置しておくとSCP-390-JP-1の開花時に、SCP-390-JP内に向かいたくなる衝動が抑えられなくなり、SCP-390-JPへ向かう為にいかなる手段を用いることによって、又、SCP-390-JP内にたどり着いても、SCP-390-JPの特殊性によって、大抵の場合、望ましくない結果となります。このため、開花時期以外でも、SCP-390-JPの調査は出来る限り避けるべきであり、開花時期以外にはSCP-390-JPの慎重な清掃活動が必要となります。 SCP-390-JP内部は花見をするのには向いとらんのは読んで明らかだろう。財団職員みんなで桜の良い所に毎年行っているから、要らぬ心配だ。──████博士
scp-391-jp
評価: +44+–x アイテム番号: SCP-391-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-391-JPは現在サイト-81██にて中型生物用収容室に個別に収容されています。収容室内環境は一般的なメキシコサラマンダー(Ambystoma mexicanum)の生活環境に適応させています。収容室内の清掃は月に一度行ってください。収容室内は常に監視カメラによる監視を行っています。異常が発覚した場合はすぐに主任研究員に報告してください。 SCP-391-JPの利用はセキュリティクリアランスレベル4以上の職員が適正であると判断した場合にのみ可能です。利用後の被験者Aの処理については利用責任者に一任されますが、391-JP利用記録への情報追記は確実に行ってください。これらの手順を怠った場合、厳格な処分が行われます。 SCP-391-JP利用後の被験者Aについては月に一度の検査が義務付けられます。検査の実施方法については検査手順A-467に準じてください。この義務に違反した場合、終了を含めた措置が取られます。 SCP-391-JPの利用が60日間行われなかった場合、61日目に給餌プロトコルが実行されます。使用したDクラス職員は、記憶処理を施した上で再利用してください。 説明: SCP-391-JPは幼形成熟したメキシコサラマンダー(Ambystoma mexicanum)に似た外見的特徴を持つ全長約2.8mの生物です。現在、3体のSCP-391-JPが収容されています。SCP-391-JPはエラ、肺呼吸を両立しており、水中、陸上共に活動することが可能です。しかし平時は水中に居ることが多く、陸上に上がることは稀であり、その動きは緩慢です。外見的な特徴として、肛門、生殖器を持っておらず、排泄、生殖行動を行うことがありません。 SCP-391-JPは死体の解剖により、その身体構造が明らかになっています(完全な記録は「解剖記録391-JP」を参照してください)。SCP-391-JPは消化器系に該当する器官を、胴体の6割以上の占めている胃と考えられる袋状の器官までしか持っていません。またSCP-391-JPは未知の神経毒を分泌する器官を持つ長さ20cmほどの舌を持っており、捕食の際に使用することが確認されています。なお、SCP-391-JPの脳は人間のものである事が確認されていますが、SCP-391-JPがこれまで高度な知性の兆候を見せたことはありません。 SCP-391-JPの最も特異な点として、SCP-391-JPの身体組織からは以下に列挙する様々なDNAが検出されています。 メキシコサラマンダー(Ambystoma mexicanum) プラナリア(Tricladida) ホヤ(Ascidiacea) アカハライモリ(Cynops pyrrhogaster) 個体ごとに異なる人間(Homo sapiens)1名 [編集済]との関連性が疑われる未知の生物2例 しかしSCP-391-JPはこれらの身体的な特異性を持ちながらも、拒絶反応をはじめとした異常は見せていません。 SCP-391-JPは知覚可能な範囲内1に生きた人間(以下、被験者A)が接近した場合、SCP-391-JPは被験者Aに舌を伸ばして接触させます。舌が接触した被験者Aは数分以内に全身が麻痺し、SCP-391-JPに丸呑みにされます。この際SCP-391-JPの口と身体は、被験者Aの体型に合わせた変形を見せます。SCP-391-JPは被験者Aを捕食後、おおよそ30分ほどで体型を元に戻し、被験者Aの装着品などの被験者A以外の物品を吐出します2。なおSCP-391-JPは心肺停止後約10分以内の人間まで被験者Aとみなすことが確認されていますが、これらの判断を如何にして行っているかは不明です。またこの行動はSCP-391-JPが被験者Aをくわえる前であれば、容易に阻止することが可能です。しかしくわえた後ならば、麻酔や筋弛緩剤等の投与なしには救助することは出来ません。 物品を全て吐出するとSCP-391-JPの体色は黒みを帯び、次の被捕食対象(以下、被験者B)を探し始めます。この際の知覚及び運動能力は高く、実験では物影に隠れる、高所に登る、走る等の逃走を図った被験者Bを発見または追跡して捕食する様子が観察されました。被験者Bの捕食においても舌を用いて麻痺状態にしてから丸呑みにしますが、被験者Aの場合よりも毒性が増しており、接触から数秒で麻痺に至ります。被験者Bが見つからないまま約12時間ほど経過すると、SCP-391-JPは被験者A捕食前の状態に戻ります。なお腐敗していない死体も被験者Bとみなすことが確認されていますが、同一個体の肉体かつ肉体の60%以上が存在していなければ、呑み込んだ後に吐出します。また捜索及び被験者B捕食の間、SCP-391-JPは高い薬物耐性を示すため、この行為の阻止は物理的な障害を用いるしかありません。 被験者A及び被験者Bを捕食したならば、SCP-391-JPは活動的ではなくなり水中に移動します。捕食から36時間ほど経過した頃から、SCP-391-JPの胴体は少しずつ肥大を始めます。この肥大は被験者Aを呑み込んだ際の大きさとほぼ等しくなるまで緩やかに進行します。捕食から46時間後、SCP-391-JPは陸上に上がり、全裸の被験者Aを吐出します。被験者Aは眠った状態で吐出され、吐出後も約10分程度、最長で1時間ほど眠り続けます。なお被験者Aの吐出から約1時間経過するまで、SCP-391-JPは新たな被験者Aを発見しても捕食することはありません。 SCP-391-JPから吐出された被験者Aは、先天的なものを除く全ての負傷、欠損、その他の異常3が無くなった状態となっています。記憶に関しても一切失うことはなく、あらゆる検査は吐出された人間が被験者Aと同一であることを示しました。SCP-391-JPからの影響は現在までに実施された███回の実験中に一度も発生していません。 補遺1: SCP-391-JPの人間部分の組織から検出されたDNAを調査したところ、全て女性であることが判明しました。またSCP-391-JP-2、-4の人間部分からは血縁関係が確認され、SCP-391-JP-3、-5からはそれぞれエージェント野崎、長夜研究員補佐4と合致するDNAが検出されました。この件について両名に対して尋問が行われましたが、両名ともにSCP-391-JPならびに日本生類創研への関与を一貫して否定しました。両名は再調査及び再評価を経て現在も財団に雇用されています(詳細は「SCP-391-JPに関する人事再評価報告」を参照してください)。なお、SCP-391-JP-2、-4と合致するDNAは現在も発見されていません。 補遺2: 200█/██/██、定期清掃のために入室したDクラスによりSCP-391-JP-5が水面に仰向けで浮かんでいるところが発見されました。回収したところ生命反応が確認できず、完全に死亡していることが確認されました。SCP-391-JP-5は前回の利用から7█日が経過していた事から、死因は餓死ではないかと推測されています。この件を受けて特別収容プロトコルが改訂されました。 回収記録391-JP: SCP-391-JPは199█年█月██日に日本生類創研の一員を名乗る女性からの電話による情報提供(内容は音声記録81-391-199████を参照)により収容部隊が出動、石川県████山中████池にてSCP-391-JPを発見、収容しました。電話は愛知県████市内の公衆電話から発信されていましたが、発信元の公衆電話とその周囲から女性に繋がる手がかりを得ることはできませんでした。また収容の際、SCP-391-JPが収容部隊の隊員に襲い掛かり捕食し始めたため、現場判断によりこの個体を殺害5。殺害した個体をSCP-391-JP-1とし、SCP-391-JP-2から-5までの4体を収容しました。なお殺害したSCP-391-JP-1の体内から重さ6█kgの有機体が発見されており、SCP-391-JP-1はすでに被験者Aの捕食を完了していたことが明らかになっています。その後の分析により、有機体とSCP-391-JP-1の人間部分に関して血縁関係が認められました。 以下はSCP-391-JPが発見された████池の周辺捜索によって回収された物品です。 男性ものの衣服一式(全て一般流通品。複数の刃物による刺し跡及び血痕あり) 携帯用テープレコーダー(衣服の傍で発見、テープは入っていなかった) 市販の菓子の包装袋(いずれも空、計27袋) 市販の清涼飲料水ペットボトル(いずれも空、計11本) 空のポリタンク(20リットル用、内容物は水と推定されている) 以下の物品は周辺捜索で発見された無人の軽自動車より回収されました。 免許証(井島 ███と記名、偽造ではないと確認されている) 和歌山県の[編集済]病院で作成された少女のカルテ(該当病院はすでに閉院) 鍵束(合計3本) 写真(█枚、全て同一の男性と少女が写っている。[編集済]病院に入院中のものあり) ペットフードの空缶詰(2缶) 破り捨てられたメモ(石川県の住所の一部が記載されている、欠損のため特定できず) 柴犬の毛 コンビニのレシート(回収の2日前に近所のコンビニで発行されていた、内容は数日分の食料品) 上記の食料品のゴミ及び未開封品 調査記録391-JP-1: 回収された物品の調査により、衣服に付着していた血液は全て同一人物のものであり、免許証の持ち主である井島 ████氏の血液であることが確認されました。また井島氏のDNAは、SCP-391-JP-1体内より回収された有機体のDNAとも一致しました。井島氏は雑誌記者であり、和歌山県にて娘との二人暮らしであったことが確認されています。 軽自動車内から回収された鍵束の内1本は発見された軽自動車のものであり、もう1本は自宅の鍵であったことが明らかになっています。しかし残る1本の鍵の詳細は現在も不明です。調査によれば金庫かそれに類するものである可能性が高いとされていますが、井島氏の自宅、身辺からは対応するものが発見されていません。 また少女のカルテは井島氏の一人娘である██さんのものであり、██さんは肺炎を患い199█年█月に和歌山県の[編集済]病院に21日間入院していたことが記載されていました。財団医療従事者はカルテに記載された病状及び治療、入院期間に関して異常な点を発見することはありませんでした。 ██さんは自宅に在宅しており、エージェントによって保護されました。保護後に精密検査が行われましたが、異常な点は発見されませんでした。また██さんのDNAは、SCP-391-JP-1の人間部分のDNAと一致しました。なお事情聴取からアマミヤという人物による何らかの関与が疑われており、現在も調査中です(詳細はインタビュー記録391-JPを参照してください)。現在、██さんは記憶処理を施され森谷博士の養子としてサイト-81██に在住しています。 調査記録391-JP-2: 事情聴取及び身辺調査から、井島氏と電話で連絡を取り合っていた人物2名が特定されました。しかし2名とも[編集済]病院について調べたが有益な情報を得ることが出来なかったと証言しています。また井島氏はペットとして飼っていた柴犬を同行させて家を出たという証言を██さんより得ていますが、その行方は現在も不明です。 脚注 1. おおよそ半径5mほどであると推測されています 2. これには人工関節などの体内の物品を含みます 3. 喫煙による肺の汚れなど 4. 199█年当時 5. この判断は適切であったとされています(詳細は議事ログ「SCP-391-JP回収時の殺害について」を参照してください)
scp-392-jp
評価: +37+–x アイテム番号: SCP-392-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 産婦人科に属する職員はSCP-392-JP対象となった妊婦を監視し、陰暦8月15日夜間の出産を避けるよう治療を施します。その試みが失敗し陣痛を迎えた場合、産婦人科医に偽装したサイト-81██所属の祈祷師を派遣し、妊婦に対し呪術的プロトコル“天の羽衣”を行いSCP-392-JPの封じ込めを試みます。プロトコル“天の羽衣”が失敗し、SCP-392-JPが収容違反した場合、記憶処理後の妊婦と配偶者に対してはカバーストーリー「容態の急変による死産」を適用します。また、陰暦8月15日の出生率の低下については偽装データを適用します。 説明: SCP-392-JPは陰暦8月を臨月とする妊婦に限定して発生する一連の現象です。蒐集院と財団の統合の際に管理引き継ぎが成されました。SCP-392-JPの発生場所は日本国内に限定されており、胎児の性別が女性であることが共通しています。 SCP-392-JPの対象となった妊婦には妊娠8ヶ月頃より月に対する言及を盛んにする、月を見て泣く、昼夜の行動が逆転するなどの行動が見られるようになります。この現象は蒐集院管轄時代「月に憑かれた」と表現され、収容の目安となっていました。妊婦はやがて陰暦8月15日の夜間に陣痛の始まりと共に重度の意識混濁を起こし、外部からの刺激に一切反応を示さなくなります。この時妊婦は副交感神経が優位な状態にあることが確認されています。 その後、妊婦の胎内の胎児は空中に向かい浮上します。この浮上の際、胎児は既に臍帯が切断されており、妊婦の腹部を通り抜け体外に排出されます。その後胎児は時速█0000kmで月へ向かって移動を始めます。窓や扉などの出口は自ずと開放され、障害物は胎児の移動を妨げることがない位置に移動し、移動が不可能なものは胎児が通り抜ける形で突破されます。また、胎児が非常に高速で移動しているにも関わらず、衝撃波などは発生しません。 呪術的プロトコル“天の羽衣”は蒐集院が収容の為執行していた儀式を元に確立されました。SCP-392-JPの影響下にある胎児はクラスII霊的実体としての構成を獲得していることが確認されており、物体をすり抜ける現象もこの変化によるものと推測されます。そのため本プロトコルにおいては、上級祈祷師による執行で臍帯を回路とし、胎児を妊婦の肉体と同期し、肉体の現実性を固着させ、霊的実体としての構成を獲得することを阻止します。プロトコル実行の間、他の祈祷師は霊的実体による干渉から分娩室を防御します。 このプロトコルの実行によって胎児の浮上を封じ込め、SCP-392-JPの影響を脱した通常の出産へ移行することが可能であることが確認されています。ですがこのプロトコルが失敗し、胎児が妊婦の体外に排出された場合、月へ向かっての移動を止める試みは未だ成功していません。 月面に到着した胎児は直ちに█倍以上の大きさに肥大します。肥大化した胎児の体組織はおよそ12時間をかけて結晶質石灰岩に変化し、岩石化した胎児はクレーターの内部を埋めるような形で完全に月面と同化します。月面の結晶質石灰岩を剥落させる計画が財団月探査チームによって実行され、サンプルを持ち帰ることに成功しました。しかし翌年のSCP-392-JPの発生件数が█倍に増加しました。よって月表面の結晶質石灰岩の除去ではなくSCP-392-JPの発生自体を完全に収容することを最優先とした研究が進められています。 蒐集院がSCP-392-JPの収容を開始して███年間の段階においては発生自体が少なく、また儀式の成功率が非常に高く収容違反件数をごく少数に抑えられていた為、蒐集院の管理能力で十分に収容が可能であったことが記録されています。しかし後年に至るにつれ徐々にSCP-392-JPの収容違反件数は増加しており、財団への管理引き継ぎが成された際には儀式の成功率は██%にまで低下し、「月に憑かれる」「月に子を攫われる」現象の隠蔽はほぼ不可能な状態になっていました。財団は広範囲記憶処理、歴史資料の改竄及び抹消を行い市民からSCP-392-JPを隠蔽した他、呪術的プロトコル“天の羽衣”を制定し結果一時SCP-392-JPの収容違反発生率は█%にまで低下しました。しかしその段階から現在に至るまでSCP-392-JPは徐々に発生件数自体を増加させており、一連の収容プロトコルに耐性を獲得しつつあると見られています。呪術的プロトコル“天の羽衣”の強化に向けた研究を急いでください。 補遺1: 以下の文書は、███年の記録上最初のSCP-392-JP発生の際、蒐集院が儀礼的手段により受信した月面からの交信です。 いざ【編集済】穢き処に如何でか久しくおはせむ 化粧ず我が装い 昼の明かさにも過ぎて光りたり 共に参らん 我が婿がねおはする処 いざやいざ 補遺2: 最初のSCP-392-JPの対象になった妊婦は、夫と共に竹細工を生業としていたことが確認されています。 補遺3: SCP-392-JPの収容違反を完全に阻止できない状態が続く場合、 █000年後に月は結晶質石灰岩に覆われた表面に瑕疵の無い球体になることが予測されています。
scp-393-jp
評価: +114+–x 兎のぬいぐるみに変化したSCP-393-JP アイテム番号: SCP-393-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-393-JPは現在の形態に適したサイズの、緩衝材が詰められた不透明なケースに収納した上で、サイト-8181の低脅威度物品保管ロッカーに収容してください。 SCP-393-JPの異常性の発現並びに転移を防止する為、SCP-393-JPを肉眼で直接視認しないでください。もしもSCP-393-JPを直接視認した人物がSCP-393-JPの破壊を試みた場合、直ちに拘束し、クラスA記憶処理によって影響を取り除いてください。 説明: SCP-393-JPは様々な動物を模ったぬいぐるみです。SCP-393-JPは後述する特性によりそのモチーフやサイズを変化させますが、どのような形態に於いても材質や構造に一般的なぬいぐるみとの差異は認められません。しかしながら、SCP-393-JPは一貫してそれに見合う強度を持ち合わせておらず、通常のぬいぐるみに比べて容易に破損します。 SCP-393-JPを肉眼で直接視認した人間は、SCP-393-JPを破壊したいという衝動に駆られます。この衝動の強さには個人差があり1、より多くの精神的ストレスを抱えた人物ほどより強い衝動を覚える傾向にあることが判明しています。この衝動はSCP-393-JPが後述する要因によって転移するまで継続しますが、それ以前でもクラスA記憶処理によって除去することが可能です。SCP-393-JPが一定以上の損傷2を受けた場合、SCP-393-JPに何らかの損傷を与えた3人物(以下、加害者と呼称)の精神的ストレスが大幅に軽減されます。 SCP-393-JPは自身が一定以上の損傷を受けてから24時間以内に、その地点から半径20km圏内の人間一人の眼前に転移します。転移後のSCP-393-JPは別の形態に変化しており、以前受けた損傷は完全に修復されています。そして、転移と同時に、加害者一人につき特定の人物一人が、SCP-393-JPが前回受けたものと同様の損傷を受けます。なお、加害者各々の身近な人物がこの異常効果の対象として選ばれ易いことが判明しています。 SCP-393-JPは、██県で連続して発生した██件の暴行/変死事件の調査中にその存在が発覚し、回収されました。その後、一連の事件の関係者全員には記憶処理が施され、事件の隠蔽にあたって「強盗」や「猟奇殺人」等の、それぞれ適切なカバーストーリーが適用されました。 インタビューログ393-03 - 201█/██/██ 対象: 芳田 ██ インタビュアー: ██博士 付記: 対象はSCP-393-JPが関与した変死事件の関係者です。 <録音開始> ██博士: 事件の前に何か変わった事はありませんでしたか? 芳田氏: はい。あれは残業で帰りが遅くなった日の事でした。あの日は仕事がうまくいかなくて苛立っていたのを覚えています。それでへとへとになりながら家に帰っている途中……象のぬいぐるみでした。信じられないかもしれませんが、笑顔の象のぬいぐるみが目の前にいきなり現れたんです。 ██博士: 別に疑いはしませんよ。続けてください。 芳田氏: ええ……そのぬいぐるみを見た時、何故か驚くより先に、なんで俺はこんなに疲れているのにこいつはへらへらしているんだと、無性に腹が立ったんです。その後は夢中になってぬいぐるみをボコボコにして……引きちぎって……真っ二つにした後、持っていたライターで燃やしたんです。なんで私はあんなことを[呻き声] ██博士: 芳田さん? 大丈夫ですか? 芳田氏: ……ああ、いえ、何でもありません。それで、あのぬいぐるみを壊した後は妙に気分がすっきりして、それまでイライラしていた自分が何だか馬鹿らしく思えてきまして。ぬいぐるみの事は気になりましたが、そのまま家に帰りました。 ██博士: なるほど。 芳田氏: 玄関を開けて家に入ったら、もう遅かったのに、娘が起きて出迎えてくれたんです。一人娘でした。もう寝なさいとつい言ってしまったんですが、内心嬉しかったんです。この子の為にも頑張らなきゃな、なんて思ったりもしました。あの笑顔は ██博士: [遮って]次の日はどうされました? 芳田氏: ……少し話が逸れましたね。次の日も仕事だったので普通に出勤しました。その日はなんだか気分が良くて、仕事も捗ったお陰で前の日よりも早く帰れたんです。家では久しぶりに家族で食卓を囲んだりもしました。娘は幼稚園の事を楽しそうに話してくれました。今度のお遊戯会に行く約束もしたんです。その後、明日菜4を先に寝かしつけたんです……それで……。 ██博士: それで、どうしたんです? 芳田氏: それで……妻とリビングに居たんですが、暫くしたら……明日菜が、明日菜が、声がして……[沈黙]。 ██博士: 芳田さん? 芳田氏: ああぁ……[嗚咽]部屋に行ったら……明日菜が、叫んでた、それから、叩き付けられたみたいに、飛び出て、弾けて、鼻が、耳が、それで、明日菜が、頭から、割れて、燃えた、もっと赤く、燃えたんだ……[呻き声]ぬいぐるみと同じ、違う、そんな訳ない……でも……俺を見てやめてって言ってた……[泣き声]そんな、いやだ、俺じゃない……俺が……俺がやったんじゃ……。 ██博士: ……インタビューを終了します。ご協力感謝します。 <録音終了> インタビューログ393-06 - 201█/██/██ 対象: 浜野 ██ インタビュアー: ██博士 付記: 対象はSCP-393-JPが関与した暴行事件の被害者です。なお、インタビューは対象が会話が可能な程度まで回復した後に、対象が入院している財団の医療施設で実施されました。 <録音開始> ██博士: こんにちは、浜野さん。調子はいかがですか? 浜野氏: ええ、お陰様で大分落ち着いてきました。手足の無い生活には、まだ慣れませんけどもね。 ██博士: そうですか。ところで、本日は浜野さんにお聞きしたい事がありまして。 浜野氏: 何でしょうか? ██博士: 浜野さん、何故貴女は事件以来息子さんとの面会を拒んでいらっしゃるのですか? 浜野氏: それは……。 ██博士: 事件と何か関係があるのでしょうか。もし宜しければお聞かせ願えませんか? 浜野氏: ……あの日、息子の部屋に夜食を届けに行った時のことです。当時、息子は受験勉強で殆ど部屋に籠りきりで……。気がかりで、顔を見たかったんです。たった一人の家族ですもの。でも、部屋に行ったら……。 ██博士: 浜野さん? 浜野氏: 部屋に行ったら……息子が……息子が突然殴りかかってきて……それで、手足と目を、こんな……[泣き声] ██博士: なるほど。では浜野さん、貴女はあの日、息子さんから暴行を受けたと、そう仰るのですね? 浜野氏: ……ええ、そうです。 ██博士: しかしですね、浜野さん。息子さんは今に至るまで、そのような事実を証言してはいませんよ。 浜野氏: ……何ですって? ██博士: いいですか、浜野さん。考えてもみてください。当時ほとんど部屋に籠りきりだった息子さんが、浜野さんの手足を素手で引きちぎる事ができると思いますか? 息子さんでなくとも人間にそんなことができるはずはありません。それに、現時点では息子さんの犯行を裏付けるような証拠も見つかっていないのですよ。 浜野氏: そんな……。 ██博士: もう一度よく思い出してみてください。何かの間違いということは? 浜野氏: そんなはずは……確かに息子にやられたんです! 本当です! 信じてください! ██博士: 浜野さん、落ち着いてください。お身体に響きます。どうか安静に。 浜野氏: 本当なんです……本当に息子が……[嗚咽]優しい子だったのに、何であんな……。 ██博士: ……インタビューを終了します。[控えていた助手に]彼女に鎮静剤を。 浜野氏: 何で……何で……[泣き声] <録音終了> 終了報告書: インタビュー後、対象を含めた家族全員に記憶処理を施しました。しかしながら、対象にのみ記憶処理の効果が現れず、引き続き「息子から暴行を受けた」と主張しました。対象は現在も息子との面会を拒絶し続けています。 Footnotes 1. 過去に抵抗に成功した例も存在します。 2. 内容物の30%程度を喪失する、焼却される等が含まれます。 3. 故意であるか過失であるかは問いません。 4. 芳田氏の娘の本名。
scp-394-jp
評価: +69+–x SCP-394-JP アイテム番号: SCP-394-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-394-JPは開放した状態で固定し、低脅威収容ロッカーに収容します。被験者には長期の経過観察が可能なDクラス職員のみを起用して下さい。SCP-394-JP-aは喪失を防ぐため、専用金庫に収容します。 説明: SCP-394-JPは内寸がおよそ10cm×6.3cm×2cmの小物入れです。外見は書籍を模しています。表紙にあたる蓋の部分には英語で"我が自伝"と記されていましたが、現在はその文字だけが消滅しています。 使用者が自身の所有物をSCP-394-JPに収納し、蓋を閉じた場合に特異性が発現します。この所有物をSCP-394-JP-aとします。SCP-394-JP-aは数秒~数年後に破壊や放棄などで喪失し、使用者の所有物ではなくなります。使用者がSCP-394-JP-aと同一と認識した所有物は、直接SCP-394-JPに収納されなくても同時期に喪失されます。ただし蓋を完全に閉じられなかった場合、使用者が所有物以外の物品を入れた場合、使用者が意図せずに収納した場合、特異性は発現しません。 事故記録001 - 日付1998/不明/不明 対象: D-04971(当時の氏名は██████)所有の印鑑 状況: 保管のためにD-04971が使用。 結果: 翌年、D-04971は離婚により旧姓に復帰。印鑑は全て廃棄。 事故記録002 - 日付2001/██/██ 対象: D-04971所有の写真。長女とその婚約者が写ったプリクラシール。 状況: 保管のためにD-04971が使用。 結果: 翌日、長女の婚約者が運転する自動車の事故により、D-04971の長女は死亡。婚約者は生存。写真は焼却。 事故記録003 - 日付2002/██/██ 対象: D-04971所有の社員証。 状況: 一時保管のためにD-04971が使用。 結果: 3ヶ月後、D-04971は懲戒解雇。社員証は返却。 事故記録011 - 日付2011/██/██ 対象: D-04971所有の運転免許証。 状況: 一時保管のためにD-04971が使用。 結果: 2週間後、D-04971は[編集済]。運転免許証は失効。 付記: これがきっかけでD-04971は運転免許証だけでなく氏名や本籍などの公的な記録を全て失い、財団に雇用されました。事故後の詳細なインタビューによりSCP-394-JPが特定され、初期収容に至りました。 実験記録055 - 日付2011/██/██ 対象: D-04971の頭髪1本。 実施方法: D-04971に"あなたの髪の毛を箱に入れるように"と指示し、本人が実行。 結果: 当初は変化なしと思われたが、後述のインシデント記録001後、D-04971の頭髪は全て脱落した。 付記: SCP-394-JPからD-04971の古い頭髪が採取されましたが、彼女は頭髪を喪失していなかったため、この確認実験を行いました。 実験055の最中、 D-04971が実験に予定されていない行動をとりました。 インシデント記録001 - 日付2011/██/██ 対象: D-04971の唾液。 状況: D-04971が罵倒と共にSCP-394-JPに唾棄。職員の制止を無視して蓋を閉じました。 結果: D-04971は拘束され、鎮静処置を受けました。経過観察のため全ての実験計画を延期、D-04971を長期にわたって観察。D-04971の唾液は失われませんでした。 3年後、D-04971は多発性骨髄腫を発症。財団は自家造血幹細胞移植などの治療を行いましたが、2015年7月に感染症を併発し死亡しました。 分析: SCP-394-JP内部から、D-04971の血液をごく微量ですが検出しました。彼女がSCP-394-JPに収納しようとしたのは唾液ではなく、血液だったと考えられます。 補遺: D-04971の死後、残りの被験者3名によって実験を再開しました。しかし現在に至るまで、特異性は発現していません。特異性がオブジェクト側に存在していたのか、研究チームが再検証を行っています。オブジェクトクラスの変更を検討中です。
scp-395-jp
評価: +60+–x アイテム番号: SCP-395-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-395-JPは財団管轄下の旧国道███番線を往復するように誘導しています。収容ルートを外れた場合は即座に収容ルートに戻るように誘導してください。この時、従わない様子を見せた場合には、火器を用いた直接的干渉が認められています。 現在、収容ルートは"自動車メーカーのテストコース"に偽装されています。ルート内への侵入者は拘束し、Aクラス記憶処理を施して解放してください。 SCP-395-JP-Aの様子は併走させている自動操縦ドローンで常時監視下に置きます。通話の終了や物品の完全消費が認められた場合には研究主任に通達してください。 説明: SCP-395-JPは底面部に未知のクモ類の歩脚を備えた公衆電話ボックスです。内部に設置されている電話機の形式と後述するSCP-395-JP-Aの服装から、1995年頃に設置されていたものと考えられていますが、実際に設置されていたものであることを確定できる要素は確認できていません。 SCP-395-JPは備えた歩脚を用いて徘徊性のクモと同様の挙動が可能です。財団収容下の記録では移動速度は最大で80km/hを記録していますが、平時では40km/h程度で移動を行います。物理的損傷を与える試みは電話ボックス、歩脚共に成功していませんが、行動の阻害自体は可能であり、転倒させることや拘束することが可能です。しかし停止している時間が一定時間継続された場合1、SCP-395-JP-Aによって移動の再開を強制されます。 SCP-395-JPの内部は挙動による物理法則が働いている様子がありません。そのため、いかなる挙動によってもSCP-395-JP-Aが通話の中断する様子は確認されていません。 SCP-395-JPは財団の干渉に対して怯える様子を見せる他、車両への一般的な誘導方法に従うため、現在の収容ルートへの誘導が行われました。以降、自主的にルートの往復を続けています。 SCP-395-JP-Aは1975年に██県で出生が確認されている日本人男性です。戸籍上の名前は██ ██ですが、1994年に失踪宣告2が行われています。失踪当時は17歳でしたが、現在の外見年齢はシミュレートされた20歳時のものとおおよそ一致しています3。 SCP-395-JP-AはSCP-395-JP内部で直立したまま、電話機を用いて不明ないし存在しない相手との通話を続けています。財団の収容下において、SCP-395-JP-Aは自身が持ち込んだと思われる物品を摂取する以外の食事や睡眠を取らないにも関わらず、疲労する様子は見られません。また加齢による身体的変化も確認されていません。 SCP-395-JP-Aが消費する各物品は尽きる様子が確認されていません。以下は確認されている消費物品です。 10円硬貨(着用衣類の各ポケットに保持、定期的に電話機に投入) 350ml缶入り炭酸飲料(█████社の代表的商品。電話機上に置いている。通話中に度々摂取) 板状チューイングガム(███社製1995年発売。上着左ポケットに保持。摂取後に吐き出す様子は確認されていない) SCP-395-JP-Aの通話内容は日常会話ですが、話題は1995年の時勢に沿ったものです。通話中の受話器の音声を電話ボックス外から聞きとる事が試みられましたが、ホワイトノイズとランダムな音節の機械音声以外は確認されていません。これら通話内容を聴取することによる肉体的・精神的作用は確認されておらず、SCP-395-JP-Aが通話をし続けている理由は不明です。 SCP-395-JP-Aは電話ボックス外の干渉について認識はしているようですが、通話を優先し意図的に無視しているようです。 SCP-395-JPは██県内の██峠で多数の目撃情報があった"走る電話ボックス"の噂を財団エージェントが調査し、発見に至りました。当初、確保してのサイトへの移送が試みられていましたが、SCP-395-JP-Aによる強制によって拘束状態から幾度となく脱するために移送計画を中止。現在の収容ルートへの誘導が行われました。一般人の目撃者には記憶処理を行い、██峠に以前より伝わっていた"土蜘蛛"の怪談話をカバーストーリーとして流布しました。 補遺: 以下はSCP-395-JP-Aが財団の干渉に反応した唯一の記録です。 + 接触記録SCP-395-JP-██を開く - 閉じる 対象: SCP-395-JP-A インタビュアー: エージェント・██ 付記: 干渉はSCP-395-JPに車両を併走させて行われました。走行音や重要ではない通話内容などは編集しています。 <記録開始, 20██/██/██> エージェント・██: (車両から身を乗り出し、SCP-395-JPのボックスのドアをノックする) SCP-395-JP-A: (通話を継続) エージェント・██: 反応無し。予定通り火器を使用する。 (エージェント・██がSCP-395-JPのボックス部に向けて3発を発砲。損傷無し) SCP-395-JP-A: ごめん、外のバカがうるさいからちょっと待って。(ボックスのドアを開け)うるせえよ!まだ話してるのわかんねえのかよ!他に行けクソが! エージェント・██: アンタ、自分がどうなってるのかわかってるのか? (SCP-395-JPが速度を落とし、停止しようとする様子をみせる) SCP-395-JP-A: ワケわかんねえ事いってんじゃねえ、ぶっ殺すぞ!(勢い良くドアを閉める。ガラスが震えるが損傷無し) (SCP-395-JPが完全に停止し、歩脚の関節を曲げて大きく上下する4) エージェント・██: (運転席に向かって)おい、止めてくれ。(停車後、車両を降りてSCP-395-JPに駆け寄り、再びボックスのドアを強く、繰り返しノックする) SCP-395-JP-A: (通話を継続) エージェント・██: おい、無視すんなって。 SCP-395-JP-A: (通話しながら舌打ち。直後、右足を上げて床面を強く踏み込んだ) (SCP-395-JPが歩脚を大きくビクつかせ、直後に大きく跳躍。直近にいたエージェント・██は吹き飛ばされるように道路上を転がる) (着地後、SCP-395-JPは移動を再開。速度は65km/hを記録) <記録終了> 終了報告書: 幸いにもエージェント・██は軽い打ち身で済みました。 SCP-395-JP-Aの床面を強く踏み込む行為はSCP-395-JPの運動能力を大きく引き上げる効果があると考えられ、予想外の事態を引き起こす可能性を踏まえてSCP-395-JPへの干渉実験は凍結されています。 資料 FS395-JP(一部抜粋): 以下は流布しているカバーストーリー"怪談 土蜘蛛"に関連するインタビューログです。オブジェクトの出自に関係する可能性が高いため、抜粋しています。完全な資料は管轄サイト-81██の資料室に請求可能です。 + インタビューログFS395-JP-██ - 閉じる 対象: █████氏(██県██峠近郊在住。以下、対象と表記) インタビュアー: エージェント・██(以下、エージェントと表記) 付記: ██県██峠にまつわる怪談"土蜘蛛"の元になったと思われる民俗についてのインタビューです。本稿では該当部分のみを編集・抜粋しています。 <記録開始, 200█/██/██> [重要度が低いため前略] エージェント: はあ、なるほど。元々は土蜘蛛つくもだったわけですか。 対象: そだよ、今はツチグモって言われてるけどねぇ。付喪神ってあるでしょ?あれの1つだったの。んでくっついた姿が蜘蛛さ似てるって言って婆ちゃんの婆ちゃんの、えーと……ともかくご先祖様がさ、お椀とかから脚さ生えてるの見て、「これは"土蜘蛛サマ"だなぁ!」つって字を当てちゃったってオレは聞いてんのよ。お椀以外にも色んなモンにも付いたらしいんだけどね。んで、オレたちぐらいの世代で土蜘蛛サマ付きの物を嫁入りに持ってくと、縁が切られないって言われてたんよ。 エージェント: へえ、なんだか素敵じゃないですか。 対象: あー、あぁ、あぁ。(しかめた顔の前で否定の手振り) エージェント: はい? 対象: 縁が切れないって言い出したのは、男衆なのよ。オレたち女衆はね、"嫌な旦那掴んでも逃げられない"つって、絶対持っていかなかったのよ。でもまあ当時は男社会よ。だから付いてないモンを「これが土蜘蛛サマのお道具です、今は永く眠っております」なんつって、適当言ってたの。まあ、オレの婆さんも脚が本当に生えてるの見た事なんて無いって言ってたから、これが言えたんよ。だけど男衆は「ああ、そうなのかい」なんつって、起そうとしてボンボン叩いたりとかする人もいたのよ。んで、そういう旦那は女もそうやって殴るだろうっつって、早々に縁切りしてたのよ。 エージェント: 昔のドメスティック・バイオレンス対策だったわけですか。 対象: ドメ……トメ?んまあ、ともかく暴力亭主の嫁になんかなりたくなかったわけよ。 エージェント: じゃあ、それで離縁された方も結構いらっしゃる? 対象: やー、ダメだったね。大抵連れ戻されて、しょっちゅう殴られてた女衆のが多かったよ。時代が時代だからやっぱ女は弱かったね。オレなんか旦那が結局は優しかったけどさ。嫁に入った時に土蜘蛛サマでござい、ってやったタンスをゴンゴン蹴られた時は、実家に帰りたかったよ。あ、煎餅食うかい? [以降、重要度が低いため後略] <記録終了> Footnotes 1. 収容下の記録では最長で20分、最短で5秒です。平均は20秒程度です。 2. 一定期間、行方不明の状態が継続された場合、法律的に既に死亡したものとみなすこと 3. 失踪当時の服装は通学校の制服でしたが、現在の服装は1995年当時の流行を取り入れたものです。 4. エージェント・██は"肩で大きく息をしているようだった"と私見を述べています。
scp-396-jp
評価: +22+–x ███で発見されたSCP-396-JP アイテム番号: SCP-396-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-396-JPは、サイト-8173内の植物育成室に収容されます。施設内部の土壌は乾燥しないように、半日に一度水を撒き、定期的に土の入れ替えを行います。育成室内で職員が怪我をした場合、直ちに検査を行います。SCP-396-JP-1への変化が確認された場合、その場で血清を投与します。財団外部でSCP-396-JPが発見された場合、適宜にカバーストーリーを適用し撤去し、実験に使用する個体を除いて焼却処分します。SCP-396-JP-1を発見した場合は、状態に応じて血清の投与・SCP-396-JP-2の切除・終了処理のいずれかを行い、SCP-396-JP-1の関係者には記憶処理を行います。SCP-396-JPを用いた実験を行う場合、レベル3以上の職員の許可を得て行います。 説明: SCP-396-JPは、全長約3メートルのソメイヨシノ(Cerasus × yedoensis (Matsum.) A.V.Vassil. ‘Somei-yoshino’)に酷似した樹木です。外見はソメイヨシノと同様ですが、枝が切断されると、枝の表皮に毒液を分泌する棘が発生します。1その後、SCP-396-JPの損傷箇所の断面から新しい枝が成長します。また、SCP-396-JPは受粉及び接木では繁殖せず、SCP-396-JP-1を介して繁殖します。SCP-396-JP-1はSCP-396-JPの毒が体内に回った生物です、SCP-396-JP-1は排気ガスや煙草の煙などの汚れた空気を嫌い、火を見ると恐慌状態に陥ります。 SCP-396-JP-1は、変化から一時間以内に損傷箇所に近い四肢の一つが麻痺します。一週間後、麻痺した箇所(以下、SCP-396-JP-2と呼称)の筋肉が硬質化し、木のように変化します。一ヶ月後、SCP-396-JP-2の指が変形または増殖し、枝のような状態となります。二ヶ月後、SCP-396-JP-2に近い場所から神経及び血管が木の根のように変化します。この状態へ移行すると、SCP-396-JP-1は徘徊を行うようになります。2徘徊中のSCP-396-JP-1はSCP-396-JPの生育に適した土壌を発見すると、自発的にSCP-396-JP-2のみが地上から見えるように埋まります。その後、SCP-396-JP-2は埋没したSCP-396-JP-1を肥料にSCP-396-JPと同じ性質の樹木へと成長します。 SCP-396-JPは██県██市にて、「公園に木の根に絡まった片腕がない白骨死体が埋まっている」という警察への通報を受け、財団のエージェントが調査したところ、その存在が発覚。白骨死体は█ヶ月間に行方不明になっていた██ ███で、配偶者へのインタビューによりSCP-396-JP及びSCP-396-JP-1の特性が判明しました。 + インタビュー記録を表示 - インタビュー記録を隠す 対象: ██ ███の妻である██ █ インタビュアー: エージェント███ <録音開始> エージェント███: インタビューを開始します、今日は██ ██さんについていくらか聞きたいことがあるんです。 ██ █: わかりました。 エージェント███: ██さんのご遺体が発見された際、右腕に異常がありました。何か心当たりはございますか? ██ █: はい・・・主人は奇妙な病気に罹っていました。 エージェント███: 奇妙というと一体どんな症状だったのですか? ██ █: 腕が動かなくなって木か何かみたいに固くなるんです・・・ エージェント███: それはいつ頃からでしょうか? ██ █: たしか、█月██日だったと思います。その日は親戚と一緒に███へ花見に行ったんです。 エージェント███: その時、一体何がありましたか? ██ █: 酒に酔った主人が近くにあった桜の枝を折ってしまったんです。その時、木の破片が刺さったのかひどく痛がって、それから一時間もしないうちに右腕が動かなくなって・・・。 エージェント███: それは枝を折った方の腕ですか? ██ █: 確かそうだと思います、主人は右利きでしたので。 エージェント███: わかりました、続けてください。 ██ █: その時は腕が痺れたぐらいだと思っていたんです・・・、でも一日経っても何も変わらなかったので病院に行ったんですが、お医者様もお手上げで・・・。腕の形が変になっていくにつれてなんだかボケたようになって・・・、急にいなくなったと思ったら・・・先日の連絡が・・・ エージェント███: もうそのお話は大丈夫です。最後に聞いておきたいのですが、見た目以外の変化はありましたか? ██ █: そういえば・・・、病気になる前はよくタバコを吸っていましたけど、全く吸わなくなりました・・・。それに火を見るとやけに怖がって・・・。 エージェント███: わかりました、インタビューはこれで以上ですお疲れ様でした。 <録音終了> 補遺1: その後の調査で███にSCP-396-JPの存在を確認、即座に撤去し焼却処分を行った。 + 実験記録を表示 - 実験記録を隠す 実験記録396-JP-a 目的: SCP-396-JP-2の変化及び切除によるSCP-396-JP-1の身体異常の調査 対象: D-396-JP-a,D-396-JP-b,D-396-JP-c 実施方法: 対象者に毒を注入し、それぞれ、一週間・一ヶ月・二ヶ月が経過した時点でSCP-396-JP-2を切除し断面及び人体への影響を観察する。 結果: 一週間が経過した時点では骨までは変化していなかったが、一ヶ月後には骨までも同様に変異し年輪のない木のようになった。一ヶ月までの時点までは、SCP-396-JP-2は切除された時点で活動を停止し、対象者2人には異変は発生しなかった。しかし、二ヶ月後には、SCP-396-JP-2が切除されても、血管が変化した根からSCP-396-JP-2は再生し、血管の根への変化が更に進行した。 分析: 二ヶ月が経った時点でSCP-396-JP-2の排除は極めて困難だ、SCP-396-JPのこれ以上の繁殖を許さないためにもこの時点でSCP-396-JP-1に対する迅速な処理が必要だろう。 実験記録396-JP-b 目的: SCP-396-JP-2の性質変化時期の調査 対象: D-396-JP-c 実施方法: 対象のSCP-396-JP-2の枝の一部を切断、棘が発生するかを調べる。 結果: 棘は発生せず、断面部からの枝の成長も起こらなかった。 分析: SCP-396-JP-2は、少なくとも樹木へと成長しない限りはSCP-396-JPと同様の特性は発生しないようだ。 実験記録396-JP-c 目的: SCP-396-JP-2を放置した場合のSCP-396-JP-1に対する影響の調査 対象: D-396-JP-c 実施方法: 対象を軟禁する。なお食事および水分は一日に三度与える。 結果: 実験から█ヶ月後に死亡、解剖の結果、死因は心臓部の血管が根に変わったことによる心不全だと判明。SCP-396-JP-2はその後も█日間活動を続けていた。 分析: SCP-396-JP-2だけが活動していたのはSCP-396-JP-1から水分を吸い取っていたからだと思われる、このことからSCP-396-JP-2はこの時点でSCP-396-JP-1とは別の生物となっていると考えられる。 補遺: SCP-396-JPに対する血清は、変異から二ヶ月以上経過したSCP-396-JP-1から生成する方法以外見つかっていません、なお血清の生成のみを目的としたDランク職員のSCP-396-JPへの接触は現在許可されていませんが、実験を行った際に副次的に行う場合はその限りではありません。 Footnotes 1. 枝は数秒ですべての毒液を出し終え、無力化します。 2. この状態での意思疎通は可能ですが、知能の低下が見られます。
scp-397-jp
評価: +168+–x 発見当初のSCP-397-JP。 アイテム番号: SCP-397-JP オブジェクトクラス: Anomalous Safe Euclid 特別収容プロトコル: SCP-397-JPはサイト-8123の収容室に収容されます。収容室には通常の設備に加え、椅子2脚を備え付けてください。SCP-397-JPは事前にテスト-397-JPを行い、一定以上の集中力を維持することが可能なDクラス6名(以下、D-397-JPと表記)をローテーションします。D-397-JPに対してはSCP-397-JPが閉じた場合即座に開かせるよう条件付けを行った上で、2人1組で使用し、8時間の間SCP-397-JPが開いていることを確認させ続けてください。SCP-397-JPの異常が進行した場合のため、SCP-397-JP監視室には研究員に加え、常に対大型動物用の装備を保持した警備員を最低2名常駐させて下さい。 説明: SCP-397-JPはAnomalousアイテムとして一度分類されていましたが、現在SCPオブジェクトとして扱われています。以下のAnomalousアイテム記事は発見当初のものであり、現在では適用されていないことに注意して下さい。 説明: カーテンが取り付けられたコンクリートの壁。カーテンを閉じている間だけ、向こうに青空と草原の風景が見える。開くとコンクリートの壁以外、何も見えない。 回収日: 2012/3/21 回収場所: 大阪府████地区の廃ホテル 現状: 保管 カーテン越しじゃぼんやりして風景を楽しめんな。まぁ、光が差し込んでくるから体内時計の調整には使えるかもしれんが — 骨折博士 SCP-397-JPは大阪府████地区の廃ホテルで発見されたコンクリートの壁及び、そこに設置された緑褐色の薄手のカーテンです。SCP-397-JPの特異性は、向こう側に窓が無いにもかかわらず、青空の下の野原と遠景にある森林をカーテン越しに確認できることです。これらの特徴はカーテンを開くことで失われ、ただのコンクリートの壁及び閉じられたカーテン以外の何物も確認出来ておらず、また、カーテン越しに景色に対して接触した場合、窓の存在を触感によって確認することができず、コンクリートの壁のみがカーテン越しの手触りとして感じられます。 SCP-397-JP越しに見える青空の風景はいかなる季節や時間においてもほとんど変化がないように見られます。補遺を参照して下さい。春夏秋冬、昼夜にかかわらず、同じように差し込む光と青空、野原と森をカーテン越しに視認できます。 もう一つの特徴として、SCP-397-JPはカーテンを開けた状態であっても、人間が集中して観測していない間に独りでに閉じ、風景を映し出すことが確認されています。SCP-397-JPをカメラによる観測を行った場合、数秒間ノイズがカメラに走った後、カーテンが閉じ青空の風景が映し出されていることが確認できました。カーテンに対して紐や釘、ロボットアームなどを用い、開いたままにしておく実験において、SCP-397-JPはいつの間にかそれらを全てはずした状態で閉じているのが確認されました。カーテンを取り外し、金庫内に仕舞っておく実験において、警備員が金庫から意識を少し離している間にSCP-397-JPにカーテンが取り付けられ、閉じられた状態になっていました。 SCP-397-JPのサンプルを検査した結果、カーテン、カーテンレール、コンクリート壁の全てにおいて何らかの特異性は発見されておらず、またカーテンは当該の廃ホテルが営業されていた際に全ての部屋内に取り付けられたものと同じでした。廃ホテルの営業停止の理由は単なる経営不振であり、経営に関するなんらかの異常性は現在未発見です。 追加文書1: 2012/5/14、このアイテムの奥にある森に、赤と黒の色をした何かが存在しているのを天王寺博士が発見しました。この変化によってSCP-397-JPはSafeクラスのオブジェクトとして認定されました。以下、この存在をSCP-397-JP-1と表記します。 追加文書2: 2012/6/17、SCP-397-JP-1が明らかにこちらに接近していること、そのおおよその高さは周囲の樹木から推測した場合6メートルを超えていることが新たにわかりました。 追加文書3: 2012/7/22、SCP-397-JP-1が黒及び紅褐色の肌、地面に垂れ下がるほど長い腕と爪を持っている人型の生物であるということが新たにわかりました。これによりSCP-397-JPはEuclidクラスのオブジェクトとして認定を受けました。 追加文書4: 2012/7/26、SCP-397-JP-1の接近はSCP-397-JPのカーテンが開かれている間止まることが判明しました。これにより特別収容プロトコルが大幅に改訂されました。 追加文書5: 20██/██/██現在、SCP-397-JP-1のこちらへの接近速度が明確に上昇していることが発見されました。また、SCP-397-JP-1の紅褐色の肌だと思われていたものは、おそらく血液の付着によって変色した人間の衣服を大量につぎはぎしたものであることがわかりました。
scp-398-jp
評価: +179+–x アイテム番号: SCP-398-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-398-JPが存在する建物は財団が買収し管理しています。SCP-398-JPは内部に設置した監視カメラにより、そのサイクル中に例外的な変化がないかが常に監視されます。内部に存在する人型実体のSCP-398-JP-1へのインタビューは、担当職員の許可を得た上で行ってください。 説明: SCP-398-JPは████県に存在するアパートの105号室です。内部に時空間的異常が生じており、室内に存在している全ての物は198█/08/██の状態を保ち続けていると考えられます。SCP-398-JP内の物体は、外部からの干渉を受けた場合や外部に持ち出された場合深夜0時1を経過した時点で198█/08/██の状態、位置へと戻ります。 また、外部からSCP-398-JP内に持ち込まれた物はこれらの効果を受けません。 SCP-398-JP内部には50代の日本人女性に似た人型実体(以下SCP-398-JP-1とする)が存在しています。SCP-398-JP-1も室内の物と同様に 198█/08/██の状態を維持しており、その記憶は深夜0時を境にして消去されるようです。 SCP-398-JP-1は定時にSCP-398-JPを退出する様子が確認されていますが、SCP-398-JP外でSCP-398-JP-1を観測することは出来ません。調査の結果、SCP-398-JP-1は105号室を197█年に借りた████ ██となんらかの関係があることが推測されます。████ ██の現在の所在は不明ですが、████ ██の勤務先には198█/08/██以降も定年になるまで████ ██が雇用されていたという記録が存在しています。 SCP-398-JP-1は自身がある一日を繰り返していると言う状況を知覚することはできませんが、外部から持ち込まれた物は通常の時間を指し示すため、これにより異常を把握することが出来ます。しかし、SCP-398-JP-1の記憶が消去されてしまうことから、異常を知覚させる取り組みは意味をなしません。 以下はSCP-398-JP-1の行動を表にしたものです。なお、SCP-398-JP-1の行動パターンには微細な時間の変化が見られます。 記録を開く 閉じる およその時間 SCP-398-JP-1の行動 0:00~5:30 SCP-398-JP-1は自室に相当する部屋で眠っています 5:30~6:45 5:30に目覚まし時計のアラームがなり、それによりSCP-398-JP-1が目覚めます。服を着替えた後に浴室の洗面台で顔を洗い、調理場で朝食の調理を開始します。メニューは白米、目玉焼き、ソーセージ、わかめと豆腐の味噌汁、青菜のおひたしで一定です。 6:45前後 調理を中断し、自室とは異なる別室の扉の前で「ヨリコ」という人物に起きてご飯を食べるよう催促します。 6:45以降~7:30 SCP-398-JP-1が朝食をリビングの食卓に並べ、食べ始めます。この時食卓に並ぶ料理は二人分であり、SCP-398-JP-1の対面の席に置かれています。SCP-398-JP-1が朝食を食べ終わり食器を下げた後、7:30を過ぎるともう一つの食事はSCP-398-JP-1によって冷蔵庫にしまわれます。 7:30~8:15 SCP-398-JP-1は食器を洗浄します。それが終わると自室に戻り、スーツと思わしき服装に着替えます。 8:15~8:27 机の上に書き置きをおくと、ガスの元栓やコンセントの抜き差しを確認したのち、玄関から退出します。退出の瞬間にSCP-398-JP-1は消失し、外部では一切観測されません。 17:32 SCP-398-JP-1が玄関を開けてSCP-398-JP内に進入します。この時外部ではSCP-398-JP-1が玄関を開ける様子は観察されません。SCP-398-JP-1は食材や日用品が入った袋を持っており、消失中に量販店で買い物を行ったと推測されます。2 17:40~18:20 SCP-398-JP-1は調理場で二人前の夕食を作り始めます。メニューは白米、唐揚げ、なすと油揚げの味噌汁、中華クラゲの和え物で一定です。調理完了後、SCP-398-JP-1は一人分の料理を取り分け冷蔵庫にしまいます。 18:30~19:20 SCP-398-JP-1は食卓を挟むようにテレビに対面して座り、食事を開始します。このとき冷蔵庫内に朝食が残っていた場合、SCP-398-JP-1は夕食にこれを加えます。なお、テレビには 198█/08/██に実際に放映された番組が表示されます。 19:20~20:50 食べ終わった食器を片づけた後、リビングで雑誌を読み始めます。雑誌を読み終わった後、SCP-398-JP-1は浴室に30分ほど滞在します。 21:00~22:00 SCP-398-JP-1は家計簿をつけます。 22:00~0:00 SCP-398-JP-1が自室に戻り就寝します。 補遺1: SCP-398-JP-1が残す書き置きの内容は以下の通りです。  ヨリコへ 朝ご飯冷蔵庫に入れておきました。 疲れていると思うけど、休日もちゃんと起きないと、生活リズムが崩れますよ。 ██ 補遺2: 財団職員の調査により、"ヨリコ"の部屋のベッドの下から手書きの書類が複数発見されました。この書類は日付が変更されてもSCP-398-JP内に戻らないため、外部から持ち込まれた物であると推測されます。以下はその一部の内容です。 発見日: 199█/03/25 日付が変わる度、私とあなたの距離は遠ざかっていきます。私の知るあなたは私の記憶のまま、あなたの知る私はあの時のままで。 あなたは今の私のことを知らないのでしょう。ただ私だけがあなたから離れていきます。もしくは、私があなたを置き去りにしてしまったのでしょうか。 今も未来もやがて、過去になります。 私は、あなたが将来きっと先に逝くであろうと言う事実に耐えられませんでした。 今はもうあなたを失うことはありません。ただ、あなたの未来と、あなたとの未来も、私は奪ってしまいました。こんなつもりではなかったのです。私もあなたと共に、ずっとおなじ日々をおくれると思ったのです。 きっとこれは、罰なのでしょう。 あなたより先に逝くであろう私を、私の我が儘を許してください。あなたが朝私を起こすときに、どうか、扉を開けてください。 なお、████ ██の娘である████ 頼子は200█年に5█才で病死していることが確認されています。 脚注 1. 日本標準時(JST)におけるもの。 2. 購入元は実在していた量販店でした。また、物品の購入日は 198█/08/██となっており、製造年月日や賞味期限が確認できる物はこの年月に対し妥当なものとなっています。加えて、確認できる物については実際に製造されていたことが判明しています。
scp-399-jp
評価: +46+–x 発見されたSCP-399-JP影響作品。左右の牛の闘争に介入する形で人型実体描写が出現している。 アイテム番号: SCP-399-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-399-JPが確認された場合、関係者全員にプロトコル"大掃除"が適用されます。確認された研究材料と認定された物以外の媒体の全ては焼却処分され、作品の作成記録から全てが処分の対象となります。SCP-399-JPの研究は[バチカンのカメオを持つ者]に限定され、一般研究者にその事実が触れる事のないように扱ってください。深度[J-88]番までの研究成果を挙げた一般研究者は記憶処理の後解雇されます。統合案[Ju-87]は現在O5評議会にて検討中です。 説明: SCP-399-JPは発生年代不明の世界的現実改変現象と、それに伴う記憶改変現象の総称です。財団が最初に発見したSCP-399-JPは紀元前[編集済み]のドイツ シェルクリンゲン近郊の洞窟内部に存在するG-1791壁画に描かれたものでした。 当該オブジェクトの特異性は局所的な現実改変と記憶改変、描写実体の形成です。通常、SCP-399-JPは完成した創作物の中に発生し、創作物の内容を自体との整合性が合うよう改変し、制作関係者の記憶を「そのように作成したもの」として固定します。顕著な発生例においては作品出演者の死亡、一国家の解体、大規模な国際テロなどが確認されています。SCP-399-JPが発生する制作物は壁画から映像作品までと幅広く、対策の目処が立ってはいませんが、当該オブジェクトが発生する制作物の内容の傾向として国家間の戦争、内戦、軍事行動、火器などを使った人間の殺害を含むものには多く発生し、全体の80%以上を占めることを元に、現在対策案が練られています。 SCP-399-JPの特徴として、発生したSCP-399-JPの作中には99%以上の割合で1940年代の███国陸軍のBDU1を着用した人型実体の様な描写が出現することが挙げられています2。 SCP-399-JPが発生した制作物の内容改変は一部の現実まで干渉することが確認されています。映像作品に発生したSCP-399-JP人型実体の描写が通常の出演者に対して実力行使した場合、その被害はSCP-399-JPが発生したと同時に出演者本人に現れ、傷を負う場合や死に至る事が確認されています。非致死性の被害に関しては多くの場合、撮影中の偶発的事故、事件に遭遇した結果被ったものだという歴史認識が制作関係者の記憶内に作成されます。致死性の被害に関しても同様に偶発的な撮影中の事故死である歴史認識が作成されます。 この現象に際し、現実では到底遭遇し得ない様な原因さえ確認されることから、SCP-399-JPはレベルE現実改変オブジェクトであると同時にレベルD記憶改変オブジェクトであると認定されています。しかしながら、これらの事実改変は製作記録や視聴者/消費者の記憶に影響を及ぼさないため、収容には大規模な記憶処理が必要とされています。 関連資料399-JP-18 [脱獄劇 その時に彼は] 創作物の内容: 戦時中に捕虜となった主人公と捕虜収容所監督による脱走を懸けた頭脳戦を描いた映像作品。 作成記録による本来の内容: 主人公は見事捕虜収容所を脱走するも収容所監督が事前に敷設した地雷原に気が付かず死亡する。 発生したオブジェクトにより改変された完成後の内容: 国陸軍による捕虜収容所襲撃救出作戦が決行され、収容所は壊滅、主人公と収容所監督は地雷原無力化のための爆撃に巻き込まれ死亡。 発生した現実改変:爆撃演出に使用された爆薬の過剰設置が原因で両出演者の事故死、撮影関係者の記憶も一部改変された。 対処:異常性が確認された後公開中止。カバーストーリー"制作会社の規約違反"と"倫理問題"、"NGフィルムの流出"が適用、視聴者の全員には記憶処理が施され、関連資料は抹消済み。 関連資料399-JP-89 [21世紀宇宙旅行] 創作物の内容: 国連宇宙ステーションで修理工を務める主人公が宇宙人との交信を試み、地球の危機を回避するコメディ映像作品。 作成記録による本来の内容: 主人公はAE35ユニットの修理中にその不調が故障でないことを悟り、宇宙人からの交信だと気がつく。 発生したオブジェクトにより改変された完成後の内容: AE35ユニットの修理中に主人公が誤って出鱈目な信号を地球へ送信。それを受けた███国陸軍の核攻撃が開始されるも寸での所で謎の組織の介入3により事態は沈静化。多大な被害は回避された。 発生した現実改変:[編集済み]。関係者への記憶影響は通常のものと同等、関連資料の改ざんも財団の想定範囲を超えるものではありませんでした。 対処:生成された国連宇宙ステーションは2001年に異常性が認められず、国連での運用を許可しました。回収されたAE35ユニットは現在まで解析中。今回適用されたプロトコル"便乗"の予算は竹内主任の独断でしたが、功を奏したことにより不問とされました。その他の諸対処は資料-18に準拠したものが行われました。 関連資料399-JP-92 [小☆怪☆兽 蓝翼] 創作物の内容: 架空の生物を飼い慣らし、同種の生物を飼い慣らす者同志で怪物を使った戦闘競技を行うゲームソフトの4作目。 作成記録による本来の内容: 主人公は13番目の敵キャラクターと戦闘。勝利した場合には称号を受け取り、敗北した場合はチェックポイントからの再開となる。 発生したオブジェクトにより改変された完成後の内容: 13番目の敵キャラクターとの戦闘中においてすべての場合で███国陸軍と見られる集団の介入によりプレイヤーと敵キャラクターが銃殺され、架空の生物も全て終了されチェックポイントからの再開となる。該当箇所のプログラムコードは未知の原因により参照不可能であり、打開策及に関しては目下研究中です。 発生した現実改変:特筆すべき影響なし。 対処:ゲームソフトの全個体回収と購入者、開発関係者、関連商品の関係者、関連商品の購入者等、合計████████人の記憶処理が行われました。1サンプルのコピーが財団情報課により解析中です。 補遺2014/12/31: アメリカ アリゾナ州で起きた銀行強盗事件において、実行犯である4人組の立て籠もる█████銀行に突入し、実行犯4人組の確保と警官への引き渡しを行った集団がありました。この集団はその後警官隊の抑止を聞かず、そのまま北北東へと逃亡し、銀行から30 km離れた地点で消失しました。 この集団は当時の映像記録、航空写真などから███国陸軍のBDU及び小火器を所持した40人ほどの一個小隊であることが分かっています4。また、この事件以降現在まで様々な戦闘、紛争、犯罪地域などで同様の集団が多数確認されています。 これらの情報から、多くの研究者は集団がSCP-399-JPである可能性を唱えていますが、それらの説は財団が有する既存のSCP-399-JPの認識と矛盾しており、現在の研究議論の争点となっています。 添付されたメモ 今まで何故SCP-399-JPが作品でなく現実に現れたか議論してきましたが、逆ではないのかと思う時があります。そのための資料請求が通らない事についてどなたかご存じないですか? -鑢 上級研究員 深度[J-88]番を検知、収容プロトコルは実行されました。[バチカンのカメオを持つ者]はこのような職員の再出を防いでください。-O5 Footnotes 1. Battle Dress Uniformの略称であり、ここでは主に軍隊などで運用される迷彩パターンの入った戦闘服を指します。 2. 現在まで、海軍に相当する実体の描写は確認されていません。 3. [バチカンのカメオを持つ者]による研究が現在まで成されていますが、以前として何故SCP-399-JPが財団の存在を認知しているのか不明のままです。 4. 実際の███国陸軍にそのような派兵事実はありませんでした。
scp-400-jp
評価: +177+–x 敗戦したSCP-400-JP アイテム番号: SCP-400-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-400-JPの発生は財団が所有する静止衛星、ネットワーク監視システム、各国諸機関との連携により警戒されます。発生が確認された場合は当該地域へ戒厳令を発動させ、マスメディア並びに民間への通信検閲・情報統制・クラスB記憶処理がなされます。財団はSCP-400-JP発生地域の戦闘行為を終了させてください。新たに建造された医療施設・教育施設の全ては破壊されます。SCP-400-JPの全ては回収され、保有している所持品の回収とインタビューの後に終了してください。全ての回収が不可能と判断された時点でプロトコル"和平"が発動されます。 説明: SCP-400-JPは国家間での戦争、または一地域での紛争を行っている地域に出現する人型の集団です。最小規模では4体、最大規模では████万体が同時に発生しました。当該オブジェクトは発生した地域における戦闘へ第三勢力として介入します。出現は戦闘地域の中心部より10 km離れた地点から出現するものと推定されていますが未だ発生のメカニズムや瞬間が確認された例はありません。SCP-400-JPが使用している服装は戦闘の発生している年代、地域、環境によって異なりますが、おおよそ当該年代における███の陸軍のBDUを着用しています。現在まで、海軍に相当するSCP-400-JPは確認されていません。 戦闘における武装は一般的に「事務用品」と称されるものが殆どで、1███年の███ではおよそ6000体のSCP-400-JPが発生し、その60%は当該地域で販売していた各メーカーのボールペンを所持し、両陣営の武装した人間1に対し集団で襲いかかりました。これらの事案の際に観測されるSCP-400-JPの身体的基礎能力は人間を上回り、力学上実現不可能な挙動を見せることが多く確認されています。 SCP-400-JPが介入する戦闘行為の終了には2つの形態が確認されています。当該オブジェクトの介入した戦闘行為に際し、オブジェクトが敗北2した場合、当該オブジェクトは戦闘地域の場所に左右されることなく███のある方角へ撤退していき3、非戦闘地域へ到達してからおよそ30 km離れた時点で消失します。 当該オブジェクトが敗北せず、戦闘行為にある2勢力が完全に撤退した際、SCP-400-JPは次の段階へ進みます。当該オブジェクトは戦闘地域に留まり、民間人の生存確認と身元の特定を行っていきます。正確な生存者数と身元を確認したSCP-400-JPは戦闘により発生した人的被害、戦闘に参加しなかった一般人の救助活動、同様の死亡者の埋葬、戦闘により発生した殉職者の弔い、物的損害の修復作業にあたります。この救助活動、修復作業に使用される医療技術や建築技術、埋葬方法4に異常な特性は確認されておらず、完了までに要する期間は当該年代の民間技術を用いて行われるものとほぼ同一だと考えられます。戦闘地域での修復作業の前後の差異は建造物の立っていなかった土地に新たに建てられる医療養護施設・幼稚園・学校・図書館等を含めた教育・福祉施設以外ありません。新たに建てられた諸施設の蔵書や備品の全てに特異性は認められていません。この過程が全て終了すると、SCP-400-JPは敗戦時と同様の方角へ撤退していき、消失します。 確保されたSCP-400-JPは共通して「平和のために戦っている」と主張しており、共通の紋章を除き、その他の組織構成や指導者などに関する証言は得られていません。SCP-400-JPが主張する全ての身元は存在せず、SCP-400-JPが所有している物品から得られた情報はすべて捏造であることが分かっています。 SCP-400-JPは複数の分担があると推測されており、その構成は所持している「事務用品」の武装によって判別できると仮説が立てられています。以下がその仮説と確認されている武力行使の方法です。 呼称:一般歩兵 特徴的外観: 背面に持ち手の付いた三角定規と直定規を所持 行動: 三角定規は外観上透明度の高いプラスティック、ガラスの様に見えますが耐衝撃性能が高く、SCP-400-JPはこれらを盾のように使います。直定規の側面はその外観と関係なく物体を切断します。 仮説/分析: SCP-400-JPにおける「重装歩兵」の役割を担っていると推定。 呼称:近接戦闘員 特徴的外観: 黒インクの入ったボールペンを所持 行動: 他の勢力に属する歩兵の首へボールペンを突き刺す。なお、この行動は主に市街地などの遮蔽が多い地域で頻繁に確認されています。また、現代における戦闘に関してこれらの個体が確認されるケースは減少しています。 仮説/分析: SCP-400-JPにおける「ゲリラ戦闘員」の役割を担っていると推定。 呼称:小銃歩兵 特徴的外観: 30本の芯が入ったステイプラーを所持 行動: 近距離から中距離での戦闘において頻繁に確認されています。所持しているステイプラーは一部が改造されており、未知の機構により炸薬を必要とせず、芯は一般的ライフル弾と同等の速度で飛翔します。 これらのSCP-400-JPは「代え芯」の束を装身具におよそ4セットから6セット所持していることが多く確認されています。 仮説/分析: SCP-400-JPにおける「近代兵士」の役割を担っていると推定。 呼称:衛生兵 特徴的外観: スティック状の容器に入ったプラスティック糊を所持 行動: 全戦闘地域において少数ながら確認されています。負傷したSCP-400-JPの骨折や負傷した箇所に糊を塗布することでSCP-400-JPの治療を行います。 仮説/分析: SCP-400-JPにおける「衛生兵」の役割を担っていると推定。 呼称:工兵 特徴的外観: 鋏とセロハンテープを所持 行動: 防衛施設や戦略的重要拠点、パイプラインに頻繁に発生することが確認されています。これらのSCP-400-JPは所持しているセロハンテープを鋏で裁断し地面、天井、壁面に貼り付けることにより当該箇所を爆発します。爆破用の信管などは確認できず、SCP-400-JPはこれらを独自の周波数帯を発生させる通信装置によって起爆していると考えられています。応用力の高さから、用途は障害物の除去に留まらず、即時的な塹壕の作成や簡易的な地雷原とも見られる方法で使っています。また、後述する"兵員輸送車両"の破損箇所を繋ぎ合わせることで一般的に行動不可能と見られる損害を受けてさえ"兵員輸送車両"を行動させ続けることが分かっています。 仮説/分析: SCP-400-JPにおける「戦闘工兵」の役割を担っていると推定。 呼称:ドライバー 特徴的外観: 装甲車両に乗車 行動: 背面の扉は上下左右の観音式となっており、SCP-400-JP以外の人間が目視している間開くことはありませんが、扉が開いた場合、その内部より一度に4~6体のSCP-400-JPが出現し、戦線に参加します。車体上部に備え付けられた金属製の筒からは太さ20 mmのステイプラーの芯が毎分800発の間隔で発射されます。車体後方に備え付けられた擲弾筒から射出される発煙弾の主成分はカルシウムであることが分かっています。車体後部に存在する"引き出し"には上記のSCP-400-JPが使用する消費資材が各種入っており、"代え芯"や"糊"、"セロハンテープ"などが少なくなった当該オブジェクトはこれらを積極的に補充します。戦闘中のSCP-400-JPは前述の戦闘終了時、SCP-400-JPは降車し、SCP-400-JPの撤退が確認された後においてもこれらの車体は存在し続けます。残された車体の背面扉の中身は児童書で満たされていました。 仮説/分析: SCP-400-JPにおける「装甲兵員輸送車」の役割を担っていると推定。 呼称:パイロット 特徴的外観: 飛行船に搭乗 行動: 外殻はアルミニウムで出来ており、その内部は水素より軽い未知の気体5で満たされています。これらは数種類確認されており、一度に4~6機が同時に出現します。これらは大きく3つに大別することが出来、衝撃により爆発を引き起こす事務用デスクを大量散布するもの、SCP-400-JPや補給物資、前述の"兵員輸送車両"をパラシュート投下するもの、対空装備の充実した無線交換や地上のSCP-400-JPを指揮するものと分けられます。これらの撃墜は随伴する飛行船に付けられた30 mmステイプラーの芯による迎撃が激しいため成功していません。 仮説/分析: SCP-400-JPにおける「飛行艦隊」の役割を担っていると推定。 勝利宣言を祝うSCP-400-JP 各個体はそれぞれプラスティック糊や万年筆、直定規で武装していることが確認できる 中央の旗には共通して使用されている紋章が描かれている。 SCP-400-JPによる修繕作業中に建設された小学校 以前この場所は畑でした 中央奥に武装解除したSCP-400-JPが確認できる。 出現した"兵員輸送車両" 両側にはSCP-400-JPが佇んでいることが確認できる。 出現し単独行動する"飛行船"下部後方に備え付けられた事務用デスク投下ユニットが確認できる。 SCP-400-JPが所持している"装備"は当該オブジェクトが手放した状態でも同様の特性を発揮し、"装備"の一部は現在特異性の研究がなされています。回収された"装備品"は一部を除いてAnomalousオブジェクト収容容器へ保存されています。 + 補遺 事件記録40020110311[要セキュリティクリアランスレベル4] - 隠す 2011年に確保されたSCP-400-JPの一個体へのインタビューの際、胃の中に隠されていた"兵器"により地下サイト-81██は甚大な被害を受けました。インタビューにおいて当該のオブジェクトは「我々の平和を阻害するな、平和のための最終手段を行使する」と主張していました。"兵器"は既存製品との外見的判別が非常に困難であり、内包された起爆装置のX線写真、もしくは"兵器"の破壊による摘出検査のみが有効です。起爆装置は特定の信号受信によって作動するものと証明されており、起爆手段はSCP-400-JPのみが保有していると考えられています。これらは特例Anomalousアイテム-███に指定されています。現在までに同様の"兵器"は民間企業への製造中止工作を行うまでに作られた█████████████████個が現存していると考えられており、2015年現在も回収作業が続いています。なお、被害の出た地下サイト-81██の対地盤陥没応急処置の完了に伴って予定されていた再建造工事は高濃度放射線の検出により中止されています。 O5-██執務室より回収された"兵器"の一例 Footnotes 1. 各勢力総計で5000人を超える殉職者が発生しました。 2. 総戦力のおよそ1/3が終了された場合を指します。 3. 紀元前2600年において当該のオブジェクトも同様に未来の████王朝が発足する方角へ撤退したとの記録が残っています。 4. 過去にアステカにおける戦士用葬儀を正確に執り行ったとの記録があります。 5. 既存のどの物質とも燃焼せず、大量吸引においても人体への悪影響は確認されませんでした。