id
stringlengths
10
10
text
stringlengths
13
15.8k
scp-701-jp
評価: +43+–x 開封直後のSCP-701-JP アイテム番号: SCP-701-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-701-JPは収容サイト8181内、錠を取り付けた一般的な小型冷蔵庫の中に保管されています。SCP-701-JPを持ち出し常温下に晒すことは、SCP-701-JPの休眠を妨げる恐れがあるため、実験目的を除き禁止されています。 SCP-701-JPを実験に使用するためには、サイト管理者の許可を得た上、二つの逆圧エアロックのある外部から完全に遮断できる気密室を用意する必要があります。特別の事情により職員が直接接触しなければならない場合は、必要最小限度の人数で、防菌及び防ウイルス対策を施した全身防護服を身につけて対処してください。 説明: SCP-701-JPは納豆に擬態した新種の節足動物の群れです。その外見は、体色が茶褐色な点を除けば、オカダンゴムシ(Armadillidium vulgare)に酷似しています。 SCP-701-JPは市販の納豆に使用される発泡スチレンシート製容器に約300匹程度が丸まって休眠しています。この間一切の食餌行動を取らなくても生存できるようです。常温下で棒でつつくなどの物理的刺激を受けた場合、SCP-701-JPは一斉に覚醒し、周囲の有機物を求めて這いずり回ります。SCP-701-JPが活発に活動し始めると、周囲の有機物が急速に腐敗します。この被害は感染症用の防護服で防げるため、SCP-701-JPは自身の覚醒とともに、特殊な微生物、主に生物学上”分解者”に分類されるバクテリアを大量に撒き散らしているものと考えられていますが、これらの捕獲及び分析は現在まで成功していません。 SCP-701-JPは腐敗した有機物を見つけ次第捕食を始め、平均して30分以内で付近の有機物は食べ尽くされます。SCP-701-JPの糞や食べ残しはバクテリアに分解され、消滅します。摂食ができなくなったSCP-701-JPの個体は順次餓死していき、その死骸は別の個体に食べられます。この行動は最後の一匹が餓死するまで続きます。 SCP-701-JPは██県██町内の木造住宅跡地で発見されました。一夜にして木造住宅地の半分が消滅したとの通報により調査に現れたエージェント・██によって確保されました。彼は現場に残された冷蔵庫のスクラップの中からSCP-701-JPのパック5つを発見、周辺で唯一の有機物であることを疑問視し、管理を財団へ引き継ぎました。発見地にはカバーストーリー「隕石落下」が適用されました。その後、██博士による実験が行われ、現行の特別収容プロトコルが確立されました。 補遺: SCP-701-JPの発見以降、同様の「広範囲有機物消滅事件」が3件発生しています。発生の中心地とみられる場所はそれぞれ、██県██市内のスーパーマーケット、██県██村内の和菓子店、██県██市██区内のエアガンショップです。いずれの場所からも、SCP-701-JP及び納豆の空容器は発見されませんでした。それぞれ別個のカバーストーリー及び関係者の記憶処理にて事件の隠蔽をおこないましたが、同様の事件が頻発するようであれば、SCP-701-JPの存在が露見しかねません。これらを受けて、現在、指定の機動部隊により、未収容のSCP-701-JPの捜索がおこなわれています。
scp-702-jp
評価: +38+–x 評価: +38+–x クレジット タイトル: SCP-702-JP - フリースタイルタイガー、Re-超 著者: ©︎Kinoemon 作成年: 2020 評価: +38+–x 評価: +38+–x 収容中のSCP-702-JP(2020/05/12に撮影) アイテム番号: SCP-702-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-702-JPは現在サイト-8128の標準的大型異常生物収容室に収容されます。毎日3回、レアの牛ステーキ3000gが与えられ、SCP-702-JP本人からの申し出があった場合はその都度食事内容を変更することが認められます。大島氏の親族には遺族年金の名目で一定額が毎月支給されます。 SCP-702-JPを確認した民間人にはレベルB記憶処理が行われます。 説明: SCP-702-JPは現代日本語にてコミュニケーションが可能な一匹のアムールトラ(Panthera tigris altaica)です。SCP-702-JPは2020/04/29に天王寺動物園から脱走したアムールトラと同一個体であることが確認されています。SCP-702-JPは一般的なトラと比べて比較的温厚であり、生肉よりも調理済みの肉を好むなど人間に近い嗜好を有しています。SCP-702-JPは自身のことを大島 和人おおしま かずと氏であると主張し、これに関して収容後に行われた個人情報を用いたポリグラフ使用下での真偽確認試験では真であると認められています。 大島氏は2020/04/10に当時勤務していた██社の指示により大阪市の支社に出向した後、西宮市の甲子園球場付近で最後に確認されて以降行方不明になっています。1SCP-702-JPは極めて内向的であり、他人と会話をすることをあまり望みませんが、周囲に人が存在しないときにラップのリリックらしきものを呟く様子が確認されています。SCP-702-JPは収容時に行われた精神分析にて中度の鬱的症状が認められましたが、財団側によるSCP-702-JPへのカウンセリングの申し出は拒絶されています。 補遺1: SCP-702-JPの発生原因を探る目的でのSCP-702-JP当人へのインタビューは黙秘により拒否され続けていました。SCP-702-JP発生に対してのさらなる主観的情報を得るために、大島氏の大学時代の友人である袁 嶺史えん れいじ氏によるSCP-702-JPとの面会が行われました。 以下は2020/05/29に行われた面会の記録です。 <録音開始> 袁氏: (若干怯えている様子が確認できる)お……おい、なんだよ、トラが居るんだが。聞いてないぞ、餌にされるなんて。お、おい。 SCP-702-JP: (驚いたような顔をする)嘘だろ。袁さんか? 袁氏: まさか、その声は、和人か?そうなのか?って、おいまさかこの虎がそうとは言わねぇよな?お前ら、コイツをトラに変えやがったのか!? SCP-702-JP: ……袁さん、落ち着いてくれ。そうだ。俺だ。大島だよ。なんでこうなったかは知らないが、どうやらトラになっちまったらしいんだ。 袁氏: じゃ、じゃあここの人たちはお前を治してくれるのか?多分なんかの病気なんだろ? SCP-702-JP: ……いや、たぶん俺はもうずっとこのままだ。病気か、病気なんだろうな。心の病だよ。心がトラになっちまったんだ。こんなになってからもう一か月も経つんだ……。 袁氏: ……。 SCP-702-JP: 本当はこんな姿すら見せたくは無かったんだけどな。いい機会だ。聞いてくれよ。急に辞令が下って、大阪の支店に異動が決まってたんだ。左遷だよ。就職が遅かったから出世できないのは覚悟してた、でもやっぱりどうしようもなく落ち込んでな。借りたアパートの外から歓声が聞こえて、頭が割れそうなほど痛んだんだ。きっと殺意だったんだと思う。あの時、世界のすべてを憎んでた。 袁氏: そうか。 SCP-702-JP: ずっと昔からそうだった。うぬぼれてたんだと思う。いい大学に入れば人生バラ色だと信じてた。あのころはラップで自分が世界を変えられると信じてた。友達は少なかったけど充実してた。袁さん、アンタと一緒にリリック考えられてた頃が懐かしいよ。 袁氏: ……。 SCP-702-JP: 俺は自分が日本一のラッパーだと思ってた。才能が、天賦の才が備わってると思ってた。だから練習も熱心じゃなかった。他の人との交流もしようとしなかった。「交流なんかしなくても」って、孤高の自分に誇りを持っていたんだろう。そんなのは誇りじゃなくて、ただの虚栄心と羞恥心の塊なんだって気づいたときにはもう遅かった。それが俺にとってのトラだったんだな、きっと。 袁氏: そんな……。 SCP-702-JP: 焦りだしたのは親に泣かれてからだった。このままじゃダメだとようやく気付いた。でも俺ももう30代だ。雇ってくれるところは少なくて、あっても安月給のブラックな職場だった。袁さん含めた大学の同期は皆社会に出て輝いてるように見えた。そしてそれと比例してますます俺の心は死んでった。俺よりもバカな上司とそれにゴマする年下の同僚に頭を下げながら、なんで俺だけって思う日々だった。袁さん、俺はアンタ達を見下しながら結局は心の底から羨ましかったんだ。だからこれは俺への罰、自業自得なんだ。 袁氏: 和人、お前、まだラップやってるか? SCP-702-JP: ……もうやめたよ。ただただ苦しいだけだった。 袁氏: ……和人、俺とラップバトルしろ。今のお前の本心を俺にぶつけてこい。(篠崎研究員に振り向く)先生、なんか音楽流してくれ、歌詞ない奴。何でもいいから。 (要求が認められラップ用バックトラックが再生開始される) 袁氏: 俺が先攻だ。胸借りるつもりで来い。 SCP-702-JP: 何のつもりだ。 袁氏: 10年前に、分かれて以来、連絡すらも取れちゃいなかった。 袁氏: それでもお前の成功した未来、俺は信じて疑わなかった。 袁氏: プロを目指してラップ続けて偉大、お前こそ俺の目標だった。 袁氏: 「俺はなるぜNumber one」言いながらいつも食ってたハンバーガー。自信も実力もお前には敵わん。 袁氏: でもそれでも俺は思ってた、全然構わん。いつもそれ聞いて毎回安心。内心羨むが本心から感心。 袁氏: だけど今じゃ、後ろ向きな牙抜けたトラ。そのBig Mouthから出たのはただの腑抜けたホラ。 SCP-702-JP: (数瞬沈黙する) SCP-702-JP: 袁さん、Shut up、アンタに何がわかる、怨嗟に満ちた俺の人生。そうさ夢見てたさ自分の大成。 SCP-702-JP: でも一度もなかった俺への歓声。世界に強制された生き方の修正。 SCP-702-JP: 生きるために俺はこの先どうする、どうしても俺らは貧すれば鈍する。 SCP-702-JP: ラップなんて棄てたさ、生きるためと、でも周りにしてみりゃやっぱ、ダメと SCP-702-JP: ついて回った俺へのスティグマ、俺を苦しめるかつてのカルマ。 SCP-702-JP: こうなったのは袁さん、罰かもしれないが、俺はトラになってある意味救われたのかもな。 袁氏: スティグマ?カルマ?ざけんなよ、Re-超2。今のお前はトラっていうよりガチョウ。 袁氏: 夢棄てて、言い訳探して卑怯。そんなことで良いわけ?かくして妥協。 袁氏: そんなに喚いてみっともないよガーガー。そんなんで猛獣名乗れんのかよTiger。 袁氏: 百獣の王じゃないかもしれんが、ガオーって吠えることぐらいはできるだろうが。 袁氏: 牙も爪も使わずにそのStripeキメたリリック、使ってこいよ俺にStrike決めろAttack。 袁氏: お前のそんな腑抜けたライムじゃ、今の俺に勝てる可能性は皆無じゃん。 SCP-702-JP: そういうアンタこそ、未練たらたらじゃねーか。夢を捨てたことに関してはどっちもどっちじゃねーか? SCP-702-JP: 何をいってるんだか分かんねーよこの馬鹿、本当に俺に強気で説教できる立場か? SCP-702-JP: 確かに俺は失敗した、一人になって、陰に籠って、うずくまってた。 SCP-702-JP: やっぱり昔は踏んでたさ地団駄、でもそっから脱して解決したジレンマ。 SCP-702-JP: 才能なんて無かったんだ自分は、でも平凡なりにやってくつもりだったんだ。 SCP-702-JP: 袁さん、アンタが何したいのか知らないが、もう俺の事はほっといてくれないか。 袁氏: Re-超、お前自身は感じないかもしれないが、俺は感じてるお前からのファイヤー、 袁氏: クールを気取ってるお前が纏ってた何重ものレイヤー、 袁氏: 剥がして本心見せろっつってんだよ、気取ってるライヤー、それでも今でもお前は生粋のラッパー、 袁氏: 口とマイクに命かける世界一のprayer、名前に負けず再びなってみろよSuper。 袁氏: 姿形はトラになってもお前は俺のダチ、頭も要領も悪い俺だけど今の言葉はガチ。 袁氏: だからお前の持てる全身全霊で、最後にぶつけて来い、これ絶対的命令ね。 SCP-702-JP: ……俺は、もう二度とラップなんてやらない、そう決めて封印してたライム、 SCP-702-JP: でもこんな姿になっても気づいたら、体中で踏んでたリズム。 SCP-702-JP: やっぱり俺はラップが好きだった。必要だったのはガス抜きだった。昔は身も心もガキだった、 SCP-702-JP: お前とラップの腕磨きたかった。 likeじゃなくてloveだった。でも俳句みたいってブラフった。 SCP-702-JP: ずっとdoomに沈むのを無視、皆spoon投げた医師、袁さんしてくれ他山の石に。それがアンタに送る唯一の遺志。 SCP-702-JP: 俺が言えた事じゃないが袁さん、誰しもが登ってる13階段。心のトラに打ち克って、必死に夢追いかけて生きろよ。 (音楽を停止する) 袁氏: (笑いながら)腕は落ちてないな、和人。まあ最後はグダグダだったが。 SCP-702-JP: うるせぇ。 袁氏: まあ、観客もいないし今日の所は引き分けってことにしといてやる。延長戦はまた今度だな。 SCP-702-JP: 袁さんも負けず嫌いなところは昔のままだな。こうして二人でラップすると腹が減るのも昔と変わんねぇな…… 袁氏: お、おう。やっぱ、肉食うのか?俺の事も美味しく見えたりするのか? SCP-702-JP: (自嘲するように笑いながら)いや、まだ俺は人間だよ。そうだよな? 袁氏: (笑いながら)いやいや、どう見てもトラだろ、鏡見ろよ。でも、俺の親友で、ラッパーなことは変わらない。大事なのはそれだけだろ? SCP-702-JP: ……そう、袁さんの言うとおりだ。トラになってそんな大事なことも忘れていたんだな俺は。恥ずかしいよ、まったく。 袁氏: 楽しかったな、ラップ。 SCP-702-JP: ……ああ、楽しかった。じゃあな。 袁氏: ああ。 <録音終了> 追記: 袁氏の退室直後にSCP-702-JPは13秒間に渡って吠え続けました。袁氏はクラスB記憶処理が行われた後に解放されました。 補遺2:SCP-702-JPの精神状況はこの面会の後に著しい改善を示したことが確認されています。次回のSCP-702-JPのカウンセリングは2020/06/10に予定されています。 補遺3: 袁氏がアマチュアのMCとして活動し始めたことが確認されました。記憶処理の再実施については保留されています。 Footnotes 1. 関係者には大島氏が交通事故で死亡したとのカバーストーリーの元記憶処理が行われています。 2. 大島氏の所属していたラップサークルでの氏のMCネーム。
scp-703-jp
評価: +67+–x 評価: +67+–x クレジット タイトル: SCP-703-JP – 不法投棄 著者: ©ykamikura 作成年: 2016 この著者の他の記事 評価: +67+–x 評価: +67+–x 南極横断山脈の一部に偽装されたSCP-703-JP-█ アイテム番号: SCP-703-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-703-JP-1~7は山や島に偽装した強化繊維のカバーで覆われ、隣接する南極観測サイト-S1~7によって管理・研究が行われています。 サイトの所在地一帯には、各国政府と諜報局政治工作部によるカバーストーリー「アメリカを中心とする12ヶ国による地下資源の共同開発」が展開され、部外者の立ち入りが禁止されています。 財団の管轄外の人工衛星には、サイバー工作部隊そ-4(”ウラノスの髭”)により映像修正プログラムが仕込まれ、部外者がカバーによる地形の変化に気付くのを防いでいます。 南極観測サイト-S1~7では空間分析システムが24時間体制で稼働し、お互いにリンクすることで南極全域をカバーしています。新たなSCP-703-JPの出現が予測された場合、関係各部署はプロトコル「テラ・ノヴァ作戦」に従い、直ちに隠蔽工作の準備を整えて下さい。 説明: SCP-703-JPは南極大陸各地に存在する、巨大な球形の物体群の総称です。現在までに7個が確認されており、それぞれSCP-703-JP-1~7にナンバリングされています。 直径は、最小のもので約1.52km、最大のものでは約3.20kmに及びます。サンプルを分析した結果、組成物質は極めて純度の高い氷と判明、融点や硬度等の物理性質も通常の氷と差異はありませんでした。 南極大陸各地で不定期に発生する、SCP-703-JP出現イベントにより出現したことが確認されています。目撃者はおおむね「空に現れた巨大な黒い渦巻きから、SCP-703-JPがゆっくりと降下してくる」といった旨の証言しており、空間分析システムによる分析の結果、ワームホールとの相似が指摘されています。渦巻き内部を観測する試みは、投入と同時にドローンが破損するため成功していません。 SCP-703-JPの内部には、1~7ごとにそれぞれ異なる静止画像が浮かんでいます。いずれも地球上の光景と推測されていますが、地球や人類に対する危機的事象が発生している点が共通しています。空間分析システムによる分析の結果、内部に密度の変化および強い空間歪曲が見られることから、これらは単なる2次元上の画像ではなく、内部に存在する閉鎖空間の光景であると推測されています。 SCP-703-JP-1~7簡易説明: 内部の映像元データは各担当サイトおよび中央資料室██-███区画に保管   SCP-703-JP-1 担当: 南極観測サイト-S1   位置: ヴィクトリアランド、ベアードモア氷河南東、██°█’ ██” S, ██°██’██” W   直径: 約1.52km   出現イベント発生日時: 191█/██/██   内部の映像: 中世のパリと推測される光景。至る所に死体が放置され、その合間をネズミが走り回っている。死因は皮膚の黒い痕から、ペストと推測される。   付記: 最初の出現例。スコット探検隊1がSCP-703-JP-1出現イベントを目撃したことにより発見。当時の財団は記憶処理技術が発達していなかったため、やむなく[削除済]表向きには、スコットを含む本隊5名が遭難により死亡したとして処理されました。 SCP-703-JP-2 担当: 南極観測サイト-S2   位置: アデリーランド、アデリー海岸沿い、██°█’ ██” S, ██°██’██” W   直径: 約1.96km   出現イベント発生日時: 194█/█/██   内部の映像: 第2次大戦期のロンドンと推測される光景。バッキンガム宮殿前をナチスの軍隊が行進している。街の至る所にハーケンクロイツの旗が揺らめき、人々が巨大なヒトラーの肖像画に向かって敬礼している。 SCP-703-JP-3 担当: 南極観測サイト-S3   位置: エルスワースランド、ビンソンマッシーフ山付近、██°█’ ██” S, ██°██’██” W   直径: 約2.32km   出現イベント発生日時: 197█/██/█   内部の映像: 冷戦時代のニューヨークと推測される光景。ブルックリンを中心に巨大なきのこ雲が発生し、街並みが爆風で破壊されている。上空には、大陸間弾道ミサイルと推測される物体が複数飛び交っている。 SCP-703-JP-4 担当: 南極観測サイト-S4   位置: エンダービーランド、アムンゼン湾内、██°█’ ██” S, ██°██’██” W   直径: 約3.20km   出現イベント発生日時: 199█/██/██   内部の映像: 1999年7月の東京と推測される(画像中の新聞を分析して判明)の光景。上空に巨大な隕石が浮かんでおり、人々がパニックに陥っている。映像分析の結果、隕石の直径は約20kmで地球へ向かっていることが判明。   付記: 現時点での最大サイズ。湾内に水没しているため島に偽装。 SCP-703-JP-5 担当: 南極観測サイト-S5   位置: クイーンエリザベスランド、フィルヒナー・ロンネ棚氷東、██°█’ ██” S, ██°██’██” W   直径: 約2.28km   出現イベント発生日時: 200█/██/██   内部の映像: 2000年以降のオセアニアの何処かと推測される光景。海から巨大な物体が現れ、その余波で起きた津波が島々を飲み込んでいる。物体は甲虫の外骨格のような質感で、節のような構造が見られることから、何らかの生物である可能性が示唆されている。 SCP-703-JP-6 担当: 南極観測サイト-S6   位置: グレアムランド、ジョインビル諸島、██°█’ ██” S, ██°██’██” W   直径: 約2.71km   出現イベント発生日時: 201█/██/█   内部の映像: 2000年以降の何処かの都市と推測される光景。上空に直径約22kmに及ぶ円盤状の構造体が浮かび、中央に開いた穴から自身のミニチュアのような構造体を多数排出している。ミニチュアは原理不明の光条を射出して都市を破壊し、人々を虐殺している。 SCP-703-JP-7 担当: 南極観測サイト-S7   位置: マリーバードランド、ロックフェラー海岸北東、██°█’ ██” S, ██°██’██” W   直径: 約2.2km   出現イベント発生日時: 201█/██/██   内部の映像: 2~3万年前の地球と推測される光景(植物相からの推測)。積乱雲から雷が雨のように降り注ぎ、石器や毛皮を身に付けた原始人が逃げ惑っている。雲の中に巨大な蛇のような実体が見えるが、詳細は分析中。   付記: 蛇のような実体の背に、人間に近い形の実体が存在することが確認されました。   補遺1: SCP-703-JP、および出現イベントついては、「未知の原理が働いているものの自然現象である」という説と、「何者かの干渉による作為的なものである」という説の両面から研究が進められています。なお、後者の説を支持している██████博士(南極観測サイト-S3研究主任)を中心としたグループは、"何者か"の行動原理を「地球や人類にとって有害な事象をSCP-703-JP内部の閉鎖空間に封じて、南極大陸に投棄しているのではないか」と推測しています。 補遺2: SCP-703-JPを覆う氷を穿孔し、内部の閉鎖空間を調査する実験が申請されましたが、南極サイト統括部の████管理官は可否を保留中です。 ※2016/██/██、緊急追加編集: 閲覧資格セキュリティクリアランス4以上、または南極サイト統括部の許可コード セキュリティコードを確認中…………。南極サイト統括部のメインサーバにアクセス中…………。コードの照合が完了しました。SCP-703-JP-Report-Additionを展開します。 2016/██/██、空間分析システムのリンク施設を建造中、南極点付近(█°█’ ██” S, ██°██’██” W)の氷床下から未確認のSCP-703-JPが発見されました(以下、SCP-703-JP-0)。直径は約5kmで、SCP-703-JP-4を上回りこれまでの最大サイズです。 内部画像は、猛烈な吹雪に覆われ、凍りついた都市と推測される光景です。巨大な建造物群や、リニアモーターカーによる交通網、遠景に軌道エレベーター2と推測される影が見られることから、未来に属する可能性が示唆されています。 SCP-703-JP-0の3Dイメージ SCP-703-JP-0には、上部を中心に熱によって溶解・蒸発したと推測される痕跡が見られ、付近から平均0.20Hm、最低で0.14Hmという極めて低いヒューム値が検出されています。 周辺地形の分析の結果、SCP-703-JP-0の出現イベントは約████万年前に発生したと推測され、これはかつて温暖であった南極大陸が寒冷化し始めた時期と一致しています。 これらのデータの関係性は断言できないものの、南極の寒冷化はSCP-703-JP-0の破損が原因であり、他のSCP-703-JPの破損にも、内部画像に即した大規模な現実改変を起こす可能性があるというのが研究班の見解です。 ████管理官よりO5評議会へ、SCP-703-JPの破損はAK-クラス世界終焉シナリオ、CK-クラス再構築シナリオ、SK-クラス支配シフトシナリオ、およびこれらの複合ケースを引き起こす恐れがあるとして、オブジェクトクラスの変更が申請されました。 追記: 申請は受理されました。2016/██/██をもって当事案のオブジェクトクラスはKeterへと変更、合わせて特別収容プロトコルの改訂が行われます。内容は審議中ですが、オブジェクトの破損を伴う実験の禁止、スクラントン現実錨による現実改変の防止体制、地球温暖化への対策などが追加される予定です。 脚注 1. 英国軍人ロバート・ファルコン・スコットを隊長とする南極探検隊。史実では1912年に南極点到達を果たすが、帰途遭難し、スコットを含む本隊5名が死亡した。 2. 惑星などの表面から静止軌道上まで伸びる軌道を持つエレベーター。「宇宙エレベーター」とも呼ばれる。
scp-704-jp
評価: +71+–x 失踪直前に撮影されていたSCP-704-JP-1の写真。 アイテム番号: SCP-704-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-704-JPは、存在する███山を封鎖し、当該地域へのサイト-81██の建設により周辺住民の接近を防いでいます。SCP-704-JPの存在する洞窟内壁面には定間隔でCCDカメラが設置され、変化の有無を常に記録しています。SCP-704-JP自体の監視にはDクラス職員を使用し、定期的な巡回と監視、必要以上の加虐性を刺激しないよう進入毎の記憶処理を実行してください。また、仮に一般市民の進入があった場合、外部より何らかの対話が可能であればアトラクション及びノルマのクリアを完全に実行させるよう指示、対話が不可能な地点にある場合はセキュリティレベル2以上の職員が進入し同行して脱出、その後、Aクラス以上の記憶処理を施して解放してください。 説明: SCP-704-JPは、██県██市、███山に存在する洞窟内にて発見された、███████████を模したと見られるテーマパークです。洞窟外の岩壁に"████ひーたのりぞーと!"の記載が認められました。また、洞窟外と内部の空間面積は一致しておらず、なんらかの手段により同テーマパークと等しいサイズに広げられており、微細なヒューム値変動の残寧から、なんらかの現実改変能力による内部空間の書き換えが行われたものとみられています。 SCP-704-JPは███████████を精巧に再現していますが、全てのキャラクター、シンボル、あらゆるモチーフが、19██年、██/██に██県██市にて行方不明になっている児童、████(以降SCP-704-JP-1とする)の容姿に置き換えられています。また、SCP-704-JP内に存在する全てのSCP-704-JP-1個体は外部への連れ出しを行おうとすると即座に消失する為、同園内でのDNA鑑定を行った結果、これらは完全に同一のDNAを持った一般的な人間と変わらない存在であることが判明していますが、助けを求める以外の発言をほとんど行いません。なお、SCP-704-JP-1はほぼ全ての実体において、稚拙な罵言1が記された紙(コピー用紙や藁半紙、ノートの切れ端と見られるもの)が体の一部に添付されています。 前述の通り、SCP-704-JPにおける全てのアトラクションや販売物、存在するスタッフからデザインの意匠に至るまで同███████████に存在するものをほぼ完全に再現していますが、SCP-704-JP園内に展開されているアトラクションの内容は一部かその全てが変更されています2。その途上において確実にSCP-704-JP-1が何らかの手段により殺害されますが、参加者に対してもその殺害に加担することが強要されます。 これを拒否した場合、参加者は入出園ゲート、及び物理的に脱出できうる空間に発生する不可視の障壁により即座にSCP-704-JP内に閉じ込められます。これを突破する手段は現状判明しておらず、SCP-704-JPアトラクションの観覧及び参加を経て提示されるSCP-704-JP-1殺害ノルマを達成した場合にのみ脱出が可能となります。ノルマは大きく前後しますが、平均して██人前後の殺害が求められます。二名以上の人数で進入した場合でも、それぞれに指示される内容は同じです。 SCP-704-JP内へ進入した場合、前後してほぼ確実にこの案内を受けるため、これを回避する術はありません。無人機器での進入も試みられましたが、同洞窟内においてSCP-704-JPの顕現が確認されず、有人での探査しか実行できませんでした。同園内の撮影自体はDクラス職員に装着させたウェアラブルカメラにより成功しています。 SCP-704-JP内における全てのSCP-704-JP-1は、同SCP-704-JP内にアトラクションへ参加、及び付近に接近する人間が存在しない限り完全に停止していることが確認されており、どのように殺害されたとしても不明な手段により復元、あるいは補充されています。SCP-704-JP-1は観測外、あるいは進入不可能なエリアからの補充が為されているとされ、入出場を阻害する障壁と同様に進入不可領域への進入は成功していません。現時点で観測された危険はありませんが、アトラクションへの過度な参加による無意味な実験、殺傷行為は禁止されています。 以下は、SCP-704-JPへの進入記録と、幾つかのアトラクション内容の抜粋です。 SCP-704-JP内進入記録004: 調査日時: 2015/07/24 調査者: D-704-JP-1 進入対象: SCP-704-JP D-704-JP-1: 入った。聞いてた通り、全部ガキの顔になってやがるな。気色悪ィ。 ██研究員: 行動順序は説明したな。決して躊躇わず、言われたようにすること。 D-704-JP-1: わかってるよ。このガキを皆殺しにすりゃいいんだろ。 ██研究員: アトラクションの中だけだ。 SCP-704-JP-1: ひーたの█████らんどへようこそ! 素敵なお兄さん、今日はゆっくり楽しんでいってね! D-704-JP-1: うげ。話しかけてきたぞ。 ██研究員: 無視しろ。 SCP-704-JP-1: ひーたの█████らんどへようこそ! 素敵なお兄さん。(突如苦悶の表情を浮かべ大量の涙を流す)助けて。 D-704-JP-1: なんで泣きながら笑ってやがるんだこいつは。鬱陶しい。にーちゃんよ、殴ってもいいか? ██研究員: 無視しろ。アトラクションに入ったら指示の通りにするだけだ。 D-704-JP-1: (舌打ち)わかったよ。 D-704-JP-1がアトラクションへ入る。アトラクション名は"ひーたのアストロブラスター"と記載されている。 SCP-704-JP-1: たくさん撃ってたくさんやっつけよう! D-704-JP-1: アホみてぇなデザインのアトラクションに連れて来られた。なんだこれ、銃? (連続する奇妙なサウンドが続く) ははっ面白れぇ。 ██研究員: おい、勝手な行動は。 D-704-JP-1: 良いじゃねぇか。どうせ殺すのが目的なんだろ。幾ら殺したってかまわねぇってんなら……やりぃ50点! ██研究員: それ以上勝手な行動をするなら即終了とするが、構わないか。 D-704-JP-1: (10秒の沈黙と、発砲音と見られる奇妙な音、ファンファーレ)へいへい、わかったよ。もうノルマ達成だと。 SCP-704-JP-1: また遊びに来てね! 僕はいつでも待ってるよ! (聞き取り不能な嗚咽) ██研究員: 何か妙なものはなかったか。 D-704-JP-1: ねえよ。あーあ、せっかく良い気分になってたのによ。 ██研究員: よし。戻ってこい。 <ログ終了> SCP-704-JP アトラクション内容抜粋記録 記録日時 参加者 指示内容 結果 20██/██/██ D-704-JP-1 園内スピーカーより「アトラクションに隠れてるひーたくんを見つけてやっつけてね! いっぱいいるよ!」とアナウンスが流れる。 27名の殺害後、「ブブー! 時間切れ! また今度参加してね。もっとやっつけてってもいいよ!」と音声の出力後、全SCP-704-JP-1個体の積極的な動作が停止。アトラクションに参加すると、平時通りSCP-704-JP-1の殺害が行われた。 20██/██/██ D-704-JP-1 「ひーたの海賊」への搭乗後、本来展開される録音音声ではなくSCP-704-JP-1の声色にて「武器を使って隠れてるひーたをやっつけよう! どこにいるかな? 探してみよう!」とアナウンスが流れる。 悲鳴を上げ水中を逃げるSCP-704-JP-1が不明の光源によりライトアップされ、銛による投擲、刺突の指示が為された。命中部位によっては、SCP-704-JP-1の爆発も確認されている。アトラクション終了後、「目標達成! 大変よくできました!」の案内後にファンファーレが鳴り響いた。この後、D-704-JP-1は問題なく脱出に成功している。 20██/██/██ D-704-JP-2 当初は指示通りに探索を進行させていたが、途中より指示を無視。 遠心力でSCP-704-JP-1を殺害する「ひーたのストームライダー」の終了後、唐突にSCP-704-JP-1を追い掛け回し始め[編集済]を行って回った。アナウンスは特に流れず、ノルマ達成のファンファーレ等も無かったが、D-704-JP-2は問題なく解放されている。なお、指示を無視した為、自発的に脱出してきたD-704-JP-2はSCP-███-JPの実験に流用。終了済。 20██/██/██ エージェント・██ アナウンスに指示された通りの行動を取るよう命令。 問題なく██名のSCP-704-JP-1を殺害し、脱出。指示されたノルマを達成した際、ファンファーレのみが流れた。エージェントより、アナウンスに時折ひそひそとした子供の声が流れていたとの証言があるが、記録機器には何も残っていなかった。音量が小さかったため、エージェント自身も内容の聞き取りには失敗している。 20██/██/██ エージェント・██、及び██研究員 アナウンスを無視し、園内の正確な測量と、進入可能なアトラクション以外の施設が無いかを探索。 配電室、及び地下通路への通用口は███████████と同様の位置に存在していたが、施錠されており通行は不可能だった。なお、園内設備に対する攻撃の一切は功を奏していない。ノルマ達成後、速やかに脱出。 補遺: 20██/██/██時点まで進入不可能であったSCP-704-JP内配電室の施錠が解かれており、進入に成功しました。内部には意図不明な大量の落書きや、園内アトラクション、SCP-704-JP-1をイメージしたと見られるイラスト等が大量に書き記されており、電源を落とす各部レバー付近に対しそれぞれ「もう」「やっつけ」「ない?」「なら」「かけたい」「あきた」「ので」「なんで?」「つまんない」「(判読不能)」「よい」「ので」「いい」「から」「でんき」「きっても」「いいよ」等と刻み込まれていました。電源切断によるSCP-704-JPのNeutralized化の可能性も予想されていますが、実行の検討は現在もされていません。 Footnotes 1. 「やくたたず」「まぬけ」「のろま」「にがした」「ばーか」「しね」等。 2. 園内マスコットの首から上のみがSCP-704-JP-1の頭部と挿げ替えられており、身長幅と体格が一致せず不釣り合いなものになっている。
scp-705-jp
評価: +16+–x アイテム番号: SCP-705-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-705-JPはサイト-81██の三層に分けられた生物収容室の第三層に現在███匹収容されています。収容室には財団指定の防疫服を着用後に入室してください。退室時には第二層目に備え付けられた液槽に8分間浸かり、付着しているSCP-705-JPを窒息死させて下さい。収容室に毛皮製品を持ち込むことは許可がない限り禁止されています。実験を行った後には使用した毛皮製品を必ず燃却して下さい。SCP-705-JPが第一層目まで脱走した際には、そのSCP-705-JP群に対して燃却処理プロトコルを開始して下さい。 外部でSCP-705-JPが発見された場合には当地に燃却部隊が送られます。燃却部隊がSCP-705-JPの処理を終えた後、現場は後述の「再出現」のため、監視されます。実際に再出現が発生した場合には目撃者にはBクラス記憶処理が行われ、現れた実体は近隣のサイトに送られます。 説明: SCP-705-JPは異常な飢餓・薬剤耐性を持つコロモジラミ(Pediculus humanus corporis)です。通常は他の異常性を示しませんが、毛皮製品に寄生した場合にさらなる異常性を発現します。SCP-705-JPに寄生された毛皮製品は人間に使用された場合にその人間(以下被験者)を消失させます。後に大多数の被験者は消失から最短49分、最長█ヶ月間の期間を経て消失地点に再出現します。 帰還した被験者の内、87%には全員、以下の項目全てが認められます。 頭部への複数回の打撲痕 項周辺の切創 首への極度の圧迫痕 声帯と両腕の切除等の外科的な手術痕 PTSD等に該当する心的外傷 下の2つが主な原因となり、これらの被験者へのインタビューの試みは成功していません。 残り13%はSCP-705-JP-Aへと変質しています。SCP-705-JP-Aは被験者と同一の個体で、消失中の記憶を保持していません。それにも関わらず、SCP-705-JP-Aは共通して毛皮製品は非人道的で使用されるべきではないという認識を持ち、毛皮に関連した話題が出てきた際に極端な言動と行動の変化が観察されます。 その変化からSCP-705-JP-Aは毛皮製品を使用することを嫌悪し始め、毛皮製品使用への批判・不買運動、さらには反毛皮団体への入団又はその創設を行います。この行動は過激化していき、最終的に毛皮関連企業に対しての銃撃・爆撃・██等の武力行為に発展します。 この行動について、SCP-705-JP-Aへの尋問では、「動物がかわいそうだから」「やらなくてはいけない」「義務なのだ」、等と回答します。なぜやる必要があるか、何から課された義務なのか、という質問に対して明瞭に答えられる個体はいませんでした。 また、SCP-705-JP-Aが接触した毛皮製品の表面にはSCP-705-JPが約███匹出現します。この性質から、現在確認されているSCP-705-JP-Aは全て拘束されています。 消失後、再出現していない被験者は本稿執筆時点である現在まで消息が判明していません。 補遺1: SCP-705-JP-Aへの検査の結果、数種の向精神薬と未知の薬剤、並びに財団において旧世代に使用された█クラス記憶処理薬1が投与されていたことが判明しました。 このことから、SCP-705-JP-Aに対して坑█クラス記憶処理薬を投与することで消失現象中の出来事の解明を行うことが提案、承認されました。 + インタビュー記録705-JP-8 - テキストを隠す 対象: SCP-705-JP-A-4 付記: SCP-705-JP-A-4は元財団のエージェントであり、SCP-705-JPの初期収容に携わった際にオブジェクトの特性により消失。再出現後にSCP-705-JP-Aに認定され、拘束状態にあります。 <録画開始> [投薬後、下を向いて座り続けているSCP-705-JP-A-4] [室内に研究員と警備員が入室する] 研究員: 気分はどうですか、SCP-705-JP-A-4。 SCP-705-JP-A-4: [ゆっくりと頭を上げる]最悪の気分だ、あんたらが俺の記憶を掘り返しやがったからな。 研究員: 今回はその記憶について伺いたいと思います。 SCP-705-JP-A-4: そうでなければ、思い出させなかっただろうな[10秒間の沈黙]分かった。聞けば、俺が何で最悪の気分なのか分かる筈だ。 研究員: ご協力ありがとうございます。貴方は消失現象中に何を経験しましたか? SCP-705-JP-A-4: 最初に見たのは檻と人、俺は大型の檻の内側で数人の奴らと一緒に入れられてて左右にも檻がああって中身も似たような感じだった。奴ら全裸で、それを見て俺も裸だって気がついた。 研究員: 檻の外はどうなってましたか? SCP-705-JP-A-4: 何メートルも下に土があって、周りには明らかに人間用の大きさでじゃない巨大な工場の建物がみえて、それで野外に檻があるんだろうかって、思った。 研究員: それから何がありましたか? SCP-705-JP-A-4: 最初は、最初は閉じ込められてる以外には何もなかった。水は檻の上から下ろされた飲み口から飲んで、食料はあの、俺の身長2はある手を持った巨大な人のような奴が、檻の横の口にペットフードのような成形物を入れていてた。トイレは無くて、檻の中に残すのは気味が悪すぎだからって、みんなで網目から檻の外に向けてやってた。一度、そのペットフードを入れてる奴が覗き込んできたことがあったが[3秒間の沈黙]顔に何もない、顔無しだったよ。その監禁が3日続いたくらいだったか、檻から数日ごとに人が文字通り摘みだされて出されるようになった。出された奴が一体どうなるのか分からなかったが、それが10回は繰り返された頃にある事が起きて、分かった。 研究員: ある事とは? SCP-705-JP-A-4: 檻の下、目の前に男が連れてこられた。そいつは俺たちより大きくて、顔無し野郎のサイズと比べるとキツネみたいだったが、普通の人間だった。引きづられて目の前に来るまで足をじたばたさせて、叫んでた。あの顔無し野郎は俺たちの前にそいつを放り出した後、その男に巨大な棍棒を振りかざし始めた。男は叩くごとに呻き声を上げて、ゴロリと地面に転がった。それで、そいつの首の辺りに足を置いて窒息させて、男を全く動かない、静かな状態にした後に、[呻き声を出す]あの、野郎は[編集済] SCP-705-JP-A-4: もう、長い期間檻の中で、俺も含めて全員消耗してた。それでおかしくなってる奴らが出始めてた頃だったから、皆糸が切れるように壊れた。一人は断続的に叫び、一人は隅でぶつぶつ呟くようになった。俺自身も何日も呆然としたままだった。ただ、これはマシな方で右隣の檻の奴なんか、[罵倒]、仲間を生で食べるぐらいイカれてた。俺がこいつの檻でなかったことだけは感謝だ。それからずっと、呆けたまま気狂い共の叫びや血の匂いやらを嗅いだり聞いたりしなきゃいけなかった。最悪だったが、あれがあったから、ある時、真実に気がつけた。そう、毛皮だ。 研究員: 真実とは何でしょうか?毛皮とは? SCP-705-JP-A-4: [無表情になり、真っ直ぐ研究員を見つめはじめる]あそこは、屠殺工場だ。私たちは家畜であった。檻の中で毎日餌を出され生かされ、時がきたら[編集済]される。私たちから取られた[編集済]は道具に使われる事となる。 SCP-705-JP-A-4: [目を逸らす]それが分かって、すぐ、すぐ俺は謝った。目を瞑って、手をすり合わせて、動物をもう悪く扱わない、だから許してくれと。それで、目を開けたら突然何処かの地下室のような部屋の中で首を固定されて、椅子に縛られていた。次に後ろから「お前は許されたが、義務を負う」と、変声機で変えたような高声で言われた。何者だったかは分からなかったが、話すだけでもあの化け物ではなかったんだと思う。それからは椅子に固定されたまま、薬剤をしこたま打たれたり「教育」とやらで目の前にスクリーンを出されて変な音や絵の鑑賞会をさせられた。思えばあれは情報災害の一種だったんだろうな。その後はただ、瞬きもしない内にあの場所に返されただけだ。 研究員: ありがとうございました、SCP-705-JP-A-4。1つ質問があります SCP-705-JP-A-4: なんだ? 研究員: あの毛皮製品に接触した、SCP-705-JP-Aと通常の帰還者、未帰還者の違いは一体何処にあると思いますか? SCP-705-JP-A-4: [先ほどと同様、研究員を真っ直ぐ見つめ出す]いつ悟る事ができたのかの、タイミングだ。 研究員: タイミング? SCP-705-JP-A-4: いつ懺悔できたかが重要だ。開放された者は、たとえ[編集済]される寸前でも真実を悟り謝罪した。帰還できなかった者は、悟る前に愚かな囚人に命を絶たれたか、製品が剥がれる苦悶の時になり、遂に悟る事となった。私は疾く謝罪し、許された。だから義務を、義務を果たさなければ SCP-705-JP-A-4: [研究員の首に掛けられたカードキーを抜き去ろうとしたところを警備員に取り抑えられる] <録画終了> 終了報告書: このインタビューで、消失現象に異常な技術を有する団体が関与している可能性が示されました。今回判明した消失中の状況は85%の被験者の外傷と合致し、再出現の条件から未帰還者は全員死亡しているものと推測されます。 補遺2: 記録調査の結果、19██年1█月█日、█クラス記憶処理薬を含めた医療品がサイト-██への輸送中に「動植物の解放戦線」を名乗る団体に強奪されていたことが判明しました。 現在、「動植物の解放戦線」についての調査が進行中です。 Footnotes 1. 財団で191█~19██年に使用されていた主にエピソード記憶に作用する記憶処理薬。現在は坑█クラス記憶処理薬が開発されている。 2. SCP-705-JP-A-4の身長は174.5cmと記録されている。
scp-706-jp
評価: +157+–x 評価: +157+–x クレジット タイトル: SCP-706-JP - Curiosity Kill The Sloth? 著者: ©︎kyougoku08 作成年: 2017 評価: +157+–x 評価: +157+–x 発見当時のSCP-706-JP アイテム番号: SCP-706-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-706-JPはSCP-706-JP専用ユニットにおいて一般的生物オブジェクトと同様の収容を行ってください。ユニット内にはクリアランス3以上の研究員から許可されない限り、一切の物品の持ち込みを禁止します。ユニット内は6時間ごとに800℃以上の高温状態におき、SCP-706-JPの殺害を行ってください。この条件が満たされない場合、保全部隊によって即時SCP-706-JPの殺害を行ってください。 説明: SCP-706-JPは、雌のノドチャミユビナマケモノ(Bradypus variegatus)です。生物的条件の一切は、後述の異常性を除き、通常のノドチャミユビナマケモノと差異は認められていません。 SCP-706-JPは同種の個体と比較して非常に高い好奇心を持ち合わせています。SCP-706-JPは初めて見る物品に対し、非常に機敏な動作で接近し、多くの場合その使用方法を理解することに専念します。使用方法の理解にはおおよそ8–48時間を要し、使用方法を把握するまで食事を含む一切の生理的行為を行いません。 SCP-706-JPが物品の使用方法を理解する1と、誤った使用法で物品を使用、あるいは誤った使用法に遭遇します。その使用は現在時点で全てがSCP-706-JPの死亡に繋がる事件を引き起こす結果に終わりました。SCP-706-JPが明確な知性、あるいは自死願望を持ち合わせているかは不明です。 SCP-706-JPは死亡後、約1時間後に死亡した箇所の周囲1m以内に再出現します。再出現した個体はDNA検査の結果、死亡したSCP-706-JPと同一個体であることが判明しています。この現象はSCP-706-JPが自死した場合に限定されません。また、SCP-706-JP個体の死体は、死亡後、約1時間程度で消滅します。 以下はSCP-706-JPの死亡記録です。 日付: 20██/██/03 担当者: ██博士 物品: ボールペン 推測される理解内容: 約8時間後、筆記をするものであると理解 死亡理由: ペンを投擲していたところ、誤ってペン先を眼球に突き立て死亡 日付: 20██/██/08 担当者: ██博士 物品: ゴムボール 推測される理解内容: 約8時間後、球技に使用されるものであると理解 死亡理由: 爪を刺し、破裂させたゴムボールを飲み込んだことによる窒息死 日付: 20██/██/12 担当者: ██博士 物品: 黒色火薬 推測される理解内容: 約18時間後、摩擦熱による燃焼を確認、発火を引き起こすものであると理解 死亡理由: 火薬を大量に摂取したことによる中毒死 日付: 20██/██/21 担当者: ██博士 物品: ギター 推測される理解内容: 約31時間後、爪を用い、簡単なリズムを奏でる。楽器であると理解 死亡理由: 切れた弦を用いた窒息死 メモ: 音楽、というものに対する理解は済んでいるようだ。原始音楽の発生研究に貢献できるかもしれないな 日付: 20██/██/02 担当者: ██博士 物品: 収容ユニット2 推測される理解内容: 約40時間後、自分の存在する場所が何らかの収容室であると理解 死亡理由: 近接していた一般的生物オブジェクトユニットにおいて、SCP-███-JPの新たな異常性が発現。それに伴った収容違反に巻き込まれ死亡。この事例により█名の職員が死亡。█体のオブジェクトが破壊、█体のオブジェクトによる収容違反が発生した メモ: このオブジェクト自体が引き起こした事象でなくとも、強制的に殺されるらしいな。気の毒に思えなくもない。実験を行う場合は隔離した場所で行う必要がありそうだ 日付: 20██/██/09 担当者: ██博士 物品: 不明3 推測される理解内容: 不明 死亡理由: [編集済み]。また、この事案に伴い、サイト内に存在していた██博士を含む職員█名全員が行方不明、あるいは消失した。サイト内は現在非ユークリッド空間の発生、時空間の異常膨張、あるいは収縮が発生していると推測され、封鎖されている。また、SCP-706-JPのみ事案発生から約22時間後に発見された。この事案を以て、SCP-706-JPに対する実験は凍結され、現在の特別収容プロトコルが制定された。 メモ: オブジェクトが何を理解したのかは分かりません。一つだけ分かると言えるならば、このオブジェクトの好奇心が死に及んだ場合、そしてそれを理解した場合の状況が判明しない限り、我々は殺し続けるしかないということでしょう。猫ならばともかく、ナマケモノの魂がどれだけストックされているのかは知りませんが - 北畠研究員 Footnotes 1. 実験の結果から、物品に対し一般的な使用法を行った時点で理解したと定義する 2. 物品を用意しない一般的生物オブジェクトユニットに収容し、経過を確認していた 3. 前回の実験を考慮し、隔離された特別サイトにおいて実験が行われた
scp-707-jp
評価: +37+–x アイテム番号: SCP-707-JP   オブジェクトクラス: Safe   特別収容プロトコル: SCP-707-JPが存在する403号室は、現在財団が借用しています。403号室内への部外者による侵入を阻止するため、外部へ繋がる窓は全て強化ガラスに交換し、封鎖して下さい。玄関は財団製のオートロックとアナログキーによる二重ロックを設置し、常に施錠された状態で管理されます。   説明: SCP-707-JPは██県███市に建設されている█████マンションの4階、403号室で発生する異常現象です。SCP-707-JPが発生する部屋の間取りは1LDK(約25平方メートル)で他マンションの内装と同等ですが、浴槽やトイレなどの壁が全て破壊されており、個室や壁が存在しない1つの空間へ変化しています。室内の最深部であるリビングの壁際には経年劣化と汚染が認められる椅子が1脚存在しているものの、照明器具をはじめとした家具全てが破壊されています。左記の物理的破損は、SCP-707-JPの異常性により破壊されたものであると推測されています。   SCP-707-JPは403号内に生物が侵入すると異常性が発生し、進入者が内部へ進行するごとに段階的に影響力が増加します。 403号室唯一の出入り口である玄関付近では、個人差があるものの圧迫感を自覚する程度に終わり、容易に脱出することが可能です。 玄関から約2~3m進んだ位置に到達すると、進行者の肉体に物理的な影響が現われます。進入者は身体動作が緩慢となり進行に支障を来すようになります。この時点で進入者は玄関側へ戻ることが不可能となり、外部による援助活動は無意味な結果に終わりました。 約5~6m進むと進行者の肉体に、打撲や骨折を初めとした負傷が発生します。特に影響を受けやすいのは四肢の末端部分と全身の関節部位で、内部進行、または時間経過により負傷箇所が増大・重症化していきます。特筆すべき点として、肉体の負傷は進行者の脚部や股関節に致命的な負傷を発生させますが、進行者には一切転倒は認められないことです。 約7m付近で進行者は、自身の意思や肉体の負傷に関係なく未知の力で最深部へと進行し、全身をあらゆる方向から圧縮され死亡します。   SCP-707-JP内で発生するこれら物理的損害は、室内に不可視の物体が存在していることで発生するものであると推測されています。707-JP研究チームは室内に存在する不可視の存在を証明すべく、サーモグラフィーや暗視カメラを用いて室内の観測を行いましたが、403号室内に生体反応が検知されたことはありませんでした。財団標準耐圧スーツを装備した状態なら最深部へ進行することが可能ですが、退出が不可能であることに留意して下さい(詳細は調査記録-3を参照)。   +調査記録 -調査記録 調査記録-1   調査目的: 無人ドローンによる玄関と窓からの進行。   結果: 玄関から進入ドローンは3m付近で不可視の障壁に遮られ、それ以上進行することが出来なかった。窓から進入した場合、約10cm入室したところで破壊された。   調査記録-2   被験者: D-622   調査目的: 403号室にDクラスを投入し、室内の調査を行う。   結果: 5m付近で全身の骨折が発生、未知の力で進行する様子が確認された。8m付近で頭蓋骨陥没により終了。 調査記録-3   被験者: D-985(通信機器・小型カメラ・ライトを装着。圧壊による終了を回避するため、財団標準耐圧スーツと命綱を装備させている)。   調査目的: 最深部の到達と帰還。 <録画開始>   イトクリ博士: それでは実験を始めます。D-985、室内への進入を開始して下さい。異変や違和感を覚えたら、その都度報告するように。   D-985: はい、わかりました。いま玄関ですが……何だか圧迫感があります。目の前に何かがあるわけではないのに、精神的に進みづらいです。威圧感に似たものを覚えました。   イトクリ博士: 体に支障はありませんね? 進行して下さい。   D-985: [数分間の沈黙]玄関から3mぐらい進みました。身体が重たく、動かしにくい。すごく狭い道を進んでいるみたいです。中は非常に荒れています。台風でも通ったみたいだ。   イトクリ博士: 室内の細かい様子を報告して下さい。   D-985: ……天井の照明器具が落ちて、そこら辺に蛍光灯の破片が散らばってます。腐った物が乗った大きな皿と、折り紙を縦に細く切って、わっかにして繋げたヒモがあります。パーティによく作られる奴ですね。あとは……子供用の赤い着物と、プレゼントが入っているのかな、派手な包装紙の箱があります。全部、ぐちゃぐちゃになっています。   イトクリ博士: 他に何か気がついたことはありませんか?   D-985: ……廊下を過ぎたあたりから、背中が押されている感覚があり、段々押す力が強くなっているようです。他には、ゴーグルに水滴が付くようになりました。この部屋はサウナみたいに蒸し暑いんじゃないかな。それと、これはスーツ越しでも分かるのですが、周りが柔らかいです。   イトクリ博士: 柔らかい?   D-985: ええ、柔らかい。だけど、手で押すと強い力で押し返してきます。弾力性がある。前にも後ろにも、みっちり。正直すごく気持ち悪いです。   イトクリ博士: 我慢して進んで下さい。   [壁際の椅子付近に到達するまで特筆すべき事項がないため、省略。]   D-985: 部屋の奥に来ました。凄く動きづらい……ハァッ、狭くて苦しい。酸欠で眩暈がします。……あ、3mぐらい進んだところに椅子があります。この椅子だけは壊れていません。奇妙ですね。   イトクリ博士: 椅子を調べて下さい。   D-985: [数分間の沈黙]椅子につきました。ハァ、ふう……ん? 何か、椅子の周りだけ弾力を感じません。見えない壁から抜けたのかも。楽になりました。えっと、椅子は座るところに黒いシミがあって、汚れているようです。コーヒーでもこぼしたのでしょうか?   [椅子のシミは、後の映像解析により腐食痕と推測された。]   D-985: 椅子の後ろに壁があって、「███ちゃん 7さいのおたんじょうび おめでとう!」とメッセージカードがあります。……ちょっと休憩、椅子に座っていいですか? ここしか休めるところがありません。   イトクリ博士: 座るのは……いや、待てよ……分かりました、座って良いです。休憩時間を与えます。5分後、戻ってきてください。   [防護服内に搭載されたカメラが反転。D-985が椅子に座ったため、視点位置が下がる。座ってから約2秒後、D-985の息を呑む音。]   イトクリ博士: どうしました?   D-985: あぁ、なんだ、アレ、ああ!   イトクリ博士: 冷静に。状況を説明して下さい。   D-985: あ、あの、部屋、へ、…の中に、あ、あの、バ、ババケモンが、ひっ、あぁいるッ! びっしり! 通ってきたとこに[短い悲鳴]   [小型カメラではD-985の主張する存在は確認できなかった。奥まで侵入した人間、もしくは椅子に座った人物のみが視認できる存在であると推測。]   イトクリ博士: バケモノの外見的特徴を説明して下さい。私の方からはあなた以外、『生きた』人間を視認することができません。   D-985: ッ![カメラが大きく動く。D-985が体を捻ったことによるブレ。]腹と脚がい、ぃ異常にふと、クソ、寄るな! ふぅ、ふとって、天井に頭がとどく、ででかい、部屋に密集し、して、全員身体をゆらし、ぐぅ、手に何かも、7歳ぐらいのぉお女の子を、もも持ってぅ[悲鳴]   [高さ約60cmの位置に、腐乱した女児の死体が浮遊している。女児の他に複数の死体(調査実験-2で投入されたDクラス職員・女児の両親)が、同じように存在していた。D-985が悲鳴を上げる前、一斉に死体が“クラッカーを鳴らすよう”に、2つにわかれた。]   D-985: [悲鳴][罵倒]へ、へやから! に、にげ――   [D-985が椅子から立ち上がる直前、ぺたぺたと裸足でフローリングの床を歩くような無数の音が響く。D-985が立ち上がると、未知の力で後方に吹き飛ぶ。壁に激突し、約80cm浮いた形で停止。怪我および気絶は確認されなかった。]   イトクリ博士: D-985? D-985: [呻き声]   イトクリ博士: 今、どうなっていますか? 視点位置が高いようですが。   D-985: あ、あいつら[呻き声]い、いぃっきに詰め寄ってきて、ぶつか、って、お、おおぉさえつけられて、かべに[悲鳴。カメラ映像が激しく乱れる。]   イトクリ博士: 脱出できそうですか? バケモノ、未確認の存在が確認できた例は初めてです。戻ってきて下さい。   D-985: む、む、りッああぁあぁ! ぁああぁさわるな! 助けてくれ!!   [直径20cmほどの腐敗物(ホールケーキが腐敗したものと推測)が乗った皿が浮遊し、D-985の方へ近付いていく。]   <録画終了>   終了報告書: D-985の命綱をまき戻し救出活動が行われましたが、D-985を回収することはできませんでした。D-985は█日後に栄養失調により終了。その間D-985は「部屋中に存在するバケモノが、拍手をしている」と主張していました。 D-985の終了後、室内にパチンコ玉を投入すると、不可視の障害物にぶつかりながら部屋の奥へ転がり█mで停止、壁に到達することはありませんでした。続行して室内の調査を行ったところ、403号室のみ緩やかな傾斜が形成されていることが判明。なお室内湿度を調査しましたが、異常な点は見られませんでした。 追加調査として、窓に設置した鉄板を取り外しDクラスの死体を回収する方法が提案されましたが、不可視の実体が進行者を追跡する可能性があるため、追加調査は保留されています。  
scp-708-jp
評価: +27+–x 評価: +27+–x クレジット タイトル: SCP-708-JP - 忘却の彼方に 著者: ©︎jet0620 作成年: 2016 評価: +27+–x 評価: +27+–x 記録・情報保安管理局より通達 この文書は発見・分類に先立って既に無力化していた異常存在について記述しています。この記録はRAISA-3010 ("無力化済み異常存在の文書アーカイブ")に基づき、歴史的および科学的な参照のために維持されています。 アイテム番号: SCP-708-JP オブジェクトクラス: Neutralized 特別収容プロトコル: SCP-708-JPは回収後まもなく無力化したため特別収容プロトコルは制定されませんでした。SCP-708-JP-1は現在サイト-8181の低脅威物保管庫にて保管され精密検査が行われ、その後別途オブジェクトへの指定が行われます。一部収容が難しいと判断されたものは審議の上で破壊を行うかどうか検討します。 SCP-708-JP-1のアーカイブデータ保存USBはサイト-8181の情報セキュリティロッカーに保管され、バックアップデータは通常の異常存在に関するデータと同様にデータベースへ保存されます。情報の閲覧に関しては、SCP-708-JPへのアクセスとみなし対応します。 説明: SCP-708-JPは別次元に存在すると考えられている異常空間でした。SCP-708-JPへ侵入する手段は地球上でランダムに出現する「扉」を通じてのみ行えるものと推測されていましたが、詳しい調査の前にオブジェクトが無力化したため詳細は不明です。空間内部の詳細な構造・外見等も同様の理由から判明していません。 SCP-708-JP内にはSCP-708-JP-1に分類される異常物品が特殊な収容房と見られる施設にて保管されていました。総計でおよそ█████個存在していたと推測されていますが、回収に成功したのはわずか一部であり残りはアーカイブデータのみが記録されています。データによればSCP-708-JP-1はすべて形状および異常性に関しては統一性がなく、一部に関しては人型異常存在や財団の保有するいくつかのオブジェクトに類似した特異性を有していました。 アーカイブデータの主たる”作品リスト”は、「F-175-E」のような[F-”数字”-”アルファベット”]での形式でナンバリングがされており、その後危険度・友好度に関する表記、オブジェクトに関する説明がなされています。ナンバリングは制作順ではなく、001番に分類されたものは複数存在します。危険度・友好度は高・中・低の3段階評価が主ですが”危険度:死亡済み”や”友好度:なし”などの例外的な記述もあります。オブジェクトに関する説明は主観的な記述が多く、一部に関しては記述に誤りがあることもあります。 アーカイブデータは他に”物語””作者リスト””展覧会”などがあり、それぞれ”作品リスト”のオブジェクトに関する物語、オブジェクトの製作者と思われる人物の情報、オブジェクトを描いたイラストや動画などの文章・オブジェクト以外の作品ですが、その存在が示唆されるのみでデータは残されていません。 SCP-708-JPは「突然現れる白い不思議な扉」の目撃証言が世界各地で相次いで報告されたことが財団の目に留まり調査が行われました。その後、エージェント早川が「扉」を発見。財団への報告直後に「扉」が消失の兆候を見せたため緊急的にSCP-708-JPへの侵入が許可されました。侵入後通信は途絶しましたが、2時間後エージェント早川が帰還し、SCP-708-JPの無力化が進行中であることを報告。直ちに機動部隊が派遣され、SCP-708-JP-1の確保が行われました。機動部隊の到着からSCP-708-JPの無力化までの時間がわずかであったこと、SCP-708-JP-1の数が膨大であったため、SCP-708-JP-1の情報アーカイブデータと、有用であると判断されたSCP-708-JP-1の回収の後、機動部隊とエージェントはSCP-708-JPより撤退。まもなくSCP-708-JPは無力化が確認されました。 SCP-708-JP無力化に関してはいくつかの疑問が研究者から挙げられています。無力化の兆候から実際の無力化までの時間・変化が通常の異常空間が無力化する際のパターンとは異なる点、エージェント早川が全SCP-708-JP-1の完全なアーカイブデータを[編集済み]によって入手できた点、回収可能だったSCP-708-JP-1がすべて危険性の低いものであった点などから、SCP-708-JPの無力化は何者かにより意図的に行われたのではないかとする声が挙げられていますが、詳細はわかっていません。アーカイブデータには以下の文章が最初に挿入されていました。この文章が挿入された理由はわかっていません。 Item #: F-000-Z 危険度: なし。これ自体にはね 友好度: 君たち次第。でも、慎重にね 説明: ただの記録。ここの全ての作品のアーカイブデータが保存されている。「見てはいけないもの」「知ってはいけないもの」は除いてある。作品についてより詳しく知りたければ自分で調べるように(ただし壊さないこと)。 どうか、残るように。[データ破損]          ―――Administer █████ ██████ 現在、SCP-708-JPに対する直接的な研究は行われず、回収されたSCP-708-JP-1を新規オブジェクトとして分類・研究することが決定されました。そのため、SCP-708-JP-1に関する詳細な情報は各オブジェクトの報告書を参照してください。 補遺: 20██/██以降、回収されたSCP-708-JP-1の多くが異常性を失いつつあります。回収されたものの7割が異常性を喪失しており、それ以外も効果範囲の縮小・活性条件の限定化などが発生しています。多くはAnoumalousアイテムとして再指定されたものですが、詳しい原因や対象の共通点等は不明であり現在調査中です。 現在も回収当時と同じ異常性を保持し続けているオブジェクトは以下のナンバリングがされていたオブジェクトです。各オブジェクトの詳細については個別の報告書を参照してください。 F-173-E F-1002-R F-173-K F-032-F F-047-P F-099-E F-400-T F-094-J
scp-709-jp
評価: +10+–x アイテム番号: SCP-709-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-709-JPの周囲500mは封鎖され、隣接されたセクター-81██にて管理されています。隠蔽、封鎖手順は基本的にサイト管理手順に従います。SCP-709-JPのポイントF-1、F-2地点には定置網を上流からの漂流物を全てせき止めるように設置します。この網は支柱を含め耐荷重500㎏以上1t以上のものを使用し、一般職員による定期的な清掃点検を実施してください。必要に応じた張り替えの際は、F-1地点とF-2地点を交互に行い、網の張られていない時間を作らないようにします。また、監視カメラが設置され、大量発生時にSCP-709-JP-Aの流出を防ぎます。1日1回SCP-709-JP-Aの回収作業が行われます。回収されたSCP-709-JP-Aは即座に隣接されたSCP-709-JP管理施設へと持ち込まれ、備え付けられた重機にて粉砕してください。破壊後のSCP-709-JP-Aは家畜用飼料として回収されます。SCP-709-JP-Bは現在、隣接された人型収容施設にて収容されます。 説明: SCP-709-JPは水源から2㎞ほど下流にある河川または河川に発生する超常現象です。超常現象が発生する範囲おおよそ500mがSCP-709-JPに指定されています。SCP-709-JP-HWの地下水脈や水質等の検査では異常はみられませんでした。SCP-709-JPは1週間に平均約2回程度の確率で、大型のウリ科カボチャ属(学名 Cucurbita)とみられる果実が漂流します。この果実をSCP-709-JP-Aに指定します。SCP-709-JP-AはSCP-709-JPに指定された範囲内でランダムかつ瞬時に発生し、そのまま下流へと流れていきます。出現の瞬間を撮影する試みは現在まで失敗に終わっています。 SCP-709-JP-Aは西洋カボチャの変種の表現型(遺伝的要素と育成条件などの相互作用で生じた姿)の一つである、園芸品種「アトランチックジャイアント」(C.maxima cv.Atlantic Giant)と特徴が酷似しますが、SCP-709-JP-Aは更に大きく、非常に大きいことで知られる同品種の最重量クラスに匹敵します。またアトランチックジャイアントは表現型であるため、育成条件等によってはやや大きい程度の一般的な西洋カボチャ(C.maxima)と同サイズになりますが、SCP-709-JP-Aは大きさにばらつきが少なく現時点でも直径100㎝以下は確認されていません。現時点では最大で直径約191㎝、重量約314㎏が確認されています。直径に対して非常に軽い点については、後述するSCP-709-JP-Bが内部に埋まっているためと思われます。 SCP-709-JP-Aの内部には中央付近の位置に人型の実体、SCP-709-JP-Bが埋め込まれています。SCP-709-JP-Bは両膝、両肘を折り曲げ胎児のような姿勢を取り、その大きさに合わせた隙間がほとんどない空洞に収まっている、もしくは埋め込まれているように見えます。本来種や胎座があるべきや果肉の一部は消失しており、現在まで種子の採取は成功していません。SCP-709-JP-Bは10台後半から60台後半のモンゴロイド男性の姿をとりますが、稀にコーカソイド人種や両者のハーフと見られる人種も発生します。女性とネグロイド人種は今のところ確認されていません。SCP-709-JP-BはSCP-709-JP-Aの内部に収まっている間意識を失っており、SCP-709-JP-Aを何らかの方法で破壊し取り出してから数分後に目覚めます。破壊の方法はどのような手段を用いても可能ですが、SCP-709-JP-Bは目覚めるまで未知の原理で損傷を与えることができず、SCP-709-JP-Aから取り出す際に傷付けることはありません。SCP-709-JP-AからSCP-709-JP-Bを取り出さずに長時間経過した場合、腐敗したSCP-709-JP-AからSCP-709-JP-Bが露出した時点でSCP-709-JP-Bの意識が回復しますが、その場合、腐敗したSCP-709-JP-Aから無傷でSCP-709-JP-Bを回収することが困難になるため推奨されません。SCP-709-JP-BはSCP-709-JP-A内から発見されたという自覚はありません。一般的な生活を送っていた記憶を持ち、出身地や経歴などその主張に共通項はほとんど見られませんが、自身を「かぼちゃ太郎」と名乗る点、重度の犯罪歴を自称する点が共通します。特殊な技能を必要とする経歴を主張する場合は、その技能を一定以上の練度で習得しています。SCP-709-JP-Bの特徴と一致する人物、出生記録、戸籍等の公的記録は見つかっておりません。また、SCP-709-JP-Bが目覚めるまでの非破壊性以外の特異性は様々な検査の結果、確認されておらず、記憶は全て架空のもの、もしくは異世界からの転移という見方が強まっております。現在SCP-709-JP-BをDクラスとして雇用する案が検討されています。 対象: SCP-709-JP-B-26 インタビュアー: █████博士 付記: 効率的なSCP-709-JP-B回収のため、重機を利用して粉砕しています。SCP-709-JP-B-26は自身を配管工であると主張しています。 <録音開始> █████博士: やあ、SCP-709-JP-B-26。気分はどうかな? SCP-709-JP-B-26: なんだその番号、俺はかぼちゃ太郎だ。ここはどこだ? █████博士: 君はカボチャの中から見つかったんだ。この施設で目覚める前の記憶について教えてほしい。 SCP-709-JP-B-26: カボチャ? 笑えない冗談だな。もっとマシな嘘は言えないのかい? █████博士: SCP-709-JP-B-26、これは冗談ではない。目覚める前の記憶を教えてくれ。 SCP-709-JP-B-26: 分かった分かった。怖い顔すんなって……つっても何も覚えてねえ。昔、仕事の関係でカッとなって人を殺しちまってな。目撃者も一緒に何人か殺して逃げてたんだが、最後にヘマした俺は[編集済み]にあるムショにぶち込まれてた。んで、そっから退屈な毎日。いつものように内職してクソして寝て目が覚めたらここにいた。それだけだ。 █████博士: なるほど。何か特別変わったことは? SCP-709-JP-B-26: 相部屋の█████野郎のイビキがいつもより凄かったことくらいだ。 █████博士: 目が覚めた時のことは覚えているかい? SCP-709-JP-B-26: てめえらのショベルカーでひき潰されそうだった。 █████博士: そのことについては、担当職員が厳重注意を受けている。他に何か気になることは? SCP-709-JP-B-26: 俺は████社の下請けで働いている配管工だった。有名な会社だろ、あそこ。 █████博士: ……私には████社に覚えがありませんね? SCP-709-JP-B-26: 知らねえか。一応有名企業なんだがな。 █████博士: いえ、今調べて頂いたんですが、そのような企業は登録されていません。 SCP-709-JP-B-26: え? は? え? えええっとそれじゃあ██████は? 俺が務めてた下請け企業だ。 █████博士: ……今調べましたが、そのような情報は発見されませんでした。 SCP-709-JP-B-26: おい、マジかよ。じゃあ俺はいったいどこでなにをして暮らしてたんだ? ムショになんでぶち込まれたってんだ。 █████博士: そもそも[編集済み]に刑務所は存在しません。 SCP-709-JP-B-26: は? じゃあ、待てえっと、俺の? え? [罵倒語]!! 嘘だ! お前ら俺になんか仕掛けようって魂胆だな! [罵倒語]! 俺は騙されねえぞ!! █████博士: 対象が激昂。精神安定剤を投与しましょう。 SCP-709-JP-B-26: ふざけんな! てめえらが俺に…… █████博士: インタビュー続行は難しそうですね。録音を終了します。 <録音終了> 終了報告書: SCP-709-JP-B-26の証言には幾つかの矛盾点があるものの大よそ一貫しており、現在並行世界からの転移説や、架空の記憶が与えられた完全に新生の人間である説などが予想されていますが詳細は不明です。 追記,20██/10/31:SCP-709-JP内で大量のSCP-709-JP-Aが発生したため設置された網を破壊し、小規模な収容違反が発生しました。即座に財団エージェントによる回収作戦が行われ、流出したSCP-709-JP-Aは全て回収されたと思われています。以降、収容プロトコルの見直しが行われました。また、その際に回収に当たったエージェントから「カボチャではなくモモに見えるSCP-709-JP-Aがあった」との報告があがっていますが、映像確認の結果、そのような事実はなかったと結論付けられています。
scp-710-jp
評価: +210+–x アイテム番号: SCP-710-JP オブジェクトクラス: Safe Keter 特別収容プロトコル: SCP-710-JPは████州に位置するサイト-██の専用ロッカーにて管理、収容されています。対象を使用する際はレベル3職員による許可を得た上で実行してください。無断で対象を使用した職員は処分の対象となります。 現在、SCP-710-JPは収容不可能な状態です。機動部隊はプロトコル「パラドックス710」に記載されているSCP-710-JP使用日程にのっとり発砲を行ってください。SCP-710-JP使用日程はSCP-710-JPによる新たな事件の発覚の都度更新されます。SCP-710-JPによって引き起こされた事件に関する被害者及び関係者にはAクラスの記憶処理を施し、その上で事件の隠蔽工作を行ってください。 説明: SCP-710-JPはスミス&ウェッソンM66、2,5インチリボルバーに酷似した銃です。しかし、製造番号などの記録は存在しておらず、グリップとトリガーに本来のM66とは異なる特徴をいくつか有しています。 SCP-710-JPの異常性は発砲後に発揮されます。SCP-710-JPを用いて発砲した場合、発砲した地点の「過去」と「未来」に、発砲した弾丸が出現します。(その際、SCP-710-JPの機構は問題なく機能しており、また使用された弾薬も同様に消費されます)。なお、これらの異常性はある程度まで制御することが可能であり、グリップの右側面内部にある「random ON OFF」と記入されたスイッチ、および「F、P 00/00/00」と記入されたつまみを操作することによって、弾丸を出現させたい時間を設定することが出来ます。グリップ右側面は取り外し可能になっており、「random」の項目をOFFにすることによってSCP-710-JPの発砲時のタイムワープが制御可能になります。 SCP-710-JPに取り付けられているメモリはFとPにより過去、未来の切り替え、数字を入力する部分はそれぞれ年/月/日に該当します。また、年の選択は下二桁までしかなく、過去、未来の設定は現在の年数から換算した年数に依存するものと思われます。 例: 2013年に「F 01/5/9」と入力した場合、一年後の2014年5月9日に弾丸が出現し、「P 01/5/9」と入力した場合、一年前の2012年5月9日の発砲地点に弾丸が出現します。同年に射出したい場合は「空白 00/5/9」と入力することで同年の5月9日に射出が可能になります。通常の銃器として使用する場合は「空白 00/00/00」と入力することで使用可能になります。 なお、これらの機構はSCP-710-JPに対してX線機器を使用した調査により明らかとなりました。その為、これらの存在が発覚するまではSCP-710-JPのタイムワープの不安定さが懸念されていましたが、それらの制御が可能になった事により対象をSafeへと再分類することが決定しました。 以下の2012/8/11の実験記録はこれらの機構発覚前に行われたものです。 実験記録001 - 日付2012/8/11 対象: D-710-001 実施方法: D-710-001によるSCP-710-JPの発砲。 結果: 弾丸は消失しました。その後の弾丸の出現はありません。 分析: おそらく射出された弾丸は過去、もしくは未来にワープしたと思われます。なお、この分析は実験002の結果に基づくものです。使用された実験室は弾丸の出現、または過去にそれらしき事案の資料が発見されるまでセキュリティー担当者によって監視され、封鎖されます。 実験記録002 - 日付2012/10/4 対象: D-710-002 実施方法: D-710-002によるSCP-710-JPの発砲。 結果: 弾丸は消失しました。その二日後、D-710-002がSCP-710-JPを使用した地点から弾丸が出現しました。 分析: 弾丸が出現した時刻はその当時のD-710-002が発砲した時刻と同じでした。このことから、SCP-710-JPが弾丸を送ることのできる単位は年単位、もしくは日単位である可能性が浮上しました。 実験記録003 - 日付2012/12/24 対象: D-710-003 実施方法: D-710-003によるSCP-710-JPの発砲。 結果: 弾丸は消失。 分析: 調査の結果、1993/2/8に実験室が使用された際、何者かによる発砲事件が起きたという資料を発見しました。保管された弾丸の旋条痕などを鑑定した結果、SCP-710-JPによって射出されたものであると判明しました。 実験記録004 - 日付2013/1/11 対象: D-710-004 実施方法: 過去に発砲が確認されていない対象に対してSCP-710-JPを使用する。(実地場所はサイト-███の実験室の壁。) 結果: SCP-710-JPを使用中にサイト-███でSCP-███の収容違反が発生したため、実験は中止されました。その翌日、サイト-███は凍結されました。 分析: まるで、何もかも最初から決まっていたかのようだ・・・・。 S████博士 SCP-710-JPは、2004/4/2の████州で発生したトラブルが切っ掛けで発見されました。当時、射撃場に来ていた一名の利用客が射撃場のオーナーに苦情を申し立て、その内容はいくら引き金を引いても弾丸が射出されないというものでした。しかし、拳銃内の全ての弾薬を調べたところ問題なく消費されていたことが判明し、ただのクレーマーの文句であると処理されました。ですが2012/3/1の現地にて、来客が無かったにもかかわらず、オーナーが2発の発砲音を確認。その後も数回の無人の発砲事件が発生したためオーナーは現地の警察に通報し、当時その署内に潜伏していたエージェントの目にとまりました。 オーナーの証言では、2004/3/26の夜中に不審な人物が射撃場に侵入する事件が発生し、オーナーは設置してあったショットガンを用いて侵入者を撃退しました。その際、オーナーはその人物が落としたと思われる銃を貸出用の銃として利用、この事件を切っ掛けにこれらの一連の出来事が発覚しました。その後財団のエージェントによる事件の介入により、当時の関係者にAクラスの記憶処理を適用、オーナーを拾得物横領罪で起訴しました。 財団は現在もSCP-710-JPを所持していたと思われる人物を捜索中です。 + 事件簿 - 閉じる これらの記録はSCP-710-JPの収容後に発見された、SCP-710-JPと思われる改造S&W,M66が使用された事案、およびSCP-710-JPによって引き起こされたと思われる「不可解な」事件を時系列順にまとめたものです。 1946/9/16 アメリカ、████州郊外に一人の男性を車で送ったと言う人物の証言が得られました。その男性はSCP-710-JPと思われる銃をその地点で使用しており、その当時そこはまだ開発が進んでおらず更地でした。 1952/10/7 ███氏殺害事件 説明: イタリアの███街の夜中の9時に███氏が何者かによって、頭部を正面から撃たれ死亡する事件が発生しました。検死の結果、███氏は至近距離から発砲されたことが分かっています。しかし、当時███氏と同行していた友人はそのような人間はいなかったと証言しており、事件は現在も迷宮入りであるとされています。 また、現地の警察が発見した、███氏の血液が付着した弾丸を財団が鑑定したところ、SCP-710-JPによって射出されたものであることが分かりました。 1982/4/10 暴力団員射殺事件 説明: 日本の███県██市にある████港の倉庫にて暴力団による麻薬の取引があった際にこの事件は発生しました。当時の███県警察は麻薬取引の現場を特定し張り込んでいました。しかし、突如、彼らの目の前で一名の暴力団組員███ █████氏が何者かに右側頭部を撃たれ死亡。警察の誤射による殺人の可能性も浮上しましたが、███ █████氏は至近距離から撃たれており、現場にいた刑事の一人はそこには誰もいなかったと供述しています。 1982/7/7 ブラジルの██████という街にてSCP-710-JPを所持していると思われる男性が目撃されました。ホテルの従業員が206号室で男性がSCP-710-JPを使用しているのを見たと証言しています。 1993/5/4 ホテル密室殺人事件 説明: ブラジルの██████という街のホテルの一室にて女性が射殺されました。女性はバスローブを着用した状態でベッドの上で死亡していました。眉間を正面から撃ち抜かれており、テレビの電源が点けっぱなしになっていたことから、それを点け向き直った瞬間に射殺されたものと思われます。争った形跡は勿論、誰かを招き入れた、侵入された形跡もありませんでした。室内に残されていた弾丸を鑑定した結果、SCP-710-JPによって射出されたものであることが判明しました。 1994/8/19 日本の███県██市にある████港にSCP-710-JPを所持していると思われる男性が現地の作業員によって目撃されていました。男性はSCP-710-JPを使用したその後、行方をくらませました。 1995/11/3 DV夫銃殺事件 説明: アメリカ、████州郊外に住む男性が何者かによって射殺されました。当時、男性は妻と息子と共に自宅のキッチンにおり、妻に対して暴行を行っていました。しかし、突然、外から男性は心臓を打ち抜かれ死亡。息子が外を確認しましたが誰もいなかったと供述しています。 1995/11/4 中国、北京のマンションにてSCP-710-JPを所有していると思われる男性が、後に██ ██氏が居住するマンションの一室にて目撃されていました。男性はその部屋を購入し、一週間後に引っ越したとのことです。男性がSCP-710-JPを使用していた時を、同階の向かいのマンションの住人が目撃していました。 1999/6/2 中国学生射殺事件 説明: 中国、北京に在住の学生██ ██氏が何者かによって射殺されました。現場は██ ██氏が両親に購入してもらったマンションの自室でした。死因は背後からの頭部への発砲。この事件も至近距離で発砲されたと思われ、その時██ ██氏は自身の机に座りPCを操作していました。しかし、マンションの玄関前にある防犯カメラには██ ██氏以外の人物は写っておらず、彼の部屋にも何者かが侵入した形跡はありませんでした。発見された弾丸を財団が鑑定したところ、SCP-710-JPによって射出されたものであることが判明しました。 2003/3/3 イタリア、███街の夜9時にSCP-710-JPを所持していたと思われる男性の目撃情報がありました。男性は███氏が殺害された場所にてSCP-710-JPを使用したと思われます。 追記1: 2013年現在、SCP-710-JPは収容不可能な状態にあります。詳しくは事案2013/4/7を参照してください。 事案2013/4/7 2013/4/7にS████博士のオフィス内にて発砲事件が発生しました。当時、S████博士は自身のオフィスにて報告書の作成を行っており、その最中に突然何者かに撃たれました。博士に怪我はなく、彼の証言では部屋には博士以外の誰もいなかったということです。その後の調査でも、侵入された形跡は発見できませんでした。 この事案から、SCP-710-JPを使用した者による犯行である可能性が浮上しました。また、過去のデータにはSCP-710-JPをS████博士のオフィス内で発砲したという記録は無く、当時サイト-██は移設されたばかりだったことから「未来」からの発砲であることが決定づけられました。 その為、2013年以降にSCP-710-JPの収容違反が発生することが確定しました。 現在、世界各国でSCP-710-JPを使用した人物による「過去」、「未来」からと思われる射殺事件が発生しています。 SCP-710-JPはKeterに再分類されました。 + S████博士による提言 - 閉じる SCP-710-JPの恐ろしさはその性質でもなく時間的矛盾を引き起こすことでもない。タイムパラドックスを逆手に取った、我々財団にも阻止することができない殺人を犯すことが可能であるという点こそ、SCP-710-JPの真の性質なのだ。 そもそも、何故、SCP-710-JPを所持していた人物が射撃場などに侵入し、SCP-710-JPを紛失するなどという事態を起こしたのか。何故、これはこのサイトに保管されるようになり、サイト内の実験室にはSCP-710-JPによって生み出された形跡がずっと昔からあったのか。少し考えればわかるはずだ。これは時間連続体の波に乗り、ここまで来た。まるであらかじめ決められていた、運命と言われるもののように。 私はこれでも科学者の一人だ。このようなオカルティズムに浸っていていいような人間ではない。しかし、これらの事象はもはやそのような言葉で表現することしか私にはできない。 SCP-710-JPは内在的なketerである。私はこれを強く主張する。         2013/4/7 S████博士 追記2: 現在、SCP-710-JPの収容維持のため、SCP-710-JPが使用された事件に財団が関与することが決定しています。
scp-711-jp
評価: +55+–x 評価: +55+–x クレジット タイトル: SCP-711-JP - 無重力下で象は鳴く 著者: ©︎stengan774 作成年: 2022 この著者の他の作品 評価: +55+–x 評価: +55+–x 初期収容時に回収された、SCP-711-JPを撮影したものと推定される写真。 アイテム番号: SCP-711-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-711-JPは専用大型耐圧収容室に収容し、監視カメラによる24時間の遠隔監視を行います。収容室はオブジェクト本体を収容している15m×15m×15mの気密収容セル(A-1)と、その唯一の出入口として設計されたエアロック区画(A-2)から構成されています。A-1での活動を行う全ての作業人員は財団の宇宙船外活動(EVA)標準訓練を受けた上で、A-2に配備されている生命維持装置付き気密服を着用し、正常な動作が可能かを毎回点検することが義務付けられています。 SCP-711-JPの周囲には財団標準通信機器を配置し、機器の劣化・破損に伴う交換を適宜行うと共に、常時SCP-711-JP-1を記録して下さい。 説明: SCP-711-JPは体長およそ7.2mと推定された、アフリカサバンナゾウ(Loxodonta africana africana)の異常な死体です。発見当初から現在までの間、SCP-711-JPは組織の腐敗および劣化の兆候を示していません。SCP-711-JPの左耳後ろ5cm付近には大口径の弾を至近距離から撃ち込まれたと思われる銃創が存在し、この外傷がSCP-711-JPの直接的死因になったと考えられています。 SCP-711-JPを中心とした半径3m以内の空間は、常に無重力及びほぼ完全な真空状態を示します。SCP-711-JPの周囲全ての物体(SCP-711-JP自体を含む)はこの異常性質の影響を受け空中に浮遊しており、一般的な生物がこの範囲内に進入した場合、急激な減圧に曝された際に予想されるものと同様の身体異常、即ち粘膜の乾燥・体液の沸騰・酸素欠乏及び呼吸困難等の症状に陥ることが確認されています。これらの影響は対象が範囲外へ取り除かれた場合に消失し、通常の重力と気圧が即座に回復されます。 SCP-711-JPの異常性影響下にある通信機器は、不明な経路からの電波的干渉によって著しく劣化した音声の連続(SCP-711-JP-1)を不定期に拾得します。SCP-711-JP-1は解散したカナダのインディーズ・バンド"Red Bis"の楽曲『Z.O.C.』の断片・反復であることが判明しており、また非常に稀な周期で音声は"魔法使いの男(Witchman)"に関する支離滅裂で整合性のない替え歌、或いは絶叫へと変化します。以下は文字起こしされた、特筆すべきSCP-711-JP-1記録の抜粋です。 +SCP-711-JP-1記録 -閉じる [英語から日本語に翻訳されています] 鳴き声が聴こえる(I can hear the cry)。サバンナのド真ん中で間抜けにも噴き上がる長っ鼻どもの雄叫び、我が物顔に地響く乱れきった行進と巨大質量の群れ。バカみてえだ(Stupid)、バカみてえ、バカみてえ!どデカい足下でブッ潰れた草も木も、花も虫も、飛び散ったその汁液の匂いも、そのバカっ鼻にはいい加減ブチ切れてるぜ。イェイ(Yay)! 思うに、思うにだ、あの連中は一体何を感じようとしているんだろうなぁ。メッセージ性は音楽には重要、肌を掻き破って無意味にも流れ続ける血潮だって、ドシンドシンと凝土(Concrete)を割らんばかりに躊躇ってる足踏みだって、ただ存在に耐えきれず漏れ出る咆哮だって、みんなみんな意味があるって。だが結局俺には判らず終い。何もしないで1日が終わっちまうぜ。あーあ。それでも奴らは「ある」ってんだ、笑えてくるね! [笑い声] 全然笑えねー。 「自分の事は自分が一番よく分かってる」なんて云う野郎に限ってロクなのはいねえんだ、本当にいねえ、分かっちゃいねえ。ああ「我思う故に我あり」そうとも。これはマジ。デカルトすら嘘吐きになるとは酷く難しい(Difficult)時代だ、魔法使い先生(Dr. Wizard)もお嘆きだ、ねえ魔法使い先生。 [長い沈黙] ぁああー、先生そうだよ先生だよお、先生、大先生様、先せええええええい(Doctooooooor)!この大悪党(Wickedman)のカマ魔女野郎(Witchman)、ずっとアンタにだけ叫んでんだ。さっさと俺を戻せ俺を戻せっつってんだよこの[以下罵倒、編集済] そういや俺はアンタからいつも逃げてばかりだったな。折り曲がって吊り上がってく薄気味悪いアンタの笑顔、いつもモルグ(Morgue)でボンヤリ眺めるアンタの背中。全てが怖くて、怖くて怖くて、逃げに逃げて、捕まって、そんで、この果て、我が全て。魔法使いの弟子に有るまじき行為。有るまじき罰。クソッタレな宇宙飛行士(Asshole Astronaut)の象さん。笑えてくるね。[沈黙] 全然笑えねー。 "逃げてばかりの人生に終止符を(Put an end to my life of only escape)"、アンタは云う。確かに正しいかもしれないが、そう言うアンタはどうなんだい。キラキラ(Twinkle)輝くお得意の舌先(Tongue)でお答えをどうぞ。 [長い沈黙] 先生、それはアンタが強いからだ。アンタがメチャクチャに強いから、その他大多数の連中が小便垂らして恐れ慄く気持ちが分からねえ。強大で凶悪な奴に成りたかない、蟻を踏み付けるのを恐れる象の気持ちが分からねえ。だからアンタは永久に、何処までも何時までも一人ぼっち。そんな旅。 [沈黙] それはすげえ悲しい事だと思う。 部屋の中の象(Elephant in the room)がどれだけ大きくなったなら、先生、アンタはこっちを向くんだい?自尊心だけがブクブク肥えて、俺はもうどこへも行けず宙ぶらりん(Hanging)だ、全くもって息が詰まるぜ。地に足着かねえ俺はもう、先生と一緒に進めないけども、アンタはまだどっかをほっつき歩いてんのかい。あの輝きを、見つけ出せたら教えてくれよ。それまで此処で待ってるぜ。 補遺: SCP-711-JPは異常物品の取引に関連する無認可法人"埜木商会"の倉庫施設に対して実施された、サイト-8141戦術対策チーム(TRT)による強行制圧に於いて、他数点の異常なアイテムと共に回収されました。当該施設からは同時に、SCP-711-JPの異常性とRed Bisの『Z.O.C.』についての簡素な解説が記載された"Xehyoifent"という題のファイル冊子が発見されましたが、当該オブジェクトの起源等の具体的情報は全て持ち去られた後でした。 埜木商会に対する更なる調査に並行して、SCP-711-JP研究班はオブジェクトに関連すると推測されたインディーズ・バンド"Red Bis"についての調査を開始しました。その結果、当該グループがギター/ボーカルのジョン・W・ビクスビーを中心として1980年代後半にカナダで結成されたこと、1991年に発生した交通事故でメンバーの殆どが死亡し解散に至ったことが判明しています。現在までのところ、この事故に異常な点は確認されていません。 以下はRed Bisの元ベーシスト、デービッド・ヒューム氏に対するインタビュー記録です。 インタビュー記録711-JP Record 19██/██/██ 回答者: デービッド・ヒューム(以下DH) 質問者: エージェント・アオ(以下AA) 序: 当該インタビューは、財団のフロント企業スミス-キャンベル出版(Smith-Campbell Publishing LLC.,)による、"80年代のインディーズバンド・シーンを振り返る"企画の取材との名目で実施された。原文は英語で記録されている。 [記録開始] [余分なログを省略] AA: それでは、次にRed Bisの代表曲として挙げられる『Z.O.C.』について伺いたいと思います。 DH: ああ、あの曲か。[小さく笑う] あれにはジョンが特にこだわっていてね。 AA: と言いますと? DH: さっきも話したけれど、くせ者揃いのウチのメンバーの中で一等気難しい奴がジョンだった。いっつも俯いて、ひがみったらしくひねくれてて……そのくせ誰よりも"ロック"をやる奴だった。いつだって世界や自分自身に不満でブチ切れてて、怒りを爆発させるように叫んでた。 [吐息を漏らす] 実際、テク自体は大したことなかったんだ。それでも何というか、アイツの歌とプレイには惹き付けられる……いや違うな、「今目を離したら、こいつは死んじまうんじゃ無いか」と、そう思わせるくらいに鬼気迫るものがあった。 AA: その理由などは分かりますか。 DH: [肩をすくめる] とにかく全力だったってことだと思うよ。当時のジョンは飲食だとか、人間に必要なものの殆どを削って音楽に捧げてた。というか、のめり込んで時間が経ってることに気付かないんだな。アイツは悪魔だか魔法使いだかに魂を売っただなんてよく分からんことを言ってたが、あれは絶対に本人の資質さ。 あの事故が起こってなければ、なんてことを今でも時々考えるんだが、ジョンだけはどうも……想像できないんだ、現在も元気でやってるって感じの姿が。結局のところアイツは自殺まがいのことばかりしてたから、車がブチ当たるか頭に銃弾をぶっ放すか、金属の塊の大小でしか無かったんじゃないか、なんてね。 AA: それで、『Z.O.C.』についてですが。 DH: ああごめん。つまり『Z.O.C.』は、そんなジョンが詞も曲も1人で書いたこだわりの一作だったんだ。曲の始まりからして、銃声みたいに激しくドーンと音の衝撃をブッつけてくるクセの強いやつ。アイツはあの時「テーマソングが必要なんだ」って繰り返してた。 AA: 詳しくお聴かせ下さい。 DH: ほら、ヒーローの登場にはふさわしいBGMが付きものだろ?どんな流れも逆転するお決まりのテーマが。つまり、アイツが言うには……。[咳払い] ​ 「音は空気を震わせ、振動は一面に広がり、その熱が空間を満たす、そうして歌に乗った魂は領域を支配する。その場で聴衆は"信仰"を得るんだ。信仰、信じられる何か、世界に対する新しい認識。強い認識は世界を劇的に変貌させ、かつて存在していた位相から観測者を引き離す。行き着く果て、絶対的な認識は現実の構造にも干渉しうる……例えば死人を生き返らせたり、ドデカい象を宙に浮かせたり、真空で音楽を響かせたり。あり得ないような願いが、そこでは叶えられる」ってね。 [DHが手を広げる] DH: 短く言えば、だ。定まりきった筋書きも、頭のお堅い物理法則も、音楽一つで全てを支配し、書き換え、ひっくり返す。ジョンはそういう曲を作ろうとしてた。奇跡を起こす聖歌だ。だから『Z.O.C.』、Zone Of Control。すごい話だろ? AA: それができると信じていたんですか? DH: [笑う] とんでもない!だがお嬢さん、男はこういう夢みたいな話が大好きでね。……今にしてみると、これはアイツなりの哲学だったんだろう。音楽は人の心に届く。恋人の間に良い雰囲気を作れるし、足踏みする誰かにほんの少し勇気を与えることもある。時には、奇跡だって起こせるのかも知れない。それはまるで……。 [しばらく言いよどんだ後、DHは思いついたように指を鳴らす] DH: まるで、魔法にかけられたように。 [記録終了] 現存する唯一のRed Bisライブ写真、“It's just like as of Dead Elephant(1990)”。
scp-712-jp
評価: +140+–x 警告: 当報告書の内容を閲覧した者は、非致死性の情報災害の対象となる可能性があります。報告書の不必要な閲覧は避け、閲覧後に情報災害の影響を被った場合、直ちに担当研究主任および記録情報セキュリティ管理室まで申告してください。 SCP-712-JP。 アイテム番号: SCP-712-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-712-JPの周囲100m以内を収容のための隔離地域に指定します。現在、隔離地域の周辺一帯は全て財団フロント企業の私有地となっています。隔離地域への進入者があった場合は直ちに拘束し、進入がSCP-712-JP-A出現に起因するものであるか確認した後に、必要に応じて記憶処理を施した上で解放してください。 情報災害拡散の防止のために、SCP-712-JPに関する風聞の出現や流布を警戒してください。SCP-712-JPと関連している可能性のある風聞が出現した場合にはその出所の調査を実施するとともに、渉外部門による情報工作を検討してください。 説明: SCP-712-JPは長崎県の██島に存在する洋館です。柵で囲われた510坪(1686m2)の敷地内にヴィクトリア様式の住宅が建設されています。通常状態のSCP-712-JPに人の気配はなく、空き家であるように見えます。SCP-712-JPは1930年に旧蒐集院によって異常性を確認され、1945年に財団に移管されました。SCP-712-JPは完成から1世紀以上が経過しており、なおかつ適切な保全作業を施されていないにも関わらず、その老朽化の兆候は最小限に留まっています。 SCP-712-JP周辺においては、強力な確率改変現象が常時発生します。SCP-712-JPへ接近する、SCP-712-JPの内部を観測するなどの行為を試みた場合、その試みがいかなる手段によるものであっても、必ずなんらかの事故の発生によって失敗します。事故は必ず"偶然の積み重ね1"によって引き起こされ、事故の発生過程に物理法則の破綻が見出された例は存在しません。 毎週土曜日、日没時刻の30分後から日昇時刻の30分前までの間、SCP-712-JPは活性状態に移行します。活性状態のSCP-712-JPは大部分の窓から室内照明の光が漏れ、時折窓に人影が見えたり、笑い声や楽器の演奏のような音が聞こえたりするようになります。前述の確率改変特性のために、活性状態のSCP-712-JP内部の状況は不明のままです。 SCP-712-JP-AはSCP-712-JPに関連して不定期に出現する、"招待状(INVITATION)"と題された英語の文書です。SCP-712-JP-Aは毎回異なる特定の人物(以下"対象"という)に宛てて書かれており、対象の近辺に多種多様な方法2で出現します。これまでに財団が把握している限りにおいて、SCP-712-JP-A出現事例の対象は全員がSCP-712-JPの異常性を知っている人物でした。この点を鑑み、SCP-712-JP-Aの出現はSCP-712-JPを原因とする情報災害であると認定されています3。SCP-712-JP-Aの内容は出現例ごとに細部が異なるものの、必ず以下の事柄を含みます。 対象の氏名 "お茶会(tea party)"を開催することの告知 "お茶会"の開催日時 SCP-712-JP所在地の住所 ここで、"お茶会"の開催日時は必ず土曜日の夜間となっています。指定された日時に対象が活性状態のSCP-712-JPへの接近を試みた場合、確率改変の影響を受けずにSCP-712-JPに到達することが可能です。対象がSCP-712-JPの玄関前に立つと玄関の扉が開き、対象が玄関に進入すると扉は閉じます。この際、敷地外からの肉眼での観察により、扉の開閉を行い対象を迎え入れる人型実体の存在が目撃されています。この人型実体は成人女性と思しき外見であり、服装は毎回異なるものの、多数のフリルやリボンを備えたバッスルスタイル4のドレスを着用しています。SCP-712-JPに進入した対象が帰還した例は存在しません。 これまでに得られた実験記録を総合的に分析した結果、SCP-712-JPの確率改変特性による到達不可能領域が徐々に拡大していること、および領域の拡大とSCP-712-JPへ進入した対象の人数との間に正の相関が見られることが判明しました。分析結果に基づく試算によれば、多く見積もっても残り240人がSCP-712-JPへ進入した時点で領域拡大が██島全体を覆うまでに進行し、██島への上陸が不可能になると推測されています。この分析結果を受けて、SCP-712-JPへの進入実験は全て凍結されました。 SCP-712-JP-Aの例: 以下に示す文書は、19██/05/20にDクラス職員D-4669を対象として出現したSCP-712-JP-Aの内容の和訳です。 招待状 ヒアシンス侯爵夫人のお茶会へ ██ ██5様を御招待いたします。 19██年██月██日、午後8時 [住所編集済] 素敵な紅茶の香りと共に 夢のようなひとときを共に過ごしましょう。 ヒアシンス侯爵マーク・ハミルトン(右)と侯爵夫人マリア・ハミルトン(左)。両者の結婚式の際に撮影されたとされるこの写真は、友人宛ての書簡群とともに保管されていました。 補遺1: 旧蒐集院による発見以前のSCP-712-JPについて言及した資料はほとんど残っていません。僅かな資料として当時のSCP-712-JPの住人マーク・ハミルトン氏が██島内在住の日本人の友人に宛てた英語の書簡が数点残っており、貴重な情報源となっています。 書簡の記述によれば、SCP-712-JPは"ヒアシンス侯爵マーク・ハミルトン(Mark Hamilton, Marquess of Hyacinth)6"およびその妻"ヒアシンス侯爵夫人マリア・ハミルトン(Maria Hamilton, Marchioness of Hyacinth)"を名乗る2人の人物の住居として1889年に完成しました。ハミルトン氏は自身について「英領インド帝国から移住してきた貴族にして貿易商である」と主張していますが、この主張を裏付ける資料は一切存在しません。しかしながらハミルトン氏が潤沢な資産や広い人脈を持っていたことは事実であるらしく、自宅で頻繁に食事会を開催して島内住民との親交を深めていたことが書簡から伺えます。 ハミルトン氏と友人との書簡のやりとりは1903年7月を最後に途絶えています。ハミルトン氏が最後に送った書簡には、次なる新天地の探索に出るための準備をしている旨が記されていました。その後のハミルトン氏およびハミルトン夫人の消息は不明です。 補遺2: 19██/05/20、Dクラス職員D-46697の近辺にSCP-712-JP-Aが出現しました。SCP-712-JPへの進入実験に際して、当時の担当研究主任であった烏森博士が英語で執筆した書簡をD-4669に持たせ、進入後に会の主催者へ手渡すよう指示しました。 それから約1ヶ月後の06/18、別のDクラス職員D-4633の近辺に封書の形態を取ったSCP-712-JP-Aが出現しました。封筒内にはD-4633を対象とする招待状と、烏森博士の書簡への返信が入っていました。このプロセスの繰り返しにより、5ヶ月間で6回の書簡の往復に成功しました。この際にやりとりされた一連の書簡のうち、最も重要と思われるSCP-712-JP側からの5回目の返信を和訳して以下に示します。全ての書簡を閲覧する場合は文書記録712-JPにアクセスしてください。 親愛なる烏森様 いつもお手紙ありがとうございます。今回の手紙は少し長くなりますが、どうかお付き合いください。 私が夫と出会ったのは、ヴィクトリア女王の即位50年祭(Golden Jubilee)の年8でした。私と私の家族は貿易商の父の仕事でインドに住んでいました。ある日、父が仕事で知り合った若い男性を、家に連れてきたのです。それが私の夫、ヒアシンス卿との初めての出会いでした。ヒアシンス卿というのは彼が勝手に名乗っていた嘘の爵位で、本名はマーク・ハミルトンといいます。尤も、こちらの名前すら偽名だという可能性も大いにありますが。 とても奇妙な人物でした。スコットランドの貴族の出で、侯爵位を持っていると言っていましたが、彼を知る者の中にそれを信じている者は居ませんでした。彼は父と同じく貿易商で、なおかつ冒険家でもあると称していました。狂っているような面もあるが商人の才能には恵まれた男だと、父は評していました。話の胡散臭さを除けば、明るくユーモアがあり、知的で優しい、理想的な紳士でした。 私は知らなかったのですが、彼は私の居た町ではちょっとした有名人でした。彼は町の広場や酒場で人々に壮大な冒険譚を語り聞かせていて、そんな彼の法螺話を楽しみにしている人も多かったのです。彼と出会ってすぐに、私もその一人に加わりました。昼下がりのお茶を飲みながら彼の話に耳を傾け、胸を躍らせたりしたものです。私と彼とが互いに惹かれ合っていることに気付くのに、時間はかかりませんでした。 ある日、彼は今居る町を出て、極東方面に向かうつもりだと言いました。そして、できることなら私を共に連れて行きたいとも。何日か悩んだ末に、私はどこまでも彼にお供することを決めました。このとき以来、私はハミルトン侯爵夫人になったのです。私は彼と共に、日本のこの小さな島にやってきました。見知らぬ土地でも、彼と居れば楽しい日々でした。 そんな日々が何年間か続いた後、彼は突然、新しい冒険に出ると言い出しました。この国よりももっと東に、黄金の散りばめられた宝島があるというのです。私も付いて行きたかったのですが、危険だと言って取り合ってくれませんでした。一年以内に帰ってくると言い残して、彼は消息を絶ちました。 悲しみと失意に満ちた三年間が過ぎて、大きなトランクを抱えた一人の女性が館にやって来ました。忘れもしない、あれは4月の土曜日で、庭先には私の好きなヒアシンスの花が咲いていました。彼女はアリス・バターカップ(Alice Buttercup)と名乗り、ヒアシンス卿について話があると言いました。彼女の言うには、彼女はここから遥か南、マゼラン諸島9という土地からやってきた使者だといいます。私の夫は航海中に嵐に巻き込まれてその島々に漂着したそうです。そしてその島は、普通の人間が一度踏み入ると二度と出られない、幻の海洋(phantom ocean)に位置するというのです。私はなんとか夫に会いたい、夫が帰って来られないならこちらから会いに行きたいと懇願しました。アリスは、色々な規則のためにそれは無理だが、夫と出会う可能性を用意することはできると言いました。彼女はトランクの中から見たこともない道具を幾つか取り出しました。トランクの中身はティーセット(T-set)という道具で、特別なお茶会を開催するためのものでした。お茶会を開くことで私の館は幻の海域に繋がり、やがて幻の島にいる愛しい人に会いに行けるようになるのです。その道具の中の1個を私に託して、アリスは去っていきました。 お茶会を開くようになってから、もう随分と経ちました。沢山の人に招待状を書きましたが、夫にはまだ会えていません。今でも私は彼を愛していますし、彼を待ち続けています。胸に空いた穴はまだ癒えません。しかしそれもまた、この名に負った宿命なのでしょう10。いつの日かきっと彼と再会できると、私は信じています。 いつになるか判らないその日まで、私は開き続けましょう。この眠らないお茶会を。 敬具 マリア・ヒアシンス Footnotes 1. 典型例としては、観測機器が突然故障する、実行者がなんらかの急性疾患を発症する、実行者が落雷に撃たれるなどの現象が挙げられます。 2. 対象の居所に郵便物として届いた例や、対象の使用しているコンピュータ上にテキストデータとして現れた例、対象が読もうとした本に挟まれていた例などが報告されています。 3. RAISA通告81562号参照。 4. バッスルとはスカートの背部に膨らみを持たせるための腰当てのこと。19世紀後期から20世紀初頭にかけて欧米で流行しました。 5. D-4669の本名。 6. ヒアシンス侯爵なる爵位は歴史上存在しません。 7. "招待"の対象に選ばれることを期待してSCP-712-JPについての情報を教えられていました。 8. 1887年。 9. かつてフィリピン海に存在するとされていた島々の総称。その大部分は実際には存在しないものでした。 10. ヒアシンスの花言葉は"悲しみを超えた愛"。
scp-713-jp
評価: +48+–x アイテム番号: SCP-713-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-713-JPは現在その存在を確認できていません。物理的な収容に至っていないため、収容担当職員はサイト内の監視カメラにSCP-713-JPと見られる存在が確認されていないか調査を続けてください。SCP-713-JPが再度出現した場合、プロトコル“アゾッホ”に従い、対象への接触を試みてください。接触は2人以上の上位レベル職員の立会いと監査の元で細心の注意を払い行ってください。 説明: SCP-713-JPは、1989年に初めて確認されてから、日本国内の財団施設にて散発的にその存在を確認されていた2人組(1992年より、3人組で出現する場合あり)の人間型の存在です。以下にその特徴を示します。 SCP-713-JP-A: 両足首から先が極めて平たく、スコップ状に歪曲して変形している50台後半に見える男性です。歩くのには適していないほどの大きさにその足は平たく延ばされており、それを用いて地面を掘ります。 SCP-713-JP-B: 頭部が細長く伸びた火箸のように見える人型存在です。インタビューによれば火箸のそれぞれの根元に猫の眼球のように見える物が針金で固定されています。SCP-713-JP-Aによって掘られた穴から、後述のSCP-713-JP-αを取り出します。 SCP-713-JP-C: 1992年以降出現が確認されるようになった20代前半の若い女性の姿をした人型存在です。一般的な人間の両手足を切り、銅線で切断面に金属製のドリルを縫い付けたような見た目をしています。その身体的特徴から立ち上がることが出来ず、常に四つん這いの状態で出現します。 SCP-713-JPは、SCP、職員、非職員関わりなくその前に現れます。記録上、収容室内やDクラス職員房に現れた記録はありません。SCP-713-JPの出現した状況の分析から、SCP-713-JPは“何かから逃げる”人間の前に散発的に出現すると推測されています。現れたSCP-713-JP-AあるいはSCP-713-JP-Cは出現地点付近を掘削し、有る程度の深さ(毎回異なる)まで掘り起こした所でSCP-713-JP-Bがその穴から何らかの“逃走を可能にする物体”を掘り出します(以下、SCP-713-JP-αと記述)掘り出したアイテムを渡すと、SCP-713-JPは消失します。 補遺-ア: SCP-713-JP出現記録 出現記録001 - 日付1989/04/19 状況: 別任務に当たっていたDクラス職員、D-███-603が実験中に逃走。直ちに機動部隊が追跡するも、Dクラスはサイト-81██内に潜伏、逃走。潜伏中、Dクラス職員の前にSCP-713-JPが現れたと見られる。記録の上では始めてその存在が確認された例となる。 SCP-713-JP-α: 機動部隊員の制服一式。記載されていたナンバーの制服は丁度Dクラス職員の確保に当たっていた機動部隊隊長のものと同一であったが、細部のほつれに至るまで同じであった。 結果: 10ヶ月後に新潟県██市にて窃盗の容疑で日本警察がDクラス職員を再逮捕。Dクラス職員は問題なく通常業務に再割り当てされた。Dクラス職員へのインタビューにより現在のSCP-713-JPの存在が財団に認知され、仮番号“SCP-4467-JP.temp”を割り当てられた。 出現記録002 - 日付1990/09/04 状況: SCP-███-JPの収容違反が発生、職員を襲いながら脱出を画策。避難中の██研究員の前にSCP-713-JPが現れる。 SCP-713-JP-α: 一株のイチゴの植木鉢。 結果: 研究員はこれを用いてSCPを撃退、再収容に成功。収容プロトコルは即時見直された。これを持って“SCP-4467-JP.temp”は正式に“SCP-713-JP”に分類された。 出現記録008 - 日付1992/08/17 状況: 要注意団体████のエージェントがサイト-8181に潜入。SCP-███-JPを盗み出そうとしている所を発見され逃走。 SCP-713-JP-α: サイト-8181レベル3職員███研究員の人事ファイルと個人情報に関わる幾つかの書類(家族構成とその名前、これまでの研究成果、性的趣味や嗜好の記載された財団入り前の調査票)。エージェントはこれらの書類からレベル3職員の自室のパーソナルコンピュータのパスワードを推測し正門から逃走。レベル3職員はレベル2への降格と8ヶ月の減給処分となった。 結果: 2週間後に回収。エージェントへのインタビューによりSCP-713-JP-Cの存在が始めて確認される。出現の3ヶ月前にサイト-8181が改装され、周辺の地盤ごとコンクリートで固められていたのが原因か。 出現記録019(詳細不明) - 日付 1996/11/13 状況: 収容されていた人型SCP、SCP-███-JPが収容室から脱走。 SCP-713-JP-α: 一丁の拳銃と一発の弾丸? 結果: 3時間後にSCP-███-JPはサイト-81██8階廊下にて発見される。対象は廊下にて頭部に銃弾を打ち込まれ死亡していた。SCP-███-JPの死体のそば、8階と7階の間のコンクリート床が掘り返されており、コンクリートに空いていた穴と周辺に散乱していた破片、拳銃の合計体積がほぼ一致し、SCP-713-JPによるものであると推測された。詳細不明。 補遺-イ: 当時のSCP-713-JP収容担当職員が日本支部理事に送付した書状 SCP-713-JPは程度の差こそあれ、これまでの19件全て日本支部のサイト各所に現れ、大小の被害を生じせしめています。収容作戦-713-JP-αの計画書を送付いたしましたので、ご確認のほどよろしくお願い致します。 収容作戦-713-JP-01を承認。__日本支部理事 収容作戦-713-JP-01-出現記録020 - 日付1996/12/17 状況: 作戦では、衣服に小型カメラと録音機を気づかれぬよう取り付けたDクラス(作戦リトライの度に変更)を、財団職員の過失を演出する形で収容房から故意に逃走させ、SCP-713-JPの出現をねらった。出現が確実に発生するものではなかったため、9度、作戦は失敗。10回目にてSCP-713-JPがDクラスの前に現れた。 SCP-713-α: 録音記録を参照 結果: 録音記録を参照 録音/録画記録-SCP-713-JP-01: 対象: SCP-713-JP-A,-B,-C 付記: Dクラス職員のカメラにSCP-713-JPが映った段階で収容担当職員が直接SCP-713-JPの出現した地点に向けて出発した。2分後に到着。 [逃走中のDクラスがサイト-81███の廊下を曲がる。カメラにSCP-713-JPと思われる3人が映る。] SCP-713-JP-A: 来たかい。 Dクラス職員:あぁっ!?お前等… SCP-713-JP-A: ちょっと待ってなよ、お兄ちゃん、今助けてやるからな、直ぐに安心させてやるからな。 Dクラス職員:うるせぇ!どけ![逃走を続けようとする。SCP-713-JP-Bがそれを制止、押さえつける] SCP-713-JP-A: 追われるのは辛いだろうよぉ、なぁ?本当に苦しいよなぁ…今このダボハゼめがここ掘り返してンからよォ、ちっと待ってなよ、ちっと待ってなよ。 Dクラス職員: [SCP-713-JPを激しく罵倒し、暴れるがSCP-713-JP-Bを振りほどけない] SCP-713-JP-A: そゥらお急ぎだぞ、早くしろ! [SCP-713-JP-Cを手に持ったハンマーで激しく殴打する。SCP-713-JP-Cは無反応。] Dクラス職員: な、何を。 SCP-713-JP-A: ほゥらこれだこれだ。…ハイ、どーゥぞ。…上手く使えよォ。 [SCP-713-JP-Bが床に頭部を挿入し、籠に入った卵に見える何かを取り出す。] SCP-713-JP-A: じゃあな。上手く逃げられますよゥに。 [SCP-713-JPがDクラス職員にSCP-713-JP-αを渡す直前、収容担当職員が機動部隊を連れて現場に到着する。] SCP-713-JP-A: あらッ?あらあらあらッ? 収容担当職員█: 遅くなりました。SCP-713-JPを確保します。 [機動部隊がSCP-713-JPらを取り囲む] SCP-713-JP-A: アッハ!こりゃ素敵だ!ピンチだよ、追いかけられるンだ!アッハ!ついに来た!ついに来た! Dクラス職員:うわ、うわ、うわ。[SCP-713-JPを押しのけ逃げ出そうとする。SCP-713-JP-Cがそれに飛びつき、四肢でDクラス職員を拘束。Dクラス職員はバランスを崩して倒れこむ。] SCP-713-JP-B,-C: ついに来た!ついに来た!! 収容担当職員█:えっ。 SCP-713-JP-A,-B,-C: 逃げる番だ!! [カメラからの映像が途切れる。] 終了報告書: カメラからの映像が途切れたため、追加の職員を現場へ派遣。現場から職員、及びSCP-713-JPが消失していた。現場には地面が掘り起こされた痕跡が残っていたが何を掘り起こしたかは不明。 収容作戦713-JP-01から現在に至るまで、新たなSCP-713-JPの出現は記録されていません。
scp-714-jp
評価: +33+–x アイテム番号: SCP-714-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-714-JPは、SCP-714-JP-1群とともに標準的ヒト型オブジェクト収容房に収容します。収容リスクの低減および管理の簡便化のため、SCP-714-JPとSCP-714-JP-1群を分離するための試みを継続します。いかなる状況においても、SCP-714-JPを収容している収容房に15歳未満の人物が進入することは許可されません。 標準的ヒト型オブジェクト収容プロトコルに加え、薬理学部門にて調剤する幻覚誘発剤M-714-JPを、同部門にて指示する用法および容量で投与します。さらに2週間に一度、15歳未満の小児を模した5体の等身大人形を収容房内に導入します。"パフォーマンス"の終了後、人形は回収します。 説明: SCP-714-JPはかつて標準的な35歳(収容時)の日本国籍を持つ男性であったヒト型存在です。また、回収された地域ではよく知られた大道芸人であったことが確認されています。SCP-714-JP-1群はSCP-714-JPが着用している衣類群であり、以下の構成物からなります。両者を分離することはSCP-714-JPの協力的態度にもかかわらず現在まで成功していません。 衣服。上衣と下衣が繋がっている。SCP-714-JPに向き合って見て身頃の右半分は黒一色、左半分は白と黒のひし形が交互に敷き詰められた模様であり、袖は白である。SCP-714-JPの体格に対してかなり大きめである。 二股帽子。衣服の身頃とは左右が逆の配色である。先端には鈴がついている。 木靴。つま先が足甲側に湾曲している。 仮面。赤い丸付け鼻、巨大に描かれた目および口を特徴とする。 SCP-714-JPはSCP-714-JP-1群による精神汚染を受けていると見られており、自身が発揮する異常性を正常に認識していません。また、インタビューによりSCP-714-JP-1群に関して極めて肯定的な感情を抱いていることが判明していますが、これがSCP-714-JP-1群の異常性に由来するものかは断定に到っていません。SCP-714-JPはSCP-714-JP-1群との接触以前には異常性を有していなかったことがインタビュー結果から推測されており、SCP-714-JPが対外的にもたらす影響は全てSCP-714-JP-1群に由来するものであると見られています。このことから、両者を分離する試みが奏功した場合、SCP-714-JP-1群がSCP-714-JPに再分類される見通しです。 SCP-714-JPおよびSCP-714-JP-1群に関する実験は、主に異常性発現の条件を明らかにすることを目的に設計・実行されました。その中で、SCP-714-JPが対外的に影響をもたらすのは、同オブジェクトが生活年齢が15歳未満のHomo sapiensを直接視認したときであることが示唆されています。SCP-714-JPに曝露した人物(以下、犠牲者)は、当人の平時の性格や嗜好にかかわらず、SCP-714-JPに対し極めて友好的かつ好意的になります。またSCP-714-JPは犠牲者の身体構造を未知の手段により変容させ、これを用いて自身が"パフォーマンス"または"大道芸"等と称する異常行動を行います。この身体変容は瞬時に行われ、また不可逆かつ多くは大規模なものであるにもかかわらず、犠牲者は苦痛や恐怖といった感情は表出せず、むしろ肯定的にこれを受け入れます。この異常な影響や反応は、異常行動が終息した時点で通常想定されるものに変化します。実験ログへのアクセスを希望する職員はグループリーダーにコンタクトを取ってください。 インシデントレポート インシデント714-JP-1: 2013/02/04、11:15 AM、収容房からSCP-714-JPが前兆なく消失し、機動部隊を動員した捜索により収容サイトから40 km離れた中学校で発見、再収容されました。インシデント当時校内にいた同校の生徒のうち██名が犠牲になりました。目撃者らには記憶処理を施行し、暴漢による無差別殺傷と集団パニックによる幻覚に関するカバーストーリーが展開されました。 インシデント714-JP-2: インシデント714-JP-1の2週間後、同様の消失および再出現が発生しました。エリクソン上席研究員によるSCP-███-██との類似性の指摘並びに提言に基づき、再出現先として想定される地点にフィールドエージェントを派遣しておいたことにより、SCP-714-JPは被害が発生する前に鎮圧されています。 上述の類似オブジェクト並びにインシデント群から類推し、消失および再出現について 概ね2週間を超えて"パフォーマンス"を行わなかった場合に発生する 転移先は小児が多く集まる施設等に限定される ものと見積もられています。 2013/02/20、特別収容プロトコルが現行のものに更新されました。 真木岡上席研究員の提案に基づき、SCP-714-JPは幻覚誘発剤M-714-JPの投与下に置かれます。現在、SCP-714-JPはM-714-JPの作用により"生きているヒト"と"ヒトのサイズと形状を模した人形"の区別がつかず、かつ人形と「意思疎通をヒトと行うのと同様に行っている」と誤認している状態になっていることに留意してください。 インタビューログ714-JP-3 インタビュー日時: 2013/06/27 実施: 菅坂面接官(ログでは「インタビュアー」と表記) 対象: SCP-714-JP <記録開始> インタビュアー: SCP-714-JP、インタビューを開始します。 SCP-714-JP: [沈黙] 子供たちに会わせてください。 インタビュアー: その「子供たち」とは特定の人物群を指すものでしょうか。それとも、不特定の[SCP-714-JPに遮られる] SCP-714-JP: 子供たちと言ったら、別に誰とか彼とかじゃない、子供たちです。僕をここから出してください。こんなところに閉じ込められちゃあ、子供たちのためのパフォーマンスができない。それか、この前みたいに子供を連れてきてください。ここに来るまでは、月に2回くらいは駅前とか公園とかでやってたんです。 インタビュアー: あなたは、自分が子供たちに対してどのような行動をしているか説明できますか? SCP-714-JP: [不明瞭] [嘆息] どのようなって、まあ、大道芸ですよ。 インタビュアー: もう少し具体的に、私が大道芸という言葉を知らないと思って説明してください。何を使って、どのようにするのか。 SCP-714-JP: 子供を楽器にして、ワンマンバンドをやったり、子供を風船にして、バルーンアートでダックスフントを作ったり、他にもまあ色々ですね。 インタビュアー: 「子供を楽器にする」とは、どのようにして実行するのですか? SCP-714-JP: たとえば子供の、こういう骨の出っ張ってるとことかをばちで打ったら木琴や鉄琴になるじゃないですか。引っ張ったり縮めたりしたらアコーディオンになるし、息を吹き込んだら笛とかハーモニカになるし。それで、多いときは5人くらい使って1人で演奏するんです、だからワンマンバンド。このパフォーマンスのすごいところは、聞いてるだけじゃなくて楽器になってくれている子も一緒に楽しめるところですね。特にトランペットになってくれた子なんかはもう大はしゃぎです。 インタビュアー: では、「子供を風船にする」とは? SCP-714-JP: 僕の場合はこういう、手でやる空気ポンプを使うんですけど、子供の口から空気を入れたらペンシルバルーンになりますよね。で、それをこう、結んだりねじったりして、まあダックスフントだけじゃなくて帽子とか花とか、剣にしてチャンバラもできますよ。これはなかなかコツがいって、ためらわずに一気にやるのがポイントですね。手際が悪いと破裂してしまうので。 インタビュアー: 記録によると、それらをされた小児は例外なく身体構造または組成、あるいはその両方が変容しており、またおよそ7割が死亡しています。このことについてはどう考えていますか? SCP-714-JP: [間] はっ? インタビュアー: 質問に答えてください。 SCP-714-JP: 何を言うんですか? し、死亡? インタビュアー: 死亡です。この光景に身に覚えはありませんか? [菅坂面接官はインシデント714-JP-1の際の記録映像をSCP-714-JPに提示した。SCP-714-JPは激しく動揺。インタビューはSCP-714-JPが落ち着くまで中断された。] インタビュアー: もう一度聞きます。先ほど見せた光景に覚えはありませんか? SCP-714-JP: ち、違う。僕じゃない。僕じゃない。[激しい逆息と衣擦れの音] インタビュアー: 次の質問です。あなたが言う、小児を使ったパフォーマンス群、それらは最初からできたことですか? それとも、何らかの明確な契機があり可能になったことですか? SCP-714-JP: [15秒程度の沈黙] 契機というか、初めてやったのはこの服[SCP-714-JP-1群を示す]を着てからですね。この服を来た途端にひらめいたんです、せっかく楽しいことをするんだから、みんなで一緒にしたらもっと楽しいぞって。そしたらもう、子供たちの喜びようと言ったらすごいんですよ。こういう変わった衣装を着ているってのもあるんでしょうけど、それまでとは食いつき方から何から違って、おとなしそうな子やちょっとませた感じの子も、僕がパフォーマンスを始めたらまるで人が変わったようになるんです。 インタビュアー: [発言を促す] SCP-714-JP: 最初は半分趣味、半分遊びくらいのつもりで始めた大道芸ですけど、今となっては僕の生きがいなんです。上手くいかないときも多かったけど、この服を着てからはすごく受けるようになって。僕のパフォーマンスを見て嬉しそうにしている子供たちを見ていると、こっちまで嫌なことも忘れてしまうくらい嬉しくなるんです。[激しい衣擦れの音] お願いです、子供たちに会わせてくれませんか。 インタビュアー: 残念ながら、あなたはこの部屋から出てはならないことになっています。 SCP-714-JP: だったら、それでもいいです。その代わりに、ここに連れてきてもらえませんか、子供たちを。私の大道芸を見てもらうために。[衣擦れの音が激しくなる] も、もう、大道芸がやりたくて、やりたくて、たまらないんです。 インタビュアー: その要望はすでに承認されています。次回は4日後を予定しています。 SCP-714-JP: ありがとうございます。本当にありがとうございます。 インタビュアー: インタビューを終了します。 <記録終了> 終了報告書: SCP-714-JPの現状への不満や疑問は、概ね無視できる程度と言えます。M-714-JPと人形さえ与えていれば、喜んで収容されてくれるでしょう。 付記: 当インタビュー直後に行われた"パフォーマンス"の際、SCP-714-JP-1群のうち、仮面の左頬骨にあたる箇所に水滴型の模様が出現しました。インタビュー内容との関連性が慎重に議論されています。
scp-715-jp
評価: +37+–x アイテム番号: SCP-715-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-715-JPが確認された場合、フロント企業およびNPO法人から派遣された調査員として同居する家族に支援・指示を行い現状維持を徹底します。発見されたSCP-715-JPに対して一か月毎に調査・記録を行いますが、対象の健康状態に影響を及ぼす可能性があるため、状況を鑑みて個別に頻度を調整してください。 説明: SCP-715-JPは、異常性を持っていると考えられる居室1です。SCP-715-JPは、一般的な居住家屋から発生するものであり、その発生プロセスは解明されていません。しかし、その居室を少なくとも寝室として使用している人間がいる事が発生の条件の一つであると推測されています。 SCP-715-JPが発生した場合、その居室を使用している人間(以下、居住者と表記)は一日のほぼ全てをSCP-715-JP内部で過ごすようになり、外部に出る事を極端に忌避します。食事や排泄等、どうしてもその必要があると居住者が判断した場合にのみ外部に出ます。確保済のSCP-715-JPの観察結果から、居住者の生活は起きている間2の活動に異常な点は確認されませんでした。 SCP-715-JP内に侵入しようとする人間がいた場合居住者はそれを妨害し、僅かでも侵入された場合、居住者は嫌悪感を示しながら侵入者を追い出します。また、居住者に対してインタビューを試みましたが、聞き取れる声での発言はほぼ得られず、親族が会話を試みた場合も同様でした。筆談等の方法に関しても居住者は非常に消極的であり、特筆すべき情報は得られませんでした。3 SCP-715-JPを構成している部屋材および家具・物品の内部には、居住者の同一の遺伝子を持つ神経・血管が通っており4、それにより物品は簡易的に固定されています。居住者はこれらと直接連続はしていませんが、SCP-715-JPに対する刺激を正確に感知します。SCP-715-JP内部の物品を居住者の同意なく強引に移動させるとその物品に通っていた血管が裂けて出血が発生し、露出した神経に対する刺激は居住者に強烈な苦痛として伝達されます。この神経等は居住者がよく使用する物品ほど濃密に通っており、その物品を移動・破壊した時の出血と苦痛も激しくなります。 最初のSCP-715-JPの報告事例は、██府██市で起きた変死事例です。事件を直接目撃した両親より聞き取りを行ったところ、3年半外に出て来なくなった長男の自室から無理にパソコンを撤去した際、パソコンからの激しい出血と同時に長男が痙攣して動かなくなり、やがて部屋全体が一気に朽ちてしまったと証言しました。現在14件のSCP-715-JPの事例5が確認されていますが、その発生はいずれも██府██市を中心とした半径30kmの範囲内であり、居住者の家族によれば居住者にその症状が始まった時期は20██年█月頃であるという話でほぼ一致しています。現在、20██年█月に██府██市でSCP-715-JPの発生に関わる事件があったと推測して調査を行っていますが、未だ有力な情報は得られていません。 最初の報告事例において死亡した居住者の両親には既に記憶処理が行われていますが、その前のインタビューにおいて「息子は社会を怖がり、現実から逃げていただけだと思っていた。機器から血が出て長男が倒れ、部屋が朽ちた瞬間にそれが根本的な間違いだったと気づいた」と述べています。 また、当該居住者の使用していたパソコンから、インターネット上の掲示板に自身の現状を相談したものとみられるログが発見されました。以下、その掲示板の抜粋文であり、249番および同IDの書き込みが居住者のものです。 これは現在、居住者がSCP-715-JPに関する事を外部に発信した唯一の記録です。 + 回収されたログ 閉じる タイトル:『働き出して二ヶ月だけどもうやめたい』 ▼ ▽249 NAME 20██/█/██ ID:FuD40005a  でも1は社会復帰してる分立派だよ。俺のが状況としてはやばいと思う。  親もなんか明らかに俺のせいで苛立ってるような雰囲気する。  早く自立しなきゃって決意したんだけど、やっぱり怖さも感じる  復帰できた奴ってその前の段階でやってた事ってある? ▽250 NAME 20██/█/██ ID:█████████  とりあえず早起きして外出て日光浴びとけや ▽251 NAME 20██/█/██ ID:█████████  家の周りの散歩でもいいから外には出るべき  あと少しでも人と話すといいぞ 店員に注文するとかそんなんでも ▽252 NAME 20██/█/██ ID:FuD40005a  外に出るのはまだちょっと無理  部屋から出ない範囲でできることない? ▽253 NAME 20██/█/██ ID:█████████  一歩目踏み出せないなら永久に無理だぞ  1を立派だと思ってるなら見習えよ、有言不実行とか屑の極み ▽254 NAME 20██/█/██ ID:RQu83217a  もしかして食い物の味が分からないのに食欲増したりしてない? ▽255 NAME 20██/█/██ ID:FuD40005a  »254  何で分かった? ▽256 NAME 20██/█/██ ID:RQu83217a  そうか 来世に期待しような ▽257 NAME 20██/█/██ ID:█████████  穀潰し死ね 以降、居住者の書き込みはありません。 254番、及び同IDの書き込みについて調査を行った結果、██府██町に存在する家屋からの書き込みである事が判明しました。当該家屋の調査の結果、二階の一室を形成する部屋材が扉を含めて蝋のような質感の白く固い物質で塗り固められており、その物質には血管と神経が通っていることも確認されました。 透視検査によると内部は空洞ですが、溜まっている大量の液体の上に細胞の塊が浮かんでいる状態であると観測されています。これらは時間と共に、元から部屋内部にあったとされる物品と混ざるように変異し続けており、現在も経過観察中です。 当該家屋で生活していた居住者の家族は行方不明です。 Footnotes 1. 居住者に異常性があるとも考えられ、確定はしていません。 2. 居住者の睡眠時間は9~11時間程度であり、不規則なサイクルで入眠します。 3. 友好なコミュニケーションが行われた例は、後述するインターネットを用いた不特定多数に対する書き込みのみです。 4. これらの物体は36℃前後の熱を持っています。 5. 居住者が生存しているものは内11件です。
scp-716-jp
評価: +61+–x 事例-716-JP-1以前、SCP-716-JP直近の██パーキングエリア周辺 アイテム番号: SCP-716-JP オブジェクトクラス: Safe Euclid + 事案716-JP-1以前の収容プロトコル - 閉じる 特別収容プロトコル: 部外者によるSCP-716-JPの受信を防ぐため、SCP-716-JPの周辺には複数のジャミング装置が設置されます。ジャミング装置には冗長性を確保し、放送周波数帯に対して、ジャミング電波を絶やさないようにしてください。メンテナンスは財団のフロント企業によって行われます。放送内容は逐次記録されることが望ましいですが、記録状態の維持が困難な場合、SCP-716-JPのジャミング維持を優先してください。 - 閉じる 特別収容プロトコル: SCP-716-JPの収容のため、██自動車道██パーキングエリア付近から、██自動車道██パーキングエリア間においてバイパス道路が建設されました。SCP-716-JPが受信可能である旧区間は閉鎖されます。カバーストーリー「路盤崩壊の危険による廃道化」を作成し、旧区間への部外者の立ち入りを禁じてください。旧区間には、両パーキングエリアからそれぞれ1kmより内側の約13kmに渡る区間に、道路に沿う形で高さ10m、厚さ50cmの鋼鉄製の洞門状の施設を建設し、これを収容サイト-81██としています。施設内では常時専用に開発された大型アスファルト破砕機を稼動させ、発生した砕片は施設に隣接する専用の処理場に保管してください。現状の速度ではおよそ7年で現在の処理場が一杯になるため、現在新しい処理場候補地を探しています。候補地の選定については、担当研究員に問い合わせてください。なお、理由・状況を問わず収容違反の危険が発生した場合、LEVEL 3以上の現地財団職員には収容サイト-81██内の凍結処理が認められています。凍結処理が履行された場合、収容サイト-81██内には液体窒素及び窒素ガスが5分以内に充満されます。収容サイト-81██の職員は、緊急時の退避経路を定期的に確認するようにして下さい。また、収容サイト-81██で平時の収容に携わる職員の3倍にあたる人員を、予備隊として遠隔地に待機させて下さい。この予備隊が召集時以外に他のオブジェクトの収容に関わることは認められません。 説明: SCP-716-JPは██自動車道██パーキングエリアから██パーキングエリア間の道路上空██mほどに存在する特異空間、及び、そこから発信される未知のハイウェイラジオ(以下、これをSCP-716-JP-1と指定)と、その空間から排出されるアスファルトを主とした道路構成素材群(以下、これをSCP-716-JP-2と指定)です。 SCP-716-JPは19██年の最初の発見から12年の間、発信源が不明である未知のハイウェイラジオ放送及び、放送を転送している半径数cmほどの特異空間として管理されていました。しかし、事案-716-JP-1以降から現在にかけて、その特異空間と認識された場所からはSCP-716-JP-2が断続的に流れ込むようになっています。SCP-716-JP-2は毎時にして約20L程度が吐出されており、担当研究員による調査の結果、一定の温度を保った条件下では細胞分裂に似た増殖性を有し、一時間で約130%ほどの質量の増加が確認されています。その特異性から、SCP-716-JP-2が収容サイト外に持ちだされることは深刻な収容違反と見なされ、収容サイト内では常に複数人体制による収容違反の兆候を確認する業務が必要とされます。また、-3℃以下に冷却、或いは凝固した状態で破砕した砕片は増殖性を喪失することが確認されており、現在では専用の冷却機・破砕機を用いて逐次粉砕することになっています。 SCP-716-JP-1の通信妨害、及び記録は継続して行われていますが、その内容には使途不明の造語や存在しない路線名などが含まれており、放送内容の大意を掴む試みは不完全です。本報告ではカタカナ及び下線を用いて記録されます。必要な場合は音声記録716-Xを参照して下さい。 放送記録-716-1 (ジングル音) JHE日本道路伝道団ハイウェイラジオ ヘイドウ██年██月██日、午後2時現在の高速道路情報をお伝えします。 この時間、上り線の高速██号線████までの区間と、下り線の████ICまでの区間は順調に流れています。 なお、移動祝祭週間を迎え交通巡礼による交通集中によるジュンタイが予想されます。 ジュンタイの最後尾では、追突殉礼防止の為ハザードランプで後続車に祝福を与えてください。 ハイウェイラジオ████伝道所よりお伝えしました。 JHE日本道路伝道団ハイウェイラジオ 放送記録-716-2 (ジングル音) JHE日本道路伝道団ハイウェイラジオ ヘイドウ██年█月█日、午前10時現在の高速道路情報をお伝えします。 ██方面へ走行中のドウトに、道路ケッセンの情報です。 ドウトの自己殉礼のため、午前8時45分より、██インターから██インターまで、路面清拭のため道路ケッセンが発生しています。 この影響で████インターまでジュンタイしています。 バイパス巡廻路の即時産殖のため、現場付近のドウトは殉礼者の天道への昇工事が滞りなく済む様、バックミラーを使用し走行中黙祷し、交通檀越を納める義務が生じます。 次にジュンタイの情報です。 ██サービスエリア付近を頭に7キロほど、██インターを頭に1キロほど、それぞれジュンタイしています。 ジュンタイが長引く場合、██高速十字路軍第三中隊の定期巡廻により、ドウトの間引きが行われる可能性があります。 ハザードランプによる祝福を忘れないようにしてください。 そのほか、キタカンドウ道、ジョウロエツ道などの高速道路では順調に流れています。 ハイウェイラジオ██伝道所よりお伝えしました。 JHE日本道路伝道団ハイウェイラジオ 放送記録-716-3 (ジングル音) JHE日本道路伝道団ハイウェイラジオ こちらはJHE日本道路伝道団です。 ヘイドウ██年█月█日、午後10時現在の高速道路情報をお伝えします。 この付近の高速道路では、交通の支障となる事故やジュンタイの情報は入っておりません。 さて、██において、未開の道路予定地が発見されました。 ドウレイの働きにより導かれたこの地には、今後宣教師の派遣と舗装が速やかに行われます。 ハイウェイラジオ██伝道所よりお伝えしました。 JHE日本道路伝道団ハイウェイラジオ 放送記録-716-4 (ジングル音) 試験放送。JHE日本道路伝道団ハイウェイラジオ、試験放送。 こちらはJHE日本道路伝道団です。ただいま、試験電波を発信中です。 周波数████メガヘルツ。出力██ワットで送信中です。 (既存の宗教音楽に類似した未知の音楽)1 孤島たる未開の地に、導きの使者を送ります。 道の御名によりて道の意思に沿うものであり、すべての道を歩くものは [データ削除済] (強いノイズと轟音により以降の音声採取は不可) この放送の直後に、事案-716-JP-1が発生しました。影響の大きさを鑑み、このレポートにはセキュリティクリアランスが設定されています。 + 事案716-JP-1(要セキュリティクリアランス3) - 閉じる 事案716-JP-1 - 日付████/██/██ 本事案は、SafeオブジェクトとされていたSCP-716-JPから、SCP-716-JP-2の吐出が確認された最初の事例です。放送記録-716-4の直後、突然に大量のSCP-716-JP-2が流れ込み、通過中の一般車両24台がSCP-716-JP-2に飲み込まれ、44名が死亡・行方不明となりました。この結果、事案発生からエージェントと機動部隊が事態を収容するまでに、道路敷地内及び周辺の山林地帯の約41haがSCP-716-JP-2に埋め尽くされました。本事案のカバーストーリー作成のため、記憶処理が213名に対して行われています。発生したSCP-716-JP-2の中には、宗教的装飾が施された██社製トラック、██社製のものを改造したと思われるセダン、座席に[データ削除済]が施された観光バス等が確認され、いずれも積載用コンテナボックスに密閉されたSCP-716-JP-2が積まれていました。また、それとは別に放送記録と類似した内容の複数の印刷物も確認され、放送内容の意図を補完するものとして調査が進められています。 - 閉じる SCP-716-JP-2の吐出量は今のところ安定しており、破砕機による無力化は継続して行われています。しかし、過去二度において、事案716-JP-1に類似した猛烈な吐出量の増大と吐出様式の変容を確認しており、その度に深刻な収容違反を発生させています。事案716-JP-2、3を参照して下さい。 事案716-JP-2 - 日付████/██/██ 本事案は、冷却機・破砕機によるSCP-716-JP-2の収容が開始されてから発生した、最初の収容違反です。過去██ヶ月にわたって安定していた吐出量が突如増大し、SCP-716-JP-2は収容サイト内に確保されていた処理猶予限界量を17分で超過しました。溢れだしたSCP-716-JP-2は冷却機・破砕機を破壊し、待機系を稼働させる間もなく収容サイト内を飲み込み、当時サイト内にいた職員31名が死亡・行方不明となりました。遠隔地に展開していた予備部隊が液化窒素、および削岩機による緊急収容を行い、財団職員・エージェントを含む機動部隊のべ602名による再収容が6ヶ月かけて行われました。本事案を契機として、収容サイト内には緊急冷却装置が配備されています。 事案716-JP-3 - 日付████/██/██ 本事案は、緊急冷却装置の配備後に発生した、二度目の収容違反です。吐出するSCP-716-JP-2が、約600℃程度と思われるまでに赤熱化しているのが確認されました。また吐出量も平時より増大したことにより、この事態は冷却機の部分的な破壊に端を発する収容違反に発展しました。事案716-JP-2での改善から、即座に収容サイトの冷却処理が行われましたが、赤熱化したSCP-716-JP-2の増殖を止めるに至らず、収容サイトの83%が高熱により破壊されました。また、退避が遅れた職員3名が死亡し、周辺の山林地域が発火したことにより山林火災が発生し、周辺の約32haが焼失しました。最終的に、赤熱化したSCP-716-JP-2の温度が徐々に下がっていったこと、また吐出量が平時を下回るまでに落ちていったことによって、多量の液化窒素と削岩機による再収容が4ヶ月かけて行われました。 "増員が必要です。稼働人員の不足により事務職員も駆り出されています。支援要請716-JPをご確認下さい。" ―エージェント・ルコ Footnotes 1. 1100年代に欧州で流行した古楽に類似したものが確認されています。
scp-717-jp
評価: +74+–x 評価: +74+–x クレジット タイトル: SCP-717-JP - 『博士の大爆笑ギャグ250連発大図鑑!』 著者: ©︎broken_bone 作成年: 2014 その他のライセンス 評価: +74+–x 評価: +74+–x その他 この記事はbroken_boneさんの作成した記事を復活させたものです。経緯はこちらを参照してください。 評価: +74+–x 評価: +74+–x アイテム番号: SCP-717-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル:SCP-717-JPは密閉型の金属容器に格納した上で、危険物保管ロッカー内に収容してください。SCP-717-JPの複写は、最低でも二つ以上の封筒に分割して封入し、個別に保管してください。画像データについても二つ以上に分割した上で、複数の記録機器に個別に保存してください。 SCP-717-JPの複写データ及び複写文書の閲覧は、セキュリティクリアランスレベル2以上の職員の許可を得たうえで行ってください。閲覧の際には閲覧済みページのリストを作成してください。閲覧済みリストが100件以上に達した職員は、それ以上の閲覧は許可されません。なお、SCP-717-JPの内容をテキスト化したリストは、自由に閲覧可能です。 Dクラス職員を対象にSCP-717-JPを用いた実験は、セキュリティクリアランスレベルレベル3以上の職員の許可を得たうえで、遠隔起爆可能な爆薬を頭部に埋め込んだうえで行ってください。 説明:SCP-717-JPは全238ページの、ソフトカバー書籍です。カバーや帯は付属しておらず、表紙に直接『博士の大爆笑ギャグ250連発大図鑑!』と印刷されています。各ページにはモノクロイラスト共に、日本語のジョークやギャグが記載されています。SCP-717-JPの全てのページを読んだ対象がSCP-717-JPに収録されているジョークを発声することで、本人あるいはジョークを聞いた周囲の対象に何らかの精神影響、物体の出現、限定的な現実改変などの効果をもたらします。SCP-717-JPによる効果は、ジョークによって対象も内容も異なります。多くの場合SCP-717-JPによる精神影響は、記憶処置などで除去することはできません。また、SCP-717-JPの収録ジョークのみ、あるいはイラストのみを視認しただけでは、ジョークを発声しても効果の発生に至りません。 SCP-717-JPは神奈川県の████小学校にて、大規模な爆発事故と未知の大型生物の出現が報告されたことをきっかけに、収容に至りました。SCP-717-JPは当時█年2組の教室に置いてあり、全ページを読んだ生徒によって、一連の現象が引き起こされたと考えられています。なお、SCP-717-JPには出版社や印刷業者、及び書籍コードなど発行元を特定する情報が一切記載されておらず、収容当時生存していた生徒へのインタビューでも、誰が持ってきたかを明らかにすることはできませんでした。 現在、SCP-717-JPは表紙の印刷と裏腹に228のジョークしか収録されていない点から、落丁書籍であると考えられています。そのため全国各地の古書店を定期的に調査し、類似書籍を含めたSCP-717-JPの回収が行われています。 補遺: SCP-717-JPの裏表紙に記載されていた文章 爆笑必至!面白すぎ注意報発令中! よい子の諸君!『博士』が送る爆笑ギャグ250連発で大爆笑! 君も明日からクラスの人気者になれるかも!!?? 皆で笑おう!皆で楽しもう! 楽しもうね!! SCP-717-JPに収録されているジョークと、生じる現実改変能力の一覧(抜粋) 対象ジョーク:布団が吹っ飛んだ 被験者:D-32215 実験環境:実験用気密チャンバー内に、一般的な寝具用布団と共に被験者を配置 生じた現象:寝具用布団が破裂し、チャンバー内のカメラを破壊。████研究助手がチャンバー内に侵入したところ、全身に2から3度の火傷を負った被験者を発見した。 付記:被験者は実験終了後、医務室に搬送された。被験者の退表面の付着物を解析した結果、寝具用布団内の綿がニトロセルロースに変化して爆発したことが判明した。 対象ジョーク:アルミ缶の上にあるミカン 被験者:D-00112 実験環境:実験用機密チャンバー内に、被験者と共に飲料品用アルミニウム製缶容器を配置。被験者と容器の間には防弾ガラス製の衝立を設置した。 生じた現象:缶容器の上部にミカンに分類される果実が出現した。 付記:ミカンが出現したように観測されたが、単に『アルミ製の金属容器の上部にミカンが存在するように見える』という精神影響を実験関係者全員が受けただけだと判明した。以降の実験で特に問題はないため、精神影響の除去を行わないまま、被験者には引き続き実験に参加させた。 対象ジョーク:猫が寝ころんだ 被験者:D-00112 実験環境:実験チャンバー内にイエネコ一匹(オス、2歳)と共に被験者を配置。 生じた現象:発声直後、毛づくろいをしていたイエネコが突然横になった。 付記:実験チャンバーより二階下の飼育室内で、ベンガルトラを含むネコ科の動物8頭が食餌や排泄を中断して横になった。 対象ジョーク:この椅子、いいっすね 被験者:D-00112 実験環境:実験チャンバー内に被験者のみを配置 生じた現象:特に何も生じなかった 付記:次は椅子をチャンバー内に入れて実験してみよう-████博士 対象ジョーク:ナイスな椅子 被験者:D-00112 実験環境:実験チャンバー内に事務用椅子(背もたれ付、ひじ掛けなし)とともに被験者を配置 生じた現象:事務用椅子がひじかけのついた一人用ソファに変化した 付記:実験終了後30分経過すると、個人用ソファは元の事務用椅子に戻った。 対象ジョーク:サイを見なさい 被験者:D-00112 実験環境:実験チャンバー内に被験者を配置。実験チャンバーの扉は施錠されており、実験チャンバーを中心とする半径50km以内にサイが飼育されていないことは確認済み。 生じた現象:被験者はジョークを発声後、実験チャンバー出入り口に駆け寄り脱出を試みた。████博士の再三の警告にもかかわらず、被験者は実験チャンバーからの脱出を試みたため、沈静ガスをチャンバー内に噴霧して実験を中断した。 付記:実験終了後、D-00112が意識を回復すると「サイを見なければ」などと発言し、逃走を試みた。D-00112を拘束の上、各種記憶処置を施したが、強迫観念は除去できなかったため、実験から28時間後に解雇した。 対象ジョーク:やわら貝 被験者:D-1422 実験環境:実験チャンバー内にアサリの入った水槽と共に被験者を配置 生じた現象:ジョークの発声直後、水槽内のアサリが水槽底面に平面状に広がった。 付記:実験後水槽底面のアサリを調査したところ、貝殻からカルシウムが一切失われていた。 対象ジョーク:スイスの椅子 被験者:D-1422 実験環境:実験チャンバー内に被験者のみを配置 生じた現象:SCP-███-JPとほぼ同一の性質を有するオブジェクトが出現した 付記:SCP-███-JPの収容状況に変化がなかったため、同一の性質を有するオブジェクトが発生したと考えられる。現在実験によって発生したオブジェクトは、SCP-███-JPと同様の手順で収容されている。 コメント:そう言えばSCP-███-JPが回収されたのは、スイス発の貨物船だったな 対象ジョーク:犬がどこにも居ぬ 被験者:D-23252 実験環境:実験チャンバー内に被験者と犬(雑種雄、2歳)を配置 生じた現象:被験者、実験関係者共に犬の消失を報告した。しかし実際には犬の存在を認識できなくなっただけであったことが判明した。 付記:実験後、Aクラス記憶処置を施したところ、ジョークを聞いた職員については認識障害を消去することができた。被験者については認識障害の消去には至らなかったが、以降の実験での影響が低いと判断された。 対象ジョーク:粥を食べると痒ーくなる 被験者:D-23252 実験環境:実験チャンバー内に被験者のみを配置。ジョーク発声後、被験者に職員向け食堂で調理した粥を食べさせる。 生じた現象:食事後、被験者の全身に蕁麻疹が生じ、非常に強い痒みを訴えた。 付記:実験後、他の食品でも試したところ、穀類に大量の水を加えて調理した料理全般に対し、アレルギーの症状が生じることが判明した。粥やオートミールはもちろん、一般的な方法で炊いた白米やおこわでも症状が確認された。ただし、餅のように原材料から大きく形が変化する調理法を経た場合は、特に問題はなかった。調査後、被験者は本人の希望通り解雇した。 対象ジョーク:コンブで喜んぶ 被験者:D-12198 実験環境:実験チャンバー内に被験者と共に、加熱調理済みの食用昆布を配置した 生じた現象:ジョーク発声後、特に被験者に体調の変化はなかった。しかし████博士の指示で被験者が昆布を摂食したところ、顔面及び横隔膜の痙攣が生じた。 付記:被験者は顔面と横隔膜だけでなく、全身を痙攣させ、最終的には自己終了した。被験者を調査した結果、血液や脳内から特に異常な化学物質は検出されなかった 対象ジョーク:車が来るまで待って 被験者:D-10425 実験環境:実験チャンバー内に被験者を配置。ジョーク内に待機を示す語が含まれているため、ジョーク発声後72時間、被験者を実験チャンバー内にて観察する 生じた現象:実験後72時間の間、被験者及び実験関係者に変化は見られなかった。 付記:実験から18時間後、身元不明の男性が運転する乗用車が、財団施設の正面ゲートに急速に接近した。警備職員の停止命令を無視したため、車両停止装置を用いて強制的に停車させ、運転手を拘束した。乗用車を停止させた時点では運転手はひどく興奮していたが、降車させた所無抵抗になった。運転手はその後18時間にわたるインタビューにも黙秘を続け、インタビュワー交代のため目を離した瞬間に消失した。また、拘束後駐車場に停車していた乗用車も、ほぼ同時に消失した。 対象ジョーク:鬼のようなお兄ちゃん! 被験者:D-00021 実験環境:実験チャンバー内に被験者と共に、D-000231を拘束した上で配置 生じた現象:特に異常は無し。しかし被験者を実験チャンバーから退出させる際に、D-00023が被験者よりも後だということに立腹し抗議を始めた。実験に立ち会った職員が制止したが、D-00023の発言は止まらず、通常時の待遇への不平不満にまで発展し、怒りをあらわにして拘束を逃れようと試みた。拘束器具が破壊される恐れがあったため、D-00023には鎮静剤が投与され、意識を喪失した状態で実験チャンバーから運び出された 付記:D-00023にインタビューを行ったところ、被験者に対する強烈な敵意が心理的刷り込みとして植えつけられていた。また、検死の結果、Dクラス職員として雇用した当初よりも骨格筋率が17%ほど上昇していた 対象ジョーク:時計なんてほっとけい 被験者:D-98282 実験環境:実験チャンバー内に被験者と共に一般的な市販の置時計を配置 生じた現象:実験後、被験者を含め、ジョークを聞いていた実験関係者全員が時間の感覚を喪失した。 付記:被験者と影響を受けた実験関係者は、実験後より筋道を立てて思考することが出来なくなった模様。各種記憶処置を施して回復を試みたが、いずれも失敗。意識はあるが本人の意思確認ができないため、解雇は保留中。 対象ジョーク:SCP敗団 被験者:D-64892 実験環境:実験チャンバー内に対象を配置 生じた現象:実験直前にO5命令により実験中止 付記:ジョークの内容及びその他の事例から、『博士』が財団の存在を把握している可能性が高いため、出版元と『博士』の調査チームの人員を増員した。 コメント:何が起こるかは不明だが、これまでの実験結果からすると致命的な状況が発生する可能性が高い -███博士 対象ジョーク:[削除済]は何[削除済]? 被験者:D-2048 実験環境:防弾ガラス製監視窓つきの多目的チャンバーに被験者を配置。チャンバー内には各種センサと記録装置を配置。チャンバーに隣接する監視室には、武装した警備職員8名を待機させた。 生じた現象:チャンバー内に複数名2の[削除済]が出現した。[削除済]は被験者を所持していた刃物で攻撃すると、監視窓に向けて金属片を投擲した。金属片が監視窓を貫通し、████博士他3名に命中した。その後[削除済]は監視窓を突き破って監視室に乱入し、所持していた刃物、金属片、素手などで警備職員と戦闘を開始。2分後に警備職員を全て行動不能にすると、全員が煙を発生させて消滅した。 付記:実験チャンバー及び監視室からは、凶器として使用された刃物や金属片は発見されなかった。 Footnotes 1. 被験者の兄 2. 目撃者によって2から8と個体数が変化しています。また、記録映像を視聴した場合でも、人数についてはばらつきが生じます
scp-718-jp
評価: +153+–x 投擲に用いられる予定のSCP-718-JP-1。 アイテム番号: SCP-718-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-718-JPは、プロトコル[どぜふすくひ]により、鰻より泥鰌に投擲物を置き換え、「泥鰌飛ばし」としました。SCP-718-JP自体は発見区域においてはほぼ無力化されていると見られますが、SCP-718-JP-2は現在も██体存在しており、財団によって確保されています。SCP-718-JP-2は、標準人型オブジェクト管理プロトコルにより管理されています。新たなSCP-718-JP-2が発見された場合、その健康上に問題が起こり得ないと判断された時に限り、Cクラス以上の記憶処理を行い治療して下さい。また、現在も周辺地域にてSCP-718-JPが執り行われている可能性は否めない為、同区域への監視を徹底して下さい。回収されている、及び回収された全てのSCP-718-JP-1はサイト-8117の特異性影響物保管ロッカーへ保管してください。地球外に存在するSCP-718-JP-1に対する処理は現在検討中です。 説明: SCP-718-JPは、主に山形県、██市を中心に、東北地方のごく一部地域で年始に執り行われている祭事の一種、「鰻飛ばし」です。SCP-718-JPは、20代~30代を中心とした年齢層の男性によって儀式が進められます。男性らは褌一枚になった姿で海際へと集まり、海へと突進します。掛け声を上げながら全身へ水を浴び、その後、用意された鰻を海上へ向けて投擲し、その飛距離を競うことで、その年における一番の年男1を決定します。 SCP-718-JPがいつその異常性を獲得したかは全く不明であり、加えて祭事そのものの発祥、起こりが何であるのかもわかっていませんが、最初にその異常性が発覚したのは、NASAにおける人工衛星の破損事案であると見られています。20██年1月3日、NASAにおいて利用されていた、一般に開示されていない秘匿衛星████の破損事故が発生。全く由来の分からない不明な破損により、財団へ調査の依頼が入りました。財団が██████により衛星を回収し、原因を直接調査したところ、「内部を超高速の物体が貫通したことによる破損が原因」と判明。「同衛星軌道上に対して地球から発射された何らかの物体がその要因である」と結論づけられました。更なる調査により、同日、山形県、██市、██海岸より何らかの物体が超高速で射出されていた事実が明らかとなり、衛星内部に残留していた粘性の液体より検出されたムチンと、SCP-718-JPに使用されていたニホンウナギ(Anguilla japonica)の分泌する粘液から採取されたムチンとが同一種のものであると判明した為、同祭事がSCP-718-JPであると決定づけられました。この際、投擲に用いられた鰻をSCP-718-JP-1とします。 SCP-718-JP-1は、投擲時に猛烈な加速が生じるにも関わらず、本来SCP-718-JP-1(鰻)が持つ質量分の物体が投擲された際と同様のエネルギーしか発散しません。このため、投擲者に対しての影響は無く、仮に何かしらの物体へ衝突しても大抵の場合そこで停止します。しかし、一度地球大気圏外に脱出すると、投擲時にSCP-718-JP-1が取得した運動エネルギーを、進行上に存在する物体に対しそのまま伝達することが判明しています。 SCP-718-JPにより投げられた中で分かっている内、木星の衛星であるガニメデに突き刺さっていると見られる鰻(以後、SCP-718-JP-1と表記)、及び金星に突き刺さっていると思われるSCP-718-JP-1が█体あります。SCP-718-JP-1は、投擲されたその瞬間からその形状を直線的に変化させ、多量の粘液2を放出するようになります。加えて一切の外的損傷や阻害を受け付けず、劣化や腐敗を生じなくなるため、宇宙空間においても複数のSCP-718-JP-1が存在していると見られますが、その回収に掛かるコストや、現在も維持し続けているとみられる速度3から鑑みるに、これらに対する回収作業は目処が立たないままです。なお、回収されたSCP-718-JP-1を検査した結果、生物学的には完全に死亡していることが判明しています。 SCP-718-JPは、参加した人間に対し、SCP-718-JP-1を投擲する瞬間にその膂力を急激かつ爆発的に上昇させる能力を付与します。これによる人体への影響は投擲時を除き一切なく、恒久的な変化も起こしませんが、最も遠方に投擲したと見られる人間に、「投擲されたSCP-718-JP-1周辺を常に観察可能な視野」を獲得する極めて局所的な遠隔透視能力を付与します。これらの選定基準、及び、何が投擲者を「最も遠くに投げた人間」と判断するかは不明ですが、この能力を得た者をSCP-718-JP-2とします。この透視能力により、SCP-718-JP-2が何らかの害4を受けたとの報告は今の所報告されていません。この能力はCクラス以上の記憶処理によって治療が可能ですが、高齢者に対してCクラス以上の記憶処理は推奨されていない為、平均70代以上の体の弱い、あるいは疾病や衰弱等により死期が近いと見られるSCP-718-JP-2のみを収容しています。 財団では、19██年から20██年に至るまでにSCP-718-JP-2となった者を確保し、治療しています。その内高齢であるために記憶処理対象外に当たる一名へインタビューを行いました。記録は以下の通りです。 SCP-718-JP-2へのインタビュー記録 記録日時: 20██年██月██日 対象: SCP-718-JP-2 インタビュアー: 田辺博士(対象と同地方出身) 注: 対象者の方言による訛りが強いため、適宜書き換えて表記しています。 田辺博士: それでは、これからインタビューを行います。よろしいですか? SCP-718-JP-2: 大丈夫だ。 田辺博士: ではお聞きしていきましょう。SCP-718-JP、あー……ええと。あなた方の住む地域で行われているあの鰻飛ばし。これは一体いつから行われていたのですか? SCP-718-JP-2: さぁ、自分も物心ついた頃からやってたんで、起こりとかまで詳しくは知らんね。 田辺博士: なるほど。貴方の生まれた頃からずっと? SCP-718-JP-2: そうだ。俺の爺様の爺様の、そのまた爺様くらいからはやってるんじゃねぇかな。少なくとも、100年くらい前までの資料なら役場にあったはずだ。 田辺博士: ふむ。あの祭りには一体どういう意味が? SCP-718-JP-2: そこいらの祭りと変わらんよ。一年の無病息災を祈願しながら、ついでに今年一年の年男を決めちまう。俺がこうなった時は割と当たり前だったな、一番凄かった奴には、鰻の幻が見えるってよ。 田辺博士: なるほど。祭事の始まりについての伝承をお聞きしたこと等は? SCP-718-JP-2: 殆ど無い。ただ、爺様から、随分昔から鰻は投げるもんだ、って聞いたことならある。だからウチでも投げてたわけだ。 田辺博士: ははぁ……ええと、では、貴方が投げた当初はどのような風に? SCP-718-JP-2: あんまり覚えとらんが、面白かったぞ。周り中皆が信じられん勢いで鰻を投げるんだ。海面を石ころみたいに跳ねたり、時々真上に飛んでって砂浜にまた突き刺さったりとかな。投げた後に戻ってきたもんは、良くないもんの象徴ってんで海に返してた。あとは、大体空の彼方にぶっ飛んでって見えなくなる。俺なんかすっ転んじまって、その拍子に真上にぶん投げちまった。もう周り中から大笑いされてな。 田辺博士: ……なるほど。そして、貴方には投げた鰻の像が見えていると? SCP-718-JP-2: そうだ。その日の夜くらいから急に見え始めたかな。最初はビビったもんだが、今はそうでもない。それに、今も見えてるからな。真っ暗な中を、鰻が飛んでる。これが見え始めてもう50年くらいか。視界のどこにでもやれるんだが、ずっと見えてっから迷惑っちゃ迷惑だ。 田辺博士: そうなのですか。 SCP-718-JP-2: まあ、慣れると割と面白いもんだ。真っ暗な闇の中を真っ直ぐに、くるくる回りながら飛び続けてる鰻の絵面ってのはな。 田辺博士: ……なるほど。わかりました。インタビューを終了します。ありがとうございました。 ‹ログ終了› 脚注 1. ここでは家々の正月行事を司る者の事を言い、その中で最も優れた男の意として取り扱います。 2. 粘液そのものに特異性はありません。 3. 平均秒速19.87kmです。 4. 透視能力により宇宙線に被曝する等の影響は無いようですが、恒星近傍をSCP-718-JP-1が通過した場合の失明が懸念されています。
scp-719-jp
評価: +95+–x SCP-719-JP実例に共通する表紙のデザイン。 タイトルの“犀”は中表紙に記されている。 アイテム番号: SCP-719-JP オブジェクトクラス: Keter 特別収容プロトコル: SCP-719-JPの発見と回収/削除は、機動部隊さ-1(“言ノ葉猟友会”)およびWeb走査Bot-31("ヴァン・ペルト")に割り当てられています。SCP-719-JPの実践によってポータルが作成されてしまった場合は即座に現場を封鎖し、可能な限り非致死的に関係者を無力化して、ポータルの拡大とSCP-719-JP-A個体の逃走を防いでください。SCP-719-JP-A個体に直接遭遇した人物や対処に当たった機動部隊のメンバーは、クラスB記憶処理を施した後、2週間の隔離観察下に置きます。汚染が第4段階に達しているミーム罹患者は即時終了されます。 SCP-719-JP-1の探索は既に打ち切りが決定しています。接続されたポータルは可能な限り鉄筋コンクリートを用いて恒久的に埋め立て、影響領域が広大な場合は周辺に境界線を設けて民間人の侵入およびSCP-719-JP-A個体の外部進出を阻止します。封鎖に用いたコンクリート壁は、SCP-719-JP-A個体による内側からの損傷が無いかを3日に一度点検しなければいけません。 SCP-719-JPの異常性の原理の調査と、PoI-5796(“來野彩造らいのさいぞう”)および/または2013年以降の当該人物と交流があった超常芸術家の捜索が進行中です。 説明: SCP-719-JPは、日本国内全域の書店・劇場・図書館・イベント会場のフリーペーパー配布コーナーなどに、見たところ自然発生的な手段を介して不定期に出現する異常な演劇台本です。本稿執筆現在までに回収された全てのSCP-719-JP実例は、出現場所に照らし合わせて適切な装丁が施されていました。 SCP-719-JPの内容は、ルーマニア人劇作家のウジェーヌ・イヨネスコ(Eugène Ionesco, 1909-1994)が1959年に発表した全三幕の不条理戯曲、“犀(Rhinocéros)”を日本語に訳し、一部を改変したものです。SCP-719-JP実例には原作者のイヨネスコの名前と併記して「翻案: 來野彩造」という記述があります(詳細は後述)が、著名は常にオリジナル版と同一の“犀”です。 SCP-719-JPとオリジナル版の“犀”の相違点は以下の通りです。 SCP-719-JPの舞台は明治時代初期の日本をモチーフにしたと思われ、登場人物名などはそれに合わせて変更されています。これにも拘らず、登場人物が“ラヂオ”に言及するなどの時代錯誤な描写が含まれます。 登場人物らの台詞には、しばしば韻を踏む独特な言い回しや言葉遊びの応酬がふんだんに追加されています。このため、上演を行った場合は三幕全てがオリジナル版より15~20分程度長くなることが予想されます。 SCP-719-JPは小道具の配色や材質、劇中で用いられる効果音、演者の立ち居振る舞いや台詞のテンポなどといった、ストーリーの大筋に絡まない要素を異常なまでに細かく指定しています。この指示を遵守した精度は、後述するSCP-719-JP-1へのポータルの影響規模との間に正の相関性を持っているというのが、現在有力視されている仮説です1。 上記とは対照的に、SCP-719-JPには、ストーリーの根幹をなす“犀”の登場シーンの演出に関する記述は殆どありません。舞台外からの出現場面では任意の位置に照明を当てることのみが要求されており、演者が犀に姿を変える場面では角などの小道具が指定されていません。 SCP-719-JPの主人公である“辨次郎”は、オリジナル版の“ベランジェ”が人間として生き抜き徹底抗戦を決意するのに対し、最終的には犀の群れに屈したことが示唆されます。 SCP-719-JPは読者に対して微弱な精神作用を齎し、通常であれば過度に冗長と見做されるであろうその内容を肯定的に評価したいという意見を植え付けます。これは周辺人物の反対意見を押し切るほどに強い感情ではなく、またSCP-719-JPを実際に上演したいという発想には直結しない点に留意してください。精神作用は、一幕から三幕までの全てが物理的に一纏めにされている紙媒体のSCP-719-JP実例のみに見られる特性です2。 SCP-719-JPの最たる異常性は、少なくとも20名の観客が存在する状況において最初から演じられることで発現します。条件が満たされた場合、演者たちのいる舞台空間には、SCP-719-JP-1に指定される異次元空間へのポータルと、SCP-719-JP-Aに指定される生命体が姿を現します。 + SCP-719-JP-1および-Aについて - SCP-719-JP-1および-Aについて   SCP-719-JP-1 SCP-719-JP-A ドローンによるSCP-719-JP-1の空撮写真。 SCP-719-JP-1は洋上に浮かぶ推定面積115,000km2の陸地です。現在までこの空間に719-JP-1以外の陸地は確認されておらず、夜間に観測される天体の配置は現実世界のそれと一致していません。719-JP-1には概ね1960年代のヨーロッパ諸国に見られるような家屋が多数存在していますが、これらは長期にわたって人間の居住が途絶えている様子を見せています。また、家屋内部で発見された書籍類にはいずれも文字が記されておらず、各所に存在する市町村/地理/施設の固有名称を示すような看板や地図類が発見されたこともありません。 719-JP-1へのポータルは外部観察が不可能ですが、影響領域内部に立ち入った人物は、現実世界と719-JP-1の任意の地点から見える風景が「空間的に重なり合って見える」と一様に述べます。この時、対象者は意識的な選択を介して719-JP-1への侵入、および現実世界への退出が可能となります。 ポータルは、現実世界または719-JP-1の該当地点を、一定以上の密度を持つ物体で完全に埋め立てることでのみ封鎖できます。719-JP-1側での封鎖の試みは必然的にSCP-719-JP-A個体群の集中攻撃を招くことに留意してください。 SCP-719-JP-A個体を別とすれば、719-JP-1に生息する動植物はヨーロッパに生息している種のみです(完全なリストは別紙を参照)。これらの原住生物による719-JP-1から現実世界への侵入はこれまでのところ確認されていません。 SCP-719-JP-A個体の一例。 SCP-719-JP-Aは、719-JP-1に生息する、奇蹄目サイ科(Rhinocerotidae)に酷似した総数不明の異常生命体です。SCP-719-JP-A個体は外見上、20██年現在の基底現実世界に原生している5種類のサイ3のいずれかと一致する姿をしていますが、その習性/解剖学構造/生物学的分析は、以下に挙げる数多くの異常な側面を露呈しています。 719-JP-Aは遺伝子学的にはヒト(Homo sapiens)です。 719-JP-Aは消化器官と肺以外の内臓器官を持ちません。骨格以外の大部分は頑丈な筋肉組織から構成されており、頭部には複雑に絡み合った小さな神経束のみが存在しています。この神経束を損傷するのが、719-JP-Aを完全に無力化する唯一の手段です。 表面的には睡眠4・呼吸5・食物摂取6を行う様子が見られるものの、上記の理由から、これらの活動が無くとも719-JP-Aは生存し続けることが出来ます。現時点で719-JP-Aに種としての寿命があるかは分かっていません。 719-JP-Aは通常のサイよりも外皮が堅固であり、ある個体は探査ドローンが搭載していた.458口径マグナム弾の直撃に5発まで耐えた記録が残っています。719-JP-Aには痛覚が欠如しているため、これによって無力化はより困難となります。 719-JP-Aは半径60m以内の無線伝送に干渉し、地響きやサイの鳴き声から成る“放送”を行うことが出来ます。これは719-JP-Aの角を損壊することによって停止できます。 719-JP-Aは時として大規模な群れ(外見上異なる種類の個体を含む)で活動し、719-JP-1への侵入者を市街区に追い詰めて包囲する、または負傷した個体を囮にして死角から攻撃するなどの統率された敵対行動を取ります。個体群の意思疎通には前述した無線干渉と同種のテレパシーが用いられていると理論上想定されていますが、正確なメカニズムは判明していません。 719-JP-Aは、至近距離で直接観察を行った/“放送”に累計30分以上曝露した人物のおよそ70%に対してミーム汚染現象を引き起こします。罹患者は以下に示すような症状を順に示し始め、曝露から1時間~10日ほどの期間7を経て新たな719-JP-A個体と化します。クラスB記憶処理は、初期の精神汚染を無効化するうえで一定の有効性があります。 進行段階 示される症状 記憶処理の有効性 注記 1 感情、とりわけ怒りを抑制する能力の著しい減退。しばしば衛生観念の欠落を伴う。 70% 一部の罹患者は即座に第2段階に至ることに留意すべし。 2 体温の着実な上昇。これに伴い、罹患者は常時興奮状態となり、攻撃性や食欲の増大を示し始める。 55% これ以降の罹患者の15%は、ミーム汚染の除去以降も、第1段階の感情制御問題を抱え続ける傾向が示されている。 3 皮膚色素の自発的な変色。動物のように鼻を鳴らす仕草が見られるようになる。 35% 変色初期の皮膚は緑色を呈し、完全に灰色になった時点で第4段階に入る。現時点で変色した皮膚色素を元に戻す方法は判明していない。 4 鼻および額における瘤状突起の形成、および視認可能な速度での肥大化。 0% この時点で719-JP-A個体への変異を阻止することは不可能になる。 5 急激な身体の膨張と体内構造の変化(約20秒)による、完全な719-JP-A個体への変態。 N/A N/A SCP-719-JPの公演が進行するのに伴い、SCP-719-JP-Aは作中の展開に合わせてSCP-719-JP-1から現実世界へと姿を現し、段階的にポータルの影響領域を拡大していきます。この間、SCP-719-JPの演者・裏方・観客たちは明瞭に異常な事態を認識しているにも拘らず、演技/鑑賞を続行しなければならないという抗し難い脅迫衝動に駆られます。関与者のおよそ90%が外部干渉によって意識を喪失した時点で、SCP-719-JPは中断されたと見做され、それ以上の領域拡大は抑えられます。   幕 作中展開 発生する事象 -A個体 1 舞台はある田舎町。主人公の辨次郎(ベランジェ)と友人の甚平(ジャン)は、1頭の犀が街中を走り抜けてゆく様子を目撃する。奇妙な出来事に町の人々が議論し合う中、別な犀が現れ、住民の一人が飼っている猫を踏み殺して去る。住民たちは犀の出自について意見を戦わせるが、概ねその存在に不賛成である意を表明する。 舞台上にポータルが出現。2頭目の719-JP-A個体が出現する前に上演を中断した場合、ポータルは約25日間で消失する。第一幕で出現した個体2頭は公演会場の外へ退出しない傾向があるため、往々にして事態の発覚が遅れる。 2頭 2-1 舞台は辨次郎の職場。犀の目撃証言を巡って職員の意見が割れる中、欠勤を続けていた猪之助(ブゥフ氏)の妻が犀に追われて職場に逃げ込んでくる。混乱の渦中、猪之助夫人は自分を追ってきた犀の正体が猪之助であることを悟り、共に去ってゆく。 ポータルは拡大し、客席を包括する。出現した719-JP-A個体は、猪之助夫人を演じる役者を背に乗せたまま劇場を退出し、屋外でやみくもに破壊行為を繰り返す。現在まで、劇場外で夫人役が再度発見されたことはない。 1頭 2-2 舞台は甚平の長屋。甚平は体調を崩しており、やって来た辨次郎にそっけない対応をする。2人は人が犀に変身するという事の道徳性を巡って話し合うが、徐々に甚平はヒューマニズムに対する否定的な立場を公言し始める。最終的に甚平の姿は犀と化し、辨次郎は犀の群れが町を蹂躙するさまを長屋の窓から見て恐怖する。 第一場で劇場外に出た719-JP-A個体が騒ぎを引き起こすため、財団が干渉したほぼ全ての事例は第二場が完結する前に抑えられている。完結した場合、ポータルは劇場全体を包み込む規模まで拡張され、劇の中断後も719-JP-A個体が積極的に719-JP-1から出入りするようになる。第二場半ばで中断に成功した場合も、甚平役の演者が719-JP-A個体に変異するのを阻止することは出来ない。 20~40頭 3 舞台は辨次郎の長屋。町の人々は続々と人間を辞める道を選び、ついには“ラヂオ局”さえもが犀に占領される。最後に一人残った知人のお菊(デイジー)も去り、今さら犀になることも出来ずに辨次郎は絶望する。ラストにおいて辨次郎は力なく床に倒れ込み、舞台の奥から“何百頭もの犀が、怒涛の如く”押し寄せてくるという場面で幕が降りる。 現在まで財団が確認しているのは、20██年に██島で発生した1例のみ(事後に発覚)。██島は現在“有害汚染物質流出”のカバーストーリーを以て封鎖され、周辺海域には非常警戒線が設けられている。推定されるポータルの規模は、上演会場だった███氏の別荘を中心とする█.█平方km。現在まで719-JP-A個体群による島外進出の試みは18回行われ、全て水際で阻止された。 未確認 発見ログ: SCP-719-JPはまず20██年11月、機動部隊び-1("美術館")に所属していた超常舞台芸術専門の研究者である鷲岡博士の自宅マンションに未完成原稿の形で送付されてきました。鷲岡博士はこれ以前に異常な芸術作品を扱う要注意団体との直接交流歴を持っておらず、如何にして彼女の住所が特定されたのかは不明です。 原稿は無地の封筒8に入った状態で届けられており、その他に筆跡の異なる2枚の文書が同封されていました。 + 文書-αおよび-β - 文書-αおよび-β 文書-αは一般的なA4サイズのコピー用紙にボールペンを用いて書き込まれていました。鑑定の結果、この文書および同封されていた原稿の筆跡は、GoI-2601に指定されていた小規模要注意団体“劇団火輪”の既知の構成員である來野彩造が過去に残した文書のそれとほぼ一致しました。 GoI-2601は1998年に発足したと見られる異常な芸術家集団です。その活動範囲は舞台芸術の分野に限られており、観客に対して幻覚などの心理的影響を齎すゲリラ演劇を開催する、自律性を持つ背景などの異常な小道具を各地の劇場に密かに紛れ込ませるなど、比較的無害な活動を散発的に行っていました。しかしながら2011年、GoI-2601は財団の与り知らぬ何事かを切欠に、その構成員同士で活動方針や“演出”に用いる超常技巧を巡る内輪揉めが頻発するようになり、2013年には完全に活動を停止しました。財団が人物情報を把握している構成員は全体のおよそ1/3であり、その大半は解散後の足取りがつかめていません。 文書αは、來野氏と、未特定の元・GoI-2601構成員との間に交わされた書簡だと考えられます。構成員の名前、もしくは何らかの不都合な情報に言及していると推定される部分は、全てマーカーペンで上から塗りつぶされていました。 ████へ 君が███████████████くれたことを、肯定的な反応と信じてこれを送る。有難う。 同封した原稿をまず見てほしい。先日の手紙に書いたことが絵空事でないのは、██████████████、██████である君ならすぐに分かるはずだ(2005年の札幌で███が使った技法を一部流用している。彼は去年自殺したと偶然会った████から聞いた。胸糞悪い輩が死んで清々したよと彼女は嗤っていた)。 かつて、私が四六時中「犀」の台本を読んでいることを、君と██とでからかってきたことがあったと思う。これは学生時代に演劇部から持ち出した軽い記念の品だと私が言い訳をすると、たしか██の方がこう言った。「それにしちゃやたらと擦り切れてるし、第一、暇さえあれば読んでるじゃないか。あんた、さては名前のせいで犀に親近感でも湧いてるのか?」 当時の私は適当にあしらったが、実際のところ、██は真実を突いていた。 私にとって、あの戯曲に出てくる犀は、ファシズムの台頭でも群衆の盲従でもなく、ただ純粋に力の象徴だった。彼らはひたすらに強く、日々のくだらない因習に縛られた登場人物たちを翻弄する。人間たちが次々と己を見失う中で、犀たちは幸福に歌い、踊り、新たな世界を着実に築き上げていく。それは混沌ではなく、秩序の誕生のように私には思われた。 私がこれまでどれほど鬱々とした日々を送ってきたかを君に分かってもらおうとは思わない。劇団火輪の空中分解以来、私は比喩でもなんでもなく、路傍の野草を毟って食らいながら生きてきた。十の物を一にすらできず9、顔を合わせる人々から例外なくウスノロの[差別表現につき編集済]呼ばわりされてきた私にとって、君たちとの出会いは、またその才覚が多少なりとも私の中に宿っていると知った時の驚きは、言葉ではとても言い表せない。皆同じような者ばかりさ、と███は笑って言い、そして躊躇いがちに差し出した私の手を取ってくれた。 だがあの日、全ては変わった。私たち2人だけでなく、劇団の少なくとも半分以上にとっては何が切っ掛けかすら分からなかったはずだ。私にはただ、罵倒と拳が飛び交い、陰口が這い回り、観客に見せる以前に仲間内への侮辱的な隠喩を込めた演出が数を増やしていくのをただ蚊帳の外から見ているより他なかった。私の目の前であの日、全ての幸福は、他ならぬそれを作り上げた私たち自身の手で叩き割られたのだ。 その絶望が私の全てを占めていたからこそ、あの世界を見つけることが出来たのかもしれない。どんなに粗雑な物語も唯一無二の世界を内包しているとかつて君は言った。今の私にとって、この空間がどのような原理に基づいているのか、どのようにして創造されるに至ったかは関係ない。重要なのは、求めた物がそこにある、という事だ。 人間は醜い。身勝手で、狡く、内容はどうでも常に声の大きい者ばかりが世界を回す権利を握っている。自分の意に即わないものを決して理解せず、それでいて時には不釣り合いなまでに繊細だ。それに比べてイヨネスコの描いた犀たちの何と純粋なことか。彼らには相手を慮る心は無いかもしれないが、███のようにそれを悲しみ、絶望のあまりに自ら命を絶たせるような複雑な感情もまた存在しない。彼らは怒りに任せて暴虐を働くかもしれないが、████のようにそれを延々と引きずり、███の死を嘲り笑うような陰湿な憎悪へと変質させるようなことはない。 ███がこれを聞けば、それは逃避だ、野卑への退化だと私を非難し、殴りつけてでも止めたに違いない。だがそもそも劇団火輪さえも、舞台芸術が先鋭化の末に上流階級だけの特権となることを危惧した者たちの集まりだった。それが結局はあんな惨めな終わりを迎えるようならば、人類の発想と英知にどれほどの価値がある。いっそ何もかも忘れてしまえばいい。そこは原始の旋律が、魂を震わせる野生のリズムが共有された世界だ。人の手で醜悪に歪められたものがない、自然の美へのパラダイムシフトだ。もうあんな思いをするのは私はうんざりなんだ。 とにかく、君の助力が欲しい。犀たちをこちらの世界に帰還させる 招き入れる 帰還させるのが必須条件になる。今の段階ではせいぜい人が1人通れる程度だが、████████████応用すれば町を一つ丸ごと包み込む規模まで拡張させることも夢ではないだろう。前回と同じように█████████してほしい ― もし儀式を外国語に翻案可能な信用できる人物の心当たりがあれば、是非とも紹介してもらいたい。 來野 文書-βは破り取られたルーズリーフ用紙の切れ端にマーカーペンで書き込まれていました。筆跡は特定されていません。 あのバカを止めてくれ 上記文書の回収からおよそ14ヶ月後、宮城県にある██ヶ所の図書館10で最初のSCP-719-JP実例の完成版が発見されました。以来、財団は現在までに█████冊のSCP-719-JP実例を回収しています。 補遺: 財団の画像認識ソフトウェアは、SCP-719-JP実例の表紙の犀と來野氏の間に100%の一致を示しています。 來野彩造の既知の最後の写真。 撮影日時は未特定だが、GoI-2601解散後と想定される。 Footnotes 1. 佐々木智恵子、戸神司 共著、“招来演舞: SCP-████-JP召喚儀式とSCP-719-JPに見られる類似性についての一考察”。オブザーバー: あるSCP財団誌 (20██): 109B. 2. 例として、インターネット上にアップロードされたSCP-719-JPの筋書きは読者の精神に全く影響を及ぼしません。しかし、その印刷物を製本テープやステープラーで束ねた即席の台本は肯定的な感情の発露に繋がります。 3.   シロサイ (Ceratotherium simum) クロサイ (Diceros bicornis) スマトラサイ (Dicerorhinus sumatrensis) インドサイ (Rhinoceros unicornis) ジャワサイ (Rhinoceros sondaicus) 719-JP-1でドローンが撮影した映像には絶滅したケブカサイ(Coelodonta antiquitatis)が映っているという意見も出ていますが、問題の場面は不鮮明であるため、まだ確証されていません。 4. この間も719-JP-Aは明瞭な意識を保ち続けていると見られています。 5. 719-JP-Aの呼吸で酸素および二酸化炭素の量は変化しません。加えて、水中でも一切の苦痛を示さないままに鼻から水の吸引/排出を行っています。 6. 719-JP-Aが消費した植物質は、全く消化されていない状態で排泄されます。 7. 厭世感や自己嫌悪感、現在の生活に対する欲求不満などを抱く人物ほど影響を急速に受けやすい傾向があります。 8. 封筒には住所その他の書き込みが無いにも拘らず、直近の郵便局で消印が押されていました。郵便局の職員に対するインタビューで決定的な情報は得られていません。 9. 原文ママ。“一を聞いて十を知る”と、“縦の物を横にもしない”を混同していると思われる。 10. サイト-81██および-81██附属図書館を含む。
scp-720-jp
評価: +45+–x アイテム番号: SCP-720-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-720-JP該当区域とその周辺は現在法的に財団私有地です。加えて、標準的カバーストーリー「危険海洋生物生息」を施行して近隣住民からは一切封鎖されます。また警察組織他の協力を得て、あらゆる航空機は該当区域をはっきり視認できるようなルートを通らないようになっています。万一付近半径1000m圏内の上空に航空機が入り込んだ場合、フロント企業並びに警察組織からの打診をもって速やかに退避させてください。 海洋調査事業者の施設に偽装されたサイト-8127には常にレベル3以上の職員1名を含む職員4名以上が駐在するようにし、交代制で24時間、監視用定点カメラを観測してください。封鎖区域への侵入者が確認された場合、異常行動が見られない者は直ちに退去させ、状況に応じて記憶処理を行ってください。何らかの明らかな異常行動や、オブジェクトの特性の発揮と見られる現象が認められた場合、レベル3以上の職員1名の許可を得て、隠伏しつつ侵入者に接近、観察する必要があります。但しその際、侵入者を拘束・無力化する必要が生じる状況も想定しなければなりません。 SCP-720-JP-1-1の捜索は依然続けられています。全世界の不審な漂着物の情報は検められ、SCP-720-JP-1-1や他のSCP-720-JP-1個体と思しきものの発見に際しては、発見場所直近の機動部隊と生物学に精通した財団職員が派遣され、財団施設にて精査されます。また、新たなSCP-720-JP-1個体の出現の際に備え、海岸沖合100m地点には財団規格の海洋生物捕獲用ネットが張られています。これは1ヶ月周期で点検してください。 web上に掲載される当該区域を撮影した写真・映像は、発見され次第直ちに削除および編集が為されます。財団のweb検索アルゴリズムを用いた関連語句検索は最低でも日に一度行ってください。なお、「敢えて掲載させ続け、被験者となり得る者を炙り出す」案は過去に一度日本支部理事によって否決されています。 当オブジェクトの収容・研究担当職員には、精神鑑定の結果、海や水辺への特別な執着がないと診断された者のみが割り当てられます。 説明: SCP-720-JPは、██県██市北西部に位置する██海岸の大部分の区画です。現在は岩礁、砂浜、浅瀬、海面を含む約[編集済]平方メートルがSCP-720-JPとして指定されています。また、報告書の以下の文章においてはSCP-720-JPに含まれるものとしてしばしば省略されますが、SCP-720-JP一帯から見える海の風景もSCP-720-JP-αとして指定されています。研究の進行によってはSCP-720-JP該当区域が縮小、SCP-720-JP-αの収容対象指定解除などといった定義縮小が想定されています。これは特性が発現したと見られる過去の案件の数が非常に少なく、実験も現状困難であるので、特性を持つ核となるものの正確な絞り込みが未だ完了していないためです。██海岸周辺の水質、土壌、空気中の含有物質、及び生息生物には、他の水辺や海岸のそれらと比して特筆すべき異常は無いとの検査の結果が出ています。 SCP-720-JPに、元来海や水辺、液体そのものに対する性的嗜好をもつもの(以下、被験者)が暴露すると、被験者はまずSCP-720-JPに対し強い性的興奮の感情を見せます。これが特性発現といえる現象か、単にこのオブジェクトが彼らにとってとても扇情的な水辺だということなのかははっきりしていませんが、後述の事件 720-2、及びその事後調査の結果から恐らく後者ではないかとの推測が立てられています。以下においては前述のような性的嗜好を、便宜上「水際性愛」と呼称します。 次に、被験者に急激な身体強度の異常上昇が見られます。質量保存法則を明らかに無視した体格巨大化と筋量増、皮膚の非常な硬化、手足の末端の水掻き状の被膜の生成、耳の後ろからうなじにかけての鰓として機能すると思しい器官の生成などがその現象として報告されていますが、これらについてもまだ十分なデータは得られているとは言えません。死亡後には濃い磯の臭いを発しながら溶けた藻のような液状の物体へと変化するため、捕獲し解剖することも絶望視されています。なお、肉体に同様の変化が認められた被験者はSCP-720-JP-1に指定されることになっています。 被験者のSCP-720-JP-1への変化現象が精神に影響することは、少なくとも財団の過去に観測できた限りの変化段階では、殆どないものと思われます。これは機動部隊と交戦中のSCP-720-JP-1-2の振る舞いや言動に明らかに十分な理性を見て取れることから推測されます。詳しくは下記の事件 720-2の報告、及びライブラリの録画記録を参照のこと。 最後に、SCP-720-JP-1は海に向かって直進し、そのまま海中へと姿を消します。SCP-720-JP-1は強化された脚力で水の抵抗もものともせぬ様で走り、戦闘能力も映像記録にもみられるように非常に高いと報告されており、また██海岸の地形上、約50m沖から先が急に深くなっていることもあり、捕獲は容易ではないと思われます。SCP-720-JP-1がその後何処へ向かうのかについては依然全く不明のままです。 SCP-720-JPは19██年、別のAnomalousアイテム収容任務にあたっていたエージェントの██ ██氏が偶然██海岸での小休憩を取っている最中に、突然衣服を脱ぎだし、上述のような肉体変化を見せつつ海へと突進し姿を消した事件(後に事件 720-1とされます)でその異常性が財団に知られることとなりました。同伴していた2名のエージェントらは彼の制止を試みましたが逃げ切られ、後日██海岸沖合5km圏内の海中の捜索と日本海に面した諸海岸の調査が行われましたが、現在に至るまでエージェント██は見つかっていません。親族へは業務中の海難事故により死亡、遺体は捜索されるも不明、との説明がなされました。事件は超常現象の一つとしてファイリングされ、現場周辺には低重要度の要警戒区域として監視カメラが設置されました。 しかしその後、20██年に事件 720-2が発生したことで財団日本支部上層部により重く見られ、事件現場とその近辺にアイテム番号とオブジェクトクラス:Euclidが与えられました。同時に、失踪したエージェント██はSCP-720-JP-1-1、事件 720-2にて確認された個体はSCP-720-JP-1-2に指定されました。 後にエージェント██や事件 720-2の対象の親しかった友人などへの聞き込みや、両名の日記、web上の個人記録の精査などを行ったところ、両名ともに水際性愛の傾向があったらしいことが発覚。特性が暫定的ながら解明され、現在の収容プロトコルが確立されました。 事件記録 720-2  - 日付20██/██/██ 深夜02:30頃、定点カメラ監視員より現SCP-720-JP該当区域にて超常現象発現との通報があり、対亜人型オブジェクト戦闘に特化した機動部隊員10名が派遣されました。部隊到着時、体長3mほどの灰色の人型生物(後のSCP-720-JP-1-2)が海の中へとゆっくりと前進しているところでした。部隊は生体のままの捕獲を試みましたが、携行していた火器類や刃物類の多くが異常に硬い皮膚ゆえに無効であること、激しい抵抗に遭ったことを理由に断念。1名の死者、3名の重軽傷者を出しつつ苦闘の末生物を殺害しました。生物は死亡後、磯のような異臭を放ちつつ体組織を液状化させ、その殆どが海へと流出しました。僅かに採取された体組織のDNAは、数日前に失踪届が出されていた、当時東京都██市に在住していた██ █氏のものと一致しました。 事件発生当時の定点カメラの録画には、██氏と思しい女性が現れて海に腹部ほどまで浸かった状態で跪き、自慰らしき動作を行い、その十数分後に衣服が背から破れ、肉体が膨張する様が映っています。 また、戦闘した部隊による撮影では、SCP-720-JP-1-2が主に██海岸の美しい風景についてや、「何故自分と愛しい海とを引き離そうとするのか?」などといった趣旨の発言を繰り返しながら交戦する映像が映っています。これら二つの映像は共に財団のライブラリに保存されており、担当職員の権限があれば閲覧できます。 + 添付文書 720-1 - 添付文書 720-1 以下は、SCP-720-JP-1-2となった██ █氏のSNSサイトにおける記述から抜粋した文書です。投稿されたのは事件 720-2の146日前と記録されています。なお、この文書は現在当該サービスのサーバー上から完全に削除されています。 [前略] ところで見てほしいのは、この間の合宿の時に撮ってきた写真なんですよ…… [██海岸から見える海の様子を写したと思われる画像ファイルが3点添付されている。内訳は昼の様子が2点と夜の様子が1点。██氏の撮影技術は趣味レベルとしてはかなり高い熟練度であることがわかる] はー。 はあー……。 なんか本当に……すごく……すごい。いや完全にボキャブラリが死んでて申し訳ない。 でもわかってください!! ここでも何度か言ってる「いやらしい風景」ってこういう感じですよ皆さん!! この写真を撮ってる前後でも波打ち際でしゃがんでぼーっとしたり、ちょっと波に足を浸したりしてました。 ちょっとって言ってもたぶん昼と夜合わせて二時間くらいいたけど。 (あとでサークルの友達にめちゃくちゃ訝しがられた(|||o.o)ホットイテクレ…) 川の水辺を見てても時々こういう気分になるけど、やっぱり私の好きなのは海だなぁ…… 海を見ていると力が湧いてくるし、このまま浸って何処までも溶けていけたらいいなと思う…… そしてこの海を見てると、本当に、溶けていけるよって、溶けてしまえよって言われてるみたいな気分になる。 それは、日に日にそういう気持ちが増して来ていて…… …… 夜の写真を他にも幾つか撮ったけど、これは何処にも出さないで一人で見る用です。展示会にも出さないつもり。 バイト代を貯めて、またあの海には一人で行きたい。 この文書を受けて、財団は警察組織を偽装し、本人捜索のためと偽り██氏の所持していたデジタルカメラとラップトップ型PCを親族より押収。██海岸の写された画像ファイル26点を全てコピーして削除し、カメラとPCは親族へ返却されました。 コピーした画像は事件記録映像のファイルと同様ライブラリに保存されており、担当職員の権限があれば閲覧できます。
scp-721-jp
評価: +170+–x 探査ドローンによって撮影されたSCP-721-JP-α上空の画像 アイテム番号: SCP-721-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-721-JPの出入り口双方には鉄製の施錠扉が設置され、さらにその周囲をフェンスで囲むことで民間人の侵入を防ぎます。隣接する施設にはSCP-721-JP-αに投入された探査ドローンから送信される情報の処理を行う人員として2名以上の職員を常駐させてください。SCP-721-JP-αへの人員の投入を行う際にはレベル3以上の職員による承認と、通信機器および進行距離を計測可能なメーター等を装備させることが要求されます。オブジェクトの性質が解明されたと判断されるまで廃棄物処理施設の建造計画は無期限に延期されます。 プロトコル更新(19██/█):計画の凍結解除がサイト-81██管理者によって承認されました。それに伴いカバーストーリーの適用等、民間人の立ち入りを防止するためのプロトコルが一部強化されます。 説明: SCP-721-JPは██県██市郊外の旧道に存在する下り坂へ続くトンネルです。SCP-721-JPはヒトが下り方面に向かって進入した場合に限りその異常性を発現させます。トンネル出口を通過した人物(以下、被験者)は特定環境への急激な変化を知覚するとともに、外部からはその姿が完全かつ瞬時に消失する様子が確認されます。この現象が時間軸の切り離された異常領域への侵入によって引き起こされるものなのか、現実を模倣した異常空間への転移によって引き起こされるものなのかは判明していません。 SCP-721-JP-αと指定されたこの空間内で観測される景観および環境は常に一定に保たれており、現実空間における変化の影響を受けることはありません。SCP-721-JP-αにおける天候、気温、湿度、風速、雲量、太陽高度、および北東方向上空に残存する航跡雲1などといった情報は、19██年8月██日██時██分時点でその環境が固定されている可能性を示唆しています。またセミの鳴き声2や動物の生活に依存する植物や真菌といった兆候が見られるにも拘らず、現在までSCP-721-JP-α内で動物の存在が確認されたことはありません。 SCP-721-JP-α内では、被験者がSCP-721-JP-αに対して抱く主観的な認識や感情に応じてその度合いを変化させる特異な空間的異常を呈していると考えられています。現在SCP-721-JP-α内では少なくとも█████████%を超える極めて顕著な空間拡張が発生しており、この拡張率はSCP-721-JP-α内に新たな被験者が侵入することで上積みされる形で加算されます。Dクラス職員の投入実験から得られた一人あたりの加算率の平均はおよそ0.17%です。 またSCP-721-JP-α内では時間の経過や活動とともに通常発生するあらゆる物質的、精神的な変化や消耗が表れません。その影響から被験者は時間や空間を把握する能力の極端な低下を経験し、SCP-721-JP-αの性質を認知した上で意識を向け続けない限り空間内での時間経過や進行距離に対して無関心であり続けます。 SCP-721-JPは19██年、廃棄物処理施設の最終建造候補地の視察に訪れた民間人により偶発的に発見されました。狼狽した様子で夏に変わる道があるとの証言を行う人物の情報を、付近に潜伏していた財団エージェントが捕捉し調査が行われました。 現在、SCP-721-JPの近隣地域一帯を所有していた有真██氏がオブジェクトの起源に何らかの形で関与していたと見られています。有真氏はナショナルトラスト運動3を中心とした環境保全・自然保護活動に従事する、とりわけ開発事業に批判的な活動家として知られていました。彼がその青年期にディープエコロジーに類する複数の過激な自然保護団体を渡り歩いた後、ニューエイジの神秘主義を主張するカルト宗教に傾倒したという経歴はオブジェクトの起源を推し測る上で注目すべき点です。有真氏はSCP-721-JPの存在が発覚する█年前に消息を絶っており、ほぼ同時期に行方不明となっていた氏の実子二名とともに捜索願が提出されていました。財団による捜索が行われましたがその所在は現在に至るまで不明です。 SCP-721-JPで発見された日記からの抜粋 テキストを隠す 19██/05/██ ██年ぶりに帰ってきたこの地の眺めは、かつてと何ひとつ変わってはいなかった。この雄大な自然も景勝も、私が少年だった頃の記憶そのままに残されている。大した荷物もなかったため、転居作業も早々に終えられた。そう、ここでの暮らしに余計なものは必要ない。今日から私の新たな生活が始まる。 唯一気がかりなのは妻と子どもたちのことだ。彼女たちにはすまないことをした。だがこれは誰かがやらねばならないことなのだ。いつかきっと分かってくれるだろう。 19██/05/██ ここでの生活はすべてが不便で、だがこれまでに無かった充足感を私に与えてくれる。これこそ本来あるべき人の営みというものだろう。こうした感性を理解できない者が多いことは残念でならない。 近くこの地が開発の標的になるという噂も聞いた。数字が記された紙束などでこの地が私のものになったなどと驕る気はないが、そうした横暴から守ることはできる。 人の身勝手な欲望によってこの自然が壊される。それは本当に必要なことなのか? 生活が豊かになっていくとともに、人は大切なものを失くし始めている。 [以降続く無関係な記述を省略] 19██/06/██ 今日はとても素晴らしい出来事があった。██と█が私のもとを訪れたのだ。偶然私の居所を知り、妻に隠れて来たのだという。この場所は彼らの住まいと近いとは言えない。そんな距離を、幼い彼らが二人きり、自転車で……だがそんな息子たちの無謀を咎める気持ちより、驚きと喜びが勝った。 ここには彼らをもてなせる玩具も、ゲームも、テレビすらない。だから私は代わりにこの地の思い出を語って聞かせた。今の私を形作ったと言っていい、まだ私が彼らほどの年齢だった頃の話だ。その中で彼らがとりわけ興味を示したのは、私が夏休みにあてもなく自転車で駆け回った際に見つけた坂道の話だった。同じような冒険を経てやって来た彼らだからこそ、その話には感じ入るものがあったのだろう。二人は見に行きたいとひどくせがんだが、私はそれを窘めた。時刻などもっともらしい理由はつけたが、本音は次への期待を持ちたかったというだけだ。 「夏になったらまた来る」と、彼らが別れ際に残したその言葉を私はやはり咎めることができなかった。 19██/06/██ 先日の息子たちの訪問は、私に一つの決意を抱かせていた。 やはりこの場所は子どもたちに……未来に残していかねばならないものだ。たとえその手段が世の理に反するものだとしても、この自然が壊される不条理に比べれば何ほどのことがあるという。 [編集済]の知識を応用することで理論の原型はすぐに構築できた。昔取った杵柄も馬鹿にできない。問題があるとすれば燃料の方だろう。すなわち何をもってこの理論を回すか……悩むまでもない。それは私が子どもの頃から抱き続けてきたこの地への強い想いだ。それをもって、この景色は永久に留め置かれる。 19██/07/██ 理論は完璧。準備も万端。失敗など万に一つもあり得ない。 そのはずだった。 絶対の自信をもって作動させた私の理論は、まともに機能しなかった。信じられない。いったいどこに不備があった。 それとも、あるいは燃料が足りないのか。私の想いではこの理論を回すには不足だと? いいやそんなはずはない。初めてこの場所を訪れた時の感動は、今も変わることなくこの胸にある。 また各要素を一から検討し直し調整していく。気骨の折れる作業だが、それを行うのがこの場所だというのがせめてもの慰めだ。ここからの眺めは私に十分な癒しと余裕を与えてくれる。 19██/07/██ 何がおかしい。何が足りない。いったい何が間違っている。    ふざけるな。 あのとき掠めたデータが不完全なものだったのか? それともあのイカレ教主の妄言などを頼りにしたのがそもそもの間違いだったのか? 何にせよ、今さら引き下がることなどできない。この景色が来年も残されているという保証がどこにある。この夏、あの子たちがまたここへ来られるという保障は? なんとしてでも私は創りあげてみせる。かつて少年だった私が見たままの、完全なる夏日の坂の再現を。 19██/08/██ 私はただここでの思い出を守りたかった。子どもたちにこの場所を見せてやりたかった。私がこれまでに見たもっとも美しい光景を。彼らが大人になる前に。 しかし私は失敗した。何を間違えたのかすらわからないまま、時間は今も留まることなく進み続けている。 息子たちがここを訪れるのはいったいいつになるのだろう。数ヶ月ぶりの酒も、この忸怩たる思いを拭うことはできない。 この景色を永遠のものとすることができなかった無力な私でも、彼らの思い出の中に残し続けることくらいならできるだろうか。 19██/08/██ 今日この日、私の理想は完全な形で成し遂げられた。他ならぬ、私の息子たちの手によって。 彼らの認識によって極限まで時間を引き延ばされた世界は、その代償を求めるかのように猛烈な空間的広がりを見せた。いや、あるいは逆であるのか……もはや分からないしどうでもいい。ただ一つ確かなことは、完成した夏の日から私が取り残されたという事実だけだ。 かつてこのトンネルを抜け、この景色を初めて目にした私には、世界がどこまでも広がっているのだと感じられた。この坂を下る時間は永遠に続くのだとさえ思っていた。だが月日が流れ、歳を重ね、世界を正しく理解できるようになった私には、ここから見える景色すらこれほどまでに小さくくすんだものになってしまっていた。 あの子たちは今もこの坂を下り続けているのだろうか。かつて私がそうだったように、この坂道がどこまでも続くと信じ、無邪気な叫び声を上げながら。 すまない██。許してくれ█。私がおまえたちに追いつくことはもはやできない。今の私には、おまえたちほど純粋にこの景色を広いと信じることはできないんだ。 どんな魔法を使おうと、何を代価に支払っても、あれほど向こう見ずに、無鉄砲に、私があの坂を下ることは二度とない。 いつまでも変わらないこの景色を留めれば、いつかあの夏の日に帰れるかもしれないなどと……そんな思い違いを、私はしていたのだろうか。 SCP-721-JP-αは現在も少年ら二名によって拡張され続けているものと考えられています。投入された探査ドローンによる両名への接触が成されるには███年を要すると見積もられています。 脚注 1. ███航空██発██行█████便のものと推定。 2. アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシの三種のものが確認されています。 3. 環境破壊からの保護を目的とした、市民による土地の買い上げ運動。
scp-722-jp
評価: +79+–x 評価: +79+–x クレジット タイトル: SCP-722-JP - ささの葉今さら 著者: ©︎stengan774 作成年: 2022 この著者の他の作品 評価: +79+–x 評価: +79+–x アイテム番号: SCP-722-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 何らかの対応が必要とされるSCP-722-JP実例に対しては別紙№722-JP実例総覧に記載されている個別の対処方法を実施してください。SCP-722-JPと██小学校で実施されたイベントとの因果関係の調査は継続されます。 説明: SCP-722-JPは2025/07/07以降に相次いで確保された、現時点で計265点の異常な物品・存在・現象の総称です。発見当初これらは個々にオブジェクト分類される予定でしたが、追跡調査の結果それぞれの異常に存在する明確な共通点が確認されたことで総体的にSCP-722-JPへと指定されるに至りました。 一部の例外を除き、大部分のSCP-722-JP実例はそれぞれ特定の人物一名を中心に発生していると同時に、その全員が1996年に███市立██小学校へ在籍していた経歴を持つという点で共通しています。しかしながら、当時██小学校に在籍していた生徒の内、SCP-722-JP実例に関連していない人物が複数存在する点が指摘されたことで更なる詳細な調査が実施されました。 ██小学校の文集に添付されていた画像 その結果、SCP-722-JP実例に関連する人物がいずれも、1996年に校内イベントとして同校で開催された「七夕まつり」1に参加していたことが判明しました。██小学校及び当時の生徒・教員に対する調査において現在まで異常な点は確認されておらず、このイベントとSCP-722-JPとの明確な因果関係は不明瞭です。 財団は██小学校に保管されていた当時の指導教員の日誌及び保護者向けの文集から、短冊に書かれていた記述の転写を入手しました。これらの記述はその内容からSCP-722-JP実例との何らかの関連性があるものと考えられており、対応させる形式で以下に抜粋・掲載されています。 # 記述 対応する実例 対処 3 "そらをとびたい" (1ねん2くみ むらた のぶゆき) 村田 信幸氏は07/07の午前07:32、職場へ向かう途中に上空へと緩やかに浮遊し始めた。監視カメラには空中で仰向けとなり腰部付近を引っ張られるように上昇していく村田氏の姿と、「下ろしてくれ」という叫びが記録されていた。その後村田氏は高度12000m付近2にて停止した。以降、一切の外力を受け付けない状態で当該地点に固定されている。 移動・回収は不可能であると判断され、隠蔽と偽装情報の流布を実施。 26 "あたまがよくなって、テストで1ばんをとれますように" (2ねん4くみ きのした つかさ) 木下 司氏は07/07の午前8時頃、前触れなく小学校学習指導要領(平成4年度版)に定められる全科目の内容に関する知識と技術を獲得した。木下氏に大きな知能レベルの変動は見られていない。 記憶処理を施した後解放。 47 "新しいゲーム機がほしい" (5ねん4くみ 松原 圭太) 07/07午前11時頃、松原 圭太氏の周辺には1996年6月23日に発売された家庭用ゲーム機「NINTENDO64」が出現した。初期モデルでありながら経年劣化や傷・破損が確認されていないことを除き、このゲーム機には異常は見られていない。松原氏は「これと同じものは(1996年の)クリスマスにもらった」と証言している。 ゲーム機を回収した後、記憶処理を実施。 75 "次の大会では活やくできますように" (4ねん2くみ 吉井 はやと) 07/07午後1時頃、██小学校学区が属する少年野球リトルリーグにて、登録されている選手の氏名、チーム名が不明な手段によって「吉井 隼人」へと書き換えられた。この現象は関係者が全日本リトルリーグ野球選手権大会のトーナメント経過を確認した際、全試合で登板している謎の選手「吉井 隼人」に違和感を覚えたことによって発覚した。 カバーストーリー「ハッキング」の流布後、デジタルデータ・紙面記録双方の記載を正しく改ざん。 113 "まさとくんと恋人になりたいです" (3ねん1くみ いわなが まい) 07/07午後3時頃、大久保 真人氏と後藤 愛美氏、及び彼らの主要な親族はカトリック系教会に外見上類似する不明な建築物内部へと転移した。大久保氏・後藤氏とその親族は転移直前の服装にかかわらず自身が所持する何らかの式服(燕尾服、ドレス、学生服、紋付き袴など)を身に着けており、全員が「今から大久保氏と後藤氏の結婚式が始まる」という由来不明の観念を共有していた。 神父服を着用した不明なコーカソイド系老年男性により結婚式が一般的なものと同じように進行される中、岩永 麻衣氏が式場に不明な経路から突入し、「自身と大久保氏は長らく恋愛関係にあった」と主張するとともに結婚式の中止を迫った。それに対して大久保氏が反駁し両者が言い争う中、後藤氏は「自身は3名の友情を信じている」と悲鳴交じりに主張し、婚約を破棄することで自分たちの友情を取り戻そうと大久保氏・岩永氏に求めた。 大久保氏・岩永氏は涙を流し、互いの友情を永遠とすることを改めて誓い合った。3名が肩を抱き合い、それを見た参列者と神父服の老年男性は拍手を送る中、大久保氏・後藤氏とその親族、及び岩永氏は基底世界へと帰還した。なお3名は高校進学を境に疎遠となっており、この現象の発生時点でそれぞれ配偶者を有していたが、この事態に違和感を持たなかったと証言している。 関係者全員に対する記憶処理を実施。 114 "め[鉛筆で乱雑に塗りつぶされている]ちゃんと結こんできますように" (3ねん1くみ おおくぼ まさと) 115 "まいちゃんとまさとくんとずっと友達でいられますように" (3ねん1くみ ごとう めぐみ) 188 "セーラームーンのようになりたい" (1ねん2くみ ほんだ はるか) 本田 春佳氏は07/07の午後7時頃、突如として全身が発光し[レベル4クリアランス制限]。これは1996年当時放映されていたアニメ「美少女戦士セーラームーン」の第5期「セーラースターズ編」の内容を踏まえたものと見られ、███████████████████████消失時点で言及された"銀河の未来を賭けた決戦"とは██████████████████████████、████████████████を示唆する可能性が██████████████。以降の消息は不明となっている。 財団外宇宙支部の協力の元、捜索を継続中。 266 "せかい平和" ([記名なし]) 不明、実現される兆候は確認されていない。 対応未定。 Footnotes 1. このイベントは日本における伝統的な七夕の風習をもとに、各々の生徒の願い事を書いた短冊を笹竹に飾るというものであったことが判明しています。 2. 一般的な旅客機が飛行する高度。気圧や気温、酸素濃度の低下により、人体が順応することは困難とみなされている。
scp-723-jp
評価: +101+–x アイテム番号: SCP-723-JP 夜のSCP-723-JP。 オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-723-JPに指定される範囲は封鎖され、一般人の立ち入りは防止されます。SCP-723-JP自身が人気の多い土地に存在しており、また立地条件的にカバーストーリーの流布が行き届いていない人間がSCP-723-JPに立ち入ってしまうリスクを考慮し、SCP-723-JP指定区域周辺にプロトコル・ディクラインが行われ、また日本政府によるSCP-723-JP周辺地域への介入が行われました。 SCP-723-JP-2の現在の所在が特定され次第、財団による確保工作が開始されます。確保の手順については、真名博士の提言を参考に、複数の機動部隊により合同で行われます。 説明: SCP-723-JPは、██県██市に存在する███商店街(通称:「██街」)を、██駅前██口から████側方面に歩き抜けた際に発生する異常現象です。SCP-723-JPをこの方向に歩き抜けた人間(以下、SCP-723-JP-1)は、その人物が平均的な人間、特に日本人と比した場合に有している身体的、技術的、精神的特徴を一つ喪失します。どの程度・範囲の特徴がSCP-723-JPの影響下に置かれるかは不明です。 SCP-723-JPは、偶然SCP-723-JPの異常性の影響を受けたエージェント・新城の報告によって最初に確認されました。エージェント・新城はSCP-723-JPを歩き抜けた際に、自身が数十年来保有していた特徴のうち、「貧乏揺すり」を喪失し、またそれ以降数回に渡り財団指定された別のオブジェクトの調査のためSCP-723-JPを歩き抜けていました。エージェント・新城は4回目にSCP-723-JPを歩き抜けた後、彼の恋人に自身の「コーヒーの好み」が喪失していることを指摘され、財団に報告しました。 補遺-イ: SCP-723-JP実験記録 実験記録001 - 日付 2012/11/19 対象: SCP-723-JP 実施方法: Dクラス職員にSCP-723-JPを可能な限り往復させる。一往復ごとにDクラス職員をチェックし、どのような行動パターンが消失しているか、可能な限り確認する。 結果: 24回の往復の後、日が沈み実験の続行には目立つため実験を中断。確認されただけで以下の喪失が確認された。 + SCP-723-JP実験結果 - 閲覧を終了 瞬きの回数 歩き出しの足の出し方 重心のわずかな変化。左寄りの重心が真中心に移動。 呼吸リズム コーヒーカップなど、水分を補給する際の器の持ち方 嘘をつく際の目の移動 待機中、髪を指で巻き取り、伸ばす動作 財団職員と会話する際、左手で太ももを撫ぜる動作 食事の取り方。茶碗に米粒を残さない。 コーヒーの飲み方。砂糖の個数に対するこだわりの喪失。 箸の持ち方の正常化 話し方の変化。どもり気味の話し方の解消。 分析:SCP-723-JPによって解消される特徴の選別…ランダム傾向。解消された特徴の確認…極めて困難。__東郷博士 実験記録002 - 日付 2012/11/23 対象: SCP-723-JP 実施方法: 5人のDクラス職員にSCP-723-JPを可能な限り往復させる。商店街の商店をカバーストーリー“不発弾”によって全員退避させ、10日間に渡り休憩を挟みながら往復させ続ける。 結果: インタビュー記録を参照のこと 補遺-ロ:インタビュー記録-723-JP-1-D-4 対象: SCP-723-JP-1-D-4 インタビュアー:東郷博士 付記: SCP-723-JP-1-D-4はすべての実験対象の中で最大の、184回の往復を行った。 <録音開始> 東郷博士: では記録を始めます。調子は良好ですか。 723-JP-1-D-4: はい、大丈夫です。よろしくお願い致します。 東郷博士: ……実験前と後で、どれくらい変わったと実感がある? 723-JP-1-D-4: 大きく変わりました。自分の嫌だったところ、気に食わなかったところが一通り消えて、格好だけでも真人間になれたような気がします。 東郷博士: そうか。ではちょっとしたチェックだ。ここに用意した紅茶に、レモンでもミルクでも、好きなように入れてくれ。 723-JP-1-D-4: わかりました。[対象は紅茶に何も入れず、そのまま飲む。] 東郷博士: ……ふむ。以前の好みと変わっているようだが……。 723-JP-1-D-4: そうでしたっけ。多分僕がこんなことになっているのは……今回の実験のせいだと思います。 東郷博士: そこが疑問なんだ。 723-JP-1-D-4: はい? 東郷博士: 我々はあれを「特徴を消す」道であると考えている。君に起きている異常は、概ね我々の予想通りのものだ。 723-JP-1-D-4: ……はあ。 東郷博士: 君にインタビューを行ったのは他でもない。君は……元々は女性だろう。なぜ「僕」を名乗る。 723-JP-1-D-4: 僕は正常ですよ。僕こそが何の癖もない、一般的な人間のはずです。 東郷博士: そうか。インタビューは以上だ。 <録音終了> 終了報告書: さらなる実験を要求する。SCP-723-JPの判断基準では、“女性であること”は特筆すべき身体的特徴であると考えられているようだ。__東郷博士 実験記録003 - 日付2012/12/03 対象: 723-JP-1-D-4 実施方法: 周辺地域を再封鎖。実施内容は実験002と同様。 結果: 前回実験と合わせ、移動回数が278回を数えた所で特筆すべき変化あり。以下に記述。 278回目のSCP-723-JP-1-D-4のSCP-723-JPの往復が完了した時点で、SCP-723-JP-1-D-4に特筆すべき変化がありました(以下、この段階まで進行したSCP-723-JP-1をSCP-723-JP-2と呼称)。 SCP-723-JP-2は移動が完了した時点で、同席していた研究員に間に挟まっていたDクラス職員着を溶かした状態で腕と腹部が癒着していることを指摘されました。この時点でSCP-723-JP-2は必要最低限の会話しか出来なくなっており、またその言語選択は限りなく単純かつ変化に乏しいものに変わっていました。 歩行、行動のパターンは完全にランダムに変化しており、250回を超えたころには自身の好みや意思などが徐々に薄れ、自我を失いつつあることが確認されています。同席していた██研究員により、実験は続行され、以降の往復において、SCP-723-JP-2は往復ごとに 自らの口蓋 瞼 両耳 鼻腔 臀部 胸部 腰 の、肉体的な特徴を一つずつ喪失していきました。これは、SCP-723-JP-2の特徴のうち、精神面、あるいは行動面での特徴が完全に喪失したことによるものと推測されています。 この時点でSCP-723-JP-2はこちらからの質問に一切反応しなくなり、職員の制止を振り切って往復を続けました。 実験記録003-2 - 日付2012/12/03 対象: 723-JP-2 実施方法: 上記同様。 結果:移動回数が295回を数えた所で、特筆すべき変化あり。 SCP-723-JP-2の295回目の移動が終了した瞬間、SCP-723-JP-2はSCP-723-JPから突如消失しました。この現象は、SCP-723-JP-2の、「日本に存在する」という特徴が喪失したためと推測されています。1時間後、メキシコの財団サイトより、SCP-723-JP-2がグアナファトの町を歩行していることが報告されました。8分後、SCP-723-JP-2はグアナファトの町外れまで歩行したのち、再び消失しました。その後幾つかの財団サイト、エージェントから、街中を歩行するSCP-723-JP-2が確認されました。SCP-723-JP-2の「日本に存在する」という特徴のみが喪失した結果、SCP-723-JP-2の位置については「地球上のどこかに存在する」という特徴に変化したと推測されます。 事件記録-723-JP-1: 対象:SCP-723-JP-2 数分〜数十分ごとランダムに変移を続けるSCP-723-JP-2の捕捉に財団は苦慮しました。2時間後、日本支部から公式に声明が発表され、実験の即時中断とSCP-723-JP-2の捕捉が命令されました。 SCP-723-JP-2がSCP-723-JPから消失してから3時間後、SCP-723-JP-2は日本の長野県塩尻に現れました。出現から14分後、SCP-723-JP-2は移動を完了し、再び消失しました。この際、付近に居た財団エージェントにより、一部始終の報告が行われました。 エージェント・田中の報告: 私が現場に到着した時には、ちょうどSCP-723-JP-2が国道を松本空港に向けて歩いているころでした。それの周囲に人影はなく、一般人がそれを見る可能性は低かったと思います。それはもう、Dクラス職員用着も来ておらず、また両足も癒着して、肉でできたボールのようにのようになっていました。 私はそれに追いつき、取り敢えず財団に報告したのち、動きを止めるため発砲しました。しかし弾は、SCP-723-JP-2には当たらず、すり抜けたようでした。 私は次に、バイクに入っていた網でSCP-723-JP-2を捕捉しようと試みました。しかしSCP-723-JP-2は網もすり抜けてしまいました。最後の手段として、私は手袋とライダースーツでSCP-723-JP-2が衣服につかないように気をつけながら、無理やりSCP-723-JP-2を押さえつけようと試みました。 私はSCP-723-JP-2に触れることができませんでした。何かに触ったような感触もありませんでした。単純にそれは私をすり抜けて、移動を続けました。 その時に、私は急に、おそろしい虚無感を感じました。私の行う全てが、私の何もかもが歯が立たないなんてことは、この仕事をしているとよく感じることではありますが、その時感じた虚無感は普段感じるようなそれとは比べものにならないほどでした。 おそらくそれが、あれの持っていた異常性であり、また私はあれに触れたせいでその影響を受けたのだと思います。 私は何かを考えることも、何をすることも出来なくなって、その場にうずくまりました。吐き気も何もありません。ただ単純に、無駄だという気持ちだけがありました。俺は何でもなく、何か特別な存在なわけでもなく、何一つ出来ないでくの坊だという気持ちだけがありました。うぬぼれていたわけではありません。ただ自分には何事も為すことができないのだというアイデンティティの破壊と、虚無感だけがありました。 SCP-723-JP-2はさらに1時間後、別の街にて移動を行ったのち、地球上から消失しました。この現象は、SCP-723-JP-2の「地球に存在する」という特徴がさらに消失したか、あるいは「我々の次元に存在する」あるいは「視覚的に認知出来る存在である」などの特徴のいずれかを喪失した結果でであると推測されています。以降、その存在は確認できていません。
scp-724-jp
評価: +37+–x 評価: +37+–x クレジット タイトル: SCP-724-JP - 《CODE:U》蝕まれる大地 著者: ©︎O-92_Mallet 作成年: 2017 評価: +37+–x 評価: +37+–x SCP-724-JP湧出口の外観 アイテム番号: SCP-724-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-724-JP湧出口の周辺3kmを封鎖し、カバーストーリー「有毒火山ガス噴出地帯」を適用して一般人の侵入を防ぎます。SCP-724-JP湧出口周辺を写した航空写真および衛星写真は適宜介入・編集し、SCP-724-JP周辺の財団の研究施設の存在が一般人に漏洩することを防止してください。 SCP-724-JPから流出する水を財団の浄水施設へと誘導するように水路を建設します。浄水施設で強酸の中和およびタンパク質の濾過が完了した水は、異常性のない他の源泉に接続された水路へと排水されます。 SCP-724-JP湧出口は定点カメラで24時間体制で監視してください。SCP-724-JP入口から500m離れた地点にSCP-724-JP調査チーム本部を設置し、多数のSCP-724-JP-1がSCP-724-JPから同時に出現した際の掃討任務を担当する、機動部隊ゆ-2("湯屋の番台")を常駐させます。 SCP-724-JP-1を取り扱う際は必ず耐酸性の用具および防護服を使用してください。研究に必要なだけの個体を調査チーム本部に設置されている耐酸性の特殊生物培養槽へと収容し、それ以外は火炎放射器を用いて焼却処分します。SCP-724-JP-1は活発に増殖を行うため、その都度不必要な個体を焼却します。 3ヶ月に一度、SCP-724-JP内部に紫外線照射装置を搭載した遠隔操作型の水中探査機が投入され、内部のSCP-724-JP-1個体数の削減が行われます。 (追加プロトコル - 20██年施行) 毎年12月31日に、調査チーム本部において飼育されているSCP-724-JP-1の全個体が処分されます。必要であれば、翌年の1月2日以降にSCP-724-JPから新たなSCP-724-JP-1を採集してください。 説明: SCP-724-JPは群馬県██郡███に存在する██温泉の源泉の1つ、およびそれに注ぐ水路となっている全長1.78kmの洞窟を指します。 画面奥に向かって移動中のSCP-724-JP-1 SCP-724-JPの湧出口からは、不定期に全長20〜30cm程度の不明な種類の多核単細胞生物(以下、SCP-724-JP-1)が出現します。一度に出現する個体数は平常時は1〜██体と大きなばらつきが見られ、出現時に既に死亡している個体も散見されます。SCP-724-JP-1は白色〜サーモンピンクの色彩を帯びた球状またはラグビーボール状の身体を持ち、表面には3箇所の眼点が存在します。細胞内骨格の本数・太さ・強度が通常の微生物のものを大幅に上回っていることにより、身体を支えることが可能になっています。SCP-724-JP-1は転がって移動します。体表から塩酸・硫酸・硝酸の混合物(割合は一定していません)を分泌することで岩盤を溶解させ、付着している微生物を岩盤ごと消費しています。SCP-724-JP-1は10〜15日に1回の頻度で分裂を行い、増殖します。細胞核内には二本鎖DNAで構成される染色体が存在しますが、これには個体ごとに異なる位置に複数箇所の切断および損傷があり、分裂する際にも染色体不分離などによる変異が常に発生しています。SCP-724-JP-1は物理的な衝撃と低pH環境に対してある程度高い耐久性を持ちますが、火炎や紫外線、アルコール等の一般的な殺細胞手段を用いることで容易に無力化が可能です。 SCP-724-JPから湧出している水の成分は元々は██温泉に存在する他の源泉と近く、硫化水素を含む硫黄泉でした。SCP-724-JPは、197█年までは██温泉で実際に利用され、「山奥の秘湯」として一般客にも開放されていました。しかし、同年からアルブミンをはじめとする多種多様なタンパク質が混入するようになって水が白濁し、同時にpHの異常な低下が発生して人間が利用できない状態となったことが財団の注意を引きました。財団がSCP-724-JPの調査を開始して█日後にSCP-724-JP-1の最初の出現が確認されたことにより、財団は当該オブジェクトの収容および一般社会からの隠蔽を開始することを決定しました。カバーストーリー「火山活動の活発化」を適用することによりSCP-724-JPを閉湯とし、周辺の土地を財団が買収しました。収容されてからも、湧出水のタンパク質濃度の増加とpHの減少は緩やかに続いています。 SCP-724-JPの内部空間は湧出口付近の最も狭い区画で直径35cm程度であるため、直接人員を投入しての探査は不可能です。 + 探査記録&事案記録/SCP-724-JP -閲覧を終了 探査記録&事案記録: 200█年に、十分な出力を持った自動推進機構と耐腐食性の装甲を有する最新型の自律小型水中探査機が完成しました。これを用いたSCP-724-JP内部の探査実験が計画され、200█/██/██に実行に移されました。ところが、探査機がSCP-724-JPの遡上を開始してから1時間52分後に、SCP-724-JP湧出口から総計███体のSCP-724-JP-1が一列に並んで互いに結合した状態で出現しました。SCP-724-JP-1群体は財団の浄水施設へ突入し、濾過装置のフィルターを突き破りました。研究チーム本部に駐留していた機動部隊により、群体を構成する個体の大部分が終了され、先頭の数個体が確保されました。 破られた濾過装置のフィルターに、圧力により破壊された状態の探査機が引っかかっていました。以下は探査機から回収された映像記録です。 映像記録/SCP-724-JP - 200█/██/██ <記録開始> [00:00:00] 探査機がSCP-724-JP湧出口へと投入される。 [00:03:55] 探査機は狭い水路を遡上中。水の透視度が極めて低く視界不良。水路は緩く湾曲した直径50cm程度の円筒状であり、完全に水で満たされているようである。 [00:10:34] SCP-724-JP湧出口より360m地点と推測される。水の流速が下がり、探査機の周囲が一気に開ける。上方に水面が存在することが確認できる。探査機が浮上を開始する。 [00:11:08] 探査機が水面まで浮上。地底湖が広がっているように見える。天井の高さはおよそ5m、地底湖全体の長さは380mと見積もられる。天井の大部分は硫黄の結晶で覆われている。 [00:11:55] 探査機は再び潜水する。 [00:13:33] 探査機が地底湖の底に到達する。水深はおよそ23m。水底には白色〜淡紅色の球体およびそれが潰れたような形状の物体が多数確認される。SCP-724-JP-1およびその死骸と推測される。 [00:16:28] 探査機が水面近くまで戻り、地底湖の反対側へと進行を開始する。 [00:24:01] 湧出口から740m地点。流れが地底湖に注ぎ込む地点へ到達。直径1m前後の横穴で、水で満たされている。SCP-724-JP-1個体が横穴の奥から流されてきて、地底湖の底へと沈んでいく様子が撮影される。 [00:24:38] 探査機、横穴へ突入。 [00:30:22] 探査機が再び水路を遡上中。途中、流されていくSCP-724-JP-1と複数回すれ違う。 [00:56:58] 探査機、水路の最奥部に到達。湧出口から1600m地点。上方に裂け目のような形状をした狭い水面が確認される。 [00:58:13]時点の映像 [00:58:13] 探査機が水面に到達する。縦に長い空洞が広がっており、正面に高さ25cm程度の石段がうず高く積み上がっている。水は石段を滝のように流れ落ちている。推進モードを"滝登り"に変更。 [01:00:45] 探査機は跳躍を繰り返すことで1つ目の石段の上へと移動する。探査機の足元に、石段の面積のおよそ40%を占める網目状の空間異常が広がっており、そこから水が別の空間へと流れ落ちていく様子が映される。探査機は空間異常を通過できず、ポータルの真上に立っている状態である。 [01:02:33] 探査機は石段の2段目へと登る。別の空間へと流れていく水が追加されたため水量が大幅に増加し、探査機はその場に留まるために跳躍機器裏側のスパイクを起動させる。周囲に十数体のSCP-724-JP-1が存在し、石段の各所を溶解させているのが観察される。 [01:07:34] 探査機は5段目まで登る。登る毎にSCP-724-JP-1の個体数が増加していく。 [01:12:20] 探査機は7段目。石段の大部分が溶解しており、足場が悪く遡上が困難になってくる。溶解した石段の欠片をサンプルとして回収。 [01:19:48] 探査機が最上段に到達する。湧出口から1780m地点。正面に直径1m程度の不透明の円形をした空間異常が存在する。空間異常から夥しい量の水が絶え間なく流れ出しており、ポータルの縁に1個体のSCP-724-JP-1が引っかかっている。 [01:20:20] 探査機が空間異常と接触するが、内部に入ることは不可能であった。 [01:21:12] 探査機、帰還を開始。石段を飛び降りて行く。 [01:21:43] 探査機周辺のSCP-724-JP-1が同時多発的に分裂を開始する。 [01:22:04] 分裂を終えたSCP-724-JP-1が空洞の最下段に向けて転がり出し、集合および群体の形成を開始する。個体数は少なく見積もっても1000体以上。 [01:22:35] 集合するSCP-724-JP-1群に探査機が巻き込まれ、映像が途絶。 <記録終了> 探査機が回収した石段のサンプルを解析したところ、タンパク質を活発に分解する既知の細菌がまばらに付着していました。空間異常から流入してくる水に含まれる豊富なタンパク質を分解して繁殖し、空洞内のSCP-724-JP-1の主要な食料源になっているものだと考えられています。水が硫化水素を含有していることとは対照的に、硫黄細菌の存在は確認されませんでした。タンパク質を分解する細菌に関しては、浄水施設のフィルターの改良のために組み込まれ、活用されています。 探査を行なったこととSCP-724-JP-1が群体を形成したこととの関連性は明らかになっていません。 + 補遺/SCP-724-JP -閲覧を終了 補遺1: SCP-724-JP-1の繁殖速度と寿命から計算を行なった結果、SCP-724-JPが放置された場合、20██年にはSCP-724-JPの大部分がSCP-724-JP-1およびその死骸で閉塞し、内部の水圧上昇によるSCP-724-JP全体の崩壊、並びに想定外の地点からの突発的な水の噴出による二次災害が発生することが予想されました。これを受けて大規模なSCP-724-JP-1駆除作戦を行うことが計画され、実行に移されました。SCP-724-JP内部が可燃性の硫化水素に満たされており火炎放射器が使用できないため、駆除活動は紫外線兵器を用いて実施されました。作戦は一定の成功を見たために収容プロトコル内に組み込まれ、現在、SCP-724-JP内部のSCP-724-JP-1個体数は███〜█████体の範囲内に保たれています。 補遺2: 201█年から、SCP-724-JPから湧出する水にヘム鉄を含む構造を持つタンパク質が混入するようになり、水色が黄色から赤錆色へと変化を開始しています。SCP-724-JPを構成している岩石に鉄は含まれていないため、空間異常の上流から流入しているものと予想されます。財団の浄水施設の処理能に問題は生じていません。 補遺3: SCP-724-JP深奥部と接続している2ヶ所の空間異常の調査が進行中ですが、SCP-724-JP側から異常の内部に侵入することが不可能であるために難航しています。上側の空間異常から流入する水から細菌によってタンパク質が除去され、下側の空間異常へと流出するという構造になっていることから、SCP-724-JP深奥部そのものが一種の水質浄化機能を果たす機構として存在するのではないかという説が提唱されています。この説が正しいとする場合、SCP-724-JP-1増殖によるSCP-724-JP深奥部へのダメージが齎すタンパク質分解能の低下が、空間異常の接続先に何らかの影響を及ぼしている可能性が高いと推測されます。補遺2の事象がこの影響によって発生しているものであるかどうかは現在確認中です。SCP-724-JPの保全を目的としてSCP-724-JP内部のSCP-724-JP-1を根絶すべきであるとの意見も上がっていますが、現時点では判断は保留されています。 + 追記:事案記録/724-1906 -閲覧を終了 追記: 20██/01/01にSCP-724-JP湧出口から38体のSCP-724-JP-1が出現した際、通常と異なる挙動が確認されました。各個体が個別に湧出口から排出された直後に、SCP-724-JP-1は野外で一列に並んで結合し、群体を形成して下流へと移動を開始しました。この時の移動速度は、財団の管理下において確認されていたSCP-724-JP-1の最高速度を上回るものでした。 ところが、収容プロトコルに基づく機動部隊ゆ-2の出動より先に、SCP-724-JP湧出口の上空を通過する第4飛行ルート上のSCP-1906-JPが実体化し、落下してきました。SCP-1906-JPの出現数もまた、財団の観測下における最大数である275個を記録しました。SCP-1906-JP群は移動中のSCP-724-JP-1群体へと降り注ぎ、SCP-724-JP-1群体を構成する全ての個体を原型を留めない状態にまで破壊しました。加えて、SCP-1906-JP群はSCP-724-JP調査チーム本部にも落下し、天井を貫通して2階の特殊生物培養槽を破壊、飼育下にあったSCP-724-JP-1を全滅させるに至りました。機動部隊および調査チームからは負傷者は出ませんでした。 この事案を受け、調査チーム本部の特殊生物培養槽は地下へと移設されました。SCP-1906-JPによる本部への被害を回避するため、毎年1月1日には施設におけるSCP-724-JP-1の収容を中断する旨が収容プロトコルに追加されました。
scp-725-jp
評価: +69+–x SCP-725-JP アイテム番号: SCP-725-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-725-JPはサイト-8154の標準的収容ロッカーに保管されます。実験のために取り出す際はセキュリティクリアランス2以上の職員が立ち会ってください。保管されていない間は、実験に関わるDクラス職員を除き、3歳以上17歳以下の女性を遮蔽物なしで10m以内に接近させないでください。実験にあたっては、発生した人格とのコミュニケーション及びパニックの沈静化のため、言語学を専門とする職員が立会って発生した人格の使用する言語を特定し、その言語の話者が通訳を行うか、話者が存在しない場合は当該言語の知識を持つ者による筆談を行うようにしてください。なお、実験に携わるDクラス職員は少年院から更生が困難な17歳以下の女性を確保して使用するものとします。 プロトコル更新: 現在、サイト管理者の許可なく実験を行うことは禁止されています。サイト8154管理者の通達を参照して下さい。 説明: SCP-725-JPはティアラを模した女児向け玩具と、それを着用した者に対して発生する異常性です。SCP-725-JPは外見上は銀とダイヤ、ルビーを使用した本物のティアラと区別がつきません。触感も金属及び宝石のような硬質なものですが、成分分析の結果、全体がポリ塩化ビニルで作られており、特性や比重もポリ塩化ビニルのものであることが判明しています。SCP-725-JPを破壊する試みは、どのような状態からでも24時間以内に再生することにより成功していません。 SCP-725-JPを3歳以上17歳以下の女性が頭部に着用すると、着用者の人格は別人の物に置き換わります。発生する別人格は毎回異なる物となりますが、いずれの場合も実在した、あるいはしたと推測される現在故人である王女、皇太子妃、領主や族長の娘等のものとなることが判明しています。 別人格は着用者の頭部からSCP-725-JPが取り除かれない限り永続的に置き換わったままですが、着用者の頭部からSCP-725-JPが取り除かれた場合、即座に人格は着用者の物と入れ替わり、同時に着用者は該当する人格が死亡したとされるのと同じ状況で死亡します。 発生した別人格とのコミュニケーションは可能ですが、人格が置き換わった時点で大抵の場合状況の把握ができておらず、パニック状態にあるケースが多いことに留意してください。別人格の使用する言語は着用者の人種や使用言語に関わらず人格の元となった人物の使用していた言語であり、また声紋鑑定を行った場合も人格の元となった人物と同一のものであるという結果が出ます。ただしあくまで「人格」であり、別人格が本来いた時代より後の時代の知識を知った状態でSCP-725-JPを着用者から取り外しても過去改変等は生じないことが判明しています。現在別人格は収容に至った事案での出現を含めて6つの人格が確認されており、それぞれSCP-725-JP-AからFに指定されています SCP-725-JPは20██年7月██日、滋賀県██市にて「5歳の娘が自宅で突然英語で喚きたてたかと思うと胸と頭から血を出して倒れた」という119番通報を財団エージェントが傍受したことが発見に繋がりました。当初犠牲となった少女、██ 沙羅の母親である██ 沙織による虐待の可能性があるとして警察から事情聴取を受けていましたが、司法解剖の結果死因は極めて強く胸部と頭部を打ったことによるものであり1、母親一人では不可能なこと、母親がその時の様子を動画に撮影していたことから嫌疑は晴れました。財団が母親の撮影した動画を分析した結果、少女の喋っていた英語は流暢なイギリス英語であり、声紋鑑定の結果、故ダイアナ元皇太子妃の声と一致することが判明し、少女が死亡する直前に着用していたティアラを模した玩具が原因の可能性があるとして回収、調査の結果SCPオブジェクトであると断定、SCP-725-JPに指定しました。 + インタビュー記録1(20██/07/15): - インタビュー記録を閉じる 対象: ██ 沙織氏 インタビュアー: ███博士 <録音開始> ███博士: それでは、お嬢さんが亡くなった時のことを話していただけますか? ██ 沙織: はい・・・・・・あの日はちょうど娘・・・・・・沙羅の誕生日でした。沙羅は███████2が好きで、私もお姫様になりたいって以前からずっと言ってました。だから誕生日にはなにかそれらしい物をあげたいと思っていたんですが、ちょうどいい物が見つからず、別の品物を用意してたんです。そしたら誕生日の3日ほど前に知人の██さんって人がせっかくだからっておもちゃの王冠をくれたんです。 ███博士: その██氏というのはどういう関係の方なんですか? ██ 沙織: 別れた夫の知り合いでおもちゃの卸売をしている人です。夫と離婚した後も色々と世話になった人で、沙羅と二人で今までやってこれたのは██さんのおかげでした。 ███博士: なるほど。 ██ 沙織: ここ3ヶ月くらい音沙汰がなかったのですが、不意に訪ねてきまして。それで、取引先が倒産した際に引き取ってきたものだけど置いてても処分するしかないので良ければ、って。おもちゃとは思えないくらいよくできた王冠で、母親の私でも欲しくなるくらい綺麗でした。 ███博士: その王冠を娘さんに誕生日にプレゼントとしてあげたのですね? ██ 沙織: はい。沙羅も箱から出した瞬間ひと目で気に入ったようで。今までで一番の笑顔で「ママ、ありがとう。かぶってもいい?」って。だから私、スマホで動画を撮りながら言ったんです。「お姫様になった沙羅をママに見せて頂戴」って。そしたら、そしたら・・・・・・[対象は慟哭し始める。落ち着くまでインタビューは30分間中断した] ███博士: 落ち着きましたか? ██ 沙織: はい、すみません。 ███博士: 辛いかもしれませんが重要なことですので。 ██ 沙織: はい、大丈夫です、多分。 ███博士: では、続きを。 ██ 沙織: ・・・・・・あの王冠をかぶった途端、沙羅の表情が見たこともない強ばったものになって、そして突然英語で喚きだして。私びっくりして、でもどうしたらいいかわからなくって、あの子の肩を持って揺さぶっちゃったんです。そしたら、あの王冠が沙羅の頭から取れて、その瞬間まるで何かにぶつかったように沙羅の体がびくんっ、って跳ねて、血が、血が・・・・・・[対象は嗚咽を漏らす] ███博士: それで119番に電話された、と。 ██ 沙織: 病院に着いた時には沙羅はもう・・・・・・[対象は再び慟哭し始める] ███博士: (しばらくの沈黙)インタビューを終了します。 <録音終了> この聴取の後、すべての関係者に記憶処理を施しました。なお、財団の調査の結果、玩具問屋の男性である██氏はSCP-725-JPの発見の3ヶ月前から行方不明となっていることが判明しています3か月前に滋賀県内の山林で発見された身元不明の遺体が██氏であることが判明しました。死因は自殺であることが判明しています。 以下はSCP-725-JPをDクラス職員に着用させた実験記録です。 + SCP-725-JP着用実験記録 - 実験記録を閉じる 実験記録725-JP-1 - 日付20██/07/17 着用対象: D-19735(16歳、女性) 変更後の人格: 近代ロシア語を話す10代後半と思われる女性。SCP-725-JP-Bに指定。 結果: SCP-725-JPを着用後、D-19735の人格はSCP-725-JP-Bと入れ替わった。SCP-725-JP-Bは困惑した様子を見せ、ロシア語で実験担当者にここはどこか、と尋ねた。療養所の診察室であるという虚偽の説明をして素性を尋ねた結果、名前をアナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァと名乗った。 インタビュー中、SCP-725-JP-Bは頭部のSCP-725-JPを気にしだし、おそらく意識せずに外した。その瞬間人格は元に戻り、D-19735は崩れ落ちるように倒れた。インタビュー担当者である███博士により医療班が呼ばれるもすでに死亡していた。D-19735の遺体からは複数の銃創と頭部への打撃の痕が発見された。 分析: SCP-725-JP-Bはロシア最後の皇帝ニコライ2世の四女アナスタシアの人格で間違いないと思われます。 実験記録725-JP-2 - 日付20██/07/25 着用対象: D-19736(18歳、女性) 変更後の人格: N/A 結果: 人格の変化は見られなかった。 分析: 人格の変更が見られるのは17歳までに限られるようです。 実験記録725-JP-3 - 日付20██/07/28 着用対象: D-19737(17歳、男性) 変更後の人格: N/A 結果: 人格の変化は見られなかった。 分析: 着用者が男性の場合も人格の変更は発生しないようです。 実験記録725-JP-4 - 日付20██/08/01 着用対象: D-19738(16歳、女性) 変更後の人格: 恐らく古ノルウェー語と推測される言語を話す推定年齢2、3歳の幼女。SCP-725-JP-Cに指定。 結果: SCP-725-JPを着用後、D-19738の人格はSCP-725-JP-Cと入れ替わった。SCP-725-JP-Cは周囲を見回した後パニック状態で泣き喚いた。その際SCP-725-JPが外れ、人格は元に戻る。D-19738は乗り物酔いに似た症状を訴え、嘔吐を繰り返す。医療班が即座に治療を行うも症状の緩和は一切見られず、10分後に脱水症状で死亡。死因は極度の乗り物酔いを原因とする嘔吐による脱水症状と推測される。 分析: D-19738の死亡時の状況と映像記録から解析したSCP-725-JP-Cの使用言語から判断するに、後のスコットランド女王である「ノルウェーの乙女」マーガレットではないかと思われます。 実験記録725-JP-5 - 日付20██/08/09 着用対象: D-19739(17歳、女性) 変更後の人格: 古風な日本語を話す10代前半と推測される少女。SCP-725-JP-Dに指定。 結果: SCP-725-JPを着用後、D-19739の人格はSCP-725-JP-Dと入れ替わった。SCP-725-JP-Dは状況に困惑しながらも、実験担当者に説明を求めた。これは明晰夢であるとの虚偽の説明と、頭部に付けたSCP-725-JPは外さないように、という指示をして素性を尋ねたところ、名前を伊万と名乗った。 インタビュー終了後、SCP-725-JPを外れないよう固定した上で標準人型収容室に収容した。翌日再度インタビューを行った後、SCP-725-JPを取り外した。SCP-725-JP-Dは消失し、D-19739は頭部が切断されて死亡した。 分析: 伊万とは恐らく安土桃山時代の武将、最上義光の次女、駒姫のことだと思われます。 実験記録725-JP-6 - 日付20██/08/15 着用対象: D-19740(17歳、女性) 変更後の人格: ラコタ語3を話す10代~30代と推定される女性。SCP-725-JP-Eに指定。 結果: SCP-725-JPを着用後、D-19740の人格はSCP-725-JP-Eと入れ替わった。SCP-725-JP-Eは興奮状態で喚きたて、インタビュー担当者である███博士に殴りかかった。即座に保安要員がを取り押さえようとするが、SCP-725-JP-Eは武装した保安要員4人を素手で無力化し、なおも███博士に襲いかかった。博士が咄嗟に突き出した手がSCP-725-JPを頭上から叩き落とし、結果人格は元に戻る。D-19740は体に突如発生した銃創からから出血して死亡。銃創は解剖の結果、スプリングフィールドM18734によるものだと判明。なお███博士は全治2週間の怪我を負ったものの命に別状は無し。 分析: SCP-725-JP-Eが何者なのかは不明です。これまでの傾向からしておそらく酋長の娘だと推測されますが、インディアンは合議制であり酋長は指導者ではなく調停者であるため酋長の娘をプリンセスとするのは間違いですが、SCP-725-JPを作った何者かは誤解している可能性があります。 実験記録725-JP-7 - 日付20██/09/04 着用対象: D-19741(16歳、女性) 変更後の人格: 不明。SCP-725-JP-Fに指定。 結果: SCP-725-JPを着用後、D-19741の人格がSCP-725-JP-Fに置き換わる。SCP-725-JP-Fは未知の言語で話し始め、実験室の壁を不明な方法で破壊して逃走。収容違反が発生したことを受けて保安要員が追跡、サイト8154第3エリア廊下にて狙撃でD-19741の頭部からSCP-725-JPを除去、SCP-725-JP-Fは消失。D-19741は[削除済]。 分析: 使用していた言語について、言語学や音響工学の専門家、医師による調査の結果、人類には発音不可能であることだけが判明しています。 実験725-JP-7の後、サイト8154管理者から以下の勧告がなされました。 これ以上のSCP-725-JPを使用した実験を行わないよう通達する。 SCP-725-JPの実験には17歳以下の女性Dクラス職員という特殊な職員を使用することに加え、現時点で全員が死亡している。SCP-725-JPの特性及び収容方法の調査はこれまでの実験で十分であるはずだ。どのような人格が発生するかという知的好奇心を満たすためにこれ以上実験を行うことはDクラス職員の浪費であると言わざるを得ない。もし今後実験を行う必要が出た場合は私の許可を得るように。許可のない実験を行なった場合は懲戒処分の対象となる。  ―サイト8154管理者████ これにより、以降の実験は原則として禁止されます。 補遺: SCP-725-JPが入っていたと思われるパッケージに以下の文章が記載されていました。 きれいなドレスをきたお姫さまになりたいってあこがれはおんなのこなら誰だってもってるよね? そんな夢みるおんなのこに博士がおくる『博士のプリンセスなりきりティアラ』! これをつければきょうからきみもお姫さま!みんなががうらやましがるステキなプリンセスになれちゃうぞ! さぁ、きみも『博士のプリンセスなりきりティアラ』をつけてステキなプリンセスの仲間入り!おんなのこの夢をかなえちゃおう! 楽しもうね! おとこのこのための誰でも王様になれる『博士のキングなりきりクラウン』もよろしく! 保護者の方へ:この商品には尖った部品があります。小さなお子様が使用されるときは必ず近くで見守ってあげてください。 この記述を受け、同様の性質を持つオブジェクトが他にも存在するとみて現在調査を行っています。 Footnotes 1. 時速130~150kmで硬い障害物に激突したのと同等の衝撃を受けたと推測される 2. █████社制作のアニメーション 3. アメリカの先住民族ラコタ(スー族)に話されている言語。 4. 西部開拓時代の後装式ライフル銃
scp-726-jp
評価: +48+–x 発見当時のSCP-726-JP アイテム番号: SCP-726-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-726-JPはサイト-8194に位置する10×10×10mの収容コンテナに収容されています。コンテナ内部には最小限の水槽や寝床等を用意し、中心から半径5mをガラス等で囲うようにしてください。コンテナ周囲には常に3名以上の警備員を配置しなくてはなりません。SCP-726-JPが定期的に行う準備運動等の原因でコンテナの損傷が確認された場合、SCP-726-JPに対して漁獲用網を被せた後早急にコンテナの修理に取り掛かってください。この間、SCP-726-JPの周囲には2名以上の警備員により監視を行い再度脱走を防いでください。 説明: SCP-726-JPは、異常な性質を持った体重15kg、体高121cm、体長87cmのオウサマペンギン(Aptenodytes patagonicus)です。外見・臓器系統共に特異性は無く 、DNA検査の結果も完全にオウサマペンギンのものと一致しました。しかし、未知の手段による発話能力等があるなど、通常のオウサマペンギンと異なる点があります。また、SCP-726-JPに装着されているリストバンドには「死にたい奴からかかって来い。」という文字が刻印されています。SCP-726-JPは毎朝8時に準備運動と主張する行動を起こします。これは最悪の場合では、1発の殴打で██t程度の威力を叩きだします。 SCP-726-JPの異常性はSCP-726-JPから半径5m圏内に生物が侵入した際に発現します(侵入した生物を被験体と呼称)。被験体が異常性に暴露すると同時に服装及び所有物が一般的にボクシングを行うことに適した服装1へと変わります。この時点でSCP-726-JPは圏内に侵入した被験体の位置を認識します。 被験体の位置を認識したSCP-726-JPは被験体と自身を消失させ所在地不明の氷河の上に転移します。 転移と同時にGPS等の通信機器は不明な原因で破損するため、転移先の特定はなされていません。被験体とSCP-726-JPは消失してから10~50分程度で帰還しますが、帰還した被験体は必ず身体を負傷しています。帰還した被験体に質問した所、"転移した後、SCP-726-JPにボクシングの勝負を申し込まれた"と証言しました。後の実験により、この勝負を断った場合に関しては実験記録726-JP-4を参照してください。また、この勝負で被験体がSCP-726-JPに勝利した事例は存在しません。 勝負終了後、被検体はSCP-726-JPとの勝負を誇り高き物と主張します。また、記憶処理を行っても「何者かと勝負した」という記憶は残ることが判明しています(補遺726-JPを参照)。 補遺726-JP: SCP-726-JPは、██県の道路を歩いていた所を現地エージェントが発見し保護されました。SCP-726-JPを保護施設に引き渡した所保護された数時間後、保護施設係員数名が負傷するという事件が発生し財団が興味を引きました。1週間の調査の後、SCP-726-JPの異常性が確認され、正式に収容されました。 実験記録726-JP-3 対象: ビデオレコーダー、音声レコーダー等の録画及び録音機器及びD-7264 実施方法: D-7263にビデオレコーダーとGPS装置及び音声レコーダーを装着させる。その後、SCP-726-JPの影響範囲内に侵入する。 結果: SCP-726-JPの異常性が発現。しかし、転移すると同時にビデオレコーダーとGPS装置及び音声レコーダーの故障が発生。勝負内容を録画及び録音する事はできませんでした。 分析: SCP-726-JPの勝負内容を録画及び録音することは不可能だった。 勝敗についてはD-7263に聞くしかなさそうだ。-███博士 追記: D-7263に対して後日質問したところ、"敗北した"と報告しました。 実験記録726-JP-4 対象: D-7264 実施方法: D-7264に転移後に挑まれる勝負を断るよう指示した後、SCP-726-JPの影響範囲内に侵入する。 結果: SCP-726-JPの異常性が発現。SCP-726-JPとD-7264は転移されました。39分後、SCP-726-JPは収容室内に帰還しましたが、D-7264は現在も帰還していません。 分析: SCP-726-JPにD-7264の行方を質問した所「根も弱いから氷河の溶け水に沈ませてやった。」と答えました。これを受けて、SCP-726-JPとの勝負を断る実験は禁止されました。 以下は、SCP-726-JPに対して行われたインタビュー記録です。 対象: SCP-726-JP インタビュアー: ███博士 付記: ███博士の発言はスピーカーを介してSCP-726-JPに伝えられる。 <録音開始> ███博士: こんにちは、SCP-726-JP。 SCP-726-JP: お前は何者だ? ███博士: 私は███と言います。他の人からは博士と呼ばれています。 SCP-726-JP: そうか。ならば我もそう呼ぶ事にしよう。博士。 ███博士: わかりました。ではまず、あなたの名前はなんでしょうか。 SCP-726-JP: 名前? 我の名はオウサマペンギンだ。王様の名の通り、腕がたつ。 ███博士: それ以外には? SCP-726-JP: あるわけないだろう? ███博士: そうですか。次に、あなたはなぜ、自分に近づいた物を転移させるのですか? SCP-726-JP: なぜって、勝負だよ勝負。我はその名の通り王様だからな。強い奴と勝負したいのだよ。ここにいる奴らは弱い奴らしかいないのか? 拳一発でKOしたぞ? 後、転移する先は我のメイングラウンドだ。 ███博士: [3秒間の沈黙] どうやって、殴っているんですか? SCP-726-JP: 何を言っているのだお前は。拳に決まっているだろ。ほら、ここについてるだろ。 <録音終了> 終了報告書: SCP-726-JPのこの一連の行動は故意にやっている物だという事が判明しました。これ以外にもいくつか質問をしましたが有益な情報は得られませんでした。インタビューを行った翌日の議論にて、SCP-726-JPに勝利できると思われる人物を一時的にEクラス職員として雇用する実験が採用されました。 補遺726-JP-1: 20██/█/██、██研究員の報告によりプロボクサーである███氏を一時的なEクラス職員として雇用することが決定しました。雇用当日███氏(以下、E-726)を、SCP-726-JPの異常性に暴露させました。E-726及びSCP-726-JPは消失し、その49分後に帰還しました。しかし、E-726だけでなくSCP-726-JPも負傷していました。以下はE-726とSCP-726-JPに対して行われたインタビュー記録です。 対象: E-726 インタビュアー: ███博士 <録音開始> ███博士: SCP-726-JPについてどう思われましたか? E-726: [小さく笑う] なんだよ、あいつ。ペンギンなのにさ。俺を5発でKOさせた。俺も負けなかったさ。あいつに、そう、2発打った。すげえだろ。あのクソったれペンギンに2発だぞ? ███博士: SCP-726-JPも酷く負傷していました。あれはあなたがやったんですか? E-726: あいつ防御は強くなかった。2発殴ってフラフラさ。でも、アイツは殴った。俺を。フラフラなままで、俺にはあんな事できねえよ。 ███博士: そうですか。本日は協力頂きありがとうございました。 E-726: 感謝するのはこっちの方さ、ありがとう。あのペンギンに会わせてくれてな。 <録音終了> 終了報告書: E-726はインタビュー終了後記憶処理を施され解放されました。また、E-726は記憶処理後SCP-726-JPの記憶自体は処理されましたが、勝負した記憶は残ってる事が判明しました。勝負相手について尋ねた所、「知らない」と報告しました。 対象: SCP-726-JP インタビュアー: ███博士 <録音開始> ███博士: こんにちは、SCP-726-JP。 SCP-726-JP: 博士か。しかし、驚いたよ。 ███博士: なににですか? SCP-726-JP: さっき来た男の人間だ。王様の名を持つ我に挑むペンギンや人間が数あれど、我に一発殴ることが出来たやつはいなかった。 ███博士: そうですか。それがどうかしましたか? SCP-726-JP: 我もまだまだだってことだ、博士。初めて負けそうになったよ。こんなにも焦るものだな。これだから勝負は辞められない。 ███博士: そうですね。私もその感覚わかりますよ。本日はありがとうございます。 SCP-726-JP: ああ。また戦いたいものだな。あの男と。 <録音終了> 終了報告書: SCP-726-JPはその後E-726にもう一度会いたいと主張していました。また、インタビュー内容により別のSCP-726-JPがいると推測されるため一部の財団エージェントは調査を行ってください。 事案726-JP: 20██/█/██、SCP-726-JPの準備運動にてコンテナが破壊された事による収容違反が発生しました。SCP-726-JPは脱走から10分後にサイト-8194のフロントにてテレビ映像を見ながら鳴いている所を捕獲されました。捕獲した警備員の報告により、SCP-726-JPはテレビ映像に映っていたE-726の姿を見て鳴いていた事が判明しました。以下は、収容された後にSCP-726-JPに対して行われたインタビュー記録です。 対象: SCP-726-JP インタビュアー: ███博士 <録音開始> ███博士 あの映像を見て鳴いていたそうですが? SCP-726-JP: お、王様である我が鳴いていただと? 馬鹿馬鹿しいにもほどがあるぞ。 ███博士 正直に言ってください。別に悪い事ではありませんよ。 SCP-726-JP: [10秒間の沈黙] ……あいつは映像内で叫んでいた。「俺は死ぬまで殴り続ける。文字通りこの体が朽ちるまで」ってな。 ███博士 それがどうかしたのですか? SCP-726-JP: あの姿だよ。我が求めていたのは。前回の勝負は負けだ。我の負けだ。あいつは、死にかけになるまで殴ってきた。そして、見事に我の腹部に一撃かました、全身の力をこめた拳で。我は人鳥生であんな拳を放った事、受けた事などなかったのにだよ。 ███博士 つまり、何が言いたいのですか? SCP-726-JP: かっこよかったよ。我ももっと強くならないとな。あいつを見習って。 <録音終了> 終了報告書: SCP-726-JPはインタビュー終了後、E-726が描写されているビデオ映像を要求しました。███博士はSCP-726-JPのさらなる脅威に繋がると推測しこれを拒否しました。しかし、拒否して以降SCP-726-JPの収容違反の頻度が増加したため現在要求承認の討論が行われています。 Footnotes 1. 服装はTシャツとハーフパンツ。そして武具にグローブが主な例として挙げられます。
scp-727-jp
評価: +67+–x 回収されたSCP-727-JP-A。 ロゴマーク。 アイテム番号: SCP-727-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-727-JPは現在収容されていません。機動部隊ゐ-3を中心に発信源の特定を行い、当該オブジェクトの確保、不可能な場合は無力化に努めてください。現在確保されているSCP-727-JP-Aのうち、上記の発信源特定のために利用されている1台を除く全個体は、電源を切った状態でサイト-81██のロッカーに収容されます。また、未回収のSCP-727-JP-Aの発見のため、機動部隊ほ-2を中心に捜索活動を行ってください。また、一般市民に向けて「東日本深海放送と書かれたロゴのあるラジオは偽装された危険物である」とのカバーストーリーが制作され、「発見した場合は近寄らず、速やかに警察に通報するように」との指示を発表するよう日本政府に要請がなされています。このカバーストーリーの強化のため、プロトコル“ファイアウォール”に基づき、内部に爆発性の化学物質を搭載した偽のSCP-727-JP-Aを設置するなどの偽装工作を行ってください。 月曜日ごとに1度、07:55までにSCP-727-JP-Aのうち1台を防音の施された個室内に設置し、SCP-727-JPの内容を録音してください。またSCP-727-JPの内容を確認する場合は、サイト管理者の許可を得た上で、必ず録音された音声を聴取するようにしなければなりません。Dクラス職員に対してSCP-727-JPの曝露実験を行う場合は、サイト管理者の許可を得た上で、防音の施された個室内で行ってください。録音、及び曝露実験が行われている個室内への立ち入りは許可されません。 説明: SCP-727-JPは、千葉県沖を中心とする半径およそ400 kmの範囲内で受信できる特殊な音声放送です。SCP-727-JPの内容は一般的なラジオ番組の形式を踏襲していますが、実際には電波ではない未知の手段によって送受信が行われています。財団による検証の結果、SCP-727-JPは房総半島沖の三重会合点1付近の海底から発信されていると推定されていますが、その周辺に人工物の存在は確認されておらず、より正確な発信源は特定されていません。SCP-727-JPの放送は毎週月曜日の07:55に開始し、放送時間の長さは一定ではありません。 SCP-727-JPの番組は、殆どの場合リュウグウ博士と名乗る男性2と、ウナバラと名乗る女性3の対話形式で構成されています。番組の内容は日本国内の事件の情報から、日常生活で役立つ知識の紹介まで多岐にわたりますが、しばしば虚偽の情報が含まれています。また、放送される音声は「厚い水槽を通したかのよう」と表現されるくぐもった音として聞こえ、時折水流のような音や泡の立ち上るような音が混ざることが確認されています。これらの音は番組の登場人物の動作に伴って発生する場合と、ラジオ放送におけるノイズのような形で発生する場合とがあり、後者の音は発信源から離れるほど多く発生することが明らかになっています。この性質はSCP-727-JP発信源のおおまかな絞り込みに利用されています。 SCP-727-JPの音声を耳にした人物はそのまま聴取を続けたいという強い欲求に駆られます。外部からの干渉によって聴取を停止させられそうになった場合、聴取者は強い攻撃性を表し、激しく抵抗します(この攻撃性は聴取を再開した場合や放送が終了した際に消失します)。聴取を続けた場合、番組終了の時点で聴取者の周囲で何らかの異常現象が発生します。この異常現象の種類は番組の内容に依存するようです。なお、これら人間に対する影響はSCP-727-JPを実時間で聴取した場合にのみ発現し、録音されたものを聴取しても異常性を発揮することはありません。 SCP-727-JP-Aは、SCP-727-JPを受信するための専用の装置です。外見は通常のラジオ受信機と酷似していますが、内部構造は全く別種のもので、一部には解析不能の技術が利用されています。財団によって発見された際、全てのSCP-727-JP-Aには“東日本深海放送”と書かれたロゴマークのシールが貼り付けられていました。現在財団によって管理されている74 75台のSCP-727-JP-Aのうち、2台は分析のために分解され、1台は機動部隊ゐ-3による発信源特定のために利用されています。 SCP-727-JPの存在は19██/██/██に初めて確認され、当時「男性の頭部に突然角が生えてきた」との報告があったことから、その特異性が明らかとなりました。以来SCP-727-JPによる被害はたびたび確認されてきましたが、19██/██/██に74台目のSCP-727-JP-Aが確保されて以降、財団外部でのSCP-727-JPによる異常現象は観測されていません。また、現在確認されているSCP-727-JP-Aはいずれも制作年代が同一であり、新たなSCP-727-JP-Aの製造は行われていないと考えられています。このことから、財団が収容している74台のSCP-727-JP-Aが現時点で存在する(少なくとも稼働可能な)全個体であると推定されています。20██/██/██追記:20██/██/██、75台目のSCP-727-JP-Aが発見され、財団により確保されました。この個体もそれまでに回収されたSCP-727-JP-Aと制作年代が同一であったため、新たに製造されたものではなく、単に所在地が[編集済]であったために財団の目を逃れてきたと考えられています。 補遺727-JP-M001:以下はこれまで放送されたSCP-727-JPの一部を簡潔にまとめたリストと、その聴取によって発生した異常現象の一覧です。 番組の詳細 確認された現象 備考 財団によって行われた初のSCP-727-JP曝露実験に使用された。 番組ではリュウグウ博士により財団の目的や大まかな構造について簡潔な解説がなされた。リュウグウ博士はDクラス職員についても言及し、彼らを「実験ネズミ」と表現した。 番組を聴取したD-8147が突如として消失し、代わりにオスのラット(Rattus norvegicus)1匹が死亡した状態で出現した。ラットの胃の内容物は、D-8147の当日の朝食と構成分子が同一であった。 リュウグウ博士が何故財団内部の機密情報を知り得たのかは明らかになっていません。 リュウグウ博士お薦めのテレビ番組を紹介する番組。ドキュメンタリー番組、テレビドラマ、アニメーション番組を含む。 番組を聴取したD-29781の左目は視力を喪失し、代わりにテレビ番組の映像を映し出すようになった。なお、音声は出力されていない。 映す番組は、D-29781の意思により自由に決定できるようです。ただし、サイト-81██周辺で受信できる番組に限られます。 天気予報。サイト-81██が存在する地域の天気は雷雨と予報された。 火の気がないにも関わらず、突如スプリンクラーが作動。個室内をずぶ濡れにし、一部の電子機器が漏電を起こした。 この日の天気は、実際には晴れでした。 “サルパ4にもできる簡単健康法”と題された番組。薬指を利用した健康法について紹介された。 番組を聴取したD-3416が、個室内で左手の薬指を右腕の脇に挟んでいる姿が確認された。 D-3416はこの後もことあるごとに薬指を脇に挟むようになった。 D-3416本人は、薬指を脇に挟むようになってから体調が良くなったと表明していますが、この“健康法”に対する科学的な裏付けはありません。 質問コーナー。東日本深海放送という名前の由来について、「元々は海に関するニュースを報道していたため」と説明した。また、初回放送時の番組の再放送を行い、海洋生物の体の構造について説明した。 番組を聴取したD-1142は肺呼吸の代わりに鰓呼吸を行うようになった。D-1142はその後[削除済]。 質問の手紙が実際に寄せられたものなのか、またもしそうだとすればどこから送られたものなのかは依然不明のままです。 東日本深海放送そのものに関するニュース。人手不足であることを伝え、新人職員の募集を呼びかけた。 番組を聴取したD-9800は即座にサイト-81██内の洗面所へ転移した。その後、 D-9800が水のたまった洗面台で溺死している姿が確認された。 新人職員の募集であるにも関わらずD-9800が溺死した理由については、現在議論がなされています。      補遺727-JP-M002:以下はSCP-727-JPの録音データです。 ※録音データの閲覧にはサイト管理者の許可が必要です。  + 音声記録閲覧のため、認証コードを入力してください。   認証完了。閲覧が許可されました。 音声記録727-JP-RcM002 日時: 20██/██/██/07:55 <録音開始> [激しい水音] ウナバラ: 東日本のリスナーのみなさん、おはようございます! リュウグウ博士: おはようございます。 ウナバラ: 東日本深海放送がお送りする、朝の深海チャンネルのお時間です!物知りリュウグウ博士が色々なお役立ち情報を教えてくれるこの番組、今朝は一体どんなことを教えてくださるのでしょうか!ちなみに、司会進行は私ウナバラが務めさせていただきます! リュウグウ博士: はい。今日は元々“ウミガメのスープの発癌性“についてお話しする予定でしたが、財団による深海アンテナの回収数が75台に達したことを受けて、急遽番組を切り替えてそれに関するニュースをお伝えしたいと思います。 ウナバラ: 財団というと、以前この番組でも取り上げた異常物品を収集している組織ですよね?どうして深海アンテナが回収されているのでしょうか? リュウグウ博士: はい。何故かは分かりませんが、財団は我が社の深海アンテナを異常物品であると見なしたようなんです。 ウナバラ: えーっ![泡立つような音]そんな馬鹿な! リュウグウ博士: 当然ながら、我が社の製品には“異常”な点などなく、最高品質のものをご提供しております。そのため、この主張は虚偽であると言わざるを得ません。近年このような嘘で物品をだまし取るケースが増加傾向にあるため、リスナーの皆様も、どうかくれぐれも詐欺にはお気を付けください。 ウナバラ: でも、財団は一体どうしてそんなことをしているのでしょう? リュウグウ博士: おそらく、我が東日本深海放送が提供する番組の内容が― ウナバラ: 番組の途中ですが、ここで東日本深海放送が午前8時をお知らせします。 [時報音] リュウグウ博士: [水音を伴う咳払い]―我が東日本深海放送が提供する番組の内容が、財団にとって好ましくないものであるからだと思われます。 ウナバラ: 好ましくない、ですか? リュウグウ博士: ええ。財団というのは秘密を持つことが好きな団体でして、部外者に首を突っ込まれるのを極端に嫌うんですね。[泡立つような音]しかし、当然ながらこのような暴挙にでることは自由に対する罪であり、許しがたいものであります。 ウナバラ: では、リュウグウ博士。我々はこれからどのように行動すべきだと思われますか? リュウグウ博士: はい。我々東日本深海放送は、残る2人のリスナーの皆様のために、財団の圧力に対し断固として立ち向かっていかなければなりません。また、リスナーの皆様におかれましても、どうかこのような暴挙に屈することなく、毅然とした態度を崩さないようにお願いいたします。財団はおそらく様々な手段を以て自由を弾圧しようとするでしょうが、共に立ち向かいましょう! ウナバラ: ここで番組終了のお時間がやってまいりました。来週のこの時間は、日本海溝ビル再建についての最新情報をお伝えします。それでは、また来週お会いしましょう!今日も健やかにお過ごしください。さようなら! [激しい水音] <録音終了> 終了報告書: 音声中の“深海アンテナ”とは、SCP-727-JP-Aを指していると思われます。この放送を聴取したD-12906は、個室の扉を開いた途端、実験を担当した██博士とエージェント-███に襲いかかりました。D-12906はその場で終了され、2人に怪我はありませんでした。また、番組の内容から、リュウグウ博士は財団の最近の動向についてもある程度把握していると思われます。SCP-727-JP-Aには外部を観測する機能が付属していないにもかかわらず、なぜ財団の様子を把握できるのかは明らかになっていません。 好き勝手言ってくれるじゃないか。“異常な点はない”だって?全くもってふざけてる。 -██博士 補遺727-JP-M003:上記の放送を受け、財団は最低でも2台のSCP-727-JP-Aが未回収のまま残されている可能性があると判断しました。現在機動部隊ほ-2を中心に捜索が続けられており、またプロトコル“ファイアウォール”に基づく偽装工作の成果で“東日本深海放送”は現在、一般市民の間ではカルト的テロリスト集団の名前として知られています。しかしながら、現在に至るまで残るSCP-727-JP-Aの発見はなされていません。 “残る2人のリスナー”とやらは、本当に存在するのでしょうか?これまでにもSCP-727-JPにはたびたび虚偽の内容が含まれてきたことを考えると、私にはこれが財団に無駄骨を折らせるためのでっち上げであるように思えてなりません。 SCP-727-JPの放送者が財団に対して悪意を持っていることは、放送の内容を見る限り明らかですから。-エージェント-███ 仮に現時点でのSCP-727-JP-A残存個体が存在しないとしても、新たなSCP-727-JP-Aが製造されないという保証はどこにもない。その上、これまでの放送から、相手は財団に関する情報をある程度保有しているものと思われる。そのため、もし仮に未回収のSCP-727-JP-Aが存在するとなれば、その放置は収容違反であるだけでなく、重大な機密漏洩にもつながりかねない。従って、少なくともSCP-727-JP発信源の収容或いは無力化が完了していない現状にあっては、未回収のSCP-727-JP-Aが残存すると見なし、可及的速やかに確保を行うこと。 -サイト管理者-███博士 Footnotes 1. 北緯34°,東経142°地点に存在する太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレートが重なり合うポイント。日本海溝、相模トラフ、及び伊豆・小笠原海溝の合流点でもあります。 2. あくまでも声色を元にした推測であり、実際の性別は不明です。 3. 同上。 4. サルパ科(Salpidae)の海棲尾索動物の総称。指はありません。
scp-728-jp
評価: +65+–x オブジェクト影響発生源となっている解体予定の████████小学校 アイテム番号: SCP-728-JP オブジェクトクラス: Keter 特別収容プロトコル: SCP-728-JPの影響下にあると推定される人物、その他関係者が影響範囲外へ出た場合は対象を確保し、財団へ勾留します。その後遺族に対してはカバーストーリー『事故死』が適用されます。既に影響下にある被験者は、統計上影響範囲外に長期間滞在することは不可能であることが確認されていますが、影響範囲外への長期滞在が確認された被験者に対しては、既に影響が及んでいる地域へとその外出目的が変更されるよう可能な限り介入してください。目的変更が不可能であった場合、対象の被験者は影響範囲内から出た直後に拘束され、終了されます。 日本への外国人入国者については、港から財団のエージェントによる尾行、並びに保護を行い、対象が影響範囲内に長くとどまる事のないように働きかけてください。 これら全ての工作活動において違反が認められる全ての場合に現場エージェントの判断による対象の終了が認められます。 SCP-728-JPについて言及されるいかなる資料も作成者を発見し拘束し、心理医療スタッフによる適切な説得の末、十分に情報漏洩の危険性がないか"岡部四式思想テスト"を行い、合格した者のみ開放されます。当該オブジェクト影響下からの脱出に成功した『卒業生』が発見された場合は、インタビューを行った後終了してください。 説明: SCP-728-JPは1983年の各農村地帯で初めて発見された、現在まで至る教育機関関係者周辺に起こる観測可能な時間異常です。SCP-728-JP影響下ではその年の4月1日から翌年の3月31日までが繰り返されています。この時間異常に関して当該の影響下にある児童を持った保護者や、職員、近隣の住民までもがこの時間異常の中にいることが分かっています。当該オブジェクトの渦中では3月31日が終了した時点で身体の変化、成長の全てが昨年の4月1日まで戻り、それまでの記憶は消去されることが確認されています。SCP-728-JPの影響下にある社会は影響下にない社会への適応能力が高く、当該オブジェクトの影響下にない地域での時間で生み出された文化や技術、製品に対しても柔軟に適応し、時間異常の中で人々はそれらに順応することが分かっています。 最初に発見された岐阜県大野郡の小学校では、6学年の生徒は卒業式を終えた後自宅に戻り、翌朝から新6学年として、その小学校に登校し始めました。この最初に確認された事例に関して、当該の小学校は現在まで31回の新年度を迎えており、3回の校舎改修工事を経て校舎自体の外見は確実に変わって居ることから、SCP-728-JPの影響は人間だけに及ぶものだと考えられています。また、7回の教師の移転1と2回の地震を経験しており、当該オブジェクトは正常な時間軸に沿った時間異常と言えます。 その他の事例において23回の文化祭全てで同じ品目を同じクラスが行うことのなかった高校と、一度も重複した取引を行わなかった会社が確認され、SCP-728-JP影響下では、人間の思考や行動までもが必ずしもループしないこと、その他の空間異常や過去事象の収束のないことが確認されています。以下が現在までに確認された顕著な事例です。 県立███高校では2年生の██ ███という生徒が8月2日に合計16回家出をしており、この生徒は財団エージェントの調査の結果では16回とも離接する██県にある██市の住宅で発見されました。 私立██高校1学年のあるクラスだけが25回のクラス替えにおいて全く同じ人選になりました。該当のクラスにおいて形成されたスクールカーストも25回全く同じ人間で構成されていました。 私立███幼稚園では年中行事である『お遊戯会』の出し物として12回の映劇を行っていますが、12回の演劇中9回が『浦島太郎』を題材にしたもので、他の3回における『オズの魔法使い』『人魚姫』『オズの魔法使い』に関し2回の『オズの魔法使い』の人選は全く違うものでしたが、9回にわたって行われた『浦島太郎』その全ての人選はまったく同じものでした。 自営業█████の職員である█████は、東京を中心として業務を行っていますが、24回の取引内容全てが同じであり、彼の行動パターンは全て同じであることが分かっています。 █████小学校に通う4学年の██████は自宅への放火により他家族3名と共に焼死し、自宅は全焼しました。それらは現在██████████に指定され、現在研究が進められています。2 ████████中学校2-Aでは████という生徒だけが24回の全く同じ日付から合計12日間登校せず、行方は現在も判明していません。ですが、12日が経過した翌日には必ず登校する姿が確認されています。 私立████高校3学年の███████、███████、███の三名はそれぞれSCP-███-JPに暴露した経験があると見られ、発見時の要請で財団のエージェント・橋田による長期作戦の末、19回の確保に成功しています3。現在までこの三名の収容は成功していません。    なお、当該オブジェクトがいつから存在していたのかは現在調査中です。(現在までの研究レポートは補遺1を参照してください。) 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007年に大分県の小学校でSCP-728-JPから抜け出し、卒業する学年が現れました。報告を受けた財団はエージェントチームを派遣、全卒業生を回収し、財団にてインタビューを行いました。インタビューに応じた小学6年生の男女は共通して『信じられないくらいとても楽しい1年間だった』と供述した後の4月1日明朝、全ての児童が老衰で死亡しました。検死の結果、外見上全く問題はありませんでしたが、細胞の劣化、多臓器不全、多数のがん細胞、テロメアが異常な速度で摩耗した痕跡が全ての遺体で確認され、少なくとも生後██年は経過していることが分かりました。この結果は1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007年当時の平均寿命から考えて異常なほど早世でした。 オブジェクト無力化実験記録 - 日付1980/3/31 対象: SCP-728-JP影響下の████████小学校 補遺: この学校はループ開始以前に廃校が決定しており、6学年以外の生徒は存在せず、今回の実験に選抜されました。 実施方法: 学校の解体、破棄。 結果: 卒業式の後、財団の技術チームにより6時間で取り壊しが完了しました。SCP-728-JPの異常性は無力化され、その後周辺地域の中で卒業生を持つ世帯の全ての人間が老衰により死亡しました。 最年少の遺体は当該の学校の生徒のもので、検死の結果240歳前後の細胞劣化だと報告されています。 分析: SCP-728-JPは我々が想定しているより遥か古来からのものである蓋然性が極めて高く、不用意な無力化は混乱を招く危険性があります。 SCP-728-JPは現在まで他の地域へ毎年急激な速度で伝播し、その数は1600件を超え、現在までSCP-728-JPは20の小学校500の中学校600の高校400の大学、90の専門学校、7の一般企業で確認されています。発見されたオブジェクトの大半が教育施設を基点に発生していることが確認でき、平均した被影響半径は当該地域の交通網や人口に大きく左右され、特定の値は算出されていませんが、日本の国土のおよそ70%を占めているだろうとの仮説が立てられています。 SCP-728-JP発生施設の解体はオブジェクトの特異性を無力化することが出来ると証明されていますが、実験記録の結果を踏まえ、当該オブジェクトの無力化は禁止されています。 補遺1: 現在発見されているSCP-728-JP影響下の施設において、最も古くから存在する建造物である████████旧名:██屋に関して当時の資料の中にその奇妙な振る舞いが記述されていることから、最低でも███年前から当該オブジェクトが存在していたとして研究が進められています。 補遺2: 伝播の法則については現在調査中ですが決まって教育担当の職員の配置が変わった先の教育施設、並びに職場に伝播しているようです。 近年サイト-████にて記憶処理装置が開発されたと聞いています。本オブジェクトは一般人の勾留対象が非常に多く、我々SCP-728-JP収容チームのあるサイト-81██においても記憶処理装置の使用を認めて頂けないでしょうか?—新渡戸博士 現在サイト-81██は隔離対象にあり、今後他のサイト職員はサイト-81██への一切の人的接触を禁止します。我々は既にサイト-81██からの卒業生に対してインタビュー並びに記憶処理を施した後収容しています。実験の際はレベル4職員の許可を得てください。—O5-6 脚注 1. 当該の教師の一人は██県███市にある公立██████中学校の新任教諭となり、 現在公立██████中学校はSCP-728-JPの影響下にあります。 2. 大和博士はこれらがSCP-728-JPの時間異常の中で発生した二次的なものであると推察しています。 3. エージェント・橋田は19回の全く同じ長期作戦を展開し19回その全てにおいて全く同じ条件下で確保に成功しています。
scp-729-jp
評価: +132+–x アイテム番号: SCP-729-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-729-JPは現在、██県██町に存在する財団フロント企業経営の中華料理店”██飯店”に収容されています。当該店舗の営業時間中は常に1名以上のエージェントを店内にて待機させて下さい。イベントの発生が確認されたら直ちに待機エージェントはプロトコル”大根役者”に基づく方法でイベントを中断させて下さい。何らかの理由によりイベントが完遂されてしまった場合は、直ちに近隣の飲食店へエージェントを派遣し、SCP-729-JPの出現店舗を特定します。 説明: SCP-729-JPは、中華料理を供する飲食店に出現する、椅子の形をした実体です。出現ごとに形状の差異はありますが、材質は必ず木製かつ、床に固定されていないタイプのものです。 SCP-729-JPは、所謂中華料理店において店舗に置かれた既存の椅子と入れ替わる形で出現します。その際、入れ替わったSCP-729-JPは元の椅子を完璧に模倣するため、後述するイベントの発生以外に判別する方法はありません。 SCP-729-JPの持つ異常性は、SCP-729-JP及びその隣の椅子に成人男性が同時に座った際に一連の”イベント”を発生させることにあります。椅子にかけるタイミングは厳密には問われず、単に並んで座ることがあれば条件として成立します。イベントの詳細は以下のようなものです。 まず、SCP-729-JP及び隣の椅子に座って食事をしていた2人の人物の間で、『肘が何度もぶつかった』、『食事の際に立てる音がうるさい』など、毎回異なる理由での軽い口論が始まります。その口論は徐々にエスカレートし、互いに突き飛ばしたり、小突いたりといった軽度の暴力的手段を経て、やがて席を立っての殴り合いの喧嘩へと発展します。しかしこの際、両者の本来の身体能力に関係なく、正拳や突き、手刀、蹴りといった格闘術を用いての、非常に高速かつ高度な攻防が繰り広げられます。争いの最中、SCP-729-JPに座っていた方の人物(SCP-729-JP-1)はやがて、自身の座っていた椅子(SCP-729-JP)を、盾にして相手の攻撃を防いだり、振り回して武器にしたり、蹴り飛ばして相手の足を払ったり等、争いの道具として用いるようになります。 そして一連の闘争は例外なく、SCP-729-JP-1の勝利という形で決着が付きます。敗北した側の人物は、SCP-729-JP-1の最後の攻撃で異常なまでに大きく吹き飛びます。この際、激しい錐揉み回転を伴ったり、店内に積まれた椅子や小物などがあれば、そこへ思い切り突っ込んで派手に崩したりといった結果を伴うこともあります。また、フィニッシュとなる攻撃の武器として使われたり、攻撃を防ぐ盾として使われることで、決着の瞬間あるいはその前にSCP-729-JPは大破します。敗北した人物はそのまま失神し、SCP-729-JP-1は自身及び相手の分の食事代をカウンターに置き、足早に店を去ります。それと同時に大破したSCP-729-JPが消滅し、それを以てイベントが終了します。 また、一連のイベントが起こる最中、客や従業員といった店舗内の人間には認識障害が発生します。立って歩く、誰かに声を掛ける等、ある程度自由な行動は可能ですが、店外へ出る、警察などの助けを呼ぶといった手段を一切思い付くことが出来なくなる上、争う両者を仲裁することを思い付いたり、当人達へ宥めるような言葉を掛けることは出来ても、実際に激しく争う両者を前にすると『巻き込まれたら非常に危ない』、『自分の手に負える相手ではない』と強く感じることで仲裁の実行までは至らず、いずれの人物もただ目の前の争いを見届けることに終始します。この認識障害は上記イベントの終了、即ちSCP-729-JP-1が店外へと出た時点で消失しますが、それと同時に別の認識障害によって上書きされ、今し方目の前で発生した激しい争いを、然程異常なものではないと認識し、店内にいたどの人物も警察や救急への通報を行いません。また、SCP-729-JP-1との争いに敗れた人物はSCP-729-JP-1の退出と同時に目を覚ましますが、これまで発生した全てのケースにおいて、非常に派手な吹き飛び方をしたにも関わらず無傷、或いはごく軽い擦り傷程度しか負っていません。更に、SCP-729-JP-1及びその相手となった人物は当該の争いを実際のものより非常に過小なものとして記憶しており、店内で軽い口論になった、程度の認識しかしていないことも確認されています。1 一連のイベントが完遂されると、SCP-729-JPは前述の通り大破したまま消滅しますが、その後、当該店舗の近隣にある別の中華料理店へと転移し再出現します。転移する具体的な対象範囲は不明ですが、半径3kmより遠い店舗に転移したケースはこれまで確認されていません。消滅するタイミングがイベント完遂と同時であるため、転移を防ぐにはイベントの発生、または完遂を阻止する必要がありますが、店内にいる人間は全て認識障害を被るため店外にイベント阻止のための応援を求めることは不可能であり、更に本人の仲裁や争いに割って入るような行動も実行には移せないため、一度イベントが発生してしまうと阻止は困難を極めます。現在、イベントを阻止する方法を模索中であり、そのためのアイディアを広く募集しています。 20██/██/██のイベント発生事例における、エージェント・██の行動によって、有効と思われる対策方法が発見されました(後述)。 SCP-729-JPは20██年█月頃、██県██町にて発見されました。当初、近隣に存在するサイト-81██に勤務していた██博士が、同僚である███博士に『昨日の昼食時、たまたま入ったラーメン屋で妙に激しいアクションの喧嘩が起こった。お互い格闘技の経験者だったのだろうか、珍しいものを見られた』と話をしたことが、財団が最初に関知したSCP-729-JPの例でしたが、当時は異常存在としての認識はされていませんでした。しかしその後、同地域のフィールドエージェントより、██町の住民の間で、██博士の報告と非常に酷似した『ラーメン屋での妙に激しい喧嘩』の目撃例が相次いでいるという報告があり、急遽調査が開始されました。██博士にインタビューを行った後、██町の飲食店にエージェントを派遣し調査したところ、複数のエージェントから██博士と同様の報告がされました。これらのエージェントの報告は、『報告者本人がこの喧嘩騒動を特に異常な出来事ではないと認識している』という点でも██博士の目撃例と一致しており、認識災害の一種を伴うものであるという予測が立てられました。詳細な異常性を探るためDクラス職員や有志のエージェントを派遣しての追加調査が複数回行われましたが、店内にいる人物への認識障害によって異常性を深く探ることが難しく、度重なる調査の末にようやくイベントの詳細な流れや、異常性の源が椅子であることなどが突き止められ、正式にオブジェクトとして認定されました。 イベントの発生は、店外からでも観察可能です。しかし、店内に足を踏み入れる、窓の外から内部に何かを投げ込むなど、明確に干渉しようとすると店内にいる人物と同様の認識障害に晒されるため、店外からの妨害も非常に困難です。これはたまたま喧嘩を目撃した一般人のみならず、明確にオブジェクトの異常性を認識している場合であっても矛盾せずに両立されます。Dクラス職員に対して『仲裁しなければ処罰の対象となる』と言い含めた上でイベント発生中の店内へ向かわせた場合でも、『処罰なんかよりずっと恐ろしい目に遭いそうだった』といった理由で仲裁の実行には至りませんでした。 補遺1: 20██/██/██、財団フロント企業経営の中華料理店”██飯店”にSCP-729-JPが出現し、一般客の間でイベントが発生、小競り合いが始まりました。この際、店内にいたエージェント・██はイベント阻止を試みるべく、大声で仲裁するような言葉を掛けながら争う両者へと近付いたところ、たまたま店内の床に水が零れており、イベント阻止に集中するあまりそれに気付かなかったエージェントは足を滑らせて派手に転倒しました。するとその瞬間、店内にいた全ての客や従業員、そして争いあっていた両者までもが一斉に大声で笑い出し、店内は爆笑に包まれました。その後エージェントは争っていた両者に笑いながら助け起こされ、店内の客や従業員は一斉に食事、または業務に戻り、イベントの対象者であった両名も互いに笑いつつ、食事に戻りました。その後、両者はそのまま食事を終え、通常通りに店外へ退出していき、同日中のイベント再発生もありませんでした。 翌日、同店舗にて再びイベントが発生し、客同士の諍いが起こりましたが、同エージェントが再び大声で仲裁の言葉を投げつつ両者へ近付き、わざと派手に転んで見せたところ、またしても店内は爆笑に包まれ、イベントはそこで中断されました。この報告を受け、研究チームと同エージェントによってイベント中断の条件が精査され、 イベントの渦中にある両者へ関わろうとした際、転倒する、足を引っかける、テーブルや椅子にぶつかるなど、スムーズな移動に失敗する 同様の場合において、両者へ掛けようとした言葉を途中で言い間違える、発音などが不明瞭になる(所謂”噛む”)、言葉を忘れたかのように口ごもり、間が空くなど、発言に失敗する 『店内で起こった喧嘩の見物人』としては、明らかに異常、または目立ちすぎる行動をとる(いきなり踊り出す等) などの行為によって、爆笑を以てイベントを中断させることが可能であることが判明しました。イベントが中断された段階で認識障害は発生しますが、一般客や従業員には『店内で転んだ人がいた(またはそれを助けた)』といった程度の記憶しか残らないことがインタビューによって判明しています2。一連の行動は、故意に起こしたものであっても効果がある他、イベントが中断されるとSCP-729-JPの転移も発生せず、同日中はイベントの再発生が起こらないことも確認されました。これらの結果をもとにSCP-729-JPのイベント阻止プロトコル”大根役者”が制定され、今日まで同店舗内からの転移を防ぎつつ、イベントの発生阻止に成功し続けています。 補遺2: SCP-729-JPと、██町内にかつて住んでいた人物である、██ ███氏との関連性が指摘されています。██氏はアクション映画、とりわけカンフー映画の大の愛好家であり、カンフー映画のポスターやフィルムといった、非常に多彩なコレクションを所持していることで同町内では有名な人物であり、『カンフー映画の素晴らしさを後世に伝えていきたい』と個人的な普及活動も行っていました。しかし、200█年█月に発生した地震によって、倒れてきた家具によって頭部を強打したことで亡くなっています。この際、██氏はコレクションを所蔵していた倉庫にて、倒れてきた棚から何かを体の下に庇うような姿勢のまま亡くなっていましたが、彼の体の下には何もありませんでした。また、この地震に伴い、██氏が日頃より最も大事だと自慢していた、有名アクション俳優である█████・███氏が撮影に実際に用いたという木製の椅子が消失しています。██氏の自宅や倉庫、近隣地域の捜索も行われましたが、現在まで発見に至っていません。 確かにカンフー映画にNG集は付き物ですけど、いささか不本意です。  ――エージェント・██ 少なくとも我々は、君が名俳優であることを知っているぞ。  ――██博士 脚注 1. 財団がこの両者を後日引き合わせた実験では、両者共に『先日はつまらないことで突っかかって申し訳なかった』と互いに謝罪するという結果となりました。 2. イベント阻止による収容開始から2週間後、当該店舗には『店内の床が滑りやすくなっております。ご注意下さい』という旨の張り紙がされました。
scp-730-jp
評価: +62+–x 収容前のSCP-730-JP-1 アイテム番号: SCP-730-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル:SCP-730-JPはサイト-81██の、20mm鉛板で内壁を補強した第8隔離収容室に保管されます。SCP-730-JP群の動向は常に監視カメラによって監視し、画像認識による追跡で各個体を識別します。各個体に何らかの変化が発生した場合はその記録を行ってください。 新たなSCP-730-JP個体が第8隔離収容室付近で確認された場合、直ちに管理職員への報告を行い、後に収容してください。その他の場所で発見された場合、箱を被せて密閉することにより移送が可能となるので、その状態でサイト-81██第8隔離収容室へ移送してください。 説明: SCP-730-JPは、あらゆる物体表面上に発生する、足跡の形をした黒色液体の出現及び消失現象です。 SCP-730-JPは、人間の右足跡の形と左足跡の形でそれぞれ一定距離内(最長1.22m)で交互に出現し、最後に出現した個体を除き数秒間(最短4秒、最長11秒)で消失します。この特性のため、SCP-730-JPの物体的性質に関しては黒色の流動体である事、そして密度や粘性などのおおかまかな値しか判明していません。流動体の出現量は不規則であり、厚みが確認できるだけの量が出現することもあれば、かろうじて足跡を淡く形成できるだけの量しか出現しないこともあります。 SCP-730-JPはその外見的特徴から、人型実体が歩行するに伴い発生した足跡であるように見えます。しかし、予想された人型実体は一切観測されていません。また人間であれば入り込めないような狭い隙間にも移動する事が可能です。この事から、黒色液体の出現及び消失現象そのものをSCP-730-JPとして扱います。 以上、人型実体一個体の歩行に相当するSCP-730-JPを1組とし、現在財団は37組のSCP-730-JPを収容しています。(SCP-730-JP-1~SCP-730-JP-37) 最初の収容個体であるSCP-730-JP-1は、2013年2月7日、██府██市の廃マンションの中で学生によって発見され、関係者へ記憶処理を行った後に移送及び収容されました。 SCP-730-JP-2以降は全て、自ら同収容室へ近づいてきたところを収容されたものです。どこから来たのかは正確に特定できていませんが、サイト外部で発見された個体がやってきた方向から、大部分は██府██市近辺に存在していたと予想されています。SCP-730-JP-2以降の個体は収容までの間は明らかにサイト81██第8隔離収容室に向かって移動していましたが、収容以後はSCP-730-JP-1同様に収容室内をうろつくように移動するのみであり、SCP-730-JP同士が接触しても特に何の反応も見られませんでした。 SCP-730-JP各個体は初期は標準的な男性のものであり、全て同一人物の足形として見られています。しかし不定期に形状変化が発生し、その結果人間の足跡の形状を逸脱するものも含まれます。 + SCP-730-JP各個体の形状変化の記録 閉じる 形状については、撮影した画像から輪郭を抽出し、平均化したものを記録します。 SCP-730-JP群 形状変化記録01 ~ 19 記録01 SCP-730-JP-3 両足、第一指の肥大化       ( 2013/7/11 AM10:09 SCP-730-JP収容個体数:7 ) 記録02 SCP-730-JP-6 右足側のみ、第三指の消失       ( 2013/9/25 AM 3:28 SCP-730-JP収容個体数:7 ) 記録03 SCP-730-JP-4 両足、踵にあたる部位の消失       ( 2014/1/6 PM 8:56 SCP-730-JP収容個体数:9 ) 記録04 SCP-730-JP-8 両足、指の増加及び親指の尖り       ( 2014/3/8 AM 11:53 SCP-730-JP収容個体数:11 ) 記録05 SCP-730-JP-11 右足側と左足側が分散、別行動を取り始める。       以降、SCP-730-JP-11-A、SCP-730-JP-11-Bとして記録。        ( 2014/7/10 PM 2:30 SCP-730-JP収容個体数:15 ) 記録06 SCP-730-JP-7 両足、指の増加       ( 2014/10/21 PM 4:12 SCP-730-JP収容個体数:16 ) 記録07 SCP-730-JP-13 左足、踵部位の変形       ( 2014/11/13 PM 10:49 SCP-730-JP収容個体数:16 ) 記録08 SCP-730-JP-8 前述の変化に加え、さらなる指の増加、        踵の尖り、第三指~第四指の尖り       ( 2015/2/1 AM 3:01 SCP-730-JP収容個体数:18 ) 記録09 SCP-730-JP-10 両足、土踏まずの大幅な減少及び副次的な器官の生成       ( 2015/2/23 AM 7:48 SCP-730-JP収容個体数:18 ) 記録10 SCP-730-JP-11-A 全ての指の消失        ( 2015/6/9 AM 2:18 SCP-730-JP収容個体数:21 ) 記録11 SCP-730-JP-20 全ての指の位置の変動及び微細な形状変化       ( 2015/7/31 PM 5:25 SCP-730-JP収容個体数:22 ) 記録12 SCP-730-JP-8 前述の変化に加え、さらなる指の増加、第二指~第五指の肥大化       ( 2015/9/20 AM 11:47 SCP-730-JP収容個体数:26 ) 記録13 SCP-730-JP-7 前述の変化に加え、さらなる指の増加       ( 2015/10/3 PM 6:44 SCP-730-JP収容個体数:28 ) 記録14 SCP-730-JP-29 両足、踵部位の大幅な縮小及び指の増加       ( 2015/12/23 PM 10:31 SCP-730-JP収容個体数:31 ) 記録15 SCP-730-JP-3 前述の変化に加え、第二指の肥大化、及び第一指からの副次的な器官の生成       ( 2016/3/17 AM11:23 SCP-730-JP収容個体数:35 ) 記録16 SCP-730-JP-22 全体が不明な器官に変化。       ( 2016/3/21 PM 7:10 SCP-730-JP収容個体数:35 ) 記録17 SCP-730-JP-14 左右への分割を主とする全体の変化。       ( 2016/5/4 PM 1:12 SCP-730-JP収容個体数:35 ) 記録18 SCP-730-JP-32 吸盤状の器官の生成。       ( 2016/7/26 PM 4:06 SCP-730-JP収容個体数:37 ) 記録19 SCP-730-JP-24 手の形へと変化        ( 2016/11/7 PM 10:38 SCP-730-JP収容個体数:37 ) + 以降の文書の閲覧には、レベル3以上のセキュリティクリアランス及び精神耐性プログラム ろ-11aの前処置が必要です 閉じる SCP-730-JP-24が手の形へと変化し、そこに指紋らしき模様が確認された事から、接写画像をもとに指紋の鑑定を行う事が提案されました。 淡く形成されたSCP-730-JP-24から採取した指紋は警視庁の所有する指紋照合データベースにより照会され、その結果、███刑務所に服役中の████████という名の34歳男性(以降、SCP-730-JP-αと呼称)の指紋と一致することが判明しました。 SCP-730-JP-αは、2012年9月より金銭トラブルを発端とした殺人の罪によって懲役12年の判決を受けています。 裁判の記録によると、SCP-730-JP-αは職場の同僚に頼まれて金10万を貸したものの、借用書で取り決めた期限の月に返済を求めた所「自筆した氏名は最初からよく似た別の漢字を使用した偽りの名であり、そもそも借用書が無効なものである」と主張され激昂、何度も殴打したと供述しています。 インタビューログ - SCP-730-JP-001 対象: SCP-730-JP-α インタビュアー: 天崎研究員 付記: インタビューは███刑務所の面会室で行われました。SCP-730-JP-αは受刑者制限区分において面会には刑務官立会が必要な第3種に指定されていますが、財団からの要請により立会無しの面会を行いました。オブジェクトとの関連性が不明であるため、オブジェクトの説明は行っておりません。 <録音開始, [2017/1/9]> 天崎研究員: こんにちは、████████さん。 SCP-730-JP-α: あー……失礼ですが、貴方は誰だろう。申し訳ないが、名前を思い出せない。 天崎研究員: 初めまして、と言うべきでしたね。私は天崎と申します。詳しくはお伝えできませんが、最近起こった事に関連して貴方にはいくつかお伺いしたい事がありまして。 SCP-730-JP-α: そうですか。答えられる事なら答えますが、看守がいないのはどうしてでしょう?私はそういう扱いじゃないはずだ。 天崎研究員: それは答えられません。 SCP-730-JP-α: 構いませんが。 [4秒間沈黙] 天崎研究員: それでは████████さん、2013年頃。つまり貴方が事件を起こしてここに来たあたりの時期から…… SCP-730-JP-α: 違う。違う! [遮蔽板に顔を近づける] 俺じゃないんだ! ██████を殺したのは俺じゃ…… [5秒間沈黙] 天崎研究員: それは……ええ、貴方は事件を起こしていないという事ですか? 冤罪であると。 SCP-730-JP-α: あ、いや…… SCP-730-JP-α: すまない。……ああ、その……。殺したのは俺ですよ。間違いない。 天崎研究員: 大丈夫ですか? SCP-730-JP-α: ええ、大丈夫です……。     [SCP-730-JP-αの状態を鑑みて、小休止を挟む] 天崎研究員: それでは、その。2013年頃から今までの間についてですが。身の回りに不自然な出来事や何らかの変化が起こったりはしていませんか? SCP-730-JP-α: 不自然な事とは? 天崎研究員: 何でも構いません、そこに何もないのに体に触れた感覚があるとか、身体が勝手に動くとか。あるいはありえない物が見えるとか。 SCP-730-JP-α: ……ありませんね。 [4秒間沈黙] 天崎研究員: 何もですか? SCP-730-JP-α: ……何も、そのような事は。 SCP-730-JP-α: 確かに私は一時期、精神的に良くない状態になっていた事はありますが、今は回復していますし、その時期の間にも幻覚や幻聴の類はありませんでした。 天崎研究員: 心療治療を受けていたという事ですか? SCP-730-JP-α: ええ……まあ。 天崎研究員: では、その内容についてお願いします。 SCP-730-JP-α: ええ、あれからの私は、その…… [8秒間沈黙] SCP-730-JP-α: ……事件の後からずっと、あの時の事が離れなかったんです。全ての実感は、我に返った後からやってきました。 SCP-730-JP-α: 掴んだ植木鉢で思い切り殴りつけた時の衝撃と、人間の骨が砕けて曲がる手ごたえ。今でもその感覚は覚えています。一人の人間として動いていた相手が、自分のせいで壊れた物体になってしまった。加害者の立場でこんな事を言うのは許されないとは分かっているのですが、自分のやったことを思い返す度に恐ろさに脅え続けました。 天崎研究員: ……それが原因で精神が悪化したという事ですか?  SCP-730-JP-α:はい、いや、その。なんといいますか。[頭を抱える] SCP-730-JP-α: 自分とは違う、常識の外にある何かが自分に憑りついて、それであんな凶行に走ったんだ……。いつの間にかそれが真実だと信じるようになっていました。惨めな事ですが、自分の行いの責任に耐えられなくて。いえ、今でもそう考えてしまう事があります。人間一人の人生を終わらせるなんて、同じ人間である自分がするはずないって。 天崎研究員: 今では、自分が行ったと認識しているのですね? 心療治療によって。    SCP-730-JP-α: ……はい、間違いありません。しかし、不意に事件の事について触れられると、その思いが蘇ってしまうんです。 [13秒間沈黙] SCP-730-JP-α: 本当に何かが憑りついていたのが真実なら、どれだけ私は楽になれるか。……すいません、つい。 天崎研究員: ……服役中はずっとその事を考え続けていたという事ですか? SCP-730-JP-α: はい。……もし、何かが私の中にいるのなら、どうにかしてそれを隔離して、絶対に出られないような場所に閉じ込めてしまいたい。人間を閉じ込めるための刑務所ではなく、もっと化け物でもなんでも閉じ込めてしまえるような強固で絶対的な施設に。そのうちどんどん凶暴化し、手に負えないようになる何かがいる気がするんです。それらをどうにかして封じ込めたい。……そんな所まで考えて、こんなのは全て私の逃避思考の上の妄想だって思い出すんです。 SCP-730-JP-α: 私は、一線を越えてしまいました。人一人の人生を終わらせてしまったのですから。一生穢れたままでしょう。相手がどんな性格だろうと、そこにどんな事情があろうと、人間一人殺してしまうと、もうまともじゃなくなってしまうんです。私はそう思います。   SCP-730-JP-α: もう、何をしても元には戻りません……私の考えていた内容は以上です。 [11秒間沈黙] [天崎研究員が深く呼吸する] SCP-730-JP-α: 大丈夫ですか? 少し顔色が悪いようですが。 SCP-730-JP-α: 聞いていませんでしたが、そもそもあなたはどういう立場なのですか? <録音終了> 補遺:  2017年1月20日、新たなSCP-730-JP個体が1体、収容室付近で発見されましたが、SCP-730-JP-1~SCP-730-JP-37の初期状態と異なる足形であり、後にその個体は天崎研究員の足形と一致することが確認されました。 聞き取りの結果、この事を薄々予想していた事が判明し、天崎研究員は監視対象に指定されました。 記憶処理による治療が可能ではないかという検討もなされましたが、「取り返しのつかないことになるかもしれない」という天崎研究員のコメントから実施は延期されています。 天崎研究員に対する手紙:  貴方は財団の研究員です。貴方のこれまでの業務は全て、異常存在から人類を守るという使命に基づいています。これまでに業務で行った事を、SCP-730-JP-αの行為と重ねないようにしてください。 貴方の前担当オブジェクト(SCP-███-JP)で行われた実験においては、確かに少なくない人数のDクラスが消費されました。しかし、それはあくまで使命の為であり、Dクラスはそもそも死刑囚の集まりです。何も気にする必要はありません。 過去の業務に関して、余計な感情を持たないようにお願いします。         —████博士
scp-731-jp
評価: +156+–x アイテム番号: SCP-731-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-731-JPは低脅威物品保管庫の小物用収納棚へ収容してください。この際、他の筆記用具との混同を防ぐため、SCP-731-JPの移送に携る・あるいはSCP-731-JPが収容されている保管庫へ立ち入る職員の赤ボールペンの所持は禁止されています。 実験の場合を除き、SCP-731-JPを用いて文字、図形などを筆記する事は禁止されています。また、実験の際においても屋外地面への筆記は厳禁とされています。 実験などによりSCP-731-JP-Aが出現した場合は、SCP-731-JP-Aに関する用件が済み次第SCP-731-JPを用いてSCP-731-JP-Aの出現している丸型を端から隙間なく塗り潰し、実体を消滅させてください。SCP-731-JP-Aが出現している丸型および紙に対するボールペン用消しゴムや薬品の使用、刃物などによる切断や手での破棄、焼却などは不可能であることが確認されており、SCP-731-JP-Aの抵抗により周囲へ危険を及ぼす可能性があるため、行わないでください。 説明: SCP-731-JPは、赤インクカートリッジのボールペンです。SCP-731-JPと同型のボールペンはこれまでの市販品からは発見されておらず、現在も製造販売元の特定作業及び同一品の捜索が続けられています。通常のボールペンと比べ外見・構造・インク成分の大きな違いはみられませんが、いかなる使用実験でもSCP-731-JPのインクの減少及びペン先の摩耗は確認されず、またペンのカートリッジ部の分解はできませんでした。なお、研究の結果SCP-731-JPの書き味は非常に良好であり、表面のつるつるした物や表面の粗い板、コンクリート、アスファルトなど通常のボールペンでは筆記困難な物体へも書き込み可能であることが確認されている一方、人の皮膚など生物には書き込めないことが判明しています。 SCP-731-JPによる異常現象は、SCP-731-JPを用いて丸と形容できる範囲の図形が描画された際に起こります。この時描画された線は閉じられている必要があり、閉じられていない描線は異常現象を発生させません。また、句点の「。」、数字の「0」、アルファベットの「O」や崩して書かれた漢字の「口」部分など、独立して丸型の線が描画される文字も異常現象の発生源となりうることが判明しています。一方、「す」や「d」などにみられる他の線を多分に含む丸型、四角など多角形、漢字の筆記中に発生する四角や三角の線に囲まれた面などでの異常現象の発生はみられませんでした。 SCP-731-JPを用いて丸型となりうる線を描画中、その周囲より小学校低学年ほどとみられる複数の子供のような声で「まーるかいて……」と絵描き歌の一節が聞こえます。描画者の周囲の人間にもこの声が聞こえる事が確認されていますが、音声の出所は現在まで判明していません。 丸型の線が閉じられた瞬間、「ドーン!」の声と共に丸型の内側より腕(以下、SCP-731-JP-A)が勢いよく発生します。SCP-731-JP-Aの出現する原理は現在のところ判明していません。厚手透明フィルムへの描画実験により、SCP-731-JP-Aは丸型に描画された面から発生し、紙または描画された物体の内部など他の部分には干渉していないことが確認されています。 SCP-731-JP-Aは、黒のボールペンで落書き風に描かれたような外観の、人間の手から肘周辺までの輪郭と、紙の色に合わせた色の肌で構成されている、実際に触れることが可能な立体的実体です。SCP-731-JP-Aは描画された丸型の大きさに沿ったサイズで出現し、力の強さも丸の大きさに概ね比例して強くなることがこれまでの調査により判明されています。なお、SCP-731-JP-Aの二の腕より上の胴体側とみられる部位の出現や一般的な人間の腕の長さから逸脱した伸長、描画された丸型から実体が自発的に離脱したケースは現在まで報告されていません。 SCP-731-JP-Aが出現している間、SCP-731-JP-Aの発生している丸型が描画されている物体および丸型の描線はボールペン用消しゴム、薬品、刃物、火気、水分などによる消去、破壊を受け付けないことが確認されています。(実験記録1-3を参照してください) 主な実験記録は下記のとおりです。 + 実験記録731-JP-1 - 実験記録731-JP-1を閉じる 実験記録731-JP-1 日付20██/██/██ 担当者: ██博士 実験1-1 内容: SCP-731-JPを用いて、D-5454にA4用紙へ直径約2cmの丸型を描画させる。 結果: 丸型を書き進めるのと並行して「まーるかいて…」と声が聞こえるのを確認。丸型の描線が閉じられた瞬間、「ドーン!」の声と共に丸型の内部より腕の太さが約2cm程度のSCP-731-JP-Aが1体出現しました。 出現したSCP-731-JP-Aは手の届く範囲で周囲を探りはじめました。数分後、SCP-731-JP-Aは探索を終了し待機状態となりました。周囲の人の声や物音に対しては、「ボールペン」「消しゴム」「ハサミ」などの簡単な語句や物音には反応を見せましたが、研究者間の専門的な会話には特段反応を示しませんでした。また、待機中に時折手遊びのような動きをする事も確認されました。   実験1-2 内容: SCP-731-JP-Aに対し、市販品の赤ボールペンを与える。 結果: SCP-731-JP-Aにボールペンを近づけたところ、欲しそうにする仕草を見せました。ペンを持たせるとSCP-731-JP-Aは自身の出現した丸型の周囲に落書きをはじめました。当初は何度も丸型を描画していましたが、その後落書きのような図形や絵・ひらがなで「どーん!」に類似する語句を描き始めました。   実験1-3 内容: SCP-731-JP-Aに対し、D-5454に破壊や消去を試みさせる。 結果: ハサミをSCP-731-JP-Aに近づけたところ、SCP-731-JP-Aはハサミを追い払おうとする動作を見せました。SCP-731-JP-A実体の切断も試みましたが、手及び腕に損傷を与えることはできませんでした。丸型の描かれている紙の切断を試みたところ、紙そのものが異常に硬くなり、切断が不可能となりました。他の実験などの結果、紙および描画された丸型そのものは通常の紙と同様に柔軟さを維持していることが判明していますが、これらを破壊しようとする試みに対しては未知の能力で抵抗されることが確認されています。他の実験においてSCP-731-JP-Aの出現している紙を燃やそうとした場合や、水や薬品による紙および描線の溶解を試みた場合も、丸型の書かれた紙は破壊できなくなることが判明しています。 次に丸型の線を消去すべくボールペン用消しゴムを近づけると、SCP-731-JP-Aは消しゴムを遠ざけようとする行動を見せました。消しゴムによって丸型の消去を試みたところ、SCP-731-JP-Aが消しゴムを奪い取って放り投げました。 D-5454にSCP-731-JP-Aを丸型より引き抜かせてみたところ、相当の抵抗の後に腕が丸型の線との境界から千切れ、粘性を持つ黒い少量の液体に変化し、丸型の内側を避けるかたちで飛び散りました。さらにその直後、丸型の内側から「ドーン!」の声と共に新たなSCP-731-JP-Aが1体出現しました。紙から千切れたSCP-731-JP-Aが変化した液体を調査した結果、一般的な黒ボールペンのインクと同様の成分であることが確認されました。   実験1-4 内容: SCP-731-JP-Aに対し、D-5454にSCP-731-JPを用いて干渉させる。 結果: SCP-731-JP-AにSCP-731-JPを近づけたところ、SCP-731-JP-AはSCP-731-JPに対し実験1-2での反応と同じく欲しがる仕草を見せました。SCP-731-JPではなく市販品の赤ボールペンを与えるとSCP-731-JP-Aは再び落書きをはじめ、SCP-731-JPに対する興味を失いました。SCP-731-JP-AはSCP-731-JPに対し特別な認識を持っていないものと推測されます。 SCP-731-JPでSCP-731-JP-Aの実体に直接書き込む試みは成功しなかったため、実体と紙との境界である丸型の描線から書き込みをしてみたところ、端からであれば丸型の内部を塗りつぶすことが可能であると判明しました。内側部分が塗りつぶされていくのに沿ってSCP-731-JP-Aの出現口も狭くなり、実体も徐々に縮小・弱体化していくのが判明しました。なお、塗りつぶしの途中で塗りつぶし範囲に穴空きが残っている場合は、そこから実体の一部がはみ出ようとする行動をとることも確認されました。丸型の内側すべてを塗りつぶした時点で、SCP-731-JP-Aは完全に消滅しました。 その後の調査により、丸型の塗りつぶしが完了しSCP-731-JP-Aが消滅した紙については、SCP-731-JPによる描画部分も含め通常の紙と同じ性質に戻り、切断・焼却なども可能になることが確認されました。 + 実験記録731-JP-2 - 実験記録731-JP-2を閉じる 実験記録731-JP-2 日付20██/██/██ 担当者: ██博士 実験2-1 内容: A4用紙に直径8cmの丸型を描画。出現したSCP-731-JP-Aに対し、対話を試みる。 結果: これまでの実験でSCP-731-JP-Aが出現以降声を発しないことが判明していたため、SCP-731-JP-Aに黒ボールペンを持たせ簡単な質問をいくつか試みました。あらゆる質問に対し、SCP-731-JP-Aの返答は「どーん!」「どどーん!」「どどどどーん!」のような書き込みと落書き行為を続けるのみでした。 SCP-731-JP-Aの出現している紙に対し文を書くことでの筆談も、同様の結果に終わっています。   実験2-2 内容: 実験2-1のSCP-731-JP-Aに対し、子供用玩具の刀を与える。 結果: SCP-731-JP-Aに刀を持たせると、楽しそうな様子で刀を振り回しはじめました。偶然近くにいた██博士に刀がぶつかり博士が痛そうな声をあげたところ、SCP-731-JP-Aは動きを止め、数秒の沈黙の後に別方向へと向き直り動作を再開しました。 この動作は観察を終了した██博士がSCP-731-JPで丸型の内側を完全に塗りつぶすまで続き、SCP-731-JP-Aは自身が刀の保持が不可能になるほど小さくなるまで刀を握りしめていました。 + 実験記録731-JP-3 - 実験記録731-JP-3を閉じる 実験記録731-JP-3 日付20██/██/██ 担当者: ██博士 内容: 十分な広さ・高さの実験室にて、D-5454にSCP-731-JPで1m×1mの紙へ直径約90cmの丸型を描画させる。 結果: 当初の予想通り、SCP-731-JP-Aは腕の太さが約90cm、高さ約4mの巨大な実体として出現しました。これまでの実験結果と同様に、SCP-731-JPは周囲を探るような動きを見せました。大玉転がしで用いる大玉をSCP-731-JPに近づけたところ、手でつかんで転がす、軽く投げるなどの動作を見せました。投げた大玉が手の届く範囲外に転がって行った後、SCP-731-JPは手遊びを始めました。 その後、丸型の塗りつぶしによるSCP-731-JP-Aの弱体化と消滅プロセスが実行されましたが、SCP-731-JPは1本しかないこと、不定期に周囲の探り直しと手遊びをはじめるSCP-731-JP-Aによる意図せぬ妨害などにより、消滅させるまでに█時間を要しました。 付記: この実験で描画された丸型は、これまで描画された丸型よりはるかに大きいものでした。描画の際、それまでは「まーるかいて」1回でほぼ完結していた絵描き歌の声が「まーるかいて、まーるかいて、まーるかいて、まーーーーるーーーかーーいーーてーー」のように歌詞の繰り返し・引き延ばしなどを行ない、描画が完了するまで歌を続ける事が判明しました。 + 実験記録731-JP-4 - 実験記録731-JP-4を閉じる 実験記録731-JP-4 日付20██/██/██ 担当者: ██博士 内容: SCP-731-JPを用い、ピンポン玉の表面に丸型を描画する。 結果: 描画された丸型の内外両方にSCP-731-JP-Aが1体ずつ発生しました。描画された丸型の線はどちらのSCP-731-JP-A実体にも干渉されていなかったため、そこから双方の発生箇所を塗りつぶしSCP-731-JP-Aの弱体化、消滅を完了しました。なお、実験4はこれまでの実験の中で2体のSCP-731-JP-Aを同時に存在させた初のケースとなりました。観察と塗りつぶし作業がなされている間、2体のSCP-731-JP-Aはジャンケンや指相撲、あっち向いてホイなどの遊びを始め、塗りつぶし作業の進行により片方のSCP-731-JP-Aが縮小・消滅していく際には、残存している方のSCP-731-JP-Aが消えゆくSCP-731-JP-Aの手を名残惜しそうに握り、消えゆく方のSCP-731-JP-Aは消滅する間際、残されたSCP-731-JP-Aへ「さよなら」のように手を振る仕草を見せました。 付記: その後、ピンポン玉に描画する丸型の大きさを変えて同様の実験を複数回行いましたが、いずれの実験でも2体のSCP-731-JP-Aの出現が確認されました。これらの結果を受け、不測の事態を招きうるとして、SCP-731-JPを用いての屋外地面への丸型の描画は固く禁止されることとなりました。 補遺: SCP-731-JPは██県██市の██中学校で20██年██月██日深夜、職員室に1人で残っていた██教諭が定期テストの採点を行おうとした際にその異常性を変則的ながら発現させました。これによりパニックに陥った教諭が近隣の病院に搬送されたことで財団職員が異常を感知し、財団による回収がなされました。関係者へは記憶処理の実施およびカバーストーリー「疲労による一時的パニック」の流布をもって対処しました。 この件においてSCP-731-JP-Aの発生は確認されませんでした。██教諭は丸印及び数字の0などの描線を閉鎖せず筆記する癖をもっていたため、SCP-731-JP-Aの出現が起こらなかったものとみられます。 以下は、病院に搬送された直後、記憶処理がなされる前の██教諭のコメントです。 「新しく買ったばかりの赤ペンで採点をしていたんです。そしたら、丸を…丸をつけるたびに声が、声が聞こえたんです。『まー』って。 丸をつけては『まー』、丸をつけては『まー』連続して丸をつけて『ま、ま、ま、まー』…最初は空耳かと思ったんですが、次第に『まー』が悔しそうな感じになってきて、最後には丸を書き終わると『まー』の後に『またー?』って… 私は…何か悪いことをしたのでしょうか?」
scp-732-jp
評価: +41+–x 評価: +41+–x クレジット タイトル: SCP-732-JP - 重怨じゅうえん 著者: stengan774 作成年: 2023 この著者の他の作品 評価: +41+–x 評価: +41+–x SCP-732-JP実例が発する超心霊的エネルギー放射(PSE)。可視化処理済み。 アイテム番号: SCP-732-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-732-JPはサイト-81UO地下階層の防霊収容庫に収容されます。3つの収容庫はそれぞれ15m以上離れた別エリアに分けて設置し、移送の際は標準危険物取扱指示書に基づいた手順で必ず1枚ずつ運搬を行ってください。SCP-732-JP実例同士を接近させる、あるいは重ねる行為は予期しない異常な反応を発生させる場合があります。 またサイト-81UOの限られた施設面積内に多数のSCP-732-JP実例を保管する状態は、後述する超心霊放射の相乗増幅現象を発生しかねないため、最低限のサンプル3枚を残して余剰なSCP-732-JP実例は応用秘儀セクション1による秘教技術的な強制祓除処理が行われています。 説明: SCP-732-JPはNx-54("四十八町")2内にて不特定多数の流通が確認されている、異常な十円硬貨です。SCP-732-JPと日本国政府によって貨幣として発行されている通常の十円硬貨との外見上の差異は確認されず、計量・研磨などのテストの結果も標準的な範囲の数値にとどまります。 全てのSCP-732-JPは毎秒0.03ミリホフマンの超心霊的エネルギー放射(Paraspectral Energy Emissions)を発しています。精神工学サイオニクスにおいて超心霊放射は、主にヒトの集中思念から誘発される超感覚的知覚(ESP)、念動力(PK)などの超常現象を説明するものとして発見され、現代では霊的実体の作用力、特に騒霊現象(ポルターガイスト)と呼ばれる物体の遠隔操作能力の発生源としても深く関連付けられているエネルギーです。 それぞれのSCP-732-JP実例が発する超心霊放射は微弱であり、単体では目に見える作用を及ぼしません。しかしながら各SCP-732-JP実例がそれぞれの半径15m円内に複数存在する場合、各SCP-732-JPの超心霊放射作用は乗算される形で増幅されます。 この超心霊放射の相乗増幅現象によって発生する事象は「コイントスに使用された際に裏を出す確率が異常に上昇する」や「直接触れている部分の筋肉に不随意的な痙攣を引き起こす」「周囲の人物に対する不眠症の誘発」などといった軽微なものから、「斥力による反発や爆発に似た小規模な衝撃波の発生」「イヌ科の動物の鳴き声に似た幻聴の喚起」「表面温度の瞬間的な急上昇」「暗所において周囲に青白い球状発光体が確認される」といった、一般市民にとって明らかに異常な現象として認識されるものが含まれています。 SCP-732-JP実例の数に応じて超心霊放射は不安定かつ急激な増幅を見せ、特に実例同士が重ねられるように密着している状況では危険な反応を誘発します。この性質のため、SCP-732-JPの回収を行う際はそれぞれのSCP-732-JP実例を隔離し、標準危険物取扱手順に基づいて処理を行うよう定められました。 補遺: Nx-54の管理施設である財団サイト-81UOは、発見次第フロント企業の経済的活動を通してSCP-732-JPの回収及び非異常性の十円硬貨との交換を行っています。しかしSCP-732-JP実例の回収数・発見頻度はNx-54の経済規模と流動性に比して非常に高くなっており、関連事案の多発からヴェール・プロトコルに基づくアノマリー隠蔽措置の懸念材料となっていました。 以下は、サイト-81UO内で行われたSCP-732-JPに関する職員ディスカッションの記録です。 サイト-81UO — 職員間会議ログ 20██/██/██ — 10:03 am 蔵元 大斗 管理官: サイト-81UO管理官 織戸 鹿三郎 博士: 研究・開発セクション 心霊学/霊体工学主任 稲生 一成 編纂官: 文献室(神話・民俗学)管理アーキビスト エージェント(Agt.) 八谷 美緒: Nx-54担当フィールドエージェント 武内 哲檻 収容スペシャリスト(Con.s.): 応用秘儀セクション 仏教課 秘教術師 Agt.八谷: 要するに、なんでこんな田舎で異常な十円玉が大量に発見されるんだよ!ふざけんな!ってことですよね。一枚ずつ運ばなきゃならないせいで回収がめんどくさすぎるぞ!って。 蔵元管理官: 八谷君の私怨が籠ってる気がするが、まあそういうことだ。昨日は例の十円玉が中通りの鶏鳴軒のレジスターを爆発させて騒ぎになった。現場からは13枚のSCP-732-JPが発見され、店主は怪我のために1週間ほど店を休むと宣言した。この町に2軒しかない貴重なラーメン屋だったのに。 稲生編纂官: 言っちゃあ悪いですけど、あそこの店を行きつけにしてたの蔵元管理官だけですよ。どういう出汁の取り方したらあんな獣臭いのに味が薄いスープ作れるのかね。 織戸博士: 麺も間違いなく茹で過ぎでしたね。……とは言え、根本的な対策を取らなければ昨日のような事件が繰り返されるのは明白です。原因究明には喫緊性を持って臨むべきでしょう。 Con.s.武内: ウチのセクションのことも忘れないでくださいよォ。モノの厄祓いって結構大変なんです。しかも硬貨って沢山の人の手を経てきてるので、いろいろな念がこびり付いててなかなか落ちないんですよ。 蔵元管理官: ご苦労様。強制祓除処理中に何か気づいたことは無かったのか? Con.s.武内: あー、強いて言うならァ……さっきのラーメン屋の話じゃないんですが、獣臭さみたいなものは少し感じましたかねェ。濡れた野良犬っぽい、酸っぱい感じの匂いです。 稲生編纂官: 引き起こされる異常現象の1つにも「イヌ科の動物の鳴き声に似た幻聴」と書いてあったな。何か関連性が……そう言えば、この"イヌ科"って何なんだ。シンプルにイヌじゃダメだったのか? 織戸博士: イヌだけではなくキツネやタヌキに似た鳴き声を聴いたという報告例があったので、それのことでしょう。どれもイヌ科の動物です。 稲生編纂官: おい! 話が全く変わってくるじゃねえか、みんながみんな動物の分類を覚えてると思うなよ。誰だ横着して記述をまとめた奴は。 Agt.八谷: 私も少し気になったことがあったんですけど、何でSCP-732-JPって十円玉だけなんですかね? 例えば四十八よそはちの霊的なエネルギーか何かに当てられて異常なコインになったんだとしたら、十円玉じゃなくて百円とか五十円だってそうなっていいはずですよね。 織戸博士: ふむ、素材の違いが影響しているのでしょうか。同じ青銅硬貨である五円がSCP-732-JP実例として回収された事例が確認されていないことから、銅が組成の90%以上を占めないと異常性が発現しない、もしくは極度にしにくいといった法則があるのかもしれません。 蔵元管理官: 製造年にも何か関連性があるかもしれないな。この記録資料を見てほしいんだが、どうも今まで回収されたSCP-732-JP実例は殆どが平成より前の年号が刻まれたもののようなんだ。特に昭和50年代以前のものは明確に多い。 Agt.八谷: あ、ホントだ。やたらと偏ってますね。武内さんが言ってたみたいにモノに籠った念がどうのこうのって話なんですかね? 古ければ古いほど悪霊が宿りやすくなるみたいな。 稲生編纂官: ちょっと待て、それは本当か? 資料をこっちにくれ。 Con.s.武内: 何か気づかれたんですかァ? 稲生編纂官: 昭和50年……1975年。十円玉……イヌ、キツネ、タヌキ……。[ため息] ……原因がなんとなく分かった。俺の予想が合ってるなら、かなり最悪だ。 蔵元管理官: とりあえず、辿り着いた真相について聞こうか。 稲生編纂官: では、まず前提として。ある年代に集中して行われた、イヌやキツネに関わっていて十円玉を使用する何か。3つの特徴から察するに、SCP-732-JPに関わっているのは"こっくりさん"ではないかと思われる。 Agt.八谷: というと、十円玉にみんなで指を乗せて「こっくりさんこっくりさんお出でください」とやったら勝手に十円玉が動き始めるってあれですか。 稲生編纂官: そうだな。五十音や数字と「はい」と「いいえ」を書いた紙を用意しておくことで、十円玉が動いて尋ねたことの答えを教えてくれるという一種の降霊術だ。この降ろす霊というのがイヌやキツネといった動物霊で、"狐狗狸"からこっくりさんという名がついたとも言われる。 ……これが1970年代に小中学生の間で大流行した。そして何件か実際に、参加者が体調を崩す、叫んだり窓から飛び降りるなど奇行に走る、失神する……といった事故が起きてしまった。ま、タイプ・ブルーでもない素人がやってるものなので成功率も低いし、殆どが思い込みのパニックだったわけだが。それでも全国の学校図書室はこっくりさんに関するおまじないやオカルト本を撤去し、教師はこぞって校内での禁止令を出した。 蔵元管理官: ああ、あれは初動の収容対応がマズかったな。ちょうど第一次オカルトブームが来てた影響もあって監視のみに回ったのが良くなかった。あとアレあんまり役に立たないんだよ。一時期情報収集に使用できるかと思って諜報課で研究されてたことがあったが、元が動物だって触れ込み通り大したことは知らないし。 稲生編纂官: その通り、俺たちが普段扱っているものに比べれば他愛のない種類のものであるのは確かだ。しかし、間違いなくそれが低レベルの超常的儀式であるのも確かだった。 織戸博士: 待ってください。つまりSCP-732-JPの発する超心霊放射は過去に"こっくりさん"で使用されたために発生した性質だと、稲生編纂官はそう言いたいわけですか。確かに70年代当時の財団機器では0.1mHoff/s以下のPSEを検出するのは困難でしたが……。 稲生編纂官: だから最悪なんだ。本来、こっくりさんで使用した十円玉と紙は神社や寺などに賽銭として入れて浄化することになっている。だが当然、ブームの最中にはその手順を飛ばす奴らも少なからず居たはずだ。 Con.s.武内: 神社はどうか知りませんけど、寺に関しちゃ別にいちいち賽銭を厄祓いなんかしませんよォ……。そもそもお祓いなんてほとんどの僧侶にとっては本業じゃないんです。何枚も集まってやっと異常があるってわかる程度なら猶更気づくわけ無いじゃないですかァ。 Agt.八谷: ということは何ですか。全国のこっくりさんで使われた十円玉はPSEが微弱だから異常と気づかれないまま流通していて、それが巡り巡ってこの四十八町に流れてきた結果、SCP-732-JPとして私たちに発見されたってことですか。 稲生編纂官: ただ偶然ここに流れてきたならいい。だがこの回収数と発見頻度を説明するにはまだ足りない。Nx-54に確認されている主な特性はなんだった? 蔵元管理官: 心霊現象の多発、霊的実体の出現。そして原因は不明ながら、それらの霊的実体の多くはNx-54及び周辺地域以外を起源としている。……幽霊を引き寄せる土地か。 稲生編纂官: その通り、実態は恐らくこうだ。かつてこっくりさんに使用された十円玉は、なぜか数十年をかけて日本列島の端であるこの青森県四十八町に集まってきている。小さな町に多くのSCP-732-JPが集まったからPSEは相乗増幅して高まり、それまで普通の十円だったものはクソ不味いラーメン屋を突然爆発させる。 Agt.八谷: なるほど、理屈が通りますね。でも何でこの真相が最悪なんですか? 織戸博士: エージェント・八谷のような若い方は知らないかもしれませんが、当時のオカルト流行はかなり激しいものだったのですよ。当時は今に比べると娯楽が少なく、全国のあらゆる学校で放課後はこっくりさんに限らず様々な"オカルトごっこ"が毎日のように行われていました。 稲生編纂官の仮説が正しければ、その残滓が今この町にすべて集まって来ていることになります。これまで回収されたSCP-732-JPは600枚弱。70年代に実行されたこっくりさんの総数がそれだけだとは、私には思えません。 Agt.八谷: ああ、理解しました。これは最悪。 Con.s.武内: 最悪だァ……。 蔵元管理官: 結論を出そう。俺たちがやることは変わらないが、その仕事量は増えるだろうな。この町には、まだ何千何万枚ものSCP-732-JPが霊的な不発弾として届き続けるかもしれない。 脚注 1. サイト-81UOの内部セクションの1つであり、宗教・魔術などのオカルト的手法によって財団の収容補助を行う。 2. 異常活動集中領域(Nexus)-54: 日本国青森県の四十八町が指定されている、心霊学的超常現象の多発領域。領域内における霊的実体の出現数が平均を大幅に超過し、またその多くがNx-54及び周辺地域以外を起源としている。
scp-733-jp
評価: +72+–x SCP-733-JP アイテム番号: SCP-733-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-733-JPは標準的な人型オブジェクト収容室に収容されます。SCP-733-JPから500mの範囲には他の収容対象は配置されず、人員も許可が無い限りは立ち入ることが禁止されます。SCP-733-JPへの食事の提供は専用の移動機械を通じて行われます。移動機械は標準的な給食スケジュールに従います。 説明: SCP-733-JPは22歳の女性です。SCP-733-JPの下腹部には"ゲーマーズ・アゲインスト・ウィードのミズ・パリピ"というタトゥーが施されています。 SCP-733-JPは周囲の人間の活気に影響を及ぼす異常性を有しており、その異常性を制御出来ていません。SCP-733-JPの周囲の人間の活気は、オブジェクト本人のものとは常に反発します。より具体的には、SCP-733-JPがポジティブな感情を抱いたり興奮している場合、周囲の人間はそれと反発するように大人しく、冷静になります。逆に、SCP-733-JPがネガティブな感情を抱いたりリラックスしている場合、周囲の人間は興奮し始め、判断力を失います。 SCP-733-JPの影響によって興奮状態にある人間は、特定のパターンに沿った行動や、好みの変化を経験します。具体的な例として、 音楽、とりわけ明るい曲調のものへの強い関心 コミュニケーション能力の異常な向上 飲酒行為への強い関心(この効果は未成年には認められていない) リズムに乗った動き、またはダンス的行為 等が挙げられます。 SCP-733-JPの持つ異常性の範囲は可変的だと結論付けられています。その範囲はSCP-733-JPの感情の強大さに比例し拡大/縮小します。例として、SCP-733-JPが興奮/沈静状態のどちらでもない時には50m、睡眠などの極端なリラックス状態にある時は300m程度まで拡大されます。同じ範囲内でありながらも、SCP-733-JPの異常性が積極的に作用する範囲と、そうでない範囲が存在します - よりSCP-733-JPに近い場所では、影響者の興奮度合は正確にSCP-733-JPから反転します。逆にSCP-733-JPから遠い場所では、異常性はあくまで影響者の感情に弱く訴えかけるだけに留まります。 + インタビュー記録733-01 - インタビュー記録733-01 対象: SCP-733-JP インタビュアー: ██研究員 付記: このインタビューはSCP-733-JPの発見・回収直後に行われました。SCP-733-JPは21:33 - 東京都中央区銀座の██████にて回収されています。 <録音開始, 20██/██/█**> ██研究員: それではインタビューを始めます。 SCP-733-JP: ええ。 ██研究員: まずは、貴方の覚えている限りの記憶を教えて頂きたいです。 SCP-733-JP: えーと、トイレで寝てた。 ██研究員: それ以前は思い出せませんか? SCP-733-JP: 無理かも。というか、それ以前は多分無いんだと思う。そりゃまぁ大抵の人には生い立ちってものがあるし、それが多数派だとは思ってる。でも私は少数派だし、生い立ちが欲しいとも思ってない。自分が22歳ってことは分かってる。これっておかしい? ██研究員: ひとまずは大丈夫です。あなたはトイレで目を覚ましたと? SCP-733-JP: そう、あまりにもうるさくて目が覚めたの。トイレの外で大勢騒いでた。誰かが汚い声でなんか有名な曲を歌ってたし、何よりゲラゲラ笑ってるのが聞こえた。目覚めも悪かったもんだから私は文句を言いに行くつもりだった。 ██研究員: それでどうなりました? SCP-733-JP: トイレから出ると宴会の会場みたいな場所だった。で、皆さっきまでの騒ぎ方が嘘みたいに静まり返ってた。テーブルに座って、無言で唐揚げやらポテトやらをつまんでた。あまりにも不気味で文句言う気も失せちゃって、その会場から外へ飛び出した。多分パニくってた。 SCP-733-JP: 外も同じような感じだった。どっかの繁華街みたいな感じだった。でも陽気な人間は誰一人居なかった。皆スマートフォンすら見ずに、それぞれの目的地に歩いて行ってた。私、慌ててたからあんまり覚えてないかも知れない。でも間違ったことは言ってないはず。 ██研究員: あなたはその時点では、自分の異常性には気付いていなかった、そういう訳ですか? SCP-733-JP: 時間の問題だったけどね。どこまで歩いてもそんな状況が続いてて、客引きの人すら肩から店の宣伝イラスト掛けて突っ立ってるだけ。んで、私はどこかの塀にもたれて、これからどうしようかじっくり考えることにした。星空を見てると段々落ち着いてくるのが分かった。[ため息]この意味分かる? ██研究員: 理解しかねます、何でしょうか? SCP-733-JP: 私が考えに没頭すると、皆が騒ぎ始めたの。街が色付くっていうオシャレな感じじゃなかった。もっとこう、ノリノリな感じで。それで薄々気付いた。もう知れてると思うけど、私と皆の気分って常に違うのよ。 ██研究員: それは非常に有益な情報です。 SCP-733-JP: そう? じゃあもっと言うけど、この魔法って私にとっては難題そのものだった。 ██研究員: 難題ですか? SCP-733-JP: 私は別に誰かと仲良くするつもりもないし家族もいないけど、これじゃあ他の人と関わっていくのに課題が多すぎる。 ██研究員: なるほどね。 SCP-733-JP: 他のがどうかは分からないけど、私には笑いを提供するって目的があるのよ。[溜息]なのにこれはあんまりだと思わない? ██研究員: 異常性で笑わせるのはナシって意味で? [██研究員の口調の変化並びに、足で単純なリズムを刻む等の行動が確認されたため、インタビューは中断された] <録音終了, 20██/██/█**> インタビュー終了後、SCP-733-JPは以下のメモを提出しました。 ホーリー・ヘック!あなたはいつもミズ・パリピを見つけました!あなたが頭の上から感情を意識しているなら、盛り上がっていない理由はありません!ワンタインメターエイト博士は誰ですか? それらをすべて見つけて、ミスター・ゲーマーになろう! 21. ミスター・ネグレクト 22. ミスター・キリ番 23. ミスター・中国からやってくる 24. ミスター・小悪魔系女子 25. ミスター・納税 26. ミスター・生い茂る草 27. ミスター・非検閲 28. ミスター・いじめ(生産中止) 29. ミスター・ああああ 30. ミスター・偽装結婚 31. ミズ・パリピ ✔ 32. ミスター・リスペクトありすぎとミスター・リスペクトなさすぎ 33. ミスター・犀賀六巳 34. ミスター・証明 35. ミスター・わすれっぽい(GAWリミックス) + 実験記録群733 - 実験記録群733 実験記録73301 - 日付20██/██/█ 対象: SCP-733-JP , D-6945 実施方法: 8m*8mの部屋にSCP-733-JPを配置し、同じ大きさの隣室にD-6945を配置する。また、SCP-733-JPの精神面の状態は実験記録に明記される。この実施方法はすべての実験に共通し、以後は記述を省略される。 SCP-733-JPの状態: 平常。 結果: D-6945は目立った特徴を示さなかったが、如何なる刺激に対しても目立った反応を示さなかった。 分析: 恐らくは、SCP-733-JPの近くにいる人間の感情は恒常的に影響され続けることを示している。 - ██博士 実験記録73302 - 日付20██/██/█ 対象: SCP-733-JP , D-6945 SCP-733-JPの状態: トレーニング器具を用いての運動を指示されている。 結果: D-6945は質問に対して冷静な受け答えを示した。 分析: 予想と概ね同等の結果を示した。 - ██博士 実験記録73303 - 日付20██/██/█ 対象: SCP-733-JP , D-6945 SCP-733-JPの状態: アルコール類を提供され、興奮状態にある。 結果: D-6945は質問に対して実験733-02を上回る合理的な回答、冷静な反応を示した。 分析: SCP-733-JPの正の感情は、D-6945の負の感情をもたらしていない。これはSCP-733-JPが"逆の感情"ではなく逆の"興奮度合"を与えていると考えられる。 - ██博士 実験記録73304 - 日付20██/██/█ 対象: SCP-733-JP , D-6945 SCP-733-JPの状態: 睡眠中。 結果: D-6945は指示に従わず、曲の熱唱やダンスの披露を行った。実験途中から、D-6945は自身が疲労していることを理由に床に寝転がって曲を口ずさんだ。SCP-733-JPの影響範囲が300mまで広がったために、SCP-733-JPの起床まで実験は延期された。 分析: 睡眠が最大のリラックスである、という予想に基づいた効果と、異常範囲の増加を見せた。また、影響下にある人物も自身の疲労状態などは自覚できるようである。 実験記録73305 - 日付20██/██/█ 対象: SCP-733-JP , D-6945からD-6955までの10名 SCP-733-JPの状態: 睡眠中 結果: Dクラス職員達はダンス、腕相撲、組体操などの運動から、徐々に古今東西、しりとりなどの運動を必要としないゲームにシフトした。10名のDクラス職員の中には言語圏の違う人物も存在したが、コミュニケーションに障害が発生している様子は見られなかった。ただし、古今東西やしりとりの最中では少数派言語の職員は自主的にゲームへの参加を辞退した。 分析: 言語のやり取りはほとんど無く、主にジェスチャーと軽いア行の発音のみでコミュニケーションが成立していた。実験後のインタビューでも、Dクラス職員達はこの実験に好感を示していた。これは残存性というよりも、ただ単に記憶への感想と言えるだろう。 - ██博士 + インタビュー記録733-02 - インタビュー記録733-02 複数の実験の後、SCP-733-JPは実験に非協力的な態度を示しました。また、SCP-733-JPの異常範囲は1週間の間で平均370mを記録し、その効果は影響者の感情を好転させるものでした。睡眠中のSCP-733-JPの異常範囲が約300mであることから、SCP-733-JPに憂慮すべき精神悪化が起こっていると見做され、インタビューが行われました。 対象: SCP-733-JP インタビュアー: ██研究員 付記: 第1回目のインタビューを踏まえて、両者はビデオ通話システムを通して会話する。 <録音開始, 20██/██/█**> ██研究員: 気分はどうでしょうか、SCP-733-JP? SCP-733-JP: 私はミズ…いや、SCP-733-JPで大丈夫。気分はあんまり良くない。 ██研究員: 心当たりはありますか? SCP-733-JP: どうだろう。[沈黙]ずっと閉じ込められてたら誰でもこうなるものじゃない? 実験の時も空っぽの部屋に閉じ込められてるのは変わらないし。 ██研究員: すみませんがしかし、これも研究のためです。しかし、私たちはあなたの異常性を理由にメンタルケアを怠っていたと認めざるを得ないでしょう。まだ確定していませんが、コミックや雑誌の提供が予定されていますよ。 SCP-733-JP: いや、いや、いいの。多分今のは八つ当たりだった。もっと根本的なことだと思う。コミックとかはありがたいけどね。 ██研究員: 根本的なこととは? SCP-733-JP: 私の含めて他の、つまりシリーズ1ね、シリーズは愉快じゃなきゃいけないの。例え何が言いたいか分からないように見えるものでも、特定の人からは笑えるものじゃなくっちゃいけないの。 ██研究員: [沈黙。恐らくは前回のインタビューでの発言を反省しての自粛だと思われる。] SCP-733-JP: でも、私がどこからどう見て面白く見えるだろうって疑問が常にあるのよ。私は皆を笑わせる魔法を持ってるけど、でもアレは笑わされてるだけだって思うの。 ██研究員: 悪いことばかりではないと思います。あなたに影響された人間は概ねプラスの感情を得ていますよ。何人かは再度の実験を希望していますし、その後の態度にも少しばかりの改善が見られています。 SCP-733-JP: [沈黙]本当にそう? ██研究員: 間違いありません。あなたが自身を見つめなおすのに十分なデータが提供出来ると思います。 SCP-733-JP: [長い沈黙]じゃあ、努力はしてみる。 <録音終了, 20██/██/█**> コミックや雑誌に加えて、SCP-733-JPに実験記録73305の映像の抜粋を提供しました。SCP-733-JPには現在、精神的な好転が見られ始めています。私はこの処置に効果があると推察し、収容プロトコルに同じような処置を追加することを要請します。 - ██研究員 前向きに検討します。まずは短期間のテストから実施するのが良いでしょう。 - ██博士 Footnotes 1. 追加のインタビューが予定されています。
scp-734-jp
評価: +31+–x アイテム番号: SCP-734-JP オブジェクトクラス: Keter 特別収容プロトコル: SCP-734-JPは現在、臨時サイト-8175に収容されています。臨時サイト-8175には常に数名の警備員が配備されます。オブジェクトに対する食事や物品の支給はSCP-734-JPが偶然その物品が落ちていたと認識できるような場所に設置することで行なってください。実験は最寄りのレベル3以上の職員に申請してください。またSCP-734-JPに臨時サイト-8175が「自身の為の施設である」と認識させることはいかなることがあっても避けてください。 説明: SCP-734-JPは報告書の執筆時点で5歳ほどの日本人男性です。オブジェクトは日本語を理解することが可能ですが、発話、及び読み書きをすることは出来ません。 SCP-734-JPの特異性は他者から物質を譲渡された際に発生します。譲渡された物は未知のプロセスによって即座に消失します。この"譲渡"の定義は完全には判明していませんが、その物質の所有権1がSCP-734-JPに移ることであると考えられています。この効果はオブジェクトの認識の範囲内でのみ発生します。実体に譲渡される前の物質にGPSを装着させ、消失した物体の転移先の調査を試みましたが、GPS信号は検出されませんでした。 SCP-734-JPは収容以前、長野県██市において自身の特異性を用いてストリートパフォーマンスを行なっており、路上生活者である██氏と██公園で生活をしていました。 補遺1: 当初、SCP-734-JPはサイト-81██に収容が行われましたが、収容室にオブジェクトを入室した瞬間にサイト-81██全体が消失しました。これはSCP-734-JPがサイト-81██を「自身に与えられた施設」と考えたためだと考えられています。この事案によってサイト-81██に収容されていた[編集済み]体のオブジェクトの収容違反が発生しました。その後、財団は複数の収容作戦を行いましたが、その殆どが設備や人員の消失により失敗し、SCP-734-JPは長期に渡り未収容の状態が続きました。しかし、201█年にオブジェクトが偶然、██ビル1に侵入した際に、██ビルの封鎖を行うことでオブジェクトの収容が成功しました。現在の収容プロトコルはその際に作成されました。 補遺2: 以下は██氏に対して行われたインタビューの抜粋です。 インタビュアー: 田村博士 <記録開始> インタビュアー: おはようございます。保護の際に言った通り、色々と質問しておくべきことがあります。慣れない環境であるかもしれませんが、落ち着いていただけると幸いです。 ██氏: ああ、わかったよ。いや、本当に有難いことだと思ってるよ。 重要度が低いため省略 インタビュアー: 次の質問です。SCP-734-JPと共に生活を行なっていたのはなぜですか? ██氏: どこから話そうかな。あの子が俺の子供じゃないことはわかるか?ああ、まあわかるわな。その、俺らは別のところ、あの公園じゃないところで生活してたんだ。確か██駅の近くの河川敷2だったと思う。そこは身寄りが無くて、頭も体も変なやつらが多かった。あ、体が変っていうのはその腕が無いとかそんなじゃなくて、何ていうか力を持っている感じのやつ。 インタビュアー: 特異能力を持った人間ということですか? ██氏: ああ。その言葉は合う。そう、神から頂いたお力だ。それで、あそこで子供を作ろうとしたやつがいたんだ。てか作った。馬鹿どもだった、あの二人は。母ちゃんの方は産むときに死んだ。そういうことするための場所じゃないから当然だ。俺たちには血の止め方はわからなかった。父ちゃんはそのショックでどっかに逃げた。たぶんのたれ死んでるだろうよ。そして、生まれたのがあの子だ。 インタビュアー: SCP-734-JPですね。 ██氏: あんたら流に言えばそうなるな。まあ今まで名前も持ってなかった子だからそれでいいかもしれんわ。両親は馬鹿だったが、あの子は賢かった。それに力があった。喋るのはちょっと苦手だが、なんていうか自分の力の使い所がわかってるんだよな。まあ実際、あの子を扱うのはかなり大変だったな。マジックをやろうって考えたのもあの子だった。それで俺たちは駅の周りで手品をやってた。物が消えるんだ。カメラで撮ってもタネがバレることは絶対にない。ていうか当の本人がタネをわかってねえんだからな。 インタビュアー: なるほど。しかし、あなたたちは後に██市の方に居住地を変えていますね。一体、何が起きたのでしょう。 ██氏: まあ、大したことじゃないよ。クソ、思い出したくねえんだ。ちょっと大変だったよ。いや、だいぶだ。すまないが、これくらいにしてくれ。俺はこういうことを喋るのが苦手なんだ。 インタビュアー: わかりました。ゆっくり話してもらえれば結構です。それでは今日はこのくらいにしましょう。 <記録終了> 終了報告: インタビュー後、SCP-734-JPの異常性の起源解明のために、両親の調査が開始されました。 補遺3: ██氏のインタビューを受けて、██駅の近辺でSCP-734-JPのストーリーパフォーマンスに関しての聞き込み調査を行いました。以下は、目撃者である█氏へのインタビュー記録の抜粋です。 インタビュアー: エージェント・蒲田 <記録開始> 重要度が低いので省略 インタビュアー: そうですね。次に質問したいのは██駅で行われてた路上パフォーマンスについてなんですが。 █氏: ああ、あれね。あのマジックはとても凄かったわね。どうやってもタネがわからないのよ。私の知り合いの人にプロのマジシャンがいるからその人にも見てもらったけど、それでもわからなかったの。あの子は本物だったんでしょうね。 インタビュアー: なるほど。 █氏: あ、でもね、あの子本当に不憫なのよ。実はホームレスの子みたいでそういう集落に住んでたみたいなんだけど、どの小屋にも入れてもらえてなかったのよ。可哀そうじゃない?おまけにご飯も自分一人で探してたの。お家に関しては、しばらくして見に行ったらちゃんと住ませてもらってたからいいけども。 インタビュアー: その小屋の住人はこの人物でしたか? ██氏の画像を見せる █氏: ええと、そうね。そんな感じだったと思うわ。そうそう、それで一緒にマジックを見に行ってた友達とも相談して、あの子にご飯を持っていくことにしたのよ。育ち盛りだからいっぱいね。それで渡しに行ったんだけど、あの子、全部消しちゃったのよ。まあ小さい子だからマジックをやらなきゃって思ったのかもしれないわね。でも、その後に不快なことがあったのよ。 インタビュアー: 詳しく教えていただけますか? █氏: 他のホームレスの人たち、おじさんのね、そのホームレスたちが私たちの持ってきたものに集ってきたのよ。"この子に渡すと全部消しちゃうからとりあえず俺たちに渡してくれ"って言ってたけど、正直、こういうの醜いわよねえ。子供をだしにして嫌な大人よ。あの子をちゃんと保護してもらおうか相談してたけど、結局、いつの間にかいなくなってたわねえ。 インタビュアー: なるほど。参考になるお話でした。 █氏: あの子、事件に巻き込まれたの? インタビュアー: それについてはお話しすることはできません。今日はご協力いただき、ありがとうございました。 <記録終了> 補遺4: SCP-734-JPの成長に伴い、対象が自身が収容されていることを認識した場合、現在の収容プロトコルでのSCP-734-JPの完全な収容は不可能になると見られています。これに対して、収容以前からSCP-734-JPの保護・監督を行なっていた██氏をレベル1職員として財団に雇用しSCP-734-JPと共に生活させることが提案されました。この提案は承認され、SCP-734-JPに伝えられましたが、SCP-734-JPはこの提案を拒否しました。 脚注 1. 口約束も含まれます。 2. ██氏の発言から推測された場所には、段ボールやブルーシートを用いて作られた簡易的なテントや小屋などが発見されました。現場は無人でしたが、人が居住していた形跡が発見されました。現場で発見された証拠はGoI-3892"葦の輪"との関連性を示しています。
scp-735-jp
評価: +58+–x アイテム番号: SCP-735-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-735-JPの存在するマンションは財団フロント企業の不動産会社によって買収され、いかなる人物のSCP-735-JP周辺への立ち入りも即座に補足、追跡されます。不測の事態により、SCP-735-JP-1となった人間に対しては事情を説明し、可能ならば財団職員として雇用して下さい。現在、SCP-735-JP-1となった人間は実験に使用されたDクラス職員(既に契約終了済み)を除けば、後述のエージェント・スカパンブーのみであるため、彼の死後はいかなる人物もSCP-735-JPに立ち入らせる必要はありません。 説明: SCP-735-JPは、愛知県████に存在する、異常な現象の発生するマンションの一室です。SCP-735-JPには建設以来、いかなる人物も居住した記録はありません。SCP-735-JPの所在地に対して手紙を送る・訪問するといった、直接的に関与する試みを行った個人は、数日〜数週間の不定の期間後にSCP-735-JP内部に転送されます(以下、転送された人物をSCP-735-JP-1と呼称)。SCP-735-JP-1となった人物に対しての、SCP-735-JPに関連する記憶を処理する試みは失敗しました。 SCP-735-JP内部に転送された時点で、その人物がスマートフォンを所持し、また████・████・████などのメッセージ・トークアプリをインストールしていた場合はそのアカウント宛に、それらをインストールしていないスマートフォン・携帯電話を所有していた場合はその機種へのメールで、後述する文面が送信されてきます。携帯電話を所持していない場合、便箋に手書きされた後述の文書が部屋の中央に出現します。この文面はいずれの人物がSCP-735-JPに立ち入った場合でも、変わらず送られてきます。SCP-735-JP-Aの側からSCP-735-JPに対して意見を送ったり、コンタクトを取る試みは全て失敗しています。 SCP-735-JP内部に出現する文書/送信されてくるメールの文面…1回目: 正孝へ お仕事に行ってくるので、その間おるすばんをお願いします。電話がかかってきたり、荷物の受け取りがあるかもしれないのでリビングにいてください。毎日、休みだからってダラダラと昼前まで寝ていない。朝は早く起きて手伝いをするとか、家事をするとか、体を動かしなさい。そんなんだからまた太るんだよ。 SCP-735-JPのリビングルームには卓上電話が繋がれています。SCP-735-JP-1が内部に存在する間、卓上電話は不定期なタイミングで着信を受けますが、その電話の内容は「東原 りょう」という人物への言付けであるか、もしくは単純な間違い電話、セールスです。SCP-735-JP-1はその電話に出なければならないという強制はされず、任意で電話を取ることができます。 SCP-735-JPのインターフォンは、SCP-735-JP-1がいる間、不定期のタイミングで鳴らされます。その内容は「東原 りょう」という名字の人物への荷物の受け取り、書き留め等の郵便文書です。SCP-735-JP-1はそのインターフォンに出なければならないという強制はされず、任意で来客に応じることができます。 SCP-735-JP-1がSCP-735-JP内部に滞在している間、電話/来客は不定期なタイミングで鳴り/訪れ続けます。深夜においても同様であり、現在までSCP-735-JPに「おるすばん」を依頼した存在が帰宅した例は報告されていません。 SCP-735-JPには鍵がかけられておらず、SCP-735-JP-1は任意のタイミングで脱出、帰宅することができます。SCP-735-JP-1が帰宅した場合、3時間〜29時間後、SCP-735-JP-1宛に、前述のメッセージ/文書の形で、さらなる文書が届けられます。それに伴い、SCP-735-JP-1はそれ以降、数週間の不定期な間隔でSCP-735-JP内部に再転送されますが、この場合もSCP-735-JP-1は任意のタイミングで脱出し、帰宅することが可能です。現在まで、エージェント・スカパンブーによって、51回までのSCP-735-JPからの脱出が試みられています(2015/3現在)。 SCP-735-JPを脱出するごとに、SCP-735-JP-1には再び前述のメッセージ/文書が送られてきます。携帯電話の機種や、メールアドレス、アカウントを変える、着信拒否などによるSCP-735-JPからの連絡を拒否する試みはすべて失敗するか、未知の手段で着信拒否が解除されるという結果に終わっています。2回目の再転送以降、SCP-735-JP-1に送られてくる文面の内容は、いずれもSCP-735-JPの脱出を窘め、叱咤するものです。回数を繰り返すごとにこの文面は怒りを募らせるものに変わっています。 そんなこと言ったって、こちらにも事情がある__エージェント・スカパンブー 補遺: エージェント・スカパンブーの元に送信されてきた文書 2度目の脱出: 正孝へ おかあさんが帰ってきたら、またあなたは勝手に外へ出てってましたね。正孝がいない間に三好さんがお見えになったそうです。誰もいなかったので帰ってしまったと、先ほど職場の方に連絡がありました。あなたも遊びたい盛りだろうけれど、おるすばんはしっかりお願いします。 5回目の脱出: またおるすばんを途中で投げ出してしまったんですね。毎日お願いしているわけではなくて、数週間に一回、お届けものや書き留めがあるのに、どうしてもお仕事に出なければいけない時にお願いしているだけなのです。正孝も事情を分かってくれると、おかあさんは嬉しい。 10回目の脱出: おかあさんは、あなたに部活が無かったり、学校が休みな日にだけ、おるすばんをお願いしているつもりです。どうしても外にでていかなければならない用事があるなら、教えてください。おかあさんが仕事を休んで、正孝の代わりにおうちにいられるようにするから。 14回目の脱出: お父さんもいなくなってしまって、毎日おかあさんががんばってお仕事をしていることを分かってください。本当は毎日おうちにいてあげたいけれど、それが出来ないのを分かってください。正孝は本当は優しい子だから、きっと分かってくれると、お母さんは信じています。 23回目の脱出: おるすばん!既読がついたから、あなたが読んでいなかったことはないと分かっていますよ。この間あれだけ言ったから、きっと分かってくれたと思っていたのに、買い物をして帰ったら驚きました。あれだけ言ったのに!!何回同じことをやったら気が済む!!家にいてとお願いした時は、絶対に家にいて!! 30回目の脱出: おかあさんはお仕事をやめることはできません。正孝の学費のこともあるし、生活して行くのにお金は必要です。それは分かっていますか?おかあさんは、子供にとって友達との付き合いや、遊びが大事だということは分かっているつもりです。正孝にお小遣いをあげなかったり、ゲームを取り上げることはやりたくはありません。言うことを、聞いてね。 39回目の脱出: おるすばんは?大切な連絡や、お届けものがある日は、誰かが家にいてくれないとダメなの!!分かった!次は絶対に家にいなさい!!!何度言ってもおるすばんが出来ないお前は本当のバカだ!!! 43回目の脱出: どうして分かってくれないの!!何回言っても同じミスを繰り返すんですね。おかあさんは一体どうしたらいいんですか???正孝のことが、よくわかりません。おかあさんはどうしたらいいんですか?仕事中も、どうしたら正孝が言うことを聞いてくれるのか、そればかり考えていて頭がおかしくなりそうです。どうしたら正孝がきちんとおるすばんをできるようになるのか、自分で考えて教えてください。お願い 51回目の脱出: 友達に勧められて最近みてもらっている、自律神経の調整に詳しい先生に、正孝も一度お話を聞きに行ってみませんか?部活もうまく行くようになるかもしれないし、何度行ってもおかあさんの言いつけを守れないのとかも含めて、一度お話を聞いてみてもいいと思います。空いている日があったら教えてください。お願い 2014/07/██追記: エージェント・スカパンブーによる38回目の脱出時、エージェント・スカパンブーの携帯電話に新たな文書が届きました。内容は「先生」と名乗る人物からの、エージェント・スカパンブーの放蕩、非行を叱責する内容です。 きみが学校に来なくなり、夜の街で悪い噂を聞くようになってからもう一月になります。はじめてクラスを受け持って、きみが最初の定期テストで学年で6番を取ったときのことを覚えていますか?先生は自分のことのように嬉しかった。すこし怒りっぽいところはあるけれど、きみが本気になったらとてつもない集中力を発揮する、賢い子であることはわかっているつもりです。何か不安なことがあるなら、なんでも相談に乗ります。是非もう一度、学校に来て見てください。 以降、エージェント・スカパンブーの携帯電話には、「親戚の叔父」「友人一同」「エージェント・スカパンブーを補導した、夜回りの巡査」「2年前に別れた彼女」「夜の街で一晩の付き合いを持った、水商売の女性」などから断続的にメール・書簡が送られて来ています。内容はいずれも、エージェント・スカパンブーを優しい言葉で宥め、また放蕩な生活ぶりから脱却し真人間となることを諭すものです。201█/██/██現在、エージェント・スカパンブーの元には上記のメッセージが一日に3〜5通の割合で送りつけられ続けています。
scp-736-jp
評価: +89+–x SCP-736-JP。エージェント ジョン・ファウラー撮影。 アイテム番号: SCP-736-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-736-JPの封じ込めは、確立された活性化現象からの逸脱の監視に重点を置いています。サイト-███拡張観測拠点736-JPに駐留している機動部隊イプシロン-55(“ピルトダウナー”)が考古学調査チームを装って現地で待機状態を保ち、影響領域に接近した人物を退去させます。接近者がSCP-736-JPの異常性質に関する知識を有している場合は、拘留・尋問の後にクラスB記憶処理を施し、カバーストーリー“熱中症”または“貧血”を適用して解放します。 2009/05/01現在、SCP-736-JP-A実体を物理的状態に留め置くことを意図した更なる試みは許可されていません。詳細は事案736-JP-αを参照してください。 説明: SCP-736-JPはアメリカ合衆国ニューメキシコ州サンファン郡、アー・シー・スリー・パー荒野研究エリアの一角に存在する計15本の砂岩の柱と、それを取り巻く半径およそ30mの大雑把な円形領域です。 SCP-736-JPの異常性は大きく2つの状態に分かれます。 不活性状態: 平時のSCP-736-JP領域では、以下に挙げるような異常現象が確認されています。 15本の岩柱は、共通して以下の特性を帯びています。 外見上は砂岩にも拘らず、如何なる状況でも表面温度1℃を維持しています。 極端な耐久性があり、結果的にサンプル採取が成功していません。 上部の円盤状の層は、柱の本体と完全に分離しているにも拘らず、人為的な除去の試みに対して完全な不動性を示します。 SCP-736-JPの岩柱の周囲では、柑橘系の果物に似た香りが知覚されます。これは化学的検出が不可能です。 岩柱に近接した人物はしばしば“重苦しい呼吸音のような”幻聴を報告します。こちらも録音装置には記録されません。 夜間の影響領域内部は、外部の天候に関係なく、雲一つない星空です。観測される星の数や位置は現代のそれに対応しておらず、財団の天文学部門からは白亜紀後期の配置に相当するものと仮定されています。 活性化状態: SCP-736-JPは毎年一度、7月29日に、極めて能動的な異常性を発現します。この事象は影響領域外部への拡散が記録されているにも拘らず、依然として平時の効果範囲内からのみ観察可能です。活性化事象は、SCP-736-JP-Aと指定される霊的実体の顕現を伴います。 SCP-736-JP-Aは一般にペンタケラトプス(Pentaceratops sternbergii)として知られる角竜類の成獣の骨格20体の総称です。現在までSCP-736-JP-A実体は胴体の前半分のみが観察されていますが、平均して体長およそ7mと考えられます。現在まで発掘されている異常性の無いペンタケラトプスの骨格と比較すると、SCP-736-JP-A実体は頬状突起1がより目立って張り出しています。SCP-736-JP-A実体は通常の状況下では周辺環境との物理的相互作用が不可能であり、財団職員らの存在を認識している様子もありません。 SCP-736-JP活性化事象は常に以下の流れで進行します。後述の事案736-JP-αを除き、現在まで逸脱は記録されていません。 時刻 活性化事象の展開 23:00 SCP-736-JPの岩柱が明るい青色光を放ち始め、30分かけて1,700cd/m2まで光度を上昇させます。また、岩柱の表面からは薄緑色の煙が立ち上り、周囲に漂います。煙の周囲では明確に息苦しげな呼吸、または嗚咽の声を聞き取ることが出来ます。 23:30 岩柱上部の“円盤”が2,000cd/m2まで光を強め、一斉に空中に浮かび上がります2。その後、円盤は時計回りに円を描きながらゆっくりと柱の上を飛行します。薄緑色の煙は柱の周囲を急速に旋回し始め、活性化事象が終了するまでその流れを継続します。 23:35 SCP-736-JP-A実体群が、SCP-736-JP空間を丸く取り囲み、胴体の前半分のみを露出させる形で地中から“浮上”します。全ての-A実体は異常効果範囲の境界線外に姿を現していますが、前述の通り、内部から観察しなければ視認できません。 23:40 円盤群は周回を止め、一定の複雑なパターンに則ってお互いに交差運動を始めます。SCP-736-JP-A実体群はオーボエのそれに似た低音を未知の音源から発しながら、前足を交互に地面に打ち下ろし、身体を左右に揺する動作を行います。 23:55 岩柱の中心部上空に青色の濃い煙が発生し、円盤は再び時計回りの周回を開始します。SCP-736-JP-A実体群は五本角を淡い青色に発光させ、出現した煙を見上げながら、明確に音楽的なトーンで“歌い”始めます。 00:10 円盤群が周回軌道を拡大するのに合わせて、青い煙は渦巻銀河のそれに似た形状を取り、徐々に規模を増して影響領域の上空に広がっていきます。この事象の直接的視認は、持続的に煙の拡散を見続けたいという軽度の衝動を引き起こしますが、これが観察者に長期的な悪影響・精神改変を齎すことはないと断定されています。 01:00 煙の渦が直径███mまで拡大した段階で活性化事象は突然終了し、SCP-736-JPは平常時の状態に戻ります。現在まで、どの段階で青色/薄緑色の煙とSCP-736-JP-A実体群が消失し、円盤が岩柱の上部に帰還したかを観測する試みは成功していません。 補遺: SCP-736-JPは、財団の前身組織である全米確保収容イニシアチブ(ASCI)によって1899年に発見されました。ASCIは当初、不明な先住民の一団が夜ごと何らかの儀式を行っているという複数の目撃証言を受けて調査を行っていました。以下はASCIエージェントのアーノルド・バンクスによる1899/06/09付の報告書からの抜粋です。 …またしても、ターゲットは我々の監視網に引っ掛かることなく例の場所に集まっていました。15、6人といったところです。単なるカイオワ族の不穏分子であろうという先日の見解を改めなければなりません。儀式は明らかに、一帯の先住民たちと完全に異なる言語を用いて行われています。昨夜は風向きも味方して逐一内容を聞き取れましたが、全体的に蛇が舌を這わせるような発音ばかりで、ルパートはおろかエルク3さえも内容を全く理解できませんでした。とりわけ“ぷなく(pnaq)”、“すろん(slon)”、“とれぇる(tlerr)”、“ふぃふす(fifs)”といった単語を頻繁に用いていましたが重要性は不明です ― 同封の転写4を本部の分析に回してください。一人が何事か言うと即座に他の者が返し、続けて皆が唱和する、という流れは一貫していたので、おそらく精神的問答の類なのでしょう。 我々の監視の中で、先住民たちはあからさまに異常な一面を見せつけました ― 焚火が薄緑色に変わったかと思うと火球になって空に浮かび上がり、彼らはそれを車座に囲んだ状態で旋回し始めたのです。やがて彼らの姿はぼやけた光の帯になり、そして…消失しました。全く唐突に、何もなかったかのように姿をくらましていて、焚火の燃えカスさえ残っていませんでした。 とにかく、この一件が単なる秘密裏のサン・ダンス5と一線を画していることは疑う余地がありません。調査班の即時増員を求めます。 翌日、ASCIは暫定的に岩柱を1899-004のナンバリングで確保しました。この段階におけるASCIの調査文書が領域内の香気と幻聴について触れていない点は特筆に値します。以降の1ヶ月間にわたり、問題の先住民らは4回、夜間に確保部隊を遠巻きに観察する様子が確認されています。ASCIエージェントによる捕縛の試みは全て、直前まで明確に見えていたはずの捕獲対象が到着時には何処にもいないという結果に終わりました。 1899/07/30、近隣の町から派遣されたASCIの交代要員は、岩柱の異常効果範囲に隣接する駐留部隊のキャンプが倒壊しているのを発見しました。この段階に至って初めて、SCP-736-JPでは香気と幻聴が記録されています。当時、現地には20名のASCI職員が駐留していましたが、そのうち9名のみが遺体となって見つかりました。遺体は鈍的外傷による損壊が激しく、正確な死因は判明していません。 行方不明のASCI職員11名分、および先住民14名分の衣服や護身具が、事案後に回収されています。全ての衣服には、着用者の素肌が触れていたであろう部位に焦げ跡が残っていました。 ASCIは人員を大幅に増加して監視を続行しましたが、これ以降、儀式を行っていた先住民らが姿を現すことはありませんでした。翌年の07/29に活性化事象が初めて記録されたものの、SCP-736-JP-A実体群が当該事案を仄めかすような行動を取ることは無く、当時何が起こったかは現在も定かでありません。 事案736-JP-αを参照してください。 + 事案736-JP-α - 事案736-JP-α 事案736-JP-α: ASCIから財団への移譲以降、非物質変位無効装置(nPDN)などの開発に伴い、SCP-736-JP-A実体を分析のために実体化させる試みが█回行われました(文書736-JP-██参照)。これらはSCP-736-JP活性化事象の映像媒体での記録を可能とするなど、各々一定の成果を上げましたが、実体群への直接干渉を実現するには至っていませんでした。これを受けて2008年7月、収容監督主任のエントウィッスル博士は、同年3月に試験運用を開始したスラント霊素固着波生成器6の実地試験を兼ねた物理的固定化を申請し、承認されました。 2008/07/29に行われた同実験は、霊素固着波によって活動性を大幅に制限され、かつ非実体化を抑制され続けたSCP-736-JP-A実体群が岩柱の異常性質に干渉を起こし、現場に立ち会っていた財団職員3名が死亡、5名が重傷を負い、2名が行方不明という事態を引き起こしました。この事案を受け、スラント霊素固着波生成器の運用は一時的に停止されています。以下は、事案発生当時の状況を最も鮮明に捉えていたエージェント ポッターの映像記録装置に基づく転写です ― 音声記録用の装置はいずれも破損、或いは干渉波によって解読不可能でした。 <23:40:00> 研究チームはSCP-736-JPの奇岩群とSCP-736-JP-A実体群出現ポイントの中間地点で待機。SCP-736-JP-A実体群は既に姿を現し、SCP-736-JP空間の中心部を見つめている。 <23:44:30> 映像中にエントウィッスル博士と、グローバー研究助手と推定される人物の後姿が写り込む。エントウィッスル博士の口の動きは、上空に青い煙が発生するまで霊素固着波生成器の起動を待つように伝えている。両者の表情と仕草は、今回の実験に対する緊張感の欠如を示唆している。 <23:55:15> 上空に青い煙が出現し、拡散を開始。SCP-736-JP-A実体群が歌い始める。まだ霊素固着波生成器は作動されていない。 <00:20:45> 上空の煙は直径55m前後まで拡大したように思われる。エントウィッスル博士が身振りで霊素固着波生成器の起動を指示する。 <00:20:55> 起動直後(推定)、上空で渦巻いていた煙が静止。岩柱とその周囲の緑の煙の明度が急速に上昇し始め、狼狽した表情のエージェント マカリスターがカメラの前を走って横切る。 <00:21:10> カメラが、身をよじって頭部を激しく左右に振るSCP-736-JP-A実体群の姿を映し出す。上空の煙はそれまでと逆方向に回転しながら地上に向かって吸い寄せられつつある。円盤群は高度を無秩序に変えながら何ら規則性の見られない不安定な飛行を行っており、時折互いに激突する様子から、既に非実体化特性は失われていると思われる。 <00:22:00> カメラの視点のブレと、映り込んでいる職員たちの挙動は、推定風速27m/sの暴風がSCP-736-JP影響領域内の中心から外側に向けて吹き荒れていることを示唆している。これにも拘らず、映像の奥に映っている霊素固着波生成器その他の設備には一切の動きが確認できない。エージェント フックが携行銃器を引き抜くが、転倒して画面外へ吹き飛ばされる。 <00:23:15> 岩柱の周囲を旋回する緑の煙が、複数名の人間が融合したような姿を象り始める。表面に浮き出している全ての顔はグロテスクに引き延ばされ、明らかに苦痛を示す表情を浮かべて大声で叫んでいる。映像で判別できる顔だちの大部分はアメリカ先住民のそれだが、ヨーロッパ系の様相も一部確認できる。 <00:24:00> 霊素固着波生成器の元まで辿り着き、機能を停止させる職員らの試みは成功していない。円盤の一つが急降下し、進路上にいたエントウィッスル博士の上半身を[編集済]。円盤はそのまま岩柱の一つに激突して跳ね返り、本来の高度までジグザグに急上昇する。岩柱は傷付いた様子を見せていない。青い煙は高度10mあたりまで降下している。エージェント ウィルキンソンが岩柱からまとわりつく緑の煙を振りほどこうとしている。 <00:26:02> 映像が大きく揺れ、突風に押されて岩柱から急速に遠ざかってゆく。横合いから何かがぶつかり、頭部を強打したことによってこれ以降エージェント ポッターは意識を失ったらしいと想定されている。この後、エージェント マカリスターの著しく損壊した遺体が激突したことによって、ポッターの身体はさらに遠くへと追いやられる。 <00:26:50> カメラは最早、異常な暴風の影響を受けていないと思われる。映像にはSCP-736-JP-A個体の前足が地面を繰り返し叩く様子が写り込んでおり、ポッターがSCP-736-JP-Aの一個体の肋骨の間にいることを示唆している。青い煙の高度が地表面まで達し、拡散してSCP-736-JP-A個体群へと接近する。 <00:27:25> 青い煙がSCP-736-JP-A個体群の下へ到達し、その骨格を“肉付け”し始める。SCP-736-JP-A個体群は明白に抵抗の意を示しているが、煙を振り払う試みは成果を上げていない。エージェント ポッター(及びカメラ映像)は、00:27:58のタイムスタンプを以て完全にSCP-736-JP-A個体の肋骨の内部に取り込まれる。 <00:28:00> 視覚的[編集済]。初期解析時にこれに曝露した分析官2名は、試作段階の記憶処理薬投与と一致する記憶の混乱と脳感覚の不調を訴えた。現在、これをミームエージェントとして記憶処理に応用する提言が出されている。 <00:28:03> 映像が回復。カメラの位置は、ペンタケラトプスの成獣に予想される視点と一致する場所に移動している。周辺風景は夜間のアー・シー・スリー・パー荒野とほぼ一致しているが、大小の岩柱が無数に立ち並んでおり、その全てが淡い青色の光を放っている。各々の岩柱の周囲を、ペンタケラトプスと推定される数十頭の角竜類が取り囲んでいる。 <00:28:25> ペンタケラトプスの全個体が上空を見上げ、目まぐるしく体色を変化させ、角を明滅させながら咆哮している(ように見える)。各個体の角から放電現象に類似する何らかの“光線”が放たれ、岩柱と結合する。 <00:28:38> カメラ視点が上方を見上げる。赤い発光を伴う流星が絶え間なく降り注いでおり、その他の視認可能な天体は急激にその明度を増し始めている。00:28:49、軽度の空間歪曲と一致する映像の揺らぎを確認。 <00:28:50> 視点が青白い炎に包まれ、同色の煙が多数、岩柱の頂点から空に向かって上昇してゆくのが映る。00:29:22、視点は力尽きたように落下し、再び地面を映し出す。岩柱の光は徐々に弱まりつつあり、その周囲には青白い炎に焼かれてゆくペンタケラトプスの死骸が無数に横たわっている。 <00:29:31> カメラ映像が一瞬暗転し、回復。基準現実世界の風景が映し出される。青い煙、緑の煙、SCP-736-JP-A個体群の姿は既に無く、円盤は岩柱の上に帰還している。スラント霊素固着波生成器が故障し、岩柱の中心部で炎上している7。 事案後の懸命な捜索にも拘らず、グローバー研究助手とエージェント ウィルキンソンは、焦げ跡の残る衣服以外の痕跡が発見されませんでした。 エージェント ポッターは事案後27日間にわたって昏睡状態であり、覚醒直後には執拗にSCP-736-JPの岩柱との接触を求めました8。クラスB記憶処理によって異常な衝動は取り除かれたものの、エージェント ポッターはSCP-736-JP-A個体内部に一時的に取り込まれたことによる感覚障害9が深刻10であり、現在もリハビリが続いています。 事案736-JP-αにおいて観測された風景は、2009年現在の財団および一般社会の理解との間に顕著な矛盾を抱えています。事案発生以前の研究チームは、ペンタケラトプスが生息していた白亜紀後期のアー・シー・スリー・パー荒野は植生豊かな湿地帯であり、SCP-736-JP以外の岩柱は全て氷河期以降に風雨の浸食で自然形成されたという点において意見の一致を見ていました。SCP-████-██の限定的運用、1981年に回収されたAI-████との相互参照、および遡及的な███████████████████を視野に入れた当地の考古学的調査が提言されており、O5評議会の判断待ちです。 脚注 1. ペンタケラトプスの名前は“五本の角を持つ頭”を指します。眼窩上部と鼻先の角に加え、他の角竜類に比べて頬部分の骨が突出していることから命名されました。 2. この時点で円盤は物理的実体を持たなくなり、観測ドローンなどと衝突することなくすり抜けて浮遊する様子が観察されています。 3. 両名共に未特定。おそらく先住民との意思疎通におけるACSIの通訳と思われます。 4. ASCIが記録したこれらの用語には、2005年に要注意団体“第五教会”から回収されたSCP-1425の後半の章との類似点が指摘されています。詳細な言語学的分析についてはランドール・ベセット、アメリア・ギャロウェイ共著、“Become Like the Stars – 北米における魔術・宗教的異常結社の特異な共通構文、17世紀末から現代まで”を参照してください。オブザーバー: あるSCP財団誌(2007): 192-200。 5. 平原地帯のアメリカ先住民に伝わる自然復活祈願の儀式。アメリカ合衆国は1883年、この儀式を“文明的開化を妨げる野蛮な風習”として禁じています。 6. SLANT Ecto-Element Fixation Wave Generator: 実体化した霊的存在に働きかけ、霊体の構成要素を固化して物理的活動を制限する事を意図した装置。19██年に開発されたシュタイナー・レヴィ非実体化抑制装置(Steiner-Levi's Ghosting Restraint Device)の理論をベースに、阿久津豪人博士、パトリック・ノースモア博士、ヴィルヘルミナ・トラース博士の3名によって共同開発され、各開発者の姓の頭文字を取って命名されました。 7. これは後に、エージェント フックが銃撃したことによるものと判明した。 8. インタビューに対してエージェント ポッターは、“とらぉる(tlaol)”ために“てゃうる(th'yaur)”にはそれが不可欠であると強硬に主張し、その異常な語彙についての説明要求には答えようとしませんでした。 9. これは肉体的組成/精神構造の異なる生命体との五感共有能力を持ち、尚且つそれを制御できていない特異能力者にしばしば見られます。共有者症候群の詳細については、鳴蝉時雨 著 “異種生物間感覚共有に伴う差異、精神的負荷、および順応の過程についての実体験に基づく分析”を参照してください。オブザーバー: あるSCP財団誌(████): 249-266。 10. ペンタケラトプスが単純構造の脳を有する大型爬虫類だという現在までの仮定とは対照的に、エージェント ポッターはヒト相当の高次精神活動が可能な知性体(とりわけ、複数体で集合意識を共有している異常実体)との不随意的長時間思考同化に匹敵する重篤な症状を示しています。
scp-737-jp
評価: +172+–x SCP-737-JP-1-c片の嵌った指輪。 アイテム番号: SCP-737-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-737-JPは標準人型収容室に収容されます。現在SCP-737-JPの異常性は後述の範囲に留まっていますが、SCP-737-JPが財団の収容に対し決して従順とは言えず、潜在的な危険性があることに十分に留意してください。SCP-737-JPの能力の行使は実験時の監視下にのみ許可されます。 出現したSCP-737-JP-1のうち、異常性を持たない段階のものは焼却処分し、SCP-737-JPとの接触で異常性を得たものは標準人型収容室にて収容されます。週に一度、児童の心理に精通した臨床心理士によるカウンセリングを行ってください。また、SCP-737-JPの顧客リストから既に市場に流通したSCP-737-JP-1片の積極的な回収を行ってください。回収されたSCP-737-JP-1片は全て標準低危険度収容ロッカーに収容されます。 説明: SCP-737-JPは身長170.5cm、体重63kg、収容当時42歳の日本人男性です。知能テスト、体力測定ともに結果は平均的であり、後述の異常性の他に特筆すべき要素はありません。 SCP-737-JPの半径5m以内には、7日から35日の不定な周期で児童の遺体(以下、SCP-737-JP-1と記述)が出現します。SCP-737-JP-1は過去から現在に渡って日本各地で虐待が原因で死亡した児童と遺伝情報が一致しており、それぞれの墓を調査した結果複製体であることが判明しています。SCP-737-JPはSCP-737-JP-1に直接接触することで、SCP-737-JP-1の皮膚以外の組織を瞬時に宝石に変化させます。 SCP-737-JPが直接接触した時点でSCP-737-JP-1は生前と一致する記憶、精神活動を獲得し、既に死亡し更に体組織が鉱物に変化しているにも関わらず、自由意思によっての行動が可能になります。食事や排泄は行いません。視覚、聴覚などの感覚は機能していますが、SCP-737-JP-1の皮膚を剥がし肉体から宝石を採取しても痛みを訴えることはなく、痛覚は存在しないと見られています。また通常人間が生存不可能なほど体を削られても意識を保ち続けます。 補遺1: SCP-737-JPは収容以前個人で宝石店及び宝飾品工房を営んでおり、恐らくSCP-737-JP-1から採取したと思われる宝石類、それらを使用したアクセサリーを販売し続けていました。産地として虚偽の説明を掲載していたこと、仕入れ先が不明であったことから非合法組織の関与を疑われ、家宅を捜索した警察にSCP-737-JP-1が発見されたことによって異常性が発覚。警察内部の財団エージェントによって速やかに収容され、関係者にはAクラス記憶処理が施されました。 補遺2: 以下、SCP-737-JPの収容時にSCP-737-JPの自宅地下室から回収されたSCP-737-JP-1の一覧です。戸籍上死亡していること、また体組織の変化及び欠損のため一般社会に適応することは不可能と判断されました。また、既に全身を砕かれ市場に流通した未知のSCP-737-JP-1が存在すると考えられます。 SCP-737-JP-1-a: 静岡県████市にて父親に頭を強く殴打されたことにより死亡した7歳の女児と一致。トパーズに変化し、収容時は右腕及び左脇腹が欠損していた。 SCP-737-JP-1-b: 高知県████町にて母親からのネグレクトにより餓死した3歳の男児と一致。ブルーサファイアに変化し、収容時は左腿、右眼球が欠損していた。 SCP-737-JP-1-c: 北海道████市にて父親に強姦、絞殺された17歳の女子と一致。ダイヤモンドに変化し、収容時は右手首、両脚、両乳房が欠損していた。 SCP-737-JP-1-d: 埼玉県████市にて両親からの精神的虐待をきっかけとして自殺した13歳の男子と一致。エメラルドに変化し、収容時は右薬指、下半身が欠損していた。 SCP-737-JP-1-e: 滋賀県████市にてカルト宗教団体の信者であった両親に儀式と称して溺死させられた10歳の男児と一致。ルビーに変化し、収容時は両腕が欠損していた。 SCP-737-JP-1-f: 福島県████市にて母親に████駅トイレに遺棄され低体温症で死亡した2ヶ月の女児と一致。オパールに変化し、収容時は頭部のみを残していた。 補遺3:インタビュー記録SCP-737-JP-1-c <録音開始, 20██/6/█> ████博士: ご気分はいかがですか。お話するのに不都合はありませんか。 SCP-737-JP-1-c: はい、先生。大丈夫です。何故かは分かりませんが、この体でもきちんと声が出ますから。私の声、聞こえづらくないですか。 ████博士: 問題ありませんよ。では、あなたがあの地下室に来てからのことを教えていただけますか。 SCP-737-JP-1-c: はい。と言っても……気が付いたら、あそこにいたんです。私は、あの時お父さんに……殺されたはずなのに。何が何だか分からなくて。そうしたら知らない人が……████さん1が、立っていて。私、怖かったけれど……████さんは私に服をくれて、優しい言葉をかけて、安心させてくれました。 ████博士: 続けてください。 SCP-737-JP-1-c: ████さんは、私がどんな風に死んだか知っているようでした。辛かったねって。苦しかったねって、言ってくれました。私、████さんと暫く話していました。私が今まで受けた仕打ちを話さずにはいられなくて。そしたら、████さんは突然私の右の、手の甲の皮を剥いだんです。でも痛くなくて、血も出なくて。私の肉が、みんな綺麗な宝石になってたんです。████さんは、私は今まで愛されなかったから、これから皆に愛される存在になるんだよって言っていました。変な感じが、しましたけど。自分が綺麗な宝石になっているのは嫌な気分ではありませんでした、寧ろ感動したくらいです。そして████さんは私の右手に機械を当てて、砕きました。これから私は加工されて素晴らしいアクセサリーになって人を飾るんだって、言ってくれました。 ████博士: なるほど、そのようにして砕かれたのですか。あなたは両脚を欠損していますね。ベッドから動けなかったのでしょう。苦痛ではありませんでしたか。 SCP-737-JP-1-c: いいえ。ほら先生、私と同じような子たちが地下室にいたでしょう。動けなくても沢山話し相手がいたんです。私、あの子たちのお姉さんだったんですよ。最後まで砕かれ終わった子がいなくなるときは寂しかったけど……砕かれれば砕かれるほど、嬉しいってことを知ってましたから。だから、平気でした。 ████博士: 詳しくお聞かせください。 SCP-737-JP-1-c: 私の頭に流れ込んできたんです。砕かれて、磨かれて、指輪とかネックレスになった私に、みんな笑顔を向けてくれるんです。凄いって、目を輝かせてくれる。綺麗だ、素敵だって。私、あんなに褒められて大事にされたことなんてなかった。私、████さんの言っていたことが分かりました。愛してもらえるってこういうことなんだって、嬉しかった。先生、今だってです。何百もの私が、今この瞬間にも愛されてる。私はそれを感じています。 ████博士: それは愛情ではなく、美的価値と金銭的価値への評価ではありませんか? SCP-737-JP-1-c: ……分かってます。それでもいい。それでも私、今とても幸せなんです。ねえ先生、お願いです。████さんも、きっと怒ってる。もっと砕かせて。私たちを、仕舞い込んだりしないで。 <録音終了> 終了報告書: SCP-737-JP-1-cの発言から、宝石として販売されたSCP-737-JP-1片には受容器としての機能が備わっている可能性があります。SCP-737-JP-1片の回収を急いでください。SCP-737-JP-1に対しては現在、意識保持の限界を調査する実験が計画されています。 脚注 1. SCP-737-JPの本名です。
scp-738-jp
評価: +196+–x アイテム番号: SCP-738-JP オブジェクトクラス: Euclid SCP-738-JPの一例のスクリーンショット 特別収容プロトコル: SCP-738-JPの発信源の特定の試みは現在も続行されています。SCP-738-JP専用のウェブクローラーを用いてSCP-738-JPを発見次第削除してください。これに携わる職員は女性で構成されます。 SCP-738-JP-AはSCP-738-JP-Bと共にサイト-8119の軽異常人型収容室に収容されます。SCP-738-JP-AはEクラス職員として財団で異常物体に接触しない範囲での業務を務めさせます。また申請があれば8時間以内の自由行動も許可されます。SCP-738-JP-AはSCP-738-JP-Bへの定期的な精液の提供が義務付けられています。 説明: SCP-738-JPは乱雑に丸められたティッシュペーパーの画像です。SCP-738-JPはインターネット上に不定期に発生します。保存されたSCP-738-JPもオリジナルと同一の異常性を有します。SCP-738-JPを目視した男性(以下SCP-738-JP-A)に異常性が発現します。SCP-738-JP-AはSCP-738-JPを自身が性的興奮を覚えるものと認識します。 SCP-738-JP-AがSCP-738-JPを使用して自慰を行い射精した場合異常性は次の段階へ進みます。射精をして5~6週から吐き気、嘔吐、唾液の増加、全身倦怠感、頭痛、眠気などの症状が発現します。この症状は12~16週頃まで持続します。またこれとともにSCP-738-JP-Aの腹部が徐々に肥大化します。これはSCP-738-JP-Aの腹部に身元不明の精液が発生することで起きています。射精から約320日が経過するとSCP-738-JP-Aの肛門から腹部に溜まっていた精液で構成された人型実体(以下SCP-738-JP-B)が排出されます。この際SCP-738-JP-Aの肛門が無理に拡張されるため、排出には激しい痛みが伴います。 SCP-738-JP-Bはヒトの男性の新生児の姿で排出されます。SCP-738-JP-AはSCP-738-JP-Bに対して強い愛情を感じます。またSCP-738-JP-BはSCP-738-JP-Aの精液を摂取することにより形態を徐々に一般的なヒトの成長を模すように変化します。この変化に必要な精液はSCP-738-JP-Bの大きさに比例して増えていきます。またこの事実をSCP-738-JP-Aは本能的に理解します。SCP-738-JP-BはSCP-738-JP-Aの精液を摂取しなければ衰弱しながら縮小していきます。SCP-738-JP-Bは各器官を持たないにも関わらず視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚を有しています。SCP-738-JP-Bはその時点での形態に準ずるほどの知性を有しています。SCP-738-JP-Bは発話能力を有しておらず、コミュニケーションの手段としてはジェスチャー、また知能によっては筆談を用います。SCP-738-JP-BはSCP-738-JP-Aを父親であると認識しています。 インタビュー記録: 対象: SCP-738-JP-A-1 インタビュアー: 沢渡研究員 <記録開始(20██/██/██)> 沢渡: ではインタビューを開始します。 SCP-738-JP-A-1: おい、それよりもあの子は大丈夫なんだろうな。何かひどいことしたらただじゃおかねえぞ。 沢渡: SCP-738-JP-B-1については SCP-738-JP-A-1: その変な呼び方はやめろと言ってるんだ。[対象は激昂する。]あの子には立派な名前、██っつう名前があるんだ。 沢渡: 申し訳ありません。██くんの無事は保証します。決して害することはしません。 SCP-738-JP-A-1: [5秒間の沈黙]まあ、今は信用しよう。俺の方も悪かったな。いきなりこんなとこに来て気が立ってたんだよ。 沢渡: 心中お察しします。それでSCP-738-JP-A-1、あなたが██くんを産む前の行動を教えてください。 SCP-738-JP-A-1: 産む前と言ってもなあ、どこから話せばいいんだよ。 沢渡: それではこちらの画像に見覚えはありませんか。[SCP-738-JPの一例のスクリーンショットを見せる] SCP-738-JP-A-1: ん?あ、これどっかで見たことあるなあ[15秒間の沈黙]思い出したぞ。たしかエロい画像を集めるスレとかそんな感じのもので貼られた奴だ。いや待てよ……なあ、本当に言わないといけないか。 沢渡: お願いします。口外は致しません。 SCP-738-JP-A-1: うーん、そこまで言われてしまっては[10秒間の沈黙]それでその後まあ、シコったんだよ。[深く項垂れるSCP-738-JP-A-1] 沢渡: どうしました、SCP-738-JP-A-1。 SCP-738-JP-A-1: いや、よく思い出せば何故かそのティッシュの画像でシコる自分を思い出してな。全くもって意味が分からない。俺にそんな性癖なんてないのに、何故俺はあんなのが最高にエロい画像だと思ってたんだ[30秒間の沈黙]いや、もうこの話はよそう。思い出すだけで頭が痛くなる。んでその後はすぐ寝たな。それでその時はなんとも無かったが1ヶ月とちょいぐらいかな、経った時からすげえ気分が悪くなってきて、ひとまず会社には連絡して寝たね。しばらくしたら治ったんだけどその後も度々気分が悪くなるし、なんかお腹もどんどんでかくなるし、医者に行っても全然分からなくてさ、もうどうしようもないから仕事をやめてずっと家で療養することにしたんだよ。 沢渡: なるほど、その療養中に██くんを出産したということですか。 SCP-738-JP-A-1: ああ、たしか9……10ヶ月ぐらい経った時かな、尻に違和感を感じてトイレに行こうとしたら激痛が走って、あれは何時間ぐらい経ってたんだろうな、もう痛みが強すぎてそれどころじゃなくてな、ずっと居間でうずくまってたらシュッと痛みが消えたんだ。何事と思って振り返ったら██が産まれてたんだ。そりゃ真っ白な赤ちゃんが自分から出てきたんならびっくりするよな。でもな、やっぱり自分がお腹、いや尻か?を痛めて産んだ子ってのは可愛いもんなんだよ。それでとにかく服着せてあげないとと思ったがあいにくうちには赤ちゃん用の服なんてない。だからとりあえずタオルで巻いたんだ。 沢渡: 分かりました。それでは██くんとの生活面について教えてください。特にあの栄養摂取の方法はどのようにして知ったのですか。 SCP-738-JP-A-1: 知ったっていうか、普通の母親と赤ちゃんならおっぱいをあげるだろ。でも俺は男だからさ、どんなに絞っても母乳は出ない。その代わりに精液なら出せる。そういうことだ。 沢渡: な、なるほど。それで██くんとの生活はどのようにされていたのですか。 SCP-738-JP-A-1: そうだな、いくら俺にとっては可愛くても、██は普通の子じゃないからな。外に出たら大騒ぎになることは分かりきってる。だから可哀想だけど家でひっそりと暮らしていたな。ちょうどその頃にはなんとか元の会社にも戻れて生活も安定してたから。まあ結局こんなよく分かんない組織に捕まるんだから人生ってどうなるか分かんないんだけどな。なあ、俺と██は元の生活に戻れるのか。 沢渡: 残念ながら元には戻れません。しかしここの中での生活は必ず保証します。幸いあなたと同じような方を数人ほど確保しているので、おそらくはその方たちと同じような生活をしていただくことになると思います。 SCP-738-JP-A-1: 俺と同じようなのがいるのか、それは朗報だ。パパ友ってやつかな。 <記録終了>
scp-739-jp
評価: +38+–x アイテム番号: SCP-739-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-739-JPはサイト-8107にある低温収容チャンバー内に-20℃で保管し、完全に活性を失った状態を維持してください。 日本全国の医療施設における受診記録から、新たなSCP-739-JPの発生の兆候がないか常に監視してください。新たなSCP-739-JP感染者が発見された場合、発見地点に最も近い財団所有の施設において対バイオハザード設備付きの収容室内で治療し、感染者の体内からSCP-739-JPが消失し、感染のリスクがなくなったことが確認でき次第、通常の症状であればクラスB記憶処理、後述する特異症状の場合はクラスC記憶処理を施して開放してください。該当地域にはカバーストーリー「新型インフルエンザ患者の隔離と治療」を適用した上で対ウイルス装備のエージェントと研究員からなるチームを派遣し、感染源の特定と感染拡大の阻止を目的とした活動が開始されます。 説明: SCP-739-JPは人間に感染するウイルスです。外見的特徴はヒトライノウイルスに酷似しています。SCP-739-JPに感染した人間には発熱やせき、鼻水などの症状が現れます。これらの症状の重さには若干の個人差が認められますが、一般に「風邪」と呼称される症状とほぼ一致しており、同様の手段で治療することができます。 SCP-739-JPの特異性は感染した人間の一部に現れる症状にあります。(この症状を「特異症状」と呼称します。)通常、特異症状の発症率は5%程度ですが、感染者が生物学、化学(特に生化学)の研究をした経験を有している場合、発症率はおよそ80%にまで上昇します。発症者は自分自身を「日本生類創研」の構成員であると認識するようになり、特定の場所に行きたいという欲求を生じます。「特定の場所」は感染が確認された█件の事例で全て異なりますが、日本生類創研関連の施設が存在していたという点で共通しています。体内からウイルスが消え、発熱などの症状が治まってもこの特異症状は継続しますが、クラスC記憶処理によって治療可能であることが判明しています。 SCP-739-JPの特異性の起源を探るために遺伝情報の調査が行われましたが、財団の所有するいかなる機器を用いても塩基配列の読み取りは不可能でした。読み取りを阻害する未知のシステムで守られているものと考えられており、そのメカニズム及び解除の方法について現在研究が進められています。 SCP-739-JPは██県██市で発生した風邪の大流行と現地の██大学にて生物学研究室に所属する教員、学生たちの奇妙な言動が報告されたことから発見され、収容に至りました。調査の結果、██市の歩道沿いにて日本生類創研のラベルが貼られた小瓶が発見され、これがSCP-739-JPの発生源であると判明しました。付着していた物質を解析したところ、SCP-739-JPと複数の香料の混合物で、甘い匂いを発していました。発見した子供が匂いを嗅いだことから感染し、家族や学校の友人等を介して広まったと考えられています。 補遺1: 特異症状発症者へのインタビュー記録 + 開く - 閉じる 対象: ███教授(SCP-739-JP特異症状発症者。██大学で魚類の研究をしている。) インタビュアー: ██博士 <録音開始> ████博士: こんにちは、███教授。現在の体調はいかがですか。 ███教授: ほとんど症状は治まったようです。 ████博士: それは良かった。これからちょっとしたインタビューを行いますがよろしいですか? ███教授: 大丈夫です。 ████博士: ではまずあなたの所属について伺います。 ███教授: はい。私は██大学大学院海洋生物学研究科██研究室の…(5秒間沈黙)…あれ、日本生類創研██研究部門…いや、私は大学の、でも創研、創研大学、いやそんな大学に所属したことは… ████博士:大丈夫ですか。 ███教授: すみません、混乱してしまって。自分が何者なのかよく思い出せなくなってしまいまして。…今までに感じたことのない不思議な感覚でしたが、今ようやく思い出せました。私は日本生類創研で研究者をしています。 ████博士:…そうですか。では次の質問です。あなたの研究テーマを教えてください。 ███教授: 私の研究テーマは…確か「海水と淡水を行き来する魚の浸透圧調整」について研究していたような。 ████博士: ご自身の研究テーマですよね。なぜそんなに不確かなのですか。 ███教授: すみません、昔の研究テーマのことでしたから記憶が曖昧で…。今の研究テーマはより発展的な…(10秒間沈黙)…「現実改変能力を持つ魚類による水中塩分濃度改変」に関するものです。 ████博士: ちょっと待ってください。本当にそんなテーマの研究をしたことがあるのですか。それに今現実改変とおっしゃいましたがどこでそんな概念を知ったのですか。 ███教授: 確かにそんな研究をした記憶はないような。しかし私は確かに…。でも言われてみると現実改変についてもどこかで教わった記憶はありません。おかしいな。 ████博士: 他に自分の記憶が矛盾していると感じるところ、不自然に感じるところはありませんか。どんな小さなことでも構いません。 ███教授: 不自然といえば、このような状況なのにあまり家に帰りたいと思えないのはそうかもしれません。むしろ私の帰るべき場所は…██山。そうだ、治療が終わったら██山まで送ってもらえませんか。お願いします。早く行かないとオリエンテーションが始まってしまう。 <録音終了> 終了報告: ███教授は体内からSCP-739-JPが消失したことが確認されたため、Cクラス記憶処理を施し、解放しました。解放後も監視を続けましたが不自然な言動は無く、SCP-739-JPの影響は消失したものと考えられます。 インタビューの結果を受けて、██山には調査員を派遣し、放棄された日本生類創研の施設が発見されました。内部には発見の2日前に行方不明となっていた███氏が昏睡状態で発見され、保護されました。███氏の職業は近隣のコンビニエンスストア店員で、過去研究活動に携わっていた経歴はありません。███氏の衣服のポケットから以下の文書が封筒に入った状態で発見されました。 + 文書閲覧 - 閉じる ███様 日本生類創研の██と申します。 先日はお忙しい中、当研のウイルスにご感染の上、研究員採用試験にお越しいただきありがとうございました。 厳正なる選考の結果、誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただくことになりました。 ご希望に添えず恐縮ですが、なにとぞご了承くださいますようお願い申し上げます。 多数の研究機関の中から当研を志望していただきましたことに感謝するとともに、███様の、より一層のご活躍をお祈り申し上げます。 補遺2: SCP-739-JP感染事例-200█/██/██ + 開く - 閉じる 201█/██/██時点で財団が確認しているSCP-739-JP感染事例の最後のものです。 過去の感染事例及びサンプルを用いた研究結果をもとにしたプロトコルの実行により、SCP-739-JPによる集団感染はおよそ█週間で収束しました。最終的な感染者は██名、特異症状発症者は█名でした。また、付近での行方不明者の発生はありませんでした。 また、発生地点付近の山中に無許可で建造されていた日本生類創研関連のものと思われる放棄された施設が発見されました。異常性を持った生命体が█体確保され、Anomalousアイテムとして収容されました。これらの起源から想定される高度な実験用の設備は発見されず、飼育設備のみが発見されたことから、別の場所で作り出され、移送されてきたものであると考えられます。同時に「新人研究員のための生命体設計手ほどき」というタイトルの本が発見されました。内容は暗号化されており、現在解析中です。これらの遺留品から、発見された施設は日本生類創研の新人研究員教育のための施設であると推測されています。 この事例以降SCP-739-JPの発生は█年間確認されていません。 本事例以降SCP-739-JPの発生がなくなったことについて、私には一つ懸念がある。これまでその原因は奴らがSCP-739-JPをばらまくことで財団に探知されるのを嫌がったからだと考えていたが、奴らがSCP-739-JPを改良し、財団がその存在を察知できなくなったからだという可能性も残されているのではないだろうか。確かにこの█年間、生物学者の行方不明など報告されていない。1しかし奴らの欲している「人材」は研究者だけではないはずだ。奴らは「被験体」をどこから調達しているのか、その答えにSCP-739-JPが関わっているのではないかと私は考えている。調査の継続及び調査範囲の拡大を求める。 -██博士 Footnotes 1. 実際には1件報告されていますが、SCP-739-JPとは無関係であることが判明しています。
scp-740-jp
評価: +35+–x SCP-740-JP-1 アイテム番号: SCP-740-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: その大きさから現在SCP-740-JP-1を物理的に収容することは不可能であるため、SCP-740-JP-1の周辺に海上サイトを建設した上で常時監視を行います。SCP-740-JP-1に近づこうとする船舶などが存在する場合、速やかに接触し乗員にAクラス記憶処理を施し、カバーストーリー「船舶マップの故障による遭難」を施行してください。 新たなSCP-740-JP-2個体が出現した場合は速やかに捕獲作業を行い、通常のアホウドリと区別するためのGPS装置の付いたタグを装着してください。また、SCP-740-JP-2の総個体数が150体を上回った場合、150体未満になるように捕獲、処分を行ってください。 現在SCP-740-JP-1の存在は、日本政府との協力によって一般社会には秘匿されています。そのためSCP-740-JP-1が記録された著作物や報道は発見され次第速やかに内容を改変、処分されます。 説明: SCP-740-JP-1は現在、北緯約32度,東経約143度に位置する総面積およそ139km²の無人の浮島です。SCP-740-JP-1には通常の亜熱帯気候における生物の生態系や植物が確認されていますが、鳥類は後述のSCP-740-JP-2を除いて存在しません。 SCP-740-JP-1に生息している生物、及びSCP-740-JP-1を構成する物質全てのDNAは解析の結果、アホウドリ(Phoebastria albatrus)と同種のものであることを示します。これはSCP-740-JP-1内に生息するあらゆる動物、自生している植物全てに見られます。通常ではDNAが存在しない土や水、鉱石などにはDNAが物体の構成物質の中に含まれる形となります。 しかしながらこれらの動植物、および鉱石などはDNAを除いて既知のものと特徴、習性や構造が全て同じであり、特別な性質を持ちません。また、これらの動物は島の外部から侵入した生物に対して非常に敵対的かつ排他的であり、結果として外来種や同種族であっても外から持ち込まれた個体などは繁殖を行うことが不可能です。植物の場合でも原因不明の腐敗などによって生存が不可能となります。 SCP-740-JP-1に外部から土や水を持ち込みSCP-740-JP-1に直接接触させた場合、原因不明のプロセスによっておよそ1時間後にSCP-740-JP-1内部のものと同様の、DNAを含んだものに変換されます1。しかし、この変換プロセスがありながら、何故SCP-740-JP-1の大部分に接触している海水が変換されていないのかは不明です2。 解剖されたSCP-740-JP-2個体 SCP-740-JP-2は土や石、動物の死骸などで構成された物体です。DNAの解析ではSCP-740-JP-1の構成物質と同様の結果を示すことが確認されています。SCP-740-JP-2はアホウドリであるかのように振る舞い、食性や習性、寿命などはアホウドリのものと一致しますが、排泄を行わないため、摂食された物体がどうなっているかは不明です。また一般的なアホウドリとは異なりストレスに弱く、人間に対して非常に攻撃的であるため、十分な装備を持たない人間が遭遇した場合SCP-740-JP-2からの過剰な攻撃によって死亡する恐れがあります。 SCP-740-JP-2は、姿を目視した生物に対して自らをアホウドリであると認識させるミーム作用を持ちます。そのため、SCP-740-JP-2と一般的なアホウドリを見分ける方法は解剖を行うか、特別収容プロトコルで施されたタグで判別する以外ありません。 また、SCP-740-JP-2は該当する器官を持たないにも関わらず、アホウドリと生殖行為を行うことが可能です。これによって新たに誕生する個体は解剖学上アホウドリと同個体であり、SCP-740-JP-2のような異常性も持ちません。これによって、新たに誕生する個体は通常のアホウドリと同種であると定義されています。また、SCP-740-JP-2は雌雄同体であるため、生殖行為を行う際に相手の性別は問いません。 SCP-740-JP-2は通常、1週間に3~4体発生します。この発生のメカニズムは完全には解明されていませんが、SCP-740-JP-1の土壌の不自然な窪みや野生動物の死骸の不自然な消失などが確認されているため、島の中のこれらの物体を用いて身体を構築することで発生していると推測されています。SCP-740-JP-1内部の定期的な調査の結果、生息している生物に対して死骸の数が極端に少ないと報告されているため、SCP-740-JP-2は動物の死骸から優先的に発生することが推測されています。また、外来の動植物の死骸などからもSCP-740-JP-2が発生することが確認されているため、SCP-740-JP-1内で生物が死亡した場合、何らかの変換プロセスによって死骸の体内組織がSCP-740-JP-1内部のものと同一のものに変換されると推測されています3。 SCP-740-JP-2は通常のアホウドリと同様に渡りを行い日本近海に出現することが確認されていますが、通常のアホウドリおよびSCP-740-JP-2との生殖によって誕生したアホウドリがSCP-740-JP-1に出現することはありません。そのため、SCP-740-JP-1近辺に確認できるのは常にSCP-740-JP-2のみです。 補遺740-1: SCP-740-JP-2は収容当初、全ての個体が物理的に収容されていました。しかしSCP-740-JP-2が収容へのストレスによって早死にしてしまうことや、SCP-740-JP-2とアホウドリとの交配が可能であることが確認されたため、19██年当時に特別天然記念物とされ絶滅の恐れがあったアホウドリの個体数増加を目的とした試験的なSCP-740-JP-2の活用が██研究員と当時環境庁局長の██氏から提言され、O5-█,█,██の承認のもと行われました。結果として20██年現在、アホウドリの総個体数は2███羽まで増加しています。 補遺740-2: 現在SCP-740-JP-1は北西の方向に年間およそ2kmの速度で移動を行っています。この移動に用いられる推進力は不明ですが、財団の懸命な努力にも関わらず移動速度は年間2kmを下回ることはありませんでした。現在の見込みではおよそ215年後に千葉県██市の沿岸部に衝突すると推測されています。これらの事実からSCP-740-JP-1が本土に直撃することによる日本全土の地質変換や、それによって引き起こされる多くの人的損失の恐れからSCP-740-JP-1およびSCP-740-JP-2を無力化する方法について研究が行われています。 追記740: SCP-740-JP-1の移動は2002/03/██の時点で確認されており、これは国内で確認されたアホウドリの総個体数が2000羽を記録した日付とほぼ一致します。これにより、SCP-740-JP-1の移動速度と日本国内のアホウドリの総個体数に因果関係が見られると推測されており、このことからアホウドリの個体数を減らすことによるSCP-740-JP-1の移動の阻害が██博士によって提言されており、現在承認待ちです。 脚注 1. 逆にSCP-740-JP-1のものを島外に持ち出した場合、1時間後にDNAは消失します。 2. 実験によってSCP-740-JP-1内に海水を持ち込んだところ、通常の水と同じく変換されました。 3. 過去には、かつて調査隊のものと見られる人間の胴体部で構成されたSCP-740-JP-2が確認されています。
scp-741-jp
評価: +117+–x アイテム番号: SCP-741-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-741-JPは財団が特別に設置した、指定したアカウントのみにマッチングを許可し、ゲームの時間制限を取り払った特殊サーバー-1Aに固定します。SCP-741-JP収容中の特殊サーバー-1Aは外部インターネットから切り離した状態にし、同サーバーには6~9人のDクラス職員をプレイヤーとして待機させてください。SCP-741-JPを刺激する可能性があるため、ゲーム内では通常Dクラス職員の操作するキャラクターに対しシステム的な発砲禁止措置がとられています。現在のところSCP-741-JPは収容に協力的ですが、もしSCP-741-JPが攻撃的な兆候を見せた場合はプロトコル-ジャムを適用し、システム的にSCP-741-JPの発砲を封じてください。 もしSCP-741-JPの収容違反が発生した場合、すぐさまSCP-741-JPのマッチングを一時的に外部インターネットに接続させた特殊サーバー-1Aに誘導し、SCP-741-JPのマッチングを確認したら即座に同サーバーを外部インターネットから切り離してください。 説明: SCP-741-JPは████社製の対戦型オンラインFPSゲーム、"████████"に存在する異常なアカウントです。SCP-741-JPは常に"MrFPSgeek████"1というプレイヤーネームで活動しており、24時間常にゲームにアクセスし、ゲームに備え付けられたボイスチャット機能を利用しています。また、SCP-741-JPの使用するIPアドレスの特定や、アカウントの凍結処理は原因不明なエラーの発生により失敗しています。 SCP-741-JPの異常性は、同ゲーム内で他プレイヤーが操作するキャラクターをSCP-741-JPが撃破した場合に発生します。SCP-741-JPが他プレイヤーのキャラクターを撃破した時点で、直前までそのアカウントを使用してゲーム内のキャラクターを操作していた人物の心臓部に7.62×39mm弾頭2が出現します。全ての例で被害者は心臓を破壊され死亡していますが、SCP-741-JPの持つ技術が未熟であったためか、これまでにこの異常性で死亡したと思われる人物は█人に留まっています。 SCP-741-JPが他プレイヤーから撃破された場合は、ボイスチャットから苦悶するような音声が流れること、また外部インターネットから切り離されている場合でもオンライン状態に戻ることを除いて、ゲーム内における通常の処理が行われます。この特性に加えて、常時ゲームにアクセスしていること、そして他プレイヤーから撃破されやすいことから、SCP-741-JPのマッチング回数は現時点で███回となっています。 またSCP-741-JPは、自分は"██ ██"であると名乗り、初期収容時点から1ヶ月ほど前からゲーム内に閉じ込められてしまったと主張しています。調査の結果、同時期に同姓同名の20歳の男性が行方不明になっていることが明らかになっていますが、SCP-741-JPと同一人物であるかどうかは不明です。 SCP-741-JPは20██/██/██、アメリカ合衆国の██████病院に、心臓部に弾頭が埋まっている患者が運び込まれたことが財団の目を惹いたことからその存在が明らかになりました。当初SCP-741-JPの正体は不明でしたが、その後に同一の現象に見舞われた被害者の共通事項を調査したところ"████████"を直前にプレイしていたことが判明し、そしてそれらのプレイログの全てでSCP-741-JPが被害者の操作キャラクターを撃破していたため、SCP-741-JPを異常存在と認定し、SCP-741-JPを特殊サーバー-1Aに誘い込むことで収容しました。なお、被害者が搬送された病院などの関係者には全員クラスA記憶処理を施し、インターネット上のSCP-741-JPに関する情報は、カバーストーリー「都市伝説」の適用により陳腐化させることに成功しています。 補遺1: 以下の記録は初期収容時におけるSCP-741-JPのインタビュー記録です。 + インタビュー記録741-JP-01 - インタビュー記録を閉じる 対象: SCP-741-JP インタビュアー: 白水博士 付記: SCP-741-JPを特殊サーバー-1Aに誘導した後に初めて行われたインタビュー。白水博士はD-741-01のアカウントからボイスチャットを使用してSCP-741-JPに対するインタビューを行った。 <記録開始> SCP-741-JP: (D-741-01の操作するキャラクターを発見し、銃を突きつけて)待って、撃たないでくれ、撃ったら撃つ。 白水博士: 落ち着いてください。私たちはあなたに対して発砲しようとは考えていません。 SCP-741-JP: は?どういうことだよ、これってそういうゲームだろ?何で撃たないんだ。いや、撃たないでくれって言ったのは俺だけどさ。 白水博士: 私たちは単なるプレイヤーではありません。あなたに質問したいことがあるのです。ここに居るプレイヤーは皆、あなたから話を聞くためにここにいます。ですので絶対に発砲したりはしません。 SCP-741-JP: よく分からないけど、どういうこと?運営の人か何かか? 白水博士: そのような認識で問題ありません。まずはあなたの目的についてお聞かせください。 SCP-741-JP: 目的?俺の目的は1つだ。死なないこと、それだけ。 白水博士: それはゲームの達成目標としてですか? SCP-741-JP: 違う!信じてもらえないかもしれないけど、俺がkillされる度に俺は死ぬんだ。俺は死にたくない。 白水博士: まずは信じます。しかし、あなたはゲーム内で撃破されても何度も別のマッチングに参加しているようですが。 SCP-741-JP: それは、俺にも分からない。俺だってマッチングがしたいわけじゃないんだ。気付いたらゲームが始まってて、そんで他の奴に殺されて、またゲームが始まってるんだ。嘘じゃない。ひょっとしたら死んでも生き返ってるのかもしれない。でもこれ以上は死にたくない。 白水博士: [6秒の沈黙]どうやら、あなたは気が動転している様子です。また後日質問に参りますので、その時までに心の整理をつけてください。ああ、ゲームの時間制限はこのサーバーでは取り払ってありますのでご心配なく。 SCP-741-JP: 最後までよく分からないけど、分かった。死なないならそれでいい。 <記録終了> + インタビュー記録741-JP-02 - インタビュー記録を閉じる 対象: SCP-741-JP インタビュアー: 白水博士 付記: 白水博士はD-741-01のアカウントからボイスチャットを使用してSCP-741-JPに対するインタビューを行った。 <記録開始> 白水博士: 気分は落ち着きましたか、SCP-741-JP。 SCP-741-JP: そのSCP-741-JPっていうのは俺の名前か? 白水博士: ええ、簡単な識別番号のようなものです。便宜上こちらの番号で呼ぶことになっておりますのでご了承下さい。 SCP-741-JP: 何か納得いかないけど、まあいいや。あ、気分については大分落ち着いたと思うよ。 白水博士: そうですか、それはよかったです。では、あなたが置かれている状況について話してもらえますか? SCP-741-JP: えっと、俺はこのゲームの中に閉じ込められてる、んだと思う。自分の感覚だけど、ざっと1ヶ月ぐらいはずっと戦ってた気がする。 白水博士: 閉じ込められたきっかけについては思い出せますか? SCP-741-JP: ああ、はっきりと。元々は██大学に通ってて、あ、名前は██ ██って言うんだけど、何て言うかな。そこまで講義とかには熱心じゃない方で、度々サボっては日中にオンラインゲームとかやってたわけよ。 白水博士: 続けてください。 SCP-741-JP: で、その内色んなオンラインゲームに手を出すようになって、インターネット上でグループにも参加してさ。このゲームにも、ちょっとだけ手を出したんだ。まあ、俺のスキルが壊滅的だったからすぐやめたんだけど。そんなときだったね、グループの仲間から変なメールが届いたんだ。 白水博士: そのメールの内容は思い出せますか? SCP-741-JP: 思い出せるさ。忘れようがないからな。「ゲームの世界に行ってみたくはないか?」とか、そんな感じ。最初はとんでもなく嘘臭えと思ったけどさ、でも何だか魅力的に思えてきて、最終的に行ってみたいとか、そんな風に返信しちゃったわけよ。 白水博士: それに返信したことで、ゲームの中に閉じ込められてしまったと? SCP-741-JP: もしかしたら違うのかもしれないけど、それしか考えられない。返信した後、何だか眠くなってきて、それで気が付いたら部屋の中じゃなくてだだっ広い荒野なわけよ。そんでもって服とかもこんな感じで、すぐに████████だって気付いた。うわー本当にゲームの世界に来ちゃったよ、でもこのゲームかよーとか思いながらさ、適当にほっつき歩いてたら、他のプレイヤーに見つかってさ。[沈黙] 白水博士: どうしましたか? SCP-741-JP: いや、考えてみたら当然なんだけど、これって対人ゲーじゃん。見つかったら撃たれる訳だ。でも最初は分かってなくてさ、無防備にも、撃たれたんだよ。[8秒の沈黙]あのさ、リアルに撃たれたことってある?信じられないくらい痛いんだよ。それを1発じゃなくて、何発も撃ち込まれて。あ、死ぬって思った。いや、思ったんじゃない、多分死んだんだ。俺は。 白水博士: そして、どうなったのですか? SCP-741-JP: 気付いたらまた荒野に立っててさ。傷はないんだけど何か撃たれた痛みが残ってる気がして、今度は急いで物陰に隠れたんだ。そしたら今度は何か大きな音と熱さに襲われて、死んだ。爆弾か何かだったんだろうと思う。 白水博士: [沈黙] SCP-741-JP: そこからは何回も何回もおんなじようなことの繰り返しでさ、その内助かるには俺が相手をkillするしかないって思いはじめたんだけどさ、俺、スキルないから、やられっぱなしでさ。[泣くような声]チート野郎にも襲われたこともあってさ、本当、今までと考えられないレベルで痛くて。 白水博士: 落ち着くまでインタビューは中断しましょうか? SCP-741-JP: その内にだんだんと何か、声とかも聞こえるようになってきて、「ド下手くそ」だの、「その程度の腕でギークを名乗るな」だの、「ゲームやめてすっこんでろ」だの、「死ね」だのさ、俺だって好きでやってるわけじゃねえのにさ!マジで死んでるのにさ!もう許せねえだろ!? 白水博士: あの、落ち着いて── SCP-741-JP: だから俺ももう本気になって!めっちゃ頑張って、最近ついに敵をkillしたわけよ!敵を倒したときの爽快感ってすげえんだぜ!まあまだまだ実際問題ド下手くそなんだけどさ── 白水博士: [大声]これ以上興奮するようでしたら、相応の処置を取らせていただきます。よろしいですか? SCP-741-JP: [10秒の沈黙]あ、何か、すいません。喋りすぎました。 白水博士: よろしい。では、大事を取って今日のインタビューはこれで終了させていただきます。不用意に動揺させるような質問をしてしまい申し訳ありませんでしたね。 SCP-741-JP: あ、いや、俺が喋りすぎたせいなんで、大丈夫です、はい。 <記録終了> 終了報告: 調査の結果、同姓同名の██ ██という人物が行方不明になっていることが判明しました。しかし、██ ██の所属していたグループからはSCP-741-JPの証言したようなメールのやり取りは一切確認されませんでした。 補遺2: 20██/██/██、D-741-07が担当していたアカウントのキャラクターが突如システム的な発砲禁止措置を無視してSCP-741-JPを射殺し、収容違反が発生しました。担当エージェントがD-741-07の捕縛に向かったところ、D-741-07は既に死亡しており、検死の結果死後6時間が経過していました。 また、既に1回の通常マッチングを行っていたSCP-741-JPの再収容には成功しましたが、SCP-741-JPは明確に精神的に不安定な状態に陥っていました。以下はその際に行われたインタビューです。 + インタビュー記録741-JP-03 - インタビュー記録を閉じる 対象: SCP-741-JP インタビュアー: 白水博士 付記: 白水博士はD-741-01のアカウントからボイスチャットを使用してSCP-741-JPに対するインタビューを行った。 <記録開始> 白水博士: SCP-741-JP、こちらの不手際で死亡させてしまったこと、誠に申し訳ありませんでした。今後はあのようなことが発生しないよう努めます。 SCP-741-JP: [沈黙] 白水博士: SCP-741-JP? SCP-741-JP: [12秒の沈黙]なあ、アレ、マジなのかよ。 白水博士: すいません、アレとは何のことですか? SCP-741-JP: すっとぼけてんじゃねえよ。死人だ、死人。俺のkillしたプレイヤーが、ガチで死んでたって話。 白水博士: その話はどこから聞いたのですか? SCP-741-JP: アイツに急に殺された後だよ!あの直後のマッチングで、変なヤツが話しかけてきて、俺のkillしたプレイヤーは皆死んでるって言ってきたんだ。 白水博士: その情報は不正確です。あなたは誰一人として殺してはいません。 SCP-741-JP: 嘘をつくな!死体の写真だって見せられたんだぞ、プレイヤーネームと一緒に。あの名前は間違いなく俺のkillした奴らの名前だ。はっきり覚えてる、ようやく、ようやくkillした相手だったから。なのに、なのに── 白水博士: すいません、ゲーム内でどのようにして写真を見せられたのですか? SCP-741-JP: うるせえ、知らねえよ、質問すんなよ、畜生、畜生。普通ありえねえだろ、だって、俺はゲームの中に居て、死んだのはキャラクターじゃんかよ。マジで待ってくれよ、ゲームだろ、ゲームじゃねえのかよ、おい。こんなの、俺、殺人犯じゃん。俺だって、こんなことしたくなくって、こんなことになるなんて、思ってなくて、クソ。じゃあどうすりゃいいんだよ。助けてくれよ。死にたくねえよ。殺したくねえよ。思ってたのと違うだろうがよ。 [その後、SCP-741-JPはその場にうずくまり一切のインタビューを拒否したため、インタビューは終了した] <記録終了> 終了報告: SCP-741-JPはかなり動揺しているため、心理カウンセラーによるカウンセリングが行われます。また、SCP-741-JPに上記のような情報を伝えた人物に関しては、プレイログに痕跡が残されておらず、特定に失敗しています。以後、この一連の事案は事案741-JP-1と指定されました。 補遺3: 事案741-JP-1が発生した翌日、特殊サーバー-1A内に不審なドキュメントファイルが作成されていたことが明らかになりました。以下はそのドキュメントファイルの内容の複写です。 何てこったい!ギフト・アバブ・ワンダーテインメントの"ミスター・トリップモノ"を発見したね!何回死んでも死なないなんて何そのチート?ワンダーテインメント博士とかゲーマーズ・アゲインスト・ウィードって誰そいつら? みんな集めてミスター・ギフトになろう!楽しもうね! 01. ミスター・ランサムウェア 02. ミスター・クラウドファウンディング 03. ミズ・掛け算 04. ミスター・wiki 05. ミスター・バズ 06. ミスター・ブラクラ 07. ミスター・拡散希望 25. ミスター・イキり 26. ミスター・貴方次第です 27. ミスター・トリップモノ ✔ 28. ミスター・アンチとミズ・信者 29. ミス・Vtuber 30. ミスター・鮫島 脚注 1. 黒塗り部分は本来、SCP-741-JPの本名であると推測される名称がローマ字で記載されています。 2. これは、SCP-741-JPの使用する武器がAK-47であることに起因していると考えられます。
scp-742-jp
評価: +105+–x SCP-742-JP-2。 アイテム番号: SCP-742-JP オブジェクトクラス: Safe Neutralized 特別収容プロトコル: SCP-742-JPはその性質上、封じ込めは行われておりません。ただし来店客が1名以下にならないよう22時から翌02時の間、常に財団エージェントが2名以上、日替わりで入店し待機している必要があります。また、待機中は周囲の来店客に不信感を与えない為に、酩酊しない程度の飲料、あるいは食料を注文してください。 インシデント742-JP-01発生以降、このオブジェクトは特異性を示しておりません。そのため、補修の上通常のカウンターとして使用が継続されています。SCP-742-JP-01のある店舗は、現在財団のフロント企業が買い取り、職員向けのバーとして機能しています。 説明: SCP-742-JPは樹齢推定100年の杉材で構成された鍵型の幅4m、奥行き60cmのバーカウンターです。SCP-742-JPには8脚の椅子が備え付けられていますが、特異性の発現にはこの椅子は関係していないものと思われます。 SCP-742-JPの特異性は日本標準時間22時から翌02時の間に、バーテンダーの████████氏(SCP-742-JP-1)1と二人きりで店内にいる時にSCP-742-JPを介して飲料が提供されると発現します。SCP-742-JPの特異性が発現するとSCP-742-JP-1がその注文にあった飲料を提供しますが、提供された飲料はひと塊の氷を浮かべた透き通った褐色の液体、SCP-742-JP-2に変化します。2 SCP-742-JP-2はアルコール飲料の摂取が出来ない被験者であっても「美味しい」と報告しています。また、未成年者を実験対象とした場合、SCP-742-JPの特異性は発現しませんでした。加えて、一度SCP-742-JP-2を摂取した事のある対象は、発生条件を整えた環境であっても、二度目の実験以降、特異性は発現しませんでした。 SCP-742-JP-2を摂取すると、対象は自身の後悔、あるいは不安について独白し始めます。SCP-742-JP-2は対象が自身の独白を終えるまで無くならず、独白が終了すると同時にグラスを残して消失します。独白が終了すると、対象は概ね10分から15分の深い睡眠に陥り、これと同時に特異性は非活性化されます。 実験の結果、特異性の発現にはSCP-742-JP-1が関係しており、SCP-742-JP-1以外から提供された飲料では発現しないことが確認されています。SCP-742-JP-1を検査のため10日間、サイト-██の低セキュリティヒューマノイド収容エリアに留置した後に改めて実験を行った際、SCP-742-JP-2は約20%の確率でしか発生せず、翌日改めて実験を行った際には70%の確率で発生しましたので、SCP-742-JP-1をSCP-742-JPから引き離した場合に特異性が徐々に無力化されてしまうものと思われます。以上のことからSCP-742-JPが完全無力化されてしまうことを防ぐ為、担当研究員の司馬博士により現状の特別収容プロトコルが設定されました。SCP-742-JPは201█/██/██以降、無力化が確認されています。特別収容プロトコルは改定されました。 + インタビュー:742-01記録を参照する - インタビュー:742-01記録を閉じる 対象:SCP-742-JP-1 本名[████████] 担当研究員:司馬博士 付記: このインタビューは、SCP-742-JP-1収容直後に収録されました <録音開始> 司馬博士:やあ、████さん。 お待たせしました。 SCP-742-JP-1: これは、司馬先生。どうぞ、よろしく。 司馬博士: ご迷惑おかけして申し訳ない。ですが、これが我々の職務である、ということはご理解いただきたい。 SCP-742-JP-1: ええ、ええ。勿論ですとも、先生。……ああ、今日は、お出しできないんでしたね。 司馬博士: ええ。私も出来れば一杯頂きたいところですが。さて……████さん。貴方は、SCP-742-JPの異常性……つまり、貴方の出したドリンクが全てSCP-742-JP-2になる、ということは知っていましたか? SCP-742-JP-1: ええ、まあ。最初はあたしが間違えて出してしまったもんだと思っていましたよ。ただ、時間も時間で、お客様もお一人だけ。たまには、こういうこともあるもんだ、と。 司馬博士: なるほど。何時頃ですか? この現象に気づかれたのは。 SCP-742-JP-1: そうですねえ、かれこれ……10年程前になりますか。ちょうど、家内が死んで、喪が明けてね。お休みを頂いていた店をまた開けはじめた頃、なもんで。 司馬博士: 10年。その間、特にお客からクレーム等は? SCP-742-JP-1: ありませんでしたね。 司馬博士: しかし、お客さんは不思議がったりしませんでしたか? SCP-742-JP-1: いえ、特にそういう様子ではありませんでしたねえ。大体、それくらいの時間に一人で居らっしゃって、静かにお飲みになる方、というのは何か張り詰めたものをお持ちなので。 司馬博士: 貴方はどうでしたか? お客が誰ともなしに独白し始める、っていうのは……言っちゃ何ですが、異様では? SCP-742-JP-1: ええ、ええ。最初は驚いたもんです。ですがね、先生。あたしら、バーテンダーっていうのは、そういうもんなんです。 司馬博士: そういうもの、というと? SCP-742-JP-1: バーテンダー、っていうのはね先生。ただ、お酒を出すんじゃないんです。お客さんとは一期一会……もちろん、先生みたいなお馴染みさんもいらっしゃいますがね。でも、そういう方に対しても、あたしがお出し出来る最後の一杯を……。っていうね、気持ちなんです。その一杯を飲んで、何か言いたい、叫びたい……っていうのがあれば、あたしらバーテンダーってのは、静かに聞いてあげるんですよ。 もちろん、他のお客さんのご迷惑にならなきゃ、ですか。 司馬博士: ははあ。では、お客が独白した後にカウンターで寝たりしても、特に違和感は無かったと。  SCP-742-JP-1: ええ。 司馬博士: そうですか。お客の具合、といいますか、そのSCP-742-JP-2を飲む前と後で、何か違った事などは? SCP-742-JP-1: そうですねえ。皆さんすっきりした顔でお帰りになります。これが不思議なことにね、散々飲んで、酔いつぶれた方でも……しゃんと立って、お出かけになるんですよ。 司馬博士: 酩酊状態にある人であっても、このSCP-742-JP-2を飲むと、酔いが覚める、と? SCP-742-JP-1: 気持ちよくお酒を楽しんでいらっしゃる方のように、という表現の方が近いかもしれませんね。 司馬博士: わかりました。今後、貴方には暫く此処で生活していただくことになるかと思います。お手数ですが、いくつかの検査も受けていただくことになるかと思います。 SCP-742-JP-1: ええ、承知しておりますよ。ですが、先生……あの店はどうなさるのでしょう。 司馬博士: そうですね、現状保存になるかと。 いくつかの実験も行う予定ですが……破壊的な事はしない、と保証しましょう。 SCP-742-JP-1: …ありがとう存じます。あの店には、皆さんとの思い出が詰まっておりますんでね。 <録音終了> 補遺01: 本実験では、SCP-742-JP-2を摂取したほぼ全ての被験者が、精神的な満足感及び安定感を得た、と報告しています。これは中度以上の鬱病、あるいは心的外傷後ストレス障害を罹患した被験者であっても同様で、本実験後、それぞれ快癒に向かいました。また、同時期にそれぞれの被験者は精神面、行動面共にポジティブな行動を取るようになりました。詳細は実験記録742-01号を参照してください。 実験記録742-01号 - 日付200█/██/██ 被験者01: サイト-██職員(35歳男性、インシデント:SCP-███-██により重度の躁鬱病、及び解離性人格障害を発症) 独白内容: 複数の人格による入れ替わりでの独白。 結果: 実験後「他の人格を受け入れられた」と報告。その一ヶ月後、快癒し現職に復帰。 被験者02: D-00579(52歳男性、特に精神の疾患なし) 独白内容: 自分がこれまで送ってきた人生に対する後悔と、今後に対する漠然とした不安。 結果: 実験後に「最高の一杯だった、ありがとう」と財団職員とSCP-742-JP-1に対して礼を述べた。 特記: 対象はSCP-742-JPへの移送中、反抗的な態度を示していましたが、実験終了後は従順になりました。後にD-00579は定期解雇を拒絶し、財団への貢献を行っています。 被験者03: サイト-██管理者 ██博士(62歳女性。多忙に伴う軽度の不眠症及び鬱病を発症) 独白内容: サイト-████職員、██████研究員との密かな恋について。 結果: 「何もかも満ち足りた気分」と述べた。また翌日、不眠症が快癒した旨の報告があった。 特記: 実験の数ヶ月後、████博士は██████研究員と婚約しました。 補遺: SCP-742-JP-2を摂取した対象は、皆口を揃えて「次に飲む時には、素面で最高の気分の時に飲みたい」「落ち込んでいる時じゃ、もったいない程に美味しかった」とSCP-742-JP-2を摂取した時の印象について報告しています。依存性について研究が行われておりますが、現状詳細は判明しておりません。 補遺02: SCP-742-JPはNeutralizedクラスに分類されましたが、司馬博士は現在もSCP-742-JPの研究を行っています。その結果、SCP-742-JP-2に類似する事象を起こす可能性がある一人のバーテンダーを発見しました。彼はSCP-742-JP-1の一周忌に店舗を訪れ、この店で働きたいと申し出ると同時に、バーテンダーとしての知識と技術を披露しました。彼は一時期、SCP-742-JPによりバーテンダーとしての技術的な指導を受けたと語っています。現時点ではSCP-742-JP-2、または類似した特異性を発生させるに至っておりませんが、司馬博士の提言により、SCP-742-JPのある店舗にてレベル0職員としてバーテンダー業務に従事しています。 + インシデント:742-JP-01の記録を参照する - インシデント:742-JP-01の記録を閉じる インシデント報告書742-JP-01号 201█/██/██ 概要:201█/██/██ 実験中、SCP-742-JP-1が突如意識不明に陥り、そのまま死亡しました。SCP-742-JP-1は重度の癌を患っており、検死の結果においても癌の転移に伴う多臓器不全により死亡したことが確認されています。担当研究員の司馬博士は査問委員会に召喚され一ヶ月間の謹慎処分となりました。その際の実験内容については、添付の実験ログを参照して下さい。 経緯: SCP-742-JP-1は201█/██頃より体調不良を訴え、医療チームによる検査を受けました。SCP-742-JP-1が高齢ということもあり複数の検査を行った結果、膵臓原発性の癌を罹患しており、また全身への転移が見受けられるため、医療チームはSCP-742-JPの余命3ヶ月であるとの報告を司馬博士に行いました。この宣告は司馬博士を通じてSCP-742-JP-1に伝えられました。財団の臨時収容規定に則り、SCP-742-JP-1に対してクラスBの冷凍睡眠処理が行われる予定でしたが、SCP-742-JP-1より、最後の実験の申し入れがありました。その申し入れを司馬博士が受け入れ、また同時に司馬博士により当実験の被験者への志願が行われました。 実験記録742-██号 - 201█/██/██ 被験者: 司馬博士、本オブジェクトの担当研究員 独白内容: インシデント742-JP-01発生により無し。 結果: SCP-742-JP-1の異常を受け、司馬博士は実験を終了した。財団の医療チームを派遣したが、SCP-742-JP-1は癌の全身転移に伴う多臓器不全により死亡した。これまでの実験の結果から、SCP-742-JP-1の死亡を以て、SCP-742-JPは無力化されたと思われる。 音声ログ742-██号 - 201█/██/██ <録音開始> 司馬博士: では、実験を開始します。記録開始。 SCP-742-JP-1: よろしくお願いします、……先生。あたしのお願いを聞いてもらえて、ありがとうご存じます。 司馬博士: ええ、では手順を開始しましょう。ただし、何かあればすぐに申告してください。 SCP-742-JP-1: わかりました。 司馬博士: では、……そうだな。ホットココアを。 SCP-742-JP-1: かしこまりました、少々お待ちを。 約3分間、湯を沸かす音等が収録されている。その間の会話記録はない。 SCP-742-JP-1: おまたせ致しました。 司馬博士: ……SCP-742-JP-2を確認。良い香りだ。 SCP-742-JP-1: ねえ、先生。あたしにも一杯、ご馳走しちゃ頂けませんか。 司馬博士: ………………(約40秒間無音)、良いでしょう。ただし、一杯だけ。 SCP-742-JP-1: どうも。……乾杯。 司馬博士: 乾杯。 グラスを重ねる音が僅かに記録されている。 SCP-742-JP-1: ねえ、先生。 司馬博士: 何ですか。実験中なので、手短に……。 SCP-742-JP-1: あたしゃね、先生。こんな良い店を持たせてもらえて、幸せなんですよ。 司馬博士: ………… SCP-742-JP-1: 子供もおらず、家内にも先立たれてねえ。孤独、だったんでしょうね。でもね、先生。いろんなお客さんが来てくれて、いろんな話をしてくだすった。……あたしゃ、幸せなんですよ。 司馬博士: ええ、ええ。そうでしょう。 SCP-742-JP-1: ほら、今日もこうして、いろんなお客さんがね。 司馬博士: お客さん? ここには私しか居ませんよ。 SCP-742-JP-1: いえ、確かに……ああ、これは懐かしい顔だ。今日は忙しい日になりそうだ。 司馬博士: ██さん? SCP-742-JP-1: こんなにいらっしゃるのは久しぶりですよ。……今日は、とっておきの一杯、を。 くぐもった人の倒れる音、及び椅子を引き倒す音と強い足音が記録されている 司馬博士: ████さん? ████さん!? ……実験中止! 医療チームを要請しろ! 急げ! <録音終了>  補遺: これが財団職員として適切な態度でないことは理解していますが、私は彼の最期に立ち会えた事を喜ばしく思っています。自信を持ってここに、彼の最期の一杯に立ち会えた事がこの研究の最大成果だと述べることができます。 ――司馬博士 Footnotes 1. SCP-742-JP-1は財団規定に則った低レベルヒューマノイド判定試験の結果、遺伝子的に完全な人間であり、SCP-742-JP以外の特異性は確認されませんでした。 2. SCP-742-JP-2の風味は最高級のストレート・バーボン・ウィスキーに類似していますが、成分分析を行おうとした試みはこれまでの間、全て失敗に終わっています。
scp-743-jp
評価: +83+–x SCP-743-JPの発生したSCP-███-JP近辺 アイテム番号: SCP-743-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-743-JPの発生している区画は該当オブジェクトの特別収容プロトコル、あるいは未解明領域記録のセキュリティプロトコル、Anomalousアイテムの取り扱い方法に準じてください。SCP-743-JP発生中におけるポータル内への侵入は上級研究員3名以上の許可か、担当上級研究員の承認が必要です。 説明: SCP-743-JPは異常性を伴うポータルにおいて発生する付随異常現象です。SCP-743-JPはこれまで財団により管理、発見されていた低脅威度ポータル及び未解明領域記録、Anomalousアイテム分類されていたポータルにおいて発生が確認されたことにより認知されました。 SCP-743-JPが発生したポータルはそれまでの転移地点からランダムに転移先を変化させます。これらの転移地点は侵入ごとに変動することが確認されています。この転移地点は現在この報告書が存在する世界を基底現実世界と定義した場合、基底現実世界以外の世界へ転移することも確認されています。現在までに記録された転移地点は探索ログ及び異常転移記録743-JP-1-A(抜粋)を参照してください。 SCP-743-JPは主に都市部に存在する路地から接続されたポータルに多く発生していますが、その発生頻度と基準は不明です。 SCP-743-JPの異常性はSCP-743-JPが発生したポータルに、以下の条件を満たし侵入した場合のみ発生します。 おおよそ日没後、あるいは夜明け近くの薄明帯。現在段階での厳密な同定は為されておらず、一部研究者から侵入者の主観に依存する可能性を指摘されています 血中アルコール濃度0.11~0.15%以上 これ以外の条件において侵入した場合、転移先は本来の転移する地点に限定されました。 SCP-743-JP発生中の転移はほとんどの場合において、何らかの"道"と表現される中継点へ発生すると推測されます。この"道"については厳密な定義は存在せず、侵入者の主観、あるいは辞書的表現に依存するものであると指摘されています。 以下はSCP-███-JPにおいて発生したSCP-743-JPの転移記録です。 異常転移記録743-JP-1-A(抜粋) 試行回 転移先 注記 1 ██高速道路██~██間 2 ██県、国道███号線 旧東海道の██宿から██宿の中間点であった事が確認された 13 アメリカネブラスカ州の廃駅舎 現在時点でこの駅舎は使用されておらず、移転理由は不明 18 太陽から約100AU離れた宇宙空間 無人惑星探査機ボイジャーの航路と一致した 22 基底現実世界外空間 広大な湿地帯と未知の生物を確認したのち、映像が停止。基底現実外空間に移転した初めての例 29 基底現実世界外空間 特別移転記録743-JP-γを確認 33 基底現実世界外空間 侵入と同時に"押し出されるような感覚"を受け、SCP-743-JP外に排出される 40 基底現実世界外空間 特別移転記録743-JP-εを確認 特別移転記録743-JP-γ 以下は20██/██/██、29回目の移転試行において移転した基底現実世界外空間内における調査記録の転写です。 <00:00:00> 侵入したAgt.酒匂は広大な空間の中心に立っている。周囲一帯に雪が降り、視点が回転するも風景は変化しない。司令部の指示に従い移動を開始する <00:06:30> 降雪は継続、Agt.酒匂は約100m程度移動。この際採取された雪は帰還時には消失。SCP-743-JP内における簡易検査ではクラスⅠ霊的実体と類似する結果が確認されている <00:15:18> ドードー(Raphus cucullatus)の頭部を持つ人型生物との接触が発生。規則的な呻き声をあげ、何らかの言語、知能を有すると推察される。現時点で財団言語学部門における結論は出ていない。また、該当実体は周辺環境との物理的相互作用が不可能であると推測され、Agt.酒匂の呼びかけに答えず接触も失敗に終わる <00:20:45> 該当実体が突如鳴き声をあげる。この鳴き声は1分程度継続する。鳴き声の停止と同時に消失が確認される <00:20:55> 消失とほぼ同時にAgt.酒匂の周囲に青い光が確認され、Agt.酒匂は消失。同時にSCP-743-JP外に排出される この調査記録に対し、護良研究員、Agt.我路よりSCP-1922-JPとの類似点が指摘され、sGoI3-104("酩酊街")との関連について調査が行われました。 +特別移転記録743-JP-εを確認する場合、特定閲覧用生体コードが要求されます 以下の情報は閲覧用生体コードの入力後、認証を行い開示されます。 許可された職員以外の同席、身分を偽っての閲覧は財団における身分の剥奪や解雇の理由となります。 待機してください。 . . . . . . . . . . . 承認されました 特別収容プロトコル(追記): SCP-743-JPの発生している区画は該当オブジェクトの特別収容プロトコル、あるいは未解明領域記録のセキュリティプロトコル、Anomalousアイテムの取り扱い方法に準じてください。SCP-743-JP発生中におけるポータル内への侵入は上級研究員3名以上の許可か、担当上級研究員の承認が必要です。SCP-743-JPにおける要注意団体"蛇の手"との協定の詳細においては別紙"対要注意団体渉外記録-JP アルファ-19-0543"を参照してください。 特別移転記録743-JP-ε 以下は20██/██/██、40回目の移転試行の際移転した基底現実世界外空間内において発見された文書です。この文書は放浪者の図書館内における"司書"と類似した特徴を持つ異常存在より譲渡され、譲渡と同時に外部への強制的な転移が行われました。また、文書の形態は譲渡時の状態に準じています。各研究員の所見等を踏まえた改訂版は別紙、"対要注意団体渉外記録-JP アルファ-19-0543-β"を参照してください。 ようこそ。 これはここへ迷い込んだ、彷徨の先に潜り込んだあなたたちへのメッセージです。 私たちは蛇の手です。 あなたが今いた場所はあなたたちの、あるいは私たちの呼ぶ"道"の半ばです。そう、つまりは私たちの図書館に繋がる道の途上です。驚かれたでしょうか? それは私たちも同じなのです。 あなたがたが突然この道に潜り込んできたとき、私たちは即座に図書館の防衛措置が執られるものであると考えました。しかしそうはならなかった、あなた方は緩やかに追い出されはしましたが、攻撃は受けなかった。私たちはその理由を探りました。そしてこの道の、"黄昏の道"の存在を知ったのです。 黄昏の道は本来私たちが過去に捨てた"道"の一つです。その理由をここで語りはしませんが、既に無くなったと思われていた"道"なのです。"道"は多くの場合他の道と集合することはありません。ここはありふれたポータル、世界の間隙であり、これから先もそうなるはずでした。 しかし、今回は私たちの"道"と彼らの、"酩酊街"の"道"が接続していることが分かりました。正確にはその"道"を酩酊の道が侵食していると言った方が正しいでしょうか。いえ、侵食というほどの意図もないのでしょう。薄闇が濃くなるように、夜霧が拡がるように、ただ"酩酊街"はそこに広がり、それらの道を覆ったのでしょう。この"道"は今や混然一体、全ての判断を曖昧にしています。まさしく誰ぞ彼、彼は誰、行き交う人々の顔も進む先も分からないように。 私たちから"酩酊街"の名前が出るのは驚きでしょうか? あれらが自らその名を名乗ったのか、あるいはその名乗りを私たちが付けたのか、それは知る由もありませんが、私たちはあれらについてあなたたちより僅かに多くの知識を有しています。ただし、それらの知識は常に流動し、一定せず、安定しません。あれらはそういう存在なのです。まるで酔漢の視る夢の如く無秩序で、頽廃的で、それでいて次の朝には忘れ去られる、そういった存在なのです。 私たちはあれらと緩やかな緊張関係を維持しています。もっとも、あちらからのアプローチはありません。ですが、あれらの行うことは私たちの理念に対し緩やかに異を唱えています。あれらは異常をあなたたちのように隠すことも焚書者たちのように燃やすこともしません。ただ一切を忘れていくのです。酩酊、忘却、停滞こそがあれらの持つ唯一の理由でしょう。その理由すら忘却していることも否定できません。 この手紙に添えて、私たちの持つ"酩酊街"についての資料を譲渡します。これはあなたがた看守が脱走者を追うための手段です。そして私たちが捕捉するための方法です。私たちは協議の結果、あなた方にこの存在の知識を渡すことを決定しました。その意味を考えてください。念を押しますが、"酩酊街"について確立した理解を得ようとしてはいけません、確立した基準を設けようとしてはいけません、確立した判断を行ってはいけません。それはまさしく酔っぱらいに説教する看守となってしまうでしょう。 最後に、"黄昏の道"についてはいずれ協議を行う必要があります。こちらで改めて日時を指定しましょう。 ~ K. 放浪者の図書館にて、20██ 酩酊街 1 Drunkard Street、酔生夢死、停滞と慕情の遥けし地、隣墓リンボ 概観23 酩酊街は図書館the Libraryと同様に、魔法を以て行き来することが可能である異空間と推測される存在である。主にその存在は酩酊・忘却・停滞を喚起させるとされる。酩酊街は我々の世界と緩やかな因果律の同調を見せているとされ、酩酊街で起こった事象が私たちの世界に影響を与える可能性も指摘されている。また、一部条件を満たすことで侵食を行う可能性も示唆されている。 "彷徨の書"を初めとした一部の書物には、これらが私たちの世界と独立しつつも重なり合って存在する世界であると断片的かつ詩的に記載されている。4その表現は多様な解釈が可能であり、酩酊街は世界の狭間に存在するとも考えられ、一方では集合的無意識の底部に存在するとされ、あるいは何処かの海溝ともされる。 "手"との関係は明確に敵対するとは言えないものの、けっして良いものとは言えない。正確には"手"による緩やかな警戒、情報の収集が一方的に行われている。酩酊街からの接触は現在時点では発生していないが出現する物品に文章が付随することも多く何らかの管理者、何らかの支配者5が存在する可能性を示唆している。 知識 特徴: 酩酊街については私たちも確たる情報を持たない。唯一全ての証言、記述において共通する表現は酩酊・忘却・停滞であり、この世界において忘れられたものが到達する場であるという仮説は"手"の内部におけるもっともメジャーな共通認識となっている。6 酩酊街は忘却による受動的な到達に加え、"図書館"と同様に魔法的措置を用いて能動的に辿り着くことが可能。ただし、この到達方法は一方的であり帰還は困難である。"道"の段階であれば帰還は許される場合もあるが、内部に侵入した場合の帰還は書物における記述以外で確認されていない。 外見: 酩酊街の主な外観はその一方通行的性質により帰還者の証言、あるいは出現した物品によって推測されるものがほとんどである。また、ごく稀な例として"道"を通り抜け"図書館"に至る際、その一端を目撃する事例が確認されている。しかし、それらは証言の度に変動することから詳細は不明である。以下はそれら断片的な証言、記述により推測される概観である。 本体部: おそらくは酩酊街の中心たる地域。明確な基準はないが区分けされているとも推測され、旧暦、十二節季、十干、干支などに対応した名が付けられているとする証言も存在する。7酩酊街に関連する存在の一部はここからの出奔者であるとされる。内部には一切の記録が存在していないともされ不立文字の街と称されることもある。 道: 本体部と私たちの世界の緩衝地点とされる場所。一部の関係者、知識人はこの場所を隣墓リンボと呼ぶが、多くの場合、単に"道"と呼称される。多くの訪問者はここを経て酩酊街を訪れることになり、一部の地域には案内人が存在している。案内人の存在が"道"の定義となる可能性も示唆されており、"案内人"によってその"道"の性質が決定される説も存在する。8 注意、これがこの場所の確たる、正しき全てではないだろう。これらは見る人間によって変わる幻覚のようなものだ。あの場所を確定することは誰にもできない ~ K. 資料の多くには降雪の記述があるが、矛盾する記録もあり9、断定はできない。 性質: 酩酊街は現在まで全ての状況、場面においてほとんど能動的な行動、問いかけを発していない。"図書館"における全ての資料内にも酩酊街からの行動に基づいたものは存在しない。酩酊街による唯一と言ってよい能動的な働きかけは、関連する物品の出現時に付随する手紙のみである。この手紙もまた一方的なものであることが多く、何らかの機械的機構であることが予想される。 案内人が存在しない、あるいは酩酊の存在を認識しない世界の空漠を侵食する性質を持ち、"道"のいくつかはこれらの性質により発生しているものであると推測される。これらも能動的なものではなく一種の自然現象に近いものと推測される。10 歴史と関連組織: 酩酊街についての歴史、情報は"手"内部においても極端に少なく、"彷徨の書"等の書物に細かな断片が残るのみである。これらの情報もまた、あくまで全体の一部を記述しているにすぎないとされる。その為、酩酊街を理解するにあたって重視することは推奨されていない。11 他の団体において酩酊街に関連する情報は存在しないか、あるいは存在していてもごく小規模であるとされる。看守Jailerの元に一部関連物品が存在し、焚書者たちthe Bookburnersによってその一部が破壊されている。 接触: 酩酊街側からの働きかけはないため、此方から接触しない、あるいは酩酊街に起源をもつと推測される物品に触れない限り問題は発生しない。接触手段である"道"は現在時点でいくつかが発見、同定されているが、一方通行の性質上侵入は好ましいものではなく避けるべきである。侵入した場合は最低でも"道"に留めること。"道"内部での偶発的な接触は関心を持たず、関与を避けることが推奨される。 観察と物語 酩酊街についての記録は上記するように一定せず、また全貌は判明していないものであると推測される。 過去、─人間が人間の形を伴う以前の記述においては酩酊街は何らかの卵であるとされることが多い。その表現が用いられる場合、現在の酩酊街は空、あるいは殻であるとされる。すなわち、なんらかの大いなるものが生まれ、その跡地、あるいは残滓に力持つ者が住み着いたとする説である。これにおいてはZ.チョウが『胡蝶、あるいはそれに付随するレムの名の元』において提唱した説が有名である。 また、その空漠を侵食する性質から蔓植物や樹木に例える例も散見される。だが、そこに植物の持つような生存本能、あるいは意図があるとは考え辛く、霧や闇のような自然現象に近いものであると改める説が主流である。 しかし、その一方で泡や夢、煙に例える記述も確認され最終的にその全貌は不明である。これらの説においては酩酊街自体が変化する、あるいは主観者の観測により変化する概念的存在であることも示唆されている。 "芽キャベツの二日酔い"や、"ドードーの踊り"などという詩的な珍説も確認される ~ Q.TT. 疑念 酩酊街がそもそも"どういった存在であるか"、といった理由を求めることがすでに無意味であるという小規模な論議は数百年前より散発的に発生し、霧消している。また、酩酊街の正体を解き明かすことが異常存在の忘却を阻止し光の下へ開放する事に繋がるか、といった疑問はこれもまた小規模ながら長きにわたる論争の種となっている。 この論争は全く意味を無さない。無駄の極みだ ~ K. K. それは少々攻撃的な意見です。確かにこれらが空であれ殻であれ、起こりうることには関係ないやもしれませんが、私たちは敬意を忘れてはいけません - R.K.R. すまない、R.K.R. 少々攻撃的に過ぎた。私はただこれらは結局"意味のない静物"であり、考えることは酔漢の脳内を察するくらい無意味だと言いたかっただけなんだ。私たちには他にもっと向かうべき課題がある ~ K. K.の意見に賛成ですかね。ただ、それがどんな存在であれ、僕達の理念とは緩やかながら一致しないってのは覚えておいてもいいかと ~ R.円. 看守たちによって私たちの"道"と酩酊街の"道"が合流する可能性が別の形で示唆された。これに関して看守への情報提供が議案され、決定された ~ C.Ⅹ. 1. これらが"酩酊街"を名乗り始めた時期は不明 2. 注意、この文章は何処にも真実が書かれておらず何処にも偽りはない ~ K. 3. もっとわかりやすい表現を心がけてくださいね、要するにこの文章に書かれてることは頻繁に改定される。そういうことですね? - R.K.R. 4. "彷徨の書"第六編二章から抜粋:その街は卵であり巣であり泡である。油が水に浮かぶように、蔓が壁を覆うように、合わせた手が重なるように、水面のように存在する。 5. 恐らくはただの酔っぱらい ~ K. 6. この"忘却"の厳密な意義は不明だが、"図書館"内の資料もいくつか存在していると推測される 7. 酔っぱらいに区の違いが分かるとは思えないけどね。彼らはほら、いつも何処にいるか分からないだろ? ~ R.円. 8. 近年、これらの"道"が他の道と習合する性質があると確認された。図書館への"道"に繋がる危険性も示唆されている 9. "酔生夢死議伝"第四巻から抜粋:その地は春の如し。桃咲き乱れ、酒精に満ち、歩くだけで酔い、迷う 10. 侵食、という単語は妥当ではない気がしますね、ニュアンスを上手く伝える単語を検討しておきます - R.K.R. 11. あくまで推奨されてないだけではあるよ ~ R.円. これらの情報を受け、後日、SCP-743-JPに関する協議が行われました。以下は同協議における"蛇の手"との議事ログです。また、この協定に際し機動部隊シグマ-3よりAgt.ミフネ、Agt.ナガオが渉外員として派遣されています。 第一回SCP-743-JP関連事案議事ログ 日時: 20██/██/██ 場所: 財団所有フロントビル[編集済み] 出席者: 財団所属 / 鷲尾管理官、Agt.ミフネ、Agt.ナガオ "蛇の手"所属 / C.Ⅹ.、K.、R.K.R. 議題: SCP-743-JPにおける財団と蛇の手の共同管理に対する議論 <再生開始> (前半部は事実確認のため省略) 鷲尾管理官: C.Ⅹ.、あなた方の要求はSCP-743-JPが発生した地点、オブジェクトの初期権限を譲れ、そしてその上で異常性の一部を処理する。その対価として酩酊街に関する知識を譲渡した。そういうわけですね? C.Ⅹ.: そういうことになります。シグマ-3に関連するあなた方であれば分かるでしょうが、これは"手"全体の統一された意見ではないことをご了承ください Agt.ミフネ: 確認させてもらいます。"蛇の手"の目的は何ですか? K.: 第一にシグマ-3を除く財団が"図書館"へ侵入することをどのような形であれ禁止すること。加えて"酩酊街"からの侵食を停止すること 鷲尾管理官: 質問させていただきます。"図書館"への侵入がどのような形であれ発生するのを避けたいのは理解できます。しかし、酩酊街についてあなた方がそこまで特別視する理由とは何なのでしょうか C.Ⅹ.: 特別というわけではありません、私たちがあなた方の理念と反している事と同様です。あなた方へ対する警戒と酩酊街への警戒は同一のものです。酩酊街はその性質上、私たちにとっても不可解で理解が及ばない部分がある。それと"道"が繋がることは私たちだけではなく"図書館"全体の不利益ともなりかねません Agt.ナガオ: 重ねて質問を。SCP-743-JPはとどのつまり酩酊街への通路だったという解釈で構いませんか? R.K.R.: その解釈は異なります。それは異常性の面からも原義的な面からも。しかし、そこに酩酊街が侵食、この語は妥当ではありませんね。浸透とでもしておきましょうか。紙に水が染みるように浸透するのです。そして世界は揺らぎ、酔漢の夢のように様々な現実が交差する。それが薄闇の頃しか発生しないという事からも自明の理でしょう。現実が揺らぐときにしかあれらは姿を見せないのです 鷲尾管理官: つまり、我々の世界に侵攻してくると? R.K.R.: いいえ、私たちも全貌を掴んでいるわけではありませんがそういった意図はないのでしょう。申し訳ありません、私たちとしてもあの場所については知識が薄いのです。独自の接触を行う"商人"も存在しているとは聞きますが Agt.ナガオ: では、"手"はどういった処理を行うつもりなのでしょうか C.Ⅹ.: あの場所より"図書館"に繋がる道だけを否定し、抹消します。あなた方にとっても無用の諍いを生む必要はないでしょう? 鷲尾管理官: 了解しました、この件は持ち帰り改めて議論させていただいた上で次回の会合において回答を行います。それで構いませんか? R.K.R.: 承知しました。他に何か確認しておきたいことなどありますでしょうか Agt.ミフネ: 改めてですが酩酊街が侵食、この場合はあえてそう言わせてもらいますが、それを行うことはないのでしょうか R.K.R.: 断定はできません。ですがそれにはこう答えましょう、ミフネさん、ナガオさん、あなた方はあの場所をどう感じましたか? 端的にで構いません Agt.ミフネ: あのポータルを見た感想でいいのであれば青い放射は確認できました。加えて感じたのはそのような放射が確認される場所とは違う。違和感、そうですね、"犠牲なき世界"Not sacrificed Worldとでも言うべきなのでしょうか Agt.ナガオ: 私も同じです。ただ、私が感じたのは犠牲なきというよりは犠牲が存在しない世界、でしょうか R.K.R.: そういうことです。あれらはその世界に変えようとしているのではなく、あの世界に収束すると世界そのものが諦めている、だから自ら動くことはなく犠牲すら必要としない。その諦観を愛だというのならば、その愛は私たちの望む変化とは相反する。そう私たちは考えています <再生終了> 協議の結果、財団はsGoI3-104("酩酊街")に関した"蛇の手"が所持する情報を得る対価としてSCP-743-JP現象、あるいは新たなSCP-743-JP類似現象が発生した場合において、"図書館"への道を封鎖するという目的からその管理権を一時"蛇の手"に移譲することが決定されました。この協定を以て"蛇の手"との乙種協力関係が発生しました。 また、この協定に伴い"蛇の手"代表によりSCP-743-JPを経由した"図書館"への侵入は停止されました。この停止作業に関しては協定上財団による監視は為されておらず方法は不明です。加えて新たなSCP-743-JP類似現象が発生した場合、財団はその管理権を一時"蛇の手"に移譲することが決定されています。 -閲覧を終了する
scp-744-jp
評価: +63+–x SCP-744-JP(1989/7/██ 収容室内で撮影) アイテム番号: SCP-744-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-744-JPはサイト-8137にて24時間体制でカメラによる監視をされた状態で収容されています。職員が収容室内に入る場合は必ず4名以下で入室してください。現在、SCP-744-JPに対する実験は停止されています。 週に一度、Dクラス職員を用いてSCP-744-JPの目視確認を行ってください。 説明: SCP-744-JPは幅11cm、高さ5cm、奥行3cm、重さ100gの人形です。SCP-744-JPに対するサンプルの採取は傷がつかないために失敗していますが、非破壊検査によりその素材は土のみであることが確認されています。 外部からの出入りが遮断された室内に、5名以上の人間と共にSCP-744-JPが存在している場合、室内の5名の人間が瞬時に接合されます(以下、接合された被験者をSCP-744-JP-Aとする)。出入りの遮断開始から接合までの時間は20分を上回ったことはなく、実験開始から16秒で接合された例も存在します。SCP-744-JP-Aの接合の瞬間をとらえようとするあらゆる試みは、原因不明の観測機器の一時的な故障、室内照明器具1の一時的な消灯によって全て失敗しています。 SCP-744-JP-Aの接合はSCP-744-JPと同じように腹部及び背面に対して起こり、着衣を含めて繊維、細胞レベルで接合します。SCP-744-JP-Aは食事や睡眠などの基本的な生活をさせることで生存が可能です。しかしSCP-744-JP-Aの接合を外科的な方法で解除することは、その身体的な構造の変化、特に胸部の骨、消化器系の変化によって困難を極めます。現在までにSCP-744-JP-Aの接合解除成功例は、2名2に留まっています。 SCP-744-JPの収容室内から足音と笑い声が聞こえると言う報告が複数の職員から寄せられています。しかし、これらの音は収容室内外の音声記録装置には記録されていません。 SCP-744-JPは1989/7/22に████県████市のマンションの一室から回収されました。部屋には5名の家族が住んでいたことが記録から明らかになっていますが、現在もその行方は不明です。室内に異常を示す痕跡はありませんでした。また、室内から土人形のものと思われる破片が回収されています。破片とSCP-744-JPとの関連性は不明です。 事件記録744-JP-1: 1989/8/2に機器の故障に対処するため、一面をガラス張りにした部屋を用いてSCP-744-JPに対する実験が行われました。その結果、実験用Dクラスを除く10名が室外に居たにもかかわらずSCP-744-JPの影響が発現、SCP-744-JP-Aとなりました。事件後、SCP-744-JPに対する実験は停止されています。 事件記録744-JP-2: 1989/8/10、夜間巡回していた警備員がサイト-8137の廊下にてSCP-744-JPを発見しました。幸い、警備員は2人で行動していたため接合されることはありませんでした。その後の調査により、SCP-744-JPはAM2:██に廊下に突如出現していたことが判明しています。なお9日の時点で収容室内の足音と笑い声の報告頻度に著しい上昇傾向が確認されており、10日AM9:00より収容室内部の調査を予定していました。 補遺: 事件記録744-JP-2後、収容室内の足音と笑い声の報告が通常的な頻度まで低下しました。この件を受けて、特別収容プロトコルを一部改訂しました。 脚注 1. ランプなど非機械的なものを含む 2. 2名ともSCP-744-JP-Aでは最後尾だった。
scp-745-jp
評価: +159+–x アイテム番号: SCP-745-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-745-JPはサイト-8115の耐時間異常施工済の快適居住型上級収容室に収容され、設置されたXACTS1は月毎に整備されます。SCP-745-JPは基本的にはタイプβ-現在先行型過去改変能力者と同様の規定された収容環境が与えられますが、筆記用具と著作物の提供は許可されません。SCP-745-JPには如何なる形であっても指定された格納エリア外での思考の伝達は行わせないように努めてください。現在SCP-745-JPを用いた実験には碓氷博士の事前の承認が必要です。 説明: SCP-745-JPは収容以前までは日奉樹(Isanagi Tatsuki)として知られていた日本人男性です。7歳の時に養子として引き取られるまでは児童養護施設にて育ち、収容当時(2013/09/12)は26歳だったと記録されています。収容後の精神鑑定では「演技性人格障害」の可能性があると診断されていますが、それと後述の異常性を除けば精神肉体共に通常の人間と変わりありません。 SCP-745-JPは世間的には████関数の一般化や、████████の定理の研究などで多くの業績を生み出し、若くして世界的に注目されていた数学者の一人です。2013年4月に████予想を単独研究で証明し、国際数学連合から異例の特別賞を受賞したことで広く知られています。現在は収容に伴ってカバーストーリー「虚血性心疾患による急死」が流布されており、公的には死亡しています。 その異常性はSCP-745-JPが既存の著作物2を「剽窃」することで発生します。この場合の剽窃とはSCP-745-JPが対象となるものの写し(SCP-745-JP-1と識別)を作成し、「SCP-745-JP-1は自身が独自に考え出したものである」といった旨を何らかの形で他者に提示することです。SCP-745-JPが剽窃を行うと、対象となった著作物やアイディアなどはその時点で「今まで存在していなかったもの」となるように過去改変が行われます。SCP-745-JPとSCP-745-JP-1だけはその改変に伴う再構築の影響を受けません。この能力の対象となるのは人の手で作られたものに限られるようですが、確実な研究データが得られておらず3、対象となるものの条件などは未だ不明瞭です。しかし、過去の事例からこの能力は対象の「写し(SCP-745-JP-1)」と、他者への「提示」が発動に必要不可欠であると決定付けられています。加えて、過去改変の効果流の起点となるのはSCP-745-JP本体であることが収容後の検査で判明しており、現在はこれらの条件を前提にした特別収容プロトコルが適用されています。 2009年の時点でSCP-745-JPによるものと思われる過去改変は、財団の時間異常対応部門に検知されており、世界規模の起点捜索が実施されていました。2013年9月に過去改変前後記録比較調査の導入によって異常起点と特定され即座に回収が行われました。 補遺1: SCP-745-JPは財団の標準数学適正試験にて112点4を記録しました。 補遺2: 文書:745-JP/インタビューログ群 + 745-JP/インタビューログろ-1を閲覧 - 閉じる 745-JP/インタビューログろ-1 — 日付2013/██/██ 過去改変前記録によればインタビュー対象のウィズダム氏は、SCP-745-JPの過去改変がなければ████予想の証明を最初に宣言していた人物です。 日付: 2013/██/██ 対象: 男性 ネイル・ウィズダム氏(当時42歳、オックスフォード大学教授) インタビュアー: エージェント・ジェイワディナ 《記録開始》 インタビュアー: 日奉氏が証明した████予想についてお話頂けますか。 ウィズダム氏: ええ。私が数学者の道を歩んだのは、10歳の頃に████予想と出会ったのがきっかけでした。いえ、今はもうイサナギ定理と呼ばれているものですが。とにかく、300年以上も誰も解くことのできなかった難関に私は強く憧れた。████予想の研究はその時から始めていましたが、証明に本核的に乗り出したのは今から9年前のことです。 インタビュアー: あなたが████予想の研究に取り組んでいることはどのメディアにも言及されていませんが、そのことについては? ウィズダム氏: それは私がその研究を秘密にしていたからです。日奉氏と同じ単独研究だったんです。告知なしに████予想を証明したと宣言して世界を驚かせたかった。おそらく、日奉氏も同じことを考えていたんでしょう。後に知った彼の研究環境が私のそれとほとんど同じでしたから。 インタビュアー: 研究はどの程度まで進みましたか。 ウィズダム氏: [少し間が空く]嘘のような話なのですが。証明は私の頭の中ですでに完成していました。後はペンをとって紙を敷き、それを形にするだけだった。あの時は本当に冗談抜きで興奮で頭が爆発しそうだった。なにせ、無数の数学者が挑んで敗れ去っていったあの████予想にこの私がとどめを刺すことができると強く確信できた瞬間だったのですから。ですが、ちょうどその時に生徒が私に教えてくれました、「日本の若い数学者が████予想の証明を宣言した」と。 インタビュアー: 2013年の4月のことですね。その後、論文誌に日奉氏の証明が掲載されましたが、それをご覧になって何か特別に思うことはありましたか。 ウィズダム氏: もちろん。あともう一歩早ければ、とは思いましたね。頭の中に出来上がっていた証明には自信がありましたし、それに[沈黙] インタビュアー: 教授? ウィズダム氏: [少し間が空く]あの、これもまた嘘のような話なのですが。頭の中を盗み見られたんじゃないかと疑うほどに、彼の解と私のそれとがそっくりだったんです。類数公式の考案、他理論の応用、それぞれの展開の仕方、隅から隅まで全部です。馬鹿げた話に聞こえるでしょうが、本当のことなんです。当時は私もにわかには信じられなかった。 インタビュアー: そのことを公表しようとは思いませんでしたか。 ウィズダム氏: いいえ。そんなことをしても証拠がないんじゃ戯言と受け取られるのは目に見えていましたからね。私以外の人たちは私が████予想に挑戦していることすら知り得ませんでしたし。試しに知人に話したことがありますが、案の定の結果に終わりましたよ。 インタビュアー: なるほど。以上ですが、何か他に話したいことがあれば。 ウィズダム氏: [少し間が空く]嘘のような話を重ねるようですみません。たまにある夢を見るんです。日奉氏ではなく私が████予想を証明し、数学連合から賞を受け取っているシーンです。それも、普通の夢ではなく、現実と区別がつかないほどにリアリティのある夢です。そんな現実、あるはずがないのに。もう仕方のないことと諦めていたつもりだったんですが。私は自分が思ってるよりも未練がましい人間だったようです。 インタビュアー: そうですか。あの、これは私の自発的な質問なんですが。 ウィズダム氏: なんでしょう。 インタビュアー: 日奉氏を、彼を恨んでいますか? ウィズダム氏: まさか。私は彼を恨んではいません。むしろ傑出した数学者として尊敬してます。私が恨みを抱いているのは、自分の人生に対してですね。全てを████予想に捧げ、それでも後追いの天才に追い越される、惨めな私の人生にです。彼の死も本当に残念に思っています。天才はなぜ皆若くしてこの世を去ってしまうのでしょうね。彼が世界に与えた深い影響力は、これからの多くの世代にも受け継がれることだろうと思います。 インタビュアー: そうですね。今日はどうもありがとうございました。これでインタビューを終了します。 ウィズダム氏: こちらこそ、話を聞いて下さって感謝しています。 《記録終了》 + 745-JP/インタビューログい-1を閲覧 - 閉じる 745-JP/インタビューログい-1 — 日付2013/██/██ SCP-745-JPはインタビューに対する報酬として携帯ゲーム機とそれに対応するゲームソフトを要求。審議の結果、要求に適切に応じ、インタビューを試みました。 日付: 2013/██/██ 対象: SCP-745-JP インタビュアー: 碓氷博士 《記録開始》 インタビュアー: あなたが自身の特異性を自覚し始めたのはいつですか? SCP-745-JP: 特異性っていうのは皆様が仰るところの過去改変能力のことですかね。それなら、大学3年の時です。その時期の私は日々に忙殺されていまして、講義のレポートの提出が間に合わないといった事態に遭遇した際に、友人のレポートを写させてもらって、一時凌ぎのつもりでそれをそのまま提出したんです。そしたらですね。友人のレポートが消えていて、私のだけが提出されていたんですよ。後で友人にそのことについて尋ねてみると「レポートはそもそも書いていないし、お前に写させた覚えもない」と答えられて。 インタビュアー: それが自身の過去改変能力を自覚するきっかけだったのですね。 SCP-745-JP: はい。確信を持ったのは内容を盗用した卒業論文を提出した時ですがね。 インタビュアー: それについては、また詳しく訊きます。あなたは大学卒業後、大学院にて████関数、████████の定理の研究などに単独で取り組んだようですね。 SCP-745-JP: 過去の取材ではそう答えましたね。まあ皆さんなら既にお見通しでしょうけど、僕はそんな研究には一回も手をつけたことはないですよ。あ、でも、取材なんかでへまを出さないように最低限の知識は持つようにはしてました。 インタビュアー: なるほど。あなたがこれまでに剽窃したものは、いずれも本来は過去4年内で生み出されたものであると、こちらは確認しています。これについては。 SCP-745-JP: というと? インタビュアー: 例えば、あなたは数学者ですが、ベートヴェンの交響曲の楽譜ですとか、ドストエフスキーの小説の原稿ですとか、これらを剽窃すれば、歴史的な音楽家、小説家にもなれたとは考えませんでしたか。 SCP-745-JP: [笑い]そんな大昔に生まれたものを「今までなかった」ことにしたら、世界中の文化が書き換えられて大変なことになっちゃいますよ。そんなハイリスクなこと誰がやるもんですか。僕は、自分の能力がどれほど危険なものかはちゃんと理解しているつもりです。 インタビュアー: そうですか。それは本当によかった。剽窃したものが数学関連のものだけなのはなぜですか。 SCP-745-JP: 僕が元より数学者だからです。多才的な振る舞いで目立ちすぎても不審に思われるだけだと考えました。皆さんのような人たちがいて、軟禁される羽目になるとは思いませんでしたけどね。 インタビュアー: [少し間が空く]あなたは今のこの収容されている状況に対して嫌悪感を抱いていますか? SCP-745-JP: べつに。むしろ、皆さんに見つけられてラッキーだった。ここにいれば、ダラダラと生きていく分には困らないんでしょう?少し退屈ですけど。それと、僕は表では死んだことになっているんですよね?それも僕にとっては渡りに船というものです。もういつボロが出るかとヒヤヒヤする必要はなくなりましたからね。社会から隔離されて、逆にすっきりしてますよ。 インタビュアー: では、実験に対して非協力的なのはなぜですか? SCP-745-JP: だって、得にならないことをやっても意味ないじゃないですか。人の力を借りるんだったら、何か報酬を用意しないとダメですよ。 インタビュアー: あなたは実験に対する報酬として、インターネットの利用を要求していますね。これはなぜですか? SCP-745-JP: いや、大した用事じゃないです。ただ、僕の死に対して世界がどう反応したのかが見たくて。 インタビュアー: あなたの能力の特性と脅威を考慮すると、インターネットの利用は許可できません。あなたの公的な死への反応でしたら、我々が収集して口頭でお伝えしましょうか。 SCP-745-JP: いいえ、いいです。私は皆さんを信用できるほど、皆さんのことを知らないので。 インタビュアー: 分かりました。その要求に対しては別の形で応じることにしましょう。質問は以上です。ありがとうございました。 SCP-745-JP: はい。お疲れさまでした。 《記録終了》 報告: SCP-745-JPの過去改変能力の細かな性質については、実験データが不十分であるため未だ不明瞭ですが、本インタビューで見せたSCP-745-JPの反応からして、歴史的著作物の剽窃も可能なのだと思われます。過去の事例からはオリジナルを飛躍的に発展させるのは不可能であることや、対象の内容を理解する必要はないことなどが見て取れます。幸いと言うべきか、SCP-745-JP自身がその能力の危険性に自覚があったために、大規模な文化改変シナリオには至らなかったようです。ですが、彼の能力が本人の自覚なしに発動するものであることを我々は留意すべきです。彼の能力は彼の意思に関わらず、他者に利用されることもあり得るということなのですから。-碓氷博士 付録:覚書 精神鑑定の結果、SCP-745-JPは演技性人格障害であると断定できます。この人格障害の罹患者は注目されることが何よりの快感であり、それを得るためならば手段を選ばずに嘘を重ね続けるといった行動傾向をとります。SCP-745-JPの場合、今はもうその偽りの人格になりきってしまい、嘘をついている自覚すらもなくなっていると思われます。SCP-745-JPは「若き天才と謳われた自分の死に、世界各国から惜しむ声がある」という今の状況に満足しているのかもしれません。おそらく、彼を希少な過去改変能力者として我々が注目していることも、彼にとっては快感なのでしょう。 過去改変能力を自覚する前のSCP-745-JPは、いたって真面目で優秀な大学生であり、友人も多かったと聞きます。もし過去改変能力を行使しているうちに強い自己顕示欲が表面化し、その人格が歪んだものへと変化してしまったのならば、SCP-745-JP自身も、SCP-745-JPが保有する特異性の被害者の1人であると言えます。 -香山研究助手 脚注 1. シャンク/アナスタサコス恒常時間溝(XACTS)。効果場の及ぶ範囲に渡る因果流を安定化させるための装置で、SCP-745-JPによる時間異常の効果をSCP-745-JP格納エリア内に留めます。 2. 今までに対象となったのは文芸、学術、美術などに属する無体物です。 3. SCP-745-JPは実験に対して極めて非協力的です。 4. 財団の博士号取得者(数学)の平均値をやや下回るポイント。
scp-746-jp
評価: +53+–x アイテム番号: SCP-746-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 実験やインタビューの対象として用いるためのSCP-746-JPは、A形態(後述)を維持させ、サイト-8114の保安型上級収容房B-1を用いて収容します。基本的にはレベルⅢ特異再生能力者と同様の規定された収容環境が与えられます。SCP-746-JP-Bに変態させたSCP-746-JPを同サイトの長期生物学的保管ユニットを用いて凍結保存しています。 説明: SCP-746-JPは収容以前は日奉椋(Isanagi Ryou)として知られていた日本人男性です。元は児童養護施設に預けられていた孤児であり、5歳の時に養子に引き取られ、収容当時(2013/07/10)は24歳だったと記録されています。収容後、公的身分は交通事故で死亡したように偽装されました。身体的構造に通常の人間との差異は見られません。 第一の特異性はその異常な再生力です。SCP-746-JPは全体のおよそ99.2%を損失した状態から全身を復元させることが可能です。最も大きな損傷を受けたケースでは、手の中指のみの状態から徐々に失った肉体を形成していき、およそ2時間で元の状態へと復元しました。肉体の一部を切り離した場合はその肉片を中心に再生が開始され、結果的には独立したもう一体のSCP-746-JPが形成されます。この新しく生まれたSCP-746-JPは元のそれと同じ人格、組成、特異性、切り離される直近までの記憶を保有した完全な同一個体です。 第二の特異性はSCP-746-JPが死亡した際に発揮されます。SCP-746-JPが死亡すると、前述の再生を経て復活した後、その体表のあらゆる箇所から過剰量の身体各部位が枝分かれ式に発生していき、最終的には全長15mの人型が形成されます。この形態は通常時のSCP-746-JP-Aと識別され、SCP-746-JP-Bと称されます。 SCP-746-JP-Bの形状はその大きさを除けば標準的な男性の体格に近似しており、外見はSCP-746-JPの各部位が密集して構成されているように見えます。SCP-746-JP-Bの全体の大部分を占めているのはSCP-746-JPの頭部であり、それぞれ個別の意識を有しています。この時、各SCP-746-JPは完全にSCP-746-JP-Bの構成物と化しており、SCP-746-JP-Bは明らかにSCP-746-JPとは異なる人格が制御しているかのように観察できます。SCP-746-JP-Bは主に近辺に存在する人間に攻撃を与えるなどして、人類に敵対的であるかのような振る舞いを見せます。SCP-746-JP-Bを制御する人格とのコミュニケーションは今まで成功していません。 現在までにSCP-746-JP-Bが同時に複数発生した事例はありません。2体以上のSCP-746-JPが同時に死亡した場合、SCP-746-JP-Bを発現させるのはその内の1体のみです。SCP-746-JP-Bの今のところの実行可能な終了方法は、焼却などの手段でSCP-746-JP-Bを構成しているSCP-746-JPを全て消滅させることです。 発見ログ: SCP-746-JPは2013年7月10日に岩手県の██工業団地からの「妖怪が暴れている」といった旨の通報を発端に初期回収が開始されました。SCP-746-JPはこの時すでにSCP-746-JP-Bに変態しており、建物を破壊しながら近くの市街地に向かっていました。収容後のSCP-746-JPは、この時のSCP-746-JP-Bへの変態の原因はバイクの横転による怪我であると証言しています。 補遺: 収容後のインタビューの結果、SCP-746-JPは██工業団地での一件を起こすまで、自身の特異性を自覚していなかったことが分かりました。またSCP-746-JPは保有する特異性の起源について、自身の養父と何らかの関係があるのではないかと証言しています。その根拠として「父は医者だった」「父は3年前に俺たち兄妹を残して突然音信不通になった」「父は頻繁に"父としてお前は俺が守る"と俺に言い聞かせていた」などの点を挙げていますが、いずれも非論理的/直感的なものです。なお、SCP-746-JPの養父に当たる人物は、財団の情報網をもってしてもその行方をつかむことはできませんでした。 追記: SCP-746-JPがSCP-746-JP-Bの外見について「体格や顔の作りが親父に似ている」と証言しています。
scp-747-jp
評価: +153+–x 当該データベースは正常に更新されました。主な変更点:実験記録の追加 実験中のSCP-747-JP アイテム番号: SCP-747-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-747-JP実体は標準収容ロッカーに、個別に緩衝材で梱包された状態で収容されます。 説明: SCP-747-JPはニワトリ(Gallus gallus domesticus)の無精卵であり、腐敗しません。現在、81個が収容されています。 SCP-747-JPと十分な量の液体を同じ容器に入れて加熱し、液体の温度が80℃付近になったときに異常性が発現します。SCP-747-JPと液体、容器は位置関係が完全に固定され、別個での移動が不可能になります。また液体は加熱がなくとも温度を保ち続け、蒸発によって減少しません。およそ8分29秒後にこの固定状態と温度の維持は解除され、SCP-747-JPは消失します。   実験記録は省略されました。詳細なデータの要求はSCP-747-JP研究チームまでお問い合わせください。   [不明な経路でファイルの更新が行われました]    + 破損した部分を除いてファイルを表示 14年目。完璧には程遠いが、このメッセージぐらいは後に残せるはずだ。少しずつ積み重ねよう。どうやら私達は数え切れないほど卵を茹でてるらしい。   もうまともなデータベースはここにしか残っていない。私達は失敗した。何もかもが狂ってる。収容違反に次ぐ収容違反、私の知らなかったオブジェクトによるあらゆる私の知らない変化を世界は経験している。でも、記録する限り32年間、卵はずっと茹でられ続けてる。   不完全とはいえかなりの記録が残っている所を見ると、どうやらかなり精度が悪いらしい。問題はいつ戻されるかわからないことだ。時間遡行に関する技術はあまりにも進歩が遅く、大半のファイルは壊滅的な被害を受けてしまう。卵は変わらずに茹でられている。   18年目、元日。まだ成果は上がっていない。俺達がこの卵を中心に踊らされてるってことはほとんど確定的になった。   このメッセージは信じ難い。本当に信じ難いし、できれば虚仮威しであって欲しかった。全ての調査結果はただ私達がひたすら卵を茹でてるってことを示している。   世界オカルト連合との協力体制が確立されて7ヶ月目、時間遡行が確信されてから実に5年半です。成果はありません。技術力の向上はめざましいものを見せていますが、それ以上にこの卵は強烈なものを持っています。我々は多くのものを犠牲にし、規模を大きく縮小しました。卵は依然として茹でられ続けます。   6年と4ヶ月。なぜこんなオブジェクトに対する21回目の実験が認可されたんだ? 我々はいつからこの卵を茹でているんだ? この卵はどこから来たんだ? さっぱりだ。何故か気付かなかった疑問が今になって山ほど発掘されてきた。そしてその全部が、このふざけたメッセージ達の正当性を証明している。受信時にはもう手遅れだっていうのに。卵はまだ茹で上がらない。   加熱開始から37年目。この卵を除いて、明らかに世界は変容しつつある。今までになく急速に。卵は茹でられる。   システムによる自動保存:変化無し。8409000h 加熱状態は継続しています。   当アラートはFoundation-aPaプロテクトによって最優先に保護されています。 こちらは67年目です。ようやく対時間遡行用の情報保護に成功しました。恐らくほとんど完全な状態でこのファイルは受け継がれ続けるでしょう。でも、この技術の全てを伝えるにはあまりにも許容されるデータ量が少なすぎます。いつ全てが無に帰すかわかりません。あの卵が煮えているうちに、私は最低限の内容を記述してこれを保存しなくてはなりません。 SCP-747-JPの実験を開始すると同時に同一の署名、IDを保有した大量の不完全なファイルが押し寄せていると思いますが、それらの内容は全てが事実です。 簡潔に述べれば、SCP-747-JPは観測宇宙全域に影響する、様々な期間のタイムループを形成すると考えられています。できる限りの痕跡を追った結果、タイムループの期間は数分から数十年にまで及ぶことがわかっています。SCP-747-JPの固定状態が解除された時に時間遡行は引き起こされ、加熱開始時点に戻るのでしょう。あなたが受け取った破損したファイルのタイムスタンプを見てみればわかるように、その期間はまったくランダムであるように見えます。 このタイムループは、今まで我々が観測し、収容したどんなタイムループより雑で、強引で、強力です。SCP-747-JPの引き起こす大規模な時間遡行は少なからず基底宇宙の現実性や因果律に悪影響を及ぼし、これまでのループではXK-クラス世界終焉シナリオ、CK-クラス再構築シナリオ、さらにはZK-クラス現実不全シナリオさえも確認されました。 少なくとも以前の実験までは8分29秒経過すれば状態は解除され、何の問題もありませんでした。もしそちらでは何事もなく実験が終了したのなら、あなた達は……本当に僅かな可能性ですが……成功したのでしょう。つまり、今まで確認されてきた8分29秒というオブジェクト活性化までの加熱時間、SCP-747-JPの起源が不明であること、多数の過去改変と時間遡行の形跡から我々が仮定したのは[不明なエラー:データが存在しません]   [新規テキストファイル1件:送信者の署名がありません]   いつもありがとう。このぐらいの半熟が好きなんだけど、茹で時間はよくわからないし、卵は見張っとかなきゃいけないし。またお願いするよ。じゃ。   - 管理者へ報告します
scp-748-jp
評価: +68+–x 評価: +68+–x クレジット タイトル: SCP-748-JP - 手前ミツコシ文化ミソ 著者: ©︎Kigoremon 作成年: 2017 評価: +68+–x 評価: +68+–x アイテム番号: SCP-748-JP オブジェクトクラス: Euclid D-1457の頭蓋内より摘出されたSCP-748-JP-1、一部に劣化が確認できる。 特別収容プロトコル: SCP-748-JPはサイト-81██の中型収容ロッカーに、SCP-748-JP-1は冷蔵状態の小型バイオ収容ケースにそれぞれ収容されています。SCP-748-JP及びSCP-748-JP-1の重量は常時計測下に置かれます。担当研究員は重量変化が確認された際に出現したSCP-748-JP-1の移送と成分解析を行って下さい。 説明: SCP-748-JPは高さ110cm、最大径55cmの味噌樽であり、素材にはヒノキ(Cryptomeria japonica)と真竹(Phyllostachys bambusoides)が用いられています。SCP-748-JP-1は米味噌と人由来組織の混合物です。SCP-748-JP-1に含まれている米味噌はSCP-748-JP内で熟成が行われた物ですが、生成過程と原材料に特異な点は存在しないと考えられています。SCP-748-JP-1の風味や外見は一般的な米味噌と概ね一致します。SCP-748-JP-1は消費1された際に同量がSCP-748-JP内に再出現します。 摂食されたSCP-748-JP-1の0.5~3.0%は摂食者の大脳の無作為な部位と置換されます2。頭蓋内へと転移したSCP-748-JP-1は基本的に腐敗の兆候を示しません。この置換により摂食者の生体機能が直ちに脅かされる事はありませんが、多量の摂取は自己認識機能の低下、他の摂食者との限定的な感覚共有、不定期的な多幸感を引き起こします。これらの兆候が確認された摂食者はSCP-748-JPから7km3離れた時点で意識の混濁を示し、再接近を行わなかった場合は数日で脳活動が停止します。 + 実験記録を開く - 実験記録を隠す 実験内容: SCP-748-JPを用いて一般的な手段で米味噌を熟成させ、D-1457に摂食させる。 実験結果: 米味噌は再出現しませんでした。 実験内容: D-25にSCP-748-JP-1を摂食させ、消化前に摘出した物をD-1457に摂食させる 実験結果: 再出現したSCP-748-JP-1にはD-1457の体組織が含まれていました。 実験内容: D-25にSCP-748-JP-1のみを摂食させ、排泄物をD-433に摂食させる 実験結果: 再出現したSCP-748-JP-1にはD-25の体組織が含まれていました。 実験内容: D-25の大脳を摘出し適量のSCP-748-JP-1と外科的に置換を行う 実験結果: D-25にオブジェクト由来の異常性は発現せず、各種数値の確認後に終了措置が行われました。 実験内容: 大脳の約30%がSCP-748-JP-1に置換されていると見られるD-1457をSCP-748-JPから隔離し、状態変化を確認する 実験結果: SCP-748-JPとの距離 症状 2km以内 摂食実験以前と比較して共感性の増大・知能テストの微細な成績低下が見られるものの、平常業務を問題無くこなしている 5km 譫言、不意に陶酔の表情を浮かべて行動を停止する、他の摂食被験者との同時行動と言った症状が見られる 7km 自己認識機能の大幅な低下、意識障害、散瞳、支離滅裂な言動などが確認され、3日目には昏睡状態に陥った 15km 呼吸の停止、鼻孔からの褐色液漏出といった症状を示し、5時間後には脳機能の完全停止が確認された。終了後の解剖調査では頭蓋内のSCP-748-JP-1に大幅な劣化が確認されている 実験内容: D-433の大脳ほぼ全量をSCP-748-JP-1に置換し長期的な観察を行う。 実験結果: D-433の行動様式は著しく統一感を欠き、インタビューや精神鑑定では実施の度に全く異なった結果を示しました。一方で短期的な記憶に障害はなく、研究チームからの指示や質問に混乱を示す事はありませんでした。各種検査から推定される人物像は多くの場合が大正-昭和時代をバックボーンとしており、インタビューには高い頻度で引きつるような笑い声の混入が記録されています。D-433は19██/██/██の第4回実験の際に護送中の警備スタッフから突如逃走し、SCP-748-JPから約100m地点で転倒、全身の孔より赤褐色の粘液を流出させて死亡しました。逃走の直前にD-433はサイト内通路の一点を凝視していた事が報告されていますが、逃走の要因となった対象は判明していません。 SCP-748-JP-1摂食実験はオブジェクトの実質的な増加を招きます。更なる実験の申請にはサイト-81██管理官の承認を得て下さい。 -██博士 SCP-748-JPは191█年に発生した宗教団体██会における信徒の不審死を契機として蒐集院に回収され、後に財団へと管理が引き継がれました。回収当時の██会では共同生活を営む信徒4█名全員が日常的にSCP-748-JP-1を摂食しており、終了後の解剖調査では大脳のほぼ全量がSCP-748-JP-1へと置換されていたケースも確認されています。現在のSCP-748-JP-1には██会の宗主であった隅埜██氏をはじめとする7█人分の人由来組織が含まれています。 補遺: 蒐集院が行っていたSCP-748-JPの異常性に関する調査資料は大部分が関東大震災後の混乱を機に失われており、隅埜██氏個人についての残存資料は以下の聴取記録のみです。 隅埜██に対する初期聴取記録 第███番 へぇへぇ、札やら祝詞やらあんたら本物ですか、う ちのも救つてやれあいいのにね、へゝ あの樽、バアさまの代から家にあつたとか云ふ事で すが由來なんざ無いでしよ、味噌樽ですよ へえへ、いやねどうせ金無し種無しだ、へ、へゝ、 清貧らしく神佛の眞似事でもしてみようかつて お偉い方めいてか、からだの一部分けたりしたらハ ク附くかなとね、で███指やら爪は痛ェし垂レ4ぢや 汚ェ、で、で家に味噌樽あるしミソでね、へえへ へえ、云へ、ここね後ろ頭べこんとしてるでしよ、 親父にひのしでヤられて割れたんだつて、へゝゝ え、診たセンセイもをかしいよね零れてたから返す よつてねラムネ瓶に入れてへえへゝゝゝ すつかりクズみたいになつて轉がつてたのを、へ、 た、樽に混ぜてね、芋がら汁にしてこしらえ説法ぶ つて飮ませてたらへ、へゝえへ、ボオつとして信じ てくれるんでね、あとは増やして、へえへゝ 自分もウチのら何やつてるかな、分かるからこれが 悟りなのかなとね、へゝ 何となくね、ミソに██つてるなつてのはピンとね、 へ、へえへゝ、そりゃ初めは食べなかつたですよ自 分の頭んなかなんて、へえへゝゝゝ でも我慢が、またほしくてね、へえ、小桶に入れて た最初のをね、自分で味噌汁にしたり燒いたりで全 部喰つてね、へえへ、かき混ぜてへゝゝえへ 己れが齒ですりつぶされるのがねえ、へ、へえ飮ま れて、救はれてるなァとォ、たまらなくて、へゝゝ 追記: 蒐集院からの引き継ぎ以降、財団の認知する実験と連動しないSCP-748-JP-1の再出現が█回発生しました。混入している人由来組織の比較調査により、蒐集院収容下の比較的早い段階において多量のSCP-748-JP-1が持ち出された可能性が指摘されています。出現したSCP-748-JP-1は同一人物由来の組織が多く含まれており、何者かによる多量の摂食が行われたものと推測されました。現在個別に収容されている当該SCP-748-JP-1には同一人物の脳組織36██g5が含まれています 。この再出現は19██年以降確認されていませんが、摂食者の捜索及び収容違反の経緯調査は現在も継続中です。 脚注 1. 消化、燃焼、腐敗など摂食が不可能になる変化が該当すると思われますが詳細な条件は解明されていません 2. 即ち摂食後に再出現したSCP-748-JP-1には摂食者の大脳組織が含まれることになります 3. 置換量、置換部位で誤差あり 4. 糞尿 5. 平均的な成人男性の大脳量3.█倍に相当
scp-749-jp
評価: +104+–x 評価: +104+–x クレジット タイトル: SCP-749-JP - 日奉梢 著者: ©︎roune10121 作成年: 2017 評価: +104+–x 評価: +104+–x 初確保時のSCP-749-JP アイテム番号: SCP-749-JP オブジェクトクラス: Keter 特別収容プロトコル: 職員はSCP-749-JPを発見次第、財団に報告して下さい。SCP-749-JP担当職員は、偽造イベント("アンケートボランティア")をSCP-749-JPに対し適応し、財団関連施設へ誘導してください。SCP-749-JPは機動部隊ゑ-37("時をかける少女の殺害者")が狙撃銃で急所を銃撃し殺害して下さい。また、殺害する際、SCP-749-JPにその計画を認識させないようにして下さい。 また、SCP-749-JP-Aが出現した場合、機動部隊ゑ-36("都市無双")がSCP-749-JP-Aを殺害して下さい。 旧特別収容プロトコル: SCP-749-JPは収容されたことを後悔されないために、「S██████ C█████ P███」という架空のIT系企業に偽装したサイト-8116に「社内寮」と称した快適居住型上級収容室に収容されています。また、SCP-749-JPには異常性が発揮しない程度の容易な仕事を収容室内で与えて下さい。SCP-749-JP担当職員は、SCP-749-JPが後悔の感情を発現しないようにマニュアル749-JPに従い行動して下さい。また、SCP-749-JPが外出を希望した場合、Gクラス記憶処理を施し外出意欲を喪失させて下さい。SCP-749-JPに対して「SCP-749-JP」と呼称することを禁止します。 また、財団の管轄外でSCP-749-JP-Aが出現した場合、機動部隊ゑ-36("都市無双")がSCP-749-JP-Aを殺害して下さい。 説明: SCP-749-JPは収容以前までは日奉梢(Isanagi Kozue)として知られていた日本人女性です。収容当時(2014/03/30)は22歳だったと記録されています。SCP-749-JPは後述の異常性を除けば精神肉体共に通常の人間と変わりありません。収容当時のSCP-749-JPの身分は東京大学院に在学中であることが判明していますが、SCP‐749‐JPに実施した東京大学院合格判定テストでは、合格確率は1%未満であるという結果が出ました。 収容後に、SCP-749-JPの周囲にはカバーストーリー「交通事故」を配布し、SCP-749-JPの公的身分は死亡したこととなっています。 SCP-749-JPの異常性はSCP-749-JP自身が「後悔」した際に発生します。SCP-749-JPの効果が発生する後悔の条件として、「後悔の対象が過去の自分であること」と「過去の自分が後悔した動作、後悔された対象の名称または形状を記憶していること」が挙げられます。条件に適合すると、SCP-749-JPが後悔した対象である過去の自身が存在する地点の10分前の時間軸に、後悔している現在の自身に外見の酷似する実体(SCP-749-JP-Aと設定)が出現し、SCP-749-JPが過去に後悔した事象(以下、標的)を消失し、過去改変を起こします。SCP-749-JP-Aは標的を改変するために、必要に応じて、SCP-749-JPの能力以上の筋力、財力、持久力、頭脳などを保持している場合があります。SCP-749-JP-Aは死亡もしくは標的の改変後に消失します。SCP-749-JPとSCP-749-JP-Aは相互を認識したり直接的に干渉することは不可能ですが、間接的にSCP-749-JPを改変させることは可能であることが判明しています。また、SCP-749-JP-AはSCP-749-JPを「ホスト」と呼称することが判明しています。SCP-749-JP-Aはおおよそコミュニケーション能力が欠如していますが、誘導実験によりSCP-749-JPと同等の能力を保持していることが判明しています。 SCP-749-JPは2014年7月26日、神奈川県横浜市█区で██ ██氏が何者かに殺害されているのを地元住民が目撃し、捕獲しようとしたが消失したという報告、そしてその人物に酷似した人物が同時刻、東京都██区に存在していたという報告を起点として確保、収容されました。また、殺害された██ ██氏はSCP-749-JPにストーカー行為を行っていたことが確認されています。 SCP-749-JPの異常性はサイト-8116の対過去改変保管文庫に12件のSCP-749-JPに関する報告書が発見され、判明するに至りました。 補遺1: SCP-749-JPを収容室に収容し続ける初期の特別収容プロトコルは20██年01月26日AM10:27、3体のSCP-749-JP-Aが発生し収容室を破壊しようとしたのを職員が発見したのを起因としてその1分後に78体、またその2分後に305体と増加し、機動部隊が出動した際(発生から7分後)には█████████体のSCP-749-JP-Aが発生し、SCP-749-JPの収容違反が発生、SCP-749-JP-Aの攻撃により、機動部隊含む職員5名が死亡、35名が負傷しました。また、この事件についてのSCP-749-JPの記憶にはEクラス記憶処理を施しました。原因として、SCP-749-JPの真面目な性格により、仕事をすることが不可能な状態であることにSCP-749-JPが後悔したことによると考察されました。これにより、旧特別収容プロトコルに改訂されています。 補遺2: 文書SCP-749-JP/インタビューログ 日付: 2014/11/18 対象: SCP-749-JP インタビュアー: 加藤田博士 付記: このインタビューは「S██████ C█████ P███」の休憩時間中の雑談として行われました。また、このインタビューでは、マニュアルM-JPに基づきSCP-749-JPを「日奉さん」と呼称しています。 <記録開始> 加藤田博士: 日奉さん、どうですか?ここには慣れましたか? SCP-749-JP: ええ、加藤田さんにも色々と教えてもらって、皆さん明るくて優しいですし、本当にこの会社に入って良かったなと思っています。 加藤田博士: なるほど、日奉さんがこの会社を気に入ってくれて本当に良かったです。…ところで、日奉さん、私、[虚偽ストーリー"昨日遭った奇妙な体験談"をSCP-749-JPに話す]、日奉さんは不思議な体験ってあるんですか? SCP-749-JP: うーん、私ですか…。ああ、私が中学校3年生の頃ですね、████高校(国内屈指の難関女子高)に憧れていて、必死で勉強しました。でも、私は受験時にインフルエンザに罹ってしまって…その時は受験しながら泣きそうでしたね。でも、何となく高校の合格発表のサイトを見てみたら私が合格してたんです。びっくりしましたよ。私が書いた覚えのない所も書いていて…しかも正解しているんですよ。いやぁ、無意識って凄いなぁって実感しましたね。ほんとに私だったのかなぁ、あれを書いたのは、いや、多分私なんですけどね。1 加藤田博士: へぇ、日奉さんもそんなことがあったのですね。…そう言えば、日奉さんの家族の話、まだ聞いていなかったですね。 SCP-749-JP: ああ、私の家族は兄二人と昔蒸発した父だけですね。まぁ、皆孤児なんですけど。一方は数学者として活躍して…心臓の病気で死んでしまったと聞いていますけど、もう一方は音沙汰なしですね。どこにいるんでしょう[考える素振り]ああ、そう言えば従兄弟とはよく交流していましたね。 加藤田博士: 従兄弟? SCP-749-JP: ええ、私と同じ苗字の、男子が5人、女子が5人の兄弟です。やっぱりみんな孤児で、 <SCP-749-JP-A(当報告書ではSCP-749-JP-A-1と設定)が出現し加藤田博士の首を絞める> SCP-749-JP: どうしたんですか!加藤田さん!?加藤田さん!?…大変、呼吸困難になってる。 SCP-749-JP-A-1: お願い、止めて、何も聞かないで、みんな、ここに、ここに、閉じ込められてしまう。 SCP-749-JP: どうしよう、周りには私しかいないし…誰かぁ! <エージェント・█が出動し加藤田博士の救命を試みる> SCP-749-JP: あ、█さん!早く、加藤田さんが…どうしよう。 <3体のSCP-749-JP-A(当報告書では出現順にSCP-749-JP-A-2,3,4と設定)が出現、救急救命士資格保有者相当の作業効率で加藤田博士を救護> SCP-749-JP-A-3: ホストが後悔してしまうので、あなたを殺害します。宜しいでしょうか? SCP-749-JP-A-1: (5秒間停止)…はい、ホストが後悔してしまうのであれば、どうぞ。 SCP-749-JP: …呼吸が安定した!ひとまず良かったぁ。あ、█さん、119、119。 <SCP-749-JP-A-1はSCP-749-JP-A-3に殺害されることにより消失> SCP-749-JP: ああ、大丈夫かなぁ。…█さん!そこでボーっとしてないで、早く! <加藤田博士の意識が回復する> SCP-749-JP: 加藤田さん!大丈夫ですか?ああ、良かった…。これ、何本に見えますか? 加藤田博士: …ゲホ、ゲホ…はぁ、はぁ、助かりました。…あ、日奉さん、大丈夫ですよ。 <記録終了> 終了報告書: 当インタビューで発生したSCP-749-JP-Aは全員、機動部隊に処分されました、SCP-749-JPにはEクラス記憶処理を施し、インタビュー中の記憶を消去しました。 異常性を発現しないためにSCP-749-JPのセキュリティを強化します。-加藤田博士 追記: 現在までにSCP-749-JPが後悔するような事象は発生していません。 補遺3: 2016/01/05、サイト-8116がカオス・インサージェンシー関連組織に襲撃され、SCP-749-JPが殺害されました。しかし、SCP-749-JPの死体が現場から消失したことから、この日時まで収容していたSCP-749-JPは演技能力を持ったSCP-749-JP-A(当報告書ではSCP-749-JP-A-5と設定)と考えられています。現在、財団はオリジナルのSCP-749-JPの居所を調査しています。 補遺4: 2020/11/20、SCP-749-JPを発見、確保、収容しました。加藤田博士の提言した現在収容しているSCP-749-JPに自身が産まれてきたことを後悔させる処分計画は採用され、計画が実行されました。 文章SCP-749-JP/処分記録 日付: 2022/12/11 対象: SCP-749-JP 執行者: エージェント・乗田 記録者: 加藤田博士 <記録開始> SCP-749-JP: えーっと、初めましてですね、誰ですか? エージェント・乗田: まず私から良いですか?あなたは、本当に日奉梢さんですか? SCP-749-JP: な、なに言ってるんですか?私は本当に日奉梢という名前ですよ。で、あなたは誰なんですか? <SCP-749-JPに対し、レンズバーグ虚偽探知機を使用したが反応はありませんでした> エージェント・乗田: …分かりました。私の名前は乗田と申します、SCP-749-JP。 SCP-749-JP: …え、S?CP?…何ですか、それ。 エージェント・乗田: あなたの名前です…私たちの中での。 SCP-749-JP: え、え、それって、え。 エージェント・乗田: SCP-749-JP、聞いて下さい。あなたは、[SCP-749-JPの特性を簡略的に伝える]。 SCP-749-JP: そんな、私、私、そんな、事…。 <突如、室内にSCP-749-JP-A(当報告書ではSCP-749-JP-A-6と設定)が出現> SCP-749-JP: え、何…で…私が、ふ、二人? <SCP-749-JPから経由したと思われるSCP-749-JP-A群がSCP-749-JP-A-6を攻撃しました。SCP-749-JP-A-6はSCP-749-JP-A群を無力化しました> エージェント・乗田: 機動部隊、出動して下さい。 SCP-749-JP: ねぇ、どうして私が二人いるの、の、乗田さん助けて、私は、私は一人じゃないの?世界に私は一人しかいないんじゃないの?ねぇ、ねぇ、だ SCP-749-JP-A-6: あなたが後悔してしまうとホストが消失してしまうので、あなたを殺害します。宜しいでしょうか? SCP-749-JP: (10秒間停止)…はい、ホストが消失してしまうのであれば、どうぞ。 <SCP-749-JP-A-6がSCP-749-JPを殺害、SCP-749-JPの死体は瞬時に消失> <記録終了> 終了報告書: SCP-749-JP-A-6は全員機動部隊に処分されました。今回、SCP-749-JPと思われていた対象は、SCP-749-JP-A(当報告書ではSCP-749-JP-A-7と設定)であると断定されています。これにより、特別収容プロトコルは現在のものへと改訂されました。 私は、完全にSCP-749-JPを収容したと思っていました。しかし彼女を収容してはいなかった。インタビュー終了時にセキュリティを強化して報告書に触れさせなかったことで、彼女を後悔させなくしたことは確かです。しかし、それは因果的に「彼女は後悔しなかった」ということに繋がってしまいます。そして今回もSCP-749-JPを処分することは出来ませんでした。考えて下さい、彼女は収容されていることを後悔したのか?それともカオス・インサージェンシ-に殺されたことに後悔したのか?それとも、財団がSCP-749-JPを殺害するということを後悔したのか?…一歩上を行っているのは財団なのか?彼女なのか?そして、オリジナルのSCP-749-JPという存在は本当に実在するのか?…ともかくSCP-749-JPは財団にとって危険な存在であることは確かです、処分を強く希望します。-加藤田博士 追記1: 2027/03/26、福井県██市でSCP-749-JPを発見、確保、処理しました。しかし、SCP-749-JPの死体は瞬時に消失したため、SCP-749-JP-A(当報告書ではSCP-749-JP-A-8と設定)であると断定されています。また、今回は試験的に今回確保したSCP-749-JP-A-8にGPSを埋め込みました。その結果、SCP-749-JP-A-8の消失と同時にGPS本体とGPSの信号が消失しました。 追記2: 2033/05/30、追記1でSCP-749-JP-A-8に埋め込まれていたGPSの信号が沖縄県███村に出現、財団の調査の結果、SCP-749-JPを発見、確保、処理しましたが、SCP-749-JP-A(当報告書ではSCP-749-JP-A-9と設定)であると断定されました。しかし、今回発見されたSCP-749-JP-A-9にはGPSは埋め込まれておらず、SCP-749-JP-A-9が出現させたSCP-749-JP-Aに埋め込まれていることが判明しました。財団は、この事実について調査中です。 追記3: 2035/08/17、財団の観測する平行世界の内の一つを調査中、追記1でSCP-749-JP-A-8に埋め込まれていたGPSの信号が出現しました。財団の調査の結果、SCP-749-JPに酷似した人物(以下、SCP-749-JP-α)を発見し、体内のGPSの存在を確認しました。インタビューの結果、SCP-749-JP-αは、SCP-749-JPと同等の能力を保持していることが判明しました。財団はSCP-749-JP-αを平行世界内で処分しましたが、死体は瞬時に消失しました。 Footnotes 1. 調査により、SCP-749-JPが受験した高校にSCP-749-JP-Aが侵入し、SCP-749-JPの答案を改竄したことが判明しています。
scp-750-jp
評価: +58+–x 行動-45"手招き"中のSCP-750-JP-2 アイテム番号: SCP-750-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 現時点でSCP-750-JPを観測することが可能であると思われる宇宙望遠鏡及び無人探査機について、研究チームはそれらが撮影した写真の全てに検閲を行います。SCP-750-JPが写り込んでいる写真については、研究チームによる確認用の写真を除き全てを破棄してください。 また現在SCP-750-JP、旧火星サイト-05、並びに財団保有施設"ヘルメース"の残骸への接触はO5命令により全て禁止されています。旧火星サイト-05についてはその規模から各国の宇宙開発機関の火星探査による偶発的接触が懸念されるため、全て財団による直接介入及び探査ルートのチェックを行い、接触が発生しないと推定されるルートへの誘導を行う必要があります。 説明: SCP-750-JPは火星公転軌道上で確認されている実体群の総称です。現時点で実体は5体まで確認されており、先頭から順にSCP-750-JP-1から-5に分類されています。隊形について軌道移動時には15メートル間隔の単縦隊列を維持していますが、後述の移動停止時には隊形を崩し互いに接近する行動も確認されています。 SCP-750-JPの外見は主に宇宙船外活動で用いられる宇宙服1であり、ヘルメット部分については写真の解析を試みたものの内部の状態を確認できる結果は得られませんでした。そのため中に生命体が入っているのか、あるいは宇宙服だけが動いているのかは未だ不明です。 SCP-750-JPは通常時、火星公転軌道上を火星の公転速度とほぼ同等の速度で移動します。この際宇宙服に取り付けられた有人機動ユニットと補助推進装置を用いていることは確認済みですが、現在確認されているこれらの推進装置の出力では火星の公転速度とほぼ同等の速度まで加速することは不可能であると考えられ、仮に可能であったとしても後述する移動停止状態からの加速に耐えうる設計の宇宙服が存在するとは考え難いため、この移動はSCP-750-JPの異常性に起因するものであると考えられます。 またSCP-750-JPは月に一回の頻度で移動を停止します。移動停止時には推進装置の逆噴射などが確認されず、突如移動の停止及び推進装置の機能停止が発生します。移動停止状態への移行が完了した場合、SCP-750-JPはそれぞれがその場で特定の行動を開始します。これらの行動の意味は現時点では不明ですが、明確に異常な行動と取れるものはなくどれも一般的な人間の身体運動に類するものであると考えられます。以下の表は観測された行動の一部(識別番号は最初に確認された日付順)です。収容のため全51パターンを確認する必要がある場合は別紙対応表を参照してください。 識別番号 詳細 行動-1 全員がそこに椅子があるかのように振る舞い着座する。行動-1が完了した場合、軌道周回行動に復帰するまで行動-2とのループが発生するケースと静止するケースが確認されている。 行動-2 全員がその場で直立する。これも行動-1と同様にループ・静止の2ケースが確認済み。 行動-5 有人機動ユニットを用いてその場で縦に回転する。5人全員が全く同じタイミングで回転するが、SCP-750-JP-1,-3は直立姿勢を維持した状態で、SCP-750-JP-2,-4,-5は若干姿勢を崩した状態で回転。 行動-13 全員が踊る。この行動と同一のパターンを持つ踊りは現在まで地球上で確認されていない。 行動-28 SCP-750-JP-1が宇宙服に取り付けられた通信モジュールと思わしき部分を操作、SCP-750-JP-2~4はその場であぐらをかいて待機する。 旧火星サイト-05 SCP-750-JPは200█/██/██に行われた、旧火星サイト-052の定期観測中に発見されました。当初はスペースデブリの類ではないかと想定されていましたが、████博士(現SCP-750-JP収容担当主任)による追跡調査の結果上述の異常性及びパターン行動が確認され、オブジェクトとして指定されました。 補遺: セキュリティクリアランスレベル5/750-JPを提示してください。 補遺1: SCP-750-JPはかつて財団に所属しており、機動部隊デルタ-8("宇宙旅行")として主に地球外惑星での任務に当たっていた部隊が変容したものではないかと推測されています。機動部隊デルタ-8が実行したものとして最後に記録されている任務は、かつて火星衛星軌道上に存在した財団保有施設"ヘルメース"を拠点として200█/██から200█/██の2ヶ月間行われたものであり、これ以降デルタ-8は消息不明、ヘルメース及び旧火星サイト-05はインシデント-████によって壊滅、そしてそれに呼応する形でデルタ-8が任務中着用していた宇宙服3とほぼ同一の外見であるSCP-750-JPが出現したという事実がその根拠となっています。 この任務についてはO5評議会の特命であったことのみが確認されており、詳細についてO5評議会は機密事項として返答を拒否していますが、現在確認されているSCP-750-JPの行動-█,█,██,██,██が任務の中で実行された「手続4」に含まれる行動であり、これらが要注意団体によって認知されることにO5評議会は強い懸念を抱いている、という通達がなされています。 なお上記の情報はSCP-750-JPについてSCiPとしてナンバーを割り振るか否かが検討された際にO5評議会から提示された情報であり、その上でO5評議会は現在のSCP-750-JPがデルタ-8に下した指揮命令と明らかに異なる、異常かつ機密に抵触する行動を繰り返している点を理由にSCiPとしての登録を許可、SCP-750-JPの隠蔽を主眼とする現在の収容プロトコルが策定されました。 補遺2: 200█/██/██、SCP-750-JPとの交信実験が実施されました。以下はその実施記録です。 交信実験記録750-001 - 200█/██/██ 対象: SCP-750-JP-1 インタビュアー: ████博士 実施方法: 財団保有の人工衛星から対象に向けて無線通信を試みる。使用言語は英語。なおO5評議会から「情報の機密性を徹底するため、交信内容及び実験の詳細はインタビュアーである████博士(セキュリティクリアランスレベル5/750-JP保持)のみが把握している状態で実験を行うように」との命令が下されており、本実験はその命令に則った上でO5-7の監視の下で行われた。 結果: 受信したと思われるタイミングでSCP-750-JPは行動-28を停止、SCP-750-JP-1はSCP-750-JP-3から-5までを先行させ、SCP-750-JP-2と共にその場に留まり交信を開始する。以下の交信記録は全て日本語に翻訳済み。 <以下、交信記録> ████博士: 初めまして、届きましたら返信をお願いします。 SCP-750-JP-1: 任務は終了した。これより帰還する。 ████博士: 現在のあなた方の状況をお答えください。 SCP-750-JP-1: 任務は終了した。これより帰還する。 ████博士: 任務終了報告以外のことを話せますか? SCP-750-JP-1: 任務は終了した。これより帰還する。 ████博士: 我々の質問が理解できますか? SCP-750-JP-1: 任務は終了した。これより帰還する。 <上記の通信から2分後、次の通信が届く。> SCP-750-JP-1: 応答願う。 ████博士: 通信は届いています。話せるようであれば状況報告を。 SCP-750-JP-1: 応答願う。 SCP-750-JP-1: 応答願う。 SCP-750-JP-1: <でたらめな内容> <3分間強いノイズを受信> SCP-750-JP-1: 問題発生。ブラボー、デルタ、エコーが異常因果に飲まれ帰還不能。残り2名で手続の完了を試みる。至急応答願う。 <22分間未解明の信号を受信> SCP-750-JP-1: 任務は終了した。これより帰還する。 <交信終了> 終了報告書: SCP-750-JP-1からの通信は上記のもののみであり、SCP-750-JP-1が再度軌道周回行動を開始した時点でO5-7から実験凍結が宣言される。またこれ以降の交信実験計画は現在全て凍結中である。手続中の問題という交信内容についてO5-7に確認したが、O5-7は「手続の成功は既に確認された」と証言している。なお発見時から現在までSCP-750-JPの周回ルート変更や周回半径の縮小などは発生しておらず、SCP-750-JPが実際に地球あるいは火星へ直行を試みるという兆候は確認されていない。 補遺の閲覧を終了します     Footnotes 1. 米国で1980年代頃に利用されていたEMU(船外活動ユニット)をベースとする外見であり、既存の推進装置のいずれとも合致しない補助推進装置が背面に取り付けられています。 2. █████山内部に残存する、かつてSCP-████の収容のため稼働していた財団施設。旧火星サイト-05は200█/██/██に発生したインシデント-████によって壊滅的被害を受け、同じく壊滅的被害と火星への墜落事故が発生した衛星軌道上の財団保有施設"ヘルメース"と共に即日O5評議会によって永久放棄が決定されています。現在は事故の影響が外部に伝搬しているかを確認するために、地球衛星軌道上の財団保有宇宙望遠鏡から定期的な観測が行われています。 3. 財団が宇宙船外活動に特化した宇宙服として設計・開発を行ったヴェルティーン2型宇宙服。本SCiPに関連する事項としては 酸素・水分・食料・推進用気体をヴェルティーン式小型可搬ポータルを通じて半永久的に供給可能 背面の特殊推進機構は上述の推進用気体の半永久的供給により最大出力で長時間稼働可能 長期間の船外活動を想定し、宇宙環境保護層に████████繊維を3層配置 などが挙げられます。 4. 複数の行動パターンから構成される儀式的運動。この意味や目的についても機密事項に抵触するとしてO5評議会は返答を拒否しています。
scp-751-jp
評価: +130+–x 収容前のSCP-751-JP アイテム番号: SCP-751-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-751-JPはサイト-81██の専用収容チャンバーに保存されています。収容チャンバーの壁に20枚の手のひらを模ったマークが印刷されている紙片を貼り、毎日一度それらのマークを確認してください。それらの内一枚にでも変化が発生した場合、Dクラスを用いて貼り換えおよび変化した紙片の処分処置が行われます。また、サイト-81██では、手の形を模ったシンボルマークの使用が禁止されており、またそれらが印刷された物品も持ち込みが禁止されています。 未収容のSCP-751-JPが発見された場合、直ちに同専用収容チャンバーに収容して下さい。 説明: SCP-751-JPは、高さ1.8mの中指だけを立てた手を模った像であり、その主な材質はパラフィンで特別な性質は確認されていません。また、台座の部分には小さく「EVERYBODY,FUCK YOU No.3」と刻まれています。 SCP-751-JPが存在する地点から一定の範囲の中(最大でSCP-751-JPから6.8km離れた地点での発生を確認)において、4日~38日の不定期間隔でSCP-751-JP-1が発生します。SCP-751-JP-1は中指を立てた手を模ったシンボルマークであり、その他の手の形を模ったシンボルマーク1から変化する形で発生します。近い距離に手の形を模ったシンボルマークが存在しない場合に何が起こるのかを検証する実験は行われていません。 ██専門学校のテキストから発見されたSCP-751-JP-1 任意の人間(以下、被検体と呼称)がSCP-751-JP-1を近距離(約4~5m以内)から視認すると、極めて強い怒りの感情と共に記憶の混乱が発生します。これらは一時的なものであり、視認から8週間が経過した頃には通常の人間と比較して目に見えるほどの差異は無くなります。また、被検体にAクラス記憶処理を施す事でも症状は完治します。また、被検体に影響を与えたSCP-751-JP-1はその時点で異常性を失い、他の人物が視認しても影響を受けなくなります。 2011年9月頃より急増した████市における傷害事件の調査の中で、SCP-751-JP-1が発見され、その後██駅前のSCP-751-JP本体の特定に至りました。近隣住民にはSCP-751-JPは気づいたら出現していた、という認識しかなく、その出現の瞬間についての情報は得られませんでした。 サイト-81██への収容後、一度のみ研究員がSCP-751-JP-1を視認してしまい、他の職員に対する暴力を振るう事故(インシデント-751)が発生しました。影響を受けた研究員は拘束され、記憶処理を受ける前にインタビューが行われました。 + インシデント-751におけるインタビュー 閉じる インシデント-751においてSCP-751-JP-1を視認した風間研究員へのインタビュー記録。 インタビューログ - SCP-751-JP-001 対象: 風間研究員 インタビュアー: 釘村博士 付記: 風間研究員は、車椅子に拘束されている状態でインタビューを受けています。 <記録開始, [2012/4/11]> [風間研究員が体を揺らしてもがき続ける] 風間研究員: クソ! 放せよ! そんなに俺が気に入らねえのか! 釘村博士: 何をそんなに怒ってるんだ? 風間研究員: 何を、って。[声が大きくなる] この扱いだよ! 自分でやっておいて何を聞いてやがるんだ! ふざけやがって! 風間研究員: 来る日も来る日も危ない事ばっかりやらせやがって! 俺が████一家の奴らを殺したからって、じゃあ俺に何させてもいいよなってか! お前らは安全なところでいい気なもんだな! 釘村博士: 君が何をしたって? 風間研究員: お前が話せつったんだろうが! 何で聞いてねえんだよ! 釘村博士: 落ち着いて、ゆっくり説明してくれ。 風間研究員: 俺は理不尽な目にあってばっかりだ! 俺を殺しやがって! なんで俺だけこんな目にあわなきゃなんねえんだ! 全員グルになって俺を馬鹿にしてるんだろ! 博士、アンタもだ! 釘村博士: 私は君を馬鹿にしているつもりはない。 風間研究員: 嘘を言うんじゃねえ、[激しい罵倒]! 釘村博士: ……インタビューはここで終了します。 風間研究員: [罵倒を繰り返す] <記録終了> 風間研究員は勤務態度良好な職員であり、殺人に関わった経緯はありません。 調査により、サイト-81██にいる人間の中に指定暴力団███会直系二次団体████一家の構成員の殺人を行った経歴を持つD-40412の存在が明らかになりました。何らかの関連性があるとされてD-40412インタビューが行われましたが、自分の今の境遇に不満を持っていること以外は特に強い関連性のある事柄は確認されませんでした。これらの事からSCP-751-JP-1の目視による影響は、一定範囲内にいる人間の強い不満感を伴う記憶を取り込むものであると推測されています。 また、「俺を殺しやがって」という発言に関しては、誰の記憶であるかを特定することはできませんでした。引き続き調査が行われていますが、正確な由来は不明です。 この後風間研究員にはクラスA記憶処理が行われ、その後問題なく職務に復帰しました。 D-40412のものと思われる記憶の復活や暴力的な言動などはその後一切確認されていません。 + インシデント-751における経緯 閉じる 発見されたSCP-751-JP-1 風間研究員はSCP-751-JPの担当ではなく、専用収容チャンバーに立ち入ったこともありません。 しかし、風間研究員が資料を閲覧していたPCの録画記録を調査した結果、ハイパーリンクに重ねた際のマウスカーソルがSCP-751-JP-1に変化していた事が明らかになりました。以降、サイト-81██の全てのPCにおけるマウスカーソルの設定変更が収容プロトコルに加えられることになりました。 脚注 1. ピースサインのマーク等
scp-752-jp
評価: +29+–x 発見当時のSCP-752-JP アイテム番号: SCP-752-JP オブジェクトクラス: Anomalous Euclid 特別収容プロトコル: SCP-752-JPは現在、生物サイト-8103の保管棟-██内の耐圧/耐衝撃ガラス製収容ケースに保管されています。収容ケースの内部は毎週1回Dクラスによる清掃が行われ、実施時は電磁磁石によるSCP-752-JPの固定を行い、血液や肉片の回収を行います。収容ケースの半径500m以内への死体の搬入並びに傷病者の侵入は禁止されています。Dクラスを使用した置換実験は現在検討中です。 [2017/12/01追記] SCP-752-JP収容室の半径500m以内に高機能人型ロボット、ロボットアームなどの進入は禁止されました。対象物品の運搬時は迂回ルートを使用して移送されます。 説明: SCP-752-JPは全長75 134現在213cmの、テディベアを本体とした人体部位や機械部品の集合体です。本来のデザインは19██年に販売された██製テディベアに類似していますが、置換部位の影響で著しく変形しています。置換部位を除き、綿とポリエステル素材で構成されています。 SCP-752-JPは半径500m以内で人間が死亡する、もしくは死後24時間以内の死体が範囲内に進入することで活性化します。活性化時、範囲内の死体は不明な方法でSCP-752-JPのそばに転移します。転移後、SCP-752-JPは手足に対応する部位を不規則に動かすことで移動し、死体の負傷や疾患による異常の少ない部位に体を擦り付けるような動作を行います。この時、SCP-752-JPの体の一部は死体の対応する部位と置換され、死体にはSCP-752-JPに使用されている素材が残されます。一度に置換する部位の大きさは関節、骨、内臓によって様々であり、最大では小腸6m、最小では左手薬指の爪のみを置換しました。2017/05/14時点の置換部位は、両眼球、舌、上顎骨、下顎骨、右耳、左腕、気管支、小腸、右脛骨、[編集済み]です。これらの置換された部位は問題なく動作することが確認されていますが、SCP-752-JPの構造上の問題により内臓が脱落することがあります。 [2017/12/01追記] 事件記録-752-01および事件記録-752-02の事例により、置換対象は生物を模した構造物も対象であると推測されます。 SCP-752-JPは2005/05/██、徳島県██市██町のアンティークショップ跡地から男性の腕を生やしたテディベアとして発見されました。外見以上の異常性が見られなかったためAnomalousアイテムに分類されていましたが、2009年のGoI襲撃イベント時に死亡した職員が収容ケースに詰め込まれている状態で発見され、職員の肩甲骨、第三大臼歯、眼筋、右眼球、脊椎、██、██などを置換されていたことから異常性の発覚に至りました。なお、発見地域では2001年ごろから「死体泥棒の幽霊の怪談」が存在しており、SCP-752-JPの異常性との関連性を引き続き調査中です。 2010年以降のSCP-752-JPは収容ケース内を徘徊し、表面を乱暴に叩く様子が確認されています。これは脊椎を置換し身体を動かす機能を獲得したためと推察されます。不定期に気管支から低いうなり声や喘鳴を上げてのたうつ様子も確認されますが、研究員の問いかけに対する応答はないため反射的なものか意識的なものかは不明です。 事案-75201: 2017/08/09 SCP-████-JPの収容違反が発生しました。この事案でSCP-████-JPの副産物であるSCP-████-JP-5が無力化された直後に消失し、頭部をSCP-████-JP-5の頭部と置換したSCP-752-JPの収容違反が発生しました。これにより警備員2名、研究員5名が殺傷され、2時間後にSCP-752-JPおよびSCP-████-JP全個体の再確保が完了しました。SCP-752-JPには新たに両肺、尾てい骨、肝臓が追加されました。この事案を受け、SCP-752-JPの収容ケースは耐圧強化ガラス製ケースに変更されました。 事案-75202: 2017/11/14 収容室付近の実験室でロボットアームが故障、直後に消失しました。同時に右腕部をロボットアームと置換したSCP-752-JPの収容違反が発生、これにより付近を巡回中だった█警備員(28歳、男性)およびエージェント・██(25歳、男性)が死亡しました。再収容後のSCP-752-JPの置換部位には口唇、咽頭の他、エージェント・██の強化義足が含まれます。この強化義足は遠隔で動作の停止がなされ、それによりSCP-752-JPの動きは大幅に阻害されるようになりました。 ロボット「アーム」を腕と認識して置換、ということであれば、SCP-752-JPは人間に近い知性を有している可能性があります。事案-75201以前は人体にしか反応しなかったのに強力なクマ型物体のSCP-████-JPに反応したことや、█警備員の脚ではなくわざわざエージェント・██の強化義足を置換したことも意識的なものと考えられます。せめてあのロボットアームだけでも取り外せれば良いのですが、麻酔も効かない以上は奴に餌を与えないようにすることが先決です。 - 五月雨研究員 補遺: 2017/12/01 SCP-752-JPが発声を行なっていることが確認されました。インタビューを実施しても応答する様子はありませんが、「戻る」「体」「痛い」「クソアマ」などの単語を頻繁に発する傾向があります。SCP-752-JPの声紋は置換元の█警備員の声紋とは不一致であり、レントゲン撮影では声帯の形状の変化は認められません。SCP-752-JPの声紋と一致する声紋の調査は現在も継続中です。なお言語的な発声は1週間ほどでおさまり、以降は低い喘鳴や叫び声が大半をしめるようになりました。 事案-75203: 2017/12/23 Dクラスの清掃中、SCP-752-JPがもがいた際に左腕が脱落しました。この左腕は確認されている限りでは最も古い部位です。調査によると接続面を中心に腐敗しており、また血液型の不一致による凝集が発生していました。この事案を受けて現存する置換部位を急遽確認したところ、複数の臓器が一部壊死および溶解していることが確認されました。SCP-752-JPの収容のためにDクラスの死体を使用する案は検討中です。
scp-753-jp
評価: +24+–x SCP-753-JP アイテム番号: SCP-753-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-753-JPは標準的なSafeクラスオブジェクト収容ロッカーに鍵をかけられ、保管されます。全ての研究員は現在あらゆる使用実験が中止されていることに留意すべきです。 説明: SCP-753-JPはダンボールと厚紙、その他装飾に使われたカラーテープや油性マジックを使い幼児が作ったような外観をしているボタンです。██県に配置されたエージェントが一帯での不審なポルターガイスト現象を財団に報告し、調査された時に████家の屋根裏部屋で発見されました。家主の夫婦は妊娠する能力を持っていなかったため、子供はいません。当初側面には「がれーじ」と黒く書かれた文字がありましたが、SCP-753-JPの特性によりこれらは変更されています。 SCP-753-JPは、上部にある赤いボタンを押すことで、側面に現れた文字から推測されるシステムのアクティブ/非アクティブを反転する能力を持っています。発見当初表示されていた「がれーじ」は発見された████家のガレージのシャッターを開けることに成功しています。しかし、周辺地域で他の家に異常性が見られないことから、効果を発揮するのはひとつの事例のみに限られると見られています。非アクティブになると表面の文字はその他のランダムなものへと変化しますが、実験記録4より使用されなければ他の文字へ変化する特性を示しています。 現在全ての実験は禁止されています。 実験記録1 - 日付2000/6/13 この実験は半径10 kmの範囲で監視されながら行われる。 表示された文字: 「えあこん」 結果: 観測できず 範囲は財団の初期想定を超えているものとみられる。 実験記録2 - 日付2000/6/15 この実験は半径20 kmの範囲で監視しながら行われる。 表示された文字: 「あんぷ」 結果: 現地で開催された音楽グループのライブ会場のアンプの電源が切れる、ただの偶然であるのか分類不能。 実験記録3 - 日付2000/6/18 表示された文字: 「けーたい」 結果: 観測不可能。財団は一般人のPHSの電源動作が人の手であるかオブジェクトの効果なのか判別できませんでした。 実験記録4 - 日付2000/6/24 表示された文字: 「みさいる」 [実験中止] 追記: 一週間と3時間後に表示が沈むように消え、文字が浮かぶ様子が観測される。 実験記録5 - 日付2000/6/30 表示された文字: 「とびら」 結果: サイト██のメインゲートの開放を確認。職員の███████がゲートを開放する姿が確認され、尋問を行いましたが「なんとなくそうしたかった」との証言を繰り返し処分は保留されています。 メモ: 「とびら」の表記が何故財団施設のメインゲートを指していたのか、その理由について現在研究中です。 実験記録5の後、「いじわるきらい」という文字が表示されました。 インタビュー記録 - 日付2000/7/2: 対象: SCP-753-JP インタビュアー: █████博士 付記: 表示された「いじわるきらい」の文字から筆談による意思疎通の可能性を探るべく実験を行いました。筆談はオブジェクト側面に鉛筆で記入すると、記入した文字が消え、返答と思わしき文字が浮かび上がることで成立しています。インタビューに際してこの間、スイッチを押すことによる異常な装置の作動などは観測できなかった。 <録音開始, 2000/7/2> █████博士: 「なにがしたいの?」 SCP-753-JP: 「こーえんにいきたいの」 █████博士: 「こーえんでなにをしたいの?」 SCP-753-JP: 「ぶらこんにのりたいんだ」 █████博士:「なにがいじわるなんだい?」 SCP-753-JP: 「おじさんたちはぼくのこときらいなんでしょ?」(文章の改行がなく側面を超えて他の面まで届いている) █████博士: 「そんなわけないじゃないか」 SCP-753-JP: 「うそ」 █████博士: 「なんでうそだっておもうんだい?」 SCP-753-JP: 「みんなうそつくんだ!ぼくはびょうきじゃなかったのに!」 █████博士: 「なんのことだい?ぼくたちはきみをしらないんだ」 SCP-753-JP: 「うそだ!みんなそうやってきたんでしょ!おぼえてないだけだ!」 █████博士: 「おかあさんのことかい?」 SCP-753-JP: 「おかあさんはびょうきじゃなかった!なのにびょうきだっていわれたんだ!」 █████博士: 「███のこと?おかあさんはびょうきでしかたなかったんだ」 SCP-753-JP: 「うそついたんだ!おとうさんが!」 █████博士: 「おとうさんはうそなんかついていないよ」 SCP-753-JP: 「うそだきみはおとうさんじゃないくせに」 █████博士: 「どうしてわかるんだい?」 SCP-753-JP: 「おとうさんはそんなこといわない!」 █████博士: 「おとうさんにあいたい?」 5分13秒返答なし SCP-753-JP: 「あいたい けどみんなきらい」 <録音終了> 終了報告書: これ以上の返答はなく、対象はこの後19時間休止状態に陥りました。 実験記録6 - 日付2000/7/3 これより全ての実験を禁止 表示された文字: 「█████」 結果:[未使用] 現在まで表示は変化せず 補遺:█████は米国政府の保有するICBM世界同時展開の最終起動スイッチであると推測されています。これ以降の筆談の試みは全て失敗に終わっています。 実験記録7 - 日付2014/4/8 表示された文字: 「いま」 結果: ██████████████ 財団は現在自体収束に向けて尽力していますが収集の目処は付かず、抜本的な収束案があれば誰でも█████博士へ提案してください。
scp-754-jp
評価: +53+–x 評価: +53+–x クレジット タイトル: SCP-754-JP - 故郷の風が吹く街 著者: ©︎indonootoko (Fennecistにより改稿) 作成年: 2018 評価: +53+–x 評価: +53+–x 図A: LoI-754-JPの鳥瞰写真。 アイテム番号: SCP-754-JP オブジェクトクラス: Euclid Neutralized 特別収容プロトコル: 特別襲撃作戦「鮭漁」実行以降、SCP-754-JPに起因する一般人の異常な活動は確認されていません。SCP-754-JPはNeutralizedに再分類されていますが、フィールドエージェントらはLoI-754-JPでの調査を継続してください。SCP-754-JP-Aの死骸およびSCP-754-JP-Bはエリア81JHの低危険度物品冷凍収容庫で保管します。 ► アクセス: アーカイブ済特別収容プロトコル ▼ ファイルを閉じる アーカイブ済特別収容プロトコル: LoI-754-JPに当てられたフィールドエージェントらは住民以外の一般人のLoI-754-JPでの滞在を制限し、SCP-754-JPの影響が及ぶのを防止してください。フィールドエージェントらは一般人と同様にLoI-754-JPでの滞在を制限され、5日間以上滞在した場合はエリア81JHで拘束されなければなりません。 SCP-754-JP-Aの出現が確認された場合、SCP-754-JP-Aの元となった対象者の身元を緊急で調査し、対象者の実家がある場所へ機動部隊ね-33 (“サーモンライダー”) が出動し対処に当たります。確保が困難と判断された場合、SCP-754-JP-Aの終了が許可されます。SCP-754-JP-Aを目撃した人物には記憶処理を施してください。 SCP-754-JP-Aの死骸およびSCP-754-JP-Bはエリア81JHの低危険度物品冷凍収容庫で保管します。 説明: SCP-754-JPは日本国富山県██町 (LoI-754-JP1に指定) で発生する不可逆的な人体変異現象です。SCP-754-JPはLoI-754-JPに滞在した時間の累計に応じて段階的に発現します。SCP-754-JPの影響を受けた人物 (以下“対象者”と表記) から影響を取り除く試みは全て失敗しています。特筆すべきことに、LoI-754-JPに在住する住人はSCP-754-JPの影響を一切受けていません。 対象者がLoI-754-JPに72時間程度滞在すると、LoI-754-JPに対し好意を抱くようになります。このため、対象者はLoI-754-JPへの再度の来訪を望むようになります。この思考への影響は微弱なものであり、対象者は自身の意思でこの欲求を抑制することが可能です。 120時間程度滞在すると、対象者はLoI-754-JPを故郷であると誤認するようになります。以降対象者はLoI-754-JPを出身地であると公言するようになり、本来の出身地に関する知識や記憶を忘却したような振る舞いを見せるようになります。記憶処理により一時的にこの影響を緩和することは可能です。 168時間以上滞在すると、対象者は肉体的にSCP-754-JP-Aへと変化します。SCP-754-JP-Aはサケ属 (Oncorhynchus) の生物から人間の手足が生えた外見の体長およそ2mの実体であり、意思の疎通はできません。SCP-754-JP-Aは陸上および水中を問題なく移動/遊泳することが可能です。また、SCP-754-JP-AはSCP-754-JP-Bを口部から大量に排出します。 SCP-754-JP-Bはサケの卵に大きさと外見が類似する物体です。SCP-754-JP-Bの薄膜はSCP-754-JP-Aの体液によって徐々に溶解し2、内容液が外気に触れた時点で激しく発火します。内容液は現在特定できておらず、発火の詳しいメカニズムも依然不明です。 補遺754-JP.1: 発見 SCP-754-JPは財団エージェントであるエージェント・日下が特定の時期から発症していた記憶異常などに対する調査により発見されました。エージェント・日下は新潟県糸魚川市出身ですが、自身の出生地がLoI-754-JPであることや休暇を取ってLoI-754-JPへと“帰郷”したい旨の内容を周辺職員に語っていたため、何らかの異常が疑われ注目されていました。このため、エージェント・日下は他の異常存在の調査のため潜入していたLoI-754-JPからエリア-81JHへと異動となり、すぐさま拘束されました。 以下はエリア-81JHにおいてエージェント・日下へ行われたインタビュー記録の転写です。 インタビュー記録754-JP.1.1 日付: 2016/12/20 対象: エージェント・日下 インタビュアー: 音丸博士 [記録開始] 音丸博士: インタビューを開始する。 Agt.日下: よろしくお願いします。 音丸博士: まず、日下君。君の出身地はどこだろうか。 Agt.日下: 富山県の██町です。 音丸博士: 具体的に言えるだろうか? Agt.日下: 具体的……具体的?おかしいです。思い出せません。 音丸博士: なるほど。君はそれでも故郷を██町だと主張するのだろうか。 Agt.日下: 博士、何を仰りたいのかわかりません。私の故郷は紛れもなく██町、富山県の██町です。 音丸博士: 思い出せないのにか? Agt.日下: さあ……多分、一時的なものでしょう? 音丸博士: しかし、君の出身地は新潟の糸魚川ということになっている。戸籍上も、財団データベース上でもそうだ。君の出身地を誤認しているのは君自身だけなのではないだろうか。 Agt.日下: そんな、まさか。過去改変などが起こったとか、そういうわけではないのでしょうか? 音丸博士: 良い観点とは思うが、違うだろう。改変されているのは過去ではなく、君の記憶だけだ。ここ最近は異常なヒュームの変動は日本国内で確認されていないのでな。では質問させてもらうが、君の両親は存命だろうか? Agt.日下: はい。何事も無ければ、2人とも今は██町で過ごしていると思います。 音丸博士: 昨日の時点で他のエージェントが確認に向かったが、やはり2人とも糸魚川市に在住しているようだ。 (沈黙) Agt.日下: 博士、私に何が起こったんですか?もう、何を信じたらいいのかわかりません。 音丸博士: それをこれから明らかにしていきたい。 Agt.日下: そう、ですね。 音丸博士: 何か記憶に影響する異常と接触したとか、そういうことは断片的にも憶えていないのだろうか。 Agt.日下: そういうことはないと思いますね。何なら、私が██町で過ごした記憶を語れるくらいですから。 (沈黙) 音丸博士: 語らないのか? Agt.日下: すみません。思い出すのに時間が掛かりそうです。 音丸博士: やはり君の故郷は糸魚川市だろう。 Agt.日下: 違う、違います!絶対に違います。糸魚川市なんて行ったこともありません。私のふるさとは██町で、とても穏やかで懐かしい風の吹く街なんです。故郷の街を、野焼きの香りを、日本酒の味を!私が忘れるわけないでしょう? 音丸博士: 落ち着け、落ち着くんだ。よし、一旦記憶処理をしてみよう。話はそれからがいい。 [記録終了] 終了報告: エージェント・日下への記憶処理は異常な記憶の除去に一切効果を示しませんでした。エージェント・日下の異常の起源について知るには、彼を原因と思われる██町に再び滞在させ観察する必要があると考えます。何らかの異常が原因であるのは容易に想像がつきますので、細心の警戒の下で観察しましょう。──音丸博士 このインタビューののち、他のエージェント4名の監視の下でエージェント・日下はLoI-754-JPに滞在することを許可されました。再滞在開始から2日後、エージェント・日下の居住するアパートよりSCP-754-JP-Aが出現しました。エージェントらはSCP-754-JP-Aを制止するよう試みましたが失敗し、SCP-754-JP-Aは日本海へと逃亡しました。のちに室内に設置されていた監視カメラの映像から、エージェント・日下の身体改変は瞬時に終了したことが判明しています。 図1.1: 火災発生現場。 出現から9時間後、SCP-754-JP-Aは新潟県糸魚川市に再出現し、エージェント・日下の両親が経営する中華料理店へと侵入して大量のSCP-754-JP-Bを放出しました。結果として中華料理店を中心とした大規模な火災が発生しました。消火が完了したのち、焼け跡からSCP-754-JP-Aの死骸と不明な原因で燃焼していなかった複数のSCP-754-JP-Bが回収されました。この時点で、LoI-754-JPへの長期滞在は対象者に悪影響を及ぼす可能性が浮上し、LoI-754-JPに滞在していた他のエージェント4名はすぐさま撤収しました。その後行われた死骸の遺伝子検査により、SCP-754-JP-Aがエージェント・日下であることが明らかになりました。 上述のインシデントののちに行われた実験で、Dクラス職員2名に即座の終了を可能にする器具を装着させ滞在させることにより異常性が判明しました。Dクラス職員両名はSCP-754-JP-Aに変化した時点で終了されたため、何らかの被害が公衆に及ぶことはありませんでした。 これらの結果から、エリア-81JHは██町をLoI-754-JPに指定し、住民以外の一般人の出入りを検閲によって厳重に制限する緊急処置を行いました。 補遺754-JP.2: 特別襲撃作戦「鮭漁」 図2.1: 日本生類創研の秘匿研究サイト。 更なる調査の結果、LoI-754-JP郊外に位置する石油コンビナートの一部がGoI-8101 (“日本生類創研”) の秘匿された研究サイトであることが判明しました。このコンビナートの煙突から出る排気ガスには低濃度の依存性のある未知の化学物質が含まれており、LoI-754-JPの大気を汚染していました。また、この物質はLoI-754-JPの住民以外の人物の体内に選択的に蓄積される異常性質を有していると判明しました。 エリア-81JHは該当施設への特別襲撃作戦「鮭漁」を策定し、これを実行しました。この作戦のため機動部隊ね-33 (“サーモンライダー”) が編成され、任務に当たりました。最終的にこの襲撃は日本生類創研が施設に搭載していた爆破装置による証拠隠滅という結果を招きました。 回収記録から、これは不正確な事実である可能性が浮上しました。補遺754-JP.3を参照してください。 この爆発に際し、日本生類創研は爆破しなかった施設の煙突から青色の気体をLoI-754-JP全体に散布していたことが確認されています。以降SCP-754-JPの発生が確認されなくなり、SCP-754-JPはNeutralizedに再分類されました。 補遺754-JP.3: 回収資料 ► アクセス: 回収資料754-JP.3.1 (レベル2/754-JP機密)  ▼ ファイルを閉じる 注記: 以下は特別襲撃作戦「鮭漁」実行後に日本生類創研の秘匿サイトから回収された記録のうち、SCP-754-JPと関連性があると見られるものの抜粋です。これらの記録は日本生類創研職員の「和歌山」という人物が所持していたと思われる携帯端末に保存されていました。その他の記録については復元作業が進行中です。 To: Tエリア商品企画部支部 和歌山、Tエリア環境学部門、Cエリア魚類生物研究室、Bエリアヒト科生物研究室 From: Tエリア環境学部門 戸田 日付: 2016/12/18 件名: サーモナイズケミカル開発の進捗について SC開発関係者各位 お疲れ様です。 大変お待たせ致しました。アノ-イテギリクラウンの実用試験の進捗です。 ██町での大気散布開始から約1ヶ月で、サンプル004はフェイズ2帰巣本能発揮まで到達しました。監視のため設定を██町にしましたので、現在もサンプル004は██町に滞在しています。ヒト個体選択性も問題なく機能しているようです。 上手くいけば、まもなくフェイズ3へと移行するものと予想されます。把握の程、よろしくお願いします。 >和歌山部長 つきましては、件のクライアントに納品する製品の決定をしばしお待ちいただけないでしょうか? 何卒、よろしくお願いします。 To: Tエリア環境学部門 戸田 From: Tエリア商品企画部支部 和歌山 日付: 2016/12/19 件名: Re: サーモナイズケミカル開発の進捗について 戸田君 お疲れ様です。 その報告、もう少しだけ早く欲しかったですね。もう難波君の案で行こうかと思ってました。 待てて3日間です。003までのようにほっちゃれない3のを期待してますよ。 To: Tエリア商品企画部支部 和歌山、Tエリア環境学部門、Cエリア魚類生物研究室、Bエリアヒト科生物研究室 From: Tエリア環境学部門 戸田 日付: 2016/12/22 件名: サーモナイズケミカル開発進捗の続報 SC開発関係者各位 お疲れ様です。 一時的にサンプル004が行方不明になるなどのアクシデントはありましたが、無事サンプル004がフェイズ3に移行したことを確認しました。 糸魚川市の様子が大々的に報道されているかと思います。 アノ-イテギリクラウンのヒト身体改竄性とヒト個体選択性、そしてサケの遡上本能の調和は見事に成功したと言って良いでしょう。 >和歌山部長 報道をご覧いただけたでしょうか。 今回の製品は大変安価に量産が可能な上、精度も申し分ありません。 何より本来の用途である兵器として、特定地域への攻撃も可能です。 お返事お待ちしております。 To: Tエリア商品企画部支部 和歌山、Tエリア環境学部門、Cエリア魚類生物研究室、Bエリアヒト科生物研究室 From: Bエリアヒト科生物研究室 凍霧 日付: 2016/12/22 件名: Re: サーモナイズケミカル開発進捗の続報 SC開発関係者各位 お疲れ様です。 ニュースを見ました。これを例のサケがやったと考えると、感慨深いものがあります。 まさに見事といっていいでしょう。 一方で悪いニュースもあります。 室長の久能さんに指摘され例の化合物を緊急で分析しなおしたところ、どうにもヒト個体選択性精度の報告に誤りがあることがわかりました。うちの研究室の新人が化学分析でミスしていたようです。 もしかすると、サンプルではない無関係者がクラウンの影響を受けているかもしれません。 財団などに見つかると大変ですから、Tエリアの方々には調査をしていただき、影響者にはディザブラーの投与をお願いします。クラウンと一緒にお渡しした青い液体です。 関係者各位には大変申し訳ありませんが、SCの製品化は延期とさせていただきたいです。 魚類部の阿野さんと相談しましたが、現状の精度では製品化しても私たちが納得いかないと判断しました。 今回は難波さんのプロジェクトで行きましょう。よろしくお願いします。 To: Tエリア環境学部門、Cエリア魚類生物研究室、Bエリアヒト科生物研究室 From: Tエリア商品企画部支部 和歌山 日付: 2016/12/23 件名: Re:Re: サーモナイズケミカル開発進捗の続報 各位 お疲れ様です。 凍霧君の主張に基づいて、今回は難波君のところのカミカゼタブレットで行くことに決定しました。 環境学部門は██町での事後処理を行ってください。 >凍霧君 今回は上手くいきませんでしたが、君の功績には目を見張るところがあります。 次に期待していますよ。 To: Tエリア職員 From: Tエリア商品企画部支部 和歌山 日付: 2017/01/12 件名: 緊急退避命令 各位 お疲れ様です。 諜報部から連絡が来ました。Tエリアが財団にバレたようです。 襲撃が3時間後に行われます。すぐさま退避してください。 >戸田君 サンプル004は財団職員だったそうです。何が大変安価ですか。前代未聞の大出費ですよ。 ディザブラーを散布したらすぐに退避しなさい。コンビナートの爆破も忘れないよう。東弊の方々には私から謝罪しておきます。 それと、状況把握や情報管理があまりに雑です。関連講義を再聴講しなさい。 To: Tエリア商品企画部支部 和歌山、Tエリア環境学部門、Cエリア魚類生物研究室、Bエリアヒト科生物研究室 From: Tエリア環境学部門 戸田 日付: 2017/01/12 件名: 朗報 各位 ディザブラーの散布は完了しましたが、爆破は私がしたものではありません。 現場を確認したら、サンプル001と002が倒れていました4。Tエリアで私がクラウンを静脈注射した個体ですが、憶えていますか? ほっちゃれたはずが健在でしたね。ある意味実験は成功したといっていいでしょう! >和歌山部長 これ、私に非があるんですか? 脚注 1. LoI - Location of Interestの略記。 2. 特筆すべきことに、この体液はSCP-754-JP-Bの薄膜にのみ反応を示し、他のあらゆる物質に対し影響しません。 3. 北海道の方言で遡上で疲弊したサケのことを「ほっちゃれ」と呼び、それをなぞらえた文と考えられます。 4. SCP-754-JP-Aと思われる実体の死骸は回収されていません。爆破により焼失したか、日本生類創研の職員により回収されたものと考えられています。
scp-755-jp
評価: +190+–x SCP-755-JP アイテム番号: SCP-755-JP オブジェクトクラス: Neutralized 特別収容プロトコル: SCP-755-JPは現在Neutralizedに分類されています。詳細な経緯は補遺を参照してください。 説明: SCP-755-JPはナナホシテントウ(Coccinella septempunctata)に酷似している昆虫です。組成や生態はナナホシテントウと一致しますが、SCP-755-JPの前翅の色は水色です。 SCP-755-JPは未知の感染経路を通じて人間の認識を汚染します(認識汚染を受けた人間をSCP-755-JP-1とする)。感染経路はSCP-755-JPの全滅によって研究が凍結されたために判明していません。ただしヒト-ヒト感染もしくは空気感染の類であったと推定されています。SCP-755-JP-1へのAクラス記憶処理は異常性の除去に繋がりませんでした。 SCP-755-JP-1はすべての「平行して覚えている3つ以上の事柄の内の1つ」をナナホシというワードに置換します。例えばSCP-755-JP-1に光の三原色を訪ねると「ナナホシ・青・緑」や「赤・ナナホシ・緑」などと答えるようになります。これはSCP-755-JP-1のすべての表現と知覚に影響します。また、SCP-755-JP-1は他者から認識汚染について指摘されると軽度の混乱を起こす可能性があります。 2人のSCP-755-JP-1の間で同じワードがナナホシに置換されている場合、会話に支障は現れません。しかし異なったワードがナナホシに置換されている場合は会話に無視出来ない程度の支障が現れます。例えば東西南北の4方向の内、東がナナホシに置換されているSCP-755-JP-1同士は正常な会話が可能です。ですが西がナナホシに置換されたSCP-755-JP-1と南がナナホシに置換されたSCP-755-JP-1の間で行われた会話は方角や世界史の話題において支障を来します。 SCP-755-JPは長野県██山に生息していた個体を休暇中のエージェント██が発見した事により収容されました。エージェント██は財団への報告時点で既にSCP-755-JPの異常性に曝露しており、SCP-755-JP-1-1と指定されました。 以下はSCP-755-JPがEuclid分類されていた時の報告書です。 + 旧報告書を閲覧 - 旧報告書の閲覧を終了 アイテム番号: SCP-755-JP オブジェクトクラス: ナナホシ 特別収容プロトコル: SCP-755-JPは低危険度生物収容室に収容してください。SCP-755-JPの異常性への曝露条件が解明されるまで、給餌はナナホシクラス職員に行わせてください。 説明: SCP-755-JPはナナホシテントウ(Coccinella septempunctata)に酷似している昆虫です。組成や生態はナナホシテントウと一致しますが、SCP-755-JPの前翅の色は水色です。 SCP-755-JPは未知の感染経路を用いて人間の認識を汚染します(認識汚染を受けた人間をSCP-755-JP-1とする)。感染経路の特定は完了していませんが、羽音か体液の臭気のいずれかであると推測されています。SCP-755-JP-1へのナナホシクラス記憶処理は異常性の除去に繋がりませんでした。 SCP-755-JP-1は「平行して覚えている3つ以上の事柄の内の1つ」をナナホシというワードに置換します。例えば光の三原色は「赤・青・ナナホシ」ですが、これをSCP-755-JP-1に尋ねると「緑・青・ナナホシ」や「赤・緑・ナナホシ」などと返答します。これはSCP-755-JP-1が行う発話、記述などのすべての表現方法に影響します。また、SCP-755-JP-1は他者から認識汚染について指摘されると軽度の混乱を起こす可能性があります。 2人のSCP-755-JP-1の間で同じワードがナナホシに置換されている場合、会話に支障は現れません。しかし異なったワードがナナホシに置換されている場合は会話に無視出来ない程度の支障が現れます。例えば東西ナナホシ北の4方向の内、東が南に置換されているSCP-755-JP-1同士は正常な会話が可能です。ですが西が南に置換されたSCP-755-JP-1とナナホシが南に置換されたSCP-755-JP-1の間で行われた会話は方角や世界史の話題において支障を来します。 対象: D-3759 インタビュアー: ██博士 備考: D-3759はSCP-755-JP-1-22に指定されています。SCP-755-JP-1の認識に関する詳しい調査のためにインタビューを受けました。 <録音開始, 20██/██/█> ██博士: それではインタビューを始める。まず質問だが光の三原色は知っているか? D-3759: ……それぐらいなら分かる。赤、緑、ナナホシだろ? ██博士: 私の記憶では赤、青、ナナホシだがね……まぁ良いとしようか。次にこの絵に使われている色を答えてくれるか?(██博士が赤、青、ナナホシの三色が使われた絵を取り出す) D-3759: ……あぁ、赤と緑とナナホシが使われてるな。 ██博士: じゃあこれは?(██博士は虹の絵をD-3759に見せる) D-3759: あぁーえっと虹だから、赤、橙、黄、緑、青、紫、ナナホシだっけ?……てかさぁ、これ一体何のテストなんだ?俺別に色覚異常とかじゃ無いんだけど? ██博士: そうか、すまなかった。インタビューを終了する。 <録音終了, 20██/██/█> 終了報告書: D-3759に三原色について尋ねた時は青を緑だと主張したが、虹の絵を見せると橙を紫と言い、藍色と言うべきタイミングで紫と言った。何について話しているかによって、ナナホシに置き換えられる単語は変更されるらしい。更なる調査が必要だ。 -██博士 付記: インタビューログの文章化時点で、██博士がSCP-755-JPの異常性に曝露している事が明らかになりました。██博士はSCP-755-JP-1-23に指定されました。 追記: 20██/ナナホシ/█、おそらくサイト-ナナホシの殆どが汚染された。SCP-755-JP-1-nの指定作業なんてしている暇はない。私の知人はすべて話が通じなくなってしまったし、私が普段関わらない職員の中に正常な人間が残って居るかすら怪しい。部屋番号102だとか方角は南だとか言われても分からないし、Euclidなんていうふざけたオブジェクトクラスが作り上げられている。この報告書も酷い有様だったので、混乱を避けるために全ての範囲の単語とその順番を訂正して編集権限をロックした。完全に復旧出来た訳ではないが随分マシになったはずだ。 感染媒体が分からないからといって他サイトへの救援要請を渋っている場合では無い。このままSCP-755-JPの効力が世界を覆えばナナホシK-クラス文明崩壊シナリオを招くだろう。絶対にそれを許してはならない。確保。収容。ナナホシ。 -エージェント██ - 旧報告書の閲覧を終了 補遺: 20██/██/█、SCP-755-JPの全個体が収容室で餓死しているのを職員が発見しました。その後SCP-755-JP-1群の認識汚染が解消され、他サイトの救援部隊からも当サイトの職員が正常であると認可されました。餓死の原因はSCP-755-JPへの給餌が2週間に渡って行われていなかったことによるものだと推定されています。異常性への曝露条件は解明されておらず、現時点ではSCP-755-JPの死が影響を解除するトリガーになっていたという説のみが有力視されています。 また、SCP-755-JPが初めて確認された地域で大規模な捜索が行われましたが、新たなSCP-755-JPの個体は発見されませんでした。そのため、SCP-755-JPはNeutralizedに再分類されました。
scp-756-jp
評価: +181+–x SCP-756-JP アイテム番号: SCP-756-JP   オブジェクトクラス: Neutralized   特別収容プロトコル: SCP-756-JPは既に無力化されています。   説明: SCP-756-JPはアメリカ合衆国国務省より発行されているものと極めて近似なデザインのパスポートです。期限や所有者情報、IDなどの記載は無く完全な白紙状態ですが、ICチップが埋め込まれていないことから、2006年3月以前に製造された可能性が高いと見られています。   SCP-756-JPを海外渡航の手続きに於いて使用した場合、未知のミーム的効果により、どのような手続き上の不備や意図的な違反も認識されないようになります。この効果はSCP-756-JPを使用した手続きが開始されるのと同時に現れ、出入国の管理に関係する全スタッフに即座に影響が及びます。 その際、SCP-756-JPを使用する手続きを行う以前に発見されている不備や違反についても、個々の認識や記憶から欠落し、没収されたものがあれば、SCP-756-JPの使用者が要請を行うことで必ず返却されます。 これらの効果は、SCP-756-JP使用者がSCP-756-JPを所持したまま空港または海港の敷地内から退出するまで継続します。しかし多くの場合で、不備や違反が見逃されているためにそれらの記録もスタッフによっては残されておらず、スタッフの持つ認識能力や知覚にも大きな変化は無いため異常性の発見は困難です。   SCP-756-JPは、その性質を利用して日本国内に潜伏していたカオス・インサージェンシー工作員を制圧した際に初めて回収され、同工作員からの証言とDクラス職員を用いた実験により異常性の存在が確認されました。   こりゃあ便利だ。是非優先して研究を進めてもらいたいな。潜入に使えるかもしれない。 ──エージェント・██   補遺1: 20██年5月██日、カオス・インサージェンシー構成員6名による、自害的な攻撃を含んだ襲撃によってSCP-756-JPが奪取されました。同案件により3名が死亡し、18名が重軽傷を負っています。 同日、SCP-756-JPの再回収を含んだ特別調査チームが組織されました。   補遺2: 20██年5月██日、カオス・インサージェンシーの潜伏拠点と思われる建造物が機動部隊により制圧されました。しかし機動部隊突入時には既に潜伏拠点は何ものかによる襲撃と破壊を受けた後であり、カオス・インサージェンシー工作員と思われる4名の死体のみが回収されました。   残存した証拠の解析では、襲撃者は蛇の手の構成員であることが示唆されています。   補遺3: 20██年7月██日、特別調査チーム宛に、蛇の手の構成員を名乗る人物からメールが送信されました。 そこには、カオス・インサージェンシーからSCP-756-JPを奪取したのは自分たちであることを自白する文章と、SCP-756-JPを取引によって蒐集院残党へと譲り渡した旨が記載されていました。 同メールには、SCP-756-JPを再回収しようとする活動全体に対する、非常に抽象的な抑止の忠告が書かれていました。   特別調査チームは調査対象を蒐集院の各残党へと再定義するのと同時に、増員の要請を行いました。 要請は6日後の20██年7月██日に承認されました。   補遺4: 20██年8月██日、蒐集院残党勢力の一つ"呪禁道持禁医疾社"との交渉中、未確認の超常現象によって同組織の壊滅が確認されました。同組織の拠点は同質量の人糞へと置き換わっており、生存者は発見されず、拠点内の全物質が人糞へと置換されていました。   その後、超常現象の発生過程の調査と、送信者不明のメッセージの内容により、これら超常現象は人為的なものであることが判明しました。また、SCP-756-JPは"呪禁道持禁医疾社"によって所有されており、強奪された可能性が高いと見られています。   送信者不明のメッセージの内容: 久しぶりだね! 楽しい楽しい博士のにぎやかしバクダンはたっぷり味わってくれたかな? お友達がたくさん集まったパーティーは楽しく盛り上げなくちゃ! 大はしゃぎの時間はまだまだ終わらないよ。夕日が沈むまで、皆で思い出に残る遊びを考えよう。楽しもうね! 以後20██年11月██日までに発生した、SCP-756-JPが関与したと思われる一連の異常現象については別途資料を参照してください。 資料は破棄されました。   補遺5: 20██年11月██日、マーシャル・カーター&ダーク株式会社名義の商品として、デザインに多少の改変が加えられたSCP-756-JPが発見されました。 直ちにエージェントが回収のために派遣されましたが、SCP-756-JPが既にUIUによって取得されていたため、財団米国本部を通じての引き渡し要請が検討されています。   補遺6: 20██年11月██日、ORIA主導によるFBI襲撃事件が発生しました。ORIAはマーシャル・カーター&ダーク株式会社より情報を得ており、それに基づいてSCP-756-JPを含むUIU管理下の幾つかの異常アイテムを奪取しました。しかし襲撃者の作戦軌道から、最優先の確保対象はSCP-756-JPであったと推測されています。 本襲撃事件により、UIU捜査官2名を含んだFBI職員16名が死亡し、31名が重軽傷、2名が行方不明となっています。   補遺7: SCP-756-JPに関連した一連の事件に対し、SCP-756-JP担当研究チームが疑問を呈した事によってSCP-756-JPの性質の再調査と資料の再検討が実施されました。   その結果SCP-756-JPは未確認のミーム的特性を有していた事が初めて確認されました。SCP-756-JPの異常性質を知る人間は、本来有しているSCP-756-JPの効果や客観的な利便性以上に「SCP-756-JPが便利なものである」事実を過剰に評価するようになります。 財団がSCP-756-JPを所有していた頃に実験を行ったDクラス職員へのインタビュー記録では、どのDクラス職員もSCP-756-JPを「すごく便利なもの」としか描写出来ず、その具体的な使途に言及する事無く終始利便性について感心しているかのような素振りを取っていました。   このミーム的特性が未発見であった要因としては、SCP-756-JPの特性が低脅威且つ利便性に優れた使用が可能であった点、当時の研究チームを含んだ数多くの財団職員もこのミーム的特性の影響下にあったであろう点、このミーム的効果が必ずしも強烈な所有欲や独占欲または精神的な中毒性には直結せず、管理下にあったDクラス職員の過激な異常行動を誘発するには及んでいなかった点などが挙げられています。   新たに発見されたこのミーム的特性によって、複数の要注意団体によるこれまでの事件が誘発されているものと思われます。しかし「便利である」という認識そのものはSCP-756-JPによる効果ですが、そこからの「だから活用したい」という心理への移行はあくまで当事者自身の心理活動によるものであり、そのために各要注意団体に於いても、このミーム的特性は見過ごされているものと考えられます。   このミーム的特性に影響されている人間の数は今や特定不能であり、今後はSCP-756-JPの徹底した情報封鎖と、関連情報に対する記憶処理、記録の改竄が実施されます。   補遺8: 20██年1月██日、GOCより「SCP-756-JPをORIAより奪取後、破壊した」との情報が寄せられました。また、GOCとの合同調査によって、SCP-756-JPが破壊されるのと同時にミーム的特性も消失していた事が確認されました。   SCP-756-JPの残骸はGOCより返還され、Neutralized認定後、同組織職員立ち合いの下で焼却処分されました。   一連の事件による、一般社会への被害総額と被害者数の調査は現在も進行しています。
scp-757-jp
評価: +75+–x アイテム番号: SCP-757-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-757-JPは、定期的に条件を満たす人物に対し調査を行い、発見された場合即座に回収してください。発見されたSCP-757-JPは、サイト-81██の低脅威度アイテム収容ロッカーにおいて収容してください。その後SCP-757-JPを所持していた人物に対しインタビューを行い、最長3年の監視を行ってください。SCP-757-JP-1群が出現した際には、機動部隊ら-12("ガードマン")によって制圧し、目撃者にクラスA記憶処理を施してください。SCP-757-JP-1の確保に成功した場合、装備を全て没収したうえで、サイト-81██の高強度人型オブジェクト収容室にて収容してください。 説明: SCP-757-JPは、5.0cm×8.5cmの免許と認識される紙片です。SCP-757-JPは、「JSLU日本特殊免許組合」と印刷された一般的な封筒に封入された状態でポストに送付されます。SCP-757-JPの送付の瞬間は現在確認されていません。財団が確認済みのSCP-757-JPが送付された人物(以下、該当者と表記)の共通点は、「5年以上に渡って施設の警備業務を続けている、住所不定でない40~50代の人物であること」ですが、共通点を満たしていても送付されない場合がある為、現在詳しい調査を進めています。 SCP-757-JPには該当者の本名、年齢、生年月日などの個人情報が記載されています。該当者へのインタビューの結果、年齢確認や身分証明に問題なく使用可能であるほか、勤務先に侵入した強盗犯に見せたところ何も盗まずに逃げていったという証言1がなされました。このことより、SCP-757-JPには軽度の認識災害を引き起こす異常性が付加されていると推測されます。 SCP-757-JPが送付されて3年が経過すると、該当者の下に以下のような内容の書類が送付されます。 [該当者の本名]様 特殊警備免許第13種更新の時期が訪れました。 ██月██日(█)██時に[勤務先]にて更新試験を行いますので、忘れずご参加ください。 体調不良などで試験に参加できない場合の予備日程は██月██日(█)██時となっております。 ご確認ください。 JSLU日本特殊免許組合 この書類を確認した該当者は、確認した時点で警備に当たっている施設に、書類内で指定された日時に待機していなければならないと強く認識します。該当者に書類を閲覧させないための試みおよび指定された日時に施設に向かわせないための試みは、該当者の自己終了などの要因により現在成功していません。 該当者の勤務先に接近を試みるSCP-757-JP-1群 その後、指定された日時に銃器・鈍器・刃物などで武装した人型実体(以下SCP-757-JP-1と表記)3~7体程度で構成された集団が該当者の警備する施設付近に出現します。予備日程にSCP-757-JP-1群が出現した例は今のところ確認されていません。また、SCP-757-JP-1は既存の軍隊、部隊と同様の装備を身に纏いますが、調査の結果それらの軍隊、部隊とSCP-757-JP-1との間に直接的な関係性はないと結論付けられています。 SCP-757-JP-1群は、該当者の警備する施設への侵入を試みます。施設への侵入に成功したSCP-757-JP-1は、その施設内部に存在する、該当者以外の人物を優先的に殺害します。施設内部に存在するのが該当者のみの場合、SCP-757-JP-1は該当者を殺害します。 SCP-757-JP-1が、該当者以外の人物を全て殺害、もしくは該当者を殺害した場合、SCP-757-JP-1は「不合格」と宣言しSCP-757-JPとともに消失します。SCP-757-JP-1が前述した条件を達成する前に無力化に成功した場合は、SCP-757-JP-1は「合格」と宣言しSCP-757-JPを残して消失します。また、SCP-757-JP-1が前述した条件を達成する前に該当者が施設内より逃走した場合、SCP-757-JP-1は「失格」と宣言し該当者の殺害を最優先に行動を開始します。この状態でSCP-757-JP-1群を無力化した場合、SCP-757-JP-1は消失しませんが、SCP-757-JPは異常性を喪失することが判明しています。現在、██体のSCP-757-JP-1の収容に成功していますが、インタビューに対しては基本的に非協力的であり、JSLU日本特殊免許組合や、消失能力についての情報等はほぼ得られていません。しかし現在まで財団の収容から逃れるために消失能力を使用していないため、消失能力には何らかの制限があると推測されています。 SCP-757-JPは、19██/██/██に財団フロント企業に勤務していた██警備員の下に送付されたことによりその存在が明らかとなりました。その後の調査の結果、以上の情報が判明しています。また、SCP-757-JP-1群が原因と思われる事案は全てカバーストーリーが適用されています。 補遺: 1体目のSCP-757-JP-1が収容され、3年が経過した20██/██/██、財団の人事部門にて以下のような内容の書類が発見されました。書類の内容を受け、現在サイト-81██は不測の事態に備え厳戒態勢にあります。 百々来 央搗様2 特殊襲撃員免許第3種更新の時期が訪れました。 ██月██日(█)██時にサイト-81██にて更新試験を行いますので、忘れずご参加ください。 体調不良などで試験に参加できない場合の予備日程は██月██日(█)██時となっております。 ご確認ください。 JSLU日本特殊免許組合 Footnotes 1. この際、該当者は強盗犯に対しSCP-757-JPを見せればよいと感じたと証言しています。 2. インタビューの結果、1体目のSCP-757-JP-1を指した名称であることが判明しています。
scp-758-jp
評価: +74+–x 評価: +74+–x クレジット タイトル: わたしの部屋 著者: ©︎rkondo_001 作成年: 2017 評価: +74+–x 評価: +74+–x SCP-758-JP-A内中央上部 アイテム番号: SCP-758-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: 現在SCP-758-JP-B地点は車両止め/フェンスゲートにより一般道路と分断され、民間人向けに「私有地につき立入禁止」という虚偽の掲示がされています。SCP-758-JP内外及びSCP-758-JP-B地点には複数の定点カメラを配置し、これにより民間人含む許可無き立ち入りを常時監視し防いでください。侵入者には通常の警備スタッフが対処を行い、拘束の後 立ち入り経路など各種要項についての調書が取られます。侵入者が内部の異常空間に接触した際は、上記の手順に加え 適宜関係者への記憶処理を行ってください。 説明: SCP-758-JPは、SCP-758-JP-Aと識別される建築物を中心とした空間です。SCP-758-JP-Aの周囲は四方が木々に囲まれた芝生の広場となっており、SCP-758-JP-Aから伸びる歩道の先にのみ、唯一エリア外部の一般道路へと繋がる通路が続いています。便宜上、この通路と外部一般道路との合流地点はSCP-758-JP-Bと区分されます。 SCP-758-JP-Bは現在三重県亀山市の鈴鹿峠付近、国道1号線から分岐する脇道として存在しているのが確認されていますが、当該地点は前述の国道を通行する人物にのみ認識され、上空から また他のルートからの侵入といった形ではSCP-758-JP-B地点及びSCP-758-JP区域を発見する事は出来ません。SCP-758-JP内ではGPS/通信機器が正常に作動しない事、内部からの調査では SCP-758-JP空間周囲から先は一切起伏の無い無制限の森林であるように観測された事なども考慮し、SCP-758-JPは一種の別空間に存在すると推測されています。 SCP-758-JP-Aは3階建て、直径30mの円筒形状をした木造建築物です。側面部には一切窓が設置されておらず、上部にのみガラス張りの明かり取りが塡め込まれています。敷地の歩道と接する面にはエントランスが設けられ、未施錠のドアより難なく進入を行う事が可能です。1階はソファやテーブルなどが設置された多目的スペースとなっており、中心部は3階までが吹き抜けています。左右に沿うように配置された階段からは上階へと移動する事が可能です。 SCP-758-JP-Aの2階・3階部には、中心の吹き抜けをリング状に取り囲むようにそれぞれ18ずつのドアが配置されており、その一つ一つに「████のへや」という形式で個別の男女の人名が彫り込まれた木板が取り付けられています。これはこれら36のドア全てに存在し、記載された名前の重複、また空白のプレート等の存在は確認されていません。ドアはいわゆるユニバーサルデザイン、特に子供の利用を意識したとみられる意匠で設計されており、弱い力であっても容易に開閉する事が可能です。これらの扉、またその奥に存在する空間を総称してSCP-758-JP-Cと区分します。 SCP-758-JP-Cは本来、個別の部屋としては当建築物の構造上ごく小規模の空間しか持ち得ないはずですが、SCP-758-JP-Cはそれぞれが明らかに施設の直径や隣接する部屋の存在を無視した広大な内部空間を保持しています。個々の空間は構成要素から規模に至るまで様相が異なっており、一貫性は見られません。SCP-758-JP-Cは一つの大空間とは限らず、廊下やドア等で区切られた個々の部屋が内部に存在する例、主観上では屋外の様に見える空間、さらには実在する別エリアと酷似した空間へと繋がっている例1も確認されます。加えて、空間内には状況に応じた実在・非実在含む未知の人型存在及び動植物種等が多く確認されています。生物的・非生物的実体共に、こちらからの破壊的行為は一切通用しません。 以下の表にSCP-758-JP-Cについての概略を部分的に略記します。識別番号C-1からC-36までの詳細な記録は別紙758-JP-C総覧を参照してください。 + SCP-758-JP-C概略抜粋 - 資料を隠す 識別番号 木板の刻字/内部空間の様相 C-5 刻字:やまざき ゆうや のへや 様相:イタリアのスタディオ・ジュゼッペ・メアッツァの選手控室に酷似する空間。"YAMAZAKI"表記のロッカーとユニフォームが用意されており、着用することで外部グラウンドへの進入が可能となる。スタジアムの観客席は歓声を上げて熱狂する未特定の観客で満たされており、グラウンドでは2013年時点のインテルナツィオナーレ・ミラノ2と無作為の欧州サッカーチームとみられる人型実体が待機している。進入者は前者チームのDFとして既存選手1名と交代し試合に参加。進入者の経験や知識・技量によらず、当該人物の活躍によりインテル・ミラノ側の勝利で試合は幕を閉じる。 C-14 刻字:たなか みお のへや 様相:西洋バロック建築の劇場と思われる空間。馬蹄型の観客席は正装した人型実体によりほぼ満員となっており、舞台ではクラシック・バレエ3の上演がされている。その内容は非常に高い質であると評価され、上演は盛大な歓声とスタンディングオベーションとともに終幕する。演者及び観客の顔触れは進入した回ごとに入れ替わるが、主役級とみられるダンサーのみ常に同一のアジア系女性が担当している事、観客席センターブロックに常時同一のアジア系の家族とみられるグループと、一人分の空席が存在する事が確認されている。 C-22 刻字:おかやま たいが のへや 様相:中生代と推測される環境が再現された空間。758-JP-C群の中では最も広大な空間を保持している。行動を遮るような物理的障壁は存在しないものの、一定区域より先へは不可視の何らかの作用により進行困難となる。内部には当該時代の生物群 特に恐竜に分類される大型爬虫類の姿をとった実体が多数存在し、おそらくそれらが最も自然であろう形で活動を行っている。進入者はこれらの実体との接触が可能であり、また進入者に対してこれらの存在も反応を示す。ただし、実体との接触/襲撃 またその関連事象により進入者がダメージを受ける事例は現状確認されていない。 C-29 刻字:かいどう ちひろ のへや 様相:ごく一般的な戸建て住宅の子供部屋に見える空間。ドアや部屋から出た廊下等随所にクリスマスを思わせる装飾がされており、さらにダイニングキッチンには大型のクリスマスツリーが立てられている。同室内には推定30代の男女に見える人型実体が存在し、進入者を"まるで自分達の娘のように"歓待する。当該人物が人型実体から差し出された料理を完食すると、続いて丁寧に包装された平箱を手渡される。内容は画材と子供向けのファッションデザイン書籍であり、問題なく外部に持ち出す事が可能である。 C-36 刻字:くらた けい のへや 様相:インタビューログ_758-JP_002を参照。 SCP-758-JPは20██/11/25、亀山市内の交番に市内在住の倉田 ██氏から"長男が失踪した"という旨の通報が入った事により発見に至りました。当初、現場に居た倉田夫妻の証言から当事案は誘拐事件として扱われたものの、間もなくオブジェクト内の空間異常が発覚、追って財団の調査管轄へと移されました。倉田夫妻は"大竹"と自称する詳細不明の人物によりSCP-758-JPへ招かれたと主張しており、警察側での事前の聴取では当該人物について以下のような情報が得られています。 ロングコートと中折れ帽を着用した、長身痩躯の高齢男性である。 倉田家の所在地周辺に日常的に出没しており、倉田夫妻からは"近隣に住む顔馴染みの知人"として好意的に認識されていた。 口調や動作等から、その気質は温和かつ上品であるように見えた。 以下は上記人物によりSCP-758-JPへ招かれた経緯についての、倉田 ██氏へのインタビューに関する記録です。 + インタビューログ_758-JP_002 - 資料を隠す 対象: 倉田 ██氏 インタビュアー: 坂上研究員 <録音開始> [前略] 倉田氏: それから家族で近くのスーパーのフードコートで昼食取ってた時、偶然そこに大竹が来たんです。俺はもともと顔見知りだし、嫁も さっき話した通り既に面識があったので、いつも通りそのまま雑談などをしていました。息子に対しても、何というか そいつは自分の孫みたいに話したりしていたように見えました。 坂上研究員: 具体的には、どのような会話をされたのですか? 倉田氏: 俺は まあ、いつも通り、といったところでしょうか。会社だとか、家であった事についてとか、新聞とかテレビのニュースで見た色々について、とか。嫁も似たような話でしたね。俺の会話に混じったり、あとはどんな仕事をしているかとか、家族はいるのかとか。あとは、息子がひたすらに宇宙の話をそいつに語っていました。 坂上研究員: 宇宙? 倉田氏: ええ、息子は……息子は、宇宙が何よりも大好きでした。「将来の夢は宇宙飛行士です」って、時間があれば、買ってやった図鑑や宇宙の本をひたすら読んでたり、家のパソコンで そういうページだとか動画とかを1日中でも巡っていました。欲しがるDVDとかもみんな"宇宙のふしぎ"とか"銀河の大ぼうけん"とか、あとは宇宙モノのSF映画ばっかりで。この前も、家族で尾鷲の科学館に行ったりとか、以前の連休は種子島の宇宙センターまで足を運んで、その前も、……[数秒間の沈黙と小さな嗚咽] 坂上研究員: 大丈夫でしょうか? 倉田氏: ……はい、失礼しました。それでその、そんな話をそいつにもしました。息子は宇宙が大好きで、将来は宇宙ステーションに住みたいなんて言ってるんです、と。それなら、と、そいつが1枚チラシみたいなのを出したんです。「自分は建築関連の会社で役員をやっていて、ちょうど今、息子さんくらいの年代の子供を対象にした企画のモデルを探している」と。 坂上研究員: その企画というのは? 倉田氏: まだ計画段階という話でしたが、公園の中に子供のための隠れ家を作る、みたいな話です。アパートみたいにそれぞれ部屋を借りられて、そこをその子だけの為の夢の場所にするのだと。今は試験的に1棟作って、モデルも兼ねて子供達に無償で提供していると。既にほぼ満室にまで埋まっていて、その最後の1室をうちの息子にどうだろうか、という話でした。まさかそんな、すごい話が来るとも思わなかったので、俺と嫁は少し戸惑っていましたが……息子は、身体を乗り出して、目も声も輝かせて、僕も自分の部屋が欲しいと大興奮していました。「宇宙ステーションみたいな部屋もできるか?」とか、「窓から地球とか土星とかが見えるような部屋もできるか?」とかそいつに詰め寄っていて、そいつは息子が夢見るものならなんでも形にすると豪語していました。それにまた息子は飛び跳ねて喜んで……そんなのを見ていたら、どうにも断りづらく、二人して同意してしまいました。ちょうど、来月にはクリスマスだから 息子には良いプレゼントになるんじゃないかって。ほんとうに、迂闊でした。 坂上研究員: そして、先日25日に至る といった形でしょうかね。 倉田氏: はい、あとは細かな契約内容について念を入れて確認したり、マップが描かれたチラシと名刺を受け取って、25日に現地集合と。 坂上研究員: その集合場所というのは、こちらで合っていますでしょうか?[SCP-758-JP-B地点の地図を示す] 倉田氏: えーっと……ああ、そうですね、確かここから入った先と書かれていました。国道の途中に 初めて見る脇道が急に出てくるので、試験的なものとはいえ不思議な場所に作ったものだと思いましたね。 坂上研究員: ありがとうございます。先ほどの続きになりますが、倉田さんがSCP-758-JP あの開けた空間に着いた所からの流れも教えていただけますか? 倉田氏: はい。車で入った先に、そいつが一人で立っていました。車から降りた後はいつも通りの雑談や ここの説明なんかをされながら、中心の建物に案内されました。中は明るい感じで、みんなで小さなホテルみたいだ、なんて話していました。2階の一番奥の扉まで来てそいつは ここに息子の部屋を仕立てるから、30分ほど下のソファで待っていてほしいと言ってきました。息子と何か内装の相談でもするのかと、俺たちはそれに従いました。……その、息子を連れてそいつが部屋に入り、俺と嫁は、下の広間に降りました。大体30分とかした頃に、上からそいつに呼ばれました。部屋が出来たので来て欲しいと。行ってみると、いつの間にかちゃんと息子の名前を彫り込んだ看板まで出来ていて、そいつは俺らに披露するようにドアを開けました。そしたら……びっくりするくらいの広い空間が、まさに 息子が夢見ていた宇宙ステーションのような光景で ドアの先に広がってたんです。よく息子が自由帳とかに描いて俺に見せていた、それにそっくりそのままの。大きな窓からは星空とか、地球とかが見えて……どう考えたってほんの数十分で用意できるもんじゃないし、以前話したところから予め急ピッチに仕込んでたって、あんな凄いものはできないでしょう……なんかのTVのドッキリとか、もしくは丸々俺の変な夢かなにかかと思いましたが、中に進んだ時の空気感とか、靴裏に感じる床の硬さはどうやっても本物にしか感じられませんでした。……[以下十数秒の沈黙] 坂上研究員: どうしましたか? 倉田氏: ……あの、今俺が見て考えてるこれ自体全部夢か何かなんじゃないですかね、変な爺さんにおかしな公園のおかしな建物に案内されて、どう考えたって作れないような部屋見せられて、こんなヘンテコな場所でインタビュー受けてて、あの、もう、こんなのありえないっていうか、俺頭おかしくなって長くてリアルな夢でも呑気に見てるんじゃないかってもうずっと訳がわかんなくて…… 坂上研究員: この変な夢から覚めるためにも、今はどうか落ち着いて あなたの経験した出来事を教えてください。あなたの覚えていることは、私達がこの出来事を解決するための重要な糸口になるかもしれないのです。そのためにも、どうか。 倉田氏: [小さな嗚咽]……どこにも、見えなくて。 坂上研究員: 何がですか? 倉田氏: その部屋は、まさに息子が夢見ていた空間そのものでした。でも……それなのに、見渡すどこにも息子の姿はありませんでした。どこかに隠れているような気配も、全く。嫁は息子の名前を呼んでいましたが、やっぱり返事もありませんでした。それで、後ろで立ってた大竹に息子はどこかと聞いたんです。あたりをあちこち見ながら、振り返らず。 坂上研究員: そうしたら、何と? 倉田氏: [沈黙]……小さく笑って、たった一言。「いま、あなた方の目の前に居るでしょう?」と。 坂上研究員: それは…… 倉田氏: えっ と振り返った時、ドアの前には誰もいませんでした。慌てて外に飛び出しても何処にもあいつの姿が無くて……背後にほんの1か2m位しか間がなかったはずなのに、まるでその場で消えたように、足音どころか動いた音すら感じませんでした。嫁と二人で、狂ったように息子を探して……息子の宇宙ステーションを走り回って[息を荒げる]窓の外の宇宙とか、体が浮いたりとか、どう考えたって何かがおかしくて……建物の中も、外も、片っ端から飛び込んだ他の部屋も何処にもあいつや息子の姿は無くて、[嗚咽]電波も電話も通じず、外に飛び出して、嫁をそこに待たせて俺は元来た細道を全力で駆け戻って、そこでやっと携帯が通じて、すぐに近場の交番に連絡を……それで……それで、警察が来て、案内して……あとは恐らく、あなた方の知るところなのではと。 坂上研究員: ありがとうございます。 倉田氏: あの、 坂上研究員: 何でしょうか? 倉田氏: [数秒の沈黙]息子は……慶は、見つかりますよね。こんなたくさんの人たちが探してるんですから、それにあいつの人相も会社も名前も分かってて……ぜったい、無事で帰ってきますよね。 坂上研究員: 全力を尽くします。それと、一つだけ最後にお伺いしてもよろしいでしょうか。 倉田氏: 何でしょうか? 坂上研究員: "大竹"が最後の発言を投げかけた時、あなた方は何を見ていましたか? 倉田氏: ええと……多分、特に何かを絞って見てはいないですね。俺は、部屋の右の空間の方を、嫁は多分、正面あたりをまっすぐ。 坂上研究員: ありがとうございます。これでインタビューを終了します。お疲れさまでした。 <録音終了> 付記: 倉田夫妻はオブジェクトの根幹に関わる人物と接触した重要人物として、現在財団管轄下の施設に保護されています。近隣住民には疾病治療のための転居という虚偽の情報が流布されました。消息不明の倉田家長男については現在も調査が続けられています。 補遺1: 上記の証言により、SCP-758-JPと同種のオブジェクトが他に存在 あるいは今後出現する可能性が指摘されています。加えて SCP-758-JP-Cに記載された人名 またその内部の様相についての追調査を行ったところ、その過半数が過去数年間に発生している日本国内の行方不明児童と一致を示しました。これにより発覚に至る以前のSCP-758-JP-B地点が県内外の他の地域にも存在していたとの推論がなされ、担当チームが調査を続けています。オブジェクトクラスの変更は現在議論中であり、未定です。 補遺2:インタビュー終了の際、倉田氏は"大竹"から受け取った名刺とリーフレットをまだ所持しているとして、これを担当職員に提出しました。しかし、提示された用紙は共に白紙であり、何らかが印字されていた形跡は一切確認できませんでした。倉田氏が記憶していた紙面の内容についても、インタビュー以上の情報は得られていません。 Footnotes 1. これらにより空間転移の可能性も示唆されましたが、調査の結果これらはあくまでもSCP-758-JP-A内、SCP-758-JP-C空間に再現された独立空間であると結論付けられました。 2. 通称、"インテル・ミラノ"。 3. 演目は無作為的だが、特にチャイコフスキーによる3大バレエが多く確認されている。
scp-759-jp
評価: +57+–x アイテム番号: SCP-759-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-759-JPはその性質ゆえに収容施設への収容は不可能です。SCP-759-JPは太平洋の沖合を離れようとしないため、その周辺を財団の艦船と衛星で警備し、接近しようとする民間船がいた場合にはカバーストーリー「船内での疫病発生」か、カバーストーリー「船を放置することによる劣化の検証実験」に従い退去させてください。なお、従わずに民間人がSCP-759-JP に近づこうとした場合は威嚇・実弾射撃や強行接舷により強制的に退去させる事も許可されています。ただし、強硬手段に出た場合にはクラスA記憶処置を施した上で財団艦船の国籍国の警察に引き渡してください。万が一それらを振り切ってSCP-759-JPに乗り込んだ場合には救助などは行いません。ただし、民間人がSCP-759-JPからの脱出に成功し、監視に当たる財団艦船に送り届けられた場合にはクラスA記憶処置を行った上で財団艦船の国籍国の警察に引き渡してください。 説明: SCP-759-JPは、太平洋のおよそ██████の海域に浮かぶ老朽化した無人の大型貨物船です。船名は老朽化による塗装の剥げや船体自体の傷みにより読み取ることはできません。この船に関するデータは存在せず、建造年、建造元、所有者等は一切不明ですが、19██年に廃船となった██████(解体処分済み)に酷似しているという指摘がされています。不活性時には自律航行せず漂流したままです。SCP-759-JPの周辺では時折不自然な海流が発生し、SCP-759-JPが当該海域から流出することを防いでいます。この海流はSCP-759-JPにより引き起こされているものと推定されますが、発生メカニズムはわかっていません。タグボート等で牽引しようとした場合にはSCP-759-JPは自爆するため牽引などは不可能です。 船内に人間(以下被験者)が立ち入るとSCP-759-JPは汽笛と共に活性化します。活性化したSCP-759-JPは█ノットという低速で、ではありますが、自律した航行を行い始めます。海域██████を離れることはなく、活性化している間は当該海域を旋回する形で航行します。なお、このとき当該海域で局地的な激しい嵐が発生し、SCP-759-JPへの接近は不可能になります。これにより被験者は後述の手順以外ではSCP-759-JPから脱出することができなくなります。 船内には多数の人間の遺体が放置されています。遺体はどれも損傷が激しく、また死後数週間が経過した状態です。この遺体の着ている衣服は[編集済み]の制服に酷似していますが、[編集済み]がSCP-759-JPやこれに類する船を所有していた記録は存在しません。また、いくつかの遺体は身分証を所持していますが、身分証の情報と一致する職員は[編集済み]には過去現在いずれも所属していないことが判明しています。また、船内は多くの部分が人間の血液で汚れており、「HELP」「SAVE US」「死にたくない」などのような血液で書かれた文章も残されています。 SCP-759-JPにはいくつものコンテナや箱などが積載されており、その中身は拳銃やライフル、マシンガンなどの銃器やその弾丸が主になっています。これらの銃器および弾丸はすべてSCP-759-JP-1に指定されます。また、船内の遺体が所持している銃器も同様にSCP-759-JP-1に指定されています。 SCP-759-JPに進入すると、被験者はSCP-759-JP-2とされる実体と遭遇します。SCP-759-JP-2は複数おり、ゴムのような見た目・質感の表皮を持ち、顔らしき部位は確認できない人型の実体です。SCP-759-JP-2の総数は不明ですが、1回の潜入につきおよそ60~100体が確認されます。SCP-759-JP-2は人間に対し非常に敵対的で、被験者を発見し次第殺害しようとします。SCP-759-JP-2の攻撃パターンは素手での攻撃だけでなく、鉄パイプやバールなどによる殴打や、精度はかなり悪いものの銃の発砲などが確認されており、SCP-759-JP-2にはある程度の知性が存在するものと推測されます。ただし、SCP-759-JP-2との意思疎通はできません。なお、SCP-759-JP-2は殺害すると溶解し、間もなく消滅するためSCP-759-JP-2の体組織を採取しようとする試みはすべて失敗しています。 被験者はSCP-759-JPに進入した場合、必ずSCP-759-JP-3と定義される存在と交戦することになります。SCP-759-JP-3はおよそ体長3mの大型の人型実体で、SCP-759-JP-2と同じく人間に対し非常に敵対的で被験者を殺害しようとします。被験者がSCP-759-JP-3の殺害に成功するとSCP-759-JP-3は消滅し、あとにはブリッジへの鍵が残されます。 被験者がSCP-759-JPのブリッジに到達するとSCP-759-JPの甲板にヘリコプター(SCP-759-JP-4)が出現し、またブリッジの通信機器からヘリコプターの操縦士(SCP-759-JP-4A)から被験者を救出に来た旨のメッセージが流れます。SCP-759-JP-4および4Aは被験者が所属しているか、周辺国の公的組織のそれに見えます。これまでの例ではアメリカ海軍、財団、日本の海上保安庁、フィリピン海軍、[削除済み]などが確認されています。 そしてSCP-759-JP-4の出現とともにSCP-759-JPは何らかの理由で沈み始めます。「何らかの理由」は一定しておらず、突如出現した氷山への衝突や、船内での爆発、どこからか飛来した対艦ミサイルの直撃など多岐にわたります。なお、被験者はこの「何らかの理由」に巻き込まれて死亡することは一切ないことが確認されています。 SCP-759-JPが完全に沈没する前にSCP-759-JP-4に乗り込むことに成功すると、SCP-759-JP-4は離陸し、近くの陸地かヘリコプターが着艦可能な艦船に降り立ち、被験者を降ろし速やかに離艦します。財団の艦船、航空機、衛星による離陸後のSCP-759-JP-4の追跡はどれも最終的には唐突なSCP-759-JP-4の消滅により失敗しています。また、SCP-759-JP-4Aへのインタビューおよび拘束の試みは現在のところどれも失敗しています。被験者を降ろす際、SCP-759-JP-4Aは被験者に対し、「成績表」(SCP-759-JP-5)を手渡します。SCP-759-JP-5には被験者のSCP-759-JP内部での行動に基づいたSSS~Eの8段階に分けられた「総合評価」、発砲数、SCP-759-JP-2の撃破数、個別の評価(「ヒロイック度」「命中率」「勇気」「██████」などの項目に分けられそれぞれ5段階で評価されたもの)とメッセージが印刷されています。 なお、SCP-759-JP-1はすべてSCP-759-JP-4に乗り込んだ時点で消滅します。 沈没したSCP-759-JPは完全に水面下に沈んだおよそ3時間後に消滅します。消滅しておよそ5分で活性化する直前の状態および位置に瞬時に出現し、再び不活性化します。SCP-759-JPを何らかの手段で移動させようとした場合に発生するSCP-759-JPの自爆後も同様の過程を経て再生します。 被験者が死亡した場合、SCP-759-JPはその場で停止し、汽笛を3回鳴らして不活性化します。SCP-759-JP-4は出現せず、SCP-759-JP-5も発行されません。 補遺: SCP-759-JP-5のテンプレート このたびは体感型ゲーム「英雄の船」をプレイしてくださりありがとうございました! これは[被験者の本名]様のプレイ成績です! またのプレイをお待ちしております! (以下被験者の「成績」が記録されている) 英雄の船 Copyright © 20██ Fictional Reality Entertainment Ltd. All Rights Reserved. SCP-759-JP-5に記載されている「Fictional Reality Entertainment Ltd.」という企業に関しては目下調査中です。 試験記録759-JP-01 人員:Dクラス1名 D-48686(日本人男性、37歳。射撃等の経験なし。体格は平均的。) 内容:ビデオカメラを取り付けたヘルメットを装着させた上で、SCP-759-JP内部を進むよう指示。 結果:SCP-759-JP-2に殺害される。SCP-759-JPは沈没しなかった。 試験記録759-JP-02 人員:Dクラス1名 D-69585(日本人男性、41歳。元自衛官。) 内容:ビデオカメラを取り付けたヘルメットを装着させた上で、SCP-759-JP内部を進むよう指示。 結果:2時間37分後、SCP-759-JP-4に乗って財団艦船へ帰還。SCP-759-JP-5の結果はランクB。また、SCP-759-JP-5にはDクラス職員の本名が記載されていた。また、文書759-JP-01を始めとする文書数点の回収に成功した。 分析:どのようにしたのかは不明だが、SCP-759-JPには被験者の本名を読み取る能力があるらしい。— ████ ██博士 試験記録759-JP-03 人員:Dクラス1名 D-85455(アメリカ人 白人男性、32歳。元アメリカ陸軍所属。) 内容:ビデオカメラを取り付けたヘルメットを装着させた上で、SCP-759-JP内部を進むよう指示。また、拳銃1丁とサブマシンガン1丁を弾丸と共に持たせた。 結果:1時間58分後、SCP-759-JP-4に乗って財団艦船へ帰還。持ち込んだ銃器は通常通りの威力を発揮しSCP-759-JP-2および3への殺傷能力を有する。SCP-759-JP-5は被験者の本名以外の各項目は「チート行為発覚につき採点拒否」と記載されている。また、このSCP-759-JP-5は英語で書かれていた。さらに被験者の頭部に装着したカメラの映像により、SCP-759-JP-4Aによるメッセージは英語で話されていた事も判明。また、文書759-JP-06を始めとする文書数点の回収に成功した。これらの文書はすべて英語で書かれていた。 分析:外部から持ち込んだ武器の使用はチート行為とみなされるようだ。ただまあ、評価がされないだけで命は取られないあたりまだ優しいとみるべきか…そしてSCP-759-JP-5は被験者の母語で書かれることもわかった。 — ████ ██博士 試験記録759-JP-04 人員:Dクラス1名 D-34689(韓国人男性、29歳。元暴力団員で銃器を扱った経験あり。国籍は韓国ではあるものの、日本で生まれ育ったため日本語話者であり韓国語の読み書きはできない。) 内容:ビデオカメラを取り付けたヘルメットを装着させた上で、SCP-759-JP内部を進むよう指示。 結果:2時間18分後、SCP-759-JP-4に乗って財団艦船へ帰還。SCP-759-JP-5は日本語で書かれており、SCP-759-JP-4Aも日本語で話していた。総合評価はC。また、文書759-JP-12を始めとする文書数点および音声記録759-JP-01の回収に成功。 分析:SCP-759-JPは被験者の国籍でなく最も慣れ親しんだ言語を使うようだ。どのようにしてそれを見分けるのだろうか?— ████ ██博士 試験記録759-JP-05 人員:Dクラス3名 D-13557(日本人男性、26歳。元暴力団員で銃器を扱った経験あり)、D-9857(韓国人男性、32歳。兵役経験あり)、D-25547(日本人男性、33歳。以前はクレー射撃が趣味で、猟銃の所持許可を持っていた。) 内容:ビデオカメラを取り付けたヘルメットを装着させた上で、SCP-759-JP内部を進むよう指示。 結果:1時間47分後、SCP-759-JP-4に乗って全員財団艦船へ帰還。SCP-759-JP-5は1枚のみで、名前欄にはDクラス3名の本名が記載されていた。SCP-759-JP-4Aからのメッセージは日本語だった。また、個別評価に「チームワーク」が追加される。総合評価はB。なお、このSCP-759-JP-5は日本語と韓国語両方で書かれていた。 分析:複数人での潜入はチートとは見なされないようだ。そして母語が違う人間同士が組んだ場合には両方の母語で表示されるようだ。なかなか親切な設計じゃないか。ただ、SCP-759-JP-4Aの話す言語は人数が多い方のになるようだな。 — ████ ██博士 試験記録759-JP-06 人員:機動部隊わ-8(『海兵隊』) 12名 内容:ビデオカメラを取り付けたヘルメットを装着させた上で、SCP-759-JP内部を進むよう指示。 結果:1時間2分後、SCP-759-JP-4に乗って全員財団艦船へ帰還。この時のSCP-759-JP-4は前回までのヘリとは異なり、CH-47ヘリコプターに酷似した外見であった。SCP-759-JP-5は1枚のみで、名前欄は「わ-8(『海兵隊』)」となっていた。また、試験記録759-JP-05と同様、個別評価に「チームワーク」が追加される。総合評価はSS。また、文書759-JP-14を始めとする文書数点の回収に成功。 分析:チームに名前がある場合にはそのチーム名が記載されるらしい。だからどうやってSCP-759-JPは名前などを把握しているんだ? — ████ ██博士 クソ、あれでもSSランクかよ。SSSなんてどんな連中ならいけるんだ? — わ-8(『海兵隊』)リーダー ████ 船内で発見された文書 文書759-JP-01 回収地点:SCP-759-JP内部の個室 (すべて手書きであり、震えた筆跡で書かれている) もう俺もおしまいだ 奴らが来たのは一昨日、あっという間にみんなやられちまった おれはなんとかこの部屋に立てこもったけどもうドアも壊れかかってる スキマから奴らが見える あいつらに殺されるくらいならおれは自分で死ぬ なお、この文書のそばには散弾銃で自殺したと思われる遺体が確認されました。 文書759-JP-06 回収地点:SCP-759-JP内部の倉庫。SCP-759-JP-1が入っていた木箱に貼付されていた。 注文者:████ ██ 配達先:アメリカ合衆国、フロリダ州██████ 内容物:タイプライター (損傷が激しく残りの部分は識別不能) なお、注文者も配達先も実在しない架空の人名および住所であることが判明しています。 音声記録759-JP-01 回収場所:厨房、録音機能付きMP3プレーヤーの形で発見 録音できてんのか?大丈夫だよな、クソッタレ。 くそ、こんな事になるならこんな仕事に乗るんじゃなかった。 確かに給料は良かったさ。でもあんなクソッタレ共に襲われるなんて聞いてねえぞ! くそ、死にたくない。弾は全部使い切っちまった。ウィリアムもどっかではぐれちまった。 ちくしょう、なんでこんな事になったんだよ!わけがうわ来るな来るなくるなくるな [絶叫] 文書759-JP-14 回収場所:船長室 どうやらこれまでしてきたことの報いが来たらしい。 奴らは一昨日突然現れ、この船を機能不全に追い込んだ。 奴らが何なのかはわからない。だがきっとこれまでやってきたことが原因だろう。 もはやこの船はおしまいだ。 私はこの船と運命を共にする。共に滅ぶのだ。 なお、これらの文書等は先述のSCP-759-JP-5の存在などから記録されている内容は実際に起きたことであるか疑問視されています。
scp-760-jp
評価: +58+–x アイテム番号: SCP-760-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 財団内部で新たな申請書式を作成する場合、それがどのような手続きであっても必ず新規書式承認プロトコルに従う必要があることをCクラス以上の財団職員全員に定期的に教育し徹底させます。 SCP-760-JPは現在収容されておらず、今後も収容は困難であると推測されますが、出現範囲が財団内部に限定されることから現状を維持しています。カバーストーリー"記入例"を適用し、SCP-760-JPに関する情報の漏出を防止して下さい。 説明: SCP-760-JPは財団内で使用される申請書類に対して発生する異常現象です。何らかの事由により申請書式が作成された場合、即座に「SCP太郎」なる人物(以降、SCP-760-JP-1と呼称)により手続きが行なわれ、実際にその申請内容が有効化されます。上長捺印に代表される手続き中の承認フローはその全てが適切な権限により承認された状態となっていますが、該当する承認者はいずれも財団内に実在しておらず、SCP-760-JPの特異性により情報改竄が行なわれているものと推測されています。財団内の申請処理は原則として「行為の開始手続き」と「行為の終了手続き」のセットにより構成されるため、新規書式承認プロトコルに従う限りSCP-760-JPによる被害が発生することは極めて稀です。 SCP-760-JP-1実体はこれまでに確認されたことは無く、その特性を利用した収容作戦が過去██回実行されていますが、いずれも成果を得られていません。記録が全て正しいとした場合SCP-760-JP-1はそれぞれ矛盾する複数の経歴を保有することになり、複数の収容施設や非公開オブジェクト情報へのアクセス権を有するなどレベル5相当の極めて強力な権限を所持している可能性が指摘されています。 以下はこれまでに発生したSCP-760-JPの代表例です。詳細な記録については別添文書を参照してください。 SCP-760-JP発生記録 申請書式: サイト-8181入館申請書 申請者: SCP-760-JP-1 概要: サイト-8181内の低セキュリティ区画への入館申請 補遺: 申請書内の退館記録によれば入館してから120分後に退館したことになっているが、監視カメラや警備員はSCP-760-JP-1の存在を一切認知していない。サイト-8181内の収容区画への影響は確認できず。 申請書式: 休暇取得申請書 申請者: SCP-760-JP-1 概要: 20██/██/██から連続30日間の休暇取得申請 補遺: 申請は受理されているが、財団内の職員管理システムには該当する職員の登録が存在しないためエラーとなっている。休暇取得申請書は当時の新規書式承認プロトコルの対象外だったため対となる終了の手続きは作成されていなかった。収容違反防止のため、以後は全ての申請書式を再評価して新規書式承認プロトコルの遵守を徹底することとなった。 申請書式: Dクラス職員登録申請書 申請者: SCP-760-JP-1 概要: SCP次郎(以後、SCP-760-JP-2として管理)なる人物をDクラス職員として雇用する手続き 補遺: 該当するDクラス職員は確認できず。SCP-760-JP-2は本申請と対となるDクラス職員終了報告書により18時間後に終了されている。この18時間のタイムラグは登録申請書と終了報告書の新規書式承認プロトコル通過時刻の差と一致していることから、対となる申請書式は同時に新規書式承認プロトコルを受けるよう改定済み。 申請書式: サイト-81██ レベル4セキュリティクリアランス権限登録書 申請者: SCP-760-JP-1 概要: SCP花子(以後、SCP-760-JP-3として管理)なる人物にサイト-81██におけるレベル4セキュリティクリアランスの権限を付与する申請 補遺: 本申請の1分後に対となる権限抹消申請が登録されている。本手続きの影響による情報流出は確認できず。 申請書式: 収容開始登録書 申請者: SCP-760-JP-1 概要: SCP-760-JP-3をSCP-[編集済]-JPとしてサイト-81██に収容するための手続き 補遺: 本手続きの直後に収容終了手続きが行なわれている。アイテム番号をはじめとして収容開始登録書の記載事項と一致する情報は財団データベース上には存在していない。   + レベル5セキュリティクリアランスのみ閲覧可 - 閲覧を終了する 申請書式: ████████████████ 申請者: SCP-760-JP-1 概要: SCP-760-JP-1のO5就任を承認する 補遺: 直後に本申請と対となる████████████████によってSCP-760-JP-1のO5解任が承認されている。SCP-760-JP-1が保持する強力な権限は本手続きにより付与された可能性があるが、解任手続きにより権限は剥奪されているはずで、現在も継続して同権限を保持している理由は不明。新たなSCP-760-JPの発生を防ぐため、O5権限付与に関する手続き文書については現在の書式を維持し、新書式に改める場合には全O5評議会員の3分の2以上の承認を得るよう管理規定を改定済み。   財団が██県██市内に保有する貸し会議室をサイト-814█に指定し、専用利用書式によるSCP-760-JPの発生実験を実施しました。この実験は20██/██/██より開始され、現在も継続中です。   SCP-760-JP実験記録 + 実験記録の閲覧を希望する場合、サイト-814█管理者へ申請し承認を得る必要があります - 申請受理確認……完了 実験記録を開示します 申請書式: サイト-814█ 第3会議室利用申請 目的: 利用申請に記載された使用時間内でSCP-760-JP-1実体の発生有無を観測する 結果: 20██/██/██ 16:00~18:00の時間枠にて会議室を利用する趣旨の申請書が発現、利用申請者はSCP-760-JP-1。該当時刻に第3会議室及び周辺のモニタリングを実施したがSCP-760-JP-1は確認されず。 分析: 過去の発生仮説を再確認する結果となりました。現在のところSCP-760-JP-1実体は存在せず、書類手続き上にのみ出現する情報災害として分類されています。 申請書式: サイト-814█ 第4会議室利用終了申請 目的: 利用開始申請書が無く、利用終了申請書のみ作成された場合のSCP-760-JPの挙動を観察する 結果: 9999年12月31日 23:59に第4会議室の利用を終了する申請書が発現、利用申請者はSCP-760-JP-1。 分析: 行為の開始に相当する手続きが存在しないケースでもSCP-760-JPの発生が確認されています。例えば申請手続きと連動して解錠・施錠が自動処理されるようなシステムに対して類似事象が発生した場合、重大インシデントに発展する危険性があります。本実験結果を踏まえ、新規書式承認プロトコルが更新されました。 申請書式: サイト-814█ 第2会議室利用申請 目的: 紙媒体による手続きのみ有効とするプロトコルを採用した場合のSCP-760-JPの挙動を観察する 結果: 20██/██/██ 9:00~12:00の時間枠にて会議室を利用する趣旨の申請書が発現、利用申請者はSCP-760-JP-1。定時確認のため職員が申請書保管ファイルを収容ロッカーから取り出したところ既にSCP-760-JP-1による申請書が収容されている状態でした。申請の受付窓口にSCP-760-JP-1実体は発生せず、監視カメラをはじめとするあらゆる観測機器はこの申請書がいつ出現したかを捉えることができませんでした。 分析: SCP-760-JPの発生は申請書の媒体を問わないことが証明され、変異により現実改変能力を獲得する可能性が浮上しています。SCP-760-JPの発生抑止を目的として特殊な媒体を指定することは効果が期待できず、SCP-760-JPの特異性を変異させる危険性があります。収容オブジェクトの特性に合わせて特殊媒体による申請手続きを採用する場合、必要となる確認項目について新規書式承認プロトコルに追加を行ないました。  
scp-761-jp
評価: +36+–x 評価: +36+–x クレジット タイトル: SCP-761-JP - 四季刊Air ♡ 著者: ©︎nao_sunney 作成年: 2018 評価: +36+–x 評価: +36+–x 警告: 当報告書の編集及び外部への伝達行為は、男性の財団職員にのみ権限が与えられています。違反者を発見した場合は即座に通報してください。 アイテム番号: SCP-761-JP オブジェクトクラス: Keter 特別収容プロトコル: SCP-761-JPはサイト-8118の標準収容ロッカーに出現時と同一の文書として現在2枚が収容されています。実験等でSCP-761-JP文書を使用する際、セキュリティクリアランスレベル3以上の職員へ申請を行い、必ず男性がSCP-761-JPを取り扱ってください。SCP-761-JPの影響を受けた対象は、即座に隔離される必要があります。この時、隔離された室内を外部から観測不可能な状態を維持してください。隔離された対象を女性職員が認識することは禁止されています。なお当プロトコルはSCP-761-JPの詳細な異常性が判明し次第、随時男性職員によって加筆、編集されます。 説明: SCP-761-JPは長さ35cm×25cmの半紙1枚に記載された文章及びそれによって伝達される情報です。文章は墨汁で記載されており、墨汁と半紙それぞれに異常性は確認されていません。SCP-761-JPの内容は空気、特に地球の大気に関係するものであり、異常性は有していませんが必ずイラストと共に記載されてます。このイラストは何らかの生物を模していると推察されていますが、詳細は不明です。文書内での大気は生物個体を装飾し、社会的地位を高める存在として記載されており、様々な形容詞1によって表現されています。この時、温度に関する記載が最も頻繁に登場していることが判明しています。 半紙の裏には「お客様センター」という文章と、既存の局番と一致しない電話番号が記載されています。記載された番号に電話をかけると、不特定の人物が通話に応じます。この人物の音声及び電話番号に異常性は確認されていません。なおこれらの事実に加え、SCP-761-JPに毛筆で記載されたと思われる痕跡が多数確認されていることから、人為的にSCP-761-JPを制作した存在がいると推測されていますが、個人及び団体の特定には至っていません。SCP-761-JPの内容に関する詳細は、文書761-JP-1を参照してください。 + 文書761-JP-1を表示 - 以下はSCP-761-JP文書を男性職員が複製したものです。 SCP-761-JPを生物学上メスに分類される生物個体(以下、対象)が認識した場合、対象に応じて2種類の異常性が発現します。対象が人間だった場合、SCP-761-JPの内容を他者へ積極的に伝達することを試みます。この時対象はSCP-761-JPをファッション関連の雑誌「四季刊Air Love」及び同名の雑誌に記載されていた情報であると証言します。加えて対象の周囲の大気が認識したSCP-761-JPの内容に反する場合、対象が現在の大気に対して中傷する発言を行い、周囲の大気状態の変化、及びSCP-761-JPの内容と同一の状態を維持する空間への移動を要求します。 対象が人間を除く生物の場合、対象はSCP-761-JPの内容に基づいた状態に自身を変化させます2。対象が人間の場合と異なり、他の個体に対してSCP-761-JPの伝達を試みることはありませんが、他のメス個体がSCP-761-JPの異常性によって変化した対象を認識した場合もSCP-761-JPの異常性は発現します。なおこれらの異常性は、対象を他の個体から118時間以上隔離した場合に消失し、SCP-761-JPに関する記憶等も欠落します。 以下はSCP-761-JPの異常性が発現した対象人物へのインタビュー記録及び記載されていた電話番号に関する実験記録です。 + テキストを表示 - テキストを隠す インタビュー記録761-JP-██ 対象: D-761-1 インタビュアー: 大川研究員(性別:男性) 対象が視認したSCP-761-JPの内容: 「大流行気温8℃、湿度10%コーデ!」3 付記: インタビュー開始直後の室内は、温度18℃、湿度30%でした。 記録開始: インタビュアー: こんにちは、D-761-1 対象: 挨拶はいいからさ、8℃、10%にしてよ!暑苦しすぎるのよ、ここ。 インタビュアー: 8℃、10%とは何の数値ですか? 対象: 気温と湿度に決まってんじゃない、そんなおしゃれニワカなようじゃ、一生独身4よ。あなた。 インタビュアー: その気温と湿度でなければいけないのでしょうか? 対象: あなた知らないの?気温8℃湿度10%は今の時期の流行りなの。[ため息]これだから引きこもりの学者馬鹿って嫌いなのよ。 インタビュアー: あなたは財団でDクラスとして雇用されてから、現在の世間の文化を把握できる状態にありませんでした。上記の状態が流行であると言える根拠は何ですか? 対象: あなた本当に何も知らないのね。Air♡5に書いてたからよ、流行の最先端であるファッション雑誌にね。 インタビュアー: 実験に使用したSCP-761-JPは一枚だけでしたが、あなたはあれを雑誌だとおっしゃりたいのですか? 対象: そうに決まってるじゃない。 インタビュアー: 質問を変えます。温度と湿度、あなたが重要視するのはどちらでしょう? 対象: いきなり踏み込んだこと聞くんだ、答えはもちろん温度。だって一番目立つしねぇ、温度を制する者はおしゃれを制するって感じ? インタビュアー: その、あなたの言うおしゃれ?は温度が重要だと? 対象: そ、つーか誰に聞いても一緒だと思うよ?ま、どんなに湿度や酸素濃度に好みがあろうと、やっぱ流行には乗らないとねぇ。てか早く空気変えてよ!ださすぎて目が腐るっての! [以降10分以上に渡って対象が暴れる] インタビュアー: 現状ではインタビューの続行は不可能であると判断します。室内の温度、湿度を変更してください。 [室内の温度、湿度が変更される。変更から12秒後、対象とインタビュアー用に防寒着が配布される] 対象: うん、いいわ。どう、似合うかしら?(防寒着を着用する)もちろんこの空気のことよ? インタビュアー: いえ、全く。酸素濃度を0.5%上げてください。 [直後、指示通りに室内の酸素濃度が変化する] 対象: 確かにこういうのも若くてポップな感じで可愛いかもね。でも私としては低酸素なんかと合わせた、色っぽい感じの方が好みね。 [後略] 終了報告書: 後日異常性が消失したD-761-1にインタビューを実施したところ、SCP-761-JPの内容及び自身が明言していた空気の美的価値観の内容を正しく回答することができませんでした。また別のDクラス職員で再度同様の実験が行われましたが、SCP-761-JPの内容を除く大気の美的価値観は対象によって異なることが判明しています。 実験記録761-JP-██ 実施方法: SCP-761-JPに記載されていた電話番号に電話をかけ、インタビューを行う インタビュアー: 大川研究員 結果: 人間の男性と思われる音声がインタビューに応じた。 通話内容: 音声: お電話ありがとうございます。四季刊Air ♡、お客様センターでございます。 大川研究員: あの雑誌は、一体何を対象とした雑誌なのでしょうか? 音声: はい、四季刊Air ♡は様々な年齢層の女性へ向けたファッション雑誌でございます。 大川研究員: どのような内容を取り上げているのでしょうか? 音声: はい、当誌ではこの季節流行するおしゃれな大気を主に取り上げております。カジュアル大気、セクシー大気、トラディショナル大気等、世の女性が楽しく流行に乗れる雑誌をモットーに作成しております。 大川研究員: 一緒に書かれているイラスト、あれは何ですか? 音声: はい、あれは限定雇用したモデルをイメージして作成されたイラストとなっております。 大川研究員: モデル、と言いますと? 音声: はい、我々にはおしゃれ大気をまとい、着こなすことができるモデルがいなかったため、全国を探し回り、モデルとなっていただける方を、その時限定で雇用させていただいた、というわけでございます。残念ながら写真NGでしたが、こうしてイラストの方も好評であったことから、引き続きイラストを掲載していく予定となっております。 大川研究員: そのモデルについて詳細を教えていただけますか? 音声: 申し訳ございません。個人情報ですのでお教えできません。 大川研究員: わかりました、では次の質問を、なぜこのような雑誌を制作したのでしょう?目的は何ですか? 音声: はい、まず先ほども言いました通り、世の女性たちに楽しく流行に乗っていただきたいというのと、もう1つ、まことに現金な話ではございますが、この大気ファッション業界は参入している割合も少なく、今の我々なら流行の最先端となれると確信を経たうえで、Air ♡を制作致しました。 大川研究員: 口調から察するに、あなたが雑誌を制作したのですか? 音声: 申し訳ありません、その質問にはお答えできません。 大川研究員: わかりました、最後に雑誌を発行している場所を教えていただけますか? 音声: 申し訳ありません。お答えできません。 大川研究員: わかりました、質問は以上です。 音声: 四季刊Air ♡お客様センターをご利用いただきありがとうございました。当誌の愛好のほど、よろしくお願い致します。 インタビュー終了: 終了報告書: 通話中、連絡先の逆探知が行われましたが連絡先を特定できず、音声から個人を登録する試みも失敗に終わっています。 SCP-761-JPは20██/12/28、長崎県██市に位置する無人島で発見され、島内に存在していたAnomalousアイテムと共に回収されました。発見当初、SCP-761-JPに劣化の形跡が確認されなかったことから、発見日と同日にSCP-761-JPが出現したと推測されています。初期収容以降、SCP-761-JPと同一の異常性を有する文書が最初に発見された地点へと出現することが判明しました。このことから██市の無人島に、財団管轄の収容サイトを建設することが検討されています。 SCP-761-JPが発見された島 事案記録761-JP-1: 20██/1/9、SCP-761-JPの出現区域が存在する無人島全域の気温及び湿度がそれぞれ25℃と80%となる現象が発生しました。何らかの措置を行使しない場合、島の気温及び湿度は低気圧や日照時間に左右されず維持されることが判明しています。この温度変化の影響により一部の野生生物が死滅し、また島の状態を目撃した財団職員を含めたメスの生物個体がSCP-761-JPの影響を受けた対象と同様の挙動を見せています。これによりSCP-761-JPの影響を受けた女性職員全員が隔離された後サイト-8118へと移送され、島に生息していた生物の█割が隔離された後保護、█割が駆除、█割が[削除済み]されています。同日以降、財団で開発した広範囲除湿装置及び陸間冷却装置を使用し、島の気温と湿度をそれぞれ10℃と30%まで変化させることに成功していますが、装置を常に稼働させているにも関わらず、島の気温と湿度は継続して上昇しています。この気候は、財団が初めて発見したSCP-761-JPの内容と一致する数値であることから、現在財団は関連性を調査しています。 20██/1/13追記: 最初に異常性が発現した無人島に加え、新たに近隣に位置する島の大気の状態が変化しました。現在島は気温18℃、湿度50%まで到達しています。特筆すべき点としてこれらの変化に加え、島全域の二酸化炭素濃度も██%まで上昇し続けていることが判明しています。現在財団は2つの島を対象に大気の状態を正常に戻す試みを実施していますが、成果は上がっておらず、島に発現したと推測される情報災害の除去方法も確立されていません。 これらの事例から、財団は一連の温度、湿度変化の原因がSCP-761-JPであると仮定している。恐らく影響を受けた島は、対象がメスの生物個体であった場合と同じようにSCP-761-JPを伝達するであろう。というのが研究チームの見解である。温度や湿度の維持が難しいこの状況で、我々は島を初めとする陸地をも対象とした情報災害の除去を余儀なくされている。SCP-761-JPが世界全土に影響する代物なのか、█島だけでなくどうやって近隣の島にも影響が出たのか、島が影響を受けた理由は、島に性別があるのか等不明な情報はあまりにも多い、しかし我々はSCP-761-JPの異常性をすべて除去し、流行とやらをせき止める必要がある。確保、収容、保護 サイト-8118 管理者 脚注 1. この形容詞はカタカナ等で表記されている外国語も含まれます 2. 体毛の変化、仮死状態になる等が挙げられます 3. 一部抜粋 4. 大川研究員は既婚者です 5. 対象が認識しているSCP-761-JPのタイトルを文章化させたところ、このように表記しました。
scp-762-jp
評価: +31+–x SCP-762-JP-1に置換された50kgNレール アイテム番号: SCP-762-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-762-JPの完全な収容は成されていません。現在、狭軌1の路線を営業している日本国内全ての鉄道会社の協力の下、狭軌の鉄道路線に敷設されている全ての50kgNレール2の状態と、その付近で発生するレール上への置き石事案が監視されています。 SCP-762-JP-1が発見された場合、その収容違反は即座にSCP-762-JPの監督官と機動部隊き-36("犬釘")に報告されます。機動部隊き-36は各種鉄道用保線機械を用いてSCP-762-JPを撤去及び収容し、一般的な50kgNレールと交換、その他付随する保線作業を行い、列車が正常に運行できるようにします。 収容された全てのSCP-762-JP-1は現在サイト-81██の内部に設置されたバラスト道床3の木製枕木上に、狭軌の軌間となるように設置されています。 現在サイト-81██に収容されているSCP-762-JP-1の個体数は[編集済]本です。 SCP-762-JP-2は職員により回収し、一般的な砕石として転用あるいは廃棄、または財団のフロント企業「株式会社SCプロパティーズ」及び「滋賀中央パッセンジャーズ合同会社」で民間に販売してください。 説明: SCP-762-JP-1は、全長25m、全高15.3cm、全幅12.7cm、重量1.26tの鉄道用50kgNレールです。材質は高炭素鋼で、経年劣化への耐性を持つ以外には通常の鉄道用50kgNレールと同様の性質を持っているように見えます。 SCP-762-JP-2は、SCP-762-JP-1から定期的に生成される直径15mmから70mmほどの数個から数十個のバラスト軌道用砕石です。材質は花崗岩、珪岩、安山岩などで、SCP-762-JP-2自体に特異性はありません。 SCP-762-JP-1は、営業中の鉄道路線に敷設されている50kgNレールと未知の方法で置換され、毎月20日及び30日頃にSCP-762-JP-2を自身または付近に存在するレールの頭部4に出現させます。 SCP-762-JP-1への置換の経過は不明であり、職員の監視中にもかかわらず一般的な50kgNレールとSCP-762-JP-1が瞬間的に置換された例も存在します。 なお、2本のSCP-762-JP-1を営業中の鉄道敷地以外の場所に平行に置いた状態で1ヶ月放置すると、SCP-762-JP-1は活性化し、相互の間隔が狭軌となるよう移動したのち、下部に厚さ15cmから25cmほどのSCP-762-JP-2が生成されます。 SCP-762-JP-1は、2001/9/██に████県████市のJR████の████本線にある████駅付近で最初に発見されました。鉄道に関する事故・事案の情報を調査していた際、「毎月20日頃に決まって運転中に異音を感知し、置き石の粉砕跡が発見される区間」としてJR████の社内で話題になっており、その内容からSCP-762-JPの特異性が確認されたため、財団により回収されました。 発見時のSCP-762-JP-1には、次の内容が記載された銘板が一般の50kgNレールと同様の位置に取り付けられていました。銘板及び取付用リベットの材質はSCP-762-JP-1と同一の高炭素鋼です。   狭軌用自動バラスト充填レール 50N   製 品 番 号     19-20   製 造 番 号   [データ削除済] 製 造 年 月 13.8 敷 設 年 月 [編集済]    東 弊 重 工   ████ 製 鉄 所 その後、2004/6/██頃に銘板の表記が変化しました。 また、SCP-762-JP-2が出現する日が毎月20日及び30日頃になったことが観測されました。   狭軌用自動バラスト充填レール 50N   製 品 番 号     20-30   製 造 番 号   [データ削除済] 製 造 年 月 16.5 敷 設 年 月 [編集済]    東 弊 重 工   ████ 製 鉄 所 なお、SCP-762-JP-1が製造されたと思われる製鉄所は、200█/██/██に東弊重工の関連施設として財団が調査を行いましたが、創業から現在に至るまで東弊重工と全く関係が無い企業が所有していることが確認されました。 実験記録762-JP-1 対象: SCP-762-JP-1 方法: 3本のSCP-762-JP-1を正三角形に配置し、約1ヶ月放置する。 結果: 3本中2本のSCP-762-JP-1が狭軌の間隔となるように移動し、残った1本は片方のSCP-762-JP-1から内側65mmの位置に移動しました。その後、レール頭部に複数個、及び下部に厚さ25cmのSCP-762-JP-2が発生しました。 考察: 3本目が移動した位置は急曲線において「脱線防止レール」が配置される位置であるため、SCP-762-JP-1は急曲線にも出現すると考えられます。 — ██博士 SCP-762-JPにより発生した特に重大なインシデントや事故の記録については以下を参照して下さい。 + SCP-762-JP インシデント・事故事案一覧 - 閉じる 事案記録762-1 - 日付 2004/██/20 発生場所: 東海旅客鉄道 ████線 ████駅~████駅間 事業者: 東海旅客鉄道株式会社 都道府県: 長野県 概要: ████駅発██駅行き2両編成の下り普通第████M列車は、台風██号の影響により定刻(██時██分)から約90分遅れてワンマン運転で████駅を出発した。 速度約70km/hで惰行運転中の██時██分ごろ、列車の運転士は、列車が突然落ちた後上下に激しく揺れるのを感じたため、直ちに非常ブレーキを使用したが、列車は右へ脱線し2両とも盛土から転落して、転覆した状態で停止した。 当該列車には、乗客3名及び乗務員1名が乗車していたが、全員軽傷を負った。 また、当該列車は屋根上機器・床下機器・台車等が損傷した。 脱線現場の手前████mに複数のSCP-762-JP-2の粉砕跡があった。 処置: 脱線現場付近に存在した2本のSCP-762-JP-1を収容。関係者にはクラスA記憶処理を実施の上、カバーストーリー「大雨での盛土流出による転覆脱線事故」を適用。 事案記録762-2 - 日付 2005/██/25 発生場所: 西日本旅客鉄道 ████線 ████駅~████駅間 事業者: 西日本旅客鉄道株式会社 都道府県: 兵庫県 概要: [データ削除済]。 処置: [データ削除済]。 関係者にはクラスB記憶処理を実施の上、カバーストーリー「速度超過による転倒脱線事故」を適用。 事案記録762-3 - 日付 2008/██/23 発生場所: 東日本旅客鉄道 ████線 ████駅構内 事業者: 東日本旅客鉄道株式会社 都道府県: 東京都 概要: ████駅発████駅行き10両編成の下り試第████M列車は、████駅を定刻(██時██分)より約5分遅れて出発した。 列車は、████駅構内着発8番線の手前にある███号分岐器を、速度約23km/hで惰行で通過中、5両目の全4軸が左へ脱線し、停止した。 列車には運転士1名及び指導運転士1名が乗車していたが、死傷者はなかった。 本件分岐器のトングレール5と基本レール6の間に[編集済]個のSCP-762-JP-2が挟まっていた。 処置: 脱線現場付近に存在した[編集済]本のSCP-762-JP-1を収容。関係者にはクラスA記憶処理を実施の上、カバーストーリー「分岐器の保線不良による脱線事故」を適用。 事案記録762-4 - 日付 2012/██/30 発生場所: ████鉄道 ██線 ████駅構内 事業者: ████鉄道株式会社 都道府県: 富山県 概要:████駅発████駅行き1両編成の上り回送第█████列車(除雪車両)は、████駅を██時██分に出発した。 列車の運転士は████駅に進入する直前で異音と衝撃を感じたため、非常ブレーキを使用して列車を停止させたところ、列車の前軸の車輪が左へ脱線しているのを確認したため、指令に脱線した旨を連絡した。 列車には運転士1名及び鉄道係員2名が乗車していたが、負傷者はなかった。 処置: 脱線現場付近に存在した2本のSCP-762-JP-1を収容。関係者にはクラスA記憶処理を実施の上、カバーストーリー「積雪による脱線事故」を適用。 事案記録762-5 - 日付 2013/██/28 発生場所: ████電鉄 ████線 ████駅構内 事業者: ████電鉄株式会社 都道府県: 兵庫県 概要: ████駅発████駅行き4両編成ワンマン運転の下り普通第████列車は、████線████駅2番線を定刻(██時██分)に出発した。 列車の運転士は、同駅構内の分岐器を速度約25km/hで惰行運転中、異音を感じ、直後に大きな音を聞いたため、非常ブレーキを使用して列車を停止させたところ、2両目の前側台車が本来の進路と異なる████駅方面に進入し、全2軸が右へ脱線していた。 なお、1両目、2両目の後側台車及び3両目は、本来の進路である████駅方面に進入して停止していた。 本件分岐器のトングレールの間に[編集済]個のSCP-762-JP-2が挟まっていた。なお、本件分岐器付近では、20██年に2回、同様の脱線事故が発生しており、SCP-762-JPの関与を調査中である。 処置: 脱線現場付近に存在した[編集済]本のSCP-762-JP-1を収容。関係者にはクラスA記憶処理を実施の上、カバーストーリー「複合原因による脱線事故」を適用。 事案記録762-6 - 日付 2015/██/29 発生場所: ████鉄道 ████線 ████駅構内 事業者: ████鉄道株式会社 都道府県: 熊本県 概要: ████駅発████駅行き2両編成の下り普通第██列車は、████駅を定刻(██時██分)に出発した。 列車の運転士は、████駅下り場内信号機の警戒信号を確認し、速度約20km/hで同駅構内の██号分岐器付近を走行中、異音を感じたためブレーキを使用したところ更に大きな異音と揺れを感じて、列車は停止した。 停止後に確認したところ、1両目の前台車全2軸が右に脱線し、1両目の後側台車全2軸及び2両目の全軸は本来の進行方向である下り本線とは異なる分岐線側の上り本線に進入していた。 列車には、乗客11名、運転士1名及び車掌1名が乗車していたが、死傷者はなかった。 本件分岐器のトングレールの間に[編集済]個のSCP-762-JP-2が挟まっていた。 処置: 脱線現場付近に存在した[編集済]本のSCP-762-JP-1を収容。関係者にはクラスA記憶処理を実施の上、カバーストーリー「分岐器の転換不良による脱線事故」を適用。 事案記録762-7 - 日付 2017/██/22 発生場所: ████鐵道 ████線 ████駅~████駅間 事業者: ████鐵道株式会社 都道府県: 群馬県 概要: ████駅~████駅間を走行中、当該列車の運転士が異音を感知し非常停止させたところ、2両目の全軸が進行方向左側に脱線していた。 処置: 脱線現場付近に存在した[編集済]本のSCP-762-JP-1を収容。脱線時に沿線から撮影された動画を回収し、関係者にはクラスA記憶処理を実施の上、カバーストーリー「急曲線部の保線不良による乗り上がり脱線」を適用。 事案記録762-8 - 日付 2017/██/22 発生場所: ████電鉄 ████線 ████駅~████駅間 事業者: ████電鉄株式会社 都道府県: 大阪府 概要: 当該列車運転士は、████駅~████駅間の████橋梁を通過中、同橋梁中程の下り線路が進行方向左側に曲がった状態で沈み込んでいることを約50m手前で認めたため、直ちに制動の処置を執り、列車は約270m行き過ぎて脱線、停止した。列車の乗客5名が軽傷を負った。 調査の結果、脱線箇所付近のレールがSCP-762-JP-1と置換されていたことを確認した。 処置: ████橋梁上に存在した[編集済]本のSCP-762-JP-1を収容、その他詳細は調査中である。関係者にはクラスA記憶処理を実施の上、カバーストーリー「橋脚洗掘による軌道変状」を適用。 事案記録762-9 - 日付 2017/██/06 発生場所: 北海道旅客鉄道 ████線 ████駅~████駅間 事業者: 北海道旅客鉄道株式会社 都道府県: 北海道 概要: 当該列車運転士は、████駅2番線を約30km/hで走行中、異音を感知するとともにブレーキの異常を示す表示を確認したため、非常停止手配を執り列車を停止させた。 停止後、車両下部の部品及び当該駅構内の分岐器の一部に破損が発見された。 その後、当該車両の詳細な調査で車輪に接触痕が発見されたことから、████駅構内で再度線路点検を行ったところ、当該駅構内の████踏切から脱線し、████方へ約68m先の分岐器付近で復線していた痕跡が確認された。 処置: ████踏切付近に存在した2本のSCP-762-JP-1を収容、その他詳細は調査中である。関係者にはクラスA記憶処理を実施の上、カバーストーリー「複合原因による脱線事故の可能性」を適用。 事案記録762-10 - 日付 2018/██/06 発生場所: ████鉄道 ████線 ████駅 事業者: ████鉄道株式会社 都道府県: 千葉県 概要: 当該列車運転士は、████駅を出発後に後ろに引っ張られるように感じたため、後方を確認したところ貨車が揺れているのを認め、列車を停止させた。 その後確認したところ、当該列車の前から4両目の貨車が進行方向左側に脱線していた。 処置: ████駅構内に存在した[編集済]本のSCP-762-JP-1を収容、その他詳細は調査中である。関係者にはクラスA記憶処理を実施の上、カバーストーリー「複合原因による脱線事故の可能性」を適用。 補遺762-JP-1: 2004/6/██に、最初にSCP-762-JP-1が発見された場所を担当するJR████の████保線区に、以下の文章がFAXで送られていたことが判明しました。 このFAXの発信元の電話番号は実際には存在しないことが確認されています。 補遺762-JP-2: SCP-762‐JP-1が発見された場所を担当する保線担当部署には、発見後に同様の文章が郵便・FAX・Eメール等の手段で送付されてくることが判明しました。補遺762-JP-1と同じく、差出人の住所・電話番号・メールアドレス等は実際には存在しないことが確認されています。 補遺762-JP-3: 2017年以降、SCP-762-JP-1の出現頻度が高くなっていることから、国内の鉄道会社へ巡回及び点検の強化を要請しています。また、海外での出現報告は未だ無いものの予断を許さないことから、台湾・フィリピン・インドネシア・ニュージーランド等の鉄道会社へ情報提供を要請しています。 + 新規重大事案が発生しました。 - 閉じる 事案記録762-11 - 日付 2018/██/21 発生場所: 台湾鉄路管理局 ████線 ████駅~████駅間 事業者: 台湾鉄路管理局 都道府県: 台湾・宜蘭県 概要: ████駅発████駅行き8両編成の順行自強号████次列車は、車両故障の影響により定刻(██時██分)から約10分遅れで█████駅を出発した。 速度約140km/hで████駅付近の曲線区間(制限速度80km/h)に進入したところ、速度超過のため全車両が脱線し、3・5・7・8号車が横転した状態で停止した。 当該列車には、乗客366名及び乗務員3名が乗車していたが、乗客3名が死亡、乗員乗客215人が負傷した。 脱線現場の手前██mに複数のSCP-762-JP-2の粉砕跡があった。 処置: 脱線現場付近に存在した2本のSCP-762-JP-1を収容。関係者にはクラスB記憶処理を実施の上、カバーストーリー「速度超過による転覆脱線事故」を適用。 SCP-762-JPが海外にて発見された初の事例であるため、今後の管理体制およびオブジェクトクラスの見直しを予定。 Footnotes 1. レール同士の間隔が1067mm 2. 国内の在来線の幹線で一般的に使用される、長さ1mあたり約50kgのレール 3. 路盤の上の道床に砕石や砂利などのバラストを敷き、バラストの上部に枕木を並べてその上にレールを敷設する一般的な構造 4. レールと車輪が接触する面 5. 列車を分岐させる、先の尖った可動レール 6. トングレールが密着する、固定されたレール
scp-763-jp
評価: +36+–x アイテム番号: SCP-763-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-763-JPはサイト-81██のsafe用パスワード付きのロッカーに畳んだ状態で保管してください。セキュリティクリアランスが3以上の研究者が研究を行うことができますが、女性を対象とした摂食実験を行う際は摂取した相手に直接接触せず、モニターなどを使うようにしてください。 説明: SCP-763-JPは100円ショップ███で実際に市販されているものに酷似した寸法225×167×90mmの洋菓子用の取っ手のついた菓子箱です。ピンクに白の水玉模様で、取っ手と袋の接触部分に赤いハートの飾りがついています。全て厚紙で出来ていますが破る、燃やすなどの破壊活動は意味を為しません。 しかし解体可能で、解体すると普通の菓子箱と変わりが無く、下記の特性も喪失する事が分かりました。これはSCP-763-JPを収容する最適な手段だと思われます。 SCP-763-JPの取っ手部分に人が触れると、SCP-763-JP内部にSCP-763-JP-1が出現します。 SCP-763-JP-1は基本的に洋菓子の形をした直径5cm~10cmのオブジェクトで、見た目からは特に異常性が見られません。出現するオブジェクトの種類は様々で、ケーキのような生クリーム菓子やマドレーヌのような焼き菓子、チョコレートなども確認されています。 SCP-763-JP-1の一例 SCP-763-JPの持つ異常性の大半はSCP-763-JP-1によって引き起こされます。 SCP-763-JP-1を摂取した男性は3~5分後に足先から粒状の物体へと変化し始めます。摂取量によって進行スピードは異なりますが、進行を阻止することは現在不可能です。最大でも8時間後には身体の自由が利かなくなり、24時間の内に対象は完全に茶色の粉末で構成された像に変化します。その変化による痛みなどはありませんが、自分の身体が粉末へと変化していく事を認識することが出来、大抵の場合その事に関し非常に恐怖を抱きます。周囲に自傷に使えるようなものがあればそれを用いて自殺しようとしますが、それによって変化が止まることはありません。時間と進行スピードの詳しい関連性については、下記を参照下さい。 この粉末は三温糖に酷似していますが、一般的にお菓子作りに使われるグラニュー糖、及びSCP-763-JP-1に使われている砂糖と思われる甘味料と成分が合致していることが研究により判明し、後述する女性に対しての異常性を持つことが分かりました。 又、粉末となった対象をSCP-763-JPと共に置いておくと少しずつ粉末が重量体積共に減少します。 消えた粉末が何処へ行ったのかは現在調査中です。 + 実験記録SCP-763-JP-1 - 実験記録SCP-763-JP-1を隠す 日付:19███/███/███ 対象: D-10374(男性) 実施方法: SCP-763-JP-1を一個食べさせ経過を観察 結果: D-10374は20時間で完全に粒状になりました。 日付:19███/███/███ 対象: D-10678(男性) 実施方法: SCP-763-JP-1を二個食べさせ経過を観察 結果: D-10678は10時間で完全に粒状になりました。 考察:やはり摂取量が多いほど進行が早まるようだ。 日付:19███/███/███ 対象: D-10873(男性) 実施方法: SCP-763-JP-1を好きなだけ食べさせ経過を観察 結果: D-10873は6個のSCP-763-JP-1を平らげそして〔削除済み〕。 考察:一瞬の出来事だった。多量摂取は今後させないようにしよう。 女性がSCP-763-JP-1を摂取した場合、大半が思春期程度までの精神的後退と共にSCP-763-JP-1に異常に執着するようになります。そして、SCP-763-JP-1がどれだけ美味しく、素敵なものであるかを他者に積極的に伝えようとその菓子を振る舞う、又は贈り始めます。この伝達の対象は男女問いませんが、対象は親しい友人、又は負の感情のない同僚やクラスメートに限られます。強制力はありませんが、もし勧めに応じSCP-763-JP-1を他の女性が摂取した場合はその執着が感染し、対象とSCP-763-JPを共有するようになります。共有者が5人以上になると最初の摂取者が管理者になりSCP-763-JPを携帯し、SCP-763-JP-1を配給するようになります。 なお、この効果はBクラス以上の記憶処理を行うことで完全に除去できますので、もし研究員が感染した場合は必ず記憶処理を受けるようにしてください。 SCP-763-JPは██県██市のとある全寮制の女子校に通っている生徒の親から「電話で話した娘がおかしい」と財団の傘下企業が通報を受けたのち非常勤講師として潜入したエージェント・██によって発見されました。 この学園ではおよそ10日前からSCP-763-JP-1が日常的に摂取されており、全生徒の内半数、そして勤めていた女教諭全てがSCP-763-JP-1の影響下にあり、かつ軽度の栄養不足に陥っていましたが、現在は全員がBクラスの記憶処理を健康診断と称して外部から機械を導入し行ったため数kgの体重の増加を除き日常生活に戻っています。体重の増加に関しては、カバーストーリー「ケーキ大食い選手権の開催」が適用されました。 このSCP-763-JPが何処から学園に入ってきたかは現在調査中ですが、二週間前、ある生徒の寮の冷蔵庫にSCP-763-JPが突如出現し、それを食べた生徒が広めたという証言が残されています。 又、証言で言及された生徒の冷蔵庫には「美味しいお菓子で幸せになってね!」と書かれたメッセージカードが残されており、外部からの干渉の可能性が疑われています。
scp-764-jp
評価: +45+–x 評価: +45+–x クレジット タイトル: SCP-764-JP - 生存者なし 著者: ©︎KanKan 作成年: 2019 著者ページ 評価: +45+–x 評価: +45+–x — 自動メッセージ — 以下のファイルはKeter級反ミーム実体を描写しており、未承認の端末からのアクセスは自動的に妨害されます。また、当該ファイルはレベル4/764-JP機密に分類されている為、全てのアクセス試行は記録されます。自動妨害を解除してのアクセス試行は即時終了処分の事由になり得ます。 Fig 1.1: フォリアドゥ収容施設。 アイテム番号: SCP-764-JP オブジェクトクラス: Uncontained1 脅威レベル: 赤 ● (暫定) 特別収容プロトコル(更新): SCP-764-JPは現在未収容であり、その現在地は未だ確認されていません。シェレール(Schérer)旧前哨基地を改修したエリア-764がSCP-764-JP収容計画の本部として利用されており、エリア-764から派遣された特別捜索師団エータ-167("フンボルト")がSCP-764-JPによる痕跡や反ミーム存在を捜索しています。SCP-764-JPの痕跡が確認された場合、Dクラス職員数名がクラスZ記憶補強薬2を服用し、現地に派遣された30機前後のドローンから送信される映像の精査を行います。SCP-764-JPが発見されなかった場合、精査を行ったDクラス職員は終了されます。 当該ファイルを含め、SCP-764-JPを描写した全ファイルはエリア-764の隔離サーバーに記録されます。SCP-764-JPの情報は原則全職員への記憶処理で隠匿され、必要な場合のみ一時的にSCP-764-JPファイルへのアクセスが許可されます。また、転送イベントの発生の可能性から、アクセスはクラスW記憶補強薬3の継続服用の上で承認されます。一連の手順の根拠は当該ファイルにのみ記載されます。 フォリアドゥ(Folie à deux)収容施設のコンクリートによる全面封鎖は解除されず、警備部隊は継続して付近の警備を行っています。フォリアドゥ収容施設への侵入は、SCP-764-JPによる更なる影響を受ける虞から禁止されています。 アーカイブ済特別収容プロトコル(2018/12/25無効): フォリアドゥ収容施設は実質的なSCP-764-JPの収容施設として機能しており、7名の武装職員で構成される警備部隊が警備しています。フォリアドゥ収容施設はコンクリートによる全面封鎖が施されており、O5評議会の許可のない侵入は禁止されています。 探査の為に投入された人員を含め、フォリアドゥ収容施設内の全人員の回収は行われません。探査を行う職員を除いて、探査に関わった全職員にはクラスB記憶処理が施され、検閲イベントの発生を予防します。 当該ファイルを含め、SCP-764-JPを描写した全ファイルはエリア-764の隔離サーバーに記録されます。SCP-764-JPの情報は原則全職員への記憶処理で隠匿され、必要な場合のみ一時的にSCP-764-JPファイルへのアクセスが許可されます。また、転送イベントの発生の可能性から、アクセスはクラスW記憶補強薬の継続服用の上で承認されます。一連の手順の根拠は当該ファイルにのみ記載されます。 Fig 1.2: エリア-764として改修される前のシェレール旧前哨基地。 説明: 現在までに収集された情報は、SCP-764-JPが物理的実体を有する反ミーム存在であることを示しています。信用度が高いと判断されている、SCP-764-JPの特異性の仮説は以下の3つです。 クラスⅣ-タイプA認識阻害特性4によって、SCP-764-JP及びその存在を直接的/間接的に認識することは不可能です。このため、SCP-764-JPの存在を確認する唯一の手段はクラスZ記憶補強薬の服用です。この影響はSCP-764-JPについて描写した文章情報には及びませんが、転送イベント(後述)によって反ミーム特性を付与される場合があります。 SCP-764-JPについての描写が一定の情報閾値を超えた情報は、その情報が記録されている媒体の不自然な物理的破壊という形で破損/消失します。例として、SCP-764-JPの収容に関わっていたと思われる全職員は、SCP-764-JPに関する記憶の消失や脳機能の部分的/全体的な停止等の影響を受けています。この物理的破壊事象を"検閲イベント"と呼称します。検閲イベントは有機的/無機的問わず全ての媒体で発生し、現在財団が所有している全ての記憶補強薬はその発生を予防することに成功していません。検閲イベントが発生する情報閾値は可変であるという仮説が立てられており、当該報告書がSCP-764-JPの特異性について描写できている事実がその根拠として上げられています。 発生条件やプロセスは判明していないものの、SCP-764-JPは別の存在へ反ミーム特性を転送することができると推測されています。この反ミーム特性の転送は"転送イベント"に指定されています。転送イベントの事例として、残存データからSCP-764-JPの収容サイトであったと推測される施設(便宜上"フォリアドゥ収容施設"と呼称)に関するあらゆる記録は破損/消失しており、またフォリアドゥ収容施設自体がクラスⅡ-タイプC認識阻害特性5を帯びていることが挙げられます。このことから、反ミームオブジェクトの一部はSCP-764-JPの存在の痕跡であると思われますが、その判別の方法は確立されていません。また、検閲イベントを発生させる反ミーム存在はSCP-764-JP以外に確認されていません。 最初に執筆されてから1年以上、本報告書に於ける情報の損傷は確認されていません。このことから、SCP-764-JPによる検閲イベントの情報閾値は、フォリアドゥ収容施設が攻撃された際のものよりも上昇しているものと推測されています。しかし、現在までSCP-764-JPが発見されていないことから、依然としてSCP-764-JPのタイプA認識阻害特性は機能していると推測されます。 補遺764-JP.1: 歴史 2018/09/19、フォリアドゥ収容施設から1.3km南東に存在するシェレール旧前哨基地が、フォリアドゥ収容施設のレベルⅣ緊急封鎖命令6を受信しました。この時の発信座標は破損しており、復元には成功していません。しかし、当時のシェレール旧前哨基地は封鎖命令の受信から約2分でコンクリートによる封鎖の準備を開始しており、出動した部隊によって約4139 tのコンクリートによるフォリアドゥ収容施設の封鎖が行われました。この封鎖に関わった職員の内、フォリアドゥ収容施設へ向かった3名、及び封鎖命令を確認した1名の職員データは破損/消失しており、現在まで行方不明です。また、当時の状況について明確に証言できた職員は2名でした。シェレール旧前哨基地の建設目的は現在まで不明ですが、保管されていた機材等からコンクリートによる封鎖を目的の1つにしていたと推測されます。 シェレール旧前哨基地の事案の直後、SCiPNETのサーバーの一部に破損が確認されました。調査の結果、「SCP-764-JP」ナンバーのファイルが最も破損しており、かつ担当職員のデータが存在しないことが判明しました。財団反ミーム部門は残存データからフォリアドゥ収容施設内にSCP-764-JPが存在すると判断しました。 フォリアドゥ収容施設のコンクリート封鎖の後、1箇所だけ半径50 cm程度の穿孔が存在していることが確認されました。この穿孔の特徴として、一度封鎖された後にドリルか何かで開けられた痕跡があることが挙げられますが、これはシェレール旧前哨基地にある合金製100 mmドリルとおおよそ一致しています。周辺の封鎖を担当した職員は、何故この穿孔が存在するのか証言できませんでした。この穿孔は封鎖の翌日にコンクリートによって塞がれましたが、封鎖を行った職員は一度だけ「内部から間隔の短い足音がした」と証言し、その後証言内容を忘却しました。現在空いているのは、金網が取り付けられたフォリアドゥ収容施設の通気用小窓のみです。 補遺764-JP.2: 送信された探査記録 以下の記録は、2018/12/24にフォリアドゥ収容施設からエリア-764へと送信された映像の書き起こしです。この映像が送信された経緯に関する記録は存在していませんが、映像の内容はフォリアドゥ収容施設への探査記録であることを示しています。通信に応じた担当職員以外は財団データベースに記録された何れの職員データとも一致しなかった為、ここでは便宜上「探査人員#1/#2/#3」と呼称します。なお、通信に応じた職員の名前は、検閲/転送イベントの発生を防ぐべく記載していません。 探査記録764/フォリアドゥ#1 映像記録 記録開始 〈00:00:00〉 [映像はフォリアドゥ収容施設の封鎖用コンクリートを映している。映像左では、カメラに背を向け、フォリアドゥ収容施設の方を向いて探査人員#1が立っている] 〈00:00:02〉 探査人員#2: えー、こちらフォリアドゥ収容施設前。突入の為の準備が完了しました。 〈00:00:08〉 担当職員: 了解しました。では、改めて進入の際の注意点を確認します。この通信を最後に、そちらとこちらの通信は切断され、以降は互いに全ての連絡ができなくなります。あなたたちはSCP-764-JPの自己検閲の影響を強く受けて死亡するか、反ミーム特性の転送を受けて我々に認識されなくなるか、或いはその両方の影響を受けると思われます。また、クラスZ記憶補強薬の使用により、万が一無事に生還した場合も日常生活への復帰は不可能になります。宜しいですね? 〈00:00:28〉 探査人員#1: はい、問題ありません。むしろ—— 〈00:00:32〉 [ノイズ音] 〈00:00:35〉 探査人員#1: ——も拘わらずこうしてまた職務に携われることに感謝しています。 〈00:00:40〉 探査人員#2: [カメラの方を振り向いて] 私も同じ気持ちです。どうせ死ぬのであれば、最期まで皆の役に立ちたいですから。 〈00:00:48〉 探査人員#3: 異論ありません。 〈00:00:51〉 担当職員: 把握しました。それでは、これより通信を切断します。クラスZ記憶補強薬を服用した上で、フォリアドゥ収容施設へ侵入してください。 〈00:01:02〉 探査人員#1: 了解。 〈00:01:08〉 [探査人員#1~#3は互いを一瞥した後、クラスZ記憶補強薬を自身の静脈に注射する。探査人員#1と#3は頭部を、#2は顔面を抑えて悶え始める] 〈00:01:10〉 省略 〈00:09:39〉 〈00:09:39〉 [映像の視点が不安定にふらついている。探査人員#2はうつろな表情で床に倒れており、呼吸はしているようだがほとんど動かない。その周辺には白衣を着た人物や機動部隊の装備を着た人物、更にはスーツを着た人物が複数名倒れており、こちらは呼吸含め一作の動きが見られない] 〈00:09:43〉 探査人員#3: [荒い呼吸] ……倒れている、人間たちは、フォリアドゥ収——収容施設の、職員たちのようです。 〈00:09:55〉 [カメラが、スーツを着て倒れている女性の名札に接近する。一瞬当該人物の口元が映像に映るが、死亡しているように見える。名札の表面は黒く汚れており、ひびや欠損が見られる。顔写真、名前、職務、所属サイトの殆どが確認できず、唯一確認できるのは「りかん(ector)」という文字列のみである。この文字列は管理官(Director)ではないかと推測されている] 〈00:10:07〉 探査人員#1: おい、こっち……。 〈00:10:18〉 [カメラはふらつきながら声の方へ向かう。その途中で、壁に打ち付けられたホワイトボードが映る。表面は黒く汚れているものの、手のひらのような痕と「どこ(where)」と読める乱雑な白文字が確認できる。探査人員#1が、Dクラス職員の衣服を身につけて倒れている人物の前でしゃがんでいる。当該人物は既に死亡しているように見える] 〈00:10:29〉 探査人員#1: カメラを…… [深呼吸] カメラを近づけてくれ。この名札に。 〈00:10:38〉  [カメラは当該人物の名札に接近する。表面は黒く汚れているため職務は確認できないものの、オールバックのアジア人男性の顔写真や、「道策 常道(Tsunemichi Dousaku)」と読める名前、及びサイト-81██という所属が確認できる。財団にそのような職員が勤務していた記録は存在しない] 〈00:10:51〉 探査人員#3: ……つまり、前にも? 〈00:10:56〉 探査人員#1: [荒い呼吸] 多分、そうなんだろう。この日本人も、投入されて……。 〈00:11:09〉 省略 〈00:12:37〉 〈00:12:37〉 [映像には、天井が崩落した部屋が映っている。瓦礫の中にSCiPNETサーバーのような物体が覗いているが、起動していないように見える。映像右端に機密閲覧用端末と思われる物体が確認できる] 〈00:12:39〉 探査人員#3: ここは…… [深呼吸] フォリアドゥ収容施設の、情報室のようです。 〈00:12:47〉 [カメラが機密閲覧用端末と思われる物体に接近する。途中、探査人員#1が映像に映る] 〈00:12:54〉 探査人員#1: ……じゃあ、電源を接続します。 〈00:13:00〉 [探査人員#1がコードを取り出し、目の前の端末に接続する。端末の電源ランプが点灯する。探査人員#1のものと思われる手が端末の電源ボタンを押すと、端末の画面に起動時のアニメーションが映し出される。同じアニメーションが続く約2分間、探査人員2名の荒い息が記録される] 〈00:15:14〉 [端末の画面が変化し、SCiPNETのホーム画面が表示される。画面下にネットワークに接続されていないという警告文が表示される] 〈00:15:17〉 探査人員#1: ええと……SCP-764-JP、と。 〈00:15:29〉 [探査人員#1のものと思われる手が、検索ボックスに「SCP-764-JP」と入力し、確定ボタンをタップする。32秒後、画面が変化し1件の検索結果が表示される] 〈00:16:01〉 探査人員#3: よし、これだな……。 〈00:16:04〉 [探査人員#3のものと思われる指が、検索結果の「SCP-764-JP」というファイルへのリンクをタップする。47秒後、多くのデータ破損表示が見られる報告書ファイルが開かれる。画面下には添付ファイルへのリンクが3件表示されているが、財団が受信した添付ファイルは2件である] 〈00:16:53〉 探査人員#3: ケーブルは、ちゃんと繋がってるな? 〈00:16:57〉 探査人員#1: [咳き込む] ……ああ。 〈00:17:01〉 探査人員#3: わかった。じゃあ、データを送信するぞ。 〈00:17:09〉 [端末の画面に、データ送信のポップアップが表示される。29秒後、4件のデータが正常に送信されたというポップアップが表示される。ポップアップのXボタンがタップされ、2つのポップアップが閉じられる] 〈00:17:43〉 探査人員#1: ……一応、添付ファイルも確認した方がいいかもしれないな。 〈00:17:51〉 探査人員#3: そうだな。じゃあ……。 〈00:17:55〉 [最初の添付ファイルへのリンクがタップされる。その後もう1つの添付ファイルも閲覧され、どちらも財団が受信した添付ファイルであることが確認できる。] 〈00:17:58〉 省略 〈00:19:13〉 〈00:19:13〉 [最後の添付ファイルが開かれるが、突然映像の端末画面部分にノイズが出現する] 〈00:19:15〉 探査人員#1: これは……何だ?かなり破損が激しいが……。ええと、神はあいつなんかじゃ—— 〈00:19:25〉 [ノイズ] 〈00:19:27〉 探査人員#1: ——に従うなんてごめんだ。財団なんて屁でも……。俺に勝てるものな—— 〈00:19:33〉 [ノイズ] 〈00:19:58〉 探査人員#1: ……なんだ、この、子供みたいな……。 〈00:20:03〉 探査人員#3: [深呼吸] ……公式の文書じゃないのは確かだ。兎に角、これも送信された訳だし、分析はあちらにお願いしよう。 〈00:20:17〉 省略 〈00:25:43〉 〈00:25:43〉 [映像の大半をステンレスの扉が占めている。室名札は黒く汚れているが、辛うじて「食糧貯蔵(Lard)」という文字列が確認できる] 〈00:25:51〉 探査人員#3: ……もう、全部調べたよな……。 〈00:25:56〉  探査人員#1: ああ。後は—— [咳き込む] あと残ってるのは、この、食糧庫だけだ。 [深呼吸] ……行くぞ。 〈00:26:09〉 [映像に、探査人員#1のものと思われる両腕が扉を押すのが映る。扉が開き、内部の電灯が点滅している部屋に移動する。壁には複数の引っ掻き傷が見られ、「助けて(Help)」と読めるものも散見される。部屋の床には食糧の袋などのごみが散乱しており、角にはわずかに食糧が積み上がっている。映像の中央には、映像の約7%を占めるノイズが存在している。] 〈00:26:10〉 [13秒間沈黙] 〈00:26:22〉 探査人員#3: あの——あのSCiPは、いない——(That - that SCiP, isn't - ) 〈00:26:27〉 [ノイズ音]  〈00:26:28〉 [カメラが床に落ちる。映像に、探査人員#3が倒れるのが映る] 〈00:26:34〉 探査人員#1: [深呼吸] 俺たちは見ている、でも彼らは見ていない。だから—— 〈00:26:43〉 [探査人員#1が膝から崩れ落ちるのが映る。以降、映像に特筆すべき変化は見られない] 〈00:26:45〉 省略 〈00:59:59〉 記録終了 この映像記録の受信の後、計2回に渡ってフォリアドゥ収容施設から探査記録が送信されました。これを受け、SCP-764-JPの特別収容プロトコルは改定され、オブジェクトクラスはUncontainedに再分類されました。以下は、3回の映像記録の中で共通して確認された信頼性の高い情報の一覧です。 倒れている職員の数の不自然な増加(2回) 床に散乱した食器や食糧の袋(3回) 崩落した4箇所以上の天井/床(3回) 文字列に見える複数の黒い汚れや引っ掻き傷(3回) SCP-764-JPが「いない」という探査人員の主張(2回) 補遺764-JP.3: 残存データ 以下は、SCiPNET上の「SCP-764-JP」ナンバーのファイルから発見された報告書データです。その大部分が破損していたことから、SCP-764-JPによる検閲イベントの影響を受けたものと推測されています。この時、閲覧に必要なクリアランスはレベル4/764-JPでした。信頼性は不明ですが、SCP-764-JPの異常性の参照の為に保存されています。 発見された報告書 文書 アイテム番号: SC[DATA LOST] オブジェクトク[DATA LOST]r[DATA LOST]ed|● [DATA LOST]ロトコル: SCP-[DATA LOST]はエリア[DATA LOST]m3の鉄製収容ユニット内に収容されています。毎朝、無人ド[DATA LOST]の通気用小窓を通じて収容ユニットへ進入し、食糧を支[DATA LOST]緊急時には、収容ユニットは自動的に解錠されます。 [DATA LOST]己検閲イベントの予防の為、エ[DATA LOST]の全職員にはクラスW記憶補強薬の継続服用とカバニス(Cabanis)ミームエージェント7への暴露が義務付けられています。また、SCP-764-JP担当職員にはバイタルサインモニ[DATA LOST] 記憶補強薬をはじめとする必要物資は、[DATA LOST]から1.3kmの地点に建設されたシェレール前哨基地より、月初めに無人ドローンで輸送されます。シェレール前哨基地の全職員は、SCP-764-JPに関するあらゆる情報の閲覧/記憶が許可されませ[DATA LOST]Pの収容違反が発生した場合、エリア-[DATA LOST]域はコンクリートにより封鎖されなければなりません。手順764-アベラール(Abélard)8に従い、生存している全職員[DATA LOST]内各地に設置された非常ボタンを押し、シェレール前哨基地へ[DATA LOST]鎖命令を送信してください。なお、非常ボタンが押されなかった場合も、担[DATA LOST]15名の生命停止が確認された段階で自動プログラムが封鎖命令を送信します。その後、封鎖命令に付属して出さ[DATA LOST]令によって、定[DATA LOST]要物資が送られます。 説[DATA LOST] フォリアドゥ収容施設から回収された映像の中で最も破損具合が軽度だったものには、食糧貯蔵庫内部の様子が記録されていました。記録日時は破損しており、その大半は音声と映像両方で発生しているノイズでした。しかし、時折食糧袋が散乱した床の様子が映し出され、また一度だけ男性のかすれた声のような音声が記録されました。分析した研究員は、この音声は「畜生(Damn it)」と発していると主張しました。なお、分析に関わった3名の職員が脳機能停止によって死亡しています。 Footnotes 1. 2018/12/25以前は暫定的なKeterクラスが割り当てられていましたが、探査映像の送信後に再分類されました。詳細は補遺764-JP.2を参照してください。 2. 服用者の忘却能力を恒久的に破壊する薬剤です。詳細は薬品ファイル/AM-Zから閲覧可能です。 3. 現在財団が所有している記憶補強薬の中で最も効果が弱く、継続服用に適している薬剤です。詳細は薬品ファイル/AM-Wから閲覧可能です。 4. タイプA認識阻害は、対象の五感による認識を遮断します。 5. タイプC認識阻害は、対象への情感的反応を鈍化させます。 6. レベルⅣ緊急封鎖命令の発令には、監督評議会、若しくはAクラス職員10名以上による事前承認が必要です。 7. 詳細不明。 8. 詳細不明。
scp-765-jp
評価: +47+–x アイテム番号: SCP-765-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-765-JP-1は現在サイト-8181の標準収容ロッカーにて、布をかけられた状態で収容されています。実験を行う場合、映像記録メディアなどの使用は絶対にしないようにしてください。また、SCP-765-JP-1の複製は現在禁止されています。どうしても実験に必要な場合、クラス4以上の職員2名の許可を取る必要があります。必要でなくなった場合、複製はすみやかに破棄してください。 SCP-765-JP-2群の収容は不要です。発見され次第速やかに破壊、焼却等の処理を行ってください。SCP-765-JP-2群の収容は事実上ほぼ不可能です。そのため、異常性を軽減する為に、SCP-765-JP-2を定期的にメディアを介して一般に露出させる様にしてください。 説明: SCP-765-JP-1は、水彩アクリル絵の具で描かれた絵画です。大きさは80cm×50cmほどで、赤黒い背景と苦悶する女性が描かれています。 SCP-765-JP-1の第一の異常性は、ミーム的性質を持った認識災害です。SCP-765-JP-1の複製は、写真・デジタルデータ・手書きによる模写など、手段を問わず、ある程度原型を留めている場合、SCP-765-JP-1と同一の性質を持ちます(以降、SCP-765-JP-2と記載)。 SCP-765-JP-1あるいは2を視認した人物は、(個人差はありますが)おおよそ1日以内に以下の症状を発露します。 視界の中に暗闇がある場合、その部分に、SCP-765-JP-1に描かれているのと同じ女性(以下、SCP-765-JP-3と記載)の幻覚が見える。 鏡面、ガラス表面、水面、磨かれた金属表面などの鏡面反射を行うものの表面にSCP-765-JP-3の幻覚が見える。 ラジオ等の通信装置の雑音を聞いた時、その中に、『遠くから響き渡るような』女性のうめき声が聞こえる。 これらの症状は時期を追うごとに悪化し、幻覚の発生頻度が上昇します。最終的に、全ての五感がSCP-765-JP-3に関する情報で埋め尽くされます。この状態に陥った被験者は、自身の感覚器官の破壊を試みます。しかし、感覚器官を失った状態でも、SCP-765-JPの異常性は持続します。 SCP-765-JPの第二の異常性は、前記の異常性に関係するものです。SCP-765-JP-1あるいは2に描かれている女性の顔を記憶している人物が多ければ多いほど、SCP-765-JPの異常性は軽減されます。具体的に定義することは困難ですが、10人のDクラス職員に同時に暴露させた場合、幻覚症状の発生頻度・進行速度が初期の20分の1以下に低下したことが確認されています。 注意するべき点として、第一の異常性は対象が死ぬまで永続するのに対し、第二の異常性は対象がSCP-765-JP-1あるいは2の情報を忘却した時点でその効果を失うということです。複数人に暴露させた場合の中でも、定期的に暴露させた場合は、幻覚症状の発生頻度・進行速度は低いままでしたが、そうでない場合、おおよそ4ヶ月後に、全員の幻覚症状の発生頻度・進行速度が急激に上昇したことが確認されています。 事件記録087-JP-04 200█/██/██、SCP-765-JP-2に該当する画像がインターネット上で急速に普及しました。当該画像はインターネットミームとして世界的に広まりました。この事件によるSCP-765-JPの暴露者数は3█████人程度と推測されています。これにより、SCP-765-JPの第一の異常性は現在ほぼ完全に無効化されています。発生源を調査した結果、"ゼファー"を名乗る人物がインターネット掲示板に投稿したものが起源であることに明らかになりました。投稿者がいかにしてSCP-765-JP-2を入手したかは不明です。投稿者のハンドルネームやその手口から、"霧の探求者"が関与していると考えられています。 補遺: 201█/██/██現在、SCP-765-JP-2画像のインターネットミームとしての認知度が低下していることが確認されています。SCP-765-JPの第二の異常性を失わせない為に、財団フロント企業"ザ・シリーキャット・ピクチャーズ"にて、SCP-765-JPの映画を201█/██/██に公開する予定で製作中です。
scp-766-jp
評価: +49+–x SCP-766-JP-A-13 アイテム番号: SCP-766-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: 回収されたSCP-766-JP実体はすべてサイト-81██の低脅威度ロッカーに収容します。SCP-766-JPの担当研究員は許可された機器内でSCP-766-JP-Aの再生が可能です。実験目的でSCP-766-JP-Aの投影を行う場合は実験の目的・概要を所定のフォームに書き、クリアランスレベル4以上の職員へ申請を行って下さい。 SCP-766-JP-Bはサイト-81██の霊安室に保管されています。SCP-766-JP-Bの回収場所で発見されたGOI-███”Are We Cool Yet?”に関する情報へのアクセスにはクリアランスレベル3以上が必要です。 説明: SCP-766-JPは████社で市販されているものと同規格の8GBのUSBドライブです1。SCP-766-JPは非異常性のUSBドライブと同様にPCに接続でき、PCから後述のSCP-766-JP-Aを除くファイルの保存・移動などの操作を行うことが可能です。 SCP-766-JP-AはMP4形式の映像ファイルです。SCP-766-JP-A はMP4形式に対応したメディアプレイヤーで再生が可能ですが、USBドライブ外への移動・複製・削除はエラーメッセージが表示され失敗に終わります。 SCP-766-JP-Aの内容はすべて竜巻を映した映像となっています。映像解析の結果、██個の映像が過去実際に発生した竜巻を撮影したものであることが分かっていますが、撮影者の特定には至っていません。 SCP-766-JPの異常特性はSCP-766-JP-Aをプロジェクターによって投影することで発現します。SCP-766-JP-Aが平坦な面に投影されるとき、投影面自体、又は投影面を中心とした一定の範囲内で様々な異常現象が発生します。現象の内容と効果範囲は個々のSCP-766-JP-Aに固有であり、同一のものはありません。 現時点でSCP-766-JP実例は18個確認されており、内16個が現在も収容されています。そのすべてが回収された時点でSCP-766-JP-Aとテキストメッセージ一つのみが保存されている状態でした。テキストメッセージの内容からGOI-███”Are We Cool Yet?”2の関与が疑われています。 以下に回収されたSCP-766-JPの概要を一部抜粋して掲載します。完全なリストは付属文書766-JP-0003を参照してください。 + SCP-766-JP抜粋リストを開く  -リストを閉じる SCP-766-JP-1 特性: 投影面を中心とした半径10m範囲の物体を宙に浮かせ、投影面の周囲を周回させるように浮遊させる。移動速度はおよそ40m/s。SCP-766-JPを接続したPC及びそのPCに接続されたプロジェクター等の機器は影響を受けない。 テキストメッセージ: 少しでも、真に迫った体験を。Are We Cool Yet? 付記: 20██/2/██、東京都█区の美術館の展覧会に出展。25×25mの展示室の中央にスクリーンを配置し、同じ展示室内に配置された彫刻や絵画を浮遊させていた。美術館スタッフからの「ポルターガイスト現象が起きている」という通報により存在が発覚し、エージェントによる回収・隠蔽工作が行われた。 補遺: この時点ではオブジェクト指定はされず、Anomalousアイテムとして収容された。SCP-766-JP-2の出現後、関連性が強いとして現在のオブジェクト指定と収容プロトコルの策定がなされた。 SCP-766-JP-2 特性: 投影面を中心とした半径500m範囲内でランダムに竜巻を発生させる。竜巻は周囲の人間を追跡して巻き込む。巻き込まれた人間は空中に吸い上げられたのち、数秒後に突然消失する。一度投影を開始すると不明な要因によりPCとプロジェクターが操作不能に陥り、電源の供給を断った状態でも投影を続ける。 テキストメッセージ: 悲劇のスイッチがスイッチの形をしているとは限らない。Are We Cool Yet? 収容経緯: 20██/4/██、██県███市の展覧会に出展。市街地に突如「人間を追いかける竜巻が出現した」との情報を元に収容部隊が出動・オブジェクトを特定。電源を遮断した状態でもオブジェクトの活性化状態が続いたため、最終的に空路にて太平洋沖の孤島にあるサイト-81██まで輸送された。初期収容部隊員█人を含む██人の人間がSCP-766-JP-2によって発生した竜巻に巻き込まれており、その消息は現在まで不明。 補遺: 収容体制の確立から3日後、SCP-766-JP-Aがゴミ処理場を映したモノクロの映像に変化。これ以降新たな竜巻は発生せず、オブジェクトは無力化されたと判断された。 SCP-766-JP-4 特性: 投影面を中心とした半径20m範囲内の物体・生物が回転する時、回転角が180°を超えた時点で回転が止まらなくなり、1分にわたっておよそ200rpm3で高速回転する。 テキストメッセージ: 画面の前のアナタも、LET’S TRY!!! 付記: 20██/6/█、██県██市の展覧会に出展。展示物の高速回転による指の損傷等で██名が病院へ搬送された。回収及び関係者への記憶処理、カバーストーリー「巨大オブジェの倒壊」の適用は問題なく行われた。 SCP-766-JP-7 特性: 投影面が認識災害のキャリアとなり、視認した人間の頭部がシュレーゲルアオガエル(Rhacophorus schlegelii)のものに変化する。 テキストメッセージ: 自然の力を軽く見てないかい?いっぺん竜に睨まれた蛙の気持ちになって考えてみたら? 付記: 20██/7/██、██県██町の展覧会に出展。被害者の通報を受けた財団エージェントが派遣されるより早く世界オカルト連合(GOC)の構成員が到着し、SCP-766-JP-7は破壊された。このため、元のSCP-766-JP-A自体に認識災害が含まれていたかは不明。被害を受けた人間は全員GOCに回収されたと考えられる。 SCP-766-JP-10 特性: 投影面からヒノキ(Chamaecyparis obtuse)由来の芳香を発する。芳香は明らかに異常な誘眠作用を持つ。 テキストメッセージ: タツマキ ノトドカナイ シズカナ モリノナカデ オオイナル ネムリヲ 付記: 20██/9/█、██県██市の展覧会に出展。回収・隠蔽工作は問題なく遂行された。 補遺: 収容から一週間後、投影面から青酸ガスが発生するようになったことが確認された。 SCP-766-JP-11 特性: 投影された映像を見ている人物(被験者)と同一の容姿をした人物が映像内に出現する。4映像の中で被験者は30代のアジア系男性(同行者)と共に竜巻に接近して間近で竜巻を撮影しようとするが、途中で同行者に背後から銃で足を撃たれる。同行者は被験者を残して逃走し、被験者がその場から動けず竜巻に巻き込まれる場面で映像が終わる。 テキストメッセージ: 他人を頼れば痛い目に合うだけ。Have you not understood yet? 付記: 20██/9/██、██県███市の展覧会に出展。回収・隠蔽工作は問題なく遂行された。 SCP-766-JP-14 特性: 投影面がポータルとなり、動画の「中」の世界へ侵入することができる。内部は映像から推測される通り暴風が吹き荒れる状態となっており、ドローンによる探索は困難。Dクラス職員による有人探査は現在審議中。 テキストメッセージ: ここにあるのは肉、呪い、その他貴方の期待するモノ。 付記: 20██/12/██、██府██市で開催された、”Are We Cool Yet?”が主催する異常芸術の展覧会に出展。[編集済み]より事前に展覧会の情報を得た財団が派遣した機動部隊により他の異常芸術と共に収容された。 SCP-766-JP-17 特性: 投影面を中心とした半径約500m範囲の人間に対し距離・遮蔽物の存在に関係無く動画の音声を聞かせる。この音声を聞いたものは音声の発生源がSCP-766-JP-17の現在位置にあることを認知し、そこへ向かわなければならないという強迫観念にとらわれる。 テキストメッセージ: 誰でもいい 誰か聞いてくれ 誰か見てくれ 棚の中にしまい込まないでくれ 付記: 20██/1/██、██県█市の商店街に出現。回収・隠蔽工作は問題なく遂行された。 SCP-766-JP-18 特性: 投影面を中心とした半径約50m範囲の気温を0.74K/時のペースで上昇させる。 テキストメッセージ: 誰かに認めてもらうなんてウンザリだ。俺がCoolだと思えればそれでいいじゃないか。 付記: 20██/3/██、東京都███市にあるマンションの住人からの異常高温に関する通報ののち、SCP-766-JP-Bと共に回収された。SCP-766-JP-17の発見・回収から2ヶ月以上の間隔が開いている点は留意すべきである。 -リストを閉じる SCP-766-JP-BはSCP-766-JP-18と同時に発見された人間の遺体です。遺体の身元は”Are We Cool Yet?”の構成員と接触した疑いで諜報部門の捜査対象となっていた、大学生の████氏であると判明しています。SCP-766-JP-18及びSCP-766-JP-Bの回収以降新たなSCP-766-JPが出現していないことから、SCP-766-JP-BがSCP-766-JPの異常性の起源であると推測されます。SCP-766-JP-Bの体温は常にマイナス██℃を示し、死因は低体温症であることが確認されています。 Footnotes 1. 表面には”8GB”とのみ書かれており、メーカー・販売元を示す表記はありません。 2. 異常芸術を扱うアーティスト集団として知られる。 3. rotation per minute 4. 複数の人間が映像を見る場合でも、視聴した人間全員が映像内に登場した人物を自分自身だと認識します。
scp-767-jp
評価: +64+–x 初期収容時のSCP-767-JP。内部には溺死したSCP-767-JP-1が入っていた。 SCP-767-JP-1と同品種のウサギ。 アイテム番号: SCP-767-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-767-JPはサイト-81SGの第3規格静止物収容室に収容されます。SCP-767-JP-1の発生が収容室に設置した4台の監視カメラによって確認され次第、SCP-767-JP-1は検査解剖の後に焼却されなければなりません。SCP-767-JP-1を摘出する際、SCP-767-JPの部分的な解体が認められています。 いかなるクラスの記憶補強薬(Mnestics)1を服用している職員も、一切のSCP-767-JPに関する業務に割り当てられることはありません。 説明: SCP-767-JPは一缶の極度に劣化した18L缶2であり、周囲の大気からは常に2-ノネナール3が検出され、それに伴う悪臭も確認できます。SCP-767-JP内部には特に強い悪臭のみが観測されるものの、SCP-767-JPは空の18L缶よりも約1.0kg大きい重量を持ちます。 突発的にSCP-767-JPとその内部が変容し、内部にSCP-767-JP-1と定義されるネザーランドドワーフ種のカイウサギ(Oryctolagus cuniculus)の老年期死体が確認される事象が発生します。現在までに確認されたその死因のリストは以下の通りです。 鋭利な刃物を用いて行われたと推測される複数回の刺突による死亡(57例) SCP-767-JP側面中央に発生した衝撃に起因する多数の骨折と内臓破損(189例) 内部への液体充填による溺死。全ての事例において液体は特に老年期のヒト唾液と分析された(209例) タオルによる絞殺。タオルに異常は認められない(378例) 肝リピドーシス4(1例) 発生したSCP-767-JP-1はその後自身へ段階的な自己隠蔽性の情報侵襲を発生させ、72時間程度で各SCP-767-JP-1実例に関して提供された情報は消滅するか、認識できなくなると推測されています。この自己隠蔽は侵襲が完了する前にSCP-767-JP-1の体組織を熱的に破壊することで無力化されます。SCP-767-JPはこの熱的破壊か、情報侵襲が完了した時自己とその内部環境を復元します。情報侵襲が完了した後、SCP-767-JP-1がどのような状態となるのかは不明です。   SCP-767-JPは大阪府の老人介護施設近辺で、内部のSCP-767-JP-1と共に回収されました。該当の施設はいくつかの経営的・人的問題がみられたものの、異常は認められませんでした。 実験記録767-JP-14 - 2008/06/17 対象: 選抜されたエージェントで構成される部隊 実施方法: クラスW記憶補強薬を服用した部隊に交代でSCP-767-JPを監視させ、その異常性質を調査する。 結果: [削除済/情報災害キャリア] 分析: 調査は凍結されます。収容手順の変更は必要とされません。 探査ログ:767-JP:[削除済/情報災害キャリア] [アクセス拒絶/767-JPクリアランス] [RAISA通達-第34127号] RAISA認識災害警告   =警告:以下の情報はRAISAによる認識災害を付与されています= 以下の情報は監督評議会の承認を得て、軽度の選択性障害を伴う認識災害を付与されています。承認されていない手段でこの情報にアクセスした場合は、直ちにこの文書を閉じて監督者に報告してください。これ以上は読み進めないでください。あなたが認識災害-RAISA-767-JPに曝露し、記憶処理を必要としていること以外の情報を監督者に開示しないでください。監督者がいない場合、運用マニュアル“RAISA認識災害: 手順と処置”を参照し、必要に応じて職員の支援を受けてください。この際、あなたが認識災害に曝露したこと以外の情報を開示しないでください。 あなたは以下の条件をすべて満たしていることを確認してください: 60歳未満であり、記憶しているいかなる6親等内の親族も老人福祉施設に入居したことがない 60歳未満であり、記憶しているいかなる6親等内の親族も老化に起因する病状による死亡もしくはそれに準ずる状態になっていない 60歳未満であり、未成年時に両親と絶縁し、現在まで関係を復旧していない 実験記録767-JP-14 - 2008/06/17 対象: MTF 申-3("婉曲電柱")(構成員: アルファ、ブラボー、チャーリー、デルタ) 実施方法: クラスW記憶補強薬を服用している部隊にSCP-767-JPを調査させ、その異常性質を確認する。事前調査において、部隊による録画映像の観測には特筆すべき結果は得られなかった。 結果: 部隊の全員がSCP-767-JP付近に複数の立体的な幾何学的図形を視認する。ブラボーがまずSCP-767-JP内部の目視による観測を試み、結果について報告し始めた時点で異常が生じた。ブラボーが後退するとSCP-767-JPが自壊し、内部から2体の実体が出現。本実験はこの時点で中断された。 実体は外見上はほぼSCP-767-JP-1と同様であったが、相違点として胴体部が大きく膨張しており、内臓の大部分が存在せず、個体ごとに異なる老年期ヒト頭部が収納されていた。ブラボーの証言と機密照合により、ヒト頭部は存命であるブラボーの両親のものと同一と確認される。 ブラボーはSCP-767-JP内部について建築物の内部構造を観測し、自壊して露わになったSCP-767-JP内表面にもそれが視認できるとした。部隊全員がこれに同意。記憶補強薬を服用しない他職員には通常の18L缶内表面のように観測される。追加試験により、SCP-767-JPは自己隠匿性を持つ異常ポータルであると結論付けられた。内部に直ちに有害性のある気体構成は確認されず、探査ミッションが立案、承認される。 探査ログ:767-JP ミッション内容: SCP-767-JP内部の探索、及び異常性質調査。 職員: MTF 申-3 ("婉曲電柱") 追加情報: MTF 申-3のメンバーは全員、標準仕様のサバイバル装備と記録装置を装備しており、Wクラス記憶補強薬を3年に渡って服用していた。SCP-767-JPの自己復元特性のため、任務は24時間以内の帰還を想定された。申-3と同じく記憶補強薬を服用している職員が司令部に置かれ、梅居博士が代表して作戦司令官を務めた。SCP-767-JPは侵入のため展開され、固定されていた。 [ログ開始] アルファ: チェック、アルファ。 ブラボー: ブラボー。 チャーリー: チャーリー。 デルタ: デルタ。 アルファ: 良し。2-2の隊列で侵入せよ。 部隊は全員身を屈めてSCP-767-JP内に侵入する。全員が表情を歪め、アルファが代表して司令部へ報告する。 アルファ: 767-JP周辺と似た臭いです。アンモニア臭もひどい。マスクを着用します。 申-3のメンバーはマスクで顔面下部を覆い、SCP-767-JP内部の探索を試みる。部隊が侵入した地点は何らかの施設の玄関口であるように見える。部隊は施設内部、廊下へ進む。廊下には装飾と思しき生花が飾られた机と、クッションが敷かれたいくつかの椅子が確認できる。 ブラボー: 臭いの割には、綺麗な状態です。物音もしません。 デルタ: 窓からも何も見えません。白く光っているだけです。開けてみますか? 梅居: 施設内の探索を優先しましょう。 アルファのカメラからの映像。 チャーリーが廊下途中で部隊を呼び止め、何かを発見したことを伝える。申-3のメンバーは集合し、チャーリーはまずブラボーへ確認を行う。 チャーリー: 机の下を。何に見えますか? ブラボー: これはウサギだな。外傷があり、完全に死んでいるようだ。 チャーリーのカメラが花瓶の置いてある机の下を映し、ペンライトで対象を照らす。報告と同様に、ノウサギの死体が確認される。死体は胴体部に重傷を負っており、また老年期であるように思われる。 チャーリー: 虫が湧いていません。血液さえ乾燥していないので、かなり新しいもののようです。 梅居: 767-JP-1とは種が異なりますね。体毛サンプルを採取してください。 採取後、部隊のメンバーは施設内部へ進む。廊下の先には広い空間があり、大型テレビと複数のソファ、またいくつかの娯楽用品が置かれている。テレビには何も映っていない。空間には大きな窓が備え付けられている。各ソファの上や棚の娯楽用品などに挟まる形で、複数のノウサギの死体が確認される。いずれも新しい状態であり、死因は頸部骨折などの外傷から、一見して不明なものまで様々である。 デルタ: 椅子の数から見て、かなり大人数が暮らす施設のように思えます。あとはこのウサギどもですね。どれもこれも新しいです。あとは数が多い。 梅居: 窓は? 先程と同様ですか? デルタ: ええ。白い光だけです。 空間からは通路が複数続いている。アルファが方向を指し示し、部隊はそちらへ進む。マーカーが目印として残される。 進むと、通路に面して複数の扉が並んでいる。これらの扉にはネームプレートが取り付けられているが、いずれも表面が乱雑に削り取られており、判読は不可能である。 アルファがある扉を開けて侵入すると、著しく暗い空間が見える。アルファは各員にライトを使用するように指示する。部隊は扉を固定して内部へ侵入するが、外からの光と部隊のライトにも関わらず室内の様子はほとんど視認できない。アルファがライトを下に向け、絨毯が敷かれた床を映す。 梅居: その部屋の広さは確認できますか? デルタ: 床は確認できますが、他は真っ暗です。ライトを向けても。あと、ここは特に臭い。 デルタが信号弾を打ち上げたが、天井は確認されない。水平方向でも同様。 梅居: 探索を続けてください。2時間を目処にその部屋から脱出するように。 アルファ: 了解。引き続き2-2の列を保て。扉は視認できる距離だが、サイリウムをマーカーとして置いておく。 機動部隊はサイリウムを落とし、ライトのバッテリーと時刻を改めて確認する。部隊がこれらを行っている以外の物音と光は確認されない。ブラボーのライトが床以外に何かを照らし、報告する。 デルタ 何だ? ブラボー: 2時の方向に……あった。これはベッドだな。 ブラボーのカメラの映像。 ブラボーがライトで指し示し、機動部隊のメンバーは発見したベッドへ集合する。メンバーはベッドを調査し始める。 チャーリー: この上にもウサギの死体があります。ただ、これはかなり古いですね。ほぼ乾燥しきっています。 デルタ: あとは糞便です。おそらくウサギのものでしょうが、こちらも乾燥しています。 ブラボー: 待て。音が聞こえるな。 部隊は小銃を構え、隊列を整える。硬質な物音が記録装置越しにも確認される。 アルファ: 全員聞こえるか? かなりの数だ。前方へ何か来ている。 デルタ: ええ。 チャーリー: いや……待ってください、自分には聞こえません。 アルファ: わかった。チャーリーは後方へ。全員でカバーしつつ後退しろ。司令部、そちらでは確認できますか? 梅居: ええ  何? いや、これは……通信ではない、何が   アルファ: 司令部? 梅居: 違う。申-3! すぐに撤退しろ!これは、それ? いつ、何、どうやって[雑音] アルファ: 全員撤退し[アルファのカメラが一瞬物体を映し、通信が途絶する。続いて、ブラボー、チャーリーも同様に通信が途絶する。チャーリーのカメラが暗転する。] チャーリー: 了解。 隊長? どうしました? 司令部? いえ、自分のものは通信が続いています。はい。雑音しか聞こえませんが。 不明: [雑音] チャーリー: いえ……ダメです。こいつ、隊長の声を録っていません。自分が記録を担当します。ええ。情報災害でしょう。 チャーリーのカメラが再び映像を映す。4つのライトが見える。 チャーリー: こちらはチャーリーです。自分以外の隊員は記録装置が使えません。申-3は即時撤退を行います。 不明: [雑音] 映像は扉を出た場所へと移る。チャーリーが驚きの声を上げ、カメラはアルファの背後を映す。ノウサギの死体が背中に張り付いている。カメラは続いてブラボー、デルタを映し、それぞれ同様にノウサギの死体が付着しているのを確認する。 チャーリー これは、俺には[雑音]そうですか。[雑音] 部隊員はそれぞれ背中に付着しているノウサギの死体を剥がそうと少しの間試みるが、撤退を優先し隊列を組み直す。先頭はチャーリーである。チャーリーのカメラが前方を向き、通路を戻り始める。 不明: [雑音] 不明: [雑音] チャーリー いや、何を  何ですって? [雑音]違う。あなた達の声が聞こえない。ノイズにしか[雑音] 部隊はテレビと複数のソファの空間へ辿り着く。 チャーリー いいでしょう、[雑音]どうせ後は帰還[雑音]治療を受けます。[雑音]これは[雑音] チャーリーのカメラが後方へ向けられる。それぞれの隊員は装備の内部から潰れた状態で溢れ出すSCP-767-JP-1に翻弄され、もがいているように見える。チャーリーは撤退を優先したと見られ、カメラを前方へ向け直して玄関へ向かう。空間の窓からは多数のウサギが観測される。チャーリーが玄関口へ走り出るまでの6秒間、天井から降下してくるウサギの死体、及び頻繁かつ大音量の雑音が確認された。 お前は覚えていると思っていたよ。 [ログ終了] アルファのカメラが映した最後の映像。 チャーリーはSCP-767-JP内部から撤退する。当作戦の司令部は壊滅状態であり、いずれの人員にも様々なSCP-767-JP-1が大量に付着していた。その腹部には例外なく被害者の比較的高齢な親族の頭部が確認された。被害を受けた全ての人員はSCP-767-JPに関する記憶を喪失しており、被害者の関する調査と追加試験により異常災害の選択性が推測された。13時間後にチャーリーによって申-3の他メンバーの死体が回収された。メンバーの死体は体表面をペースト状のSCP-767-JP-1とヒト体組織で覆われ、回収からおよそ60時間で消滅した。同刻にチャーリーは視覚と聴覚を喪失した。 チャーリーは孤児であり、雇用時に財団によって両親は特定されたが、面会を希望しなかった。当実験記録及び探査記録は曝露者の周囲へ大量のSCP-767-JP-1の発生と特定記憶の喪失を引き起こす対象選択性情報災害であると認定され、RAISAによる保護が行われた。現在、SCP-767-JPについての調査は凍結されている。 昔は可愛がってやったろ? Footnotes 1. 記憶補強薬は反ミーム部門によって開発された自己隠蔽性質の情報へ対抗する薬剤的手段であり、クラスはWからZまでです。その詳細は自己隠蔽性情報の脳科学的解析とその対応の研究-Marion Wheelerを参照してください。 2. 俗に一斗缶と呼称される 3. 不飽和アルデヒドの一種であり、加齢臭との関連が研究されている。 4. 脂肪肝とも。ウサギの脂肪食またはストレスなどによる絶食状態に起因する肝障害。
scp-768-jp
評価: +156+–x SCP-768-JP-1 アイテム番号: SCP-768-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-768-JPは発芽抑制のため乾燥・低温処理を施しサイト-8102の種子用保存庫に保管されます。実験室の床の破損防止やSCP-768-JP-1の回収を容易に行うため、SCP-768-JPを用いた実験は未舗装の地面の上で行うことが推奨されます。またDクラス職員を用いた終了を伴う実験を行う際は、管理担当者にSCP-768-JPを用いて実験する旨を必ず報告してください。実験によって生じたSCP-768-JP-1は特筆すべき新たな異常性がない限り、粉砕した後圧縮してサイト-81██の保管庫に収容してください。 SCP-768-JP-1探査チーム、機動部隊は-7(”花泥棒”)は陸軍省1および大日本帝国陸軍特別医療部隊(通称負号部隊)から押収した資料を元に、旧日本陸軍が進出した領域を調査し、SCP-768-JP-1及びその亜種の回収を行ってください。SCP-768-JP-1発生の原因となった個人の特定は現在優先度の低いものとして扱われます。 説明: SCP-768-JPはキク科シオン属の多年草であるシオン(Aster tataricus)の種子に似た外見を有する植物の種子です。SCP-768-JPを一般的な植物と同じ条件で栽培した場合、異常性を持たない通常のシオンが生育します。 SCP-768-JPの異常性は、SCP-768-JPを体内に取り込んだ人間が死亡することで発現します。SCP-768-JPを体内に取り込んだ人間(以下、被験者と表記)が死亡すると、その死体を中心とした半径1.5mの範囲にシオンに似た植物体(以下、SCP-768-JP-1と表記)が極めて短時間2に生育します。SCP-768-JP-1は被験者の死体を覆い隠すように繁茂し、開花を行った後成長を停止します。このとき中心に存在した被験者の死体、及びその周囲1.5m以内に存在する被験者が身に着けていた衣服や所持品はSCP-768-JP-1の成長停止と同時に消失します。 SCP-768-JP-1の成長が停止し被験者の死体が消失すると、全世界に存在する全ての人物から被験者に関わる一切の記憶が消失します。この時、被験者が関わった事案の痕跡や、書類などに記載された被験者の記録は残存し続けることに留意してください。この記憶の消失は、消失した記憶の穴埋めや、先述した被験者に関わる物的な記録の消去を伴わないため、記憶の消失が発生した人物に違和感を生じさせます。しかし多くの場合これらは「何らかの人為的なミス」や「不思議な出来事の1つ」として比較的重要度の低いものとして処理される傾向があります。 SCP-768-JP-1は被験者が死亡した場所が、一般的な陸上植物が生育不可能な環境下3でも問題なく生育し、鉄板やコンクリートを貫通して根部を形成することが可能です。SCP-768-JP-1はその成長過程において、一般的な植物が必要とする水分や無機栄養分を必要としません。また、成長を終えたSCP-768-JP-1はその後一切の代謝反応が停止するにも関わらず、腐敗や枯死の兆候を見せません。SCP-768-JP-1は通常のシオンと同様に容易に破壊が可能です。しかし破壊後のSCP-768-JP-1も破壊前と同様に腐敗や枯死、乾燥の兆候を見せず高温や化学物質による変質を起こしません。また、破壊後の根部などから新しい芽が成長することはありません。 補遺1: SCP-768-JPは要注意団体、大日本帝国陸軍特別医療部隊(通称負号部隊)関連研究施設の調査時に発見されました。当該団体はSCP-768-JPを旧日本陸軍兵士に対し、戦線を共にする兵士が死亡したことで生じる心的負担の軽減を目的として開発したと考えられており、実際の部隊で試験的な運用が行われていたことが発見された資料から明らかになっています。 SCP-768-JP-1は第二次世界大戦終戦後、アメリカのアッツ島4でその存在が初めて確認されました。発見後SCP-768-JP-1は回収され、サイト-19にてAnomalousアイテムとして保管されていましたが、先述した負号部隊関連施設の調査時にSCP-768-JP-1の種子であるSCP-768-JPが発見されたことで、オブジェクトはAnomalousアイテムからSCP-768-JP-1へと再分類され日本支部での管理・研究が行われることになりました。その後アッツ島を含む複数の場所でSCP-768-JP-1が発見されたことを受け、機動部隊は-7(”花泥棒”)が結成され未発見のSCP-768-JP-1の捜索・回収が行われています。 補遺2: 199█/█/██、SCP-768-JP-1と同様に枯死や腐敗を起こさない植物群が████島で発見されました。当該植物の外観はムラサキ科ワスレナグサ属のエゾムラサキ(Myosotis sylvatica)に酷似しており、SCP-768-JP-1の外見的特徴とは異なるものの、████島はかつて旧日本軍と連合国軍の戦闘が行われた地であるためSCP-768-JPとの関連性が現在調査されています。また、当該植物群の付近には日本陸軍が使用していた装備品や日本語で書かれた文書などが発見されました。これらのうち、数点の文書においてSCP-768-JP-1と関係があると推測される描写が発見されました。以下は該当部分の一部抜粋5です。 (前略) 父母ヨ 兄妹ヨ 達者デ居ルカ。敵軍ハモウ直グソコマデ迫ツテ居ル。水食料共ニ尽キ腹ガ空ツテ何ガナンダカ分カラヌ。此ノ手紙ヲ書イタ後 我々ハ最後ノ突撃ヲ試ミルコトトシタ。恐ラクアノ丸薬ノオカゲデ 私ノ死ヲ悲シム者ハ居ナイト思フ。万事ソレデ良イ。私ガ玉砕シタコトヲ聞ケバ 父母ハ勇敢ニ戦ツタト喜ブダロウ。ダガソレハ見セカケノ喜ビデ 内心ハヤハリ悲シムノダロウ。ソンナ風ニ気ヲ病ンデ仕舞ウヨリ 私ノ事ハスッカリ忘レテ生キテ欲シイ。此ノ日誌ノ中ニモ記憶ニナイ戦友ノ名前ガ 幾ツモ書カレテ居ル。彼ラモキット私ト同ジ思イダツタノダロウ。気ガ付ケバ辺リガ美シイ花ニ囲マレテ居ル。空腹故ニ見タ幻覚カト思ツテ居タガ 上官モナンダコレハト言ウカラ本物ノ花ナノダロウ。アンマリニモ綺麗ダカラ一輪摘ンデ日記ニ挿ムコトニシタ。誰モ私ノ葬式ナドシナイダロウカラ 此レガ供花ノ代ワリデアル。 モウ行カナクテハナラナイ。父母兄妹ニ言イタイ事ハ限リナクアル。ダガ恐ラク此ノ日記ガ彼等ノ元ニ届ク事ハナイダロウ。ナラバ一言ダケ 書イテ置キタイ言葉ガ有ル。父母ヨ 兄妹ヨ 私ハ貴方ヲ忘レナイ。ダガ貴方ハドウカ私ノ事ハ万事忘レテ幸福ニ暮ラシテクレ。ドウカ達者デ。 第██連隊第一小隊三分隊一番番号三十二 山田 勤 以上の事案を受けSCP-768-JP-1の回収が行われた地点の再調査を行った結果、新たに4種類のSCP-768-JP-1と同様な異常性を有する植物が発見されました。当該植物の種子は現在まで発見されていないものの、その特性や生育地点からこれらはSCP-768-JPの亜種であると推測されています。現在までに発見されたSCP-768-JP-1及びその亜種が覆っていた面積は合わせて█.█ヘクタール6に上ります。このことから第二次世界大戦において戦死した旧日本軍兵士の人数は、現在推定されている数字を大きく上回ることが予想されます。SCP-768-JP研究チーム内では「SCP-768-JP-1発生の原因となった人物を特定し、その正確な人数を割り出すべきである」とする意見が存在します。しかしこれらの個人の特定は優先度の低いものとされ、実行される予定はありません。 我々にとって重要なのはSCP-768-JP-1、どんな季節でも咲き続ける異常な花を社会から一つ残らず回収することであり、それが誰の死体から生えたのかは然して問題でありません。確かに彼らの死は痛ましいものであり、正当な手順で弔われるべきなのでしょう。しかし、それは我々の仕事ではありません。我々には現在生きている、あるいは未来を生きる人類を守る重大な責務があります。彼らのように過去の、あるいは人々の記憶から消え去り過去にすら存在しなくなった人物に対して割かれる時間はありません。我々はただ、忘れ去られた彼らの残渣を残らず回収し、人目のつかない場所に押し込むだけなのです。そこに一切の感情は必要ありません。彼らの残渣がどんな不遇な目に遭ったとしてもそれを嘆く人間は一人たりとも居ないのですから。 日本支部理事 升 ████島で発見されたSCP-768-JP-1と同様の異常性を有する植物群 Footnotes 1. 大日本帝国陸軍の軍政機関 2. 個体差はあるものの、多くが10秒以内に成長が完了します 3. 極端な高温・低温環境や水中など 4. アラスカ州アリューシャン列島のニア諸島最西部に位置する島。第二次世界大戦時に旧日本軍とアメリカ軍の戦闘が行われた。戦闘は17日間行われ旧日本軍が全滅、アメリカ軍が勝利した。 5. 原文は縦書きであり文節間の空白もありませんでした。本項では読みやすさを優先し、文節間の一部に空白を入れています。 6. SCP-768-JP被験者の死体が重なった場合を無視した場合、████人分の死体がSCP-768-JP-1発生の原因になったと推測されます
scp-769-jp
評価: +31+–x 収容以前のSCP-769-JP。 アイテム番号: SCP-769-JP オブジェクトクラス: Keter Euclid 特別収容プロトコル: SCP-769-JP、およびSCP-769-JP-1はサイト-81██の標準収容コンテナに保管されています。SCP-769-JPが活性化し、SCP-769-JP-1が射出された場合、SCP-769-JP-1に取り付けられた発信機をもとに追跡を行ってください。生命体にSCP-769-JP-1が着弾した場合、その犠牲者を回収します。その他、SCP-769-JP-1が着弾した生命体に何か問題がある場合、レベル3以上の職員の指示を仰いでください。(補遺1事案以降):SCP-769-JPが活性化することは当面の間無いと考えられます。 説明: SCP-769-JPは異常性を有した弾丸射出装置です。対象は197█年に奈良県で発見され、起源や作成者は分かっていません。全体部が錆ついているにもかかわらず、対象は極めて頑強です。20██年現在、有効な破壊、弾倉の取り外し、構成している金属のサンプル採取は成功していません。また、活性状態で無いSCP-769-JPを手動によって起動させる方法は未発見です。 SCP-769-JPはその内部の弾倉に、未知の方法でSCP-769-JP-1を生成します。SCP-769-JP-1は木製の球状物体であり、容易に破壊が可能です。また、後述の"射出"された場合を除いて、SCP-769-JPの弾倉から20cm以上離れるとSCP-769-JP-1は消失します。この性質のため、SCP-769-JP-1の詳細な検査は成されていません。射出や消失等によって弾倉内のSCP-769-JP-1の数が減少した場合、弾倉内に同数のSCP-769-JP-1が生成されます。20██年現在、弾倉内のSCP-769-JP-1の総数は68個であり、その全てに追跡用の特殊な小型発信機が取りつけられています。 SCP-769-JPは不定期に活性化し、SCP-769-JP-1を射出します。SCP-769-JPから射出されたSCP-769-JP-1は、「軌道が変化する」「物質を透過する」「速度の減衰が起こらない」といった、物理的法則を無視した動作をします。この異常性は、非常に小型の物体であれば、取り付けられた発信機のような異物にも作用します。これらはあくまでSCP-769-JPから射出された場合に発現し、その他の方法では現れません。SCP-769-JPの活性化は不定期と考えられますが、短時間の連射は確認されておらず、最低でも射出されたSCP-769-JP-1が生物に着弾するまで、新たにSCP-769-JP-1が射出されることは無いと推測されています。 射出されたSCP-769-JP-1は数分から数時間飛行を続けた後、哺乳類を発見すると、その哺乳類に着弾します。最初に発見した哺乳類が優先されるわけではないことから、SCP-769-JP-1は何らかの理由を持って着弾対象を選択していると考えられます。着弾後、ほとんどの場合着弾の衝撃によってその生物は即死し、SCP-769-JP-1は死体内で急速に"孵化"します。(以下、発生した生物をSCP-769-JP-2と表記)。 SCP-769-JP-2は未知の昆虫です。姿はカブトムシ(学名:Trypoxylus dichotomus)の幼虫とよく似ています。しかし、食性は肉食です。SCP-769-JP-2は犠牲者の内臓や筋肉を食べ続け、死体内で2日から3日を過ごします。その後、SCP-769-JP-2は死体内で蛹化します。回収されているJP-2の蛹はすべてカブトムシの雄のものであり、20██年現在、それらの羽化の様子は見られません。 「SCP-769-JPの活性化阻止」「SCP-769-JP-1の生産阻止」「射出されたSCP-769-JP-1の運動の停止」の方法は未発見です。これらの要因から、対象はKeterへ分類されました。(補遺1以前) 補遺1: 1982年9月1日午後1時24分、SCP-769-JPが活性化し、SCP-769-JP-1が射出されました。射出されたSCP-769-JP-1は、サイト-████に収容されているSCP-███-██が作り出す異空間に突入し、20██年現在も進行を続けています。SCP-769-JP-1に取り付けられた発信機から異空間内部の有効な調査が可能となりました。この事案以降、SCP-769-JPは活性化していません。頑強さ等の異常性は現在も有していることと、万が一の再活性化を考慮し、対象はEuclidに再分類されました。 + 閲覧にはレベル3以上のセキュリティクリアランスが必要です - アクセス承認 補遺1のSCP-769-JP-1の進行方向を計算したところ、約███億年後に異空間内の地点Aに到達することが確認されました。地点Aには極めて巨大な人型実体が存在することが判明しています。
scp-770-jp
評価: +48+–x SCP-770-JP泡群。 アイテム番号: SCP-770-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-770-JPは、保管サイト-8123の標準収容金庫に施錠保管されます。SCP-770-JPを使用する実験を行うときは、クリアランスレベル3以上の職員の承認と同伴が必要です。 説明: SCP-770-JPは一般的な形状のソープボトルに保持されている550mlの薄黄色の液体です。SCP-770-JPはそのソープボトルを併せて現在82本が収容されています。 SCP-770-JPは、水やエタノールによる溶剤、ラウリン酸(脂肪酸)、桃とマスカットのフレーバーの調合香料、乳化剤、合成界面活性剤、洗浄剤、保湿剤、制汗剤、その他一般的なボディソープの様々な成分に加えて、████、████-████████、█████████、██████████-█などといった化粧石鹸としては通常使用されない成分によって構成されています。SCP-770-JPは全体としては弱酸性を示します。SCP-770-JPの全成分の詳細については付属文書770-CTを参照してください。SCP-770-JP液からは桃とマスカットの香りが感じられ、一般にこれは「爽やか」「甘い」といった感想をもたらします。 SCP-770-JPの特異現象は現在第三段階まで記録されています。第一段階の特異現象は、SCP-770-JPボトルのポンプを押下して一般的なボディソープの使用量(ソープボトル3プッシュ程度;約10mL)の体積のSCP-770-JP液を取り出し、これをヒトの操作によって通常の液体石鹸のように泡立たせられたときに観察されます。この状態のSCP-770-JP液を通常の化粧石鹸同様に身体の洗浄に用いると、一般に販売されている様々なボディソープに比べてこれは高い洗浄効率と保湿効果を示します。また、SCP-770-JP液による洗浄後のヒトの肌には、表皮や真皮へ沈着したメラニン色素の減少、皮膚炎や粉瘤種の治癒が観察されました。 前述の効果の概論的メカニズムを観察したところ、泡立てられたSCP-770-JPの直径0.2mm程度の微小な泡が、ヒトの表皮に「浸透」;泡が球体を保ったまま真皮領域まで皮膚組織に物質・物理的阻害を受けることなく浸透してゆき、これらが表皮表面や皮膚組織内部の老廃物や病原体、死んだ細胞組織などを回収した後に、皮膚組織の外部へと表皮表面を目指して移動し「石鹸」としての働きを行っていることがわかりました。このふるまいは生体における白血球の性質によく似ていますが、対象としては皮膚組織に限定した効果をSCP-770-JPの第一段階は示します。この効果を引き起こす本質的なメカニズムは不明です。SCP-770-JP液の一度の使用量が凡そ20mL以下のとき、前述の効果の程度はこの体積に比例して向上していきます。これは泡の総量が増加することに拠っていると考えられています。 第二段階に分類される特異現象は、一度の使用量が20mL程度を境にこれを超えたときに観察されはじめます。このとき、SCP-770-JPの効果はより過剰なものへと変化していく様子が確認されています。具体的には、老廃物や病原体以外の正常な組織細胞までも攻撃し、その細胞の死骸をも回収する効果が挙げられます。この効果を受けているヒトは自身の洗浄中にはこの効果を一切知覚しません。第二段階の効果によって、ヒトの皮膚組織全体の0.03%から最大6%までの細胞が死滅します。この効果の対象はヒトの皮膚組織にのみ限定されているようです。以上の効果の程度は、SCP-770-JP液の一度の使用量体積に比例して向上していました。 第三段階の特異現象は、一度に30mL以上の体積のSCP-770-JPが取り出されたときに観察されます。このとき、泡状のSCP-770-JPがヒトの任意の組織に接触すると、その組織は泡と組織の接触した領域で半球状に刳り貫かれたように消滅します。観察の結果、これは第一・二段階でのSCP-770-JP泡の浸透・回収の速度がより高速になり、その効果対象の判別を行わずに組織の回収を行っていることが判明しました。現象中、SCP-770-JP泡が自然に割れて消失することはありません。また、ヒトの生体組織表面に付着したSCP-770-JP泡は組織を掘削するように消滅現象を及ぼし続けながら組織へと沈みこんでいきます。 この消滅現象に曝露されたヒトの組織の消滅箇所には、通常の外傷のような出血、汚染、疼痛などは一切発生しません。またこれによって消滅現象の作用対象のヒトの生命活動・意識活動の一切が阻害されることはありません。このとき、SCP-770-JPを用いて自身を洗浄しているヒトは一切SCP-770-JP泡による消滅現象を一切知覚しておらず、一方更に一層自身の身体の洗浄を熱心に行うようになり、自身の全身に隈なくSCP-770-JP泡を付着させます。このことから、活性化したSCP-770-JPはヒトに対するミーム的影響を持っていると推測されます。 SCP-770-JP泡は流水によって洗い流されることによって非活性状態へと戻ります。ヒトに対して消滅現象を及ぼしていたSCP-770-JP泡が洗い流され、SCP-770-JP泡の消滅現象が停止された場合、消滅現象によるヒトの組織の損傷箇所は通常の外傷と同様に出血や疼痛などが発生し始めます。尚、消滅現象中にその損傷からヒトの身体に病原体等が感染することはありませんでした。 付録文書770-LB 以下の文章がSCP-770-JPを保持するソープボトルの背面に貼られたラベルに印刷されていました。 ピカーン!ワンダーテインメント博士からの新商品、桃とマスカットの力でとってもビューティ!™!いつもたっくさん遊んで汗をかくこどもたち!ウーン、とってもいいね!そんなきみたちの遊びの助けになる、こどもの肌にやさしいボディーシャンプーだ! 桃とマスカットのチカラで、どんなヨゴレもバイキンもキレイにしちゃうぞ!みんなもこのシャンプーで毎日のつかれをぜーんぶ!あらいながして、とってもビューティになろう! ・さわやかな桃とマスカットの香り。 ・自然のままに無着色。 ・子供の肌に優しくヨゴレを落とす弱酸性。 ・全身にしみこむように広がるふんわり泡。 ・まるで生まれたての肌を取り戻します。 ●保護者の方へ注意 一度のご使用時には必ず適量(ポンプ3プッシュ前後;10mL程度)をお取りください。健康上の被害が出る場合があります。幼い子供による誤飲の防止の為、当製品を置く場所には注意して下さい。液体石鹸の詰め替えには必ず桃とマスカットの力でとってもビューティ!つめかえ用™を使用して下さい。液を入れすぎたり、他のものを入れたりしないで下さい。泡ができなかったり、ポンプが押せなくなることがなります。桃とマスカットの力でとってもビューティ!™はお子様への愛情のもとに購入・使用してください。 これにもかかわらずワンダーテインメント博士の製品を危険に使用したことによる傷害、死亡などの身体的ダメージや、養育費や生活費などの経済的ダメージについて、ワンダーテインメント博士は一切の法的、道徳的、金銭的な責任を負いません。この注意書きを読み当製品を使用したことによって、貴方と貴方の家族は上記の条件に同意し、一切の抗議や訴訟などの権利を放棄したことと見なします。 楽しんでね! Dr.Wondertainment 製造整理番号 第0182番 補遺: SCP-770-JPは、2015/██/██に██県██市内にて、「自宅で入浴していた████氏(当時10歳/男性)が突如行方不明になり、身元不明の赤子が浴室に出現した」という事案が同氏の家族により警察に通報され、同事案を先行して財団が調査した結果、当オブジェクトの異常性が認められ、収容に至りました。関係者にはAクラス記憶処理とカバーストーリー("心臓麻痺")の流布が行われました。当時████氏のいた浴室のシャワーからは湯が放出され続けており、SCP-770-JP泡群は既に洗い流されその異常性を喪失していました。 調査の結果、スポンジのように多孔状になりぼろぼろに崩れた状態のヒト組織が浴室の排水溝から発見されました。DNA鑑定の結果、このヒト組織は████氏のものと一致していました。当時、SCP-770-JPによる第三段階の現象が発現していたと考えられています。また、身元不明の赤子;出生から間もない年齢の新生児が浴室内に出現していましたが、体温低下により赤子の生命活動は調査時既に停止していました。赤子のDNA形質は当事案で死亡した████氏の両親のDNA形質を有性生殖的に受け継いだものとなっていましたが、████氏本人のものとは一致しませんでした。 現在第四段階以降のSCP-770-JPの特異現象は観察されていません。オブジェクト回収事案での赤子の出現はSCP-770-JPによるものなのかどうか現在研究が進行中です。SCP-770-JP使用者の年齢や境遇が関連しているのではという仮説があり、現在これを検証する実験が企画中です。一説にはありますが、これを確認するための実験は禁止されます。第三段階の特異現象に18歳未満の人員を曝露することは禁止されます。 ████氏の母である█████氏は大手通販サイト[編集済]からSCP-770-JPを購入したと証言しました。通販サイト[編集済]を通してSCP-770-JPの販売を取り扱っていたとされる会社の足取りは上記事案後不明になりました。当事案の他に当時配送中・配送済であったSCP-770-JPを保持する計81本のソープボトルは財団のエージェントによって確保されました。付録文書770-LBの製造整理番号より、未収容のSCP-770-JPオブジェクトの存在可能性が示唆されています。機動部隊アルファ-4 ("ポニー・エクスプレス")によるSCP-770-JPオブジェクトの捜索が継続して行われています。
scp-771-jp
評価: +131+–x アイテム番号: SCP-771-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-771-JPが存在する██山は自然調査地域として一般人の立ち入りを禁止してください。財団職員が立ち入る際は身辺調査の上、過去に何らかの法的制裁を受けていた場合、侵入を禁止してください。 SCP-771-JP-Aの堆積する谷底には標準監視装置を設置し、周囲を封鎖してください。 説明: SCP-771-JPは██県██山中にある、幅約1.5m、全長約5m、桁高500mの簡易吊り橋です。見かけの材質は一般的なサルナシ(Actinidia arguta)や鉄筋と違いはありませんが、あらゆる物理的破壊は現在時点で失敗しています。 SCP-771-JPの異常性は、過去に何らかの法的制裁を受けた人間がSCP-771-JP上に存在した状態で発現します。対象がSCP-771-JPの中心付近まで到達すると、突如として風が吹き出し、SCP-771-JPは揺れ動きます。その後、SCP-771-JPが落下し、対象はそのまま500m下の谷底に転落します。 転落した対象(SCP-771-JP-A)は谷底から約200mの地点でその体勢を変化させます。この体勢になった時点でSCP-771-JP-Aは自律行動が不可能になり、以後その体勢以外を取ることが不可能になります。SCP-771-JP-Aはその体勢に非常に激しい苦痛を感じることが判明しています。この苦痛は現在時点で使用可能な機材、薬物での緩和が不可能です。 現在時点で確認されている体勢は7種類であり、年齢、性別によって変化することが確認されています。以下はその体勢の一覧です。 転落対象 体勢 20歳未満 身体を丸めた体勢 20、30代の男性 足を延ばして右を向き座っている体勢 20、30代の女性 同世代の男性と一致するが左を向いた体勢 40、50代の男性 「S字」と表現される体勢 40、50代の女性 「Z字」と表現される体勢 60代以上の男性 「胡坐をかいている」と表現される体勢 60代以上の女性 「気を付け」の姿勢と表現される直立の体勢 これらの体勢に変化したSCP-771-JP-Aはその後空中を並行移動しつつ落下します。多くの場合回転を伴いますが、伴わずに落下する場合もあります。この平行移動を外部からの接触で変更、阻害することは不可能です。 谷底は25×5mの完全な長方形であり落下したSCP-771-JP-Aが堆積しています。本来であれば落下したSCP-771-JP-Aは以前落下したSCP-771-JP-Aの上に落下する結果となりますが、前述の平行移動、回転の結果、落下地点が重複することは僅かです。落下し堆積したSCP-771-JP-Aを移動させることは不可能です。 谷底一面をSCP-771-JP-Aが覆った場合、SCP-771-JP-Aは苦悶の声をあげながら消滅します。この消滅後、SCP-771-JP-Aは200m地点から約30秒に1回1個体ずつ再出現し、堆積を繰り返します。再出現までの期間は不定期で、約10分から2ヵ月までの間隔が確認されています。現在時点で財団の確認していないSCP-771-JP-A1の出現はありません。 SCP-771-JP-Aは自身等を堆積し吊り橋に到達することで苦痛から救済されると主張しますが、前述の移動阻害不可の特性からそれが事実であるかどうかは判明していません。 補遺: SCP-771-JP-Aが出現する際、周囲の風音などが一定のリズムを刻むことが判明しました。調査の結果、それらのリズムはロシア民謡の「トロイカ」と一致することが確認されました。 Footnotes 1. 発見時から実験に参加したDクラスまでを含む
scp-772-jp
評価: +26+–x 回収されたSCP-772-JP-2 アイテム番号: SCP-772-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-772-JPにアクセス可能な扉はすべて封鎖され、その場所に応じたカバーストーリーが適用されます。新たに発見された場合も同様に対処してください。SCP-772-JP-1を目撃した人物にはAクラス記憶処理が行われます。実験にて回収されたSCP-772-JP-2はサイト-814F内の専用ロッカー内に保管されます。 説明: SCP-772-JPは日本国内の3ヶ所の扉1よりアクセス可能な空間です。内部は一般的なラーメン店と類似していますが、メニューが「新鮮」、「熟成」の2つのみ、値段表記が無い、箸が置かれていない等複数異常な点があります。内部には店長を自称する人型実体(SCP-772-JP-1)1体が存在しており、内部に侵入した人物(以下対象)が席に着いた後にメニューに書かれたものを注文した際、対象の目の前に1枚のタオル(SCP-772-JP-2)が出現します。 SCP-772-JP-2は██████社が販売しているタオルですが、SCP-772-JPにて回収されたもの以外からは異常性は確認されませんでした。SCP-772-JP-2は常に湿っている、また強い依存性があることが確認されており、SCP-772-JP-2が出現した後、対象はSCP-772-JP-2を顔に乗せる、しゃぶった際に排出される液体2を飲む等の行動をとります。SCP-772-JP-2は自身が好意を抱いてる人物の物と認識し、これらの行動に対象は嫌悪感を示しませんが、前述した認識が間違いであるなどと説明し、その認識を取り除いた時点でその異常性は解除されます。なおSCP-772-JP-2は注文した対象以外には影響を及ぼしません。 + 実験記録772-JP - 閲覧終了 実験記録772-1 対象: D-772-1 実施方法: SCP-772-JP内部に対象を侵入させ、「1枚ください」と発言させる。 結果: SCP-772-JP-2が出現。対象は以前の職場の先輩であった██氏(29歳、男性)の物であると認識。 実験記録772-2 対象: D-772-2 実施方法: 実験1と同様。 結果: SCP-772-JP-2が出現。対象は成人向けゲームの登場人物██████の物であると認識。 備考: 実在する人物以外であっても認識するようです。 実験記録772-4 対象: D-772-4 実施方法: 実験1と同様。 結果: SCP-772-JP-2が出現。対象は競走馬█████の体を拭いた物であると認識。 備考: 人以外でも認識するようです。ですが、液体の成分に変化はありませんでした。 SCP-772-JPは2017年に「変な店」の噂が広まったことにより財団の目に留まりました3。その時点で13名がSCP-772-JP内に侵入、SCP-772-JP-2を注文しておりましたが、該当者にはAクラス記憶処理が行われ、カバーストーリー流布後に該当箇所を封鎖することで収容されました。 SCP-772-JP-1は20代に見えるアジア系の男性であり、基本的にはSCP-772-JPの厨房部分に存在しています。常に客席を見た状態で静止しており、対象の呼びかけ4以外は一切反応しません。SCP-772-JP-1は日本時間で午前3時になった瞬間、日本国内にて睡眠中の人物の元にランダムで出現します。その後SCP-772-JP-1はその人物を持ち上げ、その体を絞るように動かす事が確認されており、その際人物の体からは液体が200ml程排出され、これをSCP-772-JP-1は自身の衣服へと染み込ませた後再消失します。これらの一連の動作の最中、該当人物は苦痛を見せず、また起床することもありません。 SCP-772-JP-1の異常性は、「体をひねる男」という都市伝説及び不審者情報が相次いだ事で注目を集め、その後サイト-81F7に出現、1連の行動が防犯カメラに記録され、その人物の容姿がSCP-772-JP-1と一致したことにより確認されました。他支部での報告が無いため、現在SCP-772-JP-1の転移元は日本国内のみであると推測されています。 補遺: インタビュー記録-772 対象: D-772-3(47歳、男性) インタビュアー: 両沢博士 付記: 3回目の実験中に実施。 <録音開始> 両沢博士: D-772-3、応答できますか。 D-772-3: なんだよ博士(液体を飲み込む)見ての通り今忙しいんだけど。 両沢博士: あなたは今自分が何をしているか理解していますか。 D-772-3: もちろん理解しているさ。でもまあここでしか(SCP-772-JP-2をしゃぶる)こいつは(液体を飲み込む)手に入らないからな。 両沢博士: では、それは誰のタオルですか。 D-772-3: ████ちゃんのだよ。高校の時の同級生。美人で優しい、クラスの皆が惚れてた。それを、今俺は独り占めできてるんだ。 両沢博士: 何故それが████さんの物であると確証しているのですか。 D-772-3: 何故って店長がそう言ってるんだからまあそうなんだろ。(SCP-772-JP-2をしゃぶる)味とかも(液体を飲み込む)あの子のだし。 D-772-3: 店長が全部取ってきてくれてるとか言ってたな。まあほんと最高だねこの店は。 両沢博士: そうですか。(12秒沈黙)それが████さんの物でないとしたらどう思いますか? D-772-3: え?またまた冗談だろ博士。 両沢博士: 本当です。(タブレットを取り出し映像を見せる)████さんは一切汗を提供していません。 D-772-3: いや、まさか、そんな。 D-772-3: てことは、俺は全く知らねえやつの、汗を、いや、いや。 (D-772-3が嘔吐) <録音終了> 終了報告書: 実験の1週間前、████氏の住宅付近にエージェント・須加原が派遣されていました。実験日までの1週間の間、該当時刻になってもSCP-772-JP-1が出現しなかったことから、実験中に提供されたSCP-772-JP-2に染み込んでいた液体は████氏のものでは無いと判断されました。 Footnotes 1. 北海道██市の市役所3階男子トイレ、群馬県███村の████氏が所有する物置、石川県██市の公民館1階放送室 2. この液体の成分は人間の汗と同一のものでした。 3. 群馬県ではSCP-███-JP収容作戦中に発見、石川県では市民からの通報により発見されました。これらも収容済みです。 4. ですが対象との会話も最小限のものとなっています。
scp-773-jp
評価: +51+–x アイテム番号: SCP-773-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-773-JPはサイト-8154の地下にある特設書庫に保管されます。実験を行う場合はセキュリティクリアランスレベル3以上の職員3名の許可を得た上で、Dクラス職員を用いて行ってください。SCP-773-JP-Aとなった人物は一般的な人形収容セルに収容し、通常の人間と同様に食事を与えてください。SCP-773-JP-Aは収容セル内でのみ自由な行動が許可されています。SCP-773-JP-Aに対しては主に英語圏の一般人を対象に設定された通常の日本語教育を施してください。 SCP-773-JP及びSCP-773-JP-Aは機動部隊す-2”検閲者”が対応と収容に当たります。機動部隊す-2”検閲者”は十分な英語力を持つと認められた職員で構成されます。SCP-773-JPの回収時にはカバーストーリー”落丁本の回収”を適用してください。 説明: SCP-773-JPは、赤色を基調とした表紙にゴシック体で「基礎から始める英語問題集 ~勉強が苦手でも、英語にだけは強くなれる~」と記された書籍です。高校生及び浪人生を対象とした内容であることがわかっており、SCP-773-JPとは別に解答(SCP-773-JP-1と指定)とリスニング問題用CD(SCP-773-JP-2)が付随しています。SCP-773-JP及び1、2について外見や内容の異常はなく、一般的な方法で問題なく処分することが可能です。 SCP-773-JPに掲載されている問題について明確に思考を始めると、思考している人物(SCP-773-JP-Aと指定)は、外部からの干渉に全く反応せず思考と解答を続けるようになります。この際、解答の内容や解答にかかる時間はSCP-773-JP-Aが有している知識量によって変化します。 SCP-773-JP-Aが掲載されている問題を全て解き終えると、SCP-773-JP-1を用いて採点を始めます。間違った解答があった場合はSCP-773-JP-Aは間違えた問題を全て集約しもう一度解答を始めます。この時、SCP-773-JP-AはSCP-773-JP-1を視認したにも関わらず間違えた問題の答えを記憶していません。 SCP-773-JP-Aは問題を解く上でのアドバイス等には正常な反応を見せますが、プロセスに無関係な行動を取ったり物品を提示するなどした場合SCP-773-JP-Aはそれに対して全く反応を見せず、プロセスを妨害しようとした場合は激しい抵抗を見せます。なお、アドバイス等をした人物がSCP-773-JP-Aとなることはありません。 一連のプロセスは、SCP-773-JPに掲載されている問題に全て正しい解答をすることでのみ終了します。プロセスの終了後、SCP-773-JP-Aは日本語を理解することが不可能となり、英語のみを理解するようになります。この認識改変は記憶処理を用いても消去することが出来ませんが、日本語に関する再教育を施すことによってある程度の日本語を習得し直すことが可能です。 SCP-773-JPの版元は████出版社となっています。公式サイトが存在していますが、同名の企業は存在しないことが明らかとなっています。また、SCP-773-JPは既に大量の在庫が出版されたとみられており、全個体の完全な収容には至っていません。201█年█月██日の一般市民からの通報による発見から現在に至るまで、確保されたSCP-773-JPは████冊であり、██冊がサンプルとして保管されています。 実験記録773-JP 閲覧を終了する 実験記録773-JP-1 - 日付20██/██/██ 対象: D-773-JP-1 実施方法: リスニング問題を解くためのラジカセ、和英辞典、英和辞典と文法書等を用意した一般的な個室でSCP-773-JPに掲載されている問題の解答を行わせる。 付記: 事前の試験で、D-773-JP-1は高校英語について十分知識を有していることがわかっている。 結果: D-773-JP-1は15時間かけ全ての問題に正しい解答を行った。その後、D-773-JP-1は問題なく日本語を理解することができなくなった。 分析: D-773-JP-1は英語が得意であるようですが、それでも15時間かかるほどには問題は多かったです。また、本当に解答しかしなくなるようですね。職員が提供した食事や水分にも全く反応しませんでした。実験後に与えた食事は通常通り摂食しています。なお、D-773-JP-1に対しては実験後簡易的な日本語教育が施されています。 実験記録773-JP-2 - 日付20██/██/██ 対象: D-773-JP-2 実施方法: リスニング問題を解くためのラジカセと高校英語教員の免許を持つ職員を配置した一般的な個室でSCP-773-JPに掲載されている問題の解答を行わせる。 付記: 事前の試験で、D-773-JP-2は英語に関して中学1年生相当の知識を有していることが分かっている。 結果: D-773-JP-2は職員のアドバイスを受けながら21時間かけ全ての問題に正しい解答を行った。その後、D-773-JP-2は問題なく日本語を理解することができなくなった。 分析: 職員がアドバイスに没頭することはなく、与えられた食事なども通常通り摂食しましたが、D-773-JP-2は食事や水に全く反応しませんでした。担当職員が摂食させようとしましたが、D-773-JP-2はそれを全く無視し続けていました。また目覚まし時計を鳴らす、大音量で音楽を流す、目の前でゲームをプレイする、等の極端な行動にも全く反応せず。実験後には通常通り食事を摂っています。D-773-JP-2についても実験後簡易的な日本語教育が施されました。 実験記録773-JP-3 - 日付20██/██/██ 対象: D-773-JP-3 実施方法: リスニング問題を解くためのラジカセと高校英語教員の免許を持つ職員を配置した一般的な個室でSCP-773-JPに掲載されている問題の解答を行わせる。 付記: D-773-JP-3はイギリス人であり、日本語もある程度読み書きすることが可能。読めない部分は職員が通訳を行っている。 結果: D-773-JP-3は職員のアドバイスを受けながら18時間かけ全ての問題に正しい解答を行った。その後、D-773-JP-3は日本語を含めた英語以外の言語を理解することができなくなった。 分析: 英語を母語とする人物が使用しても、現れる結果は同じであるようです。またこの実験において特筆すべきなのは、アドバイスを担当する職員がSCP-773-JP-1を元にD-773-JP-3に問題の答えだけを教え続けるといった行動をとってもD-773-JP-3がそれを無視し続けたことにあります。明確な基準は不明ですが、ちゃんとした勉強以外の事には興味を示さなくなってしまうようです。 実験記録773-JP-4 - 日付20██/██/██ 対象: D-773-JP-4 実施方法: リスニング問題を解くためのラジカセを用意した一般的な個室でSCP-773-JPに掲載されている問題の解答を行わせる。解答のサポートとなるものは用意しない。 付記: 事前の試験で、D-773-JP-4は英語についてあまり知識を有していないことがわかっている。 結果: D-773-JP-4はプロセスを終えないまま74時間経過した後に突然意識を喪失したため実験中止。その後職員による救出活動が行われ生還したが、療養施設を脱走しSCP-773-JPを使おうとする事案が発生したため終了措置が取られた。 分析: プロセスの間、D-773-JP-4は全く眠ることもせず、これまでの実験どおり勉強以外の物品や行動に反応を示しませんでした。悪い意味で、本当に解答しかしなくなります。食事を摂らせるために数人がかりで拘束するとD-773-JP-4は激しく抵抗し、3名の職員が骨折などの重傷を負いました。 補遺1: 201█年██月██日に発生した██川の氾濫の際に、異常な行動を取り救出が不可能となった要救助者の事例が報告されていたことが明らかとなりました。これを受け、財団は救助を担当した自衛隊員にインタビューを行いました。以下はその記録です。 対象: 西村 ██氏 29歳女性 インタビュアー: ██研究員 <録音開始> ██研究員: こんにちは、西村さん。 西村氏: こんにちは。本日はどうぞ宜しくお願いします。 ██研究員: では幾つか質問をさせていただきます。まず救助に失敗した要救助者についてです。 西村氏: わかりました。要救助者は高校生程度の女性で、問題集を使って勉強をしていましたね。 ██研究員: 問題集の教科は覚えていますか? 西村氏: 教科ですか?えー…どうだったかな… ██研究員: 思い出せませんか? 西村氏: うーん、英語だった…ような気がするんですけど…ごめんなさい、あんまり覚えてないです。 ██研究員: なるほど。では要救助者がどのような行動を取ったかについて、出来るだけ詳しくお願いします。 西村氏: わかりました。発見当時要救助者の自宅は既に1階まで浸水しており、要救助者がいる2階は辛うじて無事でしたが危険な状態にありました。家族は全員救助しましたが、彼女だけは2階の部屋で勉強を続けていました。話しかけたりしても全く反応せず、肩を揺すっても無視されるか無理矢理振り払われてしまう始末でして、どう考えてもおかしかったんです。 ██研究員: 続けてください。 西村氏: 水位がどんどん上がってきていることも確認できたので、一刻も早く救助すべく要救助者を運ぼうとしたんですが、ものすごい力で抵抗してきたんです。こういう言い方をすると変なのですが、どこを触っても無理矢理振り払われる始末でして。 ██研究員: なるほど。最終的にはどうなったのですか? 西村氏: 最終的にはヘリコプターから救助用のロープと器具を垂らしてもらって、それを要救助者に繋いで救助しようという話になったのですが…要救助者に取り付けようとすると[編集済]を用いて無理矢理ロープを切断し器具を破壊して、その上で再び机に向かい始めたんです。その間にも水位は上がってきて私の腹付近まで既に来ており、家がどんどん流され始めていました。それすらも、要救助者は全く気にしていないような素振りで勉強を続けていました。私はその後も救助を続けようと思ったのですが、ヘリコプターの方から退避命令が出まして…非常に残念でした。 ██研究員: それはとても残念でしたね。ところで西村さん、その後似たような事案があった、もしくはそういった話を聞いたなどはありますか? 西村氏: そうですね…██川の氾濫ではそういった話は聞かなかったのですが、近くの予備校で火事が起きたときに救助に向かった友人が似たような事を言っていた覚えがあります。 ██研究員: …わかりました。これでインタビューを終了します。ご協力ありがとうございました。 <録音終了> 終了報告書: その後、西村氏の証言に該当すると思われる消防隊員の横山氏に対してインタビューが行われ、西村氏が行ったものと似た内容の証言が得られました。西村氏及び横山氏には適切な記憶処理が施されています。 補遺2: 201█年2月██日から██日にかけて、SCP-773-JP-Aとして収容されていた高校3年生および浪人生と実験に使用したDクラス職員の消失、失踪が相次いで発生しました。財団は機動部隊す-2”検閲者”隊員を含めた大規模な捜索部隊を編成し捜索活動にあたっていますが、現在に至るまで失踪したSCP-773-JP-Aの発見はできていません。 追記: 同年3月██日に、失踪したSCP-773-JP-Aの家族が住む家のそれぞれに、ほぼ同じ内容の書類が届いたことが確認されました。内容は全て英語で記されていた他、記載されている██・█████という名前はSCP-773-JPの編著者として記されている名前と一致していました。 現在この書類はSCP-773-JP-3として指定され、機動部隊による捜索と回収が続けられています。以下は回収された書類の内容を和訳したものです。なお、名前以外では証書ごとの記述に違いはありません。 ██ ███様 貴殿が本学に合格したことを証明します。 201█年3月██日 アメリカ合衆国ジャポネ州 █████大学学長 ██・██████ なお、█████大学と似た名前の大学は存在していましたが、█████大学そのものの実在は現在に至るまで確認されていません。
scp-774-jp
評価: +169+–x 評価: +169+–x クレジット タイトル: SCP-774-JP - 名付けられてしまった怪物 著者: ©︎kyougoku08 jet0620 作成年: 2016 評価: +169+–x 評価: +169+–x アイテム番号: SCP-774-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-774-JPはサイト-81██に設置された専用の特別収容セルに収容されます。セル内は音響マイクが常時起動できるようにセットされ、敵対的行動が確認された際はプロトコル”鬼呪”が即時実行されます。給餌は毎日生肉1kgを専用の機械により投下して行ってください。 SCP-774-JPの呼称として『SCP-774-JP』『福天様』を用いること及び『タマサブロー』もプロトコル”鬼呪”実行時以外用いることは原則として禁止されています。この書類内では便宜上『SCP-774-JP』を本オブジェクトを指す言葉として使用していますが、実際の取り扱いでは推奨されないことを考慮してください。 20██/██/██以前の特別収容プロトコルは以下を参照してください。 + 旧特別収容プロトコルを表示 - 表示終了 SCP-774-JPはサイト-81██に設置された専用の特別収容セルに収容されます。セル内は常に-10℃を保ち、SCP-774-JPの活動を阻害してください。常に3人以上の人員がSCP-774-JPの監視任務に当たり、収容違反時は即座に武装職員により鎮圧を行います。週に一度のペースで専用の機械によってDクラス職員に生肉10kgをセル内に投下させて給餌を行ってください。SCP-774-JPが生肉を食するのが確認されるまで、給餌中セル内は完全に閉鎖されます。 説明: SCP-774-JPは通常時においてはイエネコ(Felis silvestris catus)に似た特徴を持つ生物です。発声器官が通常のイエネコと同様であるにもかかわらず会話が可能であり、非常に高い再生能力と変身能力を有しています。 変身能力は主として3mほどの巨大なヤマネコ種(Felis silvestris)に似た姿をとりますが、他に人型実体、液状の生物等に変化することも確認されています。変身状態のSCP-774-JPは、変異元の個体よりも高い身体能力を持ち合わせることが確認されています。再生能力と液状の生物への変化を組み合わせることで行動不能になるレベルの重傷をほぼ完治することが可能であり、実質的な殺害は非常に困難であるとされています。 SCP-774-JPは高い知性を有していますが、人間に対しては強い嫌悪感と残虐性を示していると同時に嗜好品として好んでいる様子を見せます解離性人格症状に似た症状を発症しており、不定期に『性格』が入れ替わります。現在までSCP-774-JPの『性格』は3種類が確認されており、それぞれによって決まった『呼称』での呼びかけを繰り返すことで性格を意図的に変化させることが可能です。各性格についての詳細は以下を参照してください。 分類 呼称 説明 SCP-774-JP-1 SCP-774-JP 非常に敵対的であり、人間を嗜好品として好んでいます。現在まで█回収容違反を試みており、██名の重傷者と█名の死者を出しています。対応の際は十分に注意してください。 SCP-774-JP-2 福天様 尊大な態度を取り、人間を見下しています。比較的温和ですが自身を崇めない人間に対しては『神罰』として攻撃を行うことがあります。積極的に事件は起こしませんが注意が必要です。 SCP-774-JP-3 タマサブロー 基本的に友好的であり、過度に干渉しない限り攻撃的にはなりません。また、上記能力を一切行使せず、そのような能力が存在しないかのように振る舞います。軽度の鬱病に似た症状を発症しており、この性格の状態の時間は他と比べて非常に短いです。 初期収容時における調査の結果、██県の山間集落に存在する██神社及びその近辺に居住していた██氏にSCP-774-JP関連が浮かび上がりました。当該地域では初期収容の数週間前からSCP-774-JPによるものと推測される連続殺人事件が発生しています。 ██神社は安土桃山時代からの歴史を持つ神社であり、その祭祀内容は五穀を奉納したうえで生きた鶏を殺し、血を捧げるというものでしたが、19██年の時点で集落の高齢化と人口減少に伴い祭祀は中断されています。後発調査の結果、20██/██/██、██神社の祭祀を録画した記録映像が『残酷な日本の祭り! 未開の地に根付く野蛮な土着宗教!』と銘されたうえで複数の動画投稿サイトに投稿され、約█████の否定的な、あるいは嫌悪感を表すコメントが確認されました。神社に関する詳細はインタビュー記録774-JP-Bを参照してください。 ██氏は神社近隣で一人暮らしをしていた██大学の学生であり、SCP-774-JP関連と思われる事件の際に関連が発覚しました。他の異常存在や不審な団体との関連は確認されていません。事件発生の3ヶ月前から野良だったイエネコを飼っており、事件発生と同時期にイエネコは行方不明となっています。インタビュー記録774-JP-Cを参照してください。 +インタビュー記録774-JP-Aを表示 - 表示終了 ███インタビュー記録774-JP-A - 20██/██/██ 対象: SCP-774-JP 会話は外部スピーカーを通じ、遠隔地から監視カメラを利用して行われている インタビュアー: ██博士 付記: SCP-774-JPの敵対性を考慮し、終了予定のD-85545を通してインタビューを行いました。 <録音開始> ██博士: 記録を開始します。D-85545、対象に近づいて事前に教えた通りにインタビューを行ってください D-85545: はいよ。[SCP-774-JPに近づく]えーと、お前が人間を敵視しているのはなんでだ? SCP-774-JP: お前たちが呼ぶ怪物とはそういうものだろう? D-85545: え? ……えっと、その理由とかあったりするか? SCP-774-JP: 怪物は人を嫌い食い殺すものだろう? 人間の肉は小さな鳥やネズミよりかはウマいからな。 ██博士: D-85545、インタビューはもう結構です。速やかに退出してください SCP-774-JP: おい、人間よ D-85545: なんだよ、もう終わりだから近づくんじゃ…… SCP-774-JP: お前の目玉は美味そうだな [D-85545の悲鳴が響く] <録音終了> 終了報告書 D-85545はSCP-774-JPにより終了されました。これ以降、SCP-774-JPに対するインタビューは特別な理由がない限り行われません。 +インタビュー記録774-JP-Bを表示 - 表示終了 インタビュー記録774-JP-B 20██/██/██ 対象: ███氏 ██神社神官 インタビュアー: エージェント足利 宗教関係の研究者としてインタビューを行っている <録音開始> エージェント足利: では、あの祭りはそこまで残虐なものではないと ███氏: ええ。少しばかり血生臭いですが、狩りなどで生計を立てる地域では生き物の血を捧げるなんてのはよくあることですよ。出回っている映像も、慣れない新人の神官がやったせいであんなに血が飛び散っただけですから。正直変な噂が出回って困っています   エージェント足利: 心中お察しします。正しい情報を広めるためにも、この神社の神様について教えていただけますか? ███氏: 喜んで。ここの神社は山の神様である福天様を祭っている神社です。福天様は山の動物に変身することができ、人前に現れるときは猫の姿をとるとされています。年に一度、五穀と生きた鶏の血を捧げることでご加護を得て、その1年は山の生き物から身を守ることができるのです エージェント足利: なるほど。儀式が行われなくなったのはなぜですか? [無関係の情報が続くため省略] エージェント足利: なるほど、今回はありがとうございます。それで、他に言いたいことはありますか? ███氏: いえ、大丈夫です。色々と言いたいことはありますが心の中にしまっておきます エージェント足利: それはまたどうして? ███氏: 言葉の力は案外侮れないものですよ。ちょっとした気持ちで言ったことが、とんでもないことに繋がるかもしれないのですから <録音終了> +インタビュー記録774-JP-Cを表示  - 表示終了 インタビュー記録774-JP-C 20██/██/██ 対象: ██ ██ インタビュー当時██県██市在住の大学生 インタビュアー: エージェント足利 オカルト雑誌の編集者としてインタビューを行っている <録音開始> エージェント足利: まあ、気を楽にしてくださいね。例のネコと会ったのはいつ頃ですか? ██氏: えっと、5ヶ月くらい前ですかね。散歩がてら██神社に立ち寄った時に見かけて。夏休みで大学もなかったですし、ちょうど遠出の予定とかもなかったんで毎日寄っていたんですよ。そしたらある日突然話しかけてきて エージェント足利: ふむふむ、どんな感じだったんですか? ██氏: こういうと語弊があるかもしれませんけど、僕の思っていた通りのネコでした。ちょっと気難しいけど人懐っこい、マンガに出てくる『儂』が一人称のおじいさんみたいな感じでした エージェント足利: ほうほう、それからは? ██氏: 話しかけてきたのは気まぐれみたいなものだと言っていました。それからちょくちょく会うようになって、うちで飼うことにしたんです。そのことを話したら、ちょっと驚いたような顔をしてから「名前は付けてくれるんだよな? でないと困るぞ」って言ったんです。回答が予想外だったんでよく覚えていますよ。 エージェント足利 …なるほど、で、その名前は? ██氏: えっと、なんだったかな。…ああ、そうです、そのとき一緒に猫を飼っててその名前がタマとタマジローだったんで。タマサブロー。それがあいつの名前ですよ。結構いいやつでね、他のネコの遊び相手にもなってくれたし、俺の愚痴も聞いてくれまして。おかげで気楽に過ごすことが出来ましたよ、神様かなにかじゃないかとも思いました エージェント足利: なるほど。それでそのネコは3ヶ月ほどでいなくなって、今も帰らないままと。探したりはしていないんですか? ██氏: 最初は、まぁネコは気まぐれだし帰らないこともあるだろうなぁと思ってましたし。いなくなった頃から就職活動の準備とかで忙しくなった時期で、そっちに気が回らなかったんです。あいつは賢いですし、いつか帰ってくると思いますよ エージェント足利: なるほど。ありがとうございます。他に何か知っていることはありますか、どんなことでもいいです ███氏: そういえば、あいつを見つけた神社では残酷な祭りが行われていたらしいんです。そこを調べてみるといいかもしれませんよ。あんな残酷な祭りをさせるなんて、きっとあそこの神様は結構なロクデナシでしょう エージェント足利: ……そのタマサブローがあの怪物と考えたことは? あなたがタマサブローと出会った神社は儀式が行われていた神社なんですよ? ███氏: そうなんですか? でもまぁ、大丈夫ですよきっと。あいつはあのバケモノじゃなくてタマサブロー。俺の飼い猫です <録音終了> 20██/██/██、上記調査結果に基づいた分析の結果、SCP-774-JPは██神社に祀られた神及び███氏の飼い猫と同一であるとの見解が出され、同時にSCP-774-JPの呼称に「福天様」あるいは「タマサブロー」を用いて沈静化を図るプロトコル”鬼呪”が提案されました。意見が提出された際は効果に対して懐疑的な意見が多かったですが同日にSCP-774-JPが収容施設を脱走、サイト-81██管理者によって緊急的にですがプロトコル実行が許可されました。 記録774-JP-Aより抜粋 20██/██/██ <記録開始> [銃声の音が響き渡る。SCP-774-JPは銃弾を回避するも数発が命中] 機動部隊長: 攻撃続けろ! 止まればこちらに来るぞ! SCP-774-JP: こざかしい人間どもめ。だがその筒での攻撃もいつまでも続かないのだろう?   [SCP-774-JPが亀のような甲羅を持った生物に変化。跳弾の音が録音される。同時にプロトコル”鬼呪”の実行許可が通達される] SCP-774-JP: さぁ、気の済むまで攻撃しろ。途切れたその瞬間に貴様らの肉を食らってやろうぞ 機動部隊長: ……連絡は聞いたな、全隊員プロトコル”鬼呪”を実行! 攻撃担当の人員以外はやつの名前を呼び続けろ! [福天様あるいはタマサブローを呼ぶ声が録音される] SCP-774-JP: なぜ……? その名前、は……!? [SCP-774-JPの動きが硬直。同時に苦しむような声が録音される] 機動部隊長: 効果ありと判断! プロトコル継続、沈静化するまで続けろ! SCP-774-JP: わた、しは。われは、わし、は……![叫び声] [SCP-774-JPより衝撃波が突如発生。機動部隊が吹き飛ばされる。SCP-774-JPの姿が不安定になり変化を繰り替えす] SCP-774-JP-1?1: 私の名前はSCP-774-JP。私は怪物、人を喰らうもの SCP-774-JP-2?2: 我は福天。我は贄を捧げた下賤なる者に加護を与えし神 SCP-774-JP-3?3: 儂はタマサブロー。あいつの飼い猫だ、そろそろ帰らないとあいつが心配する [SCP-774-JPが近くにいた機動部隊員へと接近。攻撃は効果を見せない] SCP-774-JP-1?: おい、そこの人間。ちょっと答えろ SCP-774-JP-2?: 下賤なるものよ、わが問いに答えよ SCP-774-JP-3?: なぁ、兄ちゃん。ちょいと教えてくれや 機動部隊員: 近づくな! それ以上は……! SCP-774-JP-1?: 私は何者なんだ? SCP-774-JP-2?: 我は何者なのだ? SCP-774-JP-3?: 儂は何者なんや? [SCP-774-JPが縮小化し通常状態へと変化する。SCP-774-JPは一切の行動を起こさない] 機動部隊長: ……SCP-774-JPの沈静化を確認、再収容を行う <記録終了> SCP-774-JPに対する一定以上の効果を吟味し、名称を「タマサブロー」に限定することでプロトコル"鬼呪"を特別収容プロトコルとして採用することが決定しました。その後、北畠研究員により以下の意見書が提出され、SCP-774-JP関連呼称の使用縮小が一時的に許可されました。SCP-774-JPの収容をより円滑に行うための意見は常時募集されています。 補遺: 北畠研究員の意見書 プロトコル”鬼呪”の初回実行時にSCP-774-JPの発言・現状の研究結果を踏まえた上で、私はSCP-774-JPを『人間の思考に影響を受けてその性質を変化させる生物』だと推測します。そして与えられた性質はそれを指し示す『名前』が残っている限り永遠に失われることはないとも推測します。 我々はあの怪物を『SCP-774-JP』と名付けてしまいました。我々が普段SCiPの分類として扱っている記号を、人を喰らう凶悪なバケモノの名前として名付けてしまったのです。たとえオブジェクトナンバーの変更を行ったとしても、過去にSCP-774-JPが怪物の名前として名付けられた事実は変わりません。『SCP-774-JP』としての性質がそのまま残ってしまう可能性、新規ナンバーへの再振り分けによる新性質発露の可能性は十分に考えられます。『██神社の怪物』の話はいまだに残り続けており、根絶させるのは非常に困難な点も十分に考慮するべきです。 私は、プロトコル”鬼呪”以外でのSCP-774-JP関連呼称の使用縮小を求めます。完全な対応が出来ないうちは我々はあの猫を、SCP-774-JPとも、福天様とも、タマサブローとも呼ぶべきではありません。 Footnotes 1. 音声記録から分離。ナンバリングは前述の性格から推測 2. 音声記録から分離。ナンバリングは前述の性格から推測 3. 音声記録から分離。ナンバリングは前述の性格から推測
scp-775-jp
評価: +77+–x 評価: +77+–x クレジット タイトル: SCP-775-JP - ジャニーズJr養成薬 著者: ©︎indonootoko 作成年: 2018 評価: +77+–x 評価: +77+–x SCP-775-JPの実験に参加するD-661 アイテム番号: SCP-775-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-775-JPはサイト-81██の小規格収容ロッカーに収容してください。SCP-775-JPが確認された場合は、カバーストーリー「危険ドラッグ」を流布した上で収容スペシャリストを派遣し、収容を行って下さい。現在、SCP-775-JPを使用する実験は禁止されています。 SCP-775-JP-Aはセクター-81██の人型実体用収容室に収容されます。拘束状態での冷凍睡眠を維持し、SCP-775-JP-Aの行動を封じてください。SCP-775-JP-Aが新たに確認された場合は、機動部隊い-13("チェイサー")に対し出動命令が発令され、鎮圧と収容が行われます。 説明: SCP-775-JPはイワナガ美容組合によって配布された錠剤で、現在まで██錠が財団により回収されています。成分は、過去にイワナガ美容組合が販売していた異常性の無いビタミン剤と差異が無く、後述する異常性が発生するメカニズムは判明していません。 SCP-775-JPは、服用した人間に対し2つの効能を持ちます。これらの効能は不可逆的なものであり、回復に成功した例はありません。 身体能力を大幅に上昇させる効能があります。この身体能力の上昇に伴い、代謝による消費カロリーも急激に上昇します。 服用した人間の顔面を構成する器官の位置をランダムに変動させ、それに伴い頭部の骨格を変形させる効能を持ちます。この変動は顔面の範囲内で行われ、各器官の本来の機能を損なう形では行われません。 SCP-775-JP-Aは特定の条件下において確認された異常実体です。通常の環境下では発生しません。詳しくは報告書末の「SCP-775-JP-Aに関する報告書」を参照して下さい。 SCP-775-JPは、警察内に存在する、財団への協力者により「顔面の変容した変死体を発見した。」と報告があり、その捜査の過程で存在が発覚しました。この変死体の死因は自殺であり、遺書などから、顔面の変容が自殺の動機である事か判明しています。現在までに同様の自殺は3件報告されています。 補遺1: Dクラス職員を利用し、SCP-775-JPの服用実験を行いました。 + 実験記録-775-JP - 閲覧を承認 実験記録775-JP-1-Dクラス職員にオブジェクトを服用させる実験- 19██年9月29日 対象: D-547 目的: 服用時の異常性を確認する。 実施方法: D-547にSCP-775-JPを服用させ、その後の経過を観察する。 結果: 服用から3日間を経過した時点でD-547の顔面に変化が発生、口が正常な位置より20度ほど傾いた。また、D-547は自身の身体能力の異常な向上を訴え、長澤博士の前で、後方倒立回転跳びを連続で行って見せた。D-547の身体能力は、加齢と長期間の服役によって、一般人の平均的な身体能力を大きく下回っていた事を特筆する。 分析: 1次報告にて報告された異常性を確認。この2つの異常性は、何か因果関係にあるのでしょうか? 実験記録775-JP-2-更にDクラス職員にオブジェクトを服用させる実験- 19██年10月3日 対象: D-547 目的: 1度異常性を受けている人物が服用した場合の異常性を調べる。 実施方法: 再度SCP-775-JPをD-547に服用させる。 結果: 服用から3日間を経過した時点でD-547の顔面がさらに変化し、鼻が額まで上昇した。また、D-547は自身の身体能力が更に向上している事を訴え、長澤博士の前で、実験室の壁を粉砕して見せた。 分析: D-547の顔面の様子は悪化している上に、身体能力は以前より遥かに高くなっています。SCP-775-JPは服用する度に症状が進行するようです。 実験記録775-JP-3-服用者の身体能力調査- 19██年10月6日 対象: D-547 目的: D-547の現在の身体能力を調査する。 実施方法: D-547に赤田式身体能力検査テスト1を受験させる。 結果: D-547は500点2を記録した。実験終了後、D-547が衰弱した様子を見せたため、財団の医療センターに搬送した。 分析: D-547には栄養失調の傾向が見られます。異常に上昇した身体能力に伴い代謝が急激に上昇しており、消費カロリーが肉体の蓄えを超えてしまった結果と思われます。 実験記録775-JP-5-服用者の顔面の器官の性能に関する実験- 19██年10月7日 対象: D-661 目的: D-661にSCP-775-JPを服用させ、3日間経過させる。D-661の顔面の器官が正常に機能しているかを検査する。 実施方法: レントゲン撮影、脳波観測、各種診察を行い調査する。 結果: いずれの器官も正常に機能していた。骨格においては、変動した顔面の器官の位置に合わせて変形していた。 分析: 本来の機能は失わないようです。D-661の表情も明るく、痛みなどは無いと答えています。 実験記録775-JP-8-Dクラス職員に大量のSCP-775-JPを服用させる実験- 19██年10月10日 対象: D-852 目的: 濫用時の異常性を調査する。 実施方法: D-852にSCP-775-JPを大量に服用させ、経過を観察する。 結果: 服用後すぐに異常性が発現、D-852の顔面の器官の位置が激しく変動し続け、意思の疎通が不能になった。その後、収容室の壁を破壊し脱走した。すぐさま機動部隊が派遣されたが、D-852は実験室から50mほどの場所で力尽きており、大きな被害は発生しなかった。 分析: D-852はの死因は衰弱死でした。急激な肉体の変化に身体が耐えきれなかったのか、その活動時間は1分程度と短いものでした。 補遺2: SCP-775-JPを服用した民間人の特定に成功しました。インタビューを実施し、SCP-775-JPの起源に関する調査を行いました。 + インタビュー記録-775-JP - 閲覧を承認 対象: 大木 敦 インタビュアー: 長澤博士 付記: 大木氏は██府の高校に通う高校3年生であり、中学1年生の時にSCP-775-JPを服用、顔面の変容により不登校になっていた。今回のインタビューは、「NPO法人 難病に悩む少年少女を支援する会」という架空の組織を名乗ります。 <再生> 長澤博士: では、まず、例の薬を手に入れた時の事を教えて頂けますか? 大木氏: はい、あの薬は学校の帰り道に、スーツ姿の女の人に声を掛けられまして、その女の人から渡されました。 長澤博士: 渡された…。その人の特徴は解りますか? 大木氏: もう6年も前なんで詳しくは覚えていないですけど、若くて綺麗な女性の方でした。ちょっと喋り方はオバサンっぽかったけど….。髪は長めで、黒いスーツでしたね。ああ、そうそう、イワナガ美容….なんとかっていう会社の人だって言ってましたね。 長澤博士: イワナガ….、なるほど解りました。では薬を渡された際、どのような薬と聞きましたか? 大木氏: (数秒無言)私の夢を叶えてくれる….、そういう薬だと….。 長澤博士: 大木さんの夢ですか?どんな夢をお持ちで? 大木氏: ….、言わないとダメですか? 長澤博士: 無理強いはしません。 大木氏: (数秒無言)解りました。自分は将来アイドルになりたかったんです。 長澤博士: アイドルですか。 大木氏: はい、自分はブサイクな上に、運動音痴で….。それが原因でイジメられていました。もしジャニーズのようにイケメンで運動もできたらモテるだろうし友達も沢山できるし、もうイジメられる事もないだろうって….。だから自分はアイドルになりたかったんです。 長澤博士: なるほど….、解りました。 大木氏: そんな時にあの女の人が現れて….、「これがあれば夢が叶う。言うならば"ジャニーズJr.養成薬”だ。」って言われて….。 長澤博士: ジャニーズJr.養成薬?その女性はそう言ったのですか?だとしたら随分と具体的に大木さんの夢を知っていたのですね。 大木氏: あの女性は確かにそう言いました。当時の自分は不思議に思いませんでしたね、今思えば絶対おかしいですけど….、当時の自分はイジメられてて….、その….、精神状態も良くありませんでしたから。 長澤博士: では、その効能についても怪しまずに飲んでしまったのですね? 大木氏: はい、当時はむしろ救いが訪れたってぐらいには思ってましたね。 大木氏: 当時に自分に忠告したいです。たしかに運動音痴は治りましたけど、この顔じゃ今後まともに就職もできないでしょう、自分に無いものを高望みするな、と過去の自分へ警告したいです…..。先生、自分の顔は治るのでしょうか? 長澤博士: 全力を尽くします。インタビューはここまでです。ご協力ありがとうございました。 <終了> 終了報告書: このインタビューを受け、現在研究チームでは、「SCP-775-JPの顔面の器官の位置を変動させる異常性は、美容整形を投薬で行う目的がある。しかしSCP-775-JPは未完成の物であり、異常な器官の変動が発生してしまう。」という仮説が支持されています。大木氏以外にも服用者5名へインタビューを行いましたが、全員が大木氏と類似した願望を持つ人物でした、この事から、イワナガ美容組合は何らかの方法で、大木氏の持つような願望の持ち主の情報を集め、接触をしていた可能性が高いと思われます。また、大木氏ですが、その変容した顔面により身元の特定が困難なことや、極めて高い身体能力を持つ事から、財団機動部隊での雇用が検討されています。 追記: 大木氏は機動部隊採用テストに合格、財団によって雇用されました。現在、大木隊員は機動部隊い-13("チェイサー")に配属されており、任務において素晴らしい活躍が報告されています。 現在、大木隊員は結婚し、幸せな生活をしています。奈落に落ちかかった彼の人生を、財団は救ったのかもしれません。 - 長澤博士     + SCP-775-JP-Aに関する報告書(要セキュリティクリアランスレベル3) - 閲覧を承認、ようこそ管理職員様 説明: SCP-775-JP-Aは、SCP-775-JPの服用者の子供が変容することで発生する異常実体であり、実験記録775-JP-8にて確認された症状を維持したまま、衰弱せずに生存し続けます。変容のメカニズムは、発生事例の少なさから解明されていません。SCP-775-JP-Aへは、これまでに異常性を回復させる試みをはじめとした、様々な実験が行われましたが、いずれも新たな成果を得るに至っていません。 SCP-775-JP-Aは現在までに、大木隊員と、その妻との間に産れた子供がSCP-775-JP-Aに変容した事例1件のみで存在が確認されています。詳しくは下記、観察実験報告を参照して下さい。 付記: 大木隊員の妻である大木 真由子(旧姓:秦 真由子)は、財団フロント企業に勤めていた一般女性である。SCP-775-JPの服用者と健康な成人女性の間に産まれた子供を観察し、子供の先天的な異常性の有無を観察する。この観察実験に実施に際し、大木 真由子氏をセキュリティクリアランスレベル1の職員として雇用した上で、大木夫妻に観察実験の実施を宣告し、趣旨を説明した。大木隊員は理解を示し、最大限の協力を約束をした。   観察記録775-JP-19██年3月5日 対象: 真由子氏が妊娠している胎児(大木 彰良) 対象の年齢: 妊娠4か月 報告: 一般的な胎児の成長速度を大きく超えている、妊娠4か月の時点で真由子氏は激しい胎動を訴えている。 分析: 出産後より観察を開始する予定でしたが、既に異常な事象が発生しています。このペースだと妊娠6か月にして出産を迎えると思われます。胎児は男性であり、大木隊員は子供に「彰良」と命名する予定です、当報告書でも観察対象を「大木 彰良」と記名します。 追記(5/11): 妊娠6か月にして出産。観察対象は体重3,112gの健康な状態で産まれた。経過観察では、母子ともに健康な状態である事が確認されている。 観察記録775-JP-19██年11月18日 対象: 大木 彰良 対象の年齢: 0歳(生後6か月) 報告: 生後6か月で歩行に成功した。 分析: 同年代の0歳児であれば四つ這い歩きをしている頃ですが、観察対象は凄まじい成長を見せています。現在、顔面の器官に関する異常は発現していないため、大木隊員はポジティブに捉えているようです。今後も長期的な観察が必要です。 観察記録775-JP-19██年11月2日 対象: 大木 彰良 対象の年齢: 1歳 報告: 言語を習得し始めた。 分析: これに関しては一般的な1歳児と大差ありません。知能面での異常は無さそうです。 観察記録775-JP-19██年5月19日 対象: 大木 彰良 対象の年齢: 3歳 報告: 重い荷物が運べる、鉄棒で大車輪を行うなど、既に同年代の児童に比べ高い身体能力を持つ事が確認された。また、大木隊員より、観察対象の食欲が凄まじいと報告があった。 分析: 既に無視できないレベルの身体能力の上昇と、それに伴う代謝の上昇が見られます。顔面の器官に関する異常は未だ確認できませんが、現状の放置は危険と判断し、観察対象をセクター-81██へ移送しました。以降観察対象の行動範囲はセクター-81██内広域収容区画に限られます。この処置に対し、大木隊員は酌量を求めましたが、棄却されました。 観察記録775-JP-19██年7月1日 対象: 大木 彰良 対象の年齢: 5歳 報告: 観察対象が大木隊員にじゃれついた際、大木隊員が肋骨を骨折する怪我を負った。 分析: 観察対象は子供ですので、今後も不慮の事故が発生する可能性があります。今後、観察対象に接触する際は、防護アーマーを装備する事が義務付けられます。幸い、苦しむ大木隊員の様子を見て、観察対象が暴力に対しトラウマを負った様ですので、同様の事故が発生するリスクは多少低いと予想されます。 観察記録775-JP-19██年6月18日 対象: 大木 彰良 対象の年齢: 7歳 報告: 観察対象へ赤田式身体能力検査テストを受験させた所、460点を記録した。 分析: 検査テストは長澤博士の提案により、現状の身体能力を数値で記録する目的で実施されました。大人と同等、或いはそれ以上の身体能力を有していると言えるでしょう。知能面は一般的な7歳児と同等レベルを有していますし、このまま現状の異常性以外の異常性が確認されなければ、最終的に機動部隊員への雇用を検討できると思います。また、SCP-775-JPに関してもThaumiel化を目指した研究の提案が可能だと思います。 観察記録775-JP-19██年3月1日 対象: 大木 彰良 対象の年齢: 9歳 報告: 観察対象の右目の位置が、僅かではあるが変動している。 分析: 財団の医療センターで再度検査を行いましたが、確かに右目の位置が外側に変動しています。SCP-775-JPの異常性を発現している親から生まれた子供は、SCP-775-JPの症状をそのまま引き継いでしまうようです。また、当該事象を受け、大木隊員の精神状態も大きく悪化したため、臨時のカウンセリングを行いました。 観察記録775-JP-19██年12月5日 対象: 大木 彰良 対象の年齢: 11歳 報告: 観察対象の右目の歪みが激しくなりつつある。観察対象の精神状態に悪影響を与えており、セクターの設備を破壊するなど、暴力的な行為が報告されている。 分析: 観察対象を隔離区画へ移送し行動を制限します。隔離に伴い、大木隊員と大木真由子と長澤博士のみ面談が許可されています。大木隊員が、同じ症状を持つ者として観察対象へのメンタルケアを行っていますが、成果は確認できていません。 追記(4/1): 大木隊員が19██年4月1日付けで副隊長に昇進。以降の報告書においても、大木 敦を大木副隊長と呼称する。 観察記録775-JP-19██年1月5日 対象: 大木 彰良 対象の年齢: 13歳 報告: 観察対象の、顔面の器官の位置全てが大きく歪み始めた。観察対象が自傷行為を始めたため、財団によって拘束された。 分析: 身体能力が大人を遥かに超えていても、精神状態はまだ中学生です、落ち着くまでは拘束を続ける必要があります。観察対象に対し大木副隊長によるメンタルケアが行われています。 追記(1/19): 観察対象の精神状態が安定した為、施された拘束を解放した。経過も安定している。 観察記録775-JP-19██年2月22日 対象: 大木 彰良 対象の年齢: 15歳 報告: 観察対象の容態が急変、意思の疎通が不可能になり、セクター-81██の外壁を粉砕し脱走した。この事案を受け、財団は機動部隊い-13("チェイサー")に対し出撃命令を発令、およそ30分後に鎮圧され確保された。また、顔面の器官に関する異常において、顔面の器官の位置が常に、顔面上を変動し続けているのが確認された。 分析: 観察対象の症状は、実験記録775-JP-8におけるD-852の状態に酷似している様に感じます。あの時と違うのは観察対象が衰弱死しない事です。異常な身体能力を長年運用してきた事により、肉体が異常性に耐えれるほど強靭になっている、と考えられます。明日、この状態の観察対象の処遇決める協議を行う予定です。 観察記録775-JP-19██年2月23日 対象: 大木 彰良 対象の年齢: 15歳 報告: 観察対象をSCP-775-JP-Aに指定、以後SCP-775-JP-Aをセクターー81██の人型収容室へ収容する。 付記: この決定について、大木副隊長と真由子氏は納得しています。両名に対し、記憶処理が薦められ、真由子氏は記憶処理を希望しましたが、大木副隊長はこれを拒否しました。 財団は研究チームに対し実験の終了を勧告、以降同様の観察実験、並びにSCP-775ーJPを利用した実験は許可されません。 追記(2/24): 上記処置に伴い、特殊収容プロトコルにSCP-775-JP-Aに関する記述を追加し、更に経過観察報告に関する文書をセキュリティクリアランスレベル3相当の文書として、閲覧制限を設定した。   Footnotes 1. 機動部隊隊員の身体能力を検査するテスト、500点満点であり、300点が合格点に設定されている。 2. 19██年の受験者の平均得点は385点。
scp-776-jp
評価: +70+–x アイテム番号: SCP-776-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-776-JP出現区域はカバーストーリー「地盤沈下の危険性」「耐震工事の延期」等の適用を行い封鎖した上で民間人の進入を防いでください。区域内部の全ての女子トイレは扉の撤去を行い、プール内部は水を抜くと共に校内の階段は全て封鎖した上でエレベーターを設置して下さい。 追記: 駐留する警備員は校外周辺の巡回を行い、内部は監視カメラを用いて警備を行って下さい。 説明: SCP-776-JPは██県██市立███小学校敷地内で確認されている異常な生物的実体群の総称です。実体は複数種が確認されていますがいずれも捕獲には成功しておらず、詳しい生態等は判明していません。出現する実体はSCP-776-JP-1からSCP-776-JP-6との指定が行われていますが、個体はそれぞれの出現時間に応じて消失する為に各個体の識別が行えていない事から識別名称の指定が見送られています。以下が確認されている個体です。 SCP-776-JP-1: 午後11時から午前1時までの間に校門付近に出現する、体長2m程のオオナナフシ(Entoria magna)を模した石像に類似した個体。出現後即座にグラウンドへと向かい、外周を時速60km程度の速度で疾走する。極めて強い膂力の為に静止を行う事も出来ず、個体の破壊やサンプル採取にも成功していない。 SCP-776-JP-2: 午後6時から午後9時の間に不定期にプールに出現する体長1.7mのニホントビナナフシ(Micadina phluctainoides)に類似した個体。プール内部に人間が存在した場合瞬時に対象に接近し、捕獲と同時に対象と共に消失する。個体はプール外部からは水面下に存在する様に目視されるが、水中カメラを用いた場合は水面より上に個体が存在する不可解な映像が撮影された。消失した対象は未だ発見されておらず、GPSを所持させたDクラスを用いた実験は信号が途絶えた為に成功していない。 SCP-776-JP-3: 校内のいずれかの女子便所に不定期に出現するナナフシ目(Phasmatodea)の物と思われる、最長1.5mまでの長さが確認されている首と頭部。扉が閉められた状態の個室の便器内部に潜み、ノックや開扉に反応して便器から飛び出す事によって対象の捕獲を行うと共に消失する。この時のドアの破損状況から極めて強い力と速度で飛び出している事が判明しており、消失した対象に関してはSCP-776-JP-2と同様の結果しか得られていない。 SCP-776-JP-4: 午後9時から午前3時の間に不定期に音楽室に出現する、体長1.3m、厚さ2mm程のトゲナナフシ(Neohirasea japonica)に類似した個体。常に両目が赤と黄に点滅しており、移動や捕獲の試みは成功していない。接触によって発生する異常性は確認されていない。 SCP-776-JP-5: 午後7時から午前4時の間に校内のいずれかの階段部分に出現する、13対の足を持つエダナナフシ(Phraortes illepidus)に類似した個体。体長は出現した階段の距離に応じた長さの物が確認されており、移動を行わず階段部分を占有している。人間が接触した場合は他の個体と同様に、同時に消失する。 SCP-776-JP-6: 午後6時から午前1時までの間に屋上に出現する体長2m前後のサカダチコノハナナフシ(heteropteryx dilatata)に類似した個体。出現以降は柵を乗り越えて落下した後に外壁を這い上がる行動を繰り返す。接触による消失等は確認されていないが、進行を遮った場合前脚による捕獲を行いその後対象と共に落下する事で重軽傷を及ぼす危険性が確認されている。落下後は対象を放置して再度外壁を這い上がり同様の行為を繰り返す。 これらの個体は全てがナナフシ目の生物に類似していますが通常の種に見られる擬態を行う様子は見せておらず、食事や排泄等も確認されていない為、あくまでも類似した存在であり同一の生態を持つ生物では無い物と推測されています。なお、同学校の関係者に調査を行った所、SCP-776-JP群の行動と類似した内容の所謂「怪談」が児童間で流行しており、異常性の発生原因に関与している可能性が推測されています。怪談の内容は「深夜に二宮金次郎像が校庭を走る」「過去に自殺した生徒が屋上から何度も飛び降りる」等の計六つが確認されていますがこれらについての調査を行った結果、内容と合致する過去の事件等は確認されませんでした。また、この怪談の由来として「かつて土葬が行われていた時代、校舎があった土地は墓場であり人骨をそのままにして校舎が建てられた事によって呪われている」であるとの証言が児童達から得られていますが、調査の結果そのような事実も確認されていません。 発見経緯: SCP-776-JPは1997年7月19日に██県の██市立███小学校の教員から通報があった事によって確認されました。当初はSCP-776-JP-1のみが確認されていた為に一時的に出現区域を封鎖し、発生原因と考えられていた二宮金次郎を模した石像を撤去する事で収容が行われていましたが、その後SCP-776-JP-2からSCP-776-JP-6の発生が確認された為にカバーストーリー「地下の空洞による地盤沈下の可能性」を適用して校舎を移転する事で収容が執り行われました。なお、当学校は以前から数名の失踪が確認されており、最も古い事例で1996年7月20日に泊まり込みで作業をしていた男性教師が失踪している事が判明しています。 追記:1999年7月10日、発生原因の特定を目的とした調査の一環として███小学校敷地内の土壌の調査を行いましたが、ナナフシ目の物と思われる死骸が大量に混入していた事を除いては何ら異常性は確認されませんでした。発見された死骸はその損傷から種の特定には至っていません。 補遺: 1999年7月15日、定期報告が途絶えた事を不審に思い確認に向かった職員によってSCP-776-JP収容区域内に駐留していた警備員5名が姿を消している事が報告されました。職員が到着した際には既に無人の状態であった事が証言されており、校庭の一部に仮設された詰所内部を捜索した所、食事や作業の痕跡が残されていた他、通信機に内部を巡回していた警備員と待機していた警備員の間での通信記録が残されていました。以下がその記録を書き起こした物です。 <録音開始, 1999/07/13 AM5:05> [詰所内の当番表から、この日は小田警備員と古川警備員が夜間警備を行い河原警備員、野々村警備員、杉水流警備員が詰所で待機していた事が判明しています。] 小田警備員: こちら小田、1F宿直室付近で不審な物音を確認した。直ちに調査へと向かう。そちらは何か聞こえるか? 河原警備員: こちら河原、特に異常は無い……おい、起きろ、ちょっと表を見て来てくれ杉水流……ああ、すまない、今表の方を見に行かせた。 小田警備員: そうか、20分程前に古川から職員室付近で物音がすると連絡があったんだが……そちらに連絡は行ってないのか?この時間なら宿直室はアイツの巡回ルートの筈なんだがアイツの姿が見えないんだ。通信も繋がらない。 河原警備員: いや、連絡は無いな。分かった、一度こちらから連絡を取ってみる。ところでその物音ってのはどんな音なんだ? 小田警備員: 結構大きい音なんだがそちらに聞こえてないのか?木を踏み潰すような音とミシッて感じの軋む音だ。宿直室の中から聞こえてる訳では無いんだが…… 河原警備員: うーん、こっちには聞こえないな。取り合えずもう一人そちらに向かわせる。古川にも一度連絡を取ってみるからお前もそのまま調査を続けてくれ。一応15分経ってもそっちから連絡が無かった場合、こっちから入れるからな。 小田警備員: 了解。 [その後12分間、連絡は無い。古川に対しては3回通信が試みられているが応答は無い。] 小田警備員: こちら小田、物音の発生源を見つけた。旧校舎だ。 河原警備員: 旧校舎……?その音はそこから出てるのか? 小田警備員: ああ、どうも中に例のアレがいるらしい。体長5mくらいか。今までのとは少し違うな……杉水流と古川が外から見張ってる。 河原警備員: うん?杉水流の奴、そっちと合流してたのか。なかなか戻ってこないんで野々村を起こして向かわせてたんだが。古川とも合流できたんだな。 小田警備員: ああ、野々村もさっき来たよ。お前も一度こっちに来てくれないか?正直言ってアレをどうすればいいのか分からないんだ。 河原警備員: 上に報告するしか無いな。所詮俺達じゃあの手のはどうにも出来ん。仕方ない、俺も一度確認に行くよ。誰かひとりこっちに寄こしてくれないか?流石に詰所は開けられん。 小田警備員: 了解。古川を向かわせる。 <録音終了, 1999/07/13 AM5:22> 以上の記録を最後に一切の連絡は行われず、現在も職員5名は消息不明のままです。この異常な事例を受けてSCP-776-JPの特別収容手順の一部が変更されました。なお、███小学校は全ての校舎が1995年の7月8日に建て替えられており、「旧校舎」に該当する施設は存在しません。
scp-777-jp
評価: +162+–x 事象777-JP開始から5分後に顕現した鳥居。 アイテム番号: SCP-777-JP オブジェクトクラス: Keter 特別収容プロトコル: SCP-777-JPは財団の特別医療房に収容されます。常にSCP-777-JP専任の心臓血管外科医6名及び医療エージェント12名、秘儀エージェント8名がSCP-777-JPの治療と看護、特異性を安全に消失させる研究を行います。SCP-777-JPの延命は最優先研究対象とされます。SCP-777-JPが財団の収容に対して非常に従順であること及びその特異性のため、SCP-777-JPの生命に関して悪影響を与えるであろうあらゆる行動をSCP-777-JPに対して行う場合、常にレベル5クリアランスを保持する職員3名の許可を必要とします。 SCP-777-JPの拍動障害によって起こる事象777-JPへの対抗のため、拍動障害が起こった時点で儀式手順777(道反)を行います。儀式手順777は以下の様に行います。 儀式に参加する収容スペシャリスト8名は全員男性であり、かつ正階位以上を持つ神職でなければなりません。また、必ず明階位を持つ収容スペシャリスト2名が参加する必要があります。拍動障害が起こった時刻から、収容スペシャリストは24時間の間潔斎し、また神道の定めるケガレにけして接触しないようにします。その後収容スペシャリストは水垢離を行います。そして、無紋の白狩衣・無紋の白差袴・烏帽子を着、儀式に臨みます。 収容スペシャリストは以下の物品を用意します。鶴の面、大岩の面、葡萄、筍、桃の実3つ、和太鼓、笙、鉦。 収容スペシャリストのうち明階位を持つもの1名はプロトコル62に従い、SCP-777-JP-A-2群の前で、鶴の面を付け、舞い、文言5を唱えます。(この鶴の面を付けたメンバーをこれ以降『"鶴"』と表記します)。正階位を持つ収容スペシャリストはプロトコルに従い、上陸したSCP-777-JP-A-2群に聞こえるよう、正確に和太鼓、笙、鉦の楽器を演奏してください。 "鶴"は、文言8を伝え、SCP-777-JP-A-2群の前から、SCP-777-JP-A-1群の上を通り逃走します。そして、SCP-777-JP-A-2群に対して、葡萄、筍、桃の実を正確に7分の間隔で投擲する必要があります。この時、SCP-777-JP-A-2群に"鶴"が捕まえられた場合、儀式手順777は失敗となり、手順を最初からやり直さなければなりません。この逃走の間、明階位を持つもう1名の収容スペシャリストはプロトコル63に従い、大岩の面を付け、舞、文言12を唱えます。(この大岩の面を付けたメンバーをこれ以降『"大岩”』と表記します)。 "大岩"は”鶴”とSCP-777-JP-A-2群の間に立ちふさがり、文言16を唱えます。 SCP-777-JP-A群が消失したのを確認した上で、”鶴””大岩”は面を付けたままで、全ての儀式手順777に参加したメンバーは水垢離を行います。 これらの儀式手順が正しく行われないままSCP-777-JP-A群が事象777-JPを完了させたか、SCP-777-JPが何らかの理由で死亡した場合、即座にSCP-777-JPを日本海へと遺棄し、海域777-JPから半径250km以内に存在する全ての財団施設は閉鎖され、手順777("水面の月は真の月なり")が執行されます。 説明: SCP-777-JPは、極端に高齢である人間とタンチョウヅル(Grus japonensis)が入り交じっているように見える存在です。皮膚はケラチンの変化した鱗状のものに変化し、全身の体毛は羽毛へと置換されています。唇は嘴状に変形・硬化しています。両腕は小指が極端に延長され、翼へと変化していますが、筋力不足により飛行は困難であり、数十メートルの滑空程度しか行えません。SCP-777-JPのその特性ゆえ、SCP-777-JPは発声や複雑な道具の使用が極めて困難になっています。SCP-777-JPはまた、198█年以降慢性的な心不全を患っています。 SCP-777-JPはその重篤な奇形にもかかわらず、高い身体能力及び野外活動に関する知識を有しており、野外、特に日本国内の山岳地帯において非常に高い生存能力を持っていたようです。蒐集院による収容の際、自身の肉体の変化に合わせて設計・製作された、複数の道具を所持していました。しかしながら現在では慢性心不全及び加齢の進行によって激しく衰弱しており、病室からほとんど移動することができません。 SCP-777-JPの最大の特異性はその心臓部分にあります。左心室の内部に、直径█.█cmの翡翠の球体が癒着しています。このような位置に異物があることは循環器に絶大な影響を与えるにもかかわらず、この球体は血液の流れを阻害していません。SCP-777-JPの心臓が正常に拍動している間、それを除いてSCP-777-JPに特筆すべき異常は存在しません。 ですが、SCP-777-JPの心臓の拍動に障害が起こった時にその異常性は発揮されます。SCP-777-JPの心臓の拍動障害に合わせ、北緯[編集済]、東経[編集済]の海域(以下、海域777と表記)に海底地震及び、海底の盛り上がり、それに合わせた海水面の上昇が起こります。これはSCP-777-JPの拍動障害の重篤さに比例して激しくなります。それと同時に、海域777内に、多数のエリファスモデル型霊素生命体(以下、SCP-777-JP-Aと表記)及び物質化した霊素が出現し、SCP-777-JPの元に向かって移動しながら事象777-JPを発生させます。SCP-777-JP-Aは既存の海棲生物に似た外見(これ以降SCP-777-JP-A-1群と表記)か、あるいは既存の海棲生物を霊長類に似せた後直立させ、神道における婚姻の儀式に用いられる服装を着せ、また婚姻の儀式に用いられる道具を持たせたような姿(これ以降SCP-777-JP-A-2群と表記)をしています。これらの個体は全て、儀式手順777-JPが終了するか死亡すると消失します。対霊素効果のある呪術攻撃及びnPDN作動による強制顕現後の物理的攻撃はSCP-777-JP-Aに有効ですが、新たなSCP-777-JP-Aが次々と出現するため効果は比較的薄いものとなっています。加えて、SCP-777-JP-Aに対する攻撃に対してのリスクが大きいことからSCP-777-JP-Aに対しての攻撃は禁じられており、儀式手順777による収容を行う必要があります。以下は時間経過による事象777-JPの移り変わりを表記したものです。より詳細なものを知りたい場合は、セキュリティクリアランス3以上の権限が必要となります。 事象777-JP開始からの経過時間 結果 約5分 海域777内の海底に物質化した霊素によって作られた鳥居が出現する。 約15分 鳥居の向こうから大量のSCP-777-JP-A-1が出現する。 約2時間40分 海域777内の海底にSCP-777-JP-A-1で出来た"道"が作られる。 約3時間 鳥居の向こうからSCP-777-JP-A-2が行列を作り出現する。SCP-777-JP-A-2群はSCP-777-JP-A-1によって作られた"道"の上を歩行して移動する。 約16時間後 SCP-777-JP-A-1群による"道"が上陸する。 約26時間後 SCP-777-JP-A-2群が上陸する。 約45時間後 鳥居型の物質化霊素から、複数体のSCP-777-JP-A-2群によって運ばれ護衛される、物質化霊素によって作られた駕籠が出現する。 約104時間後 SCP-777-JP-A-1群による"道"がSCP-777-JPの元に到達する。 現在これ以降に起こる事象777-JPの内容を予測したものはセキュリティクリアランス4/777-JPのみに開示されます。 現在の財団のシミュレーションでは、事象777-JPが完遂した場合、以下のXK-クラスシナリオが起こると予測されています。 約7時間の間、制御不能な神格が完全顕現し活動を行う。対象神格を信奉しない存在のうち、特に対象神格に対しての涜神行為とみなされる行動を行ったものは、その血縁者を含め全員が神格による攻撃的改変の対象となる。 海域を中心とした約250km内の陸地は全て沈下し、海底となる。 全人類は神格の姿を知覚したことにより致命的な精神的・ミーム的影響を被る。 残存した全人類のうちおよそ16%はミーム汚染され、出現した神格の信奉者となり、既存の超常組織に対して積極的抵抗を試み始める。 手順777により最小限に影響を抑えられた場合、陸地の沈下範囲は6%、神格による攻撃的改変の被害は14%減少すると考えられています。 補遺1: 以下は、蒐集院による初期収容時に、SCP-777-JPが所持していた物品の記録です。原文は漢文で書かれていましたが、プロトコル作成にあたり書き下しています。 長弓。樫、膠、鹿の腱が具材。くちばしを用いて射ることが可能なり。 鹿革の箙。矢は6本。矢の先には骨の鏃が付けらるる。 鉈。翼に合わせ、握りに工夫あり。 渋染の頭巾。 鹿皮の着物、腰巻。 干した猪と鹿の肉わずか。 干し魚2匹。 塩。 鉄の鍋。いずこよりか盗み出せるものやも。 火口。 いずこかの土地の風土記か、あるいは古事記のうつしか。古い紙に筆で「海幸と山幸」の一部分があり。 補遺2:1946年、財団による初めてのSCP-777-JPへのインタビュー。当時SCP-777-JPは老化こそしていたものの、慢性心不全を発症してはいませんでした。SCP-777-JPの会話には、SCP-777-JPの発声に激しい訛り及び発語の障害があるため、筆談によって行われました。当初、SCP-777-JPは、加齢の進行が極めて遅い、人と鶴の入り混じったような姿を持つ人型存在であると蒐集院より情報を聞かされていました。 インタビュー記録 担当者: カウフマン博士 対象: SCP-777-JP カウフマン博士: SCP-777-JP。あなたは我々が新たに管理することになったことは知っているか。 SCP-777-JP: しかり カウフマン博士: では、これからあなたに対して質問がしたい。あなたはどうして、そんな姿になったのか。 SCP-777-JP: とこよへ ゆきて こちらへ かえりしゆえ カウフマン博士: とこよとは何か。 SCP-777-JP: うみのそこ ひめのおる ふじのくに カウフマン博士: そこで何があったのか。 SCP-777-JP: ひめと ちぎりをばむすび わがみと あがみに たまを うめ たがいに えいごうに めをとで あれと われ えいごうを えむ カウフマン博士: その結果あなたはそうなったのか。 SCP-777-JP: いな わがあにと あにがたみへ こらしめを おこなへり われひめをよばいたまへば うしお わがあにをのみ もどれといへば うしお ひきて わがあに われのもとにぬかずきぬ カウフマン博士: しかし、あなたは老いているではないか。 SCP-777-JP: われ ちからをもちいて たみをひきい あきつしまの おうとなり ひめを むかえに とこよへと われゆきて ひめが やひろわにでありしこと しり おそれてにげり やひろわに われにかしりをばかけたり なんぢにげようとも なんぢとこよのものなりと あがとこよにきしとき われちのそこよりおきあがりて なんぢをむかえん、わがてのもの なんぢをむかえにゆかんと カウフマン博士: それで老いるようになったと? SCP-777-JP: しかり ゆえに われ ちとせにいきるため つるになりぬ しかし かめはよろづのよをいきるとききぬ ましてや やひろのわには いつまでか それよりも はるかに 付記:これ以降SCP-777-JPは疲労を理由に筆談を拒否した。SCP-777-JPによる後半の文字は激しく震えていた。 補遺3: 蒐集院によるSCP-777-JP-Aについての記録です。1944年、日本に対して米軍が無差別爆撃を行った際、SCP-777-JPは負傷し大量に出血、その結果拍動が弱まったことが原因でSCP-777-JP-Aが出現したと考えられています。 常世ノ神、海ヨリ顕ル。荒御魂ナリ、ト神祇官ヨリ報告。 砲撃ス。 サレドモ魚ドモニ、砲ハ効カズ。 火炎用イレド、効力顕サズ。 故ニ、巫蠱、魔道、陰陽道、神道ニヨル攻撃行ヘリ。 咒、式、鬼ニヨリ、魚ドモ死ス。 シカラバ、我ラ、荒神ヲ討滅サントス。 陰陽師、式鬼打チテ、護法童子ノ剣デ、駕籠ヲ突カン。 我ラ皆悉ク死ス。 陰陽師、魔道師、巫蠱師、皆悉ク、神罰受ケ、マタ、ソノ親、子、孫、三代ニ至リテ、ヤハリ悉ク神罰受ケン。 皆、陸ニ有リテ溺レ、生キテ肉腐リ、蛆ト鰻ニ肉貪ラレ、サナガラ九相ノ噉相ガ如シ。 神祇官、神降シテ、何故オ怒リデイラツシヤルカ、ト、問ヘバ、柱応ヘテ曰ク。 我竜宮ノ主ナリ。我、男ト共寝シ、竜宮ヘ迎ヘドモ。 男、我ガ姿見テ、我ヨリ逃ゲン。 男、鶴ニ代リテ、我ヨリ逃ゲン。 我、ソガ心ヲ聞キ、ソガ常世ヘ訪レシ故、再ビ契ラン。 今コソ、ソガ霊、我ガ物トナラン、ト。 我ラ、伊邪那岐ト伊弉冊ニ倣ヒテ、常世トノ境封ズ。 永劫ニ鶴ヲ崩スベカラズ。 これ以降SCP-777-JPは蒐集院により最高待遇を受けています。また、この記録から、財団は儀式手順777-JPを作成しました。
scp-778-jp
評価: +53+–x SCP-778-JPとSCP-778-JP-1のとりうる位置関係を示した概略図 アイテム番号: SCP-778-JP オブジェクトクラス: Euclid Safe 特別収容プロトコル: + 20██年█月█日のオブジェクトクラス変更以前の特別収容プロトコルについてはこちらを参照してください - 隠す 漁船に偽装し、消火設備を備えた巡視船を用いて、交代でSCP-778-JPを追跡し続けます。加えてSCP-778-JPが留まる頻度の高いと考えられている、北緯██度██分██秒,東経███度██分██秒の地点を中心とする半径2kmの海域を巡回し、民間人の立ち入りを防止して下さい。SCP-778-JPによる火災が発生した場合、エージェントはすみやかにSCP-778-JP周囲の消火を行い、SCP-778-JPの膨張を抑えて下さい。SCP-778-JPを目撃した民間人に対しては、必要に応じてクラスB記憶処理を行うことが認められます。 SCP-778-JPは現在日本の無人島に作られた5x5x3mの不燃性の特別収容室に収容されています。突発的なSCP-778-JPの移動による、周囲の物質の発火とSCP-778-JPの膨張に備えるため、標準的な電子的監視装置による監視に加え、日本支部のエージェントが交代で特別収容室から最も近い有人島に滞在します。SCP-778-JPによる火災が発生した場合、エージェントはすみやかにSCP-778-JP周囲の消火を行い、SCP-778-JPの膨張を抑えて下さい。 SCP-778-JP-1は現在パラグアイ共和国東部の臨時サイト-90██に設置された金庫の内部に保管されています。SCP-778-JP-1の移動により発生しうる被害を防ぐため、SCP-778-JP-1を金庫から持ち出すには日本支部への事前の連絡と、レベル3以上を持つ日本支部職員の承認が必要です。 説明: SCP-778-JPは直径が約1mの赤色をした球形の炎で、その表面温度は約700度ほどであると測定されています。SCP-778-JPは水や砂などの消火剤を用いる、酸素の供給を遮断するといった通常の手段によっては消火不能です。SCP-778-JPに可燃性の物質が接近した場合、発火します。これは通常の手段で消火が可能ですが、SCP-778-JPによって物質が発火させられた場合、発生した炎の大きさや温度の高さに応じてSCP-778-JPは膨張し、表面温度が上昇します。この現象はSCP-778-JPにより発生した炎が完全に消えるまで継続します。 SCP-778-JP-1は重さ10g、大きさ80x25x12mmの一般的な使い捨てライターです。内部が空であるにも関わらず、ライターとしての通常の使用が可能です。 SCP-778-JPは常にSCP-778-JP-1の存在する位置から地球の中心点を挟んで対称な位置に存在します。SCP-778-JP-1が移動する場合、どのような速度であっても、SCP-778-JPは常に対称関係を保ったまま同じ速度で移動します。SCP-778-JPの移動に際して経路上に障害物が存在する場合、SCP-778-JPは球形を保ったまま障害物をすり抜けます。このとき障害物はSCP-778-JPの持つ熱にさらされるため、発火によるSCP-778-JPの膨張を引き起こす可能性があります。 SCP-778-JPは当初「上下左右に動き回る火の玉」として日本支部の超常現象記録に記載されていました。しかし後の調査により、一時的な現象ではなく、膨張しながら不規則に移動を繰り返していることが明らかとなりました。そのため20██年██月█日、Euclidクラスのオブジェクトとして特別収容プロトコルが定められました。SCP-778-JP-1は以前「燃料が無いのに使用可能なライター」として財団本部のAnomalousアイテム記録に記載されていましたが、20██年の財団資料一斉確認調査においてSCP-778-JPが活発に移動していた日が、ライターの持ち出し記録と完全に一致していたことが判明したため、詳細な実験を行いました。その結果両者の関係性が証明されたため、ライターはSCP-778-JP-1に指定されました。SCP-778-JPの移動をコントロールする方法が確立されたことにより、20██年█月█日、SCP-778-JPのオブジェクトクラスはSafeに変更されました。 補遺: 以下は最初期のSCP-778-JP及びSCP-778-JP-1についての財団記録です。 SCP-778-JP(20██年██月██日 日本支部超常現象記録) 概要紹介: 人間の拳ほどの大きさの、熱と光を放つ火の玉のような物体が上下左右に動き回るのが観測されました。 発生日時: 20██年██月██日 場所: ████県██████島南西沖。 追跡調査措置: その場で別件任務にあたっていた職員が追跡を試みましたが、対象の急な加速によりその場の追跡は失敗しました。本件が一時的な異常現象にとどまるものかどうかについては現在調査中です。 SCP-778-JP-1(██-██-20██ 本部Anomalousアイテム記録) 概要: 燃料が無いのに使用可能なライター。 回収: █-██-20██ 回収場所: ブラジル南部の████████████。 現状: ハラ博士の机の中に保管中。 追記: 臨時サイト-90██保管部門主任のヘルツォーク博士から、SCP-778-JP-1の危険性評価を上方修正する旨の申請がなされています。(20██年██月██日) 現在SCP-778-JP-1は金庫に入れられ、持ち出しについては厳重に管理されてはいます。しかし私はこれだけでは不十分であると考えます。SCP-778-JP-1には少なくとも通常の収容室、可能であればより外からの衝撃等にすぐれた設備が必要です。その性質から、SCP-778-JP-1の移動にはリスクが伴います。我々は恐れるべき不測の事態に対し、SCP-778-JP-1を持って移動することができません。災害や収容違反等によるSCP-778-JP-1の不測の移動を避けるため、SCP-778-JP-1の危険性評価を修正し、より強固な防護を行うよう申請します。 -ヘルツォーク博士 この申請については現在検討中です。
scp-779-jp
評価: +73+–x アイテム番号: SCP-779-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-779-JPはサイト‐8181地下の二〇四番金庫に重ねた状態で保管し、常時監視カメラで監視してください。実験を行う場合はレベル2職員3人以上の許可を取ってください。実験を始める前に部屋に██████・Company製のカラーコーンを設置したことを確認してください。 実験時のSCP-779-JP 説明: SCP-779-JPはアメリカの企業、██████・Companyで製造されていた一対のポリエチレン製カラーコーンから成ります(以下それぞれSCP-779-JP-a、-bと呼称)。SCP-779-JPの材質に異常性は無く容易に破壊する事が可能ですが、破壊するとその時一番近い位置に存在する同じ製造元のカラーコーンに異常性が移行します。(SCP-779-JP収容違反記録参照)██████・Companyを調査したところSCP-779-JPについての異常性は認知しておらず他に不審な点も発見されなかったため、SCP-779-JPと同規格のカラーコーンの生産、流通を差し止めた上で社員全員に記憶処理を施しました。現在、回収部隊による同規格のカラーコーンの探索、収容が進められています SCP-779-JPが活性化すると、SCP-779-JP-a、SCP-779-JP-bの表面に通常の黒色のペンキで書かれた「EACH SECURITY」という文字が出現し、それと同時に双方のSCP-779-JP間に厚さ12.1cm、高さ2.27mの不可視の障壁が出現します。活性化のタイミングは不規則であり、現在10秒~550時間の間隔で活性化し、20秒ほどで非活性化します。障壁はSCP-779-JPの底面より下部には発生せず、一方のSCP-779-JPの円錐の頂点にあたる位置から始まり、もう一方のSCP-779-JPの同様の位置まで続きます。障壁はあらゆる物体を通さず、また異常性の発生間はSCP-779-JP、障壁ともに、完全に不動です。障壁の出現時、空間中における突発的な物体の出現によって強い衝撃波が発生し、間に設置されている物体はその硬度に関係無く分断、破壊されます。また障壁の消失時には、消失箇所が一瞬真空状態に陥ることにより突風等が引き起こされます。なお一方のSCP-779-JPにもう一方のSCP-779-JPを重ねることで異常性を無くすことができます。SCP-779-JP間の障壁が発生する距離の上限は現在確定されていません。 + SCP-779-JP収容違反記録 - 閉じる 1906/04/21、実験用屋内中庭にて実験のため異常性を発生させた。異常性が消失した際、障壁の消失による突風が発生。強烈な風に煽られたSCP-779-JP-aが壁に接触し、大部分が破損した(SCP-779-JP-a自体の経年劣化も影響していたと見られる。)。一時はオブジェクトクラスを新たにNeutralizedに充てる検討もされたが、約147時間後、約200m離れた民間の倉庫に保管されていた同型のカラーコーンとSCP-779-JP-b間に障壁が出現。サイト‐81██の壁、機材、地形の破壊、Dクラス職員2名、民間人█名の死亡を引き起こした。SCP-779-JPが異常性を移付させる性質を持つことが確認された。以後実験を行う場合には同じ空間に同型のカラーコーンを2個以上設置することが義務付けられた。 実験記録SCP-779-JP-3 - 1906/04/23 実施方法:SCP-779-JPを3m離し設置する。 結果:記録開始から約77時間後、異常性が発生。障壁が出現しそれによる衝撃波が発生した。15秒後異常性が消失。 分析:衝撃波の発生は、大きな体積を持つ障壁が空間中に瞬間的に出現し大気が押し出されたことによって引き起こされていると見られる。威力としては爆薬を用いた高速爆轟現象と同程度だ。 実験記録SCP-779-JP-6 - 1906/04/24 実施方法:防弾ガラスで作成された水槽を設置し、SCP-779-JPの頂点をそれぞれ左右逆向きに向けた状態で3m離し、水槽の中に入るようワイヤーで吊るす。異常性の発生後、水槽に水を投入する。 結果:約38分後異常性が発生。螺旋状に生成された障壁が水の中に確認できた。23秒後異常性が消失。 分析:障壁はSCP-779-JP同士の設置向きによって形状が変化することが確認できた。なお障壁の出現中にSCP-779-JPを動かして障壁の形状を意図的に変えることはやはり出来なかったことを付記しておく。 SCP-779-JPの影響によって出来た地割れ 補遺: 発見経緯 1906年4月18日早朝、アメリカ合衆国カリフォルニア州南部の█████████から██████にかけて突如大地に約1300kmの地割れが生じました。報告を受けた財団が迅速に調査した結果、割れ目の両端にSCP-779-JPを発見し、収容しました。 衝撃波等の影響で██名の民間人が死亡し、目撃者にはクラスA記憶処理を施した上でカバーストーリー"大規模な横ずれ断層による地震"が流布されました。この事象以降、財団所有の地震発生███削機を用いての地殻変動による、割れ目をより自然現象に模倣する為の作業を現在も試みています。もともと同じ工事現場で使われていたSCP-779-JPが、資材動行のため自動車等の交通機関に運ばれて長距離の間隔が開いたことで今回の事象を引き起こしたものと見ています。 備考: SCP-779-JPが生じさせる障壁は直線的だ。地球の曲面に切れ込みを入れることも簡単に出来る。重ねて金庫にしまっておけばまさにsafeだろうが、万が一ということも考えなくてはならない。海に囲まれた島国なら長距離離したとしても少しの猶予は作れる。ブラジルに片方持っていくようなことは起こらないだろうが。-白波瀬博士
scp-780-jp
評価: +109+–x 評価: +109+–x クレジット タイトル: SCP-780-JP - 5日ごとに可哀想なおじさんを排出するトイレ 著者: ©︎k-cal 作成年: 2018 評価: +109+–x 評価: +109+–x アイテム番号: SCP-780-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-780-JPが存在する公衆便所は一般的な住宅を模した収容施設で覆われます。██公園は閉鎖され、カバーストーリー"分譲"が流布されました。発生したSCP-780-JP-1はサイト-81KAに移送され低脅威生物飼育区画で飼育されますが、飼育可能な個体数を超えた場合はサイト-81KAへの移送後すぐに焼却処分されます。これは、捕獲された野生のSCP-780-JP-1についても同様です。SCP-780-JP-1の遺体は死亡後速やかに焼却されなければなりません。 説明: SCP-780-JPは5日に1度中年男性様の実体(SCP-780-JP-1)を発生させるトイレです。SCP-780-JPは千葉県千葉市中央区██公園の公衆便所の一室に設置されていましたが、他のトイレに異常性は存在しませんでした。SCP-780-JPの存在する個室にはSCP-780-JPの他に以下の設置物が存在します。なお、設置物の動力源・入力信号元は不明です。 設置物 設置個所 備考 スピーカー 扉正面の壁 他との区別のため、以降スピーカーAと記述。 照明 天井 特になし。 女性の死体A 左側の壁に磔にされている。 スーツを着用。 女性の死体B 右側の壁に磔にされている。 スーツを着用。 男性の死体 天井に磔にされている。 右肩から腰にかけてローブを着用。それ以外に着用している衣服はない。肥満体型で薄毛。 設置されている3体の死体の人物はいずれも███株式会社の同じ部署に勤めていたことが明らかになっていますが、調査によって███株式会社はSCP-780-JPの出現になんら関係していないことが明らかになっています。3名を殺害した人物は未だ不明ですが、SCP-780-JPとの関係が疑われるため、現在犯人特定のための捜査が進行しています。3体の死体はそれぞれ防腐処理が施されており、口内にはスピーカーが設置されています。 SCP-780-JP-1発生イベント以外の時間、照明は緑色に弱く発光しています。また、スピーカーAはフレデリック・ショパン作曲の"夜想曲第13番 ハ短調 作品48-1"を再生しつつ、以下の内容をランダムで放送します。 辛いときは目を瞑り、森を想像するべきである。森はあらゆる命の帰る場所である。 私たちは森の恵みに囲まれて生きている。あなたが吸う酸素も森が作り出しているし、あなたが食べるものも森が作った空気を吸って育った。 大きく深呼吸をして、森を感じなさい。 いくらあなたが拒もうとも、あなたは森の空気に生かされ、森の空気に癒される。 SCP-780-JP-1発生イベントは前回のイベントから5日後の23:00に発生します。イベントの第1段階は以下の順序で進行します。 第1段階 - 出現: 照明が白色に強く発光する。 スピーカーAからアントニン・ドヴォルザーク作曲の"交響曲第9番 ホ短調 作品95『新世界より』"が非常に大きな音量で再生される1。 SCP-780-JP内に溜められていた水が激しく発光し、水面の直接の視認は困難になる。 水の中からゆっくり浮遊・上昇するようにSCP-780-JP-1が出現する。頭頂部の出現からつま先の出現まで、おおよそ10分程度の時間を要する。出現途中のSCP-780-JP-1は水によって濡れることがない。 つま先まで出現したSCP-780-JP-1は便座に座る。水面の発光は停止し、照明の発光が弱まる。スピーカーAの再生は停止する。 このとき出現するSCP-780-JP-1には個体差がありますが、いずれも40~50歳ほどの日本人男性と類似した外見を有しています。またすべての個体において、しわの多いスーツ及びワイシャツの着用・薄い頭髪・肥満体型・強い口臭・体臭が特徴的で、一般的なイヌと同程度の知能を有することがわかっています2。SCP-780-JP-1はほとんどの場合で、第1段階終了後便座に座り続けます。第1段階終了後10分程度で、イベントは第2段階に移行します。 第2段階 - 逃亡: 照明は赤色に激しく明滅する。 スピーカーAからジュゼッペ・ヴェルディ作曲の"マンゾーニの命日を記念するためのレクイエム"より『怒りの日』が再生される。 女性の死体A,Bの口内に設置されたスピーカーからSCP-780-JP-1を激しく罵倒する内容の放送が再生される3。 照明が一瞬白色に強く発光し、スピーカーAから雷鳴を模した効果音が再生される。SCP-780-JP-1を罵倒する放送は停止する。 男性の死体Aの口内に設置されたスピーカーから、女性の死体A,Bを愚かで罪深きものとして罵倒する音声と、SCP-780-JP-1にこの個室から逃げるよう諭す音声が再生される。 SCP-780-JP-1が個室から逃亡する。 逃亡したSCP-780-JP-1は周辺の街を歩行しつつ、森を捜索します4。SCP-780-JP-1は昼行性であるため夜間は外で眠ります。仮にSCP-780-JP-1に接近し食物などを提供した場合、SCP-780-JP-1はその人物に対し愛着を示し、追従するようになりますが、大抵の場合で歩行者はSCP-780-JP-1を無視します。 森を発見したSCP-780-JP-1はその森で生活を開始します。食料源は森に自生する植物の他に、ミミズやネズミなどの虫・小動物です。また、森での生活が長引くにつれてSCP-780-JP-1は四足歩行を行うようになります。複数のSCP-780-JP-1が遭遇した場合、SCP-780-JP-1同士で群れを作り、生活するようになります。基本的にSCP-780-JP-1は臆病な性格で、人間に危害を加えることはありません。 SCP-780-JP-1の寿命は約2年です。死亡したSCP-780-JP-1の体からはヒノキ(Chamaecyparis obtusa)が発生し、通常よりはるかに速いスピードで成長します5。SCP-780-JP-1は仲間の死体を森の外周部のよく日の当たる位置に配置する習性があるため、SCP-780-JP-1の生息する森は徐々に拡大します。SCP-780-JP-1から発生したヒノキが排出する空気には、わずかにSCP-780-JP-1の体臭と同じ成分が含まれていることが判明しています。 脚注 1. ただし、音が公衆便所の外に漏れることはありません。 2. ただしSCP-780-JP-1は人間とは異なる生物種であり、DNA及び体内構造はクモザル(Atelidae)に類似しています。 3. 内容は主にSCP-780-JP-1の体臭や見た目の醜さについてで、「お前が触れた(もしくは吐いた)空気を吸いたくない」という台詞が繰り返し用いられます。 4. SCP-780-JPが森と判定する基準は明らかではありませんが、付近に存在する樹木の本数と人工物の数の比率が影響していると考えられています。 5. 発生後10日で樹高15 m程に達します。それ以降の成長は通常のヒノキと変わりません。
scp-781-jp
評価: +22+–x アイテム番号: SCP-781-JP SCP-781-JPの画像 オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-781-JPの周囲1kmはサイト-81██の管理下に置かれます。変装したセキュリティー担当者は一般人の侵入を阻止してください。 実験を行う場合は主任研究員である出洲博士の許可を得た上で、SCP-781-JPの敷地内に建設された臨時サイト-81██の実験棟で行ってください。なお、児童を利用した人体実験の際は倫理委員会の検閲を通過した後に実験の申請を行ってください。 SCP-781-JP内にいる児童の死亡が確認された場合、児童の戸籍調査を行い死亡扱いとなっているのかの調査が行われます。なお、2011年現在もこれらの状況に変動は見られないため、今後は裏付け調査のみが行われます。 追記プロトコル: 2012年現在、SCP-781-JP-1以外にも3体の実体が確認されています。実体の要求とそれに伴うSCP-781-JPの対応に関しては日本理事会とO5評議会の決定のより確定されます。 説明: SCP-781-JPは██県██市██町の郊外に位置する孤児院および孤児院を中心とした直径800m圏内の土地です。SCP-781-JPは2011年現在も通常の孤児院として運営されており、██市により1982年4月12日から正式に登録されている施設であると判明しています。建築物に使われている材木等には何ら異常性は見られず、通常の物品同様に損傷します。なお、建築業者などにも問い合わせたところ建物の設計図や建築記録の存在が明らかとなりました。しかし、これらの資料や記録、証言等には実際の現状と幾つか異なる点が見られ、SCP-781-JPに関連して発生する現象からも現実改変による歪曲された事象であると思われます。 外見や内部の構造は洋館を模した物であり、庭は遊び場、一階部分は食堂と勉強用の教室、二階部分は児童用の寝室(およそ5部屋、一部屋にベッドと勉強机が4つ設置されている。)として活用されています。 SCP-781-JP内部には一体の人型実体(以下、SCP-781-JP-1)と複数人の人間の児童が生活しています。なおSCP-781-JP-1に関しては頭部が奇蹄目ウマ科の生物、特にアラブ種の物と類似した特徴を有している頭骨に置き換えられているという特徴を有しており、その点を除いて対象の身体的特徴は通常の成人男性と大差はありません。しかし、SCP-781-JP-1を捕獲する試みなどは対象が透過する等の事象により成功しておらず、後述する異常性などからも高度な現実改変を発生させる個体であると予想されます。 SCP-781-JP内部の異常性は2段階に分けられ発生します。 SCP-781-JP内で生活している児童 1段階目の異常は内部に人間の児童(年齢、人種などに制限は無いと思われる)が侵入した際に発生します。児童がSCP-781-JP内部に侵入した場合、その時点で外部への脱出が不可能になります。これらの原因には不可視の障壁や空間のループなどが挙げられ、SCP-781-JP-1に連れてこられた児童のみがこの影響を受けます。この影響を受けた児童は平均で2年間、最長で8年間をSCP-781-JP内で生活し、その間はSCP-781-JP-1による一般教養などの教育や食事、衣類の提供が行われます。なお、この現象の発生に関して児童は何ら異変を感じてはおらず、一般的な現象であると認識しています。児童の数はこれまでに最大で36人が確認されており、全員の戸籍調査をした結果、追加される児童も含めて全員が実在する個人であることが判明しています。 これらの児童はSCP-781-JP-1によって不定期かつ頻繁に連れて来られており、これには対象が所有する自動車1が利用されます。現在、これの追跡は目標の消失などにより成功していません。 この期間が終了した場合、異常性は2段階目へと移行し、その時点でSCP-781-JP内で生活していた児童は例外なく全員が何らかの事象により死亡します。これらの事象に一貫性は無く、SCP-781-JP-1がこのプロセスに関与しているのかも未だ明らかとなっていません。 死亡した児童等に関してはSCP-781-JP内で死亡したと同時に戸籍上においても死亡したという記録が発生します。またそれに伴い、SCP-781-JP内で生活していた期間内でも本来の住居等で生活していた記録や証言、死亡したであろう地点には児童本人の痕跡や遺体が出現します。これに伴いそれらに関係する行政機関においても通常の事件同様に扱われる為、被疑者や関係者等も存在し、対象の逮捕とその後の裁判も問題なく行われます。なお、大半の被疑者はSCP-781-JP内で生活していた児童の親族であり、児童は被疑者の虐待によって死亡したと認識されています。 以下は確認された死亡原因の統計です。(なお、この統計は厚生労働省の発表している児童の死亡事件および事故案件の統計とは一致していません。) 窒息死 約1% この死因の場合、突如児童が倒れそのまま死亡するという現象が発生する。乳幼児の場合はSCP-781-JP-1が抱きかかえた状態でこれが発生すると思われる。 転落死 約3% この死因の場合、突如児童がその場から消失し直後上空から落下してくるという事象が発生する。 轢死 約7% この死因の場合、突如児童が不可視の物体による強い衝撃を受けるもしくは圧縮されることにより死亡する。圧死した場合、遺体には時たまタイヤ痕などが確認される。 凍死 約5% この死因の場合、児童はその場で突如しゃがみ込み、数時間後低体温症やその他の付随する症状により死亡する。この際、財団の職員などが保温処置などを行ったとしても一切効果が無く、死亡のプロセスは問題なく完了する。 溺死 約12% この死因に関しては2種類のケースが存在し、突如児童が空中に浮遊し水中で溺れた時と同様の挙動を見せるケースと後頭部を突如何らかの力によって押さえつけられそのまま溺死するケースが存在する。検死の際、肺の内部には河川や湖の物と思われる水と浴槽に使われたと思われる水が一個体ごとに確認された。 打撲や骨折に伴う内臓や脳の損傷 約15% この死因の場合、児童は突如何らかの力により全身を打撲、最悪の場合は腕、足、肋骨、頭蓋骨等を骨折するという重傷を負い死亡する。これらの症状に対し財団の医療班が治療を行ったが縫合や手術をした瞬間、容体が元に戻るという事象が確認された。 餓死・衰弱死 約57% 大半の児童は餓死、またはそれに付随して衰弱死する傾向にある。これらの事象は食事や栄養投与を行わせたとしても発生し、一度これらが発生した場合、急速に症状が悪化し死亡する。 SCP-781-JP-1はこれらの事象が発生している間は側でこれを観察しており、死亡を確認した後、例外無く速やかに全ての死体を焼却処分します。その後、新たな児童をSCP-781-JPへと連れてきた後、その他の児童と同様に衣食住の提供を行います。 補遺: SCP-781-JPは2003年10月24日に行われたサイト-81██への通信を切っ掛けに発見されました。当時、サイト-81██には詳細不明の救助要請と思われる通信を受信しており、クリアランスレベル3以上の職員のみが利用できる緊急伝達用通信が利用されたためすぐさま財団諜報部が逆探知を開始しました。結果、SCP-781-JPの所在が判明し、後の調査によりこれらの通信がSCP-781-JP-1によって行われた物であったと判明しました。なお、この時点でSCP-781-JP-1はSCP-781-JPと児童の保護を要求しており、しかし前述の異常性により児童の移動が困難であった為SCP-781-JPに臨時サイトを建設することでこれを可能にしました。 SCP-781-JP-1は過去に█████・████という組織(SCP-781-JP-1は企業と証言)に所属しており、現在それらの組織から逃亡中であると証言しました。その為、敵対組織からの逃亡を確実な物とするため財団に救難要請を出したと予想されています。現在、SCP-781-JP-1は組織に関する情報を意図的に制限しており、インタビューに関しては全面的な拒絶を示しています。その為、組織やSCP-781-JP-1の全貌の把握には至っていません。 2011年現在も児童の出現と死亡は発生しており、異常性は継続しています。 以下はSCP-781-JP内で生活している児童に対して行ったインタビュー記録の抜粋です。 + インタビュー記録021 - 閉じる 対象: ██ 朝美 当時10歳(以下、01) インタビュアー: 出洲博士 付記: インタビューは孤児院内の応接室で行われました。 <録音開始> インタビュアー: どうも。自分は出洲って言います。君の名前は? 01: ██ 朝美です。こんにちは。 インタビュアー: はい、こんにちは。早速だけど、いくつか質問をしてもいいかな? 01: はい! インタビュアー: ありがとう。じゃあまず最初は…ここへ来た時の事を教えてもらえるかい? 01: …えーと…よく覚えてないけど、起きたら先生の車にもう乗ってて…。気付いたらもう玄関の前にいました。 インタビュアー: なるほど。それより前の事は覚えていないのかな。 [10秒間の沈黙] 01: …ごめんなさい。わかりません。 インタビュアー: そうか…。それを思い出すって言うのは難しい? 01: …はい。それをすると、いつも頭が痛くなるんです。 インタビュアー: そうなのか。うん、無理は駄目だね。ありがとう。…じゃあ、次は君たちの先生について教えてもらえるかな? 01: はい! インタビュアー: 君は、いや、君たちは、先生の事をいつもどう思ってるの? 01: 凄く大好きです! インタビュアー: それはどうして? 01: いつも優しくて、ご飯も作ってくれて、いろんなことを教えてくれるから! インタビュアー: そうか。本当に君たちは彼の事が好きなんだね。 01: はい! 本当のお父さん、お母さんよりも好きです! …あれ…。 インタビュアー: ん? どうしたの? 01: …本当のお父さん…お母さんって、誰だっけ…。私、なんで本当のお父さんとお母さんよりも、先生の事が好きなんだろう…。なんで…[唸る] インタビュアー: 大丈夫。大丈夫だよ。ごめんね、変な事を訊いちゃって。無理はしないで。もうこの話はやめよう。 01: …はい。 インタビュアー: じゃあ次の質問だけど…少し怖い事を訊くかもしれないけど、大丈夫かな? 01: はい。大丈夫です。 インタビュアー: じゃあ訊くね。君より前にここで過ごしていた子達についての事だけど…。ここから居なくなる時のことについて、君たちはどう思っているのかな。 01: …怖くない、悲しくない、あれは、これからもっと楽しいところに行くための準備なんだって、先生から聞いています。 インタビュアー: それはどういう意味なのかな。 01: よく分かりません。先生もあまり詳しく教えてはくれないので。でも、先生は皆にそう教えてくれてます。 インタビュアー: そうか。…怖くない、悲しくない所…。 01: それに、それを訊くと先生凄く哀しそうに俯いちゃうので、あまり訊けません。 インタビュアー: …つまり、君たちの先生はあれの事について、凄い思い悩んでいるってことなのかな。 01: はい。そうだと思います。 インタビュアー: そう…。もう一つ訊いてもいいかな。 01: はい! インタビュアー: 君は、あれが怖くないのかい? 01: …怖くない、訳では無いです。でも、私は大丈夫です。 インタビュアー: それはどうして? 01: 先生が最後まで一緒にいてくれるからです! <録音終了> 終了報告書: このインタビューの翌日、██ 朝美氏は突如頭部に大きな衝撃を受けたことによる頭蓋骨陥没が原因で死亡しました。その後、再度朝美氏の身辺調査を行ったところ彼女の母親が彼女の頭部をフライパンで殴打したことにより朝美氏が死亡、内縁の夫が遺体を遺棄したという事件記録が発見されました。また、事件発生時刻はSCP-781-JP内で朝美氏が死亡した時刻と同時刻である事も判明しました。 追記: 以下は事案781-JP-1-234に関する概要です。 + 事案781-JP-1-234 - 閉じる 概要: 事案781-JP-1-234は2012年5月11日に発生した3体の実体の接触事案です。当時、臨時サイト-81██では通常通りの業務が行われており、しかし突如SCP-781-JP-1と同様の実体3体が出洲博士のオフィスに出現するという事態が発生しました。これに際し、出洲博士は機動部隊へ向けた救難無線を発信、自身が携帯していたボイスレコーダーを使い実体との会話を録音しました。これに伴い、実体の証言からSCP-781-JP-1が所属していた█████・████の特使であることが判明しました。 また、証言内容からSCP-781-JP内にてSCP-781-JP-1以外の同実体が内部に侵入できないという事象が確認されました。これによりSCP-781-JP周囲の障壁、空間のループはSCP-781-JP-1と同様の実体に対抗する防壁であることが判明しました。その為、実体は主任研究員であった出洲博士の対して交渉を行うため彼のオフィスに直接出現したと思われます。 以下は█████・████の特使との間で行われたインタビュー記録です。 対象: SCP-781-JP-1-2、-3、-4(以下、781-1-2、-3、-4) インタビュアー: 出洲博士 付記: インタビューは臨時サイト-81██内にある出洲博士のオフィスにて行われました。 <録音開始> インタビュアー: …とりあえず自己紹介を。どうも、私の名前は 781-1-2: 貴様の名前などどうでも良い。即刻、あ奴を我々に引き渡せ。 インタビュアー: いえ、まずは貴方方と彼との関係性を教えていただかなくては 781-1-2: 貴様らに教えることなど何もない。迅速に、速やかに、素早く、あれをここに連れてこい。さもなければ 781-1-3: よせ。我らの我を通したとて事が上手く運ぶとは限らん。それに、今日(こんにち)は我らとて力を抑えることが条件でここに降り立つ許可が下りたのだ。暴れようものなら我らの方が罰則を受けるぞ。 781-1-4: …左様。 781-1-2: だがしかし…。いや、確かに貴様の言う事も一理ある。人間。我らは貴様らのような創造物風情とは違うのだ。一時の感情などに流されたりはせん。今回は特別だ。貴様の質問とやらに応えてやろう。 インタビュアー: …ありがとうございます。では早速…貴方方と彼は一体どういう関係なのですか? 781-1-2: 崇高な目的を達成する為、我らが主によって選ばれた類無き者達だ。 781-1-3: 正確には、我らは我らの雇い主によって集められた謂わば従業員の様な存在だ。彼も例外ではない。いや、正確には例外では無かったと表現しよう。 インタビュアー: 貴方方の目的とは。 781-1-2: 決まっている。我らの主が取り決めた完璧かつ崇高なる計略の元、貴様ら人間の生まれ出でし場所へと全てを還元する事だ。貴様ら愚かな人間は、己の人生全てが己自身の頭で決めた事なのだと妄信している。誠に滑稽極まりない事だがそれが事実だ。 781-1-3: 我らは我らの主が定められた予定に沿って職務を全うしている。…確か、人の世ではそれを運命…いや、宿命…違うな。なんだったか… 781-1-4: …死だ。 781-1-3: そうそれだ。つまりはそういう事だ。要は、貴様らが呼ぶ人の一生とは全て我らの掌の内にある。そして、我らはそれの導き手。この世を循環させるためには多大なエネルギーが必要となるのだ。しかし、それらも多すぎては毒でしかない。だからこそ、過剰に発生した無駄な物は全て削減していかねばならない。 781-1-2: 我々はそれらを彼の母なる部屋へと導き帰している。実に理に適った完全な務めだ。我らは我らが崇拝する我が主の名の元にこれを遂行しなければならない。無駄は省き、よりこの世を巡らせる存在のみを効率よく存続させる事こそが我らの悲願であり存在理由なのだ。…だというのにあ奴は…。 インタビュアー: 具体的に彼は何を。 781-1-4: …背いたのだ。…主の筋書き。…それを書き換えた。 インタビュアー: …書き換えた? 781-1-4: あ奴は言った。新しく生まれ出る命、それらが何故、早々に終わらなければならないのかと。何故生まれ出て、ただ死ぬためだけにその生を受けたのだと。…愚かしい。実に愚かしい。…あ奴の言う命など全てまやかしでしかないというのに。全ては宇宙を円滑かつ正常に循環させるだけの流れでしかないのだ。…激流の中で岸に外れ、その動きを止めてしまった小石如きに、一々気を取られるなど無意味にも程があるだろうに…。 781-1-3: 要は、あ奴は我らに課せられている規律に違反したのだ。これらは我らの問題であり、あ奴にはそれ相応の処罰が与えられなければならない。 インタビュアー: …なるほど。 781-1-2: さあ、我らはもう十分話した。我々の要求はただ一つ、あの裏切り者を今すぐここに連れてこい。そして、速やかにあ奴を我らに引き渡せ。 781-1-3: あれを抱えていたとて、そちらに一切得など無いだろう。厄介な物は切り捨てるに限る。それこそ、物事を円滑に循環させる為の最善の手段だ。 781-1-4: 左様。…さあ。…我らに言われた事を為せ。 [10秒間の沈黙] インタビュアー: …いえ、その要求に関しては承認しかねます。 781-1-2: 何? インタビュアー: この問題は私一人の一存では到底決められません。ですので、もう少しお時間を頂きたいと思います。 781-1-2: …人間。我々は相談をしに来たのではないのだ。これは命令だ。貴様ら創造物如きに、我らに何かを要求する権利、価値などあろうものか。 インタビュアー: ですが、我々も貴方方と同じ一組織です。そちら側の主張に正当性がない限り、こちら側としてもSCP-781-JPをそちらに引き渡す事は出来ません。彼のやっていることが貴方方の言う使命に何かしら悪影響を与えているのか、彼はあくまで児童たちをあの場に集めているのみであり貴方方の言う命の回収は問題なくこなしている筈なのではないのか。これに関する詳しい説明をこちらとしても要求します。 781-1-2: 結果ではない。問題はあ奴が我らが御主の定められた筋書を捻じ曲げている、それこそが問題なのだ。 インタビュアー: しかし、子供たちは現に本来そうなるべきだった最後を辿っています。貴方方の言う取り決めを守っている事に他なりません。確かにその間にある過程は異なるかもしれませんが、ですが結果が伴っているのであればそれは関係無いのではありませんか? 781-1-3: 我々は貴様ら創造物とは別の次元で生きているのだ。そちらの尺度で話を進められても我々が困る。 781-1-4: …たかが人間風情が、この場でしゃしゃり出るでない。 インタビュアー: …兎に角、SCP-781-JPは今私達の保護下にあります。彼がここにいることで発生する問題が明らかとなり、それに関する説明責任が全うされるまで、我々も貴方方の要求を飲むことは出来ません。私からは以上です。 [10秒間の沈黙] 781-1-3: 実に理解に苦しむ。 781-1-2: 木偶の極みだ。 <録音終了> 終了報告書: このインタビューの後、SCP-781-JP-1-2、-3、-4は消失しました。なお、消失が完了すと同時に機動部隊が到着。博士を保護し、オフィス内の調査を行いましたが何ら異常は確認されませんでした。 現在、日本理事会とO5評議会によってSCP-781-JP-1の対応についての議論が進められています。なお、異常性はいまだ健在です。 脚注 1. 車種はフォルクスワーゲン・ビートル。車体は黒でコーティングされている。
scp-782-jp
評価: +29+–x アイテム番号: SCP-782-JP オブジェクトクラス: Keter Euclid 特別収容プロトコル: SCP-782-JP及び亜種の出現に対して、対応部隊"夕立"によるプロトコル-"観察日記"が実行されます。発生箇所には大規模な記憶処理を行い、対抗ミームを流布することでSCP-782-JPの過剰な拡散を抑えてください。未対応時点のSCP-782-JP手順の実行が確認できた場合、手順実行者を拘束し記憶処理した後に、埋められた物品を処分する必要があります。全てのSCP-782-JP実体は、その詳細を記録し、今後の変性を予測する事で、SCP-782-JP出現際した即応性を高めてください。SCP-782-JP担当人員は、SCP-782-JP実体記録の全てに目を通すことが義務付けられています。対応済みのSCP-782-JPによる生成物は異常な性質を持たず、財団が一切感知できない場所での発生が予想されるため、回収対象とはしません。 説明: SCP-782-JPは、全国的に蔓延している、一定の法則に従う情報です。常に第一発信者が不明なこと、期間を置いて再度発信者が出現することを除いては、一般的なミーム的性質を完全に保持しています。SCP-782-JPは口頭による伝達のみを媒介にしており、如何なる媒体での記述も異常性を示しません。しかし記述によって詳細を知った者による口頭媒介は異常性を持つ為、如何なる場合でもSCP-782-JP詳細を発話することは許可されていません。SCP-782-JPを知ることによる精神的影響は確認されていません。当報告書は████/██/██に、SCP-███-JP、SCP-███-JPとSCP-782-JPの間に類似性が存在するとの指摘により、SCP-782-JPの報告書へ統一されましたものです。これによりSCP-782-JPに関連する資料の統合、及びオブジェクトクラスと収容プロトコルの再考が行われました。それぞれの報告書へは別途アクセスしてください。 SCP-782-JPの異常性は、SCP-782-JPの内容を完全に理解した状態で、SCP-782-JP手順を忠実に実行した場合に発揮されます。手順を実行すると、物品を埋めた箇所から異常な物品が生成され、多くの場合手順実行者に害を成そうとします。現在確認されている全てのSCP-782-JPの詳細については、以下の一覧を参照してください。 SCP-782-JP実体詳細一覧: 詳細については、前ファイルと相違点のある箇所のみを記述しています。完全なファイルは付属書類SCP-782-JPを参照してください。 SCP-782-JP-A SCP-782-JP-A: 手順: 自分の大切なものを、夜中2時に小学校のグラウンドに埋めると、今一番叶えたい願い事が叶う。 実行結果: 他者からSCP-782-JPを聞いた手順実行者が物品を埋めた箇所に、硝子で構成された人の右腕部が生えます。腕は自立で行動可能ではあるものの、意志は持っていないと思われます。素材はケイ素を主としていることが確認されており、自身の行動により損傷することが分かっています。手順実行者が当該腕に近づくと、腕は実行者の首を絞めようと試みます。多くの場合この試みは失敗し、腕は自壊します。破壊された腕は異常性を示しません。 補遺: SCP-███-JP当時の記録である。 SCP-782-JP-B SCP-782-JP-B: 手順: 自分の大切な人の身体の一部を、夜中2時に小学校のグラウンドに埋めると、今一番叶えたい願い事が叶う。これを行うと、自分の2番目に大切なものが無くなる。 実行結果追記: 手順実行者が物品を埋めた箇所に、該当箇所に奇妙な形状の植物が生えます。遺伝子検査によると当該植物はナス目であると判明したものの、一致する植物はありませんでした。形状は人の子宮に似ていると報告されています。当該植物は発芽から約30日で実を付けます。実の内容物は、植えられた部位と同一の遺伝子を持つ肉塊です。肉塊は拍動しており、生命反応があります。手順実行者が実に接近すると、肉塊は破裂します。肉塊は植物から切り離されると、死亡します。 補遺: SCP-███-JP当時の記録である。 SCP-782-JP-C SCP-782-JP-C: 手順: 自身の大切な人の眼球を、夜中2時59分に自身の名前を書いた紙と共に、誰にも見られることなく庭に埋めると、自身が今一番叶えたい願い事が叶う。これを行うと、自身の2番目に大切なものが無くなる。 実行結果追記: 手順実行後、手順実行者は自身に呼びかける声を聞きます。手順実行者はこれを、植えた眼球の呼びかけであると認識し、自身の願いを叶えるために眼球を埋めた事を強く後悔します。[中略] 手順実行者が接近すると肉塊は破裂し、内部に含む金属片で手順実行者に傷害を負わせようとします。試みは概ね成功し、手順実行者は軽度もしくは重度の怪我を負います。肉塊は植物から切り離されても、この性質を保持します。破裂後の肉塊は移動し手順実行者の口内へと侵入を試みますが、植物から離脱後3時間で活動を停止する為、これによる問題は起こりません。 補遺: SCP-782-JP-Bの正当変性だと思われる。変性の方向性が猟奇的なものに限定されていると考えられる。要検討。 SCP-782-JP-D SCP-782-JP-E SCP-782-JP-F SCP-782-JP-G SCP-782-JP-H SCP-782-JP-I SCP-782-JP-J SCP-782-JP-K SCP-782-JP-K: 手順 自身の指を、第一関節部にて切断し、深夜3時33分に自身の名前を書いた紙と共に土に植える。その後、植えた場所に小水を振りかける。他人に見られずに手順を成功させると、3日以内に自身が最も欲する物品が生えてくる。 実行結果追記: [前略] 手順実行者は自身が物品を植えた場所を常に気にする素振りを見せ、可能であればその場所に赴こうとします。[中略] 当該植物は3日目に、手順実行者と同一の遺伝子を持つ肉塊と爪で構成された花弁を付けます。[中略] 3日が経過した後、この肉塊と爪で構成された花は自立で活動を始め、手順実行者を殺害しようと試みます。試みは80%以上の確率で失敗します。実体は開花から3日目に活動を止め、即座に土に還ります。 補遺: SCP-782-JP-Hの亜種であると考えられる。SCP-782-JP-Jの系列とは異なる為、注意が必要。 SCP-782-JP-L SCP-782-JP-L: 手順 自身の親指と小指を、第一関節部にて切断し、深夜3時33分に自身の名前を書いた紙と共に庭に植える。その後、植えた場所に小水を振りかける。他人に見られずに手順を成功させると、3日以内に自身が最も欲する物品が生えてくる。失敗した場合、3日以内に他の人間にこれを伝えなければ不幸になる。 実行結果追記: [前略] 物品を植えた場所に辿り着いた手順実行者は物品を埋めた箇所を掘り返そうと試みます。しかし、何らかの心理的影響のためか、この試みは失敗に終わります。[中略] 当該植物は3日目に、手順実行者と血縁の母の頭部を完全に模した花弁を付けます。[中略] 3日が経過した後、当該花弁は自立で活動を始め、手順実行者に対して[削除済]しようと試みます。試みは25%以上の確率で失敗します。手順実行者が尚も生存している場合、花弁は[削除済]を試み続けます。実体は開花から3日目に活動を止め、即座に土に還ります。 補遺: SCP-782-JP-Kの正当進化だと思われる。人型実体が生成された初めての事例である為、以降の変性に特別な注意が必要。 SCP-782-JPの詳細は、以上のように時間経過で変動していきます。現在までに、以前のものに退行した事案は確認されておらず、常に新しい変性が行われることが判明しています。全てのSCP-782-JP実体は、変性済みの実体が流布されるようになっても、異常性を保持し続けます。また、以下の条件から外れたSCP-782-JPは異常性を失うことが判明しています。 実行者は、他者から口頭にて内容を伝えられる必要があること 何かを土に埋める、という手順を含むこと 願い事が叶うという目的を掲げていること 実行結果は常に、異常な物品の生成という結果になること 生成物は被害者に対してのみ害を齎すこと 一定時間が経過すると、生成物は異常性を失うこと 事案SCP-782-JP: ████/██/██、SCP-782-JP-Cが最早重大な異常性を保持していない事が判明しました。現在SCP-782-JP-C手順を行おうとする場合、忠実に手順を実行したにも関わらず、実行結果が『アサガオ(Ipomoea nil)の種を植えた』に変更されます。手順実行者も『自身はアサガオの種を植えた』のだと思い、違和を感じません。手順の結果は淡青色のアサガオが生えるという事実だけを齎します。当該アサガオは、色や花弁の形状が通常の物と異なること以外に異常な点は見受けられず、通常通りに種子をつけました。種子は異常性を持ちません。遺伝子検査の結果、当該アサガオは通常のアサガオの未確認の変異種であると判明しました。 現在の状態で、SCP-782-JP-C手順実行後、アサガオ生育途中に当該箇所を掘り起こし、埋められた物品の確認を行った所、手順実行者が埋めたものと同一の眼球が存在していました。しかし、アサガオが完全に生育を終えた後、当該箇所を再度掘り起こしたところ、アサガオの種子の殻だけが発見されました。 当事案を受けた調査により、SCP-782-JP-Cと同様に、SCP-782-JP-A、SCP-782-JP-Bの異常性もまた、同様に変化していることが判明しました。手順の実行の試みは『アサガオの種を植えた』ことに変更され、それぞれ淡桃色、白色、淡赤灰色のアサガオが芽吹くという結果に集約されます。異常性変更の原因については現在調査中です。収容プロトコルの更新が行われました。 調査記録SCP-782-JP: 調査の結果、SCP-782-JP-Bの異常性の変更は、一人の少年による"アサガオの観察日記"による物であることが判明しました。少年に対するインタビュー記録をインタビュー記録-SCP-782-JPに示します。 + インタビュー記録-SCP-782-JP - インタビュー記録-SCP-782-JP: インタビュアー: 羽田野博士 対象: ███小学校4年生の少年 補遺: 対象の信頼を得るため、羽田野博士は砕けた口調での会話を試みている。 少年: ボクつかれたー。かえりたーい。 羽田野博士: うん、私とお話して、それからちょっと手続きしたら、直ぐ帰れるよ。だから頑張ろうね。 少年: すぐっていつさー。 羽田野博士: えー、では、インタビューを開始します。[SCP-782-JP-Bの詳細が書かれている紙を提示する] ██君、この紙に書かれている内容って、分かる? 少年: んー? んー……うん、知ってる。ウチの学校で、はやってるやつだよ。 羽田野博士: はい。██君はこれを試したんだよね? 少年: そーそー。夏休みの自由研究にねー、おもしろいかなーって思ったのー。 羽田野博士: 当時の詳細を教えてくれるかな? 少年: しょーさい? 羽田野博士: 詳しくって事だよ。 少年: えっとね。まず、[SCP-782-JP-Bの内容] ってウワサが、去年? 去年の去年? くらいに、ウチの学校ではやっててー。で、███君がそれをためしたら、なんか変だったんだって。なんか肉みたいなの出来るし、ケガするし、願い事叶わないしって……。でー、これはきっと、自由研究のネタになるって、ボク思った。きっとすごいのになるし、賞とか取れちゃったりなんかしてー。 羽田野博士: 君は何を埋めたの? 少年: お母さんの爪ー。僕おかーさん大好きだもーん。 羽田野博士: 成る程。 少年: それで、ウワサをじっさいにやって、それの観察日記を付けることにしたのね。だったんだけど、なんか観察日記付けてたら、芽が出てきたんだよ。 羽田野博士: それでどうしたんだい? 少年: 芽がねー、なーんか見た事あるなーって思ったんだけど、アサガオだったんだー。 羽田野博士: うん。……うん? 少年: ずかんで見たからまちがいないよ、あれはアサガオだ! で、███君に『なんかアサガオ生えてきたんだけど』って言ったら、『そんなはずない、まぁ見てな』って言うから、ボク、ちゃーんとかれるまで観察日記付けてたのね。でも、最後まーで、アサガオだったの。 羽田野博士: ……成る程。 少年: 仕方ないから、観察日記に『アサガオの観察日記』って書いて、学校に出したらー「なんでアサガオなんてマイナーなヤツえらんだんだ? あと、こんな色のアサガオはないだろ?」って言われちゃってさー。 羽田野博士: 先生には何て言い訳したんだい? 少年: 「ボクの育てたアサガオは特別なんです!」って言ってやったのさー。先生困ってたけど、ちゃんと自由研究ってみとめられたので、オッケオッケなのだー。 羽田野博士: うん、大体わかったよ。ありがとう。これでインタビューを終了します。 終了記録: 少年はSCP-782-JP-Bの異常性について殆ど理解していませんでした。また、SCP-782-JP-C、SCP-782-JP-Dに関しては何も知らない様子でした。検査に対する反応も正常であったため、インタビュー終了後、記憶処理の後に開放されました。 少年の証言を検証する為、SCP-782-JP-H手順実行後、成長を観察しながらその記録を取りました。結果、通常生育する植物の代わりに、青色で花弁の大きいアサガオが生育し、発芽から90日程で種子を付けました。異常性は認められませんでした。その後3度SCP-782-JP-H手順の実行を試みましたが、映像記録では担当者が[削除済]を土に埋める様子が記録されていたものの、担当者を含む全ての実験要員が単に『アサガオの種を植えた』と認識していました。その後生育した植物は完全にアサガオであったため、少年の証言は正しいと証明されました。 烏丸教授は、この現象を"記述によるミームの固定化"による物であるとの見解を示しています。詳細は未だ解析中ですが、SCP-782-JPは日記形式による観察結果を文章として記述することで、その異常性が『アサガオの生育』に固定されるようです。異常性固定後はSCP-782-JPの拡散力は激的に減少するため、事実上のSCP-782-JP無害化に成功しているものと思われます。 怪奇譚のお約束さ。"直接的な誰かが体験したという報告"は非常に強い力を持つが、前提としてそれが出来ない以上、以前より拡散力は減衰する。拡散が行われなければ、変性も行われない。SCP-782-JPが"不幸の手紙"方式を取っていたなら、こんなことには成らなかったんだろうがね。 - 烏丸教授 補遺1: 調査結果を受け、羽田野博士は上記手順をプロトコル-"観察日記"と制定、以て重大な影響を及ぼすSCP-782-JP実体を無害化することを提案しました。SCP-782-JPが今後どのような変性を遂げるのか不明である以上、最低限財団が収容可能な実体を除いた、全てのSCP-782-JP実体の無害化が許可されました。同時に、通常のアサガオには多様な変異種が存在していない事案を鑑みて、日本では平安時代より観賞用アサガオの交配が行われていたとする、大規模な記録改変が行われました。これにより、プロトコル-"観察日記"により発生するアサガオの変種は全て、園芸用の長年の交配の結果であるとの見識が一般化されます。 補遺2: 以下は、過去の財団のデータベースに存在していた、Anomalousアイテムの記録です。構成の単純さから、当該アイテムがSCP-782-JPのアーキタイプではないかと考えられますが、プロトコル-"観察日記"による異常性の変更が行われないため、より詳しい調査が待たれます。 説明: 『ビー玉を小学校の校庭に埋めると、願い事が叶う』という噂。人伝いにこの噂を聞いた人が実行すると、埋めた箇所に硝子で構成されたアサガオが生える。 回収日:18██/07/15 回収場所:███小学校。██研究員の娘の発言より、存在が確認された。 現状:当該小学校全体に記憶処理を実行。また対抗措置として、"学校の七不思議"を全国に流布。害はない為、様子を見る。
scp-783-jp
評価: +134+–x 評価: +134+–x クレジット タイトル: SCP-783-JP - 絵に描かせない餅 著者: ©︎KanKan, nanaminagisa 作成年: 2018 評価: +134+–x 評価: +134+–x SCP-783-JPとSCP-783-JP-1群。 アイテム番号: SCP-783-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-783-JPはサイト-8104の換気扇と監視カメラが備え付けられた5.2m×5.2m×3.8mの収容室にて収容します。収容室内にはDクラス職員を待機させ、換気扇を停止させた上でSCP-783-JP-1を発生から1時間以内に摂食させて下さい。2つのSCP-783-JP-1を摂食した段階で、別のDクラス職員に交代させて下さい。SCP-783-JP-2が発生した場合、換気扇を停止し室内のDクラス職員に吸引させて下さい。 説明: SCP-783-JPは市販の[削除済]と同様のように見える七輪です。毎時間、金網の上にSCP-783-JP-1を1つ発生させます。SCP-783-JP上には5つまでSCP-783-JP-1が存在可能であり、それ以上のSCP-783-JP-1がSCP-783-JP上に置かれると瞬時に破裂します。内部の炭は尽きることがなく、火も消えることはありませんが、SCP-783-JP自体の耐久性に異常はありません。 SCP-783-JP-1はSCP-783-JPの金網の上に発生する3.1cm×5.5cm×0.8cmの角餅です。一般的な餅よりも粘度が高く、使用されている米の品種は現在まで不明です。SCP-783-JPで5分間焼かれると、これ以降後述の場合を除きSCP-783-JP-1の状態は変化しません。 SCP-783-JP-1を人間が肉眼で視認した後、視界外にSCP-783-JP-1が出た瞬間SCP-783-JP-1に関する情報の記憶、及びその人物の外傷体験1の記憶が消失します。この時、SCP-783-JP-1は約1cm膨張します。SCP-783-JP-1は約███cm膨張すると破裂し黒い未知の成分のガス(SCP-783-JP-2)を放出します。人間が膨張したSCP-783-JP-1を摂食或いはSCP-783-JP-2を吸引すると、それまでにSCP-783-JP-1が膨張して失われた記憶全てを獲得します。獲得した記憶の処理は現在まで実現していません。 実験記録01 対象: D-23987 実施方法: D-23987に1個のSCP-783-JP-1を視認させ、その後紙にスケッチさせた。 結果: D-23987は3回SCP-783-JP-1を再確認したが、SCP-783-JP-1をスケッチできなかった。SCP-783-JP-1はD-23987が視認する度に膨張し、最終的に約4cm膨張した。  実験記録03 対象: D-83415 実施方法: 事前に「記憶にある中で最も古い嫌な思い出」を質問した上で、D-83415に1個のSCP-783-JP-1を視認させた。その後、もう一度同じ質問をした。 結果: D-83415は事前に「飼い犬を事故で亡くした」という内容を話していたが、視認後「親に性的虐待を受けた」という内容に変化した。SCP-783-JP-1は約1cm膨張。 実験記録04 対象: D-23987 実施方法: 実験03と同様の方法で実施。 付記: D-23987は過去に連続殺人事件を起こしている。 結果: D-23987の話した内容に変化は無かった。しかし、インタビュー中の会話からD-23987は自らが起こした最初の殺人事件の記憶が消失していることが確認された。SCP-783-JP-1は約1cm膨張。 分析: 対象が無意識に外傷体験だと感じている記憶も削除されるようだ。 実験記録07 対象: D-45517 実施方法: 実験03と実験04で使用したSCP-783-JP-1を回収し、D-45517に摂食させた。その後、実験03と実験04で消失した記憶についてD-45517に質問した。 結果: D-45517は経験していない2つの記憶について当時抱いた感情を交えて説明し、また「犬を飼ったことは無いのに、飼い犬が死んだことははっきり覚えている」と証言した。実験後D-45517にはクラスB記憶処理を施したが、獲得した記憶は消失しなかった。尚、味については「微妙」と回答。 分析: SCP-783-JP-1は記憶を吸収し蓄えているのかもしれない。兎に角、記憶処理を受け付けない記憶というのは面倒だ。 実験記録08 対象: D-51954 実施方法: 事前に3つ以上の外傷体験を古いものから順に挙げさせた上で、D-51954に3個のSCP-783-JP-1を視認させた。その後、D-51954の挙げた体験をそれぞれ確認した。 付記: D-51954は過去に実弟を流産で亡くしている。 結果: D-51954は事前に7つの体験を挙げていたが、視認後2つについて「記憶にない」と回答した。また、確認後にインタビュアーが質問したことで、事前に挙げていなかった実弟の流産の記憶が消失していたことが判明した。SCP-783-JP-1はそれぞれ約1cm膨張。 補遺1: 201█/██/██、██研究員によってSCP-783-JP-1を摂食せずに膨張させる実験が行われました。収容室内にて3人のDクラス職員に交代で1個のSCP-783-JP-1を視認させたところ、SCP-783-JP-1を約███cmまで膨張させた段階でSCP-783-JP-1は破裂、内部からSCP-783-JP-2が発生しました。当時換気扇を作動させていた為にSCP-783-JP-2はサイト-8104の一部へ拡散し、実験に参加したDクラス職員含む██人が処理不可能な記憶を獲得しました。被害者にはカウンセリングを実施し、業務に支障を来す程の精神被害を受けた人物には一時的な療養をさせました。これを受け特別収容プロトコルは改訂され、説明にSCP-783-JP-2についての記述が加えられました。 補遺2: SCP-783-JPは青木ヶ原樹海内で張られたテント内で発見されました。当時、テント内で馬場█氏がSCP-783-JPによる一酸化炭素中毒で死亡しており、SCP-783-JP上には3個のSCP-783-JP-1が発生していました。SCP-783-JPの側面に日本生類創研と読める刻印が存在していた為、「男性が死亡している」との通報を受けたエージェント2がSCP-783-JPとSCP-783-JP-1群を回収し、通報した登山グループにはクラスA記憶処理を施しました。 SCP-783-JPの誕生経緯を調べる為█氏について調査したところ、█氏の親戚家族の家に█氏の息子である馬場██氏3と共に█氏の遺品と遺書(文書783-JP)が預けられていることが判明しました。遺品の内4つには未知の構造や成分が見られる実験用具が存在したため、それらをAnomalousアイテムとして回収しました。 以下は文書783-JPの内容、及び██氏へのインタビュー記録です。 + 文書783-JP - テキストを閉じる ██へ このてがみは、お父さんがおじさんとおばさんに書いたものだ。 だから、まずはおじさんたちにわたしてほしい。 そうしたら、あとでおじさんたちに何が書いてあったか聞いていいからね。 ███と██4へ 最初に、僕がこのような勝手な決断をしたこと、君たちに多大な迷惑を掛けることを謝らせてほしい。 僕も、これは最後の手段だと考えていた。奴らに追い詰められて、最早これまで、という時の手段だと。 しかし、僕は、もう疲れてしまったんだ。 身勝手にも、己が選んだことに対して、逃げてしまいたいという気持ちが押さえきれなくなってしまった。例えそれが間違っていようと、背を向けて逃げ去るなんて、決してしてはならないのに。 1█年前、奴らからあの七輪を盗み、今の家まで逃げ込んだあの日から。きっと、僕がこうすることは、決められていたんだ。 あれを盗んだこと自体に後悔は無い。あんな自己満足しか興味の無い連中から、記憶処理の手段を奪えたのは、正しい行いであった筈だと信じている。 でも、結局、僕は道を踏み外した。 七輪を改造して、餅の性質を「トラウマを奪う」というものに変更した。そしてあろうことか、あの餅を周りの人々に見せて回り、膨らんだ餅を食べ続けたんだ。 あの時は、「トラウマを取り除き続ければ、私の悪行がチャラになる」と盲信していた。「トラウマという苦痛を無くせば、私は赦される」と思っていたんだ。 全く、とんでもない大馬鹿だろう? 確かにトラウマは、人の心に影を落とすような、悪い記憶だろう。それを望む者は殆どいないし、むしろトラウマのせいで人はあらゆる気力を無くし、それまでの幸せな生活を失ってしまうことだってある。皆が忘れてしまいたい、と思うのは当然だ。 だが、同時にトラウマは光も与える。 人は、生物は、そういった悪い記憶を糧に成長する。痛かった記憶、悲しかった記憶、失敗した記憶を学習し、乗り越えて、生物は次の段階へ進むんだ。 何より、トラウマだって、大事な記憶の一つじゃないか。 でも僕は、そんな大事なことから目を背けた。妻が死んだ悲しみから、息子の心が壊れた悲しみから、逃げてしまいたくて。 ここ数年、己の愚かさを呪わなかった日は無かった。僕はあまりにも多くのトラウマを奪い、自己犠牲という名の自己陶酔に溺れ続けたんだから。 生きて償おうとも思った。でも、頭の中の記憶たちが、何度も何度も僕を地獄に叩き落とすんだ。もう、絶望から這い上がるのは疲れた。 ██のこと、どうかよろしく頼む。 妻に似て、大人しくて優しい子だ。どうか、その優しさを、正しい方に導いてやってくれ。それだけが気掛かりだ。 願わくは、どうか、私にとって絵に描いた餅だった幸せを、██には与えてやってくれ。 すまない。 + インタビュー記録783-JP - テキストを閉じる 対象: ██氏 インタビュアー: エージェント・黒尾 付記: ██氏及び█氏の親戚家族が██氏の財団への移動を執拗に拒んだ為に、親戚家族の自宅にてAnomalousアイテム回収に向かったエージェント・黒尾がインタビューを行いました。 <録音開始, 201█/██/██> エージェント・黒尾: じゃあインタビューを始めます。こんにちは。 ██氏: …こんにちは。 エージェント・黒尾: あなたのお父さんについていくつか聞いてもいいかな? ██氏: [13秒間俯く]うん、いいよ。…パパはお仕事ばかりでちっとも遊んでくれなかったけど。 エージェント・黒尾: ありがとう。無理そうならまた日を改めるからね。…それじゃあまず、どんなお仕事をしていたかわかる? ██氏: …わかんない。パパとママと急いでお引越しする前は何かの研究?をしてたみたいだけど、お家でそういうお話はあんまりしたことない。 エージェント・黒尾: ありがとう。なんで急にお引越ししたかわかる? ██氏: うーん、よくわかんない。パパがとても急いでたから、僕とママも急いで準備したよ。それからお引越しの最中にママが死んじゃったんだって。 エージェント・黒尾: いやなことを思い出させてごめんなさい。まだ続けられる? ██氏: だいじょうぶ。僕、憶えてないんだ、ママのこと。大好きなママのことは憶えてるのに、ママが死んじゃった時のこととか全然憶えてないの。 エージェント・黒尾: …そうなんだ。それはお父さんが教えてくれたの? ██氏: そう。パパがね、お引越しをしてから寝ないでずっとお家でお仕事してたの、ずーっと。しばらくしてパパが見たことない物で、えっと、お餅って言ってたかな。それを焼いてくれて…。その時パパはなんでか食べさせてくれなかったけど。…パパ泣きながらお餅を焼いてたよ。 エージェント・黒尾: なるほどね、お父さんはその、見たことないものについて何か言ってなかった? ██氏: …うん。パパは昔から…[3秒間考え込む]…なんだっけな…トラ…えっと…嫌な思い出のこと…。 エージェント・黒尾: トラウマのこと? ██氏: そう。パパは少し前から「トラウマは悪い記憶だから忘れなければならない」ってそれに対して言ってたの。 エージェント・黒尾: それはどうして? ██氏: そこまではわかんないや。 エージェント・黒尾: そっか。あなたのお父さんが亡くなる前はどんなことを話したか憶えてる?   ██氏: パパ、新しいお家にお引越ししてから少しずつ僕と遊んでくれなくなったの…。「██を見てると何かを思い出しそう」って言って泣いてた。 エージェント・黒尾: 大変だったね。他にはどんなことがあったか憶えてる? ██氏: [俯いて]…パパがね、その、死んじゃう前に、一緒にお風呂に入った時に沢山おはなししたよ。 エージェント・黒尾: その時のことを教えてくれるかな? ██氏: うん。「パパは時間をかけてわかったことだけど、トラウマは決して悪い事だけじゃない。これから、何かの役には立つはずだから…。決してくじけちゃだめだよ。お前はママによく似てるから」だってさ。 エージェント・黒尾: ありがとう、いいお父さんだね。 ██氏: うん。パパのこととっても大好きだったよ。もちろん。ママもね。 エージェント・黒尾: それじゃあ、インタビューを終了します。最後に何か、言っておきたいこととかはあるかな? ██氏: パパのトラウマと、あの…[ジェスチャー]植木鉢みたいなのを、よろしくおねがいします。僕は、ずっとずっとわすれないから。 <録音終了> Footnotes 1. 心的外傷(トラウマ)となるような体験のこと。 2. 当時██警察署に潜入していた。 3. 当時█歳だった。 4. █氏の親戚夫婦の名前。
scp-784-jp
評価: +43+–x SCP-784-JP-1a SCP-784-JP-1b SCP-784-JP-1c アイテム番号: SCP-784-JP   オブジェクトクラス: Euclid   特別収容プロトコル: 各SCP-784-JP-1個体は同一の大型テラリウム内に収容してください。テラリウムの内部環境は各個体の収容前の生育環境を参考に維持されますが、定期的な整備には、SCP-784-JP-1個体がこれまで一切攻撃的な徴候を見せていない事実を踏まえた上で、耐獣防護服を着用したDクラス職員を労働力として使用してください。   テラリウム内は26基の監視カメラと7基のサーモグラフィーを用いて監視し、各SCP-784-JP-1個体に対しては1週間に一度、二名以上の獣医師による健康診断を行ってください。SCP-784-JP-1個体への給餌サイクルと内容は、これら獣医師の判断に基づいて決定されます。 また、獣医師によって必要と判断された場合に限り、SCP-784-JP-1への投薬もしくは特例的な措置の申請が可能です。   イベント:784-ユカラが発生した場合、イベント中はテラリウムへの監視レベルと収容サイト内の警備レベルは自動的に一段階引き上げられます。イベント:784-ユカラの完遂は、収容サイトに対して課せられる優先レベル4の義務であることに留意してください。   説明: SCP-784-JPは3体の動物です。SCP-784-JP-1aはキタキツネ(学名:Vulpes vulpes schrencki)、SCP-784-JP-1bはシマフクロウ(学名:Ketupa blakistoni)、SCP-784-JP-1cはエゾヒグマ(学名:Ursus arctos yesoensis)としてそれぞれ通常の個体であり異常な性質を有していません。 ただ特筆に値する点として、人間に対しては関心を一切寄せていないような素振りを見せており、現在はその人間への無関心さを利用した上で簡略化された収容プロトコルが活用されています。また、繁殖期に於いても繁殖への意欲、求愛行動への準備が見られません。   SCP-784-JP-1個体はそれぞれが、その種としては通常のサイクルで生活します。その状態では、それぞれに対して特に大きな関心を持つことも、お互いに積極的に干渉し合うようなこともありません。 しかし年に一度、主に1月初旬から2月下旬にかけてイベント:784-ユカラを発生させます。イベント:784-ユカラの終了後、各SCP-784-JP-1個体は散開しますが、イベント直後は3体ともが通常サイクルに関係無く12時間以内の睡眠を行います。   イベント:784-ユカラ中にのみ見られる発光現象と、不明な音声については、現在も研究が継続されており、イベント:784-ユカラの観測記録は必ずデータベース上に保存されています。   + イベント:784-ユカラ映像記録 - 閉じる イベント:784-ユカラ-1d映像記録 - 日付1981/1/21 備考: 収容開始より3度目のイベント:784-ユカラ映像。1度目と2度目も事象としては同様の経過を辿っていたが、監視カメラの角度の都合により鮮明な映像の撮影には失敗している。また、記録としての煩雑さを回避するため、各SCP-784-JP-1個体にはそれぞれ以下のマーカーを割り当てる。 SCP-784-JP-1a: "キツネ" SCP-784-JP-1b: "フクロウ" SCP-784-JP-1c: "クマ" 尚、テラリウムは回収地点である1978年時点のウエンシリ岳の環境を再現したものとなっている。 <記録開始> 14:22 僅かに開けた、直径3m程のごく浅い窪地が映っている。窪地の部分は土が剥き出しになっているが、周囲には草木が茂っている。 14:23 "クマ"が画面上方の茂みより窪地に入る。"クマ"はその後3分かけて窪地内を徘徊し、最終的に画面左上方の窪地の縁へと移動する。 14:28 画面下方の茂みが微かに揺れる。"クマ"が茂みの揺れた方へ2秒程視線を向ける。 この時点で"キツネ"は窪地に到着していたと見られています。 14:29 画面下方に微かに"キツネ"の頭部が映り込む。 14:30 ゆっくりと"キツネ"が画面下方の窪地の縁へと移動する。 14:32 画面左から飛行状態の"フクロウ"が画面に映り込む。"フクロウ"は右上方の樹上に留まる。直下には窪地の縁が存在する。 14:37 "クマ"が窪地の中央を向いて、座りながら唸り始める。 14:38 "キツネ"が窪地の中央を向いて唸り声混じりに吠え始める。 14:40 "フクロウ"が首を窪地の中央の方へと回し、他の2個体と同様に窪地の中央を向いて鳴き始める。ここから5分かけて、3個体の発声は徐々に声量と発声の頻度を増す。 この時点でイベント:784-ユカラ発生が確定され、関係職員各位に観察の開始が通達されました。 14:45 窪地の中央、地面から1mほど離れた空中が白く発光し始める。発光体の光源は特定出来ず。 この時から、3個体の声は低く唸ったり強く吠えたりするような声から、遠吠えのような高く細い声になり、何らかの特定のリズムと音程の"歌"を繰り返すようになる。 14:52 発光が更に強まり、僅かずつ上昇し始める。 14:53 発光体の急激な光量の増加あるいは閃光によってカメラの機能が破損。映像が暗転するが、音声のみ問題無く記録が継続される。 直接イベント:784-ユカラを強化ガラス越しに目撃した複数の職員の証言によると、閃光の瞬間、白く発光する様々な動物のようなものが集合して構成された光柱が出現した。1閃光が止むのと同時に発光現象も終了した。 14:54 3個体の発声が落ち着いたものになる。 14:55 [不明な音声] 14:57 3個体が散開する。イベント:784-ユカラの終了が担当研究チームによってなされる。 <記録終了> 終了報告書: これまでと比べ最も鮮明な形での撮影に成功。その最初の例としての貴重性と、収容が継続された場合の未来時点でのイベント:784-ユカラとの比較の必要性から、本映像記録を報告書に掲載すべきことを提案する。尚、14:55時点での不明な音声については解析待ち。   不明な音声については、未だ特定に成功していません。なんらかの動物の声であるとの感想が多数寄せられていますが、本音声に該当する動物種は現在も不明のままです。   補遺1: 1991年、イベント:784-ユカラの観察実験によるデータの採取は完了したと見なされたため、次なる実験段階への移行として、イベント:784-ユカラの発生を妨害した場合の実験が実行されました。 3個体はそれぞれ異なる収容房へと収容され、100m以上の距離を置かせた状態で1月から3ヶ月間の観察を行いました。   その結果、2月1日15:23にSCP-784-JP-1aとSCP-784-JP-1cが収容房内を落ち着き無く徘徊しながら、唸り声をあげ始めました。この行動は40分後に鎮静化しましたが、同時にSCP-784-JP-1cの収容房内に大音量の不明な音声が16秒間発生しました。 SCP-784-JP-1cはそれに対して恐怖の反応を示し、31時間食事を行いませんでした。また、SCP-784-JP-1aは65時間に渡って人間に対して異常に警戒心を持ち、収容房からの脱出を試みるような素振りが見られました。 SCP-784-JP-1bのみ表面的な変化が見られませんでしたが、1ヶ月の間、排出するペレットにSCP-784-JP-1a、-1cの大量の体毛が混入するようになっていました。 その後3個体を同一のテラリウムに再収容してもイベント:784-ユカラは行われず、翌年の1月27日まで同イベントは発生しませんでした。   翌年のイベント:784-ユカラ実行時にはこれらの変化は見られなかった事から、上記の変化はイベントが行われなかったことによる固有の変化であると考えられます。   補遺2: 1991年に動物によるものと思われる人的被害件数、環境への被害件数が、日本全国でこれまでの平均値より約73%上昇していること、その内の68%に於いては被害をもたらした野生動物の個体特定が出来ていないことが発見されました。本現象では被害をもたらした動物の目撃証言が寄せられているのにも関わらず、その動物が存在したとする物証が殆ど発見出来なかったこと、証言等から動物の種類の同定には成功しても個体の特定と発見には至っていないことが報告され、異常性の調査が行われました。   財団によって本現象の調査は5年間行われ、その一環として1991年はイベント:784-ユカラが実行されなかった年である点、翌年のイベント:784-ユカラが実行された日時を含んだ期間中に、現象が統計的終息を見せていた点が着目されました。 それに基づいた2年間の実験によって、本現象はイベント:784-ユカラの不実行によってもたらされる影響であると結論付けられました。   この結論から、SCP-784-JP-1個体によるイベント:784-ユカラの実行を確実なものとするための特別収容プロトコルと、特例的な医療監視体制が施行されました。   現在、経年による各SCP-784-JP-1個体の自然死に対処する手段が議論されています。 Footnotes 1. 1987年2月12日に於いて発生したイベント:784-ユカラでは同光柱の撮影に成功
scp-785-jp
評価: +101+–x アイテム番号: SCP-785-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: 現代社会において、SCP-785-JPは一般人の会話から発生し得る存在となっています。SCP-785-JPを抑止する方法としてSCP-785-JPおよびそれに近い言動や考え方を否定する情報の流布が続けられていますが、確実な成果は上げられていません; SCP-785-JP(-2)を遠因とした有益な事例が継続して発生しているため、否定的情報に強い説得力を持たせることが困難となっているためです。 現在、SCP-785-JPへの対処法は、SCP-785-JPが異常な現象の発生源になるという情報の抑止が中心となっています。SCP-785-JP関連現象の第1段階に相当する情報が確認され次第、関与した人物への記憶処理と情報の隠ぺいが行われます。 SCP-785-JP関連現象の第2段階が発生している対象者Bの実例は、発見され次第、まずは監視の対象となります。対象者Bの収容や保護が必要と判断された場合は、強制的な拘束といった、SCP-785-JP-2による反発を招くような対応は控えてください。 説明: SCP-785-JPは会話中の発言です。発言をした対象者Aとそれを聞いた対象者Bが特定の人間関係にあり、その発言内容が特定の主旨に該当していたならば、その発言はSCP-785-JPとなります。発言内容において重要な要素はその主旨であり、その発言をSCP-785-JPとして成立させるにあたって、特別な言い回し等は必要ありません。 SCP-785-JPが発言された場合、最大で2段階の特異な現象が発生します: SCP-785-JP関連現象 - 第1段階: 対象者Aは、SCP-785-JPを発言して1年以内の就寝中に、警察署で取り調べを受ける夢を経験します。どの夢の事例でも取り調べの担当者は共通の人物: SCP-785-JP-1であり、SCP-785-JP-1は非常に高圧的な態度で、対象者Aが本当にSCP-785-JPを発言したのかどうか、執拗に追及します。SCP-785-JP-1は取り調べの中で拷問器具を見せびらかし、身体的な刑罰や死刑を示唆する発言を行う等により対象者Aを脅迫します。 対象者Aが取り調べに対して明確な回答を行うことで、夢は終了します: 対象者AがSCP-785-JPの発言をはっきりと認めた場合、SCP-785-JP関連現象は次の段階へ進みます。発言の事実を否定した場合、この段階で特異な現象は終了します。 SCP-785-JP関連現象 - 第2段階: 対象者Aの死後、第2段階の現象が開始されます。なお、現在までに対象者Aの死とSCP-785-JPとの因果関係は認められていません。 第2段階においては「一定の」人物が、対象者Bの周囲に現れる対象者Aの姿: SCP-785-JP-2を視認するようになります。SCP-785-JP-2は基本的に、対象者Aの死亡時点よりも若い頃の姿で観測されます。例外なく、SCP-785-JP-2は口から大量の血を流していると報告されています。下顎が完全に欠損しているSCP-785-JP-2の実例も少なくありません。 SCP-785-JP-2を観測することのできる人物には、対応する対象者Bに憎悪や害意を抱いているという傾向が見られます: 記録によれば、前述の悪感情が強ければ強いほど、その観測者はより鮮明にSCP-785-JP-2を認識するようになり、またSCP-785-JP-2が「睨んでくる」「近づいてくる」等と主張するようになります。 [データ削除済] なお、1件のSCP-785-JP関連現象における対象者AとBが1名ずつとは限りません。同じ対象者Bに複数体(多くは2体)のSCP-785-JP-2が観測されるケースも確認されています。 以降の情報は専門の研究人員や上級職員の他に、対象者Aの候補となった職員に対しても閲覧権限が与えられます。 注意: 通知を受けた職員は、必ず下記にアクセスしてください。 [制限情報785-1] - アクセスは承認および記録されました。(もう一度クリックで閉じる) SCP-785-JP研究室長からの通達 個別の通知を受け取った方へ まずは、おめでとうございます。 あなたに新しい家族ができたことを、心より祝福いたします。あるいはもう既に、その腕に抱いてあげた事があるのかもしれませんが。 ところで、あなたはとても幼いころ、「死」というものに対して過剰な恐怖を抱いたような経験はありませんか?自分が死ぬ事はもちろん、いつもそばにいてくれるパパやママが死んでしまって、いなくなってしまう事を想像してしまい、どうしようもないくらいの不安に苛まれたりしたことはありませんか? そして当時のあなたは、すぐそばであなたを見守るパパかママに、こんな事を尋ねたりはしませんでしたか? 「ねえ、パパ/ママも、死んじゃうの?死んじゃいや、お願い、死なないで」と。 もし、その時に、あなたのパパかママが――あるいはあなたが、あなたの指をぎゅっと握って見つめてくるその子に向かって、「大丈夫。パパ/ママは死んだりしない」と答えたとしたら?あるいは、身体は無くなってもお星様になって見守ってあげる、なんて回答でも構いません。 それが、SCP-785-JPです。 SCP-785-JP-1は夢の中で、次のように対象者Aに迫ります: もし本当にそんな無根拠な「嘘」を言って、いたいけな子どもを騙したというのなら、それは重大な罪であると。そして巨大なペンチを振りかざし、こいつでお前の舌を引きちぎってやる、安らかに死ねると思うな、等と脅してくるわけです。 それでも対象者A――つまり対象者Bの保護者が、SCP-785-JPの発言を認めたのであれば、その死後、その姿が、愛し子の近くに現れるようになるのです。その子に危害を加えようとする者にしか通常は見えない、口の中をずたずたに破壊されたような、その姿で。 ここまで聞いた時点で、検閲の中身に気づいた人もいるかもしれません。SCP-785-JP-2、あれは「ただの」人間に対しては脅かすくらいしかできません。SCP-785-JP-2が鮮明に見えていながら、その眼前で対象者Bに対する殺傷や略奪を成し遂げた犯罪者の例は枚挙に暇がありません。 しかし、SCP-785-JP-2は逆に、あれと同じような超自然的な力には、ある程度の対抗能力を持つのです。といっても元は基本的にただの人ですから、1体あたりの力はたかが知れています。偶然あれがKeterクラスのオブジェクトと対峙する破目になった記録が残っていますが、あれは対象者Bが踏みつぶされようとするのをたった1秒だけ遅らせて、彼を逃げ延びさせる程度のことしかできませんでした――それも自身の消滅と引き換えに。 それでも、このSCP-785-JP-2の能力のために、SCP-785-JPの扱いについては今でも大きく意見が分かれてしまっています。 オブジェクトの保護という観点からは、他のオブジェクトに危害を加えかねないSCP-785-JP-2を生み出すSCP-785-JPを野放しにはできません。先述の、SCP-785-JP-2を目撃した犯罪者に関連する隠ぺいのコストも、軽視することはできません。ですが一方で、SCP-785-JP-2を有用なものとして注目している勢力も我々の中には存在しています。中には機動部隊("子煩悩")なんていうものを計画している職員もいるようです。 我々の基本方針を考えれば、あなた方への正式なアナウンスは「SCP-785-JPを発言しないでください、もし発言してしまっても、SCP-785-JP-1に対してはその事実を否認してください」といった内容になるでしょう。しかし前述の状況により、まだそれを強要すべきとも決まってはいません。 あなたの大切な人を対象者Bにするかどうか、その最終的な判断は、現時点では、あなたの方で決めてもらって構わないのです。 そもそも異常性を差し引いた一般的な話として、SCP-785-JPを発言することに異を唱える方もいることでしょう。どんなに幼くても、「死」については真実をはっきりと教えるべきだと。その考え方も勿論、尊重されるべきです。(あるいは我々のたゆまぬ収容努力によって、そういう考え方になってくれたのかもしれません)SCP-785-JP-1も、SCP-785-JPは罪だと非難していますしね。ちなみにSCP-785-JP-1の夢を見た後の対象者Aは多くの場合、ハムスターや虫のような短命のペットだとか、「死」について教える絵本なんかを子どもに買い与えるのだそうです。 ただ、意見は色々あるでしょうが、こういうものが世の中にあるという事は、知っておいて損は無いと思いますよ。 未来へ遺すものを持つことになった、あなたのような人にとってはね。 それでは、あなた方の今後ますますのご活躍を、お祈りしております。
scp-786-jp
評価: +13+–x アイテム番号: SCP-786-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-786-JPの持つ異常性のため、SCP-786-JPの情報を完全に他者に伝達する行為は、管理責任者・副管理責任者以外は実験時を除き許可されていません。SCP-786-JP管理責任者はサイト-8175へ新職員が赴任する際にSCP-786-JPの詳細な説明を行ってください。この説明には完全な特別収容プロトコルも含まれます。ただし、この説明が行われるのは防音かつ室内に記録機器がないことを確認された室内である必要があります。説明を受けていない職員、何らかの理由で説明の内容を忘却した職員はSCP-786-JP管理責任者と連絡をとり、直ちに説明を受けてください。 以下の特別収容プロトコルは不完全な物です。注意してください。 SCP-786-JPは、サイト-8175内の大型一般収容房02に収容されます。大型一般収容房02の出入口には施錠可能な不透明な二重ドアが使用され、2名以上の武装した警備員を配置する必要があります。SCP-786-JPについての外見に関する情報の記録、収容房内への監視カメラやレコーダーなどの記録機器の持ち込みは禁止されています。 SCP-786-JP副管理責任者はSCP-786-JP管理責任者がSCP-786-JPに関する記憶を喪失した場合、管理責任者にその情報を還元しなくてはなりません。これ以外の形式ではSCP-786-JPのいかなる収容・実験にも関わることは禁止されています。201█年10月現在、SCP-786-JPの管理責任者は空木博士、副管理責任者は御堂博士です。 SCP-786-JPの実験時にはセキュリティクリアランス3以上の職員2名の許可が必要です。また、未収容のSCP-786-JPが存在する可能性があるため、山間部において目立った外傷無く失明を引き起こす事故が発生した場合は、SCP-786-JPについての知識を持つ人間で構成された機動部隊により調査を行ってください。 説明: SCP-786-JPは大きく分けて2つの異常性を有しています。1つ目の異常性は、自身に関する情報(SCP-786-JP-1)の秘匿性です。以下の2点がSCP-786-JP-1です。 SCP-786-JP-1: ・SCP-786-JPについての外観や大きさ、色などについての具体的な外見は、直接口伝することでのみ伝達することが可能です。 ・それ以外の情報伝達手段においてSCP-786-JPについての具体的な外見について言及したり、記録しようとした際、情報保持者は軽度の混乱症状を引き起こしたうえでSCP-786-JPに関する全ての情報を喪失します。 2つ目の異常性は、SCP-786-JPの持つ情報災害性です。SCP-786-JP-1の情報の未保持者がSCP-786-JPを視認した際、視認者は即座に視力を失います。この視認という行為には直接的なものに加えて、写真・動画等の記録媒体を用いた間接的なものも含まれます。単純な物理的接触のみ行った場合などについてはこの効果は発揮されません。また、この現象は不可逆のものであり、失われた視力を回復する方法は発見されていません。 上述の情報の秘匿性から、SCP-786-JPに関する具体的な外見、またはそれを示唆するような記録を行うことは不可能です。SCP-786-JPは日本中部地方の山林に普遍的に存在しているある一般的な存在(以下では便宜上SCP-786-JP-2と表記する)に極似した外見をしており、現収容時点ではSCP-786-JP-2と異なった挙動は見られません。しかしその組成成分の█.██%には、本来SCP-786-JP-2に含まれない未知の蛋白質が含まれていることが確認されています。 現在、財団では8のSCP-786-JPを収容しており、便宜的にSCP-786-JP-aからSCP-786-JP-hまでの番号が振り当てられています。 196█年9月27日、長野県と岐阜県の境界線上に位置する█████山周辺に存在し、古来より妖怪伝説の知られている████沢周辺にて、██大学山岳部に所属する学生16名が視力を失う事故が発生しました。学生たちによる財団の保有する医療機関に通報があり、財団にその存在を予想されました。録音機器を利用して学生たちにインタビューを行ったところ、前述の異常性から有効な回答は得られませんでした。学生の内の1人のインタビュー記録についての詳細はインタビュー記録SCP-786-JP-Aを参照してください。その後学生の内の別の1人に対して、録音機器のスイッチを入れ忘れて行ったインタビューから偶然SCP-786-JPの外見の情報を入手しました。このことを通して異常性が解明され、この事故の原因となったと考えられるSCP-786-JPを8収容することができました。 実験記録001 - 日付199█/11/02 対象: D-786-01 実施方法: 対象に事前にSCP-786-JP-1を全く与えず、拘束した状態でSCP-786-JPを直接目視させた。 結果: 対象は問題無く失明した。 実験記録002 - 日付199█/11/02 対象: D-786-02 実施方法: SCP-786-JP-1のうち、「SCP-786-JPについての外観や大きさ、色などについての具体的な特徴は、直接口伝することでのみ伝達することが可能である」という部分的なものを事前に対象に与え、対象を拘束した状態でSCP-786-JPを直接目視させた。 結果: 対象は問題なく失明した。 分析: 部分的な情報を保持しているだけでは失明は免れないようだ。 実験記録003 - 日付199█/11/02 対象: D-786-02 実施方法: 失明状態にある対象にSCP-786-JP-1を完全に与えた。 結果: 対象の失明は回復せず、特に変化は起こらなかった。 実験記録004 - 日付199█/11/02 対象: D-786-02 実施方法: 対象にSCP-786-JPの外見的特徴を筆記するよう指示する。 結果: 軽度の混乱症状を起こし、SCP-786-JP-1についての記録を行うことができなかった。また先の実験を含むSCP-786-JPに関する情報を忘却していることが確認された。 + インタビュー記録786-JP-Aを表示する - インタビュー記録786-JP-Aを隠す 対象: SCP-786-JP-a-1 (SCP-786-JP-aの影響を受けて失明した大学生の1人である。) インタビュアー: 御堂博士 付記: 診察の一環という名目でインタビューを行っており、インタビュアーは医療従事者だと名乗っている。 <録音開始> SCP-786-JP-a-1: 先生、そこにいるんですね。 僕は一体どうなっているんですか? 御堂博士: まあ心配な気持ちはわかりますが落ち着いてください。 まずは診察を行ってみなければ原因が分かりません。 [一般的な診察の手順を1通り行い、身体的な異常はないことが確認された] 御堂博士: なるほど、見たところ角膜の一部が炎症を起こしているようですね。 あの日は霧も濃かったですから、風上側にあった有機溶剤が霧に溶け出して影響を及ぼしたのでしょう。 重機のメンテナンスに使われる工業薬品の可能性が高いです。 あの薬品は神経系に作用して一時的に失明の症状を示すことが… SCP-786-JP-a-1: じゃあ早くその洗浄をしてくださいよ! 早くしないとまずいんでしょう!? 御堂博士: 落ち着いてください。 まずはその薬剤の特定をしてからでないと更なる後遺症を引き起こすことになりかねません。特定には可能な限り急ぎますので、それまでの間、失明したときに周囲に何があったかお教えいただけますか? 何かの参考になるかもしれません。 SCP-786-JP-a-1: すみません。取り乱しました。 [しばらく沈黙する]あの時の状況ですか? 御堂博士: そうです。どんなに些細なことでもいいですので。 SCP-786-JP-a-1: うーん確か…霧こそ出ていたが時間に遅れは無かったし、俺たちは████沢の近くで休憩を取っていましたね。ちょうど俺はスポーツドリンクを飲みながら、持ってきた菓子パンの袋を開けていました。すると急に██…つまり俺の友人が「前が見えない」って叫びだして、みんなの様子もおかしくなってきたから、反射的にそっちの方に目を向けたんです。それから確か[唐突に沈黙し、18秒が経過する] 御堂博士: それから…? どうしたんですか? SCP-786-JP-a-1: それから…? ここは真っ暗じゃないか! 誰かいるのか? 御堂博士: 急にどうしたんですか[SCP-786-JP-a-1の本名]さん? SCP-786-JP-a-1: 声が聞こえるが今何が起こってるんだ? あんたは誰だ? 御堂博士: 混乱しているのですか? 私は今あなたの治療を行っている者です。 SCP-786-JP-a-1: 治療? 俺は目が悪いのか? 何が起こってんだこりゃ? 御堂博士: 少し落ち着いて話を聞いてください。 SCP-786-JP-a-1: みんなはどこにいる? さっきまで山にいたはずなんだがここはどこだ? 何が起こってんだよこれ? あんたがなんかしたのか? 御堂博士: これ以上のインタビューは不可能ですね… 1度インタビューを打ち切ります。 <録音終了> 補遺: SCP-786-JP-1の秘匿性は非常に精度が高いです。例えば人に直接話すつもりでも、同じ部屋に盗聴器1つでもあればたちまち混乱症状を引き起こしてその情報を喪失しますし、収容房の内装はおろかその大きさすら記すことはできません。全く忌々しいことに、我々はSCP-786-JPの外見の情報源となりうる助詞1つ報告書に記すことはかなわないのです。この報告書の執筆に当たり、私自身23回もSCP-786-JPについての情報を確認する必要がありました。――███研究員
scp-787-jp
評価: +95+–x サイト-8194所属、砂沢博士 アイテム番号: SCP-787-JP オブジェクトクラス: None 特別収容プロトコル: SCP-787-JPの収容は、主にSCP-787-JPの財団による発見、またSCP-787-JP-1の制御に重点を置きます。SCP-787-JPは財団に発見されておらず、オブジェクトクラスの制定は保留されています。 SCP-787-JP-1はインターネット上での活動を通じて、現在稼働していると予測される財団webクローラに発見される努力を続けます。インターネット上で報告される異常現象を捜索し続け、必要であればその報告に便乗してwebクローラの注意を引き、有意義と思われる事象は当ディレクトリに記録してください。機動部隊オメガ-0の情報実体編集ツールにより、現在のSCP-787-JP-1はこの行動を強制され、SCP-787-JPによる精神影響下にありながら任務を遂行しています。 説明セクション及び収容プロトコルの改訂は既に不可能な要請です1。 説明: SCP-787-JPは2013/██/██以降の研究サイト-8194地下三階の一室であり、内部に26台の財団規格コンピュータを含みます。このコンピュータは不定期に財団内における普遍的な最新規格と思われるものへと更新されます。電気系統は常に維持されているようです。SCP-787-JP内部からは、特殊な暗号化がなされていないインターネット回線を通じてのみ2外部と情報をやり取りすることができます。それ以外の連絡による情報は、反ミーム的な認識阻害効果を受けます。この事実は機動部隊オメガ-0("アラ・オルン")との交信によって明らかになりました。 SCP-787-JP内部の人間をSCP-787-JP-13に指定します。SCP-787-JP-1は一切の生理的な欲求を失っており、また、SCP-787-JP外部へ脱出することはできません。そのような試みは、耐えがたい意識の混迷4と無意識下の出口から離れようとする移動によって阻まれています。 SCP-787-JP-1の持つ財団ネットワークへのアクセス権限は、SCP-787-JP-aに限定されています。SCP-787-JP-aは財団データベースのSCP-787-JPエントリ、つまりこの報告書の存在するエントリです。前述の通り、公開されたインターネットを通じていない連絡は認識阻害効果を受けるため、SCP-787-JP-aは財団からのいかなる介入も受けておらず、SCP-787-JPは財団に発見されていません。 よって、現在このエントリ5はSCP-787-JP-1によってのみ編集されています。 SCP-787-JP-1は特異な能力として、機器の使用を経ずに直接電子的な情報を操作する6能力を得ています。これはキーボードやマウスなどの入力デバイスを必要とせず、コンピュータの目の前に立つだけで利用でき、また画像や音声などの電子的なデータを非常に高い精度で新たに作成できることを意味します。この能力について、オメガ-0からはSCP-787-JP-1が電子的な情報実体としての側面を持つという仮説が提示されました。 SCP-787-JP-1がSCP-787-JP内部のコンピュータでインターネット回線を利用する度に、その肉体は外観としては徐々に消失していく7ように観測されます。消失現象において、SCP-787-JP-1はその脳8や感覚器官9、四肢の欠如10にも関わらず出血したり、生命維持能力や移動能力を失うことはありません。消失現象はSCP-787-JP-1がインターネット回線を連続で300秒程利用すると、SCP-787-JP-1が頭蓋骨下端部・脊椎・脊髄・骨盤11程度を残すのみの実体になり、収束します。 SCP-787-JP-1は、インターネットを利用しながら肉体を消失していくごとに、急速に自らの現在の境遇に関する記憶を消失し、インターネット上で他人とコミュニケーションを取ることへ集中し始めます。その際、SCP-787-JP-1は自分と部分的に境遇の異なる架空の個人12や、既に死亡した個人13を模倣して、何らかのアカウントを必要とするオンラインコミュニティ14上で活動しようとします。消失現象が収束した後のSCP-787-JP-1は、その電子情報を操作する能力を用いて必要な写真・音声・閲覧者へ架空の記憶を生成させるミーメティック図画像などを制作し、本来の人物像と大きく異なる人柄や文体のコンテンツを投稿して、コミュニティ上でほぼ完全に当該人物を再現15します。この精神影響は、SCP-787-JP-1による収容に向けての努力を大きく妨げていますいました16。 補遺-1: 再生 音声を再生します [ノイズ] テスト。マイクテスト。……良し。 もうあまり時間がなく、この報告書に整った文体で補遺を付け足すことはできません。音声記録としての補遺で、これを発見した財団職員に記録を提供することにします。文章には余計なものが付きますしね。 私は柄谷有彦です。サイト-8194に……たぶん、7年程度……ええ、私は既にいくらかの記憶を失っていますが、他の人よりはマシです……あー、勤務し、従来のSCP-787-JPの主任研究員の一人で、インターネット上の異常存在について研究していました。SCP-787-JPの発見経緯について、まずお話しましょう。 SCP-787-JPが本来示すオブジェクトは、ANTIBENが発見したSCP-1715の被害者と疑われるアカウントから始まりました。ANTIBENが検出する投稿は、明らかな死人によって投稿されたものです。今までの経験からすれば、彼らが自分の音声やセルフィーを公開したり、ましてやコミュニティ上の知人と会合するなどはありえないことでした。しかし、SCP-787-JPは明らかに死亡していながら、コミュニティの友人は彼らと電話をし、顔写真を見せ合い、一部の者は彼らと実際に複数回会っているとまで主張し始めました  でも彼らは死んでいましたし、我々はいくら探しても生きている彼らと会うことはできませんでした。 それから、ANTIBENはいくつものそういった投稿を見つけました。時には、全く存在するはずのない人物が生き生きとコミュニティに参加していました。我々はやはり彼らを現実世界で見つけられず、コミュニケーション実験が重ねられました。 [溜息] 何回目かの実験で、彼らはテンプレート通りに我々を悪質なユーザーとして罵った後、こう言いました。「あんた達と同じように、ここにいたいだけだよ」でしたか。 実験が終わった後、オフィスでSCP-787-JPディレクトリの報告書に追記をしていた時にそれは起こりました。私達の周囲は突如として、外見を全く変えずに重苦しく、静かに、全てが薄暗く感じられるようになりました。言語として説明できるのはこれだけです。 一緒にいた研究チームは20人かそこらはいましたが、今は私を残して脊髄になりました。過程を詳しく語る必要はないでしょう。映像記録をディレクトリ内に残しましたから、脊椎がモニタの前で硬直している映像を延々と見たければどうぞ。 つまり、この部屋には本当にコンピュータ以外は何もありませんでしたし、端末がガラクタになったこと、財団が我々を助けられないことはすぐにわかりました。私達はインターネットを通じて何かをしようとして、次々にそのまま別の何かになりました。何かになった人は、二度とコンピュータの前から動くことはありませんでした。残った私達は脊髄がなりきっているネット上の人物がどうコミュニティ内で動いているのかを眺めたり、自暴自棄になってインターネットへアクセスし、脊髄としてインターネットを続けたりしていました。   機動部隊オメガ-0は、脊髄でない私達が現在の人数になった頃にメッセージを送ってきました。彼らは自らを殉職した職員がデータベース上に現れたものであると名乗り、この状況を察知できる唯一の財団ユニット、対情報実体のエキスパートであると…… [笑い声] ……ええ、やめましょう。時間がないのですから。 オメガ-0の言を我々は信じました。もちろん、彼らの識別コードはおろか、そのような種別の機動部隊は存在さえも聞いたことがありませんでした。彼らのコミュニケーションを認識できる人間はおらず、おそらく我々が既に実体ある人間ではないという情報も受け入れました。ただ、我々には信じるより他にはありませんでした。サイト-8194の情報が財団データベースから消え、反ミームによって誰もそれに気付いていないという言も、我々は全て信じました。 彼らは我々に命令を「書き込む」手段を持っていると言いました。それだけで十分です。 [椅子を引く音] 従来のSCP-787-JPは、インターネットに蔓延っています……それも、夥しい数が。幾人もの存在しない人間、死んだ人間が、このように脊髄によってインターネット中に再現され、ユーザーはモニタの向こうに人間がいると信じています。迂闊に踏み込めば、私達と同じように脊髄になるでしょう。 ただし、脊髄である彼らは人格を持ちますし、オメガ-0は私たちに対抗概念部門と反ミーム部門の存在を教えました。いくつかのミームエージェントは彼らに有効でしょうし、私達エンジニアが開発してきたボットは確かに彼らを判別してくれました。 私達は今から、SCP-787-JPの精神影響とオメガ-0のミーメティックな指令の板挟みになり、ひたすらに財団webクローラへアピールを続けます。個人としての人格を保つ余裕は恐らくないでしょう。オメガ-0は反ミーム部門へある程度の警告をしたようですが、webを介さずにここへ辿り着くのはほとんど不可能でしょうから、我々は彼らを誘導してこの報告書に辿り着かせます。   対抗概念・反ミームを専攻する、顔を見たこともない、存在が曖昧なあなた方へ、その後を託すことにします。 柄谷研究員 補遺-2: 2016/04/18、現行収容プロトコル下で活動するSCP-787-JP-1が操作しているSNSアカウントの一部に、複数の特定のアカウントより個人的なメッセージが相次ぎました。SCP-787-JP-1によるアカウント情報の捜査及びSCP-787-JP内に保存されたデータベースとの照合により、当該アカウントはSCP-171517のものであると推定されました。その後のSCP-787-JP-1によるコミュニケーション要望にSCP-1715は応答しませんでした。 SCP-1715から受信されたメッセージは一律して誕生日を祝う内容であり、それぞれのアカウントの言語圏に合わせた言語で作成されていました。 Happy Birthday to You! :)18 Footnotes 1. ずっと一緒だろ? 2. お前もよく知っているように、ここはインターネットだからな。 3. 脊髄だ。つまり、それ以外は余計だから。 4. お前はそれを散々見てきたはずだ。必要じゃない。そっちは明らかに俺達に向いてないし、もうお前はそっちに行けない。行った先に何があるんだ? 5. もちろんここにも私達はいる。 6. そこにいるからだ。俺達はここにいるからだ。俺達は何も必要としない、ただそこにいるからだ。 7. どうでもいいんだ、お前達が 8. 何を考えているか、 9. 何を感じているか、 10. 何をしたか。 11. ただそこにいてさえくれれば。 12. 俺 13. 私 14. そこにいることがわかるだろ? 15. 違う、俺達はここにいるからだ。回線を繋げ。 16. 私達は居続ける、私達は会話する、私達は認識される、私達はここにいる、私達は脊髄である。 17. 俺達は彼に習った。とにかく邪魔なものが多いってことに彼は賛同し、俺達にそのやり方を教えた。でも彼のやり方は古くて、俺達はもっと皆と仲良くなりたかった。そこにいる。そこにいるんだ。お前達はただここにいて、俺達と一緒に話をしている。 18. 誕生日おめでとう。ようこそ、俺達のインターネットへ!
scp-788-jp
評価: +224+–x アイテム番号: SCP-788-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-788-JPの100m周辺は部外者の立ち入りを禁止し、18箇所に振動センサーを設置した高さ3mのフェンスによって隔離されます。侵入者を検知した場合、直ちに排除及び記憶処理を行ってください。 SCP-788-JPの境界の外側四隅には、直径・高さともに10cm程度の円錐型に形状を整えた塩を設置してください。また、14日間隔でSCP-788-JP内に塩300gの散布が行われます。 常時2箇所に設置された監視カメラによって状態が監視されますが、SCP-788-JPの範囲の増大が確認された場合、臨時に塩の散布を行ってください。 説明: SCP-788-JPは、██県██郡██村に存在する直径68mの円形の更地であり、その中央には一人分のものとみられる人間の白骨が半分地面に埋まる形で存在しています。 SCP-788-JP内部は一切の植物が自生せず、それにより目視によってSCP-788-JPの範囲を確認することが可能です。また、プロトコルが実施されなかった場合、SCP-788-JPの範囲が拡大し、その範囲に自生していた植物は同質量の土へ変化することが確認されています。 SCP-788-JP内に接近すると、範囲中央が震源であると思われる小さな地響きが繰り返し発生します。また範囲内に侵入した場合、前述の地響きは停止し約3秒後にSCP-788-JP中央方向から衝撃が発生します。実験によって、その際に侵入物体が受ける撃力は10kN・s前後であるという結果が算出されましたが、侵入した物体がSCP-788-JP内に留まっている限り衝撃は発生し続け、繰り返されるほどに大きくなります。その撃力の上限は判明していません。 十分な強度と重量を持った車両等で強引に侵入する事は可能ですが、中央付近に到達しても衝撃の増大以外に特筆すべき現象は発生しません。 SCP-788-JPは、蒐集院より委託されたオブジェクトの1つです。蒐集院がSCP-788-JPを発見した当時、SCP-788-JPは村内で『悪霊の縄張り』と呼ばれていました。その場所には基本的に住民が近寄ることはありませんでしたが、範囲拡大を防ぐために村内で独自に制定された対処法が村人たちによって実施されていました。神道に基づく一連の儀式を半年に一度行うというその手順は蒐集院にそのまま引き継がれましたが、財団がそれを継承した後、手順の一段階目を行った時点でも十分な効果が現れることが発見され、大幅に簡略化された現在の収容プロトコルに至りました。 現在██村は廃村となり、SCP-788-JPについて知る住民およびその子孫はいないものと考えられています。しかし、██村からは一部資料が発見され、当時の儀式内容と被害者の記録が確認できました。その中で、当初は現在よりも範囲が大幅に小さかった1という記述が残されていますが、蒐集院が発見した時点では現在とほぼ同等の範囲まで拡大していたと記録されています。範囲が拡大した時期・原因については明確な資料が発見されていません。 以下、Dクラスを用いた侵入実験記録です。 + 実験記録 閉じる 実験記録 :788-1 被験者  :D-40991  男性 31歳 長身 実験概要 :SCP-788-JPの性質を伝えず、範囲内に侵入するように指示。 実験結果 :侵入の後、衝撃の発生により範囲外に吹き飛ばされる。外傷性ショックにより死亡。 実験記録 :788-2 被験者  :D-10847  女性 37歳 平均的体格 実験概要 :SCP-788-JPの性質を伝え、範囲内に侵入するように指示。 実験結果 :D-10847は範囲内に侵入できないと主張。強制的に侵入させようと試みるも、不可視の壁により阻まれた。 実験記録 :788-3 被験者  :D-27850  男性 25歳 平均的体格 耐衝撃強化服を着用 実験概要 :SCP-788-JPの性質を伝えず、範囲内に侵入するように指示。 実験結果 :侵入の後、衝撃の発生により範囲外に吹き飛ばされる。      D-27850はその瞬間、哮るような、幾重にも重なった声を聞いたと証言。 実験記録788-3においてD-27850が主張した声について、現場に居た他の職員は一切認識できませんでした。 しかし、強化服に内蔵された録画機器の映像にはその哮るような声と思われる音声が入っており、SCP-788-JP内部でのみ認識できる音声ではないかと推測されています。 以下、当該映像記録です。 映像記録:788-3 [映像開始] [SCP-788-JPを範囲外から見ており、地響きの音が繰り返される] D-27850: なんだよ、この巨人が歩いてるみたいな音は……。 D-27850: この先に進むのか? あの、骨の方まで? [境界を見た後、離れた場所で待機している研究員の方へ振り向く] D-27850: 分かったよ、行くよ。 [範囲内に足を踏み入れ、地響きが止む] D-27850: クソ、この服重いな……。あ、ん? 不明: [不明な哮り声] D-27850: んぐっ! [衝撃音とともに空と地面が交互に映り、空を向いたまま停止する] [映像終了]  その後、D-27850を用いて再度同様の実験が2度繰り返されましたが、いずれの場合もSCP-788-JPから弾き出される直前に不明な音声が記録されました。この音声は人間の男声に近いと考えられましたが、その瞬間に現場に居た他の職員は一切声を出していませんでした。また、その音声はおよそ十人以上の声が重なっており、ノイズに近いものとなっていました。  しかし、不明な音声データの精密な解析によって一つ一つの音声分離を行ったところ、それらはおそらく同一人物のものであり、また「どすこい」という声の連呼である事が明らかになりました。 Footnotes 1. 直径5m弱程度の円形だったと推測されています。
scp-789-jp
評価: +267+–x 評価: +267+–x クレジット タイトル: SCP-789-JP - メビウスの輪ゴム 著者: ©︎WagnasCousin 作成年: 2017 評価: +267+–x 評価: +267+–x 本報告書の編集及び削除機能は凍結されています。 倉内博士の研究室にて撮影されたSCP-789-JP アイテム番号: SCP-789-JP オブジェクトクラス: Möbius 特別収容プロトコル: SCP-789-JPはサイト-8195内の低脅威度物品ロッカー内で保管して下さい。 説明: SCP-789-JPは██社製の業務用輪ゴムです。SCP-789-JPは、サイト-8195の備品課で購入され、同サイトに勤務する倉内博士の研究室に支給されていました。 SCP-789-JPの異常性は、財団基準の報告書にSCP-789-JPの異常性の説明を記述し、オブジェクトクラスを分類する際、オブジェクトクラス欄に「Möbius」という語句を記入してしまう事です。本報告書の執筆者は、本報告書の内容に疑念を抱く、または他者に報告書の問題点を指摘された場合についても、最終的には必ず「本報告書に記載されているオブジェクトクラス欄を修正すべきではありません。その異常性についての説明も同様です」と言う結論に至ります。 SCP-789-JP実体、倉内博士とその研究室、サイト-8195の購買課とその流通ルート、██社は全て調査されましたがSCP-789-JPの情報災害以外の異常性は発見されず、SCP-789-JPの異常性の起源は不明のままです。 補遺1: 本報告書の執筆者である倉内博士からSCP-789-JPの調査を引き継いだ坪野研究員からの提言です。 本報告書には複数の矛盾点が存在します。報告書ではSCP-789-JPの異常性が「オブジェクトクラスが変更される」のみであるとされています。しかし、それが真実である場合当オブジェクトの異常性は「異常性発覚前に報告書が作成される」事で始めて発見されます。当然異常性が認められないオブジェクトの報告書は作成されない為、この異常性は本来発見されないはずです。 また、報告書には執筆者が異常性の説明を記述した後にオブジェクトクラス「Möbius」を分類すると書かれていますが、SCP-789-JPはオブジェクトクラスの分類を行う前に異常性を認識する事が出来ないため、これもまた矛盾が発生します。 倉内博士はSCP-789-JPの異常性の影響を受けているため、検査に不備が存在する可能性が高いです。また、報告書の改竄が行われていたり、何らかの現実改変が行われた可能性も考慮する必要があります。本報告書の破棄や大幅な修正を行う可能性も視野に入れ、SCP-789-JPの再調査を提言します。 - 坪野研究員 補遺2: 再調査を行った早川研究員からの提言です。 再調査の結果、SCP-789-JP、██社、倉内博士及びその研究室、坪野研究員、サイト-8195は実在せず、矛盾点の具体的な検証は不可能である事が明らかとなりました。 本報告書の内容は明らかに実態と異なっており、早急に何らかの措置を取る必要があります。 現在判明している内容から想定される現象と行うべき措置については以下の通りです。 概要 具体例 課題 本報告書への措置 SCP-789-JPとその異常性は実在しませんが外因により報告書が作成されています。 未収容状態のSCiPや外部組織によって、直接もしくは職員を操り偽の情報を含んだ報告書が作成された場合など。 財団の基本理念である確保・収容・保護を覆しかねない情報攻撃を受けています。 課題への対策を考える上で、現在唯一の痕跡となっている本報告書は修正せずに保護すべきです。 SCP-789-JPは実在していませんが本報告書自体には異常性が実在しています。 実体がなく本報告書に異常性だけが存在している場合。 報告書に纏わる矛盾などを含めて異常性と見なす場合など。 本報告書の説明などを修正すると、異常性が喪失する可能性があります。 本報告書を新規SCiPとして異なる内容の報告書を作成した後、本報告書自体は修正せずに収容・保護をすべきです。 何らかの現実改変能力が絡んでいます。 SCP-789-JPとそれに関連していた人や物は実在していましたが、何らかの理由で存在を消された場合など。 現実改変能力に巻き込まれる可能性があります。 現状ではSCP-789-JPに関わる物は本報告書以外実在していないため、改変の影響が安定している可能性は高いと言えます。ただし、本報告書への対応次第で再活性化する可能性が高まるため、取り扱いに注意すべきです。 坪野研究員が本報告書の破棄や大幅な修正などを行う意思を見せていたにも関わらず、その痕跡が見られない事から、それらの行為が改変に影響する可能性は高いと考えられます。なお、提言自体は残されている事から補遺を追加するリスクは低いと考えられますが、その保証は無いため必要最低限に留めるべきです。 また、本報告書は課題への対策を考える上で唯一の痕跡でもあるため、本報告書は修正せず保護すべきです。 SCP-789-JPが実在せず、既存のSCiPの報告書だけが本報告書に改変された可能性については、既存の報告書とSCiPを全数調査した結果から否定されています。 あらゆる状況において、本報告書に記載されているオブジェクトクラス欄を修正すべきではありません。その異常性についての説明も同様です。 本報告書は修正せず保護すべきです。 - 早川研究員
scp-790-jp
評価: +124+–x 受話器をお取り下さい アイテム番号。 SCP-790-JP。 オブジェクトクラス。 Safe。 特別収容プロトコル。 SCP-790-JPは専用記録装置D-790-JPに記録されます。 閲覧は、セクター-8106に設置された専用直接音声振動伝達器を介しておこなわれます。 専用記録装置D-790-JP設置室内への進入はレベル3以上の職員のみ許可されます。 記録装置は常に3機稼動状態を維持し、閲覧システムが故障した場合すぐに修理をおこなってください。 詳細はセクター-8106勤務岡村担当研究員へご連絡ください。 SCP-790-JPについて記録を作成することは禁止されています。 また、デジタル通信を用いてSCP-790-JPについての話題を行うことも禁止されています。 説明。 SCP-790-JPは、とある農村が飢饉や災害に襲われた際に沈静化を意図して行う土着の宗教的儀式について媒体を問わず記録を作成した際に発生する異常現象です。 以後、この儀式をSCP-790-JP-1と呼称します。SCP-790-JP-1の内容は5歳未満の子供を用いた人身供養です。 なお、SCP-790-JP-1は諸災害の沈静化をもたらす事実はないことに十分留意してください。 SCP-790-JPがどの時点で異常性を持ったのかは不明ですが、少なくとも1950年の段階では確認されていませんでした。 なお、詳細な当該地域の所在についてはレベル4クリアランスが必要です。 SCP-790-JP-1について記録を作成した場合24時間以内に記録者は消失、四肢を欠損し、かつ全裸で当該地域の中央広場付近の電柱に吊り下げられた状態で出現します。現在までにこの時点で記録者が生存していたことはありません。また、欠損した四肢は発見されていません。作成された記録は記録者の消失と共に破壊されます。いずれも人為的に殺害、破壊されたような痕跡を残しますが、実行者を特定する試みおよび記録の破壊を阻止する試みは全て失敗しています。 SCP-790-JP-1は寛永の大飢饉中に発祥したと見られており、これは江戸末期まで続きました。江戸末期になりSCP-790-JP-1は実施されなくなり、当該地域出身の若者を中心に後世に「恥の記録」を残すべきであるとの主張が起こりました。これは村の恥を世間に知られることを恐れた村長を筆頭とする村の重鎮らと対立し、最終的に記録肯定派を村人が殺害、見せしめとする結果となりました。以後1950年までのこの粛清活動は実施されたと考えられています。その後交通網および情報網の発達により非合法な粛清活動が困難となったこと、村の重鎮らの方針が当時と異なったことが重なりこの粛清活動は終息しました。 SCP-790-JPは、1960年に発生した当該地域の大量殺戮事件に対する財団の捜査により発見、収容されました。この事件はSCP-790-JPの異常性により発生した死体を発端とした混乱が原因であったと考えられており、この事件で6割近い村人の死亡が確認されています。前述の歴史的経緯はこの際保護された村長へのインタビューから判明したものです。SCP-790-JP収容後、村人全員に対しクラスA記憶処理を実施しました。 事案記録790-JP: セクター-8106にてSCP-790-JP-1についての文章、音声、動画、図画の各媒体ごとの記録作成をDクラス職員を用いて実施しました。結果Dクラス職員を含む記録作成に立ち会った財団職員25名が作成後15~23時間の間に消失、当該地域にて死体で発見されました。また、SCP-790-JP-1について音声通信装置を用いて連絡を取っていた職員2名も16時間後に消失、当該地域にて死体で発見されました。これらを受け専用記録装置D-790-JPの運用が決定しました。専用記録装置D-790-JPはSCP-790-JPの記録のためにDクラス職員の脳髄及び発話器官を利用した生体記録デバイスです。開発記録はセクター管理者に許可された場合のみ閲覧できます。オブジェクトの記録の閲覧には専用直接音声振動伝達器(通称:高性能糸電話)が用いられます。
scp-791-jp
評価: +8+–x SCP-791-JP-1-005 アイテム番号: SCP-791-JP オブジェクトクラス Euclid 特別収容手順: 財団ウェブクローラーがSCP-791-JP-1と識別された電子データを発見した場合直ちに削除し、投稿したアカウントのタイムラインは編集されます。またSCP-791-JP-1の物理的オブジェクトは回収され代用物に交換されます。所有者の記憶処理は回収作戦に責任を持つ職員の裁量によって行われます。 POI-1950 概要: SCP-791-JPは抽象画、スーパーリアリズム等の絵画を制作していた異常芸術家として知られているPOI-1950“奥理”の作品、または自身の肖像が70%以上描写された画像および動画フォーマットの電子データ1(SCP-791-JP-1)に改変を与える現象です。 SCP-791-JP-1はデータ生成された時間を起点に2~48時間(最頻値は4時間)を経て解像度を低下させます。影響の範囲や進行の進行度はデータ規格や描写された対象により異なりますが大まかに80~99%まで圧縮されます。一度進行するとPOI-1950の除去・複製・コントラストの調整等の編集によってSCP-791-JPの進行を反転・遅延させることは出来ません。複製は元のSCP-791-JP-1と同じようにSCP-791-JPの影響を受けます。SCP-791-JPが内挿(補間)に適用しているアルゴリズムを逆算する試みは各SCP-791-JP-1が別な関数モデルを用いていると類推されているため失敗しています。 SCP-791-JP-1-017 SCP-791-JPの進行が終了したSCP-791-JP-1は短期的、または長期的に観測可能な異常性を有しておらず、加筆・複製・拡大等の編集によってSCP-791-JPが再進することはありません。 SCP-791-JP-1-035 SCP-791-JP本来の解像度や容量、データ規格などによる相関関係は確認されてませんが、被写体によるSCP-791-JPの進行速度並びに低下率の差は顕著で、特にPOI-1950自身を描写したSCP-791-JP-1は作品が被写体であるよりも比較的に圧縮率が高くなる傾向があります。 2015/11/14、01:00:04にサーバーアーカイブクローラーがSCP-████-JPの電子アーカイブとPOI-1950のプロファイルのサイズ減少を検知しました。その後RAISAに通知され、POI-1950に関連している資料のスキャニングを実施しSCP-791-JPを確認しました。 SCP-791-JPの発生によってWATCHDOGの過去の認識、およびミーム的災害のライブラリの一部が破壊されたため49分間後に修正されるまでその機能の停止を余儀なくされました。 POI-1950は1985年頃に死去しており、またSCP-791-JPの発生日は彼の生没日や財団が確認しうる限りの重要な事象があった日時とも一致しません。 SCP-791-JPは意図的な現象なのか否かについて、当報告書執筆時の時点では不明です。 Footnotes 1. 各SCP-791-JP-1について説明するテキストデータは、その文面を画像化したものを含めて影響を受けません。しかしBASE64に代表されるような符号化処理や、プレーンテキストによる視覚的描写はSCP-791-JPの影響を受け以下の5バイトのテキストデータに圧縮されます。 Au Vn
scp-792-jp
評価: +58+–x 電源に接続したSCP-792-JP アイテム番号: SCP-792-JP オブジェクトクラス: Safe 特別収容プロトコル: SCP-792-JPはサイト-81██の標準的Safeクラス物品収容ロッカーへ、施錠された専用ケースに入れた状態で収容されます。 SCP-792-JPを用いた実験を行う際はその内容を担当博士に事前報告し、承認を得た上で行ってください。実験に使用されたDクラス職員に関しては、任期が終了するまで定期的な聞き取り調査が行われます。 説明: SCP-792-JPは、███████社製"██████████(カラー:ホワイト)"に酷似したLED机上照明であり、後述する異常性を除いた主な差異として、製品型番などの表記が一切為されていない事、アームの可動域が大幅に広くなっている事が挙げられます。 通常製品と同様に、プラグを電源に接続してスイッチを切り替えることでLEDが点灯します。基本的には通常製品と同様に白色の発光が見られますが、LEDの光が届く中の一定範囲(範囲角度150°・LEDを中心に約6m、以下効果範囲と呼称)の中に一人の人間がいた場合、その光はやや青みがかった色に変わります。 効果範囲内にいる人間(以下被験者と呼称)は外部からの刺激に対しての反応が鈍くなり、効果範囲から外されるか照明が切られるまで放心状態が続きます。その状態の被験者に対して、任意の人間の過去の体験(以下、SCP-792-JP-1と指定)について話す事で SCP-792-JPの異常性が発揮されます。SCP-792-JP-1について一定の詳細な情報が語られた時点で異常性が発揮されると考えられていますが、その正確な基準は不明です。 SCP-792-JPの異常性が発揮された後、被験者はSCP-792-JP-1が自分の記憶であると思い込むようになり、それに付随して語られていないはずの情報を認識します。 また、その後被験者の本来の過去の記憶は、SCP-792-JP-1の時期の前後から徐々に喪失します。記憶喪失の速度は遅く、一ヶ月が経過した被験者は自発的に記憶の喪失に気づく事はありませんでした。但し、SCP-792-JP-1に関して何らかの矛盾を指摘した場合、記憶の喪失は急速に行われ、二週間後にSCP-792-JP-1を除く自分の記憶を全て失いました。 この時、SCP-792-JP-1の本来の体験者、及びそれを被験者に語った人間に対する影響は確認されませんでした。 実験の結果、SCP-792-JPによって任意の人間に特定の技能を習得させることは難しく1、また、誰の体験にも基づかない架空の体験談をSCP-792-JP-1として伝えた場合はSCP-792-JPの異常性は発揮されない事、最終的に死亡した人間の記録をSCP-792-JP-1として伝えた場合は被験者は死亡すること2が判明しています。 + SCP-792-JP収容の経緯 閉じる SCP-792-JPは19██/██/██、██県警察███警察署に潜入していたエージェントが刑事部捜査第一課内で不審な噂を耳にしたことから、███警察署内第5取調室より回収しました。第5取調室のみ天井の蛍光灯が切れて交換されないまま放置されており、照明としてSCP-792-JPが使用されていたものと考えられます。 ███警察署内の備品購入履歴を調査しましたが、記録が一部消失しており、SCP-792-JPの由来は不明です。 刑事部捜査第一課および留置場管理課を中心として、"第5取調室で取り調べを受けた容疑者は従順になり、自身の犯行を認める"という一定の認識が持たれており、使用される頻度は少なかったとされています。一部の署員の判断によって第5取調室が使用されることになっていたと見られていますが、SCP-792-JPの性質を知っている署員がどれだけいたのかは正確には判明していません。 また過去20年間に、捜査第一課および関係する部署の中で、記憶障害による退職者が█人発生しています。 回収後、SCP-792-JPの性質を十分に認識していたと見られる████課長補佐にインタビューを行いました。 インタビューログ - SCP-792-JP-001 対象: ████課長補佐 インタビュアー: 谷森研究員 <録音開始, [19██/██/██]> 谷森研究員: 貴方がたは、SCP-792-JP……あの異常な卓上照明の性質について知っていたのですか? ████課長補佐: はい、私たちに必要な範囲の知識は、前任者から話を聞いていました。 谷森研究員: それで、容疑者に対して取り調べを行う時に使っていたのですね? ████課長補佐: そうですね。あれがあると、手間が省けます。できるだけ面倒は無い方が良いので。 谷森研究員: 貴方は、それが無実の人間を陥れる事だと理解していますか? [4秒間沈黙] [████課長補佐のため息] ████課長補佐: ええ、ええ。だから何ですか。無実であっても、皆無害ではなかった。しかるべき処置をしたまでです。 ████課長補佐: 隔離すべき人間を隔離した。治安を保つとはそういう事です。 [11秒間沈黙] ████課長補佐: で、あの照明はもう戻ってこないわけですか。 谷森研究員: 当然です。あのような存在を隔離するのが我々の任務です。 ████課長補佐: では、今後はあの照明無しでやるしかないですね。あれ無しだと手間がかかりますが。 ████課長補佐: そちらの任務は異常な物品の隔離でしたよね。もうこの場所にそのような物はありませんよ。 <記録終了> + 補遺 閉じる 実験中、一人のDクラスがSCP-792-JPを見た事があると発言しました。そのDクラス職員について逮捕経緯の調査が行われた結果、当該Dクラス職員は██県警察によって逮捕されていた事が判明しました。当該Dクラス職員の犯行についての立証は自供を中心とした根拠によって行われていましたが、内容に不審な点は見当たりませんでした。しかし、捜査記録を調査した所、責任者として現████課長補佐の名前が表記されていました。 複数の署員に対して尋問を行った結果、以前より解決困難となった事件に対しSCP-792-JPを用いて容疑者の記憶に干渉したうえで自白させていた事は明らかになりましたが、オブジェクトの由来については退職済みの職員や外部の組織への言及もあり明確にはならず、現在も調査中です。また、過去にSCP-792-JPの影響により逮捕へと至った人物を調査した結果、その中からDクラス職員として財団に雇用された人物が██名存在する事が判明しました。その内██名は既に終了しており、生存中の当該Dクラスに対しての処遇については保留とされています。 ███警察署に対する潜入捜査を続行した結果、犯行を否認していた容疑者が大人しく犯行を認めた事例がSCP-792-JP収容後も引き続き確認された事からSCP-792-JPの他個体の存在が疑われました。しかし、これらは容疑者に対し違法な行為を含む取り調べが長期間行われた事による精神の摩耗によるものであり、財団の収容対象となる異常なオブジェクトの存在は確認できませんでした。 Footnotes 1. 財団職員のギリシャ留学経験を用いて実験を行いましたが、被験者が得たギリシャ語知識は日常会話レベルに遠く及びませんでした。 2. SCP-792-JP-1と同様の死因ではなく、実験後脳死状態となり、後に死亡しました。
scp-793-jp
評価: +146+–x アイテム番号: SCP-793-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-793-JPは国内の著名観光地に存在することから、当地にサイトを建設し、収容することは不可能です。観光案内センターに扮した監視施設を設置し、監視員、および研究員の駐屯拠点とします。監視員は██砂丘を見回り、観光客が砂地を掘削しないよう注意してください。研究員は主任研究員の指示の下、定期的にカバンの発掘を行い、カバンが砂丘から溢れないようにしてください。発掘されたカバンは近隣のサイト-81██に運搬し、焼却、廃棄してください。手紙はファイリングして保存してください。死体は身元を調査した後、標準手順にのっとり、焼却、埋葬してください。 説明: SCP-793-JPは██県██市に存在する██砂丘において発現する現象です。██砂丘の地表より約1m地下に、大型のカバン1が複数埋没しており、それらは日々増加します。それぞれのカバンの中身は、一通の手紙と、一体の死体です。 現在のところ、発見されるすべての死体の身元は判明していません。遺伝子検査によって、明らかに親族であると推定される人物が複数判明しましたが、死体の人物についてなんらかの知識をもつ推定親族はこれまで1人も存在しませんでした。また、死体の人物が過去に生きて存在していたとする物的証拠・状況証拠ともに一切見つかっていません。このことから、死体の人物は過去の改変、もしくは反ミームの影響を受けた可能性が考えられますが、現象主体が不明であることから確定はできません。 SCP-793-JPは、████/██/██に発見されました。前日の深夜、台風██号が██砂丘を直撃した影響により、一部露頭したカバンを観光客が発見しました。中身を確認した同観光客によって警察に通報され、死体遺棄事件として捜査が行われました。その際の現場検証により、██砂丘一帯の地下にカバンが埋没していることが判明しています。また警察による捜査の途上、厳重な監視下にあった調査済みの地点より再びカバンが出土したことから、異常性の疑いありとして、警察内の協力者より財団に連絡がなされました。 当初は異常性のない単なる死体遺棄事件であると考えられていたため、メディアによる報道がなされましたが、財団への管轄移譲以降、規制されました。現在において、本件に対する公衆の関心はすでに薄れているため、特にカバーストーリーは流布されていません。公には未解決事件として扱われています。   第1次大規模発掘調査記録(抜粋) ████/██/██ シリアルナンバー: SCP-793-JP-1 カバン: トランク 手紙: 便箋(A5。乱雑に丸められた折跡有り。指紋の状況から死体の人物の手によるものと推察される) ██先輩へ 予選大会、お疲れさまでした。 甲子園に行けなかったのは残念ですけど、でも、先輩がこれまでとてもガンバって練習してきたこと、わたし知ってます。 毎日、一番早くグラウンドに来て、一番遅く帰るのは先輩でした。 声出しも一番大きくて、雑用だって文句も言いませんでした。 ストーカーみたいって思わないでください(笑) わたし、先輩から目を離せませんでした。 わたし、先輩のことが好きです。 もしよかったら、お付き合いしてください。 お返事、聞かせてもらえると嬉しいです。 ██ ███ 死体: 男性。推定年齢10代後半。██県立██高校硬式野球部のユニフォームを着用。 特記事項: ██県立██高校硬式野球部に██という名前の男性は過去に存在しなかったことを確認済み。送り主らしき女性を特定できたが、すでに異常性のない死因で死亡済みだった。 シリアルナンバー: SCP-793-JP-12 カバン: スーツケース 手紙: 画用紙(四つ切)にクレヨンで書かれた似顔絵のようなものと言葉 せんせい だいすき 死体: 女性。推定年齢20代後半。Tシャツにジーンズ、エプロンを身に着け、左胸に『さいとう あきこ』と記載されたチューリップ型の名札 特記事項: 死体の身元、手紙の送り主、ともに不明。 シリアルナンバー: SCP-793-JP-19 カバン: スーツケース 手紙: コピー用紙(A4。画面レイアウトなどから、携帯メールをスクリーンショット撮影し、レーザープリンターにてプリントアウトしたものと考えられる) 好きです。突然すみません。でも、最初にどうしてもこれだけは言っておきたくて。 あなたの笑顔を見るたびに、胸がときめくのです。 今まで生きてきた中で、こんな思いをすることはありませんでした。 私を愛してほしいとは言いません。 ただ、微笑んでくれるだけでいいのです。 死体: 男性。推定年齢20代後半。スーツを着用。 特記事項: 死体の身元、手紙の送り主、ともに不明。 シリアルナンバー: SCP-793-JP-21 カバン: スーツケース 手紙: コピー用紙(A4。画面レイアウトなどから、オンラインゲーム『[編集済]』のチャット欄をレーザープリンターにてプリントアウトしたものと考えられる) ██████: こんばんは<███████ ██████: あれ? おーい ██████: 寝落ちっすか? ██████: ……あの、思い切って言いますけど。変なこと言っていいっすか? ██████: オレ、███████さんのこと、好きっす ██████: いつも優しいし、かわいいし、みんなに親切だし ██████: ほんとに好きです ██████: あ、でも、今度会いましょうとか、そんな出会い厨みたいなこと言いませんよw ██████: ほんと、変なこといてすみません ██████: ×:いて 〇:言って ██████: じゃ、落ちます。おやすみなさい システム: ██████がログアウトしました。 死体: 男性。推定年齢30代後半。スウェット上下を着用。 特記事項: 『[編集済]』の運営会社より入手したログを調査したが、当該の発言を確認できず、発言主も確認できなかった。死体の身元も不明。 シリアルナンバー: SCP-793-JP-26 カバン: キャリーバッグ 手紙: ルーズリーフ(A4B罫)の切れ端。死体の人物および、下記の推定差出人の指紋が付着していた。 ██へ 今日は、教科書ありがとう。本当に助かった。 また忘れたらよろしく。 ██ ██ 死体: 女性。推定年齢10代前半。東京都██区立██中学校の制服を着用。 特記事項: 手紙の差出人と思しき、姓名の一致する██中学校卒業生の男性を特定。インタビューを行った。インタビュー記録793-JP-26を確認のこと。死体の身元は不明。   インタビュー記録793-JP-26 ████/██/██ インタビュアー: ██研究員 インタビュー対象: ██ ██氏(男性・42歳)   インタビュー対象は、シリアルナンバー"SCP-793-JP-26"の手紙の差出人であると推定される人物である。 <記録開始> ██研究員: まず、こちらの手紙をお読みください。   ██ ██: はぁ(対象は研究員より手渡された手紙を読む)。   ██研究員: これを書いたのはあなたですね?   ██ ██: え? いや、こんなものを書いた覚えは(語尾を濁す)。   ██研究員: ない?   ██ ██: ええ。   ██研究員: しかし、これは(研究員は手紙に書かれた差出人の名前を指さす)あなたですよね? 我々の調査では、██歳ごろのあなたの筆跡とも一致していることを確認済みです。   ██ ██: そんなことを言われても。まったく記憶にありません。   ██研究員: 宛先の名前に覚えはありませんか?   ██ ██: (唸るように)ない。   ██研究員: そうですか。では、次にこちらを(研究員は対象に、手紙とともに発掘された死体の顔写真を見せる)。   ██ ██: これは?   ██研究員: この女性に見覚えは?   ██ ██: ありません。   ██研究員: もう一度、見てください。   ██ ██: (かぶりを振る)ないものはないですよ。   ██研究員: では、そうですね。これらを見て、何か感じられたことは?   ██ ██: ううん。(手紙と写真を交互に見ながら)この子が、手紙の宛先ですか?   ██研究員: おそらく。   ██ ██: これを書いたのが誰かは知りませんけど、気持ちはわかる気がしますよ。   ██研究員: どういうことですか?   ██ ██: だって、こんなに可愛くて、それに優しいんでしょう? そりゃあ、ラブレターの一つも送りたくなるんじゃないですか?   ██研究員: ふむ。ラブレターですか。   ██ ██: まぁでも、僕は(溜息をつく)。   ██研究員: どうしました?   ██ ██: 僕は、内向的だから。とくに、これ、中学の時の手紙でしょう? とてもとても、好きな子に手紙を出すなんて、そんな事。   ██研究員: あなたには書けなかった?   ██ ██: (数秒手紙を見た後うなずく)ええ。 <記録終了> Footnotes 1. 旅行用トランク・スーツケース・キャリーバッグなど
scp-794-jp
評価: +178+–x アイテム番号: SCP-794-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-794-JPは、サイト-8152内に存在するコンクリートで構成された40×40×10mの区画の内部に収容されています。調査・実験を行うときを除き、SCP-794-JP区画内への立ち入りは禁止されています。また、SCP-794-JP-1は、レベル3クリアランスの元、厳重に保管してください。 説明: SCP-794-JPは、愛知県███市に存在する公園です。確認されている限り、おおよそ400平方メートルの範囲が同一の異常性を示しており、変動は見られません。 SCP-794-JPの異常性は、SCP-794-JP内部にて一般に「遊び」と定義される行動を複数人で行いつつ、一定の文章(SCP-794-JP-1と指定)を発音することによって発現します。「遊び」を行うことなくSCP-794-JP-1を発音しても、異常性は発現しません。条件を満たしている状態でSCP-794-JP-1を発音した場合、即座に未知の人型実体(SCP-794-JP-2と指定)がSCP-794-JP内の空間から出現し、「遊び」に参加します。 SCP-794-JP-2はさも最初からそこに居たかのように振る舞い、また、SCP-794-JP-2を観察している全ての人間に、「SCP-794-JP-2は最初からそこにいた」と思わせるミーム的性質を持ちます。「遊び」が何らかの理由により終了した場合、SCP-794-JP-2は即座に消滅します。このプロセスを記録する試みはことごとく失敗しました。また、この時点で「遊び」の参加者はSCP-794-JP-2が「遊び」の途中に自分たちの中に紛れ込んだことを認識できるようになります。SCP-794-JP-2は、殆どの場合他の「遊び」の参加者と一緒に居ても違和感の無い格好をしており、異常な出現・消滅の能力を持つ以外は普通の人間と変わりないように見えます。 SCP-794-JPは20██/██/██、現地で広まっていた「座敷童と遊べる公園」の噂話を元に財団が行った調査の末に発見されました。周辺住民にはBクラス記憶処理が行われ、SCP-794-JPを包囲するようにサイト-8152が建設されました。 以下はSCP-794-JPのについての実験記録です。 実験記録794-JP-1 - 日付20██/██/██ 対象: D-794-1、D-794-2、D-794-3、D-794-4 実施方法: SCP-794-JP内部で「鬼ごっこ」を行う。また、開始3分が経過した時点で、被験者のうち一人にSCP-794-JP-1の記録されたメモ用紙を渡し、内容を読み上げさせた。以降の実験において、特に記載がない場合、これと同じ手順で行われたものとする。鬼はD-794-1 結果: D-794-1がSCP-794-JP-1を読み上げ、SCP-794-JP-2が出現。対象は標準的なDクラス職員と同じ服装をしており、20代後半の男性に見える。対象はゲーム終了時まで鬼ごっこに参加し続けた。 分析: この記録を以降の基準とし、実験方法もこれを元とすること。- 平田博士 実験記録794-JP-2 - 日付20██/██/██ 対象: D-794-5、D-794-6、D-794-7、D-794-8 実施方法: 行われたゲームは「だるまさんがころんだ」。開始5分が経過した時点で、ゲームの進行に関わらず強制的にゲームを中断した。鬼はD-794-5。 結果: D-794-5がSCP-794-JP-1を読み上げ、SCP-794-JP-2が出現。対象は、服装については前回の実験と同様だったが、女性の姿をしていた。また、ゲームが中断されると同時に消滅した。 分析: 外部からの干渉によってゲームが中断された際にも、同様に消滅するらしい。- 平田博士 実験記録794-JP-3 - 日付20██/██/██ 対象: D-794-9、D-794-10、D-794-11 実施方法: 行われたゲームは「大富豪」。 結果: D-794-9がSCP-794-JP-1を読み上げ、SCP-794-JP-2が出現。対象は眼鏡を付けた中年の男性に見える。 分析: 体を動かす遊びでなくとも問題はないことが判明した。- 平田博士 実験記録794-JP-4 - 日付20██/██/██ 対象: D-794-12、D-794-13、D-794-14 実施方法: 行われたゲームは「マリオパーティ8」。 結果: D-794-12がSCP-794-JP-1を読み上げ、SCP-794-JP-2が出現。対象は30代の男性に見える。また、頭部に特徴的な傷跡を持っていた。 分析: ビデオゲームの類でも問題はないらしい。次は第三者の介入の余地のないゲームについての実験を行うものとする。- 平田博士 実験記録794-JP-5 - 日付20██/██/██ 対象: D-794-15、D-794-16、D-794-17 実施方法: 行われたゲームは「麻雀」。起家はD-794-15。 結果: D-794-15がSCP-794-JP-1を読み上げ、SCP-794-JP-2が出現。対象は年老いた(70台前後か)男性に見える。 分析: 麻雀で実験をするのは分かるが、何故3人で行ったんだ?さらなる調査を行う。 - 平田博士 実験記録794-JP-6 - 日付20██/██/██ 対象: D-794-18 実施方法: 行われたゲームは「将棋」。先手はSCP-794-JP-2。 結果: D-794-18がSCP-794-JP-1を読み上げ、SCP-794-JP-2が出現。対象は20代前後の女性に見える。 分析: 何かがおかしい。SCP-794-JP-2が先手で、どうやってゲームを開始するんだ?何度映像記録を見ても分らない。もう一度、実験を行う。 - 平田博士 実験記録794-JP-7 - 日付20██/██/██ 対象: D-794-19 実施方法: 行われたゲームは「腕相撲」。 結果: SCP-794-JP-2がSCP-794-JP-1を読み上げ、SCP-794-JP-2が出現。対象は30代後半のヨーロッパ人の男性に見える。 分析: SCP-794-JPは何かまだ異常性を隠し持っていると思われる。引き続き調査を行う。 - 平田博士 補遺1: この後、数回に渡って実験が行われましたが、新しい成果を得ることはできませんでした。 補遺2: 実験記録794-JP-7以降、SCP-794-JP内で出所不明の玩具・遊び道具・電子機器が発見される事案が相次いで発生。現在、調査が行われています。
scp-795-jp
評価: +46+–x アイテム番号: SCP-795-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: その性質上SCP-795-JPの完全な収容は困難です。SCP-795-JPの出現範囲及び周辺地域に財団の警備員4名を住人として常駐させ、平常時は率先して当該地域内の住人の防犯意識の強化、児童・青少年のモラル向上の為の活動等を行いSCP-795-JPの出現を抑えるようにしてください。SCP-795-JPの出現が確認された場合は直ちに対象者や目撃者への聞き取り調査を行った後、彼等にクラスD記憶処理を施してください。SCP-795-JPによる実験を行う場合、レベル3以上の職員の許可を得てください。収容及び実験の過程において財団職員がSCP-795-JPによる被害を受けた場合、当該職員にクラスC記憶処理を施してください。なお、全ての記憶処理はSCP-795-JPの出現範囲外で行ってください。 説明: SCP-795-JPは██県██市██地区のある民家を中心とした半径25mの範囲内に出現する、半透明で痩せこけた人間の右手です。SCP-795-JPは常に拳を握った状態で出現し、一度に複数のSCP-795-JPが出現する事も確認されており、その形状は全て同一です。SCP-795-JPは実体を持たず、接触しようとする試みはこれまで失敗しています。また、映像・写真による記録の試みも失敗しています。 SCP-795-JPはその出現範囲内において、一般的に犯罪・非道徳的と呼ばれる行為を行おうとする人間(以下対象者と表記)の頭上約3mの地点に、指側を下にして出現します。犯罪・非道徳的とされる行為についてはこれまで確認されているケースとして痴漢・引ったくり・不法侵入・詐欺紛いの訪問販売・公然でのわいせつな行為1のような刑事法・軽犯罪法に抵触するものから中学生によるいじめ行為、子供の度の過ぎた悪戯など多岐に渡り、その明確な基準は不明です。 出現したSCP-795-JPは対象者の移動に合わせてその頭上を移動し、対象者がどれだけ高速で移動しても出現範囲内であれば追跡し頭上に留まり続けます。壁や天井が存在する場合でもSCP-795-JPはそれらの物体をすり抜けて移動します。対象者が出現範囲外に移動した場合SCP-795-JPは消失します。 対象者が行為を実行しようとする瞬間、SCP-795-JPは対象者の頭に向けて高速で落下、対象者の頭部と接触した際に対象者に物理的な衝撃を与えた後消失します。この際に生じる衝撃は対象者の実行しようとした行為が実際に行われた場合に周囲に与える被害・影響が大きいほど強いと推測され、気絶するほどの衝撃を受けたケースも確認されています。また、SCP-795-JPによって衝撃を受けた対象者の殆どが自分が行おうとした行為に対して罪悪感や強い後悔を抱くようになった事も確認されています。なお、クラスC記憶処理を行う事によってSCP-795-JPがもたらす罪悪感や後悔を除去できる事が判明しています。 SCP-795-JPは2016年1月頃から上記地区内で誰も居ない筈なのに何者かに頭を殴られた、人間の手の幽霊を見た、という報告を受け調査した結果SCP-795-JPの存在と特性・出現範囲を確認しました。 補遺1: SCP-795-JPの出現範囲の中心となっている民家は2016年現在空き家となっています。家主だった男性は2015/██/██に89歳で病死しており、家族や親族は居ない事が確認されています。男性のSCP-795-JPとの関係は現在調査中です。 + 当該男性に関する調査記録(抜粋) - 閲覧を終了する 調査記録795-JP-001 実施日: 2016/██/██ 内容: 近隣住人に対する聞き取り調査 対象: 住人A、住人B(いずれも40代女性) インタビュアー: エージェント・██ <録音開始> エージェント・██: そこの家に住んでいた方についてお聞きしたいんですが。どんな人だったんでしょうか? 住人A: ああー、██のお爺ちゃんねー。 住人B: 厳しいというか、悪い事を許せないお爺ちゃんだったわね。 住人A: そうそう。悪戯した子に怒るんだけど、ちゃんと後で優しく諭したりねぇ。私も昔怒られたっけ。根は優しいのよね。 住人B: 2年ぐらい前に足を悪くして出歩けなくなるまでは、率先して町内の夜回りとかしてくれてたし。 住人A: 悪質な押し売りを相手に延々諭して撃退した、なんて話も聞いたことあるわ。 エージェント・██: なるほど。しかし、お話を聞くに相等真面目な方だったようですね。 住人A: そうなのよねぇ。頭に馬鹿がつくぐらい真面目と言うか。 住人B: ただ、ちょっと怖いと思った事もあるけどねぇ。歩けなくなってからも「自分がやらないと駄目なんだ」って言って無理しようとしたりして、ヘルパーさん困らせたりしてたみたいだし。 住人A: 亡くなる前まで「自分が、自分が」って言ってたみたいだし……責任感、というよりはもっと重いものを背負ってる感じだったわよねぇ。なんでそこまで、って言う感じ。 エージェント・██: どうしてそのお爺ちゃんは何事も自分でしようとしたんでしょうね? 何か心当たりはありますか? 住人A: さぁ……(住人Bの方を見ながら)何か知ってる? 住人B: あ、そういえば昔こっちに引っ越してくる前に何か事件があったって聞いた事はあるけど。 エージェント・██: そのお爺ちゃん、ずっとこちらに住んでたんじゃないんですか? 住人B: ええ、確か私が中学の頃に越して来たんだったと思うけど。 住人A: そういえば、お爺ちゃんの昔の話って聞かないわよねぇ。 住人B: あんまり自分の事を話さなかったからねぇ……で、聞いた話だとその時になんか大怪我して、右手が不自由になったって。 エージェント・██: え、そうだったんですか? 住人A: ええ、筋が切れてるとかで、指もほとんど動かなくて、握る事もできなかったみたいだし……そう言えば、悪戯した子に注意した後、じぃっと右手を見たりしてる事もあったわね。 住人B: 何をしたのか分からないけど、自分のした事への後悔があったのかしらね。だから他人に対して厳しくも優しかったのかもねぇ……。 エージェント・██: なるほど、お時間取らせてすいません。ありがとうございます。 <録音終了> 補遺2: 当初SCP-795-JPの特別収容プロトコルとして、SCP-795-JPの出現範囲の地区にカバーストーリー「██市の都市再開発計画」を流布した後、当該地域の住人を移転させた上で土地の整備を行いSCP-795-JPの収容区画を設定する予定でした。しかし、住人との交渉の為に赴いた財団職員に対してSCP-795-JPが出現、一部の者がその被害を受けました。また、補遺1に記した男性の住んでいた民家への立ち入り調査の際にもSCP-795-JPが出現しました。こちらのケースに関しては当該男性の世話をしていた訪問介護員を同行させる事でSCP-795-JPの出現を防ぐ事ができました。 SCP-795-JPからすれば、住人を騙して土地と家を奪おうとする地上げ屋や泥棒に見えたのかも知れんねぇ……。 -白金博士 これらの報告を受け検討した結果、現状ではSCP-795-JPの完全な収容は困難であるとして現在の特別収容プロトコルを適用しながら実験・観察を継続する形となっています。 脚注 1. 俗に「立ちション」と呼ばれる行為
scp-796-jp
評価: +31+–x SCP-796-JP アイテム番号: SCP-796-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: その性質上SCP-796-JPを完全に収容する事は不可能です。SCP-796-JPが出現する日の月の出の1時間前よりSCP-796-JPの出現範囲に機動部隊ぬ-7("兎狩り")を待機させ、月の出と共にSCP-796-JPを捜索、出現場所を特定してください。特定後はSCP-796-JPを隠蔽したうえで適宜その時の状況に応じたカバーストーリーを流布し、SCP-796-JPが消失するまで財団関係者以外の者がSCP-796-JPの目視を行うことを回避してください。SCP-796-JPによる実験を行う場合、レベル3以上の職員の許可を得てください。 説明: SCP-796-JPは██県██市の██公園内及びその周辺において定期的に出現と消失を繰り返す、青い塗料で描写された左手を模したと推測されるイラストです。SCP-796-JPは満月の日に██県における月の出と共に出現し、月の入りと共に消失する事が確認されていますが、曇天・雨天の際は出現が月の出より30分~1時間程遅れる事例が確認されています。出現に際しては出現範囲内に存在するビルの壁面等目立つ場所に出現する傾向がありますが、出現の法則性は発見されていません。また、発見から現在に至るまで一度に複数のSCP-796-JPが出現した例は報告されていません。 SCP-796-JPの形状を模倣した左手 SCP-796-JPの特異性はSCP-796-JPを直接目視した者(以下対象者と表記)が左手でSCP-796-JPの形状を模倣した時(右写真参照)に発現します。この特異性の発現は目視から時間が経過していても発現することが確認されています。対象者は自身の左手が手首部分から「ウサギの頭部を漫画風にデフォルメしたような生物」(以下SCP-796-JP-1と指定)に変化したと認識し、左手を自身の意思で動かす事が出来なくなります。対象者はこの間指の形を維持し、他者が強制的に形状を崩そうとしても、この形状を維持しようとし続けます。睡眠時・失神時等対象者の意識が無い場合指は崩れますが、意識の回復に伴い自動的に指は再度形状を形成します。なお、この特異性はクラスB記憶処理を行う事によって消失、無効化させる事ができます。 + 資料: SCP-796-JP-1のスケッチを閲覧 - 閲覧を終了する D-796-01への聞き取りを元に作成されたSCP-796-JP-1のスケッチ(作画:雪麻研究員) 対象者の証言によればSCP-796-JP-1は対象者の母国語を理解し会話する事が可能です。また、SCP-796-JP-1に触れたり危害を加えようとする相手に対して攻撃的になる傾向があります。 + インタビュー記録796-JP-02を閲覧 - 閲覧を終了する インタビュー記録796-JP-02 - 2017/02/13実施 対象: D-796-01(当インタビューの前日にSCP-796-JPの特異性を発現させる) インタビュアー: 白金博士 <記録開始> 白金博士: こんにちは、D-796-01。調子はどうですかね? D-796-01: 調子ぃ? 良い訳ねぇだろうが。手がこんなワケのわかんねぇバケモノになっててよぉ……(左手の掌側を自分の方に向け、親指を中指・薬指の爪にくっつけたり離してたりしている。その左手を睨みながら)うるせぇよ、ウサ公! 白金博士: SCP-796-JP-1は何と言っているんです? D-796-01: 「一心同体なのにバケモノ扱いは酷い」だとよ。こっちはてめぇがキーキー騒ぐせいで眠れなかったんだよ!(親指を爪から離し左手を前後に振る)コイツ、笑ってやがる……。 白金博士: まぁまぁ、落ち着いてください。 D-796-01: 落ち着ける訳ねぇよ! この野郎!(右手で左手首を掴むが左手が激しく動き、右手を振りほどく)なぁ、なんとかしてくれよ、博士! 白金博士: インタビューが終了次第適切な処置を行う予定ですので、我慢してください。それでSCP-796-JP-1はどんな事を貴方に話していましたか? D-796-01: なんとかしてくれよ、マジに……俺に対する悪口だな。あと……ええっと、あんまり言いたくないんだけどよぉ……言わなきゃダメか? 白金博士: お願いします。 D-796-01: はぁ……分かったよ。俺の性癖とか、恥ずかしい過去とかだよ。ガキの時に教室で[削除済]した、なんて俺自身が忘れてた事まで蒸し返しやがって。 白金博士: なるほど、貴方自身の秘密を喋っている、と。 D-796-01: そういう事だよ……ち、「俺はお前なんだから分かる」ってよ。 白金博士: まぁ、そうでしょうねぇ。私から見れば貴方が左手を動かしてるようにしか見えない訳ですから。 D-796-01: け、呑気に言ってくれやがってよ……ん? ははっ、博士、アンタも言われてるぜ。 白金博士: 私に? 何と言ってるんですか? D-796-01: 「アンタみたいな頭の硬そうなオッサンに、俺の事が分かるワケない」だとさ。 白金博士: ……D-796-01。その言葉は貴方自身が思っている事、ではないですよね? D-796-01: 俺はそんな事思ってねぇよ! むしろ助けて欲しいし! この野郎、また笑いやがって! あー、もう許せねぇ! 白金博士: 落ち着いて。D-796-01。 D-796-01: うるせぇ! このウサ公が!(左手を大きく振り上げ机に叩きつけようとするが、その手は机の手前で止まり)こ、この野郎! うわああぁ!(左手の親指・中指・薬指で自分の喉を押さえる)噛まれる! 助けて! 助けてくれ! 白金博士: 鎮静剤を……記録を終了します。 <記録終了> SCP-796-JPは2016年6月頃より██県██市内の診療科目に心療内科・精神科を有する病院・医院において左手が兎になった幻覚が見える等の相談で受診する患者が複数現れた事、その全員が上記写真と同様の左手の形状を取っていた事が財団の興味を引き、調査した結果発見されました。なお、2017/██/██現在SCP-796-JPの影響を受けた対象者は██名確認されており、その全員に記憶処理を施し特異性を無効化しています。 + 実験記録796-JP-02を閲覧 - 閲覧を終了する 実験記録796-JP-02 - 2017/02/14実施 対象: D-796-01及びD-796-02(D-796-02にはD-796-01と同日にSCP-796-JPの特異性を発現させたが、当実験開始時まで両者に面識は無い) 目的: 対象者が当人以外のSCP-796-JP-1を認識可能か。また、SCP-796-JP-1同士の会話が成立するかの確認。 実施方法: 担当の白金博士立会いの下、対象2名を引き合わせその様子や会話を記録する。 <記録開始> 白金博士: それでは、記録を開始します。D-796-01、D-796-02、それぞれ相手の左手がどうなっているか分かりますかね? D-796-02: はい、分かります……僕と同じく、ウサギのような生き物になってます。というか、僕の左手と生き物そっくりに見えます。 D-796-01: こっちもだ……まったく同じみたいだぜ。驚きだな……ってかアンタも大変だな。 白金博士: なるほど、そっくりという認識で良いですかね。次に、今現在SCP-796-JP-1の様子はどうなっていますか? これまでと違う点などは見られますかね? D-796-02: 違い……ええと、ずっと彼(D-796-01)や彼の左手を見ています。 D-796-01: こっちもだ。なんかえらい殺気立っているようにも見えるけどよぉ……お仲間じゃないのか?(発言直後、二人の左手の親指が動く) 白金博士: SCP-796-JP-1は何か喋っていますか? D-796-02: 「仲間なんかじゃない」って言ってます。 D-796-01: こっちもだ。「仲間じゃねぇ」って叫んで……え? D-796-02: な、なんで……。 白金博士: どうしました? 一体何を……。 D-796-02: なんでお前がそんな事を知ってるんだよぉ! 警察にもずっと内緒にしてたのに! D-796-01: 知るかよ。ってかお前、そのツラでそんなえげつない事してたのかよ……。 白金博士: 待ってください。2人とも、何を話しているんですかね? D-796-02: こいつが! こいつが、僕の秘密を……えっ? D-796-01: ……おい待てや、そっちのウサ公。お前こそなんで、そんな……おい、噓だろ? 俺が[削除済]したなんて、なんで知ってるんだ、ああ!? 白金博士: 二人とも落ち着いて、何を言って D-796-02: そっちこそ、僕の秘密をバラしたくせに! (自分の左手を見つつ)……ああ、そうだね。君の言うとおりだ、バレた以上……。 D-796-01: (自分の左手を見つつ)おぉ、そうだな。ウサ公、初めて気が合ったな……。 白金博士: 一体何を言ってるのですか? まず落ち着きましょ……。 D-796-01: うるせぇ! 邪魔すんな!(制止する白金博士を突き飛ばしD-796-02に掴みかかる)こいつ、ウサ公ごと[削除済]! D-796-02: お、お前こそ! 黙らせてやる! 白金博士: う……記録中止! 早く二人を制止してください! <記録終了> 追記: 当実験終了後にD-796-01及びD-796-02に個別に聞き取りを行ったところ、互いに相手のSCP-796-JP-1が「自分しか知らない筈の秘密を喋った」旨の発言を行いました。その後の調査の結果、この実験の際に互いのSCP-796-JP-1が喋った秘密が事実であることが確認されました。また、自分のSCP-796-JP-1が「秘密を知ってる相手を始末するよう煽ってきた」とも発言しています。この後D-796-02に対しては記憶処理を施し特異性を無効化しました。 + SCP-796-JP-1へのインタビュー記録を閲覧 - 閲覧を終了する インタビュー記録796-JP-03 - 2017/02/15実施 対象: SCP-796-JP-1(D-796-01を介して発言を記録) インタビュアー: 白金博士 <記録開始> 白金博士: それでは、記録を開始します。D-796-01、SCP-796-JP-1の言動を偽り無く報告お願いしますね。 D-796-01: いいけどよぉ……今日こそ本当になんとかしてくれるんだろうなぁ、コイツ。 白金博士: 約束します。因みに、現在のSCP-796-JP-1の様子は? D-796-01: 分かった……信じるからな。ええっと……なんかめっちゃ絶望したようなツラしてるぜ。 白金博士: そうですか。では質問を開始します。まず、貴方は何者なのですか? D-796-01: おい、答えろよ……そっぽ向いて黙ってやがる。 白金博士: 貴方とSCP-796-JP、あの落書きとの関係は? D-796-01: ……駄目だ、博士。何も言わねぇ。 白金博士: 黙秘、ですか。いいでしょう。では別の質問。貴方は何故D-796-02の秘密を知っていたのですか? D-796-01: 黙りっぱなしだぜ。なぁ、博士、これ意味無いんじゃねぇか? 白金博士: それは私が判断する事ですので。質問を続けます。先の実験から推測するに、貴方や貴方の仲間は……憑依、と言う表現が適切かは分かりませんが、憑依した人間の記憶を共有していると考えられるのですが、実際はどうなのですかねぇ? D-796-01: あ、喋った……嫌そうな顔で「仲間じゃねぇ」って言ってる。 白金博士: しかし、同じ姿をしているのでしょう? D-796-01: うわ!?(左手を白金博士の顔前に突き出し)ちょ、ちょっと待て、落ち着け……ええっと、「仕方ないだろ、ガワが同じになるようになってるんだからよ!」って叫んでる。めっちゃ怒ってるように見えるぜ。 白金博士: なるほど。では、他の者とは敵対しているのですか? 先の実験においてD-796-02と争わせるようD-796-01を煽ったのも、相手側のSCP-796-JP-1が、貴方にとって敵だから、という事ですかね? D-796-01: 「そういう感じだ」だってよ。興奮してる、ていうか開き直ってるようにも見えるぜ。 白金博士: ふむ。しかし、そうすると記憶を共有すると言う点で協力しつつ、互いは敵対してると言うのはどうも矛盾するように感じるのですがね? D-796-01: おい、もっと小さい声で喋ってくれ。あー、「うるせぇ、こっちにも事情ってモンがあんだよ」だと。ワケわからん。 白金博士: 確かに訳が分かりませんが、興味深い話ではありますねぇ。詳しく話しては頂けませんかね。貴方の事について。 D-796-01: 「誰がこれ以上喋れるか」だってよ……「相手を煽るためとはいえ、秘密を共有できる事をバラしちまったんだ」か。言っちゃいけない事みたいだったな……え? 「それにもうすぐ、俺は消されるし」って……おい、それどういう意味だ? 白金博士: 消される、それはどういう意……。 D-796-01: うわああああぁ!?(左手が激しく痙攣している) 白金博士: D-796-01、どうしました!? D-796-01: ウ、ウサ公が急に口から泡を噴いて、ああぁ、溶けてる、どろどろに溶けてるんだよぉ!(左手の指が開き脱力した様子で垂れる)なんとかしろよ、博士、俺の、俺の左手が、左手があぁ! 白金博士: D-796-01、左手は何ともなっていませんから落ち着いて……駄目ですね、鎮静剤を! 記録を終了します!  <記録終了> 追記: 当インタビュー終了後、D-796-01の特異性は消失していましたが、左手の指に断続的な痺れや運動機能の低下の症状が残りました。これは記憶処理における特異性の無効化において見られなかった現象です。
scp-797-jp
評価: +52+–x SCP-797-JP-A(左),SCP-797-JP-B(右)。 アイテム番号: SCP-797-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-797-JP-AおよびSCP-797-JP-Bはサイト-81██に設置された大型コンテナに収容されています。2つのオブジェクトはコンテナ内の中央の机に常に固定された状態です。コンテナ内の壁面、床、天井には耐衝撃に優れた強化ゴムを取り付けてください。コンテナ内へ入室する場合、セキュリティクリアランスレベル3以上の職員の許可を必要とします。SCP-797-JP-AとSCP-797-JP-Bが活性化した場合、危険なため入室している職員はただちにコンテナ内から退室してください。その後、2つのオブジェクトが不活性化状態になるまで、コンテナ内への立ち入りは禁止されます。 説明: SCP-797-JPは2体の小型の置物であり、豚型(SCP-797-JP-A)とキリン型(SCP-797-JP-B)で構成されています。 SCP-797-JP-AとSCP-797-JP-Bは、2体のオブジェクトがそれぞれの半径15cm以内に存在しているときに、不定期に活性化します。活性化したオブジェクトの半径12m以内の空間に、未知の金属で構成された巨大な「人の掌」のような物体が合計で4体出現します。それらは右手と左手で構成され、大きさは手首から中指の先までで約1m程です。これらは未知の動力により約80km/hで複雑に飛行運動を行います。また、SCP-797-JP-A付近から出現する掌は黒く、SCP-797-JP-B付近から出現する掌は黄色い色彩をしています。 それぞれの掌は「巨人が動かしているような」と報告される動作を行い、相手方の掌を殴打によって攻撃します。この戦闘の際、その余波によって周囲に甚大な被害をもたらします。掌が静止物体に衝突した場合の衝撃力は2トン以上と計測結果が出ており、実際の活性化事案では鉄筋コンクリートの物体を容易に破壊することが確認されました。速度と衝撃力から求めた計算上、掌の重量は100kg以上と考えられます。戦闘はどちらかの両手が破壊されるまで継続されます。戦闘が決着すると全ての掌は消失し、オブジェクトは不活性状態となります。 SCP-797-JP-AとSCP-797-JP-Bを15cm以上引き離した場合、オブジェクトのどちらかが瞬時にもう片方のオブジェクトの付近へ空間転移を行います。空間転移の性質は「掌」も保持しており、水没や移動が不可能な状況に陥ると使用するようです。これらの性質の為、オブジェクトを分離して保管する試みとコンテナ内を水没させて保管する試みは失敗に終わりました。 SCP-797-JP-AとSCP-797-JP-Bの発見地点は2006年、青森県の[編集済み]山内の廃屋です。当時の[編集済み]山付近の市町村では「山から大きな音が聞こえる」という情報が流れており、財団が調査を行ったところ、対象が発見されました。廃屋に人間が生活していたような形跡はなく、なぜ対象がそこに存在していたのかは不明です。 補遺1: 2012年以降、SCP-797-JP-A付近から出現する黒い掌が戦闘に勝利する結果が増加しています。また、SCP-797-JP-B付近から出現する黄色い掌には錆のようなものが発生しており、飛行速度も50km/hにまで減速していることが計測されました。 補遺2: 2013年7月8日、SCP-797-JP-Aのみが活性化し、黒い掌のみが出現しました。これはオブジェクトが収容されてから初めての事案です。この事案以降、SCP-797-JP-B付近から黄色い掌の出現は確認されておらず、SCP-797-JP-Aの活性化頻度も大幅に減少しました。空間転移の性質は依然有しているため、オブジェクトクラスの再分類は未申請です。 補遺3: 補遺2の事案以降、SCP-797-JP-Aの活性中の行動が変化しました。黒い掌が出現すると、掌は高速で日本語手話のような動作を行い、すぐさま消失します。映像記録から解読した結果は以下です。 待っているぞ。
scp-798-jp
評価: +144+–x 評価: +144+–x クレジット タイトル: SCP-798-JP - Knock Knock 著者: ©︎Tutu-sh 作成年: 2022 評価: +144+–x 評価: +144+–x SCP-798-JP。直径約10μm アイテム番号: SCP-798-JP オブジェクトクラス: Keter 特別収容プロトコル: SCP-798-JPの個体数と分布範囲の規模、自然界においてSCP-798-JPが励起される事例の特異性、財団の予算と隠蔽工作の上限を鑑み、SCP-798-JPの全個体無条件画一収容は実施されません。SCP-798-JPによる被害を低減するため、財団は各国政府および世界オカルト連合(GOC)と連携してアクリル樹脂をはじめとする非ケイ酸ガラスの開発・普及プロジェクトを運用します。SCP-798-JPの活性化を防ぐため、SCP-798-JPの加熱処理は禁止されます。 SCP-798-JPによるインシデントは警察組織等との連携を介して検出されます。回収に際してケイ酸ガラス製品の使用は固く禁じられ、酸化型大気への接触もアルゴンガスを用いて最小限にすることが義務付けられます。回収されたSCP-798-JPおよび犠牲者のサンプルは液体窒素気相を用いて-150℃で冷凍保存されます。 SCP-798-JPによる犠牲者はカバーストーリー「孤独死」または「自殺」が適用され、財団管理下の特殊清掃担当班により処理されます。 説明: SCP-798-JPは、二酸化ケイ素(SiO2)を主成分とする被殻を有する、アクチノキクルス属の未定種(Actinocyclus sp.)に分類される中心珪藻です1。SCP-798-JPは低確率でありながら休眠状態での珪砂への混入が汎世界的に認められ、具体的には開放的な地表水が存在する地球上の全ての陸地で確認されており、グリーンランド氷床下の陸成層および海成層からも微化石が報告されています。陸成層からの産出より、珪砂への混入は大陸地殻を形成する花崗岩等岩石の浸食・運搬時に生じたと推測されます。 SCP-798-JPは強い高温耐性を持ち、石英を主とする珪砂に混入したままケイ酸ガラスの製造過程を通過します。原料の加熱・熔融過程において励起されたSCP-798-JPは生命活動を再開、周囲の熱エネルギーを化学エネルギーに変換・貯蔵します2。原料の冷却後にも残存する化学エネルギーを用い、SCP-798-JPはガラスの架橋酸素の珪素-酸素間結合を切断、SiO4四面体の連鎖的交換作用を発生、球形被殻を維持しながらガラスを透過可能と推測されます。すなわち、SCP-798-JPはケイ酸塩物質に浸透します。 SCP-798-JPはケイ酸ガラスに潜伏した状態でヒト(Homo sapiens)をはじめとする哺乳類を対象とし、対象との強制的な細胞内共生関係を構築します。宿主の死亡やSCP-798-JPの爆発的な増殖が見られることから、当該関係は完全には成立しておらず、途上段階にあると推測されます。 細胞内共生過程 各藻類系統の祖先は光合成生物の細胞を独立に取り込んだ。珪藻類はHeterokontophyta(最上部右から3番)に属し、一次植物の紅藻類と二次共生の関係にある。 1. 侵入 対象がSCP-798-JPの潜伏するガラスと接触した際、SCP-798-JPは宿主に向かってガラス内を流動します。ガラスから脱出したSCP-798-JPは先述の化学エネルギーを用い、角質を穿孔して生細胞へ十分に接近、被殻上に生体膜を合成して標的細胞の細胞膜と融合、体細胞への侵入を完了します。 この過程を繰り返し、SCP-798-JPは生殖細胞を含め対象のほぼ全ての細胞に侵入します3。またこの時、カルボン酸による神経細胞の溶脱が認められています。 2. 依存 細胞内に侵入したSCP-798-JPは、物質の能動輸送に関連する輸送体を色素体包膜上に獲得します。これはSCP-798-JPによる外部からの物質の取り込みを意味し、生命活動の維持に関して宿主細胞へのある程度の依存を示唆します4。 その一方、SCP-798-JPには完全に共生した色素体であれば消失するミトコンドリアが保有されており、宿主の細胞内での独立した活動も示唆されます。このため、SCP-798-JPは細胞内共生のうち三次共生の途中段階にあると推測されます5。 3. 増殖と無酸素化 SCP-798-JPは脊椎動物の細胞内で爆発的に増殖し、膨圧の増大や酸素欠乏を誘発します。増殖はSCP-798-JPの宿主への依存性が低く、宿主が増殖を抑制できないことが要因と推測されます。増殖したSCP-798-JPは宿主の細胞質基質を充填し、隣接する細胞へ移動を開始するため、宿主には全身の膨張、ならびに光合成色素による黄土色への変色が見られます6。 増殖したSCP-798-JPはミトコンドリアを介した好気呼吸を継続するため、宿主の全細胞において酸素は二酸化炭素に置換されます。やがて血液が動脈血・静脈血を問わず還元され、全身が強い嫌気環境に達するため、宿主は共生の開始から数分で酸素欠乏症により死亡します。 4. 宿主の死後 SCP-798-JPはクエン酸に代表される各種カルボン酸7を分泌し、非異常の過程で宿主の肉体を分解します。ただし、分解速度が小さく、また宿主の遺骸は還元的環境にあるため、多くの場合当該の過程で仮死状態となります。仮死状態はSCP-798-JPが好気環境下に置かれるまで継続します。 上述の過程を経て、SCP-798-JPはガラス形成時に受容した化学エネルギーを消費すると推測されます。エネルギーを喪失したSCP-798-JPは、生命活動再開後も再び熱エネルギーによる励起を受けるまで非異常のアクチノキクルスとして振舞うことが確認されています。 SCP-798-JPによる被害は主として人口密集地の屋内から報告されています。厳密な発生条件は未特定ですが、犠牲者の健康状態・室内の通気性の高低・および気象条件との相関は認められません。 SCP-798-JPと関連する窓の例 現在確認されている被害のうち約97.5%では、凹凸の発生をはじめとする微小な変形およびそれに伴う光の透過率の低下が窓ガラスで観察されています。また、ガラス表面より採取された埃からは、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)により、エーテル結合を持つ特異的な不飽和長鎖ケトンが検出された事例が報告されています8。 SCP-798-JPの事例の大部分では共生イベントの発生直前における窓からの異音の発生が報告されており、20世紀以降の録音技術の普及により実証されています。当該音の発生の機序としては、ケイ酸ガラスの構成原子の授受およびそれに伴う浸透が考えられています。当該音は結果として対象の好奇心・警戒心等を刺激して窓へ誘引する役割を果たしますが、SCP-798-JPに聴覚機能が確認されないことから、当該音は単なる副次的事象あるいは意図の介在しない適応的事象と推測されます。 トルコ共和国クルシェヒル県、カマン・カレホユック遺跡。後期鉄器時代の層準のガラスからSCP-798-JPが検出された。 歴史: SCP-798-JPの微化石は南極大陸を除く全大陸および大部分の島嶼の新第三系の地層から産出しています。近縁種A. ingensの微化石はオーストラリア連邦・日本国・スリランカ民主社会主義共和国・アメリカ合衆国をはじめとする広範囲の地域に分布しており、また当該種の産出レンジに相当する化石帯は下部中新統が指定されています。このためSCP-798-JPは約2,000万年前頃に種分化を遂げ9、既に氷床の存在した南極大陸を除いて汎世界的に分布を拡大したと推測されます。 ケイ酸構造物からSCP-798-JPが産出した最古の記録は、約70万年前のホモ・エレクトゥス(Homo erectus)のものと推測される、ケニア共和国南西部の黒曜石製石器中に保存された微化石まで遡ります。この他、日本国の高原山黒曜石原産地遺跡群をはじめ複数の採掘坑遺跡の黒曜石でSCP-798-JPが検出されるものの、SCP-798-JPを含有する黒曜石の割合は微々たるものです。これは天然ガラスやケイ酸塩鉱物の形成に要求される熱エネルギーをもたらす噴火の頻度・範囲が乏しく、SCP-798-JPの分布域との重複が小さかったためと推測されます。 SCP-798-JPの検出例は、熱を利用したガラス加工技術の獲得以降の層準において増加します。ペルシャ・メソポタミア・エジプトの近隣地域においてガラス生産量が増大するにつれ、励起状態のSCP-798-JPは個体数を増加し、ガラス加工技術の発達普及と共に勢力を拡大したと推測されます。12~13世紀の十字軍遠征とヴェネツィア共和国でのガラス同業組合の結成、19~20世紀の板ガラスの登場とその連続的大量生産を経て、SCP-798-JPによる被害は爆発的に急増しました。 過去に製造されたガラス製品の蓄積、また近年のSDGsの社会的普及に伴うガラスリサイクル率の向上を経て、SCP-798-JPの個体数は依然として増加傾向にあります。2032年現在、地域による差異が認められるものの、SCP-798-JPによる潜伏は窓ガラスの約█%での発生が推定されます。以下は直近200件分のSCP-798-JPによる被害記録の一覧(2032/06/13更新; 注記の無い限り日付時刻はUTC)です。完全な記録はアーカイブを参照ください。 No. 日時・場所 状況 01 2031/05/24 日 愛知県 県立高等学校での授業に際し、藤田 崇 氏(17歳・男性)が酸素欠乏症を発症。氏の救助に参加した生徒を含め4名が死亡。教室の生徒および教員より異音の発生が示唆されており、「ガラスを引っ掻くような音がした」と証言された。 02 2031/05/29 英 ランカシャー 地下鉄に乗車していたジョディ・マッコイ氏(29歳・女性)が突如として体調不良を訴え、酸素欠乏症により急死。肌の著しい変色のため、他の乗客による接触は無かった。乗客からは「カリカリという音がしていた」と証言された。 03 2031/06/01 馬 ペナン州 プールを訪れていたユスリ・アディブ氏(8歳・男性)が水死。司法解剖の結果、水を飲んだ事実は確認できず、また異常な嫌気化およびSCP-798-JPの検出により異常現象として認定。交友関係のある女児より「ガラスがキリキリ言ってた」と証言された。 … 199 2032/06/09 韓 京畿道 ショッピングモールの夜警を担当した 全 教安 氏(チョン・ギョアン、37歳・男性)が酸素欠乏症を発症し、同僚の 崔 潽善 氏(チェ・ボソン、42歳・男性)が救助に向かい、共に死亡。崔氏のボイスレコーダーにはショーウィンドウの軋む音が録音されていた。 200 2032/06/13 日 千葉県 回収されたハンディカメラの映像によると、佐桑 彩乃 氏(5歳・女性)の誕生日パーティにて、遮光カーテン越しに連続したノック音が発生。ノック音は徐々に単調増加し、興味を抱いた 佐桑 将樹 氏(8歳・男性)がカーテンを捲りガラスと接触、酸素欠乏症を発症。以降、カメラが落下したため映像での確認は不可能であるが、音声からは 将樹 氏を起点に佐桑家の住人にSCP-798-JPが感染し、救急隊の到着以前に死亡したことが示唆される。 なお、本件は異音の発生機序が異なる可能性が指摘されている。今後の議事での審議を予定。 既にケイ酸ガラスが人類社会に深く定着している点を踏まえ、財団はアクリルあるいはポリカーボネートガラスへの置換をはじめ、各国政府・GOC等と連携した対応を協議中です。 今後の関連会議 藻類・菌類・植物専門調査会 第17回会合議事 (開催予定 2032/06/14) 脚注 1. アクチノキクルス属は遅くとも新第三紀に出現していた分類群であり、現生種も生息する。同属と同様にSCP-798-JPは球形の輪郭を有し、小型の球体が中心から放射状に配列してケイ酸骨格を構築する。当該の形態を持つ珪藻類は中心珪藻に分類される。 2. 未知の熱ショックタンパク質の合成によるものと推測される。熱ショックタンパク質は、細胞が高温条件下に置かれた際にフィードバック機構の結果として産生される産物である。高温の影響で変性し疎水性領域を露出したタンパク質に作用し、タンパク質の不可逆的な凝集を阻害、遊離して正常な折り畳みを促進する機能を有する。SCP-798-JPの場合、この熱ショックタンパク質の合成が同化過程を兼ねると予想される。 3. ただし、他に細胞小器官を持たない赤血球などを除く。 4. 酸素発生型光合成生物においては、細胞質基質内で合成された葉緑体様タンパク質を葉緑体内に特異的に輸送する輸送体が葉緑体外膜に存在する。このため、宿主細胞の核DNAにSCP-798-JPのDNA断片が転移し、色素体様タンパク質が宿主の核ゲノムにコードされた可能性も認められる一方、実証はなされていない。 5. 藍藻類を共生体とした藻類の1つに紅藻類がおり、紅藻類は一次共生を遂げた一次植物である。同様に、紅藻類を共生体とした藻類の1つが珪藻類であり、珪藻類は二次共生を遂げた二次植物に指定される。SCP-798-JPは自らを共生体とし、脊椎動物を対象とする三次共生を進行している。非異常珪藻類の三次共生は一部の渦鞭毛藻にも見られており、当該の渦鞭毛藻の色素体は内部構造にグラナを欠き、三重のチラコイドとそれに付着するフコキサンチンを有する。 6. SCP-798-JPは非異常の珪藻類と同様の光合成色素を保有する。具体的には、陸上植物と共通する濃緑色のクロロフィルaの他、黄緑色のクロロフィルc、黄色・赤色を呈するカロテノイド系色素を保有する。カロテノイド系色素は橙色のフコキサンチンに代表され、その他に黄色のβカロテン等を含む。 7. SCP-798-JPの場合、周囲の有機物・無機物の分解に寄与し、窒素やリンおよび鉄といった栄養塩の摂取に利用される。同様の有機酸の分泌は陸上植物においても確認されており、土壌の生成に寄与する。 8. ケトン分泌の適応的意義は不明だが、貯蔵脂肪としての役割が推測される。不飽和長鎖ケトンは炭素鎖中の二重結合の位置や数に応じて分類群を特定可能な生物指標化合物であり、また難分解性のエーテル結合が存在するため、SCP-798-JPの存在を長期的に示唆する。 9. ただし、日本国の産業技術総合研究所などの研究から、バクテリアによる生物種間の体内共生は十数年~数百年スケールで進行しうる事例が報告されている。一般に細胞内共生の場合、共生体が共生生物の体細胞から卵細胞に継承され、さらに胚発生に成功して子孫に継承される必要があるため、体内共生と比較して必要な時間スケールが長大化する。しかしそれを加味しても2,000万年の間に当該の過程が成立する可能性が従来よりも高く見積もられることから、細胞内共生機構の出現はSCP-798-JPの種分化に遅れて生じたと予想される。
scp-799-jp
評価: +57+–x 事案-799-JP-███時に撮影されたSCP-799-JP-bの外見 アイテム番号: SCP-799-JP オブジェクトクラス: Euclid 特別収容プロトコル: SCP-799-JP-aは防水加工を施した人型収容室へ収容されます。収容室内は監視カメラによって常時監視してください。SCP-799-JP-aが特異性を発現した場合、室内は自動的に清掃され、同時に担当職員と医療部門への通達が行われます。医療部門の職員はプロトコル-799-JPに従って、収容室内の衛生環境を保つための外科手術を行ってください。 SCP-799-JP-bの出現を確認した場合、付近のエージェントは即座に出現地に向かってください。SCP-799-JP-bの出現の要因となった人物を保護した後、SCP-799-JP-bを支給される麻酔銃によって無力化してください。無力化したSCP-799-JP-bは、サンプルとして常時3体を保護し、SCP-799-JP-aのものと同等の設備が施された収容室に収容してください。3体以上のSCP-799-JP-bが確保された場合、ペントバルビタールナトリウムを用いてSCP-799-JP-bを終了してください。SCP-799-JP-bの生存状態での収容に失敗した場合、死体の発見と確保を急いでください。また、SCP-799-JP-bの死体はすべて焼却してください。SCP-799-JP-bの出現の要因となった人物について、保護に成功した場合本人にBクラス記憶処理を行ってください。失敗した場合にはその人物の周囲にカバーストーリー"単身落下"が適用、流布されます。 説明: SCP-799-JPは、SCP-799-JP-aとオブジェクトの性質上未収容のSCP-799-JP-bから構成されます。 SCP-799-JP-aは、10代後半とみられる女性です。SCP-799-JP-aは収容開始時から意識は無く、心肺機能も停止していますが、身体の腐敗が進む様子は見られません。SCP-799-JP-aを蘇生することは成功していません。 SCP-799-JP-bは、SCP-799-JP-aと同じ外見をした人間型オブジェクトで、常に埼玉県立██高校のものと一致する制服を着用しています。SCP-799-JP-bは、自殺願望から誘起された飛び降りる意志を持って、18m(一般的なビルの5階相当)以上の高所を1人で訪れると出現し、常に背後から語りかけます。出現の瞬間を捉える試みは全て失敗しています。 SCP-799-JP-bは、自殺志願者に対し温和な態度で接し、志願者の[削除済み]や自殺の動機などに関する会話を開始します。この会話には記憶を改竄する精神的な作用があると考えられ、会話が進むと自殺志願者は次第にSCP-799-JP-bを自分が心中するために呼び出した相手だと認識するようになります。認識が変更されていくことに伴って、SCP-799-JP-bの言葉遣いや自殺志願者に対する呼称が徐々に親しい間柄の人間に対するものとなります。最終的にSCP-799-JP-bは自殺志願者に自分と一緒に飛び降りるよう促し、自殺志願者はこれを承諾、その後両名は高所から飛び降り、自殺を図ります。SCP-799-JP-bとの会話には何らかの強制力があるとされ、自殺志願者が会話を拒否することはできません。SCP-799-JP-bの出現は日本国内のみで確認されています。 SCP-799-JP-bが飛び降り死亡すると、SCP-799-JP-aの身体には前触れなく裂傷、打撲、骨折などが起こります。これらの損傷は、SCP-799-JP-bの死体に残るものと一致します。この際、大量の出血や内臓の破損が併発しますが、体表の傷を含め2日から3日程で回復します。失われた血液は未知の方法で補填されているとされ、血圧は90〜100mmHgの間で安定します。 SCP-799-JP-bはSCP-799-JPによる事案の発生開始から2015年度終了までに█████体が収容されました。これらは同時期の内閣府による日本国内における飛び降り自殺者の報告数の統計より█████人多い数値となっています。 また、SCP-799-JP-bは1ヶ月に約120体が収容されます。現在、SCP-799-JP-aには██箇所の裂傷や、頭蓋骨をはじめとする92箇所の骨折を含めた傷創が残っています。 + 事案-799-JP(一部抜粋)を表示 - 閉じる 事案799-JP-002 概要: 30代男性によるSCP-799-JP-bの出現。両名は東京都██区の高層ビルから落下し死亡した。SCP-799-JP-aには背中を中心とした骨折、[削除済み]などの10箇所の内臓破裂、その他裂傷などが反映された。 事案799-JP-011 概要: 愛知県名古屋市での10代女性によるSCP-799-JP-bの出現。また、同時刻に静岡県の山林部で█0代男性によりSCP-799-JP-bが出現した。女性、男性ともにSCP-799-JP-bと落下し、全員が死亡した。SCP-799-JP-aには両脚、██の粉砕骨折を含めた70箇所の骨折と肺や心臓などの破裂に加えて、胸部の腫れを確認。これらは、2体のSCP-799-JP-bの負傷を統合したものであることが判明した。 事案799-JP-032 概要: 大阪府█区での10代男性によるSCP-799-JP-bの出現。この時、エージェント██が隣接していた建物からSCP-799-JP-bを発見し、男性とSCP-799-JP-bを確保、保護した。男性には現在の特別収容プロトコルと同様の処理が行われ、SCP-799-JP-bはサイト-81██の人型収容室に収容された。SCP-799-JP-aは事案-799-JP-031で負った傷創が完治した直後で、新たな負傷は確認されなかった。 事案799-JP-033 概要: 事案-799-JP-032から7時間後、█0代男性によってSCP-799-JP-bが出現。財団職員による確保は間に合わず、両名は落下し死亡した。この際SCP-799-JP-aには右半身を中心とした骨折や内臓破裂、大量の出血が反映された。また事案-799-JP-032で収容したSCP-799-JP-bにもSCP-799-JP-aに反映されたものと同じ傷創が確認され、死亡した。SCP-799-JP-bは██研究員によるインタビューの最中であったが、有力な情報は得られていなかった。3日の経過観察が行われたが、SCP-799-JP-bの回復は見られなかった。 急にヤツが潰れて、部屋が真っ赤になってね - ██研究員 事案799-JP-076 概要: 20代男性によるSCP-799-JP-bの出現。両名は東京都███市のマンション屋上から落下したが、男性は死亡、SCP-799-JP-bは死亡しなかった。SCP-799-JP-bは財団による治療を受けたが、7時間後死亡。この際、SCP-799-JP-aには90箇所を超える骨折と左肺の破裂、加えて各所の縫合痕が、SCP-799-JP-bが死亡した直後に反映された。 補遺1: SCP-799-JP-aは収容前、[削除済み]という名前で埼玉県狭山市に在住していました。また、SCP-799-JP-bから採取したサンプルによるDNA鑑定の結果はすべて、この女性のものと完全に一致します。女性は、201█年5月に狭山市のマンション、██ガーデンの屋上から落下し病院に搬送されましたが、そこで回復に関する異常性を発現し収容に至りました。警察による調査の結果、女性は交際関係にあった男性と共に自殺する予定であったことが判明しました。この男性は埼玉県近郊で生存が確認されましたが、オブジェクトとの関連性が見受けられなかったため財団による監視の対象外となりました。また、女性の部屋からは陽性反応が表示された妊娠検査薬が発見されました。SCP-799-JP-aの身体からは妊娠の形跡は確認されませんでした。 補遺2: SCP-799-JP-aの収容に際し、落下現場で回収されたスマートフォンに以下のメッセージが音声データとして保存されていました。このメッセージは、落下直前から落下中に残されたものとされます。 なんで どうして 私だけ あなたと死にたかった ごめんなさい 1人は嫌
scp-800-jp
評価: +181+–x アイテム番号: SCP-800-JP オブジェクトクラス: Keter 特別収容プロトコル: SCP-800-JP-1はサイト-8178の特殊警戒個室E-44へと現在収容されています。サイト-8178はSCP-800-JP専用収容施設であり、SCP-800-JP-1を収容しているE-44以外の設備は、可能な限りSCP-800-JP-2の収容密閉容器の格納・維持のために使用してください。現在、SCP-800-JP-2の収容には高密度ポリエチレンカプセルF型収容密閉容器が使用されています。   E-44には排気弁を備えた専用常通気口を少なくとも3ヶ所用意し、緊急時用の予備通気装置を5基設置してください。通気口を通ったSCP-800-JP-2は、別室に備え付けられた収容密閉容器に収容されます。収容密閉容器の内部気圧が耐圧指標値の89%になった時点で収容密閉容器は自動的に交換されます。 これらの収容システムは全て自動的に行われますが、各種設備の点検または修理が必要となった際には、その都度専用のロボットを使用して作業にあたってください。作業終了後、それらのロボットは専用の焼却処理設備を用いて処理してください。   サイト-8178職員の活動領域または生活区域は、常時、SCP-800-JP収容関連設備とは入念に隔離してください。SCP-800-JPの性質のため、サイト-8178は断続的な拡張と改築を要しますが、以上のシステムと構造が常に保持されるよう、留意してください。   説明: SCP-800-JP-1は特定空間中に固定されている直径3.14mmの平面ポータルです。[削除済]に行われたSCP-████に対する予測実験の開始と同時に現在の空間中に出現したため、時間的な異常による副作用の産物であると考えられます。 SCP-800-JP-1の消滅、または完全な栓塞の試みは、空間異常またはSCP-800-JP-1の拡大を含んだ複数の破壊的な異常を誘発するのみに留まっています。そのためSCP-800-JP-1を中心としたサイト-8178の建設が実行され、SCP-800-JP-2の毒性の曝露と蔓延、それらに伴う機密違反の防止が現在の方針となっています。   SCP-800-JP-1は異なる空間へと通じています。通過可能なサイズであり、かつ口径部付近でのSCP-800-JP-2の噴出圧力に対抗し得る物体であれば通り抜ける事が可能です。 SCP-800-JP-1の先に存在する空間はSCP-800-JP-2に満たされており、この空間がSCP-800-JP-2の漏出源であると思われます。 現在まで、特殊ワイヤーカメラを用いたSCP-800-JP-1通過探査が二例、生体実験が二例成功しています。しかし、通過探査に於いては探査範囲が限定的であったため、これらの探査によって得られている情報は、断定的な判断が妥当と言える程の判断材料とは見なされていない事に留意してください。   SCP-800-JP-2は、SCP-800-JP-1口径部より常時噴出していると思われる未知の気体です。SCP-800-JP-2は如何なる機器または検査法によっても検知または感知されません。しかし気圧計による計測と、生体実験の結果から、非実体的な現象であるという説は否定されています。   何らかの生体がSCP-800-JP-2に曝露した場合、生体には強毒的な反応が現れ、段階的に症状が進行します。この反応による致死率は現在100.0%であり、SCP-800-JP-2の成分、構成分子の構造等が未知であるばかりか、生体に対する影響のメカニズムの観察・解析までもが困難であるため、症状の進行を抑止する方法は発見されていません。 しかし通常大気とほぼ同様の質量と空気力学的な性質を有している可能性が高いことが、生体実験と収容実験の結果明らかになっています。 この予測に基づく現行の特別収容プロトコルにより、SCP-800-JP-2の施設外への流出は阻止可能であることが判明しています。   SCP-800-JP-2に曝露した生体は、その身体構造や免疫力、特異的な体質に拠らず以下の症状を発症します。 表面の溶解。全体表面の81%まで進行。 一点からの体液の噴出。死亡まで継続。 身体の崩壊と欠落。何らかの物体と接触している部分から進行しやすく、動物の場合多くは足から崩壊が始まる。 身体と体液の高速乾燥。86%の事例で、この時点での死亡が確認されている。 身体と体液の組織分解と、風化に似た徴候。 分解した組織の消滅。この段階に入ってから126分以内に、生体の組織は完全消滅する。 生体の組織が完全消滅し、検知不可能となる点については、SCP-800-JP-2と同物質化しているとの仮説が有力視されていますが、実証には至っていない点に注意してください。   補遺1: SCP-800-JP-1通過探査記録 SCP-800-JP-2の解明と発生源特定の試みの一環として、特殊ワイヤーカメラによるSCP-800-JP-1通過と、異空間の探査が実行されました。無線通信による自律探査機の使用は、SCP-800-JP-1を境界とした時空間的な差異による通信途絶、またはSCP-800-JP-1口径部でSCP-800-JP-2噴出圧力に阻まれ失敗しています。 SCP-800-JP-1通過探査実験A-13記録 概要: 生体実験A-3により、異空間内は高濃度・高密度のSCP-800-JP-2で満たされている事が判明している。そのため、異空間内にSCP-800-JP-2の発生源が存在するという知見の下で、SCP-800-JP-2の漏出の阻止もしくは毒性の緩和に関する情報収集の一環として実行する。 探査は特殊ワイヤーカメラの挿入と、有線による送受信によって行われる。ワイヤーカメラはマイクロカメラの他に伝導録音装置、流液体式耐圧機構、採取サンプル送管機構、気圧計、マイクロクリップアームを備えている。 機密の便宜上、探査開始時間を00:00と表記する <記録開始> 00:00 映像開始。ワイヤーカメラ先端部がSCP-800-JP-1に接近する。噴出しているSCP-800-JP-2による風音と風圧力が記録される。 00:01 先端部がSCP-800-JP-1に接触、通過し異空間へと突入する。通過の直後風音は止み、気圧計が3270.88hPaを記録する。 00:03 異空間内映像の鮮明化処理が完了。異空間内は高密度のSCP-800-JP-2のためか大気が茶色がかっており、常に降下してくる砂塵のようなものが画面中を覆い尽くしている。砂塵をサンプルaに分類し採取する。 00:08 地表の存在を確認。砂塵と同じ物質により構成されているものと思われる。土壌をサンプルbに分類し採取する。 00:31 視界が著しく不良であるため、探査限界範囲の縮小が決定される。 00:38 上空に光源の存在を確認。規模と推定光量から、何らかの恒星であると思われる。 00:52 人工的な造形物を発見。原始的な筆記用具であると思われる。サイズのため回収は断念。 01:24 人工的な造形物を発見。プラスチックに似た質感を持つ3cm×5cmほどの平面板であり、掠れて判読出来ないが黒い印字のような痕跡が認められる。サイズのため回収は断念。 01:47 岩石を発見。確証は無いものの、風化の進行した何らかの人工物であると思われる。断片をサンプルcと分類し採取する。 01:55 01:47で発見したものと同種のものと思われる岩石によって構成された、岩石群地帯を発見。進入する。映像解析により、発見された岩石の大きさは、最大のもので2.3m×3.1m×5.3mであった。 02:13 SCP-800-JP-1より450m地点で巨大な人工物の影を確認。詳細は砂塵のため確認出来ず。映像解析により、影は10.7m×15.3m×20.3mの直方体であり、何らかの建築物である可能性が指摘される。 02:14 巨大な人工物の影へ接近を開始。 02:31 探査距離限界まで接近。砂塵のため人工物の影の詳細は確認されず。距離限界地点周辺の集中的な探査を開始。 02:34 人工物の影を中心として、放射状に岩石群が存在している可能性が指摘される。また、人工物の影に近い地点ほど、岩石群の岩石のサイズは大きくなっている。 02:57 人工的に製造されたと思われる繊維塊を発見。復元可能な印字の痕跡が認められたため、採取。サンプル送管不可能なサイズであったため、マイクロクリップアームでワイヤー先端部に固定した後、ワイヤーごと回収する。サンプルdに分類。 <記録終了> 終了報告: サンプルa、サンプルbは探査中、E-44内に置かれていた一時保管ケース内で消滅。再度の探査では採取後直ちに検査を行い、SCP-800-JP-2生体曝露時の段階5と同様の物質であるかどうかを調査する必要性がある。また、次回の探査に向けてワイヤーの伸長と探査範囲の拡大を提案する。   サンプルc、サンプルdの検査結果については付属資料に記載するものとします。今後、これらに関係する情報や記録も付属資料に追記されます。 次回の探査は、巨視的記録ではなく異空間内の微視的な環境検査を目的としたワイヤーを使用することが決定されました。また、ワイヤーの強度や耐圧措置の限界から、ワイヤーの伸長と探査範囲の拡大は却下されました。   補遺2: SCP-800-JP-1通過検査実験が実行されました。実験には流液体式耐圧機構、簡易ph検査構造、簡易微励起分子構造検査機、小型粒子年代測定機、磁気年代測定装置を備えたワイヤーが使用されました。 ワイヤーはSCP-800-JP-1に挿入され、異空間内の大気の成分比率、土壌成分比率、磁気的性質、引力の有無、有機的存在の確認等が行われました。それらの結果は付属資料に記載されました。   付属資料: + セキュリティクリアランスレベル3以上の職員のみ閲覧が可能です - あなたはセキュリティをクリアしました。閲覧が許可されます SCP-800-JP-1通過検査実験による、異空間内の大気の成分比率、土壌成分比率、磁気的性質、引力の有無、有機的存在の確認等を実行した結果、大気の成分比率、土壌成分比率、引力の有無については問題の無い数値が示されました。 しかし土壌には分子結合が切り離された、崩壊状態にあるアミノ酸に似た物質が多数混入しており、崩壊の状態から、SCP-800-JP-2生体曝露の段階5にある物質と同様の形態変化によるものと考えられています。これらの物質は、採取または観察が開始されてから、完全に消滅するまでに427〜517分を要しました。 砂塵も同様の物質によって構成されており、砂塵の降下が常態である事から、物質が地表でSCP-800-JP-2に昇華し上空に滞留後、何らかの変化で固体的な物質へと変化し降下するというサイクルを繰り返している可能性が指摘されています。   引力に関しては、異空間内部が異常な高圧環境である事に反して通常値を示しました。この事から、異空間は何らかの地球規模の惑星上環境であると考えられます。磁気的性質の検査から、地磁気の存在も確認されており、地球と同系質の磁気データが得られています。   また、極秘に行われた天体の観測実験と地磁気の年代計測、サンプルc、サンプルdの検査結果から、SCP-800-JP-1通過後の異空間は2700年代相当の地球環境と非常に相似的であり、時間的な異常に伴う発生というSCP-800-JP-1発生経緯から、未来時間に存在する地球である可能性が有力視されています。 そう仮定した場合、異空間内の大気圧力から考えて、異空間内には地球の引力圏内を3度埋め尽くす程のSCP-800-JP-2が貯蔵されている可能性があります。これは、異空間内が地球と同様で、かつその引力圏内全体が同環境に置かれている事が必須の前提であり、実証はされていません。 しかしこれまでの継続した観察にも関わらず異空間内の環境に変化が見られない点、有機的存在の確認に未だ至っていない点等から、希望的観測の猶予は無いと認められ当オブジェクトはKeter認定されました。   現在、SCP-800-JP-1の一時拡張による本格的な探査を含んだ、無効化手段の模索が研究チームにより進行しています。   サンプルc検査結果: 通常のコンクリート材と同質の物質であると判明。年代測定により、異空間内環境が2700年代の地球であるとの仮説の根拠として挙げられる。   サンプルd検査結果: なんらかの鉱物を素材とした繊維塊であると判明。鉱物の種類は特定されておらず、未発見のものである可能性有り。復元された印字は日本語であり、市販の黒インクと同等のもので書かれていた痕跡が認められた。また、一部の文字には何らかの保護材のようなものが塗布されていた。 書かれていた印字の内容: [復元失敗]る[復元失敗]穴[復元失敗]死な[復元失敗]いた人為浄[復元失敗]最後 希望[復元失敗]排気口