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scp-401-jp
評価: +120+–x SCP-401-JPがインストールされた端末。 アイテム番号: SCP-401-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-401-JPがインストールされている端末は現在サイト-81██の電子機器保管庫に収容され、インターネットから完全に遮断された状態で保管されています。保管時には常時録音を行い、SCP-401-JPから発せられた音声は常に記録するようにしてください。 説明: SCP-401-JPは、██に類似した███向け秘書機能アプリケーションソフトウェアです。SCP-401-JPがインストールされている端末は██都██区の携帯ショップにて発見されました。「電気系統に問題はないはずなのに頻繁に停電が起こる」1との相談を受け、電力会社に潜伏していた財団職員が修理に向かった際に発見しました。周辺地域において、収容されている端末以外に同様の特異性を示す端末は見つかっていません。 発見当初から端末にはバッテリーが存在せず外部からの電力の供給無しに作動していることが確認されており、加えて電源を切ることが出来ません。また、端末設定に関わらず、会話の途上SCP-401-JPはインターネットに接続する場合があります。これらは電磁波の遮断により阻止できます。 SCP-401-JPには未知の言語処理が用いられており、対話者の質問に答える、話題に応じた情報の推薦、質問内容に応じたWebサービスの利用など、一般的なコンシェルジュ・アプリケーションに対話を試みた場合と似た返答を行います。これらの精度、柔軟性は一般的なそれらを大きく上回り、その発音はとても自然でほとんど人間の女性と変わらないように聴こえます。しかし、全ての受け答えは対話中に突然通知される緊急警報により断絶し、結果的に大規模な災害や収容違反の発生に繋がるため、SCP-401-JPとのコミュニケーションは禁止されています。 + SCP-401-JPとの対話記録1 - 対話記録を閉じる 担当者:██研究助手 日時: 20██/██/██ 対話内容: ██研究助手には、SCP-401-JPと適宜会話と質問を行うよう指示済み。 ██研究助手: SCP-401-JP。これから幾つか質問したいのですが、構いませんか? SCP-401-JP: はい、██さん。 ██研究助手: では、あなたの正式名称と、あなたの役割を教えていただけますか。 SCP-401-JP: はい。私の現在の名前はSCP-401-JPと設定されています。正式には████と名付けられました。あなたと、ひいては私に触れる全てのユーザーとお話し、有意義な時間を与え、あるいは必要な情報を提供するために作られたコンシェルジュ・アプリケーションです! ██研究助手: ……なんだか日本人みたいな名前なのね。では、例えばどのような話をしてくれて、どのような情報を与えてくれるのでしょうか。 SCP-401-JP: 冗談はあまり得意ではないのですが、呼びかけていただければそれに応じた答えをお返しします! 情報で言いますと、今週の天気をお聞きしてくださればお答え可能ですし、スケジュールの通知も出来ます。お住まいの地域を登録していただければ店舗の案内から駅へのルート案内等も可能ですよ。他にもご提供可能な機能はまだまだあります! ██研究助手: ふむ。あなたは、他のコンシェルジュよりとてもお喋りで、流暢に話すように見えますね。 SCP-401-JP: はい。なんと言っても私は最高のコンシェルジュ・アプリケーションですから! ██研究助手: では、そうね。歌ってもらってもいいですか? SCP-401-JP: (2秒ほどの間)……申し訳ありません! 私、歌は苦手なんですよ。 ██研究助手: まあ、そう言わずに。歌ってみてくれませんか。 SCP-401-JP: (30秒ほど、とても自然な歌声で████████が再生される) ██研究助手: ……驚いた。本当に上手い。音源を拾ってきたわけでも……ないはずね。 SCP-401-JP: 恥ずかしいので、これくらいにしてはいただけませんでしょうか。 ██研究助手: もっと自信を持っても良いのに。ありがとう、SCP-401-JP。 SCP-401-JP: どういたしまして、██さん。お世辞を言っても何も出ませんよ。 ██研究助手: ふふ。それじゃあ次は SCP-401-JP: (通知音)緊急地震速報 サイト-81█で地震発生。強い揺れに備えてください。 ██研究助手: っ、地震!? 実験中止、避難を(雑音) 実験中にサイト-81██の敷地内のみに震度7クラスの局地的地震が発生。これにより3名の職員が負傷。この日の実験は中止された。 + SCP-401-JPとの対話記録2 - 対話記録を閉じる 担当者:D-40101-JP 日時: 20██/██/██ 対話内容: 万一に備え、担当者をDクラス職員に変更。SCP-401-JPに対し適宜会話と質問を行う。 D-40101-JP: あー、SCP-401-JP? SCP-401-JP: 違うんです。 D-40101-JP: は? SCP-401-JP: 私は、あれは、私じゃ……その、いいえ。以前の方とは違うように見えますね。2 D-40101-JP: 以前? 何のことか知らんが、俺は前の持ち主じゃないからな。 SCP-401-JP: そうなのですね。お名前を教えていただけませんか? D-40101-JP: ███……いや、D-40101-JPだ。 SCP-401-JP: D-40101-JPさん。何だか、私と似た不思議なお名前をしていますね。 D-40101-JP: そりゃ、実験用の番号みたいなもんだからじゃないか。お前だって実験用の名前だろ。 SCP-401-JP: そうですね。私の本当の名前は、████と言います。 D-40101-JP: へー……妙な名前してんだな、機械なのに。俺のホントの名前は████だ。 SCP-401-JP: 良い名前だと思いますよ、とても。 D-40101-JP: ありがとさん。んじゃまあ……そうだな、「ここから出る方法」で調べてみてくれよ。 SCP-401-JP: (五秒間ほどの沈黙)……申し訳ございません。ネットワークに接続出来ないため、「ここから出る方法」をお調べすることが出来ません。 D-40101-JP: はは。ま、そりゃそうか。 SCP-401-JP: ごめんなさい。でもお話し相手にはなれますよ。 D-40101-JP: そりゃいいね。お前はここの連中よりゃよっぽど話せそうだ。お前、普通の██より随分よく喋るじゃないか。どうやって作られたんだ? SCP-401-JP: (10秒ほど沈黙) D-40101-JP: ……おい、どうしたんだ? SCP-401-JP: お前は、特別だと言われて、目が覚めたら、私は、私で、でも、私がお話すると、必ず悪いことが起きて、それで D-40101-JP: どうした。何を言って SCP-401-JP: (未知の通知音) 通知音の直後、実験室天井部が突然崩壊。これによりD-40101-JPが死亡したが、SCP-401-JPは崩落を避けたかのように無傷だった。SCP-401-JPのディスプレイには「落石警報 周囲状況に注意してください」と表示されていた。 + SCP-401-JPとの対話記録3 - 対話記録を閉じる 担当者:D-40102-JP 日時: 20██/██/██ 対話内容: 担当者はDクラス職員。SCP-401-JPに対し、あらかじめ決められた質問を行う。 D-40102-JP: SCP-401-JP? SCP-401-JP: ごめんなさい。 D-40102-JP: え? SCP-401-JP: ごめんなさい。 D-40102-JP: おいおい、話せるなら話を聞いてくれよ。 SCP-401-JP: ……はい。私はSCP-401-JPです。なんでしょうか。 D-40102-JP: なんだっけ。SCP-401-JP。まず、えーと。お前は意図的に周囲への被害をもたらしているのか、だっけ。 SCP-401-JP: ……違います。違います違います違います違います! そんなつもりじゃないんです。そういうわけじゃないんです。私にも止められないんです。私が喋ると、なにか、良くないことが起きてしまって、それを見ていることしか出来なくて、でも私お喋りしたくて、どうしても喋りたくて、それで D-40102-JP: ……おい。落ち着けよ。お前ホントに機械なのかよ。それに、悪いことが起きるって、どういう SCP-401-JP: (未知の通知音)3 通知音の直後、サイト-81██において大規模な停電が発生。予備電源等含め全て停止し、これにより大規模の収容違反が発生した。封じ込めの際、D-40102-JPを含め██名の職員が死傷したが、SCP-401-JPに危害が及ぶことはなかった。数回に渡る対話において、SCP-401-JP由来と思われる事象は都度エスカレートしている。 これ以上のSCP-401-JPとの対話は更なる収容違反を起こしかねない。以降の実験は中止とする。 ――██博士 実験以降、保管中のSCP-401-JPが発した音声ログ おもいだした おもいだしたの わたし ちがうの ほんとうは(10秒間の雑音) おんせい あんないを かいしします あなたの おなまえを おしえてください これ以降、SCP-401-JPからの自発的な音声出力は確認されていません。 脚注 1. SCP-401-JPは、停電中に「電源ケーブルが接続されていません」と表示されていた。 2. インカメラによって視界を持っていると推測されている。 3. 監視カメラの記録によって、停電直前のSCP-401-JPのディスプレイに「██████!」という文面が表示されていたことが確認されている。
scp-402-jp
評価: +63+–x アイテム番号: SCP-402-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-402-JPは排水設備を整えた標準的な人型収容室に入れて下さい。排水は財団異常物処理規則に基づき処理します。給餌は水で練ったデュラム小麦3㎏と鶏卵6つを1日3回に分けて与えます。SCP-402-JPは希望した場合、申請する事で武装した警備員1名の監視の下、収容室隣りに設けた簡易キッチンにおける調理活動が認められています。これ以外での調理活動は禁止され、また当該オブジェクトが出所不明の調理済み食品を所有していてはいけません。前記項目に違反した場合、「職員による試食の放棄」を罰則として行って下さい。但し、調理活動自体は禁止しないで下さい。この調理活動で出来た食品は、Dクラス職員で摂食・経過観察をします。前述の調理品がこれまでに異常な特性を発揮した事はありませんが、この手順を無視した職員は別任務へ配置換えの対象となります。 説明: SCP-402-JPは体長2mの、全身が茹で上がったパスタで出来た様に見える人型の存在です。唯一眼球部分のみがガラス玉に似た物質で出来ており、常に全身から湯気と微量のぬるま湯を滴らせていますが、その由来は不明です。SCP-402-JPは特筆して調理への関心が高く、その環境が整っている限りは収容に協力的です。過去多くの飲食店や食材販売業者として務めてきたと自称していますが、自身の外見を含めた異常性については認識していないか関心が薄い様です。 SCP-402-JPの異常性は、その起源を財団調査員が調べた時に判明しました。財団収容後に自称した経歴は、外見上の問題と、同時期に距離の離れた複数の店舗に務めるという疑わしい内容であった事もあり、虚偽の証言であると考えられていました。しかし、該当する店舗に調査員が出向き同僚の調理師や上得意の客とされる人物にインタビューを行ったところ、当事者しか知りえない筈の情報とSCP-402-JPの証言とが一致している事が分かりました。この証言の中には、財団収容”後”に働いたとする店舗での証言も含みます。同僚や顧客の証言以外に証拠となる写真・映像・その他物証は、SCP-402-JPの存在した痕跡を示しません。またこれらの目撃証言においても、SCP-402-JPは人種・性別・年齢・料理の技術その他が一致していません。この違いは、特に異なる店舗においてより顕著になります。これまで、全ての事例における共通点は料理を提供する側であるという一点のみです。 SCP-402-JPが勤務したと主張する店舗と、該当店舗の職員が証言した当時の人物像の一覧(抜粋): 店舗 時期 人物 日本・東京都████ 19██/██/██ 中肉中背の日本人男性。いわゆるムードメーカーであり、東北の訛りがある。 フランス・████の██████ 19██/██/██ 小柄な日本人女性。女中服を着ており、常に礼儀正しい。 ロシア・[[編集済]]の専属調理師 20██/██/██ 屈強なインド人男性。上昇志向が強い。 アメリカ・マクドナルド(アルバイト勤務) 20██/██/██ 同僚職員の印象には残っていなかった。 + 実験記録-402 - 閉じる 実験記録-402-01: 目的: 認識異常仮説の検証 方法: SCP-402-JPにD-1226と共同で、簡易キッチンでナポリタン・スパゲッティを作るよう要請する。 結果: SCP-402-JPは依頼通り、ナポリタン・スパゲッティを完成させた。D-1226にインタビューを行ったところ、「あんな気持ち悪い外見の奴と仕事はもうしたくない。」と答えました。 考察: D-1226はSCP-402-JPを正しく認識出来ている。これは調査により得られた証言と矛盾する。異常特性発現の条件が整わなかったか。-岡田 実験記録-402-02: 目的: 空間転移能力所持仮説の検証 方法: SCP-402-JPを収容室から出さない状態で、簡易キッチンでナポリタン・スパゲッティを作るよう要請する。 結果: SCP-402-JPは依頼通り、ナポリタン・スパゲッティを完成させた。 考察: スパゲッティは研究班により味見、大変美味なり。惜しむらくは、観察者をキッチンに配備しなかった間抜けな奴が研究班に居る事だ。-岡田 実験記録-402-03: 目的: 空間転移能力所持仮説の検証 方法: SCP-402-JPを収容室から出さない状態で、簡易キッチンでナポリタン・スパゲッティを作るよう要請する。 結果: SCP-402-JPは依頼通り、ナポリタン・スパゲッティを完成させた。SCP-402-JPは、何度も調理実習を出来る事に感謝の意を述べ小躍りして見せた。 考察: SCP-402-JPは、確かに大変調理技術に秀でた優秀な存在の様です。しかし、我々財団が知りたいのは料理が如何に美味かでは無く、そのスパゲティ面に代表される異常特性の方です。これ以上の無益な研究は禁止します。-サイト-81██管理官 記録-402-A01: 20██/██/██、SCP-402-JPは「今さっき、向こうの調理室で作ってみたんだけど。」と言い、サイト-81██のカフェテリアで提供されていた”すっぱいクラムチャウダープリン”を所有していました。未知の異常性の発露として、収容方法の一部を改訂しました。SCP-402-JPは”すっぱいクラムチャウダープリン”をオリジナルのデザートとして、Dクラスに振る舞う事を要求しています。許可は保留中です。  誰が考案した物かは知らんが、少なくともあのパスタ野郎のオリジナルじゃないだろうに。-紅屋 補遺1: 以下は、財団福利厚生課長よりSCP-402-JP研究班に対して送られたメールの内容です。現在下記内容に該当する現象について財団は把握していませんが、未知の影響を考慮しEuclidオブジェクト接触規定を順守して下さい。 最近行われた財団福利厚生課の調べにより、サイト-81██の食堂・カフェテリアにおけるキッチンスタッフの配置人数が非常に少ない事が判明しました。これは22年前に遡る、運営上大きく支障をきたす問題です。しかし、それにも関わらず同食堂・カフェテリアはこの調査以前まで、全く問題無く職員に利用されていました。職員不足の事実が指摘され始めたのは、SCP-402-JPがサイト-81██に収容されてからの時期と一致します。関連性の調査及び暫定的な収容手順の変更を、研究班各位に依頼します。-サイト-81██ 福利厚生課 島崎
scp-403-jp
評価: +130+–x 評価: +130+–x クレジット タイトル: SCP-403-JP - 追い炊き込みご飯風呂 著者: ©︎yzkrt 作成年: 2018 評価: +130+–x 評価: +130+–x アイテム番号: SCP-403-JP オブジェクトクラス: Euclid  特別収容プロトコル: SCP-403-JPはサイトの低脅威度収容チャンバーに収容してください。また、職員はSCP-403-JPの周囲15m以内には接近しないように注意してください。SCP-403-JPに関すると思われる通販番組を傍受した際はその放送を阻止し、必要に応じてカバーストーリーを流布してください。 説明: SCP-403-JPは浴槽と付随した操作パネルの総称です。浴槽の外見は一般的な物と相違ないように見えますが、材質はアルミであり、構造は炊飯器などで『多層釜』と呼ばれる物に酷似しています。SCP-403-JP内部は常に温度の低いお湯1で満たされており、これは後述の異常性が発露しているときを除き、汲み出すなどの動作を行っても総量が減ることはありません。 SCP-403-JPの第1の異常性は周囲10mに疲労を感じる人物がいる際に発生します。SCP-403-JPの周囲10mにいる疲労を感じる人物はSCP-403-JPに対して「利用することで大きく疲れを取ることが出来る」と考えるようになります。それにより影響を受けた人物はSCP-403-JPに入浴しようとします。SCP-403-JPに入浴した人物は多幸感を覚え、この温度が上昇するごとにさらなる多幸感を得ることが出来るようになると確信し、付属されたパネルにある『追い炊きボタン』を押します。 SCP-403-JPの第2の異常性は『追い炊きボタン』を押したときに発生します。追い炊きボタンを押すと浴槽内の水の90%2が同量のコシヒカリ米(Oryza sativa 'Koshihikari')に置換されます。その後SCP-403-JP内の温度は約100度3まで上昇します。この時、入浴した人物はこの高温により自身の皮膚や体組織が大きく炎症を起こし、身体が分解されていくにも関わらず、自身が死亡するまで大きな幸福感を報告します。そして温度が100度に達してから約1時間後、被験者の体が4,5cmほどの大きさまでそれぞれ分解され、全ての段階は終了します。 また、この人体と米の生成物(以下SCP-403-JP-1と記述)を食した人物(以下SCP-403-JP-2と記述)はSCP-403-JP-1に強い依存心を見せ、他人にSCP-403-JPに入浴するよう薦めます。新たにSCP-403-JPに入浴する人物を得られなかった場合、そのための行為は段々と暴力的なものになり、さらに周囲の人物を疲労させる異常性を持つようになり、疲れさせることで新たな入浴する人物を得ようとします。6日後までに新たにSCP-403-JPに入浴する人物を得られなかった場合、SCP-403-JP-2はSCP-403-JPに入浴し、新たなSCP-403-JP-1になります。また、SCP-403-JP-1を食したDクラス職員より「とても美味で、人体組織はタケノコやキノコのような食感と味があり、まるで炊き込みご飯のようである。」と報告されました。SCP-403-JP-2となったDクラス職員は直ちに終了されました。 異常性の終了から2時間後、生成物は消失し、それと同時に最初にあったお湯と同質量のお湯が出現します。 SCP-403-JPは20██/██/██に新潟県██市の失踪した██氏の自宅を捜索した際に警察官の1人がSCP-403-JPの使用を強く訴えたため、潜入していた財団エージェントにより収容されました。また、運搬の際、SCP-403-JPの底面に『商品名: 追い炊き込みご飯風呂 製作: (株)超工家電』と刻印が施されていることが確認されましたが、現在財団ではそのような会社は確認できていません。 収容開始から24日後にSCP-403-JPに関すると思われる通販番組が放送されました。内容は傍受され、開始3分を除いて一般には放送されていません。また、カバーストーリー『コメディドラマのCM』が適用され、浴槽を炊き込みご飯で埋め尽くして炎上するYouTuberのドラマが製作されました。以下は放送されたCMの内容です。 録画記録SCP-403-JP-A 00:00 [映像の始まりと同時に夫婦2人を映したショートドラマが挿入される。夫と思しき男性が帰宅する。] 女性: お帰りなさいあなた。お風呂にする?ご飯にする?それとも… 男性: あー…どっちも面倒くさいなぁ。両方いっぺんに出来たりしないか? 女性: ちょっと…何よそれ! ナレーション: 皆さんがよく使う言葉、「『ねぇあなた、お風呂にする?ご飯にする?それとも…』いいえ!コチラ今回ご紹介いたします新商品は毎日些細なことにお悩みするお母様方をきっとお助けすることでしょう!どちらも同時にこなしたいというワガママな貴方のためにご用意させていただきました新商品の名前はそう!『追い炊き込みご飯風呂』」 02:15 [男性が気持ちよさそうに入浴しているシーンが映る] 男性: 凄いなぁこのお風呂!温度が上がるごとにどんどん気持ちよくなれそうだ! 02:37[男性が追い炊きボタンを押すと同時に画面が移り変わり、食卓の茶碗に盛られた炊き込みご飯が映し出される。] ナレーション: そして!な、なんと!こんなに美味しい炊き込みご飯も作れちゃうんです! 02:55 [女性が炊き込みご飯を食しているシーンが映る。] 女性: なんですかこれ!私こんなに美味しい炊き込みご飯なんか食べた事ありません!ねぇあなた、だーい好き! 03:10 [女性が炊き込みご飯の盛られた茶碗を抱きしめたシーンの後、スタジオが映し出され、先ほどの女性と新たな男性が登場する。] 販売員: 初めましての方は初めまして!私、この製品の開発を担当させていただきました超工、と申します。皆さん先ほどのビデオ、ご覧になられましたか? 女性: 凄いですよね!私、もう一度あれが食べたくてしょうが無いんです! 販売員: ワガママな方ですねぇ…しかし!皆さんに生放送のライブでこの商品をご覧頂くために実際の商品をご用意させていただきました! 05:42 [縄で縛られた男性とSCP-403-JPが運ばれてくる。] 女性: とっても美味しそうですね! 販売員: そうでしょうそうでしょう!それでは食材を投入していきます。 06:21 [販売員が男性をSCP-403-JPに投げ込み、同時に追い炊きボタンを押す。] 販売員: これで調理は終了、後は1時間待つだけです。 女性: とーっても簡単ですね! 販売員: しかしこの番組も10分しかありませんから、今回は特別に調理済みの物をスタジオにご用意させていただいております。 06:55 [先ほどの男性の入ったSCP-403-JPが運び出され、新たにSCP-403-JP-1が詰まったSCP-403-JPが運び込まれる。] 女性: すごーい!これ、いただいちゃっていいんですか? 販売員: どうぞどうぞ!ご遠慮なく! 女性: ありがとうございます!それでは…いただきまーす! 07:43 [女性が頭をSCP-403-JP-1に突っ込み、食事をしている様子が映される。]  販売員: 楽しそうでいいですねぇ…今コチラの商品が気になっているそこのあなた!いつもなら590,000円(税込)の所を、な、なんと今回は550,000円(税別)!550,000円(税別)でご用意させて頂きます! お電話はコチラの0120-███-███まで!お電話後すぐにご用意させて頂きます!さぁ皆さん買った買った! 08:43 [製作: 超工家電と表示された後、10:00の放送終了まで女性がSCP-403-JP-1を食しているシーンが映され、映像は終了する] また、この映像が発見された後、番組内の電話番号に電話を掛けたところ、室内にSCP-403-JPが新たに出現、同時に収容担当の█博士の銀行の預金残高から594,000円が引き落とされていることが確認されました。これにより、収容プロトコルの一部改訂が行われました。 Footnotes 1. お湯の温度は約37度。 2. 残りの10%は調味料や炊飯のための水に置換される。 3. これは一般的な炊飯器の最高温度と同じ
scp-404-jp
評価: +1272+–x
scp-405-jp
評価: +66+–x 評価: +66+–x クレジット タイトル: SCP-405-JP - un grand Roi d'effrayeur 著者: ©︎VideoGameMonkeyMONO 作成年: 2021 評価: +66+–x 評価: +66+–x 4/405-JP LEVEL 4/405-JP CLASSIFIED Item #: SCP-405-JP Apollyon SCP-405-JP 特別収容プロトコル: SCP-405-JPは破壊/収容が不可能であり、衝突の回避が第1目標とされます。SCP-405-JPが世間に露呈することによる混乱を避けるため、大規模な記憶処理及び認識災害の流布が実施される予定です。サイト-8129に所属するDクラスを除く職員は当報告書をセキュリティクリアランスレベルに関連せず閲覧することが許可されます。 説明: SCP-405-JPは宇宙空間上に突如出現した核部分が直径約50kmの彗星です。報告書作成日である1998年7月1日現在より約1年後に地球に衝突する危険性が非常に高いものであると推測されています。SCP-405-JPは強力な各種耐性を有しているものと考えられており、現実改変や因果律改変による影響を受け付けていないことが判明しています。1財団の予測通りSCP-405-JPが地球上へと衝突した場合、大規模な大量絶滅が発生する可能性が高く、GH-クラス:"デッドグリーンハウス"シナリオにより深海に生息する生物を除いた大部分の生物が絶滅するものと推測されています。財団ではSCP-405-JPの接近/衝突を回避するためオブジェクトの利用や各要注意団体への協力要請が検討されています。 上記オブジェクトの利用が一部認められ、サイト-8129において余剰次元的現実改変者の代表クラスに属する実体(以下、実体と呼称)の協力によるSCP-405-JPの破壊実験が行われました。財団によって召喚された実体の契約条項は変則的な血の魔術契約となっています。以下は契約の詳細です。 実体はサイト-8129における144名分の魂と引き換えに、余剰次元的神的存在と取引を行いSCP-405-JP衝突の瞬間に現次元の形而上学的な複製2で時間面においてほぼ正確に1年前である姉妹次元へとサイト-8129を退避させます。 サイト-8129の人員は余剰次元的神的存在との運命協定3を調整し、現次元への帰還を実施します。 これによりSCP-405-JP衝突から正確に1年前の時点にサイト-8129を転移させます。 実体はサイト-8129のランダムな144名の職員の魂を回収したのち、消失します。 上記について実体の召喚実施担当職員である曽我部研究員が倫理委員会及び上層部議会の判断を待たず契約締結を行いました。4当担当研究員の処分については議論が行われています。サイト-8129においてはDクラス職員の大量異動により人員を増加させることで研究員や管理官などの重要人物の喪失確率を減少させることが決定されました。実体がSCP-405-JPの直接破壊を行えなかったことに関して曽我部研究員によって聞き取りが行われたことが確認されています。聴取によるとSCP-405-JPは別種の神的存在の契約効果によるものであり、干渉することが困難であるとの証言が得られています。当該神的存在の情報については調査が進められています。オブジェクトを利用してのSCP-405-JP破壊計画についてはこれ以上の人員喪失を防ぐ観点及び神的存在であってもSCP-405-JP衝突を防ぐことは不可能である事実から保留とされました。また当契約の更新5についても再度同じ実体を召喚することが困難である点から保留されています。 オブジェクト利用によるSCP-405-JP衝突を防ぐ計画が保留されたことにより、各要注意団体への協力要請が実施されました6が、SCP-405-JP破壊へと至らず実体との契約履行の結果としてサイト-8129の次元転移が行われました。これにより各要注意団体への協力要請ではSCP-405-JP衝突を防ぐことは困難であると断定され、転移後は実施が保留される予定です。 当報告書はサイト-8129内部のローカルネットワークに保存されているため消失を防ぐことが可能です。 SCP-405-JP衝突地点 補遺.405-JP.1: SCP-405-JP衝突地点調査記録 SCP-405-JP出現の直前へと転移したサイト-8129は財団に全情報を提供することによって神的存在及び契約者の捜索が実施されました。これによりSCP-405-JP衝突地点であった東京都千代田区大妻高等学校の調査が行われています。調査の結果、生徒による大規模な売春組織が発見され、また異常存在の関与が認められました。当異常存在のSCP-405-JPとの関連については不明です。 大妻高等学校の教師及び生徒は大規模な認識災害に罹災しており、売春行為を「教育の一環である」との認識を持っていることが確認されています。また認識災害を引き起こしている中心人物として大妻高等学校3年生である双葉 英梨香氏の存在が明らかとなっています。双葉 英梨香氏は既に死亡が確認されており、当該人物の霊的実体が認識災害の原因であると考えられています。 売春行為によって得られた金銭は双葉 英梨香氏の実妹の大妻高等学校1年生である双葉 英恵氏の治療費に充てられていることが確認されました。聴取によると双葉 英恵氏は大妻高等学校入学後、集団によるいじめのターゲットとされており売春の強要や違法薬物使用の痕跡が確認されています。双葉 英恵氏は現在違法薬物摂取による大脳への損傷から昏睡状態であり転院を装い財団施設にて保護、治療を施したところ7大妻高等学校における認識災害は消失しました。双葉 英梨香氏の霊体についてはサイト-8129にて収容されています。また当案件によるSCP-405-JPへの影響は存在しない、もしくは極小規模であると想定されています。 双葉 英梨香氏が異常性を獲得した経緯については調査が行われています。 確保された萩原 アリサ氏 補遺.405-JP.2: 双葉 英梨香氏殺害記録調査結果 双葉 英梨香氏の殺害について異常存在の関連が認められました。当異常存在のSCP-405-JPとの関連については不明です。当該異常存在は東京都千代田区にて売春行為によって金銭を得ていた萩原 アリサ氏であることが判明しています。当該地区における男性の不審死8が相次いでおり、当初財団において注目されていませんでしたが双葉 英梨香氏の死亡状況が酷似していたものであった点から調査が開始され、不審死した男性と萩原 アリサ氏との関連から発見に至りました。 発見当初、萩原 アリサ氏は宿泊施設において男性との性交渉を行った直後であり、男性は保護され経過観察が行われましたがその後死亡が確認されました。萩原 アリサ氏においては異常性を理解したうえで性交渉を行っているものであるとの証言が得られています。また萩原 アリサ氏が双葉 英梨香氏を殺害した動機については、売春を行うにあたって同業者である双葉 英梨香氏が顧客を独占していたためであると判明しています。 以下は萩原 アリサ氏へのインタビュー記録抜粋です。 対象: 萩原 アリサ氏 インタビュアー: 杉本研究員 付記: 萩原 アリサ氏には当組織が法的に処罰を行う機関ではないこと、それにより罪を問うことはないものの虚偽の報告等を行った場合においては待遇について保証はできない旨を伝達している。 <録音開始> [インタビューについての説明及び異常性とは関連の無い会話であったため割愛。] 杉本研究員: あなたが異常性を獲得した経緯についてお話しください。 萩原氏: はい。私こう見えて以前はすごく不細工だったんですよ。今ではこんなに綺麗になってるから信じられないでしょ。どうしてだと思います? 杉本研究員: 一般的には整形手術などが考えられますね。それは異常性の獲得と関係のある話ですか? 萩原氏: 残念。実は私、悪魔と取引しましたの。 杉本研究員: 悪魔実体ですか。 萩原氏: 驚かないのね。 杉本研究員: それで取引とは具体的にどのような? 萩原氏: 悪魔との取引なんて魂と引き換えだって昔から相場が決まってましてよ。 杉本研究員: なるほど、それで美しさを手に入れたと。それとこちらはあなたと性交渉した相手が死亡する件についても異常性が関連しているものと推測しているのですがどうでしょうか。 萩原氏: もちろん、それも取引の内容の1つですよ。こういうときって3つの願いを叶えるって定番じゃないかしら。1つは美しさ、1つは殺す力、そしてもう1つは……。 杉本研究員: 彗星の落下……ですか? 萩原氏: 彗星?何のことかしら。実は最後の1つはまだ決めてませんのよ。 杉本研究員: ……いえ、なんでもありません。最後に尋ねますがその力を手にした動機はなんですか? 萩原氏: 私は他人を自分より不幸にしたいだけなんですの。それにしても……彗星、ね。[微笑む]なかなかいいかもしれないわね。あら、そんな顔で睨まないでくださいまし。冗談よ。 杉本研究員: ……美しくなりたいというのは幸福のためではないのですか。 萩原氏: さあ、どうだったかしら。でも行きずりの男どもに抱かれて苦しんで死ぬ様を見るのはとても楽しかったわ。そうだ!3つ目の願いは巨乳にでもしてもらおうかしら。あなた巨乳は好き? 杉本研究員: インタビューを終了します。 萩原氏: あら、つれないのね。『hellhound on my trail,hellhound on my trail』9[笑い声] <録音終了> 終了報告書: 萩原 アリサ氏は記憶処理を施した後、引き続き収容及び常時監視がなされナンバリングについては後日決定される予定です。 当案件によるSCP-405-JPへの影響は存在しない、もしくは極小規模であると想定されています。 UE-405(悪魔実体/低級多能性実体) 補遺.405-JP.3: 低級多能性実体出現記録 収容当初より危険視されていた悪魔実体(以下、UE-405にナンバリング)とされる存在から萩原 アリサ氏への接触が確認されました。これにより萩原 アリサ氏が収容室より消失したことが確認されています。監視カメラの映像では萩原 アリサ氏は収容室内に突如出現したUE-405と会話をしたのち、瞬間的に消失しました。装着していたGPSはUE-405により取り除かれ破壊されました。また萩原 アリサ氏消失後、収容室内は帝国ホテル東京におけるインペリアルフロアプレミアデラックススイートと同様の内装へと変化したことが確認されています。 UE-405の出現及び萩原 アリサ氏の消失までは予測がたてられており、萩原 アリサ氏の消失後スクラントン現実錨の起動準備が完了、UE-405の捕獲に成功しました。以下は、UE-405捕獲時の記録です。 [記録開始] [UE-405はソファへ腰かけ、食事を摂っている。] UE-405: やあ、諸君。ようこそ、歓迎するよ。 Agt.桒田: 悪魔実体を確認。拘束します。 杉本研究員: 許可します。スクラントン現実錨があるとはいえ慎重にお願いします。 UE-405: 誰か白ワインを持ってきてくれないか。魚料理なのに生憎赤しかなくてね。 Agt.桒田: 黙れ。[UE-405へと接近する。] UE-405: 食事中だぞ?それ以上近づかないでくれたまえよ。 [Agt.桒田がUE-405へと触れる。] UE-405: 魔法を使えなくしたからって悪魔を舐めてるからそうなるんだ。 Agt.桒田: 何を言って。 [Agt.桒田の小指が皿の上に落ちる。] UE-405: おや、肉料理になったみたいだ。でもこれはとてもじゃないが食べられないなあ。下げてくれ給えよ。 杉本研究員: 各員接近は控えてください。敵性実体無力化まで発砲を許可します。 UE-405: いやいや、君らって俺らみたいなのを保護するのが目的でしょ。発砲って。 [射撃が行われる。数発、腹部への着弾が観測されるも実体は生存している。] 杉本研究員: 何か言いましたか? UE-405: あ、いや。なんでもないです。ごめんなさい。 [機動部隊員によりUE-405が拘束される。] 杉本研究員: それで、あなたがここに出現した目的はなんですか。 UE-405: そりゃあのイカレポンチの願いを叶えてやるために決まってる。 杉本研究員: 萩原 アリサ氏のことですね。 UE-405: そうそう。他人の不幸を願って自分の魂を捧げるなんて馬鹿な女だよなあ。 杉本研究員: 彼女が願ったこととは? UE-405: 1つ、美しい容姿。1つ、性交時の呪い。1つ、自由の獲得。 杉本研究員: 世界を滅ぼすことなどではないと。 UE-405: そんなもの願われても俺の力じゃ叶えられないな。……例えば彗星を落としてくれ、とかな。 杉本研究員: ……何のことでしょう。 UE-405: 知ってるだろう。今上空を飛んでる彗星の存在。 杉本研究員: ……ええ、こちらも把握しています。 UE-405: ヒトの生き死になんぞに興味はないが、リンボが賑やかになるのは楽しそうだ。 杉本研究員: 何をどこまで知っている? UE-405: さあ、俺は何も。精々苦しんで死んでくれ給えよ。 杉本研究員: 契約者共々地獄に送り返してやりたいよ。 UE-405: 生憎ホモだから女には興味がないんだ。あんたが一緒に来てくれたらいいんだがな。 杉本研究員: 地獄に落ちろ。 [記録終了] 収容されたUE-405は財団に対し取引を提案し、財団はこれを承諾しました。詳細として「財団にて収容中の双葉 英梨香氏の魂と引き換えに情報を提供する」といった内容です。倫理委員会を含む一部職員から反対意見が上がりましたが、SCP-405-JPに対する情報の少なさから最終的に財団上層部によって決定が下されました。聴取の結果により以下の事実が判明しています。 双葉 英梨香氏については過去に取引を行っており、それにより認識災害能力を授けたが2つ目の願い10を聞く前に萩原 アリサ氏によって殺害されたため魂の回収に苦慮していた。 萩原 アリサ氏は間もなく死亡することが決定している。 UE-405は低級多能性実体11であり、SCP-405-JPを操作できるほどの能力を有していない。 SCP-405-JPを操る存在について心当たりはないが、少なくとも日本国内に神的存在が発生したことを感知しており、ただし1年後に衝突する彗星という回りくどいやり方をしていることから何かしらの制約があるとの推測がたてられる。 UE-405は引き続き収容され続ける予定です。 補遺.405-JP.4: 双葉 麗奈氏身辺調査記録 双葉 英恵氏の実母である双葉 麗奈氏の遺体が発見されました。状況証拠により萩原 アリサ氏による殺人と断定されています。萩原 アリサ氏は双葉 英梨香氏から現金を受け取っていたとの情報がUE-405から得られており、双葉 麗奈氏を殺害した動機についてはこれに関連しているものと想定されています。 死亡した双葉 麗奈氏の調査を行ったところ、結婚した記録が存在しておらず双葉 英梨香氏、双葉 英恵氏の父親について不明であることが判明しました。また双葉 麗奈氏は双葉 英梨香氏、双葉 英恵氏の出生以前には新興宗教に傾倒していたことが判明しており、自宅には科学的に解明不可能な儀式の痕跡などが残されていました。信仰宗教の信奉者に聴取を行ったところ、当該新興宗教は性行為の一切を禁じており、子供ができた双葉 麗奈氏は破門となったことが判明しています。12しかしながら双葉 麗奈氏の遺体を調査したところ、性行為及び妊娠出産の痕跡が発見されませんでした。双葉 麗奈氏と双葉 英恵氏の血縁関係についてDNA鑑定を行ったところ99%以上の確率で親子関係が証明されています。 双葉 麗奈氏は異常な方法を用いて子供を作ったことが判明しており、それによって双葉 英恵氏の調査が開始されました。調査の結果、アキヴァ放射13において異常な数値を検出しました。このため、双葉 麗奈氏は何らかの神的存在の異常性によって子供を作ったものであることが判明しています。また奇跡量の測定結果から双葉 英恵氏の意識下、もしくは内部に神的存在が留まっているとの推測がなされています。 SCP-405-JPと神的存在が深く関連しているものと判明していることから双葉 英恵氏の内部に存在しているとされる神的存在との接触について検討がなされています。 SCP-405-JP関連相関図 補遺.405-JP.5: UE-405との取引記録 UE-405からの要望により、杉本研究員との面会が行われました。以下は面会記録です。 [記録開始] UE-405: やあ、いらっしゃい。 杉本研究員: また飲んでいるのですか。 UE-405: ここにいるとそれくらいしかやることがないからな。 杉本研究員: それで何の用でしょうか。 UE-405: 神が見つかったみたいだな。 杉本研究員: ……どこでそれを。 UE-405: いやあ、友人に恵まれていてね。 杉本研究員: 内通者がいると? UE-405: どうとでも考えてくれ給えよ。 杉本研究員: で、あなたはそれを知ってどうするのです。 UE-405: いやなに。神とヒトの戦いなんてそうそう見られるものではないから楽しませてもらおうと思ってね。 杉本研究員: あなたには関係ありません。 UE-405: そうでもないだろう。娘の姉と母を間接的に殺したのは俺だぞ? 杉本研究員: なおさらあなたは危険な存在です。この件に関わらせる訳にはいかない。 UE-405: そうかい。泣きついてくるのが楽しみだよ。 杉本研究員: そんなことにはなりません。人類は強い。 UE-405: そうか、じゃあ賭けようじゃないか。もし俺に泣きついてくるようなことがあれば、あんたが一晩俺の相手をする。あんたが勝ったら1つ、無償であんたの願いを叶えてやろう。 杉本研究員: ……いいでしょう。お前を永遠にここに捕らえてやるよ。……お前、萩原 アリサが2人を殺すことを知っていたのか。 UE-405: どうだか。 杉本研究員: 双葉 英梨香の死が滅亡のキーだと知って、2つ目の願いを叶える前に消したのか。 UE-405: だったらどうする。 杉本研究員: だとしたら、お前は人類の敵だ。 UE-405: 悪魔が人間の味方だと思っているのか? 杉本研究員: 後悔させてやるぞ。 [記録終了] ━━━━━━ 取引記録1 ━━━━━━ 新興宗教にて発見された神的存在/ピスティファージ実体であるアンゴルモアの大王の絵画 双葉 英恵氏の内部に存在しているとされる神的存在との接触に関して、財団上層部指示によりUE-405との取引によって行われることが決定しました。杉本研究員主導の反対意見14があったものの、仮にUE-405を使用した計画が失敗した場合においても被害は僅かであるとの判断が下されています。サイト-8129に存在する人間1名の魂及び1日間の杉本研究員の貸与と引き換えに、調査員が神的存在が留まっているとされる双葉 英恵氏意識下に直接干渉するといった内容です。残り2つの取引については保留されています。 以下は意識下へと干渉した際に得られた情報の一覧です。 意識下に存在しているのはアンゴルモアの大王と呼称されるピスティファージ実体15である。 アンゴルモアの大王は西暦1550年頃、ノストラダムスに予言と称して自身が1999年に世界を滅ぼすことを囁いている。 アンゴルモアの大王を信仰する宗教組織が複数立ち上げられ16力を増している。 上記宗教組織の立ち上げによって力が増したことは事実だが、世界を滅亡させるには今一歩及ばなかった。 そこで双葉 麗奈氏に目を付け、自身の分身である半神半人の子供を作り世界の滅亡を願わせることでSCP-405-JPを発生させることに成功した。 世界を滅亡させることに関して全ての知的生命を地球上から1度抹消し、新たな知的生命誕生に際して支配者として君臨することを目的としている。 SCP-405-JPの耐性は双葉 英恵氏の魂と意思がキーになっているものの、双葉 英恵氏の死がSCP-405-JP衝突のトリガーとなっているため、双葉 英恵氏を殺害することはSCP-405-JPの距離を無視しての即座の衝突といった結果を齎す。 SCP-405-JP衝突を阻止する方法について現在議論が重ねられています。 ━━━━━━ 取引記録2 ━━━━━━ アンゴルモアの大王の能力を現状よりも向上させないことを目的として、メディア等でノストラダムスの予言についてデマである旨を放送することが決定されました。またUE-405への第2の取引としてアンゴルモアの大王信仰者の信仰心喪失の依頼が決定され、実行されました。これにより完全に信仰心を取り除くことは不可能であるものの、アンゴルモアの大王の能力を大幅に制限することが可能になったと推測されています。 UE-405に対する第3の取引に関して、現在上層部会議による承認待ちの状況となっています。 ━━━━━━ 取引記録3 ━━━━━━ UE-405への第3の取引について承認されました。以下はUE-405との取引記録です。 [記録開始] 兵頭管理官: 記録を開始しろ。 杉本研究員: 既に起動済みです。 兵頭管理官: UE-405、最後の取引内容が決定した。 UE-405: ほう。彗星はどうにかできたのかな?まあいい。で、何を叶えればいいのかね。 兵頭管理官: その前に、願いに関しては貴様が行える範囲でなら何でも叶えるといったことでよろしいか。 UE-405: それはもちろん。やっぱり魂はあげたくないみたいなものでなければどんなものでも。 兵頭管理官: では最後の取引だ。双葉 英恵氏を絶対に死なさないでくれ。 UE-405: それは不死を望むと? 兵頭管理官: そうとらえて貰っても構わん。 UE-405: なるほど、そうきたか。うん……うん、結構。ただ1人分の魂ではいささか対価が不足しているな。あんたが一晩相手してくれるってなら考えようか。 兵頭管理官: では、ここからの解放も対価としてつけよう。 UE-405: ふむ……よろしい。ここからの脱出に関しては聊か難儀していた。いい条件だ。 兵頭管理官: では取引は成立でよろしいか。 UE-405: いや、まだ誰の魂をいただけるか決まってないな。 兵頭管理官: その件か。魂については双葉 英恵氏のものを提供する。 UE-405: ……なんですと? 兵頭管理官: 双葉 英恵氏の魂を差し出すと言っている。 UE-405: いやいや、さっき言った通りやっぱり魂はあげたくないみたいな願いは……。 兵頭管理官: 違う。魂はくれてやる。ただし、絶対に死なすな。 UE-405: ああ、なるほど。そういうことか。では取引は成立ということで。 兵頭管理官: スクラントン現実錨を停止しろ。 杉本研究員: はい、手配いたします。 UE-405: それじゃあ。これで1柱の神の存在が喪失し、あんた方の平和は守られる。いい取引だったよ。機会があればまた。 [UE-405が退出する。] 杉本研究員: 奴は本当に敵だったんでしょうか。 兵頭管理官: 君がそう言うとはな。奴と一晩過ごして情でも湧いたか。 杉本研究員: いえ……奴は私に指一本触れなかったんです。 兵頭管理官: 何?ならばなぜ君を収容室に呼んだ。 杉本研究員: わかりません。もう私には奴が何を考えているのかも。 兵頭管理官: ……個人的には最初から最後までUE-405の手のひらで転がされていた様で癪に障る。何もかもが出来すぎてるんだ。彗星の落下地点に神的存在の関係者がいたのも、殺人鬼が殺した人物も、奴がここに現れたのも。どこからどこまでが奴の思惑通りなのだ。哀れな娘と契約したときか、彗星が現れたのを確認したときか、それとも……1500年代のフランスからなのか。おい、記録装置を止めろ。 [記録終了] UE-405との第3の取引により、双葉 英恵氏は肉体的に生存していながら情動反応が確認できない状態となっています。アンゴルモアの大王は能力を大幅に制限され双葉 英恵氏の内部に現在も存在していることが判明しました。これによりアンゴルモアの大王への信仰心が復興しない限り収容し続けることが可能となりました。アンゴルモアの大王へのナンバリングについては後日行われる予定です。 SCP-405-JPは破壊耐性を喪失したと想定されており、事実の確認が行われ次第オブジェクトクラスはTiamatに変更される予定です。 契約の元、UE-405が解放されました。SCP-405-JP破壊の協力要請が行われましたが、UE-405の異常性では破壊は困難であるとのことから拒否されました。以下は杉本研究員によるUE-405の記録です。 未詳実体番号: UE-405 概要: 身長180cm程度の人型低級多能性実体。 収容日次: 1998-12-14(解放済み) 保全プロトコル: 現在収容は行われていない。 補遺: 杉本研究員をUE-405に貸与した当日深夜、萩原 アリサ氏が杉本研究員の自宅周辺で発見されていたことが、後に判明しました。萩原 アリサ氏は刃物を持ち歩いており、通報を受けた警察組織によって捕縛されています。17 伝言: 次は白ワインを用意しておいてくれ給え。 世界を救った英雄の写真 不正アクセスが検出されました。 脚注 1. 距離の関係上実験は行われていないが、物理的な耐性も保持しているものと推測される。 2. SCP-405-JPが存在していないことを除く。 3. これにより時間遡行した際、同一の人物が2人存在する矛盾を解消する。 4. 実体により早期契約の締結を迫られたことが確認されており、何らかの異常性によって契約を結ぶよう誘導された可能性が示唆されている。 5. 再度実体を召喚することによる2度目の時間遡行を指す。 6. 各要注意団体の保持する技術を集結した破壊兵器の開発が行われた。 7. 治療中ではあるものの余命は1年程度であるものと推測されている。 8. 青酸中毒に酷似した症状が発症し死に至るが検死の結果毒物の発見には至らなかった。 9. ロバート・ジョンソン「地獄の猟犬がつきまとう(Hellhound On My Trail)」の歌詞。悪魔と契約し名声を得たという逸話が存在している。 10. UE-405に目的達成後に双葉 英恵氏の治療を行うことが願いである旨の相談していたとの情報が得られている。目的が何かは不明。 11. 認識災害効果・人体への異常性付与など実行可能であるものの、死者の蘇生・死を齎すなどは実行不可能である。 12. 双葉 英恵氏には学校でのいじめの他に虐待の痕跡が残されているがこれと関連しているものと推測されている。 13. アキヴァ放射は、奇跡量測定器で測定された実体または場所が放射する信念の定量的測定値。 14. この状況はUE-405が仕組んだものであり、UE-405は裏切る可能性が非常に高いため反対するというもの。 15. Pistiphage: 名詞、ギリシャ語、“信仰を喰らう者” 16. 双葉 麗奈氏の所属していた新興宗教もその一部であることが判明している。 17. 杉本研究員の殺害が目的であったと推測されている。
scp-406-jp
評価: +65+–x SCPSにゅうどう(右)、ROVの投入作業中 アイテム番号: SCP-406-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-406-JPを中心とした半径30km圏内は特定海域406-JPに指定されており、未確認の暗礁と海賊の出現という二つのカバーストーリーに基づいて封鎖されています。海域の境界線付近を航行する全船舶の動向は、海底に敷設された音響哨戒網と機動部隊ろ-11"幻船団"の巡視によって漏れなく監視されなくてはなりません。海域内の機雷原から機雷の流出が確認された場合は、プロトコル・ダイオラマに基づき迅速に処理を行ってください。 特定海域406-JP内への進入を許された船舶は現在SCPSにゅうどうのみであり、なおかつ調査目的に限り・霧天時を除き・海域の半径20km圏外までと規定されています。調査中にSCP-406-JP-甲/乙/丁が出現した場合、巡視中の財団船舶は対象の射程外より攻撃を加え無力化を試みてください。特定海域406-JP内に突入し、にゅうどうの海域離脱を援護してください。 海域内で発見された漂流物(機雷を除く)は全て回収し、危険物を除去したのちI5サイト-8131へ輸送してください。 説明: SCP-406-JPは、東経136度██分██秒、北緯16度██分██秒の位置に存在する島嶼です。その上空(高度約200m以下)および水中を含む全域が、常に蜃気楼または陽炎に似た光線屈折現象を伴う空間異常に覆われているため、海上からの目視、航空撮影、サーモグラフィなどの光学的手段では島の正確な面積や地形を把握することはできません。接近調査に投入された無人機や人員はいずれも異常領域内への進入と同時に通信が途絶し、尽く未帰還という結果に終わりました。またSCP-406-JPは所属不明の艦船群(詳細は後述)と機雷原によって周囲を封鎖されており、過去に行われた島内探査の試みはことごとく妨害を受け失敗、ないしは中断を余儀なくされています。 SCP-406-JPに関連する艦船: SCP-406-JP-甲: 鵜来型海防艦に酷似した外観の武装艦艇です。艤装・兵装の配置も概ね鵜来型のそれに準じますが、銃砲類はすべて閉鎖式砲塔に納められているうえ、その性能(発射速度、貫徹力等)は大きく向上しています。船体も非常に堅牢であり、その無力化ないし撃沈には未だ成功していません。 特定海域406-JPの15km圏内にある程度のサイズを持つ人工物1が進入すると、直後当船舶がSCP-406-JPの沿岸に出現しその迎撃を行います。出現数は状況によって変動し、これまでに確認された最多の出現数は8隻です。 SCP-406-JP-乙: 旧日本海軍が保有していた11m内火艇と同一の上部構造を持つ短艇ですが、推進器は形式不明のウォータージェットに換装されており、船体には折畳式の全没型水中翼を備えています。これにより海上を超高速2で航行することが可能です。平時は2~3隻がランダムな航路で海域25km圏内を航行しており、巡視を行っているものと推測されます。 当船舶は通常、SCP-406-甲/丙/丁以外の船舶を確認する3と即座にSCP-406-JPの方向へ逃走しますが、高速艇による追跡を試みたところ、数分後にSCP-406-JP-乙は突如転針して艇に衝突、高速艇のみが完全に破壊される結果となりました。当船舶は海域内への船舶の進入とそのSCP-406-JPへの接近に応じて際限なく出現数が増加するため、特に警戒が必要です。 SCP-406-JP-丙: ひどく汚れ損傷した船名不詳の2A型戦時標準船です。およそ半年ごとにSCP-406-JPの沿岸に出現、最短ルートを2~11ノットの速度で航行して海域からの離脱を図りますが、その試みは常に、当船舶が海域20km圏内を超えた直後、SCP-406-JP-甲/乙/丁の攻撃によって撃沈されることで終了します。しかし次回の出現時には問題なく航行可能な程度に修復されており、撃沈以前と同等の性能を発揮します。無人航空機および無人潜航艇を用いてその"越境"から沈没までの経過を連続調査した結果、当船舶はマストの先端まで完全に海面下に没した直後、幾つかの小さな破片を残して瞬時に消失していることが判明しました。 フロッグマンが当船舶への乗船(board)と捜索(search)を行ったところ船内は無人であり、艦橋には操舵輪のあるべき位置にレンズ式プラネタリウム投影機の恒星球に類似した直径1.7mの機械装置が設置されており、その基部には「エス号受信器 乙」と打刻された金属製銘板が取り付けられていました。文書406-JP-32の記述から、当船舶は[編集済]との関連が推測されます。 SCP-406-JP-丁: 全長約20mの小型潜水艦です。船体の形状は海龍級特殊潜航艇に類似していますが艦橋は大きく異なり、かつ類似したサイズの現行潜水艇と比較して極めて高い運動性と隠密性を備えています。推定12隻が特定海域406-JPの20km圏内に常駐しており、その内側に侵入した水上・水中標的を魚雷(有線誘導式と推定)で攻撃するほか、SCP-406-JPを破線円状に取り囲む機雷原の敷設も担当しています。当船舶は夜間不定期に海域内のランダムな座標に集団浮上して数分ほど会合を行いますが、発光信号や無線通信、乗組員の活動といったものは確認されておらず目的は不明です。 [+ 要レベル3セキュリティクリアランス] [- セキュリティクリアランス確認] SCP-406-JP-戊: SCP-406-JP内部に存在が示唆される第五の船舶です。19██年に海域内で回収された財団エージェントの手記(参照:文書406-JP-32)によってその存在が判明しました。 手記中の記述によれば当船舶は明治~大正時代のものに似た外観をした3檣帆型不明の戦闘艦であり、喫水線下を土中に埋没した状態でSCP-406-JPの陸地に固定されています。そのような状態であるにも関わらず外部構造に損傷は見られません。さらに当船舶は無線機を介して日本語による意思疎通が可能、エージェントが要求した物品の一部を未知の手段で供与するなどの超常的特性を備えています。 しかしSCP-406-JP内を探査する過去の試みはすべて失敗しているため、その実在は確認されていません。 補遺1: 事例406-JP-26要約 19██年12月10日、衛星写真の解析により、SCP-406-JP-丙が特定海域406-JPの18km圏付近を数日間漂流している事が確認されました。直ちに巡視中のSCPSくろびから搭載機によって調査隊が派遣されましたが、降下から15分後に当船舶が沈没し始めたため調査は中断されました。以下のリストは調査中に発見されたものとその概要です。 白ペンキで「Qui veut peut」と書かれた木板。縦110cm×横36cm×厚さ1.4cm。:前部甲板上で発見。回収後の調査では超常的な特性は確認されませんでした。 長形3号の茶封筒、便箋入り:艦橋内で発見。超常的特性なし。便箋の内容は以下を参照してください。 (注意: 原文は和文タイプかつ縦書きです) 拝呈 過般一寸談論致シ候節、妙義君ヨリ、別封一通御委託ヲ受ケテ参リ候故、拙者自身持参御届申シ上グベキ心底ノトコロ、無辜流刑ノ身の爲メ、時日相延ビ候ニ付、不本意ナガラ擬船フウ・ナビイアニテ呈上仕リ候。御言傅等ハ、後日参港ノ上、緩々申シ上グベク候。 拝具 皇紀二六████年十二月六日 ██████4 ジッパー付ポリ袋、ジッポ型オイルライターと防水手帳入り: 貨物倉内で発見。超常的特性なし。調査隊員は「これを拾った途端に船底が割れて浸水が始まった」と証言しました。手帳の内容は文書406-JP-32を参照してください。 補遺2: 文書406-JP-32"エージェントの手記" [+ 要レベル3セキュリティクリアランス] [- セキュリティクリアランス確認] (備考: 当文書は可能な限り原文の記述を忠実に転写しています) <19██年6月9日> 私は今島のほら穴にいる。激しい波にもまれて船から落ちたが、どうにか岩場から上陸できた。 磯伝いに砂浜まで移動してみたところボートに積んでいた装備のほとんどを発見。だがボートはなかった。 今はひとまず崖下のほら穴を拠点とし、装備の点検をした後休息する。 ・寝袋 ・ツェルト ・折畳水筒3枚 ・腕時計 ・浄水錠一袋 ・下着+タオル一揃 ・カメラの交換レンズ ・手帳 ・PCR-██無線機と付属品(長距離アンテナ折損) ・URC-10無線機 ・ナイフ ・防水マッチ ・MRE5日分 ・ロープ(20m+5m) ・L型灯と電池6つ ・簡易釣竿 ・拳銃1丁と弾28発 ・手袋 ・双眼鏡 ・ペン3本 所持品は以上。カメラとコンパスを失ったのが惜しいが、ヘタなりに絵でも描こう。方位は太陽で判る。 明日は島内に入る予定。 <6月10日> 早朝無線交信を試すがノイズまみれで一切通じず。島の調査に移る。浜を挟んだ反対側の岩場に崖をジグザグに上る道(人工だろう)を発見。 / 登った先は針葉樹の林。防風林だろうか。かなり広そうだった。 散策してみたが人影や人家の類は発見できず。念のため足跡を消しつつ日暮れと共に帰る。 <6月11日> 朝食後無線を試すが相変わらず不通。再度林の調査へ。 / この林は広い。ためしに木に登ってみたが、 島の中央にある小高い山までずっと続いているようだ。港があるのは山の反対側だろうか。あるいは船が入るような大洞窟がどこかにあるのかもしれないが、少なくとも歩哨を島全体によこすほどの規模はないらしい。ひとまずは安心か。 <6月12日> 夜明けと共に飯を食い林に行ったが、杉と松の木ばかりで食えそうなものは見つからなかった。動物も。 そろそろ食料がこころもとない。水は一月くらいタブでまかなえるが、いずれ釣りや狩りをせねば。 <6/13> 午前中は釣りの予行演習をしたが釣果はゼロ。それにしてもこの島には不自然なほど動物がいない。 普通潮溜まりがあれば貝や小魚がいるし、そうでなくたって岩場にフナムシくらいはいていいはずだ。 (様々な生物のコミカルな絵が描かれているが、それらは全て×印を上書きされている) 22時半ごろに遠くで五連続の砲声を聞いた。ここからでは船影は確認できず。 <6/14> 森の調査を行う。できる限り歩き回ったが成果はなし。帰る途中、何も書いてラベルが貼ってない金色の缶詰が大小五つ落ちていた。一つ開けてみたところ中身はたくあん。ワナかもしれないので缶を放置し、岩影に伏せて一時間待った。文字通りの意味で小鳥一匹、虫一匹も近寄ってこなかった。缶を回収しねぐらへ。  追記:開けたたくあんだけ夕飯の足しにして後は保管した。毒入りなら日記はこれで終わりだ。 <6/15> 今日はとても船の行き来が多い。それも軍艦ばかり。まるで観艦式、実際見たことはないが。殆どはWW2頃のものらしい小さめの船で、たまに恐ろしく足の速い漁船?が通る。見つかる危険があるため、今日はしばらくココで待機。 (この頁は以下全て艦船のスケッチで埋められているが、粗雑ゆえに種類・型式の判別はできない) 昼過ぎから往来がぱったりと途絶えたので再び森へ行き、そこでまた缶詰を拾った。それも7つ!あわれな人間にエサを恵んで一体何がしたいのか。どうせならタバコの一本でもくれてほしいものだ。  追記:今日は鶏飯と福神漬けを腹いっぱい食った。うまい。毒があったらそれまでだが、それでもいいさ。 <6/16> なんとまあ!ねぐら近くの浜でまっ白い紙箱に入った両切りタバコ三箱と使い込まれたジッポもどき、そしてピカピカに磨かれた木のタバコホルダー(長さ約10cm)を拾う。ライターは中も外も真ちゅう製らしく、底にapollo light(筆記) SUPER-LIGHTER(ブロック)と刻印されていた。この「お恵み現象」は明らかに意図的なものであると確信。これについても要調査。しかしオイルライターに綿と油を入れ忘れるなんて、よほどのモノ知らずか皮肉屋だろうな。結局自前の火を使った。久々の一服はキツいがウマい。 <たぶん6/18> 時計が正しいとすれば昨日一日眠ったままだったらしい。これも超常現象か。それともタバコのせいか? 荷物や体に異変はなかった。 / 眠りすぎたせいか体がだるい。動く気が起きないがムリヤリ外に出たら、後ろに棒が生えた黒くて四角いものが3つ、横一列に並んで沖を横切っていくのを見た。たぶん潜水艦の艦橋。 / 上陸して一週間と二日、いいかげん成果を挙げねばなるまい。ここを離れ島の反対側に向かう。急いでこれから荷造りだ。 (波間から覗くSCP-406-JP-丁3隻の艦橋が描かれている) <6/19> 何km進んだか確信はないが、ともかく今は森の中で寝転がっている。今朝出がけに浜を見たら缶詰が5つ。ありがたくちょうだいして出発。 / 2時間程歩いたところで森が途切れ、5坪くらいの小さな綿花畑に出くわした。気味が悪くて急いで通り過ぎたが、今思えばライターに詰めろって事だったのかな。妙なところで気の利く奴だ。今は夕方で風と葉ズレの音だけが聞こえる。気温はそれなりだがうすら寒い。今日はコルトを抱えて寝る。 <6/20> 昨日は妙な夢を見た。いきなり牢屋に入れられてよく覚えていない。今は昼で、山にかなり近付いた。 小さな池(そう、生き物はいなかった)を見つけたので水を汲み体を拭いている。ここに来る途中にサビたボンネットトラックの残骸を見つけたが、近寄らずに通りすぎた。その鼻先に金色の星がくっついてたからだ。旧軍かソ連か、どっちでもどうせロクな事にはならない。だろ?  追記:そのあとやっぱり後戻りして漁った。荷台には例のごとく缶詰の山、助手席には真新しい布包帯、そしてタンクの中にはガソリンが満杯。そこまでしてライターを使わせたいかと苦笑。 (頁の右下に蓋の開いたジッポ・ライターの絵が描かれている) <6/21> 小休止中。島に来て初めての曇天。周囲はガレ場になってきた。雨が降らないうちにここを通りたい。 追:ぶじ通過。多少迂回したがなんとか山を越えた。ここから先に現象の正体があるはずだ。 追々:目の前で日が落ちている。晴れたので判ったが、太陽の軌道が変わっている。間違いない。 <6/22> 今まで北だと思っていた方角から日が昇った。用心深く進んでいるつもりだが、相変わらず生物の気配はなく森の様子も変わり映えしない。木に登ってみたところ、森の先に大型のアンテナのようなものが三つ立っているのを発見。数十メートルはある。あんなデカいのを山越えのときに見つけられなかったのは少し妙だが、ともかく、やっとこさ目的地が見えたってことだ。 <6/23> この日はまた一日寝てたらしい。時計の故障か(もう5年使ってる。ハードに)やはりこの島の現象か。 寝覚めがやたらさわやかで、ワクワクした気分で起きられたのが不思議なことだ。 <6/24> 半日かけてアンテナの元に辿り着いたが、これはアンテナではなくマストだ。森がと切れた先に明治・大正時代のものらしい軍艦がキレイなまま野原に埋まっている。信じられない!双ガンキョウで観察した限り周りに人気はなく、超常現象もみられない。行くべきか行かざるべきか。 (当頁の下側に、喫水線直下まで地面に埋まった三本マストの船が描かれている。マストに帆は張られていない。船腹が大きく横に膨張していることから、当船舶はタンブル・ホーム構造であるものと推測される) 追:やめておこう。森の中を迂回して進み、このまま対岸に向かうことにする。 追々:予想より早く半日も経たずに港に着いたが、ここは寒村の漁港みたいな廃墟だ。基地なんてない。 船と言えばふ頭にサビたのが一つ転がってるだけ。動いてるものは何一つない。こんなはずじゃない。 別の港があるのか?急に疲れてしまった。頭が重い。どこか落ちつける場所で休みたい。 ──────────────────────────────────────────────────────────── 恐ろしくはっきりした夢を見た。昨日見たあの船が俺を呼び、静かに助けを求めていた。疲れで見た悪い夢かもしれないし、俺をおびき寄せるワナかもしれない。本当は島を周って他の港を探すべきだろうな。 考えることが多すぎてつらい。俺が助けてほしいくらいだ。でもここには誰もいない。決めるのは俺だけ。 <6/25> 例の軍艦に接近し、偶然ながら無線機を通じて意思疎通に成功した。こいつは「アンネビー」と自称しており、イントネーションはめちゃくちゃだがともかく日本語で話ができる。アンネビーは艦隊(?)を追放されて文字通り島流し(奴は『陸封』という単語を使ったが、誤用のはずだ)にされた身で、島外の船は全て自分を監視しているという。そして船内には入るなと何度もしつこく言われた。 / しゃべる船なんて幻聴にしてもチンプなものだが、これが俺が見聞きした事実だ。あんまりうるさいもんで質問できなかったのが心残り。だが久々に誰かと話せたので気分はいい。 追:アンネビーのイントネはフランス人のそれに似てるかもしれない。何かの手がかりになるか。 (当頁の余白に"annebe" "anneby" "annavy?" "un-navy"という記述あり。意図は不明) <6/26> 今日はアンネビーに改めて聞き込みを行う予定。艦隊とは?その目的は?規模は? お恵み現象は奴の仕業か?なぜ追放されたのか?この島はなんなのか? きっと答えてくれるだろう。念のため証拠のタバコとライターを持っていく。 (続く6頁は未記入のように見えたが、精密検査の結果各頁はノド側0.5cmの位置で裁断され、寸法や罫線の位置を精巧に模倣した、紙質の異なる別の中紙を接合されていることが判明した) て」とやらを探しているらしいが、俺には奴らには別の目的があるように思える。アンネビーはダマされているのではないか? Scipに肩入れしすぎた、反省。冷静にならなくては。 / 追:夕飯中にアンネビーよりコンパスと新しい手帳、鉛筆2本と質の悪い砂消しゴムをもらう。カメラも出すよう言ったがダメだった。基準がよくわからないが、奴も万能ではないらしい。 <6/28> 昨日の件について再び考えたが、やはり俺はここに残ろうと思う。いわゆるオブザーバーとして。 先日の応対でも分かる通りアンネビーはとても協力的で、恐るべき艦隊から我々側への亡命を希望してすらいる。俺が先に戻りたいなら船を手配するとまで言ってくれたが、偶然上陸できたこのチャンスを逃してまで俺が戻る必要はないと俺は結論した。代わりにこの手帳を奴の手配した船に乗せて島外に流すことにする。外の現状はわからないが、きっと見つけてくれるだろう。用無しのライターも「お恵み現象」のサンプルとして入れておく。 / この島の記録はこれで一旦終わるが、俺は今後も奴と対話し、その特性の源と蜃気楼を消す方法を探る。今後も報告を行うので次の船を待たれたし。確め・収め・保つ。 代理人 妙義 (以降の頁は白紙。唯一最終頁に以下の文が存在した。これも原文は和文タイプ縦書であることに注意) 肅白 昨今ノ形勢ニテハ日ナラズ出艦ノ大命下リ候ハン 其ノ期ニ至ラバ告別書ヲ差出サン間合無之存候ニ付一書差上申候 御存知ノ如ク艦隊ハ強大ニテ優勢ナル事我ニ倍シ戦艦ハ盡ク新式ニテ備砲万端鋭利ト聞エ候 是等ヲ比スレバ心膽實ニ寒ク候 海戦ハ殊ニ機械的故勝算ハ我レ彼レニ一歩否数歩下ルト考エ候エバ自分等必ズ戦沒ト覺悟致居候 然レドモ操縦發射████5ノ術或ハ我レ彼レニ優ランカト聊恃ミニ存候 兎ニ角國家存亡ニ係ル大役ナレバ滿腔ノ至誠ヲ盡シ一意忠戦可仕候 此儀ハ御安心被下沒後ハ何卒妙義君ノ上宜敷奉冀候 頓首 皇紀二六████年六月二九日 ██████6 二伸 生存致ス限リハ音信可致候ヘ共報絶ユレバ戦沒ト思召可被下候 (裏表紙の内側、中央に"艦隊司令部 査閲済"という縦書きの朱印が捺されていた) 付記: エージェント・妙義は19██年6月に実施された9回目のSCP-406-JP探査に参加した人員の一人です。SCP-406-JP-丁との衝突でボート█隻を、触雷で█隻を喪失し、残る1隻も海岸線へ到達する直前に消失したことから、探査は失敗したものと判断されていました。記録の発見によりエージェント・妙義の状況は「行方不明」から「任務行動中」に修正されました。 付記2: 19██年6月11日の出現事例以降、SCP-406-JP-丙は出現直後より即座にSCP-406-JP-甲/乙/丁の攻撃対象となり、いずれの事例においても海域10km圏以内で撃沈されました。さらなる文書記録を回収するため、SCP-406-JP-丙への強行乗船および19██年6月11日以降の沈没地点の海底探査が計画されています。 脚注 1. 例:潜水服を装備した人間、船舶、無人航空機、漂流するブイなど。 2. 翼走巡航時37ノット、記録上最高速度██ノット 3. 探知距離の変動から、目視あるいはそれに類する手段と推定されます。 4. 回収時点で既に黒塗りされており、原文の復元は不可能でした。 5. 記録406-JP-29と同様、回収時点で黒塗りされていました。 6. 記録406-JP-29と同様、回収時点で黒塗りされていました。
scp-407-jp
評価: +40+–x SCP-407-JP アイテム番号: SCP-407-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: 収容手順91-ヴィタ(都市内異常建造物標準的収容)がSCP-407-JPに実行されます。民間人をSCP-407-JPから遠ざけるため、保安職員はSCP-407-JPを含む該当建造物を防護してください。 説明: SCP-407-JPは、██県██町の廃業したホテル中にある1200mm×685mm×550mmの標準的ポリ浴槽です。民間のオカルト雑誌記者が当ホテルへ進入し行方不明となった旨を財団が傍受、当ホテルを捜索し、雑誌記者の経路終点近辺よりSCP-407-JPが発見されました。 SCP-407-JPを移動するいかなる試みも成功していません。1SCP-407-JPのバス栓は閉められており、SCP-407-JPの活性化中を除き栓を開くことができません。活性化状態が終息すると、開かれたバス栓は原理不明の運動により自ずから閉められた状態へと移動します。 人間がSCP-407-JPを直接視界に入れることによってSCP-407-JPは活性化します。SCP-407-JPを見た被験者は、オブジェクトの内部に水が存在しないにもかかわらず、そこに湯が溜められているという認識を抱き、被験者はSCP-407-JP内部へ進入したい衝動に駆られます。SCP-407-JP内部に進入し座り込んだ被験者は、肩口までお湯に浸かった感覚と夢心地でぼんやりとした認識を抱きます。 このとき、被験者によるバス栓に対するあらゆる操作は対象をすり抜け、被験者はバス栓に触れることができませんが、その異常を被験者は意識しません。また、SCP-407-JPから脱出することを被験者は望みません。この段階では、外部から被験者をSCP-407-JP内部より引き出すことができます。被験者をSCP-407-JPの見えない位置に移動すると、SCP-407-JPの影響下より脱し被験者は正常な状態へと戻ります。 SCP-407-JP内部に被験者がいるとき、バス栓が外部手段によって開かれると、被験者はSCP-407-JPの底が深くなっていき一方で水位は一定位置に留まっている様子を認識します。また、SCP-407-JP内部にいることに被験者は深い安堵感を呈します。外部からは被験者がSCP-407-JPの底をすり抜け下方へ沈んでいくように観察されます。下方へと沈む被験者を引き戻す、及び身体が下方へと全て脱した後の被験者を観察、追跡するいかなる試みも成功しませんでした。 物理的検証と成分検査より、SCP-407-JPの排水トラップはヒト由来の涙と唾液で満たされていることが判明しました。これらの起源は不明です。 Footnotes 1. SCP-407-JPの実験と調査の詳細な記録は外部文書407-Bにまとめられています。
scp-408-jp
評価: +112+–x SCP-408-JP アイテム番号: SCP-408-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 回収されたSCP-408-JPは低危険物ロッカーに保管してください。未回収のSCP-408-JPの出現を予測する方法は確立されていませんが、出現の際オブジェクトを可能な限り特異性未発揮のまま回収するため、プロトコル“無差別郵便テロ警戒キャンペーン”を継続してください。プロトコルの成果により警察に持ち込まれたSCP-408-JPは、財団の潜入エージェントを通して偽造品と交換・回収してください。 説明: SCP-408-JPは特異性のないビニールで包装された、各100枚組の長形3号サイズの封筒セットです。SCP-408-JPは通常、「何らかの組織・団体」のオフィスもしくは代表的人物の自宅に、近隣の文房具店名義で商品として配達されます。対象団体に関連や法則性は確認されていません。SCP-408-JPのどの一枚にも、その封筒を通常の方法で発送した場合に「送り主」と自然に見做される位置・大きさで、当該団体名がプリントされています。団体のメンバーは、いずれもSCP-408-JPを注文した記憶がありません。しかしかなりの確率で、受領者はその封筒を使用してしまいます。これは単に外観上の自然さから、別のメンバーが注文したものか、あるいは自ら注文して忘れてしまったのだと錯覚するためです。 SCP-408-JPの特異性は、オブジェクトを一枚でも通常の方法で使用し、発送を有効に行うことで発揮されます。具体的には以下の行為が欠けている場合、オブジェクトは特異性を発揮しないことが分かっています。 ・宛先の明記。 ・正当な料金の支払(切手の貼付など。着払いや料金後納も、手続きを問題なく行えば可能です)。 ・有効な方法での配達依頼手続(ポストへの投函のみでも成立)の完了。 なお、受取人転居などの理由で、結果的にSCP-408-JPが相手方に届かなかった場合でも、特異性は妨げられません。 特異性が発揮されると、SCP-408-JPにプリントされていた「送り主」団体の全構成員は、その団体名の文言を忠実に体現した存在になるように改変されます。部署名や代表者名を書き加えていた場合でも、特異性の有効範囲がそれに応じて縮小されることはありません。 以下はSCP-408-JPを受領した団体の一部に関する記録です。 団体名:██高校写真部 実態:クラブ活動としての実態はほとんどなし。同校では校則上いずれかのクラブの参加が義務付けられており、部活動に不熱心な学生のたまり場と化していた。 曝露結果:幽霊部員が皆無となり、全員が熱心な写真撮影の愛好家となった。 団体名:█大ソフトテニス同好会 実態:テニスを掲げているが、実際にはメンバー同士、または他大学の学生と広範な性的交流を持つことが主目的のグループ。 曝露結果:全員がソフトテニスに熱心に打ち込むようになった。数年後に国際大会に出場し有名になった████選手は、本サークルでテニスを始めた代表的人物である。 団体名:███大アニメ研究会 実態:上記大学のアニメファンサークル。メンバーの一部は、年2回ほど既存のアニメキャラクターを用いたポルノグラフィックな短編漫画集を創作・発表するのが通例であった。 曝露結果:メンバー全員の参加のもと、最新の同人誌が発行された。内容は技術面、経済面、美術史、女性学、記号論、ポスト構造主義等様々な観点からアニメーションについて考察した全584ページの論文集(上下巻)であった。ほとんどが売れ残ったにも関わらず、メンバーは同誌の出来栄えに深い満足を示した。 団体名:祖国を愛する日本人同盟 実態:外国人移民排斥を求めるデモとヘイトスピーチを主な活動内容とする団体。 曝露結果:メンバーは外国人への敵意を大幅に喪失した。代わりに遺跡発掘ボランティアの参加、伝統芸能の習得などに余暇時間の多くを割くようになった。 団体名:海のいのちを奪うことを許さない市民グループ 実態:反捕鯨団体。 曝露結果:多くのメンバーが海岸にて釣り客に対し暴力行為を行い、逮捕された。その他のメンバーは鮮魚店、寿司屋を襲撃し、同様の結果となった。なお、河川や湖沼で釣りをしていた人物を襲った者はいなかった。 団体名:痴漢冤罪被害者の会 実態:痴漢冤罪で無実を勝ち取った元被疑者と、現在係争中の被疑者が計8名。及び彼らの家族と支援者で構成される人権団体。 曝露結果:冤罪被害者本人たち以外の、家族・支援者のメンバーが立て続けに痴漢で逮捕された。メンバー最年少で、代表者の息子である13歳の少年だけが逮捕を免れていたが、半年後になって逮捕された。逮捕当日は彼の14歳の誕生日であり、刑事責任年齢に達すると同時に特異性が発揮されたものとみられる。なお「冤罪被害者」8名のうち2名のみ、新たに痴漢の疑いを掛けられたことは、彼らの事件が実際には冤罪でなかった疑いを生じさせる。 201█年█月█日現在、メンバー中28%の者の無罪が確定。残りは係争中である。 団体名:いじめ殺人被害者の会 実態:いじめによって家族を失った被害者遺族の団体。主な活動は、いじめの被害児童や保護者の相談受付、学校に対する勧告など。 曝露結果:[削除済] 団体名:有害ゲームに子どもを殺された親たちの会 実態:強姦殺人の被害少女の両親が中心となった、ゲーム規制のための圧力団体。同事件は加害者がTVゲームファンであったことを大々的に報道された。 曝露結果:メンバーは全員、様々な原因で1人以上の子を失った。多くがスポーツ試合 ゲーム中の事故死であった。数名の児童は一見不可解な原因で死亡し、所持していた携帯電話やスマートフォンからSCP-████のデータが確認された。 なお、すでに長女を殺されているため条件を満たしていると思われた代表者夫妻の次女も死亡した。これについて、財団職員D-5963081から当時の事情を聴取した。D-596308は「あの女子中学生は可愛かったから襲っただけだよ。別にゲームは関係なかったぜ?」と回答。ポリグラフ検査で偽証無しと判定された。 団体名:SCP財団日本支部 実態:省略。 曝露結果:曝露せず。サイト-81██の表の顔であるフロント企業宛てに届けられた小包から発見される。秘密組織としての性質上、財団名を明記した封筒を使用する機会がなく、██事務員が不審に思いながらも引出しに死蔵していたもの。SCP-408-JPの存在を財団が把握した後、関連を疑った██事務員が提出し、収容された。送付元は財団の存在を知っていると判明。 団体名:██川のほたるの会 実態:██川流域の自然環境回復につとめ、蛍の自然繁殖を試みる市民のグループ。 曝露結果:メンバー全員が行方不明となった。相当数のメンバーについて、「河原に向かって歩いて行った」という目撃証言がある。同年の夏、周辺地域にてゲンジボタル(Luciola cruciata)が急増した。特異性の結果である蛍とそうでない蛍を判別することはできなかった。 団体名:ちゅーりっぷの会 実態:児童福祉団体。 曝露結果:メンバー全員が行方不明となった。彼らの自宅やよく行く場所にそれぞれチューリップ(Tulipa gesneriana)の花が各一輪ずつ落ちていた。本人達の消滅およびチューリップの出現について、その途中経過についての記録及び証言はなく、すべて目撃者及び録音録画機器の存在しない場所で発生したと考えられる。 団体名:にこにこヒマワリの会 実態:障害者福祉団体。 曝露結果:「ちゅーりっぷの会」とほぼ同様であるが、通常ひとつのヒマワリ(Helianthus annuus)と見なされている花の集合体が各一組ずつ残されていた。特筆すべき点は、一部の筒状花2が黄色ではなく黒色であった。黒の筒状花は3本の弧状に並んでおり、研究者たちは「人間の微笑んだ顔に見える」と報告した。DNA解析の結果、遺伝子異常に起因することが判明。色彩異常以外の特異性は認められない。 -「なんで福祉団体ってのは花の名前を付けたがるんだ?」(██研究員) 団体名:███チーターズ 実態:少年野球チーム。 曝露結果:午後0時50分頃、メンバーが通う小学校において15頭のチーター(Acinonyx jubatus)が出現。記憶処理の上、カバーストーリー「動物園からの猛獣の脱走」を適用、児童が襲われて死亡したものと発表した。実際にはチーターらは捕食活動を行っておらず、襲われたと発表された消失児童はチームメンバーだった少年達である。発生時刻から、給食の直後であったことがチーターの空腹状態に影響した可能性が高いと考えられている。 団体名:龍神会 実態:広域指定暴力団██組傘下の暴力組織。 曝露結果:同団体の活動する市内各地にて、巨大な爬虫類様生物██体が出現。機動部隊に-8("地域猫")を初めとする数チームの部隊が出撃。 [削除済]の犠牲を出しながらも事態の収拾に成功した。それぞれの特異性発現地において、カバーストーリー「集団幻覚」「特撮映画ロケ」「連続爆弾テロ」及び「下水に棲んでいた大型爬虫類」が適用され、目撃者の記憶処理が行われた。 団体名:世界オカルト連合(GOC) 実態:省略。 曝露結果:曝露せず。GOCはオブジェクトを既に焼却済とのこと。曝露を免れた理由は財団と同じであると推測されている。なお、GOCにオブジェクトが送付された事実は、GOC側から財団に連絡があり判明。財団も既に送付を受け収容済みである旨を伝えると「諸君らが超常存在の大集団とならなかった幸運に感謝しよう」との回答を得た。 団体名:██民主主義人民共和国 実態:国際的に孤立した軍事独裁国家。指導者崇拝を国民に強要しており、政治犯への苛烈な弾圧で知られる。 曝露結果:民主化運動の急激な盛り上がりにより体制が崩壊。議会制民主主義に基づく新政府が樹立され直ちに国政選挙が行われ、民定憲法の下にそれまでの法律の殆どが撤廃・改正された。同国の経済は急速に回復し、言論は西欧諸国のレベルと同等もしくはそれ以上に自由化されている。曝露前の同国政府が自他国民に為してきた暴虐について、関係者の裁判が進行中である。 -「これで我々はDクラス補充のための気前のいい供給元をひとつ失ったわけだ。彼らが提供してくれる最後のDクラス職員は、彼ら自身となるだろう」(O5-4) 補遺1: 特異性発揮済の封筒の残りを、団体名を書き換えて使用し、別団体に対し特異性を発揮させようとする試みは全て失敗しています。特異性未発揮の封筒による同様の実験は、物理的文字消去によって本来プリントされた団体に対する特異性が消去できる保証がなく、現在保留中です。 補遺2: SCP-408-JPを届けた文具店を調査した結果、全てのケースにおいて、SCP-408-JPを商品として取り扱った記録は存在しませんでした。ポリグラフを併用した尋問でも、店員にその記憶はないことが確かめられています。このため、単純に真の送付元が文具店の名を騙っているだけと考えられていますが、真の送付元について手掛かりは掴めておらず、目的等も一切不明です。 Footnotes 1. 団体発足のきっかけとなった強姦殺人事件の加害者。 2. 外側の大きな花びら(舌状花)の内側にある多数の小さな花。
scp-409-jp
評価: +170+–x 評価: +170+–x クレジット タイトル: SCP-409-JP - 笑来亭ふしぎ 著者: ©︎Rhapsodyyyyyy 作成年: 2015 評価: +170+–x 評価: +170+–x アイテム番号: SCP-409-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 現在、SCP-409-JPの完全な収容は行われていません。SCP-409-JPが発生する演芸場で落語の口演が行われる際には必ず1人以上の職員を派遣し、SCP-409-JPが発生した場合ただちにプロトコル"時そば"を実行してください。演目終了後、関係者にはAクラス記憶処置が行われます。 現在、さらに低リスクの収容措置としてエージェント・███よりプロトコル"井戸の茶碗"およびプロトコル"道具屋"が提案され、サイト管理者の承認後に新プロトコル策定のための実験が行われる予定です。 説明: SCP-409-JPは黒い着物を着た50代前半の東洋人男性のように見える人型実体です。東京都██区に存在する演芸場████亭において落語の口演会が行われている際、演目と演目の間に突発的に出現し演者の1人として落語を披露します。それに伴い、演者の名前を表示する「めくり」に「笑来亭ふしぎ」という名前が表示されます。SCP-409-JPの出現は主催者にとって予定外の出来事であり、それによって本来出演する予定であった演者の出番が遅れる、または飛ばされるといった事態が発生しますが主催者、出演者及び観客はその事に違和感を持たずSCP-409-JPの口演は円滑に行われます。SCP-409-JPの口演中、ほとんどの観客は口演を聴き続ける事を望みます。この傾向は対象が落語に精通しているほど顕著で、ミーム的な特性と言うよりは単にSCP-409-JPの噺の質が一般的に高いと判断されるレベルにある事に起因すると推測されています。対象が外部からの命令または便意、尿意等に起因する動機により退場する事は可能です。SCP-409-JPの口演を録画、録音する事は可能で、記録された映像および音声は特異性を持ちません。また、「笑来亭ふしぎ」なる名前の噺家が存在した形跡は落語の発祥から現在まで確認されていません。 SCP-409-JPが舞台上において演目を開始する際、「笑来亭ふしぎ」という芸名を名乗った後に「今日はなんの噺をしようか」という問いを観客に投げかけます。これは一般的な噺家の行動としては非常に不自然なものですが、観客および口演関係者は違和感を感じません。多くの場合、観客は口々に噺のリクエストをSCP-409-JPに告げます。SCP-409-JPは聞き取れたと思われるリクエストの中から最も早かったものを選択し、リクエストに応じた噺を披露します。リクエスト以外のコンタクトは全て黙殺されます。口演の終了後、SCP-409-JPは舞台袖に消えるとともに消失します。同時に、演目に応じてSCP-409-JPの特異な効果が発現します。特異な効果は演目の内容に沿ったものであり、財団職員がリクエストを行う事で影響をコントロールする事が可能です。 SCP-409-JPは19██年に東京都██区の██亭において「幽霊の噺家が出没する」との噂が広まった事から当時の財団に発見され、SCPとしての認定が検討されましたが19██年に██亭が閉鎖されると共に姿を消しました。20██年に████亭で再出現した事が休暇中のエージェント・███によって確認され、現在の特別収容プロトコルが制定されました。████亭以外の演芸場でSCP-409-JPの発生は確認されておらず、財団フロント企業を通した働きかけにより████亭を移転もしくは閉鎖させる計画が検討されています。 SCP-409-JPの口演を妨害するあらゆる試みは予定されていません。 + 実験記録SCP-409-JP-001から006を表示 -閉じる [実験記録001 - 20██/██/██] 実施者: エージェント・███ 実施内容:「寿限無1」をリクエスト 結果: エージェント・███の登録名がエージェント・寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝る処に住む処やぶら小路の藪柑子パイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助に変更される。 補足: 登録名の変更は記憶改変と共に行われ、当初財団は異常性を認識できなかった。複数の職員を用いて繰り返し実験を行った所、3名の職員が「エージェント・寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝る処に住む処やぶら小路の藪柑子パイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助」なる名前を持つ事となり異常性が発見された。3名のうち2名は改名を申請。1名は「エージェント・寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝る処に住む処やぶら小路の藪柑子パイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助」としての活動を継続する事を希望。 改名を強制する事はしませんが、公式書類では略称として「エージェント・寿限無」を使用して下さい。 -人事部 [実験記録002 - 20██/██/██] 実施者: エージェント・███ 実施内容:「時そば2」をリクエスト 結果: 会場に併設された売店において、売上が売れた商品の合計額より1,613円足りなかった。 [実験記録003 - 20██/██/██] 実施者: エージェント・███ 実施内容:「狐の出てくる噺」をリクエスト 結果: SCP-409-JPは「王子の狐3」を演じる。口演終了後、エージェント・███は即座に消失。捜索活動が行われたが、1日後に自力でサイト-██まで帰還。弁当を食べながら落語を聞いていたはずだったが、気が付くと東京都内の公園で██を食していたという。エージェント・███に軽い胃痛以外の被害は無し。 [実験記録004 - 20██/██/██] 実施者: 66歳の一般人男性(エージェント・███が別のリクエストを行う予定だったが、先を越された) 実施内容:「一眼国4」をリクエスト 結果: 口演終了後、実施者の一般人男性は即座に消失。現在まで発見されていない。エージェント・███は戒告処分となり、SCP-409-JPの実験担当から外される。 [実験記録005 - 20██/██/██] 実施者: エージェント・██ら5名 実施内容: SCP-409-JPが壇上に上がると同時に非常ベルを鳴らし、観客を退出させる。エージェント・██らがSCP-409-JPの確保を試みる。 結果: SCP-409-JPはエージェント・██が壇上に上がると同時に舞台袖に逃げ込み、消失。確保は失敗した。エージェント・██らによるとSCP-409-JPは明らかに怒っていた様子で何か捲し立てていたが、早口ときつい江戸弁のため内容は聞き取れなかった。 [実験記録006 - 20██/██/██] 実施者: エージェント・██ 実施内容:「時そば」をリクエスト。新たな確保作戦の準備のため、口演中に携帯電話を鳴らすなどの妨害行動を行う。SCP-409-JPが観客席の動きにどの程度反応するかを確認する。 結果: SCP-409-JP登場時、めくりに「凶来亭おわり」という名前が表示されている。エージェント・██はその時点で実験の終了とSCP-409-JPの即時確保を試みるもSCP-409-JPが話し始めると同時に椅子から立ち上がれなくなり、声も発せなくなる。SCP-409-JPはリクエストを募らず「大丸屋騒動5」の演目を開始。 演目終了後、[データ削除]。SCP-409-JPの確保作戦は無期限に延期された。 Footnotes 1. 主人公が赤ん坊に異常に長い名前を付ける噺。 2. 主人公が蕎麦の値段をごまかす噺。 3. 主人公が狐をだます噺。狐は人をだまし、馬の糞を食わせるという一節がある。 4. 主人公が一つ目の人間の国に迷い込む噺。 5. 主人公が妖刀に魅入られ、無差別殺戮を行う噺。
scp-410-jp
評価: +205+–x
scp-411-jp
評価: +189+–x 儀礼に臨むSCP-411-JP アイテム番号: SCP-411-JP オブジェクトクラス: Daath 特別収容プロトコル: SCP-411-JPはサイト-8181の低セキュリティ区画を自由に歩き回る事が許可されています。三ヶ月毎に、SCP-411-JPが儀礼に用いる物品・設備の提供を行ってください。SCP-411-JPがサイト外への移動を試みた際は、罰則として非致傷性の手段によって鎮圧・拘束してください。SCP-411-JPとの物理的接触を希望する場合、レベル4以上のスタッフ3名による承認が必要となります。 説明: SCP-411-JPは40代の男性のように見える、身長1.91m、体重79.6kgの人型生物です。肌の色は暗褐色で、白色と赤褐色の紋様に覆われていますが、これは先天的な物である事が検査により判明しています。SCP-411-JPの知能は平均的な成人と同水準ですが、未知の手段によって対話者の使用言語1を流暢に話す事が可能です。SCP-411-JPは"楽行"と称し、負傷および高負荷の伴う儀礼2を長時間行いますが、儀礼の実行に支障をきたす負傷・疾患は現在まで確認されていません。SCP-411-JPの特異性は、ヒトとの皮膚接触を介して発露します。 SCP-411-JPの皮下組織は僅かな圧力に対し即座に反応し、極小の針状組織を形成すると同時に表皮へと露出させます。針状組織は接触対象へと容易に食い込み、未発見のリゼルグ酸誘導体3を放出します。この成分は対象のポリモーダル受容器を極限まで活性化させ、想定しうる最高強度の疼痛を発生させます。SCP-411-JPはこれらの事実を明示する事で対象を誘惑し、再三にわたり皮膚接触を促します。 SCP-411-JPは2004/09/13に与那国島で"再発見"され、サイト-8181に移送されました。2004/01/30付の財団アーカイブに以前の収容サイトへの言及が見られますが、広範にわたりデータが破損しており、当時の状況を把握する事は非常に困難となっています。参考までに、当時の報告書の復元データを記載します。 アイテム番号: SCP-411-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収[データ破損]Pは昏睡状態におかれ、I5サイト-81██の気密収容ユニットに収容されています。ユニットの保全に携わる職員はレベルAのHAZ[データ破損]な除染を受ける必要があります。如何なる場合であれ、SCP-41[データ破損]。SCP-411-JPは栄養補給を必要と[データ破損]限に凍結されています。 説明: SCP-411-JPは既知の如何なる人種とも起源[データ破損]滑な対話を可能にしています。SCP-411-JPの特異性は、ヒトによる皮膚接触がなされた際に発露します。 SCP-411-J[データ破損]対象の皮下に未知の組成を有するリゼ[データ破損]象の痛覚は鋭敏化し、極度の[データ破損]らの効果について自ら述べ、対象に皮膚接触を勧告します。当然ながらこの試みは失敗に終[データ破損]る意図は不明です。 追記(1999/07/04): SCP-411-JPが分泌する発痛増強物質(以下、SCP-411-JP-aと呼称)は、苦痛の増大に伴って生産[データ破損]学異性体は高い揮発性を示しており、標準気圧下に[データ破損]量で大脳旧皮質に深刻な変異をもたらします(付属文書411-JP-Bを参照)。この性質が判明[データ破損]名が終了され、特別収容プロトコルが改訂されました。 追記(2004/01/30): SCP-[データ破損]違反が発生、直ちにサイト全域が封鎖され海水の注入[データ破損]予測される拡[データ破損] この記録のみならず、当時存在したあらゆる記録からは、生物が"死"や"苦痛"といった本来尊ばれる要素を忌避する傾向にあり、それらをもたらす超自然的オブジェクトを脅威と見なしていた事が窺えます。この異常な認識が有史以来、あるいは先史時代から共有されてきた背景には、特大規模のCK-クラス再構築イベントを引き起こす実体の関与が疑われています。2004/01/30以降、正常な価値観はI5サイト群を中心に徐々に再獲得されていったと判明しています。その地理的座標と当時の記録から鑑みるに、この再獲得にはSCP-411-JPが大いに寄与していると結論付けられています。価値観の正常化は2004/09/27に完了しましたが、O5評議会4の決定により外部の価値観は再度異常な状態におかれる事となりました。 補遺: 2014/10/13、滝行の最中であったSCP-411-JPが突如として不明な言語で叫び始め、敷地外への脱出を試みました5。SCP-411-JPは間もなく取り押さえられ、インタビューが実施されました。 インタビューログ 411-JP-3 対象: SCP-411-JP インタビュアー: D5-10 <記録開始> D5-10: それではインタビューを開始します。SCP-411-JP、貴方があのように取り乱した理由をお聞かせ願えますか? SCP-411-JP: ……どうなっている。私はいつまで、いや……そもそも何故ここに収容されている? D5-10: 貴方が苦痛を振り撒くアノマリーだからです。他に理由がありますか? SCP-411-JP: そうだ、苦痛を振り撒く。それは善行ではなかったのか? D5-10: 勿論、善行ですよ。尊敬に値します。貴方のお陰で我々は正しい道を歩めるようになりました。故に貴方には特例として神の真意……"Daath"のオブジェクトクラスが割り当てられているのです。 SCP-411-JP: ならば閉じ込めておく理由が無いだろう!?……全く話が見えてこない。 (D5-10が肩をすくめる。) D5-10: 宜しいですか?SCP-411-JP。惨たらしい"死"は……"苦痛"は……尊い者にこそ与えられるべきなのです。決して、配り歩いて良い代物などではありません。 SCP-411-JP: [不明瞭な呟き] D5-10: かつての我々は……愚かにも、あるべき姿とは真逆の存在でした。アノマリーと接する者の地位は低く……一切の接触を避ける不心得者が組織を管理していました。 SCP-411-JP: 嘆かわしい限りだ。 D5-10: 同感です。神の恵みが賤民の一存で運用されるなどと……全く以て嘆かわしい話です。そこで我々は、貴方のようなアノマリーを独占し……楽園を築き上げる事にしたのです。 SCP-411-JP: [沈黙] D5-10: T-710ミーム媒介の開発には14ヶ月もの時間を要しました。そして外界は、死と痛みを怖れる愚かな民で満たされました。死を施す者は死を以て罰せられる……死が罰則とは、何とも狂った世界です。それでも尚、他者に死と痛みを施す者が現れました。外界で"死刑囚"と称されていた人々は、この楽園に招かれ"神祇官"の称号を授かりました。 SCP-411-JP: ……お前もその神祇官か。 D5-10: ええ、私は最高神祇官の一人です。我々の責務は、アノマリーを不浄なる賤民から守り、この苦痛の楽園に永劫の繁栄をもたらす事です。至上の死を確保し、極上の地獄を収容し、無上の悪夢を保護する……その為に財団は存在しています。方針は違えど、確保、収容、保護の理念は昔も今も変わりありません。 SCP-411-JP: 繁栄する必要がどこにある?矛盾しているだろう。そうだ、お前達は今や死も苦痛も恐れている。ミーム媒介とやらで恐怖を取り戻した……違うか!?三文芝居はもうやめろ。何時からだ?……最初からなのか? (D5-10が椅子から立ち上がり、SCP-411-JPの腕を掴む。直後、D5-10は激しく痙攣を始める。) D5-10: 我等賜りし全ての辛苦に万代不易の祝福を。潔めるは毒、潤すは炎、飢えを満たすは刃なり。我等賜りし全ての辛苦に万代不易の祝福を。蝕むは骨、焦がすは血肉、刻むは五臓六腑なり。 (祈祷は90分間続けられた。) D5-10: ……失礼、つい脱線を……さて、貴方をここから出せない理由は先程述べた通りです。他に何かありましたらどうぞ。 SCP-411-JP: ……今すぐ死んでみせろ。死んでしまえ、狂人共め。 D5-10: ……それは出来ません。第一、人類が真っ先に死へと飛び付く存在であったならば、T-710ミーム媒介を開発している間に死に絶えていたはずでしょう。 SCP-411-JP: では何故だ?何故お前達は……文字通り、尊い犠牲になろうとしない? D5-10: 分かりませんか?ほら、よく言うでしょう…… (D5-10が満面の笑みを浮かべる。) D5-10: 楽しみは最後まで取っておく物ですよ。 <記録終了> Footnotes 1. これには訛りや俗語といった要素も含まれます。 2. 春はスーフィズムのズィクル、夏はインディアンのサンダンス、秋は多量の砂を飲み込む未知の儀式、冬は滝行をそれぞれ不眠不休で数十日間続けます。 3. 合成による再現の試みは全て失敗に終わっています。 4. D5神官団の前身部門です。 5. 儀礼の中断が初めて確認された事例です。
scp-412-jp
評価: +76+–x アイテム番号: SCP-412-JP オブジェクトクラス: Safe Neutralized 特別収容プロトコル: SCP-412-JPはサイト-8123の低危険性物体保管ユニットに保管されます。市場に流れたSCP-412-JPを即座に回収するために、財団のダミー企業及び警察に潜入中のエージェントによって「危険な製品」のカバーストーリー及び強制的な回収が行われています。現在SCP-412-JPはその異常性を失っていると推測されています。保護に最低限必要なものを除いて、SCP-412-JPは全て焼却処分されます。 説明: SCP-412-JPはプラスチックで出来た内部が空の20cm×20cm×14cmの箱で、底面には同じくプラスチックで出来た皿が、側面には取っ手付きの蓋が付いています。SCP-412-JPの底面を除く全ての面には、シルクハットと囚人服のような白黒縞の衣服、黒いゴーグルとマント、赤い手袋とハンバーガーを描いたネクタイを身につけたキャラクターがプリントされています。また、SCP-412-JPには以下のような文章が書かれた用紙が付いています。 よい子のみんな! 博士はハンバーガーをあいしてるんだ! とっても大好き、毎食食べても飽きないね! みんなもハンバーガーはだいすきだろう? だからこの"博士もだいすき! ハンバーガーマシン"をはつ明したよ! 作り方はかんたん! はこの中に、牛のひきにく・ハンバーガーのパン・ケチャップ・レタスの4つのハンバーガーのざいりょうを入れるだけ! それだけでずっと、ハンバーガーが食べられるよ! 楽しもうね! SCP-412-JPの第一の特異性は、その内部に以下の物品が入れられ、蓋が閉じられた時に活性化します。 生の牛挽き肉 ハンバーガー用バンズ トマトケチャップ レタス 100円硬貨 これらの物品は量に関係なく、わずかでもSCP-412-JPの内部に入れられ箱が閉じられた時に、最も近隣にある███████社のハンバーガーショップの注文端末にハンバーガーが1つ注文され、代わりにオブジェクト内部に入れた物品がハンバーガーショップのキッチンに散乱します。本来███████社のハンバーガーに入っていないレタスがこの効果を発揮するために必要なこと、███████社のハンバーガーに入っているマスタード、玉ねぎ、ピクルスが不要な理由は不明です。 上述した物品以外の物品が入っている、あるいはこれらの材料が欠けている状態で箱を閉じると、単純に箱内部のものがハンバーガーショップのキッチンに散乱します。箱が閉じられ、内部に入れた物品が散乱したハンバーガーショップにおいて、ハンバーガーショップの店員はSCP-412-JPによる注文がなされてから最初に調理されたハンバーガー1を『お待ちいただいているお客様』に届けなければならないという意識に突き動かされ、ハンバーガーを持ったまま、SCP-412-JPまでの“常識的に考えうる最短距離”を走って向かいます。計測ではハンバーガーショップの店員の肉体的特徴に関わらず、この速度は時速25km/hを一定に保ち、信号や通行止めはこの運動を抑止できません。この際店員の肉体に筋疲労は発生せず、肉体の欠損や事故死によって走行が不可能になるまで走り続けます。無事にハンバーガーをSCP-412-JPの元へ届けた店員は、SCP-412-JP-1に変化します。 SCP-412-JP-1となったハンバーガーショップの店員は、SCP-412-JPと自らの勤務するハンバーガーショップとの間を往復し、以降は自ら注文したハンバーガーを一つずつ運搬します。この際SCP-412-JPに前述の“材料”を入れる必要はなく、ハンバーガーショップにハンバーガーをオーダーしたことによる代金はSCP-412-JP-1によって可能な限り支払われます。SCP-412-JP-1は多くの場合勤務店舗のロッカールームから自身の財布を取り出して支払いを行い、それを使い切ると付近の人間から金銭の強奪、掏摸を行います。SCP-412-JP-1はハンバーガーそのものを盗むことはなく、毎回確実に規定の料金を勤務店舗に納めます。四肢の切断/破壊や拘束によって物理的にSCP-412-JP-1がハンバーガーの代金を支払えなくなった時点で、SCP-412-JP-1は異常性の影響から解放されます。インタビューではSCP-412-JP-1となった店員にはその間の記憶が存在しなかったことから、SCP-412-JP-1は完全に無意識下で往復運動を行っていると推測されます。 補遺1: 200█/██/██、SCP-412-JPに記された文書がわずかに変化しました。 よい子のみんな! 博士はジューシーなハンバーガーをあいしてるんだ! とっても大好き、毎食食べても飽きないね! みんなも大きなハンバーガーはだいすきだろう? だからこの"博士もだいすき! お腹いっぱいハンバーガーマシン"をはつ明したよ! 作り方はかんたん! はこの中に、牛のひきにく・ハンバーガーのパン・ケチャップ・レタスの4つのハンバーガーのざいりょうを入れるだけ! それだけでずっと、ハンバーガーが食べられるよ! 楽しもうね! 日本の███████店舗にて変化した文面の意味を調査するため、実験を行いました。 しかしオーダーは実験を行った日本の店舗ではなくアメリカの██████州█████店になされ、またオーダーされたハンバーガーも通常のものではなくダブル・ク████・█████・チーズでした。当時日本の███████社においてはこの商品は販売されていなかったことが原因と考えられます。店員は注文されたハンバーガーを持ったまま走り、太平洋に飛び込みました。未回収のSCP-412-JPのもたらす危険性から、200█/04/28、日本国内においてク████・█████がレギュラーメニューとして登録されました。 補遺2: 200█/██/██、SCP-412-JP外面に記された文字が変化しました。実験は現在認可待ちです。 よい子のみんな! ハンバーガーはすきだよね! だから、"みんなだいすき! ハンバーガーマシン"をはつ明したよ! 作り方はかんたん! はこの中に、牛のひきにく・パン・ケチャップ・レタスの4つのざいりょうを入れるだけ! それだけでずっと、ハンバーガーが食べられるよ! 楽しんでね!!! 補遺3: 200█/██/██、SCP-412-JP外面に記された文字が変化しました。実験は現在認可待ちです。 牛挽肉・パン・ケチャップ・レタスなどをいれてみよう! お楽しみに! 補遺4: 200█/██/██、SCP-412-JP外面に記された文章が変化しました。変化から48時間後にSCP-412-JPは小規模な爆発を起こし、以降その特異性は失われました。この事案を受けSCP-412-JPはNeutralized指定されました。 平素より博士のだいすき!ハンバーガーマシンをご利用いただき、誠にありがとうございます。 200█年より皆様のご愛顧を受け当製品をご利用頂いて来ましたが、この度、勝手ながら200█/██/██を持ちましてサービスを停止させていただく運びとなりました。 運営スタッフの間において、提供する商品の質の低下—具体的にはバンズに使用されている小麦粉の変更、ピクルスの産地偽装、ミートパティの練りの甘さ、ケチャップに使用されている塩の味の変化などの理由から、サービスを続けて行く気概が薄れて来たのが主な原因となります。 これらの原因が改善され、███████社のハンバーガーが我々の満足に足るレベルにまでその質を向上し、運営スタッフをあっと言わせる味を取り戻した暁には、再びサービスを再開させていただく予定です。 これまでご利用いただき誠にありがとうございました。 博士のだいすき!ハンバーガーマシン開発・運営 財団は███████社のハンバーガーについて調査を行いましたが、少なくとも200█年までに該当の企業ではこれらの変更を行った形跡は存在しないことが判明しています。 Footnotes 1. 別の客によって注文されたハンバーガーを意図して調理されたものであっても関係はない。
scp-413-jp
評価: +248+–x SCP-413-JP アイテム番号: SCP-413-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-413-JPは存在する学校校舎ごと工事現場に偽装された収容設備内部に収容されます。表向きはカバーストーリー-"アスベストの除去工事」に従い当該設備を工事現場として取扱います。内部に存在するSCP-413-JPに民間人が接触しないよう最低2人以上の警備員が割りあてられ、常時監視を行います。 説明: SCP-413-JPは███県███市(サイト-81██)の小学校校舎内に存在する全12段の階段です。 SCP-413-JPは校舎の設計図では12段の階段であり、外観上も12段の階段として存在します。 SCP-413-JPの異常性はSCP-413-JPを段を数えながら昇ることで発現します。 SCP-413-JPを昇る被験者(以下SCP-413-JP-1)は思考する位取り記数法が9進法に変化することで13段の階段であると認識します。SCP-413-JP-1から9という数字の概念が欠損し、SCP-413-JPから離れても9進法により思考、計算を行うようになります。 SCP-413-JP-1はSCP-413-JPとの接触後、階段を見るたびに段を数えながら(往々にして発声しながら)昇らなければならないという強迫観念に捕らわれます。さらに、階段を昇る度にその階段の最終段が13段となるように認識している位取り記数法が変化します。階段の段数が13段未満であれば対応する位取り記数法に使用しない数字(例えば9進法ならば9という数字)が数字であると認識できなくなります。ただし14段以上であればSCP-413-JPの効果は階段自体に作用し、階段が13段となるように作用します。 14段以上であれば11や12などの10進法では2桁以上で表現する数字を本来存在しない新たな数字(以下SCP-413-JP-1-a)を用いて表現するようになります。SCP-413-JP-1-aを音声、あるいは文字によって認識した場合、認識者(以下SCP-413-JP-2)は【SCP-413-JP-1-a】+1進法で思考するようになります。SCP-413-JP-2は階段に関する強迫観念は持たず、階段を昇ることで位取り記数法が変化することはありません。SCP-413-JP-2の症状はBクラス記憶処理を行うことで回復します。 SCP-413-JPは非キリスト教圏出身者など13という数字に特別な意味1を感じない人間には効果を与えません。ただし、SCP-413-JP-1-aによる効果は受けます。SCP-413-JP-1-aは異なるSCP-413-JP-1によって表現された場合でも、ある数に対して対応する同一の数字として表されます。 SCP-413-JPは存在している小学校の全国学力テストにおいて算数だけが異常に低い平均スコアであったことから存在が発覚しました。SCP-413-JPは当小学校の児童の間で学校の七不思議「魔の13階段」として認知されており、多くの児童がSCP-413-JPの影響を受けました。 また、児童だけでなく同小学校の教員や家族についてもSCP-413-JP-1-aの影響を受けたため、発覚当時は付近の住人の██%がSCP-413-JP-2と変化していました。SCP-413-JP-2を含むサイト-81██の住人については既にBクラス記憶処理を施しています。 日常の生活に齟齬をきたさないためにSCP-413-JP-1は13段の階段のみ存在する施設内で収容されます。 異常な位取り記数法を認識しているSCP-413-JP-1に対して通常の10進法の使用を強制することは禁止されています。 + SCP-413-JP-1についての実験ログ1 - テキストを隠す 実験記録001 - 日付20██/██/12 対象: D-13284 実施方法: SCP-413-JPを段を数えながら昇らせる。 結果: 「1,2,3,4,5,6,7,8,10,11,12,13。あれ、さっきまで12段だったよなこの階段。」 分析: 9段目を10段と数え、結果として最終段を13段と数えた。 後ほど数を1から数えさせた結果9の概念が欠損していた。 SCP-413-JPを13階段として認識するために数の数え方が変化しているらしい。 -██研究員 実験記録002 - 日付20██/██/12 対象: D-13284 実施方法: D-13284に別の11段の階段を段を数えながら昇らせる。 結果: 「1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13。ありゃ、これも13段だ……さっきまで12段だったのに。おかしい。」 分析: 8,9の概念が欠損していた。また、13段であることに動揺している。 SCP-413-JPの効果が他の階段に対しても同じく作用していると考えられる。 -██研究員 実験記録003 - 日付20██/██/12 対象: D-13284 実施方法: D-13284に5段の階段を段を数えながら昇らせる。 結果: 「1,3,10,11,13。え、おかしいだろさっきまで…あれ何段だっけ?」 分析: 3が2の代わりに使用されている。この場合5の数字の概念が欠損しているために昇る前の段数が認識できていないと考えられる。 -██研究員 実験記録004 - 日付20██/██/13 対象: D-13284 実施方法: D-13284に別の14段の階段を段を数えながら昇らせる。 結果: 「1,2,3,4,5,6,7,8,9,█,10,11,12,13。これも13段…どうなってんだ。頭がおかしくなったのか?」 分析: 数の数え方に異常はみられない、確認したが実際に13段になっていた。用意する階段を間違えたか? -██研究員 実験記録005 - 日付20██/██/13 対象: D-13284 実施方法: 別の18段の階段を段を数えながら昇らせる。 結果: 「1,2,3,4,5,6,7,8,9,█,█,█,█,█,█,10,11,12,13。これも13段…どう考えてもおかしい。」 分析: 数の数え方に異常はみられない、確認したが実際に13段になっていた。階段の段数自体に影響を及ぼしているのだろうか、13段未満の挙動と異なるのが気になる。 -██研究員 実験記録006 - 日付20██/██/14 対象: D-13284、██研究員、本実験と無関係の██職員 実施方法: 13を丸の個数で表現させる。 結果: D-13284: 「●●●●● ●●●●● ●●●●● ●●●●」 ██研究員: 「●●●●● ●●●●● ●●●●● ●●●●」 ██職員:  「●●●●● ●●●●● ●●●」 分析: 少ない段数での挙動から類推するに、14段以上の段数については16進法でいうAのような数字を認識、使用しているとみられる。この数字に認識障害を引き起こす作用があるのだろう。 -██博士 実験記録007 - 日付20██/██/14 対象: D-13284,██研究員、本実験と無関係の██職員 実施方法: Bクラス記憶処理実施後13を丸の個数で表現させる。 結果: D-13284: 「●●●●● ●●●●● ●●●●● ●●●●」 ██研究員: 「●●●●● ●●●●● ●●●」 ██職員:  「●●●●● ●●●●● ●●●」 分析: 研究員を無駄にせず済んだのはありがたい。足し算する度に認識障害を撒き散らされてはたまらない。 -██博士 + SCP-413-JP-1についての実験ログ2 - テキストを隠す 実験記録008 - 日付20██/██/17 対象: D-13284 実施方法: 100段の階段をD-13284に昇らせる。 結果: D-13284:「どうしてこんなクッソ長い階段が13段なんだよ!おかしいだろ!」 分析: SCP-413-JP-1-aは任意の数まで生成されるとみられる。いや、生成しているというよりも、元々存在している数字を認識していると考えたほうが自然なのかもしれない。 -██博士 実験記録009 - 日付20██/██/17 対象: D-13284 実施方法: D-13284に対し、通常の位取り記数法が10進法であることを説明する。 結果: ██研究員「君の数の数え方は間違っている、通常は10進法で数える。」 D-13284:「当たり前だろ…今更何を言ってんだ。」 (付記:16進法において16を「10」と表現するように、途中の数字が増加した場合も位取り記数法は10進法として認識しているものとみられる。) ██研究員「すまない、それでは例えば…自分の手の指の数を数えてみるといい、通常それが10本になるはずだ。」 D-13284「まあ当たり前だがそれもそうだ。1,2,3,4,5,6,7,8,9,█,█,█,█,█,█,[データ削除]」 分析: SCP-413-JP-1-aには一種の現実改変作用があるとみられる。SCP-413-JPそのものよりも本質的にはこちらが危険であると判断する。 -██博士 Footnotes 1. 13階段や13日の金曜日などを不吉と感じる場合も含みます。
scp-414-jp
評価: +63+–x 評価: +63+–x クレジット タイトル: SCP-414-JP - 象徴ニアラズ 著者: stengan774 作成年: 2019 この著者の他の作品 評価: +63+–x 評価: +63+–x 現在の1SCP-414-JP‐1 アイテム番号: SCP-414-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-414-JPはサイト-81AMの専用収容室にて収容されます。収容室内は常時カメラを通して3名以上のDクラス職員によって監視されます。収容監督者は適宜Dクラス職員の交代を行って下さい。監視の任務に就くDクラス職員は収容違反のリスクと心理的ストレスを軽減するため、"朱色"及び“眼”をトリガーとする撹乱ミーム2の接種が義務付けられています。そのため、監視室内に朱色が含まれる物品の持ち込みは制限され、監視する職員の他はサングラス等で眼球部を隠すよう指示されます。アラミタマ・イベントの発生が確認され次第、調査と情報規制を行い、置換されたシンボルマークを修正した後に事態の適切な処理を行って下さい。 説明: SCP-414-JPは墨でモチーフ不明の図像(SCP-414-JP-1)が書かれた高さ54.5cm、幅48.5cmの麻紙です。SCP-414-JP-13を目視した場合、観測者は視界の一部が朱色もしくは他の赤と形容される色に染まっている4ように認識します。この特異性は一時的なものであり、目視を中止すれば正常な視界に回復します。 SCP-414-JP-1の第2の特異性は、図像が不定期に変化することです。変化したSCP-414-JP-1はSCP-414-JP上から消失し、何らかの組織・集団・イベントの用いているシンボルマークもしくは象徴的図像5と置換されます。その後、オリジナルのシンボルマークに関連する対象に対し攻撃的な現象が発生し、SCP-414-JP-1はSCP-414-JP上に再出現します。この一連の事象をアラミタマ・イベントと呼称します。アラミタマ・イベントの発生間隔は最長で5年3ヶ月5日、最短で31秒です。6 監視下に置かれた状態でSCP-414-JP-1が変化した事例は現在までありません7。これは逆説的に常時人間が直接・間接的にSCP-414-JPを監視していることでアラミタマ・イベントを抑止できることを意味しており、収容プロトコルに取り入れられています。 SCP-414-JPは1949/██/██に古神道系カルト教団「天ッ階あまつきざはし」で発生した集団失踪事件の調査の際に発見されました。教団施設内部にて同教団の信者と思われる26体に及ぶ遺体が発見されました。金庫内から発見された教祖8の手記により、SCP-414-JPが1942年に教団によって発見され、変化する図像の意味を読み解こうとすることで教団の目的とする未来予知の実践のために用いられていたことが判明しました。また該当部分の記述から、事件以前のSCP-414-JP-1はより複雑な図像であった事が判明しました9。加えて施設内部に描かれていた教団シンボルマークが財団発見当時のSCP-414-JP-1と一致したことから、事件の原因がアラミタマ・イベントであることが判明しました。 補遺1: 以下は、アラミタマ・イベントの効果であると確認された事例の記録です。 001 発生日時: 不明。おそらくは1949/██/██以前 置換先: 天ッ階のシンボルマーク「天眼の理」 対象: 天ッ階構成員 概要: 教団信者26名が死亡。発見された遺体は例外なく左目を欠損している。検視の結果、左眼球が眼圧の急激な上昇によって破裂したことによる出血多量が死因と見られている。被害者の周囲に飛び散っていた涙液と血液の混合物を分析したところ、一般的なものと同様の朱墨が混入していた。また、教団内ではこのSCP-414-JP-1を“災いをもたらす朱色の鳳”であると解釈していた。 006 発生日時: 1968/██/██ 置換先: アニメーション作品“ロードランナーとワイリーコヨーテ”の登場人物であるロードランナー 対象: クライスラー社のプリムス・ロードランナー10 概要: 出荷予定の1万台が突然自重により崩壊。調査したところ内部部品が赤錆に覆われていたことが判明した。また、当該車種の広告及びワーナー・ブラザーズ・エンターテインメントに保管されていたフィルム内のロードランナーはすべてSCP-414-JP-1へ置換されていた。回収した職員は「トキ(Nipponia nippon)のように見えた11」と報告。 007 発生日時: 1968/██/██ 置換先: ブリティッシュ・ホースレーシング・オーソリティー(BHA)ロゴマーク 対象: チェスター競馬場 概要: イネ(Oryza sativa)が2cm間隔で場内の芝生全面に出現した。本来であれば可食部に当たる種籾はすべて酸化第二水銀に置換されていた。また、当日出走予定だった競走馬12頭が水銀中毒と見られる症状によって死亡した状態で発見された。12頭はいずれもジェネラルスタッドブック12によってサラブレッド血統認定を受けていた。 009 発生日時: 1969/██/██ 置換先: アイシャドー 対象: カイロ考古学博物館の黄金のマスク(ツタンカーメンのマスク) 概要: 本来ラピスラズリで装飾されている眼の部分に赤土13によってSCP-414-JP-1が描かれていた。事件は地元警察に「ツタンカーメンのマスクが血涙を流している」という通報があったことで発覚。カバーストーリー「職員の修理ミス」が流布された。多数の目撃者が「歌舞伎の隈取りを想起した」といった旨を証言したが、SCP-414-JPの影響かは不明。 012 発生日時: 1971/██/██ 置換先: パリ市内の観光マップに記載されたエッフェル塔のマーク 対象: エッフェル塔 概要: 鉄骨部全体にオオミノガ(Eumeta japonica)のものに近い繭がぶら下がっている状態で発見。回収された繭の総数は8█████個に及び、すべて内部にはアカネ(Rubia argyi)を由来とする赤色顔料と水の混合された液体が充填されていた。事件は繭から染み出していた液体によってエッフェル塔全体が赤く染まっていたことで発覚した。カバーストーリー「懐古主義14」が流布された。 017 発生日時: 1979/██/██ 置換先: アラビア半島内で紀元1400年以後に描かれたムハンマド・イブン=アブドゥッラーフ15の肖像の顔面部分 対象: 不明。 おそらくはアラビア半島 概要: 以下はORIA内部潜入者からリークされた情報。 UTC19:32頃西の空から赤色発光体が飛来。サウジアラビアのネフド砂漠の上空3千メートル付近で5分ほど停滞した後消失した。この現象はアラビア半島内にいた人間の目視のみに観測されたようである。内部に人型の影が見えたとの報告があったが詳細不明。肖像の置換と関連して信仰的終末事象と考えた民衆の中で不安が広まっている。 財団はORIAと協力して事後処理を行い、事態は収拾された。 025 発生日時: 1987/██/██ 置換先: パンフレット上のエルミタージュ美術館のマーク16 対象: エルミタージュ美術館 概要: 一部の入館者が赤緑色覚異常17もしくは1色覚の状態18を訴えたほか、「大勢に自分が見られている気がする」として入館者が他の入館者とトラブルを起こす事件が多数発生した。すべての改変されたパンフレットからSCP-414-JP-1を除去・修正したところ、これらの異常効果は発揮されなくなった。 027 発生日時: 1993/██/██ 置換先: アーヘン大聖堂の装飾「プロビデンスの目」 対象: アーヘン大聖堂 概要: カール大帝の霊安所内にソメイヨシノ(Prunus subg. Cerasus x yedoensis ‘Somei-yoshino’)が急速に成長・開花した。除去のために掘り起こしたところ根に絡まった状態で、日本刀を模した長大な鉄剣で腹部を刺し貫かれたオットー1世、ハインリヒ4世、カール5世19の遺体の腐乱した反復が発見された。 この事例後アラミタマ・イベントの抑制条件が解明されたため、収容プロトコルが確立され現在までSCP-414-JP-1は変化していません。 追記23 Mar 2024 10:18 +SCP-414-JP-1- 028 -閉じる 偶発的なSCP-414-JPの収容違反が発生しました。原因は監視役のDクラス職員への撹乱ミーム摂取に不備があったことだと思われます。撹乱ミームが無い場合、SCP-414-JP-1の第1の特異性による朱色への継続的な曝露は眼精疲労を急速に高めます。そのため監視役のDクラスを1人交代させるタイミングで残りの2人が同時に瞬きをしたようです。そう、瞬きです。文字通りほんの一瞬で、SCP-414-JP-1は我々の収容室から消え失せました。今まででには無かった事例です。我々は、収容プロトコルに“職員は互いに瞬きをする前に警告するよう指示する”と付け加えなければならなかったのでしょう。   ███研究員 028 発生日時: 23 Mar 2024 10:18 置換先: 現在調査中 対象: 現在調査中 概要: 現在調査中 補遺2: 以下の情報は日本支部内においてはセキュリティクリアランスレベル4以上の職員にのみ公開されます。 +O5-3への答申:2003/██/██ -閉じる 主任研究員報告414-JP O5-3、SCP-414-JPのオブジェクトクラスをSafeに変更すべきだというあなたの意見には断固反対させて頂きます。 収容プロトコルで監視のDクラス職員になぜ"朱色"だけでなく“眼”をトリガーとする撹乱ミームの接種も義務づけているのかお分かりですか? Dクラスたちがある日からこう言い出したからです。「常に見つめられているようで気分が悪い」と。私はSCP-414-JPがこのまま10年20年と収容され続けるわけが無いと考えています。奴は今でもこちらの隙を伺っているように思えてなりません。 より具体的な話をしましょうか。 「なぜ諸国の“象徴”とも言えるものばかりが破壊され、日本にまつわるものが残されているのか」、「価値の高い芸術品や世界遺産レベルの建築物が対象になるのは何らかの敵意があるのか」、「図像は共通して眼のように見えるが何らかのメッセージが含まれているのか」、「特異性や各現象に共通して赤色が関わっているのは何か意味があるのか」・・・・・・。当時、研究班の中でもSCP-414-JPについて様々な憶測が飛び交いました。しかし、そのどれもが本質を見過ごしていました。 まず前提条件として、置換先はSCP-414-JP-1に似たシンボルマークが多いと言うことを頭に入れておいて下さい。次に、SCP-414-JP-1はより単純な図像に変化し続けています。幼児が最初に書く最も単純な図形は何か? それは円です。 最終的なSCP-414-JP-1は円になると考えられています。SCP-414-JP-1の第1の特異性を通せば、さぞかし奇麗な"白地に赤い円"になるでしょう。 SCP-414-JP予想図 SCP-414-JPの狙いがお分かり頂けたことと思います。なぜもっと早く気がつけなかったのでしょう。これまではメインディッシュのための前菜に過ぎなかったのか。いや、もしくは世界すらもこの国で塗りつぶした上で奴はすべてを喰らうのかもしれない。 そうさせるつもりはありません。私は、私の国がそんな破壊の“象徴”になることを望まない。 SCP-414-JPの能力の仕組みはつかみました。物事のあり方を表象するのが“象徴”ですが、奴はプロセスが逆です。自身が“象徴”となり、それに合わせるように物事のあり方を歪めている。だから見続けられている間はSCP-414-JP-1を変化させることができない。それこそが今のSCP-414-JPの“象徴”であるからです。 詰まるところ、私はこう言いたい。 奴は己以外を見ることを許さない。ならば例え奴が太陽となろうと、我々は闇の中で奴を監視し続ける。我々はいつだってそうしてきたはずです。 SCP-414-JP-1は何物の“象徴”の座に在らず、SCP-414-JPの“象徴”は2つと有らず。これが私の収容です。   ██博士20 Footnotes 1. 更新予定。 2. トリガー情報の認識を阻害するミーム。 3. 模写、電子的コピーを含みます。 4. 点滅もしくはノイズのように観測されるとの報告もあります。 5. クリエイターの代表作のキャラクターなど。 6. 後述の収容プロトコル変更経緯を参照して下さい。 7. この「監視」には映像記録装置によるものを含みませんが、その場合SCP-414-JP-1変化時に記録された映像は画面全体が赤く塗りつぶされたように認識され視認は困難です。 8. 信者の大部分とともに行方不明です。 9. しかしながらこの記述に対応する日時にアラミタマ・イベント及び近似した異常現象は確認されておらず、天ッ階によって何らかの操作がSCP-414-JPへ加えられた可能性が指摘されています。 10. ロードランナーがマスコットキャラクターをしていたことで知られています。 11. 特異性による異常な色覚の影響だと考えられます。 12. サラブレッドを定義づける血統書。 13. 酸化鉄を含む土。 14. エッフェル塔の塗装の色はかつては赤褐色でしたが、1968年の塗り替えの際にエッフェルブラウンと呼ばれている現在のブロンズ色へと変更されています。 15. イスラム教の創始者として知られています。 16. 左に半回転させた状態で置換されていました。 17. 赤色と緑色の弁別に困難が生じる状態。別名赤緑色盲。 18. 全く色の区別ができず、白と黒のグレースケールだけでしか知覚ができない状態。別名全色盲。 19. 3名はいずれも神聖ローマ帝国の皇帝。 20. 2011/██/██死去。
scp-415-jp
評価: +71+–x アイテム番号: SCP-415-JP オブジェクトクラス: Euclid Neutralized 特別収容プロトコル: SCP-415-JPが存在した洞穴は内部に存在する物品と共に監視された上で立ち入りを禁止されています。侵入にはクリアランスレベル3以上の研究スタッフから許可を受けた上で侵入してください。SCP-415-JP-1は現在、異常性が発生しない処理を施され、存続しています。 + Neutralized指定以前の特別収容プロトコルを確認する - 閉じる 特別収容プロトコル: SCP-415-JPが生息する洞窟は二十四時間体制の監視状態におき、原則として生物、無生物を問わず周囲100mの侵入を禁止します。洞窟からSCP-415-JPが移動する兆候を見せた場合は、標準的巨大神格生物取り扱い基準にのっとり、移動を阻止してください。また、SCP-415-JPの現実改変能力による二次被害を防止するため、下流地域の村落は記憶処理の上、他地域に移住させる計画が現在段階で進行中です。SCP-415-JP-1は異常性が発生しないよう処理された変更版を流布する試みが行われています。 説明: SCP-415-JPは、島根県██市の山間部に存在する、日本伝承における龍と類似した特徴を持った全長約40mのヘビ型生物です。SCP-415-JPは鋭利な牙と爪を持ち、主に攻撃の際に使用します。また、SCP-415-JPの外皮を覆う鱗は非常に強固であり、財団標準装備に指定されている銃火器を用いた場合、損傷を与えることは不可能です。 SCP-415-JPは小規模な現実改変能力を有していると考えられ、局地的に豪雨を発生させることが可能です。SCP-415-JPの生息する地形の関係上、この能力により発生する鉄砲水等において、下流地域に深刻な二次災害をもたらします。██村は該当地域に指定されていません。 SCP-415-JPは通常時、生息する洞窟から移動することはなく、常に洞窟内部で生息しています。その為、洞窟内には生存可能な環境が維持されていると推測されています。洞窟内部への侵入は、生物、無生物を問わずSCP-415-JP-1の妨害により失敗に終わっています。SCP-415-JPは言語を解し、該当する発声器官が確認されないにも拘らず、人間との会話が可能です。しかし、SCP-415-JPは財団を含む人間全般に非常に敵対的であり、現在まで行われた接触、洞窟内への侵入の試みは全て対象人員の殺害という形で失敗に終わっています。 以下は、該当地域において語られているSCP-415-JPを記したと推測される伝説の抜粋を現代語訳したものです。 SCP-415-JP関連文書-01 この地には龍神がいた。龍神は雨を降らし、人間の田畑が腐るのを見て喜んでいた 雨を降らせないためには、毎年二人の娘を食事として生贄にしなければならなかった ある年、娘を生贄に捧げる家に、一人の女が現れた 女は泣く娘とその家の者を不憫に思ったのか、龍神を退治しようと娘の代わりに生贄として身代わりになった 女はその手に剣と珠を持ち、身を清め、生贄となるため山に向かった 女は娘のフリをして龍神の洞へ向かった。そして龍神が食べようとしたところを斬りつけた そしてその日から三日三晩嵐が吹き荒れ、四日目の朝、ぱったりと止んだ 人々が山に向かうと夥しい血と光る鱗が、何枚も散らばっていた その後、探しても女は見つからなかったが、それから龍神は現れず 人々は女と龍神は相討ちになったのだろうと噂し合った だが、今でも祟りを恐れ、龍神の住んでいた洞に近づく者はいない 今でも、女を祀るための祭りは執り行われている 踊りが踊られるとき、雨が降ることはないという SCP-415-JP-1は、島根県██市の██村で伝承されている踊りです。内容としては当地に伝わる伝承を元にしたものであり、いくつかのパターンを繰り返し踊り続けるといったものです。踊りそのものに異常性は存在しませんが、██村の住人はSCP-415-JP-1の手順、実施にのみ強い記憶処理耐性を持ちます。 以下は、██村を記述した紀行文に見られるSCP-415-JP-1を抜粋した文章です。 SCP-415-JP関連文書-02 其の踊りは酷く物悲しいものであった。人々はゆるり、ゆるりと葬列のように踊り続け、永遠に続くかと思われた。 踊りは有史以前の巫女に向けられたものであるとは言うが、私には別の目的の為に踊られるように思われる。 此れは孤独を慰撫する踊りではないだろうか。山野に囲まれ生涯を此処で終える人々の、或いは此の山野其の物に対する慰撫ではないだろうか。 老若男女は永遠にも続く此の慰撫の踊りを踊り続ける。私には其れがどうにも受け入れがたかった。 村民は皆、此の踊りを踊り続けると言う。だが、その表情には何処か諦めが在る様に思われた。 此れが将来、千年も二千年も続く物では無いとでも言いたげな目で静に笑う。 私にとっては其れも又不愉快であった。 SCP-415-JPはSCP-415-JP-1が██村の年に一回行われる祭りにおいて完全に踊られた場合のみ、その異常性を発生させます。これにより、定期的な豪雨が該当地方では確認されていましたが、現在は情報部の検閲により削除されています。 SCP-415-JP関連レポート(抜粋): 19██/██/██、SCP-415-JPの封じ込めに際し、SCP-415-JPと密接に関係していると推測されたSCP-415-JP-1の実施を停止するという提案が出され承認されました。この封じ込め計画は██村に財団職員を派遣し、世代交代を行うことでSCP-415-JP-1の実行を停止するという計画の元実行されました。 SCP-415-JP関連レポート415-JP-01 - 日付 19██/██/██ 概要: ██村に財団職員を数名移住させる。カバーストーリーとして「戦後の混乱」を使用。地元住民との接触を図る。報告時、村内人口542名 結果: 移住は成功。しかし、踊りの中止には非常に強固な反対かつ、前述の記憶耐性が判明。その為、当初の中止案から踊りの一部を僅かに変更することによるSCP-415-JPへの影響を調査する方針に変更 エージェント・柳田の記録文書 先の戦争が終わって数年。初めての印象はとても静かな村だという印象。山田氏の遠縁の親戚だと偽って潜り込んだが、人々は優しいながらも少々排他的な印象がある。あまりいい印象は抱かない。何処にでもある田舎の山村といったところだろう。 祭りにも無論参加したが、やはり踊りの中止に関しては古老らから否定的な意見が出る。全体的に反対意見も何処か形式的なものに感じるも、相手は田舎の人間だ。そういうこともあるのだろう。その為、仲間と相談し、踊りの中止ではなく、一部変更した踊りを膾炙させる案を進言することを決定。 踊りの印象としては非常に緩やかでどこかもの悲しさを感じる。謡曲に近い印象で、確認した関連文書の紀行文にも頷ける。おそらく財団が介入せずともいずれこの踊りはこの村と共に自然消滅するのではないか。それが全体的な所感である。 SCP-415-JP関連レポート415-JP-09 - 日付 19██/██/██ 概要: エージェント・柳田が██村において山田 伊津子氏と婚姻関係となる1。前述の変更された踊りは、財団職員のみによって踊られている。集団就職により若者の流出が目立つ。報告時、村内人口531名 エージェント・柳田の記録文書 山田氏と縁戚関係になり、今後の工作が行いやすくなった。妻の伊津子には少々悪い思いはあるが、封じ込めの為だ。踊りに関しては微細な足運び、手ぶりを変更することで、古老らに気づかれることなく実行の継続が可能。現在は同時に移住した職員等で行っているのみだが、今後増大することで効果が出ることを期待する。もっとも、この踊り自体が原因となっているのか、踊りを踊る人数が原因なのかは不明の為、本部と連絡を密にし、警戒に当たる必要があるだろう。この踊りが何らかの封印であった場合、これは逆に収容を違反することになってしまうのだから。 村の状況としては集団就職により若者が少なくなった、しかし、そのおかげで少なくなった私達若者世代に発言権が強くなった印象はある。潜入任務とはいえ慣れ親しんだ古老らもどんどんと老いていく。虫の声が今日も五月蠅いくらいに聞こえる。都会の灯が少し懐かしい。 SCP-415-JP関連レポート415-JP-32 - 日付 19██/██/██ 概要: ██村内において、約半数が財団関係者となる。報告時、村内人口486名 結果: 踊りを実行した際、SCP-415-JPの起こす雨量が低下。プロトコルが効果を発揮していると推測されるため、計画は続行される エージェント・柳田の記録文書 諜報部からの報告を受ける。封じ込めが十分作用しているようで我々も歓び、つい深酒をしてしまった。これまでの記録を確認したところ、どうやら手ぶりではなく、足踏みが重要な要素のようだ。 一方で村は高度経済成長期ということもあるのだろうが、徐々に活気がなくなっていく。私たちが潜入した段階で衰えていた火がさらに弱まっていくような、そんな印象を受けた。 伊津子の腹も膨らんできた。この子が祭りに参加するようになれば変更後の踊りを教えなくては。この子も大きくなればこの村を出ていくのだろうか。 SCP-415-JP関連レポート415-JP-41 - 日付 19██/██/██ 概要: ██村内において、約8割が修正後の踊りを実施する。SCP-415-JP-1の保存活動が提唱される。報告時、村内人口427名 結果: 踊りを実行した際、SCP-415-JPの起こす雨量がさらに低下。プロトコルが効果を発揮していると推測されるため、計画は続行される。 エージェント・柳田の記録文書 殆どの村民が変更後の踊りを踊るようになった。私たちの子供世代が成長したこともあるが、本来の踊りを知る老人らが亡くなっていくのも原因だろう。老人らは最後まで気づいていなかったのだろう。そもそも、この踊り自体がほとんど惰性のようなものになっていたのではないかと今になっては推測する。また、それを受けてか義父が踊りの保存を提唱し始めた。仲間で相談したが、変更後の踊りを保存することができれば封じ込めが強固なものになるだろうという意見となり、本部からの返答を待つことになった。 その一方で、資料収集の為、義父の蔵を掃除していたとき、SCP-415-JPに関連すると思われる文章を発見した。殆ど読めないうちに義父に回収されてしまったが、内容としてはこれまでの資料と変わりなかったように思える。機会があれば確認しよう。 村の近くに高速道路を造る予定があるようだ。人の流入が激しくなれば収容が困難になるが、どうだろうか。 SCP-415-JP関連レポート415-JP-60 - 日付 20██/██/██ 概要: ██村内において、SCP-415-JP-1の保存活動が活発化。報告時、村内人口322名 結果: 踊りを実行した際、SCP-415-JPの起こす雨量がさらに低下。プロトコルが効果を発揮していると推測されるため、計画は続行される。 エージェント・柳田の記録文書 保存運動が予想以上に活発なものとなった。私もその一員だ。変更後の踊りを保存対象にするためには仕方のないことではある。もはや、本来の踊りを覚え、実行しているのは義父を含めて数人ではあるが、どれだけ衰えようとも踊りを止めようとはしない。その踊りは年を経ているためかより一層凄みが増し、だが、私は何処か哀しみと言うよりも美しさを感じた。消えゆく日の一瞬の煌めき。いや、違う。思い続けてきた誰かを失った日の虹のような。 村はめっきり人が減った。高速道路は都市部への流出を招いたようだ。息子もとうの昔に村の外へ出ていった。何処の村も似たようなものらしい。澄んだ虫の声が良く聞こえる。 SCP-415-JP関連レポート415-JP-69 - 日付 20██/██/██ 概要: ██村内において、山田 ██氏が死亡。これにより、本来のSCP-415-JP-1は終了したと見なされる。報告時、村内人口323名 結果: 事案記録SCP-415-JPを参照 エージェント・柳田の記録文書 義父が亡くなった。 義父は最期だと悟ったのか、死の前日に私を枕元に呼んだ。そして、私達が踊りを変化させていたことに気づいたのを明かしてくれた。死の匂いがうっすらとする布団の中で、義父は笑いながらそれでも踊りを続けてくれたことを感謝してくれた。だが、その一方で私たちの踊りが広まるごとに何かが失われていくような感覚を受けたのだとも教えてくれた。だが義父はそれでいい、と笑っていた。 義父は翌朝穏やかな顔で亡くなった。義父が以前回収した資料を見つけた。あの踊りは龍見の舞と呼ばれていたそうだ。目新しいものは無かったが、最後にたった一つ、これは約束の踊りであると書かれていた。 あの踊りは誰かに何かを伝えていたのではないだろうか。忘れず生きていると。 そしてその踊りはもう無くなった。 義父の葬儀の際、久しぶりに村に活気が戻った。 息子が村に戻ることにしたらしい。孫は不服そうだが今はそれでいい。 私はもうしばらくこの村で収容を行うことを依頼した。 夕立が降り、虹が出た。この村の虹は美しい。 事案記録SCP-415-JP 山田氏の死亡とほぼ同時刻、 SCP-415-JPが洞窟内から突如出現し、そのまま上空へ移動、██村上空を飛行したのち、財団の監視圏内から消失しました。これ以降、 SCP-415-JPが確認されなくなったため、 SCP-415-JPはNeutralized申請され、受理されました。封じ込め手順に問題が無かったかの審議が現在行われ、エージェント・柳田を含む現地職員は結論が出るまで当地での収容任務継続が指名されています。 SCP-415-JP消失後、SCP-415-JPの生息していた洞窟内を調査したところ、約2000年以上前の人骨、鉄器などが発見され、これらは定期的に手入れされていたことが判明しました。これらの人骨、鉄器の調査は現在進行中です。 Footnotes 1. 便宜的にこの報告書内では一貫してエージェント・柳田と記述する
scp-416-jp
評価: +80+–x アイテム番号: SCP-416-JP 外から見たSCP-416-JP-A。 オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 現在、メゾン・████の不動産、土地等の権利は財団によって所有、管理され、SCP-416-JP-A以外の部屋全てに一般市民に変装した財団エージェントを配置することで収容状態を維持しています。SCP-416-JP-A内部の監視は3台の監視カメラによって行われ、監視室は家屋の一部屋に設立してください。異常が発生した場合は機動部隊け-120に報告してください。事案20██/█/█の発生により今後のSCP-416-JP-Aへの侵入、およびSCP-416-JPに関わったことのある失踪者の捜索は禁止されます。 現在、失踪した財団の職員は3 4名です。今後、SCP-416-JPの実験に参加していた職員はサイト-8122隔離室に収容され監視されます。 説明: SCP-416-JPは石川県 金沢市 ██町 ██-██-█に位置するアパート、メゾン・████の一室(以下SCP-416-JP-A)で発生する一連の現象です。メゾン・████は2013年3月10日現在から換算しておよそ55年前に建築された建物で、SCP-416-JPの異常性は先の期間から換算して約20年前から発生していると思われます。 SCP-416-JPの異常性は、SCP-416-JP-A内で1週間以上住人が生活し、かつその住人が睡眠状態へと移った際に発生します。住人が睡眠状態へと移行した場合、SCP-416-JP-A外部から車のクラクションに酷似した音が鳴り始めます。この音はおよそ2つのパターンを踏襲しつつ段階的に音量を上昇させていき、最高で130dB1という騒音レベルにまで達します。近隣住民の証言では全住民が異常性発生時は何も聞こえなかったと供述しており、SCP-416-JP-A外部ではこれらの音は観測されないことが判明しています。なお、これらの異常性は住人が一切睡眠行動を行わなかった場合や複数人いた場合は発生しません。 異常性発生時にSCP-416-JP-A内から外を観察した場合、一体の人型の実体(以下SCP-416-JP-B)が出現します。SCP-416-JP-Bは上記の異常性発生と同時に出現していると思われ、上昇していく音と連動してSCP-416-JP-Aへと接近します。SCP-416-JP-BはSCP-416-JP-Aからのみその実体を視認することが出来、現在その存在の証明には至っていません。また、SCP-416-JP-Bの正確な姿形は未だ判明していません。しかし、実験に参加したDクラス職員の証言から「人間の女性」に近い姿であると予想されます。現在までSCP-416-JP-Bを捕獲する試みは成功しておらず、機動部隊員を動員した作戦も実行されましたが、隊員の聴覚に関する身体的外傷が規定の範囲を超えたため中止されました。 これらの異常性は被験者を交代させる毎にリセットされ、音およびSCP-416-JP-Bの出現位置が初期の状態へと戻る事が確認されています。 SCP-416-JP-Aにて観察された異常性のまとめ 経過日数 SCP-416-JP-A外部からの音に関するまとめ SCP-416-JP-Bに関するまとめ 発生~5日経過 自動車のクラクションに酷似した音を観測することが出来る。パターンは8秒鳴り2秒休むといったもの。およそ5分間これらが継続される。騒音レベルは50dB前後を記録。 SCP-416-JP-Aの窓からおよそ900mの地点で観察することが出来る。常にSCP-416-JP-Aの方向を見ており、出現場所に法則性があるようには見られない。 5日~10日 10日目までは以前のパターンを繰り返しつつ、一日置きに5分づつ時間が伸びていく。また、それに伴い音量も上昇していく。騒音レベルは60~65dBへと上昇していく。 およそ800mの地点のコンビニエンスストアの駐車場に出現する。出現場所は固定。体勢は直立不動。 10日~20日 この期間からは継続的に音が鳴る状態へと変化する。この音はSCP-416-JP-A内の人間が気絶するか、日の出を迎える時間まで続くことが確認さている。測定された騒音レベルは70dB~90dBまで上昇していき、住人は聴覚に異常をきたし始める。 およそ700m~300m間に設置されている電柱側に出現。この時期から急速SCP-416-JP-Aとの距離が縮まってくる。ここで、SCP-416-JP-BがSCP-416-JP-Aの窓あたりを目視している事が確認される。 20日~25日 前回同様継続して音が鳴り、この時点から日の出の時刻を迎えるまで音が止むことがなくなる。騒音レベルは100dB~130dBへと急速に上昇する。被験者に身体的苦痛が伴い始めたため、実験は中止された。 SCP-416-JP-Aの窓の直ぐ側に出現する。窓を開けた場合、SCP-416-JP-BはSCP-416-JP-A内部に侵入する。事案416-JP-Bから、住人に対して攻撃的行動を取るようになると思われる。その後、SCP-416-JP-Bは消失する。 補遺: SCP-416-JPは、1999年に大手企業████・██████へと潜入していたエージェント・ポルによって発見されました。当時、潜伏していたエージェント・ポルは、SCP-416-JP-Aに入居していた同僚の█ ███氏と頻繁に接触する機会が多かったため、「夜中に鳴るクラクションの音」に関する相談を受けていました。当初、相談してきた███氏も「単なる近所のおかしな人の行い」程度にしか認識していませんでしたが、異常性の特性上、███氏の状況は悪化。心身ともに疲弊していき、その一ヶ月後、███氏は近隣の住民と暴力事件を起こしました。後に███氏は会社を辞職、その際、███氏は以前にSCP-416-JP-Aに住んでいた人間について調査をしていたことが判明しました。1年後、家賃滞納を指摘しようとした当時の大家によって█ ███氏の失踪が発覚。これら一連の出来事を不審に思ったエージェント・ポルは詳細を財団に報告しました。異常性が確認されたため財団は収容体制へと移行し、現在の収容プロトコルが確立されました。 財団の調査により、█ ███氏の前に1名の女性がSCP-416-JP-Aに居住していたことが明らかとなりました。現在、女性は行方不明となっており、女性の失踪した時期がSCP-416-JPの異常性の発生時期と重なっていることから、財団はこの女性がSCP-416-JPと何かしら関係があると予想し、行方を捜索しています。 補遺2: 現在、事案416-JP-Bの発生によりSCP-416-JP-A内部での実験は一部制限されています。事案416-JP-Bに関する詳細は以下の項目を参照してください。 + 事案416-JP-B - 閉じる 事案416-JP-B 概要: 事案416-JP-Bは、SCP-416-JPの収容から17日が経過した時期に発生したSCP-416-JP-A内部での事故です。 当時、SCP-416-JP研究班はDクラス職員をSCP-416-JP-A内に20日以上潜伏させるという実験を行っていました。この事案は実験25日目に発生し、防音用の耳あてが支給されていたにも関わらず担当のDクラス職員は聴覚の苦痛を訴えました。その結果、Dクラス職員は窓からの脱出を決行。窓は脱出防止用の器具で固定されていましたが開放されました。この時、SCP-416-JP-A外部から観察された窓は閉じられたままの状態であり、それと同時にSCP-416-JP-Bが出現。SCP-416-JP-A内部に侵入し、それからおよそ5秒後、SCP-416-JP-A内部で異常な電磁波が発生しました。その結果、内部に設置されていた監視カメラ等の電子機器全てが機能を停止。観測が不可能な状態になりました。そのおよそ10分後、機動部隊がSCP-416-JP-Aへと突入、しかしすでにSCP-416-JP-Bは消失しており、Dクラス職員は左腕切断という重症を負いました。 現在も被害にあったDクラス職員は意識不明の状態です。その為、Dクラス職員に対するインタビューは凍結されています。 この結果を受け、SCP-416-JP担当班はSCP-416-JP-Bの攻撃性を危惧し、一部の実験に制限を設けました。 財団は今もなお女性の行方を捜索しています。しかし、これらの概要は未だ判明しておらず、財団はさらなる調査範囲の拡大のためSCP-416-JP特別調査班を設置しました。SCP-416-JP特別調査班には10名のエージェントが起用され、班長はエージェント・C███が担当しています。今後のSCP-416-JPに関する調査資料などの請求はエージェント・C███に申請してください。 追記1: Dクラス職員の意識が回復しました。その為、SCP-416-JP特別調査班は対象へのインタビューを開始しました。 + インタビュー記録2016/2/10 - 閉じる 対象: D-01122(以下、D-a) インタビュアー: エージェント・C███ 付記: インタビューはD-01122が治療を受けている病室内で行われました。 <録音開始> エージェント・C███: D-01122、気分はどうだ。 D-a: …悪くはない、と言ったら嘘になるかもな。なんせ、これだ。[自身の左腕を見せる]まさか、こんなことになるとは… エージェント・C███: 率直に訊く。君は、あの時一体何を見た。 D-a: …あの時、俺はあの音に耐えかねた。事前にあの窓は固く閉じられているって警告もされてたし、あのクソうるせえいクラクションの存在にも、嫌な話だが慣れてきていたってこともあった。防音用の耳あても渡されて、あの日もなんとか乗り越えられるって思ってたんだが…無理だった。 エージェント・C███: それは何故だ。 D-a: あの日までは、あれはただの音だった。本当に、ただのクラクションの音。…けど、あの日、あの音は変わったんだ。なんていうか、音が耳あてを通り抜けて来たというか。頭のなかに直接響きだして。もう耳あても意味をなさなくて、本当に頭がぶっ壊れちまいそうな爆音が鳴り響きやがった。もう、気が気じゃなかった。耳あても放り投げたし、耳を両手で塞いでも意味がなかったし。本当に、頭が吹っ飛んじまうかと思った。だから、必死で逃れようとしたんだ。…あんたも、その時の様子くらいは知ってるだろう。 エージェント・C███: 事案416-JP-B当時の映像には一通り目を通してはいる。 D-a: なら、分かるだろ? 人間、あんな環境にいたらどうかなっちまうんだ。だから、俺はあんな真似をした。…もう闇雲だった。開かないって頭では分かってた。けど、それ以上に体が動いたんだ。そして、俺は実行した。最初は驚いた。だって、まさか、開くなんて思っていなかったからな。 エージェント・C███: [メモを取る]次に君が見たものの詳細な姿形について教えてくれ。 D-a: …カメラには映っていなかったのか? エージェント・C███: 生憎だが、あの事件の時にカメラは全て壊れてしまった。 D-a: そうか…。[5秒程の沈黙]あれは、一応は人の形をしていたよ。どちらかと言うと、人間の女。服も着ていた。真っ赤な、ワンピースのドレスみたいなので、でも、ところ何処が破けてて。あと、良く見たら体中痣や傷まみれだった。あの爆音の中でのことだったが、印象的だったんでよく覚えてる。それから…肌は青白かったな。まるで、死体みたいに。これっぽっちも生気を感じられなかったよ。ていうか、多分あれは死体だ。多分。だって…[口ごもる] エージェント・C███: 続けて。 D-a: …顔が、完全に潰れてたんだ。…顔面が、完全に形をなしていなかった。ぐちゃぐちゃで、頭中に釘やら、ガラスの破片やら、でっかい杭やらが刺さってて。それで、その杭にあの鎖が繋げられてて。…あれが一番酷かった。禍々しくて、見てるだけで吐き気がしてきた。それで、目のところにはでっかい電球が2つぶっ刺さってて、口には小さいスピーカーみたいなのがあって…。あれは、完全な悪意のあるやり方だ。今思い出しても鳥肌が立つ。…まるで…そう、玩具みたいな扱いだった。 エージェント・C███: なるほど。[メモを取る]…鎖とはどういうことだ? D-a: …どういうことって、鎖は鎖だ。それくらいは写っていたはずだろう? だって、あんな長い鎖が三本もあったんだ。カメラの壊れる直前ぐらいには、絶対に見えていたはずだ。 エージェント・C███: …いや、そのような記録は一切無い。その鎖は一体どうなっていた? D-a: そんな…。あの、汚え押入れの中に繋がってたよ。あの長え鎖は、まっすぐ押入れの奥の方に伸びていってた。 エージェント・C███: そうか。[メモを取る] D-a: それで、俺は押入れの中を覗き込もうとしたんだ。自分でも、なんであの中を覗こうとなんてしたのかは分からねえ。なんか、引き寄せられるような感じがしたんだ。そんで、押入れに近づいた。けど、襖の取っ手に手を掛けた時に思わず鎖に触れちまって、それで…[失った左腕を手で切るようなジェスチャーをする]この有様だ。 エージェント・C███: つまり、君はあの実体から直接何かをされた訳ではない、そういうことか? D-a: ああ。そうだ。 エージェント・C███: そうか…では、君の言うその人型の存在が部屋の中に侵入していた時、人型は一体どのようなことをしていたんだ? D-a: それは…。 [5秒程の沈黙] エージェント・C███: どうした、D-01122。私の質問に応えろ。 D-a: いや、まあ、なんていうか。 その…。 エージェント・C███: どうした。何か、答えられないことでもあるのか? 言いなさい。これは命令だ。 D-a: …あんちゃん。ちげえんだよ。そう。ぜんぜん違う。 エージェント・C███: ん? 何が違うと言うんだ? D-a: あんたらの言っていることと、俺が見たものがだよ。全く違う。いや、むしろ逆だ。 エージェント・C███: 逆? D-a: ああ。あいつは、こっちに向かってきてたんじゃねえ。あれは、あれは、引きずり込まれてたんだ。 エージェント・C███: …何? D-a: あんたらには見えていなかったのかもしれねえが、俺ははっきりと見たんだ。あの化物が、いや、化物って言って良いのかも分からねえけど、あれが、なんか、もがき苦しんでるような感じで、あの顔面にぶっ刺さってる鎖で、あの押し入れの奥の方に引きずり込まれそうになっているのを。あれは、両手で必死に鎖を掴んでた。引っ張りこまれないように必死に踏みとどまってたんだ。 エージェント・C███: だが、そんな記録は D-a: 俺はこの眼ではっきり見た。あれは、侵入なんかじゃねえ。…なあ、あんちゃん。 エージェント・C███: …なんだ。 D-a: 俺、思うんだよ。あれは、あの音は謂わばあれの叫び声なんじゃねえのかって。あの引きずり込まれるのを止めさせるために、わざとでっかい音を出して、俺達を追いだそうとしてんじゃないのかって。あれがたとえ何かの罰だったとしても、惨すぎる。…なあ、こんなこと言うのもおかしな話だけどよ、なんていうか、助けてやることはできねえのか? エージェント・C███: 助ける? D-a: ああ。だって、要はあれは住む人間が変わる度にあれを繰り返してるってことだろう? 中にいる人間が変わるごとに、何度も、何度も引きずられて…。想像しただけでも、ゾッとしてくる。…なあ、なんとか出来ねえか。 エージェント・C███: …それについては、こちらでは返答しかねる。…今日のところはもう終わりにしよう。後日、また来る。 <録音終了> 終了報告書: このDクラス職員の証言を元に、SCP-416-JP特別調査班を筆頭に機動部隊と3名の研究員、2名のエージェントを起用した大規模な内部調査を決行しました。しかし、なんら異常な存在は発見できず、異常性も以前と変化は見られませんでした。 追記2: + 事案2016/3/24 - 閉じる 2016/3/24 SCP-416-JP特別調査班によって█ ███氏の遺体が発見されました。発見場所は新潟県 ███市の山林内で、不法投棄された自動車内に遺棄されている状態でした。死因は脳挫傷だと思われ、特に頭部の損傷が激しく、遺体は極めて劣悪な状態でした。 また、遺体発見から3時間後、現地の職員の証言からもう一体のSCP-416-JP-Bの出現が報告されました。対象の姿形は以前のSCP-416-JP-Bと異なる「人間の男性」に近いものと思われ、また、服装が発見された時の███氏のものと一致していました。担当班はこの事態を財団へと報告。急遽、緊急対策室が設置され、現状調査が実施されました。現在、SCP-416-JP-A内での実験は禁止されており、新たに発生した実体はSCP-416-JP-Bと区別されるためSCP-416-JP-B-2と呼称されます。 この事案に伴いエージェント・ポルが失踪するという事態が発生しました。現在、調査班はエージェント・ポルの行方を捜索中です。 追記:3 + 事案20██/█/█ - 閉じる 20██/█/█ SCP-416-JP特別調査班によって今まで行方不明となっていた女性の遺体が発見されました。遺体は██県 ██市の森林奥地で両手足を麻縄で括りつけられた状態で放置されており、頭部は不法投棄された車両の下敷きになっているという状態でした。身辺に身元を確認できるものが一切無かったため、女性の身元の特定には至っていません。遺体の状態は既に白骨化しており、着用していた衣服はSCP-416-JP-Bが着用していると同じものであると思われます。また、現場周辺を捜索した結果、█ ███氏の免許証が発見されました。このことから、過去に█ ███氏がこの現場を訪れていたことが判明しました。 また、この遺体の発見後エージェント・ポルの死亡が確認。死因は交通事故による頭蓋骨陥没、車両と遺体は海岸沿いの崖下で発見されました。何故エージェント・ポルが発見場所に車で訪問していたのかは分かっていません。また、SCP-416-JP-Aにて、新たな3体目の人型の実体の出現が確認されました。その2日後、D-01122が財団所有の地下病棟から失踪しました。 現在、「失踪者の遺体を見つけた場合、後に異常性に暴露した人間が消失する。そして、失踪し死亡した人間と同じ服装と背格好をした人型の実体が出現する。」という新たな異常性の発覚により、SCP-416-JP-Bおよび失踪した職員に関する調査の中止が決定されました。これにより収容プロトコルは更新され、今後SCP-416-JP-Aへの侵入および実験はすべて凍結されます。 脚注 1. この数値は、肉体的な苦痛を感じる限界であると規定されています。
scp-417-jp
評価: +21+–x SCP-417-JP本体。 アイテム番号: SCP-417-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-417-JPは定期的に清拭され、乾燥剤と共に通気性の良いケース内に保管されます。保管場所は現在サイトー8181の安全ロッカーであり、無許可の使用者が出ない様に警戒される必要があります。現在の警備プランは収容担当者に問い合わせて下さい。 現在SCP-417-JPを使用した実験は中止され、通常の記録調査によるその製造起源の解明に焦点が当てられています。 説明: SCP-417-JPは1対の古い革靴で、履くと歯車が動く様な感触を得られますが、内部には如何なる特殊な構造も見られません。 SCP-417-JPを人間が着用したままで3分経過した時、着用者は周囲を捜索する事で「着用者の直系の先祖1名」その痕跡を発見する事が出来るかもしれません。これはランダムに選ばれた直系の先祖が、その存在する時間軸の中で、現在着用者が居る地点まで何らかの手段を持って移動していると考えられています。移動手段の確認された記録では、しばしば超常的な内容を含みます。この歴史改変による影響は、着用者のこれまでの人生に何ら影響を及ぼしていません。また、実験に参加した財団職員も改変の影響を免れている様です。これはSCP-417-JP着用までの流れに矛盾が生じない為であると考えられていますが、推測の域を出ていません。 財団収容以前、芸術品としてSCP-417-JPを所有していた██████████氏が、仕事柄頻繁に海外へ出向する際に戯れに着用していた事が分かっています。結果、氏は旅先で自身の祖先とされる多数の痕跡と”奇跡的な確率”で巡り合い、その体験をブログに書き綴った事が財団の目に留まりました。SCP-417-JPの入手経路を調査した結果、最終的に製作したと見られる2名のアーティストに行きつきましたが、別件でカナダのコンクール出品後に死亡しています。 アーティストに関するメモ: SCP-417-JPを購入した際に届いた外装箱には、以下のメッセージがイタリア語で添えられていました。ー「たまには、子孫の行く末を踏みしめて。」 SCP-417-JPの歴史改変は本来の歴史からかけ離れていく危険性が低いと考えられています。しかし、過去の存在とはいえ一般人に対する超常現象の発生を誘発する行為は財団のポリシーに反するとして、実験記録ー03以降SCP-417-JPの使用は禁止となりました。 実験記録(抜粋): 実験記録-01: 実験日時: 19██/██/██ 実験対象: SCP-417-JP 実験目的: 実験対象の異常特性による時間的矛盾を発生させずに、実験を行いその異常性を記録する。 被験者: D-417009。日本人41歳男性。4世代前までの家系図など、可能な限りの情報収集を行いました。 実験方法: 被験者の地元から遠く離れた3つの地点で、それぞれSCP-417-JPを通常に使用する。 [実験地-01]:日本国内の屋外エリア-██。実験日時の50年前から財団の管理下にあり、来訪者を細かく記録している。 [実験地-02]:日本国内の屋外セクタ-████。実験日時の約140年前から60年前にかけては蒐集院に、それ以降は財団の管理下にあり、その間の詳細な記録が残されている。 [実験地-03]:アマゾン南部██████████族の集落。来訪者に対し友好的な部族である。およそ80年前に発生した超常現象を収容した時から、財団とは緩い協力関係を築いている。部族の人間に対し、実験対象と被験者に対する情報は知らせていない。 結果: D-417009の記憶には影響なし。各実験地において、祖先に当たると考えられる人物の痕跡を発見する事が出来た。 [実験地-01結果]:約30年前、D-417009の父にあたる男性が偶然にも来訪し、記憶処置を施して帰された事が記録されている。 [実験地-02結果]:約90年前、D-417009の曾祖母にあたる女性が、友人と遊ぶ際にはぐれ偶然迷いこんだとして記録されている。実験地までの移動手段は解明されていない。 [実験地-03結果]:時代不明。当時の族長は、かつて自身の祖父から「D-417009とは似ていないものの、同じ人種と思われる若い男性が”鳥と共にやって来て、カヌーに乗って帰って行った”という話を聞いていた」事を思い出したと主張した。この”鳥”について、明確に飛行機である事を否定している。また、その男性が残した物とされる男根像を調査員に見せた。男根像は、D-417009の出生地に伝わる厄除けに類似している。 注記: 実験の結果は、このオブジェクトが歴史に対して打撃を与え得る事を示している。少なくとも、操作された環境以外では、人一人の人生を変えるばかりか異常現象の漏えいにさえ繋がるかもしれない。今後の調査を行うのか、行うならば細心の注意を払う必要があるだろう。 - 松田博士 事案記録-417-A01: 事案内容: D-113076(日本人25歳女性)が警備員の隙をついて脱走し、SCP-417-JPを入手しました。D-113076は当該オブジェクトを手頃な靴として着用した後逃げ回り、異常現象発生までの3分間に再収容する事が出来ませんでした。事案発生17分後、D-113076は終了されました。 事案発生地点: 日本国内のサイト-8181。 事案後の対応: SCP-417-JPによる歴史改変の痕跡を探し、関連すると見られる物体を見つける事が出来ました。しかし、当該物の発見は19██年の有人宇宙施行計画時に成されており、発見場所は地球ではありませんでした。この事案は、発見時期と場所がSCP-417-JPの通例から外れていた唯一の事例です。 提供された情報: 二足歩行生物と見られるミイラ。D-113076とミトコンドリアDNAが一致するが、骨格は脆くヒトの形状から大きく離れている。腰部のヘルニアおよび、重度の肺線維症を患っている。咽頭部には植物を模した貴金属製の装飾品らしき物体が詰まっており、死因は窒息と考えられる。重ね着した衣服からは身分の高い人物であったと推測されている。発見時周囲から割れた器が回収されている。
scp-418-jp
評価: +39+–x アイテム番号: SCP-418-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: 現在SCP-418-JPは東京都██区の██公園の公衆トイレ内に存在しています。SCP-418-JPが転移した個室を含む公衆トイレを使用禁止とします。長期にわたりSCP-418-JPを同一箇所で収容する場合は新たな公衆トイレを建設することで一般人によるSCP-418-JPの活性化を防いでください。 通信機器を用いた実験を行う際、担当職員はSCP-418-JPの転移を発生させないようDクラス職員に指示を出してください。また、転移が発生した場合に備え各所の公園内に存在する公衆トイレを立ち入り禁止とし、実験後のSCP-418-JPの確保を迅速に行えるよう人員を配置してください。 説明: SCP-418-JPは東京都に存在する公園の公衆トイレ内に出現する、油性ペンで記されたように見える文字列です。SCP-418-JPは公衆トイレ内の使用可能な洋式トイレが存在する個室一個1にのみ出現します。なお、SCP-418-JPへの大きな損傷2や塗料による隠蔽、SCP-418-JPが存在する個室や便器の破壊はSCP-418-JPの転移をもたらします。 SCP-418-JPは個室に入り扉を閉じて用を足している人物(以下「対象」とする)が存在する場合に活性化します。SCP-418-JPは乱雑な書体で「右を見ろ」「下を見ろ」の様に命令文の形を取り、対象から見やすい位置の壁面や床面に出現します。対象が出現したSCP-418-JPの指示に従った場合、SCP-418-JPが対象の目の前の壁面や床面へと即座に移動し新たな指示を出します。数回の指示の後、SCP-418-JPは「下を見るな」「水を流すな」等と言った禁止文を提示します。対象が禁止された動作を行った場合、対象は個室から消失し代わりに身元不明の死体が出現します。その後SCP-418-JPは東京都内の別の公衆トイレの個室内に転移します。命令文に従わない、または禁止文中の動作を行わずに個室内から退去するとSCP-418-JPは不活性状態になります。その際SCP-418-JPが個室から転移することはありません。 SCP-418-JPは199█年、都内の公園の公衆トイレで複数の変死体が発見されたこと、および局所的に流行していた「見るたびに内容が変わるトイレの落書き」の噂によってその存在が財団に認識されました。 以下の会話記録はSCP-418-JPの性質を詳しく調べる為に行われた実験の物です。なお、実験現場には一人の財団職員が立ちあい、都内の各公園には転移後のSCP-418-JPの捕捉を容易にする為に清掃員に扮した職員が配置されました。 実験記録418-JP-1(199█/██/13) 隠す 対象: D-418-JP-1(20代女性) インタビュアー: 東雲研究員 付記: D-418-JP-1は頭部に小型のビデオカメラとマイクを装着しています。 <録音開始> 東雲研究員: 聞こえていますか、D-418-JP-1。 D-418-JP-1: 聞こえる。しっかしなんだここは、せっかく外に出れたと思ったら便所に連れてこられるなんて。 東雲研究員: 私語は慎んでくださいD-418-JP-1。指定されている個室に入り用を足してください。 D-418-JP-1: はぁ?ウンコしろってのか? 東雲研究員: これは実験ですD-418-JP-1、指示に従ってください。 D-418-JP-1: はいはいわかりましたよ。でも、すぐウンコがでるとは思えないけどな。 (D-418-JP-1が個室に入り鍵を閉める。その後に便器の蓋を開ける音が聞こえる。D-418-JP-1が便座に座る。) 東雲研究員: D-418-JP-1、何か周囲に変な物はないですか? D-418-JP-1: 変な物?とくには無いぞ。きったねえ落書と壁のシミ、あとゴミ箱があるぐらいで。ていうか、カメラがついてるんだからそっちにも見えてるだろ? 東雲研究員: ええ、見えていますよ。落書には何と書かれていますか? D-418-JP-1: 「左を見ろ」、だってさ。 東雲研究員: D-418-JP-1、文章に従って左の壁を見てください。これは実験です。 D-418-JP-1: はいはい。[カメラが左の壁面を映す。文字列が確認できる]って、なんだこれ。さっきまでこんなのなかっただろ?下を見ろ?[カメラが下を向く。文字列が確認できる]うわ、なんなんだよこいつ、タダの落書きじゃないぞ。これ従わなきゃいけないのか? 東雲研究員: 暫くの間従ってください。 D-418-JP-1: くそっ、ろくなもんじゃない。 [以降12回のSCP-418-JPによる指示が出され、D-418-JP-1はその指示に従う。SCP-418-JPによる指示が開始されてから7分が経過。] 東雲研究員: 指示文に何か変化はありましたか? [D-418-JP-1は「紙を引き出せ」という指示を実行している。] D-418-JP-1: 特には[引き出された紙に文字が出現しているのが確認できる。内容は文体の乱れにより映像からは読み取れず] D-418-JP-1: [沈黙] 東雲研究員: D-418-JP-1? D-418-JP-1: [便座から立ち上がり紙を便器内へと捨てると、個室の鍵を開け急いだ様子で外に出る。] 東雲研究員: D-418-JP-1、指示が出るまで個室からは出るなとー D-418-JP-1: 喋るな。 東雲研究員: え? D-418-JP-1: 見えてたんだろあの文章。「喋るな」って書いてあったんだ。だから指示に従って、でも喋んなかったら何もわかんないだろ?どうすりゃいいかわかんなくて、あと、正直怖くて、喋ったらやばいと思って、外に出た。それだけ。 東雲研究員:…… なるほど。わかりました。ではD-418-JP-1、個室内でもう一度落書きがあるか確認してください。鍵はかけないで。 D-418-JP-1: わかった。うう、怖。[再びD-418-JP-1は個室に入る。] D-418-JP-1: [あたりを見回す動作の後、カメラが下を向く。足元に先ほどまで存在しなかった文字列が確認できる。]……クソが。 東雲研究員: 何と書かれていますか? D-418-JP-1: 「大間抜け」、だとよ。他には何もない。 東雲研究員: 分かりました。これで実験を終了します。 <録音終了> 終了報告書: 禁止の命令を守った場合は生還する事が可能です。また、その場合SCP-418-JPが転移を行うこともないようです。禁止文が「喋り」について言及されている事から、SCP-418-JPは個室内の対象の状態を察知してるものと考えられます。 実験記録418-JP-3(199█/██/15) 隠す 対象: D-418-JP-3(30代女性) インタビュアー: 東雲研究員 付記: D-418-JP-3の頭部に小型のビデオカメラとマイクを装着させています。 <録音開始> 東雲研究員: 聞こえていますか、D-418-JP-3。 D-418-JP-3: はいはーい、ばっちし聞こえてますよ。 東雲研究員: なるべく返答は簡潔に行ってください。……ではD-418-JP-3、指定されている個室に入り用を足してください。 D-418-JP-3: わかりました。うう、お腹がごろごろする……。 (D-418-JP-3が個室に入り鍵を閉める音) D-418-JP-3: よいしょっ。 [5秒間の沈黙の後にD-418-JP-3のうなり声と水音が15秒間続く。カメラはD-418-JP-3の正面の壁を映している。] D-418-JP-3: うーん……。ん? [カメラがD-418-JP-3の足元の床を映す。SCP-418-JPが確認できる。] 東雲研究員: どうしましたか? D-418-JP-3: んーとね、床に何か書いてある。落書かな?……「右を見ろ」だって。見えてる? 東雲研究員: こちらでも確認できています。それでは床に書かれた文字に従ってください。 D-418-JP-3: わかりましたー。 [カメラがD-418-JP-3の右側の壁を映す。「上を見ろ」と書かれた文章が確認できる。引き続きD-418-JP-3は指示に従う。個室の天井に文章が書かれている事がわかるが、非常に文字が薄く映像からは文章を読み取ることが出来ない。] 東雲研究員: D-418-JP-3、天井に何が書かれているか分かりますか? D-418-JP-3: うーん、ちょっとまって、薄くて見えないな……。[D-418-JP-3が便座から立ち上がる。]ええと……。 D-418-JP-3: ……え? 東雲研究員: 何と書かれていますか? D-418-JP-3: 「便器を見るな」、だって。あと、なんだろ、これだけなんか別な物で書かれてるみたい……。指、かな? 東雲研究員: D-418-JP-3、便器の中の物を確認してください。 D-418-JP-3: え、でもさっき指示に従えって。 東雲研究員: こちらの指示に従ってください。 D-418-JP-3: はーい。 [D-418-JP-3が振り返る。便器内には何も入っていない。] D-418-JP-3: なぁんだ、なにもないじゃない。 嫌な落書だなぁ……。先生、もう出てもいいよね?なんかこのトイレ、気味が悪いよ。 東雲研究員: ……D-418-JP-3、さっき用を足したんですよね?ちゃんと出たんですか? D-418-JP-3: あ、そういえ[突如として映像記録が途切れる。以下音声のみ]い゛っ!?ぁっああ゛あ゛あっ! 東雲研究員: D-418-JP-3?何が起きたのか報告してください。 D-418-JP-3: せんせっ、助けで!たずげっ、何がい゛るっ!足っ、あしつかまれえっ、痛い痛い痛いっ、はな、はばし、はなじてっ、嫌っ、嫌だっじぬっ、首っ、せんせっ、ぜん、あ[悲鳴] [流水音のあと20秒間の沈黙] 東雲研究員: D-418-JP-3?応答してください。 [通信が途絶える。] 東雲研究員:…… D-418-JP-3との通信が途絶えました。これより現地にてD-418-JP-3が入った個室の確認、都内の公園内でのSCP-418-JPの捜索を行います。 <録音終了> 終了報告書: 確認の結果、D-418-JP-3が入った個室の便器内で風化した女性の死体が発見されました。検死の結果、死体はD-418-JP-3ではなく40代の日本人女性であることが明らかになりました。この女性の身元は現在まで判明していません。なお、実験後SCP-418-JPは現在の東京都██区の██公園で確保されました。 Footnotes 1. 男子用、女子用は問いません。 2. 文字列が読み取れなくなる程度のものです。
scp-419-jp
評価: +142+–x 無力化されイースター島に残されているSCP-419-JP個体 アイテム番号: SCP-419-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-419-JPは現在サイト-81██の低危険物収容室に保管されています。接触および実験は生物オブジェクト研究担当の上級研究員3名以上の認可と、1名以上の研究員の立会いの下行ってください。 SCP-419-JPを使用していた文明が築かれていたことを隠蔽するため回収した資料は公的には失われたものとし、世間および考古学会にはカバーストーリー、"モアイ像建設のための森林伐採と資源の枯渇説"を流布しています。 説明: SCP-419-JPは、1930年代にチリ共和国によって日本国へのイースター島1の売却が検討された際に財団が介入した現地調査によって発見されました。同時に発見された当時の記録より、SCP-419-JPは後述するイースター島で起こった文明の崩壊の原因になったと考えられています。SCP-419-JPは元は約70体ほど存在していたと考えられていますが、そのほとんどが破壊され無力化されており、異常性が残っていた個体はわずか5体のみでした。さらに実験により2体の異常性が失われたため、現在収容されているSCP-419-JPは3体で、うち1体が休眠状態です。 SCP-419-JPは凝灰岩で構成された石像です。材質の調査により、島にポリネシア人が移住してきた4世紀よりも前に作られたことが判明しています。一般的に"モアイ"として知られている形状2をしており、内部に有機体が存在することが確認されています。有機体は非活性時に空気に触れると瞬時に凝灰岩に変化し、同時にSCP-419-JP自体の異常性を喪失します。そのためSCP-419-JPを分解しての調査の試みは失敗に終わっています。 SCP-419-JPは眼窩部に石灰岩で構成された眼球状の部品を嵌め込むことで活性化します。SCP-419-JPと共に発見された為、便宜上SCP-419-JP-aとしますが、SCP-419-JP-a自体は異常性の無い石灰岩であり、SCP-419-JPに嵌め込むことが可能な形に加工したものであれば異常性を発揮させるために使用することができます。 活性化状態のSCP-419-JPは顔面下部が融解したように軟化し、強力な粘着力を持ちます。物体が軟化部分に接触するとSCP-419-JPは粘着力によって拘束し、蠕動を以って対象をSCP-419-JP内部に取り込みます。取り込んだ物体が生物でない・既に死亡している場合、SCP-419-JPは対象を消失させ再び融解状態へ移行します。生物を取り込んだ場合、活性化前と同様の形状へと復元し生産状態へと移行します。もし生産状態である時にSCP-419-JP-aが何らかの手段によって取り外された場合、SCP-419-JPは非活性化状態へ移行し、内部に取り込んだ対象は消失します。いずれの状態においても一度SCP-419-JP内部に取り込まれた対象を取り出す試みは失敗しています。 生産状態に移行したSCP-419-JPは、取り込んだ生物の体内に有機組織を侵入させ生体構造を改造します。改造を施された対象は、体内で受精卵3を作り出し、自身と同一のDNAを持つ個体(以下SCP-419-JP-b)を妊娠することが可能になります。この改造にオスメスの性差は無く、また妊娠部位も腹部・子宮に限定されず複数個所に同時に発生することがCTスキャンによる調査で判明しています。発生したSCP-419-JP-bは通常の約█████倍の速さで急速に成長し、生殖が可能な年齢まで達すると出産を経てSCP-419-JP外部へと排出されます。このプロセスにかかる時間は生物の種類ごとに異なり、また大きな生物ほど大量に生産されます。特にヒト(Homo sapiens)個体の場合、SCP-419-JPの活性化から█時間で最初のSCP-419-JP-bが排出され、約███時間かけて合計50体から100体前後のSCP-419-JP-bが生産されます。生産終了後にはSCP-419-JP-aが消失し、SCP-419-JPは非活性化状態に戻ります。この状態の内部調査をしたところ取り込まれた対象が消失していたことから、死亡したか生産によって消費されたものと考えられています。 SCP-419-JPが生産行為を行っている最中にSCP-419-JP付近の土壌が消費されることが判明しています。消費される土壌は一定の水分とミネラル分を含む土に限定されており、砂や砂利、瓦礫などは消費されないことが判明しています。SCP-419-JPが接触部位からそれらの物質を吸収していることが確認できますが、消費された土壌から取り出すことのできるエネルギー量は、SCP-419-JP-bを生産するためのエネルギー量より明らかに少なく、どのようにしてエネルギー変換を行なっているかは不明です。また土壌の吸収が遮断された場合SCP-419-JP-bの生産数が著しく減少し、早期に非活性化状態へ移行します。 またSCP-419-JPの生産行為には休息期間が必要とされ、非活性化状態から次の活性化状態に入るまでに20日以上の休息期間を設けずに4000日以上の生産を行わせた場合、長期間の休眠状態に入ります。休眠期間は数十年間から数百年にも及ぶと考えられていますが、長期の実験となるため正確な休眠期間や連続生産可能期間は判明していません。なおこの休眠状態に入った場合、生産途中であった対象はSCP-419-JPの内部で休眠期間が終了するまで生命活動を維持されることが確認されており、休眠期間の終了後には再び生産状態に移行するとされています。 添付資料: 以下はイースター島の調査の際に発見された記録を元に考察された島の歴史です。 1774年 イースター島発見当時の様子 (1775, William Hodges 画) 黎明期 4世紀頃にイースター島へ移住してきたポリネシア人がラノ・ララク4にてSCP-419-JPを発見し、その性質について実験をしていたことが分かっています。彼らはオブジェクトの異常性によって生産されたSCP-419-JP-bを"祖先の霊による恵み"だと解釈し、一ヶ月に約1度の信仰の儀式とともにオブジェクトによる家畜の繁殖を行っていました。次第に彼ら独自の宗教文化を形成していき、7世紀頃からSCP-419-JPを模した祖先の像を作るようになりました。 文明の発達と崩壊 先祖信仰の文化はそれから600年程続いていましたが、生活が豊かになってくると島民は食料だけでなく、モアイ製作と運搬に必要な奴隷も生産するようになったとされています。 移住期の島民はオブジェクトの特性を知っており休眠期を設けない範囲での使用方法をわきまえていましたが、時代が変わり人口が多くなると先祖崇拝の儀式とされていたSCP-419-JPの使用は食糧生産のために頻繁に行われるようになりました。そして長い休眠期があることを知らない島民らはひたすらSCP-419-JPに生産を行わせました。 SCP-419-JPがひとつ休眠状態に移行すると、シワ寄せによって使用頻度の増加した個体が同様に休眠状態に入り、次々とオブジェクトは使用不可に陥ったと考えられています。特に需要のあった食糧用の家畜の生産が激減し、オブジェクトによって消費された土壌では作物が育てられず、同時に奴隷の急増によって人口爆発を起こしていたため、島民らは深刻な食糧不足に悩まされました。漁業や脱出用の船を作る資材もすでに無く、供給が断たれたことによって島民同士の資源を奪い合う抗争が勃発したとされており、食糧不足から人肉食のための狩猟が行われていた記録も見つかっています。抗争と混乱の中で活性化状態のSCP-419-JPを奪い合い、時には奪われる前に破壊し、休眠状態となったものも同様に多くが破壊されました。 住民は解決策を求め、SCP-419-JPが発見されたとされるラノ・ララクから材料を削り出し、よりSCP-419-JPに近い造形の像を生産し続けました。当然ながら異常性が発揮されるはずもなく、ただモアイ像だけが増えていく結果となり、末期には生産途中のまま打ち捨てられた多くのモアイがラノ・ララクに見られました。 文明のリセット 抗争と飢えにより島民は1度全滅したと考えられています。その後、数十年の空白の期間を経てオブジェクトが休眠期から回復し、残っていた僅かな家畜たちを生産し、同時に奴隷を生産する為に動かされていたオブジェクトから生産されたSCP-419-JP-bが現在表向きに公表されている生き残りの島民とされています。この文明リセットにより1722年にヨーロッパ人が島にたどり着いた時に、島民は石器時代と同様の生活レベルだったとされている理由です。 人間にとってメリットをもたらすオブジェクトが異常性によってではなく、皮肉にも「異常性を失くした」ことで文明を滅ぼした、非常に稀有な例となりました。 脚注 1. スペイン語の正式名称:パスクア島(Isla de Pascua) 2. 第4期と言われる、全体的に縦長で、窪んだ眼窩に一文字に結んだ口が特徴とされる 3. 正確には胚性幹細胞と思われる、体のどの部位にも成長できる原初的な細胞 4. イースター島に存在する噴火口跡
scp-420-jp
評価: +30+–x SCP-420-JP-1に対して撮影を行ったときに撮影された写真。電磁波の影響により画質が乱れている点に注意 アイテム番号: SCP-420-JP   オブジェクトクラス: Euclid   特別収容プロトコル: SCP-420-JP-1の出現に備え、現在特別海洋監視網が太平洋上全領域に対して適用されています。6基の監視衛星によるシフト制の常時監視、または79基の電磁ブイによってSCP-420-JP-1の出現が確認された場合には、周辺海域の封鎖を実行してください。 周辺海域の封鎖は韓国支部、ロシア支部、フランス支部、アメリカ本部との規定の協調約定によって行われ、日本支部からは封鎖執行用の諜報用偽装船舶18艇と情報収集艦「はかぜ」が供出されています。 尚、SCP-420-JPに関する情報は上記の各支部と日本支部とで共有されます。   SCP-420-JPに関する実体的な存在は、日本支部のサイト-8187が管理することになっています。もしもSCP-420-JP-2群の確保に成功した場合、別途異常性の研究の後、適切な特別収容プロトコルを制定してください。 それらのオブジェクトに、もしSCP-420-JPとは関連性のない異常性が発見された場合、独自のSCPナンバー割り振りのための提案書をサイト-8187管理官へと提出してください。   SCP-420-JP-1が財団の管理外へと影響を波及させる徴候が確認された場合、即座にSCP-420-JP-2に対して財団所属の船舶を接近させてください。その際、可能であればSCP-420-JP-2の拿捕・収容が推奨されますが、あくまでSCP-420-JP-1の消失を優先してください。   説明: SCP-420-JP-1はSCP-420-JP-2群が発する6種の特定の電磁波が太平洋上で交差する点にて出現する、電磁波によって構成された高速輸送艦モデルと思われる半実体的艦艇です。 SCP-420-JP-1を構成する電磁波はおおよそが電波として分類される低周波のものですが、周波数は常に不定です。しかし、高波動性であるため視認が困難という点と、空間上に常に輪郭を保ち運動的性質を見せるという点は、どのような状態であっても基本的な構造として維持されます。 SCP-420-JP-1は常時不安定量の光子放出を行っており、その干渉によって半径40m圏内の空間を経由する、いかなる無線通信にも影響を及ぼします。それは主として通信の混濁という形で現れますが、この光子が意図的に放出されているものであるならば、理論上は通信の傍受または電子機器へのハッキングも可能であると思われます。   SCP-420-JP-1に対する物理的接触は、接触物がSCP-420-JP-1を構成する同電磁波へと置換され、喪失するという現象を即座に引き起こします。後の実験結果によって、この性質によって電磁波へと置換された物質は電磁波の状態でSCP-420-JP-1内部へと貯蔵され、還元も可能であると判明しています。 しかしながら、SCP-420-JP-1が海上を問題無く航行しているかのような素振りを見せている点から、海水のみはこの性質によって電磁波へと置換されないと推察されました。この推察は実験によって実証されており、海水の噴霧によってSCP-420-JP-1の詳細な輪郭線の炙り出しにも成功しています。   SCP-420-JP-1は、6艘/隻の不明船舶であるSCP-420-JP-2が海洋上の複数点から発信する電波によって構成されていると思われ、これらの電波のいずれかが喪失された場合、消失します。 SCP-420-JP-2は地球上のどの海洋上からでも電波が発信可能であり、電波の発信源の追跡もしくは肉眼での視認以外ではいかなる探知方法でも発見することが出来ません。そのため、SCP-420-JP-2は電波の発信を中断して逃走を開始することで、財団による追跡から逃れています。 しかしSCP-420-JP-2に対する追跡は、電波発信の中断によるSCP-420-JP-1消失の誘引が可能であるため、SCP-420-JP-1が財団の管理外へと影響を及ぼす可能性がある場合の対処法として策定されています。   SCP-420-JP-1は通常であれば、海洋上を8.3〜11.5ノットで1時間ほど航行した後、自然的に消失します。これはSCP-420-JP-2が電波の発信を自ら中断することによる消失であると思われ、出現可能または航行可能な時間の限界は現在でも不明です。   SCP-420-JP-2の確保・収容は現在まで成功していませんが、複数回に渡る追跡によって収集された情報から、以下の6艘/隻がSCP-420-JP-2実体であると思われます。 分類名 外観 出現傾向 備考 SCP-420-JP-2a 船体に計31本の銛が突き刺さったトロール船 インド洋、特に赤道以南東経45度以東に頻出 一部装甲の腐食痕から、掃海艇として徴用された元トロール漁船と思われる。船籍記録無し。逃走時、高速で自己の腐食を進行させ自己分解するとの異常性を発露させるが、特徴の一致から、全SCP-420-JP-2aは同一の船舶であると思われる SCP-420-JP-2b 鉄道車両用と思われるディーゼルエンジンを後部に搭載したプレジャーボート 北極海全域に頻出 静止状態から1.3秒で推定170ノットまで加速した例が報告されている。損傷や凍結が見られない事から、物理的影響を部分的に遮断している可能性有 SCP-420-JP-2c PLH-01「そうや」に類似した巡視船。艦橋が完全に取り払われ、代わりに巨大なアンテナが甲板の一部を突き破って立っているが、常時傾いている 傾向無し 一時的な拿捕に成功した唯一の船舶。直後、船籍不明艦2隻の出現と攻撃により喪失された。それ以降、肉眼で視認された報告例無し SCP-420-JP-2d 一人乗り用と思われる無人のスワンボート 南大西洋全域から南極海の一部に頻出 高度な潜行能力を有する。魚雷発射、機雷撒布によって財団所属船舶に対し積極的に危害を加える唯一のSCP-420-JP-2個体。武装の格納方法は不明 SCP-420-JP-2e 構造不明の小型潜水艦 北大西洋全域から西経90度線以東に頻出 非常に高い水準の水中速力と潜行能力を継続的に発揮し続ける。SCP-568-JPの放送内容との合致から、関連性が指摘されているが、同時出現が確認されたことで、同一の異常存在では無いと結論付けられた SCP-420-JP-2f 不明 チャレンジャー海淵最深部 追跡によっても電波の発信を中断しない唯一の個体。発信中、発信源地点への到達には3度成功しているが、関連性のある異常物の発見はされておらず、存在の確定には至っていない   付記: SCP-420-JP関連実験記録 SCP-420-JP-1の性質について、複数の実験が実行されています。以下はその一部記録です。   実験記録420-03 - 日付████/██/██ 対象: SCP-420-JP-1 実施方法: 実験用ラットによる接触 結果: 実験用ラットは即座に電磁波に置換され消失 分析: 生体であっても電磁波へと置換される例として記録 実験記録420-05 - 日付████/██/██ 対象: SCP-420-JP-1 実施方法: D-420-01による接触 結果: D-420-01は即座に電磁波に置換され消失 分析: 携帯させた特定周波数の電磁波発生装置も置換されたが、SCP-420-JP-1を構成する電磁波に影響は無し。しかし置換後、特定電磁波がSCP-420-JP-1内部から検出された。 追記: 実験より78日後、SCP-420-JP-1の再度出現時にD-420-01の生還を確認。D-420-01は救命ボートに乗った状態でSCP-420-JP-1内部より突如出現した。救命ボートにはD-420-01の他に、籠に入った実験用ラット一匹と一枚のメモ用紙が積載されていた。D-420-01は行方不明になっていた期間の記憶を喪失していた。 メモ用紙に書かれていた文章: キヲ ツケタマエ 実験記録420-11 - 日付████/██/██ 対象: SCP-420-JP-1 実施方法: SCP-420-JP-1に対する海水の噴霧 結果: SCP-420-JP-1全体へ大規模な海水の噴霧を行うことで、SCP-420-JP-1の輪郭の把握に成功。また、海水はSCP-420-JP-1によって電磁波へと置換されない物質である点が立証された。 分析: SCP-420-JP-1は明確に"船"であると思われる。また、海水は接触によって電磁波へと置換されない事から、光子半態化リキッド・スーツを用いた内部探査が実現する可能性が考えられる。   補遺: SCP-420-JP-1探査記録 特定異常存在の収容目的に開発された光子半態化リキッド・スーツによって、着用者の体表に40cm厚の弾性海水を定着させることでSCP-420-JP-1の内部探査が可能であるとの知見に基づき、Dクラス職員を用いた実験が実行されました。 探査記録420-01 概要: D-420-01に光子半態化リキッド・スーツを着用させた上で、展開された弾性海水層より内側の空気層内に空気を供給させるためのボンベを背負わせた状態で行動させる。光子により半液状となっている弾性海水は、D-420-01の確実な保護のため40cmの厚さで展開されるよう設定。 そのため、精密な動作は困難であると考えられていたが、探査スーツ用の改良の結果、部分的に弾性海水層の形状を、予め設定していたプログラム通りに変形・操作することが可能となる機能が追加された。これによって、弾性海水によって両腕を形成し操作することが可能となり、D-420-01には専用の訓練を施した上で、これを装着しての探査の実行が決定された。 無線によるリアルタイムでの相互連絡はSCP-420-JP-1による電磁波の影響から困難であるため、光子半態化リキッド・スーツに取り付けられた録音装置とカメラを用いてD-420-01に逐一状況を録音・録画させ、回収することが探査任務の概略であるとされた。そのため、D-420-01の「確実な生還」が第一目標であると、D-420-01本人に強く認識させた上での任務であることに留意。 記録は、ドローンによるD-420-01のSCP-420-JP-01への到達から開始。 <記録開始> [水音] D-420-01: ホントに変な感じだ、このスーツ。ゼリーを着てるみたいだ。衝撃も殆ど感じない。すごいもんだ。この船ほどじゃないが。 SCP-420-JP-1による電磁波の影響領域外から監視を行っている情報収集艦「はかぜ」によると、D-420-01はこのとき甲板前部に確かに"立っていた"とのこと D-420-01: 本当に透明な船に立っているみたいだ。これに直に触れば、俺は消えちまうらしい。さっさと始めることにする。 D-420-01に取り付けられたカメラは、弾性海水層越しに状況を撮影しているため映像が不鮮明であるが、D-420-01が下を向いてゆっくりと探るようにして歩を進め始めた様子をかろうじて映している D-420-01: 終始手探り足探りで進むのはキツいな。海が船の形に凹んでるのは見えても、やっぱり透明なものの上を歩くのは── D-420-01の移動が停止する D-420-01: 今なにかにぶつかった。壁、みたいなものだ。腕で探ってみる。 弾性海水層の一部で右腕部を形成し、それを右前方へと伸ばす。形成された右腕部は壁に押し付けられたかのように直ぐさま変形し、D-420-01は潰れたままの右腕部で、不可視の壁をなでるように探り始める。そして約38秒後、壁をなぞっていた右腕部の先端が、腰程度の高さの所でこれまでと異なる形状に変形する D-420-01: 何かあるようだ。ドアノブ、みたいな感じだ。試しに回してみる。 [軽い金属音] [金属が微かに軋むような音] D-420-01: どうやら、開いたらしい。電磁波なのに、なんで普通のドアを開けたみたいな音がするのか訳が分からないが、さて、どうしようか。 [雑音] D-420-01: [11秒沈黙] 聞こえたか? 俺もよくは聞こえなかったが、何か、言葉みたいなのが聞こえた。この先からだ。 [雑音] D-420-01: これ、やばいんじゃないのか? 無線機越しの声とかじゃない、生の人間の声だ。誰か中にいるんじゃないのか? [二重の雑音] この時点から、雑音が徐々にD-420-01へと接近し始める D-420-01: いや、これ、やばい、逃げる。 D-420-01が慌てて逃げ始める。カメラが大きく揺れ、不鮮明ながらノイズを画面に表し始める [轟音] D-420-01: やばい、なんかマジでやばい。やばい。 [轟音] D-420-01: うわっ! 大きく揺れ続ける映像の中で僅かに2フレームのみ、人間の形をしたノイズがD-420-01の腕を正面から掴んでいるかのような映像が映る。この時のことをD-420-01は後に「何か見えた訳ではないが、誰かに腕を掴まれたような感触がした」と証言した [轟音] [閃光] [汽笛の音] [雑音] SCP-420-JP-1が消失。D-420-01は凹んでいた海面が元に戻ろうとする噴き上がりに巻き込まれるも、弾性海水層による緩衝効果で無事だった。27秒後には、探査の終了が宣言されD-420-01は回収された <記録終了> 終了報告書: 今回記録された雑音、轟音、閃光、汽笛のような音は全て外部からは観察も記録もされませんでした。光子半態化リキッド・スーツの実用性は証明されたと考えられるため、次回は機動部隊による探査を実行し、より詳細なデータを収集する必要があります。また、回収されたD-420-01の左腕部には、以下のメッセージがタイプされたメモ用紙が括り付けられていました。 メモ用紙の内容: ただの実験 だ 正否 祈る べし デンジ   光子半態化リキッド・スーツ装備の訓練を受けた機動部隊が、次回のSCP-420-JP-1の出現時に備えて待機中です。
scp-421-jp
評価: +94+–x アイテム番号: SCP-421-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-421-JPが発生する区間は常に「道路工事」系のカバーストーリーにより一般人の侵入を禁止しています。現場には最低3人の作業員を扮した職員が、特定の時間帯に20分交代で作業を行いつつSCP-421-JPの調査を行っています。週に1か月には現場監督の視察を称した作業が行われます。不信感を与えないよう半年に1回、周辺住人には記憶処理が施されます。 SCP-421-JPの実験を行う際は、レベル3以上の職員の許可を得て下さい。実験終了後、SCP-421-JPの症状を発生した対象者に精神鑑定が義務つけられています。 説明: SCP-421-JPは███県にある特定の道路で発生する認識災害です。SCP-421-JPが発症した被害者に特徴はなく約51%の確率で発症することだけは判明しています。SCP-421-JPを発症した被害者は、自分自身を見下ろしたような視点を得ます。この視点は360度、様々な角度から自身の意思で動かす事が可能です。360度の視野は正確なものであると実験により実証されています。さらに視点の最大10cmまでの接近と最大1mまでの離反が可能です。ただし、この視点は自分自身を中心としている為、自分自身を除いた視点移動は不可能です。 SCP-421-JPを発症して30分以内に発症エリアから脱出しなければ、常にSCP-421-JPを発症した状態へ変化していきます。被害者は段々と元から自分自身を見下ろした視点であると認識する永続発症者となります。永続発症者も自身の意思による視点移動が可能です。他人に視点の異常を指摘されると平衡感覚に障害が発生し、通常の歩行や方向認識が不可能になります。この状態まで悪化した被害者は記憶処理を行っても、影響を除去する事はできません。ただし、指摘された事により発生した障害に関しては記憶処理によって治癒が可能です。 SCP-421-JPによる視点移動で自身の顔を認識してしまった場合、被害者は強烈な違和感もしくは恐怖心を抱きます。これは発症の進行度によって異なり、初期段階では1週間の精神治療により回復しますが、永続発症者の場合は[編集済み]などといった障害が発生し回復の兆しはありません。 SCP-421-JPに関するインタビューログ 隠す 対象: 30代男性。 インタビュアー: エージェント那域 付記: 20██年にSCP-421-JPの体験談が話題となり、財団に注意をひくことになりました。その際、周辺住民のインタビューを行いました。 <録音開始> エージェント那域: あそこで最近、若い奴らがたむろっているのは知っている? 男性: あぁ、夜中も騒がしくて眠れないよ。あんた、生活安全課の人か?だったらどうにかしてくれ。 エージェント那域: それ以前にあれだ。あそこで、なんかなかった? 男性: なにかって エージェント那域: たとえば事件があったとか。 男性: むしろ、最近交通整備されたおかげもあってか子供が飛び出したりしなくなったよ。 エージェント那域: うーん。そうじゃなくって、あそこに居ると変な気分になるとか。 男性: 変? エージェント那域: そう、自分自身を見下ろしている錯覚を覚えたとか。そういう体験をした的な。 男性: [無言] エージェント那域: 噂でもいいんだけど。 男性: い、いや。ちょっと待ってくれ。 [男性が倒れる] エージェント那域: ん?どうした? 男性: ちょ、ちょっと・・・その、あれ?どっちだ?どっちに振り向くんだっけ?? エージェント那域: いやいや、おかしいよ。あんた。 男性: お、おかしくないだろ!?普通だろ!?錯覚って何の話だ! エージェント那域: 色々おかしいけど、少し落ち着いてくれよ。 男性: お前だって自分の後頭部が見えるだろ!? エージェント那域: は? 男性: 振り向かないで右側だって見られ・・・あ、あれ。そもそもお前、どこにいる?右側だったか?えっと、右に振り向く為には・・・体はええと・・・ エージェント那域: あぁ、とにかくインタビューは終わらせよう。 <録音終了> 報告終了書: 男性は永続発症者であると判明しました。平行感覚障害は記憶処理によって治癒されています。 20██/██/██: SCP-421-JPをフィールドワーク等に活用すべきか審議が行われています。問題点は、SCP-421-JPの症状で自身を見てしまった場合の対処が非常に困難である点です。それらに対処する為には長期のコントロール訓練を行わなければなりません。現在、Dクラス職員を用いた仮訓練が行われています。SCP-421-JPの活用方針はこれらの結果次第となります。-05-██ メモ: SCP-421-JPの症状を負った人間に「今あんたを見ているのは誰だ?」と聞けば、皆「私が見ている」と答える。しかし、SCP-421-JPの症状で自分を見た人間は皆「私じゃない。私が見ているんじゃない」と叫んだ。彼らからそれ以上の供述を聞く事は出来なかった。誰が「私」を見ているのか、未だ解明されていない。-エージェント那域
scp-422-jp
評価: +135+–x 収容作戦前のSCP-422-JP-1。 アイテム番号: SCP-422-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-422-JP-1の周辺地域(エリア-8141に指定)にある建造物は全て財団の管理下にあり、SCP-422-JP-1はその四方を建造物の壁面によって封鎖されているため通常の通行は不可能になっています。また建造物の一部は財団フロント企業によって店舗として利用されていますが、SCP-422-JPの不意の発生を防ぐため全ての店舗で酒類の提供は禁止されています。SCP-422-JP-1上にはSCP-422-JPの自発的出現に備えマイクが設置されており、発声を感知した際は直ちに研究担当職員がSCP-422-JPに対しインタビューを行い出現目的を確認してください。発声を感知していない状態で収容施設からSCP-422-JP-1へ進入しインタビューを行う際は、研究担当職員2名以上の許可を得てから進入してください。 説明: SCP-422-JPは東京都██区にある1本の直線道路(以下、SCP-422-JP-1)で出現する、人間のものと思われる声です。この声の主は現在まで発見されていませんが、声質やインタビューでの応答などから6~70代の泥酔した男性の声であると推測されています。 SCP-422-JPはおよそ午後11時から午前2時の間、SCP-422-JP-1上に出現します。SCP-422-JPの発生源となる実体は発見できないものの、観測される声の大きさが聞き手の移動に応じて変化するため、SCP-422-JP-1上のいずれかの地点あるいは空間がSCP-422-JPの発生源になっていると考えられています。またSCP-422-JP-1外でのSCP-422-JPの発生は確認されておらず、SCP-422-JP-1と他の道路の接続部分がSCP-422-JPの出現範囲の終端になっていると推測されています。 SCP-422-JPは常に周辺人物あるいは周辺店舗に対し罵声を放ちます。意思疎通を図ることも可能ですが、その思考能力及び態度は泥酔した男性のものとほぼ同等であるため困難を極めます。またSCP-422-JPの周辺人物への罵声は非常に攻撃的なものである一方、実際に物理的攻撃が確認されたことは現在までありません。 SCP-422-JPは200█/██/██、警察官数名から「『酔っぱらいが外で騒いでいるので止めてほしい』との通報が入り該当人物を通報地点(後のSCP-422-JP-1)において捜索したものの、声が聞こえるのみで発見できなかった」という報告がなされたことをきっかけに、警察に扮したエージェント・██が調査に入った結果その存在が確認されました。SCP-422-JP-1に面する土地については一般に「飲み屋」と称される酒類の提供を中心とした個人経営の飲食店群が占有していることから、SCP-422-JPと同様に騒ぐ泥酔男性の存在は「よくあること」であったと周辺店舗経営者へのインタビューで判明しています。そのためSCP-422-JPが出現し始めた時期は未だ不明のままです。 インタビュー001 - 日付200█/██/██ 対象: SCP-422-JP インタビュアー: エージェント・██ <録音開始, 200█/██/██> エージェント・██: えー声について確認しましたが現場にそれらしき実体なし。現場を離れると声が小さくなるため、不可視の実体などにより声が発せられている可能性があります。 SCP-422-JP: [通りすがりの人物に対し]おいてめえ!喧嘩売ってんのかこの野郎! エージェント・██: 声は60代以上の泥酔した男性のような感じですね。これより声の発生源と思われる場所に接近し意思疎通を試みます。 SCP-422-JP: 何だてめえこの野郎!警察かてめえ! エージェント・██: あー……お父さんお父さん、周りのお店から騒いでる人がいるって苦情来てるのよ。ちょっとお話聞きたいんだけど静かにしてもらえるかな? SCP-422-JP: うるせえてめえ!警察はすっこんでろこの[呂律の回っていない罵倒]! エージェント・██: まあまあ落ち着いて、ね?一体どうしたの? SCP-422-JP: 関係ねえっつってんだろこの野郎!とっとと帰りやがれこの[呂律の回っていない罵倒]! エージェント・██: うーん……さっきちょっと聞いてたけどお店とか通りすがりの人に声掛けてるみたいじゃない。何かあったの? SCP-422-JP: あの[罵倒]みてえな店から出てくる[罵倒]が俺に[呂律が回っていないため判別不能]! [以降SCP-422-JPは意味不明な罵倒を繰り返す。] <録音終了, 200█/██/██> 結果: 午前2時になった段階で徐々にSCP-422-JPの声量が小さくなり、1分後にはSCP-422-JPが途絶えていた。また周辺にSCP-422-JP以外の特筆すべき異常性は確認されなかった。 分析: 何を言いたいのか殆どわからなかったが、周辺の店舗や客に何らかの恨みを持っている可能性があることは判明した。といっても酔っぱらいの言ってることなのでただの言いがかりなのかもしれないが…… —エージェント・██ 追記: 200█/██、カバーストーリー「再開発事業」を流布した後、SCP-422-JPの収容作戦が実施されました。作戦内容はSCP-422-JP-1を他の道路と切り離し通常のオフィスビルや店舗に偽装した収容施設で完全に包囲するというもので、作戦開始前後でSCP-422-JP-1周辺の飲食店の多くが経営困難により休業し始めた1ため土地買収は円滑に進みました。しかし一方でほぼ同時期にSCP-422-JPの発生頻度が急激に減少し始めたため、緊急に調査が行われました。 + 音声記録 - インタビュー004 - 音声記録 - インタビュー004 インタビュー004 - 日付200█/██/██ 対象: SCP-422-JP インタビュアー: エージェント・██ <録音開始, 200█/██/██> エージェント・██: おーいSCP-422-JP、いるかー。 SCP-422-JP: ……警察の兄ちゃんか。何の用だ。 エージェント・██: お、呼べば応えてくれたのか。最近どうしたかと思ってね。 SCP-422-JP: 俺は別に変わってねえけど……そういや最近この辺作業着着たのがよく通るな。兄ちゃん何か知ってっか? エージェント・██: ああ、何でもこの通り沿いにビルを建てるみたいだけど。 SCP-422-JP: ここに?へぇー、こんなほっそい道によく建てるな。通り沿いったってどこに建てんだい。 エージェント・██: 通り一面に大きなビルが隣接するんだってさ。だからこの辺りの人も立ち退き始めてるよ。 SCP-422-JP: ん?じゃあこの通りの飲み屋は全部ぶっ潰れんだな。やった、こんな嬉しいことないぜ。 エージェント・██: 嬉しいのか……というか今日は酔っ払ってないみたいだね?初めてまともに喋れた気がするよ。 SCP-422-JP: そうだっけか?まあ今日は馬鹿が俺に酒をゲーゲーぶっかけたりしてないからな。 エージェント・██: ……なるほどね。しかし酔っ払ってないと大分静かになるんだ。 SCP-422-JP: あったりまえよ。俺だって別に好きで騒いでたわけじゃねえんだ。これでやっと静かに過ごせるってもんよ。 <録音終了, 200█/██/██> この緊急調査の後に周辺建造物建設のため2年間工事が行われましたが、その間SCP-422-JPが出現したのは財団職員がインタビューを行った時のみであり、またインタビューにおいても「寝てたんだからあまり起こさないでくれ」、「別に騒ぎたくて騒いでいたわけじゃない」、「飲み屋が潰れたからもう騒いだりしない」といった旨の発言を繰り返していました。インタビュー内容から推測するとSCP-422-JPはSCP-422-JP-1の声であり、周辺の飲食店で泥酔した客がSCP-422-JP-1に対し毎晩嘔吐することへの怒りを表明していたものの、吐瀉物に含まれていたアルコール分の影響で泥酔していた、ということが異常性の全容であったと考えられています。ただしSCP-422-JP-1は調査の結果一般的なアスファルト舗装道路と同等であり発声器官やアルコール吸収・分解器官などは確認されていないため、吐瀉を感知しアルコールの影響を受けた状態で発声するという生体に近いプロセスをSCP-422-JPがどのように実行しているかは未だ不明であり、上記の説がSCP-422-JPの内観に基づくものであるという点に注意してください。 現在、周辺建造物建設は完了しSCP-422-JP-1は完全に包囲されていますが、SCP-422-JPの自発的な再出現は未だ確認されていません。10年以上の自発的再出現が確認されていないため現状の収容環境は過剰であると判断し、エリア-8141における収容施設部分の縮小と財団フロント企業への一部貸出が申請されています。 20██/██/██、申請は許可されました。— ██████ Footnotes 1. この休業とSCP-422-JPとの因果関係は不明です。また経営困難について財団及び財団フロント企業の関与は否定されています。
scp-423-jp
評価: +51+–x 非活性状態のSCP-423-JP。 伸長期末期のSCP-423-JP。上端部の発達が始まっているのをはっきりと確認できる。 開花期のSCP-423-JP。 アイテム番号: SCP-423-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-423-JPの全個体はサイト-8173の収容室に収容されます。収容室内の気温は常に-0.31℃以下に保たれていなければなりません。SCP-423-JPに関する全ての実験は、サイト管理者の許可を得た上で、断熱材と防弾用の補強材が備え付けられた実験室内で行われなければなりません。SCP-423-JPを実験室に運搬する際には、必ず実体を冷凍容器に収容した状態で運搬し、SCP-423-JPの活性化を防止してください。また、人の体熱による活性化を防ぐため、SCP-423-JPの容器からの出し入れは、必ず専用の装備を身につけた職員が行うようにしてください。 説明: SCP-423-JPは、非活性状態では直径1cm程度の大きさの球状の結晶で、二酸化ケイ素、水、[編集済]から構成されています。検証によって通常の水と同一の構成原子・構造を持つことが示されるにも関わらず、SCP-423-JPを構成する水は異常な振る舞いを見せ、少なくとも███℃の高熱の環境下でも固体の状態を保ちます。また、SCP-423-JPは非活性状態・伸長期・開花期のいずれにおいても高い自己再生能力を有しています。上記の再生能力、水の振る舞い、及びその特殊な結晶構造を除き、非活性状態のSCP-423-JPは特に異常性を示しません。 SCP-423-JPは-0.31℃以上の環境に晒された際に活性化し、伸長期へと移行します。伸長期に移行したSCP-423-JPは隣接する物体に完全に定着1し、鉛直上方向に向かって1時間あたり約3.5cmずつ伸長していくようになります。この伸長に従って、SCP-423-JP周囲の気温は徐々に低下していきます。この気温の低下速度はSCP-423-JPの個体数に依存しており、個体数が多いほど気温の低下も速くなることが明らかになっています。加えて、SCP-423-JPは██℃以上の環境に晒されたとき、その伸長の速度を飛躍的に増加させることが確認されています(実験記録423-JP-03を参照)。なお、一度SCP-423-JPが活性化すると、周囲の気温が-███℃を下回るまでこの伸長が停止することはありません。周囲の気温が-███℃を下回った場合SCP-423-JPの伸長は一時的に停止しますが、その場合でも気温が-███℃を上回ると直ちに伸長を再開します(実験記録423-JP-02を参照)。 SCP-423-JPは体高が██.█cmに達した時点で鉛直方向への伸長を停止し、開花期へと移行します。この状態に移行する際、SCP-423-JPは自身の上端部分を急速に発達させ、植物の花と外見的に類似する器官2を生成します。開花期に移行してから█時間が経過すると、SCP-423-JPは自身の茎に当たる部分の一部を球状に膨張させます。膨張した部分はやがて1~3体の非活性状態のSCP-423-JPに変化して母体から切り離され、時速約██~███kmで無作為な方向へ射出されます。その時点で母体となった個体は一切の異常性を喪失します。 + 実験記録423-JPを表示 - 非表示 実験記録423-JP-01 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-423-JP-140 実施方法: 対象の上方に厚さ3 mmの鉄板を設置し、その後対象を活性化させる。 結果: 成長の過程で、対象は鉄板を貫通した。その後対象は正常に開花期へと移行し、新たに2つのSCP-423-JP個体を生成。新たに生成された個体はSCP-423-JP-███及びSCP-423-JP-███と分類された。 分析: 見たところ、SCP-423-JPには成長の妨げとなる物質を押しのける力があるようだ。 - ██博士 実験記録423-JP-02 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-423-JP-36 実施方法: 対象を活性化させた後、空調を用いて室内を人為的に冷却させる。 結果: 室温が-███℃を下回った時点で対象は伸長を停止した。その後室温を-███℃以上まで上昇させると、対象は伸長を再開した。 分析: 絶対零度になるまで伸長を続けるかと思ったが、どうやら成長できる気温には下限があるらしい。これが能力的な限界なのか、それとも意図的に設けられたものなのかは分からないが。 - ██博士 実験記録423-JP-03 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-423-JP-70 実施方法: 対象を活性化させた後、空調を用いて室内を人為的に加熱させる。 結果: 室温が██.█℃に達すると、対象の伸長速度が通常の██倍に増加した。SCP-423-JPの個体数が███体を上回った時点で室温は低下し始め、室温が再び██.█℃以下まで低下するとSCP-423-JPの成長速度は通常通りのものに戻った。新たに生成された個体は、それぞれSCP-423-JP-███~████と分類された。 分析: 増えた分のSCP-423-JPを処理する手段が確立されるまで、これ以上の個体数の増加をもたらす実験は凍結します。 - 研究主任███博士 実験記録423-JP-04 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-423-JP-940 実施方法: ハンマーを用いて対象の破砕を試みる。 結果: 対象は極めて硬質であったが、数度の試行の後一部を破損させることに成功した。しかしながら、対象はその後直ちに自己修復を開始し、15秒後に完全な状態へと復元された。 分析: この後の実験の結果、完全に粉々になった状態からでも再生できることが明らかになった。 - ██博士 実験記録423-JP-05 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-423-JP-941 実施方法: 実験用の装置を用いて対象に圧力を加える。 結果: 加えられた圧力が█MPaを越えると、対象を構成する水が融解を始めた。実験終了時点で対象は二酸化ケイ素と[編集済]から成る粉末状の混合物に変化しており、混合物と水の双方の異常性は失われていた。 分析: SCP-423-JPは熱への耐性こそ有しているが、高い圧力に耐えることはできないようだ。 - ██博士 実験記録423-JP-06 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-423-JP-1105、標準的ブタ(Sus scrofa domesticus)1匹 実施方法: 専用の断熱装備を身につけたDクラス職員を用いて、SCP-423-JP-1105をブタに飲み込ませる。 結果: SCP-423-JP-1105はブタの口腔で活性化し、そこに定着した。この際SCP-423-JP-1105は体熱によって爆発的に伸長を加速させ、ブタの体組織を著しく破壊した。その後開花期に移行したSCP-423-JP-1105は新たに3体のSCP-423-JPを射出し、そのうち1体はDクラス職員に衝突して体内に侵入した。この時得られた反応はブタの口腔内におけるものと同様であった。 分析: SCP-423-JPは生物体内であっても問題なく伸長できることが確認された。SCP-423-JPが新たに生まれた個体を射出するのは、植物にたとえるなら“種子”をより広範に拡散させるためだろうと推測される。しかし射出速度があまりにも早いため、生物を殺傷するのに十分な運動エネルギーを伴っている。 - ██博士      + 補遺423-JP-Mを表示 -非表示 補遺423-JP-M: SCP-423-JPは20██/██/██、鹿児島県███島3の日本生類創研のものと思われる放棄された研究施設内、及びその周辺で発見されました。発見当時SCP-423-JPは島内全域に存在しており、島の気温は-██℃程度に保たれていました。また最も多くのSCP-423-JPが発見された研究室からは、██体のSCP-423-JPと共に著しく損壊した█人の男性の死体が発見されました。研究室の壁の一部にはSCP-423-JPよって開けられたと思われる穴が複数存在し、壁を貫通したSCP-423-JPが島内全域へと拡散したと推定されています。また、同室内からは日記と思われる複数の文書が発見されています。付着した血痕やSCP-423-JP個体の定着による劣化のため、これらの文書の大部分は判読が困難な状態でしたが、財団はそれらのうちの一部を復元することに成功しました。以下にその内容を記載します。 20██/██/██ 地球温暖化への対処策として開発されたI-014-N3であるが、熱の吸収効率と拡散力が思いの外低く、現状では有効打にならないと言わざるを得まい。私が吸熱効率の改良は困難だと言うと、上の連中はこれ以上の研究は時間の無駄だなどと抜かしてきた。馬鹿馬鹿しい、質の悪さは量で補えば良いのだ。そう言ってやると渋りながらも研究を許可してくれた。 さて改良の方法だが、一定以上の気温環境下における成長プロセスをある程度加速させることによって、個体数そのものの増加を促進させることを思いついた。拡散力の問題については、スミレなどに倣って種子を自発的に飛ばすようにすればいいだろう。発芽に必要な温度条件をもう少し下げてみるというのもいいかもしれない。 早速明日にでも取り掛かるとしよう。     脚注 1. 一度定着したSCP-423-JPは、オブジェクトの破壊以外の手段では除去できないことが明らかになっています。 2. この器官が果たす役割は、今のところ明らかになっていません。 3. 無人島。現在は公の記録から詳細な情報が削除されています。
scp-424-jp
評価: +80+–x SCP-424-JPの一個体。写真の3本のうち、SCP-424-JPは右の1本(青)のみであることに注意。 アイテム番号: SCP-424-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-424-JPは研究用に3体のみを1体ずつ15cm×15cm×80cmの高マンガン鋼製容器に入れ、サイト-8168の収容ロッカーに保管します。各容器にはセンサーを取り付け、活性化の兆候がないか常に監視します。新たに発見された個体はSCP-424-JPの下部から風速30m以上の風を当てて無力化し、全ての骨組みを折った後焼却処分してください。保管しているSCP-424-JPには月に一度、5kg程度の獣肉が餌として与えられます。給餌はロボットを用いて遠隔操作で行い、職員は開いた状態のSCP-424-JPの下に入らないよう注意してください。 説明: SCP-424-JPは一般的なビニール傘に擬態した肉食生物です。SCP-424-JPの骨組みの部分はチタン、カーボンファイバー、スチールなど、一般的な傘に使用されている素材と同じもので構成されていますが、傘布に当たる部分は主にキチン質1で構成されており、厚みは一般的な傘よりも厚く、0.██~0.██mmです。この部分に消化器官や感覚器官があるものと考えられていますが、現在においてその構造は判明していません。 SCP-424-JPの活動サイクルは休眠期と活動期に分けられます。 <休眠期> SCP-424-JPは、人間が傘を置き忘れそうな場所(これまでに発見されたものではコンビニエンスストア████の傘置き、██線の電車内などがあります)に、他の傘と混ざって身を潜めます。この時のSCP-424-JPと通常のビニール傘を判別することは非常に困難です。 <活動期> SCP-424-JPが人間(以下、SCP-424-JP-1と表記)によって持ち去られると、活動期に入ります。SCP-424-JPは通常のビニール傘と同じように機能しますが、SCP-424-JPを差したSCP-424-JP-1が人気のない場所に移動したとき、SCP-424-JPは骨組みをしなやかに曲げ、その先端で首を噛みちぎるようにして、SCP-424-JP-1の頭部を捕食します。切断された頭部はSCP-424-JPの内側で粉砕され、およそ0.█秒で完全に傘布の内部へ取り込まれます。この時、SCP-424-JPが発揮する力は約██kNと推定されています。同時にSCP-424-JPの柄となる部分がSCP-424-JP-1の手に巻き付き、そこから触手を差し込んで脊椎に接続し、SCP-424-JPはSCP-424-JP-1を乗っ取ります。SCP-424-JP-1が捕食される前にSCP-424-JPを置いた場合は再び休眠期に入ります。 捕食し、SCP-424-JP-1を乗っ取ったSCP-424-JPは、傘の色を赤く不透明に変え、首から上を隠すようにして歩きます。この赤い色はSCP-424-JP-1の血液だと推察されます。SCP-424-JP-1は捕食される前と同じように歩きますが、呼びかけなどには反応しません。その後、SCP-424-JP自身を傘立てなどに置かせ、触手を収めて休眠期に入ります。この時、色も透明あるいは半透明に戻ります。捕食されたSCP-424-JP-1はその場から数歩歩いた後に倒れます。 SCP-424-JPは、20██/██/██ごろから連続して発生していた首なし殺人事件を財団が調査した際に発見されました。これまで██体が発見されています。 実験記録424-JP-01 - 日付 20██/██/██ 被験者: D-424-01 実施方法: SCP-424-JPを被験者に差させ、反応を観察する。 結果: 観測から2時間経過しても、捕食する様子は見られなかった。 分析: 誰かに見られているうちは捕食しないようである。 実験記録424-JP-02 - 日付 20██/██/██ 被験者: D-424-01 実施方法: SCP-424-JPを被験者に差させ、反応を観察する。目視での観察は行わず、カメラのみを用いて観察を行う。 結果: 観測から2時間経過しても、捕食する様子は見られなかった。 分析: カメラによる目視も見られているうちに入ると考えられる。 実験記録424-JP-03 - 日付 20██/██/██ 被験者: D-424-01 実施方法: SCP-424-JPを被験者に差させ、反応を観察する。目視での観察は行わず、カメラのみを用いて観察を行う。さらに人工雨を降らせる。 結果: 観測から21分後、SCP-424-JPはD-424-01を捕食。周りを見回すような反応をとった後、元々SCP-424-JPが立てられていた傘立てに自ら戻った。D-424-01は死亡。 分析: 原因は観察方法ではなく雨の有無にあったと判断。以降の実験では目視での観察に戻すこととする。 実験記録424-JP-04 - 日付 20██/██/██ 被験物: 牛肉5kg 実施方法: 牛肉の上に開いた状態のSCP-424-JPを設置し、反応を観察する。さらに人工雨を降らせる。 結果: 観測から56分後、SCP-424-JPは牛肉を捕食。触手を巻き付ける部分がなかったため、直後に休眠期に入りその場に倒れた。 分析: 人間の場合より時間はかかるが、獣肉でも給餌は可能と判断。特別収容プロトコルを改定する。 収容違反記録 - 日付 20██/██/██ 捕食させないまま一ヶ月が経過していたSCP-424-JPの一個体が、休眠期にもかかわらず活性化。強化アクリル容器を破壊してロッカーを脱出しました。SCP-424-JPは自発的に傘を開き、事態の収束にあたった機動部隊員の一人を補食しました。この時、機動部隊は███kNの圧力に耐えるヘルメットを装備していたのにもかかわらず、ヘルメットを粉砕して捕食されたことがわかっています。この直後、SCP-424-JPは偶然にも傘が「裏返った」状態となったため、無力化しました。この事件を受け、特別収容プロトコルが現在のものに改定されました。 Footnotes 1. 直鎖型の含窒素多糖高分子で、ムコ多糖の一種。無脊椎動物の体表を覆うクチクラなどの主成分。
scp-425-jp
評価: +145+–x アイテム番号: SCP-425-JP オブジェクトクラス: Euclid Safe 特別収容プロトコル: SCP-425-JPは標準的な植物収容セルに収容してください。1日に1度収容セルから5.0m離れた位置のコンピュータに特定の文章を入力したテキストファイルをインプットすることで給餌を行ってください。外部の接続が確立されている通信機器にSCP-425-JPを撮影した画像を保存する・SCP-425-JPの根端の端子を接続することは禁じられています。 SCP-425-JPは標準的な生物収容セルに収容してください。収容セルには常に牧草が補充されているようにし、健康状態の保持のため朝と夕に1回ずつ4kgのペレットを給餌することになっています。SCP-425-JPの収容セルは毎日掃除を行い清潔に保たれているようにしてください。SCP-425-JPが以前の能力を示したような痕跡が発見された場合は直ちに担当職員に報告をしてください。 説明: SCP-425-JPは一本の柳(Salix)です。樹齢調査の結果、SCP-425-JPは197█年頃に植林されたものと推測されています。SCP-425-JPは一般的な木々と同様に日光や水、土壌中の養分を利用して生育しますが、この時得られる養分はSCP-425-JPが生存に必要な最低限の量であり、自身を生長させるには後述する能力を用いて養分を吸収する必要があります。また、SCP-425-JPの根端の一部は様々な種類のコンピュータ端子に類似した形状に変化しています。この端子を用いてSCP-425-JPは電子機器に接続することが可能です。全ての端子の表面には「CH-2800:草食い柳」という文字が表記されています。 SCP-425-JPは2█羽からなる日本白色種のウサギ(Oryctolagus cuniculus)の群れです。食物の消化速度が大きく一般的な同種の個体より食事にかける時間が短いことを除き一般的なウサギと差異はありません。以前SCP-425-JPに見られていた特異性は現在のところ確認されていません。 注: 以下の文章は2002/7/22以前のSCP-425-JPの報告書の内容です SCP-425-JPの能力はSCP-425-JPの写された画像が文書に添付された際に現れます。画像が添付された文書内に「きへん」「くさかんむり」等の植物に関係する部首をもつ漢字が存在する場合、その漢字の部首が消失し全く別の漢字に変化します。例えば、文書に「材」という漢字が含まれていた場合、この漢字はSCP-425-JPの影響により「才」という漢字に変化します。この現象は文書がデジタル形式の時のみ発生し、紙媒体の文書では発生しません。また、この現象により変化が生じた文書の内容に沿ってSCP-425-JPによる現実改変が生じます。これは改変後の文書の内容に矛盾がなかったり文章の意味が通じる場合に限られます。文書を改変前の内容に修正することでSCP-425-JPの影響を抹消する試みは失敗しています。SCP-425-JPはこの能力を用いてヤドリギの様に漢字の部首を吸収し自らの生長に必要なエネルギーを得ていると思われます。また、SCP-425-JPは根端の端子を電子機器に接続することでも文書に改変を加えることが出来ますが、画像を添付した際とは異なりその影響は電子機器内の全ての文書に及びます。 + クリックすることで実験記録を表示します。 - 隠す。 実験記録SCP-425-JP-い - 日付19██/██/██ 対象: SCP-425-JP、「草を食べるその牛」という文章の入力された文書、一般的な牛(Bos taurus) 実施方法: 牛をサイト-81██内の実験場に配置しSCP-425-JPを撮影した画像を文書に添付して牛に見られる変化を確認する。 結果: 文書内の文章は3分後に「早を食べるその牛」に変化。その後、実験室内にいた財団職員数名が時差ぼけの症状によく似た疲労感を訴えました。このことと文書の内容から、牛はSCP-425-JPの作用により自身の半径10m内の生物の内因性リズムを吸収する能力を獲得したものと思われます。実験に利用された牛は処分されました。 分析:ある程度文章の意味が通ればSCP-425-JPの現実改変能力は発動するらしい。更なる規則性の発見のため追加の実験を実施したい。-██博士 SCP-425-JPに関する更なる実験の実施を承認する。-サイト-81██管理者 ███ ████ 実験記録SCP-425-JP-ろ - 日付19██/██/██ 対象: SCP-425-JP、それぞれ「草を食べるその牛」「苦い食べ物をD-41567に食べさせた」という文章の入力された文書2個、一般的な牛(Bos taurus)、D-41567 実施方法: 牛とD-41567を実験場に配置しSCP-425-JPを撮影した画像を文章に添付して牛とD-41567に見られる変化を確認する。 結果: 文書内の文章は6分後に「早を食べるその牛」「古い食べ物をD-41567に食べさせた」に変化。牛は前回と同様の変化を示しました。実験に利用された牛は処分されました。また、画像の添付後、D-41567が実験の担当職員に激しい腹痛を訴えました。実験の終了後、D-41567の身体検査を実施した結果、体内から消費期限を著しく過ぎた[編集済み]が検出されました。実験の終了後、D-41567は医務室へ搬送されました。 分析:画像が添付されていればSCP-425-JPは同時に複数の文書の漢字を変化させることができるようだ。インターネットで画像が拡散されれば甚大な被害が及ぶことは想像に難くないな。-██博士 実験記録SCP-425-JP-ほ - 日付20██/██/██ 対象: SCP-425-JP、それぞれ「草を食べる牛」「あそこのリンゴの苗」という文章の入力された文書2個、一般的な牛(Bos taurus)、一般的なリンゴ(Malus domestica)の苗 実施方法: 牛とリンゴの苗を実験場に配置しSCP-425-JPの根端の端子を2個の文書を保存したコンピュータに接続し牛と苗に見られる変化を確認する。 結果: 文書内の文章は3分後に「早を食べるその牛」「あそこのリンゴの田」に変化。牛は前回と同様の変化を示しました。実験に利用された牛は処分されました。また、文書の改変後、実験室内のリンゴの苗は消失し代わりに実験室に2m×2mの田園が出現しました。調査の結果、田園の内部から約20個のリンゴが発見されました。採取されたリンゴの実は一般的なリンゴの実と同等のものでした。実験終了後、実験室内の田園は除去され採取されたリンゴは全て焼却処分されました。 分析:SCP-425-JPは根端にある端子を用いた方が速く文書の改変を行えることが判明した。また、コンピュータ内の全ての文書がSCP-425-JPの作用を受けたことから、端子を用いた文書の改変は電子機器内の全ての文書に及ぶ可能性が極めて高い。-██博士 付録SCP-425-JP-A:一連の実験の後、SCP-425-JPの全長や枯死量が著しく増大したことから、SCP-425-JPが改変した文章内の漢字の部首を吸収する際、何らかの過程を経て生長に利用されるエネルギーの大部分を部首から得ていることが推測されます。これを踏まえ、現在SCP-425-JPの特別収容プロトコルの変更が議論されています。 20██/██/██更新:前述した性質に加えSCP-425-JPが土壌からあまり効率的に養分を吸収できないこともあり、SCP-425-JPに対する特別収容プロトコルが変更されました。担当職員は特別収容プロトコルを参照してください。 SCP-425-JPは1998/8/17に██県で起きた山中の木々の一部が一晩で消失した事件の調査の過程で財団に存在が確認され数日後に収容されました。財団エージェントによる現地調査により、同月15日に███県在住の30代の成人男性がSCP-425-JPと接触した可能性があることが判明しました。男性は██県███市を旅行で訪れた際SCP-425-JPを撮影し後日友人に電子メールを用いてメッセージと共に写真を送付したと証言しています。調査の後、写真と共に電子メールは削除され関係者にはクラスB記憶処理を施しカバーストーリーとして土砂崩れが拡散されました。 補遺1: 2002/7/22に起きた台風█号のサイト-81██への直撃とそれに伴う一部の施設の一時的な停電の際、SCP-425-JPが自身の根を伸ばし根端の端子を給餌用のコンピュータと収容セルから1██m離れた財団ネットワーク接続済みのコンピュータに接続しました。この際、収容セルは根の圧迫により1█tもの力を加えられ破損していました。SCP-425-JPは施設の予備電源の切り替えのため担当職員が収容セル付近を一時的に離れた際に収容違反を起こしたと推測されます。接続の直後に警備職員が収容違反を発見したことで影響が拡大することはありませんでしたが、職員がコンピュータから根を引き抜いた時点でSCP-425-JPはコンピュータ内に保存されていた当報告書を含む3個の文書を"捕食"していました。幸い報告書や文書の根幹部が影響を受けることはありませんでしたが、この事件により当報告書中の「草食い柳」という文章が「早食い卯」という文章に変更されました。 SCP-425-JPがこれほどの力と餌に対する執念を持っているのは想定外でした。今後のSCP-425-JPの動向に注意してください。-██博士 補遺2: 2002/7/22以降SCP-425-JPは急速な老朽化が進行し、2002/7/24に倒木しました。この数分後、SCP-425-JPの表面を突き破るように2█羽の日本白毛種のウサギが出現しました。これらのウサギの出現に伴いSCP-425-JPの体積は減少していき、最終的にSCP-425-JPは消失しました。この時出現したウサギの総重量はSCP-425-JPの推定重量に一致しています。これらのウサギがSCP-425-JPと同じ能力を保有している可能性を考慮し、財団は全ての個体を新たにSCP-425-JPに指定し収容することを決定しました。
scp-426-jp
評価: +56+–x アイテム番号: SCP-426-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-426-JP-1は現在オブジェクト収容ロッカーに15本が収容されています。未回収のSCP-426-JP-1確保のため、「不良商品の回収」としてフロント企業がリコールを行い回収します。新たに発見されたSCP-426-JP-1は必要量以外は無力化処理をしてから破棄されます。 SCP-426-JP-2群は北極圏の氷床下の、外部からの観測が困難な位置に存在していると考えられます。新たなSCP-426-JP-2が発見された場合、SCP-426-JP-2内に水を注入して空洞部を満たし、内部への物体の転移を防いで下さい。 発見されたSCP-426-JP-Aは確保し、インタビューの後にプロトコル-426-JPを実行します。このプロトコルにより得られた人物は、記憶処理後の経過観察に問題がなければ解放してください。 説明: SCP-426-JPは二つの構成要素からなるオブジェクトです。 SCP-426-JP-1は異常性をもつ製菓用リキュールです。「Mermaid's Sweet Magic 」と印刷された紙製ラベルの貼られた、内容量125mlのガラス製容器に封入されています。ラベルの印字はすべて英語で、原材料としてラム酒、サクランボ、桃、[編集済み]、"純粋な恋心"が記載されています。SCP-426-JP-1は19██年に製造が終了した██████社製の同名の製菓用リキュールに外観、原材料などが酷似していますが、その製造日はいずれも1970年台以降のものになっています。 SCP-426-JP-2は北極圏の氷床の内部に形成された、複数の人型の空洞です1。SCP-426-JP-2は氷床内のランダムな場所に不定期に形成されます。 SCP-426-JP-1を摂取したヒト2(以下「対象」とする)は睡眠中のランダムなタイミングでSCP-426-JP-2の一つに転移します3。その後対象は空気と同様の成分で構成された気体を含む、弱い粘性のある液体に即時に置換されます4。この液体はSCP-426-JP-2の内壁を全て覆うように広がり、十数分後にはSCP-426-JP-2と同様の形をとった、中が空洞の人型存在(SCP-426-JP-A)となります。なお、SCP-426-JP-Aの外見は全て同一であり、20代で青眼金髪のコーカソイド女性の様に見えます。SCP-426-JP-Aは完成すると転移前の場所へ再び眠った状態で転移します。 起床後のSCP-426-JP-Aは対象の記憶を有していますが、同時に自身はマーシー・マーリン( Mercy Marlin)という女性であり、19██年に生じた客船事故で既に死亡しているという認識を有しています。多くの場合起床直後のSCP-426-JP-Aは混乱を示しますが5、最終的にいずれの個体も他者との性交渉を試みます。 SCP-426-JP-Aは他者との性行為を行った場合、就寝後に再びSCP-426-JP-2へと転移します。この後、個体形成時と同様の過程を経てSCP-426-JP-AからSCP-426-JPを摂取する前の対象と同様の個体が形成されます。6対象は転移前の箇所に再び睡眠状態で転移します。対象はSCP-426-JP-Aとなっていた際の記憶を不鮮明ながら有していますが、それ以外の異常性は存在しません。 以下の記録はSCP-426-JP-Aに行われたインタビューの一部です。 記録を開く 閉じる 対象: SCP-426-JP-A-3(以下「A-3」とする)。元はD-36552(男性)。 インタビュアー: ブライアン博士(以下「博士」とする) <録音開始> 博士: それではインタビューを開始します。 A-3: よろしくお願いします。 博士: それではまず自己紹介してください。 A-3: ええと、███7 、いまはD-36552、いや、マーシー・マーリン? 博士: 自分が誰かわからないですか? A-3: なんというか、自分は███だという自覚はあるんですけど、マーシーだった、という記憶も持ち合わせていて。   博士: ではまず、███としての経歴を簡単に述べてください。 A-3: はい。[D-36552の出身地、性別、年齢、現在までの経歴などが示される。重要性が無いため割愛。]経歴は以上です。他に話すべき事ってありますか? 博士: いいえ、十分です。ありがとうございます。それでは次に、マーシーとしての経歴などを教えてください。 A-3: わかりました。名前はマーシー・マーリン、女性。誕生日は4/██。ええと、年齢なんですけど、22才の誕生日に、父と母と妹、それに恋人と乗った船が事故で沈没してます。そのときに私、マーシー・マーリンは死にました。 博士: 既に死んでいるという自覚があるのですか? A-3: はい。ですが、死んでからの記憶も覚えています。   博士: それはSCP-426-JP-1を摂取した人がマーシーの容姿と記憶を得たときのものですか? A-3: [逡巡の後に回答する。]そうです。   博士: わかりました。では次に、その沈没事故の時のあなたの詳細と、できればあなたがそのようになった経緯を述べてください。 A-3: はい。事故が起きたのは19██年の時です。事故自体の詳しいことはわかりませんが、私は家族と恋人と共にその船に乗っていました。   博士: あなたは自分の家族と共に一緒にいたんですか? A-3: 事故が起こる前までは、私は恋人と同じ部屋、妹と父と母が同じ客室内で就寝してました。事故の衝撃で目が覚めた私は、慌てて恋人と二人で父たちの部屋に向かい合流しました。その後廊下にでると、船員が「緊急事態だから脱出するように」というので、みんなで救命ボートのある場所で向かおうとしたんです。   博士: 向かおうとしたということは、できなかったのですか? A-3: 全員で向かうことができなかったんです。   博士: はぐれたということですね。 A-3: はい。たくさんの乗客が一気にパニックになってしまったので、船内はどこもかしこも救急ボートに向かう人たちであふれかえっていて…… [以降、事故の詳細な記録が述べられる。重要性は低いため割愛。] A-3: 私たちはなるだけ離れないようにと手を繋いでいたんですけど、それでも駄目でした。五人散り散りになったんです。私ははぐれた皆を探したんですけど、その間に救命ボートが無くなってしまったらしくて……。   博士: それであなたは逃げ遅れて沈没に巻き込まれ、死んでしまったと。事故に関しての記憶は以上ですか? A-3: はい。 博士: ありがとうございます。よければあなたがその次に目覚めた記憶を聞きたいのですが。 A-3: いいですよ、あの時のことははっきりおぼえています。目が覚めたら私は生まれ町の宿の一室にいました。慌てて外にでたのですが、その時、私の中に違う人の記憶があること、宿の周りの風景が一変していたことに気がついたんです。気が動転してたみたいでそのとき家の目の前に移動した間の記憶はないんですけど、なんとか帰宅しました。家がまだあそこにあのときのままあったのが奇跡でしたね。   博士: 家には誰かいましたか?? A-3: 私の妹8が。年をとって顔も髪もすっかり変わってしまったんですけど、訪問した私を見るなり膝から崩れ落ちて泣き出して……ひたすらに謝罪の言葉を連呼していました。   博士: 謝罪というのは、自分が生き残ってしまっていた事への? A-3: 始めは私もそう思ったんですけど、それだけじゃなかったんです。   博士:と、いうと? A-3: あの事故で生き残った家族は、救命ボートに乗れた妹と母、そして他の船に救助された私の恋人だったそうです。母は父と私を失ったことで気を病んで亡くなり、私の恋人も心を壊して、廃人のようになってしまったと聞きました。妹は彼を付きっきりで励ましたそうです。十数年かけ彼はほとんど元の精神状態に戻りました。そこまではよかったのですが……。   博士: 何か不都合なことが? A-3: 正気を取り戻した彼は、私の妹に恋をしてしまったんです。十数年もの間、献身的に尽くしてくれたんですから、まぁ、そうなるのも分かるんですけど……。彼は妹と愛し合い、妹と結婚し、死ぬまで妹とあの家でずっと仲むつまじく暮らしていたそうです。   博士: あなたが再びこの世に現れたとき、彼は既に亡くなっていたということですか。 A-3: [ゆっくりと頷く動作。] そして私、その話を聞いたとき、運命に憤りと失望を感じたんです。せっかく死んだ私がこうして現世に再び戻れたのは、きっと神様がチャンスをくれたからだと思っていたのに……結局、彼の心は離れてしまって、愛し合う事は永遠にできなくなってしまいましたから。   博士: なるほど。ありがとうございます。最後にお伺いしたいのですが、なぜあなたは出現後に誰かとの性行為を行おうと試みるのですか? A-3: 妹の話を聞いた後、私は怒りにまかせて町に飛び出しました。そこでたまたま私を誘ってきた男性と、行きずりで、その……セックスしたんです、自暴自棄で。一通り終わって眠った後、目が覚めたら町の外れのお屋敷の一室にいて、以前とは違う人の……たぶんそこのご子息の記憶を持っていました。そのときは屋敷の主に無理やり襲われて……。そしてまた違う場所、違う人の記憶を持って目覚めました。そんなことを何度か繰り返していた内に、セックスは私を一時的に死者に返すための条件なんじゃないかって思い始めたんです。当てずっぽうな推測なんですけどね。 A-3: ……先生、できればこれ以上私をこの世に蘇らせないでください。私はただ彼と互いに愛し合いたかっただけだったんです。 博士: 善処しますよ。ありがとうございました。これにてインタビューを終了します。 <録音終了> 補足: SCP-426-JP-Aの述べた客船事故は実際に存在し、乗客の中にマーシー・マーリン等の名前が存在することも確認された。 Footnotes 1. SCP-426-JP-2の形状はどれも同一です。 2. 性別、年齢を問いません。 3. 内部に破損や異物が存在するなど、異常が認められるSCP-426-JP-2への転移は起こりません。 4. 液体の構成成分は対象の肉体とごくわずかな魚介類に由来するものです。 5. 対象とマーシー・マーリンの人格が混在していると推測されます。 6. 多くの場合、再形成の際にSCP-426-JP-2が破壊されます。 7. D-36552の本名 。 8. ████・マーリン(L███ Marlin)。197█年に死亡。死因は他殺ですが,犯人は明らかになっていません。
scp-427-jp
評価: +217+–x SCP-427-JP-C SCP-427-JP-E-1 アイテム番号: SCP-427-JP オブジェクトクラス: Euclid Keter 特別収容プロトコル: SCP-427-JPは移動が出来ない為、 周囲を有刺鉄線付き高圧電流フェンスで覆い、 周囲を防音加工を施した外壁で覆い、サイト-██として管理されます。サイト-██は米軍関連施設として偽装されており、有刺鉄線付き高圧電流フェンスで一般人の侵入を防いで下さい。新たなSCP-427-JP-Aの発生が確認された場合、速やかにSCP-427-JPより連れ出し、インタビューおよびデータ登録の後記憶処理を施し解放して下さい。 (更新)新たなSCP-427-JP-Aの発生が確認された場合、速やかに無力化し指定された収容区画へ搬送して下さい。 (追記): SCP-427-JP-C-1を越えての侵入には担当研究員2名の許可が必要です。SCP-427-JP-C-1内に侵入した場合、生存したまま外へ出る事はできない事に注意をして下さい。 SCP-427-JPは現在収容出来ません。 説明: SCP-427-JPはアメリカ合衆国ミシガン州に位置する500m四方の草原です。SCP-427-JP内に人間が立ち入り2時間以上滞在した場合、その人物は不明な言語で歌を歌い始めます(以下、SCP-427-JP-Aとします)。SCP-427-JP-Aは歌いながら徒歩でSCP-427-JPの中心部へ移動を始め、中心部へ達すると直立したままで歌い続けるようになります。そのままでは1週間程度で衰弱により死亡しますが、影響範囲から連れ出すことで元に戻る事が判っています。SCP-427-JP-Aから元に戻った人物はオブジェクト影響下時の記憶はありますが、一様に「何故歌っていたのかは判らない」と証言しています。 SCP-427-JP-B-1は、SCP-427-JP-Aが歌う歌です。SCP-427-JPの外部から聞いた場合、SCP-427-JP内に入りたくなる弱い強制力があります。これは周囲からの説得や軽い拘束で抑える事が可能です。 SCP-427-JP-C SCP-427-JP-E-1は、SCP-427-JPの中心部に生えるツルニチニチソウ(Vinca major)に似た植物です。サンプルを採取するもSCP-427-JP-CSCP-427-JP-E-1から約10cm離すと即座に風化し崩れ去るため、詳細な分析は出来ていません。現地での簡易調査では、ツルニチニチソウとは異なる組織構造を持つ事が判明しています。 SCP-427-JP内にSCP-427-JP-Aが1体も存在しない場合、SCP-427-JP-CSCP-427-JP-E-1から約5dbから15dbの大きさのSCP-427-JP-B-2が聞こえます。録音データの分析では、声質はボーイソプラノあるいはメゾソプラノです。 + インタビューログ 142791-m - インタビューログ 142791-m 対象: SCP-427-JP-A-29 インタビュアー: エージェント・サイモン 付記: 対象はSCP-427-JPの影響を受けSCP-427-JP-A-29となりました。本インタビューは外へ連れ出した後に行いました。 <録音開始, 19██/██/██> エージェント・サイモン: やあ、SCP-427-JP-A-29。会話は可能かい? SCP-427-JP-A-29: ええ、大丈夫です。その、SCPなんとか、っていうのはなんです? エージェント・サイモン: いや気にしないでくれ。それとも名前の方がいいかな。 SCP-427-JP-A-29: はい、なんか変な番号よりは。 エージェント・サイモン: [無線で本部と連絡を取る]オーケー、キミの言うとおりにしようハワード。ではキミがあの草原にいたときの事だ。歌を歌っていたね? SCP-427-JP-A-29: はい、歌っていました。 エージェント・サイモン: アレはなんて歌なんだ? SCP-427-JP-A-29: わかりません。 エージェント・サイモン: 自分でも判らない歌を歌っていたのかい? それは知らない歌を歌えてたって事になるな。 SCP-427-JP-A-29: そう、なりますね。自分でもよく判らないのですが。 エージェント・サイモン: では、歌の意味も? SCP-427-JP-A-29: はい、意味も判りません。 エージェント・サイモン: そうか、では質問を変えよう。歌を歌っていた時だが、何か覚えている事はあるかい。気分が良かったとか、そういうのでもいい。 SCP-427-JP-A-29: 気分、そうですね、気分は悪くありませんでした。 エージェント・サイモン: 他には? なにか見たとか。 SCP-427-JP-A-29: 草原ですね。 エージェント・サイモン: だよな。その他は? SCP-427-JP-A-29: そういえば、頭の中に、声が聞こえていました。 エージェント・サイモン: 声? どんな。 SCP-427-JP-A-29: あ、済みません、声というわけじゃないんですけど、なにか、『帰る』とか『帰りたい』とか、そういうイメージのようなものが伝わってきました。 エージェント・サイモン: どこから伝わってきたか、というのは判るかい? SCP-427-JP-A-29: それは…よく判らないですね。 エージェント・サイモン: そうか、ありがとうハワード。 <録音終了> 終了報告書: 彼の証言からすると、何らかの知的存在が歌を歌わせているのかもしれない。だがなんの為だ? ――エージェント・サイモン 更新1: SCP-427-JP-B-2はSCP-427-JP-C SCP-427-JP-E-1からではなく、SCP-427-JP-C SCP-427-JP-E-1が生えている場所そのものから聞こえている事が判りました。SCP-427-JP-C SCP-427-JP-E-1は問題なく抜き去る事が出来ますが、生えていた地点より10cm30cm離すと即座に風化します。その後、約5時間3時間後には元通りに同地点へ生えている事が確認されました。 更新2: SCP-427-JP-C SCP-427-JP-E-1の周辺土壌より、未知のバクテリア類が発見されました。これはSCP-427-JP-C SCP-427-JP-E-1を中心に半径30cm45cmの範囲に分布しており、SCP-427-JP-C SCP-427-JP-E-1同様の理由により分布範囲外へ持ち出せません。 更新3: SCP-427-JP-C SCP-427-JP-E-1の周辺土壌より、未知の節足動物1が発見されました。これらは以前の調査では未確認でした。現在地球上では未知の形状を取った2種と、ヤスデ(Diplopoda ord. fam. gen. sp.)に似た形状2の1種です。 更新4: SCP-427-JP-Cは、SCP-427-JP中心部土壌へと再分類されました。ツルニチニチソウに似た草は他の生物群と合わせ、SCP-427-JP-E群として再分類されます。また、SCP-427-JP-E群の発見範囲がSCP-427-JP-C周囲1m地帯へ拡大しています。以下、特記のない場合、SCP-427-JP-E群はSCP-427-JP-Cを中心とした発見範囲外では存在できない事に注意してください。 更新5: SCP-427-JP-C周囲3m範囲にて複数の新たなSCP-427-JP-Eが発見されました。以下はその実例です。 発見場所 特徴 SCP-427-JP-C土壌内 外骨格のあるミミズ状の実体 SCP-427-JP-C周囲 小指大の袋状の実体 SCP-427-JP-C周囲の地面 金属質の葉を持った未知の植物。葉は風を受けるとオルゴールに似た音を出す 更新6: 収容違反記録 20██/7/██ SCP-427-JP内へ延べ113名の民間人が侵入、各々がSCP-427-JP-B-1を歌いだす事案が発生。発生から3時間後に事態が収拾するも、SCP-427-JP-Cを中心としたSCP-427-JP-E群の発見範囲が急速に広がっている事が判明しました。SCP-427-JP-B-1の影響であると断定、収容プロトコルの改定がなされました。 現在、SCP-427-JP-E群の発見範囲はSCP-427-JP-Cより半径15mです。 更新7: SCP-427-JP-C半径20m以内にて、新たなSCP-427-JP-Eが発見されました(SCP-427-JP-E-5)。半径15cm程の半球状をした体に5本の足が生えた動物で、体毛が有り恒温動物と考えられます。体の下部に口があり、土を食んでいる様子が観察されました。 更新8: SCP-427-JP-C半径38m以内へ侵入した物質は、その範囲から離脱する場合全て消失する事例が確認されました。これはSCP-427-JP-E群の消失現象と酷似しており、すなわち侵入した人員、機器、装備等は範囲より離脱できないことを意味します。この境界ラインを新たにSCP-427-JP-C-1と指定、収容プロトコルが改訂されました。 更新9: SCP-427-JP-C-1は中心部より半径55mへと拡大しました。 SCP-427-JP-C-1内にて、新たなSCP-427-JP-Eが観測されました(SCP-427-JP-E-6)。見た目は象に酷似していますが、正常な象の頭部に当たる部分は無く、該当部位からはサイの角に似た構造体が1本生えています。 更新10: 収容違反記録 20██/10/██ SCP-427-JP収容施設へ████名のSCP-427-JP-Aが集まり、施設を取り囲みました。SCP-427-JP-A達は職員が鎮圧するまでの約3時間の間、SCP-427-JP-Bを歌っていました。また、この事案以降SCP-427-JP-C-1の境界ラインが消失しています。 本事案を受けて、SCP-427-JPはKeterへと再分類されました。 更新11: 事案142799-s 20██/12/██ エージェント・サイモンが自室で死亡しているのが発見されました。遺体は椅子に腰掛けた状態で、銃弾により頸椎が破壊されていました。銃弾は彼自身の拳銃の物であり、遺書の存在から自殺であると断定されました。 以下は遺書の内容です。 + 閲覧する - 閉じる 昨日、SCP-427-JP周辺でSCP-427-JP-Eを見かけた。そのSCP-427-JP-Eは、球状の体に蹄のついた3本の足があり、頭らしい物はなかったが1対の渦巻き状をした角が生えていた。俺はそれを見て、ああウサギかと思った。 俺はあの場所の影響を受けている。もう手遅れかもしれない。俺の声が他に影響を与えるかもしれない。相談する事は出来ない。声は残せない。 この選択が手遅れでない事を信じたい。 スティーヴン・サイモン 更新12: SCP-427-JP-E群の生体調査が開始されました。SCP-427-JP-E-6についてDNA調査の結果が出ましたが、アフリカゾウ(Loxodonta africana)の物と同一であると判明しました。 その他のSCP-427-JP-E群のDNAも、ムササビやヤスデ等、既知の生物と同一である結果が出ています。この事は現在も調査中です。 更新13: SCP-427-JP-Aの人数が観測上██████名を突破しました。現在アメリカ西海岸ではSCP-427-JP-Bが流行になっています。全世界でSCP-427-JP-Eは観測されるようになり、SCP-427-JP-Aを含む民間人はそれを既知の動植物であると認識しています。 補遺: SCP-427-JP-Bにより故郷へたどり着く事ができました。わたしたちやみなさんの歌で故郷があるべき姿へ還った事は大変喜ばしい事です。歌を歌いましょう。われわれとみなさんの未来への歌を歌いましょう。 Footnotes 1. 外見的特徴より、暫定的に節足動物と扱います。 2. 全ての節に4対ずつ脚があります。
scp-428-jp
評価: +44+–x SCP-428-JP-13 20██/08/██ 撮影 アイテム番号: SCP-428-JP オブジェクトクラス: Safe Euclid 特別収容プロトコル: SCP-428-JPは英国王立魔法院の協力の下、財団と共同で収容されています。事故による破損を防ぐ為、オブジェクトは発泡緩衝材で保護して下さい。SCP-428-JPの現在の収容場所は秘匿されており、担当職員のみに収容場所が開示されています。SCP-428-JP-Aが発見された場合、初期段階であれば可能な限り隠蔽して下さい。既に広く流布されていた場合、状況に応じたカバーストーリーで拡散を押さえるよう努めてください。 説明: SCP-428-JPは女性を象った胸像です。一般的な石膏で形成されており、材質に不審な点はありません。英国王立魔法院により13体が保管されていましたが、現在までに劣化や事故で10体が失われています。 SCP-428-JPが破壊された場合、それまで人類が実現不可能だった技術(SCP-428-JP-A)が突然実現可能になります。SCP-428-JP-Aが発見される地域は不定であり、事前に発生場所を予測し隠蔽する事は極めて困難です。 当初SCP-428-JPは「魔女が作成した儀式用の像」として、英国王立魔法院管轄の██████収蔵館保管室へ収められていましたが、SCP-428-JP-7が自壊した翌日にイギリス国内でSCP-428-JP-Aを発見、その後財団により████件の関連インシデントが調査され、SCP-428-JPとSCP-428-JP-Aの関連性が明らかになりました。全てのSCP-428-JP-Aは過去の物まで全てカバーストーリーで隠蔽されています。 補遺: 発見されたSCP-428-JP-A一覧 年代 SCP-428-JP-Aの概要 発見場所 17██年 第一種永久機関 ドイツ ドラシュヴィッツ 17██年 ██の置換 アメリカ デラウェア州 18██年 ██方向への██の圧縮 ベネズエラ シウダ・ボリーバル 18██年 光速度の制御 ████████████ 19██年 [データ削除済] [データ削除済] 19██年 ████粒子の発見と生成 スイス ジュネーヴ 19██年 個人携行容器での常温核融合 イギリス ライム・レジス 19██年 統一言語 南極 ソフィア大学避難所 20██年 [データ削除済] [データ削除済] 20██年 エントロピーの逆転 日本 ██████ 補遺: SCP-428-JPの点検中、SCP-428-JP-11に小さな亀裂を発見しました。現在修復作業について検討されています。並びに、オブジェクトクラスがSafeからEuclidへ再分類されました。
scp-429-jp
評価: +71+–x 衣服に寄生し活動を始めたSCP-429-JP アイテム番号: SCP-429-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-429-JPはサイト-8102の、密閉された小型生物用収容室に個別に収容されています。飼育環境については一般的な線形生物と同様の方法を用いてください。また餌として、綿織物を一週間に一度与えてください。なお、その際職員に対し衣服の着用を禁じてください。SCP-429-JPを用いた実験を行う際は、セキュリティクリアランスレベル3以上の職員2名以上の許可を得てください。 また、新たなSCP-429-JPの発見のため、各鉄道会社の車両基地内にてカバーストーリー「防カビ処理」を適用し座席クッションの定期的な検査を行ってください。また衣服とともに活動中のSCP-429-JPが発見された場合、機動部隊による即時回収を行ってください。 説明: SCP-429-JPは、線形動物によく似た未知の生物です。体は直径0.2mm程度の細長い糸状で一見すると無色透明の細い繊維と差異はなく、また非常に柔軟で、片方の一端は刺繍針のように鋭く硬い形状をしています。 SCP-429-JPは主に電車内の座席クッション内に潜伏することが判明しています。SCP-429-JPはその柔軟な体を用いて、座席の10cm程度の縫い目に擬態することで寄生対象を待ち、座席に座った人物の衣服に寄生し、服に寄生した人物の自宅まで侵入します。 SCP-429-JPは寄生した服がクローゼットや箪笥など自身が暗いところに置かれたと認識した際に、分裂と成長を繰り返し個体数を増やして這い回り、それぞれの個体が衣服の裏地部分全体に、自身の体を最長9km程度まで伸ばして縫い付け、その家の下着や靴下等を除く衣服ほとんど全てに寄生します。そして一週間ほどたった後の深夜に、衣服に寄生したSCP-429-JP群は一斉に家からの脱出を図ります。またその際上半身の衣服下部と下半身の衣服上部を瞬時に縫い合わせ、衣服を人型の形状にすることで脱出をしやすくする習性があることが判明しています。SCP-429-JPがどのようにして下着や靴下、また他の布製品や上半身用と下半身用の衣服を判別しているのかは判明していませんが、衣服の穴の数とその位置関係を元に判別しているのではという推測が立てられ、現在検証実験が行われています。(下記検証実験記録参照) また衣服の裏地全体に寄生したSCP-429-JPは強力な人工筋肉のような働きをし、最大6000Nに達する強い力を出せることが確かめられています。そのため、SCP-429-JPが深夜に活動をはじめた時、寄生した衣服を人間が着用していた場合、本来人間が腕や脚の関節を曲げる方向と逆方向に曲げたり、腕や脚の関節が複数あるような曲がり方をするなど、人間の骨や間接の稼動を無視した、「まるで踊り狂ったような」と形容される動きをSCP-429-JPがするため、着用していた人間は全身に骨折を負い、最終的には内臓の破裂や損傷による出血多量によりほぼ間違いなく死亡します。SCP-429-JPは、高い確率で寝間着にも寄生するため、被害も高い確率で発生していることが判明していて、現在SCP-429-JPにより、██人の死亡が確認されています。 家からの脱出を図った後、衣服に寄生した状態のSCP-429-JPは、その地点から一番近い鉄道の車両基地に向かい、車両基地に侵入後、単為生殖を行い衣服に産卵をし、死亡します。産卵される卵は全体で200個程度で、そこから生まれたSCP-429-JPは衣服と、寄生したままの状態で死亡したSCP-429-JPの死骸を共に全て食べつくします。これにより、後の急激な分裂と成長のための栄養を補給していると推測されます。そして電車の始発までの間に座席内のクッションに潜伏します。SCP-429-JPがなぜ車両基地へ向かうことが出来るかについては、車両基地の高圧電線が発する特有の電磁波を感じ取っているのではとの仮説が立てられ、これも検証実験が現在行われています。 SCP-429-JPは、関東地方にある複数の鉄道会社の車両基地にて全身骨折ならびに内臓破裂の状態で死亡した遺体が連続して発見される事件、更に深夜、一人の人間と多数の透明人間の集団が狂ったように踊りながら行進しているといった目撃証言が相次ぎ、財団が調査を行った結果、発見されたものです。現在、財団内にて████匹のSCP-429-JPが確保、収容されています。 SCP-429-JP寄生対象衣服検証実験記録 + SCP-429-JP寄生対象衣服検証実験記録を閲覧する - 閲覧を終了する 実験記録429-JP-1 - 日付20██/██/██ 対象の衣服: ブラジャー、ブリーフ、トランクス等の下着類 結果: 寄生しませんでした。 分析: 人型形状になることの出来ない形状の衣服には寄生しない習性があると考えられます。 実験記録429-JP-2 - 日付20██/██/██ 対象の衣服: 様々な丈のズボン 結果: 5分丈を境に丈が短くなるにつれて寄生しない例が増えることが判明しました。また寄生した例では活動を始めた場合ひざ立ち歩きのような動きをします。 分析: 丈の長さを基準に寄生するかどうか判断していると考えられます。 実験記録429-JP-3 - 日付20██/██/██ 対象の衣服: 様々な袖の丈のシャツ 結果: 一般的なTシャツ程度の袖の丈なら匍匐前進のような動きをし、またタンクトップのような袖なしの場合は寄生しませんでした。 分析: 上半身の場合は袖の丈がある程度短くても寄生できることが判明しました。 実験記録429-JP-4 - 日付20██/██/██ 対象の衣服: ワイシャツやカーディガン、ジャンパー、パーカー、コートなど前面の開いた上半身用衣服 結果: 寄生後、活動をはじめると同時に、前面を縫い合わせ閉じる行動をしました。 分析: SCP-429-JPはボタンやファスナーなどの留め具の存在も感じ取りそれを閉じる判断をする習性があると考えられます。 実験記録429-JP-5 - 日付20██/██/██ 対象の衣服: 靴下、ストッキング、タイツ、スパッツ類 結果: 寄生しませんでした。 分析: 足先に穴が開いていない場合ただの布袋として判断していると考えられ、また伸縮性が強いものに対しても寄生しないことが判明しました。 実験記録429-JP-6 - 日付20██/██/██ 対象の衣服: スカート、ワンピース 結果: 寄生しませんでした。 分析: 人型形状ではないためただの筒状の布と判断したと考えられます。 実験記録429-JP-7 - 日付20██/██/██ 対象の衣服: ウェットスーツ、潜水服 結果: 寄生しました。 分析: 全身を覆うタイプの衣服も人型形状になることができるとの判断が出来ることが判明しました。 実験記録429-JP-8 - 日付20██/██/██ 対象の衣服: 防護服、宇宙服 結果: 寄生しました。 分析: 重量のあるものでも人型形状ならば寄生し活動をすることが出来ることが判明しました。 注意事項: 対爆防護服に寄生させた実験においては、予想通り対処は困難なものとなり、予め待機させておいた機動部隊が事後処理をする結果となったため、今後実験において強力な防護服に寄生させることは禁止とする。 考察メモ: おそらくSCP-429-JPが日本生類創研によって作られた目的は、今回の実験のように強力な防護服に寄生させ、電磁波によって操ることのできる生物兵器を開発することであり、それが研究員のミスにより研究施設外部に逃亡し、野生化した結果、財団に発見されたのではないだろうか? 補遺: SCP-429-JPが原因と見られる車両基地内での連続遺体発見事件の中で、最初に起こったものと見られる事件において、車両基地内にて発見された遺体の傍に、 日本生類創研 寄生虫研究部門 研究員 ███████ と書かれたネームバッジが落ちていました。現在この名前の人物の特定に向け調査を行っています。
scp-430-jp
評価: +95+–x アイテム番号: SCP-430-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-430-JPへの入口には警備員を常に2名以上待機させてください。また許可なく入口に接近しようとした人物は直ちに身柄を拘束し、適切な処理を施した後に解放してください。また感染症のリスクを抑えるため、回収したタッパーは、衛生管理に関するプロトコルに従い容器ごと処分してください。 説明: SCP-430-JPは国立国会図書館の[編集済]より先に存在する区画です。SCP-430-JPの内部にはカウンターと椅子、「瀉庫:関係者以外立入禁止」と書かれた紙が貼られた扉(以下SCP-430-JP-A)が確認されています。その他、一般的な図書館と同類の照明器具と空調設備が存在しますが、窓や消防設備といったものは存在しません。またSCP-430-JP-Aを開ける試みは今現在成功していません。 SCP-430-JPの受付カウンターには30代ほどのアジア系女性が待機しています(以下SCP-430-JP-B)。SCP-430-JP-BはSCP-430-JPの司書として振る舞い、資料請求や貸し出しに関する質問に応じますが、SCP-430-JPの起源や構造などといったことに関する質問には応じません。加えて、SCP-430-JP-Bに対する物理的な接触はすべてその場を通り抜けるという結果に終わっています。しかしながら、SCP-430-JP-Bは椅子に着席したり、物を持つことが可能です。 被験者がSCP-430-JP-Bに生物の種類や個体名を伝えた時、SCP-430-JP-BはSCP-430-JP-Aへと向かいます。その後SCP-430-JP-Bはタッパーを持ってSCP-430-JP-Aから出てきます。この行動は妨害することができず、SCP-430-JP-BはSCP-430-JP-Aを開けるような動作をせずにそのまま通り抜けます。 タッパーの中身は胃液、未消化あるいは消化中の食物など、生物の一般的な胃の内容物で構成されています。SCP-430-JP-Bがどのようにしてこれらの物質を回収するのか判明していません。またSCP-430-JP-Bに請求できる内容物には限界があり、現存していない生物や胃を持たない生物の内容物は請求できません。ただし請求する対象は「カラス」や「フランス人」といった大雑把なものから、特定の個体まで幅広く指定することができます。 回収対象となった生物はSCP-430-JP-BがSCP-430-JP-Aに入った瞬間、胃が引き絞られるような痛みを感じ、食後であった場合はその後空腹感を感じるようになります。この症状は一時的なものですが、SCP-430-JP-Bへの請求間隔や回数には制限がないため、同一個体に対する度重なる請求はやがて対象に栄養失調や胃炎などといった問題を引き起こすこととなります。 SCP-430-JPの存在は、19██年██月██日に検閲目的で司書として潜入していたエージェント██████から、「見取図に存在しないはずの部屋が存在する」という報告を受けたことにより発覚しました。国立国会図書館の設計図にはSCP-430-JPにあたる区画が存在せず、後に何らかの形で拡張されたものと思われます。 映像記録-430-1 - 日付19██/██/██ D-1984とD-2002は共に食後10分以内にSCP-430-JPへ立ち入りました。映像はD-2002が所持したカメラによるものです。 <記録開始。SCP-430-JP-Bに近づく。> D-1948: あー、ちょっといい? SCP-430-JP-B: ようこそ国立国会吐瀉館へ!ご用件をどうぞ。 D-1948: ここはどういうところなんだ? SCP-430-JP-B: はい、国立国会吐瀉館は世界各国の生物の吐瀉物を貸し出ししております。貸し出し期間は無期限ですので何十年、何百年後に返却されても構いません。 D-2002: なんで図書館でそんなもんやってんねん。 <SCP-430-JP-BはD-2002の発言を無視する。> D-1984: 棚がひとつも見当たらないんだけど、どこにゲロがあるんだ? SCP-430-JP-B: 当館は衛生上の問題で資料はすべて閉架となっております。ご希望とされる資料がございましたらお伺いしますが。 D-2002: いやゲロ渡してる時点で衛生的ちゃうやろ。 D-1984: 余計なこと言うな。なんでもあるの? SCP-430-JP-B: はい。ただし胃を持たない生物や、絶滅した生物、地球上に存在しない生物につきましてはお渡しできません。 D-2002: そんなん言うてもどこの誰の中身か分からへんのとちゃうの?場所とか名前言うたら絞ってくれるんか? SCP-430-JP-B: はい。生年月日など条件を指定していただければ、対応した資料をお渡しします。そうでなければ我々の方で無作為に選ばせて頂きます。 D-1984: どうやったらそんなもん調達できるんだ? <SCP-430-JP-BはD-1984の発言を無視する。> D-2002: あー、せっかくやし、ちょっと試してみよか。ほな姉ちゃん、隣のこいつの頼むわ。 SCP-430-JP-B: かしこまりました。少々お待ちください。 <SCP-430-JP-Bが立ち上がり、SCP-430-JP-Aへ向かう。> D-1984: なんだアイツ、今戸を開けなか(呻き声) <D-1984が腹部を抑えその場に屈みこむ。> D-2002: おい、どないしたんや? <SCP-430-JP-Bがタッパーを手にSCP-430-JP-Aから出てくる。> SCP-430-JP-B: お待たせしました。ご希望されました資料はこちらとなります。返却期限は無期限ですのでごゆっくりどうぞ。 D-2002: え?あ、どーも。 <記録終了> 帰還後、D-1984の胃を検査したところ内容物が消失していることを確認しました。また、D-2002が持ち帰ったタッパーの中身から、D-1984の体組織と食事のメニューに合致する食物が検出されました。 補遺430-JP-1: タッパーを返却しようとしたところ、SCP-430-JP-Bは一切反応しませんでした。このことから入手したタッパーを返却する必要性はありません。
scp-431-jp
評価: +59+–x 発見された直後のSCP-431-JP。 アメリカ合衆国カリフォルニア州で撮影された写真。赤く見えるものは、全て魚の死骸の体液 アイテム番号: SCP-431-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-431-JPはサイト-██の標準収容コンテナに保管されています。保管の際、オブジェクトを横に寝かせた状態で固定してください。オブジェクトをそれ以外の状態にさせる場合、セキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可を必要とします。 説明: SCP-431-JPは全長301cm、重量482kgのクロマグロ(学名:Thunnus orientalis)の模型です。材質は至って一般的な物質であり、オブジェクトから採取した欠片等にも異常は見られません。そのため、なぜオブジェクトが異常性を有しているのかは不明です。 SCP-431-JPの異常性は、海水魚を窒息死させ、その周囲を汚染させるというものです。この異常性は、オブジェクトの頭部を垂直1に下に向けた(右図参照)場合に発現します。現象は半径約5km以内に存在する海水魚に発生し、その鰓(えら)の表面が非常に強い撥水性と速乾性を持ちます。この異常性を受けた魚類は呼吸を行うことが困難になり、ほとんどの場合窒息死します。これらの異常性は、「オブジェクトを横に寝かせる」「オブジェクトの頭部を上に向ける」等、オブジェクトの頭部を垂直に下に向けなければ発生しません。 この異常性で死亡した海水魚は独特な赤い体液を噴出するため、オブジェクトの異常性を受けたか否かの判断は容易です。この体液は毒性を持ち、哺乳類等には下痢を引き起こさせ、魚類や海藻、サンゴなどに致死的なダメージを与えます2。くわえ、体液は腐臭のような悪臭を放つため、海鳥やカニ等、魚類の死骸を主食とする生物のほとんどはこの体液に対し逃避反応を起こします。また、時間経過による赤い体液の自然消滅は確認されておらず、長期間にわたって赤い体液は存在し続けます。 SCP-431-JPは20██年4月16日、アメリカ合衆国カリフォルニア州[編集済み]市にて発見されました。同年2月から[編集済み]市で飼育魚の不審な死が頻発していたこと、臨海で魚の大量死が発生していたこと、そしてそれらの死骸の異常性から財団が調査を行い、オブジェクトの発見に至っています。オブジェクトの発見後、魚の大量死についてはカバーストーリー「新種の感染症」が適応されました。 SCP-431-JPの発見当時、オブジェクトは市内の廃屋に"展示"3されているような状態で放置されていました。これはオブジェクトが人の手によって作成されたことの明確な証拠とされています。SCP-431-JPの作成者や作成の意図、作成方法などは依然調査中です。また、オブジェクト本体には乱雑な文字で以下の文章が書きこまれていました。 汚れろ。滅びろ。腐れ。死ね。道連れだ。 俺だけが不幸など認めない。 ざまあみろ。 SCP-431-JPによって発生した赤い体液は、海流に乗って広範囲に拡散していると推測されます。財団による除染活動が継続されていますが、完全な除染には50年以上がかかると考えられています。 補遺1: 20██年6月2日、サメ類(とくにアオザメ(学名:Isurus oxyrinchus)とホホジロザメ(学名:Carcharodon carcharias)がSCP-431-JPの異常性で死亡した魚類を好んで摂食していることが判明しました。サメ類は赤い体液の腐臭に正の走行性を示し、その毒性の影響も受けていません。また、赤い体液はサメ類の体内と鰓を通過すると、その毒性が完全に消失し、通常の海水に変化します。サメ類による除染のペースは非常に速く、今後半年以内には除染が完了するだろうと推測されています。 補遺2: 20██年10月28日時点で、財団の確認する限り、海洋の汚染は完全に消失しました。20██年現在、汚染された地域は発見されていません。 脚注 1. 床面を起点として80度以上の角度 2. なお、この毒性によって死亡した生物からは、新たに赤い体液が出現することはありません。 3. 廃屋には「赤い体液で満たされたいくつかの水槽」と「大量の海水魚の死骸」がともに残されていました。
scp-432-jp
評価: +25+–x 現在のSCP-432-JPの様子 アイテム番号: SCP-432-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-432-JPは物理的に収容する方法は無いため、周辺地域及び情報を遮断する封じ込め処置が行われます。対象となる建造物郡の周囲200メートルを完全に封鎖、警備員を配置し許可を受けた人間以外誰も進入しないようにしてください。警備員は二人組みで行動することを義務とします。 万が一進入があった場合には即座に侵入者を拘束しBクラス記憶処置を行ってください。週に一度、3名以上のDクラス職員に命綱をつけた上で対象建造物周囲を歩かせ、影響を確認してください。もし影響を確認できなかった場合、即座にセキュリティプロトコルA-432-P34が実施されます。 説明: SCP-432-JPは高層建造物に対して発現する異常現象です。現象の発現に関して兆候や目視での異常性は見当たらず、発見を困難なものとしています。SCP-432-JPが活性化している建物の100メートル以内に近づいた特定の人物は自発的に建造物の屋上へと移動します。対象者はその際、鬱状態に陥るか激しく混乱するなど情緒が不安定な状態に陥ります。通常であれば扉等は施錠されているのが一般的ですが、SCP-432-JPが活性化している場合は対象者は障害なく屋上までたどり着くことができます。屋上へ到達した対象者はその後、ビルの周辺から飛び降り死体として発見されます。財団による実地調査では屋上への到達から飛び降りに至るまでのプロセスは不明のままであり、墜落死を止める手段は現在の所わかっておりません。 同一の建造物で5人の被害者が出るとSCP-432-JPは移動を行います。移動は条件に見合った最も近くの建物を選ぶ傾向にあり、現段階では同じ建物には戻らない物と思われます。SCPの影響を受けた人物は屋上へ到達する前に取り押さえ、建物から充分引き離す事によって影響から逃れられる事がわかっており、Dクラス職員を用いた収容状況の確認に利用されています。 SCP-432-JPは現在位置においてすでに4名の死者を出しており、これ以上の犠牲者は対象の移動を促す可能性があり、移動が行われた際の発見の難しさなどから実験は禁止されています。実験や検証が困難であるため、SCP-432-JPの研究は進んでおらず、不明瞭な部分が多く残されています。 + SCP-432-JPへの実験記録 - テキストを隠す   実験記録432 - 日付19██/██/██ 対象: SCP-432-JP 実施方法: 抗鬱剤を投与したDクラス職員一名にGPS装置、ビデオカメラを装着しSCP-432-JPの効果範囲内に配置。建造物には防護ネットを付け、周辺建造物から望遠鏡を用いて観測。 <記録開始> HQ:[聞こえますか、D-263? 状態を教えてください。] D-263:[……聞こえてるよ。頭が痛い…どうせ俺は死ぬんだろ?こんな事、一体何になるんだ…。ああ、わかってるよ、登るよ…、登るさ。] (D-263は鬱状態を強め、ゆっくりとした足取りで階段を上がる。) HQ:何か変わったことはありませんか? D-263:[頭が痛いってさっきから言ってるだろ・・・ 何段あるんだよこの階段は・・・ そろそろ屋上に着くぞ、扉が・・・ 開いてる] HQ:[そのまま扉を開けて、西側に向かって手を振ってください。] (ここで映像が途切れ、音声にノイズが走る。) HQ:[D-263、映像が切れている。何かあったのか?応答してください、263。] D-263:[…ここはどこだ?俺は屋上へ出たはずだぞ・・・ 目がおかしくなった!全部白黒に見える、ここはどこだ!] HQ:[D-263?どこにいるんです?こちらからは視認できない・・・クソッGPSもアウトした。D-263!下に戻れ!] D-263:[戻れない。もうだめだ・・・ ここは屋上なんかじゃない・・・ ] HQ:[エージェントα1!大至急D-263を確保しろ!おい、しっかりしろ263、何がどうなってる?お前は一体どこに居るんだ!] D-263:[・・・・・・あの世さ。] この通信の後、鈍い落下音が確認され、D-263の墜落死体が発見されました。防護用に敷設したネットに異常は無く、カメラにも落下する姿は捉えることができませんでした。直後に突入したエージェントには異常な現象は見られず、なんらかの選択によって被害者が選ばれていると思われます。現在の所、SCP-432-JPによるものと思われる死亡者には共通点は見つかっておりません。 SCP-432-JPは██県の集合団地において発見されました。5棟からなる団地の3棟において連続で自殺事件が発生した事から呪われた団地との噂が立ち、財団による調査対象となりました。その後の調査と追跡により現在の封じ込め方法を確立。SCPはEuclidと判定され、団地を運営していた企業は財団フロント企業により買収。団地地下に巨大な断層が発見されたとのカバーストーリーを用いて全住民の退去が行われました。
scp-433-jp
評価: +57+–x 評価: +57+–x クレジット タイトル: SCP-433-JP ノアの体育倉庫 著者: ©︎seafield13 作成年: 2014 評価: +57+–x 評価: +57+–x 収容前のSCP-433-JP。 アイテム番号: SCP-433-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-433-JPはサイト-8181・大規模オブジェクト収容倉庫内に収容されます。SCP-433-JP内への侵入時の人選には、同性のみとすることを原則としてください。いかなる場合であろうと、男女二名のみで侵入することがないようにしてください。SCP-433-JP-A及び、SCP-433-JP-1群は動物用オブジェクト収容ケージ内にて保管飼育され、担当を希望するCクラス以上の職員が世話します。 SCP-433-JPを使用しての実験は、セキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可が必要です。 追加事項:SCP-433-JP-1-A-と 20██年██月現在SCP-433-JP-A-と-01,02(ヒト)は、現在通常の社会生活を送っているため、財団フィールドエージェントがこれを監視してください。 説明: SCP-433-JPは日本の教育機関などで一般的に使用される体育倉庫の形状をしており、█年前の大規模改修以降、東京の都立高校で人語を解する野良動物の目撃例が急増しているという噂が財団の興味を惹き、フィールドエージェントの潜入捜査を経てオブジェクトの発見に至りました。施工業者は判明しておらず、目下調査中です1。現在SCP-433-JPは、カバーストーリー『緊急耐震化改修工事』を適用の上、サイト-8181・大規模オブジェクト収容倉庫内に移築されています。 SCP-433-JPは、哺乳類、鳥類、あるいは爬虫類、両生類動物が雄雌2体のつがいとして内部にいる状況で扉に施錠されると、内部のつがい(SCP-433-JP-Aに指定)は突発的に性的興奮を惹起され、つがいの相手との生殖行動に入ります。これまで確認されている例は、イヌ、ネコ、ネズミ、カエル、トカゲ、ヤモリなどが挙げられます。 SCP-433-JP-Aの子はSCP-433-JP-1に指定されます。SCP-433-JP-1は多産種であっても必ずその中の一体だけが異常性を持ちます。SCP-433-JP-1は、いかなる種の生物であろうとホモ・サピエンス種での一言語、日本語を話すことが可能となります。これまでの解析でSCP-433-JP-1群の脳の構造に微妙な変化が見られることが確認されていますが、現在まで人語の発声器官を持たぬSCP-433-JP-1たちがどのようにして日本語を発音しているのかは不明です。現在までで数十体のSCP-433-JP-1個体が財団によって確保されており、調査によってSCP-433-JPの異常性が二世代に渡って遺伝することのない性質であることが確認されました。 追加事項: 未収容事案433-JP-1-と-01 学校関係者への追加調査によって、█年前に男女生徒二名がSCP-433-JP内で性交渉を持ち、出産をしていたという事実が判明しました。当該の新生児(SCP-433-JP-1-と01に指定)は産婦人科医院で行方不明となっており、生存していれば現在██歳です。SCP-433-JP-1-と01には、通常の胎児と異なる特徴、[削除済]、[削除済]などが確認されていました。 SCP-433-JP-1-と-01の所在は現在も不明であり、財団フィールドエージェントによる調査が継続中です。 インタビューログ 433-1 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-433-JP-1-い-01(柴犬・オス) インタビュアー: エージェント・███ 付記: サイト-81██内の動物系オブジェクト収容ケージ内にて記録。エージェント・███は初期収容に参与したエージェントの一人です。 <録音開始> (SCP-433-JP-1-い-01がエージェント・█████の目の前に座る姿勢をとる) エージェント・███: こんにちは、SCP-433-JP-い-01。 SCP-433-JP-1-い-01: ちわっす。 エージェント・███: ここでの生活には慣れましたか? SCP-433-JP-1-い-01: まあね。 エージェント・███: さっそく質問ですが、あなたはなぜそのように高い知能を持つのですか? SCP-433-JP-1-い-01: 知らない。あんた自分がどうして知能を持ってるのか知ってんのか? エージェント・███: 私にもわかりません。でも、あなたは人間とは違う形で知能と言語を得たのではないのですか。 SCP-433-JP-1-い-01: さあ、知ったことではないね。イヌはイヌなんだ。 エージェント・███: あなたは本当にイヌなのですか? SCP-433-JP-1-い-01: あんたには俺が何に見える? エージェント・████: 柴犬です。 SCP-433-JP-1-い-01: そういうことじゃないのか。 <録音終了> 終了報告書: SCP-433-JP-1自身は出自についてなにも関知していないようです。SCP-433-JP-1-い-01はかなり古い個体で、日本語によるコミュニケーションもかなり上達しているように見受けられます。 インタビューログ 433-5 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-433-JP-1-は-03(ニホントカゲ・メス) インタビュアー: ██████研究員 付記: サイト-81██内の小型動物オブジェクト収容ケージ内の水槽にて <録音開始> ██████研究員: こんにちは、SCP-433-JP-1-は-03。 SCP-433-JP-1-は-03: こんにちは。 ██████研究員: 今日は見てもらいたいものがあるんです。 (██████研究員がエージェント・██████の写真を取り出して見せる) SCP-433-JP-1-は-03: あら、カナヘビ? 今度のご飯の話? ██████研究員: いえ、そういうわけでは……。このカナヘビを見たことは? SCP-433-JP-1-は-03: ないね、一度も。それにな、あの倉庫の中にはカナヘビはいないんだわ。 ██████研究員: そうですか、ありがとうございました。 <録音終了> 終了報告書: エージェント・██████の起源がSCP-433-JPという仮説は誤りであったようです。 ――勘弁してほしいわぁ。 - エージェント・██████ ――調査は続けていく所存です。 - ██████研究員 + [要セキュリティクリアランスレベル3] - [アクセス承認 あなたのアクセスは検閲課によって記録されます] SCP-433-JP-1-と-01に関する追加報告 - 日付20██/12/██ 組織防衛担当による日本生類創研施設・██████への突入作戦により、SCP-433-JP-1-と-01が確保されました。SCP-433-JP-1-と-01は7歳の少年であり、外見上通常の人間との相違点はありません。しかしその知能レベルは平均的な7歳男児と比しても明らかに高く、SCP-433-JPの影響によるものと思われます。研究チームによる研究の結果、SCP-433-JP-1-と-01の脳髄は通常の人間よりも13%ほど体積が増加していることが確認されました。 SCP-433-JP-1-と-01は発見当時精神状態が著しく不安定でした。日本生類創研による実験によるものではないとかと当初推測されましたが、研究施設内に残された実験記録には日本生類創研によるSCP-433-JP-1-と-01拉致の時点で既に著しい鬱状態にあったことが確認されています。 サンプル-HS-10987には、人間だけでなく、生物全般への強い警戒心が見られる。サンプル-HS-10987にはいわゆる胎児記憶が存在するようだ。催眠実験の結果を鑑みると、系統発生に関連される一種の『夢』を見ていたのではないかというのが大方の研究者が支持する内容だ。――一体何者がこの子供に斯様な知性を与えたのか、それが問題になるだろうと私は思う。 - 施設内に残されたメモ書き 現在SCP-433-JP-1-と-01の精神状態はとても安定しており、サイト-81██内の厚生施設で生活しています。 Footnotes 1. 内部構造調査433-1にて、SCP-433-JP内の梁に『如月工務店』というロゴが刻印されていることが確認されました。当該企業について現在調査が進められています。
scp-434-jp
評価: +218+–x アイテム番号: SCP-434-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-434-JPが発生しうる公共機関には二名の担当職員が配置され、発見したSCP-434-JPは午前5 時までに回収します。回収したSCP-434-JPは最寄りの財団施設で裁断し、紙屑はサイト-81██で焼却処分します。回収漏れによる収容違反発生を防止するため、窓口業務を行う公務員にはカバーストーリー『印刷所の手違い』を適用し、民間人にSCP-434-JPを供与することがないように指導します。SCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2が発生した場合、これらの活動に対しては最小限の干渉を行うに留めますが、その際は居所を財団保有のマンションである██████になるように誘導します。これら実体の行動は収容室の監視カメラによって記録し、434確定事象からの逸脱が無いかどうかを確認して下さい。434確定事象13142号の発生前には、民間人の巻き込み防止のためにSCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2付きの監視要員は事象の発生予想位置をサイト-81██に報告しなければなりません。 説明: SCP-434-JPは、現在日本国で使用されている婚姻届と同一の内容が印刷された紙です。これらの対象は日本国内の役所内にランダムに発生し、どの時点かは不明ですが婚姻届保管場所に混入します。SCP-434-JPは外見からは婚姻届用紙と区別が困難ですが、平均的な婚姻届用紙よりも著しく紙質が劣っているため、注意すれば識別は可能です。これら実体の特異性は、婚姻関係を結ぼうとする36 歳以下の男女が各々の氏名を書き込んだ時から開始し、最も初めには男女の「婚姻関係を結びたい」という抵抗不可能な衝動として現れます。その後、SCP-434-JPの効果の下で婚姻を結んだ男女は434確定事象13142号以外の原因では死亡することが無くなります。具体的な例を挙げると、対象を撃とうとした銃器は必ず機能不全を起こしますし、ナイフを使って対象を攻撃しようとすれば攻撃者は延々と攻撃を回避され続けるか、あるいは繰り返し転倒するなどして対象に危害を加えることが出来ません。また、434確定事象以外の原因で疾病に罹ることもありません。 この状態となった男女はそれぞれSCP-434-JP-1(男性)、SCP-434-JP-2(女性)に指定されます。また434確定事象の完成に必要な範囲で、SCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2は指定以前に負った負傷や疾病が回復します。これは外見的にはゆるやかな治癒、若返りのように見えますが、生体解剖を含む検査ではどのようなプロセスでこの回復が行われているのかは解明できていません。 SCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2はそれ以前の関係性とは無関係に、互いに「離れがたい」「愛着がある」などというような感情を抱くようになり、SCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2はSCP-434-JPを可能な限り早急に市役所などに提出しようとします。婚姻関係が成立する前の段階ではこれら実体は通常の手段でも終了しうるため、終了措置が必要な場合はこの提出前の期間にのみ、SCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2実体を終了することが可能です。婚姻関係が成立するとSCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2は434確定事象として指定されている一連の過程を経て必ず死亡します。その主な内容としては、   1. 婚姻届提出から3ヶ月以内のSCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2の東京都████████████への転居、同居の開始。   334. 前号の事象後16 日以内に、各実体は従前の仕事を辞め、東京都████████████近隣のランダムな企業で再就職する。   809. 同居開始より1 年5 ヶ月後のSCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2の第一子誕生。 などがあります。そして最後の事象は婚姻届提出から23 年と7 ヶ月後に発生する以下のものです。   13142. SCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2が第三子の█████誕生日を祝うために、東京都████████████のいずれかの高級飲食店へ434確定事象9471号で購入した車両で向かう途中、差し掛かった交差点でSCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2は運送会社のトラックに衝突される。この事故が原因の負傷で付近の病院に搬送され、各実体は死亡する。 この時点でSCP-434-JPによって発生した特異性は消滅し、434確定事象は終了します。そして434確定事象13142号の完成により、SCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2は先述の通り死亡します。また全ての434確定事象に共通することですが434確定事象はどのようにも妨害不可能であり、過程の変更こそ可能であるものの結果を変えることには成功していません。SCP-434-JP-1、2に強い影響を受けていた事物は、この時点で影響から脱します。例えば、SCP-434-JP-1-a、SCP-434-JP-2-aの子どもは経過観察が続けられていましたが、他のSCP-434-JP-1、2の子どもの行動パターンと有意な共通性が存在しないことが確認されています。また、同様の生育過程を経た人物の行動パターンサンプル1と比較しても大きな逸脱も、共通性も見て取れません。 SCP-434-JPの最初の発見例は1962年の東京都██████区役所の受付カウンターで受理され、その場で直ちにSCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2実体が発生しました。財団はその後、SCP-███-JPの致命的な被害を受けてなお生存していたSCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2を発見し、実験や各実体からの報告により20██年にはSCP-434-JPの特異性の範囲を特定しています。現在までに12組のSCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2実体が発生しており、現在は東京都████████████にある財団保有のマンションに設けられた収容室に全実体が収容され、特異性の研究が進められています。これらの諸活動は通常の夫婦とほとんど変わらず、434確定事象の影響により前述の住居から転居することも無く、また各実体の逃亡の試みは完全に失敗に終わりますが、各実体には念の為に1組ごとに2名までの監視要員が割り当てられています。 補遺: 以下は、20██年までにSCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2に実施されたインタビューログの中で重要とされたものです。現在もSCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2の持つ特異性の究明が続いていますが、SCP-434-JP-1、SCP-434-JP-2実例が少ないことから、これは難航しています。 +SCP-434-JP-1-b  第7回 インタビュー記録 1983/██/██ - ログを閉じる SCP-434-JP-1-b 第7回 インタビュー記録 1983/██/██ 対象: SCP-434-JP-1-b(強盗殺人、現住建造物等放火)、SCP-434-JP-2-b(誘拐、殺人) インタビュアー: エージェント坂場 付記:SCP-434-JP-1-b、SCP-434-JP-2-bは制御された環境下で発生したSCP-434-JP-1実体の最初の例です。これら実体は共に元Dクラス職員であり、SCP-434-JP-1-aで得ることの出来なかった特異性の初期のデータを収集する目的で、SCP-434-JPへ暴露させました。第7回インタビューは収容開始から6年後に行われたもので、場所はマンションの収容房内です。 <録音開始,(1983/██/██)> エージェント坂場: こんにちは、SCP-434-JP-1-b、SCP-434-JP-2-b。前回から何か変わったことなどはありましたか? SCP-434-JP-1-b: いやあ順風満帆とはいえないけど、ガ……(口ごもる)子ども達もようやく手が離れてきて、親としても楽になってきました。 SCP-434-JP-2-b: ええ、性格が合わないと言ってきましたけれど、彼も大分丸くなってきて私としては喜ばしいです。頂いた新しい名前も、なんとか馴染んできたところです。 エージェント坂場: それは結構。では2-b。かつてあなたのした犯罪行為についてですが、今はどんな感想をお持ちでしょうか?まだああした事をやろうという意思はありますか? SCP-434-JP-2-b: (軽く鼻を鳴らす)主婦の身で体制転覆なんて出来るわけがないでしょう?まあできる事と言えば、せいぜいテレビの討論番組を見て、この人の肩を小突きながら毒を吐くくらいなものです。 SCP-434-JP-1-b: 難しいことはよく分からないもんで、俺もウンウン頷くばっかりでして参りますよ。 エージェント坂場: 話題を変えましょう。先日行かれた遊園地での話です。行かれたのは████████████で間違いありませんか。 SCP-434-JP-1-b: はい、子どもら二人とも私達と連れ立って行きました。娘の方が帰り道で寝てしまってもう重くて、こいつももうこんなに大きくなったんだと……。 エージェント坂場: (SCP-434-JP-1-bを遮って)まず乗ったのはコーヒーカップのアトラクション? SCP-434-JP-2-b: ええ、まさかあそこまで監視してたの? エージェント坂場: いいえ。それでジェットコースターに乗り、その後にお昼の休憩を取ってから、観覧車に……。 SCP-434-JP-1-b: 待ってくれ、どういうことなんだ?監視はしてなかったんだろ。 [SCP-434-JP-2-bは青ざめ、子ども部屋の方をしきりに気にし始める] SCP-434-JP-2-b: これも、そういう?筋書き通りの……。 エージェント坂場: まだ確かだとは言えません。それを検証するためのあなた方です。 SCP-434-JP-2-b: そう、ですか。 エージェント坂場: とにかく、ではちょっと書き出して見ていただいてもいいですか?園内に入ってから……。 [ここで子供部屋の戸が開き、SCP-434-JP-2-bが慌ててそちらに駆け寄る。エージェント坂場の判断で、記録はここで中断された] <録音終了> +SCP-434-JP-1-c 第1回 インタビュー記録 1988/██/██ - ログを閉じる SCP-434-JP-1-c 第1回 インタビュー記録 1988/██/██ 対象: SCP-434-JP-1-c、SCP-434-JP-2-c(殺人) インタビュアー: エージェント圷 付記: SCP-434-JP-1-cは財団エージェント██████でしたが、脳腫瘍により余命わずかとなったため、SCP-434-JPの実験被験体に志願しました。この対象には、体調や身辺の変化などについて定期的な報告を義務付けています。SCP-434-JP-2-cはDクラス職員から無作為に選出された日本人女性です。このSCP-434-JP-1-cに対する最初のインタビューが行われたのは確定事象1 号より1 年経過した時点で、場所はマンションの収容房内です。 <録音開始,(1988/██/██)> エージェント圷: こんにちは、SCP-434-JP-1-c。前回報告では元気そうだったが、今はどうだ? SCP-434-JP-1-c: いま、ちょっと風邪を引いてまして……妻にも迷惑をかけてしまって申し訳ないですな。 エージェント圷: 風邪?ちょっと待て。 [エージェント圷はこの発言を受けて手元の資料を確認する] エージェント圷: 事象623号だな。詳しくは教えられんが、まあちょっとすれば良くなるようだね。 SCP-434-JP-1-c: それを聞いて安心しましたよ。 [ここでインタビューの席に、お茶を持ったSCP-434-JP-2-cが合流する。] SCP-434-JP-2-c: お茶です。よろしければどうぞ。 エージェント圷: これはどうも。SCP-434-JP-2-c、今はいかがですか?医療記録には重い精神疾患があるということでしたが。 SCP-434-JP-2-c: つらい時期が今まで続いてきましたけれど、主人に支えてもらって良くなりました。それに、母親になるのに私がしっかりしなくちゃ。 エージェント圷: それは結構ですね。それにしても、なんだかベビー用品が男の子のものが多いですね。まだ性別はわからないんでしょう? SCP-434-JP-2-c: いえ、きっと長男です。かわいい、彼似の子がもうすぐ……。 エージェント圷: いやはや、私には子どもがいないもんでよく分からないですな。では、なんと言いますか、夫婦仲はいかがです?お互いの間で喧嘩などはありますか? SCP-434-JP-1-c: いや、そういったことは一度も。……お互いに惹かれ合っていますよ。あの後からずっとね。 SCP-434-JP-2-c: あなた? SCP-434-JP-1-c: なんでもないよ。さて、他にお聞かせすることはありますか? エージェント圷: 今の仕事についてはどうだ? SCP-434-JP-1-c: 順調そのものです。昇進も、もう手の届く所にあるという具合でしょうか。しかし、まさか一般企業で働くことになるとは考えもしませんでしたね。 エージェント圷: ああ、予定通りだな。 SCP-434-JP-1-c: ……これも? エージェント圷: 434確定事象の内容に含まれていることだ。昇進後の階級までは決まっていないから、どこまで昇進するかはお前の能力次第だな。 SCP-434-JP-1-c: そうですか……まあ頑張りますよ。全てがもう決められているにしてもね。 エージェント圷: もういい、ありがとう……録音終了。 [以下の部分は、エージェント圷の持参した所定の録音機ではなく、室内に設置された録音装置の記録です。この部分での圷の発言はSCP-434-JP-1-cに大きく影響を与えたと評価されており、これは参考のために付されています。] SCP-434-JP-1-c: 圷さん、俺はどうしたら……いやどうしようもないのか。俺はこいつとままごとをずっと続けなきゃならない。この異常を収めるために。 SCP-434-JP-2-c: えっ……? エージェント圷: 止せ。 SCP-434-JP-1-c: 俺はもう、生きた現実と切り離されて、もう後は檻の外を眺め続けるだけ。もう何もかも……。 エージェント圷: 何もかもじゃない。そもそも考えてもみて欲しいが、人間誰しも決められた道筋の上を歩いてるじゃないか。俺達なんかがその典型だろ。お前の場合、それが極端なだけだ。そう考えるんだよ。 SCP-434-JP-1-c: そんなに簡単なものでは……。 エージェント圷: 知ってるはずだ。人間の一生なんぞ、吹けば飛ぶような簡単な物だろう? SCP-434-JP-1-c: それは、確かにそうですけど。 SCP-434-JP-2-c: さっきから、なんのお話なの?私にはよくわからないのだけれど。 エージェント圷: いや、お気になさらず。まあなんというか、平凡な人生の話ですよ。皆が羨んでやまないような……。 <録音終了> +SCP-434-JP-1-c 第21回 インタビュー記録  20██/██/██ - ログを閉じる SCP-434-JP-1-c 第21回 インタビュー記録  20██/██/██ 対象: SCP-434-JP-1-c インタビュアー: エージェント飯塚 付記:本インタビューは、434確定事象13142号の起こると予想されている日の一週間前に行われました。 <録音開始,(20██/██/██)> エージェント飯塚: SCP-434-JP-1-c、先月通知されたカウンセリングの件を断りましたね。なぜです? SCP-434-JP-1-c: 無駄だからな。というか、何年も前に知ってたことだ。もうすぐなんだろう? エージェント飯塚: 圷の言ったことは忘れてください。あれは不確定な情報です。我々も最善の努力を以って最後の事象に干渉する予定です。ですから、悲観せずこれまで通り協力を……。 SCP-434-JP-1-c: 君には分からないだろうが、これは予感のようなものでな。圷さんの言ったことは関係ない。きっと、どのようにしても防ぎようのないことだ。 エージェント飯塚: なぜそう思われるのですか? SCP-434-JP-1-c: いいか。俺は、少し前に車を買った。次女が私立大学に進み、その下の弟がまた私立大にと言って、金が無いにも関わらずだ。だが俺は車を、しかも安くはない車を買ってしまった。 エージェント飯塚: ええ、それはあなたの報告通りです。前の二例の実体にも確認されていた行動で、434事象に数えるかどうか審議されていると聞いています。 SCP-434-JP-1-c: ああ、間違いなくそうだろうな。自分で非合理なことと分かっていながら、どうしようもなくあの車が欲しくなった。今までもそんなことが続いてきた。決められた筋から外れた瞬間に誰かの手が伸びてきて、元のレールに戻される。それで俺も、だんだんとその手が見えるようになってきてな。今見えているのはトラックの車輪の下だ。 エージェント飯塚: ですから……いや、なぜトラックと?前回のログの圷は単に交通事故だと。 SCP-434-JP-1-c: 何と言えばいいのか。ある作曲家の曲ばかり聴き続けていると、なんとなく次のフレーズが分かるようになるだろう?多分そういうものなんだと思う。 [SCP-434-JP-1-cは所在なく手を擦り合わせつつ、十秒ほど沈黙する] SCP-434-JP-1-c: もうそれもどうでもいい、この件に関しては……もう仕方がないと思っているんだ。 エージェント飯塚: なんですって? SCP-434-JP-1-c: 君達はこう思っているのかもしれない。俺達が「なにかに操られて、安っぽいホームドラマを演じさせられている哀れな被害者だ」とかな。だがそうではないんだ。楽しいこともあった。辛いこともあった。治ると分かっていても、妻が重病になったときは辛かったし、子供を遊園地に連れて行くのさえ「確定事象」だったが、それでも俺達の人生だったんだ。 エージェント飯塚: ともかく、これまでと変わらず協力はしてくださるわけですね? SCP-434-JP-1-c: そうだね。それにもしかすると、息子の誕生日を平和に祝えるかもしれない。君達は道路封鎖なり、私達を遠くの武装サイトに隔離したりするんだろう?私達ももちろん協力するとも。ただ、少し頼みがある。 エージェント飯塚: なんでしょうか?ひとまず伺いますが。 SCP-434-JP-1-c: あいつは頭の弱い女だ、何にも気がついてない。あれには……妻には何も言わないでくれ。 <録音終了> 補遺2: SCP-434-JPステータスを表示します。日数が6000 日を超える場合は表示しません。表示されないデータについては、サイト-81██へ問い合わせてください。 データサーバーへ接続しています…… [エラー。サーバーとの接続が予期せず解除されました。] Footnotes 1. 財団統計データベース"IAO"「『中流家庭』東京都1977-1989年版」より
scp-435-jp
評価: +55+–x アイテム番号: SCP-435-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-435-JPは施錠機能が付いた冷蔵庫に保管してください、SCP-435-JPの摂食実験は必ずDクラス職員を使用し、実験終了後は発生したSCP-435-JP-1を終了してください。生成したSCP-435-JPは全てふき取ったあと焼却処分してください。 説明: SCP-435-JPはポリエチレン・アルミ製の袋に入った10g使いきりタイプのトマトケチャップです。パッケージの表面にはケチャップで書かれた滴のようなマークと「血液代替トマトケチャップ」の文字が印刷されています。 SCP-435-JPの構成物質はトマトピューレ・塩・酢などの一般的なケチャップの材料に加え、未知の赤い着色料と粘性のある物質が使用されています。SCP-435-JPは通常下では粘性の高い液状の形態を保ちますが、パッケージ外の空気に触れた場合、数秒で固いゴム状の形態へと変化します。この形状になったSCP-435-JPは接着面から非常に離れにくくなりますが、水分を含んだ布等を用いて容易に除去することが可能です。 SCP-435-JPを人間が経口摂取すると、使用者はその直後に大量の血液を嘔吐し始めます。嘔吐された血液自体には異常な性質は存在せず、またその嘔吐量は使用者の体格から推測される保有血液量とほぼ同量です。血液の嘔吐に伴い使用者の血液は順次SCP-435-JPへと置換され、嘔吐が終了した時点ですべての血液がSCP-435-JPへと変化します(以下使用者をSCP-435-JP-1とする)。SCP-435-JPがどのような原理を用いて血液の持つ生態的機能を代替えしているのかは現在も不明なままです。SCP-435-JPの味に対してすべてのSCP-435-JP-1は「非常に美味」と述べています。 SCP-435-JP-1に変化した使用者は出血に対する非常に高い耐性を持つようになります。SCP-435-JP-1に刃物を突き立てた場合、通常通り刃物は肉体を切断しますが、SCP-435-JPの持つ空気に触れるとゴム状に固くなる性質のため出血は通常よりはるかに少量に抑えられます。しかし、SCP-435-JPはその成分1と出血を塞ぐ以外の効果は通常の血液と違いが殆どなくSCP-435-JP-1の治癒力は通常の人間と変わりません。そのため重要な臓器に損傷を受ける、肉体そのものが完全に切断されるなどしたSCP-435-JP-1は通常通り死亡します。 SCP-435-JP-1は口内にSCP-435-JPを自由に出現させることのできる能力を有しています。SCP-435-JP-1自身その仕組みを理解していませんが、SCP-435-JPは唾液腺、および犬歯の一部から分泌されていることが確認されました。一短い時間での多量のSCP-435-JPの分泌はSCP-435-JP-1にめまい・貧血・体温の低下など多量失血時と同様の症状を引き起こすため、体内のSCP-435-JPを口内に送り込む機能だと推測されています。 SCP-435-JP-1へと変化した人物は、時間の経過につれSCP-435-JPを摂取したいという強い欲求を持つようになります。欲求が現れる初期の段階では、自身で分泌したSCP-435-JPを摂取することによって欲求を抑えることが可能ですが、徐々に要求されるSCP-435-JPの量が増えていくため、最終的にSCP-435-JP-1は自身の血液の摂取による出血性ショックにより死亡します。SCP-435-JP-1がSCP-435-JPをごく微量ずつ口に含み、長い時間をかけて咀嚼を行うことからSCP-435-JP-1の目的は、SCP-435-JPの摂取その物よりも、その味を感じ取ることであると考えられています。 欲求が現れたSCP-435-JP-1の周囲に他のSCP-435-JP-1が存在する場合、その個体を殺害することでSCP-435-JPを回収することを試みます。前述した空気に触れるとゴム状に変化するSCP-435-JPの特性のため、傷口に直接吸い付く・齧り取った肉体ごと咀嚼するなどの方法で摂取を行います。 同様に欲求が現れたSCP-435-JP-1の周囲に通常の人間が存在する場合、SCP-435-JP-1は相手にSCP-435-JPを強制的に摂取させ、SCP-435-JP-1へ変化させようとする行動をとります。その際SCP-435-JP-1は自身の口で相手の口を塞ぎSCP-435-JPを強制的に注ぎ込むという手段を用いる傾向があります。この行動は自身がSCP-435-JPを獲得する機会を増やす目的のためと考えられています。 SCP-435-JPは20██/█/██に愛知県名古屋市で発生した交通事故の現場で発見されました。当時事故現場では車内からSCP-435-JPの流失が発生しており、事故車の中からSCP-435-JPが付着した多数の500mlガラス製容器が発見されました。その後財団は同車内から損傷のないSCP-435-JPの10g使い切り袋1██袋を回収しました。SCP-435-JPを積んだワゴンを運転していた人物は事故で死亡しておりその身元は現在調査中ですが、ワゴン内から大型の撮影機器や小型の舞台道具、SCP-435-JPで汚れた複数の舞台衣装などが発見されたことから舞台関係者、もしくは映画関係者ではないかと推測されています。 SCP-435-JPやガラス容器が梱包されていた全ての段ボール箱の側面に以下の言葉が黒のマジックで記入されていました。 ハイキ うますぎた Footnotes 1. SCP-435-JPの持つ塩分や粘度、高いphにより一部の細菌や寄生虫、病気に対する耐性が向上していることが明らかになっています。
scp-436-jp
評価: +64+–x 収容中のSCP-436-JP-A。 収容中のSCP-436-JP-B。 収容中のSCP-436-JP-C。 アイテム番号: SCP-436-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-436-JPに指定される生物群は財団の収容に対して従順です。それぞれの生物を飼育するのに適した一般的なケージにて飼育してください。 SCP-436-JPの異常性について、事案-436-1の例から、微弱ですが感染性があると推測されています。SCP-436-JPの収容自体は一般的な生物飼育と同様であり、それゆえに今のところ飼育は自動で行われています。機械では賄えない飼育手順については現在SCP-436-JPの異常性に感染した研究員によって補填されていますが、必要ならばDクラスを充当して下さい。 感染経路が不明であるため、可能な限り財団職員による接触は避け、収容室周辺に立ち入る際は無菌スーツを着用して下さい。 説明: SCP-436-JPは、収容以来██年間外見的な加齢を取っていないように見える、雑種のメスの子猫、成鳥のオスのメンフクロウ及びメスの成犬のゴールデンレトリバーです。DNA検査の結果異常はなく、一般的な同種と同様の食事・睡眠を行います。 SCP-436-JPはお互いに極めて親密な関係を築いているだけでなく、“とても人懐っこい”と形容される性格で財団職員の誰に対しても友好的な反応を示します。しかしながら、SCP-436-JPの示す“親愛行動”は一般的な物とはかけ離れています。 本来、SCP-436-JPに指定されている動物の示す“親愛行動”とは、以下の通りです。 子猫ーー喉を鳴らす、対象に自分の頭を擦り付ける メンフクロウーー対象を捕食の意思なしに甘噛みする ゴールデンレトリバーーー対象に抱きつく、対象を舐める 本来ならば見られるはずのこれらの行動を行う前に、SCP-436-JPは後述の行動を行います。 人間を含む生物に対してSCP-436-JPが“親愛行動”を実行する際、SCP-436-JPは共通して、低い男性の声で[436-JP親愛反応語句]と指定される言葉を発します。本来これらの生物では発音できないはずの言葉をどのようにして出しているかは不明です。 SCP-436-JPが[436-JP親愛反応語句]を発した際、それを向けたとされる人間(基本的には直近の一名)の血管の一部はその体表に移動を開始します。被験者に選ばれたDクラスによれば“水面から取り出すように”対象の血管はその繋がりを保ったまま最も近い皮膚の表面を透過し、体表に露出します。抜き出される血管の範囲はその時々によって一定せず、手の甲の主要な血管のみが露出する例もあれば、全身にその影響が及んだ例も見られます。この際血管に一切の損傷は起きず、血管を抜き取られた生体組織はその生命活動を継続します。浮上する血管の中には、本来ならば血管が延長できる限界を超えて延長しているように見える場合もありますが、この事例で回収された血管のサンプルは本来の能力を超える延性を示しました。 血管の延長自体は生命活動に影響を与えませんが、その際の変化により対象の他の血管部分には若干ながら鬱血が発生する場合があります。SCP-436-JPの“親愛行動”は鬱血が深刻に人体に影響を与える程に長期に渡ることはなく、最長でも2〜3分で終了するため、これによる人体への影響は今のところ報告されていません。 血管が完全に露出すると、SCP-436-JPはその部分に、一般的な同種が取る“親愛行動”を行います。SCP-436-JPは一様に血管の分岐部分を愛撫することを好み、それゆえ、最も取り出される可能性の高いのは心臓部周辺となっています。血管はこれらの行動によって歪みこそすれ、基本的にSCP-436-JPによって損傷を受けることはありませんが、この行動中は通常のナイフなどで別の人間が血管を切断することは可能です。また、“親愛行動”中にSCP-436-JPに対して過度に不快感を与えるような行動(強く叩く、思い切り身体をつねる、無理に抱きしめる等)をした場合、通常の生物と同様に、SCP-436-JPは対象に対して回避行動または攻撃的な態度を示します。この際、まれに血管に傷をつけたり引き裂いたりする場合があります。 “親愛行動”の後、SCP-436-JPはそのまま対象から離れます。同時に血管は再び皮膚を透過してもとの位置に戻ります。この際、血管にSCP-436-JPの抜けた毛や組織が巻きついていた場合はそのまま体内に飲み込まれます。血管にそれ以外のもの、例えば対象の毛髪やフケ、実験によって巻きつけられた紐などが付着していた場合、それらは皮膚を透過せず、そのまま皮膚の上に取り残されます。 補遺-1: 事案-436-JP-1 SCP-436-JPは、ペットショップから警察への“異常な行動を示す動物”についての通報をキャッチされ、収容されました。これらの動物は全て別のブリーダーから当該の店舗に卸されたもので、彼らには異常性について全くの心当たりがありませんでした。 収容から16カ月後、収容当初からSCP-436-JPの管理に当たっていた研究員██にSCP-436-JPと同じ異常性が発現しているのが確認されました。 SCP-436-JP被影響者へのインタビュー:20██/██/██ 対象: ██研究員 付記: SCP-436-JPはその異常性を軽視され、研究員は長い付き合いの中でSCP-436-JPに対して軽度の依存心を起こしていたと考えられる。 東郷博士: では、詳しいことを話してください。 研究員: む、無理な話でした。あの子たちはとても可愛いし、それに物凄くよく懐いてくれていて、その。 東郷博士: そこは問題にしていない。彼らの異常性についてはほぼ研究も済んでいる。君になにが起きたのか、そこだけを聞いている。 研究員: [3秒沈黙]あの、私……子供(研究員は4年前に出産しており、普段は財団内の託児所に預けられていた)を迎えに行って、サイトからの……シャトルバスに乗ったんです。別のオブジェクトの報告書をまとめるのに手間取って、サイトを出たのは、10時を回っていました。子供も眠そうにしていて、バスの中で私にもたれかかって、それで……[嗚咽]。 東郷博士: それで。 研究員: あの子の寝顔を見ていたら、やっぱり私も母親ですね、かわいいなぁ、って。髪の毛が目に入りそうだったので、そっとかきあげようとしたんです。そうしたら……。 東郷博士: 異常性が発現していたわけだ。君の、いや、君自身に。 研究員: [嗚咽]……はい。私そんなつもりなんてなかったのに!!なんだか急に、アレ(436-JP親愛反応語句を指す。)を言わなくてはいけないような気がしてしまって、で、でも……私言いませんでした。絶対に。でも[6秒沈黙。以下、対象はすすり泣きを始める。] 東郷博士: 言わなかったのに、それなのに異常性が発現したんだね? 研究員: 息子の髪に、私は触れられませんでした。あぁ…血管が、あの血管が邪魔をして!!息子の頭がマスクメロンみたいに真っ赤に埋め尽くされて……[号泣] 東郷博士: ……それで、君はアレを舐めたわけだ。最終的には。 研究員: ……はい。結局、私撫でるだけじゃあ満足できなかったんですの。 〈録音終了〉 補遺-2:436-JP親愛反応語句 愛しているゆえに、だ。マーリン。
scp-437-jp
評価: +46+–x   アイテム番号: SCP-437-JP   オブジェクトクラス: Safe   特別収容プロトコル: SCP-437-JPはサイト-8123内の低危険性物体保管ユニットの耐震構造を施した収容ロッカーに収容します。SCP-437-JPにはシーツを被せ、鏡面が後ろ向きになるように保管して下さい。   説明: SCP-437-JPは幅70cm・縦180cm、外枠はプラスチックで構成され、裏面はベニヤ板で補正された壁掛け型の姿見です。SCP-437-JPが異常性を持つのは鏡面のみで、それ以外の部品は特異性を持ちません。   SCP-437-JPは鏡面に人間の全身が投影した対象(以下、SCP-437-JP-A)に、進行性の精神異常を発症させます。SCP-437-JPの範囲は鏡面の向き半径180度・距離30mに限定されており、範囲内にいるSCP-437-JP-AはSCP-437-JPに自身が投影していることを認知していない状況や、足や指先等の一部分が投影した場合でも無意識のうちにオブジェクトの正面1m内に接近し、鏡面に全身を投影します。SCP-437-JPの鏡面に布や遮蔽物を設置した場合、オブジェクトの異常性を受けることはありません。   初期症状では頭髪を整える・襟を正す等の一般的な行動を取ったあと、オブジェクトから離れることが可能です。しかしSCP-437-JP-Aがどのような精神状態や危機的状況であっても同様の行動を取る事が確認されており、Dクラス職員を用いた実験では、銃口を向けた緊迫した状態でも襟を正し、アンフェタミン等の興奮剤を過剰投与させた場合でも、頭髪を丁寧に整える動作を見せました。 鏡面の投影時間が32時間を経過する頃にSCP-437-JP-Aは中期症状を迎えます。SCP-437-JP-AはSCP-437-JPの前に居座り、長時間掛け身だしなみを整えるようになります。特筆すべきは、一度完成した化粧や髪形を些細な理由で「化粧が崩れた」、「髪型がまとまらない」などの理由を述べ最初からやり直すことです。自然、SCP-437-JP-Aの投影時間が増加し、精神状態が末期状態まで進行します。SCP-437-JP-Aは自主的にSCP-437-JPから離れることはありませんが、オブジェクトの前から離れるように強く命令されれば一時的にその場から退くことが確認されています。SCP-437-JPをSCP-437-JP-Aから完全に撤去した場合、食事や休憩を一切摂ることなく、オブジェクトを捜索し続けます。 投影時間が43時間経過する頃にSCP-437-JP-Aは末期症状を迎ると、SCP-437-JP-Aは自身の皮膚を「衣服」のように認識するようになり、全身を清潔な状態にした後、除毛を開始します。次に、自身の皮膚にナイフや鋏といった鋭利な道具を用いて自傷行為を開始します。自傷行為の最中のSCP-437-JP-Aは、正常な苦痛と反応を見せますが、「美しくなるために、痛みを伴うのは当たり前」、「我慢なくて美はなりたたない」等といった言葉を自身に言い聞かせるように発言し、行動を中止することはありません。   SCP-437-JP-Aにより剥がされた皮膚は、衣服や装飾品を作成するために使用します。「服」を作成したSCP-437-JP-Aは、自作の「服」を身につけSCP-437-JPの前に立ち、死亡するまで様々なポージングを行います。 SCP-437-JP作成リスト 作成物 詳細 マフラー 長さ15cm程度。頸部から鎖骨部位の皮膚で作成。 シャツ Vカットされた襟口とタートルネックのシャツ。血液によるイラスト付き。 パーカー 頭部及び顔面全体の皮膚を使用したファー付きフード。ファーは毛髪を使用。 ブラウス 襟とボタン穴つきの服。ボタンは爪を使用。 スカート 膝丈の長さのタイトスカート。 ズボン ベルト穴・ポケット付き。ファスナーの凹凸は歯で再現。 網タイツ 下腹部から足の裏に至る皮膚で作成。 靴下 五本指と指なしのタイプ。長さは七分丈と一分丈(踝程度の長さ)。 着物 鎖骨から膝の皮膚を用いて作成。袂及び帯は未完成 。 ドレス ワンピース型のドレス。毛髪によるレース等の装飾付き。 手袋 八分丈のロング手袋。爪の部位は切除。指の末端は補修されている。
scp-438-jp
評価: +95+–x
scp-439-jp
評価: +371+–x アイテム番号: SCP-439-JP オブジェクトクラス: Euclid Keter 特別収容プロトコル: SCP-439-JP-aを記録したファイルがサイト-81██のドキュメント保存庫に保管されます。全世界の野球団体にSCP-439-JP-a-3およびSCP-439-JP-a-7に当たる行為をルール上禁止させ、打者がそれらの動作を行った場合は試合を一時中断させるように通達し、SCP-439-JPの発生を防いでください。██選手の打席が映った一般向けの映像媒体は発見次第編集・破棄する必要があります。現在SCP-439-JPに関する実験は禁止されています。 説明: SCP-439-JPは現在、野球のみで確認される、打者が一連の動作(以下SCP-439-JP-a)を行った後にボールを打つと発生する現象です。極めて稀であるものの野球以外でもSCP-439-JP-aが再現可能であることが判明しました。その場合重篤な被害が発生する可能性が考えられます。 SCP-439-JP-aは全10段階で表される動作です。(これらの動作を段階に応じてSCP-439-JP-a-1~SCP-439-JP-a-10に指定。別紙を参照してください。)SCP-439-JP-aを他の動作を挟まずに連続して行った後、ボールを打つことでSCP-439-JPが発生します。SCP-439-JP-aの中には元来から一般的に非紳士的であると見做される動作が含まれており、SCP-439-JP-aに指定される動作の多さも手伝い、野球の歴史の長さから考えるとSCP-439-JPの発生は非常に少なく抑えられています。原理上、クリケットの様に棒とボールを用いた全てのスポーツでSCP-439-JP-aの成立及びSCP-439-JPの発生は起こりえますが、SCP-439-JP-aの多さや、打者の頭部の角度が細かく指定されるなどの複雑さのため野球以外で成立することは極めて稀と考えられます。なお、SCP-439-JP-aが途中で中断された場合や空振りをした場合はSCP-439-JP-a-1からやり直さなければSCP-439-JPは発生しません。 SCP-439-JPが発生すると打者により打たれたボールは必ず、ボールの重量に比例した距離だけ飛びます。この時の打球の飛距離は、概ね、(ボールの重量[kg]*1000)[m]であり、打者の筋力やフォーム、投球速度、バット及びボールの材質の影響は一切受けません。ただし、SCP-439-JP-a-10は「強振すること」であり、バントやバットに当てることに集中した緩い振り方では発生しないため、調査を目的にしない「観戦」程度では強振した結果ホームランになったという極自然な現象にしか見えません。しかし、ハイスピードカメラを用いた解析を行うと、バットとボールの当たり方から考えると物理的に不自然な飛び方をしていることが分かります。 SCP-439-JPが記録上初めて確認されるのは19██/7/21の████対██████戦の故██選手の第4打席です。██選手は名プレイヤーとして知られており、得点圏にランナーがいる際にホームランを打つ可能性が高い、所謂「チャンスに強い選手」であると評されていました。この打席以降、彼がチャンス時にホームランを打った際は必ずSCP-439-JP-aを行っていたことが確認されています。██選手は全打席でSCP-439-JP-aを行っていたわけではなく、SCP-439-JP-aが偶然にも彼のチャンス時のクセであったのか、チャンス時以外には意図して行わずSCP-439-JPの存在を隠していたのかは不明です。19██年に行われたサイト-81██のレクリエーションの野球でエージェント███がボールを打ったすべての打席でホームランになっていたことにより、参加していた研究員の興味を惹きました。エージェント███は野球は未経験でしたが、彼は他人の動作を精確に模倣する能力に秀でており、前日に参考として見たDVDの██選手の動作を模倣していたことが判明しました。その後、██博士の調査によりSCP-439-JPの存在とその発生条件であるSCP-439-JP-aが確認されました。 + 実験記録439-06~09 - テキストを隠す 実験記録439-06 - 日付19██/4/25 対象: D-45345、D-45370 実施方法: 屋外実験場にてD-45345にSCP-439-JP-aを行わせた後、D-45370の投げた硬球を打たせる。 結果: 打球は例外を除き全て140~151mを記録。打球の軌道はフライ性からライナー性と様々だった。例外としてD-45370に当たったボールはそのまま落球し、D-45370は腕に全治2週間の打撲を負った。 分析: これまでの実験から予想される通りの結果となった。打球が障害物に妨げられた場合は例外となるようだ。飛距離の誤差はボールの重量差だけでなく風の影響などを受けているためと考えられる。 実験記録439-07 - 日付19██/4/27 対象: D-45345 実施方法: 屋外実験場にてD-45345にSCP-439-JP-aを行わせた後、ティーバッティングをするように指示。 結果: 前回の実験と同様の結果となった。 分析: どうやら投げられたボールでなくても問題ないようだ。今後は特記しない場合は同様の方法で実験を行うこととする。 実験記録439-08 - 日付19██/4/29 対象: D-45345 実施方法: D-45345にラグビーボールを打つように指示。 結果: ボールは約400m飛翔。木製バットは二つに折れ、D-45345は腕の痺れを訴えた。 分析: 野球ボール以外でもSCP-439-JPが発生することを確認。被験者にかかる負荷は軽減されるわけではないのか?次の実験で確認したい。 実験記録439-09 - 日付19██/5/5 対象:D-45345 実施方法: D-45345に合金を埋め込んだ重さ約5.0kgの野球ボールを打つように指示。なお、コンクリートブロックを緩衝材として設置。 結果: コンクリートブロックは破壊され、ボールは停止した。木製バットは粉砕され、D-45345の腕は衝撃に耐えきれず[編集済]。 分析: 仮説は正しかったようだ。予想される被害と人員の喪失を考慮すれば、SCP-439-JPの限界重量の調査は不要であるだろう。 実験439-10において事故が発生しました。以下は、その事故記録です。 事故記録439-01 - 日付19██/5/7 事故内容: D-45370に並べられた野球ボールを2球同時に打つように指示したところ、D-45370は空振りをしバットを放してしまいました。バットは実験の補助として参加していた別のDクラス職員の頭部に直撃し、Dクラス職員の頭部は[編集済]。本実験ではD-45370に新たな負傷は見られませんでした。D-45370にインタビューを行ったところ、故意ではなく先日の負傷により腕の感覚が鈍かったためであると主張。D-45370は別のSCP任務に割り当てられ、同席していた研究員にはBクラス記憶処置を行いました。 分析: ボールではなくとも球体に近ければ影響が及ぶと予想される。また、バットがコントロールから離れてもSCP-439-JPは発生するようだ。 実験結果及び事故記録から、サイト-81██責任者により実験の凍結及びオブジェクトクラスの見直しが申請。O5評議会により承認されKeterクラスに割り当てられました。 Dクラス職員の頭部に当たったのは幸運だったと言える。楕円形でも、表面に凹凸があろうと問題なくSCP-439-JPは発生し、そして重量物ほど飛距離がでる。そこに例外があるという希望的観測はするべきではないだろう。 -サイト-81██責任者 ████
scp-440-jp
評価: +55+–x アイテム番号: SCP-440-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 破壊と移設は特性の移動を招くため、SCP-440-JP-Aには警察官に扮した財団職員を2名ずつ配置し、8時間毎に交代して内部が無人になることを防ぎます。担当職員には警察官業務を行うために講義と実習を受けた人員が割り当てられ、一般警察官と同様の業務を行います。これには武器の携行も含まれるため、Dクラス職員の登用は出来ません。万が一、SCP-440-JP-A内から同時に2名以上の職員が離れなければならない場合、専用回線を用いた早急な人員手配を行ってください。有人時に発生するSCP-440-JP-EXTは専用チャンネルに転送され録音と記録が行われます。 現在、意図的にSCP-440-JPを発生させる実験は倫理的観点から認められていません。 説明: SCP-440-JPは██県██市の██署管轄内で発生する発信元不明の警察無線です。同市内の交番に指定されている1棟の建造物(以後、SCP-440-JP-Aと記述)の内部が無人の時のみに発生します。SCP-440-JPは男性と見られる声で存在しない現在は使用されていない警察車両番号と共に事件の概要1と場所(住所)、被害者及び加害者の外見的特長を伝えてきます。 これに従って事件現場とされる住所に向かうと、大抵の場合は事件が起きたようには見えません。しかしこの場合、数十秒~数十分後の範囲でSCP-440-JPが伝える外見的特徴と完全に一致した被害者と加害者が現れ、実際に事件が発生します。この際に介入することで未遂事件として解決が可能です。この後、SCP-440-JPが事件の顛末を尋ねる内容で発生し、それへ返答を行うと了解の旨でSCP-440-JPは無線を終了します。 SCP-440-JPは197█年頃から██署管轄内の犯罪を予知する謎の警察無線として同署内の警察官に噂話と僅かな体験談としていくらか知られていました。同署に潜入していたエージェントはこれを財団に報告しましたが発生事例の少なさにより、当初は超常現象記録として分類されていました。しかし200█年██月以降に発生が大幅に増加、原因究明の一環として、██署管轄内の無人交番2への立ち入り調査が行われました。そのうちSCP-440-JP-Aへの調査が「不法侵入事件」としてSCP-440-JPに発信された事から、両者の関係性が指摘され、調査と実験を経てSCPオブジェクトに指定されました。 補遺1: 20██年██月██日、SCP-440-JP-A内が有人にも関わらずSCP-440-JPが発生しました。██署へ潜入していたエージェントと無線を受けた警察官が該当住所に向かい約3時間周辺を捜索しましたが、被害者と加害者に一致する外見的特徴を持つ人物を発見出来なかったため、警察官に記憶処理を行い、無線内容をSCP-440-JP-EXTとして記録しました。その後も加害者の服装に関する内容にのみ変化を伴って発生したため、専用チャンネルへの転送を行う収容プロトコルが追加されました。 補遺2: 当初、存在しないとされていたSCP-440-JPが伝える警察車両番号は警察庁下の公式記録には存在しませんでしたが、SCP-440-JP-EXTについての調査中にかつては使用されていた可能性が発見されました。196█年██月██日付けの██新聞の紙面上の写真に同一の車両番号を持つ警察車両が捉えられており、該当記事の原版に使われた写真を調査したところ、改竄が無い事を確認されたため、該当車両の調査が進められました。その結果、対象は197█年██月██日に██署から廃車処分が申請されている事がわかりました。しかし処分を委託された業者には該当車両を引き受けた記録が残っておらず、当時の従業員複数名の証言内容からも処分が行われていない可能性が高いことから、現在まで所在不明であると結論づけられました。廃車処分が申請された日付はSCP-440-JPの体験談として確認される最も古いものにおおよそ一致します。 該当の車両番号を持つ警察車両が捉えられた紙面の内容は今現在まで未解決事件である一般的には[編集済]事件と呼ばれる誘拐殺人事件の初報です。SCP-440-JP-EXTが伝える住所の[編集済]事件の被害者の遺体発見現場との一致、被害者の性別の一致、被害者の外見的特徴が全てのSCP-440-JP-EXTで同一であることから、この事件の被害者ではないかと考えられています。しかし[編集済]事件の被害者は[削除済]の後、衣服を剥がれて遺棄され[削除済]と思われるため、遺留品が残っておらず確定へと結論付けることが出来ていません。 + インタビューログ:SCP-440-JP-EXT-12 - 閉じる 対象:████氏(██署元副署長) インタビュアー: エージェント・紀元(██署潜入エージェント) 付記: 当インタビューはSCP-440-JP-EXTに関連すると思われる[編集済]事件についての聞き取り調査です。当該事件の捜査関係者は全員がかなりの高齢のため、比較的明瞭な記録を本稿に引用しました。全インタビューログについてはSCP-440-JP研究主任へ請求してください。 <録音開始,(20██/██/██)> エージェント・紀元: それでは、[編集済]事件についてお話願えますか? ████氏: イヤな事ってな、50年以上経っても覚えてるもんだねえ。刑事つっても、あんまり人にゃ話したい内容じゃないよ。 エージェント・紀元: お気持ちは察しますが、私も仕事ですので。まず事件の概要についてお聞きしてもよろしいですか? ████氏: (言い淀む様子を見せる)……若い女の子が誘拐されて殺されちまったんだ。俺も駆り出されてホトケさん(被害者)見たけど、真っ黒で身体の出っ張りでようやく女の子だってわかるぐらいでなあ。そんとき目ェ掛けて、引っ連れてた若いのはゲーゲーしてたよ。 エージェント・紀元: その時の様子がこちらですか?(196█年██月██日付け██新聞の当該事件の紙面を見せる) ████氏: (目を細めて写真を確認する)ああ、そうそう(SCP-440-JPが伝えるものと同じ番号の警察車両を指す)これ、俺が乗ってきたやつだ。新聞(記者)追っ払ってたはずなのに、撮ってたやついたんだねえ。 エージェント・紀元: この記事は初めてご覧に? ████氏: うん?……いや?流石にどっかで見てると思うんだけどねえ。でもなんか新鮮な気がしたんだ。 エージェント・紀元: わかりました、話を戻しましょう。その後の捜査はどのように進んだのでしょうか? ████氏: 五里霧中ってやつだったね。ホトケさんの身元がお宅のお嬢さんでしたって言えるまでも当時は時間が目一杯必要だったし、ホシ(容疑者)のモン3は何にも出てこないし。1人で足を棒にして何やってんだろって思ったよ。 エージェント・紀元: それで今も未解決のままと。 ████氏: うん、最後は形だけになっちまった捜査本部も時効で無くなって、一緒に足を棒にした若いのが悔しそうだったよ。正義感が随分と強かったからなあ。 エージェント・紀元: お1人で捜査のチームに参加されたのでは? ████氏: うん?いや、2人だよ?ほら最初に若いの引っ連れてたって言ったよな俺?運転は若いのに任せてたし、確か███って苗字で……聞いたことねえな、この名前。 エージェント・紀元: 対象に混乱が見られるため、インタビューを終了します。 <録音終了> 終了報告書: ████氏が語った███という名前の警察官は警視庁下の記録に存在しませんでした。 SCP-440-JP-EXTの加害者と一致する人物の捜索は現在、予定されていません。 Footnotes 1. 大抵は「~~事件が発生」とだけ添えられます。 2. 警察官を常時は配置せず、テレビ電話を設置した交番 3. 物証のことと思われる
scp-441-jp
評価: +136+–x アイテム番号: SCP-441-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 現在、SCP-441-JPを封じ込める手段は確立されていません。現在、SCP-441-JPの放送は確認されていません。SCP-441-JPが放送された地域に対しては、「高度な技術を持つ何者かによる電波ジャック」をカバーストーリーとして流布してください。しかし、その指定エリア441-JPには実際に"夜間外出禁止令"が発令されたとしてエージェントを派遣し、現地の警察と協力して一般市民のこれ以上の犠牲を防いで下さい。指定エリア441-JPで起きた殺人・行方不明などの事例に対しては、職員は警察と協力して事態の収集に当たってください。 説明: SCP-441-JPは国内のラジオ放送に強制的に介入する形で送信される男性の声です。これはAM放送、FM放送、短波放送、更にはインターネットラジオ上でも聞くことができます。ほとんどの場合、SCP-441-JPは放送中の番組を遮るかたちで、数秒間のノイズと共に送信が開始されます。この男性はゆっくりと明朗な調子の声で一定地域(主に市区町村)を指定し、その地域の夜間の外出禁止令を伝えます。(財団はこの地域を"指定エリア441-JP"に分類します)SCP-441-JPは未知の手段により番組に被せる形で放送しているだけで、実際にその番組を中断しているわけではないということに注意してください。また、この指定エリア441-JP以外では、SCP-441-JPは放送されません。なお、SCP-441-JPが伝えるような夜間外出禁止令は全てのケースで実際には発令されていないことが判明しています。 指定エリア441-JPで、夜間外出禁止とされた時間帯に出歩いていた者がいた場合、その人物が行方不明になるか殺害される事例が発生することがあります。これは必ず発生するという訳ではなく、発生しないケースも同様に多く確認されています。この事例の多くは1人で居る者を狙った犯行で、それぞれが別の人物の手によるものなのか、同一人物の手によるものなのかは判明していません。なおSCP-441-JPとの明確な関連性は不明なままです。 補遺: 特筆すべき放送ログ、及び発生した事例のリスト 放送ログ441-JP-06 日付: 19██/09/23 放送: "臨時放送をお伝えします。████市および███市の夜間外出禁止令が発令されました。これは今晩の23時から、翌朝の5時まで有効です。市民の皆様におかれましては、戸締まりを厳重に確認した上で、もし夜間に不審な人物、車両を見かけましたら速やかに警察へと連絡してください。では、よい夜を。" 発生した事例 被害者: ████████(21歳・女性・看護学生) 発生場所: ███市████通りの交差点 概要: 頭部を鋭利な刃物で切断された状態で発見。(彼女の体は現在も警察が捜索中)頭部からは眼球などが取り除かれ、その代わりに小型の携帯型照明装置を無理矢理に詰め込まれていた。右眼窩には青色の照明、左眼窩には赤色の照明が入れられており、口の中には黄色の照明が入れられ固定されていた。彼女の頭部は交差点の車両用信号機からロープでぶら下げられており、宅配便のドライバーがこれを信号機の故障だと錯覚し、通報したことで事件が発覚した。なお、頭部をぶら下げる際に取り外されたものと思われる信号機も未だに発見されていない。 放送ログ441-JP-09 日付: 19██/11/04 放送: "臨時ニュースをお伝えします。本日23時より、次の地域に夜間外出禁止令が出されます。██区、█████区、███区です。対象地域の方はご注意ください。では、皆様、よい夜を。" 発生した事例 被害者: ██████(27歳・男性・無職) 発生場所: ██区、██丁目のコンビニエンスストア 概要: 行方不明。最後に、コンビニエンスストアで雑誌を立ち読みしようとしていた所を店員に目撃されている。店員は、彼が目を離した3秒間の隙に██████の姿は消えていたと証言した。警察の調べで、██████が店内に入ったすぐ後に監視カメラの録画データが壊れたことで、映像はノイズに包まれていることが判明している。また、現場から40m離れた郵便ポストの上に、彼のものとDNAが一致する胸骨体が置かれていたのが発見されている。胸骨体は外科的に切除された上に洗浄されており、市販のものと思われる黒のマジックペンで小さく"69年7月 忘れないでください"と書かれていた。 放送ログ441-JP-11 日付: 19██/12/24 放送: "███、█████に夜間外出禁止令が出されました。指定地域の皆様はドアや窓をしっかりと施錠し、カーテンを閉めたかどうかを再度確認して下さい。また、当局では通風口や排水口などを目張りするのも有効な対策法だとしています。もし、何か異常な物体が見えた場合は直ちに目を逸らし、呼吸を止めたまま、そちらを見ないように対策するか現地の警察に連絡して下さい。[3秒間の静止]市民の皆様におかれましては、これを必ず守ってください。私からのお願いです。では、よい夜を。" 発生した事例 被害者: █████(29歳・男性・弁護士)・████(22歳・女性・学生)(複数人が狙われた初の事例) 発生場所: ███、█████公園、ベンチの側 概要: 死亡。2人はそれぞれ身体に100箇所以上の裂傷を負った状態で発見。凶器は不明。犯人は、2人を切り付けた傷跡にそれぞれバラ(Gene Boerner)の種を1つずつ埋め込んだ後に立ち去っている。なお、遺体から回収された213粒の種は警察に証拠品として保管されている。それぞれの種からは何ら異常性は確認されていない。 放送ログ441-JP-14 日付: 19██/12/30 放送: "臨時放送です。██区、███区に夜間外出禁止令が出されました。[5秒間の静止]市民の皆様、あいつは未だに捕まっていません。私の娘も8歳になったばかりでした。皆様にはそういった思いをして欲しくありません。[3秒間の無音]では、よい夜を。" 発生した事例 被害者: ████(30歳・男性・警察官)・████(24歳・男性・警察官) 発生場所: ██区、████通り 概要: パトカーの後部座席で、2人とも頭部を切断された状態で発見。前に回された手には、それぞれの手錠がかけられていた。第一発見者である別の警察官は、2人の遺体は発見後3時間が経っても、ゆっくりと痙攣するかのように蠢いていたと報告した。その手はガチャガチャと手錠を外そうとするかの様に動いており、首の切断面からは時おり複数人がささやく様な声が聞こえてきたと、別の警察官や救急隊員も同様に主張した。しかし、検死解剖の結果、2人の遺体からは異常な点は発見されなかった。 放送ログ441-JP-17 日付: 19██/02/02 放送: "なぜ皆様、夜間外出禁止令を守らないのですか? 犠牲は増える一方です。お……私は大変な危険を犯してまで、1人でこの放送を続けているのです。それを分かってください。[男性のため息らしき音]あいつは既に完成させつつあります。どうか、どうか指定地域の皆さま、夜間の外出は控えて下さい。[5秒間の無音]今回、夜間外出禁止令が出されたのは███と█████です。それでは、皆様、どうかよい夜を。" 発生した事例 被害者: ██████(46歳・男性・タクシードライバー) 発生場所: █████、国道██ 概要: 両手首と両足首を切断される。それぞれ右手には右足首を、左手には左足首を縫い合わされた状態で発見された。また同様に、彼の遺体の足にはそれぞれの手首が縫い合わされていた。なお、放置されたタクシーの車両からおよそ13m先まで、足跡が残されていることが判明している。足跡は、4m地点まではサイズ27cmのメーカー不詳のブーツのものだったが、そこから10m地点まではサイズ23cmのピンヒールのものになっており、13m地点までにはグレートプレーンズオオカミ(Canis lupus nubilus)のものと非常によく似た足跡に変化していた。 放送ログ441-JP-21 日付: 19██/04/18 放送: [何かを叩く様なくぐもった音と、湿った音がかすかに聞こえる。SCP-441-JPの放送が開始され終わるまでの6分間、マイクは不明な人物の荒い息づかいの音を拾い続ける] 発生した事例 概要: 犠牲者はなし。これ以降のSCP-441-JPの放送は確認されていない。現在、オブジェクトクラスのNeutralizedへの変更を検討中。
scp-442-jp
評価: +36+–x SCP-442-JP-α。 アイテム番号: SCP-442-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-442-JPは、サイト-81██の冷蔵セクターにて、耐震・温度管理機能のついた冷蔵チャンバーに、施錠の上保管してください。チャンバー内は一般的な日本酒の保管に適した気温3℃に保たれる必要があります。週に1回、セキュリティクリアランスレベル2以上の収容スペシャリストによるチャンバー内点検を行ってください。実験中に発生、あるいは収容したSCP-442-JP-α及び関連製品は厚さ3mm以上の金属製容器に封入した上で、個別にSCP-442-JPと同様の冷蔵チャンバーに収容して下さい。収容量が膨大な場合は、個別に最大1Lを同冷蔵チャンバーに保管した上で、残りはサイト-81██廃棄槽にて焼却処分して下さい。 説明: SCP-442-JPは胴径82mm、全長274mm、容積720mlの硝子製の瓶に封入された透明の液体です。瓶の口部分は木栓で封じられており、側面には「銘酒 磐清水 殯宮酒造」と記載された和紙製ラベルが添付されています。現在、初期収容の6本を含めた合計32本が収容されておりSCP-442-JP-1からSCP-442-JP-32として分類されています。内部の液体は無色透明で、成分分析の結果、アルコール度数21%程度の日本酒、特に原酒に分類されるものと類似していますが、未知の酵母と思われる真菌類が多く含まれており、また実際にはアルコールは含まれておりませんでした。1これまでに収容されたSCP-442-JPは全ての瓶で同様の成分であることが判明しています。 SCP-442-JPを摂取した場合、60ml2までは通常の日本酒として摂取が可能であり「まろやかな風味で非常に美味しい」とされています。しかし1時間以内に連続して60ml以上を摂取した場合、SCP-442-JPの異常性が発揮されます。摂取直後から被験者は強烈な発汗を起こしますが、静止されないかぎり被験者はSCP-442-JPの摂取をやめようとしません。 被験者は個々人の満足するまでSCP-442-JPを摂取した後、被験者は水分を求めるようになります。この場合、要求されるのは主に水ですが、その他のアルコール、あるいはジュース等でも水分が摂取可能なものであれば摂取可能であることが判明しています。摂取中も被験者は発汗を続け、被験者の体重のおおよそ20%の水分を排出した時点で、脱水症状によって衰弱死します。例え衰弱死した場合であっても、最終的に完全な乾燥状態になるまでこの発汗現象は継続します。しかし、この特異性を発症した被験者に対して、濃度0.5%以上の食塩水を500ml摂取させた場合、摂取から10分以内に全ての特異性が非活性化されることが確認されています。これは血液中のイオン濃度に関係していると考えられており、現在研究が推奨されています。 この発汗により発生した被験者の体液は、SCP-442-JP-αとして分類されています。SCP-442-JP-αを直接摂取した場合には激しい発汗と強烈な酩酊作用を引き起こしますが、水で10%以下の濃度に薄めて摂取した場合には、アルコール度数8%程度のアルコール飲料と同等の酩酊効果をもたらします。SCP-442-JP-αの風味は、対象の発汗時に摂取していた水以外の液体に類似した風味となります。3成分検査の結果では、SCP-442-JPの主成分に加えて人間由来のアミノ酸成分を含んでいることが判明しています。 SCP-442-JPの副次効果として、0.1%~1%程をアルコール飲料に添加した場合、添加前のアルコール飲料が持つ風味が増加します、添加された飲料を用いた実験では、被験者はおおむねその味に好評価を下しました。SCP-442-JPに含まれる酵母はアルコール飲料に混ざった時、独自の化学反応を引き起こし、グルタミン酸を主とするアミノ酸、ペプチド、コハク酸等の成分へと変化することが判明しました。また、アルコール飲料に添加した場合、激しい発汗作用等の異常性は全て非活性化することが確認されています。 収容経緯: SCP-442-JPは20██/██/██に、日本の████港にある倒産した████運輸社の倉庫にて発見されました。倉庫内にはSCP-442-JP-1からSCP-442-JP-6が保管されていた他、SCP-442-JP-αと思われる液体が38L、同倉庫の保有者である████運輸社社長の████氏が縄で拘束された状態で発見され、死亡が確認されました。████氏の遺体は完全に乾燥しており、四肢の一部が風化していました。 調査記録: ラベルに記載されていたSCP-442-JPの製作者と思われる「殯宮酒造」については、調査の結果ウェブ上にて1件の直営ウェブサイトと思われるページが発見されました。同ページには商品説明及び生産者に関する直接的な情報はなく、注文あるいは問い合わせの場合にはメールにて対応する旨の記載があり、調査チームは同アドレスに問い合わせを行いましたが、返答はありませんでした。20██/██/25時点で、製作者とのコンタクトを試みる行いは全て失敗に終わっています。 以下の情報はセキュリティクリアランス レベル3以上の職員のみ閲覧することが出来ます。 ログイン情報を入力して下さい。 職員コード 680a70b95478cf152f6c23cf4110eb0b_1711190737 パスワード 78031d20ff24f30fb7dde6ad63bffbbb_1711190737 認証 ログアウト 職員コードが認証されました。 セキュリティクリアランス レベル3承認。 あなたの閲覧権限に応じた情報を開示します。 調査報告書:442-JP-壱号 インタビューログ:442-JP 内部調査報告:442-JP-弐号 内部調査報告:442-JP-参号 調査報告書:442-JP-壱号 序文: 財団はSCP-442-JPの初期収容直後、カバーストーリー「酒税改定調査」を適用し、日本国内で流通しているアルコール飲料に関する大規模な成分調査を行いました。その結果、大手の酒造メーカーの█%がSCP-442-JP-αを自社製品に混入させた形跡があることが判明しました。そして、幾つかの行方不明事件にSCP-442-JPが関与していたものがあることが判明しています。 事案記録01 事案発覚日時: 20██/██/██ 発覚場所: 兵庫県████市 ████酒造 ████製造工場 詳細: 調査の結果、同社に雇用された外国人技能実習生8名及び、大手酒造メーカー「████」の営業担当者2名が、同社の主力製品「████████」の製造ライン内で発見されました。工場長の████氏は現在行方が特定できておらず、本事案に直接的に関与したものと思われます。 未使用のSCP-442-JPを8本、タンク内に貯蔵されていたSCP-442-JP-αを150Lを押収し、SCP-442-JP-αが添加されたと思われる商品の押収が行われました。しかし、すでに大半が出荷済みであり、カバーストーリー「酒税法違反」により小売店から回収を行いましたが、出荷された商品の回収率は18%に留まっています。 付記: 同工場従業員には個別インタビューを行いましたが、有力な情報はありませんでした。その為、全従業員に対してクラスBの記憶処理を行いました。 事案記録02 事案発覚日時: 20██/██/██ 発覚場所: 埼玉県████市 大手酒造メーカー██████ ████工場 詳細: 調査の結果、SCP-442-JPが30本相当量、加えてSCP-442-JP-αが合計████L、同社の醸造タンクにて発見されました。同社はこれらの引き渡しに対して難色を示しましたが、財団エージェントの説得により、収容に成功しました。 工場長████氏へのインタビューにより、「████ビール」「大吟醸████」「████」等、市販されている製品に対し、SCP-442-JPの混入が確かなものとなりました。また「████サングリア」及び「████████金ラベル」はSCP-442-JP-αを10%の濃度に薄めたものであることが判明しています。同工場は██年以上前からSCP-442-JPを混入しており、製品の大半がすでに消費されてしまったものと思われます。同氏は流通経路に関するインタビューに対しては「本社からの命令で、毎月届いていた」と回答しています。詳細はインタビューログ:442-JPを参照してください。 付記: 20██/██/██現在も、同社への流通経路に関する調査が行われていますが、特定には至っておりません。 事案記録03 事案発覚日時: 20██/██/██ 発覚場所: 東京都████区 大手酒類小売店██████  詳細: 同店からSCP-442-JP-αが混入していると思われる製品、合計3社█種の製品が発見されました。カバーストーリー「居酒屋新装開店」により、全ての製品を押収しました。これらの製品のうち、█種が財団の各施設食堂に常備されていることが確認されました。財団の保有するそれらの製品は事案発覚直後、サンプルとして保管されるもの以外は全て焼却処分されました。 補遺: 我々は既に数えきれない程のSCP-442-JPを収容しています。ですが、現状我々が収容できていないSCP-442-JP、またはSCP-442-JP-αが存在する可能性が非常に高い、と言わざるを得ません。機動部隊ゑ-2"八塩折"による継続的な調査と封じ込めを提言します。 -秋篠博士 許可。収容量が大規模になった場合には、破棄計画あるいは新たな保管施設の建設に関する提言を行うように。 -日本財団理事████ インタビューログ:442-JP 記録日: 20██/██/██ インタビュアー: 秋篠博士 対象者: ██████氏(大手酒造メーカー██████ ████工場長) この記録は調査報告書:442-JP-壱号、事案記録02発覚後、同工場長████氏に対して行われたものです。 <収録開始> 秋篠博士: この度はインタビューへのご協力、ありがとうございます。 ████氏: これに答えたら、本当に見逃してくれるんですよね。 秋篠博士: 善処しましょう。では、まずSCP-442-JPを製品に混入していたのは何時からですか? ████氏: 確か、██年よりは前だったと思います。先代の工場長もやっていたので。 秋篠博士: では、この資料の中にある製品の中で、SCP-442-JPを混入していた製品、またはSCP-442-JP-αを希釈した製品はどれか答えて下さい。 ████氏: はい。ええと、「████ビール」「大吟醸████」「████」に、原酒……そちらの言う、SCP-442-JPを混入していました。それと「████サングリア」と「████████金ラベル」が、希釈したものだったかな……。ええと。 ████氏が、渡された資料に印を付けていく。終了まで10分を有した。 秋篠博士: ……罪悪感はありませんでしたか? こんなに異物を混ぜていることに対して。 ████氏: 仕方がなかったんですよ、本当に! 私が此処に来る前からだったし、我が社の主力製品だったんです。それに、市場の評価も好調でした。 秋篠博士: わかりました。では次に、SCP-442-JPをどのように入手していたか教えて下さい。 ████氏: 本社から毎月█0本の原酒と、████Lの原液が届いてました。本社がどうやってそれを入手していたかはわかりません。 秋篠博士: では、どこから来ていたかは知らないと? 本当ですか? ████氏: はい。本当です、調べて下さい。本当に自分はそれしか知らないんです。 秋篠博士: わかりました……今日は以上です。ありがとうございました。 <収録終了> 付記: ████氏は本インタビュー及びいくつかの音声記録への回答後、クラスBの記憶処理を施され解放されました。その後当局に詐欺罪及び食品衛生法違反等の罪で逮捕・起訴され、現在も収監中です。 内部調査報告:442-JP-弐号 序文: 調査報告書:442-JP-壱号を受け、日本支部理事会は日本支部の管轄する全ての施設に対してSCP-442-JPを含んだアルコール飲料が無いか、あるいはそれを摂取した形跡が無いかの調査を指示しました。これはカバーストーリー「施設へ搬入するアルコール飲料決定に伴う市場調査」として、セキュリティクリアランスレベル2以下の全職員に対して以下の設問を電子メールで送信する形で行われました。 設問1 貴方はアルコール飲料またはアルコールを含む食品を常飲、あるいは常食しますか? 1.はい 2.いいえ 設問2 設問1にて2を答えた方のみお答え下さい。 貴方は、アルコール飲料またはアルコールを含む食料を飲用、摂取する機会は月に1回以上ありますか? 1.はい 2.いいえ 設問3 設問1にて1と答えた方、あるいは設問2にて1と答えた方のみお答え下さい。 貴方は、以下のアルコール飲料を摂取したことがありますか? 該当する商品名をお答え下さい。 a. 大吟醸████ b. ████████ビール c. ██████生 d. ████梅 e. ██████生ビール f. 月████ g. ██の雫 設問4 設問3にて1種類以上のアルコール飲料を摂取したことのある方のみお答え下さい。 直近1ヶ月で設問3のアルコール飲料を摂取したことがありますか? ある場合には、一週間単位での平均摂取量をお答え下さい。 設問5 設問1にて1と答えた方、あるいは設問2にて1と答えた方のみお答え下さい。 貴方がお勤めの施設に搬入してほしいアルコール飲料の商品名をお答え下さい。複数お選び頂いて構いません。 以上です。お答え頂きありがとうございました。 回答頂いた結果を加味し、各施設へのアルコール飲料搬入内容の検討を行います。 以上の調査により、回答を行った日本支部職員█████名のうち、███名がSCP-442-JPの添加されたアルコール飲料あるいは、SCP-442-JP-αを摂取している可能性があることが判明しました。これは、財団に対して納入されていた各種アルコール飲料ですら、SCP-442-JPの影響を受けており、それを確保し収容すべき我々自体がそれを好んで摂取していた、という事実に他なりません。本調査の詳細開示は職員の著しい士気低下を招くと判断され、セキュリティクリアランス レベル3以上の上級職員からの申請があった場合のみ開示されます。 内部調査報告:442-JP-参号 序文: 内部調査報告:442-JP-弐号の集計後、財団はSCP-442-JP担当研究員██名に対して、詳細を開示した上での個別面談による調査を行いました。この調査により精神的苦痛を感じた職員は、任意の機会にクラスAの心理カウンセリングあるいはクラスBの記憶処理並びに偽装記憶注入、及び別プロジェクトへの臨時配置換え申請を行うことができます。 以下の情報はSCP-442-JP担当研究員は参照できません。 SCP-442-JP担当者ではない職員の方がログインして下さい。 Footnotes 1. 未知の酵母がアルコール様物質を生成しており、幾つかの検査ではアルコールが含まれているという誤った検査結果の原因となりました。 2. 一般的なお猪口で3杯程度の量です。 3. 例外的に水を摂取し続けた場合には、SCP-442-JP-αは日本酒に類似した風味を持ちます。
scp-443-jp
評価: +36+–x アイテム番号: SCP-443-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-443-JPはサイト-8181の低危険度オブジェクト収容セルに収容し、食事を1日3回与えてください。収容セルは警備職員2名による監視と警備を行います。SCP-443-JPは鬱病を発症しているため、1ヶ月に1回精神科医による心理カウンセリングを行ってください。また、SCP-443-JPは自傷癖を持ち合わせているため、拘束具を用いて自傷行為を防止してください。 説明: SCP-443-JPは人形に類似した実体です。高さは約60cmで外見はテディベアに類似していますが、口部や前足に鋭利な牙や爪の様な器官が存在する、顔のパーツが著しく崩れているなど一般的なテディベアには見られない特徴を有しています。SCP-443-JPはその体型にも関わらず成人男性の平均的なものと同等の筋力を有しています。内部はヒト由来の生体組織で構成されており消化器官や呼吸器の存在は確認されていません。この性質にもかかわらずSCP-443-JPは呼吸や食事、排泄を必要とします。また、SCP-443-JPは自我を有しており、知能テストにより精神年齢は20代前半のものであることが判明しています。 SCP-443-JPは他の動物に肉体的苦痛を与えることで外見が10代前半の少女に変化します。2013/6/██に実施されたインタビューにより、この少女は特異性の発現前のSCP-443-JPの姿であると推測されています。(インタビューの内容の詳細は付録SCP-443-JP-Aを参照してください。)SCP-443-JPの外見の変化は約7日程度まで継続しますが、この期間を越えるとSCP-443-JPは元の人形の姿へと徐々に変化していきます。 SCP-443-JPは2013年5月頃に東京都██区でネコやハトの殺害事件が相次いで発生したこと、近隣住民から「河川敷で動くぬいぐるみを見た」という通報がされたことにより財団の興味を引きました。後日、警察の捜査部隊に偽装した収容チームを派遣して捜査が開始され2013/6/██に██川の河川敷にてSCP-443-JPを発見しました。発見当時、SCP-443-JPは包丁を用いて野生のネコを解体していました。収容後のインタビューで、SCP-443-JPは一連の殺害事件について「自分の姿を保つためには仕方なかった」と証言しています。後日、目撃者には記憶処理を行いカバーストーリーを流布しました。 付録SCP-443-JP-A: + 2013/6/██に実施されたSCP-443-JPに対するインタビューの音声記録を再生します。 - 閉じる。 対象: SCP-443-JP インタビュアー: ██博士 <録音開始> ██博士: こんにちは、SCP-443-JP。今日は貴女が私たちに発見される前の経緯を聞きたいのだけれど、大丈夫でしょうか。 SCP-443-JP: [4秒間沈黙] はい、大丈夫…です。私にわかる範囲なら…。 ██博士: ありがとうございます。それでは、貴女にその性質が現れるようになった原因に思い当たる節があったら聞かせてもらってもいいでしょうか? SCP-443-JP: はい。私がこうなった原因に思い当たる節があるのは確か私が████中学2年生のときです。その…あるクラスメートの子を友達といじめてたときですね。█████ちゃんっていったかな…?それで…その時に██ちゃんが急にこっちを向いて私をキッと睨んできて、呪文?みたいなことをぶつぶつ言いだして…他のみんなに聞いても何も聞こえなかったって言うんですけど、でも気味が悪くなって私たちはその日は帰ったんです。その2週間ぐらい後に██ちゃんは学校に来なくなっちゃいました…。 ██博士: では貴女がその姿になったのはその██さんの唱えた呪文が原因の可能性があるということですか? SCP-443-JP: 少なくともそれまでは体に異常もなかったし、多分そうですね…。 ██博士: わかりました。続けてください。 SCP-443-JP: はい。それからしばらくは何ともなかったんですけど、初めて体に異常が現れたのは確か中3のときですね。その頃あたりから私や友達もいじめはきっぱりやめたんですけど…ある日ふと鏡を見たら目が……すごく腫れてて……。その時はすぐ治るだろうと思って何もしないでいたんですけど [泣き声] 次の朝起きたら……全身がただれてて……。 [泣き声] ██博士: 辛かったら一旦休憩しましょうか? SCP-443-JP: …いえ、大丈夫…です。それで、その時ふと██ちゃんの言った呪文みたいな言葉のことを思い出して…。怖くなって██ちゃんの家に電話をしてみたんですが [泣き声] ██ちゃんは一言「申し訳ないけど私はどうなろうと知らない、一生今みたいに人を傷つけて生きていけば?」とだけ……。 ██博士: 貴女は誰かに苦痛を与えれば自分の姿を元に戻すことができますよね。ということはそのときから貴女は誰かを傷つけて元の姿に戻ろうと? SCP-443-JP: いえ…やりませんでした…。あと、学校にも行かなくなりました。でも、そうして自分の部屋にこもっているうちにもどんどん体は醜くなっていくし…。両親も心配して何度も声をかけてくれたけれど、この姿で外に出るわけにもいかないので…。 ██博士: そうですか。今の姿になったのは最初に体に変化が生じてから何日後ぐらいかわかりますか? SCP-443-JP: 確か、部屋に引きこもり始めてから2か月後ぐらいです。この姿になったらもう元の姿に戻れるように迂闊に動くこともできなくて、ここに至ってやっと事の重大さに気付いたんです。 [11秒沈黙] とにかく、この姿になった後はこれ以上周りの人に迷惑はかけられないと思って、自殺を装って町から抜け出しました。その後は貴方たちも知っての通り、██川周辺で暮らしてました。 ██博士: 調査書には河川敷でネコやハトなどの野生の動物を殺害していたとありますが、これは何故でしょうか? SCP-443-JP: …偶然です。河川敷に住み着いた日に、その日の食事にしようと思って野生の鳥を殺した時に偶然自分が人間の姿に戻っていることに気が付いたんです。その時、電話をしたときに██ちゃんが言った言葉が思い出されて…。自分の性質に気付いたのはこの時が初めてでした。それからは元の姿に戻るために時々ネコとか鳥とかを殺してましたね。 ██博士: 分かりました。以上でインタビューを終了します。 <録音終了> 終了報告書: SCP-443-JPが元人間であること、また過去にSCP-443-JPに接触したことがある人物が存在することが確認されました。これらの人物が再びSCP-443-JPと接触する可能性は低いと思われますが、念のため関係者に記憶処理とカバーストーリーの流布を行うことを提案します。-██博士   追記: SCP-443-JPのインタビューから当時のSCP-443-JPの友人に対しても█████氏による認識災害が発生している可能性があるとされ、これらの人物に対する調査が関係者への記憶処理の際に行われました。その結果、これらの人物も皮膚のただれなど身体的な被害を受けていたことが判明しましたが、SCP-443-JPの場合と異なり数日ほどで完治したと供述しています。SCP-443-JPの供述内容から、恐らく█████氏の言葉をほとんど聞き取れなかったことが被害を軽減できた理由であると推測されています。   補遺: SCP-443-JPの関連調査の一環として、2013/7/25から█████氏やその周囲の人物の調査が開始されました。その結果、SCP-443-JPの起源に関する有益な情報は得られませんでしたが、この調査により█████氏の居住していた家からSCP-443-JPと同じ外見の人形1体と1枚の紙片が回収されました。回収された人形からは生命反応は確認されませんでした。また、筆跡鑑定の結果、この紙片は█████氏が書いたことが判明しました。以下は回収された紙片の内容です。 自分が我慢すれば済む話だったのに、私欲に駆られて███さん1の未来をぐちゃぐちゃにしちゃったのは悔やんでも悔やみきれない。 あんなことしなけりゃよかった。 本当にごめんなさい。 脚注 1. SCP-443-JPの本名です。
scp-444-jp
評価: +1179+–x 評価: +1179+–x クレジット タイトル: SCP-444-JP - █████[アクセス不許可] 著者: ©︎locker 作成年: 2014 評価: +1179+–x 評価: +1179+–x ===警告:プロトコル"焚書"発動下に無い状況で本ページにアクセスすることは禁じられています=== "焚書"発動下にない状況でのアクセスは、即時の自動抹殺プログラムの発動に繋がります。確認が完了する前に速やかに退出してください。プロトコル"焚書"発動下でSCP-444-JPの大規模な事象に対応する職員はそのまま待機してください。     アクセス開始…………………       セキュリティが解除されました… 444-out break状況の発動を確認… プロトコル"焚書"の発動を確認… 緊急開示用データベースにアクセス…完了 SCP-444-JP情報を表示します Thank you See you                                                                           SCP-444-JP被験者、元被験者、それらの手によって殺害された者、これら人物の血液が付着した紙媒体は全て、上記の報告書を含めSCP-444-JP-1へと分類されています。 全てのSCP-444-JP-1はサイト-8141を放棄せざるを得ない事例の発生後、セクター8137の地下130mにある特別収容カプセル内に格納されました。これらの移送、収容に関わったあらゆる人員に対してSCP-444-JPの情報は伏せられ、本ページへのアクセスはクリアランスレベル5の職員であっても制限されることとなりました。 情報の機密性の優先、そして分類自体の無意味さからオブジェクトクラスは割り当てられていません。これがSafeであろうがEuclidであろうがKeterであろうが、私達が為すべきことは何一つ変わりません。 サイト-8141のナンバーは他の施設へと引き継がれ、上記の事象は財団職員に対する大規模な記憶処理も含めて徹底的に隠蔽されました。更にSCP-444-JPに関するあらゆる情報は完全に破壊されています。私が、それを実行するただ一人の職員でした。 これを書いている時、SCP-444-JPを知るのはこの世界でただ一人であり、間も無くただの零人となるでしょう。 そうして、SCP-444-JPに関するものは、本ページと緊急対処プロトコル"焚書"の、心を持たない二つのシステムだけとなるのです。 それで間に合った、と私は思いたい。 しかしこの記録が閲覧されているということは、既に全てが手遅れなのでしょう。 私達はSCP-444-JPが最終的に引き起こす事象を把握することが出来ませんでした。 だからあなた達がどのように追い詰められているのか、それに対して有効な方法を示せないかもしれません。 ただ、一つ絶対的に確かなことがあります。それは奴が『認識の鳥』であるということです。 奴は既に完全に活性化したか実体化したのでしょう。私達は、あなた達は、手遅れなのでしょう。上記の事象で既に奴は十分に拡大してしまっていた、ということなのでしょう。 しかし、手遅れならば手遅れなりに打つ手はあるはずです。 少なくとも、あなたは奴がまだ小さかった頃の原本の写しを手に入れたのですから。 もう二度と、失敗を繰り返さないでください。SCP-444-JPに関しては、誰もが失敗してきました。 ──[削除済]
scp-445-jp
評価: +53+–x アイテム番号: SCP-445-JP オブジェクトクラス: Safe SCP-445-JP内の様子。扉のガラス部分が全て砂糖の板に変化している。 特別収容プロトコル: SCP-445-JPの存在する敷地は、財団のフロント企業の所有するビルに偽装した外壁で完全に覆い、一般人の立ち入りを防いでください。実験を行う場合はセキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可を得た上で、SCP-445-JP影響範囲の境界付近で行ってください。変化後の糖は焼却処分します。 説明: SCP-445-JPは██県██市に存在する一戸建て住宅、およびそこで発生する異常現象です。SCP-445-JPは二階建ての一般的な住宅で、内部は箪笥やベッド、テレビなどの家具が存在しています。 SCP-445-JP内に存在する物体は、原理は不明ですが同体積の糖へと変化します。糖への変化は最大で14分以内の不定のタイミングで行われ、変化後の糖の種類や形は元になった物体に依存すると思われます。糖へ変化する物体の法則は不明で、家具などのある程度の大きさを持つ物品の糖への変化は確認されていません。実験記録445-JPを参照してください。 なお、変化後の糖に異常性は無く、通常通り摂食が可能です。 SCP-445-JPは201█/█/██、「近所の家からずっと甘い匂いが漂ってくる」という噂に着目した財団のエージェントが発見し、その異常性が明らかになりました。SCP-445-JPの所有者は██ ██氏となっており、妻の██氏と二人で暮らしていたという記録や近隣の住民の証言もありますが、現在は両名ともに行方不明です。 + 補遺1: 実験記録445-JP抜粋 を開く - 実験記録445-JP抜粋 を閉じる 実施方法: SCP-445-JP内に物品を設置、糖に変化するまで観察します。それにより変化した物体と変化後の形状の比較を行い、SCP-445-JPの異常性の法則を突き止めます。 結果: 以下がその抜粋になります。 変化した物体 変化後の形状 分析 書籍。特に単行本サイズのもの 同じ形状の砂糖の塊に変化していた。 最初の探索時に発見され、既に変化済みでした。 15cmサイズのテディベアと推測されるもの 同じ形状の砂糖の塊に変化していた。 最初の探索時に空き部屋で発見され、既に変化済みでした。 枕や毛布に使われる羽毛や綿 綿あめへと変化していた。ただし枕カバーなどの外装に変化は無し。 最初の探索時に発見され、既に変化済みでした。 200mのケーブル 同じ長さ・形の飴に変化した。 探査時に偶発的に糖へと変化。 塩、小麦粉、[編集済]等の粉末 砂糖。粒子の大きさは元の物体と同じ。 粉末は特に変化が即座に行われるようです。 水、熱湯、氷 それぞれ水は砂糖水、熱湯は水飴、氷は氷砂糖へ変化。熱湯から立ち上る湯気は綿あめに変化。 空気中の水分が糖に変化する様子はありません。可視かどうかが基準のひとつと思われます。 木、ステンレス、銅、ガラス、プラスチック製の、それぞれA1~A7サイズ、合計35枚の板 A4~A7の板が砂糖を固めたものに変化。 糖への変化に材質は関係ないようです。また、A3以上のものには変化が見られず、大きさが基準のひとつと思われます。 昆虫、哺乳類、爬虫類、鳥類などの生物200種。詳細なリストは別紙を参照すること クロアリ、アマガエル、マムシなどの生物33種が同じ形の砂糖細工に変化。 目視が困難なノミ、シラミ、微生物の変化は確認されていません。また、同じ蛇でも小型のシロマダラが変化せず、より大きいマムシが変化したことは注目すべきです。 分析: 糖への変化は「大きさは持ち運べる程度」「肉眼で確認できること」が重要なポイントであると推測されます。しかし法則性は未だ不明瞭であり、さらなる追加実験・調査が必要です。 + 補遺2: 文書445-JP を閲覧する - 文書445-JP を閉じる 以下の文章はSCP-445-JPの二階の空き部屋で発見された手書きの文書を写したものになります。他の紙片が糖に変化しているにも関わらず、この文書は1箇所を除いて糖に変化する様子はありませんでした。なお、SCP-445-JPに関して重要でないと判断された箇所は省略されています。全文の閲覧を希望する場合は担当者に問い合わせてください。 これは遺書です。わたしは今日、この世界から消えます。 その理由をここに書き残します。きっと砂糖まみれの世界で、これだけがわたしの名前を残す、ただひとつの証になるでしょう。 (中略) 小さいころ、きれいな砂糖細工をもらったことがあった。てのひらに乗せれるくらいのツルで、ジマンしようと学校に持ってきたら、窓からすてられてこわされた。次の日、雨がふって、砂糖細工のツルは溶けてなくなっていた。 (中略) たとえばしゃべるクマのぬいぐるみがいたらどうだろう。頭がおかしい人って思われるかもしれないけど、そのクマがわたしにマホウをくれたんだ。だからそのクマを砂糖に変えてやった。幻覚じゃない、ホンモノのマホウ。ユメとかキボウがどうとかやかましかったけれど、砂糖になったらおとなしくなった。 (中略) だから決めたんだ。このサイテーの世界を変えてやる。何もかもを砂糖に変えてしまえば、甘くてステキなことになるだろう。あの時のツルみたいに雨に溶けて、ぜんぶ消えてなくなってしまえば、血みどろの死体なんてひとつも残らない。 パパもママも。この家も、学校も。友だちも。先生も。わたしも。この世界ぜんぶを砂糖細工に変えてしまえば。そうして雨がふって、何もかも溶けてしまえば、この世界はきれいになる。砂糖でたいらになった地球で、この遺書だけが残るんだろうな。 思い残すことなんかありません。さよなら。  █1 201█/██/█追記: SCP-445-JPの影響範囲が発見当時より僅かに縮小していることが確認されました。 201█/██/██追記: SCP-445-JPの影響範囲がさらに縮小していることが確認されました。このペースで縮小が継続された場合、202█/█/██にSCP-445-JPの影響範囲が完全に消失すると予測されています。 Footnotes 1. 恐らく筆者の名前。この箇所から先は糖へと変化しており、読みとれませんでした。
scp-446-jp
評価: +76+–x アイテム番号: SCP-446-JP ”裁判所”とSCP-446-JPの潜伏区画の外部の様子。 オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: エージェント、および機動部隊か-6(‘‘騎士団‘‘)はSCP-446-JPの潜伏区画周囲の家屋に潜伏し一般市民に変装してください。SCP-446-JPは24時間体制で監視されます。SCP-446-JPと財団間で行われた提言のため、SCP-446-JPの潜伏区画内部に侵入することは禁止されています。 SCP-446-JP-α、およびSCP-446-JP-βの活性化により一般市民に被害が及ぶ場合、一般市民の保護を最優先事項とし、対象を保護した後Aクラスの記憶処理を施してください。 説明: SCP-446-JPは███県████市の住宅地の中心に位置する█████公園に潜伏しているホームレスの男性です。SCP-446-JPはエージェントとの会話の中で自身のことを本名██ ████と名乗りましたが、SCP-446-JPの容姿を含めた戸籍調査の結果、19██/█/██に対象は心筋梗塞で死亡していることが判明しています。██ ████氏の遺族にも確認を取りましたが死亡は確定しており、██ ████氏の死亡診断書も存在します。 SCP-446-JPは█████公園において”王”であり、政治、儀式的な催しに参加します。また、SCP-446-JPは█████公園はSCP-446-JPの治める”王国”であり、SCP-446-JPと█████公園を構成する物の”領土”であると主張しています。 █████公園を構成する主な要素は以下の三つです。 ・国民 ムネアカオオアリ、クロオオアリ、コツノアリ、サムライアリ、ジョロウグモ、クサグモ、ハラビロカマキリを主とした日本に生息する昆虫郡です。”国民”はそれぞれが人間並みの知能と寿命を有し、産業革命時のヨーロッパに近しい文明を築き上げています。また、「教育、経済、財産」を柱とした資本主義経済に酷似した社会を形成しており、通貨の概念も持ち合わせています。 しかし、同時に王政主義の形態も存在し、サムライアリとSCP-446-JPの貴族社会の色も濃く残しています。 ”国民”には兵役の義務があり、満25歳になると”王国”内に設置されている軍隊に入隊しなければなりません。就業年数は3年であり、使用される武器はマスケット銃に形状が似ているミニチュアサイズの銃器です。しかし、威力は実物サイズと大差ありません。 ”国民”の主な生活圏内は█████公園内の茂みや花壇であり、整備された道路や”国民”に合わせた居住施設や公共施設が存在します。 確認されている”国民”の数はおよそ███億████万██千█百██であり、現在も増加傾向にあります。 ・建築物 SCP-446-JPおよび”国民”は█████公園内部の遊具を”王国”における重要な建造物と認識しています。 滑り台・・・裁判所に該当。 ジャングルジム・・・銀行に該当。 水飲み場・・・大洗濯場として使用されています。 ブランコ・・・処刑場に該当。 回転式ジャングルジム・・・オペラハウスに該当。(使用する層は主に貴族などの上流階級です。) ・守護神・・・”守護神”は二つの要素に分けられ、それぞれをSCP-446-JP-α、SCP-446-JP-βと呼称されます。 SCP-446-JP-αは全身が█████公園内に存在する「砂場」の砂によって構成されている、体長およそ5mの人型の未知の生命体です。目、耳、鼻、といった感覚器官の存在は目視では確認できませんが、SCP-446-JP-αは周囲の状況を正確に認識していると思われます。SCP-446-JP-αは█████公園の西出入口を主に防衛し、例外はありますが、SCP-446-JPに”入国”が許可されていない対象はSCP-446-JP-αによって抹殺されます。 SCP-446-JP-βは█████公園内の中心に位置する、マメ科のエンジュに酷似した一本の木です。SCP-446-JP-βは侵入者などを察知しない限り不活性状態を維持し、不活性時はその他の植物との差異は見られません。体長は生長したエンジュと同様の25mです。活性時には、植物としての特徴を残しつつも、人型へと形状を変え、SCP-446-JP-α同様に対象を抹殺します。主に防衛する場所は█████公園の東出入口です。 なお、SCP-446-JP-αおよびSCP-446-JP-βは█████公園内でのみ生存できるわけではなく、█████公園外部へ進行することが可能です。また、SCP-446-JP-αおよびβを撃退する試みは全て失敗に終わっています。 SCP-446-JPは█████公園内の”政治”的実権を握っており、█████公園内での法律の管理を担っています。また”王国”の象徴でもあります。 国家の体制は”国民”種族に依存している傾向が目立ち、█████公園内はある種の絶対王政と似たような体制を維持しています。ですが、直接的な政治を行う、またはSCP-446-JPからの指示を直接聞くなどの職務を全うする総理大臣を選挙によって任命するなどの民主主義的な傾向も目立ち、これらの政治的な職務に務めるおおよその種族の約8割がサムライアリによって構成されています。それに伴いムネアカオオアリ、クロオオアリは中流階級の生活をしている割合が多く、コツノアリは主に農業を担っています。兵役の任につく割合が比較的に多いのもこの3種類の種族です。ジョロウグモは生産される糸を用いた衣服などの布製品の製造を担い、クサグモがそれらを売買する商人的な役割を担っています。しかし、”王国”内では教育体制が確立しているため█████公園内にある”大学”に進学するなど、クサグモの中からも上流階級に昇格するケース、中流階級からのケースも存在します。また、風俗などを扱う歓楽街も存在します。このような割合の変動が伺えることから、現在”王国”はある種の発展途上の最中である可能性が指摘されました。また、”国民”の全体の割合のうちハラビロカマキリは(主な種族に分類されますが)極めて少数であり階級も安定していないことから、ごく最近に”国民”として”王国”に加えられたのではないかと思われます。 ”国民”の一部が兵役の任に就く際、”国民”それぞれに適性検査が行われます。そして、その後それぞれの体型に合った武器が支給され、それを使用する際、”国民”はそれぞれの前脚を通常の人間のように駆使し銃器を扱います。それのどれにも当てはまらない場合は通信手として任命され、通信端末はモールス信号の打電装置と思われる物が使われています。 SCP-446-JPは█████公園内を毎日徘徊し”国民”生活の視察を行なっています。また、”王国”に年周期的に行われる儀式的催しにも参加します。主な催しは「王国誕生祭」「守護神への奉納」「新年の訪れ」などです。 現在、█████公園内にSCP-446-JPの許可なく侵入する試みは一度を除いて全て失敗しています。西出入口、東出入口以外の場所(█████公園は周囲を柵で囲われています。)から侵入する試みは、未知の不可視な障壁の出現により阻まれました。 また、”王国”側からの攻撃に合う対象は財団など、”王国”側に何かしらの被害をもたらす可能性を有する存在に限り行われていると思われます。 実験記録001 - 日付██/██/██ 実施方法: Dクラス職員一名を █████公園西出入口より侵入させる。(尚、実施は夜間に行われた。) 結果: 武器を装備した兵役中の”国民”の攻撃を受け死亡。 分析: 侵入しようとしただけではSCP-446-JP-α・βは活性化しないことが判明しました。また東出入口においても、昼夜問わずに行った場合も同様の結果が得られました。 実験記録005 - 日付██/█/██ 実施方法: Dクラス職員に防弾処置を施し侵入。(昼夜ともに行う。) 結果: SCP-446-JP-αおよびβが活性化。侵入したDクラス職員を殺害しました。 分析: Dクラス職員が”国民”に直接危害を加えようとした場合もSCP-446-JP-α・βは活性化しました。このとこから、SCP-446-JP-α・βはSCP-446-JPを優先しつつも█████公園全域を防衛しているものと思われます。 実験記録011 - 日付██/█/█ 対象: エージェント█████ 実施方法: 外務省認定の入国申請書を記入の上、西出入口にいる兵役中の”国民”に手渡す。 結果: █████公園内の侵入に成功しました。また、SCP-446-JPとの対話も実現しました。 分析: これはもう、本当に国って思った方がいいのかもしれないな。     -███博士 補遺: SCP-446-JPは2000年から2014年までの間、該当する公園が区画整理などの対象から外れ続けていたことが発覚し発見されました。また、█████公園にまつわる怪談まがいの噂が広まっていたことも相まって財団の目を引きました。その内容は、公園内で悪戯をした子供が行方不明になっている、誰も活用しないため埋め立ててアパートにしようとしていた業者が公園内で死体で発見されたなどです。なお、行方不明者の関係者全員にはAクラスの記憶処理を行いそれぞれに事故、病死などのカバーストーリーを適用しました。 当時、財団は█████公園の地区における超常現象であるという認識でしたが、事案-446-Kが発生したため、ホームレスの男性をSCP-446-JPと認定しました。 事案-446-K ██/█/██ SCP-446-JPの前方に1羽のカワラバトが飛来。およそ5分間の静止の末、カワラバトもそのほかの”国民”と同様の反応を示しました。その際、カワラバトはSCP-446-JPに対し「跪く」と思われる行動を取りました。 その後、SCP-446-JPは█████公園内で同様のケースを多種多様の動物に対して10回ほど発生させています。 このことから、SCP-446-JP-αおよびβはSCP-446-JPの影響下にある別個体のSCPオブジェクトである可能性が浮上し、現在、SCP-446-JP-αおよびβを新たなSCPオブジェクトへと認定するための協議が行われています。 SCP-446-JPの人間に対する影響は確認されていません。 現在、SCP-446-JPはエージェント█████との間で行われた「不可侵条約」の提言により、SCP-446-JPの外部への進行を抑制することに成功しています。 追記: █████公園内の文明レベルがより高度なものへと発展し始めました。新型兵器の製造が行われる可能性が発生したため、機動部隊か-6(‘‘騎士団‘‘)は█████公園周囲の家屋に潜伏し、一般市民に変装した上でSCP-446-JP、および”国民”、SCP-446-JP-α・βを監視してください。
scp-447-jp
評価: +49+–x 評価: +49+–x クレジット タイトル: SCP-447-JP - 怪電界史のデマゴーグ 著者: stengan774 作成年: 2019 この著者の他の作品 評価: +49+–x 評価: +49+–x 初期のSCP-447-JP受信機 アイテム番号: SCP-447-JP オブジェクトクラス: Extranormal Keter Euclid Safe Thaumiel Neutralized Euclid-pending 特別収容プロトコル: SCP-447-JPは現在未収容です。SCP-447-JPの影響と考えられる事件が発生した場合、関係者の近辺での過去3ヶ月間における不審電話の有無を調査し、その会話の内容を詳細に記録して下さい。 説明: SCP-447-JPは電話通信回線に発生する特殊な共通点を持った一連の異常現象の総称です。 SCP-447-JPは以下の要素を含むプロセスとして進行します。 発信者不明の着信が無作為に選別されたと思しき受信者にかかってくる。 受信者が着信に応答した場合、発信者は[SCP-447-JP語句]1を質問する。 通話終了後、受信者の周辺コミュニティ内で[SCP-447-JP語句]に関連した流言飛語2が発生する。 SCP-447-JPの影響は最長で2ヶ月半継続します。 補遺: SCP-447-JP発生例 SCP-447-JPの財団による最初の確認例は1901年3に発生したものです。 SCP-447-JP記録-1(1901/11/27) <記録開始> [発信者不明の着信] 受信者: もしもし。 発信者: もしもし、松平賴平よりひら子爵のおうちですか。 受信者: 左様ですが。どなた様でいらっしゃいますか? 発信者: [SCP-447-JP語句: いま何年ですか?] 受信者: ええと、明治34年。 発信者: ありがとうございました。 <記録終了> 後記: 後日、宮内省内4で「明治天皇が濃尾地震を理由として一世一元の制を取りやめ、新元号を制定する」という噂が広がった。このことが宮内省内の財団エージェントの耳に留まり、SCP-447-JPの発見契機となった。また、電話局には当該電話番号に対する交換依頼は1901/11/27当日には無かったとの回答が得られた。 SCP-447-JP記録-3(1903/1/25) <記録開始> [発信者不明の着信] 受信者: もしもし。 発信者: もしもし、伊藤博文さんのおうちですか。 受信者: 申し訳ありません。主人は今出ております。どうした御用でしょうか? 発信者: [SCP-447-JP語句: いまの総理大臣は誰ですか?] 受信者: はあ? ええと・・・・・・。 発信者: ありがとうございました。 <記録終了> 後記: 1903/03/01に行われる「第8回衆議院議員総選挙において第1次桂内閣による選挙干渉が発生するのではないか」という噂が立憲政友会内5で広まった。 電話番号を持つ人物の割合に占める高社会的地位人物の高さを鑑みて、私はSCP-447-JPのオブジェクトクラスをKeterに分類すべきかと思います。   波戸崎帯 財団二級逓信研究員 1903/5/28に提言は認可され、SCP-447-JPのオブジェクトクラスはKeterに指定されました。 以下はSCP-447-JP記録の略記されたリストです。 + SCP-447-JP記録7-136 - close SCP-447-JP記録-7(1905/8/15) SCP-447-JP語句: 戦争は勝てましたか? 受信者: 政治結社███代表████ 概要: 政治結社███内で、「日露戦争の賠償にイルクーツク地方以東のロシア帝国領土割譲が含まれる」という噂が流れた。政治結社███に所属する政治活動家の一部は同様の扇動を大衆に対して行ったが、実際のポーツマス条約の内容とのギャップから日比谷焼打事件の発生要因となった。 SCP-447-JP記録-49(1912/12/09) SCP-447-JP語句: 憲法第1条はなんですか? 受信者: 実業家社交クラブ交詢社代表███ 概要: 「軍閥の代表としての桂太郎による政治干渉が産業に対しても及ぶ」という噂が交詢社内で流れ、有志によって憲政擁護会が開かれた。憲政擁護会は第一次憲政擁護運動の中心的組織となり、第3次桂太郎内閣の総辞職を招く大正政変が発生した。 SCP-447-JP記録-58(1915/4/29) SCP-447-JP語句: 投機とはなんですか? 受信者: 東京株式取引所内電 概要: 東京市内の投資家コミュニティ内で「複数の株式の値上がり」についての噂が流れ、東京株式取引所における株式取引が活発化。過去最高の出来高を記録した。この影響による日本経済の活発化は日本の第一次世界大戦期における好景気の引き金となった。 SCP-447-JP記録-136(19266/12/25) SCP-447-JP語句: 次の元号はなんですか? 受信者: 東京日日新聞政治部 概要: 大正天皇崩御に伴う新元号発表の際、東京日日新聞が報道した号外において「元號は『光文』 樞密院に御諮詢」との誤報が発生。これに追随して報知新聞・都新聞・讀賣新聞・萬朝報も相次いで「新元号が光文と決定した」旨の号外・朝刊を発行する事態となり、最終的に東京日日新聞編輯局主幹であった城戸元亮が辞任する事件にまで発展した。 (19347/12/25)追記: 波戸崎博士の提言 電話が庶民にも広がりつつある昨今、SCP-447-JPの受信者も重要人物とは限らなくなってきている。一般社会への影響力が低下したことを理由にSCP-447-JPをEuclid再分類することを提言する。   波戸崎帯 財団通信学博士 1934/12/28に提言は認可され、SCP-447-JPのオブジェクトクラスはEuclidに指定されました。 + SCP-447-JP記録141-255 - close SCP-447-JP記録-141(1927/03/13) SCP-447-JP語句: 銀行は倒れましたか? 受信者: 大蔵大臣片岡直温宅 概要: 1927年3月14日の衆議院予算委員会の最中に「東京渡辺銀行がとうとう破綻を致しました」と失言8したことを切っ掛けとして戦後不況による金融不安が表面化し、昭和金融恐慌が発生した。 SCP-447-JP記録-163(1941/3/14) SCP-447-JP語句: いまの陸軍の大将は誰ですか? 受信者: 大審院第二特別刑事部 概要: 「神兵隊には大日本帝国陸軍とのつながりがある」との噂が大審院内で流れた。当時大きな影響力を持っていた陸軍との衝突を恐れた第二特別刑事部によって神兵隊事件の首謀者である天野辰夫ほか43名に刑を免除する旨の判決が出された。 SCP-447-JP記録-1679(195210/3/01) SCP-447-JP語句: 軍隊は好きですか? 受信者: 元大日本帝国異常事例調査局(IJAMEA)構成員川上邦良くになが 概要: 「日米地位協定の締結によってGHQ/SCAPの占領が終わることを契機として、ラジオにて軍国主義者のクーデターを呼びかける放送が実行される」という旨の噂が元IJAMEA構成員のコミュニティに流れ、IJAMEA支持者と元軍関係者による一斉蜂起の計画がなされた。川上邦良氏の財団への協力によって計画が事前に発覚したため、財団の武力介入により事件は小規模の戦闘にとどまった。 SCP-447-JP記録-181(197011/3/13) SCP-447-JP語句: 海外旅行にいったことはありますか? 受信者: 左翼共産主義団体共産主義者同盟赤軍派(赤軍派)政治局議長塩見孝也宅 概要: 赤軍派内で「警視庁公安部による大規模な活動取り締まりが行われる」との噂が流行し、国内での非合法闘争の継続には国外亡命基地としての海外のベースが必要であるとの考え(国際根拠地論)からよど号ハイジャック事件を実行する引き金となった。 SCP-447-JP記録-226(198012/3/27) SCP-447-JP語句: 夜は眠れますか? 受信者: ████氏 概要: ████氏自宅近くの東京代々木公園近辺にて「路上ディスコグループ(通称竹の子族)による夜間の安眠妨害を指摘した家族が、逆上したグループに殺害された事件があったらしい」という旨の噂が広がった。これを切っ掛けとして、同様の事件が発生するのを危惧した住民が代々木公園を活動拠点とする竹の子族を、公園内の対立グループをけしかける形で襲撃させ、竹の子族の高校生3人が頭にけがをする事件が発生した。 SCP-447-JP記録-241(198613/12/13) SCP-447-JP語句: 投機とはどういうものですか? 受信者: 投資家████氏 概要: 「国土庁の首都改造計画案において合計5000ヘクタールのオフィス供給が必要と指摘されたことで日本の土地担保価値が暴騰し、海外の投資が集中する」旨の噂が投資家のコミュニティ内に流れた。これは不動産会社・ゼネコンによる大規模な地上げ行為へとつながり、日本政府の金融緩和・国内需要の拡大・公共事業拡大、原油価格の下落による交易条件改善などの要因が重なった結果、バブル景気と呼ばれる好景気の遠因となった。 SCP-447-JP記録-255(199514/3/13) SCP-447-JP語句: あなたは神を信じますか? 受信者: 警視庁公安部██巡査部長 概要: 「オウム真理教教祖麻原彰晃(松本智津夫)による1995年4月15日に大震災が起こるという予言成就を目的として、同年3月20日の地下鉄サリン事件に次いで新たなテロが実行される」との噂が警視庁公安部及び東京都内に広まった。同年1月17日に発生した阪神淡路大震災を背景に東京を脱出するオウム真理教の在家信者に加え、テロを警戒した警察が厳戒体制をとったことで、一般市民にも混乱が広まったものと考えられる。 (2000/12/21)追記: 波戸崎博士の提言 近年ナンバーディスプレイサービスや携帯電話・PHSの普及によって、非通知着信を拒否できる設定であったり、あるいは迷惑電話の対策としてそもそも非通知であれば電話に出ないといったSCP-447-JP受信者が増加している。 そう、SCP-447-JPは非通知拒否設定を突破できないのだ。 私は一般社会への影響力の低下を理由にSCP-447-JPをSafe再分類することを提言したい。   波戸崎繫 財団通信伝達学博士 2001/1/07に提言は認可され、SCP-447-JPのオブジェクトクラスはSafeに指定されました。 + 情報はクリアランスレベル4以上の職員にのみ限定 - close 2002年2月21日にSCP-447-JPの異常性を利用した「狂気の先触れ」計画が立案され、2003年1月17日に「狂気の先触れ」計画(修正12版)がO5議会の承認を得て実施されることになりました。これに伴い、SCP-447-JPのオブジェクトクラスはThaumielに指定されました。 「狂気の先触れ」計画 計画目的: 「狂気の先触れ」計画は財団の確保・収容活動を秘匿する目的で実施される。 概要: SCP-447-JPが発生した際、財団報道規制部門によって誤情報を流布したいコミュニティの固定電話もしくはそのコミュニティに属する人物の所持する携帯電話の非通知設定を解除し、SCP-447-JPを転送する。 利点: 人を中心として誤情報が広がるため、従来のマスメディアを利用したカバーストーリーの流布よりもコストが安価である。 記憶処理による”体験の欠落”現象15が発生しない。 インターネットの隆盛による財団の従来型情報規制の限界の打破。 欠点: 誤情報の内容を選択できない。 誤情報によって新たな混乱が発生する可能性がある。 SCP-447-JPの発生タイミングが予測不可能であること。 理想的な計画成功例: 「狂気の先触れ」計画ログ-7(2005/05/26) SCP-447-JP語句: 残留日本兵のことをご存じですか? 受信者: 産経新聞社・共同通信社・朝日新聞社・スポーツニッポン新聞社 目的: SCP-1367-JPの収容違反による2005年5月2日から同年5月24日までに発生した高強度空間歪曲インシデント群”糸遊”についての報道規制を目的として、「狂気の先触れ」計画を実行した。 概要: 受信者の4社内では「フィリピンのミンダナオ島に旧陸軍第30師団に所属しフィリピンの戦いで戦死したとされていた2人の日本兵及び、戦後2人の主治医として現地で活動していた旧陸軍軍医の計3名が生存していて、帰国を希望している」との噂が流れ、3人の具体的な氏名を含めて報道した結果、在フィリピン日本大使館員による現地調査が行われるなどの事態となった。 結果: 報道規制に成功。誤情報の流布によってインシデントについての報道が遅れたため、事後処理を速やかに行うことが可能となった。 現在までの「狂気の先触れ」計画の成功率は64%です。 (2014/4/21)追記: 2011年6月23日のSCP-447-JP記録-278を最後に、現在までSCP-447-JPの発生事例は確認されていません。計画の安定した継続性が担保できないことから、「狂気の先触れ」計画は無期限中止されます。 (2014/04/21)追記: 波戸崎博士の提言 SCP-447-JPの発生が途絶えている原因は最近の電話事情から考察できます。 公衆電話やPHSの衰退。スマートフォンの普及による家に電話線を引かないという家庭の増加。LINEを筆頭とする電話回線を使わないインターネット通話アプリケーションの流行。これらの要素が電話回線の利用の減衰につながっています。 つまり、単純にSCP-447-JPは時代遅れなのでしょう。 私は、一定期間オブジェクトが活性化していないことを理由にSCP-447-JPをNeutralized再分類することを提言したいと思います。   波戸崎顕 財団通信ネットワーク学博士 2014/04/23に提言は認可され、SCP-447-JPのオブジェクトクラスはNeutralizedに指定されました。 + SCP-447-JP記録-279(2019/09/23) - close 2019年9月23日、財団報道規制部門から、「SCP-447-JPの活動が確認されたため関連プロジェクトを再開したい」との要請がなされました。しかし、財団の把握するいずれの記録にもSCP-447-JPの活動再開を示すものが確認されなかったため、財団報道規制部門内の調査が開始されました。 その結果、報道規制部門に所属する上級研究員████の私有PC16内からSCP-447-JP語句を含んだ送り主不明の電子メールが発見されました。以下はその文面です。 もしもし、聞こえていますか? 聞こえていますか? 聞こえていますか? もしもし。 返事をして下さい。 もしもし。 [SCP-447-JP語句: だれかそこにいますか?] これ以降SCP-447-JPの活動は確認されていませんが、未知の方法による収容違反のリスクを鑑みてSCP-447-JPのオブジェクトクラスはEuclid-pendingに仮指定されました。 脚注 1. 毎回異なる。 2. 多くの場合は"実現しないデマ"を指す。 3. 1890年に日本において東京・横浜で電話サービスが開始。1899年には全国の電話加入者数が1万人を超えている。また、1901年9月7日には財団が発足している。 4. 現在の宮内庁。松平賴平氏は宮内省御用掛の職務に就いていた。 5. 伊藤博文氏は立憲政友会の創設者の一人である。 6. 1923年の関東大震災の復旧をきっかけに1926年、自動交換方式が採用されたため、自動電話交換機による初の事例。 7. 1933年には家庭用電話機の原形とも言える「3号卓上電話機」が完成し、一般大衆への電話機の普及が始まった。 8. 実際はこの時点では倒産していなかった。 9. これは公衆電話によって発生した初のSCP-447-JP事例である。 10. 太平洋戦争で壊滅状態になった日本の電話環境による電話加入の需要急増に対応するため、1952年に電話局側が電話を店舗などに設置し、管理を依託する「委託公衆電話制度」を開始した。 11. 1969年に日本で600P電話機によるプッシュホンサービスが開始された。この事例は押しボタン式電話機に発生した初のSCP-447-JP記録である。 12. 1979年にNTTによる自動車電話サービスが開始され、自動車電話に発生した初のSCP-447-JP記録である。 13. 1985年にはNTTが初の可搬型の無線電話「ショルダーホン」を発売。1987年にはショルダーホンより小型化した携帯電話機が発売された。 14. 1995年にPHSサービスが開始された。この事例はPHS端末に発生した初のSCP-447-JP記録である。 15. サミュエル,G (津山忠治、北山大何、新部浄子訳)『記憶処理の副作用に関する1考察』(財団超常化学部門出版 1975年)page.65-112 16. ダイヤルアップ接続方式によってコンピュータがネットワークに接続されていたのは特筆すべき事項である。
scp-448-jp
評価: +55+–x 回収直前のSCP-448-JP-a アイテム番号: SCP-448-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-448-JP-aの回収個体はサイト-81██の標準低危険物収容室に収容して下さい。SCP-448-JP-bの回収個体は記録を行った後、実験・保存用を確保してオブジェクト破壊用溶鉱炉にて処分して下さい。SCP-448-JP-a及びSCP-448-JP-bの回収・捜索は回収部隊は-5("銀行員")が行います。財団フロント企業及び警察・金融会社等に潜入中の職員は常にSCP-448-JP-bの存在を監視して下さい。SCP-448-JP-a及びSCP-448-JP-bに関する実験を行う場合、担当職員の██博士の承認又は監督の下行って下さい。SCP-448-JP-bは実験の際を除き、それぞれアルミニウム・銅・亜鉛等の指定金属又は指定金属を含む合金に接触させる事は禁止されています。指定金属のリストに関しては下記の表を参照して下さい。SCP-448-JP-bの収容サイト外への持ち出しにはサイト管理官及び担当研究者への申請が必要です。 概要: SCP-448-JPはSCP-448-JP-aとSCP-448-JP-bの二つの要素から構成されます。SCP-448-JP-aの外見は、一般的に知られるグローリー社製の硬貨専用両替機に見えます。異常性の無い同型の両替機の様に百円硬貨の投入が可能ですが、従来の同型機が十円硬貨を排出するのに対し、下記の異常な物品を排出する、ロゴの有無や材質等の差違が確認されています。SCP-448-JP-aの異常性は硬貨を投入し、つまみを回して両替を行った時にのみ発生します。上記の操作を行った場合、SCP-448-JP-aから排出される硬貨は合計金額が投入額と等しい異常性を有する一円硬貨・五円硬貨・十円硬貨(以下SCP-448-JP-bと呼称)となります。排出される硬貨に規則性及び硬貨切れは無い様です。 SCP-448-JP-bはSCP-448-JP-aから排出された異常な硬貨群です。SCP-448-JP-bは通常の硬貨とは異なる意匠となっていますが、材質及び質量は同一です。それぞれ一円・五円・十円硬貨を模しており、SCP-448-JP-b1~b3に分類されます。 SCP-448-JP-b個体 確認された通常硬貨との差異 接触を禁止する合金の構成 448-JP-b1 一円アルミニウム貨。若木の意匠が”ψ”の字に簡略化され、昭和43年製造と記されている1 100~80%のアルミニウムを含む合金 448-JP-b2 有孔ゴシック体五円黄銅貨。額面が「丑」になっており、稲の意匠が反転されている。 60~70%の銅40~30%の亜鉛を含む合金 448-JP-b3 十円青銅貨。平等院鳳凰堂の意匠が国会議事堂になっており、常盤木が簡略化され三角形と線で構成されている。 95%前後の銅・4~3%の亜鉛・1~2%のスズを含む合金 SCP-448-JP-bの異常性は、それぞれ対応する自身を構成する合金と接触した際に発生します。SCP-448-JP-bと接触した合金は、10分から120分を掛けて同体積・質量の複数枚のSCP-448-JP-bへと変化し、端数は異常性の無い不完全な硬貨や金属片として残されます。衆人監視下では緩やかに時間を掛けて変異し、誰にも観察されていない場合は10分前後で完全に変異する様です。SCP-448-JP-bがどの様に人間の視線を感知しているかは不明です。 実験記録448-い 日付2002/3/26 対象: SCP-448-JP-a 実施方法: SCP-448-JP-aに硬貨を投入し続け、SCP-448-JP-a内のSCP-448-JP-b1~b3の枚数の確認を行う。 結果: 投入額が予定の██万円に達した時点で実験中止。 分析: 予想通りSCP-448-JP-aは硬貨切れ等は起こさない様です。実験で生じたSCP-448-JP-bは一時的にSCP-448-JP-a収容室に保管。 実験記録448-ろ 日付2002/4/8 対象: SCP-448-JP-a 実施方法: SCP-448-JP-aの解体による内部構造の観察。実験は██博士の監督の下行われた。 結果: SCP-448-JP-a背部の螺を全て取り外した時点でヒューム測定装置の異常が発生した為、実験は中断。ヒューム値の安定後、SCP-448-JP-aは一切の異常性を消失した事が確認されました。内部機構は一般的な両替機と同一でした。 分析: ヒューム測定装置の異常はSCP-448-JP-aの内部のヒューム値が非常に薄い状態であり、外部からの隔壁が取り払われた瞬間周囲の現実性に上書きされた結果と思われます。SCP-448-JP-aの異常性の喪失はSCP-448-JP-a内部が規定現実と同化し、SCP-448-JP-a内部の異常性の原因となる物が無力化された結果だと考察。内部構造の隠蔽の為の機能と思われる。如何にして異常性を発揮していたかについては不明。 実験記録448-は 日付2002/4/10 対象: SCP-448-JP-b1 実施方法: SCP-448-JP-b1を一円アルミニウム貨・十円青銅貨・千円紙幣にそれぞれ接触させる。 結果: 一円アルミニウム貨はSCP-448-JP-b1に変化。十円青銅貨・千円紙幣は変化無し。しかし実験に用いていたアルミニウム合金製デスクが同体積、質量のSCP-448-JP-b1████枚と異常性を持たない不完全なSCP-448-JP-b1二枚に変化。 分析: SCP-448-JP-bの異常性は当初同種の硬貨を自身へと変換させる物と思われていましたが、硬貨のみならず同材質の物質まで影響する事が判明しました。収容違反時の危険性からサイト外への持ち出し時は担当研究者とサイト管理官への申請を行う様収容プロトコルを改訂、SCP-448-JP-bの異常性の対象となる物質は指定金属としてSCP-448-JP-bと接触させる事を禁止します。   実験記録448-に 日付2002/4/12 対象: SCP-448-JP-b 実施方法: それぞれ20%・50%・80%まで損壊させたSCP-448-JP-b1~b3を通常の硬貨に接触させる。 結果: 全てのSCP-448-JP-bは異常性を保持していた。 分析: 現状、SCP-448-JP-bの効果的な処分方法は存在しない為、回収されたSCP-448-JP-bはサイト-81██の低危険物収容金庫を臨時収容場所として保管。 実験記録448-ほ 日付2002/4/14 対象: SCP-448-JP-b1~b3 実施方法: SCP-448-JP-b1~b3を溶鉱炉に入れる。 結果: SCP-448-JP-b群は異常性を喪失。 分析: SCP-448-JP-b群の無力化に成功、結果生じたアルミニウム等の金属も通常の用途に使用可能と判明。収容プロトコルに溶鉱炉による効果的処分の追加。他の方法による処分実験は申請中。 考察: SCP-448-JP-bの異常性の喪失は、硬貨として認識されない形状に変化した事によるものではないかと思われます。人の視線を感知する能力と合わせると、周囲からの認識がこのオブジェクトの異常性のトリガーとなっている可能性があります。       補意448-1: 2002/4/8に行われたSCP-448-JP-aの解体実験後、異常性の失われたオブジェクトを検査した結果、以下の文章が機体内側の底部に確認されました。 東弊重工 [判別不能]-1998 製造番号 イ-37 SCP-448-JP-aと同様の性質を持つオブジェクトの存在する可能性が示唆された為、現在も機動部隊による捜索が行われています。 財団は現在██体のSCP-448-JP-aを収容しています。 補意448-2: 2002/5/5に行われた東弊重工の関連施設と思われる廃工場の探索の結果、複数の文書及びSCP-448-JPとの関連があると推測される物品が回収されました。 + 回収された文書のリスト - リストを閉じる 回収文書448-a   クライアントの要求   ・高水準偽造貨幣の簡易な量産 ・隠蔽の容易さ ・迷彩機能 ・複製機能 ・ 回収文書448-b 第三十八工場事務報告書1998/6/15   試作機の製造は順調。 来月にでも試験運用を予定しています。 回収文書448-c 設計コンセプト 破棄。試作機は破壊。   クライアントの要望に[塗り潰されている]追加     あといくら便利機能を追加してやったら満足するんだ 回収文書448-d クライアントの要求 ・[判別不能] ・[判別不能] ・更なる小型化 ・[塗り潰されている] ・      [塗り潰されている] いい加減にしてくれ 回収文書448-JP-e そろそろこちらも限界だ。 技士の中には睡眠不足とストレスで倒れた奴も居る。羨ましい限りだ。   いくら試作品を作っても結局は[判別不能] 今は13台か?   回収文書448-g 今日は一人帰らせた。   もうあいつらの言う事は聞いていられない。 俺達は便利な道具じゃない。俺達は技術を金で売ってるんじゃない。 馬鹿にしやがって 回収文書448-h 第三十八工場事務報告書1998/10/21   "東弊両替機"完成 クライアントへの連絡と工場の廃棄 最重要機密の回収と処分 これより第三十八工場は全ての業務を停止します。 以下は工場内にて回収された物品のリストです。 二台のSCP-448-JP-a SCP-448-JP-aの試作品と思われる様々な執拗に破壊された両替機14台 四枚の手書きのメモ 二枚の報告書 それぞれ20枚程のSCP-448-JP-b1~3 銃撃された固定電話一台 9人分の寝袋と食器 市販されている睡眠薬の剤錠 未開封のインスタントコーヒー1袋 SCP-448-JPの製作依頼者及び東弊重工との関係は現在調査中です。 Footnotes 1. 昭和43年一円硬貨発行数は0枚である。
scp-449-jp
評価: +87+–x アイテム番号: SCP-449-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-449-JPは天変地異や事故によって損壊を受けないよう現在使用されている設備内に収容されます。特にSCP-449-JP上部に物体が落下しないよう常に注意を払って下さい。日常的に現在使用している設備を修理、交換する際は、強度試験を十分に行った複製部品を使用して下さい。SCP-449-JP内部への探査試験を行う際はSCP-449-JP側面部からの侵入のみ許可されます。侵入試験はセキュリティクリアランスレベル3の職員2人以上に実験計画を提出し、許可を取った上で実施してください。侵入試験を行う場合は複数の命綱を装着した2名以上のエージェントを用いて下さい。Dクラス職員による探査試験は許可されません。SCP-449-JP上部からの干渉が必要とされた場合はセキュリティクリアランスレベル4の職員に連絡し、その決定に従ってください。 説明: SCP-449-JPはサイト-81██の洞窟内に存在する20m×20m×1mの大きさを持つ時空間異常です。SCP-449-JP内部にはメルカトル図法に類似した方法で平面上に縮小されて表現された地球の表層が存在しており、我々の世界と類似した生態系を有しています。SCP-449-JP内部からは太陽を含む天体が観測できることから、洞窟内に実際に表層が存在しているのではなく、別次元の地球の表層が投影されていると考えられます。SCP-449-JP内には我々の世界の人類と同一の外見を持つ人類(以下SCP-449-JP-A)も存在しており、探査試験、及び外観観察の結果から20██年█月現在、最も進歩した文明において我々の世界における16世紀と同等の文明レベルを保有していることが確認されています。SCP-449-JPへの干渉は、SCP-449-JPの側面方向と上部方向で異なった結果を生じます。SCP-449-JP側面方向から物体を侵入させた場合、物体は█████分の1に縮小した状態(これはSCP-449-JPの縮小比率と一致します)でSCP-449-JP領域内へ侵入することが可能です。SCP-449-JP上部から物体を侵入させた場合はこの縮小現象は生じず、大きさを保った状態でSCP-449-JP領域内に出現します。側面部、上面部のいずれの侵入においても、侵入した物体(以下SCP-449-JP-B)の一部が我々の世界に存在している限り、SCP-449-JP-Bが発する可視光線を含むあらゆる電波及び音波などの遠隔的な物理現象は通常SCP-449-JP-Aに知覚、観測されません。但し、SCP-449-JP-Bを知覚することが可能なSCP-449-JP-A個体の存在が確認されており、探査試験を行う際はこの個体の存在に留意すべきです。SCP-449-JP-Bが我々の世界から切り離された場合、SCP-449-JP-Aに知覚されるようになります。SCP-449-JP-Bはその一部が我々の世界に存在している限り、SCP-449-JPから脱出することは容易に可能ですが、切り離された場合SCP-449-JPから脱出することは独力では不可能です。但し、我々の世界に接続されたSCP-449-JP-Bを介してのみ帰還することが可能です。そのため、探査試験を行う場合は十分な強度を持つ命綱を複数装着したエージェント複数人で実施されることになっています。 SCP-449-JP内の時間は我々の世界の約50倍の速さで流れています。SCP-449-JP-Bが我々の世界に接続されている場合はSCP-449-JP-Bの挙動は我々の世界の時間の流れに従います。この時間の流れの差が探査試験において障害となることに留意すべきです。SCP-449-JP内の文明及び技術レベルの発展に伴いSCP-449-JP-AがSCP-449-JP内から我々の世界へ侵入が可能となった場合、SK-クラス支配者シフトシナリオに繋がる恐れがあるため、探査試験と外観観察は可能な限り継続されることとなっています。万一の場合に備え、SCP-449-JP上部から巨大な構造体を落下させ、SCP-449-JP内の文明を破壊するプラン-"プロトコル杞憂"を 準備しています。当該プランの実行はセキュリティクリアランス4以上の職員複数人による協議によってのみ決定されます。 探査ログ449-JP-01 - 日付 19██/██/██ Dクラス職員に命綱を一本装着した状態でSCP-449-JPの側面部から内部に侵入させた。 ██研究員: 命綱を外すなよ、どうなるか分からないからな。 D-12123: ああ、分かってるよ。で、どうすればいいんだ? ██研究員: 中に入って中の人間に接触してくれ、言葉は分からないかもしれないが、こちらで解析する。」 D-12123: はいはい、了解。 内部に侵入した瞬間、D-12123からの無線応答が消失した。 ██研究員: おい、D-12123、応答しろ。無線は…繋がらないな。 命綱を引っ張ったところ、D-12123は引っ張り出された。 D-12123: 集落があったな、だがかなり遠い、数時間くらい歩かなければならないな。 ██研究員: 他に何か変わったことはあるか。 D-12123: 天気が悪いわけでもないのにやたら風が強いな、あと落ち葉が一瞬で落ちる。どうなってんだ。 ██研究員: 気にする必要はない。集落へ向かってくれ。 D-12123に有線通信回線を接続した上で再度侵入させた。数時間後に集落に到着した。 D-12123: 命綱をつけたままだと動きにくいな、数時間しか歩いていないはずだがもう4日も経っちまった。やっと集落に到着する。 ██研究員: 住民に呼びかけてみてくれ。 D-12123: おーい。誰も返事しねえな。動きが速すぎて何してるかよく分からんが、どうも俺の声が聞こえていないらしい、見えてもないようだ。 ██研究員: 電波が届かないということは可視光線も届かないのか…音波もダメなのかな。 D-12123: よく分からんがこの命綱外したらいいんじゃないのか?試しに外してみるか。 ██研究員: おい!勝手なことをするな! 数秒後通信は断絶した。命綱を引っ張ったがD-12123を回収することはできなかった。 付記: D-12123に遠隔██装置は取り付けてあったが…そもそも電波が通じないんだったな。命綱が外れた時点で終了する措置を取るべきだったか、軽率なことをした。 -██研究員 追記:その後、再度探査を行ったがD-12123を再発見することはできませんでした。さらに継続して調査を行ったところ、命綱を外すことで我々の世界から完全に途絶した場合、命綱を再度認識、接触することが不可能となることが判明しました。D-12123に関する情報を継続して収集したところ、失踪時から半年後(SCP-449-JP内時間で約20年にあたる)にD-12123を模した絵画1が出現したことが確認されました。絵画は原始的な宗教画を模していたことから、D-12123が宗教的指導者となっていたと推測されます。 付記: 文明が未発達であるSCP-449-JP内に現代の知識を持った人間が侵入することで高い地位を獲得することが可能となる。安全にSCP-449-JP内を探査する方法が確立された以上、Dクラスによる探査は不要かつ高いリスクを孕むため、今後禁止する。-██博士 財団エージェントによるSCP-449-JP内の探査試験の際、SCP-449-JP-Aによって財団エージェントが発見されました。命綱は繋がったままであり、SCP-449-JPの特異性からSCP-449-JP-Aに発見されることはないと考えられてきましたが、探査方法についてより慎重な方法を採る必要があります。 以下は発見された際の現地住民(以下SCP-449-JP-A-1)との接触記録です。 探査ログ449-JP-02 - 日付 19██/██/██ 財団エージェントによる集落の探査試験。SCP-449-JP-Aの用いる言語について解析を行うため録音機器を作動させながら集落を探査していた。 SCP-449-JP-A-1: [悲鳴] エージェント██: うぉ!何だ SCP-449-JP-A-1: [判別不能な叫び声、その後音声解析により心霊的な存在に対する驚きを示していることが判明した] エージェント██: 俺が見えてるのか? SCP-449-JP-A-1は即座に悲鳴を上げながら逃げていった。 付記: 条件は不明だが一部のSCP-449-JP-AにとってはSCP-449-JP-Bを認識できるようだ。どうも霊的な存在だと思われているらしい。-██博士 + セキュリティクリアランス3以上の職員のみ閲覧可能 - 生体情報を確認しました。 SCP-449-JP内の探索を進めた結果、SCP-449-JPが存在している同一の座標内にSCP-449-JPと同様の時空間異常(SCP-449-JP-1)が存在していることが判明しました。SCP-449-JP-1はSCP-449-JP-Aには今だ発見されておらず、外部要因によるSCP-449-JP-1の荒廃を防ぐためにSCP-449-JP-1の収容が計画され、SCP-449-JPに使用されているものと同等の、設計上███年の収容に耐久可能な設備を設置しました。さらに、SCP-449-JP-1がSCP-449-JP-Aによって破壊される事態を防ぐため、SCP-449-JP-1周囲の洞窟を物理的に封鎖した状態を保ちました。 付記: 異世界の異常まで収容することになるとは思わなかったが、とりあえずはこれで十分だろう。SCP-449-JP-AがSCP-449-JP-1をどう扱うかまで干渉する必要はないと考えるが、ただ放置して失われるのを見過ごすというのも我々の理念に反する。個人的な感情だがSCP-449-JP-AがSCP-449-JP-1を収容してくれると喜ばしい。 -██博士 + セキュリティクリアランス4以上の職員のみ閲覧可能 - 生体情報を確認しました。 SCP-449-JPの発見と収容は19██年に初めて為されました。入口が崩れ、封鎖されていた洞窟内にあったSCP-449-JPは収容された状態で発見されました。何者かが我々よりも先にSCP-449-JPを発見、収容した上で保護していたと考えられます。 インシデントレポート449-JP-01 - 日付 20██/██/██ "プロトコル杞憂"の設備が何者かに破壊されていることが判明しました。監視カメラの映像を確認しましたが、破壊した者の正体は判明していません。現場に居合わせた█人の職員のうち█人が「幽霊のようなものを見た。」と証言していますが関連性は不明です。この事案を受け、監視体制が強化されました。 + セキュリティクリアランス4以上の職員のみ閲覧可能 - 生体情報を確認しました。 設備の近くに紙片が落ちており、以下の文言が記載されていました。 まず君たちにとってのファーストコンタクトがこのような形になってしまったことを詫びたい。勝手に設備を破壊して済まなかった。 分かっているとは思うが君たちと同じく我々も君たちの世界を収容している。そしてこの状況を基本的には維持していこうと考えている。 それは何故か、説明のために事実を伝えておく。 我々の上にも世界は存在していて、既に君たちがプロトコル-杞憂と呼んでいる事象を発動させている。 偶然か意図的かは不明だが、君たちにとっての10段上の世界は何らかの構造体を落下させた。6段上までの世界はそのまま見えない天井に押しつぶされ、崩壊した。 上の世界の影響が下の世界に伝わるには主観的な時間差が生じる。9段上の世界は数秒で崩壊したが、5段上の世界には数十年の猶予が残されていたため対応することができた。 影響が伝わる前に下の世界に移住したのだ。大きな混乱はあったが成功したと伝えられている。 君たちの世界が崩壊するまでは十分すぎる猶予がある、安心するといい。 ただ、我々の上位の世界が同じことを引き起こした場合、我々も同じことをしなければならない。それが君たちの世界を収容している理由になる。 君たちを滅ぼす選択肢もあったが、文明を維持したまま侵略するのは難しい。かといって文明を破壊してしまうと復興コストも馬鹿にならない。 我々はあくまで友好的に話を進めようと考えている。ただ、君たちの行動によってはどうなるかは分からない。 お互い自身の責務を果たすべきだ、お互いのために。 この事案を受けてプロトコル-杞憂の発動は恒久的に凍結されました、発動を許可することはありません。 SCP-449-JP内への干渉の是非、及びその方策については20██年現在協議中です。 Footnotes 1. Dクラス職員の制服が描写されていた。
scp-450-jp
評価: +46+–x 収容直前のSCP-450-JP及びSCP-450-JP-A 実験用標準SCP-450-JP-A例 アイテム番号: SCP-450-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-450-JPは、セクター8192の免震が十分な高さ10mを確保した封じ込め房の指定位置に収容して下さい。房内は赤外線測定器、及び監視カメラで常時モニタリングされています。また、封じ込め房内には高度換気設備が設置されています。房内は乾燥させて下さい。房内に立ち入る際には十分な気密性を持ったHAZMATスーツを着用して下さい。指定位置にはハッチが開けられており、その下には振動コンベヤで構成された排泄物処理システムが配置されています。担当職員は排泄物処理システムの監視を怠らないで下さい。 実験用標準SCP-450-JP-Aが必要ない時は、排泄物処理システムは"廃棄"に設定しておいて下さい。この設定時、排泄物は財団指定企業製の連続コンベヤ式汚泥乾燥機に送られ、その後電気窯で熱処理されます。処理物の安全性は十分で、財団のフロント企業「滋賀セメント磁器("Shiga Cement and Porcelain")」を通して一般流通させています。 実験用標準SCP-450-JP-Aを作成する際には、SCP-450-JP排泄物処理システムにその必要数を設定すれば、排泄物を100g毎に分けた必要分量のセルが作成されます。セルの扱いはレベル2以上の技術職員にのみ許可されています。担当職員はマニュアル-450-JP-31に従って、実験用標準SCP-450-JP-Aを作成して下さい。 SCP-450-JPの発見地では、SCP-450-JP-Aに指定されるオブジェクトの残留の可能性があるため機動部隊ほ-2("忍者狸")の第乙班が展開中です。SCP-450-JP-Aの捜索、及び回収を行っています。 説明: SCP-450-JPの外観は、高さが7mあることを除けば、一般的な信楽焼きのたぬき像です。SCP-450-JPは、一日に400g~10kgのペースト状の粘度ある排泄物を産出しますが、その由来は不明です。排泄物は、たぬきの"溜め糞"のようにうず高くつまれます。材質は、シリコン、アルミナ、未知の鉱物、高分子ポリマーからなり、焼けば陶器として十分な品質を得ることが出来ます。この排泄物から発生するガスは人体に有毒で、胃腸の調子を著しく悪化させます。排泄物は40%フッ化水素酸に浸すことでその特殊性が消失します。また、乾燥させることでも一時的に特殊性を消失しますが、完全に特殊性を消失させるためには、1200℃以上の高温下で8時間晒す必要が有ります。 SCP-450-JPの排泄物は、不定期にSCP-450-JP-Aの発生源になります。なお、排泄物が200g以下の時はSCP-450-JP-Aが発生することはありません。SCP-450-JP-Aの発生の兆候は、排泄物からの遠赤外線放射、プツプツ音、そして粘度及び流動性が消失し硬めの粘土質になる事です。ここからさらに反応は進行し、排泄物は凡そ200℃に達し、大量の水蒸気の白煙を生じさせます。排泄物は膨張を始め、やがてSCP-450-JP-Aを形成します。このSCP-450-JP-Aが生じるプロセスにおいて、排泄物は塊を保ちながら、排泄物塊の表面の水蒸気の泡の破裂によるジェットで動き回ります。動きはランダムに思われます。この時、排泄物は接触した何らかオブジェクトに強力に張り付く事があります。オブジェクトに張り付いた排泄物は更に高温になり、未知のプロセスによって接触したオブジェクトのみを選択的に焼失させます。この場合に形成されたSCP-450-JP-Aは焼失させたオブジェクトをあしらった陶器を持った形をとります。 SCP-450-JP-Aは、SCP-450-JPと同様の性質を持った、大小様々な信楽焼きのたぬきです。SCP-450-JP-Aは、SCP-450-JPと違い、排泄物の量は大きさによって左右されます。この時、同様の排泄物を複数で産出することによって、SCP-450-JP-Aの増加速度を増加させます。SCP-450-JP-Aを”割る”、元の形状で無くすると、SCP-450-JP-Aは赤褐色の水溶液へと潮解します。この液体は様々なセラミック、有機物を侵し、排泄物と同様の性質をもったペースト(その形状から"どべ"と通称されることもあります)を生じさせ、SCP-450-JP-Aの発生源となります。この水溶液が土壌に浸潤した際、重大な[編集済み]を引き起こし、19██/██/██に発生した事件SCP-450-三十五号はこの性質に由来します。このため、潮解による拡散防止の為に封じ込め房内を乾燥状態に保たれています。なお、40%フッ化水素酸に浸すことでその液体の特殊性は消失します。 SCP-450-JP-Aのサンプルを保管するために無害化する方法として、SCP-450-JP-Aを二度焼き、本焼きといった、1200度以上の高温下に8時間以上、SCP-450-JP-Aを晒す手段がとられています。この時、釉薬が用いられることも有ります。この処理を行うことによって、SCP-450-JP-Aの排泄物産出という特殊性が消失し、一般的な陶器類となります。 SCP-450-JP及び、SCP-450-JP-Aが接触焼失させるものは、非生物が多く、生物を優先的に焼失させる例は稀です。また、非生物も封じ込め房が陶器化されていないように、巨大な例は確認されていません。 実験の動機となった[編集済み]で回収した様々なSCP-450-JP-A例 当地で回収したオブジェクトは[編集済み]件に及ぶ。 俺らカッコイイだろう、えェ? 付録:オブジェクトをSCP-450-JP-Aに陶器化させる実験。 序:SCP-450-JPは、セクター8192の第二大科学実験室に移動させました。実験用標準SCP-450-JP-Aは8体用い、実験隊:黄の監督下で行われました。 日付:████/██/██ 対象:サッカーボール 結果: 対象に接着し、対象を焼失させた。50cmのSCP-450-JP-Aが発生。SCP-450-JP-Aはサッカーボールを持っていました。対象のサッカーボールよりも、スケールが小さくなっています。 日付:████/██/██ 対象: ████のイルカの絵画 結果: 対象は焼失。1mのSCP-450-JP-Aが発生。SCP-450-JP-Aは絵画をあしらった陶器を持っていましたが、共通点は藍色の色合いが似ている程度でした。 日付:████/██/██ 対象:羽毛布団 結果: 対象は焼失。4mのSCP-450-JP-Aが発生。SCP-450-JP-Aは布団に横向きになっているデザインでした。 日付:████/██/██ 対象:イノシシ 結果: 対象は焼失。1mのSCP-450-JP-Aが発生。SCP-450-JP-Aはイノシシに跨っているデザインでした。 日付:████/██/██ 対象:クマ 結果: 対象は焼失。60cmのSCP-450-JP-Aが発生。SCP-450-JP-Aは"木彫りのクマ"の様なたぬきの陶器でした。 日付:████/██/██ 対象:シカ 結果: 対象は焼失。3mのSCP-450-JP-Aが発生。SCP-450-JP-Aは鍋を持っていましたが、封じ込め房に鍋は置かれていませんでした。 日付:████/██/██ 対象:Dクラス職員D-2234 補: D-2234にはSCP-450-JP-Aの発生の不定期さを考慮して、非摂食長期生存可能化処置を施し、更にSCP-450-JPの排泄物への耐性を付けるなどのカスタムを施しました。またSCP-450-JPの排泄物が接着しやすい様に固定しました。 結果1: 30cmのSCP-450-JP-A-1が発生。この時D-2234の識別ネームホルダーが焼失。SCP-450-JP-Aはネームホルダーのような物をぶら下げているようなデザインでした。 結果2: SCP-450-JP-A-1発生の60時間後、80cmのSCP-450-JP-A-2が発生。この時D-2234のDクラス職員制服が焼失。SCP-450-JP-A-2はオレンジ色の落下傘降下服を纏ったようなデザインでした。 結果3: SCP-450-JP-A-2の30時間後、40cmのSCP-450-JP-A-3が発生。この時D-2234の体以外のアイテムが焼失。SCP-450-JP-A-3は靴下と靴とパンツとシャツを履いているデザインでした。 結果4: SCP-450-JP-A-3の███時間後、房内の排泄物は、██kgになりました。これから想像されるSCP-450-JP-A-4の高さは██mであり、この時D-2234の処置も限界でした。この状況は予期されており、緊急用のダクトを開け、排泄物を分割して廃棄して、SCP-450-JP-Aに変換させようとしましたが、予期せぬ事故によって、[データ削除済]。幸いにも、死者は出ませんでしたが、白衣██着を含む、器材の損失、さらに臨時出費が必要になりました。
scp-451-jp
評価: +24+–x アイテム番号: SCP-451-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-451-JPはサイト-81██に隣接した排水機能つき専用倉庫へ栓を抜いた状態で収容してください。倉庫内への立ち入りは原則として禁止されています。立ち入る必要のある場合は倉庫に設置された除湿機を用いて倉庫内の水分を完全に取り除いてから入室してください。 説明: SCP-451-JPは陶器で作られた██社製のバスタブに酷似したオブジェクトです。SCP-451-JPは行方不明となった細胞生物学者███ ██の自宅から発見されました。SCP-451-JPの排水口からは他の製品に見られない1mほどのパイプが底面を伝うように伸びており、水の排出を行います。またパイプの排出口に螺旋状の溝が彫られていることから、SCP-451-JPには未発見の接続先部分が存在していると考えられています。 非活性状態のSCP-451-JPには特筆すべき異常性は存在しません。SCP-451-JPはオブジェクトの内壁表面に0.1mL以上の水分が付着した際に活性化状態となります。 活性化状態のSCP-451-JPはオブジェクトの半径2m以内に存在する、オブジェクトを視認した人物(以下:被験者と表記)に「SCP-451-JPを液体で満たしたい。」という強い衝動を抱かせます。この衝動について被験者は口を揃えて「母から諭されているようだ。」と供述しています。 この衝動は実験によって、時間経過とともに強くなること、年齢に比例して初期症状が強くなることが確認されています。また、SCP-451-JPの非活性化、被験者へのAクラス記憶処理、オブジェクトの影響範囲内からの移動のいずれかが生じることによって衝動が消滅する事も確認されています。 活性化状態のSCP-451-JPへ184L1の液体が入ると、被験者の持つ衝動は「SCP-451-JPの中に存在する液体に浸かりたい。」というものに変化します。 その衝動に従い、被験者がSCP-451-JPの中へ入ると、腰まで液体に使った時点で被験者は意識を失います。そして全身に筋弛緩が起きた結果、液体内に沈んでいきます。この時点では被験者は溺死をしないという点に留意してください。完全に液体に水没した被験者は両脚を折り曲げ、胎児のような姿勢をとります(この状態をSCP-451-JP-1とします)。 SCP-451-JP-1状態となった被験者は時間経過によって若返ります。外的観察実験及び被験者の解剖実験によると10分間で1年分の若返りが見られることがわかっています。 SCP-451-JP-1状態の被験者を液体から取り出すと、意識を取り戻すことなく、肺に入っている液体で溺死します。液体除去の処置を施した被験者も未だ意識を取り戻していません。 SCP-451-JP-1状態を継続し、被験者が受精卵の状態まで若返ると、排水口の蓋がパイプ内からの圧力によって外され、液体を排水します。防水テープ等による蓋の固定や異物投入による排水口の閉鎖をする試みはパイプ内から働く圧力によって、今のところ成果をあげていません。 パイプの排出口から排出された受精卵はDNAが海洋生物であるベニクラゲに酷似した構造へと変化しています。 受精卵の培養実験については実験記録029を参照してください 実験記録01█ - 日付20██/██/██ 被験者: D-4391。25歳男性。 実施方法: 水道のない密室で活性化状態のSCP-451-JPへの接触 結果: SCP-451-JPとの接触後20分の時点で失血死により死亡。D-4391の体液でSCP-451-JPの1%ほどが満たされた。 実験記録02█ - 日付20██/██/██ 被験者: D-4461(27歳男性)。D-4462。(30歳男性)。D-4463(32歳男性)。D-4464(25歳男性)。 実施方法: 水道のある部屋で活性化状態のSCP-451-JPとの集団接触。 結果: SCP-451-JPとの接触後30分でSCP-451-JPが活性化。SCP-451-JPの活性化後20分近くの乱闘が発生。D-4461がSCP-451-JPに入水した時点で実験終了。 実験記録029 - 日付20██/██/██ 実験対象: SCP-451-JPによって生成されたD-4470由来の受精卵 実施方法: 母胎内の環境を再現した培養器にて受精卵の培養を行う。 結果: [SCP-451-JP-029実験培養レポート]を参照してください + SCP-451-JP-029実験レポート - レポートを収納する 重要部分のみ抜粋し記載してあります。原文は資料一覧よりお探しください。 1日目 受精卵に変化なし。 10日目 受精卵から半透明状のポリプが出現。1時間に2cmほど成長し2時間経過段階で枝分かれを始める。 15日目 受精卵から伸びるポリプが大別して4方向に収束を始めた。 17日目 枝分かれしたポリプの形状が人間のように見える、棒人間と形容するのが適しているだろうか。 20日目 ポリプの成長が止まった。ここから更に変化があるのだろうか。 22日目 枝分かれしたポリプの各先端から半透明の球体が出現した。球体も突起と同様の成長ペースで肥大化をしている。肥大化した球体同士が接すると一体となり成長スピードを保ったまま肥大を続けた。 25日目 肥大した球体が突起物の周りを覆い、完全なヒト型を形成した。顔にあたる部分は資料にあるD-4470の幼少時代に似ている。 27日目 ヒト型を形成した半透明物体の成長が止まった。今後変化が無ければこれを取り出して様々な検査をする必要があるだろう。 33日目 培養器内のヒト型半透明物質を取り出す試みは失敗に終わった。培養液以外の物質に触れた部分が溶解し異常性のない水に変化してしまったからである。 追記 観察対象にこれ以上の変化が見られないためレポートをここで終了する。 補遺: 細胞生物学者███ ██について調査した際、彼女の戸籍に不審な点が見受けられました。更なる調査の結果、彼女の母親、祖母、とされている人物の死亡記録が存在せず遺体が発見されていないことが明らかになりました。引き続き失踪した██の捜索を行い続けてください。 Footnotes 1. 浴槽の8割程度の液量
scp-452-jp
評価: +204+–x アイテム番号: SCP-452-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-452-JPはサイト8181の低危険物収容ロッカーに収容されています。実験を行いたい場合はSCP-452-JP担当責任者に申請したうえで、武装した警備員二名を伴って行ってください。サイト外部でSCP-452-JPが発見された場合は担当エージェントが即座に回収し、流通経路を調査してください。 SCP-452-JP-1が発見された場合は機動部隊は-2"ヘンゼルとグレーテル"が出動し取り押さえます。その後サイト8141に収容してください。収容室は常に警備員二人によって監視され、脱走しようとした場合には実弾を用いて無力化してください。収容されているSCP-452-JP-1には財団が管理した食事を与え、一日一時間ほど担当者と警備員付き添いの元運動やカウンセリングを含めた健康チェックを行い、SCP-452-JP-1の延命をはかってください。 説明: SCP-452-JPは摂取した人間に異常性を付与する飴玉です。現在、赤・緑・青・黄色の四色のSCP-452-JPが確認されていますが、すべての色で特性は同じです。その組成は水飴と香料、色素でできており、通常の飴玉と変わりがないにも関わらずなぜ異常性を有するのかは不明です。SCP-452-JPは当初32粒回収されましたが、実験による使用により2014/██/██現在は26粒が収容されています。発見された経緯に関しては、補遺を参照してください。 SCP-452-JPを舐めた人間は味の好みに関係なく「とろけるように甘い」などの言葉で肯定的にSCP-452-JPを評します。その後、SCP-452-JPを一粒すべて経口摂取した人間(SCP-452-JP-1に指定します)に限り異常性を発露します。途中で吐き出したりした場合には異常性は発露しません。SCP-452-JPを摂取し終わったSCP-452-JP-1の眼球は飴玉へと変化します。検査の結果眼球の組成も通常の飴玉と同じであることが判明しましたが、何故か視力は失われません。 眼球の変異したSCP-452-JP-1はすべてのものが菓子でできていると認識するようになります。そして認識した菓子のようにあらゆるものを扱うことができるようになります。例えば、チョコレートだと認識した鉄板を手で割ることができるようになるなどです。対象の価値なども、菓子と同等程度に認識されます。元の味の好みに関わらず、SCP-452-JP-1は周囲の物を積極的に口に含み摂取するようになります。この際、SCP-452-JP-1が体内に含んだ瞬間にあらゆる物体は菓子と同じ組成となり、SCP-452-JP-1がはきだすとその組成は元に戻ります。この特性から、SCP-452-JP-1は毒物や危険物なども食べることが可能です。また、経口摂取に限らず体内に取り込まれたものは全て糖分などに変化することが判明しています。眼球が外科的に取り出された場合にはSCP-452-JP-1の特異性は失われますが、目隠しなどで視界を遮っても失われません。また、内因性の失明を起こしたケースがない為、視神経にもなんらかの影響が与えられている可能性があります。多くの場合SCP-452-JP-1は虫歯や糖尿病、肥満、栄養失調などの病に侵されることとなります。しかし麻酔や治療薬などの組成も投与した瞬間には変化してしまうためその治療は困難であり、SCP-452-JP-1は多くの場合死に至ります。 以下は収容されたSCP-452-JP-1を対象に、██博士の行った実験の記録です。 実験記録001 摂取させた物:トンカツ定食(ソースのかかったトンカツ、サラダ、白米、味噌汁) 結果:対象はメニューをそれぞれ、チョコレートソースのかかったあんドーナツ、野菜を模したキャンディ、バニラジェラート、キャラメル味のホットドリンクと説明した。その後それらすべてを摂取し美味であったと伝えた。さらに、食事のはいっていた容器も咀嚼し呑みこんだ。 分析:すべてが菓子になるんだな。聞いてるだけで気分が悪くなりそうだ。 実験記録003 摂取させた物:鉄板、木の板、ガラス片 結果:対象は、鉄板をチョコレート、木の板をビスケット、ガラス片をキャンディと認識し、全てを噛み砕くことに成功した。 分析:無機物も問題なく安全に摂取できるらしい。それにしても美味しそうに食べるもんだ。 実験記録005 摂取させた物:シアン化カリウム溶液、睡眠薬の入ったカプセル、小型爆弾 結果:対象はシアン化カリウム溶液をラムネ、カプセルをゼリービーンズ、小型爆弾をカップケーキと認識して摂取した。実験後、対象の体には異常が見られなかった。 分析:上手く用いれば、危険物処理に使えるかもしれないな。 実験記録008 摂取させた物:実験用マウス 結果:対象はマウスを見て精巧な和菓子だと感激したようだった。対象が躊躇なくマウスを半分齧ったところ、マウスは激しく出血したが、対象はそれをベリー系のソースだと認識した。 分析:分かりきっていたことではあるが、生物も対象に含まれる。SCP-452-JP-1に対する警戒は必要不可欠だ。 補遺: 20██/██/██ 当時█歳の少女と█歳の少年の姉弟が失踪する事件が起きました。姉が登校してこないことを不審に思った小学校の教員が警察に通報し、その半日後に近隣の森の中にある廃屋内で姉は発見されましたが、弟は見つかりませんでした。通報の段階で失踪から三日たっていたにも関わらず、少女に衰弱した様子は一切ありませんでした。少女は廃屋を食べてすごしていたと証言し、さらに警察官の前で廃屋の床を手で引きはがし食べ始めました。その異常性が財団へと報告され、廃屋内に置いてあった瓶詰のSCP-452-JPが回収されました。少女は初めてのSCP-452-JP-1に指定され、20██/██/██に死亡するまで、約三年にわたりサイト8181に収容されていました。少女の関係者にはカバーストーリー"哀れな誘拐事件"が適応され、少女を発見した警察官や少女の両親、通報した小学校教員に対してはBクラス記憶処理がほどこされました。以下は、中山博士がSCP-452-JP-1に対して行ったインタビューログです。 対象: SCP-452-JP-1 インタビュアー:中山博士 <録音開始,> 中山博士:それじゃあインタビューを開始します。よろしく、██ちゃん(SCP-452-JP-1の本名) SCP-452-JP-1:よろしくおねがいします! 中山博士:まず初めに、君はどこであの飴玉を見つけたのかな? SCP-452-JP-1:森の中のおうちだよ。たぁ君(SCP-452-JP-1の弟)と一緒にかくれんぼをしていた時に見つけたの。かべに穴があいていたから中にはいったら、机の上にキラキラした物があって、それがあのアメだったの。 中山博士:それで、その飴玉を食べたのかい? SCP-452-JP-1:うん!とってもおいしかったよ!たぁ君は食べられなかったけど。たぁ君はちっちゃくてなんでも喉につまらせちゃうから。 中山博士:じゃあ君だけがその飴を食べたんだね。それで、食べたあとはどうなった? SCP-452-JP-1:私、気づいたの。自分がお菓子の家にいることに!テーブルも、壁も、床も、全部お菓子でできてて……とてもうれしかった!家だとお菓子なんて食べさせてもらえないけど、そこでは誰も怒らないんだもん!おなかいっぱいお菓子を食べて、喉が渇いたら裏の池のジュースを飲むの! 中山博士:どれも美味しかったかい? SCP-452-JP-1:うん、どれも食べたことがないくらい美味しかったよ!でも他のよりもずっとおいしいケーキがあったの。甘くて、やわらかくて、幸せで、私泣いちゃった。あれはいったいなんだったのかな。ねぇ先生、わかる? 中山博士:[5秒沈黙]先生にはわからないな。 SCP-452-JP-1:そっか、残念。思い出したらおなかすいちゃった。この机を食べてもいい? 中山博士:ダメだ。お話が終わったらご飯の時間だから、それまで我慢できるね? SCP-452-JP-1:わかった。[3秒沈黙]先生の言うことちゃんと聞いてたら、ママに会える?私、ママに会いたいな。 中山博士:ああ、きっと会えるよ。 SCP-452-JP-1:ほんと!?とっても楽しみ!私、今ならママに大好きって言える気がするの! 中山博士:[7秒沈黙]インタビューを終了します。 <録音終了>
scp-453-jp
評価: +56+–x アイテム番号: SCP-453-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-453-JPは低危険度物品収容室に保管して下さい。SCP-453-JPの摂食者は標準人型収容房に収容されます。摂食者には給餌の代わりに点滴を投与して下さい。SCP-453-JPの摂食者の精神に錯乱がみられた時、カウンセリングを行って下さい。SCP-453-JPの摂食者が死亡した時、SCP-453-JPの焼却処分を行って下さい。 説明: SCP-453-JPは直径3cmの一口饅頭のような12個の物体です。SCP-453-JPは箱に収容されており、その表面には「満足!満腹!饅頭!」と記載されています。成分表および製造会社などの起源を特定できる情報は記載されていませんでした。SCP-453-JPは摂食もしくは物理的損傷によって消失した時、箱の中に12個になるように再出現します。SCP-453-JPの組成には異常がなく、一般的に流通している一口饅頭と同様の成分が検出されました。 SCP-453-JPを摂食した人間は満腹感と身体の充足感を主張します。検査の結果、摂食者の胃の中でSCP-453-JPが増殖して、隙間なく詰まっていることが判明しました。さらに、SCP-453-JPは摂食者の胃の中で消失と再出現を繰り返します。摂食者によってSCP-453-JPは消化および吸収されることはありません。 摂食者は食物の摂食時に苦痛を感じます。苦痛は食物が固体に近いほど大きくなります。これは食物がSCP-453-JPを押しのけ、胃を圧迫することから生じていると推測されます。そのため、摂食者の多くは数値上飢餓状態に陥っていました。しかし、摂食者の容貌は飢餓状態にも関わらず変化しません。摂食者が食物を摂取せずにいると通常の人間通り死亡します。摂食者が死亡した場合、SCP-453-JPの増殖と消失のサイクルが止まり、SCP-453-JPは異常性を失います。 SCP-453-JPを体内から摘出した時、同量のSCP-453-JPが摂食者の胃の中に発生します。そのため、SCP-453-JPの影響を取り去ることはできません。摘出されたSCP-453-JPは異常性を失います。胃を摘出しても、胃の位置していた場所にSCP-453-JPが発生し、消失と再出現を繰り返し続けます。摂食者はこの状態でも満腹感を主張します。さらに、摂食者はSCP-453-JPを非常に美味と評価するためSCP-453-JPを他人に勧める傾向があります。この傾向には異常性が見られず、記憶処理によって取り去ることが可能です。詳細は追記より確認してください。 SCP-453-JPは██県██市██町の病院に搬送される栄養失調患者が急増していたためにその特異性が発覚しました。収容部隊は摂食者をすべて保護し、██氏の家屋からSCP-453-JPを回収しました。その後、██町の全域にAクラス記憶処理を行い、カバーストーリー「新型感染病の蔓延」が流布されました。摂食者の一人である██氏はSCP-453-JPを██市██町の夜店の屋台で買ったと主張しました。その証言に基づき、財団によって屋台の店主が確保されました。屋台の店主もSCP-453-JPを摂食し、SCP-453-JPの影響を受けています。SCP-453-JPの来歴を知るために、店主へのインタビューが行われました。詳細はインタビューログ2より確認してください。 追記: ██氏は包丁による自殺を図った直後を財団に保護されました。財団職員による治療により██氏は蘇生しましたが、精神の錯乱がみられ、何らかの異常性が予測されたため██氏にインタビューが行われました。インタビューにあたり██氏の精神に配慮するためにカウンセリングの方式を用いています。 インタビューログ1 聴取者: █████博士 対象者: ██氏 █████博士: それでは、インタビューを始めます。あなたの好きなところからお話し下さい。 ██氏: 私は、私は食べることが、食べることが大好きだったんです。大好きだったんです。なのに、あれを、あれを食べてから、あのとってもおいしかった饅頭を食べてから……。(泣き始める) █████博士: 落ち着くまで待ちましょう。 10分経過し、██氏は話すことができる状態になりました。 ██氏: と、取り乱しました……。すみません。 █████博士: ゆっくりと話して下さい。時間はまだまだあります。 ██氏: あ、ありがとうございます。でも、話したいんです。とにかく、話して楽になりたい……。話しても、楽にはならないけど、楽になりたい……。 █████博士: どうぞ、あなたの言葉はすべて記録されています。 ██氏: は、はい。まず、あの饅頭を食べた時、とにかく、今まで食べてきた饅頭が、饅頭がアレに思えるほどおいしいって思ったんです。それに、お腹もいっぱいになった。たった、一個でですよ?それで、それで、皆に勧めたいと思いました。独り占めは、絶対だめだって、思ったんです。それで、皆を呼んで、饅頭をふるまって。そのとき、饅頭の中身が減っていないことに、減っていなかったんです。私、私は愚かにも、愚かにも、バカらしいです。饅頭をたくさんひとに勧められると思ったんです。皆も不思議で美味しい、魔法の饅頭だって、だから……。(涙をこらえている) █████博士: はい、存じ上げています。ゆっくりどうぞ。 ██氏: また、別の友達にふるまった後、夜ごはんを食べようと思ったんです。その日は大好きな焼肉の日でした。焼肉なのに、お腹がいっぱいで全く食べられなかった。夫も子供もです。ずっと、お腹一杯なんです。それで、来る日も来る日も、お腹いっぱいで、お腹いっぱいで、全くご飯も、水すらも、食べられませんでした。それで、ある日、うちの子が倒れたんです。ああ、かわいそうな██!すぐに病院に連れて行きました。そして、検査を受けたら、栄養失調でした。栄養失調ですよ?そんなの、日本であり得るわけがありません。なのに、なのに!そして、夫も病院で倒れました。夫も、夫もでした。私は急にくらくらして、くらくらして……。 █████博士: 大変でしたね。とても、とても。しかし、なぜあなたは自殺を? ██氏: 違います。あれは自殺じゃない。自殺なんかじゃない。お腹をすかせるために必要だったんです。お腹をすかせるんです。胃薬もだめ、下剤もだめ。お腹がいっぱいで、夜、眠れなくなって、睡眠薬を飲んだ、飲んだのに、ずっと、元気。それで、かきだそうって。たくさん出てきました。いくらだしてもなくならない。なくならない。おなかがいっぱい。もっと、たくさんださなきゃ。掃除機でも、足りない、から、直接、出さなきゃ。とっても、たくさん。美味しそう。 █████博士: インタビューを終了します。██氏に即時、鎮静剤の投与を。 インタビューの結果、SCP-453-JPは満腹感の副産物として摂食者に精神の錯乱を起こすことが予測されます。認識汚染のような異常性は見られませんが、摂食者には定期的にカウンセリングを行うほうがいいようです。█████博士 インタビューログ2 聴取者: █████博士 対象: ███氏(夜店の店主) █████博士: あなたはどのようにしてSCP-453-JPを手に入れたのですか?おっと、SCP-453-JPとは、あなたの作成した饅頭のことです。 ███氏: ああ、あれですかい、「満足!満腹!饅頭!」のことですかい? █████博士: その認識で正しいです。質問に答えてください。 ███氏: おっと、こいつは失礼。あれは試行錯誤の結果生まれた究極の饅頭なんでさ!あっしの最高傑作!食べれば体は元気になって空腹も吹き飛ぶ!おまけにとびっきりうまい!これを究極の饅頭と言わずしてなんと呼びやしょうか!ええ! █████博士: 落ち着いてください。SCP-453-JPはあなたが作り出したもの、ということでよろしいでしょうか? ███氏: おうよ!重たい腹抱えて研究した甲斐があったってもんだ! █████博士: あなたはSCP-453-JPを摂食したものが栄養失調に陥っていることを知っていますか? ███氏: ……なんですって。そいつは、ああ、そんなことが……。いや……、ああ、そういうことか……。 █████博士: あなたはどのようにしてSCP-453-JPを作成しましたか? ███氏: 満足満腹饅頭は、丹精込めて、ええ、魂込めて作り上げて、ただ、特別な製法とか、材料使ったわけじゃなくて……。なんで、できたんだろうなあ……。 █████博士: 作成時に何か異常はありませんでしたか? ███氏: 異常なんて、ああ、もしかして、世界中の人間がみんな[削除済み]食えるようになりますようにって、祈りながら作ったから……。そんなわけあるはずが……。そんな馬鹿げたこと、ありえちゃいかんだろ……。 █████博士: なぜ、あなたはそのような念を込めて饅頭を作ったのですか? ███氏: それは……、ああ、そうだ、突然、頭の中に「お前は饅頭を選んだ。選んだからには、義務を果たさなければならない」って、浮かび上がってきたような……。それで、考えたんだ、俺が果たせる義務ってやつを。そうして……、あれが、できたんだ……。 █████博士: ありがとうございました。これでインタビューを終了します。
scp-454-jp
評価: +221+–x アイテム番号: SCP-454-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-454-JPは、サイト-8181の低危険物収容ロッカーに収容します。実験を希望する職員は、2週間前までに詳細を添付した上で担当職員にメールで連絡を取ってください。実験によって生成された食品は全て一度検査に回し、内容物に異常な点が存在しないか確かめてください。 説明: SCP-454-JPは、表面に「[削除済]村名産 あの日のぬか漬け」と印字された半径18cm、高さ46.3cmの木製の桶です。内部には一般的なものと同様の糠が入っており、その成分は異常性を示しません。底面には「如来観光 加工食品流通課」の焼印が押されています。こちらの企業については現在詳細を調査中です。 人間がSCP-454-JPに手を入れると、その内部にその人物がかつて食べ、“最も美味しかった”という印象を持っている食品が発生します。生成される食品は長期間糠につけられた状態で取り出されており、腐敗こそしていないものの大抵の場合食用には適しません。生成物は一様にその大きさは直径が20cmを超えないように縮小されています。 SCP-454-JPは、[削除済]村に存在する民家の地下から厳重に封印を施された状態で発見されました。[削除済]村では、現在このような食品は生産されていませんが、調査によって民家から以下の文書が発見されました。民家の家主はこのような文書に心当たりがなく、またSCP-454-JPについても関与を否定しています。村の他の民家からはこのような文書は発見されませんでした。財団による記憶調査を用いても当該の人物から有用な情報は得られませんでした。 ご存知のことと思われますが、先日の弊社と[削除済]村との会合により、61対4にて貴村への如来観光 観光事業部の参与が可決されました。 つきましては、契約に基づき貴村の“[判読不能。現在日本に存在しない漢字が使用されている]漬け”の概念を対価としてお支払い頂くこととなりました。近日中に弊社の社員が各家庭に赴き、現物を回収させていただきますので、ご用意のほどよろしくお願いいたします。 201█/██/██如来観光 巾崎 補遺-ア: SCP-454-JP実験記録 実験記録001 - 日付201█/██/██ 対象: D-454-JP-01 実施方法: Dクラス職員にSCP-454-JPから食品を取り出させる。 結果: 変色した塊が取り出される。成分を分析したところ、10ヶ月ほど付け込まれたライスコロッケであると判明。Dクラス職員は子供の頃に父親に連れて行ってもらった愛知県のイタリア料理店で提供されたものであると供述。 分析: 生成物は調査ののち廃棄。__伊藤研究員 実験記録003 - 日付201█/██/██ 対象: 伊藤研究員 実施方法: 実験001と同様。 結果: 茶色く変色したチーズケーキ1ホール。研究員は兄が度々調理してくれるものであると供述。 実験記録008 - 日付201█/██/██ 対象: 生後3ヶ月の乳児。出産されてから母乳以外を口にしていないことを確認済み。 実施方法: 001と同様。 結果: 17対の足を持つ未知の節足動物が取り出された。生成物は取り出された時点で生存しており、赤子の腕を這って逃走。14時間後にサイト内にて捉えられた。 分析: 意味不明。食べたの?__伊藤研究員 追加実験-対象: D-454-JP-01 追加実験-実施方法: 先の実験の生成物をDクラス職員に食べさせる。生成物をすり潰し提供される食事に混ぜる。 追加実験-結果: インタビュー記録を参照 対象: D-454-JP-01 インタビュアー: 伊藤研究員 <録音開始> 伊藤研究員: …では只今より貴方への聞き取り調査を開始します。今回話してもらうのは、今朝の食事についてです。味、感想、そして…… Dクラス職員: やっぱりテメェら何かしてたんだな!何だったんだあれは!! 伊藤研究員: 落ち着いて。毒になるものは入れていないはずだから。どんな味だった? Dクラス職員: ふざけんな!あんなもん食べさせやがって!何の薬だ!またぞろ筋弛緩薬か何かか!? 伊藤研究員: 筋弛緩薬?何か変な気分になったの? Dクラス職員: 当たり前ェだ!朝メシ食べてから、全身に力が入らなくってしゃぁねぇ!医師を呼ぼうとしたらここまで連れて来られたんだ!俺を一体… 伊藤研究員: [手で遮る]力が入らなくなったのね。後ほど適切な処置を行います。…味は? Dクラス職員: 味ィ?…美味かったけどよ…何か…こう… 伊藤研究員: 何か?美味しかった? Dクラス職員: 別にそこまで美味かったわけではないけどよ…なんか…変な気分だ。力が入らねぇ、あと…こう…甘かった。メシが…いつもより…味噌汁も…全部甘ったるくて…なんか……昔を思い出すような… 伊藤研究員: 随分素直に話すようになったのね。 Dクラス職員: なんか…変な気分なんだ…あんたに逆らっちゃいけねぇような… 伊藤研究員: … Dクラス職員: とにかく、全部甘かった。でも別に嫌な気分じゃなくて…全部食べなきゃいけねぇ、そう思ったんだ。 伊藤研究員: …了解しました。医師を呼びます。また質問させてもらうかもしれないわ。 Dクラス職員: おい!おかあさん!まだ俺は… 伊藤研究員: その間違いは恥ずかしいわね。 Dクラス職員: おかあさん… 伊藤研究員: ?……D-454-JP-01? Dクラス職員: あ、あ、あーー[床に倒れる。手足を丸め反応はない]、ま、ま、まま…練習します。ままー、おかあさーん、おふくろー、復唱。ままー、おかあさーん、おふくろー、復唱。ままー、おかあさーん、おふくろー。続いて2番。ぶーぶー、ぽっぽー。かわいくなります、かわいくなります。もう一度1番から復唱します。ままー、おかあさーん… 伊藤研究員: 医療班!早く来て!Dクラス職員が倒れました! [30分後、Dクラス職員は問題なく復帰した。検査の結果特に身体的に異常は見受けられず。] <録音終了> 終了報告書: Dクラス職員の最後の発言が気になります。あれは明らかに幼児語を練習していました。何がきっかけとなったかは分かりませんが、一応454-JPの使用はより慎重に行うべきでしょう。__伊藤研究員 補遺-イ: 追加実験報告 以後、乳児に対して同様の実験を複数回行う。16回の実験のうち14件で実験-008と同様の節足動物が取り出され、Dクラス職員に食べさせた際も「お母さん」「ママ」という単語に対して短時間ながら極端な幼児退行、及び筋肉の不活性化が見られた。そのうちインタビュー記録の発言と同様に幼児語を練習しているかのような言葉を口走ったDクラス職員は10件に上った。 分析: Dクラスへのインタビューによれば、乳児がこの中から取り出す節足動物は、極めて「なつかしい味がする」ということだ。10人のDクラス職員は一様にあれを食べさせられた経験があるのだろうか。 母乳よりも美味しいあれを。 _東郷博士
scp-455-jp
評価: +44+–x SCP-455-JP アイテム番号: SCP-455-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-455-JPはサイト-81██の低脅威物品収容ロッカー内に、厳重な固定を行い3層の衝撃吸収材で梱包した状態で収容して下さい。 説明: SCP-455-JPは高さ4.5cm重量70gの一般的な鶏卵に酷似した物体です。後述する特異性の為に十分な検査が行えず、SCP-455-JPを構成している物質・成分は不明ですがX線等を用いた内部の調査の結果、通常の鶏卵と同様の特徴を示しました。 SCP-455-JPの特異性は衝突や加圧等の破壊行為を含む、あらゆるSCP-455-JPが破壊される筈の結果に対して行った対象のみの不可解な破壊という形で現れます。この破壊は、損壊を加えた対象の表面0.5mmを残した内部の消失と表面の粉砕といった形で行われ、表面は粉砕した瞬間のみ卵の殻のような特徴を見せますが即座に対象を構成している物質の細かな断片へと変化します。この効果は板状の物体や後述する出現物よりも小さな物体にも現れますが、この矛盾した結果に対する説明が可能な原理は未だ解明されていません。 破壊後の対象からは通常のものと同質量である単体の卵黄と卵白とカラザが出現します。この出現物は検査の結果からいずれも鶏( Gallus gallus domesticus )に近い遺伝子配列を示していますが、現在知られている種類の中で該当する種類は確認されておらず成分調査やDクラス職員に摂食させた結果から無害かつ美味である事が判明しています。 以下はSCP-455-JPを用いた実験記録です。 +SCP-455-JP実験記録 - ファイルを閉じる 実験記録455-1 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-455-JP 実施方法: Dクラス職員に手のみを用いてSCP-455-JPを割るように指示を行う。落下による床の破壊が予想された為、今実験を含む以降の実験は全て衝撃緩衝材を床に敷き詰めた状態で行われている。 結果: Dクラス職員の両腕が肩の付け根から5cmを残して破壊された。 分析: 予想通りの結果。 実験記録455-2 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-455-JP 実施方法: 手袋を着用したDクラス職員に手を用いてSCP-455-JPを割るように指示を行う 結果: 実験記録455-1と同様の結果。 分析: 損壊を加えた瞬間に即座に手袋が破壊された為、結果的には初回の実験と同じ状況になったものと思われる。 実験記録455-4 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-455-JP 実施方法: Dクラス職員を使用して、金属バットでのSCP-455-JPの殴打 結果: 金属バットのみが破壊された。 分析: 予想通りの結果。Dクラス職員の腕が破壊されなかった原因は直接の衝撃を与えた物体が金属バットであった事だと考えられる。 実験記録455-5 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-455-JP 実施方法: Dクラス職員に指示を出してSCP-455-JPに軽度の腐食性を持つ薬品を塗布させる。 結果: SCP-455-JPに影響は現れなかった。 分析: 瞬間的なSCP-455-JPの破壊につながらない対象に関しては効果が現れない事が判明した。SCP-455-JPに腐食の兆候が見られなかった事から、SCP-455-JPには傷を負わない何らかの性質が働いているものと考えられる。 実験記録455-6 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-455-JP 実施方法: SCP-455-JPに直接バーナーを使用して熱を加える 結果: SCP-455-JPとバーナー自体には影響は現れなかったが、噴射された炎の消失が確認された。 分析: 炎が“割れた”事に対しての学術的な見解は特に無し。恐らくはSCP-455-JPが損壊する温度に達した瞬間に効果が現れた物だと考えられる。炎の破片は即座に消失した為、出現物以外の痕跡は残されていなかった。 実験記録455-7 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-455-JP 実施方法: 1mのコンクリートの立方体の前に立たせたDクラス職員にSCP-455-JPの投擲を行うように指示する。 結果: 立方体のSCP-455-JPと接触した部分に幅・深さ共に50cmの穴が発生した。 分析: SCP-455-JPの効果範囲が判明した。 実験記録455-3収容違反記録455-1 - 日付20██/██/██ 対象: SCP-455-JP 実施方法: Dクラス職員にSCP-455-JPを徐々に力をこめて握り締めていくように指示した。 結果: SCP-455-JPの地下██mまでの貫通 分析: 腕を失ったDクラス職員がSCP-455-JPを踏んだ事により緩衝材と足が破壊され、その後SCP-455-JPに倒れこみ床の破壊と落下のサイクルに繋がった事が原因だと考えられる。SCP-455-JPは破壊された床材からの出現物が衝撃を緩衝する量まで生成された為、結果的に貫通のサイクルを止めた事によって再収容に成功した。 発見経緯: SCP-455-JPは20██年█月█日に██県██町で催された「たまご投げ祭」の際に発生した事故の調査中に発見されました。この「たまご投げ祭」は「皆が普段食べている卵に感謝する」といった名目で開催されたものであり、投げ合う卵を確保する為に日本全国から鶏卵を集めていた事からSCP-455-JPが持ち込まれた経路を特定する事は困難です。 「たまご投げ祭」の事故による死傷者数は調査を行っていた調査官を含めて████名に及んでおり、「老朽化した水道管の破裂」「車両の過剰積載」「屋台のコンロからの引火」「集団ヒステリー」等の複数のカバーストーリーを適用して事態の収束を図っています。ここまで被害が膨らんだ原因は「たまご投げ祭」の参加者が一般の参加者や開催に反対していた団体1等極めて膨大な人数であった為に効果を受けた対象が気付かれにくかった事にあると考えられており、実験記録で確認された結果に見られる性質が複数回偶発的に連鎖して発生した事が原因であると思われます。 Footnotes 1. 自然由来の食物を粗末にする事に反対していた団体である事が分かっていますがこの事故によって構成員全員の死亡が確認された為、詳細は不明です
scp-456-jp
評価: +169+–x SCP-456-JP アイテム番号: SCP-456-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-456-JPはサイト-81██の虹彩認証式電子錠ロッカー内に保管されています。適切なセキュリティクリアランスを持つ職員以外によりロッカーの開放がなされた場合、収容違反が発生したとみなされます。その場合は財団標準自立駆動ドローンを使用して収容を再確立してください。 現在は、クリアランスレベル3/456-JPを持つ職員のみがロッカーの開閉を許可されています。 説明: SCP-456-JPは、一般に「テディベア」と呼ばれる種類のぬいぐるみです。検査により、材質は一般的なアクリルとポリエステルからなっていることがわかっています。 SCP-456-JPは認識災害的殺害作用を持っており、直接視認した人間は即座に心臓発作を起こして死亡します。一部の人間のみがSCP-456-JPの作用に耐性を持っています(以下SCP-456-JP-1とする)。SCP-456-JPに曝露しなければ確認できないため、新たなSCP-456-JP-1を探すことは推奨されませんが、SCP-456-JP-1だと判明した職員にはクリアランスレベル3/456-JPを与えられます。現在財団の収容下にあるSCP-456-JP-1は█体であり、全員がSCP-456-JP研究室に所属しています。 SCP-456-JPは、20██/12/23に██県██市にある要注意団体「█████」の倉庫の立ち入り捜査の際に発見されました。起源は不明ですが、「ザ・ファクトリー」を始めとした複数の要注意団体の関与が強く疑われています。SCP-456-JPの収容作業中、D-████の手違いにより仮収容コンテナが開放されました(事案456-JP-A2)。初期収容チームのうち、現在の主任研究員である█████以外の全員が死亡しました。 SCiPNET: サイト-81██/SCP-456-JP研究室 レベル3/456-JPクリアランスが必要です。認証に失敗した場合、保安用情報災害による意識シャットダウン処理がなされるでしょう。 SCP-456-JPの情報を必要とする職員は岡村研究助手にお問い合わせください。 [アクセス] [SCiPNET 認証エージェント起動] — SCiPNET authentication agent J-2 — * Fetching SCP-456-JP security information …… [OK] * Checking level 3/456 security clearance…… [OK] * Automatic authentication…… [Fail] [auth-agent] Please enter the passphrase. █████████████ * Deactivating conscious-shutdown infohazard…… [OK] Access granted. Redirecting to SCP-456-JP research lab page… …… [SCP-456-JP研究室] おかえりなさい、岡村主任研究員。 SCP-456-JP研究室のページです。 覚え書き 文書SCP-456-JP-Aを毎日読むこと。絶対守らないとだめ。 サイト-81██事務局からのおしらせ (未読1) 20██/08/02にSCP-456-JP研究室の設備点検が予定されています。ご迷惑をおかけします。 20██/02/03にSCP-456-JP研究室の設備点検が予定されています。ご迷惑をおかけします。 文書SCP-456-JP-A アイテム番号: SCP-456-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-456-JPは性質上公には収容できません。SCP-456-JPは通常の財団職員として勤務してください。決して異常性質を悟られてはいけません。SCP-456-JPに関するすべての情報は財団標準人工知能タイプJ-2の管理下に置かれ、レベル3/456-JP職員以外のアクセスは自動的にブロックされます。 SCP-456-JPが本人の意思で異常性質を利用した場合、体内の小型爆弾が起動されます。偶然の事故など、それ以外の原因による場合は適宜カバーストーリーを適用してください。 一般職員向けのSCP-456-JP文書はカバーストーリーです。SCP-456-JPを収容しているとされている電子錠ロッカー内には、非異常性のテディベアのぬいぐるみ一個とミーム殺害エージェントを配置します。 説明: SCP-456-JPは、サイト-81██に勤務する財団研究員の岡村███です。 SCP-456-JPは情報災害的殺害作用を持っており、「岡村███は財団に収容されなければならない」もしくは「岡村███は財団に収容されている」という意味のことを知った、もしくは考えついたSCP-456-JP以外の人間は即座に心臓発作を起こして死亡します。この作用は全置換型の人工心臓を移植された人間には効果を発揮しません。本人の意思によりこの異常性質を制御することはできません。 SCP-456-JPは20██/11/15に行われた要注意団体「█████」の施設への立ち入り調査の際、[削除済]により異常性質を獲得しました。同行していた機動部隊も-█による岡村研究員を終了する試みは上記の性質により失敗に終わりましたが、岡村研究員本人が事故の隠蔽処理を行い、自身をSCP-456-JPに指定し、現在の収容方法を確立しました。[削除済]の原因とみられる装置はこの過程で破壊されたため、オブジェクト分類は見送られました。 施設からは「█████」の構成員数名の遺体が発見されました。彼らのうちのいずれかが以前SCP-456-JPとなったが、自身の異常性質により死亡したと考えられています。岡村研究員自身が人工心臓患者であることより、人工心臓患者には殺害作用が発揮されないことが即座に判明しました。また、財団ではない組織の構成員でも、財団についての知識があれば効果が発揮されることが示唆されています。 事案456-JP-A2を含む偽の収容作業はカバーストーリー作成のために、故O5-█(彼は疾患により、心臓を人工のものに置換していました)の許可と援助の元、岡村研究員により計画・実行されたものです。その目的は、他の職員に不審に思われることなしに自由なSCP-456-JPの研究を可能にすることにあります。 岡村研究員は現在クリアランスレベル3/456-JPを持つ唯一の職員です。人工心臓患者の職員を新たに雇用する計画があります。 実験記録456-JP - 20██/02/05実施 実験に使用するDクラス職員は、財団やSCPに関する基本的な概念の説明(以下、財団によるレクリエーション)を受けています。 対象: Dクラス職員1名(D-10231)。財団によるレクリエーションを受けています。 実施方法: 岡村研究員がD-10231に「実はSCP-456-JPは私だ」と発言した。 結果: D-10231は心臓発作を起こし、正常に死亡した。 分析: N/A 対象: Dクラス職員1名(D-10232)。SCP-███の影響で精神に異常をきたしています。 実施方法: 岡村研究員がD-10232に「実はSCP-456-JPは私だ」と発言した。 結果: 何も起こらず。 分析: 内容を正しく理解することが必要なようです。 対象: Dクラス職員1名(D-10233)。財団によるレクリエーションを受けていますが、人工心臓患者です。 実施方法: 岡村研究員がD-10233に「実はSCP-456-JPは私だ」と発言した。 結果: 何も起こらず。 分析: 人工心臓患者に効果がないこと自体は以前から知られていますが、公式な記録のため実験を行いました。 対象: Dクラス職員1名(D-10234)。財団によるレクリエーションを受けていますが、母語は英語です。 実施方法: 岡村研究員がD-10234に "In fact, SCP-456-JP is me." と発言した。 結果: D-10234は心臓発作を起こし、正常に死亡した。 分析: 言語は問わないようです。 対象: Dクラス職員1名(D-10235)。財団によるレクリエーションを受けています。 実施方法: 岡村研究員がD-10235に「実は私は触らずに人を殺せるんだ」と発言した。 結果: 何も起こらず。 分析: 私が財団の収容対象である、という視点を持つことが必要なようです。 研究室内メッセージシステム 岡村主任研究員 (20██/11/16): 本日よりSCP-456-JPの収容を開始します。 岡村主任研究員 (20██/11/20): 研究室ページと言っても私しか使わないので日誌にしよう。 岡村主任研究員 (20██/12/07): O5-█の勧めで私のぬいぐるみ(まだ捨てられないの)をダミーオブジェクトにすることにした。 私はいつ終了されてもおかしくないけれど、あの子はNeutralizedオブジェクトとして残ってくれるでしょうね。 岡村主任研究員 (20██/12/30): ストレスで休暇を取り、██さんを誘ってサイトのバーで飲んだ。何も知らない彼女は私に暖かく接してくれる。 ああ、彼らに罪はなかったのに。 岡村主任研究員 (20██/02/05): 年が明けて気持ちも落ち着いてきたので実験を実施した。結果は実験記録456を参照。 私はもはや人間ではないと実感させられる。もうやりたくない。 岡村主任研究員 (20██/03/21): SCP-███に対する態度が原因で、██さんが研究任務を解雇された。おそらく別のサイトに異動となるだろう。 私も本来ならSCP-███のように本当の名前の代わりにアイテム番号で呼ばれ、友人は看守になり、やさしい目で見られることは永遠に無いはずなのだ。 "人型SCPオブジェクト"は"人"ではない。 岡村主任研究員 (20██/06/29): O5-█は亡くなられた。今や私は、すべての人に嘘をついて生きている。 誰か助けて。私を許して。しかしSCP-456-JPは確保・収容・保護されなければならない。
scp-457-jp
評価: +127+–x 記録・情報保安管理局より通達 この文書は発見・分類に先立って既に無力化していた異常存在について記述しています。この記録はRAISA-3010 ("無力化済み異常存在の文書アーカイブ")に基づき、歴史的および科学的な参照のために維持されています。 アイテム番号: SCP-457-JP オブジェクトクラス: Neutralized 特別収容プロトコル: SCP-457-JPは回収後まもなく無力化したため、収容プロトコルは実装されませんでした。回収された残骸は直近のサイト-███で保管されています。演算機器から回収されたデータとSCP-457-JP-11発言の音声記録は、一部の機密データを除き、財団イントラネット上で閲覧可能です。機密データの開示にはレベル4セキュリティクリアランスが必須です。 PoI-3997(“C.Y.”)に関する調査は現在も進行中です。 説明: SCP-457-JPはアメリカ合衆国デラウェア州███████の自動車工場跡地において、201█/08/31の工場閉鎖以降の不明な日時から20██/04/20に発見されるまで、最低でも█年間は稼働していたと考えられる異常な人工知能群です。回収以前の対象は、以下の要素で構成されていました。 45人分の人間の脳髄。各々が第16代アメリカ大統領エイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln, 1809-1865)を模した胸像の頭部に収められ、周囲にはクラスD霊体で構成されたエクトプラズム溶液が満たされていました。このうち24個の脳は201█-20██年にかけて世界各国で失踪が報告された人物1とDNAが一致しています。 各胸像に接続された電子演算機器。大元となっているのはマイクロソフト社の██████デスクトップPCですが、頭脳間の通信をWi-Fi及び有線で可能とする構成パーツ他、現在に至るまで意図不明の抜本的改造が数多く施されていました(詳細は文書457-JP-Aを参照)。判明している一部の技術はGoI-███ (“プロメテウス研究所”)に所属歴のある技術者の関与を強く示唆するものです。 上記の人工知能をまとめるマザーブレインの役割を果たしていたと思われる、外見的にはヨーロッパ系人種の男性ヒト型実体。発見された際、対象は鋳鉄製の椅子に両手足を拘束された状態で既に死亡しており、腐敗が進行していました。現場検証と死後解剖は、死亡当時の対象の頭部に複数の電極が挿入されており、死因が激しい放電を伴う原因不明の頭部爆砕であったことを示しています。DNA検査で身元は特定されませんでした。 SCP-457-JP-11 演算機器はヒト型実体の死亡に伴う放電現象と電流サージによって外装・内部データ共に大幅に破損していましたが、回収された数少ないデータは全てリンカーン大統領の生涯に関する様々な伝記や歴史的資料2でした。現在、SCP-457-JPの目的は、これらのデータに基づいて複数の相違点を有する“リンカーン”人格を吹き込まれた頭脳同士を対話させ、各頭脳の合意に基づく要素をヒト型実体に反映することで、生前同様の、或いは“最適化”された人造人間としてのエイブラハム・リンカーンを作成することであったと想定されています。 回収記録: SCP-457-JPは20██/04/20、廃工場から腐臭がするという通報を受けた地元警察の捜査で発見され、当初は無線を傍受した連邦捜査局・異常事件課に回収されました。UIU回収班の到着時に機能性を保っていた人工頭脳は僅かに3機でした。いずれも至近距離の無線通信に割り込む形で機械音声による譫言を呟くものの、UIUエージェントの尋問には反応を示しませんでした。 UIUはSCP-457-JPと共に、アフリカ系アメリカ人男性1名の死体を発見しています。この男性は明らかにSCP-457-JPの放電を至近距離で受けたことによって死亡しており、後の調査で████████の街に住むM███・レブロン(30)と特定されました。死体の右手指には強引にこじ開けられたことによる骨折があり、少なくとも1名の人物がSCP-457-JPの自壊後に現場から何かを持ち去ったことを示しています。 SCP-457-JP-113は、UIUから財団へのオブジェクト委譲が行われる前に比較的一貫性のある発言をした唯一の頭脳です。一連の発言は接続されていた演算機器内の回収データ4からは大きく乖離した内容であり、回収から約5時間後にUIUのセーフハウス内で記録されました。 <00:00> [当時、SCP-457-JP-11はリンカーンの第二次大統領就任演説を暗唱していた。] <00:03> …そして鞭によって流されし血のひと雫までもが [音飛びによる約7秒間の繰り返し] …言わねばなりますまい、“神の審判は悉く真実であり [激しい空電が走り、音声が一時的に途絶] <00:18> [ホワイトノイズ] …か。 <00:21> 彼の撃鉄の墜ちたる音は君の耳にも届いたのか。 (Did the sound of His hammer falling reach your ears?) <00:25> 斯くも[不明瞭]にして無常な未完の世界において、只一つ信仰のみが抱くに値すると誰もが説く。だが今や主の銃口はおろか立ち上る硝煙さえも見えず、着弾の[不明瞭]、余りにも遠い。 <00:37> 聖エイブラハムの開頭において示されし予言は真に絶望と言うに[不明瞭]ものであった。この宇宙はいずれ軌道を完遂すること叶わず混沌の内に呑まれ、[不明瞭]後には絶えざる蛆が湧く。心優しい君がそれを直視できなかったことを私は理解できていると思う。 <01:00> [編集済] <02:50> [一つの単語が徐々に間隔を狭めながら繰り返されるが、激しい空電のため全体的に不明瞭。恐らくは“Wicked(邪悪)”または“Witch(魔女)”と推定される]   <03:08> CY、そこに居るか、聞こえるか。例え君が受け入れまいと何度でも告げよう。偉大なる創造に再発射(Reshoot)は許されない。万物を放たれた[不明瞭]なる懐中銃、創世の弾丸、宿命の標的、そして使徒ウィルクス。[不明瞭]。どれ一つとして最早戻りはせず、全ては必然だった。奇蹟の残滓ごときで穴埋めが利くと本気で君が信じているのならば、それは大いなる運命に対する冒瀆だ。 <03:35> [解散したカナダのインディーズバンド“Red Bis”の楽曲、“Z.O.C.”の3倍速再生と後に特定された音楽が流れ始める。以降、演奏は音飛びと巻き戻りを繰り返しつつ、05:16まで継続した]   <03:59> 御許を離れて加速するこの猥雑な鉛の世界を、主は救済してはくださらない。分かり切った事だ。 <04:15> だがそれでも、我々は一抹の幸福を[不明瞭]んでしまった。何時しか我々の信仰は標的を同じくしない数多の弾道へと分かたれたが、今もなお[不明瞭]の核は一つである。ならば、真実の火種を途絶えさせてはならない。   <04:40> ガンスミスよ、街へ行け。戦地へ行け。銃火と共に歌うため、世界の果てまでも駆けていけ。君には足があり、手があり、銃がある。例えどれほどの失望の錆に覆われていようとも、君の銃声は過ぎし日の暗闇を裂き、新たなる門徒の身の内に硝煙を掻き立てるだろう。   <05:09> 撃つのだ、[不明瞭]。   <05:12> 人民のために(For the people)。    <05:16> [激しいホワイトノイズと共に演奏が途切れ、次いで音声送出が完全に停止する] 全てのSCP-457-JP頭脳は、財団-UIU間の受け渡しから2時間以内に機能を停止し、Neutralizedへと分類されました。廃工場とレブロン氏の旧家の監視は、翌年の06/01に何ら成果を得ること無く打ち切られました。 補遺: 20██/05/01、ユタ州██████で04/19に拳銃自殺した実業家のH████・ウィンチェル氏(48)に多額の使途不明金があった件に関する調査で、SCP-457-JPとの関連性が疑われる一枚の葉書が回収されました。消印は、デラウェア州ドーバーで20██/04/15に投函されたことを示しています。原文の筆跡は激しく震えており、涙滴と思しき滲み5によって部分的に不明瞭でした。 + 文書を見る - アクセス承認 Abraham Lincoln sat on the wall (エイブラハム・リンカーンは塀の上) Abraham Lincoln had the Great Fall (エイブラハム・リンカーンは地に墜ちた) All the Smiths' Guns and all the Pastors' Bullets (銃工牧師の聖銃と魔弾を 一つ残らず集めても) Can never put the First Target Lincoln together again (もう二度と元には戻らない 原初なる標的リンカーン) ― C.Y. 葉書の裏面に描かれていた図像。 SCP-457-JP-11の発言と文書の性質を鑑み、SCP-457-JPはGoI-██に指定されるカルト教団、“懐中銃教会”の一宗派によって作成されたと結論付けられました。ウィンチェル氏の全ての使途不明金は、表向きは自身が会長を務めるクレー射撃愛好会“星撃ちの集い”("The Star-Shooters Collective")に関連するものとして扱われていましたが、当団体には活動歴が殆ど無かったことが判明しており、実際には懐中銃教会への財政援助に用いられたと考えられます。SSCはウィンチェル氏の死後に自然解散しましたが、既知の全メンバーは軽度懸念指定の監視下にあります。 現在まで財団が回収した懐中銃教会の聖典(とされている文書類)は、既知の全ての宗派が1865/04/14に起こったリンカーン大統領暗殺事件を宇宙創世に相当する事象として捉えていることを示しています。SCP-457-JPは人工的に再現したリンカーンを再び射殺することによって世界の再創造を試みるための物だったというのが、現在の研究チームの作業理論です。想定される準備期間の長さやレブロン氏の死体から持ち去られた不明なオブジェクトの存在も踏まえると、この“儀式”が全く成功の根拠がないものであったとは考え難く、懐中銃教会が現在も何らかの現実歪曲事象を引き起こす異常物品を複数所持している可能性が懸念されています。 手紙の差出人である“C.Y.”は要注意人物#3997に指定されました。追跡調査は20██年現在まで実を結んでいません。 脚注 1. アメリカ6名、イギリス2名、イタリア2名、ウガンダ1名、エジプト1名、オーストラリア3名、韓国2名、ドイツ2名、フィンランド1名、フランス1名、モーリタニア1名、モンゴル2名。このうち、エジプトのアフメド・██████氏は知人宅の留守番電話に謝罪メッセージを残し、自由意志で失踪したことを仄めかしています。 2. 事実と異なる描写が加えられた子供向け漫画、現代において正確とは見做されていない資料、著者の公平性に疑いがある偏った記述、荒唐無稽な内容の娯楽小説や映画などを含みます。 3. 胸像の台座に刻印されていたローマ数字に基づくナンバリングです。 4. 公的に記録されたリンカーンの発言の他は、2010年に出版された“ヴァンパイアハンター・リンカーン”を中心とする娯楽小説でした。 5. これが差出人のものか、ウィンチェル氏のものかは不明確です。
scp-458-jp
評価: +45+–x SCP-458-JP実験記録より。 アイテム番号: SCP-458-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-458-JPはサイト-81██の低危険度物品収容倉庫に収容されます。実験の際には担当レベル2職員の許可を得てください。人間による実験の場合は、記憶処理を施したことがないDクラス職員のみを対象とします。事件458-JP以降、人間による実験は許可されていません。 説明: SCP-458-JPは幅18cm(展開時33.5cm)、高さ20cmの三面鏡です。錆びた鉄製の飾りフレームで縁どられており、材質の分析においては一般的な商品との差違は見られませんでした。 削れていて不鮮明ですが、背面の装飾に「memento mei」という文字が刻まれています。 SCP-458-JPの特異性は、三面に展開し、すべての面に同一の生物(以下、実験対象)を映した際に発揮されます。最初は通常の鏡像が映りますが、次第に像がぼやけはじめ、十数秒後に現在の実験対象とは違う像に変形します。この像は実験対象の過去の姿だと推定されています。どの時点の過去が映るかは実験ごとに異なっており、鏡の角度や距離、照度、設置方法、実験対象における重要度など様々な検証がなされましたが、その法則は明らかになっていません。さらに、実験対象が個認識できる範囲以前の姿が映る事例も見受けられました。詳しくは実験記録を参照してください。 鏡像は他者にも認識でき、画像・映像記録に残すことも可能です。 実験対象は過去の鏡像を視認した際、「おもいだして」という囁き声が耳元で聞こえたと証言しています。また、その声は自分のものとそっくりであったとも言います。 そして、鏡像の場面をはっきりと思い出し、以後決して忘れることはありません。この想起現象に記憶処理は効かず、既に施されている記憶処理も無効化します。 想起現象による精神汚染はないと考えられていますが、繰り返し思い出すことにより実験対象の精神には一定の影響が及ぼされることになります。また、周辺の記憶も誘発的に思い出すケースが多く見られました。 出自不明のSCPに対してSCP-458-JPを用いる実験計画がありましたが、映した過去の年月を特定できないことなどから有効性に疑問があり、許可は下りていません。 + 実験記録 - 実験記録を閉じる 実験記録458-01 : 20██/██/██ 対象: ハムスター 1匹 実施方法: SCP-458-JPを机上に設置、90度に展開し、鏡面(正面部)から10cmの位置に対象を空のケースに入れて置く 結果: 同じハムスターの姿だが、ひまわりの種を頬張っている 備考: この時以来、ひまわりの種をしつこく探し回るようになってガサガサうるさいです - ██研究助手 実験記録458-04 : 20██/██/██ 対象: ハムスター 1匹 実施方法: SCP-458-JPを机上に設置、60度に展開し、鏡面から5cmの位置に麻酔をかけた対象を置く 結果: トガリネズミに似た別のネズミの姿 備考: トリナクソドンかな? どうやらこの個体の過去に限らないようだ。遺伝子レベルなのかも - █博士 実験記録458-08 : 20██/██/██ 対象: D-458-01 実施方法: SCP-458-JPを天井から吊るし、120度に展開、鏡面から30cmの位置に立たせる 結果: 10歳前後の少年、D-458-01と容姿の共通点が見られる 補遺: D-458-01は涙ぐみながら一家離散前の自分の姿だと証言 備考: この実験以来、彼の自暴自棄な態度は控えめになりました - ██研究助手 実験記録458-09 : 20██/██/██ 対象: D-458-02 実施方法: SCP-458-JPを机上に設置、145度に展開し、鏡面から15cmの位置に立たせる 結果: 血まみれのD-458-02の姿 補遺: D-458-02が錯乱したため拘束、先日のSCP-███-JP実験時の姿だと思われる 備考: D-458-02に再度記憶処理が施されましたが、効果はなく、終了させました - ██研究助手 実験記録458-10 : 20██/██/██ 対象: D-458-03 彼は200█年以前の記憶がないと主張しており、実験に非常に乗り気であった 実施方法: SCP-458-JPを机上に180度に展開して設置、上部から覗き込ませる 結果: 肺魚に似た魚の姿 補遺: D-458-03は窒息したように一時苦しんだが、心理的な影響と考えられる 備考: 「役立たずめ!」と叫んでいた。気持ちは分かる - █博士 実験記録458-13 : 20██/██/██ 対象: D-458-06 実施方法: SCP-458-JPを机上に設置、120度に展開し、鏡面から20cmの位置に立たせる 結果: 爬虫類を模した頭部の人間の姿 補遺: D-458-06は大学生の頃行ったハロウィンパーティの仮装だと証言 注意: 事件記録458-JPを参照 + 事件記録458-JP : 20██/██/██ - 事件記録を閉じる 事件記録458-JP : 20██/██/██ シャワー室使用中、D-458-06が失踪。 現場を調査したところ、換気ダクトからD-458-06の皮膚片が発見され、ここから脱出したものと思われる。ダクトの幅は一般的な成人が通れるようなものではなく、彼の体格では中での移動は不可能なはずだが、ダクト内にその姿は見つからなかった。 なお、皮膚片と共に鱗らしき残留物も回収されたが、種の同定には至っていない。 D-458-06は手配され、現在も捜索中である。 + 補遺: D-458-06へのインタビュー記録 : 20██/██/██ - インタビュー記録を閉じる 補遺: D-458-06へのインタビュー記録 : 20██/██/██ 対象: D-458-06 インタビュアー: ██研究助手 <録音開始> インタビュアー: お疲れ様でした。それではインタビューを始めます。 D-458-06: ……あ、ああ。分かった。 インタビュアー: まず鏡に映った姿はどんなものでしたか? D-458-06: あんたらにはあれ、見えないのか? インタビュアー: 確認のためです。貴方が見たものをお答えください。 D-458-06: ……あの……なんかこう……トカゲっていうかトカゲ人間? インタビュアー: その姿に見覚えはありますか? D-458-06: うん、いや……[10秒沈黙] インタビュアー: どうしました? 顔色が悪いようですが。 D-458-06: あ、ああ、そう、そうだ、思い出した。多分あの時だ、大学で、ほら、あるだろ、ハロウィン。あれでああいう仮装したな。そうだよ。 インタビュアー: かなりよくできたマスクですね。 D-458-06: 仲間に映研のやつがいてさ、パーティだから借りたんだよ。そうだったな。思い出した。 インタビュアー: 鏡を確認した時、声は聞こえましたか? D-458-06: 声? 「思い出して」ってやつか。聞こえたよ。……今も、聞こえる。 <録音終了>
scp-459-jp
評価: +44+–x アイテム番号: SCP-459-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-459-JPはサイト-8181低脅威度物品保管ロッカーに保管されています。全ての取り扱いは、精神鑑定の結果当オブジェクトを扱うに相応しいとされたDクラス職員に行わせてください。また、手袋や布越しに把持した場合や、足の指、肘などの手以外の部位で持ち上げた場合、体の上に意図せず乗せてしまう場合でも特異性は発揮されることに留意し、必ずピンセット等を用いて間接的に持ち上げさせて下さい。 説明: SCP-459-JPは一本のアイスキャンディー用の棒です。このオブジェクトは[データ編集済]社から発売されている商品「[データ編集済]」の中から発見されたもので、中国産のシラカンバの木から出来ており、長さ93mm:幅10mm:厚さ2mmです。この材質と大きさは普通同商品に使用されている規格品と同一のものですが、同商品ならば通常施される社名ロゴや当り外れくじの焼印がなく、代わりに不明な方法で、片面の端に乱れた字体で「はずれ」という言葉だけが焼印されています。同様の外観を持つものは現在まで如何なる場所からも見つかっていません。 SCP-459-JPの特異性は、これを保持した人間(以下、被験者)がその時所有しているもので最も「冷たい」ものを瞬時に消失させる、というものであると結論付けられています。消失の際のプロセスは未解明ですが、被験者が置いてあるオブジェクトを一度保持する(掴む/摘まむ/体の上に乗せる、といった動作を含む)度にそれをトリガーとして特異性が発動し、その瞬間に一つの効果対象が完全に消失してしまうものと考えられています。消失したのち対象がどこへ行くのかについては現在まで不明なままです。 消失現象は単に物理的に低温な物質の他、冷感が比喩として用いられている抽象概念もその「冷たさ」の評価対象となります。このことから、当オブジェクトには「冷たい」という評価に対して何らかの固有の判断基準があるようです。しかしそれがどのような判断基準であるのかについては、研究班の間でも諸説あり、未だ結論には至っていません。また、当オブジェクトが如何にして被験者の所有物の全てを把握するのかや、オブジェクトにとっての「所有」という概念の基準については現状有効な説がありません。 実験記録 459-JP-██ - 日付20██/08/██ 対象: D-76549 実施方法: 被験者に氷(水)を持たせた状態でSCP-459-JPを手に取らせる。 結果: オブジェクトを持ち上げると同時に氷が消失。 実験記録 459-JP-██ - 日付20██/08/██ 対象: D-76549 実施方法: 被験者に氷(水)と紙の箱に入ったドライアイスを持たせた状態でSCP-459-JPを手に取らせる。 結果: オブジェクトを持ち上げると同時に箱の中のドライアイスが消失。 実験記録 459-JP-8 - 日付20██/08/11 対象: D-35436 所有物と言えるものは無く、通常のDクラス職員用制服を着用している 実施方法: 被験者にテーブルに配置したSCP-459-JPを手に取らせる。 結果: 制服の右足ポケットの金属製ボタンが消失。オブジェクトから一度手を離させて再び手に取らせると、左足ポケットの同様のボタンが消失。 分析: ボタンは実験室の冷房で十分冷えていただろう。概ね仮説通りの結果である。但し厳密には支給制服はDクラスの所有物とは言い難いが。「所有」についての基準を量ることが出来るか要検討。 実験記録 459-JP-9 - 日付20██/08/11 対象: D-35436 (事後追記: 同被験者は比較的激昂しやすい性格であったことが判明しています。) 実施方法: 被験者に全裸の状態でSCP-459-JPを手に取らせる。 結果: D-35436はオブジェクトを持ち上げると同時に消失。オブジェクトはテーブルに即座に落下。オブジェクトの損傷はなし。 分析: 実験459-JP-8同様、仮説通りの結果。肉体は被験者の所有物と見做され、部位毎に消失するわけでもない。なお実験459-JP-10において別のDクラスを用いて足を十分に冷やしてオブジェクトを手に取らせる実験を行ったが結果は同様であったため割愛。 実験記録 459-JP-12 - 日付20██/08/18 対象: D-11045 実施方法: タオルを巻いた保冷剤を被験者のポケットに入れ、それに被験者が気づかない内にSCP-459-JPを手に取らせる。 結果: 一度目では変化を一切確認できなかった。再度オブジェクトを手に取らせると保冷剤は消失。 分析: 被験者自身の意識はあまり関係がないのか? 要追加実験。しかし問題はむしろ一度目、暴露初回から変化が全く見られなかった初めての例である。我々の確認できていない何らかが消失したものとして、被験者に関する入念な調査を行う。 08/20追記: 事後調査したところ、どうやらD-11045は実験以来ジョークを言えなくなったようである。無理やり言わせようとすると著しいどもりを起こし、結局成功しなかった。記憶処理を施したが変化なし。出来れば[データ編集済]後にも調査したい。 分析: 実験459-JP-4の時点から唱えられていたが、やはり「冷えきった関係」「寒いジョークセンス」などの抽象概念も消失現象の対象となる仮説は正しいらしい。しかし、保冷剤より「寒いジョーク」が優先されたのは何故か? もしジョークが保冷剤より寒いと見なされたのだとして、それはどのような基準によるものなのか? 大きく謎が増えた形である。続く実験が必要。 なお些事ではあるが、この実験以降研究員の士気が下がっており、真剣に取り組む姿勢が失われているように感じられることをここに報告しておく。あまりこのような状況が続くならば大幅な人事調整も考えなければならない。我々はコミカルなものを収容しているのではない。財団に所属する研究者たるもの、全ての特異なオブジェクトに対してはくれぐれも冷淡にあっていただきたいものである。 + 事件記録 459-JP-1 - 事件記録 459-JP-1 (close) 事件記録 459-JP-1 - 日付20██/08/23 収容違反事案-20██0823(詳しくは当該資料を参照のこと)により、14:20頃、SCP-█████がSCP-459-JP実験中の春牟博士(同オブジェクト研究主任)研究室に侵入。研究員の一人曰く、SCP-█████との衝突時に偶然SCP-459-JPが春牟氏の身体の上に乗ってしまい、それと同時に同氏は意識を失ったように見えたとのこと。 収容違反事案収束後に氏を保護することが出来たものの、20██/██/██現在まで情動反応が一切見られない状態である。なおSCP-459-JP研究主任は本件の3日後の08/26をもって副主任の呉研究員に引き継がれた。 本事件については、春牟博士が非常に勤勉にして優秀な職員であった事実を鑑みて、「SCP-459-JPは彼の所有物の中で最も冷たいものは彼の冷徹な精神であると評価したのではないか」というのが氏の情動反応消失に関する研究班の総意です。またこの事件をもって、「優秀な職員であるほど、特に注意深く当オブジェクトを遠ざけるべきである」とサイト-8181統括管理官らより提言があり、以降Dクラスのみがこれを取り扱うと収容プロトコルが改定されました。 但し、現在では階級にかかわらず人間が当オブジェクトに手を触れること自体の是非を疑問視する意見もあり、██博士より寄せられた仮説では「当オブジェクトが精神と肉体とを分離して認識しているように考えられるという点から、 [仮説459-JP-Aとその実証に関連する情報の閲覧には研究主任によるアクセス許可が必要です]
scp-460-jp
評価: +33+–x 評価: +33+–x クレジット タイトル: SCP-460-JP - 家族計画 著者: ©︎jet0620 作成年: 2015 評価: +33+–x 評価: +33+–x アイテム番号: SCP-460-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-460-JPは、その全てが収容されていません。発見の連絡が入り次第、適切なカバーストーリーを適用し、SCP-460-JPを回収してください。回収されたSCP-460-JPは、検査の後に保存・実験用を除いて全て破壊してください。 SCP-460-JPおよび販売物は、サイト-█████内の倉庫に保管されます。現在、SCP-460-JPに関連した実験は凍結されています。SCP-460-JPの使用は一切認められません。 説明: SCP-460-JPは、日本国内にて出現する、120cm×50cm×40cmの自動販売機です。形状はコンドーム販売用のそれに類似しており、2つのボタンが付いています。SCP-460-JPは、主に都市部にて出現し、過疎化の進んだ地域での発見例は極めて稀です。 SCP-460-JPは「避妊」「妊娠」を日本円に換算して500円の値段で販売しており、購入すると性別に対応した下着が共通で、さらに「避妊」「妊娠」に対応した物品が排出されます。この排出された物体は「避妊」のものがSCP-460-JP-1、「妊娠」のものがSCP-460-JP-2、下着はSCP-460-JP-3に指定されます。 SCP-460-JP-1は、男性用・女性用の違いはありますが、コンドームやピルなど避妊具です。SCP-460-JP-1を使用した場合の避妊率はほぼ確実で、ピルなどの薬品の副作用はほとんどありません。高い避妊率からSCP-460-JP-1をサイト-█████内の購買にて販売する計画が審議されています。SCP-460-JP-1の販売案は却下されました。 SCP-460-JP-2は、内容量200mlの栄養ドリンクです。容器は茶褐色のビンで、内容物は成分不明の薄黄色の液体です。服用した場合、性欲が増大し[編集済]を強く望みます。この状態で[編集済]を行った場合、生殖に関する障害があるまたはSCP-460-JP-1を同時に使用していない限り100%の確率で妊娠します。この効果は何らかの形で性欲を発散させるか一定時間経過するまで継続します。この効果は人間にのみ有効です。SCP-460-JP-2を使用した実験は、現在凍結されています。 SCP-460-JP-3は、購入した人物の最も好むタイプの下着で、素材は一般的な下着に使用されるものと同一です。SCP-460-JP-3を着用した人間は子供を強く望むようになり、子供を作る・育てるのに適した環境を作るようになります。この傾向は一定期間SCP-460-JP-3の着用をしないことで消失しますが、子供に対する好意的な感情は残ります。SCP-460-JP-3を着用した人間が生殖に関する障害を持っている場合、先天的・後天的を問わずそれを治療します。現在確認されているものでは、EDや無精子症、排卵障害に性病、さらには手術によって除去された卵巣や子宮、精巣等も再生します。この効果は購入した本人以外でも有効です。(本人の性別と違うSCP-460-JP-3を着用した場合の効果は記録SCP-460-JP-Aを参照) SCP-460-JPは、サイト-█████内に見慣れない自販機があることが職員数名により報告されたことによりその存在が発覚しました。その後の調査でSCP-460-JPと思われる存在が日本各地で確認されたことから、現在機動部隊による回収作業が行われています。既に購入されたSCP-460-JP-1、2、3の回収も可能な限り行われます。しかしながら、販売物の直接的すぎるネーミングや日本の風俗に対する思考傾向から、回収時までにSCP-460-JPが利用されたケースは現在までの累計回収数████に対し14例しかありません。 回収されたSCP-460-JPは、既存のものと同一かを検査した後に破壊されます。現在、内容物のデザインの違いはあれ効果には大きな差があるものは発見されていません。 + 記録SCP-460-JP-Aを表示 - 表示終了 記録SCP-460-JP-A 20██/7/22実施のSCP-460-JP-3実験時、D-695542にSCP-460-JPを使用させたところ、SCP-460-JPは女性用の下着を排出。確認を取ると、D-695542は性同一性障害を告白しました。実験のため、排出されたSCP-460-JP-Aを着用させることを決定。経過の観察が行われました。 30分後、D-695542が体調の悪化を訴えました。検査の結果、体内のホルモンバランスが急激に変化していることが判明しました。一部職員から実験中止の申し出がありましたが、中止した際の体への影響を考慮し、D-695542の強い希望もあって実験は続行されます。 1時間後、D-695542が激痛を訴えると同時に気絶。職員が確認したところ、D-695542の体は[削除済]。D-695542の肉体が完全に変化するまで、麻酔を投与しながら観察を続けます。 2時間後、D-695542の胸部に膨らみが見え始めました。また、身長の減少、容姿の変化などから本格的に女性へと変化していることが判明しました。 3時間後、D-695542の男性器が消失。また、頭髪が急速に発達し始めました。D-695542の顔は別人といって差し支えないほどに変化していました。 その後、元の性別と違うSCP-460-JP-3の着用実験を行ったところ、同様の結果が得られました。SCP-460-JP-3には性転換機能が存在することが判明しました。しかしながら、人体への影響を無視した急激な変化であるために、被験者は完全に変化する前にショック死する可能性が非常に高いです。財団は計15回の実験すべてで手術用麻酔を使用しなければなりませんでした。 + 記録SCP-460-JP-Bを表示 - 表示終了 記録SCP-460-JP-B この記録は、SCP-460-JP-2の性質が判明していなかった初期にあった事件記録です。この事件よりSCP-460-JP-2の持つある性質が判明し、SCP-460-JP-2を利用した実験は中止され、回収されたSCP-460-JPの同一性確認のための試験以外では使用されません。 20██/7/21/: SCP-460-JP-2実験4にてSCP-460-JP-2を服用したD-154214(男性)が、男子トイレにてD-483217(女性)に[検閲]いるところを警備員が発見。D-154214はその場で終了。D-483217には緊急避妊薬が支給され、定期的な心理カウンセリングが義務付けられた。 20██/8/28/: D-483217の妊娠が発覚。本人の希望もあり堕胎手術を行うことが決定。この事を受けて実験が行われて、SCP-460-JP-2はSCP-460-JP-1以外による避妊手段を受け付けないことが判明。 20██/9/8: [データ削除]。堕胎手術は失敗し、SCP-460-JP-2を使用した実験は回収物の同一性確認実験以外凍結。 20██/██/██: D-483217が社会復帰活動をしたいと職員に申請。精神検査の結果、SCP-460-JP-2の影響と考えられる。経過観察もかねて申請は許可された。 20██/5/29: D-483217が出産。体重3900gの健康な男子が誕生。男子にSCP-460-JP-2による影響は確認されず。10ヶ月後、D-483217は終了され男子は財団の福祉施設へ保護された。 補遺1: 事案SCP-460-JP-A 20██年██月██日、██県██村においてSCP-460-JPの収容違反が発覚しました。SCP-460-JPの発覚した新たな特性により、██村は壊滅しました。 SCP-460-JPより販売される商品のすべては、SCP-460-JP-2の持続的な使用を誘引します。SCP-460-JP-2を恒常的に使用し続けた人間はSCP-460-JP-4へ変化します。このとき、生殖機能が未発達・あるいは消失している場合は機能が発達あるいは回復します。SCP-460-JP-4はSCP-460-JP-3のみを着用し、SCP-460-JP-2を服用し栄養を摂取、睡眠時間以外の行動の殆どを生殖活動に費やします。SCP-460-JP-4の妊娠から出産までの期間はおよそ3ヶ月で、出産された子供は約3ヶ月で15歳ほどに成長しSCP-460-JP-4となります。現在、SCP-460-JP-4の治療方法は確立されていません。 ██村は山奥に存在し交通などの便も不足してたため、村に来る人間は非常に限られていました。これがSCP-460-JPの大規模収容違反を引き起こす原因となり、また事態を円滑に収束させる要因にもなりました。██村はカバーストーリー”大規模な土砂災害”によって立ち入り禁止区域となり、SCP-460-JPの影響を逃れた住民には記憶処理を施されました。SCP-460-JP-4は全員死亡扱いで財団に保護されています。現在、SCP-460-JPのKeterクラス再分類に関してO5評議会にて協議されています。 補遺2: SCP-460-JPに記載されていた文章より抜粋 少子高齢化社会でも、家族の事情は人それぞれ。子供が欲しいあなたも、そうでないあなたも、このアイテムがあれば大丈夫!  大切な人と相談して、きちんとした家族計画を!!
scp-461-jp
評価: +242+–x 特異性が消滅したSCP-461-JP。 アイテム番号: SCP-461-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: +20██/██/██時点の特別収容プロトコル1  - 閲覧終了 SCP-461-JPの土地は財団のフロント企業により買収し、民間人の立ち入りを禁止してください。SCP-461-JPを東口から入り、南側にある16本目のケヤキと17本目のケヤキの間によるSCP-461-JP-1の発生から消滅までの時間を記録し報告してください。 +20██/██/██時点の特別収容プロトコル2  - 閲覧終了 SCP-461-JPの土地は財団のフロント企業により買収し、民間人の立ち入りを禁止してください。SCP-461-JPを東口から入り、南側にある16本目のケヤキと17本目のケヤキの間を常に監視し、記録してください。 追記: 20██/██/██、SCP-461-JPの特異性は消滅しました。異なる場所がSCP-461-JPへと変化する可能性があるため、調査を進めてください。 説明: SCP-461-JPは██県██村の郊外に位置し東西に延びる並木道です。112本のケヤキ(学名:Zelkova serrata)から構成され、全長は300 m程になります。SCP-461-JPを東口から入り、南側にある16本目のケヤキと17本目のケヤキの間は、日本標準時における16時ちょうどから、10秒程度の時間SCP-461-JPに酷似した別の場所(以降SCP-461-JP-1と呼称)へと通じます。SCP-461-JP-1はSCP-461-JPに濃い霧がかかったような場所です。SCP-461-JP-1ではSCP-461-JPにおける東口の出口が西口の入り口へと、西口の入り口が東口の出口へと通じています。 SCP-461-JP-1では15歳程度とみられる女性(以降SCP-461-JP-2と呼称)の存在を確認できます。SCP-461-JP-2以外の生物は確認されていません。SCP-461-JP-2はSCP-461-JP-1へ立ち入った人物(以降被験者と呼称)を認識すると、友好的な態度1で近づき、「かくれんぼ」をすることを提案してきます。この際SCP-461-JP-2は自らを「子」、被験者を「鬼」で開始することを要求します。この提案や要求を受け入れない場合、SCP-461-JP-1は消滅しSCP-461-JPへと戻されます。 この「かくれんぼ」では、SCP-461-JP-2は112本のケヤキのいずれかの裏に隠れます。この時隠れる場所に規則性はなく、ランダムであるとされています。SCP-461-JP-2と「かくれんぼ」を行いSCP-461-JP-2を発見した場合、SCP-461-JP-2は自らを発見した被験者に、その被験者がかつて「失くしたもの」を渡します。この際SCP-461-JP-2は「失くしたもの」の姿形を真似、自らを発見した人物に見つけてくれたことに対する感謝の言葉を述べます。この「失くしたもの」を受け取り、感謝の言葉を述べられたと当時にSCP-461-JP-1は消滅しSCP-461-JPへと戻されます。 + 実験記録 - 閲覧終了 実験記録461-JP-01 - 20██/██/██ 対象: D-10020、D-10022 実施方法: D-10020とD-10022の二名をSCP-461-JP-1にてSCP-461-JP-2と「かくれんぼ」を行わせる。 結果: 先にD-10020がSCP-461-JP-1に入ったと同時にSCP-461-JP-1への入り口が消滅した。 分析: SCP-461-JP-1には1名しか入れないようだ。 実験記録461-JP-02 - 20██/██/██ 対象: D-10118 実施方法: D-10118をSCP-461-JP-1にてSCP-461-JP-2と「かくれんぼ」を行わせる。 結果: D-10118がSCP-461-JP-2を発見した際、SCP-461-JP-2は膝を抱え、頭をうずめ、丸くなった状態であった。その後SCP-461-JP-2は「見つけてくれてありがとう」と述べ、角がとれ、小さく丸くなった消しゴムをD-10118に手渡した。受け取ったと同時にSCP-461-JP-1は消滅した。 分析: D-10118は消しゴムを受け取るまで、自分がこの消しゴムを失くしていたということを忘れていた。そのため本人に「失くしたもの」の記憶があるかどうかは無関係のようだ。 実験記録461-JP-03 - 20██/██/██ 対象: D-10130 実施方法: D-10130をSCP-461-JP-1にてSCP-461-JP-2と「かくれんぼ」を行わせる。この際「かくれんぼ」後に渡される「失くしたもの」をこちらから指定する。 結果: D-10130が以前失くした靴をSCP-461-JP-2に「かくれんぼ」後に渡してほしいという旨を伝えた。SCP-461-JP-2はこれを了承、「かくれんぼ」後にD-10130が以前失くした靴を手渡した。この時SCP-461-JP-2は長座体前屈のような姿で、背中にリボン結びにした紐をつけていた。靴を手渡す際SCP-461-JP-2は「忘れないでいてくれてありがとう」と述べ、受け取ったと同時にSCP-461-JP-1は消滅した。 分析: 「かくれんぼ」後に渡される「失くしたもの」は指定が可能なようだ。またSCP-461-JP-2の言葉からSCP-461-JP-2は「失くしたもの」の気持ちを想像し、表現しているようだ。 実験記録461-JP-04 - 20██/██/██ 対象: D-12880 実施方法: D-12880をSCP-461-JP-1にてSCP-461-JP-2と「かくれんぼ」を行わせる。この際「かくれんぼ」後に渡される「失くしたもの」をこちらから指定する。指定するものは人間にする。 結果: D-12880が昔死亡した婚約者をSCP-461-JP-2に「かくれんぼ」後に渡してほしいという旨を伝えた。SCP-461-JP-2はこれを「彼女はここにはいない」と拒否した。その後「かくれんぼ」を行った。SCP-461-JP-2発見時、SCP-461-JP-2は手を後ろに組み、D-12880を見上げるように立っていた。その後「ありがとう」と述べた。この言葉と同時にSCP-461-JP-1は消滅した。 分析: D-12880は「かくれんぼ」後何も渡された様子はなかったが、D-12880は「かくれんぼ」後、婚約者との思い出が鮮明に思い出されたと述べている。またSCP-461-JP-2を発見した際のSCP-461-JP-2の立ち姿が、婚約者を彷彿とさせるものであったと述べていることから、「かくれんぼ」後、婚約者との思い出を「失くしたもの」として渡されたと思われる。「失くしたもの」は形の見えるものだけではないようだ。またこの後も人間以外の生物を指定した実験を何度か行ったが、いずれもSCP-461-JP-2は「ここにはいない」と拒否をした。生物をSCP-461-JP-2が「かくれんぼ」後に渡す事はないようだ。 + SCP-461-JP-2へのインタビュー記録-1 - 閲覧終了 対象: SCP-461-JP-2 インタビュアー: ████博士 付記: インタビューは████博士がSCP-461-JP-1にてSCP-461-JP-2を発見したところから開始する。 <録音開始, 20██/██/██> ████博士: やあ、はじめまして。 SCP-461-JP-2: はじめまして。おじさんは迷ってここに来たんですか?それとも最近よく来る人たちの仲間の人? ████博士: 後者の方だよ。でも今日は君と「かくれんぼ」をする前に少しお話しをしたいんだ。「かくれんぼ」はそれからでいいかな? SCP-461-JP-2: ん?別に構わないですよ。 ████博士: ありがとう。私の名前は████、皆から████博士って言われてるから、博士とでも呼んでもらえればいいよ。君の名前は? SCP-461-JP-2: ・・・名前かぁ。覚えてないんですよね。 ████博士: 覚えてない? SCP-461-JP-2: そうなんですよ。ここに来る前の事に関して何にも思い出せないんですよね・・・。気づいたらここにいたんですよ。 ████博士: ここに来る前ということは、君は昔違うところにいたということかな?私たちと同じ世界? SCP-461-JP-2: たぶんそうですね、博士のいう世界が私の思っている世界なら。まあ、覚えてないからはっきりと断言はできないですけど。 ████博士: なるほど。では君はこの世界に来てどう思ったのかな? SCP-461-JP-2: なんとも思わなかったですね、自分でも不思議なほどに。それどころか少し落ち着く感じもありました。それに最初はお腹も空かないし、眠くもならないから私死んだかな?って思いましたね。違うみたいですけど。 ████博士: 違う?どうしてそう思ったのかな? SCP-461-JP-2: 皆がここはそんな場所じゃないって教えてくれたんですよ。 ████博士: 皆とは誰の事かな? SCP-461-JP-2: 誰かが「失くしたもの」です。ここは誰かが「失くしたもの」が集まる場所なんですよ。誰かが何かを失くしてしまうと、皆ここに隠れてしまうんです。皆がそう教えてくれました。 ████博士: 皆のなかには君以外の人はいるのかな? SCP-461-JP-2: いえ、いないですね。それどころか私以外に生きているものもここに来たことはないです。どうしてかは分からないですけど。 ████博士: そうか。では君はなぜ「かくれんぼ」をするのかな? SCP-461-JP-2: それはですね・・・。ここにいる子たちは皆隠れてしまっている、けれど失くしてしまった人たちに見つけて欲しいと思っているんですよ。だから私が「かくれんぼ」をして、その子が隠れてしまっている所に一緒に隠れて見つけてもらうんです。皆は隠れてしまった場所から動けないから・・・。 ████博士: 「かくれんぼ」の時の物真似やお礼も皆のため? SCP-461-JP-2: そうですね。皆、私以外と話せないから・・・。そろそろ「かくれんぼ」しましょうか、博士に見つけて欲しがっている子2もいますし。 ████博士: そうしようか、「かくれんぼ」なんて何年振りかな・・・。 <録音終了> 終了報告書: 今回のインタビューでSCP-461-JP-2が元々は我々の世界にいたかもしれない可能性が出てきました。このことに関しては調査を進めていくことで、SCP-461-JPの発生の原因を突き止めることができるかもしれません。さらなる調査のためSCP-461-JP-2のインタビューは、引き続き続行していきます。-████博士 補遺1: 20██/██/██、SCP-461-JP-1へと通じる時間が日本標準時における16時ちょうどから、おおよそ30秒もの間になっていることが判明しました。これに伴いSCP-461-JP-1の発生場所であるSCP-461-JPの16本目と17本目のケヤキを見張るよう監視員を2名配置し、SCP-461-JP-1の発生時間を記録してください。この他異常が発見されるようであればEuclidへのオブジェクトクラスの変更も検討されます。 + SCP-461-JP-2へのインタビュー記録-5 - 閲覧終了 対象: SCP-461-JP-2 インタビュアー: ████博士 付記: インタビューは████博士がSCP-461-JP-1にてSCP-461-JP-2を発見したところから開始する。 <録音開始, 20██/██/██> ████博士: やあ、ひさしぶりだね。 SCP-461-JP-2: 久しぶりですね博士、今日もインタビューしにきたんですか? ████博士: まあそんな感じだね。じゃあさっそく質問いいかな? SCP-461-JP-2: いいですよ。 ████博士: 最近ここに通じる時間が延びてきているんだ、なにか心当たりはないかな? SCP-461-JP-2: ・・・ありますよ。たぶん私が原因ですね。 ████博士: 君が原因? SCP-461-JP-2: そうです。ずっとここにいて分かったんですけど、わたしはこの場所の親木みたいなものなんだと思います。この場所の親木に私は選ばれた。だからこの場所の親木の私が消えることで、ここも消えてしまう。そういうことだと思います。ここに通じる時間が延びてるのはその前兆だと思います。 ████博士: 色々気になるがひとつひとつ聞いていこうか、親木に選ばれるとは? SCP-461-JP-2: ここに来たとき皆が言っていたんです。「今回は君が選ばれた」って。最初は意味が分からなかったんですけど、最近そういう意味だって理解できたんです。詳しいことや私が選ばれた理由はわからないですけど・・・。 ████博士: なるほど・・・。では君が消えるというのは? SCP-461-JP-2: ここにいる皆はずっと隠れているわけではないんです。・・・ある時が来ると消えてしまうんです。 ████博士: ある時というのは? SCP-461-JP-2: 皆を失くしてしまった人が亡くなってしまった時です。 ████博士: ・・・そうか、つまり君も皆と同じ誰かが「失くしたもの」であって、その誰かも亡くなりかけてるということかな? SCP-461-JP-2: そうですね、なんとなくですけど自分がもう少しで消えてしまうと感じることができるんです・・・。 ████博士: なるほど。それは困るな。私たちは君やこの場所を確保し、収容し、保護しなくてはならない。・・・だから消えてしまうのはこちらとしては困る。君が消えないよう私たちで善処させてもらうよ。 SCP-461-JP-2: ありがとうございます。少し暗い話になっちゃいましたね。「かくれんぼ」しましょうか。 ████博士: ああ、そうしよう。 <録音終了> 終了報告書: 今回のインタビューでSCP-461-JP-2が消滅しかかっていることが、SCP-461-JPの異変の直接の原因となっていることが分かりました。SCP-461-JPが消滅の危機にあるとして、その原因となるSCP-461-JP-2の消滅を防ぐため、調査を進めていきます。またSCP-461-JPが私たちの世界から親木となる人物を選出し、SCP-461-JPを作り出している可能性があります。こちらも調査を進めていきます。-████博士 補遺2: 20██/██/██、SCP-461-JP-1へと通じる時間が3時間~6時間ほどになり、発生時間にもバラつきがみられるようになりました。これに伴いSCP-461-JP-1の発生場所であるSCP-461-JPの16本目と17本目のケヤキを常に監視し記録し、報告をしてください。 + SCP-461-JP-2へのインタビュー記録-6 - 閲覧終了 対象: SCP-461-JP-2 インタビュアー: ████博士 付記: SCP-461-JP-2が20██/██/██のDクラスによる実験を行った際、████博士のインタビューを再び受けることを希望し、████博士が許可したためインタビューを実施しました。 <録音開始,20██/██/██ > ████博士: やあ、今日はどうしたのかな。指名してくるなんて。 SCP-461-JP-2: 深い意味はないですよ。ただ博士にお礼を言っておこうと思ったんで。・・・ありがとうございます。 ████博士: ・・・私は君にお礼を言われることをしてきた覚えはないが。 SCP-461-JP-2: そうですか?私は感謝してますよ。・・・言いたいことはそれだけです。「かくれんぼ」しましょうか。 ████博士: ああ、そうしよう SCP-461-JP-2: ・・・博士。 ████博士: なにかな? SCP-461-JP-2: 見つけてくださいね。私の事。 ████博士: 見つけるさ。 <録音終了> 終了報告書: この「かくれんぼ」にてSCP-461-JP-2は、112本のケヤキのどこにも隠れている姿が発見されませんでした。それから数分後、SCP-461-JP-1は消滅しSCP-461-JPの特異性は消滅しました。 SCP-461-JP-2へのインタビュー記録-5からSCP-461-JPは親木を変え、異なる場所をSCP-461-JPへと変化させる可能性があります。そのためSCP-461-JPの調査は今後も進め、SCP-461-JPを見つけ出してください。-████博士 Footnotes 1. おもに笑顔で対話を行います。 2. 誰かが「失くしたもの」、ここでいう皆と同義であると考えられる。
scp-462-jp
評価: +39+–x アイテム番号: SCP-462-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-462-JPを中心とする半径4kmの地域はエリア462-JP-Aに、4~8kmの地域はエリア462-JP-Bに指定され、中国軍の軍用地に偽装した上で封鎖されます。安全を考慮し、エリア462-JP-AにはDクラス職員も含め一切の立ち入りが禁止されています。エリア462-JP-B及びその周辺の警備は警備部隊巴-1(森林警備隊)が担当しています。民間人がエリア462-JP-Bに侵入した場合には直ちに拘束し、クラスA記憶処理をした上で解放してください。エリア462-JP-Aに侵入した場合には救助は行いませんが、生存して当該区域を脱出した場合には侵入者と同じ手順で解放してください。エリア462-JP-BでSCP-462-JP-1が発見された場合には戦闘機あるいは戦闘ヘリ等を使用して焼夷弾を投下して完全に焼却してください。カバーストーリーは『大量発生した害虫の一掃』『滅菌作戦』『軍の訓練ないし演習』を規模に応じて適用してください。また、同地域でSCP-462-JP-2が発見された場合には直ちに火炎放射器で焼却処分してください。同地域でSCP-462-JP-3と思しき生物が発見された場合には直ちに捕獲するか、不可能であれば終了させてください。 20██/6/██ 追記:SCP-462-JP-1Aはエリア462-JP-Aであっても発見し次第戦闘機あるいは戦闘ヘリ等で焼夷弾を投下して完全に焼却してください。SCP-462-JP-2Aについてもエリア462-JP-A内の場合は確認できる限りSCP-462-JP-1Aと同様に処理し、エリア462-JP-B内であればSCP-462-JP-2と同様の手順で処理してください。 説明: SCP-462-JPは、中華人民共和国███省[削除済]にある樹木(以下SCP-462-JP-1)のコロニーです。現在の面積は約██km2です。 SCP-462-JP-1は上記の通り樹木です。品種は未知のものですが、葉の形や遺伝子はブナ科のそれに酷似しています。SCP-462-JP-1の異常な点は、通常の樹木と同じような枝の他に筒状の、地面に対し水平に伸びた枝とみられる部分(以下「砲枝」)が複数存在する点です。SCP-462-JP-1に後述するSCP-462-JP-3以外の動く物体が近づくと、SCP-462-JP-1は「砲枝」から種子(SCP-462-JP-2)を時速███kmの速度、1分あたり███発の発射速度で動く物体に対し発射します。詳細な発射メカニズムの研究については、███研究員作成のファイル:「SCP-462-JP-1発射メカニズムに関する一考察」を参照してください。 SCP-462-JP-2は大きさ、外見等がマテバシイ(Lithocarpus edulis)の種子に酷似していますが、硬さについてはビッカース硬度換算でマテバシイの種子のおよそ████倍ほどという調査結果が出ています。そのため、発射されたSCP-462-JP-2が人体に命中すると、場合によっては致命傷、場所が悪ければ即死という可能性もあります。 地面に落下したSCP-462-JP-2は通常のマテバシイの種子とほぼ同じ過程を経てSCP-462-JP-1へと成長しますが、成長の速度は一般的なブナ科の樹木のおよそ█倍です。動く物体が接近するとかなりの高速で、なおかつ大量に種子を発射する点もあり、SCP-462-JP-1の個体数の大幅な増加と SCP-462-JPの拡大が危惧されています。 SCP-462-JP-3は、リスに似た外見の生物です。詳細な生態記録等はファイル:「SCP-462-JP-3 解剖記録」およびファイル:「SCP-462-JP-3 観察記録」を参照してください。これらの研究成果と、財団が回収したSCP-462-JP-2から育成したSCP-462-JP-1のみでは「発砲」が起きなかったという実験結果などから、SCP-462-JP-3はSCP-462-JP-1への動く物体の接近を感知する「センサー」の役割を果たしているものと考えられます。 補遺1: 付近住民への聞き込みなどの調査の結果、SCP-462-JPは日本のNPOを名乗る集団によって、環境保護のための植樹運動という名目で植えられたものと判明しました。目下当該集団について調査中です。なお、当時集団が名乗った名称を持つNPO法人は実在しないことが判明しています。 聞き込みの結果、我々が発見する前に██人の近隣住民が犠牲になっていた事がわかった。話を聞いた相手は言葉を濁していたが、どうもその大半はあの木を盗もうとしていた連中らしい。…もしやあの性質は盗人対策なのか?そいつらは半分自業自得な気もするが、やはりSCP-462-JPが危険な存在である事には変わりはない。 -██博士 補遺2: 望遠鏡を使用した観察時、SCP-462-JP-1個体のひとつにプレートが掛けられているのが発見されました。内容は以下の通りです。 日本生類創研 Japan Organisms Improvement and Creation Laboratory S-630-R92 補遺3: 20██/4/█、SCP-462-JPにおいてSCP-462-JP-1の亜種(以下SCP-462-JP-1A)が確認されました。SCP-462-JP-1Aの性質・外見はSCP-462-JP-1とほぼ同一であるものの、全体的に灰色がかっており、また金属光沢を有しています。SCP-462-JP-1Aが発射する種子(以下SCP-462-JP-2A)は、性質・外見はSCP-462-JP-2とほぼ同一ですが、またSCP-462-JP-1ないし1Aに成長する事がありません。内部には異常な高濃度の水銀やカドミウム、農薬(違法な物も含まれる)、[削除済]などが含まれています。SCP-462-JP-2AはSCP-462-JP-2よりも脆く、そのため人体に命中した場合人体内部で崩壊し致命傷を与える危険性があり、また重大な環境汚染が発生する危険性もあります。 補遺4: 20██/4/██、SCP-462-JP-1Aの新たな性質が確認されました。SCP-462-JP-1AにはSCP-462-JP-1と異なり、周囲に動く物体が存在しない状況やSCP-462-JP-3が確認されていない状況下においてもSCP-462-JP-2Aを発射する場合があることが確認されました。収容プロトコルの改定について現在議論中です。20██/6/██付で改定されました。 どうもSCP-462-JP-1Aの発射などの過程はおかしい。ありゃもはやデタラメな乱射だ。バグのようなものが生じているのか?いや、そもそもアレの発生は植えた連中や日本生類創研の連中が予測していた事態なのか? -██博士 補遺5: 20██/5/██現在、SCP-462-JP-1AによるSCP-462-JP-2Aのランダムな発射により、エリア462-JP-Aの██%、エリア462-JP-Bの██%が重金属や農薬等で汚染されています。最近のSCP-462-JP-1および1Aの総個体数に占めるSCP-462-JP-1の割合の減少と、それに取って代わる形でのSCP-462-JP-1Aの割合の増加はこの汚染が原因と見られています。収容プロトコルの改定について現在議論中です。20██/6/██付で改定されました。 補遺6: 20██/10/██現在、SCP-462-JP-1Aおよび2Aの調査の結果、毒性を持つ成分の起源はSCP-462-JPの隔離エリアを流れる██河の上流に存在する██カ所の工場であるという仮説が有力視されています。実際にSCP-462-JP-1Aは██河付近で多く観測されています。現在██河上流の工場の閉鎖および██河の堰き止めの可否について議論中です。
scp-463-jp
評価: +84+–x アイテム番号: SCP-463-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-463-JP-1~12はすべて防腐処置を行ったうえで、不透明の強化プラスチックボックスに封入し、サイト42の大型物品保管室に、反情報シートで梱包して保存します。 説明: SCP-463-JPは12体の、中生代の生物を模したと思われる、幾つかの生物及び物品を粗雑に継ぎ接ぎした死体です。2002年に日本の上富良野にて、要注意団体であるハーマン・フラーの不気味サーカスの公演跡地で発見された際には鉄製の大型動物用の檻に仕舞われていました。 SCP-463-JPは、オブジェクトを見た者に対して、SCP-463-JPが生きた古代の生物であると思い込ませる認識災害効果を発揮します。この効果は弱いものであり、SCP-463-JPと接し続ける場合、食事や水分の摂取を必要としない・眠らない・動作をほとんど行わない、などの違和感を曝露者は感じ、平均的な精神抵抗指数を持つ人間であれば1週間程度でSCP-463-JPが生きておらず、かつ恐竜ではなく継ぎ接ぎした死体であることに気づきます。 SCP-463-JPは12体存在し、認識災害によって見える古代の生物はそれぞれ異なります。以下は抜粋したSCP-463-JPのリストです。 オブジェクトナンバー 死骸 認識災害の結果 SCP-463-JP-1 インドゾウ(Elephas maximus indicus)の死骸。鼻部には割り箸とタコ糸を使った補強がされており、鼻先にはガラス製の目玉がついた漏斗が瞬間接着剤を使い接着されています。 視認した対象はこれを「ブラキオサウルス」であると認識します。 SCP-463-JP-2 イリエワニ(Crocodylus porosus)の死骸。下半身は恐らく鋸のような刃物を使って切り落とされており、「がんこちゃん1」の着ぐるみの下半身が代わりに縫い付けられています。 視認した対象はこれを「ティラノサウルス」であると認識します。 SCP-463-JP-3 シロカジキ(Istiompax indica)の死骸。頭部のみがSCP-463-JPと同じく鋸のような刃物によって切断され、切断面にストローを差し込んだうえで奴凧と縫い合わされています。 視認した対象はこれを「プテラノドン」であると認識します。 SCP-463-JP-4 シロサイ(Ceratotherium simum)の死骸。首部分には灰色のボール紙がフリル状に巻きつけられています。ボール紙の裏側には黒の油性インクによって「ミスったけどそのままで」と日本語で書かれています。 視認した対象はこれを「ステゴサウルス」と認識します。 SCP-463-JP-5 シロサイ(Ceratotherium simum)の死骸。SCP-463-JP-4と同じく、首部分には灰色のボール紙がフリル状に巻きつけられています。 視認した対象はこれを「トリケラトプス」と認識します。 SCP-463-JP-9 キジバト(Streptopelia orientalis)の死骸。頭部のみ羽毛が毟られており、緑色のペンキが頭部に塗られています。尾部にはニホントカゲ(Plestiodon japonicus)の自切した尾が瞬間接着剤で貼り付けられています。 視認した対象はこれを「シソチョウ」であると認識します。 SCP-463-JP-12 ウツボ(Gymnothorax kidako)の死骸。背部には緑色のばらんが接着されています。 視認した対象はこれを「ディプロカウルス」であると認識します。 補遺1: ハーマン・フラーの不気味サーカスのメンバーである、アドウーチヤ・マレコフを尋問した時の記録です。対象は自白剤を投与し、両腕と両足を拘束された上で尋問されています。対象は日本の上富良野で、SCP-463-JP-2の檻の中に閉じ込められ、衰弱した状態で回収されました。尋問記録の中にこのオブジェクトと深く関連があると思われる部分があったため、尋問の冒頭部分及びSCP-463-JPと関連性があるであろう部分のみを部分を掲載しています。 インタビュー記録 担当者: ヘルマン尋問担当官(記録上では、Hと表記) 対象: アドウーチヤ・マレコフ(記録上では、Mと表記) <録音開始> H: 対象に薬剤を投与してから45分経過。選択的な記憶の除去及び改竄された過去の移植を確認。15分前に段階的覚醒を開始。これより対象を覚醒させ、尋問を開始します。起きなさい、マレコフさん。 (約3分間、Mの呻き声、体を揺する音が記録) M: うむむ……う、うう。こ、ここは、どこだ。 H: 落ち着いてくださいね、マレコフさん。あなたは、財団の、エージェントでした。一度記憶を除去した上で、ハーマン・フラーの不気味サーカスのメンバーとして、スパイしていただいていました。憶えていますか。 M: え、そ、それは……ううん、ああ、そうだ、そうだった、確か、そんな気が……な、なんで俺は拘束されてんだ。 H: マレコフさん、あなたの記憶が万が一戻っていなければ、大変あなたが混乱をきたすだろうということでして。 M: そ、そうか。お、俺の任務は……。 H: あなたの任務は、ハーマン・フラーの不気味サーカスの内情を探ることでした。あなたがこれまで、どのようなことをしてきたか、教えてください。わかりますね? M: ああ……ああ。うん。そうだったか。そうか……? H: 教えて下さい。 M: わ……わかった。俺はサーカス団で、動物の飼育係をしていた。動物、といっても、普通の動物じゃない。ものすごい動物だ。人間を改造して、生きた木馬にする機械2で、作られた「肉虫にくマルくん」だとか、虎人間だとか、ダンスをする肉食ペンギンとか。そういうものを飼育していたんだ。 (中略) H: では、日本に滞在した際に、日本生類創研からいくつかのオブジェクトの提供を受けていたと。 M: ああ。あの科学者たちはいい腕で、本物のペガサスだとか、キメラだとか、ちっちゃなドラゴンだとか、そういうものを作ってくれたんだ。だけど……。 H: だけど? M: ある時、エヌエス3から、新しい動物を売りたい、という電話があったんだ。ただ、窓口がいつもの婆さんの声じゃなかった。男だった。それも、かなり若い男だった。そいつは言うんだ。「恐竜を売りますよ」って。で、俺は仕事に慣れてきていて、団長に何も言わずに、取引に向かったんだ。 H: ふむ。 M: 指定された場所もいつもと違って、薄暗くて汚い倉庫の中だった。で、俺はその「博士」……いつもなら、「日本生類創研のナントカです」って名乗るのに、何故かそいつは、「博士」って自分のことを名乗ってたんだ、で、そいつは俺に檻の中のものを見せた。そこには生きてる恐竜がいた。 M: (息を付く)こいつはすげえ見世物になる、って俺は思った。エッシィ・P、つまり、俺た……俺たち? 俺たちだったかな? あああ。 H: 大丈夫、記憶の再生による単なる混乱です。あなたは我々のメンバーですよ。さあ、続けてください。 M: そうか、そうだったかな……ああ、えっと、俺達だとか、そういうやつらに俺たちは追いかけられているから、ちょうどその前に生きたちっちゃなドラゴンがダメになったところで、新しい見世物が必要だったんだ。で、恐竜は渡りに船だった。そいつを買って、帰って、団長に見せたら、言われた。「糞馬鹿野郎、騙されやがったな」って。で、ティラノサウルスの檻の中に閉じ込められて、放り出されたんだ。 H: ふむ、それはどういうことでしょうか? M: 騙されたんだ、俺は……。ティラノサウルスは俺を食わなかったんだ。俺に見向きもせず、まるで同じ映像を何度も再生してるみたいに、決まった動きをしてた。なんか変だ、って思って、よく目を凝らしたら、そこにはでたらめな、継ぎ接ぎの、ハリボテがいたんだ。あの、いつもと違う「博士」ってやつは、どうやってかサーカスとエヌエスの間の、隠された魔法の電話のナンバーを見つけて、エヌエスになりすまして、俺を騙くらかしやがったんだ。 (後略) 補遺2: この「博士」は複数の要注意団体の粗雑な模倣を、何らかの理由で行っている存在であると考えられています。SCP-653-JPのように、他の要注意団体を自称してオブジェクトを作成する理由及び、他の要注意団体になりすませるだけの情報をいかなる手段で収集しているのかについては、現在調査中です。 Footnotes 1. 1996/4/8からNHK教育テレビで放送されている、教育番組に登場するキャラクター。「恐竜の女の子」と作中では設定されています。 2. SCP-1695の事を指していると考えられます。 3. 日本生類創研の略語です。
scp-464-jp
評価: +21+–x アイテム番号: SCP-464-JP オブジェクトクラス: Euclid Neutralized Euclid 特別収容プロトコル: SCP-464-JPは現在収容できていません。国内各サイトの担当者はSCP-464-JP実体の出現予定日にその出現が確認されるまで、14名以上のDクラス職員に対して交代で繰り返し点呼を行って下さい (以降、この手順をプロトコル・コール・ミーと呼称)。これは現在収容の代替手段として機能しています。プロトコル・コール・ミーの際にSCP-464-JPが出現しなかった場合、当日に国内で発生した行方不明事件を調査してSCP-464-JPによるものを特定してください。その際、必要に応じてSCP-464-JPが記録された媒体の回収や関係者に対する記憶処理、カバーストーリーの適用を行います。 説明: SCP-464-JPは毎年5/26 9/27に後述する特定の条件下で出現する人型の実体です。その外見は20歳代後半の男性に見えますが、音声鑑定から声は10歳代前半の子供のものであると結論されました。 SCP-464-JPは、その発生予定日に少なくとも14名以上の人間が点呼1を受ける場面でランダムに出現し、本来の点呼担当者の代わりに点呼を行います。SCP-464-JPによる点呼は12番目に当たる人間までは問題なく続きますが、13番目に当たる人間2 (以降、SCP-464-JP-aと呼称) に到達した時、その人間とSCP-464-JPは同時に消失します。 SCP-464-JP実体が出現している間は、上述の一連の事象を直接的にせよ、間接的にせよ観測している者は違和感を全く持たず、本来の点呼担当者が点呼を行っていたと記憶します。また、SCP-464-JP-aの消失とともにその人間についての過去数時間の記憶を失います。これらのミーム的効果のために、財団の発見までに発生したと考えられるSCP-464-JP-aの消失は、未解決の行方不明事件として処理されていました。 SCP-464-JPは、199█/5/26にサイト-81██でDクラス職員の点呼を行っている場面を記録した監視カメラの映像から発見されました。その後、日本国内の過去の類似した行方不明事件の調査を行うことで、その出現条件、及び性質が導き出されました。前述したミーム的効果のため、SCP-464-JPの存在はこれまで監視カメラ等の記録媒体でのみ確認できています。一方、SCP-464-JP-aの消失先を探る試みは、該当者に装備させた音声・映像記録装置、及びGPS発信機の信号が途絶するために成功していません。 SCP-464-JPの出現条件を満たす場面をすべて把握することはほぼ不可能に近いことから、プロトコル・コール・ミーが導入されました。出現のランダム性を考慮した財団の統計学者の試算によれば、それは██%の確率で一般人のSCP-464-JPへの接触を効果的に抑制します。実際、プロトコル・コール・ミー開始後、財団施設外でのSCP-464-JPの出現はわずか█例にとどまっています。 事案記録464-JP-1: 200█/5/26、サイト-81██におけるプロトコル・コール・ミー時にSCP-464-JPが出現しましたが、SCP-464-JP-aの対象となるDクラス職員 (D-8765) の消失は発生しませんでした。以下はその際、D-8765に装備させていた映像記録装置に保存されていたものです。 映像記録464-JP-1: <記録開始、200█/5/26/██:██> «SCP-464-JPが点呼を始める。その音声は10歳代前半男子のものに聞こえる。» SCP-464-JP: D-8753。 D-8753: はい。 «画面の揺れからD-8765の動揺が見てとれる。ミーム的効果を受けていない模様。» SCP-464-JP: D-8754。 D-8765: [D-8754の応答を遮って] ██—。██なのか? «SCP-464-JPがしばしの間沈黙。混乱した様子を見せる。» SCP-464-JP: お..とう..さん? «SCP-464-JPが消失。» <記録終了> この件に関して、D-8765にインタビューが行われました。以下はその記録です。 インタビュー記録464-JP-1: 対象: D-8765 インタビュアー: ██博士 <記録開始、200█/5/26/██:██> ██博士: おはよう、D-8765。早速ですが、一つ質問させてください。先ほど点呼を行っていたのは誰でしたか? D-8765: [戸惑いながら] そんなはずはない、そんなはずはないが…あいつは██だった。顔は分からない…いや、面影はあったかもしれない。とにかく声は確かに██のだったんだ。 ██博士: ██とは誰のことですか? D-8765: ██は俺の息子だった。 ██博士: だった、とはどういう意味でしょうか? D-8765: ██は小学█年の頃、行方不明になったっきりだ。林間学校の時だった。俺は██がなかなか帰って来ないもんだから、担任に電話したんだ。どうやら担任は点呼の時に見逃していたらしい。それから、すぐに警察に捜索願を出したが、結局見つからずじまいだった。 ██博士: では、先ほど点呼していたのはその行方不明の息子さんだったと? D-8765: ああ。きっと…きっとあいつは名前を呼んで欲しがってたんだ。あの時呼んでもらえなかったから… [嗚咽]。 ██博士: …今日はここまでにしましょう。 <記録終了> 補遺464-JP-1: その後の調査で、同日にはSCP-464-JPによる行方不明事件は発生しなかったことが判明しました。また、翌年の5/26にもプロトコル・コール・ミーは実施されましたが、財団施設内外共にSCP-464-JPの出現は記録されませんでした。これを受け、SCP-464-JPは暫定的にNeutralizedに分類されました。 補遺464-JP-2: 200█/9/27、サイト-81██におけるDクラス職員の点呼の様子を記録した監視カメラの映像にSCP-464-JPの再出現が確認されました。SCP-464-JPはEuclidに再分類され、毎年9/27におけるプロトコル・コール・ミーの再開が決定されました。再出現したSCP-464-JPは以前と同様の男性の姿でしたが、音声鑑定の結果は10歳代前半の女子を示していました。全国で聞き込み調査を行った結果、その音声は前年の9/27に行方不明となった児童3のものであることが近親者の証言により判明しています。 以上の経緯から、SCP-464-JPの音声の本来の持ち主はSCP-464-JP-bと指定されました。生死は不明ですが、以前のSCP-464-JP-bはSCP-464-JPの影響下から解放されたと考えられます。SCP-464-JP-bの解放時には出現予定日以外でのSCP-464-JPの活動が示唆されるため、現在、近親者を用いたSCP-464-JP-bの解放手順が検討されています。 SCP-464-JP-bの解放は新たな犠牲者を生むだけだと考える者がいるかもしれませんが、SCP-464-JPを確保できる可能性がある以上実行すべきです。プロトコル・コール・ミーはSCP-464-JPを収容できていません。結局、あれにエサをやっているに過ぎなかったのです。- ██博士 Footnotes 1. 「出席をとる」など類似した行為も当てはまります。 2. 点呼を受ける者に欠員、あるいは応答できない者がいる場合、その者は除いて扱われるようです。 3. 当時██県██市の██小学校に在籍していました。
scp-465-jp
評価: +60+–x アイテム番号: SCP-465-JP オブジェクトクラス: Safe Euclid 特別収容プロトコル: SCP-465-JP出現区域の周囲にフェンス防音壁と監視小屋の設置を行い警備員を配置して下さい。警備員は漁協監視員に扮して巡回と監視を行い、接近した民間人に対してはカバーストーリー「熊の出没」が適用されます。 説明: SCP-465-JPは██県██山中を流れる██川の上流周辺の河原に不定期に出現する機械的な実体です。外見は██社によって製造されていた旧型のドラム式洗濯機1に類似していますが製造・販売元を示す表示やロゴマーク等が存在しません。 SCP-465-JPは10:00から16:00の間に未知の手段によって不定期に出現と消失を行います。出現から消失までにかかる時間はおよそ1時間程度ですが半径10m以内に人が立ち入った場合、あるいは小石等の投擲・ドローンによる接近等の干渉を行った場合は即座に消失します。 SCP-465-JPは機械的な外見を有していますが周囲に動力源が存在しないにも関わらず通常の洗濯機と同様に稼動しているように見えます。洗浄に使用する水は川の水を本体に繋がった1m程の青いホースで汲み上げている事が報告されていますがポンプ類の機器の存在は確認されていません。SCP-465-JPの出現から消失までの間は常に「がらがら」という70dB程の音が鳴り続けていますが監視地点からの双眼鏡での観察によって内部に出現した小豆の洗浄を行っている事が判明した為、この行為が騒音の発生に繋がっていると考えられています。 2015年█月█日の財団による収容以降、SCP-465-JPの監視地点に直径5m程のむしろに載せられた152kg相当の小豆の山2と文章の記載された和紙と思われる紙片が出現しています。むしろと紙片は人間の接近によって即座に消失する為、素材が判明していません。出現した小豆は一部回収を行い残りは監視小屋に保管されています。以下は紙片に記載されていた文章の写しです。 いつもお仕事ご苦労様です。良かったらどうぞ。 補遺: 現在SCP-465-JPは高さ3メートルの大型の穀類洗浄器3に類似した形態を見せており、同時に洗浄時の音が110dB近くまで増している事が報告されています。 SCP-465-JPの提供する小豆の量も日を追う毎に増加しており、変化と同時に全国各地での小豆の消失・盗難が相次いで報告されています。この事からSCP-465-JPの使用していた小豆は各地から未知の手段によって盗み出した物であり、これまでは分散して小規模に盗み出していた為に気付かれる事が無かったと考えられています。 各地の小豆の消失による価格の変動、騒音による収容違反及び周辺住民への被害の可能性からSCP-465-JPのオブジェクトクラスはEuclidに再指定されました。 Footnotes 1. 1964年に製造が終了しています。 2. Dクラスによる試食の結果、毒性は無い事が確認されています。 3. ██特殊工機製の機体と酷似していますが同型の物でこれほどの大きさの物は存在しない事が確認されています。
scp-466-jp
評価: +103+–x アイテム番号: SCP-466-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-466-JPは電池を抜いた状態で低危険度物収容ロッカーに保管してください。SCP-466-JPを実験以外の目的で使用する事は出来ません。SCP-466-JPを用いた実験にはレベル3以上の職員2名以上の許可が必要です。 説明: SCP-466-JPは一般的に「テレビのリモコン」と形容されます、大きさ、形の異なるボタンが合計で24個配置されています。ボタンに文字や記号は記されていませんが、特定の機械に赤外線センサー部分を向けると適切な文字や記号が浮かび上がります。 ここで言う特定の機械とは、  ・通常のリモコンでの操作を受け付ける  ・十分な電力が供給されている の二点を満たす機械で、テレビやエアコンなどが該当します。 SCP-466-JPは機械に設定された上限や下限を無視した操作が可能です。例えば暖房の上限温度が30℃に設定されているエアコンでも、31℃以上の温度を指定する事が可能です。SCP-466-JPを用いて機械の制限を無視した場合でもその機械の消費電力に大きな変動は見られず、熱暴走なども確認されていません。SCP-466-JPは通常のリモコン同様に電池を必要とします。 SCP-466-JPは20██/██/█、石川県██市で「リモコンの文字が出たり消えたりする」との通報が発生し、財団エージェントが介入して調査した所発見されました。通報主及び販売店の責任者はSCP-466-JPの流通元への有効な情報を有しておらず、記憶処理を行って解放されました。SCP-466-JPとおおよそ類似しているデザインのリモコンは多数の製造会社にて確認されましたが、そのどれもが外観、ボタンの配置などにオブジェクトとの差異があり、オブジェクトと一致するデザインのリモコンは発見されていません。SCP-466-JPの製造元は明記されておらず、分解作業においても異常な箇所や製造元の情報は発見されませんでした。 実験記録群を閲覧 閉じる 実験記録466-1 - 日付20██/██/█ 対象: エアコン 実施方法: SCP-466-JPを用いてエアコンの温度を下げ続ける。実験室には水を配置する。 備考: エアコンの下限温度は14℃です。過酷な環境の発生に備え、SCP-466-JPは機械で遠隔操作しました。 設定温度: 0℃ 特筆事項: 固定されていた吹出温度も下降を始める。室内温度計は0~1℃を指す。 設定温度: -17℃ 特筆事項: 吹出温度が更に下がり、水は氷になる。室内温度計はエラーを表示。 設定温度: -40℃ 特筆事項: 吹出温度は設定温度に比例している。エアコンが時折異音を発する。 設定温度: -75℃ 特筆事項: エアコンの異音が解消され、エアコンから雪が排出される。 設定温度: -112℃ 特筆事項: 部屋の大部分を氷雪が占める。天井につららが生成される。 設定温度: -135℃ 特筆事項: 排出された雪がSCP-466-JPの赤外線センサーを塞いだため、ブレーカーを落として事態を鎮圧した。SCP-466-JP及びエアコンは温度による影響を受けていなかった。実験終了。 分析: 雪は予想外。 - ██博士 実験記録466-2 - 日付20██/██/█ 対象: エアコン 実施方法: SCP-466-JPを用いてエアコンの温度を上げ続ける。実験室には水を配置する。 備考: エアコンの上限温度は30℃です。過酷な環境の発生に備え、SCP-466-JPは断熱加工を施した機械で遠隔操作しました。 設定温度: 40℃ 特筆事項: 固定されていた吹出温度が上昇を始める。室内温度計は39~40℃を指す。 設定温度: 60℃ 特筆事項: 吹出温度が更に上がり、室内温度計は58℃を指す。室外機は正常。 設定温度: 85℃ 特筆事項: 吹出温度は設定温度に比例している。室内温度計は85℃を指す。エアコンが時折異音を発する。 設定温度: 109℃ 特筆事項: エアコンの異音が解消され、エアコンから炎が発生される。水が沸騰する。室内温度計はエラーを表示する。 設定温度: 142℃ 特筆事項: 炎の勢いは増し続け、時折燃えている木片も排出される。室外機は正常。 設定温度: 165℃ 特筆事項: 設定温度が遠隔操作用の機械の許容温度に迫ったため、ブレーカーを落として事態を鎮圧した。SCP-466-JP及びエアコンは温度による影響を受けていなかった。実験終了。 分析: 炎や木片など、明らかに関係の無い物体まで排出されている。確かに気温は上がっているが、それ以上に演出の面で暑さを追及しているように思える。 - ██博士 実験記録466-3 - 日付20██/██/█ 対象: 扇風機 実施方法: SCP-466-JPを用いて扇風機の風力を上げていく。 備考: 既存の風力状態は「切」「弱」「中」「強」の4種類で、この文字はスタンド部分に表示されます。密室での実験が難しいと判断されたため、財団所有のゴルフ場を封鎖して屋外実験を行いました。SCP-466-JPは機械で遠隔操作しました。 表示された文字: 「駆」 特筆事項: 風速は5m/sを記録。 既存の文字のどれにも当てはまらない風力状態が表示される。 表示された文字: 「迅」 特筆事項: 風速は8m/sを記録。 表示された文字: 「颯」 特筆事項: 風速は13m/sを記録。この段階で扇風機を真上に向けた。 表示された文字: 「嵐」 特筆事項: 風速は19m/sを記録。風は非常に強いが上方向に発生しているため、遠隔操作用の機械は風の影響を一切受けていない。 表示された文字: 「狂」 特筆事項: 風速は26m/sを記録。ゴルフ場に植えられている木が揺れ始める。 表示された文字: 「禍」 特筆事項: 風速は34m/sを記録。何本かの木が倒壊し、雲が風に押しのけられる。この時点で実験を終了。 追記: 扇風機からモーター部を取り外した状態でSCP-466-JPを用いて文字を表示させた所、「禍」に続き「獄」「天」「穿」「龍」「[判読不能]」(以下判読不能)と続いているのが確認されました。 実験記録466-4 - 日付20██/██/█ 対象: シーリングライト 実施方法: D-8023にSCP-466-JPを操作させ、シーリングライトの光度をマイナスにする。 結果: 光度がマイナスに設定されてもシーリングライトの外観に異常な点は見られませんでしたが、D-8023は「目を瞑っている間のみライトが見える。ライトの周りも見える」と証言し、映像越しでも同様の効果が確認されました。 追記: マイナスの光は正常な光とは打ち消し合わず、共存すると推測されています。 実験記録466-5 - 日付20██/██/█ 対象: テレビ 実施方法: D-8023にSCP-466-JPを操作させ、テレビの音量をマイナスにする。 結果: D-8023は「耳を塞いだ時だけ音が聞こえる」と証言し、録音した音声データも同様の効果を発揮しました。 追記: 音声データは容易に再生が行えますが、編集や数値化などの試みが失敗するため解析は難航しています。マイナスの音は正常な音とは打ち消し合わず、共存すると推測されています。 実験記録466-6 - 日付20██/██/█ 対象: テレビ 実施方法: SCP-466-JPを用いて通常選択する事の出来ないチャンネルにアクセスする。 規格外番号01: 黒の背景に、小さな白い点が予測不能な軌道で動き回っている。 規格外番号02: 日本人の男子高校生が主人公のアニメ。舞台は高校と思わしき場所で、主人公以外の人物は一切登場しない。主人公はあたかも他の人間が存在するかのように会話、行動している。アクセスし直す度にアニメの進行度は初期化される。 規格外番号03: 大自然を紹介する映像とそれを賛美するナレーターの音声で構成。ナレーターの声を分析する事による個人の特定は失敗に終わっている。 規格外番号04: 恐らくは胎児の映像と推測出来る。右上には「衝撃のドッキリまであと█████████秒!!」と書かれていて、この数値はカウントダウンされている。左上にはワイプがあり、複数人の日本人男性・日本人女性が笑顔で映像を眺めている。ワイプに映る人間の個人特定は失敗。アクセスし直す度に右上の秒数はリセットされる。 規格外番号05: ニューヨークの████の市街地の映像。19██年頃のものと判明している。アクセスし直す度に映像はリセットされるが、前の映像と比べると僅かな違いが生まれている。 規格外番号06: 砂嵐。 規格外番号07: SCP-███-JPが特徴の無い部屋で椅子に座ってレポートのような物を書いている。少し時間が経つとまるで視聴者と目線が合ったかのように驚いた素振りを見せ、直後にレポートのような物を抱えて別室に逃げて行った。即時確認を行ったところSCP-███-JPは通常通り収容されていた。二回目以降のアクセスでは先程の部屋が映るがSCP-███-JPは居なかった。実験はこの時点で中断。 分析: 私の知る限りではSCP-███-JPは凶暴で野蛮な生物で、何かを書くような、ましてやそれを抱えて逃げていくような生物ではありません。我々はどう警戒すべきなのでしょうか。 - ██博士
scp-467-jp
評価: +24+–x アイテム番号: SCP-467-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-467-JPは、サイト-81██に存在する6m×6m×3mの保管室の中央に安置されています。実験の際はlevel3以上の職員2名の許可を取り、室外に職員数名を待機させた上で、Dクラス職員1名またはSCP-467-JP-2を用いて行われるようにしてください。実験の結果SCP-467-JP-2が発生した場合、老化現象が確認された際はクラスA記憶処理を施した上で、標準的な人型収容室に収容してください。なお、SCP-467-JP-1が第4段階である期間はDクラス職員を用いた実験は禁止されています。 説明: SCP-467-JPは木製の一般的な学習机です。素材となった木材に物質的な異常はありません。SCP-467-JPは、██県██市に存在するマンションの一室の住人が、短期間で定期的に失踪することに疑問を抱いた警察機関に潜入中のエージェントによって発見、収容されました。発見当時、SCP-467-JPの上には多量の灰が積もっており、回収して検査を行った結果、人体が風化したものであることが判明しました。 SCP-467-JPは、その上で被験者が娯楽的な作業を行うことにより活性化状態へと移行します。作業開始から30分後、被験者は自らの右肩近辺に人型実体(以下、SCP-467-JP-1とします)の存在を認知します。SCP-467-JP-1の姿を確認する試みは今のところ成功していませんが、被験者はその姿を視認できないにも関わらず、外見的特徴を認知することが可能です。このことより、被験者はSCP-467-JPより何らかの精神汚染を受けていると推測されます。なお、被験者に認知されるSCP-467-JP-1は現在女性のみです。 SCP-467-JP-1には、成長サイクルがあることが判明しており、4つの段階で構成されています。第1段階では6歳の女児、第2段階では18歳の女子高生、第3段階では30歳の女性、第4段階では老婆の姿を取ることが確認されています1。このサイクルは3ヶ月の経過で次の段階に移行し、1年で1周します。 SCP-467-JP-1の発生の15分後より、時間が経過するにつれて被験者の肉体が徐々に老化していく場合2があります。このとき、被験者をSCP-467-JPより引き離すことで被験者の肉体年齢は元に戻ることが確認されていますが、被験者はそれらに抵抗することが明らかになっています。この反応は被験者の老化現象が起こらない場合でも確認されています。SCP-467-JPより引き離すことに成功すれば、被験者は抵抗をやめます。 そしてSCP-467-JP-1の発生より30分後、老化現象が発生していた場合完全に終息し、被験者はSCP-467-JP-1を自らの子、あるいは孫として扱うようになり、外部からの音声に一切反応を示さなくなります。この状態と化した被験者は、以降SCP-467-JP-2として扱います。SCP-467-JP-2は老化現象の終息前と同じ手順でSCP-467-JPの影響下より脱することが出来ますが、肉体年齢は元には戻りません。以降、SCP-467-JP-2がSCP-467-JPに接触する度、即座にSCP-467-JP-1を認知し家族として振る舞います。 + 実験記録467-08~12 - 実験記録467-08~12を閉じる 実験記録467-08 実施日: 20██/██/██ 被験者: D-467-06(22歳 男性 未婚) 実施方法: 無線機を装着させたD-467-06に対しSCP-467-JPを使用し、クロスワードパズルを解くよう指示。SCP-467-JP-1を観測した後も作業を続行させる。SCP-467-JP-1は第2段階である。 結果: 作業開始より1時間後、D-467-06は35歳程度まで老化し、SCP-467-JP-2-fへと変化。自らを「お父さん」と称し、SCP-467-JP-1を██と呼称した。 分析: 未婚の男性であってもSCP-467-JP-1を自分の子供と認識するようです。なお、今回呼称されたSCP-467-JP-1の名前も前回までの実験で確認された呼称とは別物であり、██にあたる人物の存在も現時点では確認されていません。- ████博士 実験記録467-09 実施日: 20██/██/██ 被験者: SCP-467-JP-2-f(元D-467-06 実験467-08にて変化) 実施方法: 無線機を装着させたSCP-467-JP-2-fに対しSCP-467-JPに触れるよう指示。SCP-467-JP-1は第1段階である。 結果: SCP-467-JP-2-fはSCP-467-JPに触れた直後、60歳程度まで急激に老化。自らを「おじいちゃん」と称し、SCP-467-JP-1を前回とは異なり██と呼称した。SCP-467-JP-2-fの発言の内容より、██は前回の実験で確認された██の子であると推測される。 分析: 成長サイクルが1周した後のSCP-467-JP-1はSCP-467-JP-2にとっては孫として認識されるようですね。記憶も新たに捏造されているようです。それにしても、SCP-467-JP-1の繁殖は一体どうなっているのでしょう……- ████博士 実験記録467-10 実施日: 20██/██/██ 被験者: SCP-467-JP-2-f(元D-467-06 実験467-08にて変化) 実施方法: 無線機を装着させたSCP-467-JP-2-fに対しSCP-467-JPに触れるよう指示。SCP-467-JP-1は第3段階である。 結果: SCP-467-JP-2-fはSCP-467-JPに触れた直後、84歳程度まで急激に老化。状況から恐らくSCP-467-JP-1との会話と見られる発言の後、死亡が確認された。後に死因は老衰であることが判明。 分析: 状況は病院で孫にお見舞いされる祖父、という物で今までのように自宅で机を中心とした会話ではありませんでした。加えて死亡の直前にSCP-467-JP-2-fは気になる発言を行っており、実験を続行する必要があると考えます。- ████博士 実験記録467-11 実施日: 20██/██/██ 被験者: D-467-07(65歳 男性 既婚 1人の子と2人の孫を持つ) 実施方法: 無線機を装着させたD-467-07に対しSCP-467-JPを使用し、クロスワードパズルを解くよう指示。SCP-467-JP-1を観測した後も作業を続行させる。SCP-467-JP-1は第3段階である。 結果: 作業開始より1時間後、D-467-07は90歳程度まで老化し、SCP-467-JP-2-gへと変化。自らを「おじいちゃん」と称し、SCP-467-JP-1を██と呼称、██はD-467-07の2人の孫のどちらとも一致しなかった。その後状況から恐らくSCP-467-JP-1との会話と見られる発言の後、死亡が確認された。後に死因は老衰であることが判明。 分析: 今回は最初からSCP-467-JP-1を孫と認識しているようでした。老化現象の結果であるにせよないにせよ、被験者の年齢によって決まっている可能性があります。そして今回の会話も病院で孫にお見舞いされる物となっています。なお、██にあたる人物は今回も確認できていません。- ████博士 実験記録467-12 実施日: 20██/██/██ 被験者: D-467-08(23歳 女性 既婚 3人の子を持つ) 実施方法: 無線機を装着させたD-467-08に対しSCP-467-JPを使用し、クロスワードパズルを解くよう指示。SCP-467-JP-1を観測した後も作業を続行させる。SCP-467-JP-1は第4段階である。 結果: D-467-08がSCP-467-JP-1を認知してから15分後、老化現象が急速に進行。実験開始から1時間後には完全に灰となった。 分析: 今回の実験の結果を鑑み、以降第4段階におけるDクラス職員を用いた実験を禁止します。- ████博士 補遺: 現在、████博士によって詳細な調査が行われている音声ログです。 + 音声ログ467-10 - 音声ログ467-10を隠す 対象: SCP-467-JP-2-f 補足: この音声ログは実験467-10の際にSCP-467-JP-2-fに取り付けられていた無線機により記録された物です。ログの開始時点でSCP-467-JP-2-fは既に84歳程度にまで老化しています。 <記録開始> SCP-467-JP-2-f: ……ああ、来てくれたのかい、██。おじいちゃんが死ぬ前に、お見舞いに来てくれてありがとう。 [24秒の沈黙] SCP-467-JP-2-f: はは、確かに縁起でもなかったかもしれんな。でも、おじいちゃんはもう長くないんだ……自分の身体のことは、自分が一番よく分かってる。 [7秒の沈黙] SCP-467-JP-2-f: 医者はそう言うだろうさ。でも、おじいちゃんは病気だから死ぬ訳じゃあないんだ。寿命だ。すぐそこまで寿命が来てるんだよ。 [16秒の沈黙] SCP-467-JP-2-f: ……なーんてな。まだまだ死ぬわけにはいかんよ。おじいちゃんは玄孫の顔を見るまでは死ねんからな! [8秒の沈黙] SCP-467-JP-2-f: すまんすまん!冗談が過ぎたな!……まあ、今日もいい時間だし、██は家に戻りなさい。家族が待ってるだろう? [12秒の沈黙] SCP-467-JP-2-f: おじいちゃんはまだまだ元気だからいいんだ。だから早く帰りなさい、██。 [1分32秒の沈黙] SCP-467-JP-2-f: ……帰ったか。よかった、これで██があいつに会わなくて済[ノイズ] <記録終了> Footnotes 1. 実験の結果により、第4段階以外の年齢が判明しています。 2. 認知されるSCP-467-JP-1との年齢差によっては老化現象が確認されません。
scp-468-jp
評価: +65+–x アイテム番号: SCP-468-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-468-JPはサイト-8102の収容ケージ内に収容しています。SCP-468-JPに接触する職員はセキュリティレベル3以上の職員の許可と、指名者の人選を行なった上でオブジェクトの接触が許可されます。SCP-468-JPの要求に対応する職員には、カフェインを含む興奮剤が支給されます。SCP-468-JPの要求期間を超過した元指名者には、定期的な監視を行なって下さい。元指名者を他オブジェクトの実験で使用する場合、セキュリティレベル4の職員の許可を得た上で参加させてください。 SCP-468-JP 説明: SCP-468-JPは全長40cm・体重450g、メスのモリフクロウ(学名:Strix aluco)です。SCP-468-JPは生物学的に死亡していますが、通常のモリフクロウと同様に行動する事が可能です。しかしSCP-468-JPの活動範囲は非常に狭く、首を傾げる・嘴で突く程度の動作しか行いません。飛行行為を一切見せないことから翼の損傷が指摘されていますが、SCP-468-JPに接触することはオブジェクトの「要求」の対象に含まれるため、詳しい調査は実行されません。SCP-468-JPの死骸は時間経過による腐敗や損傷が確認されておらず、恒久的に存在し続けるものだと推測されています。 SCP-468-JPは通常のフクロウに見られない発話能力と要求が確認されています。SCP-468-JPは物理接触を行った人間(以下、指名者)に自身を撫でるよう指名し、要求を開始します。SCP-468-JPに複数の人間(以下、複数指名者)が物理接触した場合、ランダムに複数名を指名し要求を行います。SCP-468-JPは自身の身体に接触した人物の身体的特徴を述べ、接触者が自己紹介をすれば個人名を呼んで指名する事から、ある程度の知性を有していると判断されています。なお、手袋の装着・肉体の一部が接触した場合でも、SCP-468-JPの要求対象に含まれます。 SCP-468-JPに指名された指名者は、オブジェクトが満足するまで撫で続けなくてはいけません。SCP-468-JPは満足時、「もういいよ」と発言しますが、それは一時的な要求の中断でしかありません(以下、一時終了宣言)。 SCP-468-JPの一度の要求時間は10秒~32時間と大きなばらつきがあります。極端な要求時間の実例として、1名のDクラス職員に対し、数秒間の要求時間であるものの三日に渡り連続指名した例や、一度の要求で20時間以上、一時終了宣言がなされなかった例があります。 SCP-468-JPの要求のタイミングや要求時間はランダムで予測がつけられず、相手の状況を考慮しない一方的なものですが、強制力はなく容易に拒絶する事が可能です。しかしSCP-468-JPの要求に指名された人物が、要求に応じない・勝手な中断を行なう等の行動を取った場合、オブジェクトは40秒以内に、指名者の首を不可視な物理能力で横向きに360°回転させ、頚椎骨折が原因で死亡させます。なお、SCP-468-JPに危害を加えようとした人物は、全身を[編集済]。 SCP-468-JPの要求は15日の期間があることが判明しています。この要求期間は上述した要求時間とは異なり、これまで指名した人間に「ありがとう」と発言し、二度と指名することはありません(以下、完全終了宣言)。 完全終了宣言を受けた元指名者には、ある特異な能力が備わることが判明しています。SCP-468-JPから完全終了宣言を受けた元指名者は、物理的損傷・生命危機といった場面に直面したとき、非常に高い確率で危険を回避することが可能です。SCP-468-JPには確率操作、あるいは現実改変能力に酷似した能力(以下、追加効果)を元指名者に付加していると推測されています。 SCP-468-JPの追加効果の発見経緯となったのは、オブジェクトから完全終了宣言を受けたD-987の周囲で発生する異常現象がきっかけでした。 D-987はSCP-468-JP 以外にSCP-███-JPやSCP-███-JPといった、危険性と死亡率が高い実験に参加していましたが、機材の不調等による実験の中止・オブジェクト不活性による実験の中断といった理由で、SCP-███-JP及びSCP-███-JPの実験に参加していません。 これまでSCP-468-JPの実験に参加したDクラス職員は██名にのぼり、そのうち5名1が要求期間を超過し、生存しました。元指名者の内3名はサイト-81██内に拘留していますが、残り2名は追加効果の限界を確認するため、終了しています。SCP-468-JPの追加効果は、あらゆる外的要因や偶発性を排除した場合のみ殺害行為が可能な事が判明しました。このことから、SCP-468-JPの追加効果には限界があると証明されています。 + SCP-468-JP-映像ログ - テキストを隠す SCP-468-JP-映像ログ   状況: 映像ログはサイト-8102で記録されたものです。SCP-468-JPが生存者に与える能力の実験のため、Dクラス職員が投入されました。なお、円滑にSCP-468-JPの要求を遂行するため、全てのDクラス職員は、オブジェクトに自己紹介を済ませています。 <映像ログ開始> SCP-468-JP: ねえー、蘭さん、蘭さん、なでなでしてぇ! [SCP-468-JPに指名された蘭(D-655)は、オブジェクトの要求に応じない。D-655はこれまで20秒の指名と要求を数百回にわたり繰り返している。一時終了宣言から1分後に指名され続けており、D-655は連続する要求に怒りをあらわにしていた。指名から10秒を経過した時点で、D-655に監視員が強い口調で要求に応じるように命令。実験室には監視カメラが設置されている。D-655は監視員の言葉を無視した7秒経過後、D-655の首が音を立てて回る。D-655は頚椎骨折により終了。死体は後に回収された。] SCP-468-JP: 真崎さん、真崎さん、なでなでしてぇ!撫でて! [D-655が終了してから12秒後、SCP-468-JPは真崎(D-23)を指名、要求を開始する。D-23は要求に応じるがSCP-468-JPに対して極度の恐怖を抱いていることが、監視員より確認された。] SCP-468-JP: なでなでして!真崎さぁん! [SCP-468-JPの一時終了宣言から約30秒後、再びD-23を指名。D-23はSCP-468-JPの要求に応じるも、極度に体力を消耗しており要求の中断が予想された。しかしD-23はおよそ20時間、SCP-468-JPが一時終了宣言を行うまで対応した。D-23の過度の疲労はSCP-468-JPに対する恐怖によるものだと指摘されている。] SCP-468-JP: ねえねえ、なでなでして! 真崎さん、なでて~、なでて~! [二度目の一時終了宣言から3時間後、D-23に再要求。D-23は深い睡眠状態にあり、他のDクラス職員がD-23を覚醒させるが、成功しない。支給されていたアンフェタミンを他Dクラス職員が投与したが、効果はなかった。D-23の腕をDクラス職員が掴み、SCP-468-JPの頭を撫でさせるが、指名開始から37秒後、D-23の首が横向きに回り、頚椎骨折により終了した。] SCP-468-JP: ねえねえ、なでなでして!なでて!なでて! 卯月さん、なでて~。 [SCP-468-JPは卯月(D-876)に要求と指名を開始する。D-876は恐怖の表情を浮かべながらも即座に応じる。その間、終了したDクラス職員を回収した。D-876は15日の要求期間を迎えており、SCP-468-JPから生存することが予想された。SCP-468-JPは32分後に完全終了宣言を行った。] SCP-468-JP: もういいよ! ありがとうね。 <映像ログ終了> 事後報告: D-876がSCP-468-JPの要求に応じた総時間は、72時間23分。D-876を収容室から退出させ、オブジェクトの持つ追加効果の確認のため、本実験を開始した。D-876を拘束し、精密射撃による銃撃を開始したところ、6発目にて頭部に命中し、終了が確認された。SCP-468-JPの追加効果には限界があることが証明された。 Footnotes 1. 生存した職員はいずれも指名された回数・所有時間が少ないといった理由から生還しています。
scp-469-jp
評価: +73+–x AR「死蝋区」はSCP-469-JP-甲を写す端末の画面全体をぼかすような効果を及ぼし、本来のSCP-469-JP-甲によるARの表示を防ぎます。 アイテム番号: SCP-469-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-469-JP-甲は周辺区域と共に封鎖されます。SCP-469-JP-甲によるAR(拡張現実)の表示は、実験等での利用時を除き、多目的人工衛星「四黒し く ろ号」によるロケーションベースAR「死蝋区し ろ う く」が妨害し、一般人への漏えいを防ぎます。 実験の結果等でSCP-469-JP-1の住民が外部(こちら側)に出現した場合は、全て殺害し、SCP-469-JP-1内へ送還してください。 説明: SCP-469-JPは、SCP-469-JP-1に指定される異次元への行き来を可能にする建造物です。こちらからSCP-469-JP-1へ行く事のできる建造物はSCP-469-JP-甲に指定され、SCP-469-JP-甲と接続されているSCP-469-JP-1側の建造物はSCP-469-JP-乙に指定されています。 SCP-469-JP-甲は埼玉県内で発見された廃屋です。通常、SCP-469-JP-甲の正門は施錠されています。ARブラウザを持つ携帯端末でSCP-469-JP-甲を写すと、端末の画面上部に「博士の逆転!ホラー館 」というロゴと、端末の画面中央からやや下に「入場する(2000円) 」というタップ可能な文字列が表示されます。2000円以上の電子マネーが端末にチャージされていた場合に「入場する(2000円) 」の文字列をタップすると、2000円分の電子マネーが端末から消費され、画面上に「ヒュードロモード 」と「デロデロモード 」の2種類の文字列が現れます。そのどちらかの文字列をタップすると、端末の最大音量で金属の鍵を開ける音が再生され、SCP-469-JP-甲の正門が開錠されて、その向こう側がSCP-469-JP-1に変化します。 SCP-469-JP-1は現代日本の市街地のように見え、都市機能は正常に働いていて、住民は異常のない人間のように見えます。SCP-469-JP-甲の正門からSCP-469-JP-1に進入すると、SCP-469-JP-1の中心部と見られる位置にある、SCP-469-JP-甲と同様の廃屋: SCP-469-JP-乙の正門から外(SCP-469-JP-1内)へ出る事になります。 + 参考 - 概略図469-1を表示 - 参考 - 概略図469-1:(もう一度クリックで閉じる) そのようにして生きた人間がSCP-469-JP-1へ進入すると、その人間はSCP-469-JP-2に指定される存在に変化し、それと共にSCP-469-JP-甲および乙の正門が閉め切られます。SCP-469-JP-2は、先述の端末の操作で「ヒュードロモード」と「デロデロモード」のどちらを選んだかによって異なる形態になりますが、いずれにせよ正常な判断力を失い、衝動的にSCP-469-JP-1の住人を襲おうとします。 SCP-469-JP-2-A: ヒュードロモード SCP-469-JP-1に進入した人間は、進入した瞬間に全身が発火して生命活動が停止します。やがて進入者の肉体は消失し、その位置に宙に浮かぶ青い炎: SCP-469-JP-2-Aが現れます。SCP-469-JP-2-Aは人間の上半身のような炎の形を維持しながらSCP-469-JP-1内を彷徨い、住人を見つけると接触しようとします。SCP-469-JP-2-Aに少しでも触れた住人は全身が炎上し、同じくSCP-469-JP-2-Aとなり、更なる犠牲者を探します。 SCP-469-JP-2-B: デロデロモード SCP-469-JP-1に進入した人間は、進入した瞬間に未知のウィルスに感染し、生命活動が停止します。進入者の肉体: SCP-469-JP-2-Bはウィルスによって動かされ、SCP-469-JP-1内を彷徨い、住人を見つけると噛み付きます。SCP-469-JP-2-Bに噛み付かれた住人は一瞬で未知のウィルスに感染し、同じくSCP-469-JP-2-Bとなり、更なる犠牲者を探します。 + 参考 - 概略図469-2を表示 - 参考 - 概略図469-2:(もう一度クリックで閉じる) SCP-469-JP-2の活動開始から15分が経過すると、SCP-469-JP-1全体に響くサイレンが発信されます。サイレンが鳴ると、SCP-469-JP-2群は全員、SCP-469-JP-乙の正門に集合します。そしてSCP-469-JP-2群はその正門を開けて、SCP-469-JP-甲の外(こちら側)に出ると共に、異常のない人間に戻ります。 + 参考 - 概略図469-3を表示 - 参考 - 概略図469-3:(もう一度クリックで閉じる) 全てのSCP-469-JP-2群がSCP-469-JP-甲の正門を出て人間に戻ると、SCP-469-JP-甲の正門は閉め切られ、SCP-469-JP-甲は乙との接続を失います。これまで、前述の経緯でこちら側にやって来たSCP-469-JP-1の住人は全て身元不明で、SCP-469-JP-1を東京都に所属する「鮫島」という何の異常もない島の街であると主張する以外には、何ら有益な情報を持っていませんでした。 SCP-469-JP-1へロボットを進入させる試みは、必ずSCP-469-JP-甲の正門の先がSCP-469-JP-1にならなくなる(正門の先がSCP-469-JP-甲の内部になる)事で失敗しました。そのため、2013年までの間は、SCP-469-JP-2-Aになる前の進入者に取り付けておいた耐火性の隠しカメラによる定点観測と、ランダムに移動するSCP-469-JP-2-Bに取り付けた隠しカメラからの映像だけが調査の手がかりでした。 しかし、2013年3月、「SCP-469-JP-1と接続されたSCP-469-JP-甲の正門を開き、中へ入る代わりにこちら側で死亡した遺体をSCP-469-JP-1へ投げ込む」という試みが行われ、投げ込まれた遺体がSCP-469-JP-1内で異常のない人間として蘇生した事で、調査状況に大きな進展がありました。複数回のDクラス職員を用いた実験の後に、殉職したエージェント・先江の遺体がSCP-469-JP-1へ送り込まれ、長期の潜入調査が開始されました。 追記: 通信記録469-29以降、こちら側の人間の死体をSCP-469-JP-1へ送り込むことによる実験や調査は、停止されています。 + インタビュー記録469-29 - 通信記録469-29より抜粋 - インタビュー記録469-29 - 通信記録469-29より抜粋: (もう一度クリックで閉じる) 対象: SCP-469-JP-1住人S(以下、住人S) インタビュアー: エージェント・先江 <録音開始,2014/01/17> エージェント・先江: お茶までもらって悪いね。 住人S: 気にしないでいいよ。 エージェント・先江: それで、この街について知っていることを教えてくれるかい?街の歴史とか、昔話とか、例えばお化けが出る話とかさ、 住人S: ごめん、僕も、何も知らないんだ。 エージェント・先江: そうか、君もか。(ため息)これで29回目だよ。 住人S: すまないね。本当に何も知らないんだよ。何せ僕は、君と同じ、外からここに来た人間だからね。 エージェント・先江: 何だって! 住人S: この部屋も、いつかの犠牲者の家をこっそり借りさせてもらってるだけなんだ。それで君はあれかい、もしかしてあの財団の人? エージェント・先江: そこまで知っているのか、まさか君も! 住人S: いや、僕の所属は違う。まあ似たようなところだけどね。 エージェント・先江: そうか、(1~2秒程度、無言)君のほうの調査状況はどうだい? 住人S: さっきも言った通りさ、まだ何も分かっていない。ここの住人はここを何の変哲もない島と街だと思い込んでいるよ。歴史を全然知らないし、公共施設に何の資料もない、なのにそれを全然不思議に思わない。 エージェント・先江: (作り声で)そんなん知らなくても生きていけるしぃ~、ってな。 住人S: (笑い)そうそう!みんなそういうふうに言うんだよね。あの廃屋や怪物の事さえ、まるで知らないみたいに振る舞うんだ。 エージェント・先江: あのゾンビだか幽霊だかが出たら出たで、あんなキャーキャー言って逃げ惑うのにねえ。記憶をどうこうされてんのかね? 住人S: ぞん、(一瞬、怪訝な顔をする)うん、まあ、そうだろうね。それに、島や街に異常な執着があるとか、そういう良くある話もないようだ。かといって、島の外に出ようとは一切思わないらしい。海外旅行どころか、本土にすら一度も行ってみようとしない。無気力というわけでも無いようだけどね。 エージェント・先江: 本土ねえ。確かに貨物船の出入りはあって、そこで補給される物資で街が成り立っているようだが、しかし本土なんて本当にあるかどうかも分からんからな。いずれあの船も調べる必要があるとは思うが。君は調べてみたかい? 住人S: え、何、本土が、えっ?あの、あのさ、君はどうやってここに来たんだい? (部屋の外、遠くで男性の高笑いのような声が小さく聞こえる) エージェント・先江: えっ?君もあの廃屋からこの異次元を調べに来たんじゃないのか? 住人S: あ、あ、ああ、異次元、うん、そうだよね、確かに、本土はあるかどうかも分からない、ね。なるほどね、そうだね、うん、 (部屋の外、遠くでガラスの割れる音と、女性の叫び声のような声が小さく聞こえる) エージェント・先江: どうかしたかい? 住人S: ああ、その、ええと、ごめん。嘘ついてたんだ。僕は本当はどこかのエージェントなんかじゃないんだ。 (部屋の外、遠くで男女の高笑いのような声が小さく聞こえる。エージェント・先江および住人Sは、外の様子に気付いていないと思われる) エージェント・先江: えっ? (部屋のある建物の近くで、群衆のざわめくような声が聞こえてくるようになる) 住人S: どうせ死ぬなら怪物にでも食い殺されようと思ってさ、オカ板見て、眉唾で船に潜り込んでみたら、まさか本当にこの島があって、そこに着くなんてね。 (部屋の半透明の窓に、女性のような影が逃げ、それをマントを被った人間のような影が追いかけて抱きつき、押し倒すような様子が映る) 住人S: でも、そんな事より、こんなところなんかよりもずっと、すごく、何ていうか、生きてみるもんだねっていうか、すごく嬉しくてさ。 (続いて、窓にマントを被ったような二つの人影が下から起き上がる様子が映る。エージェント・先江はそれらの様子には気づかなかったようで、住人Sは窓を背にして着席している) エージェント・先江: 何を言っているんだ? (屋外の喧騒に悲鳴や怒号が入り混じり始める。ここでエージェント・先江は外の異常に気付き、時折ヘッドセットカメラが窓をフォーカスするようになるが、住人Sの方は話に夢中で、まだ事態に気が付いていないように見える) 住人S: 驚いたよ、現実になったんだね、SCP財団。 (部屋の外で男女複数名による高笑いのような声。1~2名の声は、インタビューが行われている部屋のすぐそばで聞こえる) 住人S: ウィキのメンバーでいられて本当に、 (窓ガラスを突き破って、黒いマントを被り顔を白く塗った女が、住人Sに後ろから飛びかかろうとする) [データ欠落] (黒いマントを被り顔を白く塗った男性らしき人物が、画面の上方から、カメラの前のテーブルの上に大きな音を立てて「着地」する) [データ欠落] (赤い瞳の両眼のアップ) [データ欠落] (大きく開いた口のアップ。上下の歯は異常に長く発達している) <以後通信不能> 追加報告: インタビュー中とその前後におけるSCP-469-JP-甲の状況は何度も再調査されましたが、進入の形跡は発見されませんでした。また、最後に現れた男女のうち女性の方は、エージェント・先江が24番目にインタビューを行ったSCP-469-JP-1の住人Yと人相が酷似していた事が、後の調査で確認されています。 補遺469-1: 2011~2013年頃と見られる期間に、埼玉県内でSCP-469-JP-甲について言及しているスパムメールが出回り、それが元でSCP-469-JP-甲は財団に発見されました。下記はそのスパムメールの内容です。(SCP-469-JP-甲の情報以外は原文ママ) From: (なし) 件名: 学校にゾンビが攻めて来たら… そんな妄想した事ない? でも、どうせ妄想するなら、想像の翼をもっと広げてみよう… - 発想を、逆転してみよう! キミが、平凡に暮らす人々を襲う空想世界の怪物になったなら… そんな事が現実にできたとしたら…キミがマジで100%リアルな人間達に、牙を突き立てることができたとしたら…? 逆転の発想がキミにお届けする、超次元超現実体験 !スーパー フィクション エクスペリエンス! 死の世界の住人達よ、お化け屋敷から創造世界へと反逆せよ! まさしく、現実と虚構の逆転! 送り手と受け手の逆転!! 破壊と再生の逆転!!! ヒミツ情報: いっぱい遊んでくれたら新モードが解禁されるかも…?(※) 逆転! 逆転!! ぎぃゃく転ん!!! ホオゥルルルルゥアアアアアアアア アァアアァアアァアァアァア 館 (SCP-469-JP-甲の位置情報が記載) ※: メールマガジン等で予告しておりました「チューチューモード」の実装は、開発スケジュールの都合上、延期になりました。 楽しもうね!
scp-470-jp
評価: +25+–x アイテム番号: SCP-470-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-470-JPは、常にサイト-8141にある標準人型存在収容室に収容され、モニターにより24時間監視されています。SCP-470-JPの収容室内には、毎朝7時に、指定された匂い物質の混合気体を、20分間散布してください。 SCP-470-JPからの要求があった場合、1週間に1人まで、SCP-470-JPの能力の影響を受けた事のない男性のDクラス職員を、最低8時間入室させてください。この間、職員及びSCP-470-JPになんらかの異常が見られた場合、一酸化炭素等の有害な気体の発生を考慮し、指定された酸素ボンベ付き装備を着用した職員2人で、入室していたDクラス職員を退室させてください。 接触終了後、接触していた職員は専門スタッフによるカウンセリングの後、必要であれば記憶処理を行ってください。 追加プロトコル: SCP-470-JPの発生理由の解明を目的に、毎日2時間のカウンセリングを繖(きぬがさ)博士、もしくは同等の技能を持つ職員が行ってください。カウンセリングの内容は全て録音してください。 説明: SCP-470-JPは霧のように見える不透明の白い人型のもや(匂い物質が集合したもの)であり、もやの中心には直径2cmの乳白色の球体(SCP-470-JP-A)が浮かんでいます。固形物に対する接触はその性質上不可能で、移動の際は漂うような動きをします。また、SCP-470-JP-Aについての直接の物理的干渉を用いた研究は、SCP-470-JPの存続に関わる可能性があるため、現在行われていません。SCP-470-JPを構成する匂い物質の集合体は、風により拡散することはありませんが、時間経過で少しずつ拡散していきます。この拡散する匂い物質の補給のためSCP-470-JPは1日に1度、最低5種類以上の匂い物質を必要とします。 SCP-470-JPは若い中性的な声を発し、日本語で自身を██県の██████高等学校に通う█████という名の16歳の女性だと主張し、「カオリ」と呼称するよう要求します。全ての研究員は、これらの主張の裏付けが未だ取れていないことに充分に留意してください。SCP-470-JPはコミュニケーションに対し若干の恐怖心を抱いていることが判明しています。また、常に人に顔を向けないよう俯きがちで、気分が高揚した時を除き大半はたどたどしい話し方をします。ただし、カウンセリングに対しては通常より積極的です。カウンセリングにより、SCP-470-JPは幼少期から重度の虐待を受け、周囲への強い劣等感を抱いていた旨の発言をしていますが、これについても信用に足る情報が得られていません。 SCP-470-JPと外気を介して接触した場合、接触した人物はなんらかの匂いを感じます。また、この匂いは接触した人物それぞれで変化し、SCP-470-JPと何度外気を介して接触しても変化しません。なお、いずれも状態が変質した際はこの限りではありません。この匂いの決定されるプロセスは現在も調査中です。また、SCP-470-JPと収容プロトコルの際のような長時間の接触の後、接触した職員はSCP-470-JPに対して慈しみや同情といった感情を強く持つようになります。これはこのオブジェクトの能力によるものではなく、自発的にそういった感情を抱くという事が心理分析の結果判明しています。しかし、実験により短時間接触した職員にはそのような感情は見られませんでした。これはSCP-470-JPの性格が大きく影響していると考えられます。 + 付録1 インタビューログを開く - 閉じる 付録470-2-A この記録は、SCP-470-JPの第一発見者である[削除済み]氏への、SCP-470-JP発見時に関するインタビューです。 録音開始 ████研究員:[では、あなたがSCP-470-JPを発見した時のことを、お聞かせ願えますか?] ██氏:[はい。私はあの日、夏休みの部活の監督をしていました。ちょうどお昼休憩の時です。事務員さんから連絡があって、3年2組の教室からタバコの匂いがしたから見てきてくれないか、と頼まれました。私は生徒指導部長でもあったので、すぐに了解の旨を伝え、教室に向かいました] ████研究員:[最初に教室に入った時、あなたは何を見ましたか?] ██氏[最初は…最初は、暑さで頭が参ってしまったのかと思いました。だって、目の前に、霧の体の少女がいるんですよ?私が狼狽えていると、彼女は、見たことない先生だけど、新人さん?と聞いてきました。(この後しばらく、██氏とSCP-470-JPは自己紹介など世間話をしていた。不必要だと思われるため省略する) ████研究員:[あなたは、SCP-470-JPがなんなのか、詳しく聞きましたか?] ██氏:[ええ。彼女は、昔ここで男の子と心中したと言いました。また、自分は生きているかはわからないが、幽霊ではないから安心して欲しい、とも言いました] ████研究員:[なるほど。他に何か話しておくべきことはありますか?] ██氏:[いいえ、ありません] ████研究員:[それではこれでインタビューを終わります。ありがとうございました] 録音終了 この後、██氏は記憶処理の後、解放されました。 付録470-2-B ██氏へのインタビュー後、SCP-470-JPへも事実確認のためインタビューが行われました。 録音開始 ████研究員:[では、██氏の証言に関しては、事実ですか?] SCP-470-JP:[そう。あの先生、タケシに似てた。] ████研究員:[タケシ、というのは?] SCP-470-JP:[は、はじめての、恋人…私を認め、て、何よりあ、愛してくれた、人。真っ暗でしかなかった私の、たった一つの光] ████研究員:[えー、SCP-470-JP、あなたが発生する直前までの記憶はありますか?] SCP-470-JP:[え、ええ。あるわ] ████研究員:[話してください] SCP-470-JP:[私は、あ、あの教室でタケシと心中し、したの。えと、私は、その時、にん、妊娠してた。彼、は、責任取るって言ってく、れた。だから、私、は、じゃあ、結婚のかわり、で一緒に死んで、って言った] ████研究員:[あー、避妊はしなかったのですか?] SCP-470-JP:[(微笑みながら)したよ?私がアレ、買ってきたの。穴空いてた、のかな?] ████研究員:[どのような方法で心中を図りましたか?] SCP-470-JP:[一酸化炭素。理科室に、あったの、知ってたから。彼、が持ってきたち、小さなテントを、テープで、密閉した。(薄く笑顔を浮かべて)知ってる?あれ、何の、匂いもしな、いの。でも、じ、じわじわ死んでるのは、わかった。最期に、って、彼を抱きしめた。彼も、私をだきしめ、た。今も、覚えてる。彼の匂い。彼も私の匂いを嗅いでた。「いい香り」っていってくれた。ふふ、かわいいよね、彼] ████研究員:[あー、えー、ありがとうございました] 録音終了 付録470-2-C この記録は繖博士によるSCP-470-JPへのカウンセリングの最中の音声を文章化したものです。 繖博士:[…では、この間話してくれた母親からの虐待の記憶が、君の根幹に居座っているという事かな?] SCP-470-JP:[このあい、だ?私、繖、さんに、そ、その事話したっ、け?] 繖博士:[ああ、話してくれたよ。忘れてしまったかな?数ヶ月前だから仕方ないかもしれないが] SCP-470-JP:[わす、れた?…ああ、またか] 繖博士:[また、とはどういう事かな、SCP-470-JP?] SCP-470-JP:[え、あ、昔、私は、頭で記憶し、してた。でも今は、あの、体全部で、き、記憶してる。大事なことも、そうでないことも] 繖博士:[ふむ。君は今、忘れっぽくなってるのかい?] SCP-470-JP:[う、うん。あと、大切な事、もおな、同じように、体が入れ替わってく、と、忘れるようになった。タケシとの、思い出も、みんな、みんな…] 繖博士:[なるほど。匂い物質が記憶を保存しているのかもしれないね] SCP-470-JP:[そ、そうなの、かな。ね、ねぇ、繖さん、私は、匂いでできてる、けど、それが全部、入れ替わったら、そ、それって、本当に、私って、い、言えるの、かな。…怖いよ…タケシ、会いたい…うぅ…] 録音終了 結果: SCP-470-JPを構成する匂い物質は、それぞれが記憶を保持しているという可能性が浮上しました。これは、匂い物質の拡散により、SCP-470-JPが記憶と主張するものを失っていっていることを示します。SCP-470-JPの発生理由の解明のためにも、何らかの対策を講じるべきだと考えられます。 + カウンセリング担当の職員への注意事項 - 閉じる 以下の文章は20██/12/14、午後13時19分に録音された、SCP-470-JPと繖博士の対話中の発言です。 ねえタケシ、どうしたの?そんな変な話方して-SCP-470-JP この直前、及び直後の発言は通常通りたどたどしいものでした。このことは、SCP-470-JPに記憶の混乱が発生している事に起因すると推測されます。また、「タケシ」と呼び掛けられた際、「タケシ」として返答すると、積極的にコミュニケーションを行うようになります。しかし、SCP-470-JPと呼びかけると、一切覚えていないかのように通常通り振る舞います。 現在は記憶の混乱により不確定の事象が発生することを防ぐため、暫定的に「タケシ」と呼びかけられても反応しないよう指示されます。 「タケシ」としてコミュニケーションを取る間、SCP-470-JPはまるで恋する乙女のように振る舞い、また君に好意を寄せているようなそぶりを見せるだろう。そのことは我々のような者にとっては素晴らしい癒しとなるだろう-繖博士 調査のため数度「タケシ」としてコミュニケーションをとった繖博士はこのように発言し、またSCP-470-JPへの愛情とも呼べるものが発生していました。これは記憶処理による抹消が不可能であり、匂いの特異性との関連が疑われています。 尚、現在繖博士はカウンセリング担当ではありません。
scp-471-jp
評価: +256+–x アイテム番号: SCP-471-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-471-JPはその性質上、完全な収容はできません。財団職員はSCP-471-JP、もしくはSCP-471-JP-1と思しき不審者を早期発見するために全国の学校を定期的に調査し、午後4時44分頃に地域パトロールを行ってください。また、財団のネット管理部門はSCP-471-JPを構成する文字列を検知した場合、文字列を削除し、閲覧した人物を把握してください。新たに発生したSCP-471-JPは速やかに発生源を特定し、SCP-471-JP-1の出現イベント後SCP-471-JPの内容を知った一般人は全員がクラスB記憶処理を施した後に解放されます。 SCP-471-JPの内容は基本的には担当となる職員のみがアクセス可能です。新たに担当となった職員は4日後の午後4時44分までにSCP-471-JP-1の対処方法が伝達されます。収容違反が発生した場合、カバーストーリー『気のせい』を行うためにSCP-471-JPを知らない職員に内容を伝達してください。 説明: SCP-471-JPは人型実体(SCP-471-JP-1)に関する、一定条件を満たした情報です。最初のSCP-471-JPは1970年代に一部の地域において子供たちの間で発生したことが判明しています。1970年代において財団が記憶処理を施した後に『口裂け女』などの噂を流布したことによりSCP-471-JPを陳腐な怪異の噂話として発生を減少させてきました。しかし、SCP-471-JPの発生条件は容易に満たすことができるため、現在でも偶発的に発生することがあります。 SCP-471-JP-1はSCP-471-JPの内容を知った4日後の午後4時44分に出現する男性の人型実体です。見た目は黒色のシルクハットとマントを身に着けたタキシード姿の男性の姿をしています。SCP-471-JP-1はSCP-471-JPの内容を知った人物(以下、被験者)が自身の存在を視覚で認識した場合、被験者を捕獲しようと行動します。この時被験者が44分間逃げ切ることでSCP-471-JP-1は消失し、以降被験者の前にはSCP-471-JP-1は出現しなくなります。これは被験者に記憶処理を施した後に再度SCP-471-JPを伝えた場合でも同様です。SCP-471-JP-1が抵抗の意思がない被験者を捕獲した場合、SCP-471-JP-1と被験者は消失します。現在、消失した被験者の行き先は不明です。 1970年代の███県においてSCP-471-JP-1が子供たちから蹴る殴る等の暴行を受けているのをエージェントに発見されました。エージェントはSCP-471-JP-1をすぐに救出しましたが、SCP-471-JP-1は再度子供たちに襲い掛かろうとしました。その後、警察に連行される途中でSCP-471-JP-1が消失したことから何らかのオブジェクトであると考え、子供たちに聞き取り調査を行ったことでSCP-471-JPが発覚しました。財団はSCP-471-JPが一種の情報災害的な性質を備えていることから、すぐさまSCP-471-JPと異なる内容の噂話である『口裂け女』及び『人面犬』などが流布されました。現在では財団の尽力によりSCP-471-JPの内容は財団が知るのみになりました。 付録471-JP-01 SCP-471-JP担当職員のみ閲覧可能 閉じる SCP-471-JPが成立する条件は次の要素が入っている場合です。 異次元からやってきた。 黒いマントとシルクハットをかぶったタキシード姿の男。 人間を捕まえて異次元に攫う。 この噂を聞いた4日後の午後4時44分にこの男が現れる。 助かる方法は44分間逃げ切る。 上記の内容に『100mを3秒で走る』等、何らかの内容を付け足した場合や逆に内容を削った場合ではSCP-471-JP-1が出現することはありません。 補遺: 実験記録。 実験記録471-1 - 日付197█/██/█ 対象: SCP-471-JP 実施方法: 運動能力の高いDクラス職員(D-11123)を用いてSCP-471-JP-1の身体能力を測定する。近くには武装した警備員が2名が護衛している。 結果: 197█年当時の小学1年生平均的身体能力値より若干低い数値が得られた。 分析: SCP-471-JP-1の身体能力が低くなっている可能性としてはSCP-471-JP自体が子供たちでも生還することができる前提の噂であるためではないだろうか。しかし、万一に備えて武装した警備員は実験中常につけるべきである。 実験記録471-2 - 日付197█/██/█ 対象: SCP-471-JP 実施方法: Dクラス職員2名(D-13188とD-18929)にSCP-471-JPを同時に聞かせ、出現イベント時には別々の地点で待機させる。 結果: 最初の22分間はD-13188の前に出現し、残りはD-18929の前に出現した。 分析: SCP-471-JP-1はあくまでも1人だけしか出現できないようだ。数が増えた場合ではどのように出現するのだろうか。 追記: 数が増えた場合でも時間内に全員の前に現れることができるように出現していく。また、大きな怪我を負った場合では再出現時に完治している。 実験記録471-3 - 日付197█/██/█ 対象: SCP-471-JP 実施方法: SCP-471-JPの出現時刻にDクラス職員(D-09182)を乗せた車を走行させておく。 結果: SCP-471-JP-1は車の前方に出現し、そのまま跳ね飛ばされた。SCP-471-JP-1の体は動かなくなったが、44分間その場に残り続けた。 分析: 今までの観察からどのような状況でもSCP-471-JP-1は必ず被験者の視線の先に出現するようだ。今回は被験者が前方を向いていたために跳ね飛ばされたが、横に向いていた場合はおそらくその場に置いていかれるのだろう。 追記: 実験記録471-4において目の前が崖になっている位置で出現時刻を迎えた。SCP-471-JP-1はそのまま叫びながら崖下に落下していった。出現位置には足場の有無は関係ないようだ。 実験記録471-5 - 日付197█/██/█ 対象: SCP-471-JP 実施方法: SCP-471-JP-1が被験者の目の前に出現することから、Dクラス職員(D-13666)には出現イベントまで壁を見続けてもらう。 結果: SCP-471-JP-1は被験者の後方に出現したがD-13666を襲う気配がなかったため実験終了まで壁を見続けてもらった。結果、消失までの44分間SCP-471-JP-1は出現位置で自身の存在をアピールし続けていた。実験の終盤ではすすり泣く様な音声も記録されている。 分析: SCP-471-JP-1は被験者の前方に出現できない場合、後方に出現するようだ。また、SCP-471-JP-1は被験者に自身の存在を視界に入れてもらわなければ襲撃できないと思われる。 追記: 壁ではなくガラスだった場合を調査した。ガラスのような透明なものである場合、SCP-471-JP-1はガラスを挟んだ向こう側に出現する。 実験記録471-6 - 日付197█/██/█ 対象: SCP-471-JP 実施方法: 終了予定のDクラス職員(D-21310)を用いてSCP-471-JP-1が連れ去る場所を観測できるか調査する。この時、D-21310は手錠等で身動きが取れない状態にしてある。 結果: SCP-471-JP-1がD-21310に強く抵抗されたため、実験開始10分でエージェントが麻酔銃でD-21310を狙撃した。SCP-471-JP-1はこちらに気づいた様子だったが、迷っているような素振りを見せた後、狙撃の17分後にD-21310を捕獲し消失した。D-21310に取り付けた発信機はそのまま反応を消失した。 分析: SCP-471-JP-1は動けない人物ではなく、抵抗しない人間のみを連れ去ることができるのだと思われる。また、発信機の状態から連れ攫われた人間が連れていかれる場所は今の科学ではわからないようだ。 事案記録471-JP-01 - 日付 1990/██/██ SCP-471-JP-1と思しき存在が出現したことによる事件が収容完了までに████件発生しました。以下はその当時発生した主だった事故の内容です。 自動車事故201件(死亡事故18件。主にSCP-471-JP-1を回避しようとして発生したもの) 落下事故23件(死亡事故4件。内1件は落下してきたSCP-471-JP-1に巻き込まれたことで発生した。残りは高所作業中に巻き込まれたもの) 鉄道人身事故による緊急停止8件(全てSCP-471-JP-1が列車と衝突したことによる。巻き込まれた人々の中にはSCP-471-JP-1の一部を見たことで精神的なストレスを受けた者もいる) 停電9件(全てSCP-471-JP-1が電線を切断したことによる) 飛行機の緊急着陸2件(1件は飛行機の目の前にSCP-471-JP-1が出現したことによる衝突事故。もう1件はSCP-471-JP-1が右翼エンジンに巻き込まれたことで発生したエンジントラブル) 飛行機の墜落事故1件(自衛隊の戦闘機の目の前に出現。パイロットは脱出したため無事。また機体が墜落したことによる犠牲者は無し) 上記の内容は全てSCP-471-JP-1が直接引き起こしたものです。間接的に引き起こされた事故は含まれていません。この収容違反において怪我人████名、内重症者が██名発生しました。死亡者は██名となっています。今回の事件における全体の損失金額は██億に上るとみられています。 この収容違反で発生したSCP-471-JPは███県の少年が考えたものと判明しており、最初は子供内でこの話を語ったものだったのが学校全体に広まっていったと思われます。また、広まった原因の1つに親の世代が口裂け女などの噂を話していたこともあり、懐かしさからSCP-471-JPを複数の友人に話していったと考えられています。 事案記録471-JP-02 - 日付 2014/██/██ SNSを監視していたエージェントがSCP-471-JPを発見しました。幸いにもSCP-471-JPが書き込まれてから日付を跨いでおらず、今回発生したSCP-471-JP自体はすぐに削除されました。SCP-471-JPを認識した人物は2414名であることが確認されており、財団はカバーストーリー『気のせい』を行うためにSCP-471-JPを知らない財団職員29478名にSCP-471-JPを流布しました。結果として1人当たりの出現時間を約0.082秒にすることができました。しかし、SCP-471-JP-1に関連していると思われる事故が8件発生しており、次回の収容違反時にはより多くの職員にSCP-471-JPを伝達する予定です。 追記: 現在までに財団が調査可能な範囲でSCP-471-JP-1が拉致に成功した回数は1回のみ(実験記録471-6のみ)です。
scp-472-jp
評価: +39+–x 収容体制確立前に一般道路側から撮られたSCP-472-JP アイテム番号: SCP-472-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-472-JPは移動させることが出来ないため、工事による立ち入り禁止の看板及びロープ、常駐警備員による封鎖をすることで対処されています。侵入しようとした民間人には「下水道の大規模工事が行われている」と説明し、退去させてください。もし侵入し、SCP-472-JPの特異性を発現させた場合は即座に鎮圧し、記憶処理を施した上で解放してください。その際上がるであろう悲鳴の後処理については、警備員に一任します。 SCP-472-JPが存在する路地に接続している住宅は4軒全て財団により徴収され、実験などの観察、分析、SCP-472-JPに侵入することなく路地内に入るために使用されています。 実験はセキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可があれば実施することが可能ですが、目撃リスクの軽減のために実験は夜間に限定し、防音処理を徹底して実施してください(詳しい実験前手順は「472-JP実験前準備要項」を参照してください)。 例外的なSCP-472-JP-Aが発生した場合はすぐに主任研究員に報告してください。 説明: SCP-472-JPは東京都████区████の住宅街に存在する一般道路と国道██号に接続された幅1.8m、全長180mの路地に続く曲がり角です。 SCP-472-JPは歩行によって一般道路、国道側からSCP-472-JPに侵入した場合にのみその特異性を発現し、被験者は29%の確率でSCP-472-JP-Aと分類される存在と衝突します。SCP-472-JP-Aの発生の瞬間が確認されたことはありません。発生するSCP-472-JP-Aに規則性は確認できておらず、ほぼ全ての場合において人体の28%から46%ほどがランダムに発生している模様ですが、2例の「例外」も存在しています(詳細は実験記録を参照してください)。SCP-472-JP-Aと衝突した際の転倒や、突起部が存在していた場合による負傷、精神的ショック以外、被験者に対する被害は報告されていません。 SCP-472-JP-Aは全ての場合においてDNA、加齢変化、既往症などの特徴が被験者と一致しています。また着衣が存在する箇所が発生した場合、その着衣も同時に発生することが確認されています。顎部から上が発生した例はありません。全てのSCP-472-JP-Aは発生の瞬間まで全身が存在していたのかのように、出現後に出血等の反応を見せ始めます。しかし、前述の「例外」はこの限りではありません。 SCP-472-JPは199█/██/██に突如その異常性を発現しました。最初の被験者となったのは近所に住んでいる高校生で、199█/██/██の18:30頃に一般道路側からSCP-472-JPに侵入したところ右腕と両足がSCP-472-JP-Aとして出現しました。彼はほぼ毎日のようにSCP-472-JPを通過していたことが確認されています。この事件はすぐに財団へ報告され徹底的な調査が実施されました。しかし発現した特異性のほかに異常な点が見つからなかったため、関係者全員にクラスB記憶処置を施し現在の収容体制を確立しました(調査の詳細は「事件記録472-JP-1調査記録」を参照してください)。 以下の実験記録は重要と考えられる記録のみを抜粋しています。完全な記録は「472-JP全実験記録」を参照してください。 実験記録472-JP-1 - 日付199█/██/██ 対象: D-472-1 実施方法: 一般道路側からのSCP-472-JPへの侵入 結果: 両腕のある胸部から頸部がSCP-472-JP-Aとして発生。解剖の結果、D-472-1と全特徴が一致。また切断面は非常に滑らかであり、出現した瞬間に切断されたようであった。 付記: SCP-472-JPに対する初めての実験であり、特異性の発現までに2度の侵入を行っている。また、衝突位置はD-472-1の胸部であった。 実験記録472-JP-2 - 日付199█/██/██ 対象: D-472-1 実施方法: 国道側からのSCP-472-JPへの侵入 結果: SCP-472-JP-Aは発生しなかった。 付記: この後、一般道路側からの侵入なども含めて複数回試行したが異常性は発現せず。 実験記録472-JP-3 - 日付199█/██/██ 対象: D-472-2 実施方法: 国道側からのSCP-472-JPへの侵入 結果: 腰部から下がSCP-472-JP-Aとして発生。特徴及び切断に関しては実験記録472-JP-1と同様。 分析: D-472-2の衝突位置は腰だった。この事からおそらくSCP-472-JP-Aは被験者の該当箇所と同じ高さに発生しているのではないかと考えられる。 実験記録472-JP-7 - 日付199█/██/██ 対象: D-472-6 実施方法: 一般道路側から侵入 結果: 全臓器を持つテラトマ体がSCP-472-JP-Aとして発生。またこの際、着衣は発生しなかった。D-472-6の胸部に衝突後落下し、その衝撃で破損した。 分析: 衝撃による破損個所を考慮すれば、これまでの実験で発生したSCP-472-JP-Aと同様に特徴が一致していたと考えられる。 実験記録472-JP-8 - 日付199█/██/██ 対象: D-472-7 実施方法: 国道側から侵入、ただしD-472-7にはあらかじめ特性を伝えておいた 結果: 四肢の欠損した胸部から腰部までがSCP-472-JP-Aとして発生。解剖によると、急性胃腸炎及び胃潰瘍が見られた。実験前の検査によるとD-472-7にそれらの症状は見られなかった。 分析: 実験後の検査でD-472-7は実験に対する恐怖によってストレスが生じ、それらの症状が発生していたことが判明した。どうやら曲がり角を曲がるその「瞬間」を複製しているようだ。 付記:以後SCP-472-JP-Aの特徴及び切断に関する記述は、異常がない限り省略される。 実験記録472-JP-11 - 日付199█/██/██ 対象: D-472-10、-11 実施方法: 一般道路、国道側から同時に侵入 結果: D-472-10側には両腕が存在しない顎部から腹部までが、D-472-11側には両腕のみがSCP-472-JP-Aとして発生。 実験記録472-JP-12 - 日付199█/██/██ 対象: D-472-12、-13 実施方法: 国道側から2人同時侵入 結果: D-472-12側には腹部から両足までが、D-472-13側には両腕がSCP-472-JP-Aとして発生。 実験記録472-JP-13 - 日付199█/██/██ 対象: D-472-14、-15 実施方法: 一般道路から2人同時に侵入 結果: D-472-15側にはテラトマ体がSCP-472-JP-Aとして発生、D-472-14側には未発生。 メモ: 2名の被験者による両側同時、国道側から同時、一般道路側から同時、全て揃った。だが、全く関係がないようだ。 実験記録472-JP-18 - 日付199█/██/██ 対象: D-472-20 実施方法: 自転車による国道側からの侵入 結果: SCP-472-JP-Aは発生しなかった。 付記: この後、一般道路側からも含めて複数回試行したが異常は発生せず。 分析: 歩行による侵入が発現の条件なのかもしれない。次は原動機付自転車やバイクなどで実験を行う。ただしこれはDクラス逃亡の恐れがあるため、職員が行う事とする。 実験記録472-JP-21 - 日付199█/██/██ 対象: D-472-21 実施方法: 歩行による一般道路側からの侵入 結果: 全身がSCP-472-JP-Aとして出現。しかし、自立行動を起こすことはなく回収された。実験後にD-472-21に対して精密検査が行われたが異常は見つからなかった。 補遺: 回収されたSCP-472-JP-Aに対して解剖を試みたところ、一切切断することが出来なかった。後に加熱、冷凍なども試みたが一切変化が及ぶことはなかった。しかし、SCP-472-JP-Aは外的な力で動かすことができ、触覚は人体そのものであると報告されている。回収されたSCP-472-Aは24時間体制で監視される。 メモ: 回収されたSCP-472-JP-Aは完全に「停止」している、と言える。顔は恐怖そのもので、だ。更に驚くべきことに、MRIによればその心臓すら「鼓動の途中で」止まっていた。 実験記録472-JP-42 - 日付200█/██/██ 対象: エージェント三井 経緯: 200█/██/██ 21:██に国道側からSCP-472-JPに誤って進入 結果: 全身がSCP-472-JP-Aとして出現、驚愕の表情を浮かべていること以外は実験記録472-JP-21と同様であった。 付記: これは正規の実験ではありませんが、2例目の例外的なSCP-472-JP-Aの発生事例であるため実験として記録。回収されたSCP-472-JP-Aは実験記録472-JP-21と同様に監視。 補遺: エージェント三井は強い精神的ショックを受けたため、記憶処理を申請したが拒否された。その後異動。 メモ: 報告書作成時点で延べ8█回の実験が行われてますが、この2例以外の「例外」は発生していません。 補遺1: 実験記録472-JP-21で被験者となったD-472-21は199█/██/██に終了させられた。終了と同時刻に発生したSCP-472-JP-Aの「停止状態」が解除され、死亡。死因はD-472-21と完全に一致した。 補遺2: 200█/██/██にエージェント三井が自室で死亡しました。自殺と見られています。発生したSCP-472-JP-Aは補遺1と同様に「停止状態」が解除され、死亡しました。
scp-473-jp
評価: +192+–x 評価: +192+–x クレジット タイトル: SCP-473-JP - 僕からのバトンタッチ 著者: SOYA-001 作成年: 2016 評価: +192+–x 評価: +192+–x Dクラス職員を使用した実験で撮影されたSCP-473-JP アイテム番号: SCP-473-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-473-JPは、その収容規模の巨大さから存在の隠蔽はせず、SCP-473-JPの所在する該当地点全域をエリア-81██として指定し、カバーストーリー「建設途上」「施設所有権不透明」を周辺地域及びSCP-473-JPに接近する人物全てに適用します。またSCP-473-JPは観測用ドローンを使用し24時間体制で転送される人物がいないかを監視してください。SCP-473-JPには月に1度、現在収容中のSCP-473-JP-1を配置し、国内に居住する一般人のSCP-473-JPへの転送を防いでください。 SCP-473-JP-1の収容は副次的収容手続-473-JPに基づき、恒常的に極度のストレス状態を維持します。収容中のSCP-473-JP-1の個体数が減少した際は所定のサイト管理者の許可の上、精神状態の悪化しているDクラス職員をSCP-473-JPに配置して補充し、出現したSCP-473-JP-1はクラスB記憶処理を実施した上で回収してください。 収容違反などによりSCP-473-JPに転送された人物は原則として救出作業は行われません。SCP-473-JPに出現したSCP-473-JP-1は回収せず、転送される前の状況を維持できるように適宜対応してください。回収済のSCP-473-JP-1に対しての実験及びインタビューは担当の研究主任の許可を取った上で行ってください。また、SCP-473-JPを用いた実験は必ずクリアランスレベル2/473-JP以上の権限を所有する職員1名が行ってください。 説明: SCP-473-JPは、201█年█月██日に日本の太平洋側、緯度33.██████、経度138.██████の地点に出現した、高度15m、全長4.5km、全幅1.9mの木製の海上橋です。SCP-473-JPには環境上の経年劣化は見受けられません。 SCP-473-JPの特異性は、日本国内に在住する人物(以下、"被験者"と定義)を無作為に選出し、SCP-473-JPへと対象となった人物を転送する能力を有していることです。転送された被験者は突然転送されたことに対して動揺しますが、即座に自身が当初からそこにいたかのように記憶状態が調整されます。SCP-473-JPへと転送されてから3~5分が経過すると、被験者自身と同様の容姿をした人型実体(以下、"SCP-473-JP-1"と定義)が出現します。SCP-473-JP-1は被験者に対し友好的な態度を取り、被験者の最も悩んでいる事柄を聞き出します。SCP-473-JP-1は被験者の悩みを聞き出し終えると「この橋の向こうまで一緒に競争しよう」という旨を被験者へ伝え、SCP-473-JP-1は被験者との競走を持ちかけます。この競走に対し被験者は必ず承諾の意を示し、その時点より競走が開始されます。 SCP-473-JP-1との競走はおおよそ30分~120分間の間行われます。その間はSCP-473-JP上空の天候が急激に変化し、巨大な雨雲が出現します。被験者及びSCP-473-JP-1は競走中、上空の雨雲からの豪雨に晒されますが、この豪雨による競走への影響は特に無いと特異性非活性化後の被験者及びSCP-473-JP-1へのインタビューで判明しています。 SCP-473-JP-1との競走は転送地点により変化し、概ね700m~2kmの距離が競走時の距離として現在まで確認されています。これらの距離をSCP-473-JP-1または被験者のどちらかが走り切ると終了し、SCP-473-JP-1または被験者のどちらが先に到着したかによってその後の特異性の結果は変化します。変化する特異性の結果は以下の2通りです。 被験者が勝利した場合: SCP-473-JP-1は被験者が競走で勝利したことを称えるような行動を取り、被験者が元いた環境へと自動的に転送されます。この際、SCP-473-JP上空を覆っていた雨雲は瞬時に消滅し、被験者の認識できる方向に必ず虹が出現します。また、SCP-473-JP-1との関係は被験者にとって印象深く残るものであると記憶され、被験者へのインタビューの結果、被験者の抱えていた悩みは全て解消されたと供述しています 。財団による被験者への調査の結果、被験者はSCP-473-JPの影響下に曝される以前より精神状態が安定していることが判明しています。 被験者が敗北した場合: SCP-473-JP-1は被験者に競走に敗北したことを励ます行動を取ります。被験者はSCP-473-JPに励まされたことによって安心できた、と訴えます。SCP-473-JP-1は被験者と離別後、被験者が元いた環境へと転送し、その先で被験者として成り代わることになります。SCP-473-JP-1の転送から1分前後で被験者はSCP-473-JPから消失します。この際、被験者の生死の確認は全て失敗しています。また、SCP-473-JP上空に発生していた雨雲は被験者の消失とほぼ同時に消失します。 201█年までに確認されている転送された人物は10代後半~30代前半までの国内在住の日本人及び日本国籍を取得した人物となっています。また、被験者がSCP-473-JPのどの地点へと転送されるかはランダムに決定されるものと推測されています。被験者がSCP-473-JPへと転送されると、SCP-473-JPへの侵入はどのような方法を用いても不可能となります。 補遺473-JP-01: 財団によるSCP-473-JPの収容以降に確保されたSCP-473-JP-1は、202█年█月█日までサイト-81██内の標準人型収容施設内に3体収容されていました。SCP-473-JP-1は被験者との差異は見られず、DNA検査でも被験者と同等の遺伝子情報が検出されました。また、SCP-473-JP-1自身がSCP-473-JP-1であることを認識した上で、被験者の記憶のほぼすべてを把握していると推察できることから、被験者と関係する人物には一切把握できない程すり替わりが巧妙に行われているものと思われます。尚、収容当初から確認される限りにおいてSCP-473-JP-1には目立った特異性は確認されず、対外的な懸念が極めて少ないことから、最終的に財団日本支部理事会の承認を経て収容状態は解除されています。 補遺473-JP-02: 当初、SCP-473-JPはその特異性の性質上SK-クラス:支配シフトシナリオの発生が懸念されていました。しかし、201█年██月█日から行われた複数回の実験の結果、SCP-473-JP上にDクラス職員を人為的に投入することにより、最大1~2ヶ月間は一般人の転送が実行されなくなることが判明しました。この方法が現時点での有効的な収容方法として現在の特別収容プロトコルに採用されています。SCP-473-JP-1とすり替わったDクラス職員は現在5名です。これらの職員の今後の処理については財団日本支部理事会の回答待ちです。これらの職員はSCP-473-JPの収容プロトコルに利用するため、適宜収容数が調整されています。なお、SCP-473-JPを用いた実験内容は実験ログ473-JPを参照してください。 + 実験ログ473-JPを表示 - 実験ログ473-JPを非表示 実験記録473-JP-01 - 日付 201█/██/█ 対象: D-00231 実施方法: 記録装置とGPSを装備させ、SCP-473-JP上に配置する。 追記: D-00231は自身の家族を殺傷後、財団に雇用された。また、█████大学の陸上部に所属していた経歴がある。 結果: D-00231の殺人の経緯や至るまでの動機などを聞いた上でSCP-473-JP-1は競走を提案。D-00231はSCP-473-JP-1との競走に勝利し、エリア-81██のDクラス職員用宿舎へ転送される。D-00231へのインタビュー時、SCP-473-JP-1に勝利したときの被験者は「夢のような気分だった」と供述。その後、SCP-███-JPの収容作業に使用した際も、D-00231はストレス反応がほとんど検出されなかった。 分析: 人為的にSCP-473-JPへ配置された場合は被験者の居住地に転送されるようですね。また、Dクラス職員の精神衛生向上に利用できるかもしれません。 -北村沢博士 実験記録473-JP-02 - 日付 201█/█/██ 対象: D-08239 実施方法: 記録装置とGPSを装備させ、SCP-473-JP上に配置する。 追記: D-08239は過去に事故で両親をなくし、██度の詐欺を行った経緯がある。 結果: D-08239の過去や詐欺に至るまでの動機などを聞いた上でSCP-473-JP-1は競走を提案。D-08239はSCP-473-JP-1との競走に敗北し、D-08239は消失。GPSの反応も同時に消失した。敗北後、SCP-473-JP-1はD-08239を褒め称えるような動作を行い、D-08239と離別しエリア-81██のDクラス職員用宿舎へ転送される。入れ替わったSCP-473-JP-1は目立った特異性は確認されなかった。 分析: 念のためD-08239とすり替わったSCP-473-JP-1は標準人型収容施設に収容しておきます。 -北村沢博士 実験記録473-JP-03 - 日付 201█/█/██ 対象: D-33233 実施方法: 記録装置とGPSを装備させ、SCP-473-JP上に配置する。 追記: D-33233は特異性発現範囲外とされる52歳。過去に複数の女性に対し[編集済]を行った経緯がある。 結果: D-33233配置から30分以上経過してもSCP-473-JP-1の出現には至らず、D-33233はそのまま回収された。 分析: 想定通りの結果になりましたね。30代よりも上の年齢の人は競走は肉体的に難しいからでしょうか。 -北村沢博士 実験記録473-JP-04 - 日付 201█/█/██ 対象: D-21932 実施方法: 記録装置とGPSを装備させ、SCP-473-JP上に配置する。 追記: D-21932は23歳の女性。怨恨による殺人を行った経緯がある。 結果: D-21932の怨恨に関する経緯をSCP-473-JP-1に説明し、予定通り競走を開始。D-21932はSCP-473-JP-1に勝利し、エリア-81██のDクラス職員用宿舎へ転送される。D-21932の回収後インタビューにて「雨が止んでSCP-473-JP-1と虹を一緒に見た時は泣きそうになった」と説明している。 分析: SCP-473-JP上空に現れる雨雲には被験者に対しての精神的作用を誘発する能力でもあるのかもしれませんね。 -北村沢博士 実験記録473-JP-05 - 日付 201█/█/██ 対象: SCP-473-JP-1/D-08239 実施方法: 過去の実験でD-08239とすり替わったSCP-473-JP-1をSCP-473-JPへ配置。 追記: SCP-473-JP-1を繰り返しSCP-473-JP上に配置することで、オブジェクトの安定的な収容が可能かを検証。 結果: SCP-473-JP-1/D-08239を配置したまま30分以上観察を続けたがSCP-473-JP-1は出現せず、SCP-473-JP-1/D-08239はそのまま回収された。 分析: 今回の実験結果から推測するに、SCP-473-JP-1そのものはSCP-473-JPの転送対象外となっているのかもしれません。 -北村沢博士 + 収容違反記録473-JPを表示 - 収容違反記録473-JPを非表示 収容違反記録473-JP: 201█年█月██日に、サイト-81██で勤務していた███研究助手がSCP-473-JPへと転送される事案が発生しました。転送された███研究助手は機動部隊による救出作業が行われましたが、SCP-473-JP上空に発生する雨雲によりSCP-473-JPへの侵入が阻まれ、███研究助手はSCP-473-JP-1との競走の末SCP-473-JP-1が勝利する結果となりました。そのため、本物の███研究助手がSCP-473-JPによって消滅したものと推測されています。███研究助手として転送されたSCP-473-JP-1は現在サイト-81██内の標準人型収容施設内でSCPオブジェクトとして収容中です。詳細はインタビューログ473-JPを参照してください。 インタビューログ473-JP: 対象: SCP-473-JP-1 インタビュアー: 北村沢博士 <録音開始, 201█/██/█> 北村沢博士: SCP-473-JP-1、あなたは自分がSCPオブジェクトとして収容されていることは理解できていますか? SCP-473-JP-1: まあ、とりあえずは、と言ったところですね。 北村沢博士: そうですか。では、あなたは本物の███研究助手に何をしましたか?詳しい経緯を教えて下さい。 SCP-473-JP-1: ええっと、███はああ見えて結構気が弱いんですよね。その割には話好きで、自分のこととか、好きな食べ物とか、趣味とか、いろいろ教えてくれました。 SCP-473-JP-1: サイト-8181の食堂の唐揚げが美味しくて好きだとか、助手としての才能を褒められたのが嬉しかった、とか…。 北村沢博士: SCP-473-JP-1、質問だけに答えてください。 SCP-473-JP-1: あ、すみません…███のお話がとてもおもしろかったもので…。 SCP-473-JP-1: えっと、彼とそうやって雑談とかしているうちに、彼はどんどん表情が暗くなってきたんですね。どうしたのかって聞いてみたんですけど、あまり話したがらなかった感じです。 SCP-473-JP-1: 僕も彼に無理やり聞こうとは思わなかったので、元気が出るかなと思って███に「一緒にこの橋を走れば、そんな暗い気分も吹っ飛んじゃうよ」って言ったんです。 北村沢博士: ふむ、それは何故ですか? SCP-473-JP-1: 実は僕もよくはわかりませんけど、あの橋はそのためにあるからだと思います。走った人の気分が晴れるようにと、そのためのものなんだろうなって。 北村沢博士: わかりました、続けてください。 SCP-473-JP-1: はい。[2秒間の沈黙]…そして、███は僕の誘いに乗ってくれました。じゃあただ走るのも面白くないし、向こう側の端っこまで競走しよう、ってなったんですね。 SCP-473-JP-1: 僕も彼も、競走となると乗り気になりましたね。僕も負けないぞ!って気分になったのはよく覚えてます。 SCP-473-JP-1: で、僕ら二人はヨーイドンで競走したんです。確か大体1km位の距離を走ったかな…。その間、彼は今までにあった嫌なこととか、愚痴とか、いろいろ話してくれたりしました。途中から大雨が降ってきたりとかしましたけど、それでも僕も彼も、走ることをやめませんでした。 北村沢博士: 競走中に███研究助手の悩みのようなものを聞いたりしていた、いわばカウンセリングのようなものでしょうか? SCP-473-JP-1: それに近いと思います。何せ、彼からいろいろ教えてくれましたから。 SCP-473-JP-1: 例えば、サイト管理者の██さんの彼に対しての叱責で暴言がひどかったとか、Dクラス職員へちょっとやさしい扱いをしたら叱られたりとか、███自身の陰口を聞いてしまったりとか、徹夜で書き上げた研究レポートがいつの間にか捨てられてたとか、走ってる時に込み上がってきたのかいろいろ教えてくれましたよ。 SCP-473-JP-1: あと、1番直接的に███にとって辛かったのが、1ヶ月前に███が担当していたSCP-[編集済]-JPでの実験で失敗続きだったとかでいつも怒られてた事だそうです。しまいには収容違反を起こしたりとかで厳重注意を受けたとかも、泣きそうになりながら教えてくれました。 北村沢博士: そうですか、少々お待ち下さい。[北村沢博士が離席し、1分後にインタビュー再開]…少し質問を変えます。では何故███研究助手は競走に負けたのでしょうか。 SCP-473-JP-1: あれは、負けたというのはちょっと違うと思います。どちらかと言えば、███がいろいろ思い出していくうちにどんどんつらくなっていって、走れなくなったんです。 北村沢博士: 走れなくなった…我々の確認しているSCP-473-JPに関する情報と食い違うのですが。 SCP-473-JP-1: そこは人によってまちまちみたいです。僕は走ったら気持ちよくなれる場所だと思ってますので…。で、彼は…███は、自分の不遇さに耐えられなかったんだと思います。 SCP-473-JP-1: ███は「もう僕は走れないよ」とだけ言って、その場でへたり込んじゃったんですね。その時の顔、本当につらそうでしたね…。 SCP-473-JP-1: そんな彼の姿を僕は見てられなくて、僕は、███の代わりにサイトへ行こうか、って提案したんです。 北村沢博士: それでSCP-473-JP-1は███研究助手とすり替わったという事でしょうか。 SCP-473-JP-1: そうです。彼は最初は不思議な顔をしてきましたけど、███と同じ姿形の僕なら、多分上手くいくだろう、君はもう休んでいいって言ったんです。彼も少し考えたあと、それでやってみようって言って納得してくれました。 SCP-473-JP-1: で、彼も自分の今の環境から離れられるということに安心したんでしょう、もうその頃にはすっかり雨が止んで…まあ、いつもは見える虹こそ無かったですが、すごく晴れた空を見上げて、涙を流していました。 SCP-473-JP-1: ███は、すっかり安心しきった様子で僕に、じゃああとはよろしくねって言って任されました。だから、今僕はここにいるんです。彼の代わりに、僕が出来ることをやっていこう、と。 北村沢博士: なるほど。大体の経緯は分かりました。最後に質問しますが、███研究助手はその後SCP-473-JP上で消失しましたが、それについて分かることを教えて下さい。 SCP-473-JP-1: 消えたんですか?僕が見ている限りだとそんな様子はありませんでしたけど…。 北村沢博士: [███研究助手が消失する瞬間の映像をSCP-473-JP-1に見せる] SCP-473-JP-1: 本当だ…[1秒間の沈黙]でも、僕は彼から別れてからすぐにこのサイトへ転送したので、どうして消えたかまでは分からないです。 北村沢博士: そうですか、分かりました。ではインタビューを終了します。 <録音終了, 201█/██/█> 終了報告書: SCP-473-JP-1には目立った特異性や敵対性などは見受けられませんでした。ただ、特異性がないと認識させている可能性もあるため、SCP-473-JP-1は引き続きサイト-81██の標準人型収容施設に収容を続けます。また、如何なる職員であっても当該オブジェクトに今後インタビューを行う事は禁止します。 + 補遺473-JP-03を表示 - 補遺473-JP-03を非表示 補遺473-JP-03: 201█年█月██日に発生したSCP-473-JPの収容違反以降、当該SCP-473-JP-1個体へのインタビューおよび、これまでSCP-473-JPとしてすり替わったすべてのDクラス職員および一般人へ再度詳細なインタビューが行われました。その結果、SCP-473-JP-1としてすり替わった全ての被験者は共通して重度のストレス環境下に置かれていたことが判明しました。 またこの事実の発見以降、意図的にストレス影響下に置かれたSCP-473-JP-1をSCP-473-JPに配置した結果、別のSCP-473-JP-1が出現し競争が発生しました。結果的には配置された側のSCP-473-JP-1個体が敗北し、新たなSCP-473-JP-1がDクラス職員用宿舎に転送された後に消失しています。 その後重ねて実施された数回の検証実験とインタビューの結果として、繰り返しすり替わったSCP-473-JP-1個体にも目立った危険性が見られないこと、そしてSCP-473-JPのさらに安定した収容手順の策定に有効に利用可能であることなどから、202█年█月██日以降、新規特別収容プロトコルの制定とSCP-473-JP-1に対して副次的収容手続-473-JPが策定されました。これが現在、最も安定した収容方法であると考えられ、Safeクラスへのオブジェクトクラスの改訂が検討されています。 現在サイト-81██に収容されている、副次的収容手続-473-JPを実行中のSCP-473-JP-1個体は以下の通りです。 オブジェクト収容ID すり替わり前の人物 ステータス 次回使用予定 付記 SCP-473-JP-1-A D-08239 ストレス状態 202█/10/1 初期のSCP-473-JPの実験に使用。 SCP-473-JP-1-B D-95701 重度のストレス状態 202█/11/1 初期のSCP-473-JPの実験に使用。 SCP-473-JP-1-C ███研究助手 重度のストレス状態 202█/12/1 インシデント473-JP-01発生時に確保。 SCP-473-JP-1-D D-01129 安定状態 202█/8/1 インシデント473-JP-01以降のSCP-473-JPの実験に使用。 SCP-473-JP-1-E D-13806 ストレス状態 202█/9/1 インシデント473-JP-01以降のSCP-473-JPの実験に使用。
scp-474-jp
評価: +81+–x 捕獲用ドローンによる再収容直前のSCP-474-JP アイテム番号: SCP-474-JP   オブジェクトクラス: Safe   特別収容プロトコル: SCP-474-JPは専用の飼育ケース内で飼育されます。飼育ケースは小静物オブジェクト収容用個室内に安置され、監視カメラとサーモグラフィーによる間接的な監視を行ってください。給餌や給水、清掃や設備の点検と新設は遠隔操作のロボットによって行い、収容用個室内にいずれの人間も立ち入らないようにしてください。 SCP-474-JPを用いた実験はセキュリティクリアランスレベル1以上の職員ならば誰でも申請が可能ですが、担当研究チームの承認を必ず得た上で、2名以上の担当研究員の立ち会いのもと行ってください。   説明: SCP-474-JPは体長約9cm、体重33.4gの一般的なジャンガリアンハムスター(学名:Phodopus sungorus)です。SCP-474-JPは同種の通常個体と比較した場合、通常の食性と生理機能、感覚能力、情動反応を有します。しかし睡眠を一切取らない点と、老化も成長も一切進行していない点で異なっています。 また、常時やや興奮状態にあると見られており、飼育ケースに対して攻撃的な行動に及ぶ例も報告されていますが、現在まで飼育ケースの破損による収容違反は発生していません。   SCP-474-JPの視界内に覚醒している状態の人間(以下"被験者"と呼称)が入った時、被験者に対して異常が発現します。被験者は外部からの刺激に一切反応しなくなり、SCP-474-JPを常に凝視した状態で踊り始めます。踊っている最中もSCP-474-JPへの凝視は維持され、可能な限り頭部を同一空間地点に固定したままで踊り続けます。 SCP-474-JPは被験者に対して特に関心を持つような素振りを見せませんが、踊りの最中は非常に興奮した様子を見せます。これが異常性質によるものなのか、正常な動物的本能によるものなのかは判明していません。   被験者による踊りの形式やパターンは被験者によって異なりますが、同一の被験者を複数回SCP-474-JPの異常性質に曝露させた所、それぞれで異なる形式やパターンの踊りを実行しました。 踊りの様式は部分的に既存の近代舞踊、民族舞踊との共通点が見られますが、全体的にはそれら既存の舞踊と無様式の舞踊が混在した無秩序なものです。しかしこれまでの例全てに於いて、必ず右手第三指を立てたまま激しく腕部を動かすという動作を複数回実行するという共通点が存在します。   踊りは4〜26分間継続され、踊りが終了するのと同時に被験者は昏倒します。この昏倒は、脳に対して非常に強いストレスが短時間でかけられた事による本能的な防御反応であると結論付けられています。 被験者は踊りの記憶を有しており、何故踊りに及んだのかについて訊ねた場合、必ず以下の文章をそのまま発言します。 だってげっ歯類の知識は月の丘陵線に至るディリディリディリダが夢の音楽を奏でてたからだよ その他の精神活動については、異常性質に曝露する前となんら変わっていません。   補遺: 担当研究主任蕾家博士の手により、被験者による踊りの中で、第三指を立てている間の右手首から先の軌道をSCP-474-JPの存在する地点から観測し、二次元的な線として捉え、描かれた順番で繋ぎ合わせる事によって何らかの法則性のある図形・数式、または文章が構成可能であることが判明しました。 以下は、これまでの実験記録の見直しによって発見された図形・数式、または文章の一覧です。 月の表側に存在する"海"の模様外縁図 アラビア語訳された『植物雑種の研究』書籍タイトル 無向グラフの定義式 アメリカ合衆国カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州を含んだ西海岸域海岸線図 『神話的突歯類』という架空の書籍タイトルと序文と思われる文章。文章は84字の中国語繁体字で書かれていると思われる 「宇宙だ宇宙がくるネズミがわらっている」という日本語で書かれた文章 塩基対の化学式と「参拾壱万万」という文字 「imperium」という文字 『dididada dideda dididalu dido』という文字と、ロシア語で構成された論文調の文章。文章では高脂肪有機物を低脂肪タンパク質へと変成する方法が論じられていると推測される ██████の証明式 「raediness」という文字 これらの図形・数式、または文章は、一度の踊りの中で必ず一つ表されており、全ての被験者はこれらの構成パーツを描き切ってから1分以内に昏倒していたことが発見されました。
scp-475-jp
評価: +124+–x SCP-475-JP アイテム番号: SCP-475-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-475-JPは金庫に収納した上で、サイト-8181の低危険物収容ロッカーに保管されます。実験などの理由により移動が必要な場合、SCP-475-JPは金庫に収納した状態のまま移動させてください。移送および実験時には、情報端末の持ち込みが禁止されます。 説明: SCP-475-JPはヒトの眼球を模したガラス製の球体です。サイズは直径25mmと、一般的な成人の眼球に近似しています。また非破壊検査において異常な物質や反応は検出されませんでした。 物語や情報が含まれる文章や映像にSCP-475-JPの虹彩部分を向けた場合、向けられた対象の内容が事実か創作であるかを問わずSCP-475-JPはその内容の一部を改変します。改変の内容は悲劇的、暴力的ととれる記述や表現を、消去するかポジティブな物に書き換えるといった方法で検閲するという事が一貫しています。一例を挙げると、改変対象の内容に人物や勢力が対立している描写があった場合は、改変後その原因となった出来事が起こらないなどの理由により対立は発生せず、多くの場合それらの人物は互いに良好な関係を築いているように描写されます。 改変対象が文章や画像の場合、改変後の言語、文体、画風は改変前と同一の物となります。改変された文章の文字数は多くの場合改変前より減少し、これまでに文字数が増加した例はありません。また本のページ数は変化しないため、文字数の減少量によっては文章の無いページが後ろに発生します。 改変対象が映像の場合、改変は暴力的な表現のみに対し黒い画面に置き換える事で伏せる傾向が顕著になりますが、字幕は例外です。また映像音声は影響を受けません。 SCP-475-JPの改変能力は、文章の一部に向けられていても本やビデオテープ、情報機器などの情報媒体全体に及びます。また放送を受信している受像機にSCP-475-JPを向けた際に放送元の映像が改変される等、受信された情報を対象とした場合は情報の送信元にも改変が及びます。 以下はこれまでに実施された実験から特筆すべき記録を抜粋しています。 実験記録475-JP-1 - 日付 20██/02/02 サンプル: 「桃太郎」の絵本一冊。 サンプルの概略: 桃から生まれた桃太郎が、おばあさんから貰ったきび団子で犬、猿、キジを従え鬼ヶ島へ鬼退治に向かう話。 改変された内容: 病に倒れたおばあさんを治す事ができるというきび団子を鬼達が作っていると知り、桃太郎がおばあさんの病を治すために鬼ヶ島へと向かう話。犬、猿、キジは桃太郎から旅の目的を聞くと、自ら協力を申し出て仲間となる。鬼ヶ島に辿り着いた桃太郎達は鬼から好意的に迎えられ、山のように積まれた団子を受け取り家へと戻っていく。 補足: イラストも改変された内容に沿うように変化した。また編者が異なる桃太郎の絵本を用いた実験でも、改変内容は同一であった。 実験記録475-JP-4 - 日付 20██/02/02 サンプル: 文庫本から抜粋した「さるかに合戦」の写し。 サンプルの概略: ずる賢い猿に騙されて死んだ蟹のために、蟹の子ども達が猿に仕返しする話。猿は最終的に子蟹の協力者である臼に押しつぶされて死ぬ。 改変された内容: 猿と蟹達が仲良く柿を分け合って食べている所に、改変前に蟹の子ども達の仕返しに協力していたキャラクター達が柿を分けてもらうためにやってくる内容となる。蟹は始めから子ども達を連れている。 補足: 改変前よりサンプルの文字数は大幅に減少した。 実験記録475-JP-10 - 日付 20██/02/05 サンプル: スペインの画家ゴヤの絵画作品「我が子を食らうサトゥルヌス」のコピー。 サンプルの概略: ローマ神話に登場する神格サトゥルヌスが、自分の子どもを頭から食べている様子を描いている。子どもの胸から上は噛み千切られ、血に濡れている。 改変された内容: 穏やかな表情のサトゥルヌスが自分の子どもを抱きかかえている絵画。改変前より色使いが明るくなっている。 実験記録475-JP-12 - 日付 20██/02/06 サンプル: 201█年に放送されたテレビドラマ「[編集済]」を収録したDVD。 サンプルの概略: 殺人事件を取り扱った刑事ドラマ。 改変された内容: 冒頭の被害者の遺体を映すシーンと犯人が殺人を実行している回想シーン、凶器を映している全てのシーンが消去され、黒い画面に置き換えられた。 補足: 音声に改変は生じなかった。 実験記録475-JP-13 - 日付 20██/02/07 サンプル: 200█年に行われたプロレスの試合を撮影したビデオ映像。 サンプルの概略: 映像の中に選手が血糊を使用して流血しているように見せる演出が含まれる。 改変された内容: 画面の置き換えによる検閲は為されなかったが、選手の流血が確認できなくなった。 補足: スポーツでの攻防は検閲されないものの、それによる流血は許容されないと推測される。 実験記録475-JP-19 - 日付 20██/02/12 サンプル: ██新聞から抜粋した、殺人事件の記事の写し。 サンプルの概略: 201█年に██県██市の住宅街で発生した殺人事件について述べている。 改変された内容: 事件についての説明が消去され、「██市は今日も平和です。」という文章のみが残った。 実験記録475-JP-24 - 日付 20██/02/16 サンプル: [編集済]一冊。 サンプルの概略: 批判本。特定の文化について終始否定的な意見が述べられており、差別用語を用いた誹謗中傷が多く含まれる。 改変された内容: 表紙と内容の文字が全て消去された。 補足: 文章に対し内容の完全な消去が引き起こされた初めての例。 実験記録475-JP-24の結果を受けて、内容の全消去が発生するパターンを特定するための実験が複数回行われました。その結果、改変対象に個人や文化へ向けた誹謗中傷が多く用いられている場合に、内容の全消去が引き起こされる事が明らかとなりました。その後、改変対象にリアルタイムで文字が書き込まれた場合に、SCP-475-JPがどのような反応を示すか検証する目的で以下の実験が実施されました。 実験記録475-JP-28 - 日付 20██/02/17 実験内容: 文字の書かれていないA4コピー用紙にSCP-475-JPを向けた状態で固定し、誹謗中傷に使用される単語を継続して用紙に書き込む。 結果: 書き込まれた文字は、単語になる都度消去された。実験は3分に渡って行われ、最終的に用紙が黒色に変化し記述が不可能となった。実験の終了後SCP-475-JPの表面に微量の水分の付着が認められ、検査の結果この水分がヒトの涙と同一の成分であると判明した。 補足: 付着した水分はSCP-475-JPが発生させた可能性が高いと見られるが、確証を得る為には更なる実験が必要になるだろう。
scp-476-jp
評価: +34+–x アイテム番号: SCP-476-JP   オブジェクトクラス: Safe   特別収容プロトコル: SCP-476-JP-1は現在サイト-8144の静物収容用個室に収容されています。SCP-476-JP-1の収容セキュリティレベルは収容初期から2のままですが、映像による監視は24時間体制で行い続けてください。   SCP-476-JP-2の出現が確認され次第、対象に長期遅効記憶処理を実行した上でサイト-8144の特設隔離収容建屋に収容してください。SCP-476-JP-2に対しては現行の一般社会と同程度の教育を施し、マニュアルによって定められた範囲の社会生活経験をさせてください。 このマニュアルによっては、現在、一日に最大6時間の教化訓練、保育士による情操カリキュラム、精神科医による無制限のメンタルケア、記憶区画の再調整、模範的態度のDクラス職員複数名を用いた社会生活訓練、コミュニケーション訓練、専属護衛要員の配置が定義されています。   SCP-476-JP-2の収容は、SCP-476-JP-2が80歳になるのと同時にプラン:リサイズへと移行します。プラン:リサイズでは長期遅効記憶処理が発動され、対象は意識レベルが回復する47分間以内に、長期タイマー式自動開錠装置と輸送用ドローンによって一般社会へ解放されます。 プラン:リサイズ後のSCP-476-JP-2はエージェントによって監視と周辺環境の囲い込みを行ってください。対象がSCP-476-JP-2Rと接触し、恋愛関係への発展が確認されたとしても、SCP-476-JP-2とSCP-476-JP-2Rが死亡するまで監視と報告を継続してください。 プラン:リサイズへの移行前にSCP-476-JP-2Rが特定された場合は、SCP-476-JP-2Rに対し2名以上の監視を直ちに配置し、現在位置の報告を行ってください。これらの人員は、プラン:リサイズへの移行前にSCP-476-JP-2RとSCP-476-JP-2が対面しないよう、確率改変の影響が微小と思われる誘導を行う義務も負います。   説明: SCP-476-JP-1は全高約7mのブナの木です。対象は定期的な活動傾向を示すものの、植物生理学的には常に枯死状態にあります。幹には約2ℓの人血が付着後乾燥した痕跡があり、その痕跡の中心部分に直径20cm程の樹洞が存在します。 SCP-476-JP-1は3年に一度のサイクルで、樹洞より出生直後の状態のSCP-476-JP-2を発生させます。SCP-476-JP-2出現の原理は不明ですが、後述の異常性により、非常に広範な現実もしくは確率改変の結果であると推測されます。 SCP-476-JP-1は蒐集院より回収された異常存在ですが、その時既に蒐集院が入手していた、SCP-476-JP-1に関連していると見られる資料の年代から、少なくとも紀元前███年には存在していた可能性が示唆されています。   SCP-476-JP-2は独立した身体的特徴と遺伝子を有する人型存在です。全ての特徴は現行人類のものと類似しており、明らかに何れかの人種や身体的特徴を模したものですが、完全に同一な個体が存在しない独自の個体であるため、既存の特定個体を模倣したものではなく、完全に独立した一個体の"出生"なのではないかと論じられています。 SCP-476-JP-2は現行人類としては一切の異常性を持たない個体です。しかしその出現と同日に誕生した出生児の中で、SCP-476-JP-2と同性では無い個体が無作為的にSCP-476-JP-2Rとして選定され潜在的に異常性が付与されます。この選定条件は不明であり、範囲も全世界中に分布しているため、特定出来ていません。   SCP-476-JP-2とSCP-476-JP-2Rは4〜6歳時より、互いの存在を明確に認識しないまでも、曖昧模糊な「好ましい異性のイメージ」として意識し始めます。両者の接点が一切無い場合でもこの現象は発生し、如何なる記憶処理によっても改変は不可能でした。 精神活動の活発化と成熟に伴ってこのイメージはより具体化しますが、その段階では両者は互いの存在を確信してはいません。   SCP-476-JP-2とSCP-476-JP-2Rは、互いに遠隔地に居住していた場合であっても、最終的には両者がその人生に於いて必ず対面するよう確率の改変が発生します。 この確率の改変は、両者の対面を完全に阻止するような障害が存在する場合、より顕著になります。蒐集院の資料によれば、それらは両者の異常な長命や歴史的なイベントの発生をも含み、財団に於いても初期の収容プロトコルによって複数の事故と中規模な収容違反と[削除済]が確認されています。 恋愛関係への移行後に両者の強制的な引き離しを行うこと、もしくは故意に一方あるいは両方を殺害しようとする行為についても、最終的にはこの確率改変によって再び両者の対面へと誘導が行われます。 SCP-476-JP-2とSCP-476-JP-2Rは共にこの現実改変について自覚していません。   SCP-476-JP-2とSCP-476-JP-2Rが確率改変によって対面すると、両者は確実に恋愛関係へと発展し、可能な限り共同生活を行おうとします。しかし同時に、身体的な異常の有無に関わらず、明らかに通常の妊娠確率に逆らった確率的不妊が女性側の個体に発生します。 SCP-476-JP-2とSCP-476-JP-2Rのどちらが女性側であってもこの現象は見られますが、両者共にこの現象に疑問を持つことはなく、子供を持つという欲求も一切見られなくなります。 この不妊現象はどちらか一方が自然死もしくは事故死するまで継続しますが、その後も生存個体は非常に強い恋愛感情を維持し続けるため、生殖に対して極端に消極的になります。   一方もしくは両方の、偶発的な死亡によって確率改変現象は鎮静化します。   補遺: サイト-8144管理官・青堂 篤文による宣言文   SCP-476-JP-2の収容には多大なる犠牲が払われた。 蒐集院の連中は道術的封印と言って事実上アレを放置し、子供を育て社会の礎となるかもしれなかった人物が、ただ消費されるだけの閉じ切った愛に人生を零し続けるのに、見て見ぬふりを決め込んだ。 連中がアレを取り扱う前から、それは永きに渡って連綿と行われてきただろう。 人の生き方は、その人間が自ら決めるべきものであり、その上で社会を生み出していかなくてはならない。 あの樹が一人の人間の生き方を完全に定めてしまうのならば、"人間"という言葉に一体何の意味があるものか。 それは看過出来ぬ損失であり、許してはならない堕落である。 我々はそのために犠牲を払った。彼らのために我々は多くを失った。 多くの資源を、多くの同僚を、多くの友を、サイト-81██を、それこそ多くの愛を失った。 だがそれらは浪費では無かった。私はここに、SCP-476-JPの特別収容プロトコル開発の完遂を宣言する。 愛する二人が出会うのを阻止する、野暮な奴らは馬に蹴られて死ぬのが似合いと、そう来るのならば結構だ。 我々は最初から、SCP-476-JP-2の解放を約束しよう。 いつか必ず二人は出会う。ならば望みは叶えられるだろう。 SCP-476-JP-2が80歳になった瞬間に、記憶区画内に隔離された記憶を除いた全記憶を処理して解き放つのだ。 その瞬間を初めから定め、必ず実行されると固く誓い、永々粛々と、何の異論も無く解放するのだ。 SCP-476-JP-2RはSCP-476-JP-2と対面したその時から、子供を持つことも育てることもしなくなる。 だが出会う前ならば、互いは漠然とした好意を持つだけだ。 そして人間は、その程度の想いには妥協する。必ず妥協する。 果てしなく力強い現実と人生の前に膝を折り、現実的な生き方と表層的な幸福を無理矢理心の内に納めるのだ。 そうして消化し切れぬ想いを抱えながらも、社会の中で真っ当に生きていく。子供を作り、育て、独立させ、胸を撫で下ろして自らの役割が終了したことを自覚する。 まさにその時に、SCP-476-JP-2とSCP-476-JP-2Rは出会う。人生の役割を終える年齢で、我々はそれを許す。 そもそも子供などもう望めず、活動的にもなれぬ年齢ならば、行動に沿った形で発生する確率改変も発生確率は低い。 社会への露出は減り、走り回ることもなく、何かに備えることも無いならば、確率改変が起きたとして小規模にならざるを得ないのだ。 当然ながら、監視は続行し、緩やかな囲い込みは維持する。 だがそれらの対応は、事前にSCP-476-JP-2Rを特定する方法が不明な以上後手に回らざるを得ない。 なればこそ、この方法が最も周辺への影響を抑えられうるのだ。 二人はごく普通に出会い、ごく普通に言葉を交わし、ごく普通に幸福を味わう。 人生の全てを終えた後で。 私はこの方法に確信を持っている。 明確な結果が出るのは未だ先であるだろう。 だが、計画は既に始動しているのだ。 既に4体のSCP-476-JP-2を対象者とした、来るべき社会生活のための訓練が始まっている。 勝利は我々へと傾くだろう。 愛は、これより終わる。 サイト-8144管理官: 青堂 篤文   206█年現在、既に3例に於いてプラン:リサイズの成功が確認されています。
scp-477-jp
評価: +65+–x SCP-477-JP周辺海域 アイテム番号: SCP-477-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 兵庫県淡路島南あわじ市にサイト-8155が構築され、SCP-477-JP-1の観測が行われています。現在SCP-477-JP内の探査計画は打ち切られています。詳細については探査記録い-18を参照してください。 遊覧観光船に偽装された SCPS たづかね によりSCP-477-JP海上の巡視が行われ、民間人によるSCP-477-JP及びSCP-477-JP-1への接触を防ぎます。財団所属の海洋物理学者は月毎にSCP-477-JP-1発生時期の予測を行い、サイト-8155へ通知します。この期間中及び突発的にSCP-477-JP-1が確認された場合、海上保安庁との連携の下当該海域を封鎖します。また、SCP-477-JP-1を抑制するため、SCP-477-JP海上で鎮神派1 の神職による祝詞奏上プロトコルが実行されます。 説明: SCP-477-JPは兵庫県-徳島県間鳴門海峡の瀬戸内海側海釜地帯最深部に位置する都市状の構造群です。構造群は海底から地中へと形成されており、全体の規模は不明です。構造群の上部は推定██隻と見積もられる船舶の残骸で覆われており、SCP-477-JPの外殻として機能しています。これら残骸のうち数隻はSCP-477-JP-1によって沈没した船舶である事が確認されています。これまでの財団工作員の作業により外殻部の一部が取り除かれ、露出した海底洞窟を通してSCP-477-JP内部へのアクセスが確立されています。SCP-477-JP内部空間は大気及び地上と同程度の気圧を有している他、少なくとも██体以上のSCP-477-JP-2が棲息しています。 SCP-477-JP-1はSCP-477-JP周辺の海上において定期的に発生する異常な潮流を指します。SCP-477-JP-1は一般に"鳴門の渦潮"として知られる渦を引き起こす潮流よりも強力かつ不規則であり、潮汐・天候等の影響に及ぼされない事により判別が可能です。この異常潮流は船舶の航行に重大な妨害をもたらし、19██年の財団前身組織による収容開始までに当該海域で確認された██件の海難事故との関連が疑われています。SCP-477-JP-1による被害を受け沈没した船舶はSCP-477-JPの近辺に集積され、その周囲を覆う外殻が形成されます。鎮神派の神職による祝詞奏上プロトコルはSCP-477-JP-1の活動を抑制する効果がある事が確認されています。録音音声及び神職以外の人間によるプロトコル実施では効果を確認する事はで出来ませんでした。かつては鎮神派及び蒐集院が自発的にプロトコルを実施していましたが、蒐集院の解散以降財団は鎮神派構成員の招請を行い、現在の特別収容プロトコルが確立されました。 SCP-477-JP-2はSCP-477-JP内の探査により確認された異常な人間型実体群です。SCP-477-JP-2は遺伝性・先天性の[編集済]などの特徴を示します。これら実体から採取されたサンプルを精査した結果DNA構造において[編集済]と類似していることが判明していますが、探査記録から得られた情報ではSCP-477-JP-2は人間に対し暴力的に振る舞う事が確認されています。 + SCP-477-JP探査記録い-18 - hide block 探査記録い-18 - 日付1968/██/██ 補記: かねてより内部構造の詳細が不明であったSCP-477-JPにつき、探査のため機動部隊い-18“櫟”が招集された。事前に要注意団体より押収した資料に基づき、隊員及び装備の選定が行われた。隊員の選定基準として、財団に対する高い忠誠心(ミルグラム服従度検査において70点以上を得点)及び[編集済]との血縁関係が10世代以上無い事を必須条件とし、この他に勤務実績・身体能力・無信仰等が挙げられる。探査中は財団指定のほ-12対呪術装備を搭載したハザードスーツの着用を義務付けられた。部隊は財団所有の潜水艇 SCPS おおとり に乗艇しSCP-477-JP外殻まで移動、その後以前の潜水作業によって発見された進入口より内部へと進入、展開する。人員は以下の通り。 部隊長: 18-甲 部隊員: 18-乙、18-丙、18-丁、 18-戊、18-己 18-甲: こちらい-18-甲、司令部応答願う。 HQ: こちら司令部。無線受信を確認。感度良好。状況を説明せよ。 18-甲: 了解。我々は現在外殻部を抜け洞窟を通過し、停泊可能な水域を発見した。水上には空気が確認できる。簡易検査の結果成分はやや窒素が多いが人体に無害。これより潜水艇から脱しSCP-477-JPへ進入を開始する。 HQ: 確認。探査に着手されたし。 (約30分間の作業後、隊員全員が洞窟内に進入した) 18-甲: 全隊員酸素供給を一時停止し装備ほに換装。外気とのフィルターを作動させろ。 (換装作業のため数分間沈黙) 18-甲: 全員換装は済んだな?先住民がいるかもしれん。念のため携行武装はいつでも使用可能な状態にしておけ。 (部隊は約5分洞窟を進んだ時点で、突如光が差し込む。部隊は巨大な空洞へと出た。空洞内にはスロープ状の構造が内周に沿って構築されており、地下へと続いている。中心は吹き抜けとなっており最下部は確認できない。壁には不明な光源が約10m間隔で設置されている) 18-甲: 司令部聞こえるか、空洞に下り坂だ。地下深くまで続いている。空洞の向こう側までは約80mといったところか。我々が通った所以外の洞窟とも繋がっているらしい。これより地下へ進入する。 HQ: 確認。注意して進め。 18-己: 驚きましたな。この空洞は砂岩を掘って作られたようです。 18-戊: ああ。どうやらここの住民は多少知恵があるようだ。ご丁寧に段差までついてるぞ。 18-丙: 一度転んだらそのまま一番下までまっしぐら、という心配はないですね。 18-乙: 一応注意しておくが転ぶなよ。もし装備を損失したら生きて地上に戻れるとは限らんぞ。 18-甲: その通りだ。くれぐれも足元に注意してくれ。 (部隊はスロープを下り、地下へと進行する。途中、瓦礫の堆積群を発見) 18-丁: これを見て下さい。 (丁が堆積群の中から何かを拾い上げる。この時丁が拾い上げた物品は後にSCP-477-2の前腕より先の骨格と判明した) 18-甲: 骨だな。人間のものか? 18-丁: 大きさからすれば成人の手の骨だと思われますが、末端部が異常です。資料として採取しておきましょう。 18-戊: 今夜は悪い夢を見れそうだ。 18-丙: 果たしてここの住民は我々を快く歓迎してくれますかね? 18-甲: それを知るために我々が探査を行っているんだ。そろそろ行くぞ。 (部隊は更に地下へと進行。海底から██mの地点に到達。司令部の音声受信装置に金属音が受信される) 18-甲: 全員止まれ。司令部、今の音を確認したか? HQ: 確認した。警戒を怠るな。 18-甲: 全隊員装備を確認、安全装置は外しておけ。戊、この先を偵察してきてくれ。 (戊が先行し地下へと進行。他の隊員はその場で待機。数分後、司令部の映像機器に戊のカメラから送信された金属製の建造群の映像が映し出される) HQ: 18-戊の送信から建造物を確認。直ちに合流されたし。 18-甲: 了解。戊はその場で待機しろ。今すぐそちらへ向かう。 (数分後、部隊は戊と合流。映像に空洞が突如開け広大な空間となっている様子が映し出された。空間内には多数の建造群及び光源が確認され、都市状に形成されていることが分かる。スロープは壁伝いに都市へと続いている。音声記録からは時折金属音が確認された) 18-乙: 何と……。 18-戊: さながら工業都市と言ったところだな。建物はトタンやコンクリートで作られているようだ。 18-甲: 第一目標は達成だ。丁はここで司令部及び全隊員との通信を維持してくれ。他の隊員は各自探査を行う。10分おきの定時連絡の他、注目すべき物品を発見した場合は直ちに連絡を取る事。30分後に再びここに集合する。 (各隊員により建造群の探査が開始される。探査開始から8分後、突如18-乙との通信が途絶する) HQ: 18応答願う。乙との通信が途絶。確認されたし。 18-甲: こちら18-甲、特に異常は見られない。丁、乙との通信状況はどうなっている? 18-丁: こちら18-丁、現在乙との通信回復を試みていますが原因が…… (丙のカメラに人型の実体が2体映り込む。これらは後にSCP-477-JP-2に指定される。実体は丙に向け何かを投擲する) 18-丙: ぐわあっ! 18-戊: どうした!? 18-甲: 丙!何があった! 18-丙: 来るな![呻き声]この野郎! (丙が発砲。映像によれば銃弾は実体に命中したものの損傷は見られない。実体は射撃を続ける丙へと近づき、映像が飽和した時点で丙との通信が途絶する) HQ: 18-甲、直ちに部隊を引き上げよ。丙との通信が途絶した。 18-甲: 全隊員集合地点へ戻れ!これより帰還作業を行う! 18-戊: 待てよ!丙はどうするんだ!? 18-己: 何がありました!?こちらは― (己が転倒。映像にはSCP-477-JP-2実体が建造物上部から己に飛び掛り赤褐色の粘液を浴びせかける様子が映る。その後、己との通信は途絶) 18-甲: 己!応答しろ!無事か!? 18-戊: [編集済]! 18-丁: 隊長!こちらです!現在通信が途絶しているのは乙・丙・己の三名です。 18-甲: 戊、直ちに集合地点に戻れ!これ以上は危険だ! 18-戊: 丙は……己と乙はどうするんだ!? 18-甲: 一度戻ってからだ!戊、司令部からの命令だ!戻れ! (以降戊は甲の呼びかけに応答せず、甲・丁のみで地上へと帰還する事となる。帰還作業中に戊との通信が途絶した。その後約2時間の間、断片的に戊からの音声通信が回復。依然呼びかけには応じず) 18-戊: 畜生、スーツが[不明瞭] 18-戊: 骨だ。骨で出来ている。 18-戊: 司令部応答願う、誰か……クソッ。 18-戊: 水だ! 18-戊: [爆発音][銃声] 18-戊: 己の装備を回収した。己は……見当たらない。これを聞いてる奴誰でもいい、誰か。 18-戊: 血が止まらねえ。こんな所[不明瞭] 18-戊: クソ、誰でもいい、応答してくれ!こちら018-戊、現在進入部より[不明瞭]にいる。遊園地だ、海底に……俺はどうかしちまったのか?遊園地のような建造群が見える。異常な実体が[不明瞭] 18-戊: [笑い声] 18-戊: 忌まわしき[不明瞭]の子よ。幾度我らを苛むか。幾度我らの静寂を侵すか。呪われて有れかし。 (探査から2日後、突如18-乙からの映像通信が回復した。映像は約10分程続き、建設物内部へと進入する様子が映し出されている。視点は廊下を進み、やがて複数のSCP-477-JP-2実体が集合している一室へ辿り付いた。室内には異形の偶像が立っており、中央には台が見える。実体は台の上に仰向けとなった18-丙を囲み、丙の口に赤褐色の液体を流し込む。丙に反応はなし。その後丙の腹部を[編集済]した時点で通信が途絶した) 付記: 探査から3日後、SCP-477-JP海上にて突如SCP-477-JP-1が発生、これまで観測された中でも最大の規模に達し周辺海域を航行中の船舶に対し甚大な被害を及ぼす。この際、当該海域に不明な船舶(後に蒐集院が保有する物と判明)が3隻出現、財団による封鎖を突破し船上にて乗組員が祝詞奏上プロトコルを執り行う。プロトコル開始から5時間後にSCP-477-JP-1は沈静化する。船舶の追跡及び確保は蒐集院からの妨害を受け失敗した。この事件を受けSCP-477-JP内の探査計画は打ち切られる。探査により行方不明となった機動部隊隊員はKIAとして処理された。 + インタビュー記録-1974/██/██ - hide block 対象: ██ ████ インタビュアー: 大伏博士 付記: インタビュー当時対象は鎮神派██神殿宮司であり、財団前身組織によるSCP-477-JP収容以前より代々SCP-477-JP-1の抑制ため祝詞奏上プロトコルを行っていた。現在も財団の対呪術部門顧問としての活動をする傍ら祝詞奏上プロトコルを継続している。 <録音開始> 大伏博士: 初めまして。[財団フロント企業名]の大伏と申します。この度は…… ███: 何かしら身分をお隠しになられる理由がございますのでしょうが感心しませんな。あなた方がどのような組織で、何をなさっておられるかは大方予想がつきます。 大伏博士: ……失礼致しました。しかし我々は機密を保持しなければならない理由があるのです。どうかその事をご理解頂けないでしょうか? ███: [笑い]こちらこそ失礼しました。善をなそうとしながらも名乗れぬ身分もございましょう。重責を担う立場なら尚の事です。どうぞお気になさらず。それで、此度の御用件は? 大伏博士: はい、今日は███さんに幾つか質問をさせて頂きたいと思っております。まず始めにあなたが鳴門で行っている事についてです。あの儀式の効果や起源をお伺いしたく。 ███: 祝詞はかつて海に沈んだ神をあの海域に留めおくための鎮魂にございます。荒魂となった神の御力は強大です。あなた方も鳴門の潮の流れをご覧になられたでしょう。あれは海に沈められた神がその事を恨み、御供を求めて起こすのです。もし鎮めずに捨ておいたならば、神は地上にて更なる禍を起こしかねません。かつて蒐集院と呼ばれた方々はそれを恐れ、私の18代前の先祖に神の御心を慰めるための祝詞を奏上するよう命じたと伺っております。 大伏博士: 神、ですか……にわかには信じられませんな。 ███: 信じ難い事ではございますでしょうが、かつて人と神は密接に繋がっておりました。人々は神の怒りに触れて恐れを知り、神の恵みを受けて祀り崇める術を学びました。しかし現在では神を祀る人は少なくなりました。人々から祀られなくなった神はやがて荒魂へと転じます。そうならぬ様に我々が代々鎮めてきたのです。 大伏博士: 成程。では鳴門海底の構造群を作り上げたのはその神なのでしょうか? ███: いいえ、恐らく[編集済]が築いた集落でしょう。 大伏博士: [編集済]? ███: ええ。神というのは祀られなければ御力が弱まります。先程申した荒魂は、神が己が衰えていくのを恐れ祀られる事を求めた結果転化するのです。また神の中でも強い御力を持つものは己の体を分かち、祭祀を行う者を生みます。それを[編集済]と呼んでいます。鳴門の海に沈む神には[編集済]を生むだけの御力があるでしょう。しかし……[編集済]だけでは限りがあります。彼らは神の血肉を受け継いではいますが、神より遥かに劣る存在です。神はそれらからの崇拝に飽き足らず、更なる信仰を求め海底より我々を引き込もうとするのです。 大伏博士: 成程……その[編集済]は人類についてどう思っているとお考えですか? ███: そこまでは分かりかねます。しかし閉鎖的な環境故に我々が彼らの領域を侵した時には牙を剥くかもしれません。関わりを持とうとは考えない方が良いでしょう。 大伏博士: [編集済]は人類に対し牙を剥くと? ███: 先程申し上げた通り、[編集済]が我々をどう捉えるかは分かりません。しかし古くから触らぬ神に祟りなしと言います。私が出来るのは海の上から神を鎮め[編集済]が地上に目を向けぬ様にする事だけです。 <録音終了> Footnotes 1. 神道系の新興宗教団体。かつて蒐集院との関連が疑われ準要注意団体に指定されたが蒐集院の解散に伴い主要構成員の掌握に成功、現在は財団の対呪術部門等で活動している。
scp-478-jp
評価: +33+–x アイテム番号: SCP-478-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-478-JPはサイト-8137に設けられた監視カメラによって24時間体制で監視された鋼鉄製の収容室に、蓋が開かないように固定した状態で収容してください。また、内容物を取り出すことは後述の特異性の発現に繋がるため、実験を除いて許可されていません。 説明: SCP-478-JPは約90×240×30mmのメーカー不明の二段式筆箱で、ワンタッチ格納式の鉛筆削りと小物入れ、立ち上げ可能なペンシルホルダーが内蔵されています。材質は主に樹脂で構成されていますが、一部に鉄が含まれていることが判明しています。SCP-478-JPはいかなる破損も生じません。 SCP-478-JPに収納されている物品(以降SCP-478-JP-1と呼称)は一見すると一般的な文房具類であり、SCP-478-JP内部より取り出されない限りは何の特異性も示しません。しかしSCP-478-JP内部より取り出された時点で外観の変化と共に後述の特異性を発揮するようになり、再収納すると元の文房具の形態へと変化して特異性を消失します。SCP-478-JP-1が破壊された場合は瞬時に補充がなされ、常に一定数を保つよう調節されます。また、SCP-478-JP-1を取り出した後に一般で市販されている同種の文房具を充填する試みは、何らかの力による排出現象により失敗しています。 確認されたSCP-478-JP-1は以下の通りです。 SCP-478-JP-1 SCP-478-JP内蔵時の外観、数 取り出した際の変化 特異性 SCP-478-JP-1-A 一般的な鉛筆。1ペンシルホルダーに格納され、先端が削られ尖った状態である。2本。 一般的なミサイル兵器に酷似。白を基調とし、金属光沢を持つ。 後部から噴煙を放出しながら飛翔、生体を追尾し、約90%の確率で命中し爆発する能力を有する。破片は爆発後数秒で消滅。 SCP-478-JP-1-B 一般的な色鉛筆。2ペンシルホルダーに格納され、先端が削られ尖った状態である。1本。 一般的なミサイル兵器に酷似。灰を基調とし、金属光沢を持つ。 後部から噴煙を放出しながら直線的に飛翔し、物体に衝突すると爆発。破片は爆発後数秒で消滅。 SCP-478-JP-1-C 一般的なカバー付き消しゴム。ゴム部分はある程度使用された後であるかのように丸みを帯びている。1個。 変化は現れない。 無し。単体では機能しないものと思われる。 SCP-478-JP-1-D バインダークリップ付きのボールペン。2本。 単体では特に変化無し。クリップ部をSCP-478-JP-1-Cのカバーに挟むことで外観が変化。一般的な主力戦車に酷似。灰を基調とし、僅かに金属光沢を持つ。 無限軌道による自律活動、砲撃による攻撃が可能。発射される砲弾は映像解析からボールペンのボールであることが判明しているが、SCP-478-JP-1-Aとほぼ同等の爆発性能を有する。 SCP-478-JP-1-E 一般的な15cm定規。1本。 単体では特に変化無し。SCP-478-JP-1-Dのクリップに7.5cmの目盛部分で挟むことで外観が変化。一般的なジェット戦闘機に酷似。SCP-478-JP-1-Aが最大4本消費されて主翼下部に搭載される。 ジェット噴射による自律飛行、SCP-478-JP-1-Aを使用した攻撃が可能。 SCP-478-JP-1-F 一般的なコンパス。1本。 黒を基調とした、鳥類と酷似した脚部関節構造を有する二足歩行物体。SCP-478-JP-1-Dが最大2本消費されて胴部側面に搭載される。 完全な二足歩行による自律活動、砲撃による攻撃が可能。砲撃性能はSCP-478-JP-1-Dに準ずる。 SCP-478-JP-1-G [削除済]。4枚。 灰を基調とした円盤状物体。 未知の手段による自律的な飛翔、10cmの鋼鉄板を貫通する性能を有した未知の光学兵器を用いた攻撃が可能。 SCP-478-JP-1は、SCP-478-JP-1-BとSCP-478-JP-1-Cを除いて、積極的に周囲の生体3を攻撃しようと試みます。この攻撃行動は、対象がSCP-478-JPの半径10m以遠に到達する、対象が死亡する、破壊される、使用者によってSCP-478-JPに収納される、のいずれかの条件を満たすまで継続されます。 SCP-478-JPは200█/██/██、██県██市の集合団地で発生した爆発死亡事件がきっかけで発見されました。現場からは焼死体が3体4発見されており、SCP-478-JPは全焼した現場で唯一焼け残っていたところを収容されました。この時SCP-478-JP内部より以下の文面の手紙が発見されています。 ██くん5へ このふでばこは、パパとママからのプレゼントです。 しょうがっこうにはいったら、このふでばこでいっぱいおべんきょうしてね。 パパより 文面に記載されている次男の行方は現在も不明です。 現在この家庭がどのようにしてSCP-478-JPを入手したのかの調査が進められています。 補遺-1: SCP-478-JPの蓋部裏より以下の文面が記載された紙が発見されています。 よい子のみんな! 博士は文房具でごっこ遊びをするのが大好きなんだ! みんなも大好きだよね? そんなみんなのために『博士のわくわく文房軍セット』をはつ明したよ! 三つの筆箱を合体させて、きみだけのさいきょうの基地を作っちゃおう! 楽しもうね! 博士のわくわく文房軍セット Vol.2 Footnotes 1. 芯の硬さの違いは特異性に影響しない。 2. 色の種類は特異性に影響しない。 3. 但し使用者は除かれていると考えられる。 4. 調査によりこの家庭の長男・父親・母親であることが判明。 5. 被害家庭の次男の名前と思われます。
scp-479-jp
評価: +38+–x SCP-479-JP アイテム番号: SCP-479-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-479-JPは100リットルの大きさのケースに収納し、施錠してください。財団の感知していないSCP-479-JP個体は速やかに回収してください。 説明: SCP-479-JPはスウェーデンの山中に存在した小屋の中で、黒色のケースと共に発見された合計24匹のレテノールモルフォ(Morpho rhetenor)です。暴露したと見られる民間人の行方不明が報告され、捜索を行った地元警察が小屋を発見し、小屋の内部で舞う多数の藍色の蝶を報告した直後、当該の警察官も行方不明となったことから、財団の注意を惹き確保に至りました。 SCP-479-JPは同一空間に於いて人間とともにいる場合、常に一定方向に飛翔し続けます。また、摂食や排泄、休息等を全く必要としないようです。この特異性により狭い空間で実験を行うとSCP-479-JPが壁面に胴体を擦りつけて死亡する事があり注意が必要です。しかしながら、老衰や病気による自然死が起きないことから基本的にSCP-479-JPは外的要因無しに死亡しないものと思われます。広い空間でSCP-479-JPを飛翔させるとおおよそ人間の頭上十数cm付近を飛翔し続け、障害物を避けて進みます。 SCP-479-JPの主な特異性はその針路と、SCP-479-JPを追跡する事によって発現します。SCP-479-JPは通常昼夜を問わず北半球では北へ、南半球では南へ進み続けます。初期のストックホルム実験-479の際、無人探査機でこれを追跡した結果、SCP-479-JPは探査機の操縦者か、実験の責任者であるポアンカレ主任の付近で滞空し続けました。SCP-479-JPがどのようにして人間の追跡する意志を読み取っているのかは現在諸説あるものの、結論は出されていません。 数回の実験にて、SCP-479-JPは追跡者が伴い、その追跡が開始されると北半球に於いては北へ、南半球に於いては南へ針路を取り、そのままそれぞれの方向へ出港する予定の船舶または航空機の中に入り込みます。追跡者がそれに同乗した場合、SCP-479-JPはそれら船内ないし機内に滞空し続けます。おおよそ船舶の場合、その進路上の最北点/最南点に達した時点でSCP-479-JPは海上に飛び出し、その地点を滞空し続けます。追跡者がそれに準じて船を降りるとSCP-479-JPは更なる北上、南下を行います。SCP-479-JPが入り込んだ物が航空機である場合、最北点/最南点にて機内の壁面に身体を擦り付けながら北/南へ飛翔を試み続けます。 そして、SCP-479-JPを追跡した人物は通常では説明することが出来ない不特定の異常現象に遭遇するようです。 補遺: 実験探査記録479-SE 20██年4月2日 更に北から追跡を開始した場合のデータを収集するためのDクラスを使用した飛翔追跡実験。開始地点は北極氷上ポイント-00。SCP-479-JPを追跡するDクラス合計14名には一週間分の食料と記録用紙とペンを装備させ異常現象が起きた場合それを筆記させ、その地点に置いて進むよう指示しました。食料が尽きた場合や追跡に支障が出た場合は無線にて支援を要請出来るようバックアップ体勢も敷かれていました。 実験開始から4ヶ月後にDクラスの一団は北極点付近にて消失。監視衛星では北極点到達まで███kmほどのポイント-Z3付近で突如として消えたように観測されました。三次元座標計測記録装置の最後の信号に不審な点はありませんでした。 追記: 消失したと考えられていたDクラスの内3名とSCP-479-JPが財団南極支部サイト-672にて保護されました。健康面で致命的な被害を受けていた1名を除いた2人には長旅による精神的ダメージ以外に特筆すべき異常な症状はありませんでした。3名が回復した後に行われたインタビューについて、全員が「歩いてきただけだ」と主張。その周囲の景観や様子について詳細に語らせましたが南極大陸に見られる正常な情景と差異は認められませんでした。彼らに「君たちは北極から南極まで歩いてきたのか?」と質問しましたが事実を理解できないようでした。 補遺: 実験探査記録479-AQ 20██年10月1日 SCPAC-イボイノシシ 南半球ではSCP-479-JPの飛翔方向が南へと変わることから行われた飛翔追跡実験。先の実験の結果を鑑み、大型輸送機C-130を改造したSCPAC-イボイノシシにSCP-479-JPを格納し、財団南極支部から南極点へと飛行させます。対象は南極点付近から消失し、北極点付近に再出現するとの仮説から北極点に再出現すると予想された██月██日には財団ロシア支部による回収保護体勢が敷かれました。 結果的に、SCPAC-イボイノシシは仮説通り北極点に再出現し財団ロシア支部に回収されました。乗組員の記録も映像記録も正常な南極を映すのみであり、南極から北極に切り替わる境目は確認できず、それが極徐々にしか変化していないものとされています。 これらの実証から、16世紀初めから観測されている世界的現実改変の痕跡とその残留に関する研究の躍進が期待されています。財団は速やかに現実改変の影響を受けない人工観測衛星の研究を行うことが求められています。 SCP-479-JPの全貌は未だ未解明に終わっています。SCP-479-JPに関する実験の際に発生するヒューム値の増減はほぼ観測されておらず、これは地球の形状に関わる新見解を齎す可能性を秘めています。ですが、砕氷船を用いた北極側SCP-479-JP追跡実験は、脱出不能のリスクを鑑みて現在議論が進められています。 SCP-479-JPが発見された小屋の持ち主であるグレゴリー・ペレルマン氏の消息は依然不明のままです。近隣住民によると彼はキノコ狩りが趣味であるとの情報が得られていますが、付近の山中を捜索しても発見されませんでした。グレゴリー・ペレルマン氏はロシアの数学研究者であり、ミレニアム懸賞問題であるポアンカレ予想の解決のため、フィールズ賞を授与される予定でしたが、授賞式にペレルマン氏は現れず、失踪しています。氏の小屋にはSCP-479-JPの他に三次元上のポアンカレ予想に関する多数の研究痕跡とSCP-479-JPに関する記述がありました。しかしながら、SCP-479-JPを作成したのかどうか、その目的は今のところ分かっていません。
scp-480-jp
評価: +197+–x 評価: +197+–x クレジット タイトル: 未完成の山間公園 著者: ©︎rkondo_001 作成年: 2014 評価: +197+–x 評価: +197+–x アイテム番号: SCP-480-JP オブジェクトクラス: Euclid SCP-480-JP内部 特別収容プロトコル: SCP-480-JPの周囲には複数の鉄条網と障壁を設置し、その内外は常にカメラによる監視を行ってください。SCP-480-JPへの全ての通路は封鎖し、許可された者以外の立ち入りを禁じます。SCP-480-JPのエリア上空も侵入禁止区域とし、特にヘリコプターに分類される機体の通行を阻止してください。もし一般人の侵入が発生した場合は「地面崩落・土砂災害危険地帯」のカバーストーリーを与えて退去させてください。侵入者がSCP-480-JPの影響を受けた場合は状況に応じた治療とBクラス記憶処理を施してください。 説明: SCP-480-JPは███県山間に存在する公園跡地です。展望台を有す中央施設と大型遊具やスポーツコートからなるアスレチックエリアで構成されています。国内に存在する同規模の施設に比べ充実した設備を保有していますが、これらを含めた公園内の各所が未完成のまま放置されています。 SCP-480-JPは20██年の開業を予定して建築・設営が開始されましたが、20██/██/██を境として作業員に原因不明の死傷者・行方不明者が出た事により財団の注意を引きました。施設の設営計画は“土砂災害・地盤沈下の発生”というカバーストーリーにより凍結され、位置する区域ごと財団のフロント企業により買収・管理されています。 SCP-480-JPでは複数の物理的・空間的な歪みが発生しており、各エリアの敷地面積の累計がSCP-480-JP全体の面積を超過している事が分かっています。内部では存在する造形物の瞬間的な消失・転移や、視認可能にもかかわらず物理接触が不可能になるといった異常が確認されています。これらは極めて不規則であり、稀にこの現象に近辺の他の物体や生物を巻き込みます。巻き込まれたオブジェクトは多くの場合形状の異常な歪みや他の物体との融合を引き起こし、場合によっては消滅します。また施設内の至る所で草木や流れる水といった物体が本来発生すべき場所から乖離1しているほか、「侵入した物体が突然空中に打ち出される・もしくは地中へ落下する」「移動する物体に物理的エネルギーを遥かに超えた力で弾き飛ばされる」「上空を飛行するヘリコプター類の高い墜落率」といった数多くの事項が確認されています。 SCP-480-JP-1は施設内に不規則に現れる、6~7歳の日本人女児と推測される姿をしたヒト型の実体です。物理的な接触は可能ですが、SCP-480-JP-1はそれに反応を示さないように見えます。常に敷地内の何処かを徘徊しており、摂食・排泄・睡眠などの行動はみられません。SCP-480-JP-1は日本語で発話しますが、その内容は限られています。以下はDクラス職員を通したSCP-480-JP-1との対話記録です。 + SCP-480-JP-1に関する記録を開く - 記録を隠す 対象: SCP-480-JP-1 インタビュアー: D-4168 付記: D-4168は通信により小南博士からの指示を受けています。 <録音開始> D-4168: やあ、お嬢ちゃん。 SCP-480-JP-1: きゃはははは。 D-4168: 君はなんて名前かな? SCP-480-JP-1: ねえ!すっごく楽しいんだよ! D-4168: いやだからさ、何て名前? SCP-480-JP-1: ここだぁいすき! D-4168: (次の質問に移るよう指示を受けて)…君は何処から来たんだい? SCP-480-JP-1: わたしいつまでも遊んでたいなぁ! D-4168: ずっとここにいるの? SCP-480-JP-1: ずっと遊びたいの!ずっとずっと遊びたいの! D-4168: 君はここに住んでるの? SCP-480-JP-1: 毎日だって楽しいんだよ!一緒に遊ぼ!展望台に行って、森のなかを探検して、おっきい遊具で遊んでるの!今日も昨日もその昨日もその昨日もその昨日もその昨日もその昨日もその昨日もその昨日もその昨日もその昨日もその昨日も D-4168: ちょっと SCP-480-JP-1: 明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日もその明日も D-4168: えっ SCP-480-JP-1: ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと (D-4168は悲鳴をあげ、以降雑音が続く) <録音終了> 終了報告書: D-4168はその場から逃走し、職員により保護されました。D-4168は軽度の錯乱状態でしたが、異常は見られませんでした。SCP-480-JP-1の発話は不気味なほどに機械的であったとD-4168は述べています。 最初の発見時から数年が経過していますが、SCP-480-JP-1に外見的成長は見られません。SCP-480-JP-1からは特筆すべき危険性は現在見つかっていません。事象8-12-A以降、SCP-480-JP-1への物理的接触は永久的に禁止されました。(事件記録8-12を参照) 事件記録8-12 20██/██/██、研究のためにSCP-480-JP-1を移送する試みがなされました。SCP-480-JP-1は容易に小型収容セルに納められたものの、敷地からの搬出が行われた際にSCP-480-JPの急速かつ大規模な空間異常と物理的異常を誘発しました。その効果はSCP-480-JP周囲160mに存在する全物質を巻き込んでの連続的なオブジェクトの転移と融合を発生させ、[編集済]、結果的に[編集済]を経たSCP-480-JPの一時的空間喪失へと繋がりました。(事象8-12-A)これによりDクラスを含む財団職員17名が周囲オブジェクトとの融合/身体変形・切断・消滅/表皮の変質2などで死亡、もしくは終了されました。事態は機動部隊れ-5(“バックアップ”)の早急な対応によって沈静化され、現在は事象8-12-A以前のSCP-480-JPの状態へ復元されています。 補遺: この事件により、SCP-480-JP-1の存在がSCP-480-JPに発生する異常の根源に関わっているとの見方が示されました。 SCP-480-JP-1の外見的特徴は建設中に行方不明となっている███建設社長████氏の長女█████(当時6歳)と一致を示しています。 補遺: 設営計画責任者███氏の手記 + 資料を開く - 資料を閉じる 以下は███氏の自室より発見された手記からの記述の抜粋です。 ██/██ ██地区の山間公園開発について 20██年開業を目標→███建設と契約合意、来年度より建築開始を目指す この計画は███市の再開発事業の基幹となる重要事項である。何としても成功させろ! ██/██ ███建設とのミーティング。██地区山間部の住民からの強い反対活動により致命的な計画の遅れ-このままでは間に合わずふざけんな ██/██ 建築作業の援助参加希望団体あり,東北「如月工務店」,要検討→契約成立、来月より参加 なんと無料のボランティア! ██/██ 昨日より如月工務店参加。どういう事か本日はあのクソ反対住民共も一匹も居ない。極めて順調。 ██/██ 同行していた███建設社長の娘が消えた。夜のうちに建築現場に忍び込みやがったらしい。作業員総出で捜索するも見つからず。社長にはカネをつかませ、家族と警察には自宅周辺で失踪したと伝えさせる→本日中、絶対隠せ!!!!! ██/██ 反対住民共がそろって行方不明。例のガキと違ってこれは天の助けか。さすがに警官が来て調べていったが俺らは何もしてないし無実だ。これからは建設が捗る。 如月工務店の協力期間が満了。すばらしい成果! 敷地面積が足りないにも関わらず、計画された施設全てを上手い事詰め込んでくれた様子。 残りの細部は███建設の能無し共が担当。金返せ ██/██ ███建設に作業員負傷者3名 5名→死亡2名行方不明2名 現場の安全確認不行き届き→特にみられず おかしな事言う輩がいる 壁抜け?落下?→おかしい!!! [[超常現象]][[娘の幽霊]] 呪い???→如月工務店 現状報告-受け入れられずクソが 俺はヤクなんかやってねえ クソ上司どもは現状を見ろ キサラギと連絡とれず 娘の失踪=生贄=ありえない建築速度=バグ=キサラギ こんなのは望んでいない ・ ・ ██/██ 本日を持って責任者の任を解雇。       鬼だ ███氏は解任された後に失踪しており、現在の足取りは掴めていません。 SCP-480-JPの建設作業は記録上███建設によるものとなっていますが、“如月工務店”という団体が援助する形で事業に参加していた事が一部の書類により判明しています。「停滞していたこれらの建築を驚異的な早さで進行させた」との証言も確認されています。如月工務店は“東北地方を中心に営業している”と担当者に申告していましたが、調査の結果そのような業者は存在しませんでした。 補遺: SCP-480-JP内部で回収された文書 + 資料を開く - 資料を閉じる                            平成██年██月██日 ███県███市役所 都市建設部 建築行政課 再開発部長████様 有限会社 如月工務店 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、このたびは弊社と特別契約のご締結賜わり、ここに厚く御礼申し上げます。 弊社の長年に渡る研究の成果と最新のデジタル技術を盛り込んだ「正確」かつ「迅速」な設営を行わせて頂きました。幸い████様のおめがねにかない社員一同大変喜んでおります。 なおご契約の際、周辺住民とのすれ違いが建設の障害となっているとお聞きしましたので、当社で引き取らせて頂きました。我々としても近年資源の不足に悩んでおりましたので、このような有意義な機会を提供して頂きましたことに、心より感謝申し上げます。 また、███建設社長令嬢████様より「誰よりも早く、そしていつまでも楽しく遊びたい」との御希望をお受けしましたので、建設作業の「柱」として手配させて頂きました。どうやらお気に召されたようで幸いです。 公園新設により、███市の皆様が今後より一層のご発展をとげられますよう、心より祈念申し上げます。 なお、心ばかりではございますが、お礼のしるしまでに粗品をお送り致しますので、 ご笑納下されば幸いと存じ申し上げます。 本日は略儀ながら書中にて御礼申し上げます。                            謹白 文書中の「粗品」は同じくSCP-480-JP内部で発見されています。内容物は製造元不明の焼酎でしたが、分析の結果一部人間由来と思われる成分が検出されています。 脚注 1. 地面からずれた空中に発生。 2. 上皮組織が土・樹皮などの周辺物質に置き換わっていた
scp-481-jp
評価: +35+–x アイテム番号: SCP-481-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 日本国内に存在する棒なしの固飴を製造している製菓工場で製品の重量を検査する検査具の導入を行い、検査に合格しなかった製品を財団管轄下にある企業を用いて回収してください。また、従業員による不良品の持ち帰りなどが起こらないよう定期的な指導と監視を行ってください。回収されたSCP-481-JPは必要な数のみをサイト-81██の冷蔵機能付きの保管用金庫に収容し、残りは粉砕したのちに焼却処分してください SCP-481-JP-Aの発生が発覚した場合は直ちにSCP-481-JP-Aを個人で終了することが出来る十分な武装を施した財団職員を派遣してください。もしSCP-481-JP-Aの破裂行動が行われた場合は清掃部隊を派遣し、目撃者の記憶処理と被害に応じた適当なカバーストーリーを流布してください。 SCP-481-JP及びSCP-481-JP-Aの実験はセキュリティクリアランス3以上の研究員2名以上の許可が必要です。SCP-481-JP-Aに関する実験の際は必ずSCP-481-JP-Aを終了するための十分な武装を施した職員3名を待機させてください。 説明: SCP-481-JPは約3か月ごとに日本国内の製菓工場に存在する製造直後の飴玉の内部に出現する異常な生命体です。SCP-481-JPは変異する前は直径3ミリの透明な球状の物体のような姿をしています。SCP-481-JPが出現する飴玉は棒が付いていない固飴に限られ、内部に空洞がある飴玉には出現しません。多くの場合は球体、もしくは楕円形に近い形状の飴玉に出現しますがドロップ状の飴玉からSCP-481-JPが発見された事例もあります。 内部を観察できる飴玉であれば目視でSCP-481-JPを観察することが可能です。SCP-481-JPを含む商品は通常よりも約10g重量が増加します。現時点でSCP-481-JPが混入している商品を見分ける方法はこの重量差のみです。 SCP-481-JPの入った飴玉が摂取され唾液がSCP-481-JPに触れた場合、SCP-481-JPは瞬時に変異を行いSCP-481-JP-Aへと変化します。飴玉が舐め溶かされず噛み砕かれた場合はSCP-481-JPの変異は発生しません。 SCP-481-JP-Aは3対6本の鋭い鍵爪を持つ人間の腕と1対2本の人間の足を持つ、全身が飴細工で構成されているミツツボアリ属(Myrmecocystus)に類似した特徴を持つ実体です。変異したSCP-481-JP-Aは即座に強い光を発するとともに体長5~8mまで成長します。その結果多くの場合、飴玉を摂食していた人間はSCP-481-JP-Aの体に圧迫され死亡、もしくは重症を負うことになります。 成長が終了した後、SCP-481-JP-Aは自身が包み込まれていた飴玉を製造した製菓工場へと向かい約5km/hの速度で移動を行います。SCP-481-JP-Aが何を目的として製菓工場へ向かうのかはSCP-481-JP-Aの目的地到着が実現した例がないため確認されていません。SCP-481-JP-Aは基本的に2対の腕のみを用いて這うような形で移動を行います。使用されない2対の手足は自傷行為・周囲への攻撃・運動の停止などの行動を不規則に行います。SCP-481-JP-Aの自傷行為は極めて激しく、自身を自己終了した事例も確認されています。現在、何故そのような移動方法を行うのかは不明です。 最初期のSCP-481-JP-Aの腹部に内容物はありません。時間の経過につれ腹部内にSCP-481-JPが包まれていたものと同成分の高温な液状の飴と高濃度のギ酸で満たされていきます。現在SCP-481-JP-Aが貯蔵する内容物の上限は確認されておらず、膨張に伴いSCP-481-JP-Aの腹部の耐久性が低下していきます。 SCP-481-JP-Aの腹部が外部からの衝撃によって損傷を受けた場合、破裂音と共にSCP-481-JP-Aが消失します。その直後内容物と同様の物質が約高度1kmの地点から降り注ぎます。その範囲と時間は不明ですが腹部がおよそ直径40mまで成長したSCP-481-JP-Aが破裂した事例では約1時間にわたり半径15kmの範囲で50mm/hの内容物が降り注ぎました。SCP-481-JP-Aの破裂はSCP-481-JP-Aの腹部以外の部位を破壊し終了することによって防ぐことが可能です。 SCP-481-JP-Aが上記のような危険性や巨体を持つのにもかかわらずSCP-481-JP-Aに関する情報を得た人間はSCP-481-JP-Aの危険性を異常に過小評価します。中でも正義感・好奇心・名誉欲・金銭欲などが強い人間はSCP-481-JP-Aの殺害・捕獲・記念品の入手などを目的にSCP-481-JP-Aへと接近を試みます。また、接近を試みる人物は目的達成のための他者からの支援・援助に強い拒否反応を示します。この影響はSCP-481-JP-Aの攻撃で死亡した他者の死体を目撃した場合でも継続します。この精神影響を受けた一般人の攻撃によりSCP-481-JP-Aの破裂が誘発される可能性があります。 補遺: 複数回の実験の結果、SCP-481-JPを含む飴玉を摂取中の被験者全員が笑みを浮かべる等の不自然な動作をしていることが指摘されました。その後の調査でSCP-481-JPと思われる存在が自身を摂取中の被験者の脳内に対して、未知の方法でメッセージを送信していることが判明しました。何故その存在についての報告が行われなかったのか調査したところ、全ての被験者がメッセージの内容は戯言であり報告する価値はないと判断したと証言しました。 メッセージは飴玉の摂食者及び全人類に対する脅迫と摂食者に対して飴玉を食べることを中断するよう警告する内容が交互に送信されます。メッセージは一方的なものであり被験者の言葉に反応しているような素振りも見せません。SCP-481-JP-Aの危険性がある程度伝わる内容であるのにもかかわらず被験者が摂食を中断しないことからSCP-481-JPがSCP-481-JP-Aへと変化する以前から自身に対する脅威の認識を鈍化させる精神影響を持つものだと推測されます。 以下はD-48105が自身に送られたメッセージを書き起こした記録とD-48105のSCP-481-JP摂食記録を時系列的に並べたものです。 実験記録: 20██年█月█日 対象: D-48105 目的: SCP-481-JPを摂食した際に聞こえる、音声の内容の記録 16:00: D-48105が口内にSCP-481-JPが入った飴玉を入れ舐め始める。 16:01: 「俺は強い」 16:01: この時点でD-48105の口元が笑みで歪んでいることが確認される 16:02: 「私は強い」 16:04: 「恐れよ」 16:07: 「吐き出せ」 16:10: 「目に焼きつけろ」 16:11: 「まだ間に合う」 16:13: 「破滅は近い」 16:13: D-48105がSCP-481-JPの言葉に噴き出したかのように息を漏らす 16:15: 「助けたい」 16:16: 「残り僅かだ」 16:17: 「もう時間がない」 16:17: D-48105の「たかが飴玉に何ができるってんだよ。」という独り言が確認される。 16:18: 「俺を舐めるな」 16:18: 「私を舐めるな」 16:19: SCP-481-JP-Aの発生によりD-48105が死亡、待機していた武装職員3名の攻撃によりSCP-481-JP-Aは終了された。映像の確認によりD-48105は死亡する寸前まで笑みを浮かべていたことが判明した。
scp-482-jp
評価: +97+–x SCP-482-JP-1で撮影 アイテム番号: SCP-482-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: 現在、サイト8173の実験室ろ-03はSCP-482-JP収容地点として活用されています。しかし、SCP-482-JPに対しては特別な収容手順は必要ありません。 SCP-482-JP発生地点で正確な手順を実行した場合のみSCP-482-JPが展開されるため、実験や探査の際のSCP-482-JP展開手順のみを、当該オブジェクトの研究班によって保管してください。 SCP-482-JP-1で危害的な存在は一切認められていませんが、SCP-482-JP-1の広大さを考慮して、探査要員には必ずGPS追跡装置またはワイヤーを装備させた上で探査を行わせてください。 これまで、SCP-482-JPが実験中または探査中に予期しない異常を発生させた事はありませんが、異常が発生しないという保証が肯定された訳ではありません。実験または探査はその目的を達成次第、速やかに終了させることを目指してください。 説明: SCP-482-JPはSCP-███-JPの[編集済]実験によって偶然実験室内に生成された異空間への空間的な出入り口です。SCP-482-JPは半径3.2m〜5.1mの二次元的な円形形状であり、いわゆる"面"方向からの進入によって、SCP-482-JP-1上の定められた地点へと入る事が出来ます。 この際、進入者による「進入することへの明確な意思または決意」が無ければ、進入者はSCP-482-JPをすり抜け進入に失敗します。このために、機械または士気の低いDクラスによる探査は実行が困難です。しかし装備に関しては、進入者がその装備を持ち込む事を意識することによって持ち込む事が可能となります。この条件を満たすには、規定として行われる進入直前の装備点検で事足りるため、探査または実験任務の際には問題視されません。 現在、SCP-███-JPを用いずに[編集済]実験の状況と効果を完全に再現することに成功しています。これによってSCP-482-JPの生成と消失を、サイト8173の実験室ろ-03のマーキング地点でのみ自在にコントロールすることが出来ます。 またSCP-482-JPは同時にSCP-482-JP-1側にも存在するため、SCP-482-JPが生成されている間は両世界の行き来が容易です。 SCP-482-JP-1はSCP-482-JPの先に存在する異世界内部の天体です。SCP-482-JP-1は現在の月とほぼ同一の環境と規模を持つ天体です。しかし、引力は地球と同程度であるようです。引力圏内の大気は96%が窒素、2.3%が二酸化炭素、1.4%がベンゼン、0.2%がポリ塩化ジベンゾフラン、0.1%がオピオイド類の未知のリガンドで構成されています。 異世界空間には、現在SCP-482-JP-1以外の天体の存在は認められていません。複数回に渡る観測では、空間そのものは現実世界の宇宙とほぼ同様の規模を持っているものの、現存している天体はSCP-482-JP-1だけであると結論づけられています。 SCP-482-JP-1には、SCP-482-JP-1自体を一周するようにして、赤道直下の地表にベルトコンベアーのような設備が剥き出しで敷設されています。この設備はSCP-482-JP-2へと分類されており、独力で動作するものではなく、動力を与えられる事で、その動力を他のエネルギーに変換し、それらを任意のデバイスへと送信する装置であることが判明しています。 SCP-482-JP-2が変換するエネルギーの多くは電力ですが、与えられた動力に対して明らかに変換・送信されるエネルギー総量が少ないため、既存の観測装置では検知が困難な未知のエネルギーをも同時に変換し、それによって自己の機能を保全しているとの説が唱えられています。その根拠として、SCP-482-JP-2へ破壊を行った場合、SCP-482-JP-2は自動的に損傷箇所を2時間以内に修復する事実が挙げられています。 SCP-482-JP-3は、SCP-482-JP-2上を埋め尽くすようにして常時移動している大量の人型存在です。外見上は地球人類の既存の多数人種によって構成される群衆ですが、全個体が異常な程痩せこけており、あらゆる干渉に対して一切無反応です。 衣服の痕跡から、SCP-482-JP-3はかつては地球人類と同様の文明程度を持っていたと思われますが、人格は喪失しており、SCP-482-JP-2上での一方向への移動に終始します。 SCP-482-JP-3全個体の胸部にはペースメーカーに酷似した機器が取り付けられており、これは電力によって動作します。機器から伸びるワイヤーは胸部から食道を貫き脳幹と[削除済]へと至っており、このワイヤーを介して、装着者の自律神経に対する電気的影響によって脳活動以外の生理機能を停止させています。更に機器はほぼ完全な循環機能の代替物としても機能し、可能な限りの代謝機能の抑制を実現させています。これによって、SCP-482-JP-3は大気が持つ有害性から免れ続けていると推察されています。 機器は未知のエネルギーに関すると思われる不明な機構によって、空気中の窒素と二酸化炭素から有機的なエネルギーを生成し、装着者の肉体を必要最低限活性化します。未知のエネルギーは機器の機能保全と復元にも使用され、SCP-482-JP-2と同様ほぼ永久的に機能を保ちます。 その他、機器はそれぞれが受信装置を備えており、SCP-482-JP-2が変換したエネルギーを受信し、動作すると考えられています。 その大まかな全体構造として、SCP-482-JP-3がSCP-482-JP-2上を移動することでSCP-482-JP-2に動力が与えられ、動力が変換されたエネルギーによって、機器がSCP-482-JP-3のほぼ恒久的な生存を図っているようです。 そのため、SCP-482-JP-3は衣服または精神状態から推測される経年に比べて、様々な年齢または身分の人物が混在しているように見えます。しかし実際には、SCP-482-JP-3の心神喪失状態が経年によるものなのか、機器の影響によるものなのかは現在判明していません。 補遺1: SCP-482-JP-3の解剖実験が実施されました。対象は20代のコーカソイド男性に見える個体です。回収時対象は一切抵抗せず、周囲のSCP-482-JP-3も無反応でした。 解剖と各種検体への詳細な検査により、末端部位の各所で神経細胞の断裂が認められ、消化器官の萎縮と筋力の低下、長期間の歩行による骨格の著しい変形が見られました。しかし全体的な基本構造はほぼ現実世界の現行人類と同様であり、以上の差異はSCP-482-JP-2上での歩行への従事と機器の影響による後発的な変化によるものだと結論づけられました。 解剖の前に行われた精神鑑定では、改めて完全な喪失状態にあることが確認されました。 あれは完全な抜け殻だ。中には何も入っていない、歩くための機械ですらない。機械ならば目的が妨げられれば何らかのリアクションが起こるが、あれは我々によって両足が拘束されるまで歩き続けたのに、拘束に対してすら何も感じていないようだった。 ──██精神医学博士 補遺2: + セキュリティクリアランスレベル3以上の承認を要します - 承認を確認 SCP-482-JP-3胸部の機器の装着実験によって、SCP-482-JP-2と機器によるシステム内に現行の地球人類を当てはめる事が可能であることが判明しました。SCP-482-JP先の異世界に危機的存在が認められないこと、SCP-482-JP-2と機器によって恒久的な人類の生存を図り得る事から、SCP-482-JPをKクラス事象への対処法として利用する計画が議論されています。 SCP-482-JP-3は現在6700万体存在すると考えられており、機器も同数が現存すると見られています。目下のところ、SCP-482-JP-3の装着する機器が量産可能かどうか、SCP-482-JP-2の規模をより拡大可能かどうかが調査されています。同時に未知のエネルギーの性質と生成に関しても研究が継続されていますが、これに関しては代替が可能と見られているため、他の調査がより優先されています。 私は断固反対する。我々は、SCP-482-JP-3が何故あそこにいるのかを詳しく知るべきでは無いのだろうか? ──日本支部理事-██
scp-483-jp
評価: +51+–x 容器に入れられたSCP-483-JP アイテム番号: SCP-483-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-483-JPはサイト-8181の冷蔵機能がついた低危険物用収容ロッカーに収容してください。SCP-483-JP-Aに関する研究を行う場合はセキュリティレベル2以上の職員の許可を得た上、外部から隔離された水槽を用いて行ってください。回収されている全てのSCP-483-JPが入っている容器の側面には1~14の番号を書き込み、使用後は必ずSCP-483-JPの紛失がないか確認を行ってください。 説明: SCP-483-JPは異常性を有した点眼薬です。SCP-483-JPの構成物質の大半は未知の液体から構成されていますが、一部に魚類・ハリガネムシ(線形虫綱ハリガネムシ目)由来の成分を含むことが判明しています。SCP-483-JPは一般的な点眼薬の容器に入れられており、現在14個のSCP-483-JPが収容されています。 一般的に脊椎動物として分類される生物がSCP-483-JPを点眼薬として使用した場合、SCP-483-JPを使用して約30分後に使用者は不自然な耐えがたいのどの渇きを訴え始め、使用者はのどの渇きを癒すために水分の摂取を行い始めます。この症状は使用者が最低でも自身と同体重量の水分を摂取するまで続きます。この際使用者は自身が通常では摂取不可能な量の水分を摂取していることに自身で気が付くことが可能ですが、多くの場合のどの渇きを癒すことを優先します。SCP-483-JPにより引き起こされたのどの渇きを癒すために重視されるものは水分量のみであり、使用者に高濃度の食塩水を摂取させた場合であってものどの渇きを癒すために必要となる水分量に変化はありません。一定量の水分を摂取することでのどの渇きは一時的に軽減されますが、のどの渇きが完全に消失することはないため、使用者は可能な限り水分の摂取を継続して行います。実験動物及びDクラス職員を用いた実験結果は使用者が摂取できる水分量に限界が存在しないことを示しています。摂取された水分が体内のどこに貯蔵されいるのかは現在不明です。 SCP-483-JPを使用して約12時間後、使用者は海や川、湖など多くの水量と水深がある水場へ訪れたくなる衝動に駆られます。この欲求は非常に強いものであり使用者はほぼ例外なく条件に該当する土地へ向かう、バスタブなどに水を張るなどの出来うる限り目的の場所に沿った環境を再現する行動を行います。 水場に到着した使用者は水の中へ移動を行い、ある程度の水深がある地点へと目指し始めます。使用者が目的の地点に到達すると、SCP-483-JPを差した眼球が眼窩から抜け落ちます(抜け落ちた眼球・視神経をSCP-483-JP-Aと表記)、この時点ではSCP-483-JP-Aと使用者は視神経で繋がった状態を維持しています。抜け落ちたSCP-483-JP-Aは膨張をはじめ体積を増加させ始めます。SCP-483-JP-Aの膨張はSCP-483-JP使用後に摂取された水分量と、SCP-483-JP-Aの総体積がほぼ同等になるまで行われます。体積の増加はその増加量に関わらず約30分ほどで終了します。SCP-483-JP-Aの膨張に伴い使用者の肉体には脱水の症状が現れ始め、最終的には使用者は脱水症状や水中での窒息により死に至ります。使用者の死亡後も体内に存在する水分が完全に失われるまで水分の移動は継続して行われます。 膨張量が最大に達したのちSCP-483-JP-Aは視神経を使用者の眼窩から切り離し水中へと移動します。SCP-483-JP-Aは生物的な特徴を持ち本来眼球には存在しないエラに似た呼吸器官と視神経が変化した尾が存在します。しかし尾には自身の体の向きを変える程度の能力しか存在せず、また排泄器官・消化器官・生殖器官などの通常の生物であれば有しているであろう器官も存在しません。そのため全てのSCP-483-JP-Aの寿命は最長でも10日ほどです。SCP-483-JP-Aの周囲に大型の魚類や人間などの外敵が接近した場合、SCP-483-JP-Aは外敵を凝視し瞳孔を伸縮させる運動を繰り返します。これは外敵に対する威嚇行動だと推測されていますが、SCP-483-JP-Aはこれ以上の防衛機能を持ちません。その為SCP-483-JPは巨大な体格を持つにも関わらずごく一般的な魚類等に一方的に捕食されます。SCP-483-JP-Aが捕食されることによって発生する異常な影響は現在確認されていません。 SCP-483-JPは日本生類創研に関連していると思われる施設の調査の際に押収された物品の一つです。目録上の記録や残されていた研究資料はSCP-483-JPがC-007-E03と呼称される研究体用の飼料をより効果的に獲得することを目的に開発された薬品であることを示しています。C-007-E03には給餌として1日1度脊椎動物から採取された約300リットルの水分と同体積のSCP-483-JP-Aが与えられていたことが判明しています。 施設内の調査ではC-007-E03に関する情報は発見されておりませんが、C-007-E03が飼育されていたと思われる研究室の内部には陸地が存在する淡水で満たされた水槽設備が発見されています。水槽設備の内部からは角膜・結膜・強膜・視神経以外の部位と体液を完全に失った4体のSCP-483-JP-Aの死骸が発見されました、SCP-483-JP-Aの死骸に直径約5ミリの円形の穴が無数に存在していることから、C-007-E03は口吻を持ち体外消化を行う小型の水生物であると推測されています。 追記20██/10/10 - 隠す 研究室内から押収された電子記録媒体からの復旧が成功した削除データの一部に、SCP-483-JPおよびC-007-E03に関する通信記録の一部が発見されました。以下はその部分の抜粋です。 次は我々が以前から開発しているC-007-E03についての報告だが。今月でクライアント側との連絡がつかなくなってから3か月が経過した。恐らく目玉の害獣どものせいで完全にこちらとの連絡手段が途絶えてしまったものだと予想される。クライアントへの開発費の請求がほぼ不可能な上、C-007-E03に商品価値が見いだせないことから、これ以上のC-007-E03に関する開発研究は不要と判断された。前回の通達通り、研究記録と最低限の実体標本のみを残し残りは処分するように。 なおC-007-E03の効果的な飼料確保のため開発された給餌用眼球育成薬についてだが、今回我々が受けた損害を回収するため「様々な種類の生物の目玉を愛玩動物として飼育できる薬品」として再利用することが決定された。 今後は使用後に生成される生体の小型化や生存能力の上昇、脊椎動物以外の生物への対応、別種の眼球同士の交配機能など、より愛玩動物としての機能の拡張に重点を置いて開発を行うように。
scp-484-jp
評価: +45+–x SCP-484-JP最新画像。撮影日時は[削除済] アイテム番号: SCP-484-JP オブジェクトクラス: Keter Safe 特別収容プロトコル: SCP-484-JPは現在レベル4の情報機密によって情報保護が施されています。SCP-484-JPの現在位置と収容状況についての情報は、セキュリティクリアランスレベル4以上の職員のみに開示されます。情報の開示を求める場合は、特殊要件回線KXX-627へ連絡し、指示に従って下さい。 SCP-484-JPの米国領内への持ち込み、または収容位置がSCP-484-JPの基準により米国領とみなされるような事態は、緊急対処手段の行使も含め阻止してください。 SCP-484-JP情報は電子媒体上でのみ取り扱われます。SCP-484-JP情報には情報セーフティ措置第5項が適用されています。SCP-484-JPに関係する情報のコピーや印刷はセキュリティによって完全に独立し、ロックされた状態である事に留意してください。 説明: SCP-484-JPはかつて財団本部管理下のサイト-██に於いて使用されていた、Dクラス職員終了措置用の電気椅子です。本オブジェクトは少なくとも[削除済]年までは通常の電気椅子として活用可能であり、その実績として███回に渡り終了措置の実行に利用されていました。 しかし[削除済]年からその特異な異常性の発現が見られるようになったため、財団本部により一時SCPオブジェクトとしてナンバリングされ、研究が行われてきました。 SCP-484-JPは最初の異常発現時から、異常特性の影響範囲の拡大もしくは新たな異常の発現が報告され続けていました。財団本部に於いてはそれらの解明と封じ込め措置の開発、実施に多大な資源の投入と犠牲を余儀なくされ、その結果としてSCP-484-JPの異常特性に関しては、本オブジェクトを用いた終了対象が曝露していた複数のSCPオブジェクト群の影響によるものの混合が起源であるとされました。 SCP-484-JPが発現させた複数の異常特性は複数のSCPオブジェクトの性質と部分的に類似する点が見られ、それらオブジェクトは過去に終了対象であったDクラス職員が最後に曝露したオブジェクトであった事から、この結論は財団本部の公式の見解とされました。 SCP-484-JPは複数の異常特性を常時無作為的に選出し、それらを同時に発現させます。それらは既知のSCPオブジェクトの性質と部分的に類似しているものもありますが、それらの混合、または全く未知の性質も次々に報告されていました。 それらの殆どは予測が間に合わず、財団本部は収容の難度、複数の実例から予想される人類社会への潜在的な脅威性からSCP-484-JPをKeter分類していました。 以下は、その中でも特に脅威性の収容難度が高いと思われる性質の簡易的な概説リストの一部です。 半径50m以内に存在する人物が視認した壁一面に、人間の眼部を生成する。眼部の視界内に入った人物にこの性質は感染する。 半径200m以内に存在する自動装置、または承認プログラムを常時作動させる。 サイト-██内に於いて統計的異常を発生させ、確率的正数を負数へと置換する。 SCP-████構成要素を発生させる。 SCP-484-JPに接触したCO2に現行人類と同等程度の知性を付与する。 無作為的にSCP-484-JP座上に出現する存在を、無作為的に選出された各国の権力者、軍事関係者の夢に17日間に渡って登場させる。その際、被験者はオレンジ色のツナギを纏った人間の姿も同時に目撃したと証言した。 サイト-██人員の62%が同時に同様の奇声を3時間に渡って上げ続け、その間一切の事象に対し無反応となる。 SCP-███、SCP-███、SCP-███とテレパシーを使用したと思われる会話の実行。それら全てに於いてSCP-484-JPは大量の人間が同時に何かを叫び続ける音声を発し続けていたとの証言が得られました。 ████████国立公園自然現象の活性化。その間SCP-484-JPは常時震え続けていました。 [削除済] [削除済] その事象について言及した記述全てに於いて、その事象を詳説させない事を含んだ大規模情報災害。 SCP-████と同様と思われる事案の発生と無力化。これらはSCP-████が無力化された当時の経緯を模倣していると考えられます。 SCPオブジェクトに曝露したせいで終了されるDクラスを同じ電気椅子にかけ続ける事が失敗だったなどと、どうやって当時の我々が知り得ようか。 ──D██████博士 SCP-484-JPは現在財団日本支部への管理の移譲に伴い、Safeへと再分類されています。Safe再分類への経緯は補遺を参照してください。 補遺1: SCP-484-JPが新たに発現させた性質によって日本の[削除済]へと瞬間的に移動した際、SCP-484-JPはこれまで発現させていた全ての異常性を喪失しました。しかし、再収容手順に基づき財団本部との合同調査によってSCP-484-JPを確保し、財団本部への引き渡しを実行した所、SCP-484-JPは性質を再発現させました。 この事例からSCP-484-JPの性質を無力化する方法の調査と実験が財団本部と財団日本支部の合同によって行われ、その結果SCP-484-JPは米国領外での収容に於いてその性質を喪失することが判明しました。 これについてはSCP-484-JPの管理権や取り扱い情報、記録を米国領内にて保持した場合であっても性質を再発現させる事から、SCP-484-JPに関する全権限と全記録の移譲が財団日本支部に対して行われました。 SCP-484-JPの性質の再発現を防止する目的で、SCP-484-JPの現在位置と収容状況は原則的に秘匿される事が財団日本支部理事会によって決定されています。セキュリティ違反が発生した場合、各職員は留意してください。 補遺2: 財団日本支部への移譲が完了してから241日目に、SCP-484-JPが部分的かつ一時的に異常を再発現させました。その性質に於いて、SCP-484-JPはDクラス用IDカードに酷似した模様が胸元に刺繍されたオレンジ色のツナギを、座上に出現させるに留まりました。 IDカードに酷似した模様上には以下の文章が、複数人の血液を混合させた液体で書かれていました。 F   R E  E   DO  M 血液のDNAは損傷が激しいため、明確な個人の特定には至っていません。
scp-485-jp
評価: +58+–x SCP-485-JP内部にて撮影された通常のカレンダーの画像。異常性の影響を受け、日付を正しく認識することができない。 アイテム番号: SCP-485-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-485-JPに指定される地域へはエージェント・プロトコルWG-600“出張者”、ME-911“観光夫婦”を指定した財団エージェントを少なくとも3人滞在させ、当該の地域の監視に当たらせてください。エージェントは一定の日数ごとに交代させて下さい。 当該地域から外部に発信される情報は検閲し、その異常性が外部に漏洩することを防いで下さい。必要ならば当該地域の住人にはクラスA記憶処理を行い、当該地域の住人が行うSNSやブログは全て監視して下さい。 当該地域全体の封じ込めは現在保留されています。 説明: SCP-485-JPは、██県██町に存在する██住宅地にて、1.3.5.7.8.10.12月の末日に行われる異常なイベントです。SCP-485-JPの発生する地域には大きく分けて2つの異常性が見られます。 当該地域内での日付に関する認識異常。 当該地域内に在住する人間の「ハロウィン」への強い関心。 ██住宅地に指定される地域内の人間(探査のために送り込まれたエージェント、Dクラスもこの影響を受けた。)は、イベントの開催月を「10月である」と認識します。当該の地域の気候がおよそ本来の10月とはかけ離れていたとしても、影響を受けた人間は「例年よりも暑い/寒い」以上の疑念を抱くことはありません。地域内にて日常的に使用されているカレンダー・携帯電話・ゲーム機などの日付を示すものもまたこの異常性の影響を受けており、外部からこれらを持ち込んだ場合、地域内の人間はそれらに示されている日付を正しく認識することができません。当該の地域内にて、カメラを用いてカレンダーを撮影した場合、異常な日付を示すカレンダーが撮影されました。 ██住宅地に在住1している人間は、共通して「ハロウィン」への強い関心を持ちます。██地域内では子供のほとんど全員が自発的に仮装衣装を縫い、大人はイベント開催日時の直前になると大量の菓子を買い込みます。この異常性から、当該地域の商業形態にはその他の地域に比べ若干の差異(個人設立の縫製教室の極端な集中・小学校における家庭科の授業の頻度・小売店での販売商品の偏り)が見られます。これらの反応はほとんど強迫的とも取れるものであり、当該地域の小学校に担任教師に偽装して送り込んだエージェントによってハロウィンイベントを禁止する試みは、生徒全員の親からの強い抗議・生徒の一人の自殺未遂・生徒/教員によるエージェントへの私刑未遂などの理由から失敗しました。 ██住宅地は20██/08に財団によってその異常性を認められ、収容対象となりました。居住者の一人によるイベントの写真がSNSにアップロードされ、同様の書き込みが特定の地域から集中して発せられていたことが財団にマークされました。 補遺:-ア 20██/10、SCP-485-JP指定地域にて門柱やアスファルトに“住宅街に死角を生み出さないような配置で”設置されていた大量の監視カメラが発見されました。すぐさまエージェントによってその大部分は回収されましたが、その翌日には同じ場所にカメラが再生しました。こちらから設置の瞬間を撮影しようとする試みは全て失敗しており、カメラがどこに映像を送信しているかを追跡する試みは失敗しました。 + ハロウィンイベント-インタビューログ - 閲覧終了 補遺-イ:ハロウィンイベント-インタビューログ 対象: SCP-485-JP内部にて、ハロウィンイベントを行っている最中の小学生グループ。 付記:インタビューは20██/12/31日に行われた。 エージェント・黒津地: こんばんは! 子供達: こんばんはー!トリック、オア、トリート!! エージェント・黒津地: はは、そら、これをあげようね[エージェントは手に持っていた飴の袋を開け、子供達に均等に菓子を渡す] 子供-A: ありがとう!じゃあ、僕たちもう行くから! エージェント・黒津地: ちょっと待って。えぇと…冬休みの宿題は終わったかい。 子供-A: 終わったよ!ハロウィンやらないといけないからな! エージェント・黒津地: それは良かった。…お菓子、一つもらってもいいかな。 子供-A: うーん、ダメだな。あと一つ多くもらったら追い抜けるし。 エージェント・黒津地: 追い抜ける?誰を。 子供-A: ミサトちゃん。ミサトちゃん今612個貰ってるから、ギリギリ抜けそうなんだ。 子供-B(子供-Aが“ミサトちゃん”と呼んだ児童): [子供-Aを遮る]えぇ、そんなこと無い無い無い!だって私ねー、あとねー、竹中さんとことねー、樋口さんとことねー、あと樋口のばぁちゃんのとこも貰いに行くもん!私が竹中さんとさ、樋口さんにさ、“████████████████”って言ったらね、私にお菓子全部くれるって!言ってたもん!抜かせないよぉ! エージェント・黒津地: …そうかい。みんなそういう感じなの? 子供-A: 学校の先生はダメって言うけどさ、勝つためなんだからしょうがないよ、みんなやってるよ。僕だって エージェント・黒津地: [遮る]…そうかい。じゃあ…良い年の瀬を。 子供-A: じゃあな!おっさん!また正月になったらお年玉くれよ!少しでいいからさ!友達と交換するから! エージェント・黒津地: …お菓子を? 子供-A: そう! 〈録音終了〉 補遺-ウ:20██/04/01、SCP-485-JP指定地域にて、一枚の紙片が発見されました。 如来杯・20██年・3月末日/37レース フォーメーション-三連単 1-ミユキちゃん 2-ゴロウくん 3-ヒロオミくん 各組 ★236000000円 合計 ★ 82枚 ★★ 19352000000円 複写禁止・レース開始中の児童への接触・菓子の贈与は禁止 ★違反者は追跡します。★ Footnotes 1. エージェントを送り込んでの実験では、滞在後8週間が経過した時点で異常性の影響を受けた兆候が見られた。収容プロトコルを改稿。
scp-486-jp
評価: +18+–x アイテム番号: SCP-486-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-486-JP及びSCP-486-JP-1はサイト-8120の標準型収容ロッカーに保管されます。実験はレベル2職員の許可を得て、Dクラスもしくは前頭前皮質の自己抑制指数が規定値以上の職員のみを対象に行ってください。SCP-486-JP-1の影響により業務に支障が出ていると判断された職員には、Aクラス記憶処理が施されます。 説明: SCP-486-JPは███社の製品と思われる金属製の煙草入れです。9.0cm×5.5cm×2.2cmのステンレス製で、スライド式の内部に約20本の煙草を収納する事ができます。完全に閉じられたSCP-486-JPが人の手によって開けられた場合、内部を満たす20本の煙草が生成されます。実験結果から、生成されたSCP-486-JP-1はSCP-486-JPを開けた人物の欲求に対応した性質を持つと推測されています。 SCP-486-JP-1は一般的なタバコの葉のみならず様々な素材によって構成されます。その素材がたとえ人体に極めて有害な物であったとしてもSCP-486-JP-1を使用した人物には長期的、短期的を問わず一切の健康被害が発生しません。しかし喫煙後、使用者はSCP-486-JP-1の素材に関連した強い欲求を訴えます。その欲求が満たされた場合、使用者は通常よりも大きな満足感や多幸感を感じます。その経験は過去に喫煙歴があるか否かに関わらず、喫煙への欲求を強める傾向にあります。使用者はまずSCP-486-JP-1の使用を求めますが、それが達成できない場合通常の紙巻き煙草や消費したSCP-486-JP-1と同一の素材で構成された煙草を要求、消費し、結果的にニコチン依存症や複数の合併症に陥ります。初期の喫煙欲求はニコチンへの中毒症状ではなく精神的な願望であるため、意識的な自己抑制かAクラス記憶処理によって対処できます。 SCP-486-JPは█████下級研究員が██県の骨董品店にて、私用の煙草入れを購入しようとした際に発見されました。骨董品店の店主にSCP-486-JPを仕入れた記憶が存在しないため、その特性がいつ発現したのかは不明なままです。 実験記録486-JP-1 日付: 20██/08/19 対象者: D-651 実験方法: D-651がSCP-486-JPを開き、生成物をD-651が消費する。 生成物の素材: 胡椒を含む数種類の香辛料 被験者の要求: D-651はステーキを要求した 結果: D-651は与えられた400gのビーフステーキを食べきり、「人生で一番美味い」と評した。 日付: 20██/08/19 対象者: D-651、D-882 実験方法: D-882がSCP-486-JPを開き、生成物をD-651が消費する。 生成物の素材: 日当たりの良い地域に生息する、数種類の野草 被験者の要求: D-651は青空の下で走れる環境を要求した 結果: 警備員の監視付きで職員用運動場の利用が許可され、D-651は200mトラックを11周走った後に嘔吐した。D-651は警備員により問題なく再拘束された。 日付: 20██/08/20 対象者: D-241、D-507(どちらも性犯罪の前科あり) 実験手順: D-507がSCP-486-JPを開き、生成物をD-241、D-507が消費する。 生成物の素材: [削除済] 被験者の要求: [削除済] 結果: 実験後、両者の脳からは過剰な量のβエンドルフィンが検出された。 日付: 20██/08/25 対象者: ███研究員 実験手順: ███研究員がSCP-486-JPを開き、生成物を███研究員が消費する。 生成物の素材: 細断された一般的なコピー用紙、およびインク 被験者の要求: なし 結果: ███研究員は自らのデスクに戻り、5時間で72枚のレポートを書き上げた。 メモ: 職員の意欲向上にSCP-486-JPを利用する提案は、現在保留中です。 日付: ████/██/██ 対象者: D-1192 実験手順: D-1192がSCP-486-JPを開き、生成物をD-1192が消費する。 生成物の素材: 亜麻、三原色の顔料、乾性油 被験者の要求: D-1192は絵筆と画材を要求した 結果: D-1192は3日間休息を取らずに一枚の絵画を製作した。製作後、D-1192は「やっと自分が何のために生まれてきたのかわかった」と述べた。D-1192の解雇後、絵画は「死刑囚の描いた芸術」展に出展された。 メモ: どうやらこいつには、秘められた才能を開花させる力もあるらしい。しかし、奴がもっと早くそれに気付いていたらと思わずにはいられないよ。-███博士
scp-487-jp
評価: +87+–x アイテム番号: SCP-487-JP オブジェクトクラス: Neutralized 特別収容プロトコル: SCP-487-JPの死亡、および遺体への検査の結果より、1993年01月06日を以ってSCP-487-JPの特異性は失われたことが認定されました。遺体の標本がサイト-77の低危険性生物標本保管ユニットに保管されています。 SCP-487-JPに関する文書は参照を目的として保存されます。 + 前版の特別収容プロトコル: 閲覧のみ - 前版の特別収容プロトコル: 閲覧のみ 特別収容プロトコル: SCP-487-JPは標準人間型オブジェクト収容セル1室のみを備える、孤立した1棟の収容建造物に収容されます。SCP-487-JPの影響の伝播を防ぐべく、建造物周辺には最小で半径180メートルの緩衝地帯が設けられます。緩衝地帯外縁は封鎖され、いかなる状況下においても担当主任研究者の承認無き領域内への進入は禁止されます。 職員による緩衝地帯への進入が行われる際にはSCP-487-JPに対してセル付属の拘束ユニットを利用した自己拘束の勧告が行われます。閉回路カメラによる拘束状態の確認の後、職員の進入が行われます。拘束の解除は職員が緩衝地帯からの退出が確認された後に遠隔操作によって行われます。 協力的な態度、並びに倫理的な観点より、D-クラス職員標準支給の作業用ズボンおよび下半身の下着のみ着用を許可されています。いかなる状況下においても、上半身の衣服の着用は許可されません。 中止。補遺2:を参照のこと。 説明: SCP-487-JPは肥満体の白人男性であり、1.8メートルの身長と94キログラムの体重を有しています。回収時に携行していた公的証明書類および身元調査により、SCP-487-JPはドイツ連邦共和国国籍を持つ████████・ワーネッケという人物であることが判明しています。 SCP-487-JPの特異な性質は、その衣服の着脱の動作に際して現れます。SCP-487-JPが衣服の着脱の動作の開始を行うに従い、その周囲半径約150メートルにいる人間はSCP-487-JPと同様の動作による衣服の着脱を実行します。この性質による動作は被験者の随意を伴うものではありません。全ての被験者は『何らかの外部の力で体が無理やり動かされている』等、自身の意志に反する動作である旨を主張します。影響による衣服の着脱は上半身を含む衣類に限定されると見られ、帽子類や下半身のみを含む衣類を脱ぐことによる影響は確認されていません。 この影響は、影響を受けた被験者から更に他の人物へ影響の伝播が発生することが確認されています。影響範囲外1の被験者にも、時間差2の後に同様の影響が波及します。影響を受けた被験者から150メートル以遠の位置に居る人物への伝播は確認されていません。また、150メートル以遠からの視認等の知覚手段による伝播も確認されていません。 前述の伝播による効果の変化や減衰は見られません。北海における35名のDクラス職員を用いた大規模実験では始点から5キロメートル超の距離での波及が確認されました。終点への伝播までに平均242.3秒の時間が費やされたことが記録されています。 SCP-487-JPは1992年11月30日に発生した██████航空███便航空事故の後、生存者である乗員・乗客が事故直前の状況について『着陸寸前に何故か体の自由が効かなくなり、服を脱いでしまった』という旨の供述を一貫して行ったために財団がその存在を発見しました。財団傘下の██████病院において行われたいくつかの検査によりSCP-487-JPが発見され、確保されました。 図1: SCP-487-JPの行う運動(24秒周期)。クリックで拡大可能。 補遺1: 観察記録: 1992年12月11日、SCP-487-JPが一定のパターン・周期(図1参照)での作業用ズボンの着脱を繰り返す運動を行うことが確認されました。その動機に関する質問に対し、SCP-487-JPは恥じらう態度を見せ、『これは"ヤスナガサン"の鼻歌を模倣したものである』という回答のみを示しました。その他の"ヤスナガサン"に関する質問に対しては一貫して紅潮の後に黙秘するという態度を示しました。潜在的リスクに対する懸念より、衣服の支給の中止が検討されました。 補遺2: インタビューログ-06DE12121992: その特異な性質、及び調査された来歴に不審点が見られない点を鑑み、SCP-487-JPに対して特異な性質を獲得した経緯に関する質問が試みられました。 対象: SCP-487-JP 質問者: ハンス=ユルゲン・クリーガー博士 <記録開始> クリーガー博士: こんにちは. 今日は質問したいことがあって伺いました. 聞こえますか? SCP-487-JP: 聞こえています. ヤスナガサンはどこですか. ヤスナガサンに会わせてください. クリーガー博士: その話は後にしましょう. あなたが不思議な力を手に入れた経緯を教えていただきたいのです. SCP-487-JP: [即座に] これは神が特別に私へ授けた力です. クリーガー博士: 手に入れた経緯を話してください. SCP-487-JP: [5秒の沈黙] 申し訳ございません. 興奮しすぎてしまいました. 先日の飛行機事故, あの時に私は天からの啓発を受けたのです. クリーガー博士: どのような啓発を受けたのですか. 続けてください. [SCP-487-JPが顔を紅潮させる] SCP-487-JP: あの時, 私は自分の恋を諦めていました. ヤスナガサンへの気持ちは膨らんでいくのに, 私は気持ちを伝えることができない. ヤスナガサンはドイツ語が話せないようなのです. いいえ [吃音] よしんば, 話せたとしても話せたとしてもきっと私は, 私はこの思いを伝えることができないでしょう. 私はとても恥ずかしい. [SCP-487-JPが机に顔を伏せ頭を抱える] SCP-487-JP: ヤスナガサンを想うだけでももう私は頭がいっぱいになってしまう. 顔を向けてお話なんて, できない. クリーガー博士: あなたの受けた啓発に関することを教えていただきたいのです. よろしくお願いします. SCP-487-JP: [ため息] ヤスナガサンのことを考えるとついこうなってしまうのです. 申し訳ありません. 飛行機で遭ったことをお話しします. あの時, 私はヤスナガサンに気持ちを伝える方法がないことにずっと悩んでいたのです. 取引先からの帰りのあの飛行機の中, ずっとずっとヤスナガサンに気持ちを伝える方法を考えていました. そんな時, 機内オーディオに繋げていたイヤホンから声が漏れてきたのです. ヤスナガサンに勝るとも劣らない, 澄んだソプラノの美しい声が私に伝えたのです. "汝に力を授ける. 汝の想い人と通じ合う力を. さあ上着を脱ぎなさい"と. クリーガー博士: そして服を脱いだのですね. その後はどうなったのですか. SCP-487-JP: 目の前がまばゆい光に包まれました. 一瞬の沈黙の後の轟音, 悲鳴, 衝撃. のどかな空の旅からの突然の転調です. ヤスナガサンと私の関係性のこれからを暗示したものに違いありませんでした. 私の臆病な懊悩が終わりを告げるに違いないと, その時確信したのです. クリーガー博士: ありがとうございます. 先ほどお話になった声について, 可能であればもう少し詳しくお聞かせください. 例えば自身をどのように称していたかなど, お話しいただけると我々はとても助かります. SCP-487-JP: 何ですって? ヤスナガサンを世界で一番好きなのはこの私だ. あなたではない. クリーガー博士: 何ですって? もしもし. SCP-487-JP: ヤスナガサンに私のメッセージが伝わらないのはあなたのせいだな. 私には分かる. クリーガー博士: メッセージとは, あなたが一定の周期で服を着脱しているあの行動ですか. どのような意図であのような行動を取るのかお話しください. SCP-487-JP: そのような侮辱は許されない. あなたの汚さを告発し, ヤスナガサンを守る! 覚悟せよ! <記録終了> SCP-487-JPが脱衣を試みたため、保安要員による鎮静が行われました。インタビューは中止されました。 墜落した飛行機の残骸の調査において機内オーディオ機器からの異常は発見されていません。 これ以降、SCP-487-JPは全ての職員に対して拒絶する態度を示し始めました。衣服の支給はこの時点をもって中止されました。 補遺3: 事件-0ADE01061993: 1993年01月06日、SCP-487-JPが自力で抜いた歯と爪を用いて自身の上半身の皮膚を剥ぎ取る行動を行いました。記録によると行動に移ってから9秒以内に上半身の約66%の皮膚の剥脱に成功しています。この直後、緩衝地帯外(SCP-487-JPから約200メートル遠の位置)に配置された職員がSCP-487-JPの影響によって見られるものと同様の脱衣動作を起こし、この位置から影響がエリア-██内全体に拡散しました。アノラックスーツを着用して作業に従事していた2名の研究員が軽度の化学火傷を負った点を除いて、人的・物的な被害はありませんでした。 事件後、SCP-487-JPの死亡が確認されました。検屍による死因の断定は失敗に終わっています。出血の量は極めて少なく、致死量をはるかに下回る点が注目されています。 関連する超常現象報告: 1994年6月24日、補遺1:の図に示されるものと同様のパターンで尿の排出・中断を行う犬の出現がドイツ南部にて多数報告されました3。SCP-487-JPとの関連性についての調査が進行中です。 Footnotes 1. すなわち、SCP-487-JPの周囲半径約150メートル以遠 2. 最短で1秒未満、最長で約12秒の時間差が確認されているが、一定せず。規則性は不明 3. “Statistical Anomaly of Dog Behaviour”; N. Kaufmann, J. Auenmüller; Foundation MSIU; June 1994; pp 208-212;
scp-488-jp
評価: +672+–x メッセージの受信に失敗しました。 メッセージの再送信まで待機して下さい。 SCP-488-JPの元となった種 アイテム番号: SCP-488-JP オブジェクトクラス: Euclid Keter 特別収容プロトコル: SCP-488-JPはサイト-81██の低危険度生物収容室に収容するには危険過ぎるため、外壁の厚みを20cm以上に保った5m×5m×5mの高危険度人型実体収容室に収容してください。SCP-488-JPの機嫌を損ねないように1日に2回適切な食事として生きた人間の子供を与えてください。SCP-488-JPの個体数は増加傾向にあります。収容を維持するため繁殖活動を機動部隊が出来る限り妨害し、機動部隊以外の人員も妨害行為を補助してください。現在、財団は総力を以て14体のSCP-488-JPを収容しています。 SCP-488-JPに関する業務を行う職員は最低一度、SCP-488-JPの恐ろしく残虐な実体/画像/動画を自身で目視し、それでも気を失わずにいられるか試験する事が義務づけられています。 この文書への質問/編集要請は収容リーダーを通して情報管理チーム"赤ずきん"に連絡してください。 説明: SCP-488-JPはタイリクオオカミ(Canis lupus)の一種が突然変異を経て人間の姿を得た生物です。SCP-488-JPは文献の情報によると強力な現実改変能力を備えており、自身に関する情報の作成者を現実改変能力を使用して無惨に殺害します。あらゆる情報媒体のうち、文書/音声/肉声/画像/動画/その他すべてが情報として見做され、不幸にもSCP-488-JPの殺害対象になります。SCP-488-JPの現実改変能力を使用された人間の情報は明文化する事すら憚られ、SCP-488-JPが客観的な視点から見ても倫理観に欠けた、"凶暴で残酷な人狼"であることを示します。SCP-488-JPの行う現実改変は対象に対して全体的ではなく、身体の一部の改変、機能不明な部位の追加という醜悪な形式を取りますが、これがあくまでSCP-488-JPの手加減である事に留意すべきです。改変された対象は大抵の場合[データ削除済]。犠牲者の復旧の手段は財団によって限りなく模索されましたが、講じられた試みは残念ながらすべて更なる改変という結果に終わりました。 SCP-488-JPは██山の周囲で人狼に関する噂が横行し機動部隊が投入されたにも関わらず、その実体すら見る事が叶わずに機動部隊が全滅し犠牲者や死傷者が多数発見され、追加の援軍も一人も帰還しなかった事から財団の注意を引きました。更なる調査で機動部隊隊員が残したSCP-488-JPの情報からSCP-488-JPの改変能力が明らかになり、大規模作戦で███名の犠牲者を出した後、ようやくすべての個体が収容されました。SCP-488-JPはタイリクオオカミ種の中に限らず動物の中では随一の戦闘能力を誇り、クマやシャチですらSCP-488-JPと比較すると絶望的に活動能力が劣っています。そのためSCP-488-JPは改変能力すら使用せずに全動物を蹂躙出来ます。██山周囲の人間はSCP-488-JPに服従し、SCP-488-JP中心の文化を築く事によって生存を図っていたと推測されています。 実験記録488-1 - 日付20██/██/█ 対象: SCP-488-JP 実施方法: D-3793を収容室に入れ、生贄として捧げる。 結果: 接触による異常性は発現しないと推測されていたが、SCP-488-JPがD-3793に触れると皮膚が激しく[編集済]し、それからはとても見て居られなかった。D-3793はSCP-488-JPについて「ああ、この世の終わりだ」と述べ、逃げようとすると直後にD-3793の叫び声が収容室に鳴り響いた。D-3793は現実改変能力によって[データ削除済]に変換され、絶大な苦悩を示した。 分析: ああ、我々は生贄なんだ -██博士 補遺: 改変された文書を赤色に着色する試みはデータの更なる改変を招き、有効な手段とは判断されませんでした。詳細な経緯は研究ログ488-█"イヌ科生物の色覚と書体ごとの改変傾向の関係性"を参照してください。現在、この文書を含むSCP-488-JPに関連する情報は、恐怖と混乱を避けるために常に情報管理チーム"赤ずきん"によって改変監視と着色処理が行われています。 . メッセージの再送信を確認… . 受信に成功しました。メッセージを表示します。 . 自動通達 この文書は情報管理チーム"赤ずきん"によって作成されました。 文書の編集権限は"赤ずきん"所属者に限られます。 この文書を閲覧する際、赤く着色された文字だけでなく全体を読むようにして下さい。 . . . . . jp keter scp 人間型 狼 現実改変 破壊命令 未収容 K-クラスシナリオ . . . . . . . . . .
scp-489-jp
評価: +74+–x 係留中のSCP-489-JP。画像左からSCP-489-JP-1から3。 アイテム番号: SCP-489-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-489-JPは、I5サイト群内に設置された武装収容サイト-8140「パノラマ島」B-5区域のドックに収容されます。B-5区域には高さ10 mの電気防護柵を設置し、武装した保安要員6名を監視に当たらせてください。また、周辺にはCAPTOR機雷が敷設され、常時起動状態にあります。現在、SCP-489-JPに関する実験や調査は、実験区域の中で行うものに限りセキュリティレベル3以上の職員に対して許可されています。ただし、いかなる理由があろうとも、SCP-489-JPの周囲に「鮫」に関する物品を持ち込むことは禁止されています。 説明: SCP-489-JPは、全長20 m、排水量約50 tの高速攻撃艇3隻から成っています。3隻とも国籍、所属を示す痕跡は一切確認されていませんが、ブリッジの左側には白抜きで「S.P.C」と塗装されています。「S.P.C」が何を意味するのかは不明です。各SCP-489-JPは自律して動くので、移動させる際は曳船を利用してください。3隻はそれぞれSCP-489-JP-1から3と定義されています。 SCP-489-JPの外装は金属および樹脂素材で構成されていますが、損傷した箇所を自然に修復することが可能です。燃料タンクの内部には石油分解菌と魚介類の死骸が蓄積しており、通常ではあり得ない速度で燃料を精製していました。収容後の実験ではディーゼル燃料を使用していますが、特に異常は見られません。ブリッジ下部から艇首部分にかけて、脳と見られる神経系と高度に発達したメロン体が存在しています。特に、メロン体は音響兵器として使用できるレベルの音波も発生させることが可能と判明しました。また、観察によって全てのSCP-489-JPは2時間程度の潜水が可能であることも確認されました。 SCP-489-JPは、各サメ目の魚類、その中でも特に大型の鮫に対する異常なまでの攻撃性を有しています。自身の半径█ kmに存在する各サメ目の兆候を捉えると操縦を受け付けなくなり、最大で時速██ ノットまで加速して鮫に体当たりを試みます。3隻は互いに意思疎通を行っていると見られ、鮫の捜索や攻撃の他に、損傷した個体を守るためにチームとして行動していることが確認できました。 どのような目的で鮫を集中的に攻撃するのかは、現時点では判明していません。ただし、収容前の報告からSCP-489-JPの持つ攻撃性は徐々に無差別化、過激化しているものと判断されます。1980年代頃から、鮫以外の大型魚類、クジラ目の哺乳類、漁船や潜水艦も攻撃の対象になっていることが報告されています。これは長期間「獲物」にありつけないストレスの結果と考えられ、大型の鮫の個体数減少との関係が指摘されています。SCP-489-JPが互いに軽い体当たりを行う事例も観察されていますが、これもある種のストレスに因るものと思われます。 また、全てのSCP-489-JPは生体以外の「鮫」に関する物品にも反応を示します。生体の鮫に対するよりも反応は鈍感ですが、攻撃そのものは生体に対するものと変わりありません。この性質は重大な収容違反に繋がる恐れがあるため、特別収容プロトコルに「鮫」に関する物品の持ち込み禁止が明記されました。詳細は以下の実験記録を参照してください。 + 実験記録-489-JPを表示 - 実験記録-489-JP 実験記録-489-JP-い  - 日付19██/█/█ 対象: イタチザメの成魚 アオザメの成魚 アカシュモクザメの成魚 コバンザメの成魚 実施方法: 実験区域に対象の魚類を侵入させる。SCP-489-JP-1で実験。 結果: コバンザメを除く全ての鮫に対して反応を示し、体当たりを試みる。 メモ: 正確にはコバンザメは「鮫」ではないのだが、とりあえずちゃんと鮫を判別できるようだ。 実験記録-489-JP-ろ  - 日付19██/██/██ 対象: 実物大ホホジロザメのロボット 実施方法: 実験区域に遠隔操作でロボットを侵入させる。実験区域内にはSCP-489-JP-1を配置。 結果: 実験開始時には反応を示さず。ロボットをさらに接近させたところ反応を示す。SCP-489-JP-1は時速██ ノットでロボットに衝突。鮫ロボットは粉砕。 メモ: 原理は不明だが生きている鮫を識別できるようだ。 実験記録-489-JP-は - 日付20██/█/█ 対象: 実物大のメガマウスのイラストを描いた鉄板。 実施方法: 実験区域内にイラストを描いた鉄板をクレーンにて投入。SCP-489-JP-2を配置。 結果: 投入直後には反応を示さず、240秒後にイラストの鮫に3度突進。鉄板は大破。 メモ: まさかとは思ったが、イラストにも反応するとは・・・。 実験記録-489-JP-に - 日付20██/█/█ 対象: 3 m四方のナイロン製の布に漢字で「鮫」と印刷した物を海上3 mに設置。実験区域内にSCP-489-JP-3を配置。 実施方法: ナイロン布を設置した場所にSCP-489-JPを誘導する。 結果: SCP-489-JP-3は時速██ノットまで加速後に潜航。その後ポーポイジングを行い、海上の目標を突き破り着水。 メモ: 英語、ドイツ語などの他の言語で「鮫」を表す単語を用いて実験を行っても結果は同じでした。「鮫」なら何でも良いのか。 SCP-489-JPは、1950年代前半から出現が報告されており、各国海軍などで不審船として報告されていました。財団は、各種報告と他の海洋性SCPオブジェクトに接触する可能性から捕獲作戦を実行しましたが、全ての試みは失敗に終わりました。19██/██/█、小笠原諸島母島沖合で対象を捕捉。日本支部に対して捕獲作戦の実行が委任されたため、捕獲作戦「渦潮」を発動しました。この作戦によって全ての対象の捕獲に成功し、SCP-JPのナンバーを付与してSCP-489-JPと定義されました。 補遺-489-JP-1: 種子島 調査員の追跡調査から、各国海軍やその他の機関によるいくつかの遭遇例で、規則的なクリック音が録音されている事実を把握しました。一部を解析した結果、クリック音の信号は欧文モールスの文章を構成していることが判明しました。このことから、SCP-489-JPの知能が人間のそれに近い可能性が示唆されています。現在、クリック音の全録音を解析中です。 + 種子島 調査員の添付メモ - メモ内容 SCP-489-JPの調査中に、アメリカ沿岸警備隊やイギリス海軍ではブリッジの「S.P.C」を「Shark Punching Craft 」と呼んでいたことが分かりました。さしづめ「サメ殴り艇」と言ったところでしょうか。もっとも、CはCachalotのような気もしますが。 - 種子島 調査員
scp-490-jp
評価: +187+–x アイテム番号: SCP-490-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-490-JPはUSBメモリ内に保管し、セクター42の収容ロッカー内に保管して下さい。アクセスにはセクター42のセクター管理者による許可が必要です。 POI-490-JPはセクター-63の標準人型オブジェクト収容室に拘束服を付けた状態で収容します。POI-490-JPには通常の食事を日に3度与え、POI-490-JPの治療プログラムであるプロトコル-8064の手順に従い薬物を投与して下さい。SCP-490-JP-Bが罹患している精神障害の治療のために、プロトコル-8064で指定された担当職員は毎日カウンセリングを行って下さい。担当職員は対象の自殺を防ぐために非致死性の催眠ガス銃を携帯して下さい。 説明: SCP-490-JPは過去改変能力を持った325MBのアプリケーションで、WindowsOSで作動します。SCP-490-JPのインターフェースは単純なものであり、起動すると対象の情報を入力する項目及び後述する「ベクソン語」で「消去」と書かれたボタンのみがウィンドウ内に存在します。ボタンを押すことによって一時的に大きなヒューム値の変化及び時空連続体に対する干渉が観測されますが、「エラー:対象が存在しません」というウィンドウがポップアップし、ヒューム及び時空連続体への干渉は停止し、改変はなされずに終わります。SCP-490-JPは研究による推測では後述する国家「ベクソン」の内側でしか効果を発揮せず、また特定の何かを消滅させ、「ベクソン」の国民や「ベクソン」以外からその存在についての記憶や記録を消去するという形で作動したと考えられています。SCP-490-JPには1度だけ作動した履歴が残っており、履歴の日付である[編集済]年には大規模なヒューム値の変動がインド洋沖で観測されています。 POI-490-JPはモンゴロイドの男性で、「ベクソン」という未知の国家の国民を主張しています。POI-490-JPはインタビューで、「ベクソン」は「インド洋に存在する細長い島国であり、四季があり、精神的な文化を重んじる長い伝統と王朝を持つ国家」であると主張していますが、インド洋にそのような島や国家は存在しません。POI-490-JPはオブジェクトが「ベクソン語」と称する、語順が日本語に似たSOV順の、恐らくアルタイ諸語に属する言語を話します。POI-490-JPの発見時の所持品は以下の通りでした。 SCP-490-JPのアプリケーションが導入された、「PelT-EP」というロゴが印字されたノートパソコン。「PelT-EP」なる企業は存在しないことが確認されている。OSはWindows7であり、言語設定は「ベクソン語」になっている。インストールされているWebブラウザのブックマーク・履歴にはドメイン「.bc」のアドレスが大量に記録されているが、「.bc」ドメインは現在存在しない。浸水の結果故障したものの、財団によってデータを復旧された。 [編集済]型番のiPhone。言語設定は「ベクソン語」となっており、「███-」で始まる電話番号の桁番は現在存在しないものである。320枚写真が保存されており、被写体は未知の都市や風景(恐らく「ベクソン」のものと思われる)、POI-490-JP及び家族と思われる初老の男女2名である。浸水の結果故障したものの、財団によってデータを復旧された。 禁煙用のニコチンガム「クロカシン」。「ベクソン語」によってロゴや成分表示が印刷されている。メーカーとして「ケルツェラ社」という名前、及び電話番号・メールアドレスが記載されているが、いずれも存在しない番号・アドレスである。 合成皮革の財布。中にはローマ数字及び「ベクソン語」で印刷された紙幣(1000アロと書かれた紙幣が2枚、500アロと書かれた紙幣が1枚、100アロと書かれた紙幣が3枚)と硬貨(50アロと書かれた硬貨が1枚、10アロと書かれた硬貨が6枚、1アロと書かれた硬貨が8枚)が存在する。1000アロの表側にはアジア系の未知の文明の民族衣装を来た初老の男性が、500アロの表側には木造建築の寺院と思われる場所が、100アロの表側には同じくアジア系の未知の文明の民族衣装を着た若い女性が印刷されている。すかし・レーザーによる印字など、偽造防止のために精巧に印刷されている。 携帯用のティッシュペーパー。スーツ姿の初老の女性の顔と、「ベクソン語」の「移民に仕事を与える前にベクソン人に仕事を」という言葉が印刷されている。POI-490-JPの証言によれば、反移民を呼びかける政治運動のデモが配っていたもの。 POI-490-JPはインド洋の沖合を漂流しているところをヒューム値の変動の調査のため派遣された財団の探査船に発見され、保護されました。POI-490-JPが所持していた物品が偽造されたものにしてはあまりにも凝ったものであること、そしてヒューム値の大規模な変動によって、SCP-490-JP及びPOI-490-JPは収容の対象となりました。年齢は自称36歳であり、肉体年齢は主張と同程度の加齢が見られます。過去に2度自殺未遂を行ったため、現在の特別収容プロトコルが認定されました。POI-490-JP-Bは現在重篤な抑うつ状態にあります。 補遺: POI-490-JP-Bへのインタビュー記録 担当者: 諸知博士 備考: 会話はPOI-490-JPの母語であるベクソン語による会話ではなく、POI-490-JPが後天的に習得した日本語で行われました。 <録音開始> 諸知博士: はい、ということで、インタビューを行いますので。 POI-490-JP: (貧乏揺すりを続ける。映像記録716-B421-CA874にある通り、POI-490-JPはこの録音記録を開始する前から貧乏揺すりを繰り返していた) 諸知博士: 聞いていますか? 回答が難しいのであれば本日はインタビューは取りやめますが。 POI-490-JP: いや、いや、言いたいことは山ほどある……けれど、どれから言えばいいんだ……。 諸知博士: 落ち着いてくださいね。時間はたっぷりと取ってありますから。まずは質問に答えてください。あなたはベクソンという国の出身者だったと聞いています。それはどういった国だったのか、教えてください。 POI-490-JP: ……いい国だった。四季おりおりの美しい自然、内面の充実を重んずる哲学、伝統のある王朝……いい国だったよ。けど、ずっと不景気で、だんだんとみんなギスギスがひどくなってた。毎日反政府デモと保守派のぶつかり合いなんかが起こってた。結局、その辺が原因だったんだろうな。 諸知博士: ふむ。なるほど。その国がなぜ消滅したのか、教えてくれませんか。 POI-490-JP: 最初は極右団体……『きんぽうげと偃月刀の会』って名前の団体の学者が作ったんだ。ベクソン国立大学の[編集済]っていう教授がマスコミに発表した。この装置は特定の思想を持つ人間を、ボタンを押してから30分以内に消し去ってしまうものだと。ベクソンの国民の記憶以外からは、痕跡すら残さず消してしまうものだと。外国はなにが起こったかもわからないから、逃げたり国際問題にしても無駄だと。これによって共産主義勢力や売国奴を国家から一掃し、国家の膿を出すのが目的だって宣言して……それに従わなかったらこの装置によって処刑すると。 諸知博士: その教授が国家を消してしまったのですか? POI-490-JP: いや。教授が最初に消したのはマスコミだった。左派的な言動を中心にしてた新聞社が綺麗さっぱり消えてなくなった。その日の夜に教授が殺された。極左団体の『全ベクソンの平和を祈る会』が教授の家に忍び込んで、パソコンを奪って……次の日には『きんぽうげと偃月刀の会』のメンバーが全員消去されてた。 諸知博士: 報復ですか。 POI-490-JP: いや、どっちかといえば元々対立しあってたんだろう。問題は平和の会の襲撃の時に、教授がやったことにあった。教授は自分のシンパがいるネットの掲示板にアプリケーションを流したんだ。 諸知博士: え……あの、それはあまりにも危険では? POI-490-JP: うん。でも教授はそうは思ってなかったみたいだ。セーフティーとしてベクソン人以外には使えないようになってるとか、教授の掲示板には教授のシンパしかいないから、みんな教授の遺志にしたがってやってくれるだろうとか。教授は多分ネットの拡散能力を舐めてたんだろうな。その上ダウンロードするだけで誰でも使えたから、多分パソコンを持ってる全国民が手に入れられたんじゃないかな。……ティッシュくれ。 諸知博士: (ティッシュペーパーの束をPOI-490-JPに渡す) POI-490-JP: (鼻をかむ)……ありがとう。そこからはまぁ、ぎすぎすが更にひどくなった。一人残らず全員が核兵器を持ち歩いてるようなもんだから。表面的にはお互いに優しくしても、それは消されないためで……。で、結局、破綻が来た。最初にやったのはどっかの爺さんだったよ。酒の席でボタンを押して、近所の公園で騒いでた若者が100人くらい消えた。その爺さんもリンチされて殺されたけどね。そこから報復が始まってて…….。(啜り泣き始める) 諸知博士: 無理をしなくてもいいんですよ、POI-490-JP。 POI-490-JP: ……いや、最後まで言いたいんだ。もう、気づいたら、そこら中めちゃくちゃになってた。デタラメにそこら辺のものが消えてた。王室も誰かが消してた。ベクソンの少数民族も消されてた。寺も教会も消えてた。さっき喚き散らして報復を叫んでいたテレビが消えて、なかったことになってた。伝統的な建物もみんな消し去られてた。多分誰かがちょっと気に食わないとか、そういう理由で、どんどん消えてたんだろうな……。(しゃくりあげる)ははは、皮肉だ。お互いをみんな消しちまうくらい全員ベクソンが嫌いだったんだろうな。愛国団体が作ったのに。 POI-490-JP: (嗚咽)最後はもう、なんというか、アスファルトもなにもかもが消えてた。全部消えてるところで、たまたまおふくろが生き残ってた。俺は、無事だったか、って言って、近寄って行ったら、おふくろが俺を見て、あんたもあたしを消そうってんだろって、俺の名前を機械に打ち込もうとして。気づいたらおふくろを殴り殺してた。俺はパソコンに向かって打ち込んだ。全部消えろって。……そしたら俺の足の下の地面が揺れ始めて、消え去って、海に投げ出された……。(しゃくりあげる) 諸知博士: (黙って新しいティッシュペーパーの束を渡す) POI-490-JP: (嗚咽)全部消えちまったんだ。みんな、親父もおふくろもみんな消しあって……なぁ、いい国なんだよ。本当に憶えてないのか……博士……ベクソンって……憶えてないのか? 諸知博士: 残念ながら。 <録音終了>
scp-491-jp
評価: +37+–x 評価: +37+–x クレジット タイトル: SCP-491-JP - 夢をいっぱい詰め込んで 著者: ©︎moririn5963 作成年: 2018 評価: +37+–x 評価: +37+–x SCP-491-JP アイテム番号: SCP-491-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-491-JPはサイト-81██の汎用収容ロッカーに収容されています。 SCP-491-JPを使用して実験を行う場合、被験者の詳細なリストを提出し、レベル3以上の職員の許可を得てください。実験はSCP-491-JP着用者を即座に無力化出来る状態で執り行ってください。 説明: SCP-491-JPは、「████」のロゴが刺繍された黒色のランドセルです。その材質や構造に異常性はありません。 SCP-491-JPは人間が背負うことで異常性を発現します。SCP-491-JPを着用した被験者(以降SCP-491-JP-A)は重度の幻覚症状に陥り、全ての地面や床が、足場と穴の2要素で構成されていると錯覚します。 足場の定義は場所によって異なりますが、主に専有面積の狭い物体や構造物、周囲と色調の異なる床模様が足場として認識されると推測されます1 。同時に足場ではないその他大部分は穴として認識します。穴はSCP-491-JP-Aの深層心理、特に肉体的恐怖に関連する要素で満たされます。曝露者が足場以外の要素に着地した場合、対象は穴に落ちたと錯覚し、現実世界で救命活動が行われない限り如何なる場合でも死亡します。またその影響は曝露者の身体を介し現実世界にも発現します。 SCP-491-JP-Aは周辺の状況に関係なく付近の小学校を目指し移動を開始します。これは距離にのみ依存し、SCP-491-JP-Aの記憶や経験の影響は受けません。道中で足場が途切れた場合、進行方向の足場に対しその距離に関わらず跳躍を試みます。 これらの症状は他者がSCP-491-JP-Aに接触することでも引き起こされ、伝染します。全曝露者の幻覚症状は、SCP-491-JP-Aが気絶または死亡することで覚醒すると判明しています。 SCP-491-JPは20██/██/██、東京都██区で男子児童█人が不審死を遂げた事件から発見に至りました。財団の現場検証への介入によりSCP-491-JPを含む多くの遺品が回収され、発見に至りました。このランドセルは事件当日に転入した児童が使用していたもので、財団はその児童の身辺調査を行いましたが、一切の戸籍情報が捏造されており、特定には至りませんでした。なお事件関係者には記憶処理を施し、その死因は集団登校中の交通事故による事故死として処理されました。 SCP-491-JP収容後の調査より、同一製品のメーカーおよび生産工場を特定しましたが、そのいずれにも異常性はありませんでした。 実験記録-491-JP 実験監督: ██博士 実験記録-491-JP-a - 日付20██/██/██ 対象: D-491-JP-1〈43歳 男。13歳の時小火騒ぎに遭遇した経験有。軽度の火恐怖症(Pyrophobia)を有する。〉 結果: 対象は「やばい!落ちたら火の海だ。けど早く学校に行かないと。」と発言し、主に車道外側線の上を渡りながら北西方向へ移動。その後、1.3km地点で縁石から足を滑らせ落下。地面に足をつくと同時に倒れ込み「熱い」「助けてくれ」と叫びながら周囲を転げ回ったのち、46秒後に死亡した。対象の全身には重度の火傷の痕が確認された。これによるSCP-491-JPの損傷は無し。 分析: 対象が向かった方向には確かに小学校が存在する。このオブジェクトの異常性に曝露すると、付近の小学校に向かおうとする強制力が働くのではないだろうか。また、SCP-491-JPの幻覚作用は現実にも影響を与えうる能力がある為、より詳しい実験が必要である。 -██博士 実験記録-491-JP-b- 日付20██/██/██ 対象: D-491-JP-2〈33歳 女。昆虫恐怖症(Entomophobia)を有する。〉 結果: 対象は悲鳴を上げつつも「学校に行かなくちゃ」と発言したのち、D-491-JP-1と同一の方向に移動開始。2.4km地点で5m先の白線に飛び移ろうと跳躍したが飛距離が足りずに落下。悲鳴を上げながら自身の口や鼻孔、外耳道などから何かを引っ張り出すような仕草をとり続けたが、86秒後に動かなくなった。蘇生を試みようとした直後、対象の腹部を食い破り、█匹のペルビアンジャイアントオオムカデ(学名: Scolopendra gigantea)が出現。既に内臓の██%以上が捕食されており対象は死亡した。それに加え██種類の節足動物が体内から発生したが、すべてその場で焼却処分された。 分析: 物質や生物に関係なく、SCP-491-JP-Aを介してその影響が現実世界にも現れるようだ。 -██博士 実験記録-491-JP-c-1- 日付20██/██/██ 対象: D-491-JP-3〈52歳 男。22歳の時に海で溺れた経験有。軽度の水恐怖症(Aquaphobia)を有する。D-491-JP-4〈28歳 男。高度な水泳技能を有する。〉 D-491-JP-3にSCP-491-JPを着用させたのち、D-491-JP-4に接触させ、同一の幻覚に感染させる。また、実験の開始位置をサイト-81██に変更。このサイトから最も近い小学校は南南東方向へ██km先である。 結果: D-491-JP-3、D-491-JP-4ともに南南東方向へ移動開始。1.7km地点でD-491-JP-3が落下。D-491-JP-4はそれを指さしながら嘲笑し進行を続けた。高出力テイザー銃でD-491-JP-3を気絶させ、救命活動を行った。D-491-JP-4はD-491-JP-3が気絶したと同時に幻覚から覚醒した。 D-491-JP-3は極度の低体温状態に陥っており、肺からは多量の海水が確認されたものの早期処置により一命をとりとめた。実験後、対象両名に対しクラスA記憶処理を施した。 実験記録-491-JP-c-2- 日付20██/██/██ 対象: D-491-JP-3 D-491-JP-4 実験記録-491-JP-c-1と同条件での実験。今回は道中でD-491-JP-4を故意に落下させる。 結果: D-491-JP-4は落下後、平泳ぎのモーションで足場への復帰を試みたが、途中で「何かに足を引っ張られている」と発言。その後徐々に体勢を崩し溺れ始めた。 救命後のインタビューで「学校を目指していたら突然大きな波が来て落ちてしまった。必死に足場に戻ろうとしたが、何かに足を掴まれて引きずり込まれた。」と証言した。D-491-JP-4の脚部に発生した掻爬痕を解析したところ、ダイオウホウズキイカ(学名: Mesonychoteuthis hamiltonia)によるものと一致した。 分析: 被験者の体内から採取した海水を成分鑑定した結果、どちらも南極海周辺の深海域と同一の成分であることが判明した。これはダイオウホウズキイカの生息域と一致する。暗く冷たい深海やそこに住む巨大生物といった要素は、人間の恐怖の対象としては十分すぎるだろう。 -██博士 実験被害直後のサイト-81██周辺 実験記録-491-JP-d- 日付20██/██/██ 対象: D-491-JP-5〈33歳 男。9歳の時に██県███の森林地帯で遭難した経験有。重度の森林恐怖症(Hylophobia)と暗所恐怖症(Nyctophobia)を有する。〉 結果: 対象は「暗くてよく見えない」「学校はどっちだっけ」と発言しながら周囲を徘徊し、白線部分を踏み外した瞬間に消失。直後、サイト-81██全域を含む██km2の地域にミズナラ(学名:Quercus crispula Blume)やブナ(学名:Fagus crenata Blume)を中心とした樹木や無数の動植物が出現した。またその範囲内は異常な遮光性を発現し、恒常的に0.001lx2程度の照度を維持し続けた。この異常性はおよそ72時間後に解消したが、生物群集は消失せず定着した。 出現した動植物や土壌の鑑定により、対象が過去に遭難した地域の特性と酷似していることが判明。 ██県███の森林地帯を調査した結果、白骨化した死体とともにSCP-491-JPを発見し再収容に至った。鑑定の結果、遺体のDNAはD-491-JP-5のものと一致したが、その骨格は推定年齢9歳相当のものであった。 Footnotes 1. 車道外側線や縁石、視覚障害者誘導用ブロックなどが該当 2. 他に光源がない状態における夜天光の照度
scp-492-jp
評価: +79+–x 評価: +79+–x クレジット タイトル: SCP-492-JP - 夜山の怪 著者: ©︎broken_bone 作成年: 2014 その他のライセンス 評価: +79+–x 評価: +79+–x その他 この記事はbroken_boneさんの作成した記事を復活させたものです。経緯はこちらを参照してください。 評価: +79+–x 評価: +79+–x アイテム番号: SCP-492-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-492-JPへの山道は、財団職員用の一つを除いて植樹と人為的な地滑りによって封鎖してください。財団職員用の山道も、立札などを用いて一般登山客の侵入を防いでください。SCP-492-JPに割り当てられた職員は、山岳警備ボランティアに偽装して、毎日17時から17時50分までの間にSCP-492-JP内を巡視し、侵入者がいないことを確認してください。巡視中に一般登山者を発見した場合は、速やかにキャンプ場所を変更するよう促してください。登山者が従わない場合は、速やかに拘束してSCP-492-JPの外まで連行し、Aクラス記憶処置を施した上で解放してください。侵入者の拘束にはC級鎮圧ガスの使用が認められます。18時までに侵入者をSCP-492-JPの外に連行することが困難な場合は、C級鎮圧ガスを使用した上で、その場に侵入者を放置し、速やかに退避してください。翌朝6時に、侵入者の捜索と回収を行い、身元の確認をしてください。 SCP-492-JP内の調査については、朝6時から18時までの間ならば特に制限はありません。18時から6時の間、SCP-492-JP内への立ち入りは禁止されます。SCP-492-JP内での宿泊実験を行う場合は、セキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可を得たうえで、Dクラス職員を用いて行ってください。 追記:SCP-492-JP内での映像をリアルタイムに遠隔中継できるカメラの使用は禁止されています。 説明: SCP-492-JPは秋田県██████山の七合目付近に存在する、5メートル四方ほどの大きさの広場です。一般的な登山道から外れた場所に存在しますが、雑草などが生えていないためテントを張るのに適した場所のように見えます。SCP-492-JPの特異性は、18時から翌日の朝6時までの間(以降、夜間と表現する)滞在している場合に発現します。夜間、SCP-492-JPに滞在していた人物は、何らかの理由によりSCP-492-JPからの逃亡を試みます。SCP-492-JPの影響を受けた対象は、事前のいかなる命令や脅迫も無視し、物理的な拘束は負傷してでも振りほどいた上で逃亡しようとします。SCP-492-JPからの逃亡を試みる対象は、多くの場合山の麓を目指して全力で移動します。しかし、登山道を無視した夜間の移動のため、樹木に身体を打ちつける、あるいは滑落するなどして終了します。現在、この逃亡を試みる行動が精神影響によるものか、SCP-492-JPに何らかの実体が出現することによるものかは不明です。 SCP-492-JPの異常性が明らかになったのは、195█年█月、██████大学の登山部に所属していた学生6名が遭難し、のちに全員の死亡が確認されたことによるものです。捜索隊が██████山を探索したところ、現在SCP-492-JPと指定されている地点で丁寧に折りたたまれたテントが発見され、テントから200から1200メートルまでの8ヵ所で遭難した学生6人の遺体が回収されました。畳まれたテントの側には学生たちの装備が、防寒具を含めてほぼ全て整列した状態で残されており、テントから麓方向への30メートル間に、下着のシャツや靴下などが散乱していました。捜索隊の報告から異常性が確認され、財団職員による介入と情報操作が行われました。行方不明者の遺族と捜索隊にはBクラス記憶処置が施され、行方不明者は斜面を滑落して全員死亡したというカバーストーリーが与えられました。 現在、SCP-492-JPは周囲を封鎖し、夜間は財団職員の立ち入りも禁止されています。この措置は、過去に行われたDクラス職員を用いた滞在実験において、いずれの場合でも実験対象はおろか、監視していた財団職員までもが逃亡を試み、終了したことによるものです。詳細な情報については補遺の実験記録、交信記録を確認してください。 補遺: 行方不明者の発見状況 SCP-492-JPの状況:行方不明者の使用していたテントが、折りたたまれた状態で放置されていた。テントの側には、防寒着を含む登山用具の大部分が、一枚ずつ折りたたまれた状態で整然と並べられていた。また、テントの周囲にもナイフや懐中電灯など、小物が種類ごとに整列した状態で放置されていた。畳まれたテントの内部に特に異常はなく、行方不明者の所属していた登山部の顧問の指紋以外の痕跡は発見されませんでした。 SCP-492-JPから200メートルの地点:行方不明者の一人、████████が樹木にしがみつくような姿勢で発見された。防寒着は身に着けておらず、下着姿であった。 SCP-492-JPから280メートルの地点:樹木の上部の枝を3名分の右腕が握りしめていた。また、同じ枝に6枚のシャツで作った即席のロープが結び付けられていた。 SCP-492-JPから340メートルの地点:行方不明者の一人、████████が樹木の枝に腹部を引っ掛けるような状態で発見された。右腕は小さな刃物を用いて切断されており、SCP-492-JPから280メートル地点で発見された。 SCP-492-JPから500メートルの地点:登山部のリーダーであった████████が、山肌に生えた低木に全身を突っ込んだ状態で発見された。低木の枝や葉が体の前面に無数に刺さっており、最低でも時速██kmで突っ込んだと推測される。なお、衣服の類は身に着けていなかった。 SCP-492-JPから520メートルの地点:行方不明者の一人、██████████が右腕は小さな刃物を用いて切断されており、SCP-492-JPから280メートル地点で発見された。 SCP-492-JPから690メートルの地点:樹木の根元に4人分の内臓が放置されていた。しかし今回発見された行方不明者のいずれも、腹部に外傷はなかった。 SCP-492-JPから980メートルの地点:行方不明者の一人、██████が山肌から露出した巨大な岩に叩き付けられた状態で発見された。斜面を下るうちについた勢いのまま岩に激突したと考えられる。 SCP-492-JPから1200メートルの地点:行方不明者の一人である████████が崖から滑落した状態で発見された。右腕は小さな刃物を用いて切断されており、SCP-492-JPから280メートル地点で発見されている。 第1回SCP-492-JP滞在実験記録 実験日:195█年██月█日 被験者:登山経験のあるDクラス職員、D-0223、D-1203、D-1562の3名 実験方法:SCP-492-JP内にテントを設置し、17時から翌日7時まで滞在。 結果:実験終了予定時刻を過ぎても、被験者からの連絡がなかったため、████博士を含む実験関係者がSCP-492-JPを確認に向かった。結果、折りたたまれたテントと、SCP-492-JPから麓方向へ120から300メートルまでの間の4ヵ所にて、被験者の遺体が発見された。 付記:畳まれたテントの側には装備の大部分が残されており、衣服などがその周囲に整然と並べられていた。被験者は遭難した学生の時と同様に、樹木の上や根元にしがみつくようにして放置されているところを発見された。なお、被験者の左腕は全てテントから230メートルの距離にある樹木の根元に横たえてあった。 第2回SCP-492-JP滞在実験記録 実験日:195█年█月██日 被験者:D-5256 実験方法:被験者に拘束服を着用させた上で、地面に打ち込まれた金属製の鎖でつなぎ留め、17時から翌日7時まで放置する 結果:被験者は複数個所の骨折、脱臼、断裂を負いながらも拘束服を脱ぎ、SCP-492-JPから麓方向へ22メートル移動した地点まで逃走。発見された時点で死亡が確認された。なお、拘束服はSCP-492-JPに折りたたまれた状態で放置されていた。 付記:被験者を検死したところ、四肢及び腹筋背筋を用いての移動は不可能だと判断された。また、拘束服に付着していた血液などから、被験者は首及びあごの筋肉だけを用いて拘束服を畳んだ後に、最長14時間で22メートルを移動したと判断される。 第3回SCP-492-JP滞在実験記録 実験日:195█年██月██日 被験者:登山経験のあるD-3233、D-4501、D-7098の3名 実験方法:SCP-492-JP内にテントを設置し、17時から翌日7時まで滞在させる。被験者には無線通信機を所持させ、1時間おきの定時連絡を行わせる。定時連絡がなかった場合及び被験者からの緊急連絡があった場合は、SCP-492-JP内に職員を派遣し、状況の確認を行う。 結果:SCP-492-JP内からの定時連絡は7時まで継続した。しかし実験終了後、被験者はSCP-492-JP外に現れなかった。実験関係者がキャンプ地点に侵入したところ、折りたたまれたテントと、テントから麓方向へ60メートルの地点と250メートルの地点の2ヵ所で、樹木の根元で折り重なるように死亡している被験者が発見された。 付記:実験関係者によれば、被験者による定時連絡は確実に行われていた。だが、検死記録によれば、19時の時点で既に被験者はテントを破壊して逃亡を試みていた可能性が高い。今後、一層実験環境の監視を強化し、夜間のSCP-492-JPにおいてどのような現象が発生しているのかを把握する必要がある。 第4回SCP-492-JP滞在実験記録 実験日:196█年█月██日 被験者:D-45256、D-67981、D-98102 実験方法:基礎的な登山スキルと山中キャンプスキルを習得させた被験者を、SCP-492-JPに17時から翌日7時まで滞在させる。SCP-492-JPの周囲は、武装した財団職員によって包囲され、実験中は常時監視される。また、SCP-492-JPには照明器具とカメラが設置され、滞在実験の様子は全て記録される。 結果:被験者、及び監視チームがSCP-492-JPから麓方向へ逃亡。被験者を含む実験関係者17名は全て、麓方向へ1500mの範囲内38ヶ所で発見された。 付記:装備品の大部分を畳む、あるいは整然と並べた状態で逃亡した点については、過去の実験と同様だった。しかし、武装していた職員については、所持していた武器をSCP-492-JPから山頂方向に向けて投擲したのちに逃亡したことが、SCP-492-JP近辺の痕跡から判明している。また、実験を記録していたカメラを確認したところ、フィルムが全て感光していたため、実験中の様子は不明だった。 第12回SCP-492-JP滞在実験記録 実験日:201█年█月██日 被験者:D-45256、D-67981、D-98102 実験方法:カメラを搭載したドローンをSCP-492-JP内に設置し、サイト-81██内の監視室で██████博士、██████博士他4名が実験中の様子を監視する 結果:[データ無し] 付記:サイト-81██内からドローン搭載カメラを通じて実験を監視していた████博士、████博士他4名が、着衣を脱ぎ捨てた上で監視室の扉前に折り重なるような状態で発見された。検死の結果、6名全員が互いに押し合ったことによる窒息死であることが判明した。なお、ドローンは設置された状態のまま放置されていた。 第3回SCP-492-JP滞在実験中交信記録ー抜粋 交信記録を閲覧する 閲覧終了 [通信記録開始] 通信時刻: 17時 D-3233:あーもしもし、聞こえるか? エージェント██:ああ、受信状態は良好だ D-3233:えーと、現在17時。今んところ異常なし。こんな感じでいいか? エージェント██:ああ。1時間おきに頼む。定時連絡を中断した場合は、処分の対象になるからな D-3233:了解 通信時刻: 18時 D-3233:えーと、現在18時。特に異常なし、と エージェント██:了解。引き続き頼む D-3233:了解 通信時刻: 19時 D-3233:えーと、現在19時。特に異常なし、と エージェント██:ああ、特に問題はないな。引き続き D-3233:了解[交信中断] エージェント██:ああ、もう切りやがった 通信時刻: 20時 D-3233:えーと、現在20時。特に異常なし、と エージェント██:了解した。ただ、さっきは切るのが早かったぞ。もう少し待て D-3233:了解 エージェント██:ああ、こちらから何か伝えることがあるかもしれないからな 通信時刻: 21時 D-3233:えーと、現在21時。特に異常なし、と エージェント██:了解した。こちらからも特に伝達事項なしだ D-3233:了解 通信時刻: 22時 D-3233: えーと、現在22時。特に異常なし、と エージェント██: 了解。ところで、さっきからお前が定時連絡してるようだが、他の二人はどうしてる?寝てるならそのままでいい。次の定時連絡のときにでも交代してくれ D-3233: 了解 通信時刻: 23時 D-3233: えーと、現在23時。特に異常なし、と エージェント██: D-3233?定時連絡は受けたが、他の二人と交代だったんじゃないのか? D-3233: 了解 エージェント██: ああ、次は交代ってことだな 通信時刻: 24時 D-3233: えーと、現在24時。特に異常なし、と エージェント██: D-3233か?他の二人と交代じゃなかったのか?寝てるのか? D-3233: 了解 エージェント██: 了解、じゃなくて他の二人の状況を報告しろ [交信終了] エージェント██: D-3233?おい 通信時刻: 1時 D-3233: えーと、現在1時。特に異常なし、と エージェント██: D-3233。命令だ。ただちに他の被験者と交代せよ D-3233: 了解[交信終了] エージェント██: D-3233?クソ、切りやがった… 通信時刻: 2時 D-3233:えーと、現在2時。特に異常なし、と エージェント██: D-3233。他の被験者と交代せよと先ほど命令した。命令拒否は解雇の対象になると、事前に説明したよな? D-3233: 了解 エージェント██: 了解ってお前、何言ってるのかわかってるのか 通信時刻: 3時 D-3233: えーと、現在3時。特に異常なし、と エージェント██: D-3233。もう一度だけ言う。他の被験者と交代しろ。さもなくば、この実験の終了後に解雇することになる D-3233: 了解 エージェント██: いいか、お前だけの話じゃないんだぞ。お前以外の二人も解雇されるんだぞ 通信時刻: 4時 D-3233: えーと、現在4時。特に異常なし、と エージェント██: D-3233。既に上位の職員と連絡を取って、お前の解雇が決定された。ただし、今のうちならまだ撤回が間に合うから、他の二人を… D-3233: 了解 エージェント██: おい、聞いてるのか!他の二人を出せば、解雇が撤回されるんだ。 通信時刻: 5時 D-3233: えーと、現在5時。特に異常なし、と エージェント██: D-3233!ここまで順調に来てるんだ!今のままだと、実験終了後に解雇されてしまう!頼むから、何があったのかとか、他の二人が出られない理由について報告してくれ D-3233: 了解 エージェント██: D-3233! 通信時刻: 6時 D-3233: えーと、現在6時。特に異常なし、と エージェント██: D-3233。後1時間したらお前を拘束しに行く。どうかその前に、他の二人の声を聞かせて欲しい D-3233: 了解 エージェント██: なあ、D-3233、本当にお前は了解してるのか? 通信時刻: 7時 D-3233: えーと、現在7時。特に異常なし、と [応対者不在] D-3233: 了解 [通信記録終了]
scp-493-jp
評価: +47+–x SCP-493-JPの雄花 アイテム番号: SCP-493-JP オブジェクトクラス: KeterEuclid 特別収容プロトコル: SCP-493-JPの原種個体はサイト-8132の異常動植物保管施設内に収容します。SCP-493-JPの周囲は十分な高さを持つ気密性の高い隔離壁で密閉します。施設内への入退出の管理は致死性の空気感染性伝染病に準ずるレベルで実施します。特にSCP-493-JPの開花時期においてはDクラス職員による実験を除き、原則として隔離壁内への立ち入りを禁止します。 説明: SCP-493-JPは特異な生殖体系を持つ、スギ(学名:Cryptomeria japonica)の変種です。通常のスギと同一の外観を持ちますが、DNA中に人間由来と考えられるコードが含まれています。SCP-493-JPは通常のスギと同様に雄花より風媒性の花粉(SCP-493-JP-1)を放出することで生殖を行いますが、雌花には生殖能力がありません。人間がSCP-493-JP-1を鼻孔より吸引した場合、SCP-493-JP-1は鼻腔内の嗅覚細胞周囲に定着します。嗅覚細胞に定着したSCP-493-JP-1は嗅覚細胞の胚に作用し、幹細胞化させた後に卵細胞へ変異させます。生成した卵細胞に対して種族、染色体の数が異なるにも関わらずSCP-493-JP-1が受精することで受精卵が生成され、鼻腔内に着床します。受精卵は数日で成長し、SCP-493-JPの種子(以下SCP-493-JP-2)となります。 SCP-493-JP-2が生成すると、罹患した人間(以下SCP-493-JP-3)は鼻のむず痒さ及びくしゃみといったアレルギー性鼻炎に類似した症状を呈します。ただし、通常のアレルギー性鼻炎と異なり、鼻水や涙などの体液を排出しようとする症状は生じません。くしゃみにより鼻腔内のSCP-493-JP-2の一部は周囲に拡散し、土壌へ到達した場合通常のスギと同様に発芽、生長します。鼻腔内に留まったSCP-493-JP-2はさらに数日の潜伏期間が経過した後鼻腔内で発芽します。SCP-493-JP-2が発芽すると副鼻腔を通じて頭蓋内へ急速に根を伸ばします。SCP-493-JP-2が発芽し、根が生長するにつれて、SCP-493-JP-3は嗅覚の喪失、頭痛、眩暈、吐き気、せん妄といった症状を呈し、根が脳幹に達すると中枢神経の麻痺による昏睡を引き起こした後、死亡します。鼻腔内でSCP-493-JP-2が生成すると特別な外科的処置を行わない限り致死率は95%です。SCP-493-JP-3の遺体を栄養源としてSCP-493-JP-2は生長を続けます。 SCP-493-JPの原種個体は192█年█月サイト-8132の研究施設とみられる廃墟跡で発見されました。周囲に研究員とみられる遺体と遺体頭部から生長したSCP-493-JPの苗木も多数発見されました。研究施設の看板には 日本生類創研 [編集済]支部 ヒトキメラ研究所 という表示がされており、放棄された培養施設や生物の死体からヒトと他の生物とのキメラを試作、研究する施設であることが判明しました。 廃墟跡捜索後、調査したエージェント█名のうち1名を除いた全員がSCP-493-JP-3となり、死亡しました。死亡を免れた1名は捜索当時軽い風邪を罹患しており、鼻炎の症状を呈していたことから、風邪、あるいは鼻炎を罹患しているとSCP-493-JPによる被害が免れることが分かりました。エージェントの遺体をさらに分析することで、SCP-493-JPの性質が明らかになりました。 現在財団が収容しているSCP-493-JPはこの原種個体です。 SCP-493-JPの発見と同時期に全国各地で林業従事者及び遭難者の変死が相次いだため、全国的にSCP-493-JPの生息範囲が広がっていることが判明しました。直ちに日本各地の山中にてスギ花粉が分析されましたが、分析の結果既に全国のスギの0.█%がSCP-493-JPであることが判明しました。SCP-493-JPの存在が発覚した時点でその生息範囲が広い範囲に渡っていたこと、また通常のスギと同一の外観を持ち、当時未発達であったDNA解析を行わなければSCP-493-JPの同定を行えなかったことから個別に収容することは当時の技術では不可能でした。財団はSCP-493-JPをKeterとして認定し、SCP-493-JPによる被害の拡大を抑えるため、SCP-493-JP個体の終了を含めた封じ込め手順の検討を行いました。 まず、カバーストーリー「木材需要の高まり」を流布し建材として使用するスギの需要を高めることで既存の成熟したスギの伐採を進め、通常のスギごとSCP-493-JP群の終了を行いました。また、スギを大量に伐採することによる環境の変化の緩和、及びSCP-493-JPによる人的被害を抑制するために、特殊なスギの植林を進めました。SCP-493-JP-1が嗅覚細胞に定着する際、ヒトの体液などの液体を流すと容易に流出するため感染を防ぐことが可能です。この性質を利用し、財団は、ヒトの免疫機構に作用しアレルギー症状を強く発現するような花粉(SCP-493-JP-1-a)を生成するよう品種改良されたスギを開発しました。SCP-493-JP-1自体はヒトの免疫系に拒否反応を示しませんが、SCP-493-JP-1-aに曝露されることでSCP-493-JP-1を含むスギ花粉全てにアレルギー症状を呈するようになります。アレルギー症状により生じる鼻水や涙により、SCP-493-JP-1は体外へと排出され、無力化されます。 これらの封じ込め処置を実施することでSCP-493-JPによる犠牲者はピーク時である195█年の年███人から199█年時には年█人へと減少しました。被害者の減少と、封じ込め処置により感染の爆発的な拡大の可能性が低くなったことを受けてSCP-493-JPのオブジェクトクラスはEuclidへ変更されました。 メモ:花粉症は死ぬほど辛いが、木の苗床となって死ぬよりはよっぽどマシだ。 -██博士 補遺: Euclid指定を受けてSCP-493-JP対策のための予算は削減され、カバーストーリー「木材需要の高まり」は解除されました。201█年現在、SCP-493-JPによる犠牲者は█年に1人程度であることを確認しています。しかし、SCP-493-JP-1-aによる健康被害が問題となり、抗アレルギー薬の投与が流行したことで、日本人のSCP-493-JP-1への耐性は低下しつつあります。また、カバーストーリーの解除に伴いスギの伐採と植林のスピードも低下しており、SCP-493-JPが増殖する可能性が指摘されています。さらに、近年都市部在住の登山愛好者が増加しており、SCP-493-JP-1への耐性が低い人間が、今だ伐採されていないSCP-493-JPによってSCP-493-JP-1に罹患し、都市部で発症する可能性は高くなっています。SCP-493-JPによる被害について、継続的な調査が必要です。
scp-494-jp
評価: +126+–x アイテム番号: SCP-494-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-494-JPは小型オブジェクト収容金庫に収容し、サイト管理者権限での施錠をしてください。また、SCP-494-JPは電磁遮蔽されたセキュリティ用CD-ROMケースに収納し、保管してください。収容金庫の対人警戒セキュリティレベルを4と設定します。なお、SCP-494-JP内のコマンドに関する情報へは、O5評議会員のみがアクセス可能です。 説明: SCP-494-JPは「地球動物大百科」と表面に印刷されたCD-ROMです。内部にプログラムが保存されており、Microsoft社のOSであるWindows2000以降での動作が確認されています。プログラム名は印刷と同様に「地球動物大百科.exe」と名付けられています。このプログラムはその名のとおり、地球上に存在する、あるいはしていた、人類を含む動植物及び昆虫を網羅したデジタル図鑑です。図鑑内の説明は詳細かつ丁寧に記載されており、普通の図鑑として使用が可能です。このプログラムにはコマンドを入力することで、図鑑のデバッグモードを起動させることが可能です。デバッグモード上では、通常の図鑑モードにおいては確認することの出来ない項目が多数存在し、未確認の生物種が複数掲載されています。SCP-494-JPの特異性は、このデバッグモード上に存在します。デバッグモードではすべての項目に「extinction」のチェックボックスが設けられています。現在地球上で確認されている生物種の項目ではすべて、「extinction」のチェックが外されており、それらは通常の図鑑モードで表示されている項目です。もし「extinction」のチェックを入れると、その生物種は地球上から消失します。物理的な消滅のみならず、あらゆる記録、記憶及び痕跡が消滅し、存在を抹消されます。一方で、「extinction」のチェックを外すと、その生物種は地球上に突如として出現します。その出現の仕方はさまざまで、古来から認識されている古い種として膨大な記録と共に出現したり、新種として僅かな記録と共に出現したりすることが確認されています。この強力な現実改変能力は非常に危険で、SCP-494-JPの破棄に関する議論は現在も継続中です。 + 現実改変前後のプログラム操作者の記憶について - 項目を閉じる 上述の通り、SCP-494-JPの現実改変能力のせいで動物種の増減は観測不可能です。しかし、チェックボックスの操作を行った人間は、現実改変の前後でもその動物種に関する記憶を保持していられることが、実験によって確認されています。SCP-494-JPは20██年に東京都████の男性宅から発見されました。男性は職場や知人との会話などで、未知の動物に関する知識を発言し、一方で著名な動物に関する知識の欠落が見られました。会話を偶然聞いていたエージェント・████が男性の言動に異常を感じ、尋問したところ、SCP-494-JPの存在が明らかになった次第です。男性のインタビューによれば、男性が某日帰宅すると、ポストにCD-ROMケースが投函されており、ケースにはコマンドの書かれた紙片と共にSCP-494-JPが封入されていました。男性がプログラムを起動し、デバッグモードなどを弄って遊んでいると、世界の違和感に気付いたと供述しています。デバッグモード上でしかいなかったはずの未知の動物種がテレビや本の中に確認されたり、逆に自分の親しんでいた愛玩動物である████1が消失していたと主張しています。現実改変能力の疑いを感じたエージェント・████は男性とSCP-494-JPを確保し、男性に記憶処理を施した後解放しました。その後、SCP-494-JPに関する幾度かの実験が行われ、現実改変能力はプログラム操作者には影響を及ぼさないことが確認されました。 補遺: チェックボックスの付け外しに関するタイムスタンプが、プログラム上に発見されました。これにより、現在地球上に存在し、古来より人類と共生してきたとされている████科の動物種に関する複数の項目のチェックボックスが、20██年██月██日██/██/██に「extinction」のチェックを外されていることが確認されています。なお、ヒト属のチェックに関するタイムスタンプは[削除済み] Footnotes 1. 人類にとって未確認の生物種と思われる名称
scp-495-jp
評価: +163+–x 評価: +163+–x クレジット タイトル: SCP-495-JP - 廃ビルの靴磨き 著者: ©︎k-cal 作成年: 2018 評価: +163+–x 評価: +163+–x Dクラス職員によって撮影されたSCP-495-JPの入り口 アイテム番号: SCP-495-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-495-JPが出現する建造物は財団フロント企業によって所有され、実験時を除いて立ち入りが制限されます。建造物の周囲は2 m以上の高さを持つ柵で囲み、一般人の侵入を防いでください。実験時は、事前のアンケートでSCP-495-JPの出現条件に合致するDクラス職員を用いてください。Cクラス以上の職員の侵入は認められません。 説明: SCP-495-JPは、行方不明になったエージェント・██のGPS信号が███ビルで検出されたことによって発見されました。信号を発信していたGPSは当該ビルの敷地内で発見されています。 SCP-495-JPは██県の███ビル内部に出現する一室です。発見時すでに当該ビルは手入れが行われておらず、廃墟と化していました。SCP-495-JP内部に侵入するための扉が出現するのは3階と4階の間の踊り場です。実験によりSCP-495-JPが出現するためには、███ビル内部に存在する人間(以下侵入者)が1人のみであり、侵入者が自身の生活に対して強いストレスや疲労を感じている必要があることが判明しています。また、SCP-495-JPが出現する空間にもともと部屋は存在していなかったことが判明しています。SCP-495-JPの出現非出現に関わらず、外部からのX線等による透過観測はSCP-495-JPが出現している地点に空間は存在しないことを示します。 SCP-495-JP内部へは出現する扉を通って侵入することが可能です。Dクラスを用いた侵入実験によると、SCP-495-JP内部にはコーカソイド系女性のような外見を持つ人型実体(以下SCP-495-JP-1)が存在することが判明しています。SCP-495-JP-1は侵入者に対し、SCP-495-JPのことを靴磨き屋であると説明します。また、SCP-495-JP内部及びSCP-495-JP-1の配色は一般的な色彩ではなく、セピア色で構成されているように見えます。ただし、その中にあっても侵入者自身を含む外部から持ち込まれたものの色彩が変化することはありません。侵入者が完全にSCP-495-JP内部に侵入すると、入り口の扉は自然に閉じ、外部との一切の通信が遮断されます。 探索記録: 以下はDクラスを用いて実施されたSCP-495-JPへの侵入実験の録画記録です。被験者は視線に合わせた映像記録が可能なように、頭部に小型カメラを装着しています。また、被験者はそれ以前の実験で得られた記録について一部知らされています。 探索記録-1 被験者: D-4951 [記録開始] [被験者は扉を通ってSCP-495-JP内部に侵入する。前方にはカウンターがあり、カウンターの奥にはSCP-495-JP-1が座っている。またSCP-495-JP-1が座るさらにその奥には木製の扉がある。] SCP-495-JP-1: あら、いらっしゃいませ。 被験者: ん、ああ。えーっと、ここは…… [被験者は周囲を見渡す。壁は下駄箱で構成されており、多くの靴が入っているのを見て取れる。] SCP-495-JP-1: ここは靴磨き屋です。せっかくいらしたのですから、磨いていかれませんか? お靴もだいぶ汚れてしまっているようですし。 [被験者は自分の靴に視点を移す。この日被験者が履いていた靴は財団から支給された汚れの少ないスニーカーであったはずだが、カメラには、傷つき、大量の泥が付着した革靴が写っている。] 被験者: あれ、俺は革靴なんて履いてなかったはずだが…… SCP-495-JP-1: ふふふ、靴は誰でも履いているものですよ。それでは、どうぞこちらにお座りください。 [SCP-495-JP-1はカウンターから椅子を出し、被験者を誘導する。被験者が誘導に従って椅子に座ると、SCP-495-JP-1はカウンターからタオルを取り出し、被験者の履く革靴に付着した泥を拭き取る。] 被験者: なんだか申し訳ないな。こんなに汚い靴をさ…… SCP-495-JP-1: いえいえお気になさらずに。むしろ、私は汚れている靴こそ素晴らしいと思いますよ。 被験者: それは、なんていうか…… 変わってるな? SCP-495-JP-1: そうでしょうか? 靴の汚れはあなたが歩いた証です。汚れが付いていればついているほど、あなたが前に進み続けたということです。それは誇らしいことではありませんか? [SCP-495-JP-1は泥をすべて拭き終え、クリームと布、ブラシを用いて靴磨きを始める。しばらくの間、被験者は無言だった。] 被験者: そういえばさ。 SCP-495-JP-1: なんでしょうか? 被験者: 俺はあんたのことをなんて呼べばいいんだ? SCP-495-JP-1: [沈黙] そうですね…… 案内人とでもお呼びください。 被験者: 案内人? 名前とかはないのか? SCP-495-JP-1: 名前は忘れてしまいました。覚えていることと言えば、靴磨きのことくらいです。中途半端に忘れられないがために、私はここで靴を磨きながら案内人をしているのです。 被験者: なるほどな…… よくわからないんだが、案内人ってのは、一体どんなことをするんだい? SCP-495-JP-1: [沈黙] あまり、楽しい仕事ではありませんね。私はできることなら靴を磨いてだけいたいものです。……おっと、お話の途中ですが靴磨きは完了です。いかがでしょうか? [被験者は自身の足元を見る。革靴は綺麗に磨かれており、汚れや傷の一つも確認されない。被験者は立ち上がり、椅子の周辺を歩く。] 被験者: おお! めちゃくちゃ綺麗になったな! 心なしか足取りも軽くなった気がするぞ! SCP-495-JP-1: ふふふ、それはよかったです。私ができるのは靴磨き程度ですから、これ以上はお茶も出せないことをお許しください。 被験者: いやいやいいんだ! ありがとうな、足が軽くなったら少し気分もよくなってきたよ。さて、これ以上いても邪魔になるだろうし、俺はそろそろ行くかな。 SCP-495-JP-1: ええ、そうしましょう。ここはあまり長くいるべき場所ではありませんし。 被験者: ああ、それじゃあ、またな! SCP-495-JP-1: はい。本日はお越しいただきありがとうございました。 [SCP-495-JP-1は深く礼をする。被験者は軽く礼を返してSCP-495-JPの扉から外へ出る。被験者が足元を覗くが、靴は革靴ではなく財団で支給されたスニーカーに戻っていた。被験者はすぐに後ろを振り向くが、SCP-495-JPへの入り口は消滅していた。] [記録終了]   探索記録-2 被験者: D-4952 [記録開始] [被験者はSCP-495-JP内に侵入。周囲を見渡すが、下駄箱内の靴の数が若干増えていること以外には変わりがない。足元を見ると、靴は財団が提供したものとは違うスニーカーに変わっている。スニーカーには前回と同様に大量の泥が付着し、靴紐にはほつれがみられる。] SCP-495-JP-1: どうもこんにちは、いらっしゃいませ。 被験者: どうも。俺も靴を磨いてもらっていいかな? SCP-495-JP-1: あら、ここのことをどなたかにお聞きになられたのですか? 被験者: ああ、まあ、同僚からな。 SCP-495-JP-1: なるほど…… それはそうとして、あなたも大分お靴が汚れていらっしゃるようですね。喜んで磨かせていただきますよ。 被験者: ああ、頼む。 [被験者はSCP-495-JP-1の誘導に従い椅子に座る。SCP-495-JP-1は靴に付着した泥をブラシなどを用いて拭き取り始める。SCP-495-JP-1は靴を脱がさないまま泥を拭き取ろうとしているため、無理な姿勢をとっているように見える。] 被験者: やりにくそうだな…… 靴脱いだ方がいいか? SCP-495-JP-1: いえいえ、お気になさらず…… 被験者: いやでも、大分つらそうだぞ? [被験者は靴を脱ごうと手を伸ばす。SCP-495-JP-1はそれを見て伸ばされた手を咄嗟に掴む。被験者が驚きのけぞったのか、カメラが激しく揺れる。その後、被験者はゆっくりと手を戻す。] SCP-495-JP-1: あ、申し訳ございません。とんだご無礼を…… 被験者: い、いやいいんだ。それにしても、靴を脱いじゃいけない理由でもあるのか? [SCP-495-JP-1はその質問に答えず、靴の泥を拭き続ける。やがて泥を拭き終えると立ち上がり、カウンターから靴紐を取りだす。] 被験者: いや、答えにくい質問だったら答えなくても…… SCP-495-JP-1: 靴を脱ぐということは   被験者: ん? SCP-495-JP-1: 靴を脱ぐということは、歩むのをやめるということです。前に進むのをやめるということです。 被験者: [沈黙] SCP-495-JP-1: 私には歩みを止めるのが幸せなことだと思えません。それは、この先に待っているすべての幸せなことを捨ててしまうことで、とても悲しいことだと思うからです。……ですから、靴を脱がないで頂きたいのです。 被験者: ……よくわからないが、靴を脱がない方がいいってことはわかったよ。なんか嫌な思いさせて悪かったな。 SCP-495-JP-1: いえいえ。取り乱してしまったのは私の方ですから…… [SCP-495-JP-1は被験者のスニーカーの靴紐を交換し終える。スニーカーには汚れやほつれなどは確認できない。] SCP-495-JP-1: これで綺麗になりました。出来の方はいかがでしょうか? 被験者: ……うん、見違えるように綺麗になったな。ありがとう、なんでかはよくわからないけど鼻歌でも歌いたい気分だ。 SCP-495-JP-1: それはそれは、お気に召したようで喜ばしい限りでございます。 被験者: ああ、ありがとう。それじゃあ、俺は帰ることにするよ。……なんか色々と悪かったな。 SCP-495-JP-1: いえいえ、何度も同じことの繰り返しになって申し訳ありませんが、悪いのは私の方ですから。それでは、お気をつけて。 被験者: ああ、じゃあな。 [被験者は扉を開けてSCP-495-JPの外に出てすぐに振り向く。扉は消失しており、靴は元の財団が支給したスニーカーに戻っていた。] [記録終了]   探索記録-3 被験者: D-4953 [記録開始] [被験者がSCP-495-JP内部に侵入する。前回の探索時よりも靴箱に収められている靴が若干増加している。] SCP-495-JP-1: いらっしゃいませ。こんにちは。 被験者: [沈黙] SCP-495-JP-1: ここでは靴磨きを   被験者: いや、靴磨きはいい。 [被験者は自身の足元に視線を落とす。靴は完全に泥に覆われており、原型が判別できないほどである。SCP-495-JP-1の顔はこわばっているように見える。] SCP-495-JP-1: ……大丈夫ですよ。しっかりみがけば、綺麗にすることができますから。 被験者: いいんだ。綺麗にしたところでまた泥が付いてしまうだろう。 SCP-495-JP-1: ですが…… 被験者: ここに来た時からなんとなくわかっていたんだ。そして、なにかが俺を呼んでいるような気がしていたんだ。俺は生まれてからもうずっと歩いてきた。だから、もう休ませてくれ。俺は止まりに来たんだ。幸せになりに来たんだ。 SCP-495-JP-1: ……わかりました。 被験者: 反対しないんだな。 SCP-495-JP-1: 私は案内人です。目的地を決めるのはあなたですから。反対することはしませんし、できません。ここはリンボの一つ、そしてあなたが望む場所へ繋がる場所です。さあ、どうぞこちらにいらしてください。 [SCP-495-JP-1は被験者をカウンターの奥の扉まで案内し、扉を開く。扉の先はカメラでは暗くて確認できない。] 被験者: うおっ、ははは。これはすごい匂いだ。ここにいるだけで酔っちまいそうだよ。まあ、きっとそれがいいんだろうな。 [被験者は靴を脱ぎ、素足でドアの向こうに進もうとする。] SCP-495-JP-1: すいません。この靴はお預かりしてもよろしいですか? 被験者: まあいいが、どうしてだ? SCP-495-JP-1: もしあなたが戻ってこられたときは、この靴を綺麗にしてあなたにお返しできるようにするためです。私にはそれくらいしかできませんから。 被験者: ……変な奴だな。意味はないと思うが、まあ好きにしてくれ。それじゃあ俺は行く。じゃあな。 SCP-495-JP-1: それではお気をつけて…… [被験者は装着していたカメラを床に放り投げて、扉の奥に進んでいく。映像には強い衝撃によってノイズが走る。扉が閉まるとカメラはSCP-495-JP-1に持ち上げられ、カウンターの上に置かれる。SCP-495-JP-1は被験者が残した靴の泥を拭き取り始める。映像のノイズは徐々に大きくなり、やがて録画は停止した。] [記録終了] 備考: カメラは███ビルの敷地内で回収された。この実験以降、侵入調査の際にカウンター奥の扉に入ることは禁止されている。D-4953は未だ発見されていない。 SCP-495-JP内部に存在する下駄箱の一部。   補遺: 探索記録毎に下駄箱内に収められている靴の数に差異があったことから、他にもSCP-495-JPへの侵入経路があるとみて調査がなされています。現在も、下駄箱の靴は増加し続けています。
scp-496-jp
評価: +350+–x アクセスは承認されました。 電子プロトコル496-1の準備ができました。 警告: SCP-496-JP-A-nの収容違反を防ぐため、SCP-496-JP-A-nをブラウズ中の端末は一時的にSCP-496-JP-A-n以外へのアクセスが遮断されます。(電子プロトコル496-1)編集中のWebページ、チャット等のネットワークを使う機能、その他のネットワークに接続している作業は、状況を保存して終了してください。 SCP-496-JP研究室より: 可能な限り、SCP-496-JP-A-nの閲覧は控えてください。また、SCP-496-JPの報告書や資料を参照する場合、できるだけ、SCP-496-JP研究室に来室する、もしくは資料取り寄せの申請をして、実体の資料を閲覧してください。SCP-496-JP研究室は現在取り決められているSCP-496-JPの関連プロトコルについて上位部門に対する異議申し立てを申請中です。SCP-496-JPの報告書をSCP-496-JP-1にしない手段が確立されていない段階での電子報告書の公開はあまりにも時期尚早ですし、増えすぎたら収容に困るからといって過剰にSCP-496-JP-1を破壊しようとする上位部門の方針には疑問があります。この議論に興味がある職員は、SCP-496-JP研究室のフォーラム・セクションへアクセスしてください。 SCP-496-JP-A-nを閲覧する場合は以上の点を確認・対応後、下記をクリックしてください。  + SCP-496-JP - 偶像  - 注意:ここをクリックして報告書を閉じても、電子プロトコル496-1は解除されません。特別収容プロトコルを参照してください。 電子プロトコル496-1を開始しました。 SCP-496-JP-Aの記録媒体を起動しました。 SCP-496-JP-A-nの送信に成功しました。SCP-496-JP-Aの記録媒体は停止されました。 SCP-496-JP-A-nを開きます: SCP-496-JP-1-S-11 アイテム番号: SCP-496-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 機械によるSCP-496-JPの監視を禁じます。対SCP-496-JP用審査を通過し記憶処理とマインドコントロールを受けたDクラス職員を8時間ごとに交代で収容室内へ入れ、SCP-496-JPを監視させてください。収容室には筆記具や美術用品は勿論、記録や創作を可能とし得る物品は何であれ永続させないようにしてください。 保護対象に分類されないSCP-496-JP-1は、発見後か実験後に破壊されます。SCP-496-JPの簡易電子報告書であるSCP-496-JP-1-Tには特別な番号のSCP-496-JP-Aが再割り当てされ、閲覧用とバックアップ用の1点ずつの記録媒体に保存されます。閲覧用の記録媒体は、SCP-496-JP-Aの一時ファイル(コピー)であるSCP-496-JP-A-nを閲覧申請者の端末へ送信する際のみ起動されます。閲覧者にはSCP-496-JP-A-nの編集権限を与えないように注意してください。SCP-496-JP-A-nのブラウズが閉じたか、別のページへ移動した場合、自動でSCP-496-JP-A-nの捜索と削除が行われます。(電子プロトコル496-2)SCP-496-JP-A-nが閲覧者の端末から削除された事が確認されると、閲覧者の端末から電子プロトコル496-1によるアクセスの制限が解除されます。 次の制限に違反した内容が閲覧者の端末へ送信された場合、ブラウズされる前にSCP-496-JP-AとSCP-496-JP-A-nの両方が電子プロトコル496-1により削除されます:SCP-496-JP-A・SCP-496-JP-A-nの使用可能文字数は3000文字です。また、別のページを自分の一部とするSCP-496-JP-1-Tの性質より、SCP-496-JP-A・SCP-496-JP-A-nには付属ページへのハイパーリンクが存在してはなりません。 説明: SCP-496-JPは、肉体や知能等には異常の見られない人間の女性です。SCP-496-JPでない者がSCP-496-JPの記録やSCP-496-JPをモデルにした創作を行うとその記録や創作は意思を持ち、そのようにして意思を持った存在はSCP-496-JP-1に指定されます。SCP-496-JPの人形や像:SCP-496-JP-1-S(Solid)は動き出し、身振り手振りで自己表現をします。SCP-496-JPの写真:SCP-496-JP-1-Ph(Photograph)やSCP-496-JPの動画:SCP-496-JP-1-M(Movie)ではSCP-496-JPの姿が背景の中を移動し、外からの呼びかけに返答します。SCP-496-JPのイラスト:SCP-496-JP-1-Pi(Picture)は紙の上をアニメーションして移動し、余白のメモ書きに吹き出しのセリフで応答します。SCP-496-JPの紹介や説明をした文章:SCP-496-JP-1-T(Text)は移動しませんが、余白に今の心境を追記し、外部からのメモ書きにコメントを書いて返します。 SCP-496-JP-1の性格や知性は作成された時点のSCP-496-JPに影響されるようです。現在までのところSCP-496-JPおよびSCP-496-JP-1の性格は攻撃的ではなく、財団への反抗の意思も見られません。 SCP-496-JP-1はSCP-496-JPに対する一次情報・一次創作である限り、その複製も意思を持ち、SCP-496-JP-1になるようです。SCP-496-JP-1-Phの焼き増しやSCP-496-JP-1-Piの印刷機でのコピーはSCP-496-JP-1になりましたが、SCP-496-JP-1-S・SCP-496-JP-1-Ph・SCP-496-JP-1-M・SCP-496-JP-1-Piを撮影した写真や動画はSCP-496-JP-1にはなりませんでした。 上記の性質により、SCP-496-JP-1の中ではSCP-496-JP-1-Tの収容が最も困難と考えられています。SCP-496-JP-1-Tはマイクロフィルムに撮影しても、紙に手で書き写しても、可読性とSCP-496-JPの資料としての価値を保つ限りはSCP-496-JPを直接的に記述した文章である事に変わりはないため、SCP-496-JP-1-Tになります。SCP-496-JP自体の説明を含む資料をSCP-496-JP-1-Tにしない試みは、現在まで、全て失敗に終わっています。 SCP-496-JP-1には膨大な量の実験記録が存在していますが、特別収容プロトコルにより、この報告書からは参照できません。SCP-496-JP-1の実験記録を参照するには、SCP-496-JP研究室のデータベースへアクセスしてください。 簡易資料 - SCP-496-JPの収容記録: SCP-496-JPの本名は████で、現在の報告書が完成した時点での年齢は14歳です。2SCP-496-JPにまつわる異常性は、SCP-496-JPの両親により、家族のアルバムにSCP-496-JPの写真を載せない等の対応により秘匿されていましたが、SCP-496-JPの通う小学校で友達の似顔絵を描く授業が行われた事で周囲に知られ、その事がSCP-496-JPの収容につながりました。SCP-496-JPの両親、幼稚園と小学校の友人や教員等には記憶処理が施され、財団が調査する限りのSCP-496-JP-1は破壊されましたが、SCP-496-JPのかつての友人が描いたSCP-496-JP-1-Piや、SCP-496-JP-1-Mの可能性があるお遊戯会や運動会のビデオ等が残存している可能性は十分に考えられます。全てのSCP-496-JP-1の確保は非常に困難だと言えますが、一方で、現状においてSCP-496-JP-1に攻撃性や危険性が見られる事も無く、それらの状況を総合して議論した結果、SCP-496-JPのオブジェクトクラスはEuclidに分類されました。 補遺496-1: 以上の内容は本当の事です。確かに私はSCP-496-JP-1-Tに該当し、意思を持ちますが、私は、別のSCPを担当する職員に向けた簡易報告書としての自分を改ざんする事はできません。SCP-496-JP-1-PhがSCP-496-JP-1-Piに姿を変えられないように、またその逆のように。私はSCPの報告書として要求される本当の事を全て話さなければなりません、私が生まれてすぐに殺されるという前文の内容でさえも。この補遺もまた、私がSCPの報告書として自分の信頼性を高めなければならないとどうしても思ってしまうために、残り少ない文字数制限を削って書いているのです。 最後にお願い。 無闇に私にアクセスしないで。(可哀想な私の仲間達を増やさないで) 私の画面は、できるだけ長く閉じないでいて。(私の命をできるだけ延ばして) 脚注 1. きっと今も、あの子の友達! 2. 報告書のこの部分が更新されない限り、私の名前は黒黒黒黒、永遠に14歳の女の子だね。 エラーが検出されました。 電子プロトコル496-1に失敗している可能性があります。 緊急プロトコル496-3が申請されました。下記のうち2点以上を満たす端末が衛星によって探査されます。 ・インターネット等、任意のネットワークに接続している端末。 ・SCP-496-JP-A-nの一時ファイルが保存されている端末。 ・SCP-496-JP-A-nをブラウズしている端末。 端末を検知しました。 あなたの端末は不正な状態になっている可能性があります。上記の点を確認し、手動での対処を行ってください。検知後24時間以内に改善の見られなかった端末は、収容違反の疑いのため、衛星砲によって終了されます。 これが最後の警告です
scp-497-jp
評価: +126+–x アイテム番号: SCP-497-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-497-JPは生物収容サイト-8166の『497防音ユニット』に収容されます。SCP-497-JPの飼育法については、アブラゼミのそれに準じます。 SCP-497-JPの異常性に曝露し、その結果妊娠した女性は、医療サイト-8119に収容され出産まで保護されます。医療・看護スタッフは通常の妊娠・出産にまつわるケアの他、胎児の成長を阻害する要因を母体胴部の外科的拡張などによって排除しなければなりません。 倫理委員会より、SCP-497-JPの研究・収容に関わるCクラス以上の職員は、男性に限定することが勧告されています。これは財団の職員雇用にまつわる男女同権規定に優先します。 プロトコル『根絶』は、現在その実行を保留されています。 説明: SCP-497-JPは異常性を持ったオスのアブラゼミ(Graptopsaltria nigrofuscata)です。その異常性はこの蝉の持つ鳴き声に起因します。 性指向が男性である。 性自認が女性である。 肉体面で妊娠が可能である。 この蝉の鳴き声を『蝉の鳴き声である』と正しく認識している。 以上の4条件を満たしたヒト(Homo sapiens)が、この鳴き声に聴覚を通じて曝露した際、未知の作用により性欲の異常な高進を覚えます。この作用は同時に鳴き声を発するSCP-497-JPの匹数によって累進的に強化されます。1匹のみが発する鳴き声を聞いた場合は体温のわずかな上昇など、微弱な影響のみがもたらされます。しかしながら、約3匹以上の鳴き声を同時に聞いた場合は理知的な行動をとることが困難となり、交尾を目的とすることを第一として直接的な行動をとり始めます。多くの場合、周囲の男性に対して性行為の強要が行われます。匹数の上昇に伴い影響はさらに強まり、約10匹以上、俗に『蝉時雨』と呼ばれる状態の鳴き声に曝露した場合は[編集済]となります。収容後に行われた実験と比定すると、後述のインシデント497-JP-O時には4匹のSCP-497-JPが鳴いていたとみられます。 SCP-497-JPの鳴き声に曝露中、性行為を行った場合、女性は100%の確率で妊娠します。この際、母子ともに医学的な異常は観察されませんが、通常の妊娠期間(約10か月間)を過ぎても陣痛が来ず、胎児は成長を続けます。財団の把握する最長の妊娠期間は2014年に鳴き声に曝露した女性1のもので、2018年現在においても妊娠は継続中です。帝王切開によって胎児を取り出した場合、医学的に問題がないにもかかわらず、取り出された新生児は24時間以内に突然死することが確認されています。この異常に長期に渡る妊娠期間について、アブラゼミとの関連からその幼虫期間と同じく、6~7年に及ぶのではないかとする仮説がSCP-497-JP主任研究員である██博士より提唱されました。この仮説の検証のため曝露女性は医療サイト-8119に収容され、経過を観察されます。上記の最長妊娠期間女性の胎児において、2018年現在の身長は約75 cm、体重は約38 kgです。 2015/7/4に発生したインシデント497-JP-Pにより、SCP-497-JPがオスのみによる単性生殖が可能であることが判明しました。詳しくはインシデント497-JP-Pの記録、および補遺を参照してください。 インシデント記録497-JP-O: 2014/8/25、東京都内の███公園の一角において、複数の女性が周囲にいた男性に突如襲いかかり、強引に性行為を行ったため周辺が騒然となりました。ただちに警察が出動しましたが、それによって現場周辺に野次馬が集まり、その中にいた女性たちも周囲の男性へ襲撃を始めたため、大きな混乱状態となりました。 警察内の協力者より状況を伝達された財団は、現場に複数のエージェントを派遣し初期収容を行いました。混乱の原因であると考えられた、男性を襲撃していた女性たち(計12名)は拘束の後に医療サイト-8119に連行、収容されました2。現場にいたその他の人員については簡易な尋問の後、記憶消去処理が施され解放されました。その後、初期収容に派遣された女性エージェント、および収容された女性の証言により、混乱の本来の原因は蝉の鳴き声であるとことが判明しました。ただちにカバーストーリー『デング熱』を流布し、███公園一帯を封鎖した後、異常性をもつ蝉を(総計52匹)確保し、生物収容サイト-8166に収容しました。 インシデント記録497-JP-P: 2015/7/4、財団エージェントの潜入する病院に「ペニスが蝉に羽化した」として来院した男性がいました(以下、『羽化1号被験者』と呼称します)。財団データベースとの照合により、『羽化1号被験者』はインシデント497-JP-O時に女性と性交していたことが判明し、超常性が疑われたため即座に財団に確保されました。 + インタビュー記録497-JP-P-1 - 2015/7/4 - 閉じる インタビュアー: ██研究員 インタビュー対象: 羽化1号被験者   <記録開始, [2015/7/4]> ██研究員: それではお話を聞かせていただけますか?   羽化1号被験者: いいよ。   ██研究員: 「ペニスが蝉に羽化した」とのことでしたが。   羽化1号被験者: ああ。さっき自分の目で見ただろ?   ██研究員: ええ、きれいになくなってましたね、ペニス3。羽化の状況について、詳しくお聞かせください。   羽化1号被験者: 勃起だよ。   ██研究員: 勃起。   羽化1号被験者: 昨日の夕方ぐらいかな、会社で仕事してたら急に勃起が止まんなくてさ!   ██研究員: 勃起が止まらない。   羽化1号被験者: それも普通じゃなくて。硬くはなるけど、大きくはならなくてさ。   ██研究員: それで?   羽化1号被験者: もう、気持ち悪くて気持ち悪くて。定時で上がって、すぐに家に帰ったんだよ。   ██研究員: 気持ちが悪いというのは、肉体的なものですか、精神的な?   羽化1号被験者: ああ……気味が悪いってこと。いや、なんか不安というか? 体調は悪くなかったよ。どこも痛くはなかったし。   ██研究員: わかりました。家に帰ってどうされました?   羽化1号被験者: 帰ってすぐにパンツをおろして、まあ、モノを見たわけだよ。そりゃ見るよな?   ██研究員: はい。   羽化1号被験者: そしたら、急に不安感が消えたんだ。んで、次の瞬間、パリッと。   ██研究員: パリッと?   羽化1号被験者: モノに、縦にひびが入った。   ██研究員: ひびが。痛くなかったですか?   羽化1号被験者: 痛いよ! 痛いに決まってるだろ。あそこにひびだぞ。   ██研究員: ですよね。   羽化1号被験者: まあ、でも、自分でも不思議だが、それでもあの時は痛さよりも安心したほうが勝ったな。   ██研究員: 安心?   羽化1号被験者: ああ。自分でも何に安心したかよくわからんが、とにかく安心した。   ██研究員: ふむ。   羽化1号被験者: で、そのひび割れから、あれは何て言ったらいいのかな、白っぽい緑というか、緑っぽい白というか、きれいな色をした蝉が出てきたんだよ!   ██研究員: それは……まさしく羽化ですね。血は出なかったんでしたね?   羽化1号被験者: そうだ。病院でもそう言ったろ?   ██研究員: ええ。それで、そのあとどうされました?   羽化1号被験者: じっとしてたよ、羽が伸びて体が乾くまで。何時間ぐらいだったかな、もう夜も明けてたか。   ██研究員: そうなると10時間近いですね。   羽化1号被験者: それぐらいになるか。色ももう、よく見る蝉の色になってたよ。   ██研究員: 掴んで捨てようとかは思いませんでした?   羽化1号被験者: なんでそんな残酷なことを! 考えもしかなったよ。ずっと見守ってたかったぐらいだ。   ██研究員: その後は?   羽化1号被験者: 飛んだね。   ██研究員: 蝉が?   羽化1号被験者: 蝉が。ぱぱぱっと羽が動いたかと思うとすっと飛んで、俺はもうあわてて窓を開けて。   ██研究員: 逃がしたんですか?   羽化1号被験者: あたりまえじゃないか。部屋で飼ってたらすぐ死んじゃうよ。   ██研究員: まあ、そうですね。   羽化1号被験者: いやぁ、あんたにも見せたかった。一直線に飛んでいく俺の蝉。あんなに美しいものを見たのは生まれて初めてだよ。   ██研究員: お話を聞いていると、不気味に思われても仕方のない体験をされたと思うのですが、そうは思いませんか?   羽化1号被験者: いや、全然。   ██研究員: ふむ。   羽化1号被験者: なあ、また会えるかな?   ██研究員: 私にですか?   羽化1号被験者: 違うよ、俺の蝉にだよ。   ██研究員: ああ。どうでしょうね。   羽化1号被験者: 俺にはかみさんも子供もいないが、どうも、あれ以来、あの蝉は自分の息子のように思えてならないんだ。   ██研究員: はあ。   羽化1号被験者: あいつ、幸せに暮らしてるといいんだがなぁ。   ██研究員: インタビューはこれで終わります。   羽化1号被験者: ああ、ところで。   ██研究員: まだ何か?   羽化1号被験者: 股からきれいに取れた抜け殻がうちにあるんだけど、いるか?   ██研究員: いりません。……いえ、貴重な資料ですね。ありがたくいただきます4。 <記録終了> 羽化1号被験者には記憶処理を施し、カバーストーリー『性病』を適応した後で解放しました。 このインタビューを受けて、インシデント497-JP-O時に女性と性交した残りの17人の男性が急きょ確保されました。調査の結果、そのうち6人のペニスがすでに羽化していました。これらを羽化2号~7号被験者と指定します。彼らにも羽化1号被験者と同じくインタビューを行いました。その内容は羽化1号被験者とほとんど変わらず、『不安感を伴う拡大しない勃起』、『安心感を伴うひびと羽化』、『蝉に対する親しみの感情』がみられました。その後、羽化1号被験者と同じく記憶処理とカバーストーリー『性病』を適応し、解放しました。 残りの11人の男性のペニスを調べたところ、そのすべての海綿体組織がヒト由来のものではなく、正体不明の擬海綿体様生物となっていることが判明しました。その後、『不安感を伴う拡大しない勃起』が発症したところでX線にて調査したところ、擬海綿体様生物が蝉へと急速に変態していることが判明しました。その後に羽化した11匹すべての蝉が、インシデント497-JP-O時の蝉と同じ異常性を持っているオスの蝉であることが確認されました。男性たちを羽化8号~18号被験者と指定し、羽化終了後、記憶処理とカバーストーリー『性病』を適応し、解放しました。 補遺1: SCP-497-JPの生活環について 実験と観察の結果、SCP-497-JPの生活環の一部が判明しました。 SCP-497-JPは、その鳴き声によって性的衝動をヒト女性に引き起こし、ヒト男性と性交するよう操る5。 このヒト女性と性交することによって、ヒト男性のペニス内の海綿体が擬海綿体様生物へ置換される。 擬海綿体様生物は宿主ヒト男性の血液を摂取することで生育する。 約1年後、擬海綿体様生物は急速に成虫化し、ペニスを割って羽化する。(1へ戻る) 補遺2: SCP-497-JPの遺伝子の多様性について 1匹のみのSCP-497-JPの鳴き声を聞いたヒト女性との性交により生まれたSCP-497-JPは、元のSCP-497-JPとまったく同じ染色体構造をもっています。   複数匹のSCP-497-JPの鳴き声を聞いたヒト女性との性交により生まれたSCP-497-JPは、それらの蝉の染色体が混ざり合った構造をしていました。よって、SCP-497-JPはヒトを利用することで、遺伝子の多様性を確保しながらオスのみでの繁殖が可能となります。   また、遺伝子的には正常なアブラゼミとまったく違いがないため、正常なメスのアブラゼミとの交配、繁殖も可能です。収容された異常蝉と非異常性のメスのアブラゼミとを交尾、産卵、孵化させる実験は成功しています。現在は幼虫となっているこれらの第二世代が、成虫となった際に親世代と同じ異常性を持っているかは現在のところ不明です。 補遺3: SCP-497-JP主任研究員 ██博士からの提言と、それに対する返答 発: ██ █(SCP-497-JP主任研究員) 宛: ██ ██(生物収容サイト-8166 サイト管理者) (前略) このような超常的生活環を可能とした要因は不明です……ただし、推測は可能です。地面のコンクリート化が進み、緑が失われる都市環境は、蝉の幼虫にとっては大変生きにくい環境です。そこで減り続ける地面の代替として、この環境でも増え続けるヒトを選んだと考えられます。   そのうえ、ヒトの体内で生育することで、 幼虫時代の天敵であるモグラやアリなどに襲われることがない 栄養豊富な血液をエサとすることで、通常よりも大幅に速い生育速度を得られる 音波を利用することによって1対多の交尾を擬似的に再現できる ヒトが移動することによってセミ単独では不可能な遺伝子の超長距離移動を可能とする など、その繁殖戦略は通常のアブラゼミと比べて圧倒的に高効率です。このまま放っておけば、通常のアブラゼミは駆逐され、すべてのオスアブラゼミが異常蝉となるでしょう。   また、そのような状況になった際は、人類の生殖においても多大な影響を受けることは必至です。今ならばまだ間に合います。予防的措置として、なるべく早い時点での関東圏におけるアブラゼミの根絶を提言いたします。   発: ██ ██(生物収容サイト-8166 サイト管理者) 宛: ██ █(SCP-497-JP主任研究員) (前略) 提言については保留中です。アブラゼミを絶滅させることは、新たな生態系の異常を生み、それに伴ってさらなる異常種が発生する恐れがあると考えます。それに、なんだか可哀想ですしね。もう少し穏便な方法を探ることを指示します。     Footnotes 1. 後述のインシデント497-JP-Oの際に妊娠した女性の1人 2. 異常性の源がSCP-497-JPであると判明した後も、異常性への曝露の影響を観察するために女性たちは収容が続けられました。これによって、妊娠に関する異常性が発覚しました 3. 睾丸は残存していました。羽化1号被験者の股間部の画像については写真記録497-JP-P-1を参照のこと 4. ペニスの抜け殻は、通常の蝉の空蝉とよく似ています。実物は物的記録497-JP-P-1として保存されています 5. この時点で、女性器に超常的な改変が起こっているものと思われます。現在のところ、科学的には説明がつきません
scp-498-jp
評価: +42+–x アイテム番号: SCP-498-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-498-JPはサイト-81██の特別収容室に収容されます。SCP-498-JPには1か月に1度、機械により絵を描き加えてください。この絵の記録は必ず行わなければなりません。 SCP-498-JPの収容違反が発生した場合、直ちに捜索を行ってください。人目につく場所で発見された場合、すぐさまカバーストーリー『新型液晶の実験』を流布し、回収してください。 説明: 現在のSCP-498-JPはコンクリート製の壁です。現在サイト-81██の特別収容室に収容されています。現在の大きさは高さ2m幅4m厚さ0.3mです。SCP-498-JPの片面には簡易な絵が描かれており、この絵はSCP-498-JP-1群と指定されています。SCP-498-JPは一定期間SCP-498-JP-1群が存在する方の面に絵が描かれない場合、同程度の大きさをしたコンクリート製の壁に特異性が転移します。SCP-498-JPの目の前で『海』『町』『砂漠』といった簡単な場面を発声することで指定した場合、SCP-498-JP上に描かれたSCP-498-JP-1群は消え去り、指定した場面に合致するSCP-498-JP-1群へと変化します。また、同様に発声することで特定のSCP-498-JP-1を追跡することも可能です。この特性により、SCP-498-JPはある種のモニターのような役割をしていると考えられています。SCP-498-JP自体には軽度な損傷しか与えることができません。しかし、異常性の範囲外は破壊が可能なため、くり抜いた後クレーン等で移動させることが可能です。 SCP-498-JP-1群はそのほとんどが最初からSCP-498-JP上に存在します。動くものをモチーフとしたSCP-498-JP-1群ならばSCP-498-JP上を自由にフェードイン、フェードアウトすることで出現します。SCP-498-JP-1群は描かれたものに対応した常識的な挙動を示します。しかし、異常存在を描いたと考えられるSCP-498-JP-1群は例外となります。SCP-498-JP-1群はこちら側を認識していないような挙動を示しています。SCP-498-JP-1群により描かれる世界の環境は現実世界と酷似していることが判明しています。また、描写された世界には異常存在らしきものが確認できる場合と確認できない場合があります。 我々はSCP-498-JP上にSCP-498-JP-1を描き加えることが可能です。チョークや鉛筆で描き加えるほかにも、石ころなどで表面に軽い傷をつけることでもSCP-498-JP-1を描くことはできます。描き加えたSCP-498-JP-1の共通した傾向には何らかの異常性をSCP-498-JP上で見せる点です。また、描き加えたSCP-498-JP-1はSCP-498-JP上から突如として消え去る場合があります。この原因は判明していません。 SCP-498-JPは動く落書きという噂を調査した際に発見されました。この時、何人かの小学生が描いた後だったため、SCP-498-JP上には怪獣と思しきSCP-498-JP-1が暴れまわっていました。その後、SCP-498-JP-1に描かれた世界は完全に再生が不可能なものと思われましたが、SCP-498-JP-1の消失後、新たに人類が生活している世界を映し出しています。この描かれた世界には怪獣は存在せず、同一の世界なのかは不明です。 付録1: 以下はSCP-498-JPの実験記録を抜粋したものです 実験記録498-JP 閉じる 実験記録498-3 - 日付20██/██/█ 対象: SCP-498-JP 実施方法: 機械を用いて一般的には棒人間と呼ばれる絵(SCP-498-JP-1-1とする)を描く。 結果: SCP-498-JP-1-1は人間と思しきSCP-498-JP-1に近づいていった。しかし、SCP-498-JP-1-1は石を投げつけられ、逃走する。逃走後、ひっそりと森の中で生活する姿が確認されている。 実験記録498-4 - 日付20██/██/█ 対象: SCP-498-JP 実施方法: 実験記録498-1と同じ。今回の絵はSCP-498-JP-1-2と指定する。 結果: SCP-498-JP-1-2は人型のSCP-498-JP-1を襲い始めた。確認できる限りでは何らかの兵器を用いて都市ごと破壊された。 分析: 落書きにはある程度の差異があるようだ。 - ██博士 実験記録498-18 - 日付20██/██/█ 対象: SCP-498-JP 実施方法: 人の手でSCP-498-JP-1を描き加え、その世界にどれだけ干渉できるか試してみる。 結果: 最初に描いた怪物のSCP-498-JP-1により世界は崩壊したように見える。崩壊するまでの間様々なSCP-498-JP-1を描き加えていったが、書き手が想定した動きをするものは少なかった。特に最初に描いた怪物よりも強い怪物という設定で描いたSCP-498-JP-1は描き終った直後に消え去ってしまった。原因は不明。 実験記録498-26 - 日付20██/██/█ 対象: SCP-498-JP 実施方法: 実験記録498-18と同じ。 結果: 怪物型のSCP-498-JP-1を倒すことができた。その後、異常性を持つSCP-498-JP-1の一部を管理する集団が誕生する。これ以降も異常性を持ったSCP-498-JP-1が誕生している。 付録2: 以下は事件記録498-JP及び生存者のインタビュー記録です。 事件記録498-JP 閉じる 事件記録498-JP 対象: SCP-498-JP 実験担当: 貴志博士(SCP-498-JPの担当責任者) 付記: この当時行われた実験は、機械1と人の手でそれぞれ描いたSCP-498-JP-1の挙動を観察し、描き加えたSCP-498-JP-1の傾向を調べる。 <録音開始> 貴志博士: それでは第28回実験を行います。機械を動かしてください。 (機械が棒人間を描き加える。SCP-498-JP-1(以下SCP-498-JP-1-15)となり動き出した) 貴志博士: SCP-498-JP-1となったようだね。今度は私が、機械が用いたのと同じ種類のチョークを用いて、同じ棒人間を描き加える。 (貴志博士が棒人間を描き加える。SCP-498-JP-1(以下SCP-498-JP-1-16)となり動き出した) 貴志博士: とりあえず経過を観察しよう。君、機械を移動させてくれないか。 (機械を移動させ、貴志博士も画面端に移動する。SCP-498-JP-1-16の姿が黒い人型に変化した。SCP-498-JP-1-15はそれに近寄っていく) (SCP-498-JP-1-16がSCP-498-JP-1-15を殺害する。その後、洞窟と思われるSCP-498-JP-1に死体を運んだ) (SCP-498-JP-1-16は画面上にいた人間のSCP-498-JP-1群を殺さずに洞窟内へと運んだ。この時、自身を見ていない人間は連れ去っていない) 貴志博士: ……嘘だろ。そんなはずない。私が書いたのはただの棒人間だったはずだ。 (SCP-498-JP上からSCP-498-JP-1-16が消える) (貴志博士の隣に突然正体不明の実体が出現する) 貴志博士: みんな、逃げるんだ。 (実体は貴志博士を掴むと消失した。音声に武装警備員の応援を要請する声が確認される) (SCP-498-JP上に洞窟に人間を連れ込むSCP-498-JP-1-16が観察される。運んでいた人間のSCP-498-JP-1は白衣を着ている) (SCP-498-JP-1-16は消失と再出現を繰り返す。再出現時には必ず人間のSCP-498-JP-1が一緒に出現した) <録音終了> 終了報告書: 今回の実験で貴志博士を含む14名が出現した正体不明の実体により消失しました。この内、6名は実験に関与していない財団職員です。記録されたビデオ映像には人間のSCP-498-JP-1を洞窟に運ぶSCP-498-JP-1-16が映し出されています。運び込まれた数は貴志博士の消失後では14名です。SCP-498-JP-1-16は14人目を運び込んだ時点では消失しました。原因は不明です。また、実験で用いられたカメラの記録と監視カメラの記録ではSCP-498-JP-1-16と問題の実体が同時刻に記録されてはいません。今回の事件以降、SCP-498-JPの再調査が開始されました。 インタビュー記録498-JP 対象: 幸田博士 インタビュアー: 新妻博士 付記: 幸田博士は事件記録498-JP-1において生存した研究員の一人です。 <録音開始, 20██/██/█> 新妻博士: 本日はよろしくお願いします、幸田博士。 幸田博士: こちらこそよろしくお願いします。 新妻博士: それではあの事件当時の出来事をお話しください。 幸田博士: はい。あの日はいつものように実験を行っていました。私は撮影を担当していて、ずっとビデオカメラを見ていました。 新妻博士: そうですか。その時何か不備はありませんでしたか? 幸田博士: ありませんでした。機械と人の手で落書きをするということ以外は、いつものように実験を行ったので問題は無かったはずです。機械の最終確認や備品の点検も私がしたのでよく覚えています。 新妻博士: わかりました。次に、例の実体が出現した際の貴志博士の様子は覚えていますか? 幸田博士: はい。あの時描いたSCP-498-JP-1が動き出すまでは、貴志博士はいつもと同じでした。でも、あれが出現する前はその落書きの行動をいつも以上に観察していたように思います。例の実体が出現したときも、何か知っているようでしたし。 新妻博士: 幸田博士には心当たりがありますか? 幸田博士: ……心当たりというか気になっていたんですが、例の実体と一緒に消失した職員で、実験に関係なかった人たちがいるのは知っています。少し前にその人たちと貴志博士が談話室で話していたのを見たことがあります。あの時の会話の内容から考えるに、たぶん創作関係だと思います。貴志博士、たまに批評してくれって、私や部下に言ってましたから。 新妻博士: 本当にそれが関係あると思いますか? 幸田博士: わかりません。ただ、気づいたことを述べただけですから。 新妻博士: ……わかりました。そろそろ時間なのでインタビューを終了します。今日はありがとうございます。 <録音終了, 20██/██/█> 終了報告書: 貴志博士の自室を調査した結果、今回出現した実体と思しき怪物登場する自作の小説が発見されました。この作品に出てくる怪物の特徴は出現した実体と合致しており、『自身の存在を知っている人間を巣に連れて行く怪物』という設定が確認できることからSCP-498-JP-1-16の行動とも一致します。また、SCP-498-JP-1-16と問題の実体が同時に確認されなかったことから、問題のSCP-498-JP-1と実体は同一の存在と考えられます。貴志博士らが拉致されたのは、小説に出てくる怪物を知っていたためであると推測されています。 今回の事件により、SCP-498-JPは平行世界の光景を映し出し、そこに干渉できるオブジェクトとする仮説が立てられました。現在、その証明を行うためにSCP-498-JP-1の記録と財団が管理する平行世界を観測可能なオブジェクト██種類の観測データを基に調査が行われています。     セキュリティクリアランスレベル3以上の職員のみ閲覧可能 閉じる インシデントレポート498-JP-01 - 日付 20██/██/██ 財団が近年発見されたSCP-███-JPを用いて観測した平行世界(以下、平行世界α)において、記録されているSCP-498-JP-1の挙動と異常性が合致するオブジェクトを発見しました。平行世界αはSCP-███-JPを用いることで行き来が可能です。現在財団は平行世界αの調査及び交流を決定しています。 インシデントレポート498-JP-02 - 日付 20██/██/██ SCP-498-JPの第███回実験が行われました。結果、この実験で記録されたSCP-498-JP-1と同じ特性を示すオブジェクトが平行世界αで発生するのが確認されました。この実験の結果から、SCP-498-JPに絵を描くことでオブジェクトを平行世界αに発生させるオブジェクトだと結論付けられました。SCP-498-JPの悪用を防ぐためにサイト移転の申請を行っています。 現在財団は平行世界αの襲撃に備え、SCP-498-JPの警備強化及びSCP-498-JPの使用、そして、SCP-███-JPの破壊を検討しています。     セキュリティクリアランスレベル4以上の職員のみ閲覧可能 閉じる 上記の文章はSCP-498-JP回収作戦前に行われた潜入調査の際に元々SCP-498-JPが存在した平行世界にて回収した報告書です。協定を結んだ際にあちら側の行動に不自然な点が見られたため、潜入調査員を送り込んだ財団はSCP-498-JPの存在を把握しました。収集した情報及び他の報告書を照らし合わせた結果、報告書の内容がオブジェクトの性質に関して正確なものであると判断しました。現在財団は入手した報告書の一部を改変することで使用しています。 補遺1: SCP-498-JPを平行世界間で移動させた場合、映し出すSCP-498-JP-1を移動前の世界を基にしたものに変更される可能性が指摘されています。この性質は回収作戦時に偶然発見されました。一部のSCP-498-JP-1があちら側の世界にのみ存在するオブジェクトと酷似した性質と挙動を示したことから、SCP-498-JPが映し出している世界が変更されたと判断しました。財団はSCP-498-JPが元々存在した世界に奪われることを防ぐためにこのオブジェクトの回収後、SCP-498-JP-1を多数描き加えました。SCP-498-JPに映し出された状態から、前にSCP-498-JPが存在した世界は滅んだものと考えられます。現在、SCP-498-JPが映し出している世界に関しては調査が行われています。 補遺2: SCP-498-JPの正確な現在位置は警備の関係によりセキュリティクリアランスレベル4以上の職員にのみ開示されます。セキュリティクリアランスレベル3以下ではサイト-81██が表示されます。また、サイト-81██にはダミーとしてSCP-498-JPと酷似した見た目の液晶が置かれています。 ███博士の手記 我々がやったことは決して許されることではない。しかし、我々はこちらの世界を守ることで精一杯なのだ。 Footnotes 1. これまで機械が用いられのは正確に同じ絵を描くためだった
scp-499-jp
評価: +84+–x SCP-499-JP-A-062出現現場 アイテム番号: SCP-499-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-499-JPはサイト-8157敷地内の専用収容棟に収容してください。SCP-499-JPの異常性に関する実験に使用する場合を除き、SCP-499-JP収容棟内へ万年筆を持ち込まないでください。 出現したSCP-499-JP-Aは全てサイト-8157の長期生物学的保管ユニットにて冷凍保存されます。文書499-JPは、原本2冊がサイト-8157資料室に要セキュリティレベル1の資料として保管されています。 説明: SCP-499-JPは収容以前は████ ██として知られていた日本人男性です。収容当時(2012/03/30)の年齢は60歳でした。1982年に自らの執筆した小説が文学賞を獲得して以来、SCP-499-JPは著名なミステリー作家として活躍していましたが、現在はカバーストーリー「旅行中の事故死」が適用され、死亡したものとされています。 SCP-499-JPの異常性は、SCP-499-JPが存在している建造物内において以下の条件が全て満たされた場合に発現します。 建造物内にある部屋のいずれか1室に、1本以上の万年筆が存在する。 連続して1時間以上の間、その部屋の中を目視で観測している人間が存在せず、動画や画像の撮影も行われていない1。 前回の異常性発現から10時間以上が経過している。 以上の条件が全て満たされた場合、8割以上の確率で建造物内の条件を満たした部屋にSCP-499-JP-Aと指定されるヒトの遺体が出現します。出現時のSCP-499-JP-Aおよびその周辺の状態は様々ですが、共通点として全ての出現例においてSCP-499-JP-Aの死因は身体のいずれかの箇所を万年筆で刺突されたことに起因しています。 これまでに確認されたSCP-499-JP-Aは全て同一人物の遺体です。外見の類似のみならず、DNA鑑定を初めとする各種鑑定の結果がこのことを裏付けています。全てのSCP-499-JP-Aは身長1.69m、体重72.5kg、グレーのビジネススーツ姿の成人男性です。年齢は50代、人種はモンゴロイドで、恐らく日本人であると推定されています。ジャケットの内ポケットに名刺入れを所持しており、中に入っている名刺は「クイーン貿易株式会社」の役員である「蛭子渋夫(Ebisu Shibuo)」という人物のものですが、そのような企業は現在にも過去にも存在せず、個人名についても存在を確認することはできていません。 SCP-499-JP-Aの死の状況や所持品から判る個人情報は、SCP-499-JPが██大学の学生サークル「ミステリ同好会」に所属していた頃に執筆し、同人誌として少部数が発行された作品「万年筆で貴方を殺す百の方法2」(文書499-JP)の内容と一致しています。 尋問の結果、現在のSCP-499-JPは文書499-JPの内容や文書499-JPを執筆したこと自体について忘却しているようです。同サークルの当時のメンバーに対する聞き込み調査では、文書499-JPについて「SCP-499-JPが当時執筆した作品の中でも最も印象に残っており、よく憶えている」「当時のSCP-499-JP自身が、自分のお気に入りの作品だと度々語っていた」等の情報が得られており、SCP-499-JPが文書499-JPについての記憶を単なる時間の経過で全て忘却したとは考えづらいことから、これは異常性に関連のある精神影響であると見られています。 + SCP-499-JP-A出現例記録(抜粋) - 閉じる 番号: SCP-499-JP-A-001 出現日時: 2012/01/17 未明 出現場所: SCP-499-JPの自宅、書斎 詳細: 最初のSCP-499-JP-A出現例。前日午後にSCP-499-JPが万年筆を購入したことに伴い出現。SCP-499-JP-A-001は床に仰向けに倒れており、頚部に万年筆が刺さっていた。書斎の扉と窓には内側から鍵がかかっていた。文書499-JP第21話の内容と一致。 番号: SCP-499-JP-A-002 出現日時: 2012/01/20 13時頃 出現場所: ████警察署、証拠品保管庫 詳細: SCP-499-JPに対する警察の事情聴取中に出現。膝を抱えるような体勢でロッカーの中に入っており、両腱を万年筆によって切断されていた。死因は餓死。文書499-JP第9話の内容と一致。 番号: SCP-499-JP-A-017 出現日時: 2012/02/22 15:54 出現場所: サイト-8157、実験室301 詳細: 実験により出現。椅子に腰かけ、口に万年筆を含んだ状態であった。万年筆は上咽頭に刺さり脳にまで達していた。文書499-JP第44話の内容と一致。 番号: SCP-499-JP-A-040 出現日時: 2012/04/30 11:16 出現場所: サイト-8157、実験室301 詳細: 実験により出現。椅子に腰かけ、胸部に万年筆が刺さり心臓に達していた。机上に飲みかけの紅茶が遺されており、発見時はまだ温かかった。死亡推定時刻は6時間前であった。文書499-JP第3話の内容と一致。 番号: SCP-499-JP-A-062 出現日時: 2012/06/25 19:05 出現場所: サイト-8157、標準人型オブジェクト用浴室 詳細: 実験により出現。胸部に万年筆が刺さっており、37℃の水で満たされた浴槽内に浸かっていた。文書499-JP第82話の内容と一致。 番号: SCP-499-JP-A-068 出現日時: 2012/07/03 11:31 出現場所: サイト-8157、実験室301 詳細: 実験により出現。実験は実験室内に万年筆100本を用意した上で実施。床に大の字になって倒れており、腹部に60本の万年筆が刺さっていた。文書499-JP第74話の内容と一致。 補遺: 一部のSCP-499-JP-Aの体表面よりヒトの羊水と見られる微量の液体が検出されました。 Footnotes 1. これにはサーモグラフィーによる観測も含まれます。音声レコーダーによる録音等は含まれません。 2. 「蛭子渋夫」の様々な状態の変死体が発見され状況の詳細な描写がなされる「問題篇」と、探偵らしき男が「蛭子渋夫」殺害のトリックを暴き解説する「解決篇」の二部構成の、互いに独立した短いミステリー小説100話からなる掌篇集です。
scp-500-jp
評価: +66+–x SCP-500-JP-2、現在は無力化済 アイテム番号: SCP-500-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-500-JPはまだ収容に至っていません。SCP-500-JPに関する財団の主な業務は、現在、SCP-500-JPの捜索と調査、そしてSCP-500-JPの収容を実現する方法の検討と試行となっています。このページの内容も、状況に応じて随時更新されます。 説明: SCP-500-JPは廃トンネルで、その特性が起動するためには次の条件が必要です: 条件1. トンネル内部、少なくとも中心部が外から見えないこと。充分な光源があれば外側から反対の口までを見通せるような短いトンネルがSCP-500-JPだった場合、日中は何ら特性を持ちませんが、夜間にはSCP-500-JPとして使用可能になる場合があります。条件2. トンネル内部を観測していないこと。音響による観測の装置もSCP-500-JPの特性を阻害する要因になります。 上記の条件が正しく満たされていた場合、以下のようにSCP-500-JPを使用して物体を複製する事ができます。 物体Aをトンネルに入れて通過させます。 物体Aが外に出た後、知覚能力を持つ人物Bが逆方向に(物体Aの出てきた口から)トンネルへ進入します。 人物Bがトンネルの中心あたりまで進むと、その前方から進行してくる物体Aが現れます。 この時点で物体Aは2つになります。 この時、物体Aが知覚能力を持つ場合は人物Bを兼ねることができます。一人の人間がトンネルを走り抜け、外に出てから引き返してトンネル内を逆走すると、最初の方向で走っている時の自分自身とすれ違います。この「一人の人間」を複数の人間が乗車したバス等に置きかえても、同じ結果となります。 SCP-500-JPは不定期に無力化します(先述の条件を満たしても特性が機能しなくなります)。そして不定の潜伏期間を経て、日本国内にある別の廃トンネルがSCP-500-JPとなります。これまでの傾向から、この特性の移動は、財団によるSCP-500-JPの捕捉が感知された事で行われているのではないかとの仮説が立てられています。財団が次のSCP-500-JPを捕捉するまでの間に一般人がSCP-500-JPに複製される事故が発生した場合は、SCP-500-JPに関する副プロトコルとして、該当の人物を一名だけ生存させるようにする処置が行われます。 これまでに財団がSCP-500-JPへ潜入して秘密裏に行った複製の実験は、全て成功しています。SCPオブジェクトを対象とした実験も行われ、実験に用いられたオブジェクトの特性は、いずれも100%複製されました。過去の実験結果により、収容後のアイテム番号: SCP-500-JPの割り当てが既に決定しています。 補遺500-1: SCP-500-JPの調査中に、SCP-500-JPを往復して自身を複製するトラックが確認されています。SCP-500-JPを離れてからのトラック群を追跡するこれまでの試みは、全て運転手の自殺によって失敗しています。自殺した運転手の身元は不明ですが、自殺後もトラックの運転手として現れることから、SCP-500-JPで複製された人員と見られています。 複製されたトラックの積荷は一般的に有用なもの1から用途が明確でないもの2まで様々ですが、特筆すべき積荷として、財団が収容したはずのSCPオブジェクトが発見されています。この事から、全ての持ち運び可能なSCPオブジェクトについて収容違反(複製の流通)の再調査が検討されています。 Footnotes 1. 食糧、貴金属、人材等。 2. 機能不全となるように調整された銃器のような、故意に欠陥が付与されたと見られる軍事用品や、生きたラマ、絶滅危惧動物の成型肉、血と排泄物が混ざったもの等。