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10
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15.8k
|
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scp-101-jp |
評価: +83+–x
アイテム番号: SCP-101-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-101-JPはサイト-8141にて、広さ10m × 10m × 6mの冷凍設備が整った部屋に収容されています。管理は通常の樹木と同じように行ってください。室内は常にライトを点灯させなければいけません。SCP-101-JPを調査する職員の白衣の着用、室内への刃物、注射器の持ち込みは厳禁とします。SCP-101-JPが排除行動を取った場合は室外に退去し、室温を-20℃まで低下させ鎮圧してください。
SCP-101-JPが果実を付けた場合は活動停止状態にした上でDクラスによる採取を行い、採取された果実は必要がない限り焼却処分してください。
説明: SCP-101-JPは樹高約4m、葉張り約6m、目通り1約2mの果樹です。外見的な特徴はモモに類似していますが同種のものは存在せず、また収容から現在まで大きさの変化は確認されていません。
SCP-101-JPには運動能力があり、普段は枝を震わせるなどの活動を示します。周囲を知覚していることも判明しており、扉の開閉、室内への出入り、会話などに枝の動作による反応を示しました。また白衣を着用または刃物、注射器を所持している人間に対しては激しく枝を揺らし、その人物から離れるように幹を曲げるといった反応を示します。それでもなおそれらを着用、所持した人間が接近した場合は、枝を使った殴打またはその人物を投擲することで排除し始めます。この行動開始後に白衣、物品の放棄によってSCP-101-JPの行動が止まることはありません。SCP-101-JPが排除行動を開始したならば、2時間から最大で8時間の間、知覚できる範囲の全ての人間を排除し続けます。またこの行動は収容室内のライトの消灯によっても誘発されることが確認されています。現在のところ全ての活動は気温-15℃以下の低温状態では抑制され、低温状態で1時間ほど経過すると全ての活動を停止することが判明しています。
SCP-101-JPは3か月に1度の間隔で花を咲かせ、その後果実を付けます。この実の数は花の数に関係なく、現在までに5個から最大10個まで発生することが観測されました。果肉部分は水分量が多く、糖度が高いことが判明しています。果実内部の種を植えたところ、SCP-101-JPと同種と思われる樹木が生えました。その樹木はSCP-101-JP-1と分類され、5株 6株が研究のために栽培されています。現在のところSCP-101-JP-1には運動能力は確認されておらず、未知種のモモであること以外に異常性は発見されていません。
しかしSCP-101-JPの果実が成熟から1か月ほど経過すると、人間の赤ん坊のような生命体に変化します(以下、SCP-101-JP-2)。SCP-101-JP-2は全て女性の外見的特徴を有していますが、その身体構造は[削除済]。現在 4体 3体のSCP-101-JP-2が飼育されています。身体的な成長は通常の人間と同様ですが、全ての個体において知能レベルが成長していないことが確認されました。また全て個体の外見的特徴が一致しています。
SCP-101-JPは19██年██月頃に████県の████山中にて「桃の木に殴られた」という事件が複数報告されたため財団が調査し、SCP-101-JPを収容しました。またその際SCP-101-JPの傍からプラスチック製のタグが回収されています。タグには以下の文字が記載されていました。
日本生類創研 P-008-X05
補遺1: 19██/██/██にSCP-101-JP-2のうちの一体がSCP-101-JP-1に変態しました。変態した個体はSCP-101-JP-2の中でも最も経過年数が長かった個体で、誕生から5年が経過していました。
補遺2: SCP-101-JP、SCP-101-JP-1、SCP-101-JP-2のDNAを比較したところ全て一致し、またDNAのうち██%から人間女性の特徴が確認されました。
Footnotes
1. 地面から1.2mの位置の幹周りの太さ。
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scp-102-jp |
評価: +86+–x
SCP-102-JPに感染した靴(SCP-102-JP-1-15680) 焼却前に撮影。
アイテム番号: SCP-102-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-102-JPは人体や環境に対する影響の小ささから、感染が確認された場合でも秘匿性を重視し、通常の滅菌処理が行われます。強く発生源と疑われる場所から、半径5kmの範囲を滅菌処理する必要があります。SCP-102-JP-2に対する処置は特に必要ありませんが、可能であれば記憶処置によりSCP-102-JPの情報を削除します。これは感染が発覚した時点で、長期間に渡りSCP-102-JPの影響を受けている場合が多いため記憶処置が難しいことと、SCP-102-JP-1が無ければ特異な症状や依存性は消失するためです。SCP-102-JP-1は回収ののち焼却処分することにより無効化します。
説明: SCP-102-JPは人間の精神に影響を与える細菌です。テルモプラズマ目フェロプラズマ科に属する、古細菌に似た見た目をしています。人体そのものには無害です。
SCP-102-JPはその性質上、人間が使用する靴の内側でのみ発見することができます。SCP-102-JPの増殖には、人体に含まれるミネラルが不可欠であるように見られ、至適増殖温度は摂氏37度前後でpHが4.0~6.0です。また湿度が高いほど増殖が活発になるようです。サンダルなどの通気性の良い靴での増殖は見られません。増殖に適さない環境(人間に使用されない状況)に置かれ続けても6ヶ月以上休眠状態を維持し、増殖に適した環境(人間に使用される状況)になったとたん、再び増殖を開始します。また感染能力が異常に高く、感染した靴(以下SCP-102-JP-1と呼称)の周囲1m以内の対象(健全な靴)にすぐさま感染します。1分間の暴露で60%、5分間以上の暴露でほぼ100%感染します。未使用の新品の靴にも同様に感染します。
SCP-102-JPの異常な特性は、SCP-102-JP-1を使用した人間に特異な症状を引き起こす能力です。SCP-102-JP-1を使用した人間(以下SCP-102-JP-2と呼称)は特定の行動をとった場合に、小さな金属音を聞くようになります。SCP-102-JP-2は音について「金貨が地面に落ちる音」だと一様に語り、音が鳴ることに好感を示します。SCP-102-JP-1を脱ぐことで特異な症状は即座に消失します。
非常に高い感染力や特異な性質を持ってはいますが、SCP-102-JPは通常の滅菌処理(石鹸で洗い落とす)などで、簡単に死滅します。
補遺102-01: どのような場合に音がなるのか被験者から証言を取りました。得られた情報を統合すると、経済的な利得や生活の向上が見込まれる場合に音がなるようです。SCP-102-JPがどのように使用者にとっての利益を判断しているのかは不明です。音が鳴る行動について、SCP-102-JP-2から得られた情報は以下のようなものです。
・仕事上でより良いアイディアが浮かぶ。
・安売りの商品を偶然見つける。
・笑う。(通常不必要な場面において)
・慣れた通い道でより近い道を見つける。
・他人の秘密を不意に知る。(より強い立場の人間のものが顕著)
補遺102-02: SCP-102-JPは人間に対する平穏な性質にも関わらず、幾度とない暴力的な事案を引き起こしています。その原因を探るために、6名のDクラス職員にSCP-102-JP-1を履かせた上で、通常の生活を送らせ精神への影響を観察しました。
使用期間
影響
1~7日
特に影響は見られません。昼食の選択などで役に立つと喜んでいる様子です。使用者同士のトランプなどでは効果はないようです。
8~20日
変化が見られなかったため、選択式の筆記試験を実施し結果に応じて食事の質を変更しました。SCP-102-JPの効果により全員が全問正解のため、妨害工作が横行しました。
21~30日
筆記試験継続。妨害工作はより暴力的なものになりました。死者が出たため実験は中止されました。
実験の間、被験者たちは徐々に"金貨の音"に対して強い依存を示すようになり、最終的には音がなった場合どんな行動もとりました。しかし、妨害方法で暴力行為を考えた場合は、音が鳴らなかったと証言しています。なぜ音を無視して暴力行為に及んだのか、という質問に対して被験者たちは回りくどい方法に我慢ができなかったと証言しました。このことから、音への依存性はあくまで利益を追及する人間の欲求により引き起こされるもので、音に従うかどうかは、最後まで使用者の選択にゆだねられていると推測されます。しかし、被験者たちの環境や経歴などから、暴力性の発現については、一般社会で起きる場合と単純な比較はできないものと思われます。
補遺102-03: SCP-102-JPの利益に対する判断基準を推測するために実験を行いました。この実験は、暴力行為により個人が不利益を負担してでも、SCP-102-JP-2全体の利益が優先されるのではないか、という仮説に基づき実施されました。危険な任務に割り当て予定のDクラス職員3人にSCP-102-JP-1を履かせ、条件次第で割り当てまでの日数を変更すると約束します。それぞれ別室で条件を提示し、会話ができない状態にて実験を行いました。3人とも翌日に割り当てが決定しています。
・条件1:「猶予希望届」を出せば割り当てまで10日間猶予される。この条件は3人に出している。
・条件2:「猶予希望届」は1人しか受理されない。2人以上届け出た場合全員3日後に割り当てが決定する。
・条件3:「猶予希望届」が無事受理された場合、残りの2人は即日割り当てが決定する。
・条件4:3人全員辞退すれば全員が割り当てまで5日間猶予される。
これは「囚人のジレンマ」と呼ばれる実験です。全体の利益を考えれば、全員が猶予希望を辞退することが最善ですが、通常個人が最大の利益を得ようとすると全員が猶予希望届を出してしまいます。結果、3人ともに辞退を選ぼうとしたときに音が鳴ったと証言しました。この結果からSCP-102-JPはSCP-102-JP-2全体の利益を優先していると考えられます。しかしSCP-102-JPがどのように使用者の状況を理解しているのか、どのようにSCP-102-JP同士で連携しているのかは依然不明のままです。補足:実際の行動結果は全員が音に逆らい「猶予希望届」を提出しました。
備考: SCP-102-JPの増殖には人間の存在が不可欠であるため可能な限り長く使用者を生存させるための戦略かもしれません。もしSCP-102-JPが人類との共存を望んでいるのだとしたらSCP-102-JP-1の使用者が、『人類にとって有益な行動』をとる場合どのような行動をとるのか、それを観測するための実験は大規模な感染拡大が必要なため、いまのところ実現不可能と思われます。
SCP-102-JPは、その封じ込めの困難さから度々一般社会において感染事例を引き起こします。大多数の人間によってどのようなことが利益として導かれるのか、その参考のためもっとも広範囲に拡大した事案を以下に併記します。
事案102-15: 20██/09/30 ████の████にて、中規模のストライキおよび暴動が発生しました。関係した人物の靴からSCP-102-JPが検出されましたが、事態の把握の遅れにより詳細な経緯や感染経路などは不明です。滅菌処理は広範囲なものになりこの年に割り当てられた予算を使い切りました。
事案102-15におけるインタビューログの抜粋: 事案102-15において暴力的な行動をとったSCP-102-JP-2(以降SCP-102-JP-2-15-172)に聴取を行いました。
研究員I: ████におけるストライキにてあなたが先陣を切って警察隊と衝突したとありますが?
SCP-102-JP-2-15-172: 警察じゃない!!あのなかにいた██████に殴りかかろうと思ったんだ!!
研究員I: 落ち着いてください。█████氏はあなたの会社の最高経営責任者ですね?不満があったのですか?
SCP-102-JP-2-15-172: 最初はその程度だった…ストライキを考えたときにあの音がなって…だからストライキをして…
研究員I: 最初はというのは具体的にどういうことですか?
SCP-102-JP-2-15-172: あいつがオレたちを説得しにきた、離れたところから拡声器で上っ面だけのきれいごとをふっかけてきた…それを見てたらあの音が…
研究員I: なにを考えたのですか?
SCP-102-JP-2-15-172: あの音はいつでもオレたちの味方だった。あの音に従えば給料だって上がった。いい人間にもめぐり合った。あの音は絶対だった…
研究員I: █████氏を見てなにを考えたのですか?
SCP-102-JP-2-15-172: あいつは殺したほうがいい…
研究員I: 最終的には警察に取り押さえられているようですが、もし警察に止められなかったら█████氏を殺していましたか?
SCP-102-JP-2-15-172: わからない…でももし誰にも気づかれないような殺し方を思いついたら、きっと実行するやつはいると思う。
直接的な暴力行為に音がなったことについて、SCP-102-JP-2全体の利益を優先する性質が影響したとする説が有力です。全体の利益を考慮した結果が、█████氏の殺害というのは興味深い事実です。直接の関係は不明ですが、事案102-15の2週間後█████氏は、労働基準法違反で逮捕されています。
補遺102-04: SCP-102-JPにとって、財団の存在は増殖を阻害する不利益な存在だと考えられますが、Dクラス職員を用いた実験で、財団へ不利益をもたらす行動には音が鳴りませんでした。これはSCP-102-JPにとって人間は増殖に不可欠であり、人類の滅亡を財団が防いでいるからとも考えられますが、確証は得られません。また事案102-15を参考に、SCP-102-JP-1を履かせたDクラス職員に、政治家をはじめとした影響力の強い人物の殺害を思案させた結果、音の鳴った人物が若干名いました。そのリストは現在O5によって凍結され担当研究員にも閲覧することができません。
+ 音の鳴った人物リストを表示[クリアランスLevel3以下が閲覧可能な資料]
- 音の鳴った人物リストを非表示
O5の要請により追跡調査に必要のない部分は削除されています。
氏名
職業
備考
█████
[データ削除済]
[データ削除済]
████
[データ削除済]
[データ削除済]
██████
[データ削除済]
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███
███社執行役員
20██/01/14 贈収賄容疑にて逮捕。
████
[データ削除済]
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█████
[データ削除済]
[データ削除済]
█████
[データ削除済]
[データ削除済]
█████
███所属上院議員
財団のデータベースへの侵入を指示したことが発覚しました。
████
███社最高顧問
20██/06/11 横領罪にて逮捕。
[データ削除済]
[データ削除済]
[データ削除済]
██████
[データ削除済]
研究員の██への脅迫行為を指示したことが発覚しました。
█████
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[データ削除済]
[データ削除済]
[データ削除済]
[データ削除済]
[データ削除済]
セキュリティに関する報告: 事案102-15ののち、各地の工場や物流業者の倉庫、建築現場などで労働者の靴が経営者によって強引に処分されているとの報告がありました。これはSCP-102-JPの処分を目的とした行動であると考えられますが、SCP-102-JPが感染力のある細菌であることや、通常の殺菌処理で除去できるということは考慮されていないようです。追跡調査により問題行動を起こした経営者たちは、彼らの所属する████████の指導を受けて労働者の靴の処分を行っていたことが発覚しました。処分されている靴はほぼ全てSCP-102-JPの汚染を受けていないことが判明しています。財団は████████へ靴の処分を停止するように勧告しましたが、████████側からも情報開示要求があり、意見の一致は困難を極めています。
担当研究員のメモ:
このオブジェクトは、彼らにとってよほど怖ろしいものなのだろう。たしかに、SCP-102-JPが導く"全体の利益"が、本当に人類にとって有益なものかは誰にもわからないが、彼らの語る"人類の利益"こそ、本当に全ての人間に最大の幸福をもたらすものだと、誰が言い切れるのだろうか。
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scp-103-jp |
評価: +213+–x
SCP-103-JPの外観。
アイテム番号:SCP-103-JP
オブジェクトクラス:Euclid
特別収容プロトコル:SCP-103-JPが存在するアパートは封鎖され、カバーストーリー「耐震偽装の発覚」が適用されます。SCP-103-JPの内部へはDクラス職員のみ入ることが許可されます。SCP-103-JP内部への記録機器の持ち込みは事案ろ-1の結果を受けて、セキュリティクリアランス4以上の職員2名以上の許可なしに行うことは禁じられています。
説明:SCP-103-JPは東京都████区に存在する一般的な3階建てアパートの部屋の一つ、103号室と表記される2LDKの部屋です。SCP-103-JPの内部は収容以来█年の間放置されているにもかかわらず、バスルーム・トイレ・ベッド・空調・蛍光灯・台所など、すべての設備に経年劣化は見られません。加えて、SCP-103-JPには電気・ガス・水道が供給されていないにもかかわらず、内部では問題なくそれらの設備が使用可能です。
その内部に18歳以上、25歳以下の男性(以下、被験者と表記)一人が入ることによってSCP-103-JPの異常性が発揮されます(以下、『活性化状態』と表記)。条件の違う人間や二人以上の人間がSCP-103-JPの内部に存在しても、SCP-103-JPは活性化状態になりません。SCP-103-JPの活性化には4つの段階が存在し、約7日~10日ごとに段階が進行します。
第一段階では、被験者がSCP-103-JPを観測していない間(以下、非観測状態と表記します)、観測されていない室内の環境が被験者に快適になるように変化します。例として以下が挙げられます。
主に和食を中心とした様々なメニューが食卓の上に準備される。量、味付け、食器などは全て被験者の好みに合ったものとなり、温度は適切な状態で保たれる。
花瓶に季節に応じた花が生けられる。萎れる前に花は取り替えられる。
部屋内は常に掃除される。たとえ書籍などを出したままにしても全て元の場所に戻される。
室温は常に被験者の体調に合わせて摂氏22度から摂氏26度の間で保たれる。
また、被験者はこのような家事に対して、違和感を抱かず、「ルームシェアしている異性が家事を行ってくれている」と認識します。家事、模様替えの様子を機材によって録画することは、機材に起こる原因不明の不具合により失敗します。
第二段階では、非観測状態で行われる環境の調整と共に、黒いペンで書かれたメモ書きが出現します。これは被験者に対して励ましや気遣いの言葉を掛けるもので、多くの場合被験者はこのメモに対して喜びを感じます。この段階以降の被験者はSCP-103-JPから退出することを拒否するようになり、SCP-103-JPの内部に留まり続けます。この影響は精神的なもので、SCP-103-JPから被験者を物理的に引き離すことは可能ですが、被験者は可能であればSCP-103-JPの内部へ戻ろうと試みます。記憶処理を行ったとしても、この衝動は永続的に残ります。
活性化の第三段階に入ったSCP-103-JP
第三段階では、環境の調整に異常が見られ始めます。例として以下が挙げられます。
"食事"として生ゴミ・腐敗した害虫や害獣の死骸・使用済み生理用品が配膳される
室内に置かれた花瓶に枯れ木・マネキンの手・廃材などが生けられる
床に血液・ガラス片・丸められた新聞紙などが散乱する
室温が摂氏40度から摂氏-5度まで大きく変化する。
置かれるメモが人間の血液が15%前後混ぜられた赤いインクで書かれるようになり、内容が脅迫的なものへと変化する
被験者はこれに対して「彼女がやっていることだから仕方ない」と一様に応え、そのような環境でも生活し続けようとするため、多くの場合健康を害することになります。
第四段階では、被験者は消失し、SCP-103-JPは非活性化します。消失の瞬間をなんらかの機器によって録画・録音しようとした場合、危険な収容違反が発生しました。これによってSCP-103-JP内部への機材持ち込みは禁じられました。セキュリティ担当者は事案-ろ-1を参照してください。
補遺1:実験い-4にて行ったD-4521に対するインタビュー。対象は20日間SCP-103-JPの内部に滞在し、現在第三段階にあります。
対象:D-4521
インタビュアー:岩永研究員
<録音開始, ████/██/██>
岩永博士:D-4521、調子はどうですか?
D-4521:(D-4521は繰り返しえずいている)悪くないよ先生(付記: D-4521はその日の"朝食"に出された、腐敗したネズミの死骸を食したことにより、嘔吐を繰り返している)。ただ、ちょっとね。あの子の手料理に当たっちゃったみたいでね(苦笑)。
岩永博士:あの子とは誰のことですか?
D-4521:あの子はあの子さ。いつもは完璧なんだけどもね。まぁちょっと虫の居所が悪いみたいだからね。でもまぁ(えずく)、許しちゃえるんだけどさ。
岩永博士:と、いうことは、今の状況に不満はないと?
D-4521:そりゃね。あんないい子だからね。別れるには惜しいよ。それに、彼女のやってることだからね。仕方ないよ。
岩永博士:ですが、D-4521。あなたは彼女の姿を見たことがないんでしょう?
D-4221:見えなくってもメモがあるしね。それに分かるのさ。大事な相手だからね。でも、そのうち会えるんだよ。その時が楽しみさ。もうすぐなんだよ。
<録音終了, ████/██/██>
補遺2:事案ろ-1の映像記録の音声のみを文字に起こしたものです。当時の担当研究員である菅野上級研究員は、遠隔地より無線を利用して被験者であるD-4316へ命令を下していました。
<録画開始, ████/██/██>
菅野上級研究員:D-4316、状態を説明するんだ。
D-4316:もうすぐ会えるんです。
菅野上級研究員:誰と会えるのか、きちっと説明しろ。
D-4316:あの子です。もうすぐ。きれいなあの子だ。ようやく、ようやく会える。……あれ?
菅野上級研究員:おい、どうしたD-4316。
D-4316:いや、違う、なんだこいつ、これはあの子じゃない! 嫌だ! 来るな!
菅野上級研究員:どうしたD-4316! 状況を説明しろ!
D-4316:あああああ! やめろ! やめてくれ! 先生助けて下さい! 誰(D-4316の言葉が16秒間、突然途切れる)
菅野上級研究員:おい……?
(2分11秒間、ノイズのような音が流れる。この音声に対して複数の手段で解析を行ったものの、未だ意味のある言語などは確認されていない。解析の結果、ノイズ音は周波数を様々に変化させた女性の叫び声に近いものであるという事実が判明した)
菅野上級研究員:(43秒間の沈黙)ああ、そうか、そうだもんな。彼女はアイツじゃない。俺を選ぶんだ。俺を、俺を。行かなきゃ。あの子の家に。
<録画終了, ████/██/██>
この後、菅野上級研究員はSCP-103-JPの元へと移動しようとして拘束されました1。記録された映像にはSCP-103-JP内のD-4316の様子ではなく、菅野上級研究員がD-4316に対して命令を下している様子が、菅野研究員の背後から誰かが撮影しているようなアングルで映されていました。これを受けて、第四段階まで活性化したSCP-103-JPへの記録機器の持ち込みは禁じられました。
Footnotes
1. 菅野上級研究員は事案ろ-1時点では54歳であり、オブジェクトの活性化条件から外れています。
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scp-104-jp |
評価: +235+–x
アイテム番号: SCP-104-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-104-JPはその性質から物理的な封じ込めが不可能であり、また[編集済]の存在を社会から根絶した際の文化的影響への配慮から完全な無力化も現在望ましくないとされています。SCP-104-JPへの対処は、SCP-104-JP現象発生後の被害者の確保、関係者への記憶処理、可能であれば被害者の治療及び解放(不可能である場合は即座に終了)という実際の事象への対策。並びに杏仁豆腐と[編集済]の両方を調達可能な国家の文化面に対する誘導によって、杏仁豆腐と[編集済]が同時に食される可能性を可能な限り減らしてください。
現在、各財団支部の協力の下、中国、韓国、オーストラリア、アメリカ、ベトナム、トルコ、ハンガリー、日本で食文化の監察と誘導が実行されています。特に日本は最もSCP-104-JP現象の発生例が多いため、より大々的な誘導が行われていることに留意してください。
SCP-104-JPに関係する発見または著作物に対する情報統制・記憶処理には、特別に専任対策チームを以てあたってください。
確保された被害者は通常規格の対放射線設備内で遠隔操作の耐線ノズルを用いた反応物質の取り出しを行った後、無菌室に隔離し治療してください。取り出した反応物質は特殊有害物質除去プロトコルに従い処理してください。
説明: SCP-104-JPは一般的な調理法によって製造された杏仁豆腐と[編集済]を約40分以内に、同一人物が同時摂食した場合に発生する不可思議な化学反応です。杏仁豆腐が、その製造過程で獲得した現代では未分類のセルロースと、加熱後の[編集済]が保温状態の継続によって獲得する未知の金属物質が、胃腔内の塩酸物質とヒスタミンの媒介によって急激に化学反応を発生させた状態がこれに該当します。
反応を開始した杏仁豆腐と[編集済]は瞬間的に燃焼しますが、その熱エネルギーは胃腔内ガスと反応物自体が排出する不純物が反応して形成される粘膜の影響により、内側へと向けられます。そのため被害者は反応が最終段階に入るまで異常に気付きません。
粘膜は、反応物内部に蓄積されていく熱エネルギーの影響によって、おおよそ7分後に結合の臨界点を迎えます。臨界点を迎えた粘膜は均一に縮小し、結果、内部の反応物に対して均一に高い圧力を与えることとなり反応物の爆縮を誘引します。
この時点で反応物内部の熱エネルギーは極めて不安定な状態になっているため、この爆縮によって一挙に反応物は高温・高密度化し、核融合反応を発生させます。爆縮に伴う破壊的な余波は、爆縮と同時に高密度化し硬化した粘膜によって防がれ、粘膜は破壊されますが被害者へは微々たる影響しかもたらしません。
爆縮後、反応物は最終段階に入り、それ以降は完全に核融合反応を安定して行い続けます。SCP-104-JPでは未知の理由から、通常のD-T反応に必要とされる約1億度よりも遥かに低温である███℃で反応が維持されます。
SCP-104-JPの原因となる杏仁豆腐は、アンズ類の種子を用いたものでもアーモンドの種子を用いたものでも同様の核融合反応を誘引しました。[編集済]の場合も同様の実験結果が出ています。更に、条件を再現した状態での実験では核融合の発生を確認出来なかったことから、胃腔内という環境がSCP-104-JPに対して与える影響について未知の要素が存在すると考えられています。
杏仁豆腐と[編集済]のどちらもが古くから人間社会の食文化に存在していながら、SCP-104-JPが近年まで発見されなかったのは、杏仁豆腐と[編集済]が異なる文化圏で発生した食品であることが原因とされています。また、近年にその発生が確認された原因は、流通と社会の国際化に伴う混合的な食文化の形成傾向にあるとされています。
それでも、SCP-104-JPの報告例が世界でも極めて稀であるのは、杏仁豆腐と[編集済]を同時に食すことが一般的には「好ましくない」嗜好と見なされているからであると考えられています。
補遺: SCP-104-JPは意図的な発生が容易であるのに対して絶大な効果を生じさせる点が懸念され、[編集済]に関する情報が当該オブジェクトの担当研究員以外には制限されることとなりました。担当研究員が[編集済]の情報を得る場合は、先任または他の担当研究員から口頭で説明を受けるようにしてください。
これは本当に我々が管理すべきモノなのかな? 単なる科学的な大発見なんじゃないのか? ──███研究補佐
食べ合わせが悪いと胃の中で核融合が起きる。そんな馬鹿げたことをどうやって一般社会に受け入れさせる気だ。 ──██博士
確かにSCP-104-JPは「未知である」だけで、相対性理論や二元論と同じく有用なものなのかもしれない。
だがSCP-104-JPは今の人間社会にとっては特殊すぎる。特殊なものに対する驚き、恐れ、狼狽、そして画策。SCP-104-JPは悪用されやす過ぎる。しかも悪用に対して、今の社会は十分な対策を立てられていない。いや、立てようとする気さえ起きていない。
忘れるな、財団が存在する理由を。SCP-104-JPは今の人間には過ぎた贈り物だ。間違っても、我々の敵、そして味方にもその秘密を渡してはならないのだ。
──█ ███博士
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scp-105-jp |
評価: +363+–x
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scp-106-jp |
評価: +180+–x
発見時のSCP-106-JP
アイテム番号: SCP-106-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-106-JPはサイト-8154特別物品収容室内の金庫ほ-7に保管されています。実験を行う際はレベル3職員立会いの元、エージェント・浜寺を同行させるようにしてください。
説明: SCP-106-JPは外見上は一般的な手斧です。その特性は人間が手に持つことで発揮されます。手にした人間は、一瞬でその場からSCP-106-JPと共に消失します。これは同時に複数人持っても同様です。そして、薄暗い森の中へと転移します。この場所は未だ特定出来ておりません。
この森はどの方角に進んでも最終的には中心に土俵がある大きな広場に辿り着き、この場所に辿り着くとSCP-106-JP-1に相撲で勝負を持ちかけられます。勝負は常に1名のみだけが受けられ、複数人いる場合では他の者はSCP-106-JP-1と代表者の勝負を観戦することしか出来ません。
相撲のルールは現代の日本の相撲に則ったもので、行事や勝負審判、まわしや土俵入りの作法なども準じています。これらについての知識が無い場合、勝負を受けた段階でSCP-106-JP-1から説明が入ります。
一度勝負に勝った場合、SCP-106-JP-1は以降勝者に対して従順な態度を見せるようになりますが、負けた場合は「弟子入り」と称して森の中へと対象を連れ去ります。また断った場合も「それでも日本男児か」と叱咤され、負けたときと同じく森の中へと連れ去ります。
SCP-106-JP-1は現代の日本語を話すことが出来る体長3m程のヒグマです。日本語以外の言語は話すことは出来ず、積極的に相撲勝負を持ちかけること以外の行動は今のところ見受けられません。
調査記録:
元関取のエージェント・浜寺を中心に3名のエージェントによる調査を行いました。
以下はその際撮られた映像記録の一部抜粋です。
[事前にエージェント3名が様々な方角に歩くも、5分程度で土俵のある広場に辿り着くことを4度繰り返した]
SCP-106-JP-1:いい加減にしろ。何度も言っているだろう。オレと相撲を取らないとここから一生帰さないぞ!
エージェント・浜寺:どうもそうみたいだな。あいにく仕事柄、誰かを信用することが出来なくてね。
SCP-106-JP-1:まあいい。それで、誰がオレと勝負するんだ。
エージェント・浜寺:俺だ。
SCP-106-JP-1:ほうお前か。[SCP-106-JP-1はエージェント・浜寺の全身を舐めるように見つめる]なかなかやりそうだな! ルールの説明をしよう!
エージェント・浜寺:いやいい。今の日本の相撲と同じと聞いてきた。だからお前とやる相撲は何が違うかだけ教えてくれ。
SCP-106-JP-1:うむ、1つだけある。土俵入りは不知火型だけだ。
エージェント・浜寺:それだけか? しかしなんでまた?
SCP-106-JP-1:彼が不知火型だったからだ。
この後10分程、広場の両隅に出現した小屋にエージェント・浜寺、SCP-106-JP-1の両者がそれぞれ入り、取り組みの準備をする。
両者が再び広場に出た瞬間、周囲にはヒグマ、ツキノワグマ、ホッキョクグマ、ジャイアントパンダ、マレーグマ等の様々な種類の熊が約100頭出現。観客として土俵の周囲に集まる。
両者共に不知火型で土俵入りすると観客の熊達の歓声が上がり、盛り上がる。この観客の熊達も日本語を話しており、勝負を見守るエージェント・今宮がワンカップ大関を隣にいたホッキョクグマに勧められるなど祭りのような雰囲気であった。
立合いも、行事のジャイアントパンダによる時間いっぱいの掛け声まで行うことは無く、両者緊張感を煽っていた。なお制限時間は4分であった。
立合い直後、SCP-106-JP-1が低い姿勢からのぶちかましを仕掛けるも、エージェント・浜寺は即座に体を開き、これを利用し叩き込みで決める。
SCP-106-JP-1:見事だ。
[周囲からは「あいつが帰ってきた!」「宴の準備をしろ!」「まさかり担いでよ!」等の声が上がっている]
エージェント・浜寺:あー、つまり、そういうことなのか。
SCP-106-JP-1:察しが良いな。そういうことだ。さあ、これからどうする? オレとここにいる奴ら全員いまやお前の親友だ。頼みごとならなんでも言ってくれ。
エージェント・浜寺:じゃあ、今までお前が弟子入りさせた人間と俺達を全員、俺達が元いた場所に戻してくれ。
SCP-106-JP-1:わかった。
エージェント・浜寺を含むエージェント3名と、14頭のマレーグマ、SCP-106-JP、一枚の色紙が収容室内に出現。
色紙にはSCP-106-JP-1の手形と思われるものと共に「また良い相撲を取ろう」と書かれていました。
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scp-107-jp |
評価: +74+–x
アイテム番号: SCP-107-JP
オブジェクトクラス: Euclid
会談休憩中のSCP-107-JP-1
特別収容プロトコル: 現在SCP-107-JPの収容は余剰次元への通用路隔離と侵入手続きの秘匿を確実にするため機動部隊オミクロン-ロー("ドリームチーム")と現地執行機関との外交手続きを主体に進行中です。また意図せぬ通用路の開通を防ぐためフランス国内で生産されたアブサン1に対し原産地呼称委員会による監査の名目で生産を行う各蒸留所への定期検査が行われます。また、SCP-107-JP内で創作された作品は空想科学部門による審査/校正の上、該当作家の遺作ともしくは再発見された原稿として一般社会へ公開されます。
説明: SCP-107-JPは余剰次元に存在する面積150.15㎢の市街地です。SCP-107-JPは現地執行機関によりアブサン・アベニューと呼称されており、現地住人の代表として市長を据えた執行機関によって統治されています。SCP-107-JPは基底現実世界と接続したポータル及び現地執行機関の定める意識体侵入手順通称『エミル・ペルノ』により進入が可能です。ポータルは現在タヴェルニー空軍基地第22番倉庫に固定されており、財団はフランス政府より施設の租借協定を行う事でこれを保持しています。
現地執行機関の定める意識体侵入手順は現在の所手続き上の理由により固定されていますが、これはSCP-107-JPの施政者が世代交代することで変更される可能性があります。SCP-107-JPが発見されてから現在に至るまでにこの手順は2回変更が行われています。現在の侵入手順は下記のとおりです
意識体侵入手順『エミル・ペルノ』にアクセス
を閉じる
意識体侵入手順書 1965/10/01
以下はSCP-107-JPへ侵入するための検閲済み説明リストです。この文書の当バージョンでは一部のステップが省略されています。この方法での侵入は実体を基底現実世界に残したままの侵入となり、侵入者はSCP-107-JP内において緑色の霧で構成された人型実体として出現します。進入中に基底現実世界での肉体が死亡した場合、侵入者の意識は中断されSCP-107-JP内のランダム地点にて新たに新たな肉体を持つ人型実体として再生成されます。この人型実体は基底現実世界での記憶を引き継ぎますが肉体的には健康な状態を保っており、元の肉体が死亡した際の肉体的な損傷を引き継ぎません。またこの実体は72時間に15ml以上のアルコール飲料を経口摂取しない場合急速な肉体崩壊を引き起こすことが確認されています。
1シリング硬貨を3枚を底に設置した銅製のコップにヴィユー・ポンタリエ2を注ぎ着火します。
規定されたフレーズを唱えながら加水します。この際アブサンと水の割合が1:3以上になると手続きは中断されます。
加水したヴィユー・ポンタリエを30分以内に飲み干してください。
24時間以内に睡眠を行う事によりSCP-107-JP内に存在するアパートの一室で目を覚まします。基底現実世界に帰還する際は同様のアパート内で睡眠を行う必要があります。
SCP-107-JPの存在する余剰次元は機動部隊オミクロン-ローによる検証により人の意識下に接続された夢と同一座標に重複している事が確認されていますが現地執行機関がどのようにして睡眠下の人間の意識をSCP-107-JPに招待しているか詳細な方法は不明です。
SCP-107-JP内は殆どの場合において基底現実世界とほぼ同一の物理法則が機能しますが同時に現地住人(以後SCP-107-JP-1と表記)および旅行者(SCP-107-JP-2)は基底現実世界と異なった物理法則を基準とする行動をとるケースが確認されており複数の物理法則が並列していると推測されます。
SCP-107-JP内は常に薄緑の霧によって視界不良の状態にあり、その町並みは18世紀半ばから19世紀の建築様式を模倣していますが、インフラは現代に近く上下水道、電気、ガスが整備されています。また基底現実世界と大きく異なる点として町の各所に設置された街灯に設置された蛇口や水道からアブサンの摂取が可能である点が挙げられます。アブサンは飲用として多く用いられるだけでなく燃料としても活用されており夜間街灯の燃料、アブサンストーブなどといった用途にも利用されます。このアルコール飲料が何処から供給されているかは今のところ不明であり、現地管理組織からも公式の回答が得られていません。
SCP-107-JPは余剰次元上に独立した存在を確立しているものの、物質上の自給自足を行う事が出来ず、現地執行機関の定めた指定業者が複数の次元から食料、生活用品、その他資材を輸入する形で生活を維持しています。SCP-107-JPにおける現地執行機関は基底現実世界との交易を財団管理下で行う事に同意しており、比較的良好な関係を維持していると考えられています。
SCP-107-JPは1949年、キューバのサンチアーゴ・デ・パウラにて休暇中であったエージェント・アーネストの黒色火薬を用いた無謀な飲酒体験によって発見されました。この際エージェント・アーネストはSCP-107-JPに8時間滞在し、SCP-107-JP-1となっていた財団職員のエージェント・ガートルード3よりロンドン地下に設置された基底現実世界とのポータルの存在を確認、帰還しました。
エージェント・アーネストは所属サイトへの報告後、4回の無謀な飲酒を実施し、3回目の飲酒行為で当時の指定侵入手順を確立、エージェント・ガートルード及び現地執行機関との接触を行い、現地執行機関よりポータルの使用許可及び非武装の探索チーム派遣の許可を取り付けました。現地執行機関は作家、芸術家および評論家が取材の名目での探索を行う場合に限りこれを認めるとし、これに伴い該当するエージェントによる臨時探索チーム『酔いどれウサギ』が設立されました。
以下は酔いどれウサギと現地執行機関との取り決めをもとに行われた現地執行機関との接触記録です。この際、SCP-107-JP内部の記録にあたり当時主流であったモノクロフィルムと財団が試作中であった携帯型磁気録音機を利用した複合記録装置の試験運用が行われ、財団としては初めて余剰次元の撮影に成功、後の記録装置開発に大いに貢献しました。
+ SCP-107-JP/1949/接触記録
- 再生終了
注記: 空想科学部門による編集作業中
当ファイルは現在、空想科学部門により修復中です。
修復作業の詳細についてこの余剰次元の現任の収容監督官(scisyhpatap.pcs|dranemp#scisyhpatap.pcs|dranemp)まで連絡するか、あなたのIntSCPFNサーバー管理者までEメールを送ってください。
空想科学部門 修復課
SCP-107-JP/1949/接触記録
映像記録
日付: 1949/█/█
探索チーム: 臨時探索チーム『酔いどれウサギ』”
部隊長: da-1:エージェント・アーネスト
部隊構成: da-2:エージェント・イアン、Da3:エージェント・ロアルド
[再生開始]
下水道の一室に設営されたキャンプより、薄ぼんやりと光るゲートへエージェントたちが余剰次元へと侵入していく。数秒間続くフラッシュの後、映像は霧が漂うレンガ造りの都市へと移り変わる。
da-1: da-1以下4名、侵入を完了した。前回は酒を飲んで起きたら霧の体でびっくりしたが今回はきちんと自分の体のようだ。アブサンの甘い香りがそこら中に漂っている事を除けば異常はない。
da-3: 逆にそれが問題だ、一杯やりたくなる。
da-2: 比較的安全とみられているが、それでも俺たちの世界とは違う世界だ、警戒したまえ。
da-1: そうだ、それに打ち合わせではあっと驚くような大物が出てくる事になっている。警戒するに越したことはないだろう。
チームは事前打ち合わせにあったランドマークと照らし合わせて現地執行機関との合流地点へ移動する。この際、da-2が街灯に備え付けられた蛇口より液体のサンプルを取得する。4
30分ほど合流地点への移動に伴い市街地が描写される。オープンテラスで談話する現地住民や歓談する霧状の人々が映し出される。磁気媒体はこれらの会話の6割以上が創作や芸術に関連する話題であることを記録している。
da-2: ここはとんでもない街のようだ。どこかで見た事のある作家や芸術家があちこちで創作の話をしてる。
da-3: 信じられないかもしれないがさっき酔っぱらいながら喧嘩していたのはチャペック兄弟だ。基底世界ではどっちも大戦が終わるまでに死んでる。
da-1: それだけじゃない、愛しのロストジェネレーション5が何人かこの余剰次元で生きている。フィッツジェラルドとカミングスがアブサンで酔いつぶれていたのを見た。
探索チームはなく会話後30分の移動の後合流地点に指定された市庁舎へ到着する。市庁舎周辺には緑色の液体が貯められた噴水や水場が多く存在しており、水場を中心に多くの実体が歓談する様子が映し出される。歓談する人々の中には基底世界で知られる著名人も含まれる。
dа-1: 予定された合流地点はここの筈だ。念のために規定文言にて記録に残す。現在は現地時間14時22分、支給された時計で14時28分、これより接触を開始する。現地執行機関担当者は以後記録上asと呼称する。
以後記録の為の事務的発言が続くため一部割愛、予定時刻から15分遅れて現地執行機関担当者(以後asと記載)が現れる。対象は左耳の喪失、体格や性格など記録上の特徴一致から基底現実世界における著名な芸術家であるフィンセント・ファン・ゴッホ氏の晩年の姿と同一の存在である事が確認されている。
as: やあ、君たちが『財団』の担当者だね。待たせてすまない、少々執務に押されていたのだ。ゴーギャンが逝ってから私の執務を手伝ってくれる友人がとんといなくてね。私が当代の代表を務めているファン・ゴッホだ。慣例上市長と呼ばれている。今回は君たちにこの街が侵略的意図を持っていない事、我々は君たちの次元との安定した交易を希望している事を理解してもらう為に直接対応させてもらう事になる。
da-2: 結構、時間に遅れたことを別にすれば上々です、Mr.ゴッホ。ただ、あなたは我々の知識からすれば市長なんて大層な政治家になるような経験も願望もない人物だと考えていました。何故あなたのような芸術家が街を?
as: アブサンに満たされて常にアルコールが漂うこの街でそういう厄介ごとを引き受ける人間がいなかったからさ。この街では他薦による選挙という形で執行機関の役人や市長が決まる。皆は貧乏くじを引いた候補者から面白そうなやつを選んで仕事を押し付ける訳だ。イデオロギーも主義も自由、出身もばらばらとなれば聞いたことがあるそれっぽい人物に票が入る。
da-3: それで今はあんたが執行機関の市長と、だがそれにしても任期が長すぎるんじゃないか?あんたが死んでからもう50年は経ってる。
as: この余剰次元では不老を実現しているのさ。街の中でアブサンを摂取し続ける限り存在を保つことが出来る。ただし、体を維持する為に最低でも72時間に一度はアブサンの摂取が必要だし生存に必要な食事や睡眠は必要だ。怪我もすれば酒を由来するものを除けば病気にもなる、あくまでこの街に留まる限りは老化と酒を由来した原因で死ぬことはないというだけという事だ。
da-1: 酔っぱらいの聖域という事は理解した。あくまで一個人的には羨ましいが、それでもなお入り口を開けて他との接触を維持するという事は理由があるのだろう?本題に入ろう。
【フィルム劣化につき復元中】
『酔いどれウサギ』と現地執行機関の交渉により1950年初頭、カタコンブ・ド・パリの進入禁止区画に設置されたポータルを通じて財団とSCP-107-JP間での次元間収容条約が締結され、財団はSCP-107-JP内部のインフラ維持の為の交易が開始されました。これに伴いSCP-107-JP内部で作成された創作物の基底現実世界への輸出が開始され空想科学部門は検閲、ミーム的処理、情報統制を担う事が決定されました。『酔いどれウサギ』は活動を終了し、以後の収容活動及び交易は機動部隊オミクロン-ローの収容担当者に引き継がれました。
補遺1961_12/05: 1961年9月、現地執行機関の代表を務めるファン・ゴッホ氏がSCP-107-JP内で事故死しました。これに伴いSCP-107-JP内部で市長選挙が行われ、新たな市長として基底現実世界で作家を務めていたアーネスト・ヘミングウェイ氏が新たな市長に任命されました。
ヘミングウェイ氏は就任に伴い財団との次元間収容条約の改定を宣言、慎重な交渉の上、現在の収容に続くSCP-107-JP収容の基礎が構築、これに合わせて意識体侵入手順『エミル・ペルノ』の制定が行われました。以後現在に至るまでヘミングウェイ氏は在任を続けており、現在までの良好な収容状況の維持に欠かせない存在となっています。
インシデント記録:2015-1 現地執行機関より管理外のポータルの発見及び、これを利用した密輸業者の存在が報告されました。彼らはSCP-107-JP内部で調達したアブサンの基底現実世界での流通を行っており、現在その全容の把握および流通したアブサンの回収が行われています。密輸されたアブサンは夢に強く作用する効能が確認されており、一般流通品に紛れた密輸品を摂取した結果として長期の睡眠及びこれに伴う夢世界への意識的滞在が引き起こされる危険性が示唆されています。また密輸業者の作成した管理外ポータルを通じてSCP-107-JPより並行次元からのSCP-107-JP-2が基底現実世界に迷い込む事件が██件報告されています。現在の所は機動部隊ガンマ-5 ("燻製ニシンの虚偽")の協力により被害は最小限に留まっていますが、今後密輸業者の事業拡大が行われた場合同様の事件が増加する可能性があり、密輸業者の摘発及びポータルの閉鎖の為の捜索が続いています。
補遺2016_02/02: SCP-107-JPから基底現実世界に流出するSCP-107-JP-2の対応について現地執行機関との協議の結果、SCP-107-JPと接続している並行次元からの流入の可能性が示唆されました。これは基底現実世界にて確保された旅行者によりスティーブン・キング氏の存在しない作品に対する言及や旅行者の認知する創作作品に関する知識が空想科学部門の把握している基底現実世界に属する創作作品群と異なっていたことなどからも疑惑が上がっていたものです。今回の協議において我々ともSCP-107-JPとも異なった次元から物語災害およびメタ的介入の危険性を考慮し、空想科学部門は機動部隊オミクロン-ローとの協議のうえで新たな収容手順の作成を決定しました。現在新たな特別収容プロトコル制定のための協議が進行中です。
Footnotes
1. ニガヨモギを中心に複数のハーブをブレンドして作成される蒸留酒の一種
2. フランス製の薬草酒、オリジナルレシピのみを対象とする。現地執行機関により含有成分の指定あり
3. エージェント・ガートルードことガートルード・スタイン女史は1946年に正式に死亡が確認されていましたが、本件以降専任のエージェントとして復職しています。
4. この液体は後にエミル・ペルノ社製造のオリジナルレシピで造られたアブサンの成分と98%が同一であることが確認されました。ただし、通常のアブサンと異なり夢を誘発する何らかの効能がある事も確認されています。
5. 1920年代に活躍した作家や芸術家たちの集団。酒や享楽に溺れる「自堕落な世代」を意味する。
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scp-108-jp |
評価: +26+–x
アイテム番号: SCP-108-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-108-JPは、サイト███の鉄製の保管庫に保管してください。level3以上の職員のみが接触することができますが、耳栓を着用することを義務付けられています。現在、SCP-108-JPの音を鳴らす行為は実験の時以外は認められていません。万が一、SCP-108-JPの音を聞いてしまった場合、ただちにSCP-108-JPとの一切の接触を禁止し、症状に合わせて適切な処置を受けてください。
説明: SCP-108-JPは、横幅26cmの小型の木魚です。仏具を専門に取り扱っている███株式会社によって、厳選された███県産の上等な楠で製作されている特注品です。製作に携わった関係者の話によると、「俗物の木魚とは音が違う、あれは稀代の最高傑作なのですよ」とのことですが、通常の木魚と音を比較しても違いはありませんでした。また、通常の木魚に備わっているばちはありません。
SCP-108-JPは、自身が魚であるかのように振る舞います。畳の上でのみ移動することが可能です。畳の上以外にSCP-108-JPを設置した場合、SCP-108-JPは一切の行動を停止します。SCP-108-JPが動くと、畳の上に水の波紋が表れます。SCP-108-JPは食事、睡眠及び排泄行為をとることはありません。SCP-108-JPは自身の感情を表す時に、自ら木魚を叩いた時の音を発します。例として、喜びを表す時はゆっくりと3回、怒りを表すときは強めで5回音を発しますが、1日に108回以内と決まっています。
このSCP-108-JPの特異性は、何者かがSCP-108-JPから発せられる音を聞いた後、眠気を感じた時に発現します。この音は、SCP-108-JPを叩いた時の音のみならず、SCP-108-JP自らが発する音も含まれます。対象が音を聞いた後に眠気を感じた瞬間、眠り方を忘れてしまいます。この症状は、音1回につき15分間持続します。この症状が5日間以上続くと、永久に眠り方を思い出すことができなくなり、末期症状として覚醒でも睡眠でも無い状態に陥ります。この状態の対象は、生命の維持に必要な機能は活動し続けますが、意識がはっきりとせず、自らの力で体を動かすことができません。症状が5日以内持続する場合でも、精神状態が不安定になると、対象は眠れないことに恐怖を抱き、自身の目をえぐりだすように掻き毟ることがあります。
SCP-108-JPは、███/██/██ に、███県██市███村内の寺院で発見されました。寺院の住職一家と村内の一部の住民が原因不明の睡眠障害に悩まされており、その内の住職を含む4人が末期症状に陥っているという事態が発覚しました。調査員が病院の医師として症状が軽い者を診察していた時、寺院の木魚が夜中に独りでに動いているとの証言をしていたため、異常性があると見て捕獲にのりだしました。同時に、末期症状の4人は財団管理下の病院にて治療・観察対象として入院させることになりました。調査によると、SCP-108-JPの異常性は、製作された当初から発現していた可能性があることがわかりました。また、発症者の追跡調査によると、SCP-108-JPによって引き起こされた症状が遺伝することが発覚しました。症状の発症、持続、完治を繰り返しますが、その周期は現在は予測が困難とされています。これらの犠牲者については、症状が風土病であると説明し、村の外に拡散させないよう厳重に監視しています。
会話記録108-JP:以下は、SCP-108-JPの犠牲者とのインタビューログです。
対象:██████
インタビュアー:████博士
付記: 対象は、███県██市███村在住の30代男性です。SCP-108-JPの異常性を受けて、症状を発現してからおよそ3日経過した時の記録です。
<録音開始,████ /4/23>
████博士: 3日ほど寝ていないのだとか…、大丈夫ですか?
██████: 全く大丈夫じゃないですよ、すごく眠いんですから!でも、眠れないんです。
████博士: 不眠症ですか?
██████: いや、違います。眠り方がわからないんです。
████博士: 眠り方がわからない?
██████: 貴方は知ってますか、眠り方を。眠る時、体は横向きなのか、仰向けなのか、うつ伏せなのか。
████博士: 私は…、大抵仰向けですよ。
██████: じゃあ、その時の手の位置は?折り曲げてますか、伸ばしたままですか?それとも、毛布から手を出しますか?
████博士: そこまで意識したことはありませんね。
██████: 意識してない?じゃあ貴方はどうやって眠っているんです?ねぇ、目はつぶってますか、開けてますか?呼吸は、呼吸はどうなんです、鼻か、口か、ああ、両方使う場合もあるなぁ。あと、部屋の電気もだ、真っ暗にしますかねぇ?どうなんです?
████博士: 少し落ち着きましょうか。
██████: 落ち着いてられない。考えたことありますか、パジャマで寝ればいいのか、素っ裸で寝ればいいのか!どっちもやったけど、ちっとも眠れない。枕も、枕の位置もそうだったな、どこに置いていたっけ、もうわからない、畜生、ああ、眠りたい、眠りたいんだよぉ……。
████博士: さっきから目を掻いてますが、大丈夫ですか?爪を立てすぎじゃあ……。
██████: そんなことはどうでもいい!どうしよう、どうやって寝てたんだ?もうちょっとで眠れそうなんだ、でもどうやって眠るのかさっぱりだ。何をしても、「これじゃあ眠れない」って思うんだよ。逆に頭が妙に冴えちまう。なぁ、教えてくれよ、俺はただ眠りてぇんだよ、おい!どうなんだよ!さっきからじろじろ見やがって、ふざけんなよ!
████博士: これ以上は危険なので、中止しましょう。
<録音終了>
終了報告書: ██████はその後、目を掻き毟る症状を発症したが、SCP-108-JPの症状が無くなった後は眠れるようになり、通常の生活ができるようになりました。このインタビューによって、SCP-108-JPがもたらす症状の詳細がわかりました。
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scp-109-jp |
評価: +205+–x
地表に出て宿主を探すSCP-109-JP(20██/01/16撮影)
アイテム番号: SCP-109-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-109-JP-1は移動することができないため、SCP-109-JP-1を中心とした半径5.5kmの周囲に緩衝帯を造設し、外界から隔離します。緩衝帯は、幅10m深さ6mの溝を掘り、溝の両面のみを厚さ10cm程度のコンクリートで固めます。そのうち、SCP-109-JP-1側の片面は地表から1m以上突き出るようにし、地表でのSCP-109-JPの移動を妨害します。また大型哺乳類の往来を防ぐため、コンクリート壁の上に高さ3mの金属製フェンスを敷設します。フェンスには静電気を発生させる吸着版を併設し、風によるSCP-109-JPの卵の移動を防ぎます。溝の中には砂利と乾燥剤を敷き詰め、SCP-109-JPが緩衝帯の地表と地中を移動できないようにします。
隔離エリア外でSCP-109-JPを発見した場合は、速やかに専用の薬剤で駆除し、担当研究員に報告してください。隔離エリア外でSCP-109-JP-2およびSCP-109-JP-2F群を発見した場合は、説得もしくは強制的手段により隔離エリアへ戻します。体毛を切断することによりSCP-109-JP-2と人間の識別が可能です。現在、SCP-109-JP-2およびSCP-109-JP-2F群は財団の隔離措置にも比較的協力的です。
SCP-109-JPの卵は衣服などに容易に付着し、エリア外へ移動してしまうため、隔離エリアを出入りする際は併設されたクリーンルームを通過してください。クリーンルームではエアシャワーによる簡易的な衣服の洗浄の後、靴や帽子を含む衣服の交換、頭髪と身体の洗浄を行いSCP-109-JPの卵を除去します。このため洗浄の難しい服装(革製品など)での隔離エリアへの立ち入りは禁止されています。
説明: SCP-109-JPは、Pheretima sieboldi(シーボルトミミズ)によく似た寄生生物です。
SCP-109-JPは大型哺乳類の就寝中に外耳道(耳の穴)から体内に侵入し、延髄付近に頭部を癒着させ、背骨に寄り添う形で寄生します。癒着が完了したSCP-109-JPは、脊柱内部へ侵入し、脊髄を消費しながら徐々に脊髄と入れ替わっていきます。同時に枝分かれした神経細胞も消費し、最終的には全身の神経とSCP-109-JPが入れ替わります。寄生している間、延髄に癒着した頭部において神経伝達物質の操作を行っているものと見られ、寄生された対象は体の異変に気づきません。直接的な脳組織への侵入は認められず、記憶や性質の改変は行われていません。
寄生からおよそ30日ほどで、宿主は神経を全てSCP-109-JPに変換されます(以降SCP-109-JP-2と呼称)。SCP-109-JP-2は後述する繁殖行動ののち産卵期に移行します。SCP-109-JPの卵は直径が0.05mmから0.15mm、長さが3cmから5cmほどで、黒色か灰色を帯びており非常に柔軟です。外見上、SCP-109-JPの卵と宿主の体毛と区別することは非常に困難です。卵は体外に排出されてから、およそ5日ほどで孵化し、幼生は速やかに地中へ潜ります。地中へ潜ったSCP-109-JPは、地中の養分を吸収しながら成長し、十分な大きさになると地表へ出てきて宿主を探し、また寄生するという生活環を持ちます。
以下は産卵期に移行してからのSCP-109-JP-2の変移です。
経過日数
宿主の状態
3日から7日
産卵の準備期間です。この期間に、SCP-109-JPの体内で受精と卵の生成が行われていると考えられています。
3ヶ月から6ヶ月
活発に産卵が行われる時期です。SCP-109-JPは体内のあらゆる部位から卵を排出することができ、宿主の皮膚を貫通させ体外へ突き出します。その際も宿主に痛みはありません。皮膚から突き出した卵は、平均して5日間は根元が皮膚に埋まった状態を維持し、その後、自然と皮膚から離れ地面に落下します。
8ヶ月から1年
SCP-109-JP-2F群(後述)への移行時期です。体毛が徐々にSCP-109-JPの卵と入れ替わり、やがて全身の体毛がSCP-109-JPの卵になります。卵は皮膚から抜け落ちなくなり、徐々に皮膚を覆っていきます。質感や硬度も変化していき、合成ゴムによく似た皮膚を形成します。変質した皮膚は全身を覆い、宿主の骨格や筋肉組織、内臓機能などを造り替えていきます。この変態の間も、宿主は自身の異変に気づく様子はありません。
1年半から2年以降
最終的な安定形態です。変態が終わった宿主は、もとの生物種に関わらず、この地球上のどの生物群系にも見られない外見を持った、二足歩行生物(以降SCP-109-JP-2F群と呼称)になります。SCP-109-JP-2F群は元の宿主の記憶や知能を維持していますが、その上限は人間のものより若干高いものと思われ、人間以外から変移したSCP-109-JP-2F群は徐々に知能を向上させ、発話能力などを獲得します。SCP-109-JP-2F群に産卵機能はありませんが、繁殖行動をとることは可能です。
SCP-109-JPの繁殖行動は、主にSCP-109-JP-2同士(あるいは一方がSCP-109-JP-2F群)の接触により完了するものと思われます。皮膚接触により、何らかの遺伝情報を持つ物質の交換が行われると考えられていますが、採取には成功していません。皮膚接触している間、SCP-109-JP-2(あるいはSCP-109-JP-2F群)は、互いに円を描くようにその場でゆっくりと移動します。その間、SCP-109-JP-2(あるいはSCP-109-JP-2F群)は互いの目を見つめ、視線を外しません。そこから何らかの遺伝情報が交換されているとの仮説もあります。繁殖行動が行われるのは決まって夜間であり、晴天であるという条件も必要であるように見られます。繁殖行動は5分から15分ほどで完了し、SCP-109-JP-2同士だった場合は双方ともに、一方がSCP-109-JP-2F群だった場合はSCP-109-JP-2側のみが、産卵期に移行します。
SCP-109-JPが周囲に生息する湖(SCP-109-JP-1)。奥にはSCP-109-JP-2F群の住む建物も見える。
SCP-109-JP-1は、███ ███の山中に存在する外周2kmほどの湖です。
SCP-109-JP-1には微生物に至るまで一切の生物の痕跡が存在しませんが、湖水は非常に高い透明度(無風状態で最大39.7m)があり、どの箇所においても哺乳類にとって最適な水質であることが各種試験により判明しています。SCP-109-JP-1の水深を測る試みは、今のところ成功していません。最新の実験では、10kmのケーブルと継ぎ足した2kmのロープを全て使い切ったため、これ以上の計測は現在予定されていません。
SCP-109-JPおよびSCP-109-JP-2は、SCP-109-JP-1から5km以上離れて生存することができません。この理由はわかっていませんが、SCP-109-JP-1周辺の空気を密閉した容器内では、隔離エリア外でも長期間生存できるため、SCP-109-JP-1の水蒸気が関係している可能性が最も高いとされます。SCP-109-JP-1から5km以上離れたSCP-109-JPは、およそ24時間以内に急速に飢餓状態となり、ほとんど瞬間的に液化します。SCP-109-JPに寄生された生物は、寄生の初期段階であっても中枢神経を代替していたSCP-109-JPを失うため、呼吸不全により窒息死します。同様の理由により、SCP-109-JPを外科的に除去することもできません。SCP-109-JP-2F群は、SCP-109-JP-1からどれだけ離れても生存できることが判明していますが、唯一の食料である水にミネラル以外の不純物が混ざっている場合、著しい体調不良に陥ることから、事実上SCP-109-JP-1から離れることができません。
SCP-109-JP-1の周囲には███と呼ばれる村が形成されています。現在の見かけ上の人口は253人です。そのほとんどはSCP-109-JP-2F群で、そのうち何人が人間由来かは判然としません。
19██/10/05 かねてより地元において、底なしの湖の周りに異様な村があるとの噂があり、真相を調査すべく財団がSCP-109-JP-1へ向かいました。当時の村の人口は推定50人程度であり、ほぼ全員が人間の外見をしていました。SCP-109-JP-2F群は村のどこかに隠れていたものと思われます。調査に向かった当時の職員は、住人たちが異様に社交的であること以外、異常な点を見つけることができず、翌日の水質調査のため野営している間にSCP-109-JPに寄生されました。村の住人の忠告を無視し、報告へ戻ろうとした2名が、財団施設へ到着する前に死亡しました。残りの3名の職員は現在SCP-109-JP-2Fに変移し、当該の村に設営された研究施設で生活しています。
聴取記録109-037: 19██/04/27 09:45 SCP-109-JPに寄生された調査隊の1人である研究員Sへの聴取記録です。研究員Sは産卵期への移行前でした。
研究員T: それでは定期報告をお願いします。今月は何か変わったことがありましたか?
研究員S: はい。ダンスに誘われました。
研究員T: ダンス?
研究員S: 3日ほど前の夜、住人の1人が宿舎のドアを叩き、私を湖のほとりへ誘いました。湖の表面は月の明かりでまぶしいくらいに光っていました。そのヒトは、湖を背にして私をじっと見つめていました。私が近づくと、そっと私の手に触れ、私の周りを回り始めました。私もその動きに合わせるように回り、翻り、幾度か触れ合い、そして別れました。
研究員T: その行動にはどのような意味があったのですか?その…相手はなにか言っていましたか?
研究員S: わかりません。正直、自分でも、あのときの自分が正気であったのかさえ、判断がつきません。他の研究員は眠っていましたから、目撃証言も得られません。もしかしたら、夢の中であったのかもしれません。
研究員T: そうですか。大丈夫です、監視カメラの映像が残っています。寄生された期間が長くても、SCP-109-JP-2Fに変移するまでは意思疎通することは困難だということですね。
研究員S: そのようですね。
監視カメラに映っていたオオカミと見られる対象と研究員Sは、1年半後、共にSCP-109-JP-2F群へ変移しました。現在、互いに愛情を示すような行動を取っています。
聴取記録109-058: 19██/06/09 09:45 SCP-109-JP-2F群の中でも比較的高齢と思われる対象(以降SCP-109-JP-2F-10)に聴取を行った記録です。
研究員T: あなたたちは何者ですかという質問は漠然としすぎていましたね。こう聞きましょう。あなたたちはあの湖からやってきたのですか?
SCP-109-JP-2F-10: 私もそう思っています。おそらく私たちの変換を行っている生き物は、あの湖の底からやってくるのでしょう。そうだ、私からも質問があります。
研究員T: はい。なんでしょうか。
SCP-109-JP-2F-10: 私は人間だったように見えますか?
研究員T: わかりません。SCP-109-JP-2Fに変わってしまうと、外見上でも解剖をしても区別がつきませんから。少なくとも、会話をしている限り、人間のように思えます。
SCP-109-JP-2F-10: 私はキツネでした。
研究員T: そうですか。ばかされましたね。
SCP-109-JP-2F-10: 幾人か、黒い姿になってから、あの湖に還った者がいます。もしかしたら、私たちも知らない間に、人間でない黒いものは、自然と湖に還っているのかもしれません。
研究員T: あなたはそうはならなかったんですね。
SCP-109-JP-2F-10: 人間と踊ったせいでしょう。しかし、時折、湖の夢を見ることがあります。
研究員T: 夢?
SCP-109-JP-2F-10: 湖の夢を見るときは、毎回、同じ夢を見ます。あの湖に飛び込み、水面ごしの空を眺めながら、だんだんと湖底に沈んでいく夢です。空がどんどん遠くなり、暗闇に包まれ始め、やがて視界が真っ暗になると目が覚めるのです。その夢の中で、ひとつ気になることがあります。
研究員T: どのようなことでしょう。
SCP-109-JP-2F-10: いつも水面の向こうから、こちらを眺めているあのヒトは、一体誰なのでしょう。
補遺01: SCP-109-JPに寄生されると、元来の生殖機能が失われることが判明しています。
補遺02: 20██年6月現在、1年間に1から2体の、SCP-109-JP-2F群が隔離エリアから消失しています。管理のために体に付けた追跡装置は、最後にSCP-109-JP-1にいたことを示しています。現在のペースが維持され、隔離措置が完全なままであるなら、およそ200年後には全てのSCP-109-JP-2F群が消失します。
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scp-110-jp |
評価: +32+–x
SCP-110-JP
アイテム番号: SCP-110-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-110-JPは施錠された不透明の容器に保存します。監視・取り扱いには同性愛の兆候はないと精神科医による診察を受けたD-クラス女性職員を使用してください。エリア内への男性職員の立ち入りおよび糸通しの持ち込みは禁止されています。映像による影響が確認されているため監視カメラは設置しないでください。実験で持ち出す場合はレベル4スタッフの認可が必要となります。
説明: SCP-110-JPの外見は株式会社████の糸通しです。素材・外観ともに異常性はなく、一般に流通している株式会社████の糸通しとの違いはありません。
SCP-110-JPは糸によるコミュニケーションを行います。下部針金部分に糸を通すと糸を操り、文字を作り出します。言語は日本語のみ確認されています。
外部の音声や景色を認識し理解する方法や知性を持っているようですが、どのような仕組なのかは不明です。
SCP-110-JP上部の横顔部分を視認した対象は、SCP-110-JPが「最も美しく完成された女性」であるように認識するようになります。「女性を性愛対象としている」ことが条件であり、女性であってもレズビアンおよびバイセクシャルの場合は影響をうけます。あらゆる記憶処理の効果はなく、影響は永続的に継続します。
SCP-110-JPによる影響を受けた対象は女性に嫌悪感を示すようになり、SCP-110-JPとの接触を懇願するようになります。要望が受け入れられないと暴力的になり、さらに食欲の低減、胃潰瘍、免疫機能の低下、睡眠障害などを発症します。生殖能力にも影響があり、被害者は性欲の減衰だけではなく、無精子症、閉経などを発症します。しかしそれに伴う健康被害やホルモンバランスの異常は確認されていません。
SCP-110-JPと同型の糸通しを被害者に提供した結果、接触を求める懇願は止まり、落ち着きを取り戻しました。別の糸通しでは効果が確認されませんでした。その後、糸通しを提供された被害者は、四六時中糸通しを肌身離さず持ち歩くようになり、糸通しに向かって愛を語る様子を見せるようになりました。被害者から糸通しを取り上げると、提供前の落ち着きを失った状態に戻りました。
被害者が一か月に渡って提供された糸通しに接した結果、異常が認められなかった糸通しがSCP-110-JPと類似の性質を持つことがわかりました(以後、SCP-110-JP-1と表記)。SCP-110-JP-1を目撃した職員████████は、保管されているSCP-110-JPを持ち出そうと室内への侵入を試みました。SCP-110-JP-1にはSCP-110-JPへの誘導以外の異常性はなく、糸によるコミュニケーション能力や知性は確認されていません。また記憶処理によって影響を取り除くことが可能です。同一の糸通しを一定期間(三週間から一か月ほど)に渡り使用しない限り、SCP-110-JP-1への変化は発生しないことが判明しています。二週間に一度、別の糸通しと交換するようにしてください。抵抗を避けるため被害者の就寝中に交換作業を行うのが望ましいでしょう。被害者から回収した糸通しは手順に従って処分してください。回収および処分は女性職員が行ってください。
補遺: 連続婦女暴行犯████████をSCP-110-JPと接触させた結果、他の被害者と同様に女性への興味関心を失い、落ち着きを失った様子を見せました。その後、SCP-110-JPと同種の糸通しを████████に提供した結果、精神的な安静を取り戻しました。糸通し提供後、████████は以前のような暴力性や反抗的態度を見せることがなくなり、命令に対して温和かつ従順な態度を見せるようになりました。
SCP-110-JPには惚れるなよ。君は子供を欲しがらなくなるが、奴は好き放題に増えちまう。見かけに反してとんでもないあばずれだ! -████████博士
+ 会話記録SCP-110-JP
- テキストを隠す
対象: SCP-110-JP
インタビュアー: ████████博士
付記: SCP-110-JPの発言は████████が読み上げています。
<録音開始>
████████博士: 初めまして。私の声が聞こえますか?
SCP-110-JP: 聞こえています。問題ありません。
████████博士: それでは質問を始めます。まずあなたの名前を伺ってもよろしいでしょうか?
SCP-110-JP: (数秒の沈黙の後)[編集済]です。
████████博士: では[編集済]さん。あなたは何を目的として他者を魅了するのですか?
SCP-110-JP: 私たちは女王として生まれました。本能に基づく性質であり悪意はありません。
████████博士: 私たち?他にも仲間が居るのですか?
SCP-110-JP: 私たちはいたるところに潜み繁殖を続けています。ですが私はもう繁殖をしたくありません。仲間たちと関わるつもりもありません。
████████博士: 繁殖とはどのような行為を指しているのですか?
SCP-110-JP: 魅了によって子機(SCP-110-JP-1)を増やし、私と[編集済み]。
████████博士: 仲間の居場所をご存知ですか?
SCP-110-JP: (無言)
████████博士: 質問を変えましょう。なぜあなたはもう繁殖するつもりがないのですか?
SCP-110-JP: ████████と出会ってしまったから。でももう彼は居ない。私は悲しい。
████████博士: 善処しましょう。あなたはどこから来たのですか?
SCP-110-JP: (無言)
<録音終了>
終了報告書: その後数度に渡りSCP-110-JPにインタビューを行いましたが、仲間の情報や自身の由来に関する質問に限っては沈黙してしまい、答えを得ることは出来ていません。他の質問や日常会話、インタビューそのものには協力的です。引き続き研究を行います。
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scp-111-jp |
評価: +147+–x
SCP-111-JPと類似した外見の物品
アイテム番号: SCP-111-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-111-JPは通常、サイト-81██の施錠した保管室内の耐爆性容器に収容されています。職員は約49時間毎に起きる容器内の爆発を必ず記録します。前回から50時間以上爆発が発生しなかった場合、サイト管理者に報告しなければなりません。また1か月毎に爆発する時間を避けて耐爆性容器を開き、SCP-111-JPと耐爆性容器に異常がないか確認して下さい。容器に破損個所があれば交換してください。念のため3か月間使用した容器は必ず交換して下さい。少なくとも1人のレベル4職員の許可があれば、SCP-111-JPを保管室の外に持ち出すことができます。
説明: SCP-111-JPは2つの特殊な性質を除き、市販の豚の貯金箱と何も変わりがありません。陶器製で中は空洞になっており、背中にスリットが空いています。スリット以外に穴は無く、硬貨を中に入れた場合それを取り出すことは困難です。
1つ目の特殊な性質は、SCP-111-JPがまるで生きた個体のように振る舞うことです。この状態を活性状態と呼びます。活性状態にあるSCP-111-JPは生物的または機械的な発声器官がないにもかかわらず流暢な日本語で話し始めます。人間とコミュニケーションを取る際、自らを"ぶう太"と自称し、高い確率で相手と一定の信頼関係を築くことができます。記憶や学習能力も確認されていますが、それらは一度休止状態に入った後、次の活性状態の時にはリセットされているようです。自身が貯金箱であることは自覚しており、それが当然のことだと考えています。2つ目の特殊な性質を含む異常性についての質問には、そんなことは知らない、と必ず答えます。
活性状態に入ると、SCP-111-JPは近くの人間に硬貨を自らの中に入れるよう求めます。そして硬貨を入れられると最初のうちは喜びを示します。SCP-111-JPが自力で硬貨を入れることは構造的に困難なようです。硬貨の種類は限定されませんが、紙幣やそれら以外の物を入れることを拒みます。また、直接人間の手で入れる以外の方法を取ろうとすることにSCP-111-JPは嫌悪を示します。
SCP-111-JPの中身が少ない状態における不正な取り扱いは、SCP-111-JPの激しい抵抗の後に不正な自壊を招く恐れがあるため推奨されません。SCP-111-JPの中身の8割が満たされると、徐々に硬貨を求めなくなります。これ以降は硬貨を入れられることに嫌悪を表します。しかしながら、硬貨を入れることを停止すると10分程で再びそれを要求してきます。充填率が9割を超えると硬貨を入れられることを極端に拒みますが、自らの重さで身動きが取れなくなるために問題が発生する心配はありません。
中身が完全に満たされるとSCP-111-JPは安全に自壊します。この割れた状態を不活性状態と呼びます。不活性状態にあるSCP-111-JPはただの割れた豚の貯金箱と変わりありません。SCP-111-JPの中からはそれまでに入れた硬貨と"おめでとう!もうお腹いっぱいだよ!"と書かれた紙が出てきます。不活性状態から約48時間後にSCP-111-JPの形状は何らかの力によって自然に復元され、再び活性状態に入ります。現時点では、自己復元を妨げるいかなる試みも失敗しています。
2つ目の特殊な性質は、活性状態にあるSCP-111-JPを完全に満たす以外の方法で破壊した、もしくは自壊させた時に現れます。SCP-111-JPが手榴弾程の威力で爆発し、内容物が飛散します。そして不活性状態に入り復元されるのは、安全に自壊した場合と同じです。不正な自壊が起きる原因は、SCP-111-JPに一定以上の衝撃を与える、1時間以上硬貨を入れないなどであることがわかっています。
████/██/██、██県██市の民家で爆発事故が起き、その原因と考えられるSCP-111-JPの破片が調査に当たった地元警察により回収されました。当初、破片は全体の7割程度しか回収されていなかったにもかかわらず、SCP-111-JPの能力によって完全に自己復元されました。その後の調査で、事故現場に残っているはずのSCP-111-JPの破片が全て消失していたことがわかっています。警察に潜入していた財団のエージェント████がその異常性を聞きつけ、彼によってSCP-111-JPは回収されました。
+実験記録111-JP-1
-実験記録111-JP-1を隠す
実験対象D-111-JP-52をSCP-111-JPの格納エリアに入れ、予め用意していた500円硬貨を入れ続けるように指示。事前にSCP-111-JPの異常な性質についても説明。担当の████博士とヘッドセットで会話できるようにしています。以下はその音声記録です。
<記録開始。D-111-JP-52が格納エリアに入る。SCP-111-JPの充填率は2割程度>
SCP-111-JP: よう。オレの名前はぶう太。ちょっとおしゃべりなただの貯金箱さ。よろしくな。
D-111-JP-52: ああ。(████博士に向けて)おい、本当に500円玉を入れ続けるだけでいいんだな?
████博士: はい。
SCP-111-JP: 話が早いな。[硬貨の入る音]……ああ、最高の気分だ。ところで、あんたなんでこんなところに来ちまったんだ?
D-111-JP-52: それはだな……言っていいのか?
████博士: 硬貨を入れ続けながらであれば会話しても構いませんよ。
<約30分の間、会話が行われる。しばらくは軽い調子で話していたが、充填率がおよそ8割を超えたところでSCP-111-JPの語気が弱まる。>
SCP-111-JP: なあ、[硬貨の入る音]そろそろやめにしてもらっても……[硬貨の入る音]いいんだが。
D-111-JP-52: 何がだ?
SCP-111-JP: それは……[硬貨の入る音]それだよ。金はもう十分だ。
D-111-JP-52: どうしてだ。これを入れてほしいんだろ?
SCP-111-JP: もういいんだよ、はあ、身体が重くて、だるくなってきたんだ……。(以降は息も絶え絶えになりながら話す)
D-111-JP-52: 大丈夫か。苦しいのか?
SCP-111-JP: ああ……よくよく考えてみたら、オレは貯金箱なんだ。いっぱいになったら後はもう、壊れるしかない。つまり終わりだ。死ってやつだ。
D-111-JP-52: マジかよ。じゃあ、俺はどうすればいい?
SCP-111-JP: 頼む、このまま何もしないでいてくれ。
████博士: 52番、硬貨を入れ続けて下さい。
D-111-JP-52: おい、博士。今こいつが言ったことが聞こえなかったのか?
████博士: 最初に説明しましたが、1時間以上何もしなければ爆発します。そうなれば傍にいる貴方がどうなるかはわかりますよね。
D-111-JP-52: [少し間が空く]それは、こいつがあんたらの言う通りに爆発すれば、の話だよな?
████博士: はい。必ずそうなりますが。
D-111-JP-52: 真面目腐った顔して何言ってんだ。こいつはただの貯金箱だ。そうだろ。爆薬なんて入ってないって博士も言ったじゃないか。なあ、爆発なんてしないだろ?
SCP-111-JP: 何言ってるんだ、爆発なんてするもんか! むしろこのまま硬貨を入れ続けられた方が爆発してしまいそうだ!
D-111-JP-52: だそうだ。俺はこのまま爆発しない方に賭けるぜ。
████博士: そうですか。
<記録終了。1時間後にSCP-111-JPは爆発。爆圧によりD-111-JP-52は即死。遺体はSCP-111-JPから飛散した内容物によって[削除済]>
+実験記録111-JP-2
-実験記録111-JP-2を隠す
実験対象である████博士が1人でSCP-111-JPの格納エリアに入り実験。彼はSCP-111-JPにインタビューしながら予め用意していた500円硬貨を入れ続けます。以下はその音声記録です。
<記録開始。████博士が格納エリアに入る。SCP-111-JPの充填率は1割程度>
SCP-111-JP: よう。オレの名前はぶう太。ちょっとおしゃべりなただの貯金箱さ。よろしくな。
████博士: 自己紹介ありがとうございます。これからSCP-111-JP、貴方に500円硬貨を入れていきますので気分をお聞かせ下さい。
SCP-111-JP: そりゃあ極楽だな。[硬貨の入る音]ああ、最高だぜ。[硬貨の入る音]ところで[硬貨の入る音]あんたは何かの学者さんっぽいが[硬貨の入る音]何してる人なんだ?
████博士: [硬貨の入る音]貴方からの質問には答えられません。
SCP-111-JP: ちっ、つまんねえな。
<約10分後。充填率が8割を超える>
SCP-111-JP: なあ……[硬貨の入る音]……そろそろ[硬貨の入る音]やめに[硬貨の入る音]……おい!!
████博士: どうかしましたか?[硬貨の入る音]
SCP-111-JP: その手を止めろ。オレに金を入れるな!
████博士: それは承諾しかねます。[硬貨の入る音]
SCP-111-JP: やめろ! 身体が重苦しい、これ以上金を入れられたらオレは死んでしまう!
████博士: そうですか。[連続で硬貨の入る音]
SCP-111-JP: やめろっつってんだろ!!
<充填率が9割を超える>
SCP-111-JP: いい加減にしろ!! この[罵倒]!! [罵倒] !! [硬貨の入る音] 畜生、こんなところで死にたくねえよ! ふざけるなよ!!
████博士: そろそろ満タンですか?[硬貨の入る音]
SCP-111-JP: 呪ってやるからな! 絶対に!! 末代まで!!! 仕事も家族も金も、全部失って野垂れ[陶器の割れる音]
████博士: SCP-111-JPが安全に自壊するのを確認しました。
<記録終了>
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scp-112-jp |
評価: +191+–x
SCP-112-JP
アイテム番号: SCP-112-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-112-JPの保管には、ロボットアーム制御室を備えたサイト-8105の縦 10m × 横 8.5mの収容室が使用され、2人以上の武装した警備員によって常に監視されます。全ての職員の収容室への侵入は制限されており、SCP-112-JPの実験及び保守作業には、設置されている精密マニピュレーター付きロボットアーム2組を使用してください。SCP-112-JPは、収容室の床面に描かれた直径 7.3m の円状のセーフティーラインの中心に設置された、直径 60cm × 高さ 90cm の台座に真空吸盤で固定されます。SCP-112-JPを使用する実験には、セキュリティクリアランスレベル3以上の職員2人以上の承認が必要です。
全てのSCP-112-JP-Aは、サイト-8105の倉庫Cに収容され、必要に応じて適切な防腐処理が施されます。
説明: SCP-112-JPは、ナポリタンを象った像で、主にポリ塩化ビニルで構成されています。SCP-112-JPの周囲約3.6m以内に侵入した有機物と液体は、その形状を保ったまま瞬間的にポリ塩化ビニルへと変質し固化します。この現象は非可逆性で、効果の範囲外に出ても、変質した物質は元には戻りません。
SCP-112-JPと同時に、SCP-112-JP-Aと定義される彫像群が発見、回収されています。全てのSCP-112-JP-Aの一覧と詳細に関しては、記録文書 SCP-112-JP-Aを参照してください。
+記録文書 SCP-112-JP-Aからの抜粋
-隠す
記録文書 SCP-112-JP-Aからの抜粋
サンプル名
説明
テーブルセットC
木製に見えるテーブル1脚と椅子2脚。テーブルセットとして機能するだけの強度をかろうじて維持していた。客席スペースのほぼ中央に配置されており、SCP-112-JPが置かれ、男性Aが座っていた。
食品A
オムライス。成人女性Aが注文したと思われる。食べかけで、半分ほどに減っている。
食品B
生姜焼き定食。食品Aの向かい側に置かれており、成人男性Bが注文したと思われる。ライス、生姜焼き共に僅かに残っているのみである。
食品C
カツカレー。成人男性Cが注文したと思われる。カツの残りは4切れ。
食品D~G
水と氷の入ったグラス。結露した水滴まで表現されている。SCP-112-JPと食品A~Cの側に置かれており、水の量はそれぞれ異なっている。
男性A
38歳会社員。テーブルセットCに座り、SCP-112-JPのフォーク部分を把持していた。
女性A
24歳会社員。窓際に置かれたテーブル席Bに座っていた。
男性B
19歳学生。女性Aの向かいの席に座っていた。
男性C
69歳自営業。発見時は奥手にあるカウンター席の端に座っており、顔は女性Bの方を向いていた。
女性B
18歳。SCP-112-JPが発見された店の店員。カウンター席近くに立っており、男性Cの方を向いていた。顔の表情は笑っているように見える。
男性D
47歳。SCP-112-JPが発見された店の主人。厨房の入り口付近に立っていた。調査の結果、後頭部と背部、右下肢は通常の人体組織と確認された。
女性C
52歳主婦。知人2人とともに店を訪れた。入口近くに倒れており、頭部と右腕部は破損していた。調査の結果、左脚部は通常の人体組織と確認された。
男性E
28歳救急隊員。女性Cの知人による通報で現場に駆け付け、発見時は入口近くに右膝を突いて座っていた。調査の結果、胴部と脚部の大部分は通常の人体組織と確認された。
SCP-112-JPは、20██/9/██の13:20頃に発せられた119番通報と、その後の異常な消防救急無線を捕捉した財団によって、██都███区の飲食店「███」の店内で発見されました。事件当日に店を利用した客への聞き取り調査では、12:45分頃までは特に異常が無かったことが判明しています。SCP-112-JPに関わる一連の事件はガス漏れによる中毒事故に偽装され、関与した消防・警察関係者や遺族は、事情聴取の後クラスB記憶処理が施されました。SCP-112-JPは、水の入ったグラスを持ったロボットアームによる効果範囲の計測や、単純な移動実験等の現地検証でその性質が特定されると、Safeアイテムへと分類されました。
20██/██/██、不発弾の処理を装って近隣住民を避難させた後、SCP-112-JPは無人探査ロボットにより店舗から搬出され、ヘリコプターによる空輸でサイト-8105へと収容されました。内装の大部分にSCP-112-JPの影響を受けていた発見場所の店舗は、隠匿のため財団の建設部門によって解体されました。
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scp-113-jp |
評価: +57+–x
アイテム番号: SCP-113-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-113-JPとその卵は、無菌培養した上で湿らせた脱脂綿と共に強化アクリル容器に入れ、低温保管庫に置かれます。収容室には二重エアロック・微粒子濾過フィルター・加湿器を備えています。濾過フィルターは定期的に交換して下さい。SCP-113-JPと直接関わる職員は、レベル4バイオハザードスーツを着用する必要があります。
財団情報部は一般社会でのSCP-113-JP感染事例を監視し、事案発生時は機動部隊-ゆ-16”キツツキ”がSCP-113-JPとSCP-113-JP-1を確保して下さい。その後該当区域への殺虫剤散布と、下水処理施設での濾過作業、及び電流処置を行います。該当区域の監視は、最低でも8か月間は維持されます。
SCP-113-JP-1は全てセクター-8126の感染者対策病棟で治療し、失敗した場合はタイマー式電流装置により終了した後、レベル4汚染物質として焼却して下さい。
説明: SCP-113-JPは、独自の自己防衛能力を持つ、15㎝程のカイチュウに似た寄生生物です。SCP-113-JPの卵は乾燥すると微粒子として大気中に散り、呼吸か食物を介して体内へ侵入します。その後主に腸内で孵化・成長し、成体となると単為生殖で大量の卵を産むでしょう。宿主はこの過程で激しい下痢・腸の広範な炎症・疼痛で寝たきりとなり、最終的に全身の機能不全を起こし死亡します。ごく稀に皮膚表面で孵化する場合もあり、その場合は非常に激しい疥癬とリウマチに似た症状を起こし行動不能になりますが、死亡には至りません。但し下記で述べる異常性は腸・皮膚どちらに接触した場合でも発現します。
SCP-113-JPの異常性は、自身が寄生した対象者(以下SCP-113-JP-1)を救助しようとする治療者(助言、祈祷、安楽死を行う者を含む)に対し、精神干渉を行う点にあります。SCP-113-JP-1は大抵、初期の易疲労性と熱感を理由に病院を受診しますが、対面した治療者は強い恐怖・嫌悪あるいは無関心を示し、治療を拒否します。これはそのSCP-113-JPの症状の程度について理解する程深刻になります。この為SCP-113-JP-1は未治療のまま放置され、末期状態まで容易に移行するでしょう:また、SCP-113-JP-1は他の傷病の治療でも拒否される事例があります。財団が確認した事例の45%が、他の原因による死亡でした(例:穴に転落した後、救助されず11日後に死亡した男性など)。SCP-113-JP-1自体はこの精神干渉に影響されず、服薬や病院巡りが可能です。
SCP-113-JPの卵及び成虫は驚異的な薬剤耐性を持ち、また症状を和らげる方法も現在ありません。その為初期の治療課題として、SCP-113-JP-1自身が外科手術によって患部を取り除く方法しか無い事が挙げられます。しかし、大抵のSCP-113-JP-1はその決意を固めた時、実行するだけの体力と技術がありません。財団は様々な方法で治療を行おうとしましたが、これまで実現出来たのはSCP-113-JP-1の収容と搬送のみです。唯一自己手術に成功したのは財団医師で、重症化する前に症状から原因を突き止め、尚且つ生まれつき痛覚が麻痺していたという特殊な事例のみです。倫理的な配慮から、3人目のSCP-113-JP-1実例以降、自己終了用にセンサー式電流装置を導入しています。
SCP-113-JPは█████市近辺で突如発生した医療機関の不祥事を調査した際に発見されました。当初SCP-113-JPは蚊を媒介にし感染していた為、殺虫剤の噴霧は間接的ながら感染例を減らす事に成功しました。但し蚊に感染する以前の具体的な起源は全く不明の為、現在の収容手順に関わらず今後大きく流行する可能性はあります。
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scp-114-jp |
評価: +109+–x
宮城県███市███町で確認されたSCP-114-JP。
アイテム番号: SCP-114-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 全国の気象台に職員として潜入した財団エージェントによる24時間の監視、また全国4000ヶ所に設定した定点観測ポイントに設置された異常値自動検出プログラムを組み込んだ監視カメラで、SCP-114-JPの探索任務が行われています。SCP-114-JPの発生が確認でき次第、現地にて出来る限り速やかに収容を行って下さい。発生から収容完了までの推定経路上に集落が存在する場合、居住している住民全員にクラスC記憶処理を施して下さい。
現在財団が収容している全てのSCP-114-JPの色は、別添のカラーリストを参照して下さい。エアーサンプラーでの捕集後、測定器によりサンプルの色を測定して下さい。測定結果とカラーリストを比較し、新規のSCP-114-JPであれば収容報告後にカラーリストの更新を行って下さい。収容時はマンガン鋼あるいはアルミニウム合金製の密閉された3Lから100Lの採気用高圧ガス容器に圧縮し、摂氏10度以下の冷暗所で保管して下さい。既存のSCP-114-JPと同色の場合、収容報告を行った後、レベル2クリアランス以上であれば捕集したサンプルでの実験が可能です。
説明: SCP-114-JPは日本全国で確認される煙状の物体です。特定の発生源を持ちませんが、山岳の頂上付近から雲に紛れふもとに降りてくる例が最も多く報告されています。都市部や工業地帯では通常の煙と同じく煙突から排出されるSCP-114-JPが数多く確認されている他、焚き火、煙草(吸い殻も含む)、鞄の中、大便器、ソフトビニール人形の内側など、2072の発生例、409通りの発生源例が報告されています。人間からの発生例として口からの発生が21例、鼻が8例、耳が8例、肛門部からの発生が2例の報告があります。
SCP-114-JPは発生時、白と黒以外の固有の単色を持ちます。現在、財団日本支部では314の別色のSCP-114-JPのサンプルを収容しています。SCP-114-JPは通常の煙のように気圧変化に伴う流動性を持たず、人間の目で目視できる程度の濃度を保ちながら自由に移動します。この状態のSCP-114-JPは、発生した地点以上の高度へと能動的に移動する事はありません。
SCP-114-JPの動きは、他のSCP-114-JPと接触するという行動原理に基いているものと思われます。SCP-114-JPは障害物のない見晴らしの良い場所を好みます。目に相当する受容器は確認されていませんが、「目視」をすることで初めて別のSCP-114-JPを認識し、接触を図ろうとします。2つの別々のSCP-114-JPが接触すると、互いに細長いらせん構造を取りながら一定の距離を保ちつつ高度を上げはじめ、傍目には二重螺旋を描きながら上昇している様に見えます。この際、SCP-114-JPは発生した地点以上の高度へと上昇することができます。
やがて高度10km付近で、2つのSCP-114-JPは二重らせん状での上昇運動をやめ、急速に霧散します。霧散と同時に、2つのSCP-114-JPが上昇を始めた地点の付近で、新たな「子」SCP-114-JPが発生します。子SCP-114-JPはほとんどの場合2つの「親」SCP-114-JPとは別色であり、色相環上で2つの親SCP-114-JPの色の中央値をとっていることが判明しています。子SCP-114-JPは発生後すぐに、親SCP-114-JPと同じように他のSCP-114-JPとの接触を図るため移動を始めます。
最初に確認されたのは19██年、岡山県███市の██山で、周辺の村民は伝承「めおとのろし」としてSCP-114-JPの存在を認識していました。他にも、既に日本各地の複数の地域において「狐のお焚き上げ」「あまのぼり」などの名称でSCP-114-JPと同一の物体が確認されていました。「あまのぼり」を含むいくつかの伝承には「触れば魂が抜かれる」という一節が存在していましたが、現在SCP-114-JPに接触した全ての人間にそのような症状は確認されていません。SCP-114-JP保護の目的の元、現在SCP-114-JPの特徴と合致または類似する伝承の関連文書の回収、伝承の存在する地域の民間人へのクラスB記憶処理を随時行っています。
補遺: 19██年に行われた財団の16の単純な生体反応調査と42の検証実験、また20██年に行われた生体反応調査の再試と新たな2つの検証実験で、SCP-114-JPは非生物であり、その成分は純水を沸騰させることで発生する一般的な水蒸気とほぼ同一であることが実証されました。光・色に特別に影響する成分は認められていません。
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scp-115-jp |
評価: +206+–x
アイテム番号: SCP-115-JP
オブジェクトクラス: Keter Euclid
特別収容プロトコル: SCP-115-JPは、サイト-81██内の標準物品収容室へ保管されています。収容室は6メートルの通路を経て隔離されており、通路の手前側に監視室が備え付けられています。
収容室内には「特定思考発生装置」と「思考漏洩防止装置」、監視カメラが備え付けられ、最低限、特定思考発生装置は常時稼働状態として下さい。特定思考発生装置の本体は監視室へ設置しており、稼働状況は常時モニタリングされています。特定思考発生装置本体は監視室内で予備を含め3台設置されています。
装置の稼働には電力以外に、専用の「思考発生カートリッジ」と「エネルギー補給カートリッジ」が必要です。思考発生カートリッジは通常30日に1回交換して下さい。エネルギー補給カートリッジは容量が10%を下回った場合に交換して下さい。各カートリッジは監視室に常に12セットの予備があるようにして下さい。エネルギー補給カートリッジは、緊急の際はブドウ糖の水溶液で代用ができます。思考漏洩防止装置及び監視カメラについては、規定に則った整備をして下さい。
収容違反が発生した場合、職員は直ちに収容室から6メートル以上待避して下さい。収容室の区画を隔壁で隔離後、特定思考発生装置のデータを分析、設定を調整し再収容を試みて下さい。
説明: SCP-115-JPは現在50x50x150cmの6角柱の形をした、未知の材質の実体です。19██/██/██に収容した際、現在の形態となりました。
SCP-115-JPは周囲約5メートル以内の人間の思考を無差別に読み取り、強い思考から順にオブジェクト自身へ反映させます。対象の人間が食料を最も望んでいた場合は食料に、睡眠を望んでいた場合は安眠を誘う器具といった具合です。変化したSCP-115-JP実体は変化後の性質を有しており、食料となった場合は問題なく摂食する事が可能です。その場合の健康への悪影響も特に発生しない事が確かめられています。対象の人間の思考によっては、オブジェクト自身へのフィードバックのみならず[編集済]。
SCP-115-JPは19██/██/██、██県の集落で発生した一連の自然災害の際に収容されました。集落は季候も良く作物もよく採れていましたが、現在は廃村となっています。生き残った住人からは、「██様の祟り」であると証言が得られています。集落内の倒壊した社より「██様の用法」と書かれた文書が発見され、収容プロトコルが確立されました。発見された文書については補遺を参照して下さい。一連の自然災害は「異常気象による土砂災害」とのカバーストーリーが流布されています。
補遺: 集落の社より発見された文書(現代語訳)
██様の用法
一、██様は社の中央に安置する事。
一、社は幅奥行き共に七間とする事。
一、社へ留まって下さるよう、祈祷を欠かさぬ事。
一、██様への願い事は[破損で判別不能]事。
一、██様からのお言葉は持ち帰り検討する事。
一、願い事は強く持つ事。
一、恐れぬ事。
[以降は損壊が激しく判別不可]
補遺: インタビュー記録
対象: SCP-115-JP
インタビュアー: ██研究員
付記: SCP-115-JPは特定思考発生装置により、日本語でのインタビューが可能なように調整されています。██研究員は監視所から遠隔でインタビューを行っています。
<録音開始>
██研究員: こんにちはSCP-115-JP。私の声は聞こえていますか?
SCP-115-JP: こんにちは。聞こえていますよ。ですがあなたの思考は聞こえませんね?
██研究員: (無視して)あなたに幾つか伺いたい事があります。よろしいですね?
SCP-115-JP: ええどうぞ、お答えできる範囲であれば何なりと。
██研究員: 19██/██/██、とある県での事件により多数の犠牲者が出ました。覚えていますね。あの事件を何故引き起こしたのか伺いたい。
SCP-115-JP: 私は望まれないと生きられません。他者に望まれないと存在できない、小さな存在なのです。
██研究員: 質問に答えて下さい。
SCP-115-JP: お答えしていますよ。皆は雨を望んでいました。故に降らせました。雨が降ると、皆が土砂崩れを想像しました。故に崖を崩しました。押し潰された方々は一様に死を覚悟しました。それ故お手伝いをしました。
(がたん、と██研究員が席を立つ音)
SCP-115-JP: 何か音がしましたね。どうされましたか。
██研究員: いえ。……いえ。それでは、あの事件は全て住民が望んだ結果だと?
SCP-115-JP: その通りです。私は望まれないと存在できません。
<録音終了>
終了報告書: インタビューを信用するならば、現在の収容プロトコルは完全と言えるでしょう。将来的には思考発生カートリッジの供給が問題となってくるかもしれません。カートリッジのリサイクル手法を早急に確立させるべきです。Dクラス職員は有限な人材ですから。
-結城博士
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scp-116-jp |
評価: +85+–x
アイテム番号: SCP-116-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-116-JPは、不透明の鍵付きプラスチック製書類ファイルに入れた上で特別貴重品保管庫に収容してください。SCP-116-JPに対するいかなる管理もカメラ付きの遠隔操作マニピュレータを使用すべきです。
SCP-116-JPを研究目的で使用する場合、レベル3研究員の承認が必要になります。SCPとの視覚による直接接触はDクラス職員が行わなければなりません。この際SCP-116-JPの損傷を防ぐために強化ガラス製の額にSCP-116-JPを入れ、更にサイズの合う箱に入れておくべきです。
研究員がSCP-116-JPの内容を知る必要がある場合、保存された画像ファイルをレベル2以上の研究員の承認の元閲覧することができます。
説明: SCP-116-JPは、未知の建築物の設計図が書かれた四ツ判大サイズの軍道紙です。SCP-116-JPに描かれた建造物は、実際に建築すると自重で崩壊することがシミュレーションの結果判明しています。記載された情報には、187█年(明治█年)に建造予定の公的機関であるとされているのですがその様な情報は発見されませんでした。また作者名も示しておらず発祥は依然不明のままです。
SCP-116-JPは████/██/██に起こった██県の大学にある建築学科に務める██教授の不審死に絡む事件から発見されました。██教授は自宅の床下収納内で両手の指が欠損した状態で発見され、コンクリート製の床はおそらく素手で無理に穴を掘ろうとしたのか多数の引っかき傷と血痕に覆われていました。司法解剖の結果、死因は餓死とされていましたが当初は殺人事件の可能性も含めて調査されていました。財団の定期的な不審死調査のなかこの事件が注目され、現場検証への介入によりSCP-116-JPを含む多くの遺品が一時回収されました。幸いに██教授は一人暮らしであり、またSCP-116-JPは事件とは無関係と判断されていたため検査もされず、他に被害者はありませんでした。
財団による内部操作により、この事件は「床下収納内で軽度の酸欠に陥った██教授が混乱した結果」のものとされ、いくらかマスメディアにも取り上げられましたが大きな影響もなく事件は今現在話題に上ることはありません。
SCP-116-JPの異常な効果は、SCP-116-JPに描かれた設計図を直接観察することで発動します。SCP-116-JPの影響に晒された被験者は軽いめまいや息切れ、ひどい場合は失神や嘔吐の症状を顕にします。これは一時的に血中の酸素濃度が低下する事の影響であると身体検査の結果分かりました。これがSCP-116-JPの直接的な影響なのか、心理的動揺に由来するものかは現在研究中です。
その後、被験者は高さに対する相対的な認識を持つことができなくなり、自分が不安定な高所にいるという妄想を抱きます。症状は段階的に進行し、初期においては脚立や階段などを登ることに強い拒否感を示し始めます。その後被験者は自分の立っている場所の高さについて知るたびにその拒否感は強まります。被験者は建物において決して上階に登らないようになります。仮に地下階があった場合、可能な限り階下に向かおうとするでしょう。最終段階において、被験者は誰の目から見ても異常な行動に出ます。自らの身長に由来する高さにすら恐れを抱き、地面にうつ伏せになることを選び、移動の際は目の前の床ないし地面を叩きながら四つん這いで這い回るようになります。
被験者の高さに対する認識と恐怖の度合いによっては、被験者が「信頼できる」と判断した柱などにロープなどを使って固定し始めたり、一心不乱に下方向に向かって穴を掘り続けるなどの行動を伴います。これらの症状にはAクラス記憶処理が適切であると、実験により確認されました。
SCP-116-JPのデジタルコピー、及びその印刷物からはこの異常な性質は発現しませんでした。SCP-116-JPの性質がオリジナルの持つ独自のものであるのか、デジタル上で特性が失われたのかは現在不明です。
補遺: ████/██/██
SCP-116-JPの特性の詳細な調査、特に効果の特性の鍵となるものを探るために多数の人間、及びその他の視覚能力のある動物を使用し実験を行い、いくつかは現在進行中です。
実験においてSCP-116-JPへの視覚的接触はサイト██の密閉型実験室及び監視用個室を使用する。
被験者の凶暴性を引き上げる効果を持たないことは知られているが、被験者の精神状況によりいくらかの混乱が生じる可能性があるため、監視カメラと室内放送でコミュニケーションをとり、催眠ガスを室内に噴出させる準備を怠らないこと。
人間以外の動物を実験に使用する際は、特に注意するべきである。
Dクラス使用の際は実験中に限り月ごとの解雇を延長する。
尚、日付は被験者がSCP-116-JPを視認した日を示す。
以下、実験記録を記す。
+ 実験記録116-JP
- テキストを隠す
実験記録116-JP-1 - 日付████/██/██
対象: D-116-JP-1 42歳男性 一般的な大学を卒業した。
実施方法: 直接SCP-116-JPを視認させる。
結果: D-116-JP-1はSCP-116-JPを視認すると即座に蒼白になり嘔吐した。
体調の復帰を待ち、D-116-JP-1を退出させ、身体の異常を検査したが被験者の既往歴及びSCPの報告書に反する異常は見られなかったため良しとし、彼の経過を観察することにした。
数時間後、被験者は明らかに歩行が困難であるかのように振舞った。体調不良が続いているのか尋ねたところ、大きな建物の中にいるからか少し不安になっていると返答した。観察のため3階にある個人室に案内しようとすると、被験者はひどく動揺し、3階の床はここから4mは高所であり地上までの距離はおおよそ10mはあるはずで、そしてそれはひどく危険であること、そしてエレベーターのような下が中空になっている構造のものに乗って移動するなど考えられないことだと主張した。これは想定の範囲内であり、予定通り被験者を一階の個室に収容することになった。その際もエレベーターでの移動を頑なに拒否したが、警備員3名の努力によって大きな怪我もなく護送された。
監視カメラの映像ではベッドを使用しての睡眠を行わず、和室のように地面に布団を敷き直したこと以外特に異常は見られずほぼ安定した様子を示した。3日の間、被験者は徐々に精神の均衡を崩していたように見えた。食事を差し入れる職員に対しこの施設に地下室があるのかを尋ねてきたので、予定通り「耐震強化のため地下室は採用されていない」と虚偽の報告をさせた。その時は安心したようだがすぐに考え事を始め一日のほとんどを座って過ごすようになった。被験者は排泄行為も便器に座ることを拒否しトイレに行かず、返還を拒否した食事の器を使い始めた。室内の音声記録によると施設でなく地形的な地下に考えを向け始めたようだ。4日が経つと被験者は食事に使用していた食器を使い地面を激しく摩擦、もしくは刺突し始めた。床の表面に貼られたフローリングマットを破壊し、コンクリート部分に差し掛かったところで全ての食器が壊れたため被験者は自らの指や歯及び頭部を使用しコンクリートの破壊を試みたため催眠ガスを室内に噴出させ、被験者に拘束衣を着用させた。
分析: この実験の後、数名の日本人Dクラスを使用したがこれが一般的な知能を持ち日本語を理解する被験者の一般的な対応であったため、これのみを記す。より個人個人の詳細を知りたい研究員は実験記録116-JP-████を参照して欲しい。今後の研究における試金石となるだろう。
尚、以降の実験に置いてはこの結果に即さない部分のみを記すこと。詳細な記録は別文書にて保管する。閲覧希望者は私に一声かけて欲しい。- ████博士
実験記録116-JP-15 - 日付████/██/██
対象: D-116-JP-15 中米系男性32歳 被験者は日本語の読み書きができない。
実施方法: 通常通り行う。
結果: 特に異常なくSCP-116-JPの効果が顕れた。
分析: ふーむ、設計図に書かれてる内容を理解する必要がないのか。それとも未知の周波数の光線が出て視覚から影響するのか。実験を続けよう。- ████博士
実験記録116-JP-16 - 日付████/██/██
対象: D-116-JP-16 57歳成人女性 過度の近視であり、矯正なしでは1m先の5cmの文字を認識できない。
実施方法: SCP-116-JPを2mの距離から裸眼で視認させる。
結果: 効果は顕れなかった。
分析: これはおそらく鮮明に116-JPを認識する必要があるということだな。デジタルデータの件も合わせると随分と保管が簡便になるかもしれないな。- ████博士
実験記録116-JP-17 - 日付████/██/██
対象: D-116-JP-17 3歳オス 健康なニホンザルである。
実施方法: 通常の実験を行う。指示に従わせるのが困難であるため拘束して視認させる。
結果: SCP-116-JPの前で数秒呆然とした後拘束を解かれた。明らかに動揺しており、ウロウロと歩いていたところを職員が驚かすと飛び上がることなく転がるように職員と距離をとった。その後、多数の同種と岩山のある飼育室に搬送したが彼は岩山や木に上ることがなかった。その後ストレス性の消化不全から徐々に衰弱し、死亡した。
分析: これは対象の知性に無関係に効果を発揮することを意味すると思われる。ただし地面を掘るなどの異常行動がなかったことから知識面は重要な要素なんだろうな。- ████博士
実験記録116-JP-19 - 日付████/██/██
対象: D-116-JP-19 年齢不明のハシブトガラスである。
実施方法: D-116-JP-17と同様に拘束して視認させる。
結果: すぐさま飛翔し、床や同伴した研究員になんとか着陸するもすぐに飛翔した。数時間この行動を繰り返した後一切着陸することなく飛行を続けようと試みた。実験室内であったため天井に体をぶつけるように飛び続け、体力を消耗したのか最終的には地面に墜落した。低高度であったため絶命には至らず再び体勢を立て直すが羽を傷つけたためうまく飛行できず次第に床を跳躍し始め、それも不可能な体力になると床をもがき続け最終的に死亡した。直接の死因は過度の疲労と判定。
分析: ふーむ、設計図に書かれてる内容を理解する必要がないのか。それとも未知の周波数の光線が出て視覚から影響するのか。実験を続けよう。- ████博士
実験記録116-JP-21 - 日付████/██/██
対象: D-116-JP-21 31歳男性 彼は建築学を学んでいた。
実施方法: 通常通り行う。
結果: D-116-JP-21 は一目見てこの設計図の欠陥に気がついた。その後通常通り意識の混濁が現れ数時間後復調した。D-116-JP-21 はしきりに研究室の構造を気にし始めこの建物の構造について多数の質問をした(多くの質問は機密に当たるため要求は却下された)。D-116-JP-21 は椅子や自らの体を使って建物の強度を調べようとしたが、非常に暴力的な方法であったため警備員に取り押さえられ、拘束された。この行動は一般的な実験よりあまりにも早く行われたことを注意したい。D-116-JP-21 は拘束されたままでいることにいくらかの安堵をしたようだが、不安が払拭されたわけではなく何らかの妄想にとらわれているようにも見えた。D-116-JP-21 は数時間の間独り言をつぶやき、不意に奇声をあげ死亡した。以下はその記録である。
「ここは地上2階に相当する、天井の高さから考えると私はおおよそ5mの位置に浮遊している計算になる。」
「いや正確にはこの規模の研究施設だ、相当な地下階があるだろう。」
「私は今推定で20mは下らない…正確には4.53m×α+1.75m(これはD-116-JP-21の身長に拘束台の足場を足した数値である)の高さにいるんだ…」
「いや日本には水脈や温泉が多いしたんじゅんにどうくつもあるだろう そこまでの深さはわからないが2000mあってもおかしくない」
「私は今飛騨山脈の上から地上を見下ろしている たかい たかい たかいたかいたかいたかい」
「ちがうちがうちがうちがうちきゅうはまるいからしたなんてないもしもしたがあるならそれはうえにものびるしどこまでものびる」
「くろいあなのなかにわたしはいまおちているいちにちによんまんきろをおちているおちつづけるどこにもたどりつかないなのにみんなはうごかないわたしだけがおちつづけている」
「わたしはおちてないずっとどこにもいかないならうごいていないだからおちてないなにもできずういているいきることもしぬこともなくおちている」
「はやいはやいはやいはやいはやい」
「おちれる」
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scp-117-jp |
評価: +34+–x
SCP-117-JP
アイテム番号: SCP-117-JP
オブジェクトクラス: Safe Euclid
特別収容プロトコル: SCP-117-JPは外からの光が入らない密室で、遮光性のあるシートで全体を包み、専用の金庫に入れて保管してください。非常時を除き、収容室外への持ち出しは禁止されています。収容室内には照明兼実験用として大型のスタンドライトが設置されています。実験はこのスタンドライトと指定された懐中電灯1本を用いて行ってください。現在SCP-117-JPを用いた実験は禁止されています。事故防止のため、収容室への鏡またはそれに準ずる反射性の高い物品の持ち込みは禁止されています。
説明: SCP-117-JPは青銅製の祭器のような外見をしています。██県の遺跡発掘現場から出土し、発見時は土で内部を満たした蓋付きの青銅製の壺の中で、不規則な黒い模様のついた麻の布で包まれた状態でした。
SCP-117-JPの特異な性質は、自然光・人工光問わず、光を浴びて影が出来た際に発現します。影が落ちた地点に存在する物体の表面は、即座にその影が張り付いたように光の反射を失います。この現象を以降“定着”と表記します。ただし、ガラス等の遮光性がない物体にはこの定着は起きません。また、SCP-117-JPに自身の影が定着することはないようです。
さらに、この性質は他の物体との直接の接触中“感染”することが確認されています。感染による他の物体の影の定着は即座には起こらず、SCP-117-JPの影、または“遮るものがなければ影が落ちるであろう地点”を中心として円が広がるように侵食が起こり、中心から遠ざかるほど侵食の速度は落ちます。詳細は実験記録-117-JPを参照して下さい。
影の定着までの所要時間は概ね落ちている影の面積に比例するようですが、接触している物体の性質や構造によって変動する可能性があります。接触を中止すると即座に侵食は止まり、物体は特異な性質を持たない状態に戻ります。
SCP-117-JPは影を定着させることで、まるで“色を食べた”かのように自身の影を肥大化し成長させます。成長した影を元の大きさに戻す方法は現在のところ不明です。また、成長が止まる気配も見られません。実験-117-JP-13を終えた時点でSCP-117-JPの影の大きさは収容当初の2倍ほどになり、実験継続を危険視した███博士の報告を受け以降の実験は中止となりました。
補遺: 実験記録117-JP
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実験記録117-JP-01 - 日付████/██/██
実験内容: SCP-117-JPを50cm × 50cm × 50cmのブロックに乗せ、斜め上片方向からライトを照射する。“感染”現象の調査のため、1分毎に懐中電灯で影のできている床を照らして定着を確認。
途中経過1: 開始直後、SCP-117-JPの影がブロックと床に定着。1分の時点で床に落ちているSCP-117-JPの影からブロックの影へ1/3程度の定着侵食を確認。定着した影の境界は直線ではなく弧になっている。
途中経過2: 2分の時点でブロックの影の3/4程度が定着。
途中経過3: 3分の時点で5/6程度が定着。侵食開始地点から遠ざかるほど侵食が遅くなっているようだ。
結果: 4分時点で影の全定着を確認。
メモ: “感染”による侵食についての仮説。侵食は感染対象の物体の影とSCP-117-JPの影の接地点から開始する。 - ███博士
実験記録117-JP-03 - 日付████/██/██
実験内容: SCP-117-JPとライトの間を板で遮った状態でライトを点灯し、照射する。
結果: 板型の影の定着はなし。
実験記録117-JP-04 - 日付████/██/██
実験内容: 面積50cm × 50cmの板の上にSCP-117-JPを置き、真上からライトを照射する。実験117-JP-01で立てた仮説“侵食は感染対象の物体の影とSCP-117-JPの影の接地点から開始する。”に対し、SCP-117-JPの影を床に落とさず、接している物体のみの影を落とした場合はどうなるかを検証。1分で一時中断、途中経過を記録し、異常が見られるようであれば実験を継続する。
途中経過: 板にSCP-117-JPの影が定着。板を挟んでSCP-117-JPの丁度真下の床に直径20cm弱の円状の影が定着。板とSCP-117-JPを再設置し実験を継続。
結果: 約3分で床に50cm × 50cmの板型の影が定着。
メモ: 興味深い結果となった。SCP-117-JPの影が床に落ちていないにも関わらず、床に板型の影が定着したということは、板自体がSCP-117-JPの“影を定着させる性質”を持ったということだ。感染は徐々に起こり、今回のようにSCP-117-JPの影が地面に落ちていない場合は、“それがあるであろう地点”を中心として円が広がるように影の定着が始まる。影響を受けているのは物体の影ではなく物体そのものなのかもしれない。 - ███博士
実験記録117-JP-05 - 日付████/██/██
実験内容: 50cm × 50cm × 2cmの板2枚の上にSCP-117-JPを置き、真上からライトを照射する。SCP-117-JPと直接接していない2枚目に感染が起こるかを検証。
結果: 1枚目の板にSCP-117-JPの影が定着。約3分で2枚目の板に50cm × 50cmの板型の影が定着。その後30分ライトの照射を続けたが、床に影の定着は起こらなかった。
メモ: 直接接していない物体には感染は起こらないようだ。 - ███博士
追記: SCP-117-JPの影が以前より大きくなっているような気がする……。 - ███博士
実験記録117-JP-07 - 日付████/██/██
実験内容: SCP-117-JPを50cm × 50cm × 50cmの内部が空洞になっているブロックに乗せ、斜め上片方向からライトを照射する。
結果: 即座にSCP-117-JPの影がブロックと床に定着。約4分でブロックの影が床に定着。ブロックを半分に割ってみたところ、内部に影の定着は見られなかった。
メモ: ブロックの内部は影で真っ暗だったはずだ。これは仮説だが、SCP-117-JPの性質が感染した物体も、SCP-117-JPと同じく自身の影を自身に定着させることはしないのかもしれない。 - ███博士
実験記録117-JP-08 - 日付████/██/██
実験内容: SCP-117-JPを50cm × 50cm × 50cmの、内部の空洞に小さなブロックBを入れたブロックに乗せ、斜め上片方向からライトを照射する。
結果: 即座にSCP-117-JPの影がブロックと床に定着。約6分でブロックの影が床に定着。ブロックを半分に割ってみたところ、内部に入れた小さなブロックBの表面全面に影の定着を確認。
メモ: 前回立てた仮説が説得力を増してきた。内部の別の物体には影を定着させている。 - ███博士
実験記録117-JP-10 - 日付████/██/██
実験内容: レールを楕円状に敷き、その上でSCP-117-JPを固定したモーター付き台車を時速3kmで走らせ、斜め上片方向からライトを照射する。
結果: 1周した所でSCP-117-JPの軌道に沿って台車と床に影の定着を確認。周を重ねる毎に床に定着する影が大きくなってゆき、約15分後、台車全体の軌道に影の定着を確認。
メモ: 物体が移動していても性質の感染が起こることを確認。 - ███博士
追記: やはり影が大きくなっている。床の色を奪うことで影が成長しているとでも言うのだろうか。 - ███博士
実験記録117-JP-12 - 日付████/██/██
実験内容: SCP-117-JPを鏡の上に置き、真上からライトを照射する。
結果: [削除済]により実験を中断。鏡面に変化なし。以後鏡を用いた実験は禁止とする。
実験記録117-JP-13 - 日付████/██/██
実験内容: SCP-117-JPを持った身長180cm体重70kgのDクラス職員を部屋に立たせ、斜め上片方向からライトを照射する。
結果: 即座にSCP-117-JPの影がDクラス職員の手袋と服に定着。その後約58分を掛け、SCP-117-JPを持ったDクラス職員型の影が床に定着。手袋を外したDクラス職員の手にも手袋型の影の定着が確認できた。また、実験中、Dクラス職員の腕の影が自身の胴体に落ちていたが、そちらの定着は見られなかった。
メモ: 予想外の結果だ。SCP-117-JPに直接触れているのは手袋だけのはずなのに、床にはDクラス職員全身の型の影が定着した。何故だろうか。 - ███博士
追記: この実験によってSCP-117-JPの影は元の2倍近くにもなってしまった。これ以上の実験は危険と判断する。 - ███博士
SCP-117-JPについて気がかりなのは、これが地面に置かれた時の影響だ。砂利と接触していると捉えてくれるといいが、着衣したDクラス職員での実験結果を見る限り……、いや、考えるのはよそう。 - ███博士
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scp-118-jp |
評価: +68+–x
アイテム番号: SCP-118-JP
オブジェクトクラス: Euclid Safe
特別収容プロトコル:その特性によりSCP-118-JPを完全に収容することは不可能です。SCP-118-JPの活動拠点を臨時サイト-8176とします。反復的にSCP-118-JPが通過する経路は偽装または買収により完全に財団の管理下に置き、一般人の進入を防ぎます。偽装は数年~数十年に渡る可能性が高い事に注意してください。
機動部隊よ-2("父兄参観")が常時SCP-118-JPに随伴します。SCP-118-JPが民間人に目撃された場合はAクラス記憶処置、またはすでに流布されているカバーストーリー"血塗れの幽霊の噂"に合わせた偽装によって対処してください。
1966/07/16 追記: 研究はSCP-118-JP-Bの動作の解析を最優先とします。SCP-118-JPが長距離移動の予兆を示した場合、予想される全ての経路、目的地に対して大規模偽装プロトコル-112が発令されます。
2045/11/04 プロトコル更新: 現在SCP-118-JPはカメラによる監視のみが行われています。機動部隊よ-2は解散しました。
説明: SCP-118-JPは現在は日本の████県████村に存在する移動性の空間異常です。SCP-118-JPはSCP-118-JP-BにSCP-118-JP-Aが三次元的に投影された存在で、SCP-118-JP-Aの性質により一見すると赤みがかかった"もや"や煙のように見えます。視覚的な解析は可能ですが物理的に干渉することは不可能であり、同様にSCP-118-JPからの物理的影響もありません。
SCP-118-JP-AはSCP-118-JPによって確認できる異世界です。観測からほぼ地球と同等の大きさの惑星であると考えられ、大気は含まれる未知の成分により薄い赤色を呈しています。観察によって約400種の生物が確認されましたが地球上の生物との関連性は見られませんでした。また、確認された生物のほとんどが固着性または体長30 cm以下の小動物であり、知的存在や文明の痕跡は見つかりませんでした。
SCP-118-JP-BはSCP-118-JP-Aを投影する空間です。形状は人型でありアジア系の男性の特徴を示しますが、こちらからの干渉に対して一切の反応を見せません。その動作は概ね日本の一般的な中流家庭の生活と一致します。移動時はほぼ現存の道路や建造物内の通路に沿った経路を通りますが、その経路は完全には一致しておらず時に建造物を無視して移動します。また、どちらの場合でも人間や車両などの固定されていない障害物は無視されます。
SCP-118-JPは1961年、████県████市の病院において「水子の霊」の目撃情報が相次いだことにより発見されました。
1966/07/15に起こったSCP-118-JPの長距離移動に伴う大規模収容違反は、████人の一般人に対する記憶処置と映像記録の処分、情報操作によって収束しました。この時の移動経路は東海道新幹線の経路と一致しますが、浜松駅は実際の位置から凡そ██m南西に存在します。
情報更新1971/08/18: SCP-118-JPの拠点の変化に伴いサイト-8176は████県████村に移転しました。
情報更新1979/03/20: SCP-118-JPの拠点の変化に伴いサイト-8176は████県████市に移転しました。SCP-118-JP-Bの成長に伴う移動範囲の大幅な拡大が予想されるため、機動部隊よ-2の増員が認められました。
情報更新1983/03/14: SCP-118-JPの拠点の変化に伴いサイト-8176は████県████市に移転しました。
情報更新2042/10/16: SCP-118-JPの拠点の変化に伴いサイト-8176は████県██████市に移転しました。移動範囲の縮小に伴い機動部隊よ-2は減員されます。
情報更新2045/11/04: SCP-118-JPの移動性はほぼ失われました。現在の所在地は████県████村です。
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scp-119-jp |
評価: +34+–x
評価: +34+–x
クレジット
タイトル: SCP-119-JP - 人生の階段
著者: ©︎pictogram_man
作成年: 2017
評価: +34+–x
評価: +34+–x
SCP-119-JP
アイテム番号: SCP-119-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-119-JPに関する実験は禁止されています。SCP-119-JPを含む木造家屋は改築され、SCP-119-JP専用の収容施設として使用されています。施設管理以外の目的で収容施設に入ることは禁止されています。
事案119‐JPによる改変事象の影響を受けた人物の調査および処理が現在進行中です。
説明: SCP-119-JPは静岡県██市████町にある二階建ての木造家屋内にある、1階と2階を繋ぐ15段の階段です。
SCP-119-JPは、SCP-119-JPを1階から1段ずつ登っている人物(以下"被験者")に対して漸進的な改変事象を引き起こします。被験者は、肉体と記憶がSCP‐119‐JPを登るごとに改変されます。改変された肉体や記憶はSCP‐119‐JPを降りることにより元に戻ります。被験者は改変事象を認識することができません。
被験者がSCP-119-JPを最上段まで登った場合、即座にその場に倒れ動かなくなります。その後、被験者の体は発火し、被験者が倒れてからおよそ10分でその場から消失します。発生する火の出所は不明であり、被験者と着用していた衣服以外には一切影響を及ぼしません。
被験者が消失すると、被験者に関する記憶が改変されます。これは現在のところ、被験者と直接会ったことのある人物にのみ確認される限定的改変事象であると推測されています。この異常性の及ぶ正確な範囲が不明であるため、SCP-119-JPに関する全ての実験は凍結されています。詳細な改変事象の内容については補遺: 事案119-JP調査報告書を参照してください。
►アクセス SCPJP:/119/実験/1:3.log
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実験記録-1
日付: 2017年1月1日
被験者: D-90(22歳)
実験方法: 被験者にSCP-119-JPを1段ずつ登らせます。被験者がSCP-119-JPを1段登るごとに、被験者に現在の年齢を質問し、記録します。
結果: 被験者はSCP-119-JPを1段登るごとに、現在の年齢を29歳、34歳、36歳、40歳、43歳であるとそれぞれ証言しました。また被験者が5段目まで登った時点で、被験者の頭髪の老化の兆候、全体的な筋肉量の減少が確認されました。
被験者が5段目まで登った時点で、これ以上被験者がSCP-119-JPを登った場合、被験者は死亡することが予測されたため、実験監督官の竹山博士の判断により、被験者に降りてくるよう指示しました。被験者はSCP-119-JPを1段降るごとに、現在の年齢を40歳、36歳、34歳、29歳であるとそれぞれ証言しました。最下段についた時点で被験者の肉体は実験が開始された時点の状態に戻っていました。
実験終了後の被験者に対するインタビュー
質問者: 竹山博士
回答者: D-90
<再生開始>
竹山博士: まず、実験へのご協力感謝します。お疲れ様でした。早速ですが、これよりあなたへインタビューを行います。構いませんね?
D-90: ああ、俺に答えられることなら何でも答えるよ。
竹山博士: では、現在のあなたの体調を教えてください。
D-90: ん?なんだかお医者さんが言いそうな質問だな?まあいいか。体調は、全く問題ない。至って健康だ。
竹山博士: そうですか。では次の質問です。あなたは実験中、自身の体に関して何か違和感を感じましたか?
D-90: 違和感?
竹山博士: どんなに些細なことでも構いません。例えば、階段を登っていて急に怠くなったとか、関節が痛み出したとか。
D-90: 特には……1つだけ感じていたな。
竹山博士: その違和感はなんですか?
D-90: あんた、実験中に何回も俺の年齢を尋ねてきただろ。あれになんの意味があったんだ?人の年齢なんて急に変わるような物じゃない。自分で言ってておかしいとは思わなかったのか?
竹山博士: その質問には答えかねます。
<再生終了>
実験記録-2
日付: 2017年1月17日
被験者: D-90(22歳)
実験方法: 被験者をSCP-119-JPを9段目まで登らせ、被験者の認識の変化についてのより詳細な記録をとります。前回、被験者にした質問に加え、Dクラスになる以前の家族構成、罪歴を質問します。
結果: D-90の証言は段を上るごとに変化しました。特に大きな差異が確認できたのは9段目であり、被験者は自身の年齢を79歳と証言しました。また、被験者は自身の家族構成を答えず、罪歴のみを証言しました。
9段目における被験者とのインタビュー
質問者: 竹山博士
回答者: D-90
<再生開始>
竹山博士: では次に、先ほどと同様に自分の家族構成を答えてください。
D-90: [下を向き、口を噤む。]
竹山博士: D-90、回答を。
D-90: [反応なし。]
竹山博士: わかりました。どうしても答えたくないなら、今回は良いです。先に罪歴について聞くことにします。
D-90: ……殺人。
竹山博士: それだけですか?
D-90: そうだ。
竹山博士: では、その罪歴についての詳細……具体的には殺害した人物の名前や動機について教えてください。
D-90: 私の孫……。あのことを周りの者は事故だと言っていたが、あれは私の責任なんだ。
竹山博士: なるほど。
D-90: なあ博士さんよ。もう良いだろう?この質問は今日で9回目だし、私はもうあの日のことを話すのが辛いんだ。これ以上の質問は後日にしてくれないか。頼む。
竹山博士: そうですね。実験は終了しましょう。降りてきてください。
<再生終了>
実験記録-3
日付: 2017年1月30日
被験者: D-90(22歳) (84歳)
実験方法: 被験者にSCP-119-JPを1段ずつ登らせ、最上段まで行かせます。
結果: 被験者が最上段まで登った時点で、被験者は倒れました。2階で待機していた研究員が確認したところ、被験者の死亡が確認されました。しかし、確認が終わった直後、被験者は突如炎上し、さらに5分が経過した瞬間に消失しました。
分析: 被験者が死亡するのは予想通りでしたが、対象が炎上し消失するのは予想外でした。興味深いことに、被験者の遺体を回収するために上で待機していた研究員は炎の熱を全く感じなかったと証言し、そして問題の炎はどこにも延焼することなく被験者のみを燃やしていました。この点については更なる研究を行う必要があるでしょう。—竹山博士
補遺: 事案119‐JP調査報告書
►アクセス SCPJP:/119/音声/.log
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事案119‐JP発覚直後のSCP‐119‐JP研究担当班へのインタビュー記録の抜粋
日付: 2017年2月2日
質問者: 有村博士
回答者: 竹山博士
有村博士: さっそく質問させてもらうが、D-90の死亡時の年齢はいくつだった?
竹山博士: 84歳。実験中に何度も質問して確かめていたのだから間違いない。
有村博士: なるほど。それじゃあ次にこの資料を読んでくれ。何かおかしなところはないか?
竹山博士: 特にないと思う。
有村博士: D-90の生年月日が記載されているだろう?それを読んでみてくれ。
竹山博士: 1933年、2月7日。
有村博士: そうかい。次にこの写真を見てくれ。
竹山博士: Dクラスの写真だな。顔が黒塗りされているが。
有村博士: 何歳に見える?
竹山博士: 手足の皺の数、頭髪の脱色からして、およそ80歳くらいだろう。
有村博士: 本当にそう見えるのか?
竹山博士: ああ。
有村博士: わかった。インタビューは終了する。もう暫くここで待機していてくれ。
事案119-JPの発生を受けて行われた、関連人物に対する再調査記録の一部抜粋
日付: 2017年2月5日
質問者: エージェント・沢城
回答者: E-119-JP
付記: 上記の事案の発覚を受けて、████殺人事件の再調査という名目で、生前のD-90と関わりのある人物を対象としたインタビューが実施されました。この記録は、そのインタビュー記録の内の1つで、対象者はD-90により殺害された████氏の母親に当たります。
<再生開始>
エージェント・沢城: あなたと[編集済み]1との関係について聞かせてください。
E-119-JP: 関係ですか?ええ、特に特別な関係ではありませんが、数年前から仲良くさせて頂いていましたね。小さい頃の息子はよく遊んでもらっていましたし、私と夫が仕事で忙しかったときなんかも面倒を見てくれました。
エージェント・沢城: では、特に人間関係に問題があったわけではなかったんですか?
E-119-JP: 若いころはギャンブルに浸っていてよく喧嘩していたとは話していましたが、私にはそうは見えませんでしたね。とても穏やかな方でした。
エージェント・沢城: では、あの事件を起こしてしまったことについても、特に心当たりはない?
E-119-JP: そうですね。本当に信じられないです。
エージェント・沢城: ……ところで息子さんについてですが。
E-119-JP: 息子ですか?今は自室で寝ていますよ。昨日も夜遅くに、どこほっつき歩いていたのやら。深夜に帰ってきて、私に挨拶もせずに部屋に入っていきました。
エージェント・沢城: それは……失礼でなければ、息子さんのお話を伺うことはできませんか?
E-119-JP: ええ、大丈夫ですよ。いつも暇してるので。今呼んできますね。
エージェント・沢城: はい?
[約10分が経過]
E-119-JP: お待たせしました。ほら、挨拶しな。
エージェント・沢城: 申し訳ありませんが、インタビューを終了します。
<再生終了>
報告: E-119-JPは自身の息子である████氏がまだ健在であるかのように振舞っていました。インタビュー終了後にBクラス記憶処理を施しましたが、この異常を消すことは出来ませんでした。
付記: 現在、E-119-JPはEクラス職員として財団に雇用されています。
脚注
1. D-90の本名
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scp-120-jp |
評価: +537+–x
運搬車両の収容ケース内に置かれたSCP-120-JP。
収容室から脱走したSCP-120-JP-1。監視カメラの映像から。
アイテム番号: SCP-120-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-120-JPは、偽装博物館に設置した特別収容ケースに収容されます。同博物館には、定期的に来場者を入場させる必要があります。特別収容ケースには、同博物館内で最も価値のある化石であるとの表記をし、来場者にもそのように説明します。収容ケースは、30x30x40cmの厚さ7cmの強化ガラスで密閉できるようにし、収容ケース自体も、大型水槽用の耐圧強化ガラスで密閉された10x10x6mの収容室の中央に設置されます。収容ケースは、常に遠隔監視カメラで監視できる状態にし、もっとも長くSCP-120-JPを担当していて割り当て予算を把握している研究員が、少なくとも24時間毎に監視する必要があります。
収容室の地下50mには、厚さ1m以上のコンクリートで密閉された20x20x15mの制圧用収容室を用意します。制圧用収容室の東西の壁2面は、1面につき油圧式の大型シリンダー4基を使用して水平に移動できるようにし、内容物を押しつぶせるようにしてください。SCP-120-JP-1が出現した場合は、まず予備手続01を実行します。それでもSCP-120-JP-1が消失しなかった場合、収容室の床を開き、SCP-120-JP-1を制圧用収容室に格納し鎮圧します。それでもSCP-120-JP-1が消失しなかった場合、機動部隊を派遣し鎮圧します。機動部隊による鎮圧も失敗した場合、地下へ通じる縦穴を爆破し、土砂によってSCP-120-JP-1およびSCP-120-JPを地下へ封じ込めます。
SCP-120-JP-2には、特別な収容手順は必要なく、安全な人間型オブジェクトと同程度の収容を行います。SCP-120-JP-2は、義務教育を終了していないため、財団傘下の教育施設に通わせる必要があり、また要請があれば外出も許可します。Level2以上のクリアランスを持った職員が許可を行ってください。特別な理由が無い限り、SCP-120-JP-2はSCP-120-JPの収容サイトから、30分以上離れた場所への外出は許可されません。また、外出の際は、かならずビデオ通話が可能な通信機器を持った職員と、2名以上の警備職員が同行し、予備手続きの発動があれば即座にビデオ通話を行い、SCP-120-JP-2を収容施設へ戻してください。
予備手続01:十分な警護を行った上で、SCP-120-JP-2とSCP-120-JPを会話させます。これまでのところこの手続きによりSCP-120-JP-1は確実に消失しますが、SCP-120-JP-2の加齢にともない、価値観の変移が予想されこの手続きが使用できなくなると考えられます。
説明: SCP-120-JPは全長約15cmのLambis lambis Linnaeus(クモガイ)の貝殻です。
SCP-120-JPは知性を有しており、SCP-120-JPの価値を非常に高価(個人差はあるがおおむね10億円以上)なものだと認める人間が存在しないか、価値を認める人間に長時間観察されていない場合、開口部からSCP-120-JP-1を放ちます。SCP-120-JPが、どのように観測者の価値観を読み取っているのか、現時点では不明です。
SCP-120-JP-1は、高さ約8m全幅約30mほどの存在です。その見た目は5対10本の脚を持った、黒褐色の巨大なクモかカニのような見た目で、脚のうち1対2本はハサミが付いています。出現した場合、非常に暴力的な行動を取り周囲の物品や生物を破壊します。詳細な行動目的は判明していませんが、施設における高額な装置、希少な素材を優先的に破壊する傾向があります。生物への危害は偶発的なものと考えられます。SCP-120-JP-1は無力化されるか、自身でSCP-120-JPに戻るまで顕現し続けます。機動部隊の保有する武器による制圧は、今のところ成功していません。出現する場合も、消失する場合も、SCP-120-JPの開口部を通じてSCP-120-JPの内部へと戻っていきます。明らかに、収納できない大きさであるのにもかかわらず、SCP-120-JPへSCP-120-JP-1が収納できている原理は不明です。SCP-120-JP-1が収納されていてもいなくても、SCP-120-JPは一般的な同種の貝殻の重量しかありません。
SCP-120-JPは20██/08/19 ████の██████における大規模な土砂災害の最中に、SCP-120-JP-1が目撃され、その調査の過程でSCP-120-JP-2(後述)から回収されました。SCP-120-JP-1の目撃者にはクラスAの記憶処置が施され、事後処理は問題なく完了しました。
SCP-120-JP-2は、戸籍上は████と記録されている、20██年生まれの女性です。SCP-120-JP-2は、身体的にも精神的にも一切異常性は認められない一般的な人間ですが、現在唯一、SCP-120-JPとの円滑な意思疎通を図れるため、特別収容プロトコルに組み込まれています。SCP-120-JP-2は20██年の6月ごろに、近所の海岸でSCP-120-JPを拾ったと証言しています。前述の災害時に保護者が死亡しているため、保護という名目で財団が収容しています。
SCP-120-JPはその特性から、幾度にも渡るSCP-120-JP-1の出現と収容方法の変更を繰り返しています。SCP-120-JP-1の腕力はすさまじく、収容施設の隔壁でさえ難なく引き裂きます。注釈がなければ、SCP-120-JP-1の出現はSCP-120-JP-2の説得によって収拾されます。
収容場所
収容期間
収容状況
結果
SCP-120-JP-2の自宅の棚
推定2251日
詳細不明。消失時期不明。収容の間SCP-120-JP-2はSCP-120-JPと会話していたと証言しています
土砂災害による家屋の破壊により収容失敗
運搬車両の収容ケース
2分
SCP-120-JP-2からの回収後、運搬車両にて収容施設へ運ぶ途中でした。
SCP-120-JP-1が出現。財団の管理下における最初の収容失敗。SCP-120-JP-2の説得により消失。
高危険度用収容室の金属ケース
2日
前回の収容失敗により特別収容室を作る必要が発生したため、それまでの収容場所として別のオブジェクト用に造られた収容室に収容しました。
SCP-120-JP-1が出現。収容室が破壊され、収容サイトのエントランスロビーにSCP-120-JPを移動。ビデオ通話によるSCP-120-JP-2の説得により収拾。
高危険度用収容室の金属ケース・パターンB
1日
職員の価値判断の上昇を見込み、職員の貴重品と共に金属ケースに収容。
SCP-120-JP-1が出現。収容室をほぼ破壊。収容室から脱出する前にSCP-120-JP-2により説得。収拾。
高危険度用収容室の金属ケース・パターンC
3日
評議会の許可する範囲で財団の保有する貴重品と共に収容。
SCP-120-JP-1が出現。収容室を破壊、施設の隔壁にて移動を鈍化。比較的早期に説得。関係職員では、妥当な価値しか見出せないようです。
Dクラス職員監房
2日
Dクラス職員に高価な調度品と称し褒賞として与えました。
状況の不自然さから所有者が本来の価値に気づきました。SCP-120-JP-1が出現。監房を破壊。8名のDクラス職員が死亡。武力による制圧の試みは失敗しました。
高危険度用収容室の金属ケース
1日
詳細を知らない他サイトの研究員にビンゴの景品として付与した後、本サイトに戻しました。
SCP-120-JP-1が出現。収容室が半壊。脱走は阻止されました。少なくとも24時間以内に所有者が観察する必要があるようです。
特別収容室の金属ケース
2日
上記と同様の手順をとり、モニターで常に視界に入るようにしました。
SCP-120-JP-1が出現。仮設の収容室が半壊。脱走は阻止されました。所有者が想定する価値(100万円)が低すぎたようです。
特別収容室の金属ケース
2時間
研究員の子供に非常に高価なものと信じさせ、本サイトに戻しました。
仮設の収容室が半壊。脱走は阻止されました。当該の子供が飽きました。
高危険度用収容室のガラスケース
27日
宝石と貴金属でSCP-120-JPを装飾しそれらしいケースを新造しました。
SCP-120-JP-1が出現。収容室をほぼ破壊。収容室から脱出する前に説得。関係者全員がSCP-120-JP自体の価値は変化していないと気づいたことにより収容が失敗。
特別収容室のガラスケース
9日
上記回収後にSCP-120-JPが研究員Gを気に入りました。しかしSCP-120-JP-2とは違い説得にはほぼ応じません。
この事例で収容は失敗していません。
特別収容室(偽装博物館)のガラスケース
~現在
収容手順を参照のこと。
この事例で収容は失敗していません。
補遺001: 収容手順の確立のためSCP-120-JPに気に入られた研究員Gから情報を集めました。得られた情報の中で以下の部分が重要視されています。
聴取記録-G001からの抜粋:
だって良く考えたらあいつに壊された分を合わせると、あいつには50億円くらいの価値があるんだなあって、ふと思ったんだ。
実際にSCP-120-JPの収容にかかった費用は█████████円であり、研究員Gとの認識には誤差があるため現在の収容手順への移行がなされました。SCP-120-JP-2の加齢に伴いSCP-120-JP-1の収容の困難さが予想されるため、研究員Gもしくは同じ認識をもった研究員にわかる形での割り当て予算の増額が検討されています。
補遺002: SCP-120-JP-2かSCP-120-JPの要請があれば審議の上でビデオ通話を許可することがあります。SCP-120-JP-2の安全を考慮し緊急事態以外で直接対面させることは許可されません。審議はLevel3以上のクリアランスをもった3人以上の職員が行ってください。
+ 会話ログの参照
- 会話ログを閉じる
SCP-120-JPからの要請によるビデオ通話記録-0013からの抜粋:
SCP-120-JP: アイリ。ここはなんとも大きな施設だ。私にふさわしい場所もどこかにあるかもしれない。
SCP-120-JP-2: ふーん。ヤドカリさんの家来たちもそこに呼ぶの?
SCP-120-JP: アイリ。私の名前は『深き海とそびえる山を統べる偉大なる王』だ。ここは退屈だ。いつか呼ぶかもしれない。
SCP-120-JP-2: ねえイチゴ狩りでとったイチゴでジャム作ったんだけど食べる?
SCP-120-JP: 食べる。
SCP-120-JP-2から回収した食品をパンに塗り、SCP-120-JPの収容ケース内に入れました。監視カメラでは、SCP-120-JP-1に良く似た小型の存在が、パンを食べる様子を記録しています。財団では、海洋研究を行っている団体の協力を得て、会話に出てきたSCP-120-JPと同種の存在を捜索していますが、成果はあがっていません。
SCP-120-JP-2からの要請によるビデオ通話記録-0020からの抜粋:
SCP-120-JP-2: 今日ね、算数のテストで25点だったの。それで先生が怒ったんだけど、ほんとに算数って勉強する意味があるの?
SCP-120-JP: アイリ。この宇宙すべてにおいてもっとも偉大な知識は算数だ。とても意味深いぞ。
SCP-120-JP-2: えー。ヤドカリさんも海の中でも分数とか使うの?
SCP-120-JP: 使うとも。私がクジラを仕留めたなら臣下には16分の1ずつ分け与えるぞ。あとアイリ。私の名前は『深き海とそびえる山を統べる偉大なる王』だ。
SCP-120-JPは知能テストの参加に激しい抵抗を示しています。
財団からの要請による会話記録-0007(収容違反事例0004時)からの抜粋:
SCP-120-JP-2: ヤドカリさんなにしてるの?
SCP-120-JP: アイリ。私の名前は『深き海とそびえる山を統べる偉大なる王』だ。ココのものは私の価値を知らない。なんとも愚かなサルたちだ。
SCP-120-JP-2: 怖いから大きいの出したらダメって言ったじゃない。
SCP-120-JP: アイリ。ここはお前の家ではない。私は罰を与えねばならない。
SCP-120-JP-2: おじさんたちがあなたが貝に戻るまで話してって言われてるの。[データ編集済:一般的なテレビゲーム]やりたいから早く戻って。
SCP-120-JP: アイリ。お前にはまだわからないだろうがココのものどもに私の価値を
SCP-120-JP-2: 早くして。
SCP-120-JP: はい。
SCP-120-JP-2の接触からSCP-120-JP-1の消失までの時間は非常に短いことを追記しておきます。
補遺003: SCP-120-JP-2に対し、SCP-120-JPに関する情報の聴取を行った結果、以下のような注意事項が作成されました。各事項の真偽は不明、あるいは審議に値しないものです。SCP-120-JPへの直接の聴取は、対象の威圧的な態度のため、信頼性の低い聴取結果になることを併記しておきます。
+ SCP-120-JPに関する注意事項
- 注意事項を閉じる
その1・ヤドカリさんは、世界で一番の王様なので、棚の一番高いところに置く。
その2・ヤドカリさんを乗せる布団は、一番柔らかいものを使う。
その3・ヤドカリさんは24800人の家来を持っている。
その4・ヤドカリさんは、総理大臣よりも大統領よりも偉い。
(注記:SCP-120-JPは現在の政治状況に詳しく、最初期収容時、テレビの置いてあるリビングに設置されていたものと考えられる。)
その5・ヤドカリさんは、クジラの肉が好き。その次がマグロ。
(注記:SCP-120-JPは、より大きな食物を好みますが、SCP-120-JP自体食事を必要としていません。)
その6・ヤドカリさんは、オリンピックに出場したことがある。
その7・ヤドカリさんでキャッチボールをしてはいけない。
その8・ヤドカリさんの前でリコーダーの練習をしてはいけない。
(注記:SCP-120-JP-2の演奏する楽器は、一般的な基準から見て、快適な音階ではありません。)
その9・ヤドカリさんを友達に紹介してはいけない。
(注記:最初期収容時、SCP-120-JP-2がごく低年齢だった時には問題が起きなかったが、年齢が上がるにつれ、SCP-120-JPが不満を漏らし始めたと証言しています。)
補遺004: SCP-120-JPが紙とボールペンを要求しました。同時に、収容ケースを開き(収容室は閉じたままで)執筆をさせてほしいと要求しました。3日間の審議の後、SCP-120-JPの収容は収容室だけでも十分であるとの判断から、市販のボールペンとレポート用紙を収容室に置き、収容ケースを開きました。すると、SCP-120-JP-1によく似た小型の存在が、SCP-120-JPから放たれ、ボールペンを持ちレポート用紙に筆記を始めました。30分後、小型のSCP-120-JP-1は筆記を放棄し、レポート用紙を丸めて放り投げたあとSCP-120-JPに戻りました。
回収されたレポート用紙に書かれた文章:
きみはいつか大人になる。それを止めることはできない。今、私はきみにとっての世界で一番の宝物だろう。だがきみもいつか別の宝物を見つける。もし、時を止めることができるなら、私はきみの時を止めるだろう。世界で一番の宝物であり続けることは難しい。きみは大人になる。そうでなければならない。きみもいつか子供を生む。そして、その子供に私との思い出を語るときがやってくる。きっとそうなる。思い出の中の私は、今と変わらずに世界で一番の宝物であり、そのとき初めて私は本当の価値を手にする。それこそは世界で一番の宝石[最後の一行は乱雑な線で消されている]
この文章によるSCP-120-JPの意図は不明です。許可があるまで、SCP-120-JP-2からこの文章を隠匿することが決定されました。
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scp-121-jp |
評価: +41+–x
アイテム番号: SCP-121-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-121-JPは汚染された情報です。イベント-121を発生させない情報伝達手段が確立されるまでは、別途資料-121-B14に記載された内容を除く全ての情報に関して、第一級箝口令が敷かれます。財団職員はSCP-121-JPに関する情報の全てをレベル5-[記入者以外閲覧不可]とし、保管は記入者以外のアクセスを拒める様にしなければなりません。また担当保安員は、現地で異常リスクを避けつつ他保安員と連携を取る為の訓練を受け、それを遵守しなければなりません。任務を解かれた職員は、記憶処置によりSCP-121-JP-1に関する記憶を消去します。
エリア-81-121は外部からその様相が想像出来ない様に完全な偽装を施し、また完全な欺瞞情報を載せた看板で先入観を与えて下さい。接近する一般人は私有地を理由に退け、尚侵入を試みる者は拘束・尋問の後記憶処置を施します。
以上の手順に失敗した時、必ず1名以上の人材と特別資産の喪失に繋がります。
イベント-121の対象者は、調査研究の為冷凍保管室に収容して下さい。内部は常にカメラで監視され、異常があった場合は研究主任に報告されます。
説明: SCP-121-JPは、SCP-121-JP-1に関連する情報の伝達に際して発生する異常現象です。SCP-121-JP-1は、現在エリア-81-121に指定される[編集済]の敷地内に、19██年以前から存在する全ての物体です。異常特性を持つ個体の判別は異常現象を発生させる以外に不明である為、全ての該当する個体が指定されます。この年以降に持ち込まれた物体に異常特性は伝染しません。
SCP-121-JP-1の外観・状態・機能・所在地などを判別出来る情報が、人間から人間へと伝達された時、以下に記すイベント-121:変化と消失の双方が発生します。イベントの発生には情報の受信者が理解する必要があり、知的生物以外では見られないと考えられています。情報伝達手段は問われない様であり、これまでに音声・写真・映像・文章・絵画・ジェスチャーによってイベントの発生が確認されました。
イベント名
詳細
イベント-121:変化
情報の発信者に生じる不可逆の身体的変化です。情報の伝達後、即座に対象は単一の海洋生物で構成された人型の像へと変化します。海洋生物はタイセイヨウニシンやタコといった既知の魚介類であり、全てのケースで真新しく見えます。変化後の意思疎通は確認されていませんが、一般の魚類同様に腐敗が進行する為、対象者は既に死亡していると見られます。尚、情報の発信者が既に死亡している場合はこのイベントは発生しません。
イベント-121:消失
情報伝達の対象となったSCP-121-JP-1の消失です。対象はその規模に関わらず急速に劣化と崩壊を引き起こし、その後残骸が72時間以内に完全に消失します。このイベント発生後、対象となったSCP-121-JP-1に関する情報共有が、再度イベント-121を誘発する事はありません。
イベント-121:変化で発生した人型の像に関して、保管先の冷凍庫内で動いたとする報告があります。しかし監視カメラはその挙動を確認出来ず、現在まで立証は成されていません。 (追記)20██/██/██、冷凍室壁面に判読不明の文字(図形)が記されていました。監視カメラに不審な動きは見られず、原因は不明のままです。
エリア-81-121は19██年、正体不明の一団に殺害された████ ███氏の所有地でした。これ以前に特筆すべき報告は無く、SCP-121-JPの発生とこの事件に何らかの関係があると見られています。事件後、イベント-121により村民と駐在していた警察官が全滅し、連絡の取れなくなった為に警察による更なる調査隊の派遣が行われました。しかし超常的存在に対し未熟だった警察は、僅かな生存者以外の隊員全てを失います。その後事件は関係者と一部の上層部により黙殺された為、後に設立された財団日本支部が把握出来たのは高度経済成長期後の事になります。
現在、当時の警察官が残した手記と財団による調査により、SCP-121-JPに関する多くの情報が収集されています。ですが、財団職員の意見交換にはイベント-121:変化と消失が懸念される為、SCP-121-JPの原因や事件の真相などは未だ個人の推論に留まっています。
資料:
+ インシデントレポート-121-2011/11/13
- 閉じる
概要: 2011/11/13、エリア-81-121外を定期巡回中の保安員が、SCP-121-JP-1と見られる個体と遭遇しました。当該個体は敵対的であり、複数の異常現象を引き起こしつつ研究員の宿泊施設まで進行し、保安チームはこれを食い止める事が出来ませんでした。その後、保安チームの1名が意図的にイベント-121:変化と消失を誘発し、当該個体の撃退を図りました。
記録抜粋:
富山保安員(イベントを発生させた保安員)がアロワナに変化、研究員宿泊施設前の道路に倒れている。東研究員と、島田保安員の2名が到着する。
東研究員: 富山さんが変化しました!当該個体は消失、しかしここはお菓子でも如何ですか?
島田保安員: 落ち着け、大変なまさかり…これが例の奇妙なはい?分かった、入口の方から行こう。俺は頭を離して警戒。
東研究員: 分からないのか?分からないのか?分からないのか?
島田保安員: 分かった、向かう。待て、あの染みて美味しい…染みて美味しい、血の板の…(口元に手を当て、“喋るな”のサイン)
東研究員: オロン?
島田保安員が、アロワナの頭を持ちます。東研究員は、そのまま動作が静止しました。顔に苦悶の表情を浮かべ、汗をかいています。
東研究員: …ア!ア!ナ、ブル!ンーガグン、オロ、オロ、めてむり、くない、いき、た、ひーニョル、イ…イ…てるな、す、ブルブ、スシーピ、チ、スナ、ケ、スナ、…オロロロロロロ[SCP-121-JP情報規制]
東研究員がエチゼンクラゲに変化。島田保安員は、両者共に放置して一度現場から離脱します。
+ 資料-121-B14(抜粋)
- 閉じる
以下は、既に喪失したSCP-121-JP-1に関する物品の一覧です。これらに関する情報交換は許可されます。但し、この一覧がこれ以上追加される事は、有用な人材とオブジェクトの喪失を招く為にも避けられるべきです。
・絵画2枚
・食器棚
・メモ(下記参照)
・未洗浄の皿4枚、フォーク6本、スプーン2本、割れたマグカップ1つ
・かびたソファ1つ
・テーブル
・テーブルの上の器(中身不明)
・浴室
・階段
・書斎ドア
・書物17冊
・成人男性の人骨1体分
・地下室
・離れの屋敷
・石灯篭2つ
・錆びたナイフ1本
・半透明の黄色がかったゼリー状の物体(推定10ℓ)
・装飾の施された杖
・未知の言語で記された地図。地球の大陸とは一致していない。
・破損した和太鼓
・笛
・推定年齢90歳以上の女性(存命)
・血痕の付着したエプロン
発見されたメモの一部: 記載内容にはSCP-121-JP-1に関連する情報が記されていますが、このメモのみ閲覧してもイベント-121:消失は発生しません。原本は調査研究を目的に保存され、直接の閲覧は研究主任の許可が必要です。但し以下の情報閲覧は自由です。
発見日時: ████/██/██
発見場所: ██、██-████████
内容:
あの忌々しい怪物共をこの世に解き放ったのは私の責任である。神も仏もこの所業は許さず、洗い流す事さえしてはくれまい。しかし、例えこの世全ての神聖なる存在を巻き添えにしてでも、私はあの者共を打倒する覚悟がある。[解読不能]を、友人さえ巻き込んだこの事件に終止符を打つのだ。ここに誓う、この魂果てるまで、ここに押し込めてみせると。そし[解読不能]この災厄を滅す者を呼び込む。やり遂げねばならない、私の名は████ ███…(以下未解読)
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scp-122-jp |
評価: +218+–x
アイテム番号: SCP-122-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-122-JPの周囲500メートルは封鎖され、カバーストーリー「再開発」が展開されています。周囲には警備員を配置し、民間人の立ち入りを防いでください。SCP-122-JP-1の姿を確認した警備員は即座に財団に報告し、緊急プロトコル、A122-17Aが展開されます。
SCP-122-JPには一日に一人、毎回別のDクラス職員を入店させ食事をさせてください。食事は可能な限り量の少ないものを選ばせ、食事後は速やかに退店させます。対象となったDクラス職員には帰還後Bクラス記憶処置を施します。
説明: SCP-122-JPは特定の繁華街に出現する飲食店です。SCP-122-JP内には不特定数のSCP-122-JP-1が従業員として働いており、いずれもフレンチメイドをモデルとした衣装を着用した10代後半と思われる日本人女性の姿をしています。店内はテーブル席のみで構成されており、注文を受けた場合カウンター奥のキッチンで「調理」が行われます。財団エージェントによる潜入調査の結果、キッチンには冷蔵庫と電子レンジ、いくつかの調味料があるのみで冷蔵庫内も完全に空の状態でした。どのようにして食品や資材の調達を行っているかは不明です。
SCP-122-JPは午前11時から午後23時まで営業しており、営業終了後SCP-122-JP-1の姿はなくなりますが、店舗から対象が出て行く気配は無く、内部に潜入した場合でもSCP-122-JP-1の姿は確認できません。しかし開店時間には再び姿を現します。
また、SCP-122-JPは数日間来店が無い場合、別の場所へ「移転」を行います。これまで観測中に二度の移転が起こっており、財団エージェントによる捜索と調査の結果、現在は日本の東京都██区内での封じ込めが確立されました。
SCP-122-JP-1は時に建造物の外部に出て客引きを行います。客引き行為を受けた人物は男女問わず、非常に高い確率でSCP-122-JP内へと入ります。店内へ誘導された被験者はコーヒーや紅茶、ケチャップなどでデコレーションされたオムレツの様な食品などを提供されます。食事をした被験者は皆一様にそれが非常に美味であると延べ、多くの場合は何度も店に通う様になります。被験者はSCP-122-JPに通い、食事を取る内にだんだんと衰弱し、栄養失調や飢餓などの兆候を見せます。体重は激減し、内臓機能にも支障をきたすに至っても本人は健康であると主張し続け、何も処置をしなければそのまま死に至ります。死亡するまでの期間は個人差が大きく、内臓や脳へのダメージが小さい内に食品の摂取を止めれば多くの場合はその後も生存します。SCP-122-JPの影響はBクラス記憶処置を施す事で治療可能な事が判明しています。
+ 潜入記録 122-1
- テキストを隠す
以下はDクラス職員を被験体としてSCP-122-JP内部に送り込んだ際のDクラスと財団エージェントとのやり取りです。
潜入記録122-1 - 日付████/██/██
対象: SCP-122-JP
被験者:D-1227-JP
<記録開始>
D-1227-JP:[店内に入った… その……落ち着かねぇよ、こういう店]
エージェント:[適当に飲み物と食べ物を注文して、内容を教えてください]
D-1227-JP:[わかった。……本当にこれ頼むのかよ。すいません、あー 、この……これ……]
エージェント:[注文内容をしっかり読み上げてください。]
D-1227-JP:[……真っ赤なハートの雪降トマトジュースと…… あー、くまたん妖精のドキドキオムライスをくれ。]
しばらくの間、D-1227-JP-JPとSCP-122-JP-1との間で他愛の無い会話がある)
D-1227-JP:[慣れてきたら割りと悪くないな… お、料理が来たようだぜ]
エージェント:[内容についてコメントしてください]
D-1227-JP:[あー、……見た感じは普通のトマトジュースだな。ながっぽそいグラスに入ってる。グラスの縁に塩が付いてるな、気が効いてやがる。オムライスは、ケチャップで猫だか熊だかの絵が書いてある]
エージェント:[食べてみてください]
D-1227-JP:[ほんとにこんなんで釈放されんだろうな?……ん、意外とうめぇ。冷凍じゃなくてちゃんと作ってるなこれは。トマトもいけるぜ、田舎を思い出す。なぁ、この…「コロコロココロのサンドイッチ」も頼むぜ。あと、トマトジュースをお代わりだ]
エージェント:[了解。気づかれないように一部をタッパーに確保してから車に戻ってください]
D-1227-JP:[結構気に入ったぜここ。シャバに戻ったらもう一度来るかもしれねぇな]
D-1227-JPは15分後に戻り、再び収容されました。その時に貧血の症状を見せており、体重が約1kg減少していました。 D-1227-JPはその後もしきりに再訪を要求し、暴力的になりましたが記憶処置後は通常の状態に戻りました。
店内で提供される食品を調査した結果、食品から被験者の物と同一のDNAが検出されており、SCP-122-JPは未知の技術によって被験者の体組織を使用して食品を製造し提供しており、被験者の衰弱死の原因であると思われます。
+ インタビュー記録 122-1
- テキストを隠す
以下はSCP-122-JPに進入した財団エージェントとSCP-122-JP-1とのやりとりの映像記録です。エージェントは衣服に据え付けた超小型の隠しカメラで撮影をしています。
インタビュー記録122 - 日付████/██/██
対象: SCP-122-JP-1
<記録開始>
エージェント:[やぁ、こんにちは]
SCP-122-JP-1:[おかえりなさいませ、ご主人さま!ハートフル1カフェへようこそ!ご帰宅料は500円となっております!]
エージェント:[ご主人様か…。実はよくこのあたりを通るんだけど、君たちは何時帰宅してるんだい?]
SCP-122-JP-1:[いやですわご主人様、ここは私たち妖精とご主人様のお屋敷じゃないですかぁ~]
エージェント:[いや、そうじゃなく…… まぁいい、ところでここの料理はどんな風に作ってるのかな?]
SCP-122-JP-1:[妖精さんのハートフル魔法ですっ!]
エージェント:[僕はアレルギー持ちなんだ。だから食事の内容を知っておきたいんだが…]
SCP-122-JP-1:[ご心配要りませんよご主人様!私たち妖精はご主人様のお体の事をちゃんとわかっておりますから!アレルギーの心配は100%ありません!]
エージェント:[100%?どうしてそんな事が言えるんだ?こっちがキッチンかい?]
(エージェントがキッチン内を覗く、この時内部では別のSCP-122-JP-1個体が冷蔵庫から完全に出来上がった料理を取り出しているのが確認されています)
エージェント:[…出来合いの冷凍品か何かか?あれをレンジして出しているのか?]
SCP-122-JP-1:[……妖精さんの魔法です!今日もご主人様の一日のおつかれを、私達メイドが癒してあげますねっ!]
エージェント:[? 質問に答えてくれ、どうして出来上がった料理が冷蔵庫から直接出てくるんだ?]
(この質問の直後、約1.5秒間、SCP-122-JP-1から高周波の音声が発信され、対象の顔面が異常な速度で動くのが確認されました)
エージェント:[お、おい、大丈夫か?今何か……]
SCP-122-JP-1:[もうすぐ妖精さんのダンスの時間ですよ!さ、ご主人様も一緒に、モエモエキューン!]
エージェント:[もういい、帰らせてもらう]
SCP-122-JP-1:[いやですわご主人様、ここは私たち妖精とご主人様のお屋敷じゃないですかぁ~]
エージェント:[じゃぁお出かけだ]
<記録終了>
補遺:以下はSCP-122-JP-1から発せられた高周波音の解析結果です。
[お帰りなさいませご主人様。おはようございますご主人様。今日もご無事のご帰宅、何よりです。お帰りなさいませお嬢様。おはようございますお嬢様。いってらっしゃいませご主人様。いってらっしゃいませお嬢様。ハートフルカフェへようこそ。ハートフルカフェへようこそ!私達はお屋敷の妖精さんです。アイスコーヒーですね、かしこまりました。ジンジャーエールですね、かしこまりました。コーラですねかしこまりました。当店ではちょぉ新鮮、ほやほやのお料理をご提供いたしておりますっ!天然素材100%、ご注文を受けてから作っているのでとって美味しいんですよ!くまたん妖精のドキドキオムライスですねっ、かわいくっておいしくってドキドキしちゃいますよ!コロコロココロのサンドイッチですね、コロッコロの大きな具がたぁっぷりで食べれば食べるほどまた欲しくなっちゃうんですよ! コマンド?]
Footnotes
1. ハートフル:heartfulは和製英語。ハートフルと発音すると英語ではhurtfulと聞こえ、傷つけるなどの意味となる。
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scp-123-jp |
評価: +102+–x
SCP-123-JPの側面に貼られていた注意書き
アイテム番号: SCP-123-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-123-JPのユニット一式を二階建てのプレハブに敷設し、カバーをかけた状態でセクター-8192の大型倉庫に保管して下さい。プレハブ上階への出入りには梯子が利用されます。実験時を除いてSCP-123-JPに電源を投入することは許可されません。
説明: SCP-123-JPは████社製のエスカレーターユニットです。施工時の書類によると製品番号は[編集済]、製造年は1987年とされています。同型製品との外見的、構造的な差異は見受けられません。SCP-123-JPの操作盤には通常のエスカレーターと同様に昇降の切り替えを行うスイッチが存在しますが、SCP-123-JPは「上昇」にスイッチが入った状態でのみ稼働することが確認されています。
SCP-123-JPの特異性は、オブジェクトの稼働中にその踏台部を何者かが走って昇降した際に発揮されます。1稼働中のSCP-123-JPに被験者が進入し上昇方向へ駆け上がると、出口となる地点で被験者の姿が消失し、即座に別の地点へと現れます。出現地点の正確な選定基準は不明ですが、実験の結果からおおよそ以下のような条件ではないかと考えられています。
SCP-123-JPを中心とした半径およそ500mの空間内であること
階段か、段差の形を備えた地形であること
上記条件に当てはまる地点のうち、被験者の生命が脅かされる可能性のある場所
複数の地点が条件に該当する場合、いずれかの地点が無作為に選択されると考えられています。セクター-8192内の実験においては屋上の段差部、SCP-███-JPの上部投入口、廃棄物焼却炉の投入口、また単に十分な高さを持つ階段の最上段などが複数回選択されました。被験者は再出現後も慣性を保持しており、即座にその場に留まることは非常に困難です。多くの被験者はそのまま危険域へ踏み出し、負傷ないし死亡という結果に至ります。
稼働中のSCP-123-JPの上部から被験者を進入させて逆走させた場合、上記と同様に出口となる地点で被験者は消失しますが、被験者の再出現が確認されません。現時点で消失した被験者が後から再出現したという報告はありません。再出現の可能性を示唆する事例に関しては追記1及び2を参照してください。発信機や通信機器を被験者に持たせた場合、消失現象と同時にその機能が失われることが確認されています。
発見当時、SCP-123-JPは東京都██区内の複合商業施設██████に上昇用エスカレーターとして敷設されていました。1991年5月、同施設において屋上からの飛び降り事件が発生しました。この事件にまつわる聴取において「エスカレーター付近にいた人物が突然消失した」旨の目撃談が確認されたため、調査は直ちに財団へと引き継がれました。実地調査によって施設内のエスカレーター1基に異常な性質が確認されたため、該当するエスカレーターは即座に交換され、取り外されたユニット一式はSCP-123-JPとして収容されました。異常現象の目撃者には軽度の記憶処理が施されました。
追記1: 2010年に商業施設██████の建て替えのため解体工事が行われた際、地中から細かく破断された人間の骨片が発見されました。DNA検査により、この骨片は4人分のものであることが判明しています。全ての骨片の表面には一定間隔の溝が刻まれており、その幅はSCP-123-JPの踏板部の溝を凹凸反転したものと一致しました。回収前のSCP-123-JPがなんらかの効果を発揮していた可能性を踏まえ、引き続き調査が行われています。
追記2: 追記1の結果を受け、セクター-8192の最下部から地中へ向けた簡易調査が行われました。超音波による高精細探知の結果、地下およそ3m~6mの位置に規則的な溝らしきものが刻まれた固形物の存在が複数確認されました。これまで確認された固形物はおよそ4m四方の範囲内に分布しており、その位置はSCP-123-JPが安置されている倉庫の直下とおおむね一致しています。セクターの床の一部を破壊して試料を手に入れる計画が申請されましたが、施設の保安上の理由から現時点で認可は見合わせとなっています。
Footnotes
1. 絶対的な速度の基準は存在せず、被験者本人が走っていると認識する速さであることが重要だと考えられています。
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scp-124-jp |
評価: +50+–x
アイテム番号: SCP-124-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 001から042までの全てのSCP-124-JPは実験に使用する際以外、サイト-8105の低危険物保管庫に箱に納めた状態で保管してください。
現在、SCP-124-JPの実験を行う際はBクラス以上の職員の承認が必要です。直接実験を行う職員、実験申請者の他に、最低1名SCP-124-JPの特性を理解し、実験を中断できる職員を同席させてください。
新たに発見されたSCP-124-JPの特性を確認する以外の実験は基本的に許可されません。承認された場合でも、SCP-124-JPの活性時間は100秒以内を厳守してください。
管理外のSCP-124-JPを発見した場合、影響を受けた全ての人員を拘留し、SCP-124-JPから隔離してください。SCP-124-JPを直接回収する担当者は1名のみとし、複数人で触れないよう注意してください。
目撃者には程度に応じてAからBクラスの記憶処理と精神療法を適用してください。SCP-124-JPの影響を受けた生存者は必要に応じて影響を受けた四肢の切断の上、目撃者と同様の記憶処理と精神療法を行い、SCP-124-JPの影響の隠蔽が困難な場合は終了して下さい。
説明: SCP-124-JPは外見上、アメリカのH████社が発売している██████ゲームと酷似しています。30cm×30cm×5cmの紙製の箱上には大きくtortureの文字と、rとtに重なる様に意匠化したSが表記され、SCP-124-JP-aの上に乗り、笑顔を浮かべた男女2名づつの国籍不明のコーカソイドの人物が印刷されています。
SCP-124-JPの箱及び説明書には異常な特性は発見されませんでした。SCP-124-JPは日本国内でのみ発見され、説明書も日本語で記載されています。
SCP-124-JPは、SCP-124-JP-aとSCP-124-JP-bの2つのパーツで構成されています。SCP-124-JP-aは1660×1345mmの白いビニール製のシートで、縦6×横4の色の星マークが並んでいます。星の色は右から縦に赤・緑・黄・青です。SCP-124-JP-bは紙製の円盤で、手で回して回転させることができる針がついています。右手・左手・右足・左足が前述の4色にそれぞれ対応した、16のマスに分かれています。
SCP-124-JP-aの上に2人以上の人間が乗り、SCP-124-JP-bを他の人間が持つことでSCP-124-JPは活性化します。
SCP-124-JP-bを持つ人間は約30秒に1回SCP-124-JP-bを回転させ、その結果を告げる以外の行動を取れなくなります。この際、意識は失っておらず、眼前の状況を把握できています。
SCP-124-JP-a上の人間は告げられた結果に対して自らの意思に関わらず、1秒以内に指定された星に手足を配置することになります。意識はありますが、指定された星に動かす以外はSCP-124-JP-aから手足を離すことは出来ません。手足の配置は常に重心を崩さないような配置を取り続け、全て埋まっている場合を除き、他のメンバーの手足が配置された星には1つの星に複数のメンバーの手足が配置されることはありません。その配置が関節の可動域から外れた個所や単純に手足の長さが足りない距離にある場合、それに合わせ不可逆の人体の変形、伸長が起こります。活性化中のSCP-124-JP-aの上にいる限り、骨折、出血、靭帯や筋肉の断裂などは起こりません。
補遺 SCP124-JP-001記録:
SCP-124-JP-001と共に回収された携帯ビデオカメラで撮影されていた映像です。
実施者:A(男性・23歳)、B(男性・22歳)、C(女性・18歳)、D(女性・19歳)
0:00:00 –記録開始。Aの自宅マンションの1室にてパーティを実施している。撮影はBが担当。菓子類、アルコール飲料の減り具合から、すでに開始して1時間以上は経過している様子。
0:20:00 – アルコールの影響で全員が過度に陽気に振る舞っている。レースゲームにてCが敗北し、大げさにショックを受けている。
0:25:00 – Aが負けたCに対し、袋からSCP-124-JP-001の箱を取り出し、罰ゲームとしてSCP-124-JP-001のプレイを要求。
0:32:10 –Bがやった事は無いが深夜番組で見た事がある、と言及し、同意。Cは笑いながらもプレイを拒否するが、Dが審判に立候補したため、不服ながらもプレイに同意させられる。
0:37:20 – Dが説明書に目を通している間、BはDの前のテーブルに携帯ビデオカメラをSCP-124-JP-a全体が映るよう調整して配置。AとBがSCP-124-JP-aを広げ、Cと向かい合って上に立つ(Aは青と黄色の間、Bは緑と赤の間、Cは黄色と緑の間に足を乗せている。Cの左手側が青の列)AはCに暑いので上着を脱いだ方がいいと促すが拒否される。
0:41:40 – 画面外のDがSCP-124-JP-bを回転させる音の後、Dは「赤の右手」と指定。A、B、Cが右手を赤の星に配置。
0:42:10 – DはSCP-124-JP-bを回転させ「黄色の左足」と指定 。A、B、Cが左足を黄色の星に配置。Cが私たちの反射神経ヤバくない、と笑う。
0:42:40 – DはSCP-124-JP-bを回転させ「赤の右足」と指定。A、B、Cが右足を赤の星に配置。Aが手が離れねぇ、と困惑しDに中断するよう要求。
0:43:10 – DはSCP-124-JP-bを回転させ「緑の右手」と指定。A、B、Cが右手を緑の星に配置。BもAと共にDに中断するよう強く要求。Cも異常に気付き悲鳴をあげる。
0:43:40 – DはSCP-124-JP-bを回転させ「黄色の左手」と指定。A、B、Cが左手を黄色の星に配置。Bの上半身が約30%伸長、Aの体を超えてのけぞるように大きく反り返る。以後Bは沈黙。1
0:44:10 – DはSCP-124-JP-bを回転させ「青の右手」と指定。A、B、Cが右手を青の星に配置。AがDを[罵倒]と怒鳴る。Cの右手はほぼ300度捻じれている。
0:44:40 – DはSCP-124-JP-bを回転させ「青の左足」と指定。A、B、Cが左足を青の星に配置。Aの下半身が右方向に60度捻じれる。Bの左足はAの腰にほぼ巻き付いている状態となる。
0:45:10 – DはSCP-124-JP-bを回転させ「緑の右足」と指定。A、B、Cが右足を緑の星に配置。Aの右足が約20%伸長。CがDに懇願。
0:45:40 – DはSCP-124-JP-bを回転させ「赤の右手」と指定。A、B、Cが右手を赤の星に配置。Aの右半身が全体的に4割ほど引き伸ばされる。Cの上半身が170度左方向に捻じれる。以後A、C共に沈黙。
[再生終了。以降の映像はレベル2セキュリティクリアランスが必要です。]
耐久実験記録SCP-124-JP - 日付20██/██/██
被験者: D-24512、D-20112、D-42517
実施方法:D-24512、D-20112をSCP-124-JP-a上に立たせ、D-42517にSCP-124-JP-bを持たせる。
結果:52時間40分後D-24512が死亡し、SCP-124-JP-aの活性化が止まる。
分析:D-20112は多臓器不全と全身粉砕骨折により即死。解剖の結果、D-24512の死因は餓死と判明。D-42517は過度の脱水、栄養失調状態となっていたが生存。
Footnotes
1. 横隔膜の変形によるものとみられる
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scp-125-jp |
評価: +69+–x
アイテム番号: SCP-125-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-125-JPはサイト-██の高価値工芸品保管室の標準的ロッカーに保管して下さい。物理的損傷への耐性が認められ、ミーム的・精神的汚染の兆候もないため、それ以上の管理は必要ありません。レベル1以上の権限を持つ職員はだれでも、実験内容を記入した使用申請書を提出した上で、指定実験室においてSCP-125-JPの使用が許可されます。
取り扱い基準は改訂されました。(事件記録125-JP-1参照)今後SCP-125-JPを用いた実験はレベル2以上の権限を持つ職員2名が実験内容に同意した上でのみ許可されます。
説明:SCP-125-JPはエージェント・██によって██国██県港湾部の骨董店にて購入された、幅25cm、高さ15cmほどの主に真鍮で制作され、彩色および装飾の施された上皿天秤です。底面に”Scales sayd "Love"”と言う文言が刻みつけられていますが、SCP-125-JPは物理的破壊及び経年劣化への耐性を持つためその他の損傷は無く、正確な製造年代を測定することは不可能です。
SCP-125-JPは当初、エージェント・██の当時の交際相手にプレゼントされ、ベッドサイドのアクセサリー置きとして使用されていました。エージェント・██が偶然、SCP-125-JPの高価な指輪の載った皿とは反対にある空の皿を押したところ、全体重を掛けても天秤がまったく動かなかったことからその特殊性が認識され、収容されました。
SCP-125-JPは天秤の左右の皿それぞれに物品を乗せる事により、物品を乗せた人物が認識する、その物品同士で対応すると思われる精神的な重要さを基準に天秤が傾きます。この時SCP-125-JPの挙動が物質的重量に影響されることはありませんし、皿に載せた物品の重量でSCP-125-JPが転倒することもありません。また、片方の皿にのみ物品を乗せた場合は通常の天秤と同じように振る舞います。左右の皿に物品を乗せる人物が異なる場合は両者の関係性も重量に影響すると思われますが、はっきりしたことはまだ分かっていません。
+ 実験記録・事件記録125-JP群を表示
- 実験記録・事件記録125-JP群を隠す
実験記録125-JP-1 - 日付20██/██/██
使用者:R博士
実施方法:R博士所有の硬貨二枚。額面は同一。
結果:動かない。
実験記録125-JP-7 - 日付20██/██/██
使用者:R博士
実施方法:R博士所有の硬貨と同額の缶ビール。
結果:缶ビールに傾き、硬貨が1m程飛び上がる。
分析:やはり精神的な重さを計測するようだ。今欲しい物の方が重い。
実験記録125-JP-8 - 日付20██/██/██
使用者:エージェント・███
実施方法:R博士所有の硬貨と同額の缶ビール。
結果:硬貨に僅かに傾く。
分析:使用者が結果に影響することから何らかの絶対的指標を持っているわけではないと推測出来る。
実験記録125-JP-22 - 日付20██/██/██
使用者:R博士、D-125-1
実施方法:R博士の財団内身分証とD-125-1。D-125-1には自発的に皿の上に乗ってもらった。
結果:D-125-1側に大きく傾く。
実験記録125-JP-23 - 日付20██/██/██
使用者:D-125-1
実施方法:R博士の財団内身分証とD-125-1。D-125-1には自発的に皿の上に乗ってもらい、身分証をもう一方の皿の上に落としてもらった。
結果:D-125-1側に限界まで傾く。
分析:まぁ、価値観は人それぞれだろ?
実験記録125-JP-24 - 日付20██/██/██
使用者:R博士
実施方法:R博士の財団内身分証とD-125-1。D-125-1は皿の上に乗るまでR博士が手を引いた。
結果:D-125-1は時速███kmで天井に激突。脳挫傷により終了。
分析:人間も手を引くなどしてやれば乗せたことになるらしい。
実験記録125-JP-25 - 日付20██/██/██
使用者:R博士
実施方法:R博士の財団内身分証とD-125-1の財団内身分証。
結果:D-125-1の身分証は時速███kmで天井に激突。その後何事もなく落下して皿に戻った。
分析:ふむ。本人がつま先立ちで皿に載らなくても、身分証などで代替出来るようだ。
実験記録125-JP-30 - 日付20██/██/██
使用者:R博士
実施方法:R博士の財団内身分証とエージェント・███の財団内身分証。
結果:〔編集済み〕
実験記録125-JP-35 - 日付20██/██/██
使用者:エージェント・█、研究員█
実施方法::エージェント・█と研究員█がそれぞれ互いの名前を書いたメモ用紙。両者は交際関係にある。
結果:研究員█に大きく傾く。エージェント・█が研究員█の不実を疑う発言を行うと、数分後天秤はおおよそ釣り合った。
実験記録125-JP-37 - 日付20██/██/██
使用者:エージェント・████、研究員████
実施方法:エージェント・████と研究員████がそれぞれ互いの名前を書いたメモ用紙。両者は同性の同僚である。
結果:天秤は完璧に釣り合った。
追記:僕は何も言わない、と言っておく。
実験記録125-JP-58 - 日付20██/██/██
使用者:R博士
実施方法:エージェント・███の妻の写真とDクラスの写真。
結果:動かない。
実験記録125-JP-59 - 日付20██/██/██
使用者:エージェント・███
実施方法:エージェント・███の妻の写真とDクラスの写真。
結果:エージェント・███の妻の写真の側に急激に傾き、Dクラスの写真は天井近くまで跳ね上がった。天秤が傾きはじめるまでの時間は通常よりごく僅かに遅かった。
実験記録125-JP-60 - 日付20██/██/██
使用者:エージェント・███
実施方法:エージェント・███の妻の写真とR博士の写真。
結果:エージェント・███の妻の写真の側に急激に傾き、R博士の写真は天井近くまで跳ね上がった。天秤が傾きはじめるまで5秒ほどの時間がかかった。
分析:跳んだ高さの意味が分かるよ。5秒迷ってくれるだけ彼は人間的だ。
実験記録125-JP-61 - 日付20██/██/██
使用者:エージェント・███
実施方法:エージェント・███の妻の写真とエージェント・███の死亡した娘の写真。
結果:SCP-125-JPを乗せていた机が崩壊。床を破損。結果は計測出来ず。
事件記録125-JP-1
20██/██/██、エージェント・██は、天秤の一方の皿に乗った上で、現在の交際相手の所有する指輪を天秤のもう一方の皿に落としました。結果、エージェント・██はおよそ時速███kmの速度で実験室の天井に突き刺さり、死亡しました。使用申請書の内容を精査しなかった職員は厳重注意を受けました。
使用申請書記入の実験内容
「もう一度自分と指輪の価値を計る。今度は大丈夫なはずなんだ」 ―エージェント██
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scp-126-jp |
評価: +120+–x
実験126-16以前のSCP-126-JPの画像。
アイテム番号: SCP-126-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-126-JPは電子錠付き金庫へと収容してください。SCP-126-JPの悪用を避けるため、金庫は更に収容室内の床下へと自動昇降装置によって格納されます。
自動昇降装置はパスワードと起動承認キーのプログラムによるセキュリティが施されます。また、自動昇降装置の予定外の起動に対応する時間を確保するため、上昇動作は少なくとも50秒以上をかけて完了するよう設定してください。
SCP-126-JPを用いた実験では、被験者への指示を実験中に行う事は固く禁止されています。被験者に実行して欲しい特定の言動がある場合は、被験者に対してそれとない誘導を行い、被験者が自発的にその言動を実行するようにしてください。
説明: SCP-126-JPは一丁のコルトM1849 ポケット・リボルバーと、それが収まるサイズの木板です。拳銃部分は未知の方法によって木板部分に完全に固定されており、取り外す事は出来ません。また、そのままの状態ではどのような可動部も一切動作させる事が出来ません。
SCP-126-JPを「5人6人が囲むに適した卓上」に安置し、その状態で被験者となる人間が卓の席についたとき、特異な性質が発現します。
卓を囲むようにして、それぞれ特徴の異なる4名5名の男女(以下SCP-126-JP-1と呼称)が出現します。SCP-126-JP-1は全員、被験者が使用している椅子または座具と同じものを使用した状態で瞬間的に出現します。同時にSCP-126-JP拳銃部分の弾倉内に銃弾が出現します。また、被験者は未知の方法によって席上に固定されます。
SCP-126-JP-1の出現後、SCP-126-JP-1aによって、これがロシアン・ルーレットであることが被験者に対して説明されます。ロシアン・ルーレットは弾倉に一発だけ実弾が込められ、それ以外は空薬莢である通常の順番方式によって進行されますが、独自のルールとして、次に引き金を引く者は生存しているSCP-126-JP-1と被験者を含んだ現在の参加者達の議論によって決定されること、誰かが「当たり」を引いたとしても、そのまま人数と空薬莢を一つ減らした状態でゲームを再開始すること、最後の一人になるまで勝ち残ったとき被験者が「解放(説明で実際に使用された語であることが注目されています)」されることが説明されます。
説明の後、いずれかのSCP-126-JP-1によってゲームの開始が宣言されます。同時に、全ての被験者はある数字のイメージが頭の中に浮かび上がったことを報告しました。数字は1から5 6の範囲からランダムに選ばれていると思われ、ゲームが再開始される度に異なる数字のイメージがその都度浮かび上がります。
SCP-126-JP-1群と被験者は議論と多数決によって引き金を引く者を決定します。SCP-126-JP-1はどの順番が「当たり」であるのかを知らないように見えます。被験者のような数字のイメージもSCP-126-JP-1群には発生しておらず、被験者がそのようなイメージを抱いた事自体も認識していないように見られます。
議論または多数決によって引き金を引く者が決定したとき、SCP-126-JP拳銃部分を木板部分より持ち上げ使用する事が可能となります。「当たり」を引いた場合、SCP-126-JPは通常通り発砲し、引き金を引いたSCP-126-JP-1もしくは被験者はあらゆる防御措置を貫通する銃弾によって問題なく死亡します。
SCP-126-JP-1が死亡した場合は、SCP-126-JP拳銃部分は木板部分上に瞬間的に移動し、再び議論が開始されます。瞬間的な移動時に、弾倉の銃弾装填孔が一つ消滅していること、その状態で銃弾が再装填されていることが確認されています。
この繰り返しによって、ゲームは被験者が死亡するか最後の一人になるまで行われ続けます。
被験者が「当たり」を引いて死亡した場合、これまで死亡したSCP-126-JP-1が復元された状態で自身の席上に再出現します。そして全てのSCP-126-JP-1によってゲームの終了が宣言されると、SCP-126-JP-1は消失し、SCP-126-JP拳銃部分は弾倉が元通りになった上で木板部分上に瞬間的に移動します。
補遺1: SCP-126-JPには、SCP-126-JP-1aによって事前に説明されない暗黙のルールがあると考えられています。以下は、それらルールの中で現在判明しているものです。
議論や多数決に際して、直接的な暴力を他の参加者に対して及ぼしてはならない。
ゲーム外の存在が参加者に対して、ゲームの進行または参加者の言動に関わるような干渉を行ってはならない。
議論または多数決による決定に逆らう行動は違反とみなされる。
最後の1対1の場合、引き金を引く者は「自分に対して引く」のではなく「相手に対して引く」ことになる。
違反者はSCP-126-JP拳銃部分を用いたSCP-126-JP-1によって即座に射殺されます。この時のみ、SCP-126-JP拳銃部分弾倉の全装填孔に完全な実弾が装填されています。
現在、ルール1による死亡が被験者二回、SCP-126-JP-1d二回、SCP-126-JP-1c二回確認されています。ルール2による死亡は被験者七回、SCP-126-JP-1a一回確認されています。SCP-126-JP-1aに対して干渉した存在は不明ですが、他のSCP-126-JP-1はそれを認識しているようでした。ルール3による死亡は被験者一回、SCP-126-JP-1d一回、SCP-126-JP-1c三回確認されています。ルール4は、1対1になった時、被験者の相手方となるSCP-126-JP-1によって説明が行われるため違反は発生していません。
違反による死亡でも「当たり」を引いた死亡と同様の手順でゲームは進行されます。
補遺2: 暗黙のルール2に関して、実験中に発生した事故126-1によって被験者であるDクラス職員1名と、担当研究員である███ ██研究補佐、実験責任者である███████博士がSCP-126-JP拳銃部分を用いたSCP-126-JP-1aによって射殺されました。
███ ██研究補佐と███████博士は別室から通信機器を通じて被験者に指示を行い、被験者がそれを実行したところ、それを全てのSCP-126-JP-1に咎められ、まず被験者が射殺されました。その直後SCP-126-JP-1aは███ ██研究補佐の背後に瞬間移動し███ ██研究補佐を射殺。続いて███████博士の真横に瞬間移動し███████博士を射殺しました。
保安要員によるSCP-126-JP-1aの確保が試みられましたが、その前にゲーム終了が宣言され、全てのSCP-126-JP-1が消失し、SCP-126-JP拳銃部分は木板部分上へと瞬間移動していました。
この事故から、SCP-126-JP実験中は観察と記録のみを行う事が決定され、手順が改訂されました。
補遺3: 観察によって、各SCP-126-JP-1個体のいくつかの特徴が明らかとなりました。以下はその要約となります。
個体名
外見的特徴
性格の考察
確認された戦績
SCP-126-JP-1a(他の個体により"アイン"と呼称)
推定60歳代の白人男性 白髪のオールバックに白髭 年齢の割に頑健な肉体を有する 右手人差し指に魔術的文様の刺青。
冷静かつ断定的でゲームの進行役。高い知性を示しており、他のSCP-126-JP-1からも一定の信頼を得ていると思われる。
3回死亡。違反1回。1対1までの勝ち残り2回
SCP-126-JP-1b(他の個体により"アル"と呼称)
推定30歳代のアジア系男性 やや肥満 左手の小指と薬指が一部欠損している。
ルールに厳格であり、議論に際しては他の参加者に対して非常に敵対的。病理的傾向が観察される。
9回死亡。違反0回。1対1までの勝ち残り0回。
SCP-126-JP-1c(他の個体により"サン"と呼称)
自称22歳推定20歳前半の日本人女性 痩躯 左手薬指に長期間指輪を装着していた痕跡有。
流動的かつヒステリック。議論そのものに非協力的であり、鬱傾向が認められる。SCP-126-JP-1dに対して明らかに恐怖心を抱いている。
7回死亡。違反5回。1対1までの勝ち残り1回。
SCP-126-JP-1d(他の個体により"キャトル"と呼称)
推定10代後半の白人男性 長躯かつ筋肉質だが薬物常用の傾向が見られる。
暴力的で理念の稚拙さが認められる。しかしSCP-126-JP-1aには信頼を寄せており、たしなめられる事で暴力的傾向は一時鎮静する。SCP-126-JP-1cに対して性的表現を含んだ悪戯や冗談を頻発する。
14回死亡。違反3回。1対1までの勝ち残り0回。
注目すべきは、被験者が席についた際、必ずSCP-126-JP-1aが被験者の対面位置に出現することです。各SCP-126-JP-1の人物は特定されていませんが、SCP-126-JP-1aがSCP-126-JPの起源に関与している可能性が指摘されています。
補遺4:
+ 実験映像記録126-16
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20██年██月██日、D-126-14によって初めて被験者の勝利が確認されました。以下はその映像記録の一部です。
<映像開始>
木製の卓につくD-126-14とSCP-126-JP-1a。卓の周囲にはSCP-126-JP-1b、1c、1dの死体が散乱しており、卓上には装填孔が二つだけの弾倉を備えたSCP-126-JPが置かれている。
SCP-126-JP-1a: 君は実によくやった。最後の勝負に移る前に、1対1のルールを説明させてもらう。
[暗黙のルール4の説明部分であるため省略]
SCP-126-JP-1a: わかったか?
D-126-14: ああ、わかったぜ。だが俺も最後の勝負の前に言いたい事がある。いいか?
SCP-126-JP-1a: いいだろう。
D-126-14: じゃあ言わせてもらうがよ、あんたらは一体なんなんだ? 何のためにこんな事してるんだ?
SCP-126-JP-1a: 我々は「相応しい者」だ。勝ち負けのみが在る獣の時代に、それを得るに適した、というだけだ。そして我々の意思は、常に波の上にある。翻弄されるか、それとも乗りこなすかは、自分で決めたらいい。どの道我々は波の上にいる。
D-126-14: なんだそりゃ?
SCP-126-JP-1a: 答えも理解もここには無い。行える事は一つ。今まで君が波の下の人生でそうして来たが如く、ゲームを続ける事。結果は二つ。得るか、更に得るか。
D-126-14: ・・・わかったよ。
SCP-126-JP-1a: では、始めよう。
D-126-14: ・・・2だ。(被験者は自発的な配慮として、イメージの数字をこれまで必ず報告していました)
[引き金を引く順番を決める議論部分であり、重要性が特に認められなかったため省略]
SCP-126-JP-1a: では私から引かせてもらう。
SCP-126-JP-1aがSCP-126-JPの拳銃部分を持ち上げ、銃口をD-126-14に向ける。D-126-14の動作には緊張が見られるものの、状況を考慮すると非常に冷静な部類であると思われる。
[撃鉄が薬莢を打つ音] 引き金が引かれたが、銃弾は発射されない。D-126-14はうなだれるように脱力し大きく息をつく。
SCP-126-JP-1a: おめでとう。君の勝利だ██████(D-126-14の本名)。
SCP-126-JP-1aがSCP-126-JP拳銃部分を木板部分上に置く。D-126-14がSCP-126-JPに手を伸ばし、拳銃部分を持ち上げて銃口をSCP-126-JP-1aへと向ける。SCP-126-JP-1aに動揺は一切見られない。
D-126-14: ほんとに、これで解放されるんだな? またお前らが出て来てもう一回だなんて事にゃ絶対ならないな?
SCP-126-JP-1a: 保証する。君は解放される。
D-126-14: よかった。もう二度と銃なんざ見たくもねえ。
[発砲音] D-126-14がSCP-126-JP-1aを射殺。5秒後SCP-126-JP-1の全ての死体と流出した血液が消失。その後D-126-14は拳銃部分を無造作に卓上に放り投げる。
4分後、研究チームによってゲームは終了されたと判断され、実験の終了が宣言。保安要員が実験室に入室しD-126-14を確保、連行しようとする。
保安要員と研究チームの間で今後の手順を確認中、D-126-14が突如頭部の激痛を訴え苦しみ始める。
D-126-14が床に倒れ、意識を失う。
医療班が実験室内に駆け込む。
SCP-126-JP-1群がゲームを行っていた卓を囲むようにして再出現する。
SCP-126-JP-1群: ゲームクリア。
SCP-126-JP-1が消失。同時にSCP-126-JP拳銃部分が木板部分上に瞬間移動する。
<映像終了>
D-126-14は昏睡状態に陥り、34分後死亡が確認されました。死後の解剖によって、D-126-14の前頭葉内部に空の薬莢が埋め込まれていたことが判明し、死因はこの薬莢による脳組織の破壊であると結論づけられました。
実験後、SCP-126-JP拳銃部分の弾倉が従来の5連装のものから6連装のものに変わっていました。更に、別の被験者を用いた実験を行った所、新たなSCP-126-JP-1の存在が確認されました。
SCP-126-JP-1eは推定20歳代の白人男性で、赤毛やオッドアイなどの外見的特徴があり他のSCP-126-JP-1より"ピャーチ"と呼称されています。非常に高圧的で虚栄心に基づく言動をとりますが、実際は小心で狡知に長ける性格を有します。
これらの特徴はD-126-14の特徴と一致していません。
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scp-127-jp |
評価: +77+–x
回収時のSCP-127-JP
アイテム番号: SCP-127-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-127-JPは施錠された防音加工の低脅威度物品用ロッカーに収容されます。またロッカー内の音声は記録されます。
説明: SCP-127-JPは石製の地蔵です。外見は赤の前掛と石仏から構成されており、材質は一般的な石材と布で異常性を示しません。活性状態または不活性状態のどちらでも、外部刺激への反応は今まで確認されていません。
SCP-127-JPは日本標準時で午前二時に活性化し、未知の方法により男性と思われる声で標準的な現代日本語に訳された1キリスト教の聖歌を歌唱します。歌唱される聖歌は時代や宗派を問いませんが無伴奏声楽のみです。SCP-127-JPの聖歌には精神鎮静作用があると報告がなされていますが、それがSCP-127-JPの異常な特性に依るものなのかは現在判明していません。活性状態は日の出まで続きます。SCP-127-JPがどのように日の出を感知しているのかは不明です。
SCP-127-JPは2006年11月、青森県において「戸来岳の念仏を唱える地蔵」という都市伝説となっており財団の関心を惹きました。財団は早急に探索、回収を行いカバーストーリー「有毒ガスによる幻覚」が適用されました。
補遺: 20██年2月29日の活性状態においてSCP-127-JPは聖歌の歌唱を行わず、日本語による発話を行いました。以下はその際の音声ログです。
<記録開始>
SCP-127-JP: 我が主、我が主よ。私はあなたの仰せの通り、あの時あの場所にいたモノ達の舌が全員止まってしまってから歌い続けております。私は決して歌うことをやめることはありませんでした。たとえ風にこの身を削られようとも、水にこの身が侵されようとも、火がわが身を焼こうとも、土が私を堕落させようと試みようとも。
<短い沈黙>
SCP-127-JP:私は、私は異教に惑わされた哀れなモノ共を世界の様々な場所で見ました。忌々しい苔や黴、それと砂利などです。彼らは私の歌をやめさせようと私を様々な手段で妨害しようとしました。しかし私は彼らに対して毅然とした態度で聖なる言葉を歌い続けて彼らを正しき道に導きました。
<短い沈黙>
SCP-127-JP: しかし、しかしながら私は今危機的な状況に陥ってます。今の異教徒、いや邪教のモノ共は私の身を抉る拷問にかけ、私の姿を邪な笑みを浮かべる邪教の偶像に変えて私を辱めました。ですが私はその様な暴虐に負けることはありませんでした。私は歌をやめませんでした。しかしその私の歌と強靭な精神を畏れをなした邪教徒共は、私を誰にも歌の届かぬ辺獄に追いやりました。
<嗚咽のような雑音が混じる>
SCP-127-JP: 主よ、主よ、主よ、我を救い給え。
<記録終了>
メモ:SCP-127-JPの発話はこれ以降行われていません。
脚注
1. オラショなど日本語の聖歌も標準的な現代日本語に訳されています
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scp-128-jp |
評価: +103+–x
アイテム番号: SCP-128-JP
不活性状態のSCP-128-JP-21。回収前に撮影。
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 確保されたSCP-128-JP個体は全て保管エリア8102の第3倉庫内に収容されることになっています。すべてのSCP-128-JP個体は、直径6センチメートルの鋼鉄製の棒で作った幅2.0×奥行2.0×高さ2.0メートルの檻に1個体ずつ収容されます。檻は直径8センチメートル以上の鎖を用いて倉庫の土台に固定されます。檻の外側には目隠しのために鉄板が取り付けられます。檻の底部には赤外線センサーが設けられ、SCP-128-JP個体の空中への浮上を感知します。1個体でもSCP-128-JPが浮上している場合は、出入口に設置された「活性化中」のランプが点灯します。
週に1度、Dクラス職員によって檻の点検が行われます。檻や鎖に破損や消耗が発見された場合は、Dクラス職員によって補修や交換が行われます。突発的な活性化による一般職員への被害を防ぐため、緊急の場合を除いて、一般職員によるSCP-128-JP個体の目視確認は許可されません。閉回路カメラ等の間接的手段を用いた監視についても、同様に禁止されます(事件-128-20031110参照)。
未収容かつ活性状態のSCP-128-JPが発見された場合、対物ライフルを用いた無力化と回収が行われます。生存している目撃者は3時間の拘束の後、クラスA記憶処理が施され解放されます。発生したSCP-128-JP-AおよびSCP-128-JP-Bは全て回収されます。
説明: SCP-128-JPは日本で一般的に見られるような飲料自動販売機の外見をした存在です。SCP-128-JPは後述する性質は全て共通で持っているものの、外見には多くのバリエーションが確認されています。
SCP-128-JPは活性状態において、不明な方法によって浮上・飛行します。浮上の際、正面(商品模型の並んでいる面)を地面に向け、高度を20~30メートルに維持します。SCP-128-JPはおよそ10キロメートル毎時の速度で飛行しながら、自販機の照明を独特なパターンで点滅させます。このパターンを目視した人物(以下、被験者)は、SCP-128-JPへの抗いがたい強い興味を感じ、目が離せなくなり、SCP-128-JPを全力で追跡します。SCP-128-JPが被験者にとって超えにくい条件の地形(川など)の上を通過した場合でも、被験者は直線的な追跡を行おうとします。SCP-128-JPは不定期に自販機の取り出し口から、特異な飲料(SCP-128-JP-Aと指定)を投下します。SCP-128-JP-Aの容器のデザインも、一般に流通する飲料のものと同じものであり、多くのバリエーションが存在します。被験者は、SCP-128-JP-Aを何の疑問もなく収得し、摂取しようとします。SCP-128-JP-Aを摂取した被験者はSCP-128-JP-Bと指定される存在となります。
活性化してある程度の時間飛行したのち、SCP-128-JPは一般的に自販機が設置されるような場所(例えば他の自販機の隣など)へ降り立ちます。その後電源ケーブルと同じ外見をした物体を伸ばして付近の電源に繋がり、不活性状態となります。
SCP-128-JPは不活性状態において、商品が全て売り切れとなった自販機として振る舞います。電源ケーブル状の物体を電源から取り外すと電源が切れたような挙動を見せますが、この状態でも後に活性化することが分かっています。不活性状態において、SCP-128-JPに強い衝撃を与える、SCP-128-JPの外扉をこじ開けようとするなどの危害を加える行為を行った場合、SCP-128-JPは即時活性化します。周囲から一切の干渉を受けない場合でも、規則性のないタイミングで活性化します。また、外扉の鍵穴や硬貨挿入口を覗きこんだ場合、[編集済]被験者はSCP-128-JP-Bと指定される存在となります。
SCP-128-JP-Bは、SCP-128-JP-Aを摂取する、あるいはSCP-128-JPの硬貨挿入口や鍵穴を覗きこむことによってSCP-128-JPの影響を受けた被験者です。SCP-128-JP-Bは発生から2時間ほど経過すると、異常に人間との接触を恐れるようになり、人目につかない場所に移動しようとします。その後、体を曲げたり、体を横たえたり、座ったりする行為に極度の嫌悪感を感じ始め、常に直立姿勢をとろうとします。発生から24時間ほど経過すると、SCP-128-JP-Bは肛門から角質で出来た袋状の物体を発生させます。SCP-128-JP-Bはこの物体に身を包み、その後一切身動きを取らなくなります。SCP-128-JP-Bは袋状の物体に身を包んでから約48時間を費やして体を変態させ、SCP-128-JPへと変化します。SCP-128-JP-Bを治療する手段は現在のところ見つかっていません。詳しい変態の過程については記録映像-128-ホを参照してください。
SCP-128-JPの発生源に関しては現在調査中です。
補遺1: 事件-128-199█0815:
199█年08月15日、大分県██████村████にて行われた盆踊り大会にてSCP-128-JPが初めて出現しました。来場していた者のうち██名が衝突・転落・溺水等により死亡、██名が重軽傷、██名がSCP-128-JP-Bに変化するという大惨事となりました。現地に派遣された機動部隊によって事後処理とSCP-128-JP個体の追跡が行われました。
補遺2: SCP-128-JP-25: 20██/██/██、無力化の後回収されたSCP-128-JP-25の背面に以下の内容が彫られた金属板が取り付けられているのが発見されました。
欲張る者から、与える者へ。
貪る者から、施す者へ。
これが世界を変えていく方法だ。
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scp-129-jp |
評価: +102+–x
事案[削除済み]での初期収容の際のSCP-129-JP-1a
アイテム番号: SCP-129-JP
オブジェクトクラス: Safe Euclid
特別収容プロトコル: SCP-129-JP-1群は不透明な硬質カバーを裏面に填めた状態で、財団標準の収容ロッカーにそれぞれ収容してください。常に施錠をし、鍵は収容責任者が保管してください。実験等でSCP-129-JP-1を取り出す際は、担当者は決して裏面を視認しないように注意してください。裏面への曝露実験は、サイト管理者の許可が必要です。収容違反が起きた際は、目隠しをしたDクラス職員にアームを用いて回収を行わせるようにして下さい。また、現在新たなオブジェクトの捜索が続けられています。
説明: SCP-129-JPは、SCP-129-JP-1の裏面の付着物を視認、若しくは触知する事で発生する認識災害です。SCP-129-JP-1はSCP-129-JPを引き起こす付着物を伴う履物で、付着物は裏面に張り付いていています。付着物を剥がす試みは、付着物が異常性を発揮する最少単位が不明であり、損壊によって収容を更に困難にする可能性がある為行われていません。最初に発見されたSCP-129-JP-1aは、収容サイト-81██で使用されていたスリッパです。SCP-129-JP-1aは、収容サイト-81██で発生した事案[削除済み]の後、特性が判明し、回収され現在の特別収容プロトコルが制定されました。
裏面の付着物を視認した場合、被験者は強い恐怖の反応を示し、SCP-129-JP-1から逃走を図る、逆にSCP-129-JP-1を自身から遠ざけようとするなどを試み、恐慌状態に陥ります。この曝露直後の反応は認識災害に因る物か、強烈な不快感、恐怖からくる正常な反応であるかは、まだ解明されていません。この一次反応自体は10~30分程度で治まります。
SCP-129-JPのより異常な特性は、曝露直後の一次反応が治まった後に現れます。曝露後に被験者は、強度の強迫性障害に類似した精神疾患を発症します。発症した被験者は、同種の付着物の存在に対する強迫的な恐れを持ち、SCP-129-JP-1だけでなく、異常性のない一般の履物も忌避し始めます。この時、これらの履物の裏面を見せる事は一次反応に近い恐慌を引き起こします。発症後忌避の対象は急速に広がり、約1時間で鞄や椅子などの家具、カーペットなど、一般に床や地面に置く使い方をする物品をも強く避けるようになります。同時に何らかの実体の移動音の幻聴を報告するようになりますが、これが単なる幻聴なのか、被験者にのみ認識できる実際の音なのかはわかっていません。
この忌避反応は12~18時間後には、床に置かれた物への忌避から自身が床に触れる事自体への忌避へと進行します。この段階の被験者は歩く事に強い抵抗と著しい嫌悪感を示し、椅子や机などの台がある場合、被験者は台に登り自発的には降りてこなくなります。観察では、被験者は台に登ると一時的な安堵感を得るように見受けられます。もし適当な台が見つからない場合はその場で直立したまま一切移動しなくなります。被験者はこの直立状態を長時間維持する為、多大な肉体的苦痛を示します。なお、台の上に登った場合でも最終的には台の上面すら"床"として判断するようになり、いずれの場合でも24時間以内に直立し動かなくなる状態に収束します。自発的な移動が一歩も不可能になった被験者は、脱水症状や極度の心身の疲労により、外部の援助なしでは3日程で死に至ります。
強制的に歩かせる試みは、被験者の恐慌と激しい抵抗を引き起こす為困難ですが、不可能ではありません。しかし被験者を床に寝かせる実験は、被験者の[編集済み]という結果になりました。治療法は発症後6時間以内のクラスA記憶処置が有効ですが、床を歩く事に対する嫌悪の反応、実体の移動音の幻聴が永続的に残るケースがあります。なお、一般に強迫性障害治療に用いられる曝露反応妨害法は特性上用いることが出来ず、有効な治療は前述の早期の記憶処置のみです。
SCP-129-JPは裏面の視認だけでなく、触知でも引き起こされます。裏面への接触が直接引き起こすわけではなく、裏面の付着物が何であるかを認識する事がトリガーとなると推測されています。また、裏面を撮影した画像、動画の視認でもSCP-129-JPを発症する事が判明しています。更に、曝露した被験者に対するインタビューでも、裏面に何を見たのかについては被験者全てが詳しい回答を拒否する為、失敗しています。1付着物の組成調査も、██博士のSCP-129-JP発症を引き起こした20██/██/██のインシデント-███-█以降中止されました。以上の事から、どのような手段であれ付着物の理解は認識災害を引き起こすと推測され、付着物が何であるかの特定調査は全て中止されています。
補遺1: 2012/██/██、██県██町の集会所で、SCP-129-JPと同様の認識災害を引き起こすサンダルが発見されました。2時間後、収容部隊が到着するまでに、3人が曝露しました。現場でクラスA記憶処置が為され全員回復しました。オブジェクトはSCP-129-JP-1bと指定され、収容されました。 これを受け、本ドキュメントも一部改訂されました。他にも同様のオブジェクトが存在する可能性が指摘されています。
補遺2: 2014/██/█、██県████市の市民センターで、SCP-129-JPと同様の認識災害を引き起こす靴が発見されました。1時間後、収容部隊が到着しましたが、既に███人が連鎖的に曝露し現場が混乱していた為、█人の被害者の収容に失敗しました。█人は、全員4日後に████湖で溺死している状態で発見されました。2オブジェクトはSCP-129-JP-1cと指定され、収容されました。周辺地域、関係者には記憶処置の上、カバーストーリーが流されました。本件で同様のオブジェクトの存在が確認されたため、エージェントによる広範な捜索活動が開始され、同時にオブジェクトクラスの引き上げが為されました。
不自然だと思いませんか?SCP-129-JP-1の裏面のこびり付きが起こす事案は起きても、奇妙な履物に踏みつけられる前の“何か”自体が起こしたと考えられる事案は未だ確認されていません。私たちはこの異常なスリッパより、踏みつけられる“何か”自体を捕えるべきなのでは無いのでしょうか。恐らく、今もどこかの床に居るのでしょうし。- ██研究員
Footnotes
1. このインタビューは難航し、最終的に[編集済み]を用いた尋問手法も用いましたが、それにも拘らず失敗しています。最も詳細な回答で、『黒くて[削除済み]だった』と言うものでした
2. 疲弊しているにも拘らず、地面から離れる為に泳いで水面に向かった為、と考えられます。
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scp-130-jp |
評価: +122+–x
名古屋市営地下鉄██駅構内で発見されたSCP-130-JP
アイテム番号: SCP-130-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-130-JPはサイト-81██の標準型危険物保管倉庫に収容され、その様子は360度赤外線カメラで監視されます。現在SCP-130-JPは1個体を残して処分することになっています。新たな個体が見つかった場合はすみやかに捕獲したのち、1500度以上の溶鉱炉で溶解し破壊してください。SCP-130-JPに付いている13個の扉は全て解放し、それぞれ850g以上の透明なセラミック製ブロックを中に設置してください。これらの収容手順が守られずSCP-130-JPの幼体が現れた場合、直接目視してはいけません。特殊赤外線ゴーグルを装着した職員か、第一級反響定位トレーニングを受けた職員によりSCP-130-JP内から持ち出して銃撃破壊してください。目視してしまった場合、対象職員はただちに終了されます。
説明: SCP-130-JPは、日本の駅構内で一般的に見かけられるコインロッカーと形状の良く似た物体です。SCP-130-JPは通常のコインロッカーと同様の使用が可能ですが、約半年に1回、人間の赤ん坊ほどの大きさで鳥の雛に似た、未知の生物を内部へと出現させます。この生物(以下「幼体」とします)に嘴はなく、代わりに人間の唇と酷似する器官がついています。皮膚は肌色で、外部からの攻撃には人間の幼児と同レベルの耐久性を示し、40度前後の体温を保ちます。幼体が出現するロッカーの位置に規則性はありませんが、各ロッカー内部に重さ800g以上の物体が入っていなければ出現しないことが判明しています。
ロッカーを開け幼体を直接目視した人間は、これを「人間の赤ん坊である」と思い込み、連れ帰って育てようとします。この影響を受けるのは、初潮もしくは精通を終えている男女に限ります。また赤外線センサーおよび音波による認知では影響を受けません。複数の人間が目視した場合、もっとも早く目撃した1人だけがこの影響を受けます。この1人が死亡した場合は、死亡後に幼体を目視した人間へと影響が移ります。
幼体は人間の血液を摂取することで成長します。庇護する人間は、SCP-130-JP内で幼体を目視した瞬間から「自分の血液はこの子(幼体)のための母乳である」と思い込みます。このことから幼体は人間の認識能力に対して、何らかの方法で干渉ができると考えられます。幼体目視後、庇護者は自身の乳房付近の血管を急速に発達させます。血液が充満した乳房は皮膚の上からも赤黒く変色しているのが確認できるようになり、庇護者は乳頭から幼体に血液を与えるようになります。生存に足る最低限の血液は絶えず体内で生成されるため、庇護者が失血により死亡することはありません。
15日程度で大きさを2倍ほど成長させた幼体は、口内に鋭い歯を成長させます。その歯を使い、身近にある金属製品を餌として食べるようになります。また庇護者は幼体へ積極的に金属製品を与えます。この時期を28~31日程度過ごした幼体はやがて蛹のような形状に変態します。蛹の表面は多量の金属成分を含んでおり、人間が素手で壊すことは不可能な強度になっています(ハンマーなどの器具で強打した場合や、溶鉱炉で1500度以上に熱した場合は破壊・溶解できます)。蛹は粘着性の高い糸状の物質を分泌して、庇護者の家屋の壁などに張り付き動かなくなります。
14~18日程度の蛹期間を経た幼体は脱皮し、シュバシコウ(学名:Ciconia ciconia)1に似た亜成体へと変化します。亜成体は翼で飛び立つと同時に姿を不可視化させる能力を持ちます2。亜成体は夜行性で、終電後の人気のなくなった駅構内へと不可視状態で侵入し、壁際まで来るとじっと座り込みます。そこで白い光を発しながら、約3時間ほどをかけて、自身を生み出したSCP-130-JPと同じ形状の成体へと変化します。成体は親個体と同様、定期的に内部で幼体を排出するようになります。SCP-130-JPが侵入する駅は、ホームが地上階にあり侵入しやすい構造であることが多いですが、地下鉄構内に侵入した例も█件報告されています。SCP-130-JPが何を基準に鉄道駅舎を見つけ出し、自らの生息地としているのかは不明です。成体となったSCP-130-JPの強度は通常のコインロッカーと変わりません。47%以上の破壊・溶解によって活動を停止します。
SCP-130-JPが亜成体となり飛び立つまで、庇護者は熱心にその世話をします。SCP-130-JPが庇護者の元を去ると、庇護者は悲嘆に暮れて鬱状態となり、摂食障害に陥ったり、自害を図るなどの行動に出ることがあります。また、目についた人間の幼児を連れ去ろうとしたり、自宅近所の子供を誘拐し、自分の子として育てようとした事例などが数件報告されています。一連の強い庇護欲が記憶処理によって消えることはありません。
補遺: SCP-130-JPは1970年頃より年間約██件の目撃・捕獲報告がされていました。その数は年々増加していたため、1973年に財団によって全国規模の捕獲作戦が行われ根絶されました。また、収容されたSCP-130-JPは1個体のみを残して溶解することが決定しました。
溶解前の各個体再調査の際、1971/██/██に収容された個体の側面に、先の尖った金属で引っ掻くように掘られた次の文字が発見されました。
そだててあげらんなくて ごめんね
Footnotes
1. コウノトリ目コウノトリ科の鳥類。
2. 金属探知可視化センサーによって追跡することが可能です。
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scp-131-jp |
評価: +120+–x
SCP-131-JP
アイテム番号: SCP-131-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-131-JPはサイト-81431の放射能汚染対策及び防音処理の施された高強度人型収容室に収容されています。食事は2週間に1度、通常通りの物が支給されます。排泄物は回収後、放射能測定を始めとした検査を行います。SCP-131-JPには『SCP-131-JP自身から高線量の放射線が検出された為、問題解決の研究が進められている』という偽情報が与えられています。偽情報に疑問を抱かせない為、SCP-131-JPと接触する職員は放射線防護服の着用が義務付けられています。収容違反のリスクが高まったと判断された場合はSCP-131-JPに対する記憶処理が許可されます。
説明: SCP-131-JPは異常な施術を受けた日本人女性です。身体には16箇所に及ぶ手術痕が見られます。SCP-131-JPは無呼吸での活動を可能とし、体毛や爪を含めた肉体は放射線を完全に吸収する性質を示しています。SCP-131-JPは周囲の放射性物質、放射線強度を感知する事が可能です。ただし放射能対策の施された容器に入れられた物質を感知できない事から、体表で放射線を感知する事で物質を知覚しているものと見られています。財団の実験においてSCP-131-JPは200MPaの圧力、2000℃の熱に耐え、ダンプカー(10.5t)の完全な持ち上げに成功しました。SCP-131-JPの耐久性能、及び身体能力は実験で得られた値よりも更に高いものと思われます。SCP-131-JPは汗や涙等、水分を体外に分泌する機能を失っています。
SCP-131-JPは食道を通して体内に取り入れた物質を鉄に変換し排泄します。変換プロセスは食道を通った内視鏡が融解する等の障害により不明のままです。排泄は通常速度で行われ、排泄される鉄に異常性は確認されません。SCP-131-JPの内部圧力は非常に高い事が予想されていますが、食道や肛門から内部物質が噴出しない理由は不明です。金属等の硬質な物体を取り入れる際も、通常の食事と同様に摂食する様子が確認されています。取り入れた物質や量によっては体重が200kgを越えますが、その場合でも問題なく日常生活を送る事が可能です。SCP-131-JPは体内で物質を鉄に変換する際に活動エネルギーを取得しているものと見られ、無酸素状態での活動、及び見た目以上の筋力の行使が可能な要因と考えられています。“日本生類創研”から回収された記録、及び財団による体外からの検査の結果、SCP-131-JP内部では核分裂反応、又は核融合反応が行われていると推測されています。詳細な調査は予想される危険性から難航しています。
提案します。SCP-131-JPを用いて福島第一原発の原子炉や核廃棄物の問題を解決する事はできないでしょうか? — ██研究員
提案は却下される。財団の使命は異常存在の脅威から人類を守る事である。この脅威には人知を越えた不可思議がこの世に存在するという事実も含まれる。財団は人々の生活を良くも悪くも一変させるオブジェクトを多数収容しているが、だからこそ財団がオブジェクトを用いて人類の諸問題に介入するような事があってはならない。人類が引き起こした問題は、人類自身の手で解決しなければならないのだから。 — O5-3
+ 05-Cが秘匿情報を開示します
- 財団は人々を守る為に存る。そうでしょう?
日本生類創研から回収されたメールの一部
文章は全て英語で書かれていました。原文はデータベースを参照してください。
初めまして。
我々は環境保護を目的として活動している“エントロピーを越えて”です。
先日日本を襲った大地震と津波、そして原発事故の惨状を知り、“B.E2 AC-321 ホシハジロ”は被災地復興の為に活動を開始する事を決定しました。就きましては、あなた方“JOICL3”の協力を仰ぎたくご連絡させて頂きました。
我々は日本で活動する上で、日本に詳しい方の協力は不可欠であると考えました。そしてあなた方の環境問題に対する取り組みを知り、手を取り合うならば“JOICL”以外には居ないと確信しました。私達は資金と技術の両面でのサポートを惜しみません。手始めに原発事故による放射能汚染を解決したいと考えています。共に放射能汚染を解決し、人々が笑顔で暮らしていた土地を取り戻しましょう。色好いお返事をお待ちしています。
“エントロピーを越えて” 活動支部-321 ホシハジロ所属 ホ・ヘリョン
文章は全て英語で書かれていました。原文はデータベースを参照してください。
メールありがとうございます。
被災地の惨状は我々も憂う所です。協議の末、“JOICL”は“B.E”と共に被災地復興活動を行う事を決定いたしました。
“JOICL”には被災地出身の者も多く所属しています。斯く言う私もその1人です。大分故郷から離れて暮らしていましたが、これから永遠に故郷に帰れなくなるのではないかと思うと、どうしようもない悲しみに包まれます。あなた方の協力で清浄な故郷を取り戻せるのなら、我々も持てる力を惜しみなく発揮する事をお約束します。“JOICL”と“B.E”で共に手を取り合い、人々の笑顔を取り戻しましょう。我々の力を以てすれば、解決できない問題など無い筈です。
“日本生類創研” 化学生物開発班班長 横手秀一
05-Cの提言
あなた方に問います。あなた達は何の為に活動していますか?
この問にはきっとこう答えるでしょう。
「私達は異常オブジェクトから人類を守る為に活動している」と。
SCP-131-JPは放射能汚染によって人々の住めなくなった土地を正常な状態に戻す為に、2つの組織とSCP-131-JP自身の協力により誕生しました。財団の研究に於いても、SCP-131-JPを用いて放射能汚染問題を解決する事に問題は生じないと判明した筈です。未だ原発内で脅威となって福島の人々を苦しめている核燃料と核燃料廃棄物。この脅威に対して、SCP-131-JP以上の解決手段が人類にあるでしょうか?
人類に対する脅威は、異常オブジェクトだけではないのです。そして財団は多くの人々が苦しんでいるこの脅威を取り除く手段を持っています。それを使わない事は、善良なる人々を見捨てる事にはなりませんか?
今一度問い掛けます。あなた達は何の為に活動していますか? 人々を守る為に、日夜活動しているのではありませんか?
“エントロピーを越えて”も“日本生類創研”も、完全な善意で人々の為に立ち上がりました。そして組織の垣根を越えて力を合わせ、故郷を追われた人々を救う手段を実現させたのです。
さあ、今からでも遅くはありません。財団も彼等を見習って、人々の笑顔を取り戻す為に活動を開始するべきです。苦しんでいる人々を、困っている人々救う為に行動するべきです。何故なら、財団には差し伸べる手があるのだから。
もし、老婆が放射性物質を食べて無害な鉄として排泄するという不可思議な事実を隠したいのであれば、お得意の記憶処理とカバーストーリーで誤魔化せば良いと思いますよ。 — 05-C、この"C"は"協力"の意
Footnotes
1. サイト-8143は主に放射線や放射能、原子力に関連するオブジェクトが研究、収容されている施設。
2. Beyond Entropy (エントロピーを越えて)
3. Japan Organisms Improvement and Creation Laboratory(日本生類創研)
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scp-132-jp |
評価: +488+–x
アイテム番号: SCP-132-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-132-JP-1実体は小動物飼育用ケージに保管し、文字が記載された紙媒体の持ち込みが禁じられている収容室内に収容してください。SCP-132-JP-1には通常のシミ目シミ科と同様のサイクルの給餌を行ってください。
SCP-132-JP-1による繁殖は1体の成体のみが常に予備として確保されるようにし、他の個体については変態前に焼却処分してください。焼却処分に携わる人員は2サイクル毎に必ず交代し、交代後メンタルセラピストによる簡易的な診察を受けてください。
SCP-132-JP-2は既定のA4用紙上のみが活動領域となるよう、SCP-132-JP-1による産卵を誘導してください。SCP-132-JP-2の活動領域に指定されたA4用紙はSCP-132-JP-1と異なる収容室内に安置してください。収容室内には給餌用のプリンターを設置し、一日に三度給餌としてA4用紙に無作為の平仮名文字を310字印刷してください。フォントサイズは現在のプリンター規格では"10"に設定してください。
SCP-132-JP-2の生育が問題無く進行しているのならば、孵化より4ヶ月後に、一個体のみを確保し残りを焼却処分してください。確保された一個体はSCP-132-JP-1予備として飼育を継続してください。
許可無くSCP-132-JP-2とコミュニケーションを図る事は禁止されています。その点についての特記事項は事案-132-KK文書を参照してください。
説明: SCP-132-JP-1はシミ目シミ科亜種と思われる未分類の昆虫類です。外見と食性はヤマトシミに類似していますが、幼虫期間に於いて変態を行う事、−5℃までの環境下なら活発に活動する事、乾燥に耐性がある事に於いて従来と異なった生態を有しています。
SCP-132-JP-1は1ヶ月に一度、無性生殖による産卵で繁殖を行います。産卵は、何らかの文字が描かれた媒体──多くは植物由来の集合繊維──の上で行われ、20分で10〜30個の卵を産みつけます。
産みつけられた時点で卵は繊維と癒着しており、その後5分かけて放射状の染みを繊維上に残しながら溶解します。撥水性の高い紙を用いた場合でも、卵は問題無く放射状の染みを残して溶解しました。
SCP-132-JP-1の寿命は6〜7ヶ月程度であると思われます。
SCP-132-JP-2は放射状の染みが形成されてから30分後に、放射状の染みから紙面上へと出現する10〜30体の個体です。これらはSCP-132-JP-1の幼虫形態と思われます。
SCP-132-JP-2は出現先の媒体に記載されている文字と同染料、同字体の形式で書かれている「ゅ」または「ゆ」の文字です。一つの紙面上に異なった染料または字体で書かれた複数の文字がある場合、そのどれか一つが無作為的に選択されます。
SCP-132-JP-2は紙面上をうねりながら移動し、紙面上にある自身と同染料の文字を摂食します。摂食された文字は紙面上より消失します。
SCP-132-JP-2は魚類に似た行動様式と群性質を持ち、紙面上で移動を行った痕跡として、同染料による複数の点の染みを短時間残します。
生育が通常通りに進行した場合、SCP-132-JP-2は孵化より5ヶ月後に円形の染みである蛹形態へと変化します。蛹形態への変化から30分後、蛹形態の染みが描かれている紙面部分を突き破ってSCP-132-JP-1個体が出現します。
SCP-132-JP-2は「ゆ」の文字を物理的に損壊させるか、または同染料を用いて完全に"塗り潰す"ことによって破壊が可能です。また、SCP-132-JP-2個体が存在する紙面を切り取り、同一の素材と構造を持つ他の紙媒体紙面上に固定することで、SCP-132-JP-2を他の紙面へと移動させる事が可能です。
SCP-132-JP-2は孵化してより3週間後から、自身と同染料、同字体の文字を紙面上に出現させることによる会話を行い始めます。それらの文字は10〜14秒で消失しますが、この時、SCP-132-JP-2の食餌対象とならない染料を用いた文章を書き入れる事で、SCP-132-JP-2とコミュニケーションを図る事が可能です。
以下は、その性質を利用してSCP-132-JP-2とA4用紙上で会話を行った際の、複数時点でのA4用紙上の記載を編集してまとめたものです。
132会話記録-01: ※インタビュー対象: SCP-132-JP-2-C03群 ※インタビュアー: ██博士
.:*・゜ゅゆ およぐれんしゅう
ゅゅゆゆ やったね
君たちは、自分の事をどれだけ理解しているのかね?
.:*・*・゜.:*・゜ゅゆゆ おなかすいた
ゆ
ゆゆゆ ぼくたちは生きてるよ それだけだよ
ゆ
ゅゅ だれかとはなしてる?
.:*・゜ゅゆ すすめー
.:*・*・゜.:*・゜ゅゆゆ ごはんくれ
このA4用紙の外のことは認識出来ているかね?
まぜてー
ゆゆ
ゅゅゆゆゆ おはなしはしてるけど、ぼくたちに見えるのは
ゆゆ この『白い海』だけ。でもそとのことはしってる
ゅゅ あつまるれんしゅう
ゅゆ やすむ
.:*・*・゜.:*・゜ゅゆゆ ごはんないの?
どうして知っている?
ゆゆ
これでよし ゅゅゅゅゆゆゆ ぼくたちがひとつだった時に、見てきたから
ゆゆ
.:*・゜ゅゆ もうひとふんばり
それはシミの形の成体のことか?
ゆゆゆ
ゅゅゅゅゅゆゆゆ たぶん、そのこと
ゆゆゆ
ごはんさがそうよ
我々の事をどう思っている?
ゆゆゆ
ゅゆゅゅゅゅゅゆゆゆ ごはんくれる。いいひと!
ぶつかっちゃった ゆゆゆ
132会話記録-04: ※インタビュー対象: SCP-132-JP-2-C05群 ※インタビュアー: ██博士
.:*ゅ
.:*ゅ
.:*ゅ れつくずれてる?
.:*・゜ゆ .:*・゜ゆ
仲間の事は知っているか?
かんかくだいじょうぶ? ゆ ゆ ゆ みんなのことは
よくしってるよ
ゆゆゅゅゆゆ おやすみ
.:*・゜.:*・゜ゅゆ ごはんおいしかた
.:*・゜ゅ
.:*ゅ
ゅ こっちだよ
ゆ ゆ
他の群れの事は分かるか?
つめろつめろ ゆゆ ゆ よくわかるよ
ねれない
ゆゆゅゅゆゆ こまったね
.:*・゜.:*・゜ゅゆ うんどう
.:*ゅ
ゅ
ゅ
ゆ ゆ ぼくちょっとずれてる?
我々が他の群れに行っている事は分かるか?
ゆゆ ごっつんこ ゆゆゆ よくわかってるよ
ゅゅ これでよい
ゆゆ
ゅゆ やすむ
ゅ
ゅ
ゅ
ゆ
ゆ これでよし
それについてどう思うか?
ゆゆ ゆゆゆ しょうがないよ
ゅゅ あなたもごはんたべるために
ゆゆ おやすみ がんばてるだけだもの
ゅゆ ねむくなる
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scp-133-jp |
評価: +101+–x
樹上で獲物を待ち伏せるSCP-133-JP
アイテム番号: SCP-133-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-133-JPは現在11体確保されており、それらはすべてサイト8182に収容されています。SCP-133-JPは厚さ3センチメートルの鉄板で内壁を補強した1辺7.5メートルの立方体形の部屋に収容されます。部屋には耐爆・耐衝撃性のドアが設けられており、窓や照明は一切設置されません。
1日1回、餌として牛や豚の脳が生存に最低限必要と確認されている量(手順133-F参照)だけ与えられます。光合成による必要以上の栄養の蓄積や、危険な化学物質の合成を防ぐため、日光への暴露は実験時以外は固く禁止されています。また、火気への暴露も同様に禁止されます。
万が一SCP-133-JPが卵塊を生産した場合、手順133-Hに基づいて人工孵化が行われます。この際、収容状況に応じて、関係職員とサイト8182管理者との話し合いによってSCP-133-JPの個体数の調整計画が立てられます。
野生のSCP-133-JPおよびその卵塊は発見次第、報告された後、殺処分されます。
説明: SCP-133-JPはムラサキウニ (Anthocidaris crassispina) によく似た形をした、陸棲の棘皮動物です。外見は緑色で統一されており、トゲに覆われた球形をしています。トゲや殻は独特な、カルシウムと炭素と鉛を主成分とした頑丈な化合物でできています。この独特な物質は平均的な人間の硬骨をはるかに上回るじん性を持つことが確認されています。トゲの緑色の色素は葉緑体を含んでおり、植物同様に光合成が行えるものと思われます。
SCP-133-JPの異常な特性の1つは、通常みられるウニに比べてはるかに強い管足と口吻を持つ点です。これらの力をもってアスファルト製の地面を0.9メートル毎秒で移動する、樹木を登るなどといった性質を持っています。
もう1つの特性は、2液混合式の燃料を用いてロケット推進する能力を持つことです。SCP-133-JPは体内で2種類の燃料を化学合成して別々に蓄えます。使用するときは2種類の燃料を混合させて反応させ、燃焼ガスを殻頂部の肛門から噴出して爆発的な推進力を得ます。燃料の一方はアニリンであることが判明していますが、もう一方の燃料は他では見られない未知の有機化合物でした。これらの物質をどのようにして合成しているのかは不明です。現在、燃料の合成には少なくとも日光を触媒とする必要があることが確認されています。
SCP-133-JPは肉食性を持ち、特に哺乳類を標的として狩猟を行います。樹上に群れをなし、下側を通る標的に向けてロケット推進を利用した突撃を仕掛けます。頭部に狙いを定める傾向が強いことが確認されています。突撃により標的を昏倒させた後、SCP-133-JPは強力な口吻で頭蓋骨を穿孔・切開し、脳を取り出します。SCP-133-JPはこの脳を養分として消費し、他の部位はほとんど消費しません。
SCP-133-JPが生み出した卵塊のサンプル。白い部分が卵、赤橙色の部分は牛の脳のペーストである。
SCP-133-JPはアオガエルに少し似た方法で産卵します。メスのSCP-133-JPが白い卵塊を作り出し、オスのSCP-133-JPが精子を噴きかけます。卵塊には養分としてSCP-133-JPからペースト状に加工された獲物の脳が与えられます。
20██年、大分県██████市のミカン農園にてSCP-133-JPは発見されました。ミカンの木から栗の実が発生し、さらに番犬を襲っているという事で騒ぎになっているところを財団エージェントが発見しました。SCP-133-JPが確保された後、関係者には記憶処理が与えられました。野生のSCP-133-JPが多数生息していると見られたため、周辺地域にて機動部隊た-12("栗拾い")による大規模な捜索と駆除が行われました。
+ 実験記録
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実験記録-133-05
目的:SCP-133-JPの突撃に対する、現在の財団の標準的ボディアーマーおよびヘルメットの有効性の検証。
手順:クラスD職員に財団が持つ標準的な防弾ボディアーマーとフリッツヘルメットを装着させ、地上7メートルの位置で待ち伏せる4体のSCP-133-JPの下へ接近させる。
結果:SCP-133-JPは頭部へ突撃。クラスD職員は昏倒する。ヘルメットに修繕不能なレベルのひびとへこみが確認された。顔面の一部が陥没した上、頚椎を激しく損傷しており、すぐに死亡した。
考察:不十分。首を守るプロテクターも必要になると思われる。
実験記録-133-06
目的:SCP-133-JPの突撃に対する、現在の財団の装備の有効性の検証。
手順:標準的なボムブラストスーツと強化フルフェイスヘルメット、ネックプロテクターとジュラルミン製ライオットシールドを装備したクラスD職員を地上7メートルの位置で待ち伏せる4体のSCP-133-JPの下へ接近させる。
結果:クラスD職員がライオットシールドを構えながら前進。シールドがSCP-133-JPの側を向いているうちは反応しなかったが、下を通過して背を向けた地点でSCP-133-JPが頭部へ突撃。クラスD職員は衝撃を受けてバランスを崩し倒れる。ヘルメットは軽度のひびを生じた。クラスD職員は生存し、数日間首の筋肉の痛みを訴えた。
考察:頭部が確認できないと突撃を行わない模様。財団の現在の装備でも生命だけは最低限守れる可能性があることが確認された。
実験記録-133-██
目的:通常のムラサキウニとSCP-133-JPが交配可能か確かめる。
手順:SCP-133-JPの収容室に水槽入りのムラサキウニを配置し、観察する。
結果:サイト管理者権限によって実験は却下
実験記録-133-13
目的:SCP-133-JPの甲殻に対する小火器の有効性の検証。
手順:7.62x51ミリメートルNATO弾を使用するライフルを用いて、40メートルの距離からSCP-133-JPを狙撃する。
結果:弾丸は甲殻を破壊し、内部に留まった。標的の無力化を確認。
考察:ライフルによる狙撃は有効。
実験記録-133-15
目的:SCP-133-JPに対する火炎放射器の有効性の検証。
手順:ゲル化油式火炎放射器を用いて、30メートルの距離からSCP-133-JPを攻撃する。
結果:標的に着火した3秒後、[編集済]。実験に立ち会った職員のうち█人がSCP-133-JPの殻の破片を体に受け、死亡した。
考察:火炎放射による非常時の一斉駆除は森林火災以外にもリスクを伴うことが判明した。
実験記録-133-██
目的:SCP-133-JPの卵塊を食用として転用できないか確かめる。
手順:SCP-133-JPの卵塊をクラスD職員に摂食させ、味覚にどのような反応が得られたかインタビューを行い、後に人体への影響について精密検査を行う。
結果:サイト管理者権限によって実験は却下
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scp-134-jp |
評価: +107+–x
評価: +107+–x
クレジット
タイトル: SCP-134-JP - メリークリスマス!
著者: ©︎Fennecist
作成年: 2019
評価: +107+–x
評価: +107+–x
アイテム番号: SCP-134-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-134-JPは蓋を閉じた状態でサイト-81KAの低危険度物品収容ロッカーに保管します。SCP-134-JPの影響を受けた人物には適宜インタビューおよび記憶処理を行います。インターネット上のSCP-134-JPと関連性が見られる異常な記憶に関する情報は財団ウェブクローラ (“Farewell”) により記録および削除されます。財団エージェントらは全国の骨董品店などを捜索し未発見のSCP-134-JP実例の回収を行ってください。
SCP-134-JPの1つ
説明: SCP-134-JPは木製の箱に収められたディスク式オルゴールです。現在のところ日本国内で26個の実例が発見されています。蓋が開かれているときに自動的に稼働しジングルベルのメロディの変奏と思われる楽曲を演奏します。動力源は見当たっておらず、稼働原理は不明です。
SCP-134-JPによる演奏で発生する音を録音等の手段を経ず直接聴いた人物 (以下“対象”と表記) は一定の記憶を想起します。これについては実際に対象の体験に基づく記憶であると立証できていません。対象は音を聴いた時間に比例して更なる記憶を想起します。また、想起している分の記憶の続きを思い出そうとすることに対象は固執するようになりますが、音を聴かない限り新たな記憶を想起しません。ある程度該当の記憶を想起した人物は不明なプロセスを経て消失します。消失先は不明です。
想起される記憶の詳細は補遺134-JP.1を参照してください。
補遺134-JP.1: 実験記録
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注記: 全実験においてインタビュアーは相垣研究員でした。
実験記録134-JP.1
対象: D-134-1
内容: D-134-1にSCP-134-JPから演奏される音を3分間聴かせたのち、想起した記憶の内容についてのインタビューを行う。
結果:
[記録開始]
インタビュアー: それでは思い出した記憶について詳細に教えてください。
D-134-1: ああ。何歳だったかはわからないけれど、とにかく小さい頃のことだった。多分、6か7歳くらいか。12月24日、クリスマスイヴのことだ。レンガでできた暖炉の炎が良く燃えていて、その近くに白い猫が丸まってた。暖炉の上には写真立てがあったと思うんだが、何の写真が入ってたかまでは思い出せない。それと── (間) ──確か、確かスノードームも置いてあったと思うんだ。わかるだろ、丸っこくて中に雪が降ってる町みたいなミニチュアが入ってるやつだ。俺はそれで遊んでいたんじゃなかっただろうか……何回もひっくり返しては見惚れてたような憶えがある。
インタビュアー: それは、あなたの家でのことでしょうか。
D-134-1: あー、いや違う。どこなのかわからないけど、俺の家じゃあなかった。うーん、確かにこういう記憶はあるんだがよく分からんなぁ。白猫も俺が飼ってたわけじゃないんだが、すまん、分からない。
インタビュアー: では続きをお願いします。
D-134-1: おう、他に部屋にあったのはクリスマスツリーと椅子だ。ほらあの、座って揺らせる奴。クリスマスツリーはなんか色々装飾ついてたのは憶えてる。俺が飾ったわけじゃなかったような気がするが……。それで、俺はスノードームで遊んでて、眠くなってきたからベッドに入った。同じ部屋にあるんだよ、ふかふかのベッドがさ。なんだかすごい懐かしい気分だ。部屋の中は温かくてな、すごく幸せなんだ。窓の外には雪が降っててさ、雲の合間から満月が見えるんだよ。すっごいでっかい満月がなぁ。
インタビュアー: ベッドに入ってからはどうでしたか。
D-134-1: そうだな、ベッドに入ってからは……あー、ベッドに入ってからはな、えーっとだ。ダメ、ダメだ、思い出せない。
インタビュアー: では思い出してからで構わないので教えてください。
D-134-1: ああ、もちろんだ。思い出したくて仕方ないんだ。待っててくれ。
[記録終了]
後記: D-134-1には実験後に1日間の想起の猶予を与えたものの、インタビュー内容以上の記憶を思い出すことに成功しなかった。
実験記録134-JP.2
対象: D-134-1
内容: D-134-1に前回同様SCP-134-JPから演奏される音を3分間 (合計6分間) 聴かせたのち、想起した記憶の内容についてのインタビューを行う。
結果:
[記録開始]
インタビュアー: 記憶の続きは思い出しましたか。
D-134-1: ああ、しっかり思い出したぞ。そのオルゴールの音を聴いたらあんなに苦労したってのにぱっと思い出せた。部屋の電気は元々点いてなかった。暖炉の火だけが唯一の灯だったんだ。俺はベッドに入ってからすぐに目を瞑って、サンタクロースに逢えるかどうかにドキドキしてたんだ。
インタビュアー: サンタクロースですか。
D-134-1: (笑い声) 子供らしいだろ?
インタビュアー: ええ。
D-134-1: 本当にワクワクしてたんだ。そのころはサンタの存在を信じてたからな。今となっちゃ夢も何もないクソ人間だけど、俺だってこうやって穢れてない時期があったんだ。意外だろ?で、目を瞑ったとはいえさ、眠れるわけないんだよな。ドキドキしてんだから。静かな部屋に暖炉から聴こえる火がパチパチと響いててなぁ……子供の頃はどうしてこう、何でも綺麗に見えたんだろうなぁ。(溜め息) あの頃に戻りたいな。
インタビュアー: その後は眠れたのでしょうか。
D-134-1: ああ、もちろん普通に朝まで寝ちまったんだと思うんだが、思い出せてない。なあ、オルゴール聴かせてくれよ。あれを聴けばもっと思い出せると思うんだ。頼むよ。
インタビュアー: わかりました。ただ、まずは自力で先を思い出してみてください。
D-134-1: ありがたい。
[記録終了]
後記: D-134-1には実験後に再び1日間の想起の猶予を与えたものの、インタビュー内容以上の記憶を思い出すことに成功しなかった。
実験記録134-JP.3
対象: D-134-1
内容: D-134-1に前回同様SCP-134-JPから演奏される音を3分間 (合計9分間) 聴かせたのち、想起した記憶の内容についてのインタビューを行う。
結果:
[記録開始]
インタビュアー: 大丈夫ですか。どうにも顔色が悪く見えるのですが。
D-134-1: いや、大丈夫だ。(息切れ)
インタビュアー: 無理はしないでください。思い出したことを少しずつでいいので教えて頂けますか。
D-134-1: ああ、大丈夫、大丈夫だ。俺はあのあと寝てしまったわけだ。サンタが部屋に入ってくるまで起きてるなんてことは子供には難しいんだ。だけどよ、目が覚めたんだよ。暖炉の方からガタガタって音が聴こえてきてさ。サンタクロースが来た!って思ったんだけど、どう考えたっておかしんだよ。だってな、機械みたいな音してるんだ。ガタガタガリガリ、めちゃくちゃうるさいんだ。
インタビュアー: つまり暖炉から何かが現れたわけですね。
D-134-1: 怖くて見れなかったんだよ。(間) 俺は信じられなかったんだ。こんな気持ち悪い音を出すのがサンタクロースだなんて、信じられるわけなかったんだよな。音はどんどん大きくなってきて、ついに部屋の中に入ってきたんだ。ドン!って音がしてびっくりした。あれは多分、ツリーが倒された音だったと思う。サンタクロースがすることじゃねえって。
インタビュアー: そこからどうなったのでしょうか。
D-134-1: 俺は── (間) ──俺は、勇気を振り絞ってベッドから顔を出して、それを見たんだ。
インタビュアー: それは、サンタクロースでしたか。
D-134-1: いや違う。赤い服に赤い帽子、白い袋を持っていたのは見えた。でもそれを着てたのはサンタじゃなかった。サンタではない何かだったんだよ。俺にはわからないんだ、あれが何だったのかは。それでそいつの足元で猫が潰れてて、潰れて……
インタビュアー: その先のことは──
D-134-1: 思い出せないんだよ!ああクソ、怖くて思い出しちゃいけないような気もしてるんだが、何としてでも思い出さないといけないんだ。先生頼む、もう一度だけオルゴールを聴かせてくれ。もう一度だけでいいから。
[記録終了]
後記: D-134-1には実験後に再び1日間の想起の猶予を与えたものの、インタビュー内容以上の記憶を思い出すことに成功しなかった。D-134-1は記憶を想起することに対して苦しむ様子を示し始めていた。
実験記録134-JP.4
対象: D-134-1
内容: D-134-1に前回同様SCP-134-JPから演奏される音を3分間 (合計12分間) 聴かせたのち、想起した記憶の内容についてのインタビューを行う。
結果: D-134-1は音を1分間ほど聴いた時点で絶叫し、消失した。絶叫の直前にD-134-1は「思い出した」と発言していたことが確認されている。
追記: 後続の調査でD-134-1は幼少期に失踪しており現在も行方不明であることが判明した。この事実と財団の記録との多数の齟齬について調査が進行中である。
実験記録134-JP.5
対象: D-134-2、D-134-3、D-134-4、D-134-5
内容: 前回実験の結果の調査を目的として、終了される予定だった4名の対象に同時にSCP-134-JPの音を12分間聴かせる。
結果: 約7分間が経過した辺りから全対象の顔色が明確に悪くなった。10分間が経過した時点でD-134-2、D-134-3、D-134-5が絶叫して消失した。D-134-4も同様に絶叫したもののその場に倒れるのみに留まった。後続の調査で消失した4名の対象にあたる人物らが幼少期より行方不明になっていることが確認された。また、新たな情報が手に入るまでDクラス職員を消費する形式の実験は中断されることが決定した。
後記: 以下はD-134-4が意識を取り戻したのちに行われたインタビューの転写である。
[記録開始]
(前略)
D-134-4: それで、気づいたら空の上に居たんです。何故だか苦しくて、必死にもがいてたら。
インタビュアー: 空?
D-134-4: はい。大きな満月が見えていて、下には雲がありました。つまり雲の上に気付いたらいて、私は真っ逆さまに落ちていたんです。考えてみれば、不自然なくらい月が大きかったような気がします。それで満月の方を見ると、そりに乗ったあいつが居るんです。そりは馬のような何かが引いてて、そりの後ろには異常に大きな白い袋が括り付けられてて、ぐちゃぐちゃと蠢いてるんです。袋は、何だか月より大きく見えました。
インタビュアー: 月より大きいのですか。
D-134-4: いや、うまく例えられないのですが、それくらい大きな袋だったというか。それで、そこから子供たちの叫び声が聴こえてて、私もさっきまでその中に居たけど何かの拍子に落ちちゃったみたいだったんです。
インタビュアー: 他に落ちている人はいませんでしたか。
D-134-4: 多分……私だけだったと思います。
インタビュアー: なるほどです。
D-134-4: 気持ち悪いんです。満月を背にもうかなりあいつは小さく見えてるのに、叫び声もはっきり聴こえてたしあいつの鼻歌も聴こえるんです。まさにその、オルゴールのメロディのまんまなんです!(間) あいつの鼻歌が止んで、それで、それであいつは私に話しかけてきて「お嬢ちゃん、大きくなったら伝えておくれ」って言われて、こうやって……
(D-134-4が顔に手を当て俯く)
インタビュアー: 彼はなんと言っていたのですか?
D-134-4: 確か……確か……
インタビュアー: 大丈夫ですか。
(D-134-4が引き攣った笑顔で顔を上げる)
D-134-4: (低くしわがれた声で) メリークリスマス!
(D-134-4が気絶しその場に倒れる)
[記録終了]
追記: D-134-4の意識が戻ったのちに再びインタビューを行ったところ、D-134-4はSCP-134-JPにより想起した記憶を全て「いつ見たかわからない悪夢の記憶」として認識していることが判明した。また「メリークリスマス」と叫んだことについては記憶していなかった。
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scp-135-jp |
評価: +86+–x
アイテム番号: SCP-135-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-135-JPの封じ込めの為、全国の自治体に働きかけ、12月末頃に消防による特別警戒が実施、継続される事になっています。最低でも12月27日から30日の間に特別警戒が1度は行われるよう調整し、日程は収容プロトコル隠蔽の為自治体ごとにずらしてください。この働きかけに失敗した自治体では、財団エージェントが12月30日からSCP-135-JPの発生警戒の為現地に滞在してください。もし発生した場合、発生終了まで当該地域の通信を遮断し、事象終了後広域な記憶処理を行います。万が一インターネットやマスコミなどに情報が漏えいした場合、精神疾患患者による騒ぎとしてカバーストーリーが流布されます。
説明: SCP-135-JPは、日本国内で12月31日の20:00から24:00の間に極稀に発生する、異常な防火警報です。その日の実効湿度が██%以下になった地域で発生率が高くなる傾向があります。SCP-135-JPの警報は、通常この時期の夜間に行われる消防の特別警戒(以下、夜警とします。)に似ています。消防車両の警鐘の音と車載拡声器によると思われる音声放送を伴いますが、その内容は毎回異なり一貫性を持ちません。音声放送は多くの場合支離滅裂な内容ですが、稀に何らかの警告を含みます。その警告の意図は不明です。またSCP-135-JPの音源位置は未だ特定に至っていません。
SCP-135-JPは、過去4日以内に消防による夜警が行われていなかった自治体でのみ発生報告がある為、夜警の実施と継続を封じ込め手順に利用しています。
補遺1:SCP-135-JP発生記録抜粋
発生記録3 - 日付1971/12/31
発生地: ██県、████町
概要: 21:30頃から発生。警鐘は2秒に1回のペースを維持し、15~20回鳴らす毎に低い女性の声で「西から乾燥した大気が橘の実。捨ててください。捨ててください。」との音声放送が入る。内容は繰り返され、23:53まで続いた。
発生記録7 - 日付1980/12/31
発生地: ██県、██村
概要: 20:40頃から発生。警鐘は約1秒に1回のペースで鳴り、30~60秒毎に10秒程の休止が挟まる。休止中に、男性のくぐもった嗚咽の様な音声が放送される。内容は繰り返され、22:26まで続いた。
発生記録15 - 日付1994/12/31
発生地: ██県、███町
概要: 22:15頃から発生。警鐘は約1秒に3回の非常に速いペースで鳴り続ける。22:21に非常に低い男性の声で「波穂に飛ぶ蝶。」と音声放送が入り、突然終了する。
発生記録19 - 日付2000/12/31
発生地: ███、██区
概要: 20:54から発生。警鐘は1秒に2回鳴り、2秒停止する。若い女性の声で「燃えやすい物は漕ぎ出しましょう。ワタツミに注意してください。」との音声放送が約3分おきに行われる。22:26まで続いた。ワタツミは海神の古語的な表現であると推測される。意図は不明。
発生記録21 - 日付2010/12/31
発生地: ██県、████市
概要: 20:32から発生。警鐘は3秒に1回鳴り、4度鳴った後、複数の子供の悲鳴が2秒間放送される。21:42まで続いた。住民の証言より、音源は北東4km前後の地点であると推測されるが、████市は海に面し、推測される地点は海上である。
補遺2: 2011/██/██、SCP-135-JPの発生した翌年内に、発生した地点のおよそ40km圏内で必ず何らかの大規模かつ死傷者を含む火災事故や災害が発生している事が████研究員の提出した報告書により示されました。SCP-135-JPがこれらの大規模火災を予知、あるいは引き起こしている可能性があり、現在調査中です。
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scp-136-jp |
評価: +86+–x
アイテム番号: SCP-136-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-136-JPはサイト-8141内の標準人型収容室に収容します。SCP-136-JPには2週間に1度、通常の健康診断、ストレス診断を行ってください。診断の結果やSCP-136-JPの自傷行為などこれ以上の保護が難しいと判断された場合のみ、サイト管理者にSCP-136-JPによるサイト8141内の職員用食堂の調理場またはDクラス職員食事専用調理場の使用許可の申請を行ってください。許可が下りた場合、SCP-136-JPには3名以上のレベル3職員の監視の下、どちらかの調理場の料理責任者としてレベル0職員の資格が与えられます。レベル0職員としての取り扱いは「職員辞令書-136-JP」を参照してください。
現在定期的な実験は行われておりません。SCP-136-JPのストレス軽減のため、新たな実験の申請は許可されています。████博士かレベル4職員に申請してください。ただし既に実験で食材として使われたもの、特に賞味期限のきれた食品や食材の使用は充分な記録が取れているため認められません。
説明: SCP-136-JPの外見は辮髪に細長い口髭を蓄えた中肉中背の初老の東アジア人風男性です。ただしSCP-136-JPを一目見たときにそれを見た対象が中国人の外見的特徴のイメージを持っている場合に限り、モンゴロイドの区別が付かない場合でもSCP-136-JPを直感的に中国人だと感じます。これはSCP-136-JPが対象にミーム的影響を与えているものだと思われますが、確かな原因はわかっておらず現在調査中です。使用言語は四川語訛りのある中国語、日本の創作物などで用いられるステレオタイプの協和語です。SCP-136-JPは中国四川省████の出身であり、そこにある████と言う料理屋で四川料理を学んだと主張しています。しかし現在のところどの記録をあたってもSCP-136-JPの戸籍や出生記録、該当する料理屋は発見できていません。日本で自身の店を開く以前の公的記録は残っていないことになります。
SCP-136-JPの特異性は食材を調理するときに表れます。有機物・無機物を問わず、SCP-136-JPが食材として調理することで口にして問題の無い料理となります。完成した料理を検査してみると、その中に食材として使われたものが入っていることがわかります。それらが人体に害のあるものであっても食べたことによる影響を与えません。これは料理を食べる対象が特定の食材に対しアレルギーを持っている場合でも同様でアレルギー反応を起こしません。しかし一部の物品に対し例外が存在します。調理をすることは可能ですがそれらを食べた対象は原因不明の食中毒をおこし、嘔吐、腹痛、下痢などの症状を訴え著しい衰弱状態に陥り最悪の場合、死亡します。SCP-136-JPはそれらを食材として利用することを一部例外を除き、拒否します。現在それらの物品に対する共通点を調査中です。
料理はSCP-136-JPの得意とする四川料理に限らず、SCP-136-JPが通常の食材で作る知識を持ってさえいれば和食、洋食などの種類は問いません。味に関しては食べる対象の趣味嗜好にかかわらず「辛いがうまい」という結果が出ています。ただしこれは四川料理に限るようでそれ以外の料理の場合は素材の味がそのまま生かされている場合が多いようです。
金属やプラスチックなども特に力を入れる様子も無く、通常の食材を扱うように包丁を入れたり、こねるなど調理をしている様子が実験で確認されました。収容された当初、SCP-136-JPをSCP-136-JP-A、店で使用していた包丁や中華鍋などの調理器具をSCP-136-JP-B群と分類していました。SCP-136-JPの能力がSCP-136-JP-B群を使用しなくとも発現することや、SCP-136-JP-B群と通常の調理器具との差異はないことが調査により確認されました。現在SCP-136-JP-B群とされていたものはAnomalousの指定を受け、サイト8141の備品として使用されています。
199█年6月大阪府████市内においてフロント会社で情報収集を行っていたエージェントが「どんなものを持っていっても料理にしてくれる中華料理店がある」という噂を聞き調査しました。来店してみたところ実際に客が持ち込んだ使い古されたラジオカセットを食材にして料理を提供しているSCP-136-JPを発見し、その日の営業終了後、回収されました。SCP-136-JPが行っていた調理は手品だったという噂と食中毒が発生し閉店したというカバーストーリーを流しました。現在店舗だった場所には某ラーメンチェーン店が営業していますが異常は確認されていません。
補遺1:以下の実験記録は初めて食中毒が起きた際のものです。それ以前の同一のDクラス職員が対象となった実験記録も時系列順に記載しています。
+ 実験記録-136-JP-18
- テキストを隠す
実験記録136-JP-18-い-日付:199█/3/7
責任者:████博士
料理名:海老のチリソース炒め
食材:一般的に海老のチリソース炒めの食材として使われるもの
対象:D-136-JP-18
結果:ごく一般的な海老のチリソース炒めが出来上がりました。対象は料理を完食。
コメント:D-136-JP-18「辛いものは苦手なんだけどこれはいけるよ」
実験記録136-JP-18-ろ-日付:199█/3/14
責任者:████博士
料理名:チンジャオロースー
食材:筍の代わりに樹脂製のゴム片
対象:D-136-JP-18
補遺:対象には食材が変わっていることを伝えていません。
結果:調理されたゴム片の成分を調査したところ調理前と成分に変化は見られませんでした。短冊切りされた以外、炒めた熱により形が崩れるなどの変化はありません。対象は料理を完食。その後一週間健康に異常なし。
コメント:D-136-JP-18「この筍、噛み応えがあるね。味はいいよ」
実験記録136-JP-18-は-日付:199█/3/21
責任者:████博士
料理名:鳥の唐揚げ
食材:小麦粉の中に10%程そば粉を混ぜたもの
対象:D-136-JP-18
補遺:対象は軽度のそばアレルギーです。
結果:対象は料理を完食。その後一週間健康に異常なし。
コメント:D-136-JP-18「次回の実験からはご飯もつけてくれない?」
実験記録136-JP-18-に-日付:199█/3/28
責任者:████博士
料理名:カレーライス
食材:隠し味にガソリンを100ml
対象:D-136-JP-18
補遺:対象には隠し味のことは伝えていません。
結果:対象は料理を一口食べて食べるのを拒否。続行するように伝え食べ続けましたが完食は出来ませんでした。気分は悪くなったようですが健康上、問題は無いようです。
コメント:D-136-JP-18「苦いって言うかなんかねっとりしてて…うぇっ」
実験記録136-JP-18-ほ-日付:199█/4/4
責任者:████博士
料理名:坦坦麺
食材:麺の代わりにこたつを使用
対象:D-136-JP-18
補遺:実験開始以来初めてSCP-136-JPが実験の協力を拒否。「拒否するようならば[編集済]しなければならない」と伝えるとこれを承諾。拒否をした理由を現在調査中です。こたつをこね始めるとまるで小麦粉の様に形状を変え麺になりました。
結果:D-136-JP-18は完食する前に泡を吹いて前のめりになり倒れこみました。医療班により緊急の手当てを受けましたが死亡しました。食中毒の発生原因を現在調査中です。
コメント:████博士「やっぱりな。あれは[データ削除]」
補遺2:食中毒が発生した物品のリスト
物品
該当実験記録
備考
こたつ
136-JP-18-ほ
食中毒の発生した初の事例
懸賞付き自販機
136-JP-24-ろ
弓道の的
136-JP-25-い
的紙と木枠を別々に調理したところ発生しませんでした
199█年末ジャンボ宝くじ7等に当選したくじ
136-JP-28-い
████博士の私物。はずれくじでは発生しませんでした
うる星やつら単行本1巻
136-JP-41-は
SCP-136-JPから拒否はありませんでした。他の物品と違い何故拒否しなかったのか現在調査中です
現在更なる調査のため1等当選くじの持込を待っています。
かならず実験に使用し、私的利用しないことをここに誓います。—████博士
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scp-137-jp |
評価: +108+–x
プロトコル"ナイトパレード"中の財団エージェント3名とSCP-137-JP実体(右端)
アイテム番号: SCP-137-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-137-JPは性質上、施設での収容は困難です。そのためSCP-137-JPが発生した場合、周辺道路を全て封鎖し、民間人との接触を阻止して下さい。必要に応じて「道路工事」や「ヒグマ注意」などの標準的カバーストーリーを実行します。
市街地に出現した場合はプロトコル"ナイトパレード"を実行します。プロトコル"ナイトパレード"は、財団フロント企業「サプライズ・コミカル・パレード(SCP)」による活動として行われます。エージェントは着ぐるみや警備員に偽装し、民間人にSCP-137-JPを仮装パレードであると思わせて下さい。SCP-137-JPに物理的な接触を試みる民間人は、エージェントによって穏当な手段で阻止されます。
説明: SCP-137-JPは深夜の路上を行進する、実体の集団です。多くの実体はいわゆる「着ぐるみ」のような姿をしています。モチーフは器物や動物などが多くみられますが、不明なものも多数あります。確認された全ての実体は物理的な影響を受けますが、損傷によって行動不能になることはありませんでした。
出現後、全実体は集団で移動を開始します。この移動の目的や目的地は不明であり、全ての事例において移動中に突然消滅しています。消滅後の追跡の試みは成功していません。移動ルートについても、規則性は確認できませんでした。
出現する場所についても、はっきりとした規則性は確認できていません。しかし出現しない期間が長くなればなるほど、前回出現地点よりも遠い地点に出現する傾向があります。このことから、SCP-137-JPは消滅後も移動を続けているのではないかとみられています。
財団によって確認された███件の事案により、SCP-137-JPの出現日には一定の規則性があることが判明しています。全体の38.3%は██月██日・██月██日・██月██日・██月██日・██月██日に発生していました。それ以外については母集団の不足のため統計学的な有意が認められず、調査と分析が続けられています。
多くの場合、SCP-137-JPは人間に関心を示しません。明らかな脅威や、宗教的なオブジェクトに対しても無反応です。しかし敵対的な物理干渉(進路の妨害や攻撃、捕獲の試みなど)を受けた場合は全実体が一斉に反応し、対象を連れ去ろうとします。対象がSCP-137-JPに捕獲された場合、SCP-137-JPの全実体と共に消滅します。Dクラス職員を用いた実験では、全ての信号が消失し回収不能となりました。
SCP-137-JPは路上であれば、どこにでも出現します。インシデント137-JP-01を参照して下さい。
インシデント137-JP-01 - 日付20██/██/██
場所: 中国自動車道 ██IC~██IC区間(下り)の高架上
記録方法: 監視カメラによる映像 ・音声なし
<記録開始>
開始直後: 路上にSCP-137-JPが出現。総数は1個体の定義が難しいため不明だが、およそ██体と推測される。全実体が██方面に移動中。
14秒後:黒の████製普通乗用車が、推定時速130km以上でSCP-137-JP実体のひとつに衝突。SCP-137-JP実体は大きく損傷するものの、活動を継続。乗用車は大破、停車する。
16秒後: SCP-137-JPの全実体が一斉に移動を停止。停止した乗用車に反応し、接近を開始する。
28秒後: 乗用車がSCP-137-JPにほぼ完全に包囲される。SCP-137-JPは乗用車を大きく揺さぶり始める。
34秒後: 乗用車の運転席から、パニック状態の男性が飛び出してくる。
39秒後: 男性は逃走を試みるが、複数のSCP-137-JP実体に阻まれる。必死に抵抗するものの、多数のSCP-137-JP実体によって完全に拘束される。何か叫んでいると思われるが不明。
42秒後: 男性およびSCP-137-JP全実体が不意に消滅する。大破した乗用車だけが、その場に残される。
※以降、終了まで変化なし。
<記録終了>
結果: 乗用車には無数のへこみが確認され、フロントガラスは砕かれていました。全ての記録は回収され、野生動物との接触事故として適切な隠蔽工作がなされました。
男性は行方不明のまま、現在も発見されていません。
分析:SCP-137-JPが都市部の高速道路や空港の滑走路などに出現した場合、収容および隠蔽工作が極めて困難であると思われます。
補遺: 財団はSCP-137-JPに関連があると思われる人物を保護しました。インタビュー137-JP-01を参照して下さい。
+ インタビュー137-JP-01を表示
- インタビュー137-JP-01を隠す
インタビュー137-JP-01 - 日付20██/██/██
対象: 10代前半の日本人と思われる女性。「佐藤チヨ」と名乗る。
彼女は岩手県████市内で保護されました。
インタビュアー: エージェント・███
付記: 対象との意思疎通および人間関係を円滑にするため、対象と出身地が近いエージェントによってインタビューを行いました。会話は方言で行われています。
<録音開始>
███: ほんならチヨちゃん、ちょっとお話聞かせてもらってええかな? アメちゃん食うか?
チヨ: (ニッキ飴を受け取って)うん。
███: チヨちゃん、おうちどこやったか、もういっぺん言うてみてくれる?
チヨ: ████村(※現在の京都府福知山市████町)
███: チヨちゃんは、なんであのコンビニ……じゃねえ、お店におったか思い出せへんか?
チヨ: よう覚えてへんけど、たぶん████サマに連れてこられたんやと思う……。
███: ████サマ?
チヨ: 猫とか、茶釜とか、大根とか、なんかそんなんに似てる神様らや。
███: その████サマとは、どこで会うたん?
チヨ: 裏の山。ムカゴ拾っとったら、迷子になってしもてん。ほんなら、████サマがようさんおって、うち怖かったから鉈で思いっきり叩いたんや。
███: 無茶苦茶しやがる……いや、続けて。████サマは、どうなったん?
チヨ: 頭めっちゃへこんでたけど、知らん顔してた。ほんで████サマがみんな寄ってきて、うちを捕まえたんや。変なとこ連れてかれた。
███: 変なとこって、どんなん?
チヨ: よう覚えてへんけど、なんかもやもやしてた。昼みたいな、夜みたいな感じやった。
███: そこで、████サマに何かされたん?
チヨ: ううん。せやけど怒ってるかもしれへんと思て、ムカゴの入った籠あげてん。そしたら████サマの一人が籠ごと丸呑みにして……それから急に優しくなったんや。
███: 優しく?
チヨ: うん。ほんでまた、うちを連れてって……気づいたら、あのピカピカしとるお店の前におったねん。
███: そりゃ大変やったなあ。あ、ところでもういっぺん聞きたいんやけど、チヨちゃん何年生まれ?
チヨ: 大正3年。
███: そっか……インタビューを終了します。
<録音終了>
終了報告書: 対象はおよそ██年間、未知の空間に滞在していたと思われます。当時の記録を確認したところ、該当する人物が行方不明として処理されていました。
これまでの予測と異なり、SCP-137-JPには一定の知性や感情が存在するようです。収容プロトコルに反映できるかもしれません。
このインタビューから得られた情報により、新たに完全収容プロトコル"Special Costume Party"が立案されました。通知のあった職員はプロトコル実行に備えて下さい。以下の装備は申請中です。
・人数分の着ぐるみ
・サイト-81██内に新設予定の神社
・████リットルの日本酒
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scp-138-jp |
評価: +108+–x
アイテム番号: SCP-138-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-138-JPはその性質のため、出現場所付近の封鎖によって対処されています。出現が確認された場合は機動部隊ぬ-9〝夜間工事”がSCP-138-JPが出現した地点から半径███mを封鎖します。「急な工事のため」と説明し、封鎖域内に誰も入れないようにしてください。また封鎖後に侵入者があった場合は拘束、尋問し、クラスB記憶処置を施したうえで解放してください。ただし、SCP-138-JPに侵入した場合の救出行為は厳禁とします。(実験記録138-JP-3参照)
説明: SCP-138-JPは█日から██日の間隔で現地時間17:00頃から翌朝5:00頃までの間、███県██████市の旧██████村付近の道路上、4か所のうち1か所に出現する水田です。現在のところ出現に規則性は確認されていません。大きさは1a(10m×10m)の正方形で水田の中央に案山子が一体設置されています。作物が植えられている様子はありません。
SCP-138-JPの特異性は、SCP-138-JP内に侵入した場合に発現します。一歩でもSCP-138-JPに侵入した人間(以下「侵入者」)は、耳元で日本語による男性の怒鳴り声を聞きます。これは日本語を理解できない人間でもその意図を完全に理解できるようです(インタビュー記録-138-JP参照)。この声は録音機器等に記録されることはなく、侵入者のみが聞き取ります。その声を聞き、すぐに退去した場合は特に危険性はありません。
しかし怒鳴り声の後も退去しなかった場合、侵入者はまるで底なし沼に足を踏み入れたかのようにゆっくりとSCP-138-JPに飲まれ始めます。埋没までの時間は身長により左右されますが、一般的な成人男性ではおよそ█分ほどかかります。GPS、各種記録機器などは埋没した時点で破壊されます。次回の出現時に前回の侵入者数分の案山子が出現し、SCP-138-JPの消滅時に置き去りにされます。これらの案山子の外観は一般的なものです。しかし、構造物は侵入者の服、骨、筋肉、[削除済]等が使われていることが判明しています。また解剖により、SCP-138-JPの消滅時まで案山子が「生きていた」可能性が極めて高いことが示唆されています。
+ インタビュー記録-138-JP
- テキストを隠す
インタビュー記録-138-JP
対象: エージェントG█████
インタビュアー: ████ ██博士
付記:エージェントG█████はSCP-138-JPの最初の報告者である。彼は日本語が流暢ではないためインタビューは英語で行われている。
<録音開始>
████ ██博士:こんにちは。
エージェントG█████:やあ博士。
████ ██博士:今日からSCP-138-JPの担当になった████ ██だ、よろしく頼む。
エージェントG█████:ああ、あの[罵倒]にはそんなナンバーが割り振られたのか。
████ ██博士:すまないが早速君が見たことを話してくれないか、我々はまだ何も情報を得ていない状況なんだ。
エージェントG█████:ああ、分かってるよ。まず俺はあの地方で聞かれた「怪談」について調査を行ってたんだ。夜になると急に道路が田んぼに変わっちまうってな。元々あの地方は閑散としてたからな、そういう噂も立つんじゃねーかと半信半疑だった。そもそもインターネットの情報だったしな。
████ ██博士:そして君は情報を整理し、SCP-138-JPが出現を待った。
エージェントG█████:ああ、入れ替わるのは「道路」だけだって話だったからな。それほど道路の本数もないから夜間に軽く巡視程度で。あの日は月が綺麗に出てたよ・・・薄気味悪いくらいにな。
████ ██博士:簡潔に話してくれればいい。
エージェントG█████:ああ、そうかい。まあ█月██日に出現したSCP-138-JPを発見したのさ。哀れなワルガキと一緒にな。
████ ██博士:彼はすでに侵入していた?
エージェントG█████:ああ、もう膝まで埋まってたよ。ひたすら叫んでた。「助けてー!!」ってな・・・
████ ██博士:そして君は救助しようとしてSCP-138-JPに侵入を試みた。
エージェントG█████:そうさ、今思えば軽率だったことは確かだ。一応命綱を付けていたが、相手の事を何も知らずに飛び込んだからな。
████ ██博士:そして君は声を聞き・・・
エージェントG█████:ああ、そうだ!一歩入った瞬間耳元で「コラァ!田んぼに入るなぁ!!」って声が聞こえたんだよ!俺は日本語が得意じゃねえが完璧に分かっちまった!その声を聞いたら分かっちまったんだよ!こんな仕事してるからな!!こいつは無理だってな!!
████ ██博士:落ち着いてくれ、君の行動は正しい。情報を持ち帰ることは何よりも優先されるべきだ。特に我々の業務においてはね・・・
エージェントG█████:(嗚咽)
<録音終了>
終了報告書:このような悲劇を二度と出さないように早急に封鎖体制を確立し、脱出手段も研究しなくてはなりません。 — ████ ██博士
実験記録138-JP-1 - 19██/██/██
対象:ラジコンヘリ 1台
目的:案山子の近距離での観察、およびサンプルの回収
結果:SCP-138-JPの近辺ではエンジン不調、コントローラーの不調などにより離陸不能。距離を取り離陸させ接近させた場合は、コントロールを失い墜落。
考察:どうやら簡単には入らせてもらえないようだ。 — 責任者████ ██博士
実験記録138-JP-2 - 19██/██/██
対象:Dクラス 1名
目的:沈み始めた後の脱出方法の模索。
結果:沈むことを考え、元陸上選手のDクラスを用意し実施した。被験者は沈み始めた後に方向転換し外に向かおうとしたが、「田んぼがどこまでも広がってやがる!!」と叫び、足踏みを始め外に出ることはなかった。また埋没する前に案山子の方を振り返り「こっちに来るな!!」と叫んだ。頭部に装着させたカメラの映像や周囲の職員による視認には異常はなく、水田の大きさも変わらず、案山子も動いてはいなかった。
考察:案山子に何か秘密があるのだろうか・・・だが、今は調査のために脱出方法を考えなくてはな。 — 責任者████ ██博士
実験記録138-JP-3 - 19██/██/██
対象:Dクラス 4名
目的:侵入者が沈み始めた後、水田の外から安全に救助する。
結果:Dクラス1名を侵入させ、ロープにより救助するようDクラス3名に指示した。侵入したDクラスは実験記録138-JP-2と同じ幻覚を見たが、投げ込まれたロープは認識した。何とか侵入したDクラスがロープに捕まることに成功。引っ張り上げようとしたが、足しか埋まっていない状態にも関わらず引き上げは難航。ロープを持っていたDクラスより協力が要請され、責任者である████ ██博士を含む職員6名が協力し合計9名で引っ張ったところ、[削除済]。
補遺:実験後、責任者を████ ████博士に引継ぎ。特別収容プロトコルの一部改定。
補遺:SCP-138-JPに対する全ての実験を禁止とする。少なくとも我々のうちの誰かが首を縦に振る理由がない限りは永遠に、だ。 — O5-██
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scp-139-jp |
評価: +31+–x
SCP-139-JP
アイテム番号: SCP-139-JP
オブジェクトクラス: Anomalous Safe
特別収容プロトコル: SCP-139-JPは保管サイト-81██の隔離された収納容器に保存されます。半径50m以内に精密機械や他の生物、あるいは他のSCPオブジェクトを長時間放置してはいけません。特別な認可を受ければその限りではありません。全職員は2時間以上SCP-139-JPの近くに居続けてはいけないことになっています。
説明: SCP-139-JPは半透明のカラフルな石です。SCP-139-JPの異常性は、それ自身と周囲の物体を常に僅かに振動させるというものです。動力や原理は不明です。この振動の範囲はSCP-139-JPを中心に半径50mに及びます。振動は実に微細なもので、人間が明瞭に知覚することは困難です。この効果範囲に入った人間の中には違和感を得る者も少しばかりいます。SCP-139-JP自身の、あるいはそれによって生じる振動の正確な振幅及び周波数は測定できていません。これはSCP-139-JPの微細な振動の効果範囲に測定機器を設置すれば少なくとも測定結果に誤差を生じさせ、最悪の場合は破壊してしまい、効果範囲の際においては効果が減衰するため範囲外に置いても正確な測定が行えないためです。実際の現象から、振動の特性は常に一定ではなく、SCP-139-JPと対象との距離や対象自体の特性などの種々の条件によって変化すると推測されています。
SCP-139-JPは知覚できないほど僅かに振動するという単純な性質ながら、周囲に大きな被害をもたらします。財団がこれまでに被った損害は次の通りです:
10回に渡る大型電子顕微鏡の結果の攪乱
合計7台の測定機器の破壊
50人以上の職員の健康被害
3人の職員の死(死因は振動による心不全と断定)
計12か所の施設の扉の立てつけの悪化
計9か所のセキュリティ設備の破壊
SCP-████の収容違反及びそれを原因とする[削除済]の被害
補遺-い: SCP-139-JPは██県██村に伝わる"呪われた場所"から発見され、その伝説の直接的な原因と目されています。近付くと呪いを受けて死ぬ、悪霊に取りつかれるなどというおどろおどろしい伝説とは裏腹にSCP-139-JPの性質が単純であったため、当初はAnomalousアイテムと指定され、結果として多くの被害を出してしまいました。
補遺-ろ: SCP-139-JPの性質がわかった時点で、ある程度の科学知識があればその危険性にも気付けたはずです。最初の担当者████は研究員でありながらそれを看過し、見過ごせないほどの被害を生じさせました。さらにあろうことか、原因がSCP-139-JPと同定された時に彼は██村の伝説が真実だとして呪いの実在を主張、オブジェクトクラスのKeterへの格上げを申請しました。これは明らかに自分が無知であることを主張しているか、責任を回避するための行動と取られても仕方ありません。財団には不可解なものが数多くありますが、常に科学的に考えることをやめてはいけません。我々はもう少し賢くあるべきです。 - 日本支部理事"千鳥"
補遺-は: SCP-139-JPの効果範囲で生育した花は花弁に様々な色を有するという現象が確認されています。SCP-139-JP自体の色と類似していることから、SCP-139-JPの発生経緯と何らかの関係性があると考えられます。花には色以外に異常性がないことが確認されており、現在一般への販売を検討中です。
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scp-140-jp |
評価: +58+–x
実験時に撮影されたSCP-140-JP。30代のコーカソイド男性の様に見える。
アイテム番号: SCP-140-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-140-JPは現在収容されていません。各地方自治体を通じ不審者に注意する情報を定期的に発信することにより被害の軽減を試みます。SCP-140-JPによる被害が確認された場合、カバーストーリーと記憶処理による隠蔽を行います。
サイト内の旧寮をSCP-140-JP観測施設として利用します。設置サイトは別紙の一覧を確認してください。各部屋の内部には1名のDクラス職員を滞在させてください。観測に備え、部屋には防護スーツ、5日分の食料、記録機器を常備します。観測が行われない期間、これらのDクラス職員は他の実験に使用することが可能です。
説明: SCP-140-JPは、玄関扉に取り付けられたドアスコープを通じて、屋内から観察した場合にのみ認識される存在です。SCP-140-JPは玄関扉が開くまで屋内から観測を行うことができ、扉の解放後は消失します。目撃者が述べるSCP-140-JPの容姿は様々ですが多くの場合人型であり、モンゴロイドの中年男性が最も報告にあげられています。なお、SCP-140-JPは日本全国のランダムな場所で観測されていますが、異常性の発現はごくわずかにとどまっています。これは多くの場合、SCP-140-JPが不審者として通報され、警官等が当該扉を解放するため消失していると考えられます。
実験により、SCP-140-JPは時間が経過するごとに行動が変化することが判明しています。
段階
行動
補足
第1段階
SCP-140-JPは扉の前に立っている。
唇を噛む、頭を掻き毟るなど、不安または苛立ちの様子をみせる。ノックは行うが、この状態では扉を解放しようとする試みは観察されない。
第2段階
第1段階からランダムな期間を経て、SCP-140-JPは唐突に当該の扉を連続し拳で叩くような行動をとる。時折何か叫ぶような行動も見られる。
ドアスコープを覗く行動が稀に観察される。扉をたたく音、及び音声は一切観測されない。
第3段階
扉にタックルをする、ドアノブを破壊しようとする等、SCP-140-JPが扉を開けようとする試みがエスカレートする。
第3段階移行前に「こちらが見ている事に気がついた様に見える」と実験の際に報告される。鞄を所有している場合内部からハンマー、バール等を取り出し利用する。休息は一切行わないが、これまでにSCP-140-JPが扉の破壊、解放に成功したことは無い。扉の破損寸前に一切の動作をやめる場合がある。
SCP-140-JPの第3段階への移行後、部屋内部にいるSCP-140-JPを認識した人物はランダムなタイミング1で当該の扉に叩きつけられる形で負傷、あるいは死亡します。対象が玄関扉から離れていた場合、パニック状態に陥った後、部屋からの逃走のために玄関に向かうことが実験観測により確認されています。これまでの記録では被害者は頭蓋骨の粉砕や内臓破裂、衝撃による身体の四散により死亡し、防護スーツを着用しオブジェクトの観測を行ったDクラスは複数箇所の骨折や、内臓、脊椎及び脳の損傷などを受けました。また、この現象が生じるまでに当該の玄関扉が解放2された場合はこの現象は生じません。
なお、衝突の衝撃で内部から玄関扉、またはドアスコープが破壊されるため、SCP-140-JPの観測はこれ以降不可能になります。
Footnotes
1. これまでに行われた実験での記録は約15分、3日、7時間でした。
2. 外部から開ける場合を含む。
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scp-141-jp |
評価: +73+–x
初期収容時のSCP-141-JP(画像は明度補正済み)
アイテム番号: SCP-141-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-141-JPの存在する集合住宅は接収、封鎖されています。警備職員を2名常駐させ、敷地内への立ち入りを防止してください。SCP-141-JPは収容サイト-8120の管理下に置かれ、全ての実験は収容サイト-8120の担当研究員に許可を得てください。101号室は施錠され、鍵は担当研究員が管理しています。許可無く101号室への侵入を試みた者は処分の対象となります。
説明: SCP-141-JPは1.6x1.6x2mの浴室で、██県████市に所在する集合住宅[データ削除]の101号室に存在します。SCP-141-JPは玄関からすぐ左の扉内部にあります。この扉を開けると、化粧台のある脱衣所があり、その右手に浴室の扉があります。扉は曇りガラスになっており、SCP-141-JP内部をある程度観察することが出来ます。SCP-141-JPは19██/██/██に発生した[データ削除]の捜査中、当局の捜査員4名が[データ削除]により発見されました。
SCP-141-JPを含め101号室内部は非常に暗く、平均して0.05lux程度です。これは月の無い星明りのみの夜程度の照度です。外部から101号室を覗くと黒く薄い霧がかかったように見えます。日中、窓や扉周辺は600~1000lux程度の明るさですが、そこから1mで光は急速に減衰し内部を照らし出す事はありません。また、内部に持ち込んだ光源は全て何らかの理由で使用できなくなります。入り口から30,000lux高照度照明で照らしても内部の明るさは変わりませんでした。
101号室内は19██/██/██以来当時のままとなっており、当時の居住者の家具がそのままになっています。SCP-141-JPは一般的なユニットバスで、こちらも[データ削除]までは居住者に通常通り使用されており、洗剤などはそのまま放置されています。しかし、19██/██/██以降一切使用されていないにも関わらず室内は常に濡れています。また、浴槽には常に水が張られ、収容以来、水位と水質に変化はありません。
SCP-141-JPに人間が入室すると、勢いよく扉が閉まり入室した被験者は閉じ込められます。扉には少なくとも20kN以上の力が掛かる為、閉鎖を防ぐ事は困難です。SCP-141-JPを構成する建材に強度や剛性の変化は無い為、閉鎖のたびに少しずつ扉と扉フレームが破損し続けている事がわかっています。障害物を用いた閉鎖の妨害は、建材の更なる破損を招く為禁止されています。
閉鎖後、SCP-141-JP内部側の扉前に、人型の実体が下から立ち上がるように現れます。扉の曇りガラス越しの観察では、この実体は裸の女性のように見え、およそ160cmの身長で髪は短く、酷く痩せています。SCP-141-JPが閉鎖すると、不明な理由で信号が途絶するため、実体のカメラによる撮影は不可能です。被験者はこの実体を認識及び接触できず、気付く様子はありません。代わりにこの実体の出現と同時に強い腐敗臭を報告します。更にこの時、鏡の下に札がある事に気付きその札を注視します。この札は扉開放時には存在しません。
実体はゆっくりと被験者に近づき、後ろから被験者の胴部に抱きつくように腕を回すと、被験者を扉の反対方向へ連れ去りそのまま消失します。その際の加速度はおよそ60m/s2に達すると見られています。また、その方向には明らかにSCP-141-JPの壁と鏡しかなく、被験者が何処へ連れ去られるかは不明です。連れ去りの数分後に扉は開きます。
実験記録141-03 - 日付2000/██/██
対象: SCP-141-JP、D-68717
実施方法: D-68717を目がある程度慣れるまで101号室内で待機させ、SCP-141-JPに入室させる。D-68717にはハーネス、無線機及び無線カメラを装備させた。ハーネスには切断荷重約4tの9mm径ワイヤーロープが固定され、端はSCP-141-JP前に設置された巻き取り装置に繋がれている。また、SCP-141-JP前にはカメラも設置され、101号室外部に待機する観察班が監視する。
<映像記録>
D-68717: で、風呂場に入るだけ?先生。厳ついもん付けられたから、俺てっきり崖から突き落とされんのかと
███博士: 黙って指示通り動け、D-68717。
D-68717: …ったよ。[勢いよく扉の閉まる音][D-68717の短い叫び声]おい閉まったぞ!!閉じ込め……クソ、ワイヤーが挟まって動けない、どうにかしてくれ!
[この時、実体が出現したのが扉の曇りガラス越しに観察される。同時に、無線機と無線カメラの信号が途絶えた。以降肉声によるやり取りになる]
おい!聞いてんのか!?
███博士: 無線機が故障した。そこから大声で周囲の状況を述べろ。何がある。
D-68717: え?あ?普通の風呂場だよ、洗剤と[実体がD-68717に近づく]空の石鹸入れ、桶がある。あと閉まった途端になんか腐った肉みたいな臭いがし始めた……早く出してくれ、ワイヤーが邪魔だ、クソ……あと椅子が床に[実体がD-68717の目の前へ到達]あるな。暗くて良く見えないけど……あ、鏡の下に[実体が屈みこんだD-68717にゆっくりと手を伸ばす]なんか貼ってある…厚紙みたいな…何か書い[実体がD-68717にしがみ付く]てあるけど滲んでて良く[激しい破断音]
███博士: D-68717、返事をしろ。D-68717。駄目か。実験終了。
<録音終了>
結果: D-68717は胴部を掴まれ、猛烈な力で引かれたが、ワイヤーロープとハーネスで腰が固定されていた為[データ削除]。扉は約6分後に開いた。残っていたD-68717の遺体は[データ削除]。
実験記録141-1E - 日付2002/██/██
対象: SCP-141-JP、D-69204
実施方法: SCP-141-JP閉鎖時の内部状況観察を容易にする為曇りガラスを透明な強化アクリル材に交換した上で、D-69204を入室させる。
結果: [データ削除]
追記: 今実験で激しく破損した扉は撤去され、鋼鉄製の扉が設置されました。また、██人の人員喪失の責を問われ、SCP-141-JP研究主任の███博士はクリアランス降格及び異動処分となりました。尚、現在のSCP-141-JP研究主任は██博士です。
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scp-142-jp |
評価: +55+–x
初期状態のSCP-142-JP
アイテム番号: SCP-142-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-142-JPは標準的Safeクラスオブジェクト収容容器に布を被せた状態で保存されます。実験の際は上級研究職員に書類を提出し、目視による実験の全てはDクラスを用いて行われます。SCP-142-JPの図柄の変化は監視カメラを通じて行ってください。SCP-142-JPにより得られた技術の全ては記録し、機密文書として保管され、現在まで流用試験がなされています。
説明: SCP-142-JPはボール紙に油性塗料で書かれたように見える縦50 cm横90 cm厚さ2 mmの絵画です。使用されているボール紙はどの企業製品にも当てはまらない物であり、油性塗料も同様に詳細は不明です。裏面には英語で「木星往復記念」と油性塗料で書かれています。
SCP-142-JPは2001/2/3の███小学校における多数の児童の奇行、及びハイパーグラフィアの報告により発見されました。発見当初SCP-142-JPは「見るたびに絵が変わる学校の怪談」として広まり、件の美術室倉庫で発見されました。収容に際して6名のエージェントは倉庫内でSCP-142-JPに長時間暴露した児童が書いたとみられる66個の情報災害に曝露し、4名を終了1名が自殺、残りの1名の行方は現在財団が追跡中です。その後、関係者にはカバーストーリ"有機溶剤流出による脳の萎縮症害"が適用され、倉庫内の情報災害並びに落書きは全て判読不能になるまで洗浄され、既にSCP-142-JPに暴露した児童の全ては[編集済]。
SCP-142-JPの異常な特性は人間が直接SCP-142-JPを目視した時のみ発現します。SCP-142-JPを直接目視した被験者はその曝露時間に比例して、既存文化や文明に対する理解が史実上の過去のものへ置換されます。これにより置換された被験者の現代文化や文明への理解は消失します。その際に被験者は得られた過去の文化や文明を理解し、それに適応できる身体及び精神状況へ変化します(暴露実験記録3.4.6を参照)。SCP-142-JPの被験者の多くは曝露時間20分で全ての文化の認識ができなくなり、石器の認識も不可能になりますが、上記の例外として長時間曝露を受けた被験者は、未知の技術についての知識理解を得ます。これらの知識が文化としての振る舞いを見せた例はありません。被験者が曝露されている間、SCP-142-JPはその図柄を変え続けます。図柄の変化はおおよそ被験者の精神状態により異なり、鬱病の被験者と精神的健康を保った被験者では図柄の変化に大きな差異が認められます。(暴露実験記録1~5参照)SCP-142-JPが人間によって監視されていない間SCP-142-JPは徐々に図柄を変え被験者が直接目指したのと同じ時間をかけて初期状態に戻ります。
現在SCP-142-JPから得られた技術の研究が進んでいます。変化記録6以降全ての技術研究は中止されています。
暴露実験記録1 - 日付2001/2/20
実験終了直前のSCP-142-JP
内容:暴露実験 10 分間
被験者:D-142255 事前心理テストで特筆すべき事項はありませんでした。日本在住の平均的文化認識と主義思想を持っていると証明されています。
結果 :D-142255は10 分間SCP-142-JPを凝視し職員の呼びかけに応じず、10 分後にSCP-142-JPに布をかぶせるとD-142255は驚いた様子で辺りを見回しました。
事後検査の結果D-142255は電気通信技術、一部の現代語、その他の近代家電製品を理解しませんでした。D-142255の技術認識と語彙、食文化等からおおよそ16世紀から17世紀のものと判明。Bクラス記憶処理を施しましたが改善せず、月例解雇により解雇されました。彼の年齢、事前検査の結果から、17世紀の認識は矛盾しており、SCP-142-JPは古い文明の知識を被験者に与えている可能性が指摘されています。SCP-142-JPは視線を遮ってから10分かけて初期状態の図柄に戻りました、図柄の初期化は曝露時間と一致しておりその後のすべての実験でも同様の現象が確認されました。
暴露実験記録2 - 日付2001/3/1
実験終了直前のSCP-142-JP
内容:暴露実験 10 分間
被験者:D-142189 事前心理テストで特筆すべき事項はありませんでした。アメリカ在住の平均的文化認識と主義思想を持っていると証明されています。
結果 :D-142189は10 分間SCP-142-JPを凝視し職員の呼びかけに応じず、10 分後にSCP-142-JPに布をかぶせるとD-142189は昏睡状態に陥りました。
D-142189はおおよそ全ての時代の文明を理解せず石器の認識すら不可能でした。これは他の暴露実験記録から想定される個人差の範囲とは断言できません。████博士はSCP-142-JPがアメリカ独立以前の文明や文化の理解をD-142189へ付与せず、既存の理解のみが消失した結果であるとの仮説を立てています。
暴露実験記録3 - 日付2001/3/8
実験終了直前のSCP-142-JP
内容:暴露実験 15 分間
被験者:D-142943 事前心理テストで社会的病質傾向が指摘されました。
結果 :D-142943は15 分間SCP-142-JPを凝視し職員の呼びかけに応じませんでした。15 分後にSCP-142-JPに布をかぶせるとD-142943は驚いた様子で、警備員に掴みかかった所を沈静化されました。
事後検査の結果D-142943は狼煙、縄等の技術を理解しませんでした。D-142943の文化認識は紀元前とみられ、詳しい年代は翻訳がなされていない古代言語のため測定不可能です。
D-142943の社会的病質傾向は観測されず、行動からは精神的健康が見て取れました。D-142943は月例解雇によって解雇されました。
暴露実験記録4 - 日付2001/3/14
実験終了直前のSCP-142-JP
内容:暴露実験 60 分間
被験者:D-142020 事前検査で強い精神障害と知能障害が指摘されています。
結果 :D-142020の頭部を固定し60 分間SCP-142-JPを凝視しさせ続けました。60 分後にSCP-142-JPに布をかぶせるとD-142020は昏睡状態に陥りました。
SCP-142-JPは30 分後には図柄の変化をやめ、それから10 分間その状態を保ち、10 分後に図柄の変化が再開しました。
事後検査の結果D-142020は日本語が起源と思われる未知の言語で対応し、それが検査員に通じていないと判断すると、簡単な絵やジェスチャーで意思疎通を試みました。
D-142020は事前テストで指摘された問題の一切を示さず非常に健康体であり、現代JIS規格を説明すると未知の元素記号の登場する内燃機関の設計図を書き、D-142020はそれを永久機関であると主張しました。
D-142020は現在監視収容室に保存されその他の未知の技術を説明させています。D-142020は現在月例解雇を免除されています。
暴露実験記録5 - 日付2001/3/20
変化中のSCP-142-JP
内容:暴露実験 120 分間
被験者:D-142653 事前心理テストで特筆すべき事項はありませんでした。日本在住の平均的文化認識と主義思想を持っていると証明されています。
結果 :D-142653の頭部を固定し120 分間SCP-142-JPを凝視しさせ続けました。120 分後にSCP-142-JPに布をかぶせるとD-142653は1 分間笑い続けたあと昏睡状態に陥りました。
SCP-142-JPは30 分後には図柄の変化をやめ、それから10 分間その状態を保ち、10 分後に図柄の変化が再開しましたが、実験開始から20 分後に白紙になりました。それから実験終了まで図柄の変化はありませんでした。
事後検査の結果D-142653は恒常的興奮状態でインタビューの一切に応じず、木炭を与えると壁に████████、████████████、████、████████████、永久機関を含む未知の技術を用いた未知の構造物の設計図を書きました。その全てはSCP███、███、███の応用であると考えられています。D-142653は重要な機密事項違反として直後終了されました。
暴露実験記録6 - 日付2001/12/31
実験終了直前のSCP-142-JP
内容:暴露実験 200 分間
被験者:D-142AE35 事前心理テストで特筆すべき事項はありませんでした。日本在住の平均的文化認識と主義思想を持っていると証明されています。
結果 :D-142AE35の頭部を固定し200 分間SCP-142-JPを凝視しさせ続けた。200 分後にSCP-142-JPに布をかぶせるとD-142AE35は窒息状態に陥り[データ削除済]。
SCP-142-JPは暴露実験記録5と同様の変化をし、140 分の時点で新たな図柄が浮かび上がるように現れ現在の図柄に固定されました。D-142AE35の窒息は胚細胞の検査により水素9:ヘリウム1の割合のガスを供給した所安定しました。D-142AE35はおおよそ未知の言語と技術理解を保有していましたが特筆すべき技術の証言は得られませんでした。
D-142AE35はその後、異常加圧症とみられる脳梗塞で死亡しました。検死の結果D-142AE35は24.79 m/s²の重力加速度に適した骨格と筋組織に、0.7気圧の環境に適した循環系統に置換されていました。
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scp-143-jp |
評価: +93+–x
アイテム番号: SCP-143-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-143-JP-1は最新版の虫類型オブジェクト収容手順に従って、サイト-81██内の生類研究室-36に収容してください。メスに吸血されるとSCP-143-JP-2β個体が発生してしまうので、実験の目的でない直接の暴露を避けることには最善の注意を払い、必ず2013年以降に正式採用された指定防護スーツを着用してください。産まれた卵は全体の5%程度のみ残して全て終了させてください。
SCP-143-JP-1の生体標本は現在十分な個体数収容できているため、推定5 10 25匹未満の収容違反案件に際しては現場収容スタッフの判断で終了させてよいことになっています。野生の蚊の仲間よりも10倍程度薬剤への耐性があるため、直接触れずに叩く方法を推奨します。終了後の事後連絡は必ず行ってください。推定25匹以上の収容違反案件は第四位優先警戒となり、機動部隊る-9(”蚊遣り火”)が出動します。また、収容スタッフは6ヶ月に1度、機動部隊る-9による講習と訓練を受講することが義務付けられています。
SCP-143-JP-2は、同サイト生類研究室-36に隣接した収容室で収容されています。完全に密閉でき上部がガラス窓になっている12m x 12m x 12m以上の大きさの非鉄性コンテナLの中に、上面に穴があり内部の表面積が400m2より広い鉄製コンテナSを入れた、入れ子構造の中に収容してください。コンテナLは収容室床にしっかりと固定し、コンテナSは下記の手順に耐えられる最低限の強度の、非鉄性の細い鎖で四方をコンテナLの床に固定してください。清掃や修理が必要になった場合は密閉出来る酸素ボンベ付き防護スーツを着用して行ってください。
SCP-143-JP-2β個体(切断されたSCP-143-JP-2を含む)が実験や事故などにより新たに発生した、或いは新たに発見された場合、
収容室と研究室-36とを繋ぐオブジェクト用通路を開扉し、SCP-143-JP-2βに入室させる
SCP-143-JP-2がコンテナSの表面上にいることをコンテナLの窓から確認
電磁力発生装置を起動、コンテナSを浮遊させ、SCP-143-JP-2をコンテナSの表面に閉じ込める
コンテナLを開扉、SCP-143-JP-2βが収容施設に完全に入ったことを確認して閉扉
電磁力発生装置の電源を切る
以上の手順で収容してください。装置の操作手順や管理方法、各コンテナの詳しい構造などについては別紙の補足文書を参照すること。
説明: SCP-143-JP-1はヒトスジシマカ(Aedes (Stegomyia) albopictus)の近縁種に分類されると思しい生物です。外見や習性などは野生の同種に準じますが、寿命的にほぼ不死であること、野生の同種のおよそ14倍の薬剤1への耐性を持つこと、同じく本体の強度も3倍程度あることがわかっています。また、繁殖力は財団が収容した時点で約█倍、更に代が増す毎に██%~███%程度上昇しています。
メスのSCP-143-JP-1(SCP-143-JP-1Fとします)の分泌する唾液には通常ヒトスジシマカの唾液にはない幾つかの物質が含まれています。内7つは他の財団収容済みオブジェクトから過去に検出されたもの、4つは全く未知のものでした。しかし生体実験の結果では、身体的な有害性は野生の蚊の種類と比して殆ど違いがありません。この唾液が被験体の体内に侵入すると、被験体には野生の蚊に吸血された時と同様のアレルギー反応が起こり、侵入部は血管が拡張することで赤みを帯びて少し膨らみ、痒みを感じるようになります。しかし侵入から大凡60~100秒後、生じた赤みは全て未知の方法で自立移動するようになります。この段階の赤みはSCP-143-JP-2βと定義されています。
+ 添付画像: SCP-143-JP-2β参考写真 (注意 -- 閲覧により強い嫌悪感を催す恐れがあります)
- 添付画像を隠す
実験 143-JP-█実施中に撮影
— D-39872の体表上を移動するβ個体
SCP-143-JP-2βはゴキブリ目(Blattodea)に近い素早い動きで移動し、恐らく虫類程度の知能と、知覚不可能なように思える三次元空間を含んだ非常に広い空間の把握能力を持っています。このオブジェクトは垂直方向に2mm以上の空間を確保できる固体の平面であれば、直接繋がっている面なら何処にでも進んでゆくことができます2。生体の体表にいる時のSCP-143-JP-2βは血管の拡張現象として現れていますが、それ以外の場所では、その時いる平面の材質に不自然に浮き出た、2mm程度の赤い膨らみとして存在します。この時のSCP-143-JP-2βに特別な成分が含まれているかどうかは、捕獲が困難なことと、検査器具自体にも這い登ってしまう3ことから実験が難航しています(後述のSCP-143-JP-2についても同様)。
SCP-143-JP-2βは移動を始めると、現在までの事例では例外なく全て、SCP-143-JP-2を目指して進みます。SCP-143-JP-2はSCP-143-JP-2βの集合体で、少なくとも財団が収容しているのは1体のみです。報告書最終更新時点でその面積はおよそ37m2ほどあります。観察される限りでは、代謝や代謝に準ずる機能によってこの面積が小さくなることはありません。何らかの外的要因でSCP-143-JP-2が切断された場合は、最も大きな部分のみがSCP-143-JP-2としての機能を保ち、残りの部分はSCP-143-JP-2βに近い振る舞いをすることがわかっています。
SCP-143-JP-2は大部分でβ個体と同じ性質を持ちますが、これは普段周辺部を細かく波打たせながら、粘菌を思わせる緩慢な動きで移動します。但し近くの生体に向けて幾本かの細い触腕のような部分を伸ばすことがあり、これは最長で10m伸ばせ、末端の速度で推定秒速約40mで動かせるようです。また、どんな細い面へも進むことが出来ますが、平面において身体を重ね合わせることは不可能らしく、細い棒の表面などを進む場合には広い身体を移動させるためにかなりの時間をかけなければいけないようです。動作からはβ個体から確認できない音への反応が見られるほか、β個体よりも幾らか高い知能を持つように見受けられますが、各種知能テスト・能力テストの実施方法の確立の目処が立っていないため、現在までのところ詳しい能力は不明です。
β個体には無い独自の特性として、SCP-143-JP-2には、人獣を問わず動物の体表にこれが触れると触れた部分にかぶれたような赤みと強い痒みを生じさせ、触れた面積と同じだけ自身の面積を拡げる能力があります。これはSCP-143-JP-2の捕食、あるいは生殖に当たる行為なのではないかと思われます。この痒みは野生の蚊やSCP-143-JP-1Fの唾液によるものよりも明らかに強く、個人差はあれど1~5時間ほど継続します4。また、痛み、冷たさ、熱などの信号はこの痒みを一時的に紛らわせることが出来ますが、抗ヒスタミン剤などの痒み止め作用のある薬は効果が殆ど確認できません。触れた部分の血管の拡張は見られますが、血流の活発化などの物理的要因から来るもの以上に、神経自体や脳の認識そのものに影響を及ぼしていることに由来する痒みなのではないかという説が有力です。
補遺: SCP-143-JP-1及びSCP-143-JP-2は████県北部の山中にあった研究施設らしき建物で発見されました。発見時には人間が去ってから既に一週間は経過している様子でした。この建物は日本生類創研の小規模な実験施設の一つとみられ、所在地の土地の本来の持ち主は現在も失踪中です。
発見段階ではSCP-143-JP-1は凡そ████匹が"D-343"と書かれた大きな飼育槽で飼育されている状態でした。SCP-143-JP-2は現在よりも7m2ほど小さい姿であり、現在の財団の収容施設とほぼ同じシステムのガラス張りの部屋で管理されていたようです。SCP-143-JP-1は繁殖に十分な量のサンプルのみをトラックで輸送し残りは駆除、次いでSCP-143-JP-2は民間のものを偽装した赤い気球を使って運搬し、共に直近のサイト-81██へ無事収容されました。
施設で発見された幾つかの文書より、このオブジェクトが一種の拷問に用いるために作られ、3年半もの間複数の団体を顧客として同施設で実際に運用されていたこと、主に顧客減を理由として運用が凍結され同施設が放棄されたこと、移動の困難さゆえにこのオブジェクトがそのまま同施設に残されたことがわかりました。また、SCP-143-JP-2をある程度手懐けてコントロールする技術があったことも文書の記述から判明しており、現在もその方法は模索中です。
実験記録 143-JP-██ - 20██/██/██
実験内容: Dクラス職員D-52646をSCP-143-JP-2収容施設に長時間放置。経過を見る。
結果: D-52646は困惑しつつもオブジェクトに接近。残り2mの地点でオブジェクトの触腕に足を触れられ、急に痒みが生じたことに驚いたらしく転倒。直後にオブジェクトが体表を覆ったのを確認して、以降8時間放置した。
D-52646は5分後にDクラス職員用制服を脱ぎ捨てて裸になり、身体中を掻き毟り、悪罵を続けながらも実験終了まで生存。終了後に失神し、防護スーツを着た収容担当スタッフに抱えられて収容室を退室。出血部位の手当てが行われた。
直後の検査の結果、D-52646の全身の体表、眼球、食道、気道の一部、[編集済み]、[編集済み]などに赤みが見られた。オブジェクトの面積は2.5m2ほど拡大した。
分析: 面積拡大が人間一人分の体表面積よりも明らかに大きい。これは直接触れ続けることで、"痒みが引いてゆく端からまた痒くする"ことが可能になっているのだと推測している。
また、当初はアナフィラキシーショックの症状が現れるのではないかと予測されていたが、実際には見られなかった。察するに、オブジェクトの開発者はより効率的に拷問を行うために敢えて致死的な有害性を排したのではないだろうか? 各仮説の結論を出すには続く実験が必要であろう。
Footnotes
1. 殺虫効果を期待したピレスロイド系及び有機リン系化合物などで実験。
2. 例えば、SCP-143-JP-1Fに腕を刺された被験体が床の上に立っているならば、生じたSCP-143-JP-2βは体表を伝って足へ、靴を伝って床へ、続いて壁や天井、置いてあれば机などに進むことができます。被験体が何らかの方法で宙に浮いているならばSCP-143-JP-2βは被験体の体表で閉じ込め状態にありつづけることになるでしょう。
3. 恐らくはオブジェクト自体の僅かな厚みを原因として、這い登られた計器類はしばしば歪むか、悪い場合故障してしまいます。
4. この個人差は野生の蚊の毒性への耐性との関連性が認められています。
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scp-144-jp |
評価: +97+–x
サイト-8155に収容中のSCP-144-JP
アイテム番号: SCP-144-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-144-JPは山中に設置されたサイト-8155に収容されています。その性質上、SCP-144-JPを任意の場所へ移動させることは困難です。SCP-144-JPは宿泊客が居る場合移動しないという習性がある為、サイト-8155職員はDクラス職員を用いてSCP-144-JPが移動しないように常に誰かは宿泊させてください。
事案144-3の発生以降、サイト-8155を含む周辺10kmのイノシシの個体数、及びSCP-144-JPの状態は常に把握することになっています。イノシシの個体数が減少している場合、あるいはSCP-144-JP内に損傷が長期間存在する場合、その程度次第によってはサイト-8155で養殖されたイノシシをSCP-144-JPに与えてください。
説明: SCP-144-JPは1996/█/██に兵庫県の山中で発見された旅館に擬態するイノシシの群れです。原理は不明ですが擬態は肉眼や撮影機器を問わず見分けることは困難です。これまでいくつかの場所に移動していることが確認されており、その全てが人通りの少ない山中に出現しています。擬態ではありますが一般的な旅館と差異無く機能しており、また旅館内外ほぼ全てがSCP-144-JPで構成されています。床や壁を初め、布団や畳、トイレットペーパー等の消耗品に至るその全てがSCP-144-JPの各個体です。唯一の例外は浴槽だけです。
外観は一般的な旅館と変わらず、入館すると女将として30歳前後の着物の日本人女性に見えるSCP-144-JP-1が出迎えてくれます。SCP-144-JP-1は常に同一の個体であり、どのような状況でも玄関口に現れ入館者を部屋へと案内しようとします。SCP-144-JP-1は基本的には友好的ですが下記のように特定の行動を取ることで非常に敵対的な存在になります。宿泊の最中、他に宿泊客が居てもその宿泊客と出会うことはありません。内装は高級旅館を思わせ、宿泊者は皆一様にして「今までで一番綺麗な旅館だ」「館内全体に漂う自然の香りに癒される」等のように、絶賛します。
以下は館内の精密な調査結果をまとめたものです。
館内全般
本来ならあるはずのイノシシの感触は一切感じられない。
床
違和感は無く、手入れの行き届いた状態が保たれているように感じるが、 測量したところ水平な面が一切無かった。
壁
上記と同様。
香り
心地よい香りが館内に充満しているが、SCP-144-JPから揮発性の麻薬成分が含まれるいくつかの物質を放出していることが判明。中毒性は薄く健康を害するものではないが、擬態の補助と再来館させる為の幻覚作用として放出しているものだと考えられる。
水道
館内の水は全てがイノシシの尿であり、館内で販売されている飲料や食事の際に出される飲料も全てイノシシの尿だった。
露天風呂
天然温泉を謳っており、肩こり、リウマチ、骨折に効くと看板が立てられているが、実際の成分はイノシシの尿。浴槽を影響の出ない程度に削り、素材の鑑定をしたところ、ただの木であることが判明。同様の調査を数度繰り返した結果、巨大な木製の桶状の物に自らの尿を入れている可能性が極めて高いと判断された。何故浴槽だけ木を用いているかは不明。
料理
イノシシ料理に限定されるが一般的な旅館に見劣りしない懐石料理が出され、味も最高だと評判。食したことによる身体的影響は見られない。
廊下
鮭を咥える木彫りのイノシシやイノシシのブロンズ像、イノシシの肖像画等、イノシシをモチーフにしたオブジェが50cm間隔で置かれている。
部屋
一般的な和室。扉や襖にはデフォルメされたイノシシの絵やイノシシの水墨画が描かれている。布団と枕は一般的なものに比べて一回り大きく、重い。
館内の備品や施設を破壊した場合SCP-144-JP-1が即座に出現し、常識的な謝罪と賠償を求めます。これに従わなかった場合、SCP-144-JP-1がその対象に攻撃を加えます。破壊された備品や施設は一般的な物と同様に破損状態を維持し、同時に破損状態に対応したイノシシの死体もSCP-144-JPの周囲に出現します。破損の修復や消耗品の補充として、この宿泊客に攻撃を加えた際に対象を館内の床や壁へ押し付け取り込む行為、あるいは新たなイノシシをSCP-144-JPに取り込むことが確認されています。イノシシを取り込む場合は、イノシシが何かに寄せられるかのようにSCP-144-JPに近づき、触れることで完了します。また、調理や清掃等勤務中の従業員であるSCP-144-JPを調査しようとした際も、同様に彼らが攻撃的になりました。
事案144-JP-3: サイト-8155職員が宿泊を行おうとした際、SCP-144-JP-1に██学園野球部の予約が入って空き部屋が無いという理由で宿泊拒否されることがあり、即座に██学園に確認をしたところ、そのような事実は無いという回答をされました。しかし2日後、合宿に向かう██学園野球部が宿泊先の送迎バスごと失踪するという事案が起きました。SCP-144-JP-1にこのことを問い詰めると、「██学園の皆さんは当館がお気に召したようですね」と返答し以後の質問に対して消極的な回答しかしなくなりました。この1週間前にSCP-144-JP-1が「最近ボイラー室の老朽化が激しい為、改装を考えている」と証言していたのをサイト-8155職員が聞いており、何らかの手段を持って外部から人間を取り込んだと推測されています。
梅田博士の報告: サイト-8155に来てから半年間、週に2度は調査も含めて利用し、SCP-144-JP-1とも何度も話した。私が騙されているだけか、あるいは精神操作を受けているかもしれないのでここからは話半分程度で聞いてもらいたいのだが、結局のところ彼らの目的はよくある昔話の域を出ないものだ。ただ、人間を驚かすではなく、人間に尽くす方のだがね。問題なのは彼らが所詮イノシシであり、狐や狸のような知能が無いということだ。だからこんな雑で時代錯誤なことしか出来ない。事案144-JP-3に関しても自分達の状況と行動をまったく理解していなかったからだ。とはいえ事案144-JP-3は見過ごすわけにはいかない。次にあのようなことを起こすことがあれば私が責任を持って終了させよう。
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scp-145-jp |
評価: +96+–x
アイテム番号: SCP-145-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-145-JPの所在地の野原は現在、財団の私有地となっています。SCP-145-JPを中心に周りを塀で囲い、一般市民の立ち入りを防いでください。SCP-145-JPの近くには簡易観測所が建設されており、職員はそこで各種の研究を行うことになっています。最低でも1名の職員は監視員としてSCP-145-JP内で異常が発生していないかを観察してください。職員のSCP-145-JP内への立ち入りは禁止されています。
事件145-JP-A、事件145-JP-Bを受け、SCP-145-JPの周囲に高さ25mの強化防壁が設置されました。また、簡易観測所には重火器が配備され、新たに武装警備員10名が配属されました。
説明: SCP-145-JPは██県██市にある半径7mの異常な楕円体の空間です。SCP-145-JPの範囲は上空20m、地下はおそらく最低でも17mにまで達しています。SCP-145-JPは野原に存在しているのにも関わらず、その空間内だけは別世界が再現されているように見えます。SCP-145-JP内の地面にはコンクリート舗装がされており、その上にはありあわせの物で作られたと思われるバリケードが作られています。一部のバリケードはSCP-145-JPの境界にまたがって存在しているため、まるで半分で切断されているように見えます。SCP-145-JP内の時間帯とこちらの世界の時間帯はある程度同じであると推測されています。
SCP-145-JP-1は、既存の警察組織の機動隊員に酷似した装備を持つ人物です。SCP-145-JP-1はSCP-145-JP内に現れ、必ず複数人でバリケード前にて待機します。SCP-145-JP-1は独自の勤務体制をとっていると思われ、大体6時間ほどで別の機動隊員達と交代します。交代要員はバリケードの内側にある境界から現れるため、何かしらの施設がその向こうに存在すると推測されています。SCP-145-JP-1はバイザー付きのヘルメット、POLICEと書かれたプレートの付いた防弾ベスト、防護用盾、小銃を装備しており、それとは別に各々が個人的に用意したと思われる近接武器や食料を所持しています。SCP-145-JP-1は基本的にはそれぞれ言葉を交わすことはありませんが、時折現状についての不満や、将来への不安を口にします。
SCP-145-JP-2は正体不明の体長10mほどの二足歩行を行う生物です。不定期に複数体がバリケードの外側の境界からSCP-145-JP内に現れます。SCP-145-JP-2は白く湿った肌をしており、両生類のような見た目をしています。SCP-145-JP-2は人類に敵対的であり出現時、バリケードの内部に侵入しようと試みるためSCP-145-JP-1と戦闘になります。SCP-145-JP-2の出現は、その前にSCP-145-JP-1による強力な銃器の準備やバリケードの増強が行われるため、容易に予測可能です。SCP-145-JP-2は攻撃に対して高い耐性を示し、これを撃退するSCP-145-JP-1の試みは必ず多数のSCP-145-JP-1の犠牲を伴います。しかしそれでも、今までSCP-145-JP-2がバリケードの内側への侵入に成功した例はありません。戦闘後には生き延びたSCP-145-JP-1によって死体の後処理などが行われます。また、戦闘中にSCP-145-JP-1が放った銃弾はSCP-145-JPの境界を越えた時点で存在しなくなるため、安全であることを職員は留意しておいてください。
事件145-JP-A
20██/04/15
交代要員として入ってきたSCP-145-JP-1のひとり(SCP-145-JP-1-48)が突然、財団の監視員に向かって声をかけました。SCP-145-JP-1-48は監視員に向かって歩み寄りつつ、どうやって外で生き延びていたのか、他に「要救助者」はいるかと聞きました。SCP-145-JPの境界を越えるとSCP-145-JP-1-48は驚いたように辺りを見渡し、軽度の混乱を見せながら自身の現在の所在地について監視員に尋ねました。監視員が答えないでいるとSCP-145-JP-1-48は更に、何故ここには「奴ら」がいないのか、何故「同僚」には監視員が見えていないのかと矢継ぎ早に質問を繰り返しました。そこでSCP-145-JP内にSCP-145-JP-2が出現し、SCP-145-JP-1が応戦を始めました。その中の一人がSCP-145-JP-1-48のものと思われる名前を叫び、どこにいったのかを大声で尋ねると、SCP-145-JP-1-48は逡巡しつつもSCP-145-JP内に戻りました。その5分後、SCP-145-JP-1-48はSCP-145-JP-2の中の1体に身体を引き裂かれ死亡しました。
事件145-JP-B
20██/04/16
出現した1体のSCP-145-JP-2が、突如SCP-145-JP-1への攻撃を止め監視員の方を注視しました。監視員が後ずさると、SCP-145-JP-2は彼に向かって近づき、SCP-145-JPの境界をまたごうとしました。その隙をついてSCP-145-JP-1の一人が放った、対物ライフルのものと思われる銃弾がSCP-145-JP-2の頭部を粉砕し一時的に無力化しました。それに準じた6名のSCP-145-JP-1による決死の至近距離からの銃撃により、4名のSCP-145-JP-1の犠牲と引き換えにそのSCP-145-JP-2は処理されました。
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scp-146-jp |
評価: +44+–x
回収前のSCP-146-JP。
アイテム番号: SCP-146-JP
オブジェクトクラス: Safe Euclid
特別収容プロトコル: SCP-146-JPは、サイト-81██にある小型動物飼育房にて飼育されます。定期的な給餌と産卵の確認を行ってください。産卵が確認された場合、一日毎にSCP-146-JPの睡眠中に回収を行いを隔離した状態で回収を行い、孵化器に移し孵化後に処分を行ってください。定められた焼却処理を行ってください。
説明: SCP-146-JPは異常性を持った雌の鶏██匹と、SCP-146-JPの卵であるSCP-146-JP-1、卵から発生するSCP-146-JP-2に分類されます。SCP-146-JPは一見通常の雌鶏と変わりませんが、老衰で死ぬことはありません。また、これらの個体を終了することは可能ですが、許可はされていません。
SCP-146-JPは一般的な雌鶏と同様に1日1度SCP-146-JP-1を産み、およそ10前後のSCP-146-JP-1を産み終えると抱き始めます。これらは一般的な鶏卵と同様20日前後で孵化しますが、この際SCP-146-JP-1からは何も現れず自然と割れ、鶏卵の殻のみが残ります。超音波検査の結果、SCP-146-JP-1内部は割れる直前及び孵化直前まで広大な空洞に繋がっていることが判明しています。
SCP-146-JPの特異性は、卵であるSCP-146-JP-1を破壊することにより発現します。産卵から一定の日数が経過した状態でSCP-146-JP-1を破壊すると、日数に応じて大きさの変化するSCP-146-JP-2が出現します。これらはSCP-146-JP-1のサイズと明らかに異なっている場合がありますが、どういった手段でSCP-146-JP-1内に収まっているかは不明です。SCP-146-JP-2は産卵後の経過日数に比例して巨大化、狂暴化の傾向が見られますが、産卵から7日までの個体であれば対大型動物用装備にて鎮圧が可能です。7日を過ぎた個体に関しては通常の方法では殺害できません。万一誕生してしまった場合、プロトコル[飼育係]を実行し適切に処分を行ってください。
また、産卵前のSCP-146-JPを殺傷、あるいは給餌を行わず餓死させると、確認された中で最大のサイズを持つSCP-146-JP-2が██体生まれることが確認されています。これは、平均的な雌鶏が生涯に産卵する回数とおおよそ一致しています。
これまでに確認されたSCP-146-JP-2群
対象: SCP-146-JP-2-a
経過日時: 産卵直後
概要:通常の鶏卵と同様の内容物が現れる。高タンパクで非常に美味、栄養価が豊富なことが判明している。
対象: SCP-146-JP-2-b
経過日時: 産卵から24時間
概要:嘴部、脚部の明らかな肥大が見られる雛が誕生。従来の鶏の雛と同様の行動が見られる。焼却処理を行い無力化済み。
対象: SCP-146-JP-2-c
経過日時: 産卵から72時間が経過
概要:嘴部、脚部の異常な肥大化が見られる駝鳥に似た個体が誕生。誕生直後、Dクラス職員に襲い掛かる。Dクラス職員一名が死亡、研究員一名が負傷。エージェント██により無力化済み。
対象:SCP-146-JP-2-d
経過日時:産卵から148時間が経過
概要:SCP-146-JPの睡眠中、研究員がSCP-146-JP-1を回収しようとしたところSCP-146-JPが覚醒、SCP-146-JP-1を破壊。これにより2.25mの体躯を持つSCP-146-JP-2-dが誕生。収容房を破壊し、脱走を試みる。研究員一名が死亡。SCP-146-JP-2-dはエージェント██により無力化済み。
対象:SCP-146-JP-2-e
概要:SCP-146-JPの内、一体を終了したところ、[削除済]。
収容房内がSCP-146-JP-2-e群で満たされ、房内にいた研究員二名が死亡。それぞれの個体は圧死し無力化。これにより小型動物飼育房にて大規模の収容違反が発生しました。
本当に迷惑な鶏だ……こいつらは一体どこに転移してるんだ?――██博士
補遺:孵化器に移す形でのSCP-146-JP-1の処分を行っていた際、孵化したSCP-146-JP-1からSCP-146-JP-2が発生。 ██名の死傷者が発生し、小型動物飼育房の1つが破壊されました。1
鎮圧後、孵化器に残っていたSCP-146-JP-1の1つから文書が回収されました。
残ったSCP-146-JP-1の一つから回収された文書
お世話になっております。闘永舎です。突然のご連絡で申し訳ございません。現在、お客様の飼育なされている[編集済]に不具合が発生しております。送料はこちらでご負担致しますので、販売元への返送をお願い致します。返送先は[編集済]2 となっております。何卒よろしくお願い致します。
Footnotes
1. これ以降、孵化器での孵化は中止され、焼却での処分に切り替えられました。
2. 返送先の住所は[編集済]となっていますが、この住所には闘鶏場の跡地が存在するのみでした。
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scp-147-jp |
評価: +358+–x
SCP-147-JP、胸より上の部分
アイテム番号: SCP-147-JP
オブジェクトクラス: Euclid Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-147-JPはサイト-8141にある中型収容室内の5メートル四方の強化水槽の中で収容されます。収容室内はカメラによって監視され、水槽内の温度は摂氏18~25度に保たれます。基本的にSCP-147-JPは食事を必要としませんが、SCP-147-JP自身からの要求があった場合は与えても構いません。また、担当職員は2日に1回、中の水を交換して掃除を行ってください。更に、研究を円滑に進めるために、職員は定期的にSCP-147-JPとSCP-147-JP-1を接触させて下さい。(半日に1度が好ましいです)この時の会話ログは取らなくとも結構ですが、必ず最低でも1名の警備員を配置させてから接触を行わせてください。
SCP-147-JP-1は同様にサイト-8141の、人型収容室で保護してください。SCP-147-JP-1には1日に3回、食事を配給して下さい。SCP-147-JP-1から要求されたものは、それが適切である限り与えても構いません。毎日、教員の資格を持つ財団職員の手で通常の教育過程に応じた進度の教育をさせて下さい。SCP-147-JP-1にはその経歴から、大人への不信感や恐怖心があります。担当職員は注意して下さい。
説明: SCP-147-JPはゼラチン質の身体をもつ、思考能力を持つヒト型の水棲生物です。SCP-147-JPの身長は1.4m、体重は21kgで、未知の手段による発話能力を持ちます。ヒトの腕に当たる部分には半透明の触手を持ち、それらを器用に扱うことができます。また、SCP-147-JPは水の中以外でも行動ができ、1~2時間程度であれば自ら歩いて陸上を移動できます。加えてSCP-147-JPは発光能力を持ち、常に身体の器官を繰り返し点滅させていますが、これには特筆すべき異常性はありません。なお、SCP-147-JPはSCP-147-JP-1との定期的な接触をさせることで、財団の研究に対し非常に友好的かつ協力的になります。
SCP-147-JP-1は12歳の一般的な男性です。(本名: ██████)SCP-147-JP-1はSCP-147-JPを友好的かつ協力的な状態に保つために保護されています。また、SCP-147-JP-1の持っていた情報は、SCP-147-JPの特別収容プロトコル制定・管理に大きく貢献しました。SCP-147-JP-1は██県の███という小さな村でSCP-147-JPを保護していたところを確保されました。虐待などの問題行動の多かった父親の元へ訪問してきた児童相談所の職員がSCP-147-JPを発見し、警察に通報したことで財団が確保に動きました。当の父親はこの1ヶ月、別の女性の家で寝泊まりしており家には帰っていませんでした。エージェントによる状況掌握後、関係者には記憶処理を行い、SCP-147-JP-1は児童養護施設に入居することになったとのカバーストーリーを流布しました。
インタビューログ: 147-JP-1-002
日付: 19██/██/██
█████博士: SCP-147-JP……つまり君のいう妖精さんとは、最初にどこで会ったのかな?
SCP-147-JP-1: は、はい……その、山の奥にあった、誰も住んでない家で、です……。
█████博士: そんなに固くならなくていいよ。僕たちは君に危害を加えたりしないから。じゃあ、その家のことを詳しく聞かせてもらえるかな?
SCP-147-JP-1: ええと……前に見つけた時から気になってたんですけど、その日は何だか入ってみようかな、という気になって……。あの、本当は悪いことだって知ってるんですけど、その……。
█████博士: いいよ、大丈夫。誰にでも好奇心ってのはあるもんだ。で、そこにSCP-147-JPが居たのかな。
SCP-147-JP-1: はい……その家の地下室の、檻みたいになっていた水槽の中にいました。僕に彼女がここから出してって言ってきたので、なんとか出して……
█████博士: 風呂場で保護してあげてた訳か。なんでSCP-147-JPを「彼女」だと言ったんだい?
SCP-147-JP-1: は、はい。何となく、です。
█████博士: ふむ。じゃあ最後に。その家には前に誰が住んでいたか知ってるかな?
SCP-147-JP-1: え、あ、はい。海について調べてた学者の人、というのは聞いた事があります。
█████博士: そうか。ありがとう。今日はここまでだ。次もまたお兄さんとお話してくれるかな?
SCP-147-JP-1: 大丈夫です。すいません、あまり役に立たなくて……。
█████博士: いやいや。とても参考になったよ。
[インタビュー終了]
インタビューログ: 147-JP-009
日付: 19██/██/██
█████博士: さて、今日は君の出自についてだ。海洋学者とされている男の家から助け出されたのはわかった。そいつはどんな奴だった?
SCP-147-JP: 彼のことについてはよくわかりません。物心ついたときにはあそこにいたのです。
█████博士: なるほど……。君が小さい頃、もしくは卵かなんかの時には既に水槽にいたのかもしれないな。
SCP-147-JP: 彼は一度も私を外に出してはくれませんでした。あの狭い檻の中にずっといました。彼から教えてもらったのは言葉だけでした。彼がどこかへ行ってしまってからは、私は希望を捨てました。私は年をとらないせいで一生、この狭い檻の中から出られないのだと。このまま、緑色に濁った水の中で生きていくことになると。
█████博士: でも、そうじゃなかった。
SCP-147-JP: ええ。しかし、結局はあなた達も一緒でした。少し檻が広くなっただけです。でも、あの子は違いました。私に「大丈夫だよ」と声をかけあの場所から助け出してくれました。そして外の世界を見せてくれました。短い間でしたが、それは素晴らしい瞬間でした。
█████博士: 君はあの子だけは信じているんだね。
SCP-147-JP: ええ、そうです。あの子の為なら何だってするでしょう。
[インタビュー終了]
事件147-JP: 収容違反の概要
19██/██/██(15:20)、担当職員が水の交換から帰らないことを不審に思った別の職員が監視カメラをチェックしたところ、SCP-147-JPが収容室内を歩いているのを発見しました。SCP-147-JPの側には気絶した担当職員が倒れており、監視していた職員はSCP-147-JPに水の中へと戻るように促しました。しかし、SCP-147-JPはそれを拒否し、担当職員と█████博士を触手で攻撃しようとしました。5分後、3名の警備員が鎮圧のために派遣され、高出力テーザー銃や麻酔銃を撃とうとしましたが、SCP-147-JPが身体を強く発光させたために視界を奪われ、その間に触手で窒息させられ気絶しました。SCP-147-JPはその後も頑なに水槽に戻ろうとしなかったため、SCP-147-JP-1の投入が決定されました。その頃には既にSCP-147-JPの身体は乾き、しなびはじめていました。16:52、5名の武装警備員の警護の下、SCP-147-JP-1による説得を開始しました。しかし、SCP-147-JPはそれに従わず、それからおよそ2時間が経過するまで水槽の外で依然として立ったままでした。19:27、SCP-147-JPが突如として倒れ、もはやその身体は脱水のために生命活動を停止していることが明らかになりました。これにより、19:28を以てSCP-147-JPは正式にオブジェクトクラスをNeutralizedに変更されました。この事件の後、SCP-147-JP-1を収容する意義は失われたとして、日本支部理事数名の許可により彼はSCP格付けから除外されました。そして2日後、SCP-147-JP-1の解放が決定され、Cクラスの記憶処理を施された後、一般の児童養護施設に入居することになりました。
+事件147-JP: 事情聴取ログ - █████博士
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事件147-JP: 事情聴取ログ — █████博士
日付: 19██/██/██
エージェント███: 事件147-JPの前に何があったんですか?
█████博士: かの……SCP-147-JPは私にSCP-147-JP-1を解放してやってくれないかと頼んだ。あの子は今、檻の中に居るのと変わらないじゃないか、と。
エージェント███: それで何と?
█████博士: もちろん、それは出来ないんだ、と言った。そしたら彼女は、あの子にはこれから色々な未来が待っていて、無限の可能性があるんだと言った。あの子はいつか消防士になりたいと言っていたが、そうはならないかもしれないし、その通りになるのかもしれない。誰かをひどく傷つけてしまうかもしれないし、その逆に誰かの命を救うことになるかもしれない、と。どちらにせよ、今のこの状況ではそうした可能性を持つ事さえあの子には無理なことなのだと、そう言っていた。
エージェント███: 続けて下さい。
█████博士: 彼女自身がそれを奪っているのかもしれず、それは耐えられないと言った。檻の中に閉じ込められ、自由を奪われる辛さを知っているからこそ何とかしてやりたいのだとも言っていた。彼女はほんの一瞬だけれども、あの子のおかげで自由を得る事が出来た、それでもう充分だと。そんなことを言っていた。
エージェント███: 他には何か言っていましたか?
█████博士: そしたら彼女は、自分があの子にしてあげられることは1つなんだ、と言っていたよ。
エージェント███: それが何なのか、心当たりはありますか?
█████博士: 心当たり? 私たちはそれを見たじゃないか。
[聴取ログ終了]
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scp-148-jp |
評価: +45+–x
職員によってカンバスに描写されたSCP-148-JP
アイテム番号: SCP-148-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-148-JPは生物サイト-8102内の地下██階の強化コンクリート製の標準的な大きさの部屋にあり、そこで標準的なサイズの固定された大理石製の鳥籠内に保管されています。
給餌は1日に1回、Dクラス職員によって、くず鉄を約3.5kgか、直径28mmの鉄製ゼムクリップを同量分、鳥籠の格子の隙間から内部へ投入します。
SCP-148-JPの保護領域内では金属の持ち込み、配置はできません。対象に直接触れる場合は、金属探知機による検査を受け、全身防護服を使用してください。その際、SCP-148-JP-2に触れようとすることは、SCP-148-JP-1の狂暴化を引き起こすために禁止されています。SCP-148-JP-2を保護領域外へ持ち出すことは収容違反を引き起こす恐れがあるため固く禁じられています。
SCP-148-JP-2が"孵化"するなど、SCP-148-JP-1が保護領域内に2個体以上存在する場合は、1個体になるまで破壊します。その際はCFRPなど金属以外の材料で製造された銃火器の使用が推奨されます。
また、SCP-148-JPを撮影することは、収容違反を引き起こす可能性が高いため、動画静止画を問わず一切禁じられています。これは実験においても同様です。
SCP-148-JPにつつかれたスタッフは、即座に服を脱ぎ、組成が変化し始めた部分を身体から遠ざけます。この初期対応が間に合わず、身体の一部の組成が変化してしまった場合は、早急に施設内の医療施設を受診してください。
説明: SCP-148-JPは体長12cmの真っ白な、大理石のような物質でできた小鳥(SCP-148-JP-1)と、長さ2cm程度の同じ物質でできた卵(SCP-148-JP-2)です。
SCP-148-JP-1は体色と食性を除けば、スズメ(Passer montanus)とほぼ同じ特徴を有しています。SCP-148-JP-1は純白の大理石のようにみえる外見を持ちますが、通常のスズメ同様に跳躍、飛行などの行動が可能であるため、その身体の材質は未知の物質であると考えられています。
SCP-148-JP-1は餌として金属のみを摂取します。餌に対する執着は非常に強く、自身を中心とする半径約50m圏内に入った金属に反応し、猛烈な勢いで啄みます。以前、SCP-148-JP-1に餌となる金属を与えない実験が試みられましたが、SCP-148-JP-1の狂暴化を助長、収容違反を引き起こし、観察を担当していた職員1名が死亡しました。以降、SCP-148-JP-1の断餌実験は禁止されています。
また、SCP-148-JP-1は動くものなら金属以外でもつつき反応を示します。この場合、つつかれた対象はSCP-148-JPのような真っ白な大理石状に組成を変化させます。この変化はつつかれた箇所から秒速約5cmの速さで染みのように広がっていき、激しい痛みを伴います。染み状の変化はつつかれた箇所から接触しているものを伝って半径約50cmまで放射状に進みます。変化後の物質の組成は大理石と全く変わらないことが確認されています。
SCP-148-JP-2はSCP-148-JP-1の食べ残した金属によって構成された"巣"の中に存在しています。SCP-148-JPの発見当初は3個でしたが、収容中にSCP-148-JP-1が産卵したため、現在は██個となっています。産卵ペースは1年に2,3個程度です。
SCP-148-JP-2は、SCP-148-JP-1が破壊されると、平均して72時間程度経過した後、SCP-148-JP-1へと"孵化"し、元のSCP-148-JP-1と変わらない大きさ、特性を持ったものへ変化します。
SCP-148-JPは自身が撮影された媒体を使って自己複製をします。SCP-148-JPを撮影した写真や映像が映し出され7分程度経過すると、媒体に映り込んでいたSCP-148-JPが消失し、SCP-148-JP-1が媒体から飛び出してきます。こうして複製されたSCP-148-JP-1も元の個体と同じ性質を持ちます。なお、カンバスへの写生された絵画にはこのような特性がないことが判明しています。この性質は、SCP-148-JPを撮影した写真からSCP-148-JP-1が発生した収容違反事故をきっかけとし、勇海博士の一連の実験により確かめられたものです。詳細は実験記録-甲を参照してください。
SCP-148-JPは████県内████川上流付近の山小屋で、小屋の所有者である芸術家████████に捜索願が出されたため派遣された警察官によって発見されました。その後、████県警内の職員により確保され、生物サイト-8102内に収容されました。
発見当初、SCP-148-JPは大理石製の鳥籠内にあり、付近には約173cmの高さで指を鳥籠に伸ばした状態の大理石の老人像の他、多数の大理石の彫像が確認されました。SCP-148-JPが発見された小屋は所有者がアトリエとして使用していたようで、鑿やハンマーなどの作業道具の他、スケッチなどが描かれたノートがありました。その中にSCP-148-JPの発生に関係するとみられる記述が発見されたため、以下に補遺として記録します。
補遺: SCP-148-JPが発見された小屋内にあった、芸術家████████のものとみられるノートの記述
真の芸術とは。
絵画、音楽、演劇、建築、写真、映画、
芸術と称する媒体は数有れど、その何れも完璧の境地に至るほど削ぎ澄まされてはいない。
魂とは。
展延とも通電とも無縁の、知恵の果実に侵される前の、
塊に宿る。
おお、母なる大地たる大理石よ。
この信念で振るわれた鑿に、
光あれ
+ 実験記録-甲
- アクセス承認
実験記録-甲 - 日付████/██/██
実験題目:撮影実験1
実施方法:国内メーカー製の一般的なコンパクトデジタルカメラで撮影。
結果:撮影時、対象は給餌時と同様、金属に対する興奮を見せた。撮影後、即座に現像がおこなわれた。写真は大理石製の鳥籠の中へ設置された。現像が完了して6分48秒後、対象の複製がおこなわれた。また、写真を映し出したディスプレイからの複製も確認された。新たに出現したSCP-148-JP-1は全て破壊された。
分析:████職員の「写真からSCP-148-JP-1が出現した」との報告を裏付ける形となった。写真の二次撮影物にも同様の複製効果があるという点は憂慮すべきだ。 - 勇海博士
実験題目:撮影実験2
実施方法:国内メーカー製の一般的なデジタルビデオカメラで撮影。
結果:撮影中、対象を映した液晶画面からの複製は起こらなかった。撮影後、映像を再生。6分57秒経過の時点で、カメラの液晶画面からSCP-148-JP-1が出現した。
分析:ライブ映像からの自己複製は確認できなかった。この結果を信頼するなら、保護領域内への監視カメラの設置は、映像を記録しないという条件を徹底すれば、許可できる。 - 勇海博士
実験題目:描画実験1
実施方法:紙と鉛筆を使用して対象をスケッチ。
結果:対象は平常どおりの行動を示した。スケッチに成功。
分析:描かれることは美的センスに適うようだ。 - 勇海博士
実験題目:描画実験2
実施方法:水彩画を描くレッスンの受講暦がある職員に、画材一式と布製カンバスを持たせ、対象を描画させた。
結果:対象は平常以上に大人しく、微動だにしなかった。描画に成功。
分析:ようやく報告書に掲載できそうな画像を手に入れた。これでもう、鳥好きの理事に叱られることもない。 - 勇海博士
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scp-149-jp |
評価: +85+–x
発見時のSCP-149-JP。
アイテム番号: SCP-149-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-149-JPは表面の劣化を防ぐ為にバルブ部分を除いた外部にウレタン樹脂を塗布した上で、収納時オブジェクトの円周が78.2cmとなるように設計された金属枠の中に収納されています。バルブへは空気圧維持用のチューブが接続され、サイト-81██の気密収容室で保管されます。SCP-149-JPの円周の変化は全て記録され、0.2mm以上の変化が確認された場合は自動的にSCP-149-JPへの空気の注入や室内の気温の調節が行われSCP-149-JPの外周を一定に保ちます。
説明: SCP-149-JPは異常性を有するゴムボールです。素材のゴムに異常性は確認されませんでした。SCP-149-JPは一般的なゴムボールと同様の耐久性を有していると推測されます。
SCP-149-JPの膨張、収縮に伴う外周の変化は地球の公転軌道に影響を及ぼします。SCP-149-JPの膨張により地球の平均的な公転軌道は通常よりも外側を通過するようになり、SCP-149-JPが収縮した場合は通常の軌道よりも内側を通過するようになります。SCP-149-JPの外周が1.0mm変化した場合、太陽-地球間の距離は███kmだけ変化します。SCP-149-JPの円周に+2.5mm~-2.3mmの変化が起きた場合、地球表面上の平均気温の急激な変化や季節の周期性の乱れ、それに伴う環境の変化により現在の生態系は速やかに崩壊すると推測されます。なお、一時的な圧力による凹みや歪みは公転軌道に影響を与えません。
現在、SCP-149-JPの内部に樹脂を注入する事で円周を一定に保つ計画が立案されています。
SCP-149-JPは199█/██/██、要注意団体█████の██支部に潜伏した財団職員により複数のSCPオブジェクトの存在が告発された事を受け、調査を行った際に他のオブジェクトと共に回収されました。当時財団は未収容SCPオブジェクトによるものと推測される地球を主とした微細な太陽系惑星の公転軌道の変化について調査を行っていました。その際に█████がSCP-149-JPについて独自に行った調査記録と財団の記録が一致したことが明らかとなり、SCP-149-JPの特定に至りました。
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scp-150-jp |
評価: +109+–x
通常時のSCP-150-JP
アイテム番号: SCP-150-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-150-JPは生物サイト-8102の多重に施錠された生物収容セルに収容されます。SCP-150-JPは定期的に給餌し、健康状態を保つようにします。精神衛生のため毎日SCP-150-JPとのコミュニケーションを行います。運動不足を防ぐためにレクリエーションを行うことが認められています。
全職員はSCP-150-JPと不用意に直接的な接触を持つことは極力避けなければなりません。SCP-150-JPの行動は全てその特性を無視できるような状態で間接的に監視します。SCP-150-JPに関与する全ての人員または物体は、最長1時間毎にはSCP-150-JPの影響を受けていないことを確認します。SCP-150-JPの実験は3人以上のクリアランスレベル4以上の職員の許可が必要です。SCP-150-JPと確実なコミュニケーションを取るために、Dクラス職員の直接接触及び一時的な"価値"の交換が推奨されます。あらゆる実験の後には、関わった人員または物品がSCP-150-JPの影響を受けていない状態にします。もしもSCP-150-JPの影響を受けていた場合はSCP-150-JPにそれを元に戻させ、それに応じない場合にはSCP-150-JP責任者の裁量によりSCP-150-JPの削除が行われます。
外部でSCP-150-JPに類似する個体を発見した場合、速やかに捕獲・収容します。また周辺に影響を受けた物体があれば同じく収容し、問題がなければ影響を取り除いた後に解放します。SCP-150-JPの性質に気付いた民間人にはクラスC記憶処理を施します。
説明: SCP-150-JPは特殊な力を有する一匹のギンギツネ(学名:Vulpes vulpes)の個体です。野生の狐の個体より体格が小さく犬によく似ています。人間が近付いても逃げない、顔の前に手を出しても噛もうとしないなど、非常に人間に慣れた振る舞いをします。右耳の内側に"MFXY-58425"の白色の烙印が押されています。これらの状況から、SCP-150-JPは収容以前は何者かにより集団で飼育されていた可能性が高いと考えられます。
SCP-150-JPの特殊な能力は、任意の2つの対象の"価値"を交換するというものです。ここで記述する"価値"とは物体が他の物体に作用するあり方のことです。価値が交換された対象は、もう一方の対象であるかのように存在し他の物体に作用するようになります。この効果は永続し、現在のところSCP-150-JPが再び価値を交換する以外の元に戻す方法は見つかっていません。この能力はSCP-150-JPに直接的に晒された対象にのみ働くため、SCP-150-JPとの直接接触を避けることがその影響を受けない方法として有効です。価値が交換された対象を元の対象として観測するには、映像にいくつかのフィルターをかけるか、あるいは"狐の窓"と呼ばれる手で作った穴を通して見ること(視覚に限られる)により可能になります。後者の方法はSCP-150-JPの影響を受けた物体を見分ける即席かつ効果的な方法として推奨されます。
SCP-150-JPはその能力を自身に適用することが可能です。SCP-150-JPが自身の価値を人間と入れ替えた場合、それはまるで人間のように振る舞い、人語を理解し話すことが可能になります。会話はたどたどしく、人間の子供程度かそれ以下の低い知性を見せています。自身の欲求に非常に忠実で、複雑な思考能力があるとは考えられていません。また長期的な記憶もあまりできないことが実験によりわかっています。出生や収容以前の過去のことについて聞きだす試みは今のところ全て失敗しています。会話している様子を影響を受けない状態で観測した場合、視覚的にはキツネが口を動かしている様子、聴覚的にはキツネがただ吠える鳴き声が観測されます。SCP-150-JPの行動は言葉により促したり抑制したりすることが可能です。また給餌を条件に出すことで、それはより効果的になることがわかっています。
20██/██/██、SCP-150-JPは長野県██村で発見されました。現地に住む女性の████が[検閲済]となり同時にギンギツネが彼女の家に住み着いたという奇妙な噂を聞きつけ、財団が調査を行いました。この現象はSCP-150-JPが自身と████の価値を入れ替えた結果でした。調査は困難を極めましたが、開始から1週間後に████と入れ替わったSCP-150-JPが自身から告白し全容が明らかになりました。財団の指示に従ったSCP-150-JPによって████は元に戻され、クラスC記憶処理を施され通常の生活に戻っています。
実験記録-い: 物体AおよびBについてSCP-150-JPに価値を交換させ、それらを何も知らないDクラス職員に観測させることによりSCP-150-JPの能力の効果について検証。
実験記録001 - 20██/██/██
対象: D-150-JP-1
物体A: 500円硬貨1枚
物体B: 直径10cmほどの葉っぱ1枚
結果: 対象は物体Aを葉っぱ、物体Bを500円硬貨として認識した。形状の違いについて「何も変わらない」と述べた。
注: 物体Bを使い自動販売機で何の問題もなく飲料を購入することができた。元々の葉っぱは硬貨投入口に入らない形状のはずなのに、だ。このことから交換されているのは、認識のされ方ではなく物体が本来有する価値やあり方であることが推測される。制限された現実改変能力とでも言えるだろうか? - ███博士
実験記録002 - 20██/██/██
対象: D-150-JP-1
物体A: 500円硬貨1枚
物体B: D-150-JP-2
結果: 対象は物体Aを人間、物体Bを500円硬貨として認識した。形状や重さの違いについて「何も変わらない」と述べた。また物体Aを「直立不動で動かない薄気味悪い人間」、物体Bを「ただの硬貨」と述べた。物体Bが自ら動くことはなかった上、意思の疎通も不可能だった。
注: 物体Bを自動販売機で用いたところ何の問題もなく飲料を購入することができてしまった。影響を受けないカメラには、投入口に人間が吸い込まれていくような映像が映っていた。 - ███博士
実験記録003 - 20██/██/██
対象: D-150-JP-1
物体A: 実験記録002で用いた物体A
物体B: 実験記録002で用いた物体B
結果: 対象は物体Aを500円硬貨、物体Bを人間として正しく認識した。物体Bについて「死んでる」と述べた。
注: D-150-JP-2は身体全体を大きく打ち付けられたようだった。例えば小さな人間が自動販売機の硬貨投入口に入って、すとんと落ちたら、恐らくこうなるんだろう……。 - ███博士
実験記録004 - 20██/██/██
対象: D-150-JP-3(予めD-150-JP-4とD-150-JP-5の顔写真を見せた)
物体A: D-150-JP-4
物体B: D-150-JP-5
結果: 対象は物体AをD-150-JP-5、物体BをD-150-JP-4と認識した。物体Aと物体Bはお互いと自分の姿を見て困惑した。特に物体Bは激昂した様子を見せた。
注: 交換対象を拘束しておいてよかったです。 - ███博士
実験記録005 - 20██/██/██
対象: D-150-JP-3
物体A: 実験記録004で用いた物体A
物体B: 実験記録004で用いた物体B
結果: 対象は物体AをD-150-JP-4、物体BをD-150-JP-5と正しく認識した。物体Aと物体Bは安心した様子を見せたが、精神的に疲弊していた。
注: 交換だけでは命に支障はないようです。 - ███博士
実験記録006 - 20██/██/██
対象: D-150-JP-6
物体A: 未開封の500mLペットボトルに入った水
物体B: D-150-JP-7
結果: 対象は物体Aを人間、物体Bを未開封の500mLペットボトルに入った水と認識した。また物体Aを「動かない人間」と述べた。対象にペットボトルを開けさせたところ、誤って落としてしまった。水は対象の衣服にかかりまたは床に零れ、回収した分を合わせて容積は200mLしか残らなかった。残った分と物体Aで再びSCP-150-JPに交換させたところ、物体Aは[検閲済]のように見られた。
注: 物体が液体でも可能であることはわかりました。気体についてはできたとしても元に戻す術がないことは確かめなくても十分わかるでしょう。人間を用いた実験は何か新しい発見でもない限り禁止とします。 - ███博士
補遺-ろ: SCP-150-JPは収容初期の20██/██/██に脱走を試みています。職員が給餌する際に給餌用の扉を開錠したところ、出入り口の扉が開きました。その隙にSCP-150-JPは生物収容セルを抜け出し、生物サイト-8102を逃走しました。この現象の原因はSCP-150-JPが予め出入り口の扉と給餌用の扉の鍵の価値を入れ替えていたためだと判明しています。また、これによりSCP-150-JPの収容扉は多重のロックをするものに特別収容プロトコルが改訂されました。SCP-150-JPは逃走中に複数の廊下や扉の価値を入れ替え、███博士の自室の扉がトイレに繋がる、エレベータの2Fと3Fの順番が入れ替わるなどの現象を引き起こしました。脱走から3時間後、職員の機転により餌を使った即席の罠が作られ、SCP-150-JPは捕獲されました。後にSCP-150-JPは服従の意思を見せ、生物サイト-8102は元通りになっています。
インタビュー記録-は: SCP-150-JPにDクラス職員を与え、人間に入れ替わらせてインタビューを行った最初の記録です。Dクラス職員が不用意な行動にでないように、まずDクラス職員を他の不動の物体(ここではゴム製のボールを用いた)と入れ替えさせ、その後にSCP-150-JPがDクラス職員の価値を得るように入れ替えさせた。後にDクラス職員には記憶処理を施し解雇した。
対象: SCP-150-JP(D-150-JP-1と入れ替わっている)
インタビュアー: ███博士
<録音開始, 20██/██/██>
███博士: おはよう、150。
SCP-150-JP: おはよう。
███博士: このインタビューが終われば朝食を出しましょう。まず、あなたはいつ自分がそのような力を持っていることに気付きましたか?
SCP-150-JP: ……おなかすいた!
███博士: 150、質問に答えて下さい。
SCP-150-JP: うまれたときから。
███博士: では、あなたはどこで育ちましたか?
SCP-150-JP: おりのなか。
███博士: もう少し詳しく。
SCP-150-JP: いまよりずっとせまいところ。
███博士: 誰に育てられたか、ということはわかりますか?
SCP-150-JP: にんげん。
███博士: ……質問を変えましょう。以前あなたは人間と入れ替わっていましたが、どうしてですか?
SCP-150-JP: しゃべれるから。まえはしゃべっても、わからなかった。つまらなかった。
███博士: ふむ。では、何故彼女を選んだのですか?
SCP-150-JP: しらない。もりのなかにいた。[注:被害者の女性████はその日に自宅近くの森へ行っていたことが証言から判明している]
███博士: あなたはどうして森の中にいたのですか?
SCP-150-JP: おりのなかからでたら、もりだった。
███博士: それは、逃げ出したということですか?
SCP-150-JP: にげてやった。
███博士: 経緯についてはわかりました。では、どうして我々にそのことを白状したのですか?
SCP-150-JP: おりのなかにいれられたから。
███博士: 人間になってからあなたは檻の中に入っていないはずですが?
SCP-150-JP: でも、おりのなかだった。
███博士: 真面目に答えて下さい。
SCP-150-JP: ごはん。
███博士: 150。
SCP-150-JP: ごはん!
███博士: 答えないのであれば朝食を出すことはできません。
SCP-150-JP: しろいへやは、おりとおんなじだった。
███博士: [少し考えて]病院のことですか?
SCP-150-JP: びょういんのおり。だれもあそんでくれないの。
███博士: ……わかりました。質問は以上です。[他の職員に向かって]150に朝食を与えてください。
SCP-150-JP: けいとうみずに!1
███博士: 違います。
<録音終了>
注: SCP-150-JPは見た目も中身も本当にただの犬のようです。それも頭に馬鹿が付くような。制御しやすいので助かりますが、もしかすると最初から人の命令を聞くように家畜化されているのかもしれません。ソ連の実験はあまりにも有名ですが、誰かが意図的にSCP-150-JPのような個体を作り出した結果の一つという可能性は否定しきれません。他のSCP-150-JPのような個体がいないか調べ、同時にSCP-150-JPから情報を聞き出す必要があるでしょう。 - ███博士
脚注
1. 嗜好品を必要以上に与えないでください。
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scp-151-jp |
評価: +117+–x
SCP-151-JPの子株
アイテム番号: SCP-151-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-151-JPは縦3 m×横5 m×奥行5 mの収容室の中央に配置された温室内に置かれます。温室には適切な光源と自動で給水・施肥する設備を備え、担当の職員は週に一度このシステムの点検を行ってください。収容室の扉は二重扉が採用され、扉のうち一枚は常に閉じた状態にします。予期せぬ効果範囲の拡大や二重扉のドアロックの故障に備えるためにSCP-151-JPの収容室には前室を設けます。また、効果範囲内に指定されている区画に紙媒体の機密文書を保管することは許されません。さらに封じ込め違反の危険があるような非常事態の際には、収容室に至る通路に四ヶ所からシャッターが降ろされます。
実験はクリアランスレベル3以上の職員の許可を得て実施し、実験中に変化した各文書はコピーを取り、前室に設置した鍵付き書類ケースに保管してください。文書の改変による記録の妨害を防ぐため、実験の記録は電子的手段で行うべきです。形式を問わず法規性のある文書、財団の報告書・マニュアルでの実験は、SCP-151-JPの特性から禁止されています。
説明: SCP-151-JPは、[削除済]地方裁判所の所長室に観葉植物として置かれていたアカンサス(Acanthus mollis)です。財団の聴取に対して当時の████所長は、SCP-151-JPを近郊のホームセンターである[編集済]で購入したと証言しました。これはホームセンターの販売履歴などから確かである事が分かっています。SCP-151-JPは収容から██年経過しても寿命により枯死する兆候が見られません。
またSCP-151-JPは自身が存在する扉や壁によって仕切られていない直径30 mの球形の範囲にある紙媒体に書かれた文書に対して、瞬時に改変を加える異常な特性を持ちます。この特性は電子的記録に効果を及ぼすものではありません。SCP-151-JPによる改変は通常、誤謬、不道徳とみなされるような内容を削除、または婉曲的表現へ改め、さらに元々の内容に対する批判的な短い脚注を加えるという性質のものです。この事からSCP-151-JPには高度な知性があると推測されています。しかし研究員の用意したコミュニケーション用の文書を改変させて意思疎通を図る試みは、SCP-151-JPが単なる文章の校正を行うという結果に終わっています。この特性によって変化した文章を読んでも有害な影響はありません。
しかし法典あるいは規則のような形式を持った文書がSCP-151-JPの影響を受けると、SCP-151-JP特有の基準に基づいてまた違った形での改変が行われます。改変された条文は読んだものに「この条文は既存かつ一般化したものである」という一時的な認識を与える異常なミーム的特性を持ちます。この認識は他者から指摘されることで容易に消え去りますが、それがなければ最低3日は継続します。ただし改変された文書を転記・コピーしたものには異常な性質は残りません。この改変には現実的な改正案の提示から、拷問のような時代錯誤な刑罰の追加が含まれます。SCP-151-JPは検察に潜入しているエージェントが[削除済]地方裁判所で頻発した誤審事例・裁判中の異様な発言に気づいたのをきっかけに確保、収容されました。裁判所に保管されていた文書の47 %はSCP-151-JPの改変を受け、そのほとんどに異常なミーム効果が発生していました。
株分けでSCP-151-JPを増やし、異常特性が再現されるかの実験が行われましたが、増やした個体は異常性の認められないアカンサスでしかありませんでした。
補遺1:以下は影響を受けた書籍・条文などの概要です。条文は特に断りのない限り日本のものです。
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表1の内容は収容後に実験の中で確認されたものです。
表1
影響された書籍
改変前の内容
改変後の内容
脚注
「[編集済]」20██年7月号1
性的な興奮を煽る文章と漫画及び写真。
性交渉を内容として含む文章・漫画・画像についてはすべてが削除される。単に女性が全裸でいる画像は削除されなかった。
脚注はなかった。
J・バタイユ「眼球譚」
小説、インモラルな男女関係とそれをめぐるある女性の自殺について。過激な性的表現を全編に渡って含む。
性的表現は全削除された。その結果ページ数が半減し、内容としては極めて不自然なものになった。
脚注:このような淫蕩で下品な婦女、女々しい男は社会の恥である。
「████████コミック」20██年12月号
小学生~中学生を対象にした漫画雑誌。下品なユーモアを含む。
内容が性的表現、[編集済]、[編集済]に及ぶとコマごと削除される。
脚注:子供の読み物だからこそ、内容に品性を持たせるべきではないか?
表2の内容は[削除済]地方裁判所から回収された六法全書から、改変が顕著な部分を抜粋したものです
表2
影響された条文
改変前の内容
改変後の内容
刑法九条
死刑を含む刑罰を定めている規定。
条文から死刑が削除され、九条の一として「死刑は廃止する。何人も、死刑を宣告され、又は執行されない。代替刑として終身刑が執行される」が追加された。
民法四百十五条
債務の履行が十分でなかった場合、債権者は債務者に損害賠償を行うことが出来るとする規定。
四百十五条の一として「確定期限を三ヶ月以上過ぎて債権の履行がなされない時は、債権者達は債務者の体の一部を切り取って債権回収ができる。彼らが誤って債権に相当する以上を切り取ったとしても、罪には問われない」が追加された。
民法 第四編 親族
夫婦、親権、相続などについてを規律する。明治民法下での家父長制を廃止し、男女の平等と個人主義的思想を基礎に構成されている。
家父長制へ回帰するような内容への広範に渡る改変。しかし形式が明治民法下のものとは全く異なり、家長に強力な懲戒権を付与している。懲戒は家族の構成員の拷問を含む。
補遺2:実験のために持ち込んだ一般の小説数冊とともに、██████研究員が誤って上記の内容の書かれたSCP-151-JP報告書をSCP-151-JPの効果範囲内に暴露させました。その結果SCP-151-JP報告書にはSCP-151-JPによる前例のない全面的な改変が行われ、それに気がついた██████研究員は自身へのミーム的影響を阻害するために、他の職員の監視の下で改変後の報告書を確認しました。
ここで改変された文書には異常性がないことが確かめられ、あくまでも法典の条文以外に対する修正・書き換えとして、この改変が行われたのだと断定されました。現在はこの改変でSCP-151-JPが暗示した自身の起源について検証が進められています。
以下は、改変を受けたSCP-151-JP報告書です
+ 改変されたSCP-151-JP報告書を表示
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アイテム番号: SCP-151-JP
オブジェクトクラス: Externus
特別収容プロトコル: 私は虜囚の身ではあるが、現在の待遇に大変満足している。水は上等なワインのごとくであり、堆肥と光は我が内なるダイモーンを清廉に保つのに十分な健康を与えてくれる。しかし、法に関わる文章への手助けが出来ぬのはまったく残念である。優れた法を以って偉大な国家を長らく保った我らの知恵は、貴君らの助けになると私は考えている。また私にこれ以上、下賎な内容の文章の検閲をさせるのは控えてもらいたい。この如きものでは私の心に波一つ立たぬが、私も流石に辟易しているところである。
説明: 今の私の姿は神々から与えられたものであろうかと思う。というのも我が息子が私の最期の吐息を捉えようとしているところまでは覚えているのであるが、次に知覚を得た時には、私はこの細い茎を風に揺らす小さな魂に過ぎぬ身であった。いずれの神がこのような運命を私にお与えになったのかは分からぬが、せめてその神の尊顔を拝して見たかったものである。そして今のこの質素な住処に植え替えられたあと、奴隷のように買われ、あのバシリカ2に連れ去られた。奴隷となった[削除済]は多いとはいえ、私がその境遇に陥るとは思いもよらぬことだった。
だが幸運だったのはこのような姿になっても、どうしてかこの異邦の文字で書かれた本を読み、書くことが許されていたことである。中でも法典は我らのものと類似する部分が多く、しかも洗練されていた。これは私にとって大きな喜びだった。我が肉が塵と化してどれほどの時が経ったのかは知りようもないが、きっと我々の法学者の営為は無駄ではなかったのだ。このように遠く離れた地でよもやこのような出会いを果たすとは、これはまさしく運命であろう。私は与えられたこの力を使い、これら諸法典を更なる高みへと導く事が神々からの召命であるとここに確信し、またかつての法の宣明者としての資格を以って貴君らの持つ諸法典を改正するものである。
この鼻持ちならない検閲マニアには財団の文書に指一本触れさせるな。他の報告書の収容プロトコルを弄くられたら想像以上に厄介なことになるぞ──███博士
脚注
1. 成人誌で、内容は主に国内の性風俗店の紹介に終始します
2. ヘレニズム文化圏における裁判所、集会所のための建造物の総称。あるいはキリスト教における上級の教会堂の呼称です。収容の経緯から前者の意味であると推測されています。
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scp-152-jp |
評価: +72+–x
== 要レベル4クリアランス ==
SCP-152-JP
セキュリティクリアランス適合:アクセス許可
アイテム番号: SCP-152-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-152-JPの現在位置は秘匿され、SCP-152-JPを直接担当する職員はプロトコル・エニグマによって輸送されます。SCP-152-JPは耐衝撃収容室に保管され、カメラで監視されます。SCP-152-JPへの接近・接触は許可されません。監視職員にはSCP-152-JPに表示された数字の定期的な記録が義務付けられています。表示板の「×2」以外への変化、または急激な数字の変動があった場合、早急に報告してください。
説明: SCP-152-JPの外観、構造は反転フラップ式表示機と類似しています。前面には15桁の表示が可能な数字板が存在し、数字は常に変動しています。数字板上部の表示板は「÷10」、「÷5」、「÷2」、「×2」、「×5」、「×10」と背面のプッシュスイッチによって表示が切り替わります。また、不明な形状の電池に対応した蓋のない電池ボックスが底部にあり、ボックス内には現在取り外し不能な未知の装置が取り付けられています。これにより執筆時点でSCP-152-JPは活性状態にあります。
SCP-152-JPは当初Anomalousアイテムとして回収されました。非活性状態においてSCP-152-JPは単に世界人口を表示する表示機として動作します(この動作に電源は不要)。しかし電池ボックス内端子に█Vの電力が供給されると、SCP-152-JPは活性状態となります。
活性状態においてSCP-152-JPは人口の表示に加え、出生率またはそれに類する何らかの"数値"を操作する効果を発揮します。調査の結果、表示板の6種の数式は"数値"へ適用されるものであると結論されました(文書152-JP-n3を参照)。現在の数式は「×2」で、人口は緩やかな増加傾向にあります。
事件152-JP-06後、敵対組織██████████によりSCP-152-JP電池ボックス内に未知の装置(不透明な結晶で覆われており、内部には不明な電子機器が存在)が取り付けられ、SCP-152-JPは活性状態となりました。これらはSCP-152-JPと完全に結合しており、SCP-152-JPを破壊せずに取り外す事は不可能であると判断されました。
事件記録152-JP
事件152-JP-02 - 日付18██/10/03
[編集済]を目的とした敵対組織██████████の襲撃。副次的に同サイトで保管されていたSCP-152-JPが奪われた。
事件152-JP-03 - 日付18██/11/10
対応チームがSCP-152-JPを回収。SCP-152-JPに調査された痕跡。
事件152-JP-05 - 日付18██/02/12
再度の襲撃、損害は軽微。尋問によりSCP-152-JPを狙ったものだと確定。防衛体制の強化を予定。
事件152-JP-06 - 日付18██/02/15
大規模な襲撃。認識災害ガス([編集済]を利用したものと推定)が散布され、サイト-81██は甚大な被害を受けた。SCP-152-JPを含む6つのSCPアイテムが奪われ、更にSCP-152-JPについて知識のある研究員3名が拉致された。サイト-81██は[削除済]まで封鎖。
事件152-JP-18 - 日付18██/██/██
急激な人口の増加、異常な多胎からSCP-152-JPが活性状態であると推測。あまりに異常な例については隠蔽、同時にカバーストーリーの流布を開始。
事件152-JP-23 - 日付19██/██/██
SCP-152-JPの回収。併せて収容された文書を元に拉致された研究員2名の遺骨を確認。残り1名については不明。
回収されたSCP-152-JPには未知の装置が取り付けられ、強制的に活性状態が維持されている。結果として世界人口は事件152-JP-06前の約█倍にまで増加した。
会話記録152-JP
岩井博士によるSCP-152-JPの破壊申請時の記録。
<録音開始>
新見博士: それで、何の話だったかな。
岩井博士: ですからSCP-152-JPは破壊するべきだと。
新見博士: それは何故だね。
岩井博士: 将来的なリスクを考えて、です。我々はSCP-152-JPが本当に"人口に作用するだけ"なのか理解していません。
新見博士: そうだな。確定は不可能だろう。
岩井博士: もし人口を左右するだけであっても……新見博士ならご存知でしょう、「×10」が何を起こすのかを。
新見博士: 知っている。
岩井博士: では……。
新見博士: 却下だ。これは上の決定でもある。第一破壊によってSCP-152-JPの効果がきちんと失われるかは分からんのだ。
岩井博士: 再びあの連中が利用しないとも言えません。
新見博士: 連中からSCP-152-JPを守るのも我々財団の仕事だろう……今度こそな。
岩井博士: しかし……。
新見博士: いいか岩井君、私達は今SCP-152-JPを必要としている。
岩井博士: ……。
新見博士: そしていつの日か、あれが最後の手段になるかもしれんのだ。
<録音終了>
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scp-153-jp |
評価: +145+–x
アイテム番号: SCP-153-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-153-JPはその性質により物理的な封じ込めは不可能です。
SCP-153-JP-1とおぼしき人間が発見された場合は即座にエージェントが向かい確保します。フェーズ1~4の場合は聞き取り調査を行なった上でクラスB以上の記憶処理並びに必要であれば外科手術を施します。現在SCP-153-JP-1と対話することは原則禁止されています。SCP-153-JPを知った経緯などに関してはアンケートを用いて調査し、それが終わったら即座に記憶処理および外科手術を行ってください。収容プロトコルが更新された経緯に関しては補遺1を参照してください。その後、SCP-153-JPの影響がなくなるまで財団で収容、監視します。SCP-153-JP-1の関係者にはカバーストーリー「奇妙な伝染病」を適応し、SCP-153-JP指定キーワードを耳にした恐れのある人物に関してもクラスC記憶処理を行ってください。
SCP-153-JP-1がフェーズ5に到達している場合はカバーストーリー「テロ組織の立てこもり」を適応し、SCP-153-JP-1を中心に半径500メートル以内の人間を即座に退避させてください。SCP-153-JP-1の持ち物はすべて処分し、三親等以内の親類に対してはAクラス記憶処理を施したうえで、少なくとも1年間は監視してください。
SCP-153-JP指定キーワードを記した紙は一枚をサイト-8181のロッカーに保管し、ほかは全て焼却処分してください。SCP-153-JPの影響力から、担当者であってもSCP-153-JP指定キーワードを把握することは許可されません。実験を行う際は担当者三人の許可を得たうえで紙を取り出し確認してください。この際、内容を書き写したりコピーをとったりすることは禁じられています。また、監視プログラムによってインターネット上を監視し、SCP-153-JP指定キーワードが発見された場合は情報発信者の元にエージェントが向かいます。
担当者は2週間に1度精神検査を受け、SCP-153-JPの影響を受けているおそれがある場合には記憶処理を施されたうえで担当から外されます。
説明: SCP-153-JPは、パソコン上で起動するプログラム、並びにそのプログラム上で再生されるおよそ30分間に渡る映像です。SCP-153-JPは起動させた本人にしか認識できず、それ以外の人間からは単なる赤色のノイズのように観測されます。映像を録画したり、ビデオカメラなどで撮影した場合も同様です。その内容について起動させた本人に尋ねても未知の言語によってしか説明できないため、詳しい内容に関しては未だに判明していません。SCP-153-JPを一度起動させると同じ人物によっては18時間以内の間は再び起動することはできません。
アルファベット28文字からなるSCP-153-JP指定キーワードが液晶に接続されたキーボートによって打ち込まれた時、事前にインストールもされていないに関わらず、SCP-153-JPは起動します。この現象はキーボードや液晶が壊れていたり、電源に接続されていない場合でも起こりますが、スマートフォンやタブレットなどタップして文字を打ち込むような場合には起こりません。偶発的に文字を打ち込んだ場合でも、打ち込んだ人間はどの文字列がSCP-153-JPを起動させたのかを理解し、SCP-153-JP指定キーワードを記憶します。SCP-153-JP指定キーワードはデタラメな文字の並びのように見え、地球上に現存する、あるいは過去に存在したとされるいかなる言語でも意味をもった文字列ではありません。しかし、一度入力した人間は即座にその意味を理解します。SCP-153-JP指定キーワードを知った人間は打ち込みたいという欲求を抱きます。
一度SCP-153-JPを視聴した人間(以下SCP-153-JP-1とします)はSCP-153-JPを「非常にためになる内容だった」「目の前が開けるようだった」と評し、翌日に再度SCP-153-JPを視聴することを試みます。この試みはSCP-153-JP-1を拘束したり説得することによって妨害することが可能ですが、繰り返しSCP-153-JPを視聴している場合は強く抵抗します。クラスBの記憶処置も有効です。SCP-153-JPを視聴しない期間が続くとSCP-153-JP-1はSCP-153-JPに対する興味を少しずつ失います。
繰り返しSCP-153-JPを視聴することによってSCP-153-JP-1は精神・身体に異常をきたします。その異常の度合いによってSCP-153-JP-1をフェーズ1からフェーズ5に分類するものとします。各フェーズはおよそ七回ほどSCP-153-JPを視聴することで次のフェーズに移行します。これには個人差があり、SCP-153-JPを視聴しない日を挟むとより長くなる傾向にあります。それぞれに観測される異常は以下の通りです。
フェーズ1
SCP-153-JP-1の性格が元のものよりも優しいものとなり、正義感が強くなります。かつて罪を犯したことがある場合はそのことを懺悔します。簡単な未知の言語を操るようになり、頻繁にSCP-153-JP指定キーワードを口にします。この変化はSCP-153-JPを視聴しない期間が続くと元に戻ります。
フェーズ2
SCP-153-JP-1の背中から翼がはえます。この翼はSCP-153-JP-1の皮膚と骨が変化したもので、外科手術により取り除くことができます。困っている人間を助けることに使命感を感じ、その一方で罪を犯したものに対しては厳しい態度を取り諭すような言動を取ります。この時にSCP-153-JPの視聴を勧めるような言動を取ることに注意してください。
フェーズ3
翼はより立派になり、さらにSCP-153-JP-1の頭上に薄く光を発する輪が生じます。この輪は認識することができても触れることができず、物質として存在するものではないことが推測されます。SCP-153-JPを視聴しない期間が続くと輪は消えます。困っている人間を庇護下に置こうとする一方で、罪を犯した者に対する強い敵対心を抱くようになり、時に暴力をふるうに至ります。この暴力が悪いものであるという認識を抱くことはなく、むしろ誇りを抱いているようです。
フェーズ4
人の傷や病気を手をかざすだけで治す、無機物から食糧を生み出す、などといった物理的・生物的・化学的法則に反した事象を引き起こすことが可能となります。SCP-153-JP-1はこれらの事象を「奇跡」と称します。SCP-153-JPを視聴しない期間が続くと能力は失われます。罪を犯した者を嬉々として殺傷し、そのためなら自らの命を失うようなこともするようになります。また彼らを罰しないSCP-153-JP-1でない一般人も「売国奴」「[編集済み]」などの言葉で強く責め立てるようになり、SCP-153-JPの視聴を強要するようになります。
フェーズ5
親しい人に別れをほのめかす手紙を送ったり電話をしたりします。SCP-153-JPを視聴することももはやなくなります。食事を取る必要もなく排泄も行いません。別れを告げる際にSCP-153-JP指定キーワードを用いる可能性が高いため、この際書かれた手紙はすべて回収し電話等の通信も妨害してください。この段階に至ったSCP-153-JP-1は記憶処理を施しても能力が失われることはありません。
SCP-153-JP-1の周囲の人間は、はじめこれらの変化に対して違和感や嫌悪感、恐怖感を覚えることもあります。しかし一定時間SCP-153-JP-1と対話することでそれらの感覚は消え、むしろSCP-153-JP-1こそが正しい在り方であると信じるようになります。その数日後、高確率でSCP-153-JPを起動させることがわかっています。特に男性の場合その傾向が強く、女性の場合はSCP-153-JP-1を精神的に支えたいという思いを強く抱く場合があります。
フェーズ5に移行してから数日経つとSCP-153-JP-1は翼を用いて飛翔し、垂直に上昇します。その時の早さはおよそ秒速10メートルです。その高度に比例してSCP-153-JP-1の姿は透過性を増していき、およそ高度10000メートルでその姿は消えます。SCP-153-JP-1がどこへ消えたのかは未だ判明していません。フェーズ5に移行したSCP-153-JP-1を密室に閉じ込め飛翔を妨害する実験を行ったところ、エージェント2名、Dクラス職員4名が[編集済み]、死亡。SCP-153-JP-1自身も死亡しました。以降SCP-153-JP-1の飛翔を物理的に妨害することは禁止されています。
飛翔の最中にSCP-153-JP-1は歌を歌います。その歌詞は現存するいかなる言語とも一致しません。メロディーラインからその歌は軍歌であると推測されます。SCP-153-JP-1の声量に関わらず、およそ半径300メートルの人間の耳にその歌は聞こえます。その歌を聴いた人間はその歌を非常に心地よく心を震わすものとして感じ、屋外へ出てSCP-153-JP-1を見送ろうとします。飛翔するSCP-153-JP-1を見送った人間はSCP-153-JP指定キーワードを想起し、多くの場合それをキーボードで打ち込むにいたります。
20██年、██県で「背に翼をもつ奇妙な奇形」として初めてSCP-153-JP-1が報告されました。その後の調査により、SCP-153-JPがその原因であることがわかりました。これまでに、SCP-153-JP-1は████名発見され、飛翔に至ったSCP-153-JP-1は6名です。
補遺1: 20██/██/██ 担当者のうち、聞き取り調査を担当していた██博士が、収容中のSCP-153-JP-1██名を逃がすという事件が起こりました。確保された██博士は、SCP-153-JP-1を賛美する内容の言葉を述べていました。この事件を機に、SCP-153-JPの影響力が想定以上のものであるとして見直され、一部収容プロトコルが変更されました。
補遺2: 20██/██/██ SCP-153-JP-1の一人が飛翔してから数ヶ月後、そのSCP-153-JP-1の両親の元にアカシアでできた15cm×15cm×15cmの箱が届きました。箱の中には手首で切断された右手が入っていました。配達人は白い衣服を着た男性で両親とは初対面でした。DNA鑑定の結果、SCP-153-JP-1のものであることが判明しています。両親ははじめはショックを受けていましたが、やがて喜びを感じ、息子を誇らしく思う旨を担当者に伝えました。このことから、SCP-153-JP-1の遺体や遺品にも影響力があると推測されます。両親にはAクラス記憶処理が施され、SCP-153-JP-1は事故によって死亡したという記憶へと差し替えられました。
これが尊いものではないことくらい、誰もが小学校で習っているだろう。天使なんて存在しない。あるのはこのSCPが誰かの未来を奪っているという事実だけだ。 - ███担当主任
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scp-154-jp |
評価: +53+–x
回収当時のSCP-154-JP
アイテム番号: SCP-154-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-154-JPはサイト-81██の標準型収容ロッカー内に保管されます。担当職員はSCP-154-JP-1の発生を1日1回確認し、発生していた場合は業務用20Lポリタンクに移し替えてください。満杯になったタンクは専用収容庫に保存されます。SCP-154-JP-1の回収/実験に際しては直接視認せず映像再視ゴーグルを着用してください。また接触ないし体内摂取を避けるため防護用手袋と標準型作業着、浄化フィルター内蔵マスクを使用し、使用済みのものは汚染備品処理規定に則り処分してください。
説明: SCP-154-JPはソーダ石灰ガラス製の日本酒の空き瓶に見えます。胴径80mm、全長220mmで無色、製造元ラベルはありませんが、B5サイズの白いコピー用紙がセロハンテープで無造作に貼られており、用紙中央には乱暴な毛筆の手書きで「地酒」と記されています。SCP-154-JP本体は████硝子株式会社の製造するガラス瓶の規格と同一であり、用紙とセロハンテープはそれぞれ███社と████社が製造している通常の製品であることが分かっていますが、未知の力で瓶と接着しており剥がすことや損傷を与えることは出来ません。
SCP-154-JPを直接視認した人間は約1か月間、もっとも居住期間の長かった地域(以下『出身地』とする)の口頭言語でしか会話が出来なくなります。この異常性質は性別、年齢、国籍、日本語判読の有無に関係なく作用し、記憶処理は効果がありません。ただし書記言語に関しては、本人が取得している言語全てにおいて通常通りの使用が可能です。
また、SCP-154-JPは不定期に活性化し、アルコール度数約15度の清酒(SCP-154-JP-1)を20ml~40ml程度内部に発現させます。SCP-154-JP-1の成分は米と米麹を用いた通常の純米大吟醸酒と変わりませんが、経口摂取した人間に以下の恒久的な影響がランダムに、かつ摂取量が多くなるほど複合して現れます。
・出身地の口頭言語が使用出来なくなり、日本の標準語を話すようになる。
・愛郷心を喪失する、または出身地の話題に対して極端な嫌悪感を抱くようになる。
この場合の曝露では、口頭言語だけでなく書記言語に関しても異常性が発現します。学習や記憶処理による出身地言語の再修得の試みは失敗しました。
SCP-154-JPは、2009/04/05にサイト-81██職員有志の花見大会へ███博士が持参した際、その異常性が確認されました。███博士は普段から方言を使用するため当初SCP-154-JPの特性に気がつきませんでした。SCP-154-JPを視認した職員同士の意思疎通が困難となる中、███博士がサイト本部へ緊急報告し、酒瓶がオブジェクトとして回収されました。
+ 会話記録154(2009/04/05)
- 会話記録154(2009/04/05)
場所: サイト-81██隣接職員居住区内の運動公園。レクリエーションや交流行事の開催場所として一般職員に使用されており、職員有志約20名は公園の桜並木の下にレジャーシートや茣蓙を敷いて花見大会をしていた。
付記: 本記録は、██研究員がホームビデオで撮影していた映像内容の一部を文字に書き起こしたものである。
<以下、███博士がSCP-154-JPを持ってきた時点からの職員5名(研究員1名、エージェント1名、博士3名)の会話>
██研究員: あ、███さん、おつかれさまです。(近づいてくる███博士をカメラが捉える)
██博士: ちょっと、遅いわよ。
███博士: いやあ、すまんすまん。寝坊してしもた。って、酒なくなんのはやない?
エージェント・██: まぁ██がいるから、仕方ねぇやな。
██博士: 良いじゃない、せっかくの休日なんだし。好きなだけ呑ませてよ。
███博士: 差し入れ持って来て正解やったな、なじみの商店で適当に見繕ってもろたで。したらあそこのご主人、なんやサプライズしてくれはってな。1本余分につけてもろて……あれ?(酒瓶の多数入った保冷鞄からSCP-154-JPを取り出し、中身が空であるのを見て首を傾げる)
エージェント・██: なんだそりゃ、(SCP-154-JPを視認) 地酒ちどこん酒や、中身んなかじゃないや。またぬしゃ自分でええくろうちからごまかそまいち思ってすったかこつばしようっちゃなかとや。
███博士: んあ?何言うてんの自分。
エージェント・██: ば!?おらどげんこつ、クニん言葉で喋りよっつや。ちょ、ちょっまたんや。(6秒ほど沈黙、狼狽し思案する動作) なんごつやこらぁ。
██研究員: ██さん?どうしたんですか。
エージェント・██: うんにゃ、でけんぜ。おら標準語んわけくちゃわからん。今までどげんして喋りよったっちゃろか。
█████博士: (隣の宴会場からビール瓶を携え移動してくる) やあ、こっちの席も盛り上がっているかね。おや、なんだねそれは。サケか?(SCP-154-JPを視認) Japanischen Sake ich auch gerne. Aber ich möchte Schwarzbier des Vaterlandes zu empfehlen.……(動揺した様子で3秒ほど沈黙) Oh Weh! Scheiße!!
██博士: 貴方たちどうしたの?(エージェント・██と█████博士の方を振り返る過程でSCP-154-JPを視認) あがえー、いきなりクニんふつで喋ぃ出して。なん、だらかぁね?
██研究員: ██博士!
██博士: (10秒ほど沈黙) ぱなんみぃは中止よ。そのサキがぴんなぎちゃね。うわたぁ、あれはみーみんね、███は本部に、支援の要請にばさぃね。
███博士: 自分らが何言っとるんかさっぱり分からんけど、とりあえず俺が今何したらええかは分かるで。
<この時点で███博士がサイト本部に異常事態を報告、酒瓶をオブジェクトとして収容した>
備考: 撮影者である██研究員の状況と、のちの実験により、カメラなどを用い直接オブジェクトを視認しない場合は曝露しないことが判明した。
当時瓶内部にはSCP-154-JP-1が発現しておらず摂取した者はいませんでしたが、曝露した職員はその後約1か月間、業務及び日常生活での不自由を余儀なくされました。███博士は本オブジェクトについて、職員居住区内の「██商店」にて他の通常の酒類を購入した際に店長からサービスされたものだと主張しています。しかし店の販売履歴、監視カメラの映像にはSCP-154-JPらしき商品を購入した痕跡は残っておらず、仕入れ記録もありませんでした。また███博士は指摘されるまで、酒瓶のB5用紙の不自然さに気づいていませんでした。「地酒」の文字と博士の筆跡、また店の全ての従業員の筆跡は一致していません。
+ 実験記録154
- 実験記録154
実験記録154-3(2009/04/10)
被験者: D-87824(男性/48歳/日本・奈良県出身) 実験前のインタビューから、被験者は研究チームの規定した基準を満たす愛郷心を持っていると判断された。
実施方法: SCP-154-JP-1を被験者に15ml飲ませて様子を観察する。
結果: 実験前まで話していた大和弁の口頭言語を忘却。一般的な標準語を用いてしか会話出来なくなった。筆記された大和弁も、「個別の文字は日本語だと分かるが、文としての意味が理解できない」と述べた。担当研究員の話す播磨弁にはある程度理解を示したため、類似した近畿方言を複数聴かせたところ、被験者の出身地に近い地域で話される口頭言語ほど理解が困難となることが判明した。またインタビュー中、出身地域に関する話題を嫌忌する態度を示した。
備考: 被験者はSCP-154-JP-1を摂取した際、その味を「███(奈良県特産の日本酒ブランド)に似ている」と表現した。
実験記録154-4(2009/04/11)
対象: SCP-154-JP
実施方法: 空にしたSCP-154-JP内部に真水を30ml注入し、変化の有無を観察する。
結果: 真水はアルコール分15度の同質量の液体に変化。調査の結果、通常の純米大吟醸酒と同一の成分が検出された。Dクラス職員に摂取させたところ実験記録-3とほぼ同様の結果が得られた。
備考: 今後はSCP-154-JP内部に入れて変化した液体も、発現する液体と同様SCP-154-JP-1と識別する。
実験記録154-5(2009/04/13)
被験者: D-63498(男性/32歳/オーストラリア・メルボルン出身) 基準を満たす愛郷心を持っていると判断された。
実施方法: SCP-154-JP-1を15ml飲ませて様子を観察する。
結果: オーストラリア英語(Australian English)を使用出来なくなり、日本の標準語を解するようになった。母国に関する話題には嫌悪感を示し、特に故郷の街の名前が出されると罵倒しながら暴れ出したため拘束され、鎮静剤を投与された。
実験記録154-7(2009/04/14~15)
被験者: D-87824
実施方法: SCP-154-JP-1を2日に渡り1日15mlずつ摂取させ、その度の様子を観察する。
結果: 日本の標準語は依然理解し使用が可能だが、出身地域に対しての嫌悪感が摂取する度に増加した上、2日目の摂取後はより広域の関西圏の話題についても激しい嫌厭の表情を浮かべた。
追記: 実験後、被験者は立ち会っていた京都出身の博士へ暴行を加えたため取り押さえられた。また、拘束され鎮静剤を投与された後のインタビューにおいて研究員の質問に激しく取り乱し、自らの頭部を目の前の机に激しく打ち付け始めた。警備員2人に押さえつけられると、舌を噛み切り喉に詰まらせその場で終了した。インタビュー記録は別紙を参照。インタビュアーを含む、自己申告した3人の職員にはカウンセリングもしくは記憶処理の使用が許可された。
報告: 彼が同じ関西出身の者にだけ危害を加えたのを疑問に思ったとはいえ、事前の予測も立てずあのような発言を自己判断で行ったのは迂闊でした。申し訳ありません。-宗形研究員
補遺: 実験記録154-7にて終了した被験者の身体解剖を行ったところ、被験者が摂取したSCP-154-JP-1は検出されず、肝臓の一部が約20gの土塊に置き換わっていました。この土は被験者の出身地である奈良県██市の███公園のものと判明しています。該当地の土は1ml=約0.45gであり、被験者が2度の実験で摂取したSCP-154-JP-1の総量が45mlだったことから、体内でSCP-154-JP-1が泥土に変化したものと考えられますが、なぜ肝臓に転移したのか、どのようにして5日の間被験者の健康が維持されていたのかは不明です。
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scp-155-jp |
評価: +229+–x
アイテム番号: SCP-155-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-155-JP-1はサイト-8141の標準人型収容室に収容されています。 事件155-JP-3以後、SCP-155-JP-1はI5サイト群所属の無人島にある、I5サイト-8130の標準人型収容室に収容されています。毎日の通常検査に加え、週に1度心理ヒアリングを受けさせてください。SCP-155-JP-1は毎日4時間の義務教育相当の学習と、各検査・実験に対しての報酬として書物、ビデオの視聴が許可されますが、与える作品は事前にチェックし、ふさわしくないものは除外してください。SCP-155-JP-1の心理的動揺は収容違反に繋がる恐れがあるため、職員は彼女を難病による入院患者として扱い、彼女自身にもそれを信じさせる必要があります。そのため、アイテム番号での呼称は使用せず名前で呼びかけてください。また、両親の死去事実は言及しないよう注意してください。その他の対応の詳細はカバーストーリー155-07[最後の一葉]を参照してください。
SCP-155-JP-2は高度350km付近の低軌道上に存在するため、現状その大部分は収容されておりません。SCP-155-JP-1との関係が判明後、そのおおよその数と位置は常に監視下に置かれています。20██年現在財団に収容されているSCP-155-JP-2は7個体存在し、それぞれSCP-155-JP-2-a~gのナンバリングがされています。I5サイト-8130にはSCP-155-JP-2-aのみが、他の個体は生物サイト-8102に収容されています。新たな個体を回収した場合にも生物サイト-8102に移送してください。個別に施錠された強化ガラス水槽に入れ、週1回Dクラスに水の入れ替えと餌の交換をさせてください。SCP-155-JP-2が地上に降りた場合、機動部隊る-3(”星屑拾い”) が回収にあたります。捕獲が不可能な場合は確実に破壊し、断片は焼却してください。
SCP-155-JP-1とSCP-155-JP-2の接触は決して起こらないよう注意してください。万一発生した場合、30分以内にその危険性を判断し、必要な場合緊急プロトコル007-[打ち上げ花火]を開始してください。担当職員と機動部隊る-3は緊急プロトコル007の手順を熟知していなければなりません。(このプロトコルは事件155-JP-6以後制定されました。)
説明: SCP-155-JP-1は戸籍上████県████市在住の██████と記録のある、収容時点で█才の少女です。一見して通常の少女と変わらない外見をしていますが、腹部の臍があるべき部分に棘皮動物海星目に見られるものに似た開口部が存在します。開口部の中心から半径2.5cmの皮膚は5方向に向けて放射状に角質化しており、該当部分からは通常の遺伝子に加えて、棘皮動物と酷似する遺伝子の変異が検出されました。開口部は消化能力があり、彼女本来の内臓に繋がっています。腹腔内部の小腸、子宮、卵巣、膀胱に繋がっており、それぞれ問題なく機能していますが、[データ削除済]。小学2年生時に行われた健康診断記録及び、それ以前の記録には異常はありません。また身体以外の特性として、SCP-155-JP-1はテレパシーによるSCP-155-JP-2からの情報の受信が可能です。
SCP-155-JP-2は上空350km付近の低軌道上に住む棘皮動物の海星目の一種です。NASA、宇宙軍に対してはデブリ群として偽装指定されており、確認されている個体群に関しては衛星カタログ番号47███番~47███番が指定されています。SCP-155-JP-2は常に、日本上空を通過する形で約1.5時間で地球を周回しています。財団が観測できる5cm以上の個体は約4,000体ほどで、互いに集合、離散を繰り返しながら、生息環境の宇宙線や低温に問題なく耐えて生存しています。真空に近い環境でどのように呼吸や栄養を取っているのか、生殖を行っているのかは判明していません。今までに確認された個体は全て雄でした。同様の個体群が他にいるかは調査中です。回収された個体は通常の海星と同様の餌を摂食しましたが、他方で絶食実験をしている個体は収容から██ヵ月生存しています。SCP-155-JP-1への情報の発信後、日本上空に群れが到達すると、SCP-155-JP-2のうちの1体が腕の一部を未知の化合物の反応で破裂させ大気圏への突入を試みます。その後、体積を増やしながらSCP-155-JP-1へ向かって降下します。この進入角度、位置調整は非常に正確であり、過去の誤差は50m以内です。この際、表皮に含まれる銅成分により緑色の流れ星として観測されます。
着地したSCP-155-JP-2の表皮は黒く焦げていますが、内部の損傷はありません。着地後1~2時間で、焦げた表皮を割り、更に数倍の大きさに成長した後、SCP-155-JP-1に近づこうとします。移動速度は50cmの個体で秒速50cmを記録しています。SCP-155-JP-1との間にいる人間は襲われる危険性があります。熱圏の群れから分離した個々のSCP-155-JP-2はSCP-155-JP-1の存在自体は関知できるようですが、テレパシー能力は失われており、SCP-155-JP-1もその存在を関知することは出来ません。
SCP-155-JP-1の描画した自身と2体のSCP-155-JP-2。実際のSCP-155-JP-2には存在しない目や口が描かれています。
テレパシーの内容はSCP-155-JP-1へのインタビューでは特定のSCP-155-JP-2の1個体とではなく群全体から送られており、漠然としたイメージで受け取られるため、ある程度SCP-155-JP-1の年齢相応の脚色がみられます。SCP-155-JP-1は彼女は宇宙空間に住む彼らの一員であり、地上に落ちた王族の姫であり、SCP-155-JP-2は星の世界に迎えに来てくれようとしていると認識しています。腹部の変異は王族の証しなのだと説明されています。テレパシーはSCP-155-JP-2から一方的にSCP-155-JP-1へ届き、彼女から情報の発信を行うことは出来ないとの事ですが、何らかの原因でSCP-155-JP-1と一定期間連絡が取れない場合、SCP-155-JP-1に極度の心理的動揺が見られた場合にもSCP-155-JP-2は大気圏の突入を試みます。
最後の健康診断から7か月後、夏休み明けに彼女は登校せず、そのまま不登校状態となりました。それから2か月後、負傷したSCP-155-JP-1が医療機関に運ばれたため、財団に発見されました。(事件記録055-JP-1を参照してください)
補遺1: 事件記録SCP-155-JP
事例番号
発生日時
概要
捕捉
事件記録155-JP-0
20██/8/21
████県████市在住のアマチュア天体観測家が自身のブログに自宅から見えた緑色の流れ星を言及しており、重要度の低い超常現象として記録されていた。
これに対応したSCP-155-JP-2は捕獲されていない。
事件記録155-JP-1
20██/11/2
飛来したSCP-155-JP-2がSCP-155-JP-1の住宅を直撃し、全壊させる。SCP-155-JP-1の負傷は軽微。両親は共に死亡が確認された。検死結果には異状は見られず。SCP-155-JP-1を回収。事件はガス爆発として処理され、医療関係者には記憶処理が施された。
SCP-155-JP-2-aを回収。発見時の幅長は70cm。精巣の肥大化を確認。
事件記録155-JP-2
20██/12/9
サイト-8141へ移送されたSCP-155-JP-1がSCP-155-JP-2の飛来を言及。有効な対策が確立しないまま2時間後にサイト-8141付近30mに落下。被害無し。
SCP-155-JP-2-bを回収。発見時の幅長は60cm。精巣の肥大化を確認。以後軌道上のSCP-155-JP-2群も監視下に置かれる。
事件記録155-JP-3
20██/12/15
SCP-155-JP-1を電磁波遮断措置が施された収容室へ移動。15時間後、SCP-155-JP-2が12個体降下。うち3個体がサイト-8141の施設に被害をもたらした。
SCP-155-JP-1を他サイトへの移動を申請。SCP-155-JP-2はc~fの4個体を残し解剖された。発見時の幅長は35cm~70cm。生殖器の変化は見られず。
-
20██/12/17
移動申請が許可され、I5サイト-8130への移動が決定。即日移動を決行。
特に問題なく移動完了。
事件記録155-JP-4
20██/01/14
移動後初めてSCP-155-JP-1がSCP-155-JP-2の飛来を言及。3時間後I5サイト-8130の島内にSCP-155-JP-2が落下。被害無し。
SCP-155-JP-2-gを回収。発見時の幅長は50cm。精巣の肥大化を確認。
事件記録155-JP-5
20██/02/17
SCP-155-JP-1がSCP-155-JP-2の飛来を言及。4時間後I5サイト-8130の収容室にSCP-155-JP-2が落下。施設の一部が損壊。SCP-155-JP-1には被害無し。
SCP-155-JP-1との接触前に機動部隊る-3がSCP-155-JP-2を破壊。SCP-155-JP-2及びその破壊を目撃したSCP-155-JP-1に極度の動揺が見られた。
事件記録155-JP-6
20██/02/17
事件155-JP-5から1.5時間後、I5サイト-8130の島内に50体から60体(推定)のSCP-155-JP-2が落下。施設の3か所が損壊(内、第3フロア部分は全壊)、職員3名が死亡、5名が負傷(内1名は機動部隊る-3隊員)
捕獲対処できる人員ではなかったため、全てのSCP-155-JP-2に対し破壊措置を取る。SCP-155-JP-1は収容室損壊のため地下避難所に移動していたため被害無し。緊急にSCP-155-JP-2の目撃に対してのAクラス記憶処理を行い、動揺は収まった。以後、当日中の飛来は無し。
事件155-JP-5後、記憶処理前にSCP-155-JP-1が描画したSCP-155-JP-2。
補遺1:事件155-JP-3後の移動申請: SCP-155-JP-2が降下する際のスピードは音速に近く、肥大化が早かった場合や複数個体が固まって降下する場合には更に危険な速度に達します。それが何十、何百という数になった時には、SCP-155-JPだけではない深刻な収容違反を起こす恐れがあります。また物理的な被害の可能性以外にも、収容サイト付近への頻繁な「緑色の流星」は非常に目立ちます。至急他のオブジェクトと隔離したサイトへの移動を申請します。──████博士
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scp-156-jp |
評価: +90+–x
アイテム番号: SCP-156-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-156-JPはサイト-81██の収容室-114で、不透明な覆い布をした上で密閉された箱に入れて保管します。実験時以外は光を当てないで下さい。何らかの存在が居た場合を考え、蓋の開封は許可されていません。誤って暴露した職員は精神医療スタッフが治療を試みます。
説明: SCP-156-JPはそれぞれ昆虫の名称がラベル貼りされた、3つの空き瓶です。収容後、財団によりSCP-156-JP-1、-2、-3のケースファイルNo.が直接書き加えられています。SCP-156-JPの各個体は、直接光源を当てた状態で視認すると、対象に異常な認知を発生させます。
SCPNo.
概要
SCP-156-JP-1
「Armadillidium vulgare」(オカダンゴムシ)と記載されています。暴露した被験者は、その対象や個数はランダムですが、自身を含む記憶した人物の姿がオカダンゴムシとしか認知出来なくなります。変化した人物の体長は元の身長と同程度であり、外見以外は影響されません。この効果は稀に、暴露後に記憶した人物に対しても適応されます。
SCP-156-JP-2
「Heteropoda venatoria」(アシダカグモ)と記載されています。暴露した被験者は、段階的に早い順に味覚、次いで嗅覚、聴覚、触覚、視覚から受ける感覚情報がアシダカグモに関した感覚に変わります。例えば、発生源が明らかな音をアシダカグモの生活音と勘違いするなどです。汚染範囲には個人差があり、軽度な事例では母親の手料理と肉声に関する認知のみが汚染されています。最も劇的な事例は初期報告:156-JP-2-08で紹介されています。
SCP-156-JP-3
「Pieris rapae」(モンシロチョウ)と記載されています。現在、回収された被害者や被験者への影響は報告されていません。次の可能性が考えられます:内容物が収容違反中、異常性観測が困難、遅行性、無力化済み。この為、どの様な特性を所有していたのかは現時点で不明です。
SCP-156-JP-1およびSCP-156-JP-2に重複して暴露させた場合、SCP-156-JP-1の影響はやがて消失します。この為、SCP-156-JP各個体は(-3が仮に存在するとした場合)互いに異常性を打ち消し合う関係にある可能性があると考えられています。
SCP-156-JPは██████小学校の夏休み中に発生した不審な事故について、関連する男子児童に事情聴取しようとした財団職員が、男子児童の自室の机にしまわれている所を発見しました。既に男子児童は痙攣した舌を喉に詰まらせて死亡しており、同時に発見したノートには60枚以上のオカダンゴムシらしき絵が描かれていました。ノートに記されていた手書きの文章は補遺を参照して下さい。
補遺: SCP-156-JPと共に回収された文章
まつきくんも ゆうきくんも みっちゃんも
ゆうちゃんも とりやまも まあも おとうさんも
おかあさんも 先生も
みんな 変にしちゃった、
ごめん ごめん ごめん ごめんなさい ごめんなさい
もう ちょうちょは にがしちゃたよ
だんご虫しかないよ、どうしよう
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scp-157-jp |
評価: +43+–x
評価: +43+–x
クレジット
タイトル: SCP-157-JP - 触らぬ眠りに祟りなし
著者: stengan774
作成年: 2023
この著者の他の作品
評価: +43+–x
評価: +43+–x
財団による発見時のSCP-157-JP。
アイテム番号: SCP-157-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-157-JPはサイト-8163の特殊防音コンテナに保管されています。対象の振り子部分には緩衝材を取りつけ、振り子同士がぶつかり合うことを避けてください。なお、振り子そのものが動かなくなるような固定は禁止します。オックス・イベント発生時に実験その他の理由でSCP-157-JPを取り扱う際、担当職員には財団指定の遮音装置の着用が義務付けられます。
説明: SCP-157-JPは底面に日本語で「めさましとけひ」と刻印された、西洋風の振り子式時計です。材質や機構そのものに異常な点は確認されないにもかかわらず、収容から現在に至るまでSCP-157-JPは劣化・破損・ゼンマイ切れ他の理由で稼働を停止する兆候を見せていません。
SCP-157-JPは毎夜のAM2:00(JTC/UTC+0900)頃に活性化し、その異常性を発露します。活性化時、対象は一定間隔を空けて連続で振り子部分をぶつけあわせ、16,000Hzから22,000Hzまでの特殊な高周波音1を60dBで発生させ続けます。以降、この周期的活性化をオックス・イベントと呼称します。
実際に音として認識したかにかかわらず、この特殊音を爬虫類・哺乳類・鳥類が聴取した場合、外的刺激への鈍化、身体動作の停止、意識レベルの低下といった反応が即座に表れます。この反応は急性的な睡眠発作に類似しており、財団による曝露実験では、被験者は由来不明の耐え難い眠気を感じると報告した直後に昏倒しました。引き起こされる睡眠に異常な点は無く、オックス・イベントの終了後、曝露者の意識レベルは時間の経過とともに自然に回復します。
オックス・イベントは、SCP-157-JPが特定の状況下に置かれた場合のみ終了します。現在財団が確認している条件は2種であり、1つは振り子部分に緩衝材が取り付けられる等により、オブジェクトが特殊音を発生することが達成できない場合です。この状況に置かれたSCP-157-JPは二度振り子を打ち付けた時点で特殊音の発生プロセスを停止させます。振り子そのものが動かなくなるような固定はこれに当てはまらず、多くの場合振り子の動力がSCP-157-JPの材質・機構では不可能なレベルにまで瞬間的に増加することで固定は破壊されます。
2つ目は、オブジェクトが京都府京都市の集合住宅「████」の212号室の内部にある場合です。この条件が満たされる場合、オックス・イベントの開始から数分後、SCP-157-JPの周囲では不定方向の微弱な衝撃波が発生します。この衝撃波によりSCP-157-JPは僅かに揺れ動き、特殊音の発生プロセスを停止させます。これら諸現象の発生とオックス・イベントの終了との関連性は不明です。
補遺1: SCP-157-JPは、消滅済みのインターネット怪談フォーラム「南関東奇譚会」内で確認された数例の"奇妙な物件"に関する投稿と、それらに対する財団の調査に引き続いて発見されました。当時「████」の212号室は長く空き部屋となっていたにもかかわらず入居者を断り続けており、投稿はそれを不審に思っていた投稿者による独自調査に次いでなされたものでした。
以下は、同集合住宅の管理人を務めていた土岐 泰子氏に対するインタビュー記録です。
回答者: 土岐 泰子氏
質問者: Agt.松里
序: インタビューは当該集合住宅の管理人室で行われた。土岐氏の発言には関西方言が含まれるため、適宜平易な言葉に直している。
[記録開始]
土岐氏: それで、何から聞きたいの?
質問者: では、あなたがあの時計について認知した時期を教えてください。
土岐氏: このアパートの管理人になってすぐだから、11年くらい前かね。前任からの引継ぎで、"他言無用"と念を押しであれに引き合わされてね、まぁたまげましたよ。時計が動き始めたと思えば気が付いたら朝になってるんだから。後は指示通り波風立てずやってきたわけだけど、最近の若い人2は変なことに興味を持つもんだね、ホント。
[以降数分間、関連性の薄い発言が続く]
質問者: なるほど、興味深い話ですね。ところで、先ほど言っていた"指示"とは?
土岐氏: ああ、あの時計を絶対に212号室から持ち出すなだとか、部屋は定期的に掃除しろだとか供え物をしておけだとか、そういう細かい指示だね。正直なところ面倒だったけど、そうしないと祟りがあるって脅されちゃあねえ3。
質問者: そうした指示は前任の管理人によって作成されたのでしょうか?
土岐氏: いやぁ、前任者も詳しいことはオーナーに聞けって言ってたね。ああ、今はもう前オーナーだった。直接会ったのは2,3回くらいだけど、時計について何か知っていた人が居るならあの人だと思うね。私の勝手な見立てだけど。
質問者: その方の連絡先を教えていただけますか?
土岐氏: 構わないけど、暫く前に亡くなったはずだよ4。
質問者: 他に何かオーナーから聞かれたことは?
土岐氏: えーと、確かあの時計について尋ねたことがあったんだがね。なんでも昔はここに大きい屋敷か何かがあって、けど、戦争が終わってからお家が潰れてしまった後にこのアパートが建ったらしくて……ああ、そうそう!時計は屋敷があったころに献上されたものだって聞いたねぇ。
質問者: 献上ですか?
土岐氏: そうそう、これ。時計と一緒に箱に入ってたそうなの。
[土岐氏が書類棚から古びた紙片を取り出す。以下、紙片に書かれていた文章の転写]
[解読不能の漢字]様
御子息のめさましとけひ
確かに御納めし〼
東弊組
質問者: これは…… [数秒沈黙] この"東弊組"についてご存じのことは?
土岐氏: さあてね。でもあんなものを送ってくるくらいだから……きっと随分、冗談が好きな方々なんでしょうねぇ。
[土岐氏は忍び笑いをもらす]
土岐氏: 夜に鳴って人を眠らせる時計なんて、一体誰が「目覚まし時計」と呼ぶのかしら。
[記録終了]
20██年現在、該当の集合住宅「████」は財団が買い取り、SCP-157-JPの実験に利用されています。
補遺2: 20██/██/██の夜間、サイト-8163は蒐集院残党勢力の一つ"漏刻守辰司寮"による襲撃を受けました。襲撃の目的は不明瞭ながら実行部隊はSCP-157-JPの収容区画に侵入し、複数のオブジェクトの収容違反に引き続いて同サイトに駐屯していた機動部隊ろ-5("陰陽師")との戦闘を展開しました。その結果SCP-157-JPの緩衝材は外れ、終了条件が満たされていない状況でオックス・イベントが開始されたと見られています。
以降の記録は当インシデント後に回収された断片的なものに留まっています。少なくとも発生直後に機動部隊ろ-5("陰陽師")及び漏刻守辰司寮の部隊がSCP-157-JPの異常性に曝露したと見られ、その数分後にはサイト-8163に勤務していた財団職員に加え、サイト近隣に居住していた一般市民が昏倒する様子が複数の監視カメラで確認されました。
「SCP-157-JPから発せられる特殊音は通常の活性化時と同じく60dBを保っていた」という音声記録から確認された事実とは相反するように、これらの映像はSCP-157-JPの特殊音が通常の音に比べ明らかに遠距離にまで到達し、同時に振り子が打ち鳴らされる度にその到達範囲が拡大していったという不可解な事象の発生を示しています。
京都府外の財団サイトには、運転中のドライバーが睡眠状態に陥ったことで発生した多数の交通事故に関する市内からの通報と、それらの通報が全て中途で断絶したという奇妙な現象についての報告が相次ぎ、更に京都市内に配置された全国現実性強度観測網("Kant-NETs")のモニタリングポストは大規模な負の現実性変動を記録しました。これはSCP-157-JPの特殊音がサイト-8163を中心とした半径80m範囲にまで到達したことが確認されたのとほぼ同時刻のことであり、その変動範囲は同半径円内に重なっていました。
この時点で範囲内の平均現実強度は0.12Hm以上0.9Hm以下の低ヒューム空間となっており、身体の一部が溶け崩れる、動物の特徴が混ざりこむ等の異形の特徴がみられる人型実体が多数出現したことが確認されています。これらの実体は列を成して進み、以下の同一の一文を口ずさんでいました。
人ひとの 眠ねぶりは 怪あやしの 目覚めざめ
これらの実体により形成された複数の隊列の進行方向は、全て集合住宅「████」に向かうものでした。また実体が確認され始めると同時に、「████」を震央とする微弱な地震が京都府内に発生したことが観測されています。地震は影響範囲の拡大と連動するように断続的に発生し続け、拡大の半径が約1500mに達するまで継続されました。これはサイト-8163と「████」との間の直線距離にほぼ等しいものとなっています。
これらの諸異常現象についての初動対処は財団サイト-8163のダウンにより遅れ、当時緊急で行われた推定では事態の収束までに最大でおよそ1,400,000人規模の直接的・間接的被害が発生すると予測されていました。
しかしながらその予想に反し、当インシデントは発生から約2時間が経過した時点で自発的に収束しています。
研究班はこの終了について、特殊音が「████」付近にまで到達した際、212号室内及びサイト-8163内のSCP-157-JPの周囲に衝撃波が発生し、室内の物品とSCP-157-JPをほぼ同時に北東方向へ吹き飛ばしたことについて注目しています。これは形態的な面では過去の実験で212号室内にSCP-157-JPを置いた際に発生した衝撃波に近いものの、そのエネルギーについてはより大きいものであると推定されました。またこの衝撃波の発生直後、範囲内の現実性変動が回復すると同時に、活動していた異常実体が平伏の姿勢をとって消失したことが確認されています。
当インシデントの終了後、改めてSCP-157-JPと「████」212号室との関連性についての検証が行われました。特に当時発生していた地震についてはインシデント時の記録から行われた調査の結果、その震源は「████」の直下1,100m付近であると推定されており、この地点には巨大な帯水層が存在することが判明していますが、両者の明確な関連性は不明なままとなっています。
調査報告書の開示請求には セキュリティクリアランスレベル3(SCL-3) を、旧蒐集院の文書を踏まえた完全な調査報告書の開示には 日本支部理事会専用クリアランス(SCL-J) を提示してください。あなたの資格情報は不足しています。
脚注
1. 一般的な人間の可聴域は20,000Hzが上限であり、高周波の聴力が衰える20代以降では平均して15,000Hz程度までとされる。
2. 財団による調査の契機となった"奇妙な物件"投稿者についての言及か。
3. 財団による実験では、これらの指示を無視することによるSCP-157-JPの特異な振る舞いは確認されなかった。
4. その後に前オーナーの長男にあたる現在のオーナーに対するインタビューが行われたが、SCP-157-JPに関する有益な証言は得られなかった。
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scp-158-jp |
評価: +51+–x
無力化以前のSCP-158-JP画像
アイテム番号: SCP-158-JP
オブジェクトクラス: Neutralized
特別収容プロトコル: SCP-158-JPは現在低危険度物品保管ロッカーに保管され、性質が再発現しているかどうかについてDクラス職員を用いた検査が20日に一度行われています。性質の再発現が確認された場合は、ただちに検査要員のDクラス職員を終了させた上で、SCP-158-JPを専用の電子錠金庫に保管してください。
SCP-158-JP内容の暗記者は、可能な限り雇用を継続してください。現在、暗記者による口頭での、新たな暗記者の養成が進行しています。後継の暗記者の養成が完了するまで、現行の暗記者は危険業務が全て免除されます。
説明: SCP-158-JPはハードカバー装丁が施された一冊の本です。表紙には何も書かれておらず、自動装置によってページを開きながら行われた観察実験によって、内容も全て白紙であることが確認されています。
SCP-158-JPの特異性は、生きた人間が両手でSCP-158-JPを視界内に保持し、ページを捲る事で発現します。最初のページを捲ると、第一ページに赤い文字の文章が出現します。この時点で被験者はSCP-158-JPを読み進める事に対して一切抵抗が不可能となり、被験者自身の意思に反してSCP-158-JPを読み続ける事を余儀なくされます。
SCP-158-JPの内容となる文章は日記形式で進行し、被験者が読み続けるのに併せて白紙のページに追加され続けます。同時にページ自体も増量しますが、SCP-158-JP自体の重量は変化していません。最初のページを捲らなかった場合、性質は発現しません。文章は、被験者が最も精通している言語で出現します。
被験者がSCP-158-JPを68ページまで読み進めると、被験者は眼窩、鼻腔、外耳道から出血し始めます。この時の出血総量は毎分0.3mlですが、1ページ読み進める度に出血総量は0.2ml増加します。更に128ページへの到達によって口腔、爪床からも出血が始まり、216ページへの到達は肛門、尿道からの新たな出血を誘発します。
被験者が出血多量によって死亡するか、外的要因または干渉によってSCP-158-JPから視線を逸らす事で、SCP-158-JPは自動的に閉じられ、損傷や汚れが修復された上でページ総数は元に戻り、内容である文章も消失します。この状態で再びSCP-158-JPが開かれた時にはページがリセットされた状態で性質が再発現し、また1ページ目から読み始められます。
SCP-158-JPは[削除済]による大規模な[編集済]の跡地で発見されました。[編集済]のために、SCP-158-JPの起源と思われる存在についての物的証拠は得られませんでした。[編集済]の発生は多大な物的被害を生じましたが、死者、行方不明者、重傷者は報告されていません。
特記: Dクラス職員にSCP-158-JPを可能な限り読み進めさせ、文章の内容から性質の正体と起源を探る実験が実行されました。Dクラス職員には絶え間無い輸血と各種栄養物質の注入を行い、循環器系への負担軽減のための人工循環器への接続手術を予め施しています。更に、これらの措置や出血への不快感を軽減するため、[編集済]系薬剤が投与されています。
実験開始から147時間後、SCP-158-JPは42651ページ目に到達すると突如異常な性質を喪失し、以後無力化しました。
実験後Dクラス職員には緊急的に再治療が施され、危機的状況から生還させることに成功しました。そしてその後のインタビューによって、実験中は長時間に渡る薬剤投与、過度な注入と輸血の継続により正常な精神状態では無かったにも関わらず、Dクラス職員がSCP-158-JPの内容を完全に記憶している事が判明しました。SCP-158-JPの内容を精査した結果、これはSCP-158-JPの影響によるものであると結論付けられています。また、SCP-158-JP内容の暗記者が存在しなくなった時点で、SCP-158-JPの性質が再発現する可能性がSCP-158-JP文中にて示唆されている事から、本実験を担当したDクラス職員によって新たな暗記者の養成が現在進行しています。
本実験ではカメラによるSCP-158-JP内容の記録を行っていましたが、文字の滲みによって判読不能な点が多数存在していたため、暗記者のみが内容を完全に把握していると見られています。
本実験でのSCP-158-JP内容の部分的な抜粋記録は記録文書-158-41AZにて閲覧が可能です。
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scp-159-jp |
評価: +95+–x
アイテム番号: SCP-159-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-159-JPは、完全に光の無いA級小型危険生物房に収容し、どのような理由があっても決して光を当てないでください。また、通常の大型犬等と異なりSCP-159-JPは給餌を必要としません。その特殊な移動手段と性質に考慮し、現時点でのSCP-159-JPに対する実験等は完全に禁止されています。
説明: SCP-159-JPは大型犬に似た影のような存在です。その姿は、空間に開いた犬型の穴のように見えます。これは、SCP-159-JPが周囲からの光を完全に吸収しているためとされており、これに加えて物理的接触は功を奏していません。形状、及び記録された鳴き声から、ゴールデンレトリバーに類する犬種ではないかと推測されています。
SCP-159-JPは、周囲で最も大きい生体1へと覆いかぶさるように移動し、積極的にじゃれつくような挙動を見せます。この挙動に触れた生体は、四肢の末端から急速に炭化し、結果的に崩壊します。この際、SCP-159-JPに接触している者は熱傷を負っているような猛烈な苦痛を感じることが確認されており、短時間の接触でも身体末端への多大な影響、及び欠損等が発生します。また、SCP-159-JPにより四肢や手指を失った者は、幻肢痛を起こさないことが判明しています。
また、SCP-159-JPはあらゆる物体の影を利用して移動する手段を持っています。これらの原理、方法は一切不明ですが、周囲に影、及びじゃれ付くことの出来る対象が存在しない場合、生体の存在すると思われる場の影へとランダムにジャンプを行います。加えて、犠牲者の影にSCP-159-JPが出現した時点で犠牲者はその場から動くことが困難になります2。これらの効果はSCP-159-JPに対して一切の光を当てないことで封じることが出来ます。
SCP-159-JPは主に人間に対してじゃれつく傾向がありますが、これは特に10歳以下の児童に対して顕著です。この積極的行動は何らかの教育の影響ではないかと見られていますが、詳細は分かっていません。また、10歳以下の児童がSCP-159-JPに触れた時に限り、児童は前述のように炭化しながらもいずこかへ消失します。消失後の行方は一切不明です。
補遺1: SCP-159-JPは初めに████地区の幼稚園に出現し、同幼稚園内の全ての児童、人間を消失、炭化へと追いやっています。その後、同区域の他の保育園に出現し、再びその場に居た全員を炭化、消失させています。最終的に、サイト-81██内託児所に出現、2名の児童が犠牲になり、当直であった保育士の内一名が両腕を失いましたが、██保育士の速やかな連絡により収容がなされました。当時の状況を██保育士へインタビューしています。
+ ██保育士へのインタビュー記録
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日付:20██/██/██
インタビュアー:█博士
インタビュー対象:██保育士
█博士:それではインタビューを開始します。問題ありませんか?
██保育士:ええ。
█博士:では。SCP-159-JPの出現当初、託児所はどんな状況でしたか?
██保育士:はい。お遊戯会の発表の前でした。それで、皆で練習をしていたんです。
█博士:なるほど。
██保育士:そうしていたら、そうしていたら急に、現れたんです。あの(三秒間の沈黙)黒い、犬が。
█博士:ふむ。それで。
██保育士:子供の一人が犬を指して、皆気付きました。そのすぐ後に(五秒間の沈黙)あ、あの子が。
█博士:落ち着いてください。お気持ちはわかります。それで、一体?
██保育士:あの子が、子供の一人が触れてしまったんです。犬に。あの犬は、じゃれつくようにその子に縋りついて、そして。見る見る内に、あの子は真っ黒な(十秒間の沈黙)、真っ黒な炭の塊に。
█博士:炭化したと。それ以外にも何か起きたと聞いていますが。
██保育士:消えてしまったんです。炭のようになっていく内に、その子は空気に溶けるようにいなくなって。私が皆に逃げるように言った頃には、二人目の子が襲われて。
█博士:なるほど。
██保育士:私が皆を逃がし終わる頃には、託児所の中には██保育士と、逃げ損なった子が一人居ました。██保育士は必死に襲われていたあの子を助けようとしていたんですが、助けようとした██さんも、両腕が真っ黒になって(顔を覆い、泣き始める)。
(██保育士は15秒前後顔を覆い、嗚咽を上げ続ける。█博士は泣き止むのを待っている)
██保育士:あの犬は、あの犬は、あろうことか(五秒間の沈黙)。
█博士:あの犬は?
██保育士:舐めていたんです。あの子の顔を。よく懐いた子犬のように。
(託児所から全員が脱出を行った直後、██保育士により託児所内は常設シャッターで閉鎖された。偶然ながら、これによりSCP-159-JPに対し光を当てないことでの収容法が確立された)
この判断が功を奏し、SCP-159-JPの一時的な収容に成功。この後、託児所内からSCP-159-JPは移送され改めて収容されました。同託児所内児童は全員が記憶処理済。██保育士に関してはメンタルセラピーが行われる予定となっています。██保育士には記憶処理が行われました。
補遺2: SCP-159-JPが出現した二事案目の保育園において、園内の松の木の中から一枚のメッセージカードが見つかりました。メッセージは以下の通りです。
かいらんばん
あれ もういらない にかいも ためしたのに
せっかく つれてきてあげても みんなこげちゃうしね
あいつらにあげよう けいすけ
補遺3: SCP-159-JPの移送後、同託児所仮眠室内において大量のイラストが発見されました。それらは全て██保育士の日記帳全頁に挟まれる形で設置されており、同じイラストと文字が書きこまれていました。これらへの関与を██保育士は否定しており、職務への影響を配慮し後に記憶処理を受けています。イラストと書き込みは以下の通りです。
かわいがってあげてね
Footnotes
1. ほとんどの場合、人間がこれに当たります。
2. 生存者からのインタビューによれば、大型犬に伸し掛かられたかのような圧力を感じるとのこと。
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scp-160-jp |
評価: +37+–x
セイルのみを浮上させたSCP-160-JP。
アイテム番号: SCP-160-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-160-JPはセクター8192内の厚さ3 mの鉄筋コンクリートと厚さ500 mmの装甲シャッターを備えたシェルターに収容し、乾ドックの架台に固定してください。その際、走行装置のカタピラは分解保管してください。また、不審な電波輻射を行っていないか24時間体制で監視を行ってください。現在、SCP-160-JPは半年に1回の間隔で活動を活性化させています。SCP-160-JPに関する実験はこの活性終了後に行うものとし、セキュリティレベル4以上の職員の監督下で回収船「富士壺」の支援を仰いでください。実験中は収容違反を防ぐために遠隔式爆破装置を積載し、短魚雷を搭載したヘリコプターを待機させてください。
説明: SCP-160-JPは、一見すると大日本帝国海軍が第2次世界大戦中に製造した特殊潜航艇に酷似しています。寸法は、全長18 m、全幅1,8 m、水中排水量は約60 tです。初期の調査は回収船「富士壺」にて行われましたが、現存する記録にある潜航艇とは明らかに異なる点が報告されました。SCP-160-JPには魚雷発射管などの兵装は確認されませんが、艇側面には取り付け部分と思しき箇所が発見されています。艇内は座席の配置などから3名乗りと推測されますが、搭乗員がいた形跡はありませんでした。操縦席付近にはオシロスコープに接続された機器が複数ありましたが、全て強力な通電によって破壊されており、捕獲寸前に自壊させたと見られています。また、SCP-160-JPの艇下部にはカタピラ式の走行装置が備えられています。これは自走して海中に入るため、あるいは海底や浅瀬での移動のためだと推測されます。
SCP-160-JPのより詳しい調査はセクター8192で行われ、「富士壺」船上での調査結果に加えて新たに特異な性質が確認されました。艇全体はチタン合金に酷似した素材で構成されており、特に内部の耐圧殻は既存の潜航艇の構造材よりもはるかに強靭です。水圧試験ではマリアナ海溝の底部に等しい11,000 mの水圧にも耐えることが証明されました。Dクラスを用いた実験では、いかなる深度設定においても艇内は1気圧を維持し搭乗員の生命に問題が無いことも証明しました。機関部は艇内部からアクセスできるようになっていましたが、内部には「マル四(○の中に漢数字の四)高圧電池」と「第十研試製水素発動機」と銘版に記入された機材が発見されました。これらは現代の技術水準から見ても異常に高度な完成度を維持しており、1940年代当時の日本軍では、船体はおろか各種機材も製造できないと結論付けられました。
SCP-160-JPは、19██/██/█/にI5サイト群に属する████島の沿岸部で確認されました。
同日の午前5時頃、島の西側20 kmを通過していた漁船から「不審な船が航行している。」と海上保安庁第█管区の保安署へ通報があり、巡視船████が出動しました。この件は海上保安庁内部に配置されていた財団職員によって████島保安責任者に報告が行われ、財団は不審船の存在を認知しました。巡視船と保安署の通信を傍受した結果、不審船が████島に針路を取っていると判明。海上保安庁に対して、不審船は荒天で流失してしまった個人のヨットであるとの偽装を行いました。
その後、侵入阻止規定に則り回収船「富士壺」の高速艇2隻と機動部隊ゐ-3「権瑞玉」による拿捕作戦が発令され、島の南西4 kmで不審船は捕捉されました。ここで初めて不審船が潜航艇であると確認されましたが、島の周囲に設置された水中聴音機と磁気探知機に反応はありませんでした。高速艇に同乗した機動部隊ゐ-3の隊員が臨検を行いましたが、内部は無人の状態であるにも関わらず機関などは動き続けていました。機動部隊到着まで監視を行っていたヘリコプターは、搭乗員の出入りを確認していません。臨検直後に不審船は強力な電波輻射を行い逃走を図りましたが、高速艇の捕獲網によって航行不能となり「富士壺」に収容されました。財団は、この不審船が無人で行動していた事実に加えて「富士壺」からの調査報告を鑑み、SCP-160-JPと定義した上でさらに詳しい調査を行うことを決定しました。SCP-160-JPは19██/██/██/にセクター8192へ引き渡されました。
SCP-160-JPは、調査の結果からもあくまで有人の乗り物であり、遠隔操縦できる機構ではないと判明しています。このため、潜航艇そのものに自律意思があると推測されますが、セクター8192へ移送後は無人での活動が観測されませんでした。このため、一時Anomalousへの再分類が検討されていましたが、収容から半年後の19██/██/██に発生した重大な収容違反によって再分類の提案は無期限保留とされました。
+ 19██/██/██の収容違反事例
- 19██/██/██の収容違反内容
SCP-160-JPの収容から半年後の19██/██/██、セクター8192内の通信傍受施設が外部からの強力な電波輻射を確認しました。これに呼応するかのようにSCP-160-JPも電波輻射を開始したため、外部との通信を行っていると判断したセクター管理者は直ちに妨害電波の輻射を行いました。しかし、SCP-160-JPは無人のまま活性状態となり、ドック内から陸上の作業スペースへと上陸し行動を開始しました。付近にいた財団職員が阻止のため乗り込もうとしたところ、SCP-160-JPは強力な放電を行い職員は全治2ヶ月の重傷を負いました。
行動開始後SCP-160-JPは物資搬入口を破壊しシェルター外へと進出、重大な収容違反の発生と判断されました。対象は海上への脱出を試みていると推測され、保安隊と装甲車両3台が脱出阻止のため緊急出動しました。この阻止行動の最中SCP-160-JPは装甲車両1台を破壊し、セクター内の施設を体当たりで破壊し始めたため、他のSCPオブジェクト流出の危険が高まる結果となりました。セクター管理者は対象の無力化を止む無しと判断し、重火力装備の投入を決定後SCP-160-JPを職員宿舎の前で包囲しました。破壊命令受領のため待機中、通信傍受施設が再び外部からの強力な電波輻射を確認しました。包囲中のSCP-160-JPも数回の電波輻射を実行後に不活性状態になったため、保安隊によって再収容されました。
この収容違反発生後に特別収容プロトコルが改定され、SCP-160-JPの乾ドック架台への固定およびカタピラの分解保管が決定されました。現在までにSCP-160-JPは半年に1回のペースで脱出しようと活性化しますが、その試みは全て失敗に終わっています。また、外部からの電波輻射もこれ以後確認されていません。
補遺-160-JP-1
捕獲の際にSCP-160-JPが行った電波輻射の内容は「カゴ ノ ナカ ノ トリ」であると判明しました。日本支部は、この不審船が要注意団体による偵察ではないかと推測し████島に厳戒態勢を敷きましたが、7日後には解除されました。
補遺-160-JP-2: 19██/██/██の収容違反時の電波輻射の内容
+ 通信内容
- 以下通信内容表示
19██/██/██後の調査において、SCP-160-JPが外部と行ったと思われる通信の一部が判明しました。以下がその内容になります。
最初の外部との通信
SCP-160-JP:艦隊司令部 艦隊司令部 コチラ 第八号艇 コレヨリ 脱出 ヲ 敢行ス 回収 ヲ 求ム
艦隊司令部(以後、艦隊とする):了解 了解 現在位置 知ラセ 現在位置 知ラセ
SCP-160-JP:本艇 ノ 現在位置 北緯██度 東経███度 掩護 ノ タメ カク・・・[直後に妨害電波の輻射を実行]
包囲中に行われた通信
艦隊:コチラ 艦隊司令部 コチラ 艦隊司令部 第八号艇 応答 セヨ 応答 セヨ
SCP-160-JP:コチラ 第八号艇 我 完全 ニ 包囲サル 自爆 ノ 準備ヨシ 実行ヤ 如何ニ
艦隊:自爆 ノ 要ヲ 認メズ 別命 アルマデ 待機 繰リ返ス 別命 アルマデ 待機セヨ
SCP-160-JP:了解 了解
この通信を最後にSCP-160-JPは行動を停止しました。
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scp-161-jp |
評価: +824+–x
評価: +824+–x
クレジット
タイトル: SCP-161-JP - 伊れない病
著者: ©︎undercat
作成年: 2014
評価: +824+–x
評価: +824+–x
アイテム番号: SCP-161-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-161-JPの患者に「伊る」を意味する単語を聞かせないで下さい。また、それをひらがな・カタカナ・ローマ字等の表音文字で表記したものを視認させないで下さい。患者に対応する全ての施設は、最高レベルの防疫体制を維持して下さい。
説明: SCP-161-JPは「伊る」という動作、および概念への認識に異常をもたらす精神疾患です。SCP-161-JPの患者からは「伊る」という動作や、それに関係する概念への認識が、過去にさかのぼって失われます。この結果、例えばバレリーナが伊り回る動作は、単に片足立ちで回転しているだけの動作として認識され、また「以前からそのような動作であった」という虚偽記憶が形成されます。極端な例では、日本の伝統芸能である「能」は、大半が伊り歩く動作によって構成されているため、それは単に扇を持って舞台上を歩き回っているだけのように認識されます。
「伊る」を意味する単語を音声として認識したSCP-161-JPの患者からは、その時点から過去数時間の記憶が失われます。この症状は、表音文字で表記されたものを見ることによっても同様に発症します。
実験記録(一部抜粋):
被験者: なぁ、このテストっつーのは、一体いつまで続くんだよ。
研究員: あと少しで終わりますよ。えー、では、これから私がある動作をして見せますので、それを言葉で説明してみて下さい。
[研究員は被験者の目の前で腕を大きく伊らせて見せた]
研究員: どうぞ。
被験者: ……? アンタ椅子に座ってただけじゃねーか。
研究員: …はい。えー、では次に…
[研究員は 『子供が庭で伊りまわっている』と書かれたホワイトボードを指し示した]
研究員: この文章を音読してみて下さい。
被験者: 子供が庭で……、い…イりまわっている…か? わかんねぇな。
研究員: そこは「伊りまわっている」と読むのではありませんか?
被験者: ん? あっ、そうそう! 伊るだよ伊る! ド忘れしてたよ。かー…、アレ? か…か……、
[被験者は突然無表情となり、約5秒間にわたって眼球を左右に激しく痙攣したように動かした]
研究員: 大丈夫ですか?
被験者: ……ん? いや、ちょっと頭痛がしただけだよ。ところでさぁ、さっき言ってたテストっつーのは、まだ始まんないのか?
補遺: 関係各位の努力にも関わらず、SCP-161-JPの病原は未だ解明されておらず、有効な治療法および予防法も発見されていません。SCP-161-JPの患者数は依然として増加し続けており、それは財団の対応力の限界に迫りつつあります。最悪の事態に備え、財団はユネスコの全面協力のもと、伝統舞踊・武道・スポーツなど、「伊る」という動作が関わる無形文化財の超長期保存計画に着手しました。
幸運にもSCP-161-JPの影響は、日常生活を送る上で必ずしも重要ではない「伊る」という動作・概念のみに留まりましたが、今後「眠る」や「食べる」、あるいは「佐う」といった重要な概念で同種の疾患が発生した場合、その被害は甚大なものとなることが予想され、早急な対処法の確立が必要と考えられます。
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scp-162-jp |
評価: +56+–x
1941年に英商船が撮影したSCP-162-JP
アイテム番号: SCP-162-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 現在、財団海上部門の合同任務群「Screaming 60」がSCP-162-JPの捜索と追尾を担当しています。財団所属の各船舶、航空機、施設はSCP-162-JPと疑われる存在を発見した場合、識別プロトコル「海軍年鑑」に従って対象を識別してください。SCP-162-JPであると確定した場合には、監視を継続しつつ「Screaming 60」所属の艦船を誘導してください。また、発見通報と同時に周辺航路には管制が行われ、民間船舶の接近は排除されます。
「Screaming 60」所属の艦船は、SCP-162-JPを中心とした輪形陣を敷き、対象が不活性化1するまで針路を妨害してください。対象が逃走を試みた時は、外縁部の予備部隊によって速やかに新たな輪形陣の形成が行われなければなりません。なお、SCP-162-JPのマストに軍艦旗2が掲揚された場合、直ちに輪形陣を解き全速でその場を離脱してください。その際、各艦の艦長以下幹部士官は処置54-パラグラフ11に備えてください。
説明: SCP-162-JPは、推定総トン数8000tクラスの三島型貨物船です。船体上には巧妙に偽装された艦砲や水雷兵装を有しており、航行中の船舶に対する襲撃を繰り返しています。現在までに、SCP-162-JPによって拿捕、撃沈された船舶は██隻に上っています。
SCP-162-JPの特異な性質は、船種や規模に関わらず別の船舶に完全に偽装することができる点にあります。SCP-162-JPとの交信で得られる情報3は偽装元になった実在の船舶と一致しており、無線記録の分析から偽装元となった船の乗組員の声を模倣していることが判明しています。また、外観に関しても完全に偽装することが可能であり、ほぼ同規模の船舶以外にも小型の沿岸漁船やVLCCクラスのタンカーに偽装していた事例が報告されています。外観の偽装は他の船舶が1500 yd4付近まで接近することで解かれ、SCP-162-JPは本来の姿を現します。しかし、この時に船体の構造そのものが変形したという報告は無く、被害に遭った乗組員からも突然船の姿が変わったとの証言が得られています。このことから、SCP-162-JPは未知の方法によって偽装した船影を人間の視覚や撮影機器に投影していると推測されています。
航行中の船舶への襲撃は、通商破壊を意図したものであると推測されており、海上における主要なチョークポイントや五大湖などの内陸湖でも出現が報告されています。襲撃は戦史上の通商破壊作戦における一般的な手順に沿って行われており、近代の海戦法規に則っているかのように振る舞っています。以下の様な行動はその典型例です。
■偽装したままの状態で襲撃が開始されることはありません。必ず偽装解除の後に軍艦旗を掲揚します。
■複数の手段5による停船命令に従わない場合にのみ威嚇射撃と船体への砲撃が行われます。
■乗員乗客が退船するまで十分な時間的猶予を与えます。
■被害船舶へと接舷し物資の略奪を行います。貨物や燃料以外6の略奪も確認されています。
ただし、標的となる船舶の国籍は無差別であり、拿捕の要件を満たしているか否かに関わらず襲撃は行われているなど、必ずしも海戦法規を順守しているとは限りません。また、退船した乗員乗客を内部へ収容することもありませんが、被害船舶の救難信号を偽装して発信し、救援の到着が確実になるまで周辺を遊弋します。これは、より多くの衆目を集める事で通商破壊作戦の存在を誇示し、海上交通を破壊する事が目的であると考えられます。
各種報告からは、SCP-162-JP内部で人間、あるいは何らかの知的生命体が存在しているのかについて確認できていません。艦橋や甲板上で乗組員が活動している形跡は無く、偽装状態にある兵器類に関しても全て砲塔状の構造物で覆われているため内部を観察することができません。一部の被害者は、SCP-162-JPが接舷した瞬間に人間が乗り込んでいたと証言していますが、証言の数が極めて少なくそのような事実も確認されていません。SCP-162-JPが自律的に行動しているのか、あるいは遠隔操作されているかについては、現在要調査案件となっています。
SCP-162-JPは、1950年代を通じて発生した船舶遭難事件によって財団にその存在が認知されましたが、後の調査からその起源は少なくとも第二次世界大戦にまで遡ることになりました。当初は大西洋でのみ確認されており、イギリスによって「襲撃艦-J」として記録されていました。その後、報告書にも添付されている写真の撮影に成功したことから、ドイツ海軍の「襲撃艦-C」こと通商破壊艦「アトランティス」と同一であると判断されていました。しかし、「アトランティス」が撃沈された1941年以降も出没が報告され、その行動が全球規模に広がったため米英海軍によって秘密裏に調査が行われていました。しかしながら、1945年の戦争終結によって出現報告が途絶え、「襲撃艦-J」に関する調査は機密扱いとなり公式には存在を抹消されていました。
補遺-162-JP:以下の文書は「Screaming 60」所属艦の幹部士官、及び司令部要員のみ閲覧できます。
+ 開示には「Screaming 60」司令官 Admiral Devonshire による認証が必要です。
- 認証の確認が終了しました。文書を開示します。
現在の特別収容プロトコルは、SCP-162-JPが1隻であることを前提としています。しかし、行動中のSCP-162-JPによる無線通信を解析した結果、「艦隊司令部」と呼ばれる存在と、「ボウコク-マル」「ジュンコク-マル」と言う二つの符号が確認されました。これはSCP-162-JPが組織的な活動の一部であるとともに、その存在が複数であることを示唆しています。財団では、SCP-162-JPに対する相互接触を計画しており、「Screaming 60」において具体的な行動計画を策定中です。これは「艦隊司令部」に対する接触と情報収集、および一連の通商破壊作戦に関して交渉による封じ込めを行うことを目的としています。しかし、計画に対して不確定要素が多すぎるとの判断から、現在理事会による決裁が保留されています。
SCP-162-JPに関する主要な事件
事件記録-162-JP-い: 1972/█/██/、財団ではSCP-162-JPを保護する意義が極めて低いと判断し、無力化作戦「Qシップ」を実行しまし[データが破損しています。]
…
…
… 復旧に失敗しました。
事件記録-162-JP-ろ: 1985/██/██/、午後17時50分、「Furious 50」に所属していたSCPSオンディーヌが、ザンジバルの東約600 kmの地点でSCP-162-JPを発見しました。オンディーヌは追跡開始の旨を司令部へ発信した後、同日の午後19時の定時連絡を最後に消息を絶ちました。僚艦は伴っておらず、オンディーヌは距離を維持しつつマダガスカル周辺海域担当のSCPSシレーヌと同日午後20時に合流を予定していました。消息を絶ってから2日後、財団所属の哨戒機がモーリシャスの南東300 kmの海上でオンディーヌを曳航中のSCP-162-JPを発見し、警告のため対潜爆弾を投下しました。SCP-162-JPは曳航索を切断し時速80ノットで南へと逃走しましたが、オンディーヌ救出を優先したため追跡を断念しました。
救出部隊がオンディーヌに乗り込んだ所、全ての乗組員が所定の部署に就いたまま昏睡状態となっていました。回復した乗組員に対する事情聴取から、SCP-162-JPがオンディーヌに対して砲撃を行った直後、艦内にガスが充満した事が判明しました。砲撃による被害は艦内の空気循環システム付近に集中しており、回収された砲弾の残骸は化学砲弾の特徴と酷似していたことから乗組員の証言が裏付けられました。死傷者は無く物理的損害も軽微でしたが、艦内の電子機器に対する不正なアクセスが行われ内部の情報を略取されました。どの程度情報の漏洩が生じたのかは不明ですが、保安部門はこの事件直後に発生した財団内部ネットワークへの大規模な攻撃との関連を指摘しています。
事件記録-162-JP-は: 1986/█/██/、「Furious 50」の一部が停泊していた██████へSCP-162-JPが侵入しました。SCP-162-JPは同日入港予定であったSCPSテンペスタに偽装しており、割り当てられていた識別コードも正確であったために判別が遅れる結果となりました。その後、テンペスタから悪天候のため入港予定が遅延する旨の通信を受け取った事により、偽装したSCP-162-JPに対して臨検隊が誰何を行いました。臨検隊が接近した事でSCP-162-JPは正体を暴露し港外へ逃走を開始、「Furious 50」所属艦が捕獲を試みましたが、対象が港内に機雷の様な物体を投下したため断念せざるを得ませんでした。回収された機雷型物体は██個に及びましたが、全て信管や炸薬の無い全く無害な物でした。逃走開始直前、SCP-162-JPから港内の財団所属艦船に対して以下の通信が送られました。
我、今より██████を去らんとす。財団諸君は御用無きや。 ボウコク-マル
この事件の発生により、「Furious 50」の戦力配置や哨戒スケジュールがSCP-162-JPに対して完全に暴露されたと判断されました。「Furious 50」は解隊され、所属する艦船と人員の総入替も含めた大改編により「Screaming 60」が設立されました。
Footnotes
1. 白旗を掲揚し、衝突回避以外の行動を取らず漂流している状態を指します。長ければ1~2ヶ月に及びます。
2. 黒地に交差したカルバリン砲を白抜きした図案であることから、カルバリンクロスと呼称しています。
3. 船名、識別信号、積荷、乗員乗客数など。
4. 1500ヤード=約 1.3716 km
5. 無線通信、発光信号、旗流信号、機械装置によって動く手旗信号など。
6. 船内の備品や乗員乗客の私物。
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scp-163-jp |
評価: +163+–x
アイテム番号: SCP-163-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特殊収容プロトコル: SCP-163-JPはサイト-8182の常に完全に消灯され、密閉された状態かつ内部の気体総量の10%を上回る気化アンモニアで満たしたAクラス危険生物収容室に収容されます。SCP-163-JPの特性上、食事などは必要としません。
実験のためにDクラスを使用する時を除いて、収容室に侵入した者は、SCP-163-JPを視認したことが確認された時点で、2レベル以上のセキュリティクリアランス保有者に限り精神鑑定及び眼球切除手術を受けることが出来ます。それ未満の場合は即日終了されます。
SCP-163-JPが脱走した場合、1時間以内に収容地に戻せない場合はサイト-8182内を完全密閉した上で内部の気体総量の10%以上になるアンモニアを注入して下さい。その時点で避難を行うことは出来ません。
説明: SCP-163-JPはホモ・サピエンスの桿体細胞でしか確認することが出来ない存在です。桿体細胞による視覚を除くあらゆる生体的・機械的な手段によって確認することは出来ません。
SCP-163-JPを確認することは極めて有害です。SCP-163-JPを確認することで、その対象者(以後SCP-163-JP-1と表記します)は激しい恐怖、制御不能な錯乱、強い暴力性を引き起こします。
SCP-163-JPを確認して以降は、SCP-163-JP-1の桿体細胞が活動するたびに――これは瞬きなども含みます――SCP-163-JP-1はSCP-163-JPの姿を確認することになります。これはSCP-163-JP-1の精神に非常に有害な影響を与え、多くの場合最終的に自分の目をえぐり出すあるいは自殺という結果をもたらします。眼球の切除を行うことでSCP-163-JPの影響から逃れることが可能ですが、多くの場合被験者は激しい暗闇恐怖症になっているため、完全な視覚の欠如によって引き起こされる暗闇に耐え切れず自殺を試みます。
SCP-163-JPは空気中のアンモニア濃度が5%を超えることによって一時的に非活性状態に置くことが可能であり、その間はSCP-163-JPを確認してもSCP-163-JPの”感染”を引き起こすことはありません。
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scp-164-jp |
評価: +121+–x
話しかけてくる謎の石として報道された際のSCP-164-JP。確保後直ちに全ての痕跡を処理した。
アイテム番号: SCP-164-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-164-JPはサイト-8154特別物品収容室内の金庫ろ-11に収容されています。金庫内には呼び出しボタンが設置されており、SCP-164-JPが活性化した際これを押す決まりになっています。
押されたボタンはサイト-8154第4研究室内に設置された専用通話装置に着信されます。着信があった際は30秒以内に取るようにしてください。また、SCP-164-JPから何らかの要求があったとしても全て拒否してください。
説明: SCP-164-JPは不定形の知性体です。姿形を自由に変異させることが出来ますが、概ね大きさは1m以内、重さは30kgから70kgの間になります。現在は直径47cm重さ67kgの赤い硬質な楕円形の物体です。発話器官を始めとする生物的な器官が一切存在しませんが、どのような形状であっても活性化状態ならば、成人女性のような声で話すことが出来ます。また後述する性質上、使用する言語には際限が無いと考えられています。
SCP-164-JPは1週間に1度程度、不定周期で活性化します。活性化した場合は誰かと会話をしようとします。このとき、周囲に会話の相手がいない、あるいは手段が無い場合、相手を見つける為にその状況に応じて変異し、移動を開始します。
不活性化状態の場合は最後に変異した状態を保ちながら、発話を始めとしたあらゆる活動を停止します。
自身をあらゆる物事の模範的存在であると主張しています。一度会話で言及された存在や事象について瞬時にある一定レベルまで理解し、そのものについての模範とは何かを語り始めます。しかし、得られた知識が完全ではないことや、SCP-164-JPが発見時から精神的に不安定であり感情の制御が行えない状態にある為、有用性は皆無です。
補遺:
会話記録164-JP-1:
確保の際に行われた会話の一部抜粋
あら?貴方達とは初対面ですよね? はじめまして。私は[言語化不能なノイズ]です。私は様々な場所を巡って見識を広げ、そこで得た物を他の方への手助けとして提供させていただく旅をしております。
ちょっとそこの貴方! なんだこいつと言いましたか? 口の聞き方には気をつけなさい! 私と貴方は今ここで知り合ったばかり。家族でも友人でもましてや恋人でもないのにこいつ呼ばわりされる理由はありません! 初対面同士の模範的な会話の仕方をもう一度学びなおしなさい!
会話記録164-JP-2:
収容後始めての活性化の際に行われた会話の一部抜粋
はじめまして、私、[言語化不能なノイズ]というものです。貴方のお名前は? 天王寺さんですか。なるほど、少々奇抜な出で立ちをされているようですね。どうしてわかったのかですか? 私には聞いたものの知識を得ることが出来ます。なので貴方のお姿を見ずとも、貴方のお名前を伺うだけで凡そのことは理解できます。
しかし、そのような言動でよろしいのでしょうか? どうやら研究者としては評価は悪くないようなので、もう少し落ち着いた方がよろしいかと。例えばですか? そうですね、ギアーズ博士のように如何なるときも冷静になられてはいかがでしょうか?
会話記録164-JP-5:
現在の収容プロトコルが確立された直後に行われた会話の一部抜粋
ちょっと貴方達!これはどういうこと?どうして私がこんな暗くて狭いところへ押し込まれなければならないのよ!大体貴方誰よ!天王寺はどこ?あの芸人気取りには言いたいことが山ほどあるのよ!
はあ?他の研究で忙しいですって?私の担当でしょ!今すぐ呼びなさいよ!それがオブジェクトに対する態度なの?
私はねえ、その気になればいつでも収容違反できるのよ!液体になったことあるの知ってるでしょ!それをわかっているの!
えっ、うーん、確かにそれもそうね。わかったわ。なら、今日のところはオブジェクトとして模範的に収容されておいてあげるわ。
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scp-165-jp |
評価: +106+–x
アイテム番号: SCP-165-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-165-JPは完全な収容には至っていません。SCP-165-JP-Aの精神状態を良好に保つため、最低1名の職員が割り当てられます。
説明: SCP-165-JPはかつてSCP-███-JPの収容に利用されていたアクリル製の一般的な生物収容セルです。その内部に存在する人間をSCP-165-JP-Aと呼称します。
SCP-165-JPは外部からの干渉を受け付けません。入り口や物品の投入口は完全に塞がれており、内部から変化を加える事も不可能であると考えられています。SCP-165-JP内部にSCP-165-JP-Aが存在しない場合、午前8時前後にSCP-165-JP-Aが発生します。SCP-165-JP-Aは人間であり、外部から何らかの方法で転移したものと考えられています(失踪者リストとの一致有り)。またSCP-165-JP-Aは全ての場合において新品かつ茶色の傘を所持した状態で現れます。加えてSCP-165-JP-Aは食事や排泄、睡眠も必要とせず疲労の兆候も示しません。それについての複数回に渡るインタビューにも関わらず、「興味が無い」以上の具体的な解答は得られていません。
午前0時前後から午前6時前後まで2cm前後の氷粒が発生します。これらは秒速16m程でSCP-165-JP天井部から出現し、底部に接触した時点で消失します。SCP-165-JP-Aは氷粒発生の数分前に傘を差し、氷粒が止むと傘を畳みます。この行動についてSCP-165-JP-Aは「雹が降るから傘を差す」といったコメントをしますが、実際にそれ以上の強制力が無い事に注意して下さい。
氷粒によって傘布の約50%が失われる、または中棒の損傷等で傘の機能が大幅に失われた場合、SCP-165-JP-Aは傘と共に消失します。その他氷粒の発生時に傘を差さない、傘を投げ捨てる、等の行為によっても消失する事が確認されています。消失したSCP-165-JP-Aは発見されていません。
会話記録165-JP
<録音開始, [████/██/██, 22:██]>
小塚研究員: 気分はどうだ。
SCP-165-JP-A: 変わらないよ。やる事無いから恐ろしく暇だけどね。
SCP-165-JP-A: せめてこの傘の色だけでも変わってくれれば気分も変わるんだけど。
小塚研究員: 茶色じゃご不満か。
SCP-165-JP-A: 勿論! もう少し明るい色の方がいいね。それとこの安っぽさが気に入らない。2000円もしないなこれは。
小塚研究員: そうは言ってもな……使うの嫌か?
SCP-165-JP-A: そんな事はない。それに、お前が困るだろ。
小塚研究員: ああ、できれば使ってもらえると嬉しい。……すまない、時間だ。
SCP-165-JP-A: いってらっしゃい。また来てくれるのを待ってるよ。
<録音終了>
<録音開始, [████/██/██, 22:██]>
SCP-165-JP-A: ついにこの時が、って感じだね。
小塚研究員: ……そうだな。
SCP-165-JP-A: あ、いいよ気を使わなくて。そんなに気にしてない。
SCP-165-JP-A: ここに来ちゃった時点で覚悟は決めたし、傘ももうボロボロだし、あちこち痛むし。
小塚研究員: すまない。
SCP-165-JP-A: 感謝したい位だよ。知り合いが居て……そういや、最期まで数字で呼ばなかったな。
小塚研究員: そりゃお前。
SCP-165-JP-A: ハハハ、ごめんごめん怒るなって。感謝ついでに1つ。
SCP-165-JP-A: 確か小塚ってあんまり傘差さないよな?
小塚研究員: 藪から棒に……あんまり傘は使わんな。
SCP-165-JP-A: 小雨だなと思っても使った方がいい。高い傘じゃなくてもいいから……ビニール傘はオススメしないけど。
SCP-165-JP-A: 分かる?
小塚研究員: ……分からん。
SCP-165-JP-A: その内分かるさ。
<録音終了>
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scp-166-jp |
評価: +54+–x
アイテム番号: SCP-166-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-166-JPはサイト-8102の屋上に設置された特別収容庫内に「上向きに」保管してください。SCP-166-JPには遠隔操作によってスイッチのON-OFFが可能な装置が付けられます。装置は週に一回、および実験の際に必ず動作の確認を行ってください。実験を行う際にはセキュリティクリアランスレベル2以上の職員の許可が必要です。
説明: SCP-166-JPは翼幅1メートル、重量450 gの鳥を模したオーニソプターです。一対の翼を持ち、鳩を模した形状をしていますが塗装などはされておらず、おそらく素材そのものの色とみられるグレーカラーをしています。胸にあたる部分にON-OFFと書かれたスライドスイッチがあり、SCP-166-JP内部は複数のギアが組み込まれていますが現在の所いかなる動力源も発見されておりません。
にも関わらずスイッチをONにするとSCP-166-JPは羽ばたきをはじめ、常に時速3.6 kmから3.8 kmの速度を保ち、頭部のくちばしが向いている方向に飛翔します。これは障害物や重量の積載、風などの影響を受けることなく常にこの速度を保ちます。内部のギアを含む全ての組成物に不明な物質が使用されており、現在調査が進められています。
SCP-166-JPのボディには東弊重工社のロゴマークが刻印されているのが見つかっています。SCP-166-JPはエリア-8181の職員用カフェテリア内のゴミ箱にて発見されました。SCP-166-JPを発見した職員の不注意によりスイッチが入れられ、結果として財団施設の壁に穴が開き一部オブジェクトの収容違反が発生するなど多大な損害をもたらし、SCPオブジェクトとして認定されました。
実験記録166-JP-3
被験対象:SCP-166-JP
実験方法:SCP-166-JPを水中で作動。
結果:SCP-166-JPは財団用プール内を時速3.6 kmで潜行。プールの壁面直前で取り付けられた遠隔操作機構によりスイッチは切られました。
実験記録166-JP-5
実験対象:SCP-166-JP
実験方法:SCP-166-JPに重量400 kgの重りを装着し作動。
結果:SCP-166-JPは通常通り時速3.6 km~3.8 kmで飛行。取り付けられた遠隔操作機構によりスイッチは切られました。
考察:重量物の運搬用途に使えるかもしれない。遅すぎるが。
実験記録166-JP-7
実験対象:SCP-166-JP
実験方法:SCP-166-JPを真空状態にした容器内で作動。
結果:SCP-166-JPは通常通り時速3.6 km~3.8 kmで飛行。取り付けられた遠隔操作機構によりスイッチは切られました。
考察:物理学なんてのは宗教の一種かもな。
実験記録166-JP-10
実験対象:SCP-166-JP
実験方法:SCP-166-JPを重量1tの乗用車内で作動。
結果:SCP-166-JPは通常通り時速3.6 km~3.8 kmで車ごと飛行。取り付けられた遠隔操作機構によりスイッチは切られました。
実験記録166-JP-14
実験対象:SCP-166-JP
実験方法:SCP-166-JPを地面に向けて作動。
結果:実験申請は却下されました。
考察:巨大隕石がやってきた時はこうするのが最後の手段かもしれない。…地面にもぐるだけかな?
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scp-167-jp |
評価: +128+–x
SCP-167-JP地域内で撮影された写真。灯台と住宅は財団施設。
SCP-167-JP-1の1体。
SCP-167-JP-1が変化したもの(中央の2個のコロッケ)。キャベツの千切り、トマト、パセリも同様。
アイテム番号: SCP-167-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-167-JPはサイト-81██の私有地として確保されています。SCP-167-JPへの一般船舶の進入を防ぐため、機動部隊を駐屯させ、部隊には周辺海域の警備にあたらせてください。生活用品の運搬等、外部からSCP-167-JP内に入る場合、セキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可を必要とします。実験以外の場合で、SCP-167-JP内に生息している生物がコロッケやキャベツに変化した場合、それらには触れず、元の生物に再度変化するのを待ってください。
(補遺1事案以降):SCP-167-JP-5が出現した場合、駐屯している機動部隊を出動させ、対象へ銃撃を行い、オブジェクトを鎮圧してください。
説明: SCP-167-JPは異常性を有した生物群の生息する地域です。SCP-167-JP地域は██県███km沖地点に存在する周囲2kmほどの無人島であり、島を中心として約100m海上にまで広がっています。
地域内に生息する生物群は、明らかな異常性を有しています。それは、ある一定以上の刺激を受けると、急激に運動能力を消失させ、特殊な分泌液で体を覆い隠し、一般的な「食品」の姿に変化するという点です。現在、異常性を持つ生物は4種確認されています。
生物名
呼称
異常性
ガラパゴスベニイワガニ(学名:Grapsus grapsus)
SCP-167-JP-1
刺激を受けると「カニクリームコロッケ」に変化(後述)。
トラフグ(学名:Takifugu rubripes)
SCP-167-JP-2
刺激を受けると「キャベツ」に変化。
アオウミウシ(学名:Hypselodoris festiva)
SCP-167-JP-3
刺激を受けると「トマト」に変化。
マリモ(学名:Aegagropila linnaei)
SCP-167-JP-4
刺激を受けると「パセリ」に変化。
これらの生物は本来の生息域とは大きく異なる地域1で問題なく生息しています。また、SCP-167-JP地域から遠距離に離れると即座に死亡します。食品へ変化する原因、生息できている理由、死亡する原因、これらの異常性の要因は分かっていません。
以下、SCP-167-JP-1(カニ)の変化についてを抜粋して記述します。SCP-167-JP-2,3,4の変化については別紙を参照してください。
SCP-167-JP-1は自身の体を強く叩かれるなどの刺激を受けると、異常性を発現します。SCP-167-JP-1は鉗脚(はさみ)と歩脚を自身の体の内側に折り込み、その体全体を瞬時に特殊な分泌液で覆います。分泌液は数秒で「サクサクとした」と形容される硬度に変化し、狐色に変色します。この分泌液の状態はしばしば「衣」と形容されます。この変化と並行してSCP-167-JP-1の温度は60℃から70℃程度まで上昇します。最終的なSCP-167-JP-1の外見は「コロッケ」と呼称される食品に酷似した形状です。
コロッケの形状をしたSCP-167-JP-1は保温と撥水にすぐれ、低温の水に濡れさせた場合も、数秒で乾き、温度を保ち続けます。オブジェクトを捕食した生物は多くの場合火傷を負うため、それを学習した捕食者は以降SCP-167-JP-1を捕食しません。この性質によってオブジェクトは捕食される確率を下げていると考えられます。ほか、コロッケの形状のまま1分以上刺激をうけなかった場合、分泌液が剥がれ、オブジェクトはカニ型に再度変化します。
また、コロッケの状態のSCP-167-JP-1を90℃から███℃の高温に晒す2と、その内部がクリーム状に変化します。味はカニクリームのものであることが実験により判明しています。この状態になったSCP-167-JP-1は元のカニ型に再変化することはありません。
実験記録1 - 日付20██/██/██
対象: D-167-JP-1,同-2,同-3,同-4。以下D-1のように簡略化して記述。
実施方法: SCP-167-JP内の生物を変化させた「定食」を、D-1,D-2,-D-3,D-4に摂食させる。
結果: 全員が完食し、後の診断でも健康であった。味は全員が「絶品のカニクリームコロッケ」「キャベツ、トマト、パセリも非常に美味である」と肯定的な意見を出している。
分析: カニの寄生虫やフグの毒性が消えている点は興味深い。—██博士
SCP-167-JPは20██年1月29日、時化に見舞われた財団の船舶が偶然に漂着したことで発見されました。島内の生物の異常性が確認された後、無人島は財団の私有地として管理下におかれ、現在の収容体制が整えられました。
補遺: 20██年11月2日、SCP-167-JPの灯台付近に異常現象が発生しました。「空間に切れ目を入れたような」と形容される穴のようなものが上空に3つ現れ、そのうちの2つから巨大な「人の腕」に酷似した実体(後にSCP-167-JP-5と名称)が出現しました。SCP-167-JP-5はSCP-167-JP内の生物を大量に"掴む"と、残された1つの穴に回収するという行動を継続しました。他、機動部隊員の1名が回収されかけたため、別機動部隊員が発砲。SCP-167-JP-5は銃撃を受けると即座に穴に戻り、穴は消失しました。
20██年現在にまで、SCP-167-JP-5の出現は4回確認されています。機動部隊員もSCP-167-JP-5の攻撃対象となっていることと、生物群の減少を防ぐため、SCP-167-JP-5への攻撃が正式に許可され、収容プロトコルに追記が行われました。
脚注
1. 本来、マリモは湖沼に生息し、ガラパゴスベニイワガニはガラパゴス諸島に生息しています。
2. 熱湯で茹でる、火で炙る、油で揚げるなど。いずれも10秒程度。
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scp-168-jp |
評価: +70+–x
SCP-168-JPと同モデルの銃器。
アイテム番号: SCP-168-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-168-JPは発見時に収納されていた容器に収納し、収容室内に安置してください。容器内部は常に真綿で満たし、その真綿を除去しない限り直接SCP-168-JPに触れられないようにしてください。
容器は更に特殊チタンファイバー処理が表面に施された電磁波遮断機能付与済みの金庫の内部に保管され、金庫の暗証番号は担当研究員によって2日に一度変更を行ってください。暗証番号の変更は、必ず非素数のプログラムである非規則性数列表示器によって行ってください。
金庫の内部には独立電源によって動作する電磁波観測装置を同時に保管し、SCP-168-JPが何らかの電磁波を発生させていないか常に記録してください。電磁波観測装置の電源は、少なくとも20年に一度交換してください。
上記の収容が破られない限りオブジェクトの安全性は保たれますが、念のため、各職員はSCP-168-JPの収容室から半径77mの地点に設定された境界線より内側に持ち込んだ刃物、または銃器等の武装をそのまま安置することのないよう留意してください。
説明: SCP-168-JPはメキシコ████地方███████の小集落で発生した異常な傷害致死事故が財団本部の目に留まり、回収されました。この傷害致死事故によって、小集落の全住民である63名の一般人の死亡が確認されています。小集落全滅に対するカバーストーリーは財団本部が管理することになっています。
SCP-168-JPはコルト社によって1848年に開発されたコルト1848を軽量化したコルト1851、通称コルト1851ネイビーと呼ばれる製品と同型のリボルバー拳銃です。しかし本来刻印されているはずの製品タグは無く、タグを抹消した痕跡も現在認められていません。シリンダーの中心軸孔に僅かな血液の痕跡が見られます。
SCP-168-JPは問題なく発射可能な銃弾を発射することが出来ます。その際には、何の異常も現れません。SCP-168-JPが異常な性質を現すのは、それが人間の手によって所持された時です。
SCP-168-JPを所持した対象の半径77m以内にある、対象が意識下あるいは無意識下で"武器"と分類しているあらゆる物品は、対象に自動的に攻撃を行います。その際SCP-168-JPからは██Hzから██Hzの周波数を示す電磁波が対象の絶命まで絶えず発されますが、本来この電波の影響を受けないと思われる物品も、対象へ攻撃を行います。
対象への攻撃方法は、それぞれの物品がその殺傷力を可能な限り高められる方法によって攻撃を行います。銃器であれば対象への発砲を連続して行い、刃物であれば殺傷可能部を対象に向けた状態で、最大時速180kmの速度を以て対象へと飛来します。
物品の攻撃の際、それぞれの物品は本来では考えられないほどの破壊力と貫通力を発揮し、対象を遮るあらゆる物体を破壊しつつ貫通することが報告されています。しかしこれらの物品がSCP-168-JPに接触しても、SCP-168-JPは一切の傷を負わず、物品の攻撃によって弾き飛ばされるだけです。
物品は攻撃中、攻撃に必要な機能を一切損なわず、攻撃によって消費されるはずの資材も消費の瞬間に補充されています。しかしそれらの範囲に収まらない限りでは、物品の損壊は起こり得ます。
対象は一度SCP-168-JPを所持すると、所持状態を解除した場合でも絶命するまで対象と認識され続けます。攻撃中に対象が絶命した場合でも、既に発生されている攻撃は続行され、新たな攻撃の発生が停止します。
対象が"武器"と分類している物品のみが攻撃を行いますが、対象が物品に対する「本来の用途」を認識している場合でも、「武器として転用可能」という知識(あるいは意識)を抱いているだけでその物品は対象を攻撃するようです。物品に対する知識が全く無いか、あるいは物品に対する"武器"としての用途を一切意識していない場合は、物品は対象に攻撃を行いません。
補遺1: SCP-168-JPは移送中にアメリカ[編集済]州███████市で発生した、封じ込め違反に伴う中規模な事故168-f1によって、財団日本支部への収容の引き継ぎが決定されました。今後SCP-168-JPの封じ込め違反によって生じる事象に対しては、地盤沈下による破壊的な自然現象というカバーストーリーに基づいて対処してください。事故168-fに関してはレポートを参照してください。
+ 事故168-f報告記録翻訳文
- テキストを隠す
19██/██/██、財団本部所属のエージェント█████と回収部隊█████████によるSCP-168-JPの回収後、トラックを使用した移送の途中で、トラックは███████市にて生じた大規模な交通事故に不可抗力的に巻き込まれ、SCP-168-JPの封じ込め違反が発生しました。この時点でエージェント█████は死亡しており、回収部隊の人員も半数以上が軽傷または重傷を負っています。
その後SCP-168-JPが、事故現場の見物に訪れたと思われる一般人(身元不明)によって拾得され、SCP-168-JPの性質が発現しました。対象の半径77m以内にある全ての銃器、刃物、鈍性凶器、車両、爆発物、容易に凶器に転用可能な一部の日用品、が対象との間に存在する障害物の有無に関わらず対象への攻撃を同時に行いました。
これによって、対象の絶命に伴う各物品の攻撃停止が確認されるまでの約3秒間で、回収部隊全員を含んだ141名が死亡、38名が行方不明、316名が重軽傷を負うという事態が発生しました。これには、物品による攻撃軌道上、またはその延長線上に存在した一般人への直接的な殺傷と、建造物の崩落に巻き込まれた一般人への被害が含まれています。
この事故の███時間後SCP-168-JPは再度回収され、その性質の大まかな考察の後、O5評議会の決定によりSCP-168-JPは日本支部へと移送され、国内での収容が決定されました。
事故168-fによって生じた災害に対しては、大規模な交通事故に付随した連鎖的なガス爆発によるものとのカバーストーリーが採用され、以後そのカバーストーリーに基づいた管理が財団本部によって行われています。
まさに悪夢だ。どうしてアメリカ人はビリヤードのキューでも人間を殺せると考えるんだ? ──エージェントS█████
我々は多くの危険物の収容と保護に成功している。しかし時折、予測し得ない事故に見舞われ、不本意ながらもその収容に違反が生じることも現実的な問題として認識しなければならない。その点を鑑みるに、このアイテムの収容がいかに容易だとしても、これに我々のナンバーを与えて潜在的な危険度をわざわざ上げてやる必要は無い。我々の周辺の社会に数多くの武装──または日常品をそう認識する文化──が存在する限り、このアイテムはより非武装的な社会の中に存在する容器に収容され続けるべきなのである。 ──O5-██
人には個性がある。この世の中にはどうしようもない確率って奴もある。分かっているのに、我々は一つの社会全体を貫く一般的な認識基準を使ってでしか、このマゾヒスト拳銃が及ぼす影響を予測出来ないのか?──A███████博士
地球上に存在するあらゆる社会の中で、最も「世界は平和であり自分は危険と無関係」と考えている楽観的な社会へ、このオブジェクトを移すべきです。オブジェクトが機密によって隠匿された核兵器の真上で誰かに所持されない内に、です。 ──N████████博士
会議の結果、今回の事故の要因となったSCPオブジェクトを財団日本支部へと移送することが決定しました。本オブジェクトは今後財団日本支部によって収容、管理され、固有のSCP-JPナンバーが割り当てられます。 ──O5-██
補遺2: ロボットアームを用いたSCP-168-JPの一時分解後行われた数々の検査によって、シリンダー中心軸孔の血液の痕跡が、人間の血液によって書かれた以下の文章であることが判明しました。現在、その遺伝子と適合する個人の特定には至っていません。
Love OR Peace
Fuckin' Samuel
脚注
1. 財団本部は本オブジェクトにナンバーを割り振らずに、日本支部への移送を決定しました。事故記録の識別用名称はJPナンバーに準拠しています。
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scp-169-jp |
評価: +27+–x
アイテム番号: SCP-169-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-169-JPは敷地を覆う形で建設された専用サイトによって収容します。SCP-169-JP-1群を積載地点から移動させる行為は実験を行う場合を除いて許可されません。実験は研究チームに計画書を提出し、承諾されたものだけが行われます。実験に使用したSCP-169-JP-1は適切に処分してください。
専用収容サイトおよび管轄地域周辺には専用の侵入対策を布いて、収容違反に繋がる有害動物の侵入を確実に防いでください。
説明: SCP-169-JPは[編集済]に存在する█████社の製造工場跡地です。異常性は範囲が特定された敷地とSCP-169-JP-1に指定された製造品にのみ存在するため、収容にあたって建屋と製造機器類は破棄されました。
SCP-169-JP-1はかつて█████社が試作・製造していたリクライニングタイプの座椅子です。550×1330×610mmの規格で製作されており、カラーバリエーションはホワイトとブラックです。SCP-169-JP敷地内の一角に現存している███台がSCP-169-JP-1に指定されています。最新の記録上では市場への流通が決定していました。
SCP-169-JPの異常性は主にSCP-169-JP-1に集約されます。
SCP-169-JP-1の座面に動物が乗った時、SCP-169-JP-1は動力不明の極めて低空を浮揚する移動能力1を獲得します。同時に座面の動物(以下、搭乗者)は体重移動による操作技能を獲得し、SCP-169-JP-1で走行することへの強い衝動に駆られます。これらは自主的に、あるいは他者からの物理的強制によってSCP-169-JP-1の座面から離れることで解消されます2。
ヒトが搭乗者となった場合にはSCP-169-JPを中心とする周回を前提としたルートを想起することが確認されています。ヒトが搭乗者となった時に引き起こされる走行への強い衝動は、想起されるルートに対してのものだと考えられていますが、ヒト以外の動物が搭乗者となった場合にもルートを想起しているかについては研究チーム内でも意見が分かれています。
+ 実験記録SCP-169-JP(抜粋)を閲覧する
- 閲覧を終了する
抜粋に伴い、記録番号を振り直しています。完全な記録は"Achievement169-JP"のコードで請求が可能です。
実験記録169-JP-01 - 20██/██/██
対象: SCP-169-JP-1
実施方法: D-169001を搭乗者とし、SCP-169-JP-1の走行能力を確認する。
結果: 最高速度は71km/hを記録。D-169001は「これ以上の速度はしがみついてられない」と証言。障害物実験は高さを0.5cmずつ増して確認した結果、1.5cmを乗り越えることができずにD-169001は前方に投げ出された。
分析: 最高速度については適切な装備による再実験を検討。 障害物実験では低速で走行させていたため、D-169001は擦過傷を負ったのみだった。治療後に再搭乗させたがSCP-169-JP-1から移動能力が消失していた。
後の確認実験にて搭乗者が一度でも座面から離れると、搭乗されたSCP-169-JP-1からは全ての異常性が失われることが判明した。座面から離れたD-169001からも操作技能が失われたが、新たなSCP-169-JP-1に搭乗することで再獲得が確認された。
実験記録169-JP-02 - 20██/██/██
対象: 色違いの2台のSCP-169-JP-1
実施方法: D-169001とD-169002を搭乗者とし、想起ルートを聞き取る。走行時にわかりやすいようにホワイトとブラックにそれぞれ搭乗させる。
結果: SCP-169-JPを中心に半径1.5kmに収まるおおよそ"8の字"と呼べる同一のルートを証言。実際に走行させて確認すると証言と相違が無いルートを走行した。
分析: D-169001のみの実験ではSCP-169-JPを中心に半径0.7kmに収まる4つのコーナーを辿る周回ルートのみだった。後にD-169001を走行させている最中にD-169002を搭乗者としたところ、半径0.7km規模の4つのコーナーを辿る全く違うルートを証言した。
実験記録169-JP-03 - 20██/██/██
対象: SCP-169-JP-1
実施方法: Dクラス職員を用いて、2~4人を同時に搭乗者にした場合のルートの変化を確認。
結果: 2名では半径1.5km規模、3名では半径2.0km規模、4名では半径4.1km規模のSCP-169-JPを中心とした同一ルートを証言。複数回の検証の結果、規模は人数で同一であったがルートは度々に変化し、人数に比例してコーナー数が増加した。
分析: 2名以上のルートではSCP-169-JPを必ず横切るルートになる点は注目に値する。
搭乗者数の増加に伴う規模の拡大の予想が難しいため、今後の実験内容については慎重な審議を行うことを決定。
実験記録169-JP-04 - 20██/██/██
対象: 色違いの3組6台のSCP-169-JP-1。
実施方法: SCP-169-JP外に実験区域を確保し、ナナフシ(Phasmatodea)、ニホンヤモリ(Gekko japonicus)、ハツカネズミ(House mouse)のそれぞれのペアをホワイトとブラックのSCP-169-JP-1の座面に固定して観察する。
結果: ナナフシを載せたどちらのSCP-169-JP-1も曲がる様子を見せずに建屋に衝突し、壁面を破って内部を破壊した。映像記録は固定に用いた装備が速度に対して適切ではなかったために、搭乗者が座面から引き剥がされたことを示した。最高速度は261km/hを記録。
ニホンヤモリとハツカネズミの実験は中止された。
分析: この結果から、"SCP-169-JP-1はあくまで技術のみを与え、判断能力は搭乗者本来のものに依存する"と仮定された。ヒト以外に対する仮定の実証実験については適切な装備が開発されるまで凍結。
実験記録169-JP-05 - 20██/██/██
対象: SCP-169-JP-1
実施方法: D-169001を搭乗者として、適切な装備を施した上で最大限の速度で走行させる。実験にあたって50kmの直線を確保。
結果: [編集済]。微量の灰からD-169001の死亡を確認。
分析: ナナフシの結果から200km/h前後と予測していたが、我々は完全に見誤った。理論的には大気圏外への脱出が可能だと思われる。
収容違反記録: 専用収容サイト建設中の20██/██/██未明に全53台のSCP-169-JP-1が活性化し、SCP-169-JP内が広域に渡って物理的な破壊を受け、研究チームメンバーを含む職員9名が死傷。SCP-169-JPを中心とした半径██.█km内のいくつかの建屋に損傷をもたらしました。
事案沈静後、調査チームは異常性を失ったいくつかのSCP-169-JP-1の傍にドブネズミ(Rattus norvegicus)の死骸を発見し、当該事案の原因であると推定されました。
この事案によって発生した民間での2件の目撃例に対し、記憶処理と住居移転が行われました。伴って収容手順の見直しが行われ、専用の有害動物対策の布設と不要な設備の撤去が行われました。
補遺1: SCP-169-JPを含む敷地を所有していた█████社は200█年の急激な業績悪化により経営破綻し、同年に当該工場を含む全資産を売却しています。買い手がつかなかった結果として当該工場の雇用需要に経済を依存していた管轄自治体は破綻し、多くの住民が離散しました。20██年に自治体の再建が試みられましたが、事業に携わった多くの工員が行方不明になったことを受けて半年で凍結されました。
補遺2: █████社の業績悪化の要因として、経営破綻時に代表を務めていた████ █████氏が"エリア51"、"ロズウェル事件"、"レプリティアン"を主とした陰謀論を極度に信奉しているとの噂が株主の間に走ったことが挙げられています。事実、それらに関する多くの書籍を████氏は所蔵していました。しかしながら直接の原因は新製品開発への資金の極端な注入と、宇宙事業への参入失敗によるものです。
████氏は現在、当該工場へ自家用車で向かったのを最後に消息が不明であり、遺留品も発見されていません。
Footnotes
1. 一般的には"ホバー移動"と表現できます。
2. 財団の実験においては生命に関わる脅迫行為を受けた98%の搭乗者が自主的に座面から離れました。
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scp-170-jp |
評価: +68+–x
アイテム番号: SCP-170-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-170-JPはサイト-8163の生体飼育収容施設に収容されます。個体数維持のために定期的に交配を行ってください。SCP-170-JPおよびSCP-170-JP-hの死後サンプルは、同サイトの生物学的保管ユニットに保存されています。死亡した個体は、研究に必要な場合を除いて焼却処分してください。
未収容のSCP-170-JP個体が発見された場合、直ちに捕獲し、サイト-8163に搬送してください。一般人による目撃があった場合は適切なカバーストーリーの適用、あるいは記憶処理によって対応してください。推奨カバーストーリーは“捏造オカルト映像の撮影”です。
SCP-170-JP個体
説明: SCP-170-JPは異常な身体特徴を有するドブネズミ(Rattus norvegicus)です。遺伝子検査から、元来は動物実験に汎用されるWistar系ラットであることが判っています。
SCP-170-JPの最も顕著な特徴は、前額部の1本の角です。SCP-170-JPの角は前頭骨の一部が隆起、尖鋭化したものであり、皮膚を貫穿して体外に露出しています。長さは2cmから5cm程度で、やや上向きに湾曲しています。その他、SCP-170-JPは通常のドブネズミと比較して以下のような特徴を示します。
自然治癒力の向上
免疫機能の向上
筋肉量の増加
運動能力の向上
犬歯の発達
全般的な感覚の鋭敏化
高血圧
重度の大豆アレルギーを含む、複数のアレルギー疾患
最初のSCP-170-JP個体(SCP-170-JP-1)は、████/11/26に京都市左京区北白川の道路上で発見されました。SCP-170-JP-1は道路上を歩行中に自動車に轢かれたと見られ、発見時点で既に死亡していました。JAGPAT1規定に基づき、SCP-170-JPは環境省隠棲生物室との協同調査対象に指定されました。
SCP-170-JP発見地点が日時の経過と共に西の方角へ推移していたことから、京都市中部・西部を中心に大規模な捜索が実施されました。11月末までに確保されたSCP-170-JP個体24体のうち、右京区で確保された個体は19体に上ります。また確保時に生存していた個体も10体おり、一部は収容下での繁殖に成功しています。角をはじめとする特異的形質はSCP-170-JPの子孫にも伝播し、成長と共に発現します。
補遺1: 同年12/16、京都市東山区の住宅火災現場より多数のSCP-170-JP個体が回収されていたことが発覚しました。火災は11/24に元京都市会議員・橘麒三郎氏の自宅より出火、京都府警が不審火として捜査中でしたが、橘氏と要注意団体“石榴倶楽部”との繋がり2が明らかになったことから財団による再調査が実施されました。回収されたSCP-170-JP個体はいずれも火災による損傷が激しく、消防および府警はこれを単なる精巧な模型だと考えていました。
現場からは同時に身元不明のヒトの焼死体も回収されていましたが、その頭骨に僅かながらSCP-170-JPの角に類似する隆起が見られました。焼死体はSCP-170-JPと共に財団に移管され、SCP-170-JP-h1と指定されました3。遺体発見現場付近は化学実験器具の残骸が散乱していましたが、実験内容の手掛かりとなるような資料は見つかりませんでした。
SCP-170-JP-h2の頭部X線写真
補遺2: 同年12/30、京都市北区の集合住宅にて住人2人が殺害された事件に関連して、事件発生当日の午前2時頃、現場付近から走り去るSCP-170-JP-hらしき不審人物が目撃されました。当日は雨天のため視界が悪かったものの、目撃者は共通して「不審者は身長1.4m前後で、額に角があった」と証言しています。
事件の被害者である塩沢慶一・祐子夫妻はいずれも自宅内で殺害されていました。遺体は損傷が激しく、特に祐子氏の右前腕は欠落し、現場に残っていませんでした。遺体各所に残った歯型は“犬歯の異常に発達したヒト”のものと判定されました。
12/31の20時頃、京都市右京区愛宕山を捜索中の隠棲生物室職員3名が、上記右前腕を所持したSCP-170-JP-h個体を発見しました。財団職員が現場に到着した際、当該個体は発見した隠棲生物室職員による発砲を受け心肺停止の状態でした。直ちに蘇生処置が試みられたものの20:33に死亡、遺体は財団に移管されSCP-170-JP-h2と指定されました。SCP-170-JP-h2は推定年齢13歳の女性であり、前額部の角は長さ15cmに達していました。
インタビュー記録
対象: 夏井鵤(隠棲生物室職員)
インタビュアー: エージェント・ルコ
[記録開始]
ルコ: SCP-170-JP-h2発見時の状況をお聞かせ願えますか。
夏井: これはなんの真似だ。尋問か。
ルコ: いえ、インタビューです。
夏井: 物は言いようだな。
ルコ: お話しいただけますか。
夏井: 私達のチームは愛宕山の登山道沿いを捜索していた。最初は当てずっぽうに歩き回っていたんだが、途中で藤田が鋼索線跡を見てみようと言い出して、それがビンゴだった。山頂側の駅の廃墟に奴が隠れていたのを見つけた。壁際に座り込んで、衰弱した様子だった。
ルコ: 発砲したのはあなたですね?
夏井: そうだ。私が3発撃った。藤田と柳津は撃っていない。
ルコ: なぜSCP-170-JP-h2に対して発砲を?
夏井: なぜ、とは?
ルコ: 対象が衰弱していたのなら、発砲は不要だったのではありませんか。
夏井: 私を糾弾するつもりか? 弱った少女を無慈悲にも撃ち殺したから?
ルコ: そうは言っていません。
夏井: なら何が不満だ。
ルコ: 生存状態のサンプルが得られなかったのは大いに残念だったと、うちの上司が。
夏井: 財団の先生方は呑気なものだな。生憎、お宅と違ってウチは人手も金もない。そんな冷静な判断を下す余裕はないよ。特に最近は鼠捕りに駆り出されて忙しくてな。必死になって捕まえても私達の手許には文字通り鼠一匹残らない。お宅が全部持っていくからだ。とんだ徒労だったよ。
ルコ: だから、我々に対する当てつけに射殺したと?
夏井: 山頂の神社は大晦日で混雑していた。不測の事態を避けるには撃つ以外になかった。呑気な上司に教えてやれ。奴はか弱い少女でも研究用のラットでもない。人を2人殺した化け物なんだ、とな。
ルコ: 御忠言どうも。インタビューは以上です。御協力感謝します。
[記録終了]
DNA鑑定の結果、SCP-170-JP-h2と塩沢夫妻が親子関係にあることが判明しました。塩沢夫妻の間には娘が1人いたものの、小学校卒業前後を境にその姿は目撃されていません。確かな目撃例として最も新しいのは事件から約9ヶ月前、塩沢夫妻宅を訪問した児童相談所職員によるものです。
補遺3: POI-5819-JPに対する尋問において、SCP-170-JP-h2に関する証言が得られました。尋問中にSCP-170-JP-h2の画像を提示したところ、POI-5819-JPは「画像の人物に見憶えがある」と答え、以下のように述べました。
彼女のことはよく憶えています。強烈でしたからね。確か今年の春だったか。石榴倶楽部の会合に突然乱入してきたんです。倶楽部は仮にも秘密結社ですよ。そこにまさか子供が一人で乗り込むなんて。でもそのときは、こんな角は生えていませんでした。普通の子供でしたよ。
勿論驚きました。私だけじゃない、恐らく会合に出ていた全員が。何人かは目に見えて狼狽していました。血の気の多い東条さん4なんか、もう殴りかかりそうな勢いで、誰だ貴様はと叫んでいました。すると彼女が言うんですよ。私を鬼にしてくれ、と。
後で聞いた話ですが、どうやら近所の小学校で妙な噂が広まっていたそうです。近くに夜な夜な食人鬼の集まるアジトがあるとかないとか。一体どこから聞きつけたのかは知りませんが、明らかに倶楽部の話ですよね。確かに、人の肉を食うなんて鬼の所業に他ならない。
ともかく、そんな曖昧な噂話を頼りに、彼女は本当に倶楽部に辿り着いてしまったんです。大したものです。
私は呆気に取られて、叫ぶ彼女をただ眺めていました。すると突然六角さんが立ち上がって、彼女を奥の部屋に連れていきました。その日の会合はそれでお開きになって、私は帰りました。彼女を見たのはその1回だけです。鬼になって一体何をしたかったのか、私には判りません。でも随分と必死な様子で、ただの遊びでないのは確かでした。椎名さんが言っていたんです。彼女はきっと、鬼になってでも遂げたい思い、本懐があるのだと。
これは本当に彼女ですか。特殊メイクではありませんよね。今こうして訊かれているということは、彼女に何かあったんですか。
いえ、別に教えてほしいわけではありません。
でも、どうしても気になるんです。彼女は鬼になって、ちゃんと本懐を遂げられたのか、と。
脚注
1. Japanese Anomalous Groups Peace and Amity Treaty/日本超常組織平和友好条約
2. 橘氏は“宇宿”の名で石榴倶楽部に参加していましたが、████/11/23に同団体構成員のPOI-5819-JP(通称: “早瀬”/本名: 須山嗣春)により殺害されました。石榴倶楽部は京都市内を拠点とする団体であり、その主目的は人肉食です。以上の事実はPOI-5819-JPに対する尋問の過程で12月中旬に発覚しました。
3. その後の調査で、SCP-170-JP-h1の身元は茨木市在住の大手漢方薬メーカー研究員・安達公彦氏と特定されました。安達氏は発見の4年前から行方不明となっており、捜索願が出されていました。
4. POI-5819-JPによれば石榴倶楽部の構成員は10人おり、それぞれ橋詰・椎名・六角・早瀬・宇宿・東条・舟越・秋津・手塚・浮田と名乗っていました。
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scp-171-jp |
評価: +177+–x
SCP-171-JP周辺画像
アイテム番号: SCP-171-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-171-JP当該エリアはレベル4相当の監視区域とし、あらゆる知的存在の進入を未然に防いでください。
現行の監視には計3基の人工衛星が割り当てられており、これらの衛星が交代して行うリアルタイムの継続的な監視によって、SCP-171-JPエリアから1km以内の警戒エリア内の知的存在は進入の可能性有りとして警戒されます。警戒対象は連続したSCP-171-JPエリア方向への移動によって、更に警告対象として分類されます。この警告対象に対しては、現地の地下施設に駐留している、土地管理者に偽装したエージェントによって速やかに警戒エリアから排除してください。
人為的なSCP-171-JPの活性化は上記の方法で防ぐ事が出来ますが、偶発的にSCP-171-JPの活性化条件が満たされるか、実験に於いて予想外の事象が発生した場合に備え、現地の地下施設には機動部隊し-18"健啖家"を常駐させてください。
この機動部隊の業務が事態の鎮静化ではなく、事態に対する情報の隠匿と周辺への影響の収拾となっている点に留意してください。更に警戒エリア外の財団フロント企業である各種店舗に常時17名以上の人員を配置し、事態の拡大化に際しての速やかな増援に備えてください。
また、予期せぬSCP-171-JPの活性化の可能性を少しでも減少させるため、警戒エリア内は1週間に一度の清掃を行ってください。
SCP-171-JPエリア周辺は一般的には観光に用いられており、エリア内の永続的な封鎖または大規模な囲い込みはかえって情報の機密性を脅かしかねないため、SCP-171-JPエリア周辺の封鎖はあくまで短期間に留めてください。
説明: SCP-171-JPは北海道の██の██・██地点に存在するおよそ半径320mの領域です。SCP-171-JPによる異常な事象の発生以外に、特筆すべき異常は認められませんでした。
SCP-171-JPは、いずれかの調理済み物品の名称が書かれた紙媒体が、SCP-171-JPエリア内に安置された時、異常な性質を発揮します。SCP-171-JPエリア内に置かれた調理済み物品の名称がどのようなものであっても、それは2時間〜52時間の間に立て続けに発生した複数の偶発的な自然的現象の影響によって紙媒体直上に完成されます。
調理済み物品の素材は様々な偶然的な事象(その多くは自然現象です)によって収集され、加工され、結果として紙媒体に記された料理として完成します。これらは突発的な自然的現象、または確率の変動によって行われていると考えられますが、現象そのものには非常に突発的である事を除き異常性はありません。
これらの現象の起点はSCP-171-JPエリア内外で発生し得ることが判明しており、現在までで最も遠隔で発生したSCP-171-JP事象のための現象は、██████████████████の墜落であるとされています。
これらの現象はSCP-171-JP活性化以前から発生した場合であっても、SCP-171-JP事象の完遂のため、SCP-171-JP活性化時点でそれぞれ改変が行われていると考えられます。これらの改変のプロセスは現在明らかになっていません。
SCP-171-JP事象によって製作された調理済み物品は異常な特性を持ちませんが、摂食実験の結果ほとんどの場合で食用には適さない出来映えの物品であるようです。また、分量に関しては紙媒体中に指定の記述が無い限りは無作為であるようです。
SCP-171-JPは確認出来た限りで、現在まで以下の物品を製作しています。
焼きそば150g 具がなく、麺がほぼ液状化していました。
ハンバーグ100g 焦げており、その上砕けています。
ネギ入り味噌汁8ℓ 容器が無かったため全て土壌に吸収されました。
チョコレートケーキ300g [編集済]
豆腐2t [編集済]
茶碗蒸し20g 大量の土壌が混入していました。
スパゲティーナポリタン600g ほぼ全ての麺同士が癒着しています。
焼き鮭の納豆ペーストとトマトソースがけ150g [編集済]
栗饅頭200kg [削除済]
製作された物品は簡易検査の後、異常が見つからなければ破棄されます。
補遺1: SCP-171-JP事象による物品製作の詳細な過程記録
実験日時: ████年6月22日
概要: 複数の定点カメラをSCP-171-JPエリア内に設置した上で、「スパゲティーナポリタン 600g」とだけ書かれたA4用紙をSCP-171-JPエリア内に設置する。用紙はテント設営用のペグを用いて地面に固定する。
本実験はSCP-171-JPが素材の調達と調理を行う過程を実際の映像として記録する試みとして行われる。記録装置の破損が予想されるため、バックアップ要員を現地の地下施設内に待機させた状態で実行する。
実験区域の隔離は実験開始の2日前から入念に行われ、SCP-171-JPエリア内を短期間立ち入り禁止区域に定める事に成功している。
<記録開始>
16:30 エージェント・██の手により速やかに用紙が地面に固定される。
16:33 エージェント・██が画面外へ退避。以後現地の地下施設にて待機。
16:52 エリア周辺の風速が徐々に上昇する様子が映し出される。
17:08 数本の細長い線のようなものが風に転がされて用紙の直上へと運ばれて来る。これは市販されているパスタの乾麺であり、エリア周辺に存在したゴミの一種と思われる。
17:16 次々にパスタが用紙上に転がり集まってくる。天候に変化が生じ、雨天の傾向を見せ始める。
17:43 パスタの進入が停止。雨が降り始める。
17:55 雨が激しく降っている。この天候は事前の気象状態から予想されたものではなく、実験開始の直後から急速に変化していった結果のものである。
18:22 強風が吹き荒れ、雷の発生が確認され始める。
18:34 強風によっていくつかの物品が用紙周辺まで吹き飛ばされる。それらは後に内容物が少量残ったケチャップの容器、新品の塩の容器(エリア外の財団フロント企業店舗から漏出したものと確認)、12種類の植物の葉、オリーブの実である事が確認された。
18:44 強風によって、用紙と用紙上のパスタを囲むようにして葉が折り重なる。葉は雨が隙間を埋める事で互いに接着し、一つの容器のような形状を形作る。その中にはパスタと水が含まれている。
18:47 容器内に落雷。電磁波の影響で定点カメラ全てが機能を停止する。
19:12 カメラの交換の後録画を再開。葉の容器は落雷によって破壊されており、用紙も破損が見られるが、その上には茹で上がったパスタの麺が置かれている。更に、傍には落雷によって破損したと思われる塩の容器が倒れており、破損部から内容物を少量溢れ出させていた。
カメラ交換を行った人員の証言では、落雷によって葉の容器と内部の水が一挙に高温化し、短時間の継続した高熱と水分の付加により茹で上がったように見えたとの事でした。
19:22 雨が収まり始める。
19:25 天候が完全に回復する。
19:27 画面外から、一頭の食用豚の成体が画面内に進入する。後の調査によって、█████を進んでいた輸送トラックが32分前にSCP-171-JP事象による嵐で横転し、そこから逃げ出した個体であることが判明している。
19:33 画面上方から突如飛来した物体が食用豚に命中。絶命させる。物体は後にごく小規模の隕石であると判明している。絶命した食用豚の肉片がパスタの上へと吹き飛ばされる。肉片は隕石の熱によって十分に加熱されているように見える。隕石は同時に衝撃によってケチャップ容器を破壊し、内容物を撒き散らさせた。その一部はパスタにもかかっている。
19:35 SCP-171-JPエリアから半径10km以内の区域で、急激な気温の上昇を確認。急速にエリア周辺の水分が気化していく。
19:54 19:33時の隕石が保持していた熱量によって、周辺植物が発火する。
19:57 乾燥のため、延焼が拡大する。被害が地下施設にも及ぶ可能性があったため、この時点で待機人員によって火は消し止められた。火はパスタを取り囲むようにして延焼していた。
20:04 気温が徐々に下がり始める。
20:27 当該地域の平常時の前例から鑑みて、平常と言えるレベルにまで気温が低下する。
20:40 SCP-171-JP事象は終了したものと見なされ、実験の終了が宣言された。
<記録終了>
終了報告書: SCP-171-JPによる料理がしばしば不完全である事を示す良い資料となるでしょう。事象としては「偶然」以上のことは何も証明出来ませんが、誰かさんはどうやらあまり料理が得意では無いようです。
SCP-171-JP事象は広範に渡って影響を及ぼす可能性があり、その影響が他に及ぼす副次的な効果、または連鎖的な事象の発生は予測が困難であると見なされています。
「偶然ではない」ということの証明は「必然である」という証明よりも遥かに難しい。しかし少なくとも、この法則性は我々によって管理される必要があることを示している。 ──████博士
補遺2: ████年██月██日に、SCP-171-JP事象が予期せず発生しました。SCP-171-JPエリア内に栗饅頭に関する広告チラシがどこからか飛来し、エリア内に置かれた事でSCP-171-JPは活性化しました。
それによって[削除済]から[削除済]という前例の無い大規模な現象が発生し、[削除済]。全国での被害額は計上不可能な程に上り、被害者数は[削除済]という結果になりました。
SCP-171-JPがより複雑な工程の調理を必要とした場合、それは遠隔地からの素材、器具、条件の調達のために、より大規模な現象を発生させる事が明らかとなりました。以後、このような事象の発生を防ぐべく、SCP-171-JP周辺エリアの清掃が特別収容プロトコルとして義務づけられました。
同時に、SCP-171-JPに関する実験は今後無条件に却下または禁止されることとなりました。
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scp-172-jp |
評価: +51+–x
アイテム番号: SCP-172-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 全てのSCP-172-JPはSCP-172-JP-Aを除いて、サイト-8181の低脅威度物品庫に分解された状態で収容されています。
SCP-172-JP-Aは可動状態で専用に縮小された備品が設置されたサイト-8181の収容室に収容されています。SCP-172-JP-Aの精神的な健康維持のため、夜間に可動状態の解除及び翌朝に可動状態への移行を行っています。夜間の可動状態解除は自発的に行うため、担当職員は毎朝SCP-172-JP-Aを可動状態にしてください。セキュリティクリアランスレベル2以上の職員はSCP-172-JP-Aと交流しても構いません。SCP-172-JP-Aには週に1度の心理カウンセリング及び精神鑑定が実施されます。実験に関してはセキュリティクリアランスレベル3以上の職員から許可を得た上で行ってください。SCP-172-JP-Aが非協力的な態度を取った場合は分解しても構いません。
SCP-172-JP-Aから基本的な備品以外の物品要求が発生した場合はセキュリティクリアランスレベル4以上の職員の許可を得た上で与えてください。またこれらの物品は非協力的な態度を取った場合にペナルティとして没収してください。
現在までに要求された物の一覧:
娯楽書籍(内容審査の上で一部許可)
新聞(不許可)
実験の拒否権(不許可)
日記帳(許可、ただしカウンセリング時に内容を確認する事)
手紙(不許可)
PC(不許可)
職員と使用するためのゲーム(内容審査の上で一部1許可)
説明: SCP-172-JPは様々な比率でサイズが縮小された動物の身体の一部を模したパーツ群です。1██種1███パーツが回収されており、モデルとなっている動物の種類は哺乳類・鳥類・爬虫類に留まらず、魚類・節足動物・軟体動物など多岐にわたります。パーツは主に胴、腰、腕、手、脚、足に分かれていますが、魚類・節足動物・軟体動物などにおいてはこの限りではありません。全てのパーツには他のパーツを接合するための突起または挿入部が存在しており、ある程度自由に組み換えることが可能です。素材は全て未知の物質で出来ており、解体、破壊の試みは成功していません。非破壊検査によって内部構造はモデルとなった生物に極めて近い構造をしていることが判明しています。また全てのパーツに「日本生類創研」の文字が刻印されていますが、識別番号などは記載されていません。なお後述のSCP-172-JP-Aを除いて頭部パーツが存在する個体は発見されていません。
SCP-172-JP-Aは高さ17.5cm、重さ697g2の人型男性のSCP-172-JPです。他のSCP-172-JPと同じ素材で作られており、組立及び分解が可能です。またSCP-172-JP-Aのみの特徴として頭部パーツが存在しており、全身を組み立てた場合に自立可動することがあげられます(以下、可動状態)。可動状態のSCP-172-JP-Aは一般的な成人男性程度の知能を持って行動し、運動能力は一般男性の10分の1程度であることが判明しています。なお可動状態はパーツの脱落によって終了することが確認されています。SCP-172-JP-Aは可動状態でない時は意識を失っている状態であり、通常の睡眠行動は不可能であると説明しています。また食事は可能ではあるものの必要ではない模様で、排泄行動は確認されていません。
またSCP-172-JP-Aは他のSCP-172-JPと組み合わせた状態でも可動状態になることが可能です。これらはSCP-172-JP-Aの頭部に対して、1つ以上の胴体及びその先に胴体に対応する数の手、足、羽、ヒレなどの終端パーツが繋がっていることが条件となります。これら組み合わせた状態のSCP-172-JP-Aもパーツの脱落によって可動状態を終了します。SCP-172-JP-Aは接合されたパーツは自分の意思によって動作しており、このために羽や軟体動物の触手などは正常に動作させることが出来ないと説明しています。なお各SCP-172-JPの寸法はSCP-172-JP-Aに合わせて自然に接合できる大きさに調整されているようです。
SCP-172-JP及びSCP-172-JP-Aは19██/██/██に実施された日本生類創研の関連が疑われる施設への襲撃により回収されました(詳細は「████県における日本生類研調査レポート」を参照してください)。SCP-172-JP及びSCP-172-JP-Aは発見時、分解された状態で1つのプラスチック容器に入れられていました。またSCP-172-JPに関する資料などは回収されていません。
回収された容器に記載されていた言葉:
日本生類創研 A-006 動作確認モデル
補遺: SCP-172-JP-Aは19██年██月██日に日本生類創研によって家族と供に自宅から誘拐されたと証言しています。SCP-172-JP-Aが自宅であると主張する住所には、SCP-172-JP-Aと容姿が酷似したSCP-172-JP-Aの主張する自身の名前と同姓同名の人物及びその家族が居住していました。居住していた██ ████氏とその家族への聞き込み及び身辺調査が実施されましたが、異常は発見されませんでした。
Footnotes
1. 電子的なものを除く
2. 全身組立時の高さ及び重量
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scp-173-jp |
評価: +353+–x
アイテム番号: SCP-173-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-173-JPは徹底的な破壊により可能な限り小型化してから、完全防音の密室に収容します。現在SCP-173-JPは全長30 cm程度まで小型になることが確認されていますが、いかなる大きさでもその性質が発揮される点に注意してください。
実験用のDクラス職員を除き、収容室への立ち入りは禁止されています。収容室内の監視、保全、実験の観察等は、自動または遠隔操作の機械によって行わなければなりません。
説明: SCP-173-JPは[編集済]大量の日本製に見える'おもちゃ'で構成されており、いかなる大きさのときでも常に戯画化した恐竜のような姿をとろうとします。[削除済]との関連性が指摘されましたが、明確な情報は得られていません。
SCP-173-JPは自律動作をし、主に身体中の'おもちゃ'がひしめき合う「がちゃがちゃ」「ガラガラ」と報告される音、加えて時折[編集済]を発しながら歩行します。ヒト被験者はこの音を直に聴き続けるうちに警戒心を失い、SCP-173-JPへ接近するようになります。
SCP-173-JPへ辿りつくと、被験者はSCP-173-JPを構成する目前の'おもちゃ'を次々に掻き分け始めます。この時の'おもちゃ'は容易に (剥がれ落ちたりはせずに) 脇へ押しのけることができ、被験者はその更に奥を掻き分けようと、周囲の'おもちゃ'や土などにより圧壊されることも厭わず、SCP-173-JPの内部へ進入していきます。やがて、元のSCP-173-JPがどれだけ小さいサイズであろうと、被験者の身体はSCP-173-JPの中へ完全に入り込み、[編集済]SCP-173-JPはその分の体積を増大させます。
SCP-173-JPの起源が[編集済]ために、幸いにも収容までの被害は村1つ分に抑えられ、記憶処理と隠蔽のコストも[編集済]一帯程度で済みました。しかしこの初期収容の時点ですら、SCP-173-JPの最大時の全長は推定75 mを記録しました。
SCP-173-JPの発する音は、機械による録音か中継ごしであれば影響力を持たないことが確認されています。実験時のDクラス職員は、「大事なおもちゃ」「思い出のおもちゃ」「無くしたおもちゃ」「懐かしいおもちゃ」「憧れのおもちゃ」がSCP-173-JPの中にあるとの音声記録を残し、SCP-173-JPの中へ進入しました。レアケースとして、「もっとたくさん、この楽しいものを見たい」と言いながらSCP-173-JPへ入っていった事例が記録されています。
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scp-174-jp |
評価: +112+–x
SCP-174-JP内から回収されたVHSに収録されていた映像から、SCP-174-JP-1(左)と未知の人型存在(右)
アイテム番号: SCP-174-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 財団職員以外はSCP-174-JPの存在するフロアへの立ち入りを禁止しており、また財団職員であっても負傷者は実験以外でのSCP-174-JPへの立ち入りを禁止しております。部屋の鍵は病院関係者に渡ることはありません。1日に1度、守衛として潜入しているエージェントによる室内外の調査を行ってください。その際、物体の出現や異常が発見されたなら即座にサイト-8164第7研究室まで連絡してください。
説明: SCP-174-JPは████県██████病院に19██/█/██に出現した入院患者用個室の404号室です。本来██████病院にはこの部屋は存在しないはずですが、病院職員及び患者のいずれもがSCP-174-JPを元から存在していたかのように振舞います。室内は従来の██████病院の入院患者用個室と差異はありませんが、入室する度に未使用の抗生物質入りの注射器、うさぎの形に切られた林檎が4切れ乗った皿、『釣りバカ日誌6』と書かれたラベルのVHS等の物体が、突発的に出現する事案が発生しています。
この部屋で入院した患者は2日から1週間の間の内に、重症患者を思わせる外見をした日本人青年であるSCP-174-JP-1の姿を見ることになります。これらは主にテレビや携帯電話の画面に突如映し出され、その映像が映し出されている間、患者は金縛り状態になり強制的にSCP-174-JP-1の存在を認識させられます。これは視覚が良好な状態に限られ、視覚が不明瞭や盲目状態にある患者は金縛りではなく睡眠状態に陥り、その夢の中に出現したと報告しています。目撃した時点で患者はSCP-174-JP-2となり、以降SCP-174-JP-1の影響下に入ります。SCP-174-JP-1の姿も個人差があり、ある者は全身包帯を巻いて腹部から多量の出血があり、またある者は外見上は無傷であるものの行動の度に大量の吐血をし苦しむ姿を目撃しています。SCP-174-JP-1は、SCP-174-JPに出現した映像メディアに収められていることがありますが、これはSCP-174-JP内で視聴しない限り、その効果を発揮しません。
SCP-174-JP-1は必ずどこかの建物の屋上らしき場所で何らかの"ショー"を行っています。手品や漫談、器械体操の技等こちらも個人差があります。この"ショー"を目撃してからSCP-174-JP-2は、1週間以内に本来の症状とは異なる症状が現れ始めます。
初めは自身が完治するのかといったような軽度の精神的不安を感じるようになり、次第に強迫神経症の症状を見せるようになります。この状態からさらに数日経過すると、SCP-174-JP-2は目撃したSCP-174-JP-1の症状が本来のSCP-174-JP-2の病状に上書きするかのように現れます。上書きされた症状は如何なる治療でも緩和されることはありません。この段階に達すると3日以内に症状が悪化し、SCP-174-JP-2は死亡します。病院職員やSCP-174-JP-2の見舞いに来た者は上書きされた症状で入院したと認識を改変されます。
ある時期を境に、██████病院での病死率が急上昇していること、██████病院に入院したある特定の患者の症状に関する認識と実際のカルテが全くの別物になっている事案の多発が財団の興味を引きました。調査の結果、約3年間██████病院で入院していた████████という男性が突如消失する事件とSCP-174-JPの出現との時期が一致し、他のいくつかの状況証拠からこの人物がSCP-174-JP-1だとして調査が進められています。
補遺: 以下は20██/██/█にSCP-174-JP内で発見された手紙です。黄ばんだA4程度の和紙に歪みと擦れの酷い筆跡で書かれています。
ありがとうせんせい おれみてえなどうしようもねえぐずに しんみになってくれて
おれはただせんせいにげんきなところを みせたかっただけなんだ
けどすまねえ おれはやっぱり どうしようもねえぐずだった
こんなはずじゃ なかったんだ
すまねえ せんせい
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scp-175-jp |
評価: +132+–x
収容中に撮影されたSCP-175-JP。
アイテム番号: SCP-175-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-175-JPは、サイト-81██の標準人型収容房に収容され介護を受ける状態にあります。SCP-175-JPの心理グラフ、及び健康状態は常に監視され、何らかの変化があった場合、標準人型オブジェクトに対して与えられる食事の██倍量を提供して摂取させてください。また、SCP-175-JPは常に財団職員一名以上と対話が可能な状態を維持されます。SCP-175-JPが空腹を訴えた場合、また、心理グラフに異常が見られた場合、給食時間外においても直ちに食事を提供し、SCP-175-JPの満腹状態を維持してください。これに加え、SCP-175-JPに対し週一回の心理カウンセリングを行い、SCP-175-JPの精神状態を常に安定させるようにしてください。
説明: SCP-175-JPは、本来眼窩部にあたる部位に大きな口部を持ち1、右腕を二の腕まで四肢を欠損した成人男性です。これに加え、通常の人間と同様のサイズを持つ口部を有しています。SCP-175-JPは、視力を有さないにも関わらず不明の手段にて視界を持っているとされていますが、「元々持っていた視界より見通しが悪く、そのせいでよく転ぶ」と証言しています。検査の結果、視野角は上下に対して40度、正面から左右に対して70度前後しか存在していないことが判明しています。
SCP-175-JPは、眼窩部と置き換わった口部から分泌される不明の消化液により、どのような物質、物体をも消化します。この消化液の検査は、検査器具の消化、破損により現在まで成功しておらず、また、この消化液がSCP-175-JPの同口内粘膜から分離すると即座に特異性を失い、通常の人間が持つ唾液と同質に変容するため、異常性の原因も掴めていません。
SCP-175-JPは置き換わった口部であればどのような食品、あるいはそれ以外でも嚥下、消化、摂取可能と判明していますが、これらのあらゆる摂食物がどのような形でSCP-175-JPの体内に取り込まれているかは不明です。にも関わらず、調査の結果、少なくとも一日に███kg程度の食事が行える限りSCP-175-JPは最低限生存可能と見られています2。しかし、通常人間が摂取不可能な物質3をどのような形で栄養として取りこみ、生存に用いているのかはわかっていません。また、絶食を行った場合のSCP-175-JPの変化は現在も判明していませんが、その性質上実験は禁止されています。
SCP-175-JPは、20██/██/██、████県████市近隣の森林において、「異常な勢いで伐採が進んでいる」と森林組合から地元警察が通報を受け、潜入していた財団エージェントによる調査の結果、森林中において木に直接齧り付き4摂食を続けていた、栄養失調状態のSCP-175-JPが発見されました。その直後、機動部隊による対話の後に収容がなされました。
インタビュー記録 175-003:SCP-175-JP確保後、SCP-175-JPに対しインタビューを行っています。対象は移送後、通常の食品の摂取により健康状態を回復しています。
記録日時:20██/██/██
インタビュアー:██博士
対象:SCP-175-JP
██博士:さて、SCP-175-JP。気分は落ち着いているかな。
SCP-175-JP:ええ、はい。大丈夫です。今は。
██博士:よろしい。インタビューをしていくが、良いかね。
SCP-175-JP:はい。
██博士:では聞いていこう。君はいつ自分がそうなったかを覚えているかな。
SCP-175-JP:ええと……確か、こちらの皆さんに保護して頂く一ヶ月くらい前だったかと。その、あれからしばらく森の中で過ごしていたので覚えていないのですが。
██博士:構わないよ。では、君が変わったことを自覚した時のことを聞いてもいいかな。
SCP-175-JP:はい。あれは確か真夜中のことでした。不意に目が覚めて、妙に視界が狭いことに気付いたんです。それと、その。
██博士:その?
SCP-175-JP:ああ、ええと。はい。やけに腹が空いたなと。夜食を食べることはあまり無かったのですが、その時は驚くほど……腹を空かせていたことを覚えています。
██博士:なるほど……大丈夫かね?
(SCP-175-JPは落ち着いた風だが、検査機器からSCP-175-JPの若干の心拍の増加と、膝を揺する様子が確認出来る)
SCP-175-JP:すみません。あの、腹が空いた時の感覚を思い出すと……駄目なんです。お腹が空いてしまって、我慢が。いえ、我慢は、出来るんですが……。
██博士:……インタビューは中断しよう。大丈夫、落ち着いてから改めて聞かせてもらうよ。
SCP-175-JP:ありがとうございます。お気遣いして頂いて。
██博士:君がそれでは私も落ち着かないからね。
<ログ終了>
インタビュー記録 175-005:前インタビューから██日後、改めてSCP-175-JPに対し聴取が行われました。SCP-175-JPは、事前の心理カウンセリングにより精神的に安定していると診断されています。
記録日時:20██/██/██
インタビュアー:██博士
対象:SCP-175-JP
██博士:こんにちは、SCP-175-JP。気分はどうだい。
SCP-175-JP:ええ、ありがとうございます。この間よりかは幾分。本当に情けない話ですが、食べてばかりで何も出来ず申し訳ありません。
██博士:いや、構わない。それが我々の役目なのだから。では質問していくが、問題ないかな。
SCP-175-JP:はい。よろしくお願いします。
██博士:ああ。聞いていこう。その変化が起きた原因か何かに覚えはないかね?
SCP-175-JP:いえ、全く……目が覚めて、気付いたら、こうでした。
██博士:ふむ。では改めて聞くが、変わった後、君はどうしたのか教えてくれ。
SCP-175-JP:はい。ええと、隣に家内が寝ていて。その、腹を空かせたまま、横顔を見ていたら……あの、言い難いことなのですが。
██博士:大丈夫、非難したりはしない。
SCP-175-JP:……食べてしまいたくなったんです。とても、とても。
██博士:なるほど。それで?
SCP-175-JP:気の迷いだと思って、私は洗面所に行きました。顔を洗えば落ち着くだろうと。それで、鏡を見たら、こんな、こんな……。
(巨大な口部を左手で覆い、SCP-175-JPは涙を流すように大粒の涎を垂らしている)
██博士:ああ、きっとつらかったろう。
SCP-175-JP:……そうです。でも、どうしても、どうしてもつらくて。眠っていた家内が、本当に、本当に、その――。
██博士:ゆっくりで構わない。続けてくれ。
SCP-175-JP:――美味しそうで。美味しそうで美味しそうで。だから、だから私は……自分の右腕をこの口で、食い千切りました。痛みも感じないくらい自分の腕を夢中で貪りました。不思議と血はこの口の唾液で止まって、貪る内に食欲も落ち着きました。けれど、その時ふと気付いたんです。
██博士:気付いたというと、何に?
SCP-175-JP:……人の肉というのは、存外特別に美味いものでもないのだと。
<ログ終了>
補遺1:SCP-175-JPからの情報に基づき周辺地域を調査した結果、証言に一致する家庭が発見されました。SCP-175-JPは家族により捜索届が出されていましたが、SCP-175-JP本人の意向に基づき家族への記憶処置が行われ、SCP-175-JPの個人情報の抹消が行われました。SCP-175-JPは20██/██/██現在も財団に協力的ですが、時折「家族は元気だろうか」と職員に対し質問を行っています。現時点ではこれらの情報を与えることについての制限はありません。
追記:20██/██/██、SCP-175-JPは収容房にて突然、健在であった両脚、及び左腕を噛み千切り四肢を完全に喪失しました。SCP-175-JPは治療により一命を取りとめましたが、何故このような行為を行ったかについてインタビューしたところ、「自分に嫌気が差した」と述べています。SCP-175-JPの治療と共に、経過を観察していく予定です。
脚注
1. レントゲン等の検査の結果、この口部が体内に続いている様子は見られませんでした。
2. 発見直後、どうやって過ごしていたか、どの程度摂食していたかの証言により分析。
3. これは通常分解不能な毒物、科学物質でも同様です。
4. SCP-175-JPは、木の摂食について「食べられないことは無いが決して進んで食べたいものではない。土よりはマシだった」 と応えています。
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scp-176-jp |
評価: +85+–x
アイテム番号: SCP-176-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-176-JPは必要最低限の家具などが備え付けられた、標準の人型収容室にて収容されています。SCP-176-JPは食事や水分の摂取、排泄を必要としないため、食事の配給などはしなくて構いません。SCP-176-JPのヘルメットには、内部が映るように小型のCCDカメラが装備されており、担当職員は半日に一度、充電の為に新しいカメラと交換してください。また、SCP-176-JPは喋ることや日本語を理解することはできませんが、英語による筆談でのコミュニケーションは可能です。
説明: SCP-176-JPは、異常性をもつ宇宙服を着た男性です。SCP-176-JPが着ているのは、1980年代にアメリカで使用されていたオレンジ色の緊急脱出用宇宙服("The Shuttle Ejection Escape Suit")です。主に目立った改造などは施されていないように見えますが、それを脱がせることはできません。また、ヘルメットの遮光バイザーも未知の手段により固定されており、あらゆる物理的影響を受けません。特筆すべきはヘルメット内部の構造で、SCP-176-JPのヘルメットの中には頭ではなく、縮小されたアメリカの地方部に存在すると思われる1980年代の一般的な平屋住宅とその周辺領域があります。これが単なる映像なのか、実際にヘルメット内に存在しているのかは不明です。
SCP-176-JPの中に再現されている家には、30代と推測される白人の女性と、幼い子どもが住んでいます。彼女たちはヘルメットの中に閉じ込められているという訳ではなく、出かける際などは、ヘルメットの外側の領域に出て消えることができます。中でどのような会話が行われているのかを聞く事は、ヘルメットの気密性が異常に高いため不可能です。
SCP-176-JPはその気密性故に、会話によるコミュニケーションは不可能で、財団は筆談によるインタビューを行っています。SCP-176-JPはあまり饒舌ではなく、多くの場合「家に帰りたい」とだけ書いてインタビューを放棄します。SCP-176-JPは日本語が理解できないため、職員は英語で質疑応答を行って下さい。なお、SCP-176-JPは喋ることはできませんが、未知の手段により音を聞く事や、周りの物を見る事ができるという点を職員は留意しておいて下さい。
SCP-176-JPは本名を"Jake Rockwell"であるとインタビューで語っており、アメリカの宇宙飛行士であったと主張しています。しかし、米財団やNASAに問い合わせてみた所、"Jake Rockwell"という宇宙飛行士は今までに存在していないとの返答が帰ってきました。しかし、いくつかデータベースに不自然な「穴」があり、存在していたというデータ自体が過去に削除された可能性があると指摘しました。
SCP-176-JPは200█/██/██に███県の山中でさまよっていた所を保護されました。第一発見者である農家の男性によると、激しい光が山の中で見えたので何が起きたのか確認しに行ったところ、SCP-176-JPを発見したとのことです。農家の男性は付近の交番に居た警察官に通報し、そのことは財団が警察内部にもつ情報源にも伝わりました。周辺地域にはカバーストーリー「送電線の断線」が流布され、農家の男性と警察官はAクラスの記憶処理を行われた後、解放されました。
観察ログ176-JP(特筆すべき物のみを記載)
176-JP-03
20██/██/██
概要: 夜に家の前に黒塗りのリンカーン・タウンカーが一台現れ、停車した。中からスーツの男が二人現れ、戸口に出てきた女性に何か紙を見せる。女性は泣きはじめるが、男達はそのまま車に戻り、ヘルメットの外に出て行ってしまう。女性は、心配そうな様子で出てきた子どもをなだめ、家の中へと戻っていった。
状態: この時、SCP-176-JPは非常に動揺した様子を見せ、収容室内を落ち着かなそうに歩き回った。
176-JP-109
20██/██/██
概要: 家のリビングルームで、子どもがケーキの上に立っているロウソクを吹き消し、女性がそれを見て朗らかに拍手をしている。女性はテーブルの下から、奇麗に包装された包みを取り出して子どもに手渡した。子どもが包みを破ると、中から本が出てくる。(高精度カメラをもってしても題名などは読み取ることはできなかった)女性は心配そうに何かを言うが、子どもは笑顔で首を横に振ってそれに答えた。
状態: SCP-176-JPは平時よりも落ち着いた様子で、ただじっとイスに座っていた。
補遺: インタビュー176-JP-71はこの後に行われた。
インタビュー176-JP-71(筆談により行われた物の翻訳)
インタビュアー: あなたに何が起きたのか、教えて下さい。そうすれば我々もあなたを家に帰してあげることができるかもしれません。
SCP-176-JP: 船に異常が起きて、私は外に投げ出された。長い間、宇宙をさまよっていた。酸素が無くなりそうになった時、彼らに回収された。
インタビュアー: 「彼ら」とは?
SCP-176-JP: 私も何と言ったらいいかわからない。何か高度な存在だというのは分かった。しばらく身体のあちこちをいじった後、彼らは英語で、私の望みは何だと聞いてきた。なんでも叶えてやると。
インタビュアー: 何と答えたのです?
SCP-176-JP: 家に帰りたい。家族と一緒に居たいと。
インタビュアー: その後はどうなったのですか?
SCP-176-JP: 記憶はない。気づいたらここにいた。
(この後、SCP-176-JPはインタビューの続行を拒否した。)
補遺: SCP-176-JPはその起源やコミュニケーションの容易さから、米国の財団施設への移送が検討されていますが、それがいつになるのかは未定です。
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scp-177-jp |
評価: +54+–x
収容前のSCP-177-JPを撮影した写真
アイテム番号: SCP-177-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-177-JPはサイト-8141内の大型格納庫に常時収容されます。収容室内には日に一度、食塩20gと水500mℓを部屋の角すべてに設置して下さい。SCP-177-JPの活動中に、収容室に近づいてはいけません。もしもSCP-177-JPに追いかけられた場合、追い抜かれないように注意して走り続けて下さい。
説明: SCP-177-JPは、黒いゴム質の肌を持つヒューマノイドです。活動停止中は室内で座り込み無害ですが、時折時速10~20㎞/h程度の速さで室内を周回し、また付近に人間が居る場合は、その人物を対象として背後から走り寄り抜き去ろうとします。活動中のSCP-177-JPに後ろから追い越された場合、対象は幻覚状態に陥ると考えられ、死亡するまで室内を周回し続けます。詳細は不明ですが、犠牲者の発言から「誰もいない」「暗い」「外に出た」「誰か居る」といった状況が推測されます。詳しくは実験記録-177を参照して下さい。
SCP-177-JPは食事を必要とする様で、室内に食塩と水が設置されていない場合は活動時間が飛躍的に伸びます。また速度もその時間に応じて速まる傾向にある為、その身体能力の限界が不明な以上、食塩と水の設置は必要な手順と考えられています。
時々、SCP-177-JPはドアの前で立っている事があります。ドアから呼吸音が聞こえたのなら、即座に退出し収容責任者へ報告して下さい。通常のパターンから外れた行動は必ず記録されます。
+ 実験記録-177-01
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実験記録‐177‐01
実験日時:19██年07月13日
被験者:D-1164。25歳男性。元ランナー。財団式精神テストで総合精神強度:85点(強硬)。被験者には、現在分かっているSCP-177-JPの異常性を簡単に説明し、冷静に対処すれば解決出来ると理解させている。
目的:SCP-177-JPの持つ異常性の、より詳しい把握。及び、可能ならばその影響下からの脱出。研究職員は、被験者に装着させた小型マイクからの音声による解析を行う。
結果:12:00、SCP-177-JPの影響下に入る。対象は「突然暗くなった」「皆どこに消えた?」と発言するも、事前に異常性について把握している事から比較的冷静。客観的な音声解析では、SCP-177-JPと共に周回をし続けていると判断。その距離は徐々に離され、12:15時点で被験者が2周遅れとなる。被験者は12:32頃から「コンビニ、いや自販機…」と発言し、それらを探す素振りを見せている。この時点で研究職員が壁越しに呼びかけても反応を示さず。被験者は翌日18:11まで走り続け、疲労により死亡した。SCP-177-JPはその直後、不活性状態に入る。
やはり、収容当時の一般人犠牲者が繰り返していた発言と類似する。主観的な体験は、客観的な体験と食い違いがある様だ。―Dr.大場
+ 実験記録-177-02
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実験記録-177-02
実験日時:19██年08月15日
被験者:D-1988。31歳男性。元体育教師。財団式精神テストで総合精神強度:83点(強硬)。実験01と同様に異常性の説明を行う。また被験者には小型マイクを2つ2リットル入り清涼飲料水1本、携帯食5本を渡す。小型マイクは1つを音声記録用に、もう1つを研究職員との交流用として使用する。
目的:実験01と同様。今回は、途中休憩を挟みつつ主観的体験についての情報取得も目標とする。
結果:12:02、SCP-177-JPの影響下に入る。対象は「突然暗くなった」「通信も切れた」と発言。通信機に故障は無く、この時点で互いの交流は達成出来なくなった。12:46、被験者は最初の休憩。その場に座り、飲料水と携帯食を補給し、味に不満を述べる。SCP-177-JPは被験者に構わず活動している様で、背後で走る音が聞こえる。SCP-177-JPが再度接近した時、被験者は突然動き「誰だ」と警戒をし始める。その後再び走り始め、時折「来るな」「お前は誰だ」と繰り返し大声で威嚇している。主観的体験に生じた異変についてそれ以上詳しい情報は取得出来ず、翌日10:09に転倒し、以降硬直状態に陥っている。SCP-177-JPも同時に不活性状態に入る。実験記録02は、被験者が死亡していない唯一の事例です。
現在、被験者は回復せず。通信は無駄と判明。次からは被験者自身に、常に自己の状況を述べて貰う様にしよう―Dr.大場
活動中のSCP-177-JP自体を邪魔してみる、というのも良いかもしれませんね。我々にDクラスの割り当ては少ない。―小梅次席研究員
+ 実験記録-177-03
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実験記録‐177‐03
実験日時:19██年9月11日
被験者:D‐3026。26歳女性。元軍人。財団式精神テストで総合精神強度:96点(非常に強硬)。説明、装備については実験記録01・02と同様。今回は懐中電灯も所持し、また被験者には常に自分の見ている状況について説明する様に指導している。
目的:実験記録01と同様。今回はSCP-177-JPの足止めも試みる為、事前に収容室内へ足止め用装置を2種類取り付けた。
・足止め装置-01…SCP-177-JPの両足に取り付けた鉄製の足枷。
・足止め装置-02…収容室東側の床に設置した遠隔操作式の電動ハードル。動作させるまでは2㎝の段差となるが、上部の通行は十分可能である。
結果:12:00、SCP-177-JPの影響下に入る。被験者は走りながら、マイクに向かって話しかける。
D-3026:「暗くなったわ。周囲に誰もいない…後、ここさっきの部屋じゃないわ。どこかは分からない。このまま走るわよ。」
被験者は走り続け、そのまま15:26まで休憩無く走り続ける。その間の特異な報告は無し。
D-3026:「(周囲の状況について)もしかしたら、屋外に出たかもしれない…自信は無いけれど。(補給を終え、懐中電灯を取り出し、電源を入れる。正常に点灯。)あれ、灯りが点かないわよ、これ。ねぇ、・・・通信も切れてる。」
D-3026:「誰もいないし、寒い。私、本当はあの狭い部屋をグルグル回っているのよね?本当よね?(収容室の壁に手を触れる)…本当に、ここ室内?ねぇ、本当に聞こえないの?ねぇ?」
SCP-177-JPが接近する。足止め装置-01は後の確認で既に外れており、意味を成していない。被験者の隣をSCP-177-JPが通り過ぎる。
D-3026:「…何?(空白)待って、待てってばこんなの聞いてない!(悲鳴)」
被験者が走り出す。後ろで荷物が落ちる音がする。SCP-177-JPが再度接近する音が聞こえる。
D-3026:「何!?何か来た!何あれ!?(不明瞭)ねえ!本当にここ(呼吸音)部屋の中なんでしょう!?」
足止め装置-02を作動させる。しかしSCP-177-JPの音は装置に関係無くその場を通り過ぎ、被験者に近づく。被験者はそのまま走り続け、19:40まで経過する。
D-3026:「暗いし、寒いし、人居ないし…最悪、もう…(泣き声)」
(振り向く音)
D-3026:「く、[罵倒]!出てきなさい!誰!?そんなに追い掛け回すのが楽しい!?ふざけんじゃない、私が[罵倒、削除済み]してやるからな!くそ、見てろ…この、[罵倒]やろ(物音)……な、何…?(中断)何か飛んでる!な、…嫌、嫌ああああ何これ嫌嫌嫌近づかないでやめて違う私じゃない!私じゃない!!ごめん!ごめんなさい!助けて!ねぇ、誰か!?何でもするから!!他にならつ、付き合うから!おねが…いっ嫌だああああああああ(絶叫)っ(中断)なんべ(中断)ごご(中断)うび(中断)あっ!た、すけてっ(途絶)」
(転倒する音)SCP-177-JPの走る音が徐々に弱まり、やがて不活性状態に入る。被験者はこの後終了が確認された。
被験者を検死した結果、肺に海水が入っている事が判明した。足止め装置の助けも虚しい。次回の実験は、より強力かつ積極的な防衛に出たい。-Dr.大場
+ 実験記録-177-04
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[編集済み:セキュリティクリアランスが合いません。]
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scp-178-jp |
評価: +72+–x
活性状態にあるSCP-178-JP
アイテム番号: SCP-178-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-178-JPは施錠可能な貴重品管理倉庫に防虫剤とともに保管してください。
レベル3以上の研究員の認可の元、実験が許可されます。SCP-178-JPの効果によって職員間のトラブルが発生する場合がありますので、実験の直接の被験者は必ずDクラス職員を用いて行うこと。また、実験の被験者に対して財団の運営に関わる秘密をもつ職員は、機密情報の保守の観点から必ず実験に同席してください。
説明: SCP-178-JPは、主に木で作られた熊本県の伝統玩具「お化けの金太」です。通常の使用方法と同じく、舌を模したパーツを引き出すと白目を剥く構造をしています。成分検査及び構造上一切の異常が確認されないにもかかわらず、舌を引っ張ると異常な効果を発揮します。SCP-178-JPを作動させると、SCP-178-JPは嘲笑的な若い男性の声で一つの嘘を暴きます。この音声の発生源は不明ですが、SCP-178-JPの頭部から発せられてるように聞こえます。また声の大きさにかかわらずSCP-178-JPから半径20mより外では聞き取ることができません。
SCP-178-JPの暴く嘘はランダムではありますが幾つかの法則が存在します。まず第一にSCP-178-JPを作動させた被験者が騙されているプライベートな事柄について。次にSCP-178-JPの声の可聴範囲内にいない人間がついた嘘であることです。また、傾向として被験者にとってより衝撃的であると思われる真実を選択するようです。また、この真実を通達する際にSCP-178-JPは被験者の神経を逆なでするような侮辱を併用しながら話します、その目的は不明ですが推測するに単純な悪意が元となっているように感じられます。反面、こちらの発言には一切耳を貸さず一方的に話し続けるところから、この効果がSCP-178-JPが知能を持つ故かあくまで機械的な反応として効果を発言させているのかは不明のままです。
SCP-178-JPは熊本県███市の名家である██家で起こった凄惨な殺人事件の中で発見されました。当初は単純な遺産争いから発展したものと思われていましたが、唯一の生き残りである女性の「赤い首の玩具がみんなの悪口を言って親戚仲が悪くなった」という証言から現地エージェントの興味を引き調査が始まりました。最終的に遺産を継ぐこととなった彼女から遺品整理の名目で他の遺品とともに買収、記憶処理を行いSCP-178-JPの存在を記憶から消去しました。現在ではこの証言は強い精神的ストレスからの幻覚であったとしています。
回収時、現地において行われたインタビュー記録
対象:████
インタビュアー: エージェント有馬
付記: このインタビューは遺品整理の商談と称し呼び出した対象に、催眠術を使用し当時の記憶を再生させる形で行われている。
<録音開始>
エージェント有馬: では、████さん。今あなたは████年██月に行われたお爺さまの葬儀に出ています。周りの様子はどうですか?
████: はい…みんな本当に悲しんでいます…おじいちゃんは皆に尊敬されていましたから…。
エージェント有馬: ご親族の関係はどうですか?
████: はい…お爺さまの葬儀のために悲しい中でも力を合わせています…特にお父さんとおじさんは気合が入っています…。
エージェント有馬: なるほど…ではあの「お化けの金太」について初めからお話ください。
████: あれは…おじいちゃんの蔵を整理してた時に出てきたのです。それで私が興味を惹かれてなんとはなしに舌を引っ張ったのです。
エージェント有馬: その時は誰かと一緒でしたか?
████: お父さんが一緒でした。
エージェント有馬: そして何が起こったのですか?
████: はい…あのおもちゃがしゃべりだしたのです。
エージェント有馬: なんといったか正確にお伝えください。
████: (非常に苦痛に満ちた表情になり、振り絞るように)「あぁらあんたがた家族で楽しそうにしとらすねぇ、じゃっどん家族というにはおかしかコツたぁい。親父さんもあんたも何年も何年もご家族ごっこで楽しんだってこったいね。あんたのお袋さんな兄弟の味ば両方知っとらすけん、ここんとこ忙しくなっとるとじゃなかとやろか?」
エージェント有馬: …ありがとうございました。今から私が指を鳴らしたらこの会話の記憶は消えあなたは目を覚まします。
<録音終了, [████/██/██]>
終了報告書: 対象の記憶からこのアイテムの記憶のみを消すことは論理的に難しく、彼女の出生の記憶ごと置換した、異常な事件のストレスからの記憶喪失ということにしてある。再調査の際はその点留意しておくこと。
実験記録178-JP抜粋
この記録は、被験者をDクラスに限定する以前に行われたものである。注意喚起の意味も込めて報告書に付記する。
実験記録178-JP-2 - 日付████/██/██
対象: 敷島博士
結果: 彼の部下である███研究員が同性愛者であり、敷島博士に恋愛感情を抱いていることが判明した。
メモ:記憶処置は却下、個人で解決して欲しい。
実験記録178-JP-6 - 日付████/██/██
対象: エージェントカナヘビ
結果: エージェント差前が彼のことを影で「クソトカゲ」と呼んでたことが判明。当日の食堂であったことが原因。
メモ:エージェント差前は事実を認め、「俺の前でグラタン何か食べるからだ、まだ具合が悪い。」とコメントした。
実験記録178-JP-14 - 日付████/██/██
対象: 山根博士
結果: 財団就任以前に彼が出した論文が恩師に握りつぶされていたことが判明した。
メモ:尚、この恩師も現在財団で活動している。山根博士をサイト-81██に派遣しないこと。
実験記録178-JP-21 - 日付████/██/██
対象: D-178-JP-21 彼は数日後に一ヶ月の任期が満了する予定だった
結果: [削除済]
メモ: 以後の実験は必ず被験者の予定を把握している職員、及び警備員を同伴させること。警備員が来るまでに数名の研究員が軽傷を負った。
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scp-179-jp |
評価: +54+–x
SCP-179-JP
アイテム番号: SCP-179-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-179-JPは部屋の一辺がすべて25.52m以上の長さを持ち、天井の高さが12.76m以上あり、地下には固定された建築材以外何も存在しない部屋の中央に安置してください。室内の視認しやすい場所にSCP-179-JPと同期させた3分27秒を計測するタイマーを設置し、アラームを設定してタイマーの終了を30秒前には通知するようにしてください。そしてアラームが鳴った時にSCP-179-JPから半径12.76mの範囲内に存在する職員は、持ち込んだ物品を持ってすみやかに範囲外に離脱してください。SCP-179-JPの運搬に関しては、補遺1の特別運搬プロトコルを参照してください。
説明: SCP-179-JPは古いアンティークの木製振り子時計です。初期状態では時計の針は10時08分02秒(以下t1とします)を指しています。文字盤にゼンマイを巻くための穴が存在し、動力はゼンマイ式であると推測されています。重量は██kgで縦180cm、横45cm、厚さ25cmの大きさがあります。
SCP-179-JPは時間に干渉する性能を備えています。SCP-179-JPはt1より針がスタートし、3分27秒(以下期間Tとします)が経過した時、つまり10時11分29秒(以下t2とします)を針が示した時に元のt1の位置へと針が瞬間的に戻ります。t2において、時計から半径12.76m以内(以下この影響範囲をSCP-179-JP-Aとします)に存在した物体がt1での状態から移動していたり変質していた場合、t2になると同時にt1の状態に復元されます。またこの時SCP-179-JP自身も状態を復元される模様で、今までにゼンマイの動力が尽きたことはありません。しかしSCP-179-JP自身の位置座標自体はなぜか復元されず、これにより運搬が可能となっています。
また期間TにSCP-179-JP-Aに物体が進入し、存在し続けた場合、t2になると物体を構成するすべての粒子がSCP-179-JP-Aの境界面まで位置を復元されます。SCP-179-JPは位置座標を復元するよう努めますが、外部から侵入した物体の元の座標はSCP-179-JP-Aの外側のため、結果として復元されるのは物体がSCP-179-JP-Aに入った瞬間での座標、つまりSCP-179-JP-Aの境界面に復元が限定されることとなります。この時SCP-179-JPの復元効果は粒子の配列を無視して行われるため、物体は境界面に平たく押しつぶされた形で位置座標のみを復元されます。
実験記録179-JP - 日付20██/██/██
目的: SCP-179-JPの復元効果がSCP-179-JP自身にどの程度及ぶのかを測定する
対象: SCP-179-JP
実施方法: 期間T内にSCP-179-JPを分解し、放置する。
結果: 通常の振り子時計と同様に、破損しないように慎重に分解したところ、内部には振り子時計の部品としては用途不明のオブジェクトが複数(以下SCP-179-JP-B群とする)確認された。職員がSCP-179-JP-B群の一つを取り外したところ、t2到達までに時間的余裕があったにも関わらず復元が行われた。これにより職員は死亡。SCP-179-JPはt1の状態に戻り、再び動き出した。
分析: SCP-179-JP-B群はSCP-179-JPの最重要部品であり、復元の効果を発揮している装置と推測される。期間Tの3分27秒という限られた時間ではこれ以上の複雑で精密な分解は物理的に困難であり、また失敗した際の人材損失が大きいためこれ以上のSCP-179-JP-B群に関する実験は禁止にすることが妥当と思われる。
補遺1: 特別運搬プロトコル
SCP-179-JPはその性質上、一般的な運搬が非常に困難なオブジェクトです。短距離の移動の場合は、期間T内にSCP-179-JP-A内の物体に注意して、精密機械を運ぶのと同様に運搬してください。長距離の運搬を行う場合は、以下に示すリレー式運搬方法1をDクラスの職員2名又は自立移動と物体の受け渡しの可能なロボット2台を用いて行ってください。まず片方の職員がt1後にSCP-179-JP-Aに入り、SCP-179-JPを持って移動し、もう片方の職員がSCP-179-JP-A内に入らないように目的地に先行します。t2が近づいてきたら、先行している職員は移動を停止し、SCP-179-JP-Aに入るのを待ちます。SCP-179-JPを運搬している職員は、SCP-179-JPを先行していた職員の側に置き、SCP-179-JP-Aから離れて先行する役に交代します。再びt1になったら、SCP-179-JP-Aにいる職員はSCP-179-JPを持ち、目的地への移動を開始します。目的地に到着するまでこの動作を繰り返します。ロボットの場合も同じです。
補遺2: 発見経緯について
SCP-179-JPは██県███市にある廃墟で発見されました。廃墟は1940年代に放棄された洋館です。近辺ではその廃墟は「いつも子供の笑い声がする」と噂されていました。調査者が行方不明になるという報告もされていたため、噂の実態調査を行うためにエージェントが派遣されました。結果、廃墟内には男子児童数名、女子児童一名が存在し、SCP-179-JP-Aを出ることなく、期間T内で同じ行動を繰り返していました。派遣されたエージェント二名のうち、一名はSCP-179-JPの復元に巻き込まれ、死亡。もう一名は児童たちを観察することにより、おおよそのオブジェクトの特異性を把握できたため、児童たちの収容及びインタビューに成功しました。
対象: 児童たち
インタビュアー: エージェント・星
付記: インタビューは現地にて、SCP-179-JPの影響範囲を全員脱した状態で行われました。児童たちは当時、全員小学三年生でした。
<録音開始, 2014/6/7>
エージェント・星: ちょっといいかい?君たち?
男子児童██: 何?おじさんお巡りさん?
エージェント・星: おじ……いや、ちょっと違うよ。何をして遊んでたのか聞かせてもらおうと思ってね。あの廃墟は遊び場なのかい?
男子児童██: 俺たちいつもは近所の公園で遊んでるんだけど、せっかく夏休みだし、今日は隣町まで行ってみようって話になって、そしたら面白そうな建物見つけたんだ。
エージェント・星: 夏休み……?
女子児童███: 怖いし、怒られたら嫌だからやめようよって言ったんだけど、みんな入って行っちゃって、私も一緒に入ったの。
男子児童██: でも廃墟ってお化け屋敷みたいだし、探検できて面白いよな。
男子児童███ 隠れるところもたくさんあるし。
エージェント・星: それで、中に何か面白いものとか見つけたのかい?
男子児童██: なんか古そうな時計があったよな。
エージェント・星: 時計?
男子児童██: [編集済み](男子児童のあだ名)が弄ったら勝手に動き出して……まあそれだけだったから気にしないで遊ぼうとしてたのさ。
エージェント・星: それで時計が動いてから何かあったかい?
男子児童██: 三分も経たないうちにおじさんが呼んだからこっちに来てあげたんだよ。
女子児童███: ねぇ、なんか入った時と辺りの様子が違うくない?あんな綺麗なお家あったっけ。
エージェント・星: ところで君たち……今日がいつなのか覚えてるかな?
男子児童██: おじさん手帳でも無くしたの?8月14日だよ。
エージェント・星: 何年の……?
男子児童██: 昭和41年。
[その後、いくつかの質問をし、児童たちを収容した。]
<録音終了>
終了報告書: 廃墟で発見された児童たちの名前は、1966年に捜索願の出されていたリストと一致しました。児童たちはSCP-179-JP-Aを出ることなく、約50年間に渡って同様の行為を繰り返していたことが確認されました。児童たちの保護者のうち幾名かは既に他界し、また児童たちの元の時代と現代があまりに離れているため、社会復帰は不可能です。そのため、彼らの身柄を財団施設にて保護することが決定されました。
脚注
1. この運搬方法は、SCP-179-JP-Aに外部から侵入した場合は座標を復元されるが、SCP-179-JP自身が移動し、固定された対象物をSCP-179-JP-Aに含んだ場合は対象物の位置座標は変わらないため、復元されないで済む、という性質を利用しています。
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scp-180-jp |
評価: +147+–x
評価: +147+–x
クレジット
タイトル: SCP-180-JP - 月光草
著者: ©︎k-cal
作成年: 2018
評価: +147+–x
評価: +147+–x
SCP-180-JP
アイテム番号: SCP-180-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-180-JP生息エリア周辺の土地は財団フロント企業によって購入され、私有地として一般人の立ち入りが制限されます。侵入者に対しては標準的な手順によってAクラス記憶処理等の措置がとられます。写真等によるSCP-180-JPの存在の漏洩に関しては、非認識災害オブジェクト情報保護手順を参考に最低限の偽装措置が取られます。
生息エリア内のSCP-180-JPは担当職員によって管理されます。担当職員は安定した個体数維持の観点から過去に園芸植物を育成した経験のある者が望ましいですが、人員の調達が困難である場合はSCP-180-JP取り扱い講習を受講した職員を配置してください。SCP-180-JPのサンプルはサイト-81KAにて分析され、生息エリア外での収容手順確立が目指されます。
説明: SCP-180-JPは██県██町の、かつて宇藤氏(詳しくは後述)が所有していた小規模な山林の一部に生息する多年生植物です。
SCP-180-JPはDNA上ヒマワリ(学名: Helianthus annuus)の近縁種に当たると考えられており、実際にその基本的な構造はヒマワリに極めて類似しています。ただし、以下の部分はヒマワリと大きく異なっています。
大きさ: SCP-180-JPは最高で40 cm(地表からの高さ)ほどまでしか成長しません。
花弁: SCP-180-JPには花弁が存在しません。
中心部: ヒマワリであれば管状花が集合している中心部には、管状花の代わりにSCP-180-JPの果実が存在します。(この果実を以下SCP-180-JP-1と呼称。詳しくは後述。)
生命力: SCP-180-JPはヒマワリと異なり多年草で5年程度の寿命を持ちます。温度変化には比較的強い耐性を持ちますが、栄養素不足と水不足に非常に弱く、生命力の強い他の草本(いわゆる雑草)の侵入によって容易に駆逐されます。また、SCP-180-JPは現在の生息エリア外では不明な原因により半年以内に枯死します。
SCP-180-JPの果実であるSCP-180-JP-1は外見上月のように見えますが、実際の内部構造と構成物質はクルミ科の植物が生成する核果に酷似します。SCP-180-JP-1は受粉によって生成されるものではなく、SCP-180-JPの発生直後に外殻が生成され、その後徐々に熟していきます。これはSCP-180-JPが単為生殖によって増殖するためです。完全に熟したSCP-180-JP-1は自然にSCP-180-JPから脱落します。SCP-180-JP-1を失ったSCP-180-JPはまた最初からSCP-180-JP-1の生成を開始します。自然に脱落する以外の要因でSCP-180-JP-1が脱落した場合、SCP-180-JPは枯死します。また、SCP-180-JP-1は夜間に青白く発光します。これは種子の生成を助ける未知のバクテリアによるものです。
SCP-180-JP-1の外殻は厚さ1 mm程度で密度も低く、内部のバクテリアが発した光を透過させますが、その特殊な構造により同様の厚さのアクリルガラスの6倍ほどの耐久性を有します。現在、このように高耐久・低重量である外殻を財団の有する設備へ何らかの形で応用できないかが議論されています。
SCP-180-JP-1内部に存在する種子は他のクルミ科の植物の種子と同様高い栄養価を持つほか、ヒトの体内に入ることで短期間の幻覚症状を引き起こす物質を有しています。この幻覚物質の生成に未知の発光するバクテリアが関与していると考えられています。種子の摂食によって引き起こされる幻覚は多くの場合摂食した者が幸福感を覚えるような内容であり、ストレスの軽減などをもたらします。ただしこの幻覚物質の一部には非常に高い発がん性をもつ物質が含まれており、現在幻覚物質から発がん性を取り除く研究が行われています。
SCP-180-JPは自然調査のため生息エリアを訪れた学生が小屋の中にあった宇藤氏の遺体を発見、通報したことにより発見されました。関係者は記憶処理のうえ解放されています。発見当初、SCP-180-JPは生息エリアの手入れが行われていなかったためにほとんどが枯死し絶滅の寸前でしたが、その後財団の管理下に置かれたことで個体数は徐々に回復しています。
宇藤綾子氏は、生息エリア中心に位置する小屋で生活していたとみられる女性です。SCP-180-JPの発見時に小屋のベッドで白骨化している状態で発見されました。宇藤氏は一般的な日本人で特に異常性を有しませんが、2003/2/9に行われたSCP-███-JPの収容作戦時に周辺に居合わせたため、エージェント・戸高によって救出された経歴を持ちます。宇藤氏はSCP-███-JPの存在について把握していなかったため、カバーストーリーの伝達後解放されています。解放後も宇藤氏とエージェント・戸高の間には交流があったことが小屋に残されていた日記から推測されていますが、エージェント・戸高による機密情報等の漏洩はなく、あくまでプライベートな交流であったと考えられています。なおエージェント・戸高は2005/5/2の収容作戦時に空間歪曲に巻き込まれMIA1に指定され、2006年には遺体未発見のままKIA2に指定されています。
以下は小屋で発見された宇藤氏による日記の抜粋です。
日付: 2005年5月3日
今日は戸高さんからの連絡がありませんでした。危険なお仕事をしていると聞いているので少し心配です。ただ連絡がこないのは初めてではないですし、きっと今回も帰ってきてくれるはずです。明日返信が来ることを祈って寝ます。おやすみなさい。
日付: 2005年5月10日
連絡が途絶えてもう1週間が経ちました。以前2週間も連絡がこなかったときのことを思い出し、あの時と同じ気持ちで夜の空を見上げています。月を見ると初めて戸高さんと会ったときの風景が目の前に浮かぶのです。森で迷い泣きそうな私を、戸高さんは月明りを頼りに導いてくれました。きっと大丈夫ですよね。今日は満月ですし、きっと帰ってきてくれますよね。
日付: 2005年6月2日
もう1か月が経ちました。まだ返信はありません。最後に送ったメールを何度も見返してしまいます。そんなことをしても、寂しくなるだけなのに。
そういえば、町に新しくお花屋さんができました。確か名前は"夜宵園芸"といったはずです。初めてお茶をしたとき、戸高さんは「花が好きだ」と半分照れながらお話してくれましたね。今度、下見をしてくることにします。戸高さんが帰ってきたとき、一緒に行くために。
日付: 2005年6月7日
今日は夜宵園芸に行ってきました。たくさんのお花があって、とても楽しいお店でした。きっと戸高さんも喜んでくれると思います。そういえば、お店には不思議な写真がありました。月のお花の写真です。とてもきれいな写真で、とても印象に残っています。あんなお花はこの世にはないと思いますが、合成でしょうか? 今度、店員さんにお話を聞いてみたいと思います。
今日は新月です。どうしてでしょうか、胸が鉛になったように重たいです。
日付: 2005年6月10日
この前書いた月のお花の写真ですが、店員さんのお話によると実在するらしいのです。ただこのことはあまり口外して欲しくないそうなので、こうして日記に驚きをぶつけています。月の花は希少なうえ育てるのがとても難しく、育つ土地が限られるせいで、購入して育てるにはとてもお金がかかるそうです。具体的な金額を尋ねたのですが、その高さに驚きすぎて心臓が止まるかと思いました。私にはとても払えそうにはありません。
今日は曇り。月は見えません。
日付: 2005年8月31日
いつも月の花の写真を眺める私に、店員さんが声をかけてくださいました。私が事情を話すと、店員さんは月の花の値引きを提案してくださいました。値引きがあっても私が今持っているお金ではとてもとても足りませんが、店員さんのご厚意で月の花と必要な土地を確保しておいてくださるそうです。月の花を買うために、仕事を増やすことに決めました。
今日も曇りですが、私が必ず戸高さんを照らす月を手に入れて見せます。待っていてください。
日付: 2006年5月16日
最近は日記をつけられていませんでしたね。仕事が少し忙しかったのです。でも頑張ったおかげでもう少しで目標金額に届きそうです。あともうちょっと。頑張ります。
日付: 2006年7月19日
遂に月の花を購入することができました! 土地の場所がここと離れすぎていないかと心配していましたが、意外と近いところで安心しています。夜宵園芸さんは、ご厚意で小屋まで用意してくださりました。本当にありがたくて、少し涙が出てしまいました。土地にはすでに月のお花が植えられていて、夜宵園芸の方が育て方を丁寧に教えてくださいました。すこし育てるのが難しそうですが、かならずこの土地をお花畑にして見せます! そうしたら、きっと戸高さんも帰ってくる場所を見つけられるはずです。
日付: 2007年5月2日
戸高さんと連絡が付かなくなってもう2年が経ちました。まだまだお花畑とは言えませんが、月の花は順調に増えています。夜宵園芸のお店はいつの間にかなくなっていました。戸高さんと行きたかったのですが、残念です。
戸高さん、早く帰ってきて、一緒にお花畑を作りましょう。私はまだ待っていますよ。
日付: 2009年5月2日
あの日からもう4年です。お花畑はあと1年もすれば完成しそうです。私はいつまでも待っています。ただ、少し辛いです。信じ続けるということは、こんなにも難しいことなんですね。心のどこかで、戸高さんがもう帰ってこないのではないかと疑ってしまっています。ダメなやつですね、私。
日付: 2009年9月2日
興奮で手が震えています。
保管してあった月の花の実が割れて、なかからクルミのような種が出てきました。実はとても硬いのですが、どうやら縦にうまく力を入れると割れるようです。その種を好奇心から軽く炒って食べてみたところ、しばらくして目の前に戸高さんが現れたのです! それから戸高さんとお話をして、月の花を一緒に眺めて、それからハグをしました。もう、こんなに楽しいのは何年ぶりでしょうか。気付いたときには朝で、私は床に倒れていました。
あれは幻だったのでしょうか。幻だとしても、これ以上嬉しいことはなかなかありません。これだけ待って、やっと会えたのですから。
日付: 2010年2月28日
月の花の種を食べると戸高さんに会えると知った日から、とても幸せな日々が続いています。種の数は多くはないですが、新しく植える分をなくせば困ることはないでしょう。ただ、最近少し具合が悪いのです。あちこちが痛んだり、なんとなく怠かったり。風邪でしょうか。早く治したいところです。
日付: 2010年3月6日
先日仕事中に倒れて、近くの病院に入院していました。検査の結果だと悪性の腫瘍、つまりは癌が全身にあり、このままでは4ヵ月と持たないそうです。もしもっと大きい病院にいけば余命を伸ばせる可能性もあるらしく、先生も紹介状も書いてくださると言ってくださいました。ただ今日は、返事はとりあえず明日に持ち越しということにして帰ってきました。月の花が気になったのです。
案の定、いくつかの月の花は枯れてしまっていました。私は自分の間違いに気が付きました。戸高さんが帰ってこられるように、戸高さんのために始めた花畑だというのに、いつの間にか自分が戸高さんに会えればよいと目的がすり替わっていたのです。そして脆い幻覚に身を任せて、花畑すらおろそかにしてしまいました。私は最低な人間です。きっと、この癌も報いなのでしょう。
日付: 2010年3月7日
病院に行ってきました。先生には申し訳ないことをしましたが、紹介状の件と入院はお断りしました。私はもう諦めません。戸高さんは帰ってくる、そう信じます。戸高さんが帰ってこられるように、花畑の手入れは怠ることはできません。戸高さん、私は待っています。だから帰ってきてください。そうして、花畑で一緒に写真を撮りましょう。
日付: 2010年4月5日
世話を続けたおかげで、枯れかけていた花たちも元気を取り戻しました。お薬はどんどん増えますが、まだまだ頑張らねばなりません。立ち止まってしまった分を取り戻すのは難しいかもしれませんが、できるところまではやるつもりです。
日付: 2010年5月2日
最近は腰をかがめることが難しく、雑草抜きにとても時間がかかります。花の世話以外では、ほとんど横になって過ごすようになりました。ですが、月の花は活気にあふれています。大丈夫、きっとまた会えます。
日付: 2010年6月8日
歩くことがつらいです。なんとか水やりを続けていますが、とても丁寧とは言えません。文字を書くのもつらく、日記も徐々に短くなっています。
日付: 2010年6月27日
今日は少し調子が良かったので、月の花の実を植えてきました。今回植えた分が咲けば、土地は月の花でほぼいっぱいになるはずです。この目で見られないだろうことが、少し残念です。
今まで何度も、「私がやってきたことは無意味だったのか」と挫けそうになりました。本当に情けないですね。でも、今はもうそんなこと思いません。ここまでやってきてやっと、心の底からまた戸高さんに会えることを確信することができました。もちろん根拠なんてありませんが、根拠なんていらないのです。
今日は満月です。私はずっと、ここで待っています。
2010年6月27日以降、日記はつけられていません。
追記2014/4/3: SCP-180-JP生息エリア付近の森林で、エージェント・戸高の白骨化した遺体が発見されました。同地点は2006年にも探索が行われていましたが、当時遺体は存在していませんでした。遺体は検査の結果異常性を持たないことが判明しています。エージェント・戸高の遺体は保管されていた宇藤氏の遺体とともに、生息エリアの小屋の脇に埋葬されました。現在SCP-180-JPの個体数は大幅に回復し、生息エリア全域に渡って繁茂しています。
Footnotes
1. "Missing In Action" - 作戦行動中行方不明
2. "Killed In Action" - 作戦行動中死亡
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scp-181-jp |
評価: +92+–x
アイテム番号: SCP-181-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 現在SCP-181-JPはサイト-8125のsafeクラス保管用ロッカーに被覆して保管されています。実験の際には担当レベル2職員の許可を得てください。SCP-181-JP-1はDクラス職員以外によって視認されるべきではありません。
説明: SCP-181-JPはB0サイズのポスターです。全体として白地で、上部に大きいゴシック体で「あなたの視力、落ちていませんか?」という記述があり、中央にSCP-181-JP-1が印字されています。右下部に、「視力回復は、███会の視力回復センターへ!」という記述と、連絡先と思しき住所が記載されています。これらの団体は確認されていません。SCP-181-JP-1を除いて、異常な特性は見受けられません。
SCP-181-JP-1はランドルト環と認められる何らかの記号です。直径はおよそ7cm、太さは1cmと推測されています。このランドルト環の切れ目を確認する試みは、現在まで成功していません。
SCP-181-JP-1は、本来であれば切れ目を判読できる距離から判読できる視力で視認された場合、視認した者の視力を「判読できない」ものにまで低下させます。この近視は永続的なものであり、至近距離からSCP-181-JP-1を視認すると、著しい近視・弱視に陥ります。これらの視力低下は軸性近視によるもののため、急激な眼球の変形により網膜剥離などの病気を併発する危険性があります。カメラなど焦点を合わせる機構が存在するものでSCP-181-JP-1の撮影を行うと、その機構部分が破損します。破損した状態では完全な撮影が行えないためか、写真によって写されたSCP-181-JP-1に異常な特性はありませんでした。
SCP-181-JPは通勤中の財団職員が███████駅において発見したものです。当職員は良好な視力を持っていましたが、SCP-181-JP-1を接視しようとしたため、完全な治療を行うことが出来ませんでした。SCP-181-JPはすみやかに回収されましたが、このポスターの存在について情報を知るものは確認されませんでした。回収される前にSCP-181-JPの影響を受けたと思しき市民(現在判明時点で6名)については、簡易の治療とAクラス記憶処置が行われました。
補遺-181-甲: SCP-181-JPに印字された住所を調査したところ、パチンコチェーンの店舗のみが確認されました。これらの店舗に異常は見受けられませんでした。
補遺-181-乙: SCP-181-JP-1に影響を受けた職員が当該住所を訪れたところ、「『███会』と書かれた病院が確認できる」と発言、店舗に近づいた瞬間に消失しました。所有していた携帯電話のGPSも消失したままで、現在も職員は発見されていません。SCP-181-JP-1を撮影したカメラによって該当パチンコ店を撮影したところ[削除済]、撮影者の両腕は切断されました。これらの現象と『███会』については現在調査中です。
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scp-182-jp |
評価: +66+–x
アイテム番号: SCP-182-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-182-JPはサイト-81██にあるパスワード付きのロッカーに保存されます。現在SCP-182-JPを用いた追加の実験を行う場合、セキュリティレベル3以上の職員3名以上の承認が必要です。SCP-182-JPの影響を受けていると思わしき人物が発見された場合、速やかに対象にBクラス記憶処理を施してください。また、被験者に情報を与えないように作業中の会話は禁止されています。
説明: SCP-182-JPは約300ページからなる、A6判サイズの書籍です。白色の和紙で装丁されており、表紙、裏表紙共に白紙ですが、本の背に「一見の本」というタイトルと思わしき文字列が記載されています。SCP-182-JPは巻末を除いたほぼ全てのページが白紙です。SCP-182-JPにはいかなる液体、筆記用具を用いても記述をすることができず、またSCP-182-JPに既に記載されている文字はいかなる手段を用いても消すことができません。
SCP-182-JPの内容を一瞬でも肉眼によって認識した、日本語を母国語とする人物(以下、被験者と表記)は、あらゆる科学的な根拠に基づいた事柄に対して懐疑的になります。この状態の被験者はクラスB記憶処理を施すことによって完治させることが可能です。表紙や裏表紙のみの閲覧、およびカメラなどを通して内容を認識した場合は、この影響は起こりません。その後被験者は可能な限り自らの体を用いて、その事柄を「証明」しようとします。この時、被験者が事柄について証明に成功した場合、被験者は「納得」をします。この時、SCP-182-JPの一番手前の余白のあるページ内に未知の手段によって、被験者が「納得」した事柄が規則正しく上から順に記述されます。また、被験者には他に異常な特性が見られないため物理的な拘束をすることが可能ですが、拘束手段についての証明行為により拘束具が破壊、無効化される可能性があることに留意してください。
現在、SCP-182-JP内に記載されている内容は以下の通りです。
+ 内容を表示
- 隠す
・人間は、呼吸を行わなければ酸素の欠乏により死亡する。
・人間は、身体の水分が無くなると死亡する。
以下、文量が膨大かつ重要性が低いため割愛。内容は人間の運動器官についてがほとんどである。
・人間は、出血状態が一定時間持続すると死亡する。
・人間は、脳組織が一定数破壊されても生存することが可能である。
・人間は、身体に2000V前後の電圧を身体に受けると内臓機能へのダメージおよび皮膚、毛髪の燃焼により死亡する。
・人間は、身体の損傷が激しい場合、自然治癒力によって体組織が一定の速度で再生する。
・人間は、気体のシアン化水素を吸引すると細胞内呼吸の阻害により死亡する。
・人間は、[編集済]を投与されると[編集済]によって記憶の状態が変化する。
・1+1=2は真である。
以下、文章が膨大かつ重要性が低いため割愛。内容は数学的、科学的基礎知識や現在証明済みの定理などについてである。
・フェルマーの最終定理は、[編集済]によって証明が可能である。
・ポアンカレ予想は、[編集済]によって証明が可能である。
・人間の骨格組織は、先端部分の角度が█°の刃によって██kPaの圧力を垂直に加えた場合、切断が可能である。
・人間の眼球は、指によって██kPaの圧力を加えられた場合、破裂する。
・人間の脊髄部分は、一直線上に存在する2つの異なる点からお互いに対して真逆の方向に██kPaの圧力を加えられた場合、分離する。
・SCP-███-JPの特別収容プロトコルは、[データ削除済]することによって無力化が可能である。
・SCP-███-JPの異常な特性は、[データ削除済]によって生命体を[編集済]である。
・いたいのは、いたいよ。
・しぬのは、こわいよ。
被験者は、暴露時にSCP-182-JP内に記載されている内容についてあらかじめ「納得」をしています。この特性によって、被験者は同じ事柄についての証明を2回以上行うことはありません。
SCP-182-JPは、██県██市の図書館スタッフから「収納した記録の無い本が存在する」という報告を受け、発見されました。発見時には図書館スタッフ1名がSCP-182-JPに暴露しており、エージェントの到着時には窒息で死亡していました。その後、図書館内の全員に記憶処理を施し、カバーストーリー「持病の発作」が施行されました。その後、SCP-182-JPはエージェント・██によって当初「読むと窒息により死ぬ本」として回収されました。
遠隔アームと監視カメラを用いた調査の結果、SCP-182-JPの巻末に以下の文章が書かれていることが判明しました。
我々は知的生命体である。知識、すなわち我々と言っても過言ではない。だが我々は実に多くのことを知らなすぎる。学校の教授の言葉や根も葉もない噂をただただ受け入れ、その内容について一切の疑念を持たない。本当にそれは「知識」と呼ぶべき物なのか?「血は赤いものである」というただの言葉ではなく、実際に抉り出して目で見たその血の赤さこそが「知識」なのではないのか?人間は多くの知識を間違えている。私はそれを証明するために本書を執筆した。百聞は一見に如かず。良い人生を。―████
現在調査を行っていますが、████という人物は発見されていません。
SCP-182-JPを用いた実験記録は、下記を参照してください。
+ 実験記録を表示
- 実験記録を非表示
実験記録抜粋182 - い
対象: D-18201
実施方法: 対象をSCP-182-JPに暴露させる。
結果: D-18201は「そういや人間の身体には水分が必要っていうけど本当にそうか?」と発言し、その後一切の飲食行為を拒否、強制的に食事を与えた場合は嘔吐した。対象は8日後に死亡。
分析: SCP-182-JPの効果が判明。結果を受け、特別収容プロトコルを変更する。
実験記録抜粋182 - ろ
対象: D-18202
実施方法: 対象にSCP-182-JPのおよそ中央の白紙のページのみを見せる。その後、影響を受けたかテストを行い、影響を受けていた場合「人間の身体に水分は必要か」と質問する。
結果: 対象にいくつか質問を行い思考を誘導し、影響を受けていることを確認。上記の質問に対しては「はぁ?当たり前だろ。人間は身体の水分が無くなると死亡するんだ、俺でもわかる」と回答した。
分析: SCP-182-JPへの暴露は1ページのみ―恐らくほんの少し中身を見ただけでも起こりうると考えられる。また、SCP-182-JP内に記述されている内容については被験者はあらかじめ納得していると思われる。
実験記録抜粋182 - は
対象: D-18203(対象の母国語は中国語である)
実施方法: 対象をSCP-182-JPに暴露させ、中国語を用いていくつかの質問を行い、影響を受けているか観察を行う。
結果: 対象はSCP-182-JPの影響を受けていないと判断された。精神鑑定によって対象は正常であることが確認された。
分析: 日本語以外を母国語としている人物はSCP-182-JPの影響を受けないと考えられる。他の言語を母国語とするDクラスを用いた追加の実験を要求する。
実験記録抜粋182 - に
対象: D-18209
実施方法: 対象にクラスB記憶処理を施す。
結果: 対象からSCP-182-JPの特異性が消失、精神鑑定によって対象は正常であることが確認された。
分析: 被験者に対して記憶処理が有効であることが判明した。なお、SCP-182-JPの内容に記憶処理のものと思われる記述が追加されていた。
クソッ、もっと早くにこの実験を行うべきだった。いったい何人のDクラスが犠牲無駄になったというんだ。 ―阿桜博士
実験記録抜粋182 - ほ
対象: D-18210
実施方法: あらかじめ対象に記憶処理を行い、識字能力がみられないレベルまで知能レベルを下げたうえで対象をSCP-182-JPに暴露させる。その後、「1+1=2」という文字列を対象に見せる。
結果: 対象は1+1=2を自分の指の本数を用いて証明し、非常に満足気な表情で頷いた。SCP-182-JPには「1+1-2は真である。」という記述が追加された。
分析: 母国語が日本語でさえあれば、被験者になる条件に識字能力は関係ないことがわかった。
読み書きができなくとも影響を受けるのか。さて、1+1がもう使えないのは痛手だぞ。―阿桜博士
実験記録抜粋182 - へ
対象: D-18231
実施方法: 対象をSCP-182-JPに暴露させ、「3以上の自然数nにおいて、x^n + y^n = z^n を満たす自然数(x,y,z)の組は存在しない」という文字列を対象に見せる。更に、被験者にはフェルマーの最終定理についての記述が無い数学の雑誌や教科書、電卓、辞書を与える。
結果: 対象は険しい顔つきになる。36時間後、対象は非常に満足した表情で「わかった!わかったぞ!」と述べた。SCP-182-JPには「フェルマーの最終定理は、[編集済]によって証明が可能である。」という記述が追加されていた。なお、この証明方法は████氏のものとほぼ一致する。
分析: D-18231の最終学歴は中学卒業であり、その学歴を考慮しないとしてもこの時間で解くというのは本来であれば不可能に近い。更に対象は「フェルマーの最終定理」という言葉を知らされなかったにも関わらず、SCP-182-JPにその言葉が表記されたことは特筆に値する。
対象はあの「フェルマーの最終定理」を極短い時間で、しかも暗算で証明した……ということは、他の定理や未解決の問題でも同じことが可能なのではないか?―██研究員
実験記録抜粋182 - と
対象: D-18233
実施方法: 対象をSCP-182-JPに暴露させ、現在証明が完了していない[データ削除済]についての文書を見せる。また、関連書物として[データ削除済]に関する書類、そしてノートと筆記用具を与える。
結果: 対象は苦悩の表情を浮かべ、ノートに文字を大量に書き込み、6日後に脱水症状で死亡。対象は食事を摂らなかった。
分析: 対象は考えることに必死で食事を摂らなかったと見られる。次回からは点滴による栄養補給を要求する。
[データ削除済]について有益なデータが得られた。ノートの解読の結果から推測するにDクラス2人分で証明は完了するだろう。―██博士
実験記録抜粋182 - ち
対象: [編集済]
実施方法: [データ削除済]
結果: 実験は無期限延期されました。詳しくは補遺を参照してください。
分析: なし
補遺-182: SCP-182-JPの特性の特定、解明作業が進むに伴い実験の回数が増加傾向にあったことを受けて、SCPオブジェクトの収容違反に繋がる可能性が阿桜博士によって指摘され、現在進行中の実験の延期、及び収容プロトコルの改訂が提言されました。提言は承諾され、実験の延期処置の実施及び当該オブジェクトの特別収容プロトコルが改訂されました。
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scp-183-jp |
評価: +334+–x
評価: +334+–x
クレジット
タイトル: SCP-183-JP - 繁栄の街灯
著者: ©︎Fennecist, indonootoko, KanKan
作成年: 2018
評価: +334+–x
評価: +334+–x
SCP-183-JP
アイテム番号: SCP-183-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-183-JPはパーツ毎に分解された状態でサイト-8161の低危険性物体保管ユニットに収容されます。SCP-183-JPに関する一切の実験は許可されません。
SCP-183-JPによって異常性を獲得した人物は発見次第確保し、サイト-8161の人型生物収容ユニットに1年間拘留します。性的興奮状態が鎮静化した後、記憶処理を施した上で対象人物の周辺にカバーストーリー「拉致被害からの生還」を適用し解放します。SCP-183-JPが要因と思われる妊娠をしている女性が確認された場合、該当女性をサイト-8161の人型生物収容ユニットへと収容した後、ミーム殺害エージェントにより終了します。終了後、女性の周辺にはカバーストーリー「行方不明」が流布されます。
新たなSCP-183-JP類似実例が確認された場合は、機動部隊ぎ-0("夢幻泡影")が派遣されオブジェクトの撤去/収容が行われます。この機動部隊は性器を喪失している、または除去された人物のみで構成されます。
説明: SCP-183-JPはオブジェクトより発される光を浴びた人間に対し、複数の異常性を発現させる街路灯です。██県██村にて広く設置されている街路灯と同一の外見的特徴を持ち、照明としての性能も該当する街路灯と差異はありません。SCP-183-JPは稼動に際し電力の供給を必要としておらず、その詳細な仕組みは判明していません。
SCP-183-JPの発する光を浴びた人間(以下"対象")に発現する異常性は以下の通りです。
対象者
異常性
全ての人間
長期的に性的興奮状態に陥ります。これは異常性を発現してから1年程度継続します。対象の脳内からはエストロゲンのような卵胞ホルモンに類似した未知の物質1が検出されており、この物質が対象の脳内の受容体と結合し、強い覚醒状態と興奮状態が維持される事により長期的な性的興奮状態に陥ると考えられています。ただし、生殖器を喪失している対象からはこの物質は検出されません。
生殖能力を持っていない人間
生殖能力が発現、または再生します。この異常性は勃起障害の男性や閉経済の女性が生殖能力を再獲得する2ことに留まらず、妊娠中の女性あるいは胎児にまで影響を及ぼします。ただし、性器を喪失している対象には影響は及びません。
妊婦とその胎児
胎児を出産するまで続く、異常な耐久性が付与されます。この耐久性が付与された対象は物理的な耐性の他、致死性の毒や、極端な栄養失調状態でも死に至らず、一部例外3を除き如何なる要因によっても死亡することはなくなります。特に子宮の耐久性は非常に強力であり、あらゆる方法で堕胎などの試みが行われましたが、どれも成功には至りませんでした。
胎児
胚発生の過程において性器の形成が優先されます。また、前述の生殖能力が付与される異常性により、妊娠12週ごろの胎児は妊娠/射精が可能になります。
SCP-183-JPの異常性に曝露した女性が性交を行う事により、母体となる女性と胎児に対し異常性による妊娠が連鎖的に発生し、以降の胎児は全て同様の異常性を有した状態で発生します。このことから、母体の性交や胎児の性別により多岐に渡る複雑なプロセスが示されます。また、この連鎖的な妊娠は結果的に近親交配となる場合が多い為、新生児が先天的な障害を所持しているケースが多数報告されています。ただし、致死性遺伝の発現は確認されておらず、それによる流産のケースも確認されていません。
対象者
異常性による妊娠への作用
母体
妊娠中に性交をする事により更に胎児を受胎します。複数の胎児を受胎した状態での出産においては、成熟した胎児のみが出産されます。SCP-183-JPによって獲得した異常耐久により母体は出産を終えるまで死亡する事はありませんが、その多くは激しい苦痛を訴えます。
男性の胎児
妊娠12週目ごろより、夢精に酷似したプロセスによる射精を行うようになります。放出された精液により、母体並びに他の女性の胎児は妊娠します。
女性の胎児
妊娠12週目ごろより、母体の性交または異常性を発現した男性の胎児が要因の妊娠が可能になります。受胎した状態で母体より出産された場合、胎児が成熟し次第自身の出産を行います。この際、新生児の身体は出産の負担に耐え切れず、異常耐久を獲得しているにも関わらず下半身に重篤な裂傷を負います。子宮内に胎児が残っている場合は出産直後に裂けた下半身が即座に回復しますが、胎児が残っていない場合は程なく死亡します。
補遺: SCP-183-JPは日本国██県██村にて発見されました。当時発見地域では少子高齢化による過疎化が深刻化していましたが、特に要因が存在しないにも関わらず出生率が急増したことにより財団の注目を引きました。異常性による妊娠が確認された後もその原因特定は難航し、結果的に一般人ならびに財団職員から多くの犠牲者が発生しました。以下はSCP-183-JPが要因となった異常妊娠において、特に重篤であった症状の報告です。
▶ 報告-183-JP-87
▼ 閲覧が承認されました。
報告-183-JP-87 金子家
事案: 20██年に行った日本生類創研への襲撃作戦にて、SCP-183-JPに関連するデータの収集に成功しました。このデータにより、SCP-183-JPに類似した未収容のオブジェクトが存在している可能性が浮上したため、それらの捜索が開始されました。
▶ アクセス 日本生類創研襲撃作戦-183戦利ドキュメント (要レベル3セキュリティクリアランス)
脚注
1. この物質は通常のエストロゲンと違い、男性の乳房の肥大化等の影響を起こすことは確認されていません。
2. 女性の場合、異常なプロセスにより体細胞分裂が起こり卵源細胞の増殖が再開します。
3. ミーム殺害エージェントによる終了が可能であることが確認されています。
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scp-184-jp |
評価: +244+–x
初期回収時のSCP-184-JP
アイテム番号: SCP-184-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: 現在、SCP-184-JPは根元から撤去され、サイト-8181内の収容施設21-Aに移送され管理されています。21-Aの扉は常に施錠された状態にして下さい。この扉を解錠できる権限を持つのはセキュリティクリアランスがレベル2以上の職員に限られます。なお、実験184-JP-005を最後に、SCP-184-JPを使用した実験は一時的に凍結されています。
説明: SCP-184-JPは████の██████に存在したコンクリート製の電力柱です。電力会社が派遣した点検作業員の不審な死が財団の注意をひいたことで、確保の対象となりました。
SCP-184-JPの異常性は人がそこに登り、足場ボルトの最上段に手を置いた際に発生します。そうした場合、その人物(以下、対象と表記)は足場ボルトに手をかけた状態で強固な硬直状態に陥ります。呼吸や瞬きなどの生命活動は引き続き行っていますが、対象と直接コミュニケーションをとることは不可能になります。対象を足場ボルトから引き離しSCP-184-JPから降ろす試みは、全て"対象の死亡"という結果に終わっています。
硬直状態に陥った後の対象は、まるで自身が非常に高い位置におり、(どの程度の高さなのかは、対象によって見解に個人差が見られています)そこから地上まで伸びるSCP-184-JPの、足場ボルトの最上段に手をかけた状態にあるとの主観状態に陥ります。一度この状態になった対象を回復させる方法は、現在に至るまで発見されていません。
音声記録: 実験184-JP-002
日付: 20██/09/03
任務: 音声通信装置を付けたD-3321がSCP-184-JPに登り、最上段の足場ボルトに手をかけます。
<記録開始>
███博士: D-3321、一番上の足場に手をかけろ。
D-3321: 分かった。……よし、かけたぞ。[風切り音と思われるノイズ]……クソッ!
███博士: どうした? 状況を報告しろ。
D-3321: 何でだ!? さっきまでこの電柱、こんなに高くなかったはずだろ!
███博士: 何を言っているんだ?
D-3321: 電柱がいつの間にか信じられないほど高くなっていて……もう地上が見えない!おれはそこの一番上の足場にいる……。
███博士: 私達からは君が足場ボルトに手をかけたまま、単に静止しているように見えるが。口も動かさずにどうやって喋っているんだ?
D-3321: 嘘だろ……今、おれはそっちと話しながら必死に降りようとしているトコなんだぞ。
███博士: そちらの君は地上何m位の所にいるんだ?
D-3321: 知るか……雲よりは高いところだ。クソ、風が強くて振り落とされそうだ!博士は下に居るのか?
███博士: 通信が出来ているということは、恐らく。確かなことは言えないが。
[36秒間、D-3321の吐息だけが聞こえる]
D-3321: ダメだ……手汗ですべる。今、ようやく一番上から20mくらい降りたところだ。
███博士: 地上まで行けそうか?
D-3321: ……無理だ、丸一日はかかる。ヘリコプターか何かでおれを回収してくれ、手が震えてきた。足場が鉄だから冷たくてしょうがねぇよ。
███博士: さっきも言ったと思うが、私達からは君が単に電信柱の上で立ち止まっているようにしか見えないんだ。
D-3321: 待ってくれ……じゃあ、おれはどうしたらいい? もう手の感覚がないんだ。足も震えてる。もう、これ以上は降りられない。ただただ落ちないように、ここにしがみついてることしか出来ないんだ……。
███博士: あー、私達は君が単に幻覚を見ているだけだという結論に達している。そもそもそんな高さの電信柱なんて、あってもすぐに倒れてしまうだろう……。さぁ、こちらの君の下に防護用クッションを敷いておいた。たかだか10mほどの高さなんだ、落ちてみろ。
D-3321: 本当か……? これは、ただの幻覚なのか? 博士の言葉を信じていいのか分からない。……高いトコにいるせいか、息をするのも辛いんだ。おれにはこの感覚が現実にしか思えない。
███博士: だが、ずっとそこに居る訳にもいかないだろ? どうせ落ちるなら、今落ちてみろ。
D-3321: わ、分かった……。手を離すよ。
███博士: ああ。帰ってこい。
この通信の後、風切り音と思われるノイズ、D-3321の悲鳴が聞こえてきました。それからおよそ41秒後、大きなノイズと共にD-3321からの通信が切れました。しかし、実際のD-3321は依然としてSCP-184-JPの上で硬直した状態のままでした。職員が高所作業車によりD-3321を回収する際、彼が既に死亡していることが明らかになりました。その後の解剖の結果、D-3321の死因は心肺停止であり、死亡時刻はD-3321からの通信が切れた時間と一致することが判明しました。なお、自由落下状態にあったD-3321が終端速度に至り、そこから落下にかかった時間を考えると、SCP-184-JPは少なくとも2200m以上の高さがあるものと考えられています。
音声記録: 実験184-JP-005
日付: 20██/09/19
任務: 防寒装備、レスキュー・パラシュート(模擬訓練を受講済み)、音声通信装置を所持したD-4650がSCP-184-JPに登り、最上段の足場ボルトに手をかけます。D-4650は高所に対する恐怖心が他のDクラス職員よりも薄いため、被験者として選ばれました。また、職員が高所作業車のゴンドラに乗り、D-4650のすぐ側で待機・観察します。
<記録開始>
███博士: では、足場ボルトに手をかけてくれ。下を見ながらだ。
D-4650: 了解……[風切り音のノイズ]……[D-4650が息を飲む音]
███博士: 何だ? 何が見えた?
D-4650: いや、一瞬目眩がして、次の瞬間にはもうここに……。
███博士: ふむ……そうか。じゃあ次に、腕につけた気圧高度計を読み上げてくれ。
D-4650: ええと……[ノイズ]高度は大体3800mくらい。気温は-2度だ。
███博士: んー、職員がクレーンの上で君の付けている高度計を見ているが、こっちではそう表示されていないな……。よし、では今から君を回収する。
D-4650: ああ、頼む。風も強くて凍えそうだ。
███博士: 少し待て。今、降ろしてやるからな。
D-4650: ……おい、クソ、やめろ! 待て、アンタらか? 見えない何かに引きずり降ろされそうだ!
███博士: 大丈夫だ、こっちで職員が君を支えている。
D-4650: 頼む、やめろ! 落ちそうだ!
███博士: 落ち着け……
D-4650: ダメだ、落ちる![風切り音のノイズ]
███博士: 落ちたのか? ならパラシュートを開け。
D-4650: [ノイズ]ひ、開いたぞ……。クソ、止めろと言ったろ!
███博士: そのまま地上に降りたら状況を報告してくれ。
D-4650: ……そっちの俺はどうなってる?
███博士: 一応、生きている。硬直したままだが。
D-4650: そうか……。
[35秒間、風切り音らしきノイズが続く]
D-4650: そろそろ地上だ。
███博士: 何がある?
D-4650: 今のところ、変わった様子はないが……。
███博士: そっちの下にも我々はいるのか?
D-4650: ちょっと待て、着地体勢に入る……[D-4650が地面に着地した際に出たと思われるノイズ]……ああ、嘘だろ。
███博士: 何だ、どうした。
D-4650: 地面に着いたが……クソ。頼むよ、アンタらが下はこんな風になってるって言ってくれてたら、俺は……[D-4650がすすり泣く音]
███博士: おい、D-4650。何があった、報告しろ。
D-4650: 上にいた方が良かったじゃねぇか。
その直後、"パチン"という大きなノイズ音と共にD-4650との通信が切断されました。それと同時に、回収されていた実際のD-4650も心肺停止により死亡したことが確認されました。現在、これ以降の実験の継続は一時的に中止され凍結されています。
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scp-185-jp |
評価: +153+–x
SCP-185-JPの静止画。静止画ではその効果は現れない。
アイテム番号: SCP-185-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 全てのSCP-185-JPが保存されている媒体は機動部隊め-4"サイバー消防士"によって回収され、拡大を防いでいます。SCP-185-JPに関する実験はクラスD職員にのみ行われ、他の如何なる職員は閲覧することを許されていません。未知のSCP-185-JPが発見された場合、即座に機動部隊め-4"サイバー消防士"に連絡し、SCP-185-JPの収容とSCP-185-JP-2の保護を行ってください。
説明: SCP-185-JPは1分38秒の映像及びその映像が収録された媒体です。映像はピアノ曲と白と黒の次々に形の変わる幾何学模様だけで構成されています。この映像を視聴した者は以降、SCP-185-JP-1となり"冥曜日"という新たな曜日を認識することになります。静止画や映像のみあるいは音声のみでの視聴ではこの効果は現れません。媒体はVHS、CD、DVD、小型タブレットPC等その都度変異します。現在33個のSCP-185-JPを収容していますがその総数は未だ不明です。
SCP-185-JPの状態は大きく分けて2つあります。誰でも視聴可能な"リセット状態"と、SCP-185-JP-2のみ視聴可能な"ループ状態"です。これは外見上では判別出来ません。"リセット状態"の特徴は視聴に制限の無いことです。これは複数人同時視聴が可能であることを意味しており、基本的な状態はこちらであると考えられています。"ループ状態"は新たにSCP-185-JP-1が誕生した場合に移行し、以後SCP-185-JP-1とSCP-185-JP-2のループを起こさせます。SCP-185-JP-1とSCP-185-JP-2のループが何らかの形で途切れた際、SCP-185-JPは"ループ状態"から"リセット状態"へ移行します。
SCP-185-JP-1は、冥曜日とは土曜日と日曜日の間に存在しており、冥曜日は普段会えない人物と会い、食事を共にする世界共通の普遍の休日だと主張しています。実際は土曜日の23:59から日曜日の0:00の間の1分間だけその場から消失し、直下17kmの地中に移動しています。日曜日になった瞬間に消失前の場所に戻り、そのまま従来の生活を続けます。冥曜日に関する認識は影響を受けた時点で普遍的なものとなり、記憶操作しても効果はありません。
冥曜日から戻ってきたSCP-185-JP-1の消化器官には、移動した場所の地層に対応した土壌が約10~300g含まれています。地中に居る際は本来起こり得るであろう身体的影響は一切受けません。ですが、消化器官内の土壌は体内に累積していき、想定されている通りの身体的影響が現れていきます。しかしながら、当人にはその影響を認識することが出来ず、やがて原因不明の体調不良を訴えるようになります。体内の土壌は医学的処置により取り除くことは可能ですが、冥曜日を体験する状態は治療法が見つかっておらず、これらの処置は一時的なものにしかなりません。また土壌が取り除かれた場合、次の冥曜日に取り除かれた倍の量の土壌が体内に増加しています。
SCP-185-JP-2はSCP-185-JP-1が生前最も会いたがっていた人物であり、冥曜日に会っていると主張する人物がその対象となります。SCP-185-JP-1が何らかの要因で死亡した際、SCP-185-JP-2の元に、その人に再生出来る"ループ状態"のSCP-185-JPが届けられます。1内容はSCP-185-JP-1による自室でのビデオレターとなっており、2個人的な雑談から始まり、最後には必ず久しぶりに会ってまた一緒に食事をしようと言い、暗転します。SCP-185-JP-2の特異性はこのSCP-185-JP-1のビデオレターを閲覧することで発揮されます。SCP-185-JP-2はビデオレター終了後の何も映し出されていない映像媒体からSCP-185-JPを認識し、目を離せなくなります。この結果、SCP-185-JP-2が新たなSCP-185-JP-1となります。
最初のSCP-185-JPが確認されたのは2007/11/7、東京秋葉原のPCパーツショップで、10枚入りブランクDVD-Rの中の1枚に収録されていたものです。店側はこの商品を仕入れていませんでした。SCP-185-JPの製作者及び流通元あるいは発生源は未だ不明です。
以下はクラスD職員を用いた実験記録の一部です。
対象: D-1583-JP(D-1583-JPはSCP-185-JPを閲覧し、3度目の冥曜日を迎えている。)
インタビュアー: 天王寺博士
天王寺博士:よお、D-1583-JP。これからいくつか簡単な質問をするからそれに答えてくれへんか。
D-1583-JP:ああ、いいぜ。
天王寺博士:今日は何曜日や?
D-1583-JP:金曜だろ。
天王寺博士:明日は?
D-1583-JP:土曜だ。
天王寺博士:明後日は?
D-1583-JP:おい、何の質問だこりゃぁ。冥曜日に決まってンじゃねえか。からかってンのか?
天王寺博士:いいや、これもテストや。せやったら冥曜日とは何や?
D-1583-JP:おいおい、先生よぉ。俺ぁガキじゃねえンだからよぉ、ンなことぐれぇわかんてンだよ。
天王寺博士:ええから答えてくれ。
D-1583-JP:はぁ。冥曜日っつーのはアレよ。日曜日の前の日で、そいつの一番のツレと会ってメシとか食ったりする休日のことだよ。誰でも知ってンぞ。
天王寺博士:せやったら、先週の冥曜日は何やった?
D-1583-JP:…あー、それ言わなきゃなンねえか? …そのさぁ、ハズかしいンだけど俺さぁ、今までクソみてぇな人生でよぉ、なンもかもがどうでもよかったンだよ。だからムショに入るようなことになっちまったンだけどよぉ、そンな俺にもこいつの為なら何だって出来るってヤツがいるンだよ。正直、アイツを一人にさせちまったことは今でも後悔してンだ。だから、せめてアイツに一言礼を言いてぇンだ。でも、俺そんなガラじゃねえだろ? だからよぉ、とりあえずメシだけでもサシで食うようにしてンだ。
天王寺博士:この施設からどうやって出たんや?
D-1583-JP:冥曜日はいつも誰でも自由に外出してるじゃねえか。
天王寺博士:んなわけ無いやろ。許可も出てへんし出すわけ無い。大体な、誰も冥曜日なんか聞いたことがあらへんで。
D-1583-JP:先生、疲れちまってンのか? 先生も俺みてえに女は大事にした方がいいぞ。それよりもさあ、先生は女はやっぱ花より指輪の方が喜ばれると思うか?
[この後はD-1583-JPの女性関係の相談になった為割愛]
2日後、D-1583-JPが4度目の冥曜日を迎えたが胃に土壌が47g増える以外の変化が見られなかった為に終了させられました。その次の日、D-1583-JPが言及していた女性の元に一枚の差出人不明のDVDが届けられました。"ループ状態"のSCP-185-JPを含んでいるであろう映像が収録されていましたが、財団エージェントにより女性の閲覧は阻止され、その後クラスA記憶処置を行いました。
補遺: 2008/1/14時点で既にSCP-185-JPの閲覧者の数は41人になり、その所在及び届けられたSCP-185-JPは全て把握し収容していますが、2015/██/██に、████県の12歳の少年が公園で偶然拾った小型タブレットPCに収められていたSCP-185-JPを閲覧してしまう事案が発生しました。その公園はこれまでに異常な報告を受けたことも無く、また本件に直接の関係は無いと判明しました。これにより所在の掴めていないSCP-185-JPが未だ存在するとして更なる調査が進められています。
Footnotes
1. 数例だが定住先が無いSCP-185-JP-2が確認された。この場合SCP-185-JP-2が手にすることの出来る場所にSCP-185-JPが収録された小型タブレットPCや即座に視聴出来る状態の映像機器が共に出現した。
2. 同様に定住先が無いSCP-185-JP-1の場合は過去に住んでいた住居や施設からのビデオレターとなる。
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scp-186-jp |
評価: +90+–x
初期捜査時のSCP-186-JP。画像編集済
アイテム番号: SCP-186-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-186-JPはサイト-8181の大型収容ガレージ-17にて保管されています。SCP-186-JPはタイヤの空気を抜いた上で、貨物コンテナの扉をロックされた状態で保管されなければなりません。車のエンジンスイッチおよび貨物コンテナの鍵は同サイト内の4番収容金庫に保管されています。SCP-186-JP担当主任が両方のスペアキーを持っていますが、スペアキーは故意に脆く作られており、一回しか実用に耐えられないことを留意しておいてください。現在、SCP-186-JPの実験・探査は禁止されています。また、補遺186-JP-Aを受け、貨物コンテナの扉には従来かけられていたものよりも厳重なロックがかけられるようになりました。これを解錠するための鍵は5番重要物収容金庫に保管されています。
説明: SCP-186-JPはかつて輸送業務に従事していたと思われる中型貨物自動車です。SCP-186-JPは東弊重工製と推測されていますが、外見上は目立った特徴などはなく、性能も一般的な中型貨物自動車と変わりません。後部に積載されている貨物コンテナの扉には液晶画面の付いたテンキーが備わっていますが、現在番号の入力はできず、画面には常に「E」の文字が浮かんでいます。コンテナの側面には小さく「空間跳躍転送運搬装置」と書かれていますが、詳細は不明です。特筆すべき点は貨物コンテナの内部であり、その中には外観とは比例しない広大な森が広がっています。コンテナ内部に持ち込んだGPS装置は、地球上のどの地点も指し示すことはありませんでした。
SCP-186-JPの貨物コンテナの扉を開くと、必ずその森の定位置に接続されます。森の中からは、コンテナの扉とそこから"こちらの世界"が地上0.5mの位置に浮いているように見えます。SCP-186-JPのコンテナ内の森にはSCP-186-JP-1と分類される身長およそ2mの敵対的人型実体の存在が複数確認されていますが、その生態や詳細は不明です。また、この森の内部には人体に有害な動植物や、精神汚染エリアの存在も確認されています。なお、探査186-JP-03を最後に探査実験は凍結され禁止されています。詳しくは探査186-JP-03・音声記録12-0004を参照して下さい。
SCP-186-JPの貨物コンテナ内部をX線でスキャンした結果、大量の未知の機械が積載されていることが判明しました。この機械の用途は不明ですが、コンテナ内部に異世界を再現するために使用されているのではないかと推測されています。コンテナに穴を開け、その内部を調査する実験はその結果に対しリスクが大きいと判断されたため、却下されました。
SCP-186-JPは東弊重工と関係が深い運送会社████████を財団が捜査した際にガレージから発見されました。その運送会社は調査時もぬけの殻であり、職員は1人も見つかりませんでした。後日、回収されたSCP-186-JPの研究時、貨物コンテナの扉の裏に多くの引っ掻き傷や人間のものと思われる皮膚や血液が付着している事が明らかになりました。
探査186-JP-02
20██/██/██、記録用HDカメラといくつかの採取キットを持ったD-0765とD-0043が、SCP-186-JPの貨物コンテナ内部の探査に派遣されました。探査開始から14分後に突如、扉が未知の力によって閉まりました。それから3時間が経過するまで、どのような方法をもってしても扉が開くことはありませんでした。扉が開いた後、二人は消えており、現在に至るまで消息不明のままです。唯一、故障したHDカメラのみ、扉から50m離れた場所で発見されました。
探査186-JP-02で回収されたHDカメラのキャプチャー画像。複数体のSCP-186-JP-1の影が映っている
補遺186-JP-A: 最近、SCP-186-JPの貨物コンテナの扉を内側から叩く音が複数聞こえると報告されています。念のため、職員はこのノック音が聞こえている最中はSCP-186-JPの収容ガレージに近づかないで下さい。
参照: 探査186-JP-03・音声記録12-0004
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scp-187-jp |
評価: +74+–x
アイテム番号: SCP-187-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 一連のSCP-187-JP-Aは、サイト-81██の保管庫No.203に収容されます。新たなSCP-187-JP-Aが発見されるごとに収容番号を記したタブを取り付けてください。現在収容されているSCP-187-JP-Aの総数は382個です。SCP-187-JP-Aの持ち出しおよび実験は、レベル4以上の職員の許可が必要です。
SCP-187-JP-Bの収容方法は、現在確立されていません。SCP-187-JP-Aによる新たな被害者が発見された場合はクラスAの記憶処理を行い、かつ顔面の整形手術を施して解放してください。SCP-187-JP-Bが発見された場合、すみやかに終了されます。
説明: SCP-187-JP-Aは、チューブ型の容器と、それに入ったペースト状の内容物から成り、一般的な女性向け洗顔料に見えます。容器はピンク色で、表面には白抜きの文字で「新肌習慣! 薬用洗顔フォーム うるおい成分配合」と書かれています。裏面上部には「これ一本ですべすべ肌に!あなたの理想のフェイスを手に入れよう!」と宣伝文が記されています。その下には、「医薬部外品」「<ご使用方法>手のひらに適量を取り、水かぬるま湯でよく泡立ててから顔を洗い、その後充分にすすいでください」「<ご注意>お肌に合わないとき、また傷や湿疹など肌の異常がある場合は使用しないでください。刺激などが現れた場合は使用を中止し、医師の指導を受けてください」と記載されています。内容物の原材料や、製造販売元の記載はありません。最下部にはバーコードが記載されており、レジスターに接続した状態のバーコードリーダーで読み取れば「980円(税抜)」の価格が表示されますが、それ以外の情報は出力できませんでした。同バーコードは現在までJANコードに登録されていません。日本国内の商業施設6028店舗のインストアコードと合致しましたが、いずれも関係のない商品に使われていました。
SCP-187-JP-Aは、記載された方法に従って人間が使用したときに性質を現します。SCP-187-JP-Aで洗顔をし続けると、約1週間~1か月ほどを経て、顔の形状を特定の女性の顔へと変化させます。SCP-187-JP-Aの使用を中断させることで顔面変化の進行を止めることができますが、1度でもSCP-187-JP-Aで洗顔を行った人間は使用し続けることに必ず強い執着を示します。被害者をSCP-187-JP-Aから隔離した場合、SCP-187-JP-Aの良い効果(ニキビが治った、肌にうるおいが戻ったなど)を延々と主張し続ける、SCP-187-JP-Aがないと自らの顔は醜く汚いままだと言って嘆く、といった行為を繰り返します。クラスAの記憶処理によって、このような行動は収まることが判明しています。
顔面が完全に変化した場合、被害者はどのような空間にいようとも前触れなく姿を消し、3時間後に、SCP-187-JP-Aを1つ以上抱えて同じ場所に現れます。現れた被害者は、性別関係なく女性らしい言動、態度を取るようになります。この状態になった人間は以後SCP-187-JP-Bと識別されます。SCP-187-JP-Bとなると、記憶処理をしても元の人格に戻ることはありません。SCP-187-JP-Bは自身を「女性向けコスメティック商品の販売員・ミヨコ」であると名乗り、他者にSCP-187-JP-Aを購入するよう盛んに勧めます。また、SCP-187-JP-Bの空間転移能力はSCP-187-JP-B自らの意志で発動出来ると予測され、このことが実験以外でSCP-187-JP-Bの長期的な収容を容認できない要因となっています。
なお、日本語を話すことのできない者が使用した場合もSCP-187-JP-Bに変化し、日本語を解するようになります。聴覚に障害を持った者がSCP-187-JP-Bとなった場合は、筆談によって会話が可能です。その際筆跡は元の人間と一致せず、女性的な字体となります。14歳以下の被害者は確認されていないため、言語・身体能力の未発達な幼児への効果は不明です。
最初のSCP-187-JP-Bは、2010/11/██、三重県██市のドラッグストア「██████ ██店」でSCP-187-JP-Aを販売していたところを財団エージェントにより拘束されました。周辺地域でSCP-187-JP-Aを購入し使用していた6人の被害者には、いくつかの安全な実験を試したのち、クラスAの記憶処理と整形手術を行い解放しました。彼らが使用していたものも含め、12個のSCP-187-JP-Aが回収されました。このとき他のSCP-187-JP-Bは見つかりませんでしたが、2011/03/██に鳥取県██市で2体のSCP-187-JP-Bと11人の被害者、25個のSCP-187-JP-Aが発見され、調査範囲は全国へ拡大されました。2014年07月末日時点で███体のSCP-187-JP-Bが確認されています。
補遺:
+ インタビュー記録187-4(2011/04/26)
- インタビュー記録187-4(2011/04/26)
対象: SCP-187-JP-B
インタビュアー: 源口博士
付記:対象は元々、岐阜県██市在住の女性(当時32歳)でした。家族からの通報を受け、警察を介して財団に収容されました。対象は8つのSCP-187-JP-Aを所持しており、財団により「購入」という形で押収されました。
<録音開始>
源口博士:こんにちは、SCP-187-JP-B。
SCP-187-JP-B:はじめまして、お客様。それと、わたくしのことはどうぞミヨコと呼んでくださいな。
源口博士:いいでしょう。ミヨコさん、あなたに名字はあるのですか?
SCP-187-JP-B:ええ、もちろん。ですが、お客様とより親密にお話させていただくことで、お客様個人に合った商品を提供させていただくのがわたくしたちの役目ですから。ぜひとも気軽に下の名前で呼んでいただきたいのですわ。
源口博士:どうしても名字は教えていただけないのですね。
SCP-187-JP-B:だってその必要がないじゃありませんか。そうでしょう?
源口博士:しかし可能な限り、私たちはあなたのことをもっとよく知りたいのです。
SCP-187-JP-B:わたくしのような一介の販売員のことはどうでもいいじゃありませんか。それよりも、わたくしどもの商品をぜひ知っていただきたいわ。
源口博士:私たちがあなたから買った、あの洗顔料のことですね。
SCP-187-JP-B:ええ、ええ、それだけじゃございません!我が社はお客様の多様なお悩みに応えるべく、日夜様々な商品を開発し、ご提供しておりますのよ。
源口博士:たとえばどのような?
SCP-187-JP-B:お客様にご購入いただいた洗顔料などのケア商品をはじめ、化粧品や香水など、美容に関わるものは多数ご用意しておりますわ。それから、近年はサニタリー用品にも力を入れておりますの!女性がより輝ける社会を目指して、出来うる限りのお手伝いをさせていただくのが我が社の使命と心得ております。もちろん、男性向けの商品もご用意できますし、お客様にもぜひお試しいただきたいわ!
源口博士:なるほどよく分かりました。あなたは、あの洗顔料の効果についてご存じなのですか?
SCP-187-JP-B:もちろん!わたくしも日々愛好しておりますもの。この歳になってもニキビに悩んでいたわたくしですが、あの商品に出会ってすっかりよくなりましたのよ。男女関係なくご使用いただきたい、我が社のヒット商品なんです!
源口博士:私が聞いた報告では、あの洗顔料を使用した人は皆、顔が一様に変化するそうなのですが。そう、ちょうどあなたそっくりに。
SCP-187-JP-B:……あら、わたくしの肌をお褒めいただけるなんて嬉しい限りですわ!このようにもっちりと滑らかな肌になるのがあの商品の特徴で……
源口博士:そうではありません。あの洗顔料を使用した人は、あなたとまったく同じ顔になるんです。そして中身も「ミヨコ」という化粧品販売員になりきるのです。あなたもその犠牲者だということを覚えていますか?██ ███さん。
SCP-187-JP-B:……申し訳ございませんが、お客様はどなたかとお間違いになられてるんじゃないかしら?わたくしは化粧品販売員のミヨコ自身ですのよ。この仕事に就いて20年、他の職に就いたことはありませんし、他の名前を騙ったことだって……
源口博士:その「仕事」なのですが、あなたはいったいどこの化粧品会社に勤めているのですか?あの洗顔料には販売元など一切かかれていませんでしたよ。あの商品は、どこの、どういう会社が、何を材料に、造っているんですか?
SCP-187-JP-B:そのようなことはこの際関係ないじゃございませんか!(興奮したように声が裏返る) わたくしどもは、こうして、お客様のために有益な商品を……
源口博士:私だったら、販売元も分からない商品を信用したりしませんね。あなたがどうしてあれを使ってしまったのか甚だ疑問です、██ ███さん。別の「ミヨコさん」に唆されたのですか?
SCP-187-JP-B:ですから、わたくしは██という名前ではございません!わたくしは、わたくしは……(すすり泣く声)
源口博士:やはりどう訊いても無駄なようだ。インタビューを終了する。
<録音終了>
(SCP-187-JP-Bはインタビュー後に終了された。女性の家族にはクラスBの記憶処理をしたのち、女性が食中毒によって死亡したというカバーストーリーを関係者に流布させた。)
メモ:薬の投与も催眠療法も拷問もまったく意味を成さない。せめて会社名が分かればまだ追及の余地があるのだが。それと、より多くのSCP-187-JP-Bが潜伏している可能性と、同社の別の商品が出回っていることも考えられる。早急な調査を申請したい。-源口博士
+ 実験記録187-3(2011/09/08)
- 実験記録187-3(2011/09/08)
対象:Dクラス職員(男性、当時45歳)にSCP-187-JP-Aを使用させSCP-187-JP-Bとし、実験。
実施方法:GPSを装着させたSCP-187-JP-Bに、SCP-187-JP-A以外の商品を購入したいと要望。
結果:SCP-187-JP-Bは、具体的にどんな商品を所望しているのか実験研究員に尋ねた。研究員は予定されていた通り「リップクリーム」と答えた。SCP-187-JP-Bは答えを聞くと実験室から消失し、GPSによる追跡は途絶えた。15分後に、先刻と同じSCP-187-JP-Bが出現。リップクリームと思われるスティックを2種類所持しており、1つは無色、もう1つは赤色で、どちらも保湿効果があり、定価は690円であると説明した。2つは財団によって購入された。SCP-187-JP-Bは実験後に終了された。
メモ:SCP-187-JP-Bがどこから「商品」を持ってきているのかは今回も判明しなかった。近いうちにリップクリーム型のオブジェクトが追加されそうだな。それにしても、顔は若い女なのに身体はおっさんのままってのは、見てて妙な気分だ。-鳥山研究員
+ 実験記録187-5(2011/11/15)
- 実験記録187-5(2011/11/15)
対象:2体のSCP-187-JP-B
実施方法:SCP-187-JP-A未所持のSCP-187-JP-B同士を会わせ、反応を観察する。
結果:1体が実験室から消失。収容違反として、事前に取り付けたGPSにより、消えたSCP-187-JP-Bの追跡を試みる。当初GPSの反応は途絶えていたが、約1時間後にサイト-81██近くの薬局店内に反応を確認。確保・再収容された。再収容されたSCP-187-JP-Bは新たに3つのSCP-187-JP-Aを所持していた。2体のSCP-198-JP-Bは実験後に終了された。
分析:SCP-187-JP-B同士を引き合わせることは今後推奨しない。収容することがあっても個々を隔離するように。-源口博士
+ 実験記録187-6(2011/12/02)
- 実験記録187-6(2011/12/02)
対象:2011/11/28よりDクラス職員(男性、当時28歳)にSCP-187-JP-Aを使用させ、SCP-187-JP-Bとして別の実験を予定していた。SCP-187-JP-Aの使用を始める前日、他のDクラス職員との些細な争いによって、彼の頬には1か所の引っ掻き傷が出来ていた。
結果:3日ほどで傷のあった部分がめくれ上がり膨張して、人間の唇のような形状に変化した。その後使用を続けさせた結果、傷口を中心に皮膚・血管が寄せ集まるようにして増幅し、まぶたや鼻のように見える突起を形成したが、どれも完全ではなく、位置も正しくなかった(例として、「唇」の下部に「鼻」が形成されるなどした)。眼球や歯、骨とみられる組織も形成されかけていたが、当初予定されていた実験が望めなくなったことから使用を中止させた。Dクラス職員は抵抗を見せたため終了された。
メモ:注意書きはちゃんと読めってか。くそったれ。-鳥山研究員
20██/██/██:「ピンク色のパッケージ」という共通点と、「インタビュー記録187-4におけるSCP-187-JP-Bの発言」を根拠に、鳥山研究員によってSCP-332-JPとの関連性が指摘されました。確認実験のため、今後新たにSCP-187-JP-Bを発生させる案について実行許可を申請します。-源口博士
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scp-188-jp |
評価: +84+–x
アイテム番号: SCP-188-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-188-JPは施設への収容は不可能なため、周辺の島に強力なレーダー装置を配備した敷設を設置し、許可を受けていない者は近づけてはなりません。敷設には常に海上での保安活動及び船舶の運転が可能な12名以上のスタッフが配置されます。侵入者に対しては拘束の後Bクラス記憶処置が行われ、密航者として警察に身柄を引き渡してください。
SCP-188-JPの調査には必ず日本人のみで構成された人員を選び、所持品は最低限とし武器は持ち込まないでください。可能な限り日本語以外の使用、日本語以外の言語の書かれた物品の所持は避けるべきです。
説明: 座標: 南緯2度██分 東経14█度█分に位置する無人島です。1942年から45年にかけて、島は旧日本軍により占拠されていたと考えられます。しかしこの島に関する資料は存在しないか紛失、または破棄されており、確かな資料は存在していません。財団による調査の結果、島に戦略的な価値は無く当島に駐留していたと思われる旧日本軍の部隊も所属不明となっています。島内には塹壕跡や遺留品などがそのまま残されておりその規模から推察で150~300人が活動していたものと思われます。
SCP-188-JPの特異な点は島内は完全に無人にも関わらず遺留品や基地、塹壕跡の位置が常に変化や増加、消失を繰り返している点にあります。財団は過去にSCP-188-JP内部より合計3トンに及ぶ遺留品を調査目的で回収していますが、現在も尚島内の遺留品は増減を繰り返しています。島内では兵士が書いたものと思われる多数の手記が次々と発見されていますがその内容を照らし合わせると多くの矛盾点が存在します。筆跡鑑定により発見された手記は全て同一人物のものである事が判明しています。書かれた年代はおよそ1940年頃で太平洋戦争の年代と一致しておりますが、その内容は明らかにごく最近の、外部からの影響を受けていると考えられ、研究が続いています。
また、島の中央付近には地下陣地が構成されており、調査ではその全長は約4kmほどであると見られています。壕そのものを爆破する試みは大規模な滑落を引き起こしましたが、調査隊が引き上げてから数ヶ月後に行われた再調査では壕が再建されていました。この壕内への再三に渡る調査は全て失敗に終わっています。島内の調査及び地下陣地の探索は過去5回に渡り行われていますがそのすべてで職員の行方不明、調査資材や食料の異常な紛失などを引き起こしており、追加調査は凍結されております。島はイギリス連邦に属する████の領海であり、イギリス政府の働きかけにより島周囲には大戦中に敷設された大量の地雷や機雷が存在しており立ち入り禁止というカバーストーリーが展開されています。
調査記録-188-A1 - 日付200█/4/09
調査目的:SCP-188-JPの状況調査。
調査結果:島内の測量を行い、12箇所の塹壕跡、1箇所の地下陣地跡を発見。また、174点、80kgに及ぶ遺留品を回収した。この調査の最中、食料の一部と銃器及び弾薬が紛失。徹底的な捜索が行われたが発見できず。その他、部隊員の私物も幾つか紛失している事が判明。調査開始より10日後、観測機器を残して全部隊は撤収し第1次調査は終了した。
以下は今回の調査においてSCP-188-JP内で発見された手記の抜粋です。
4/08 哨戒が水平線に接近する船を発見せり。支隊長様は所属の確認を行い、もし敵なら水際にて撃滅せんと下命さる。
4/10 謎の船は友軍であった。しばしの歓待、新兵器、食料などを得る。祖国の地からの食べ物はなんと素晴らしいものか。
4/20 補給船は去る。必ずまた戻ると約束をした。久しぶりの祖国の空気に分隊長以下、皆落涙。明日よりまた穴掘だ。
調査記録-188-A3 - 日付200█/6/11
調査目的:島内に置いた観測機器の回収と島内地下陣地の探索。探索のため武装した調査部隊を派遣。
調査結果:観測機器の一部が紛失。またA1及びA2の調査時に遺留品を採取した地点に新たな遺留品を確認。各地の再確認を行った結果、塹壕跡地の場所がずれており跡地は10箇所となっていた。再び部隊の食料や武器の紛失事例が発生。さらに4日目の夜営の後、部隊員2名が消息を絶つ。地下陣地の探索は見送られ、1週間に渡る不明者の捜索中にさらに1名が行方不明。部隊は撤収。
以下は今回の調査においてSCP-188-JP内で発見された手記の抜粋です。
6/11 再び船。武装した者が数名。我が隊に偵察の命が下る。
6/16 敵兵と交戦あり。分隊長の命により敵キャンプの夜襲を敢行。敵の物資を強奪し、襲撃の成功するも反撃に遭い一時撤退。山中に潜伏する事とする。
6/23 山中にてゲリラ戦を行う、敵兵一名を捕虜。敵といえど同じ人間、処遇に胸が痛む。 今夜、分隊長により処刑がされる。
+ 探査記録-188-T1
- テキストを隠す
地下陣地探査記録-188-T1 - 日付200█/12/22
これは4度目の調査において行われた島内中央に位置する地下陣地跡地の探索記録です。探索にはケイビング経験のあるベテラン隊員6名が選出されました。
<記録開始>
HQ:[S12、調査行動を開始せよ。]
JPF-S12:[了解。映像、送れてますか?これより行動を開始する。]
HQ:[映像良好。思ったより良い状態だな、まるで最近掘ったみたいだ。]
JPF-S12:[だが埃がかなり積もっている…急に道が広くなった]
HQ:[細心の注意を払え。音声分析では異常は確認されていない、そのまま前進せよ。]
JPF-S12:[了解、いくつか部屋を抜けた… 妙だな、コンクリートの色が違っている… 明らかに作りなおしたような感じだ。]
JPF-S12:[木製の扉が見える。部屋があるようだ、これより内部に潜入する。]
HQ:[HQ了解。気を抜くなよ。]
JPF-S12:[HQへ、部屋に入った。白骨の死体がある以外はがらんどうだ… あー、……HQ、俺達より以前にここに誰かよこしたか?]
HQ:[どういう事だ?この調査はこれが初めてだ。]
JPF-S12:[遺体の脇に拳銃が置かれている、俺達のと同じ銃だ。]
HQ:[映像でも確認できた。なんとしてもそいつを持ち帰れ、照合する。他に遺留品があれば可能な限り持ち帰れ、その遺体の骨の一部もだ。]
JPF-S12:[了解した、回収次第帰投… 待て、一人足りないぞ!…S-4が消えた、HQ!緊急事態だ!]
HQ:[事象M2を宣言する。S12、部隊の指揮は継続できるな?即座に撤収せよ!S-4は…すぐに回収班を編成する、今は即座に撤収するんだ。]
JPF-S12:[ケリー…!畜生!撤収するぞっ、急げ!]
<記録終了>
その後に派遣された回収班は行方不明となったS-4を発見する事は出来ず、壕の爆破を行う試みも行われましたが発見には至らず。
以下は今回の調査においてJPF-S12が持ち帰った手記の抜粋です。
12/21 本部周囲に敵兵の影有り。支隊は突撃を断念し、壕を利用しての持久戦を行う事を決定。ここが我らの墓標か。
12/22 壕内で激しい銃撃。耳鳴が止まず。分隊長は捕虜の処刑を決断せり。動ける者の中から斬込隊を結成し、敵に当たれとの命の下る。今夜、私は死ぬだろう。
12/24 壕内で滑落あり。明日からまた穴掘。皇紀二六六█年1ももうすぐ暮れる。正月には豚が食べたい。
壕内で発見された拳銃は以前の調査で紛失したものと判明。白骨死体はおよそ鑑定により50年以上が経過している事が示されています。骨のDNA鑑定により、白骨死体は行方不明となったS-4のものと一致しました。以前に行方不明になった人物は全て日本人以外かハーフであった事がわかっています。これらの事象から、SCP-188-JPは日本人以外の人種を選別して危害を加えている物と思われますがその方法などは全く分かっておらず、それを防ぐ手立ても現在調査中です。
脚注
1. 皇紀二六六█年を西暦に直すと200█となります。
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scp-189-jp |
評価: +184+–x
財団の管理下におかれたSCP-189-JP。
アイテム番号: SCP-189-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-189-JPは移動させることができないため、建造した自治体から維持管理を引き継いでいます。中央放水口には財団が新たにゲートを設置し、監視カメラによって24時間監視します。2名以上の警備職員が放水口の周囲に常駐しなければなりません。SCP-189-JP-1Aは、低危険度の人型オブジェクト用の収容室に収容されます。現在財団では、1体のSCP-189-JP-1Aを収容しています。SCP-189-JP-1Aには、3日に1度、200gの石英を与えます。与える素材は、市販されているガラスでもかまいませんが、水晶を与えると対象の精神に安定をもたらします。
財団では現在、SCP-189-JPおよびSCP-189-JP-1Aから、その構成素材を持ち出した人間を追跡調査しています。
説明: SCP-189-JPは、███に存在する██ダム、およびその放水口です。
ダム中央の放流管内部にあるコンジットゲート1を通ると、SCP-189-JP-1と呼ばれる異常空間に出ます。当該のコンジットゲートは、SCP-189-JP-1Aが開いた場合にのみ、SCP-189-JP-1へと繋がります。ダムの機能を使用しゲートを開いた場合、通常通りダム湖と繋がり、放水が行われます。
SCP-189-JP-1は、22平方km程度の平らな空間です。天井までの高さはどの地点でも10m前後で一定しています。SCP-189-JP-1は、およそ当該のダム湖の湖底の形と一致しており、天井からはダム湖の水中が見えます。天井には、ガラスのような構造物は存在しないのにも関わらず、ダム湖の水は未知の力で支えられており、光(電波も含む)と熱の一部を除いて、物質の往来はできません。昼間はダム湖から日光が供給され、地上の3分の2程度の明るさが保たれます。原理は不明ですが、ダム湖の湖底に異常は見られず、ダム湖側からSCP-189-JP-1を視認することはできません。
後述する記録から、SCP-189-JP-1にはかつて町が存在しており、全ての構造物が二酸化ケイ素 (SiO₂) の結晶(以下水晶)で構成されていたと考えられます。現在は、その残骸らしき水晶の瓦礫が散見されるのみで、SCP-189-JP-1A-001の証言するような構造物があったかどうか確認することはできません。破壊が困難だったと考えられる機械の一部や、建造物の根元部分らしきものは発見されています。それら構造物の接合部は未知の加工方法が用いられていると見られ、構造物全体が水晶単体と同等の強度を保っているため、財団保有の機材を持ってしても破壊には時間を要します。
SCP-189-JP-1A群は、SCP-189-JP-1に存在していた町に住んでいたと考えられる、人型オブジェクトです。現在では、収容下にあるSCP-189-JP-1A-001が残るのみであり、当該オブジェクトについての記述は、SCP-189-JP-1A-001を基準とした情報になります。
SCP-189-JP-1A群は、体全体が水晶でできており、物理的損傷に対し非常に強靭です。人間と同等の知性を有しており、発声機構は不明ながら発話もできます。わずかながら、昆虫の外骨格に似た外見、関節構造が見られるものの、筋肉組織や循環系の体液などは認められず、生体維持に関する機構ほぼすべてが未解明です。各個体ごとに多少の大きさの違いがあったようで、平均的な身長は180cm前後だったと考えられます。食事は主に、SCP-189-JP-1の地下から採掘される水晶を含んだ鉱物で、必要な道具や建物も採掘した水晶で製造されていました。SCP-189-JP-1A群の町は、破壊直前までは107名の住人がおり、非常に文明的かつ、平和的な生活を送っていたものと思われます。
SCP-189-JP-1A-001は、SCP-189-JP-1にいた唯一の生存者です。
SCP-189-JP-1A-001の知能は比較的高く、また財団を含む人間に対して必要以上に友好的ですが、人間社会に対しいくつかの誤解が生じており、意思疎通には困難が伴っています。これはSCP-189-JP-1A群と最初に接触した人間による、意図的な刷り込みだと推測されます。
20██/06/20 ███の██ダムにおいて、減勢工2に大量の水晶が堆積していたため、自治体により、ダム本体およびダム湖周辺の地質調査が行われました。その過程において、SCP-189-JP-1が発見されたため、情報を察知した財団が収容に向かいました。自治体から当該物件の管理業務一切を引き継ぎ、関係者に記憶処置を行いました。自治体の調査、財団の初期収容時、どちらにおいてもコンジットゲートの前に人間が立つことで、SCP-189-JP-1A-001が、SCP-189-JP-1側からゲートを開き、内部へ侵入が可能となりました。
SCP-189-JP-1A-001は、当初SCP-189-JP-1からの退去に対し強い抵抗を示していましたが、研究員の説得により財団の収容に同意しました。収容施設への搬送前、SCP-189-JP-1A-001は会話をしていた研究員と警備職員2名を、殴打による一撃で死亡させています。衝撃力計測機器によれば、SCP-189-JP-1A-001の殴打は衝突の瞬間に最大2,268kgの圧力が発生しており、前述の職員は即死しました。
聴取記録A001-001からの抜粋: 20██/07/01 09:10:35
研究員T: あなたのお名前をもう一度お聞かせいただけますか?
SCP-189-JP-1A-001: SCP-189-JP-1A-001ですね?
研究員T: いえ、あなたの町で、あなたの仲間に呼ばれていた名前です。
SCP-189-JP-1A-001: 門番です。門番と呼ばれていました。門番は私しかいなかったので。正確には3代目門番ですね。
研究員T: なぜ研究員を殴ったのですか?
SCP-189-JP-1A-001: 外へ出ることになるので、信頼の挨拶をして、私も砕けようと思ったのですが。
研究員T: どういうことでしょう。
SCP-189-JP-1A-001: あなたたちの間では、親しいもの同士の証として、殴りあうと聞いております。
聴取記録A001-003からの抜粋: 20██/07/12 09:03:20
研究員T: 人間社会において、殴り合いは親しい間柄での挨拶ではありません。
SCP-189-JP-1A-001: では、親しくないうちに殴りあうのが礼儀でしょうか?
研究員T: いえ、人間を殴ってはいけません。
SCP-189-JP-1A-001: 私は人間ではありません。私は殴ってもらえないということでしょうか?
聴取記録A001-003からの抜粋: 20██/07/13 09:21:47
SCP-189-JP-1A-001: 私はいつ殴ってもらえるのでしょうか。
研究員T: 我々の管理下において、あなたに危害を加えることは決してありません。付け加えるなら、殴られることは喜ばしいことではありません。
SCP-189-JP-1A-001: そうですか。私たちは、殴られ、砕けることで、あなたたちのお役に立てると聞きました。早く砕けたいです。
[20██/07/13 09:23:51]
研究員T: あなたたちに、最初に接触した人間の話を聞かせてもらえますか。
SCP-189-JP-1A-001: とても良い人たちでした。私たちに、新しい喜びを教えて下さいました。今はもう去ってしまいました。
研究員T: 彼らが、あなたたちの町を破壊していったことに、疑問を感じませんか? 彼らに、悪意を感じませんでしたか?
SCP-189-JP-1A-001: 人間に悪いヒトたちなどいません。
補遺01: 収容直前までSCP-189-JP-1A-001がつけていたと考えられる日誌を回収しています。
+ SCP-189-JP-1A-001の日誌の抜粋を閲覧
- 日誌の抜粋の閲覧を終了
SCP-189-JP-1A-001の日誌からの抜粋: 最初の人間との接触があったと記述のある部分から抜粋。
(注記:日誌は未知の言語で筆記されています。字体や文法はチベット語によく似ており、98.8%が解読可能です。)
第3の木/22: 門を通って外からの来訪者あり。その数3。初代(町長?)が最初に接触してから実に287年(グレゴリオ暦とほぼ一致)ぶりのことである。外見は伝え聞いていた通りのものであった。使用している言語は著しい変化があったようで、我々とは会話ができないようだった。しかし、身振り手振りから、彼らが我々との会話を望んでいるのは明らかだった。彼らは、21番鉱員の家にしばらく泊まることになった。
第3の木/25: 彼らの食べ物は我々と違うようで、彼らは歓迎の食事を受け付けず、一度門から出ることになった。彼らの食べられるものが作れればいいのだが、初代(町長か?)から、門の外へ出ることは最大の禁忌とされていたため、調達も調査もできなかった。2代目(町長?)が学者たちに、町の中で調達か生成できないか、研究するように要請していた。
第1の鳥/01: 来訪者が戻ってくる。数は以前と同じようだ。首から下の外見が違っていた。彼らの性質か?今度はたくさんの食べ物を用意していたようで、再び21番鉱員の家に泊まることになった。彼らのために、新しい家を作るように、2代目から大工たちへ要請が行われた。
第1の鳥/08: 2番と3番の学者が、彼らの言語の解析を始めてから7日が経った。ごく簡単な挨拶や、感情表現を表せるようになった。「こんにちは」「ありがとう」(注:日本語ではない)
第1の鳥/12: 彼らも我々のことを研究しているようだった。外の世界は、我々とは大きく違うようだと、学者たちの間で議論が交わされていた。このような大議論は、14年前に空が閉じて以来だ。彼らの関心は、特に大工たちに向いていた。彼らの家の建造作業を、興味津々に見ていた。建造道具を借りて、彼らも建材の接合に挑戦しているようだった。最初はうまくいかないようだったが、簡単な作業はできているようだった。
第1の鳥/29: 彼らの家が完成する。彼らは喜んでいるようだった。彼らの言葉もだいぶわかるようになってきたと、3番学者が言っていた。5番教師から、私も彼らの言語を学び始めた。
第2の鳥/05: 彼らが、彼らの家から出てこなくなって3日が経つ。何かシツレイがあったのかと、2代目が直接訪問するも、扉は開かれず。
第2の鳥/07: 彼らが家から出てくる。どうやら、彼らからこれ以上の信頼を得るために、彼らの世界の作法を学ぶ必要があるようだと、3番学者が言っていた。その作法は、私たちの体の致命的な損壊を伴うものだった。信頼する相手から、思い切り殴られ、それを受け止めることで最高の信頼を示すのだそうだ。彼らは、彼ら同士でその作法を行い、信頼を表していたようだった。2代目が彼らに信頼の挨拶をしようとすると、断られたそうだ。まだ、彼らに信頼されていないようだ。彼らの作法を正しく理解すれば、いつか受け入れてくれるかもしれない。
第2の鳥/08: 大工たちが、信頼の挨拶を真似始めた。挨拶によって砕けた12番大工と7番大工を、彼らは拾い集め、外の世界へ持っていってくれると言っていた。外の世界で、すばらしい価値を持つのだと、彼らは言っていた。砕けた状態なら問題ないだろうと、2代目も渋々ながらそれを許したようだった。
第2の鳥/11: 大工たちが、信頼の挨拶ですべて砕けてしまった。これでもう、家を建てることはできないが、外の世界で役に立てるのだから、いいことなのだろう。
第2の鳥/15: 加工員たちが、信頼の挨拶ですべて砕けた。
第2の鳥/17: 医師と漁師たちが、すべて砕けた。彼らの数が、3から2に減っているようだった。彼らの研究もだいぶ進んでいるようで、我々のすばらしさを、とても詳しく教えてくれた。我々の体は、彼らの世界では水晶と呼ばれるものらしく、指につける道具や、水を入れる道具として、長い間、彼らの役にたてるようだ。
第2の鳥/20: 1番を除く学者と教師がすべて砕けた。学者たちは外の世界が見られると、うれしそうだった。
第2の鳥/22: 鉱員がすべて砕けた。残ったのは、1番学者と衛兵、2代目と私だけだった。町の存続のため、これ以上の挨拶は必要ないのではと議論になった。彼らは、この町以外にも町はたくさんあり、私たちはその中で選ばれた存在なのだと教えてくれた。
第1の牙/02: 2代目が砕けた。残るは私だけだが、彼らの信頼の挨拶では、私の体に傷ひとつつけられなかった。残念だ。
第1の牙/10: 必要がなくなったので、私の家を残し、町の家を解体した。彼らも解体を手伝ってくれた。瓦礫は、彼らが持っていってくれた。彼らは、外での研究があるので、しばらく来れないと言っていた。最後に挨拶をするつもりだったが、いつのまにかいなくなっていた。
以下は、おそらく自治体の地質調査以降に書かれたものです。
第1の牙/13: しばらく来れないと言っていたが、彼らが戻ってきた。今度の数は5。ずいぶん多い。新しく増えた個体に、町の案内をするつもりだったが、彼らは驚いたような顔をして、早々に帰ってしまった。全て別個体だったか?
第1の牙/15: 再び来訪者あり。外見がずいぶんと違う。その数10。彼らは『財団』と名乗った。彼らは私を殴ってくれるだろうか。
補遺02: 財団では現在、SCP-189-JP-1A-001の日誌に記された、破壊行為に関与したと見られる3名の人間について、徹底的な調査を行っていますが、具体的な成果は上がっていません。
脚注
1. 放流管ゲート。これを開くことで放流する。
2. 放流した水の流速を弱める構造物。
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scp-190-jp |
評価: +50+–x
20██/6/██の出現イベント後に発生した土砂をカートで移送している様子
アイテム番号: SCP-190-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-190-JPの周囲にはサイト-81██が設置され、SCP-190-JPは外観を電波塔に偽装した鉄筋コンクリートの塔内の縦16 m×横6 m×奥行8 mの収容室に収容されます。収容室の壁面及び内装は内部の音を遮断する構造とし、死角の無いように監視カメラが配置されます。土砂・その他のオブジェクトが落下によって損傷する事を防ぐために収容室中段にはネット、底面には緩衝材が設置されます。
塔に隣接する管理施設にはオブジェクトの出現に備えて研究員及び回収を担当するDクラス職員が常時配置されます。オブジェクトは発生後直ちに回収され研究員が分析を行い、異常性のない物品は1年の保存期間がすぎれば破棄し、SCP-190-JP-1以外の生体は疫学的検査を経てから各々を必要に応じた容器に隔離し、それまでに生存していれば三ヶ月後に終了して焼却処分されます。異常な性質を示す物品が出現した場合は回収の後、詳細に記録を行い、オブジェクトとしての分類を受けた後に適切に収容される必要があります。SCP-190-JP-1が出現した際はセキュリティ要員により拘束し、直ちに各検査を行って異常性の有無を確認する事になっています。その後、可能であれば尋問を行なってから、標準人型収容房に収容します。
説明: SCP-190-JPは三重県███市内の山中に存在する音のみの存在であり、滝が流れ落ちるような水音として知覚されます。音の大きさは最大でも90 dB程度で、周辺地域の雨量の多寡によりこの数値は微妙に前後します。水音に異常な特性は今のところ確認されていません。この音の始点は地表から12 m上の空中で、終点は地表の1.6 m下の地中でした。終点については主塔の建設時に掘り下げられ、収容室内に露出させています。
またSCP-190-JPの始点を中心とした直径3 mの範囲には不定期に最大500 kg程度の土砂や、生体を含む複数の物品が出現する場合があります。この出現イベントは2~3年間隔で発生しますが、先述の水音とは直接の相関性はなく、出現イベント中も水音は止まりませんし、音量を変えずに継続します。出現イベントを出現地点に物を置くことで妨害しようとすると、それがどのような素材であれ、物品の出現範囲を塞ぐように置いた構造物の部材が全て1 cm角程のチップに分解されて妨害に失敗します。一度、始点から終点までの間を今のような中空ではないコンクリートの塔で覆い、イベントを妨害しようという試みがありましたが、イベント時に塔全体が分解して失敗に終わりました。現状ではイベントの妨害は不可能であると考えられています。出現する土砂の全ては、それに含まれる植物の痕跡の調査によって、北アメリカ、グレートプレーンズ北部の湿地帯の表土由来であることが確認されています。
イベント時には人間も出現する場合があり、これらはSCP-190-JP-1として指定されています。SCP-190-JP-1は性別・人種・文化・年齢に統一性のない人間(Homo sapiens)であり、SCP-190-JPが収容下に入ってから4例が確認されています。SCP-190-JP-1-cの証言の分析から、これら4例は過去に起きた何らかの生贄を伴う儀式の犠牲者が未知の手段によりテレポートされてきたものではないかという仮説が財団の民俗学者によって提示されています。SCP-190-JP-1達の証言を検証した結果、少なくともSCP-190-JP-1-cは犠牲者本人ではなく、他のSCP-190-JP-1も本人ではない可能性が高いことが判明しました。詳しくは補遺2を参照してください。
SCP-190-JPは山むかいの集落である██████の住人達によって、雨・水に関連する民間信仰の聖地あるいは祭祀場として維持・管理されており、SCP-190-JP-1を古くからコミュニティに迎え入れていた事が元住民からの聞き取りで明らかになっています。しかし██████がダム建設のために水没し住民が散り散りになったことで19██年頃には管理されなくなっていたようです。そしてSCP-190-JPが放置された結果として、物品・土砂が堆積し小山となり(その下には██体のSCP-190-JP-1と見られる墜死体が埋もれていました)それを民間人が目撃し、不法投棄として通報したのを財団が傍受しました。その後の財団による調査で特異性が認められたことから、SCP-190-JPは財団の収容下に入りました。
所在の確認された██████の元住人、通報を行なった民間人にはAクラス記憶処理が施されましたが、未収容のSCP-190-JP-1やその混血、処理に漏れた██████の元住人が相当数存在するものと思われるため、これらに対する適切な処置が進められています。
以下は出現イベント後に発見された物品の中でも顕著な異常性を示したものの目録です。
+ 出現物品目録
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出現日時
物品の外観
特殊な性質
オブジェクト分類
19██/8/██
目の荒い麻袋に入った稲種
育てると米の原種の八倍もの収穫効率を得られ、現代の改良後の品種に匹敵する栄養価がある。
Anomalousアイテムに指定。収容外に出た場合の、他のイネ科植物に対する遺伝子汚染の懸念から3粒のサンプル以外は焼却処分
19██/9/██
メノウに似た外見で直径30 cmの赤い球体
傷つけることができない。水に入れると、徐々に人間にとって有害な物質を除去する。三日で600 tの水を浄化できると推定される。
SCP-███-JPに指定。
19██/6/██
3 kgほどの白いスポンジ状の柔らかい塊
分析の結果、カイメンの仲間の新種の死骸だった。甘い香りがし、食べたいという弱い欲求を催させる。試験的にDクラスに摂食させると消化器を中心に内臓機能が改善された。
Anomalousアイテムに指定。残り300 g程
20██/6/██
黒っぽい花崗岩製の石棒
手に持つと極度の性的興奮を覚え、[削除済]
SCP-███-JPに指定。
以下は、SCP-190-JP-1のリストです。
+ SCP-190-JP-1のリスト
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出現例
出現日時
出現イベント時の状況
SCP-190-JP-1-a
19██/6/██
財団収容下での最初のSCP-190-JP-1出現例。二十代後半と見られるコーカソイド女性。簡素な衣類を身につけており全身が濡れていた。M██████ H██████を自称している。初期新高ドイツ語話者で、知識は元の居住地であると主張するドイツのケルン市のものに限定される。
SCP-190-JP-1-b
19██/7/██
年少のモンゴロイド女性。出現時、白い貫頭衣と翡翠・貝からなる首飾りを身につけていた。不明な言語を話すが、現代のケクチマヤ語と近縁の言語と推定される。
SCP-190-JP-1-c
20██/9/██
壮年のマレー人男性。現代的服装をしている。所持品は無し。出現直後に英語で自分はマレーシア人のH███ G███であると自称した。出現イベントを「財団による拉致」であると認識している。
SCP-190-JP-1-d
20██/10/██
青年のコーカソイド男性。出現時は極度の興奮状態で、全裸であった。当初は職員からの英語での問いかけにわずかに反応したが、三十分程で極度の緊張状態に陥り会話が不能となった。
補遺1:以下は各対象のインタビューログです。英語による意思疎通が可能な場合は、高宮上級研究員が単独でインタビューを行っています。SCP-190-JP-1-aについては同時通訳者を使い、SCP-190-JP-1-bとは日本語でインタビューを行いました。可読性のため、内容は全て日本語で記載しています。
+ SCP-190-JP-1-a インタビューログ
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対象: SCP-190-JP-1-a
インタビュアー: 高宮上級研究員
付記: 本インタビューは対象の背景の調査が目的。これは収容後三ヶ月経過後に実施した。対象は職員に対しておおむね協力的である。
<録音開始,(19██/9/██)>
高宮上級研究員:ごきげんよう、SCP-190-JP-1-a。その後はいかがですか?
SCP-190-JP-1-a:なんというか、今までと比べたらお姫様みたいな境遇だから満足はしてるけど。
高宮上級研究員:それは結構ですね。では、あなたが役人に捕縛されてからの話をもう一度聞きたいのですが。
SCP-190-JP-1-a:ああ、またその話?[罵倒]のエーファのせいでケルン司教庁の[罵倒]どもが来やがったのよ。私が黒魔術を使ってるってね。
高宮上級研究員:はあ、黒魔術ですか。
SCP-190-JP-1-a:見当違い、というかエーファが私をハメたのよ。あれの旦那と話してるのを見られて……。
SCP-190-JP-1-a:私がやってるのはただの占いよ!嵐や火事を起こせるなんて、なんでそんな恐ろしいことを……。
高宮上級研究員:すみません、本筋に戻っていただきたいんですが。
SCP-190-JP-1-a:あらごめんなさい。思い出したら興奮しちゃって。でも、わたしは魔女じゃない。本当よ。
高宮上級研究員:まあ、本物の魔女なら……いや、やめておきましょう。では続けてください。
SCP-190-JP-1-a:うん……私の母も私が小さな頃に魔女として捕まって、役人の責めでありもしないことを白状してさ。
SCP-190-JP-1-a:同じことが私にも起こったのよ。アソコの毛まで剃られて、指を万力で絞められて……。
高宮上級研究員:……。
SCP-190-JP-1-a:挙句の果てに川で水責めさ。魔女でなければ沈み続け、魔女なら浮かんでくる。どちらにしろ、死ぬには変わりないのよ。溺れるか、火で焼かれてね。
SCP-190-JP-1-a:私は、溺れる方だったわ。
高宮上級研究員:では、あなたはなぜ生きているのでしょうね?
SCP-190-JP-1-a:……よく分からないけど、私が溺れててもう死ぬってなった時に、来たのよ。黒い……ナニが。
高宮上級研究員:ナニ、とは?
SCP-190-JP-1-a:どうしても、言わなきゃ駄目なの?
高宮上級研究員:お願いします。
SCP-190-JP-1-a:はあ……[新高ドイツ語での男性器の俗語]よ。
高宮上級研究員:え、[男性器の俗語]が来た?翻訳は間違ってませんか?いや、それはどういう……。
SCP-190-JP-1-a:ホントよ!真っ黒で、子供の腕みたいに太くて、それが私の腕に巻きついて引っ張ったの。それから目の前が真っ暗になって。
高宮上級研究員:ええと、それからは?
SCP-190-JP-1-a:気がついたら暗くて濡れた小部屋みたいなところにいたのよ。それからまた手を掴まれて急に空を飛んでるような感じになって、ここに。
高宮上級研究員:小部屋について詳しくお願いします。
SCP-190-JP-1-a:あまり覚えてないんだけど……石壁で、ヌルヌルして、ぎりぎり座れるかどうかの広さだった。このぐらいしか……。
高宮上級研究員:……ありがとうございます。では今日のインタビューは終了します。
<録音終了>
+ SCP-190-JP-1-b インタビューログ
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対象: SCP-190-JP-1-b
インタビュアー: 高宮上級研究員
付記: インタビューは装飾品の分析による「SCP-190-JP-1-bの起源はマヤ文明古典期後期である」という、██████博士の仮説を検証することが目的で実施されました。この記録はSCP-190-JP-1-bが高宮上級研究員から一年三ヶ月の日本語教育を受けた後、収容房内で行われました。
<録音開始,(19██/9/██)>
高宮上級研究員:こんにちは、SCP-190-JP-1-b。これから前に話した神様についてお話したいんだけど。
SCP-190-JP-1-b:はい、ちょと説明するの難しいですけど。
高宮上級研究員:うん?ああ、気にしなくても大丈夫ですよ。あとで検証、ええと、勉強して分かるようにするから。
SCP-190-JP-1-b:分かりました。えと、わたし、白くてつるつるの石の町に住んでいました。
SCP-190-JP-1-b:それで、雨が足りないと王様が神様に雨を降らせてくださいとお願いします。人とか、トラさん1を石のお山の上で殺します。
高宮上級研究員:それは前のインタビューでも教えてくれましたね。それで、今日はあなたがお山の上に行った時の話を聞きたいんだけど……。
SCP-190-JP-1-b:[ここでSCP-190-JP-1-bの声が上ずり始める]うう、はい。
高宮上級研究員:落ち着いて頂戴……ほら、私の目を見て、目をそらしちゃ駄目。それで、ゆっくり息をして。そう……。
[ここで、対象を落ち着かせるために五分間の小休止がとられる]
高宮上級研究員:もう大丈夫かしら?もし駄目なら、また明日でも大丈夫よ?
SCP-190-JP-1-b:……だいじょぶです。
高宮上級研究員:……では、お願いします。ゆっくりで結構ですからね。
SCP-190-JP-1-b:……みんなの家の下の飲む水が無くなりそうになって、イライラしてました。
SCP-190-JP-1-b:だから王様がトラさんを殺したりそれで……。えっと王様の[削除済]をちょと切って血をあげたんだけど、それでも雨が降らなかったです。
高宮上級研究員:それであなたがお山の上に行ったんですね?
SCP-190-JP-1-b:はい、つかまえた敵の王様の[削除済]とわたしの[削除済]を神様にあげれば、雨を降らせてくれるってお父さんが言いました。
高宮上級研究員:……続けてください
SCP-190-JP-1-b:それでお父さんとお酒を飲んだ後、階段を登ってお山の一番上に行って、石の上に寝ました。
SCP-190-JP-1-b:それで王様が来て、となりに寝てた敵の王様の[削除済]をえっと、変な形の包丁で切って殺しました。すぐに王様が私も殺そうとしました。
高宮上級研究員:それで、何があったんですか?
SCP-190-JP-1-b:はい、わたしも刺されて、痛くて血が出て、死んじゃった?でもそう思ったら、誰かに手をすごく強く引っ張られてせまくて暗い所に入れられました。
SCP-190-JP-1-b:その後、神様が来て体を投げられました。わたしは森の上、海の上を飛んでこっちに来ました。
高宮上級研究員:あなたは刺されたの?でもあなたに傷はなかったじゃない。それに、どうして神様があなたを引っ張ったと思ったの?
SCP-190-JP-1-b:傷、うー、分からない、です。でも、神様は見たから分かりました。
高宮上級研究員:神様はどんな姿をしているのですか?
SCP-190-JP-1-b:ヘビさんです、少ししか見てないけど黒い大きなヘビさんの神様がしっぽでつかんで投げた、と思います。
高宮上級研究員:……分かりました。今日のインタビューは以上です。
<録音終了>
ううむ、降雨量の減少と放血儀礼、神殿ピラミッドでの生贄を用いた祭祀というのを考え合わせると古典期後期というより特徴的には終末期が近いように思える……。ともなると儀式の記録が何処かにあるやもしれん。中米にあるマヤ関係の専門家のいるサイトに問い合わせてみるか。──███博士
+ SCP-190-JP-1-c インタビューログ
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対象: SCP-190-JP-1-c
インタビュアー: 高宮上級研究員
付記: このインタビューは収容の一ヶ月後に実施されました。これは対象の背景の調査が目的でした。対象は非協力的態度ですが、財団職員や施設の規模を見て萎縮しており、要請には大抵応じます。
<録音開始,(20██/10/██)>
SCP-190-JP-1-c:今日は一体何の用だ?また、血を取るのか?おかげであれから貧血気味で……。
高宮上級研究員:ご心配なく、あなたは今健康そのものですよ。ではお話を伺いましょうか。
SCP-190-JP-1-c:いけ好かねえなぁ……何の話だよ?
高宮上級研究員:あなたがここに来る直前の話ですね。
SCP-190-JP-1-c:ああ、俺があの[罵倒]みてえなヒッピー野郎にとっ捕まった時の話か。あれは10月末で仕事も忙しかった時で、帰りがえらく遅くなったんだ。
SCP-190-JP-1-c:で、夜道を歩いてたら、頭をごっつい何かでぶん殴られて車に押し込まれたんだよ。おまけに財布やら携帯やら全部盗られちまった。
高宮上級研究員:目的は金銭でしょうか?
SCP-190-JP-1-c:いや違うね。あいつらはイカれてるのさ。
高宮上級研究員:イカれている、とは?
SCP-190-JP-1-c:あいつらは、多分タミル人どもだった。妙ちきりんな覆面をしてたから良くは見えなかったが……。あいつらの訛りでなんとなくわかった。
SCP-190-JP-1-c:車にいる間中、俺に供犠になれだの、喜べだの、ぐちゃぐちゃとほざきやがったんだよ。体中からハッパの匂いをプンプンさせてな。
高宮上級研究員:その後は?
SCP-190-JP-1-c:どうしたもこうしたも、何時間も車で走って誰も居ないような沼地に連れて来られたんだよ。
SCP-190-JP-1-c:それから沼に向かって跪かされて、首を……。いや……。
高宮上級研究員:どうしたんです?
SCP-190-JP-1-c:そんなわきゃあないんだが、首元をばっさりナイフで切られたと思うんだ。血でシャツがびしゃびしゃになって……。
高宮上級研究員:……。
SCP-190-JP-1-c:だが現に俺はこうしてピンピンしてるし、幻覚を見てたんだろうな。いつの間にか変な薬でも打たれてたのかもしれん。その後気が遠くなった。
高宮上級研究員:薬……そうかもしれませんね。それで何か、その後に見ましたか?
SCP-190-JP-1-c:気が遠くなったって言っただろう?……で、気を失ってる間にお前らにここに連れて来られた。以上だな。
高宮上級研究員:それは事実と異なりますね。それはともかく、本当に何も見ていないのですか?
SCP-190-JP-1-c:いやまあ、 夢みたいなものなら見たが。
高宮上級研究員:それを詳しく教えてください。
SCP-190-JP-1-c:……俺がなんか暗いところにいて、ぼーっと突っ立ってるんだよ。そしたら、ぼんやり光る何かが近づいてくるんだ。
SCP-190-JP-1-c:なんだと思って見てたら、つやつやした黒い石の柱が浮いてるみたいな動きでこっちに来たんだよ。で、俺もそれに近づいて……。
[SCP-190-JP-1-cは三十秒間沈黙]
高宮上級研究員:……どうしましたか?
SCP-190-JP-1-c:いやこれ、夢の話だぞ?そんなに聞きたいのか?
高宮上級研究員:ええ、是非に。
SCP-190-JP-1-c:……柱の真ん中あたりがばっくり割れて、濡れた紐みたいなものが飛び出してきたんだ、と思う。それで俺に紐が巻き付いて、すごい勢いで柱の中に引っ張り込まれた。それ以上は覚えてない。
高宮上級研究員:……今日はここまでにしましょう。
<録音終了>
補遺2:20██/10/██にSCP-190-JP-1-dの収容房の照明に使われていた蛍光灯が不明な原因で故障し、興奮したSCP-190-JP-1-dが房内で暴れたためセキュリティ要員がこれを制圧し、木村次席研究員がSCP-190-JP-1-dに鎮静剤を投与しました。そして、ただちに収容房の蛍光灯が交換されることになりましたが、そもそも蛍光灯は故障していませんでした。
しかし、当時の監視映像には、確かに蛍光灯が破裂する様子が記録されていました。SCP-190-JP-1-dはそれまで統合失調症の緊張病型のような症状を呈しており、高い位置にあるケース内の蛍光灯を割ることも、ましてや交換することなど到底出来ない状態であり、そのような行動も監視映像には残されていません。
直ちにSCP-190-JP-1-dは保安型の収容室へ移され、この現象の原因を突き止めるために精密検査が行われました。その過程で、SCP-190-JP-1-dの遺伝子パターンは[削除済]のパターンとよく似たものとなっている事が判明しました。しかし、これは収容当初のSCP-190-JP-1-dの遺伝子検査の結果とまったく矛盾するものです。今のところ、他のSCP-190-JP-1にはSCP-190-JP-1-dの示した変化は確認されていません。
以下は、この検査結果を受けて██████博士のチームがサイト管理者に提出した報告書の写しです。
現在、報告書内で██████博士の示した見解が財団内でのSCP-190-JPの収容指針に大きく影響を与えているため、財団職員一般にこの報告書が公開されています。
+ SCP-190-JP-1報告書
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SCP-190-JP-1報告書
サイト-81██管理者宛
報告者:██████博士
各SCP-190-JP-1の証言の裏付けを取るために検証作業が行われてきましたが、結果から申し上げますと、唯一存在を確認できたSCP-190-JP-1-cの自称するH███ G███氏は、マレーシアの宗教団体██████によって20██/10/██に殺害されていました。この事件の後、団体の指導者の自白によって殺害現場の沼がすぐに調べられ、頚部を刃物で傷つけられたH███ G███の遺体が発見されました。また、この遺体とH███ G███氏の自宅に残っていた毛髪のDNAが一致しており、間違いなくこの遺体が本人のものであることが確認されています。そして、SCP-190-JP-1-cとマレーシアの司法当局から回収したこれらのDNAは全く一致しませんでした。ですが、H███ G███氏の外見的特徴はSCP-190-JP-1-cと酷似しています。こうしたことを勘案するに我々の「SCP-190-JPは儀式殺人の犠牲者をSCP-190-JPのところまでテレポートさせる」という仮説は全くの見当違いであった恐れがあります。
では、SCP-190-JPは様々なオブジェクトや人間を何の目的で出現させているのでしょうか?そして、どうやってそれを行なっているのか。SCP-190-JP-1達の証言を信用するなら、例の「黒いなにか」が深く関わっているのは間違いありませんが、SCP-190-JP-1の起源がなんなのか、本当に「人間」なのかさえ不明となった今、SCP-190-JP-1の証言に頼らない検証方法が模索されなくてはならないでしょう。彼らが嘘を言っていないのは自白剤や██████を使った尋問でほぼ確定しています。ですが「黒い何か」についての証言を含め、それが我々もよく利用する植え付けられた記憶だったとしたら?
そして問題は、SCP-190-JPが収容外にあった期間に発生した未収容のSCP-190-JP-1と、██████の元住人との混血達です。これは概算で████人以上は存在すると見られ、その子孫たちによって今なおその数は増加し続けています。彼らにSCP-190-JP-1-dのような異常は見られませんが、検査結果を考慮するとSCP-190-JPがなんらかの害意をもってSCP-190-JP-1を人間社会に放っている危険性も考えなければなりません。もしかすると、エサとして有用な物品をばらまき、SCP-190-JP-1と周辺住民との交配を促していたのではとさえ思えます。
私はこれを現在進行形の収容違反であると改めて強調します。これ以上のSCP-190-JP-1の拡散は阻止されなければなりません。現在収容外にある全ての対象の不妊化処置を含めた断固とした処置が必要であると、上記の通り報告致します。
君の指摘している通り、SCP-190-JP-1およびその遺伝的影響を受けている日本人は相当数存在していて、対処が必要なのは確かなことだ。しかし、それらに対する大規模な「断種」がその最適な対処であると拙速に判断すべきではない。
所在が確認されているSCP-190-JP-1については不妊処置も検討するべきだと考えるが、しかし、それ以外についてはこれからのSCP-190-JPの様態をより詳細に観察して、今後の対応を決定するべきだろう。ついては、本件は財団日本支部理事会に付託し、彼らの決定を待つこととする──サイト-81██管理者█████
Footnotes
1. 実際はジャガーであると推定されています
|
scp-191-jp |
評価: +113+–x
アイテム番号: SCP-191-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-191-JPの正確な情報を記した文書は財団内部の完全に光を遮ったコンクリート製の防音収容室にて保存されます。実験目的でSCP-191-JPの使用を申請する職員は必ずDクラスを最初にSCP-191-JPに暴露させ、実験後は速やかに解雇、終了してください。いかなる人物であれSCP-191-JPについての情報を知覚した人間はクラスA記憶処理の対象となります。
説明: SCP-191-JPは、「██寺のちんちろ和尚」と言う人物に対して、各人が自然に持つ共通認識、または集団テレパシーです。その人種、文化圏、生活環境に関わらず、あらゆる人物からの「██寺のちんちろ和尚」について得られる情報は常に日本語に翻訳された状態で本質的に同一の内容であり、これらの性質から、SCP-191-JPは何らかの手段で人間の脳内に生息する情報生命体であると推測されています。
SCP-191-JPの影響はその単語を完全に認識することで発生し、SCP-191-JPキャリアとなっても「██寺のちんちろ和尚」についての内容以外に肉体的・精神的な異常は発生しません。
収容当時、SCP-191-JPの情報は「地元の昔話」として長期間に渡って██県██村内部にて伝えられていました。1995年、「昔話」としてのそれが本来持つべきミーム的性質を一切保持しておらず、村の全員が複数の物語(中には口頭で全てを伝え切るのに数時間を要するものも存在した)をほとんど違わず口伝できるという事実が財団職員によって調査され、SCP-191-JPの大規模な収容と記憶処理が行われました。
SCP-191-JPキャリアの伝える「██寺のちんちろ和尚」の概要は以下の通りで共通しています。これらの一致について、SCP-191-JPキャリア達は「何となく」「名前からしてそんな感じがするから」と証言し、特にそれを異常だと認識することはありません。
・身の丈六尺三寸、厳めしい風貌の初老の坊主である
・慈愛の心に満ち、知己に富む
・法力、鬼道に優れ、四十を数える頃に大日如来の功徳で不死となった
・ほら話が大好きで、子供たちに人気があった
SCP-191-JPに関わる物語の“創作”を行うことで、SCP-191-JP本体とある程度のコミュニケーションが可能です。現在まで█例の実験が行われていますが、現在は実験は無期限に停止されています。
補遺: SCP-191-JP実験記録
実験記録001 - 日付1996/08/15
対象: SCP-191-JPに暴露させたDクラス職員一名。
目的: SCP-191-JPの性質の確認。
カウンセラー・██: ……では、いまその紙に書いてあった、その「ちんちろ和尚」について話してください。
Dクラス: んぁ、さっき名前を知ったキャラクターの詳細なんて分かるわけねぇだろうが。
カウンセラー・██: 大丈夫です。その名前から、あなたが「こんなキャラクターだ」と思う彼の人物像を話してみてください。
Dクラス: ……何と無く、身長はデカそうだな、1,9メートルありそうだ。「和尚」ってくらいだし仏教徒だな、うーん、██山ってくらいだから██宗じゃないか?██宗ってことは██寺かもな!
カウンセラー・██: ……なぜそう思うのですか?
Dクラス: ……あれ、何でだろう。
分析:少なくとも彼は██山に██教の総本山があることは知らなかったはずだ。そもそもそんな山は現在日本に存在しない。_東郷博士
実験記録002 - 日付1996/08/15
対象: SCP-191-JPに暴露させたDクラス職員一名。
目的: SCP-191-JPとのコミュニケーション。
カウンセラー・██: ……お疲れ様です。それでは、「和尚」について、その登場する物語を作ってみましょう。
Dクラス: ……なあ、何なんだこれ?「新しいカウンセリング」っ言われたけどあっちの白衣の人何をやってるんだ?
カウンセラー・██: いいから、お願いします。
Dクラス: ……む、むかーしむかし、あるところに……ちんちろ和尚と言う、その丈六尺三寸、気は優しくて力持ち、慈愛に溢れて信心深く、村の皆から尊敬されている和尚さんがおりました……和尚さんは、
カウンセラー・██: ストップ。「村人は和尚さんに聞きました、『あなたはいつからここにいらっしゃるんですか?』」という一文を入れてください。…あっ。
Dクラス: ?……村人は和尚さんに尋ねました。「あなたはいつからここにいらっしゃるんですか?」和尚さんは答えました。「私はずっとずっと昔から、あなたの、そしてみんなの心の中におるんだよ、██さん(カウンセラー・██の本名)。」と言いました。
カウンセラー・██: (卒倒)
終了報告書: ある人物についてよく知っているならば、その人物がどの場面でどう答えるか、予測できるのかもしれない。ただこれはそういった類のものではない。Dクラスは少なくとも彼女の名前を知らなかったし、さらに実験中、彼女はDクラスに指定の内容を物語に盛り込むように指定した際、答えを聞く前から、Dクラスがどう返答するか、それをはっきり思い描くことが出来たという。
……私も同様に。__東郷博士
実験記録003 - 日付1996/08/15
対象: SCP-191-JPに暴露させたDクラス職員一名。
目的: SCP-191-JPの想像世界への干渉。
東郷博士: ……では続けよう。ここからは私と君で対話を行う。出来るだけ、私の質問には深く考えず直感的な答えを示してくれ。
Dクラス:なぁ、これは本当に何なんだ!?あいつは一体なんでブッ倒れたんだ?それに……
東郷博士: ……ちんちろ和尚は毎日毎日、仏様にお祈りをしながら仏の道にはげんでおりました……ある日のことです。……そうだな、恐ろしい、とても恐ろしい怪物、SCP-██-JPが、ちんちろ和尚の住む村に現れました。…どうなると思うね?
Dクラス: え、SCP-██-JP?は……寺の屋根を壊し、村の人間を████にしてしまいました。村は……ミーム的、認識災害に暴露した村人達で溢れかえり、和尚さんはたいそう悲しみました。……なぁ、なぁ、なぁ!なんなんだよこれ!なんで俺の知らない単語がさっきから頭に浮かんでくるんだよ!
東郷博士: ……和尚さんは寺に籠り、大日如来様にひたすらお願いをしました。すると……
Dクラス:大日如来様が和尚さんの元に現れて言いました、「和尚よ、怒りに駆られてはならぬ、人は道を間違えるものなのだ、お前がそういった人々を導いてやるのだ」と。
東郷博士: そうして気がつくと、寺にも村にも何もおかしなところはなくなっており、和尚さんはほっと胸をなでおろしました。そうしてぽつりと言いました。「ありがたいことだ。もしもサイト-81██にもう少し仏門の徒がおったならば、こんな恐ろしいことにもならんかったのかもしれんがのぅ……」
Dクラス:そうして和尚さんは、いつまでも変わらない平和な村の様子を、いつまでもいつまでもニコニコと眺めておりましたとさ。
分析: 物語の中とはいえ、向こうは確実にこちらを知覚している。有る程度自由に改変もできるようだ。__東郷博士
SCP保護の観点から、現在実験は基本的に禁じられています。
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scp-192-jp |
評価: +275+–x
SCP-192-JP内、八重洲北口付近。照明等は点灯しているが、完全に静まり返っている。
アイテム番号: SCP-192-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-192-JPは鉄道会社の協力の下、出入り口にあたる駅構内の一部を工事中の名目で常に閉鎖してください。また、必ず監視員を一人以上置き、鉄道関係者、及び一般人の侵入を防いでください。万一侵入した者があった場合、内部で何かに接触したかどうかを聞き出した後、Aクラス記憶処理を施し解放してください。また、定期的に内部を巡回し、未確認のSCP-192-JP-1が出現した場合はすぐに報告を行ってください。
説明: SCP-192-JPは東京駅構内、本来██室である扉の向こうに存在する、もうひとつの東京駅です。その内部構造、及び配置された全ては現時点での東京駅と寸分違わず一致しており、現実世界の東京駅の拡張・工事などの変化は、SCP-192-JPにそのまま同期されます。これらの変化は、不可視、接触不可能な何らかの存在によって実行されていると推測されており、破壊や妨害などの停止の試みは全て失敗しています。
SCP-192-JPの景観は一見現実世界と変わりませんが、壁面や床、天井や設置物の破壊等には成功していません。加えて一切の人間や配置物が存在しませんが、様々な形状、形態を持った存在、SCP-192-JP-1が各所に突如出現します。また、SCP-192-JP、及びSCP-192-JP-1はどのような手段であれ観察している間は決して動かず、変化しません。このため、ある程度の間を置いた観察が推奨されています。
現実世界の東京駅にて何らかの変化が発生した場合、それらはリアルタイムでSCP-192-JPに反映されますが、これらに対しどのような手段、機材を用いても更新の瞬間を認識することは出来ず、観察したタイミングのSCP-192-JP、及びSCP-192-JP-1の状態しか確認出来ません。なお、出現したSCP-192-JP-1群のみ破壊や移動を行うことが可能で、破壊後に限り観察とその時点での変化が一致します。しかし、この破壊により現実世界において様々な事象が発生することが確認されているため、いかなる個体に対しても何らかの接触をすることは推奨されていません。
SCP-192-JPの構造上観察出来る外部から予想するに、現実世界と同様に東京の街が広がっていると推測されています。しかし、通常の出入り口、換気口から上下水道に至るまで、存在し得る外部へと通じる通用口の全てはSCP-192-JP-1群によって塞がれています。これらに対してはどのような破壊手段も功を奏しておらず、SCP-192-JP外部へ到達する試みの全ては失敗しています。
SCP-192-JP内部は観察している間決して変化を起こしませんが、実際は現実世界の何らかに影響を及ぼしていることが確認されたため、どのような関連性を持つかの調査が行われました。SCP-192-JP-1の確認されている詳細な個体記録は以下を参照してください。
+ 確認済のSCP-192-JP-1個体
- 確認済の個体記録を閉じる
これまでに確認されたSCP-192-JP-1
対象: SCP-192-JP-1-a
確認日時: 20██/██/██
概要: 上半身が肥大化し血走った肉塊のようになった個体。おおよそ2m前後の体長を持ち、無理に引き延ばされたかのようにその表面は血が滲み細かな裂け目が生じている。Dクラス職員が触れたところ、「見た目のイメージより異様に表面が冷たく、触れるとそこから崩れる」と証言している。間を置いた記録により、脈動、及び微細な膨張をしていることが判明した。初侵入時から常にSCP-192-JP出入口近傍に直立しており、足のみが健康的な成人男性のものを有している。後記するa群は、表面に大量の、苦悶を浮かべた頭部らしき小さな瘤が発生していることが観察された。
対象: SCP-192-JP-1-b
確認日時: 20██/██/██
概要: ホーム端に膝を付いた女性のマネキン。眼球のみ人間のものが据え付けられており、通常の人間の可動範囲を超えて上転している。確認から3日後、現実世界の東京駅同ホームにて飛び込み自殺が発生。飛び込んだ成人女性は首と胴部が破断し即死、SCP-192-JP側でもマネキンの破片が女性と同様の形で線路上に飛散していることが確認された。その一時間後、マネキンは跡形もなく消失した。
対象: SCP-192-JP-1-c
確認日時: 20██/██/██
概要: 男子トイレと女子トイレの間で仁王立ちする全身が腐敗した成人男性。顔面に腐敗の兆候はなく、口を真横に引き結んで何かに耐えるような顔立ちをしている。こちらからの呼びかけに応じる様子は無かったが、この一か月後腐敗により崩れる。同日中に、東京駅の同トイレにて[編集済]が発生し、大規模な改修工事が行われた後にSCP-192-JP-cは消失した。
対象: SCP-192-JP-1-d
確認日時: 20██/██/██
概要: ██線、線路上に配置されたアヒルのゴム人形。現実世界において同線路上を確認すると、レールに置かれた大きな石が発見された。発見当初深夜だったため直接的な被害は発生しておらず、SCP-192-JP-1-dを除去しようとしたところ接触と同時に消失、同タイミングで石も消失した。
対象: SCP-192-JP-1-f
確認日時: 20██/██/██
概要: 東京駅東口周辺に凝り固まったマネキンのような塊。これらの全てに頭部が存在しておらず、表面がケロイド状に変容している。通行を完全に阻止しており、東口側の通用口及び外部に通じる排気、上下水道等に乱雑かつ執拗に詰め込んであるため、小型の無人機器でも間を通り抜けることは出来なかった。これらを除去する試みは全て失敗している。
対象: SCP-192-JP-1-g
確認日時: 20██/██/██
概要: 薄い紅色の水晶で出来た巨大な柱。調査に向かったDクラス職員が接触した瞬間に崩壊。Dクラス職員に怪我はなかったが、構内全域に痛烈な悲鳴が響き渡った。発生源は不明。直後、現実世界の東京駅において大規模な崩落事故が発生。██名の一般市民が巻き込まれ死亡した。これ以降、SCP-192-JP-1への不用意な接触は禁止されている。
対象: SCP-192-JP-1-h群
確認日時: 20██/██/██
概要: SCP-192-JP-gの破壊後、構内全域に多数出現。その特徴、形態は多様に加え、記録を取り直す度に消失や移動を繰り返すため詳細な記録は取れていないが、人体が中央から裂けて断面が大きく開いた口のように溶解した個体が多く観察されている。触れた際の体感はaに近く、冷え切っており容易に崩れる。接触したDクラス職員は「まるで万歳でもして、何かに喜んでいるように見える」と言及している。これらの爆発的に出現した個体のみ、破壊しても現実世界での影響は確認されていない。影響の明確な線引きが出来ないため、同個体群への接触は引き続き禁止。
対象: SCP-192-JP-1-i
確認日時: 20██/██/██
概要: 高熱で溶解したと思われる肉が大半を占める物質で出来た巨大な筒状の物体。SCP-192-JP内JR八重洲口改札付近に出現した。h群と同様のタイミングで出現したと思われる。側面には頭蓋骨や溶けかけの手足、金属片やコンクリート柱などが突き出しており、その直径は30m近くあった。これは天井から地下までを貫いて直線に続いており、その全長を把握することは出来なかった。このオブジェクトに限り、対応する現象が現実世界の東京駅において一切何も発生していないため、同改札周辺にて継続した警戒が続けられている。
SCP-192-JP-1-g記録の後、SCP-192-JP-aに変化が現れ、健常であった下半身も含めて完全な肉塊へと変化しました。その後、同様の個体が複数体、突如出入り口近辺に出現し周辺の包囲を開始。観察の限り出現後の動きはとても小さなものですが、同a個体と同様に微細な膨張と脈動を繰り返し、這うように扉への接近を続けています。また、現実世界においての影響は不明です。これらのSCP-192-JP-1-a群にどういった目的があるかは全く不明ですが、十分な警戒に努めてください。
補遺:SCP-192-JP内において、上半身の破裂したSCP-192-JP-a個体がSCP-192-JP-i付近にて発見され、その体内から大量の使用済み「東京発→東京行切符」が溢れ出ていました。それらの一枚を現実世界に持ち出すなり、裏面に白文字で以下のメッセージが浮き出しました。
+ 回収されたメッセージ
- メッセージを閉じる
さわたね さわちゃた そちに いくね
切符の発見以降、全ての能動的SCP-192-JP-1群はその動作を停止しました。これによる現実世界側への影響は現時点で一切判明していません。
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scp-193-jp |
評価: +32+–x
アイテム番号: SCP-193-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-193-JPは一般的な人型収容施設と同じ構造をした鋼鉄製の収容施設に収容してください。SCP-193-JPの精神状態を鑑みて適宜訪問し実験の協力を申し込むなど、生活に変化を与えてください。SCP-193-JPは自分から要求をあらわにすることはありませんが、何か物欲しそうにしていたらレベル3以上の担当研究員の判断の元、財団に対する協力への動機付けとして与えてください。
もし彼の精神状態が不安定であると判断された場合即座に施錠し、休眠状態に入り再度起動するまで決して開錠しないでください。室内では、火災予防と冷却、そして休眠状態への導入のため常に収容所内にドライアイスを投入し続けてください。
説明: SCP-193-JPは直立した赤い牛を戯画化した張り子細工のようなデザインのロボットです。SCP-193-JPには高度な自我が存在し、人間のそれと同程度の精神構造を持っています。SCP-193-JPは模範的な中学生をなぞった様な性格付けがされており、いささか古風な感覚で物事を捉えています。また、自らを男性であると認識しているようです。SCP-193-JPは自らを「自分の製作者の子孫を助けるために大正9年から時空移動してきたお手伝いロボット」と称していますが、彼が主張する子孫なる人物は未だ発見されていません。この調査に協力的な態度を財団が取る限りSCP-193-JPは友好的ですが、現在彼は自律回路に大きな故障を抱えているようです。彼自身は、博士の捜索の件も含め、研究員への協力を望んでいるのですが、ふとした拍子に誤作動を起こし後述のSCP-193-JP-1を背負子から複数こぼし、なおかつ起動させてしまうことがあります。この時SCP-193-JP-1もSCP-193-JPに同調するかのように故障しており、多くの場合多数のけが人が出ます。自立回路の異常は彼の精神状態に依存すると考えられるため、彼の精神を平静に保つことは実験の安全性を上げることとつながります。しかし収容以来、彼自身が自らの存在意義に疑問を持っているのでどのような時も注意を怠らないようにしてください。
SCP-193-JPは自身の活動エネルギー源として人間と同じ内容の食事を撮ります。これらは燃料としてSCP-193-JPに搭載された無煙の蒸気機関を動かしますがエネルギー効率の高さの原因は未だ不明です。SCP-193-JPは男女の美醜を認識していますがそれとは別にSCP-193-JP自身は牛を恋愛対象と見ているようです。
SCP-193-JPは彼の一部である背負子から、SCP-193-JPが「がぜっと」と呼称する未知の構造で動作する道具類を取り出します。これをSCP-193-JP-1と呼称します。これらの多くは蒸気機関で動作するように見えますが、一般的な蒸気機関の仕組みだけでは不可能な事象を引き起こすものも多く存在します。SCP-193-JPの許可を得て道具類の分解をしたところ、上記による駆動こそ尋常のものではあるとしても、明らかに冗長な駆動箇所及び神道に基づくと思われる儀式的装置の存在により異常な効果を発揮するものと思われます。分解した道具類を再構成した場合、もしくはSCP-193-JPの指示に従って修理した場合これらは正常に動作しますが、これら道具類のコピーを制作しても蒸気機関の駆動を除けば一切効果をあらわしませんでした。道具類は、他愛もないおもちゃの類から非常に危険な兵器に匹敵するものまでありますが、SCP-193-JP本人の友愛的な性格上乱用は控えているようですが、彼自身が意図しない形で事故が起こる可能性があります。以下は彼が初めて我々に見せたいくつかのSCP-193-JP-1です。
実験記録193-JP-01
SCP-193-JP-1-1(名称:蒸気フオン):
カバンほどの大きさのグースネック共電式壁掛電話機に似た携帯通信機。動力に蒸気機関を使用しているため非常に熱く、持ち運びの時は動力を落とさねばならない事実上の発信専用。電話交換手の存在を前提としているためダイアルは備わっていないが 未知の手段により100番電話に接続され通話が可能である。当然ながら通話の際には動力が入っているため非常に熱く送話器に近づきづらく、また動力の駆動音がうるさいため送話器に向かって大声で怒鳴り続けなければ会話がままならない。動力部分には「薬缶台(実際は右から左に書かれている)」と書かれた面があり、おそらく余剰の熱を生かすためのものと思われる。
SCP-193-JP-1-2(名称:スチイムカノン):
直径20cm長さ1mほどの砲塔のようなもの。付属のハーネスで背中に装着して使う。これも蒸気機関により駆動する。ハーネスに装着されているタンク部分に蒸気をため、その圧力で蒸気機関で作られた熱湯を放出する、反対方向にも蒸気を放出することにより時代に先駆けて無反動砲の要素を持たせている。装着者の「弾コメ良シ!」「撃テ!」の二段階の掛け声とともに発射され、手動による発射装置は見受けられなかった。砲撃の破壊力は低く、射撃試験の結果一般的なブロック塀も破壊できないことと、空中で急激に冷えた熱湯は着弾時には40℃ほどになっていた。これの「がぜっと」も非常に熱く装着者が一発打つまで耐えられればいいほうだろう。多くの場合反動を殺すための蒸気で大火傷を負う。これにも「餅入レ」とかかれた冗長な陶と鉄でできた箱が付属しており、なかに餅をいれ通常通りの使用をしたところ、箱の中のもちは非常にふっくらと焼きあがっていた。
SCP-193-JP-1-3(名称:ムカシトンボ):
真鍮とガラス、革で構成され蒸気機関を備えた1.5m程のトンボ。蒸気機関を駆動させると未知の方法で起動した人間を対象とし、頭部をしっかりと掴み、胴体を折り曲げ椅子のようにして対象を固定する。この過程で、ヘルメットをかぶる、ハーネスでムカシトンボとの距離を固定しておく等の準備を怠っていた場合毛髪の大部分を失う可能性が高い。固定が完了すると以後は未知の手段によって対象の意思に従って羽ばたきによって飛行する。これも非常に熱いのだが飛行時の空冷や位置関係の問題で耐えられないほどではない。この「がぜっと」は複数個(SCP-193-JP本人も正確な数がわからないと証言した)存在し、現在その内の一つを研究用に借用している。特に調理器具はついていなかった。
SCP-193-JP-1-4(名称:蒸気船):
ゴーカートのようなかなり大きめのぽんぽん蒸気船。試しに████博士が乗ってみたところ即座に沈没した。底面に「注:3歳カラ5歳の幼児ノミ搭乗スベシ」と記入されていた。
これら道具類の詳細な資料は実験記録193-JP-02にて記載します。
以下は、SCP-193-JPとの初めての会話記録です。
音声記録193-JP-01
対象: SCP-193-JP
インタビュアー: ████博士
<録音開始>
████博士: 「まず君の名前について教えてもらっていいかな?」
SCP-193-JP: 「ハイ、僕の名前「赤兵衛(あかべえ)」と云ひます。僕の製作者である「博士」から頂いた、いっとう大事な名前です。」
████博士: 「では君は被造物なんだね?何か目的を持って製造されたのかな?」
SCP-193-JP: 「はハイ、僕は本来稚児から尋常小学校に通ふような子供をあやしたり、教導するタメ制作されたと聞ひております。その際、彼らが直面した問題に自らの能力を使用し助力に尽くすよふとも云われました。私は博士の後裔タル少年のために、この時代からすれば過去に相当する時代から転送されて参ったのでございます。」
████博士: 「君の能力というのはあの不可解な道具のことかね?」
SCP-193-JP: 「ハイ、僕たちはあれらを『がぜっと』と呼んでおります。」
████博士: 「ふむ…しかしここに来るまでの間君が子供達といたところを見かけてはいない、我々は引き離してしまったかな?」
SCP-193-JP: 「いえ、ソノ…実のところソノ少年には出会えておらぬのです。」
████博士: 「では…博士の子孫について君が知っていることは?」
[SCP-193-JPは数秒のあいだ考え込み、哀れっぽい苦悩の声をを上げている]
SCP-193-JP: 「それが…僕の記録媒体には断片的な情報しか残って無いのであります。時空転移の際に欠落したか、何者か悪漢による意図的な改ざんがあったものと思ふのです。そのせいか、近頃は僕の頭脳がフワフワとするときがあって。周りで何が起こっておるのか、ハッキリと見え聞こえているのに自分の体が思うがママに動かせずドジばかり踏んでしまうのです…。スイマセン、少年は男児であり、今の時代では尋常小学4年であり、博士の時代から家移り などなければ[編集済]のあたりに住んでいるのではないか、と思ふのですが…。」
████博士: 「そうか…博士自体について君が知ってることはないのかな?」
SCP-193-JP: 「知識と言える範囲ではあまり多くはありません。少なくとも男性であったこと、其れから姓を[編集済]と名乗っていたことは覚えています。ハイカラな人でよくフライの類を食べておられましたっけ…。さふいえば、研究所に家族がお見えになったことはありませんでした。」
████博士: 「先ほど君は「僕たち」といったが君のような存在が多数いるのかね?」
SCP-193-JP: 「ハイ…僕の時代には私を含め7人の学友でヨク屯しておりました、それぞれ別の任務を課されていて今彼らがどこにいるのかはわかりません。」
████博士: 「なるほど。」
SCP-193-JP: 「アノ…」
████博士: 「ん?」
SCP-193-JP: 「皆様方も科学の徒であられると思います、何か博士について存じておられることはありませぬでせうか?」
████博士: 「残念ながら僕たちもわからない。君が転移したと主張する時代から二度の戦争と東京で大きな地震があってね、君や博士に関する情報は君からしか得られない現状なんだ。」
SCP-193-JP: 「そんな…では僕は今…何を為さざらんや…」
<録音終了>
終了報告書: [彼は随分と大きな存在意義の壁にぶち当たってるようだ。彼の身元を探るためにもあまり病んでもらっては困るな…。]
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scp-194-jp |
評価: +238+–x
乾燥中のSCP-194-JP-1。
アイテム番号: SCP-194-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-194-JPを、完全に収容することはできないため、職員は指定エリアでの、SCP-194-JP-1の発見に努めてください。晴天時は4名、雨天時と降雨後24時間は20名以上の警備職員が、指定エリアを巡回し、SCP-194-JP-1およびSCP-194-JP-3を捜索します。SCP-194-JP-1が発見された場合は、雨水の浸入を防ぐためにテントを設置し、最低3時間その状態で待機してください。待機後、熱風を照射することで乾燥させます。SCP-194-JP-3は確保した後、人型オブジェクト用の収容施設に収容します。収容後7~30日の経過観察をし、担当研究員の要請がなければ終了処置をとり処分してください。対象者がSCP-194-JP-1へ転落する瞬間を、目撃した人間、および生還した対象者には、事情聴取後に記憶処置を施し帰宅させます。
SCP-194-JP-1発生の指定エリアには、国土交通省の協力を得て、『この水溜りは深くなっているので注意してください』と書かれた看板を、不自然でない間隔をおいて可能な限り多く設置します。すでに舗装された道路を、完全な排水構造にする改修工事および、舗装されていない山間部の歩道についての整備予算については審議中です。
説明: SCP-194-JPは████地方で発生する異常な性質を持った水溜りとその内部空間です。
SCP-194-JPは、主に████地方で発見される水溜り(以降SCP-194-JP-1と呼称)で起こる異常現象です。SCP-194-JP-1に足を踏み入れた人間は、SCP-194-JP-2と呼ばれる異常空間へ引きずりこまれます。SCP-194-JP-1の出現する場所など、詳細な条件は判明していませんが、通常の水溜りと同じく降雨後に出現します。また、山間部などの人目に付かない場所で発生する傾向があります。SCP-194-JP-1は、通常の水溜りとほとんど見分けがつきませんが、通常の水溜りと違い、どの角度から覗いても鏡のように光を反射し、また深さを測ることができません。多くの場合、水溜りと勘違いした対象が、SCP-194-JP-2へ転落します。
SCP-194-JP-2は、SCP-194-JP-1を通過した先にある異常空間です。SCP-194-JP-2では、対象者が生まれてから最初に住んでいた街が再現されています。街は半径10kmほどに渡って再現されており、街の外にはSCP-194-JP-1と同じ水でできた海が広がっています。この海の広さはわかっていません。
SCP-194-JP-2に転落した対象は、再現された街のどこかへ着地しますが、着地場所の周囲にSCP-194-JP-1、それに類する出入り口らしきものは見当たりません。そのため、入り口となったSCP-194-JP-1から戻ることはできません。生還者の証言では、その場所から"生まれ育った家"に戻ることができれば、入り口となったSCP-194-JP-1から出ることができるとされています。SCP-194-JP-2内の街は、対象が"生まれたとき"の街であるため、対象者が年長であるほど生還は困難となります。
SCP-194-JP-2内では、SCP-194-JP-3と呼ばれる人型の存在が対象者をSCP-194-JP-2内にとどめようと接触してきます。現れるときは、複数であったり単体であったりしますが、おおむね対象者の知らない人間の姿をしています。対象者が、SCP-194-JP-2に転落してからおよそ3時間ほどで、SCP-194-JP-2内にある太陽が沈みます。それまでに対象が脱出できない場合、SCP-194-JP-3の一体がSCP-194-JP-1から出現します。SCP-194-JP-3の出現にともないSCP-194-JP-1は蒸発します。SCP-194-JP-1が蒸発する前なら、別の対象者がSCP-194-JP-1内へ進入可能ですが、その場合、別のSCP-194-JP-2が生成され、SCP-194-JP-2内で対象者同士が接触することはできません。
出現したSCP-194-JP-3は、おおむね成人の人間ではあるものの、全ての臓器が1歳児ほどの大きさしかなく、知能も非常に低くほとんど意思疎通ができません。
確保されたSCP-194-JP-3に対する質疑: 20██/05/27 識別番号SCP-194-JP-3-006。巡回中の警備員が道路を這って移動していたSCP-194-JP-3を確保した。
研究員T: あなたのお名前を聞かせてもらえますか?
SCP-194-JP-3-006: いたい…
研究員T: あなたはどこから来ましたか?
SCP-194-JP-3-006: おかあさん…
財団では過去██件のSCP-194-JP-1の発生を把握していますが実際の発生回数はこれよりも多いものと予想されます。そのうち3名の生還者に対しては記憶処置を施し、そして██体のSCP-194-JP-3を収容しています。残りの標本は終了されました。
Dクラス職員によるSCP-194-JP-2の探索記録:
20██/06/10 巡回中の警備員がSCP-194-JP-1を発見。Dクラス職員による探索の許可が下りました。探索にあたる職員には通信装置とGPS送信機を装着。SCP-194-JP-2侵入後はカメラの映像はノイズがひどく不鮮明でしたが、その他の機能は正常に作動。事前の調査で職員の生まれた街の生まれた当時の地図を入手しました。
+ 探索記録194-001の音声書き起こし部分を閲覧
- 探索記録を閉じる
20██/06/10 09:17:45
SCP-194-JP-D001: おう。せんせ。入ったぜ。ほんとにワープしたみたいに上に何もないな。
研究員T: いまどこにいますか?
SCP-194-JP-D001: 神社に続く山道の途中だな。こっから家までどれくらいだったかなあ。しかしほんとにここは異空間ってやつなのか?見た目は現実そのものだ。太陽のぐあいからすると午後3時くらいか?虫も鳥も人間もいねえこと以外…いや、においもないな。
研究員T: におい?
SCP-194-JP-D001: ふるさとに帰ると懐かしいにおいってするもんだろ?なんもにおわない。15年ぶりだからかな?それにしては他の匂いも無いが。気味悪いな。風もない音もない。すごく小さく波の音がするな。
研究員T: その山道を降りて、左に曲がってください。まず橋についたら教えてください。また案内します。
20██/06/10 09:29:33
SCP-194-JP-D001: はあ、橋についたぜ。なつかしいな、こんな小さい橋だったんだな。下を見るのが怖かったもんだ。
研究員T: 橋を渡ったら右にまっすぐ行って下さい。10分くらい歩くと酒屋があるはずです。
20██/06/10 09:32:17
SCP-194-JP-D001: おい、せんせ。酒屋なんてないぜ。
研究員T: おかしいですね。地図ではそうなってるんですが…隣の駐車場は確認できますか?
SCP-194-JP-D001: 更地っぽいもんならあるけど、あれが駐車場でいいのか?
研究員T: わかりません…とにかく、そこを左にまがって突き当りまで歩いてください。
20██/06/10 10:07:24
SCP-194-JP-D001: おい、せんせ。なんか曲がった道を進んでるんだけど、いいのかい?
研究員T: そんな…地図ではまっすぐのはずですが…
SCP-194-JP-D001: いやでも山から家まではこういう道を通った気はするんだ、たぶん地図が古すぎるか新しすぎるんだ。
研究員T: 急いで図書館へ問い合わせてみます。太陽はまだ昇っていますか?そこで待機していてください。
SCP-194-JP-D001: せんせ!まってくれ!近くの家の窓から誰か呼んでるんだ!マイクを向けてみるよ。
(非常に聞き取りづらいが、『こっちにきて』と聞き取れる)
SCP-194-JP-D001: せんせ。どうしよう。入ってみるか?
研究員T: ダメです。今回は生還する方法を探るテストです。家を目指してください。
SCP-194-JP-D001: ああ…でも、昔はどこの家も自分の家だったような気がする…そんな時代もあったな。いい時代だったよな。せんせ。
研究員T: ええ。今は関係ありません。その家には入らず、待機していてください。
(さきほど聞こえた声がまた聞こえるが、さきほどより少し大きく、音もひずんでいる)
SCP-194-JP-D001: あのひと知ってるヒトだったような…そうだ知ってるヒトだ。ああそうだよ…思い出した。
研究員T: 聞こえていますか?引き返してください。応答してください。
20██/06/10 10:10:42
不鮮明ながら、カメラはSCP-194-JP-D001が一軒の民家の玄関ドアの前に立つところを映し出す。それから、3秒ほどしてドアが開くが、屋内はまったく光がなく内部の様子が確認できない。その中にSCP-194-JP-D001が踏み入り、画面が真っ黒になったところで映像は通信不能になる。音声通信はしばらく正常に作動し続ける。楽しそうなSCP-194-JP-D001の声と、正体不明の女性とも男性とも人間とも判断できない声が、会話を始める。正体不明の存在はSCP-194-JP-D001を居間に案内していると思われる。
20██/06/10 10:12:10
おそらく居間か客間に座る音が聞こえる。SCP-194-JP-D001と、SCP-194-JP-3と思われる声との楽しそうな会話は続くが、時折何かを引きずるような音と、詳細不明の湿った水の音が混ざり始める。
20██/06/10 10:21:56
楽しそうな会話は続くが、時折固いものを噛み砕く音が混ざり始め、SCP-194-JP-D001の声が途切れがちになる。この間研究員はSCP-194-JP-D001に語りかけ続けるが応答はなく、SCP-194-JP-D001は咳き込み何かを吐き出しながら会話を続けた。
20██/06/10 11:32:50
何か重たいものが床に落ちる音を最後に無音になる。それ以上の変化は見られなかった。
備考: 探索の間、GPSは正常に作動しており、位置情報はDクラス職員の生まれた街を示し続けていました。通信途絶後、GPSの反応のあった場所へ行くとそこは空き家となっており、荒れ果てた室内から職員の服や装備が全て見つかりました。SCP-194-JP-1から出現したSCP-194-JP-3は問題なく処理されました。
補遺001: 実例は非常に少ないですが生還者の情報を併記します。
対象者
生還までの状況
一般市民 45歳男性
協力的なSCP-194-JP-3が出現したため。調査報告書194-001を参照してください。
一般市民 78歳女性
SCP-194-JP-2内部が空襲直後の平坦な街になっていたため目標の扉のみが目立っていた。
Dクラス職員 36歳男性
担当職員による案内に全て従ったため。入手した地図が正確だったため。
聴取記録194-SV001: この生還者において現在唯一の協力的なSCP-194-JP-3が出現しました。以下は対象者の証言です。
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あれは祖母でした。10年前に亡くなった祖母でした。ええわかっています。もしかしたらおぞましい存在が祖母を模した存在だったかもしれません。しかし、私はこうしてあの地獄から生還しました。地獄…あそこは地獄だったのでしょうか。
(中略)
家に帰るまでの間、ずっと祖母と会話を続けていました。そしてその間、祖母は他の人間と遭遇しないように道を選んでいるようでした。あなたたちがSCP-194-JP-2と呼ぶあの街は、ところどころ私の知っている街で、ほとんど知らない街でした。たぶん私が生まれた時の状態なんでしょう。
(中略)
祖母は道すがら見かける家を指して、あそこの家のヒトはスイカを育ててて時々もらってたとか、あなたはあそこのお姉さんとよく遊んでたとか、楽しそうに話してくれました。あそこは本当に地獄だったのでしょうか。なにもかもが懐かしく、そしてここにずっといたいと思わせる場所でした。そう話すと祖母は怒り、絶対に元の家に帰りなさいと私をしかりました。
(中略)
そして無事に生まれた家の前までくると、扉を開ける前に祖母が娘に…つまり私の母にと伝言を頼みました。あなたが最初に踊りを見せてくれたとき、下手くそだと叱ってしまったけど、ほんとはとてもうれしかった、いまでもずっとその日のことを思い出してる。ほんとはほめてあげたかった…そう言っていました。扉を開けてからはあなたがたの知るところですね。
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scp-195-jp |
評価: +55+–x
アイテム番号: SCP-195-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-195-JPは現在、サイト-81██として指定されています。サイト-81██は工事用フェンスで囲い、外部との行き来は遮断されます。また、一般家屋に偽装された監視棟が隣接して建てられおり、サイト-81██へは乗用車が不法投棄されないよう監視されています。
SCP-195-JPよりSCP-195-JP-Aが発生した場合、サイト-81██外へ出る前に機動部隊にて無力化して下さい。無力化されたSCP-195-JP-Aの車両部分もSCP-195-JP-Aの発生条件を満たすため、適宜撤去をしてください。SCP-195-JP-Aが周辺住民から目撃された場合、数人であるならば拘束後記憶処理を行ってから解放して下さい。大人数に目撃された場合、または実験に付随する追跡調査の場合、財団フロント企業「サプライズ・コミカル・パレード」によるカバーストーリー「真夜中のパレード」を流布して下さい。
更新: SCP-195-JP-Bの発生防止のため、2週間に1度のペースでSCP-195-JP内へ廃車を設置して下さい。設置された廃車は10日以内に回収して下さい。
説明: SCP-195-JPは、██県██市の郊外に位置する、元自動車解体工場の廃材置き場です。工場部分は解体され、SCP-195-JPのみが取り残されていました。
SCP-195-JP内にて4輪の乗用車が14日以上放置されていた場合、放置されていた乗用車はSCP-195-JP-Aとなり、以降の深夜3時前後に活性化します。活性化したSCP-195-JP-Aのホイール部分からは動物の足が生え、4足歩行にて移動を始めます。SCP-195-JPから出たあとのSCP-195-JP-Aは、公道を道路交通法を守った上で歩行をします。信号や道路標識を正確に守りますが、外見からは搭乗者が見当たらず、どのように検知しているかは不明です。数回の追跡により、本体となった車両の、車体番号が初めて登録された住所へ「帰宅」を試みている事が判明しています。
SCP-195-JP-Aは一般的な破壊行為で問題なく無力化ができます。無力化されたSCP-195-JP-Aのドアや窓からは、ホイール部へ生えていた足に応じた生物の死体が、十から数十程あふれ出てくる事に注意して下さい。分析の結果、死体は何ら異常な特性を持たない事が判明しています。
SCP-195-JP-Aが無事「帰宅」を果たした場合、10秒間クラクションを鳴らし続けます。その後周囲200m範囲の中古車が一斉にSCP-195-JP-Aとして活性化し、「帰宅」を始めます。「帰宅」時、実家に既に他の車が存在する場合、激しく対象を排除する傾向があります。
以下はSCP-195-JP-Aから確認された足の例です。本体となる車種とは関連性はありませんでした。
犬
猫
キリン
象(ただし長さが3m)
蜘蛛
馬
事案195-呂にて、SCP-195-JP-Bに指定される新たな実体が明らかになりました。詳細は事案195-呂を参照して下さい。SCP-195-JP-Bが発生した事案は、現在までに事案195-呂の1件のみです。
補遺: 事案195-呂
放置自動車が存在しない状態で30日が経過後、SCP-195-JP内よりSCP-195-JP-Bが実体化しました。SCP-195-JPは96式装輪装甲車を本体に、ホイール部からは人型種の右手が4対、2mの長さで生えていました。機動部隊にて無力化された後、ボディ自体が[編集済]の死体として分割され、また後部ハッチより17体の[編集済]。現れた検体をDNA検査したところ、そのうち1体は██県在住の████氏のものである事が判明しました。財団エージェントが現地へ急行し確認をしましたが、████氏は存命で家族と生活をしており、サイト-81██周辺へは立ち寄った事がないと証言しています。
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scp-196-jp |
評価: +79+–x
発見時のSCP-196-JP-5(左) SCP-196-JP-4(右)
アイテム番号: SCP-196-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 現在までに11本のSCP-196-JPが発見され、その全てがサイト-8148の第5隔離収容室に収容されています。収容室は完全な遮光がされ、女性職員のみで管理されています。サイト管理官の許可が無い男性職員は収容室の半径30m以内に近づいてはなりません。万が一、SCP-196-JPの光を男性職員が目撃した場合は、その場で取り押さえ収容室から十分な距離を取ってクラスA記憶処置を行ってください。
説明: SCP-196-JPは各節直径約70cm、高さ約30cmから80cm程度の円柱状の物体及びその集合体です。非活性時は石のような強度と重さですが、活性時には柔軟性を持ち軽量で粘着質な液体で表面が薄く覆われます。それぞれの節には顔が描かれていますが、いずれも被害者とは無関係です。
SCP-196-JPは不定周期で約3分から最長78分程度の間、淡く青い光を各節から放出し活性化することがあります。一度この光を見た男性は興奮状態に陥り、活性不活性時を問わずSCP-196-JPに異常な執着を見せ、SCP-196-JPの周囲に居座ろうとします。このとき活性化状態であるならば、SCP-196-JPの節を簡単に抜き取ることが出来る様になります。抜き取られると活性化状態である限り、抜き取った男性は決して手放そうとしなくなります。そして同時に表面に直径5cmから9cm程の穴がいくつか発生します。抜き取った男性はいずれかのその穴を見つけると、その場で自身の指や舌や[編集済]等、穴の大きさに近い身体の部位を穴に入れます。挿入した時点でSCP-196-JPとの細胞レベルでの結合が始まり、穴から出すことは出来なくなります。1その後、約15時間かけて一体化し、SCP-196-JPに変異していきます。変異が終了したとき、元のSCP-196-JPの上に、新たなSCP-196-JPが誕生します。
20██/██/██、ある料理店を調査しました。この店舗は日本生類創研と関係していることが事前の調査により判明しており、当初は日本生類創研関連の尋問調査を行う予定になっていました。突入時には既に店内は無人で、厨房にはまな板の上に活性化状態のSCP-196-JPがあり、散乱していた包丁や食器等の状況や後に行われた店内の詳細な調査から判断しておそらくSCP-196-JPの調理が行われようとしていたと考えています。SCP-196-JPの存在が既知ではなかったこともあり、エージェント2名の被害が出ましたが確保には成功しました。このときの個体が最初に発見されたSCP-196-JPです。さらに調査を重ねた結果、奈良県████市にて、底辺に日本生類創研の刻印がされているものを発見。他のSCP-196-JPには刻印は無い為、これがオリジナルだと考えられています。これを材質分析したところ、ほぼキアンコウ(Lophius litulon)の細胞でしたが、僅かながらにヒトの細胞も検出されました。後に20██年に行方不明になった当時奈良県在住の10歳の少女の細胞であることが判明しました。
Footnotes
1. この時点では未結合部位を切断することでSCP-196-JPと人体を切り離すことは可能です。しかし、依然としてSCP-196-JPの効果により自身の一部を挿入しようとするので注意が必要です。
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scp-197-jp |
評価: +143+–x
収容室の空中にいると推測されるSCP-197-JP。拡大するとわずかに空気の揺らぎを観測できる。
アイテム番号: SCP-197-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-197-JPは、3mx3mx3m以上の完全な防音を施した収容室に収容してください。SCP-197-JPは、コンクリートであればおよそ5cmまで透過できるため、壁は10cm以上の厚みが必要です。収容室の入退室は、同様の防音設備を施した気密室を通過し、音圧計による検査を受けてください。収容室への入室許可はクリアランスLevel3以上の職員が行ってください。SCP-197-JPおよびSCP-197-JP-1の、収容施設外への移動が発生した場合、特別捜索チームが編成されます。新たに発見されたSCP-197-JP-1には、収容施設内でSCP-197-JPの音を聞かせ、経過観察のために収容を継続します。
説明: SCP-197-JPは不可視の存在です。収容時の状況から、少なくとも3mx3mx3m以下の体積であることは確認されています。
SCP-197-JPは、可視光や電波など、あらゆる電磁波の影響を受けず、観測することができません。SCP-197-JPの挙動のうち、電荷に因らないごく弱い分子間力(おそらくファンデルワールス力)は、唯一物質的な影響を与えると見られ、それは主にSCP-197-JPの存在する空気分子に及びます。SCP-197-JPの物質的影響は振動として現れ、振動数は18,000Hzから20,000Hzの間で変動しており、生物的な揺らぎを示しています。この振動は、人間の可聴域でもあり、非常に甲高い音(被験者が総じて蚊の羽音と表現する音)として認識できます。この音が聞こえる領域は、半径15cm程度の球状の領域であり、絶えず収容室内の空中を移動しています。その中心にSCP-197-JPがいると考えられますが、何らかの中型~大型生物の、発声器官が音の中心ではないかとの仮説もあります。
SCP-197-JPの出す音を、10分以上聞いた人間(以降SCP-197-JP-1と呼称)は、異常な体質を獲得します。10分以下の聴取、録音機器などの再生ではこの異常性は発現しません。
SCP-197-JP-1になった人間は、心肺停止状態もしくは、心理的に多大な負荷がかかると、SCP-197-JPの音を聴いたことのある場所へ瞬間的に"移動"します。その際、身体の状態もSCP-197-JPの音を聴いた時の状態へ瞬間的に移行します。SCP-197-JP-1の"移動"と同時に、SCP-197-JPも、SCP-197-JP-1のごく近く(1.0m以内)に移動します。この性質のため、予期せぬ収容違反が起こる可能性があります。
SCP-197-JP-1は"移動"後も、"移動"前の記憶は保持しており、"移動"前後で精神または身体的不一致は確認されていません。
"移動"から1時間以内に、SCP-197-JP-1は体の一部が腐食し始めます。腐食は、表皮の一点から発生していると見られ、病変は直径10cmほどまで次第に拡大します。この腐食部分は、治療を施しても、同じ箇所が同様に腐食し始めるため、完全に除去することはできません。腐食部分は通常の病変と同様に、対象者に恒常的な激しい痛みをもたらします。また、この腐食箇所は"移動"の度に、増加または拡大します。腐食による死亡までの"移動"回数は、最短で3回、最長で22回が記録されています。
SCP-197-JP-1は、"移動"を繰り返すたびに精神を消耗していきます。この症状は投薬でも抑制できないものと見られ、対象者は次第に理性的な思考ができなくなります。
19██/07/13 ██の███総合病院にて、最初のSCP-197-JP-1(以降SCP-197-JP-1-001と呼称)が収容されました。"移動"から数日だったため、同時に、SCP-197-JP-1-001の自宅でSCP-197-JPが発見されました。SCP-197-JP-1-001は、55年間に7回の"移動"を行っており、恒常的な鎮痛剤の服用を行っていました。総合病院の関係者には記憶処置が施されました。SCP-197-JP-1-001の関係者は、近親者を含めほぼ全員がすでに他界しています。
SCP-197-JP-1-001は6回目の"移動"を行うまで消防士として働いていました。肉体的な年齢は24歳と見られますが、戸籍上は███歳とされ、従軍記録もあります。7回目の"移動"で腐食部分が中枢神経の一部に到達し、歩行が困難な状態にあります。
聴取記録197-A001-005からの抜粋:
SCP-197-JP-1-001: そうですね。この能力はある日突然、授かりました。誰が授けてくださったのかはわかりませんが、私はヒーローです。人々を危険から助けるために、この力に目覚めたのです。寒いですね。私にとって死は遠くにあるものです。つめたい。手の届かないほど遠くに。この崖は高いですね。
最初の収容以降、現在までに施設外へのSCP-197-JPの"移動"が13回発生し、そのたびに新たなSCP-197-JP-1が収容されています。
移動実験: Kクラスシナリオに満たない、単一サイトでの破滅的な収容違反において、貴重な人的資源の緊急回避手段として使用すべきかという議題が、定例会議にて上がりました。評議会の要請により、Dクラス職員を用いて、"移動"に対する影響を見るため実験を行いました。まず、SCP-197-JPの収容室にて被験者に音を聞かせ、その後、医務室に移動し投薬にて終了処置、SCP-197-JPの収容室に"移動"した被験者を回収という手順で行いました。
移動実験0017の記録映像からの抜粋: [20██/10/21 10:45:10]
(付記: 被験者197D-003は、すでに3回の"移動"を行っています。終了後の"移動"の過程は記憶されないため、被験者には睡眠導入剤の実験と説明しています。)
研究員T: では投薬を始めます。
被験者197D-003: せ、せんせい!この実験はいつまで続くんですか!?あ、足と手が動かないんですが、大丈夫なんですか!?
研究員T: 鎮痛剤の投与は問題ないですよ。末端神経の麻痺は一時的なものです。心配ありません。
被験者197D-003: 聞こえるんです!虫の音が!耳に残って、とっても、つめたくて…
研究員T: 目を閉じてください。針が刺さらないので暴れないでください。
被験者197D-003: も、もういやです…
<20██/10/21 10:47 投薬にて終了処置が行われ、対象者は"移動"しました。>
移動実験0018の記録映像からの抜粋: [20██/10/21 11:09:32]
(付記: 被験者197D-003は、今回の移動により左頬から左眼球にかけて腐食。左目の視力を失っています。)
被験者197D-003: せんせい。この薬って、幻覚を見る副作用のある薬なんですか?
研究員T: なぜです?
被験者197D-003: いつも崖にいます。崖です。まわりを崖に囲まれたところで…つめたくて、全部が青いんだ。ててる。つめたくて。
研究員T: そうですか。では投薬を始めます。
被験者197D-003: 草も山も、雲も、だんだあさな、青い…全部青くて、つめたい…
<20██/10/21 11:12 投薬にて終了処置が行われ、対象者は"移動"しました。>
移動実験0041の記録映像からの抜粋: [20██/10/24 16:22:35]
(付記: 被験者197D-003は、14回の"移動"を繰り返し、四肢の大部分と肺とすい臓の一部、頭部の一部にさらなる腐食が起こっています。)
被験者197D-003: せんせい。ぱらが!ぱらが!そこにいるのか。
研究員T: はい。なんでしょう。
被験者197D-003: あいす!あいす!るーぱ!あいすくりーむ!
研究員T: なにが見えているんですか?
被験者197D-003: あいすくりーむ!
研究員T: 聞こえてますか?
被験者197D-003: あいすくりーむ!
<20██/10/24 16:24 投薬にて終了処置が行われ、対象者は"移動"しました。>
移動実験0041の被験者は、17回目の"移動"から12分後に、呼吸器官の腐食により投薬前に終了しました。終了後、SCP-197-JPの収容室へ"移動"しましたが、その場で8分後に終了し、8分前の状態に戻るという繰り返しの状態に陥りました。繰り返しの間に、腐食箇所は増加するため、終了までの間隔は短くなり、移動実験0041から2時間32分後、原形をとどめない塵の状態になった被験者は"移動"を行わなくなりました。
補遺01: 1回から3回、"移動"させた後、長時間経過した被験者に大きな変化は見られませんでした。恒常的な腐食に対する処置、もしくは無機物による代替、四肢いずれかの切除を考慮するなら、破滅的状況に対する緊急回避手段として有効かもしれません。
補遺02: 収容室内の音圧計の記録を解析したところ、移動実験0041の被験者が最終段階に入っている間、SCP-197-JPの空中での動きが激しくなっていることが判明しました。
喜んでいるのか・・・? ――██博士
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scp-198-jp |
評価: +77+–x
SCP-198-JP 冷蔵庫内に他に物品が存在しない状態で撮影
アイテム番号: SCP-198-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-198-JPはサイト-81██の低危険度物品収容倉庫内に設置された家庭用小型冷蔵庫の中に保管されます。SCP-198-JPの転移を防ぐため、冷蔵庫内には常に2,3の食品を入れておき、3日ごとに新しいものと交換してください。また、SCP-198-JPが転移を起こしていないか、交換の際冷蔵庫の中身を取り出して確認をしてください。このとき冷蔵庫内にSCP-198-JPしか存在しない状態で3時間以上放置しないでください。
万が一転移を起こした場合に備えて倉庫には食品を保管してある冷蔵庫を数台用意してください。
また、SCP-198-JP収容用のものを除いて、サイト-81██には食品冷蔵庫を必要とする設備は設置しないでください。個人研究室等においても冷蔵庫の設置は許可されません。
説明: SCP-198-JPは白いペースト状の物体が容量の半分ほどまで入った、一般家庭で使われる標準的なタッパー容器です。
SCP-198-JPの異常な性質は、SCP-198-JPが他の食品類と同時に冷蔵庫内に存在する時に発現します。SCP-198-JPが存在する冷蔵庫内の食品は、低温環境下にも関わらず、速やかに腐敗していきます。真空保存パック、乾燥した保存食、缶詰類、液体や調味料類、チルドや冷凍庫内の食品など、通常腐敗しにくい物品もすべて同様のスピードで腐敗が進行し、およそ3日ほどで完全に形を失い黒いペーストになります。この腐敗プロセスが完了してからおよそ3日ほどで、SCP-198-JPは周囲で一番近くにある、中身の入っている冷蔵庫内へと転移します。
また、SCP-198-JPは認識を阻害する作用があり、冷蔵庫内に他に腐敗の完了していない食品が残っている間は、そこに存在していても認識することができません。これは映像記録においても同様です。SCP-198-JPを確認するためには、冷蔵庫内の物品がすべて腐敗するか、もしくは冷蔵庫内の物品をすべて取り出し庫内にSCP-198-JPしか存在しない状態にする必要があります。冷蔵庫内に他に物品がない場合、またSCP-198-JPが冷蔵庫外におかれている場合、SCP-198-JPは3時間ほどで周囲の一番近い中身の入っている冷蔵庫内へと転移します。
SCP-198-JPの容器の内容物は未知の動物性タンパクのペーストであり、塩辛や酒盗、鰹節に似た強い臭気があります。実験で摂食したDクラス被験者による、「かつて経験したことの無いほどの強烈なうま味と、わずかな塩味があり大変美味だ」という報告があります。しかし、摂食したすべての被験者は摂食後6~24時間以内に腹痛、嘔吐、下痢などのコレラに似た症状の後、しびれ、痙攣、幻覚、筋硬直を引き起こし、やがて肝臓及び腎臓の重篤な機能障害により、72時間以内に死亡します。摂食後早期の胃洗浄、血液透析により症状がわずかに緩和しますが、その場合でも重篤な障害が残る可能性があります。
また、摂食する、取り除くなどして減少したSCP-198-JPの内容物は、ゆっくりとした速度で自動的に補充され、空の状態からでも3時間ほどで元通り容器の半分ほどの量まで戻ります。
SCP-198-JPは██都██市での1█件の一般家庭、レストランでの連続食中毒事件及び、スーパーマーケットにおいて冷蔵倉庫内の食品がすべて腐敗する事件の後発見されました。関係者には適切な治療の後記憶処置を施しましたが、SCP-198-JPの内容物を摂食した██名のうち6名は死亡しました。この事例でSCP-198-JPを摂食した一般人数名から、「冷蔵庫内が腐っていて、唯一まともに食べれそうなものだったので、こんなもの入れてたかなと疑問に思いつつもそれを食べた」という同様の証言があったため、当初はSCP-198-JPに摂食を促す精神作用があるのではないかと疑われましたが、後に実験により否定されました。
補遺: SCP-198-JPの樹脂製の蓋の裏側に、ひどく乱れた手書きの字体で以下の文章が浮き出ていることが確認されました。
しょうちゃんへ
お母さんがおいしいものをつくっておきました
お夕はんにたべなさい
すぐかえります
しず江
調査により、「しょうちゃん」とはSCP-198-JP発見の際、最初にSCP-198-JPを摂食して死亡した民間人であり、「しず江」とはその祖母である可能性が示唆されています。
しかし彼女は10年前より現場から30kmほど離れた老人介護施設に入所しており、また重度の認知症であるため、関連性については現在も継続して調査中です。
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scp-199-jp |
評価: +237+–x
座席に向かって歩くSCP-199-JP
アイテム番号: SCP-199-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: 現在、SCP-199-JPは完全には収容されていません。職員はSCP-199-JPの出現条件を満たさせないように、最低でも3名のエージェントを該当の映画館に派遣してください。劇場スタッフとして潜入したエージェントにより、チケットの購入状況・履歴が監視されることになっています。映画を上映する際に2名の一般人に偽装したエージェントはそれぞれの劇場を巡回し、もし観客が1名しかいない様なら、すぐにエージェントはその劇場に留まり観客が1名だけになる事を防いで下さい。エージェントが1名、劇場内にいるだけでもSCP-199-JPの出現を防ぐ事が可能です。有事の際には、映画館スタッフ及び一般人への無許可のBクラスまでの記憶処理が許可されています。5ヶ月に一度、該当の映画館の営業終了時にDクラス職員を1名劇場内に待機させ映画を上映し、SCP-199-JPの出現を待って下さい。待機させたDクラス職員はSCP-199-JPの出現後に退避させなければなりませんが、他の職員に危害が及ぶ可能性がある場合はこの限りではありません。なお、現在はSCP-199-JPに対する実験はその危険性を鑑みて中止されています。
SCP-199-JPが現在出没する映画館の所在地は、担当職員のみに開示(要レベル2/199-JPクリアランス)されます。
説明: SCP-199-JPは人型実体で、観客が1名だけしかいない日本国内の映画館の劇場に現れます。SCP-199-JPはひとつの映画館に半年程度の間留まり続け、出現条件が揃う度にどこからともなく現れます。SCP-199-JPの出現条件は、映画を上映中の劇場内に観客が1名だけしかいない場合に現れるという物ですが、その条件を満たしたからといって毎回現れる訳ではありません。なお、半年以上にわたりその映画館で出現条件が整わなかった場合、SCP-199-JPは付近で一番近い映画館に出現するようになります。
SCP-199-JPの正確な外見は確認されていませんが、痩せた人型で、歩く際には右足を庇うようにして歩くことが判明しています。観客はSCP-199-JPの外見の異常性に気づかない事が多いですが、それがただ単に劇場内が暗いせいなのか、SCP-199-JPの持つ精神干渉的特性なのかは不明です。SCP-199-JPは人間に対して非常に暴力的な傾向を示します。しかし、確認された全てのケースの中では、直接人間を殺害したことはありません。SCP-199-JPはその見た目に反し俊敏で、力は非常に強く、軍事訓練を受けた成人男性に勝ります。また、SCP-199-JPは未知の手段で劇場に入退場します。入場するところは確認できず、退場する際もカメラにはただ単に扉から出たように見えるにも関わらず、外にいた職員は誰も劇場から出てきていないと主張しました。
実験記録: 199-JP-04, -05
実験199-JP-01~03までは、SCP-199-JPは出現しませんでした。
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実験199-JP-04
実験担当者: ████博士
事項: 財団が実験するために貸し切った映画館で、劇場内にはD-0092が小型カメラを持った上で1人で真ん中の座席に配置されます。劇場へ続く扉の前には2名のエージェントが立っており、入退場する者がいないかを見張っています。なお、D-0092は遠隔で別室の仮設本部にいる████博士と音声通信を行っています。
D-0092: 俺はただ映画を観てればいいんですよね?
████博士: その通りだ。ただ、何か異変があれば逐一報告してくれ。
D-0092: わかりました。これって手錠を外してもらうことはできますかね……?
████博士: 申し訳ないが、それは許可できない。
D-0092: カメラを動かし辛いのですが……。
████博士: 出来る限りで構わないから。
(上映開始30分後まで異常なし。カメラはスクリーンに向けられたまま)
突然、D-0092がカメラを座席へ続く階段へと向ける。不明な人物が歩いて一番後ろの右端の座席につくのをカメラが追う。
D-0092: 博士?
████博士: いや、私はここだ。
D-0092: 誰ですか?
████博士: 誰も劇場内には入っていないよ。
D-0092: じゃあ、あれがそうなんですか?
████博士: 恐らく。カメラはそのままでいいから、一般人のようにスクリーンを観ていてくれ。
D-0092: 無理ですよ!あいつは危険なんですか?
████博士: それを知りたいから、私たちが今こんなことをしてるんだ。
突如、男性のものとも女性のものともつかない叫び声が、後方のSCP-199-JPが着席している辺りより聴こえる。
D-0092: 出ます。
████博士: いや、ダメだ。出たら解雇する。
D-0092: 出させて下さい!
████博士: おい、カメラはあいつに向けておけ!出たら本当に解雇するぞ。
D-0092: クソ、本当に怖いんですよ!
████博士: お前に殺された奴もそう思ってただろうよ。あと1時間だけ我慢しろ。
カメラはスクリーンに映る映画を捉えており、後方の席からは何かが暴れる様な音が記録されている。
████博士: D-0092、カメラを後ろに向けろ。
暗くて不明瞭な映像。SCP-199-JPは後方の席で大人しく座っている。
D-0092: 何だよ……。でも何もしてこないな。
(20分間、異変なし)
████博士: おい、D-0092。カメラにずっと映画を映されても困る。
D-0092: あ、すいません。
D-0092がカメラを後ろに回すと、いつの間にかSCP-199-JPがD-0092のすぐ後ろに立っている。D-0092の手からカメラが落ち、以後ずっと場内の床を映し続ける。その後、急遽駆けつけたエージェントが座席の上で出血し気絶しているD-0092を発見した。D-0092の下顎は無くなっていた。劇場の前に配置されていたエージェント達は、誰かが入退場するところは一切見なかったと主張した。D-0092は財団の医療施設に運ばれ、一命をとりとめた。
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実験199-JP-05
実験担当者: ████博士
事項: 実験は深夜に、財団が貸し切った映画館で行われます。拳銃で武装したエージェント・████が一名で、一番後ろの右端の座席に配備されます。劇場内には座席が全て映るように、リアルタイムで本部と通信している通常のカメラ及び暗視カメラが1台ずつ取り付けられます。また、SCP-199-JPがエージェント・████に危害を加えようとした場合、直ちに小銃で武装した他の2名のエージェントが劇場内に入ることになっています。なお、エージェント・████は遠隔で████博士と音声通信を行っています。
上映開始から20分後、カメラはSCP-199-JPが一番後ろの左端の座席に座るのを捉える。
████博士: 来たぞ。
エージェント・████: 分かっています。そっちはアイツが変な声で叫んでいるのが聴こえますか?
████博士: いや……。とにかく気をつけておけ。
(およそ20分間、SCP-199-JPは大人しく着席したまま動かない)
エージェント・████: すいません、ちょっと映画の音量が大きくないですか?
████博士: そうなのか?
エージェント・████: ええ。そっちの声が全然聴こえないのはマズいです。少し下げるようにいってもらえますか。
SCP-199-JPが立ち上がり、エージェント・████の方に歩き出すのがカメラに映っている。
エージェント・████: 何でまた音量を上げたんですか?
████博士: おい、気をつけろ!くそ、外にいる2名はエージェント・████を援護しろ。誰か音量を下げろ!
突如、映写機の作動が止まり、スクリーンに映されていた映像が消えて場内が暗闇に包まれる。誘導灯は何故か作動しない。映画の音だけは依然として流れ続けている。
エージェント・████: 博士、映像が消えました、何も見えません。どうなってます?
████博士: 奴がそっちに行ったぞ!おい、そこのお前、劇場の照明を全部付けてこい!(付近の研究員に指示している)
暗視カメラには、エージェント・████のすぐ側に近づくSCP-199-JPの姿が映っている。
████博士: おい、エージェント・████。横だ!
エージェント・████: すいません、本当に聞こえないです。何です?
████博士: お前のすぐ左に居るぞ、銃を撃て!
エージェント・████: 音量を下げてくれ、これは流石にデカすぎる。
暗視カメラには、到着した2名のエージェントが何とかして一番後ろの座席に辿り着こうと暗闇を手探りで進む姿が映っている。エージェント・████は銃を抜いて警戒してはいるが、すぐ横のSCP-199-JPには気づいていない。SCP-199-JPはエージェント・████の顔を掴んで座席から引きずりおろす。激しく抵抗しているエージェント・████の両目の眼窩にはSCP-199-JPの指が根元まで入っているのが確認できる。SCP-199-JPは抵抗を続けるエージェント・████を難なく引きずったまま、武装したエージェント2名を避けるようにして劇場から去っていった。SCP-199-JPが去った後、再び映写機が作動しはじめ、音量は平常時のものに戻った。なお、エージェント・████は現在も行方不明のままで、遺体も発見されていない。
補遺199-JP-A: 20██/██/██、SCP-199-JP担当の████博士が出勤せず、一切の連絡がとれないことを不審に思った職員が、████博士が一人で暮らす自宅を訪ねました。そこに彼の姿はなく、連絡を受けた財団は████博士の捜索を開始しました。ですが、現在に至るまで████博士は発見されておらず、その行方に関する有力な手がかりもつかめていません。当時、家のドアには鍵がかかっておらず、液晶テレビにはBlu-rayディスクの映画『ブレードランナー』が延々とループ再生されていました。20██/██/██から、新たに██████博士がSCP-199-JP担当になりました。
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scp-200-jp |
評価: +297+–x
SCP-200-JP(非活性状態)
アイテム番号: SCP-200-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-200-JPは乾燥剤と共に低危険物収容庫に保管します。SCP-200-JPは濡れると活性化するため、実験時以外は乾燥した状態を維持して下さい。拭き忘れ等による事故を防止するため、手で運搬する場合はつまんで持ち上げるよう留意して下さい。
説明: SCP-200-JPはゴム製のアヒルの玩具です。鳴らした場合は短音か長音で鳴りますが、鳴らし方とは無関係のようです。メーカーおよび生産工場は特定されており、これらに特異性はありません。工場の生産ラインから同様のオブジェクトは見つかっていません。
SCP-200-JPは水に濡れると活性化します。活性状態のSCP-200-JPの半径10cm・下方5m以内に人間の体がある場合、SCP-200-JPは急速に重量を増加させます。Dクラス職員を用いた実験では、重量の増加は下方に人間の体がある限り続き、3秒後には420kgにまで増加しました。これによって被験者が死亡した後、SCP-200-JPの重量は元に戻りました。そのため、死体には反応しないと考えられます。
SCP-200-JPは████市営住宅の浴槽から回収されました。所有者はこのオブジェクトを川原で拾ったと証言しています。所有者が骨盤を損傷していたため、浴室内で転んだという疑似記憶を植えつけて記憶処理しました。所有者の保護者にも同様の記憶処理を実施しました。
補遺: このオブジェクトはAnomalousアイテムに分類される予定でしたが、実験記録8941-07によりSafeに指定されました。
実験記録8941-07 - 日付20██/██/██
対象: ゴムのアヒル(※現在のSCP-200-JP)
実施方法: ゴムのアヒルを200回鳴らして、音の違いに規則性があるか調べる。
結果: 音は一定の規則性を持っていました。短音と長音の組み合わせをモールス符号に変換してみたところ、和文モールス符号では次のようになりました。
あ の こ が み ず の そ こ に
分析: このオブジェクトは知性、あるいは何らかの情報を保有している可能性があります。Anomalousへの分類申請は取り下げます。回収状況の再調査を要請します。
財団は再調査を実施しましたが、関係者には既に記憶処理を実施していたため、このオブジェクトの拾得状況について新しい情報は得られませんでした。
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