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朝を迎えた。 あと、20分後には馬車が出るという。 特に準備することはなかったけど、まぁ身支度をして、村の停留所まで向かう。 すでにルインさん達は居た。 「おぅ......アリム、もう少ししたら出発するぜ!」 オルゴさんがそう、俺に呼びかける。 この場にはジーゼフさんとガーベラさんがお見送りに来ていた。お礼言わなきゃ。 「ジーゼフさん、ガーベラさん、お世話になりました」 はその様子をみてこう言葉を返す。 「ふぉっふぉっふぉっ......最初にアリムちゃんを見たときは本当にビックリしたのぉ......。実を言うとグレートポーションとか昨日の料理とかの方が驚いてたりするがの。......元気でな」 「いつでも、遊びに来るといいわ。記憶が戻っても。勿論歓迎するわよ!」 優しい、いい人達だ。あぁ、最初に触れ合えた人間がこの村の人達で本当に良かったと思う。 「本当に......ありがとうございましたっ!」 「いいんじゃよ。困ったときは、お互い様......じゃろ?」 ガーベラさんはルインさんたちにお礼を言う。 「セインフォースの皆さまも......本当に、ありがとうございました」 それに答えるのはリーダーであるルインさんだ。 「困った時はお互い様ですよ。また、何かあったら頼りにして頂けると嬉しいです!」 「ふぉっふぉっふぉっ、勿論ですじゃ。」 村長さんは髭をなでている。 顔をこちらにむけ、俺に話しかけてきた。励ましの言葉。 「あぁ、最後にアリムちゃんに1つ。お前さんはこれからたっくさん、人よりも辛く、苦しい経験をする時が来るやもしれぬ。だけどな、人生は一度きり。楽しみなさい。」 「.........っ、はいっ!」 「そろそろ......出発しますな」 ルインさんは言う。 「みなさん!どうかお元気でっ!」 ルインさんの別れの言葉と共に御者さんが手綱を引くと、馬車が動きはじめる。 多数の人影が動いてるのがわかる。村の人達だ。 「ありがとう!」 「また来てください!」 「きゃー!アリムちゃん!可愛いっ!」 「竹とんぼ、ありがとー!」 「いつでもまたこいよなー!」 みんな、それぞれ別れの句を述べている。 俺ら5人はピピーの村の人達に向かって、その姿が見えなくなくまで手を振り続けた......。 ここから目的地、『メフィラド王国』の王都まで1日半かかるらしい。 俺は国に入る際の、門の前の審査などの心配をしたが、商人...アーキンさんがうまくやってくれるらしい。流石商人。 俺はリロさんとミュリさんにいじられたり、アーキンさんから王都のこと、王国のことを教えてもらった上に地図までもらい、何か売り買いする時は是非ここへと、アーキンさんが所属している商人組会の名刺ももらった。 これを見せるだけで商会の本部に入れてくれるらしい。完全に取引相手として認識されたよね。 後は、ルインさん、オルゴさんに冒険譚を聞いたり、ミュリさんとリロさんにいじられたりして1日を過ごした。 今後どうするかについても話した。 まずは役所等で俺のことを聞き、わかり次第、俺の頭にメッセージをよこすとのこと。 そんなことができるのか。電話いらないんだね、この世界。 ルインさんだけでなく、4人とも同じ考えだそうな。しかも、役場で話を聞いたらすぐに別れなくてはいけないらしい。忙しい人達なんだね。 「わかりました。大丈夫です」 と、だけ答えておいた。 今のうちに4人に、助けて貰った礼と別れを述べておく。 4人も俺に助けて貰った礼と別れを述べた。リロさんなんて、少し泣きそう。 その上、また抱きしめてくるんだもの。だから当たってるんだって。結構大きさがある、やわこいものが。 ミュリさんも俺を抱きしめる。......リロさんよりは無いな。Bの上かCの下くらいかな? オルゴさんは頭をポンポンと撫でた。ルインさんは、「ごめんね......どうか、元気で」ってかっこいいこと言いながら、俺のほっぺをプニプニしてくる。 そんなにいいの? 俺のほっぺ。でも、アリムは、痩せ型だよ?プニプニする場所あるの。あ、お肌スベスベなんですか。そうですか。 .........そうこうしてるうちにメフィラド王国の王都が見えてくる。その大きな外壁の中に、俺のこれからがまっているのだ......。
It was morning. The carriage finally arrived after minutes, Preparation for the journey has already been finished. Ruin-san and the other were also ready and waiting. 「Oou... Alim, we will be leaving soon!」 Orgo-san called out to me. 「Hai...!!」 Then I went into the carriage after being called. After that Jizefu-san and Gerbera-san went over to see us off. I also said my thanks and farewells. 「Jizefu-san, Gerbera-san, thank you for taking care of me!!!」 They looked at me and returned a few remarks. 「Fufufu.... You know, I was really surprised when I first saw Alim-chan.... not to mention the Great Potions, even the dishes you prepared were so great, it was shocking....All I can say is take care of yourself out there ok?」 「You may come and visit us anytime, even when your memories have returned, we will always welcome you.」 They sure are gentle and kind people, well I think met some really good people for the first time, especially them in the village. 「Really... Thank you very much for everything!」 「When in trouble, isn’t it natural to help each other.... right?」 And then, gerbera-san gave her thanks to Ruin-san and the others. 「Also for everyone at the Seinforce ... ... Thank you very much!」 It was Rain-san, their leader who went out to answer it. 「As we have said, we only did our best to help, we were also helped by everyone. If something happened again you can always count on us.」 「Ufufufu... why of course...」 The village chief responded while combing his beard. He turned around to face me and gave me some encouraging words. 「That’s right Alim-chan, there are times when things get quite tough and troubles are around, but always take care and live through it, you only have one life so be sure to enjoy everything it can offer」 Then the owner of the carriage announced. 「Alright everyone... We will be leaving now」 Ruin-santhen said. 「Everyone! Take care! Till we meet again!」 And then the driver drew the reins along with Ruin-san’s words of farewell, the carriage then started to move. As the carriage leave, a lot of the villagers came to watch. 「Thank you!」 「Please come again!」 「Kyaaa! Alim-chan! Kawaiii!」 「For the Bamboo dragonfly! Thank you very much!!」 「Come again whenever you want!」 Everyone was saying their goodbyes. We were waving our hands to everyone from the village until the village is out of sight. It seems that it takes day and a half from here to our destination, the “Kingdom of Mephilad”. I was worrying about what to do when I passed by the gate when entering the country, but then the merchant... whose name seemed to be Arkin-san would handle it... As you would expect from a merchant. I got caught by Lilo-san and Myuri-san again and was played with. Arkin-san then handed me a map of the kingdom and told me about the kingdom and everything that surrounding it. He also said that if I am about to do some transaction, then I should see him to talk about it. And then he gave me a business card like belonging to the merchant organization for doing business with him. It seems that I will be accommodated by the company just by showing this to them. Well I guess I’ll kindly accept the offer and use services of the company at that time. After that I listened about adventurer from Ruin-san and Orgo-san and then was played around all day by Lilo-san and Myuri-san. I also talked about what I want to do in the future. First to do will be to confirm about my identity from a government office etc. After that, they will inform me about the results at a later time. I wonder how will they do it, I don’t recall have anything like a phone or the like in this world tho. And then after that, I wanted to be together with everyone for a bit, but it seems impossible. Not only Ruin-san but also everyone else seems to have something else they have to do. Well as soon as they confirmed the information from the office, they will to go to various places it seems. 「Okay, I’ll be fine definitely」 That’s what I replied. Well for the meantime, I’ll give the four people my thanks for helping me out and then part with them. The four people also give their goodbye and thanks for helping them. Lilo-san seemed to be sad about it tho. After that I was hugged again. I told you to stop that sudden hug attack. As always these things surely are big huh. Myuri-san also joined in, but it cannot be compared to that of Lilo-san I guess, it’s probably just around B or before C. Orgo-san then ruffled my head, and Ruin-san pat me saying 「Sorry... about this」and started poking my cheeks while saying cool things. Hey stop poking... What? what’s wrong with me being thin?... My skin is so smooth really? Hey stop that already!... As they keep doing that, I can finally see the walls of Mephilad Kingdom. Inside that big outer wall my “Future” awaits.
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アリーナを送り届けた先は、ノーク大通りからいくつか奥に入った裏路地にある古屋敷だった。 帰って来たアリーナに、店主らしき男は開口一番怒声を飛ばした。 「仕事もせずどこをほっつき歩いてやがった、てめえ!」 ばしっ! それがアリーナを叩く前に、イングリスが手首を掴んで止めていた。 「やめてあげて下さい」 「ぐっ......!?」 「アリーナちゃんを連れ回していたのはこちらです、申し訳ありません。叩くならばわたしをどうぞ」 「......ちっ。お姉さん方のその服は、騎士アカデミーのやつでしょう? 未来の騎士様に睨まれたくはありませんや」 「......あたしは、もう睨んでます」 「あの、ご主人。少しお話を伺いたいのですが?」 「何です? 早くして下さいよ」 「その前に、アリーナちゃんはもう戻っても?」 「ああ。ほら中入ってさっさと寝ろ! 明日も早いんだぞ......!」 「は、はい......! おねえちゃん達、今日はありがとう。お休みなさい――」 奥のほうに、アリーナと近い年頃の子供たちが、遠巻きにこちらの様子を窺っているのが見えた。 星のお姫様 号の見た目をダサいと言っていた子もいるように見える。 「あ! 待ってアリーナちゃん......!」 と、ラフィニアは何かを思い立ったようにアリーナを呼び止める。 「どうしたの、おねえちゃん?」 ビルフォード侯爵との分を残しても、まだ手元に残っていた。 「明日から王立大劇場でやる舞台ね。騎士アカデミーが協力してて、あたし達も舞台に出るの。良かったら見に来て?」 「ええっ......!? おねえちゃん達が出るの? すごい――」 アリーナは目を輝かせるが、ラフィニアが差し出そうとしたチケットは、男に取り上げられて突き返された。 「そいつは、必要ありません」 「......何でよ!? ちょっとくらい、休ませて息抜きさせてあげてもいいじゃないですか......!」 男ははあ、とため息をつく。 「んな事は、あんたに言われんでも分かってます」 と、懐に手を突っ込んで取り出したのは、ラフィニアがアリーナに渡そうとしてものと同じ、公演のチケットだった。 「あ......! それは――」 「言ったでしょ? 他に欲しがってるやつがいたら、そっちにやって下さい」 「ごめんなさい――」 しゅんと小さくなるラフィニア。 「おらお前ら! さっさと部屋に戻って寝ろ! いいな!」 男が怒鳴り散らすと、子供達は一斉に散っていく。 「おねえちゃん達、頑張ってね! 楽しみにしてるから!」 最後にアリーナが一言残していく。 「......で? 話を聞きたいって、何です?」 「いえ、何でもありません。済みませんでした」 本当はアリーナを身請けしようとすれば、いくら必要か聞こうと思っていた。 「......じゃあ俺から一つ」 「何でしょう?」 「ウチは確かに他所の土地ですがあいつらを買って来て、働かせてます。ですけど、行くとこに行きゃあ、あいつらの親から子供を売ってくるんですよ? 買ってやらなきゃ口減らしだって殺されててもおかしかねえんです。魔石獣に殺されるのも、貧乏に殺されるのも一緒ですよ? まあ騎士アカデミーの生徒さんは貴族のお嬢様方が多いでしょうから、想像もつかないかも知れませんが――そこんとこ、ちゃんと分かっといて下さいよ?」 頷いて黙認するもよし、それでも悪いものは悪いと断ずるも良し。 「貴重なご意見を有難う御座います」 自分は戦い以外の事は、ラフィニアに合わせるのみだから。 ただ強い敵と、美味しいご飯と、綺麗な服と、それから側にラフィニアがいればいい。 「......ありがとうございます」 ラフィニアは不満そうな顔はしているものの、それ以上の言葉は飲み込んだようだ。 「じゃあ帰ろう、ラニ」 「うん。そうね――」 「......はあぁぁぁ~。なんだかよく分からなくなるわね――」 二人きりになると、ラフィニアは大きくため息をついた。 「そうだね。青春の悩みだね」 ラフィニアにとっては憂鬱かもしれないが、イングリスとしては今日の出来事は歓迎したい。きっと、ラフィニアの人間的な成長に繋がると思えるから。 「あたしの知ってる青春と違うわ――」 「現実とは辛く厳しいものなんだよ。とりあえず、気を取り直して明日から頑張ろう? アリーナちゃんを楽しませてあげないとね? 母上や侯爵様も伯母上も見てくれるし」 「うん、そうね――」 号を屋根の上の高さに浮上させると、下の方から聞こえる声が耳に入った。 「そんな......あの方を見捨てるって言うんですか、ディーゴーさん......!?」 「そうではない――我々は我々の使命を果たすのみ。それ以上もそれ以下もない」 「では問おう、この好機を逃してどうする? 何のために我々はここにいる。我々に許された時間は、決して多くはないぞ」 片方の声に、聞き覚えがあった。 「あ、あれ......イアン君――?」 ラフィニアが、その人物に気が付いたようだ。 「――ほんとだね」 「ここで間借りして下宿とかしてるのかな――? あ、だから公演のチケットを配ってあげてたのかな......?」 「かも知れないね」 話している相手は、栗色の短髪で、武骨そうなかなり大柄の男だった。 「ですから事情をお話してご理解頂いて――!」 「それは危険だ。承服できん」 「くっ......!」 「今更狼狽えるな。覚悟を決めろ」 「そんなもの、とっくに決まっています......! あの日から、ずっと――!」 「ならばもう、話す事はあるまい」 そう言うと、男はその場から去って行った。 「......な、何の話なんだろ......よく聞こえなかったけど揉めてたわね。劇団の話かな?」 「盗み聞きは良くないよ?」 「でも、何か只事じゃなさそうだったわよ? 大丈夫かな?」 「......まあ、とりあえず帰るね」 号の船首を騎士アカデミーの寮へと向けた。 ――そして翌日、公演の本番の日がやって来る。
The place they dropped Alina off was an antique shop in the back alley a few passages away from Nock Avenue. Nock Avenue was the neighborhood with the most shops in the Capital. The Royal Grand Theatre, the place Inglis and her friends would perform, was also facing this avenue. The avenue was brilliant, but, as there was light, there was also shadow lurking behind it. Apparently, Alina was made to do menial work in her owner’s store whilst she lived there. When she came back, the first thing the man who seemed to be the store owner said to her was an angry shout. 「Where the heck you wander off to, leaving your work unattended, damn brat!」 Plop! Before it reached Alina, Inglis already held the hand at the wrist. 「Would you please stop?」 「Kgh......?!」 「We are the ones who brought Alina with us, and we’re sorry about it. If there’s punishment involved, please give it to us.」 「......Tsk. Looking at your uniform, you two missus are Knight Academy students, huh? I don’t get any intention to be resented by future Knights.」 「......I already am resenting you.」 「Pardon, mister owner. May I talk with you for a minute?」 「What? Make it fast, please.」 「Before that, can Alina get inside?」 「Sure. Hurry up, get in and hit the sack! Tomorrow starts early!」 「Y-, yes! Thank you for today. Good night!!」 Saying that, Alina walked into the building. Deeper in the building, Inglis saw a group of children around her age curiously watching from a distance. Were they in the same circumstance as Alina? Inglis could also see the young boys who called the Star Princess unit as tacky and lame amongst them. It seemed like Inglis and Rafinha ran into these kids when they were out running errands or something. 「Ah! Wait, Alina!」 As though she just recalled something, Rafinha stopped Alina in her track. 「What’s wrong, big sis?」 She produced a ticket for the play that would be held tomorrow at the Royal Grand Theatre. Count Weissmall had given some to Inglis and Rafinha. Even after giving it to Marquis Willford and both of her parents, they still had some leftovers. 「There is a play starting tomorrow at the Royal Grand Theatre. The Knight Academy is helping out with it, and we two are going to be on stage. Wanna come and watch us?」 「Eeh......?! You two will show up? Woow!!」 Alina’s eyes lit up, but before Rafinha could give her the ticket, the man took it and returned it to her. 「She won’t be needing that.」 「......What’s with you?! What’s wrong with giving rest for a day or two!」 The man sighed. 「I know that damn well already.」 He reached into his pocket and pulled out a ticket for the play, the same kind of ticket Rafinha was about to give Alina. There were a few more tickets in his hands. Must be for the other children as well. 「Ah! Those are...」 「Told you, she won’t be needing that. Please give it to other people who wants it.」 「I’m sorry...」 Rafinha shrunk back. 「Come on you brats! Time to get to your rooms and sleep! You hear me?!」 The man shouted, and the children scattered at once. 「Good luck, big sisters! I’m looking forward to it!」 Lastly, Alina left with a few words. 「......So? What was it that you want to talk about?」 「No, it was nothing. I’m sorry.」 Inglis initially wanted to ask him how much money she would need to take Alina away. Or, in other words, the price she would have to pay to buy Alina’s freedom, but... She felt that it was too early for that. 「......Then I’ll be the one talking.」 「What is it?」 「I get it, I bought these brats from their villages and made them work. But look, they either lost the place they belonged to, or had been sold off by their parents. If I didn’t buy them, it’d be no wonder if they were killed to reduce the amount of mouth to feed. Killed by a Magic Stone Beast or killed by poverty, they’d end up dead all the same, right? Well, I won’t expect students of the Knight Academy, daughters of some high-nosed nobles to ever imagine it happening to you two, but I want you missus to understand at least that, please.」 In short, an act of necessary evil. How one would see it differ from person to person. They could just accept it and nod their head, and they could say it was an evil act nonetheless. 「Thank you very much for your valuable input.」 As for Inglis, naturally, she ignored it. Anything that wasn’t a fight, she would just stick with what Rafinha’s take was. Doctrine, advocacy, virtue, evil, Inglis need not any of these. All she needed was a strong enemy, a good meal, a pretty dress, and always being by Rafinha’s side. 「......Thank you.」 Rafinha looked discontent, but she seemed to have swallowed her words and didn’t say anything more. 「Then, let’s get back, Rani.」 「Yeah. Let’s...」 They once again hopped onto the Star Princess unit. 「......HAaaah~ I don’t know what is what anymore!」 Once they were alone, Rafinha heaved out a deep sigh. 「You’re right. Oh, the worries of youth.」 It might be depressing for Rafinha, but Inglis really welcomed what had happened today. She was sure it would lead to Rafinha’s personal growth. 「It feels different from the youth I have in mind, you know...」 「Reality is a harsh and ruthless place. For the time being, why don’t we refresh our mood and give our all tomorrow? We need to make Alina happy, don’t we? My mother, the Marquis, and Aunt Irina will be watching too.」 「Yeah, you’re right!」 As Inglis slowly elevated the Star Princess up until they reached the height of the buildings’ roofs, she heard voices coming from below. 「No way......Are you saying we should abandon him, Diego, Sir......!?」 「That’s not it! We only need to accomplish our goal, that’s all. Nothing more, nothing less. 」 「Then, I ask you, are you going to let this chance slip by? Why do you think we came here? The time we have is limited.」 Inglis recognized one of the two voices. It was a soft and elegant voice of a young man she had been hearing lately. 「I-, is that......Ian?」 Rafinha seemed to notice him. 「...It is.」 「I wonder if he’s renting a room around here? Oh, is that why he asked to be the one to give away the tickets?」 「Maybe.」 Seeing that the Royal Grand Theatre was just a stone’s throw away, Inglis wouldn’t be surprised if that was the case, but... the person he was talking to was a rather large man with short, chestnut-colored hair with a rough atmosphere. It wasn’t the cold season yet, and there he was, dressed so stuffy Inglis could hardly make out anything from his neck under. 「But, if we talked to him, I’m sure he will understand!」 「That’s dangerous. I can’t agree.」 「Kg......!」 「Don’t get upset now of all time. Harden your heart.」 「I already have since a long time ago! Ever since that day, I have always been!」 「Then there’s nothing else to talk further.」 After saying that, the man left the place. 「......Wh-, what are they talking about......I couldn’t hear them well, but it sounded like a fight. Is it about the play?」 「Eavesdropping is bad, you know?」 「But it doesn’t seem to be something trivial, you know? Will it be okay?」 「......Well, let’s get back home for now.」 Inglis turned the bow of the Star Princess unit towards the Knight Academy’s dormitory. The next day, the day of the play arrived.
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翌日、マリアは屋敷の中庭に出て、ミシェルちゃんに的である立て板に向かって矢を放つように命じてみせた。 ミシェルちゃんも首を傾げながらも、マリアの指示に従う。 幼い彼女に合わせた、小さめの狩猟弓を引き絞り、真剣な表情で矢をつがえ......放つ。 力不足ゆえにやや山なりに飛翔した矢は、狙い過たず的の左下に突き刺さった。 「へぇ、この歳でこの距離を当てるなんてすごいわね。さすが射撃ギフト持ちね」 「えへへぇ」 マリアはミシェルちゃんの頭でした後、俺達を引き連れて的の確認に向かった。 的の左下に刺さった矢は、鏃の半ばほど埋まった状態で止まっていた。 これでは獣を狩るまではいかない威力だ。 「うー、やっぱり浅い」 「まだ力がないから仕方ないわよ。むしろしっかり的に当てた事を誇ってもいいわ」 「そーだよ、ミシェルちゃんはすごい!」 彼女のような初心者が、この距離の的に当てるというのは、意外とすごい事である。 「それじゃさっきの場所まで戻りましょう。ミシェルちゃんにはもう一回射てもらうわね?」 「あ、はい」 ただし今度は、マリアが強化付与の魔術を掛けてからだ。 後衛でサポートを専門にやっていたマリアは、干渉系も多少心得ている。無論、その技量はマクスウェルには遠く及ばないが。 矢は先程と同じような軌跡を描き、やはり的の左下辺りに命中する。 ただし先程と違って、的の左半分が撃ち抜かれた衝撃で割れ飛んだ。 「お、おお!?」 「これは確かめに行く必要もないわね。ね? 干渉系も凄いでしょ?」 「ニコルも魔術が使えるようになれば、これくらいできるようになるわよ」 俺はテテテテッと的に駆け寄って、砕けた的を確認する。 破片の中には木板を貫いた矢も残されており、その威力の高さが見て取れた。 幼い彼女が放った矢が、木の板を撃ち抜いたのだ。 干渉系魔術による威力強化が侮れない証拠でもある。 「すごい、ね」 俺も生前は何度も強化付与を受けた事がある。 だが元々熟練者としてパーティを組んだので、その当時の俺は既に高威力の攻撃方法を持っていたのだ。 なので、その恩恵を実感する機会というのは、意外と少なかった。 「でしょ? ニコルも頑張れば、すぐできるようになるわよ」 「あ......消えた?」 そこへミシェルちゃんの声が飛んできた。 彼女は手に持った狩猟弓をしげしげと眺めている。おそらく強化魔術が切れた感覚を覚えたのだろう。 「強化付与は効果が有効な分、あまり長く持たないのよ。せいぜい数分ってところね。使う時は使いどころを考えないと」 「ふーん」 「威力の上昇もせいぜいこの程度の木板を撃ち抜ける程度。金属製の鎧相手では効果は薄いわ。それでも冒険初期の頃はとても役に立った魔法よ」 木板を貫ける程度という事は、人体の皮膚を貫くには十分な威力を発揮できるという事だ。 ピンポイントでこの魔術を使えれば、切り札として機能しうるだけのスペックを持っていると言える。 先に話していた変身の魔法と言い、実に俺好みの系統だった。 どうも俺は魔法を使えなかった前世の記憶が足を引っ張って、発動を阻害している感がある。 魔力を感じ取るまでは問題なく行けたのだが、その先が壁になっていた。 「ふへぇ......」 訓練を終えて、俺は風呂で疲れを癒していた。 屋敷の風呂はそれなりに広く作られており、しかもマッサージ用の寝台まで用意されているくらいだ。 俺はそこに寝転んで、フィニアに恒例のマッサージをしてもらっている。 正直言って、年頃の少女に全裸でマッサージさせるというのは、生前ではありえない状況なのだが、今の俺は同性の少女である。 使用人としてここにいるフィニアに遠慮する必要など欠片も無いのだ。 「こうして、バレたらヤバい秘密がドンドン溜まっていくのであった」 「え? 疲れ溜まってるんですか? ニコル様はまだ幼いんですから、無茶しちゃダメですよ」 「いやいや、そうではなく」 とは言え詳しく説明する訳にはいかない。 ぐんにょりと寝台に伸びきって、フィニアの細くしなやかな指で体中を揉み解してもらう。 「ですが本当に良かったのですか?」 「んー、なにがぁ?」 「ラウムへ行く事です。2年後とは言え、まだニコル様後でもまですよ」 「でもフィニアも付いてきてくれるんでしょ」 「ご両親と離れて寂しくないんですか?」 「まー、そりゃぁ、ねぇ」 俺とて、ライエルにライバル心を持ってはいるが、別に嫌っている訳じゃない。マリアに到っては受けた恩の方が多いくらいだ。 隠し事があるとはいえ、そんな相手と一緒に暮らして嫌な気がするはずもない。 その二人と離れるのに、多少なりとも悲しみを感じるのは、仕方ない所だろう。 だが、元々は既に道を違えていた仲間だ。別れることに関しては、すでに覚悟ができている。 問題はそれを七歳児が納得できるかという所ではある。その辺りの言い訳を口にしておかねば、怪しまれるだろう。 「でも行かないとママとパパから引き離されちゃうんでしょ。休みになれば戻ってくればいい訳だし」 「そう、ですね。確かに王宮に行ってしまえば、簡単に会えなくなっちゃいますものね」 「どっちがより会う時間を確保できるかと考えたら、ラウムに行く方がいいじゃない? だからそっちを選んだの」 「......ニコル様、時折難しい言葉使いますね?」 「そ、そんなことないよぉ? ママの授業でいっぱい勉強したからかも」 勉強したばかりの単語を使ったと言い訳すると、渋々ながらも納得してくれたようだ。 俺の背中をマッサージしていたフィニアが、妙に神妙な声を上げた。 背中を上下に、何度も繰り返し指を這わせる。 少々くすぐったい。 「ニコル様、少し筋肉がつきました?」 「ほんと!?」 「私としてはフニフニ感が減って少し残念です」 「フィニア、最近本音がダダ漏れ」 剣も魔術も、イマイチ進歩がみられなかっただけに、筋肉の増量はかなりうれしい。 こうして毎日、少しずつ成長しながら、俺の幼児期は過ぎていったのだ。
The next day, Maria went out to the courtyard of the mansion and instructed Michelle-chan to shoot arrows on a target board. Though Michelle-chan tilted her head in confusion, she still followed Maria’s instructions. She nocked an arrow on the small hunting bow created for little girls and stretched the string. Then she focused on the target and released it. Despite the lack of power, the arrow flew over the mountain area, and though it didn’t hit the bullseye, it was able to hit the lower area of the target. 「Hou, It sure is amazing that you could reach such a long distance at this age. As expected of someone who has a Marksmanship Gift」 「Ehehehe~」 After patting Michelle-chan’s head and praising her, Maria took us to the target in order to confirm the results. The arrow was off the bullseye and buried itself into the target, by almost half of the arrowhead. With this amount of power, it should be good enough to hunt small beasts. 「Hmm, it’s still a little too shallow」 「That couldn’t be helped, you don’t have that much power yet. You should boast a bit more reaching this level at this age though」 「That’s right, Michelle-chan is great! 」 As a matter of fact, the distance where she fired her arrow exceeded meters. It was quite surprising for a newbie like her to reach this amount of distance. Adding to that is the fact that she only used a crude hunting bow made for children. 「Let’s go back to the place where we were before. Michelle-chan, do you want to continue with some more practice?」 「Ah, yes~!」 Returning to where they started, Michelle-chan fired an arrow again. But this time, the difference is that Maria applied strengthening magic on her. Maria, as one of the rearguard support, also has some knowledge of interference magic like boost and enhancements. Of course, her skill isn’t that great if compared to Maxwell’s level of mastery. The arrow draws the same trajectory as before, hitting the lower-left area of the target. This time, however, unlike how it only got buried like the previous one, the lower-left area of the target broke and the arrow pierced through. 「Ah, Ahhh!?」 「Seeing that, you don’t even need to check, right? With that, don’t you think that the Interference Magic is also great?」 「If Nicole is able to apply the same effects, then you can do more than just this」 I rush to the target with quick steps, and then I confirmed that the target definitely broke. There were scattered fragments of the board that was pierced, and I could clearly see how much the power has increased. The small arrow that she fired was actually able to pierce through such a hard looking target. This shows just how much power enhancements from the interference system could do if properly used. 「This is... amazing」 I was also able to receive enhancements from the interference system before. However, because I was originally pretty versatile, I already have many powerful attack skills at that time. It was quite surprising that I only realized how beneficial it would be since I never had the opportunity to actually apply it before. 「You understand, right? If Nicole-chan do her best, then you would reach this level soon」 「Un」 「Ah... it ended?」 We could hear Michelle’s voice from where she was. She was staring at her hand holding the bow. Perhaps, she felt that the presence of strengthening magic has disappeared. 「Strengthening doesn’t last long but it is quite effective. It would usually last for about a minute. When you use it, you should always think of the best time and place to do so.」 「Though the effect of strengthening was able to let the arrow pierce through a wooden board, the effects would definitely be lowered against fully-armored opponents. But it will still be very useful when starting as an adventurer.」 「Un, that’s how it is」 The power to pierce through a wooden board would already be strong enough to penetrate the human skin and body. If you can precisely use this magic and utilize its full potential, then you could even use it as a trump card. Though the transformation magic which was mentioned earlier will still my main aim, and a magic that I want to learn. After all that happened that day, I still wasn’t able to use magic. It feels like my memory of not being able to use magic is interfering with how I activate it. I could probably go on without magic, but it will be a really high wall to climb if I couldn’t learn it. After the training, I am now so tired and is flopped in the bathroom. The mansion’s bathroom is so wide and there are even massage beds prepared inside. I lied down on one and asked Finia for the usual massage. To be honest, having a naked girl massage another cute little girl would have been unthinkable for me if it was my previous life, but now I am that little girl in question and we are of the same sex so it’s fine. There is no need for me to hold back since Finia is serving as an exclusive servant for me after all. 「And thus, the number of dangerous secrets that should not be revealed steadily piled up」 「Eh? Were you accumulating stress because of me? But Nicole-sama is just a young child, and there is no reason for you to be ashamed of anything」 Despite my comments, I can’t actually explain it in detail. While flopped on the massage bed, I sneakily peeked through my fingers covering my face, taking a quick glance at her body as she continues the gentle massage with her smooth fingers. Then I soaked myself in warm water after the massage. Unnn~ it was such a bliss. 「But, was it fine?」 「It’s about going to Raum. years later, Nicole-sama would only be years old」 「But won’t Finia also come along with us」 「Won’t you be lonely leaving your parent behind?」 「Um, well, I wouldn’t say that I won’t be」 For the past me, Lyell was considered a rival, but I don’t hate him that much. And in the case of Maria, I have received a lot of favor. Even if I have my secrets, I don’t really feel bad living with the two of them together. I would also feel sad leaving behind the two of them. But because I also considered the two of them as good comrades that the impression is different. I have already prepared myself to leave them behind at some point. The problem is how a year old like me can do so. If I made a lot of excuses, then it would only end up becoming too suspicious. 「But well, if we don’t go, then I will still be forcibly separated from mom and dad. If I ever had a long vacation, I think it would be better to return home though」 「That, I agree. Certainly, if you got taken in by the royal palace, then everyone won’t be able to easily meet you anymore」 「And thinking about such consequences, the other option would allow me to freely meet the people I want to meet, then going to Raum would be the only choice, right? That’s why I choose that option」 「......Nicole-sama, there are times when you easily speak of such difficult stuff, huh?」 「We, well, it’s not really that difficult, you know? Maybe because I’ve been studying with a lot of things during mom’s class」 When I am cornered like this I could only use studies as my reason, she reluctantly accepted my answer. 「Hue......」 「Nn, what’s wrong?」 Finia washed my back and made me raise a weird screech out of surprise. She then proceeds to wash me again with her focus on my back. It was kind of ticklish. 「Nicole-sama, did you somehow add some muscles?」 「Really!?」 「It is quite disappointing because the squishy feeling is starting to disappear」 「Finia, your real intentions are leaking out」 Though neither sorcery nor swordsmanship progressed, I’m still happy that I’m finally gaining some muscles. And so gradually, I continued growing little by little, and that is until my childhood days are over.
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「......お前は、誰だ......?」 「お初にお目にかかります。カシウスと申します」 カシウスと名乗った青年が、僕の目を真っ直ぐに見つめながら頭を垂れる。 「禁忌を犯す者の処刑が、私の務め。どうかお許しください」 存在に気づいた瞬間から、人間ではないことはわかっていた。ならば、宣告された『処刑』は女神の決定なのだろう。 わかっていることを敢えて口にする。カシウスは意外そうに眉を動かし、すぐに微笑みをたたえた目で僕を見つめ返した。 「そうです。正しくは、破局の衛士カシウスと申します」 カシウスという名は初めて耳にしたが、破局の衛士という座名には覚えがあった。 逃げることも戦うこともままならないこの身体で、今できることは頭を使うことだけだ。 「破局の衛士とは久しいな。人魔大戦末期以来か」 抑揚なくカシウスが答えた。 人魔大戦とは、10年ほど前に終結した人と魔族の戦争のことだ。魔神デウスーラの眷属である魔族の軍団、及びその魔神に操られた魔獣の大軍の進軍により、女神の眷属である人類は滅亡の危機にさらされた。 多くの人々や土地が魔族に 戦況を打破すべく、新たな武器の開発も進められた。僕は破局の衛士を名乗る神人に依頼され、多くの武器を女神の使いである神人に供与した。その甲斐あって人類は勝利を掴み取り、今に到るのだ。 「......処刑には、その刀を使うつもりか?」 もそだ。僕の錬金術における最高傑作は、僕の予測と制御の範囲を超えの奇跡と百回の偶然が重なって誕生した。 は、予想どおり、カシウスによって帯刀されていた。 「随分と冷静なのですね。死を宣告されたというのに」 カシウスが僕の問いかけに反応した。会話を続ければ、少しぐらいは時間を稼ぐことができそうだ。その隙に考えるしかない。自分の命を守るには、それ以外に方法はないのだ。 「質問に答えてくれ。その刀を処刑に使うつもりか?」 「そのつもりです」 「......皮肉なものだな。自らが製造した刀で命を絶たれるというのは」 冷たい汗が背を伝うのがわかった。この刀を抜かせてはならない。 「ああ、なるほど......。これもあなたの功績でしたか」 僕の緊張を見透かしたようにカシウスが目を細める。 「わかっているならば、物騒な真似は止めてくれ」 「これは失礼。配慮に欠けていましたね。これを抜けばどうなるか、あなたが一番良く知っているというのに」 謝罪の言葉を口にし、カシウスが半歩後ろに下がった。今すぐ斬るつもりがないという意思を示そうとしたのだろうが、それが意味をなさないことは僕にはよくわかっていた。 の、『切断』の能力は問答無用で空間を切断する。君が抜いた瞬間に僕は絶命を免れない」 「その通りです。とはいえ、切断する空間を選べば、即死は免れられることでしょう」 「笑えない冗談だ。ところで、それをどこで手に入れた?」 「先代から譲っていただきました」 人魔大戦の最中で命を落としたか、否か。少なくとも僕の知る神人の名を出して、話を引き延ばせないことだけは理解できた。 「......処刑と言ったが、罪状を知りたい。罪も知らせず罰だけを下すのが神人のやり方ではないだろう? 禁忌の領域とはなんだ?」 「......それを知る必要がどこに? いずれにせよ、あなたの死は変わらない」 怪訝に眉を寄せたカシウスが右の手指を動かしている。そこにはない柄を握るような動きだ。 「罪を悔いることで、得られるものもあるはずだ。必要とあらば、神に懺悔しよう」 「いいえ。罪を悔いる必要はありません」 カシウスが冷たく拒絶する。右手の拳がかたく握られるのがわかった。 「既に禁忌の領域に踏み込んだ以上、赦されることはないのですから」 時間を稼ぎたい。どこかに助かる術があるはずなのだ。 「あなたを世界から抹殺する。それが私に与えられた使命です」 だが話は途切れ、カシウスが再び柄に手を触れた。 だが、逃げようにもカシウスには隙がない。黒石病で身体が思うように動かせないが、たとえそれがなかったとしても、逃げられないであろうことは、本能が理解していた。 「......これは僕の人生であり、僕の命だ。それに、禁忌の領域を知らなければ、同じ罪を犯すだろう」 焦りを感じ始めていた僕の耳に、カシウスが薄く笑う音が響いた。 「転生の際には、念入りに記憶を消さなくてはなりませんね」 ――転生? この僕が? 処刑されたとしても、新たな生命として生まれ変わることができる、ということだろうか? 「......噂には聞いていたが、どうやら僕も転生出来るようだな」 「女神は全ての魂に、等しく機会を与えてくださいます」 「それが『処刑』に対する罪滅ぼしか?」 「いえ、この世の生命に与えられた 「それは慈悲深いことだ。願わくば、今世よりまともな人生を送らせてもらいたいものだがな」 心からの皮肉だったが、カシウスは同情を示すように眉を下げた。 「それがあなたの望みですか?」 「......っ」 問いかけに、言葉が詰まった。何故答えることができなかったのか、自分でもわからなかった。 「今世をあなたは、幸福には生きていない。その自覚があるのならば、未練も断たれることでしょう」 カシウスが柄にかけた手に力を込めるのがわかった。もう、猶予はないのだと告げられたのだ。 「僕が追い求めた真理はどうなる? 人魔大戦での功績は神人も認めるところではなかったのか?」 「功績は認めています。高く評価しましょう。ですが、あなたの罪を見逃す理由にはなりません」 「だが、僕には錬金術しかない。まだ真理に辿り着けてもいない! 未練というならば、これこそが僕の未練だ。残された命で、それをどうして追求させない?」 焦りが苛立ちを呼び、声が荒くなる。同時に込み上げてきた咳が喉を突き上げ、血混じりの痰が咄嗟に口を押さえた手のひらに散った。 「......何故そこまでして、錬金術にこだわるのですか?」 カシウスの手が、柄から離れた。
“...Who are you?” “My name is Cassius. Nice to meet you.” The young man who called himself Cassius offered a slight bow while looking straight into my eyes. “Executing people who have committed the taboo is my duty. Please forgive me.” He had no intention of letting me escape; his unwavering eyes announced my impending execution. From the moment I noticed him, I had already realized he wasn’t human. My death sentence must have been decreed by a Goddess. “You’re a Kamut...” I deliberately said it aloud. Cassius’ eyebrows shifted in surprise, and he immediately returned my gaze with a smile. “That’s right. My name is Cassius, Guardian of Cataclysm.” I had never heard the name Cassius before, but I was familiar with the title of Pillar Guardian of Cataclysm. He was an opponent against whom I stood no chance. Yet, I couldn’t allow myself to be executed without knowing why. Given my condition, running or fighting was out of the question. All I could do was think. “The Guardian of Cataclysm. How nostalgic. I haven’t heard that title since the Great Human-Demon War.” “Likewise for a Kamut to visit you,” Cassius replied, his voice devoid of intonation. The Great Human-Demon War had concluded around ten years prior. Humankind, the followers of the Goddesses, had faced annihilation when hordes of demon beasts controlled by the Demon God Deusura advanced to destroy them. My own atelier in the Academic City of Argon had been attacked by demons and submerged in a poisonous swamp. While many lands and people fell to the demon tribes, the Goddesses had sent a large number of Kamuts to the battlefield, staking mankind’s survival. New weapons had been developed to turn the tide of the war. I had been commissioned by a Kamut, who also claimed to be the Guardian of Cataclysm, to supply a plethora of weapons to the messengers of the goddesses. Those efforts had led to mankind’s victory and brought us to the present day. “The execution... will you carry it out with that sword?” The sword that had been commissioned from me at the end of the Great Human-Demon War—the Divine Sword, Bronze Serpent “Nehushtan”—was one such weapon. A masterpiece of alchemy that had exceeded both my predictions and control, it had been born through miracles and luck. That very Nehushtan now hung at Cassius’ waist. “It’s surprising how calm you are, even though I’ve just announced your execution,” Cassius observed. If I could engage him in conversation, perhaps I could buy some time. That was my sole chance for survival. “Please answer my question. Will you use that sword?” “How ironic that my life might be taken by a sword of my own making.” As if pondering my words, he moved his hand toward the sword’s hilt. Cold sweat trickled down my back, warning me that I couldn’t let him unsheath that blade. “Ah, I see... This is also your achievement,” he murmured as he caressed the hilt and slowly lowered his hand. “There’s no need to be so tense; I won’t carry out your execution just yet.” Noticing my tension, he narrowed his eyes. “If you’re aware of it, then please don’t do that,” I said. “My apologies. That wasn’t considerate of me. If I were to draw this, you would know best what would happen.” Apologizing, he took a step back, signaling that he had no intention of cutting me down at that moment. But I knew well enough that it meant little. The effort was simply to put me at ease. For, despite being called a sword, Nehushtan lacked a blade. The scabbard held only a hilt and a guard. “The ‘severing’ ability of Nehushtan cuts through space indiscriminately. The moment you draw it, I won’t escape death,” I explained. “Quite so. But I can also cut space in such a way that you won’t die immediately,” he responded, looking around the room. “That’s not amusing. Where did you get that sword?” “I received it from my predecessor,” he replied, his smile vanishing. “I see.” Whether or not he’d lost his life in the midst of the Great Human-Demon War was irrelevant at this point. I understood that I couldn’t prolong the conversation by mentioning the names of deities. “I want to know the reason for my execution. Just bringing down punishment without letting the charges be known can’t be the style of deities, right? What forbidden domain?” “Where is the necessity for that? It won’t help you escape death.” He moved the fingers of his right hand in a gripping motion, as if holding an invisible sword, and raised his eyebrows in doubt. “There must be something to be gained by repenting for our sins. If need be, I will repent to God.” “No, there is no need to repent.” He rejected me coldly. I noticed that he had clenched his right hand into a fist. “Now that you have already trespassed into the forbidden domain, you can no longer be pardoned.” I needed to buy more time; there had to be a way to save myself. “Removing you from this world is the mission that has been given to me.” The conversation reached an impasse, and he touched the handle again. My heart pounded so rapidly it felt like the sound could fill the room. Alarm bells resounded in my head, urging me to flee from the imminent death. But there was no way Cassius would let me run. The black stone disease had rendered me immobile, but even without that, I instinctively knew running was not an option. “This is my life, my fate. And if I don’t know about the forbidden domain, I might commit the same sins again.” A way to save myself—was there a way to break this dilemma? There had to be something. Just when I was beginning to feel impatient, I heard Cassius’s weak laugh in my ear. “We’ll make sure to erase your memories when we reincarnate you.” —Reincarnation? Me? Did it mean that even if I were executed, I could be reborn anew? “I’ve heard rumors, but it seems I can be reborn too.” “The Goddess gives every soul an equal chance.” “Is that atonement for my execution?” “No, it’s the privilege given to life in this world,” Cassius said, uninterested as if it were a matter of course. “That is a benevolent thing to do. Hopefully, I will lead a more decent life next time.” I said with heartfelt sarcasm, but Cassius lowered his eyebrows in a show of sympathy. “Is that what you wish?” “...” I was at a loss for words. I didn’t know why I couldn’t answer either. “You’re not living happily in this life. If you are aware of this, then you will be able to break your attachment to it.” I saw Cassius’ hand tighten around the hilt. It signaled there would be no more delays. “What about the truth I pursued? Weren’t my achievements in the Human-Demon War recognized by the gods?” “I recognize your achievements. I appreciate them highly. But that is no reason to overlook your sins.” “But I have only alchemy. I haven’t even reached the truth yet! You talked about regret—well, this is my regret. Why won’t you let me pursue it with what’s left of my life?” My voice grew hoarse with frustration and impatience. A cough rose in my throat, and bloody phlegm splattered on my palm, which I quickly covered with my mouth. “Why do you care so much about alchemy?” Cassius’ hand left the hilt.
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僕は今日先輩とばったり出会った。 本当に唐突に、しかも僕がVtuberやってる事も直ぐにバレた。 でも、会った瞬間の僕は気まずさが大きかった。 そして先輩と話していると先輩に彼氏がいない事が発覚した。 でも、何故だろうか。 嬉しい筈なのに、何故かもやっとした。 自分でもどうしてもやっとしたのかは分からない。 でも、先輩に好きな人がいるのか聞かれた瞬間に僕は気付いた。 いや、気付いてしまったんだ。 薫さんや華さんが僕に好意を持っているって。 それが男としてなのか、友人のようなものとしてなのかは分からないけど。 由良さんに関しては弟や妹みたいに思われてるんだなって僕は勝手に思っているけどね。 僕が由良さん達の事が好きか嫌いかで言ったら間違いなく好き、なんだと思う。 でもこの気持ちがどちらなのか僕には分からない。 「うううううううう!モヤモヤするうううう!!!!!」 僕はホテルのベッド、頭を抱えて足をばたばたさせていた。 「うぁぁぁぁぁぁぁ!!!!大胆過ぎだよわたしぃぃぃぃ!!!」 わたしはホテルのベッドで今日起きた事を振り返っていた。 半分逆告白のような事をしておいて、友達から始めようって、恋愛小説や漫画でよくあるやつじゃないの!!!! 他に誰も居ないホテルでわたしは悶えるような気恥ずかしさに苛まれていた。 「・・・でも、まだ優希くん彼女居ないんだよね。」 そう言葉にすると恥ずかしさで顔が熱を持つ感覚を覚えた。 足も勝手にばたばたと動いてしまう。 でも、優希くんが居なくなってからぽっかりと開いていた穴が少しずつ埋まっていっているような感覚をわたしは感じていた。 「ライバルは2人、ゆるママとふわちゃん・・・」 わたしだって外見には自信があるんだ、きっと・・・ 「ねぇ由良、ちょっといいかな。」 「どうしたの?お姉ちゃん。」 私は由良と一緒にホテルにあるバーで2人でお酒を飲みながら話をする事にした。 私はGODI◯Aリキュールを、由良はティーリキュールをミルク割りで頼んだ。 「実はね、優希くんの失恋した原因の先輩って言うのが今日いたモデルの子だったらしいんだ。」 「えっ!?えぇ!?どんな偶然なのそれ!?」 私は今日あった事を由良に話した。 「それでね、モデルの子が優希くんの失恋した相手って言うのを聞き出していたんだけど、優希くんがその子のことですって言うんだよ・・・」 「お姉ちゃん・・・」 「でも優希くんもそのモデルの子もその気持ちが恋なのか友人としての好意なのかがわからないから友達としてやり直そうって言ってたんだ。」 「うんうん。」 「私ね、気付いちゃったんだ。」 「私、本当の意味で優希くんが好きなんだって。」 「まぁ、そうだろうね。お姉ちゃん、優希くん好きすぎでしょ。」 「えっ!?そこまでバレバレ!?」 「かなりね、というかお姉ちゃんは優希くんのどこが好きなの?」 「可愛いところもそうだけど、家庭的なところとか、何かに一生懸命になれるところとか、それこそ自分自身を塗り替えるほどに、ね。」 「あと、本来なら女装とかするタイプじゃないんだろうけど、私との約束のためにVtuberとしても、売り子もそう、あそこまで頑張ってるところ見ちゃったら、惚れない訳が無いよ。」 「なるほどね、お姉ちゃん、方法は一つだけあるよ。」 「奪われる前に奪うんだよ。」 「えっ?」 「お姉ちゃんが誰よりも先に優希くんを惚れさせればいいんだよ。」 「出来るかな、私に。」 「出来る出来る、私も協力するからさ!」 「由良・・・」 「それで私は由良お姉ちゃんって呼んでもらうんだ!」 「何で笑うのお姉ちゃん!」 「由良らしいなって。」 「へへへ、だからさ、お姉ちゃんもっとオシャレになっちゃおうよ。」 「そうと決まったらお姉ちゃんの先輩さんに相談だね!」 「ふんふんふふーん♪」 私はゆかちゃんとオフコラボが確定して気分も上々、そして今日はなんと! 「いい本見つけちゃった♪」 なんとなんと、すいかブックスでゆかちゃん本を見つけたのです! しかも!!!!! 「ふわ×ゆか本なんて分かってるじゃない!!・・・ただ。」 私はもう一冊の本を見つめる。 「同じ作者でかなりのクオリティなのに、なんでゆる×ゆか本もあるのよ!!!買っちゃったけど!!!」 内容は・・・ちょっとここでは言えないかな♪ ただ、この本は家宝にしよう!そうしよう! 2冊ずつ買っちゃったけど、それも仕方ないよね。 「へへへ、思ったより売れた。」 「どっちも描きたいからって両方描くのは流石にしんどかったな・・・コピ本になっちゃったし、再販希望多かったらオフセで刷ろうかな・・・」 「いくらコピ本でも優希くんからのゆるママ情報が遅かったら間に合わなかっただろうなぁ・・・」 「次は冬コミ、ネタはまだまだ浮かぶ・・・もっともっと広めるぞ、おねショタの輪・・・」
Today, I happened to meet Senpai. She found out right away that I was a VTuber. But the awkwardness was intense the moment we met. As I spoke with her, I found out she doesn’t have a boyfriend. But I wonder why. I should be happy, but for some reason, I feel gloomy. I don’t understand why I’m feeling like this. However, when Senpai asked me if there was someone I liked, I realized. No, I ended up realizing. That Kaoru-san and Hana-san have feelings for me. Whether those feelings are as a man or as something like a friend, I’m not sure. Yura-san probably only sees me as a younger sibling, but that’s just me speculating things on my own. If I were to say whether I like or dislike Yura-san and the others, I would definitely say I like them. But I don’t know what kind of feelings these are. “Ughhhh! This is so frustratinggggggg!!!” I was alone on my hotel bed, flailing and kicking my legs around. “Ahhhhhhhhh!!! That was too bold of meeeeeee!!!” I was reflecting on what happened today in my hotel bed. Confessing in a roundabout way and then suggesting we start as friends? Isn’t this something that only happens in romance novels and manga?! A sense of shame tormented me in the empty hotel room. “...But Yuki-kun still doesn’t have a girlfriend.” As I thought out loud, I could feel my face heating up with embarrassment. My legs started flailing on their own. However, I feel like the gaping hole from when Yuki-kun disappeared is slowly filling up. “My rivals are Mama Yuru and Fuwa-chan...” I have confidence in my appearance, so surely... “Hey, Yura, can we talk?” “What’s up, onee-chan?” I decided to have a drink and chat with Yura at the hotel bar. I ordered a GODI*A liqueur, and Yura ordered a tea liqueur diluted with milk. “It seems that the senior who caused Yuki-kun’s heartbreak was his modeling partner today.” “Huh?! No way! What a coincidence!” I told Yura what happened today. “And then, the model asked who was the object of Yuki-kun’s unrequited love, and he said it was her...” “Onee-chan...” “But Yuki-kun and the model don’t know if their feelings are romantic or platonic, so they decided to start over as friends.” “Uh-huh.” “I realized something.” “I truly like Yuki-kun.” “Well, that makes sense. You like Yuki-kun a lot.” “Quite a bit, yeah. What do you like about him?” “It’s not just that he’s cute, but also his family-oriented side, how he can be passionate about something to the point of changing himself.” “Plus, he probably wouldn’t normally crossdress, but he’s trying so hard to fulfill our promise as a VTuber, even as booth assistant. I can’t help but fall for him when I see him like that.” “I see. There’s only one way, onee-chan.” “Snatch him before someone else does.” “What?” “If you make Yuki-kun fall for you before anyone else, you’ll be fine.” “Can I do it?” “Of course you can! I’ll help too!” “Yura...” “And then I’ll get him to call me Yura-oneechan!” “Why are you laughing, onee-chan?!” “It’s just like you, Yura.” “Hehehe, so let’s make you more stylish, onee-chan.” “Now that that’s settled, we must consult your senpai!” “Whaaaaaaaaaaaaaaaaat?!” “Hmm-hmhm♪” I’m in a great mood because I’ve confirmed an off-collab with Yuka-chan, and guess what? “I found a good book♪” I found a Yuka-chan book at Suica Books! And not just that!!! “I know it’s a Fuwa×Yuka book... but...” I stare at another book. “Why is there also a Yura×Yuka book from the same artist with such quality?! I still bought it, though!!!” As for the content... perhaps it’s a bit too much to share here♪ Anyway, I’m going to treat this book like a treasure! Yes, that’s what I’ll do! I did buy two of each, but that can’t be helped. “Hehe, it sold better than I thought.” “I wanted to draw both, but it was definitely tough... I ended up making a photocopied book. If there’s demand for a reprint, maybe I’ll do offset printing...” “Even though it was a photocopy, I wouldn’t have made it in time if Yuki-kun hadn’t given me Mama Yura’s information...” “I still have plenty of ideas for the upcoming Winter Comiket... I’ll spread the circle of oneesan x shota love even further...”
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皆さんには 私の話を 落ち着いて聞いて欲しいと思います 私は 恐怖と不安について よく知っているんですから 私はニュージャージー出身の ユダヤ系なんです 歩き出す前から 不安を抱えていたんです ここは拍手をするところですよ (拍手) ありがとう それに私が育ったのは 恐怖の時代でした 小さい頃 講堂に出るように言われ 頭からコートを被って 地球規模の核戦争から 身を守る方法を教わったんです 当時7歳だった私の頭でさえ 役に立たないって理解できました ただ同時に 地球規模の核戦争が 重大な事態だともわかっていました 私たちは50年間も そんな戦争の脅威とともに 生きてきましたが 政府や 社会は 素晴らしいものを生み出すことで それに対処してきました 核戦争への対応として 宇宙計画を推進しました 高速道路網も作りました インターネットも作りました つまり 恐怖が建設的な対応を 促すことがあるのです 一方で恐怖が建設的でない 反応を促すこともあります 2001年9月11日 19人の男たちが飛行機を4機乗っ取り 2棟のビルに突っ込みました 男たちは恐るべき数の 犠牲を強いたのです この犠牲は軽視できません ただ これに対する反応は 明らかに過剰でした それは まるで たがが外れたようでした アメリカや その他の政府は 国家安全保障の体制を 再編して対処しようとしました この攻撃が起きた時点では 脅威は まだ限定的だったにも かかわらずです 実際のところ 諜報機関によると 2001年9月11日時点で アルカイダの中核メンバーは 100名でした テロリストは わずか数千人でした 存亡の危機をもたらすものでは なかったのです それでも私たちは 国家安全保障の体制を 第二次世界大戦以降 最も徹底した形で再編しました その後 2つの戦争を開始し 数兆ドルを費やし 自分たちの価値観を一時保留し 国際法を犯し 拷問を容認しました そして ある考えを抱いたのです あの19人にできたのなら 誰にでも可能なはずだと つまり 私たちは歴史上初めて あらゆる人間を 脅威と見なすようになったのです その結果 どうなったでしょうか? 諜報活動を通じて あらゆる国の 何億人分もの メールや通話を傍受したのです 相手が同盟国かどうかも 自国の利益も 棚上げにしたのです 私の考えでは 15年経った今 テロリストの数も テロ攻撃も増加し アメリカ国務省の統計によると 被害者も増加し さらに 現在このようなテロ攻撃の 出処となっている地域は 人類の歴史上 たぶんノアの洪水以降 最も不安定になっているのだから 対応に成功しているとは 言えないでしょう ここで考える必要があるのは 私たちがどこで間違ったか 何を行い どう誤ったかです 皆さんは こう言うかもしれません アメリカ政府は正常に機能していない 政治は まるで子どもの喧嘩だ 議論は まるで金網デスマッチのように なっている・・・ 確かにそうです ただ 信じ難いかもしれませんが それより重大な問題があるのです たとえ私が こう主張したとしてもです 「世界で最も豊かで 強大なこの国が 正常に機能していないために 問題を解決できないことこそ ISISなどの集団が取りうる行動より はるかに危険である なぜなら この機能不全が 行く手を阻み 進歩を妨げるからだ」と でも 問題は別のところにあります その問題とは アメリカ政府も 他国の政府も 創造性の枯渇という 危機に陥っていることです ワシントンのシンクタンクは 新しいアイデアが 生まれる場所であるべきなのに 大胆な新しい発想がありません なぜなら もし大胆で新しい発想を提案しても Twitterで攻撃された上に 政府の仕事は確保できないでしょう 政治的論争が敵意に満ちてくると 私たちは それに反応するので 政府は「政府対市民」という 考え方を持つようになり 少数で決定を下すようになります 少数の人間が密室で 決定を下すようになれば どうなるのか? 集団思考に陥ります 全員が同じ世界観を持ち 集団の外側からの意見は 脅威と見なされるようになります これが危険なのです 同時に 24時間報道体制に 反応するプロセスが生じます 予測を立て 未来に目を向け 戦略を立てるための アメリカ政府の部門や 他国政府の同様の部署は 本来の仕事ができなくなります 彼らが24時間報道体制に 反応するだけだからです だから先が見通せないのです 同時多発テロで危機に陥ったのは 誤った方向に目を向けていたからです 現在も危機が去らないのは 同時多発テロのせいで 私たちは まだ誤った方向を 向いているからです そして それがわかるのは 私たちには あの9月11日に見たものより はるかに重要な 変化の兆しが見えるからです テロリストがもたらした脅威よりも ずっと重要で 現在 世界のいくつかの地域が 苦しんでいる 不安定な状況よりも はるかに重要です 実際 そういった地域で 見られる事態は 前兆なのかもしれません それは より大きな動きに対する 反応かもしれないのです そして この前兆への対処に追われて より大きな動きを無視すれば はるかに重大な問題に 直面することになるでしょう さて この動きの正体とは? 皆さんのような方々にとって この動きは明白です 私たちは人間社会のまさに根幹が 再構成されつつある時代を 生きています 数日前の『エコノミスト』誌の 表紙を見れば 2020年までに 世界の人口の8割が スマートフォンを持つだろうと 書いてあります ネットに繋がった小さなコンピュータを 携帯するようになるかもしれないのです アフリカの大部分では 携帯電話の普及率は8割です 去年の10月の時点で 携帯デバイスやSIMカードの数は 世界の人口を超えました 私たちは人類史の中でも 重要な転換点に生きています 事実上 世界中すべての人間が 史上初めて人間が作った システムの一部になり 良かれ悪しかれ 誰とでも コミュニケーションがとれる時代なのです そして それに伴う変化が 世界中の統治と生活の あらゆる側面を 根本から変えています そして この変化は 指導者たちが切迫した脅威を考える時に 念頭に置かなければならないものなのです 安全保障の面では 核戦争は あまりにコストが高いため 実行しないまま 冷戦を終えました そして私が「クールな戦争」と呼ぶ サイバー戦争の時代に突入しました 今では紛争のコストが極めて低いので 止めようとすらしないでしょう 常時 戦争状態という時代に 入っているのかもしれません もうすでに数年間 そんな状態にあることからもわかります それでもなお 私たちには 道標となる基本的な政策がありません 基本的な考えも定まっていません 何者かがサイバー攻撃を仕掛けてきたら 物理的に対抗する能力を 我々は持っているのか? それすら わかりません 何者かがサイバー攻撃を始めたら どう防ぐのか? 中国が大規模なサイバー攻撃を開始したら アメリカ政府はどうするのか? 結局 アメリカに来ることもない 中国人を何人か起訴するだけだろうと 言われています 身柄を確保するはずの 警察官の手の届くところに 彼らが来ることなどないのです これは抑止ではなく 単なるジェスチャーです 今 現場で活動中の 特別部隊の工作員が確認しているのは 少人数の反政府グループが 携帯電話を持って かつては超大国しか使えなかった 衛星写真を利用するところです 実際 携帯さえ持っていれば かつての超大国さえ持っておらず 10年前なら極秘だったであろう 情報にアクセスすることができるのです 私の携帯にだって 世界中の航空機の 現在位置や高度 飛行速度 さらに 航空機の種類や 離陸場所と着陸場所を示す アプリが入っています 彼らにとって敵である 我々の動きを知らせるアプリを 彼らは持っています そして そんなツールを 新たな方法で使っています シドニーのカフェが テロリストに占拠された時 犯人が持っていたのはライフルと iPadでした iPadが武器だったのです その男は人々を捕らえて脅し iPadを向けてビデオ撮影し ネットに投稿して 世界中のメディアを席巻したのです でも これは単に安全保障面に 影響を与えただけではありません 大国間の関係について言えば 二極化の時代は終わったと 思われていました 私たちは世界が一極化し 大きな問題は全部解決したと考えました 覚えていますか? 『歴史の終わり』だったんです でも それは誤りでした 次第に明らかになってきたのは インターネットの基本的前提 すなわち ネットが私たちをつなぎ 社会を結びつけるという前提は 必ずしも正しくなかったということです 例えば中国には グレート・ファイアウォールがあります 国内にインターネットが存在することを 良しとしない国があり 国内で統制しています コンテンツを統制しているのです そのうちセキュリティも統制し ネットを管理するようになるでしょう 流せる情報にまで干渉し 別のルールを作るでしょう 中国だけの話と思うかもしれませんが 中国に限った話ではありません インドでもロシアでもそうです サウジアラビアでも シンガポールでも ブラジルでもそうなのです NSAのスキャンダルの後 ロシアも中国もインドもブラジルも 現在のインターネットには 頼れないと考え 新しいバックボーンを築こうとしています そして突然生じたのは こんな世界です 新たな二極化した世界 つまり 私たちの信念である サイバー国際主義が もう一つの信念に攻撃される世界です このような変化は 至る所に見られます 例えばモバイルマネーが 思いもよらぬ所に出現しつつあります これまで ケニアやタンザニアでは 金融サービスを受けられない人が 数百万人いましたが 現在は携帯で すべてのサービスを受けられます まだサービスを受けていない 250万の人々にも もうすぐ利用可能になるでしょう 近い将来 10億人が 携帯電話でサービスを 受けることになるのです これは単に 銀行と取引が 可能になるだけの話ではなく 現行の金融政策を変えてしまうでしょう 通貨のあり方も変化します 教育も 同様に変化します 医療も 同様に変化します 公共サービスの提供方法も 同様に変化します そんな状況にも関わらず ワシントンでは 今も シリアとイラクを占拠している テロ集団をISISと呼ぶか ISILと呼ぶか イスラム国と呼ぶかで 議論しているのです また 私たちは核に関する イランとの外交交渉で どれだけ譲歩できるか 模索しています でも核は50年も前の技術です 本当はイランとサイバー戦争の最中だと 私たちも気付いているのに それを無視しています 企業に対する攻撃について 当の企業側の口が重いのが 理由の一つです これが もう一つの重要な断絶 すなわち このような集団にとって極めて重要な もう一つの断絶につながります アメリカの経済成長や 本来の安全保障 そして 冷戦時代であっても 進歩を支えていたのは 科学と技術と政府の間にある 公的機関と民間の連携だったからです それはトーマス・ジェファーソンが 独り研究室で 新たな発明を していた頃にさかのぼります 運河や鉄道 電報が生まれ レーダーやインターネットができました 朝食の時に飲むタングもそうですが これは そんなに重要では ないかもしれません ただ かつては連携も対話もあったのに 今 それが行き詰っています その理由は アメリカ政府は 政府の関与が 少ないほどよいと考えているからです 信じられないかもしれませんが 政府は 科学を相手に 戦争をしているからです 人類の歴史を通して 科学に戦争を仕掛けても その相手が何であろうと 科学が常に勝ってきたという 事実があるのにです (拍手) ところが政府は聞く耳を持たず 政府の上層部に そのことを理解する 人はいません 核の時代には 国家安全保障の上級職に就いた人々は ミサイルの爆発力について 説明できなければなりませんでした 専門用語をたくさん知っている 必要があったのです 現在 アメリカ政府の トップレベルにいる人々に サイバー・スペースや 神経科学といった 明日の世界を変えうるものについて 説明を求めても ぽかんとするだけです 私が本を書いた時 科学技術の専門家を含む150人に インタビューしたから わかります 彼らは まるで「子ども席」に 追いやられたように感じていました 一方で 技術分野では 才能あふれる人々が 素晴らしい物を作っていますが みんなガレージで開発を始め 政府など必要とせず むしろ余計なものと考えています 彼らの多くは 自由主義と 無政府主義の間くらいの 政治思想を持っています 「放っておいてくれ」というわけです 一方で世界はバラバラになりつつあります 急に 大規模な規制の変更や 紛争に関わる重大な課題や 安全保障やプライバシーに関わる 重大な課題が生じることになるでしょう さらに 私たちには次の課題 すなわち 哲学的な課題が待ち構えています つまり もしインターネットへの アクセスがなければ 投票も 仕事も 金融も 医療も 教育も手に入らないとしたら ネットへのアクセスは 憲法に記すべき基本的人権ではないか? もしインターネットが 基本的人権なら 12億人に与えられていない 電力へのアクセスも 基本的人権ではないか? これは根本的な課題なのに 哲学者は何をしているんでしょう? 対話はどこに行ったんでしょう? だから 私がここで話しているのです 私はワシントンに住んでいます 残念ながら・・・ そこには対話はありません 重要な課題が 世界を変え 安全保障を変え 経済を変え 希望と恐怖を生み出しますが そんな課題を解決するには 科学技術を理解する集団と政府との 協力を復活させるしかありません 双方が必要とし合っています この繋がりをもう一度作り アメリカの成長と 他国の成長を促さなければ 私たちは 一層 弱体化していくでしょう 同時多発テロにまつわるリスクは 攻撃で失われた人命では 測れないし 破壊された建物の数や 何兆ドル費やしたかでも測れません そのリスクは 私たちが重要な課題から 目をそらすことで生じるコストや 科学者や技術者や 政府の指導者達を 協力させられないせいで 生じるコストによって測られるのです 今まさに ルネサンスの黎明期や 世界中で これまで起こった 大規模な変化の時代の始まりと 同様の変化が起こっています だから正しい答えとまではいかなくても 正しい問いを探し出す時なのです 私たちは まだそこまでいっていません でも このような議論の場や このような集まりこそが そんな問いを生み出し 提示する場になるのです だから私は このTEDのような集団や 世界中の これに似た議論の場で 未来の外交政策や経済政策 社会政策や哲学が 最終的に生まれてくると信じるのです だから こうして皆さんに話すのは 大きな喜びなのです ありがとうございました
I would like you to feel comfortable with my doing that by letting you know that I know something about fear and anxiety. I'm a Jewish guy from New Jersey. I could worry before I could walk. Please, applaud that. Thank you. But I also grew up in a time where there was something to fear. We were brought out in the hall when I was a little kid and taught how to put our coats over our heads to protect us from global thermonuclear war. Now even my seven-year-old brain knew that wasn't going to work. But I also knew that global thermonuclear war was something to be concerned with. And yet, despite the fact that we lived for 50 years with the threat of such a war, the response of our government and of our society was to do wonderful things. We created the space program in response to that. We built our highway system in response to that. We created the Internet in response to that. So sometimes fear can produce a constructive response. But sometimes it can produce an un-constructive response. On September 11, 2001, 19 guys took over four airplanes and flew them into a couple of buildings. They exacted a horrible toll. It is not for us to minimize what that toll was. But the response that we had was clearly disproportionate -- disproportionate to the point of verging on the unhinged. We rearranged the national security apparatus of the United States and of many governments to address a threat that, at the time that those attacks took place, was quite limited. In fact, according to our intelligence services, on September 11, 2001, there were 100 members of core Al-Qaeda. There were just a few thousand terrorists. They posed an existential threat to no one. But we rearranged our entire national security apparatus in the most sweeping way since the end of the Second World War. We launched two wars. We spent trillions of dollars. We suspended our values. We violated international law. We embraced torture. We embraced the idea that if these 19 guys could do this, anybody could do it. And therefore, for the first time in history, we were seeing everybody as a threat. And what was the result of that? Surveillance programs that listened in on the emails and phone calls of entire countries -- hundreds of millions of people -- setting aside whether those countries were our allies, setting aside what our interests were. I would argue that 15 years later, since today there are more terrorists, more terrorist attacks, more terrorist casualties -- this by the count of the U.S. State Department -- since today the region from which those attacks emanate is more unstable than at any time in its history, since the Flood, perhaps, we have not succeeded in our response. Now you have to ask, where did we go wrong? What did we do? What was the mistake that was made? And you might say, well look, Washington is a dysfunctional place. There are political food fights. We've turned our discourse into a cage match. And that's true. But there are bigger problems, believe it or not, than that dysfunction, even though I would argue that dysfunction that makes it impossible to get anything done in the richest and most powerful country in the world is far more dangerous than anything that a group like ISIS could do, because it stops us in our tracks and it keeps us from progress. But there are other problems. And the other problems came from the fact that in Washington and in many capitals right now, we're in a creativity crisis. In Washington, in think tanks, where people are supposed to be thinking of new ideas, you don't get bold new ideas, because if you offer up a bold new idea, not only are you attacked on Twitter, but you will not get confirmed in a government job. Because we are reactive to the heightened venom of the political debate, you get governments that have an us-versus-them mentality, tiny groups of people making decisions. When you sit in a room with a small group of people making decisions, what do you get? You get groupthink. Everybody has the same worldview, and any view from outside of the group is seen as a threat. That's a danger. You also have processes that become reactive to news cycles. And so the parts of the U.S. government that do foresight, that look forward, that do strategy -- the parts in other governments that do this -- can't do it, because they're reacting to the news cycle. And so we're not looking ahead. On 9/11, we had a crisis because we were looking the wrong way. Today we have a crisis because, because of 9/11, we are still looking in the wrong direction, and we know because we see transformational trends on the horizon that are far more important than what we saw on 9/11; far more important than the threat posed by these terrorists; far more important even than the instability that we've got in some areas of the world that are racked by instability today. In fact, the things that we are seeing in those parts of the world may be symptoms. They may be a reaction to bigger trends. And if we are treating the symptom and ignoring the bigger trend, then we've got far bigger problems to deal with. And so what are those trends? Well, to a group like you, the trends are apparent. We are living at a moment in which the very fabric of human society is being rewoven. If you saw the cover of The Economist a couple of days ago -- it said that 80 percent of the people on the planet, by the year 2020, would have a smartphone. They would have a small computer connected to the Internet in their pocket. In most of Africa, the cell phone penetration rate is 80 percent. We passed the point last October when there were more mobile cellular devices, SIM cards, out in the world than there were people. We are within years of a profound moment in our history, when effectively every single human being on the planet is going to be part of a man-made system for the first time, able to touch anyone else -- touch them for good, touch them for ill. And the changes associated with that are changing the very nature of every aspect of governance and life on the planet in ways that our leaders ought to be thinking about, when they're thinking about these immediate threats. On the security side, we've come out of a Cold War in which it was too costly to fight a nuclear war, and so we didn't, to a period that I call Cool War, cyber war, where the costs of conflict are actually so low, that we may never stop. We may enter a period of constant warfare, and we know this because we've been in it for several years. And yet, we don't have the basic doctrines to guide us in this regard. We don't have the basic ideas formulated. If someone attacks us with a cyber attack, do have the ability to respond with a kinetic attack? We don't know. If somebody launches a cyber attack, how do we deter them? When China launched a series of cyber attacks, what did the U.S. government do? It said, we're going to indict a few of these Chinese guys, who are never coming to America. They're never going to be anywhere near a law enforcement officer who's going to take them into custody. It's a gesture -- it's not a deterrent. Special forces operators out there in the field today discover that small groups of insurgents with cell phones have access to satellite imagery that once only superpowers had. In fact, if you've got a cell phone, you've got access to power that a superpower didn't have, and would have highly classified 10 years ago. In my cell phone, I have an app that tells me where every plane in the world is, and its altitude, and its speed, and what kind of aircraft it is, and where it's going and where it's landing. They have apps that allow them to know what their adversary is about to do. They're using these tools in new ways. When a cafe in Sydney was taken over by a terrorist, he went in with a rifle... and an iPad. And the weapon was the iPad. Because he captured people, he terrorized them, he pointed the iPad at them, and then he took the video and he put it on the Internet, and he took over the world's media. But it doesn't just affect the security side. The relations between great powers -- we thought we were past the bipolar era. We thought we were in a unipolar world, where all the big issues were resolved. Remember? It was the end of history. But we're not. We're now seeing that our basic assumptions about the Internet -- that it was going to connect us, weave society together -- are not necessarily true. In countries like China, you have the Great Firewall of China. You've got countries saying no, if the Internet happens within our borders we control it within our borders. We control the content. We are going to control our security. We are going to manage that Internet. We are going to say what can be on it. We're going to set a different set of rules. Now you might think, well, that's just China. But it's not just China. It's China, India, Russia. It's Saudi Arabia, it's Singapore, it's Brazil. After the NSA scandal, the Russians, the Chinese, the Indians, the Brazilians, they said, let's create a new Internet backbone, because we can't be dependent on this other one. And so all of a sudden, what do you have? You have a new bipolar world our belief, is challenged by cyber-nationalism, another belief. We are seeing these changes everywhere we look. We are seeing the advent of mobile money. It's happening in the places you wouldn't expect. It's happening in Kenya and Tanzania, where millions of people who haven't had access to financial services now conduct all those services on their phones. There are 2.5 million people who don't have financial service access that are going to get it soon. A billion of them are going to have the ability to access it on their cell phone soon. It's not just going to give them the ability to bank. It's going to change what monetary policy is. It's going to change what money is. Education is changing in the same way. Healthcare is changing in the same way. How government services are delivered is changing in the same way. And yet, in Washington, we are debating whether to call the terrorist group that has taken over Syria and Iraq ISIS or ISIL or Islamic State. We are trying to determine how much we want to give in a negotiation with the Iranians on a nuclear deal which deals with the technologies of 50 years ago, when in fact, we know that the Iranians right now are engaged in cyber war with us and we're ignoring it, partially because businesses are not willing to talk about the attacks that are being waged on them. And that gets us to another breakdown that's crucial, and another breakdown that couldn't be more important to a group like this, because the growth of America and real American national security and all of the things that drove progress even during the Cold War, was a public-private partnership between science, technology and government that began when Thomas Jefferson sat alone in his laboratory inventing new things. But it was the canals and railroads and telegraph; it was radar and the Internet. It was Tang, the breakfast drink -- probably not the most important of those developments. But what you had was a partnership and a dialogue, and the dialogue has broken down. It's broken down because in Washington, less government is considered more. It's broken down because there is, believe it or not, in Washington, a war on science -- despite the fact that in all of human history, every time anyone has waged a war on science, science has won. But we have a government that doesn't want to listen, that doesn't have people at the highest levels that understand this. In the nuclear age, when there were people in senior national security jobs, they were expected to speak throw-weight. They were expected to know the lingo, the vocabulary. If you went to the highest level of the U.S. government now and said, "Talk to me about cyber, about neuroscience, about the things that are going to change the world of tomorrow," you'd get a blank stare. I know, because when I wrote this book, I talked to 150 people, many from the science and tech side, who felt like they were being shunted off to the kids' table. Meanwhile, on the tech side, we have lots of wonderful people creating wonderful things, but they started in garages and they didn't need the government and they don't want the government. Many of them have a political view that's somewhere between libertarian and anarchic: leave me alone. But the world's coming apart. All of a sudden, there are going to be massive regulatory changes and massive issues associated with conflict and massive issues associated with security and privacy. And we haven't even gotten to the next set of issues, which are philosophical issues. If you can't vote, if you can't have a job, if you can't bank, if you can't get health care, if you can't be educated without Internet access, is Internet access a fundamental right that should be written into constitutions? If Internet access is a fundamental right, is electricity access for the 1.2 billion who don't have access to electricity a fundamental right? These are fundamental issues. Where are the philosophers? Where's the dialogue? And that brings me to the reason that I'm here. I live in Washington. Pity me. The dialogue isn't happening there. These big issues that will change the world, change national security, change economics, create hope, create threats, can only be resolved when you bring together groups of people who understand science and technology back together with government. Both sides need each other. And until we recreate that connection, until we do what helped America grow and helped other countries grow, then we are going to grow ever more vulnerable. The risks associated with 9/11 will not be measured in terms of lives lost by terror attacks or buildings destroyed or trillions of dollars spent. They'll be measured in terms of the costs of our distraction from critical issues and our inability to get together scientists, technologists, government leaders, at a moment of transformation akin to the beginning of the Renaissance, akin to the beginning of the major transformational eras that have happened on Earth, and start coming up with, if not the right answers, then at least the right questions. We are not there yet, but discussions like this and groups like you are the places where those questions can be formulated and posed. And that's why I believe that groups like TED, discussions like this around the planet, are the place where the future of foreign policy, of economic policy, of social policy, of philosophy, will ultimately take place. And that's why it's been a pleasure speaking to you. Thank you very, very much.
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「ヨルンヴェルナ先生............こんなところで何してるんですか」 「実験用に人形が必要になってね。本当はよくないのだけれど、用具室の備品をちょっと拝借しようと思って」 至極のんきな返答に力が抜ける。シェイラはヘナヘナとマットの上に戻った。 「......備品を盗むなんて、よくないですよ」 「人聞きが悪いなぁ。盗むんじゃなく借りるの。使ったらちゃんと元あった場所に戻すよ」 そうは言っても、彼の実験に付き合った人形がそっくりそのままの姿でいられるとは思えない。 本来なら諌めるべきところだが、シェイラはこれをいい交渉材料とみなした。 「じゃあ、備品紛失には目をつむりますから、ここから出してください。ヨルンヴェルナ先生なら、魔術で開けられるんじゃないですか?」 おそらくいけるだろうと思ったのだが、返ってきたのは芳しくない答えだった。 「やだなぁ。さっきの彼も言っていたでしょう?魔術で細工をしたって」 「――――あぁ、そうでした」 確かに、コディにも助けられないとか言っていたような。 彼が異変に気付くかは分からないが、例え来たところで無駄だと言うことだ。 膝に顔を埋めてため息をついていると、いつの間にかヨルンヴェルナが近付いていた。 「君、体調がよくなさそうだね」 男性にしては優美な手が、シェイラの額に伸びる。ひんやりとした冷たさが心地よくて、うっとりと目を閉じた。 「熱があるみたいだ」 「微熱です。ゆっくり休めば、多分熱も下がりますから」 「........................」 本当に、計画が狂ったにもほどがある。何とか授業を乗り切ったのにまた熱が上がるような事態に追い込まれて、散々だ。 首筋の汗を拭っていると、ヨルンヴェルナが背後に腰を下ろした。なぜか彼の足の間にスッポリ収まるような形になってしまった。肩にも腕が回され、シェイラはくっきり眉根を寄せた。 「............何するんですか」 「風邪をひいている時に汗をかくのはいいことだけど、体を冷やしたら逆効果だよ。仕方ないから僕の胸で温めてあげる」 こっそり肩を震わせていたことに気付かれていたのだろう。分かりにくいが、これがヨルンヴェルナの優しさだと知っている。 彼は故意に淫らな言動をとる癖があるようだが、それらを削ぎ落とせば真意はしっかり伝わる。それは分かっているけれど。 「わざわざこの体勢になる必要はないと思いませんか?先生のマントを貸してくれれば十分です」 ここまで密着されると流石にシェイラでも恥ずかしい。背中越しに少し低い体温が伝わってきて、居ても立ってもいられない気持ちになる。 恥ずかしさを紛らすために彼が羽織っているマントをグイグイ強奪しようとしていたら、ヨルンヴェルナが苦笑した。 「マントを貸せなんて、君は本当に図々しいね。何?抱き締められるとドキドキしちゃう?」 その通りなのだが認めるのは悔しいので、何食わぬ顔で軽口を返した。 「こんなところを誰かに見られたらと思うと、確かにおかしな動悸がしますね」 「そういう意味で聞いたつもりはないんだけどなぁ。でも大丈夫。ここできり、誰にも邪魔なんてされないから。思う存分僕に全てを預けていいんだよ」 「つまり遠慮しないで寄りかかってもいいと。相変わらず分かりにくい言い回しですね」 減らず口を叩いてはいるものの、シェイラはすっかり彼に身を委ねていた。 いつの間にか互いの体温が交ざり合い、心地よい熱が伝わってくる。弱っている時、人の体温は安心する。彼の言葉に甘え、信頼しきって瞳を閉じた。 そんなシェイラをしばらく見つめていたヨルンヴェルナが、気遣うように声を落とした。 「......嫌がらせ、結構酷くなっているんじゃない?クローシェザードには相談したの?」 「相談したところで、どうしようもないことですから。僕は何をされても、とにかく流し続けるだけです」 疎む気持ちが消えない限り、何度注意したって同じことだ。クローシェザードも現状を知っていて、教師の立場でできる範囲の対策はしている。シェイラを嫌う貴族と稽古で打ち合わねばならない時、必ず気にかけて近くに控えているのだ。それだけで十分だと思っていた。 「君は、それでいいの?普通怒るところではない?」 なぜヨルンヴェルナとこんな会話をしているのか疑問に思ったが、そういえば彼も教師であったことを思い出す。教師として看過できないと考え、相談に乗ってくれているのだろう。 ぼんやりしたまま、シェイラは唇に弧を描いた。 「腹は立つけど、怒ったって時間の無駄でしょ。僕を嫌いな人達を、同じように嫌い返したって意味がない」 ゆるゆると腕を上げ、目の前でギュッとこぶしを握った。 ヨルンヴェルナにこれ以上心配かけまいと、殊更強い言葉で言い切る。 「分からせるだけです。力で、技術で。――――絶対に退かないってこと」 背後で不思議そうに首を傾げるのが、間近に響く衣擦れの音で分かった。確かに根性論からかけ離れた彼には、理解できないかもしれない。 「それでも、どうしても耐えられなかったら僕の腕に飛び込んでおいで。何より大切で愛おしい君が、他人に苦しめられるなんて耐えがたい。君を苦しめていいのはこの世界でただ一人、僕だけなのだからね」 「――――つまり、いちいち交渉なんかしなくても、困った時には頼っていいって言いたいんですね。本当に分かりづらいけど............ありがとうございます」 穏やかに微笑みながら礼を告げると、ヨルンヴェルナはしばらく黙り込んだ。暗闇も手伝って、静寂に包まれると眠ってしまいそうになる。 シェイラがうとうとしていると、ヨルンヴェルナが立ち上がった。温もりが離れていくことが何だか名残惜しい。 彼は、扉の前に立っていた。スッと手をかざし、何やら口中で唱え始める。フワリと風が巻き起こり、ヨルンヴェルナの青灰の髪をさらう。かと思ったら、突然目映い閃光が目に突き刺さった。 それは本当に一瞬のことで、辺りはすぐ元の薄暗がりに戻る。一体何が起こったのかと目を瞬かせていると、ヨルンヴェルナは無造作に扉へ手を掛けた。 ガチャッ 「――――――――えっ」 開いた扉の隙間から細く光が射し込み、彼の甘い微笑を照らし出す。 「金属を操る魔法は、火の魔法でないと解けないんだ。彼がコディ君でも開けられないと言っていたのは、コディ君が火属性の魔法を苦手としているからだろうね」 ヨルンヴェルナが教師然とした顔で滔々と説明する。 けれど今のシェイラには、魔法の法則なんてどうでもよかった。 「開けられたんですか......」 「僕は、開けられないとは一言も言っていないよ」 人を食った笑みを向けられ、ガックリと脱力した。 「何で......出られるなら、始めから............」 この徒労感は一体何なのか。また熱が上がりそうだ。 ヨルンヴェルナがゆったりした歩みで近付いてくる。 「補習以外で、君と話がしてみたくてね」 「......何でですか?」 「何でって、だって君授業中は―――――」 言いさしたところで、ヨルンヴェルナがふと口を噤んだ。 僅かに驚愕が感じ取れる瞳でシェイラをじっと見つめながら、心底おかしいとでも言いたげに首を傾げた。 「聞きたいのはこっちですってば」 独自の理論でしか動かない彼の行動原理なんて、シェイラには及びもつかない。 顎に手を当ててしきりに首をひねっていたヨルンヴェルナだったが、一旦考えることを放棄してシェイラの肩を気軽に叩いた。 「まぁまぁ。お詫びに部屋まで送ってあげるから」 と断りつつ、正直歩いて戻れる気もしなかった。 何だか意識が朦朧としている。ぼんやりしている内に、ふらふら揺れる体が軽々と持ち上げられた。 横抱きにされていると、まるで揺りかごに入っているようで落ち着いた。つい気が緩んで体重を預けてしまう。 「君はこんなにも軽いんだね......」 ヨルンヴェルナのそんな呟きが聞こえた気がしたけれど、眠りに落ちていくシェイラは答えることができなかった。
“Jornwerner-sensei.... what are you doing here?” “I needed some dolls for an experiment. I’m not really supposed to, but I thought I’d borrow some of the equipment from here.” The extremely carefree response made her relax. Sheila’s face was flushed as she sat back down on the mat. “.... Stealing equipment is not a good idea.” “You have such a negative impression of me. I don’t steal things, I borrow them. After I use it, I’ll put it back where it belongs.” That being said, it was hard to believe that the dolls that accompanied him in his experiments would remain exactly as they were. Normally, she would have admonished him, but Sheila saw this as a good bargaining chip. “Then, I’ll overlook the loss of the equipment, so long as you get me out of here. I’m sure Jornwerner-sensei can open it with his magic.” Sheila thought it would probably work, but the answer she received wasn’t good. “I don’t know. Didn’t he say it earlier? He said he tampered the lock with magic.” “――Ah, that’s right.” She did hear him say that Cody couldn’t help her either. She didn’t know if he would notice anything unusual, but even if he did come, it would be useless. She buried her face in her knees and sighed, and before she knew it, Jornwerner was approaching her. “You don’t look well.” An elegant hand reached out to touch Sheila’s forehead. The coolness felt good, so she closed her eyes, entranced. “I think you have a fever.” “It’s just a slight fever. I thought that if I rested slowly, the fever would probably go down, but then I was locked in.” “....” Truly, the day had gone by completely out of her expectation. Even though she managed to get through the class, she was forced into a situation where her fever rose again. As she was wiping the sweat from her neck, Jornwerner sat down behind her. Somehow, she ended up snuggled in between his legs. Sheila’s brow furrowed as an arm was placed around her shoulder as well. “..... What are you doing?” “It’s good to sweat when you have a cold, but it’s counterproductive if it cools you down. I’ll warm you up with my chest.” He must have noticed that her shoulders were shivering. It was hard for her to understand, but she knew this was Jornwerner’s kindness to her. He seemed to be in the habit of intentionally using vulgar words and behavior, but if you stripped them away, his true intentions would be conveyed. Sheila understood that. “I know that, but don’t you think there’s no need to go to the trouble of getting into this position? It would be enough if you lend me your cloak.” She was embarrassed to be so close. A warm body temperature was transmitted through her back, and she felt like she couldn’t stand still. When she was trying to mug the cloak he was wearing to distract herself from her embarrassment, Jornverna smiled wryly. “You’re really brazen, asking me to lend you my cape. What? Does it make you nervous to be hugged?” He was right, but it was frustrating to admit it, so Sheila returned the flippant remark with a nonchalant look on her face. “It certainly gives me a strange palpitation when I think of someone seeing me like this.” “I didn’t mean it that way. But it’s okay. It’s just the two of us here, and no one will get in our way. You can leave everything to me as much as you want.” “In other words, it’s okay to lean on you without hesitation. Your phrasing is as confusing as ever.” Despite her comments, Sheila had completely entrusted herself to him. Before long, their body temperatures mingled with each other, and a pleasant heat was transmitted. When a person was weak, the warmth of another person’s body was reassuring. She closed her eyes, trusting in his words. Jornwerner, who had been staring at Sheila for a while, lowered his voice as if worried. “.... The harassment, it’s getting pretty bad, isn’t it? Have you talked to Claushezade about it?” “Even if I consult it with him, there’s nothing he can do about it. No matter what they do to me, I just have to keep letting it slide.” As long as the feeling of estrangement didn’t disappear, it would be the same no matter how many times you warned them. Claushezade was also aware of the current situation, and as a teacher, he took care of it as much as he could. Whenever they had a training session with an aristocrat who disliked Sheila, he was always nearby, taking care of her. Sheila thought that was enough. “You’re okay with that? Isn’t that usually the part where you get angry?” She wondered why she was having this conversation with Jornwerner, but then she remembered that he was also a teacher. He must have thought that he couldn’t overlook it as a teacher and was willing to be consulted. In a daze, Sheila pouted her lips. “I’m angry but getting angry is a waste of time. There is no point in hating those who hate me back in the same way.” She loosely raised her arms and clenched her fists in front of him. She was very careful not to worry Jornwerner any further, so she said with conviction. “We just have to make them understand. By strength or by skill, I’ll never back down.” She could tell that he was tilting his head curiously behind her by the sound of his clothes rustling nearby. Certainly, he who was far from gutsy might not understand. “Even so, if you can’t bear it, come jump into my arms. It’s unbearable to see you, who are more precious and beloved than anything else, suffered because of someone else. I am the only one in the world who can make you suffer.” “In other words, you want to say that I can rely on you when I’m in trouble without having to bargain every single time. It’s really hard to understand, but..... thank you.” After thanking him with a gentle smile, Jornwerner fell silent for a while. The darkness and silence almost made her fall asleep. As Sheila dozed off, Jornwerner sat up. The missing warmth left her somewhat regretful. He was standing in front of the door. He quickly held up his hand and began to chant something. A gust of wind whipped up and swept Jornwerner’s blue-gray hair. Then, suddenly, a dazzling flash of light filled the room. It was really only for a moment, and the area soon returned back to dark. As she blinked, wondering what had just happened, Jornwerner carelessly put his hand on the door. Click “――Eh.” A thin ray of light shone through the crack in the open door, illuminating his sweet smile. “The magic that manipulates metal can only be broken by fire magic. The reason he said that not even Cody-kun could open the door is probably because he’s not good with fire magic.” Jornwerner explained it fluently. But the current Sheila didn’t care about the laws of magic. “You can open the door....?” “I never said I couldn’t open it.” She met with a wicked smile and was left feeling exhausted and discouraged. “Why.... if you can get out, from the beginning....” What was this feeling of exhaustion? Sheila was about to heat up again. Jornwerner approached with leisurely steps. “I just wanted to talk to you outside of the supplementary classes.” “.... Why?” “Why, you said, it’s because―” As he was about to say something, Jornwerner suddenly kept his mouth shut. While staring at Sheila with eyes that were slightly astonished, he tilted his head. “That’s why I want to ask.” His principle of action, which only worked on his own theory, didn’t extend to Sheila. Jornwerner, who had been twisting his hand on his chin, gave up thinking for a moment and casually tapped Sheila on the shoulder. “Well, I’ll walk you back to your room to make up for it.” She refused, but to be honest, she didn’t think she could walk back to her room. For some reason, her consciousness was somewhat hazy. While she was feeling dazed, her swaying body was lightly lifted. When she was held in his arms, it felt like she was in a cradle and calmed down. She was so relaxed that she let her weight fall on him. “You are so light.....” She thought she heard Jornwerner mutter something like that, but Sheila, who was falling asleep, couldn’t answer.
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「愚かで、無知なトカゲが! 恥を知るがよい」 真祖はケーテをにらみつけた。 俺はケーテに向けて説明する。理解していることを真祖にアピールする意味もある。 「真祖ってのは、ヴァンパイアどものトップだ」 「王みたいなものか? それならロードと変わらないであろう?」 「そのトップってのは組織的な者じゃない。出自、なり方が違う」 「真祖ってのは、邪神の手により直接ヴァンパイアにされた者を指す」 基本ヴァンパイアは吸血の後に血を与えることで眷属を増やしていく。 その眷属が成長し、ただの眷属からレッサー、アークと進化していくのだ。 それはロードもハイロードも同じである。 真祖以外はヴァンパイアによってヴァンパイア化された者たちだ。 「ほう? 大元なのか。ならばこいつを殺せば多くのヴァンパイアが灰になるのだな?」 眷属は眷属を作ったものを殺せば灰になる。そのことを言っているのだろう。 「いや、レッサーまで進化すれば、親にあたるやつを殺しても灰にはならない」 「そうであったか」 ケーテは納得してくれたようだった。 真祖の方も満足げにうなずいている。 「貴様、人間のくせによくわかっているではないか」 「冒険者なら当然だ」 そんな真祖にエリックが言う。 「お前、随分と機嫌がいいじゃないか。観念したのか?」 「観念したなら、最期に俺らとお話ししようじゃないか?」 俺も笑顔を使ってそう呼びかける。最後に会話していいと思うよう機嫌を取っておいたのだ。 生の最後に何か話したいと思うのは知能のあるものの宿命みたいなものだ。 だが、話す相手は誰でもいいというわけでもない。好感度は少しでも高い方がいい。 俺のその狙いを理解しているのかいないのか、首だけの真祖はにやりと笑った。 「下等生物の身でありながら我に勝った貴様たちとなら話してもいい。褒美だ」 「ここはどこだ?」 国王らしいエリックの問いだ。ここが自国か他国か、他国なら友好国かで対応が変わる。 「リンゲイン王国その南東の端の山の中だ」 それを聞いて、エリックは少しほっとしたように見えた。 リンゲイン王国は、エリックの治めるメンディリバル王国の北西にある国だ。 メンディリバル王国から遥か遠くの国や、敵対している国でなくてよかった。 いざとなれば外に出てケーテの背に乗れば、それほどかからず自国に戻ることができるだろう。 俺は真祖の頭に尋ねる。 「あの作戦を思いついたのは誰なんだ? 肝を冷やされたぞ」 「あの作戦?」 「爆弾からの転移の作戦だ」 「ああ、あれか。失敗するとは思わなかった。残念だ」 残念だという言葉と裏腹に、真祖は笑っていた。 随分と余裕だ。その態度に少し違和感を覚える。 「余裕ではないか? どうしたのだ? あきらめたのであるか?」 なんて問いただそうか、言葉を選んでいたら、ケーテが直球で聞く。 「ふ。どう考えようがお前たちの好きにすればいい」 「お前は邪神を呼び出そうとはしなかったのか?」 「もちろん呼び出すつもりだ」 「これから呼び出す予定だったということか?」 いままで躊躇いなく返答してきた真祖が初めて口を閉じた。 今後の作戦に影響するということだろうか。 ここ知らなければいけない情報かもしれない。 「なるほどな。まだ継続中ということか」 「......下等生物なりに、愚かな頭脳を働かせて好きに考えればいい」 「ふむ。とはいえ、一連の作戦は真祖が指揮し、ハイロードが実行部隊を指揮していたよな」 「だからどうした?」 真祖は眉をひそめた。 「邪神は完全体で召喚しないと魔法陣の上から動けないんだったな?」 邪神の頭部を破壊したとき、ハイロードから聞き出した情報だ。 「......」 「完全体を召喚するには大量の生贄が必要だ。となると......」 「まず王都において頭部だけ呼び出して王都の民を丸ごと生贄にするつもりだったのか?」 真祖は沈黙を保っているが、ケーテは驚いた表情でこっちを見る。 エリックも驚いているようだが、表情は変えていない。 「なんだと、えげつないことを考えるものであるな!」 「王都での召還を阻止されたとしても、狼の獣人族を生贄にするつもりだったか?」 「..................お前たちは想像力が実に豊からしい」 真祖は俺の推測が外れていると言いたいようだ。 だが、真祖の反応的に、俺は当たりだと判断する。本当に阻止出来て良かった。 成功していたら、メンディリバル王国が昏き者どもに制圧されてしまったことだろう。 そうなればメンディリバル王国を橋頭堡として、昏き者どもに世界中が席巻されたに違いない。 「さて、お前はまだ色々と聞きたいことがあるんだ。付き合ってもらえないか?」 「ふふ、何を調子に乗っているんだ?」 そう真祖が言うと同時に、頭が霧へと変わりはじめた。
“Hmm? True? What are you talking about?” “You foolish, ignorant lizard! You have no shame.” The True Ancestor glared at Kathe. I turned to Kathe and explained. I also wanted the True Ancestor to know that I understood. “A True Ancestor is the highest kind of vampire.” “Like a king? But isn’t that the same thing as a Lord?” “Not the top as in someone in an organization. It’s about origin and how you came to be.” “A True Ancestor is someone who was turned into a vampire by the Evil God directly.” In general, vampires created more thralls by offering their blood to someone after sucking it. Those thralls grow and evolve into Lessers and then Arches. It was the same with Lords and High Lords. Everyone but True Ancestors were turned into vampires by other vampires. “Oh? So he’s an original. So if we kill him, will many other vampires turn into ash?” When you killed a vampire, all of their thralls would turn into ash. That was what she was referring to. “No. Once they evolve into Lesser, killing their parent will not turn them into ash.” “Is that so.” Kathe said with satisfaction. The True Ancestor was also nodding with a pleased expression. “You understand very well for a mere human.” “Of course, I do. I’m an Adventurer.” And then Eric turned to the True Ancestor. “You. You seem to be in high spirits. Are you resigned to your fate?” “If that’s the case, why don’t we talk a little before your demise?” I said with a grin. I thought that if it was in a good mood, it might want to talk to us. It was practically the fate of all intelligent creatures to want to talk about something at the end of your life. However, that didn’t mean you would talk to just anyone. So it was better to endear yourself a little. But the True Ancestor didn’t seem to understand my aim, and so the head chuckled. “While you are lesser creatures, you did beat me, and so I will deign to talk to you. It is your reward.” “Where are we?” Asked Eric, sounding very much like a king. Our way of dealing with this depended on whether we were in his country or another country. “We are within a mountain in the southeast corner of the Ringain Kingdom.” Eric looked a little relieved upon hearing this. The Ringain Kingdom was a country to the northwest of the Mendilibar Kingdom, which he ruled. It was a great country and they were on friendly terms. It was a good thing that they weren’t far away from Mendilibar, or in an enemy country. If it was necessary, we could all just ride on Kathe’s back and return to our country in a relatively short amount of time. I continued to question the True Ancestor head. “Who was it that thought of that strategy? It was very chilling.” “Strategy?” “Teleportation through a bomb.” “Ah, that. I didn’t think it would fail. It was very unfortunate.” In spite of his words, the True Ancestor was laughing. He wasn’t worried at all. I couldn’t help but feel uncomfortable by his attitude. “You seem rather confident? Why? Didn’t you give up?” As I wondered what I should ask next, Kathe addressed him directly. “Heh. It doesn’t matter. You should do as you like.” “Were you not going to try and call out the Evil God?” “Of course, I intended to.” “Was the plan to call it out very soon?” “...” It had been answering without hesitation up until now, but the True Ancestor suddenly closed its mouth. Perhaps it would affect future plans. This was the information that we needed to know the most. “I see. So it’s still in progress then.” “...You filthy, low creatures. Work your foolish brains and think as much as you want.” “Hmm. That being said, a True Ancestor was commander of this operation, and a High Lord was commanding the implementation unit.” “So what?” The True Ancestor narrowed his eyebrows. “An Evil God can’t move from the magic circle unless its whole body is summoned, yes?” I had learned this from a High Lord when destroying the head of an Evil God. “And summoning the whole body requires a tremendous amount of living sacrifices. In that case...” “Were you going to summon the head in the royal capital first, and then use the citizens as the sacrifice?” While the True Ancestor kept its silence, Kathe looked at me with a surprised expression. Eric also seemed to be surprised, but his expression did not change. “What a nasty mind you have!” “And even if the summoning in the capital was stopped, you were going to use the wolf beastkin as a sacrifice, weren’t you?” “...It seems that your kind does not lack imagination.” The True Ancestor seemed to be suggesting that I was wrong. However, judging by his reaction, I knew that I was right. It really was a good thing that we had been able to stop him. Had they succeeded, the Mendilibar Kingdom would be overrun by the Dark Ones. If that happened, the Mendilibar Kingdom would act as a bridgehead, and the Dark Ones would eventually overtake the world. “Now, I still have a lot of questions to ask you. Will you answer them?” The True Ancestor said, and then at the same time, the head started to turn into mist.
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馬車が会場へ到着すると、様々な色の明かりによって彩られた夜のお城がイングリス達を出迎えた。 「わぁ、何だか綺麗ね――」 レオーネが嬉しそうに目を細めている。 ラフィニアも目を輝かせてはしゃいでいた。 「すごーい! さすが王都は違うわね、何か手が込んでるわよ! ね、クリス?」 「うん。そうだね」 「これは料理の方にも期待大よね? 絶対美味しいに決まってるわ」 「楽しみだね」 「着きましたねえ。じゃあ降りましょうか、みなさん」 「よーし早く行こう、クリス! もうお腹空いてたまらないわ!」 真っ先に馬車を降りたラフィニアが、我慢できずに走り出そうとする。 「あ、ラニ。その格好でそんなに走ると転ぶよ?」 「きゃんっ!?」 ドレスに合わせて、靴も普段履かないような踵の高い靴だ。 「ああもう、言ったそばからすぐこれだから――下着が見えてるよ、早く隠して」 イングリスはラフィニアの捲れたドレスの裾を直してから、助け起こそうとする。 「はは......ごめんごめん、ありがとクリス」 そこに、駆けつけてきた人影があった。 「ラニ! 大丈夫かい!?」 イングリス達が来るのを待っていてくれたのかも知れない。 「よっと......! 怪我は無いかい? あまりクリスに迷惑をかけてはいけないよ?」 「クリス、迷惑をかけるね。いつもラニをありがとう」 「いいえ、お互い様ですから」 と、イングリスが微笑を向けると、ラファエルは少々呆けたような顔をする。 「いやごめんよ。その姿をはじめて見たから、見とれてしまって......本当にきれいだね」 「ありがとうございます。ラニが色々やってくれたおかげです」 イングリスが着飾るのが好きなのは自己満足であって、自分で自分の姿を楽しむためのものだ。 「でしょでしょ!? 今回のはあたしの自信作なんだから!」 「ああ、ラニにはそういう才能もあるのかもね」 ラフィニアが嬉しそうなのは、イングリスにも嬉しいことだ。 「それから、その――リンちゃんも連れて来てくれたようだね」 リンちゃんも連れて来て欲しい、というのは事前にラファエルから言伝を受けていた。 「あ~、兄様。今クリスの胸元を見たわね? じゃないとリンちゃんがいる事分からないわよね?」 「す......済まない! ついその――どこにいるかと探していたのもあるし......!」 前世で男性を経験したイングリスには分からないでもない。 王都に出て何年も経ち大人になってはいるが、少年の頃のような純粋さがそのまま残っているような感じである。少々微笑ましい気もする。 「ああ、セオドア様の――新任の特使殿のたっての願いだそうなんだ」 の特使の方が......?」 「えぇっ!? そんな人に目をつけられて大丈夫かなあ、リンちゃん――」 「それは心配ないと思う。ノーヴァの街の事でラニ達に教えて貰った内容は、僕からすぐにウェイン王子に報告しておいたんだ。だが王子はミュンテー特使にはリンちゃんの事は伏せていた。それを今度のセオドア特使には明らかにした。つまり、相手が信用できると判断――」 ぐきゅ~! イングリスとラフィニアのお腹が同時に大きく鳴った。 「うわっ!? ど、どうしたんだい?」 「お腹空いたの......朝から何も食べてないから」 「わたしもです。ここで美味しいものが食べられるからと――」 「そ、それはいけないね......なら話は後にして、食べ物の所に案内しようか?」 「「お願いします!」」 イングリス達は目を輝かせる。 「はは......よっぽどお腹が空いているみたいだね」 「ラファエル様、私からもお願いします。この子達のお腹が鳴ってにいると恥ずかしいんです」 「ですねえ。とりあえず何か食べた方がいいですね」 レオーネとミリエラ校長も困り顔だった。 「じゃあ早速行こう。こっちだよ」 その場を通り過ぎて行くだけで、イングリスの姿は出席者たちの視線を釘づけにしているようだった。 「うわ......! おい見たか? あの子、何て綺麗なんだ――」 「ああ、あんな可愛い子見た事がないぞ――ラファエル様のお知り合いかな?」 「まるでお人形みたいに、全部が完璧ね......! 女でも見とれるくらい――」 「一緒にいる子達も可愛いなあ。ミリエラ様が一緒だから、騎士アカデミーの生徒さんなのかもな」 そんな声が聞こえてくる中―― 「!? な、何だ......!?」 「お腹の音......?」 「お、俺じゃないぞ。あの子達の誰かか?」 「ははは......済まないね。忙しくて食事をする時間が取れなくてね」 と、ラファエルが周囲に取りなしてくれる。 「兄様、優しい~! 大好きっ♪」 「ありがとうございます、兄様」 「ああ、いいんだよ。さ、この大広間に食事が用意されているよ」 案内された部屋には、所狭しと料理の大皿が並べられたテーブルがいくつもあり、美味しそうないい匂いが充満していた。 「うん......! 美味しそうだね」 イングリス達が、いそいそとお肉料理のテーブルに近づくと―― 直後―― テーブルとお皿と、そこに並ぶ料理が吹っ飛んだ。 獣の耳と尾のある、人型をした魔石獣だった。 「ああぁぁぁぁーっ!? あたしのお肉が!?」 せっかくの料理が床にぶちまけられて、台無しになっていた。 「うう......ま経ってない、経ってない......!」 拾い食いはダメ、とイングリスはラフィニアを制止する。 ――口をもぐもぐさせながら。 「ちょっとクリス!? 何食べてるの!?」 あの瞬間――お肉が床にぶちまけられる寸前の空中で可能な限りを確保し、自分の口に放り込んでいたのだ。
When their carriage arrived at the venue, Inglis and her group were greeted by the sight of the Royal Castle decorated with various colored lights. Inglis momentarily wondered just how did they make the colors show up, before her attention shifted towards the music, which was also audible from where they seated, creating a somewhat magical atmosphere. 「Waah, so beautiful.」 Leone smiled with her entire face. Rafinha was just as excited, with her eyes sparkling. 「Amazing! That’s the Royal Capital for you, they’re so elaborate! Right, Glis?」 「Yeah, you’re right.」 「This means the food is also very promising, right? It must be delicious.」 「Sounds like a delight.」 「 We’ve arrived. Let’s get off then, girls.」 「Al~right, let’s get going already, Glis! My tummy is aching!」 Rafinha who hopped off the carriage first couldn’t hold back anymore and tried to run. 「Ah, Rani. You’ll fall if you run around in that outfit.」 「Kyahan!?」 To match with her gown, Rafinha was wearing high-heeled shoes she usually wouldn’t wear. As Rafinha broke off to run with her usual body pose, she slipped right after. 「Geez, just right after I told you. Your underwear is peeking out, hurry and hide it.」 Inglis fixed the rolled-up hem of Rafinha’s dress, then went to help her stand. 「Haha... Sorry, sorry. Thanks, Glis.」 And then, a humanoid figure came rushing in. 「Rani! Are you okay!?」 It was Raphael who came over. Perhaps he had been waiting for Inglis and the others to arrive. He lent a hand to get Rafinha back on her feet. 「Here goes...! Are you hurt? It’s bad to inconvenience Glis too much, okay?」 「I’m sorry about her, Glis. Thank you for caring for Rani all the time.」 「Don’t be. We care for each other, after all.」 And, as he saw Inglis’ smile directed at him, Raphael’s face slackened in a daze. It was as though his mind had left his body behind.「Brother, what’s the matter?」 「Ah, no, my bad. It’s the first time I saw you dressed like that, my eyes just wouldn’t let go of it...... You’re really beautiful.」 「Thank you very much. It’s all thanks to Rani, who dressed me up.」 Inglis liked to dress up mainly for self-satisfaction and enjoying her own appearance. Not that she had the desire to be praised, but it didn’t make her feel bad to be complimented either. 「She’s beautiful, right!? Right!? I’m very proud of myself this time around!」 「Yeah. Perhaps you have the talent for it, Rani.」 It was Rafinha who seemed happier instead. So long as Rafinha was happy, Inglis was happy for her too. 「And also, umm... I see you brought Rene too.」 Raphael had told Inglis beforehand that he wanted her to bring Rene with them. Inglis didn’t know the reason behind his request, but the Rene in question was currently peeking out of Inglis’ cleavage to look at the outside. 「Aah~ Big brother, you peeked at Glis’ chest, didn’t you? You know Rene is here because you glanced there, didn’t you?」 「S-... Sorry! It wasn’t by choice, and uh... I was wondering where she would be, so...!」 It wasn’t unreasonable for a man to see a woman in that kind of sense, as it was a natural-born instinct. As someone who spent her whole previous life as a man, Inglis fully understood it. Although it was a different matter altogether if she was asked if she felt comfortable. It was her first time seeing Raphael blushing to the cheeks, perhaps from guilt, so instead Inglis felt admiration for him. It had been years since he left his house for the capital and grew to be an adult within these lands, and yet his innocence from his juvenile phases still latched tight on him. In a way, it was charming.「Even so, brother. What do you need Rene for?」 「Aah, that’s Mr. Theodore’s——the new envoy’s request.」 「The Highlander envoy’s request...?」 「Eeeh!?!? Will Rene be alright? She’s being targeted by such a person...」 「There’s nothing to be worried about. The information Glis and Rani gave me about the Nova town incident was reported straight to His Highness Wayne by me personally. His Highness kept Rene’s existence a secret from Special Envoy Myynti, but he opened it up for Special Envoy Theodore. His Highness judged that he could be trust——」 Growl~! Inglis and Rafinha’s stomachs rumbled loudly at the same time before Raphael could finish his sentence. 「Uwah!? Wh, what’s wrong with you two?」 「I’m hungry... I haven’t eaten anything since morning.」 「I’m the same. We thought that we can eat good food here, so——」 「Th-, that’s not good... Let’s save the talking for later and let me guide you inside. How about it?」 「「Please do!!」」 Their eyes gleaming as brilliant as could be. 「Haha... Sounds like you two are famished.」 「Let me ask you on my behalf too, Sir Raphael. It’s embarrassing to be with them when their bellies are growling like that.」 「It surely is. Let us grab some bites first.」 Both Leone and the Principal looked troubled as well. 「Let’s make haste then. This way.」 Following Raphael, Inglis and the three stepped into the castle. Just by passing through the place, Inglis’ appearance seemed to have stolen the gazes of all that present. 「Uwah......! Oi, you see that? How beautiful that girl is——」 「Yeah, I’ve never seen a girl as beautiful as her in my life. You think she’s Sir Raphael’s acquaintance?」 「She’s like a walking doll; everything about her is so perfect...! Even women like me can’t help but watch——」 「The other girls are cute too, huh? Seeing that Lady Miliera is with them, they might be students of the Knight Academy.」 Amidst such high praises— Growl~!「!? W-, what was that...!?」 「Someone’s belly...?」 「D-, don’t look at me. Perhaps one of those girls?」 「Hahaha... Forgive me for that. I’ve been busy that I haven’t had time to eat.」 Mediated Raphael to the gallery. 「You’re so kind, big brother~! I. Love. You 𝅘𝅥𝅮」 「Thank you for the cover-up, brother.」 「Aah, don’t mind it. Come, the food is served in the banquet hall.」 The room they were led to was filled with several tables clustered with platters of food and a delicious smell. A heaping pile of expensive-looking meat steaks. Brightly colored pasta, lavishly made with seafood. Chocolate cakes for dessert, neatly stacked like a tower. There were more, and they all looked luscious. It was an irresistible sight for the starved Inglis and Rafinha. It was the greatest treasure trove there could ever be. 「Yeah...! They all look delish.」 Inglis and Rafinha cheerfully approached the table with meat dishes, but—— a silhouette suddenly flashed across from above. Then— The tables, the plates, and the dishes on them were blown away. Something huge jumped down and crashed into everything.「WHA......!? Magic Stone Beast——!? It shows up even here!」 Leone raised her voice. It was a humanoid Magic Stone Beast with ears and a tail of a beast. It was the beastman Magic Stone Beast they encountered a few days ago. It jumped down from the top of the high ceiling. The sudden intruder elicited cries of surprise and fear from the attendees. 「AAAAHHHHHH!?!?!?!? MY MEAAATT!!」 Rafinha’s scream was for something else. Her long-awaited food was now all over the floor, messed up and spoiled. 「Uu...... It’s still not three seconds yet, it’s still not......!!」 「Sdoph idh Wani, yhou mushn’d eadh dhings fwom dhe gwoun.」Inglis stopped Rani, telling her that picking up fallen food was bad manners ——while her mouth was busy chewing. 「Hey, Glis!? What are you eating!?」 「Meadh. Ay shavedh idh bhifow idh yeach dhe gwoun.」In that split moment, Inglis secured as much meat as possible in the air before they were splattered onto the floor, then threw them into her mouth. She relieved herself of the constant high-gravity load she put to train and even activated Ether Armor to reach her utmost speed. If it was to save a good meal, she would stop at nothing.
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ハジメ達が転移した場所は最初と同じ樹海の中だった。 だが、最初のどっちに向かえばいいのか見当もつかないような広大さはなく、 どうやらこの場所は、かつての【オルクス大迷宮】の密林地帯と同じくどこかの地下空間に存在しているらしい。そして、他の樹々がほぼ同じ高さであるのに対して空間奥には一際大きな樹がそびえ立っていた。おそらく、新たな転移陣のある場所だろう。 「今回は全員いるみたいだな」 ハジメが目を細めながらメンバーに視線を巡らせる。また転移先で何かされるんじゃないかと疑っていたのだが杞憂だったようだ。 「......ハジメ、偽物は?」 「いや、大丈夫みたいだ。俺の眼も感覚も全員本物だと言ってる」 「ハジメさんがそう言うなら大丈夫ですね」 シアが信頼の眼差しを向ける。ハジメは「自分でも気をつけろよ?」と注意しつつ肩を竦めた。ちょっと照れ隠しが入っているとユエ達にだけ分かるのは付き合いの長さ故だろう。 鬱蒼と茂る樹海と遠くに見える巨樹を見てハジメが出発の号令を掛ける。チラリと肩越しに振り返れば、未だどこか表情に陰が差している光輝と鈴の姿が。 鈴の方は目覚めた時の言葉から何を夢に見たのか容易に想像がつくし、その為に脱することが出来ず深く傷ついたこともわかる。しかし、光輝の方は一体何を見たというのか。いや、何を見たかよりも、その夢を振り払って現実に帰って来られなかったこと自体がショックだったのかもしれない。 しかし、ここは大迷宮だ。ほんの一秒後には絶体絶命の修羅場に陥っても何らおかしくない魔境なのだ。いつまでも終わったことを引きずっていては話にならない。 「天之河、谷口。お前等やる気あんのか?」 「なっ、あ、あるに決まってるだろ!」 「え? あ、あるよ!」 ハジメの鋭い眼光が落ち込んでいに突き刺さる。辛辣とも言える言葉はともすれば追討ちのようで、仲間想いだが短気でもある龍太郎が柳眉を逆立てた。しかし、龍太郎が何かを言う前にハジメが言葉を続ける。 「ここは大迷宮だ。一歩踏み込んだ先、一秒後の未来、そこに死が手ぐすね引いて待っているような場所だ。集中できねぇなら、攻略は今ここで諦めろ。無駄死にするだけだ」 「ま、まて、俺は......」 「何をどう言い訳したところで、さっきの試練をお前がクリアできなかったという事実は変わらない。なら、最低でも必要なのは残りの全てを踏み越えてやるという決意だ。今のお前等にはそれが見えない。気概のない奴はただの足手纏いより質が悪い」 「出来そうなら大迷宮の外までゲートを開いてやるし、使えなくても結界くらいは敷いてやる。進むか引くか、今決めろ。惰性で進むことは俺が許さない」 辺りを静寂が包む。光輝はギリギリと歯を食いしばり必死に憤りを抑えているようだ。しかし、それは言いたい放題のハジメに対してではなく、そんな事を言わせてしまった光輝自身への怒りだった。 落ち込んで集中を欠いていても、ハジメ達がいるのだから大丈夫だろうと無意識の内に甘えていた事実に気がついたのだ。ハジメの考え方が気に食わなくて、ハジメよりも強くなりたくて、半ば無理やり大迷宮攻略に随伴したというのに、そのハジメに甘えてしまった自分がまた情けなくて、自分をぶん殴ってやりたい心境だった。 しかし、今ここで激情を発散しても、それもまた答えを待っているハジメに対する甘えだ。光輝は何度も深呼吸をして空気と共に胸の内のモヤモヤを外に排出し、新鮮な空気を取り入れる。 「南雲。もう大丈夫だ。俺は先に進む!」 ハジメは軽い感じで頷くと視線を鈴に巡らせた。鈴は一瞬、ビクッと体を震わせたが直ぐに決然とした表情を見せると真っ直ぐにハジメの目を見返した。 「鈴も行く。やる気十分だよ!」 「そうか。ならいい。集中を切らせるなよ」 ハジメはそれだけ言うと、さっさと先頭を歩き出した。龍太郎が光輝の肩をバシッ! と強く叩く。それが幼馴染の気遣いだと知る光輝は、感謝の眼差しと共に先を行くハジメの背中を見つめた。 鈴の方も、香織と雫の励ましできちんと精神を持ち直したようだ。二人に挟まれつつハジメの後について行った。 巨樹を目指して真っ直ぐ進むハジメ達。 周囲には虫の鳴き声一つ聞こえない静寂で満ちている。風すら吹いていないので葉擦れの音も聞こえない。ハジメ達が草木をかき分ける音がやけに大きく響いた。 「う~む、何だか嫌な感じじゃの」 「うん。何だか、オルクスで待ち伏せされた時みたい」 「確かに......魔物の気配も全くないものね」 ティオが眉根をしかめてポツリと零すと、香織と雫も魔人族の女カトレアの待ち伏せにあった時のことを思い出し、緊張感と警戒心に満ちた鋭い視線を周囲に飛ばした。 「一応、蜘蛛型ゴーレムを先行させているんだが特に何もないな。このまま何事もなくとは流石にいかないと思うが......いっそのこと、巨樹までの樹海を全部焼き払うか?」 「南雲......俺が言うのもなんだけど、取り敢えず面倒いから壊しとけみたいな発想はどうかと思うんだ」 「ああ、もうあの灼熱地獄は勘弁だぜ。マジで鈴の結界があっても生きた心地がしなかったんだからな」 ハジメが隠れている何かを警戒するくらいなら隠れた場所ごと灰燼にしてしまおうかと本気で考えだしたことに光輝と龍太郎がツッコミを入れた。周囲一帯を火の海にされたのは流石に肝が冷えたのだ。 他のメンバーからも取り敢えずこのまま行こうと諭すような眼差しを向けられ、ハジメは渋々、取り出していた円月輪とクロスビットを〝宝物庫〟にしまい込んだ。 この時、当然ではあるが、ハジメを諌めたことを彼等は後に後悔することになるとは思いもしなかった。これから起こることに気がついていたなら、何が何でも絨毯爆撃を自ら申請したはずだ。特に、雫辺りは絶対に。 「......ん? 雨か?」 「ほんとだ。ポツポツ来てるね」 突然、頭上から感じた水気に光輝は顔をしかめる。それに鈴が手をかざしながら同意する。が、次の瞬間顔を見合わせると、有り得ない事象だと気がついて二人同時に総毛立った。 「チッ、ユエ!」 ハジメが、その異常性にいち早く反応しユエに呼びかける。ユエは阿吽の呼吸で障壁を展開した。 直後、 ザァアアアアア ドロリ と滑り落ちていく。どう見ても唯の雨ではない。雨であるはずがない。ドロリとしたその粘性もそうだが、そもそもここは閉鎖空間であり空など存在しないのだ。 ならば、その正体は自ずと絞られる。硫酸や何らかの毒性をもった液体を降らせるトラップか、あるいは、 「南雲くん、周りがッ」 この状況でも冷静に目を凝らして障壁の外を注視していた雫が緊迫した声音でハジメを呼ぶ。その視線の先には、樹々、草、地面、あらゆる場所からにじみ出てくる乳白色の何かの姿があった。 「スライムか? クソ、気配遮断タイプにしても、魔眼石にすら感知されないなんてどんな隠密性だよ」 「南雲! 足元からもッ!」 「きゃ、このっ、〝分解〟!」 ハジメが自分にすら気づかせないスライムの隠密性に内心で舌打ちしていると、足元の地面からも乳白色のスライムが滲み出してきた。〝聖絶〟は球状の障壁であり地面の中まで展開可能だが、最初から内側に入っている部分の地面までは効果範囲外だ。地面に潜んでいた乳白色スライムは内側からハジメ達を強襲した。 突然、足元からドバッ! と飛び出した乳白色スライムに、膝下まで呑み込まれた香織が急いで〝分解〟を発動する。 さらさらと細かな粒子となって崩れ去っていく乳白色スライム。スライムの典型的な攻撃といえば、その物理攻撃に強い特性を生かして接近し体内に取り込んで溶かしてしまうというものだが、どうやら溶かされる前に完全に排除できたようだ。 「おらぁ! 引っ付くんじゃねぇ!」 龍太郎が背後からガバッと体積を広げて覆い被さろうとしてきた乳白色スライムに拳を叩きつける。篭手型アーティファクトの効果で浸透勁にも似た衝撃が伝わり、一瞬波打った乳白色スライムは爆散したように飛び散り〝聖絶〟の内壁に衝突して唯のシミになった。 「ちょっ、バカ、龍太郎! こっちにも飛び散って来ただろう!」 「この脳筋! 思いっきり掛かったじゃない!」 「お? すまん、すまん!」 光輝と雫が豪快かつ傍迷惑な龍太郎の倒し方に抗議の声を上げた。スライムの飛沫が傍で戦っていた光輝達にも直撃したのだ。 「ええ、大丈夫よ、光輝。こいつら案外簡単に死ぬわ......ってどうしたの?」 「えっ、いや、何でもないぞ! ああ、何でもない!」 雫が大迷宮の魔物にしては随分と脆い事に少し訝しみながらも、光輝に自分の無事を伝える。だが、当の声を掛けた光輝はと言うと、ババッ! と音がしそうなほど素早く顔を逸らし雫と視線を合わせようとしなかった。 途中、視界の端に鈴も入り、雫と同じような状況だったのでやはり慌てて視線を逸らす。 そんな光輝にスライムに向けるもの以上の不審顔を向ける雫だったが、結局、今はそれどころではないと黒刀の〝雷華〟を上手く使いながら結界内の乳白色スライムを駆逐していった。 光輝が動揺した原因。 それは乳白色スライムである。それを、最初の雨状のものと、先程龍太郎が飛び散らせたものを雫も鈴も浴びてしまっているのだ。言い換えれば、白濁したドロリとした液体を、だ。 これだけで、光輝が何に反応してしまったのかは言うまでもないだろう。有り体に言えば、雫と鈴の見た目は非常にマズイことになっていた。本人達は気が付いていないが...... そして、それはユエ達も同じことだった。 ユエは〝聖絶〟を展開しながら襲い来る乳白色スライムを縮小版〝蒼龍〟で焼き滅ぼしており、倒したスライムの飛沫が付着することはなかったが、最初に降ってきた雨の分はしっかり付いている。頬や首筋にトロリと流れる白濁液...... シアも、龍太郎と同じように覆い被さろうとしてきた乳白色スライムをドリュッケンの〝魔衝波〟を発動して吹き飛ばしてしまったので、飛び散った飛沫がいくらか付着してしまっている。もっとも、龍太郎と異なり衝撃波の威力が高かったので、その量は極めて少ない。少ないが、やはり...... そして一番見た目がヤバイのは、シアが吹き飛ばした乳白色スライムの飛沫をモロ浴びしてしまったティオである。別にシアがティオを狙ったというわけではなく、こればかりは運が悪かったとしか言いようがないのだが、まるでバラエティのパイ投げのように正面から顔面に浴びてしまったのだ。 今のティオは、その艶やかな黒髪と黒を基調とした和服風の衣服を白濁液でドロドロにしている状態だ。しかも、はだけた裾から覗く美脚にもトロリと白濁液が流れている。非常にマズイ絵面だ。 一番被害がないのは香織だ。〝分解〟があるので液体状の飛沫が飛び散る心配がない。もっとも、最初の雨にやられて多少の液体が付いているのは他のメンバーとさほど変わらない。 飛び掛って来る乳白色スライム相手に、体全体に覆うように〝纏雷〟を展開することでスライム限定で無敵状態になっているハジメは、取り敢えずユエ達の姿が光輝と龍太郎の目に入る前にまた目潰しをしておこうかと物騒なことを考える。 しかし、乳白色スライムの脆弱性という不審な点がある以上、まだ何が起こるか分からないので仕方なく目潰しは自重することにした。 (万一見られたら、後で記憶が飛ぶまでタコ殴りにしよう) 代わりに、より物騒なことが考えられていた。光輝達の頭の命は風前の灯火かもしれない。 そうこうしている内に、障壁内の乳白色スライムはあっけないほどあっさりと掃討することが出来た。それを確認して、今や〝聖絶〟の外側をびっしり覆い尽くしている乳白色スライムに視線を向けるハジメ。おもむろに内壁に近寄ると障壁の外へクロスビットと円月輪を転送する。 「結局、こうなるんだよな......」 クロスビットを通じて魔眼石で見た外は、おびただしい程の乳白色スライムで溢れかえっていた。天井の壁からは、今尚スライムが豪雨となって降り注いでいる。地上で波打つスライムの群れは、まるで乳白色の海のようだ。 ユエのように上級の防御魔法を即時発動できるような者がいなければ、あっという間に呑み込まれて終わりだったかもしれない。本当に大迷宮というのは一寸先は闇である。 「ユエ、結界は頼むぞ。一切合切、全部焼き滅ぼすから」 「んっ......任せて」 ハジメはユエの力強い言葉を受け取ると〝瞬光〟を発動する。そして、クロスビッ、円月輪七本を同時に操作して一気に上空に飛ばした。 「ああ~、くそ、また地獄の再現かよ!」 「また、あれが来るのね......」 「うぅ、あの時、カオリンの再生魔法がなかったら鈴の結界壊れてたんだよ? 本気で死ぬかもって思ったんだよ? 敵じゃなくて南雲くんの攻撃で!」 ハジメが何をしようとしているのか察した龍太郎がげんなりとした表情になり、雫は死んだ魚のような目になった。鈴はあの獄炎が軽くトラウマになっているらしく、若干涙目だ。ちなみに、光輝はずっと視線を逸らしている。龍太郎はアウトだが光輝の記憶は助かりそうだ。 『香織、分解で体についてるスライムを取ってやってくれ。絵面的にマズイからな』 ハジメからの突然の念話に驚く香織。なぜ、わざわざ自分に念話を? と首を捻るが、〝絵面的にマズイ〟というハジメの言葉でその真意を悟った。 そして、改めて白濁液で汚れている女性陣を見て「確かにこれはちょっと......」と一気に赤面する。ハジメがわざわざ念話をしたのは、未だ自分の見た目のマズさに気がついていない雫達に配慮してのことだ。男であるハジメが指摘するのはいろんな意味で悪手だろう。 それも察して、香織は頬を染めたまま了解と感謝の意を伝えて白濁液の処理に乗り出した。 それを確認して、ハジメは意識をクロスビットから届く外の映像に集中する。 (......スライムの雨が一向に弱まる気配を見せない。無尽蔵か? だとしたら、まず天井をどうにかしないと意味がないな) 刻一刻と体積を増やしていくスライムの海を眼下に、ハジメは円月輪を天井に飛ばす。高速回転で纏わりつく乳白色スライムを弾き飛ばしながら天へと飛翔する円月輪は、勢いを弱めることなくそのまま天井に次々と衝突した。 生成魔法により付与されている〝風爪〟が、バターを切り裂くように容易く天井の壁を切り裂き、円月輪の刃の部分をしっかりと埋める。ちょうど中穴が天井の壁と水平になった状態だ。 ハジメは、全ての円月輪の中穴が、天井に対して小さなアーチを描くような状態で刃先だけを埋っているのを確認すると、〝宝物庫〟から更に円月輪と蜘蛛型ゴーレムを大量に出した。 虚空から現れる大量の見た目メタリックな蜘蛛に雫達の頬が引き攣る。 しかし、そんなことはお構いなしに溢れ出た蜘蛛型ゴーレム達は、地面に置かれた円月輪を通して天井に刺さっている円月輪へと次々に転送されていき、そのまま天井に張り付いて一斉に散開していった。 今や、ハジメの〝瞬光〟状態での非戦闘機動は百体単位で可能だ。戦闘機動でも以前の倍のまで同時操作が可能である。 結果、溢れ出た総体の蜘蛛型ゴーレムは、紅い燐光を纏いながら縦横無尽に天井を駆け巡り次々と〝錬成〟を発動していく。壁の僅かな穴や隙間からにじみ出て来ている乳白色スライム達を、壁そのものを錬成で固めてしまうことで封殺しようという意図だ。 その目論見は正解だったようで蜘蛛型ゴーレムが錬成した部分からのスライムの流出が止まり、目に見えて雨足が弱まっていった。今や天井は紅い光が尾を引くように無数に走り、まるで流星群でも見ているかのようである。 (よし、天井の錬成はこんなもんでいいだろう。後は地面だが......取り敢えず、地上を焼かないと話にならないな) ハジメは内心でどこかのテロリストのようなことを考えつつ、蜘蛛型ゴーレムを天井に張り付けたまま突き刺さった円月輪を回転させて天井から飛び立たせる。そして、手元の円月輪のゲートを開いて今度は〝宝物庫〟から取り出したタールを転送し始めた。 「よくもまぁ、ユエ達に汚ねぇもんかけてくれたなぁ。跡形もなく燃やし尽くしてやる」 ハジメが口元から犬歯を覗かせながら不敵な笑みを浮かべ、眼をギラギラと凶悪に光らせた。ユエやシア達に白濁液なんてものをかけられたことが実は相当頭に来ていたらしい。 先程の短慮を起こさないように心掛けると言う殊勝な言葉は一体どこにいったのか...... 「悪魔だ、悪魔がいるよ、シズシズぅ! 怖いよぉ~」 「......見ちゃダメよ、鈴。見なければどうということもないはずよ! 多分、きっと......」 「やべぇよ、光輝。あいつ、いつか絶対とんでもねぇことやらかすぞ」 「そう、だな、魔人族の方が人らしく見えるよ......」 ハジメの悪魔のような姿に鈴がガクブルと震えながら雫に縋りつき、雫は娘に注意する母親のようなことを言いつつ目を逸らし、龍太郎が未来のテロリストでも見るかのような戦慄の表情を浮かべ、光輝は、勇者として倒すべきなのはアイツなんじゃ......と思わず使命感に駆られていた。 一方で、ユエ達はというと、 「あぁ......ハジメ、素敵」 「ご主人様ぁ......はぁはぁ、一目でいいのじゃ。その眼を妾に向けて欲しいのじゃ」 「......ハジメくん......ゴクリ」 なんだかウットリしていた。恋は盲目とはこのことか。どう見ても、ただ凶悪な顔をしているだけなのだが、ユエ達から見ると頗る付きで心をときめかせる魅力があるらしい。いろんな意味で手遅れということだろう。 一昔前なら、好戦的なハジメを見て複雑な表情をしそうな香織ですら、メルジーネ海底遺跡で悪食相手に絶体絶命に陥っても全く諦めずに瞳を輝かせたハジメを見て以来、今のような凶悪顔に心をときめかして惚れ直していたりする。 そんな香織を見て、雫は遠い目をしながら「香織は遠いところへ行ってしまったのね......」と呟いている。 雫は、既に外が見えないほどスライムに覆い尽くされたこの状況でも余裕で殲滅に闘志を燃やすハジメをチラリと見た後、やはり直ぐに視線を逸らした。凶悪な表情だからだ。あくまで、凶悪な表情にドン引いているから目を逸らしているのだ。そうだと言ったらそうなのだ! と、その時、凄まじい爆音が障壁の外から響いた。その破壊音は一度では留まらず、連続して鳴り響きどんどん大きくなる。爆竹のように連続した破裂音も聞こえれば、それらとは比較にならないほどの轟音も響く。ハジメのクロスビットによる絨毯爆撃が始まったのだ。 心なし、障壁を覆う乳白色スライムが身悶えしているような気がする。今や、ハジメは透き通るような紅い光を纏っていた。それに見蕩れるユエ達。それに気が付いていないハジメは、ただひたすらクロスビットを通した外の光景に集中していた。 その眼帯の奥の魔眼石に映るのは、灼熱地獄と化したスライムの海だ。 スライムの雨の代わりに豪雨となって降り注いだ黒い雨は次々と眼下の乳白色を汚していき、更に、円月輪はスライムの海の外周を高速飛行しながら大量のタールを撒き散らしていった。 十分なタールがスライムに浸透した直後、タールの黒い雨にクロスビットによるクラスター爆弾の豪雨が加わる。直径数センチの小さな爆弾だが、熟練度の上がったハジメの圧縮錬成は半端ではない。中身は信じられないほどの燃焼粉が詰め込まれており、たった一個で小さな家屋くらいなら吹き飛ぶ威力だ。 眼下の乳白色スライムの海に着弾したクラスター爆弾は次々と爆発を起こし、その粘性のボディを粉微塵に粉砕していった。そして、撒き散らされた爆炎は周囲のタールに引火して摂度の獄炎の海を創り出す。 凄まじい熱量の炎が地を舐め尽くし、発生した上昇気流が緋色の尖塔を築き上げる。乳白色スライムはなすすべなく焼滅していき、それでもなお炎は全てを巻き込んで焼き尽くしていく。ハジメの殺意がそのまま具現化したような緋色の津波は、樹々を焼き、地面を溶かし、空気すら焦がして樹海を呑み込んでいった。 障壁を覆い尽くしていた乳白色スライムの隙間から遂に灼熱の赤が顔を覗かせる。それに気がついた誰かが「あっ」と声を上げた次の瞬間には、障壁の外は火炎の海に早変わりしていた。まさに瞬く間もなく乳白色スライムは灰燼に帰したのだ。 やがて周りからすっかり乳白色がなくなり、地面のあちこちが溜まったタールの残りを燃料に燃え盛っているだけになった外の様子を見ながらハジメが呟く。 「ん~、どうやら、大体焼き尽くしたみたいだな」 「......もう、結界解いても大丈夫?」 ハジメの言葉にユエが確認を取る。 「いや、もうちょい維持しててくれ。地面の下に潜んでないとも限らないからな」 ハジメはそう言うと、感応石がはまった指輪を更に輝かせた。途端、天井から無数の黒い物体がスイーと一定速度で降りてくる。天井から糸を垂らして下降してきた蜘蛛型ゴーレムだ。 おびただしい子蜘蛛が空から降ってくるというショッキングな光景に思わず可愛らしい悲鳴を上げたのは意外なことに雫だったりする。しかし、みな心得たもので華麗にスルーだ。自分の悲鳴に頬を赤らめている雫を見たりはしない。何人かの口元はニヤついているが。 着陸した蜘蛛型ゴーレムは、天井と同じように周囲と巨樹までの道程を一斉に錬成しながら散開していった。 瞑目しながら集中し始めたハジメはそのまま皆へ話し掛ける。 「目標の巨樹まで錬成するのに少し時間がかかる。あのスライムの総量がわからない以上、適時撃破するより少し時間を割いてでも襲撃対策をしておいた方が面倒がなくていいだろう。悪いがその間、念のため結界の維持は頼むな、ユエ」 「......んっ」 蜘蛛型ゴーレムの操作に集中しながら、そう指示するハジメにユエは快諾する。他のメンバーも取り敢えず危機を脱したと分かり肩から力を抜いた。 なお、女性陣を汚していた白濁液は既に香織によって取り除かれているので皆綺麗な姿だ。龍太郎の記憶の運命は変わらないが。 急速に地面を錬成していくハジメだが巨樹までの道程を邪魔されない程度に対策するにはしばらく時間がかかる。なので、ドカっとその場に座り込み胡座をかいた。体力的には何の問題もないが休めるときに休んでおくのは冒険の鉄則である。 それを見て他のメンバーもそれぞれ僅かな休息に努めた。 と、その時、不意にハジメの背中に柔らかな重みが加わる。「ん?」と肩越しに振り返れば、そこにはユエの姿が。どうやら背中から抱きついてきたらしい。いつものように甘えてきただけかと、皆の手前小さく笑みを浮かべるハジメだったが...... 「はぁはぁ......ハジメ、何か変......はぁはぁ、すごく......ハジメが欲しい」 「は? いや、こんな状況下で何を言って......ユエ? 一体どうした?」 ユエの息が荒い。吐息は火傷しそうなほど熱く、瞳はうるうると潤んでいて、チロチロと動く舌はハジメを求めて唇からいやらしく出し入れされている。どう見ても発情していた。 これが夜の宿屋などだったら喜んで応えるところだが、流石にそんな呑気なことは言っていられない。 こんな状況でいきなり発情するなど有り得ない。ユエは明らかに体に異常をきたしている。ハジメが真剣な表情で体ごと向き直りユエを抱きとめると、ユエは身悶えするようにブルリと震えながら更に体を熱くした。そして、我慢できないとでも言うようにハジメに自分の体をグイグイと押し付ける。 ハジメが頭を疑問で埋めながらユエの容態を観察していると、いつの間にか影が差し掛かった。ハジメが顔を上げるとそこにはシアがいた。 「ハジメさん......私......私、もうっ......はぁはぁ」 「シア、お前もかっ?」 「はぁはぁ、ハジメさん、好き。好きですぅ」 シアはそのままハジメの右腕に抱きつくと胸の谷間と太ももに挟み込んで逃がさないようにし、スリスリと体を擦りつけ始めた。明らかにユエと同じ症状だ。頬は薔薇色に上気し、瞳は劣情で霞んでいる。普段はあまり感じさせない色気を全開で放っており、ハジメをしてくらくらするような甘い香り発していた。 「一体、何が......」 ハジメが困惑しながら視線を巡らせる。そこにはユエやシアと同じように異変をきたしたメンバーの姿があった。 香織も、耐え難い何かに身悶えしながら潤んだ瞳をハジメに向けている。両足をもじもじと擦り合わせながら四つん這い状態でハジメへと少しずつ近寄って来ている。ティオは......何だかボーとしているが。 光輝達も例外ではない。鈴は前かがみで自分を抱き締めるように身悶えているし、正気を失ったような虚ろな瞳の龍太郎は、そんな鈴に這い寄っている。光輝も血走った目で傍らの雫を見つめており、おもむろに立ち上がると雫へと手を伸ばし始めた。 唯一、雫だけは同じように身悶えたあとグッと唇を噛みつつ正座をして目を閉じ、その後は微動だにしていない。頬の赤みも取れて静寂を纏っている。どうやら精神統一か何かをして発情状態を耐えきろうとしているらしい。それを告げなかったのは正気を失う一歩手前で余裕がなかったのだろう。 しかし、そのままでは既に眼前まで迫っている光輝が何をするか分からない。倒れ込んで喘いでいる鈴の方も龍太郎が覆い被さろうとしている。熱に浮かされたように、相手の名を呼びながら迫る姿から何をしようとしているのかは明白だ。 「くそったれ。これがあのスライムの真髄かっ」 ハジメは悪態を吐きながら〝宝物庫〟からボーラを取り出すと、手首のスナップだけで二つ同時に投擲し光輝と龍太郎を空中に磔にした。うわ言のように雫や鈴、果ては香織やユエ達の名前まで呼びながらジタバタともがく二人だったが、その程度で空間固定する拘束型アーティファクトのボーラが外れるわけもない。 一先ず安心かと思われたが、次は鈴が、何と隣にいる雫に手を伸ばし始めた。既にその表情は女の子として見せてはいけないものになっている。大切な、心に決めた人にしか見せてはいけない類の表情だ。 ハジメは再度舌打ちすると、ボーラを鈴にも投擲し空間に縫い付けた。 「むぅ、ご主人様よ、無事かの? どうやら、あの魔物の粘液が強力な媚薬になっておったようじゃな」 ハジメが鈴を拘束しつつ、遂に到達して左腕に抱き付いて来た香織を押し止めていると、ティオがしっかりした足取りと平然とした表情で歩み寄って来た。 ハジメは思わず目を丸くする。 そんなハジメを知ってか知らずか、ティオは普通に言葉を続けた。 「強烈な快楽で魔法行使すら阻害しておる。時間が経てば経つほど正気を失って快楽のまま性に溺れることになるじゃろうな。厄介なこと極まりないのぅ。あの物量で襲われては、全く飛沫を浴びないなど不可能じゃろう。戦闘が長引けばそれだけで全滅じゃ。生き残っても仲間がおれば交わらずにはおられんじゃろうから、その後の関係はかなり危うくなりそうじゃしの」 「あ、ああ、そうだな......」 「うむ。おそらく、それが狙いじゃろう。快楽に耐えて仲間と共に困難を乗り越えられるか......あるいは快楽に負けても絆を保てるか......いずれにしろ性格の悪いことじゃ。〝解放者〟というのは本当に厄介な連中じゃの。もっとも、それもご主人様の毒耐性には敵わんかったようじゃが」 「......なぁ、ティオ」 「む? なんじゃ、ご主人様よ」 ハジメは、ティオの推測になるほどと納得する一方で、自分にベッタリと引っ付くユエ達を見つつ最大の疑問を投げかけた。 「あの粘液がこの事態を引き起こしているという推測は納得できる。俺もそう思うからな......だが、だがな。何でお前は平然としてるんだ? 俺の記憶が確かなら、お前が一番あの粘液を浴びていたと思うんだが」 「確かに、妾の体も粘液の効果が発揮されておる。事実、体を駆け巡る快楽に邪魔されて魔法がまともに使えんからの。じゃがのぅ、舐めてくれるなよ、ご主人様よ。妾を誰だと思っておる」 ハジメは、フッと不敵な笑みを浮かべながら胸を張るティオを見て、今度は違う意味で驚愕に目を見開いた。 ティオは、それだけ強烈な快楽に犯されていながらも意志の力で正気を保っているようだ。普段がどれだけ変態でも、たとえ末期のド変態でも、彼女は遥か昔から生き続ける誇り高き竜人族。この程度の魔物の毒素に...... 「妾はご主人様の下僕ぞ! この程度の快楽、ご主人様から与えられる痛みという名の快楽に比べれば生温いにも程があるわ!! 妾をご主人様以外に尻を振る軽い女と思うてくれるなよぉ!!!」 眼をクワッ!! と見開き、拳を天に掲げてそう力説する駄竜に、ハジメは汚物を見るような眼差しを向けた。スライム粘液の快楽すら平然とやり過ごしたティオが、その視線にゾクゾクと体を震わせる。 「流石ティオさん、いや、クラルスさんっすわ。マジ、パないっすわ。取り敢えず、それ以上近寄らないでもらえます?」 「け、敬語じゃと!? しかも、族名で呼ばれた! 半端ない距離感じゃ! まさか、このタイミングで他人扱いとはっ。はぁはぁ、マズイ、快楽に溺れそうじゃ......」 さっきまで平然としていたのに急速に快楽に敗北しかけているティオ。四つん這い状態で必死に正気を保とうとしている。そんなティオから、もはや見る価値もないと視線を外したハジメは体を震わせながら自分に抱きつくユエ達を見やった。 そして、確かな信頼を瞳に込めて三人に語りかける。 「ユエ、シア、香織。お前等がたかがこの程度の魔物にいいようにされるわけがない。まだ正気を保っているはずだ。そうだろう?」 すると、頬を真っ赤に染め、絶え間なく熱い吐息を漏らし、ギュとハジメに抱きつきながらも三人は顔を上げて確かな意思を感じさせる眼差しをハジメに向けた。 「んんっ......当然」 「うぅ~、もちろんですよぉ~」 「だ、大丈夫! はぁはぁ、わかるよ!」 案の定、快楽に身を委ねたいという強烈な欲求に抗い、ユエ達は歯を食いしばりながら正気を保っていた。ハジメはユエ達を順繰りに見渡して満足気に笑う。 「いいか、これは大迷宮が用意したクソッタレな試練だ。なら、お前等が乗り切れないなんて有り得ない。見ろ。八重樫やド変態だって耐えてんだ。ここで万が一にでも負けたら、すげー恥ずかしいぞ?」 どこか挑発的な物言いに、熱に浮かされながらもユエ達が口元を歪める。不敵な笑みだ。 「もちろん直ぐに解決する方法はある。神水を飲めばいいんだ。どんな状態変化だろうと解除できないなんてことはないだろう。......どうする?」 ハジメが言い終わると同時に、三人の声は揃って答えを告げる。 「......必要ない」 「いらないよ」 試練を自力で乗り越えることを選んだ。ハジメが「それでこそだ」と柔らかな眼差しを向けた。それに、ユエもシアも香織も嬉しそうに微笑む。ハジメが信じてくれているということが伝わるからだ。 ハジメは堪えると決意した三人を気遣って距離を取ろうとする。自分がいない方が快楽には耐えやすいと思ったからだ。 しかし、 「......ハジメ、ギュッてしてて」 「辛くないか?」 「ふふ、ハジメさんに抱き締められて辛いなんて思う人、ここにはいませんよ」 「そうだよ。むしろ、心が落ち着くから......お願い」 三人におねだりされてしまい、ハジメは少し困った表情をしたものの三人まとめて腕の中に閉じ込めた。右腕でシアを、左腕で香織を、正面にユエを抱える。 ユエ達は一瞬ブルリと震えたものの、直ぐに安心したように身を委ね、直ぐに荒かった息を整え始めた。 それから間も無く目を閉じて精神の均衡を保つことに集中する。いつしか三人の熱かった体温は下がり、規則正しい鼓動がハジメに伝わり始めた。どうやら、問題なくこの試練も乗り切れそうである。ハジメは僅かに微笑むと刺激を与えないように体を微動だにさせず、三人を支え続けた。 おまけ 「......ご主人様よ。妾もそっちに行って良いかの?」 「ご冗談を、クラルスさん」
The place where Hajime and the rest got teleported to was inside the same sea of trees as the first time. However, we didn’t know which way we should go, even doing an examination did not help due to the vastness, the ceiling... the goal that had to be faced was also not seen. Apparently this place was in the jungle area of the underground 【Orcus Great Labyrinth】 where we once came before. In the innermost of the area, there was a suspicious large tree towering over the surroundings which was different than the other trees. Most likely, that place was the location for the new teleport gate. “It seems all of the members are here this time.” Hajime squinted and glanced around at the members. There was an anxiety that something might happen during the teleportation earlier, but it was an unfounded fear. “....Hajime, fake?” “No, it’s alright. My eyes and my intuition said that everyone is real.” “If Hajime has already said so then it’s alright.” Shia’s face showed trust. Hajime shrugged while saying “Are you okay by yourself?”. Yue and the others saw him covering up his embarrassment for a moment, which shows the length of their relationship. Hajime gave the command to start departing when a giant tree was seen in the distance in the densely growing sea of trees. When he turned and took a peek over his shoulder, he saw the shadowed expressions of Kouki and Suzu. It was easy to imagine what kind of dream that Suzu woke up from, that’s why I understood that she was unable to escape and was hurt deeply. However, what on earth did Kouki see in that dream. Nah, anything he saw, it made him shocked after coming back from his dream. However, this was a great labyrinth. It would not be strange for this demonic region to make us fall into a despairing scene of carnage in only one second. It will not be good to drag this out forever like this. “Amanogawa, Taniguchi. Do you still want to keep going?” “Na, th-that’s obvious!” “Eh? O-of course!” The two people were pierced by Hajime’s sharp glint. Their biting words were voiced in desperation, even the short-tempered Ryuutaro who was their comrade raised his eyebrow. However, Hajime kept going before Ryuutaro could say something. “This is a great labyrinth. Taking one step ahead, the future after one second, this place is where death awaits eagerly for us. If you are unable to concentrate, it’s better to give up now. You will be dying in vain”. “Wa-wait, I am....” “Now what kind of excuse will you make? The fact that you failed on the trial a while ago won’t be changed. Just now, it’s necessary to at the very least make a determination to overcome it. Right now you all are unable to see it. You all have no guts which becomes a burden for us.” “It’s still possible to open a gate towards the outside, I can also prepare the barrier. Continue or return, decide it now, I won’t permit a half-hearted advance.” Silence permeated the surroundings. Kouki seem to suppress his resentment by clenching his teeth desperately. However, it’s not because of what Hajime said, instead Kouki’s anger was towards himself. Even though he felt down because of a lack of concentration, he felt safe because there was Hajime’s party, he noticed the fact that he unconsciously depended on them too much. Unable to stomach Hajime’s way of thinking, he wanted to be more stronger than Hajime, that’s why he wanted to capture the great labyrinth, and yet he miserably depended too much on Hajime, he really wanted to punch himself. However, even if you let out your fury now, the overdependence towards Hajime needs to be answered. Kouki breathed deeply many times and expelled the gloomy feelings in his chest along with the air to the outside, he inhaled the fresh air. “Nagumo. It’s alright. I’ll keep advancing!” Hajime nodded with a light feeling and shifted his gaze to Suzu. Suzu in an instant, shook herself with a start but she showed a resolute expression at once and stared directly into Hajime’s eyes. “Suzu is also going. I still have plenty of motivation!” “I see. Then that’s good. Don’t lower your concentration.” After Hajime said that much, he began to walk quickly ahead. Ryuutaro whacked Kouki’s shoulder! He striked hard. Kouki was aware that his childhood friend was worried, he was staring at Hajime’s back with the eyes of gratitude. Suzu too, after being encouraged by Kaori and Shizuku began to recover her spirit. The two people began following Hajime. Hajime’s party advanced and aimed straight for the great tree. The surroundings became silent, the insects which usually cried were not heard. Because there was no wind blowing, there was no sound of leaves rubbing against each other. The sound of Hajime’s party pushing through the big plants was loud. “Hmm~, I have a bit of an unpleasant feeling.” “Yeah. Somehow, it’s like the Orcus’s ambush.” “Indeed... There are no signs of demons either.” When Tio frowned and said that, Kaori and Shizuku remembered when they got ambushed by the demon girl Cattleya, sharp gazes filled with tension and caution were showed to the surroundings. “First, there was nothing from the spider golem which I sent as a scout. Even though there is nothing, I doubt it... Rather, isn’t it better to burn the entire sea of trees to reach the great tree?” “Nagumo... I don’t want to say it, but first of all your destructive thinking is troublesome and problematic.” “Ah, sorry about the previous hell of flames. Because I seriously didn’t expect Suzu’s barrier would make us feel more dead than alive.” Towards Hajime seriously thinking of razing to the ground all the hiding places instead of being wary of hidden things, Ryuutaro and Kouki sent a tsukkomi about it. When the surrounding area became a sea of flames, he can’t help but feel his courage shrink. After the admonishing gazes from the other members, Hajime, who already had taken out the Getsurin Rings and Cross Bits reluctantly put them back into the “Treasure Box”. At that time, obviously, they didn’t think that Hajime will repent on what he did. From now on they will become more attentive, because they don’t want to taste the carpet bombing by themselves, especially Shizuku. “.... hm? Raining?” “It’s true. It’s falling drop by drop.” Suddenly, feeling the dampness over his head, Kouki frowned. Suzu agreed while holding her hand over her head. When the two people looked at each other, both of them simultaneously bristled when an impossible phenomenon occurred. “Tsk, Yue!” “.... grunt Hajime, reacting quickly toward the abnormality and called Yue. Yue developed an area barrier by harmonizing. (EN: breathing technique) Immediately after... The heavy rain poured onto Hajime’s party all of a sudden, the rain slipped down the surface of Yue’s barrier... because, no matter how you look it, it’s not ordinary rain. Rain was impossible in here. Even though the viscosity of the rain suited this place well, but this place was a closed space, so it does not have a sky. Then, it’s true form was naturally revealed. It’s possible this liquid that was pouring on us was a trap of some sulfuric acid or some other toxic, or is it a sort of demon?......... Whatever. Right now, It seems it’s the latter this time. “Nagumo-kun, the surrounding area.” After carefully watching over the situation of the surrounding area, Shizuku called out with a tense voice to Hajime. From the previous glance, the trees, grass, ground, from all those places there was something milky white oozing out. “Slime, eh? Damn, it’s also the concealing type too, no wonder I couldn’t sense it with the Devil Eye.” “Nagumo! From your feet!” “Kya, take this, “Decomposition”!” Hajime who didn’t notice the slime, clicked his tongue secretly. The white slime began to appear from the ground at his feet. Even though “Divine Interruption” was a spherical barrier that can form in the ground, it’s impossible to intercept something which was attacking from inside the ground itself. The white slime which lurked on the ground assaulted Hajime’s party from inside the barrier. from our feet! When the white slime jumped, Kaori quickly invoked “Decomposition” as she was swallowed up to her knees. The white slime collapsed and became particles. A typical slime attack was making the best use of its strong characteristic against physical attacks, it approached the target, absorbed it into its body and then dissolved it. Somehow she was able to eliminate it before completely dissolving. “Oii~! Don’t cling to me!” Ryuutaro’s fist pounded on the white slime, which was about to expand onto his back. The impact of the piercing effect from his gauntlet-type artifact was transmitted, in an instant the white slime became stains when it collided with “Divine Interruption”’s inner wall and scattered, leaving nothing behind. “He-, idiot Ryuutaro! It got scattered over here!” “This muscle-brain! Not thinking at all!” “Oh? Sorry, Sorry!” Kouki and Shizuku raised a voice of protest on the troublesome way Ryuutaro defeated the slime. Kouki’s party who fought on the side got splashed directly. “Yeah, I’m alright, Kouki. These fellows died unexpectedly easily... What’s the matter?” “Eh? No, it’s nothing! Ah, it’s nothing at all!” Though it was a little dubious that the monsters they were fighting were so fragile considering it’s a great dungeon, Shizuku was told by Kouki to be carfull. But, the way of Kouki’s speaking was like an old grandma! He quickly turned his face away as if he heard something while avoiding taking a glance at Shizuku. On the way, Suzu also entered his field of view, he avoided her gaze in a panic because it was the same situation Shizuku. Though Shizuku turned an inquiring look at Kouki who was pointing at the slime, in the end, it was not much now since the “Thunder Flower” skill of the dark blade was used to destroy the white slime inside the barrier. It was the source of Kouki’s trembling. It was a milky white slime. That creature, was the real form of the rain earlier. A little while ago, Shizuku and Suzu were bathed in it when Ryuutaro scattered it. In other words, it was a thick cloudy liquid. With this, it was needless to say to what Kouki reacted to. Frankly, the appearance of Shizuku and Suzu was dangerous. The people themselves seemed to not have noticed yet... And also, Yue’s group was also the same. Yue destroyed the White Slime while maintaining the “Divine Interruption” by frying it with her small version of a blue dragon. Though the splash of the white slime that was defeated did not cling, the amount of rain that fell from earlier had attached firmly. The thick and cloudy liquid flowed down the nape of her neck and her cheek... Shia too, because a white slime that had started to hang over her just like with Ryuutaro, she blew it away by invoking “Magic Smash Wave” with her Drücken. The scattering splash clinged a little bit. That’s natural, because unlike Ryuutaro who causes high shock waves, the amount was extremely few. Even though it’s small, but still... The most dangerous one was Tio, who was splashed with the milky white slime that Shia had blown off earlier. Shia didn’t aim it towards Tio, this was to say she was purely unlucky, she was bathed right from the front as if someone threw a variety of pies at her. Tio right now, her glossy black hair and her black clothes based on a kimono style were sticky with the cloudy liquid. Moreover, the liquid was also flowing onto her beautiful leg from the open hem. It really was a dangerous picture. The one with the least damage was Kaori. She did not need to worry about the splash because there was “Decomposition”. Moreover, the little bit of liquid she was covered in from the rain earlier was not that different from the other members. As the other white slime was jumping, Hajime who had noticed the slime’s limits, became invincible after unfolding “Lightning Clad” all over his body to conceal himself, I should poke both the eyes of Kouki and Ryuutaro before they catch a glimpse of Yue and the rest of the girls, he was thinking of a dangerous idea. But, since there was a possibility to be vulnerable from a white slime attack, because there was no knowing what would happen next, he decided to not do anything at the moment. (If somehow they saw them, let’s hit them multiple times until the memory is erased.) Instead, there an even more dangerous idea appeared. The lives of Kouki’s party might be a candle in the wind. In the meantime, the fact that the clean-up of the white slimes inside the barrier was done so quickly was disappointing. It was confirmed, as far as the eye could see saw, the outside of “Divine Interruption” was covered thickly by the white slimes. He slowly approached with his Cross Bits and Getsurin Rings to near the inner side of the barrier. “In the end, it ended up like usual...” The view of outside using the Devil Eye through the Cross Bits, it was overflowing with numerous white slimes. From the wall on the ceiling, the slimes kept pouring down. The crowd of slimes that was drumming onto the ground was like a white sea. If there was no one who had an instant superior magic defense like Yue, one would most likely end-up getting swallowed up with surprising swiftness. The future is really dark inside the great labyrinth. “Yue, barrier please. Everything, I’ll burn them down.” “Nn... Leave it to me.” After Hajime received Yue’s encouraging word, he invoked Light Speed. And then, he flew to the sky while operating seven Cross Bits and Getsurin Rings at the same time. “Ah~, damn, another reproduction of hell!” “Again, it will come upon us...” “Uu, at that time, if it wasn’t for Kaorin’s recovery magic, Suzu’s barrier would break you know? Will we seriously die? There won’t be any enemies from Nagumo-kun’s attack!” Ryuutaro who guessed what Hajime was gonna do had a dejected expression, Shizuku’s eyes became like a dying fish. As for Suzu, the wall of flames seems to have created a minor trauma for her, she was somewhat teary-eyed. By the way, Kouki had been averting his gaze for a while. The image of Ryuutaro passing out seems to still be remembered well by Kouki. (Kaori, please use decomposition on the slimes who are attached to the bodies. It’s a dangerous scene.) Kaori was surprised at the sudden telepathic communication from Hajime. Why, had he contacted her on purpose? When she tilted her head, she realized the real intention from Hajime’s words about the “Dangerous Scene”. And then, looking at the ladies who were dirtied by the cloudy liquid “This is certainly...” I blushed at once. Hajime had contacted me on purpose because he considered the fact that Shizuku and the rest were not aware of their own appearance. It’ll be bad move in various ways if a man like Hajime points that out. As expected, Kaori gave her gratitude while blushing and began dealing with the cloudy liquid. After confirming it, Hajime began to concentrate on the image of the outside from the Cross Bits. (... The slime rain seems to not be showing any sign of weakening at all. Is this infinite? If it’s like this, then if something is not done to the ceiling, it will be meaningless.) The sea of slimes increased in volume before one’s eyes every moment. Hajime let fly the Getsurin Rings at the ceiling. While they flew to the heavens with their high-speed rotation they flicked of the milky white slimes that tried to wrapped them up, as it is one after another collided with the ceiling without weakening in momentum. It was the creation magic “Wind Claw”, it tore up the wall so easily like butter. The blade part of the Getsurin Rings were firmly buried. There was a horizontal hole created on the ceiling wall. The Getsurin Rings were all in the hole, after confirming that the buried tip of the blades drew a small arch on the ceiling, Hajime pulled out a large amount of Getsurin Rings and Spider-type Golems from the “Treasure Box”. The cheeks of Shizuku’s party cramped up when they saw the large amount of metallic spiders appear. However, the golem-type spiders who were overflowing did not care about these types of things, one after another they left the ground, by way of the Getsurin Rings, and went towards the other rings that were stuck in the ceiling. They simultaneously spread out and clung onto the ceiling. Now, in the non-battle state of Hajime’s “Light Speed” one hundred units was feasible. But with the battle state, it was possible to do the previous simultaneous operation up to times. The result was, the spider-type golems that had poured out, while clad in a red phosphorescence, rushed about all over the ceiling while one by one they activated “Drilling”. The milky-white slimes that oozed out of the occasional small holes and gaps in the wall planned on hardening themselves in order to seal the drilling on the walls. It seems this was the correct answer because the part where the spider-type golem were drilling the flow of slimes stopped. The intensity of the falling rain had slowly become weaker. There were countless bright red traces on the ceiling, it seems similar to a meteor storm. (Alright, the drilling on the ceiling is good with this. Now the ground.... For starters, it’s absurd to not blaze the ground.) While Hajime was thinking of something like a terrorist, he rotated the stuck Getsurin Rings and made the spider-type golems that were clinging to the ceiling fly away from there. And then, opening the gate with the Getsurin Rings on hand, this time he took out tar from the “Treasure Box”. “How dare you, to make Yue and the girls dirty. I’ll burn you up without a trace.” Hajime showed a fearless smile while showing his canine teeth in his mouth. His eyes glistened with a brutal gleam. He seems to be really pissed-off because Yue, Shia, and the girls have had the cloudy liquid poured on them. Where on earth are his admirable words of endeavoring to keep his temper in check from a little while ago... “Demon, it’s a demon, “......That shouldn’t be seen, Suzu. If possible you didn’t see anything at all! Maybe, surely...” “This is bad, Kouki. That guy, someday will do an outrageous thing someday.” “Yes, that’s right, the demons look more human than him....” Towards Hajime who had an appearance like a devil, Suzu clung to Shizuku while trembling in fear, Shizuku was averting her eyes while saying things like a mother who warned her daughter, Ryuutaro shuddered like watching a terrorist in the future, Kouki, as a Hero felt that he should defeat that guy... was in reflex driven by his sense of justice. As for the other side, Yue’s group... “Aa.... Hajime, so dreamy.” “Master... Haahaa, what a nice view. Please watch us with those eyes too.” “...Hajime-kun... Somehow they got charmed. There was a saying that love is blind. No matter how you look at, he only had a brutal face, but according to Yue and the girls there apparently was a superb charm that could make someone’s heart race. It would be too late in a lot of ways. If it was long ago, Kaori would have likely wore a complex expression when watching the warlike Hajime. But after watching Hajime, whose eyes shone and had not given up at all, when they had fallen into the desperate situation of eating the repulsive meat of the enemy in the Meljeene Deep Sea Ruins, she decided not to mind such a brutal-like face now and had fallen in love again. When looking at Kaori like that, Shizuku looked far away and muttered “Kaori has gone too far....” Even in this situation where we are exhaustively covered by slimes so the outside could not be seen, after seeing Hajime burning with killing spirit and exterminating with composure, Shizuku immediately averted her gaze. It’s because his expression was so villainous. Till the end, she looked away from that brutal expression that drew attention. It is so if I say that it is so! At that time, a terrible detonation sound resounded outside the barrier. The sound of destruction didn’t just stay at just once, it resounded continuously and increasingly became louder. Consecutive ‘plosive sounds like firecrackers were heard, these were incomparable to the thunderous roar. The carpet bombing from Hajime’s Cross Bits had started. Somehow, it seemed that the white slimes which covered the barrier were writhing. Right now, Hajime was clad in a transparent red light. Moreover, Yue’s group were charmed by him. Hajime who didn’t notice them, earnestly concentrated on the scene through his Cross Bits. Reflected in his Devil Eye behind his eyepatch, the sea of slimes turned into a burning hell. The black rain that was pouring down instead of the rain of slimes made the white slimes before our eyes become dirty one after another. In addition, the Getsurin Rings flew fast on the outside circumference of the white slimes and scattered a large amount of tar. Immediately after a sufficient amount of tar soaked the slimes, the heavy rain of cluster bombs from the Cross Bits joined the rain of black tar. Even though the diameter of the small bombs were only several centimeters, it was not incomplete because the skill level of Hajime’s compression training had risen. The contents were packed with an unbelievable amount of combustion powder, its power could blow away a small house with only one of them. The cluster of bombs that impacted the sea of white slimes exploded one after another before our eyes, the viscous bodies were pulverized into small pieces. And then, the spreading explosive flames ignited the surrounding tar and created a sea of hellish °C flames. The tremendous amount of heat from the flames licked the earth, it generated an upward pinnacle of scarlet red. The white slimes continued to burn and perish without a means to be free, but still the flames spread and thoroughly burned everything down. The tsunami of scarlet, which contained the murderous intent of Hajime, burned the trees, melted the ground, swallowed the sea of trees and even scorched the air. The scorching red finally showed its visage when the slimes on the barrier and created a gap to look outside. At the next moment, someone who noticed it “Ah” raised a voice, outside the barrier had been transformed into a sea of flames. Before long the white slimes naturally flickered and turned into ash. Before long, the white slimes completely disappeared from the surroundings. While observing the situation outside, the remaining tar was collected as only the fuel was blazing here and there. Hajime muttered... “Nn~, apparently, it seems everything was roughly burnt out.” “...Geez, is it safe to take down the barrier?” Yue takes a confirmation from Hajime’s words. “No, keep maintaining it a little more. There is a chance that some are still lurking underground.” When Hajime said that, the divine stone on the ring shined bright. Just now, innumerable black objects fell from the ceiling at a fixed speed. The spider-type golem descended with its thread from the ceiling. The surprised Shizuku instinctively let out an adorable scream towards the shocking scene of numerous little spiders falling from the sky. However, everyone agreed to magnificently ignore it. They didn’t see Shizuku cheeks blush from her scream. Although, some of their mouths were grinning broadly. The spider golems landed, spread to the surroundings and simultaneously began drilling up to the giant tree like they did on the ceiling. Hajime began to concentrate while closing his eyes and said something to everyone. “It’ll take awhile to drill and reach the target of the giant tree. I don’t know how many of the white slimes there are, it would be fine if there was no trouble, but you all should prepare an attack measure in this spare time to avoid a timely defeat. In the meantime, though it may be difficult please keep maintaining the barrier, Yue.” While still concentrating on moving the spider-type golems, Yue willingly consented to Hajime’s direction. The other members understood that the crisis was temporarily avoided and they slumped their shoulders. Still, after being removed by Kaori, the ladies who were dirtied by the cloudy liquid all have clean appearances. Although the fate of Ryuutaro’s memory hadn’t changed. Hajime was drilling the ground rapidly, but it takes a little while to plan for counter-measures so the distance to the giant tree wasn’t obstructed. So, After seeing that, the other members tried to take a short rest. But, at that time, a soft weight was suddenly felt from Hajime’s back. “Hm?” When he looked over his shoulder, he saw Yue’s appearance. Apparently, she was clinging onto his back. Have you been spoiled far more than usual? In front of everyone, Hajime showed a small smile .... , I really want... I really want Hajime so much.” “Hah? No, what are you saying at a time like this... Yue? What on earth is wrong?” Yue’s breathing was rough. Her sighs were also burning hot, her eyes were moist and teary-eyed, her tongue was lightly drawing in and out lewdly from her lips seeking Hajime. She was really sexually excited. Although he would respond with pleasure if this was an evening at an inn, but during this situation such a carefree attitude was impossible. It’s impossible to suddenly become ***** in this situation. There was obviously something abnormal in Yue’s body. When Hajime held Yue and turned her around with a serious expression, Yue’s body went hot while trembling and writhing. And, as if to say it was not possible to endure it, she forcefully pressed her body continuously against Hajime. When Hajime was observing Yue’s condition with many questions in his head, there was a shadow approaching before he was aware of it, when Hajime looked-up there was Shia. “Hajime... I... I am too... “Shia, you too?” , Hajime-san, like. I like you.” Shia prevented his escape by clinging onto Hajime’s arm between her cleavage and her thighs, and then, she began rubbing it. Obviously, she had the same symptoms as Yue. Her face was flushed, her eyes were misted with animalistic passion. The sexual appeal that she didn’t exude very much was flung into full throttle. She emitted a sweet fragrance that made Hajime giddy. “What, on earth is this...” Hajime was puzzled and sent a glance to the surroundings. There was the appearance of other members who were in the same condition as Yue and Shia was here. Kaori too, her eyes were moistened and she writhing something unbearable towards Hajime. She was slowly moving little by little on all fours while restlessly rubbing her legs together. While Tio... was somewhat dazed. Kouki’s party was also not an exception. Suzu was leaning over and hugging herself while writhing, the hollow eyed Ryuutaro who had lost his sanity was crawling closer to Suzu. Kouki was watching Shizuku with bloodshot eyes, he slowly stood and reached towards Shizuku. Only, Shizuku had shut her eyes while kneeling straight, she writhed similarly to the ones before her, biting her lips without make any movement. Even though she kept her silence her cheeks were red. She seems to be trying to do mental concentration or something to endure the sexual excitement. It doesn’t need to be said that she was on brink of losing her sanity too. However, before my eyes Kouki was already drawing near as it was but it was not known what he would do. Ryuutaro starts hanging over Suzu who had collapsed panting. During this heat, it’s clear what they are trying to do from their appearance and the way they were calling each other names. “****. Is this that slime’s essence?” While spewing curses Hajime took out the bolas from his “Treasure Box”. While simultaneously throwing with two snaps of the wrist, Kouki and Ryuutaro were crucified into the air. Two people were struggling and flailing while raving about Shizuku and Suzu, on top of that, Kaori and Yue’s names were called out. It was not possible to escape because the bola was a restraint-type artifact that did not deviate from a fixed space. Although it seems safe for the time being, next was Suzu, she slowly began moving towards Shizuku who was nearby. She already showed an expression which was not like a girl anymore. Her beloved ones, that kind of expression should be only for the people who are dearest to her. Hajime clicked his tongue again, and threw the bola towards Suzu and fixed her in place. “Unh~, Master, are you alright? Apparently, the demon mucus seems to have become a strong aprosodiac.” Hajime after restraining Suzu, Kaori finally reached him and embraced his left arm. Tio with her calm expression steadily came near him. Hajime unintentionally stared in wonder. While she didn’t know what Hajime was thinking, Tio continued speaking normally. “Even your ability to use magic will be inhibited by the intense pleasure. The more time passes, the more you’ll lose your sanity and would probably end up drowning in feelings of arousal from the pleasure. There’s nothing as troublesome as that, is there. It would probably be impossible to not get sprayed at all if you’re assaulted with the weight you’re carrying. If the battle is drawn out, just that can lead to total annihilation. After all, even if you survive, if you have comrades it won’t end with not trying to copulate with them, so your relationship with them will end up pretty grave it seems.” “A-ah, that’s right...” “Yea. Most likely, that’s its aim. To be able to withstand the pleasure over our companions?... Or maybe if our bonds can be kept even after we are defeated by pleasure.... Either way, this “Liberator Person” is very nasty. Moreover, master has a high poison resistance so the enemy doesn’t match well.” “.... Hey, Tio” “Yes? What is it, master?” Hajime, even though he agreed on what Tio said, he still had a huge doubt after comparing the condition of Yue and everyone. “I agree with your conjecture that the mucus caused this situation. Because I also think so.... But, but you see. Why are you still able to keep calm? If memory serves me, you’re the one that was bathed in the mucus the most among us.” “Certainly, the effect of this mucus also affects our body. In truth, magic can not be used properly because it is hindered by the pleasure running through this body. But then, we do not want to make light of it, master. That is what we thought.” Hajime, watching Tio who was puffing her chest out while showing a fearless smile, this time had his eyes wide open from astonishment for an altogether different reason. Tio seems to still be keeping sane by force of will against the strong pleasure. Even though she was usually very perverted, compared with her latest perversion, she was from the high Dragon-tribe who boasts of living for a very long time. To such a demon’s toxin... “We are master’s slave! This kind of pleasure, is lukewarm compared with the pleasure-pain inflicted by master!! Except for master, do not think us to be a light woman who shakes her hips!!!” Her eyes are scary~!! With her wide open eyes, she raised her fist towards the heavens, thus stressed the useless dragon. Hajime’s gaze turned like he saw filth. Tio who withstood the pleasure from the mucus calmly, her body shook thrillingly because of that glance. “As expected of Tio-san, no, Clarice-san. Seriously, it can’t be helped. For now, can you please don’t approach any further?” “U-using honorifics!? Moreover, calling me by my surname! This sense of distance! Well, I never! Being treated as a stranger with this timing. Haa Haa The earlier calm Tio was forgotten and rapidly succumbed to pleasure. Trying to desperately preserve her sanity she was currently on all fours. From that sort of Tio, it was not even worth watching anymore so Hajime changed his line of sight from her to Yue’s party who clung to him with trembling bodies. And then, he talked to the three of them while putting a certain trust in his eyes. “Yue, Shia, Kaori. There is no way a mere demon of this degree is sufficient for you all to become spellbound. You three are still able to maintain your sanity, right?” Then, with a red blush on their cheeks, a constant hot sigh leaking from their mouth, the three girls who were clinging to him felt his definite intention and looked up to Hajime. “Nn~ ....Of course.” “Urgh~, Naturally that is so~” “I-it’s alright! As I thought, this was to see if we can fight the intense desire to succumb and pleasure ourselves, Yue’s party was preserving their sanity by clenching their teeth. Hajime was laughing satisfied while watching them in turn. “Listen, this is a trial prepared by that ****** great labyrinth. Then, it’s impossible that you are unable to get over it. Look, even Yaegashi and that pervert are enduring this. If by any chance you were defeated, won’t you be soooo embarrassed?” Towards his provocative words, the zeal of Yue’s party rose and their mouths curled showing a fearless smile. “There is a method to immediately solve this problem. You just need to drink holy water. There might be a chance it won’t work.... What will you all do?” At the same time when Hajime finished saying it, the three girls answered together. “....It is unnecessary.” “I don’t need it.” They have chosen to solve the trial by themselves. Towards Hajime’s “As I expected” and soft look, the girls smiled gladly. It’s because they can feel Hajime’s belief and trust. Worried about the three who had determined themselves to endure, Hajime tried to distance himself. Since he thought that it would be easier to bear with the pleasure if he wasn’t there. But... “.... Hajime, hug me tight.” “Won’t it hurt?” , there is no such person here who thinks it is painful to be hugged by Hajime-san.” “That’s right. Instead, it calms our mind.... Please?” As pleaded by the three people, Hajime who was embarrassed a bit, spread his arms and brought the three of them together. Shia on his right arm, Kaori on his left arm, and Yue was held in front of him. Yue and the girls were trembling for a moment, felt relieved instantly, and began to normalize their rough breathing immediately. After that, they closed their eyes before long and they concentrated on balancing their spirit. Unaware, the hot temperature from the three girls abated and they began to transmit a normal pulse to Hajime. Apparently, they might be able to pass this trial without any issues. Hajime slightly smiled while staying still to avoid making any stimulus for them, he kept supporting the girls. Omake “.... Master, may this mistress join there as well?” “You must be joking, Clarice-san.”
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「とりあえず簡単な処理完了」 朝の日課り済ませた後に俺は熊の毛皮からとりあえず肉と脂肪を剥いだ。これでまあとりあえずは大丈夫だろう。 「で、研究を本格的にしたいところだけど......」 俺は昨日熊を昏倒させるのに使った草の外見と魔力の色を思い出す。 むしろ問題なのはこの先圧倒的に増えるであろうデータを俺の頭だけでは記憶しきれないし、処理しきれないという事だ。 「やっぱり何かしらの記憶媒体が欲しいな」 で、記憶媒体となれば一番簡単なのは紙とペンか。 流石に石に掘るとかなったら手間とか量とかの問題でやってられないし、葉っぱに書くとかは何かあった時に損失する可能性が高すぎて駄目だろう。 となれば求めるべきはやはり羊皮紙なり和紙なりの紙に何かしらのペンだろう。 で、ここで問題が一つ。 「流石に自作は無理だろうなぁ......」 紙もペンも流石に自作するのは無理である。 うん。ペンぐらいなら炭に紐を巻き付けるとかで出来そうだけど炭なんて作れないし。紙もこんな原始的な生活を送っているような奴が作れるとは思えない。 「となれば人里に出て買って来るしかないわけだけど、俺の見た目はこれだしなぁ」 だが、今の俺はまさしくカボチャである。 なので人里に出て何かをするのならばそれ相応の工夫と言うか偽装と言うか、とにかく何かしらの対策を施さないと確実に問題が起きるだろう。 「とりあえず冬籠りの準備からしておくか」 まあ、そう言う事なので一先ずは差し迫った脅威である冬に対する何かしらの対策を考えるべきだろう。 具体的には拠点の改良とか、藁みたいな断熱材の確保とか、この身体がどこまで寒さに耐えられるかと言う耐寒性の試験とかその辺。 と言うわけで今日は拠点の改良に取り掛かるとしよう。 「............」 多すぎんだろ。 俺が拠点の改修を始めてすぐに感じた事がそれだった。 「ブモッ」 「ブモー」 「はぁ......」 現在拠点の周囲にの猪が何かを探すように屯している。 どうしてこうなったのかは分からない。 と言うのも拠点の改修を始めてすぐにこいつらが森の中から突然出て来たからだ。 「様子から察するに餌を探してるって言う感じだよな」 俺は拠点の入り口にある隙間から猪の様子を探る。 猪たちは鼻を必死な様子で地面にこすり付け、何かの匂いを嗅いでいる。 時期を考えれば冬に備えて脂肪を蓄えるために餌を探してるのだろう。 「別に倒せないことは無いけど時間がかかりそうだしなぁ......」 俺は猪の動きからどうやれば順序良く始末できるかを考えるが、流石に3頭同時に相手取るのは厳しそうだ。 となれば......うん。あの草も無いしバリケードを張って去るまで待とう。 危険は犯さないに越したことは無い。 そして俺は適当に集めた品々でバリケードを築くと、拠点の中で魔力の操作技術を磨く作業に専念することにした。 水と光は拠点にある壁の隙間から根と葉を出せば問題ないだろう。 --------------- 「どうしてこうなった......」 と言うわけで数日後。状況は見事に悪化した。 現在拠点を取り囲んでいる動物の総数を超えている。 集まった動物同士で喧嘩をしているので、その数には常に変動があるがだいたい間違ってはいないだろう。 「うーん。逃げるしかないよな......」 幸いな事に拠点内装の改良は既に完了しており、様々な獣の皮を敷き詰めることによって防寒性は格段に上がっている。よって本格的に冬になるまで外を逃げ回って、冬になったら戻ってくると言う手は十分に使える。 拠点に籠るしかなかったおかげで冬籠りの準備が完了していると言うのは微妙に皮肉な気もするが。 「とりあえずあの草の群生地まで行って、草を回収したらミズキに会いに行くか」 そして俺は外の様子を窺い、安全だと判断したタイミングで外に飛び出す。 ここで俺の誤算が一つ。俺には奴らがどうしてこの拠点の周りに集まっていたのかは分からなかったが、集まっている理由はあの拠点の近くにある何かが理由だと思っていた。 なので、この場を離れれば安全であると考えていた。 「「「ブヒイイィ!」」」 「げっ......ヒュロロロオオオォォ!!」 だが、実際には俺が拠点の外に飛び出した直後に何かを察したかのように動物たちは俺の方を向いて突撃を仕掛け始めた。 「ヒュロオォ!?な、何がどうなってんだよ!?」 そのため、俺は訳も分からないまま最高速度で森の中に突入すると共に向かう先を草の群生地からミズキの元へと変更。 今現在集まっているのはどいつもこいつも陸生の生き物な上に、湖には主もミズキもいるのでこいつらぐらいの魔力なら積極的に近寄っては来ないだろう。 「グルアッ!?」 「のわっ!あ、危なっ!」 と、ここで、正面から熊が右手の爪を大きく振りかぶって襲ってきたため、俺は急旋回をして熊の攻撃を回避する。 やはりと言うべきかこいつらの目標は俺らしい。 そしてそれを理解した俺は熊たちの攻撃が届かないであろう樹上を飛行することによってミズキの居るアキューム湖を目指すのであった。
“For now, the simple disposal is completed.” Pumpkin removed the meat and fat from the bear’s skin the following day, going about his morning routine. “So, I’d like to move on to a more in-depth research...” Looking back, he recalled the outward appearance and magic color of the grass he had used yesterday to knock the bear into a slumber. These boars were abundant; in fact, there was probably a bunch of them nearby. In fact, the issue was that he wouldn’t be able to retain and process all of the vast amounts of data with his mind alone owing to how these materials would continue to increase in the future. “After all, I need some kind of storage medium.” And the simplest storage medium would be paper and pen. If he had to dig into a stone, he wouldn’t be able to do it due to the amount of time and effort required, and if he had to write on a leaf, there would be too much of a risk of loss if something happened to it. In this case, a pen of some kind on parchment or Japanese paper would be the best choice. But there was one problem here. “It would be impossible to make it by myself...” Both paper and pen would be impossible to create by himself. Yeah. For a pen, I could wrap a piece of string around charcoal, but then again, I can’t make charcoal. As for paper, I don’t expect anyone who lives such a primitive life like me would be able to make it. “The only way to get paper is to go out to the countryside and buy some, but my appearance is now like this... sigh.” He was now, unfortunately, simply a pumpkin. Hence, if he were to venture into the human dwelling, a problem was certain to develop unless there was some sort of countermeasure, like a device or a disguise. “At any rate, I should start by preparing for a hibernation for the winter.” That being the case, the first thing to do was to figure out some kind of countermeasure against the impending threat of winter. In concrete terms, improvement of the base, securing insulation materials such as straw, and an examination of the cold resistance of this body to assess how long it can withstand the cold. So, I shall work on developing a better base today. —————– “...” There were too many of them. That was Pumpkin’s immediate reaction as soon as he started renovating the base. “Bumo.” “Bumoー” “Hah...” At present, three wild boars were gathering around his base as though they were on the prowl. Pumpkin didn’t even know how they ended up here. As soon as he started renovating the base, they unexpectedly popped out of the forest. “From the looks of it, I’m guessing they’re searching for food.” Through a gap at the entrance to the base, he probed the boars. The boars were rubbing their noses frantically on the ground, sniffing for something. Given the time of year, they were probably seeking food to build up their fat reserves for the winter. “It’s not like I can’t take them down, but it’s going to be time-consuming...” Pumpkin was trying to work out how to get rid of the boars in order based on their movements, but it seemed like it would be tough to take on all three at the same time. In that case... yeah. I will put up a barricade and wait for them to leave. There is no better way to avoid taking a risk. And so, he set up a barricade with the items he has gathered and decided to concentrate on improving his magic manipulation skills inside the base. For water and light, there would be no problem as long as he could get the roots and leaves out through the gaps in the walls of the base. “How did this happen ......” So, a few days later, the situation worsened spectacularly. His base was now surrounded by more than animals in total. The number was constantly fluctuating because of fights among the gathered animals, but Pumpkin’s estimation was probably not wrong. “Yeah. I guess I have to flee...” Fortunately, the interior of the base has already undergone modifications, and the cold protection has been greatly enhanced by covering it with various animal skins. The winter season was just around the corner, so there was plenty of time to escape and come back when winter set in. It may seem mildly ironic that the preparations for the winter retreat have been completed thanks to the fact that Pumpkin had no choice but to stay in his base of operations. “I’ll go to the area where that tuft is growing, collect the grass, and then head for Mizuki.” After that, he looked outside and rushed out when he thought it was safe to do so. But there was one miscalculation on his part. While Pumpkin didn’t know why they were gathering around his base, he assumed that the reason they were congregating was because of something situated nearby his base. So he figured he would be safe if he left this place. [[[Buhiiiii!]]] “Ghee... Hyulololooooo!!” However, in reality, right after he launched himself out of the base, the animals, as if sensing something, switched their attention to Pumpkin and began to charge. “Hyuloo!? W-What the hell is going on!?” So he changed his destination from the tuft area to Mizuki’s, as he burst into the forest at top speed, without understanding what was going on. All of the animals assembled at the moment were terrestrial creatures, and since both the master and Mizuki were in the lake, the animals would not be actively approaching if their magic power was weaker than theirs. “Gurua!?” “Nowaah! Ah, that was close!” And here, a bear attacked him from the front, swinging its right claw, and Pumpkin made a sharp turn to evade the bear’s attack. As I expected, the target of these animals is me. After realizing this, Pumpkin flew above the trees, where the bears would not be able to reach him, and headed for Lake Accumulate, where Mizuki was located.
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そのため このロボットは 本質的に不安定です ちょうど片足で立っている人のようなものです ちょうど片足で立っている人のようなものです そんな不安定なロボットが 何の役に立つのかと思うかもしれません それについては すぐご説明しますが その前にRezeroがどうやって バランスを取っているのかお話ししましょう Rezeroは絶えず傾き加減を センサで計測していて その結果に応じてモーターを動かし 倒れないようにしているのです それを1秒間に160回もしています そのどこかで何かが うまくいかなくなったら すぐ倒れてしまうでしょう 移動やバランス保持のため ボールを転がす必要がありますが 3つの円盤でボールを動かしていて どの方向にでもボールを転がせるようになっており 移動しながら 自転することもできます その不安定さのため 常に動いていますが これが大事なところで まさにこの不安定さが ロボットをとてもダイナミックに 動けるようにしているのです 少しやってみましょう 押されたりしたらどうなるかと お思いかもしれません 今は 「現在位置維持モード」になっています 次のデモのため 同僚の2人 コンピュータを操作するマイケルと ステージを手伝ってくれるトーマスに来てもらいましょう 次の「受け身モード」では あちこち動かしてやることができます ほんの小さな力で 位置や速さを変えられます スピンさせることもできます 次は 人に付いていく「追従モード」です 彼から距離を一定に保っています 上についている レーザーセンサを使っています 同じ要領で 人の周りを回らせることもできます 「公転モード」と呼んでいます ありがとう トーマス この技術は何に使えるでしょう? 今はまだ実験段階ですが 将来可能な応用をいくつかお見せしましょう 博覧会場や遊園地で ディスプレイを付け 情報表示や 案内といったサービスを 楽しく提供できるでしょう 病院では医療器具を 運ぶのに使えるでしょう ボールボットの性質上 場所を取らず 簡単に移動できます もちろん 乗るというのだってありです どれも実用的な使い方ですが この技術自体には ある種の美しさもあります 皆さんどうも— ありがとうございました
This means that the robot is inherently unstable. It's like when I am trying to stand on one foot. You might ask yourself, what's the usefulness of a robot that's unstable? Now we'll explain that in a second. Let me first explain how Rezero actually keeps his balance. Rezero keeps his balance by constantly measuring his pitch angle with a sensor. He then counteracts and avoids toppling over by turning the motors appropriately. This happens 160 times per second, and if anything fails in this process, Rezero would immediately fall to the ground. Now to move and to balance, Rezero needs to turn the ball. The ball is driven by three special wheels that allow Rezero to move into any direction and also move around his own axis at the same time. Due to his instability, Rezero is always in motion. Now here's the trick. It's indeed exactly this instability that allows a robot to move very [dynamically]. Let's play a little. You may have wondered what happens if I give the robot a little push. In this mode, he's trying to maintain his position. For the next demo, I'd like you to introduce to my colleagues Michael, on the computer, and Thomas who's helping me onstage. In the next mode, Rezero is passive, and we can move him around. With almost no force I can control his position and his velocity. I can also make him spin. In the next mode, we can get Rezero to follow a person. He's now keeping a constant distance to Thomas. This works with a laser sensor that's mounted on top of Rezero. With the same method, we can also get him to circle a person. We call this the orbiting mode. All right, thank you, Thomas. Now, what's the use of this technology? For now, it's an experiment, but let me show you some possible future applications. Rezero could be used in exhibitions or parks. With a screen it could inform people or show them around in a fun and entertaining way. In a hospital, this device could be used to carry around medical equipment. Due to the Ballbot system, it has a very small footprint and it's also easy to move around. And of course, who wouldn't like to take a ride on one of these. And these are more practical applications. But there's also a certain beauty Thank you. Thank you.
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困難は 私のセミナーは 一番短くて 50時間だからです 誇張ではないです セミナーは週末にしていて コーチングなんかをしていますが イマージョン学習に興味があって— 皆さんは言語をどう学びましたか? 基本を習っただけ ではないでしょう 何度も繰り返して 身につけたはずです 私がここにいる理由は クレイジーな 男だからというのは別として やる気を引き出すため ではありません 皆さんには 必要ないですよね みんなそれが私の仕事と 思っているようで 大違いですなんですが 「やる気なら間に合ってる」と 言われることがあって 「私の仕事はそんなんじゃないですよ」 と答えています 「なぜ」を探求するのが私です 人が行動する理由を知りたいんです 皆さんを行動に 突き動かすのは何か? 今 皆さんの人生を動かしているのは何か? 10年前と何が変わったか? それとも同じことを 繰り返しているのか? 内的動機付けの 見えない力こそが 世界で最も大事なものだと 信じているからです 感情こそ 人生の原動力だと 信じているからこそ 私はここにいます この場にいる人は皆 素晴らしい心の持ち主です まあ 大部分はそうでしょう? 他の分野はともかく 考え方はみんな分かっていて 何でも合理化できます 何だってできます 数日前にやっていた話には同意します 人は利己的に行動する というやつです でも時に それは 当てはまりません いつでも利己的な わけではないのです 感情がからむと 思考の回路が 変わるからです 世の中のあり方について 私たちが 知的に考えるのは 素晴らしいことです 頭のいい人は 頭の中で ゲームだってできます でも一番知りたいのは 何が人を動かすのか この講演の終わりまでに 皆さんを説得したいのは 自分が今いる場所を 探索するということです 理由の1つは もっと 貢献できるように もう1つは 他の人を もっと理解し もっと認め 今日の社会が直面する問題に 歯止めをかけられる 「つながり」を 作り出すためです 私たちを繋ぐテクノロジーで 問題は拡大するばかりです テクノロジーで私たちは接し合いますが 接し合うことが必ずしも 「皆が皆を理解し 皆が皆を認める」 という視点を 作り出しはしないからです 私が30年間 夢中になってきたのは 「何が人生の質に違いをもたらし 何が成果の違いをもたらすのか?」 ということです それが私の仕事です 今すぐ結果を出すこと それが30年間 私のやってきたことです 電話がかかってきます 全国放送で中継されるゴルフの試合で 選手が大きなミスをして 5打差もあったのに コースに戻れなくなったと 即座に答えを出さないと 無に帰します あるいはまた 電話で 子どもが自殺を図っていると 即座に何とかしなければならない この29年間 ありがたいことに 私は一度もやり損ねませんでした これから先もやり損ねない とは言えませんが そうできた理由は 人間のニーズへの理解にあります そういった電話を受けたとき 問題なのは そこなんです どうやって変えるか? それに人が自分を越えた何かに 貢献する能力を形作るのは何か ということも探求しています だから本当の疑問が 何かというと 人生を見ていると 2つ大きな教訓があって 1つは達成の科学 うまくいくものがすべて よく身に付けているものです 見えないものを どうやって 見えるようにするか 夢見ていることを どうやって 実現するか ビジネス 社会貢献 お金 何であれ 自分 友達 家族 誰のためであれ 一方で 身に付けられる人が少ないのは 充足の技です 科学は易しいですからね 規則があり コードを書けば 結果が出ます 一度ゲームを理解すれば 掛け金を上げられます しかし充足となると これは技です というのも それは 認めることであり 貢献することだからです 自分で感じ取るしかありません ある現実の疑問に答えるための 面白い実験の機会が あったんですが その疑問とは「すべてを与えられた時に 人はどう変わるか?」です リソースやなにか 必要と言うものを すべて与えます 100ドルPCではなく 最高級のPCをあげます 愛や喜びを与え 彼らの満足のために 尽くします そうした人たちは 得てして 皆さんご存じと思いますが 愛 教育 お金 後ろ盾に 恵まれながら 更正施設を出入りして 人生の残りを過ごすのです 一方で 究極の苦難の 中にある人々が 心理的 性的 精神的 感情的に 虐げられながらも 社会に大きく 貢献することがあります これはどういうことなのか 我々は問わねばなりません 我々を形作るのは 一体何なのか? 我々はセラピー文化に 生きています その意味は すべては過去で決まると 思い込んでいるということです そのように考えているなら そもそも この場にいないでしょうが 多くの社会で人生は 運命だと考えられています 過去と未来に違いはありません そこに生きていればそうなります この場のみんなが 知っていて 思い起こさなければならないのは— というのも 何をすべきか 頭で分かっていても 実際やるとは限らないので— 思い起こすべきなのは 決断には究極の力がある ということです 何か達成しそこねたことについて 尋ねてみたなら 人生で重要なことを達成し そこねたかことのある人は 「はい」と答えてください はい 熱意ある参加ありがとう なぜできなかったのか 聞いてみたなら 部下や パートナーや 自分自身に 失敗した理由を聞いたなら どう答えるでしょう? 知識が足りなかった 資金がなかった 時間がなかった 技術がなかった マネージャーがダメだった 連邦最高裁がダメだった それでは— それでは— 連邦最高裁も含め ここで共通しているものは何か? リソースが足りなかったと言います それはその通りかもしれません 資金や 連邦最高裁の 問題かもしれない でも それは決定的要因 ではないんです 間違っていたら 正してください 決定的要因はリソースではなく 問題解決力です 私が言いたいのは もし人間的な 感情があるなら これは一昨日の あなたの姿に 強く見出したものですが もしあの感情をもって 話していたなら きっと勝っていたはずです まあ どうすべきか 言うのは簡単ですけどね 「ロビンズのばかが」 でもあの時 討論を見ていて この人の知性や能力に対する 理解を妨げる感情がありました それがあの日 ある人々に訪れたのです あなたに投票したかったのに しなかった人がいるのを知っています 私は苛立ちましたが そこにはある感情があったのです 私の言うことが分かる人? はい つまり感情なのです 適切な感情を持ったなら 何だって やり遂げられます クリエイティブで 陽気で 楽しかったなら 意志は通じるでしょ? はい お金がなくても 創意と決意で 道は見つけられる それが究極のリソースなのです でもみんなが言い訳する話は 違っています みんないろんな 言い訳をします リソースがどうとか でも究極的には こちらを見てもらうと 達成できなかった言い訳は— その次のスライドです 誰かさんのお陰で すっかり調子が狂いました 熱意は評価しますよ リソースを決めるのは何か? 決断が運命を作ると言いました その決断には3つあります 何に集中するか 集中するところを すぐ決める必要があります 意識するにせよ しないにせよ 集中するものを決めた瞬間 それに意味付け するようになり そして意味は 感情を生み出すのです これは終わりなのか始まりなのか? 神は罰しているのか報いているのか あるいはサイコロの目に過ぎないのか そして感情が 行動を引き出すのです 決断が運命を開いた時を 思い起こしてください 重たい話に聞こえるでしょうが ここ5年 10年 15年で もし違う決断を していたら 人生がまったく違う ものになっていた そういう例を いくつ思い付くでしょう? 良くも悪くも ありますよね? はい 結果は 勤め先だったり 人生の伴侶だったり 仕事上の決断かもしれません ここにいたGoogleの天才たちは 最初技術を 売るつもりでした もし彼らが 自ら文化を 生み出す代わりに そうしていたなら 世界はどう違っていたか? 彼らの人生やインパクトは どう違っていたか? 歴史はそういった 決断の結果なのです ある女性が立ち上がって 「バスの後ろに行く気はないわ」と言う 自分の人生だけでなく 文化全体に影響を与えたのです あの戦車の前に立ちはだかる男もそう ランス・アームストロングの 立場だったとして 「精巣癌です」と告知されたら 男性には辛いことです 特に自転車乗りには 脳に腫瘍ができたら 肺にできたら 彼は何に集中する決断を したでしょう? 多くの人とは 違うことです それは終わりではなく 始まりです そこで自分は何をするのか? それまで勝ったことのない選手権で 彼はその後 7回優勝します 感情的にタフになったからです 心理的な強さです 人間として違うところです 私はラボを通し 29年に渡り 80カ国の 300万人と関わってきて そのうちパターンが 見えるようになりました 南アメリカとアフリカは 昔繋がっていたのかもしれない みんな「ばかばかしい」と言います ランスを形作ったのは何か? 2つの見えない力です 1つは「状態」 みんな経験があると思いますが 何かをしては 振り返り 「何でやったんだ?」 「馬鹿じゃないのか」と思う そういうことのある人? はい 何かやった後に 「あれやったの俺だぜ!」 と思ったことは? これは能力でなく 状態です 世界のモデルが 長期的には 自分を形作るのです 世界のモデルはフィルタです それが私たちを形作ります それが決断をさせます 誰かに影響を与えたいなら 何に影響されるか 知ることです 3つの部分が あると思います 1つは目的 何を追い求めているのか これは欲求とは違います これまでにゴールを達成して 「もっとないのか?」と 思ったことのある人? そういう経験あるでしょう? はい 私たちが持っているのはニーズで 人のニーズには6つあります もう1つは 自分を動かす 目的を把握したら それを顕わにします 作るのではなく顕わにするのです すると地図が見つかります ニーズを満たす方法を示す 信念システムです ニーズを満たす方法が 世界の破壊という人もいます 何かを作ることだという人 誰かを愛することだという人もいます それが自分に合った燃料なのです では6つのニーズを簡単に説明しましょう 1つ目は「確実性」です ニーズは ゴールや欲求と違い 普遍的です みんな苦痛を避け 快適さを求めるため 確実性を必要とします どうやって手に入れるか? 人を支配する? スキルを磨く? あきらめる? 煙草を吸う? すっかり確実性を手に入れると 皮肉なことに 必要なものであるにもかかわらず 健康や子どもやお金への 不安があると あまり考えられなくなります 天井が崩れ落ちないか不安なら 講演なんて上の空になります しかし確実性を追って すっかり手に入れたなら どう感じるでしょう? 何が いつ どう起きるか 分かっていたら どう感じるか 退屈するでしょう 神はその無限の叡智で— 人間に第2のニーズとして 「不確かさ」を与えたのです 私たちは変化を 驚きを必要とします 驚きが好きな人は? はい ウソだね 好きなのは 好ましい驚きだけでしょう 問題を起こしたくはないけれど 必要としているのです 変化は重要です 見たことのある映画を 借りたことありますか? やったことのある人? 他にやることないの? どうしてそんなことを するのか? いい映画だし 前に見たのは随分前で 忘れているので 変化があると期待するのです 第3のニーズは 「重要性」です 重要だ 特別だ 唯一だと感じたい お金を稼ぐことで得られ 精神性を求めることで得られます タトゥーやピアスを 誰も見たがらないような場所に 入れることで 得られます でも一番手っ取り早いのは 暴力です 何の経歴も 文化も 信条も リソースも 能力もないなら 暴力です 頭に銃を突きつけたなら 相手にとって私は即座に 重要になります 0 から10のレベルのどこかと 言えば 10でしょう 相手が私に反応する確実性は 10 です では不確実性は? 何が起こるか分からない興奮です 洞窟をよじ登って 下まで滑り降りるような まったくの変化と不確実性です そして命を賭けようと思うのも 重要性のためです それが常に暴力が 存在する理由です 種として意識的に 変わろうとでもしない限り 重要性を得る方法は 無数にありますが ユニークで違ったものに なる必要があります そして本当に必要なもの「繋がりと愛」 第4のニーズです みんな愛を望みますが 多くの人は繋がりに落ち着きます 愛は怖いからです 傷つきたくない 深い関係で傷ついた ことのある人 手を挙げない人は 別な問題を 抱えることになるね そしてまた傷つくことになる このポジティブな集まりに 来て良かったでしょう? これは必要なもので 親密さ 友情 祈り 自然の中を歩くこと などを通して得られます どれもうまくいかなかったら 犬を飼いましょう ほんの数分離れていただけでも 半年ぶりに会うかのように 喜びます はじめの4つのニーズは 誰もが出会えるものです 自分に嘘をつこうと 人格を分裂させる必要があろうと でも残りの2つは違います 最初の4つは人格的ニーズでしたが あとの2つは精神的ニーズです これこそ 充足の 得られるものです 最初の4つで充足は得られません 喫煙 飲酒なんかでも最初の4つは得られますが あとの2つはそうはいきません 第5のニーズ「成長」 これはみんな知っています 成長しなければ 人間関係が発展しなければ ビジネスが成長しなければ 自分が成長しなければ お金がいくらあっても 無意味です どれほど友達や 愛してくれる人がいようと 地獄のように感じるでしょう 私たちが成長する理由は 与えられる価値あるものを 持つためです 第6のニーズは 自分を越えた 「貢献」です 言い古されてますが 生きる秘訣は与えることです 人生とは「私」ではなく「私たち」のもの 文化はそれを知っており この場のみんなが知っています ネグロポンテが 100ドルPCの話をしたとき 何よりも興奮するのは 今や彼は天才というだけでなく 使命があるということです 彼の変化を感じられ それは素晴らしいことです 彼の使命は 他の人も感化します 私の人生にもありました 11歳の時ですが 感謝祭にお金も食べ物もなく 飢えていました 父はまったく失敗し 母は父にそれを 分からせようとしていました そこへ誰かが戸口にやってきて 食べ物を届けてくれました 父は3つの決意をしました 「これは慈善だ それはどういう意味か 自分は無価値ということ 何をすべきだったのか? 家族を離れよう」 それが父のしたことです これは私の最も辛い体験でした 私の3つの決意は違った道を辿りました 1番目「食料確保への集中」 なんて考えでしょう! 2番目 これは私の人生を 形作ったものですが 「知らない人からの贈り物」 父はいつも言っていました 「誰も気にかけてくれはしない」 それが突然 知らない人が 何も求めることなく ただ私の家族に気を配り 食べ物をくれたのです それは私に考えさせました 「他人が気にかけてくれるというのは どういうことだろう?」 他人が自分を気に かけてくれるなら 自分も人のことを 気にかけて 何かをしよう それで17歳の時の感謝祭の日に それまで貯めていたお金で 2つの家族に 食べ物を届けたのです 私の人生で最高に楽しく 感動的な体験でした 次の年は4家族に 誰にもその話はせずにです その次の年は8家族 褒められたくてやったんじゃありません でもその後に クソッ 誰かの助けがいる と思いました それで私はどうしたでしょう? 友達を誘って 会社を作りました 11の会社ができ 基金を作りました 18年たった今 誇りを持って言えます この基金を通じて 35カ国の200万人に 感謝祭やクリスマスの休日に 食べ物を届けました 世界中のあらゆる国で 素晴らしいことでした ありがとうございます この話をするのは 自慢のためではなく 人間であることに誇りを感じるからです みんな貢献できることにワクワクしています 言えるからではなく 体験できるからです もう時間切れですが 最後に 目的が人間を作るという話をします 人によって違うところです 同じニーズを持っていても 一番重視するのは 確実性か それとも不確実さか? 洞窟を登る人間は確実性派ではありません 動かされるのは 重要性か愛か 6つとも必要ですが どれを優先するかによって 向かう方向が変わってきます そして向かう方向によって 行き着く先も変わります もう1つの要素は地図です 目的地への行き方を示してくれる システムと考えください ある人の地図は 「たとえ自分の命にかえても 人の命を救う」 消防士です あるいは 「目的のためには人を殺しもする」 重要性のニーズを満たそうとします 神や家族のために働こうとしますが 持っている地図が違います 異なる信条が7つあります 時間がないので この話ははしょります そして最後の要素が感情です 地図のある部分は時間ですが 長い時間が100年を指す人もいれば 3秒の人もいます 私に残された時間ですね 最後のやつは自分に かかってきます 目的があって 地図があれば Macでうまく動かないので Googleマップを使えないんですが MapQuestを使うという 致命的な判断をした人は どれくらいいますか? 目的地にたどり着けません 自分の信念が 目的地にたどり着けないことを 保証するとしたらどうでしょう? 最後は感情です 英語で名前のついている感情は 6000種類あります 単なる言語表現ですが 言語によって違います しかし支配的な感情が— もっと時間があれば 普段体験する あらゆる感情を みんなに書いてもらい 必要なだけ時間をかけて 紙の両面に それぞれ 力付ける感情と 無力化する感情を書きます 何種類の感情を体験すると思いますか? 12個以下です その半分はクソみたいに感じさせるもので 良い感情は5、6個 たがらこんな感じです 「嬉しい 嬉しい 興奮する くそっ むかつく むかつく 落ち込む うんざりする」 何が起ころうとも 腹を立てる人間を 知っているという人は どれくらいいますか? 一方で 何が起きようとも 幸せや興奮を 見出す人もいるでしょう? 9.11テロが起こったとき 私はハワイにいました 45カ国から2000人が参加し 4カ国語に同時通訳される 1週間に渡るプログラムでした その夜のテーマは 「感情をマスターする」でしたが 何をするかまだ決めてなくて 花火や何やら 楽しいものを用意していて こういう予定ですと 言うつもりでしたが 予定通りにやったためしがなく 突然こう言いました 「人が本当に生き始めるのはいつか? 死に直面したときです」 そしてこう続けました 9日後にこの島を出ることなく 死ぬとしたら 誰に電話して何と言い 何をしますか? これは 9.11テロの起きている 最中でしたが ある女性がセミナーに 来て話しました 前の彼氏は 誘拐され 殺されていました 今の彼氏にプロポーズされましたが 彼女は断りました 「もしそのハワイのセミナーに行くなら 僕たちは終わりだ」 「終わりにしましょう」 セミナーの後 彼女は彼に電話し 彼は貿易センタービルの 最上階で働いていていたんですが 伝言を残しました 「愛してるわ 結婚したいとだけ伝えたかったの 私バカだったわ」 彼が電話をかけ返してきたとき こちらでは朝の3時で 彼女は眠っていました 「これが何を意味するのか わからないけど 君は僕にとても素晴らしい 贈り物をしてくれたんだ 僕は死んでいくんだから」 彼女はその録音をみんなに 聞かせてくれました 彼女は後にラリー・キングの番組にも出ています 彼は言いました 「何で2度もこんなことが 起きるのかと思うだろうけど これは君への神の メッセージだと思う これからの人生 日々 持てるものを与え 全力で愛しなさい 何者にも立ち止まらずに」 彼女が話し終えると 男が立ち上がりました 「私はパキスタン人で イスラム教徒です あなたの手を握って言いたい お気の毒ですが これは報いです」 続きは話せませんね 時間切れです じゃあ10秒で 10秒で話しましょう 時間は守りたい その男性と 世界貿易センターで働く ニューヨークの男性に ステージに上がってもらいました その場にニューヨークから来た人が 200人ほどいて 会社や 友人を失った人も 50人いました トレーダーをしている鉄のような女性が 30人の友人を失い 泣いていました 私は彼ら言いました 「何に焦点を当てましょうか? これは何を意味しているのか 我々は何をすべきか?」 このテーマをみんなに 考えてもらいました 今日 誰かを失わなかった人は 他の誰かを どう助けるか がテーマです ある女性が立ち上がって すごく怒って叫び出しました ニューヨークの人でも アメリカ人でもないのに 誰も知っている人はいませんでした 「いつも怒っているんですか?」 彼女は「ええ」と 罪のある人は罪を 悲しい人は悲しみを感じました それからさっきの2人に 代表として議論してもらいました 占領地区に家族のいるユダヤ人で もし普段通り仕事に行っていたら 死んでいただろうニューヨークの人と テロリストになりたいという 意志を持つ人です ビデオがありますので ご覧になりたい方には お送りします 私の話よりいいでしょう 2人は歩み寄っただけでなく 信条と世界観を変えました 彼らはもう4年も一緒に モスクやシナゴーグを通して 平和のための活動をしています 彼はまた 「私の聖戦 — 平和への道」という本も 書きました 変化は起こせるのです だから皆さんに 頭の中にある織物— 自分をコントロールしている ニーズ 信念 感情を 探求してほしいのです 2つの理由があります より多くの人が与え 達成すること みんなそうしたいとは 思っています 与えることでこそ 私たちは満たされるのです もう1つは 認められるようになること 知的に理解するだけでなく 他の人を動かしているものを 認めるということです それこそが この世界を変えられる 唯一のものです ありがとうございました お役に立てたなら光栄です
My challenge is: the shortest seminar I usually do is 50 hours. I'm not exaggerating. I do weekends -- I do more, obviously, I also coach people -- but I'm into immersion, because how did you learn language? Not just by learning principles, you got in it and you did it so often that it became real. The bottom line of why I'm here, besides being a crazy mofo, is that -- I'm not here to motivate you, you don't need that, obviously. Often that's what people think I do, What happens, though, is people say to me, "I don't need any motivation." But that's not what I do. I'm the "why" guy. I want to know why you do what you do. What is your motive for action? What is it that drives you in your life today? Not 10 years ago. Are you running the same pattern? Because I believe that the invisible force of internal drive, activated, is the most important thing. I'm here because I believe emotion is the force of life. All of us here have great minds. Most of us here have great minds, right? We all know how to think. With our minds we can rationalize anything. We can make anything happen. I agree with what was described a few days ago, that people work in their self-interest. But we know that that's bullshit at times. You don't work in your self-interest all the time, because when emotion comes into it, the wiring changes in the way it functions. So it's wonderful to think intellectually about how the life of the world is, especially those who are very smart can play this game in our head. But I really want to know what's driving you. What I would like to invite you to do by the end of this talk is explore where you are today, for two reasons. One: so that you can contribute more. And two: that hopefully we can not just understand other people more, but appreciate them more, and create the kinds of connections that can stop some of the challenges that we face today. They're only going to get magnified by the very technology that connects us, because it's making us intersect. That intersection doesn't always create a view of "everybody now understands everybody, and everybody appreciates everybody." I've had an obsession basically for 30 years, "What makes the difference in the quality of people's lives? What in their performance?" I got hired to produce the result now. I've done it for 30 years. I get the phone call when the athlete is burning down on national television, and they were ahead by five strokes and now they can't get back on the course. I've got to do something right now or nothing matters. I get the phone call when the child is going to commit suicide, I've got to do something. In 29 years, I'm very grateful to tell you I've never lost one. It doesn't mean I won't some day, but I haven't yet. The reason is an understanding of these human needs. When I get those calls about performance, that's one thing. How do you make a change? I'm also looking to see what is shaping the person's ability to contribute, to do something beyond themselves. Maybe the real question is, I look at life and say there's two master lessons. One is: there's the science of achievement, which almost everyone here has mastered amazingly. "How do you take the invisible and make it visible," How do you make your dreams happen? Your business, your contribution to society, money -- whatever, your body, your family. The other lesson that is rarely mastered is the art of fulfillment. Because science is easy, right? We know the rules, you write the code and you get the results. Once you know the game, you just up the ante, don't you? But when it comes to fulfillment -- that's an art. The reason is, it's about appreciation and contribution. You can only feel so much by yourself. I've had an interesting laboratory to try to answer the real question how somebody's life changes if you look at them like those people that you've given everything to? Like all the resources they say they need. You gave not a 100-dollar computer, but the best computer. You gave them love, joy, were there to comfort them. Those people very often -- you know some of them -- end up the rest of their life with all this love, education, money and background going in and out of rehab. Some people have been through ultimate pain, psychologically, sexually, spiritually, emotionally abused -- and not always, but often, they become some of the people that contribute the most to society. The question we've got to ask ourselves really is, what is it? What is it that shapes us? We live in a therapy culture. Most of us don't do that, but the culture's a therapy culture, the mindset that we are our past. And you wouldn't be in this room if you bought that, but most of society thinks biography is destiny. The past equals the future. Of course it does if you live there. But what we know and what we have to remind ourselves -- because you can know something intellectually and then not use it, not apply it. We've got to remind ourselves that decision is the ultimate power. When you ask people, have you failed to achieve something significant in your life? Say, "Aye." Audience: Aye. TR: Thanks for the interaction on a high level there. But if you ask people, why didn't you achieve something? Somebody who's working for you, or a partner, or even yourself. When you fail to achieve, what's the reason people say? What do they tell you? Didn't have the knowledge, didn't have the money, didn't have the time, didn't have the technology. I didn't have the right manager. Al Gore: Supreme Court. TR: The Supreme Court. TR: And -- What do all those, including the Supreme Court, have in common? They are a claim to you missing resources, and they may be accurate. You may not have the money, or the Supreme Court, but that is not the defining factor. And you correct me if I'm wrong. The defining factor is never resources; it's resourcefulness. And what I mean specifically, rather than just some phrase, is if you have emotion, human emotion, something that I experienced from you the day before yesterday at a level that is as profound as I've ever experienced and I believe with that emotion you would have beat his ass and won. How easy for me to tell him what he should do. Idiot, Robbins. But I know when we watched the debate at that time, there were emotions that blocked people's ability to get this man's intellect and capacity. And the way that it came across to some people on that day -- because I know people that wanted to vote in your direction and didn't, and I was upset. But there was emotion there. Do you know what I'm talking about? Say, "Aye." Audience: Aye. TR: So, emotion is it. And if we get the right emotion, we can get ourselves to do anything. If you're creative, playful, fun enough, can you get through to anybody, yes or no? If you don't have the money, but you're creative and determined, you find the way. This is the ultimate resource. But this is not the story that people tell us. They tell us a bunch of different stories. They tell us we don't have the resources, but ultimately, if you take a look here, they say, what are all the reasons they haven't accomplished that? He's broken my pattern, that son-of-a-bitch. But I appreciated the energy, I'll tell you that. What determines your resources? We've said decisions shape destiny, which is my focus here. If decisions shape destiny, what determines it is three decisions. What will you focus on? You have to decide what you're going to focus on. the minute you decide to focus, you must give it a meaning, and that meaning produces emotion. Is this the end or the beginning? Is God punishing me or rewarding me, or is this the roll of the dice? An emotion creates what we're going to do, or the action. So, think about your own life, the decisions that have shaped your destiny. And that sounds really heavy, but in the last five or 10 years, have there been some decisions that if you'd made a different decision, your life would be completely different? How many can think about it? Better or worse. Say, "Aye." Audience: Aye. So the bottom line is, maybe it was where to go to work, and you met the love of your life there, a career decision. I know the Google geniuses I saw here -- I mean, I understand that their decision was to sell their technology. What if they made that decision versus to build their own culture? How would the world or their lives be different, their impact? The history of our world is these decisions. When a woman stands up and says, "No, I won't go to the back of the bus." She didn't just affect her life. That decision shaped our culture. Or someone standing in front of a tank. Or being in a position like Lance Armstrong, "You've got testicular cancer." That's pretty tough for any male, especially if you ride a bike. You've got it in your brain; you've got it in your lungs. But what was his decision of what to focus on? Different than most people. What did it mean? It wasn't the end; it was the beginning. He goes off and wins seven championships he never once won before the cancer, because he got emotional fitness, psychological strength. That's the difference in human beings that I've seen of the three million I've been around. In my lab, I've had three million people from 80 countries over the last 29 years. And after a while, patterns become obvious. You see that South America and Africa may be connected in a certain way, right? Others say, "Oh, that sounds ridiculous." It's simple. So, what shaped Lance? What shapes you? Two invisible forces. Very quickly. One: state. We all have had times, you did something, and after, you thought to yourself, "I can't believe I said or did that, that was so stupid." Who's been there? Say, "Aye." Audience: Aye. Or after you did something, you go, "That was me!" It wasn't your ability; it was your state. Your model of the world is what shapes you long term. Your model of the world is the filter. That's what's shaping us. It makes people make decisions. To influence somebody, we need to know what already influences them. It's made up of three parts. First, what's your target? What are you after? It's not your desires. You can get your desires or goals. Who has ever got a goal or desire and thought, is this all there is? Say, "Aye." Audience: Aye. It's needs we have. I believe there are six human needs. Second, once you know what the target that's driving you is and you uncover it for the truth -- you don't form it -- then you find out what's your map, what's the belief systems that tell you how to get those needs. Some people think the way to get them is to destroy the world, some people, to build, create something, love someone. There's the fuel you pick. So very quickly, six needs. Let me tell you what they are. First one: certainty. These are not goals or desires, these are universal. Everyone needs certainty they can avoid pain and at least be comfortable. Now, how do you get it? Control everybody? Develop a skill? Give up? Smoke a cigarette? And if you got totally certain, ironically, even though we need that -- you're not certain about your health, or your children, or money. If you're not sure the ceiling will hold up, you won't listen to any speaker. While we go for certainty differently, if we get total certainty, we get what? What do you feel if you're certain? You know what will happen, when and how it will happen, what would you feel? Bored out of your minds. So, God, in Her infinite wisdom, gave us a second human need, which is uncertainty. We need variety. We need surprise. How many of you here love surprises? Say, "Aye." Audience: Aye. TR: Bullshit. You like the surprises you want. The ones you don't want, you call problems, but you need them. So, variety is important. Have you ever rented a video or a film that you've already seen? Who's done this? Get a fucking life. Why are you doing it? You're certain it's good because you read or saw it before, but you're hoping it's been long enough you've forgotten, and there's variety. Third human need, critical: significance. We all need to feel important, special, unique. You can get it by making more money or being more spiritual. You can do it by getting yourself in a situation where you put more tattoos and earrings in places humans don't want to know. Whatever it takes. The fastest way to do this, if you have no background, no culture, no belief and resources or resourcefulness, is violence. If I put a gun to your head and I live in the 'hood, instantly I'm significant. Zero to 10. How high? 10. How certain am I that you're going to respond to me? 10. How much uncertainty? Who knows what's going to happen next? Kind of exciting. Like climbing up into a cave and doing that stuff all the way down there. Total variety and uncertainty. And it's significant, isn't it? So you want to risk your life for it. So that's why violence has always been around and will be around unless we have a consciousness change as a species. You can get significance a million ways, but to be significant, you've got to be unique and different. Here's what we really need: connection and love, fourth need. We all want it; most settle for connection, love's too scary. Who here has been hurt in an intimate relationship? If you don't raise your hand, you've had other shit, too. And you're going to get hurt again. Aren't you glad you came to this positive visit? We can do it through intimacy, friendship, prayer, through walking in nature. If nothing else works for you, don't get a cat, get a dog, because if you leave for two minutes, it's like you've been gone six months, when you come back 5 minutes later. These first four needs, every human finds a way to meet. Even if you lie to yourself, you need to have split personalities. I call the first four needs the needs of the personality. The last two are the needs of the spirit. And this is where fulfillment comes. You won't get it from the first four. You'll figure a way, smoke, drink, do whatever, meet the first four. But number five, you must grow. We all know the answer. If you don't grow, you're what? If a relationship or business is not growing, if you're not growing, doesn't matter how much money or friends you have, how many love you, you feel like hell. And I believe the reason we grow is so we have something to give of value. Because the sixth need is to contribute beyond ourselves. Because we all know, corny as that sounds, the secret to living is giving. We all know life is not about me, it's about we. This culture knows that, this room knows that. It's exciting. When you see Nicholas talking about his $100 computer, the most exciting thing is: here's a genius, but he's got a calling now. You can feel the difference in him, and it's beautiful. And that calling can touch other people. My life was touched because when I was 11 years old, Thanksgiving, no money, no food, we were not going to starve, but my father was totally messed up, my mom was letting him know how bad he messed up, and somebody came to the door and delivered food. My father made three decisions, I know what they were, briefly. His focus was "This is charity. What does it mean? I'm worthless. What do I have to do? Leave my family," which he did. It was one of the most painful experiences of life. My three decisions gave me a different path. I set focus on "There's food." What a concept! But this is what changed my life, shaped me as a human being. Somebody's gift, I don't even know who it is. My father always said, "No one gives a shit." And now somebody I don't know, they're not asking for anything, just giving us food, It made me believe this: that strangers care. And that made me decide, if strangers care about me and my family, I care about them. I'm going to do something to make a difference. So when I was 17, I went out on Thanksgiving, it was my target for years to have enough money to feed two families. The most fun and moving thing I ever did in my life. Next year, I did four, then eight. I didn't tell anybody what I was doing, I wasn't doing it for brownie points. But after eight, I thought I could use some help. So I went out, got my friends involved, then I grew companies, got 11, and I built the foundation. 18 years later, I'm proud to tell you last year we fed 2 million people in 35 countries through our foundation. All during the holidays, Thanksgiving, Christmas, in different countries around the world. Thank you. I don't tell you that to brag, but because I'm proud of human beings because they get excited to contribute once they've had the chance to experience it, not talk about it. So, finally -- I'm about out of time. The target that shapes you -- Here's what's different about people. We have the same needs. But are you a certainty freak, is that what you value most, or uncertainty? This man couldn't be a certainty freak if he climbed through those caves. Are you driven by significance or love? We all need all six, but what your lead system is tilts you in a different direction. And as you move in a direction, you have a destination or destiny. The second piece is the map. The operating system tells you how to get there, and some people's map is, "I'm going to save lives even if I die for other people," and they're a fireman, and somebody else says, "I'm going to kill people to do it." They're trying to meet the same needs of significance. They want to honor God or honor their family. But they have a different map. And there are seven different beliefs; I can't go through them, because I'm done. The last piece is emotion. One of the parts of the map is like time. Some people's idea of a long time is 100 years. Somebody else's is three seconds, which is what I have. And the last one I've already mentioned that fell to you. If you've got a target and a map -- I can't use Google because I love Macs, and they haven't made it good for Macs yet. So if you use MapQuest -- how many have made this fatal mistake of using it? You use this thing and you don't get there. Imagine if your beliefs guarantee you can never get to where you want to go. The last thing is emotion. Here's what I'll tell you about emotion. There are 6,000 emotions that we have words for in the English language, which is just a linguistic representation that changes by language. But if your dominant emotions -- If I have 20,000 people or 1,000 and I have them write down all the emotions that they experience in an average week, and I give them as long as they need, and on one side they write empowering emotions, the other's disempowering, guess how many emotions they experience? Less than 12. And half of those make them feel like shit. They have six good feelings. Happy, happy, excited, oh shit, frustrated, frustrated, overwhelmed, depressed. How many of you know somebody who, no matter what happens, finds a way to get pissed off? Or no matter what happens, they find a way to be happy or excited. How many of you know somebody like this? When 9/11 happened, I'll finish with this, I was in Hawaii. I was with 2,000 people from 45 countries, we were translating four languages simultaneously for a program I was conducting, for a week. The night before was called Emotional Mastery. I got up, had no plan for this, and I said -- we had fireworks, I do crazy shit, fun stuff, I had this plan, but I never know what I'm going to say. And all of a sudden, I said, "When do people really start to live? When they face death." And I went through this whole thing if nine days from now, you were going to die, who would you call, what would you say, what would you do? That night is when 9/11 happened. One woman had come to the seminar, and when she came there, her previous boyfriend had been kidnapped and murdered. Her new boyfriend wanted to marry her, and she said no. He said, "If you go to that Hawaii thing, it's over with us." She said, "It's over." When I finished that night, she called him and left a message at the top of the World Trade Center where he worked, saying, "I love you, I want you to know I want to marry you. It was stupid of me." She was asleep, because it was 3 a.m. for us, when he called her back, and said, "Honey, I can't tell you what this means. I don't know how to tell you this, but you gave me the greatest gift, because I'm going to die." And she played the recording for us in the room. She was on Larry King later. And he said, "You're probably wondering how on Earth this could happen to you twice. All I can say is this must be God's message to you. From now on, every day, give your all, love your all. Don't let anything ever stop you." She finishes, and a man stands up, and he says, "I'm from Pakistan, I'm a Muslim. I'd love to hold your hand and say I'm sorry, but frankly, this is retribution." I can't tell you the rest, because I'm out of time. Are you sure? 10 seconds! 10 seconds, I want to be respectful. All I can tell you is, I brought this man on stage with a man from New York who worked in the World Trade Center, because I had about 200 New Yorkers there. More than 50 lost their entire companies, friends, marking off their Palm Pilots. One financial trader, woman made of steel, bawling -- 30 friends crossing off that all died. And I said, "What are we going to focus on? What does this mean and what are we going to do?" And I got the group to focus on: if you didn't lose somebody today, your focus is going to be how to serve somebody else. Then one woman stood up and was so angry, screaming and yelling. I found out she wasn't from New York, she's not an American, doesn't know anybody here. I asked, "Do you always get angry?" She said, "Yes." Guilty people got guilty, sad people got sad. I took these two men and I did an indirect negotiation. Jewish man with family in the occupied territory, someone in New York who would have died if he was at work that day, and this man who wanted to be a terrorist, and I made it very clear. This integration is on a film, which I'd be happy to send you, instead of my verbalization, but the two of them not only came together and changed their beliefs and models of the world, but worked together to bring, for almost four years now, through various mosques and synagogues, the idea of how to create peace. And he wrote a book, called "My Jihad, My Way of Peace." So, transformation can happen. My invitation to you is: explore your web, the web in here -- the needs, the beliefs, the emotions that are controlling you, for two reasons: so there's more of you to give, and achieve, too, but I mean give, because that's what's going to fill you up. And secondly, so you can appreciate -- not just understand, that's intellectual, that's the mind, but appreciate what's driving other people. It's the only way our world's going to change. God bless you, thank you. I hope this was of service.
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うっかり、おじい様に見惚れていたけど、今ちょっと信じられないことが聞こえたような......。 どうしておじい様が私のことに気付いているの? いや、そんなことよりもおじい様ってレベル100だったの!? 私が固まっているのを面白そうにアルビーは見る。私は必死に状況を理解しようとする。今はラヴァール国の王家の歴史よりもこっちの方が重大だ。 「えっと、おじい様が私のことを気付いていらしていたの? ......どうして? いつ!?」 「確信はなかったが、私の魔力を気持ちよさそうに受け取っていたからな......」 魔力? そんなものをもらった記憶は............、もしかしてあの死到林! だから、あの日の朝はとっても体が軽かったのね。だって、皆が馬に乗っている中、私は必死に走っていたんだもの。 考えたら、その前日の夜に死にかけていたのに、あんなに動けるわけないわよね。 「アルビーは国外追放された人間を見極める役だデュルキス国からどんな人間が来ているのか気になるからな。まさか孫が来るとは思わなかったがな」 おじい様はそう言って、優しく微笑む。 こんな表情初めて見たわ......。やっぱり孫って特別なのかしら? 「その布をとってくれないか?」 私はおじい様の言葉にしたがって、目に巻いている布をとる。光がいきなり瞳に入ってきて少し眩しい。「その目は母親譲りか。彼女に似てとても綺麗だ」 世の中の祖父ってこんな言葉を孫に発するの? こんなのおじいさま愛好家が聞いたら鼻血出るわよ。 「誰かに目を与えたのかい?」 「おじい様もよく知っている方に」 私の言葉におじい様は少し考え、ハッと目を丸くする。 「ウィルか」 「はい」 私が満面の笑みを浮かべる。 「そうか。まだあの村でも生きていたか。ウィルはいたずらが好きで、私やケイト、マークは彼を弟のように可愛がったんだ」 おじい様は懐かしそうな表情を浮かべる。 皆の若い時を一度でいいから見てみたいわ。ウィルおじい様がいたずらをするところなんて想像できないもの。 「調子に乗ってたからこそ魔力も失ったんだがな」 おじい様、辛辣ね。 「......ということは、貧困村に行ったのか!?」 おじい様が急に大きな声を出す。大貴族の令嬢ならほとんど関わることがない貧困村。 確かに、あんなところへわざわざ足を運ぶなんて想像できないわよね。それも一人で。 「アーノルドは一体どんな育て方をしたんだ? 剣術や学力は置いておいて、その行動力と勇気は人から教わるものではない。......とんでもない孫を持ってしまったな」 「可愛い孫でしょ?」 「ああ、この上なく可愛い孫だ。......だからこそ、大切に育てないとな。今の魔法レベルは?」 「レベル92です」 ラヴァール国に来てから少しも成長していない。魔法の練習なんて出来ないし、そもそも本がない。 「歳は?」 「......。ウィリアムズ・アリシア。十歳で魔法を扱えるようになり特例での時に魔法学園に入学。そ後にラヴァール国を知る為に国外追放されました」 彼の聞きたいであろうことを一気に話した。
I was inadvertently admiring Grandfather, but I seemed to have heard something unbelievable just now... Grandfather noticed me? No, more importantly, Grandpa was level !? Albie looked at me, amused, as I froze. I desperately tried to understand the situation. This was more important than the history of the Ravaal Kingdom’s royal family. “Um, was Grandfather aware of me? How? Since when?” “I was not certain, but you received my magic power comfortably...” Magic? I did not remember receiving anything like that... maybe it was in the Forest of Death? Maybe that’s why I felt so good in the morning. I was even running so fast while everyone else was on horseback. Come to think of it, there was no way I could move like that after almost dying the night before. “ Albie is in charge of identifying people who have been deported. I’m always interested to see what kind of people come from Duelkis Kingdom. But I didn’t expect to see my granddaughter here, though. “ Grandfather smiled gently as he said this. I had never seen such an expression on his face before.... I wondered if grandchildren were special after all. “Can you hand me that cloth?” I did as my grandfather asked and took the cloth that was wrapped around my eyes. The light suddenly enters my eyes, making them a little dazzling. Is this what grandfathers around the world would say to their grandchildren? If a grandfather enthusiast heard this, they would get a nosebleed. “Did you give your eyes to someone?” “To someone you know very well, Grandpa.” Grandpa thought for a moment and rounded his eyes. “Will?” “Yes.” I showed him a big smile. “ I see. Is he still alive in that village? Will loved mischief, and I, Kate, and Mark adored him like a little brother. “ Grandfather looked nostalgic. I would love to see everyone in their youth just once. I couldn’t imagine Grandpa Will getting into mischief. “He was getting a little carried away, though, and that’s why he lost his magical powers.” Grandpa, that was harsh. “...So, you went to the Impoverished Village, huh?” Grandfather suddenly proclaimed loudly. An impoverished village was not something a daughter of a great aristocrat would be interested in. Indeed, it would be unimaginable for me to go all the way to a place like that. And all alone. “What kind of upbringing did Arnold provide? Putting aside your swordsmanship and academic ability, your energy and courage are not something that can be taught by others. I’ve got a crazy granddaughter.” “Shouldn’t it be a beautiful granddaughter?” “Yes, my most adorable granddaughter. ...that’s why I have to take good care of him. What is your magic level now?” “Level ” I have not grown much since I came to Ravaal Kingdom. I couldn’t practice magic, and I didn’t have any books to begin with. “How old are you?” “... years old, Alicia Williams, who learned to use magic at the age of 0, and entered the Academy of Magic when she was 13 as a special exception. Two years later, she was deported to learn about the Ravaal Kingdom.” I told him at once what I thought he would want to hear.
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「どうしてこの状況になったかは分かってますよね。」 俺の前にはとてもいい笑顔で立っているイチコがいる。 「考えてみれば『白霧と黒沼の森』に戻ってから色々と問い詰めたいことがあったのにホウキさんの件で流れていましたからね。今回の件はいい機会です。」 そして俺は正座させられていた。 うん。俺は自室でスキルの研究をしようとしていたはずなんだけどな。どうしてこんなことになったんだろうか。 というか怖い!イチコのプレッシャーが半端ない!半魔王化のせいで俺のイチコに対する強制力も下がってて抑えられないから怖い! 「ねえクロキリ。」 「何でしょうか。」 イチコが顔を近づけてくる。 ああ、普段とかベッドの上とかならいつまででも見ていたいと思えるのにこの状況だも早く顔を逸らして逃げ出したい。 「あの子。タバネちゃんでしたっけ、どうしてあの子はあんな事を言ったんですか?」 「何の事でしょう......か?」 俺は顔を逸らそうとするがイチコが≪霧魔法付与≫を使った左腕で俺の顔を掴んで逸らすのを許さない。 「『勝ったらお腹いっぱいになるまでご褒美下さいね。』でしたか。」 イチコの手の力が明らかに強くなって俺の頭がミシミシと嫌な音を若干立てつつも、その痛みに耐えつつ俺は棒読みで返す。 「この際だからはっきり言っておきますけど、」 「はい。」 「別に女の子を囲うこと自体は咎めません。帰ってきた日の事を考えれば一人で対応するのは無理がありますし、暴発されても困りますから。」 あれ?妾自体は認めてくれるんだ。てっきり...... 「ちょっ!まっ......!」 ミシィ!という嫌な音と共にイチコの指が頭に食い込んでくる。 「あんな子供が自分から求めてしまうようになるほどの調教を施すとはどういうつもりですか!」 イチコの力がさらに強まって俺の頭は叫び声と共に霧散する。 ふう。予め脳みそを別な場所に移しておかなければ死んでいた。 まあ、さすがに死ぬほどのダメージになったら半分とは言え俺の眷属なんだし、死ぬ一歩手前で止めてくれると思うけど。 「頭を潰されても問題ない様にできるとは大分化け物じみて来てますね。」 イチコが正確に今の俺の中心を見つめながらそう言ってくる。 「まっ、要領としては腕や目を増やすのと変わらないからな。」 ただまあ、化け物じみているのは否定できないな。というか魔王になった直後の俺から見れば頭の複製を行える今の俺は完全に化け物だろ。 「はぁ。まあ、この話はこれぐらいにしておきます。これ以上はいくら言ってものらりくらりと躱されそうですし。」 「そう言えば、この十年間クロキリも修行していたそうですね。」 「そうだな。」 と、突然イチコが話題を変えてくる。 「突然ですが、私の十年間の修行の成果をクロキリに見せたくなりましたねー」 イチコが何故か屈伸運動を始める。 「クロキリが真面目に修行をしていたなら、私の修行の成果を受け止めるくらいの事は出来ますよねー」 「......。」 そして肩の調子を確かめるように腕を軽く回す。 「だ か ら、憂さ晴らしと当たりとか嫉妬だとかそう言った思いは全然ありませんけど、ちょっと殴り合いましょうかー」 これはヤバい......。プレッシャーが半端ない。 「≪霧魔法付与≫」 イチコの両手両足がスキルの効果で霧に包まれる。 「いやちょっと待て!俺はどちらかと言えば研究中心の後衛系で肉体関係は護身術レベルだから......」 そこまで言って俺はイチコの目がこう語ってるのを悟った。 「≪形無き王の剣・弱≫」 「うおう!」 イチコがスキルによって右ストレートのモーションから俺の前に転移して拳を振りぬく。対して俺は咄嗟に人間形態になってその攻撃を受け流す。 「十分動けるじゃないですか。」 受け流されたモーションのままイチコはそう言う。 「いや、これ以上は......」 「じゃあ、テンポを上げますね。」 俺はそこで切ろうとするが、イチコは俺の言葉を無視して再びスキルで俺の前から掻き消える。 続けて後頭部への衝撃。どうやら、後ろから殴られたらしい。 「まだまだいきますよ。」 そしてそこから全身各部へと放たれる攻撃。俺はその内の正面から来たものに関してはいくらか防ぐことに成功するが、それ以外はまともに突き刺さる。 その一撃はかなり重い。魔王の肉体が高いスペックを持つので耐えられているが、これは普通の人間なら一撃で昏倒しているレベルだろう。 さて、このまま殴られ続けるのも男としては悪くないかなぁ。とも思うが、魔王としてのプライドとかもあるので、そろそろイチコの動きを止める方法を考えないといけない。 で、具体的にどうするかを考える。 まずやらなければいけないのはイチコの攻撃を捌けるようになることだろう。ではどうすればイチコの攻撃を捌けるのか? 今、俺がイチコの攻撃を捌けないのはイチコの動きを追い切れず、純粋に手数が足りないからだ。となれば、 「≪蝕む黒の霧≫カスタム』」 俺は顔を三つに増やし、腕を六本に増やす。 「!?」 その姿に一瞬イチコは驚くが動きは止めずに殴り続けてくる。 だがしかし、今の俺の視界はほぼ360°であり、腕の数も三倍に増えている。故にどの方向から攻撃が来ても、 「はっ!」「ふっ」「えい!」「むん」「やっ!」「ぬん」 「よくそんな体を操れますね。」 十分防げる。 「でも、楽しくなるのはここからです!」 ただ、問題はここからだよなぁ。テンションが上がって来たのか当初の理由とか無視してイチコがやる気を見せ始めてて、それに合わせて攻撃のテンポも上がってる。 で、肝心のイチコを止める方法にしてもだ、 羽交い絞め→転移で抜け出される 鎖や紐で縛る→やっぱり転移で抜け出される ≪霧爆≫で氷漬け→そんなことしたら大惨事 ≪幻惑の霧≫で足止め→動きそのものは止められない 殴って気絶させる→そもそも物理的にも心情的にも殴れない ヤっちゃう→今はそんな余裕無し 封技の鉄枷I→レベル的にはセーフだが半魔王に効くのかは怪しい 「いいだろう。なら俺も十年......というかここ最近の成果を見せてやる。」 「?」 怪訝な表情を見せるイチコの前に俺は右手に『検魔の行燈』を出し、左手で空中に文字を描くと同時に詠唱を始める。 「『Self is black mist king to spoil. (我は蝕む黒の霧王。)The power should summarize fog and should fix fog. (その力は霧を統べ、霧を留める事。)fog. (霧よ。)Change with a white chain under my name, and bind her person to idle inside. (我が名の下に白き鎖と成って彼の者を怠惰の中に縛れ。)One of a trial strange evil spirit ・ White bind(未知なる試作の魔の一・白の縛鎖)』!」 そして俺の詠唱完了と共に身体からMPとはまた違う何かの力が流れ出し、その力を受けて空中に円を描くように書かれた文字群から大量の白い鎖が放たれてイチコを縛り上げる。 「くっ、こんなもの......なっ!?スキルが使えない!?」 イチコはスキルが使えない事に困惑の表情を浮かべる。 「ふっふっふ。さあ主に対してこんなことをしたわけだしな。お仕置きタイムだ。」 「えっ、まっ!?」 イチコは鎖を派手に鳴らしつつ逃げようとするが、ここまでやってくれたわけだしな。 「誰が待つかあああぁぁぁ!」 そして俺はイチコの上に勢いよく乗りかかるのであった。 ん?白の縛鎖の説明?また今度なー
In a sense, this is an episode of a scene of carnage. “We both know how you ended up in this situation, don’t we?” In front of me was Ichiko standing there with a remarkably pleasant smile plastered all over her face. “After returning to ‘White Mist and Black Swamp Forest,’ I had a list of questions I intended to ask you, but they had been lost in the shuffle owing to the incident with Houki-san. This is a wonderful opportunity.” And I was made to sit on my knees. Yeah. I was supposed to be in my private room researching skills. How did this happen? This is unnerving, to say the least! Ichiko’s pressure is beyond belief! I’m afraid that my compelling force over Ichiko has been weakened due to her half-Demon King status, which renders her uncontrollable! “Hey, Kurokiri.” “What is it?” Ichiko brought her face close to mine. Ah, under normal circumstances or on the bed, I would want to look at her forever, but under this scenario, I wanted to avert my face and escape as quickly as possible. “That girl, Tabane-chan, is that her name? Why did she say such a thing?” “What are you talking about...?” I made an effort to turn my face away, but Ichiko gripped my face with her left arm utilizing ≪Enchanting Mist≫ and refused to allow me to do so. “‘If we win, please reward me until my heart is content’. Was that right?” Despite Ichiko’s grip appearing to be tightening and my head making a slight creaking sound, I bore the discomfort and responded in a monotone. “At this point, I’d like to make this clear.” “Yes.” “I don’t condemn you for surrounding yourself with girls. Considering the day I returned, it would be overwhelming for me to deal with this by myself, and I wouldn’t want to cause an outburst.” Huh? The mistress herself is going to approve of it. I thought she would be... “Wait! Wait...!” Ichiko’s fingers dug into my head with a sickening sound. “What audacity you have to train a child like that to the degree that she will seek you out herself!” As Ichiko’s power intensified, my head fizzled out along with my screams. Phew. If I hadn’t moved my brain to another place beforehand, I would have died. Indeed, if the damage was severe to the point of death since she was my kin even if only half of it, I was positive she’ll stop her act one step before death. “Even if your head gets smashed, the fact that you can tolerate that without issue indicates you’re developing into quite a monstrosity, right?” Ichiko said this to me, her gaze fixed on the exact center of my body. “Well, in essence, it’s no different than adding an arm or an eye.” I can’t dispute, though, that I appeared to be a monster. I mean, from my perspective after becoming the Demon King, I was now a total monster for being able to duplicate my head. “Haa. Well, I’ll leave this subject alone. No matter how much further I push it, I’m sure you’ll just dodge it.” “So I was told that you have been training for the past ten years, Kurokiri?” “Yeah, that’s right.” Ichiko suddenly changed the subject. “This is sudden, but I wanted to show you the fruits of my ten years of training.” For some reason, Ichiko initiated a series of bending exercises. “If you’ve been training diligently, you can at least receive the fruits of my training, can’t you?” “...” She then rotated her arm softly, as if checking the condition of her shoulder. “Therefore, I don’t harbor any feelings of gloom and despondency, nor do I harbor any feelings of rage, jealousy, or any of those things, but let’s trade a few blows.” This is bad... The pressure is unbearable. “≪Enchanting Mist≫.” Ichiko’s hands and feet were enveloped in mist under the effect of the skill. “No, hold on a second! My physical physique is at the level of self-defense, and I’m more of a research-oriented, rearguard type...” After expressing all of that, I noticed Ichiko’s eyes telling me, “Just let me strike you.” “≪Sword of the Formless King・Weak≫.” “Uh-oh!” Through her skill, Ichiko teleported in front of me in a straight right motion and thrust her fist at me. In response, I swiftly transformed into my human form and parried the attack. “Aren’t you able to move well enough?” Ichiko remarked, maintaining the motion that was parried. “No, anything beyond this is...” “Then I’ll increase the tempo.” Although I attempted to dismiss her there, Ichiko disregarded my words and vanished from my presence again with her skill. This was followed by an impact to the back of my head. Apparently, I had been struck from behind. “There is still more to come.” And from that point on, attacks were unleashed on every part of my body. While I successfully blocked some of the frontal blows, the rest of the blows pierced me. That blow was fairly severe. Even though the Demon King’s physique was designed with high specifications and can withstand the hit, a single blow would likely knock an ordinary human unconscious. Now, as a man, it wouldn’t upset me if I kept getting hit like this. But, as a Demon King, I must also consider my pride, therefore I must figure out a means to stop Ichiko’s movements. Then I had to specifically contemplate how to do that. First of all, I need to be able to respond to Ichiko’s attacks. So how can I handle Ichiko’s attacks? At present, I cannot counter Ichiko’s attacks since I cannot follow her movements and I lack a sufficient number of moves. If that is the case, “≪Devouring Black Mist≫ Custom ・’Three Faces, Six Arms’ [i] .” My face was increased to three and my arms are multiplied to six. “!?” Ichiko was briefly taken aback by this, but her movements did not halt and continued to strike me. However, my field of vision was now virtually °, and my arms had tripled in number. Consequently, no matter which direction the attack came from... “Ha!” “Huff.” “Ei!” “Mn.” “Ya!” “Nun.” “It is amazing you can maneuver your body like that.” ...It’s enough to defend against you. “But here’s where the excitement kicks in!” Nonetheless, this was where the issue arose. The tension was rising, and Ichiko was beginning to display her motivation without regard for the initial purpose, and the tempo of her attacks was picking up accordingly. And the key to stopping Ichiko was... Binding her arms behind her back → She would slip away by teleporting. Binding her with chains or strings → She would also escape by teleporting. ≪Mist Plosion≫ with ≪Sharp Aqua Pillar≫ → If I do such a thing, it would be a catastrophe. Stopping her with ≪Bewitching Mist≫ → Her movement itself cannot be halted. Knock her out by hitting her → I can’t physically or emotionally land a hit on her in the first place. Making her get laid → There is no room for that now. Shackles of the Sealing Art I → Effective in terms of level, but it is doubtful if it will work on a half-Demon King. “Fine then. In that case, I’ll show you what I’ve been doing for the last ten years... or rather, these recent days.” “?” Before Ichiko’s skeptical countenance, I produced “Andon of the Magic Detector” in my right hand, drew characters in the air with my left hand, and started chanting simultaneously. [『Self is black mist king to spoil. (我は蝕む黒の霧王。)The power should summarize fog and should fix fog. (その力は霧を統べ、霧を留める事。)fog. (霧よ。)Change with a white chain under my name, and bind her person to idle inside. (我が名の下に白き鎖と成って彼の者を怠惰の中に縛れ。)One of a trial strange evil spirit ・ White bind(未知なる試作の魔の一・白の縛鎖)』!] [ii] With the completion of my chanting, some kind of power distinct from MP flowed out from my body, releasing a large number of white chains from a cluster of characters written in a circle in the air that binded Ichiko. “Ugh, this is... huh! I can’t use my skills!?” Ichiko’s face revealed her consternation at not being able to utilize her skills. “Hahaha. Now, after doing this to your master, it’s time for you to be punished.” “Eh, wait!?” Ichiko attempted to escape while snapping the chains in a flurry of noise, but we had made it this far, you know. “Who’s going to waitttttttt!” And then I was on top of Ichiko with a vigorous leap. Hm? You are wondering about the white binding chain? Another time
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救急救命士として働いてきました 自動車事故から ハリケーン・サンディの大災害まで 緊急隊員としての経験も数多くあります 大抵の人にとって 死ぬこととは― 最も怖い体験だと思います 死を予期できる人も できない人もいます あまり知られていない医療用語に― 突然おとずれる悲運を意味する インペンディング・ドゥームという言葉があります これはもう症状のようなものです 私は医療従事者として 様々な症状に 対応できるよう普段から訓練されていますから 心臓発作の患者が僕の目を見て 「私は今日死ぬんですよね」と言ったとしても 患者の状態を再評価できるよう 訓練されているのです クリティカルケアの仕事を通して― この患者はあと数分しかもたないという場面に 居合わせたことが何度もあります そういうとき 本当に何も手の施しようがないんです そんなとき向き合わなければならないのは 本人に自分が死ぬんだということを告げるべきか それとも嘘をついて慰めを言ってあげるべきか というジレンマです この仕事をやり始めて間もない頃 私は単純に嘘をつくことを選んでいました それは怖かったからです 本当のことを伝えたら その人は恐怖のなかで死ぬことになるだろうと 怖くて仕方がない状態で 人生の終わりを迎えることになると ところがある出来事を通して すべてが変わりました 5年前 バイク事故の対応をした時のことです バイクに乗っていた人は致命傷を負っていました その患者を診たとき 何をどうしたとしても 助けることはできないことは明白でした それまでの患者と同じように その人も私の目を見て 「僕は死ぬんでしょうか?」と訊きました これまでとは違う選択をしよう その瞬間 真実を伝えようと思いました 彼がこれから死ぬんだということを そして私にはどうすることもできないことを 伝えることにしたんです 彼の反応に私は大変ショックを受けました そのことは今でも忘れられません 彼は安らかに 自分の死を受け入れたという顔つきでした 私が想像していたような恐怖や不安は 彼の表情には存在しなかったのです ただ静かに横たわる彼の目を見たとき 心の平安と運命を受け入れているのだ ということが理解できました その瞬間私は決心しました 嘘をついて慰めようとするのは 私がすべきことではないと それからも 患者の命の最期の瞬間に 何度も立ち会いましたが― ほとんどの場合先ほどと同様に 施す手はありませんでしたが どの人も真実を伝えると同じように反応しました そこにあったのは 心の平安と運命の受容でした これまで数多くこういう場面を経験してきて パターンが三つあることに気付きました いつ遭遇してもショックを受けてしまう 一つ目のパターンが 宗教とか文化的な背景に関係なく 許しを乞う というパターン 人によって罪と認識していたり 後悔だったりしますが 罪悪感というのは全世界共通のものなんです かつて年配の男性をケアしました 大変深刻な心臓発作でした 今にも心停止するかという状況で 私も覚悟して機器の準備を進めました そして その瞬間が すぐそこまで来ていることを告げました すると彼は私の声のトーンや 身振りからすでに察していたのです 胸に除細動器のパッドを当てて 迫りくる瞬間に備えていたとき 彼は私の目を見てこう言いました 「もっと子供たちや孫たちと過ごせばよかった― 自分のために時間を使いすぎた」 と 死の瞬間を目前にして 彼が求めたものは 許し でした 次に 二つ目のパターンですが 二つ目は 忘れないでほしい という願いです 私の思いの中や 愛する人々の思いの中で 人は決して滅びることはないということを 愛する人々の心の中や思いの中に それこそ 私やスタッフ 周りにいる人なら誰でもいいから 自分はこれからもずっと誰かの心の中に 生き続けることを確信したいのです 数え切れないくらいの多くの患者から 僕のじっと目を見て 「私のことを忘れないでほしい」と言われました 最後に三つ目のパターンです 毎回 私の心にずっしりと重くのしかかる 魂に深く響くパターンなのですが 死に際に彼らがどうしても知りたいこととは それは彼らの人生には意味があり けっして無駄に人生を過ごしたのではない 決して意味のないことに 一生を費やしたのではないということなのです この仕事を始めたばかりの早い時期に 電話で駆けつけた ある案件がありました 交通事故で車が高速で激突したため 体が車の中で がんじがらめ になっていました 絶体絶命の状況でした 消防隊が駆けつけて 体を車から出す作業を始めてから 私はなんとか処置をしようと 車によじ登りました その時車の中の彼女が言いました 「もっともっと生きているうちに やりたいことが一杯あったのに」 自分が生きていたという証を残せなかったと 彼女は感じたのです 話を続けるうちに彼女には 二人 養子の子どもがいて 二人とも もうすぐ医大に進学する予定である ということがわかりました この二人の子どもは 彼女がいなかったら決して― 手にすることができなかったチャンスを 彼女のおかげで手に入れることができた そして医者になって人の命を助けるために 医学の道へ進むことにしたのです 彼女を車から助け出そうと力を尽くしましたが それがかなわぬうちに 彼女は息絶えました いろいろな映画で目にする人の最期は 恐怖や不安ばかりなので 死ぬ瞬間とはそういうものなのだと思っていました しかし 状況がどうであれ その人の最期という ほんの短い時間の中で やってあげられる本当に小さなこと その人を安心させてあげるという 取るに足らないような小さなことこそ 人の最期に平安と運命の受容を もたらすのだ と思い知ったのです ありがとうございました
I've been a first responder in a number of incidents ranging from car accidents to Hurricane Sandy. If you are like most people, death might be one of your greatest fears. Some of us will see it coming. Some of us won't. There is a little-known documented medical term called impending doom. It's almost a symptom. As a medical provider, I'm trained to respond to this symptom like any other, so when a patient having a heart attack looks at me and says, "I'm going to die today," we are trained to reevaluate the patient's condition. Throughout my career, I have responded to a number of incidents where the patient had minutes left to live and there was nothing I could do for them. With this, I was faced with a dilemma: Do I tell the dying that they are about to face death, or do I lie to them to comfort them? Early in my career, I faced this dilemma by simply lying. I was afraid. I was afraid if I told them the truth, that they would die in terror, in fear, just grasping for those last moments of life. That all changed with one incident. Five years ago, I responded to a motorcycle accident. The rider had suffered critical, critical injuries. As I assessed him, I realized that there was nothing that could be done for him, and like so many other cases, he looked me in the eye and asked that question: "Am I going to die?" In that moment, I decided to do something different. I decided to tell him the truth. I decided to tell him that he was going to die and that there was nothing I could do for him. His reaction shocked me to this day. He simply laid back and had a look of acceptance on his face. He was not met with that terror or fear that I thought he would be. He simply laid there, and as I looked into his eyes, I saw inner peace and acceptance. From that moment forward, I decided it was not my place to comfort the dying with my lies. Having responded to many cases since then where patients were in their last moments and there was nothing I could do for them, in almost every case, they have all had the same reaction to the truth, of inner peace and acceptance. In fact, there are three patterns I have observed in all these cases. The first pattern always kind of shocked me. Regardless of religious belief or cultural background, there's a need for forgiveness. Whether they call it sin or they simply say they have a regret, their guilt is universal. I had once cared for an elderly gentleman who was having a massive heart attack. As I prepared myself and my equipment for his imminent cardiac arrest, I began to tell the patient of his imminent demise. He already knew by my tone of voice and body language. As I placed the defibrillator pads on his chest, prepping for what was going to happen, he looked me in the eye and said, "I wish I had spent more time with my children and grandchildren instead of being selfish with my time." Faced with imminent death, all he wanted was forgiveness. The second pattern I observe is the need for remembrance. Whether it was to be remembered in my thoughts or their loved ones', they needed to feel that they would be living on. There's a need for immortality within the hearts and thoughts of their loved ones, myself, my crew, or anyone around. Countless times, I have had a patient look me in the eyes and say, "Will you remember me?" The final pattern I observe always touched me the deepest, to the soul. The dying need to know that their life had meaning. They need to know that they did not waste their life on meaningless tasks. This came to me very, very early in my career. I had responded to a call. There was a female in her late 50s severely pinned within a vehicle. She had been t-boned at a high rate of speed, critical, critical condition. As the fire department worked to remove her from the car, I climbed in to begin to render care. As we talked, she had said to me, "There was so much more I wanted to do with my life." She had felt she had not left her mark on this Earth. As we talked further, it would turn out that she was a mother of two adopted children who were both on their way to medical school. Because of her, two children had a chance they never would have had otherwise and would go on to save lives in the medical field as medical doctors. It would end up taking 45 minutes to free her from the vehicle. However, she perished prior to freeing her. I believed what you saw in the movies: when you're in those last moments that it's strictly terror, fear. I have come to realize, regardless of the circumstance, it's generally met with peace and acceptance, that it's the littlest things, the littlest moments, the littlest things you brought into the world that give you peace in those final moments. Thank you.
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街の間の距離を無視できるのが 今回は到着した瞬間襲撃されるようなこともなく、すんなりとマクスウェルの元に辿り着くことができた。 「こっちも襲撃の方は落ち着いたようだな?」 「来て早々言ってくれるのぅ。前回は特別じゃよ」 俺にとっては見慣れた姿だが、そのティーセットを乗せているのは、懐かしの魔力の鑑定板じゃなかったか? 「それ、雑に扱うと、またコルティナに怒られるぞ」 「なに、予備もあるから気にするな。それに作ろうと思えば、いつでも作れる」 「魔道具をホイホイ作れるってのが、すでに異常なんだがな」 風神ハスタールや破戒神ユーリから、散々魔道具を提供してもらっている俺が口にするのも、確かに今さらである。 マクスウェルの言葉に、鼻を鳴らして不機嫌そうに返してから、隠し部屋から持ち出した小瓶をテーブルの上に乗せる。 「なんじゃ、ブランデーでも持ってきたか?」 「俺は未成年だよ。例の薬の完全版ってところだ」 「ふむ?」 今度はマクスウェルが鼻を鳴らし、しげしげと書類を眺め、取り上げる。 「それと、どうやらファンガスの胞子に寄生されたっぽいから、浄化してくれ」 の魔道具は?」 「持っていく時間が惜しかった。それに追いつかないほどの量を頭から浴びちまってな」 「わかった、待っておれ」 小部屋を出てから感じていた、体内に存在した微かな重さのようなものが消え、すっきりとした気分になる。 「どうやら消えたようだな」 「ファンガスに寄生されたということは、薬の大元は発見したのかの?」 「ああ、寮の隠し部屋に捕らえられていた。冒険者の死体はバラバラに刻んできたから、再利用される恐れはない」 「冒険者の死体を利用しておったのか。なんとも非道な」 続いてマクスウェルは小瓶の鑑定に移る。 案の定、鑑定結果を見ると、小瓶一つで依存症が残ることが判明した。つま分である。 「たった三回か」 「その上、この小ほど一気飲みすれば、一気にモンスター化するじゃろうな」 「デンに聞いた話では、一つでモンスター化したらしいんだが?」 「戦闘に使うと聞いて、成分を濃縮したのかもしれん。痛覚がマヒするから、狂戦士化待ったなしじゃ」 「それ、戦争に使われたらヤバいんじゃないか?」 痛覚を感じない兵士が、小瓶一つで誕生する。 材料もファンガスの胞子が入手しにくい程度だ。それも連中がしていたような『養殖』を行えば、簡単に手に入る。 これを兵士に配り、戦場で服用させれば、戦場の様相が一変してしまうだろう。 「いや、それは難しいじゃろうな」 「なぜ? 痛みを感じず、死ぬまで戦う兵士なんて、領主にとっては喉から手が出るほど欲しい存在だろ?」 「無理じゃよ。兵士というのは、戦えるということ以上に、上官に従順であることが求められる。薬で興奮した兵士を指揮するなど、コルティナでもできんわぃ」 まあ、俺は戦場に出るという経験はあまりしていなかったので、その辺はあまりわかっていないかもしれない。 「もっとも、街中にモンスターを作り出すなら、簡単にできるじゃろうな」 「それはもう経験済みだよ」 そういうと俺は席を立ち、居間を後にしようとした。 「なんじゃ、もう行くのか?」 「ああ。カインが黒と判明した以上、レティーナとフィニアのことが心配だからな。ファンガスを始末したので、俺の侵入のこともバレてるだろうし」 「ならばしばし待て。こいつも持っていくがいい」 マクスウェルは席を立ち、居間の隅に置かれていた戸棚から、別の小瓶を取り出してきた。 それは俺も見覚えがある瓶だった。冒険や暗殺で散々世話になった、解毒用のポーションだ。しかも、かなり高位の毒すら浄化できる上級の解毒ポーション。 「これならファンガスの胞子を浄化することができるじゃろ。持っていけ」 「ああ、そういえばこの手もあったか。悪いな」 これは俺も何本か持っていたが、それはデンが管理する隠れ家にある。今の俺は持っていない高級品だった。 「助かるよ。それじゃ、フィニアとデンが心配だから、今日はこれで」 「うむ。コルティナばっかりじゃなく、もっと頻繁にこっちに顔を出してもいいんじゃよ?」 「媚びるな、気持ち悪い」 「ははは。じゃが、顔を出して欲しいのは本当じゃぞ。もっとも近いうちにワシもそっちに行かねばならんが」 「ん? ああ、そうか。ことが貴族の問題だもんな。だが別に、事を表沙汰にした後は俺が暗殺しても......」 「相手は公爵じゃからな。それに縁戚も多い。本人を殺したところで、別の貴族に狙われかねん。かといって放置するわけにもいかん。このレベルの問題はさすがに王家も見過ごせんじゃろうし」 「そうか?」 「それにワシも、少しばかり根回ししておかねばならんようじゃからな」 「ま、爺さんがこういう問題で抜かるとは思えんし、そっちはお任せするさ」 マクスウェルが何をしようとしているのかわからないが、あまり深入りしない方がいいだろう。
Once I left the hidden room, I erased my traces and went outside the dorm. Then I headed into an alley while avoiding people and teleported to Raum. The ability to ignore the distance between the cities was one of the best parts of the Teleport spell. This time, I managed to reach Maxwell without getting attacked on the spot like the last time. I was invited to the living room as usual, and then he left his seat to brew tea. After some wait, Maxwell returned holding a tray with a tea set, looking dejected. “Looks like the attacks ended on this side too, huh?” “You say that right away huh. The previous time was a special case.” I was very used to this by now, but wasn’t the thing he was carrying the tea set with a magic power appraisal board? “If you treat that thing so roughly, Cortina will get angry at you, you know?” “Oh, worry not, I have spares. And I can make one too if I wish to.” “Being able to make magic items as you please is already out of common sense.” I guess he had a point. I shouldn’t be the one to say that, given that God Hastur and God of Destruction Yuuri were giving me magic items one after another. I snorted back in dissatisfaction, and then placed the small bottles that I brought from the hidden room. I also lined up the documents I took from the register next to them. “Did you bring me brandy or something?” “I’m a minor, you know? It’s the full version of the drug in question.” “Hmm?” This time it was Maxwell’s turn to snort as he gazed at the documents and picked them up. He then also took the bottle in hand and shook it lightly to confirm the contents. “Also, it seems I’m parasitized by the Fungus spores, so please purify me.” “What about your Purification magic item?” “I had no time to bring it with me. Plus I got hit with such an amount that it wouldn’t have worked.” “Alright, wait a little.” He still managed to finish it far faster than an ordinary magician and activated the spell. The magic circle drawn in the air crumbled like powder and surrounded my body. The faint heavy feeling I’d been feeling since I left that small room disappeared and I felt refreshed. “Looks like it’s gone.” “Since you got parasitized, I take it you found the source of the drug?” “Yeah, it was held in a hidden room in the dorms. I cut up the Adventurer’s corpse so they shouldn’t be able to reuse it.” “They used an Adventurer’s corpse? What an inhuman act.” Next, Maxwell moved on to appraising the small bottles. With so much at hand, we should be able to find out the poisonous dosage of it that we couldn’t previously. As expected, the results told us that one bottle would leave some dependence. In other words, in short, it was three dosages. “Just three, huh?” “In addition, drinking two bottles’ worth of it in one go would most likely monsterify you instantly.” “From what Den told me, the guy apparently turned into a monster with just one bottle.” “Maybe it was more concentrated since it was going to be used in battle. Since it dulls pain, it is perfect for creating mad warriors.” “Wouldn’t it be disastrous to be used in a war?” A single bottle could create a warrior that felt no pain. The ingredients and Fungus spores were simply hard to obtain. You could easily solve that too if you used the method these guys used. The rest of the ingredients were commonplace ones used in potions, so there was enough stock of them. If you distributed it to the soldiers and made them use it, you could turn the tide of war in one go. “No, that would prove to be difficult.” “Why? Any lord would desperately want warriors who wouldn’t feel pain and would fight until death, right?” “It is simply impossible. More than being a fighter, following the commands is what is desired in warriors. Not even Cortina could control warriors stimulated with a drug.” Well, I had no experience on the battlefields, so I guess I wasn’t very familiar with such things. If Maxwell was saying it was impossible, it most likely was. “However, it would be simple to create monsters inside the city.” “Yeah, we already experienced that.” I stood up and tried to leave the room. “What, you are going already?” “Yeah. Now that I’m sure that Cain is guilty, I’m worried for Letina and Finia. Since I’ve dealt with the Fungus, he should’ve realized my intrusion too.” “Then wait for a little while. Take this with you too.” Maxwell stood up and took out a different bottle from the cupboard in the corner. I also remembered that bottle. It was a detoxifying potion that I’ve used very often during my adventures and assassinations. Moreover, it was a high-grade potion that could purify even high-level poisons. “You should be able to purify Fungus spores with this. Take it.” “Ah, I forgot about that method. Thanks.” I had a few of those too, but they were in the hideout where Den lived. I didn’t have them on me. “This will help. Well then, I’ll be off now. I’m worried about Finia and Den.” “Alright. You should show your face here more often too instead of focusing on Cortina, you know?” “Stop messing around. It’s cringy.” “Hahaha. But I do wish you would come more often. Then again, I have to come over too soon.” “Hmm? Oh, that. Well, it concerns nobles, after all. But I mean, I could just assassinate him once things have come to light...” “The opponent is the duke’s house. Plus they have many connections. Even if you assassinate the people concerned, other nobles could take their place. Having said that, we cannot leave them be either. Not even the royal house will overlook a matter of this level.” “Is that so?” “Moreover, I have to lay some groundwork too.” “Well, I doubt you will make a mistake with that, so I leave that to you, old man.” I didn’t have any intention of willingly sticking my neck in noble quarrels. I didn’t know what Maxwell was up to, but it was better not to delve too deep. Thinking so, I left Maxwell’s mansion behind.
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「と、言うことで、魔術はどこまで行っても、そのコントロールが大事です。 「はい、でも循環だけだと、強い魔術は使えません」 それに魔力の循環をしっかりやると、回路の魔力総量が増えますので、強力な魔術を使うこともできます。当然循環だけでは駄目ですが、同じ魔術を使ったときに、コントロールがしっかりできている人の方が強いでしょう」 次に組むといわれていたパーティの1人。ぺルラさんに魔術の基礎みたいなことを教えていると、カロルさんが「意外とちゃんと教えるのね」と感心している。 そもそも何でわたしがぺルラさんに魔術を教えることになったのかといえば、次に組む3人パーティの1人であるぺルラさんが、自分が足を引っ張るからD級ハンターに行くのは嫌だと言い出したからだ。 というか、シエルに『エインは昇格を引き合いに出されると首を縦に振る癖があるのね』と指摘された。それに対してわたしは言葉を失ったけれど、シエルも反対というわけではないらしい。 授業といっても、わたしは攻撃魔術が使えないので、シエルにアドバイスをもらいながらだけれど。 カロルさんがあの時助けたのは本当はわたしなのだという話をしていたこともあったし、ブラス君とパーティを組んでいたというのもあるらしいのだけれど、最初から敬われている。 そしてブラス君のことを謝られた。同じ村の友達同士だったらしい。職業を得てからは、ブラス君が調子に乗り始めて、あとは大気圏まで一直線。 「普段のぺルラさんの役割ってどういったものなんですか?」 「えっと戦い以外だと飲み水を出したり、返り血を洗ったりです。戦いだと水球をぶつけてます。 前の戦い方から見ても、片手剣のテレンシオ君が足止めをして、ぺルラさんと、弓使いのイルダが後ろから攻撃するという形のようだ。女子2人を危険な目に遭わせないという意味だと、それで正しいのかもしれないけれど、それだとぺルラさんが役立たずというのも頷ける。 何せ後ろから攻撃しても、決定打に欠けるのだから。たぶん、足止めをしているテレンシオ君のほうが多くの敵を倒しているだろう。 それに彼女は下級魔術師で、本来魔力をほとんど持たないとされる平民。 そもそも、戦闘外で十分に役割は果たせていたと思うのだけれど、おそらくブラス君辺りが「ハンター=より強い魔物倒す人が偉い」みたいな価値観を押し付けていたのではないかと思う。 「魔術師の戦いで、何が大切かわかりますか?」 「高い攻撃力......魔術のコントロール......ですか?」 「わたしは見ることだと思っています」 別に魔術師だけに限らないのだろうけれど、特に後衛は全体をよく見ておいてほしい。ソロだと特に周りを見ていないと死ぬかもしれない。 巻き込まないためには、どこに味方がいて、どこに敵が集まっていて、どこに魔術を放つのが良いのかを考えないといけません」 「それを把握するためにも、見ないといけないというわけですね」 敵の足元を水たまりにするだけでも、動きは鈍るでしょうし、目に水の飛沫を当てるだけでも隙ができるでしょう。これらを上手にこなすには、やっぱり見ることが大切です」 「つまり、サポートに専念しろってことですか?」 「はい。そのほうがうまく回ると思います。ただ貴女方のやり方もあるでしょうから、話し合っておいてください。いきなりやり方を変えても、上手くはいかないでしょうから」 これで授業は終了なので、「おしまいです」とパンパン手を叩く。 座学が意味ないとは言わないし、むしろ魔術は座学がメインかもしれないけれど、ペルラさんはまだそこまでいっていない。難しいことを考えずに、基礎的な訓練をしておいたほうが良いだろうと思ったので、授業を終えた。 よくわからないまま探知魔術を覚え、結界魔術を覚え、隠蔽し、省エネ化して、魔術じゃなくて魔法なんじゃないか疑惑まである。 逆にシエルは正統派を極めていると思うのだけれど、基礎がリスペルギア家の本棚なので、結構ずれていると思う。魔力は魂に宿るというところから、一般との認識は違うわけだし。 「あれだけで良かったのかしら?」 「基礎は大事ですよ。元々魔術が使えていなかったらなおさらです」 「まあ、いいわ。間違ったことは言っていなかったもの。 「なんでカロルさんに授業しないといけないんですか?」 「何か欲しいものはあるかしら?」 「B級ハンターの資格が欲しいです」 「ワタシに出来る事にしてくれないかしら? そういうのはセリアの担当よ」 「それなら魔法袋をください。小さいので良いので」 「あら、それでいいのね。じゃあこれでどうかしら」 カロルさんは意外そうな顔をして、シエルの手よりも少し大きいくらいの一般的に見れば小さな巾着袋を取り出して机の上に置いた。 「魔法袋って高いんですよね?」 知り合いの魔道具師の弟子が、練習のために作ったものだもの。タダ同然だったけれど、魔道具師の知り合いがいないと手に入らないから、入手難度としては高いかもしれないわね」 「これってどれくらい入るものなんですか?」 「ハンターが一般的に持っている背負い袋と同じくらいね。財布代わりにするなら、問題はないでしょう?」 「貰いすぎだとも思いますが、くれるというのであれば話が終わってから貰います」 こちらが欲しいものはもらえたので、出来ればカロルさんが欲しい情報をあげたいものだ。 「お話をする前に、一般常識の確認からしたいのですが、カロルさんは魔力がどこから来るのかはご存知ですか?」 まあいいわ。魔力は心臓から流れるものというのが一般的ね。ただ心臓からずれる人もいるから、魔力をつかさどる何かが身体のどこかにある、というのが最近言われている事かしら」 違うと今から話す情報が無価値になって、魔法袋を貰いにくくなるからいいのだけれど。 「それですが、正しくは魂に宿っています」 「はっきりと言い切るのね。そんな突拍子もないことを言われても、普通は信じられないわよ?」 「おそらく、わたしもカロルさんも普通の枠組みからは、外れていると思いますけど。 「どういう体験だったかは、聞かないでおくわ。知ってしまうと、ワタシの仕事が増えそうだもの。 「カロルさんのことが大嫌いなら、嘘くらいつきそうですけどね。カロルさんの時間をいくらでも奪えそうですから」 「そこまで言っておいて、この話が事実じゃないなら、貴女を尊敬するわよ」 わたしにしてみれば、出所を間違えていても普通に魔術が使えているのだから、大して影響はないと思うのだけれど。いや大した影響になることは知っているけれど、ここまでの話だとそんなでもない。 「あら、この大発見を実感として得ているくせに、貴女のほうが反応が悪いのね」 「いえ、ここまでの話だと、特に何が変わるわけでもないですから。 「何言っているのよ。魔力の出所がわかれば、より魔力を引き出すことも可能になるかもしれないのよ。 確かに火力というか出力アップには繋がるだろうけれど、わたしはそもそも早い段階で気が付いたから、実感が無いのだ。 ただし、カロルさんがただテンションが高いというのが、気になる。 「喜んでいただけて良かったですが、この話がわたしのような存在を生み出した元にあることは、頭に置いておいてください」 「そうだったわね」 一瞬で冷静になるカロルさんが、少し怖い。 「むしろそんな話をワタシにしてよかったのかしら?」 「既にこのことを知っている貴族がいるわけです。わたしが言わなくても、いつか誰かが見つけて広めるかもしれません。何だったら、カロルさんがいつか気が付くかもしれません。 「そうかもしれないわね。少なくとも慎重に扱おうとは思っているもの」 「それから、この貴族と敵対することがあれば、この情報を知っているのと知らないのでは、戦局が変わりそうですからね」 「そうなる可能性を考えているのね」 その貴族がどういう手段を用いて目的を成し遂げようとしているのかはある程度知っていますが、何を目的にしているかはわかりません。 わたし以外のことでも、碌でもないことをしていそうだけれど、うわさに聞くかぎりだと何も出てこない。リスペルギア家を調べていると思われないため、酒場ではかなり表面的なことしか聞けていないけれど、本当に嫌な貴族についてはこちらが尋ねなくても、好き勝手話してくれるので、この町を出た後どういうルートで海に行けばいいかは計画ができている。 カロルさんが「肝に銘じるわ」と神妙にうなずいてくれたので、これも伝えておかないと拙いだろう。 「ところで、さっきまでペルラさんが授業を受けていましたが、彼女って面白い存在だと思いませんか?」 「......待って、魔力が魂に宿るって、そういうことなの?」 そして危惧しているような声色からして、職業と魔力の関係が危ういものだと感じ取っているのだろう。 「わたしの感覚としては、2つは違うものです。ですが全く影響していないとは言えませんよね」 「そうね、その通りよ。この情報を安い魔法袋1つっていうのは割に合わないわね。 他に何か欲しいものはあるかしら?」 「それならこの話はここだけのものとして、話をもとにして始めた研究は個人のものとしてください。 「それは言われなくてもやるわよ。発表できるわけないじゃない」 「それなら研究もしないんですか?」 楽しいからやっているの。このほかにも個人的な研究はいくらでもあるわ」 「それなら、いつかわたしがこの国から逃げ出した後で良いので、カロルさんの研究を見せてください。 でも使いこなせたら、わたし個人としてさらにパワーアップできると思うのだけれど、果たして何年後になることか。 B級になったら、本部でワタシを呼んでちょうだい。ワタシの家に招待してあげるわ。それまでには、この国でやることも終わっていると思うもの」 「その時にはよろしくお願いします。それでは」 今日は忘れないように、ちゃんと魔法袋を持ってから、部屋を後にした。
「So with that said, in using sorcery, control is always important and the foundation for that is magic power circulation.」 「Yes, but you can’t use powerful sorcery with just magic power circulation.」 「To begin with, in the case of water attribute sorcery, there are only a few spells specialized for combat. Besides, having a good circulation will increase your circuit’s total magic power, allowing the use of powerful sorcery. Naturally, magic power circulation isn’t everything, but when two people use the same spells, the one that has better control would be stronger.」 As I was teaching Perla, one of the members of the three person party I was told to work with next, Carol mutters 「You teach surprisingly well.」 in praise. Since Carol is with us, she really should be the one teaching. It’s making me feel like a child on parents’ day, it’s awfully uncomfortable. As for why I’m teaching Perla sorcery in the first place, it’s because she was hesitant to join, knowing that we have a member who is a D-rank hunter and she didn’t want to be a burden. After the ice witch coaxed me to teach her, and with the offer of a “Promotion Advantage,” I finally gave in and started instructing her before we formally acted together as a party. Somehow, whenever the term ”promotion” comes out, it feels like I always do everything that I’m told. Rather, Ciel already said 『Ain has a habit of nodding whenever promotions get involved, don’t you?』 and pointed it out. Upon hearing that, I was left speechless. Still, it didn’t particularly sound like Ciel was against it. Though we are having lessons, I am unable to use combat sorcery, so I am relying on Ciel’s advice while teaching Perla. Changing the topic, when I first met with the party, they were surprisingly welcoming. They were respectful from the start, although a part of it seems to be because Carol told them I was the one that actually helped them before and due to me having been in a party with Brass like them. They then apologized about what happened with him. It seems that they were friends from the same village. After receiving his Job, Brass started to get smug, and set himself a course directly towards the stratosphere. 「What is your usual role, Perla?」 , when outside of combat, I make drinking water and wash off the splashes of blood. During a fight, I shoot out water balls but it’s only enough to stop monsters from moving, I can’t defeat them. I can’t use ice sorcery too, I’m just a burden.」 Putting aside Perla’s current state of depression, I take a moment to reflect. From what I observed, Terencio holds off enemies with his one-handed sword while Perla and the archer Ilda attack from a distance. While this strategy does keep the two girls out of harm’s way, Perla’s contributions to the battle seem insufficient. After all, even when attacking from the rear, she still lacks lethal force. I can’t be sure but Terecio probably kills more while he’s keeping the enemies away. Besides, she’s a Lesser Sorcerer and a commoner, meaning she is believed to have practically no magic power by nature. Therefore, what she can do is limited. While she may be able to use a large amount of water to push away an enemy, doing so would likely exhaust her magic power after just one shot, leaving her out of the fight. In the first place, she is already performing well outside of combat, but it seems that Brass may have enforced the mentality that “Great hunters” are those who defeat stronger monsters on them. 「When sorcerers fight, what do you think is important?」 「High offensive power.. and... control over sorcery?」 「In my opinion, it’s to observe.」 While it’s good that she remembered our discussion about control, I think that awareness is important for sorcerers. This isn’t really limited to sorcerers, but the rear guard in particular should have a whole picture of what’s happening. Especially in the case of individuals acting solo. If they don’t observe their surroundings, they could just drop dead. 「I generally act alone, so I don’t know much about how to act in a party but no matter how strong your spell is, it would be useless if you hit your allies, isn’t it? To make sure that doesn’t happen, you should consider where your allies are, where the enemies are concentrated at, and where it would be good to release your spell.」 「So to be aware of that, I should observe, right?」 「If people can do it after simply being told to, it wouldn’t be considered a difficult thing. However, if it’s only about stopping and disrupting an enemy, powerful and complicated spells are unnecessary. After all, just making a puddle by an opponent’s feet should be enough to obstruct their movements and simply hitting their eyes with a splash of water should be enough to make them open to attacks. To perform these skillfully, observing is really important.」 「So in other words, I should be focusing completely on support?」 「Yes. In my opinion, doing so should be more practical. Still, I’m sure that your party has your way of doing things, so please discuss it together with them. Even if you change your methods, it wouldn’t go well immediately after all.」 With our lesson ending here, I announced 「That will be all.」 as I clapped my hands twice. I do not consider classroom lectures to be entirely useless; in fact, they are likely the primary method for learning sorcery. However, Perla has not yet reached the stage where she needs such lectures. Instead, it would be more beneficial for her to focus on practical training to solidify her fundamentals before delving into more complex topics. With this in mind, I have decided to end the lesson. Perla lowered her head, gave her thanks, and left the booth provided for us. It’s hard to describe, but I believe that someone who’s completely self-taught really shouldn’t be teaching. Without any clear idea of what I was doing, I learned detection and barrier sorcery, how to conceal it, minimized the energy consumption, and I’m not even sure if it’s still sorcery or actual magic at this point. On the other hand, I think Ciel has a completely orthodox way of learning. However, her fundamentals come from the Rispelgia family’s bookshelves, so they might be pretty unconventional. The part where magic power resides in the soul is already different from the general perception after all. 「Was that really enough?」 「The basics are important. Even more so if you originally couldn’t use sorcery.」 「Well, good enough. You haven’t said anything wrong after all. Incidentally, could you teach me something too?」 「Why should I have to teach you?」 「Is there anything you’d like?」 「I want B-rank hunter qualifications.」 「Could you make it something possible for me? Celia’s in charge of those sorts of things.」 「Then a magic bag please. A small one is enough.」 , so you’re good with that, I see. How about this one then?」 After making a surprised look, she took out a generally small sized pouch, which is slightly bigger than Ciel’s hand, and placed it on top of the table. It’s scary how smooth this conversation is going, but if I can get it then I really want to have it. 「Magic bags are expensive, right?」 「Well, they are, but this one isn’t. It was crafted by an apprentice of my acquaintance who is practicing item crafting. It’s practically worthless, but since you can only obtain one if you know an item crafter, it could be quite hard to come by.」 「This, how much can it hold?」 「About as much as a hunter’s typical shoulder bag. If you’re using it as a purse, there shouldn’t be any problems, right?」 「I already think it’s too much, but if you’re giving it away then I’ll have it after we’re done.」 With the negotiation complete, time to think of what I should talk about. Since I’m getting something I want, if possible, I want to give Carol information she’d like as well. Rather, because Carol likes doing research, she would probably be much happier if I give her some material she can research on. In that case, since Perla was here earlier as well, maybe I should talk about Jobs and magic power. Besides, there’s something I’m curious about. 「Before we discuss, I want to confirm something about the general perception. Carol, where do you think magic power comes from?」 「... Just from this preface, I already feel like this is going to break the sorcery community. Well, anyway, what’s typically believed is that magic power flows from the heart. However, since there are people that have it slightly off where the heart is, the latest theory is that it’s from a vessel controlling magic power somewhere inside the body.」 As I thought, that is what’s considered to be common knowledge. If it wasn’t, then the information I’m about to share would be worthless and I wouldn’t get the magic bag, so this is good. 「About that, the truth is that it comes from the soul.」 「You sound awfully confident saying that. Normally no one would believe it if you say something that absurd, you know?」 「I’d say both you and I probably aren’t a part of that “normal” though. As for why I’m so confident about it, all I can say is that I had first hand experience myself.」 「I won’t ask you what kind of experience it was. I have a feeling that, if I do, I’d end up having more work to do. However, I do know that you aren’t lying. At the very least, there’s no need for you to tell such a useless lie.」 「Though, if I really hated you so much, I could probably make up a lie or two. After all, it would probably steal so much of your time.」 「If after telling me this much, what you said actually wasn’t true, I’d be at awe.」 Saying so, Carol’s eyes sparkle with excitement. From my perspective, I don’t think that where a person’s magic power comes from would have a significant impact on their ability to use sorcery normally. While I am aware that it can have an impact, our current conversation doesn’t seem to suggest that it would be a major concern. . In spite of experiencing this breakthrough yourself, you don’t really have much of a reaction.」 「Well, from where I left off, it’s not as if anything would particularly change after all. Is it really something to be that excited about?」 「What are you talking about? As long as you know where magic power comes from, it might be possible to draw out more magic power, you know? In that sense, it’ll be at least a direct increase in firepower.」 I was overwhelmed by Carol’s excitement. While it’s true that it should lead to an increase in firepower, or rather output, since I already discovered it pretty early, I don’t really feel the effects myself. Nonetheless, if Carol’s happy about it, then great. Now we can have the magic bag without any weight on my conscience. Still, I’m a bit worried about Carol’s pure excitement. 「I’m glad that you look happy about it but please keep in mind that this information originated from an individual that brought forth a being like me.」 「That’s right.」 Seeing Carol turn calm in an instant is a bit scary. Really, why didn’t she have this composure during our formal match? 「Actually, was it alright to tell me about this?」 「There’s already a noble that knows about this. Even if I didn’t tell you, someone else might discover and spread this information one day. While we’re at it, you might even discover it yourself. So in this case, wouldn’t it be much safer that I taught and warned you about it?」 「That might be true. At the very least, I’d think of being careful about it.」 「Besides, in the event that we’ll be up against said noble, the knowledge of the information could affect the tide of battle.」 「So you’re thinking that this might be a possibility.」 「Who knows? I was simply imprisoned. While I’m somewhat aware of the methods he was using to accomplish his objective, I have no idea what he is trying to achieve. However, it’s an individual that would lock up an infant for years to fulfil his objective and sell her when she’s unneeded after all.」 He’s probably done some other nonsense besides what he did to us but judging from the rumors, there’s nothing on him. While at the pub, I have only asked about superficial topics to avoid drawing attention to my investigation of the Rispelgia household. However, people seem to freely speak about the terrible behavior of the nobles, even without my prompting. As a result, I have already decided on the route I will take to reach the ocean once I leave this town. Carol said 「I’ll bear it in mind.」 as she earnestly nodded, so it would probably be bad if I don’t tell her this as well. 「Come to think of it, I’ve been lecturing Perla just some time ago but don’t you think that she’s quite an interesting individual?」 「... Wait, by magic power comes from the soul, what you mean?」 Just by saying Perla’s name, Carol was shaken up. She really is quick on her head. And based on the anxious tone of her voice, she likely felt that the relationship of Jobs and magic power is a dangerous one. 「From my experience, the two of them are different. However, I can’t say that they have absolutely no influence on each other.」 「I see, you’re right. A cheap magic bag won’t be enough for this information. Are there any other things you’d like?」 「In that case, please keep our conversation a secret and the research that you’ll start based on this discussion to yourself. At least, while I’m still in this country.」 「That goes without saying. There’s no way I can publish this.」 「Then will you still do a study on this?」 「It’s not like I’m doing sorcery research to particularly stand out after all. I’m doing it because it’s fun. I have tons of other private studies besides this one.」 「In that case, I don’t mind if it’s after I leave this country, please tell me about the results in the future. I just turned recently, I don’t have a good grasp on my Job in the first place.」 When it comes to our Jobs, Ciel likely has better control over hers compared to mine. However, if I am able to master mine, it could potentially greatly enhance my abilities. The question is, how many years will it take for me to reach that level of mastery? , that’s right. When we discuss things, it really makes me forget about the concept of age. Once you reach B-rank, call me at the headquarters. I’ll invite you to my house. By then, my work in this country should be done as well.」 「When the time comes, please take care of me. Well then.」 To ensure that I wouldn’t forget it, I made sure to take the magic bag with me as I left the room today.
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それからしばらく、俺は学院に通いながら操糸による身体能力の補助の訓練を続けていた。 初日にいきなり医務室送りになった事を受けて、俺はどうやら周囲に虚弱体質の箱入り娘として認識されたようだった。 「やはりライエル様に大切に育てられてたから......」 「ほら、この間も放課後に音楽室に出入りしていたそうだぞ」 「音楽室?」 「しばらくしてバイオリンの綺麗な曲が流れてきたとか」 「へぇ、さすが英雄の御令嬢は教養が違うなぁ」 なぜかあの日、レティーナが引いたバイオリンが俺の演奏という事になっている。 初年生に音楽はあるが、リコーダーによる基礎技術の習得しかないのが救いだ。もし実際に演奏する羽目になれば、ボロが出てしまう所だった。 修正するのも面倒なので、俺はそれを修正する事無く、自席で編み物を続けている。 この編み物は指先の動きを鍛えると共に、操糸の練習にもなる。 ついでに出来上がったマフラーやセーターはプレゼントしてやれば喜ばれるので、一だ。 そんな訳で我が家にはマフラーやセーターが大量に存在していた。 凝った所だとミトンの手袋なんてのもある。 今編み物をしているのも、コルティナの物欲しそうな視線に負けたからとも言える。 原因は簡単で、気軽にラウムまでやってこれるようになったライエルとマリアが、コルティナに俺の編んだセーターを見せつけて自慢したのがきっかけだ。 無論強要ではないのだが、大家の要請ともなれば、断るのも気が引ける。 おかげで俺は、朝から編み物に励まなければならなくなった。 せっせと編み物に励む俺を、レティーナが珍しそうに見ている。 「失礼な。というか、編み物は別に女性の専売特許というわけじゃないし」 前世でも、人目の付かない所ではこうして指先の鍛錬をしていたし、 ちなみにライエルとガドルス、コルティナにこういう行為は無理だ。 マクスウェルに到っては、針穴や糸目が老眼で見えないので、不可能である。 こうして席に座って編み物していると、周囲のなんだか羨望するかのような視線が飛んで来る。 そう言えば、今はその視線が無いな? 「ところで準備しなくていいのですの?」 そう言われて俺は視線を上げる。 すると周囲には服を脱いだ生徒達がソワソワと待機していた。 「あれ、なんでみんな服脱いでるの?」 男女同じ部屋で脱いでいるのだが、全員十にも満たない年齢なので、全く嬉しくない。 話しかけてきたレティーナもパンツ一丁というありさまである。ウム、下は見事なカボチャだ。 「今日は身体測定の日でしょ?」 「あ、そうだっけ?」 授業内容が文字の勉強とか、国の歴史とか、基本知識の授業ばかりなので、俺は授業を聞き流している事が多い。 俺一人遅れるというのも恥ずかしいので、即座に編み物セットを通学用のきんちゃく袋に詰め込み、スポンと服を脱ぎ放つ。 基本ジャケットとシャツとスカートだけなので、脱ぐのは非常に楽だ。 女性としては少々慎みの無い行動ではあるが、なにせ周囲も俺もまだ子供だ。 更衣室すら用意されてない歳なのだから、羞恥心も持ちようがない。 「そう言えば今日は放課後にも検査だっけ?」 「検査......ああ、この間の」 「うん。精密検査」 俺の精密検査と聞いて、教室内がざわざわとさざめいた。 クラスメイトの女子生徒がおずおずと尋ねてくる。 「あの......ニコルちゃん、身体悪いの?」 「んー、ちょっと疲れやすいから、一度調べてみようという事になってね」 胸の前で手を組んで、全身で心配してますって言うオーラが出ていて、子犬みたいな印象の子だ。 「えと、ゴメン。名前――」 「あ、そうだよね。まだ自己紹介してなかったし。わたしはマチス・ホールトンって言って、ホールトン商会の娘」 「ああ、あの」 このラウムでも結構大きな商会だ。前世でもこの国を訪れた時、俺も何度か世話になった事がある。 そうか、娘という事は当時のあの若頭の娘なのか。 「じだいを感じる」 「気にしないで。心配してくれてありがとう」 俺は彼女に右手を出して握手を求める。彼女もおずおずとその手を握り返してくれた。 ふむ、肌が白くてぷにぷにしてて、将来有望そうで大変よろしい。今は俺の好みから大きく外れているが。 「あの、お友達になってもいい?」 「もちろん。わたしはミシェルちゃんって子しか友達がいなかったから、うれしい」 「ちょっと、わたしは!?」 後ろでギャイギャイ騒ぎ出したレティーナはスルーだ。お前はどちらかというと、面倒な子分。 そこへ勢いよくドアを開いて、コルティナが乱入してきた。 「よっし、諸君。準備はきちんとしたようだね。そいじゃ身体測定に行ってみよう!」 「コルティナ先生、なんでそんなにテンション高いの......」 「女子はきちんとバストサイズを私に報告する事」 「いや、まだおっきくなってないし」 「男子諸君は今のうちにじっくり見とくんだぞ。将来は見たくても見れないんだから」 コルティナの問題発言の直後、クラスの男子生徒の視線が一斉に俺に向かって集中した。 さすがにその感触に全身鳥肌が立って、思わず胸元を隠してしまう。 「......コルティナ、余計なこと言わない」 「あはは、ごめーん」 相変わらず戦時以外は騒々しい奴だ。 俺は溜息を吐きながら、身体測定の場に向かったのである。
From then on I went to school while using my thread manipulation to reinforce my body and kept exercising like that. After being sent to the infirmary on the first day so suddenly, it seems I’ve gained a reputation as a frail sheltered girl. “Lord Lyell raised her too carefully after all...” “Hey, I’ve seen her frequenting the music room after school.” “The music room?” “A short while later you could hear a beautiful violin ring out.” “Ohhh? As you’d expect, the hero’s daughter is quite refined.” Somehow the violin performance Letina gave that day was accredited to me. As first years, our musical education only got as far as learning the basics of a recorder, if I tried to play it’d just be a mess. Fixing each of these misunderstandings would just be a pain, so I didn’t. I just kept knitting in my seat. Knitting helped increase my dexterity with my fingertips, thus it was effective training for my thread manipulation. Anyways, the scarves and sweaters make good gifts, so it’s killing two birds with one stone. Therefore, there’s a ton of scarves and sweaters laid out around the house. There are even mittens in some of the more elaborate spots. Well, you could say the main reason I’m knitting right now is cause I lost to Cortina’s greedy gaze. The cause was pretty simple, thanks to Lyell and Maria showing up suddenly and bragging to Cortina about them, she suddenly decided she wanted one too and pressured me into making her one. Of course, she’s not extorting it from me, but it’s hard to decline a request from your landlord. Thanks to that though, I’ve been stuck knitting since the morning. Seeing me diligently knitting at my desk, Letina gave me a curious look, “How strange, seeing you do something so lady-like.” “How rude. Or rather, knitting isn’t especially a feminine thing.” Even in my previous life, I’d always work on training my dexterity like this outside the public eye, mainly mending clothes along with Maria. By the way, this is beyond Lyell, Gadius, and even Cortina. Maxwell can’t even thread a needle with his presbyopia so it’s not feasible for him either. Meanwhile, the whole time I’ve been sitting here knitting I feel like everyone’s been eyeing me enviously. Speaking of, for some reason they don’t seem to be looking right now? “By the way, do you not have to get ready?” “Huh? What do you mean?” Hearing her say that, I looked up. That’s when I realized everyone was restlessly changing out while waiting. “Uh... Why is everyone changing clothes?” Boys and girls are changing in the same room but they’re all under so it’s not a big deal. Letina who came over to talk was just wearing her underpants. Yup, they were a splendid pair of pumpkin shorts. “Today’s the day of the physical isn’t it?” “Oh, was it?” The content of our lessons were just general education, history of the country, and studying the alphabet, so I often ignore class, I might’ve skipped any mention of a physical as a result of that. I didn’t want to be the only late one, so I quickly put up my knitting equipment into my bag and started changing. It’s pretty easy since it’s just a jacket, shirt, and skirt. For a girl, it’s a slightly immodest behavior but I’m a kid anyway. Since we don’t even get a changing room at this age, I’m not worried about it. “Speaking of, don’t you have your examination after school today?” “Examination... Oooh, from the other day.” “Yeah. The complete physical.” After hearing about me having a full checkup, the other students started getting noisy. The girls started approaching nervously to ask me about it. “Ummm... Nicole, are you unwell?” “Err... I get tired easily, so we decided it would be a good idea to get checked out at least once.” She had a worried aura standing in front of me with her hands joined together, she looked like a little puppy, but not the cheerful kind like Michelle, more like a spoiled pup. “Um... Sorry, what was your name...?” “Ah, right. I haven’t introduced myself yet. My name is Matisse Holton, daughter of the Holton group.” “Oh, them.” They’re a big company in Raum. I relied on them several times in my previous life when I visited the country. I see, this is the daughter of the young master’s daughter from back then. “Feels like so long ago.” “Oh, don’t worry. Thank you for your concern though.” I offered her my right hand for a shake, she timidly reciprocated. Hmm, her pale white skin was soft, she shows great promise but for now she’s out of my strike zone though. “Umm, is it fine if we become friends?” “Of course. I’d be glad, my only friend so far has been Michelle?” “Hey, and me?” Letina started kicking up a fuss behind me. If I had to say, I consider you a troublesome henchman. At this point, Cortina busted through the door. “Alright, you guys. Looks like you’re good and ready. Let’s go take your measurements now!” “Miss Cortina, why are you so hyped...” “I’ll be sure to properly take you girls’ bust sizes.” “No, I’m still not that big.” “You boys better get a good look now while you can, you won’t get a chance in the future.” And immediately following Cortina’s statement all the boys’ eyes converged on me. As expected, their gaze caused me to break out in goosebumps and I reflexively covered my chest. “...Cortina, don’t say unnecessary things.” “Ahaha, my bad.” She’s as noisy as ever, except when she’s on the battlefield. We started moving towards the place we’d get our physicals as I heaved a sigh.
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時が過ぎるのはとても早い...... 気が付けば木々が青々とした葉を付けていた夏は過ぎ去り、赤や黄色に葉を染め上げる季節である秋が間近にまで迫って来ていた。 「ぶっちゃけもうこっちに来てから何日過ぎたのかも分かんなくなってきたなぁ」 俺は毎朝の日課であるラジオ体操を終えると今日は何をするかを考える。 この数週間、俺は拠点の改修を行ったり、燐光を操ったり、量を増やしたりする特訓を繰り返していた。 まあ、他にも色々とやってたけど。 「とりあえず拠点は多少見れる姿になったよな」 で、その結果として俺の肉体強化のレベルはこの森にある木ならだいたいの木を素手で加工できるようになり、それに伴って拠点は以前の風が吹けば倒れそうな物から丸太を組み合わせて作った箱の様なとりあえず見れる程度にはまともな形になっている。 いやー、自分の手で掘ってみて初めて分かるけど日本の継ぎ手技術は凄いね。そう言うのがあるってのを知ってたおかげで多少の試行錯誤と練習でここまで作れたけど本当に大変だった。 後、最初の拠点は2週間ほど前にあった大雨の日に倒壊した。何となく嫌な予感がして森の中に避難してたから何の問題も起きなかったけど。 それで個人的にはこんなほったて小屋だけじゃなくて色々な設備を併設したい所なのだが、知識も技術も必要性すらも無いので拠点の拡張工事停止中である。 今、柵とか立てても邪魔なだけだしな。 「狩りは......狩るなら猪ぐらいだけどまだいくつかなめし作業が終わってないからなぁ」 次に皮のなめし作業だが、こちらも試行錯誤を重ねることで最初の物と比べれば徐々にいい物に仕上がって来ている。 まあ、一回でも水に濡れるとガッチガチに固まったりするからまだまだ試行錯誤を重ねないといけないけどとりあえず拠点の中に敷いたり、入り口にかけて暖簾代わりにするぐらいは出来てるからその辺は良いとしよう。 問題はあの猪は遭遇したら倒すしかないせいでどんどん戦利品である皮と牙が貯まっていくことなんだよねぇ。数日につき一頭は狩っているのにまるで数は減らないし。 ま、最低限肉と脂を削いで乾燥させとけば問題なさそうだから今日の所は放置でいいか。 ちなみにこの森には猪以外にも勿論鹿や狸、狼などの動物がいるのだが、まあそれはさておいておく。今話してもしょうがない。 「となると今日も修行と研究だな」 と言うわけで今日やる事を決定した所で全身に光を巡らせて素早く【ガストブロー】を繰り出したり、【オーバーバースト】......燐光を放っていた物体に大量の光を流し込んで爆発させる技の練習も兼ねつつどのぐらいの量の光を流し込んだらどうなるかを研究したりする。 ちなみに現在の所【ガストブロー】は休憩無しでも日に20~30発は撃てるようになったし、威力も鳥やネズミぐらいならそれだけで倒せる程度には威力が上がっている。 また、【オーバーバースト】についても不本意ながら爆発させるのに効率のいい流し方とか、小さい物体よりも大きな物体の方が許容量が大きく爆発させた際の威力が大きいことなどが分かっている。 「ただ、これ以上の魔法っぽい現象はまだ起せてないんだよなぁ......」 俺はギリギリ爆発しない程度の光を猪の牙に流し込むが、猪が生きていた時の様に牙が鋭くなったりはしない。 そして光を留めることを止めると緑色の燐光が勢いよく牙から出ていくだけでそれ以上は何も起きない。 「うーん。色の違いとかか?」 俺は猪の牙からは俺が放っているような緑色の燐光ではなく、赤色の燐光が漏れ出ていたことを思い出す。 仮に色の違いが原因で効果を発揮しないと言うのならば、動物系の素材を扱う場合には流し込む光の色を変える手段を考えないといけない。 「でもそうなると植物系の素材がまるで爆発しない理由にもなるか......ふん!」 俺は近くに生えていた緑色の燐光を放っている適当な草を引き抜き、それにありったけの光を流し込む。 が、動物系の素材なら確実に爆発する量の光を流し込んでもそしらぬ様子で草はただ流し込まれた燐光を放出すると元の状態に戻ってしまう。 「ぐぬぬ......これは俺の修行不足と見るべきなのか。根本から何かが間違っているのか......まあ、諦める気は無いが」 俺は草を拠点の中の素材を集めている場所に置くと、どうにかして身体から放っている燐光の色を変えられないかと試行錯誤する。 具体的には奇妙なポーズを取って光を集めたり、ちょっと歌いながら光を集めたり、普段は集めないような場所に光を集めたり、ひたすら「色よ変われー」と念じながら集めたりする。 「ふぅふぅ......よし!」 で、その結果としていくつかの連続した動作を行いながら特定の色に変える事を念じる事で、極々僅かな量ではあるが、緑色の光を黄緑色にすることに成功する。 「それじゃあ早速......」 そして改めて黄緑色混じりの光を草に流し込むが...... 「駄目か」 やっぱり駄目だった。まあ、絶対量が少なかったからしょうがないだろう。今回に関しては色が変えられることが分かっただけでも僥倖だ。 とりあえず、今後は朝のラジオ体操ついでに色変えの特訓も追加だな。 今はとにかく知識が欲しい。魔法っぽい何かを使えるようになるために!
The time passed so swiftly... By the time he registered it, the summer season with its lush green foliage had drifted away, and autumn, the season of shades of red and yellow, was just around the corner. “To be honest, I don’t even have a clue how many days have passed since I landed in this world.” After completing his morning routine of radio calisthenics, he mused about what he would do today. Over the past few weeks, he had been training to renovate his base, manipulate phosphorescence, and raise the amount of phosphorescence. Well, I have been working on other things, too. “At any rate, the base is now somewhat presentable.” Consequently, thanks to the level of his physical strengthening, he was able to process most of the trees in this forest with his bare hands, and his base had shifted from something that might collapse if the wind howled, to a decent-looking structure like a box made of logs. Well, the Japanese carpentering technique was astounding. I only realized this when I dug it with my own hands. Having known that such a technique existed, it took me a little trial and error and practice to get this far, but it was really laborious. Also, the first base of operations collapsed on a day of heavy rain about two weeks ago. For some reason he had a bad premonition about what might happen that day, so he took shelter in the forest, which didn’t pose any problems. So, while he personally would like to add various facilities to the base, he didn’t possess the knowledge, skills, or even the necessity to do so, so the expansion of the base was on hold. Even if a fence were to be erected now, it would only serve as a hindrance. “As for hunting... the only thing I’d like to hunt is boar, but I haven’t finished tanning some of the hides yet.” The next step was the tanning of the hides, which, through trial and error, were gradually becoming better and better than the first ones. Well, if it gets wet even once, it can harden up stiffly, so there is still a lot of trial and error to be done, but for now, it is good enough to be used as a curtain inside the base or hung over the entrance. The problem with those boars was that whenever he encountered one, he had no choice but to kill it, leaving him with an ever-increasing amount of skins and tusks as spoils of war. Although he has been hunting one boar every few days, the number of boars has not been decreasing. However, if the meat and fat were scraped off and dried at least, there would be no problem, so for today, it would be good to leave it alone. Incidentally, there were deer, raccoon dogs, wolves, and other animals in this forest besides boars, but that was beside the point. There would be no sense in talking about it now. “Then today is another day of training and research.” Therefore, after deciding on what to do today, he quickly performed [Gust Blow] by circulating light throughout his body, and also researched and practiced [Overburst]... a technique of injecting a large amount of light into an object that was emitting phosphorescent light and causing it to explode. At present, [Gust Blow] can now fire to shots a day without a break, and its power has increased to the degree that it can take down a bird or a mouse by itself. Furthermore, it was discovered that [Overburst] can be used more efficiently to detonate large objects than small ones, and that larger objects were more powerful when detonated given their larger capacity. “However, I haven’t been able to create any more magic-like phenomena yet...” The light that he poured into the boar’s tusks was just barely strong enough to keep it from exploding, but it didn’t make the tusks as sharp as they had been when the boar was alive. And once the light had ceased to stay, the green phosphorescence would simply flow out of the tusks at a brisk pace, and no further events would take place. “Yeah. Maybe it’s the color or something?” From his memory, he recalled that red phosphorescence was leaking from the boar’s tusks, not the green phosphorescence that he was emitting. If the difference in color was the reason for the ineffectiveness, then a means of shifting the color of the light being poured in would have to be considered when dealing with animal-based materials. “But then that would also explain why plant-based materials don’t explode as if they were... hmm!” When he pulled out some suitable grass that was growing nearby and emitting green phosphorescence, he poured as much light as he could into it. However, the grass simply reverted back to its original state after releasing the phosphorescence that was injected into it, seemingly unaffected by the amount of light injected into it, which would surely explode if it were made of animal material. “Gununu... should I regard this as a lack of my training? Am I doing something fundamentally wrong... well, I’m not going to give up though.” Once he placed the grass in the area where he was collecting materials in his base, he tried to see if he could somehow change the color of the phosphorescent light emitted from his body. More specifically, he gathered the phosphorescent light by striking strange poses, singing a little while drawing in the phosphorescence, directing the phosphorescence to places where he would not normally gather it, or chanting, “Let the color change!” “Fuufuu... okay!” And as a result, by making a few consecutive movements and remembering to change the light to a specific color, he succeeded in turning the green light to yellow-green, albeit in a very small amount. “Then, I’ll get right to it...” He then poured the yellowish-green mixture of light into the grass again, but... “I failed huh.” After all, it was no good. Well, I guess the amount of light was not enough. It was fortuitous that I could change the color of the grass this time. From now on, I should add how to change colors to my morning radio calisthenics in my training. Anyway, I wish I had more knowledge now. To be able to use something magical!
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「では、第4の試練を始めるぞい!」 翌日、第4の試練は早朝からスタートした。 仙人が言い渡した試練は『マッハマグロ』2匹の討伐。 このモンスターは特にレアというわけではなく、ある程度沖合に出れば簡単に見つかる。 しかし、攻撃を仕掛けるとすごいスピードで泳ぎ始める。 ただ逃げるわけではなく、動き回りながら突進で攻撃してくる。 威力はさほどでもないが、どんな攻撃も積み重なると危険だ。 動きながら攻撃も仕掛けてくる敵にどう対処するのか......という試練だが、まあ問題ない。 突進を仕掛ける時、マグロは俺に向かって真っ直ぐに泳いでくる。 】当てやすいのはそのタイミングだ。 攻撃する時こそ、もっとも防御がおろそかになる時だ。 無事2匹の『マッハマグロ』を討伐し、仙人に報告した。 仙人はまた驚いた顔をして言った。 「お前さんにとってはこういう試練の方が向いているようじゃな......」 ◆ ◆ ◆ 第5の試練も海中のモンスターとの戦いだった。 相手は『デビルヒトデ』。その名に恥じない毒々しい色の巨大ヒトデだ。 彼らは俺の足元に広がるサンゴを求めて、360度全方位から迫ってくる。 そう、今回は防衛ミッションだ。 ヒトデたちから10分間サンゴを守りきればいい。 射程極振りスタイルが防衛にて最強なのは証明済みだ。 迫りくる無数のヒトデをバシバシと狩っていく。 「せっかくだし、使えるようになった海弓術も使っていこうかな」 】だけでも問題なさそうだが、せっかく7つも型があるのだから有効活用していかないと7つも考えた人に申し訳ない。 放たれたのはスローな矢。 まるでクラゲのようにゆっくりと海の中を進んでいく。 】と呼ばれる理由はそれだけではない。 注目すべきは矢の後ろから伸びている細長い光のオーラだ。 しかも、この触手の長さはプレイヤーの射程ステータスによって決まる。 【不動狙撃の構え】が発動していれば、1キロメートル以上の触手が海の中を漂うことになる。 もはや罠を設置するような感覚だ。 ただ、明確な弱点がいくつかある。 まず脆いこと、そして流されやすいこと。 プレイヤー相手だとスキルで簡単に対応されてしまうだろう。 でも、今回みたいにただ突っ込んで来るだけのモンスター相手には重宝する。 デビルヒトデたちはどんどん『毒』状態になり、そのHPをじわじわ削られていく。 「元から毒々しい色しているから、もしかしたら耐性があるかと思ったけど......効いて良かったな」 状態異常は強力だが、モンスターによっては耐性を持っている場合がある。 使いどころには気をつけないといけない。 何はともあれ、弱ったデビルヒトデを殲滅して第5の試練もクリアだ。 これは後で知ったことだが、本当にサンゴを食い荒らすヒトデって存在するんだな......。 海底に大の字で寝ころんでるだけのイメージだったから驚いた。 ◆ ◆ ◆ 第6の試練もやはりモンスターとの戦いになる。 『アックスヘッドシャーク』という名前だけで関わるのを避けたくなるモンスターの巣からタマゴを持ってこいというのが今回の試練内容だ。 先ほどと打って変わって、俺が移動することを求められる。 アックスヘッドシャークはその名の通り、頭が斧のようなサメだ。 この斧のような頭部は非常に硬く、弱点を守る兜にも、敵を倒す武器にもなる。 これが何匹も巣の周りをぐるぐるしている。 「まずは遠くから数を減らすか......」 あの群れの中に突っ込んだら全身を切り裂かれて終わりだろう。 卵を獲得するには巣に近づかないといけないが、敵を倒すのは遠くからでいい。 上顎が鋭く伸びた大型の肉食魚カジキをモチーフにしたこのスキルは、そこそこ高威力でそこそこ速いという非常に素直で使いやすい効果を持つ。 これでアックスヘッドシャークの頑丈な頭を砕き、数を減らしていく。 サメたちは俺が敵であると認識し、一斉にこちらに向かってくる。 流石に泳ぎが速い。接近する前に全滅させることは出来ないな。 「一の型・ 縦横360度すべてに小さな矢を飛ばすことが出来る。 しかし、一本一本の威力は低く、【インファイトアロー】のように射程が短い。 あくまでも接近してくる敵を一時的にひるませる技で、キルは狙えない。 しかし型と組み合わせると途端に凶悪になる。 「五の型・ 言わずと知れた海の王者をモチーフにしたスキル。 俺が何らかの手段でダメージを与えた敵をホーミングする効果を持つ。 ダメージを与えた後じゃないとホーミングしないところが、血の匂いを嗅ぎつけて寄ってくるサメの習性を上手く効果に反映させていて素晴らしい。 ちなみにダメージを与えた後でも、そこから30秒以上経つとホーミング出来ない。 また、【鮫】のダメージで【鮫】のホーミング効果は発動しない。どこまでもホーミング出来てしまうからな。 他の方法で新たにダメージを与える必要がある。 【針千本】で与えた微々たるダメージに導かれ、サメと化した矢がサメを襲う。 もちろんサメの名を冠するスキルだけあって威力も高い。 それでも仕留めきれなかった数匹は噛みつかれそうになりながら【 これで残る試練は一つ......! 「ついに最後の試練じゃな。最後は海溝の底に存在する『 「海溝の底......ずいぶん深いところですね」 「なに、大したモンスターは出てこんわい。ただ......暗いので苦手な者は苦手じゃろうな。仲間と組んで挑むとよい」 「仲間ですか......」 俺以外に海弓術の試練を受けている人はいるのだろうか......と思っていたら、仙人はその疑問を見透かしたように言葉を付け加えた。 「この試練で拾ってくる『海神石』は、とある人物に地図を描いてもらうために必要な材料なのじゃ。砕いて特殊な液体で溶けばインクになるらしい。お前さん以外にも海溝に潜る者はおるぞ。地図を埋めるためにな。お前さんも地図を埋めたいなら、今回の試練で手に入れた『海神石』を使うとよい。ワシには見せるだけでよいからな」 まさか地図を埋めるための方法まで教えてくれるなんて......。 頭を下げてから俺は試練の海溝に向かった。 仙人の言う通り、海溝の近くにはたくさんのプレイヤーが集まっていた。 でも、よくよく考えるとおかしな状況だな。 目的である『海神石』は海溝の底にあるはず。 こんなところで集まっていても意味が......。 「あぁ......そういうことか」 海溝は徐々に深くなっていくのではなく、大地に走った亀裂のようにパックリと口を開けていた。 ここに入っていくには、水中とはいえ崖から飛び降りるような勇気が必要だろう。 それに底は見えない。完全な真っ暗闇だ。 流石に俺もこれには怖気付いてしまう。 他のプレイヤーも同じのようで、ソロの人は即席でパーティを作っている。 なんでも、1人のプレイヤーが拾える『海神石』は1つだが、4人パーティを組んで味方が3人やられている場合は自分と仲間の分、つまり4つの石を拾えるようになるらしい。 誰か1人でも生き残って街に帰れば、みんなに石を渡すことができ全員でクエストを完了できる。 こんな場所に何度も潜りたくはないし、パーティを組むのは合理的だな。 ということで、俺の顔を見てすぐに声をかけてくれた3人組とパーティを組む。 みな第2職で水中用の装備を揃えている。 「じゃあ、行きましょうか」 4人で広がる闇の底へ。 すると、俺を含めたプレイヤーの周りに発光するクラゲが現れた。 これで闇の中でもお互いの顔くらいは認識できるようになった。 「まさか、あのキュージィさんとパーティを組むことができるなんて!」 「私、戦闘苦手なのでお世話になりますね!」 「俺は水中戦が得意だから背中は任せてくれよな!」 本当に有名になってしまった。 謙遜しつつ素直に礼を言う。 実際、こんなに暗いと当てるべき敵も見えないから俺の矢も......。 「あ......!」 暗闇の中に赤い流星。 昨晩見た赤い光そのものだ......! しかも、今回は何度も何度も俺の目の前に現れる。 「みなさん、気を......」 ......やはり、俺はこうなる運命なのか。 もう周りには誰もいなくなっていた。
“Now, the th trial begins!” The th trial began early the next morning. According to the sage, I was to kill two ‘Mach Tuna’. This monster was not particularly rare, and could be found easily if you went offshore a little. However, they will start swimming at a tremendous speed once you attack them. And they didn’t just run away, but they would attack you by charging. The attacks weren’t that powerful, but any attack can be dangerous if you get hit enough times. So, how to deal with an enemy that is constantly moving as it attacks you... That was the issue. And it was easy enough. When charging, the tuna had to swim straight towards me. Their defenses would be at their lowest right before an attack. And so I succeeded in hunting the two Mach Tuna, and reported to the sage. He looked surprised. “It seems that you are quite good at these sorts of trials...” ◆ ◆ ◆ The th trial was also a battle with a sea monster. It was called a Devil Starfish, and true to its name, it was a giant starfish with a poisonous color. It would attack me from every side, trying to get the coral at my feet. Yes, it was a defense mission. I had to protect the coral from the starfish for minutes. And I already knew that being a dedicated archer was a good fit for defending. And so I shot the starfish down, one after another as they attacked. “Well, it would be a waste not to use my new Sea Bow Arts as well.” I would have no problem if I just used Harpoon, but since there were forms, I thought that I should use them. After all, someone had gone through the trouble of creating them. The arrow that was unleashed was slow. It moved in the water like some kind of jellyfish. But that wasn’t the only reason that it was called that. There were thin, long streaks of light that stretched from the back of the arrow. Not only that, but the length of the tentacles was affected by the player’s range. That meant that if ‘I mmobile Sniping Stance’ was activated, a kilometer long tentacle would be floating in the water. So it was much like setting a trap. However, there were clear disadvantages as well. First, it was weak. And easily pushed away by the current. If you used it against players, they could easily deal with it by using skills. Still, it would be valuable against monsters like this one, who just charged at you. And so the Devil Starfish continued to get poisoned, and their HP carved away. “Because of their color, I had wondered if they would have high poison resistance... But I’m glad that they didn’t.” While it was powerful, there were other monsters who did have resistance. And so I would need to be careful with how I used it. In any case, I killed off the weakened Devil Starfish and finished the th trial. I learned later that there really were starfish that ate coral... Which was surprising, as I just assumed that they just lay around on the ocean floor with their arms stretched out. ◆ ◆ ◆ The th trial was also a battle with monsters. This time, I was supposed to steal an egg from the nest of ‘Axehead Sharks.’ Just the name made me want to stay far away. And unlike the previous fight, I would be the one who was moving around. Just as the name implied, these sharks had heads that were shaped like an axe. And the heads were very hard. It acted both as a protection for the rest of the head, and also a weapon to defeat enemies. And there were several of them circling the nest. “I guess I should pick them off from far away first...” If I charged into them now, they would shred me into pieces. I had to get close in order to steal the egg, but I could kill the enemy from a distance. This is where my range came in handy. The skill was based on the marlin. A large, carnivorous fish with a sharp and extended upper jaw. It was decently powerful and fast. But most importantly, easy to use. And with it, I smashed the tough Axehead Sharks’ heads. The sharks recognized me as an enemy, and moved towards me at once. Unsurprisingly, they could swim very fast. And I wouldn’t be able to kill them all before they reached me. “Form One. Thousand Needles!” It allowed you to shoot small arrows in every direction at once. However, each one only did a little damage. And like In Fight Arrow, its range was also short. It was just something to stagger enemies that were coming closer, and not something used to kill. However, it became much more when combined with Form Five. “Form Five. Shark!” This skill was combined with the king of the sea. And it homed in on any enemy that I had damaged. This was its way of mimicking the way that sharks could smell blood and were lured towards it. But the homing effect ended if 30 seconds had passed since you damaged the enemy. Furthermore, the homing effect wasn’t activated by damage dealt by the sharks. Otherwise, it would never end. I would have to use a new method to deal damage. And so the arrows that had turned into sharks attacked the enemy that had been hit by ‘Puffer Fish.’ Of course, this skill was named after sharks, and was suitably powerful. Still, there were some that managed to survive. And as they tried to bite me, I killed them with Harpoon. After that, I succeeded in taking their eggs from the nest. Now there was only one trial left...! “Now it’s finally the last trial. You will have to acquire the ‘Sea God Stone’ from the bottom of the ocean trench.” “The bottom of the ocean trench...that sounds very deep.” “Bah, the monsters there aren’t too impressive. However...it’s very dark. And some people can’t handle that. You would do best to go with some friends.” “Friends...” Were there other people doing the Sea Bow Arts trials now...? But the sage quickly continued as if he knew what I was thinking. “The Sea God Stone is a material you will need in order to have a certain person create a map. Apparently, it can be crushed and melted in a special liquid in order to make ink. And yes, others are diving into the sea trench as well. In order to fill in the map. If you wish to fill in the map as well, you should use the Sea God Stone that you acquire. After all, you only need to show it to me to pass the trial.” I didn’t expect him to tell me how to fill in the map as well.. And so I bowed and then headed for the sea trench. Like he said, there were indeed a lot of other players gathered nearby. But it was rather strange once I thought about it. The Sea God Stone was at the bottom of the sea trench. So there was no point in gathering around here... “Ah...so that’s why.” The sea trench didn’t become deeper gradually. It was like a tear that ran across the ground. And while it was under water, it took some courage, like jumping off of a cliff. You couldn’t even see the bottom. It was completely black. Even I was intimidated by it. The other players were the same, and those who were solo wasted no time in joining parties. While each player could only pick up 1 Sea God Stone, you were able to take the stones from fallen comrades. In other words, if you were in a party of four and three of your comrades died, then you would get 4 stones. As long as that person survived and returned to town, then the stones could be given to the other players, and they could all complete the quest. No one would want to dive down here multiple times, and so joining a party seemed like the best idea. And so I agreed to join the three players who saw me and immediately asked me to join. They were all 2nds and had aquatic equipment. “Now, let’s go.” And so the four of us dove down in the shadows. Then I and the other players were surrounded by glowing jellyfish. They were bright enough that we could see each other’s faces. “I never expected to be in a party with the famous Kyuji!” “I don’t like fighting, so I’m counting on you!” “I’m good at fighting in the water, so I can protect your back!” I really had become famous. While remaining humble, I thanked them. But it was so dark down here. If I couldn’t see the enemy, then my arrows wouldn’t... “Ah...!” There was a red shooting star in the darkness. It was the same one I had seen last night...! Not only that, but it appeared multiple times. “Everyone. Be care...” ...Perhaps this was fate after all. There was no one around me now.
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そして 素晴らしい皆さんや これまでのTEDトークを 私が締めくくるなんて 本当に光栄です いろんな意味で 共感が持てる話がありました エクアドルの熱帯雨林の奥地から 直接ここに来ました 飛行機じゃなければ たどり着けない場所で 顔には絵の具 頭には羽をつけた 先住民がいる場所です 彼らは石油会社の侵略や道路建設計画から 森林を守ろうと頑張っています 汚染されていない きれいな森林の中で 自らの暮らしを発展させていこうと 闘っているのです 私が驚いたことでもあり この場にぴったりだと感じたのは その熱帯雨林の真ん中に その地域 初の ソーラーパネルがあり 女たちが 水汲みに行かなくて済むよう 水用のポンプに使用されています 浄化水を得る以上の電気が得られるので 蓄電しています たしか8世帯ある この小さな村では 毎晩30分ほどだったと思いますが どの世帯も電気が使えるのです 装飾をまとった酋長はノートパソコンを持っています この酋長は外にも出たことのある人で こう言うんです ”いきなり新しい時代に突入しちゃったね 50年前なんて白人の存在すら知らなかったのに 今じゃ パソコンを持つようになった 現代の世界から学びたい事は幾つかある 健康管理について知りたい 他の人のライフスタイルにも興味があるし 外国語も習いたい 英語 フランス語 できれば中国語もね 語学には自信があるんだ” こんな感じで 酋長はパソコンを持ちながら エクアドルが抱える負債が原因で 世界銀行やIMFからの圧力や 熱帯雨林の石油を搾取しようとする者からの 圧力と闘っているのです そんなわけで そこから直接やってきました しかし 私が専門とするのは もっと違った文明社会にあります 文明社会と呼ぶには適切ではないかもしれませんが 異なる生活の仕方や存在です 先ほどウェイド ディビスが世界中の異なる人間文化の 素晴らしい話をされましたが 世界は人間だけで構成されているのではありません 動物たちもいます 私が世界中で常にしていることですが この場でも動物の声に耳を傾けてみませんか 写真や映画は良く見かけますが 動物の声にも意味が込められています ですからタンザニアの森に住む チンパンジーの挨拶をお届けします (チンパンジーの声) (拍手) 私は1960年からタンザニアでチンパンジーの研究をしています それから今に至る間 現代の技術で フィールド生物学者の 研究方法が一変しました 数年前に初めて行った例ですが チンパンジーの糞を採取するだけで DNA分析し 個人識別ができるようになりました おかげで 初めて 各チンパンジーの 父親が特定できるようになりました 不特定多数のメスと交尾するからです これは全く新しい研究手段です そして地理情報システムを利用し チンパンジーの行動範囲を追っています この種のものは私の専門ではありませんが 衛星を通して この地域の 森林破壊を観察しています 赤外線も便利になりました 夜間に動物の観察ができるし ビデオの性能も良くなり 機材も軽くなり 質も向上しています ですから研究を始めた1960年に出来なかった- 様々なことが今では可能になりました チンパンジーや他の脳が大きい動物の 高次認知機能を 飼育して研究する際には特に 現代の技術が役立っています 今では認められている彼らの能力も 60年代には科学で 絶対に不可能とされていました 研究所にいる一番賢いチンパンジーは 日本にいるアイだと思います 愛という意味です アイには感受性豊かなパートナーがいます アイはコンピュータが大好き 仲間や水や木よりも 好きなんです コンピュータの前に座ると ゲームをする子供のよう ちなみに28歳で タッチパネルの操作は 大多数の人間よりも素早いのです 詳しく伝える時間はないのですが 非常に複雑な課題もこなし 間違えることを嫌います ゲームで高得点が取れないと 実験者がいる部屋のガラスを トントン叩くのです もう一度やらせて とね 既に20分ほど のめり込んでいながら 少しでも良く出来たという満足感のために 最初からやり直したいのです 正解に対するご褒美はレーズン1粒ですが それはアイにとって重要ではありません 事前に言えばご褒美なしでもゲームをします コンピュータを使うチンパンジーですよ! チンパンジー ゴリラ オラウータンは手話も習得します 私が初めてゴンベに行ったのは1960年で 昨日の事のように鮮明に覚えています 初めて野生に足を入れた当時は チンパンジーも警戒していました あまり恐れないのも いましたけどね アリ塚を覆う暗い影が見えたので 双眼鏡で覗いてみたところ なんと 雄チンパンジーのデイビットでした 余談ですが 当時は名前をつけずに 番号をつけるのが普通でした さておき デイビットですが 草を引っこ抜き それを使って巣にいる アリを捕まえていたんです さらにデイビットは小枝を拾っては 葉を取り除いていました 特定の目的に合わせて 物を修正するのは 道具づくりの始まりです その当時 飛躍的な前進として 感激した理由は 道具を作り― 使うのは人間だけだと思われていたからです 私が学生の時 ヒトの定義は道具を作ることでした わが師 ルイス リーキーが言ったんです ”ヒトと道具の再定義をするか― チンパンジーをヒトと見なさなければ” 現在ではゴンベだけで チンパンジーが道具を 目的別に9通りの使い分けをすると確認されています さらに チンパンジーの研究がされている- アフリカの他の地域においても 道具を使う全く別の習性が確認されています これらのパターンは世代から世代へと 観察 模倣 実践を通じた継承に見えますが それはヒト文化の定義です 40年余りにわたって 私を含む研究者が チンパンジーと他の類人猿 そして複雑な脳と 社会システムを持つ他の哺乳類を 研究して得たのは 結局のところ 人間と他の動物界を隔てる 明白な線は無いということです 非常に曖昧な線なのです 人間のみの能力と 傲慢にも考えられていたものが 違うとわかるたびに境界線は更に曖昧になります 時間の関係上 すべては語れませんが チンパンジーは母親と一緒に寝る- 乳児期が5年あり 更に3~5年は 次の子が生まれても感情面で母親に依存します 行動が柔軟な時期の学習は大切 しかも彼らの社会は学ぶことがいっぱい 長い幼少期を通じて育む― 母や兄弟姉妹との 愛情深い絆は 一生続いていきます 寿命は60年になることも 飼育されている場合は60年以上です 私達は研究を始めてまだ40年 チンパンジーは思いやりがあり利他的行動をとります 彼らの豊富な非言語コミュニケーションでは 多岐に渡って音を使い分けます 触ったり身構えたり ジェスチャーも使います キス 抱擁 手つなぎ 背中をポンと叩く 威張り歩く こぶしを振り回す 人間がやるような事をして その脈絡も同じです 仲間同士の協力も高度です 時に狩りをしますが チームワークは大したもので 捕った獲物も分け合います 人間同様に喜び 悲しみ 恐れ 絶望といった― 感情を持ち合わせ 精神や肉体面の苦しみも わかっています 時間の関係で 詳しくは話せませんが トップクラスの大学では学生が 動物の感情や性格を勉強しています チンパンジーや一部の動物は 鏡に映る姿を自分と認識できます 彼らはユーモアを解し それは もはや人間のみの特権ではありません これはチンパンジーのみならず 地球に共存する― 他の動物に対する敬意を 我々は教えられているのです 人格 心 感情を持つのは 人間だけではないと認めたときに 知覚力を備えた賢い生き物を 人間が利用し 悪用していると気付き始めるのです 私は非常に情けなく感じます やるせないのは 他の生き物以上に 謙虚さ を教えてくれたチンパンジーが 急速に野生から消え去っていること それには理由があり 周知の事実でしょう 森林破壊や人口増加に伴う土地開発 材木産業の皆伐でチンパンジーが 消えつつあります 大手多国籍企業が石油や材木目当てに 道路を開発したのが原因でチンパンジーがアフリカの 生息地域中心部から消えており エクアドルや その他の原生林でも 同じ事をしようとしています 更に コンゴ盆地や他の地域のブッシュミート取引の 引き金にもなりました 何百年から何千年と 森と調和しながら生活してきた人々が 自らの生活のために動物を 殺しています 道路が出来たために突然 猟師が街から来て ネズミより大きく 動くものは何でも仕留め 天日干しか燻製にします 材木や採鉱用のトラックに 便乗して街に運んで売るわけです ブッシュミートは飼育された肉より好まれるので 高値で売れるのです 持続不可能です 肉目当ての人間が増加し コンゴ盆地に住むピグミー族の 何百年もの歴史ある生活は 壊されてしまいました 売買人に代わり猟をして対価を受け取る 彼らの生活を支える動物と共に 文化も破壊されているのです しまいには何も残りません 人間文化多様性の喪失は既に話しました 私は目の当たりにしました 私の大好きなアフリカは 悲惨な光景です 森林破壊 砂漠の拡大 飢餓 病気の蔓延 人口増加 土地が支えられる以上に人口が 増えてしまった所では 貧しすぎて食糧も賄えない 昨日聴いた 最後の木を切り倒した― イースター島の人は愚か者? 状況を理解していなかった? 世界に存在する壊滅的な貧困を 体験すれば 明日の為に 木を残そう とは言ってられません 今日食べる物さえ無い状態 この最後の木を売ってお金に変えれば 少しでも生き延びられるはず あとは祈って何かを待つだけ 死から遠のくために... こんなに残酷なんです 我々が併せ持ち チンパンジーや他の生き物と 違うと言い切れるのは この高度な話し言葉です 子ども達に身近にない物事を 伝えられる言葉です ずっと昔から遠い未来の話まで お互いに意見交換して 大勢の知恵から認識を高められます それには会話が必要 ビデオや書き言葉でもいいでしょう なのに我々は この偉大な力を正しく使わずに 世界を壊しています 先進国では なお悪い 愚かな行動を犯す知識を 持ち過ぎているのです 赤ちゃんが生まれてきても きれいな水がない場所が世界には多く 空気や汚染された土壌から取れた食べ物で 赤ちゃんを汚染しています これは途上国だけの話ではありません 50年前に無かった約50種類の 化学物質が我々の体内にあることはご存知? 有害廃棄物のゴミ捨て場周辺では 喘息のような病気や 癌になる人が増加しています 我々は世界中で動物や自然や 我々自身を傷つけています 母なる大自然 精神的発達を手助けしてくれる- 木 花 鳥がいる自然で 過ごす時間が大切なんです それなのに先進国ではあまりにも多くの 子どもが自然に触れることもなく コンクリートの中で育ち 知っているのはバーチャル世界 太陽の恵みを受ける機会もありません 木漏れ日の下で 森林浴をすることもない 世界中を回るために 大好きな森を後にしました 学生や現場スタッフが研究を続けられるよう 大好きなチンパンジーを後にしなくてはならなかった チンパンジーが100年前の200万頭から 15万頭まで減少したことで 世界中の意識を高めるために 森林を後にするしかなかったのです チンパンジーの窮状を知れば知るほど 全てが連結していることに気がつきました 途上国が抱える問題は 先進国の傲慢さに起因して こんな事態を引き起こしています こんなの馬鹿げています おかしいでしょう? 昨日も聞きましたね 私は世界中で望みを失くした若者を見てきました 絶望にまみれた若者は “何やったって同じだよ 今を楽しまなきゃ どうせ明日は死ぬんだから” 怒りにまみれている人間が 暴力的になるのも知っています 珍しいことではありません 私には小さな孫が3人います ある時 学生が私に言いました “頭にくるよ” “僕らの将来は- 大人が台無しにしたせいで 望みなんてないんだから” 私は孫の目を見て 思うのです この長い間に地球をずいぶん傷つけてしまった そんな思いがあって1991年にタンザニアで ルーツ&シューツという活動を始めました 会場の外に冊子を用意してますから 子どもたちの将来を気にかけて下さるなら どうぞお手に取って見てください ルーツ&シューツは希望の活動です ルーツは基盤 シューツは小さいけれど 日光に向かってレンガをも突き抜けます レンガは地球に存在する- すべての問題と見なせば 希望を持てる意味があるでしょう 何千人もの若者が世界中で レンガを突き破って より良い世界を作るのです そして 何より大切なメッセージは 皆それぞれが違いを生み出すこと 誰もが役割が持っています 毎日誰もが影響を及ぼしています 例えば 一日中寝てたとしても 酸素を吸って 二酸化炭素を はき出すし トイレにも 行くでしょう 皆が世界を変えているのです ルーツ&シューツでは若者と共に 3つの活動をしています 地域レベルで向上をはかる活動です 1つめは 身近な地域社会に気をかけること 2つめは 家畜を含む動物への配慮 私の場合 研究を始めるずっと前に 動物行動の大事なことは みんな 愛犬ラスティにおそわりました 3つめは 地域環境に関してです 環境と無関係に生きることは出来ません 幼稚園から大学まで 都会でも田舎でも 裕福でも貧しくても関係あるのです 場所によって問題は違います フロリダでの問題は ニューヨークとは違う 国によっても違う 5千ものグループが60ヶ国以上の あらゆる場所で活動をしていて 参加している子ども達が 活動を広めています なぜでしょう? 主役は彼らで 活動内容を決めるのも彼らです 親や教師に言われて やることではありません 自発的に始めるから効果があります “川をきれいにして 魚を川に返したい 有害物質を取り除いて 有機農園を作りたい お年寄りと話をして 歴史を記録に残したい ドッグシェルターでボランティア 動物の勉強がしたい” アイディアは尽きず 希望を感じます 私は年間300日 世界を回り 至る所で 様々なルーツ&シューツボランティアに会います 各地で目を輝かせた子たちが “この成果を見て” と言います 科学技術も一役買っています ネットでコミュニケーションが取れるので 世界中の子ども達が交流できます アイディアは豊富にあるけれど 若者が情熱を分かち合える適切な ネットワークづくりに協力が必要です 忘れてならないのは 問題も起こります “うまくいかない どうしたらいい?” アメリカやイスラエルや世界各地の 子ども達が助言し合います “こうしたら上手くいくはずだよ” とね 信念は至ってシンプル 暴力を容認しないこと 暴力 爆弾 銃はあってはならない 問題解決につながりません 暴力は暴力を生む 私の意見ではね じゃあ どうすれば? 問題解決には知識と理解を使いましょう 真相と関わり合いを見る事です 勤勉と忍耐 あきらめない あらゆる命を敬う愛と思いやり あと何分? 1~2分 2分もらうわ ステージから引きづり下ろす? とにかく ルーツ&シューツは 若者の生活に変化をもたらしていて 私は全身全霊を注いでいます TEDのような団体の影響力は大きいと信じています 技術を共有できるからではなく 子どもがいる方が多いから 皆が実践してくれれば 子ども達にも伝わって 子ども達も私たちにならってくれる 後ろ姿を見せましょう 我々の世界を良くしようとする気配りの 影響力の大きさは明確です 大きな励みです 子ども達に尋ねられます すぐ終わらせますから “将来への望みはある? 世界中の酷い事実を見てきたでしょ” 人間の脳に関してはコメントしません 表面化した世界の問題点は 人間の脳が責任を持ちましょう 既に話した内容です 次は 自然の回復力 我々は破壊する力もあれば 修復する力だってある 荒れ果てた土地だって 時間と援助があれば 元気になるんです 先ほど ある方が不屈の精神について 話をされましたが 我々は不可能を可能にする― 偉大な人に囲まれているんです これはマンデラが 27年収容された 刑務所からの石ですが 彼は 釈放後 暴力を行使せず アパルトヘイトの恐怖から 人々を解放しました 同時多発テロの後 ニューヨークにいた私は 恐怖を感じましたが それでもなお そこには人々の勇気 愛や思いやりが溢れていました その後 アメリカを回った時 環境どころではない という恐怖を 人々の中に感じました 愛する国のために 私は励ましたかった ある人が言ったガンディーの明言です “歴史上 どんな邪悪な体制も 正義で乗り越えてきた” ある女性が “希望と平和を語る時に 鳴らして” と私にくれた― この鈴を鳴らして終わります これは歴史に残る暴君の一人 ポルポト支配下 虐殺が行われた刑場から 取り除かれた地雷で作ったものです そこでは政権崩壊後に人々が 生活を取り戻しつつあります 希望とはどこにあるのでしょう? 政治家が握っているのですか? 我々の手中です あなたや私の手の中です そして子ども達です 私達次第です 変化をもたらすのは私達です 環境にダメージを出来るだけ出さない― 生活を意識して 道徳的に正しい買い物をし そうじゃない商品は購入しなければ 世界は一晩で変えられます ありがとう
And secondly, I feel it's a great honor to kind of wind up this extraordinary gathering of people, these amazing talks that we've had. I feel that I've fitted in, in many ways, to some of the things that I've heard. from the deep, deep tropical rainforest in Ecuador, where I was out -- you could only get there by a plane -- with indigenous people with paint on their faces and parrot feathers on their headdresses, where these people are fighting to try and keep the oil companies, and keep the roads, out of their forests. They're fighting to develop their own way of living within the forest in a world that's clean, a world that isn't contaminated, a world that isn't polluted. And what was so amazing to me, and what fits right in with what we're all talking about here at TED, is that there, right in the middle of this rainforest, was some solar panels -- the first in that part of Ecuador -- and that was mainly to bring water up by pump so that the women wouldn't have to go down. The water was cleaned, but because they got a lot of batteries, they were able to store a lot of electricity. in this little community -- could have light for, I think it was about half an hour each evening. And there is the Chief, in all his regal finery, with a laptop computer. And this man, he has been outside, but he's gone back, and he was saying, "You know, we have suddenly jumped into a whole new era, and we didn't even know about the white man 50 years ago, and now here we are with laptop computers, and there are some things we want to learn from the modern world. We want to know about health care. We want to know about what other people do -- we're interested in it. And we want to learn other languages. We want to know English and French and perhaps Chinese, and we're good at languages." So there he is with his little laptop computer, but fighting against the might of the pressures -- because of the debt, the foreign debt of Ecuador -- fighting the pressure of World Bank, IMF, and of course the people who want to exploit the forests and take out the oil. And so, coming directly from there to here. But, of course, my real field of expertise lies in an even different kind of civilization -- I can't really call it a civilization. A different way of life, a different being. We've talked earlier -- this wonderful talk by Wade Davis about the different cultures of the humans around the world -- but the world is not composed only of human beings; there are also other animal beings. And I propose to bring into this TED conference, as I always do around the world, the voice of the animal kingdom. Too often we just see a few slides, or a bit of film, but these beings have voices that mean something. And so, I want to give you a greeting, as from a chimpanzee in the forests of Tanzania -- I've been studying chimpanzees in Tanzania since 1960. During that time, there have been modern technologies that have really transformed the way that field biologists do their work. For example, for the first time, a few years ago, by simply collecting little fecal samples we were able to have them analyzed -- to have DNA profiling done -- so for the first time, we actually know which male chimps are the fathers of each individual infant. Because the chimps have a very promiscuous mating society. So this opens up a whole new avenue of research. And we use GSI -- geographic whatever it is, GSI -- to determine the range of the chimps. And we're using -- you can see that I'm not really into this kind of stuff -- but we're using satellite imagery to look at the deforestation in the area. And of course, there's developments in infrared, so you can watch animals at night, and equipment for recording by video, and tape recording is getting lighter and better. So in many, many ways, we can do things today that we couldn't do when I began in 1960. Especially when chimpanzees, and other animals with large brains, are studied in captivity, modern technology is helping us to search for the upper levels of cognition in some of these non-human animals. So that we know today, they're capable of performances that would have been thought absolutely impossible I think the chimpanzee in captivity who is the most skilled in intellectual performance is one called Ai in Japan -- her name means love -- and she has a wonderfully sensitive partner working with her. She loves her computer -- she'll leave her big group, and her running water, and her trees and everything. And she'll come in to sit at this computer -- it's like a video game for a kid; she's hooked. She's 28, by the way, and she does things with her computer screen and a touch pad that she can do faster than most humans. She does very complex tasks, and I haven't got time to go into them, but the amazing thing about this female is she doesn't like making mistakes. If she has a bad run, and her score isn't good, because she can't see the experimenter -- which is asking to have another go. And her concentration -- she's already concentrated hard for 20 minutes or so, and now she wants to do it all over again, just for the satisfaction of having done it better. And the food is not important -- she does get a tiny reward, like one raisin for a correct response -- but she will do it for nothing, if you tell her beforehand. So here we are, a chimpanzee using a computer. Chimpanzees, gorillas, orangutans also learn human sign language. But the point is that when I was first in Gombe in 1960 -- I remember so well, so vividly, as though it was yesterday -- the first time, when I was going through the vegetation, the chimpanzees were still running away from me, for the most part, although some were a little bit acclimatized -- and I saw this dark shape, hunched over a termite mound, and I peered with my binoculars. It was, fortunately, one adult male whom I'd named David Greybeard -- and by the way, science at that time was telling me that I shouldn't name the chimps; they should all have numbers; that was more scientific. Anyway, David Greybeard -- and I saw that he was picking little pieces of grass and using them to fish termites from their underground nest. And not only that -- he would sometimes pick a leafy twig and strip the leaves -- modifying an object to make it suitable for a specific purpose -- the beginning of tool-making. The reason this was so exciting and such a breakthrough is at that time, it was thought that humans, and only humans, used and made tools. When I was at school, we were defined as man, the toolmaker. So that when Louis Leakey, my mentor, heard this news, he said, "Ah, we must now redefine 'man,' redefine 'tool,' or accept chimpanzees as humans." We now know that at Gombe alone, there are nine different ways in which chimpanzees use different objects for different purposes. Moreover, we know that in different parts of Africa, wherever chimps have been studied, there are completely different tool-using behaviors. And because it seems that these patterns are passed from one generation to the next, through observation, imitation and practice -- that is a definition of human culture. What we find is that over these 40-odd years that I and others have been studying chimpanzees and the other great apes, and, as I say, other mammals with complex brains and social systems, we have found that after all, there isn't a sharp line dividing humans from the rest of the animal kingdom. It's a very wuzzy line. It's getting wuzzier all the time as we find animals doing things that we, in our arrogance, used to think was just human. The chimps -- there's no time to discuss their fascinating lives -- of suckling and sleeping with the mother, and then another three, four or five years of emotional dependence on her, even when the next child is born. The importance of learning in that time, when behavior is flexible -- and there's an awful lot to learn in chimpanzee society. The long-term affectionate supportive bonds with the brothers and sisters, and which can last through a lifetime, which may be up to 60 years. They can actually live longer than 60 in captivity, so we've only done 40 years in the wild so far. And we find chimps are capable of true compassion and altruism. We find in their non-verbal communication -- this is very rich -- they have a lot of sounds, which they use in different circumstances, but they also use touch, posture, gesture, They kiss; they embrace; they hold hands. They pat one another on the back; they swagger; they shake their fist -- the kind of things that we do, and they do them in the same kind of context. They have very sophisticated cooperation. Sometimes they hunt -- not that often, but when they hunt, they show sophisticated cooperation, and they share the prey. as those that we describe in ourselves as happiness, sadness, fear, despair. They know mental as well as physical suffering. And I don't have time to go into the information that will prove some of these things to you, save to say that there are very bright students, in the best universities, studying emotions in animals, studying personalities in animals. We know that chimpanzees and some other creatures can recognize themselves in mirrors -- "self" as opposed to "other." They have a sense of humor, and these are the kind of things which traditionally have been thought of as human prerogatives. But this teaches us a new respect -- and it's a new respect not only for the chimpanzees, I suggest, but some of the other amazing animals with whom we share this planet. Once we're prepared to admit that after all, we're not the only beings with personalities, minds and above all feelings, and then we start to think about ways we use and abuse so many other sentient, sapient creatures on this planet, it really gives cause for deep shame, at least for me. So, the sad thing is that these chimpanzees -- who've perhaps taught us, more than any other creature, a little humility -- are in the wild, disappearing very fast. They're disappearing for the reasons that all of you in this room know only too well. The deforestation, the growth of human populations, needing more land. They're disappearing because some timber companies go in with clear-cutting. They're disappearing in the heart of their range in Africa because the big multinational logging companies have come in and made roads -- as they want to do in Ecuador and other parts where the forests remain untouched -- to take out oil or timber. And this has led in Congo basin, and other parts of the world, to what is known as the bush-meat trade. This means that although for hundreds, perhaps thousands of years, people have lived in those forests, or whatever habitat it is, in harmony with their world, just killing the animals they need for themselves and their families -- now, suddenly, because of the roads, the hunters can go in from the towns. They shoot everything, every single thing that moves that's bigger than a small rat; they sun-dry it or smoke it. And now they've got transport; they take it on the logging trucks or the mining trucks into the towns where they sell it. And people will pay more for bush-meat, as it's called, than for domestic meat -- it's culturally preferred. And it's not sustainable, and the huge logging camps in the forest are now demanding meat, so the Pygmy hunters in the Congo basin who've lived there with their wonderful way of living for so many hundreds of years are now corrupted. They're given weapons; they shoot for the logging camps; they get money. Their culture is being destroyed, So, when the logging camp moves, there's nothing left. We talked already about the loss of human cultural diversity, and I've seen it happening with my own eyes. And the grim picture in Africa -- I love Africa, and what do we see in Africa? We see deforestation; we see the desert spreading; we see massive hunger; we see disease and we see population growth in areas where there are more people living on a certain piece of land than the land can possibly support, and they're too poor to buy food from elsewhere. Were the people that we heard about yesterday, on the Easter Island, who cut down their last tree -- were they stupid? Didn't they know what was happening? Of course, but if you've seen the crippling poverty in some of these parts of the world it isn't a question of "Let's leave the tree for tomorrow." "How am I going to feed my family today? Maybe I can get just a few dollars from this last tree which will keep us going a little bit longer, and then we'll pray that something will happen to save us from the inevitable end." So, this is a pretty grim picture. The one thing we have, which makes us so different from chimpanzees or other living creatures, is this sophisticated spoken language -- a language with which we can tell children about things that aren't here. We can talk about the distant past, plan for the distant future, discuss ideas with each other, so that the ideas can grow from the accumulated wisdom of a group. We can do it by talking to each other; we can do it through video; we can do it through the written word. And we are abusing this great power we have to be wise stewards, and we're destroying the world. In the developed world, in a way, it's worse, because we have so much access to knowledge of the stupidity of what we're doing. Do you know, we're bringing little babies into a world where, in many places, the water is poisoning them? And the air is harming them, and the food that's grown from the contaminated land is poisoning them. And that's not just in the far-away developing world; that's everywhere. Do you know we all have about 50 chemicals in our bodies we didn't have about 50 years ago? And so many of these diseases, like asthma and certain kinds of cancers, are on the increase around places where our filthy toxic waste is dumped. We're harming ourselves around the world, as well as harming the animals, as well as harming nature herself -- Mother Nature, that brought us into being; Mother Nature, where I believe we need to spend time, where there's trees and flowers and birds for our good psychological development. And yet, there are hundreds and hundreds of children in the developed world who never see nature, because they're growing up in concrete and all they know is virtual reality, with no opportunity to go and lie in the sun, or in the forest, with the dappled sun-specks coming down from the canopy above. As I was traveling around the world, you know, I had to leave the forest -- that's where I love to be. I had to leave these fascinating chimpanzees for my students and field staff to continue studying because, finding they dwindled from about two million 100 years ago to about 150,000 now, I knew I had to leave the forest to do what I could to raise awareness around the world. And the more I talked about the chimpanzees' plight, the more I realized the fact that everything's interconnected, and the problems of the developing world so often stem from the greed of the developed world, and everything was joining together, and making -- not sense, hope lies in sense, you said -- it's making a nonsense. How can we do it? Somebody said that yesterday. And as I was traveling around, I kept meeting young people who'd lost hope. They were feeling despair, they were feeling, "Well, it doesn't matter what we do; eat, drink and be merry, for tomorrow we die. Everything is hopeless -- we're always being told so by the media." And then I met some who were angry, and anger that can turn to violence, and we're all familiar with that. And I have three little grandchildren, and when some of these students would say to me at high school or university, they'd say, "We're angry," or "We're filled with despair, because we feel you've compromised our future, and there's nothing we can do about it." And I looked in the eyes of my little grandchildren, and think how much we've harmed this planet since I was their age. I feel this deep shame, and that's why in 1991 in Tanzania, I started a program that's called Roots and Shoots. There's little brochures all around outside, and if any of you have anything to do with children and care about their future, I beg that you pick up that brochure. And Roots and Shoots is a program for hope. Roots make a firm foundation. Shoots seem tiny, but to reach the sun they can break through brick walls. See the brick walls as all the problems that we've inflicted on this planet. Then, you see, it is a message of hope. Hundreds and thousands of young people around the world can break through, and can make this a better world. And the most important message of Roots and Shoots is that every single individual makes a difference. Every individual has a role to play. Every one of us impacts the world around us everyday, and you scientists know that you can't actually -- even if you stay in bed all day, you're breathing oxygen and giving out CO2, and probably going to the loo, and things like that -- you're making a difference in the world. So, the Roots and Shoots program involves youth in three kinds of projects. And these are projects to make the world around them a better place. One project to show care and concern for your own human community. One for animals, including domestic animals -- and I have to say, I learned everything I know about animal behavior even before I got to Gombe and the chimps from my dog, Rusty, And the third kind of project: something for the local environment. So what the kids do depends first of all, how old are they -- and we go now from pre-school right through university. It's going to depend whether they're inner-city or rural. It's going to depend if they're wealthy or impoverished. It's going to depend which part, say, of America they're in. We're in every state now, and the problems in Florida are different from the problems in New York. It's going to depend on which country they're in -- and we're already in 60-plus countries, with about 5,000 active groups -- and there are groups all over the place that I keep hearing about that I've never even heard of, because the kids are taking the program and spreading it themselves. Why? Because they're buying into it, and they're the ones who get to decide what they're going to do. It isn't something that their parents tell them, or their teachers tell them. That's effective, but if they decide themselves, "We want to clean this river and put the fish back that used to be there. We want to clear away the toxic soil from this area and have an organic garden. We want to go and spend time with the old people and hear their stories and record their oral histories. We want to go and work in a dog shelter. We want to learn about animals. We want ... " You know, it goes on and on, and this is very hopeful for me. As I travel around the world 300 days a year, everywhere there's a group of Roots and Shoots of different ages. Everywhere there are children with shining eyes saying, "Look at the difference we've made." And now comes the technology into it, because with this new way of communicating electronically these kids can communicate with each other around the world. And if anyone is interested to help us, we've got so many ideas but we need help -- we need help to create the right kind of system that will help these young people to communicate their excitement. But also -- and this is so important -- to communicate their despair, to say, "We've tried this and it doesn't work, and what shall we do?" who may be in America, or maybe this is a group in Israel, saying, "Yeah, you did it a little bit wrong. This is how you should do it." The philosophy is very simple. We do not believe in violence. No violence, no bombs, no guns. That's not the way to solve problems. Violence leads to violence, at least in my view. So how do we solve? The tools for solving the problems are knowledge and understanding. Know the facts, but see how they fit in the big picture. Hard work and persistence --don't give up -- and love and compassion leading to respect for all life. How many more minutes? Two, one? Chris Anderson: One -- one to two. Jane Goodall: Two, two, I'm going to take two. Are you going to come and drag me off? Anyway -- so basically, Roots and Shoots is beginning to change young people's lives. It's what I'm devoting most of my energy to. And I believe that a group like this can have a very major impact, not just because you can share technology with us, but because so many of you have children. And if you take this program out, and give it to your children, they have such a good opportunity to go out and do good, because they've got parents like you. And it's been so clear how much you all care about trying to make this world a better place. It's very encouraging. But the kids do ask me -- and this won't take more than two minutes, I promise -- the kids say, "Dr. Jane, do you really have hope for the future? You travel, you see all these horrible things happening." Firstly, the human brain -- I don't need to say anything about that. Now that we know what the problems are around the world, human brains like yours are rising to solve those problems. And we've talked a lot about that. Secondly, the resilience of nature. We can destroy a river, and we can bring it back to life. We can see a whole area desolated, and it can be brought back to bloom again, with time or a little help. And thirdly, the last speaker talked about -- or the speaker before last, talked about the indomitable human spirit. We are surrounded by the most amazing people who do things that seem to be absolutely impossible. Nelson Mandela -- I take a little piece of limestone from Robben Island Prison, where he labored for 27 years, and came out with so little bitterness, he could lead his people from the horror of apartheid without a bloodbath. Even after the 11th of September -- and I was in New York and I felt the fear -- nevertheless, there was so much human courage, so much love and so much compassion. And then as I went around the country after that and felt the fear -- the fear that was leading to people feeling they couldn't worry about the environment any more, in case they seemed not to be patriotic -- and I was trying to encourage them, somebody came up with a little quotation from Mahatma Gandhi, "If you look back through human history, you see that every evil regime has been overcome by good." And just after that a woman brought me this little bell, and I want to end on this note. She said, "If you're talking about hope and peace, ring this. This bell is made from metal from a defused landmine, from the killing fields of Pol Pot -- one of the most evil regimes in human history -- where people are now beginning to put their lives back together after the regime has crumbled. So, yes, there is hope, and where is the hope? Is it out there with the politicians? It's in our hands. It's in your hands and my hands and those of our children. It's really up to us. We're the ones who can make a difference. If we lead lives where we consciously leave the lightest possible ecological footprints, if we buy the things that are ethical for us to buy and don't buy the things that are not, we can change the world overnight. Thank you.
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それからケーナと打ち解けることができたメルクはアスタードについて話をしたり、ケーナのアスタードへの想いについて すると夜もいよいよ深まってきた頃、勝手に家を飛び出してどこかへと行っていたアスタードが帰ってきた。 なにやらやり遂げた達成感のようなものを漂わせている。 「おかえり。っで、なにをしてきたんだ?」 するとアスタードは目を怪し気に光らせて頷いて見せる。 「やりました。冒険者ギルドに話を付けて、伯爵を呼び出してもらったんです。後は君が、伯爵の乗る馬車の前に躍り出たらばっちりです」 「お、おう......冒険者ギルド? ギルドが伯爵を呼び出したりなんて真似できるのか?」 「冒険者ギルドはフォナン伯爵の収入源ですよ? ギルドが伯爵の領地で運営しているので、その土地の使用料――まぁ、俗に言うみかじめ料を受け取っているんです。毎年莫大なみかじめ料を支払うギルドのマスターが「会って直接話がしたい」と言えば、行かないわけにはいきません。伯爵は間違いなく出向くでしょう」 「そうか。そしてギルドから伯爵が帰る時に、私が伯爵の馬車の前に――けど、そんなので上手く行くのか?」 メルクが半信半疑と顔にありありと出して尋ねれば、アスタードは自信ありげに深々と首肯して見せる。 「もちろんです。ギルドマスターには伯爵刻から半時ほど雑談でもしてもらって刻には帰すように伝えてあります。その時分に通り道に待ち伏せすれば大丈夫です」 「いや仮にタイミングを合わせても、本当に伯爵が私なんかの色仕掛けに引っかかるかな? 怪しまれてポイされそうなんだが......」 「自信を持ってください。君は見てくれだけなら、そこらの美女よりも美女ですよ」 「......そいつはどうも」 あまり嬉しくないアスタードの評価に、メルクは腕の周辺に起こった鳥肌を撫でつけながら気のない返事をする。そんに話を聞いていたケーナが戸惑った様子で話しかけてきた。 「あの、大賢者様とメルクさんは何の話を――」 「ああ、ケーナ。少し頼みたいことがあるのですが、構いませんか?」 「え? はいっ! 大賢者様のご命令でしたら何でもお受けいたします」 「命令というほど大それたものではないのですが、この娘を女らしく仕立てて欲しいのです」 「......へ?」 メルクの方を視線だけで示してそんなことを言いだしたアスタードに、さすがにケーナも呆然としたような顔をした。その表情を見てアスタードも言葉足らずを理解したのか、一度頷き付け足した。 「つまり、この娘をそれらしく着飾らして欲しいんです。素材はそれなりのものを持っていると思うので、誰もが彼女を見て振り返るようなそんな感じに」 「おい、無理言うなよアスタード......というわけでケーナ。悪いけど、私をもう少しでも女らしい恰好にして欲しいんだ。別にアスタードが言うような無茶は求めないからさ。もちろん、私にできる礼はさせてもらう」 他人事のように、ケーナへハードルの高い要求をしたアスタードの頭に手刀を軽く落とし、メルクがフォローするように言い添えた。 しかしケーナは事情が飲み込めないまでも、やるべきことを察したのか力強く頷く。 「お任せください。正直、もったいないと思ってたんですよ。メルクさん、すっごく美人なのに全然恰好に頓着してないんですもの。とにかく、メルクさんの魅力を存分に引き出せばいいんですね? わかりました」 するからには本腰を入れなくては......博士の命がかかっているんですよ?」 「う......それを言われると弱いなぁ」 ケーナのやる気に少し弱腰になったメルクは、小声でアスタードに囁かれて顔を あまりの事態に少し見失いそうになっていたが、今回の女装(?)はお遊びではなくグローデル博士救出という大きな目的がある。 メルクが嫌だからといって手心を加えるわけにはいかないのだ。 「けれど大賢者様。今日はもう仕立て屋や服屋は閉まっているでしょうし、装飾なども用意できませんが......明日の朝には準備を終えていないといけないんですよね?」 な物でなくともいいですよ。あまり高そうな衣料だと伯爵も警戒するでしょうし、町娘が着るような......別にケーナが普段使いしている物を貸してあげればいいのでは?」 「どうしました? 背丈は同じくらいですし、ケーナの服も流行りと行かないまでも、年頃の娘が着るような物だと思いますが?」 メルクも最初はアスタードと同じくケーナの戸惑っている理由が分からなかった。だが、彼女がこちらに気を遣うような視線を向けてくるのに気付き、そしてその視線がメルクの顔と胸を行き来しているのに気付き納得した。 「アスタード。背丈が同じでも、私とケーナとでは胸囲があまりに違いすぎる。私がケーナの服をそのまま借りたら、胸元がスカスカで別の意味で注目を浴びてしまう」 「はぁ? あのなぁ、アスタード。私にも越えたくない一線と言うものがあってだなぁ......」 胸に並々ならぬこだわりのあるメルクとしては、胸元の詰め物はどうにも忌避感が強い。他者がしている分には気付くことはないだろうし、別に構わない。しかし自分自身がそれを行うとなると、やはり大きな胸に対する冒涜になるのではないだろうか? そんな妙な倫理観が働いてしまうのだ。 胸元を押し上げる膨らみは、本物であるからこそ人々に劣情をもたらすのである。 メルクはケーナの本物を横目で見ながら強くそう思った。 「――何を下らないこだわりを発揮しているんですか? 偽乳は自衛のためにも有効だと思いますが」 「自衛?」 「ええ。もし伯爵に胸を揉まれたらどうします? いやでしょう?」 「突然服を脱がされたらどうします?」 「そんなことはさせないが......なるほど、そう言った事態に偽乳が明らかになれば、穏便に相手もその気がなくなるってことか」 「ええ」 悔しいが、アスタードの言い分も一理ある。それに今からケーナに服をメルクに合うよう仕立て直してもらうのも酷だろう。 逡巡した後、メルクは決心し重々しく頷いた。 「偽乳か......わかった。それでいこう」 こうして、グローデル博士奪還大作戦――もとい、メルク偽乳大作戦は明日の決行を前提に、計画されたのであった。
Afterwards, having finally gotten to know Kena, Merc spent some time talking about Astard and making fun of Kena’s feelings for him. Then, as night fell, Astard, who had left the house and gone somewhere, returned. He exuded a sense of accomplishment. “Hey. What were you up to?” With a suspicious glint in his eyes, Astard nodded in response. “I did it! I talked with the Adventurers’ Guild and had them summon the Count. All that’s left is for you to leap in front of the Count’s carriage, and we’re good to go.” “I see... But wait, why the Adventurers’ Guild? How can the Guild summon the Count?” “Count Fonan’s primary source of income is the Adventurers’ Guild. The Count receives royalties for the use of his land because the Guild operates on his territory. They give the Count money in order for him to stay out of their way. Given that the Guildmaster pays the Count a large sum of money every year, the Count cannot refuse when summoned. He’ll definitely appear.” “I see. I presume we’ll show up when the Count decides to return from his meeting. Will everything go according to plan, though?” In response to Merc’s skepticism, Astard confidently nodded in agreement. “Naturally. I’ve instructed the Guildmaster to speak with the Count for about half an hour beginning at a.m., and then see him off around a.m. We should be fine if we ambush him around that time.” “That’s all well and good, but will the Count really fall for me? I’m afraid he’ll simply ignore me as suspicious...” “Have some more confidence in yourself. You are unquestionably a beauty among beauties based solely on your looks.” Merc responded listlessly, stroking the goosebumps on her arms as a result of Astard’s praise, which she didn’t enjoy at all. Kena, who had been listening to them, addressed them with a perplexed expression. “What are you talking about, Great Sage, Miss Merc?” “Ah, Kena. Perfect timing. There’s something that I’d like to ask of you. Do you mind?” “What? No, of course not! I’ll obey your every command.” “I wouldn’t go so far as to call it a command, though. I’d like you to give this one a more feminine appearance.” “What?” Kena froze as she followed Astard’s gaze to Merc. Astard realized his explanation was grossly inadequate after seeing her expression, so he spoke again. “In a nutshell, I’d like you to dress her up. I believe the mannequin is of excellent quality, so make her turn heads wherever she goes.” “Hey! Don’t raise the bar for her so high Astard! Kena don’t listen to him. A smidgeon of femininity will suffice. You don’t have to go that far. Naturally, I’ll do everything I can as well.” Merc smacked Astard on the head for asking Kena to execute an impossible task as though it wasn’t his business any more. Kena, on the other hand, nodded heartily as if she understood exactly what she needed to do, even if she didn’t fully grasp the circumstances. “Leave it to me! To tell you the truth, I’ve always thought it a pity. Miss Merc is stunning, yet she is careless when it comes to her appearance. In any case, I’ll try to extract as much of Miss Merc’s charm as I can. Leave it to me.” Merc remarked, a bit overwhelmed by Kena’s passion. Seeing her like that, Astard murmured into her ear. “What are you saying? You must take the Count’s seduction seriously. After all, the professor’s life is on the line.” “When you phrase it like that...” With this whole process, Merc felt like she was losing sight of who she was, but it wasn’t like she was dressing up for pleasure. She was doing it for a greater purpose, to save Doctor Glodel. They couldn’t take the matter lightly just because Merc didn’t like it. “Great Sage. Unfortunately, all of the tailors are closed today. I’m worried we won’t be able to find any suitable clothing... Isn’t this something we should do first thing tomorrow morning?” “You’re right. On a separate note, her attire doesn’t have to be all that flashy. If her clothes appear to be overly expensive, the Count will be suspicious. Anything a typical girl might wear will do... I got it! Kena, how about lending her some of your clothes?” “That’s a bit...” “I don’t see what’s the problem. Your height is nearly identical, and while your outfits don’t appear like they would be very trendy, they look like they would be appropriate for females your age.” Merc, like Astard, had trouble understanding Kena’s reluctance at first. But then Merc noted Kena’s worried expression. Merc eventually realized what was happening when she observed Kena’s attention shift back and forth between her face and chest. “Astard. Even though we’re the same height, the same can’t be said about our chest. If I wore Kena’s clothing, the fabric around the breasts would just dangle, making it appear weird.” “What? Look here you! That’s a line that even I’m not willing to cross...” Because Merc was so obsessed with breasts, she felt padding to be extremely offensive. She didn’t mind if they were used by others as long as she wasn’t aware of it. If she did it herself, though, she believed it would be a disgrace to all large breasts throughout the world. Breasts only induce envy because they are genuine. Merc thought as she glanced at Kena’s genuine pair. “Why are you so preoccupied with something so insignificant? Fake breasts can even be used as a form of self-defense.” “Self-defense?” “That’s right. You wouldn’t like it if the Count touched your chest, would you?” “And what if he suddenly wants to strip you?” “I wouldn’t let him... I see! What you’re saying is that if he realizes my breasts are fake, he’ll be less likely to continue, right?” “Correct.” Merc felt frustrated because Astard truly did have a point. Furthermore, asking Kena to re-tailor her clothes to fit Merc from now on would be unreasonable. After a brief pause, Merc nodded solemnly, having made up her mind. “Fake breasts... I got it. Let’s go with that.” As a result, Operation Retake Doctor Glodel, or more accurately, Operation Fake Breasts, was scheduled for the next day.
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起床し 外に出て清々しい風を感じ 新しい同僚と良い議論をし 新しい発見に感動するでしょう でもたぶん気にも留めなかったことがあるはずです 実に当たり前すぎて 普段はまったく意識されないことです それは感覚や感情 決断や行動などは 頭の中にあって脳と呼ばれるコンピュータが 仕切っているということです 外見上 脳は大したものには見えません 1kg 程度のピンクがかった灰色の 不定形の肉なのですが 過去百年の神経科学の発展により 脳を詳細に観察できるようになり その複雑さを研究できるようになりました その結果 脳は 数千億のニューロンと呼ばれる細胞が織りなす 複雑な回路から成っていることが分かりました 人間が設計したコンピュータの 部品の種類は少ないのですが これは我々が設計したので仕組みは分かっていますが -- 脳は数千種類の多様な細胞から出来ています 数万種類かもしれません 形も違っていますし 構成する分子も違います それぞれが様々な脳部位へと繋がっています また様々な病気で 様々に変化します 具体的にお話ししましょう 近隣細胞を不活性化する 抑制細胞という比較的小さな細胞があります これは統合失調症などで萎縮が見られる細胞です 籠細胞と呼ばれます 我々が研究している数千種類の 細胞の内の一つです 新種の細胞が日々発見されています もう一つ 例として この大きな錐体細胞は 多くの脳部位に存在しています これは興奮性の細胞であり てんかんなどで 過剰活性していると思われる細胞の一つです これらの細胞一つ一つが 驚くべき電気装置なのです 数千個の上流の細胞から入力を受け取り 自身の電気出力を計算し それが一定の閾値を超えている場合 数千個の下流の細胞へ出力します 1ミリ秒ほどで起きるこのプロセスは 1千億個の細胞全てで 毎分何千回も繰り返されます 皆さんが生きていて 考え 感じている限りにおいて どうしたらこの回路の働きを解明できるでしょう? 理想は 回路を構成している 全細胞をオンオフして どの種類の細胞が どの機能に寄与しているかとか どの病態でおかしくなるか 調べていくことです 細胞を活性化できれば それが何を引き起こし 何を維持するか 調べられます 不活性化できれば それが何に必要な細胞か分かります これが本日 私がお話しする内容です 我々はこれまでの 11 年間 脳の回路 細胞 組織 経路を オンオフする方法を 模索してきました 科学を理解するため また人間として我々が直面する 数々の問題に立ち向かうためにです 技術的なお話をする前に 残念なことに 長生きしていくと 我々はかなりの割合で 脳疾患に罹ります 既に十億人が 機能障害を及ぼす 脳疾患に罹っています この数字だけでは実態を伝えるには不十分です 統合失調症 アルツハイマー病 うつ病 依存症などの障害は 我々の寿命を削るだけでなく 我々自身を変容させます 自己同一性を奪い 感情を変え 人間としての我々を変えます 20 世紀には 脳障害を治療する 薬剤の開発がずいぶん期待されたものでした 脳障害の症状を緩和する たくさんの治療薬が開発される一方 実際に完治できる薬はできませんでした その理由の一つは脳が化学物質に浸かっているためです 数千種類の細胞からなる 脳の精巧な回路は 化学物質に浸っています 全てではないけれど 市販のほとんどの薬が 深刻な副作用を引き起こす理由でしょう 脳に埋め込んだ電気刺激器で ある程度助かっている人もいます パーキンソン病と 人工内耳に関しては この電気刺激機器が ある種の障害に対する 助けとなってきました しかし電流は全方向へ流れます 抵抗の低い部位を 経路として流れていきます 従って電気刺激は治したい異常回路と正常な回路 両方に影響します そうして再び我々は 超精密制御の考えに戻るのです 信号を思い通りに制御できるのか? 11 年前に神経科学を始めたとき 私は電気と物理が専門だったので 最初に考えたことは ニューロンが電気装置ならば その電気的変化を遠隔操作する方法を 見つければよいということでした もし隣接細胞は発火させずに 一つの細胞だけを発火させられたら 様々な細胞を活性および抑制するツールが得られ そして個々が何をし そのネットワーク上で どのように役割を果たしているかが分かります また同時に正常な計算ができなくなった回路を 元通りにするための 超精密制御が可能となります どうしたら実現できるでしょう? 自然界には光を電気へと変換できる分子が 多数存在しています 太陽電池のように働く 小さなタンパク質だと考えてください この分子をどうにかしてニューロンに導入できれば そのニューロンは光刺激で活性化させられます この分子を持たない隣接細胞は反応しません これを実際のものにするには 更に 脳内に光刺激を届けるための工夫が必要です そのために 痛覚のない脳に インターネットや通信技術などの 成果である光ファイバーを挿入します 光ファイバーにニューロンを 活性化させるためのレーザーを接続し 動物を使った前臨床実験で ニューロンの振る舞いを観察します これはどうやるのでしょうか? 2004 年頃に ゲルハルト・ナゲルとカール・ダイセロスと共同して この構想は実現しました 野性の藻には 適切に光合成を行うために 光へ向かって移動するものが存在します 我々の目とは異なる仕組みの 小さな眼点で光を感知します その細胞膜には 光を電気へと変換できる 小さなタンパク質が含まれています これはチャネルロドプシンと呼ばれるものです このタンパク質は先ほど触れた太陽電池のように振る舞います 青い光で刺激されると小さな穴を開き 荷電粒子を眼点内へ取り込みます それによって太陽電池が充電するのと同様に 眼点は電気信号を溜めます 我々がしなければならなかったのは この分子を抽出しニューロンへ導入することでした それはタンパク質なので その藻の DNA 内にコードされています あとはその DNA を抽出し 遺伝子治療用ベクターというウィルスみたいなものに取り込み それをニューロンに導入すれば良いだけでした これは遺伝子治療が大いに進んだ時期で たくさんのウィルスが登場しており やってみると簡単なことでした 2004 年の夏のある朝に実験し 最初の試行で成功しました この DNA を抽出しニューロンに導入するのです ニューロン自身のタンパク質生成機能が あの感光タンパク質を組み立て ソーラーパネルを設置するが如く 全ての細胞に導入します そうすると 光刺激で活性化させられるニューロンの出来上がりです これは非常に強力です 工夫が必要なのは 隣接細胞ではなく目的の細胞だけに この遺伝子を導入する方法です これは可能です まずウィルスを 特定の細胞にだけ取り付くよう改造します 光で活性化する細胞を作るための 遺伝子の工夫はまだあります この分野は光遺伝学として知られるようになりました その一例として複雑なネットワークを 取り上げてみます 高密度なネットワークに存在する 一種類の細胞にだけ ウィルスを用いて遺伝子を導入できます そしてネットワーク全体に対して光を照らすと その種類の細胞だけが活性化します 例えば先ほどの籠細胞を取り上げてみましょう 統合失調症において萎縮してしまう 抑制系の細胞です この細胞の表現系を変化させずに 先の遺伝子を導入できれば 脳のネットワーク全体に青い光を照射して この細胞だけを活性化できます 照射を止めれば細胞は正常状態に戻るので 特に悪影響もないでしょう この技術を用いれば細胞の働きや 脳全体における役割だけでなく 籠細胞が本当に萎縮しているとしたら そのことを明らかにし 籠細胞の活動を活性化できます では我々がこの技術を 科学 臨床 前臨床 それぞれの段階で どう利用しているかお話ししたいと思います 我々が取り組んだ問題の一つは 報酬という感覚を脳内で媒介する信号は何かというものです なぜならこれを発見できれば 学習を促進する信号に成り得るからです 脳は報酬を得たことを より実行します またその報酬信号は中毒などの障害では異常になります 従ってどの細胞かを解明できれば 薬の設計やスクリーニングに有効な 新たな創薬ターゲットの発見や 重症患者に対する適切な 電極刺激部位の同定に繋がるかもしれません そのために我々はフィオレッラグループと共同で ある単純なパラダイムを作りました この小さな箱の一方に 動物が移動すると 脳の感光性細胞を活性化する 光のパルスが照射されるようにしました 従って その細胞が報酬を媒介している場合 動物は光が照射される方へ行くようになるはずです そしてその通りの結果が出ました この動物が右側の穴を鼻で突くと その度に青い光が照射されるようにしました 彼は何百回とこれを繰り返します これらはドーパミンニューロンによるものです 快楽に関わる物質としてご存じの方もいるでしょう 学習を促進するにはこれを少し 活性化すればよいことが分かりました 次に このアイデアを拡張し 脳の一点だけでなく 脳全体に対して立体的に光を照射できる 機器を用意します 独立した小型の光源に接続した 光ファイバーの束を用います これによってシャーレでしか 出来なかったことを生体で実験できます 例えば特定の現象を引き起こす信号の スクリーニングを脳全体に対して実施できます また 脳障害の治療ターゲットの 探索にも利用できます 制御不能な不安や恐怖を示す PTSD の治療ターゲットをどう探すかについて 一つお話ししたいと思います 我々が試したことの一つは 恐怖の古典的モデルを取り入れることでした それはパブロフの時代まで遡ります これはパブロフの条件付けと呼ばれ 音の呈示後に電気ショックをあたえるものでした 痛くはありませんが 少し不快なものでした こういった実験でよく用いられる マウスで繰り返し実験したところ 音を怖がるよう条件付けられました 動物は反射的にこわばります ヘッドライトに照らされたときのシカと同じです ここでの問題は この恐怖を克服するための何かは 脳のどこで見つけられるかということです 何をするかというと 恐怖と条件付けた音を鳴らします ただその時に 先ほどお見せした 光ファイバーを用いて別の脳部位を活性化させ 恐怖の記憶を克服するためには どの脳部位が働くのかを調べます この簡単なビデオで 我々が取り組んでいるターゲットの一つをお見せします こちらが前頭前野 嫌感情を認知で克服しようとする時に活動する脳部位です 動物は音を聴き そこで光の照射を受けます 音声は入っていませんが動物が硬直しているのは確認できます 音は悪い知らせとして使われます 左下の時計を見ると 実験が始まって2分が過ぎたことが分かります 次のシーンは 8 分後のものです 同じ音刺激が呈示され 光が照射されます 光ります 今です ご覧の通り 10 分の実験で 我々はこの部位を光で 活性化させ 恐怖の記憶を 克服させることが出来ました 我々はこの数年間 生命の樹を振り返っていました 脳内の回路をオフにする方法を探していたのです 実現すれば 極めて有効な手段となります 数ミリ秒あるいは数秒でも細胞を 除けておくことができれば その回路における役割を解明できます 我々は生命の樹全体の生物を調べ 動物以外の界は若干異なることが分かりました また緑と黄色の光に反応するハロロドプシン または古細菌ロドプシンと呼ばれる分子を見つけました これらは先に述べた青い光に反応する チャネルロドプシンとは逆のことをします これらを上手く利用できる例を挙げます 脳が過剰に活動している てんかんの症状を例に取ってみましょう てんかん治療で薬が有効でなかった場合 他には脳の一部を除去するという手段がありますが それは明らかに不可逆で 副作用も見込まれます もし一時的に発作が止まるまで 脳を停止できたとしたらどうでしょう 力学において動的な系を安定状態に移行させるように 脳を初期状態に戻すのです こちらのアニメーションは その概念の説明です 光刺激によってオフに出来る細胞を作り 光を照射し 発作を鎮めるのにかかる時間だけ 活動を停止させられたらと考えています この最新の研究についてお見せできるデータはありません 張り切って取り組んでいるところです もう一つの展望として 注目したいのが 超精密制御でこの分子を 脳自体に用いることが出来れば 新たな光学式補装具が出来ると考えています 電気刺激機器が珍しくないことは既にお話ししました 7万5千人のパーキンソン病患者が電気刺激機器を移植しており 補聴器としておそらく 10 万人以上が 人工内耳を移植しています もう一つは遺伝子を細胞に導入する必要があるということです 遺伝子治療における新たな期待として この部屋にいる全員が保有しているであろう 何の症状ももたらさない アデノウィルスが開発され 脳や体に遺伝子を導入するために 百人以上の患者で用いられています これまでこのウィルスによる悪影響は 報告されていません まだ誰も触れていない大問題として 藻 バクテリア 菌類など 系統樹のあちこちからのタンパク質が問題です 我々は通常脳に菌類や藻類を持っていませんが それを導入したらどうなるでしょう? 許容するでしょうか?排除するでしょうか? まだ人間では実験されていませんが 我々は数々の研究に着手しており これを検証しようとしています まだこれらの分子や 光刺激による脳活性について どのような悪影響も観察されていません 正直 まだ初期段階ですが 我々は興奮しています 最後に 臨床に活用できると思われる お話をして締めたいと思います 我々の目の奥にある 光受容体が無くなってしまう 失明にはいくつもの形態があります そして当然網膜は複雑な構造をしています 拡大してもっと細かく見てみましょう 光受容体細胞は一番上にあり 受け取った信号は細胞の層の 一番下にある神経節に至るまでに 様々な計算を経て変換され そこから脳へ情報が伝達され 我々は映像を知覚します 網膜色素変性や黄斑変性などの 盲目において 光受容体細胞は萎縮または破壊されています どうしたら治せるでしょう? 薬が結合する対象が存在しないため 薬による治療が可能かどうかすら不明です その一方で 光信号は変わらず目に入ってきているのです 光は変わらず素通りしてきています ではもしチャネルロドプシンなどの分子を 代替の細胞などに導入し カメラ代わりに使えたとしたらどうでしょう? 目には多数の細胞が存在するので 解像度の非常に高いカメラとなるはずです 我々はこのようなことをしています これは我々の共同研究者の一人 USC のアラン・ホーセイジャーが率い NIH の資金援助の下 Eos Neuroscience 社の立ち上げと共に 商業化をしようとしています これはマウスが迷路を解こうとしている場面です 6 方向放射状迷路です マウスの活動を促すため 水を少し入れています この迷路の目的は 水から上がって 小さな台へ移動することです マウスは賢いので最終的には迷路を解きますが 総当たりでやります 台にたどり着くまで全ての通路を泳ぎます つまり見通しを立ててはいないのです これらのマウスは遺伝子改変によって 人間の盲目をモデルした変異マウスです それぞれのモデルを慎重に観察し 一般化できる解決手法を模索します どのようにしたらよいでしょう? 先のスライドで示した通り 我々は青い光センサーを 目の裏の網膜の 細胞層の真ん中に導入し カメラにします 太陽電池を導入し ニューロンを 感光性にしたときと同様です そこで光は電気に変換されます このマウスは実験の数週間前に失明させ 感光性分子を含んだウィルスを投与しました そしてご覧の通り マウスは壁を避け 小さな台へとたどり着きます 目の知覚機能が回復しています またこのラットの凄いところは 失明を経験していないラットと 同等の成績で台にたどり着いているということです この前臨床研究は 今後我々が実現したいことの 希望を示していると考えます 最後に我々はニューロテクノロジーの分野における 新たなビジネスモデルも模索していることをお伝えしておきます 我々はこういったものを開発し 皆が様々な障害の治療を研究できるよう 世界中で数百のグループに自由に共有しています 我々の望みは 修復および設計が出来る程度まで 脳の回路を解明し 先にお話しした不治の難病を 21 世紀で過去のものとすることです ありがとうございました ファン・エンリケズ: 少々 濃い内容でした 薬の代わりに光で 発作やてんかんを抑え また治療ターゲットを 同定するという狙いが まず第一ですね 第二に 脳を二つの色でコントロールできるように なったとおっしゃっていたと思います スイッチのオンオフのように エド・ボイデン: その通りです JE: 脳内の全ての信号を二進数に置き換えられると EB: そうですね 青い光では 1 として情報を促進させられます 光を弱めると大体 0 になります 障害者の機能を増強するために 我々は最終的に脳と作動する コプロセッサを作りたいと考えています JE: つまり理論的には マウスが感じ 匂いをかぎ 聞き 触れるのを 1 と 0 の文字列でモデル化できるということですか? EB: そうです 我々はこの技術を どの神経信号が特定の行動 考え 感情へと導くかの評価に用い 脳の解明に役立てたいと思います JE: ではいつか記憶のダウンロードやアップロードが できるようになるということですか? EB: ええ 我々はそれにも頑張って取り組み始めています 我々は現在 情報を外部記録し また取り入れられるように 記録素子を脳に敷き詰めようという研究も進めています 脳の情報処理を増強するのに必要なものを 計算しているといったところです JE: それは色々変化をもたらすかもしれませんね ありがとうございました
You woke up, felt fresh air on your face as you walked out the door, encountered new colleagues and had great discussions, and felt in awe when you found something new. But I bet there's something you didn't think about today -- something so close to home that you probably don't think about it very often at all. And that's that all the sensations, feelings, decisions and actions are mediated by the computer in your head called the brain. Now the brain may not look like much from the outside -- a couple pounds of pinkish-gray flesh, amorphous -- but the last hundred years of neuroscience have allowed us to zoom in on the brain, and to see the intricacy of what lies within. And they've told us that this brain is an incredibly complicated circuit made out of hundreds of billions of cells called neurons. Now unlike a human-designed computer, where there's a fairly small number of different parts -- we know how they work, because we humans designed them -- the brain is made out of thousands of different kinds of cells, maybe tens of thousands. They come in different shapes; they're made out of different molecules. And they project and connect to different brain regions, and they also change different ways in different disease states. Let's make it concrete. There's a class of cells, a fairly small cell, an inhibitory cell, that quiets its neighbors. It's one of the cells that seems to be atrophied in disorders like schizophrenia. It's called the basket cell. And this cell is one of the thousands of kinds of cell that we are learning about. New ones are being discovered everyday. As just a second example: these pyramidal cells, large cells, they can span a significant fraction of the brain. And these are some of the cells that might be overactive in disorders such as epilepsy. Every one of these cells is an incredible electrical device. They receive input from thousands of upstream partners and compute their own electrical outputs, which then, if they pass a certain threshold, will go to thousands of downstream partners. And this process, which takes just a millisecond or so, happens thousands of times a minute in every one of your 100 billion cells, as long as you live and think and feel. So how are we going to figure out what this circuit does? Ideally, we could go through the circuit and turn these different kinds of cell on and off and see whether we could figure out which ones contribute to certain functions and which ones go wrong in certain pathologies. If we could activate cells, we could see what powers they can unleash, what they can initiate and sustain. If we could turn them off, then we could try and figure out what they're necessary for. And that's a story I'm going to tell you about today. And honestly, where we've gone through over the last 11 years, of turning circuits and cells and parts and pathways of the brain on and off, both to understand the science and also to confront some of the issues that face us all as humans. Now before I tell you about the technology, the bad news is that a significant fraction of us in this room, if we live long enough, will encounter, perhaps, a brain disorder. Already, a billion people have had some kind of brain disorder that incapacitates them, and the numbers don't do it justice though. These disorders -- schizophrenia, Alzheimer's, depression, addiction -- they not only steal our time to live, they change who we are. They take our identity and change our emotions and change who we are as people. Now in the 20th century, there was some hope that was generated through the development of pharmaceuticals for treating brain disorders, and while many drugs have been developed that can alleviate symptoms of brain disorders, practically none of them can be considered to be cured. And part of that's because we're bathing the brain in the chemical. made out of thousands of different kinds of cell is being bathed in a substance. That's also why, perhaps, most of the drugs, and not all, on the market can present some kind of serious side effect too. Now some people have gotten some solace from electrical stimulators that are implanted in the brain. And for Parkinson's disease, Cochlear implants, these have indeed been able to bring some kind of remedy to people with certain kinds of disorder. But electricity also will go in all directions -- the path of least resistance, which is where that phrase, in part, comes from. And it also will affect normal circuits as well as the abnormal ones that you want to fix. So again, we're sent back to the idea of ultra-precise control. Could we dial-in information precisely where we want it to go? So when I started in neuroscience 11 years ago, I had trained as an electrical engineer and a physicist, and the first thing I thought about was, if these neurons are electrical devices, of driving those electrical changes at a distance. If we could turn on the electricity in one cell, but not its neighbors, that would give us the tool we need to activate and shut down these different cells, figure out what they do and how they contribute to the networks in which they're embedded. And also it would allow us to have the ultra-precise control we need in order to fix the circuit computations that have gone awry. Now how are we going to do that? Well there are many molecules that exist in nature, which are able to convert light into electricity. You can think of them as little proteins If we can install these molecules in neurons somehow, then these neurons would become electrically drivable with light. And their neighbors, which don't have the molecule, would not. There's one other magic trick you need to make this all happen, and that's the ability to get light into the brain. And to do that -- the brain doesn't feel pain -- you can put -- taking advantage of all the effort that's gone into the Internet and communications and so on -- optical fibers connected to lasers that you can use to activate, in animal models for example, in pre-clinical studies, these neurons and to see what they do. So how do we do this? Around 2004, in collaboration with Gerhard Nagel and Karl Deisseroth, this vision came to fruition. There's a certain alga that swims in the wild, and it needs to navigate towards light And it senses light with a little eye-spot, which works not unlike how our eye works. In its membrane, or its boundary, it contains little proteins that indeed can convert light into electricity. So these molecules are called channelrhodopsins. And each of these proteins acts just like that solar cell that I told you about. When blue light hits it, it opens up a little hole and allows charged particles to enter the eye-spot, just like a solar cell charging up a battery. So what we need to do is to take these molecules and somehow install them in neurons. And because it's a protein, it's encoded for in the DNA of this organism. So all we've got to do is take that DNA, put it into a gene therapy vector, like a virus, and put it into neurons. So it turned out that this was a very productive time in gene therapy, and lots of viruses were coming along. So this turned out to be very simple to do. And early in the morning one day in the summer of 2004, we gave it a try, and it worked on the first try. You take this DNA and you put it into a neuron. The neuron uses its natural protein-making machinery to fabricate these little light-sensitive proteins and install them all over the cell, like putting solar panels on a roof, and the next thing you know, you have a neuron which can be activated with light. So this is very powerful. One of the tricks you have to do is to figure out how to deliver these genes to the cells that you want and not all the other neighbors. And you can do that; you can tweak the viruses so they hit just some cells and not others. And there's other genetic tricks you can play in order to get light-activated cells. This field has now come to be known as optogenetics. you can take a complex network, use one of these viruses to deliver the gene just to one kind of cell in this dense network. And then when you shine light on the entire network, just that cell type will be activated. So for example, lets sort of consider that basket cell I told you about earlier -- the one that's atrophied in schizophrenia and the one that is inhibitory. If we can deliver that gene to these cells -- and they're not going to be altered by the expression of the gene, of course -- and then flash blue light over the entire brain network, just these cells are going to be driven. And when the light turns off, these cells go back to normal, so they don't seem to be averse against that. Not only can you use this to study what these cells do, what their power is in computing in the brain, well maybe we could jazz up the activity of these cells, if indeed they're atrophied. Now I want to tell you a couple of short stories about how we're using this, both at the scientific, clinical and pre-clinical levels. One of the questions we've confronted is, what are the signals in the brain that mediate the sensation of reward? Because if you could find those, those would be some of the signals that could drive learning. The brain will do more of whatever got that reward. And also these are signals that go awry in disorders such as addiction. So if we could figure out what cells they are, we could maybe find new targets for which drugs could be designed or screened against, or maybe places where electrodes could be put in for people who have very severe disability. So to do that, we came up with a very simple paradigm in collaboration with the Fiorella group, where one side of this little box, if the animal goes there, the animal gets a pulse of light in order to make different cells in the brain sensitive to light. So if these cells can mediate reward, the animal should go there more and more. And so that's what happens. This animal's going to go to the right-hand side and poke his nose there, and he gets a flash of blue light every time he does that. And he'll do that hundreds and hundreds of times. These are the dopamine neurons, which some of you may have heard about, in some of the pleasure centers in the brain. Now we've shown that a brief activation of these is enough, indeed, to drive learning. Now we can generalize the idea. Instead of one point in the brain, we can devise devices that span the brain, that can deliver light into three-dimensional patterns -- arrays of optical fibers, each coupled to its own independent miniature light source. And then we can try to do things in vivo that have only been done to-date in a dish -- like high-throughput screening throughout the entire brain for the signals that can cause certain things to happen. Or that could be good clinical targets for treating brain disorders. And one story I want to tell you about is how can we find targets for treating post-traumatic stress disorder -- a form of uncontrolled anxiety and fear. And one of the things that we did was to adopt a very classical model of fear. This goes back to the Pavlovian days. It's called Pavlovian fear conditioning -- where a tone ends with a brief shock. The shock isn't painful, but it's a little annoying. And over time -- in this case, a mouse, which is a good animal model, commonly used in such experiments -- the animal learns to fear the tone. The animal will react by freezing, sort of like a deer in the headlights. Now the question is, what targets in the brain can we find that allow us to overcome this fear? So what we do is we play that tone again after it's been associated with fear. But we activate targets in the brain, different ones, using that optical fiber array I told you about in the previous slide, in order to try and figure out which targets can cause the brain to overcome that memory of fear. And so this brief video shows you one of these targets that we're working on now. This is an area in the prefrontal cortex, a region where we can use cognition to try to overcome aversive emotional states. And the animal's going to hear a tone -- and a flash of light occurred there. There's no audio on this, but you can see the animal's freezing. This tone used to mean bad news. And there's a little clock in the lower left-hand corner, so you can see the animal is about two minutes into this. And now this next clip is just eight minutes later. And the same tone is going to play, and the light is going to flash again. Okay, there it goes. Right now. And now you can see, just 10 minutes into the experiment, that we've equipped the brain by photoactivating this area of this fear memory. Now over the last couple of years, we've gone back to the tree of life because we wanted to find ways to turn circuits in the brain off. If we could do that, this could be extremely powerful. If you can delete cells just for a few milliseconds or seconds, you can figure out what necessary role they play in the circuits in which they're embedded. And we've now surveyed organisms from all over the tree of life -- every kingdom of life except for animals, we see slightly differently. that respond to green and yellow light. And they do the opposite thing of the molecule I told you about before with the blue light activator channelrhodopsin. Let's give an example of where we think this is going to go. Consider, for example, a condition like epilepsy, where the brain is overactive. Now if drugs fail in epileptic treatment, one of the strategies is to remove part of the brain. But that's obviously irreversible, and there could be side effects. What if we could just turn off that brain for a brief amount of time, until the seizure dies away, and cause the brain to be restored to its initial state -- sort of like a dynamical system that's being coaxed down into a stable state. So this animation just tries to explain this concept where we made these cells sensitive to being turned off with light, and we beam light in, and just for the time it takes to shut down a seizure, we're hoping to be able to turn it off. And so we don't have data to show you on this front, but we're very excited about this. Now I want to close on one story, which we think is another possibility -- which is that maybe these molecules, if you can do ultra-precise control, can be used in the brain itself to make a new kind of prosthetic, an optical prosthetic. I already told you that electrical stimulators are not uncommon. Seventy-five thousand people have Parkinson's deep-brain stimulators implanted. Maybe 100,000 people have Cochlear implants, which allow them to hear. There's another thing, which is you've got to get these genes into cells. And new hope in gene therapy has been developed which probably most of us around this room have, and it doesn't have any symptoms, which have been used in hundreds of patients to deliver genes into the brain or the body. And so far, there have not been serious adverse events associated with the virus. There's one last elephant in the room, the proteins themselves, which come from algae and bacteria and fungi, and all over the tree of life. Most of us don't have fungi or algae in our brains, so what is our brain going to do if we put that in? Are the cells going to tolerate it? Will the immune system react? In its early days -- these have not been done on humans yet -- but we're working on a variety of studies to try and examine this, to these molecules or to the illumination of the brain with light. So it's early days, to be upfront, but we're excited about it. I wanted to close with one story, which we think could potentially be a clinical application. Now there are many forms of blindness where the photoreceptors, our light sensors that are in the back of our eye, are gone. And the retina, of course, is a complex structure. Now let's zoom in on it here, so we can see it in more detail. The photoreceptor cells are shown here at the top, and then the signals that are detected by the photoreceptors are transformed by various computations relay the information to the brain, where we see that as perception. In many forms of blindness, like retinitis pigmentosa, or macular degeneration, the photoreceptor cells have atrophied or been destroyed. Now how could you repair this? It's not even clear that a drug could cause this to be restored, because there's nothing for the drug to bind to. On the other hand, light can still get into the eye. The eye is still transparent and you can get light in. So what if we could just take these channelrhodopsins and other molecules and install them on some of these other spare cells and convert them into little cameras. And because there's so many of these cells in the eye, potentially, they could be very high-resolution cameras. So this is some work that we're doing. It's being led by one of our collaborators, Alan Horsager at USC, and being sought to be commercialized by a start-up company Eos Neuroscience, which is funded by the NIH. And what you see here is a mouse trying to solve a maze. to motivate the mouse to move, or he'll just sit there. And the goal, of course, of this maze is to get out of the water and go to a little platform that's under the lit top port. Now mice are smart, so this mouse solves the maze eventually, but he does a brute-force search. He's swimming down every avenue until he finally gets to the platform. So he's not using vision to do it. These different mice are different mutations that recapitulate different kinds of blindness that affect humans. And so we're being careful in trying to look at these different models so we come up with a generalized approach. So how are we going to solve this? We're going to do exactly what we outlined in the previous slide. We're going to take these blue light photosensors and install them on a layer of cells and convert them into a camera -- just like installing solar cells all over those neurons to make them light sensitive. Light is converted to electricity on them. So this mouse was blind a couple weeks before this experiment and received one dose of this photosensitive molecule in a virus. And now you can see, the animal can indeed avoid walls and go to this little platform and make cognitive use of its eyes again. And to point out the power of this: these animals are able to get to that platform just as fast as animals that have seen their entire lives. So this pre-clinical study, I think, bodes hope for the kinds of things we're hoping to do in the future. To close, I want to point out that we're also exploring new business models for this new field of neurotechnology. We're developing these tools, so people can study and try to treat different disorders. And our hope is that, by figuring out brain circuits at a level of abstraction that lets us repair them and engineer them, we can take some of these intractable disorders that I told you about earlier, practically none of which are cured, and in the 21st century make them history. Thank you. Juan Enriquez: So some of the stuff is a little dense. But the implications of being able to control seizures or epilepsy with light instead of drugs, and being able to target those specifically is a first step. The second thing that I think I heard you say is you can now control the brain in two colors, like an on/off switch. Ed Boyden: That's right. JE: Which makes every impulse going through the brain a binary code. EB: Right, yeah. So with blue light, we can drive information, and it's in the form of a one. And by turning things off, it's more or less a zero. So our hope is to eventually build brain coprocessors that work with the brain so we can augment functions in people with disabilities. JE: And in theory, that means that, as a mouse feels, smells, hears, touches, you can model it out as a string of ones and zeros. EB: Sure, yeah. We're hoping to use this as a way of testing what neural codes can drive certain behaviors and certain thoughts and certain feelings, and use that to understand more about the brain. JE: Does that mean that some day you could download memories and maybe upload them? EB: Well that's something we're starting to work on very hard. We're now working on some work where we're trying to tile the brain with recording elements too. So we can record information and then drive information back in -- sort of computing what the brain needs in order to augment its information processing. JE: Well, that might change a couple things. Thank you.
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「うん、何事もなく着いてしまったな」 案の定新要素に遭遇することなく、俺は南の港町トナミに到着した。 青い空と青い海が水平線で交わる。 風の質感が初期街や風雲山とも違う。潮風だ。 気温は少し高いかな。 このゲームは地域ごとに自然環境などがガラッと変わる。 暑い場所もあれば寒い場所もある。 きっと火山マップとか雪山マップとかもあるのだろう。 だが今は海だ。 初めてくる街でやることはたくさんあるが、とりあえず海を近くで見よう。 白い砂浜が俺を呼んでいる......はずだったのだが。 「な、なんだこれは......!」 白い砂浜の上に、無数のプレイヤーが打ち上げられている......! 寝ころんで日焼けをしているわけではない。 びしょ濡れでぐったりして倒れこんでいる。 この謎は本人たちに尋ねるのが手っ取り早いな。 砂浜に降りて今まさにぐったりから立ち直った人に話しかける。 青年プレイヤーは俺の顔を見て驚いたものの、快く話を聞いてくれた。 「いったいこれは......どうなってるんですか?」 何を聞いていいのかわからず語彙力が消滅する。 青年は『わかりますよ、その気持ち』とでも言いたげな笑みを浮かべた後だけ俺に助言した。 「海に入ってみてください。そして、行けるとこまで行ってみてください。それですべての答えがわかりますよ......!」 彼はそれだけ言い残して行ってしまった。 うーん、すごく嫌な予感がするが、ああまで言われると他の人に答えを聞きに行くのは情けないような気持ちになる。 海......か。 リアルではもちろん行ったことがある。 一時期健康のためにプールに通っていたこともある。 あまり続かなかったけど......。 ま、まあ、海とか水への恐怖心がないのは確かだ。 深いところとか大きい魚は怖いけど、これはゲームだし立ち向かうための武器だってある。 言われたとおりに入ってみるか。 砂浜から歩いて海へと入っていく。 肩までスッポリ水に入ったところで、意を決して潜る。 ちゃんと海の仕様は調べてある。 このゲームは海の中でも息ができるはずだ。 流石に窒息の感覚まで再現したら大問題になりそうだからな......。 でも、リアルではありえないこと故に、体は息を精いっぱい止めようとする。 「落ち着け......喋ってみるんだ......」 口を開いても、口の中に海水が入ってくる感覚はない。 重いダイビング装備を背負う必要もない、夢の海中散歩の始まりだ。 「そういえば、酸素ゲージとかもないんだな」 VRゲームの水中の仕様は『呼吸は出来るが制限時間付き』というのが主流と聞いていたが、NSOでは無制限に動き回れるようだ。 ただし、水の抵抗はしっかりあるので地上よりも移動が疲れる......。 浅瀬には綺麗な魚が躍るだけで、モンスターがいないことが救いだな。 さて、あの青年は行けるとこまで行けと言っていたが、それは沖の方へ向かえということで良いのだろうか? 俺としても綺麗な海の景色を見て回りたいし、光の届かないほど深いところでなければぜひ行ってみたい。 キャラの体は浮力が弱いのか上へと引っ張られることもない。 沖に向かって坂道のように沈んでいく海底を歩けば、簡単に前に進める。 俺は軽い気持ちで沖へと歩き始めた。 まだ周りには泳いで遊んでいるプレイヤーが見える。 ソロプレイヤーの本能か、少し人気のないところに進んでみる。 まあまあ水面が遠く感じる深さに来たところで......遭遇した。 初の海中モンスターと......! 出会った敵はウツボ型モンスターだ。 海底の大きな岩の隙間からニョロリと姿を現した時、完全に気を抜いていた俺は叫んでしまった。 でも、魚は虫と違って苦手じゃない。 驚いただけですぐに弓を構え、攻撃を開始した。 そして、すぐに『違い』に気づいた。 いつものように弓の小気味よい『キリリ......』という音もしなければ、『シュッ!』と矢が勢いよく飛んでいく音もしない。 水中だからだ......! まったく矢が飛ばないわけではない。 ただ、威力は減衰し、射程も酷く短くなる。 それはきっと他の武器も同じだ。 剣は簡単に振り回せなくなるし、魔法だって水属性以外はどうなることやら......。 風を追い越し、雲を切り裂く、超高速の矢とて例外ではないが、他のスキルよりは威力も射程も減衰していない。 おそらく風の抵抗を減らすような矢の形をしているから、水の抵抗も減るのだろう。 しかしながら、これで浜辺に打ち上がった無数のプレイヤーの謎が解けた。 みんな調子に乗って海の深いところまで行って魚モンスターたちにキルされたんだ。 海の中でキルされると、あの浜辺にリスポーンする。 あの中に混じるのは......ちょっとごめんだな。 今のままでは海の中で戦えないことは十分わかったし、海の藻屑となる前に撤退しよう。 きっと海の中で戦う手段は港町に隠されているはずだ。 「風雲一陣!」 海の中で風を起こすと、たくさんの泡が発生した。 やはり風も雲も海の中では十分な力を発揮できないか......。 だが、目的には事足りる。 「舞風!」 泡々を袴で受け止めて水面へと浮上する。 水面に出たら【ワープアロー】を砂浜に撃ち込んで街に帰還だ。 イベント中は使えなかったうえ奥義にされてしまったが、やはり便利すぎる。 ゴ......ゴゴゴォ......! 急に潮の流れが速くなる。 もうちょっとで水面に出られるというところで、俺は海流に巻き込まれ海の中に引き戻された。 これは『スクランブル』の予兆か? 確かに出会うことを望んでいたが、海中はマズイ。 『スクランブル』は別に強制じゃないし、逃げてもいい。 いや、『スクランブル』ではない。 間違いなく『緊急事態』ではあるが、こちらに向かってきたのは......。 「龍だ......!」 西洋風ではなく中華風だ。 にょろりと長い体をくねらせて海の中を我が物顔で進むその姿は、空を悠然と飛ぶ風雲竜を想起させる。 こいつはおそらく風雲竜と同格かそれ以上だ......! 海の中では絶対に勝てない。 逃げようともがく俺を龍はキッとにらみつけ、口から激しい『潮流のブレス』を放った。 こいつの場合は、風雲竜みたいにこちらから攻撃するまで見逃してはくれないんだな......。 そもそも風雲竜よりも荒々しいオーラを纏っている。 あの時と違って、万に一つも勝てそうな気配がない。 ドラゴンとは......何なのだろうか? 個体によって差があるのか? 俺はなすすべもなくブレスに巻き込まれ、視界は闇に包まれた。
“Well, I arrived without anything happening.” I had not encountered anything related to the new features before arriving in the southern port town of Tonami. The blue sky and blue sea met at the horizon. The air here was different compared to the first town and the Windcloud mountains. It smelled of the sea. And it was also a little warmer. In this game, the natural climate changed dramatically depending on where you were. There were places that were hot and some that were cold. Surely there are volcanoes and snowy mountains as well. But I was at the sea now. There were a lot of things to do in a new town, but I wanted to get a good look at the sea first. The white sandy beaches were calling me...or so I thought. “Wh-what is this...!” Numerous players were lying on the white beach... And they weren’t doing it in order to get a tan. They were soaking wet and looked exhausted. I suppose asking them directly would be the fastest way to solve the mystery. And so I went down to the beach and approached a player who had just got back up. The young man looked at me with surprise, but was willing to listen to me. “What the hell...is happening here?” I was so stunned that my vocabulary failed me. The young man smiled as if to say that he understood how I felt. And then he gave me a word of advice. “Try going into the sea. And go as far as you can. Then you will get your answer...!” And then he left without saying another word. Hmm. While I had a bad feeling about this, after hearing that, I felt that it would be a little pathetic to keep asking instead of finding out for myself. The sea...eh? Of course, I had been to the beach in real life. I used to go to the pool regularly for health reasons. But that didn’t last too long... Well...I wasn’t afraid of the sea or water. That was for certain. Indeed, the idea of monstrous deepsea fish scared me, but this game provided you with weapons to face such things. I suppose I will go into the water then, just like the player said. And so I walked through the beach and into the water. I paused once the water was up to my shoulders. And then I dove. I had already done some research on how water would work in this game. You should be able to breathe even when underwater. After all, recreating the sensation of drowning...could have problems... But as it was something so outlandish, my body would automatically try to hold my breath. “Calm down...try talking...” I opened my mouth, but there was no sensation of water entering it. There was no need for heavy diving equipment here. It was the beginning of my little stroll through the sea. “Now that I think of it, there isn’t an oxygen gauge either.” I had heard that in most VR games, you could breathe underwater, but there was a time limit. But I suppose this was one way that NSO was different. On the other hand, there was tangible resistance from the water, so movement was more tiring than on dry land... The water was still shallow here, and there were only pretty fish around me. I was just thankful that there were no monsters. Now, that young man had told me to go as far as I could. I suppose that meant I was to head out to the open sea. I did want to see what beautiful sights the sea had to offer, as well as dive deep where the sunlight didn’t reach. As buoyancy was rather weak here, I was not pulled upwards to the surface. I could go forward by just walking down the slope that led out to the sea. And so I started to walk without thinking too much about it. There were other players around me who were swimming and having a good time. But I decided to move away from them. Perhaps it was my instinct as a solo player. Once I was deep enough that the surface felt like it was far away...I encountered it. My first sea monster...! The enemy monster looked like an eel. When it slithered out of a gap between two boulders on the ocean floor, I shouted in surprise. But I didn’t have the same disgust for fish that I had for bugs. I was just a little surprised, and quickly pulled out my bow and started to attack. And then I noticed the ‘difference.’ The usual sounds of the bow, ‘kiriri...’ and the arrow cutting through the air as it flew, ‘shu!’ were gone. It was because I was underwater...! It’s not like they didn’t fly at all. But their force was definitely weakened, and the range was also shortened. I was sure that the other weapons were the same. You could not swing around a sword as easily, and if your magic wasn’t related to water, then.... “Sky Tear!” Even this high speed arrow that cut through winds and clouds was no exception, but it seemed to be less affected compared to the other skills. This was likely due to its shape, which reduced resistance in the water as well. However, at least I knew why there were so many players being washed up on the beach now. They had all gotten over-confident and dove too deep. And then they were killed by some fish monsters. It seemed that if you were killed in the sea, then you respawned on the beach. I knew now that fighting in the water like this would be a bad idea, and so I decided to retreat before being sent to a watery grave. Besides, it was likely that the port town held the secret of fighting underwater. Making wind underwater caused lots of bubbles to rise. I guess both the wind and clouds were weakened in the sea... But it was enough for what I needed. “Whirlwind!” The bubbles were blocked by the haori and I was pushed up to the surface. Once my head was out of the water, I would use Warp Arrow to teleport back to the beach. While I couldn’t use it during the event, and it had been turned into a charge attack, it was still useful. Go....gogogo...! The waves suddenly became faster. And just as I was about to break out from the surface, a current caught me and I was dragged back down. Is this the beginning of a Scramble? Indeed, I had wanted to encounter one, but not in the water. Of course, you weren’t forced to do them, so I could run away. In that case... No, this wasn’t a Scramble. It was definitely a state of emergency, but the thing that came towards me now was... “A dragon...!” And not a western one, but a Chinese dragon. The way that its long body twisted in the water reminded me of how the Windcloud Dragon had flown in the air. This one was likely just as strong, if not stronger...! There was no way that I could win in the water. I struggled in order to escape, but the dragon glared at me, and then it unleashed a terrible tidal breath. While the Windcloud Dragon ignored me until I attacked, this one was different... In the first place, it had a much more violent aura about it. And unlike the other time, I didn’t feel like I had even the slightest chance of winning. What was it with these dragons? Was there so big a difference between each type? Unable to do anything, I was enveloped in its breath, and my vision went black.
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異なる脳内物質が 意思決定へ与える影響を 調べる実験をしています 本日は 上手な意思決定の 秘訣をお教えします チーズサンドイッチです そうです 科学者によると チーズサンドイッチが 困難な決断全ての 解決策となるそうです なぜそう言えるのか 私がその研究をした 科学者だからです 数年前 私と同僚は 対人関係において セラトニンという脳内物質が 意思決定にどう影響するか 興味を持ちました 特に 人が不当な扱いを 受けた時の反応に セロトニンが与える影響を 知りたかったのです そこで実験をしました まず被験者のセロトニン量を 操作するため ひどい味の レモン味の飲み物を 飲んでもらいます これには 脳内のセロトニン合成に 必須の原料を 取り除く作用があります 主成分である アミノ酸トリプトファンです その結果 脳内の トリプトファン濃度が低いと 人は不当な扱いを受けた際に 復讐する確率が 高まることが分かりました これが我々の行った研究ですが それを取り上げた 記事の見出しです 例えば 「チーズサンドイッチが良い判断の秘訣」 「いつくしみ深き友なるチーズ」 「チーズと肉に自制心を高める可能性」 何かおかしいですね 「速報!チョコレートで気分爽快」 チーズやチョコレートなんて関係あった? これを見て 私も戸惑いました 我々の研究には チーズもチョコレートも 一切出てきていないからです 被験者に トリプトファン量を操作する ひどい味のドリンクを 飲ませただけですから しかし トリプトファンは チーズやチョコレートにも 含まれていることが 分かったのです チーズやチョコレートが 意思決定に良い効果をもたらすと 科学者が発表したとなれば 当然注目を集めます そうして この見出しの進化が 起きたのです そうして この見出しの進化が 起きたのです これが起きた時 私は一方で 「これくらい大したことない」と 思いました メディアは物事を 単純化しますが たかがニュース記事です 多くの科学者も そう思って いるのではないでしょうか しかし問題は このような 単純化は常に起こっていて 普段読む ニュース記事だけでなく お店の商品にも 見受けられるということです 先ほどの見出しが出回ると マーケティング担当者達から 電話がかかってきました ある飲料水商品に 気分を高める効果があると 科学的証言を 添えてくれないか とか テレビに出て 暖かい料理で本当に心もホッとするのか 実証してくれないか など依頼されました 暖かい料理で本当に心もホッとするのか 実証してくれないか など依頼されました 彼らに悪気はなかったのでしょうが もし その依頼を受けてしまったら 私は科学者としての領域を 超えてしまっていたでしょう それは きちんとした科学者にはタブーです にもかかわらず 神経科学は 販売方法として広まりつつあります その一例が ニューロ・ドリンク この「ニューロ・ブリス」もその一つです その商品ラベルには 「ストレスを減らす」 「気分を高める」 「集中力を高める」 そして「前向きな気持ちになる」 と記載があります すごいですね これを10分前に飲んでいたら 役に立ったかもしれません 近所の店でこれを見つけた時 当然のことながら私は 記載されている効果を 裏付ける研究に興味を持ちました まずは製造会社の ウェブサイトへ行き 商品の実験報告を 見つけようとしましたが 何も見つかりませんでした 実験が有る無しに関わらず それらの効果をうたう記載が パッケージの中心に脳のイラストと共に 書かれていたということです 実は脳のイラストには 特別な効果があるんです 数百人の人に 科学的な記事を読んでもらう 実験が行われました 被験者の半数には 脳のイラストを含む記事を渡し もう半数には 脳のイラストなしの 同じ記事を渡しました もう半数には 脳のイラストなしの 同じ記事を渡しました 実験の最後に この記事の結論に賛成か否かを 被験者に尋ねました この記事の結論に賛成か否かを 被験者に尋ねました こちらが 脳のイラストを含まない記事の 結論に同意した被験者の数で こちらが 脳のイラストを含まない記事の 結論に同意した被験者の数で こちらが 同じ内容の記事で イラストを含む結論に 同意した被験者の数です ここで学んだことは 商品を売りたいなら 脳のイラストを パッケージに貼りなさいということです ここで一つ言っておきます この数十年の間 神経科学は著しい進化を遂げ 脳について 素晴らしい発見を もたらしてくれています 脳について 素晴らしい発見を もたらしてくれています 数週間前にも マサチューセッツ工科大学の 神経科学者が 脳の特定部分の神経活動を 制御することによって ラットの習慣を変える方法を 明らかにしました 本当に素晴らしい研究でした しかし神経科学の将来性によって 期待は高まり 実証されていない大げさな主張まで 出回るようになりました ではこのような「神経科学のウソ」を 簡単に見抜く方法をお教えしましょう ウソ、 いかさま など 色々な名前で呼ばれますが 「でたらめ神経科学」が 私のお気に入りの呼び名です 最初の根拠のない主張は 脳スキャンを使って 人々の思考や感情が 読み取れるというものです これは研究チームが 『ニューヨーク・タイムズ』の論説枠に 出版した研究報告の記事です 見出しは「あなたは本当に iPhoneを愛している」でした すぐにサイト上で 最も多くEメールで 反響があった記事になりました この記事の根拠は何でしょう? 16名を対象に 脳スキャナーを用い iPhoneが鳴っている 動画を見せました 脳スキャンで 愛や思いやりの 感情に関係する領域の 「島」と呼ばれる脳の一部が 活性化していることを発見しました 「島」と呼ばれる脳の一部が 活性化していることを発見しました 「島」の活性化が見られたことから 被験者がiPhoneを愛しているのだと 研究者たちは結論づけました ただし この論理には 1つだけ問題があります それは「島」には 数多くの 働きがあるということです 確かに 愛とか思いやりなどの 肯定的な感情とも 関係がありますが 同時に その他のプロセスにも 関与しているということです 例えば 記憶 言語 注意― 怒り 嫌悪感 痛みにまで 関与しているのです 同じ論理から 「あなたはiPhoneが嫌いだ」とも 結論づけることができるのです つまり 脳スキャンで 「島」の活性化が見られた際に 長いリストから 都合のいい説明だけを 選び出してはいけないのです しかも このリストは 気が遠くなる程の長さなのです 同僚のタル・ヤルコーニ氏と ラス・ポルドラック氏は 今までに発表された 脳の画像研究の 3分の1近くに 「島」に関する記載が あったことを明らかにしました つまり 今この瞬間でも 非常に高い確率で 皆さんの「島」に活動があるだろうということです つまり 今この瞬間でも 非常に高い確率で 皆さんの「島」に活動があるだろうということです だからと言って 皆さんが 私のことを愛してると いうことにはなりませんよね さて 愛と脳の話と言えば 「ドクター・ラブ」として一部には 知られている研究者によると 科学者は社会を結びつけている 接着剤を発見したそうです 科学者は社会を結びつけている 接着剤を発見したそうです つまり 愛と繁栄の源です 今回はチーズサンドイッチの話ではなく オキシトシンと呼ばれる ホルモンの話です おそらく聞いたことがあるでしょう ドクター・ラブの主張の基となっているのは 人のオキシトシンが高まると 信頼 共感 協力の感情が 強化されるという研究です 彼はオキシトシンのことを 「道徳分子」と名付けます これらの研究は科学的に有効で 再現もされています しかし それらの研究は 一部分にしか着目していません オキシトシンの増加が 嫉妬を強めたり 人をあざ笑う気持ちを 強めるという研究もあります オキシトシンの増加が 自分の集団のために 他集団を犠牲にする傾向を強めることもあります オキシトシンの増加が 自分の集団のために 他集団を犠牲にする傾向を強めることもあります 時には オキシトシンが協力し合う気持ちを 減少させることもあります これらの研究に基づいて 私は オキシトシンを「不道徳分子」と名付け 「ドクター・ストレンジ・ラブ」と 名乗ることもできます さて 記事の見出し スーパーの棚 本のカバーにはびこる 「でたらめ神経科学」を見て来たわけですが それでは 診療所ではどうでしょうか? SPECT検査は 脳スキャン技術で 放射性トレーサーを用いて 脳の血流を追跡します 米国には たったの数千ドルで その画像を使っての 診断を売るクリニックもあります クリニックによると これらのスキャンが アルツハイマー病を 未然に防ぐ手助けになったり 体重問題 中毒症状 夫婦間問題の解決の足掛かりになったり 体重問題 中毒症状 夫婦間問題の解決の足掛かりになったり うつ病からADHDまで 様々な精神疾患の 治療に役立っているということです 素晴らしい響きですよね たくさんの人々も賛同するでしょう これらのクリニックの中には 年に数千万ドルもの利益を あげているところもあります ただし 1つだけ問題があります 神経科学分野で 一般的に認識されている事は たった1回の脳スキャンでは 精神疾患の診断は できないということです しかし これらのクリニックでは 既に数千もの患者の治療を 行って来ています その患者の多くは子どもたちです また SPECT検査は 放射性単射を使います 人々を放射線にさらすことは 健康を害する恐れがあります 私は神経科学者として 神経科学の 精神疾患を治療する可能性に 人一倍期待しています それは 我々をより善く より賢くしてくれるかもしれません 今はまだ証明されていませんが いつかチーズとチョコレートが 意思決定に良い効果をもたらすことが分かったら その時は 私も仲間に入れてください しかし 我々はまだそこに 辿り着いていません 何をすれば物が売れるか 解明できていませんし 誰かが嘘をついているのか 恋をしているのか 脳スキャンを見ただけでは分かりません また ホルモンの力で罪人を聖人に 変えることはできません いつか可能になるかもしれませんが それまでは 誇張された主張のせいで 真の科学から資源や注目を 失わないよう 注意深く 対処しなければなりません 真の科学はもっと長い闘いなのです ここであなたの出番です もし誰かが脳のイラストが 印刷された商品を売ろうとしたら 彼らの言葉を鵜呑みにしないでください 彼らに難しい質問をしてみてください 証拠を追及してください 隠されている内容を 掘り下げてみてください 脳は複雑なので 簡単な答えが 返ってくるはずありません だからと言って我々は その解明を 諦めたりなんかしません ありがとうございました(拍手)
I do experiments to test how different chemicals in the brain influence the choices we make. I'm here to tell you the secret to successful decision-making: a cheese sandwich. That's right. According to scientists, a cheese sandwich is the solution to all your tough decisions. How do I know? I'm the scientist who did the study. A few years ago, my colleagues and I were interested in how a brain chemical called serotonin would influence people's decisions in social situations. Specifically, we wanted to know how serotonin would affect the way people react when they're treated unfairly. So we did an experiment. We manipulated people's serotonin levels by giving them this really disgusting-tasting artificial lemon-flavored drink that works by taking away the raw ingredient for serotonin in the brain. This is the amino acid tryptophan. So what we found was, when tryptophan was low, people were more likely to take revenge when they're treated unfairly. That's the study we did, and here are some of the headlines that came out afterwards. At this point, you might be wondering, did I miss something? Cheese? Chocolate? Where did that come from? And I thought the same thing myself when these came out, because our study had nothing to do with cheese or chocolate. We gave people this horrible-tasting drink that affected their tryptophan levels. But it turns out that tryptophan also happens to be found in cheese and chocolate. And of course when science says cheese and chocolate help you make better decisions, well, that's sure to grab people's attention. So there you have it: the evolution of a headline. When this happened, a part of me thought, well, what's the big deal? So the media oversimplified a few things, but in the end, it's just a news story. And I think a lot of scientists have this attitude. But the problem is that this kind of thing happens all the time, and it affects not just the stories you read in the news but also the products you see on the shelves. When the headlines rolled, what happened was, the marketers came calling. Would I be willing to provide a scientific endorsement of a mood-boosting bottled water? Or would I go on television to demonstrate, in front of a live audience, that comfort foods really do make you feel better? I think these folks meant well, but had I taken them up on their offers, I would have been going beyond the science, and good scientists are careful not to do this. But nevertheless, neuroscience is turning up more and more in marketing. Here's one example: Neuro drinks, a line of products, including Nuero Bliss here, which according to its label helps reduce stress, enhances mood, provides focused concentration, and promotes a positive outlook. I have to say, this sounds awesome. I could totally have used this 10 minutes ago. So when this came up in my local shop, naturally I was curious about some of the research backing these claims. So I went to the company's website looking to find some controlled trials of their products. But I didn't find any. Trial or no trial, these claims are front and center on their label right next to a picture of a brain. And it turns out that pictures of brains have special properties. A couple of researchers asked a few hundred people to read a scientific article. For half the people, the article included a brain image, and for the other half, it was the same article but it didn't have a brain image. At the end — you see where this is going — people were asked whether they agreed with the conclusions of the article. So this is how much people agree with the conclusions with no image. And this is how much they agree with the same article that did include a brain image. So the take-home message here is, do you want to sell it? Put a brain on it. Now let me pause here and take a moment to say that neuroscience has advanced a lot in the last few decades, and we're constantly discovering amazing things about the brain. Like, just a couple of weeks ago, neuroscientists at MIT just by controlling neural activity in a specific part of their brain. Really cool stuff. But the promise of neuroscience has led to some really high expectations and some overblown, unproven claims. So what I'm going to do is show you how to spot a couple of classic moves, dead giveaways, really, for what's variously been called neuro-bunk, neuro-bollocks, or, my personal favorite, neuro-flapdoodle. So the first unproven claim is that you can use brain scans to read people's thoughts and emotions. Here's a study published by a team of researchers as an op-ed in The New York Times. The headline? "You Love Your iPhone. Literally." It quickly became the most emailed article on the site. So how'd they figure this out? They put 16 people inside a brain scanner and showed them videos of ringing iPhones. The brain scans showed activation in a part of the brain called the insula, a region they say is linked to feelings of love and compassion. So they concluded that because they saw activation in the insula, this meant the subjects loved their iPhones. Now there's just one problem with this line of reasoning, and that's that the insula does a lot. Sure, it is involved in positive emotions like love and compassion, but it's also involved in tons of other processes, like memory, language, attention, even anger, disgust and pain. So based on the same logic, I could equally conclude you hate your iPhone. The point here is, when you see activation in the insula, you can't just pick and choose your favorite explanation from off this list, and it's a really long list. My colleagues Tal Yarkoni and Russ Poldrack have shown that the insula pops up in almost a third of all brain imaging studies that have ever been published. So chances are really, really good that your insula is going off right now, but I won't kid myself to think this means you love me. So speaking of love and the brain, there's a researcher, known to some as Dr. Love, who claims that scientists have found the glue that holds society together, the source of love and prosperity. This time it's not a cheese sandwich. No, it's a hormone called oxytocin. You've probably heard of it. So, Dr. Love bases his argument on studies showing that when you boost people's oxytocin, this increases their trust, empathy and cooperation. So he's calling oxytocin "the moral molecule." Now these studies are scientifically valid, and they've been replicated, but they're not the whole story. Other studies have shown that boosting oxytocin increases envy. It increases gloating. Oxytocin can bias people to favor their own group at the expense of other groups. And in some cases, oxytocin can even decrease cooperation. So based on these studies, I could say oxytocin is an immoral molecule, and call myself Dr. Strangelove. So we've seen neuro-flapdoodle all over the headlines. We see it in supermarkets, on book covers. What about the clinic? SPECT imaging is a brain-scanning technology that uses a radioactive tracer to track blood flow in the brain. For the bargain price of a few thousand dollars, one of these SPECT scans and use the image to help diagnose your problems. These scans, the clinics say, can help prevent Alzheimer's disease, solve weight and addiction issues, overcome marital conflicts, and treat, of course, a variety of mental illnesses ranging from depression to anxiety to ADHD. This sounds great. A lot of people agree. Some of these clinics are pulling in tens of millions of dollars a year in business. There's just one problem. The broad consensus in neuroscience is that we can't yet diagnose mental illness from a single brain scan. But these clinics have treated tens of thousands of patients to date, many of them children, and SPECT imaging involves a radioactive injection, so exposing people to radiation, potentially harmful. I am more excited than most people, as a neuroscientist, about the potential for neuroscience to treat mental illness and even maybe to make us better and smarter. And if one day we can say that cheese and chocolate help us make better decisions, count me in. But we're not there yet. We haven't found a "buy" button inside the brain, we can't tell whether someone is lying or in love just by looking at their brain scans, and we can't turn sinners into saints with hormones. Maybe someday we will, but until then, we have to be careful that we don't let overblown claims detract resources and attention away from the real science that's playing a much longer game. So here's where you come in. If someone tries to sell you something with a brain on it, don't just take them at their word. Ask the tough questions. Ask to see the evidence. Ask for the part of the story that's not being told. The answers shouldn't be simple, because the brain isn't simple. But that's not stopping us from trying to figure it out anyway. Thank you.
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明日から魔法士団にも復帰するため、まずは団長に挨拶しにいくことに。 部屋に向かって廊下を歩いていると途中でジェフに行き会った。 「お、お姫達じゃん。最近見なかったけどなんかあったのか?」 「うん、ちょっと長めのお休みもらってたんだ」 「私もナツキでお休みもらってたわ。ジェフは変わりなし?」 「変わりはないけど、あちこち行かされててな。行って戻って、また行かされの繰り返しだよ。今も現場から戻ってきたとこだ」 あれまぁ、大変そうだ。衛兵、騎士団、魔法士団全部に通じるんだけど、単純な取り締まりや軍事的な仕事以外に、災害の対処や救助の仕事も回ってくる。 で、大規模災害とかなら大人数の騎士団、小規模なら小回りの利く魔法士団って感じで割り振られる。衛兵は避難誘導とか細々した仕事。 当然、大規模な問題なんてそう起こらないから、大体は魔法士団に話が回ってくるんだよね。 そんな事情があるから、ジェフみたいにあちこちに行って戻ってを繰り返す団員が結構いたりする。 「お疲れ様。落ち着いたらみんなで飲みにでも行こうよ」 「それは楽しみだしいいんだけど、いつの間に酒なんて覚えたんだ?」 「へへ、ちょっと前にね」 前にフィル達と飲んでから、ちょこちょこ飲むようになった。ボトルを買ってルティと部屋で飲むのが最近の楽しみの一つなってたりする。 またね、とジェフと別れて団長の部屋に。ノックをすると返事があったので入室すると、ネラさんも一緒にいた。 「団長もネラさんも久しぶり。お休みありがとうね」 「私からもありがとう。おかげで体調もすっかりよくなったわ」 とも元気になったみたいだな。なに、その分キリキリ働いてもらうから気にしなくていいぞ」 「お手柔らかにお願いね」 よくしてもらったから文句は言えないなぁ、と二人で苦笑しながらそう答える。 「ところでネラさんはどうしてここに? いつもなら訓練してる時間じゃない?」 「実はナツキさんと調査した賊の件で進展がありまして。それで団長と話していたんですよ」 あの時の賊の話かぁ。まさか魔法士団で討伐行くことになったのかな......。 「最初は魔法士団で対処しようとも思ったが、人数的にいささか厳しいかとも思ったんでな、賊の件を会議の時に議題に挙げたんだ。そう言った理由で私としては騎士団に対処をお願いしたいとね。......だが結局諸々の理由でうちが行くことになってな」 うへぇ、当たってほしくなかったなぁ。 「でも諸々の理由って何なの?」 「端的に言えば、騎士団の予定が開いてなかったってことだ」 団長としても人数の多い騎士団に任せたかったので大分粘ったみたい。でも前々から騎士団は、組合では対処しづらい超長期かつ大規模な魔獣、魔物駆除の予定が入っていたらしい。 大分前の会議でその予定は周知されていたので、団長もそれは承知の上で頼んだけど、すでに一部は駆除のため遠征に出ているから、今更部隊の再編成はできないと言われたとか。 「でもそれなら、騎士団が戻ってきてから行ってもらうって手もあるんじゃないの?」 「それだと賊討伐が夏前くらいになってしまうんだ。さすがにそこまで放置するのは被害的にもそうだが、体面的にも宜しくない」 夏前っていうと......あと半年ないくらいかな。確かにそんなに放置してたら国はなにやってんだって話になるよね。 「でまぁ、うちで討伐隊を組むことになったんだが、うちとしても暇なわけじゃない。今でもみんなにあちこち飛んでもらってるくらいだからな。そんなわけで今ネラ君と予定を詰めていたわけだ」 「なるほどね。それでいつ頃になりそうなの?」 「それが最低限やらないといけない優先順位の高い案件だけを処理して、すぐに準備を始めても春先くらいになりそうなんですよ」 春先かぁ......騎士団よりは早く動けるとは言っても、優先順位の低い案件を破棄してそれだからうちも結構いっぱいいっぱいだね。 「しかも新人やベテラン何人かを残してそれ以外は全員討伐隊に参加だ。それでもようやく賊の倍くらいでしかないから油断ができん」 魔法士団は全部でに満たないくらい。騎士団が千人くらいだから大分差がある。 これは魔法士団の入団の条件が魔法に長けていること、っていうことが足を引っ張ってる。騎士団の条件が、魔力循環が出来る健康な人っていうのに比べると該当する人材が意外といない。魔力循環が出来ても、魔法が上手く使えるとは限らないからね。 普段から団長も人材の発掘、確保がままならないって溜息ついてる。 「新人ということは、私達は居残り組でいいのかしら?」 「残念だがそうはならない。二人とも、特にルティ君は、へたなベテランより魔法の扱いが上手いからな。新人の枠には入らんよ」 予想はしてました。訓練だって僕達だけベテランの相手させられたりするもの。 「とりあえず現状はそんなところだ。詳細が決まったらネラ君から連絡をさせるから、それまで訓練に励んでくれ」 「「了解です」」 明日から復帰するのに嫌な話聞いちゃったなぁ。とにかく怪我とかしないためにも訓練はしっかりやっておこう。
Since we’ll be working with the Order of Mages again starting tomorrow, we decided to go greet the leader today. While we were walking in the hallway heading to his office, we saw Jeff on the way. 「Oh, hey princesses. I haven’t seen you two lately, did something happen?」 「Yeah, we actually got a long-ish break.」 「I had one together with Natsuki as well. Anything new with you Jeff?」 「Nothing really new, but I’ve been sent to places and stuff. Just going off and back and away again, you know? I actually just arrived here too.」 Oh geez, that sounds tough. This applies to the patrol guards, the Order of Knights, and the Order of Mages too but excluding the usual management and military jobs, we also handle disaster management and rescue work. So the Order of Knights, since there’s a lot of them, are in charge of large-scale disasters while the more flexible Order of Mages handles small-scale ones. The guards handle the other miscellaneous jobs like evacuation and stuff. Naturally, since large-scale disasters don’t happen that often, these jobs generally go to the Order of Mages, yeah. Since that’s how things are, there are actually quite a lot of mages like Jeff that keep going back and forth from here to other places. 「Good job. When things settle down, let’s get some drinks with everybody.」 「Well that sounds great and all, but just when did you start drinking?」 「Hehe, some time ago.」 Ever since we went drinking with Firu and Cain, I’ve been drinking every now and then. To be honest, buying a bottle and drinking with Ruti at home is one of the things I look forward to these days. After seeing Jeff off, we arrived in front of the leader’s office. Since there was a reply when we knocked on the door, we entered the room and saw that Nera-san was there too. 「Long time no see Leader, Nera-san. Thanks a lot for the break.」 「I really appreciated it too. Thanks to that, I’m feeling absolutely better now.」 「It looks like the two of you are back in shape. Well, we’ll make sure that you work your break’s worth, so don’t worry too much.」 「I just hope you won’t be too hard on us.」 I can’t really say anything else since they really adjusted for us, so I just replied while the two of us wore strained smiles. 「By the way, why are you here, Nera-san? Don’t you usually have training around this time??」 「The truth is, there’s been development on the cases of the bandits we investigated. So I came here to discuss with the leader.」 The bandits that time, huh. Don’t tell me that the Order of Mages are going to subjugate them or something...... 「At first I thought of letting our order handle them, but after considering our numbers, it might be somewhat difficult for us. So I brought up the issue of the bandits during the assembly. Because of that, I requested that the Order of Knight handle them instead...... But in the end, because of reasons, it was decided that we go.」 Ugeh, I didn’t actually want to be right about that. 「By the way, what do you mean by “reasons”?」 「To cut it short, the Order of Knights didn’t have any vacancy in their schedule.」 It seems like the leader was really persistent on having the much larger Order of Knights take the case. But he says that the Order of Knight have already planned on doing large-scale and extremely long-spanning monster and magic beast exterminations that the union can’t handle. Since this schedule was already announced in a previous assembly, the leader still requested after taking that into account, but since a part of the troops were already sent in advance, they said that they can’t reorganise the troops now. 「But then, can’t we just wait for them to return and then ask them again?」 「If we did, the bandit subjugation wouldn’t be happening until before summer. We can’t leave them be for that long now, could we? It’s obvious considering the damage they’ll do, but it’ll also damage our reputation.」 Before summer, then...... almost half a year from now, I think. Now that he mentioned it, if we ignored them for that long, it’ll be like “What is the government even doing?” and stuff, so yeah. 「So again, we’re going to form a subjugation force for this, but it’s not as if we’re idling around ourselves. After all, clearly most of us are still busy going around all over the place even now. With that said, Nera-kun and I are currently planning about what to do.」 「I see. So when would it probably happen?」 「At the very least, if we immediately start preparing after only processing the highest priority cases that absolutely need to be done, then we could probably leave right about the beginning of spring.」 The start of spring, huh...... Even though we can move faster than the Order of Knights, seeing that we can only go that early even after cancelling all low priority cases, I guess that’s just how busy we are too. 「Moreover, everyone other than the rookies and a few veterans are all joining the subjugation force. Even after doing that, we still have barely twice the people the bandits have, so we absolutely can’t let our guard down. 」 The Order of Mages has about less than members in total. The Order of Knights has about a thousand and that’s really a big difference. This is because the requirement for joining the Order of Mages is being proficient with magic, it’s really affecting the recruitment. On the other hand, the requirement for joining the Order of Knights is just being healthy and capable of magic power circulation, so it’s surprisingly difficult for us to find qualified recruits. Even if you can use magic power circulation, it doesn’t make you automatically good with magic after all. The leader even regularly worries about finding and securing new recruits. 「Since the rookies aren’t joining, we’ll be staying as well, correct?」 「Unfortunately, that’s not the case. The two of you, particularly Ruti-kun, are better with magic than any regular veteran after all. You can’t call yourselves rookies, you know?」 I thought so. After all, in training, we’re the only ones always paired with veterans. 「For now, that’s our current situation. I’ll have Nera-kun contact you two once we settle on the details, so focus on training until then.」 「「Understood.」」 We aren’t even back to work yet and all we hear is bad news, huh. Anyway, so we don’t get injured, let’s make sure to train properly.
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「コルティナ、わたしに行こうか?」 「ニコルちゃんは怪我が治ったばかりなんだから、無茶はさせられないわ。今回はお留守番してて」 コルティナはライエルやクラウドとも協力関係を取らなかったため、戦闘に関して不安がある。 えているわ。ニコルちゃんみたいに無茶はしないから、心配しないで」 「でも今回は、それくらい心配かけたんだから反省してもらわないと。そうね、まずは冒険者ギルドで人材集めかしら。マーク君にも手伝ってもらおう」 「マークたちかぁ......」 コルティナは指折り戦力を考えているが、正直マークではクファルの相手は心許ない。 「あと、ミシェルちゃんも借りるかもしれないから」 「うん、いいよ! わたしも全力で協力するから!」 勢い込んで安請け合いするミシェルちゃんだが、確かに彼女ならば、クファルの相手は最適かもしれない。 ミシェルちゃんも狩人としてはかなり鋭敏な感覚を持っているが、奴が相手となると、それでも物足りない。 「ま、待ってくれよ。ミシェルは俺が一緒に行動してもらおうと思ってたんだ!」 「なに、クラウド君。復讐を女の子に 「それはそれ、これはこれだから!」 クラウドの戦闘スタイルは守りに偏ったものだ。つまり、コルティナと同じく、攻め手に欠ける。 仲間でも随一の攻撃力を誇るミシェルちゃんの腕は、是が非でも欲しいところだろう。 「そんなこといわれても、私も彼女の腕は欲しいのよ?」 「俺だって当てにしてたんだから!」 「なんだ、コルティナ、クラウド。もうトラブルか? リタイヤしてもいいんだぞ」 「誰が!」 人類最強クラスの攻撃力を持つ奴は、実に余裕綽々だ。しかもマリアまでついてくるのだから、万全の体制といっていい。 そこで俺は、ふと思い出した。 「そういえばフィーナは?」 「置いてきたわ。留守は通いの家政婦さんが見てくれているから、安心して」 「それに村の警備隊を監視に着けている。下手な手出しはできないさ」 「ニコルが大怪我するような危険な場所に連れて来れるわけないじゃない」 マリアの主張も、もっともだ。俺が怪我するほどの敵がいる場所に、フィーナという弱点を抱えてやってくるはずがない。 「とにかく、クラウド君? ここは男らしくレディに譲りなさい!」 「何がレディだよ、こればっかりは引けないからな!」 「やめて、わたしのために争わないでー」 真剣な表情で言いあう二人を差し置いて、ミシェルちゃんはなんだか楽しそうだ。 「いや、そもそも『わたしのために』ってセリフはわたしがいうことじゃないかなぁ?」 「ニコルちゃん、硬いこと言いっこなしよ」 結局、熾烈なジャンケンの結果クラウドが勝利し、コルティナを大層悔しがらせたのだった。 「では、話も終わったようだし、わたしたちはこれで」 「その前に、これを受け取っておけ」 同時にアスト――ハスタール神が俺に一枚の布を差し出してくる。 「これは?」 「ミスリル糸で織ったマントだ。もっともそれだと重くなるので、多少工夫はしてあるがな」 「工夫?」 「ああ。本来は防水の役に立てばと思ったのだが、性質上、スライムの侵蝕にも耐えられるはずだ」 そういえば、かつてこいつの住処に行ったとき、例のヒュージクロウラーの糸を粘液状に変える実験をしていたっけ? 「ありがたい。今度は後れを取らないから」 「そうしてもらいたいものだな」 不愛想にそう告げ、神々は部屋を出ていった。 「じゃあ俺たちも行くとするか」 「ニコルも無理しちゃだめよ」 「うん」 続いてライエルとマリアも席を立つ。フィニアは食器を片付け、厨房へ運んでいった。 フィニアは防具は最小限で、振動する槍を使って戦う。そのスタイルでは攻撃を受ける可能性が高い。 クラウドも自分の部屋に戻っていく。ミシェルちゃんも。
“Cortina, should I come along?” “Nicole, your injury has only just healed, so I can’t have you push yourself. Sit this one out.” Cortina wasn’t working with Lyell or Cloud, so I was a little worried. I tried to go along with her, but she politely rejected it. She stood up, approached me, and gently patted my head. “Don’t worry, I am aware of my own limits. I won’t go overboard like you, so don’t worry.” “You’ve made us worry that much this time, so I have to make you feel sorry. Let’s see, maybe I will go gather people at the Guild for now. I’ll have Mark help too.” “Mark’s group huh...” Cortina was thinking about the prominent battle assets, but honestly, Mark would be pretty unreliable against Kufar. He could even manipulate his body parts, so he probably had even more troublesome abilities. “Also I’m thinking of borrowing Michelle.” “Okay! I’ll cooperate with all my strength!” Michelle readily promised that, but she might actually be the most ideal opponent against Kufar. As long as his core is exposed, she could land a precise shot from a safe distance. The problem was that Kufar was known to be elusive. Michelle had sharp senses as a hunter, but even that could be lacking against Kufar. “W-Wait, I was thinking of having Michelle act with me!” “What is it, Cloud? Do you plan to entrust your revenge to a girl?” “That’s beside the point here!” Cloud, who had thrown a challenge to the Six Heroes, stood up in protest at Cortina’s words. His fighting style was centered around protection. In other words, like Cortina, he lacked in the offense. He probably wanted to secure Michelle, whose offensive ability was the highest among our party, no matter what. “Still, I want her skill too you know?” “Well, I was planning to count on her too!” “What’s up, Cortina, Cloud. Already having trouble? You can just retire, just so you know.” “Who would!” Lyell stared at the two with an irritable smug grin. Being in the world’s strongest class when it came to offense, he was acting quite composed. Even Maria was with him, so he had a perfect setup. Then I suddenly remembered something. “Speaking of which, what about Fina?” “We left her behind. The maid is looking after her, so don’t worry.” “Plus, there’s the village’s guards monitoring the place. No one should be able to get to her.” “We couldn’t bring her to a place where you suffered such a big injury.” Maria’s point was reasonable. They couldn’t bring their weakness that was Fina along to a place where an enemy strong enough to injure me was around. Plus the village guards were all proficient in battles and were all quite strong. They should be able to keep her safe. “Anyway, Cloud. Be a gentleman and give ground to a lady!” “Lady my a̲s̲s̲! I’m not backing down this time!” “Stop, don’t fight for mee!” Michelle seemed to be having fun seeing the two fight over her with such serious expressions. From her standpoint, she would accomplish her revenge whoever she followed, so she was just happy that she was being needed. for me “Nicole, don’t be such a wet blanket.” I wonder where she learned to talk back like that. In the end, Cloud won their fierce rock-paper-scissors fight, making Cortina extremely frustrated. “Okay, we’re done here, so we’ll be off.” “Before that, take this.” The one that stood up from the chair with those words was Whitey, who had been silent until now. At the same time, Aste—God Hastur, handed over a piece of cloth to me. It was a black cloth that released a dull luster, a material I’d never seen. Or no, it looked a little similar to my gauntlets. “What’s this?” “Mantle woven with Mythril threads. But it would’ve been heavy that way, so I’ve made some adjustments.” “Adjustments?” “Yeah. At first, I was thinking that it would be good for defense, but given the material, it should resist the Slime corrosion too.” Hastur spoke full of confidence. Thinking back, I remember seeing him experimenting on converting the Huge Crawler’s threads into mucus form. Did he use that technique to make this mantle? “Thanks. I won’t let him get the better of me this time.” “I hope that will be the case.” With that curt reply, the two gods left the room. “Time for us to go too.” “Nicole, don’t do anything rash.” “Okay.” Lyell and Maria also left their seats. Finia gathered the tableware and took it to the kitchen. Her participation wasn’t part of the topic this time, but not because she was weak or anything. It was simply because it was judged that she would have a bad affinity against a Slime. FInia fought with a spear with minimum defensive gear on her. Her combat style would leave her prone to receiving attacks. For that reason, everyone had judged not to take her to the battle, fearing getting her wounded. Cloud also returned to his room, and so did Michelle. And like this, Kufar subjugation squads started making their own preparations.
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「セイヤ......」 白髪紅眼の美少女であるユアが前の方を指さしながら、セイヤのことを呼ぶ。セイヤはユアの指がさす方向に目を向けると、あるものを発見した。 そこにいたのは牛のような動物の大群。しかもその大群が、セイヤたちの方へと向かって猛スピードで迫って来ていた。 数にして約3000。 「また魔獣か」 「みたい......」 「セイヤ......どうする?」 「俺がやる」 自分たちに向かって迫り来る魔獣の大群に向かって、右手を突き出しながら魔力の練成を体内で始めるセイヤ。ユアは何もせず、ただ安心しきった顔でセイヤのことを見ている。 「『闇波』」 セイヤがそう言った直後に向かって猛スピードで攻めて来た3000近い魔獣の大群は、その姿で消した。そして残ったのは魔獣たちが起こした土煙だけ。 ユアがその光景を見て一言。 「やっぱり闇属性は便利......」 「確かにな。異端の力と言われるだけのことはある」 セイヤとユアはダリス大峡谷にまっすぐと進もうとしていたのだが、魔獣やら大きな山やらなどが行く手を阻んだ。 だから仕方がないので、セイヤがそのすべてを闇属性魔法で消滅させていた。 『闇波』によって消費したセイヤの魔力をユアの『聖花』が回復させることにより、二人は超効率的にダリス大峡谷へと向かうことができている。 セイヤたちが捕らわれていた施設の周辺には緑がなく、大きな岩がごろごろしているような土地で、ほかには岩山や枯れた木などがあった。 しかし現在は、そこに一本のまっすぐな道ができている。この道は当然セイヤが『闇波』で問答無用に消滅させてきた道である。 そんな超効率的な進み方をしているセイヤとユアは、遂に緑豊かな森へとたどり着く。 あたり一面を無機質な岩などに囲まれている暗黒領の中にある、この緑豊かな森は、まるで広大な砂漠にあるオアシスみたいだ。 二人は久しぶりの緑にテンションを上げて、森の中へと入っていったが、すぐにあるものと遭遇する。 顔は完璧イノシシ、けれども体がツキノワグマで、二足歩行をしている魔獣。 二足歩行のイノシシ頭のクマは一頭だけではなく、集団で行動していた。 その数はざっと100を超えており、頭と体のバランスがとても悪い動物が100体もいる光景はとても異様である。 100体を超える怪物達は鋭く尖った爪をセイヤたちの方へと向けており、その姿はかなりの威圧感を放っていた。 種族名 ボアド 危険度 ★★★★ 詳細 並の魔法師では相手にならない強さを持つ魔獣であり、群れで行動することが多い。遭遇したらすぐに逃げるべき。速度はそんなに早くはないため逃げ方を考えれば生存可能。 と書かれていたが、セイヤとユアが聖教会の資料などを知っているはずがないため、魔獣の名前などわからない。 通常、この手の資料は暗黒領の魔獣討伐に行くことのある上級魔法師以上しか見ることのできない資料であり、ついさっきまで初級魔法師最底辺だったセイヤが知る由もない。 ユアはわからないが、顔を見る限り知っているという様子はないようだ。 「体のバランス悪いな」 二人はボアドの詳細を知らないので、ただ気持ち悪い魔獣たちと認識するしかなかった。 ボアドの群れはセイヤたちを見るとすぐに戦闘態勢に入った。 なので、セイヤはすぐにボアドたちの群れに向かって『闇波』を行使する。これでボアドたちは一気に消滅する、はずだった。しかし、ボアドの群れに変化は訪れない。 ボアドのなんともない様子を見て、驚きながらも、セイヤはすぐに新たな魔法を行使する。 「これならどうだ......『闇風』」 セイヤの行使した魔法は闇属性初級魔法『闇風』といい、相手を消滅させるのではなく、斬りつけることを目的にした魔法だ。 カマイタチを起こして斬りつけるこの魔法は、消滅の効果がない分、攻撃力が高く、ボアドを斬りつけることは造作もない、はずだった。しかし、またしてもボアドたちに魔法が効かない。 「セイヤどうする?」 「やばいな。俺の魔法がきかない」 魔法の効かないボアドに対して、焦るセイヤ。 セナビア魔法学園の座学で習ったことを思い出そうとするが、暗黒領に関しての授業はほとんどないため有効な打開策が思いつかない。 その時、ユアがハッとした顔をしてあることを思い出す。 「セイヤ......もしかしたら魔法耐性があるのかも......。前にお父さんが言ってた......変なのには魔法耐性があって武器攻撃ならきくと......」 「なるほど。試してみる価値はありそうだな」 セイヤはユアの言葉を信じて、試してみることにした。 ユアの父親は聖教会の関係者であり、地位はかなり高い方だとセイヤは思っている。なので、情報の信憑性は高い。 セイヤはすぐに愛剣であるホリンズを召喚する。『闇波』があるため、魔法発動に詠唱は必要ないセイヤの手には、一瞬にしてホリンズが握られた。 一方、ボアドたちもただ見ているだけではなく、いつの間にか散開しており、セイヤたちのことを囲んでいる。 森の中は木が多いが、幸いボアドたちの体は大きいため見失うことはない。 セイヤが双剣ホリンズを構えると、ボアドたちも動き出す。 二頭のボアドがセイヤに向かって突っ込むが、セイヤもそのボアドたちに走って突っ込んでいき、光属性の魔力を自分の足へと流し込む。 そして一歩を踏み出すと同時に加速してボアド二頭のわき腹にそれぞれ一本ずつホリンズを刺した。 ボアドたちはセイヤの急な加速に反応できずに攻撃を受けてしまう。 』を部分的に発動した魔法、『 「よし!」 ボアドの体にホリンズが刺さることを確認すると、セイヤはそのままホリンズに闇属性の魔力を流し込む。 「外から通じないなら、内からはどうだ」 体内に闇属性魔力を流し込まれた二頭のボアドは、次の瞬間、体内はみるみる消滅していき、魔力耐性のある毛皮だけを残して絶命した。 仲間が毛皮だけを残して消えていく光景を見たボアドたちは、一斉に興奮し始める。それは目の前で起きた非現実的なことに対する恐怖と、同胞がやられてことに対しての怒りが入り混じったものだ。 「どうやらこいつらの体の中には魔力が効くみたいだぞ。効かないのは外のだけだ」 「わかった......」 セイヤの言葉を聞いたユアは魔法を行使する。 』ユリエル」 魔法名を言った直後、ユアの右手には白を基調にしたレイピアが姿を現して握られる。 』といい、名前の通り聖属性魔法の特殊効果である「発生」によりレイピアを生成したのだ。 ユアが生成したレイピアはユリエルといって、ユアのよく使う武器の一つである。 ユリエルを生成したユアは自分に対して突っ込んでくるボアの腹にユリエルを刺して、すぐに抜く。 もちろんこのぐらいではボアドたちは死なず、ユアに爪で切りかかろうとした。 しかし、ボアドたちはユアに触れることはできなかった。 ユアに切りかかる直前、ボアドは三体とも体内から弾けて肉塊になってしまったのだ。血しぶきがものすごい勢いで飛ぶが、ユアは光属性中級魔法『 ユアの攻撃を見て、苦笑いを浮かべるセイヤ。ユアの攻撃方法と同じような攻撃方法をセイヤは一度だけ本で読んだことがある。 それは火属性を使う魔法師の中でも、特にレベルの高い魔法師が使う技であり、相手の体内に火属性の魔力を流し込むことで、体内を活性化させるという技だ。 ユアの攻撃方法はその攻撃方法に似ていたが、火属性を使っている兆候はない。ユアが使っていた魔力属性は光属性であり、光属性の魔力では本来できることのない芸当。 しかしセイヤの目の前にいるユアは、それをやってのけた。 ならユアはいったいどうやってそんな芸当をやってのけたのか。答えはボアドの体内に光属性の魔力を流し込み、体全身の機能を上昇させたのだ。 光属性の特殊効果は「上昇」であり、対象を上昇させる効果がある。ユアはその「上昇」をボアド全身に発動させた。 本来なら全身の能力が上昇したことにより、ボアドは強化されることになるのだが、ボアドの毛皮は魔法耐性があり上昇することはない。 風船を膨らませる時、中の空気だけを増やしたところで風船自体の耐久力をどうにかしないと、ただ空気の入れすぎで爆発してしまう。それと同じだ。 耐久力の上がっていないボアドの毛皮は、上昇したボアドの体内の働きに耐えられずに弾けてしまう。 この技はおそらく聖属性を扱うユアにしかできないものだ。普通の魔法師がいくら頑張ったところで、自分ではなく他の者の全身を上昇させることなどまずできない。 見た目こそグロテスクだが、他の者を強化する姿はまさしく聖教会の女神と似ている、とセイヤは思った。 一方、ボアドの群れは全員が戦慄していた。 片や刺された瞬間に体の内側がなくなったように毛皮を残して絶命していき、片や刺された次の瞬間には体の内部から弾けて肉塊になり絶命してしまう。 普通の動物なら野生の本能で二人の恐ろしさを知って逃げるであろうが、ボアド達は今まで魔獣にも人にも負けたことのないというプライドがあった。 その安いプライドがボアドたちをつき動かし、セイヤとユアに突っ込ませる。 セイヤは突っ込んでくるボアドたちに対してホリンズを刺すと同時に闇属性の魔力流しこみ、次の獲物へと向う。 ホリンズで刺したボアドが絶命することを確認する間もなく、次から次へと刺していく。 ユアの方も自分に対して突っ込んでくるボアド達に次々とユリエルを刺しては抜いていく。ボアドは刺された瞬間こそ生きているが、次の瞬間には体内から弾け肉塊になってしまう。 ユアもボアドが肉塊になるかは気にせず、どんどんと次の獲物にまたユリエル刺しては抜いていく。 そんな一方的な殲滅も気が付けば終わっていた。 セイヤの周りには毛皮だけを残したボアドの死体たちが、ユアの周りにはボアドの姿を確認させないほど無残な肉塊だけが残っていた。 毛皮と肉塊の数は大体同じことから、仕留めた数はお互い同じ事がわかる。 その後、セイヤとユアはボアドの群れ以外は特に問題なく森を抜け、目の前には第一目標のダリス大峡谷をとらえた。 ダリス大峡谷の底は名前通り見えないほど深い。 セイヤ達が立っているところは、一歩踏み出せば断崖絶壁というところで、試しにセイヤが石ころを投げてみるが、底にぶつかるような音がしなかった。 「なあ、ユア。これどうするんだ? まさか飛び込むとか言わないよな?」 ユアならそのまま飛ぶといいそうなので、先に確認する必要がある。 「セイヤ飛べる?」 「はい?」 「だから飛べる?」 「いや、ふつう人間は飛べないと思うのだが」 よく意味が分からないことを言い出すユアに、セイヤは困惑する。そして瞬間的にユアの考えを理解して、セイヤは焦った。 「まさか......」 「なら飛び込むしかない......」 「なっ......」 ユアの理論は言ってしまえば二択からの消去法だ。 人は飛べない。だったら飛び込むしかない。 という至ってシンプルな考え方であり、他の手段を探すという考えはないらしい。 ユアが優しくセイヤの手を握る。 しかしなぜかその手は絶対に離さないといわんばかりにセイヤの手を強く握っており、セイヤは一瞬で背筋が凍るのを感じた。 「じゃあ......行こう......」 「なっ、待てぇぇぇぇぇぇぇぇ」 次の瞬間、ユアがセイヤの手を引きながら、大峡谷の中に飛び込む。そして二人の姿は暗闇の中に消えていった。
「Seiya......」 A beautiful red-eyed girl, calls on Seiya while pointing to the front. Seiya looked towards the direction of her finger and noticed something. In this direction was a large horde of animals resembling cattle. And the horde was approaching at the high speed towards them. Their number was about . 「Magical beasts again」 「It seems so......」 「Seiya...what shall we do?」 「I’ll deal with them」 Seiya starts manipulating mana inside his body while lifting his right hand towards the horde of beasts. Yua does not do anything and just watching Seiya with a relieved face. 「 『Dark Wave 』」 Immediately after Seiya said the name of the spell, horde of close to beasts that was approaching at a high speed toward the two of them disappeared in a flash. Seeing this Yua said. 「After all, dark attribute sure is convenient ......」 「Sure enough. That what you should expect from the power of heretics」 Seiya and Yua were trying to go straight to the Great Dalis Canyon, but monsters and large mountains got in the way. Having no other choice, Seiya destroyed every one of them. By restoring Seiya’s mana consumed by the 『Dark Wave 』 using 『Holy Flower』, they headed to the Great Dalis Canyon in an extremely swift manner. In the surroundings of the facility, captives were held, there were rocks and dead trees. But there were no obstacles on their road now, they all disappeared from the『Dark Wave 』. Proceeding as such, they finally reached a green forest. This lush forest, located in the dark territory and surrounded by rocks looked like an oasis in the vast desert. The two raised their guard and entered the forest, then they encountered something. They saw a bipedal monster with the head of a boar and body of a bear. And this bipedal boar-bear was not alone. Their numbers roughly exceeded 100, and the scene of 100 monsters with such bad head and body balance was really strange. More than 100 monsters turned their sharp nails towards the Seiya and Yua, their appearance was quite intimidating. Species: Boad Danger: ★★★★ Description: An average magician isn’t able to defeat them. Often move in a group. You should escape as soon as you encounter it. Their speed is not so great; escape is most likely possible. Although it was documented, Seiya and Yua couldn’t possibly know the research materials of the church, so they didn’t know the name of the monster. Normally, this information can only be seen by senior magicians who are going to subjugate magical beasts in the dark territory, but Seiya, who was the lowest of the beginner magician until a while ago, does not know. Judging from Yua’s face she is not aware either. 「Their balance sure is bad」 Since they do not know the details of boads, they could only recognize it as another magical beast. A group of boads engaged Seiya and Yua as soon as they saw them. Seiya immediately fires『Dark Wave 』towards the group of boads. This should have made them disappear in a second. However, this doesn’t happen to a group of boads. While watching the boad’s uninjured appearance, although surprised, Seiya immediately casts a new spell. 「How about this ... ... 『Dark Wind 』」 The magic exercised by Seiya is the dark attribute beginner magic 『Dark Wind 』, it is not targeted at extinguishing opponent, but slashing him This spell is supposed to have a high offensive power and it should have sliced the boad in half. But once again the spell does not work against boads. 「What should we do, Seiya?」 「It is dangerous. My magic does not work」 Seiya is nervous fighting against boads with their magic immunity. He tried to remember what he learned at the Senabia Magic Academy’s lectures, but since there were few lessons about the dark territory, he couldn’t think of anything useful. At that time, Yua makes a relieved face as if she remembered something. 「Seiya ... ... maybe they have magic resistance ... .... dad said before ... ... if you meet some weirdos with magic resistance weapons will work just fine......」 「I see. It is worth trying」 Seiya believed Yua’s words and decides to try it. Seiya thinks that her father is a figure of the church and his position is quite high. So the credibility of information should be high too. Seiya immediately summons Hollins, his trusted weapon. Because of a『Dark Wave 』, the chant is not necessary, Hollins was immediately summoned in the hands of Seiya. Meanwhile, boads are trying to quietly surround them. There are many trees in the forest, but fortunately, the boads are so big that you cannot lose sight of them. When Seiya takes a stance, boads moved. Two boads are thrusting towards Seiya, but he also runs to the boads and thrusts, he pours the power of light attribute onto his feet. And as he took the first step, he accelerated and stabbed Hollins into the sides of the two boads. Boads were unable to respond to the rapid acceleration and end up getting hit. The accelerated with a spell『Mantle of Light』, which partially activated 『Single Light』. 「Nice!」 Confirming that Hollins stabbed into the boads, Seiya pours mana of the dark attribute into Hollins. If it is useless from the outside, how about from the inside? Two boads, who had the dark attribute mana injected into their body, had their intestines disappear, leaving only fur behind. Boads, who saw them disappear leaving only the fur, became agitated. Fear of the boy in front of them mixed with anger from having their comrades killed. 「Apparently, magic seems to work from the inside of their bodies. Only the outside is protected」 「I understand......」 Yua hearing his words casts a spell. 「『Holy Maiden』Yuriel」 Immediately after saying the spell’s name, rapier appears in her right hand. The spell she used is holy attribute beginner spell 『Holy Maiden』, it creates a rapier utilizing the special effect of the holy attribute『creation』. The rapier created by Yua is one of her favorite weapons, its name is Yuriel. Yua stabs the bellies of the three boads with the Yuriel and immediately pulls out. Of course, they won’t die from such a small wound, they tried to hit her using their claws. Regretfully, they couldn’t even touch her. Just before their claws were about to land on her, they exploded from the inside and became a meat paste. Although the blood splashed in all directions, Yua avoids it by deploying a light attribute intermediate spell 『Wall of Light』and remains unstained. Seiya has a bitter smile on his face after seeing her attack. He has read about a similar attacking method in a book once. Among the magicians who use the fire attribute, it is a technique used by especially high-level magicians, it is a technique that detonates the body by pouring the mana of the fire attribute inside the opponent’s body. Yua’s way of attacking is similar to that attack method, but there were no signs of using fire attribute. The magical attribute used by Yua is a light attribute, and it shouldn’t be possible with the light attribute alone. But Yua did it right in front of his eyes. So how did she do it? She pushed the magical power of the light attribute in boad’s body and raised its power. The special effect of the light attribute is『rising』, which has the effect of improving the object. Yua activated『rising』on the whole body of boad. Originally it should be strengthened, but boad’s fur is resistant to magic and will not improve. When inflating the balloon, if the endurance of its material is not enough, the balloon will just explode from the excessive air. It is the same principle here. Boad’s fur, whose durability has not increased, couldn’t bear the pressure of the raised body and exploded. This technique is probably possible only for those who have the holy attribute. For an average magician, it is impossible to raise the capabilities of the body that is not his. Although it is grotesque, her appearance while strengthening others resembles a goddess from the church. On the other hand, all boads were shivering. In one moment one’s body is stabbed, as his inside disappeared, leaving only the fur behind. In the next moment, the other one is stabbed and explodes. Ordinary animals would flee if they are at disadvantage, but boads had their pride and refused to yield. Driven by their cheap pride they pounce on Seiya and Yua. Seiya pierces Hollins into the closest one, pushes the mana of the dark attribute inside him, and goes for the next prey. Right after confirming the death of the boad, he immediately stabs the next one. Yua also pierces one boad after another with Yuriel. The moment boad is stabbed he explodes from within in the rain of blood. Yua does not mind whether boad will become a meat block, and will steadily pierce Yuriel sticking to the next prey rapidly. Before they noticed the massacre was over. The corpses of boads with only their fur intact and the bunch of meat lumps littered the ground around them. Because the number of furs and meat lumps are roughly the same, they seemed to have killed roughly the same amount of them. After that, Seiya and Yua passed through the forest without any troubles and caught sight of their target, the Great Dalis Canyon. The bottom of the Great Dalis Canyon is so deep it couldn’t be seen. From where they stood, Seiya threw a stone inside, trying to hear a sound of it hitting the bottom, but he didn’t hear anything. 「Hey, Yua. What should we do now? Do not tell me we need to jump? 」 Just plunging ahead seemed rather stupid, so he confirmed first. 「Can you fly, Seiya?」 「What?」 「I said, can you fly?」 「No, no, no. Do you think people can fly? 」 Seiya was confused, but Yua seemed to understand his answer in her own way. Seiya noticed it and tried to stop her. 「There is no way......」 「Then I guess we have to jump......」 「Huh?......」 Yua’s logic is a method of elimination. People cannot fly. Then you have no choice but to jump. Using this simple logic there is no need to search for complex solutions. Yua gently holds Seiya by the hand. However, for some reason, he couldn’t resist her grab, and in the next moment Seiya felt his spine freezing. 「Well then ... let’s go ...」 「Stop, please waaaaaaaaaaaaaaa」 In the next moment, Yua jumps into the great canyon while pulling Seiya by the hand. Their figures disappear in the darkness.
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メルは縄でベッドに拘束されたアランを指さしながら冷たくそう言った。 本当にリズ派の人間に対しては容赦ないな。 状況を把握すると、アランを捕まえた後、ヘンリが馬車で屋敷を抜け出し、デューク達と合流した。そして、誰にもばれないよう裏口を使い、今デュークの家、つまり王宮にある隠し部屋にいる。 メルは本気で地下牢に閉じ込めたかったみたいだけど、流石に可哀想だから僕とデュークが止めた。 僕はアランの方に視線を移す。 当たり前に美形だ。骨格が少しだけアリシアに似ている気がする。やっぱり血は繋がっているんだな。 それにしてもいつ目覚めるんだろう。もうアランが眠ってから十時間は経過している。 「起きないね」 「もう少し軽い睡眠薬でも良かったかもな」 僕の言葉にヘンリは苦笑する。 いや、最初は睡眠薬なしで捕まえる予定だったじゃん。 口には出さず心の中でツッコミをいれておく。彼らにいちいちつっこんでいるときりがない。 「起こすか」 デュークがそう呟いて、指をパチンッと鳴らす。 それと同時にアランの顔にバケツ一杯分の水が落ちてきた。 流石水魔法!! ......って感心してる場合じゃない貴族のご子息様だというのに酷い扱いだ。 「ん、んん」 アランはゆっくりと目を開ける。 僕達は誘拐犯なので、もちろん声が出ないように布で口を覆っている。これは必須だ。 デュークの姿を見て、アランの瞳が大きく開くのが分かった。 確かにこの拉致事件の陰謀者が王子って知ったら驚くよね。 「あ! 目覚ましたよ! おはよ~~」 明るい声でメルはアランを見ながら手を振る。 アランは何をされるか分からないという恐怖で体を震わせる。 「大丈夫、危害は加えないよ」 僕はアランに少しでも警戒心を軽減してもらおうと、そう言った。 まぁ、状況的に信じてもらえないだろうけど。 「え、加えないの?」 「加えるつもりだったの?」 メルが驚いた様子で僕の方を見たが、びっくりしたのは僕の方だ。 いつからメルはそんな過激派になっ......、この子は最初からずっと過激派だった。 「ん! んんん!!」 アランは一生懸命叫んでいるが、何を言っているのか全く分からない。 「なるほど! アリアリが大好きだって叫んでるんだね!」 メルは目をキラキラさせながらそう言った。 アランはデュークの方を見ながら必死に訴える。 「ヘンリ、布を外してやれ」 デュークの言葉にヘンリは従う。 「声が漏れるんじゃ......」 「魔法で外に音が一切漏れないようになっている」 デュークは僕の小さな呟きに答えてくれた。 「じゃあ、なんで布を巻いたりしたの?」 「そっちの方が恐怖心を刺激できるだろ」 デュークはそう言って、口の端を上げる。 ......うわぁ、やっぱりデュークだけは敵に回したくない。
Mel said coldly, pointing at Alan, who was bound to the bed with a rope. She really was tenacious in her opposition to the Liz faction, wasn’t she? After taking control of the situation, Henry escaped from the house in a horse-drawn carriage and joined Duke and the others. They then hid in Duke’s house, i.e., a hidden room in the royal palace, after sneaking in through a back door so no one would find out. Mel really wanted to lock him up in the dungeon, but I felt sorry for him, so Duke and I stopped her. I looked at Alan. He was naturally good-looking. I felt his bone structure was a little like Alicia’s. I could tell they were related. Still, when in the world was he going to wake up? It had already been ten hours since Alan had fallen asleep. “He’s not waking up, is he?” “Maybe using a milder sleeping pill would have been better.” Henry chuckled at my remark. No, you were trying to catch him without the sleeping pills at first. I didn’t say it out loud, but I kept it to myself. There was no end to the number of questions I had to ask them. “Let’s wake him up.” Duke muttered and snapped his fingers. At the same time, a bucket of water fell on Alan’s face. The power of water magic!But now was not the time to be impressed. He was the son of one of the five great nobles, and yet he was treated so badly. “Nn, nn...” Alan slowly opened his eyes. We were kidnappers, so of course we covered his mouth with a cloth to prevent him from speaking. This was essential. I could see Alan’s eyes widen at the sight of Duke. Surely, he’d be surprised to learn that the prince was a conspirator in this kidnapping case. “Ah! You’re awake! Good morning~!” Mel said cheerfully, waving her hand as she looked at Alan. Alan’s body trembled in fear at the thought of what they might do to him. “Don’t worry, we won’t hurt you.” I said, trying to get Alan to be a little less cautious. Well, he probably wouldn’t believe me, given the circumstances. “Oh, we’re not going to hurt him?” “Were you going to?” Mel was looking at me in surprise, but I was the one who should be surprised. When did Mel become such a violent being? “Nn! Nnnn!!!” Alan was desperately trying to shout, but I had no idea what he was saying. “I see!!! You’re shouting that you love AliAli!” Mel said with a twinkle in her eye. Alan looked at Duke while desperately pleading with his eyes. “Henry, take the cloth off him.” Henry complied with Duke’s words. “I’m afraid his voice might leak out...” “It’s magically sealed to prevent any sound from escaping.” Duke answered my little murmur. “Then why did you wrap the cloth around his mouth?” “It’s more to stimulate fear.” Duke said, raising the corners of his mouth. ...Well, I already knew that making an enemy out of Duke would be really bad.
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◇◆◇◆◇ この街に来る前の失敗から、ピリピリと張りつめた気配が撒き散らされていただけに、同行していた側近――イーガン、ウーノ、スクードの三人は安堵の息を漏らしていた。 宿の食堂、その隅に集まっは、例によって人に聞かれては困る会話を、堂々としていた。 「クファル、今日は機嫌がいいのか?」 「ん? なぜだい?」 それでも、スクードは聞かずにはいられなかった。それほどに上機嫌を現していたからだ。 「いつもと違い、鼻歌を歌っていたからな」 「ああ、そうか。うん......そうだね、今日は機嫌がいい。長年苦汁を飲まされた相手に吹かせることができたからね」 「ほう?」 「それより、そっちの進捗はどうなんだい。連中、うまく踊ってくれそうかな?」 この街に来て、日々の生活に不満を持つ半魔人たち。彼らにとっては同胞ともいえる者たちだが、無能な者は必要ない。 適性のあった数名はすでにスカウトを済ませ、偽の身分証を確保したのち、街を離れさせている。 「問題ない。すでに数名を雇い、そいつらを頭に百名単位の不満分子を掻き集めているもあれば、武器も行き渡るはずだ。 「二日か......できるなら明日にでも行動を起こしてほしい」 「それは、かなり厳しいぞ。武装できないままだと瞬く間に鎮圧されかねない」 「それはわかっているさ。でも、こっちも少しヤバい相手に手を出してしまってね」 自身の身体の欠片を埋め込むことに成功したため、おそらく数日、いや、三日と持たず命を落とすだろう。 の魔法で浄化されて終わる。しかし埋め込んだ欠片はクファルとつながりを残している。つながりが残っている以上、欠片は生命体として認識されるため、それらの魔法は効果を発揮しない。 ニコルを殺そうと思えばすぐにでも殺せるのだが、恨み骨髄の相手をあっさり殺すのも物足りない。 あの傷は癒すことができないのだから、せいぜいのたうち回って死ねばいい。そう思って彼はあえて余計な指示を出さずに放置していた。 「ニコル......っていえばわかるかい?」 「確か、ライエルとマリアの娘だったか?」 「ああ、その娘の顔を焼いてやった。ちょっと小細工もしておいたから、治癒の魔法も効かない。数日のうちに死ぬだろう」 「な――んだと!?」 その娘に手をかけることに成功したとなれば、これは喝采すべき大戦果といえた。少なくとも、彼らにとっては。 「君たちが喜ぶのもわかるよ。でも喜んでばかりではいられない」 「なぜだ?」 「本体が出てくるからさ」 ニコルが襲われたとなれば、ライエルだけでなく、母のマリアも出張ってくるだろう。 単独で一軍に匹敵する連中と、一軍を率いらせれば世界で最も厄介な相手。 「今考えれば、少し短慮だったかもしれない。だが今はニコルの治療に手いっぱいのはずだ。その隙に事を起こし、ついでにその混乱を突いて僕たちも街から出る」 「出る......少し物足りなくないか?」 「そうでもないさ。同志の補充はできたし、街に不安をばらまくこともできる。そして僕たちを取り逃がしたことで、連中の面目は丸潰れだ」 娘の死を為す術もなく見守ることしかできなかった。仮にも聖女と名乗るマリアにとって、これほどの屈辱はない。 「無論、世間にその事実が知られれば雄の名も地に堕ちる。実質僕たちの大勝利ってわけさ」 「なるほどな。ではこちらの行動を少し前倒しにしよう。おそらく扇動された連中は騎士団に皆殺しになるだろうが......なに、役に立たない連中なら懐も痛まん」 「そうしてくれ。で、逃走経路だが、ウーノは西、イーガンは東。スクードは現場の指揮を。教皇は狙えるなら狙う程度でいい」 「しかし、本当に出てくるのかね?」 明日から二日間、南で炊き出しが行われる。 この二日目を狙って暴動を起こし、そこに顔を出してきた教皇を狙う。そんな計画を立てている。 「出てくるさ。現教皇は半魔人擁護派だ。その半魔人が群れを成して暴れ出したとなれば、出てこないはずがない。スクードはその機会を狙ってもらう」 「まかせてくれ。今度は俺が世界樹教の連中に一泡吹かせてやる」 「南西の古着屋の裏に、世界樹の根が枯れた空洞がある。そこは街の外まで続いているから、そこを使って脱出するといい」 「わかった。よく見つけることができたな」 「本当に運がよかったよ」 いつかこの街を標的にする。そのために前世から調べていた情報だ。この機会に使わずして、いつ使うというのか。 「北の騎士団は最も動きが遅い。僕がそっちを使って抜けるから、君たちは東西から脱出するんだ」 「なるほどな。南で暴動が起きれば、真っ先に動くのは東西に駐留している騎士団というわけか」 「南の騎士団はどうしたんだ?」 「少し離れたところにある村に出征してもらってるよ。なんでも疫病がでたらしい」 ニタリと笑うクファル。いうまでもなく、彼の仕業だ。 「準備は万端、事を起こせば勝ちは確定。今こそ僕たちの力を世に知らしめる時だ」 酒杯を掲げ、乾杯する四人。 だが彼らの企みはすでに破綻していることを、知る由もなかった。
◇◆◇◆◇ That day, Kufar’s mood was unusually good. He has been quite on edge ever since their failure from before they came to this city, so the three aids—Egan, Uno, Scudo, heaved sighs of relief. Gathered in an inn cafeteria, the four had the usual conversation that should not be overheard. “Kufar, are you in a good mood today?” “Hm? Why do you think so?” Kufar liked silence, so he normally disliked being spoken to unnecessarily. Even so, Scudo could not help but ask. Because his mood looked just that good. The reason why he was calling Kufar, their leader, without any honorifics, was because they were equals in face of the public. “Well, you were humming, which is unlike you.” “Ah, I see. Yes... I’m in a good mood today. I managed to give a good blow to an enemy that made me feel bitter for many years.” “Oh?” “More importantly, how is your progress going? Does it seem like they will dance as we please?” Half-demons have spent days in discomfort ever since coming to this city. Such people were like brethren for them, but they did not want incompetent people. Anyone who was not suitable for summoning was incited and made to sow anxiety in the citizens. Few people that were qualified had already been scouted, and once they were given fake identities, they were made to leave the city. “No problems. We employed a few, and they each gathered a few hundred discontented elements to lead. In just two days, we can even distribute weapons.” “Two days... If possible I want it to happen tomorrow.” “That would be quite hard. They would be instantly suppressed without weapons.” “I know that. But I ended up messing with a dangerous opponent too.” He succeeded in dealing a fatal wound to Reid—no, Nicole. Since he had also succeeded in embedding a fragment of his body as well, she was bound to die in a few, no, less than three days. A simple Slime fragment could be dealt with Purify or Antidote. But the ones embedded in her still held a link with Kufar. As long as that link remained, the fragment was considered a lifeform, and magic had no effect on them. Since he could make the fragment move as he wanted, it was as if there was a living slime inside. If he wanted to kill Nicole, he could do it at any moment, but killing a mortal enemy so quickly felt wasteful. Since that injury could not be healed, he wanted her to die while writing in pain. Thinking so, he had left the fragment without giving it any instructions. “Nicole... Does that ring a bell?” “If I remember correctly, she’s Lyell and Maria’s daughter, right?” “Yeah, and I burned her face. And I also made it so it could not be healed. She would die within a few days.” “W—What?!” For them, Lyell was a sworn enemy that had gotten in their way over and over. Dealing a blow to his daughter was a great success worthy of cheers for them. At least for them. “I can understand your happiness. But we can’t keep being happy.” “Why?” “Because the real deals will come.” With Nicole getting attacked, not just Lyell, even Maria would make a move. And depending on the situation, even Cortina, Maxwell, and Gadius might join in. People who held the strength of an army individually, as well as someone who was the worst opponent in the world when leading an army. Such people will come to hunt the criminals, in other words, them. And very soon. “Thinking back, I was too short-tempered. But they should be busy with Nicole’s treatment now. Let us use that opportunity and cause the incident and make use of it to leave the city.” “Leave... Isn’t that a little lacking?” “Not at all. We managed to fill our ranks, and will be able to sow fear in the city. And letting us escape would completely ruin their image in people’s eyes.” Being able to do nothing but helplessly watch as her daughter died. Even for Maria who was called a Saint, there would be no further humiliation. And Lyell, who loved his daughter greatly, would fall into despair. That alone was a plenty good result for them. “Naturally, when that gets out, Six Heroes would also lose their fame. In essence, it will be a big win for us.” “I see. Then we will hasten things on our side. Most likely the incited people will get slaughtered by the knights... but oh well, losing incompetent people would not be a disaster.” “Do that. As for the flight routes. Uno to the west, Eagan to the east. Scudo commands the situation. Try to aim at the Pope if you can.” “But will she really show up?” There would be an emergency food distribution in the southern seventh ward held for two days starting from tomorrow. They had learned that the Pope planned to sneak away and help out with it. They aimed for that time period to cause the riot and aim for the Pope when she showed up. That was their plan. “Oh, she will. The present Pope supports the half-demons. There is no way she would not show up when those half-demons cause a riot. Aim for that opportunity, Scudo.” “Leave it to me. This time, I’ll be the one to deal a blow to the World Tree religion.” “In the southwest behind the secondhand clothes shop, there is a withered cavity in the World Tree roots, use that to escape.” “Got it. I’m surprised you found it.” “I was really lucky there.” He planned to target this city eventually, so he had been gathering information since his previous life. When would he use that chance if not now? Kufar puffed his chest in elation as the rest of them looked proudly at him. “The chivalric order in the northern side is even slower to act. I will escape from that side, so you guys escape from east and west.” “I see. If the riot happens in the south, it would be the knights’ order located east and west of it to move first.” “What about the southern knights?” “They have been dispatched to a village a little away. Some epidemic had spread there, apparently.” Kufar answered with a smile. Needless to say, it was his work. “Our preparations are flawless. Our victory is guaranteed as long as we cause the incident. It would be the day the world knows of our power.” The four raised their cups and made a toast. Little did they know that their plan had already failed.
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ハマスは今回の勝利が生み出すショックを十分認識している。もしファタハが連立を拒めば、ハマスは無所属と専門技術者(テクノクラート)でつくる政府を選択するであろう。ハマスが「立て役者」で構成された政府を作り出すとは思い難い。パレスチナの政治、安全、そして経済的状況が必要としているのは、イデオロギーの純粋さではなく、問題解決に焦点をおいた政府である。
It is unlikely that Hamas will form a government composed of hardliners. The political, security, and economic circumstances of the Palestinians require a government focused on solving problems, not ideological purity.
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外国へ移ることが出来ない人々、あるいは移住先の国で失敗した人々は途方に暮れている。伝統的な結びつきと習慣からは遠ざかり、一方で近代化の新世界にはまだ手が届かない。彼らは不安定と失望の地獄の辺土に迷い込んでいるのだ。
Those who do not manage to get to other countries, or who fail in the countries to which they have migrated, are in a quandary. For them, the old world of traditional ties and customs is gone, but the new world of modernity remains out of reach.
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不適切な皇太子を即位させないための選挙と引き換えに、クウェートの議会は、政党の正式な合法化や皇太子と首相の地位の分離、さらにはアル・サバーハ首長家以外からの首相選出などを含む、更なる政治的・経済的改革を求めている。これぞ真の議会改革であった。
In exchange for voting to pass over the unfit Crown Prince, Kuwait’s parliament is now demanding even more political and economic reforms, including the formal legalization of political parties, the separation of the position of prime minister from that of crown prince, and even for the prime minister to be chosen from outside the Al Sabah family. This was a true parliamentary revolution.
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まさかラヴァール国で誕生日を迎えることになるとは思わなかった。 って......、高生よね。華のJKだわ。 ラヴァール国に来てそんなに日にちは経っていないけど、私があの小屋から出てから一年が経ったのね......。 早いような短いような、なんとも不思議な感覚だ。 「誕生日なんて毎年のように祝わなくてもいいような気もするけど......いで良くないかしら。こんなことリズさんの前で言ったらお説教くらいそうね」 ブツブツと独り言を言いながら私は今日も訓練へ向かった。 私の十六歳の誕生日だが、いつもと変わらない日だ。......まぁ、雨だけど。 パラパラと小さな水滴が私の顔を打つ。雨でも勿論訓練はあるのだ。天気に左右されるような軍なんてあり得ない。 「心地いい」 私は空を仰ぐ。雨は嫌いじゃない。雨の匂いや音が好きなのよね。 「チビ! 早く整列しろ!」 マリウス隊長が遠くから私に怒鳴る。 朝からそんなに苛立っていたら禿げるわよ。私はそんなことを思いながら、駆け足で彼らの元へ向かう。 別に遅刻しているわけじゃない。むしろいつも通り少し早めに来ているのに、どうして今日はこんなにも急かされているのかしら。 チラッとマリウスの奥で雨に濡れて、艶やかな金髪が目に入る。 「......ヴィクター?」 なんで王子がこんな雨の中、外に出てるのよ。 私は急いで、いつもの配置に並ぶ。周りの兵は私より図体が大きく、前がよく見えない。しょうがないわよね、私は後から来た新人なんだもの。 このザーザーとうるさい雨の中、声だけを拾い、状況を判断しなければならない。 どんどん雨が強くなっていくのに、王子、大丈夫なのかしら。風邪引くわよ。 「今日はヴィクター殿下からお話がある!」 マリウス隊長が声を張りながら私達にそう告げる。その言葉で、全員が背筋を伸ばし、聞く態勢に入る。 「俺の遠征についてくるものを選ぶ。今回の遠征は危険が伴う為、小規模だ! 今から名前を呼は直ちに準備しろ! まず、マリウス」 「はっ!」 「ニール」 「はっ!」 隊長と副隊長はそりゃ呼ばれるわよね。私なんて入隊して全然だもの。絶対に呼ばれるわけないわよね。......って思い込んでおかないとやってられないわ。 王子がいなくなったら、この城のことを存分に探れるチャンスだもの。私の、おじい様のことやあの塔のことも調べたいもの。 「ジェルド! ケレス!」 「「はっ!」」 あら、この流れは本当に私が呼ばれない可能性があるんじゃ......。 「リア!」 「へ?」 「お前だけ返事がおかしいぞ」 怪訝な表情でヴィクターは私を睨む。 期待して、落とさせる、それがヴィクターよね。しっかり肝に銘じておきましょ。 他の兵より少し小さな声で答え、私は悲しきことに選抜隊に選ばれたのだ。本来なら喜べるはずなのに、なにかしら、この残念な気持ちは。 ......ヴィクターは私のことをもう既に色々と見抜いている。出来ればあんまり傍に居たくないんだけど、遠征となったらそうは言っていられない。王子を守るのが私達の仕事だもの。 人生って上手くいかないわね。これも悪女になる為の試練と思って乗り切るしかないわね。 アリシア! めげないで! 貴方はもう自国では最高の悪女なのよ! これは修行よ! 自分を鼓舞し、ネガティブな気持ちを忘却する。
I never thought I would have a birthday in the Ravaal Kingdom. Sixteen years old... I should be in my first year of high school. I’m a blossoming high school student. It had not been that long since I came to the Ravaal Kingdom, but it has been a year since I left that hut... It was a strange feeling that felt both swift and brief. “I don’t think I need to celebrate my birthday every year...I believe it would be better to limit the celebration to my seventh birthday. If I said such a thing in front of Liz, I’d probably get a lecture.” I muttered to myself as I headed off to training today. It was my sixteenth birthday, but it was no different from any other day... Well, except for the rain. Small droplets of water were hitting my face. Of course, training took place even in the rain. There was no way the military was going to be affected by the weather. “Comfortable.” I look up at the sky. I didn’t hate the rain. I like the smell and sound of rain. “Little guy! Get in line now!” Captain Marius yelled at me from afar. You will go bald if you are so irritated in the morning, you know. I thought to myself as I rushed towards them. It was not that I was late. In fact, I was here a little early as usual, but why am I being rushed so much today? I caught a glimpse of shiny blonde hair behind Marius, wet from the rain. “...Victor?” What was the prince doing out in the rain? I rushed to line up in my usual position. I couldn’t see much in front of me because the soldiers around me were bigger than me. I couldn’t help it because I was a newcomer who had arrived later than they had. In this noisy rain, I had to focus solely on the voices to assess the situation. The rain was getting heavier and heavier, and I wondered if the prince would be all right. He was going to catch a cold. “His Highness Victor wants to speak with you all today!” Captain Marius announced to us, his voice strained. With those words, we all straighten our backs and prepare to listen. “I’m going to choose the ones who will follow me on my expedition. Because of the danger involved, the group chosen for this expedition will be small! The five of you whose names I am about to call, prepare yourselves immediately! First, Marius.” “Haah!” “Neil!” “Haah!” Of course, the captain and the vice-captain are called. I can’t join them at all. They would not call me... I have to keep believing that. When the prince was gone, I would have the chance to explore the castle to my heart’s content. I would like to find out about my grandfather and that tower. “Jeld! Ceres!” “”Haah!”” Oh my, there really could be a chance that I won’t be called.... “Ria!” “Heeh?” “You’re the only one who’s not responding right.” Victor scowled at me with a dubious look on his face. I expected Victor to spare me, but it’s Victor, so I had also expected that he would pull off something like this. Let’s keep that in mind. I replied in a slightly lower voice than the other soldiers because I had been sadly chosen for the squad. I should be happy, but why was I feeling so disappointed? ...Victor had already seen many things about me. I wanted to avoid being around him too much if I could help it. However, when it comes to an expedition, I cannot say the same. It was our job to protect the prince. Life was not going well. I would have to consider it to be a test to become a villainess and get through it. Alicia, don’t be discouraged! You are already the best villainess in your country! This is your training! I motivate myself to let go of my negative emotions.
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岩石属性と機械属性に特効がある【ドリルアロー】と水属性と魚属性に特効がある【トライデントアロー】を融合させると、4つの属性に特効を持つ【 穿孔する三つ又の矢 まあ、4つも属性を持つモンスターはいないだろうし、これに関してはカッコよさ以外意味のない融合だ。 本当にすごい融合は......。 爆裂する矢の嵐 打ち付ける雨のごとき矢の1本1本が爆発する......! 威力はもちろんのこと、見た目がとんでもなく派手でカッコいい! CGに頼らない大作映画でも、なかなかここまでの数の爆発は起こせないだろう。 注意すべきはクールタイムは融合しても消えないことだ。 】はもちろんのこと、元の【矢の嵐】も発動することは出来ない。 【バーニングアロー】の方はただのスキルなので、奥義と融合させたからといって元のスキルが使えなくなることはない。 残念ながら合体奥義の【流星弓】は融合させることが出来なかった。 また、同時に10体の敵を撃つ【マルチショット】と【矢の嵐】も融合不可だった。 【矢の嵐】を10発放って威力と範囲10倍とか考えていたが、流石に許されないか......。 まっ、それでもワクワクが加速するスキルをゲットした事実に変わりはない。 これからは新しい矢のスキルを手に入れるたびに、強力な組み合わせを考える楽しみも生まれる。 ちなみに融合後のスキル名は俺が勝手に考えただけだ。 何々と何々を融合したスキル~では呼びにくいし、格好もつかないしな。 迷宮の予定だ。 残りの試練はすべて戦闘が絡む。 巨蟹迷宮の場合は......巨大ボス戦! 進化した装備と融合するスキルがあれば、巨大な敵にも決して負けることはない。 それに俺には第3職へのクラスチェンジも残されている。 今回のダンジョンはソロ向けで敵が弱く、あまり経験値が入らなかった。 おかげで寸止めを食らったが、フィールドのモンスターと少し戦えば第2職のレベルMAXに到達するはずだ。 新スキルを実戦で試しつつ、楽しくレベル上げといこうじゃないか......! ◆ ◆ ◆ 「案外時間かかっちゃったな」 ソロでサクサク狩れるモンスターを倒しても、なかなかレベルは上がらない。 結局、強い奴を相手に過酷な戦いを繰り広げる方が強くなりやすいのだろう。 リアルというかバトル漫画の世界だ。 とはいえ、今回はあと1レベル上げればいいだけだったので助かった。 さあ、クラスチェンジよ来い......! 『現在の職のレベルが最大値に達しました。第3職へのクラスチェンジが可能です』 来た......っ! 俺は少し食い気味に叫んだ。 「クラスチェンジ!」 弓の達人 弓を使う職業から弓を使いこなす職業へ。 字面に派手さはないが、堅実な感じがして嫌いじゃない。 まずはステータスを確認しよう......! ◆ステータス 名前:キュージィ 職業: Lv:1/50 HP:130/130 MP:120/120 攻撃:80 防御:40 魔攻:30 魔防:20 速度:30 射程:400 スキル: 【弓術X】【会心】【弓矢融合】【無駄のない動き】 【インファイトアロー】【バウンドアロー】【クリアアロー】 【レターアロー】【マルチショット】 装備やスキルの補正を入れていない職業そのままのステータスを表示している。 『射手』や『弓使い』は良くいえばバランス型、悪くいえば器用貧乏だったが、『 第2職と比べると全体的に数値が上がり、各ステータスの上昇値を合計すると100となる。 レアな装備を1つ体の中に取り込んだような感じだ。 『弓使い』の時も3段階上がっていたし、これはクラスチェンジのお約束なのだろう。 補正は攻撃+100、射程+100の大台に乗った。 バトルで必殺技のように使うスキルとは違って存在感は薄いが、常に俺を支えてくれる欠かせないスキルになっている。 新スキルは【無駄のない動き】を獲得。 『弓使い』の時は【会心の一矢】を獲得していたし、クラスチェンジによる新スキルの獲得もお約束のようだ。 【無駄のない動き】 スキル(奥義)の消費MPを常時10%減少させる。 速度+50する。 地味だ......! しかし、どんな状況でもどんな職業でも腐らない『いぶし銀』の強スキルであることは間違いない。 付け合わせのタクアンみたいな速度+50も良い味を出している。 そういえば、『射手』が他の職より優れていたステータスって速度だけだったな。 そのおかげか、序盤から速さに不満を感じたことはない。 風雲装備を手に入れてからは、体が軽いとすら思う。 案外、速度の恩恵をずっと受けているのかもしれない。 また、レベルアップで手に入る強化ポイントが『10』から『15』になった。 初期職から第2職になった時は『5』から『10』だったので、妥当な増え方と言える。 クラスチェンジして最初に貰えたポイントはもちろん射程に振っておく。 変更点をまとめると......総じて手堅い強化になったという感じかな。 俺の知っている第3職の人たちは総じて個性的で、俺も第3職にたどり着けばあんな感じになるのかなぁと思っていたが、俺は俺だった。 いや、もしかしたら第3職は第3職でもハタケさんやバックラーとは決定的な違いがあるのかもしれない。 通常職か、特殊職か、という大きな違いが......。 』は明らかに普通にクラスチェンジした職ではない。 』は魔法職なのに魔法がバフだけで、攻撃は旗を使った物理攻撃という不思議な組み合わせになっている。 普通に遊んでいてこの職にたどり着いたら、大体のプレイヤーは困惑するだろう。 でも、その分うまくハマれば強いのは俺も知っている。 次に俺が目指すべきは『特殊第3職』になりそうだ。 少し不安なのは、弓関係で特殊な職業がまったく思いつかないことなんだよなぁ......。 剣と魔法関係ならいくらでも思いつくけど、やはり弓は脇役なことが多いから仕方ないのだろうか。 まあ、型破りなNSOらしい斬新な職業があることに期待しておこう。 さあ、準備は万端だ。 次なる試練、かに座の
Fusing Drill Arrow’s rock and machine attributes and Trident Arrow’s water and fish attributes resulted in Drill Trident Arrow, which had attributes. Well, I doubted there were monsters that were weak to all four, so it wasn’t the most meaningful fusion. The really amazing one was... “Arrow Fusion! Burning Arrow Storm!” The arrows that came down like rain were also exploding...! Not only was it powerful, but it was very flashy and cool. Even in movies, it was rare to see as many explosions as this. The thing to note was that fusing did not erase their cool down time. During cool down, I could not activate Burning Arrow Storm, or the original Arrow Storm. As Burning Arrow was just a skill, fusing it with a charge attack didn’t mean you couldn’t use it after that. Unfortunately, I was not able to fuse Meteor Bow with anything. Furthermore, Multi-shot, which allowed me to shoot up to enemies at once, could not be fused with Arrow Storm. Well, unleashing Arrow Storm times would mean times the force and range, so it was no wonder that it wasn’t allowed... Well, it didn’t change the fact that I had acquired a very exciting skill. Now I would be able to enjoy thinking of different combinations every time I got a new arrow skill. By the way, the skill names were just names that I had thought of on my own. It was too much trouble to say both names, and it also looked bad. I planned to do the Cancer labyrinth next. The remaining trials were all related to combat. In the case of the Cancer labyrinth...it was a giant boss battle! With evolved gear and a fusing skill, there was no way that I would lose, even if it was against a large enemy. Besides, there was the class change to a rd job. The last dungeon had been designed for solo players, so the items were weak and you didn’t get much experience. And so I was just shy of reaching the next level, but fighting monsters on the field a little should make me reach the max level for being a 2nd. I could test out my new skills in combat and enjoy leveling up...! ◆ ◆ ◆ “That took more time than I was expecting.” Even though I was taking on monsters that could be killed quickly while solo, my level took a while to go up. Ultimately, it was probably better to engage in ferocious battles against strong enemies. Kind of like in the world of battle manga. Still, it was a good thing that I only needed to go up 1 level. Now, time for the class change...! ‘Your current job level is maxed out. It is now possible to class change to a 3rd.’ Here we go...! I shouted excitedly. “Class change!” I went from a job that uses bows to a job where I was a master with bows. It was maybe not the most memorable name, but it sounded reliable, and I didn’t hate it. Now, to check my status...! ◆ Status Name: Kyuji Job: Bow Master Lv: 1/50 HP: 130/130 MP: 120/120 Attack: 80 Magic Defense: 20 Speed: 30 Skills: Bow Arts X, Satisfying Shot, Arrow Fusion, Efficient Movement In fight Arrow, Bound Arrow, Clear Arrow Burning Arrow, Trident Arrow, Drill Arrow Letter Arrow, Multi-shot, Immobile Sniping Stance Meteor Bow This was my status without the boost from equipment or skills. Shooter and Bowman were balanced, but could also be considered jacks of all trades, while Bow Master focused on physical damage. The numbers were all high compared to the 2nd job, and if you added all of the numbers together, it would be 100. It was like taking one piece of rare equipment and putting it into my body. It had gone up three levels when I rose to Bowman as well, so perhaps it happened with every class change. With the boosts, I now had +100 in Attack and +100 in Range. While it wasn’t like the flashy skills I used during battles, it was still an important support skill that I couldn’t live without. The new skill that I acquired was Efficient Movement. I had acquired Satisfying Shot the last time, so it seemed that new skills also came with a class change. [Efficient Movement] Reduces MP depletion for skills and charge attacks by 10%. +50 to Speed. Boring...! However, it was definitely a skill that would benefit players of any job and in any situation. And the small bonus that was the Speed +50 wasn’t too bad either. Now that I think about it, the only stat that Shooter had that was superior to the others was Speed. Because of this, I never had any complaints concerning speed, even from the beginning. And once I got the Windcloud gear, I even felt quite light. Perhaps I had been best with the gift of speed from the beginning. Furthermore, the strengthening points you get from leveling up have risen from 10 to 15. It had been 5 to 10 when going from a beginner job to 2nd, so it made sense. Of course, I put these points into Range. To summarize the things that changed...it was that my defenses had been raised over all. All of the 3rds that I knew were very unique, and I had assumed that I might be like that when I arrived there as well. But I was still me. No. Even though we were all 3rds, perhaps there was a big difference between me and Hatake or Buckler. That difference being normal jobs and special jobs... Clearly Heavy Armor and Flag Magician were not jobs earned through normal class change. Especially Flag Magician, which was odd, because it was a magic job, but he only used buffs, and otherwise dealt physical attacks with a flag. Most players would be confused if they landed on such a job while playing normally. But I knew that if it suited you, that it could be very strong. I guess my next goal would be to become a special 3rd. What made me a little worried was that I couldn’t think of a special job related to bows... There were plenty that were related to swords and magic, but bows were usually a supporting weapon, so perhaps it couldn’t be helped. Well, NSO didn’t care about the norm, so I will just have to hope that they will do something new. Now, I am fully ready. It was time to go to the next trial, the Cancer labyrinth!
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このような戦術を許す-是認さえする-文化は、生命の尊重を真に奨励するものではない。もし、近くにいたのがアメリカ市民であったとしたら、アメリカ軍が同じ行動を取らなかったであろうことは、確かである。
A culture that allows – and even endorses – such tactics is not one that is genuinely committed to encouraging respect for life. We can be quite sure that American forces would not have acted in the same way if the civilians nearby had been other Americans.
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Zipcar は車両を購入して 大都市の中心部に配置し 皆さんが車を持つ代わりに 時間や日の単位で 使ってもらうサービスです 1台のZipcar がマイカー15台を減らし Zipcar 使用者は普段は見えない 車にかかる経費を 使う度に払う事になるので 使用者の運転量も 約 80% 減りました でも Zipcarの真の成果は シェアリングという概念の普及です 10年経ち この考えを 更に進化させるために 2年前に夫と末の子と パリに引越し 昨年 Buzzcar を立ち上げました Buzzcar は自分の車を 友人や近所の人に 貸し出せるようにする事業です 車両に投資するかわりに コミュニティーに投資したんです ネットワークに 自分の車を登録する人を 企業特有の力でバックアップします この様な事業をを ピア・ツー・ピアと呼ぶ人もいます サービスの人間性や個人間の関係を 上手く表している呼び方ですが でもそれでは バザーや お小遣い稼ぎの子守といった 従来のピア・ツー・ピアと 混同されてしまいます 従来のピア・ツー・ピアと 混同されてしまいます ヤードセールとeBayは同じだとか クラフト・フェアとEtsyが同じだと 言う様なものです でも違いがあります 我々には無料で誰もが使える インターネットを基盤とした 参加型のプラットフォームがあります ピアに 会社のパートナーとして 共通の価値観を基に 共通の価値を築いてもらい 双方の弱点を補いながら 共に発展していくシステムです 私は この種の事業を 「ピアーズ 会社」と呼んでいます 組織側 つまり会社は 会社として得意な事をします 会社ならでは できるのが 大規模なビジネスの展開です まとまった額の長期間の投資や 様々な分野や様々な思考からくる 専門知識を提供します 個人 つまり消費者向けには サービスの基準 規約の設定や サポートも行えます これらは消費者が強く望むもので ブランドの提供する保証のようなものです この様なものを会社がプラットフォームとして ピアに与えるわけです ピアは企業がするには 大変費用のかさむ事を 提供したり 実行したりします それは何でしょうか? 企業にとっては経費のかかる 「素晴らしい多様性」です それが何に役立つのでしょう? 地域や個人の 特殊なニーズに応える等 人と人の繋がりに 関するものに寄与します 一般企業が切望し 入り込みたいと思う分野です 個人にとってはごく自然な 友達間の繋がりのようなものです また 多様性から 素晴らしいアイデアも生まれます それについては後ほどお話しします ピアがサービスと商品を供給し 会社は一般の企業がする事をします お互いに 両方の長所を提供しているわけです 素晴らしい会社の例を ご紹介します 交通の分野では Carpooling.com 設立10年になります メンバーは350万人で 毎日100万人の利用者が 車の相乗りをしています 素晴らしい事です これはTGVの列車の車両 2500両分の人数です 線路を敷いたり 車両を買う必要なしにやっているんです これは車内の余分のスペースを 上手く利用しただけです でも交通手段だけでないんですよ 他の分野でも可能です 例えばFiverr.comです サービス開始直後に 設立者にお会いました 現在 設立2年目です 皆さんなら 5 ドルで どんな仕事を提供しますか? 75万もの「5 ドルのサービス」が このサイトで宣伝されています ピアーズ会社のサービスは 簡単なものとは限りません TopCoder のコンセプトは とても難しく複雑な領域にあります このピアーズ会社は 40万人の技術者を抱えており 複雑な設計や エンジニアリングサービスを提供しています お会いしたCEOの セリフが素晴らしいんです 「これは 会社を所有する人々からなる コミュニティーなんだ」 そして私の大好きな Etsy です Etsy は手作りのものを ネット市場で売るサービスです Etsy は手作りのものを ネット市場で売るサービスです ちょうど 7周年を迎えたところですが 7年経った昨年には 5億3000万ドル相当のセールスを 個人の作った作品からあげました 実業家の皆さんは こう考えるのではないでしょうか 「おぉ、私にもこんな事ができたらなぁ これは信じられないスピードと規模だ 基盤を整えるだけで あとは利用者にまかせ リラックスして お金が転がり込んでくるのを待てば良いのか?」 利用者獲得のための 基盤作りは簡単な事ではありません Google Video と YouTubeの違い を考えてみましょう 2人の若者のスタートアップが Google Video に勝つなんて びっくりです なぜでしょう? 実の所 私にはわかりません 訊いたわけではないので でも思うに YouTubeには 少し目立つ「共有」ボタンが右の方にあり それが投稿者と視聴者の ネットワークへの参加を より簡単で便利なものとしたと考えられます 私はピア・プラットホームの構築や ピアーズ会社について 多くのことを学びました 過去2年 パリにて この事に従事してきたからです ここでBuzzcarの設立が Zipcarの設立と いかに異なるかに話を戻したいと思います Buzzcarの場合 何かを決めるときには必ず 異なるふたつの立場に 配慮しなければなりません 車を提供するオーナー側と それを借りたいと思うドライバー側です 何を決めるのにも 双方にとって良い様に 考えなければいけません いろいろ例はありますが 1つご紹介しましょう ややこしい例で 自動車保険についてです 満足できる保険にたどり着くまで 1年半もかかりました 何時間も 何社もの 保険業者と会って 彼らの心配するリスクや このアイデアの革新性など 未知の領域について話し合いました ものすごい金額で 言いたくありませんが 普通の保険との違いや 誰が誰に責任があるのか 弁護士と共に話し合い 結果としてオーナーに 運転記録と履歴の保護を 約束できるようになりました 車はレンタル期間中は 完全保障です 次にドライバー側ですが 彼らは何を望むでしょうか? 低い免責の自己負担額や 24 時間ロードサービスでした これが両者に対して配慮するという事です では 次へ行きたいと思います あなたが起業家であり 新しい会社を始めるとします 先に述べたような準備が済み サービスを始めます さて何が起きるでしょう? これまでの苦労の成果が現れるのです 我々は昨年6月1日 サービスを開始しました とてもエキサイトな瞬間でした 多くのオーナーが車を登録してくれました 多くのドライバーがメンバーになりました 素晴らしいことです そして予約が入り始めました オーナーはSMSや Eメールを受け取ります 「やぁ、ジョーがあなたの車を週末借りたいそうなんだけど 60ユーロでどうかな、いい話だろ? 『Yes』か『No』」?] 返答はありません オーナーの大半は 登録したばかりだというのに 面倒で返答しないのです 私は思いました 「ああそうか これが一般の企業と ピアーズ会社の製品の違いなんだ」と 一般企業はすべての点において 標準化された 厳格なサービスモデルを提供し 常に一貫性を保っています 私はこのようなサービスを基に生産された スマートフォンを頼りにしています Zipcarも一貫性のあるサービスを提供し とても上手くいっていました ではピアーズ会社の製品はどうでしょう? ピアーズ会社はまったく違うやり方を取り サービスの質に大きな幅があります ここでeBayは_ 私の考える元祖のピアーズ会社ですが_ 開始後間もなく この問題を解決しました 我々にも必要なのは 評価やコメント等の 付属する煩わしいものです これがあると あまり良くない商品には目印をつけ 消費者や購入者は それを選択する必要がなくなります 話を 戻し これが期待に心を膨らませ 喜んでいる私です 私が望み続けたものが実現したのですから それは何でしょう? それは Buzzcar がいかに多様性のあるものに なったかということです 様々なすてきなオーナーと 彼らのいろいろな車 異なった価格と 様々な地域が存在します ファッションも違えば 見た目も違います 私はこれらの写真を見るのが大好きです クールな方もいれば 熱い人もいます これはセルマですね この人も好きです 1年後 フランス国中に 1000台の車が登録され それを運転したいというメンバーも 6000人に増えました それを運転したいというメンバーも 6000人に増えました これは従来の企業の経営方針では 不可能だったと思います サービスの質の違いに戻りますと ひどいものもあれば 本当にすごいものもあるんです すばらしい話をふたつ紹介します あるドライバーから聞いた話です フランス沿岸部をドライブしようと 車を借りたところ 車のオーナーが こう言ったのだそうです 「いいかい ここらは崖で この辺はすべて浜だ そしてここが私の大好きなビーチで ここには最高の海鮮レストランがあるんだ」 このようにピア同士は仲間になり ドライバーとオーナーは関係を築きます そうなると 突然でも 「やあ 実は急に車が必要なんだ 借りられる?」 「やあ 実は急に車が必要なんだ 借りられる?」 「いいよ 家に妻がいるから鍵もらって 乗って行っていいよ」 なんて 素晴らしい事が 出来るようになったりするんです 「すごい!」と叫びたくなるような事が ここでは起こるんです これは個人個人の力です もし普通の企業であれば 10人や100人の担当者の中で イノベーションが起きるに過ぎません ピアーズ会社では 何十、何百、何千、何百万人もが ピアーズ会社では 何十、何百、何千、何百万人もが クリエイティブな試みに参加することができ これらの努力と影響により このような特別な規模での イノベーションが起こり得るのです このような特別な規模での イノベーションが起こり得るのです ここで 私がBuzzcarと名付けた理由ですが それは参加者すべてに ミツバチの巣の持つ力や 個人が参加しイノベーションを起こしたくなるような プラットフォームを作る驚くべき能力 を思い起こしてもらいたいからです そして個人的にですが 私たちの未来や すべてのとてつもなく大きく 不可能と思えるような 切迫したすべての問題を考える時 ピアーズ会社はそれらに対応できる スピードや規模 イノベーションそして創造力を提供できると思うんです 参加のための強力なプラットフォームを構築すること これはとても重要なのです 私は困難な世界において 交通手段はその中心にあると考えています すべての問題は私にとって交通手段に行き着きます しかし他のすべての分野でも 深刻で大きな問題はあり 人々は様々な領域でそれらに取り組んでいます でも ピアーズ会社モデルの力を使った 本当に素晴らしいものもあるのです 過去10年間 インターネットの力や それが個人に与える力に 大きな喜びを得てきました ピアーズ会社は それを 更に一歩前進させるものです ピアーズ会社は それを 更に一歩前進させるものです 会社や企業 そして エネルギッシュな人々の力を 合わせることができるのです これは まさにコラボレーションです 一緒にやれば すごい事が出来るんです(拍手) ありがとうございました(拍手)
Zipcar buys cars and parks them throughout dense metropolitan areas instead of owning their own cars. Each Zipcar replaces 15 personal cars, and each driver drives about 80 percent less because they're now paying the full cost, all at once, in real time. But what Zipcar really did was make sharing the norm. Now, a decade later, it's really time to push the envelope a little bit, and so a couple years ago I moved to Paris with my husband and youngest child, and we launched Buzzcar a year ago. Buzzcar lets people rent out their own cars to their friends and neighbors. Instead of investing in a car, we invest in a community. We bring the power of a corporation to individuals who add their cars to the network. Some people call this peer-to-peer. This does express the humanity of what's going on, and the personal relationships, but that is also like saying that it's the same thing as a yard sale or a bake sale or babysitting. That's peer-to-peer. It's like saying yard sales are the same thing as eBay, or craft fairs are the same thing as Etsy. But what's really happening is that we've got the power of a free and open Internet, and on top of that we're putting a platform for participation, and the peers are now in partnership with the company, creating shared value on shared values, and each strengthening the other, and doing what the other can't do. I call this Peers, Inc. The incorporated side, the company, is doing things that it does really well. What does it do really well? It creates economies of scale, significant and long-term resource investment, the expertise of many different kinds of people and different kinds of minds, and for individuals, consumers, it's bringing the standards, rules and recourse that we really want as consumers, and this is kind of bound up in a brand promise, and the companies are providing this on a platform for participation. Peers are giving and doing things that are incredibly expensive for companies to do. What do they bring? They bring this fabulous diversity, expensive for companies. And what does that deliver? It delivers localization and customization, specialization, and all of this aspect about social networks and how companies are yearning and eager to get inside there? It's natural for me. Me and my friends, I can connect to them easily. And it also delivers really fabulous innovation, and I'll talk about that later. So we have the peers that are providing the services and the product, and the company that's doing the stuff that companies do. The two of these are delivering the best of both worlds. Some of my favorite examples: in transportation, Carpooling.com. Ten years old, three and a half million people have joined up, and a million rides are shared every day. It's a phenomenal thing. It's the equivalent of 2,500 TGV trains, and just think, they didn't have to lay a track or buy a car. This is all happening with excess capacity. And it's not just with transportation, my love, but of course in other realms. Here's Fiverr.com. I met these founders just weeks after they had launched, and now, in two years, what would you do for five dollars? Seven hundred and fifty thousand gigs are now posted after two years, what people would do for five dollars. And not just easy things that anyone can do. This Peers, Inc. concept is in a very difficult and complex realm. TopCoder has 400,000 engineers who are delivering complex design and engineering services. When I talked to their CEO, he had this great line. He said, "We have a community that owns its own company." And then my all-time favorite, Etsy. Etsy is providing goods that people make themselves and they're selling it in a marketplace. It just celebrated its seventh anniversary, and after seven years, last year it delivered 530 million dollars' worth of sales to all those individuals who have been making those objects. I know you guys out there who are businesspeople, are thinking, "Oh my God, I want to build one of those. I see this incredible speed and scale. You mean all I have to do is build a platform and all these people are going to put their stuff on top and I sit back and roll it in?" Building these platforms for participation are so nontrivial to do. I think of the difference of Google Video versus YouTube. Who would have thought that two young guys and a start-up would beat out Google Video? Why? I actually have no idea why. I didn't talk to them. But I'm thinking, you know, they probably had the "share" button a little bit brighter and to the right, and so it was easier and more convenient for the two sides that are always participating on these networks. So I actually know a lot about building a peer platform now, and a Peers, Inc. company, because I've spent the last two years doing that in Paris. So let me take you back how it's so incredibly different because now every single thing we do has these two different bodies that I have to be thinking about: the owners who are going to provide the cars and the drivers who are going to rent them. Every single decision, I have to think about what is right for both sides. There are many, many examples and I'll give you one that is not my favorite example: insurance. It took me a year and a half to get the insurance just right. Hours and hours of sitting with insurers and many companies and their thoughts about risk and how this is totally innovative, they'd never thought of it before. Way too much money, I just can't even go there, with lawyers, trying to figure out how this is different, who's responsible to whom, and the result was that we were able to provide owners protection for their own driving records and their own history. The cars are completely insured during the rental, and it gives drivers what they need, and what do they need? They need a low deductible, and 24-hour roadside assistance. So this was a trick to get these two sides. So now I want to take you to the moment of -- When you're an entrepreneur, and you've started a new company, there's the, here's all the stuff we do beforehand, and then the service launches. What happens? So all those months of work, they come into play. Last June 1, we launched. It was an exciting moment. And all the owners are adding their cars. It's really exciting. All the drivers are becoming members. It's excellent. The reservations start coming in, and here, owners who were getting text messages and emails that said, "Hey, Joe wants to rent your car for the weekend. You can earn 60 euros. Isn't that great? Yes or no?" No reply. Like, a huge proportion of them couldn't be bothered after they had just started, they just signed up, to reply. So I thought, "Duh, Robin, this is the difference between industrial production and peer production." Industrial production, the whole point of industrial production is to provide a standardized, exact service model that is consistent every single time, and I'm really thankful that my smartphone is made using industrial production. And Zipcar provides a very nice, consistent service that works fabulously. But what does peer production do? Peer production is this completely different way of doing things, and you have a big quality range, and so eBay, cleverly, the first peer production, Peer, Inc. company, I'd say, they figured out early on, we need to have ratings and commentaries and all that yucky side stuff. We can flag that and we can put it to the side, and people who are buyers and consumers don't have to deal with it. So going back, this is my look of excitement and joy, because all this stuff that I'd also been hoping for actually really did happen, and what's that? That is the diversity of what's going on. You have these different fabulous owners and their different cars, different prices, different locations. They dress differently, and they look different, and, really, I love these photos every time I look at them. Cool guys, excited guys, and here is Selma, who -- I love this driver. And after a year, we have 1,000 cars that are parked across France and 6,000 people who are members and eager to drive them. This would not be possible to do that in economic fashion for a traditional company. Back to this spectrum. So what's happening is, we had the yuck side, but we actually had this real wow side. And I can tell you two great stories. A driver was telling me that they went to rent a car to go up the coast of France and the owner gave it to them, and said, "You know what, here's where the cliffs are, and here's all the beaches, and this is my best beach, and this is where the best fish restaurant is." And the peers also become, peers and owners create relationships, and so at the last minute people can -- a driver can say, "Hey, you know what, I really need the car, is it available?" And that person will say, "Sure, my wife's at home. Go pick up the keys. Go do it." So you can have these really nice things that can't happen, and it's a kind of "Wow!" and I want to say "Wow!" type of thing that's happening here, because individuals, if you're a company, what happens is you might have 10 people who are in charge of innovation, or 100 people who are in charge of innovation. What happens in Peer, Inc. companies is that you have tens and hundreds and thousands and even millions of people who are creating experiments on this model, and so out of all that influence and that effort, you are having this exceptional amount of innovation that is coming out. So one of the reasons, if we come back to why did I call it Buzzcar? I wanted to remind all of us about the power of the hive, and its incredible facility to create this platform that individuals want to participate and innovate on. And for me, when I think about our future, and all of those problems that seem incredibly large, Peers, Inc. provides the speed and scale and the innovation and the creativity that is going to answer these problems. All we have to do is create a fabulous platform for participation -- nontrivial. So I continue to think that transportation is the center of the hard universe. All problems come back to transportation for me. But there are all these other areas that are these profound, big problems that I know that we can work on, and people are working on them in many different sectors, with the power of this Peers, Inc. model. So over the last decade, we've been reveling in the power of the Internet and how it's empowered individuals, and for me, what Peers, Inc. does is it takes it up a notch. We're now bringing the power of the company and the corporation and supercharging individuals. So for me, it's a collaboration. Together, we can. Thank you.
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これをご覧ください ごくシンプルですが 同時にとても複雑なものです 同心測地線の集まりで それぞれが中心と 繋がっています 従来の製造技術では 作り出すことのできないものです 射出成形できないような 対称的な形で フライス加工でも 作れません 3Dプリンターの仕事です しかし多くの3Dプリンターでは これを作るのに3〜10時間かかるでしょう それをこの10分の講演の間に ステージ上で作るということに 挑戦したいと思います どうか幸運を祈ってください 3Dプリントという呼び名は 正確ではありません 実際には2Dプリントを 繰り返しているにすぎません 使われている技術も 2Dプリント関連の技術です インクジェット印刷を考えてみてください 文字を出すためにページの上にインクを置きます これを繰り返すことで 3次元的なオブジェクトを作り出すのです マイクロエレクトロニクスにも リソグラフィーという 同様のことを行う技術があって トランジスタや 集積回路といった構造を 繰り返し印刷して 作り上げますが これも2次元印刷技術です 私は化学者であり 材料科学者です 私の共同考案者もまた 材料科学者で 1人は化学者 1人は物理学者ですが 私たちは3Dプリントに 興味を持つようになりました 新しいアイデアというのは 得てして 異なる領域の異なる経験を持つ人の 繋がりから生まれますが 私たちの場合もそうでした 私たちが触発されたのは 映画『ターミネーター2』の中で T-1000が出てくるシーンです 3Dプリンターでこんな風に できないものかと思いました すごい形状のものが 水たまりの中から リアルタイムで 材料の無駄もなく できあがっていくんです ちょうどあの映画みたいに ハリウッド映画に 触発されたアイデアを 実現する方法を 考え出すことなんてできるのか? これは難題でした もしそれができたなら 3Dプリントが本格的な 製造プロセスとなることを妨げている 3つの問題を解決できます 第1の問題は 3Dプリントには 延々と時間がかかること 3Dプリンターで作るよりも早く成長する キノコがあるくらいです 層を重ねていく というプロセスは 力学的性質の弱さを もたらしますが 連続的に成長させていくことができれば この欠点を取り除けます とても速く成長させることができれば 自己回復素材などを使うこともでき 素晴らしい性質を持たせることができます もしハリウッドの フィクションを実現できれば 3D製造の問題を 解決できるのです 私たちのアプローチでは 高分子化学の領域では よく知られたことを 使っています 光と酸素を利用して連続的に パーツを成長させるのです 光と酸素は逆方向に作用します 光は樹脂を 液体から固体に変えます 酸素はこのプロセスを阻害します だから光と酸素は化学的に 正反対の働きをするわけです 光と酸素を空間的に 制御してやることで このプロセスを 制御できるようになります 私たちはこれを CLIPと呼んでいます これには3つの 構成要素があります 1つは貯水槽で あのT-1000が出てくる場面のように 液体を保持します この貯水槽の底には 特別な窓がありますが これについては 後ほど説明します これに加えて台があって 貯水槽に降りてきて 液体からオブジェクトを 引き出していきます 3番目の要素は 貯水槽の下にある デジタル投影システムで 紫外線領域の 光を投影します 鍵となるのは 貯水槽の下にある窓ですが これは複合的で 特別なものです 光を通すだけでなく 酸素も透過します コンタクトレンズのような性質を 持っているわけです このプロセスがどう働くか 見てみましょう 台が降りてきて 従来のプロセスだと 窓は酸素を透過せず 2次元的なパターンが 窓に張り付いた形でできます 次の層を作るためには 分離する必要があり 新しい樹脂を入れ 再配置する— というプロセスを 何度も繰り返します しかし私たちの特別な窓を使うと 光を当てている間 下から酸素が上がって来て 反応を阻害することで 死角を作ることができます この死角は 厚さが数十ミクロンで 赤血球の2、3個分です 窓に接する部分は 液体の状態のままで オブジェクトを 引き上げていきます サイエンス誌の論文に 書きましたが 酸素含有量を変えることで この死角の厚みを変えることができます だから制御できる変数がたくさんあります 酸素含有量 光 光量 硬化線量 粘度 形状 そしてプロセスの制御のため 非常に洗練されたソフトウェアを使っています 結果はとても 目覚ましいものです 従来の3Dプリンターより 25〜100倍高速です 業界を一変させられます 加えて境界の部分に 液体を送ることもできるので スピードは千倍にもできると 考えています これは多くの熱を 生み出すことになるでしょう 化学技術者として 熱伝導の問題と あまりに高速で水冷装置を 備えた3Dプリンターという考えには とても興奮を感じます 加えて 連続的に成長させるため 層構造がなくなって 均質になります 表面構造がなく なめらかなのが分かるでしょう 3Dプリンターで作られた部品の 力学的性質は 印刷した方向に依存するというのは よく知られていますが これは層構造によるものです しかしこのように 成長させることで 物質特性が印刷方向に 依存しなくなります 射出成型された部品のようで 従来の3Dプリンターで作られたものとは 大きく異なります 加えて 高分子化学の知識を 丸ごと投入して 3Dプリントされるオブジェクトに ほしい性質を生み出す 化学反応をデザインすることができます できあがりましたね ほっとしました 本番の舞台になるとうまくいかないというのは よくあることですから 素材に優れた力学的性質を 持たせることもできます 高い弾性あるいは 緩衝性を持つ 高分子弾性体を 使うことができます 振動の制御や優れたスニーカーといった 応用が考えられます 非常に強い素材 高い強度重量比を持つ素材 非常に優れた高分子弾性体を 作り出すことができます どうぞ手に取ってご覧ください 優れた物質特性です 最終製品に使える特性を パーツに持たせることができて 画期的なスピードで 作れるとなれば 製造過程を大きく変えられる 可能性があります 現在製造業界が 取り組んでいるものに 「デジタルスレッド」と 呼ばれるものがあります CADによる設計から プロトタイプを経て 製造まで 一連の流れで行います 多くの場合 このデジタルスレッドが プロトタイプのところで切れていて 製造まで行けません パーツの多くが最終製品の性質を 持っていないためです 今や設計からプロトタイプ 製造へと 全体を通してデジタルスレッドを つなげられるようになり あらゆる可能性が広がります 高い強度重量比を持つ 優れた格子特性に取り組む 高燃費車から 新しいタービン翼まで あらゆる素晴らしいものです 緊急の状況で ステントが必要な時 医者は標準サイズのものを 棚から取り出す代わりに 患者の血管に合わせて 設計されたステントを使えます 緊急の際に リアルタイムでプリントし 18ヶ月すると消える性質を 持ったステントです あるいはデジタル歯科では このような構造を 患者が椅子に座っている間に 作ることができます ノースカロライナ大学の 私の学生たちの作った 構造を見てください 目を見張るような マイクロスケール構造です ナノサイズについては 既に優れた製造技術があります 10ミクロン以下のサイズについては ムーアの法則が駆動してきました その面ではとても うまくいっています しかし10ミクロンから 1000ミクロンの間という 中規模のものを作るのが 難しいのです 半導体産業の 減法的技術は この領域では 上手く機能しません ウエハーを上手く エッチングできません しかしこの製造技術は とても静かに 底から物を成長させていく 加法的製造技術で 素晴らしい物を 数十秒で作れ 新しいセンサー技術 新しい薬物送達技術 新しいラボ・オン・チップ など 大きな可能性が開けます ですから最終製品となりうる 性質を持つパーツを リアルタイムで作れることで 3D製造の夢が本物になります これは私たちにとって 非常にエキサイティングなことで これはハードウェアとソフトウェアと 分子科学の交わる部分だからです この優れたツールによって 世界のデザイナやエンジニアにどんなことができるようになるか 目にするのが待ち遠しいです どうもありがとうございました
You see this object here. It looks fairly simple, but it's quite complex at the same time. It's a set of concentric geodesic structures with linkages between each one. In its context, it is not manufacturable by traditional manufacturing techniques. It has a symmetry such that you can't injection mold it. You can't even manufacture it through milling. This is a job for a 3D printer, but most 3D printers would take between three and 10 hours to fabricate it, and we're going to take the risk tonight to try to fabricate it onstage during this 10-minute talk. Wish us luck. Now, 3D printing is actually a misnomer. It's actually 2D printing over and over again, and it in fact uses the technologies associated with 2D printing. Think about inkjet printing where you lay down ink on a page to make letters, and then do that over and over again to build up a three-dimensional object. In microelectronics, they use something called lithography to do the same sort of thing, to make the transistors and integrated circuits and build up a structure several times. These are all 2D printing technologies. Now, I'm a chemist, a material scientist too, and my co-inventors are also material scientists, one a chemist, one a physicist, and we began to be interested in 3D printing. And very often, as you know, new ideas are often simple connections between people with different experiences in different communities, and that's our story. Now, we were inspired by the "Terminator 2" scene for T-1000, and we thought, why couldn't a 3D printer operate in this fashion, where you have an object arise out of a puddle in essentially real time with essentially no waste to make a great object? Okay, just like the movies. And could we be inspired by Hollywood and come up with ways to actually try to get this to work? And that was our challenge. And our approach would be, if we could do this, then we could fundamentally address the three issues holding back 3D printing from being a manufacturing process. One, 3D printing takes forever. There are mushrooms that grow faster than 3D printed parts. The layer by layer process leads to defects in mechanical properties, and if we could grow continuously, we could eliminate those defects. And in fact, if we could grow really fast, we could also start using materials that are self-curing, and we could have amazing properties. So if we could pull this off, imitate Hollywood, we could in fact address 3D manufacturing. Our approach is to use some standard knowledge in polymer chemistry to harness light and oxygen to grow parts continuously. Light and oxygen work in different ways. Light can take a resin and convert it to a solid, can convert a liquid to a solid. Oxygen inhibits that process. So light and oxygen are polar opposites from one another from a chemical point of view, and if we can control spatially the light and oxygen, we could control this process. And we refer to this as CLIP. [Continuous Liquid Interface Production.] It has three functional components. One, it has a reservoir that holds the puddle, just like the T-1000. At the bottom of the reservoir is a special window. I'll come back to that. In addition, it has a stage that will lower into the puddle and pull the object out of the liquid. The third component is a digital light projection system underneath the reservoir, illuminating with light in the ultraviolet region. Now, the key is that this window in the bottom of this reservoir, it's a composite, it's a very special window. It's not only transparent to light but it's permeable to oxygen. It's got characteristics like a contact lens. So we can see how the process works. You can start to see that as you lower a stage in there, in a traditional process, with an oxygen-impermeable window, you make a two-dimensional pattern and you end up gluing that onto the window with a traditional window, and so in order to introduce the next layer, you have to separate it, introduce new resin, reposition it, and do this process over and over again. But with our very special window, as light hits it, that oxygen inhibits the reaction, and we form a dead zone. This dead zone is on the order of tens of microns thick, so that's two or three diameters of a red blood cell, right at the window interface that remains a liquid, and we pull this object up, and as we talked about in a Science paper, as we change the oxygen content, we can change the dead zone thickness. And so we have a number of key variables that we control: oxygen content, the light, the light intensity, the dose to cure, the viscosity, the geometry, and we use very sophisticated software to control this process. The result is pretty staggering. It's 25 to 100 times faster than traditional 3D printers, which is game-changing. In addition, as our ability to deliver liquid to that interface, we can go 1,000 times faster I believe, and that in fact opens up the opportunity for generating a lot of heat, and as a chemical engineer, I get very excited at heat transfer and the idea that we might one day have water-cooled 3D printers, because they're going so fast. In addition, because we're growing things, we eliminate the layers, and the parts are monolithic. You don't see the surface structure. You have molecularly smooth surfaces. And the mechanical properties of most parts made in a 3D printer are notorious for having properties that depend on the orientation with which how you printed it, because of the layer-like structure. But when you grow objects like this, the properties are invariant with the print direction. These look like injection-molded parts, which is very different than traditional 3D manufacturing. In addition, we're able to throw the entire polymer chemistry textbook at this, and we're able to design chemistries that can give rise to the properties you really want in a 3D-printed object. There it is. That's great. You always take the risk that something like this won't work onstage, right? But we can have materials with great mechanical properties. For the first time, we can have elastomers that are high elasticity or high dampening. Think about vibration control or great sneakers, for example. We can make materials that have incredible strength, high strength-to-weight ratio, really strong materials, really great elastomers, so throw that in the audience there. So great material properties. And so the opportunity now, if you actually make a part that has the properties to be a final part, and you do it in game-changing speeds, you can actually transform manufacturing. Right now, in manufacturing, what happens is, the so-called digital thread in digital manufacturing. We go from a CAD drawing, a design, to a prototype to manufacturing. Often, the digital thread is broken right at prototype, because you can't go all the way to manufacturing because most parts don't have the properties to be a final part. We now can connect the digital thread all the way from design to prototyping to manufacturing, and that opportunity really opens up all sorts of things, from better fuel-efficient cars dealing with great lattice properties with high strength-to-weight ratio, new turbine blades, all sorts of wonderful things. Think about if you need a stent in an emergency situation, instead of the doctor pulling off a stent out of the shelf that was just standard sizes, having a stent that's designed for you, for your own anatomy printed in an emergency situation in real time out of the properties such that the stent could go away after 18 months: really-game changing. Or digital dentistry, and making these kinds of structures even while you're in the dentist chair. And look at the structures that my students are making at the University of North Carolina. These are amazing microscale structures. You know, the world is really good at nano-fabrication. Moore's Law has driven things from 10 microns and below. We're really good at that, but it's actually very hard to make things from 10 microns to 1,000 microns, the mesoscale. And subtractive techniques from the silicon industry can't do that very well. They can't etch wafers that well. But this process is so gentle, we can grow these objects up from the bottom using additive manufacturing and make amazing things in tens of seconds, opening up new sensor technologies, new drug delivery techniques, new lab-on-a-chip applications, really game-changing stuff. So the opportunity of making a part in real time that has the properties to be a final part really opens up 3D manufacturing, and for us, this is very exciting, because this really is owning the intersection between hardware, software and molecular science, and I can't wait to see what designers and engineers around the world are going to be able to do with this great tool. Thanks for listening.
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「マルチ・バーニングアロー!」 10体の敵を同時に狙い撃つ【マルチショット】と爆裂する矢【バーニングアロー】の融合スキルがゴブリンの群れに襲い掛かる。 狭い洞窟の中で爆発する10本の矢は避けられず、彼らの持つ粗末な防具では防げない。 矢が直撃したゴブリンは消滅し、爆風を浴びたゴブリンは発火するので良い照明になる。 こちらはもうスキルの連射で片付くが、背後はどうなっているだろうか? 振り返ると、ガー坊が見慣れない金属片をばらまいていた。 「そ、それは......【まきびし】!」 その名の通り『まきびし』を地面に撒くだけのスキルだ。 ずいぶん前にNSOメダルで交換したスキルだが、あまり出番がなかったから俺自身忘れかけていた。 狭い洞窟ではまきびしを避けて通れないので、確実にダメージを与えることが出来るわけだな。 ガー坊はまきびしを踏んで動きが鈍ったゴブリンに追撃を仕掛ける。 獲得したばかりの【エネルギーシザース】で切り裂いたり、【赤い閃光】で撃ち抜いたりと大暴れだ。 流石はモンスターの中でも希少なユニゾンモンスター、性能が通常モンスターとは違う。 ゴブリンの群れは3分もたたぬうちに全滅させることが出来た。 洞窟の敵がすべてこのレベルなら楽勝だが、例によって先に進むごとに強くなるのだろう。 松明で照らし出せる範囲は限られている。 洞窟の中をうごめく音を聞き逃さないようにしなければ......。 ありがたいことにガー坊は浮いているので足音がしないし、俺の履いている足袋もあまり音がしない。 何か音がすればそれは敵だと思って先へ進もう。 ◆ ◆ ◆ ゴブリンやらスライムやらオークやら......。 ファンタジーにおける王道敵モンスターを撃ち抜きまくり、俺たちは洞窟の壁の色が変わるエリアまで来た。 こういう洞窟ダンジョンで壁の色が変わると、それは深いところに足を踏み入れたということだ。 これまで以上の強敵の出現に警戒しつつ、分かれ道も含めて洞窟の隅々まで探索していく。 俺の探している物は『裏ボス部屋のカギ』。 これを手に入れなければ裏ボスには挑めず、ご褒美も貰えない。 敵に遭遇する確率も上がるが、とにかく探索を続けなければならない。 「ん......?」 曲がり角の先から光が漏れている。 そっとのぞき込むと、通路の先には巨大な盾を持った鬼のようなモンスター『オーガ』がいた。 背後には光り輝く宝箱がある。 おそらく、あれが『裏ボス部屋のカギ』の入った宝箱だ。 低レアリティの消費アイテムが入っている宝箱とは輝きが違う。 問題はどうやってオーガを倒すかだな。 盾は分厚い金属製だ。正面から矢を撃ち込んでも倒せ......るよな。 【裂空】で気づかれぬうちに頭を撃ち抜いてしまえばいい。 「いや、待て......」 曲がり角から飛び出かけて足を止める。 ちょっと試してみたい融合奥義がある。 そっちにプラン変更だ。 壁に当たって跳ねる矢を放つ【バウンドアロー】と無数の矢を放つ【矢の嵐】を組み合わせた融合奥義だ。 今の俺の矢は『星域射程』の効果で光っているので、光の線が乱反射しながら敵を全方位から撃ち抜くように見える。 狭い洞窟内なら矢が跳ねまくってすごい光景が見られるのでは......という思いつきで使ってみたが、想像以上に派手な物が見られた。 オーガの盾は分厚くても1枚しかない。 跳ね回ってあらゆる方向から飛んでくる矢のすべてを防ぐことは出来ないので、攻撃方法としても正解に近い。 ものの数秒でオーガは倒れ、光となって消滅した。 この融合スキル......狭い場所での戦いでは切り札になるレベルだ。 また新たな組み合わせを見つけたことに満足しつつ、オーガの背後にあった輝く宝箱を開く。 中から出てきたのは予想通り『裏ボス部屋のカギ』。 紫色で毒々しく無駄にトゲが多いデザインだ。 危険な戦いの扉を開くための物だと見ただけで伝わってくる。 「あとはそのボス部屋がどこにあるのか......だな」 ふぅ......と息を吐く。 敵は強くないが、人間暗くて狭いところに長時間いると気が滅入る。 早く太陽の下に帰りたい。 だが、焦って駆け足になってはいけない。 俺が音で敵の位置を把握しているように、モンスターもまた俺の位置を音で把握しているようだ。 出来る限り音を立てないのが、デキる冒険者の洞窟探検だ。 それをガー坊も理解しているのか、俺に話しかけられるか敵に出会うかしないと鳴かない。 静かに先に進んでいると、また壁の色が変わった。 出くわすゴブリンたちも武器や防具が良い物に変わり、体も大きくなっている。 だが、安易な巨大化は弱体化だ。矢を当てやすくなるからな。 融合スキルとガー坊の助けで立ちふさがる敵を倒し、俺はついにボス部屋の扉を見つけた。 喜んだのもつかの間、その扉には鍵穴が付いていなかった。 つまり、これは通常ボスの部屋だ......。 ここに入ってボスを倒しても、メダルしか手に入らない。 俺はご褒美も狙っているので、倒すのは裏ボスだけでいい。 扉に背を向けて探検を再開する。 おそらく、裏ボス部屋も近くにあるはずだ......と思っていたら、壁の色が真っ黒な通路を見つけた。 光を反射して黒光りしない本当の『黒』だ。 臆することなくその通路を進み、今度こそ俺は裏ボス部屋の扉を発見した。 カギと同じく毒々しい紫で、無駄にトゲトゲした扉だ。 今度はカギ穴がちゃんとある。 カギを差し込み回すとカチャっという音がした。 道中で使った奥義のクールタイムは終わっている。 今はすべての奥義が使える状態だ。 「行こう! ガー坊!」 「グー! グー!」 俺はボス戦も暗闇の中で行うと思って、ガー坊に松明を預けたままだった。 しかし、扉の先で待ち受けていたのは、照り付けるような太陽の日差しだった。 「うぅ......!」 目がくらむ......! まずい、この状況ではボスに......。 しかし、予想に反して攻撃を仕掛けられることはなかった。 目が光に慣れてくる......。 ここは人工的に再現されたサバンナのようだ。 周りをぐるりとコンクリートの壁で囲まれているので、俺は幼い頃に行った動物園を思い出した。 しし座の試練のボスにふさわしい巨大ライオンが高い岩山の上でくつろいでいる。 べたっと地面に体をつけ、臨戦態勢をとることもなく、ただ俺を見下ろしている。 まるで王様だな。ライオンの王様、ライオンキン......やめておこう。 無言で弓を構える。 高いところといっても俺の射程の範囲内だ。 で頭を撃ち抜いて......。 「......っ!?」 眉間を撃ち抜こうとしてライオンと目が合った瞬間、俺の体が動かなくなった。 これはまるで......【威圧の眼力】! ガオオォォォォォォーーーーーーッ!! ライオンが吠える。 すると、草陰からメスライオンが姿を現した。 そういえば、ライオンの狩りはメスがすると聞いたことがある。 そして、ライオンは群れで狩りをするとも......。 敵は孤高の百獣の王ではない。 RPGの中でも厄介な『仲間を呼ぶ』系ボスだ......!
“Multi-Burning Arrow!” Multi-Shot, which could hit up to enemies at once, and the exploding Burning Arrow were fused together and launched into the group of goblins. As the cave was narrow, the arrows could not be avoided, and their shoddy armor could not save them. After being hit by the arrows, the goblins were annihilated. And they lit up when being hit by the blast, which helped illuminate our surroundings. I was having no trouble here by chaining skills together. But what about behind me? When I turned around, I saw that Garbow was scattering pieces of metal that I hadn’t seen before. “I-is that...Caltrop!” As the name suggested, it was a skill that scattered things on the ground. I had traded NSO medals for that skill quite a while ago, but since it was never used, I had forgotten all about it. And since the passages were so narrow here, they were guaranteed to deal damage. Garbow attacked the goblins that had stepped on the caltrops and became slower. He would slash through them with the newly acquired Energy Scissors, or shoot them up with Red Flash. He was wreaking havoc. Unison Monsters were rare monsters, and so their abilities were on a different level. And so we were able to destroy the horde of goblins in less than minutes. If only all of the enemies here were this weak. But I was sure that they would get stronger the farther we went. The torch could only illuminate so far. I would have to be careful to catch any sounds of enemies moving through the cave... Thankfully, Garbow was floating, so there were no sounds of footsteps, and the tabi that I was wearing didn’t make much noise either. And so if there was any sound, I knew it was an enemy and moved on ahead. ◆ ◆ ◆ Goblins, slimes, and orcs... We shot through the fantastical monsters until we reached an area where the walls of the cave changed color. In dungeons like these, the changing walls meant that you were now in a deeper area. And so I was cautious of stronger enemies, and explored the cave corner to corner, including all the branching paths. What I was looking for was the key to the secret boss room. If I didn’t have that, I wouldn’t be able to take on the secret boss and get the reward. While it meant more enemy encounters, I had to continue the search. “Hmm...?” I saw light leaking from the corner up ahead. And when I cautiously took a look, I saw that in front of the passage stood a monster with a giant shield. It was an Ogre. And there was a shining treasure chest behind it. It seemed very likely that the key to the secret boss room was inside of that chest. The way it shone was different from the treasure chests that had common consumable items. The problem was how I would defeat the ogre. The shield was made of thick metal. And so shooting it with arrows from the front...should do the trick. I just needed to use Sky Tear and shoot it in the head before it notices me. “No, wait a minute...” I stopped myself just as I was about to move out into the passage. There was a fused charge attack that I wanted to test. And so I changed my plan. Bound Arrow, which bounced off of walls, was fused with Arrow Storm, which unleashed numerous arrows. As my arrows were currently glowing, thanks to an effect from Star Area Range, it looked like rays of light were reflecting off of everything as they shot through the enemy from every angle. The arrows should bounce a great deal in this narrow cave... That had been my thought. But it was even more spectacular than I was expecting. While the ogre’s shield was thick, it was just one layer. It could not block all of the arrows which were coming from every direction, and so this was a very sensible method of attack. In just a few seconds, the ogre fell and disappeared into light. This fused skill...it was practically a trump card in small spaces like this. I was quite satisfied at having found a new combination, and then I opened the shining treasure chest that was behind the ogre. As expected, it contained the key to the secret boss room. It was a poisonous purple and had a lot of thorns on it. The design conveyed that it would open a door to a very dangerous battle. “Now, I just have to find the door to that room...” Phew... I let out a sigh. While the enemies weren’t strong, it was a very human thing to start feeling down when you are in a dark, cramped space for so long. I wanted to return to the sunlight. However, I couldn’t rush myself either. Just as I used sound to tell where the enemy was, they too could listen to the sounds I made. A good Adventurer should be able to explore caves without making too much noise. Garbow understood this as well, and did not make a sound unless I talked to him or we encountered an enemy. As we quietly made our way through the dungeon, the color of the walls changed once again. The goblins here had better weapons and armor, and their bodies were also bigger. However, being bigger was also a weakness. It made it easier for me to hit them. With the help of fused skills and Garbow, I took down the enemies in our path and finally found the boss door. But my joy was short-lived. There was no keyhole in the door. In other words, this was the door to the normal boss room. If I went in there and beat the boss, I would only receive the medal. But I wanted the special reward, and so I just had to defeat the secret boss. And so I turned on my heels and continued the search. Likely, the secret boss room was close by... As I thought this, I found a passage where the walls were completely black. A real black, where the light didn’t reflect off of. But I boldly walked through, and this time, found the door to the secret boss room. It was the same kind of poisonous purple as the key, and was covered in thorns. And there was a proper keyhole. I inserted the key and turned it until there was a click. The cooldowns for the charge attacks were finished now. I could use them in this state. “Let’s go! Garbow!” “Goo! Goo!” Thinking that the boss battle might be fought in the dark, I had Garbow continue to hold the torch. However, what awaited us on the other side of the door, was the bright rays of sunlight. “Uhhh...!” It was blinding...! This was bad. I couldn’t fight in this state... But in spite of expectations, nothing attacked me. And then my eyes adjusted to the brightness... This looked like a man-made savanna. It was surrounded by a concrete wall, so I was reminded of a zoo that I went to as a child. A giant lion was relaxing on top of a tall rocky mountain. It was very fitting for a Leo trial. It wasn’t in a low, hostile stance or anything. It was just looking down at me. Like some kind of king. A lion kin... Nevermind. Silently, I held my bow ready. While it was high above, it was still within my range. I could shoot it right through the head and... “...!?” Just as I was about to shoot the lion in the forehead, our eyes met and my body couldn’t move. This was just like... Intimidating Eyes! GRRRRRRAAAAAAAAAARRR!! The lion roared. And then a female lion appeared from within the grass. Now that I thought about it, it was the female lions that did the hunting. And they also hunted in packs... This enemy was not alone. It was the most troublesome kind of RPG boss. The type that calls its friends...!
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秋月も終盤になると、寮内は慌ただしい雰囲気に包まれていた。 「最近忙しそうだよね生」 放課後の談話室には、六年生の姿がほとんど見当たらない。 たっぷりのミルクと蜂蜜、それに生姜を少々入れた紅茶を飲みながら、シェイラは周囲を見回した。隣に座ったゼクスが、軽食を摘まみながら答える。 「卒業が近いからな。試験とか色々あるらしいぜ」 彼が食べているのは、潰した芋を平たく伸ばして揚げたもの。揚げることで水分を飛ばしているため日保ちもする、平民にはご的な食べ物。 夕食までの時間、食べ盛りの少年達は常に腹を空かせているので、食堂のおばさんが間食用にと差し入れてくれるのだ。最近ではトルドリッドもパクつくようになっていて、ゼクスと牽制し合う程度にはハマっている。 シェイラも横から手を伸ばしながら、こてんと首を傾げる。 「試験?」 「一応卒業試験ってヤツがあるんだよ。内容は知らねぇけど、実技と筆記な」 「実技はいいけど、筆記もかぁ......」 それなりに追い付いてきたが、まだまだシェイラの成績はクラスでも最下位だ。自分が無事卒業できるのか、不安になってくる。 遠い目になったシェイラに苦笑しながら、今度はコディが口を開いた。 「確か、正式に配属される前に、実習みたいなものも設けられているしね。期間も内容も配属先によって違うみたいだけど」 「実習。研修みたいな感じだね」 「生活に慣れるためには必要なんだろうね。あとは上司に顔を覚えてもらうって意味もあるかな」 六年生を見ない日が多くなってきたのは、そのためだったのか。 クローシェザードのおかげで、最近は気持ちの整理がついていた。 セイリュウ達の卒業について、こうしてのんびり会話ができる程度には受け入れられている。もちろん、寂しさがなくなった訳ではないが。 ゼクスが揚げ芋を六枚まとめて口に入れる。ハイデリオンがそれを見て眉をひそめた。 「お前は実技と筆記よりも、上品な振る舞いを審査してもらった方がいいのではないか?」 騎士は狭き門だが、目に留まりさえすれば貴族家に仕える道だってある。その点においてゼクスの素行の悪さは不利になると懸念しているのだろう。 彼が友人以外には礼節を忘れない男だということは、ハイデリオンも分かっているとは思うけれど。 ゼクスは半眼になって肩をすくめた。 「何が上品だよ。技術披露大会でニッコニコ笑ってたお前の姿、俺は忘れてないからな」 「......もう大分経つというのに、いまだにそれを言うのかお前は」 手痛い指摘を受け、ハイデリオンはハッキリ顔をしかめた。 技術披露大会で喜びを露にしてしまったことは、彼にとって汚点にあたるらしい。 「感情の発露は恥ずべきものだというのに......。あの時はお前達につられてしまったんだ」 「そもそも僕より先に歓声上げてたよね。ものすごい大声で」 からかうつもりもなく純粋に挙げたシェイラの質問は、ますます彼を落ち込ませることになった。ハイデリオンは、恥じ入るように俯いてしまう。 トルドリッドをはじめ、大半の貴族は気にしていないようなので、真面目な彼らしいとも言えるが。 不意にゼクスと目が遭ったので、シェイラはヘラリと笑った。 「そういえばゼクス、いつの間にかトルドリッドにも敬語じゃなくなってるね」 なぜかゼクスが、揚げ芋を詰まらせ盛大にむせた。すかさず女房役のコディが横から紅茶を差し出し、事なきを得る。 口を拭いながら、ゼクスはジロリとシェイラを睨んだ。その頬は心なし赤い。 「............そんなもんだろ、ダチってのは」 照れくさそうにそっぽを向くゼクスにつられてトルドリッドも赤くなり、視線をさ迷わせる。 「お、お前ごときに友人などと言われても、俺は嬉しくないからな」 「ハンッ。別にトルドリッドのことだなんて、俺は明言してないが?」 「なっ! お、俺とて話の流れから推測しただけだからな!?」 真っ赤になって言い争う二人に、周囲は生温かい視線を向ける。 友情の確認作業とは男女関係なく恥ずかしいものらしいが、客観的に見ると酷く滑稽だ。シェイラは込み上げる笑いを噛み殺した。 「あ、そうだシェイラ」 ゼクスが誤魔化すように話題を変えた。 「俺、寮に残るぞ。冬休み」 「――――――――え」 思いがけない宣言に、シェイラだけでなくハイデリオン達も固まった。コディだけは前もって知っていたようで、特に驚いた様子はない。 「ゼクス、家に帰るって言ってなかった? 確か家業の手伝いするって」 「俺が帰らなくても、上の兄弟がしっかりしてるから本当なら人手は足りてるんだ。でも、親父は俺が騎士になれるなんて思ってねぇからな。さっさと仕込もうと躍起になってるんだろ」 騎士になるのが夢だと語っていたゼクスだが、彼にも様々な事情があるのだろう。レイディルーンの話を聞いている時も思ったが、しっかりした家にはしがらみが多そうだ。 「お父さんは、許してくれたの? なおさら帰ってきてほしいんじゃない?」 不安になって訊き返すが、ゼクスは意に介さなかった。鋭い瞳を不敵に細めて笑う。 「知ったこっちゃねぇよ。学院にいる間は自由にしていいって言質はとってるし、自分の意志を曲げるつもりもねぇ」 シェイラは胡乱げな眼差しを返した。何だか格好いいことを言っているようだが、商人としての彼を学院内でもよく見かけるような気がするのだが。 「......薬草茶の独占販売がどうとか、商売っ気丸出しの癖に」 「そこは染み付いちまった商人根性だから仕方ねぇの。言っとくが俺は、まだ諦めてないぞ」 「そういうトコ、本当に根っからの商売人だよね」 コディが困り顔で苦笑した。 「ゼクスは入学する時も、結構凄い啖呵をきってるらしくてね。『おれが学院に入れば貴族とだって繋ぎが取れるかもしれねぇし、王室御用達商人になるのも夢じゃねぇぞ』、なんてね」 「うわ~、スゴい度胸......」 王室御用達商人とは、品質のよさや品揃えはさることながら、信頼が厚くなければなれない、いわば商人の花形だ。貴族に準じた社会的地位を得ることもでき、王都での発言権も強くなる。 ゼクスの実家であるガーラント家は、エイミーの反応からするとそこそこ名のある商家らしいが、一流と呼ばれるにはそういった肩書きも必要なのだ。 会ったことはないが、彼の父親もきっと抜け目のない性格をしていて、だからこの学院入学を許したのだろうと簡単に想像がついた。 「......転んでもタダでは起きないカンジが、ゼクスだよね」 「......実際、複数の貴族と親しくなっているから恐ろしいな」 ボソボソと囁き合うシェイラとトルドリッドに、ゼクスはむしろ開き直った。 「利益を提示しなければ商人なんてのは動かないんだよ。俺自身、騎士になることにもちゃんと利益を見込んでるぞ」 皿に残った最後の揚げ芋をザラザラ口に流し込むと、彼は不敵に笑った。 「そのためには強くならなきゃならねぇ。だからクローシェザード先生に個別指導してもらえる冬休みは、絶好の機会なんだ。貴族と違って果たすべき義務なんてもんもないしな」 ハイデリオンとトルドリッドはゼクスの言う通り、家の行事関連に縛られているのだろう。個別指導と聞いて悔しそうにしているが、寮に残るとも言わなかった。 ゼクスだって、随分家族と衝突したのではないだろうか。時間をかけて説得して、残留許可をもぎ取ったように見える。 ――ゼクスはスゴい。ちゃんと先のこと、考えてるんだ。 友人の眩しい姿に、少なからず焦る。自分は進めているだろうかと、再び不安が頭をもたげた。 ――私も、前を向かなくちゃ。足を止めてる場合じゃない。 皿を片付けるために席を立つコディと同時に、シェイラも立ち上がった。 「どこかへ行くのか?」 「......うん。ちょっと、稽古場に行ってくる」 ハイデリオンの質問に頷き、心配させまいと笑みを作った。 迷った時は、がむしゃらに剣を振るに限る。 ジリジリした焦燥感を面に出さないよう気を付けながら、シェイラは談話室をあとにした。
As the second autumn month came to a close, the atmosphere in the dormitory was hectic. “The sixth years seem busy these days.” In the common room after school, the sixth years were almost nowhere to be seen. Sheila looked around as she drank a cup of tea with plenty of milk, honey, and a little ginger. Zechs, sitting next to her, answered while munching on his snacks. “It’s because graduation is coming up. I hear there are exams and other stuff.” Zechs said while eating mashed sweet potatoes, stretched flat and deep-fried. It was a very common food for commoners, as it was fried to evaporate the moisture and could be kept for a long time. The boys were always hungry before dinner, so the ladies at the cafeteria often gave them snacks. Recently, Toldrid had also become addicted to the extent that he kept checking in on Zechs. Sheila, too, tilted her head as she also stretched out her hand from the side. “Exams?” “There’s a graduation exam, you know. I don’t know what it’s about, but it’s a practical and written exam.” “Practical exams are fine, but written exams too...?” Sheila had caught up to a certain extent, but her grades were still at the bottom of the class. She began to worry whether she would be able to graduate successfully. This time, Cody opened his mouth while smiling wryly at Sheila, who was looking dazed. “If I remember correctly, there is some kind of practical training before we are officially assigned. The duration and content of the training may vary depending on where you are assigned.” “Practical training. It’s like a training program.” “I guess it’s necessary to get used to it. It’s also a way for the higher-ups to get to know you.” Was that the reason why Sheila wasn’t seeing any of the sixth graders these days? Thanks to Claushezade, she was able to organize my feelings recently. Sheila was able to talk leisurely about Seiryuu’s and the other sixth graders’ graduation now. Of course, that didn’t mean the loneliness was gone. Zechs placed five to six fried potatoes in his mouth. Hyderion looked at him and raised his eyebrows. “Wouldn’t it be better for you to be judged on your etiquette rather than your practical and written skills?” There was a possibility that a knight could catch the eye of a noble family and served them. In this regard, Hyderion was probably concerned that Zechs’ poor conduct would put him at a disadvantage. Sheila was sure that Hyderion was probably aware that Cody was a man of civility to all but his friends, though. Zechs shrugged. “Is there a need to maintain my face here? I haven’t forgotten the way you were smiling at the technique showcase competition.” “.... It’s been a while since then, and you’re still saying that?” Hyderion frowned clearly at the painful reminder. It seemed that revealing his joy at the competition was a blemish on his reputation. “Even though it’s a shameful thing to express emotions... I was lured by you all at that time.” “But you were so happy, weren’t you? I know you cheered before I did. You were even cheering louder than I was.” Sheila’s question, which she posed purely without any intention of making fun of him, made him feel more and more depressed. Hyderion turned his head down in shame. Most of the aristocrats, including Toldrid, didn’t seem to care, so it could be said that Hyderion was a serious person. Suddenly, Sheila’s eyes meet Zechs and she chuckled. “By the way, Zechs, when did you stop addressing Toldrid without honorifics?” For some reason, Zechs choked profusely on his fried potatoes. Cody, who was acting like his wife, quickly offered him a cup of tea from the side, and he was able to get over it. Zechs glared at Sheila while wiping his mouth. His cheeks were dyed red. “.... That’s just how it is between friends.” Toldrid also turned red as Zechs looked away in embarrassment, and his gaze wandered. “E-Even if someone like you called me a friend, I wouldn’t be happy.” “Huh. I didn’t explicitly say I was talking about Toldrid, though?” “Wha―! I’m just guessing from the flow of the conversation!?” People around them looked at them warmly as they turned bright red and argued. It seemed that the process of confirming a friendship was embarrassing regardless of gender, but objectively speaking, it was extremely funny. Sheila bit back the laughter that welled up in her. “Ah, that’s right, Sheila.” Zechs changed the subject deceptively. “I’m staying in the dorm. For winter break.” “――Eh.” The unexpected declaration caused not only Sheila but also Hyderion to freeze. Cody was the only one who seemed to know in advance and didn’t appear particularly surprised. “Zechs, didn’t you say you were going home? If I remember correctly, you’re going to help out with the family business.” “My older siblings are doing well, so there’s already enough manpower. But my father doesn’t think I can be a knight. He’s probably just trying to get me into the family business as soon as possible.” Zechs had said that it was his dream to become a knight, but he probably had his own circumstances. It was the same with Leidyrune’s problem, there seemed to be a lot of obligation expected in a well-established family. “Has your father forgiven you? Doesn’t that mean he wants you to come back even more?” Sheila asked him anxiously, but Zechs didn’t care. Zechs smiled, his sharp eyes narrowing fearlessly. “I don’t care. He has already given his word that I’m free to do as I please while I’m at the academy, and I have no intention of bending my will.” Sheila returned a dubious look. He seemed to be saying something cool about his free will, but she always saw him act as a merchant in the academy. “... What about your habit of showing your business mind, such as the exclusive sales of medicinal herb tea....” “That’s just the merchant spirit that’s become ingrained in me. I’m telling you, I haven’t given up yet.” “You really are a businessman at heart, aren’t you?” Cody laughed. “Zechs was a big daredevil when he enrolled in the academy. He used to say, ‘If I enter the academy, I might be able to make connections with nobles and become a royal warrant merchant.’” “Wow~ He has some guts....” Royal warrant merchants were the most prestigious type of merchants, so to speak, because they must be highly trusted in addition to having good quality and lineup of goods. They could also gain a social status equivalent to that of an aristocrat, and they would have a stronger voice in the royal capital. Zechs’ family, the Gallant, were apparently a well-known merchant family, judging from Amy’s reaction, but such titles were necessary to be called first-class. Although Sheila had never met him, she could easily imagine that Zechs’ father must have been shrewd as well, which was why he allowed his fourth son to enter the academy. “.... Zechs is the kind of person who doesn’t get up for free even if he falls down.” “.... Actually, it’s frightening because you’re close to more than one aristocrat.” Seeing Sheila and Toldrid whispering to each other in hushed tones, Zechs took offense. “No merchant will work for you unless you offer them a profit. I myself see a profit in being a knight.” Zechs smiled sharply as he slurped down the last of the fried potatoes left on his plate. “In order to do that, I have to become stronger. That’s why the winter break is the perfect time to get some one-on-one tutoring from Claushezade-sensei. Unlike the nobles, I don’t have any obligations to fulfill.” Hyderion and Toldrid were probably tied up with family-related matters, just as Zechs said. They seemed frustrated when they heard about the tutoring, but they didn’t say they would stay in the dorms either. Even Zechs must have clashed with his family quite a bit. It looked like he took the time to persuade them to give him permission to stay. ‘Zechs is amazing. He’s really thinking ahead.’ Seeing her friend’s dazzling appearance, Sheila got a little frustrated. Her anxiety again reared its head as she wondered if she was making progress. ‘I have to look forward, too. This is no time to stop.’ Sheila stood up as Cody left to clear his plate. “Are you going somewhere?” “... Yeah. I’m going to the training hall for a bit.” Sheila nodded at Hyderion’s question and smiled, trying not to worry him. When in doubt, just swing your sword recklessly. Sheila left the common room while being careful not to let her jittery frustration showed on her face.
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その間、さっきの出来事を思い出していた。 これで苗字も知れたことだし落着! ......よね? ん、あれ? 一つの疑問が頭の中に浮かぶ。そして、そのままその場に立ち止る。 待って、確かヴィクターって、ハリストって名乗っていなかったっけ!? え、でも今、サンチェス・ヴィアンって言っていたわよね? ......え、嫌よ。またウィルおじさんみたいにややこしい関係があるのは勘弁だわ。 ......でも、ラヴァール国なら愛人の一人囲うのは当たり前なのかもしれないわ。 「たとえ、母親が違っても苗字は一緒のはずよね?」 私が小さくそう呟いたのと同時に前からおじい様が歩いてきた。 なんていいタイミングなのかしら! おじい様に聞けば一発で分かるじゃない。......ラヴァール国に疎いって思われて怪しまれたりするかしら。 でも、今これを解決しないと気になって眠れないわ。 「リアか、こんなところで何をしてるんだ?」 「おじ、......アルベール様。今からマリウス隊長にこの書類を届けに行くところです」 なんだか久しぶりに会う気がするわ。このところ、ずっとヴィアンの仕事にかかりっきりだったんだもの。 「そうか。......一体さっきは何をそんなに真剣に考えていたのだ?」 ......何でもお見通し? 血筋というものは恐ろしいわね。 「いえ、ただ......」 私は言葉に詰まる。無知なのは悪い事じゃない。知らないことは教わればいい。 ただ、ここでおじい様に怪しまれたくなんかない。私の正体を知っているのはヴィアン一人で充分よ。 「この道から来たということは、第一王子の部屋にでも行っていたのか?」 おじい様、鋭い。 「......そうです。最近ヴィクター様の命でヴィアン様のところへと就いたのです」 「そうか。それは良い。彼と共に時間を過ごすと色々なことが見えてくるからな。第一王子は、変わっているがそれが面白い」 「アルベール様はどちらの味方なのですか?」 私の言葉におじい様は固まる。 前まで、ヴィクターの遠征に付き合っていたのに、今はヴィアンの肩を持つような言い方だし......。 「どちらの味方でもない。この国が歩む道を見たいだけだ」 「......今までのこの国の歴史について教えてもらえないでしょうか?」 私は今しかないと思い、そう切りこんだ。 おじい様は驚くこともなく「それがお前が聞きたいことだったか」と呟き、彼は来た道をゆっくりと引き返し始めた。 ついて来いってことかしら? え、でもそれじゃあマリウス隊長に......。 仕事が出来ない人間に降格だわ。後でどんなペナルティを受けることになるのかしら。ああ、怒られる心の準備をしておかないと。 私はそんなことを思いながら、小さくため息をつき、おじい様の後を追った。
Meanwhile, I remembered what had happened earlier. Now that they knew my last name, the case was closed! I guess...right? Hmmm, now what? A question popped into my head. And then I came to a halt. Wait, didn’t Victor call himself Harrist? But didn’t Vian just call himself “Vian Sanchez”? Nope, not again. I didn’t want to have another complicated relationship like Gramps Will’s.... But I guess in Ravaal Kingdom, it might be normal to have a mistress or two. “Even if they have different mothers, they should have the same last name, right?” At the same time, my grandfather walked in front of me as I muttered to myself. What perfect timing! I could have just asked him, and he would have told me. ...I wonder if he would think I was unfamiliar with the Ravaal Kingdom and become suspicious of me. But if I didn’t figure this out now, I wouldn’t be able to sleep. “Ria, what are you doing here?” “Uncle ...Alberil-sama, I’m on my way to deliver this document to Captain Marius.” I felt like I haven’t seen you for a long time. These days, I was busy with Vian’s work. “ I see. What in the world were you thinking so seriously earlier? “ ...You could see through everything? Having such relatives was a scary thing. “No, it’s just...” I was at a loss for words. Ignorance was not a bad thing. If I didn’t know something, I could slowly learn about it. I just didn’t want Grandfather to get suspicious of me. Vian was the only one who knew who I was. “You came from this way, that means you went to the first prince’s room, right?” Grandfather, you were perceptive. “...Yes, I did. I was recently assigned to Vian-sama by order of Victor-sama.” “I see. That’s good. Because when you spend time with him, you see many things. The First Prince is different, but that’s what makes him interesting.” “Whose side was Alberil-sama on?” Grandfather solidified at my words. Before, he was accompanying Victor on his expedition, but now he sounded like he was taking Vian’s side.... “I’m not taking sides. I just want to see the path this country is taking.” “... Can you tell me about this country’s history so far? “ I cut in, thinking it was now or never. Grandpa was not surprised, “That’s what you want to hear,” he muttered, and began to backtrack the way slowly he came. Did he want me to follow him? But then, Captain Marius.... That would earn me a bad reputation. I wondered what kind of penalty I would receive later on. Oh, I had to prepare myself for that. Thinking of this, I let out a resigned sigh and followed Grandfather.
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『では、3、2、1、模擬戦スタート!』 ユウの合図とともに戦場全体に銅鑼の音と鬨の声が響き渡る。 「突撃......!」 その中でこちらの先陣を切ったのはイズミと牛頭霧達を背中に乗せのクエレブレ。その後ろを近接部隊のポーンが追いかけていく。 三匹のクエレブレは大量の土煙を上げ、ならされた地面を抉って荒れ地に変えながら狐姫の軍勢へ向けて突進していく。 『まず動いたのは霧王陣営ですか。明らかに先手を取る気ですね。しかし、』 イチコの解説も聞こえてくる。 だが、 「ブモオオオォォォ!」 「そう甘くはないか。」 牛の鳴き声が敵陣地から聞こえてくる。 俺としてはこのままクエレブレたちが敵陣地まで到達してこの模擬戦の機先を制せればいいと思っていたが、相手も同じことを考えていたようである。 『狐姫もやはり先手を取ることの重要性を理解されていますね。』 敵陣地から出て来たのは6体の巨大な角を生やした石の大牛。 その勢いはこちらの突撃と比べても遜色ない。 互いの距離が徐々に近づいていく。そして、 『凄い音ですね。』 『お互い自らのダンジョンの中でも重量級ですから。』 突撃の結果は負け。1体のクエレブレにつき2体の大牛がつく形で突撃は見事に止められる。 が、止まった際の反動を利用してイズミと牛頭霧たちはクエレブレの背中から降りて手近な敵を攻撃し始め、クエレブレ自身も大牛たちの首を狙って噛みつく。 そして両軍の前衛が激突し乱戦を始める。 その光景はモンスターに出会ったことのない普通の人間からすればこの世の終わりのように見えるだろう。 なにせ牛頭霧の斧が振るわれる度に手近なモンスターから赤い噴水が上がり、敵の豹がその爪を振るう度にダメージを受けた牛頭霧の肉体が少し霧散する。 泥人形たちが力づくで犬型モンスターの動きを止めた間に泥兵士が止めを刺したかと思えば、アルパカがその姿に似合わぬほどの跳躍力で飛び跳ねて薄靄狼の頭を踏みつけていく。 だが尤も凄まじい活躍を見せているのはやはりイズミだろう。 「ふん......!」 『やはりイズミは強いですね。この十年間最前線に居続けただけはあります。』 両手に≪生体武器生成・斧≫で作り出した骨の斧を作り出し、まるで暴風のように敵陣を薙ぎ払っていく。しかも武器をリロードする際に手近な相手に向けてトマホークとして斧を投げつけているため、その被害はと増していく。 それにしてもイチコもイズミが喋れる様になったのにだいぶ慣れてきたな。最初はかなり驚いていたのに、 と、イズミが自分と同じナイトである狐人の男を認識し、その男の武器を弾いた上で頭の上にあるターゲットを攻撃しようとした瞬間。 『おおっと!これは!?』 『これはムギの≪渦炎≫ですね。』 そう。乱戦が始まると同時に後衛も動き始めていたのだ。 こちらが泥魔法使いとミステスの矢系スキルをタバネが使う≪魔の矢束ね≫の助力を受けた上で当たるを幸いに放って敵の勢いを削いだかと思えば、ムギともう一人の狐人が率いる敵の後衛による味方を多少巻き込んだ≪火爆≫、≪渦炎≫、≪火球≫が乱れ飛ぶ。 そしてそれと並行して空中の戦いも繰り広げられる。 『上は上で凄まじい戦いですね。』 『空中は一撃一撃が致命傷になりやすい分だけ動きが派手になりますからね。』 乱れ蜻蛉がその羽音で地上に居る味方を支援しようとすれば、敵のムササビが特攻を仕掛けて羽音を停止させ、ミステスがそのムササビを引き剥がせば、コウモリが素早くミステスを切りつける。が、そこで体勢を立て直した乱し蜻蛉がコウモリの頭を噛み切って即死させる。 地上の戦いが若干狐姫寄りで進んでいるとすれば、空中戦はこちら側の優位で進んでいるようだ。そこら辺は各ポーンの得意とする攻撃方法の差だろう。 さて、肝心の地上戦で押され気味の為に徐々に戦線がこちらの本陣に近づいてくる。 「そろそろいいか。行け!チリト!」 だが、前線が一定のラインまで下がったところで俺はチリトに指示を出す。 『おおっとここで伏兵だあ!』 『戦いの基本ですね。』 そしてチリトがポーンたちを引き連れてムギがいない方の敵後衛に真横から突撃する。 「「「!?」」」 突然出現したチリトたちは密集することによって火力を高めていた代わりに動きが鈍くなっていた敵の後衛を一方的に蹂躙する。 だが、片方の後衛を撃破してムギの率いる舞台に攻撃を仕掛けようとした瞬間にムギの≪渦炎≫がチリトたちの部隊の中心で発動。一気に十体ほどのモンスターが消し炭になる。 「それなら!」 しかしここでチリトは一つの指示を飛ばす。 『こ、これは!』 そしてその指示を受けて沼飛魚が 泥人形の体内 から一斉に飛び出してムギの的に向かって飛んでいく。 『仕込み武器とはクロキリらしい攻撃ですね。』 「くっ!?」 ムギは身を翻して一匹目の沼飛魚を避け、そのまま移動をすることによって二匹目以降の沼飛魚も避けていく。そして十体避けた所で攻撃が途切れて、思わずムギは立ち止まる。が、立ち止まったその瞬間に頭上から霧蚊が急降下してムギの的を破壊する。 「よしっ...あ!」 が、その戦果をチリトが喜んだ瞬間にチリトの的に≪火の矢≫が当たって破壊される。 『ただ、策が嵌っても油断は禁物ですね。』 『とりあえずチリトさんは爆発すればいいと思います。』 淡々とした司会と解説が続く。 だがこの勝負貰ったと言えるだろう。なぜならば、 チリトが敵後衛と戦っている間にタバネが数十発分のミステスの≪霧の矢≫と泥魔法使いの≪泥の矢≫を≪魔の矢束ね≫で一つにまとめ上げて白と茶のマーブル模様が特徴的な巨大な矢を作り上げていたからである。 『こ、これは凄まじいですね。』 『とっておき。と言ったところですね。これは凄いです。』 まるで攻城戦で使用されるバリスタの矢のようなそれが狐姫の本陣に向けて放たれ、着弾。爆発と共に大量の霧と泥が周囲に撒き散らされる。 『狐姫陣営のキングが撃破されたことを確認!勝者は霧王陣営となります!』 そして煙が晴れた所でユウの言葉が模擬戦場に響き渡った。
[Then, , , , let the sham battle commence!] At Yuu’s signal, the sound of gongs and war cries rippled throughout the battlefield. “Start the assault...!” In the midst of it all, spearheading the battle were Izumi and the three Cuélebre carrying Minotamist on their backs, followed by the Pawns of the melee force. The three Cuélebre sent up a voluminous plume of smoke, gouging out the leveled ground and forcing it to transform into a wasteland as they surged towards the Fox Princess’ army. [The first one to make a move was the Mist King’s camp? It is evident that they are aiming to gain the upper hand. However...] Ichiko’s commentary can be heard as well. But... “Bumooooooo!” “The enemies aren’t that naive.” From the enemy’s position, the bellowing of cows was audible. I was hoping that the Cuélebre would advance to the enemy position and seize the initiative in this sham battle, but it appeared that the opposing side had the same notion. [The Fox Princess after all recognizes the significance of taking the initiative too, right?] Emerging out of the opposing side are six giant, horned stone oxen. Their momentum was not inferior to our assault. The distance between us and them was progressively drawing closer and closer. Then there went the reverberating sound of the battleground all over the area. [What a horrific rumble.] [Both sides are heavyweights division of their own dungeon after all] The outcome of the assault was a loss: the assault was successfully stopped by two large oxen per Cuélebre. However, by capitalizing on the recoil of the halt, Izumi and the Minotamist descended from the back of Cuélebre and proceeded to assail the nearest enemy, while Cuélebre itself also aimed for the neck of one of the large oxen and bit it. Both vanguards of the army then clashed and a tumultuous confrontation ensued. For an ordinary human being who had never encountered such a monster, this spectacle would probably give the impression that it was the end of the world. After all, whenever Minotamist’s axe is swung, it sent up a fountain of red liquid from the nearest monster, and each time the panther slashed its claws at the foe, the damaged Minotamist’s body dissipated slightly. The Mud Soldiers put an end to them as the Mud Puppets violently restrained the dog-shaped monsters while the alpacas leaped with a leaping power that was out of sync with their appearance and trampled the head of the Thin Mist Wolves. However, the one who displayed the most terrific performance was Izumi. “Hmmm...!” [Izumi is formidable after all. She has been on the front line for the past ten years.] In both of her hands, she had produced a bone axe created by ≪Bio Weapon Creation・Axe≫ and was mowing down the hostile camp as though it were a hurricane. Furthermore, upon regenerating the weapon, she hurled the axe as a tomahawk at the closest opponent, causing an increasing amount of damage with each passing second. Even so, Ichiko had grown accustomed to Izumi’s ability to vocalize. She was initially rather taken aback. The moment Izumi recognized the Kitsunejin man, who was a fellow Knight and attempted to strike the marker on top of his head after repelling his weapon, a vortex of flames engulfed Izumi and the Kitsunejin man, compelling them both to leave the stage. [Oh, my! This is!?] [This is Mugi’s ≪Fire Swirl≫.] Yes. Simultaneously with the onset of the turbulence, the rearguard had begun to mobilize as well. As soon as it appeared that the momentum of the adversary was diminished by the release of Mud Magicians and Mystic’s arrow skills supported by Tabane’s ≪Magic Bundle of Bolt≫, the enemy’s rearguard led by Mugi and another Kitsunejin man, delivered a flurry of ≪Flame Plosion≫, ≪Fire Swirl≫ and ≪Fireball≫ that moderately embroiled their allies. In parallel with this, aerial battles also unfolded. [The aerial battle is a hectic one, right?] [Movements are more dynamic in mid-air since each hit is more likely to be devastating.] Once a Disarray Devil’s Darning Needle tried to support its allies on the ground through its buzzing wings, the opposing flying squirrel launched a suicide attack, bringing the buzzing to a halt, and when Mystic detached the flying squirrel, the bats swiftly slashed at Mystic. However, the Disarray Devil’s Darning Needle that had regained its posture bit the bat’s head off, instantaneously wiping it out. If the battle on the ground was progressing more or less in favor of the Fox Princess, the aerial battle seemed to be developing to my side’s advantage. This may be attributed to the variation in each Pawn’s specialized attack methods. Now, since we were being pushed back in the vital battle on the ground, the enemy’s front line was steadily advancing closer to my main camp. “It’s about time. Go! Chirito!” But, once the front line approached a certain distance, I issued Chirito a command. [Oh, this is where the ambushers are!] [That’s the basis of a battle, isn’t it?] Chirito then directed the Pawns to the enemy rearguard, where Mugi was not present, charging in from right beside them. [[!?]] The sudden presence of Chirito and his Pawns unilaterally overran the enemy rearguard, which had been hindered rather than augmented its firepower by being densely packed. Notwithstanding, Mugi’s ≪Fire Swirl≫ got activated in the center of Chirito and his army just as they were ready to storm the platform under Mugi’s leadership after destroying the rearguard on one side. Roughly ten monsters were annihilated all at once. “If that’s the case!” But at this juncture, Chirito sent out a single command. [T-This is!] Following his instruction, all the Swamp Flying Fish flew out in unison from within the Mud Puppet’s body and shot at Mugi’s marker. [A planted weapon is a very Kurokiri-like offense, right?] “Ugh!?” After evading the first Swamp Flying Fish, Mugi moved to dodge the second and subsequent ones. When Mugi had avoided ten of them, the wave of attacks ceased, prompting her to unintentionally remain motionless. But just as she paused, the Mist Mosquitoes dived down from above her head and destroy her marker. “Alright... ah!” Yet no sooner than Chirito was rejoicing at his success, his marker was hit by a ≪Firebolt≫ and was destroyed. [However, even if the strategy succeeds, one must maintain constant vigilance.] [In the meantime, I hope Chirito-san would explode.] The MC and the commentary continued their words apathetically. But I can say that the victory was already secured. After all... During the process of Chirito’s battle with the enemy rearguard, Tabane had integrated several dozen arrows of Mystic’s ≪Mistbolt≫ and Mud Magician’s ≪Mud Bundle of Bolt≫ into an enormous arrow with a distinctive white and brown marbled pattern. [T-This is tremendous.] [I would say this is quite a trump card. How amazing.] Like a ballista’s arrow used in a siege, it was fired at the Fox Princess’ main camp and impacted it. As it exploded, a vast amount of mist and mud was dispersed into the surrounding area. [The King of the Fox Princess camp is confirmed to have been defeated! The winner goes to the Mist King’s camp!] Yuu’s remarks resounded through the sham battlefield when the smoke cleared.
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「わあっ! おねーちゃんの手、冷たくて気持ちいいねっ!」 「ふふ、ありがとう。少し熱があるようですね。『治癒』。はい、これで大丈夫でしょう」 「いつもありがとうございます」 堂々と入っていったアンナさんに続いて、俺も教会に足を踏み入れた。 教会は祈りの場である礼拝堂のほかに、病棟や孤児院も併設されていた。いわゆる救貧院もあるらしい。 リッチでアンデッドなアンナさんは馴染みだという女性職員の案内で、当然のように病棟と孤児院を歩きまわっている。 「気にしないでください。それとこちら、今回もいくつか薬を持ってきました」 「本当に......なんとお礼を申し上げたらいいのか......」 アンナさんからいくつかの小袋を受け取った女性職員は、涙ぐみながら手を動かす。 「では行きましょうか、ナオヤさん。道すがらいろいろ説明しますね」 「あっはいそうですねお願いします」 「おねーちゃん、ありがとー! おじちゃんも!」 「待て待てちびっ子。俺はまだ24歳だ。つまり『おじちゃん』じゃなくて『お兄さん』だ。いいな?」 「ばいばーい、何もしなかった 「おいいまのわざとだろ! よし、次会った時は覚えてろよ!」 なんだか、アンデッドのアンナさんより、俺の方が教会の子供たちから冷たい対応を受けた。解せん。 「今度教会に行く時は、何かオモチャでも持ってくか。在庫あったかなあ」 「ふふ。ナオヤさんは優しいんですね」 「え? 違いますよ? ほら、子供の好感情は親や親戚やその周囲、子供の友達やその親、どんどん広がっていきますから。プレゼントをきっかけにアイヲンモールのファンを増やそうかと」 「は、はあ」 アンデッドが教会に行ったわけで、きっと疲れたんだろう。 「と、とにかくですね、先ほどナオヤさんに見てもらったように、平民がケガしたり病気になった場合、通常は教会で治してもらうのです」 「入院施設もありましたもんね。やっぱり魔法と薬で治療するんですか?」 「ええ、そうですナオヤさん。ですから回復魔法の使い手が多い教会が医療施設となっているのです。もちろん、回復魔法が使える冒険者や騎士もいますから、全員が教会所属ということはありません」 「回復魔法が使える騎士......聖騎士? クロエ?」 「はい、クロエさんも回復魔法を使えますね」 「マジか......ポンコツ騎士って言われてたわりにハイスペックな......」 「それから、貴族は医者や薬師を抱えていることがほとんどですね。高位の司祭が往診することもあります」 「なるほど......。外傷は魔法で治せるし、内科系も魔力でなんとかなる。うーん、医学薬学が根本から違うし、医療モールやドラッグストアは難しいかなあ」 「あとは、軽い風邪や病気の場合には、教会まで行かずに街の薬屋で購入した薬を使うことが多いですね」 「はあ、ドラッグストアの需要はあると」 異世界の、まあそこまで広げなくてもこの街の医療事情を聞きながら大通りを歩く。 さっき教えてくれた「街の薬屋」に、作った薬を卸しているらしい。 「そもそもなんで魔法で治せるのか。魔力ってなんなのか。俺は『この世界の人間じゃありえない魔力ゼロ』らしいし......この世界の人間と元の世界の人間って、実は別モノなのかも」 「お待たせしました、ナオヤさん」 「あ、いえ、世界の真理を考えてたらすぐでした。ところでアンナさんって薬の調合もできたんですね」 「ふふ、とうぜんですよナオヤさん。毒と薬は表裏一体ですから......生と死も」 「はいまた聞かなきゃよかった言葉きました! アンデッドジョーク笑えないです! アンデッドジョーク、ですよね?」 「............ふふっ。はあ、こうして誰かと街を歩くのはひさしぶりです。なんだかデートみたいですね、ナオヤさん」 「会話のそらし方が露骨すぎる! そそそそんなこと言われても動揺しませんから! 職場恋愛はだいたい職場の人間関係を悪化させますからね!」 アンデッドジョークもデート発言もスルーして大通りを歩く。 その後もアンナさんは何軒かの薬屋をまわり、薬を卸していった。 薬の素になる薬草や素材は、スケルトン部隊が見まわりついでに採取しているらしい。 睡眠不要で疲れ知らずのスケルトン部隊が有能すぎる。最高の労働力かもしれない。夜にバッタリ遭遇するとチビりそうになるけど。 「ふう、これで終わりです、ナオヤさん」 「うーん。そこそこ大きな街だと思うんですけど、薬屋の数は少ないんですねえ」 「そうかもしれません。やはり薬が間に合わないこともありますから......」 アンナさんがわずかにうつむく。 そこにアンデッドらしい感情はない。いやこの世界の普通のアンデッドを知らないけど。生者を憎むみたいなイメージがあったもので。 「そっかあ、アイヲンモール異世界店には回復魔法の使い手もいて、調合もできるのかあ! この世界のスタイルなら医療モールもドラッグストアもやれるかなあ!」 ごまかすように、俺は大きな声を出した。 わざとらしい話題転換にアンナさんが乗ってくる気配はない。 「この街には回復魔法の使い手も医者もいますし、薬師もいます。平民であっても薬は買えない値段ではありませんし、教会なら寄進のみで『治癒』の魔法を受けられます。でも......」 アンナさんはうつむいたままだ。 立ち止まったアンナさんにあわせて俺も足を止める。 「でもナオヤさん。治せない病気もあるんです」 アンナさんから出てきたのは、すごく当たり前の言葉だった。 「あっはい。その、俺がいた世界は医学も薬学も進んでましたけど、治せない病気はありました。研究者はいまもがんばってると思いますけど」 「......そう、ですね」 アンナさんの顔が暗く見えるのは、俺が『幻惑』の魔法にかかってないからだろうか。 「さあアンナさん、終わったなら帰りましょうか! そろそろ帰らないと、午後遅くのピークに間に合いませんし!」 「そうですね」 無理やり切り替えようとしたけどアンナさんのテンションは低い。 とにかく、この街の医療事情を知るって目的はだいたい果たせたわけだし、俺たちはアイヲンモール異世界店に帰ろうとして—— 「おやあ? これはこれは、アイヲンモールの新店長さんではありませんか。昨日はご盛況だったようですねえ?」 動きを止めた。 俺も、アンナさんも。 「ほうほう、街で評判の薬師さんもご一緒で。これはちょうどいい、少し聞きたいことがありましてねえ」
“Waa! Onee-chan’s hands are cold and it feels nice!” “Hehe, thank you. It seems like you have a little fever. ‘Cure.’ There, you should be fine now.” “I am always grateful for your help.” Following Anna-san, who entered confidently, I also stepped into the church. In addition to the chapel, which was a place of prayer, the church also had a hospital ward and an orphanage. It seems that there is also a so-called workhouse. Guided by a female staff member who was familiar with the lich and undead Anna-san, we naturally walked through the hospital ward and orphanage. “Don’t worry about it. And I brought some medicine again this time.” “Really... How can I thank you enough?” The female staff member who received several small bags from Anna-san moved her hands while shedding tears. I think it’s probably a religious gesture, like crossing oneself in my original world. Anna-san didn’t return the same gesture. “Shall we go, Naoya-san? I’ll explain various things on the way.” “Oh, yes, please do.” “Onee-chan, thank you! Uncle too!” “Wait, hold on, little one. I’m only . In other words, I’m not an ‘uncle,’ but a ‘big brother.’ Got it?” “Bye bye! Uncle that did nothing at all!” “Hey, that was intentional just now, wasn’t it? Alright, I’ll remember it for next time we meet!” We were sent off by the children’s laughter and Anna-san and I left the church. Somehow, I received a colder reception from the church’s children than from the undead Anna-san. I don’t understand. “Next time we go to the church, should we bring some toys or something? I wonder if we have any in stock.” “Fufufu~. Naoya-san, you’re kind.” “Huh? No, that’s not it. You see, a child’s positive feelings spread to their parents, relatives, those around them, their friends, and their friends’ parents, and so on. I thought I might increase the fans of Aion Mall with gifts as a starting point.” “Ha, I see.” We walked down the main street after leaving the church. I feel like Anna-san’s expression is a bit strained, but it’s probably just my imagination. After all, an undead went to the church, so she must be tired. “Anyway, as Naoya-san saw earlier, when commoners get injured or sick, they usually get treated at the church.” “There were hospital facilities as well. So, they treat it with magic and medicine?” “Yes, that’s right, Naoya-san. That’s why churches with many healing magic users serve as medical facilities. Of course, there are adventurers and knights who can use healing magic, so not everyone is affiliated with the church.” “Knights who can use healing magic... Holy Knights? Like Chloe?” “Yes, Chloe can also use healing magic.” “Seriously... Despite being called a clumsy knight, she’s high-spec...” “And also, nobles mostly employ doctors and pharmacists. High-ranking priests sometimes make house calls.” “I see... External injuries can be treated with magic, and even internal medicine can be managed with magic. Hmm, it seems like the medical and pharmaceutical fields are fundamentally different, so it might be challenging to establish medical malls or pharmacies here.” “And for minor colds or illnesses, people often buy medicine from the town’s pharmacies.” “I see, so there is a demand for medicines as well.” As I walked down the main street, listening to the medical situation in this town without expanding too much into the other world’s context, Anna-san waited for me and entered a shop. She seemed to be selling the potions she had made to the “town’s pharmacy” she had mentioned earlier. “By the way, why can magic heal in the first place? What is magic? I’m supposed to be ‘a human with no magic in this world,’ so maybe the people of this world and the people of my original world are actually different beings.” “Sorry to have kept you waiting, Naoya-san.” “Ah, no, I was just thinking about the truths of the world. By the way, Anna-san, you can also make potions?” “Fufu~, of course, Naoya-san. Poison and medicine are two sides of the same coin... just like life and death.” “Yes, I heard something I probably shouldn’t have again! Undead jokes are not funny! It was an undead joke, right?” “............Fufu. It’s been a while since I walked through the town with someone like this. It feels a bit like a date, Naoya-san.” “The way you change the topic so blatantly! Even if you say that, I won’t be flustered! Office romance usually worsens workplace relationships!” I ignored the undead joke and the date comment and continued walking down the main street. Afterward, Anna-san visited several pharmacies and supplied them with medicines. It seemed that the ingredients for the medicines, such as medicinal herbs and materials, were collected by the skeleton squad as they went about their duties. The tireless skeleton squad that didn’t need sleep and never got tired was incredibly efficient. They might be the best workforce. I might get startled if I encounter them suddenly at night, though. “Phew, that’s it, Naoya-san.” “Hmm. I think this is a reasonably big town, but there are few pharmacies, aren’t there?” “That might be the case. Sometimes, there’s a shortage of medicine...” Anna-san slightly lowered her head. There didn’t seem to be any undead-like emotions there. Well, I don’t know about the ordinary undead in this world. I had an image of them hating the living. “Is that so? The Aion Mall in the other world shop has two users of healing magic who can also make potions! With this world’s style, maybe I can start a medical mall or a drugstore!” I exclaimed loudly, trying to divert the conversation. There was no sign of Anna-san going along with the deliberate change of topic. “In this town, there are users of healing magic, doctors, and pharmacists. Even commoners can afford medicine, and at the church, you can receive ‘Heal’ magic through donations alone. But...” Anna-san’s head remained lowered. I stopped walking to match Anna-san, and we stood still together. “But, Naoya-san, there are diseases that cannot be cured.” The words that came from Anna-san were incredibly ordinary. “Yes, that’s right. In the world I came from, even though medicine and pharmacology had advanced, there were still diseases that couldn’t be cured. Researchers are still working hard on them, I believe.” “...Is.. that so.” Perhaps Anna-san’s face appeared dark because I wasn’t affected by the ‘Charm’ magic. “Now, Anna-san, if we’re done, shall we head back? We need to get back soon, or we won’t make it for the late afternoon peak!” “Yes, you’re right.” I tried to forcibly change the subject, but Anna-san’s mood remained low. Anyway, we had achieved our goal of understanding the medical situation in this town, so we were about to head back to Aion Mall shop when... “Oh, my? Isn’t this the new store manager of Aion Mall? It seems like you had a successful day yesterday, huh?” We stopped in our tracks. Both Anna-san and I did. “Oh, oh, and we have the renowned town pharmacist with us too. This is perfect; there are a few things I’d like to ask.”
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創設メンバーの無記名投票......但し、私には誰が書いたか分かるようになっている......で反対者がひとりもいなかった伯爵家と侯爵家の子を数人、合格者として受け入れた。 さすがに、元々のメンバー......子爵家以下の者と、平民であるが大商人や高名な人物等の娘......を上回る人数を受け入れるわけがなく、あくまでも多数を占めるのは下級貴族の平民達、というスタンスは崩さない。 そして、受け入れた者の中には、勿論ベアトリスちゃんが含まれている。 他には、あの、私が王都滞在届けを出していなかったためにデビュタント・ボールを欠席してしまった、パストゥール伯爵家の次女ちゃんも合格していた。 真面目で優しそうな子だったし、御両親もいい人っぽかったよね。 ......それに、私がダイヤの指輪をプレゼントしたという話が広まっているだろうから、ベアトリスちゃんと同じく、『 他には、真面目そうな人、あんまり真面目そうじゃないけどムードメーカーで楽しい人、その他様々な人が合格した。......人数は、そう多くはないけどね。 中級貴族や上級貴族の御令嬢の中にも、愉快な人や変わり者の人もいるみたいだ。 あ、あのティノベルク侯爵家の御令嬢も合格していたよ。サビーネちゃんが言っていた通り、みんなに一目置かれている、立派な家のお嬢様だったみたいだ。 よし、これで、『ソロリティ』の態勢は 主宰者としての実務面は、アデレートちゃん。 上級貴族としての身分的な統率は、ベアトリスちゃん。 宗教的なシンボルと飲食物、化粧品等の『撒き餌』担当は、私。 あ、ベアトリスちゃんは『聖女様』だから、宗教的なシンボルは、私と2本柱かな。 王族としての国家中枢との繋がりは、サビーネちゃん。 ......完璧の母!! そしてこの4人は、私を中心として、鉄壁の団結力を誇っている。 誰かがその一角を切り崩して、なんてのは不可能だ。 ......まず、私とサビーネちゃんは、替えが利かない。 アデレートちゃんは、主宰者。 サビーネちゃんのお相手要員には、幼い子供の我が儘に耐えられるよう、2~3歳年上の者が選ばれたらしいのだけど、それまでに何人もがすぐにサビーネちゃんから『チェンジ』を言い渡されていて、やっとベアトリスちゃんで半年以上保ったらしいのだ。 ......それも、別にベアトリスちゃんが半年で首になったというわけじゃないらしい。 と合わなかった理由が、『サビーネちゃんの頭が良すぎること』だということが露見したためだとか......。 それまでのお相手は皆、サビーネちゃんを年下の幼児だと思い、軽くあやせばいいとか、うまく それが、ベアトリスちゃんの報告により、『サビーネちゃんの頭が良すぎる』という事実が判明し、年上の子供に遊び相手をさせるのをやめて、かなり優秀な成人女性を さすサビ! なので、半年という短期間ではあったけれど、ふたりは仲良しだったそうなんだよね。 それまでの者達とは違い、ベアトリスちゃんはかなり聡明だから、サビーネちゃんとは割と話が合ったらしくて。......3歳差だけど。 このふたりの間に割り込むことができる同年代の子供は、まず、いないだろう。知的レベルの問題で、多分、会話が噛み合わない。 ......あ。 以前、ベアトリスちゃんが、サビーネちゃんを私に取られ、私をサビーネちゃんに取られたと思って、呆然というか愕然というか、とにかく大ショックを受けて大変なことになりかけたことがあったのだけど......、考えたら、それも無理ないか。 もし自分の恋人が、自分の親友と仲良くなって、ふたり手に手を取って去っていったとしたら......。 地獄やん!! あああ、ベアトリスちゃんには、申し訳ないことをしたなぁ......。 何か、あの時の埋め合わせをしなくちゃ......、って、デビュタントボールでの大サービスで帳消し、ってことでいいか。 子供をあんまり甘やかすのは、良くないよね! ......って、デビュタントボールを終えて社交界デビューしたのだから、ベアトリスちゃんは、もう立派な大人か......。 そして私は、一応、対外的にはまだ未成年ということになっている。 2年前からこの外見のままだから、そろそろ化けの皮が剥がれかけているけれど......。 ......い~んだよ、細けぇこたー! この国のために生命力を使いすぎたせいだと言えば、誰も陰口を叩くことはできまい! はぁはぁ......。 とにかく、少なくとも、国内において我が『ソロリティ』に敵対する、......いや、 何しろ、普通の国だと権力争いで対立しそうな勢力である、王族派、貴族派、宗教的シンボル、救国の英雄の、全ての者達が関わっているのだ。 しかも、国内の結婚相手として有望な少女達の多くが所属。 ......アレだ、アレ。 圧倒的ではないか、我が軍は、ってヤツ。 を選抜して、仕事を振ったり、情報収集をお願いしたりしよう。 ......何か、サビーネちゃんの将来の取り巻き候補と丸かぶりしちゃいそうな気がするけれど、ま、それでも別に構わないか。 サビーネちゃんは『ソロリティ』と王宮とのパイプ役になってくれて、『ソロリティ』はサビーネちゃんの後援会的な役割を果たしてバックアップ、互いに助け合う。 サビーネちゃんの意に染まぬ縁談とかが来たら、『ソロリティ』の全力を以って叩き潰すのだ! わはははは! あ、そういえば、新大陸のヴァネル王国には、私の『ソサエティー』のパクリサークル、『ソロリティ』というのがあったな......。 同じ名前だけど、ま、問題ないだろう。 向こうとは言葉が違うし、そもそも、あのサークルが両大陸の交流が始まるまで存続しているとは思えない。 ......絶対、1年も保たずに空中分解するよね。 権力とコネとお金目当ての者ばかりが集まって、経費や労力を無償で提供しようとする者がひとりもいない、親の爵位や派閥で力関係や立場が決まる交流会。 そんなのに参加したがる、下の立場の少女がいるとは思えない。 中級から上級の者達の集まりだから、『下の立場』といっても、伯爵家の御令嬢とかだ。そんな少女達が、侯爵家や公爵家の令嬢達に 最初は親に強制されて仕方なく参加しても、すぐに拒否するようになるだろう。 そして、下の者がいなくなれば、次はそれまで中位であった者達が、上位の者達から下っ端扱いされるようになる。 ......半年、保つかなぁ......。 そして、もし何年か先に新大陸との交流が始まったら、旧大陸の『ソロリティ』と新大陸の『ソサエティー』が姉妹組織として提携し、両大陸の親善に寄与したりして......。 うんうん、どんどん夢が、広がりんぐ!
I accepted several children from the Counts’ and Marquis’ families as successful applicants via secret voting. However, I know who wrote what in the founding members’ secret ballots... But as expected, there is no way we can accept more people than the original members (which consists of nobles below the viscount family, and commoners, such as the daughters of large merchants and famous people, etc.), and risk losing the stance that only lower class nobles and some commoners who’ll make up the majority of Sorority. And, of course, Beatrice-chan was included among those who got accepted. In addition, the second daughter of the Count Pasteur family, whom I had missed the Debutante Ball because I hadn’t submitted a “staying in the royal capital” notice, had also been accepted. She seemed serious and kind, and her parents seemed like good people. ...Besides, the rumor that I gave her a diamond ring as a gift had probably spread, so I think she was probably included in the “Hime Miko-sama’s Friend Category” just like Beatrice-chan. Others passed, including those who seemed serious, those who weren’t so serious but were fun mood-makers, and a plethora of people... Though the number of people isn’t that large. It seems that among the daughters of middle-class and senior aristocrats, there are those who are funny and eccentric. Ah, the daughter of Marquis Tinoberg also passed the screening. Just as Sabine-chan said, she was respected by everyone, and it seems she was a young lady from a splendid family. Alright, with this, the “Sorority”s line-up is rock solid! Presiding on the practical side is Adelaide-chan. As a senior aristocrat, the leader is Beatrice-chan. I am in charge of the “sprinkling” of religious symbols such as food, drink, and cosmetics. Ah, Beatrice-chan is the “Saint-sama”, so her religious symbols are my two pillars. Sabine-chan is connected to the core of the nation as a member of the royal family. ...It’s the Mother of Perfection!! And these four, with me at the center, boast ironclad solidarity. It’s impossible for someone to cut off a corner of it. ...First of all, Sabine-chan and I are irreplaceable. Adelaide-chan is the presiding officer. Sabine-chan’s caretaker was chosen to be two or three years older than her so that she would be able to endure a young child’s selfishness, but by that time, several people had been quickly told by Sabine-chan to “change”. Beatrice-chan barely lasted at least more than half a year. ...It’s not like Beatrice was fired in six months, either, apparently. The reason why Sabine-chan didn’t get along with her previous caretaker was that it was revealed that “Sabine-chan is too smart”... It seems that all of her previous partners thought Sabine-chan was an infant and thought that they could just lightly taunt her, or tame her with a few well-placed tugs. However, Beatrice-chan’s report revealed the fact that ‘Sabine is too smart for her own good’, so they decided to stop letting the older children play with her and put a fairly talented adult woman as a tutor governess... At the age of . Sasu Sabi! So they were good friends, even though it was only for a short period of six months. Unlike the people up to that point, Beatrice-chan is quite intelligent, so it seems that she and Sabine-chan got along quite well... Even if they’re three years apart. It’s unlikely that any child of the same age would be able to come between the two of them. Because of their intellectual level, the others probably won’t keep up in conversation. ......Ah. Once, Beatrice-chan thought that Sabine-chan had been taken by me, or I was taken by Sabine-chan, she was stunned or even appalled. But, come to think of it, isn’t that impossible? Like, if my lover becomes friends with my best friend and they both go hand in hand... Oh hell, no! Aahh, I’m so sorry Beatrice-chan, I’m so sorry...... I should probably make up for that time... so, let’s just call it an extensive service at the debutante ball. It’s not a good idea to spoil a child too much!! ...Well, since her debutante ball ended and made her social debut, Beatrice-chan already became a splendid adult, huh... And I, for one thing, am still considered a minor externally. I’ve been this way for two years, so it’s about time for me to lose my husk, but... ...That’s right, I’m so thin! Even so, no one can talk behind my back if I say it’s because I used a lot of my life force for this country! Ha~a ha~a....... Anyway, at the very least, there’s no force within the country that is hostile to “Sorority”... No, they can be hostile, I just don’t think they have enough power. After all, in a normal country, all of the forces that would be at odds with each other in a power struggle (royalty, aristocrats, the religious symbol, and the national hero) are involved. Moreover, many of the girls who are promising as domestic marriage partners belong to it. ......And that is that. It’s overwhelming, isn’t it, my army? Also, let’s select those who can be useful among the members, assign them jobs, and collect information. ...Somehow, I feel like I’m going overboard with Sabine-chan’s future entourage candidates, but well, I don’t mind it. Sabine-chan acts as a liaison between ‘Sorority’ and the royal palace, and ‘Sorority’ acts as a support group for Sabine-chan. It’s a give and take kinda thing... If a marriage proposal that Sabine-chan doesn’t like comes along, I’ll crush it with the full power of “Sorority”! Hahahaha! Oh, by the way, there was a “Sorority”-esque circle in the Vanel Kingdom of the New Continent, called “Society”... It’s essentially the same, but, well, it doesn’t matter. The language is different, and in the first place, I don’t see that circle surviving until the beginning of the exchange between the two continents. ...I’m pretty sure it won’t last a year and will disintegrate in mid-air. A social gathering where only those with power, connections, and money are gathered together, and not a single person is willing to contribute expenses or labor without compensation, where power relations and positions are determined by parental titles and factions. I can’t imagine any girl in a lower position wanting to participate in such a thing. Since the girls are from the middle to high class, the “lower position,” are considered as the daughters of Counts or something. It’s hard to believe that those girls would put up with being jawboned by the daughters of Marquis and Dukes. At first, they will be forced by their parents to participate, but they will soon refuse to come. And once the lower ranks are gone, the middle-ranked ones will be treated as lower ranks by the higher ranks. I wonder if they can keep it up for half a year. And if exchanges with the New Continent were to begin a few years down the line, the Old Continent’s ‘Sorority’ and the New Continent’s ‘Society’ would form a sister organization and contribute to the goodwill between the two continents... Yep yep, my dreams are getting bigger and bigger!
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戦いには、うってつけの雰囲気ね。レオンと私は向かい合わせになる。 の割には凄い殺気ねどんな人生を歩んで来たのかしら。......まぁ、私も人のことはあまり言えないわね。 「それじゃあ、始める?」 私はニヤッと口角を上げる。私の態度が気に食わないのか、レオンは私を睨む。 いつでも、と私が言った瞬間、視界から彼が消えた。どこにも彼の気配を感じられない。存在感が消えて、どこから攻撃してくるのか全く分からない。 闇に上手く溶け込んだみたいだわ。思ったよりも手ごたえがある戦いになりそうね。 私は深く息を吸い、全神経を集中させる。 微かな空気の振動を頼りに、彼がいる場所を考える。 スッと静かに後ろから蹴りが来るのが分かった。私は頭に直撃するコンマ数秒の差でかわす。 「へぇ、これ避けれるんだ」 「気配の消し方が暗殺者みたいだな」 私が振り向くと、彼はどこか寂しい表情をしていた。だが、すぐに口の端を上げて余裕そうに笑う。 「そりゃ、暗殺者だったからね」 その瞬間、また彼が消えて、どんどん私に攻撃してくる。 私は彼の凄まじい蹴りや拳を上手く避けていく。さっきのは、私の実力を測ったってことかしら......。 それにしても、なんてすばしっこいのよ。このまま避けてばかりじゃ埒が明かない。 どこか弱点を見つけないと! レオンの力強い蹴りをバク転で逃げる。レオンは少し息を切らしながら私を鋭い目で見る。 半端な気持ちで戦っていないのが良く伝わってくる。 「本気で戦えよ」 「君に僕を本気にさせることは出来ないよ」 あえて挑発する。彼はギリッと音を立てて、歯軋りする。 残念ながら、私もすばしっこさでは負けないわよ。 大体彼のスピードは捉えられたし、次できっと勝敗がつく。 「その余裕がムカつくんだよ」 レオンはまた闇に紛れた。姿の見えない人間をわざわざ探す必要はない。ただ襲ってくるのを待てばいい。 ビュンッと風を切る音と同時に私の目の前に拳が現れた。その瞬間、私は軽くしゃがみ、左手で彼の鳩尾に拳を入れる。 私の方がわずかに早かった。彼は「ガハッ」と苦しそうな声を出し、その場に倒れ込む。 結構本気で狙ったから、暫く立てないはず。 彼は地面に這いつくばりながら、私の方を見上げる。悔しさと怒りの瞳を私に向けた。 「目が見えてないはずだろ」 「視覚だけで戦っていると思ってるのか?全てを使って戦え。研ぎ澄まされた感覚にこそ意味があるんだよ」 レオンは仰向けに寝転ぶ。満天の空を見つめながら、小さくため息をつく。 「俺の負けか......」 「君の負けだね」 「煽ってるのか?」 まさか、と苦笑する。レオンが負けることは最初から分かっていた。 ただ、もっと訓練を積めば間違いなく彼は私を追い抜く。それも一瞬で。 「こんなに強い奴がいるとはな~」 「ショック?」 「まさか。むしろわくわくする。こんなに興奮したのは久しぶりだ」 私を見るレオンの燃えるような韓紅の瞳に、思わずゾクゾクッと悪寒が走る。 なんて表情してるのよ。末恐ろしいってこういうことを言うのね。
Leon and I were facing each other. For a fourteen-year-old, he’s got a lot of fight in him. What kind of life had he lived? Well, I couldn’t say the same for the others. “So, shall we begin?” I smirked at him. Leon glared at me, as if he didn’t like my attitude. Without saying anything, he disappeared. I was unable to feel his presence anywhere. His presence disappeared, and I had no idea where he was going to attack me from. It was like he’d successfully blended into the darkness. This fight was going to be tougher than I thought it would be. I took a deep breath and focused all my attention. I relied on the slight vibrations in the air to figure out where he was. I feel a swift, quiet kick coming from behind me. I dodged it by a few tenths of a second before it landed on my head. “Wow, I didn’t expect to be able to avoid this.” “You’re like an assassin with the way you make your presence disappear.” When I turned around, he had a sad expression on his face. However, he immediately smiled. “Well, that’s because I was an assassin.” At that moment, he disappears again, attacking me at an increasing rate. I was able to successfully avoid his formidable kicks and fists. I wondered if what he just said was a measure of my strength.... But still, he was quick. It wasn’t going to get me anywhere if I just kept avoiding him. I should find a weak point somewhere! Leon looked at me sharply, a little exhausted, as I escaped his powerful kick with a backflip. I could tell that he wasn’t fighting with a half-hearted attitude. “You’ve got to fight for real.” “You can’t make me serious.” I dared to provoke him. He grits his teeth. Unfortunately, I was not as quick as him. I was able to match his speed for the most part, and I was confident that I would win the next round. “It’s that leeway that’s pissing me off.” Leon vanished into the darkness again. There was no need to bother looking for someone invisible. Just wait for them to attack. A fist appeared in front of me, along with the sound of a whistling wind. At that moment, I slightly crouched down and put my fist in his midsection with my left hand. I was slightly faster than him. He let out a pained “gahhhh” and fell down on the ground. I went after him seriously, so he wouldn’t be able to stand up for a while. He crawled on the ground and looked up at me, frustrated and angry. “You’re supposed to be blind.” “You think I was fighting with sight alone? You should fight with all of your senses. Sharpened senses make all the difference.” Leon lied on his back. Staring at the sky full of stars, he let out a small sigh. “I guess I lost...” “I expected you to lose.” “Are you trying to stir things up?” I knew Leon was going to lose from the very beginning. But with more training, he would definitely surpass me. And in no time, too. “I didn’t know there was someone this strong!” “Shocked?” “No way. I’m rather excited. I haven’t been this excited in a long time.” Leon’s fiery crimson eyes stared at me, giving me chills. That was quite the scary expression on his face. This was what I meant by “terrifying”.
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戦場記念式典とでもいうのか、ともかくそういうのが終わってひと段落着いたところで大神殿に呼ばれる。ようやくゆっくり話ができそうだ。ふう。 「兄貴、久しぶり」 「兄貴はやめろ。うまくやってくれたみたいだな、フェリ」 部屋に入るなりこれだよ。苦笑しながらフェリに応じ、それからマゼルと笑って挨拶代わりに握りこぶしを軽くぶつけ合う。 「さすがマゼルだ、感謝するぜ」 「それはこっちのセリフだよ。報酬の相談にも乗ってくれてありがとう」 いやいや、そもそもお前さんがベリウレスを倒してくれなかったら全部パーだったしな。ゲーム補正があったのかどうかは知りようもないがマゼルに感謝するのは間違ってないだろう。 その後で同室の......あー、まず男に軽く挨拶しとくか。 「ルゲンツ、エリッヒも久しぶりだ」 「おう、見事にあの腐れ外道を罠に引っ掛けたな」 なんか偉く褒められてる。むず痒い。とりあえず礼儀不要と手振りで示す。んで気になっているほうに目を向ける。しっかりラウラがここにいるのは何ですかね。 「第二王女殿下、この度は」 「そのような礼は不要です、ヴェルナー卿。気楽にしてください」 そう言うとは思ったけど、あなたのオーラでそう言われても困るんですけど。俺が言うのと違って本当に大丈夫なんだろうかとか。一応過剰にならない程度には礼儀を保ちつつ、ラウラの許可を取ってマゼルの正面に座る。 エリッヒが器用に茶を入れてくれたんでありがたく受け取った。朝からあの式典で結構疲れたよ。一口喉を潤したところでラウラが口を開く。 「まず御礼申し上げます、ヴェルナー卿。助かりました」 「いえ、何もしていませんが」 だからそう頭下げないでくださいお願いですから。それに実際問題として今回は後手後手に回っていたのは否めない。本気だったんだがラウラは首を振った。 「あの魔物たちは私を狙っていたと聞いております。マゼル様たちがいなければ危ない所でした」 呼び捨てまでは次のイベント待ちか。もっとも俺はそのイベント見れないだろうが。いやそれは今はどうでもいい。 「謙遜するのですね。マゼル様にフィノイを警戒するようにと伝えていてくれなかったら間に合わなかったかもしれないのですよ?」 的に次に仲間になるのはラウラだからフィノイを目標にしたらと言っただけなんだよ。まさかそんなことも言えないが。 ただ王族相手に否定を続けるのも非礼なのよね。とほほ。話をそらそう。と言うか俺にとってはもっと重要なことがある。 「恐縮です。ところでマゼル、すまん。お前に詫びないといけない」 「え?」 突然話を振られたマゼルがきょとんとした表情を浮かべるが、話さないわけにもいかない。アーレア村で何があったのかを順を追って説明していくことにした。 「......ありがとう、ヴェルナー」 「いやむしろいろいろ手が回らなくて俺が謝罪しなきゃいけないんだが」 説明を終えたらマゼルに感謝されてしまった。生家が焼失していたり妹は誘拐されかかったりと俺からすれば失態だらけなんだが。任されていただけに申し訳ないと思ってるのは事実なんだけど。 あと地味に沈黙して話を聴いていたラウラの纏う空気が冷たい。俺に対してではないのが救いだが。もっと露骨なのはルゲンツとフェリ。 「んでその村長はどうなったんだ」 「知らんと言うか、俺はそのままこっちの戦場に来てるんで放置中」 「優先順位ってもんがある。あいつら馬鹿だし腹も立ったが魔将と比較すれば部屋の隅に溜まった埃みたいなもんだ」 「もっと厳しくしてもよかったんじゃないの?」 「言いたいことは解るが俺の身体は一つしかないんでなあ」 その場で処罰して終わりにするのは手としては悪手だし俺の趣味でもない。処罰も簡単にはできないんだけど。 基本的には貴族が平民を無礼討ちすることもできるが、その現場が別の貴族の領地だったりすると相手の貴族側に面子の問題が生じる。ついでに言うと他の方法はなかったのかと問い詰められたり、あいつは短気だとかの悪評が付くことも。江戸時代、武士の切り捨て御免もルールとしてはあるが、現実にはほとんど行われなかったのと似てるかもしれん。あの場で俺が手を出さなかった理由だ。この辺のバランスは本当に面倒なんだよな。 それにしてもその場にいたら一発ぶんなぐっていたのにと言わんばかりの口調で言うのやめろ二人とも。エリッヒは態度では何も反応していないが、あの場にいたら俺よりも鋭く追い詰めてたような気もする。 「ま、そのままにはしておかない。そっちは心配しないでくれ。ただ手が回り切れず危険にさらしてしまったことは本当に済まない」 「それを責めたら僕の方が悪人だよ」 マゼルに苦笑された。この善人め。勇者じゃなくて聖人か。後すみませんラウラ殿下、何ですかその私からもお父様にとかぶつぶつ言ってるの。 思い返してみるとラウラってお茶目なところもあるが本気で怒ると怖いんだよな。ゲーム中でもそういえば......あーあー、殿下の独り言なんかなーんにもきこえなーい。 「すると父さんたちは王都に?」 王都襲撃前に逃がしておく必要はあるだろうが。幸い当てはある。何か適当な理屈付けてヴェリーザ砦の改修工事に参加してもらえばいいだろう。そういえば気になっていたことを聞き忘れてた。 「フェリ、お前の言ってた怪しい連中はどうした?」 「あー、あいつら?」 フェリが大神殿に戻った時にはまだ魔除け薬の効果が継続していたらしい。そのフェリがマゼルたちと合流後に探していると、件の巡礼者たちがいる部屋に入ったとたん、そいつらが苦しみだしばりばりと皮膚が割けるようにして正体を現したらしい。 姿を見せた魔族にちょっとしたパニックも起きたようだが、よく死者が出ずに済んだもんだ。あとあの薬はやっぱり加護的に魔物が嫌がるのか。そしてそれがどうやらラウラと親しくなる原因にもなったと。 「あの時は危なかったです」 「正体がばれたとわかったとたん、偶然その部屋にいたラウラを拉致しようとしたんだ」 「......それは何と言うか申し訳ない」 「事故のようなものですから」 んでその場にいたマゼルがラウラを庇ったと。さらっと第二王女を呼び捨てにしてるなマゼル。まあいいけど、と言うかこれもゲーム通りと言えばそうなんだよな。内心で苦笑いを隠しているとエリッヒが口を開いた。 「ところで、ヴェルナー卿はこれからどのようにすればいいと思いますか」 「ん、そうだな......」 ならアーレア村でレベルを上げた後は星数えの塔に行くはずだが、今のアーレア村にマゼルが向かうだろうか。行かないだろうな。俺なら行かない。 ゲームとはだいぶ異なっていて、どうしてこうなったのか後で調べておく必要もあるかもしれんけど、ひとまずそれは後回しだ。えーと、ゲームでのアーレア村での情報は......。 「......殿下、ウーヴェ・アルムシック殿をご存じですか」 「もちろん存じ上げていますが、その名をどこで?」 勇者パーティーの最後の一人。現国王の教師やってたって言う老人で伝説的な大魔法使いだが数年前に突然行方不明になった、という設定。外見は絶対ガ●ダルフのイメージだなあれは。あの当時ファンタジーと言えば指●物語だったしなあ。 とりあえずその辺はスルーしておこう。ゲーム的には数年前に魔王復活を知りそれに備えて一人調査をするため姿を隠したことになっているが、一部上層部以外はこの事は知らない。今は音信不通になっているはずだ。 大魔法使いって呼ばれてるのに仲間に入った時はレベルが低いのはゲームあるあるなんで特に言及する必要はないだろう。ついでに言うと爺さんの癖に結構短気。ゲーム中だと崩壊した王都に居座っていた敵ユニットにでかい魔法ぶち込んで丸焼きにするイベントがある。チップキャライベントで人間側が一撃勝ちって珍しいと言えば珍しいな。 「小耳にはさんだだけですが。老魔法使い殿の足取りで、最後に確認できたのは......」 いつも身に着けていた地図を取り出したらラウラばかりでなくエリッヒも驚いた顔をしている。そういえばエリッヒもこの大陸地図見たの初めてか。下手だからじゃないよな。絵心がないのは自覚してる。 「ここにある塔に向かったそうです。今は魔物が徘徊しているそうですが、何か調べ物をしていたのかもしれません。参考になるでしょうか」 「そうですね......」 ラウラなら多分魔王復活に備えるために姿を隠している事を知っているはずだ。音信不通になっていることも気にはなるはず。確かゲームでは古代王国の魔法装置が暴走しかかってるのを止めるため動けなくなってるんだよな。 どうでもいいんですがそのちょっと小首をかしげて考えてる姿が絵になりすぎてるんですが。メインヒロインのそういう仕草はインパクトあるなあ。 「確かに、先生なら何かよいご助言をいただけるかもしれません。探してみてもいいかもしれませんね」 どうやらゲームと同じルートに行ってくれそうだ。ほっと一安心。後は星数えの塔の最上層階にある 「なるほど。ならそこの塔に行ってみることにしようか」 「私も行きますよ。先生のお顔を知っているのは私だけでしょう?」 祖父君 そこはなるようになるだろう、たぶん。俺は考えるのをやめた。現実逃避? ほっといてくれ。
After the battlefield memorial ceremony (or whatever it was called) ended, I was called into one of the rooms in the Great Temple. Fyuuh... Finally, we could have a relaxed chat. “Big bro! It’s been a while!” “Stop calling me that. Anyway, Feli, you did it.” The second I entered the room, Feli greeted me cheerfully and I responded to his greeting with a wry smile. I bumped my fist with Mazell who was also in the room. “As expected, I can count on you, Mazell. Thanks.” “Nah, I should be the one to thank you for your advice about the rewards.” Even if Mazell’s success in killing Beliulace might be a part of the game’s correction, if he had really failed to kill Beliulace, my plan would have gone down the drain so it was only right for me to thank him. person present... Ah, wait, let me start by greeting the two other men in this room. “Luguentz, Elrich. It’s been a while.” “You sure did a great job of baiting that stinky bastard to the trap.” I felt embarrassed by their praises. In any case, I gestured to two of them that they didn’t need to mind their manners. Next up, I turned my attention to the person who had been bothering me. I mean, why was Laura here? “Your Highness, the Second Princess, may I ask the reason you came all the way to this place?” “You do not need to call me as such, Sir Welner. Please, be at ease.” Let’s just maintain a basic manner with her, not excessive to make her feel uncomfortable but not rude either. I asked for Laura’s permission to sit in front of Mazell and after she said yes, I sat down. Elrich skillfully prepared tea for me. I thanked him and took the tea. All the ceremonial procedures since this morning had made me tired. After I took a sip of tea, Laura started the conversation. “First of all, please allow me to extend my gratitude for your help, Sir Welner.” “No, I did nothing.” That was why please stop bowing your head! This time, I let my guard down, causing us to lose the initiative to the demons so I honestly felt that I did nothing great. However, Laura shook her head. “I heard that those demons’ aim was me. If Mazell-sama and his companions did not arrive in time, I don’t know what my fate was going to be...” sama in Mazell’s name. I didn’t think I would be able to witness that event myself though. Well, that was not important now. “You are being too humble. If you have not warned Mazell-sama to be on guard against Finnoi, he might not have made it on time, you know?” I told Mazell to make Finnoi his destination since I knew that Laura would be his next companion so the whole Mazell saved Laura in time was just a huge coincidence. I couldn’t say that here though. Still, it would be impolite to keep denying a royalty’s words. Let’s just change the subject here since I had another important matter to talk about. “I shall gratefully accept your gratitude then. In any case, Mazell, I need to apologize to you. “Huh?” Mazell looked confused after being suddenly apologized. Knowing that he didn’t know what happened in the Alea village, I explained it step by step. “Welner... Thank you.” “I don’t deserve your thanks. Sorry for not being able to do anything sooner.” Mazell thanked me but I felt that I didn’t deserve it. He entrusted his family to me but I let his home get destroyed by fire and let his sister almost get kidnapped. Whoa, Laura stayed silent but her expression was really scary. At least, I was glad that she wasn’t mad at me. Unlike Laura, Luguentz opened his mouth. “After that, what happened to that village chief?” “I don’t know. Since I needed to rush here, I decided to just let him be.” “The battlefield was more urgent. Those idiots surely pissed me off but defeating the demon commander was more important.” “Can’t you be more severe to them?” “I understand your sentiment but I only have one body so I prioritized the demon commander.” I didn’t think that punishing them would be a good move. I didn’t have any hobby of punishing people and giving people punishment was actually pretty complicated. Nobles did have the right to punish rude commoners but if that commoner was a citizen of another noble’s territory, punishing that commoner was the same as slapping that noble’s territory. That noble might even question you whether there was really no other way than to punish his citizen and you could even get a notorious reputation of having a short temper. In any case, it would be better if you stopped talking to me as if you would have beaten them all to a pulp if you were there. Elrich was silent, but I got a feeling that he would have said far worse things than me if he was the one that confronted the villagers. “Don’t worry, I’m not planning to leave them alone for long. I’m sorry for not doing anything earlier and causing your family to fall into danger.” “Welner, I’m going to be a villain if I blame you for that.” Mazell gave me a bitter smile. You damn good guy. Are you actually a saint, not a hero? And, Your Highness, why are you mumbling ‘I will also.. to Father..’? Come to think of it, Laura could be playful but she was really scary when she got angry. In the game, there was a scene... Ah, let’s just pretend I didn’t hear anything! “So my family is currently in the capital?” “Yeah.” Well, I needed to move them out of the capital before the attack on the capital happened. Luckily, I knew a perfect place to send them to. I could just make a reasonable excuse and send them to participate in Veritza Fortress’s renovation. Ah, right, there was another thing I wanted to ask. “Feli, what happened to the suspicious people you told me about before?” “Ah, those guys?” When Feli was meeting up with Mazell and his other companions, the anti-demon potion Feli used was still in effect. So the second they entered the room where the suspicious pilgrims were, suspicious pilgrims began to feel immense pain. Their fake skin cracked and broke, revealing their true identity. Anti-demon potion actually worked like divine protection, huh? The demons panicked a bit when their true identities were revealed. Fortunately, they didn’t kill anyone. After that, Mazell’s party battled those demons and that battle was also the reason Laura became close to them. “It was really dangerous.” “The second they noticed that their disguise was exposed, they tried to take Laura who was coincidentally also in that room as their hostage.” “...Your Highness, I am sorry for that.” “No need to apologize. It was only an accident.” But Mazell protected Laura. Anyway, was it fine for you to casually call the second princess ‘Laura’? Well, he also called her that in the game though. I let out a bitter smile in my heart. “By the way, Sir Welner, what do you think we should do after this?” (Elrich) “Hmm... I think...” In the game, the hero’s party went to the Alea Village to level up, then they conquered the Counting Star Tower. However, after the recent events, would Mazell still be willing to go to the Alea Village? No, he probably wouldn’t. At least, if it was me, I wouldn’t. Well, I also needed to investigate why everything became vastly different compared to the game but for now... let me see... the game’s information about Alea Village was... “Your Highness. Do you know a person named Uwe Almsick?” “Of course, I know about him, but where did you hear that name?” Well, from the game. He was the last member of the hero’s party. He was the teacher of the current king, an old man called a legendary great mage. He suddenly disappeared a few years ago. His character design was obviously influenced by Ga*dalf. Well, the game was launched back when Lord of the Ri** was the craze. Let’s ignore that borderline copyright infringement for now. In the game, he learned about the demon king’s resurrection a few years ago so he went to investigate this matter on his own but only the upper echelons of the kingdom knew about this. In the current timeline, the kingdom must have lost contact with him. Like any typical game, when he entered the hero’s party, he became a level character even though he was called the Great Mage. Moreover, although he was an old man, he had a short temper. In the game, there was a scene where he attacked the demons who remained in the ruined capital with his magic and killed them. For an event involving some random demon mobs, it was rare that the human actually won. “I happened to come across the information about where the elder was last seen.” I took out the map I’d bought and opened it on the table. Both Laura and Elrich looked surprised. Elrich must be surprised because it was the first time he saw a continent map, not because of my awful drawing... right? I knew that I had zero talent in drawing... “Here. This is the tower where I heard he was last seen. There are a lot of demons in this place so maybe he went there for research. Perhaps it would be good to head to this place next.” Laura probably knew that Uwe disappeared to prepare for the demon king’s revival. The kingdom lost contact with him so she and the kingdom must be worried by now. If my memories serve me right, an ancient magic device was on the verge of going berserk so Uwe went to stop it, that was why he was currently stuck. But really, the damage of the scene of Laura tilting her head to think was too powerful! As expected of the main heroine. “It is true that Teacher might be able to give us good advice so looking for him would be a good choice.” So things were finally proceeding according to the game’s storyline, I was glad. Now, they needed to get to the top floor of the Counting Star Tower to get the astrolabe that would guide them to Emdea Ruin where that old man Uwe was. Well, I couldn’t tell them this though. “Let’s go to that tower then.” “I will also go. I am the only person here that knows the Teacher’s face, right?” Well, let’s stop thinking about that and leave everything to fate! What I did was escape reality, you said? So what?
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街を出て街道か踏み外せば、そこはすでに森の中と言うくらい、周辺の緑が深い。 薄暗く、日の光を遮る木々は、方向感覚を容易く失わせる。そして危険な大型モンスターは冒険者に狩られているとは言え、有害な動物がいなくなったわけではない。 つまり森とは、脆弱な一般人が足を踏み入れていい場所ではない。 しかし、クラウドとミシェルは一般人の領域からすでに数歩踏み出した存在だ。 「――あ、そこに蛇」 「まかせて!」 草むらに潜む蛇を目聡くクラウドが見つけ、指示を出す。特に毒を持つ危険な生物ではなかったが、その肉は食用に適している。 クラウドもミシェルも、ニコルのスパルタについて行くことによって、一般的冒険者を遥かに超越した技量を手にしつつあったのだ。 野鳥、蛇を一匹、兎仕留めていた彼らは、ホクホク顔で帰途に就いていた。 しかしその途中、クラウドが奇妙な物を発見する。 「ん?」 「どうかしたの?」 「ああ、ほら......ここに馬車の轍の跡」 クラウドが指さした先には、確かに馬の蹄と車輪の跡が残されていた。しかも二組。 しかし、この場所を馬車が二台通過したことくらいはわかる。 「別に珍しくないんじゃない。ここは首都の近くなんだし、馬車は頻繁に往来してるよ?」 「でもミシェル。ここは森の中だぞ?」 轍を発見したのは、街道から少しとは言え離れた場所だ。道もろくに整備されていない場所を無理矢理馬車で通るなど、普通の旅人ならば絶対にしない。 しかも土の抉れ具合を見る限り、それほど時間は経過していない。 「んん~? つまりどういうこと?」 クラウドはそう言い残すと、轍の跡を追って草を掻き分け始めた。 「ちょっと、どこ行くの!」 「こんな場所に馬車で入り込むなんて、怪しいに決まってる。きっと後ろ暗いところがある連中だ。なら衛士に通報すれば、賞金がもらえるかもしれないだろ」 貧困生活を送るクラウドにとって、この轍は一獲千金の道標に見えた。 どんな連中が、どこで、何をしているのか。それを見極めてから通報すれば、報奨金が出る可能性もグッと高まるはずだ。 その金はクラウドにとって、冒険者生活に踏み切るための貴重な準備資金に成り得た。 「危ないよ。せめてニコルちゃんが帰ってくるまで――」 「帰ってくるのは今日の昼過ぎだろ。相手がそれまで待ってくれるとも限らないじゃないか」 「そうだけどぉ」 かつて人攫いの男と戦った経験のあるミシェルは、クラウドほどには楽観的になれなかった。 そしてミシェルも、強力な武器を手に入れ、それを使いこなせるようになったことで、少なからず『どうにでもなる』と言う楽観論に捉われていた。 一台は通常の旅行用に使われる馬車と大した構造の違いはない。荷台に幌が掛かっており、雨を避けられるようになっている。 だがもう一台は明らかにそれとは違っていた。 屋根は幌ではなく、これも鉄でできた頑丈な物。そして檻の中には......小さな子供が一人、捕らわれていた。 手足に枷を嵌められた、ミシェル達よりもさらに小さな少女。その身体は薄汚れていて、ボロ布一枚纏っただけ。 「ひどい......助けてあげないと」 「......もしかして、あれってもしかして、奴隷商?」 「クラウドくん、知ってるの?」 「俺だって見るのは初めてだよ。でも法律で禁止されているから、取引を街の外で行うって話は聞いた事がある」 「うん。このままだと奴隷として売られる事になる」 馬車の周りにはの男が思い思いの格好で休息を取っていた。 さすがにミシェルと言えど、五人を纏めて狙撃するような真似はできない。それは二人にも理解できている。 「戻ろう。奴隷商がいる事がわかっただけでも充分だ。衛士に通報すれば、きっと捕まえてもらえる」 「うん」 突然、二人の背後から気楽な声が聞こえてきた。 やや気怠げな、緊張感のない声に二人は同時に振り向き、矢を放ち、剣を振る。 「おっと。意外とやるな、こいつら?」 だが背後の男はその同時攻撃をいとも容易く回避してのけた。 「ネズミだよ。ちぃっとばかし、デケェけどな?」 の声に、背後の男が答える。だらりと二本の剣を下げたその腕は、やたらと長く感じられた。 「ミシェル、行け! 早く街に――」 「で、でも!」 「俺は何とか粘って見せる! ここは街からも近い、すぐに戻れば間に合うはず!」 木製の大盾を構え、男に対峙する。しかし、五人の男もこちらに迫ってきていた。 しかし二人揃って逃げては、確実に追いつかれる。相手には馬だってあるのだ。ならば、どちらかが足止めしないといけない。 即座にそう判断したクラウドは、ミシェルに逃げるように命じた。そしてミシェルもまた、クラウドと同じ結論に達していた。 「いいから行け! こうしている時間だって惜しいんだ」 「わかった――死んじゃダメだからね!」 そしてクラウドは、男たちの方に踏み込んでいく。 相手の方が数は多い。待ちに回ってはミシェルの後を追われるかもしれない。積極的に前に出て戦闘に巻き込む。そうする事であとを追えなくする。 「へぇ、坊主、いい判断してるよな?」 二刀の男が感心した声を上げた。その声を背に受けながら、ミシェルは街に向かって駆けだしていたのだ。 ◇◆◇◆◇
Raum was a metropolis surrounded by forest. The forest around was so deep, in fact, that deviated one step from the highway and you would find yourself in the middle of it. Dark trees that blocked the light could easily deprive one of their sense of orientation. And while bigger monsters were regularly hunted by Adventurers, that did not mean that the dangerous animals disappeared with them. In other words, it was no place for the weak, ordinary people to set foot in. That said, Cloud and Michelle were already several steps away from such ordinary people. They advanced familiarly through the forest and detected the monsters without fail. “...Ah, there’s a snake there.” “Leave it to me!” Cloud accurately grasped the location of the snake that was lurking in the grass and issued directions. It wasn’t a particularly dangerous creature that had poison, but its meat was edible. Hunting it wouldn’t yield much meat, but you would lose nothing by doing it either. While she was prepared in advance, her swift action was still a feat worthy of praise. Because these two always accompanied Nicole on her spartan sessions, they already had an ability far surpassing that of an average Adventurer. As they continued their easygoing yet steady hunt, the day eventually approached noon. Having hunted three wild birds, one snake, and two rabbits, the duo was on their way home with beaming smiles on their faces. However, Cloud discovered something strange midway. “Hmm?” “What’s wrong?” “Oh, uh, look... There are carriage wheel tracks here.” Indeed, the place Cloud pointed at had traces of hooves and wheel tracks. Two sets, in fact. Not just that, there were several footsteps accompanying it. They were no scouts, however, so they couldn’t tell exactly how many of them there were. That said, at the very least, they understood that two carriages had passed there. “I don’t think it’s anything strange. We are near the capital, so carriages often come and go here, right?” “But Michelle, we are inside the forest.” Cloud objected to Michelle’s optimistic claim. The place where they found the tracks was slightly, but still away from the highway. Normal travelers would never choose to travel on a barely maintained path like this when there was an alternative readily available. Moreover, looking at the condition of the tracks, it hadn’t been long since they had passed. “Mmhh? What are you trying to say?” Saying that, Cloud started following the trails as he made his way through the grass. Michelle realized what he was up to and asked. “It’s definitely suspicious that someone snuck in here with carriages. They are definitely doing something shady. If we report it to the gate guards, maybe they will pay us some reward.” To him, who lived a poverty life, these tracks looked like a signpost to getting rich. Fellows that secretly came to a place like these were definitely up to no good. That said, they couldn’t report them based on suspicion alone. Being a Half-Demon, Cloud’s words did not hold much weight, so there was a good chance his report would be ignored. If he inspected who, where, and what were they doing before reporting it, it would increase the chances of getting a cash bonus. That cash would become precious reserve funds to aid him in taking off as an Adventurer. “That’s dangerous. Let’s at least wait until Nicole comes back...” “She won’t be back at least until noon, right? These people won’t wait for that long.” “That’s true, but...” Having experience with fighting a kidnapper, Michelle wasn’t as optimistic as Cloud. Michelle was usually the one acting easygoing, while Cloud was more conserved, but their positions were reversed now. Perhaps this was a failure on Cloud’s part, having gotten overconfident due to quickly growing strong. Even Michelle, having obtained a powerful weapon, became a little too optimistic and thought everything would “just work out” somehow. Before long, the two arrived at a clearing in the forest where the two carriages were parked. One of them was not particularly different in structure from that of an average traveling carriage. it had a canopy on the luggage carrier to defend from rain. The second, on the other hand, was clearly different from that. Its carrier was firm and made of iron, and even caged. It didn’t have a canopy for the roof either, but instead a similarly metallic one. Inside the cage was... A young child. It was a girl even younger than the two, having her limbs in shackles. She was dirty and only had a single tattered rag on her. On top of that, she looked quite weakened. “So horrible... We have to save her.” “...Could... Could they be slave traders?” “You know about them, Cloud?” “This is my first time seeing them. But they are banned by law, so I heard they carried their trades outside of the towns.” “Yeah. She will be sold as a slave at this rate.” The two consulted with hushed voices from behind the grass. Near the carriages, five men were taking a rest in their respective ways. As expected, even Michelle couldn’t shoot down five of them at the same time. Both of them were aware of that. “Let’s go back. It’s enough that we learned that they are slave traders. If we report it to the guards, they’ll come and capture them.” “Okay.” Suddenly, a carefree voice came from behind them. Someone had managed to sneak up on the two, who could even detect the presence of snakes. Hearing his listless, and somewhat calm voice, the two immediately turned around, shooting an arrow and swinging a sword at the same time. “Wow, these two have some skill, huh?” But the man behind them easily avoided their attacks. The sound of their battle reached the ears of other men, however. “What’s going on there!” “We’ve got rats. A little too big, though.” The man answered their questioning yells. As he held two swords limply in each hand, it made his arms look strangely long. However, Cloud had no composure to question that part. “Michelle, go! Quick, back to the city...!” “B-But!” “I’ll hold on somehow! We are close to town so you should be able to make it!” He immediately made a judgment to let Michelle escape. He set up his wooden shield and face the man. However, the other five were also on their way to him. At this rate, both of them would be caught. If both of them made their escape, they would surely be caught. The enemy even had horses, after all. The only option was for one of them to stay and keep them busy. Realizing all that, Cloud told Michelle to run. Michelle also reached the same conclusion as him. For that very reason, she hesitated on running away. “Just run already! We have no time to be arguing!” “Got it... Don’t die, you hear!” Saying that, Cloud rushed towards the men. They were too many in number. If he just waited, they could’ve followed after Michelle. Instead, he chose to engage with them from his side to keep their attention on him. “Heh, quite a smart judgment you made there.” The man with two swords commented in admiration. Thus, Michelle turned around and ran towards the city, hearing his mutter behind her. ◇◆◇◆◇
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盗難時の詳細を聞いて、女王華との取引を終えラウムに帰還する事になった。 犯人を見つけるために、山に残っていても仕方ないからだ。 マクスウェルの屋敷に戻り、それぞれに茶を振る舞いながらコルティナが今後の展開の口火を切る。 ちなみに茶を淹れているのはマリアだ。 「でも聞いた詳細だと、種を盗まれたの間も前なんでしょ? どうやって探せってのよ」 「待て、コルティナにアイデアがあったから承諾したのじゃないのか?」 「ライエル、アンタいつも私に投げっ放しにするの、やめなさいよ」 相変わらず脳筋のライエルに、考えはないらしい。まぁ、それは俺も同じなんだけどな。 マクスウェルはミシェルちゃんを膝に載せて、ご満悦だ。まるで孫娘を愛でる好々爺という風情である。 「二週間も前の話じゃ、足跡とか追跡する事もできないのよね」 「そうね。というか、そろそろ街に戻ってくる頃じゃないかな?」 マリアの言葉にコルティナが返す。 俺達はマクスウェルの転移魔法があったから日帰りができたが、徒歩で往復するとなると、大きな街までは二週間程度の時間はかかるだろう。 未開発の森の中を進むと言うのは、それくらい難事だ。 「女王華の種を薬に加工するとなれば、それなりの設備と技術が必要になるわね。森の中でこなせる作業じゃないわ」 コルティナの意見を補足するように、トリシア女医が説明する。 「そうなると、確実に大きな街に立ち寄っているはず。あそこから一番近い街というと......」 「周辺にそこそこの大きさの町はあるけど、そういう場所で捌けば足が付きやすい。確実にラウムに来ている......と見ていいわね」 貴重な薬の原料だけに、それを売れば犯人に繋がる足取りを残してしまう。 だからそれを誤魔化すため、ある程度人が多い、そういった組織の存在する大きな街で処分する事が多い。 自分で使うとかじゃない限り、この街を目指してきているはずだ。 「ワシも衛士に指示を出して、周辺を警戒するようにはしておくつもりだが......期待は薄そうじゃの」 森の中とは言え、女王華周辺のトレントの数はかなり多い。 しかも植物であるが故に睡眠というモノをほとんどしないため、隙を突くのは難しいはずだ。 その警戒網に掛からなかったとなると、下手をしたら俺のように隠密系のギフトを持っているのかもしれない。 そういう人材を衛士程度が発見すると言うのは、おそらく難しい。 「ライエルとガドルスはもう村に帰っちゃうの?」 「いや、宿でも取ってしばらくは捜索を手伝うよ。事は俺の娘の話でもあるし」 「そうね。村の方も心配だけど、ニコルの方を優先したいわ」 「ワシもしばらく滞在するとしよう。ライエル達と違って、宿の方はどうとでもなるからな」 それを聞いて、ミシェルちゃんとレティーナはパンと手を叩き合わせた。 「すごいですわ。英雄たちが再び一つの街に集まるなんて!」 「すっごいね! 今考えてみれば、こんなの、普通は見れない光景だよ」 「アナタ、その英雄の膝の上に乗せられてるのですわよ?」 「うらやましい? ねね、うらやましい?」 「むきー!」 ミシェルちゃんに飛び掛かったレティーナを、マクスウェルはヒョイと抱き上げ、ライエルにパスした。 ライエルはレティーナを膝に載せて、大人しくさせる。 当のレティーナに至っては、緊張のあまり硬直してしまっていた。 「ウム、静かになったの」 「あら、あなた。ニコルの前で浮気かしら?」 「それはないだろう、マリア!」 「いいよ。わたしはコルティナの膝に行くから」 俺はここぞとばかりにコルティナの上に移動する。 小柄な彼女だが、俺の方がもっと小柄なので、膝の上にしっかりとフィットした。 下手にフリーでいると、ライエルかマリアに捕獲されかねない。後コルティナに微妙なセクハラ的気分も少々......まぁ、これは置いといて。 「なんにしても、まずはお金のある所に商談を持ちかけるのが基本かしら?」 「盗賊共のギルドもチェックしておきたいのぅ。そっちはワシが受け持とう」 「お願いね、ガドルス」 荒くれ者の多い盗賊ギルドでは、いつ命の危険が襲い掛かるかわからない。 そんな場所に、マリアやコルティナは向けられない。なにをどうやったら倒せるのかわからないほど頑丈なガドルスが、適任と言えるだろう。 「なら俺は街門を回って不審人物を見かけなかったか聞いて回ろう」 「じゃあ、私は教会を回ってみるわ。あそこも人が出入りする場所だし」 ライエルは俺達の中で一番カリスマ性にあふれる人材だ。だからこそ、こういう聞き込みでは最も高い成果を出す。 そしてマリアは、世界最大の宗教である世界樹教の法王すら超える支持を持つ聖女だ。 一線を退いたとはいえ、彼女の問いに沈黙で答える者はいない。 「じゃあ私は家に帰って寝てるわね」 「トリシアも仕事しなさい!」 「もう体力とストレスが限界なのよ! 今日一日で何回死を覚悟したと思ってるのよ!?」 「たった二回でしょ」 トリシア女医はヒステリックにそう喚いていた。素人にファイアジャイアントの戦闘とトレント包囲網はやはり無理があったか。 そのわりにはミシェルちゃんとレティーナは平気そうなんだが...... 「ミシェルちゃんとレティーナは怖くなかったの?」 「うん? こわかったけど、ライエル様達が一緒にいてくれたし」 「そうよね。あの方達と一緒なら、万が一は存在しないわ」 「その信頼はありがたいが、自分の身を守る努力はしよう」 うちの両親に関しての信頼は実にありがたい。だが当人に守る意思が無ければ、守れるものも守れない。 特に街中での行動では何かと危険が多くなる可能性がある。これは正面からの戦力ではどうにもできない物だ。 結局ミシェルちゃんとレティーナは、ライエル達に諭されて、しばらくは自宅待機になったのである。
After hearing about the details of the theft, we ended our deal with the Queen Blossom and returned to Raum. In order to find the perpetrators, we would need to leave the mountains. We returned to Maxwell’s mansion, and Cortina played the role of host by serving tea to everyone. By the way, Maria was the one who usually served the tea. “But according to the details I’ve heard, the seeds were stolen two weeks ago, right? How do we find them?” “Wait, didn’t you agree because you had a plan, Cortina?” “Lyell, you are always leaving those things to me, please stop that already.” As usual, Lyell is all muscle and has nothing to add to the plan. Well, that’s also the same for me. Gadius remained silent and Maxwell seems to be having fun pampering Michelle on his lap. It’s like a grandfather spoiling his granddaughter. “Two weeks have passed already, it will be hard to find traces of their movements.” “That’s right, it should be just the right time for them to reach the town, you know? “ Cortina answered Maria’s inquiry. We were able to reach that place in just a day because of Maxwell’s transfer magic, but if it was done on foot, it would definitely take us about two weeks to reach a nearby big city. And that doesn’t even include the condition of going through undeveloped forest. “If they wanted to process the Queen Blossom’s seeds into some kind of medicine, then they would need specialized equipment and technology. It’s not something that they could process in the forest.” Doctor Tricia added her explanation to Cortina’s opinion. “For them to do that, they would need a proper facility that would normally be found in a big city. And the closest city from that place is......” “There are various large towns along the way, but if they handled it in such places then they would be easily sniffed out. From how I see it...... they will definitely be making their way to Raum.” By selling the raw materials, they would leave behind a lot of traces which ultimately traced back to the criminals. That’s why, in order to cover such tracks, many people would usually sell off the valuables in a large city through the backing of a large organization. With the exception of the person wanting to use it for themself, they should be aiming to return back to this city. “I will instruct the guards to be alert of their surroundings......but I probably can’t expect much from them.” In the woods, especially around the Queen Blossom, the number of Treants were quite high. Not to mention that because they are plants, they barely need any sleep, so their security network should be very difficult to infiltrate. Since they were able to breach that network, I concluded that one of them might have a concealment gift similar to mine but was not properly trained. It would definitely be very difficult for an average guard to find someone like that. “Will Lyell and Gadius be returning to the village?” “No, we will be staying at an inn and help with the search. It is for my daughter after all.” “That’s right, although I’m a bit worried about the village, I will still prioritize Nicole.” “As for me, I will also be staying here for a while. Unlike Lyell’s group, I have already found an Inn where I would stay.” Upon hearing their discussion, Michelle and Letina clapped their hands in excitement while still holding some bread. “Amazing, for all the heroes to be together in one city once again!” “It’s really amazing! Thinking about it now, it’s really such an unusual scene.” “Says the person who is currently sitting on a Hero’s lap, right?” “Are you jealous? Hey, hey, you jealous?” “Mukkiiー!” Letina who lunged at Michelle was deftly caught by Maxwell and passed over to Lyell. Lyell then sat Letina on his lap to calm her down. Letina ended up stiff from her nervousness though. “Um, why are you so quiet now.” “Oh my, Darling. Are you trying to have an affair in front of Nicole?” “No, that’s not what this is, Maria!” “It’s fine. I’m sitting on Cortina’s lap.” And so I moved to Cortina’s lap. Even though she’s a petite woman, I am still smaller than her and fit comfortably in her lap. If I don’t plan this properly, I’ll end up getting caught by Lyell or Maria after all. Then again, it felt like slight sexual harassment with Cortina......well, I’ll just leave it aside. “In any case, should we try to have a business talk with them first and offer money?” “I’ll be checking the thieves guild. Leave that place to me.” “We’re counting on you, Gadius.” When it comes to the thief’s guild that is always brimming with bad guys, you won’t know when your life will be targeted. Maria and Cortina cannot be appointed to such tasks. And if there’s anyone who knows how to handle places like that, it would be Gadius, who is not only sturdy but also capable of fighting back, making him the right person for the job. “Then I will be going around the gates to check if I will find any suspicious people.” “I’ll be checking the churches then. It’s also a place many people come and go.” Lyell is the most charismatic among us all, so he would have the highest result when it comes to listening to the public. And Maria is a saint who has even more influence than the pope of the largest religion in the world, the world tree religion. Despite stepping down from her position, none would stay silent when questioned by her. “Then I will be going back home to sleep” “Doctor Tricia, please get to work!” “My physical strength and stress levels are already at their limit! How many times do you think I experienced almost dying today!?” “It’s only twice.” Well, it would definitely be impossible for an amateur to face a Fire Giant and a Treant encirclement after all. On the other hand, Michelle and Letina seem to be alright...... “Michelle and Letina, weren’t you scared? ” “Hmm? I was scared but Lord Lyell and the others were with us.” “That’s right. If we are with them, there’s only a very small chance for anything to happen.” “I appreciate your faith in us, but you should still try to defend yourselves.” I really appreciate the trust for my parents, but if the person doesn’t even have the intention to protect themselves, then they shouldn’t expect to be protected. Especially in a big city where there is danger lurking around every corner. Not to mention this isn’t something that can be solved by pure brute force. After that, Michelle and Letina were lectured by Lyell for a while before being sent home.
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フォルティウス” 「より速く より高く より強く」です スポーツ選手たちはこのモットーを 急速に実現して来ました 2012年オリンピックマラソンの勝者は 2時間8分で走り終え 1904年オリンピックマラソンの 勝者と もし競争したなら 1時間半近くの大差をつけて ゴールしていたでしょう 私達は皆こう感じています 人類は 容赦ないまでに 確実に進化し続けている しかしこの1世紀で 人類が新しい種へと 進化したわけではありません では何が起こっているのでしょう? スポーツ記録の絶え間ない向上の 裏側を見てみたいと思います 1936年 ジェシー・オーエンスは 100メートル走で世界記録を 手にしました もしジェシー・オーエンスが去年 100メートル走世界選手権に 出場したなら ゴールするジャマイカ人 スプリンター、ウサイン・ボルトの 4メートル後ろをオーエンスは まだ走っていたでしょう スプリンターにとっては 大きな開きです 皆さんに分かりやすいように デモンストレーションを お見せしましょう スポーツ科学者 ロス・タッカーの 考案によるものです 昨年の100メートル走 世界陸上競技選手権の スタジアムを想像してください 数千人ものファンが息を殺して 史上最速の男 ウサイン・ボルトを 見ようと待っています 世界最速の9人の男達が スターティングブロックに屈み クラウチングの姿勢をとるなり フラッシュが焚かれます そのレースに ジェシー・オーエンスが いると 思って下さい 目を閉じてレースを 想像してみてください バン!号砲が鳴ります アメリカ人のスプリンターが 先頭へ飛び出し ウサイン・ボルトが 距離を詰めます ウサイン・ボルトが追い越し 走者達がゴールを越えるたびに ビープ音が鳴ります (ビープ音) これでレースが完全に終わります どうぞ目を開けて下さい 最初の音はウサイン・ボルトでした 最後がジェシー・オーエンス もう一度聞いてみましょう (ビープ音) こうしてみると そんなに大差は無いでしょう? では次に考えてみて下さい ウサイン・ボルトは スターティングブロックから蹴り出し 走者が人類に可能な限り 速く走る事ができるように 特別に作られた 敷物の上を走りましたが 特別に作られた 敷物の上を走りましたが 一方 ジェシー・オーエンスは コークスを敷き詰めた シンダートラック上を走り そのソフトな表面は 遥かに多くのエネルギーを 脚から吸収してしまいました 更にオーエンスは スターティングブロックの代わりに スタートラインに穴を掘るのに 園芸スコップを使いました オーエンスの関節が動く速度を 生体力学的に分析すると ボルトが走った時と 同じ舗装上を走っていれば 4メートル27センチではなく わずか一歩の差で ボルトの直後を 走っていたことになります 最後のビープ音ではなく オーエンスは2番目の ビープ音だったでしょう もう一度聞いてみましょう (ビープ音) トラックの舗装技術次第で これだけの差が出るのです これは陸上競技の世界全般で 起こっている事です もっと長い競技を考えてみましょう 1954年にサー・ロジャー・バニスターは 世界で初めて1マイルを 4分以下で走りました 今日では毎年 大学生達が その記録を出しています まれに 高校生ですら やってのけることがあります 昨年末までに 1,314名の男性競技者たちが 1マイルを4分以下で走りましたが ジェシー・オーエンスのように サー・ロジャー・バニスターは ソフトなシンダー舗装上を走り それは今日の 人工素材で出来た トラックより大幅に 脚からエネルギーを吸収しました それで生体力学の専門家たちに シンダー舗装上を走ると 人工のトラックを走る時よりも どれ位遅いのか聞くと 一致した見解は 1.5% というものでした その1.5%の差を 人工素材のトラックを走り 1マイル4分を切った走者の 人数で表してみると これまでに たった530人です この視点から見てみると サー・ロジャー・バニスターの後 1マイル4分の壁を 突破できたのは わずか 年に10人以下です それでも 530名は1名よりも 遥かに多い数です これは 今日 より多くの人々が より洗練された方法で トレーニングしているからです サー・バニスターに比べれば 今の大学生の トレーニングはプロ並です バニスターは産婦人科の講義を サボった時の45分ずつしか トレーニングしなかったのですから しかも1904年に オリンピック・マラソンで 3時間半以内で走り 勝利した選手は 殺鼠剤とブランデーを 飲みながらコースを 走っていたのです それが彼にとっての 能力向上薬物というわけでした 明らかに 選手たちは 能力向上薬物についても知識を深め それはある種の競技で 時折 効果を表しましたが 技術の進歩は全ての競技で 違いを生み出しました より速く滑るスキーや より軽いシューズ などです 100メートル自由型競泳の 記録を見てみましょう タイムは常に短縮され 続けていますが ところどころ突然 大きく記録が向上しています 最初の劇的な記録の向上は 1956年に導入された フリップターンが要因です 一旦止まってから 方向転換する代わりに 選手は水中でとんぼ返りし 即座に逆方向へ向きを変え 泳ぎ出します 2番目の飛躍は プールサイドの 排水溝の導入が理由です それにより水が捌け 競泳中の選手の動きを妨げる 水流が起こらなくなりました 最後の飛躍には 競泳水着の導入が 貢献しています スポーツの歴史を通して技術は パフォーマンスの流れを変えて来ました 1972年に エディ・メルクスは 自転車の最長距離走行記録を 打ち立てました 49.43キロメートルを 1時間で走ったのです 自転車の性能が向上し 空気抵抗を削減し続けたことで 記録は伸び続けました そして1996年 最高記録は56.7キロ エディ・メルクスの1972年の記録より 8キロも伸びました しかし2000年 国際自転車競技連合は エディ・メルクスが 1972年に使用した物と基本的に 同じ装備を 競技で 使用するように定めました 同じ装備を 競技で 使用するように定めました 今日の記録を見てみましょう 49.70キロメートル エディ・メルクスが 40年前に走った距離より 概算269メートル 伸びただけです 概算269メートル 伸びただけです つまり 記録更新は 全て 新技術のおかげだったのです でも 技術だけが選手たちの後押しを しているわけではありません 確かに 私たちは1世紀で 新人類に進化したのでは ありませんが スポーツ競技における 遺伝子プールは 確実に変化しました 20世紀前半 体育教師やコーチたちは 平均的な体型が 全ての運動競技において 理想的だという 考えを持っていました どのような競技であれ 中肉中背が良いとされ これは選手たちの体つきにも 表れていました 1920年代 平均的に優秀な 走り高跳び選手と 平均的に優秀な砲丸投げ選手は 全く同じ体格をしていました しかし 平均的な体躯よりも それぞれの競技ニッチに適した 高度に専門化された体躯が 好ましいと スポーツ科学者やコーチたちが 気付き 古い考えが衰退し始めると 一種の人工的な選別が 起こり始め 競技ごとに最適な 体つきが自然と選別され始め スポーツ選手の体型は 次第に多様化して行ったのです 今日 平均的に優秀な砲丸投げの選手は 平均的に優秀な高飛び選手と 同じサイズではなく 6.3センチ背が高く 59キロも更に重いのです この分化はスポーツ界 全般で起こりました 実際 身長と体重を それぞれ軸として 20余の競技について 分布を図表に表してみると 20世紀前半 選手たちの体型は ある程度のばらつきはありますが 平均的な体つきの周りに 集まっています そして平均が良いという 考えが衰え 同時にデジタル技術が 台頭して来ます まずラジオ そしてテレビ インターネット— 何百万人 あるいは何十億人 という観衆が 競技スポーツを 観戦出来るようになり 優秀な選手への経済的インセンティブ 名声 栄誉は跳ね上がり ほんの一握りの上澄みの パフォーマンスをする選手たちに集中し 専門別に特化した体型が 人為的に選択される状況に拍車をかけました 今日 同じスポーツ種目別に 体型を図表化してみると こうなります 選手たちの体型は より多様化して来ました この図表が 膨張する宇宙で 銀河が互いから離れ広がり行く様を 表すグラフによく似ていることから これを考案した科学者たちは このグラフを「体型ビッグバン」 と呼んでいます バスケットボール等 高身長が好まれるスポーツでは 背の高い選手は 更に背が高くなりました 1983年 全米バスケットボール協会は 選手が チケット売上げの 配当を得たり テレビ局と契約を結べる 連盟のパートナーとする画期的な 同意書にサインしました 突然 NBA選手になりたがる 人たちが劇的に増え チームは 世界中から 選手権でゲームを 有利に運べる体躯を持った 選手を探し始めました ほぼ一夜にして NBAの選手のうち 少なくとも2.1メートル身長がある という選手は 10%にまで倍増し 今日 NBA選手の10人に1人は 少なくとも2.1メートル 身長があります しかし一般的には 2.1メートルの人は 非常にめずらしく アメリカ人で 20才から40才の間の 少なくとも2.1メートルは ある人といえば 17%の確率で NBAの選手でしょう 言い換えれば 2.1メートルの 男性を6人集めると そのうち1人はNBAに所属している ということです NBA選手の体型のユニークさは 身長だけではありません これはレオナルド・ダ・ヴィンチの 「人体の調和」です 理想的な体格 両腕を広げた長さと 身長が等しいのです 私の両腕の長さも身長と等しく おそらく皆さんも ほとんどがそうでしょう でも平均的なNBA選手は違います 平均的なNBA選手の身長は 2メートル弱でも 腕の長さは2.1メートル NBA選手は呆れるほど 背が高いだけでなく ばかげたほど 横に長いのです もしダ・ヴィンチが NBA版「人体の調和」を描いたなら 円と正方形の代わりに 楕円形と長方形を 描いたことでしょう このように 体の大きさが 求められるスポーツでは 体の大きな選手はより大きくなり 逆に 小ぶりな体が有利なスポーツでは 小さな選手がより小さくなりました 平均的に 優秀な女性体操選手の身長は 過去30年間で 平均160センチから 145センチに縮みました より良い 出力重量比と 空中回転のためです 大きな選手は更に大きくなり 小さな選手は更に小さくなる一方 特徴的な体型の選手は更に その特異さを増しました 水球選手の腕全体に対する 前腕の平均的な長さは より力強くバネの利いた 投球の為に 更に長くなりました 大きな選手はより大きく 小さな選手は より小さく 特徴は より極端に強調され 水泳選手の 理想的な体格は 長い胴と短い脚です 水上を速く進むことのできる カヌーの長い船体のように その逆の体つきは 走る事に適しています 長い脚と 短い胴 今日のアスリートたちの体格に 見られる傾向です このマイケル・フェルプスは 史上最も素晴らしい水泳選手です 1.6キロ競泳の世界記録保持者 ヒシャム・エルゲルージの 隣に立っています この二人の身長差は 約18センチですが それぞれのスポーツ競技に 適した 体躯をしているため 同じ長さのパンツを履いています 約18センチの身長差にも拘らず 二人の脚は同じ長さです 運動競技のパフォーマンスを 更に高める タイプの体格の持ち主が 探し求められ ケニアの長距離走者たちのように 以前は競技に関係の無かった 人々が 競技に加わるようになりました 私達がケニヤ人を偉大な マラソン走者と見ているように ケニアではカレンジン族が 優れたマラソン走者 だと見られています カレンジン族は ケニアの人口の 12%に過ぎませんが 世界の優秀な走者の 大多数は彼らです 一般的に 特徴ある体つきで— とても長く 極めて細い脚を しています しています これは彼らの祖先が とても緯度の低い とても暑く 乾燥した 気候に住んでいたので そこに適応するように 進化した結果が 非常に長く 末端に向かって細い四肢で 体を冷やし易いように なっているのです ラジエーターに長いコイルが あるのも同じ原理で 体積に比べて表面積を増やし 熱を逃がしています 脚は振り子のようなものなので 末端の下肢が細く長いほど スイング時のエネルギー効率が 良いのです カレンジン族がいかに 優れた走者かを示すために マラソンを2時間10分以内で走った 17人の歴史上のアメリカ人を 例にとってみましょう 1マイルあたり4分58秒 のペースで走ったことになります 昨年10月32人のカレンジン族の 男たちがやってのけました この人々の出身地の人口は アトランタ都心部の 人口と同じ位です 技術の進歩や 変わりゆく選手たちの 遺伝子プール だけではパフォーマンス向上の 全てを説明し切れません 選手たちは以前と違った マインドセットを持っています 映画で 人が電気ショックを受け 部屋の端まで飛ばされる様子を 見たことがありますか? そこには爆発の衝撃は無く 何が起こっているかと言うと 電気による衝撃が起こり 全ての筋肉繊維が 一気に痙攣を起こし その人が自分の力で 飛び上がっているというわけです つまりジャンプしているのです それが 人体に潜む パワーなのです 通常私達はこの力の 全てを使うことはありません 脳が制御装置として働き 腱や靭帯を 痛めてしまわないように 私達の肉体的な全能力が 使われるのを 防いでいます この制御装置の働きを 知れば知る程 そのちょっとした抑制の仕方も 分かるようになります ある時は 脳に これ以上無理を加えても 体は死ぬ程危険な目には 遭わないと 信じ込ませることだってできます 耐久 そして 超耐久スポーツは その良い例でしょう 超耐久スポーツは 以前は健康に害をなすと 考えられていました しかし今では 我々は 超耐久スポーツに完璧な 資質を備えている と分かっています 毛皮も無く 十分にある汗腺は 走っている間 身体を冷まします くびれたウエストと 身体に比べ長い脚 関節部分の表面積は 衝撃を吸収するために大きく バネの働きをする 土踏まずを持ち 短いつま先は 木の幹を掴むよりも 地面を蹴り出すことに 適しています そして走る時には 上半身と肩を このように 動かしながらも 頭は前を 見たままでいます 霊長類の親戚達は これができず こうして走ります 我々にはこの大きな臀筋があり これにより直立して 走る事ができます 猿のお尻を見た事がありますか? 臀部の筋肉が無いため 直立姿勢で走ることが出来ません アスリートたちが 実は我々は 超耐久レースに 完璧に耐え得る 身体をしていることに 気付くと 彼らは今迄 考えられもしなかった 荒技に挑むようになりました スペインのキリアン・ジョルネ のような耐久ランナー キリアンがマッターホルンを 走って登ります トレーナーを腰に巻いて 傾斜が急なので 走る事もままならず ロープに捕まり登っています これは2.4キロ以上ある 垂直登山です これをキリアンは3時間以内で 登り降りしたのです 驚きますよね いかに才能があっても キリアンは怪物的な体の持ち主 だったわけではありません 彼がこれをやってのけたことで 今後彼の後に続く アスリートたちが 現れるでしょう ちょうど サー・バニスターが1.6キロを 4分以下で走った後を 選手たちが続いたように 進化する技術 進化する遺伝子 そして進化するマインドセット スポーツにおける技術革新— それが新しいトラック素材 または新しい泳法技術であれ— そしてスポーツの民主化 新たな体躯の伝播 世界中の人々が新たに参加すること スポーツにおける想像力 真に人体に可能なことの理解 真に人体に可能なことの理解 これら全ての要素のおかげで 選手たちは より強く 速く 大胆にと 向上してきたのです ありがとうございました
Faster, Higher, Stronger. And athletes have fulfilled that motto rapidly. The winner of the 2012 Olympic marathon ran two hours and eight minutes. Had he been racing against the winner of the 1904 Olympic marathon, he would have won by nearly an hour and a half. Now we all have this feeling that we're somehow just getting better as a human race, inexorably progressing, but it's not like we've evolved into a new species in a century. So what's going on here? I want to take a look at what's really behind this march of athletic progress. In 1936, Jesse Owens held the world record in the 100 meters. Had Jesse Owens been racing last year in the world championships of the 100 meters, when Jamaican sprinter Usain Bolt finished, Owens would have still had 14 feet to go. That's a lot in sprinter land. To give you a sense of how much it is, I want to share with you a demonstration conceived by sports scientist Ross Tucker. Now picture the stadium last year at the world championships of the 100 meters: thousands of fans waiting with baited breath to see Usain Bolt, the fastest man in history; flashbulbs popping as the nine fastest men in the world coil themselves into their blocks. And I want you to pretend that Jesse Owens is in that race. Now close your eyes for a second and picture the race. Bang! The gun goes off. An American sprinter jumps out to the front. Usain Bolt starts to catch him. Usain Bolt passes him, and as the runners come to the finish, you'll hear a beep as each man crosses the line. That's the entire finish of the race. You can open your eyes now. That first beep was Usain Bolt. That last beep was Jesse Owens. Listen to it again. When you think of it like that, it's not that big a difference, is it? And then consider that Usain Bolt started by propelling himself out of blocks down a specially fabricated carpet designed to allow him to travel as fast as humanly possible. Jesse Owens, on the other hand, ran on cinders, the ash from burnt wood, and that soft surface stole far more energy from his legs as he ran. Rather than blocks, Jesse Owens had a gardening trowel that he had to use to dig holes in the cinders to start from. Biomechanical analysis of the speed of Owens' joints shows that had been running on the same surface as Bolt, he wouldn't have been 14 feet behind, he would have been within one stride. Rather than the last beep, Owens would have been the second beep. Listen to it again. That's the difference track surface technology has made, and it's done it throughout the running world. Consider a longer event. In 1954, Sir Roger Bannister became the first man to run under four minutes in the mile. Nowadays, college kids do that every year. On rare occasions, a high school kid does it. As of the end of last year, 1,314 men had run under four minutes in the mile, but like Jesse Owens, Sir Roger Bannister ran on soft cinders that stole far more energy from his legs than the synthetic tracks of today. So I consulted biomechanics experts to find out how much slower it is to run on cinders than synthetic tracks, and their consensus that it's one and a half percent slower. So if you apply a one and a half percent slowdown conversion to every man who ran his sub-four mile on a synthetic track, this is what happens. Only 530 are left. If you look at it from that perspective, fewer than ten new men per [year] have joined the sub-four mile club since Sir Roger Bannister. Now, 530 is a lot more than one, and that's partly because there are many more people training today and they're training more intelligently. Even college kids are professional in their training compared to Sir Roger Bannister, who trained for 45 minutes at a time while he ditched gynecology lectures in med school. And that guy who won the 1904 Olympic marathon in three in a half hours, that guy was drinking rat poison and brandy while he ran along the course. That was his idea of a performance-enhancing drug. Clearly, athletes have gotten more savvy about performance-enhancing drugs as well, and that's made a difference in some sports at some times, but technology has made a difference in all sports, from faster skis to lighter shoes. Take a look at the record for the 100-meter freestyle swim. The record is always trending downward, but it's punctuated by these steep cliffs. This first cliff, in 1956, is the introduction of the flip turn. Rather than stopping and turning around, athletes could somersault under the water and get going right away in the opposite direction. This second cliff, the introduction of gutters on the side of the pool that allows water to splash off, rather than becoming turbulence that impedes the swimmers as they race. This final cliff, the introduction of full-body and low-friction swimsuits. Throughout sports, technology has changed the face of performance. In 1972, Eddy Merckx set the record for the longest distance cycled in one hour at 30 miles, 3,774 feet. Now that record improved and improved as bicycles improved and became more aerodynamic all the way until 1996, when it was set at 35 miles, 1,531 feet, nearly five miles farther than Eddy Merckx cycled in 1972. But then in 2000, the International Cycling Union decreed that anyone who wanted to hold that record had to do so with essentially the same equipment that Eddy Merckx used in 1972. Where does the record stand today? 30 miles, 4,657 feet, a grand total of 883 feet farther than Eddy Merckx cycled more than four decades ago. Essentially the entire improvement in this record was due to technology. Still, technology isn't the only thing pushing athletes forward. While indeed we haven't evolved into a new species in a century, the gene pool within competitive sports most certainly has changed. In the early half of the 20th century, physical education instructors and coaches had the idea that the average body type was the best for all athletic endeavors: medium height, medium weight, no matter the sport. And this showed in athletes' bodies. In the 1920s, the average elite high-jumper and average elite shot-putter were the same exact size. But as that idea started to fade away, as sports scientists and coaches realized that you want highly specialized bodies that fit into certain athletic niches, a form of artificial selection took place, a self-sorting for bodies that fit certain sports, and athletes' bodies became more different from one another. Today, rather than the same size as the average elite high jumper, the average elite shot-putter is two and a half inches taller and 130 pounds heavier. And this happened throughout the sports world. In fact, if you plot on a height versus mass graph one data point for each of two dozen sports in the first half of the 20th century, it looks like this. There's some dispersal, but it's kind of grouped around that average body type. Then that idea started to go away, and at the same time, digital technology -- first radio, then television and the Internet -- gave millions, or in some cases billions, of people a ticket to consume elite sports performance. The financial incentives and fame and glory afforded elite athletes skyrocketed, and it tipped toward the tiny upper echelon of performance. It accelerated the artificial selection for specialized bodies. And if you plot a data point for these same two dozen sports today, it looks like this. The athletes' bodies have gotten much more different from one another. And because this chart looks like the charts that show the expanding universe, with the galaxies flying away from one another, the scientists who discovered it call it "The Big Bang of Body Types." In sports where height is prized, like basketball, the tall athletes got taller. In 1983, the National Basketball Association signed a groundbreaking agreement making players partners in the league, entitled to shares of ticket revenues Suddenly, anybody who could be an NBA player wanted to be, and teams started scouring the globe for the bodies that could help them win championships. Almost overnight, the proportion of men in the NBA who are at least seven feet tall doubled to 10 percent. Today, one in 10 men in the NBA is at least seven feet tall, but a seven-foot-tall man is incredibly rare in the general population -- so rare that if you know an American man between the ages of 20 and 40 who is at least seven feet tall, there's a 17 percent chance he's in the NBA right now. That is, find six honest seven footers, one is in the NBA right now. And that's not the only way that NBA players' bodies are unique. This is Leonardo da Vinci's "Vitruvian Man," the ideal proportions, with arm span equal to height. My arm span is exactly equal to my height. Yours is probably very nearly so. But not the average NBA player. The average NBA player is a shade under 6'7", with arms that are seven feet long. Not only are NBA players ridiculously tall, they are ludicrously long. Had Leonardo wanted to draw the Vitruvian NBA Player, he would have needed a rectangle and an ellipse, So in sports where large size is prized, the large athletes have gotten larger. Conversely, in sports where diminutive stature is an advantage, the small athletes got smaller. The average elite female gymnast shrunk from 5'3" to 4'9" on average over the last 30 years, all the better for their power-to-weight ratio and for spinning in the air. And while the large got larger and the small got smaller, the weird got weirder. The average length of the forearm of a water polo player in relation to their total arm got longer, all the better for a forceful throwing whip. And as the large got larger, small got smaller, and the weird weirder. In swimming, the ideal body type is a long torso and short legs. It's like the long hull of a canoe And the opposite is advantageous in running. You want long legs and a short torso. And this shows in athletes' bodies today. Here you see Michael Phelps, the greatest swimmer in history, the world record holder in the mile. These men are seven inches different in height, but because of the body types advantaged in their sports, they wear the same length pants. Seven inches difference in height, these men have the same length legs. Now in some cases, the search for bodies that could push athletic performance forward ended up introducing into the competitive world populations of people that weren't previously competing at all, like Kenyan distance runners. We think of Kenyans as being great marathoners. Kenyans think of the Kalenjin tribe as being great marathoners. The Kalenjin make up just 12 percent of the Kenyan population but the vast majority of elite runners. to have a certain unique physiology: legs that are very long and very thin at their extremity, and this is because they have their ancestry at very low latitude in a very hot and dry climate, and an evolutionary adaptation to that is limbs that are very long and very thin at the extremity for cooling purposes. It's the same reason that a radiator has long coils, to increase surface area compared to volume to let heat out, and because the leg is like a pendulum, the longer and thinner it is at the extremity, the more energy-efficient it is to swing. To put Kalenjin running success in perspective, consider that 17 American men in history have run faster than two hours and 10 minutes in the marathon. That's a four-minute-and-58-second-per-mile pace. Thirty-two Kalenjin men did that last October. That's from a source population the size of metropolitan Atlanta. Still, even changing technology and the changing gene pool in sports don't account for all of the changes in performance. Athletes have a different mindset than they once did. Have you ever seen in a movie when someone gets an electrical shock and they're thrown across a room? There's no explosion there. What's happening when that happens is that the electrical impulse is causing all their muscle fibers to twitch at once, and they're throwing themselves across the room. They're essentially jumping. That's the power that's contained in the human body. But normally we can't access nearly all of it. Our brain acts as a limiter, preventing us from accessing all of our physical resources, because we might hurt ourselves, tearing tendons or ligaments. But the more we learn about how that limiter functions, the more we learn how we can push it back just a bit, in some cases by convincing the brain that the body won't be in mortal danger by pushing harder. Endurance and ultra-endurance sports serve as a great example. Ultra-endurance was once thought to be harmful to human health, but now we realize that we have all these traits that are perfect for ultra-endurance: no body fur and a glut of sweat glands that keep us cool while running; narrow waists and long legs compared to our frames; large surface area of joints for shock absorption. We have an arch in our foot that acts like a spring, short toes that are better for pushing off than for grasping tree limbs, and when we run, we can turn our torso and our shoulders like this while keeping our heads straight. Our primate cousins can't do that. They have to run like this. And we have big old butt muscles that keep us upright while running. Have you ever looked at an ape's butt? They have no buns because they don't run upright. And as athletes have realized that we're perfectly suited for ultra-endurance, they've taken on feats that would have been unthinkable before, athletes like Spanish endurance racer Kílian Jornet. Here's Kílian running up the Matterhorn. With a sweatshirt there tied around his waist. It's so steep he can't even run here. He's pulling up on a rope. This is a vertical ascent of more than 8,000 feet, and Kílian went up and down in under three hours. Amazing. And talented though he is, Kílian is not a physiological freak. Now that he has done this, other athletes will follow, just as other athletes followed after Sir Roger Bannister ran under four minutes in the mile. Changing technology, changing genes, and a changing mindset. Innovation in sports, whether that's new track surfaces or new swimming techniques, the democratization of sport, the spread to new bodies and to new populations around the world, and imagination in sport, an understanding of what the human body is truly capable of, have conspired to make athletes stronger, faster, bolder, and better than ever. Thank you very much.
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朝だ朝だーよー、と言うわけで起床! 今日はリリーさんもアリサさんもいると言うことなので早い時間に食堂に行って朝ごはんを食べた。メニューは、ホットドッグ。ソース付き。早速試したらしい。 もぐもぐ。うん、全然違うね、これ。いや、合ってないわけじゃないけど、なんだろ? から、くない。ウスターソースのような......なんか違うような......うん、わからん。 なににせよ今日は静かに食べられた。というか声を掛けようとする人が居るのどちらかが牽制して追い払ってると言う感じだった。 食事も終わってノルン達を連れて宿を出るとまっすぐ街の外へ。今日は子供達に顔を見せに行こう。 そう思って門のところまで来て、ひとつ思いついた。そうだ、アレを作ろう。と言うわけで街の外に出る前にちょっと色々観察。 うーん、外から見ただけだと良く分からない。何か、もっと、こう......内部構造も分かるようなスキルないかなあ。 うんうん唸りながら目に魔力を通してみたり色々やっていると、新しいスキルが生えた。【解析】。どうやら【鑑定】の上位互換らしい。また厄介なものを......でも今まさに欲しかったスキルなので早速使う。ばれなきゃいいんだよ! 覚えたてのスキルを使って知りたかった事もわかったので改めて街の外へ。 街の外にでて子供達を捜す。でも、居ない。あっちが気付いても寄ってくるだろうし、んー? あ、そういえば森の浅いところで採取するようにするって言ってたっけ? と言うことはもう森のほうに移動してるのかな? 「レンお姉さん! 帰ってきたんですか!」 「ユイ、元気だった?」 「はい! おかげさまで!」 ユイだ。前よりもほっぺたがふっくらしてるような気がする。ちゃんと食べられてるらしい。後ろにはシンもいる。他の子供達もこっちに向って駆けてくる。 「ただいま。これからまた暫くはここにいますよ」 「暫くってことは、またどこかにいっちゃうんですか?」 「そうですね、ちょっと欲しいものがあって近くの村に行こうとは思ってますけど、直ぐにってわけじゃありませんから」 「そうですか......」 ちょっと残念そうだけど、こればっかりは仕方ない。 「これから薬草採取でしょう?に行ってもいいですか?」 「もちろんです!」 にっこり笑顔。うん、元気がいいね。私も微笑み返して直ぐに移動を始めた。 森に着くと、以前採取をしていた奥のほうで採取しようと言うことになった。やはり浅い所だと余り集められないらしい。確かにこの辺りは以前よりも人を見かけるようになったし、その分一人当たりが採れる量も減るだろうからね。 でも結局、以前の採取場所よりも更にもう少し奥まで移動することにした。私の都合で。ちょっとやりたいことがあるからね。 採取予定地に着くと、子供達は採集を開始した。私はノルンを呼ぶと、いつもよりも広範囲で警戒してもらうようお願いし、その上で専守防衛ではなく先制攻撃の許可を出した。私の都合で森の奥まで連れてきたので、子供達の安全を優先したのだ。 さて、これで憂いはない。テントを出して作業開始だ。 私が作ろうとしているもの、それは馬車だ。当然それを引く馬も作る。ゴーレムの馬だ。つまり、ゴーレム馬の引く馬車を作ると言うわけだ。 先日、オーガロードを倒した後に街に帰ろうとして、途中でスタミナ切れでへばったのは記憶に新しい。私には体力が足りない。 馬車は楽だ。歩かなくても勝手に進む。でも馬を操る御者が必要。そこでゴーレム馬の出番。 簡単な命令に従うゴーレムは既に作れる。街道に沿って進む、対向車には気をつける、その位の命令はこなせるだろう。何より自分で馬を操る必要がない。御者台でうたた寝してても大丈夫だろう。その上、世話をする必要がないので維持費も修理や維持整備だけで済む。 そしてゴーレムの制御には魔力を食う。更に単一造形で関節を曲げると大量に魔力を食う。でもそれは関節機構を作れば問題ないと分かってる。つまり、関節をつければいいわけだ。 そこでさっきの門での観察につながる。 早朝の門は混む。馬車用の門は特に。そこで私はじっくりと馬を観察、いや、解析した。骨格に筋肉の付き方。ついでに馬車の基本的な構造。覚えたばかりの【解析】が大いに役立った。 と言うわけで早速製作に取り掛かる。今回作るのはゴーレムとは言っても内骨格フレームを採用した内骨格構造。後々に作る予定のオートマタの練習も兼ねてる。 制御系はゴーレムの魔石書き込み式に魔力電池としての魔石を動力源に組み込む形。 【魔力感知】と【魔力制御】があるから何とかなると思うけど、基本的に【創造魔法】でごり押し。なんとかなるさー。 私がいきなり変なことをはじめるのには慣れてしまったのか、子供達は何もいわない。ちょっと悲しいような、複雑な気分。 えーと、基本骨格フレームはチタンで、外装は木と素焼きの陶磁器でいいかな。余り重いのも困る。悪路も走破できるように馬力も欲しい。制御系のほうの魔石はオーガのやつが二個あるから、それで。魔力タンクの魔石はマッドブルのものが一つあるからそれを組み込もう。 MP回復ポーションを飲みながらひたすら作業。 なんてやってるうちにお昼。 うーん、気分が乗ってるからさっさとゴーレムの続きやりたい。何か簡単に作れそうなのは、パスタ? うん、そうしよう。 昨日作ったショートパスタのフィジリ使ってミートソースで行こう。トマトケチャップもトマトもある。挽肉も直ぐ作れる。ローリエも直ぐそこに生えてた。 鍋でお湯を沸かしつつトマトを魔法で水煮状態にしてボウルに移して潰す。セロリはすじを取って玉葱人参と一緒にみじん切りにしてフライパンで炒める。火が通ったら挽肉投入。解すように更に炒めて、色が変わってきたら塩胡椒とワイン少々。更に軽く炒める。こっちはこれで一先ず置いておく。 沸かしてた鍋に塩一つまみ。フィジリを茹でる。 フィジリの茹で汁をフライパンのソースに適量移してローリエを入れて一煮立ちさせて、味見。まあ、こんなものかな。ウスターソースとかオイスターソースがあればもう少し味に深みが出るんだけど。 それはさておき、茹で上がったフィジリに絡めて出来上がりー。 量はかなり多めに作った。子供達を呼んでさっさと食べてしまおう。もっきゅもっきゅ。子供達も無言でかき込んでる。しっかりと噛みなさい。 お昼を食べ終わったらゴーレムの続き。子供達はパスタを食べたら目がとろーんとした感じになってたけど採取に向わせた。ちょっと餌付けしすぎた? 午後もゴーレムに付きっ切り。その結果、何とかそれっぽいものは出来上がった。見た目は一見、普通の馬に見える。色々表面加工した結果だ。でも良く見れば色々違和感がある。でもまあ、多分大丈夫でしょ。 試しに動かしてみる。うん、大丈夫そう。基本命令の実行中に別の命令を出したりと、色々動作確認。軽く走らせてみても問題はなさそうだった。ゴーレム馬はこれで一先ず完成でいいかな? あとは実際に馬車を引かせてみてから? 一応ステータスを確認してみたら【オートマタ作成】【ゴーレム生成】【ゴーレム制御】のスキルレベルが少し上がってた。感覚的にはもう少し上がっててもいいような気もするんだけど、レベルが上がりづらいのはやっぱり基礎になるスキルが足りないからだと思う。何とかして錬金術スキルが欲しい...... どこかで覚えておきたいけど、どうすればいいんだろう? そんな事を考えながらふと後ろを見ると、子供達が目を丸くしてた。まあ、驚くよねえ? 何も言わずに黙ってゴーレム馬を【ストレージ】に仕舞うと街に帰る準備をするように言った。質問は受け付けないよ。 「あの、レンお姉さん、あれは......」 ユイが色々聞きたそうにしてたけど、秘密だ。 さて、明日は馬車の製作かな?
It’s morning~ so time to get up! Lily and Arisa were both working today, so I went to the dining hall and ate breakfast. The menu was a hot dog. With sauce. It seems the cook immediately tried making it. Yep, this was completely different. It wasn’t wrong, but what is this? It’s not spicy. It’s like Worcestershire......but something different......I’m not too sure what it is. Anyways, I ate in peace for today. In other words, whenever a person tried calling out to me, it seems that the two of them would stop them and drive them away. After finishing the meal, I left the inn with Norn and headed towards the gates. I was going to see the children today. As I came up to the gates with that in mind, a sudden thought occurred to me. Right, let’s make that. And so I observed that for a bit before heading out of town. Hmm, just looking at it from the outside wasn’t enough. It was something like this, or this......I wonder if there’s a skill that would allow me to understand the internal structure. As I was observing things by projecting mana through my eyes, I ended up gaining a new skill. The skill was called Analyze. Apparently, it seems to be an upgraded version of Appraisal. It seems another troublesome thing appeared......but I’m going to use it since this was the skill I needed. It’s fine as long as no one finds out! I resumed heading out of town after finding out what I wanted to know using my new skill. I exited the town and began looking around for the children. But they weren’t there. Usually when they notice me, they would just come over by themselves, hmm. Ah, didn’t they say that they would be gathering in the shallow areas of the forest? Did they already go into the forest? “Big sis Ren! You’re back!” “Yui, how are you doing?” “Good! Thanks to big sis.” It’s Yui. It appears her cheeks were more plump than before. She seems to be eating properly. Shin was following behind her. The other children were also rushing over here. “I’m back. I’ll be staying for a bit for now.” “Are you planning on going somewhere again afterwards?” “Yes, I’m thinking of traveling to a nearby village since there’s something I want there, but it’s not right away.” “Is that so...... ” Everyone was a bit disappointed, but it couldn’t be helped. “Are you all going to gather herbs now? Can I go with you all?” “Of course!” Everyone was smiling brightly. Yep, everyone looks energetic. I also smiled and we began moving right away. When we arrived in the forest, we decided to head deeper to where we were gathering before. As expected, there wasn’t much to gather in the shallower areas. But the gathering spot we headed to was more sparse than before, so we wouldn’t get as much if we gathered here. So in the end, I decided to move a little further than the previous gathering pot. It was for my own convenience. Because there was something I wanted to do. When we arrived, the children began gathering. I called Norn over and asked her to be more vigilant than usual, and told her she could attack first instead of defending. I took the children into the depths of the forest for my own convenience, so I prioritized the safety of the children first. Now I didn’t have to worry. I took out my tent and began working. I was working on making a carriage. I was also going to make the horse to pull it. Golem horse. In other words, I was going to make a carriage that would be pulled by a golem horse.There was a reason why I wanted to make something like this. And that was due to my stamina. The memory of me running out of energy on my way back to town after defeating the ogre lord was still fresh. I didn’t have enough stamina.Hence, the carriage. I had the opportunity to ride a carriage several times already. The carriages of Nicole and Roberto. Riding on carriages was relaxing. I could travel without walking. However, a person was necessary to steer the horse. But that was where the golem came in. I could already make golems that could perform simple functions. It just had to travel on the roads and watch out for oncoming vehicles. If it was just that much, the golem could handle it. Above all, I didn’t have to control the horse at all. It would be safe for me to just nap on the carriage. Additionally, since I didn’t need to feed it, I only had to worry about repairs and maintenance. But the golem would be controlled using mana. If I also had to use mana to bend the joint areas then it would consume even more mana. But it would be fine as long as I made the joint structures. As such, I just had to add the joints. Which was why I was observing at the gate earlier. There was a lot of traffic during the morning hours at the gate. Especially for the gate where carriages entered. Thus, I had closely observed the horses, or rather, I analyzed them. How the skeletal structure and muscles worked. And the basic structure of the carriage. The Analyze skill I had learned was quite useful. As such, I had immediately gone to work. I was making a golem with an endoskeleton structure this time around. It would also serve as practice for the automata that I plan to make in the future. The control system would use a mana stone as the power core and operating source. I should be able to manage it using Mana Sense and Mana Control, but Creation Magic would be doing most of the work. I would complete this one way or another. The children were silent as if they were used to me doing weird stuff. I was a bit sad, it was a complicated feeling. I was thinking about using titanium to make the frame and using either wood or unglazed clay for the exterior. I didn’t want it to be too heavy. But I also want enough horsepower so that it could travel on rough roads. And so I used two ogre mana stones for the control system. I also decided to add in the mana stone from the powerful Mad Bull. I worked while drinking MP recovery potions. And soon it was lunchtime. Hmm, I’m at a good pace so I want to continue working on the golem. Should I just make something simple, pasta? Right, let’s go with that. I decided to go with the short pasta fusilli I made yesterday along with meat sauce. I still have tomatoes leftover from when I was making ketchup. And I immediately began making minced meat. I also used the bay leaf growing nearby. I boiled some hot water and placed the tomatoes inside to boil before transferring them into a bowl to crush. I took out some celery and began chopping it along with some onions and carrots before frying them in a pan. After cooking them for a while, I also dumped in the minced meat. I stirred everything for a while longer, and when the color changed, I added some salt and pepper and a bit of wine. Then lightly stirred everything for a bit longer. After that I let everything simmer. Then I moved to the pot and added a pinch of salt. And started boiling the fusilli. Afterwards, I transferred an appropriate amount of the boiled fusilli water into the sauce inside the pan. Then I added some bay leaf and let it cook for a while before tasting it. Hmm, about right. If I had either Worcestershire sauce or oyster sauce, I would be able to get a bit more flavor. But aside from that, it was ready to be mixed with the boiled fusilli. I ended up making quite a lot. I called the children over to eat immediately. The children scarfed down the food wordlessly. But they were chewing properly. After finishing with lunch, I continued working on the golem. After the children finished eating the pasta, their eyes seemed a bit sleepy but everyone continued on gathering. Did I feed them a bit too much? In the afternoon, the golem was complete. In the end, I somehow managed to make it. At first glance, it looks like a normal horse. This was due to the various adjustments I made appearance-wise. But upon closer inspection, you would notice several strange areas. But it’ll probably be alright. Now time to test it out. Hmm, it seems to work fine. I tested various functions, such as issuing orders while another basic order was being executed. There also weren’t any problems during the light test-run. I guess the golem horse would be completed for now? Afterwards, I guess I just need to have it try pulling the carriage? I checked my status, and the skill level of Automata Creation, Golem Generation, and Golem Control had all increased a bit. I could probably level them up a bit more, but it would likely be difficult since I lack some prerequisite skills. I would like to have some more alchemy skills....... How would I go about learning them? What should I do? As I glanced back while thinking of such matters, the children were all looking at me with wide eyes. I guess they’re all surprised? Without saying anything, I silently stored the golem horse into Storage and told everyone to prepare to return back to town. I wouldn’t accept any questions. “Um, big sis Ren, what-.....” Yui had various questions, but I kept silent. Anyways, I guess I’ll make the carriage tomorrow?
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先史時代の人類について知っておくべき 最も重要なことは 人類は重要な存在でなかったということです 人類がおよぼす地球への影響は クラゲやホタルやキツツキと 大して変らなかったのです ところが 今日では 人間がこの地球をコントロールしています ここで疑問が湧きます いかに その先史時代から ここまでに至ったのか? アフリカ大陸の片隅で 自分たちが生きるのに精一杯な 取るに足らない存在の類人猿から 地球の支配者になったのか 大抵 この疑問に対し 人間とそのほか全ての動物を比較して 個々の違いに目を向けます 我々が信じたいのは - 私が信じたいのは 人間には 特別な何かがあるということです 人間の身体や脳に 犬や豚やチンパンジーより ずっと優れている 特別な何かがあると信じたがります しかし 実は 個々の能力のレベルでは 恥ずかしながら チンパンジーと差はないのです さらに言えば もし私ひとりと一匹のチンパンジーを 孤島に置き去りにした場合 生き残りをかけて必死になりますが どちらが上手く生き延びる可能性があるかー 私なら チンパンジーに賭けますね これは私に問題があるわけではなくて ほとんどの人が たった一人で チンパンジーと孤島に置かれたら チンパンジーの方が よっぽど生存可能性が高いでしょうね 人間とそのほか全ての動物の 本当の違いは 個々の能力のレベルではなく 集団としての違いにあるのです 人間が地球をコントロールしているのは 人間が唯一 柔軟かつ大勢で協働できる動物だからです さて ほかの動物でも 蜂や蟻のような社会性のある 昆虫がいますね 多数で協働しています ただ 柔軟性があるわけではないんです 彼らの協働は とても柔軟性に欠けています ミツバチの巣は基本的に ひとつの方法でのみ機能しています もし ミツバチが 新しい環境や 初めて遭遇する危険に出くわしても 一夜にして 新しい社会システムに 作り変えることはできません 例えば 女王蜂を処刑して ミツバチ共和国を設立したり 働き蜂の共産主義独裁政権を設立したり そんなことはできません ほかにも 社会性のある哺乳類はいます オオカミや象やイルカやチンパンジーです 彼らは もっと柔軟に協働できます でも それは少数に限っての場合です というのも チンパンジーの協働は チンパンジー同士がお互いを よく知っていなければ成立しません 私はチンパンジー あなたもチンパンジー あなたと一緒に協働したいんです あなたのことをよく知る必要があります あんたはどんなチンパンジー? 善良なチンパンジー? それとも悪いヤツ? 信頼していい? あんたのことをよく知りもしないで 協働なんてできるわけないでしょ? ふたつの能力を持ち合わせ 柔軟性を持って 大勢でも 協働できるのは 唯一我々 ホモ・サピエンスだけなのです 1対1 あるいは 10対10なら チンパンジーの方が良い成果を出す場合もあります しかし 1,000人の人間に対し 1,000匹のチンパンジーなら 容易に人間が勝ちます 理由は簡単です 数が1,000匹となると チンパンジーは協働できないからです 10万匹のチンパンジーを オックスフォード・ストリートや ウェンブリー・スタジアム はたまた 天安門広場やバチカンに 連れてきて押し込んだら もうそこは完全なるカオスです 想像してみてください ウェンブリー・ スタジアムに10万匹のチンパンジー 大混乱ですよね 対照的に 何万もの人が普通に スタジアムに集まりますが それでもカオスにはなりませんよね その代わりに 極めて洗練された 効率的な協力の輪を築きます これまで人類が成し遂げた偉業は ピラミッドであれ 月への飛行であれ それらは全て 個人の才能によるものではなく 大勢が柔軟性をもって協働できるという 人間の能力によるものなのです このプレゼンテーションひとつを とってもそうです 今 300から400人の観衆の皆さんの前に 立っていますが ほとんどの方が 私にとって初めて お会いする方々です 同様に このイベントを 運営している人々のことも 私はよく知ってるわけではありません 昨日 飛行機でロンドンまで来ましたが 操縦していたパイロットや搭乗員のことも 私はよく知りません プレゼンを録画している このマイクやあのカメラを 発明した人や製造した人も 私は知りません このプレゼンを準備するのに本や論文を 読みましたが その著者たちのことを 私は知りません そして インターネットで このプレゼンを見る人々 ブエノスアイレスやニューデリーのどこかで 見ている人々のことを 私は もちろん知りません それにもかかわらず お互いに知らない同士でも ここでアイデアをグローバルに交換するために 私達は協働することができます チンパンジーにはこれはできません もちろん チンパンジーも お互いにコミュニケーションをしますが 遠く離れたチンパンジーの群れに バナナや象や その他チンパンジーが興味が ありそうなことについて 遠路はるばるプレゼンしにやってくる チンパンジーなんていません たしかに 協働がいつも良いわけではありません これまで人間がしてきた忌まわしいことも 実際 我々がしてきた酷いことも 大規模な協力から生まれたものです 監獄も 協力体制の上に成り立っていますし 大虐殺もそうですし 強制収容所も然りです チンパンジーの世界には 大虐殺も監獄も強制収容所もありません 皆さんは納得されるでしょう 人間は大勢でも柔軟性をもって 協働することができるから 地球をコントロールするまでになったと すると 探究心のある方々は すぐに 次の疑問が湧いてきますよね まさにどうやって 協働しているのか ほかの動物にはできないような協働を 可能にするのは何か 答えはズバリ 想像力です 人間は 無数の知らない人たちとも 柔軟性をもって協働することができます それは この地球上で人間だけが唯一 想像したり架空の物語を作り それを信じることができるからです 全員が 同じフィクションを信じれば 同じルールや基準や価値観に従って 全員が行動します その他の動物が行うコミュニケーションは 事実を伝えることだけに使います チンパンジーの場合 「見て!ライオンがいる!逃げろ!」とか 「見て!あっちにバナナの木がある! バナナ取りに行こう!」とかです 対して 人間は事実を伝えるためだけではなく 新しい現実や 架空の現実を創り出すために 言葉を使うのです 人間は「ほら 雲の上に神様がいる もし私の言う通りにしなかったら 死んだ時に 罰として地獄に 送られてしまうよ」と言えるのです もし全員が 今私が作ったこの話を信じたら 同じ規範 法律 価値観に従うことになり 協働が可能になります 人間にしかできないことです バナナを渡すよう チンパンジーを 説得するのに 「死んだら 天国に行けるよ」と約束してもダメです 「その善行によって 天国で たっくさんのバナナをもらえるよ... だからバナナちょうだい」 チンパンジーは 絶対に この話を信じませんよね 人間だけが こういった話を信じる これが人間が地球をコントロールし 一方で チンパンジーが動物園や研究所の檻の中に 閉じ込められている理由です 同意いただけると思いますが 宗教では 同じフィクションを信じることで 信者は団結しています 何百万人という人が一緒になって 大聖堂やモスクを建てたり 十字軍やジハードで戦うのは 神 天国 地獄といったことを 皆が信じているからです しかし ここで強調したいのは 人間がなし得る大規模な協働は どれも まったく同じメカニズムに もとづいているということです 宗教に限ったことではないのです 法律の分野を例として挙げてみます 現在では 世界の法律制度のほとんどは 人権に対する信念を基本としています ところで 人権とは何でしょうか? 神や天国と同じように 人権も ホモ・サピエンスが作った話なのです 客観的な現実ではありません 人類になんら生物学的影響をおよぼすものでもありません 人間のカラダを切って開いて 中を見ると 心臓 腎臓 ニューロン ホルモン DNA でも人権は見つからないでしょう 人権が見つけられるのは 我々が作って ここ数世紀かけて広めてきた 話の中だけです それらは とても前向きで とてもいい話かもしれませんが やはり我々が作り上げた架空の話です これは 政治の分野でも当てはまります 近代政治において最も重要な要素は国家です ところで 国家とは何でしょうか? これらも 客観的には実在しません 山は物理的に存在します 見ることができ 触れることができ 匂いを嗅ぐことができます しかし 国家ー イスラエル イラン フランス ドイツなど 国家は 人間が作ったストーリーにすぎませんが その考えは非常によく定着していきます 経済の分野も同様です グローバル経済で 重要な役割を担っているのが 企業や法人です おそらく ここにいらっしゃる多くの方が どこかの法人に勤めていると思います グーグルやトヨタやマクドナルド これらって つまりは何でしょう? 法律家は これを法的擬制と呼びます 法人も 人間が考案した作り事ですが 強力な魔法使い達によって守られています まぁ 法律家たちのことですが... 法人は 一日中いったい何をやっているのか? 大部分は 金を稼ごうとしているんですよね ところで お金って何でしょう? またしても お金とは 客観的には実在せず 客観的価値もありません この緑色のドル紙幣 見てください 何の価値もありません 食べられないし 飲めないし 着ることもできません でもこれが優れた語り部の手にかかると 大手の銀行マンや 財務大臣や 首相が語ると とても説得力のある話になります 「ほら この緑色の紙が見えますね? これは 実はバナナ10本分の価値が あるんですよ」 もし 私がこれを信じたら そしてあなたも信じたら みんな信じたら 成立するのです この価値のない紙っぺらを持って スーパーマーケットに行って 会ったこともない見知らぬ人に渡して 代わりに バナナを手に入れます バナナは実際に食べられますからね 驚くべきことですよ チンパンジー相手に これはできません もちろん チンパンジーも交換はします 「ココナッツをくれたら バナナをあげるよ」 これなら あります しかし 価値のない紙っぺらを渡されて バナナをくれってどういうこと? とんでもない! 僕を人間だとでも思ってるの? 実際のところ お金は 人間が考案し 受け継がれてきたものの中で もっとも成功した例です 全ての人が信じる唯一のストーリーだからです 全員が神を信じているわけではありません 全員が人権を信じているわけではありません 全員が国家主義というわけではありません ところが お金やドルは 全員が信じるところとなっています オサマ・ビン・ラディンでさえもです 彼は アメリカの政治と宗教と文化を 憎んでいましたが アメリカ・ドルに たてつくことはありませんでした 実際のところ 相当好きだったと思います つまりは 人間は 二重の現実にいるので 世界をコントロールしているんです 他の全ての動物は 客観的実在の世界だけに生きています 彼らの現実は 実在的に存在するもので構成されています 川や木やライオンや象のような 実在です 我々人間も 実在の世界に生きています 川や木もあれば ライオンも象もいます しかし 何世紀にもわたって この実在の世界に加えて フィクションの世界という もうひとつの層を形成していったのです 虚構の世界です 国家 神 お金 法人のようなものです そして 驚くべきことに 歴史の過程で この架空の現実が よりパワーをもつようになり 今日の世界では この架空の存在が もっとも力を有しています 今や 川や木やライオンや象が 生き残れるかどうかは まさに 架空の世界の決定や願いにかかっているのです アメリカ合衆国やグーグルや世界銀行のような 人間の想像の中だけにある存在にかかっているのです ありがとうございました (拍手) ブルーノ・ジュッサーニ: ユバルさん 新しい本を出版されましたね 『Sapiens』出版の後 次の本を執筆して 原書はヘブライ語で まだ翻訳されていないということですが... ハラーリ: 鋭意 翻訳に取り組んでいるところです ジュッサーニ: 私の理解が間違ってなければ この本では いま私達が経験している驚くべき ブレイクスルーについて論じていますね それは 将来的に 私達の生活を 良くする可能性を秘めているだけではなく あなたはこう記しています 「まさに産業革命のように 新しい階級や階級闘争をもたらす」と 少し説明していただけますか? ハラーリ:はい 産業革命では 都市部に労働者階級という 新しい階級が生まれました 過去200年の政治的また社会的な歴史は この階級の扱い 新たな問題や機会 といったことが大いに関係してきました そして 今日は 「役に立たない人々」という 巨大な新しい層ができています コンピューターがより多くの分野において より高度に利用されるようになり 多くのタスクにおいて コンピューターが 人間を超越し 人間が不必要になる可能性が はっきりとしてきました そして 21世紀における 政治的かつ経済上の大きな疑問は 「何のために人間が必要なのか?」 となるでしょう 控えめに言えば 「何のために こんなにも 多くの人間が必要なのか?」 ジュッサーニ:この本の中に 答えは書かれていますか? ハラーリ:今のところ 最も妥当な答えは 彼らをハッピーにさせておくことです ドラッグとコンピューターゲームで... まぁ これはあまり好ましい将来とは 思えませんね ジュッサーニ:あなたは著書 とこの場において こう主張されていますね 著しい経済的不平等を示す傾向が 顕著になっているという議論において 我々は まだ そのプロセスの 初期段階にあると ハラーリ:これは予言ではありませんが 我々の前に その可能性が示されてきています ひとつの可能性は 「役に立たない人々」 という新たな巨大な層の誕生です もうひとつは 今までとは違った 生物学的な階級にー 区分されていくということです 富裕層は 仮想の神へと成り上がり 貧困層は 役立たずの層に成り下がっていくのです ジュッサーニ:1〜2年の内に もう一回 TEDで お話して頂きたいものです ユバルさん 遠路はるばる ありがとうございました ハラーリ:ありがとうございました!
The most important thing to know about prehistoric humans is that they were unimportant. Their impact on the world was not much greater than that of jellyfish or fireflies or woodpeckers. Today, in contrast, we control this planet. And the question is: How did we come from there to here? How did we turn ourselves from insignificant apes, minding their own business in a corner of Africa, into the rulers of planet Earth? Usually, we look for the difference between us and all the other animals on the individual level. We want to believe -- I want to believe -- that there is something special about me, about my body, about my brain, that makes me so superior to a dog or a pig, or a chimpanzee. But the truth is that, on the individual level, I'm embarrassingly similar to a chimpanzee. And if you take me and a chimpanzee and put us together on some lonely island, and we had to struggle for survival to see who survives better, I would definitely place my bet on the chimpanzee, not on myself. And this is not something wrong with me personally. I guess if they took almost any one of you, and placed you alone with a chimpanzee on some island, the chimpanzee would do much better. The real difference between humans and all other animals is not on the individual level; it's on the collective level. Humans control the planet because they are the only animals that can cooperate both flexibly and in very large numbers. Now, there are other animals -- like the social insects, the bees, the ants -- that can cooperate in large numbers, but they don't do so flexibly. Their cooperation is very rigid. There is basically just one way in which a beehive can function. And if there's a new opportunity or a new danger, the bees cannot reinvent the social system overnight. They cannot, for example, execute the queen and establish a republic of bees, or a communist dictatorship of worker bees. Other animals, like the social mammals -- the wolves, the elephants, the dolphins, the chimpanzees -- they can cooperate much more flexibly, but they do so only in small numbers, because cooperation among chimpanzees is based on intimate knowledge, one of the other. I'm a chimpanzee and you're a chimpanzee, and I want to cooperate with you. I need to know you personally. What kind of chimpanzee are you? Are you a nice chimpanzee? Are you an evil chimpanzee? Are you trustworthy? If I don't know you, how can I cooperate with you? The only animal that can combine the two abilities together and cooperate both flexibly and still do so in very large numbers is us, Homo sapiens. One versus one, or even 10 versus 10, chimpanzees might be better than us. But, if you pit 1,000 humans against 1,000 chimpanzees, the humans will win easily, for the simple reason that a thousand chimpanzees cannot cooperate at all. And if you now try to cram 100,000 chimpanzees into Oxford Street, or into Wembley Stadium, or Tienanmen Square or the Vatican, you will get chaos, complete chaos. Just imagine Wembley Stadium with 100,000 chimpanzees. Complete madness. In contrast, humans normally gather there in tens of thousands, and what we get is not chaos, usually. What we get is extremely sophisticated and effective networks of cooperation. All the huge achievements of humankind throughout history, whether it's building the pyramids or flying to the moon, have been based not on individual abilities, but on this ability to cooperate flexibly in large numbers. Think even about this very talk that I'm giving now: I'm standing here in front of an audience of about 300 or 400 people, most of you are complete strangers to me. Similarly, I don't really know all the people who have organized and worked on this event. I don't know the pilot and the crew members of the plane that brought me over here, yesterday, to London. I don't know the people who invented and manufactured this microphone and these cameras, which are recording what I'm saying. I don't know the people who wrote all the books and articles that I read in preparation for this talk. And I certainly don't know all the people who might be watching this talk over the Internet, somewhere in Buenos Aires or in New Delhi. Nevertheless, even though we don't know each other, we can work together to create this global exchange of ideas. This is something chimpanzees cannot do. They communicate, of course, but you will never catch a chimpanzee traveling to some distant chimpanzee band to give them a talk about bananas or about elephants, or anything else that might interest chimpanzees. Now cooperation is, of course, not always nice; all the horrible things humans have been doing throughout history -- and we have been doing some very horrible things -- all those things are also based on large-scale cooperation. Prisons are a system of cooperation; slaughterhouses are a system of cooperation; concentration camps are a system of cooperation. Chimpanzees don't have slaughterhouses and prisons and concentration camps. Now suppose I've managed to convince you perhaps that yes, we control the world because we can cooperate flexibly in large numbers. The next question that immediately arises in the mind of an inquisitive listener is: How, exactly, do we do it? What enables us alone, of all the animals, to cooperate in such a way? The answer is our imagination. We can cooperate flexibly with countless numbers of strangers, because we alone, of all the animals on the planet, can create and believe fictions, fictional stories. And as long as everybody believes in the same fiction, everybody obeys and follows the same rules, the same norms, the same values. All other animals use their communication system only to describe reality. A chimpanzee may say, "Look! There's a lion, let's run away!" Or, "Look! There's a banana tree over there! Let's go and get bananas!" Humans, in contrast, use their language not merely to describe reality, but also to create new realities, fictional realities. A human can say, "Look, there is a god above the clouds! And if you don't do what I tell you to do, when you die, God will punish you and send you to hell." And if you all believe this story that I've invented, then you will follow the same norms and laws and values, and you can cooperate. This is something only humans can do. You can never convince a chimpanzee to give you a banana by promising him, "... after you die, you'll go to chimpanzee heaven ..." "... and you'll receive lots and lots of bananas for your good deeds. So now give me this banana." No chimpanzee will ever believe such a story. Only humans believe such stories, which is why we control the world, whereas the chimpanzees are locked up in zoos and research laboratories. Now you may find it acceptable that yes, in the religious field, humans cooperate by believing in the same fictions. Millions of people come together to build a cathedral or a mosque or fight in a crusade or a jihad, because they all believe in the same stories about God and heaven and hell. But what I want to emphasize is that exactly the same mechanism underlies all other forms of mass-scale human cooperation, not only in the religious field. Take, for example, the legal field. Most legal systems today in the world are based on a belief in human rights. But what are human rights? Human rights, just like God and heaven, are just a story that we've invented. They are not an objective reality; they are not some biological effect about homo sapiens. Take a human being, cut him open, look inside, you will find the heart, the kidneys, neurons, hormones, DNA, but you won't find any rights. The only place you find rights are in the stories that we have invented and spread around over the last few centuries. They may be very positive stories, very good stories, but they're still just fictional stories that we've invented. The same is true of the political field. The most important factors in modern politics are states and nations. But what are states and nations? They are not an objective reality. A mountain is an objective reality. You can see it, you can touch it, you can ever smell it. But a nation or a state, like Israel or Iran or France or Germany, this is just a story that we've invented and became extremely attached to. The same is true of the economic field. The most important actors today in the global economy are companies and corporations. Many of you today, perhaps, work for a corporation, like Google or Toyota or McDonald's. What exactly are these things? They are what lawyers call legal fictions. They are stories invented and maintained by the powerful wizards we call lawyers. And what do corporations do all day? Mostly, they try to make money. Yet, what is money? Again, money is not an objective reality; it has no objective value. Take this green piece of paper, the dollar bill. Look at it -- it has no value. You cannot eat it, you cannot drink it, you cannot wear it. But then came along these master storytellers -- the big bankers, the finance ministers, the prime ministers -- and they tell us a very convincing story: "Look, you see this green piece of paper? It is actually worth 10 bananas." And if I believe it, and you believe it, and everybody believes it, it actually works. I can take this worthless piece of paper, go to the supermarket, give it to a complete stranger whom I've never met before, and get, in exchange, real bananas which I can actually eat. This is something amazing. You could never do it with chimpanzees. Chimpanzees trade, of course: "Yes, you give me a coconut, I'll give you a banana." That can work. But, you give me a worthless piece of paper and you except me to give you a banana? No way! What do you think I am, a human? Money, in fact, is the most successful story ever invented and told by humans, because it is the only story everybody believes. Not everybody believes in God, not everybody believes in human rights, not everybody believes in nationalism, but everybody believes in money, and in the dollar bill. Take, even, Osama Bin Laden. He hated American politics and American religion and American culture, but he had no objection to American dollars. He was quite fond of them, actually. To conclude, then: We humans control the world because we live in a dual reality. All other animals live in an objective reality. Their reality consists of objective entities, like rivers and trees and lions and elephants. We humans, we also live in an objective reality. In our world, too, there are rivers and trees and lions and elephants. But over the centuries, we have constructed on top of this objective reality a second layer of fictional reality, a reality made of fictional entities, like nations, like gods, like money, like corporations. And what is amazing is that as history unfolded, this fictional reality became more and more powerful so that today, the most powerful forces in the world are these fictional entities. Today, the very survival of rivers and trees and lions and elephants depends on the decisions and wishes of fictional entities, like the United States, like Google, like the World Bank -- entities that exist only in our own imagination. Thank you. Bruno Giussani: Yuval, you have a new book out. After Sapiens, you wrote another one, and it's out in Hebrew, but not yet translated into ... Yuval Noah Harari: I'm working on the translation as we speak. BG: In the book, if I understand it correctly, you argue that the amazing breakthroughs that we are experiencing right now not only will potentially make our lives better, but they will create -- and I quote you -- "... new classes and new class struggles, just as the industrial revolution did." Can you elaborate for us? YNH: Yes. In the industrial revolution, we saw the creation of a new class of the urban proletariat. And much of the political and social history of the last 200 years involved what to do with this class, and the new problems and opportunities. Now, we see the creation of a new massive class of useless people. As computers become better and better in more and more fields, there is a distinct possibility that computers will out-perform us in most tasks and will make humans redundant. And then the big political and economic question "What do we need humans for?", or at least, "What do we need so many humans for?" BG: Do you have an answer in the book? YNH: At present, the best guess we have is to keep them happy with drugs and computer games ... but this doesn't sound like a very appealing future. BG: Ok, so you're basically saying in the book and now, that for all the discussion about the growing evidence of significant economic inequality, we are just kind of at the beginning of the process? YNH: Again, it's not a prophecy; it's seeing all kinds of possibilities before us. One possibility is this creation of a new massive class of useless people. Another possibility is the division of humankind into different biological castes, with the rich being upgraded into virtual gods, and the poor being degraded to this level of useless people. BG: I feel there is another TED talk coming up in a year or two. Thank you, Yuval, for making the trip. YNH: Thanks!
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レスラトガの工作員だったというラフェドという男を全員に紹介し、他の参加者の反対意見を聞くだけ聞き置いてから、槍を慣らしたいと側近たちを連れて席を立ったヴェルナーを見送り、ベーンケたちは椅子に沈み込んだ。 その後、ゲッケもすぐに傭兵隊に戻り、ラフェドという男はまず薬師ギルドに顔を出してから薬草ギルドの品ぞろえを確認したいと退席しているので、ベーンケ、ケステン、ホルツデッペのみがこの場に残っている。 「卿は知っておったのか、ベーンケ卿」 「犯罪者をこちらの地方で監督したい、と王都に書状を出したのは知っておりました。まさか他国の工作員だった男だったとは」 ホルツデッペの疑問にベーンケが苦笑交じりに応じる。詭弁はあるが嘘は言っていない。監督するとは言ったが行動の自由を認めないとは言っていないからだ。彼らに反対される前から決めていたとしか思えない。ケステンが腕を組んだ。 「陛下はご存じなのであろうか」 「わかりませぬが、少なくとも王太子殿下か法務関係者には内々で許可を得ていると考える方が自然かと」 ただ、なぜ秘密にしているのかに関しての余地はございますな、とベーンケが口調に冷静さを取り戻して応じ、その言葉を受けてホルツデッペが疑問を呈する。 「それにしても解せん。王都の借金代官などの評判といい、この人事といい、子爵はまるで意図的に自分の評判を落としているようにも見えるが」 「まったくだ」 ケステンも頷く。実際、直接接している彼らから見れば、魔将襲撃の予測があるとは言えヴェルナーはむしろ真面目で働きすぎなぐらいである。 新兵訓練はケステンに、町政はベーンケに丸投げしているものの、町の住民からもよく話は聞くし、王都からの物資を扱う仕事もあり雇用を生み出している。犯罪者に対しては苛烈とも言える姿勢を見せる事もあるが、厳しい所はあるものの気さくで悪い代官ではない、という評価がアンハイムでは普通となりつつあるのだ。 少なくとも贅沢や放蕩からは程遠く、年齢も考えれば平均より上という評価を受けてもおかしくない。もっとも、生き急いでいる、とまで言うと大げさすぎるが、何かに追い立てられているようには感じている。 も問題ではあるが、それ以上王の王都襲撃までには王都に戻りたいと考えているので、ある意味で追い立てられているとは言えるだろう。 「ベーンケ卿はどう見ておるのか」 「さようですなあ......」 顎髭を撫でながらベーンケは少し考え込む。やがて口を開くと、複雑そうな笑顔を浮かべて語りだした。 「まず一つには、王都に戻るための下準備とも思えますな」 「王都に戻るため?」 ホルツデッペが怪訝そうに応じ、ベーンケが頷く。 「卿らもご存じのように、魔将が攻めてくることは予想されておりますが、その後は別、という事です」 「戦いに勝ちこの地をうまく治めすぎているとどうなりますかな」 「引き続きアンハイム地方を治め続けさせるのが最善、という声が上がる事も......なるほど」 「その上、子爵が強敵を倒しておれば今後の対魔軍作戦は楽になる。そう考えれば交代したがる者も出て来るでしょう」 「そこまでして王都に戻りたいのだろうか?」 「若い子爵にここは退屈かもしれませんな」 ホルツデッペの疑問に応じたベーンケの台詞に苦笑が浮かんだ。色町はもちろんあるにしても全体として落ち込んだ雰囲気だったアンハイムである。現在活気が出てきているのは戦争特需のようなものであり、確かに若者向けの町ではない。 とはいえヴェルナーが遊び人型の人間ではないことはよく知っている。やや皮肉がこもった冗談と言っていいだろう。ケステンが組んでいた腕をほどいてベーンケに向き直った。 「婚約者がいるというのは事実なのか?」 さりげなく三人の視線が交差する。あの噂に人為的なものを感じたのは事実であるが、だれが流したのか、という点に関してはそれぞれが疑問に思っている所である。一つ咳をしてケステンが話を戻した。 「子爵がここまで考えているかはわかりませぬ。これは考えすぎかもしれませぬが、皆様ご内密に」 そう言ってベーンケが口を開き、彼自身の予想を話し始める。話が進むうちにやがて他は難しい表情を浮かべ始めた。 通常、貴族家にとっては血よりも家名である。家という存在が残ることが優先され、その意味では分家ができることは家名の存続という可能性が高くなるため望ましい。 つまりこのままヴェルナーが分家として、独立貴族であるツェアフェルト新子爵家となることも、ツェアフェルト全体から見れば立派な報酬となるのである。もちろんヴェルナー自身にとっても若くして一家の長となる実力を認められた、という事で名誉な話であるはずであろう。 だが、ヴェルナーは伯爵家嫡子として家を継ぐ立場だ。それを分家とする以上、本家はどこからか養子を取らなくてはならない。もちろん年齢的な候補はいくらでもいるが、家紋に飾り枠を許された名門ツェアフェルトに相応しい人物となると限られる。 しかし、格好の人物が一人いる。もちろんそれは魔王討伐が成功したら、の話であるが。少なくとも武功としては誰からも異論は出ないであろう人物。 国は勇者を家と血の二つで縛ることができる。ツェアフェルト家は王女を迎え入れるという名誉まで受ける。一方でマゼル・ツェアフェルトとなった勇者は貴族としての振る舞い等には慣れておらず、貴族家としての政治力はむしろ低下する。 他方、ヴェルナーのツェアフェルト新子爵家は、独立して領地を得たとしてもいかんせん当主が若すぎる上に、家を支える家臣団が存在しない。家臣団を育成するのに十年はかかるだろう。 つまり、外面的には功績に応じてツェアフェルトは大きくなるが、当人は評価されているものの力は弱い分家と、領地も名誉もあるが貴族としての能力には疑問符が付く本家に分割という形で、実質弱体化させることができるのだ。 ただこれには条件がある。ヴェルナーが分家当主に相応しいという条件が。そのヴェルナーが借金を大量に作り、その上他国の、しかも国に害を与えようとした罪人を幕僚としていたとなると、はたして分家当主としてふさわしいと言えるかどうか。 誰かがツェアフェルト家を分割統治しようとしていたのであれば、あのラフェドという男を部下にして働かせた事だけでもその計画には楔が撃ち込まれた格好になる。反乱や反抗という形ではないが、一方的に利用されるだけではないぞと牽制したとも言えるだろう。扱いやすいとヴェルナーを軽く見ていた貴族には今回の行動に驚愕が走ったかもしれない。 「子爵家程度の家格で、分家を庇うはずの本家が政治慣れしていないとなれば、これほど利用しやすい相手はいない。卿の考え方を積極的に働きかけていた家があったかもしれん」 「うまく左遷させた、と思っていた貴族家から見ても確かに衝撃的だ。子爵家当主ならいざ知らず、評判が悪かろうと伯爵家嫡子をいつまでも地方に置いておくわけにもいかない。必ず王都に戻ってくる」 「これはあくまでも想像。そのようなことを考えていなかった場合もありえますがな」 ベーンケは主語をさりげなく口にしなかった。貴族社会が分割統治を考えていなかったとも、ヴェルナーの行動がそこまで考えていなかったともとれる言い回しである。考えていなかったとは思えないのは事実だが、他の二人もあえてそこは言及を控えた。ホルツデッペが首をかしげながら口を開く。 「それほど伯爵家当主の座が欲しいのだろうか」 「むしろ、悪評を被りながら勇者殿を政治の場から庇おうとしているように思えますな」 仮に勇者が別の貴族家、例えばフィノイ攻防戦前に滅ぼされて現在空位となっているフリートハイム伯爵の後を継ぐような形になった場合でも、ヴェルナー自身が伯爵家を背負っていれば宮廷内で後ろ盾になることができる。どこまで狙っているのかは別にして、ヴェルナー自身の欲よりも他人のための行動である様子が垣間見えるのである。そう評したベーンケの台詞に二人も頷いた。 お互いの背後に誰がいるのかを理解している三人は、互いにさりげなく視線を交差させる。やがてケステンが苦笑交じりに呟いた。 「うむ。何をしでかすやらわからぬ」 この国の貴族でヴェルナーほど自分の名誉にこだわらない人間は恐らく前例がないだろう。ベーンケとホルツデッペが同意し、三人は笑い出した。
After Welner introduced Rafed to his subordinates and mentioned that he would be working with them, he was met with many objections. Welner listened and retorted to his subordinates’ objections. Once done, he left the room with his close aides to train, so he could get used to his new spear. Not long after, Gekke left the room, and lastly, even Rafed left the room after saying that he wanted to visit the Pharmacy Guild and check the herbs stocked by the Herb Guild. In the end, only Behnke, Holzdeppe, and Kesten were left in the room. “Did you know about Rafed, Sir Behnke?” “Well, I did know that the Viscount sent a letter to the capital to ask for a certain criminal to be supervised here instead of in the capital, but I didn’t know that the criminal in question was a spy from another country.” Behnke answered Holzdeppe’s question with a wry smile. Technically, he didn’t lie since the letter that Welner sent did mention supervising a criminal, although it didn’t mention that the criminal’s action would be restricted. The three of them could only assume that everything had gone according to Welner’s plan. Kesten crossed his arms. “Did His Majesty know that this would happen?” (Kesten) “I do not know about His Majesty, but Sir Welner must have at least gotten private permission from His Highness the Crown Prince, or at least from the people of the Ministry of Justice.” (Behnke) “...Although I don’t know why he kept it a secret despite having permission.” Behnke, who had regained his calm, added. “First there’s a rumor of a debt-ridden governor and now the recruitment of a criminal as his subordinate. Why does it seem that the Viscount purposely soiled his reputation?” (Holzdeppe) Even after adding the fact that Anheim might be attacked by demons, Welner still seemed to be a rather too diligent of a governor to the point that they felt Welner had overworked himself. Welner might have pushed the training of new recruits to Kesten and the administration job to Behnke, but his reputation among the towns’ citizens was good. By having supplies constantly coming to the town from the capital, Welner had created new job opportunities for the town’s citizens. His attitude toward the criminals might be harsh, but overall he was known as a friendly, good governor who was a bit stern. At the very least, Welner was far from the image of an extravagant and douchebag noble. The three of them evaluated Welner as a good governor despite his young age, although they also felt that Welner was hasty, as if he was being chased by something. Their feelings were correct. Welner wanted to return to the capital as soon as possible, so, in a sense, he was being chased by the time. “What is your view of the Viscount’s action, Sir Behnke?” “Well...” Behnke stroked his beard while thinking, then with a complicated smile on his face, he started to talk. “First, I could see that the Viscount did all of this, so that he could return to the capital.” “The capital?” Holzdeppe replied doubtfully, to which Behnke nodded. “As Sirs know, it is predicted that the demon general will attack us, but then what will happen after the attack?” (Behnke) “If he defeated the demons as a well reputed governor of Anheim, what do you think will happen?” (Behnke) “People would push him to continue being governor of Anheim... Ah, I see.” (Holzdeppe) “Adding to that, if the Viscount won the battle with the demons, many would think that it would be better for the Viscount to continue helping the kingdom to fight with the demon army rather than being a governor of Anheim.” (Behnke) “Does the Viscount want to return to the capital that badly?” “I suppose this town must be boring for the young Viscount.” A wry smile appeared on Behnke’s face as he answered Holzdeppe’s question. Although there was a red-light district in Anheim, as a whole, Anheim was a quite depressing town. The recent liveliness was a temporary thing brought about only because of the upcoming war. Anheim was certainly not a town suited for a young man like Welner. However, the three also understood that Viscount was certainly not the type of person who would play around. Kesten uncrossed his arms and asked Behnke, “You said first. Does that mean there are other reasons?” “Is the rumor that the Viscount has a fiance true?” (Holzdeppe) The three then exchanged a gaze. It was true that they felt that the rumor about Welner’s fiance seemed to be created on purpose, but they didn’t know who created it. With a cough, Kesten said, “Sir Behnke, do you think there is another reason?” “There is another reason I can think of, but I don’t know if the Viscount has actually thought so far. This might be me overthinking it, so please keep what I am about to tell you among us.” Behnke then explained his thoughts, making Kesten and Holzdeppe show complicated expressions. Normally, in a noble house, the house’s honor was more important than a blood relationship. As the continuous existence of the house was also a priority, creation of a branch house was desirable as its existence increased the probability of the house’s long continuation. In other words, the creation of a branch house would be an excellent reward for the Zeavert house, while Welner would receive the honor of being appointed as the head of this new branch house despite his young age. However, Welner was the sole heir of Zeavert House. If he was made into a head of a new noble family, Zeavert House would need to adopt a son to be its new heir. Of course, many candidates would be appropriate to become the new heir of Zeavert House in terms of age, but the truly excellent young nobles who were worthy of assuming the crest of Zeavert House were few. Coincidentally, there was one person who stood up among these few. If this person succeeded in defeating the demon king, no one would doubt that he was worthy to become the new heir of the Zeavert House, at least in the term of military power. ...The kingdom would then be able to tie down the hero with a noble house and a blood relationship while the Zeavert house would receive the honor of welcoming the princess into their house. On the other hand, the new noble Mazell Zeavert would not be accustomed to the noble’s ways, so his political power would be rather weak. As for the new branch house, although it would have its own territory, on top of its head (Welner) being too young, the house would also have no vassals capable enough to support it. It would take at least years for a new noble house to train vassals capable enough to support the house. In short, although the creation of a branch family would be expanding the Zeavert house on the surface, it would effectively weaken the Zeavert house’s power. The new branch family might be highly regarded by others but its actual power would be weak, while the main family would have territory and honor, but the ability of the new head of the main family would be doubted. But for a branch family to be created, Welner must be a character who was deemed suitable to become the head of the branch family. With Welner’s current reputation of debt-ridden and employer of a criminal, he was certainly not the least bit suitable to become the head of a branch family. Therefore, there was no way that the kingdom could set a bad precedent of a debt-ridden noble who had a criminal among his vassals, creating a new noble house. If anyone was plotting to make Welner a new head of a branch family, the mere fact that Welner had employed a criminal had ruined that plan. Welner’s action of employing a criminal was not a form of insubordination or rebellion, it was merely a warning to anyone who was planning to use him as a pawn. The nobles who had thought lightly of Welner because they were able to easily drive Welner out to the Anheim must have received a shock by now. “There is nothing easier to use than a Viscount branch house which has lost the protection of its main house because the head of the main house is not used to politics. I can see how other houses might have thought of using this chance to weaken the Zeavert house, just like what Sir said.” (Holzdeppe) “And the Viscount’s action this time was certainly shocking to the nobles who thought the Viscount was obediently accepting his demotion. Moreover, no matter how rotten the Viscount’s reputation is, he is still the heir of a Count house, so in the end, the Viscount will definitely be called back to the capital.” (Kesten) “All of that scenario was nothing but my prediction. It is certainly possible that this sort of thing will not happen.” (Behnke) It was hard to believe that the nobles and Welner himself did not think that the branch family scenario would not happen, but Behnke and the other two dare not mention that. “Does the Viscount want the position of the Count that badly?” while tilting his head, Holzdeppe asked. “To me, it seems like he is trying to protect his friend, the hero, from politics, even if that means he has to shoulder a poor reputation.” If the hero was granted the title of the head of some other noble house, like the title of the now vacant Count Fleethem for example, Welner who had the power of a Count house would be able to support his friend in the court. Welner might have not thought this far, but as the three had observed, he was certainly the type of person who would move for others’ sake, not for his greed. As such, the two nodded at Behnke’s words. The three of them who all understood just who exactly sent them here all casually exchanged glances with each other. Eventually, Kesten muttered with a wry smile, “Regardless, the Viscount is indeed an eccentric man.” “I agree” (Behnke) “Yes. You certainly never know what he is going to do.” (Holzdeppe) The three then burst out laughing. In the kingdom’s history, there was probably no noble who was as unconcerned with his own reputation as Welner was.
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騎士団の出撃準備の手伝いを終え、その出発を見送ると、イングリス達は騎士アカデミーへと戻った。時刻は既に夕刻、丁度お腹も空いた所だ。 「あー、お腹空いたわね~早く食堂に行って晩ご飯にしましょ」 ラフィニアはお腹をすりすりと擦っている。 「うんラニ。今日から新メニューが出るはずだよ」 「あ! そうだったわね! 楽しみ~♪」 「へぇ? どんなメニューかな? 新しいサラダか野菜のスープが欲しいわね」 太りやすいからと普段から食事に気を使っているレオーネらしい望みである。 「わたくしはもう少しデザートの種類が欲しいですわ。あまり種類が無くて、飽きますのもの」 リーゼロッテのリクエストも分かる。しかし―― 「「どっちもちがう」」 イングリスとラフィニアは揃って首を振る。 「知ってるの? 何?」 「「超特大骨付き肉の炙りチーズ焼きと、超特大全部乗せホワイトソースパスタと、超特大全部乗せ激辛パスタと......」」 「ちょっと! 超特大ばっかりじゃない! 何なのよそれは......!?」 「「リクエストしたから」」 食堂で新メニュー案を募集していたのだが、皆あまり関心が無いのか現状に満足なのか、それ程案は集まっていなかった。 「ぜ、全部乗せは何ですの?」 「「うしとぶたととりとおさかなが全部具になってるの!」」 「う......聞いただけで胸やけがしてきますわね......」 「お、美味しいの、それ?」 「うん。見た目は悪いかも知れないけど、食べてしまえだし」 「そう。あたし達はどうせ全部食べるから、一まとめにしちゃおうって事よ」 その方が食堂のおばさんたちも助かるだろう。 「ホワイトソースも激辛も新しい味だし」 「新しい味と、具は選べないから全部乗せちゃえ! って事ね」 「楽しみだね、ラニ」 「そうね、クリス」 イングリスとラフィニアは目を輝かせて頷き合っている。 「「ははは......」」 見守るレオーネとリーゼロッテは、乾いた笑いを浮かべるしかなかった。 ドガアァァァンッ! アカデミーの中庭の方から轟音が響き、煙が上がった。 「!?」 「な、何......!?」 「煙が上がってるわ!」 「中庭の方ですわね!」 直後にざわめきが起き―― 「行ってみましょ!」 ラフィニアが号令し、皆で中庭の現場に向かった。 崩れた壁の前には倒された魔石獣の残骸が転がっていた。 「火を消すぞ!」 「大丈夫、すぐ消し止められる!」 既にその場にい生の先輩達が、消火を始めていた。 「それより、シルヴァさんは大丈夫か!?」 「シルヴァさん! 大丈夫ですか!?」 「しっかりして下さい!」 辛うじて意識はあるようだが、自分では立てず、他の生徒に助け起こされていた。 「シルヴァ先輩......!?」 「ひ、ひどい怪我だわ......!」 特級印を持つシルヴァをここまで傷つけるとは、あの魔石獣が余程強かったのか、それとも現れた数が大量過ぎて多勢に無勢だったか――? 「だ、大丈夫だ......この程度。それよりリップル様が目を覚まされる前に、別な場所にお連れしろ。こんな姿をご覧に入れるわけには行かない。お気になされてしまう」 「わ、分かりました!」 そこにちょうど、騒ぎを聞きつけたミリエラ校長がやって来た。 「こ、これは――!? し、シルヴァさん、大丈夫ですか!? あなた程の人がこんなになるなんて、一体何が......!?」 「こ、校長先生......面目ありません、これは僕の不手際です。済みませんでした」 しかしそのシルヴァの発言に、異を唱える三回生達がいた。 「違う! シルヴァさんが悪いんじゃない!」 「そうだ! こいつがヘマしたせいで!」 三回生の一人に掴みかかられている生徒は―― 「ラティ?」 いつものように、騎士科のプラムも一緒である。 「す、済まねえ......あんたらの言うとおりだ――俺のせいでこんな事になっちまった」 ラティは顔を青ざめさせて、俯いている。 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ! ラティは私を助けようとして......! だから私のせいです! 本当にごめんなさいっ!」 プラムは涙目で、何度も頭を下げていた。 「ラティ、プラム。何があったの?」 「あ、イングリスか......あ、あの先輩が、魔石獣にやられそうになった俺を庇ってくれてさ......それでこんな大怪我を――」 「そうだ! お前のせいだぞ! お前のせいでシルヴァさんが!」 「よ、止せみんな......!」 シルヴァが熱くなる三回生達を制止した。 「シルヴァさん――!」 を持たない力無き者を、力ある僕が守るのは当然のこと――怪我は無かったか?」 と、シルヴァはラティに問いかけた。 「う、うっす......ありません」 「そうか――なら、いい......」 それっきり、がくりと気を失ってしまった。 「シルヴァさん......! い、いけませんかなりの深手です! 下手すれば命に関わりかねません! すぐに医務室へ!」 「ラニ......」 とイングリスが声をかける前に―― 「待って下さい! あたしが何とかしてみます! 試したい事があるの!」 ラフィニアは既に前に進み出て、そう宣言していた。
After they were finished helping the Chivalric Order preparing for their departure, Inglis and the other three returned to the Knight Academy. It was already evening and they were getting peckish. 「Aah, I’m so hungry~! Let’s hurry up and get some dinner at the cafeteria.」 Said Rafinha while she rubbed her stomach. 「Yeah, Rani. There should be new items on the menu today.」 「Ah! That’s right! I’m looking forward to them~ 𝅘𝅥𝅮」 「Heeh? What kind of menus are they? I wish they’re a new salad or vegetable soup.」 Leone responded. It was a wish that sounded right coming from Leone, as she was easy to get fat and careful with her food. 「As for me, I wish they had new varieties of confections. There isn’t much on the menu that I’m getting tired of them.」 Inglis also understood Liselotte’s request. However—— 「「Neither of them.」」 Inglis and Rafinha shook their heads in unison. 「You know? What are they?」 「「Double-extra large seared cheese on grilled bone slice, double-extra large bechamel sauce pasta with all toppings, double-extra large extremely hot pasta with all toppings, double......」」 「Wait! They’re all double-extra larges! What the hell with that......!?」 「「We requested them.」」 The cafeteria was taking proposals for new menu items, but either the students weren’t interested in them or they were already content with the current menu line-up, there weren’t many proposals that came in. However, Inglis and Rafinha were aggressively submitting their proposals. People with bigger voices would be heard at times like this. Not doing was theirs to blame. 「Wh-, what do “all toppings” consist of?」 「「They have beef, pork, chicken, and fishes, everything!」 「Uuuh...... Just listening to that gives me heartburn......」 「A- are they delicious?」 「Yeah. They might appear unappetizing, but they are all the same once they’re in our stomachs.」 「Yup. We’re going to eat them all anyway, so we put ‘em all together.」 And that saved time for the cafeteria aunties too. 「Both bechamel sauce and extremely hot sauce are new flavors, too.」 「And since they’re new flavors and we’re not picky with the toppings, so we just mix ‘em together, meat and all!」 「I’m looking forward to it, Rani.」 「Seconded, Glis.」 Inglis and Rafinha nodded at each other, their eyes sparkling with excitement. 「「Ha ha ha......」」 Leone and Liselotte could only laugh dryly as they watched over them. It was then... Kaboom! A thunderous roar sounded from the Academy’s courtyard, with smoke billowing up. 「!?」 「Wh-, what is happening......!?」 「There’s smoke!」 「It’s coming from the courtyard!」 Immediately after that, commotion rose. They couldn’t see with their position adjacent to the main gate, but they could feel chaos taking place. 「Let’s go over there!」 Commanded Rafinha and they all headed for the scene. A huge portion of the school building’s wall collapsed with flame eating it out. In the front of the said wall were what seemed to be the remains of Magic Stone Beasts, laying unmoving. It was the large kind with a higher power level that had begun to emerge a while ago. At any rate, the battle itself seemed to be over already. 「Put the fire out!」 「It’s all right, we’ll put it out!」 Third-year students who had been there since the beginning were already putting out the fire so there was no concern of collateral damage. Rather, there was another more pressing issue. 「Is Sir Silva alright!?」 「Sir Silva! Are you okay!?」 「Please pull yourself together!」 Silva was lying down surrounded by other senior year students. It seemed like he received quite a serious blow, apparent from the wounds that covered his body. He was barely conscious and couldn’t stand up by himself so he had to be assisted by other students. 「Senior Silva......!?」 「Wh-, what bad injuries......!」 Looking at how badly wounded Special Grade Rune bearer Silva was, either that Magic Stone Beast was that much stronger, or the amount of Magic Stone Beasts that emerged was so huge that he was outnumbered? Either way, something unusual must have happened. 「I-, I’m fine......just a flesh wound. Rather than that, bring Lady Ripple away before she is awakened. We can’t have her see me like this, or else it will haunt her mind.」 「U-, understood!」 The student who received Silva’s order went to take Ripple away from the scene. It was then Principal Miliera came over after she heard the commotion. 「Wh-, what is happening——!? M-, Mister Silva, are you alright!? How could someone of your caliber get injured so badly......!?」 「P-, Principal......I’m ashamed to say that this is my fault. I’m sorry.」 However, the third-year students raised objections to such statements by Silva. 「That’s not true! You’re not at fault, Sir Silva!」 「That’s right! It’s all because of this punk passing by!」 The one clutched by the third-year student was—— 「Lahti?」 Squire division first-year student Lahti. As usual, along with him was Knight division student Pullum. 「S-, sorry...... They’re right... It’s all because of me that this all happened.」 Lahti’s pale face was looking down. 「I’m sorry I’m sorry I’m sorry! Lahti was trying to save me......! That’s why it was my fault! I’m really sorry!」 With tears swelling, Pullum was bowing her head again and again. 「Lahti, Pullum. What happened?」 「Ah, Inglis huh......that senior, he covered me when I was targetted by the Magic Stone Beast...... because of me, he was injured!」 「That’s right! It’s because of you! It’s your fault that Sir Silva——!」 「S-, stop it, all of you......!」 Silva controlled his peers that were getting fervent. 「But Sir Silva——!」 「It’s our mistake since we brought them into the subspace with us to begin with. Not to mention, it’s only natural for people with strength like me to protect those who are weak and runeless. Are you injured?」 Silva asked Lahti. 「Y-, yah...... I’m not.」 「I see—— That’s, good......」 At the end of his words, he lost consciousness. 「Mister Silva......! Th-, this is bad, the wound is severe! He might lose his life! Bring him to the infirmary, quick!」 「Rani......」 But, before Inglis could say anything—— 「Please wait! Let me do something for him! There’s something I need to try!」 Rafinha already stepped forward and announced so.
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「途中でカレスさんのお店に寄って行きましょう。薬草の方は持って来てあります」 「いつの間に......ありがとうございます」 どうやら、ライラさんが馬車に薬草を積んでいてくれたらしい。 屋敷にいる誰かが、ニックに渡してくれたらと考えていたんだが、ライラさんは店に寄る事を想定してたようだ。 優秀なメイドさんだな。 「はい、お願いします。行きましょう、ライラさん」 「はい」 ラクトスの街で、執事さんに馬車を預けるのを任せ、俺とライラさんはカレスさんの店に急ぐ。 途中ですれ違ったりしなかったから、大丈夫だと思うが、ニックが屋敷へ出発してしまうと手間だからな。 「おや? これはタクミ様。本日はどうされたので?」 店の前で、準備をしていたカレスさんを見付けて声を掛ける。 カレスさんは俺を見て、何故ここに来たのか不思議顔だ。 まぁ、予定していなかったから当然か。 「この街に来る用があったので、ついでに薬草を持ってきました」 俺が持って来た薬草の入った袋を受け取りつつ、カレスさんは笑いが止まらないといった様子だ。 粗悪な薬草を売る店と違って、ちゃんとした物を売ってるから評判になるのは当然と思うが、それでも自分の作った物を褒められるのは嬉しいな。 「ニック。ちょうどこの街に来る用があったからな。ついでに薬草を届けに来たんだよ」 カレスさんと話してると、店の中からニックが出て来て驚いている。 まだニックが出発する前で良かったな。 「カレスさん、ニックの働きはどうですか?、屋敷に来るニックを見る限り、真面目に働いてそうですけど」 いい機会だから、ニックの事をカレスさんに直接聞いておこう。 店員さんからの話も聞いてるが、使う人に聞くとまた違う評価があるかもしれないからな。 「こちらが驚く程真面目に働いてくれてますよ。始めたばかりなので、まだ覚える事が多いのは仕方ないですが、これがあの暴れてた男かと私や他の皆も驚く毎日です」 「いやーははは」 カレスさんの評価に、ニックは照れたように頭を撫でている。 ふむ、考えていたよりも高評価だな。 「やっぱり何か、しでかしましたか?」 カレスさんが言葉を止めて、難しい顔をする。 何かやらかしたのかな? 「もう少し、接客というものを学んで頂きませんとな......先日も、お客様に対して少々無礼な対応をしてしまいましたので」 「あれは......あの客が悪いんでさぁ。アニキの薬草にケチを付けるから......」 「はぁ......ニック......それでもな、お客様の対応と言うのは、丁寧にしなきゃいけないんだぞ」 クレーマーというのは何処にでもいるものだ。 ニックからしたら、俺が作った薬草に難癖を付けられて気分が悪かったんだろうと思うが、相手はお客様。 それに、その対応を他のお客が見ている事もあるから......対応は慎重にしないといけない。 今まで暴れたり、人に絡んでいたりで好き勝手やって来たようだから、その辺りの事を教え込まないといけないんだろうな。 「あぁ、すみません。カレスさん、ニックの事は任せても大丈夫ですか?」 「はい、わざわざ薬草を届けて頂いて、ありがとうございました」 ライラさんに言われ、孤児院に行かないといけない事を思い出す俺。 ミリアちゃんを待たせちゃいけないな......ニックに接客の指導をするのはカレスさんに任せ、俺は二人と別れて孤児院へ向かった。 「いえ。あのままでは、ニックさんの指導を始めそうでしたので、止めさせて頂きました。時間には余裕があります」 孤児院に向かう途中、ライラさんと話す。 ちなみに馬車を預けていた執事さんは、店を離れた辺りで合流した。 ニックに指導をするのはカレスさんに任せたが、ライラさんに止められなければ、あのまま熱の入った指導をしていただろうな......。 「すみません、ミリナちゃんを迎えに来ました」 「あぁ、タクミ様。ようこそいらっしゃいました。ミリナは院長と一緒に首を長くして待っていましたよ」 孤児院に着き、入り口の掃除をしていた女性に話しかける。 確か......以前来た時も対応してくれた人だったな。 その人は、迎えを待ってそわそわしてるミリナちゃんの様子を思い浮かべて、クスクス笑いながら中へ通してくれた。 「アンナさん、失礼します。ミリナちゃん、迎えに来たよ」 「師匠、待ってました!」 通された部屋は客間のような場所。 そこに入って、院長であるアンナさんに挨拶をしながら、ミリナちゃんにも声を掛ける。 俺をみたミリナちゃんは、輝くような満面の笑みを浮かべ、俺に向かって駆けて来る。 「準備は出来てるかい?」 「タクミ様、ミリナの事......よろしくお願いします」 ミリナちゃんは、まとめてある荷物をいくつか持ち、外へ出て行く。 アンナさんには、しっかりミリナちゃんを預かる責任を持つ事を伝え、頷いておいた。 深々とお辞儀するアンナさんを残し、俺もミリナちゃんを手伝うために部屋を出た。 「これで全部かい?」 「はい。元々あまり物を持つ方では無いので」 ミリナちゃんの荷物を手分けして持ち、孤児院の外に出る。 家具とかは屋敷の方で用意するようだから、服や小物等がほとんどだ。 あまり物を持つ方ではないと言うミリナちゃんだが、そこは女の子、結構な量があった。
“We should stop at Mr. Kalis’s store on the way there. I took the liberty of bringing the herbs with me.” “You did... Thank you.” Apparently, Ms. Lyra had loaded the herbs into the carriage. I had been hoping that someone in the mansion would hand them over to Nick, but Ms. Lyra had expected us to stop by the store. She was a capable maid. “Well, I will follow after you in just a moment. Please go ahead to Mr. Kalis.” “Yes, thank you. Let’s go, Ms. Lyra.” “Yes.” We left the butler and the carriage and hurried on to Mr. Kalis’s store. As we hadn’t seen him on the way, it was probably fine. But I wanted to get there before he departed for the mansion. “Mr. Kalis.” “Oh? Mr. Takumi. What can I do for you today?” I saw Mr. Kalis making preparations in front of the store, and so I called out to him. Mr. Kalis turned to us with a puzzled expression. Well, we hadn’t told him that we were visiting. “We had business in this town, and so I thought that I’d bring the herbs as well.” Thank you for being so considerate. Your herbs have been received very well, and they are practically flying off the shelves.” Mr. Kalis accepted the bag of herbs and could not stop laughing. While it was probably the fact that they were proper herbs that were effective, unlike that other store, it was still nice to have your work praised. “Huh? It’s you, brother. Why are you here? I was just about to go to the mansion.” “Nick. I happened to have business here. And so I delivered them for you.” As I was talking to Mr. Kalis, Nick came out of the store with an expression of surprise. I was relieved to see that he hadn’t departed yet. “Mr. Kalis. Has Nick been working hard? Judging by his regular visits at the mansion, he seems to be doing his job.” As it was a good opportunity, I decided to ask Mr. Kalis about him directly. I had heard from the other clerks, but perhaps they had differing opinions. “Surprisingly, he is doing his job. As he only just started, there is a lot to learn. But I would have expected a lot less from such a violent man.” “Ah. Hahaha.” Nick chuckled with an embarrassed expression as he scratched his head. Hmm. That was better than I was expecting. “However...” “So, did he do something after all?” Mr. Kalis paused with a stern expression. What had he done? “He really must learn how to deal with customers properly... He was quite rude towards them the other day.” “Oh, that... No, it was the customers fault. They were whining about your herbs, brother...” “Ha... Nick... Regardless, you have to be polite when dealing with customers.” There would always be people who had unreasonable complaints. I suppose Nick was just offended on my behalf, but this was still a customer. Besides, other customers might have been watching his reaction... You had to be very careful. Up until recently, he was quick to argue and fight without thinking of the consequences, and so he had to be taught when it came to such things. “Mr. Takumi, we should be...” “Ah, pardon me. Mr. Kalis, can I leave it to you then?” “Yes, don’t worry. Customer service is something I can beat into him.” “...Please be gentle...” “We must leave then.” “Yes, thank you for delivering the herbs.” “See you later, brother!” Ms. Lyra reminded me that we had to go to the orphanage. I didn’t want to keep Milina waiting... And so I left Neck in Mr. Kalis’s hands, and the two of us left the store and headed towards the orphanage. “Sorry, Ms. Lyra.” “No, not at all. But it looked like you were going to start lecturing Nick, and so I had to intervene. We still have some time.” “I see. But I’m glad that you stopped me.” I talked with Ms. Lyra as we made our way to the orphanage. We reunited with the butler shortly after leaving the store. As for Ms. Lyra’s fear, I could not deny that I would have likely become carried away as I instructed him... “Excuse me. We came to pick up Milina.” “Ah, Mr. Takumi. Thank you for coming. Milina and the headmistress have been waiting for you.” When we arrived, we were greeted by the woman who was sweeping the entrance. I think...she was the same person who was here last time. I couldn’t help but imagine Milina waiting restlessly, and I chuckled as we were let in. “Excuse me, Ms. Anna. We have come to pick up Milina.” “Thank you for coming, Mr. Takumi.” “I’ve been waiting for you, master!” We were led into a drawing room. I then greeted Ms. Anna and Milina. Upon seeing me, she broke into a bright smile and rushed towards us. “Are you ready to leave?” “Yes. I have all my things together!” “Mr. Takumi, please...take good care of her.” Milina picked up some of her things and left the room. I assured Ms. Anna that I would take full responsibility for her, and nodded. She bowed deeply in reply, and then I too left to help Milina. “Is that all?” “Yes. I never had much to begin with.” Together, we were able to carry all of her luggage, and so we stepped out of the orphanage. As furniture would be provided for her at the mansion, she only needed her clothes and small personal belongings. But while Milina assured us that she didn’t have much, she was still a girl, and so it was actually a decent amount.
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物置から地下に入ったジョーンズは、買い出してきた荷物をトロイに渡した。 必要な物としては照明用のランタンと人数分の寝袋。食料と飲料水、それに着替えなど。 洗濯などは出来そうにないので、これは重要な準備だった。 「ジョーンズ、外の様子はどうだった?」 「そりゃもう、ここに入るのす労だったぞ。兵士は村の外周を封鎖しに向かったけど、それでも少数は屋敷に残っていたからな」 「警戒はさらに増したか」 「だが、ここがバレている様子はない。嬢ちゃんの読みは当たったってことだな」 だからこそ、木を隠すなら森の中と言わんばかりに屋敷の間近に隠れるという選択肢を採った。 その判断ができるだけで、フィーナが並児ではないことがわかる。 「急いで村の外に出ていたら?」 「多分、逃げ切れなかっただろうな。ライエルとマリアだけならともかく、マクスウェルまで来たのは予想外だった」 「考えてみれば、当たり前だよな。なんで思いつかなかったんだか」 「犯罪を犯す時なんて、そんなもんかもな。追い詰められてて、それしか手段がないように思えてしまう」 買い物袋からランタンを取り出しながら、ジョーンズはぼやいた。 の魔法は必要ないだろ」 「ああ、すまん。助かるよ」 地下に隠れてから、内部の明かりはゼルの使う魔法によって賄われていた。 逃亡に際して、金が必要になることも考えられたからだ。 「嬢ちゃんは?」 「今は寝てる。この年頃の子供なら、無理もない」 ジョーンズの質問にトロイが答える。彼自身、似たような年頃の娘がいただけに、一際思い入れがあるようだった。 寝袋の中にカーバンクルと一緒になって潜り込むフィーナを、誘拐犯とは思えないような優しい顔で見守っていた。 ゼルはそんなトロイを見ながらランタンに火を灯す。それを壁に掛けようとした瞬間にランタンが突如破裂し、同時に彼が維持していた どうやらどこからともなく小石が飛来し、ランタンを破壊したようだった。 「な、なんだ!?」 「わからん! それに魔法が――」 慌ててゼルは再度魔法を使おうと詠唱しようとした。その喉元に、細い糸が絡みつく。 の魔法だ。干渉系のな」 「だ、誰......ぐぁっ!!」 闇の中から何者かの声が聞こえ、誰何しようとしたゼルだったが、それは叶わなかった。 首に巻き付いた糸が急激に締まり、同時に後ろに引っ張られたからだ。 そしてゼルの背中に、別の何者かの背中が当たる。まるで背負われるかのような状態で、ミシミシと首の糸が締まっていく。 「あっ、ぐっ!」 「ゼル、どこだ!? がふっ!」 「げふっ、ぐはっ」 トロイの声に反応するかのように、ゼルの喉が解放され、同時にトロイの悲鳴が聞こえてきた。 解放されたゼルだが、それどころではなく床に崩れ落ち、喘ぐように空気を貪るゼルの首に手刀が落とされ、彼はあっさりと気絶した。 トロイの方も、みぞおちに蹴りを打ち込まれ、悶絶している。 どうやら侵入者はゼルを解放するや否やトロイに蹴りを撃ち込み、その後ゼルを気絶させたようだった。 「ゼル、トロイ! どうしたんだ!?」 急な暗闇に、唐突に聞こえてくる悲鳴。一人残されたジョーンズはまるで救いを求めるかのように仲間の名を叫ぶ。 それが彼の位置を侵入者――レイドに知らせることになるとは知らずに。 混乱し、叫び続ける無防備なジョーンズの正面から首筋に回し蹴りを叩き込み、彼を気絶させる。 そして誰の声も聞こえなくなった闇の中で、レイドの声が響いた。 「カッちゃん、明かり」 時間は短かったが、これだけ騒々しく暴れたのだから、カーバンクルは目を覚ましているはず。 そう判断して声をかけたレイドだったが、その推測通り、カーバンクルは目を覚ましていた。 逆にフィーナは、まだ目を覚ましていなかった。子供の眠りは深い。 明るくなった地下室には、倒れた三人の男とレイド。そして寝袋に入ったままのカーバンクルとフィーナがいた。 倒れている男たちは揃って意識が無いが、呼吸はしっかりとしており、死んではいないことがわかる。 「よしよし、死んではいないな。フィーナを見る目からなんか事情がありそうだったから、殺すまでもないかと思ったんだが」 カーバンクルは『やり過ぎ』と言わんばかりに首を振っているが、レイドからすればこの程度で済ませたのは慈悲である。 もしこの場に来たのがライエルだったなら、彼らは今頃肉片と化していただろう。 レイドは溜息をつくカーバンクルを無視して、ジョーンズが買ってきた荷物を漁る。 「お、寝袋が人数分あるな。犯人を縛り上げてこいつに突っ込んでから 言うが早いか、予備のピアノ線を使用して手早く三人を縛り上げ、頭から寝袋に突っ込んでから口を閉じた。 こうすれば三人は視界を塞がれるため、どこに運ばれるか理解できず恐怖感を募らせる。 「よし、じゃあ帰るぞ。ほら、お前も寝袋から出ろって」 フィーナを寝袋から引っ張り出し、片腕で抱き上げる。 同時に残った腕で魔法陣を描き、男たちを詰め込んだ寝袋を宙に浮かせる。 それらを糸で結んで引っ張り、出口に向かった。 こうして三か国を巻き込んで展開した誘拐事件は、大半の人物が関与する余地もなく、あっさりと解決してしまったのである。
Jones, who returned to the basement, handed the purchased goods over to Troy. Since the situation was in a deadlock, they decided to stock up on essentials while they could. They procured an illumination lantern and their share of sleeping bags as necessary items. And food, drinking water, and also a change of clothes. Washing their clothes wasn’t feasible so this was very important. “Jones, what’s going on outside?” “Even getting here was hard already. The soldiers went to isolate the village from the outside, but some still remained behind.” “So they increased the vigilance even further huh?” “But it doesn’t seem like this place has been found. Looks like the little lady was right with her assumption.” Fina, who had been meeting with Maxwell since she was born, had accounted for him using the Search spell. So she decided to hide near the mansion, following the ‘if you want to hide a tree, hide it in the forest’ saying. At that stage, her decision could be called correct. The fact that she could make that judgment showed that she was no ordinary three-year-old. “What if we had left the village in a hurry instead?” “We probably wouldn’t have made it. Lyell and Maria aside, Maxwell showing up was unexpected.” “Thinking about it, it was only natural. Why didn’t we realize something so simple?” “I suppose that’s how it goes when you commit a crime. You’re so pressed that you can’t see any other option.” Jones grumbled while pulling out the lantern from his luggage. He passed it to Zell and shrugged. “Here, with this, we don’t need the Light spell.” “Oh, thanks. This helps.” Since they’d been hiding underground, Zell was in charge of illuminating the room with his magic. But that also meant he was constantly exhausting his magic power. They also sold pebbles with Light spells cast on them, but they were a bit pricey, so in this situation where anything could happen, buying them was hard to justify. They would need money when escaping, after all. “What about the young lady?” “She’s sleeping now. It’s natural of a child her age.” Troy answered Jones’ question. He had a daughter of similar age, so he seemed quite emotionally attached already. He was watching Fina, who had crawled under the sheets with the Carbuncle, with a gentle expression unlike that of a kidnapper. Zell lit up the lantern while looking at Troy. But as he was about to hang it on the wall, it suddenly ruptured and the Light spell he was using got canceled along with it. It seemed that a pebble flew in from somewhere and broke the lantern. “W-What’s going on?!” “I don’t know! My spell also—” Zell tried to recast the spell in a hurry, but a thin thread twined around his throat. “It was the Erase spell. From the Interference system.” “W-Who are-...gahhh!!” Zell heard someone’s voice in the darkness and tried to ask who it was, but failed to. The thread around his neck suddenly tightened, and at the same time, he was pulled behind. And then, his back was met with someone else’s. It was as if they were carrying him on their back by pulling on the thread around his neck. “Agh-gah!” “Zell, where are you?! Agh!” “Gegh, kagh!” As if reacting to Troy’s voice, Zell’s throat was released and at the same time Troy started screaming. Zell was released but he couldn’t do anything and fell to the ground, and as he gasped for air, a hand chop was delivered to the base of his neck, fainting him. Troy also took a kick to the stomach and fainted in agony. It seemed that the moment the intruder released Zell, he delivered a kick to Troy and then hand-chopped Zell to make him faint. “Zell, Troy! What happened?!” A scream suddenly reverberated in the darkness. The only remaining Jones called for his comrades as if seeking hope. Without knowing that that action allowed the intruder—Reid, to know his whereabouts. He approached Jones who continued shouting and delivered a roundhouse kick to the base of his neck, making him faint too. And then, once it had grown silent, Reid spoke. “Kabby, light.” Everything happened fast but this much noise should’ve woken Kabby up. Judging so, Reid called out to it, and as expected it was awake. Fina on the other hand was still asleep. Children were deep sleepers, after all. Once the underground room had grown brighter, there stood Reid and three fallen men. As well as Carbuncle and Fina still under the sheets. The fallen men were all out cold, but they were properly breathing, showing that they weren’t dead. “Good, they’re still alive. The way they looked at Fina told me there was more to this thing, so I decided not to kill them but...” The Carbuncle cried as if saying he overdid it, but Reid thought this much was still merciful enough. If Lyell was the one who had come, they would have been turned into pieces of meat by now. And in Maria’s case, she would’ve made them suffer tremendous pain with some weird means. Reid sighed, ignoring the Carbuncle, and started to search through the luggage that Jones brought. “Oh, there are enough sleeping bags. If I tie them up and stuff them in, I should be able to easily carry them up with Levitate.” He immediately used piano wires to tie the three up, then stuffed them inside the sleeping bags with the head first and sealed their mouths. This was so the sight of the three was obstructed and they would feel dread not knowing where they were being carried. And their fear would make it easier to torture them later. “Okay, let’s go. Come on, you crawl out of there too.” He pulled Fina out of the sleeping bag and held her up with one hand. At the same time, he formed a magic circle with his other hand and made the sleeping bags with the men inside levitate. Then he tied them up with threads and headed for the exit. And thus, the incident that got the three kingdoms involved was easily resolved without the participation of most of the people.
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ざく、ざく、ざく、ざく、ざく。 広い広い稽古場にの拍子が刻まれる。 「マジで......この広さを雪かきとか、あの男、頭おかしいだろ............」 ゼクスが這うような低音でうめくのを聞き、コディとシェイラも作業を止めて汗を拭った。 「まぁ、修行の一環だからしょうがないよ」 「いつもは気にならなかったけど、稽古場ってこんなに広いんだね......」 今年の王都は雪が多いらしい。 始めは子どものようにはしゃいでいも、雪合戦をしようなどという世迷い言は口にしなくなっていた。連日広大すぎる稽古場の雪かきをしている内に、すっかり心が折れたのだ。 終わりの見えない単純作業は、思いの外辛い。しかしクローシェザードが手始めにと言い付けたことが『稽古場の雪かき』だったためは黙々とこなすしかなかった。 「流石にキツいね。もう腕に力が入らないや」 山歩きのおかげで足腰には自信があったのだが、それに伴う腕力がないことに気付いたのは最近だ。セイリュウとアックスとの連戦がきっかけだった。 強ばった筋肉をほぐすシェイラを見て、ゼクスは半眼になった。 「お前、腰叩くなよ。オッサンくさいな」 「仕方ないだろ、ずっと中腰なんだから」 反論するシェイラに、同じく腰を叩いていたコディが苦笑いを見せた。 「ごめん。こっちは膝も肩も限界」 「つーか、まんまオッサンだな」 「二人ともヒドイ!」 一緒にコディをイジってみても、ゼクスにいつもの覇気はない。スコップの取っ手に顎を載せながらだるそうにぼやく。 「なんだって今年に限って、こんなに雪が多いんだよ。そもそも秋の三の月から雪が降るなんて、マジであり得ねえっつーの......」 「そうなの? 僕がいた村は、もっと酷かったよ」 退寮日にようやく初雪を見て、むしろ驚いたくらいだ。 デナン村では秋の三の月の始め頃には降っていたから、今年は遅いなとのんびり考えていた。 冬といえば、秋に作った保存食を消費しながら、家から一歩も出ないで生活していたことを思い出す。きっと村の入り口も、既に雪で閉ざされていることだろう。やはり郵便物が届くのは、ずっと先になりそうだ。 ミルクのような薄曇りの空を見上げ、シェイラは笑った。 「村に比べたら雪も少ないし、余裕が出てきたら、また三人で王都に行こうね」 「お前、前向きすぎ......」 ゼクスは最早完全に修行を放棄する構えのようで、締まりのない笑顔になって妄想の世界へ逃げ込んでいた。 「あーでも、王都っていえばアリンちゃんに会いてえなぁ。心がささくれ立ってる時ほど、人間には癒しが必要なんだよ。あぁ、アリンちゃんの優しい笑顔が見たいぜ......」 「現実逃避の症状が出ちゃえば、もう末期だね」 「そもそもゼクスは、アリンちゃんの好みとは真逆だもんね」 以前彼女から聞き出した男性の好みは、『優しくて大人で包容力のある誠実な人』だった。ゼクスには正直ムリ目だ。 それぞれ素直な感想を口にするシェイラとコディに、ゼクスは負け惜しみのようにがなり立てた。 「うるせー! 俺だって頑張れば大人の男ってヤツになれるはずだ!」 「――――てゆーか、アリンちゃんのあれは、諦めさせるための方便でしょう」 シェイラの的確すぎる一言に、男二人は揃って固まった。 「だってゼクス、本気でアリンちゃんを好きって訳じゃないでしょ?」 「本気で好きに決まってんだろ!」 「はいはい。じゃあ、アリンちゃんくらい可愛い子が告白してきたら?」 「当然付き合うに決まってる! 可愛くて女の子らしくていつもニコニコしてて、それでいて俺だけを好きって言ってくれるような子がいるなら誰でもどんと来いだ!」 そんな夢みたいな女の子いる訳ないじゃん。現実を知れ。 と言いたいところだが、あまり直裁すぎてもゼクスが瀕死になってしまいそうなので、シェイラは上澄みの優しい部分だけを言葉にした。 「君が『自分だけを好きな子』がいいっていうように、女の子達だって自分だけを見てくれる人を求めてるんだよ。誰でもどんと来いなんて不誠実な本音が透けて見えるから、女の子が寄り付かないんじゃないかな?」 「ぐっはぁぁっ!!」 ゼクスが胸を押さえて雪の上に倒れ伏した。顔を上げないままピクピク痙攣しているところから察するに、どうやら上澄み部分でも劇薬だったようだ。一応腐っても女子として、感じたことを言ったまでなのだが。 「ちょっと言い過ぎたかな?」 「どうやら真理すぎたみたいだね。でも、何でだろう。同じ男として、僕も凄く耳が痛い......」 なぜか飛び火してしまったようで、コディまで顔色が悪くなっていた。 彼らに雪かきをする気力は、果たして残っているのか。戦力を自ら減らしてしまったことを内心悔いていると、雪よりもヒヤリとした声が落とされた。 「――――それだけ無駄口を叩く余裕があるならば上等だな」 ゼクスとコディは条件反射で姿勢を正し、素早く整列した。 雪を踏み締めながら姿を現したのは、冷気を漂わせたクローシェザード。シェイラは彼の目配せを受け、ただちに近付いた。 「どうかしましたか?」 クローシェザードはコディ達への配慮か、耳元に唇を寄せる。慌てたのはシェイラだ。 「な、な、な、」 「どうした? いつにも増して挙動が不審だぞ?」 慌てて離れようとするも、訝しむ彼は遠慮もなく距離を詰める。自分の頬が少しずつ熱を持っていくのが分かった。 シェイラはなぜだか最近、クローシェザードに近付けない日が増えていた。原因は不明だが、一人でジタバタしているのことが恥ずかしくて必死に動揺を押し殺す。 ジリジリと近付き直したシェイラに、彼はひそめた声で囁く。 「安易に女心を語るのはやめておけ。何がきっかけになるか分からないぞ」 「あ~......」 衝撃から立ち直っていない二人も冷静になれば、シェイラが女心に精通している違和感に気付くかもしれない。彼が何を危惧しているのか分かった。 「でも、女じゃなくたって理論的に考えれば、あれくらいの結論は出せますよね?」 「君が理論的という時点ですこぶる怪しいと、なぜ分からない?」 「それは流石に私という人間をみくびりすぎじゃないでしょうか......」 秘密を守ろうとしてくれるのはありがたいが、素直に礼を言いたくないのはなぜだろうか。 シェイラとクローシェザードの密談が微妙な空気のまま終わると、待ち構えていたゼクスがすぐに不満を口にした。 「クローシェザード先生、こんなの修行に入りますか? 俺はもっと剣術とか教えてほしいんです。去年だってわざわざ雪かきなんてしてませんでしたよ。雪くらい魔法で一発じゃないですか」 クローシェザードがゼクスに視線を合わせる。 「確かに雪は毎年、魔道具で溶かしていたらしいな。だが、それでは修行にならないだろう」 「じゃあ、コディにやらせればいいんですよ。そしたら魔法の修行になるじゃないですか」 「君、僕一人に押し付けるつもり......?」 友人が小声で発した恨み節を、ゼクスは綺麗さっぱり無視した。 クローシェザードが、今度はコディに向き直る。 「コディ⋅アスワン。君は魔力を保有しているが、それほど魔力量自体は多くない。ならば魔法は、最後の切り札とするべきだ。頻繁に使用すればいざという時、役に立たない可能性がある」 戦術を説くクローシェザードを意外に思い、シェイラは目を瞬かせた。コディの特性を把握していなければできない芸当だ。 「つまり、君達全員に必要なことは共通している。剣技を向上させること、この一点のみ。ということで体力作りは必須だ」 「............」 「文句を言う暇があるのなら、きりきり手を動かしたまえ。商人の間では、『時は金なり』という訓戒があるのだろう?」 「はぁ......、おっしゃる通りです」 弁は立つ方のゼクスだが、流石にぐうの音も出ないようだった。 すっかりやり込められた友人に、連帯感は抱いても同情はしない。万に一つでもクローシェザードを論破できるなどと、思った方が間違いなのだ。 「......みんな、とりあえず雪かき、続けようか」 気まずさと疲労感が漂い出した稽古場で、珍しく空気を読んだシェイラはスコップを持ち上げた。
Crunch, crunch, crunch. A constant beat sounded in the large, spacious training hall. “Seriously.... shoveling this much snow, that guy must be out of his mind....” Hearing Zechs moaned in despair, Cody and Sheila also stopped working and wiped the sweat off their faces. “Well, it’s part of the training, so it can’t be helped.” “I don’t usually pay attention to it, but the training hall is actually quite big.....” Sheila heard there was a lot of snow in the capital this year. At first, they were as excited as children, but they stopped talking about having snowball fights pretty soon. They had been shoveling snow from the too-vast training hall day after day, and their body and mind had completely broken down. Simple work with no end in sight was unexpectedly painful. However, since Clauschezade had suggested that they start by “shoveling snow from the training hall,” the three of them had no choice but to do it unconditionally. “As expected, it’s tough. I can’t put any strength into my arms anymore.” Thanks to the occasional mountain hiking, Sheila at first had confidence in her legs and back, but it was only recently that she realized she had no arm strength to go with it. It was first noticed by her after a series of battles with Seiryuu and Axe. Zechs’ eyes widened when he saw Sheila relaxing her stiff muscles. “You, don’t slap your backside like that. You look like an old man.” “I can’t help it. I’ve been working my back the whole time.” When Sheila rebutted him, Cody, who was also slapping his back, gave a wry smile. “Sorry. My knees and shoulders are also at their limits here.” “Well, he’s a real old man.” “Both of you are terrible!” Zechs didn’t have his usual high spirits when they teased Cody together. He grumbled listlessly while resting his chin on the handle of the shovel. “Why is there so much snow this year? It’s seriously impossible for snow to fall from the third month of autumn in the first place....” “Really? My village’s condition was much worse.” Sheila was somewhat surprised to finally see the first snowfall on the day the students left the dormitory. In Denan Village, the snow used to fall around the beginning of the third month of autumn, so she was casually thinking that it was probably late this year. Speaking of winter, Sheila remembered living her daily life without leaving the house while consuming preserved food that her family had made in autumn. The entrance to the village must have already been closed with snow by now. It looked like it would be a long time before the mail arrived. Sheila smiled as she looked up at the slightly cloudy sky. “There’s less snow here than in the village. When we have some time to spare, the three of us should go to the capital together again.” “You’re really positive about that...” Zechs seemed poised to abandon his training completely at the earliest opportunity, and he fled into a world of delusion with an unconstrained smile on his face. “Ah, but speaking of the royal capital, I’d really like to meet Arin-chan. People need healing when they’re feeling a little wistful, you know. Ah, I want to see Arin-chan’s gentle smile.....” “Once the symptoms of escapism appear, it’s already terminal.” “Besides, Zechs is the complete opposite of Arin-chan’s tastes.” As she had previously told Sheila, her preference for a man was ‘a gentle, mature, receptive and sincere man.’ It was honestly impossible for Zechs. Sheila and Cody each expressed their honest opinions, and Zechs growled at them like a sore loser. “Shut up! I can be that kind of man if I try hard enough!” “――And anyway, that was probably Arin-chan’s way of trying to get you to give up.” Sheila’s all-too-accurate comment caused both men to freeze together. “Because, Zechs, you don’t really like Arin-chan, do you?” “Of course I really like her!” “Yes, yes. Then, what if a girl as cute as Arin-chan confesses to you?” “Of course, I’d go out with her! If there’s a girl who’s cute, girly, always smiling, and she only likes me, I’m willing to go out with anyone!” There’s no way there was such a dreamy girl. You should understand the reality. Sheila wanted to say that, but Zechs would be shot down if she was too direct, so Sheila tried to reword her thoughts. “Just like you said, you want ‘a girl who only likes you,’ right? Girls want someone who will only look at them, too. I think girls won’t come close to you because your insincere and honest attitude of “just go for anyone” is so transparent.” “Geughhh!” Zechs fell down on the snow, clutching his chest. Judging from the way that he was twitching without looking up, it seemed that even her reworded reminder killed him. Sheila was just saying what she felt as a girl. “Did I say too much?” “I guess you were being too truthful. I’m not sure why, though, as a man myself, I also felt a great deal of pain in my chest....” For some reason, her intended words seemed to have changed target, and even Cody was looking pale. Would they still have the energy to shovel snow? As Sheila was inwardly regretting the fact that she had reduced her helpers, a voice, more chilling than the snow, sounded. “――If you can afford to waste that much time talking, I see you’re all doing just fine.” Zechs and Cody straightened their posture with conditioned reflexes and quickly aligned themselves. Clauschezade suddenly appeared while stepping on the snow. Sheila received his glance and immediately approached him. “Is something wrong?” Claushezade put his lips to her ear, perhaps out of consideration for Cody and Zechs. It was Sheila who panicked. “W-W-What―” “You’re asking what’s wrong? You’re acting even more suspicious than usual, aren’t you?” She tried to move away from him in a hurry, but he closed the distance between them without hesitation. Sheila could feel her cheeks heating up a little. For some reason, Sheila had been having more and more days lately when she can’t get close to Claushezade. The cause was unknown, but she was so embarrassed to be alone in a room with him that she desperately tried to stifle her agitation. He whispered in a hushed voice to Sheila, who reluctantly approached him again. “Don’t talk about women’s feelings so easily. You never know what might happen.” “Ah....” If the two of them, who hadn’t yet recovered from the shock, calmed down, they might notice something strange about Sheila’s familiarity with the female mind. She knew what he was afraid of. “But even if you weren’t a woman, you could theoretically come to that conclusion, couldn’t you?” “Why can’t you see that your theoretical view is highly questionable?” “I think you’re underestimating my character....” Sheila appreciated his effort to protect her secret, but she wondered why she didn’t want to thank him honestly. When Sheila and Claushezade’s secret talks ended on a delicate note, Zechs, who had been waiting for them, immediately expressed his dissatisfaction. “Claushezade-sensei, is this the kind of training you want me to do? I want you to teach me more about swordsmanship. I didn’t even bother to shovel snow last year. I can shovel snow easily with magic.” Clauschezade looked at Zechs. “Certainly, it seemed that the snow was melted with a magic tool every year. But that wouldn’t be good training.” “Then, let Cody do it. That way, he could practice his magic.” “You, are you going to force me to do it alone....?” Zechs neatly ignored his friend’s whispered resentment. Clauschezade now turned to Cody. “Cody Aswan. You possess magical power, but the amount of magical power itself is not that much. Therefore, magic should be your last trump card. If you use it too often, it may not be useful when the time comes.” Sheila blinked, surprised at Clauschezade’s explanation. It was a feat that could only be done if one understood Cody’s characteristics. “In other words, all of you have one thing in common: you all need to improve your swordsmanship. Therefore, physical fitness is a must.” “....” “If you have time to complain, get to work. Isn’t there a saying among merchants that ‘time is money’?” “Haahh.... You’re absolutely right.” Zechs was usually a talkative man, but he seemed to be unable to refute right now. Sheila felt a sense of solidarity with her friend, who had been overwhelmed by Clauschezade, but she didn’t feel sympathy. It would be a mistake to think that you could refute Clauschezade’s argument. “..... Let’s keep on shoveling snow for now, shall we?” In the training hall, where awkwardness and fatigue began to drift in the air, Sheila successfully read the atmosphere and lifted her shovel.
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ただし、機構設立の試練は、憲法が可決され、新政府が設立された後に訪れるであろう。選挙に勝つのが誰であれ、憲法の文面に手を加える誘惑はあるであろう。そういった誘惑は理解できるが、不適切な動機から行われることがあってはならない。
The test for institution building, however, will come once a constitution has been approved and a new government installed. Regardless of who wins the elections, there will be temptations to tinker with the constitutional text.
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最初は恐る恐る撫でていたエメラダさんだが、おとなしい事がわかると表情も緩んで行き、ついには夢をみているような顔になってしまった。 ......女性がそんな顔を人前で見せない方が良いんじゃないだろうか。 少しだけ、本当に少しだけ、エメラダさんの表情に引いてしまった......。 「エメラダさん」 「はい!」 陶酔したような表情にまでなっていたエメラダさんにクレアさんが声を掛けた。 その声ではっとなったエメラダさんはレオから手を放して、クレアさんの方を向く。 「レオ様は当家が歓迎しているシルバーフェンリルです。これ、安全の保障になるのでは無いですか?」 「は、はい。それはもう。申し訳ありません、怖がってしまって」 「いえいえ、良いんですよ。見た目が恐いのは確かですからね」 「ワウー」 見た目が恐いと言ったらレオが抗議するように鳴いた。 すまん、レオ。 俺はお前の事を怖いとは思って無いからな、むしろ格好良いと思ってる。 ......女の子のレオに恰好良いは失礼かな? 「ワフ」 俺の表情から言いたい事が読めたのか、レオは納得するように頷いた。 格好良いで良いんだな......。 その後、周りに集まってる人達にもエメラダさんを交えて説明をした。 全員ではないけど、納得してくれて良かった。 何人かはレオの事を、この場にいない街の皆に安全なシルバーフェンリルだと説明するとも言ってくれた。 良かったなレオ......この街へ来る度にいつも怖がられてたらかわいそうだからな。 しかし、それですぐに俺達は目的の雑貨屋まで行けたわけでは無かった。 何故かレオがおとなしい事を証明するために、集まった人達がレオを撫で始めたからだ。 さすがに自由に撫でさせるのはレオが困るだろうと、順番に並んでもらってお座りの体勢になったレオの足に触れるくらいにしてもらった。 中には泣きながらお礼を言う人や、拝むような仕草をする人までいて、しばらくその行列が収まる事は無かった。 約2時間後、なんとかレオを撫でる行列を捌ききり、エメラダさんとも別れて本来の目的である雑貨屋にようやく辿り着いた。 「随分と時間を取られましたが......タクミ様、こちらがラクトス一番の雑貨屋でございます」 辿り着いた雑貨屋は、クレアさんの屋敷程ではないが、この街で見たどの建物より大きかった。 3階建てで木造ではあるものの、入り口は立派な門のようになっている。 俺達はセバスチャンさんに促されて店内に入る。 今回も、店内に入るスペースの無いレオは外で待つ事になった。 フィリップさんと一緒に待っててくれ、レオ。 店内に入る俺達をレオが寂しそうな目で見ていたのがちょっと辛い。 「ようこそお越しくださいました、クレア様」 「ハイン、今日はよろしくね」 「あ、タクミです」 「タクミ様ですな。私はハインと申します。店主を任されている者でございます」 ハインさんは、上質そうな服を着て髭の左右が上に跳ねてる、少し太り気味の男性だ。 何だっけあの髭......確かカイゼル髭って言うんだったっけ。 小さい頃に少しだけ憧れてたなぁ......今は似合わないだろうからやらないが。 ここまではセバスチャンさんが先導しての道案内で来たが、今はハインさんに先導されて、店のあちこちに置いてある商品を見て回る。 店の商品は色々あって、食品なんかも扱ってるようだ。 2階の一部エリアに行った時は少し驚いた。 色んな種類の剣や槍、鎧なんかが置いてあったからだ。 ハインさん曰く、専門の店よりは品質が劣るらしいが、飾り用だったり初心者が初めて買う装備だったりと結構買う人はいるようだ。 値段も相応に安いらしい。 剣を使って戦う事に憧れた事はあるけど、今回は買わない事にした。 安めであっても自分のお金じゃないからな。 何とか稼ぐ方法を探して、自分のお金でいずれ買おうと思う。 ハインさんに案内されて色々店内を見て回ってるが、このお店......何でも扱い過ぎて雑貨屋というよりショッピングセンターみたいになってる。 まぁ各種テナントが入ってるわけじゃないけどな。 単純に手広く色々売ってる店と考えた方が良さそうだ。 ハインさんに案内される中、気になった商品は時計。 懐中時計と大きめの置時計が数点あった。 時計自体に驚くことは無かったのだが、その時計を眺めてる時に気付いた。 分針と秒針が無い。 隣を歩いてるクレアさんに聞くと、この世界で時計を使って測れるのは時間のみで、分や秒という考え方は無いらしい。 俺が、1時間は60分で1分は60秒と言うと驚いていた。 しかし、時計をよく見てみるとさらに驚く事があった。 俺の世界では12個の数字があって時針が2周したら1日だった。 でもこちらの世界の時計は14の数字で2周、つまり1日が28時間あるという事なんだろう。 自転速度が違うのか? それとも数字の考え方が違うのかどうか......。 今まで、この世界が前の世界と大きく違う事は魔物がいる事くらいだと思っていたが、こんな違いがあったみたいだ。 それならもしかすると1時間が60分というのも違うのかもしれない。 「何かお気に召した物はありますかな?」 「そうですね......まず時計ですかね」 「時計があれば時間を正確に把握出来ますね。部屋に置いておくのも良いですよね」 「はい。出来れば、持ち歩くための懐中時計と、部屋に置く置時計が欲しいのですが......」 さすがに買うのは俺じゃなくクレアさんだ。 欲しいからと全部買いたいとは言いづらいものがある。 「構いませんよ。それならそを買いましょう」 「すみません、お願いします」 クレアさんは快く承諾してくれて、商品を手に取りハインさんに渡した。 「ありがとうございます。他に必要な物はございますかな?」 「そうですね......」 あれもこれも買うというわけにはいかないが、必要な物は買いたい。 俺はまたハインさんの案内で店内を回り、必要そうな物をいくつか買った。 朝、髭を剃るために渡された小さいナイフよりも剃刀に近い形の物を見つけられたのは良かった。 T字じゃないのが不満だが、ナイフよりは髭剃りが楽になりそうだ。 毎朝髭を剃る度に傷だらけになるのは嫌だしな。 これで朝の髭剃りは完璧だ......多分。 ......使い方に早く慣れないとなぁ。
Ms. Emeralda was hesitant at first, but once she saw how calm Leo was, her expression softened and she looked like she was dreaming. ...It was not the kind of expression that most ladies would make in public. I was just a little put off by Ms. Emeralda’s expression. “Ms. Emeralda.” “Yes!” As her expression started to turn to that of a drunken stupor, Ms. Claire called to her. Emeralda suddenly returned to herself and pulled her hand back as she turned in Ms. Claire’s direction. “Leo is a Silver Fenrir and our honored guest. Do you need any further assurance of safety?” “N-no, indeed. I am...terribly sorry for being frightened.” “Not at all. It’s fine. It’s true that Leo looks frightening.” When I said that Leo looked frightening, Leo howled in protest. Sorry, Leo. I don’t actually think you look frightening. I think you look very cool. ...But maybe Leo didn’t find that flattering either? “Wuff.” Perhaps Leo had read my expression, as she nodded with satisfaction. So she doesn’t mind being cool... After that, we called the others around Emeralda and explained to them as well. While not all of them, most were satisfied in the end. Some of them even said that they would help spread the word in town that Leo was a safe Silver Fenrir. What a relief, Leo... I would feel bad for her if people were afraid every time she visited. However, we were still not able to reach our destination, which was the general store, immediately. This was because, in order to prove that Leo was gentle, the people who had gathered had started to pet her. But I thought that Leo wouldn’t like it if everyone was allowed to pet her freely, and so we had them line up for a turn to pet Leo’s paw. Some people were in tears as they thanked her, or even bowed as if in worship. However, the line felt like it would never end. Nearly two hours later, the line of people who wanted to pet Leo had finally ended, and we also separated from Ms. Emeralda. After that, we were able to go to the general store. “While we were greatly delayed... Mr. Takumi, here is the biggest general store in Ractos.” “Woah.” While it wasn’t as big as Ms. Claire’s mansion, it was bigger than any building that I had seen in the town so far. It was three stories tall and made of wood. And the entrance looked more like a great gate. Sebastian then led us inside. But as there would not be enough space, I had Leo wait outside again. Please stay with Phillip, Leo. I felt a little bad, as she looked at me with sad eyes as we entered the store. “Welcome to our store, Lady Claire.” “Hein, it’s good to see you today.” “Ah, I’m Takumi.” “Mr. Takumi. I am Hein. The owner of this shop.” Mr. Hein was a slightly plump man who wore expensive-looking clothes and had a mustache that twirled out on both sides. That moustache...I think they called it a kaiser mustache. I had wanted to grow one like that when I was a child...but I won’t do it now, as I know it won’t suit me. Sebastian had been leading us until now, but Mr. Hein took the lead as he showed us the different products in the store. They had all kinds of items, including food. But I was a little surprised when I saw a certain section on the second floor. This was because they had a variety of swords, spears, and armor. According to Mr. Hein, they were not as good as what you could get at a store that specializes in such things. But they were good for beginners or people who wanted to use them as decoration. And so they were appropriately cheap. I had also once dreamed of fighting with a sword, but I decided to refrain from buying one here. Even if it was affordable, this wasn’t my money. I would probably buy one once I could find a way to make money on my own. Mr. Hein continued to take us around the store, but the place...had so much stuff. It was almost more like a shopping center than a general store. Though, he owned everything, so it wasn’t like there were separate stores inside. It was just a single store that happened to have a great variety of products. There was another thing that caught my interest as Mr. Hein showed me around. It was the clocks. There were pocket watches and larger table clocks etcetera. The clocks themselves looked ordinary enough, until I noticed something while staring at them. They didn’t have hands for minutes and seconds. While walking, I asked Ms. Claire about it, and she said that in this world, clocks only measured the hours, and they didn’t think about minutes and seconds. And so she was quite surprised when I told her that an hour was minutes and a minute was sixty seconds. However, I was even more surprised when I inspected the clocks further. In my world, there were numbers, and once the hand made two full rotations, it was a single day. However, there were numbers on these clocks, and they rotated twice to make a day. In other words, there were hours in a day here. Perhaps the rotation speed was different? Or they thought of numbers differently... Up until this point, the only big divergence between this world and mind had been monsters. So this was rather surprising. I suppose that an hour would not be 60 minutes then. “Is there something that has caught your interest?” “Indeed... I was wondering about the clocks.” “You will be able to tell the time with precision if you have a clock. You could place one in your room.” “Yes. I would like to have a pocket watch to carry with me, and one to put in my room...” But it was Mr. Claire who was buying them. And so it was always a little awkward to say that I wanted something. “I do not mind. You should buy those two.” “Thank you.” Ms. Claire happily agreed as she picked them up and handed them to Mr. Hein. “Thank you. Is there anything else that you need?” “Let me see...” While I couldn’t just buy anything that caught my interest, I did want to get things that I actually needed. And so I followed Mr. Hein around the store and bought a few items that I thought I would need. I was quite pleased to find something that looked closer to an actual shaving razor than the knife I had been given in the morning. It wasn’t shaped like ‘T’ but it should make shaving a little easier. I didn’t want to have to cut up my face every morning. Now my morning shaving would be perfect...maybe. ...I had to hurry up and get used to using it.
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「ねぇルティ、こんなのどうかな?」 そう言って見せたのはフリル付きのブラ。今までシンプル系が多かったのと、制服に毒されたのか可愛い系がちょっと欲しくなったので選んでみた。 でもストラップ付きなのね。ナツキの翼の位置なら心配ないけど、合わせる服の方は大丈夫?」 「時期も時期だから、肩が出る服は着ないし大丈夫かなぁって」 翼がついてると、冬場でも大なり小なり背中が開いている服になる。人によっては翼のついている位置の関係でストラップが見えたりする。コートは逆に翼を入れる部分があるんだけどね。 「私も可愛い下着にしようかしら」 「うーん、ルティはレース系の大人っぽいやつのほうが似合いそうだけど」 「そう?でも、そういうのもたまに着けたくなるのよね」 「ん、じゃに可愛い系でお互い似合うと思うやつを選ぼうよ」 「そうしましょうか。ナツキが似合うのは......この辺かしら?」 きゃいきゃで選んでいるとチルがやってきた。 「あー、二人ともぉこんなとこにいたんですねぇ。秋物見に来たんじゃないんですかぁ?」 「う......、いや目に付いちゃったもんだから、つい」 「こんなにいい品揃えは久しぶりだから......」 そういえば当初の目的は秋物だった。 いや、でも下着は重要なんだよっ!?主にお話合いとかでっ!つい見ちゃうのはしょうがないじゃない! 「まぁ気持ちはわかりますけどねぇ。品揃え凄いですからぁ。これだと他のお店潰れちゃうんじゃないですかねぇ」 ん?もしかしてザンブルに女性専門店がプティベールしかなかったのは他が潰れたから......?そうだとすると王都の服飾事情は一波乱ありそうな。 「とりあえずまだ時間はあるんだし、ゆっくりと選びましょう?」 「はぁい。それじゃぁ私はこの間見られなかった冬物とか見てきますねぇ」 「これは......」 「ちょっと......」 あれもこれもと選んでいたら下着だけでえらい量になった。 「でも他に買うものも特にないし、服関係くらいいいよね?」 「そうよね、他にこれといった出費があるわけでもないし、いいわよね?」 誰に咎められるわけでもないのに二人して言い訳をしてしまう。もうあれだ、開き直って秋物も冬物もドカッと行ってしまおう。 「そういえば出費で思い出したけど、最近美味しいパンケーキとか食べてないなぁ」 「ザンブルで食べたような奴?そういえば王都に来てからはないわね」 カフェで働いてるのにね。まぁうちのカフェは制服以外だとコーヒーが売りになるくらいで、甘味とかには全然力を入れてないんだよね。 「どうせだからリーズナーさんにお願いして、甘味系に力入れてもらおうかな?」 「売りにもなるし、いいわね。問題はリーズナーさんが変な方向に走らなければいいんだけど」 あの人の思考回路もうわかんないからなぁ......。 「じゃあ今度機会があったときに覚えてればってことで」 「わかったわ、ならそういうことで。それじゃ次は秋物ね」 秋物を見るから、と選んだ下着をトリシャさんに押し付けておいた。ここまで纏め買いする人はそうそういないせいか、凄いニコニコしてる。 そんなニコニコ顔のトリシャさんと対称的に、秋物コーナーにいたフィルがうんうん唸っていた。 「どしたの?」 「あ、いえずっとパンツルックだったので、たまにはスカートでもと思ったのですよ。 でもいきなりスカートっていうのもおかしく思われないかなぁと悩んでいたのです。」 フィルは基本的にスキニータイプのパンツを履いている。スラっとした脚が魅力的なので凄く似合ってるんだけど、心変わりした......というより僕が煽ったからだね。 「おかしくはないでしょ。それにフィルはスレンダーだから...... これから寒くなるし、この辺のロングのラップスカートとかヘムフレアのスカートなんかいいと思うよ?」 ベージュやバーガンディのスカートを手に取り、渡してあげる。でもまだ、うんうん唸ってる。 「とりあえず試着してきたら?そうすれば少しはイメージも固まるでしょうし」 二人して苦笑いしながらフィルを試着室に押し込む。多分着ちゃえば気に入ると思うんだけどなぁ。 フィルが試着してる間に自分達の分を選んでいく。 タートルネックのニットにカーディガンにロングスカートに......あ、僕もパンツ系ちょっと買っとこう。ガウチョパンツも、っと。動き回る時用にキュロットスカートも欲しいな。 下着でタガが外れた僕達はあれもこれもと選んでいく。そうこうしてたらフィルが試着室から出てきた。 「やっぱり着てみると違うですね。ナツキちゃんに勧められたこれにしますです。......なんですかその量?」 「いや、もう満足するまで買っちゃおうかと思って」 買い物かごに収まり切らず、両手で服を抱えてる僕達を見て呆れていた。 ゆっくり見過ぎて、時間もお昼をちょっと回っていたので会計を済ませ出ることに。 「また来てくださいねー!」 今日だけで相当な売り上げになった為か、トリシャさんが満面の笑みで見送ってくれた。 そのまま近くのお店でちょっと遅めの昼食に。 「結局ぅ、コート一着が限界でしたぁ」 チルはお金が足らなかったらしい。ぶーぶー言いながらミルクティーを飲んでいる。 コート類って高いからね。僕達もさすがにコートは二着ずつにしておいた。 「でも値引いてもらえたんでしょう?それにお給金入ったらまた行けばいいじゃないの」 「そうなんですけどぉ、お姉様達の買い方見てたらぁ、コート一着ってなんか悲しくなるじゃないですかぁ」 影に入れちゃってるからわからないけど、僕達の買った量って小さい荷馬車が必要なくらいだからね。それと比べちゃいけない。 「まぁまぁ、次は僕達が付き合うから」 「約束ですよぉ?」 ただし付き合うとは言ったが、買わないとは言っていない。
「Hey Ruti, how does this one look?」 Saying so, I showed her a frilled bra. Since up until now, most of the underwear I have are the ones with simpler designs, and maybe since I got influenced by the uniform as well, I got a bit interested in these kinds of stuff, so I chose some cute stuff. 「That’s really cute, it should look quite good on you. Still, it seems to have a strap. It shouldn’t be a problem judging by the position of your wings but, do you have some clothes to go with it?」 「Well, since it’s going to get cold soon, I won’t really be wearing anything off shoulder so it should be fine, I think?」 Since I have wings, even my clothes for the winter season are still necessarily more or less wide open in the back area. So since the position of the wings depends on the person, the strap might be seen by some people. On the contrary though, coats are made in a way that you can hide your wings inside. 「Then perhaps I’ll buy some cute underwear as well.」 「Hmmm, I think that the mature laced ones suit you better though.」 「Really? Still, I occasionally get the urge to wear these ones, you know?」 「Hm, well then let’s choose some cute ones that would suit the other, okay?」 「Let’s. Something that would suit you might be...... here perhaps?」 And as we were excitedly choosing clothes, Chris approached us. 「A~h, here you ar~e, both of yo~u. Weren’t you two looking for autumn clothe~s?」 「Uhh...... Well, you know, it just caught my eye, so... yeah.」 「It’s been a while since I saw a great assortment so......」 Come to think of it, we actually came here to buy some autumn stuff. Well, yeah, but underwear and stuff are important too, you know!? Mainly when we have some discussions and all! So I can’t help but look at them, okay!? 「We~ll, it’s not like I don’t get that feelin~g. They really do have a great assortment of clothes after a~ll. With how it i~s, the other shops here might even go bankrup~t.」 ? Don’t tell me, is the reason why Putieveil was the only shop at Zanbul specializing in female clothing because the other ones went bankrupt......? If that’s the case, then there might be some trouble brewing in the capital’s clothing shop affairs. 「In the meantime, since we still have some time, why don’t we take our time choosing clothes?」 「Oka~y. The~n since I haven’t seen their winter clothing befor~e, I’ll go look at the~m.」 「This is......」 「A bit......」 After getting this and that, we’ve got a ton of stuff just from the underwear department. 「But we don’t really have any other things to buy, so it should be okay to splurge on clothing, right?」 「We don’t actually have any other particular expenses, so it should be fine, right?」 No one’s really judging us or anything, but both of us just ended up making excuses. Well, now that it has come to this, I’ll just go all out and choose all the autumn and winter clothes I want! 「Speaking of expenses, we haven’t eaten some delicious pancakes and stuff lately, huh?」 「Like the ones at Zanbul? Come to think of it, we haven’t had some ever since we arrived here.」 And we even work in a café of all places. Well, the only selling point of our café, other than the uniforms, is probably our coffee. Our café put absolutely zero effort on making sweets and things, so yeah. 「Since it’s a café and all, why don’t we try asking Ryzna-san to work on some tasty sweets?」 「It can be the shop’s selling point as well, let’s do it. Still, I just hope that Ryzna-san doesn’t go wild in some weird way, you know?」 I don’t really get that person’s thought process as well...... 「Then, we’ll ask him when we have the opportunity next time. If we remember that is.」 「I see, then let’s leave it at that. Now then, next up are the autumn clothes, right?」 Since we’re going to look for autumn clothes, we left the underwear we chose to Trisha-san. She has a huge smile on her face, probably because you don’t really see people buy this much everyday. In contrast to Trisha-san’s smile, Firu is groaning to herself at the autumn corner. 「What’s wrong?」 「Ah, it’s nothing. I just thought that it might be nice to wear a skirt every once in a while, since I always wore pants. But I’m really worried that he might find it weird if I’m suddenly in a skirt now.」 Firu usually wears skinny-type pants. Her beautiful slender legs really look good on them, but she’s changing her style now...... Well, I did tell her to get something cute earlier, so yeah. 「It’s not weird at all. Besides, you have a slender figure and all...... And since it’s going to be cold soon, it’ll be nice to have something like this long wrap around skirt or this hem flare skirt here, don’t you agree?」 I grabbed a beige and a burgundy skirt and gave it to her. However, she’s still worried about it. 「Why don’t you try on something first? It might give you a mental image of how you’ll look, okay?」 With both of us wearing a troubled smile, we pushed Firu into the fitting room. She’ll probably like it once she sees how it looks on her, I think. While Firu is trying them on, we also choose for ourselves. A knitted turtleneck, a cardigan, a long skirt...... Ah, I should get some pants too. Some gaucho pants and... I want some culottes for moving around too. Losing all of our self control after getting so much underwear, we picked more and more clothes with zero restraint. And soon after, Firu came out of the fitting room. 「It really is different when you try it on. I’ll buy this one Natsuki-chan picked out...... What’s with that pile you have?」 「Well, you know, we’re buying everything we want, I guess.」 Seeing us carrying all the stuff that can’t fit in our shopping basket, Firu was left speechless. After spending a little too much time looking around and realizing that it’s already past noon, we decided to finish up our shopping and leave. 「Please come again!」 Trisha-san sent us off with a huge smile on her face, probably because they sold a lot today. After this, we went straight to the nearest restaurant to have a late-ish lunch. 「In the en~d, all I could buy was a coa~t...」 It seems like Chris didn’t have enough money. She grumbles while drinking her milk tea. Coats are pricey after all. Even Ruti and I only bought coats each. 「Still, you got it with a discount right? Besides, you can go back again after we get our wages.」 「That’s true, bu~t after seeing how much you two bough~t, one coat just looks sa~d...」 I don’t know the exact amount since we kept it inside Ruti’s shadow, everything we bought would probably need a small cart to be carried home. You shouldn’t compete with that. 「Don’t worry about it. Next time, we’ll keep you company, okay?」 「That’s a promise oka~y?」 However, although we do plan to keep her company, it doesn’t mean that we don’t plan to buy clothes again.
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「そういえば、たまに酒場に行っているみたいね」 「歌ってお金がもらえれば、嬉しいですから。ついでに情報も入ってきますし」 「情報はついでなのね」 ブラス君とパーティを組み始めて1か月ほどたっただろうか。 パーティといってもに行動するのは週の半分ほど。残りの半分も依頼を受けているらしいけれど、そっちの成果はほどほど。失敗まではしないが怪我して、教会でお金を取られているらしく収支は0といっていい。わたし達はまず教会に行かないので、どれくらいお金を取られるか知らないが、すぐに怪我が治るのであれば、それなりに取られるのだろう。 教会というよりも、病院って感じだ。でもその時払うお金は寄付となる。 気が付けば、半年以上の付き合いにもなるのか。普通の感覚だと短いのかもしれないけれど、シエル目線だと公爵に次ぐくらいの付き合いだ。 「だいたい、歌が好きじゃないと職業もそれに準じたものにはなりませんよ」 「言われてみればそうなのよ。でも貴女、魔術もたいがいじゃない?」 「魔術よりも歌のほうが長く親しんでいただけですよ」 「貴女何歳よ」 「年相応の可愛げがないのよね」 『本当に何言っているんでしょうね。こんなにシエルは愛らしいのに』 『えっと、私は愛らしいのかしら?』 『わたしはそう思いますよ』 『そうなのね、そうなのね......!』 『どうかしました?』 『何でもないのよ』 屋敷から逃げるまでは、逃げることに精いっぱいで、あまり褒めてあげられなかったから、褒められ慣れていないのだろう。 「そういえば、カロルさんは魔石を使った薬について何か知っていますか?」 「それをどこで知ったのかしら?」 Bランクの魔物の魔石であの薬が作れたら、魔力を上げることができるんじゃないかなと思って訊いてみたけれど、鋭い目線が返ってきた。 改まって話すつもりもなかったけれど、もう少し違う状況になると思っていた。 「カロルさんが思っている薬と同じかは知りませんが、どこでと言われたら閉じ込められているときにです」 「質問を変えるわ。その薬のことをどうして知りたいのかしら?」 「ああ、確かに人を殺すためにも使えますからね。 「良いから、答えてくれないかしら? 場合によっては、危険人物として今ここで捕えないといけないのよ」 気温が下がっているのか、窓には結露が見えるけれど、結界に守られたわたしとしては寒くはない。 「なぜ知りたいか、でしたね。閉じ込められているときに使われた薬を知りたいだけですよ」 「......威嚇して悪かったわね」 この反応を鑑みるに、あの薬は一般的なものではないらしい。存在が知られているかどうかは置いておいて、劇薬や毒薬にカテゴライズされるものなのかもしれない。 魔力の扱いをしたことがない人が使った場合はほぼ100%死ぬので、劇薬とか毒薬として使用を禁じられているような薬なのだろう。 「使われたって言っていたけれど、どれくらいの頻度だったのかしら」 「毎日欠かさず。5歳から逃げ出すまでの5年間です」 「貴女、良く生きているわね」 「確認なんですけど、あの薬は魔石に宿っていた魔力を圧縮して、体内で暴走させるものですよね?」 何せ魔力を暴走させるだけで、毒と違うから毒物反応は出ない。暴走した魔力も、いずれは勝手に抜けてしまうからうってつけよね。最近は回路も調べるようにしているから、一発でわかるけれど。 「たぶんカロルさんだったら、飲んでも死なないと思いますよ。非常に面倒くさいですけど」 「飲まされる予定はないわ」 「これ飲んだからって罪にはなりませんよね?」 「所持を禁止している毒を飲まされた側が罪に問われるなら、罪になるわね」 でもシエルだけだったら、髪を回路にしないと耐えられないほどだったと考えると、ヤバイ薬だったのかもしれない。 つまり公爵はあの段階で、万が一にかけていたのか。死ぬのが当然で、生き残ったら使ってやろう、みたいな。そう考えると、シエルが生き残り続けていたというのは、公爵も意外だっただろうし、舞姫だった時の落胆は想像を絶するだろう。 「でもこれでわかったわ。あの薬を飲んでも生き残れるほどの何かがあるのね。強いのも当然だわ」 「生き残れた理由はこれですよ」 カロルさんの視線が、真っ白の髪に釘付けになったところで、説明を始める。 「暴走した魔力を押し込めた結果がこの髪です」 「もとは金色だったのよね。つまりその髪の毛1本1本が回路になったって言いたいのかしら」 でも、髪が白い人が魔術師として優秀なのは、髪を回路にできるからでしょうね。というか、回路になると髪が白くなるんだと思います」 「新発見よ。大発見といっていいわ。でもそれを公表するわけにはいかないわね」 「5歳でもなんとかなるんですけどね」 「そんなの貴女だけよ。はぁ......目の前に格好の研究材料があるのに、進めちゃいけないってわかっているのは、精神的につらいわね」 このほかにも、シエルとわたしの状態とか、神を引っ張ってくる儀式とか、その薬が魔力増強に使えるとか、カロルさんの興味を引きそうなものはありはするけれど、たぶんどれもこの世界の禁忌に当たりそうだ。 『薬は作れなさそうですね』 『魔力が増えれば便利ではあるけれど、現段階で魔力不足になることもないもの。 『そうですね。むしろ、高価な薬を5年も使い続けてくれたことは感謝ですね』 『エイン的にはそうかもしれないけれど、結構きついのよ?』 なんてやり取りをしているときに、セリアさんがやってきた。 「お待たせしました。何かあったの?」 「気になるけど今は、本題ね。 シエルメールさんにも来てもらったのは、ブラス君のことについて訊くためです」 「それって、わたしに訊いていいんですか? わたしの試験も兼ねていたと思うんですけど」 ここでブラス君を貶めることで、自分の評価を上げることもできるだろう。 不安だった戦闘面における連携も、言われた仕事を確実にこなすという意味では十分よ。毎回、彼が危なくなるまで放置しているのはどうかと思うけれど、最終的なサポートも上級での実用にも耐えそうね」 「1か月パーティを組み続けていただきましたし、この件に関してはほぼ合格点なんです。 「無理です。わたしの話を聞いてくれるのは、道案内くらいですから」 ただ下のランクのハンターの育成協力ということで、評価に入りますから、問題が起こらない限りもう少しパーティを組んでいてほしいのですが......」 「そういうことなら大丈夫ですよ」 ハンター組合側の印象をよくすること自体は、わたし達にしてみると悪いことではないだろうから、拒否することはない。 「それでブラス君の話なんですが、どのような感じでしょうか。率直に言ってもらって構わないので、教えてください」 「ハンターに向いていないです」 わたしの即答に、セリアさんが困ったように笑う。 「例えばどのようなところがでしょうか」 セリアさんがカロルさんを見ると、カロルさんが頷いて返す。 とにかく、性格に難があるのよ。上級剣士なんて職業を得たせいで、調子に乗って降りてこられないのね。この子と依頼に行くと依頼達成できるのは、自分のおかげだと本気で思っているのよ。 「わかった。シエルメールさんには申し訳ありませんが、あと数回彼に付き合ってもらいます」 セリアさんは何故かため息をつくけれど、こちらにしてみればあと数回で良いのは嬉しい限りだ。 C級昇格がいつになるかはわからないけれど、サノワの町に来てあと数か月で1年経つと考えると、それまでの間にはなれると考えてよさそうだ。ダメなら、セリアさんたちから説明があるだろうし。
「Come to think of it, I heard that you go to the pub occasionally.」 「Earning money from singing makes me happy after all. As a bonus, I get information too.」 「So the information is just a bonus for you, It has probably been about a month since Brass and I formed the party. Even though we are in the same party, we only work together for half a week. It seems like he also accepts requests during the other half of the week, but he’s not really achieving particularly good results. While it looks like he hasn’t actually failed any requests, he still hurts himself regularly and loses his money to the church, so he’s practically earning nothing. We really don’t go to the church, so I don’t know how much they ask as payment but since they can heal wounds instantly, the cost is probably high. Rather than a church, it’s more like a hospital. But the money you pay for healing are the offerings. Today, as we were called by Celia for some reason, Carol and I are waiting for her right now. Before I noticed it, we’re already with them for more than half a year. Normally that would sound like a short amount of time to associate with people but from Ciel’s perspective, excluding the duke, they’re the two people we’ve spent the longest time with. 「In the first place, if I didn’t like singing, my Job wouldn’t have been something related to it.」 「Now that you mention it, good point. Still, aren’t you also great with sorcery?」 「I just spent more time with singing compared to sorcery, that’s all.」 「How old are you again?」 「Well you certainly don’t have the cuteness of your age.」 『What is she even talking about? Just look at how adorable Ciel is.』 『Umm, I’m adorable?』 『That’s what I think.』 『I see, I see...!』 『Is something wrong?』 『It’s nothing.』 There shouldn’t be any people that would see Ciel as ugly. Since I was so focused on escaping, I haven’t really praised her much until we escaped from the mansion so maybe she’s not used to praises. It might be best that I frequently praise her from now on, so that she won’t fall for some suspicious men as well. I’m not that used to bluntly praising people as well, but since it’s not like I’m going to lie to her, it shouldn’t be impossible. 「Come to think of it, do you know anything about a medicine that uses magic stones, Carol?」 「Where did you learn about that?」 I asked her about it since I thought that we might be able to increase our magic power if we can make that medicine from B-rank monster’s magic stone, but she replied with a piercing gaze. I already know that I would have to tell them about why our hair turned white someday, but to think that it would be today. I had no intentions of formally explaining it, but I expected a slightly different situation than this. 「I don’t know if it’s the same medicine you’re thinking about but since you’re asking where, it was while I was locked up.」 「I’ll change my question. Why do you want to learn about that drug?」 , that’s right, it can also be used to kill a person after all. Perhaps, are you thinking that I’m going to use it on someone?」 「Enough of that, could you answer already? Depending on your answer, I might have to capture you as a dangerous individual right here right now.」 Carol urged on with an unusually intense, top hunter-ish pressure. Since I can see the window misting over, the temperature might have dropped but being protected by a barrier, I don’t feel any colder. I imagine that if I make the wrong choice here, an ice spear might just come flying. I was messing around with her a bit as a revenge for them pressing Brass to me, but it looks like I overdid it. 「Why do I want to learn about it, huh? I just wanted to know about the medicine that was used on me in the past.」 「... Sorry for intimidating you.」 Just as the pressure from Carol settled down, she wearily leaned back on her chair. She then places her hand over her face, probably thinking about something. Based on her reaction, it looks like that medicine isn’t just some regular commodity. Ignoring whether it’s well-known or not for now, that medicine might have been something categorized as a lethal drug or even poison. Since anyone unused to controlling magic power practically has a % chance of dying from it, it’s probably the type of medicine that’s forbidden to use for its lethality or as poison. 「You said that it was used on you, how frequent was it?」 「Every single day. For the whole years since I was five until I escaped.」 「You did well living through that.」 「I just want to confirm, but that medicine was something that compressed magic power from magic stones and releases it inside a person’s body, right?」 「Right, I haven’t seen it in person but that drug is highly valued among nobles as poison. After all, since it’s simply rampaging magic power, it doesn’t leave any traces behind unlike real poison. The berserk magic power eventually disperses on its own as well, so it’s quite ideal. Though lately, circuit analysis can be done too, so it’s use will be quite clear with one look. Due to how troublesome it is, not only is it forbidden for use, but it’s supposedly forbidden to even own them. Fortunately however, making it would need a considerable sum of money, so it shouldn’t appear anywhere without any reason.」 「I think that you won’t die even if you drink it, Carol. It’s extremely bothersome though.」 「I have absolutely no plans being made to drink that.」 「Having taken it wouldn’t be a crime, right?」 「If someone that was forced to drink a poison that’s forbidden to even possess could be seen as a criminal, then sure, it’s a crime.」 For some reason, Carol seems exhausted but was it really that shocking? Frankly, I didn’t feel much danger from that medicine, so I can’t really relate to her. But if I consider that Ciel on her own couldn’t endure it unless she turned her hair into circuits, then it might have been actually quite dangerous. In other words, at that stage, the duke was already taking his chances. His expectation was likely that Ciel would die and in the rare case that she survived, he would exploit her in some way. Given this, it’s possible that the duke was equally surprised as Ciel continued to live on, and discovering that she was a Dance Princess must have caused him immense disappointment. Though, as for me, all I can say is 「Still, now I get it. You have that allowed you to survive even after taking that drug. Of course you’ll be strong.」 「The reason I survived was this.」 I combed Ciel’s long hair to my front, as though embracing it. As Carol’s gaze was nailed to the pure white hair, I began explaining. 「The result of forcing down the berserk magic power was this hair.」 「It was originally blonde, wasn’t it? In short, you’re saying that each strand of your hair turned into a circuit, right?」 「That should be it. I only know that they became circuits as a result, so I don’t understand exactly how it happened. Still, the reason why white-haired people are great sorcerers might be because they can use their hair as circuits. Rather, I think your hair turns white when it becomes a circuit.」 「This is a new discovery. A major breakthrough, even. But we can’t exactly make this public still.」 「Even a five year old can manage it though.」 ... Knowing that I shouldn’t go through it even though there’s this perfect research material right in front of me is just, bad for my mind.」 Seeing Carol sigh made me remember how much of a beauty she is, but her words were absolutely terrible, so it didn’t really help. Besides this, our situation with the ritual for hauling a god and the potential use of the medicine to enhance magic power were both topics that might have piqued her interest, but I had a feeling they were taboo in this world. 『It looks like we can’t make that medicine.』 『Having more magic power might be useful, but even now I haven’t actually run out of magic power yet. Wouldn’t it better to consider selling the magic stone or thinking of other ways to use it then?』 『That’s true. Rather, I’m grateful that they used that expensive drug on us for years straight.』 『Ain might feel that way but was quite tough for me, you know?』 As we had this sort of exchange, Celia arrived. 「Thank you for waiting. Did something happen?」 「That’s making me curious, but for now, to the main topic. The reason we asked you to come here as well is to ask about Brass.」 「That’s, is it really fine to ask me about that? I know this is related to my test as well, but...」 If I talk down on Brass right now, I could probably raise my own evaluation. That’s why I thought that calling me here isn’t a good idea but seeing the look on their faces, I might be wrong. 「We’ve already seen more than enough of how you work in a party. Now that I think about it, since you can do everything on your own, it makes sense that you can do anything that’s needed while in a party, doesn’t it? The main worry of your mid-combat teamwork is, in the sense of doing what you’re told to do, already passable. While there’s a lot to say about the part where you tend to leave him to fend for himself until he is in danger, your eventual support is still practical enough even for a high-ranking hunter.」 「You’ve already worked in this party continuously for a whole month, in this matter, you’re almost certain to have a passing grade. If possible, we would like to have you take command as a high-ranking hunter as well, but...」 「That’s impossible. He only hears me when I’m guiding him to a destination.」 「Yes, I understand. This is a problem from his side, so we have no intention of blaming you for that matter. However, there’s an evaluation on the cooperation in nurturing low-ranking hunters, so unless any problem occurs, we’d like you to work in the party for a bit longer but...」 「In that case, it’s alright.」 Improving the Hunter Guild’s impression of us in itself isn’t really a bad thing for us, so there’s no need to decline. Celia had a seemingly relieved look on her face but, as it is, even if I continue working with him, I don’t think it would lead to his rehabilitation. 「Now, speaking of Brass, how was he like? I don’t mind hearing your honest opinion, so please tell us.」 「He’s not fit to be a hunter.」 Hearing my immediate answer, Celia showed a troubled smile. 「Could you give an example of why?」 I still have more to say, but this should be enough for now. Celia looks at Carol and she nodded in reply. 「Just as you said. He likely does terrible at camping as well, doesn’t he? At any rate, his attitude is problematic. Since he got Advanced Swordsman as his Job, his ego blew up in size and it’s not shrinking at all. When he’s taking a request with her and they complete the request, he honestly thinks that it’s all thanks to him. How he even reached that conclusion, I have no idea at all. In the first place, has he even thought of why he was allowed to take high difficult E-rank requests as long as he went with this girl?」 「I understand. I’m very sorry Cielmer, but we’d like to ask for you to work with him for a few more times.」 Celia let out a deep sigh for some reason, but as for me, I’m absolutely glad that we just need to go with him for only a few more times. I’m not certain when we will be promoted to C-rank, but given that it has been almost a year since we arrived in Sannois, it’s reasonable to anticipate it happening in the coming months. Even if it doesn’t, Celia can likely provide an explanation. Still, our biggest harvest for today might be the fact that the medicine was actually some pretty dangerous stuff.
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2、30年前は もし東アジアの片田舎の村で ニワトリが風邪を引き くしゃみをし 死んでも そのニワトリ自身とその周りの仲間には 悲劇だったでしょうが 世界的な病気の脅威や 何百万の死を恐れる可能性など あったとは思いません 2、30年前は北アメリカの銀行が 返済不能の人に 融資し過ぎ 破産したとしても 貸し手と借り手にとっては とんでもないことだったとしても 我々は世界の経済システムが 10年近くも停滞することになろうとは 思いもよらなかったのです グローバリゼーション この奇跡は 我々の肉体や精神 言葉を 絵を アイデアを 教訓を 学問を これまでになく 早く 安く 地球中に伝播させてくれます 私が先ほど言ったような 多くの良くない事をもたらしますが 多くの良い事も もたらしているのです 我々の多くは 締切のずっと前に 達成されているものもあると言う この「ミレニアム開発目標」の大成功に 気づいていないのです 目標達成の事実は 人類が 協力しあい 努力をすれば とてつもない進歩を実現できる ということを証明します ただし かいつまんで言うとしたら 私たちは グローバリゼーションに 不意打ちをくらった状態なので 対応が遅れているように 最近感じるのです もし 皆さんがグローバリゼーションの マイナス面を見れば 打ちのめされそうになるのもわかります 今日我々が直面している課題― 気候変動や人権 そして人口統計 テロリズム 世界的流行病 麻薬密売 奴隷制度 絶滅種 等など たくさんの課題があるにも拘わらず 等など たくさんの課題があるにも拘わらず 我々はほとんど手が付けられていません つまり この興味深い歴史上の時点で 我々全員が今日直面する 課題なのです それは明らかに我々が次にすべきことです 我々はどうにか上手いこと グローバルに問題解決する方法を 協力して見つけ出し 人類を単にグローバリゼーションの 被害者として終わらせないために 努めなければいけません どうして我々は遅々として前進できないのでしょうか? 理由はなんでしょうか? もちろん 多くの理由があります でも 恐らく一番の要因は 人類は 未だ2, 300年前と 同じように組織されている ということでしょう 地球上には70億人の巨大な力― それは これら全ての問題を招いている 我々自身なのですが― 同じように その70億人の我々は 全てを解決できるでしょう でもこの70億人は どう組織されているのでしょうか? 彼らは未だ 200強の国家に収まり 国家は政府を持ち 法を定め 一定の行動をするよう促します それはなかなか有効なシステムですが 問題なのは それらの法の成り立ちと 政府の考え方は 地球規模の問題解決には 全くもって不適切なのです なぜなら 全て内政のためだからです 我々が選出した政治家と 選出しなかった政治家も 概して 小さな視野で考えており 大きな視野で問題をとらえていないのです 彼らは あたかも 全ての国は 独立した島として存在し 独自の惑星 独自の太陽系に存在し ほかの国とは無関係に 幸せに暮らしていると 思い込んでいるかのように 振る舞うのです これは問題です 国々は互いに張り合い 争いをしているのです 今週でも 他のどの週でも同様に 皆さんは国家間で互いに殺し合おうと している人々を見るでしょうし それが行われてない時でさえ 国同士の張り合いがあり 互いをやり込めようとしているのです これは明らかに良い状態ではありません 我々はきっぱり改めなければなりません 国々が少しでもより良く 手に手を取りあえるように 後押しする方法を 探す必要があるのは明白です でも どうして彼らはそれをしないのでしょう? 我々の指導者が今だ内政に固執するのは どうしてでしょう? まず最初に考えられる明白な理由は 我々が彼らにそれを求め そうするよう 命じているからです 我々が政府を選出した時 もしくは選挙によらない政府を許容した時 我々が政府に望んでいることは 自国にいくつかの事柄をもたらすことだと 事実上 伝えているのです 我々は 繁栄を、成長を、強さを 透明性を、正義を それらすべてを もたらしてほしいのです ですから 我々が政府に対し 外政について それから 人類を滅ぼしかねない地球規模の問題を 少しでも考えるよう 求めない限り もし政府が内政のみを見続け 広い視野ではなく 狭い視野に固執しても 彼らを非難することはできません それは事態が変わらない第一の理由です 第二の理由はこれらの政府は ちょうど残りの我々のように 文化的なサイコパスなのです ぶしつけな物言いですが サイコパスをご存知ですよね? サイコパスというのは 不運なことに 他人に真に共感する能力が 欠如している人の事です 彼らは辺りを見回しても 深く豊かな3次元の暮らしや 目標や熱意を持った 他人というものを認識しないのです 彼らに見えるものは 人型の段ボールなのです とても悲しく とても孤独で ―幸いにも― とても稀なことです でも確かに 我々の大半は それほど共感するのは得意ではないですよね? もちろん 見た目や歩き方 食べ方や祈り方それから服装などが 我々と似ている人々であれば とても上手に共感するでしょう でも我々のように着飾るわけではなく 祈るわけでもなく 話すわけでもない そんな人々となると 我々も段ボールの切り抜きのように 感じる傾向があるのではないでしょうか? これは自問すべき問いなのです 常に監視べきだと思います 我々と政治家は 文化的サイコパスになっていやしないかと 第三の理由はとても馬鹿げているので 言及に値しないのですが 政府の中には 国内の課題と国際的な課題は 両立し難く今後もそうであるという 信念があるのです これは馬鹿げています 普段 私は政策アドバイザーとして仕事をし 直近の15年くらいは 世界中の政府にアドバイスをしているのですが どんな国内問題であっても 最も 創造的 効果的 迅速に解決できる 方法があります 国際的問題と捉え 国際的な視野で取り扱い 他国の取組と比較し 外部を招き入れ 国内に閉じずに外部と共に 取り組むことです それでも と皆さんは言うかもしれません どうして 上手くいかないのか? どうして 政治家を変えることが出来ないのか? どうして 彼らに要求できないのか? 多くの人と同様 私は多くの時間を 人を変えるにはどれだけ難しいのか 愚痴ることに費やします でも それにヤキモキすべきではないのです 我々は本質的に保守的なのだと ただ受け入れればいいのです 変わるのは好きではありません それは進化論的にとても賢明な理由によるのです もし我々が変わることに抵抗がなかったら 我々は今日ここにいることはなかったでしょう とても単純なことです 数千年も前に もし我々が同じことをやり続ければ 死なないことを発見したのです 一度行って死ななかったことは 私たちを殺しはしなかったのです ですから そうし続ける限り 我々は安泰であり 死ぬかもしれない新しいことを しないのは実に賢明なことであるのです しかし もちろん例外があります さもなくば 八方塞がりです その例外は 興味深いもので 皆さんが他人に対し 自己利益になることを見せた場合です それは他人に信頼を与え 少しの変化を生み出すのです だから 私はこの10年 15年を 何が自己利益になり得るのか 政治家だけでなくビジネスマンや一般の人にも いつも自分たちのことだけをみるのではなく 少し外に目を向け より広い視野で考えることを 後押しできるようなものを 見つけ出そうとしてきました そして 私はとても大事なことを 発見しました 2005年に「国家ブランド指数」 と呼ばれる研究を始めました それは非常に大規模な世論調査で 地球上の約70%の人口から代表された 非常に多くの人々に対して 他国のイメージについての 一連の質問を行ったのです 国家ブランド指数は年を追うごとに とてもとても大きなデータベースに なってきています 約2000億のデータポイントが 一般の人が他国について何を そしてどうしてそう考えるかを追跡しています ではなぜ これを始めたのでしょう? なぜなら私がアドバイスする政府は 自国のイメージにとても興味があるからです 部分的には 私が彼らに 自国が世界で生き残り 繁栄するには イメージが重要と考えるように 働きかけたからですが 彼らは知っています もし国家がドイツやスウェーデンやスイスのような 素晴らしいポジティブなイメージを持っていれば 全ては簡単でたやすいのです より多くの観光客や投資家が来ます より高く商品を売れます 一方 もしとても弱弱しい ネガティブなイメージの国家だったら 全ては難しくて高くつくでしょう ですから 政府は自国のイメージを とても気にするのです 何故なら国家のイメージは 国の稼ぐ力に直接に違いを生み そしてそれは彼らが自国民に もたらすと約束したそのものだからです ですから2、3年前 時間を取って その膨大なデータベースから 何故人々はある国を他の国よりも 好ましいと思うのかについて 答えを導き出そうと思いました そのデータベースがくれた答えは 衝撃的なものでした それは6.8でした 詳しく説明する時間はないのですが 基本的に教えてくれたものは— (拍手)— 我々が好むような国は 「善良な」国であるということです 我々はお金があるからとか 力があるからとか 成功しているからとか 近代的だからとか 技術的に進歩しているからとか そんな理由では国を称賛しないのです では「善良な」とは? 我々が住む世界に 何か貢献してくれるような国や 実際に世界を安全に またはより良く 豊かに 公平に してくれる国のことを 我々は指しています それらは私たちが好きな国です この発見は大きな意味を持つのです- 私が何を意図しているか- 何故なら それは円を四角くしているのです どんな政府にも今なら言うことができ またそうしていますが 上手くやるために- もしより多くの商品を売りたいなら もしより多くの投資を得たいなら もしより競争力を持ちたいなら 「善良な」行いをし そう振る舞う必要があると 何故ならそれが人々があなたを尊敬し ビジネスをする理由になり だからこそ より協力すれば より競争力が得られるのです これはかなり重要な発見で 発見するや否や 私は新たな指数が 出現するのを感じたのです 実は年齢を重ねるほど 私のアイデアはシンプルで ずっと子供っぽくなります これは「善良国家指数」と呼ばれるもので まさに正確に その名の通り測ります それは地球上の各国が 自国民を除いた全人類に対して どれほど貢献しているのかを 評価しようとするものです 奇妙なことに これまで誰もこれを 評価しようと思ったことはなかったのです ですから 同僚のロバート・ゴーバー博士と この2年間 非常に真剣で聡明な多くの人々の協力を得 国々が一体世界に対し何を与えたのかを 見つけ出すための 世界中の信頼に足るデータを集めながら 最善を尽くしていたのです 皆さんはどの国が一番か待っていますよね では お教えしますが まず私が「善良な」国という時に 正確にそれが何を意味するのかを 皆さんにお教えしたいと思います 私が言う「善良」は 「より道徳的」とは違います 私が X国が地球上で 最も善良な国だという時 「最も善良」は「最高」を意味しません 「最高」は何か別のものです 皆さんが「善良な」国について議論する時 「善良」、「より善良」、「最も善良」 と言えますが 「良い」、「より良い」、「最高」 と同じではありません これは単純に他の国よりも 人類により多くを与えた国の事です その国の内政事情については 他のところで評価されるので 私は言及しません では勝者は と言いますと アイルランドです (拍手) ここのデータによると 地球上のどの国も アイルランドよりも 国民1人当たりで GDPの1ドル当たりで 世界に貢献している国はありません つまり これは我々が夜寝る時に 我々全員が眠りに落ちる15秒前の 最後の考えが 「ああ! アイルランドが存在してて嬉しい」 であるべきということなんです そしてそれは— — 私が思うには 非常に厳しい景気後退の深みで 自国の経済の再生を図る一方で 国際的な恩義を忘れずにいられるなら 重要な学びがそこにはあるのではないかと それは実に稀有なことなのです フィンランドはほぼ同じ評価です アイルランドより下となる唯一の理由は 最低点が低かったからです さて トップ10で他に気付くことは ニュージーランド以外の国は 西ヨーロッパの国々だということです その国々はお金があるので 私を落胆させました 何故なら 私はこの指数において 純粋に豊かな一帯の国々が 貧しい国を助けるというものであるという 証拠など発見したくなかったからです でも 決してそれだけではありません 実際 リストの下の方をご覧いただくと スライドにはないのですが 私を実に喜ばせる何かが見えるでしょう それは ケニアがトップ30に入っているということで これはある非常に重要なことを 示しているのです 「善良」はお金の事ではありません 心構えの事なのです そして文化の事なのです 「善良」とは自分のことを勝手気ままに考えるのではなく 世界について気にかけ 他国について考える想像力や勇気を持つ 政府や人々についてなのです 他のスライドについても いくつか下位の国々をご覧いただけるよう紹介します ドイツは13位 アメリカ合衆国は21位 メキシコは66位 さらに 95位のロシアや107位の中国といった いくつかの大きな発展途上国があります 中国やロシアやインドといった国々は ずいぶん下がって同じような順位ですが 見方によっては 意外なことではありません 彼らは自国の経済を確立するため また社会や政治機構を確立するために この数十年間 多くの時間を費やしてきました ただし 彼らの第二段階の成長は これまでの第一段階よりも もう少し外向きなものになるように 望まれているのです それから皆さんは各国の評価の元となった 実際のデータセットを通じて 各国を詳細に見ることが出来ます 今日の深夜から goodcountry.orgで 皆さんが各国のデータを見られるように 用意しておきます 国別のデータセットの段階まで 掘り下げることができます 改めて「善良国家指数」ですが 何のために存在するのでしょう? それは私が「善良」について議論を起こすため この言葉を世界に紹介したい もしくは改めて紹介したいからなのです 私は競争力の高い国々についても 繁栄し 裕福で 成長著しい国々についても 十分なヒアリングをしました 幸せだという国々も十分なヒアリングをしました 自分の事だけ考えている国だからです 結局みんな 自分の事だけです 自分のことだけを考え続けていると 本当に困ったことになるのです 我々は聞きたいことが何であるかを 知っていると思います 善良な国について聞きたいですし 私は皆さんに一つだけ あるお願いをしたいのです それは簡単に出来て 面白くて役に立ちさえすると 感じるかもしれません それは ただ「善良な」という単語を この文脈で使い始めるというものです 皆さんが自国について考える時 他の人の国について考える時 企業について考える時 今日我々が生きる世界ついて話す時 今夜私が話をしたように あの言葉を使い始めてください 悪いの逆の「良い」ではありません これは終わらない議論になります 自己中心の逆の「善良」 です 善良な国は我々全てについて考えます これを私が皆さんに実践し 皆さんの政治家を正す杖として 使って頂きたいのです 皆さんが彼らを支持し 再選出する時 彼らのために投票し 彼らが皆さんのために何が出来るかを聞く時 例の言葉「善良な」を使い そして自問して下さい 「これは善良な国がすることであろうか?」 そして答えがもし「いいえ」であれば 慎重に自問してください それは私の国の 振る舞いであろうか?と 私はそういうことをしている 政府の存在する国の 出身でありたいか?と あるいは一方で 「私は善良な国出身で誇りに思う」と 顔を上げ 世界中を歩き回るような案の方を 好むのか?と 全ての人があなたを歓迎し 全ての人が夜 眠りに落ちる15秒前に こう言うのです 「神様 あの人の母国が存在してくれて感謝します」 私が思うに 究極は 何が変化を生み出すかだと思います 例の言葉「善良な」 そして6.8という数字 そして発見とその裏にあるものは 私の人生を変えたのです これらのことは皆さんの人生も変え 政治家や企業の振る舞い方を 変えることにも利用できると思いますし そうしながら 世界を変えることが出来ると思います 私はこれらのことを考え出してから 自国についての考えが大きく変わってきています かつてはお金持ちの国に住みたいと思っており それから幸せな国に住みたいと考え始めたのですが それだけでは十分でないと気づき始めたのです お金持ちの国に住みたくはなく 成長著しい あるいは競争力のある国に 住みたいわけでもありません 私は「善良な」国に住みたいのです そして 皆さんも同じように思うことを望んでいます ありがとうございました
Twenty or 30 years ago, in a remote village in East Asia, it would have been a tragedy for the chicken and its closest relatives, but I don't think there was much possibility of us fearing a global pandemic and the deaths of millions. Twenty or 30 years ago, if a bank in North America lent too much money to some people who couldn't afford to pay it back and the bank went bust, that was bad for the lender but we didn't imagine it would bring the global economic system to its knees for nearly a decade. This is globalization. This is the miracle that has enabled us to transship our bodies and our minds and our words and our pictures and our ideas and our teaching and our learning around the planet ever faster and ever cheaper. It's brought a lot of bad stuff, like the stuff that I just described, but it's also brought a lot of good stuff. A lot of us are not aware of the extraordinary successes of the Millennium Development Goals, several of which have achieved their targets That proves that this species of humanity is capable of achieving extraordinary progress if it really acts together and it really tries hard. But if I had to put it in a nutshell these days, I sort of feel that globalization has taken us by surprise, and we've been slow to respond to it. If you look at the downside of globalization, it really does seem to be sometimes overwhelming. All of the grand challenges that we face today, like climate change and human rights and demographics and terrorism and pandemics and narco-trafficking and human slavery and species loss, I could go on, we're not making an awful lot of progress against an awful lot of those challenges. So in a nutshell, that's the challenge that we all face today at this interesting point in history. That's clearly what we've got to do next. We've somehow got to get our act together and we've got to figure out how to globalize the solutions better so that we don't simply become a species which is the victim of the globalization of problems. Why are we so slow at achieving these advances? What's the reason for it? Well, there are, of course, a number of reasons, but perhaps the primary reason is because we're still organized as a species in the same way that we were organized 200 or 300 years ago. There's one superpower left on the planet and that is the seven billion people, the seven billion of us who cause all these problems, the same seven billion, by the way, who will resolve them all. But how are those seven billion organized? They're still organized in 200 or so nation-states, and the nations have governments that make rules and cause us to behave in certain ways. And that's a pretty efficient system, but the problem is that the way that those laws are made and the way those governments think is absolutely wrong for the solution of global problems, because it all looks inwards. The politicians that we elect and the politicians we don't elect, on the whole, have minds that microscope. They don't have minds that telescope. They look in. They pretend, they behave, as if they believed that every country was an island that existed quite happily, independently of all the others on its own little planet in its own little solar system. This is the problem: countries competing against each other, countries fighting against each other. This week, as any week you care to look at, you'll find people actually trying to kill each other from country to country, but even when that's not going on, there's competition between countries, each one trying to shaft the next. This is clearly not a good arrangement. We clearly need to change it. We clearly need to find ways of encouraging countries to start working together a little bit better. And why won't they do that? Why is it that our leaders still persist in looking inwards? Well, the first and most obvious reason is because that's what we ask them to do. That's what we tell them to do. When we elect governments or when we tolerate unelected governments, we're effectively telling them that what we want is for them to deliver us in our country a certain number of things. We want them to deliver prosperity, growth, competitiveness, transparency, justice and all of those things. So unless we start asking our governments to think outside a little bit, to consider the global problems that will finish us all if we don't start considering them, then we can hardly blame them if what they carry on doing is looking inwards, if they still have minds that microscope rather than minds that telescope. That's the first reason why things tend not to change. The second reason is that these governments, just like all the rest of us, are cultural psychopaths. I don't mean to be rude, but you know what a psychopath is. A psychopath is a person who, unfortunately for him or her, lacks the ability to really empathize with other human beings. When they look around, with deep, rich, three-dimensional personal lives and aims and ambitions. What they see is cardboard cutouts, and it's very sad and it's very lonely, and it's very rare, fortunately. But actually, aren't most of us not really so very good at empathy? Oh sure, we're very good at empathy who kind of look like us and kind of walk and talk and eat and pray and wear like us, but when it comes to people who don't do that, who don't quite dress like us and don't quite pray like us and don't quite talk like us, do we not also have a tendency to see them ever so slightly as cardboard cutouts too? And this is a question we need to ask ourselves. I think constantly we have to monitor it. Are we and our politicians to a degree cultural psychopaths? The third reason is hardly worth mentioning because it's so silly, but there's a belief amongst governments that the domestic agenda and the international agenda are incompatible and always will be. This is just nonsense. In my day job, I'm a policy adviser. I've spent the last 15 years or so advising governments around the world, and in all of that time I have never once seen a single domestic policy issue that could not be more imaginatively, effectively and rapidly resolved than by treating it as an international problem, looking at the international context, comparing what others have done, bringing in others, working externally instead of working internally. And so you may say, well, given all of that, why then doesn't it work? Why can we not make our politicians change? Why can't we demand them? Well I, like a lot of us, spend a lot of time complaining about how hard it is to make people change, and I don't think we should fuss about it. I think we should just accept that we are an inherently conservative species. We don't like to change. It exists for very sensible evolutionary reasons. We probably wouldn't still be here today if we weren't so resistant to change. It's very simple: Many thousands of years ago, we discovered that if we carried on doing the same things, we wouldn't die, because the things that we've done before by definition didn't kill us, and therefore as long as we carry on doing them, we'll be okay, and it's very sensible not to do anything new, because it might kill you. But of course, there are exceptions to that. Otherwise, we'd never get anywhere. And one of the exceptions, the interesting exception, is when you can show to people that there might be some self-interest in them making that leap of faith and changing a little bit. So I've spent a lot of the last 10 or 15 years trying to find out what could be that self-interest that would encourage not just politicians but also businesses and general populations, all of us, to start to think a little more outwardly, to think in a bigger picture, not always to look inwards, sometimes to look outwards. And this is where I discovered something quite important. In 2005, I launched a study called the Nation Brands Index. What it is, it's a very large-scale study that polls a very large sample of the world's population, a sample that represents about 70 percent of the planet's population, and I started asking them a series of questions about how they perceive other countries. And the Nation Brands Index over the years has grown to be a very, very large database. It's about 200 billion data points tracking what ordinary people think about other countries and why. Why did I do this? Well, because the governments that I advise are very, very keen on knowing how they are regarded. They've known, partly because I've encouraged them to realize it, that countries depend enormously on their reputations in order to survive and prosper in the world. If a country has a great, positive image, everything is easy and everything is cheap. You get more tourists. You get more investors. You sell your products more expensively. If, on the other hand, you have a country with a very weak or a very negative image, everything is difficult and everything is expensive. So governments care desperately about the image of their country, because it makes a direct difference to how much money they can make, and that's what they've promised their populations So a couple of years ago, I thought I would take some time out and speak to that gigantic database why do some people prefer one country more than another? And the answer that the database gave me completely staggered me. It was 6.8. I haven't got time to explain in detail. Basically what it told me was — — the kinds of countries we prefer are good countries. We don't admire countries primarily because they're rich, because they're powerful, because they're successful, because they're modern, because they're technologically advanced. We primarily admire countries that are good. What do we mean by good? We mean countries that seem to contribute something to the world in which we live, countries that actually make the world safer or better or richer or fairer. Those are the countries we like. This is a discovery of significant importance — you see where I'm going — because it squares the circle. I can now say, and often do, to any government, in order to do well, you need to do good. If you want to sell more products, if you want to get more investment, if you want to become more competitive, then you need to start behaving, because that's why people will respect you and do business with you, and therefore, the more you collaborate, the more competitive you become. This is quite an important discovery, and as soon as I discovered this, I felt another index coming on. I swear that as I get older, my ideas become simpler and more and more childish. This one is called the Good Country Index, and it does exactly what it says on the tin. It measures, or at least it tries to measure, exactly how much each country on Earth contributes not to its own population but to the rest of humanity. Bizarrely, nobody had ever thought of measuring this before. So my colleague Dr. Robert Govers and I have spent the best part of the last two years, with the help of a large number of very serious and clever people, cramming together all the reliable data in the world we could find about what countries give to the world. And you're waiting for me to tell you which one comes top. And I'm going to tell you, but first of all I want to tell you precisely what I mean when I say a good country. I do not mean morally good. When I say that Country X is the goodest country on Earth, and I mean goodest, I don't mean best. Best is something different. When you're talking about a good country, you can be good, gooder and goodest. It's not the same thing as good, better and best. This is a country which simply gives more to humanity than any other country. I don't talk about how they behave at home because that's measured elsewhere. And the winner is Ireland. According to the data here, no country on Earth, per head of population, per dollar of GDP, contributes more to the world that we live in than Ireland. What does this mean? This means that as we go to sleep at night, all of us in the last 15 seconds before we drift off to sleep, our final thought should be, godammit, I'm glad that Ireland exists. And that — — In the depths of a very severe economic recession, I think that there's a really important lesson there, that if you can remember your international obligations whilst you are trying to rebuild your own economy, that's really something. Finland ranks pretty much the same. The only reason why it's below Ireland is because its lowest score is lower than Ireland's lowest score. Now the other thing you'll notice about the top 10 there is, of course, they're all, apart from New Zealand, Western European nations. They're also all rich. This depressed me, because one of the things that I did not want to discover with this index is that it's purely the province of rich countries to help poor countries. This is not what it's all about. And indeed, if you look further down the list, I don't have the slide here, you will see something that made me very happy indeed, that Kenya is in the top 30, and that demonstrates one very, very important thing. This is not about money. This is about attitude. This is about culture. This is about a government and a people that care about the rest of the world and have the imagination and the courage to think outwards instead of only thinking selfishly. I'm going to whip through the other slides just so you can see some of the lower-lying countries. There's Germany at 13th, the U.S. comes 21st, Mexico comes 66th, and then we have some of the big developing countries, like Russia at 95th, China at 107th. Countries like China and Russia and India, which is down in the same part of the index, well, in some ways, it's not surprising. They've spent a great deal of time over the last decades building their own economy, building their own society and their own polity, but it is to be hoped that the second phase of their growth will be somewhat more outward-looking than the first phase has been so far. And then you can break down each country in terms of the actual datasets that build into it. I'll allow you to do that. From midnight tonight it's going to be on goodcountry.org, and you can look at the country. You can look right down to the level of the individual datasets. Now that's the Good Country Index. What's it there for? Well, it's there really because I want to try to introduce this word, or reintroduce this word, into the discourse. I've had enough hearing about competitive countries. I've had enough hearing about prosperous, wealthy, fast-growing countries. I've even had enough hearing about happy countries because in the end that's still selfish. That's still about us, and if we carry on thinking about us, we are in deep, deep trouble. I think we all know what it is that we want to hear about. We want to hear about good countries, and so I want to ask you all a favor. I'm not asking a lot. It's something that you might find easy to do and you might even find enjoyable and even helpful to do, and that's simply to start using the word "good" in this context. When you think about your own country, when you think about other people's countries, when you think about companies, when you talk about the world that we live in today, start using that word Not good, the opposite of bad, because that's an argument that never finishes. Good, the opposite of selfish, good being a country that thinks about all of us. That's what I would like you to do, and I'd like you to use it as a stick with which to beat your politicians. When you elect them, when you reelect them, when you vote for them, when you listen to what they're offering you, use that word, "good," and ask yourself, "Is that what a good country would do?" And if the answer is no, be very suspicious. Ask yourself, is that the behavior of my country? Do I want to come from a country where the government, in my name, is doing things like that? Or do I, on the other hand, with my head held high thinking, "Yeah, I'm proud to come from a good country"? And everybody will welcome you. And everybody in the last 15 seconds before they drift off to sleep at night will say, "Gosh, I'm glad that person's country exists." Ultimately, that, I think, is what will make the change. That word, "good," and the number 6.8 and the discovery that's behind it have changed my life. I think they can change your life, the way that our politicians and our companies behave, and in doing so, we can change the world. I've started thinking very differently about my own country since I've been thinking about these things. I used to think that I wanted to live in a rich country, and then I started thinking I wanted to live in a happy country, but I began to realize, it's not enough. I don't want to live in a rich country. I don't want to live in a fast-growing or competitive country. I want to live in a good country, and I so, so hope that you do too. Thank you.
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私は反射的に連ねた魔法陣に魔力を込め、いつでも防御できるように構えた。 ............ウィルおじさんが望めばこの国を乗っ取ることなんて容易いことだろう。 「そうならないのは、彼が人格者だからかしら......」 私は絶体絶命の状況でそんなことをぼんやりと考えていた。 その隙をついてか、今まで感じたことのない恐怖心に覆われた。一瞬にして大量の魔法陣が壊れた。残っているのはたっただけ。 この魔法陣でウィルおじさんの攻撃を受けきれるわけがない。ただ、さっきの魔法陣とは違い、今私が出した魔法陣は魔力を吸収できるようにしておいた。 魔力を吸い取ることが出来るなんて無敵じゃない! って思うかもしれないけれど、そんな単純な話じゃない。 これほどの魔力を吸収するのにはとてつもない体力を消耗をすることになる。更に、並外れた集中力が必要。 魔法陣にひびが入り、壊れかけていく。あまりのウィルおじさんの魔力に手が震えてしまう。 私は必死に歯を食いしばりながら、意識を集中させる。 ......これぐらいのことが出来なければ、私は成長したなんて口が裂けても言えないわ。 ウィルおじさん、成長した私の姿をその目に焼き付けて下さい。そうじゃないと、死んでも死にきれないでしょ。 パリンッと魔法陣が割れる音が耳に響く。残ったのの魔法陣だけ。 一気に体に負荷をかけているせいか、鼻から血が流れてきたのが分かった。体中から力が抜けていくのが分かるが、今倒れるわけにはいかない。 「なんて強い精神だ」と目を見開いて、私を見つめているウィルおじさんが視界に入る。 意識が朦朧としてくるが、それでも私は必死に耐えていた。 気付けば、私は地面に倒れていた。目が上手く開かない。 ......花畑で倒れている悪女なんて、なかなか絵になるんじゃない? 甘い花の匂いが私を包み込む。ぼやけた景色の中で、私はウィルおじさんの方へ視線を向けた。 もはや、立てる体力もない。それでも、私は戦える。体力はないが、私の体には膨大な魔力がみなぎってる。 「わしの魔力を吸収し、己のものにしよったか......」 私の方へとゆっくり近付きながら、ウィルおじさんが口を開いた。 魔力を相殺すれば良かったのだろうけど、それだと悔しいからウィルおじさんの魔力を自分のものにした。 余計なことをしたせいで、その代償が今に響いているのだけれど......。まさかあそこまでの威力があるとは思わなかったんだもの。 「魔力があるとて、もう戦う体力は残っていないだろう」 「それはどうでしょう」 私はこの状況でも余裕のある笑みを浮かべた。傍から見れば私は完全に敗北者に見えるだろう。 ......この私がウィルおじさんの言われたことを活かさないわけないじゃない。狡猾になれたか分からないけれど、少なくとも頭を使って戦いに挑んだ。 戦う前に一つだけ仕掛けておいた。 「どういうことだ?」とウィルおじさんは眉をひそめた。 「足元を、見てください」 力を失い過ぎたせいか上手く声を発することが出来ない。ウィルおじさんはゆっくりと視線を下へと向けた。 彼の足元には、紫と黄金が混じった神秘的な魔法陣があった。
Reflexively, I put magic into my magic circles and readied myself to defend at any time. ...It would be easy for Uncle Will to take over this country if he wanted to. “The only reason that won’t happen is that he’s a man of character...” I was thinking this in a daze in a desperate situation. In that split second, I was covered with a sense of fear I had never felt before. Instantly, a large number of magic circles I created were broken. Only five remained. There was no way that this magic circle would be able to withstand Uncle Will’s attack. However, unlike the previous magic circles, the magic circle I had just created was capable of absorbing magic power. You might be thinking, “It’s invincible to be able to absorb magic power!”, but it’s not that simple. Absorbing this much magic power required tremendous physical strength. In addition, extraordinary concentration as well. The magic circle was starting to crack and break. My hands trembled from the sheer power of Uncle Will’s magic. I gritted my teeth desperately and focused my attention. ...If I couldn’t stay like this, I wouldn’t be able to say that I’ve grown up. Uncle Will, you must see the grown-up me in your eyes. Otherwise, you won’t be able to pass on. The sound of the magic circle breaking echoed in my ears. Only three magic circles remained. I could feel blood flowing from my nose due to the load I was putting on my body all at once. I could feel the strength draining from my body, but I couldn’t afford to collapse now. “What a strong spirit,” said Uncle Will, who was staring at me with his eyes wide open. My consciousness was starting to fade, but I still held on desperately. The next thing I knew, I was lying on the ground. My eyes could not open properly. ...Wasn’t it beautiful to see Villainess collapsed in a field of flowers? The smell of sweet flowers enveloped me. In the blurred scenery, I looked toward Uncle Will. I no longer had the strength to stand. Still, I would fight. I might not have the physical strength, but my body was filled with an immense amount of magical power. “You’ve absorbed my magic and made it your own...” Uncle Will spoke as he slowly approached me. I should have canceled the magic power, but that would have been too frustrating, so I took Uncle Will’s magic power and made it my own. I did something unnecessary, and the cost was being reflected now, but.... I didn’t expect it to be that powerful. “Even if I had the magic power, I wouldn’t have the strength left to fight anymore.” “I doubt that.” A smile was all I could spare in this situation. From the outside, I would look like a complete loser. ...How could I not take advantage of what Uncle Will said? I didn’t know if I could be cunning, but at least I used my head and tried to fight the battle. I did one thing before the fight. “What do you mean?” said Uncle Will, raising an eyebrow. “Watch your step.” Too weak to speak, Uncle Will slowly turned his gaze downward. At his feet was a mysterious magic circle of purple and gold.
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公務そして外交の政府は、今日のメディアと全面的に連動するために、人的、時間的、そして事務的文化に対する方向性を徐々に改め始めている。
Government public affairs and public diplomacy efforts are slowly beginning to reorient staffing, schedules, and bureaucratic culture to engage the full range of today’s media.
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そこそこのキャリアでいい と言う方もいるでしょう それだって失敗するでしょうけど— というのも・・・まったく のんきな人ばっかりだ カナダ人の集まりかな そうに違いない そこそこのキャリアを 求めると失敗するのは そこそこの仕事というものが 姿を消しつつあるからです あるのは立派な仕事 立派なキャリアか 負担が大きく ストレスの強い 身も心もボロボロに なるような仕事 そのどちらかしかありません だから そこそこの仕事を 求めると失敗します 私がお話するのは 立派な仕事 立派なキャリア それを求める人たちのこと そして なぜ皆さんが失敗するか 第一の理由はこれです 何度も耳にしているでしょうが 「立派なキャリアを望むなら 自分の情熱を追い求めなさい 夢を追い求めなさい 人生をかけて 夢中になれるものを 追い求めなさい」 何度こう言われても皆さんは そうしないと心に 決めているからです スティーブ・ジョブズが卒業式でやった スピーチを何回見ようとも やらないと決意して しまっているのです なぜ決めてしまうのかは わかりません 面倒くさい 大変すぎる 情熱を探して 見つからなかったら嫌だ バカみたいだ それで言い訳として 情熱を探さない理由を並べる その言い訳というのが すごく多種多様で 創造力を駆使して 立派なキャリアを築くために 必要なことを 実行しない言い訳を 次々と生み出すのです たとえばこんなのは 格好の言い訳です 「立派なキャリアというのは 本当のところ ほとんどの場合 単なる運なんだ だから特に何もせず 幸運になるように心がけ 運が良ければ 立派なキャリアに恵まれるし 運が悪ければ そこそこのキャリアだ」 しかし そこそこのキャリアなんて ありえないのだから 結局ダメ 言い訳は他にもあります 「世の中には 情熱を追い求める特別な人間がいる やつらは天才だ スティーブ・ジョブズみたいな 俺は天才じゃない 5歳のときは天才だと思っていたが 大学時代に教授から 勘違いだと思い知らされて以来 まるで縁がない でも俺は天才じゃないにしても 十分有能な人間だ」 いいですか これが1950年なら 十分有能な人には 立派なキャリアも 手に入ったでしょう しかし2012年にも なろうという時に 「俺はまったく十分有能だ」 なんて言ったって 誰も相手にしてくれません こんな言い訳もあるでしょう 「やるよ やるとも でも・・・でも・・・ 結局のところ 俺は変人じゃない 情熱を追い求めるやつらは どこかオタクっぽい ちょっと 変わってる そうだろう? 狂気と天才は紙一重って 言うだろう 俺はヘンじゃない スティーブ・ジョブズの伝記を読んだが とんでもない やつとは違う 俺はいい人間だ 俺は普通だ 普通のいい人間だ 普通のいい人間には 情熱なんてないんだ でも立派なキャリアはほしい 情熱を追い求める用意が できてないんだ だからこうしよう これで解決するから 方法はあるんだ パパとママに教わったもの パパとママが言ってたよ 必死で働けば そこそこのキャリアが築ける つまり必死で働けば 手に入るのは そこそこのキャリア 本当に本当に必死で働けば 立派なキャリアが手に入る これって— 数学的にも正しいだろう?」 お生憎様 でも自分を納得させることは できるでしょうね いいですか 実はこういうことです 働くことをお望みですか? 本当に本当に必死で? ならばその望みはかなうでしょう 見事に 本当に本当に本当に 必死で働くチャンスが与えられます でも それで立派なキャリアが 手に入ると 本気で思いますか そうではないという証拠が そろっているのに? さてここで 情熱の対象となるものを 探している人のことを 考えてみましょう 行動を起こした方がいいのは わかりました 言い訳などせず 夢中になれるものを探して なんともうれしいことに 興味を引かれるものが 見つかりました 「興味がある!興味があるぞ!」 と言う 「興味があるんだ!」 「それは素晴らしいですね! それで あの・・・続きは?あなたの・・・」 「ああ 興味があるんだ」 私は尋ねます「情熱は?」 「いや 興味があるんだ」 興味というのは何と比べて? 「私が興味があるのはこれだよ」 人類に関する他の 様々なことについては? 「そういうのには興味ない」 ひと通り 見たんですよね? 「いや あんまり」 情熱とは 最も深い愛情のことです 情熱とは あなたの持てる才能を 最高のかたちで 表現するための道具です 情熱と興味は別のものです 恋人を前にして こんな言い方ができますか? 「結婚してくれ! 君に興味がある」 絶対に 絶対にうまくいきません 孤独死確定です 本当に本当に求めるべきは 情熱なのです 興味では足りません 興味のあるものが20あったら その中の1つに 他の何よりも 心をつかまれ 強く惹かれるかもしれません そのとき ようやく 見つかるのでしょう 他と比べようがないほど 深い愛情を注げるもの 興味をかきたてられるもの それが情熱なのです 恋人にプロポーズをした 友人がいます 損得に関して論理的な男です 彼は恋人にこう言いました 「結婚しよう お互いの利害を統合させよう」 本当に言ったんですよ 「本当に愛している 心から愛している 今まで出会った どの女性 よりも愛している メアリーよりも ジェーンよりも スージーよりも ペネロペよりも イングリッドよりも ガートルードよりも グレーテルよりも・・・」 当時ドイツとの交換留学生だったもんで 「ああ それに・・・」 「もう結構よ!」 彼女は 部屋を出て行きました 友人の列挙が半分も終わらないうちに 彼は断られたことに驚いていました 驚きから醒めると 彼はこう結論づけました 「危ないところだった あんな非論理的な人間と 結婚しようとするなんて」 でも こんな覚え書きもしていました 「今度プロポーズするときは 結婚相手の候補だった女性を ひとり残らず列挙する必要はないかも」 肝心なのはここです 選択肢は いくらでもある その中から 運命を探し出すこと 『運命』という言葉は嫌ですか? 『運命』と聞くと怖くなりますか? いま我々が問題にしているのは それなんですよ あなたが持てる才能を 最高のかたちで 表現できなければ 『興味』とかいうものに 甘んじてしまえば 長い人生に幕が下りるとき 何が起きるでしょう お友達や家族が 墓地に集まったとき あなたの墓碑に 刻まれているだろう言葉は 「マジックテープを開発した 優れたエンジニア ここに眠る」 しかし 別の人生で あなたが その才能を 最高のかたちで発揮 していたとしたら そこには こんな風に 刻まれていたはずです 「大統一理論を確立し ワープ航法の実用性を立証した 最後のノーベル物理学賞受賞者 ここに眠る」 マジックテープねえ 片や輝かしいキャリア 片や逃したチャンス しかし こういう人もいるでしょう 数多の言い訳にも関わらず 情熱を見つけ出す人が— でもやっぱり失敗するのです 失敗します なぜなら やらないから また別の言い訳をするから 行動しないための言い訳 そういう言い訳を 私は何度となく聞いてきました 「よし 立派なキャリアを追い求めよう でも 成功より 人間関係が大事だ 友人として 夫として妻として 親として立派でありたい 偉業を成し遂げるために 彼らを犠牲にはできない」 どう言ってほしいんでしょう? こう言えば満足して もらえるでしょうか 「誓って言うが 私は子どもを 蹴飛ばしたりしないよ」 あなたの世界観では とにかくあなたはヒーローで 私はと言えば 立派なキャリアを求めるには 子ども嫌い じゃなければと 仄めかしている 私は子どもを嫌ってなどいません 蹴飛ばしもしません 私がここに着いたとき 小さな子がこの建物の中を うろうろしていましたけど 蹴ってませんよ 「この建物は 大人のための 場所だから 出ていきなさい」 と言うと お母さんがどうとか言うので 「外にいれば きっとお母さんが 見つけてくれるよ」と言いました 最後に見かけたとき その子は 階段で泣いていました 弱虫め 私のこういう一面が 見たいのですか? 本当に皆さんは 子どもを盾にするようなことが 妥当だとお考えですか? 将来こういうことが起きますよ あなたが理想の親となった ある日 子どもがやってきて こう言うのです 「なりたいものがあるんだ やりたいことがある」 うれしいでしょう 親として ぜひ聞きたいことです 算数の得意な子だから 話の続きが楽しみでしょう 子どもが言います 「決めたんだ マジシャンになりたい 舞台に立ってマジックを見せたい」 さあ どうしましょう 何と言いましょう 「うーん それはリスクが高いよ 失敗するかも 稼ぎもよくないし その どうかな もう一度考えてみたら 算数が得意なんだし どうだろう・・・」 子どもが遮ります 「でもそれが夢なんだ それをやるのが夢なんだ」 どう返事しましょう? どう答えましょう? 「いいかい お父さんにも夢があった でも・・・でも・・・」 さあ 『でも』の後 何と言いましょう? 「『でも』夢はあったけど 追う勇気がなかった」 それとも こう言いますか? 「お父さんにも夢があった でもね お前が生まれちゃったんだよ」 (笑いと拍手) みなさん 本当に家族を 言い訳にしたいと お思いですか? 自分は捕らわれの身で 夫や妻や子供は その看守役だとでも? 子どもに こう言ってやる こともできたはずです 子どもが「夢がある」 と言ったとき 子どもの目を見つめて 「やってみなさい 私がやったように」 しかし皆さんには 言えないのです やっていないから 言えないのです 親の罪の報いは 子に降りかかるのです なぜ人間関係に逃げ込んで 情熱を追い求めない 言い訳をするのですか? わかっているでしょう 心の奥底では 知っているでしょう これは真面目な話です 暖かくて曖昧な人間関係に すっぽり収まっている理由 自分では わかっているのです 自分がどういう人間か 情熱を追い求める勇気がない 馬鹿みたいに見えるのが嫌だ 挑戦するのが怖い 失敗するのが怖い 立派な友人 立派な夫や妻 立派な親 立派なキャリア 全部あってこそではありませんか? それが あなたという人間ではないのですか? みんな繋がっているんじゃないのですか? しかし あなたは恐れる だから立派なキャリアをつかめない ただし・・・ 『ただし』 この言葉は 何か期待させますね 『ただし』 しかしこの言葉は 一方で 世にも恐ろしい言葉が 続いています 「あれさえあれば・・・」 「あれさえ やっていれば・・・」 もしそれを頭の中で グルグル考えていたら 非常に苦しくなりますよ 以上 皆さんがなぜ 立派なキャリアをつかめないか その理由をお話しました ただし・・・ 『ただし』 ありがとうございました
You're going to fail, too. Because -- goodness, you're all cheery about failing. Canadian group, undoubtedly. Those trying to have good careers are going to fail, because, really, good jobs are now disappearing. There are great jobs and great careers, and then there are the high-workload, high-stress, bloodsucking, soul-destroying kinds of jobs, and practically nothing in-between. So people looking for good jobs are going to fail. I want to talk about those looking for great jobs, great careers, and why you're going to fail. First reason is that no matter how many times people tell you, "If you want a great career, you have to pursue your passion, you have to pursue your dreams, you have to pursue the greatest fascination in your life," you hear it again and again, and then you decide not to do it. It doesn't matter how many times you download Steven J.'s Stanford commencement address, you still look at it and decide not to do it. I'm not quite sure why you decide not to do it. You're too lazy to do it. It's too hard. You're afraid if you look for your passion and don't find it, you'll feel like you're an idiot, so then you make excuses about why you're not going to look for your passion. They are excuses, ladies and gentlemen. We're going to go through a whole long list -- your creativity in thinking of excuses not to do what you really need to do So, for example, one of your great excuses is: "Well, great careers are really and truly, for most people, just a matter of luck. So I'm going to stand around, I'm going to try to be lucky, and if I'm lucky, I'll have a great career. If not, I'll have a good career." But a good career is an impossibility, so that's not going to work. Then, your other excuse is, "Yes, there are special people who pursue their passions, but they are geniuses. They are Steven J. I'm not a genius. When I was five, I thought I was a genius, but my professors have beaten that idea out of my head long since." "And now I know I am completely competent." Now, you see, if this was 1950, being completely competent -- that would have given you a great career. But guess what? This is almost 2012, and saying to the world, "I am totally, completely competent," is damning yourself with the faintest of praise. And then, of course, another excuse: "Well, I would do this, I would do this, but, but -- well, after all, I'm not weird. Everybody knows that people who pursue their passions are somewhat obsessive. A little strange. Hmm? Hmm? Okay? You know, a fine line between madness and genius. "I'm not weird. I've read Steven J.'s biography. Oh my goodness -- I'm not that person. I am nice. I am normal. I'm a nice, normal person, and nice, normal people -- don't have passion." "Ah, but I still want a great career. I'm not prepared to pursue my passion, so I know what I'm going to do, because I have a solution. I have a strategy. It's the one Mommy and Daddy told me about. Mommy and Daddy told me that if I worked hard, So, if you work hard and have a good career, if you work really, really, really hard, you'll have a great career. Doesn't that, like, mathematically make sense?" Hmm. Not. But you've managed to talk yourself into that. You know what? Here's a little secret: You want to work? You want to work really, really, really hard? You know what? You'll succeed. The world will give you the opportunity to work really, really, really, really hard. But, are you so sure that that's going to give you a great career, when all the evidence is to the contrary? So let's deal with those of you who are trying to find your passion. You actually understand that you really had better do it, never mind the excuses. You're trying to find your passion -- and you're so happy. You found something you're interested in. "I have an interest! I have an interest!" You say, "I have an interest!" I say, "That's wonderful! And what are you trying to tell me?" "Well, I have an interest." I say, "Do you have passion?" "I have an interest," you say. "Your interest is compared to what?" "Well, I'm interested in this." "And what about the rest of humanity's activities?" "I'm not interested in them." "You've looked at them all, have you?" "No. Not exactly." Passion is your greatest love. Passion is the thing that will help you create the highest expression of your talent. Passion, interest -- it's not the same thing. Are you really going to go to your sweetie and say, "Marry me! You're interesting." Won't happen, and you will die alone. what you want, what you want, is passion. It is beyond interest. You need 20 interests, and then one of them, one of them might engage you more than anything else, and then you may have found your greatest love, in comparison to all the other things that interest you, and that's what passion is. I have a friend, proposed to his sweetie. He was an economically rational person. He said to his sweetie, "Let us marry. Let us merge our interests." Yes, he did. "I love you truly," he said. "I love you deeply. I love you more than any other woman I've ever encountered. I love you more than Mary, Jane, Susie, Penelope, Ingrid, Gertrude, Gretel -- I was on a German exchange program then. I love you more than --" All right. She left the room halfway through his enumeration of his love for her. After he got over his surprise at being, you know, turned down, he concluded he'd had a narrow escape from marrying an irrational person. Although, he did make a note to himself that the next time he proposed, to enumerate all of the women he had auditioned for the part. But the point stands. You must look for alternatives so that you find your destiny, or are you afraid of the word "destiny"? Does the word "destiny" scare you? That's what we're talking about. And if you don't find the highest expression of your talent, if you settle for "interesting," what the hell ever that means, do you know what will happen at the end of your long life? Your friends and family will be gathered in the cemetery, and there beside your gravesite will be a tombstone, and inscribed on that tombstone it will say, "Here lies a distinguished engineer, who invented Velcro." But what that tombstone should have said, in an alternative lifetime, what it should have said if it was your highest expression of talent, was, "Here lies the last Nobel Laureate in Physics, who formulated the Grand Unified Field Theory and demonstrated the practicality of warp drive." Velcro, indeed! One was a great career. One was a missed opportunity. But then, there are some of you who, in spite of all these excuses, you will find, you will find your passion. And you'll still fail. You're going to fail, because -- because you're not going to do it, because you will have invented a new excuse, any excuse to fail to take action, and this excuse, I've heard so many times: "Yes, I would pursue a great career, but, I value human relationships -- I want to be a great friend. I want to be a great spouse. I want to be a great parent, and I will not sacrifice them on the altar of great accomplishment." What do you want me to say? Now, do you really want me to say now, tell you, "Really, I swear I don't kick children." Look at the worldview you've given yourself. You're a hero no matter what. And I, by suggesting ever so delicately that you might want a great career, must hate children. I don't hate children. I don't kick them. Yes, there was a little kid wandering through this building when I came here, and no, I didn't kick him. Course, I had to tell him the building was for adults only, and to get out. He mumbled something about his mother, and I told him she'd probably find him outside anyway. Last time I saw him, he was on the stairs crying. What a wimp. But what do you mean? That's what you expect me to say. Do you really think it's appropriate that you should actually take children and use them as a shield? You know what will happen someday, you ideal parent, you? The kid will come to you someday and say, "I know what I want to be. I know what I'm going to do with my life." You are so happy. It's the conversation a parent wants to hear, because your kid's good in math, and you know you're going to like what comes next. Says your kid, "I have decided I want to be a magician. I want to perform magic tricks on the stage." And what do you say? You say, you say, "That's risky, kid. Might fail, kid. Don't make a lot of money at that, kid. I don't know, kid, you should think about that again, kid. You're so good at math, why don't you --" The kid interrupts you and says, "But it is my dream. It is my dream to do this." And what are you going to say? You know what you're going to say? "Look kid. I had a dream once, too, but -- So how are you going to finish the sentence with your "but"? "But. I had a dream too, once, kid, but I was afraid to pursue it." Or are you going to tell him this: "I had a dream once, kid. But then, you were born." Do you really want to use your family, do you really ever want to look at your spouse and your kid, There was something you could have said to your kid, when he or she said, "I have a dream." looked the kid in the face and said, "Go for it, kid! Just like I did." But you won't be able to say that, because you didn't. So you can't. And so the sins of the parents are visited on the poor children. Why will you seek refuge in human relationships as your excuse not to find and pursue your passion? You know why. In your heart of hearts, you know why, and I'm being deadly serious. You know why you would get all warm and fuzzy and wrap yourself up in human relationships. It is because you are -- you know what you are. You're afraid to pursue your passion. You're afraid to look ridiculous. You're afraid you may fail. Great friend, great spouse, great parent, great career. Is that not a package? Is that not who you are? How can you be one without the other? But you're afraid. And that's why you're not going to have a great career. Unless -- "unless," that most evocative of all English words -- "unless." But the "unless" word is also attached to that other, most terrifying phrase, "If only I had ..." "If only I had ..." If you ever have that thought ricocheting in your brain, it will hurt a lot. So, those are the many reasons why you are going to fail to have a great career. Unless -- Unless. Thank you.
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「お帰りなさい、リーフ。今日は随分遅かったのね」 アルフェと明日の魔導工学の予習を終え、どうにか日が暮れる前に帰ってきた。しかし、母には余計な心配をかけてしまったようだ。 僕とアルフェが下校するタイミングで、最上級生らも下校を始めていたのだから無理もない。勉強に夢中になっていたとはいえ、新入生としての普通の振る舞いではなかったな。 「......申し訳ありません、母上。明日の授業の予習をしていたら時間を忘れてしまって――」 「アルフェちゃんだったの?」 素直に謝る僕に、母が笑顔で訊ねてくる。笑顔ではあったが、もしかしてアルフェを巻き込んで帰宅が遅くなったことを、怒っているのかもしれない。これまで、叱られたことなどなかったのだが、そろそろそういう時が来るのを覚悟しておくべきだろう。 「......はい。クリフォートさんにも謝罪した方が宜しいでしょうか?」 「謝罪?」 おずおずと訊ねた僕の言葉に、母は驚いたように目を瞬き、それから噴き出した。 「ふふふっ、謝ることなんてなにもないわ。でも、そう思わせてしまったならごめんなさい。そういう心配はしなくても大丈夫なのよ、リーフ」 朗らかな笑顔でそう話す母は、僕を安心させようと努めている。その言葉に偽りがないのは、これまでのリーフとしての人生経験からなんとなくわかった。 他人がいつ豹変するかわからないと考えてしまうグラスの癖も、そろそろ改めた方が良いのだろうな......。 なぜなら、それは到底『普通』の子供にはないはずの思考なのだから。......少なくとも僕が知る限りのこの街に於いては。 「......いいこと、リーフ。これだけは良く覚えておいて」 僕が急に謝罪したのを重く受け止めているのか、母は夕食の仕度をしていた手を止め、僕のそばまでやってきた。 「あなたたちが仲良くしてくれて、ママたちはとっても嬉しく思っているの」 笑顔のままではあったが、僕の目の高さに合わせて屈み、改まってそう話す母親の目は真剣そのものだ。 「......僕もアルフェと幼なじみで、とても嬉しいです。僕たちを引き合わせてくれて、本当にありがとうございます、母上」 だから僕も、今僕の中にある最大限のアルフェへの好意を口にした。その言葉はどうやら母を満足させたようで、深い頷きが返された。 「お礼を言うのは私とジュディさんの方よ。......でもね、リーフ。それとは別に、他にもたくさん友達が出来るといいわね」 その言葉は、裏返せばアルフェだけが友達ではないとも取れる。クラスメイトを見ていると、友達は多い方が良いと考えている人間が多数派なのも薄々理解している。 ――でも、アルフェはどうなんだろう? そう考えた瞬間、アルフェの『だいすき』と僕に伝える時の笑顔が脳裏を過った。きっと、アルフェにとっての友達は僕だけで、彼女は僕しかいらないんだろうな。 だから......というわけではないけれど、僕もアルフェに合わせることにした。 「その必要性は感じません。僕にはアルフェがいますから。それよりも、母上――」 「なあに、リーフ?」 言葉を途中で切り、母の反応を伺う。この切り出し方で、僕からの『お願い』があると察してくれたらしく、母は興味を持って耳を傾けてくれた。 「その......。もし良ければ、なんですが、僕にお手伝いをさせてもらえませんか?」 そう言いながら視線をキッチンの方へと向ける。ちょうど夕食の仕度の途中で、 「まあ。いつもしてくれてるじゃない。どうしたの、改まって?」 「明日の魔導工学の授業に備えて、家で使っている魔導器に触れておきたいのです」 小学校に進学し、今の時代の魔導器の進化を詳しく知るという動機付けを得たのだ。この機会を逃す手はない。これまでは、家でも色々気になることはあったが、両親に怪しまれてもならないので質問をかなり選んでいたのだが、それを学んでいるという名目ならばどんな質問も受け付けてもらえそうだ。 「そういうことね。だったら、いい機会だから色々と教えてあげるわ。ただし、キッチンで使っているものは熱源になるものが多いの。火傷にはくれぐれも注意するのよ」 「その危険性については、存じ上げています。充分に注意しますが、到らないところがあればご指摘ください、母上」 そうしてキッチンの魔導器に触れる許可を得た僕は、母から現代魔導器の扱い方の説明と手ほどきを受けながら、夕食の仕度に勤しんだ。 これまでは、火や熱湯を扱うということで不用意に立ち入ることを控えていたキッチンだが、想像以上に現代魔導器の宝庫だった。 の場合は、『沸騰』と書かれている簡易術式がボタンを押すことで起動し、お湯を沸かしてくれるのだが、その他に『保温』という別のボタンがあり、一定時間湯の温度を一定に保つという機能を備えている。 グラスとしての僕の知識と理論では、水と加熱を組み合わせた簡易術式で炎に頼らずに熱のエネルギーだけを取り出すことが限りなく難しかったのだが、現代は水の加熱に最適化された簡易術式がそれを可能にしていた。 ――これが年後の未来か......。 の場合は『吸引』という簡易術式と『強』『弱』のボタンを組み合わせることで、吸引力を調整するという機能が加わっていた。以前は吸い込むことしか能がなかった清掃用魔導器だったが、最近は小型の自動清掃機能を備えた円盤型の魔導器まであるらしい。 そもそも、僕がグラスとして生きていた時代の魔導器と言えば、機兵の魔導炉や制御回路等の部品に使われるものがメインだったのだが、今の時代では一般家庭に普及するレベルまで簡略された上、産業化されて普及しているのだから驚きだ。 「......やっと興味を持ってくれたみたいで嬉しいわ。錬金術のことでよければ、ママはもっと詳しく話せるわよ」 夕食後の片付けをしながら、母が笑顔で僕に話しかけてくれる。その厚意自体はとても有り難いのだが、仮に頼んだとして、質問を選ぶのに苦労しそうだな......。
“Welcome back, Leafa. You were quite late today.” After finishing the pre-study for tomorrow’s magical engineering with Alfe, I somehow managed to return before nightfall. However, it seemed I had caused unnecessary worry to my mother. I couldn’t blame her, as we left the school so late even the senior students were already starting to head home. Despite being engrossed in our studies, our behavior wasn’t typical for new students. “I apologize, Mother. I lost track of time while preparing for tomorrow’s class—” “Was Alfe with you?” In response to my sincere apology, Mother asked with a smile. While it was a smile, I wondered if she might be angry about involving Alfe and making our return home late. Although I had never been scolded before, I should be prepared for such times. “Yes. Should I also apologize to Mrs. Clifford?” “Apologize?” Surprised by my hesitant words, Mother blinked her eyes and then burst into laughter. “Hahaha, there’s no need to apologize for anything. But if I made you think that way, I’m sorry. You don’t have to worry about such things, Leafa.” Speaking with a cheerful smile, Mother made an effort to reassure me. The sincerity in her words was something I had somehow learned from my life experiences as Leafa. Perhaps I had to start fixing my habit as Glass which made me think others could change at any moment... After all, such thinking was not something a ‘normal’ child should have, at least not in this town as far as I knew. “...Remember this, Leafa. One important thing.” Whether she took my sudden apology seriously or not, Mother stopped preparing dinner, and approached me. “We, your moms, are very happy that you two get along so well.” Though she maintained a smiling face, as she bent down to my eye level and spoke earnestly, the eyes of my mother were undeniably serious. “...I’m also very happy being close to Alfe. Thank you so much for introducing us, Mother.” So I expressed the maximum goodwill I had towards Alfe. It seemed to satisfy Mother, as she returned a deep nod in response. “It’s Judy and I who should say that. But, Leafa, aside from that, it would be nice if you could make many other friends too.” Reading between the lines, her words hinted that Alfe might not be the only friend for me. Observing my classmates, I vaguely understood that having many friends was considered desirable by the majority. But what about Alfe? The moment I thought about it, the image of Alfe’s smiling face, when she expressed her ‘love’ for me, flashed through my mind. Surely, for Alfe, I might be the only friend she needed, and she might only want me. So, not because of that specific reason, but I decided to align myself with Alfe. “I don’t feel the need. I have Alfe. More importantly, Mother—” “What is it, Leafa?” Interrupting my words, I gauged Mother’s reaction. She seemed to sense that there was a ‘request’ from me in this approach, and she leaned in with interest, attentive to what I had to say. “Well... If it’s okay, could you let me help you?” As I spoke, I directed my gaze towards the kitchen. It was right in the middle of preparing dinner, with the pot on the aether stove and the water-heating pot working heavily. “Huh, aren’t you always helping me? What’s gotten into you, asking so formally?” “I want to familiarize myself with the magical devices we use at home, in preparation for tomorrow’s magical engineering class.” Entering elementary school had given me the motivation to delve into the advancements in magical devices of this era. I couldn’t miss this opportunity. Until now, I had been careful about the questions I asked at home, not wanting to arouse suspicion from my parents. However, if I framed it as learning about magical devices, it seemed like I could ask any question I wanted. “So that’s how it is. In that case, it’s a good opportunity to teach you various things. However, many things in the kitchen involve heat sources. Be extremely careful about burns.” “I am aware of the risks. I will be cautious, but please point out anything I might miss, Mother.” With permission to handle the magical devices in the kitchen, I received explanations and guidance from Mother on how to use modern magical devices while busy preparing dinner. Until now, I had refrained from entering the kitchen casually due to handling fire and hot water. However, it turned out to be a treasure trove of modern magical devices beyond my imagination. For instance, in the case of the pot (water-heating magical device), there was a simple ‘boil’ formula on it. By pressing a button, it activated, boiling water. Additionally, there was another button labeled ‘Retain,’ which maintained the temperature of the water for a certain period. In my knowledge and theory as Glass, combining water and heating through a simple formula without relying on flames to extract only the energy of heat was exceedingly difficult. However, in the modern era, simplified formulas optimized for water heating made it possible. So this is the world years into the future... In addition, for the vacuum cleaner, there was a function to adjust suction power by combining a simple ‘suction’ formula with buttons for ‘strong’ and ‘weak.’ Cleaning magical devices used to only have the ability to suck up dirt, but these days, there were apparently even disc-shaped magical devices equipped with small automatic cleaning functions. Originally, during the era when I lived as Glass, magical devices were mainly used as components for magical furnaces and control circuits of the mecha soldiers. However, in the current era, they have been simplified to the level of being widespread in ordinary households, and it’s surprising how they have been industrialized and made accessible. “...I’m glad you finally seem interested. If it’s about alchemy, Mom can tell you more.” While cleaning up after dinner, Mother spoke to me with a smile. I appreciated her kindness, but even if I were to ask for more details, choosing questions might prove to be a challenge...
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寒い冬が終わりを告げ、暖かい風を感じる季節になった。 今日は帝都にペーリスと共に来ている。ここ数ヶ月、休日はペーリスと帝都散策をすることが多くなった。理由は、買い物とペーリスに料理を覚えさせるためだ。これまで俺が食べておいしいと感じた店にペーリスを連れていき、その味を覚えさせている。 ペーリスは俺の結界で人型に見せているが、最初はなかなか大変だった。何しろ、「グモモ」としか喋れないのだ。当然俺はわかるが、他の人はわからない。常に俺が通訳をしていたのだが、最近になってようやく、人語が話せるようになってきた。 人語の先生はゴンであり、その教え方が上手なのと、ペーリスの勉強熱心ぶりも相まって、驚くほど速く人語をマスターしていった。今では、カウンター越しの料理人に、その料理の作り方や包丁の入れ方、調味料などを質問し、さらに料理の腕を上げている。店の人からは料理好きな食いしん坊な女の子と思われることも多く、この間なぞは屋台の大将に 「お嬢ちゃん、食いしん坊もいいけど、少しは痩せなよ」 と言われてしまい、苦笑したこともある。ゴン曰く、ペーリスはかなりの美少女らしいのだが、いかんせん小さなドラゴンであり、体形は相変わらずずんぐりむっくりのままだ。それほどまでの美少女であるのなら、ゴンに人化を教えさせてみようかとも考えている。 帝都内で買い物を済ませ、どんどん無限収納に放り込んでいく。俺たちが行くと大量に大人買いをするので、店の人たちも割合に好意的に接してくれる。また、食材などはペーリスとゴンが職人レベルの目利きをするために、店の親方と何やら深い絆が出来つつある。かなり専門的な話をしているので、俺にはわからないのだが。 買い物が長引き、昼を過ぎてしまった。たまたま近くに高級そうなホテルがあったので、そこのレストランで食事をすることにする。地下のレストランに降りていくと、生憎と本日は休みのようだ。しかし、中は騒がしい。てっきりパーティでもやっているのかと思っていると、そこで意外な人物と会った。何と、遊郭「ミラヤ」の女将であるアキマだ。 「あらーリノスちゃん、お久しぶり!何してんのさ!」 「おかみさんお久しぶりです。いや昼飯を食べようかと思ってきたのですが、休みのようですね。女将さんはこんなところで何を?」 「決まってるさね!奴隷市だよ!」 普段レストランとして使われているこの場所は、今回は奴隷市の会場になっているのだそうだ。アキマは店の新人発掘のため、このような奴隷市によく顔を出すそうだ。今回も数名のダイヤの原石をゲットし、手続きのために外に出てきたのだという。 「もう目ぼしいものは終わっちまって、あとは犯罪奴隷だけだね」 犯罪奴隷・・・罪を犯して奴隷落ちした人々だ。基本的に軽い犯罪では奴隷落ちにはならない。重罪を犯し、ほを奴隷として生きていかなければならない人々のことだ。大抵は、男は鉱山や兵士として買われることが多く、女は遊女として買われることが多い。しかし、環境は劣悪で苛酷なことが多く、10年以内に死亡する確率は90%を超えるのだという。言ってみれば、死刑になる時間が少し延びたくらいの状態なのだそうだ。 「基本的にはロクなのがいないんだけどね!でもたまに親の犯罪に連座して犯罪奴隷落ちしている女の子もいるんだよ。せっかくだから見ていきなよ!もしかしたら、掘り出し物があるかもしれないよ!」 アキマは無理やり俺の腕を取り、部屋の中に入っていく。 部屋の中は薄暗く、逆にステージの上はライトが当たっているためか、かなり明るい。しばらくすると、司会の男性が現れる。 「みなさま、お待たせいたしました。それでは犯罪奴隷の売買を始めます。この度の市は、これが最後でございます」 「リノスちゃん、いいのがいたら買っちゃいなよ!その白い札を上げて希望額を言うんだ。財布の中身と相談して買いなよ」 どうやらオークション方式らしい。アキマと話していると、ステージ上に屈強な男たちが並べられている。 「人間の男・25歳、猫の獣人男・19歳、人間の男・18歳、同じく人間の男・18歳!5000Gから始めます!」 司会者が大声を上げて商品を紹介していく。白い札があがり、「6000G!」、「7000G!」と声が飛ぶ。売りに出される奴隷は、数名まとめてという場合もあり、一人だけというものもあった。開始値で購入希望者が現れなければ、どんどん値が下がっていく。最低落札価格は1000Gに決められているようで、それでも札が上がらなければ、その奴隷はステージ上から降ろされていた。俺の嫌な思い出がよみがえる。 「落札されなかった奴隷はどうなるんですか?」 「うーん。次回の市に出すこともあるけど、大抵の場合は主催者側で処分されちまうね」 やっぱりか。俺もエルザ様に落札されていなければ、今頃人生が終わっていたのだ。今さらながらエルザ様に心の中でお礼を言う。 「それでは、最後の商品になります。羊の獣人女・16歳!3000Gから始めます」 頭の上にクルリと巻いた形のツノが生えている。髪の毛は銀色で、羊毛のように天然パーマがかかっている。よく見ると顔立ちは整っており、かなり美少女だ。胸と腰を布で隠しているだけなので、体のラインも丸見えである。両腕と足に羊の毛のようなものが生えているが、胸もそこそこ大きく、均整の取れた体だ。モデルもできるんじゃないかと思われるほどの美しさだ。 しかし、札は上がらない。アキマあたりが店で遊女として出しても問題ないと思われるが、アキマは眉間にしわを寄せているだけで、札を上げる気配はない。ステージ上の奴隷は、客の視線に耐えかねたのか、顔を伏せてしまう。しかし、後ろに控えていた関係者らしき男に頭を掴まれ、無理やり顔を起こされている。 「どなたかございませんか?正真正銘の生娘でございます。いかがでしょうか?それでは、2500Gでは?」 どんどん値が下がっていく。アキマに落札しないのか聞いてみると 「あの子は美人だけどダメだね。アタシの勘がそう言ってるんだ。あれは買っちゃダメ!」 そんなもんかと思いながら、俺は羊娘を鑑定してみる。 メイリアス(奴隷賢者・16歳)LV36 HP:91 MP:145 錬金術 LV3 鍛冶師 LV3 薬師 LV3 MP回復 LV2 呪い LV3 自己韜晦 呪いLV3・・・一般人から忌諱される。特に善人からは極端に忌諱される。 スキル高っ!何じゃこの羊女??賢者って・・・。予想外のスキルの高さにしばし絶句する。 「出品者側から500Gまで値引きすると申しております!ございませんか?ございませんか?」 俺は思わず札を上げていた。 それを見計らったかのように、後ろから数名の兵士が入ってきた。 「この奴隷市を解散せよ!今後一切の奴隷市をこの帝都で行うことは禁止する!早々に解散せよ!!」 ・・・一体どうなるんだ??
The cold winds went away and the warm winds arrived. Today, I came to the imperial capital together with Peris. Over the past few months, I often strolled around the capital with Peris when I had time. It was done for the sake of shopping and memorizing the food. I guided her to the places, where I considered the food to be good and had her remember the taste. Peris looked human thanks to my barrier, but it didn’t go well at first. After all, she couldn’t say anything except for「gumomo」. I had no problems with that, but others did. I performed as her interpreter until she finally learned the language. Gon professionally taught her the language, and coupled with her thirst for knowledge, she grasped it in no time. Right now, she is asking the cook behind the counter about the recipes, knife handling, and seasoning, trying to raise her cooking skills. A lot of stall owners think of her of as a glutton, even recently, in one of the street stalls 「Girl, it is all right to be gluttonous, but you should lose some weight」[] she was told that with a bitter smile. According to Gon, Peris is one of a kind beauty, but that doesn’t change the fact that she looks like a small plump dragon. If she is as beautiful as Gon claims, I think about asking him to teach her human transformation. I finished this round of shopping in the capital and stuffed everything in the infinite storage. We usually buy enough food to feed lots of mouths, so the shop owners often give us discounts. Also, it seems that Gon and Peris established some kind of a deep bond with all of the stall owners. I couldn’t even understand what they were talking about. The shopping trip was prolonged and the most of the day already passed. Coincidentally, there was a high-class-looking hotel nearby, so we decided to visit the restaurant there. As we closed in on the restaurant, we found out that, regretfully, it was closed today. However, it was noisy inside. Just when I thought that it was some kind of private party, I discovered an unexpected person. The owner of 「Miraya」in the red light district, Akima. 「Ara, Rinos-chan, it’s been a while! What are you doing here? 」 「It’s been a while. I thought of eating here, but it is closed. What brings you here? 」 「Isn’t it obvious? The slave market! 」 The place that usually acts as a restaurant was turned into the slave market. Apparently, she often shows her face in such gatherings to fish for new workers for her establishment. This time, she acquired quite a few gems and went outside to complete the procedures. 「The normal slaves are already sold. It is about time for crime slaves to went on stage」 Crime slaves......people who sinned and fell into slavery. Usually, small crimes do not lead to slavery. They are the people, who committed serious crimes and have no choice but to spend the rest of their lives in slavery. Most of the times, men are bought as miners or fighting force, while women as prostitutes. However, their living environment is harsh and unbearable most of the times, which leads to % of them dying in the first years. You can say that their execution is just being extended. 「There are almost no decent people there! But sometimes, there are some girls who were enslaved due to their parent’s crimes. You might as well participate since you are here! You might find an unexpected bargain! 」 Akima grabbed my hand and dragged me inside. The room was dim, while the stage was bright. After a while, a man appeared on the stage. 「I kept you waiting, everyone. Let’s open the sale of the crime slaves. This is your last chance to purchase a slave」 「Rinos-chan, if you see someone good, do not hesitate to buy! Raise this white token and say the price. Keep in mind your budget when bidding」 Apparently, it was based on the auction system. While I was talking with Akima, a group of strong men lined up on stage. 「Human male, years old; cat beastman, male, 9 years old; human male, 18 years old; same as before, human male, 18 years old! We are starting from 5000G」 The host raised his voice and introduced the goods. The white tokens were raised and voices saying「6000G!」, 「7000G!」resounded in the room. The slaves for sale are sometimes grouped together, or sometimes presented one by one. If no one is interested, the host will gradually lower the price. The lowest possible price seems to be 1000G. If there are no white tokens raised even in this situation, the slaves will be dragged out from the stage. Bad memories surfaced inside my head. 「What will happen to the unsold slaves?」 「Un. Sometimes they try in a different city, but most of the times, the merchants get rid of them」 As I thought. If not for Elsa-sama, I would have been dead by now. It might not be the best time, but I silently expressed my gratitude. 「The last item. Sheep beastman, female, 16 years old! We are starting from 3000G」 She had two curved horns on her head. Her hair was silver-colored and gave a natural warm feeling. Looking closely, her face was shaped rather nicely, she is definitely a beauty. Only her chest and hips were covered by cloth so I could easily see her body. She had some sheep hair on her legs and arms, but her breasts were relatively big and her body was well proportioned. She was beautiful enough to become a model. However, no one was willing to bid for her. I thought that she will fare well in Akima’s establishment, but Akima only wrinkled her brows and had no intentions to raise the token. The slave on the stage, couldn’t bear the stares of the audience and lowered her head. However, a man affiliated with the slave traders forcibly lifted her head back. 「Is she not to your liking? She is a genuine pure girl. How is she? What about 2500G? 」 Her price kept falling down. I asked Akima why she didn’t bid for her. 「She is a beauty, but no. My intuition tells me this. You shouldn’t buy her! 」 While I was at it, I decided to appraise the sheep girl. Merias (Slave Sage, 16 years old) LV36 HP: 91 MP: 145 Alchemy LV 3 Blacksmith LV 3 Pharmacist LV 3 MP Recovery LV2 Curse LV3 Self-concealment Curse LV3......is impossible to get for common people. With this, she will attract the animosity on herself. Self-concealment.......overall skill decrease. Skills are high! What’s up with this sheep woman?! A sage......Her unexpected skill composition left me speechless for a brief moment. 「By the wish of the seller, we can’t go lower that 500G! How about it? Is there someone? 」 I spontaneously raised my token. As if waiting for that moment, a group of soldiers appeared from the back. 「Immediately close down this slave market! From now on, it is forbidden to host the slave auctions in the imperial capital! Close down immediately!!」 .......What the hell is happening?
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私はメリーランド州ボルチモアという 人種隔離された街で育ちました テープレコーダーを持って アメリカ中を回って― テクノロジーの発展に感謝です― 人々にインタビューして 人の言葉に寄り添えないかと... ―ステージで靴を履かない理由もそこです― 人々の言葉に足を踏み入れる事で アメリカを吸収できるのではと考えたのです ウォルト・ホイットマンに感化されました アメリカを吸収し アメリカに吸収されることを望んだ人です これから紹介する 4人のキャラクターは 私の長年の活動で出逢って インタビューをした数千人の中の4人です インタビューをした数千人の中の4人です スタッズ・ターケルを知っている 年代の方はいらっしゃいますか? 彼こそ アメリカ史上の 決定的瞬間を語る人物として うってつけの人だと思いました 彼は1912年 タイタニック号沈没事件が あった年に生まれました― かつてない豪華客船が 氷山の一角に激突して ザブーン!船は海に沈んで 私はこの世に出て来た 何て時代だ アメリカ史上の決定的瞬間について 彼はこう言いました ""アメリカ史上の決定的瞬間” なんてありゃしないね 大事件だったが 広島原爆投下じゃないし どれも決定的瞬間には 思えないね 段階的な低下... ""低下""という言葉が ウォーターゲート事件で使われた モラルの低下だ ゆるやかでいて いろいろ混じって テクノロジーの発達に伴って 人間同士のふれあいが 減ってきている こんな事があったよ 話そうかね アトランタ空港は とても近代的だ ゲートを抜けると そこには 電車があり 出発ゲートへ連れて行ってくれる その電車は とてもスムーズに走って とても静かで 能率的だ 車内アナウンスは 人の声のようだ 昔はロボットがあって ロボットが人を真似していた 今じゃ 人がロボットを真似ている こんな感じの声で 「出発第1ゲート オマハ・リンカーン」 「出発第2ゲート ダラス・フォートワース」 全く同じ声じゃないか 電車が出発する直前に 若いカップルが飛び乗った 空気ドアが閉まる 瞬間スレスレだった すると その声は全くペースを崩ないで 「遅れた乗客アリ 30秒遅れの発車です」 と言うと 乗り合わせた人々は 嫌な顔で2人をにらんだ カップルはこんな風に ちじこまっていたよ 私はちょっと 一杯ひっかけて来ていたので いい気分だった だから 電車の声をまねて こう言ったんだ 「ジョージ・オーウェルさん 君の時代が来たぞ!」ほら 笑ってるよね 普通 笑うだろ ところが その電車の中では 皆んな シーンとして 私の事をジロっと見たんだよ そして カップルと私の3人は 死刑前の囚人みたいに ちじこまってた そしたら母親の膝に乗った 赤ん坊が目に入った 話している言葉で スペイン系だと分った 赤ん坊に話しかけようとして 酒臭いだろうから 手で口を覆って こう言った ""お尋ねしますが“ ""人間という生物について どのような見解をお持ちかね?"" 赤ん坊は こちらを真っすぐに見て 笑い始めた そのうち キャッキャと 大笑いし始めた 私は言った""人の反応だ!良かった 人間はまだ失ってなかった""と だが確実に 人間同士のふれあいは 失われつつある 公で真実とされている事に対し 疑いの目を持つべきだ マーク・トウェインの素晴らしさは 彼を賞賛はするが 彼を読んでいる訳ではない 『ハックルベリー・フィン』は 誰もが読んだ本だろう もちろんハックが良いんだよ いかだの上での名場面だ ハックがした事を覚えているかい? ハックは学校に行ってない 無教養な子供だった けれども 彼の中には 素晴らしい何かがあった 公式とされる真実 法律において 黒人はかつて所有物だった モノ扱いだったんだ ハックが筏の上で その所有物 奴隷のジムと一緒だった ジムが子供と妻を連れて逃げる と聞いて しかも 内緒で連れ出すと... ハックは取り乱して ""神様 どうしよう"" ""どうしよう あの女主人は 何も悪い事していない"" ""ジムは家族を内緒で連出す... これは 盗みだ“ ""いけない事をしようとしてる"" 2人の奴隷売買者が ジムを追いかけてやってきた ""いかだに誰か乗せたか?""と聞かれ ハックは ""はい""と答えた ""白人か?黒人か?"" ""白人""と答えると2人は去っていった ハックはうろたえて ""どうしよう 神様"" ""嘘をついてしまった"" ""悪い事をした...でも...なんで こんなに気分がいいんだ?"" とても素晴らしい ハックの良い行いだ 色んな良さが葬られてしまった 人間同士のふれあいが 失われつつある アメリカ史上の決定的瞬間 と聞かれても そんなモノは無いと答えるね 一瞬が積み重なって今があるだけだろう ささいな事がニュースとして 取り上げられ そんなモノが増加する一方で 人への思いやりが消えてゆく これは当てはまるか知らんが ネブラスカ出身の作家 ライト・モーリスはこう言った 「コミュニケーションの 方法は増えているが― コミュニケーションでの繋がりは 減っている」 この辺でおいとまするよ 心臓の医者との予約があるんだ 「スタッズ・ターケル」でした (拍手) リスクを負うという事を話しましょう 皆が嫌うキャラクターをやります 役者は好かれる役を演じる事を 好むものですが いつもという訳ではありません 特に今日のような集まりでは 人に感銘を与えたいですし でも""リスクを負う""ことを語るには 自分とは全く別の人物を演じます まったく好まれない人物像で ある人が楽屋に来て 自分も出る舞台で こんな人物を 演じないでほしいと言われたほどです リスくを負ってでも あえて やろうと思います 今日のような集まりでは 受け入れられるのでないでしょうか ""リスク""にはある暗示的意味があります ”性質” にも これと同じような事が言えます マキシーヌ・グリーンという 素晴らしい哲学者がいます スタッズ氏と同年代で 哲学界のリーダー的存在です 大きな哲学者の組織のリーダーです 彼女に会って こんな質問をしました 「まだわからず これから知りたいことを 2つ教えて下さい」 彼女はこう言いました ”自分の方がずっと年上になってしまっても 大学の学長に会うと 丁寧にお辞儀しなきゃと感じたり 男性の同僚にコーヒーを 入れてあげなきゃといった 義務感にかられるのは何故か 未だに分からないわ” それから ""知的な面では マイナスの想像力について まだ十分わかっていません 911の事件によって マイナスの想像力について 自分たちは考えてこなかったと 知らされました"" この作品はマイナスの想像力に関するもので 人間性や自然について そしてリスクについて 考えさせられるものです メリーランドの女性専用の更生施設の 収容者から話を聞きました オフレコで聞いた話を再現します 人の言葉は自由詩と同じなので 聞いた話にタイトルをつけます これは 「彼女の口に鏡をあてる」 ポウレット・ジェンキンズという 収容者のインタビューです ""隠すのが上手くなっていったの 家の中で起こっている事を 誰にも知られたくなかったから 普通の家庭だと 思われたかったの 物質的にも とても恵まれていたわ でもそれでは 子供達の心の傷は癒えなかった 彼らの恐れが和らぐ事もなかった 顔中のアザと傷が どうして出来たか? 説明するための嘘も 使い果たしてしまったわ 結局 彼はまた暴力を振るう 何も無かったかのようなふりをしても 悪夢は消し去れない 家族の悪夢はそのまま そして どんどんエスカレートしていった 私がそれを許してしまったから でもメイシャが死んでしまったあの夜 激しさが何倍にも増していた 薬を取りに行って帰ってきたら 彼がメイシャに対して酷く怒って 殴り始めた バスタブにあの子を押し込め ベルトを使って叩いた 彼がベルトを使ったのは 歪んだ変態な妄想で メイシャと弟がセックスしたと 二人が愛し合っていると 思い込んで メイシャが死んだ夜の事を 話しているの だからバスタブに押し込めて 私は赤ん坊と寝室に居たの メイシャが死ぬ4ヶ月前 あの男を治せると思ったの だから子供を生んだ 狂ってたわ 血の繋がった子供が出来れば あの子達から離れると... そうはいかなかった ヒューストン、メイシャ、ドミニク 私は3人の子供の母親となった ドミニクが4ヶ月の時 私は刑務所に入った さっきも言ったけど 寝室にいたの 二人は風呂場にいて 殴られる度に あの子は倒れて バスタブに頭をぶつけて 何度も何度も それが聞こえていた なのに何も出来なかった しなかった 様子を見に行く事さえも しなかった ただ座って聞いていた そのうち 彼はあの子を 廊下に連れて来て そこでジッとしているようにと言った 娘は5時間そこに居た それから立つようにと言われた 立ち上がったけど 何も見えないと言ってた 顔はアザだらけで 目の周りは真っ黒になっていて 頭は腫上がって 2倍の大きさになっていたわね ""もう寝かせてあげて”と言うと 彼は言う事を聞いてくれたけど 翌朝 あの子は死んでいた 朝 娘を起こしに行った彼は すごく動揺してた ""息をしてない”と言っていた 娘は死んだとすぐ分かったわ 娘が死んだなんて認めたくなかった だからあの子のところに行って 口元に鏡をあてたの 何もおきない まったく息をしていなかった 彼が...彼が...言ったの ""この事は誰にも知られないように しなくしゃいけない"" ""助けてくれるよな”って彼が言うから ""わかってる” 言ったの どうせ 何年も秘密を 守ってきたんだから それを続ければいいんだって ショッピングモールに行って 娘が迷子だと警察に言ったの 行方不明だって 警備員にも 娘が迷子だって伝えたわ 嘘をついたの 何を着ているかとかも伝えた 家に帰って 警備員に伝えた通り 全く同じ服を着せて 赤ん坊ともう一人の子供を連れて 95号高速へと車を走らせた 私は呆然としていた 感覚が麻痺していたわ ずっと バックミラーを見つめていた 彼が高速の道路脇に 死んだ娘を置き去りにしたの 自分の子供を あんな目に合わせてしまった これはマイナスの想像力についての調査事例でした (拍手) ”オン・ザ・ロード― アメリカの人物を探す” テープレコーダーを持って このプロジェクトを始めた時 アメリカ中を渡り歩いて 色んな人の話を聞きたいと思いました ロデオ選手やカウボーイ 養豚場主から バトンガールまで ですが人種問題で道が逸れて 私の初の大舞台が 人種暴動の話だったからです 2つの暴動に出向きました その一つがロスアンゼルス暴動でした これから演じるキャラクターは そこでのインタビューを元にしたものです ここでは 人種問題について 色んな事を学びました 多くのインタビューの中でも これはオペラのアリアのようです ロサンゼルス暴動は何故起きたか? は皆さんご存知ですよね ロドニー・キングという黒人男性が 白人警官4人に暴行を受けたからです これもテクノロジーの恩恵で それがビデオに撮影され その映像は 世界中に広がったのです 皆が4人の白人警官は 刑務所送りになると思っていたのに 彼らに無罪放免 そして暴動が起きたのです お忘れかもしれませんが ブッシュ大統領の指示でーー 2度目の裁判が行われました その判決では2人の警官は 刑務所行きでしたが あと2人は無罪判決が出ました 私は公判を傍聴していました 次なる暴動を恐れていた人々は 浮かれていました 逆転判決への喜びが爆発する中 喜べない人々がいました 韓国系アメリカ人です 暴動によって 店が焼かれてしまった人々です ヨン・スンハンさん 人種差別とは何かということのほとんど全てを この女性から学んだように思います 彼女もスタッド氏と同じく 疑問を持っていました 公式とされる真実に 疑問を持ち この場をかりて 問いかけていました 世間で言われる正義とは何か? 「悔しさを飲み込んで」です 以前はね アメリカが一番と 信じていましたよ 高級なハリウッドの生活を 韓国のテレビで観ていましたからね 貧乏人も黒人も そこにはいなかった 1992年まではアメリカが1番と 思っていました 実は今でも... それは否定できません 私は被害者だから 92年の終わり頃 本当に大変でした お金にも困っていたし 精神的にも参ってました そこで気付いたのです 私たち韓国人は 完全に社会から外れている事を まるで存在していないみたいに 何で? どうして仲間はずれなの? 医療費控除、食品援助や一般扶助制度の 生活保護は一切 受けられなかった 多くの働かない アメリカ黒人が 生活最低限のお金を 受け取って生活しているのに 車と家があるからって 多額納税者だからって 全く国の援助が受けられなかった 不公平じゃないですか? ですよね そうでしょ 多くのアメリカ黒人は 裁判に勝ったと喜んでいる 判決の翌朝 私がここに座って見ていると 皆んな勝利を祝って 一日中パーティーをしていた サウスセントラル地区の教会は こぞって やっと社会で公正な行いがされた と言っていたけど 暴動の被害者の権利は どうなっているのでしょう? 黒人達は関係のない韓国人の商店を 破壊して 平等を勝ち取った あの人達も私と同じく キング牧師を尊敬しているのでしょ 彼だけが黒人社会の模範よ ジェシー・ジャクソンは嫌い キング牧師は非暴力主義の 象徴で その精神は受け継がれているはず なのに 1992年のあれは何? 関係の無い人々を襲った あれが平等を勝ち取るための 彼らの正義だと言うのでしょうか? 悔しさを呑み込んで ここで座って彼らを見ているのです すごくはしゃいで おかしいわ 良かったと思いますよ 何かを勝ち取る事が出来たのだから 韓国人や他の犠牲者の事は 忘れましょう 彼らにめちゃくちゃにされた人がいるという事は 200年もの間 彼らは 権利をめぐって戦ってきたのだから ヒスパニック系 アジア系 その他の有色人種達よりも 苦しい思いをしてきたのだから 彼らの気持ちも分かる だから 今回の判決に関しては 複雑な思いになるのです でも 出来たら 出来る事なら 一緒に祝えたらなと思うのです また黒人達と一緒の地域で 暮らせたらと でも暴動の後 もうそれは出来ません まだ火が...何でしたっけ? 種火 種火がそこにはまだあって 種火がまだあって いつでもまた 激しく燃え盛るかもしれないから... ヨン・スンハンさんでした (拍手) 靴を履いてない もう一つの理由は 人に寄り添った時 足を踏んでしまわないように その人の靴を履いて歩けるように さっき年代について 触れませんでしたが 79年にアメリカ中を回って ロデオ選手や養豚場主達を 探しそうと思いつつ 人種問題へと 横道に逸れて行ってしまったのですが 2年前にやっと ロデオ選手に会う事が叶いました 彼とロデオを観に行った訳ですが 仲良くなって 最近書いた共和党大会の論評の 主要記事は彼についてなのですが 彼は共和党支持者です 私の政党の好みは置いておいて とにかく 大好きな ブレント・ウイリアムズの話です タフネスについてです 仕事をしている上で どうやってタフでいられるか この話の中に 教訓となるものがあるでしょう タイトルは「タフネス」です 俺はな 基本的に 楽天家なんだよ 俺のかみさんジョリーンの家族は 口を揃えて いつもこう言うんだ 奴が生まれついての敗北者と 思わない? とにかく運が悪いね でもよ 闘牛が俺の腎臓を 踏みつけたっていうのに 腎臓は無事だったんだぜ 普通なら潰れただろうよ 腎臓が無事だったんだよ だから運が悪いとは思うもんか すげぇ幸運じゃねぇか こういう面白い事もあったよ CT検査で医者に行った時 2002年10月号の リーダーズ・ダイジェストがあって 7つの運を上げる方法 という記事があった 幸運を得たければ まず前向きな人と 付き合わなければいけない だってよ あんたが俺と会って話したい って言ってると かみさんに言ったら 口だけよ ただ言っているだけで 本当に来るわけないわよ と言ったんだ でもアンタは本当に電話してきて インタビューをしたいと言うじゃねぇか それでよ アイツはインターネットで アンタを調べてこう言うわけよ ほら こういう人よ アンタが彼女の質問に 答えられるもんですか 恥をかくだけだとも言ったぜ 俺は大学へ行ってないし 専門的な知識もないからと でも 言ってやったぜ 4時間話したってな もし俺が話をしなかったら 話を聞きたいと思ってなかったら こんな所まで やって来ないだろようよ 自信? ただ 乗るだけだよ 自信って言うよりは 肝を据えるってやつだ 自信はな そのな あの雄牛に一度乗れたら また乗れるってな感じかね 自信ってやつぁ いい感じに うぬぼれる感じだな 肝を据えるってゆうのはな つべこべ考えてねぇで 角を獲ってやる 『8 seconds』のタフ・ヘドマンのセリフだ ガキの頃 パット・オマリーが言ってたぜ 他の子供が見た事もない挑戦をしろ ってな 挑戦と肝を据えるは 同じ事だ 肝を据えるってのはな 何が何でも雄牛にしがみつくだ 下に落ちそうになっても 肝を据えて 乗るんだ 頭が泥につくまでな 自由? それがロデオってもんだ 美しさ? 美ってやつぁ良くわからんけど ロデオってのは美しいんじゃねえかな 俺らは荒っぽいファミリーだ 握手をすれば レスリングが始まるような ガソリンも入場料も がんがんカードできって 一緒に乗って 一緒に飯喰って 一緒に寝て ロデオを辞める日が来るなんて事は 想像できねぇよ 俺は大丈夫 牧場も持ってるけどよ ロデオの最後の日なんて 考えたくもねぇ それは その日は 俺の弟が死んだ日みたい なんじゃねえかな タフネス? そうだな ユタ州のウエストジョーダンで この雄牛に押しこくられて 金具に顔が打ち当たって 病院に運ばれてよ 顔中縫って鼻を元に戻したんだよ その晩 ロデオに 出なくちゃいけねぇから 麻酔なしで やってもらったんだ その 顔中縫って 鼻を整えるために 管を鼻に通すわけよ それが脳までいっちゃって 頭が爆発したみてぇな 感じがしたぜ ショックで死んでもおかしくないって 皆んな言ってたぜ でも生きてるぜ 俺ぁ痛みにめっぽう強いんだな でもよ よかったぜ その管のお陰で 鼻が通って 息が出来るようになったぜ 息が出来なかったんだよ 高校の時にロデオで 鼻を折っちまってよ ありがとうございました
And having grown up in a segregated city, Baltimore, Maryland, I sort of use that idea to go around America with a tape recorder -- thank God for technology -- to interview people, thinking that if I walked in their words -- which is also why I don't wear shoes when I perform -- if I walked in their words, that I could sort of absorb America. I was also inspired by Walt Whitman, who wanted to absorb America and have it absorb him. So these four characters are going to be from that work that I've been doing for many years now, and well over, I don't know, a couple of thousand people I've interviewed. Anybody out here old enough to know Studs Terkel, that old radio man? to go to to ask about a defining moment in American history. You know, he was "born in 1912, the year the Titanic sank, greatest ship every built. Hits the tip of an iceberg, and bam, it went down. It went down and I came up. Wow, some century." So this is his answer about a defining moment in American history. "Defining moment in American history, I don't think there's one; you can't say Hiroshima, that's a big one -- I can't think of any one moment I would say is a defining moment. The gradual slippage -- 'slippage' is the word used by the people in Watergate, moral slippage -- it's a gradual kind of thing, combination of things. You see, we also have the technology. I say, less and less the human touch. "Oh, let me kind of tell you a funny little play bit. The Atlanta airport is a modern airport, and they should leave the gate there. These trains that take you out to a concourse and on to a destination. And these trains are smooth, and they're quiet and they're efficient. And there's a voice on the train, you know the voice was a human voice. You see in the old days we had robots, robots imitated humans. Now we have humans imitating robots. So we got this voice on this train: Concourse One: Omaha, Lincoln. Concourse Two: Dallas, Fort Worth. Same voice. Just as a train is about to go, a young couple rush in and they're just about to close the pneumatic doors. And that voice, without losing a beat, says, 'Because of late entry, we're delayed 30 seconds.' Just then, everybody's looking at this couple with hateful eyes and the couple's going like this, you know, shrinking. Well, I'd happened to have had a couple of drinks before boarding -- I do that to steel my nerves -- and so I imitate a train call, holding my hand on my -- 'George Orwell, your time has come,' you see. Well, some of you are laughing. Everybody laughs when I say that, but not on this train. Silence. And so suddenly they're looking at me. So here I am with the couple, the three of us shrinking at the foot of Calvary about to be up, you know. "Just then I see a baby, a little baby in the lap of a mother. I know it's Hispanic because she's speaking Spanish to her companion. So I'm going to talk to the baby. So I say to the baby, holding my hand over my mouth because my breath must be 100 proof, I say to the baby, 'Sir or Madam, what is your considered opinion of the human species?' And the baby looks, you know, the way babies look at you clearly, starts laughing, starts busting out with this crazy little laugh. I say, 'Thank God for a human reaction, we haven't lost yet.' "But you see, the human touch, you see, it's disappearing. You know, you see, you've got to question the official truth. You know the thing that was so great about Mark Twain -- you know we honor Mark Twain, but we don't read him. We read 'Huck Finn,' of course, we read 'Huck Finn' of course. I mean, Huck, of course, was tremendous. Remember that great scene on the raft, remember what Huck did? You see, here's Huck; he's an illiterate kid; he's had no schooling, but there's something in him. And the official truth, the truth was, the law was, that a black man was a property, was a thing, you see. And Huck gets on the raft with a property named Jim, a slave, see. And he hears that Jim is going to go and take his wife and kids and steal them from the woman who owns them, and Huck says, 'Ooh, oh my God, ooh, ooh -- that woman, that woman never did anybody any harm. Ooh, he's going to steal; he's going to steal; he's going to do a terrible thing.' Just then, two slavers caught up, guys chasing slaves, looking for Jim. 'Anybody up on that raft with you?' Huck says, 'Yeah.' 'Is he black or white?' 'White.' And they go off. And Huck said, 'Oh my God, oh my God, I lied, I lied, ooh, I did a terrible thing, did a terrible thing -- why do I feel so good?' "But it's the goodness of Huck, that stuff that Huck's been made of, you see, all been buried; it's all been buried. So the human touch, you see, it's disappearing. So you ask about a defining moment -- ain't no defining moment in American history for me. It's an accretion of moments that add up to where we are now, where trivia becomes news. And more and more, less and less awareness of the pain of the other. Huh. You know, I don't know if you could use this or not, but I was quoting Wright Morris, a writer from Nebraska, who says, 'We're more and more into communications and less and less into communication.' Okay, kids, I got to scram, got to go see my cardiologist." And that's Studs Terkel. So, talk about risk taking. I'm going to do somebody that nobody likes. You know, most actors want to do characters that are likeable -- well, not always, but the notion, especially at a conference like this, I like to inspire people. But since this was called "risk taking," I'm doing somebody who I never do, because she's so unlikeable that one person actually came backstage and told me to take her out of the show she was in. And I'm doing her because I think we think of risk, at a conference like this, as a good thing. But there are certain other connotations to the word "risk," and the same thing about the word "nature." What is nature? Maxine Greene, who's a wonderful philosopher who's as old as Studs, and was the head of a philosophy -- great, big philosophy kind of an organization -- I went to her and asked her what are the two things that she doesn't know, that she still wants to know. And she said, "Well, personally, I still feel like I have to curtsey when I see the president of my university. And I still feel as though I've got to get coffee for my male colleagues, even though I've outlived most of them." And she said, "And then intellectually, I don't know enough about the negative imagination. And September 11th certainly taught us that that's a whole area we don't investigate." So this piece is about a negative imagination. It raises questions about what nature is, what Mother Nature is, and about what a risk can be. And I got this in the Maryland Correctional Institute for Women. Everything I do is word for word off a tape. And I title things because I think people speak in organic poems, and this is called "A Mirror to Her Mouth." And this is an inmate named Paulette Jenkins. "I began to learn how to cover it up, because I didn't want nobody to know that this was happening in my home. I want everybody to think we were a normal family. I mean we had all the materialistic things, but that didn't make my children pain any less; that didn't make their fears subside. I ran out of excuses about how we got black eyes and busted lips and bruises. I didn't had no more excuses. And he beat me too. But that didn't change the fact that it was a nightmare for my family; it was a nightmare. And I failed them dramatically, because I allowed it to go on and on and on. "But the night that Myesha got killed -- and the intensity just grew and grew and grew, until one night we came home from getting drugs, and he got angry with Myesha, and he started beating her, and he put her in a bathtub. Oh, he would use a belt. He had a belt because he had this warped perverted thing that Myesha was having sex with her little brother and they was fondling each other -- that would be his reason. I'm just talking about the particular night that she died. And so he put her in the bathtub, and I was in the bedroom with the baby. "And four months before this happened, four months before Myesha died, I thought I could really fix this man. So I had a baby by him -- insane -- thinking that if I gave him his own kid, he would leave mine alone. And it didn't work, didn't work. And I ended up with three children, Houston, Myesha and Dominic, who was four months old when I came to jail. "And I was in the bedroom. Like I said, he had her in the bathroom and he -- he -- every time he hit her, she would fall. And she would hit her head on the tub. It happened continuously, repeatedly. I could hear it, but I dared not to move. I didn't move. I didn't even go and see what was happening. I just sat there and listened. And then he put her in the hallway. He told her, just set there. And so she set there for about four or five hours. And then he told her, get up. And when she got up, she says she couldn't see. Her face was bruised. She had a black eye. All around her head was just swollen; her head was about two sizes of its own size. I told him, 'Let her go to sleep.' He let her go to sleep. "The next morning she was dead. He went in to check on her for school, and he got very excited. He says, 'She won't breathe.' I knew immediately that she was dead. I didn't even want to accept the fact that she was dead, so I went in and I put a mirror to her mouth -- there was no thing, nothing, coming out of her mouth. He said, he said, he said, 'We can't, we can't let nobody find out about this.' He say, 'You've got to help me.' I agree. I agree. "I mean, I've been keeping a secret for years and years and years, so it just seemed like second hand to me, just to keep on keeping it a secret. So we went to the mall and we told a police that we had, like, lost her, that she was missing. We told a security guard that she was missing, though she wasn't missing. And we told the security guard what we had put on her and we went home and we dressed her in exactly the same thing "And then we got the baby and my other child, and we drove out to, like, I-95. I was so petrified and so numb, all I could look was in the rear-view mirror. And he just laid her right on the shoulder of the highway. My own child, I let that happen to." So that's an investigation of the negative imagination. called "On the Road: A Search For an American Character" with my tape recorder, I thought that I was going to go around America and find it in all its aspects -- bull riders, cowboys, pig farmers, drum majorettes -- but I sort of got tripped on race relations, because my first big show was a show about a race riot. And so I went to both -- two race riots, one of which was the Los Angeles riot. And this next piece is from that. Because this is what I would say I've learned the most about race relations, from this piece. It's a kind of an aria, I would say, and in many tapes that I have. Everybody knows that the Los Angeles riots happened because four cops beat up a black man named Rodney King. It was captured on videotape -- technology -- and it was played all over the world. Everybody thought the four cops would go to jail. They did not, so there were riots. And what a lot of people forget, is there was a second trial, ordered by George Bush, Sr. And that trial came back with two cops going to jail and two cops declared innocent. I was at that trial. And I mean, the people just danced in the streets because they were afraid there was going to be another riot. Explosion of joy that this verdict had come back this way. So there was a community that didn't -- the Korean-Americans, whose stores had been burned to the ground. And so this woman, Mrs. Young-Soon Han, I suppose will have taught me the most that I have learned about race. And she asks also a question that Studs talks about: this notion of the "official truth," to question the "official truth." So what she's questioning here, she's taking a chance and questioning what justice is in society. And this is called, "Swallowing the Bitterness." "I used to believe America was the best. I watched in Korea many luxurious Hollywood lifestyle movie. I never saw any poor man, any black. Until 1992, I used to believe America was the best -- I still do; I don't deny that because I am a victim. But at the end of '92, when we were in such turmoil, and having all the financial problems, and all the mental problems, I began to really realize that Koreans are completely left out of this society and we are nothing. Why? Why do we have to be left out? We didn't qualify for medical treatment, no food stamp, no GR, no welfare, anything. Many African-Americans who never work got minimum amount of money to survive. We didn't get any because we have a car and a house. And we are high taxpayer. Where do I find justice? "OK. OK? OK. OK. Many African-Americans probably think that they won by the trial. I was sitting here watching them the morning after the verdict, and all the day they were having a party, they celebrated, all of South Central, all the churches. And they say, 'Well, finally justice has been done in this society.' Well, what about victims' rights? They got their rights by destroying innocent Korean merchants. They have a lot of respect, as I do, for Dr. Martin King. He is the only model for black community; I don't care Jesse Jackson. He is the model of non-violence, non-violence -- and they would all like to be in his spirit. "But what about 1992? They destroyed innocent people. And I wonder if that is really justice for them, to get their rights in that way. I was swallowing the bitterness, sitting here alone and watching them. They became so hilarious, but I was happy for them. I was glad for them. At least they got something back, OK. Let's just forget about Korean victims and other victims who were destroyed by them. They fought for their rights for over two centuries, and maybe because they sacrifice other minorities, Hispanic, Asian, we would suffer more in the mainstream. That's why I understand; that's why I have a mixed feeling about the verdict. "But I wish that, I wish that, I wish that I could be part of the enjoyment. I wish that I could live together with black people. But after the riot, it's too much difference. The fire is still there. How do you say it? [Unclear]. Igniting, igniting, igniting fire. Igniting fire. It's still there; it can burst out anytime." Mrs. Young-Soon Han. The other reason that I don't wear shoes is just in case I really feel like I have to cuddle up and get into the feet of somebody, walking really in somebody else's shoes. And I told you that in -- you know, I didn't give you the year, but in '79 I thought that I was going to go around and find bull riders and pig farmers and people like that, and I got sidetracked on race relations. Finally, I did find a bull rider, two years ago. And I've been going to the rodeos with him, and we've bonded. And he's the lead in an op-ed I did about the Republican Convention. He's a Republican -- I won't say anything about my party affiliation, but anyway -- so this is my dear, dear Brent Williams, and this is on toughness, in case anybody needs to know about being tough for the work that you do. I think there's a real lesson in this. And this is called "Toughness." "Well, I'm an optimist. I mean basically I'm an optimist. I mean, you know, I mean, it's like my wife, Jolene, her family's always saying, you know, you ever think he's just a born loser? It seems like he has so much bad luck, you know. But then when that bull stepped on my kidney, you know, I didn't lose my kidney -- I could have lost my kidney, I kept my kidney, so I don't think I'm a born loser. I think that's good luck. "And, I mean, funny things like this happen. I was in a doctor's office last CAT scan, and there was a Reader's Digest, October 2002. It was like, 'seven ways to get lucky.' And it says if you want to get lucky, you know, you've got to be around positive people. I mean, like even when I told my wife that you want to come out here and talk to me, she's like, 'She's just talking; she's just being nice to you. She's not going to do that.' "And then you called me up and you said you wanted to come out here and interview me and she went and looked you up on the Internet. She said, 'Look who she is. You're not even going to be able to answer her questions.' And she was saying you're going to make me look like an idiot because I've never been to college, and I wouldn't be talking professional or anything. I said, 'Well look, the woman talked to me for four hours. You know, if I wasn't talking -- you know, like, you know, she wanted me to talk, I don't think she would even come out here.' "Confidence? Well, I think I ride more out of determination than confidence. I mean, confidence is like, you know, you've been on that bull before; you know you can ride him. I mean, confidence is kind of like being cocky, but in a good way. But determination, you know, it's like just, you know, 'Fuck the form, get the horn.' That's Tuff Hedeman, in the movie '8 Seconds.' I mean, like, Pat O'Mealey always said when I was a boy, he say, 'You know, you got more try than any kid I ever seen.' And try and determination is the same thing. Determination is, like, you're going to hang on that bull, even if you're riding upside down. Determination's like, you're going to ride till your head hits the back of the dirt. "Freedom? It would have to be the rodeo. "Beauty? I don't think I know what beauty is. Well, you know, I guess that'd have to be the rodeo too. I mean, look how we are, the roughy family, palling around and shaking hands and wrestling around me. It's like, you know, racking up our credit cards on entry fees and gas. We ride together, we, you know, we, we eat together and we sleep together. I mean, I can't even imagine what it's going to be like the last day I rodeo. I mean, I'll be alright. I mean, I have my ranch and everything, but I actually don't even want to think the day that comes. I mean, I guess it just be like -- I guess it be like the day my brother died. "Toughness? Well, we was in West Jordan, Utah, and this bull shoved my face right through the metal shoots in a -- you know, busted my face all up and had to go to the hospital. And they had to sew me up and straighten my nose out. And I had to go and ride in the rodeo that night, so I didn't want them to put me under anesthesia, or whatever you call it. And so they sewed my face up. And then they had to straighten out my nose, and they took these rods and shoved them up my nose and went up through my brains and felt like it was coming out the top of my head, and everybody said that it should have killed me, but it didn't, because I guess I have a high tolerance for pain. But the good thing was, once they shoved those rods up there and straightened my nose out, I could breathe, and I hadn't been able to breathe since I broke my nose in the high school rodeo." Thank you.
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皆さんに物語を聞かせましょう 昔むかし 19世紀のドイツに 本というものがありました この時代 本は語りの王様でした 威厳があり どこにでもありました でもちょっぴり退屈でした というのも 400年の間 語り手が語りのツールとして本を 進化させることはなかったからです でもそこに1人の創作家が現れて 大変革をもたらしたのでした その人の名はローター ローター・メッゲンドルファーでした ローターは断固とした態度でこう言いました 「Genug ist genug!(もうたくさんだ!)」 ローターはペンをひっつかみ さらにハサミを取り出しました 普通のやり方に折れるのはいやだと 紙を折ることにしました ローター・メッゲンドルファーは なんと言っても 飛び出す絵本を世界で初めて 発明した人として知られることになったのです この楽しさと面白さに 人々は喜びました 物語は語られ続け 世界は回り続けて 人々は幸せでした ローター・メッゲンドルファーは 語りの方法を進化させた 唯一の人ではありませんでした 自覚しているかは別として 語り手たちは メッゲンドルファーの精神を受け継いで 歌劇を演劇に進展させ ラジオニュースをラジオ劇に 写真を動画に そして音声 カラー 3Dの映画を VHSやDVDに収めたのです このメッゲンドルファー熱の薬は無いようでした そしてインターネットの登場で事態は更に面白くなりました 自分の物語を世界に配信できるだけでなく 際限なく出てくるツールを使って 配信できるからです 例えばある会社は 自社の検索エンジンを使って ラブストーリーを語り ある台湾の制作スタジオは アメリカ政治を3Dで表現しています また ある男はツイッターというプラットフォームを使い 自分の父親が どんな言動で鬱憤を晴らすか伝えています ここまで来たとき人々は 立ち止まって状況を振り返り 6000年の語りの歴史は 洞窟の壁に描かれた狩猟画から フェイスブックのウォール上の シェークスピアまで発展したのだと気づきました これはめでたいことでした 語りの美学は変わっていません それに大抵の場合 物語は繰り返し語られています でも人が物語を伝えるやり方は 全く一貫した目新しさを伴って 常に進化してきました そして人々はある男のことを 素晴らしいドイツ人のことを 新しい語りのツールが現れるたびに 思い出したのでした こうして 聴衆は 陽気で気のいい聴衆は それから末永く幸せに暮らしましたとさ
I would love to share with you a story. Once upon a time in 19th century Germany, there was the book. Now during this time, the book was the king of storytelling. It was venerable. It was ubiquitous. But it was a little bit boring. Because in its 400 years of existence, storytellers never evolved the book as a storytelling device. But then one author arrived, and he changed the game forever. His name was Lothar, Lothar Meggendorfer. Lothar Meggendorfer put his foot down, and he said, "Genug ist genug!" He grabbed his pen, he snatched his scissors. This man refused to fold to the conventions of normalcy and just decided to fold. History would know Lothar Meggendorfer as -- who else? -- the world's first true inventor of the children's pop-up book. For this delight and for this wonder, people rejoiced. They were happy because the story survived, and that the world would keep on spinning. Lothar Meggendorfer wasn't the first to evolve the way a story was told, and he certainly wasn't the last. Whether storytellers realized it or not, they were channeling Meggendorfer's spirit when they moved opera to vaudville, radio news to radio theater, film to film in motion to film in sound, color, 3D, on VHS and on DVD. There seemed to be no cure for this Meggendorferitis. And things got a lot more fun when the Internet came around. Because, not only could people broadcast their stories throughout the world, using what seemed to be an infinite amount of devices. For example, one company through its very own search engine. One Taiwanese production studio would interpret American politics in 3D. And one man would tell the stories of his father by using a platform called Twitter to communicate the excrement his father would gesticulate. And after all this, everyone paused; they took a step back. They realized that, in 6,000 years of storytelling, they've gone from depicting hunting on cave walls to depicting Shakespeare on Facebook walls. And this was a cause for celebration. The art of storytelling has remained unchanged. And for the most part, the stories are recycled. But the way that humans tell the stories with pure, consistent novelty. And they remembered a man, one amazing German, every time a new storytelling device popped up next. And for that, the audience -- the lovely, beautiful audience -- would live happily ever after.
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赤毛はよくいる髪色だが、シェイラほど鮮やかな薔薇色は珍しい。素性を隠すためにも最もシュタイツ国民に多い茶色のカツラをかぶることになった。 わざわざカツラまで用意してくれるなんて、女の子を着飾らせたいというエイミーの欲求は本物らしい。 長い髪は久しぶりだ。重いし、首の後ろが暑苦しい。短い髪に慣れてしまった今では鬱陶しいとさえ感じる。 瞳の色は変えられないので、黒縁の伊達眼鏡をかけて印象を変える。エプロンドレスで姿見に映るのは、真面目そうな女の子だった。 「どうでしょう?」 「あら、とっても素敵よ。やっぱり女の子って可愛くていいわね~!もっと色んな格好をさせたいわ」 「え、遠慮しておきます」 村の装束とは違い、王都の女の子的にスカートを履くものらしい。足元がスースーして落ち着かない。ちょっと蹴りでも繰り出そうものなら下着が見えてしまいそうだ。 「攻撃力も防御力も低そうで、何だか不安になりますね......」 「オシャレには攻撃力も防御力も必要ないのよ。戦う女の子も格好いいと思うけれどね」 シェイラの一人言を拾ったエイミーが、カツラを梳りながら困ったように笑った。溌剌とした印象をもっと抑えるために、顔の横で緩編みを作っているのだ。 「――――騎士を、目指しているの?」 不意に落とされた質問に、頷くことも首を振ることもできなかった。既にエイミーに対して、嘘をつけない程度には親しみを感じている。それがなぜなのか、シェイラには分かっていた。 ――この人、私が性別を偽って入学してることにも気付いてるはずなのに、一度だって責めたりしない............。 エイミー自身同類であるためかもしれないが、愚かだと承知している真似を否定されないのは、とても救われる。 鏡越しに見える彼女の表情にも責める色はなく、あくまで穏やかだった。シェイラには兄しかいないけれど、姉がいたらこんな感じなのかもしれない。 「昔はね、騎士団に所属する女性もいたのよ。でもあくまで下働きや補佐っていう役職で、『騎士』という称号は、誰ももらえなかった。どれだけ武功をあげてもね」 彼女の言葉で頭に浮かんだのは、クローシェザードの母親の名前だった。ミラ⋅ノルシュタインは騎士団長の補佐官という役職に就いていたのに、騎士とは明記されていなかった。それがこの国の慣例だからだ。 「はい、完成よ」 エイミーが櫛を置いた。 鏡に映るおさげ髪のシェイラは別人のような仕上がりだった。特徴的な瞳の強さは眼鏡で隠され、一見すると大人しそうな少女にしか見えない。 シェイラの頬を撫でながら、エイミーは満足げに微笑んだ。 「面白そうじゃない。あなた、国に認められた初の女性騎士になっちゃいなさいよ」 背中を押す彼女の一言が決め手となり、シェイラはここで働こうと思った。 ◇ ◆ ◇ かくして、シェイラの忙しい日々に労働が加わった。 元々王都には週に一回ほど遊びに来ていたので、その時間は薬店勤務に充てられた。 補習の時間も減っていたし、教員室での書類整理も補習に伴い少なくなったままだったので、週に三は薬店に行っていた。 頼まれたよりもこまめに顔を出しているのは、村にいる時からの趣味だった調薬が楽しくて仕方なかったからだ。薬を作っている間は、村で過ごした日々や両親のことを思い出せる。 もちろん勉強をおろそかにする訳にはいかないので、日参することはできなかったが。 勤務を始め間。 真面目で薬に詳しい新人のシェイラとして、最近は常連客とも顔見知りになっている。 ややこしいことは苦手なので偽名は使っていない。魔法が身近に存在する学院の生徒が薬店を訪れる可能性は低いので、そこまで警戒する必要はないと考えていた。 傷みの激しい扉が、今日も少々不気味な音を立てて開いた。 「いらっしゃいませ。――――あ、トマスさん」 「やぁこんにちは、シェイラちゃん」 常連、というよりもエイミーとだべっていることの多い老爺トマスは、孫でも見守るように目を細めた。 「女の子が増えてよかったねぇ。外観は大層怪しいけど、パッと空気が華やぐようだよ」 「あら、随分な言い草じゃありません?女一人で切り盛りしているんだから、行き届かないところがあっても仕方ないでしょう?そんなに言うならトマスさんが補修をしてくださればいいんだわ」 流石常連といったところで、トマスは低い声で拗ねるエイミーにも慣れたものだった。 「すまんすまん。この老いぼれに酷なことを言わんでおくれ」 「そうですね。腰にも負担がかかりそうですし、私は反対です」 シェイラが真剣に口を挟むと、二人は同時に吹き出した。冗談だったのだ。 分かっているのに、何度も二人の掛け合いにのせられてしまう。からかわれるたびにもう絶対口出ししないといつも心に誓っているのに。 シェイラはトマスのための、腰痛に効く薬作りに専念することにした。 腰痛にも原因は色々あるが、彼の場合加齢が主な理由に挙げられる。なので必要な材料は、ジオウ、サンシュユ、サンヤク、タクシャ、ブクリョウ、ボタンピ。トマスは手足が火照りやすいため、ケイヒとブシを除いて作った方が体質に合っている。 慣れた様子で作業を進めるシェイラを、窓辺のテーブルに腰掛けたエイミーとトマスが温かく見守っていた。 完成した薬を服用分ごとに包んでいると、再び扉が開く音がした。裏路地にひっそりと佇む店なのに、ここは意外に客足が多かったりする。 年の頃は二十代半ばくらいだろうか、優しそうな垂れ目の青年だった。 「いらっしゃいませ、初めてですか?」 「あら、ノーマンさん。どうかなさったの?」 エイミーもすぐに立ち上がる。どうやら初めての来店ではないらしい。 ノーマンという青年は、シェイラの存在に驚いて店先で立ち止まった。ずっと目を合わせたままの彼に、シェイラは目を瞬かせる。 「シェイラちゃん、彼はノーマンさん。ガラス職人さんなのよ。前回は仕事中の火傷で来店されたの」 「そうなんですか。初めましてノーマンさん、私はシェイラと申します。今日はどうされたんですか?」 家名は名乗らずに一礼すると、ノーマンはようやく我に返った。慌ててドアノブから手を離すものだから、内側に閉じる扉に頭をぶつけてしまった。 「大丈夫ですか!?」 シェイラは慌てて駆け寄ると、彼の後頭部に手を当てた。ノーマンが真っ赤になって硬直してしまったため、ますます心配になる。 「痛みはどうですか?出血はなさそうですが、かなり鈍い音がしましたし、医者に行った方がいいかもしれません」 「だ、大丈夫です!この通り、元気です!頑丈だけが取り柄ですので!」 すっくと立ち上がったノーマンは、真っ赤な顔のままクルリと背中を向けて扉から飛び出していく。 取り残されたシェイラは呆然とした。何だかこれまた、酷い既視感だ。 「......あの、薬は............」 薬店に来たからには、何か用があったはずなのに。 猛然と駆け去っていくノーマンの背中が、あっという間に人混みに紛れていく。それを見つめながら、シェイラはこてりと首を傾げた。 すると、背後からクスクスと笑い声が漏れ聞こえた。 振り向くと、エイミーとトマスが楽しくて仕方ないとばかりに笑っている。 「......どこかにそんな面白いことがありましたか?」 「フフ......、だってもう、ねぇ?」 「あぁ、青春じゃのう」 何が青春なのかさっぱり分からなかったが、二人の大人は笑い続けるばかりだ。 やがてエイミーが、面に笑みを残したまま席を立つ。何をするのかと思えば、おもむろにシェイラを抱き締めた。彼女の髪は甘い花の香りがする。 「やっぱり女の子って可愛いわぁ~!私にも産めたらいいのに!」 エイミーがなぜそう感じたのかはやっぱり分からなかったが、短い間にも母性溢れる姿を見てきたシェイラは、彼女の願いが本当に叶えば素敵だと思った。 そこまで考えてハッとする。彼女の目に敵う男らしい女性がいれば、全ては丸く収まるのではないだろうか。 「どこかにきっと、エイミーさんのよさを分かってくれる、男装の女性がいるかもしれませんね」 「そうね、私諦めないわ。ありがとうシェイラちゃん」 言いながら、二人ははたと顔を見合わせる。男装している人物に、お互いものすごく心当たりがあった。 エイミーが逃がさないとばかり、シェイラの両手をがっしと握った。 「シェイラちゃん!そうよ、これって運命なんだわ!うふっ、念願の我が子をこの手に抱けるなんて夢みたい!そうと決まればサクッと結婚よ~!」 「ちょ、何一つ決まってませんって」 人生初の求婚は、紙よりも軽かった。感情が伴っていない分、子ども同士の口約束より圧倒的に軽い。 感動も何も抱けるはずもなく、シェイラは興奮気味の上司を宥めた。 「エイミーさん暴走しすぎですっ。私はやむを得ず男装してるだけで、決してそういう趣味はないですからっ」 肩を押して距離を取ると、間近にある緋色の瞳がすぐに潤んだ。 「私のこと、嫌い?」 「す、好きですけど......」 「やぁんありがとう!私もあなたが大好きよ!これで万事解決ね!」 「そういう意味の好きでは、」 シェイラは再び抱き潰された。エイミーは身長があるため、詰め物の入った胸に押し付けられ、危うく窒息しそうになる。実際問題腕力では敵わないので、逃れることもできない。 「理想は女の子、女の子、男の子の順番ね!シェイラちゃん、私があなたを幸せにしてあげる!」 頬に口付けを落とされながら、シェイラは遠い目になった。 「男女が逆転してるような気が............あれ?でもその台詞は正しいのかな」 最早否定し続ける気力もない。 悪ノリしたトマスが祝福の拍手を送る姿を、シェイラは恨めしげに見つめた。
Red hair was a common hair color, but it was rare to find one as bright and rosy as Sheila’s. To hide her identity, she had to wear a brown wig, which was most common among the Steitz people. It seemed that Amy’s desire to dress up a girl was genuine, even going out of her way to prepare a wig. She hadn’t had long hair for a long time. It was heavy and felt hot on the back of her neck. Now that she was used to short hair, it even felt irritating. Since the color of her eyes couldn’t be changed, she wore black-rimmed spectacles to change her impression. The girl in the apron dress reflected in the full-length mirror depicted a serious-looking girl. “How is it?” “Oh my, you look so beautiful! Girls are so cute, aren’t they? I want to dress you up in more outfits.” “Eh, I’ll pass.” Unlike village attire, it seemed that girls in the royal capital generally wore skirts. Her legs felt uncomfortable. If she kicked her skirt even a little, her underpants would be exposed. “It looks like it has low offensive and defensive capabilities... It’s a bit uncomfortable.....” “Fashion doesn’t need offensive or defensive capabilities. Though I think girls who can fight are cool too.” Amy, who picked up on Sheila’s monologue, laughed while combing her wig. To make her look more resilient and less vivacious, Amy made a loose braid next to her face. “――Are you aiming to become a knight?” Sheila couldn’t easily nod or shake her head at the question. She already felt familiar enough with Amy that she couldn’t lie. She quickly understood why. This person must also be aware that I’m enrolled in the school under a false gender identity, but she didn’t reprimand me even once..... Perhaps it was because Amy herself was the same as her, but it was a great relief not to be rejected because of an action that she knew was foolish. There was no reproach on Amy’s face, and her facial expression when she looked at her through the mirror was calm. Sheila only had an older brother, but if she had an older sister, she might be like this. “In the old days, there were women who belonged to the knighthood, but they were only servants or assistants, and no one was given the title of “knight,” no matter how much merit they had achieved.” Her words brought to mind the name of Claushezade’s mother. Mira Norstein wasn’t specified as a knight, even though she held the position of aide-de-camp “Okay, it’s done.” Amy put down the comb. In the mirror, Sheila, with her hair in pigtails, looked like a different person. The intensity of her characteristic eyes was hidden by her glasses, and at first glance, she appeared to be nothing more than a quiet mature looking girl. Stroking Sheila’s cheek, Amy smiled with satisfaction. “Doesn’t that sound interesting? You, becoming the first female knight recognized by the country.” Her words of encouragement were the deciding factor in Sheila’s decision to work there. ◇ ◆ ◇ Thus, work was added to Sheila’s busy schedule. Originally, she came to the capital once a week to play, so that time could be used for working at the pharmacy. Since the amount of time for supplementary lessons and the paperwork in the teacher’s office was decreasing, she went to the pharmacy three or four times a week. The reason Sheila showed up more often than she was asked was because she enjoyed making medicines, which was her hobby. While making the medicines, she could remember the days she spent in the village with her parents. Of course, she couldn’t visit every day because she couldn’t afford to neglect her studies. Two weeks into the job. As a serious, drug-savvy newcomer, Sheila had recently become acquainted with some of the regular customers. She wasn’t good at complicated things, so she didn’t use pseudonyms. Since it was unlikely that students from the academy, where magic was frequently used, would visit the pharmacy, she thought there was no need to be so cautious. The heavily damaged door opened again today with a slightly eerie sound. “Welcome. ――Ah, Thomas-san.” “Hello, Sheila-chan.” Thomas, who was more of an old man who spent most of his time chatting with Amy rather than being a regular, squinted at her as if he were watching over his grandchildren. “It’s good to have more girls, isn’t it? The exterior is a bit suspicious, but the air seems to lighten up.” “Oh, isn’t that a terrible thing to say? It’s a one-woman operation, so it can’t be helped if things are a little out of place, can it? If you say so much, Thomas-san should do the repairs.” As expected of a regular customer, Thomas was used to Amy’s low voice and sulking. “I’m sorry, I’m sorry. Please don’t be cruel to this old man.” “I agree. It’s going to be a burden on his lower back, and I’m against it.” When Sheila interjected seriously, they both burst out laughing at the same time. It was apparently a joke. Even though she understood it, she kept getting drawn in by their banter over and over again. Every time she was teased, she always swore to herself that she would never interfere again. Sheila decided to concentrate on making medicine for Thomas that would help his back pain. There were many causes of back pain, but in his case, aging was the main reason. Therefore, the ingredients needed were: foxglove, cornelian cherry, nagaimo, water plantains, tuckahoe, and tree peony. Thomas’ hands and feet tended to get a burning sensation easily, so it was more suitable for his constitution to make it without cassia and dried aconite root. Amy and Tomas, sitting at a table by the window, warmly watched Sheila as she proceeded with her work with an air of familiarity. As she was wrapping up the finished medicine for each dose, she heard the door open again. Although it was a store that was tucked away in a back alley, there were surprisingly many customers. He was a kind, droopy-eyed young man, probably in his mid-twenties. “Welcome, is this your first time here?” “Oh my, Norman-san. What’s wrong?” Amy immediately stood up. Apparently, this wasn’t his first visit to the store. Norman was surprised by Sheila’s presence and stopped at the storefront. Sheila blinked at him as he kept eye contact with her. “Sheila, this is Norman-san. He’s a glass artisan. Last time he came to our store, he was burned on the job.” “I see. Nice to meet you, Norman-san, my name is Sheila. How are you today?” After she bowed without saying her family name, Norman finally came to himself. In his haste to remove his hand from the doorknob, he hit his head on the door. “Are you all right?!” Sheila rushed over and put her hand on the back of his head. She became increasingly concerned as Norman turned bright red and stiffened. “How’s the pain? It doesn’t seem to be bleeding, but you might want to go see a doctor.” “I-I’m fine! As you can see, I am perfectly healthy! I’m very sturdy!” Norman stood up quickly, and with a bright red face, turned his back and ran out the door. Sheila, who was left behind, was stunned. Somehow, it felt like déjà vu. “.... Um, your medicine....” Since he came to the pharmacy, he must have had something to do. Norman’s back was quickly lost in the crowd as he furiously ran away. Sheila tilted her head helplessly as she stared at him. Then, she heard giggles and laughter leaking from behind her. She turned around to see Amy and Thomas laughing as if they were having a good time. “.... Was there something funny?” “Fufufu..... It’s nothing.” “Ah, youth.” She had no idea why he said that, but the two adults just kept laughing. Amy eventually got up from her seat with a smile, and then she suddenly hugged Sheila. Her hair smelled like flowers. “As expected, girls are very cute! I wish I could have a baby girl!” She still didn’t know why Amy felt that way, but Sheila, who had seen her motherly figure for a short time, thought it would be wonderful if her wish really came true. Sheila huffed as she thought about that. If only there was a masculine woman who could catch her eyes, everything would be settled. “I’m sure that somewhere out there, there might be a woman dressed as a man who will appreciate you, Amy-san.” “That’s right, I won’t give up. Thank you, Sheila-chan.” While saying that, the two looked at each other. Both of them had an idea of who the woman dressed as a man was. Amy was determined not to let her go, so she grabbed Sheila’s hands tightly. “Sheila-chan! Yes, this was meant to be! I can’t wait to hold my dream child in my arms! Once you decided, we’ll get married right away!” “W-wait, nothing has been decided.” Her first marriage proposal was very simple. It was simpler than a verbal promise between children because it wasn’t accompanied by emotions... Unable to be moved or anything, Sheila quieted her excited boss. “Amy-san, I think you’re thinking too far. I’m only dressed as a man because I have to, not because I’m interested in that kind of thing.” As Sheila slightly pushed Amy’s shoulder to distance herself, her scarlet eyes immediately moistened. “Do you hate me?” “I-I like you, but.....” “Yay, thank you! I love you too! That settles everything!” “I didn’t mean I like you like that...” Sheila was once again crushed in a hug. Amy, because of her height, was pressing her against her stuffed chest, nearly suffocating her. She couldn’t escape, as she was no match in actual arm strength. “Ideally, it would be girl, girl, boy, in that order! Sheila, I’ll make you happy!” Sheila’s eyes turned hazy as she dropped a kiss on her cheek. “I feel like the roles are reversed....” She didn’t even have the energy to keep denying it. Sheila looked on grudgingly as Thomas, who was getting carried away, clapped his hands in celebration.
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現在の画一化に取って代わる、より大規模な多様性 大学が成功するためのインセンティブ、目標を高く持つ必要性を含む 官僚主義の緩和、及び自由と責任感の促進 なによりも、平均の半分以下であるヨーロッパの大学を、米国レベル(GDPの2.6%)に近づけるための、より適切な資金提供 根底にある、やむにやまれぬこの分析の前提は、誰の目にも明らかと言うわけではない。なぜ、大学への注目が必然なのか?それは、我々がいま、「知識社会」に生きていると言われているからである。そうかもしれない。情報が成功の鍵であるグローバル化した環境において、若者が職を得る上で一番の保証になるのは大学教育である、と言うことも事実である。
greater diversity in place of today’s conformity; incentives for universities to succeed, which implies the need to set their ambitions higher; less bureaucracy and more freedom and accountability; above all, more adequate funding to bring European universities close to the US level of 2.6% of GDP, from less than half on average. Not everyone will consider the underlying assumption of this analysis compelling.
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右から左から、ルーノスの木剣が唸りを上げて襲いかかってくる。 僕は必死にそれを受け止める。 うーん、絶体絶命。 「どうです? 本気を出して頂かないと討ち取ってしまいますよ?」 いい男だけにルーノスのニヤニヤが余計腹立つ。 こいつ、僕が雇い主だってこと完全に忘れてるだろ! 封建制のこの世界でこんな理不尽なことがあっていいのか? 大体悪役のカルロがこんな扱いを受けるなんておかしいじゃないか。 ......などと必死に戦いながらも下らないことを考えていた、その時。 『うわああ、奇襲だぁぁぁ』 逃げていた青旗軍の兵たちがルーノスの後ろで叫び声を上げるのが聞こえた。 「――団長閣下、カルロ様より伝言。部隊は間もなく青旗軍と交戦に入るとのこと」 「承知した。よし、我々は今よりここを出て突撃を行う。なお相手陣から見られぬよう迂回して青旗軍の側背に回り込む」 「いよいよですね、団長。腕が鳴ります」 「うむ。出来る限り討ち漏らしの無いようにな。突撃!」 砦を落としたFの率いる騎馬隊が本陣に逃げ込もうとする青旗軍の退路を断つ形で突撃してきたのは、そのしばらく後だった。 「何の騒ぎだ?」 後ろの騒ぎに気を取られたルーノスが、攻撃の手を休めて僕から少し距離を取った。 ふう、なんとかひと息付けたぞ。 「どうやら素直に退却もさせてもらえないようですね」 「どうだ、まだ大人しく負けを認める気にならないか?」 「とんでもない。むしろますます総大将を討つ以外に手がなくなりましたよ」 ルーノスめ、まだ諦めないとは。 どうしよう......。 そうだ、まもやったことはないけど オリハルコンの剣などの武器に魔力を流し込んで使うことでその速度や威力を高める方法は、元々勇者が使う設定の技で今は ただしその方法だと、武器がどれだけ効率良く魔力を流せる素材で出来ているかによって威力が変わる。 その点でオリハルコンは非常に優れているが普通の鉄などではかなり効率は悪く、さらに僕たちが今持っている木剣のような木ではほとんど威力は期待できない。 それに対して僕の書いていた小説の中で、悪役カルロが主人公の勇者と戦う際の切り札にしようと考えていた必殺技がある。 それは武器にではなく「自分自身の身体」に魔力を充填し、それによってその強化を図るというもの。 いわば魔力による肉体改造(見た目が変わる訳じゃないけど)だ。 まさに悪役、というか怪人の技っぽいな。 これなら何とかいけるんじゃないか? 今まで練習してこなかったからコントロールなんかは出来そうもないが、一撃ぐらいは出せる気がする。 剣技大会の決勝戦で僕がFにやられた「 よし、まずは魔力をためないと。 「――いいだろう。ルーノス、本気で相手をしてやろう」 「やっとその気になって下さいましたか。団長に敗れたとはいえ、私が2番なのか3番なのかをはっきりさせたいと思っていましたから嬉しいですよ」 「気を付けろよ、たかが木剣でも当たり所によっては怪我をするぞ」 「カルロさまのその真剣な眼差し、楽しみですね。どうぞ手加減なしでお願いします」 ......ふう、このやり取りで何とか時間が稼げた。 さっきまでの勢いで攻められてちゃ魔力を溜める余裕もないからね。 せこい時間稼ぎだけど僕は悪役だから問題ない。 僕は手にしていた木の盾を捨て、木剣を構えた。 イメージは薩摩示現流、太刀要らず』。 必殺の覚悟で剣を振り相手の反撃は考えない、まさに「一撃必殺」の技だ。 本で読んでそのカッコ良さにいつか使いたいと思ってたんだよ。 「......ルーノス、行くぞ」 「自ら盾を捨てられるとは、守りは考えないという訳ですか。いいでしょう、お相手します」 僕とルーノスは馬上で向き合った。 互いに目を見て、呼吸を計る。 ――今だ。 またがった白王を走らせると僕は全身に込めた魔力を一気に開放し、すれ違いざまに剣を振う。 「きえええええい!」 裂帛の気合いを込めた僕の剣が唸りを上げてルーノスを襲う。 そのあまりの速さと威力にルーノスは剣を振うことも出来ずただなんとか盾をかざすのみ。 その結果。 僕の振るった必殺の剣はルーノスの盾を捕え、見事に――砕けた。 まあそりゃそうだ、僕が持っていたのはただの木剣、砕けて当然。 同時にルーノスが持っていた木の盾も割れちゃったけど、僕の手には木剣の柄の部分が残るのみ。 「いやあ、もの凄い一撃でした。このルーノス、感服しました。で、これからどうされます?」 最初はあまりの勢いに唖然としていたルーノスも、馬を返して状況を見たらまたニヤニヤしてる。 まあそうなるよね。 僕は盾も捨ててもはや手ぶらの状態、それに対してルーノスの右手には木剣。 こんなの勝負になる訳ない! 「そりゃあ......逃げる」 僕は白王に走るよう合図を出し、そのまま走り出した。 こういう所だけ悪役っぽくて困るなあ。 兵たちをほっといて逃げるのは問題だけど、大将が討ち取られるよりはましだ。 「この期に及んで逃げ出されるとは。お待ちくださいっ!」 ルーノスが追ってくるけど白王ならなんとか逃げきれる。 そう思っていると前から見慣れた姿が。 「カルロさま!」 おお、Fじゃないか。 まさに地獄に仏。 ナルスの策で相手の後背に突撃を掛けたFが、僕の身を案じて来てくれたらしい。 正直助かったよ。 「F、ルーノスの相手を!」 「御意」 そして。 「後方から団長が来るとは用意周到ですね。参りましたよ、盾なしで団長に勝てる自信はありません」 ルーノスはFにあっさり投降し、この戦いは我が赤旗軍の大勝利に終わった。 Fたち騎馬兵の活躍で陣に退却しようとした多くの青旗兵は討ち取られ、そのまま相手の陣を包囲した僕たちにマーカスの爺さんも素直に負けを認めた。 「勝ったぞーー!」 『おおおお!』 僕ら赤旗軍の勝ちどきと共に、今回の軍事演習は無事に終了した。 やれやれ、これで軍制改革もよりスムーズに進むことになるだろう。 「マーカス、F、ルーノス、さあ、帰ろうか」 「「「はい」」」 こうして僕らはバルハムントに帰還した。 ――ん? 何か忘れているような......まあいいか!
Lunos, while raising a battle cry, started to swing his wooden sword at me from left and right. I desperately try to block them. Mmm, this turned into a desperate situation. “How is it? If you don’t get serious you’ll get defeated, you know?” Just seeing a good-looking man such as Lunos smirking like that made me even angrier. That guy, he completely forgot that I’m his employer! Is it even possible for such an unreasonable thing to occur in a world using the feudal system? It’s generally strange for the villain Carlo to receive such a treatment. ......That’s what I thought despite fighting desperately, then at that time. 『Uwaa, it’s a surprise attaaack』 I heard the blue army’s soldiers’ cries drifting over behind Lunos. “- – Honourable Leader, we received a message from Carlo-sama. Their unit will soon engage in battle with the blue army.” “Understood. Alright, from this point on we’ll leave this place and start our charge. For the opposing team not to see us we are going to sneak around the blue army’s forces and attack their flanks.” “Finally, huh, Leader? A call to arms.” “Umu. Don’t let anyone escape as best as you can. Charge!” A while later it was the cavalry unit led by F who abandoned the fort and assaulted the retreating blue army’s soldiers who tried to reach their camp. “What’s with this uproar?” Lunos who got distracted by the noise coming from the back took some distance from me and stopped his attack. Phew, I was able to take a break as well. “Looks like they weren’t allowed to simply retreat.” “Right, do you feel like quietly admitting defeat now?” “No way. Rather, their sacrifice would be in vain if I don’t defeat the enemy commander” Lunos, why can’t you just give up? What should I do.......? That’s it, though I never tried that before but let’s try it, shall we? The method of increasing one’s speed and power by pouring magical power into weapons such as the Oricalcum Sword is a skill originally used by the Hero and now by me. However, its power varies depending on how well the weapon’s material can absorb magical power. In that respect Oricalcum is superior but it’s quite inefficient with common iron etc. Furthermore, one can hardly expect anything happening with a wooden sword like the one I’m using right now. In the novel I wrote, I created a finisher I thought about letting the villain Carlo use as a trump card when he’s fighting the Protagonist, the Hero. It’s to pour magic power into “one’s own body” not a weapon, thus strengthening it. In other words, it’s magical body remodelling (Though one’s appearance doesn’t change). It’s exactly what a villain, or rather a monster man would use. If it’s that it’ll be fine, right? As I didn’t practice it up until now I don’t really have any control over it but I feel like I can at least land one blow. Let’s go for something like “Thunder” with which F defeated me in the Sword Fighting Competition’s finals. Alright, first let’s charge the magical power. “- – Fine. Lunos, I’ll go at you seriously now.” “Finally feeling determined? I’m glad, because, although I got defeated by the leader, I wanted to make sure whether I ‘m the third or second.” “Take care, even though it’s just a wooden sword you’ll get hurt if you get hit” “For Carlo-sama to look that serious, I’m looking forward to it. Please don’t hold back” ......Phew, I was somehow able to gain some time with that exchange. I can’t afford to charge my magical power while he attacks me with the same vigour as some time ago after all. But causing such a delay isn’t much of a problem as I’m a villain. I threw away my wooden shield which I held in one hand and raised the wooden sword I held in the other. I had Satsuma’s Jigen-ryu’s saying “There is no need for a second blow” in mind. Swinging one’s sword without considering the opponent’s counter attack, bringing certain death, it’s a “One-hit-kill” technique. When I read it in a book I thought about wanting to use it someday because it is cool. “......Lunos, here I go” “Did you throw away your shield because you think you don’t have to defend? Fine, I’ll keep you company.” Lunos and I faced each other on top of our horses. We looked at each other and judged each other’s breathing. ――Now. As White King started to run I released all the magic power I loaded in my body at once and swung my sword as we pass each other. “Kieeeeei!” As I raised a shout filled with my fighting spirit I swung my sword down on Lunos. Lunos wasn’t able to wield his sword as it was too fast and powerful but he was somehow able to block it with his shield. This result. My sword which should bring certain death and was blocked by Lunos’ shield – – splendidly broke. Well, that’s obvious, it’s only a wooden sword so it’s natural for it to break. Though I broke Lunos’ wooden shield at the same time but I’m the one with just the wooden sword’s handle left in my hand. “My, that was an amazing strike. This Lunos admired it. So, what do you plan to do now?” At first, he was dumbfounded by this excessive force but after Lunos turned his horse and saw my situation he smirked again. Well, it turned out like this. As I threw away my shield I’m now empty-handed, Lunos, on the other hand, still had his wooden sword in his right. This isn’t even a match anymore! “That’s......Escape” I gave White King the signal to run and like this, I started to run away. I’m worried that I’m just villain-like in that aspect. Though it would be a problem to just leave the soldiers and escape but it’s better than a general getting killed. “To run away at the last moment. Please wait!” Though Lunos followed me if it’s White King I’ll somehow be able to escape. As I thought this a familiar figure appeared in front of me. “Carlo-sama!” Ooh, isn’t that F? A present sent from heaven. F who assaulted the opponents back as per Nals’ strategy seems to have come over while worrying about me. Honestly, I’m saved. “F, Lunos’ opponent!” “My pleasure” Then. “For the leader to come from the rear, you sure are careful. I give up, I don’t have the confidence in winning against the leader without a shield.” Lunos plainly surrendered to F which ended the fight and secured a big victory for our red army. Many of the blue army’s soldiers who wanted to retreat were killed by the action of F’s cavalry unit and old man Marcus recognised his defeat obediently as we surrounded their camp. “We wonー!” 『Ooooh!』 With the red army’s shouts of victory the military exercise safely came to an end. Good grief, like this the military reform should advance more smoothly as well. “Marcus, F, Lunos, shall we return?” “””Yes””” Like this, we returned to Braham. ――Hm? I feel like we forgot something......Oh well, whatever!
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『ダンジョン踏破おめでとうだにょーん!』 チャリンが姿を現す。 『今回はキルされた人がいないから、全員にメダルのプレゼントだにょん! あ、ユニゾンのお魚さんとすで完全クリアをしてるプレイヤーさんには渡しちゃダメだから、正確には2人にょんね!』 俺とハタケさんに 表面はいつも通りさそり座が宝石で表現されている。 裏面は......リアルなサソリだ。 まあまあカッコよく描かれているが、ペッタさんにはこれもダメだろうな......。 『そして......あら、ビックリだにょん! 10体もヘルスティンガーを倒してるにょんね! でも、ご褒美の内容は普通と変わらないにょん! ルールだからそこはご勘弁だにょん!』 ご褒美はド直球に『金塊』だった。 効果もシンプルに『高く売れる』だ。 ここまでわかりやすいアイテムもなかなかないな。 しかし、俺はこのゲームにおいてお金に困ったことがない。 この世界ネクスタリスのお金の単位は 手に入れ方はいろいろあるが、やはり一番はモンスターを倒すことだろう。 俺もひたすらモンスターと戦う遊び方をしているので、使わない限りどんどん増えていく。 あとはモンスターのドロップアイテムを売ることだ。 特にドロップしたのはいいが、すでに持っている装備に性能が劣り特殊なスキルも持ってない物は、思い入れがあったり見た目が好きではない限り売る。 また素材系アイテムもよく手に入るが、こちらはまだ使い道がわからない物も多い。 もしもの時のために一定数は手元に置いておくが、あんまりにも増えた物は売る。 というお金の使い道は......ほぼ無い。 いや、冒険の合間に回復系アイテムは贅沢に買っている。 俺もガー坊も回復スキルを持っていない以上、それが生命線だからな。 しかし、お金の使い道はこれくらいだ。 他のプレイヤーは『武器強化』にお金を使っているらしいが、俺の場合は風雲装備がレアで強すぎる。 強い装備をさらに強くするには、それなりのレア素材が要求されるのだ。 未だ風雲装備に適合する素材は見つかっていない。 まあ、金が貯まって困ることなんて微塵もないし、風雲装備に不満を感じたこともない。 余裕で今のイベントにも通用する俺の主力装備たちだ。 気に入っているし、武器スキルや奥義にも頼りっぱなしなので、これからも強化して使い続けたいとは思う。 だが、その強化を焦る必要はないだろう。 『それでは、ピラミッドの入り口にワープ! お疲れ様でした~だにょん!』 風景が一瞬で砂漠に変わる。 これで4枚目のメダルか。 12の迷宮の3分の1をクリアしたということだ。 「ありがとう、おじさま! おかげさまでボクもメダルを手にすることができたよ!」 「いえいえ、私の方もずいぶん助けられましたよ」 お互いの健闘を称えあう。 最初の方はとんでもないパーティに入ってしまったと思ったけど、結果的にはソロで遊ぶよりスムーズにダンジョンを攻略できたと思う。 連携と言えるほど上手くかみ合った戦い方は出来ていないけど、ハチャメチャで楽しい冒険だった。 「これはボクからの気持ちだよ! 遠慮せず受け取ってくれたまえ!」 ハタケさんから送られたもの......。 それはフレンド申請だった。 「こ、これは......」 だからといって、遠慮する必要はないさ! おじさまはボクよりもずっと強いからね!」 「そ、それはどうも」 「これは感謝のしるしさ! あ、別にボクのギルドに入ってくれと言ってるわけではないのだよ。あくまでも個人的なお付き合いさ! おじさまをギルドに入れてしまうと、みんな頼ってしまうからね! おじさまのプレイスタイルは理解しているつもりだよ。まあ、陣取り以降の活動に関しては把握していないから、なんとなくだけどね!」 陣取りの時に1人になっても生き残っていたから、俺はソロプレイが得意だとハタケさんは思っているのだろう。 まあ、間違った認識ではない......か。 あのイベントに関しては好き好んでソロになったわけではないが、訂正するほどのことではない。 「もしかして、おじさまフレンド登録したことがないのかい? ならば、ボクがやり方を教えようか?」 「いや、最近やったことがありますよ」 俺はフレンド申請を承認する。 これでフレンド欄には2人のプレイヤーの名前が並んだ。 ハタケさんもネココと同じく偶然とはいえ何度も縁がある人だし、何より人物像がハッキリしている。 多少認識の仕方が特殊とはいえ、俺のプレイスタイルを理解してくれてるし、断る理由はないだろう。 まあ、断れる自信もないがな......! ハタケさんは自分のフレンド申請を断る人なんてこの世にはいないみたいな顔をしている。 この自信というか、積極性にはかなわない。 人間関係を広げるには、控えめでいるよりも彼のように自分をアピールをする方が正しいのだろう。 フレンド登録が終わったところで、俺は何気なしにペッタさんを見る。 先ほどから静かだが......。 「あ、俺はフレンドはリアルの知り合いしか登録してないんだ。すまないな」 話の流れ的にフレンド申請を求めたと思われても仕方ないとはいえ、意図せずおじさんが若い子にフレンド登録を拒否られたみたいな構図になってしまった......! 彼女も彼女でハッキリとものが言える子だ。 なんでも遠回しに言うことが身に着いた俺にはまぶしい存在だ。 「それはそれとして今回助かったよ、おじさん。実は俺たちのギルドでも何回かハタケをクリアさせようと再挑戦したんだけど、普通にクリアできなかった。初回の運が良すぎたんだ。その後にハタケの そういうことだったのか。 話を聞いた時は『仲間たちはクリアしたけど、めんどくさいから再度潜りたくないと言っているのだよ......』とハタケさんが言っていたので、ギルド内はギスギスしてるのではないかと密かに心配していた。 「俺たちはギルドで動画投稿もしてるんだが、一番人気はやっぱりハタケさ。クエストを成功しても失敗しても盛り上がる一番人気のメンバーだ。だから、みんな頼りにしてるし、ないがしろにしてるわけじゃないんだ。ただ、ギルドのメンバー構成がめちゃくちゃで試練を上手くクリアできないだけなんだ」 「まあ、ゲーム動画といえば上手いプレイを想像しますけど、そういうギリギリの攻略も需要があると思いますよ」 「だろ!? だからこそ、俺たちは自力で高難易度イベントもクリアしないといけないんだ! 今回は世話になったが、普段はギルドで頑張るから、やたら甘えることにはならないと思う。そこは安心してくれ」 「ボクも大人気のゲーマーとして多忙な身だからねぇ」 「まだ駆け出しもいいところだよ! まっ、だから忙しいんだがな」 何はともあれ仲良しなようで安心した。 そして、話題は次の試練のことに移る。 「おじさまは次はどこの迷宮を目指すんだい?」 「攻略した迷宮から一番近いところを選んでるんで、次は 「ああ、てんびん座はボクでもクリアできたよ。あそこは大人数で押しかけたからといって、楽になる試練ではないんだよねぇ。まあ、おじさまなら楽勝だろうね!」 「俺たちでも比較的あっさりクリアできたからな。おじさんは1時間もかからないんじゃないか?」 難しいと言われても不安になるが、簡単だと言われても不安になる損な性格の俺。 特に今回の場合は意外に苦戦する臭いがぷんぷんするぞ......。 「では、さらば! 感謝してるよ、おじさま!」 「また世話になるかもしれない。その時はよろしくだぜ」 「ああ! お互い頑張ろう」 2人と別れ、俺は次の天秤迷宮を目指す。 日は傾き、大地を赤く染める。 すでに2つの試練をクリアしたので、本来なら初期街に帰ってログアウトするところだが、今回は事情が違う。 ハタケさんがお礼として善意で教えてくれたネタバレではない範囲のネタバレ『次の試練の会場は街中だから、その街でログアウトしておくと時短になるよ』に素直に従うことにしたのだ。 その街の名前は『マニマニヒルズ』。 なんだか、お金の匂いがするな......。
‘Congratulations on beating the dungeon-nyon!’ Charin appeared. ‘Since none of you were killed, you will all be presented with a medal-nyon! Ah, actually, we can’t give it to Mister Fish and players who have already got one, so it’s two players to be precise-nyon!’ And so Hatake and I were given the Scorpion medals. As always, it had the constellation made of jewels. And on the back...was a realistic scorpion. It looked pretty cool to me, but Petta probably hated hers... ‘And... Oh, what a surprise-nyon! You defeated Hell Stingers-nyon! But the special reward is still the same-nyon! Rules are rules, okay-nyon?’ The special reward was simply Gold Nuggets. Its effect was also simple. It sold for a high price. There were few items that were this simple. However, I had never lacked for money in this game. In this world, the monetary unit was NS. There were various ways of acquiring it, but the best was to kill monsters. And since I had been doing little but defeating monsters, my money kept increasing. You could also sell the items that monsters dropped. I would also sell old equipment that was inferior and didn’t have any special skills. Especially if I didn’t like the way they looked or they didn’t have any particular sentimental value to me. Crafting items were also easy to acquire, and I had no idea how to use most of them. And so I kept most of them just in case. However, if I acquired too much of one material, I would sell it as well. As for what you could do with all of this money called ‘NS’...there wasn’t much. Well, I was able to buy loads of recovery items for my adventures. After all, neither Garbow or I had recovery skills, so it was our lifeline. However, that was about it as far as using money. It seemed like other players used money for ‘strengthening their weapons,’ but in my case, the Windcloud set was rare and already very strong. If you wanted to make strong equipment even stronger, then you needed rare materials. And I had yet to find materials that could be used with the Windcloud set. Well, it’s not like having too much money saved up was a problem, and I had no complaints in regards to the Windcloud set. They were my main set that worked perfectly with the current event. I liked them, and relied on their weapon skills and charge attacks, so I planned to continue to use them and enhance them eventually. However, there was no need to worry about strengthening them now. ‘You will be warped to the entrance of the pyramid! Good work-nyon!’ In a flash, our surroundings changed to the desert. So now I have medals. As there were labyrinths, this meant I had cleared a third of them. “Thanks, old man! I was able to get a medal because of you!” “Don’t mention it. You helped me a lot as well.” We had helped each other. At first, I had thought that I made a big mistake joining this party, but in the end, I think that things went smoother than they would have had I been solo. We weren’t really coordinated when fighting, but it was still an exciting and fun adventure. “Here’s something to show my gratitude! Please accept it!” What Hatake sent me was... A friend request. “Uh...” “There’s no need to feel undeserving, just because I’m a rd! After all, you’re stronger than me, old man!” “Uh, thanks.” “It’s to show my appreciation! Of course, it’s not an invitation to our guild or anything. Just a personal connection! After all, if we let you in, then everyone would start to rely on you! I understand your playstyle pretty well. But then again, I don’t know what you’ve been up to after the turf war!” As I had survived even when alone during the turf war, Hatake must think that I was good when playing solo. And he wasn’t wrong... But during that event, I hadn’t been solo by choice. Though I didn’t see why I should point that out now. “Could it be that you’ve never accepted a friend request? Should I teach you how to do it?” “No, I’ve done it recently.” And so I accepted the request. Now there were two player names on the list. Like Necoco, I had met Hatake a number of times, even though it was a coincidence. And he was someone who was easy to understand. And while there were some things about him that were rather unique, he understood my playstyle. I had no reason to refuse. Besides, I wasn’t sure I had the courage to...! Hatake had the expression of someone who thought there was no one in the world who would reject a friend request from him. I just wasn’t a match for that kind of confidence. If you wanted to broaden your human connections, it was better to advertise yourself rather than be withdrawn. Once that was done, I glanced over to Petta. She had been quiet for a while now... “Ah, I only add people I know in real life. Sorry.” It couldn’t be helped if she assumed that I had wanted to be added, given how the conversation was going. But now I look like some sad old guy who was rejected by the cool younger players, when it wasn’t my intention! Still, it was good that she too was able to clearly state her opinion. I had been trained to say everything in a roundabout way, and was quite envious of that. “Regardless, you really helped us. The members of our guild actually tried to help Hatake clear the dungeon a few times, but we couldn’t. I think we were just lucky the first time. And so we had decided to just do it later. After all, it was taking too much time and there is the penalty for dying.” Is that right? When it was first brought up, Hatake had said that the others had already beaten it and couldn’t bother to do it again. So I had been slightly worried that there was some friction within the guild. “We post videos of our guild online, and Hatake is the most popular. It’s because he’s fun to watch regardless if he succeeds or fails. And so we all rely on him. He isn’t disregarded or anything. But the composition of our guild is just a mess, which has been making the trials quite difficult.” “Well, while a lot of game videos feature skilled players, there is definitely room for people who barely make it.” “Right!? That’s why we have to clear these high-level events on our own! While you helped us this time, we’ll do the rest as a guild. I doubt we’ll be asking for your help any time soon. So don’t worry.” “I’m also quite busy, since I’m a popular gamer.” “But you’ve only started a short while ago! Well, maybe that’s why you’re busy.” Well, it was nice to see that the two got along. The conversation then moved to the next trial. “Which labyrinth are you going to go to next, old man?” “I’ve been choosing the closest ones, so the next would be the Libra Labyrinth.” “Ah, we’ve already cleared that one. But it’s not the kind of trial that is easier just because you have a lot of people. Though, I’m sure you won’t have any trouble with it!” “After all, it was still pretty easy for us. Maybe you can clear it in just one hour?” I get anxious when people say something is difficult, but I also get anxious when they say it is easy. You could never win with this personality. Besides, I had a feeling that it would be surprisingly difficult anyway... “Well, goodbye then! Thanks for everything, old man!” “We might need your help again one day. So we’ll be counting on you!” “Yeah! Let’s do our best.” I separated from the two and headed to the Libra Labyrinth. The sun was starting to set, bathing the ground in red light. As I had already finished trials, I would have normally returned to the first town and logged out. But things were different this time. There was a sort of non-spoiler but kind of a spoiler piece of information that Hatake had told me as a show of gratitude. ‘The next trial takes place in a town, so you’ll save time if you logout inside of that town.’ And that town’s name was ‘Manimani Hills.’ Something about it smelled of money...
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これは私たちにとって大きな課題です そんな私たちを助けるのがこの機械です これはコンピュータ断層撮影装置 通称 CTです 素晴らしい装置です 人体の周りに対して 高速で回転するX線が使われます 機械を端から端まで通り抜けるのに およそ30秒かかり そこから膨大な 情報が出力されます 健康管理の向上のために 使える 大変素晴らしい機械です しかし 私たちにとっての課題でもあるのです その課題はこちらの画像で見て取れます これは現在私たちが直面している 医療データの爆発的な増加問題です この問題に現在取り組んでいます 過去に遡りましょう 数年前に何が起こったかご説明します これらの機械は 1970年頃に導入され始め 人体をスキャンし 100枚程度の人体画像を 生成します 大変勝手ながら 明確化するために それらをデータをデジタル化すると 大体50MBの大きさになります 情報量自体は私たちが 現在扱っているデータに比べると小さいでしょう 通常のモバイル機器で扱えます 電話帳に例えると 1メートル分積み上げた電話帳の数に相当します 現在私たちが扱っている これらの機械は 数秒以内に 2万4千枚もの人体の画像を生成します これは20GBものデータ もしくは 電話帳800冊分の情報量です 重ねれば200メートルは行くでしょう 何が起きようとしているか 今まさに起き始めている 技術トレンドとは 測定時間中の人体の状態を見れるようになったことです つまり人体の挙動を解剖なしで確認できるのです それでは 5秒もの間 データを取得したとしましょう それは1テラバイトものデータになります これは 80万冊の本 あるいは 16km分重ねた電話帳に相当します これは患者一人分のデータです 私たちが取り組む対象です 実に途方もない仕事です これで 2万5千枚もあります これらを放射線専門医が 対応する姿を想像してみてください 2万5千枚もの画像を前に こう言うのです 「えっと 2万5千枚か ああ ここが問題の箇所だ」 もうそのようなことはできません 不可能です そうするよりももっと合理的な方法を行う必要があります まずこれらの画像を一つにまとめます 自分自身の体をあらゆる角度から薄切りにし それらを再度元のデータの塊に戻すことを 想像してみてください そういうことを私たちは行っているのです このギガ テラバイト級のデータを元の塊に戻します もちろん データの塊は 単に 人体のそれぞれの箇所において 吸収されたX線の総量のみを表します そこで まずは私たちが 注目していないものは透過し 確認したいもののみを 見れるようにする必要があります つまり このような形に データを変換したいのです この課題は 私たちにとって とてつもない難題でした 絶えず処理速度や性能が良くなるコンピュータでも ギガバイトや テラバイト級のデータを対象に 関連情報を抽出するのは困難な作業です 心臓であったり血管や肝臓を 見たい時があるかもしれません もしかしたら腫瘍を発見する こともあるかもしれません そこでこの可愛らしい子の出番です これは私の娘です 今朝の9時頃の彼女の様子です 彼女はゲームで遊んでいます まだ2歳児ですが とても楽しんでいます 彼女はGPU開発の 推進役といっていいでしょう 子供達がゲームを遊ぶ限り グラフィックは進化し続けるのです 帰ったら 是非ゲームを勧めてください それが私たちには必要だからです この機械の中には 私が医療データに対して行っていることを 可能にしてくれるものが存在します 実はこのような小さな装置を使っています ご存知のように おそらく10年程前 私が 1台目の画像処理用のコンピュータを 買う予算を得た時代の頃は それはとても巨大なマシンでした プロセッサやらストレージなどあらゆるものが詰め込まれていました 私はそのマシンに100万ドル支払いました そんな機械も 今や私のiPhoneと同じくらいの性能です 毎月 新型のグラフィックカードが販売されますが これは NVDIA ATI Intelといったベンダーから頂いた 数少ない最新モデルです ご存知のように 数百ドルも払えば このようなグラフィックカードを購入し コンピュータに追加して様々なことが可能になります このように これらと共に 人々に研究されている アルゴリズム開発や データの圧縮方法 関連情報の抽出方法などによって 膨大な医療データを取り扱うことを可能にしています それでは 私たちが出来るいくつかの例をご紹介します これはCTスキャナーによって取得されたデータです ご覧のようにこれは完全なデータです これは女性で 髪の毛が見えます 女性の身体の個別構成を確認することができます このように歯の金属部分に対して X線が拡散していることが見て取れます ノイズが発生しているのはそういう部分です でも 通常のコンピュータ内の 標準のグラフィックカードによって インタラクティブに 断面を作ることができます 全てのデータは格納されているので 回転させたり 別の異なるアングルから確認ができます この女性は問題を抱えていたようですね 脳内出血を起こしていたようですが 小さなステントと呼ばれる血管を狭める 金属製の留め具で治療されています そして機能を変えることで 何を透明にし何を見えるようにするか 決めることができます 骨格を見ることができます これが 女性の頭蓋骨を開けた部分で ここから中に入ったようです これらは素晴らしい画像です 非常に解像度が高く 現在の標準グラフィックカードを使って 何が出来るかをとても良く示しています 効果的な利用方法を編み出した私たちは 膨大なデータをシステム上に 圧縮することを試みました 私たちの取り組んでいるアプリのうちの 一つは 世界中で少しずつ話題になりつつある バーチャル解剖アプリです 同じように 全身スキャンの画像といった 非常に巨大なデータセットを使います CTスキャナーに全身を通し 数秒後に全身の画像データを得ることができます これがバーチャル解剖です こうやって徐々に剥ぎ取っていきます 始めに遺体袋が確認できます 次に皮を剥ぎ取り 筋肉が見えますね 最後にこの女性の骨格がご覧になれます ここからは これからお見せする人々に 対し敬意を持って いくつかのバーチャル解剖をお見せします 凶悪な事件によって お亡くなりになられた方々に敬意を払いつつ これらの画像を 法医学的な事例としてお見せします これらは私の出身である スウェーデンだけで 過去4年間において およそ400件バーチャル解剖が 執り行われています これが通常のワークフローです 警察は 例えば夕方に 事件が起きたとして 解剖の必要があるかどうか判断します そして朝の6時から7時にかけて 袋に包まれた遺体が 私たちのセンターに移送され CTスキャナーの一つでスキャンされます 病理学者やたまに法医学の研究者を 伴った放射線科医が 出力されるデータを確認し 合同で会議を開きます そして本当の解剖をどのように行うか決めるのです いくつかの事例のうち 私たちが担当した初期の事例を紹介します このようにデータを本当に詳細に確認できます とても高画質です さらに私たちが考案したアルゴリズムによって 詳細な部分を拡大をすることが可能です 繰り返しますが 完全にインタラクティブで このシステムによってリアルタイムで 画像を回転させて見ることが可能です こちらの事例の説明は不要かもしれませんが これは交通事故です 酔っぱらった運転手が女性をひきました 骨格の損傷を確認することがとても容易です 死因は首の損傷です さらに女性は車に下敷きになってしまったため その怪我によって体に 重度の損傷を負っています 別の事例を紹介します 刺殺事件です 私たちにできることを この例でも説明します 体内に存在する金属製品を 簡単に確認することができます 歯の中の加工物も確認できます これは歯の詰め物です 金属のみを表示し その他は透明にする機能を 設定しています 別の凶悪な事例を紹介します これは実際の致命傷ではありません この方は心臓に複数回刺され 死亡しました しかし犯人はさらにナイフを 片方の眼球に刺したままにしたのです 別の事例を紹介します ナイフによる刺殺の事例などを検証できることは 私たちにとって大変興味深いものです ここではナイフが心臓に突き刺さっているのが確認できます 空気が一方からもう一方へと 漏れだしている様子が簡単に確認できます 通常の解剖ではこのようなことを確認することは困難です このように 死因を判断する上で 犯罪捜査に大変有効です また 捜査を正しい方向へ導き 真の殺人犯を 突き止める場合もあります これは 私が興味深いと感じた事例です 弾丸がこの方の脊椎の横に 留まっているのが見えます この弾丸を光源に変換することで 弾丸がこれらの破片を光らせて 見つけやすくしています 通常の解剖を行う際にこれらの破片を 体内から見つけだそうとする場合は 実際には大変困難です 今日 皆さんにお見せ出来ることを 嬉しく思っているものの一つが このバーチャル解剖テーブルです これは標準のGPUと今までのアルゴリズムを 元に私たちが開発したタッチデバイスです 実際には このような形となっています 巨大なiPhoneのように動作します テーブル上で 行える全てのジェスチャーを実装しています 巨大なタッチインターフェースと考えて頂ければと思います iPadを買おうと考えている方は 忘れてください これこそ皆さんが欲していたものです スティーブ あなたがこれを聞いてくれているといいんですが という訳で これはとても良いデバイスです もし機会があれば 是非使ってみてください 実体験して頂くことをお勧めします 注目も集めたことなので 私たちはこれの教育目的の 利用を想定して製品化を目指しており 将来的には 医療現場での利用も考えています バーチャル解剖について紹介したい場合は YouTubeに閲覧できる動画があるので 是非ご利用ください 「触れる」ことについてご紹介したので 次は本当にデータに触れることについてお話します 若干SFが入ってきますが 未来のことについてお話します 今は 医師がこれを利用している訳ではありませんが 将来は 使っていることに期待しています 左側に見えるのはタッチデバイスです 小さな機械式のペンで 高速のステッピング・モーターが内蔵されており フィードバックを生むことができます よって データに仮想的に触れると ペンに接触力が生まれ 感覚を得ることができるのです このように生きている方の スキャン画像に対して ペンを持って データを確認しながら 頭部に向けてペンを動かすと 突如 抵抗力を感じることができます このように皮膚を感じることができます もう少し強く押すと 皮膚を通り抜け 中の骨格を感じることができます さらに強く押せば 骨格を通り抜け 耳のすぐ近くの柔らかい骨を通り ぬるぬるしたような感じで 脳の部分を感じることができます 非常に有効な機能です さらに例を紹介します これが心臓です 新型のスキャナーのおかげで たった0.3秒で 心臓全体をスキャンすることができます さらに時間分解が行えるため 心臓を見ながら 動画を再生することが可能です 彼はこのプロジェクトに取り組んでいる 大学院生の一人でカーデュアンと言います フィードバックシステムである触覚装置の前に座りながら 心臓に向けてペンを動かすと 心臓が目の前で拍動しはじめます どのように心臓が拍動するのか確認できるのです ペンをとって 心臓に向けて動かし 心臓の上にペンを置くと 生きた患者の心臓の鼓動を感じることができるため 心臓の動作を確認することができます 心臓の中に移動し 内部を押して 心臓弁の動作を感じることができます これこそが 心臓外科医の将来の姿であると考えます 心臓外科医にとって 患者の心臓の中を 高解像度のデータを元に手術前に 確認するなんて夢のような話でしょう 非常に素晴らしい構想です さらにSFに近いものをご紹介します 機能MRIについてご存知でしょうか これはとても興味深いプロジェクトです MRIは磁場と周波数を利用し 脳や体の あらゆる部分をスキャンすることができます これによって 脳の構造についての情報が得られます しかし 更にこれを使って 酸素を含む血液と そうでない血液の磁性の差を測定することが可能です これはつまり 脳の活動を映し出すことが可能なのです 私たちはこれにも取り組んでいます ちょうど研究技術者であるモッツが MRIにゴーグルを着用して 中に入る所をご覧頂いています これはゴーグルを通して 彼にスキャナーにいながら映像を見せることができるためです これは中々ビックリするかもしれません モッツが実際に見ている映像はこれです 彼は自分の脳を見ているのです モッツはここで何かしていますね 恐らく右手でこういう風にしています なぜなら左側は運動皮質によって 活性化されるからです 彼も同じくその様子を確認できます このような可視化は新しい取り組みであり 私たちが少し前から研究している分野です これはモッツの脳の別の部分です 彼には 100から逆に計算するように頼みました 「100 97 94...」とった具合に 計算しています 彼の脳の小さな計算に関わる領域が活性化し 脳の全体を光らせているのがわかります 素晴らしい結果です リアルタイムで計測できます 彼に依頼して調査を行うことが可能です 更に彼の視覚野が 頭頂部の後ろ側で活性化しています なぜなら自分自身の脳を見ているからです また彼は 私たちが彼に何かをさせるための 命令を聞いています この信号は脳の奥深くで発せられていますが 中で光っているのが確認できます 全てのデータがここに含まれているからです ここでは以下のような光景をご覧頂けます モッツ 左足を動かしてください 彼はその通りにします 20秒間そのままの状態でいます するとここが急に光ります 運動皮質が活性化されたことが確認できます 非常に面白い結果です これはとても素晴らしいツールだと思います そして今までお話しした内容をまとめると ニューロンや脳がどのように 機能しているのかを理解する上で とても使えるツールであると考えます 何より非常に高画質かつ高分解能な上 高速に処理できます さらにセンター内で少々面白いことも行っています これはCAT(コンピューター断層撮影)スキャンです これはノーショーピングのはずれにある コルマルデン動物園からのエルサというライオンです 彼女はセンターに来て 鎮静状態にされ そのままスキャナー内に運び込みました その後 ライオンの全データを取得しました このようなライオンの画像に対して レイヤーを剥ぎ取っていき 内部を確認していきます このようにして検証を行ってきました これは未来のテクノロジーにおける 大変優れたアプリだと思います なぜなら 動物解剖学については未知の部分も多く 獣医側で知られているのは基本的な知識に限られています あらゆる動物をはじめ あらゆるものをスキャンできます 唯一の問題は機械の中に入れることくらいです これは熊です 機械に入れるのに苦労しました 熊は非常にかわいらしい 友好的な動物です これは 熊の鼻の部分です 抱きしめたくなるでしょう 機能を変更してこれを見るまでは 熊には注意しましょう 以上をもって これらの画像の生成を手伝って頂いた 全ての方々に感謝したいと思います データの収集やアルゴリズムの開発 全てのソフトウェアを作り上げるまでに 非常に多くの労力がかかっています 非常に能力のある方々のおかげです 私のモットーは 私よりも頭の良い人達を雇うことです 多くは私より頭が良い方々ばかりです ありがとうございました
And this is our beast of burden -- this is a Computer Tomography machine, a CT machine. It's a fantastic device. It uses X-rays, X-ray beams, that are rotating very fast around the human body. It takes about 30 seconds to go through the whole machine and is generating enormous amounts of information that comes out of the machine. So this is a fantastic machine that we can use for improving health care, but as I said, it's also a challenge for us. And the challenge is really found in this picture here. It's the medical data explosion that we're having right now. We're facing this problem. And let me step back in time. Let's go back a few years in time and see what happened back then. These machines that came out -- they started coming in the 1970s -- they would scan human bodies, and they would generate about 100 images of the human body. And I've taken the liberty, just for clarity, to translate that to data slices. That would correspond to about 50 megabytes of data, which is small when you think about the data we can handle today just on normal mobile devices. If you translate that to phone books, it's about one meter of phone books in the pile. Looking at what we're doing today with these machines that we have, we can, just in a few seconds, get 24,000 images out of a body, and that would correspond to about 20 gigabytes of data, or 800 phone books, and the pile would then be 200 meters of phone books. What's about to happen -- and we're seeing this; it's beginning -- a technology trend that's happening right now is that we're starting to look at time-resolved situations as well. So we're getting the dynamics out of the body as well. And just assume that we will be collecting data during five seconds, and that would correspond to one terabyte of data -- that's 800,000 books and 16 kilometers of phone books. That's one patient, one data set. And this is what we have to deal with. So this is really the enormous challenge that we have. And already today -- this is 25,000 images. Imagine the days when we had radiologists doing this. They would put up 25,000 images, they would go like this, "25,0000, okay, okay. There is the problem." They can't do that anymore. That's impossible. So we have to do something that's a little bit more intelligent than doing this. So what we do is that we put all these slices together. Imagine that you slice your body in all these directions, and then you try to put the slices back together again into a pile of data, into a block of data. So this is really what we're doing. So this gigabyte or terabyte of data, we're putting it into this block. But of course, the block of data just contains the amount of X-ray that's been absorbed in each point in the human body. So what we need to do is to figure out a way of looking at the things we do want to look at and make things transparent that we don't want to look at. So transforming the data set into something that looks like this. And this is a challenge. This is a huge challenge for us to do that. Using computers, even though they're getting faster and better all the time, it's a challenge to deal with gigabytes of data, terabytes of data and extracting the relevant information. I want to look at the heart. I want to look at the blood vessels. I want to look at the liver. Maybe even find a tumor, in some cases. So this is where this little dear comes into play. This is my daughter. This is as of 9 a.m. this morning. She's playing a computer game. She's only two years old, and she's having a blast. So she's really the driving force behind the development of graphics-processing units. As long as kids are playing computer games, graphics is getting better and better and better. So please go back home, tell your kids to play more games, because that's what I need. So what's inside of this machine is what enables me to do the things that I'm doing with the medical data. So really what I'm doing is using these fantastic little devices. And you know, going back maybe 10 years in time to buy my first graphics computer -- it was a huge machine. It was cabinets of processors and storage and everything. I paid about one million dollars for that machine. That machine is, today, about as fast as my iPhone. So every month there are new graphics cards coming out, and here is a few of the latest ones from the vendors -- NVIDIA, ATI, Intel is out there as well. And you know, for a few hundred bucks and you can do fantastic things with these graphics cards. So this is really what's enabling us to deal with the explosion of data in medicine, together with some really nifty work in terms of algorithms -- compressing data, extracting the relevant information that people are doing research on. So I'm going to show you a few examples of what we can do. This is a data set that was captured using a CT scanner. You can see that this is a full data [set]. It's a woman. You can see the hair. You can see the individual structures of the woman. You can see that there is [a] scattering of X-rays on the teeth, the metal in the teeth. That's where those artifacts are coming from. But fully interactively on standard graphics cards on a normal computer, I can just put in a clip plane. And of course all the data is inside, so I can start rotating, I can look at it from different angles, and I can see that this woman had a problem. She had a bleeding up in the brain, and that's been fixed with a little stent, a metal clamp that's tightening up the vessel. And just by changing the functions, then I can decide what's going to be transparent and what's going to be visible. I can look at the skull structure, and I can see that, okay, this is where they opened up the skull on this woman, and that's where they went in. So these are fantastic images. They're really high resolution, with standard graphics cards today. Now we have really made use of this, and we have tried to squeeze a lot of data into the system. And one of the applications that we've been working on -- and this has gotten a little bit of traction worldwide -- is the application of virtual autopsies. So again, looking at very, very large data sets, and you saw those full-body scans that we can do. We're just pushing the body through the whole CT scanner, and just in a few seconds we can get a full-body data set. So this is from a virtual autopsy. And you can see how I'm gradually peeling off. First you saw the body bag that the body came in, then I'm peeling off the skin -- you can see the muscles -- and eventually you can see the bone structure of this woman. Now at this point, I would also like to emphasize that, with the greatest respect I'm going to show you a few cases of virtual autopsies -- that have died under violent circumstances that I'm showing these pictures to you. and this is something that ... there's been approximately 400 cases so far just in the part of Sweden that I come from that has been undergoing virtual autopsies in the past four years. So this will be the typical workflow situation. The police will decide -- in the evening, when there's a case coming in -- they will decide, okay, is this a case where we need to do an autopsy? So in the morning, in between six and seven in the morning, the body is then transported inside of the body bag to our center and is being scanned through one of the CT scanners. And then the radiologist, together with the pathologist and sometimes the forensic scientist, looks at the data that's coming out, and they have a joint session. And then they decide what to do in the real physical autopsy after that. Now looking at a few cases, here's one of the first cases that we had. You can really see the details of the data set. It's very high-resolution, and it's our algorithms that allow us to zoom in on all the details. And again, it's fully interactive, so you can rotate and you can look at things in real time on these systems here. Without saying too much about this case, this is a traffic accident, a drunk driver hit a woman. And it's very, very easy to see the damages on the bone structure. And the cause of death is the broken neck. And this women also ended up under the car, so she's quite badly beaten up by this injury. Here's another case, a knifing. And this is also again showing us what we can do. It's very easy to look at metal artifacts that we can show inside of the body. You can also see some of the artifacts from the teeth -- that's actually the filling of the teeth -- but because I've set the functions to show me metal and make everything else transparent. Here's another violent case. This really didn't kill the person. The person was killed by stabs in the heart, but they just deposited the knife by putting it through one of the eyeballs. Here's another case. to be able to look at things like knife stabbings. Here you can see that knife went through the heart. It's very easy to see how air has been leaking from one part to another part, which is difficult to do in a normal, standard, physical autopsy. So it really, really helps the criminal investigation to establish the cause of death, and in some cases also directing the investigation in the right direction to find out who the killer really was. Here's another case that I think is interesting. Here you can see a bullet that has lodged just next to the spine on this person. And what we've done is that we've turned the bullet into a light source, so that bullet is actually shining, and it makes it really easy to find these fragments. During a physical autopsy, if you actually have to dig through the body to find these fragments, that's actually quite hard to do. One of the things that I'm really, really happy to be able to show you here today is our virtual autopsy table. It's a touch device that we have developed based on these algorithms, using standard graphics GPUs. It actually looks like this, just to give you a feeling for what it looks like. It really just works like a huge iPhone. So we've implemented all the gestures you can do on the table, and you can think of it as an enormous touch interface. So if you were thinking of buying an iPad, forget about it. This is what you want instead. Steve, I hope you're listening to this, all right. So it's a very nice little device. So if you have the opportunity, please try it out. It's really a hands-on experience. So it gained some traction, and we're trying to roll this out and trying to use it for educational purposes, but also, perhaps in the future, in a more clinical situation. There's a YouTube video that you can download and look at this, if you want to convey the information to other people about virtual autopsies. Okay, now that we're talking about touch, let me move on to really "touching" data. And this is a bit of science fiction now, so we're moving into really the future. This is not really what the medical doctors are using right now, but I hope they will in the future. So what you're seeing on the left is a touch device. It's a little mechanical pen that has very, very fast step motors inside of the pen. And so I can generate a force feedback. So when I virtually touch data, it will generate forces in the pen, so I get a feedback. So in this particular situation, it's a scan of a living person. I have this pen, and I look at the data, and I move the pen towards the head, and all of a sudden I feel resistance. So I can feel the skin. If I push a little bit harder, I'll go through the skin, and I can feel the bone structure inside. If I push even harder, I'll go through the bone structure, especially close to the ear where the bone is very soft. And then I can feel the brain inside, and this will be the slushy like this. So this is really nice. And to take that even further, this is a heart. And this is also due to these fantastic new scanners, that just in 0.3 seconds, I can scan the whole heart, and I can do that with time resolution. So just looking at this heart, I can play back a video here. who's been working on this project. And he's sitting there in front of the Haptic device, the force feedback system, and he's moving his pen towards the heart, and the heart is now beating in front of him, so he can see how the heart is beating. He's taken the pen, and he's moving it towards the heart, and he's putting it on the heart, and then he feels the heartbeats from the real living patient. Then he can examine how the heart is moving. He can go inside, push inside of the heart, and really feel how the valves are moving. And this, I think, is really the future for heart surgeons. I mean it's probably the wet dream for a heart surgeon to be able to go inside of the patient's heart before you actually do surgery, and do that with high-quality resolution data. So this is really neat. Now we're going even further into science fiction. And we heard a little bit about functional MRI. Now this is really an interesting project. MRI is using magnetic fields and radio frequencies to scan the brain, or any part of the body. So what we're really getting out of this is information of the structure of the brain, but we can also measure the difference in magnetic properties of blood that's oxygenated and blood that's depleted of oxygen. That means that it's possible to map out the activity of the brain. So this is something that we've been working on. And you just saw Motts the research engineer, there, going into the MRI system, and he was wearing goggles. So he could actually see things in the goggles. So I could present things to him while he's in the scanner. And this is a little bit freaky, because what Motts is seeing is actually this. He's seeing his own brain. So Motts is doing something here, and probably he is going like this with his right hand, because the left side is activated on the motor cortex. And then he can see that at the same time. These visualizations are brand new. And this is something that we've been researching for a little while. This is another sequence of Motts' brain. And here we asked Motts to calculate backwards from 100. So he's going "100, 97, 94." And then he's going backwards. And you can see how the little math processor is working up here in his brain and is lighting up the whole brain. Well this is fantastic. We can do this in real time. We can investigate things. We can tell him to do things. You can also see that his visual cortex is activated in the back of the head, because that's where he's seeing, he's seeing his own brain. And he's also hearing our instructions when we tell him to do things. The signal is really deep inside of the brain as well, and it's shining through, because all of the data is inside this volume. And in just a second here you will see -- okay, here. Motts, now move your left foot. So he's going like this. For 20 seconds he's going like that, and all of a sudden it lights up up here. So we've got motor cortex activation up there. So this is really, really nice, and I think this is a great tool. And connecting also with the previous talk here, this is something that we could use as a tool to really understand how the neurons are working, how the brain is working, and we can do this with very, very high visual quality and very fast resolution. Now we're also having a bit of fun at the center. So this is a CAT scan -- Computer Aided Tomography. So this is a lion from the local zoo outside of Norrkoping in Kolmarden, Elsa. So she came to the center, and they sedated her and then put her straight into the scanner. And then, of course, I get the whole data set from the lion. And I can do very nice images like this. I can peel off the layer of the lion. I can look inside of it. And we've been experimenting with this. for the future of this technology, because there's very little known about the animal anatomy. What's known out there for veterinarians is kind of basic information. We can scan all sorts of things, all sorts of animals. The only problem is to fit it into the machine. So here's a bear. It was kind of hard to get it in. And the bear is a cuddly, friendly animal. And here it is. Here is the nose of the bear. And you might want to cuddle this one, until you change the functions and look at this. So be aware of the bear. So with that, who have helped me to generate these images. It's a huge effort that goes into doing this, gathering the data and developing the algorithms, writing all the software. So, some very talented people. My motto is always, I only hire people that are smarter than I am and most of these are smarter than I am. So thank you very much.
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迷宮に潜った翌日は、休養日となっている休み、あるい休み休んでもいいが、それだけ収入は減っていく。 昼過ぎまで寝入ったミトロフは、屋台で昼食を済ませてから商業区へと赴いていた。 長袖で隠れてはいるが、あちこちに切り傷があり、浅いものは軟膏だけを塗り、深い傷には包帯が巻かれている。 アペリ・ティフと別れた後も探索は続けた。剣角兎の対処法は理解したとはいえ、その緊張感は精神をすり減らすものだった。 言ってしまえばそれだけの簡単な行為だ。凄まじい速度で飛んでくる剣に恐れを抱かなければ、という注釈はつくが。 剣角兎を躱す緊張感。小刀兎によって少しずつ増える切り傷。 ミトロフばかりが損耗し、一方のカヌレは丸盾で堅実に対応できている。カヌレにはまだ余裕があっても、ミトロフの身体を配慮して、迷宮の探索を切り上げる日々が続いている。 稼ぎは悪くない。 剣角兎の耳は刃物として広く活用されているらしく、これも買取値が良かった。小刀兎の耳は剃刀になるというし、ミトロフたち冒険者が命懸けで手に入れた物品が、街で暮らす人々の生活の一部を支えているわけだ。 しかしいつまでも血まみれになるわけにはいかない。 ミトロフは、他の冒険者はあの兎たちにどう対応しているのか、と受付嬢に聞いた。 「そうですね、みなさん、盾を買われますね」 ミトロフも全く同意するものだ。盾。それが回答である。避けるのが難しいなら、防ぐ。子どもにも分かる。 商業区の中でも奥まった場所に、武器防具を扱う店が並ぶ通りがある。来るのはもちろん冒険者だけだ。それでも通りは市場のように賑わっている。 もっとも、買い物をしているのは家計を担う市民ではなく、話し声もどこか乱雑だ。値引き交渉の声が聞こえるが、もはや怒鳴り合いに近い。 そうした喧騒を過ぎた先に、メルン工房がある。ミトロフがガントレットを購入した店だ。 店に入る。客は誰もいない。店主の腕は良いに違いないと分かっているのだが、なにしろ癖が強い。客であろうと気に入らなければ追い返してしまうような老婆なのだ。 窓から差し込む陽光だけが頼りの薄暗い店内には、鞣された革と、手入れ用の油の香りがする。 老婆の姿を探して進むと、奥の小部屋に続く扉が開いている。そこが作業部屋となっているようだ。座面の高い丸椅子に腰掛けた老婆が、厚い革にノミを入れていた。 「店主、客だ」 「あん?」 ミトロフが声をかけると、老婆が顔をあげた。鷲鼻にちょこんと乗せた老眼鏡の上から睨めつけるようにミトロフを見る。 「なんだ、アンタかい。相変わらずオークみたいな顔をしてるね」 相変わらずの口の悪さに、ミトロフは苦笑した。 罵られているのに、どうにも怒る気がしないのが自分でも不思議だった。 「これでも痩せたんだ。ほんの少しだが」 「そんなに太った細剣使いなんざ見たことないよ。もっと痩せな」 言いながら、老婆はくいくい、と手招きをした。 ミトロフは作業部屋に入る。そこは老婆の、職人としての城であった。小さな部屋ではあるが、本人だけが完璧に理解できるように整理されている。 壁を埋める棚、使い込まれた工具、大きな机に刻まれた傷と染み......ミトロフが生まれるよりも前から、老婆はこの仕事をしているに違いない。 部屋中に満ちた年季の厚みを前にして、ミトロフは畏敬にも似た感情を抱く。それは時代を超えた素晴らしい工芸品や、美術品を前にした時に感じるのと同じものだ。 「なにを惚けてるんだい、手に持ったものをさっさと寄越しな!」 ぴしゃりと言われ、ミトロフは背筋を伸ばした。 そうだ、とミトロフは急に理解した。この老婆に叱りつけられると、子どもの頃の家庭教師を思い出すのだ。ミトロフには何人もの家庭教師がいたが、貴族としての振る舞い方を躾けてくれた家庭教師が、この老婆にどことなく似ていた。厳しい人だったが、公正な人でもあった。 ミトロフは、布に包んでいたガントレットを机に置いた。メルン工房に来たのはガントレットの修理を頼むためである。 老婆は手にしていたノミと槌を脇に置き、包みを開いた。 ふうん、と鼻を鳴らし、ガントレットを手の中で回しながら点検していく。 控えめに言ってひどい状態、というのがミトロフの見立てだった。 厚革を鱗状に重ねて組まれているガントレットは、多少の傷ならば油を塗るだけでいい。しかし今では、いく筋もの切り傷と、えぐれて剥がれた傷が大きく残っている。 「小刀兎と剣角兎の傷だね。アンタ、10階まで降りたのかい」 「ああ......怒らないのか?」 「怒る? なんであたしが怒らなきゃならないんだ」 「その、あなたの作品をひどく傷つけてしまった」 おずおずと答えたミトロフに、老婆は初めて笑みを見せた。 くっく、と喉の奥を鳴らしてから、老婆は少しだけ柔らかい眼差しをミトロフに向ける。 「そんなことを気にしてたのかい。悪さをした子どもみたいな顔をしてないで、ちゃんと胸を張りな! アンタは冒険者だろう。堂々と持ち込んでくりゃいいんだよ」 「う、うむ......しかし、丹精込めて作った防具だろう。ボロボロになった姿を見るのは、良い気持ちがしないかと思ってな」 「そりゃ芸術家どもは気にするだろうがね、あたしは職人だ。ボロボロになった防具? 結構なことじゃないか! それだけ持ち主の身を守ったんだ。むしろ嬉しいね!」 言葉に嘘はなく、老婆は傷だらけのガントレットを愛おしそうに撫でた。 「傷以外は綺麗なもんだ。ちゃんと手入れをしてるね」 「ああ。店主に言われたからな。迷宮帰りには手入れを欠かさぬようにしている」 老婆がパァンとミトロフの腕を叩いた。 「いたい! なんで叩くんだ!?」 「褒めてやったんだ! 受け取りな!」 「もっと優しい褒め方はないのか!?」 老婆は返事もせず、それきりミトロフからは興味をなくしたようで、道具箱から小さな拡大鏡を取り、ガントレットの傷口を念入りに観察した。 「さて、さて......まあそうだろうが、小刀の傷は浅いね......しかし剣角兎に表を剥がされちまったか......切り口は斜めに入ってるが......」 そこで急に老婆は顔をあげ、ミトロフを睨んだ。 「このガントレットで剣角兎を受け止めようとはしてないだろうね?」 「まさか!」 「重ね革とはいえ、あくまでも手甲だ。剣角兎を真っ向から受け止めちゃ、腕まで貫通するよ。絶対にやるんじゃない」 「言われなくてもやらないさ。死にたくない」 腕まで貫通、という言葉に、ミトロフは震え上がった。想像するだけで背筋が寒くなる。大事な左腕である。 「あんた、金に余裕はあるのかい」 「文句はつけないつもりだ」 「修理費はそう高くないよ。使い物にならない革の板を取り替えるだけで済む。だけどね、あんたがまだ10階に手間取るっていうなら、あと何回こいつを修理することになると思う?」 ぶ、とミトロフは言葉に詰まった。 それはまったく、老婆の言う通りである。小刀兎から身を守るにはガントレットが欠かせない。剣角兎の突進にも、またガントレットをあてることがあるかもしれない。 その度にガントレットの修理を頼んでいては、費用も時間も浪費するばかりだ。 「金があるなら、小盾を買いな」 「......以前は、素人は盾なんか使うな、と言っていなかったか?」 初めてこの店に来たとき、盾が欲しいと言ったミトロフは、老婆にめためたに罵られたのである。 「アンタの首には頭が乗ってないのかね! 10階まで潜れるなら小刀兎を防ぐくらいの技術はあるだろう!」 コボルドやトロルといった相手は武器を使う。不規則な攻撃を防ぐために慣れない小盾を使えば、戦い方は歪になる。 盾に意識が向かえば、剣が疎かになるものだ。一瞬の攻防に命を左右されるような状況で、使い方も知らない盾を扱うのは難しい。 だが小刀兎となれば、盾で待ち構えるだけでいい。向こうからやってくるのだから。 「盾、か。ガントレットと併用はできないだろう?」 「役割が被ってるさ。同時に持つ意味がないよ。重たいだけさね」 「これが気に入っているんだ」 迷宮を潜る自分の左腕を欠かさず守ってきた装備である。愛着があり、信頼がある。 たしかにガントレットでは防ぎきれない攻撃もある。だからといってすぐに盾に持ち替えるというのは、なんだか嫌なのだとミトロフは首を横に振った。 「状況に合わせて装備を変えるのは恥じゃない。冒険者なら当たり前のことだよ」 老婆は優しく、諭すようにミトロフに言う。 特定の武器や防具に拘る冒険者というのは、たしかにいる。使い慣れた武器に命を賭けるというのは、冒険者の誇りを刺激する話だ。 だが、ひとつの武器、ひとつの防具で通用するのは御伽噺の中だけであることも事実である。迷宮には多種多様な魔物が棲んでいる。 「魔物や環境に合わせて武器を替え、防具を替える。それこそが一流の冒険者ってもんさ。こだわりで命を失っちゃつまらないよ」 それはこの場所に店を構え、幾多の冒険者を見てきた老婆だからこそ言える言葉でもあった。 「......しかし、ぼくに盾が扱えるだろうか」 ミトロフが知っている盾使いはふたりいる。 ひとりは、赤目トロルとの戦いで共闘したドワーフの大盾使い。もうひとりはカヌレだ。 ふたりともがミトロフとは比べものにならない怪力であり、その力で魔物を跳ね除ける。ミトロフは、同じように戦える気がしない。 「アンタはこのガントレットをよく使いこなしてる。傷を見りゃ分かる。小盾を使っても下手なことにはならないだろう」 なんと! とミトロフは目を丸くした。 「......店主、調子が悪いのか?」 「馬鹿だねアンタは!」 ばちんと肩を叩かれる。 老婆は呆れた様子でため息をつき、やれやれと首を振った。 「とにかく、どのみち修理には時間がかかるよ。仕事が立て込んでるからね。その間に手ぶらで行くわけにも行かないだろう」 それはもっともだった。 では修理が済むまで探索を休みますと言うわけにもいかない。かといって手ぶらでは、小刀兎の相手は荷が重い。 「......では、おすすめの小盾を」 「まいど。そうさね、使い方に不安があるなら、ギルドで盾の講習でも受けてきな」
The day after descending into the labyrinth is designated as a rest day. You can take one, two, or even three days off, but doing so will decrease your income. Mitrof slept until the afternoon and then went to the commercial district after finishing lunch at a food stall. Though he was covered in long-sleeved clothing, he had cuts and wounds here and there. For shallow ones, he only applied ointment, while deep ones were covered in bandages. He continued to explore even after parting ways with Apélie Tiff. While he had learned how to deal with swordhorned rabbits, the tension of it all still wore him down mentally. Waiting with his back against the wall and dodging a flying swordhorned rabbit is a simple enough action. However, there is a note saying that you must not fear the swords that fly at an incredible speed. The tension of dodging the swordhorned rabbits and the small cuts gradually increased with the smallblade rabbits. Mitrof was the only one wearing down, while Canule remained steady with her round shield. Though Canule still had room to spare, she was considerate of Mitrof’s physical condition, and they continued to cut short their exploration of the labyrinth. The income is not bad at all. It seems that the ears of the swordhorned rabbits are widely used as blades, and therefore have a high buying price. Similarly, the ears of the smallblade rabbits are known to be turned into razors. The adventurer’s items that Mitrof and his companions risked their lives to obtain, now form part of the daily livelihoods of those living in the city. ‘But I can’t stay covered in blood forever.’ Mitrof asked the receptionist how other adventurers dealt with those rabbits. “Well, everyone tends to buy shields.” The nonchalant response was unsurprising, and Mitrof agreed fully. Shields were the answer. If it’s difficult to dodge, then simply block. Even children could understand this. In the commercial district, there was a street lined with shops that sold weapons and armor in a quieter, more secluded area. Only adventurers came here, yet the street was bustling like a market. However, the shoppers were not the city’s breadwinners, and the noise of haggling voices was rough and rowdy, bordering on shouting matches. Beyond the ruckus, there was the Meln Workshop. This was where Mitrof had purchased his gauntlets. Upon entering the shop, there was no one there. Although the shopkeeper’s skills were undoubtedly excellent, her habits were strong. She was an old woman who would reject customers she didn’t like. Only sunlight shining through the window illuminated the dimly lit shop, scented with tanned leather and maintenance oil. As Mitrof searched for the old woman, he found a door leading to a small room at the back of the shop that seemed to be used for work. A hunched old woman sat on a tall, round chair, working a knife into thick leather. “Owner, there’s a customer.” “Hmm?” The old woman raised her head when Mitrof called out to her, and peered at him menacingly through the glasses perched on her prominent nose. “What, it’s you again—you still look like an orc.” Mitrof chuckled at her usual sharp-tongued insult. It was strange even to himself that he didn’t feel angry when she insulted him. “I’ve lost some weight, though—just a little.” “I’ve never seen a skinny swordsman like you—lose more weight.” As she spoke, the old woman beckoned him with a crooked finger. Mitrof enters the workshop. It was the old woman’s castle as a craftsman. The small room was organized in a way that only she could understand. Shelves covering the walls, worn-out tools, scratches, and stains on a large desk... The old woman must have been doing this job long before Mitrof was born. Before the thickness of the years that filled the room, Mitrof felt a feeling similar to reverence. It was the same feeling as when one is in front of a magnificent work of craft or art that transcends time. “What are you daydreaming about?—Hurry up and give me what you’re holding!” Snap! The old woman scolded him, and Mitrof straightened his back. Yes, Mitrof suddenly realized. When scolded by this old woman, he would remember his childhood tutor, who taught him how to act like a nobleman. Although Mitrof had many tutors, the one who disciplined him in noble behavior was somewhat similar to this old woman. She was strict but also fair. Mitrof placed the gauntlets, wrapped in cloth, on the desk. He came to the Meln Workshop to ask for a repair on the gauntlets. The old woman set aside the chisel and hammer she had in her hand and opened the package. She snorted and inspected the gauntlet while twirling it in her hand. Mitrof’s estimate was that it was in terrible condition, to put it modestly. The gauntlet, which was made by overlaying thick leather scales, would have needed just a little oil for minor scratches. However, now there were several cuts and peeled and gouged wounds. “These are the wounds of smallblade rabbits and swordhorned rabbits—did you descend to the th floor?” “Yeah...are you not angry?” “Angry?—Why should I be angry?” “Well, I greatly damaged your work.” For the first time, the old woman smiled at the hesitant answer from Mitrof. After clearing her throat with a chuckle, the old woman gave Mitrof a slightly softer look. “Did you worry about that?—Instead of making a face like a naughty child, stand up straight and be proud! You are an adventurer!—Just bring it in with confidence.” “Um, well...but it’s armor that was made with great care—I don’t feel good seeing it all beaten up like this, you know?” “Well, I guess artists would care about that, but I’m a craftsman—armor that’s all beaten up?—That’s not bad at all!—It means it protected the owner well—actually, I’m happy about it!” The old woman spoke truthfully and lovingly stroked the battered gauntlet. “It’s still beautiful besides the scratches—you take good care of it.” “Yeah. The owner told me to. I made sure to take care of it after returning from the labyrinth.” The old woman slapped Mitrof’s arm with a “paan!” “Ouch! Why’d you hit me?!” “I gave you a compliment!—Take it!” “Isn’t there a nicer way to give compliments?!” Ignoring Mitrof’s response, the old woman lost interest and took a small magnifying glass out of her tool kit, carefully examining the gauntlet’s scratches. “Well, well... I suppose it’s true that the wound from the smallblades are shallow... but it seems the swordhorned rabbits managed to strip off the outer layer... the cut isn’t straight either...” At that moment, the old woman suddenly looked up and glared at Mitrof. “You’re not planning to stop a swordhorned rabbit with this gauntlet, are you?” “Of course not!” “Even with multiple layers of leather, it’s still just a wrist guard—If you try to stop a swordhorned rabbit head-on, its horn will pierce right through and into your arm. Don’t even think about it.” “I wouldn’t do it even if you didn’t tell me—I don’t want to die.” The thought of the swordhorn rabbit’s horn piercing through his arm made Mitrof shudder. His left arm was essential to him. “Can you afford it?” “I won’t complain.” “The repair costs aren’t that high—It’s just a matter of replacing the useless leather boards but if you’re going to take your time getting to the th floor, how many times do you think you’ll need to repair it again?” Mitrof was at a loss for words. The old woman was right. The gauntlet was essential for protecting himself from the smallblade rabbits, and he might even need it to block the swordhorned rabbits’ charge. If he had to keep asking for gauntlet repairs, it would only waste time and money. “If you have the money, buy a small shield.” “...Didn’t you say before that amateurs shouldn’t use a shield?” When Mitrof first came to this shop and asked for a shield, he was scolded relentlessly by the old woman. “Don’t you have a brain in your head?!—If you can get to the th floor, you must have enough skill to defend yourself against a smallblade rabbit!” Enemies like kobolds and trolls use weapons. Using an unfamiliar shield to block their irregular attacks will distort your fighting style. If you focus on the shield, your sword will be neglected. Handling a shield you don’t know how to use in a situation where your life is determined in a split second is difficult. But with a smallblade rabbit, you can just wait with your shield. They come to you. “A shield, huh?—Can’t we use it with the gauntlet?” “They have the same role—there’s no point in carrying both. It’s just heavy.” “I like this one.” It was the equipment that had always protected his left arm as he delved into the labyrinth. He had an emotional attachment to it and trusted it with his life. Undoubtedly, there were some attacks that a gauntlet could not completely thwart. However, Mitrof shook his head, feeling uncomfortable about switching to a shield right away. “It’s not shameful to change your equipment according to the situation—it’s common sense for adventurers.” The old woman spoke kindly in an attempt to persuade Mitrof. It is true that some adventurers cling to specific weapons and armor. Betting their lives on a familiar weapon is a story that stimulates the pride of adventurers. However, it is also true that using only one weapon or armor is a fairy tale. There are a variety of monsters living in the labyrinth. “Changing weapons and armor according to the monsters or the environment—that’s what makes a top-class adventurer. It’s not worth getting attached to something and losing your life,” the old woman said. Only someone who had established a business here and had seen numerous adventurers come and go could utter this word. “...But can I handle a shield?” There were two shield users that Mitrof knew. One of them is a dwarf shieldbearer who fought alongside Mitrof against the red-eyed troll. The other is Canule. Both of them have monstrous strength that makes Mitrof pale in comparison, and they use their power to repel monsters. Mitrof doesn’t feel like he can fight like them. “You’re really good at using this gauntlet—I can see the wounds—you won’t do too badly with a small shield.” ‘What?!’ Mitrof widened his eyes. ‘This foul-mouthed old woman was complimenting me?!’ “... Are you feeling okay, owner?” “Dumbass!” He was smacked on the shoulder. The old woman sighed in exasperation and shook her head. “Anyway, it’ll take some time to repair it—I have a lot of work to do—but you can’t go without a weapon in the meantime.” That was understandable. They couldn’t just stop exploring until the repair was done. On the other hand, going unarmed would be too much of a burden against smallblade rabbits. “... Then what do you recommend as a small shield?” “Well, if you’re concerned about how to use it, why don’t you take a shield course at the guild?”
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シェーナは大の字になって青空を見上げると、ルトルスもシェーナに倣って大の字になってみせる。 「気持ちいいね。嫌な事は綺麗に忘れられそうだよ」 「例えば、どんなことだ?」 「......俺が女性であることかな。シェーナ・ウラバルトの人生をどうやって歩んでいけたら最善なのかってね」 両手で自身の顔から胸を触って女性であることを再認識すると、シェーナはどこか寂しそうな表情で呟く。 鏡を見れば、美人な女性がうつろな表情で出迎えてくれることに、いつの間にか慣れてしまっていた。本当の自分はこの人ではないと自問した時期もあったが、キシャナやルトルスに出会ってから自分の辛い思いをぶちまけて楽になった。 ルトルスはシェーナに顔を向けて喋り始める。 「人生は選択肢の連続だ。どれが最善なのかは神様でも分からんよ」 「そうだね......」 「私はシェーナが男だろうと女だろうと気持ちは変わらない。こうしにいる選択肢は不変的だよ。シェーナが世界中を敵に回しても私はシェーナの味方である選択肢を選ぶよ!」 ルトルスは仰向けになっているシェーナを覆い被さるようにすると、彼女の瞳から涙が零れ落ちる。 自分の事をここまで慕ってくれるルトルスに、シェーナは素直に嬉しかった。 「そんな風に言われたら......本気でルトルスのことを好きになってしまうよ」 「私の気持ちを受け取ってくれ。大好きだよ......シェーナ」 ルトルスは目を瞑ってシェーナの唇にキスをすると、シェーナは彼女の気持ちを受け入れてその身を預ける。 村の中心部から道に沿った場所に、行商人が露店を開いて商売をしている。 「このネックレスはルトルスに似合うよ。お揃いで俺も付けるから買ってみないか?」 グリフォンをあしらったネックレスを試着させてもらうと、勇猛果敢なルトルスやシェーナには似合っていた。 代金を払うとはネックレスを付けて村の散策を続けようとするが、天候が悪くなって雨足が強くなる。 駆け足で雨宿りができる場所を探していると、牛舎を見つけて雨宿りさせてもらう。 二人は濡れた服を絞ると、ルトルスは空を見上げて諦めた口調で喋り出す。 「しばらく止みそうにないな。休日が台無しだ」 「今朝は良い天気だったのに、災難だったね。もう少し買い物を楽しみたかったのに」 牛の鳴き声と雨足の音が混じりながら、二人は溜息を漏らす。 シェーナはルトルスに視線を移すと、駆け足の時には気付かなかったが、自分も含めて濡れた服は下着が透けて見えることに気付いた。 シェーナは気恥ずかしさから身を低くして丸くなると、ルトルスは心配して声をかける。 「シェーナ、大丈夫か? どこか痛むのか?」 「いや......服が透けてしまってね。ルトルスもそうだけど、悪意はないんだ」 「キスまでしたのに、今更そんなことで恥ずかしがらなくてもいいだろうに。まあ......それもシェーナらしさがあって好きだよ」 「笑うなよ。キシャナみたいな意地悪は勘弁してくれ」 必死に弁明するシェーナをルトルスは呆れた声で笑い飛ばした。
Schenna lay sprawled on the ground with her limbs stretched out as she watched the azure sky, Luthors did the same and lay down too. “It feels nice here, like I could forget anything that ever bothered me.” “Like what for example?” “...Like the fact I’m a girl. Or what would be the best path to take to live as Schenna Urablatt.” As she spoke, she placed her hands to her cheeks, moving them down to her chest as a pained expression covered her face. After some time, she had grown accustomed to seeing a beautiful girl reflected on any mirror she laid eyes on. There was also a time when she wondered if that girl was really her, but after meeting Kishana and Luthors, those worries crumbled down and were much easier to carry. Luthors turned to look at Schenna and began speaking. “Life is just a series of different choices, and not even god knows which might be the best ones.” “That’s true...” “Whether you’re a girl or a man doesn’t matter to my feelings, my choice to be with you like this won’t change, ever. Even if you turn the whole world against you, I’ll always choose to stay by your side!” Saying that, she spread her arms out as if trying to cover Schenna with them, at the same time, tears began falling from Schenna’s eyes. Schenna was honestly happy that there was someone so attached to her as Luthors was. “If you speak like that... I’ll really fall for you at this rate.” “You can accept my feelings. I really like you...Schenna.” Luthors closed her eyes and kissed Schenna’s lips, Schenna accepted her feelings and gently place her hands on top of Luthors. A peddler had opened a store a distance away from the main street leading to the center of the village. Schenna and Luthors held hands as they walked towards the store, stopping to look at the different ornaments put on display. “This necklace would fit you nicely Luthors. Should I buy two so we have matching ones?”“Would it really fit me? Though, I guess if you say it does...” They tried the griffon-shaped necklaces, its appearance fitting for Luthors and Schenna’s resolute personalities. She paid for them, then the two of them continued strolling around the village while wearing their new necklaces. Though the weather took a turn for the worse and soon it was more than just drizzling. They began to run in search of shelter from the rain, finding a cowshed and hiding in it. After they wrung their clothes, Luthors looked at the sky and spoke with a voice full of resignation. “It doesn’t look like it’ll stop anytime soon. Our holiday is ruined.” “That’s a shame considering how nice the weather looked this morning. And I also wanted to go shopping a bit more.” Their sighs mixed with the sound of the rain and the mooing from the cows. Schenna turned to look at Luthors, noticing something they had overlooked while they ran earlier. Both of their wet clothes had turned semi-transparent and their underwear was visible. Immediately after she squeezed herself into a ball from embarrassment, and Luthors spoke in a worried tone. “Schenna, are you okay? Are you hurt anywhere?” “No...my clothes are showing through. It’s the same for you, but I promise I’m not thinking anything bad.” “We even kissed earlier, you shouldn’t be getting so embarrassed by something like this by now. Though well...that’s how you are I guess, and also something I like.” “Don’t laugh about it. And don’t tease me like Kishana would.” Luthors let an exhausted laugh hearing Schenna trying to excuse herself so much.
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ケーナが部屋にゴザの実を運んできてしばらく、メルクに酒を取り上げられたアスタードは少しだけ正気に戻りつつあった。 「ははぁ。エステルトが美少女になってるっ! あはっはっは!」 「......」 そう、少しだけ......。 「ったく。私の名はメルクだ。この家に他の人間がいる以上、ちゃんとメルクって呼べよ」 「変なこだわりですね......まぁいいや。えーとメルク、ゴザの実をください」 先ほどから徐々に敬語に戻ってきているので、酔いは確実に冷めてきているのは間違いない。ただまぁ、馬鹿笑いした際に被っていたフードが取れたことすら気付いていないようなので、 「ほらよ......いや、ちょっとまて」 この状態のアスタードに、フォークはともかくナイフを使わせるのは危険のような気がした。むろん、通常はそんなもので怪我することはないはずだが、この酔っぱらった状態では何があるか分からない。 「ったく、面倒だなぁ。店であれば剥いた物が出るんだが......」 今朝食べた、デザート用のゴザの実であれば食べる本人が皮を剥くのが基本だ。しかし、こういったつまみ用に出されるゴザの実は、酒場やバーなどでは最初から剥かれて出てくることの方が多い。 理由は簡単で、安全に考慮し酔っ払いに刃物を使わせないためだ。その逆に、刃物を使わせることであまり酔わせないようにあえて皮つきで出す店もあるが、やはり少数といえた。 おそらく、ケーナは魔石越しの声でメルクが酔ってはいないと考え、早めにゴザの実を用意することを優先して皮を剥かずに運んできたのだろう。 それはおおむね正しい。現に、メルクはあまり酔っていない。 「く、このっ! 逃げるんじゃない......」 「あはっはっは! 君は、君はなにしてるんですか? 遊んでる? いや、遊ばれてますねぇ! あはっはっは! 愉快、愉快」 ゴザの実の皮を剥こうと悪戦苦闘するメルクを指さし、アスタードが心底楽しそうに笑う。 「おい、私はお前のために剥いているんだぞ?」 「あはっはっは。こ、これは失礼......でも、君は不器用ですねぇ。ゴザの実も 自分の言葉で何かに気付いたように、アスタードが顔に浮かべていたにやけ面を引っ込める。そしてそれだけではなく、なぜか信じられないようなものを見たように目を見開き、息を呑んでメルクを見つめていた。 「おい、何だよその顔......私の顔に何かついているか?」 その変わり身に面食らいナイフとフォークを置いて尋ねれば、アスタードが止めていた息を大きく吐き出した。 「そうか......そうだったのか。はは、そうだったんだ......」 「ああ? さっきからどうしたんだ? やはり呑みすぎたんじゃないか? 今日はもう寝た方がいい」 今度は顔を俯かせ、ぶつぶつと呟き始めたアスタード。さすがにメルクも心配になり、彼を寝かせようと腰を浮かせかけた。 「イリエムがね、言ったんですよ」 「――?」 だがアスタードの口から唐突に零れたその言葉に、メルクは眉根を寄せて座り直した。 アルコールの中毒を起こした者にしては、その声があまりにも明瞭だったからだ。 「――パーティーを解散した後、彼女が弟に会うためにアーラタン王国へ帰るって言いだしたんです。だから僕は、今しかないと思って彼女に自分の想いを告げようとしたんですよ」 突然始まったアスタードの色恋話に興味を惹かれ、メルクは相槌を打ちその顛末へ耳を傾けることにする。 再び顔を上げて、けれどメルクではなく部屋の上方へ視線を向けたアスタードはその眼を細め、今ではない過去を見つめているようだった。 『い、イリエム。君の国には帰りを待つ人はいるのですか?』 『ええ。唯一の肉親である弟が......きっと待っていてくれているでしょう』 『あ、あの恋人とか。えーと、こ、婚約者とか』 『私にですか? ふふっ、そんな人いませんよ』 『じゃ、じゃあ、気になっている人とか! す、す、す、好きな人とかいませんか?』 『え? 私にですか?』 『も、もしいなければ......あの僕と、その――』 『そうですね――そんな人が一人。ええ、一人だけ』 『――い、いえ。ち、ちなみにその人はどんな方なんですか? 君に想われるだなんて、きっと素晴らしい人なんでしょうね。ははっ、はははは......』 『ふふっ、アスタード。あなたと比べたらどうしようもない人としか――説教臭くて負けず嫌いで、どうしようもなく不器用で......ふふっ』 『どうしたんです?』 『いえ。そういえば、私が想うその方は――ゴザの実一つ満足に剥けなかったなぁと......』 アスタードとイリエムの会話の内容を聞かされたメルクは、擦れる声で上に視線を向けたままのアスタードに問いかけた。 アスタードに「イリエムのことをどう想っているか?」と聞かれた際、エステルトはいつだってそう返していた。 胸が大きい女性に惹かれる自分は、貧乳であるイリエムをそういった対象に見ることはないと。だからアスタードに、自分に遠慮することはないのだと――。 それはアスタードを納得させるための言葉なんかではないと。 自分よりも十近く離れていた女にどうしようもなく惹かれていた事実。それを隠すために否定するために、エステルトはその言葉でイリエムをそういった対象から外そうとしていたのだ。 「僕は知っていたのに。君が彼女に惹かれていることに気付いていたのにっ!」 「――アスタード......」 「そして彼女も、君を愛していたのにっ!」 くない。それでもあえて口にしたアスタードの気持ちを察し、メルクは何も言えなくなった。 「......うっぅ。イリエム......会いたいよぉ。僕のことを好きじゃなくてもいいから、たとえ他の人が好きでもいいから――生きててほしい。生きててほしいよぉ」 顔をテーブルに伏せ、子どものように声を押し殺して泣き始めたアスタード。そんな彼が見ていられなくなって、メルクは立ち上がり彼の背中を擦ってやる。
Some time had passed since Kena had brought the Goza into the room, and Astard was gradually sobering up thanks to Merc taking his drink. “Hahaha. Estert became a young girl! Hahahaha!” “......” Gradually... “Good grief. I told you already. My name is Merc. There are other people in the house as well, so call me Merc, would you!” “You get angry at the strangest of things... Fine. Merc, could you pass me the Goza.” Since a few minutes ago, Astard had gradually reverted to a more courteous tone, indicating that his drunkenness was fading. But, since he didn’t appear to realize that his hood had come off when he laughed so stupidly, it would take him some time to regain his equilibrium. “Here you go... No. Actually wait.” In this situation, allowing Astard to use a fork, much alone a knife, seemed risky. Of course, one would not typically be wounded by such an action, but in this inebriated state, one never knew what could occur. “Argh... This is so annoying! If we were in a restaurant they would have peeled them for us...” If the Goza were offered as dessert, the consumer was supposed to peel it themselves, just as Merc had done this morning. However, the Goza were pre-peeled at bars and taverns where they were given as appetizers. The rationale for this was to prevent drunks from using knives. On the other hand, some restaurants served the Goza with the skin on in order to prevent customers from becoming too inebriated by requiring them to use knives. Such locations, though, were few and far between. Kena may very well have assumed Merc wasn’t inebriated after chatting with her through the Magic Stone, which is why she had delivered the Goza without peeling them and instead focused on bringing them as quickly as possible. This was generally the correct course of action. After all, Merc was in fact not drunk. If there was a downside, it would be that Merc was absolutely awful at peeling Goza. “Urgh... You little! Don’t you run around!” “Hahahaha! J-Just what are you doing? Are you playing? No, wait. It’s you who’s being played with! Ahahaha! Hilarious.” Astard smiled heartily as he pointed at Merc, who was attempting to peel a Goza. “Who do you think I’m peeling these for?!” “Ahahaha! I-I apologize... But you really are clumsy. To think that you can’t even peel a Goza... Wait...” “What’s wrong?” Astard withdrew the sneer that had been on his face, as though he’d realized something from his own words. Not only that, but his eyes widened as if he had witnessed something extraordinary, and he gasped and gazed at Merc. “What’s with that face? Is there something stuck on my face?” Astard let out a loud sigh that he had been holding once Merc set down the knife and fork and inquired. “I see... So that’s it... Hahaha... So that’s it...” “Huh? What are you going on about? Did you drink too much? I think you should go to bed.” Merc became concerned about Astard as he mumbled that while looking down and stepped up to attempt to persuade him to go to bed. “Iriem said it.” “......?!” Merc sat back down with a perplexed expression as the words unexpectedly tumbled out of Astard’s mouth. His voice was far too clear for someone who was obviously inebriated. “She told me when we disbanded the party that she was returning to the Kingdom of Aratan to see her brother. Thinking that this would be my final chance I decided to tell her how I felt.” Astard’s unexpected love talk piqued Merc’s interest, so she chose to listen to his story. Astard looked up, but his eyes were drawn to the ceiling rather than Merc. Astard’s eyes narrowed as if he were gazing back to that time. He then proceeded to recount his and Iriem’s brief conversation. {I-Iriem. Is there someone waiting for you back home?} {There is. My younger brother, my sole relative, will surely be waiting for me.} {W-What about a lover, o-or maybe a fiancé?} {Fufufu, there is no one like that waiting for me.} {T-Then, is there someone you’re interested in, or someone you l-l-l-like?} {What? Someone I like?} {I-If you don’t... then I-I} {I suppose there is one. Yes, one.} {N-No, it’s nothing. B-By the way, what is that person like? For you to think of him in that light, he must be a wonderful person. Haha! Hahaha...} {Fufu! He’s quite hopeless when compared to you, Astard. He’s preachy, a sore loser, and completely helpless... Fufu!} {No, it’s nothing. Come to think of it, that person can’t even peel a single Goza...} “The Saintess said that?” Merc inquired, her voice hoarse, while Astard kept his gaze fixed on the ceiling. “...?! What? Don’t be stupid. You know I’m not a fan of small breasts.” It’s something Merc had always told Astard. Estert had always given the same answer to Astard when asked how he felt about Iriem. Estert had always told Astard that there was no need for him to hold back, since was drawn to women with large breasts, and would never look at Iriem in that light. However, Estert had known... He’d known those words were not really meant to convince Astard. They had been designed to help him persuade himself. Estert had used those words to convince himself that he didn’t like Iriem in order to deny that he had been helplessly attracted to a woman over ten years younger than him. “I knew. I knew that you liked her, and yet!” “Astard...” “She loved you as well!” It was easy to understand how agonizing it was for Astard to confess that the person he loved was interested in someone else. Merc couldn’t say anything, though, since she knew how Astard felt. “... Iriem... I miss you! It doesn’t matter if you don’t like me. It makes no difference if you are in love with someone else. All that matters to me is that you’re well... Be alive, please!” Astard collapsed face down on the table and sobbed, his voice stifled like a child’s. Merc stood up and patted his back, unable to bear seeing him like that. However, she couldn’t say anything. While Astard fell asleep with tears in his eyes, Merc remained silent.
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チラシいわく。 スライム祭りは百年の歴史を誇る、由緒正しい祭りである。 他にもゴブリン祭りやゾンビ祭り、モンゴリアンデスワーム祭りなど、様々なモンスター使いの祭りが世界各地で開かれているが、スライム祭りはその中でも最大の規模を誇っている。 なお、これは余談だが、最も規模が小さいのはドラゴン祭りだ。 年ほど前だけ開催されたが、三人しかドラゴン使いが集まらず、第二回は開かれていない。 「は? 誇り高いドラゴンが、人間と仲良くするわけ......ないこともないか」 チラシを読んだマリオンは不満を口にしかけたが、途中で我が身を振り返ったのかトーンダウンした。 「どうしてドラゴン使いの祭りは参加者が少ないのじゃ?」 「それはきっと、ドラゴンを使役するのが大変だからでしょうねー。ドラゴンは基本的に、自分より弱い相手には従わないからー」 ジェシカの説明に、ミュリエルは「なるほどのぅ」と頷く。 マリオンとジェシカがこの村にいるのは、アイリスに負けたからだ。 「スラスラーンの町は歩いて行くと、一週間くらいかかっちゃいますね。しかし、この村にはドラゴンがいます! マリオンさん、ジェシカさん、お願いしますね!」 「はぁ......すっかり乗り物扱いね......」 「ふふ。シェリルちゃんはドラゴン使いになれそうね」 というわけで、スライム祭りの前日の朝。 ドラゴン形態になったマリオンとジェシカの背中に乗り、アイリスたちはスラスラーンの町に向かった。 夕方頃、町から少し離れた場所に降りて、そこから徒歩で行く。 同じモンスターでも、スライムが町中をウロウロしているのと、ドラゴンがウロウロしているのでは、人々の反応はまるで違う。 ドラゴン祭りが第一回で終わってしまったのは、参加人数が少ないこと以上に、開催する場所がないというのもあったかもしれない。 周囲に気を遣ってドラゴンを人間形態で連れ回すという手もあるが、それでは到底ドラゴン祭りとは呼べないだろうし。 「凄いのじゃ。お祭りムードなのじゃ!」 「見て見てー。スライムが沢山いるよー。すごーい」 ミュリエルとイクリプスが言うとおり、町に入ると、いきなりスライムが視界に入ってきた。 緑色や黄色、白色に黒色。スイカくらいの大きさのから、プニガミより大きいのまで様々。 どのスライムも人間と一緒に行動しており、誰もそのことを不思議に思っている様子がない。 「ヤ、ヤバイ......私も話しかけられちゃう......どうしよう!」 アイリスはプニガミの表面をムニョムニョつまみながら、うろたえる。 プニガミに「つまむなよ」と文句を言われたが、つまむと少し落ち着くので仕方がないのだ。 「どうしようって......プニガミの話をしておけばいいじゃないの」 マリオンはさも当然のように言う。 「プニガミの話って......だって私、スライム使いが普段どんな話してるかしらないし!」 「えっと......色艶がいいって褒められたら、相手のスライムの色艶を褒めるとか」 「わ、私にそんな高度なことができるかしら!?」 「ひぇぇ......おうち帰りたい」 「だ、大丈夫! きっとできるから!」 「本当? 不安だから練習しなきゃ......イクリプス。ちょっとスライム使いのつもりになって私に話しかけてみて」 「わかったー。じゃあミュリエルがスライム役ねー」 「妾がスライム!? 難しい役を任されてしまったのじゃ」 イクリプスは軽やかなステップでアイリスとプニガミの前に立つ。 その後ろでミュリエルが「ぷにぷに」とプニガミの声まねをしている。が、似ているとは言いがたかった。 「いい色艶のスライムですねー」 「あ、ありがとう。あなたのスライムもいい感じですね......」 「でしょー。ノジャプニって言うんだよー。ほら、ノジャプニ。ご挨拶してー」 「ぷ、ぷにぃ......なのじゃ」 「こ、これはご丁寧に......私のスライムはプニガミと言います......」 相手が妹だというのに、アイリスは妙に緊張し、むやみに丁寧な口調で返してしまう。 「プニガミですかー。美味しそうですね。ちょっとペロリと舐めてみてもいいですか?」 「は、はい? イクリプス、何を言ってるの?」 「ちょっとだけなので。ではペロリ」 「ぷ、ぷにぃ!」 「のじゃぁ! イクリプス、そんなことをしては駄目なのじゃ! 変態になってしまうのじゃ!」 「えー? だってスライム使いになりきるんでしょ? シンディーはプニガミのことペロペロしてたよー? だから私も真似しただけなのにー」 「確かにシンディーはそういうことをしていたが......そこまでなりきることはないのじゃ!」 ミュリエルはイクリプスを羽交い締めにし、プニガミから引き剥がした。 「イクリプスちゃん。ほら、見てご覧なさい。スライム使いが沢山いるけど、誰もスライムを舐めたりしてないでしょ?」 ジェシカに言われ、イクリプスは町の様子をキョロキョロ見渡す。 「ね。普通のスライム使いはペロペロしないの。きっとシンディーちゃんが特別変態だったのよ。イクリプスちゃんは変態になりたいくないでしょう?」 「なりたくなーい。もうペロペロしないよー」 「うふふ。いい子いい子」 ジェシカはイクリプスの頭をなでる。 これでイクリプスが変態になってしまう心配がなくなった。 それにしてもシンディーは何て教育に悪い奴なんだろう、とアイリスは憤慨する。 この町で出会っても、イクリプスの教育のため、できるだけ会話しないようにしよう。 なんて思った矢先に――。 「アイリスさんにプニガミさん! それからお供の皆さん! ようこそスラスラーンの町へ!」 「ぷにょーん」 シンディーとプニョバロンがこちらに走ってきた。 気さくなシェリルはそれを見て、「町に入っていきなり出会えるとは奇遇ですね」などと言いながら手を振る。 イクリプスも一緒に手を振ろうとしていたが、アイリスは全力で止めた。 「なんでー? なんで手を振っちゃいけないの?」 「手だけじゃなく。可能な限りシンディーとは絡まないようにして。変態が移るから!」 「変態って移るものなのー? 風邪じゃないんだからー」 「移ったでしょ! イクリプス、プニガミのことペロペロしたじゃない!」 「もうしないから大丈夫だよー。信じてー」 「うっ......そんな純粋な瞳で言われたら、信じるしかないじゃない......」 「わーい、信じてもらえたー」 イクリプスは嬉しそうにぴょんと跳ねたあと、シンディーに向かってパタパタと駆け寄っていく。 「ちょっと、アイリス。いいの? シンディーは悪い奴じゃないと思うけど......変態なのは間違いないのよ!?」 マリオンは心配そうに呟く。 「だって......イクリプスが大丈夫って言ってるし......」 「あんた、本当に押しに弱いのね。まあ、シンディーの変態がイクリプスに移ったとしても、プニガミが大変な目にあうだけだから、いいと言えばいいんだけど」 「ぷにぃっ!?」 プニガミが「やだぁっ!」と声を上げる。 「大丈夫よ、プニガミ。あなた虹色の魔力を使えるようになったでしょ。もしイクリプスがペロリストになっても、それで戦えばいいのよ」 「ぷに? ぷにー!」 そうか、その手があったか、とプニガミははしゃぐ。 どうやら『イクリプスには、相手の魔力を無力化するスキルがある』ことを忘れているらしい。 「ねーねー。シンディーがホテルを紹介してくれるって。よかったねー」 イクリプスが小走りで戻ってきた。 「ちゃんと予約しておきましたよ! この時期、スラスラーンの町の宿泊施設は、ほぼ全て埋まっちゃいますからね。町の外でテントを張って過ごすスライム使いもいるくらいです。まあ、テント生活も楽しいんですが......私が自信を持ってオススメするホテルです! さあ、こちらへ!」 「ぷにょにょ!」 シンディーがアイリスたちに手招きする。 プニョバロンはスライムなので手などないのだが、体の一部を変形させ、手招きっぽい動きをしていた。なかなか芸が細かい。 「皆でキャンプって憧れますが、道具を持ってきてませんからね~~。ホテルは助かります! ペロリスト変態なのに偉い!」 しかしシンディーは変態の部分が聞こえなかったのか、ふふんっ、と誇らしげな顔だ。 「お言葉に甘えて案内されちゃうわ。それにしてもシンディーちゃん、よく私たちを見つけられたわね」 「いつ来るのだろうと思い、何度も町の入り口を見に来ていました! いちいち引き返すのが面倒になり、そこの喫茶店に居座って、窓からずっと見張っていたんです! そしたら皆さんの姿が! いやぁ、偶然って凄いですね!」 「あ、あら、そうなの......」 シンディーの言葉に、ジェシカですら微妙な笑みを浮かべた。 ずっと見張っていたなら、それは偶然ではなく必然なのでは。というツッコミを入れたいところだが、本人が偶然だと信じているようなので、放っておこう。 「ねーねー、アイリスお姉ちゃん。ずっと見張ってたなら、それって――」 「イクリプス。シンディーはきっと偶然だって信じたいのよ。だから黙っていてあげて」 「そうなんだー。よくわかんないけど、黙ってるー」 そんな話をしていると、やがてホテルの前にたどり着いた。 建ての立派な建物だった。
According to the flyer. The Slime Festival has a history of more than a hundred years. There are other festivals for monster tamers, like Goblin Festival, Zombie, Festival, or Mongolian Death Worm Festival. However, the Slime Festival is the biggest of them all. On the side note, the Dragon Festival is the smallest of all. It was held once about fifty years ago, but, since they couldn’t gather even three participants, they had to give up on hosting another one. 「Huh? For an honorable dragon to befriend a human......isn’t unthinkable」 Marion was about to complain but turned back mid-sentence. 「Why were there so little participants?」 「Probably because it’s hard to make a dragon obey. We generally refuse to follow those weaker than us」 Muriel seemed convinced by Jessica’s explanation. Speaking of which, Marion and Jessica only settled in the village after their defeat at the hands of Iris. 「The city of Slislan is about a week’s journey away. However, we have dragons! Marion-san, Jessica-san, please!」 「Haa........you are definitely treating us as mounts......」 「Fufu. You might have what it takes to become a dragon tamer」 A day before the festival. Iris and the rest headed towards Slislan on Marion and Jessica’s backs. They landed some distance away from the city in the evening and proceeded on foot. Despite both being monsters, people are strangely fine around slimes. Perhaps the Dragon Festival was canceled not only because of the lack of participants but also because of lack of the proper venue. There is an option of having dragons move around in their human forms, but that won’t be much of a dragon festival. 「Amazing. Everyone is in a festive mood!」 「Look, look. So many slimes. Amazing~」 As Muriel and Eclipse said, they encountered a slime the moment they entered the city. Green and yellow. White and black. Their size ranging from watermelon to that above Punigami. Each slime had a human accompanying it. Mysteriously, no one around them considered this scenery unusual. 「T-That’s bad......they’ll try to talk to me......what should I do?!」 Iris muttered as she rolled on top of Punigami. Fondling Punigami was the only way she could calm down a little. 「Can’t you just talk about Punigami?」 Marion says as if it’s natural. 「Talking about Punigami.....but I don’t even know what slime tamers usually talk about!」 「If someone compliments your slime’s color compliment back or something like that」 「I-Isn’t it too advanced for me?!」 「Hieeee......I wanna go home」 「It’s alright! You can do it!」 「Really? I’m feeling insecure so let’s practice......with Eclipse. Try talking to me as if you are a slime tamer」 「Okay~. Muriel is my slime then」 「This Mistress!? That is not an easy task」 With a light step, Eclipse moved in front Iris and Punigami. Muriel tried to imitate Punigami’s voice from behind her, but it was hard to tell how similar it was. 「You have a pretty slime~」 「T-Thanks. Your slime is rather nice too......」 「Right?~ You can call her Nojapuni. Say hi, Nojapuni」 「Pu-Punii......na no ja」 「Y-You’re so polite......my slime is called Punigami.....」 Despite talking with her little sister, Iris was strangely tense. 「Punigami? He looks tasty. Can I have a lick?」 「Y-Yes? What are you talking about?」 「It’ll be over in a moment 「Pu-Punii!」 「No ja! You shouldn’t do something like this! You’ll turn into a pervert!」 「Eh? I am pretending to be a slime tamer. Cindy licked Punigami before. I’m simply imitating」 「She did indeed do something along those lines......but doesn’t mean you should go that far!」 Muriel grabbed Eclipse and pried her of Punigami. 「Look around, Eclipse-chan. There are so many slime tamers but no one does that」 Having heard Jessica, Eclipse briefly surveyed her surroundings. 「Right? Normal slime tamers don’t lick their slimes. Cindy must’ve been a special kind of pervert. You don’t want to become a pervert, right?」 「Don’t wanna. Won’t lick anymore~」 「Ufufu. Good girl」 Jessica patted her head. Eclipse has been saved from turning into a pervert. Cindy is a source of bad influence, Iris thought to herself. If we happen to see her here, let’s avoid conversation at all costs. The moment she thought that...... 「Iris-san, Punigami-san! As well as the rest of you! Welcome to the city of Slislan!」 「Punyon」 Cindy and Punyobaron were running their way. 「What a coincidence」said Sheryl as she waved at them. Eclipse wanted to wave too, but Iris immediately stopped her. 「Why? Why can’t I wave?」 「You should stay away from Cindy as much as possible. You’ll catch her perverseness!」 「Is it contagious? It’s not a cold though~」 「It does spread! Didn’t you lick Punigami a while ago?!」 「I won’t do that anymore. Have faith~」 「Uu.....don’t look at me with those innocent eyes of yours.......」 「Yay, You believe in me~」 Eclipse happily jumped and ran towards Cindy. 「Hey, Iris, is that okay? Cindy isn’t a bad person.....but she’s definitely a pervert!」 Marion muttered in worry. 「But......she says it’s okay.....」 「You are really weak to pressure. Well, even if it rubs off, Punigami would be the only one in danger」 「Punii!?」 「Noooo!」Punigami bellowed. 「It’s okay, Punigami. You can use magic now. You can just fight her if she ever tries to lick you again,」 「Puni? Puni!」 I see, that’s an option. Punigami was struck with a realization. He apparently forgot Eclipse could extinguish his magical power. 「Cindy said she’ll introduce us to a hotel. Lucky~」 Eclipse returned in no time. 「I have a proper reservation too! After all, it’s hard to find decent accommodations in Slislan at the moment. Some slime tamers even have to stay in tents outside the city. Well, living in a tent is a lot of fun.....but I recommend this particular hotel! Follow me!」 「Punyonyo!」 Cindy beckoned Iris to follow her. Punyobaron, being a slime, didn’t have any hands, so he morphed a part of his body to imitate the motion. He seemed rather skillful at it too. 「I would very much like to camp outside with others, but we didn’t bring any tools~~ A hotel is a lifesaver! Great idea for a lickorist pervert」Muriel and Sheryl expressed their questionable admiration. Perhaps due to her deliberately selective hearing, Cindy puffed her chest in pride. 「We’ll take you up on that offer. Even so, how did you find us so quickly, Cindy-chan?」 「I’ve been visiting the entrance to the city many times! At one point I felt going back became rather bothersome, so I stayed in the nearby cafe and observed through the window! Then I finally saw you! What a coincidental coincidence!」 「Oh, I see....」 Even Jessica felt at a loss after her speech, as she stood there with a weird smile. By the looks of it, it was more of an inevitability than coincidence. Or so one would retort, but since the person in question believed it was a coincidence, there was no need to disillusion her. 「Hey, big sis. If she was on the constant lookout for us does that mean......」 「Eclipse. Cindy wants to believe it was a coincidence. Let her be」 「Is that so? I don’t understand but okay~」 As they were having such a conversation, they finally reached the hotel. A fine four-story building.
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その日の夕刻、ライエルの屋敷のポストの手紙が投函された。 配達者の気配を感じ取り、配達物を見に行ったマリアは、その内容を見て血相を変える。 慌てた様子で屋敷内に駆け込み、ライエルのもとに押し掛けた。 「あなた、大変! フィーナが!」 「なんだ? フィーナがどうかしたのか?」 マリアの血相に、ライエルは驚いたように振り返る。 それにフィーナには基本、カーバンクルがついており、身の安全を細心の注意で見守っている。 カーバンクル自体はそれほど強いモンスターではないが、多彩な魔法を自在に使いこなすため、そこらの冒険者より遥かに頼りになる。 「フィーナが......誘拐されたって――!」 悲痛な叫びと共に、手紙を差し出してくるマリア。その声を聞きつけ、コルティナも居間にやってきた。 「ち、ちょっと、それホントなの?」 「わからないわ。でも、フィーナはまだ戻ってきてないし」 「まずは所在確認......といっても、本当に誘拐されたのなら簡単には見つからないな。いないものを探すのは時間がかかる」 「なら、マクスウェルを呼びつけてくるわ。 身につけた物を探知する魔法なら、フィーナの服や靴を対象に取れば、その場所を探知できる。 「この手紙には、私にコルボ村まで来いって」 「コルボ村ってどこ?」 「確かこの村から南西ほど行ったところにある村だ。ラウム森王国との国境に近い」 「なんでわざわざ? そこに何の用があるのかしら?」 「わからないわ。でも、そうね......そこならガドルスのいるストラールの街の方が近いわ。あいつにも協力してもらいましょ」 「そ、そうね。あそこにはニコルもいることだし。そうだ、アシェラにも連絡しないと!」 「なんで教皇様まで連絡入れるのよ?」 「だって、フィーナの洗礼をしてくれたのよ? それくらいは......」 無駄にあふれる行動力を発揮し、各所に連絡と協力を仰ぎに走り出す。 結果、教皇アシェラから北部三か国連合のエリオット国王にまで連絡が回り、事態はさらに大きく発展したのだった。 ◇◆◇◆◇ ギルドから呼び出しを食らったガドルスがその一報を目にした時、彼はいつもの鷹揚さをかなぐり捨てたように走り出した。 それを無限とも言える体力で維持し、自分の宿『大盾亭』に駆け戻った。 「レイ――ニコル、ニコルはいるか!?」 「けほっ! こほ、こほっ!?」 「はーい、ニコルちゃんなら大声に驚いて、ここでお昼ご飯を 見ると食堂の片隅で、果実水を気管に流し込んだニコルが盛大に咽ていた。それをかいがいしく世話するフィニアの姿もある。 暢気にガドルスに報告してきたのは、いつものように一緒にいたミシェルだ。 「お主、転移魔法があっただろ。開拓村に戻るぞ!」 「は? なんでいきなり――」 「フィーナが......いや、それはここではまずい」 その一言を受けて、ニコルはフィーナの身に何かあったと察する。 食事を切り上げて席を立ち、鋭い視線でガドルスを睨んだ。咽た果実水が襟元を汚しているので、やや格好がついていない。 「わかった、すぐ行く。ガドルスの準備は?」 「俺も盾さえ持てばいつでも行けるわい」 元々北部の村はニコルの故郷。持ち込む準備などはほとんど必要ない。愛用の手甲も転移魔法が付与されているため、いつでも呼び出せるんで装備する必要はなかった。 「了解。ガドルス、来て」 相談用の個室に移動し、ニコルはガドルスから詳しい事情を聴いた。 「なるほど......なら、探索技能があった方がいいよな? だったら今回はレイドの姿で行く。『ニコル』は先にコルボ村に向かったことにしてくれるか?」 「それはいいが、仲間はどうするんじゃ?」 「ミシェルちゃんがいてくれると心強いけど、さすがに人数がな。俺とお前あと一人......できるなら事情を理解してくれているフィニアを連れて行きたい」 「連れて行けるのまでだったな。しかたあるまい、今回は事情が事情だし、クラウドとミシェルの二人にはここで待機してもらおう」 「あまり多くの人に知られるのは、犯人を刺激しかねないからな。でもレイドがとフィニアが一緒に行ったら怪しまれかねない。さいわい『レイド』は何度か向こうに顔を出しているし、ふらりと立ち寄った風でごまかしておく」 「俺らはどうすればいい?」 「ガドルスとフィニアは......そうだな、村の外で一時間ほど時間を潰してから来てくれ。もし緊急の用事があった場合は、俺が直接迎えに行く。俺は 「ふむ、その一時間が歯がゆいが、そうした方が無難かの」 誘拐であるなら、大人数で押しかけて犯人を刺激してしまうと、フィーナの身が危険になる可能性もあった。 ことは静かに、かつ迅速に処理しなければならない。そのためには、やはりレイドとしての力が必要になるだろう。 「フィニアを呼んできてくれ。俺は転移の準備をしておく」 「わかった。すぐに戻って来るから、待っておれ」 そういうと再びガドルスは、部屋から飛び出していったのだった。 ◇◆◇◆◇
During the evening of that day, a letter arrived at Lyell’s mansion. Sensing the delivery person’s presence, Maria went to accept the letter, but color drained from her face as she read it. She rushed inside the mansion and barged in where Lyell was. “Dear, it’s terrible! Fina has...!” “Huh? What about Fina?” Lyell turned towards Maria, surprised at her expression. He had his trusty Holy Sword in hand and was in the middle of maintaining it. Lyell’s surprise was quite natural. It was extremely rare for Maria, who always had a smile on her face, to change so much. Moreover, Fina always had the Carbuncle with her and it was thoroughly making sure that she was safe. The Carbuncle wasn’t such a strong monster, but it could freely use various spells so it was far more dependable than an average Adventurer. He never considered that something would happen to Fina since the Carbuncle was protecting it. “It says... It says Fina was kidnapped!” Maria held out the letter while screaming those words. Hearing her yell Cortina came into the living room too. And hearing her words, she became petrified. “W-What?! Is that true?” “I don’t know. But she still hasn’t returned.” “Let’s first confirm where she is... though if she really has been kidnapped, we can’t really find her so easily. Searching for her if she’s nowhere to be found would take a lot of time.” “Then I’ll call Maxwell. If he uses Search, he should find her whereabouts right away.” With Maxwell’s searching spell, he could find her whereabouts if he designated her socks or clothes as the searching target. Unless they were using an anti-detection spell, it should’ve allowed them to find her. “The letter is telling me to head to Kolbo village.” “I think it was about three days’ distance southwest from here. It’s close to Raum’s border.” “Why there of all places? Do they want me to do something there?” “I don’t know. But... Right, Gadius is in Stollar and it’s closer to that place. Let’s ask him for help too.” “R-Right. Nicole’s also there too. Oh, I have to contact Ashella too!” “Why are you getting the Pope?” “I mean, she baptized Fina. She should help with this much...” They were Six Heroes when they acted like it. They utilized their excelling abilities to take action and contacted collaborators in every place. As a result, they reached from Pope Ashella to even King Elliot of the United Alliance, growing the scale of the situation even more. ◇◆◇◆◇ Gadius got called by the Guild, and when he saw the report, he rushed out, losing his usual composure. Dwarves weren’t very nimble due to their build, but he had enough experience to make up for that. He moved his legs most optimally and centered his body weight efficiently to accelerate himself even further. He maintained his pace with his practically bottomless stamina, and he returned to his inn, ‘Greatshield’s Protection.’ “Rei—Nicole, is Nicole around?!” “Bweh! Cough, cough?!” “Yeah, Nicole just got surprised by the yell and choked on her food over here.” Looking to the corner of the cafeteria, Nicole was choking violently, the fruit juice having gone down her trachea. Finia was diligently tending to her from the side. The one who reported the state carefreely was Michelle, who was together with the two as always. Even a dwarf like him could see that the three had grown into charming ladies, but he had no presence of mind to care about that now. “You knew teleportation magic right? We’re returning to the pioneer village!” “Huh? What’s with—” “Fina was... No, it’s bad to say that here.” Hearing that much, Nicole realized that something must have happened to Fina. She stopped eating and stood up, gazing sharply at Gadius. The fruit juice was all over her collar so she didn’t look exactly good. “Got it, let’s go. Are you ready, Gadius?” “I can move as long as I have my shield with me.” The northern village was Nicole’s home. She barely needed to take anything with her. Her trusty gauntlets had a transfer spell cast on them so they could be recalled any time and didn’t need to be brought along either. “Okay. Come, Gadius.” They moved to a private room for discussion where Nicole got the particulars from Gadius. “I see... then it would be better to have searching skills, right? In that case, I’ll go as Reid this time. Can you tell them that went ahead to Kolbo?” “Sure, but what about your comrades?” “I would love to have Michelle with me, but too many people would be a problem. Me, you, and one more person would be best... Ideally, Finia, who knows my situation.” “You could only take two people along, huh. No helping it then. Given the situation, we’ll have Cloud and Michelle stand-by here.” “Letting too many people know could provoke the criminal too. But seeing Reid and Finia together, they could suspect something. But fortunately, “What should I do?” “You and Finia should...hmm, spend about an hour outside the village and come after that. I’ll come and get you if an emergency arises. They believe I transform with the Polymorph spell, so it wouldn’t be weird that I can use the lower-level teleportation spell too.” “I see. I feel frustrated to waste an hour, but I suppose it would be safer that way.” In a case of kidnapping, if you tried to force your way with many people it could provoke the culprit and endanger Fina’s life. It had to be dealt with quietly and promptly. For that, Reid’s power would be necessary. Finia’s versatility was also desirable to have. “Call Finia for me. I’ll prepare for the teleportation in the meantime.” “Got it. I’ll be right back.” Saying that, Gadius rushed out of the room. ◇◆◇◆◇
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しかしながら、世界の他の国々における教育と議論のみでは、新たな反ユダヤ主義に立ち向かうことはできない。それはイスラエルに関連しているのだ。イスラエルが20世紀の偉大な達成のひとつであると見なされ、迫害され虐げられた者たちに誇れる住処を与えた国として称賛される時代に生きる者にとっては特に、今まさにそれが危機にさらされているかもしれないと思えるのだ。
It is linked to Israel. If one belongs to a generation that regarded Israel as one of the great achievements of the twentieth century, and admired the way in which the country provided a proud home for the persecuted and downtrodden, one is particularly concerned that it may now be at risk.
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「今、この時ほど自分が食事無しでも生きていける眷属で良かったと思ったことは有りませんわ...」 「アタイもそう思うよ......。」 凍えるほどの寒波が襲いくる砂漠の夜。 私とムギの前には焚火代わりにと出力を抑えた≪渦炎≫を囲ってとある料理を黙々と食べている団員たちが居ます。 「いやー、満腹ネ。」 「美味しい......。」 その料理を作った張本人であるウネとイズミはとても美味しそうに食べています。 ですが、 他の人間団員と怖いもの見たさで食べたホウキは非常に微妙な表情をして食べています。 でも、私には彼らの表情を咎める事は出来ませんわね。私は食べていませんし、それに... 蠍と蚯蚓の料理を食べられる気は私もしませんから。 ええ、そうです。蠍と蚯蚓です。 今日の昼に襲ってきた石油蠍と砂蚯蚓です。 あの節足動物の と土の中にいる ミミズ です。 「リョウとムギは食べないのカ?美味しいヨ?」 ウネが私たちの方にそれを向けに食べないかと誘ってきます。ですが、 「いえ、私は体力が一切減っておりませんから...」 「アタイも遠距離組で食べる必要が無いから貴重な食料はそっちで消費しておくれ。」 ここは全力で拒否しておきます。他の団員たちの恨みがましい目が痛いですが、無理なものは無理ですわ! ----------------------- そして翌日。遠くに火と煙を噴き上げている『黒い水湧かす油王』のダンジョンを望みながらも私たちは西進を続けます。 「リョウ姐さん。」 と、索敵班が何か報告があるのか私の方に近づいてきます。 「どうしましたの?」 「遠くの空に星の城が見えました。このまま行くと1,2時間後には俺たちの上を通過しますね。どうしましょうか?」 む...。星の城ですか。 星の城と言うのは現しか確認されていない移動型のダンジョンの一つを指す通称です。星の城は無数の浮遊島からなるダンジョンで、世界中の空を気まぐれに飛び、自分以外の空を飛ぶものを見つけると配下のモンスターに特攻させてでも落とそうとしてきます。また、時折ですが、地上にモンスターを大量投下させて下の人間を襲うこともあります。そのために星の城が上を通っている間は警戒を怠るわけにはいきません。 そしてこの星の城に関して最も重要なのは、この城が存在するために人類は制空権を奪われた。という事実です。 さて、本来ならば星の城が迫っているのですから陣形を組んで上空からの襲撃を警戒するか、適当な場所を探して身を隠すべきなのでしょうが、今私たちがいる場所は砂漠で、陣地の組みようも身を隠す場所もありません。おまけに近くには『黒い水湧かす油王』のダンジョンもあります。 そして仮に星の城の魔王と『黒い水湧かす油王』のモンスターに同時に襲われた場合、いくら私たち『霧の傭兵団』でも苦戦は免れず、大変危険です。 となれば、 「星の城の予測進路は?」 「分かってます。ほぼ真正面から来ますね。」 「それならば至急進路変更。星の城と油王のダンジョン。その両方から可能な限り離れます。仮に襲撃があった場合は無理に倒す必要はありませんから、撃退を第一にしてとにかく離れることを優先してください。」 「「「了解!!」」」 私の指示に従って『霧の傭兵団』はその進路を大きく北に向かって曲げ、進むスピードを少し速めます。 --------------- 2時間後。多少の襲撃は上と下の両方からありましたが、同時に襲われるようなことは無く、無事に各個撃破することが出来ました。奇襲によって多少出てしまった怪我人も私の≪治癒≫で十分治せる範囲でした。 「無事に切り抜けた。ということでよろしそうですわね。」 怪我人の治療も終わり、小さなオアシスで私たちは一息を吐きます。 「ですねぇ。ただ道を大きく外れてしまいましたから、次の目的地は多少変えるべきかもしれませんねぇ。」 ホウキが水をコップに入れて持って来てくれます。 「ああ、やっぱりそうなったかい。」 地図を確認していたムギがやはりと言った顔をします。 「安全には代えられませんわ。それで、最寄りの街は?」 「ここから西に行ったところにあるよ。ただ、本来のルートから外れているからかつてのエジプトに着く前にある場所の近くを通る事になりそうだね。」 ムギの顔が苦虫を噛んだようなものになります。そしてムギのその言葉に私もホウキもそのルートの先に何があるのかを思い出しました。 ですか。」 「ああそうさ。外はかつてその地を聖地と定めていた宗教の人間たちが囲み、その小競り合いから世界で最も危険な場所と言われ、中は現在最強と呼ばれる魔王『絶対平和を尊ぶ神官』が生み出したダンジョン『魔聖地』になり、世界で最も安全と言われる都市だよ。」 「どの程度ならルートの変更は可能ですの?」 「掠める程度が限界だね。ただ、あまり使われないルートだからその分危険も多くなりそうだし、遠くから望むくらいはどうしてもなりそうだ。」 「それでも聖地に行くよりはマシです。」 「まっ、そうだろうね。」 そうして私たち『霧の傭兵団』は『魔聖地』を掠めるような進路に向かって不安を抱えつつも歩を進めることになりました。 この先何も無ければいいのですけど。
“I’ve never been this glad being a kin who can survive without sustenance than I am right now...” “I agree with you...” A frigid surge of chilly air swept over us on a barren night. The group members were silently consuming a certain dish in front of Mugi and me, surrounded by ≪Fire Swirl≫, which had been adjusted to low power output to serve as a bonfire. “Oh well, my stomach is filled to the brim.” “How delectable...” Une and Izumi, who were the ones responsible for preparing the dish, were devouring it with great relish. However... Houki, who was partaking of the dreadful meal with other human group members, consumed it with a very subtle expression on her face. I can’t say I blame them for their expressions, though. For I did not taste it, and besides... I don’t feel like I can gobble up the cuisine made of scorpions and earthworms either, you know. Yes, indeed. The edibles were scorpions and earthworms. The same Oil Scorpion and Sand Worm that assailed us this afternoon. arthropod scorpions and earthworms that lived in the ground. “Are you not going to try them, Ryo and Mugi? They taste good.” Une held it towards us and invited us to have the meal together. But... “No, I haven’t lost any of my energy...” “Since I am also part of the long-distance group and don’t require food, you can consume your valuable meals on your own.” I will utterly decline your offer here. Although the resentful eyes cast by the other members of the group are bothering me, what’s impossible is impossible! ————– And on the following day, despite the dungeon of the “Black Water Gushing Oil King” that spewed fire and smoke in the distance, our journey continued westward. “Miss Ryo.” As if they had something to report, the scouting squad approached me. “What’s wrong?” “I spotted the Star Castle in the distant sky. It will pass us by in an hour or two if we continue at this pace. How should we proceed?” Hmm... Star Castle huh? The Star Castle was a common term for one of only three mobile dungeons that had been verified at present. It consisted of a myriad of floating islands, and it soared over the sky of the world on a whim, and once it spotted a flying object other than itself, it will attempt to bring it down even at the cost of sending monsters under its command on a suicide mission. Moreover, from time to time, they will also drop a mass of monsters on the ground to maul the humans below. Therefore, vigilance must be exercised while the Star Castle was passing overhead. Furthermore, what was of utmost magnitude regarding this Star Castle was the fact that because of its existence, humankind had been deprived of airspace control. Now, by all rights, with the Star Castle imminent, we ought to form a formation and be on the alert for an attack from above or seek a favorable place to shelter, but our immediate site was a desert, which meant there was neither a formation to establish nor a place to shelter. On top of that, there was the dungeon of “Black Water Gushing Oil King” nearby. And in the event that we were to be simultaneously targeted by both the Demon King of the Star Castle and the monsters of the “Black Water Gushing Oil King,” no amount of our “Mercenary of the Mist” would be exempt from a strenuous and very perilous struggle. If this is the case... “Are you aware of the Star Castle’s anticipated path?” “I know. They will be heading straight towards us.” “We must then promptly alter our course. We’ll need to get as far away as possible from both the dungeon of the Oil King and the Star Castle. Even if there is an attack, there is no sense in forcibly overpowering them, so please prioritize repelling the attack and evacuating the area first.” [[Understood!!]] The “Mercenary of the Mist” will veer dramatically to the north and accelerate its pace as per my instructions. ————– Two hours later. While we were assaulted from above and below more or less, it was not a simultaneous attack, thus allowing us to safely destroy them individually. Even those who were injured due to the unexpected attacks were within the bounds of my ≪Heal≫ skill to recuperate adequately. “It seems that we made it through without a hitch.” After the wounded had been treated, we exhaled in the small oasis. “Yeah. But, since we’ve strayed so far off the established route, we might as well switch our next destination.” Houki delivered a glass of water to me. “Ah, I knew it would end up this way.” Mugi, who was checking the map, expressed a resigned look. “Our priority is safety after all. So, where’s the nearest town?” “It’s to the west of here. But given that the route diverges from the original, we’ll have to pass close to a certain place before we reach what was once Egypt.” Mugi’s face took on a bitter look. That remark from Mugi then reminded both me and Houki of what lay beyond that route. “Is it the “Yes, that’s right. The outside is surrounded by people of the religion that once designated it as the Holy Land, and is regarded as the world’s most treacherous land owing to its skirmishes, while the inner is a dungeon created by the Demon King, “Priest of Absolute Peace,” who is now deemed the most powerful of all. Not to mention, it is considered the safest city in the world.” “How much can we alter our route?” “The most we can do to reach Egypt is to graze past it with that route. But since it is a route that is not frequently used, it is likely to be riskier, and we may have to hope for a better view from afar.” “Even so, that choice would be better than stepping into the Holy Land.” “Well, I guess so.” And so we, the “Mercenary of the Mist,” advanced tentatively towards the path that seemed to graze the “Magic Holy Land”. Hopefully, nothing will arise from here on out.
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私は毎日毎日剣を打つ日々ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか、レンです。 日々、スキル経験が増えてる実感があり、そろそろ鍛冶スキルのレベルが6に上がってもいいんじゃないかなーと思う今日この頃。 あー、冒険者ギルドの資料室に行って魔力剣についてちょっと調べたりしたいなあ。 等とこれからの予定をなんとなーく立てつつ、今日も今日とてトリエラとお昼休憩してたりする。 トリエラは最近は2~3日位の頻度で昼にここに来て、色々近況を話してくれる。 ここに来る日は、午前中はパーティーのみんなで資料室に行って資料を見て、午後に薬草採取に行ってるらしい。 それ以外の日は朝から薬草採取。以前と違い街の雑用依頼は受けず、全員で採取に向かってると言うことなんだけど...... 「毎回毎回、資料室の司書さんにお願いするのが申し訳なくて......」 そう、トリエラ達のパーティーは全員が同じ孤児院出身の為、余り文字を読めないのだ。だから毎回司書の人にお願いして本の文章を読んでもらったりしてるらしい。 でも大人数で行って、毎回毎回お願いするのが、人のいいトリエラには苦痛のようで。 「......なら、私が読み書きを教えましょうか?」 「えっ? レン、読み書き出来る様になったの!?」 「はい、この一年程で一通りは」 と言うか、前世の記憶戻った時に王侯貴族並に読み書き出来るようになったと思います。現代日本の高等教育マジパネェです。漢字も任せろー! ばりばりー! 「......申し訳ないんだけど、お願いできる?」 「問題ないです、任せてください」 とは言え勉強のために紙を使うのは流石に難しい。 この世界、植物紙が普通に出回ってるので、紙は普通に流通してる。トイレットペーパーだって存在する。 だから書き物をするための紙も普通に売ってる。でも紙質は割と微妙。ぶっちゃけわら半紙とかそういうレベル。所詮は平民が使う程度の物、と言うことらしい。 それでもトイレで使うような紙よりも全然高いわけで、孤児上がりの冒険者が勉強のために沢山買って使うと言うのは流石に難しい。 となると、石版と石筆とか、そう言うのを買わないといけないんだけど......いくら収入が増えたとは言え、石版は割と値が張る。それを買わせるのも何となく気が引けるというか、なんというか......んー。 ああ、手持ちの素材で適当に作ればいいのか。うんうん、そうしよう。 トリエラに一声掛けて、裏口から工房の敷地内、中庭に戻る。 中庭には何本か木が生えているので、その影に行って【ストレージ】から材料を取り出し、【創造魔法】でちょちょいのちょい。 造ったのは小さめの黒板と、チョークを数本。黒板消しは適当なぼろ布で代用すればいいかな。 黒板は表面を適した塗料で塗るだけなので割と簡単に造れる。一応見た目も整えておこうかな、縁を木枠で囲んでそれっぽく仕上げておこう。チョークは石とかから適当に作ってみた。 試しに書いて見る。うん、普通に黒板。 トリエラの元に戻って一式を渡した。 「これで勉強しましょう」 「なにこれ?」 「紙は高いので、何度も使えるものを用意してみました。こうやって使います」 チョークを使って適当に文字を書いて、ぼろ布でぬぐって消してみる。 「え、なにこれ、凄い。便利じゃない?」 「擦れると文字も消えるので、メモを書いても保存には向きません。そういった場合の使い勝手は微妙だと思いますよ。とは言え色々使い道はあると思いますけど」 でも、部屋に伝言を書き残しておくとか、まあ色々使いようはあると思う。 「一先ずそういうのは置いておいて、勉強しましょう。お互いこの後の予定もありますし、余り時間が取れるわけでもないので」 「あ、そうだね! それじゃあ先生、よろしくお願いします!」 先生だと!? ......あれ、なにか凄く頼られてる感じがして、なんだか......胸がキュンとする。 「レン?」 「......なんでもないです。それじゃあ始めましょうか」 と言う感じで、それかおきのお昼の談笑時間がお勉強時間に変わった。 とは言うものの、読み書きの勉強なんてそこまで時間掛かるわけでもなく、それが向上心があって物覚えがいい人相手だったりすると、それこそあっという間なわけで。 ええまあ、三回目位で基本的な所は普通に読めるようになりました。カタカナがまだちょっと怪しいけど、後は常用漢字重点に勉強すれば問題ないかなーと言う程度には。 「トリエラは覚えるの早いですね」 それに思ったよりも勉強って面白いなーって」 んー。そう言われてみれば、貧民層にとっては勉強もある意味娯楽と言えなくもないかー。 それはそうと。 「トリエラ、さっきからずっとこっちを見てる人が居るんですが......」 「え? どこ?」 「あそこの物陰です」 「どこ? あそこ? ......って、あの子!」 あー、やっぱり知り合いだったか。と言うか、私も知ってる子だ。 「ちょっとリコ! アンタ何やってんの!? 付いて来ちゃダメって言ったでしょ!」 「えー、でもトリエラがお世話になってるんでしょ? 院長先生も良くしてもらったらお礼はちゃんとしなさいって言ってたよ? それに最近トリエラ凄く良い笑顔で出かけるし、気になるもん!」 「だから、それは相手の都合だってあるんだから......」 リコリス。通称リコ。私達よりも一つ年下で、いつも私とトリエラの後ろをちょこちょこと着いて来てた子だ。私達の妹分みたいな感じ? 「あの人がご飯とかくれたんでしょ? じゃあちゃんとお礼言わなきゃ!」 「あ!こら、待ちなさい! リコ!」 お、こっちに来た。 「はじめまして! いつもトリエラがお世話になってます! この間のご飯美味しかったです! ありがとうございました! リコも今まで知り合った幼女達と同じく私よりも背が低いから、フード被ってても顔が丸見えだった。 「お久しぶりです、リコ。相変わらず元気一杯ですね?」 「うっそー! レンちゃん!? え、生きてて......えー!?」 「はい、生きてました」 「ずるい! トリエラずるい! ひとりだけレンちゃんに会ってたとか、ずーるーいー!!」 リコはトリエラに引っ付いてその平らな胸をぽこぽこ叩いてる。うーん、相変わらず元気一杯で騒がしい子だ。 「もう、レンちゃんに会ってたなら教えてよ! 他の二人だって黙ってたなんて知ったら絶対怒るよ!?」 「あー、うん、それはそうなんだけどさ......皆に教えたらケインにばれるでしょ?」 「ああ......そっか、ケインかー......ケイン、バカだもんねー」 「うん、あいつバカでしょ?」 二人のケインに対しての共通認識が割と酷いように思えるかもしれないけど、これは孤児院に居た女子全員の共通認識でもある。ちなみに幼年組も含む。 奴は地頭は悪くないけど、バカなのだ。空気が読めない、加減が出来ない。独善的な正義を押し付ける。でもみんなを引っ張っていくカリスマのようなものを持っていた。だから男子には人望が有ったし、女子からの人気も悪くは無かった。まあ、良くも無かったんだけど。私のことをいじめてたことで、一部からは割と普通に嫌われてもいた。 ただまあ、何よりもむかつくのはコイツは割と顔がいいのだ。やんちゃ系の美少年と言う感じ? その所為か、街の親が居る女の子からは割と人気があった。まあ私は大嫌いだけどね。死ねばいいのに。 まあ、そんなバカのケインに私のことが知られたら、多分と言うか絶対私に面白いことにはならない。多分無理やりパーティーに加えようとするとか、武具とか造らせようとすると思う。しかも恐らく材料は私持ち。色々とありえない。だがそれがケインクオリティ。 「レンもケインには会いたくないって言ってるから、リコも協力してよ?」 「わかった。ケイン馬鹿だから仕方ないよねー」 「あれだけレンのこと苛めてて、嫌われてるとか考えても居ないからね、あのバカ」 「死ねば良いと思います」 「さすがレンちゃん、厳しいね!」 はっはっはっ。そんなに褒められると照れるね! 「トリエラに読み書きを教えてました」 「え、レンちゃんが? トリエラに? トリエラが最近急に本読めるようになったのってレンちゃんに教えてもらってたから!? ずるい!」 「ちょっとリコ、ずるいって」 「ずるい! トリエラだけずるい! ずるいよ!」 あああ、これはいつものパターンだ。 「わたしも! わたしもやりたい! わたしもやるー! わたしもやーるー! レンちゃん、私にも教えてー!」 「リコ、レンにだって都合があるんだから、無理言わないで......」 ......やっぱりいつもどおりの『わたしもやる!』が始まった。でもこれ、我侭な子供の駄々っ子に見えるけど、実はこれ違うんだよね。 リコはこう見えてもちゃんと中身はしっかりとしてるんだよ。この『わたしもやる!』は、みんなの役に立ちたいから自分もやる、と言う意味なのだ。決して仲間はずれがいやで我侭を言ってるわけじゃない。実際、遊んでる時に自分があぶれた時なんかには絶対に我侭を言ったりしない。ちゃんと順番を守ったり、他の子に譲ったりする。そんな子だから私もトリエラも可愛がってたんだけど。 「リコ、あんまり我侭を言うと怒るよ?」 「だって~......」 「構いませんよ。リコ、一緒に勉強しましょう」 「いいの!?」 「大丈夫ですよ、トリエラ。リコの『わたしもやる!』はそういうのじゃないって分かってるでしょ?」 「それはそうだけど、レンの負担とか考えるとさ......」 「一人も二人もそんなに変わりませんよ」 「トリエラ! レンちゃんもこう言ってるんだからいいでしょ? ね?」 「う~ん......でもねえ......?」 「大丈夫、問題ないです」 「うー......仕方ない。でも、遊びじゃないんだからちゃんとしなさいよ?」 「うん! わかった! それじゃあレンちゃん先生、お願いします!」 レンちゃん先生だと!? なんて可愛いことを......! 天使か! 「分かりました、任せてください!」 こうなったら全力で行かせて頂きます! フンス!
Hello everyone, how are you guys doing? I’m Ren, and I’m forging swords every day. I had a feeling that my skill experience was increasing day after day. I’m sure the level of my blacksmithing skill would rise to level six soon. With such a hunch, I started pondering a lot of things. Soon after I reached level six, I was planning on making a magic sword. Ah, I want to go to the adventurer guild’s reference room and do a little research on magic swords... As I made my plans for the future, I was having a lunch break with Triela as usual. Recently, Triela came here at noon every two or three days and talked about various things regarding the recent situation. It seemed like on the days she came here, all of her party members went to the reference room in the morning to examine the materials and went to collect herbs in the afternoon. On the other days, they collected herbs from the morning. Unlike before, they didn’t accept the requests to do odd jobs in the town and went to collect the herbs together... “I feel bad for asking the librarian in the reference room every time we came...” Right. Since all of the members at Triela’s party came from the same orphanage, they couldn’t read well. That’s why they had to ask the librarian to read the text of the books every time. However, not only that they came with a large number of people, they had to keep asking for help. For a good-natured girl like Triela, she must be feeling bad for bothering other people continuously. “...Then should I teach you reading and writing?” “Eh? Ren, you can read and write!?” “Yeah. I roughly learned it in the past year.” Or perhaps I should say that my ability in reading and writing became equal to royalties after I regained the memories of my previous life. As expected from the higher education of modern Japan. Leave the kanji to me~! It’s all easy~! “...I’m sorry to keep troubling you, Ren. Can you teach me?” “No problem, please leave it to me.” Nonetheless, it would be extremely difficult to use paper for studying. In this world, plant paper was a common item, so everyone could buy papers without trouble. There was even toilet paper. Therefore, it was easy to find the papers normally used for writing documents. However, the paper quality was relatively delicate. If I had to say it frankly, it was similar to the straw paper used for writing calligraphy. After all, those papers were mostly used by the commoners. Still, those papers were much more expensive than the ones used in the bathroom. It was hard for me to tell an adventurer who used to be an orphan to buy a lot of papers to study. Then, she had no choice but to buy the slate chalkboard and slate pencil or something like that, but... although her income had increased, the slate chalkboard was considerably expensive. I also felt kind of awkward to have her buy it on her own, how should I say this... hmm. Ah, maybe I should just make something appropriate with the materials I have? Yeah, let’s do that. “Please wait for a while,” I said to Triela and returned to the courtyard from the back door of the workshop. There were some trees growing on the courtyard. I went to the shadow of a tree and took out the materials from my [Storage] and did a simple [Creation Magic]. I made two small blackboards and a few chalks. It should be fine to substitute the blackboard eraser with an adequate old rag. The blackboard was relatively easy to make since I only need to paint the coating of the blackboard with suitable paints. I’d like to fix the appearance as well, so I should finish this by putting a wooden frame around the edges. I made the chalks from stones. For now, I tried writing something as a trial. Yup, it was a normal blackboard. I returned to Triela and handed her everything. “Let’s study with this.” “What is this?” “Paper is expensive, so I tried to prepare something that can be used many times. You use it like this.” I used the chalk to write some random characters and wiped them with a rag to erase them. “Eh, what is this? Amazing. Isn’t this too handy?” “The text disappears once you graze them. It’s not suited to keep a memo. I think the usability in that type of case is delicate. Even so, I believe this has a lot of uses.” There were many ways to use this blackboard, such as leaving a message in a room. “Let’s leave that aside and study for now. Both of us have plans after this, so we can’t take too much time.” “Ah, right! Then, please take care of me, teacher!” She called me a teacher!? ...Huh? It feels like I’m being relied on a lot, and somehow... my heart skips a beat. “Ren?” “...It’s nothing. Let’s get started.” After that, our pleasant chat during lunch every three days changed to study time. That being said, Triela didn’t take long to learn reading and writing. Probably, it passed in a blink of an eye since she desired to improve herself and she also had a good memory. In our third meeting, she could read the basics normally. She still had a slightly hard time reading katakana, but she wouldn’t have a problem once she focused on studying the kanji for common use later on. “Triela is a fast learner.” “No, my life depends on this after all. Not to mention, studying is more interesting than I thought.” Hmm. I guess now that she said that, studying is one kind of pleasure for poor people. Anyway. “Triela, there’s someone who has been watching us for a while...” “What? Where?” “She’s hiding over there.” “Huh? Over there? ...Eh, that girl!” Ah, so it’s really her acquaintance? Rather, I also knew her. “Hey, Lyco! What are you doing here!? I already told you that you can’t come along!” “Eh, but Triela has been under her care, right? The director also told us to properly give our thanks when we received a favor. Besides, Triela has been smiling a lot these days. I’m curious!” “Like I said, she has her own circumstances as well...” Lycoris, known as Lyco. She was one year younger than us. Long ago, she always followed behind Triela and me here and there with small, quick steps. I guess she’s like someone who we consider as our younger sister? “That’s the person who lets us eat meals, right? Then I have to say thank you!” “Ah! Hey, wait! Lyco!” Oh, she came here. “Nice to meet you! Thank you for always taking care of Triela! The meal on the other day was delicious! Thank you very much... Eh? No way... Ren?” Lyco was shorter than me, just like the little girls I had acquaintanced with so far. That’s why she could clearly see my face even when I was wearing a hood. “It’s been a while, Lyco. You’re still full of energy, eh?” “No way!! Ren!? Eh, you’re alive... Ehhh!?” “Yes, I’m alive.” “Unfair! Triela is unfair! How can you meet up with Ren alone! UNFAIR!” Lyco clung to Triela and hit her flat chest. Well, she was still a lively and noisy kid as usual. “If you meet Ren, then let me know! If the others know that both of you don’t say anything to them, they’ll definitely get angry too, you know!?” “Ah, well, you’re right, but... if we tell everyone, Cain will find out, right?” “Oh... I see, so it’s Cain... Cain is an idiot after all.” “Yeah, he’s an idiot, isn’t he?” Both of their view towards Cain might seem awful, but that was also how all of the girls in the orphanage looked at him. By the way, the little kids were also included. His brain was good, but he wasn’t using it enough. He couldn’t read the mood, and he couldn’t adjust to it as well. Not to mention, he imposed his self-righteous justice to everyone. But he had some kind of charisma that attracted people. That’s why he was popular within the boys. He was also well-known within the girls, but well, not for a good reason. Since he bullied me, some of us even considerably hated him. But well, what’s even more irritating was that guy had a pretty good face. Something like a handsome naughty boy? Because of that, he was rather popular with the town girls. I absolutely loathed him, though. I wished he would die. With that, if that idiot Cain became aware of me, he would definitely do something that wasn’t interesting for me. Maybe like forcing me to join the party or make them armors. On top of that, I probably had to use my own materials. Cain was just that unreasonable. But that was also his quality. “Ren says that she doesn’t want to meet Cain, so Lyco, can you help us?” “Okay. It can’t be helped since Cain is an idiot.” “He tormented Ren too much, yet he didn’t think he would get hated. What an idiot.” “I hope he can just die.” Hahaha. I’ll get shy if you compliment me too much!“By the way, what are you guys doing just now?” “I taught Triela to read and write.” “Eh? Did Ren teach Triela? So Triela suddenly could read books these days because Ren taught her!? This is unfair!” “Hey Lyco, stop it...” “Unfair! It’s unfair that only Triela can learn! Unfair!!” Ah, this was her usual pattern. “Me too! I want to do it too! I will do it! Ren, teach me too!” “Lyco, Ren has her own circumstances, so don’t say something that unreasonable...” ...As I thought, her usual “I want to do it too!” has begun. But even if she might look like a wilful spoiled child, her intentions were actually different. Lyco might look like this, but she was a reliable kid. Her “I want to do it too” means that she also wanted to do it because she wanted to help everyone. It wasn’t like she wilfully said that because her friends left her out. Actually, she wouldn’t say anything selfish even if the others left her out while playing. She would obey the order of things and concede to other kids. Because she was such a kid, Triela and I pampered her a lot. “Lyco, I will get angry if you keep being selfish, okay?” “But~...” “I don’t mind. Lyco, let’s study together.” “Can I!?” “Hey, Ren!” “It’s okay, Triela. You know that Lyco only wants to help, right?” “That’s right, but if I think about Ren’s burden, I...” “Teaching one or two people won’t be that different.” “Triela! Ren also said that, so it’s good right? Right?” “Uhh~ But...?” “It’s okay. It’s really no problem.” “Uh... Then it can’t be helped. But we’re not here to play, so do it properly, okay?” “Yes! I understand! Then, Teacher Ren, please take care of me!” Teacher Ren!? She called me with such a cute nickname...! Is she an angel!? “Okay, leave it to me!” Since it already came to this, I will do my best! Hmph!
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「え~~。じゃあ、話すよ。幼い頃から......」 フィン様は私達の反応に少し引き気味だったが、話し始めてくれた。 その瞬間だった、扉がガチャッと開き「お待たせ~~」とヘンリお兄様の声が部屋に響いた。 なんてタイミング!! 私は思わずヘンリお兄様の方を向きながら声を上げた。 「ヘンリお兄様!!」 ヘンリお兄様はいきなり私に名前を叫ばれたことに驚く。 「おおお? なんだ?」 「タイミング悪すぎです!!」 「登場して怒られるってことあるか? しかも、こは俺が呼んだのに......」 ごもっとも。だけど、登場するのは今じゃないのよ。 「ここで話は終了だね」 フィン様はまたニコッと天使のような笑みを浮かべる。 ......はぁ。 私たは思い切り肩を落とした。 事情を何も知らないヘンリお兄様は戸惑いながら私達に謝った。 「いえ、ヘンリお兄様が悪いわけではないんです。ただ、タイミングが......」 「......出直してこようか?」 「いや、大丈夫だよ」 ヘンリお兄様の言葉にフィン様が被せるように答えた。「それなら良かった」と言って、ヘンリお兄様は私たちの方へと近づく。 これからフィン様の恋愛事情を聞くときは、魔法で扉を厳重に閉めておこう。 「それで、俺たちに話ってなんだったんだ?」 カーティス様はヘンリお兄様の方へと視線を向ける。 「あ~~、まさか二人がアリシアと会っているとは思わなかったからなぁ」 ヘンリお兄様は少し話しづらそうにしている。 やっぱり私の話だったの!? 「やっぱりアリちゃんの話だったんだ~」 カーティス様が私の心の声を代弁してくれた。 「......なんですか?」 「それはな......」 「私に聞いてほしくないことですか?」 「まあ、アリシアにとって良い話ではないからな」 ヘンリお兄様ってば、素直に答え過ぎじゃない!? 私に聞いてほしくないことだったら、もっと濁せばいいのに......。嘘も方便。私の話じゃないって言ったら、私もこの部屋から出て行ったのに。 なんだか、ヘンリお兄様って外では自分のことを隠すのは上手いのに、身内相手だと下手よね。 「アリシア、失礼なこと考えているだろ」 ヘンリお兄様が私をじっと睨む。私は反射で「いえ」と口角を上げた。 「それで内容は?」 「......お前をもうラヴァール国へ行かせないようにしようと思っていた」 あら......。これは確かに私にとって良い話じゃないわね。 「何故です?」 私は冷静にヘンリお兄様に理由を尋ねた。
“Eh~. Then I’ll tell you. Since I was a child...” Finn-sama was a little taken aback by our reaction, but started to speak. At that moment, the door opened with a bang and Big Brother Henry’s voice echoed through the room, “Sorry to keep you waiting”. What timing! I turned to Big Brother Henry and shouted. “Big Brother Henry!!!” Big Brother Henry was surprised to hear me suddenly shout his name. “Oh? What?” “Your timing is so bad!” “How can you be mad at me for showing up? When I called these two guys...” That’s right. But this was not the time. “I guess we’re done here.” Finn-sama smiled again, an angelic grin on his face. ...Haah. The three of us dropped our shoulders as hard as we could. Big Brother Henry, who knew nothing about the situation, apologized to us in confusion. “No, it’s not Big Brother Henry’s fault. It’s just that the timing...” “...Do you want me to go back?” “No, it’s fine.” Finn-sama replied as if to cover Big Brother Henry’s words.” I’m glad to hear that,” Big Brother Henry said, moving closer to us. From now on, whenever I’d ask Finn-sama about his love life, I’d definitely close the door tightly with magic. “So, what was that you were telling us?” Curtis-sama turns his gaze toward Big Brother Henry. “Ohhhhh, I didn’t think you two were coming with Alicia, you know.” Big Brother Henry looked a little uncomfortable talking. I knew it was about me! “I knew it was about Alicia~!” Curtis-sama spoke my mind. “...What is it?” “It’s...” “Is it something you don’t want me to hear?” “Well, it’s not a good story for Alicia.” Big Brother Henry was too honest with me! If it was something you didn’t want me to hear, you could have made it more muddled... Lying was also a good thing. If I told him that if it wasn’t about me, I would have walked out of this room too. It was like Big Brother Henry was good at hiding himself on the outside, but not so good with his family members. “Alicia, you’re thinking of something rude.” Big Brother Henry stared at me. I reflexively lift the corner of my mouth to say, “No.” “So, what’s the story?” “...I was going to make sure you never go to the Ravaal Kingdom again.” Well... This was definitely not good news for me. “Why not?” I calmly asked Big Brother Henry why.
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内容は変えておらず いつもと同じようにツイートしていたものの 突然 白人男性たちは Nワードと呼ばれる 黒人差別用語で呼ばれるようになり ひどいネットいじめを 受けていることに気づきました 一方で 黒人女性たちは急に 居心地が良くなったと感じました さて 私の5歳の子供であれば インターネットで見る内容は ほとんどが子犬や妖精で 妖精が子犬に乗っていることもあるでしょう 本当です 検索してみてください でも私たちはインターネットが 本当に醜い場所になり得るのを知っています 民主主義にとって健全だと思われる 様々な議論について ここで語るつもりはありません 私は姑息な個人攻撃について 話をしているのです あなたにも経験があるかもしれませんが あなたが女性や有色人種やゲイなら― または2つ以上当てはまるなら 少なくとも 2倍は不快な思いを経験しやすいのです 実際 このトークの原稿を書いている時 ツイッターで @SallyKohnSucks というアカウントを見つけました 紹介文によると 私は 「男嫌いの男役レズで キャリアで成し遂げた唯一のことは 異常なセクシュアリティを広めたこと」 なのだそうです 3分の1しか合っていませんが― いや 嘘ですよ! 冗談はさておき このような戯言を 皆嫌がっています 問題はそれを変えるために 個人的な犠牲を払う気があるかどうかです ネットを止めようと言うのではありません クリックの仕方を変えようと言っているのです クリックするというのは公的な行為ですからね もはや あらゆるメディアを 権力を持った数少ないエリートが管理し 私たちはただの受け手である という時代ではありません ますます 私たち自身が メディアになっているのです かつては こう思っていました ちゃんと着飾って 化粧もばっちりして テレビで ニュースについて解説するのが メディアを形成する公的な行為であり― 家に帰って ネットをあちこち見て ツイッターを読むことは メディアを消費する私的な行為だと もちろん そのはずです だってパジャマのままなんだし ところが 間違いなのです ブログに書くことやツイートすること そして私たちクリックすることすべてが メディアを形成する公的な活動なのです 私たちは新たな編集者です 私たちが何に注目するかによって 注目されるものが決まるのです これが今のメディアの仕組みです あなたがクリックするものに基づいて 私たちが何をもっと目にするかを決める 隠れたアルゴリズムがあるのです 今度はそれが私たちの文化全体を 形作っていくのです アメリカ人の5人に3人以上が この国は 現在 無礼な言動という大問題を 抱えていると考えていますが 少なくとも5分の3の アメリカ人は社会における 非常に卑劣な衝動を助長するような 侮辱的で 噂を言いふらす くだらないものを クリックしているのではないかと思っています メディアの世界は ますます騒々しくなりつつあるため 人々は より大きな声を上げるよう 駆り立てられます そして声の大きい者の横暴が まかり通る世界では 卑劣という暴虐を助長するのです そうである必要はありません その必要はないのです 動機付けを変えることは出来ます まず 誰でも出来ることが2つ 1つ目は 誰かが傷つけられるのを見たら 傍観者にならないこと もし誰かがオンラインで罵られていたら 何かするのです ヒーローになりましょう これはチャンスなのです 声をあげて はっきり言うこと 良い人間になりましょう 善で悪をかき消しましょう 2つ目は 最低にたちの悪い― くだらないリンクをクリックするのを やめること もし いつどの番組にもカーダシアンが 出ているのが嫌なら 脇からのぞくキム・カーダシアンの おっぱいに関する記事を クリックするのをやめること クリックしてるでしょ? そこのあなたもね 同じような例ですが もし互いをなじりあう政治家が嫌なら ある政治家が別の政党の政治家を 何と呼んだかについての記事を クリックするのをやめましょう 悲惨な事件の記事をクリックするのは 火に油を注ぐようなものです 事態は悪化し 火の手は広がります 私たちの文化全体が焼き尽くされます 一番多くクリックを得たものが 勝利するのであれば 自分たちのクリックで 私たちの望む世界を 作り始めねばなりません クリックするのは公的な行為だからです 責任をもってクリックしましょう ありがとうございました
They didn't change their content, they kept tweeting the same as usual, but suddenly, the white guys noticed they were getting called the n-word all the time and they were getting the worst kind of online abuse, whereas the black women all of a sudden noticed things got a lot more pleasant for them. Now, if you're my five-year-old, your Internet consists mostly of puppies and fairies and occasionally fairies riding puppies. That's a thing. Google it. But the rest of us know that the Internet can be a really ugly place. I'm not talking about the kind of colorful debates that I think are healthy for our democracy. I'm talking about nasty personal attacks. Maybe it's happened to you, but it's at least twice as likely to happen, and be worse, if you're a woman, a person of color, or gay, or more than one at the same time. In fact, just as I was writing this talk, I found a Twitter account called @SallyKohnSucks. The bio says that I'm a "man-hater and a bull dyke and the only thing I've ever accomplished with my career is spreading my perverse sexuality." Which, incidentally, is only a third correct. I mean, lies! But seriously, we all say we hate this crap. The question is whether you're willing to make a personal sacrifice to change it. I don't mean giving up the Internet. I mean changing the way you click, because clicking is a public act. It's no longer the case that a few powerful elites control all the media and the rest of us are just passive receivers. Increasingly, we're all the media. I used to think, oh, okay, I get dressed up, I put on a lot of makeup, I go on television, I talk about the news. That is a public act of making media. And then I go home and I browse the web and I'm reading Twitter, and that's a private act of consuming media. I mean, of course it is. I'm in my pajamas. Wrong. Everything we blog, everything we Tweet, and everything we click is a public act of making media. We are the new editors. We decide what gets attention based on what we give our attention to. That's how the media works now. There's all these hidden algorithms that decide what you see more of and what we all see more of based on what you click on, and that in turn shapes our whole culture. Over three out of five Americans think we have a major incivility problem in our country right now, but I'm going to guess that at least three out of five Americans are clicking on the same insult-oriented, rumor-mongering trash that feeds the nastiest impulses in our society. In an increasingly noisy media landscape, the incentive is to make more noise to be heard, and that tyranny of the loud encourages the tyranny of the nasty. It does not have to be that way. It does not. We can change the incentive. For starters, there are two things we can all do. First, don't just stand by the sidelines when you see someone getting hurt. If someone is being abused online, do something. Be a hero. This is your chance. Speak up. Speak out. Be a good person. Drown out the negative with the positive. And second, we've got to stop clicking on the lowest-common-denominator, bottom-feeding linkbait. If you don't like the 24/7 all Kardashian all the time programming, you've got to stop clicking on the stories about Kim Kardashian's sideboob. I know you do it. You too, apparently. I mean, really, same example: if you don't like politicians calling each other names, stop clicking on the stories about what one guy in one party called the other guy in the other party. Clicking on a train wreck just pours gasoline on it. It makes it worse, the fire spreads. Our whole culture gets burned. If what gets the most clicks wins, then we have to start shaping the world we want with our clicks, because clicking is a public act. So click responsibly. Thank you.
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部屋の中は明るくなっていた。壁に据えられたいくつもの燭台には青い炎が灯っている。 魔力の火だ。 古の叡智によって形作られた迷宮が、どんな仕組みで、いつ動作するのかを理解しているものはいない。しかし今、迷宮はこの部屋を灯すことを選んでいる。 部屋に入ったミトロフは、すぐにブラン・マンジェの後ろ姿を認めた。 生きている。まずはそれで息をつけた。 部屋の中ほどに立っている彼女にミトロフは駆け寄った。 「ブラン・マンジェ、無事か!」 声に驚き、彼女は背後を振り返った。 「––––ミトロフさん? なぜここに」 「忘れ物を取りに来たら、アペリ・ティフに頼まれてな」 「任せてくださいと言ったのに......いえ、それよりも早く––––」 そのとき、ブラン・マンジェの上空にばちり、と光の枝が生まれた。 ブラン・マンジェが見上げ、顔を顰めた。その脚は動かない。動けない。 ミトロフはすでに包みを開いていた。グランが組み上げたその”鉄の棒”は、簡易的な折り畳み式になっている。それを組み立て、真っ直ぐに上空に掲げた––––刹那、空気が弾けた。 ブラン・マンジェを狙っていた雷光は、その半ばで奇妙に折れ曲がった。 「––––上手くいったぞ!」 ミトロフが喝采を上げた。 雷はミトロフが掲げた鉄棒に”捕まった”のだ。 戸惑うブラン・マンジェに、ミトロフは自慢げに宣言する。 「これは––––”避雷針”だ!」 ミトロフの持っている鉄の棒は、普通の剣近くある。重さを減らすために中は筒状になっており、半ばに作られた輪からは鎖が伸びている。避雷針に落ちた雷は、金属の鎖を伝って地面に流れていったのだ。 これが”錬金術師”の考案した、雷を捕まえる道具だった。本来は家屋の屋根に据えることで建物の被害を抑えるのだが、ミトロフはそれを自分で持つことにしたのである。 持ち手には、雷に強い耐性を持つという”デンキナマズ”という魔物の皮を巻き付けている。それはしっかりと効果を発揮しているようで、ミトロフは少しも手に痺れを感じない。 「大丈夫だ! これがあれば勝てるぞ!」 ミトロフは意気揚々と呼びかける。 「......それは良かった。でしたら、どうかそのままお逃げください」 「なにを」 見返して、ミトロフはブラン・マンジェの脚に気づいた。ローブの裾は焼け焦げ、炭のように崩れている。ズボンもブーツも焦げ、おそらくは身体のあちこちにも傷を負っているだろう。 察したミトロフに、ブラン・マンジェは優しく声を掛ける。 「助けに来ていただき、ありがとうございます。本当に感謝しています。正直に申しますと、もう立っているだけでなのです。あの”魔族”は––––想像を越えて強い。攻撃が通用しません。魔力も無尽蔵にあるようです。この情報をギルドに持ち帰って、対策を」 再び、雷撃。横合いから飛んできたそれを、ミトロフは避雷針で絡め取った。荊の枝が鉄棒から鎖にまとわりつきながら地面に流れた。 ミトロフは眼光鋭く見据える。部屋の柱の影に、あの山羊頭の老婆がいた。柱にも壁にも黒い焦げがある。炎の刃を生むブラン・マンジェの戦った跡に違いない。 山羊頭の老婆は物陰を活用して攻撃を避けながら、雷撃を撃ち込んできたようである。それは明らかにただの魔物とは違った。ただ襲いかかってくるだけの物ではない。知性がある。 覗き見るように姿を現した山羊頭の手に、ミトロフは自分の剣を見つけた。以前握っていた古い剣は捨てたらしく、今ではミトロフの刺突剣を杖代わりにしているようだ。 ミトロフは唇を噛んだ。だが、取るべき選択肢は決まっていた。 「撤退しよう」 山羊頭から視線を外さず、ミトロフはその場にしゃがんだ。 「乗るんだ。避雷針がある。雷は怖くない」 「......頼もしいお背中ですこと」 軽口と共に、ブラン・マンジェはミトロフの背に身体を預け、太い首に腕を回した。 ミトロフは片手でブラン・マンジェの脚を抱え、おんぶして立ち上がる。傷に響くのか、ブラン・マンジェが小さく呻く。 強い”デンキ”が人の身体に流れたとき、致命的な傷を与えるのだと、ミトロフは本で読んでいる。それは人の血を沸騰させ、皮膚を焼き、心臓を止めるのだと。 山羊頭の魔法は、おそらくは”雷”そのものではない。だが、できるだけ早く彼女を施療院に連れて行くべきだろう。 ミトロフはゆっくりと後退りをする。 山羊頭の老婆は姿を現し、手に持ったミトロフの剣を掲げた。 雷撃。 ミトロフは右手で避雷針を掲げる。雷撃は真っ直ぐに鉄の棒に吸い取られ、長く垂れた鎖を通じて地面へと流れていった。 よし、とミトロフは頷く。効果がある。これなら問題なく逃げられる––––。 ガ、ガ、と。ミトロフが開けておいた扉が自然に閉まった。 「なに!?」 外から閉められた、と推測し、そんなわけがないと否定する。外にいるのはアペリ・ティフだ。 「......困りましたね」 耳元でブラン・マンジェが言った。 「”守護者”の部屋は、挑戦者を逃さぬように扉が閉じられるようになっているんです」 「なんだその呪いの部屋は。待て、前回は普通に逃げられたぞ」 「守護者が不在だったことで、部屋自体も機能が停止していたんです」 「......それが動き出したということは、つまり」 言葉の続きを、ミトロフは口に出せなかった。想像するだけで寒気がする。だが、口にしなければ現実が変わるわけもない。 部屋の中央に青い光が集まり始めていた。それは部屋を囲う壁に据えられた魔力の篝火から飛んでくる。やがてそれは渦となる。 「あの”魔族”を守護者と認めたか、もしくは......」 青い渦穴から、手が出てきた。這い出てきたのは”ゴブリン”である。ただし、肌の色は見慣れたゴブリンに間違いないが、その体格は比べ物にならぬほどに変わっていた。トロルのように巨体だが、脂肪は見られない。身体には革鎧を纏い、手には幅広の鉈を。そして一角の付いた鉄兜を被っている。 「––––”新しい守護者”が生まれたということです」 ブラン・マンジェの口調は、ひどく静かだった。ただ現実を見据え、受け入れている。それゆえにミトロフもまた、冷静にそれを見つめることができた。 屈強なゴブリンの尖兵......ゴブリン・ソルジャーは、この部屋の新たな主だ。”守護者”の名を冠する力を持っているだろう。 そして傍には山羊頭の老婆がいる。自由に雷を扱い、知性を持ち、攻撃を通さぬ霊体。 片方だけでも手に余る。それが二体いる。そして退路は封じられ、ブラン・マンジェはろくに動けず、ミトロフは剣すら持っていない。 どう、切り抜ける? ミトロフの問いに、返ってくるのは空白だった。なにも思いつかない。活路がない。 死の実感がミトロフの足を掴んでいた。
The room was bright. The numerous candlesticks on the walls were lit with blue flames. Magical fire. Nobody was aware of how or when the labyrinth, built with ancient wisdom, functioned. Yet now, the labyrinth had chosen to light up this room. Upon entering the room, Mitrof immediately recognized Blanc Manje’s figure from behind. She was alive. For now, he could breathe a sigh of relief. Mitrof ran towards her, standing in the middle of the room. “Blanc Manje, are you okay?” His voice startled her, and she turned around. “——Mitrof-san? Why are you here?” “I came to pick up something I forgot, and Apélie Tiff asked me to.” “I told her I would handle it... but now, more importantly—” At that moment, a branch of light flashed above Blanc Manje. Looking up, Blanc Manje furrowed her brows. Her legs wouldn’t move. They couldn’t. Mitrof had already opened the package. The “iron rod” that Gran had assembled was a simple and foldable structure. Mitrof assembled it, raised it straight into the air, and suddenly the air popped. Lightning struck. The lightning that was aiming for Blanc Manje strangely bent halfway through. “——It worked!” Mitrof applauded. The lightning was “caught” by the iron rod that Mitrof was holding. “What is that?” Blanc Manje was perplexed, and Mitrof proudly declared: “This is a lightning rod!” The iron rod that Mitrof was holding was nearly twice the size of a regular sword. It was hollowed out in the middle to reduce the weight, and a chain extended from the middle ring halfway down. When the lightning struck the lightning rod, it flowed down the metal chain to the ground. This was an invention of the “alchemist” for catching lightning. It was originally designed to be mounted on the roof of a building to minimize damage, but Mitrof decided to carry it himself. Wrapped around the handle was the skin of a monster, the “electric catfish,” known for its resistance to lightning. It seemed to be working well, as Mitrof didn’t feel any numbness in his hand. “Don’t worry! With this, we can win!” Mitrof exclaimed confidently. “...That’s good to hear. In that case, please escape while you can.” As he turned around, Mitrof noticed Blanc Manje’s leg. The hem of the robe was burned and crumbled like charcoal. The pants and boots were also burned, and she probably had injuries all over her body. Understanding what had happened, Blanc Manje spoke to Mitrof with kindness. “Thank you for coming to help me. I really appreciate it. Honestly, just standing is already a struggle. That “demon” is beyond imagination in strength. My attacks don’t work against it, and it seems to have an endless amount of magic power—take this information back to the guild and come up with a plan.” Once again, a lightning strike came flying in from the side. Mitrof caught it with his lightning rod. The thorns of the brambles clung to the metal rod as they flowed towards the ground. Mitrof stared sharply into the shadows of the room’s pillar. There, the goat-skullhead-oldwoman was hiding. The walls and pillars had blackened from the aftermath of Blanc Manje’s sword, which produced flames. The goat-skullhead-oldwoman had avoided attacks by utilizing the shadows and firing lightning strikes, which clearly differed from just any monster. It was not simply a creature that attacked without thought, but one with intelligence. As goat-skullhead-oldwoman peeked out from behind the shadows, Mitrof spotted his sword in her hand. She had apparently discarded her old sword and now used his thrusting sword as a cane. Mitrof bit his lip. However, he had already made his choice. “Let’s retreat.” Without taking his eyes off the goat-skullhead-oldwoman, Mitrof squatted where he was. “Get on—the lightning rod is here—don’t be afraid of lightning.” “...You have an impressive back.” Along with some teasing, Blanc Manje leaned against Mitrof’s back and wrapped her arms around his thick neck. Mitrof lifted her up in a piggyback position while holding her legs with one hand, and Blanc Manje moaned softly, perhaps due to her injury. Mitrof had read in a book that when a strong “electricity” flows into a person’s body, it causes fatal wounds. It boils their blood, burns their skin, and stops their heart. The goat-skullhead-oldwoman’s lightning magic was probably not exactly the same as natural lightning. Nonetheless, he still needed to take her to the hospital as soon as possible. Mitrof slowly backed away. The goat-skullhead-oldwoman appeared and raised Mitrof’s sword that she had in her hand. Mitrof lifted a lightning rod in his right hand. The lightning bolt was drawn straight to the iron bar, flowed down a long hanging chain, and fell to the ground. “Good,” Mitrof nodded. “It worked. We can escape without any problems—but wait, just a little more until we reach the door.” “Cl-Click.” The door that Mitrof had left open shut naturally. “What?!” He guesses that the door was closed from the outside and denies it. Outside was Apélie Tiff. “...Looks like we’re in trouble.” Blanc Manje whispered in his ear. “The ‘Guardian’s’ room is designed so that the door is closed to prevent challengers from escaping.” “What kind of cursed room is this? Wait, we escaped before.” “The room’s function was inactive because the Guardian was absent.” “...Which means it’s active now, in other words...” Mitrof couldn’t finish his sentence. It sent shivers down his spine just thinking about it, saying it wouldn’t change reality. Blue light began to gather in the center of the room. It was coming from the magical bonfires set into the walls that surrounded the room. Soon, it turned into a vortex. “It must have recognized that ‘demon’ as the Guardian, or maybe...” A hand emerged from the blue vortex. Crawling out was a “goblin.” However, the color of its skin was unmistakably that of a goblin, but its physique was incomparable. It was like a giant troll, but without any visible fat on its body. It was dressed in leather armor, wielding a wide axe in hand, and wearing a horned iron helmet. “——It seems that a ‘new guardian’ has been born.” Blanc Manje’s tone was terribly quiet. She was just facing reality and accepting it. Therefore, Mitrof could also calmly observe it. This robust goblin sentinel...the goblin soldier, was the new master of this room, possessing the power under the name “guardian”. And beside it was the goat-skullhead-oldwoman. She was a spiritual body that could freely wield lightning and possessed intelligence and invincibility against attacks. One of them alone would be too much to handle. But there were two, and escape was blocked. Blanc Manje could hardly move, and Mitrof did not even have a sword. ‘How do we get out of this?’ When Mitrof asked a question, there was only silence in response. Nothing came to mind, and he had no way out. The realization of death had taken hold of Mitrof’s legs.
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ウィルおじさんは眉間に皺を寄せながら、じっと魔法陣を見つめた。 この魔法陣は、私が小屋間閉じこもっている時に考え付いた。まさか使う日が来るとは思っていなかった。 その名も!! ............考えていなかったわ。今適当に付けようかしら。 「初めて見る魔法陣だ」 「綺麗な魔法陣でしょ?」 倒れながら私はにこやかに笑みを浮かべる。 これは幸せな記憶と、一番辛い記憶を相手に見せることが出来るというとんでもない魔法陣だ。そうすることで敵の弱点を見抜ける。一つ面倒くさい点は、この魔法陣を仕掛けることはどこでも出来るが、実際に能力を発動させるのは私の至近距離に来てもらわないと出来ない。 これを使うのは少し気が引けたのだけれど、狡猾になる為には自分の心も犠牲にしなければならない。狡猾であるってきっとそういうことだと思う。 自分も傷つきながら、這い上がっていくしかないのだ。 「アリシアにはいつも驚かされるな」 ウィルおじさんがそう言った瞬間、私の魔法陣が輝き始めた。放たれたその光に思わず目を細めてしまう。 初めてこの魔法を使うから、どうなるのか分からない。私って、意外とギャンブラーなのかもしれない。 だって、この魔法が上手く発動しなければ、アリシア・ウィリアムズはここで死んでいたのだもの。......運も実力のうちよね。 私は気付けば、ウィルおじさんの記憶の中に入っていた。 ......ここは王宮? 見慣れたようでどこか違う王宮の中をぐるりと一周見渡した。 ウィルおじさんの昔の記憶......ってことは、目をくり抜かれるってこと? ......見たくないけれど、それがこの魔法の特徴だものね。 「母様!」と、廊下の奥の方から明るい少年の声が聞こえた。目を輝かせながら、一人の男の子が走って来る。 淡い水色の髪と透き通ったビー玉のような空色の瞳に釘付けになる。身長は私より随分と低く、とても幼く見えたぐらい......? それにしても、なんて可愛らしいのかしら! この子が本当にあのウィルおじさん? あまりにも可愛すぎるわ......。 というか、この顔は、将来有望すぎる。流石王家。眩しさが一般人とは違うわ。 少年が走っていく方へと視線を向ける。そこには一人の美しく貫禄のある女性が立っていた。 その女性は、ウィルおじさんを見るなり、「ウィル」と、フッと柔らかな笑みを浮かべた。一瞬で彼女がウィルおじさんの母親であることを理解した。 「ウィル様、カレン様を困らせないで下さい」 ウィルおじさんの後ろから、落ち着いた様子で誰か歩いて来た。若々しい美青年に私は目を瞠った。 ......あれって、おじい様よね? 黒髪といい、紫色の瞳といい......、イケメン! 流石私のおじい様だわ。 確か、幼い頃はおじい様たちがウィルおじさんの面倒を見ていたのよね。......おじい様みたいな方たちが家庭教師って、普通の人なら逃げ出しているわよね。 ウィルおじさんも、もしかして逃げ出してきたのかしら? 「王妃様」と、おじい様は頭を下げた。 「王妃って呼び方はやめて頂戴って言ったでしょ」 駆け寄って来たウィルおじさんを抱きしめながら、ウィルおじさんのお母様は少し不服そうな表情を浮かべながらそう言った。 「はい、カレン様」 おじい様がそう言い直すと、彼女はニコッと満足そうに口角を上げた。 ......これが、ウィルおじさんの幸せな記憶?
Uncle Will wrinkled his brow and stared at the magic circle. I came up with this magic circle while I was cooped up in my cabin for two years. I never thought the day would come when I would use it. I never thought I would ever use it. I hadn’t thought of it. I’ll just name it now. “I’ve never seen a magic circle like this before.” “Isn’t it a beautiful magic circle?” I smiled as I collapsed. This extraordinary magic circle allowed one to show one’s happiest and most painful memories to one’s opponent. By doing so, I could see the enemy’s weak points. One troublesome point was that even if I could set up this magic circle anywhere, but to actually activate the ability, the target would need to be close to me. It was a little awkward for me to use this, but to be cunning, I had to sacrifice my heart as well. I believe that being cunning was meant to be like that. You had to crawl up, while getting hurt yourself. “Alicia never ceases to amaze me.” As soon as Uncle Will said that, my magic circle began to glow. I couldn’t help but squint at the light that was released. This was my first time using this magic, so I didn’t know how it would turn out. Maybe I was a bit of a gambler myself. Because if this magic did not work, Alicia Williams would be dead here. ...Luck was part of my skill. I found myself in Uncle Will’s memory. ...Is this the royal palace? I looked around the royal palace, which looked familiar but somehow different. Uncle Will’s old memories...did that mean his eyes will be gouged out? I didn’t want to see it, but that’s the nature of this magic, you see. “Mother! ” came a bright boy’s voice from the far end of the hallway. One of the boys came running, his eyes sparkling. I was transfixed by his pale light blue hair and his clear, marble-like sky-blue eyes. He was much shorter than me and looked very young. About five years old...? But still, how adorable! Was this really Uncle Will? He was too cute.... Or rather, this face was too promising. As expected of the Royal Family. His radiance was different from that of ordinary people. I turned my gaze towards the direction the boy was running. There stood a beautiful and dignified woman. When she saw Uncle Will, she said, “Will,” and smiled softly. Instantly, I knew she was Uncle Will’s mother. “Will-sama, please don’t bother Karen-sama.” Someone walked up behind Uncle Will, looking calm and collected. I was struck dumbfounded by the young, beautiful young man. That was Grandfather, right? With his black hair and purple eyes...he was so handsome! As expected of my Grandfather. I remembered that Grandfather and his friends used to take care of Uncle Will when he was a little boy. ...Most people would probably run away from a place where people like the Grandfathers were tutors. Was Uncle Will running away, by any chance? “My Queen,” Grandfather bowed his head. “I told you not to call me Queen.” Uncle Will’s mother said, with a slight look of disapproval on her face as she hugged Uncle Will, who came running up to her. “Yes, Karen-sama.” When the Grandfather reiterated this, she smiled in satisfaction. ...This was Uncle Will’s happy memory?
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口以下ぐるぐる巻きにした少女だったせいで、王都に入る門でひと悶着ありそうだったけれど、ビビアナさんが取り成してくれたおかげで、中に入ることができた。 町の中に入ってしまうと、人に紛れるのか、他に理由があるのか、奇異の目で見られることはあっても、絡まれることもなくファニードさんのところまでたどり着いた。 遠慮することなく、ファニードさんのいる部屋に押し入った時、彼はものすごく嫌そうな顔をしていた。 と関わりたくない相手だと自覚しているので、とやかく言うつもりはないけれど。 「お久しぶりです」 「おう。元気そうでがっかりだよ」 「顔を合わせたくなかったのは、お互い様ですよ」 「うちのがまたやらかしたのか?」 「その可能性があるからやってきました。どちらかと言えば、情報提供をお願いしたいんです」 彼女はファニードさんを見ても、驚くどころか、睨みつけた。 「そいつは俺のところの奴じゃねえな」 「そうみたいですね。ところでこの子、ファニードさんのところで役に立ちますか?」 「役に立つにも意味合いはいくつもあるが、使えなくはないな」 「でしたら、コレ渡しますので、いくつかお願いを聞いてもらえませんか?」 『「この子」ではないのね?』 しかも、歌姫に殺意を抱いていたもの。許せるわけないわ』 シエルが言っているように、捕まえた直後のことを思い出せば、歌姫に何かしら思うところがあるのは否めない。 まるで歌姫が のようにも見えるが、あながち間違いでもないのだろう。だからと言って、受け入れるつもりは毛頭ないが。 「正直渡されたところで俺らも扱いには困るが......嬢ちゃんがどうにかするよりも、使い道はあるか......。 良いだろう。この厄介なものは受け入れてやる。情報も可能な限りやろう。 「もしかしなくても、想像以上に厄介そうですね」 「そりゃあな。なんたって、こいつは貴族の子飼いだ」 ファニードがぐるぐる巻き少女を見る。 同時に貴族がわたし達を殺す理由がわからない。捕らえるならまだ理解できるのだけれど、殺される理由はない。 「コレって殺し専門ですよね?」 「俺に訊かれても困るが、攫うって感じではないわな」 わたし達が勝手に話すせいか、ぐるぐる巻きがわたしを睨んでいる。 疲れないのだろうか。 「それでだ、どうして嬢ちゃんがこんなのに狙われる?」 それはわたしが訊きたいのだけれど、何とか考えて考えられる原因は3つだろうか。 「具体的に、貴族がどこの家かはわかりますか?」 「騎士団長を出しているオルティス伯爵家だな」 リスペルギアの名前が出てきたらどうしようか、と思ったけれど、幸い違うらしい。 「だとしたら、わたしの職業が原因かもしれませんが、どう思いますか?」 あの日、わたしが歌姫だと聞いたハンターは多いはず。その中にファニードさんの手の者が居たとしてもおかしくないし、むしろ確率的には高いのではないだろうか。 そうでなくても、箝口令が敷かれるまでに時間がかかったために、外に漏れている可能性は大いに考えられる。 その予想は正しかったようで、ファニードさんは首を左右に振った。 「職業が原因ってことはねえな。仮に嬢ちゃんを れていたとしても、伯爵家に何の恩恵もなければ、何か因縁があったとしても暗殺するようなことはしないだろうよ。 騎士団長と言っていましたし、森を放置したせいでスタンピードが起こったと知れれば、厳罰は免れないでしょうからね」 聡くファニードさんが反応する。何事かと思ったけれど、王都を拠点とする裏組織だから、王都に何かがあると困るのか。 「素人判断で数年以内ってところですね。場所は今ハンター組合が調べていると思いますから、頑張って調べてください。数年というのも覆るかもしれませんし」 「そうだな。なるようにしかならねえか......。 「本当は誰がわたしを殺すように指示したのか、調べてほしかったんですけどね」 「伯爵家だろうな」 「ですから、ソレを使って伯爵家とつながりを持つときにでも、わたしに目が向かないようにしてください。あとソレの持ち物の中に、伯爵家とのつながりを証明できるものがあれば、それも貰っていきます」 「回復できないように喉を潰すくらいはできますよね?」 「そう言えば、コレ、ナイフか何か持ってなかったか?」 「4~5本持っていましたけど......1本、何か図形みたいなのがありますね」 代り映えしない中に、1本だけ紋章が書かれた少し高そうなものが混ざっている。 「それだ。それがオルティス家の紋章になる」 いろいろとありがとうございました。今度こそ、もう会わないことを祈ります」 「こっちのセリフだ」 そんな仲良しの会話をして、ファニードさんのところを後にした。 これが安宿だと、出してもらえないか、朝食の残りのようなお金に見合わないものしか出てこない。 ビビアナさんについては、受付に伝えてあるので、やってきたら部屋まで連れてきてくれるだろう。 『ファニードに任せてよかったのかしら?』 『相手が貴族だと、例えこちらに正当性があっても面倒くさいことになりそうですからね』 『でも、ギルドマスターが裏にいるのよね?』 スタンピードのことを知っているのは、ギルドマスターかトルトかシャッスさん――パーティ――になる。 『ギルドマスターの悪事を暴いたところで、ランクが上がるとも思えませんからね。 『ファニードに歌姫がバレたことはいいのかしら?』 裏社会ってはみ出し者が集まるようなイメージがありますし、歌姫もはみ出し者には違いありませんから、むしろ好意的かもしれませんよ?』 歌姫の厄介さも知っていそうだし、下手すれば表社会の人たちよりも信頼できそうだ。 そんなことを考えていたら、部屋の扉がノックされた。 「お客様をお連れしました」 「はい。今開けます」 警戒心なく扉を開けると、受付の人とビビアナさんが一緒に並んでいて、なぜかビビアナさんが呆れたような顔をしていた。 「扉を開けた時、変な顔していませんでしたか?」 「最初に訊くのがそれなのね。ちょっと不用心だと思っただけよ」 「今日一日部屋の中で過ごそうとしていたわたしを、外に連れ出したのはビビアナさんですよ?」 「それは......こっちにも事情があったのよ。話したでしょう?」 ちょっと意地悪だったかなと思うけれど、事実ではあるし、わたしが悪いみたいな言い方はしないでもらいたい。 でもこれ以上噛みついても意味はないので「そうですね」とほほ笑んでおく。 「ビビアナさんの方はどうでした?」 「予想通りと言うか、呆れてものも言えないというか......。 トルトが不遇職を導いてきたって話はされたのかしら?」 「どうでしたかね。ですが、予想は出来ます。職業を隠し見て、その職業に沿ったアドバイスをしていたんですよね?」 「おおよそそれでいいわ。つまり結構な数のハンターが、トルトに感謝しているのよ。 「本人たちとしては、シエルメールこそが悪であり、救世主であるトルトを救おうとしたらしいわね。 今回は特殊だけれど、襲われること自体は、今に始まったことではないので慣れたものだけれど。 「貴女の方はどうなったのかしら」 「とりあえず、これを見てくれればわかると思います」 ビビアナさんに尋ねられて、例のナイフを見せる。 「説明は必要ですか?」 「一応お願いするわ」 もしもこれが貴族同士の会話であれば、説明の必要はないのかもしれないけれど、ハンターの会話なので説明を求められるのは当然と言える。 別に隠す必要もないかなと思ったので、ファニードさんのことを含めて、すべて話した。 なんだかビビアナさんって、普段から面倒な役どころを受け持っている気がする。 「なんで王都にきて数日のシエルメールが、裏組織のトップと付き合いがあるのよ」 襲われたので、返り討ちにして、乗り込みました」 「裏のトップの1人も、びっくりだったわよね」 「とにかく、そう言う事です。わたしは明日出ていくので、ギルド側には、この国の貴族に殺されかけた、と言う事を理解してもらえていたら良いです」 「確かに時間はないわね」 ここまで話して、ビビアナさんが大きく息を吐いた。 「それで、報酬の話でしたね」 「ええ、そうよ。そのために急いできたんだもの」 ビビアナさんが急に元気になった。なんだかカロルさんの系譜を感じる。 「わたしが中央に行ったときに必要そうなら、ビビアナさんの家に後ろ盾になってほしいんです」 「他にも後ろ盾になってくれそうな人がいるので、保険です」 カロルさんとか、たぶん中央でも結構力を持っているのではないだろうか。二つ名持ちだし。 「保険扱いはだいぶ失礼だと思うけれど」 「礼を失するより、安全を取りますよ。それにビビアナさんなら、これくらいじゃ怒らないと思いますから」 「そうね。でも、さすがに私が決められることではないわ。私が後ろ盾と言っても、嫡子ではないからたかが知れているもの。 「それなら、紹介状書いてもらって良いですか。いつB級になれるかわかりませんし、その時にビビアナさんと連絡とれるかもわかりませんから」 「あとは、ここで話すことの秘匿をお願いします」 「それは当然ね」 ビビアナさんにも納得してもらえたところで、彼女の問題点について話すことにした。
Since the girl was completely tied up from mouth to toe, I nearly got into a dispute when I tried to pass through the capital’s gates with her; but thanks to Viviana’s mediation, we were able to enter the capital. Viviana herself also has a long line of men behind her, so that might have made the situation a bit easier to understand. While I couldn’t discern if we were just blending in with the crowd or if there were other reasons why we were left alone. Nonetheless, we managed to reach Faneed’s place without any interruptions by the curious onlookers. This was the place where we previously met. While it doesn’t look particularly different to how it was before, there’s actually less people hidden right now. I guess this is because, unlike last time, they didn’t have the time to prepare today. As I entered the room where Faneed was, he looked absolutely displeased upon seeing me showing up without any hesitation. Still, I aware that he doesn’t want anything to do with me ever again, so I have no intention of complaining about that. 「It’s been a while.」 「Yup, I’m disappointed to see you looking quite well.」 「We’re the same in that regard, I didn’t want to see you as well.」 「Did our men start something again?」 「There’s a chance of that being the case, which is why I came here. But if I had to say, I came here to ask for information.」 As I said so, I hauled the rolled-up girl forward. And as she saw Faneed, far from being surprised, she actually scowled at him. I see, it seems that she’s not one of his subordinates. 「She doesn’t really seem to be one of ours, does she?」 「It seems so. Incidentally, will this girl be useful at your place, Faneed?」 「There’s roughly several definitions of what useful could mean, but we should be able to get some use out of her.」 to you, so would you mind if I ask you several favors?」 『So you don’t refer to her as “this girl” anymore, is it?』 『I don’t really mind that, you know? That thing was aiming to kill us after all. Moreover, it was spiteful against Song Princesses. There no reason to forgive at all.』 Just as Ciel said, recalling what happened immediately after her capture, there’s no denying that this girl has some sort of spite against Song Princesses. It’s only my opinion, but she might be the type of person who derives her self-worth from the existence of a social class like the Song Princesses, who are treated as the lowest of all. It’s as if she’s seeing the Song Princesses as similar to the outcast , but I suppose that’s not necessarily wrong. Nevertheless, I don’t have the slightest intention of simply agreeing to that. 「To be frank, even if you hand that over to us, thinking of how to use it will be nothing but a headache but... We probably have more ways of utilizing that than you would anyway, ... Fine then. We’ll accept that troublesome thing. I’ll also provide as much information as possible. However, I’ll need you to answer my questions as well, got that?」 「There’s probably no need to say this, but it seems that this event appears much bigger than it appears on the surface.」 「Well that’s for sure. After all, that’s a protégé of a noble, you see?」 Faneed turns his head towards the spring roll girl. Certainly, if nobles are involved, then it’s absolutely nothing short of troublesome. At the same time, I have no idea why a noble would want us killed. If it’s merely abduction, then I can still somewhat understand this, but there’s really no reason for nobles to want us dead. is an assassination specialist?」 「Don’t ask me. But this doesn’t seem like a typical abduction attempt to me.」 Perhaps because we continued talking non-stop, this spring roll glared at me. Doesn’t she get tired of this? 「So, why were you being targeted?」 That’s exactly what I want to ask myself, but I can somehow think of about three reasons why. And one among those is something I seriously hope isn’t the case. 「Specifically, do you know what house said noble is from?」 「It’s the House of Count Ortis, which the knight commander is a member of.」 Immediately feeling relief, I held my cheeks back as I nearly broke into a smile. I was worried that Rispelgia’s name would pop up here, but I was luckily wrong. If the Rispelgia household isn’t involved with this, then there are two reasons left. 「In that case, it might have been due to my Job, but what do you think?」 I was talking to Faneed under the assumption that he already knows my Job, since he likely knows about it anyway. On that day, there should have been a lot of hunters who heard that I’m a Song Princess. It wouldn’t be strange if one of Faneed’s subordinates was among the crowd; on the contrary, there’s a very high probability of that being actually the case. Even if it wasn’t, considering the fact that it took time to impose a gag order, it’s still very likely that this information was leaked outside. And it seems like that assumption was correct as Faneed shook his head in response. 「Your Job shouldn’t be the cause of this. Now even if we assume someone wants you dead, the Count’s household wouldn’t do something like sending out an assassin unless they benefit from it, even if they have a personal grudge. After all, they could get you kicked out of the capital just by spreading rumors about you.」 「I thought so. Then in this case, it was probably because I implied the possibility of a stampede occurring. You said that there’s a knight commander in the household after all, so if it becomes known that a stampede is to occur due to the abandonment of the forest, they’re unlikely to escape severe punishment.」 , did you just say a stampede?」 Faneed reacted quickly. I was surprised for a moment, but I guess an underground organization based in the capital would be concerned if something were to happen to it. I imagined that an underground organization would be happy about the royal capital falling into chaos, but they only exist precisely thanks to the capital after all. Considering that a stampede could wipe out the capital, then it’s understandable for the underground society to be worried about it. 「Based on my amateur judgment, it could happen within several years from now. Currently, the Hunter Guild should be investigating the location, so please work hard on investigating as well. It might not even be within several years after all.」 「The truth is, I wanted to ask you to find out who ordered for my assassination, but...」 「Likely the Count’s household, right.」 to keep the household’s eyes off of me, even if I ever get involved with them. Also, if there’s something that can prove this one’s relation to the Count’s household among its belongings, then I’ll be taking it as well.」 「It can’t be helped. Still, 「You can at least destroy its voice in a way that can’t be healed, right?」 「Well you could say that.」 have a knife or something?」 「There were four or five knives... but one had some sort of design on it.」 Among the inconspicuous knives, there was a vaguely expensive-looking one engraved with a crest mixed in. 「That’s it. That’s the crest of the Ortis household.」 「I see. In that case, this is the end of our business. Thank you for everything. This time, I pray we’ll never meet again.」 「That’s my line.」 Ending our friendly conversation, I left Faneed’s place. Since it ended earlier than expected, we ordered lunch back at the inn. Considering that they have no issue preparing meals as long as proper payment is provided, it really gives a feel of how high-class this inn is. If this was any other cheap inn, it would either have nothing to serve or would only serve the breakfast leftovers, which generally isn’t worth the price. Regarding Viviana, I’ve already informed the reception desk about her, so she should be led to this room upon arrival. 『Is it really alright to leave all of this to Faneed?』 『Against a noble, even if we are in the right, things would likely just end up being bothersome for us.』 『But still, the guildmaster’s behind this, isn’t he?』 The only people that know about the stampede crisis... would be the guild master, Tolt, and Chasse’s party... Among them, the one that is most likely to have a connection with the count is the guild master, no question. 『Even if we expose the guild master’s scheme, I don’t think it’ll raise our rank, you see. Besides, I don’t want any more trouble than what we already have right now.』 『Is it fine that Faneed knows about the Song Princess?』 『Faneed is a member of the underground society, so it should be fine. I have the impression of the underground society being a gathering of outcasts, and Song Princesses are undoubtedly outcasts, so he might even have favorable impression of us, you know?』 At the very least, he probably doesn’t want to stir up trouble with us. After all, we’re a Song Princess that’s also relatively capable in sorcery. He also seems to understand how much trouble a Song Princess is; he’s much more trustworthy than some random members of normal society as well. As I was deep in thought, there was then a knock on the door. 「Your guest has arrived.」 「Thank you, I’ll be opening the door now.」 As I carelessly opened the door, the receptionist and Viviana was there side by side, and for some reason, Viviana had a dumbfounded look on her face. Still, it’ll be weird to bring that up while we’re standing by the door, so I first invited her in and had her sit down before bringing up that topic. 「When I opened the door, you made a weird face, right?」 the first thing you ask? It just seemed somewhat careless of you considering your situation, that’s all.」 「It was you that brought me outside when I was planning to just spend the whole day inside my room, you know?」 「That’s... I had my own circumstances, okay. I already told you that, didn’t I?」 While it might have been a bit mean of me, it is the truth, so please don’t make it sound like I’m the bad guy here. Seriously. Still, it’s meaningless to continue arguing about this, so I simply answered with a smile, 「That’s true.」 「So Viviana, how was it on your side?」 「As expected, I suppose. Or perhaps I should say, it was as utterly perplexing as I thought... Have you been told about how Tolt has guided those with Disappointing Jobs?」 「I can’t really remember. Still, I can imagine that. He secretly looked at their Jobs and gave them advice based on their Jobs, right?」 「That’s roughly correct. In other words, quite a lot of hunters are indebted to Tolt. Among these hunters, there are some that have great admiration for him, and it seems that somebody accidentally spoke about the incident in front of them. Due to that, these so-called Tolt faction hunters independently decided to attack you.」 「From their perspective, they were merely trying to save their savior Tolt from the evil Cielmer, it seems. Obviously they’re going to be penalized for this, but their penalty still isn’t decided yet. And so, they’re behind bars for now.」 From this I can imagine that Tolt might have become conceited after all the admiration from these hunters. Still, that doesn’t excuse him from the trouble he caused us. While this case was unique, being attacked in of itself isn’t anything new, so we’re already used to it. 「What about on your side, then?」 「For now, I think you’ll understand after seeing this.」 To answer Viviana’s inquiry, I showed her that certain knife. Upon receiving the knife, Viviana stares at it closely before putting her hand over her head. 「Will you need an explanation?」 「Please do so, just to be sure.」 Even though she already put two and two together, there are details that are left unknown unless given a proper explanation. If this was a conversation between nobles, then an explanation might be unnecessary; but since this is a discussion between hunters, it can be said that asking for a clear explanation is a natural course of action. I didn’t feel it was necessary to keep this a secret, so I shared everything, including the part about Faneed. When Faneed’s name came up, Viviana’s expression clouded once again. Somehow, I feel that Viviana is regularly in charge of troublesome work. Lucie seemed like she regularly causes trouble after all. of all people have connections with the underground’s top when you’ve only arrived here at the capital a few days ago?」 「For the same reason I was able to stay here. I got attacked, so I beat them and marched into their place.」 「Even the underground’s top was taken by surprise, it seems.」 「In any case, that’s what happened. I’ll be leaving tomorrow, so it’ll be great if the guild understands that I was nearly killed by a noble of this country.」 「Right, there’s really not much time, is there?」 Hearing all of this, Viviana let out a heavy sigh. 「Anyways, we were talking about my compensation, right?」 「Yes, that’s right. That’s exactly why I hurried here after all.」 Viviana was then suddenly reenergized. For some reason, I can feel Carol in her. Though I shouldn’t be surprised about that anymore. 「Since I might need it when I go to Central, I would like to ask for protection from your family.」 might need it 「I already have someone else that might protect me, so it’s for insurance.」 Carol probably has a great influence even in Central. She has a moniker after all. 「Being treated as an insurance is quite rude, don’t you think?」 「I’d rather be safe than be polite. Besides, I had a hunch that you wouldn’t get mad from something like that.」 「Well that’s true. Still, it’s not something I can decide for on my own, and even if I back you myself, I’m not a legitimate heir, so it won’t really amount to much anyhow. So instead, would you mind settling with an introduction to the house? If there’s anything else, then I’ll consider them as well.」 「In that case, could you write me a letter of introduction? I can’t be sure when I’ll reach B-rank after all, and there’s also no assurance that I’ll be able to contact you when that time comes.」 「Also, please keep whatever we talk about here a secret.」 「Naturally.」 With Viviana’s agreement, I decided to discuss her issue.
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ストーカー行為を通報してからというもの、私の平穏が帰ってきた。 とは、言いがたい。相変わらずコックさんは睨んでくるし、ニールはウザイ。いや、コックさんは別に良いよ? 態度は悪いけど、ちゃんとご飯作ってくれてるからね。 問題はニールだ。 私がギルドマスターにチク、いや、通報したあと、お説教されたらしいんだけど未だに付きまとってくる。 宿の前で待ち伏せ、採集先に付いて来ようとする(流石に他の仲間に止められていた)、換金後に食事に誘ってくる。 いや、食事のお誘いって、意味がわからない。貴方恋人いるでしょ? そっち誘いなさいよ。お陰でテスの私を見る目がきつい。私、全然悪くないよね? コリーは相変わらず図々しい。彼女の中では私は知り合いどころか友人であるらしい。やれ、あの薬草を分けてくれ。料理が上手と聞いた、作ってくれ、等と。意味がわからない。 そんを諌めて回るベックさんが哀れでならない。でも私の平穏のためにもがんばっていただきたい。 そんな感じ間ほど過ごしてたけど、色々限界。うん、逃げよう。正しくは一時退避? と言うか、前に話に盗み聞いた南の海辺の村が気になって仕方ないので、行ってみようと思ってたのだ。 まずはリリーさんかな? 朝、仕事に行く前にリリーさんに話をしておくことにした。 「リリーさん、私、明日で宿を出ます。前払いしてたお金って返金してもらったり出来ますか?」 「え!? どういうことですか!? 私、何か粗相でも? それともコックがまた何かしましたか!?」 いえいえ、そんなことはありません。 と言うわけで理由を説明。ストーカーがキモイのと、前々から海のほうに行ってみたかったのでちょっと見てくる、と。 一応その後は戻ってくる予定では居る。子供達も気になるし。 そう説明すると納得したようで、返金に関しても問題ないと教えてくれた。キャンセル料とかは取られないそうなので、ちょっと嬉しい。 宿を出ると周囲を確認。ヤツは居ないようだ。【探知】にも反応無し。良し。そそくさと街の外へ移動。 門から出ると子供達を探す。でも探すまでも無く直ぐ集まってきた。そして川上の森を目指す。 ちなみに南の森の封鎖は解除されてる。でも川上の森のほうが食べるものが豊富なので結局そのままそっちで採取を続けてた。 いや、一度南の森に行ったらニール達と遭遇してね......彼らはそっちでの討伐をメインにしてるみたいなので、まあ、そういうこと。 いつもの採取場所に着いて採取開始。うーん、いつ切り出そうか? 後回しにしても仕方ないし、と言うわけでお昼のときに切り出した所、思った以上に皆平静だった。 と言うか、仕方ない、と言う反応だった。 「いつかはそういう時が来るって思ってましたし、仕方ないことだと思います」 「自衛の為の武器も買えましたし、何とかがんばってみます」 「ずっと迷惑かけるわけにもいかないから」 「これからはもっと森の浅い、直ぐ逃げられる所で採集します」 ......みんな凄い前向きだね。何となく嬉しい。うん、がんばって。 その日の帰りの途中で、シンとユイずつ回復ポーションを渡した。別に、餞別ってわけじゃないけど。 ......何かあった時のための保険代わりにでもなれば、と思ったのだ。この子達のうち、誰かが大怪我をしたとしても医者にかかる為のお金は無い。 最後まで面倒をみるなんて出来ないけど、ここまで情が移ってしまっては見捨てることも出来ない。偽善だとは分かってるけど。 売っても良いよ、とは言ってはみたけど、二人の様子を見る限りではそれはしないだろうな、多分。 ギルドで換金して宿に帰るとリリーさんに泣き付かれた。 寂しくなる、とか、ご飯、とか。ちょっと餌付けしすぎたかもしれない。反省。 次の日はいつもより少し早く起きて宿を出た。ご飯は食べずにパンを幾つか貰っておいた。リリーさんには挨拶は済ませたし、大丈夫かな? そのまま街を出る、のではなく、ギルドへ。一応挨拶はしておかないとね。 護衛の仕事を受けてそのついでで目的地に着けたら収入にもなって良いんだろうけど、護衛依頼はDランク以上じゃないと受けられない。正確にはDランク以上推奨なんだけど、私はまだFランクだから諦める。 ギルドの朝は相変わらずだった。掲示板は混んでるし、窓口もそこそこに混んでる。サレナさんは......発見。 「サレナさん」 「あら、レンさんですか。今日はどうしました?」 「ちょっと南のほうに行ってみようかと思いまして」 「え? この街を出られるんですか?」 「ええ、まあ。でもその後はここに一度は戻ってくる予定ではいます。その後はどうするかは考えてませんが」 「そうですか......ああ、では少し待っていただけますか? それと直ぐ済みますので、ギルドカードを貸していただいても?」 「はい?」 「レンさん、Eランクに昇格ですので、その手続きを」 「え? 昇格ですか? 早くないですか?」 「レンさんは色々と貢献してくださったので、丁度昨日決まったんですよ」 なんでも、稀少な物も含めて大量の薬草を安定して供給したことやオークの肉の売却、低ランクの子供の冒険者への助力、オーガの撃破等が評価されたらしい。 いや、それにしたって冒険者になってまだ一ヶ月位だよ、早すぎない? だけど13歳未満だと冒険者ランクはここで頭打ちだ。これ以上は後二年待たないといけない。 「はい、終わりましたよ。これが新しいカードです」 「ありがとうございます」 「いえいえ。それでは、お気をつけて」 「はい」 リリーさんがアレだったからサレナさんもかなーと思ったけど、あっさりだったね。いや、こんな沢山人が居るところで泣き付かれても困るんだけど。 挨拶も済んだので門を出る。軽く見回すと少し離れたところに子供達がいて、こちらに気付くと手を振ってきた。 こちらも軽く手を振り返したあと、直ぐに歩き出す。それを見て子供達も採集地へ移動を始めた。うん、みんながんばって。 さて、ここから暫くはまたノルンとベルと一緒、一人と二匹だね。 ノルンが言うにはベルはかなり狩りが上達したらしいので色々と期待してるよ? とまあそんな感じで私は海を目指して旅立った。
Peace returned after I reported the stalking actions. Is what I would like to say. But like usual, the cook was glaring at me, and Neil continued to annoy me. No, I guess the cook was alright? His attitude was bad, but he still properly cooked food for me. Thus, the problem was Neil. After I reported him to the guild master, it seems he was lectured, but despite that he was still following me. He ambushed me in front of the inn, tried following me to the gathering site (as expected his friends stopped him), and he even tried inviting me to dinner after I completed my sales at the guild. Rather, inviting me to dinner didn’t really make sense. Don’t you already have a lover? Invite her instead. Thanks to him, Tess was giving me harsh looks. Why? I didn’t do anything wrong. Collie was as brazen as usual. She was acting like the two of us were friends rather than acquaintances. And she also said stuff like: please share some of your herbs with us, or I heard you’re good at cooking, make me some, and such. Which didn’t really make any sense. I pity Beck who had to keep these three people in check. But please continue working hard for my sake. I spent a week dealing with things like that, but I had reached my limit. Alright, let’s run away. Or to be more precise, I guess I would be taking a brief refuge? Rather, I was interested about the seaside village located towards the southeast that I heard in my eavesdropping. As such, I decided to go there. I guess I should inform Lily first? In the morning, I decided to inform Lily before going to work. “Lily, I will be leaving the inn tomorrow. Can I get a refund for the days I’ve prepaid for?” “Eh!? What do you mean!? Did I do something to upset you? Or did the cook do something again!?” No, no, that wasn’t the case at all. And so I began explaining. That there was a disgusting stalker following me, and that I wanted to go to the sea for quite a while now, so I was just going to take a quick look. And that I was planning to return after that. I was also worried about the children. The misunderstanding was resolved after my explanation, and I was told that there would be no problems with the refund. Apparently, there was also no cancellation fee, which made me a bit happy. I briefly scanned my surroundings after leaving the inn. That person wasn’t here. There was no reaction from Detection. Good. I hurriedly exited the town. After exiting the gate I look around for the children. But they all gathered immediately before I had to search around. And so we headed towards the forest near the river. The restrictions for the south forest had been lifted. But the forest near the river was much more abundant, so I ended up continuing to gather there. And if I were to go to the south forest, I would end up meeting Neil and the others........as it seems they were mainly hunting around there, and thus that was the case. We arrived at the usual gathering spot and start gathering. Now then, when should I tell them? I decided to tell them a bit later, so I broke the news at noon, but everyone was a lot more calmer than I expected. Rather, the reaction was more along the lines of it couldn’t be helped. “I knew that the time would come someday, so it can’t be helped.” “We will buy our own weapons to defend ourselves with, and we will do our best.” “We can’t keep on relying on you.” “From now on, we will gather in the shallower parts of the forest, that way we can escape more easily.” .......Everyone was being quite positive. For some reason, I felt happy. Good, do your best. On the way back that day, I gave two recovery potions to Shin and Yui. It wasn’t meant as a farewell. ......I just thought it could be used in place of an insurance if something were to happen. Even if these children were to get seriously injured, they wouldn’t have enough money to see a doctor. I couldn’t take care of them forever, but I also couldn’t abandon them at this point. I knew I was just being a hypocrite. I told them that they could also sell it, but judging from the expressions on the two, they probably wouldn’t do it. Lily was crying when I returned to the inn after I finished my sales at the guild. Stuff about being lonely, food, and etc. I might have fed her a bit too much. I’ll reflect on that. The next day I woke up a little earlier than usual and left the inn. I ate some bread for breakfast, then said goodbye to Lily. I wonder if she will be alright? Before leaving town, I went to the guild. For starters, I should drop by and say goodbye. If I could get an escort job that went towards my destination, then I could also earn money while I was at it. But escort requests could only be accepted by D rank or higher. Or to be more accurate, it was recommended to be D rank or higher, but I decided to give up since I was still only F rank. The morning in the guild was like usual. The bulletin board was crowded and the counters were also crowded. Salena.....I found her. “Salena.” “Oh, Ren? What brings you here today?” “I was thinking about heading south.” “Eh? Are you leaving this town?” “Well, yes. But I’m planning to return here afterwards. Although I don’t really know when that will be.” “Is that so.......ah, can you wait for a bit? It’ll be over quickly, so would it be possible for you to lend me your guild card?” “Yes?” “Ren, you’re being promoted to E rank, so I just need to process that.” “Eh? Promoted? Isn’t it too soon?” “Ren has made numerous contributions, so the decision was made yesterday.” It would seem I was being commended on the stable and large supply of herbs I was bringing in, including rare ones, the sale of orc meat, for helping low-ranking child adventurers, and for eliminating an ogre. But still, it has only been a month since I became an adventurer, so isn’t it still too soon? Those under thirteen years old would usually have their adventurer rank kept the same. So I was supposed to wait two more years before being able to rank up. “Alright, I have finished. Here is your new card.” “Thank you very much.” “Not at all. Then take care.” “Yes.” Since Lily was acting up when I was leaving, I thought Salena might also be the same, but she was quite easy. Well, it would be difficult to start crying when there were so many people around. After finishing my goodbyes, I exited through the gate. When I gave a brief glance around, the children were a bit further away in the distance. Upon noticing me, the children started waving towards me. I gave a slight wave back before continuing on my way. After seeing that, the children also began moving towards the gathering spot. Good, do your best. Now then, for the time being, it would be just Norn and Bell again, so just us three. Norn said that Bell’s hunting skills have improved a lot, so I guess I could look forward to that? And with that sort of feeling, I headed for the sea.
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私の父― クリントン・ジョージ “バガイ” グラントです 父が “バガイ ” と呼ばれたのは 常に目元の涙袋がたるんでいたからです 10歳だった私は 兄妹と一緒に ハエ取り紙から毒をこそげ取って 父のコーヒーに混ぜたり ガラスを砕いて 父の朝食にかけたり 階段のカーペットを緩めておいて 父が滑って首を折らないかと 思い巡らしていました しかし そうはうまくいかず 父はいつでも カーペットの緩んだ段をとばして歩き コーヒーも朝食も満足にとらずに 背中を丸めて 出かけて行くのでした 何年もの間 私は自分が殺す機会を逸しているうちに 父が死ぬのではないかと恐れたものです 母が父に家から出ていってほしいと 告げるまで バガイは恐ろしい怪物でした 父は常に怒りを爆発させる寸前の状態でした ご覧のとおり 私のような感じです 父はルートンのヴォクソール・モータースで 夜間勤務をしていたので 家の中が完全に静かであることを求めました ですから 私たちは午後3時半に 学校から帰ると テレビのそばに 寄り合って さながら金庫破りのように テレビのボリュームを回して ほとんど聞こえないくらいの 音量に合わせたものです 時には 家の中で 「シーッ」と声を潜めてばかりいたので 「シーッ」と声を潜めてばかりいたので その様子は まるで ドイツ軍兵士がUボートで こっそりと海面に近づいていくようだと 思っていました 一方 その上の水面には 英国海軍軍艦のバガイ号が 静寂を乱す者に 爆雷を落とすべく 待ち構えているのです これが教えてくれた教訓は 「家でも外でも 人目を引くようなことをするな」 というものでした これは あるいは移民であるがゆえの 教訓であったかもしれません 私たちはレーダーの監視下に置かれており コミュニケーションらしいものは バガイと私たちの間に まるでありませんでした 私たちが心待ちにしていた音はというと― あなた方が子供の頃は 父親が帰ってくるのが嬉しくて ドアが開く音を待ちかねていたことでしょう 私たちが楽しみにしていた音は ドアがかちっと閉まる音でした バガイは出て行って もう帰ってこないのだとわかる音です 30年の間 私と父が互いを目にすることは ありませんでした 30年間 互いに話すことも ありませんでしたが 数年前 私は 彼に目を向けることを決めました 「お前は見られているんだ 本当に 見られているんだぞ」 これは父が 私たち子供に 言い聞かせていた呪文でした 何度も何度も聞かされました これは時代が1970年代で 場所がルートンという 彼がヴォクソール・モータースに 勤めていた街であり 彼がジャマイカ人だったからです 父が言いたかったのは 「ジャマイカ系移民の子供として お前たちは その振る舞いと ステレオタイプに当てはまるかどうかが 見られているんだ」ということでした 無責任で 仕事嫌いで そのうち犯罪を犯すに違いない というものです 「お前たちは見られているんだから 彼らの期待を裏切ってやれ」というのです その意味においては バガイとその友人は― ほとんどがジャマイカ人でしたが― ジャマイカ人として立派な印象を残しました 世間には自分の最も良い側面と 良い顔を見せろ というものです 40年代や50年代にやってきた カリブ系の人々の 写真を見たことがあれば 多くの男性がトリルビー帽を かぶっていることに 気付いたでしょう ジャマイカにはトリルビー帽をかぶる 習慣はありません この国にやってくる際に 伝統を作り出したのです 彼らは自分たちが このように見られたいという姿を 投影したかったのです そのために 彼らの見た目と 自ら名乗る名前が 彼らを定義づけました バガイは髪がなく 目には涙袋がありました “Tidy boots ” は 靴に気をつかいました “Anxious ” は心配性でした “Clock ” は片方の腕が もう片方より長かったのです 私の1番のお気に入りは “Summerwear ” と呼ばれた男です “夏服” は60年代初頭に ジャマイカからイングランドにやってくると どんな天気であっても 夏用の薄手のスーツを 着るといってきかなかったのです 彼らの人生を調査する間に 私は母に「“夏服” はどうなったの?」 と尋ねました 母は「風邪をひいて死んでしまったわ」 と言いました しかし “夏服” のような男たちは スタイルの重要性を教えてくれます 彼らはスタイルを強調したかもしれません 自分たちがあまり洗練されていないと 思われていると 考えたためです そして彼らはその世代の態度や不安を 私たち 次の世代に引き継ぎました ですから 私が育った時代には テレビのニュースやラジオで 黒人が犯罪を犯したという ニュースがあれば― ひったくり 殺人 強盗など― 私たちは両親と共にたじろいだのです なぜなら 彼らが 世間体を傷つけているからです 皆 自分を代表しているだけでなく グループを代表しているのです 自分も もしかしたら同じような目で 見られるかもしれないということは ある意味で 受け入れるのが恐ろしいことでした ですから そのことに 立ち向かわねばならなかったのです 私たちの父やその同僚の多くは 発信はしていても 受信することは ありませんでした 彼らは発信する能力はあっても 受信はできなかったのです 私たちは沈黙するほかありませんでした 父が私たちに話して来るときは 説教であることが常でした 確かな信念にしがみついていたため 疑いが生まれれば 台無しになってしまいます 私が家で仕事をして 1日中 書き物をしたあとに 下の階に降りて行き 興奮して マーカス・ガーヴィーや ボブ・マーリーの話をすると 言葉が蝶のように次々と出てきます 私があまりにも興奮しているので 子供たちは私を止めて 「お父さん 誰も興味ないよ」と言います でも 子供たちは 本当は興味があるのです 行き会う時がくるのです どうにかして 父親のもとに やってくる時がくるのです 子供たちはあなたが語る人生を通して 自分たちの人生を形作ります 私が父や母の人生から学んだように そしてバガイが その父親から学んだように このことは 私が 父の人生を振り返るうちに はっきりとしてきました そして ネイティブアメリカンが よく言うように 「相手のモカシンを履いて歩かずに 相手を批判してはならない」のだと わかったのです 父の人生を掘り起こす中で 1970年代のイングランドにおける カリブ系移民の生活を描くのは 実に簡単でした ボウルに入ったプラスチックの果物 ポリスチレンの天井 配達されたときについてきた 透明な覆いがかかったままのソファ ですが もっと理解しがたいのは 異なる世代間の 感情のひだであり 老齢と共に知恵がつくという古いことわざは 真実ではないのです 老齢と共に訪れるのは 世間体といううわべと 不快な真実といううわべです 真実であったのは 私の両親― 私の母と父はそのうわべと共にあり 国が私に授ける教育を 信頼しなかったということです 私の発音をよく聞いてください 両親は私を私立の学校に入れると 決めていましたが 父が働いていたのは ヴォクソール・モータースです 私立校の学費を払い 何人もの子供たちを食べさせるのは 困難でした 私は学校の入学試験を受けに行き 父が神父さんに― カトリック系の学校でした― こう言ったのを覚えています 息子には良い「ちょういく」を 受けさせたいと ですが 父は 蟯虫検査もパスしたことがなかったので 入学試験のことは気にも留めませんでした 私の学費を捻出するため 父は危ない仕事にも 手を出さねばならず 父は私の学費のために 車のトランクから 非合法な商品を売ったのです これはさらに厄介な状況になりました ちなみに これは父の車ではありません 父はそのような車を 手に入れたいと望んでいましたが 父の車はボロボロのミニで 移民としてこの国にやってきた ジャマイカ人である父は 運転免許証がなく 車両保険や道路税や 車検などもありませんでした 父は「運転の仕方を知っているのに どうして国の認可が要ると言うのか?」 と考えていたのです しかし 警察に車を止められた時などは 厄介なことになりました そして実際私たちは よく警察に止められました ところで 私も父の警官への対応には 感心していました 父はその警官をすぐさま昇進させたのです つまり会話の中でブロッグス巡査を 警部補と呼び そうすると 陽気に見逃してくれるのです 父はジャマイカで言うところの 「賢くやるためにバカなふりをする」というのを 実践していたのです しかし これは同時に 警官から父が軽く見られたり 見くびられるということでもあり 10歳の私にも それはわかりました しかし 権威に対する 相反する感情もあったのです 一方では 権威をばかにしていながら もう一方では 権威に 従ってもいました そして こうしたカリブ系の人々は 大仰なまでに権威に服従しており これはある意味で とても目立ち とても奇妙でした なぜなら移民というのはとても 勇気のある人々だからです 彼らは祖国を離れるのですから 私の両親は ジャマイカを離れて 4千マイルも旅をして その移動によって 子供じみてしまいました 引っ込み思案になり そのせいか どういうわけか 自然の順序が反対になってしまいました 子供たちが両親の親のようになったのです カリブ系の人々は5年計画で この国にやってきました 仕事をして お金を貯めたら 戻るつもりでいたのです しかし 5年のつもりが10年になり 10年が15年になりました そして気づかぬうちに 壁紙を変えるようになり ある時点で もうここに留まるのだと 思うようになるのです それでも 私の両親はどこかしら 一時的に滞在しているだけだ といったところがありましたが 私たち子供はそんな遊びは もう終わったと知っていました 私が思うに 両親が 思い描いていた人生の理想を 抱き続けるわけにはいかないだろうと 感じていたのです 現実は ずっと異なっていました そして それは私の教育という試みにおける 現実についてもそうでした 自ら始めておきながら 父は途中で投げ出してしまいました 私の教育は母の手にゆだねられ ジョージ・ラミングならこう言うでしょう 「私の父親役を務めたのは母であった」と 父が不在であっても 例の呪文は健在でした 「お前は見られているんだぞ」と しかし そこまでの用心深さは 不安感へつながりかねません 実際に 何年も後になって 多くの若い黒人男性たちが 統合失調症の診断を受けている理由を 調査していたときに― 実に平均の6倍もの多さなのですが― 精神科医の言葉を聞いても驚きませんでした 「黒人はパラノイアを刷り込まれている」 と言うのです 父 バガイならこれを聞いて 何と言うだろうかと思います 私にも10歳の息子がいたので バガイに関心がわき 父を探すことにしました 父はルートンに戻っており 82歳になっていました 私は30数年間 会っていませんでした 父がドアを開けると そこにいたのは この背の小さな 目に柔らかい笑みを浮かべた男性でした 父が微笑むのを見たことが それまでありませんでした 私は父の笑みにうろたえました しかし 一緒に腰をかけて 父はカリブ系の友人と一緒に 昔話をしていたところでした 父は私に目を向けました 父が私を見る目は まるで私が 現れたとき同様に 今にも 消えてしまうんじゃないかといったようでした それから友人の方を向き 父はこう言いました 「この子と私は深い深い絆で結ばれているんだ― それは深い絆でね」 でも私はそんな絆を 感じたことはありませんでした 鼓動のようなものがあったにしても とても弱いか― ほとんどなかったも同然でした この再会の間中 私は 父の息子になるためのオーディションを 受けているような気分でした 本が出版されると 全国各紙でいい書評をもらいましたが ルートンで新聞と言えば ガーディアン紙ではありません ルートン・ニューズ紙です そして この本について ルートン・ニューズ紙が選んだ見出しは 「32年に及ぶ不和を癒やす一冊」でした これは世代間の不和をも意味するのだと 私は理解しました 私のような人々と 父の世代の人々との不和です しかしカリブ系の生活には 回顧録や伝記といった伝統はありません 自らの私生活については 公に語らないのが伝統なのです しかし 私はこの見出しを 喜んで受け入れましたし 実際に この本が かつては語られなかったようなことを 語るきっかけを生み出す 可能性があると思いました この本が世代間の差を 埋めてくれるかもしれない― この本が修理道具となってくるかもしれないと 思ったのです そして この本は私の父にとっては 子としての深い愛情を示す行為だと 受け取られるかもしれないと 感じ始めました なんと哀れな浅はかな考えでしょうか バガイは自らの短所が公にさらされたことに ひどく傷つきました 父は私の裏切りに傷つき 翌日 新聞社を訪れて 応酬する権利を要求しました そして 見出しにこう出たのです 「バガイ反撃に出る」と そして その記事は私の裏切りを 鮮やかに切り捨てました 私は彼の息子などではなく 父は自らの肌の色によって 地を這うような生活を強いられたと考えており それを許すことができなかったのだといいます 彼は尊厳を取り戻さなければならず 実際に取り戻しました 私は始めこそ がっかりしましたが その立場を敬うようになりました もう82歳でありながら 父の身体にはまだ 炎に沸き立つような血が流れていたのです そして これが再び30年の沈黙へと 戻ることを意味しているのであれば 父ならこう言うでしょう 「そういうものなら そうなんだろう」と ジャマイカ人は 事実などというものはなく 様々な見解があるだけだと言うでしょう 私たちは自分が 一番信じたい見解に基づいた話を するだけのことなのです 各世代の生み出す体系は 自ら解体したがらなかったり 時に解体不可能であるものですが 本の中で 私の見解から語った物語は 変化し始め 私の手から離れていきました 私の父に対する憎しみは消えました 父が死ねばいいとか 殺したいと思わなくなり 自由になったように感じました 以前よりずっと自由になったのです 私は この自由な感覚が父にも 伝わらないだろうかと考えました 初めての再会で 私は自分が幼い頃の写真を ほとんど持っていないことに 衝撃を受けました これは私が 9ヶ月の頃の写真です 元の写真では 私は父 バガイに抱き上げられていますが 両親が離婚したときに 母はあらゆる生活の側面から父を除外しました 母はハサミですべての写真から 父を切り取り 何年もの間 この写真は 私がひとりぼっちで 誰にも支えられていないのだと 語っているのだと 自分に言い聞かせていました ですが この写真には別の見方もあったのです これは再会する可能性を 持っている写真― 父と再び出会う可能性を持った写真なのです そして父に抱き上げられたいという思いから 私は父を白日のもとにさらしたのでした 最初の再会では とてもぎこちなく緊張する瞬間ばかりで 緊張を和らげるために 散歩に行くことにしました 一緒に歩くうちに 私は 今や父よりずっと背が高いにもかかわらず 自分が子どもに戻ったように感じました 私は父より30センチくらい背が高いのです 父はいまだに大きい人なので 父の足取りに遅れまいとしました そして私は父がいまだに 誰かに見られているような歩き方を することに気づきましたが 父の足取りに感心しました 父の足取りはまるで F.A. カップファイナルで 2位に甘んじたチームが 壇上へ2位のメダルを 取りに上がるかのようでした 敗北の中にも威厳があったのです ありがとうございました
This is my father, Clinton George "Bageye" Grant. He's called Bageye because he has permanent bags under his eyes. As a 10-year-old, along with my siblings, I dreamt of scraping off the poison from fly-killer paper into his coffee, grounded down glass and sprinkling it over his breakfast, loosening the carpet on the stairs so he would trip and break his neck. But come the day, he would always skip that loose step, he would always bow out of the house without so much as a swig of coffee or a bite to eat. And so for many years, I feared that my father would die before I had a chance to kill him. Up until our mother asked him to leave and not come back, Bageye had been a terrifying ogre. He teetered permanently on the verge of rage, rather like me, as you see. He worked nights at Vauxhall Motors in Luton and demanded total silence throughout the house, so that when we came home from school at 3:30 in the afternoon, we would huddle beside the TV, and rather like safe-crackers, we would twiddle with the volume control knob on the TV so it was almost inaudible. And at times, when we were like this, so much "Shhh," so much "Shhh" going on in the house that I imagined us to be like the German crew of a U-boat creeping along the edge of the ocean whilst up above, on the surface, HMS Bageye patrolled ready to drop death charges at the first sound of any disturbance. So that lesson was the lesson that "Do not draw attention to yourself either in the home or outside of the home." Maybe it's a migrant lesson. We were to be below the radar, so there was no communication, really, between Bageye and us and us and Bageye, and the sound that we most looked forward to, you know when you're a child and you want your father to come home and it's all going to be happy and you're waiting for that sound of the door opening. Well the sound that we looked forward to was the click of the door closing, which meant he'd gone and would not come back. So for three decades, I never laid eyes on my father, nor he on me. We never spoke to each other for three decades, and then a couple of years ago, I decided to turn the spotlight on him. "You are being watched. Actually, you are. You are being watched." That was his mantra to us, his children. Time and time again he would say this to us. And this was the 1970s, it was Luton, where he worked at Vauxhall Motors, and he was a Jamaican. And what he meant was, you as a child of a Jamaican immigrant are being watched to see which way you turn, to see whether you conform to the host nation's stereotype of you, of being feckless, work-shy, destined for a life of crime. You are being watched, so confound their expectations of you. To that end, Bageye and his friends, mostly Jamaican, exhibited a kind of Jamaican bella figura: Turn your best side to the world, show your best face to the world. If you have seen some of the images of the Caribbean people arriving in the '40s and '50s, you might have noticed that a lot of the men wear trilbies. Now, there was no tradition of wearing trilbies in Jamaica. They invented that tradition for their arrival here. They wanted to project themselves in a way that they wanted to be perceived, so that the way they looked and the names that they gave themselves defined them. So Bageye is bald and has baggy eyes. Tidy Boots is very fussy about his footwear. Anxious is always anxious. Clock has one arm longer than the other. And my all-time favorite was the guy they called Summerwear. When Summerwear came to this country from Jamaica in the early '60s, he insisted on wearing light summer suits, no matter the weather, and in the course of researching their lives, I asked my mom, "Whatever became of Summerwear?" And she said, "He caught a cold and died." But men like Summerwear taught us the importance of style. Maybe they exaggerated their style because they thought that they were not considered to be quite civilized, and they transferred that generational attitude or anxiety onto us, the next generation, so much so that when I was growing up, if ever on the television news or radio a report came up about a black person committing some crime — a mugging, a murder, a burglary — we winced along with our parents, because they were letting the side down. You did not just represent yourself. You represented the group, and it was a terrifying thing to come to terms with, in a way, that maybe you were going to be perceived in the same light. So that was what needed to be challenged. Our father and many of his colleagues exhibited a kind of transmission but not receiving. They were built to transmit but not receive. We were to keep quiet. When our father did speak to us, it was from the pulpit of his mind. They clung to certainty in the belief that doubt would undermine them. But when I am working in my house and writing, after a day's writing, I rush downstairs and I'm very excited to talk about Marcus Garvey or Bob Marley and words are tripping out of my mouth like butterflies and I'm so excited that my children stop me, and they say, "Dad, nobody cares." But they do care, actually. They cross over. Somehow they find their way to you. They shape their lives according to the narrative of your life, as I did with my father and my mother, perhaps, and maybe Bageye did with his father. And that was clearer to me in the course of looking at his life and understanding, as they say, the Native Americans say, "Do not criticize the man until you can walk in his moccasins." But in conjuring his life, it was okay and very straightforward to portray a Caribbean life in England in the 1970s with bowls of plastic fruit, polystyrene ceiling tiles, settees permanently sheathed in their transparent covers that they were delivered in. But what's more difficult to navigate is the emotional landscape between the generations, and the old adage that with age comes wisdom is not true. With age comes the veneer of respectability and a veneer of uncomfortable truths. But what was true was that my parents, my mother, and my father went along with it, did not trust the state to educate me. So listen to how I sound. They determined that they would send me to a private school, but my father worked at Vauxhall Motors. It's quite difficult to fund a private school education and feed his army of children. I remember going on to the school for the entrance exam, and my father said to the priest — it was a Catholic school — he wanted a better "heducation" for the boy, but also, he, my father, never even managed to pass worms, never mind entrance exams. But in order to fund my education, he was going to have to do some dodgy stuff, so my father would fund my education by trading in illicit goods from the back of his car, and that was made even more tricky because my father, that's not his car by the way. My father aspired to have a car like that, but my father had a beaten-up Mini, and he never, being a Jamaican coming to this country, he never had a driving license, he never had any insurance or road tax or MOT. He thought, "I know how to drive; why do I need the state's validation?" But it became a little tricky when we were stopped by the police, and we were stopped a lot by the police, and I was impressed by the way that my father dealt with the police. He would promote the policeman immediately, so that P.C. Bloggs became Detective Inspector Bloggs in the course of the conversation and wave us on merrily. So my father was exhibiting what we in Jamaica called "playing fool to catch wise." But it lent also an idea or belittled by the policeman — as a 10-year-old boy, I saw that — but also there was an ambivalence towards authority. So on the one hand, there was a mocking of authority, but on the other hand, there was a deference towards authority, and these Caribbean people had an overbearing obedience towards authority, which is very striking, very strange in a way, because migrants are very courageous people. They leave their homes. My father and my mother left Jamaica and they traveled 4,000 miles, and yet they were infantilized by travel. They were timid, and somewhere along the line, the natural order was reversed. The children became the parents to the parent. The Caribbean people came to this country with a five-year plan: they would work, some money, and then go back, but the five years became 10, the 10 became 15, and before you know it, you're changing the wallpaper, and at that point, you know you're here to stay. Although there's still the kind of temporariness that our parents felt about being here, but we children knew that the game was up. I think there was a feeling that they would not be able to continue with the ideals of the life that they expected. The reality was very much different. And also, that was true of the reality of trying to educate me. Having started the process, my father did not continue. It was left to my mother to educate me, and as George Lamming would say, it was my mother who fathered me. Even in his absence, that old mantra remained: You are being watched. But such ardent watchfulness can lead to anxiety, so much so that years later, when I was investigating why so many young black men were diagnosed with schizophrenia, six times more than they ought to be, I was not surprised to hear the psychiatrist say, "Black people are schooled in paranoia." And I wonder what Bageye would make of that. Now I also had a 10-year-old son, and turned my attention to Bageye and I went in search of him. He was back in Luton, he was now 82, and I hadn't seen him for 30-odd years, and when he opened the door, I saw this tiny little man with lambent, smiling eyes, and he was smiling, and I'd never seen him smile. I was very disconcerted by that. But we sat down, and he had a Caribbean friend with him, talking some old time talk, and my father would look at me, and he looked at me as if I would miraculously disappear as I had arisen. And he turned to his friend, and he said, "This boy and me have a deep, deep connection, deep, deep connection." But I never felt that connection. If there was a pulse, it was very weak or hardly at all. And I almost felt in the course of that reunion that I was auditioning to be my father's son. When the book came out, it had fair reviews in the national papers, but the paper of choice in Luton is not The Guardian, it's the Luton News, and the Luton News ran the headline about the book, "The Book That May Heal a 32-Year-Old Rift." And I understood that could also represent the rift between one generation and the next, between people like me and my father's generation, but there's no tradition in Caribbean life of memoirs or biographies. It was a tradition that you didn't chat about your business in public. But I welcomed that title, and I thought actually, yes, there is a possibility that this will open up conversations that we'd never had before. This will close the generation gap, perhaps. This could be an instrument of repair. And I even began to feel that this book may be perceived by my father as an act of filial devotion. Poor, deluded fool. Bageye was stung by what he perceived to be the public airing of his shortcomings. He was stung by my betrayal, and he went to the newspapers the next day and demanded a right of reply, and he got it with the headline "Bageye Bites Back." And it was a coruscating account of my betrayal. I was no son of his. He recognized in his mind that his colors had been dragged through the mud, and he couldn't allow that. He had to restore his dignity, and he did so, and initially, although I was disappointed, I grew to admire that stance. There was still fire bubbling through his veins, even though he was 82 years old. And if it meant that we would now return to 30 years of silence, my father would say, "If it's so, then it's so." Jamaicans will tell you that there's no such thing as facts, there are only versions. We all tell ourselves the versions of the story that we can best live with. Each generation builds up an edifice which they are reluctant or sometimes unable to disassemble, but in the writing, my version of the story began to change, and it was detached from me. I lost my hatred of my father. I did no longer want him to die or to murder him, and I felt free, much freer than I'd ever felt before. And I wonder whether that freedness could be transferred to him. In that initial reunion, I was struck by an idea that I had very few photographs of myself as a young child. This is a photograph of me, nine months old. In the original photograph, I'm being held up by my father, Bageye, but when my parents separated, my mother excised him from all aspects of our lives. She took a pair of scissors and cut him out of every photograph, and for years, I told myself the truth of this photograph was that you are alone, you are unsupported. But there's another way of looking at this photograph. This is a photograph that has the potential for a reunion, a potential to be reunited with my father, and in my yearning to be held up by my father, I held him up to the light. In that first reunion, it was very awkward and tense moments, and to lessen the tension, we decided to go for a walk. And as we walked, I was struck that I had reverted to being the child even though I was now towering above my father. I was almost a foot taller than my father. He was still the big man, and I tried to match his step. And I realized that he was walking as if he was still under observation, but I admired his walk. He walked like a man on the losing side of the F.A. Cup Final mounting the steps to collect his condolence medal. There was dignity in defeat. Thank you.
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召喚術の塔最上階。魔術の塔と同じ造りの廊下はそれぞれ部屋の配置も同じで、ミラは迷う事なく私室の前に向かう。 赤い絨毯が敷かれた廊下には、ダークナイトに似た黒い甲冑が飾られている。ダンブルフの頃に参加した戦争の功績を称え贈られた品だ。しかしこれと同時名まで付けられたのだから心情はとても苦いものだったが、それを知る者は少ない。 そしてこの甲冑二体に挟まれた形で私室の扉がある年も経つのだから片付けておいて欲しかったと甲冑を交互に睨むと、ミラは目の前の黒い重厚な扉に手を伸ばす。 「おっと、そうじゃったそうじゃった」 ふと思い出し手を止める。どうにも慣れないと思いながら、ミラはアイテムボックスから 多少火照った身体にはひやりとするドアノブを回し、私室へと入ったミラは、どことない違和感を覚える。 まず部屋に入り履いていたブーツを脱ぐと、玄関の様に下駄箱が無いので適当に転がしておく。ゲームでは靴を脱ぐ事は無かったが現実味を帯びた今では、室内で靴を履いたままなのは窮屈で落ち着かなかったのだ。 裸足になり見慣れた構造の室内へ進むと、床の八割を占拠している魔獣王グランカエクスの毛皮で作った敷物が目に入る。黄金色に輝く毛皮は柔らかいけれど非常に頑丈で、上で乱取り稽古しても付かない程だ。この珍品は、かつて銀の連塔のエルダー全員で、魔獣王討伐ツアーというお祭りをした時、ダンブルフの取り分であったグランカエクスの毛皮を職人に加工してもらった物である。 魔獣王クラスの素材ともなると最上級の装備が作れる程の高級素材なのだが、それをあろう事か敷物にしてくれ等と頼んできたダンブルフに、革加工の一流職人は十数回以上も「本当にいいの?」と問いかけたくらい、只の敷物にするには惜しい毛皮だった。 ある意味思い出の品が、服従を示すかの如く地に伏している。その他にもダンブルフの時に集めた小物は見覚えがあるものばかりだ。 だが、置いてある場所等が少しずつ違っていた。 「これは、マリアナか」 ミラには、この違和感の原因を生み出した人物に一人だけ心当たりがある。それは召喚術の塔のエルダー、ダンブルフ付き補佐官だ。 を持つエルダー自身か、その補佐官だ。この部屋の主であった者は三十年間不在だった。となると残りは一人、補佐官であるマリアナがいつも通り掃除をしていたのだろうとミラは予想した。 だったのだ。部屋の中にいくつもある収納。狩りから帰ったらその一つに戦利品を適当に詰め込んでおくと、次にログインした時にはアイテムの種類毎に各収納に仕分けされ、部屋を散らかしても次の日には片付いている。 エルダーとなってからダンブルフは一切片付けというものをした事が無い。ラブコメの幼馴染系ヒロインを髣髴とさせる几帳面で世話焼き、それがマリアナだ。 違和感の原因である小物の配置については月毎にマリアナがせっせと動かしているので今回だけではない。占いだとか風水などに拘るタイプという話だったので放任していたのだ。 そしてミラの予想は、当たっていた。ダンブルフの補佐官であるマリアナは三十年の間毎日、部屋の掃除や小物の手入れを欠かさず、いつか主が帰ってくると信じているのだ。 もしかして三十年間もこうしていたのだろうかと、計らずもミラは少しマリアナの事が気に掛かった。 しかしそれも明日にしようと、それなりの疲労を訴える身体を休める為に寝床を求めて記憶を巡る。ゲームとしてプレイしていた時は、眠くなったらログアウトして自分の布団で寝ればいいだけだったが、今は状況が違う。ログアウトが出来ないのだからここでこのまま寝るしかないのだが、問題は寝室を使った事が無いので、どこだかは覚えていないのだ。 私室にあるいくつかの部屋の内のどれかだったはずだという当たり前の事しか分からないミラは、片っ端から扉を確かめていく。 一つ目の部屋はコレクションルーム。世界中を回って集めた珍品奇品がずらりと並ぶ。 二つ目の部屋は精錬室。ダンブルフが開発した精錬技術に関する英知や素材が溢れている。だがミラにしてみればただの作業部屋だが。 三つ目の部屋は物置。武器や防具、実験的に作り出した精錬品等が綺麗に並べられている。アイテムを適当に放置するダンブルフの性格を知っている者は、この部屋を見るとマリアナが欲しくて堪らなくなるだろう。 そし目の部屋はトイレだった。それと同時にまだこの世界に来てから用を足していない事を思い出させられたミラは、下腹部から上ってくる馴染みのある生理現象の感覚に硬直する。 忘れていた訳ではない。忘れたかっただけだ。シルバーホーンに到着する前からその兆候は漣の様に寄せてきている。 しかし、ミラはどうしてもそれを認めたくなかった。なぜならば、この様な少女の身体でソレをしてしまえばもう後戻りは出来ないと自覚しているからだ。 だがしかし、我慢すればどうにかなる問題ではない。むしろすればするほど身体に悪い。実際、ソレを行う全ての準備が調った設備は、考えない様にしていた事を死海の如く浮上させ、限界が近いことを忠告しているかの様だ。ユー、ヤッチャイナヨ。 ミラは覚悟を決めてトイレの扉を閉める。暫くして水の流れる音が小さく響いた。 (ルミナリアに馬鹿笑いされるのぅ) その時の表情を思い浮かべ苦笑すると、ミラはトイレに振り返り自分の腹部に無意識に手を当てる。 「まあ、これが普通じゃからな。誰が見たところで、わしは当たり前の行動をしたまでじゃ」 誰にでもなくミラはそう自分に言い聞かせる様に呟く。 初めてという、もっとも厳しい峠を抜けたミラの表情はもう清清しいまでに晴れやかだ。 これはこれで、という邪な感情もあったが、そもそも精神的には精力旺盛な健康体だ。しょうがない。正直少しだけ興奮を覚えた事は疑い様も無いのだから、堂々としていればいいと開き直り、自身を正当化する。 それから調子に乗ったミラは次目の部屋、浴室で全ての装備を脱ぎ捨てて裸になると、そのまま入浴を済ませた。 (髪が長いと時間がかかっていかん) 湯を浴びた事で多少疲れが取れ眠気が和らいだのを感じつつ、裸のまま銀色に輝く髪の水気をタオルで拭う。 適当な所にタオルを掛けると、皮製のソファーにその小さな尻を直に下ろしアイテムボックスを開いた。部屋着でも入っていないか確認する為だ。 風呂から上がった後、ローブについた血や土埃等の汚れが目に付く。ミラは潔癖症ではないにしろ、流石に風呂上りでそのローブを洗わず着る気にはなれなかったのだ。 一覧を眺めていると、一つのアイコンが目に留まる。 それは、『天女の羽衣』というクエスト報酬だ。 このアイテムは、仙術士用のクエストである『天女伝説』をクリアした時に手に入る特殊装備アイテムだ。効果は仙術士の専用スキルを強化する事が出来るという物だが、グラフィックがダンブルフに似合わな過ぎたので、お蔵入りしていた代物だ。 ダンブルフの時代には装備の見た目にもかなり拘っていた。性能よりもまずは威厳のある魔法使い然とした風貌。それが信条だった為、どれだけ性能が良くても装備する気にはならなかったのだ。 しかし今はどうだろうとミラは思う。ヒラヒラとした正真正銘の天衣無縫の衣だ。少女となった今の姿にならば違和感は無いかもしれないと、纏った姿を想像する。 思い立ったが吉日とばかりに、アイテムボックスから天女の羽衣を取り出したミラはそれを羽織る。 その衣は一見すると大き目サイズのベビードールといった形状だ。裾はミラのふくらはぎ辺りまであり袖は二の腕の中間程、薄い桃色に光を反射する生地は何の抵抗も無い手触りで、天女という名に恥じない一品だ。故に、ダンブルフのみならず男アバターにはかなり抵抗のある装備だろう。 「ふむ、これはなかなか」 夜の暗闇が支配する外から室内を隔離する窓には、鮮明ではないが姿を確認するならば問題無い程度には光を映す。ミラはその窓を鏡の代わりにして、素肌に衣だけを纏った少女の姿を目に、見惚れた様に微笑んだ。それは少々の劣情を含む笑みだが、ミラの姿だと小悪魔的という表現がもっとも近いだろうか。あどけない笑みといった様相で留まっている。 ミラはその後、部屋の中を隈なく調べ当初の目的であった寝室を見つける。それとは別に何着かのローブを倉庫から引っ張り出すと、着替え用としてソファーに無造作に放り投げておく。 それはダンブルフ時代に使っていた物で、装飾や色使いが良く、威厳と高級感漂うローブは、お気に入りとして特別に取っておいた物だ。 洗濯はどうしたものかと考えたミラだが、マリアナが居るのならば任せてしまおうと、いつもの様に脱ぎ散らかしたまま放置する事に決める。 ミラは窓際に寄りかかり遠目に灯る眼下の街灯を眺めながら、小さく欠伸を一つ。それから腰に手を当てて軽く伸びをすると瞼が重くなるのを感じ、メニューから時間を確認する。 時刻は午後十時を過ぎている。いつもなら、これからが本格始動な時間帯であったが森の中を歩き続けた分、その小さな身体には確かな疲労が蓄積されていた。入浴による眠気覚ましも一時的なもので、ミラは小さな口をふわりと開くと二度目の欠伸をして両目を手の甲で拭う。 とにもかくにもミラが今ここにいる目的は、拠点がどうなっているかを確かめに来ただけではない。同じ状況にあるであろうプレイヤーの一人、ルミナリアに会いに来たのだ。しかしその人物は明日にならないと帰らないとリタリアに教えられた。 現状でやれる事はほとんど無いと結論付けたミラは、吸い寄せられるように寝室へ向かいベッドに倒れこむ。その緩やかな反発力は少女の小さな身体を優しく押し返し、マリアナの手により毎日整えられているベッドは、主を待ち焦がれる心そのものでもあった。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ アルカイト王国首都であるルナティックレイク。三日月の様な形をした大きな湖に接する内側の中心付近に、王の住まうアルカイト城はある。 国王であるソロモンは、その日の業務を片付け終わると革張りの椅子の背もたれに全身を預け、全ての処理を終わらせた書類の載った机を忌々しげに蹴る。すると反動で椅子の脚に付いた車輪がカラカラと軽い音を鳴らしながらソロモンを窓際まで運んだ。 魔法の明かりの元、ソロモンは左腕に嵌った銀色の腕輪を指先で触れて中空を睨む。 持ち主にしか見る事の出来ない空間に映された画面には、白と灰で色分けされた文字が並んでいる。 「ダンブルフ......」 それはソロモンが毎日確認している画面。そしてそこにはダンブルフの名前が白く浮かんでいた。 ソロモンは顔を上げると椅子を回し、すぐ後ろの窓から闇と静寂が支配する夜に目を向けた。遠く薄っすらと望む山の向こう側には天魔都市シルバーホーンがある。国の英雄達の街だ。ソロモンが脳裏に浮かぶその街に過去を邂逅して懐かしんでいると、控え目に扉を叩く音がソロモンの意識を引き戻す。 「入れ」 「失礼致します」 扉を開き一礼した男は、アルカイト王国の伝令官の一人だ。室内に一歩進み出たその男は一枚の紙を手にしていた。 ソロモンは表情のみで続きを促すと、伝令官の男は手にした紙を広げその内容を読み上げる。 「ご報告致します。魔法騎士団のグライア様より定時報告です。『国境付近にホブゴブリンの砦を発見、敵勢力は約三百。これを冒険者の少女の力を借りて全掃討完了し現在帰還中。その者が訪れた際には相応の恩賞を希望する。冒険者の名はミラ。長い銀髪をした見目麗しき少女』との事です」 報告を受けたソロモンは、伝令官に分からない程度に眉を寄せる。それというのも、ホブゴブリンの軍勢三百ともなると、かなりの規模だ。いくら精鋭の魔法騎士団であろうと送ったのは五十人程、危険は払拭しきれない可能性がある数だ。隊長がグライアならば必ず援軍を待つだろう。しかしそうせずに、冒険者の手を借りて、討伐を強行したという事に疑問が浮かんだのだ。 しかしその事については理由があるはずだとソロモンには確信がある。グライアはそれだけ信頼の置ける男だ。 ソロモンが思うには、強行せねばならない理由があったのか、それとも力を借りたというその冒険者に何かあるのか。しかし今、考えたところで意味はない。一つ息を吐き思考を放棄すると、報告書を手にしたままの伝令官と目が合う。 「まだ何かあるのか」 「はい」 「ふむ、話せ」 「シルバーホーンの魔術の塔補佐官リタリア様より魔導通信による連絡が入りました。当地区にダンブルフ様の弟子を名乗るミラという少女が現れた、との事です」 「あいつの弟子......だと」 ソロモンは腕輪の画面に視線を落とす。そこにはダンブルフの名が表示されている。そしてこの名は昨日までの三十年間、灰色で表示され続けていた名だ。 白に変わったかつての英雄であり親友の名前と、その弟子を名乗ったという少女。そして魔法騎士団と共にホブゴブリンを掃討した冒険者。そのどちらもがミラという名を名乗っている。 「これはまた、何とも偶然が重なるじゃないか」 ソロモンの目には、さっきまでの事務仕事で疲弊しきった色は影も消え失せ、代わる様に強い嬉々とした輝きを灯らせる。 「至急シルバーホーンまで使いを出せ。そのミラという冒険者を丁重に迎えろと伝えよ。人選は任せる」 「かしこまりました。直ちに」 報告書を畳むと一礼をして部屋を出ていく伝令官から目を放す。ソロモンは再び窓から遠く塔のある街の方を見据える。 月明かりを吸収するかの様に漆黒を保つ山々とは対照的に、城の周辺にはルナティックレイクの象徴である湖が、月明かりを湛えながら泡沫に輝いていた。
The top floor of the summoning tower. The structure was identical to that of the Tower of Magic, the placement of the room was identical as well. Mira straightforwardly made her way toward a private room. A red carpet was spread over the corridor and black armor that looked similar to the Dark Knight was put on display. They were items that were presented to Danbulf for his distinguished services in the war he had participated in. However, there were very bitter feelings attached to the two names he gained from this, though few people knew of it. Two suits of armor stood at the entrance of the private room. When she looked at the suits and armor, she figured she must have left them here for thirty years already. Mira reached out with her hand to the massive black door. 「Oops, I forgot about that aspect.」 She suddenly recalled that and stopped. While thinking that she could not get used to this, Mira held up the tower master key she had taken out from her item box. Then, as if pleased with the return of its master, a small clicking sound reverberated from the vicinity of the doorknob. When she went through the door, a chill flashed through her body. Mira had entered the private room but she felt a sense of discomfort. When she first entered the room, she had taken off her boots. Because there was no shoe rack in the entryway, she had left them by the entrance. Although she did not take off her boots in the game, now that it had become a reality, she could not rid herself of the habit of taking off shoes when inside a room. When she became barefooted, she advanced indoors to a familiar sight. The carpet made from the pelt of a magnificent magic beast occupied % of the floor. Although the soft pelt shone with a golden sheen, it was very sturdy. Even if one was to practice judo throws atop the carpet, no wound would be sustained. This rare item had taken all the Elders of the Silver Linked Towers to obtain when they participated in the subjugation carnival of the magic beast king. This was Danbulf’s share of the Magic Beast King’s fur which the craftsmen had processed. It was a high-quality material from a king-class monster that could be made into first-class equipment. When Danbulf asked to make it into a carpet, the first-class leather processing workman asked more than several times, 「Is this really okay?」 The memorabilia had a certain meaning, it prostrated itself on the ground as if to show obedience. In addition, accessories that Danbulf had collected were scattered around. She knew each and every one of them by sight. However, certain items were placed slightly differently from what she remembered. 「Is this because of Mariana?」 For Mira, there was only one person that she thought of that could cause this sense of incongruity. She was the aide of the Elder of the Tower of Summoning, Danbulf’s aide. It was a simple story, after all, there were only two people who were able to enter this private room. Only two people held the tower master key, the Elder or their aide. The main person in this room was absent for thirty years. Then the remaining person would be Mariana. Mira expected that Mariana, her aide, would clean it as usual. Mira was aware that Mariana was an NPC. Among the many rooms, a lot of them were storage spaces. When she came home from hunting, she irresponsibly stuffed the spoils inside. When she next logged in, the items were sorted into each storage by type and the mess was cleared up. After having become an Elder. Danbulf had never once tidied up. The methodical and meddlesome nature of Mariana reminded him of a childhood friend heroine from a romantic comedy. The source of the uncomfortable feeling was Mariana moving around the small accessories every month. She was allowed to do that to a certain extent because she’s the type that dabbled in geomancy and fortune telling. Mira’s expectations had hit the mark. Mariana had been Danbulf’s aide for thirty years and she had never missed a day cleaning the room or maintenance of the accessories. She believed that her master would come back one day. Wondering whether she had been doing this for thirty years, Mira was a little worried about Mariana. However, to make it to tomorrow, she scanned through her memories for a bed to rest her tired body. When she was playing this as a game, she logged out and slept in her futon whenever she became sleepy. However, the situation now was different. Because it was not possible to log out, she had no choice but to sleep here. Since she had never used the bedroom in the past, she did not remember where it was. Mira understood that it was natural to have many rooms within the private room. Thus, she checked every door to make sure she did not miss it. The first room was a collection room. Rare items from around the world were collected and they formed a line in the room. The second room was a refinement room. Wisdom and materials concerning refining technology that Danbulf had developed overflowed from this room. For Mira, however, it was merely a workroom. The third room was a storeroom. Experimental weapons, defensive armaments, and refining goods were beautifully displayed. Items suitable for Danbulf’s character were scattered irresponsibly. If Mariana saw this room, she would have fainted. And the fourth room was a restroom. At the same time, Mira was reminded of some business she had yet to complete after she came to this world. She became stiff from a familiar physiological phenomenon which rose from her lower abdomen. She did not forget. She only wanted to forget. The symptoms were like ripples that had been noticed even before her arrival in Silver Horn. However, Mira did not want to admit it because it would not be possible for her consciousness to go back if she did it with a girl’s body. However, it mattered not even if one somehow endured it. Rather, it was worse for the body the more she endured. In actuality, when all the equipment and preparations in order to do it were laid out right before her, everything that she tried to ignore as much as possible came out like how an object submerged in the Dead Sea would rush to the surface. It seemed like she was nearing her limit. 「Alright, let’s do this.」 Mira steeled herself and closed the door of the restroom. After a brief moment, the sound of flowing water could be heard. (Luminaria would laugh wildly at this.) She smiled wryly imagining what kind of expression Luminaria would make at that time. When Mira looked back at the restroom, she unconsciously placed her hand on her abdomen. 「Well, this is normal. That is the natural course of action for anyone who used the toilet.」 Mira muttered to convince herself. The expression of Mira who had passed the most severe mountain pass for the first time was so bright as to be refreshing. Though there were some wicked feelings within, she had a vigorous mental strength and a healthy body to begin with, so it couldn’t be helped. To be honest, she was even a little excited about it. She assumed a defiant attitude in order to justify herself. After that, keeping up with that momentum, Mira strode into the fifth room. She took a bath after taking off all of her equipment in the bathroom and becoming naked. (It takes a long time to bathe when one’s hair is so long.) After basking in a hot bath, her fatigue had more or less been removed and her feeling of drowsiness had somewhat eased. She hung her towel in an appropriate place and lowered her small bottom on a leather sofa and immediately opened the item box. The purpose was to confirm if she had any casual dress included. After having gotten out of the bath, the blood and dirt attached to the robe was noticeable. Mira was not a neat freak. Still, she was unable to bring herself to wear the robe until after she washed it. When she looked at the list, one of the icons caught her attention. It was a quest reward called 『Celestial Maiden’s Raiment.』 This item was the special equipment she got when she cleared 『Legend of the Celestial Maiden』 which was the quest for a Sage. The item’s effect was the strengthening of the Sage’s exclusive skill. Because the appearance did not suit Danbulf too much, it was stuffed into the storehouse. She was considerably obsessed with the appearance of equipment in the age of Danbulf. She chose appearance over the effects for his majestic magician. Because it was her creed, she could not bring herself to equip it even if it had high performance. However, she considered how Mira looked right now. This was a genuine flawless gown with frills. If it was with her current appearance of a little girl now, then it may possibly match her. There was no time like the present, Mira took out the celestial maiden’s robe from the item box and wore it. At first glance, the clothes were no larger than the size of a baby doll. The hem of her skirt reached near Mira’s calves and the sleeves stopped short in the middle of her upper arm. The cloth reflected a light pink color and it had a smooth and silky surface. It was a cloth that was worthy of the name celestial maiden. Consequently, not only Danbulf would balk at wearing this equipment, all the other male avatars would as well. 「Hoh~ This is quite excellent.」 The window isolated the room from the dark night that ruled outside. The figure was not distinct but the reflection was enough to confirm her appearance. Mira substituted the window for a mirror and smiled admiringly at the sight of the girl clad in a dress. Although the smile contained a bit of carnal desire, Mira’s expression mirrored that of a rogue. Yet it still remained that of an innocent smile. After that, Mira found the bedroom that she had originally been looking for after checking every single room. Alternatively, had she not found it, she could have dragged several robes from the warehouse and casually threw them on the sofa as a makeshift bed. They were things used by Danbulf. The decoration and coloring were gorgeous, they were robes that exuded dignity and luxury. They were her favorite robes. Although Mira thought about doing the laundry, she thought of leaving it to Mariana and decided to leave them scattered around as always. Mira leaned against the window while gazing at the distant streetlight. She let out a small yawn. After that, she began to feel sleepy and placed a hand on her waist to stretch lightly. She confirmed the time from the menu. It was past pm. It was as expected, although she had originally started off strong walking in the forest, a certain fatigue had accumulated in her small body. She had temporarily kept herself awake by bathing. Mira opened her small mouth to yawn again while wiping both her eyes with the back of her hand. At any rate, the purpose Mira was here now was not only to confirm what had happened to her base but also to come and meet with Luminaria, one of the players that was in the same situation she was in. However, if the person did not come tomorrow, Litaria would tell her. Mira concluded that there was little to be done in the present circumstances. She was attracted to the bedroom and collapsed on the bed. A gentle opposing force pushes back the small body of the girl. The bed was made by Mariana every day, who was longing for the return of her master. ◇◇◇◇◇◇◇◇ Lunatic Lake was the capital of Arkite Kingdom. Near its center, bordering on a crescent moon-shaped lake was the Arkite Castle where the king lived. King Solomon finished putting the business of the day in order and entrusted his whole body to the back of a leather chair. He kicked the desk which had the stacks of documents he had just finished. In reaction, the chair with wheels carried Solomon to the window with a light rattling sound. The source of the magic light was the silver bracelet Solomon had on. Solomon touched the bracelet on his left arm and looked at the empty space. On a screen projected onto the empty space which was only visible to its owner, characters coded in white and gray appeared, 「Danbulf........」 Solomon confirmed the screen every day. And now, the name of Danbulf was flashing in white. Solomon raised his head and turned the chair. He immediately shifted his attention to the window that laid to his back which the dark and quiet night ruled. He was hoping to see Silver Horn city beyond the distant mountain. It was the town of heroes for the country. While reminiscing of a chance encounter in that city in days long gone, the sound of knocks on the door returned Solomon’s awareness. 「Enter.」 「Excuse me.」 The man who opened the door and bowed was one of the heralds of the Arkite Kingdom. The man advanced one more step and took out a piece of paper. When Solomon urged him to continue with his expression, the herald expanded the paper and read the contents out loud. I discovered a fort of hobgoblins in the vicinity of the border, the enemy’s force was approximately three hundred in number. With the strength of an adventurer girl, we successfully cleared the area. I am on my way back now, but I hope for a suitable reward when the adventurer comes to visit Lunatic Lake. The name of the adventurer is Mira, a beautiful little girl with long silver hair. Solomon received the report, but he showed a frown at the messenger, seemingly not understanding the content. This was because the Hobgoblin army had a force of three hundred, it was of considerable scale. He had sent fifty elite magic knights, but it was not possible for them to have been able to wipe out that many. If the captain was Graia, he would have almost certainly waited for reinforcements. However, without doing so, he enlisted the help of an adventurer. A question appeared in his mind of why he had forced the subjugation. However, Solomon was certain that he had a reason for doing this. Graia was a man that he could place that much faith in him. Solomon thought, ‘Was there a reason for him to push through with the subjugation? Or does it have anything to with the enlisted adventurer’s strength?’ For now, however, the matter did not hold any significance. He breathed out once and abandoned that line of thinking. He took the report from the hands of the herald to read it with his own eyes. 「Is there something else?」 「Yes.」 「Alright, speak.」 「Lady Litaria, an aide from the Silver Horn’s Tower of Magic contacted us with magic transmission. I was told that a girl named Mira introduced herself in her district as the apprentice of Danbulf.」 「An apprentice of that fellow...?」 Solomon dropped his sight down to the screen of the bracelet. The name of Danbulf was displayed there. This name which had been displayed as grey for thirty years until yesterday. It was the name of his friend, a hero of bygone times, it had turned white. Then, a girl who introduced herself as his apprentice appeared. And there was also the adventurer who had subjugated the hobgoblins with the magic knights. They both had introduced themselves with the name of Mira. 「There’s no way this was just a succession of coincidences.」 Solomon’s eyes which had just been exhausted from the clerical work just a little while ago regained their light. A joyful shine took over the weariness in his eyes. 「Send a messenger to the Silver Horn as soon as possible. Tell them to invite the adventurer named Mira courteously. I leave the choice of the messenger to you.」 「Certainly. At once.」 When he took his eyes off the herald, the herald left the room and folded the report. Solomon stared at the window at the distant town with the tower again. The jet-black mountains which absorbed the moonlight contrasted with the lake that symbolized the Lunatic Lake around the castle. The lake shone with an ephemeral light.
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そこでまず彼らの製品の 主なる3つの市場に目をつけました 運送デザイン インテリア 家具の3つです 我々は 旧式のトレーラーの 中身を取り除いてラミネートフィルムと トレーラーを真新しい現代風の形で 表現するという解決策を 提案することにしました このトレーラーがバークレーにある私の店に 到着した時点でトレーラーに 足を踏み入れたことはありませんでした つまり私はこれを全く新しい 観点から眺めて 最も理想的なスタイルを 反映できる人物たり得たのです 研究を通じてエアーストリーム社が 歴史のどこで道を逸れたのか 解明することに決めました インテリアを見て気づいたことは 外観と家具が調和していない という点でした もともとは外観は高速道路を 走り回る軽量で現代性と未来性を備えた ハイテクな容器として考案されたものです そのためインテリアとの調和は皆無でした 実際にはなんだか 山小屋を眺めている気分でした 彼らがこれまで 逃避 旅 現代性といった 外観にぴったりな語彙を このトレーラー内で表現できなかったことは 大問題だと感じました 真のエアストリーム社のトレーラーとは何か また本当の目的と 有用性とはどんなものか 解き明かすために 我々は 考古学に当たる必要がありました 素晴らしいアルミ製のシェルを 覆い隠していたビニールと ゾラトーンの塗装を全て剥しました 目につく金属部はすべて外しました なんだか山小屋の整理のようでした トレーラーの壁を使って 厚紙に実物大で製図し 切り出しては 考え直したり 取り外しては 戻したりしていました 最終目的はインテリアを滑らかにし 動線 機動性 独立性といった 要素を取り込むことでした トレーラーデザインの最大の難点は 生地の起点と終点が論理的に存在しないことです なぜなら トレーラーの形状は 連続的な形状だからです 材質や形状を変更できる 2枚の壁と屋根が組み合わさる要素はありません これが課題となりました 私が強調したいと考えていた 材料やラミネートを 複合材料とし 2次元で曲げる 手法を取ることとなりました これは複合カーブインテリアです 視覚を騙して 全パネルがシェルと同様湾曲していると 信じ込ませる方法を 考案する必要がありました アルミ製シェルの上に 第二の表面を取り付ける というアイディアが浮かびました そしてこの挑戦とは 表面形状を異なる観点から見せることで 型枠が雰囲気を損なわないように 視覚を誘導するというものです こうして表面を引きはがさずに 再配線し 電源供給できました 配線器具として機能したのです これはほぼ完成の状態です Tokyo Designers Blockと呼ばれる 展示会用の依頼が来たのはこれのおかげです これは十月に東京で開かれる家具デザインのイベントです IDEEという会社経営者の黒崎輝男という男性に私は 東京にトレーラーを二台搬送するよう頼まれました 一台は きちんと機能する実物を 組み立て販売したいと言っていました 2台目は好きにいじってみてくれと頼まれました 我々は米国中を駆け回り レコードを集めてはツアーに出る DJという空想的シナリオを思いつきました ターンテーブル2台 ミキサー 小さなバー 冷蔵庫に音響システム内臓のトレーラです 大人数用の巨大ソファもあって これがあれば楽しく過ごせることでしょう このトレーラの中で旅 逃避とは何かと 特異な視点から観察することができました たくさんのアイディアを エアストリームのトレーラーに詰め込みました エアストリームと相談を始めた頃を思い出しました 彼らは私にこう言いました 「これ 活気づけるにはどうしたらいいかな? それと スケーター サーファー ロッククライマーみたいな 若者もこういうの使うかな?」 「このインテリアはないな」と返事をしました ともかく このプロトタイプ作成中 私はエアストリームに六回足を運びました これは試作品バンビと呼んでいます 「遂にきた あぁすごい 工作機械や鋳造に資金を出せる 大会社と働けるぞ」と思いました 試作品製作所に足を踏み入れると それは 大きいが 私の店と何ら変わりはなく 同じ工具 同じものばかりでした この問題は 私にとってジレンマです インテリアを今までと同じ技術で設計する必要があり 工法への資金は出ませんでした 事実トレーラー自体は手作りです 枠型も一つずつ手加工ですので トレーラー100台分の100のパーツを切り出すことは不可能です 手作業用に大きめに切り出す必要があります 効率重視のシステムは求めてなかったようです 最後に バンビ16号を紹介します
When this trailer showed up at my shop in Berkeley, I'd actually never stepped foot in an Airstream trailer, or any other trailer. So I can be somebody that can look at this in a totally fresh perspective and see if I can optimize it in its most idealistic fashion. I decided I had to do some research and really figure out what had gone wrong somewhere along the history of Airstream. What I discovered in these interiors is that there was a disconnect between the exterior shell and the interior architecture of the pieces. In that the shell was originally conceived as a lightweight, modern, futuristic, high-tech pod for hurtling down the freeway, and the interiors were completely out of sync with that. In fact it appeared like they referenced a mountain cabin. That seemed really like a crisis to me, that they had never been able to about escape, and about travel, and modernity in this trailer that was consistent with the shell. We really needed to do some archeology in the trailer itself to figure out what's authentic in an Airstream trailer, and what feels like it has true purpose and utility. We stripped out all the vinyl and zolatone paint that was covering up this just fantastic aluminum shell. We took off all the visible hardware and trim that was kind of doing the country cabin thing. I literally drew on the walls of the trailer, mocked it up in cardboard, we'd come in and cut, decide things were wrong, pull it out, put it back in. The main goal was to smooth out the interior, and begin to speak about motion, and mobility, and independence. The biggest difficulty on one of these trailers is that when you're designing there's actually no logical place to stop and start materials because of the continuous form of the trailer. There's no such things as two walls and a ceiling coming together, where you can change materials and shapes. So that became a challenge. Compounding that, the material of choice, laminate, that I was trying to highlight, only bends in two dimensions. It's a compound curve interior. What I had to devise was a way of fooling the eye into believing that all these panels are curved with the shell. What I came up with was a series of second skins that basically float over the aluminum shell. And what I was trying to do there was so that you would perceive the geometry in a different way, and that the casework wouldn't break up the space. They also gave us a way to run power and rewire the trailer without tearing out the skin, so they function as an electrical chase. That's the trailer, pretty much finished. That trailer led to another commission, to participate in whats called Tokyo Designers Block. Its a week of furniture design events in Tokyo, in October. Teruo Kurosaki, who owns a furniture company called Idee, he asked me to ship him two trailers to Tokyo. He said one he would like to make a real trailer, functioning, and we would sell that one. Trailer number two, you have a blank slate, you can to anything you want. We came up with a fantasy scenario of a DJ traveling around the States, that would collect records and go on tours. This trailer housed two turntables, mixer, wet bar, fridge, integrated sound system. It's got a huge couch, fits quite a few people, and basically we'd had a great time with this. And so in this trailer I took it upon myself to think about travel, and escape, in an idiosyncratic sense. A lot of these ideas migrated into the production trailers for Airstream. This brings us up to the time that I started consulting to Airstream. They came to me and said, "Well, what can we do to freshen this thing up? And do you think kids, you know, skateboarders, surfers, rock climbers, would use these things?" And I said, "Well, not in that interior." Anyway, I went out to Airstream about six times during the process of building this prototype, and it's called the Bambi prototype. I thought, "Finally, oh yeah great, big company, I'm gonna work with somebody with money for tooling and molding." And I walked in their prototype facility, and it's exactly like my shop, only bigger -- same tools, same things. So the problem became -- and they set this dilemma to me -- that you have to design the interior using only our existing technology, and there's no money for tooling or molding. The trailers themselves are actually hand-built. All the casework is hand-scribed in, uniquely, so you can't just cut 100 parts for 100 trailers, you have to cut them big, and every single one is hand-fit. They didn't want to go to a componentized system. And there it is, that's the Bambi 16.
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しばらく歩いていくと、家畜の骨を見つけた。 ゴブリンの食べたあとだろう。 「大切な財産が......」 魔導士アリオが悔しそうに言う。 さらわれた時点で家畜は無事では帰らない。そんなことは百も承知だ。 だが、貴重な財産が失われた証拠を目にすると心中穏やかではないようだ。 「俺とジョッシュは農村育ちだからな」 「そうか。気持ちはわかる」 俺とアリオが会話をしている間に、ジョッシュが家畜の骨を調べていた。 スカウトとしての役割をよく理解している。手際が良い。 ゴブリンの痕跡を見つけ調査し、巣穴の場所を見つけ出すのがスカウトの役割だ。 俺はしっかりとジョッシュの仕事を確認した。 スカウト技能については、俺も素人ではない。 勇者パーティーは勇者、戦士、魔導士である俺パーティーだった。 エリックもゴランもスカウト的な技術が皆無だ。 だから、俺がスカウトの役割も担当していた。 鍵開けや、痕跡探し、罠解除などは魔法でも代用できるといえばできる。 遠距離攻撃を担当するところは弓スカウトと似ている。 だから、魔導士とスカウトは少し近いと言えなくもない。 そんな俺から見て、ジョッシュの手際は中々なものだ。 なかなか基本を押さえた筋のいいスカウトだ。 「ジョッシュ、本当にFランクか?」 「そうですよ? それがどうしましたか?」 「いや、見るところが的確だからな」 骨についた歯形、肉の食べ残し、足跡の古さ、数。 見るべきところは決まっている。 それを的確に観察できるかは、経験がものをいう。 「そう言ってもらえると嬉しいです」 ジョッシュは照れていた。 詳しく聞くと、もともと故郷で狩人をやっていたらしい。 俺の言葉にアリオも嬉しそうにする。 「ジョッシュは、目端が利くいいスカウトなんだよ」 「褒めないでください」 そんなことを言っている間に、ジョッシュは観察を終えたようだ。 巣穴の方向を突き止めたのだ。 「こっちですね。そう遠くないと思います」 「了解した」 俺たちはジョッシュを先頭に歩き出す。 ジョッシュの出した結論は正しい。確かに巣穴はこちらにある。 だが、ゴブリンの数が多いこと、ゴブリン以外のモンスターがいることを見逃している。 「ジョッシュ......」 「いや、何でもない」 あえて何も言わないことにした。失敗から学ぶことは多い。 だが、言わないことを選択した以上、責任が生じる。 先達として、この命の責任は俺にある。 絶対この二人は死なせるわけにはいかなくなった。 俺は気合を入れなおした。 さらに歩いて、ゴブリンの巣穴らしきところまでくる。 巣穴というより洞窟だ。恐らく、古い坑道だろう。 入り口には見張りのゴブリンが二匹いた。 坑道は長い。そして鉱脈に沿って掘るため、迷路のようになっていることも多い。 ゴブリン優位性である数を生かしやすい。 アリオたちは、その点に気づけなかった。 だから、アリオたちだけなら、確実に死んでいただろう。 魔導士アリオが真剣な顔で言う。 「ゴブリンは夜行性だからな。明るいうちに仕掛けたほうがいい」 「それはそうだな」 「じゃあ、戦士の俺が先頭で行こう。最後尾はジョッシュが最適だろう」 絶対、坑道の途中で後ろから襲撃される。 「ジョッシュ。後方からの攻撃への警戒を厳に頼む」 「はい。任せてください」 俺は後ろに背負った魔神王の剣を抜く。 なんど構えてみても、この剣はでかい。 坑道のような狭い場所だと、振り回しにくいので向かないだろう。 「さて......」 突入前に少し考える。一人ならば、突っ込んでいって、斬りまくればいい。 魔法を使えばもっと簡単だ。坑道の入り口から大き目の魔法をぶち込めば一網打尽だ。 だが、今回はアリオたちがいる。 アリオたちの安全を確保しつつ、経験も積ませなければならない。 それは結構難しい。 考えていると、アリオが言う。 「ゆっくりと確実にゴブリンを仕留めて行こう」 「そうですね。ゴブリンは舐めたら危険ですから」 向こうから作戦を提案してくれた。しかも、見当違いでもない。 採用すべきだ。 「それでいこう。俺が突っ込むから弓で援護してくれ。魔法は温存してくれ」 「了解しました」「わかった」 俺は見張りのゴブリンに向けて走る。 ゴブリンが俺に気づいた時にはもう遅い。ゴブリンの体が二つに分かれた。 「Gya......」 その時にはもう一匹のゴブリンの頭にはジョッシュの矢が刺さっていた。 「ロックさんこそ。見事な速さです」 見張りを倒した後は、スピードが勝負だ。 気づかれる前にゴブリンを倒す。 もちろん、俺ならばどういう倒し方をしようが、どうとでもなる。 だが、今日は新人がいる。見本となるような動きをしなければならない。 最初の小部屋に入ると、寝ているゴブリンを音もなく倒す。 俺一人で全部倒した方が簡単だ。だが、それでは意味がない。 後方からの奇襲は二度あった。 一度目はジョッシュはみごとに反応して見せたが、二度目は俺がフォローした。 「多くないですか?」 「もう30匹は倒したぞ」 「10匹程度だとおもったのですが......」 「確かに多いな。そしてこういうゴブリンの群れは、ただのゴブリン以外が率いていることが多いんだ」 「ロック、つまり、どういうことだ?」 アリオが声を震わせながら尋ねてくる。 俺はそれには答えず、現状を認識させる。 「アリオ。ファイアーボールはまだ撃てるか?」 「無理をすれば......。だが、そろそろ限界だ」 「ジョッシュ。矢は充分か?」 「もう、残り三本しかありません」 ほんの少しだけ考えて、アリオが言う。 「撤退しよう」 「ですが......」 ジョッシュは悔しそうにするが、アリオは首を振る。 「これだけの群れを率いているんだ。ホブゴブリンやゴブリンマジシャンの可能性もある。魔法と矢が足りていない状態で突っ込むのは無謀だ」 「......そうですね」 ジョッシュも同意した。賢いパーティーだと思う。 新人特有の蛮勇がない。きっといいパーティーになるだろう。 そのとき、 「GAAAAAAAA」 最奥の方から、おぞましい声が響く。どんどん近づいてきていた。 「まずいぞ!」 「隠れましょう」 アリオとジョッシュの判断は早かった。細い側道へと身をひそめる。 そのすぐ後に、声の主が姿を見せる。 「......ゴブリンロードか」 アリオとジョッシュは息をのんだ。
After walking for some time, we came upon the bones of livestock. The goblins must have eaten them. “Their valuable property...” The Sorcerer Ario said sadly. Livestock did not return once it was taken. I knew that well. However, seeing the evidence with your own eyes did not give you the warmest feeling. “Josh and I were raised on farms.” “I see. I understand how you feel.” As Ario and I talked, Josh inspected the bones. He understood his role as scout very well. And he was quick. It was the scout’s job to look for traces of the goblins and find out where their nest was. I watched Josh carefully as he worked. I wasn’t exactly a novice when it came to scouting skills either. Our heroes party had consisted of a Hero, Warrior, and Sorcerer. But Eric and Goran had absolutely zero skills related to scouting. And so I had taken on that role for our party. Opening locks, tracking, disarming traps. These things could also be done with magic. And I was in charge of ranged attacks, which was also similar to a scout. So in a way, a Sorcerer and Scout could be much the same. But still, Josh’s work was impressive even to me. He was a good scout who had all the basics down perfectly. “Josh, are you really F Rank?” “Indeed, I am? Why do you ask?” “No, it’s just that you are very precise from what I can see.” The teeth marks on the bones, the leftover meat, the age of the footprints, the number of them. There were definite things to look for. And it required experience to be able to find them all accurately. “I’m happy that you think so.” Josh said shyly. He then added that he had been a hunter back at home. Ario was also pleased with how impressed I was. “Josh is a good and quick-witted scout.” “Don’t praise me too much.” As we talked, Josh finished his inspection. He had discovered the direction that the nest was in. “It is this way. I don’t think that it is very far.” “Understood.” We started to walk with Josh in the lead. Josh’s conclusion was right. The nest was indeed in this direction. However, he seemed to have missed the high number of goblins and the fact that there were monsters other than goblins as well. “Josh...” “Is something wrong?” “No, it’s nothing.” I decided to say nothing. It was better to learn from your mistakes. Of course, since I decided to stay silent, it also meant that I was responsible. As their elder, I was responsible for their lives. I would in no way allow either of them to die. We continued to walk until we found what looked like the goblin nest. It was more of a cave. Perhaps an old, abandoned mine. There were two goblins near the entrance who were standing watch. Mines were long. And as they were dug along the veins of ore, they often twisted like a maze. It made it easy for goblins to capitalize on their large numbers. But Ario and Josh had not seemed to realize this yet. And so I knew that they would both definitely be dead if they had come alone. Ario said with a serious face, “Goblins are nocturnal. We should attack them while it’s still bright.” “That’s true.” “Then I will go in the lead because I’m a Warrior. Josh should take the rear.” We would definitely be attacked from the back on the way. “Josh. Be very careful of attacks from the back.” “Yes. Leave it to me.” I unsheathed the Devil King sword that was on my back. No matter how many times I wield it, it always felt huge. It would not be easy to handle in the confined spaces of the mines. “Now...” I think, just before we enter. If I were alone, I could just charge in and cut in every direction. It would be even easier with magic. I could just fire off a powerful spell from the entrance and end it all at once. However, I had people with me this time. I needed to guarantee their safety while also allowing them to gain some experience. That would be challenging. As I thought, Ario said, “Let’s go slowly and surely while killing all of the goblins.” “Yes. Goblins can be dangerous if you let your guard down.” They suggested their own strategy. And they weren’t wrong. That was what we should do. “We’ll do that then. I’ll go in first, so you should support me with your bow. Save your magic.” “Understood.” “Yes.” I started to run towards the two goblins that were on watch. When the first one noticed me, it was too late. Its body was split into two. “Gya...” At the same time, Josh put an arrow into the other goblin’s head. “You too, Locke. That was really fast.” After taking down the guards, it was all about speed. We needed to kill them before they knew what hit them. Of course, if it was just me, it wouldn’t matter how I did it. But I had newcomers with me. I had to act in a way that would be a good example to them. We entered the first small room, and I silently killed the goblin that was sleeping there. I could do it all alone, but there would be little meaning in that. After that, we were attacked from the rear twice. Impressively, Josh reacted quickly to the first one, but I had to give him a hint the second time. “We’ve killed of them.” “I thought that there would only be ...” “It is a lot. And packs of goblins like this often have other monsters around as well.” “Locke, what do you mean by that?” Ario asked. His voice was shaking. I didn’t answer this but made him face reality. “Ario. Can you still use fireballs?” “I might... But I’m near my limit.” “Josh. Do you have enough arrows?” “I only have left.” After thinking for a moment, Ario said, “Let’s retreat.” “But...” Josh said stubbornly, but Ario shook his head. “There are too many of them. There may even be hobgoblins or goblin magicians. It would be foolish to charge in further without enough magic and arrows.” “...That’s true.” Josh finally agreed. They were a smart party. They lacked the recklessness that newcomers often had. They would make a great party one day. Just then, “GAAAAAAAA!” A horrible cry echoed from the back. It was coming closer and closer. “This is bad!” “Let’s hide.” Ario and Josh decided quickly. They pulled back into a narrow side tunnel. Immediately after that, the thing that had cried came into view. “...A goblin lord.” I muttered under my breath. Ario and Josh gulped.
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ケーテはお茶を飲みながら、つぶやくように言う。 「そうであったか。水竜が大変なことになっておったのであるなー」 その瞬間、ドルゴがケーテを睨みつけた。 「何度か報告したはずだが......」 「確かにそうであったのだ。だが、救援という話ではなかったのである」 「救援依頼の話自体は、昨日のことだが......」 「そうであったか! それならば我が知らなくても仕方ないのである」 ケーテは安心したようだ。お菓子を口に放り込む。 だが、ドルゴの顔は険しい。居住まいを正した。 「ケーテ、いや、風竜王陛下よ」 「父ちゃ......、いやドルゴ、なんであるか?」 「臣ドルゴは昨日の夜に、陛下に連絡をしたはずですが」 「む?」 ケーテはポケットの中をごそごそし始める。 そして腕輪を取り出した。綺麗な赤い宝石がはまっている。 ケーテはその腕輪を操作した。 「陛下。我はいつも申し上げておりますよね?」 「......はい」 「宮殿に居なくてもいいが、必ず連絡はとれるようにしろと。必ず腕輪は確認するようにと」 「......はい。言われていたのだ」 「このようなことがあっては困ります」 「はい」 「いざというとき、どうなされるおつもりか。王としての自覚があるのですか?」 「申し訳ないのである」 ケーテは説教されてしょんぼりする。 尻尾が力なく垂れ下がった。 ひとしきり説教すると、ドルゴは俺たちに向かって頭を下げた。 「お見苦しいところをお見せいたしました」 「そうですとも、気にしないでください!」 俺がそういうと、ゴランも同意した。 エリックがお茶を飲みながら笑顔で言う。 「ケーテさんは、竜としてはお若いのに王を務められてご立派です」 ケーテは照れている。 そんなケーテを放っておいて、俺はドルゴに尋ねる。 「ドルゴさんはお元気そうなのに、なぜ王位を譲られたのですか?」 「竜族では後継者がある程度成長すれば、その時点で継がせるのが普通なのですよ」 「そうなのですか。人族とは違うのですね」 「はい。竜族は寿命が長いですからね。死んでから王権を継承するとなると、いつになるかわかりません」 エリックが釈然としないといった様子だ。 その様子を見てドルゴは続ける。 「寿命の長短以外は、実は人族も竜族も変わらないのです」 「そうなのですか? ですが、それが一体どのような関係が......」 「人族と同様のシステムでは、人族同様に王位継承争いが起こりかねません」 俺は少し意外な気がした。 エリックもゴランもそうなのだろう。少し驚いていた。 「いつ死ぬかわからない父母王を持った子はどう思うでしょう? 寿命に限りが無い竜族では、子の方が先に死ぬ可能性も高いのです。力づくで王位を奪いたいと考えるかもしれません」 「寿命の長い竜族でも待てないものですか?」 エリックのその問いは当然と言える。 人族の寿命は百年そこそこがほとんどだ。ハイエルフでもない限り短命だ。 竜は文字通り万年生きる。 長命なのだから、気も長い。そんなイメージがある。 「もちろん、人族よりは気は長いと思います。数百年なら待つでしょう。ですが、親は寿命では死なない竜です」 「しかも、加齢により衰えることがありません。年を経て強くなることはあれ、弱くなることはないのです」 それでは、子はいつまでたっても、王にはなれない。 「それに早期の継承は親の自己保身のためでもあるのです」 「と言いますと?」 「寿命に限りがなくとも、殺すことはできます」 「親の方が長命な分、強いのでは?」 「そういうことが多いですが、まれにトンビが鷹を生むこともございますゆえ」 「それに、弱者が強者を殺す手段だって、いくらでもあります」 毒、罠、不意打ち、多勢で襲う。殺す手段はいくつもある。 「子供が焦れる前に譲ってしまえば、親殺しは発生しませんからね」 それを聞いていた、ゴランが言う。 「竜族の王位継承争いなど、すさまじいことになりそうですな」 「はい。強力な竜の王族同士が争うのです。地形や気候が変わりかねません」 ドルゴは笑っている。だが冗談ではないというのはわかる。 本当に地形が変わりかねないのが、上位竜の力なのだ。 「親子間の争いだけでなく、兄弟姉妹間の争いも、まだ子供たちが弱い間に継承させることで防ぐことができますから」 「なるほど。兄弟姉妹喧嘩は、親が止めるということですな」 人族の王位争いの場合、大勢の人が死ぬ。 だが、竜族の場合は大地が壊れかねない。 だからこそ、それを抑止するシステムを作っているのだろう。 「我より、父ちゃんの方が強いのであるぞ! だから仕事も父ちゃんがすべきだと思うのである」 「ケーテ。その理屈はおかしい」 自信満々に言ったケーテだが、俺が否定すると困り顔になる。 「......そうであろうか」 「ラックさんのおっしゃる通りだ。早くに王位を継がせることには学ばせるという意味もあるのだ」 王位を継承させてから、未熟な王を経験豊富な先王が補佐することで教育する。 そういうシステムなのだろう。 考えてみれば、よくできている気がする。 「人族もそうすればいいんじゃないか? エリック」 「人族の場合は、残念ながらうまくいくまい」 「そうか?」 「外戚との関係もあるし、貴族との軋轢とかな......」 「ふむ」 「それに新王も、先代に大きな顔をされたくないはずだ」 人族では、竜族のシステムを導入しても争いは起こりそうだ。 そんな気がした。
Kathe sipped her tea and muttered. “I see. So the water dragons are in a lot of trouble then.” Just then, Dorgo glared at her. “I told you many times...” “Oh, yes. You did. But you didn’t say anything about helping them.” “Well, there was no talk of help until yesterday...” “Is that so! Then it cannot be helped that I didn’t know about it.” Kathe was relieved. She stuffed a pastry into her mouth. Dorgo looked annoyed. He straightened his posture. “Kathe. I mean, Wind Dragon Ruler.” “Da-... Uh, Dorgo. What is it?” “I do believe that I contacted you last night.” “Eh?” Kathe started to rummage through her pockets. Then she took out a bracelet. It had a pretty red gemstone on it. She began to control the device. “Your Majesty. Have I not told you this before?” “...Yes.” “Even if you are not in the palace, you must be reachable. You must check the bracelet.” “...Yes. You did say that.” “This is most unfortunate indeed.” “Yes.” “What would you do in an emergency? Do you realize that you are a ruler?” “I am very sorry.” Kathe looked downcast as she was scolded. Her tail drooped weakly to the floor. Once the lecture was finished, Dorgo turned to us and bowed. “I am most sorry that you had to see that.” “Yes. Don’t think about it!” Goran agreed with me. Eric sipped his tea with a smile and said, “I think it is a very fine thing that one as young as Kathe has decided to take the position of ruler.” Kathe looked bashful. I ignored them and turned to Dorgo. “But Mister Dorgo, you look quite healthy still. Why did you decide to step down as king?” “It is normal for our heirs to take our place once they reach a certain age.” “I see. That’s quite different from us humans.” “Yes. We have longer lives, after all. If we only passed on our royal authority when we died, who knows how long it would take?” Eric didn’t seem to like this explanation very much. Dorgo saw this and continued. “Aside from our lifespan, humans and dragons are not so different.” “Really? But what does that have to do with...” “If we used the same system as humans, it would result in similar power struggles among the dragons.” It was a little surprising. Eric and Goran also looked surprised. “And what about a child with parents who could die at any moment? With such long lives, there is a high possibility that dragon children could die before their parents. And so they might want to take power by force.” “Do long lives rob you of patience?” Eric asked. Humans lived for nearly one hundred years. That was very short compared to the high elves. As for dragons, they could live for tens of thousands of years. You would think that long lives would mean lots of patience. “Of course, I think we have more patience than humans. We could wait hundreds of years. However, our parents would not die of old age.” “Besides, we do not weaken as we age. We may get stronger, but not weaker.’ In that case, their children may never become king. “And so having them inherit the throne early is a form of self preservation for us.” “What do you mean?” “Well, we can still be killed.” “But aren’t parents stronger for having lived longer?” “Most of the times, yes. But as they say, sometimes a kite can breed a hawk.” “And there are many ways for weak people to kill those who are strong.” Poison, traps, ambushes, attacking in large numbers. There were many ways indeed. “Giving it to them before they become impatient will prevent them from killing their parents.” Goran heard this and said, “I can only imagine how ferocious a power struggle between dragons would be.” “Yes. It will be a battle between very powerful dragons. It would affect the terrain and even the weather.” Dorgo said with a laugh. But I could tell that he did not think it was funny. It would change the terrain because the high dragons had that much power. “It’s not only between parent and child. Brothers and sisters may also fight. And so all of it can be avoided my making them king while they are still young.” “I see. So it is up to the parent to stop any sibling rivalry.” But when humans fought for the crown, many people died. But for dragons, the lands were destroyed. And so they had a system in place to discourage it. “But dad is stronger than me! And so I think that he should do all of the work.” “Kathe. That logic is flawed.” Kathe had blurted this out with confidence, and so she looked troubled when I argued against her. “...Is it?” “Mister Ruck is right. Inheriting the position early also has the purpose of teaching you.” This way, an experienced king could support and educate the successor. It was that kind of system. Now that I think about it, it made a lot of sense. “Maybe humans should do the same. Eh, Eric?” “Unfortunately, I don’t think it would work well with humans.” “Really?” “There is the relationship with your relatives and dissension among the nobles...” “Hmmm.” “Besides, I doubt the new king would enjoy having the previous ruler hovering around them.” Using the same system for humans seemed like it would just cause more fighting. That’s what I thought.
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心の中に描いてみて下さい あまり大き過ぎず ゴルフボールくらいでしょうかね 箱の中身をイメージして下さい でも中身をお見せする前に 人生を 大きく揺るがす物だとだけ言っておきます 家族全員があなたの為に集まり 溢れるほどの愛情と尊敬を受け 長年連絡のなかった友人や知人から 連絡を受けることでしょう 敬愛され 褒めたてられ 戸惑いすら感じるほどです 人生で最も重要なことを再確認させてくれます 精神性や信頼とは何かを 再定義してくれるでしょう 身体に対する新たな理解と 信頼が芽生えます この上ない活力を感じます 語彙は豊かになり 新たな人々に出会い より健康的な生活を送れます 更に これがあれば 全くなにもしなくてよい― 8週間の休暇を取れます たくさんのグルメを楽しみ 大量の花束が贈られてきます 人々は言うでしょう 「調子よさそうだね 何かしたの?」 加えて 一生分の 医薬品が提供されます 障害を前に 刺激 鼓舞され 謙虚な気持ちになるでしょう 人生に新たな意味を見い出します 平和 健康 平穏 幸福 涅槃に行き着くでしょう 費用はいくらかって? およそ5万5千ドルです ずいぶんおいしい話ですね 中身が何で どこで手に入るか 知りたくて仕方ないでしょう? Amazonで取り扱ってるのか? アップルのロゴはついてるのか? キャンセル待ちはあるのか? どれも当てはまりません 約5ヶ月前 私はこれを受け取りました こんな感じで包装されていました あまり見栄えしませんね それからこれと これもです これは珍しい宝石で 私に多くを与えた贈り物 脳腫瘍です 正確には 血管芽細胞腫でした 私はもう元気ですが 皆さんには 受け取って欲しくはありません 皆さんが欲しいかもわかりませんし しかし私の経験を偽る気はありません この贈り物によって 私の人生は 360度変わりました ここでお話したとおりです 今後 皆さんが 思いがけない 厄介な 先の読めないものに遭遇した際 考えてみて下さい それは贈り物なのかもしれません
I'd like for you to picture it in your mind. It's not too big -- about the size of a golf ball. So envision what it looks like all wrapped up. But before I show you what's inside, I will tell you, it's going to do incredible things for you. It will bring all of your family together. You will feel loved and appreciated like never before and reconnect with friends and acquaintances you haven't heard from in years. Adoration and admiration will overwhelm you. It will recalibrate what's most important in your life. It will redefine your sense of spirituality and faith. You'll have a new understanding and trust in your body. You'll have unsurpassed vitality and energy. You'll expand your vocabulary, meet new people, and you'll have a healthier lifestyle. And get this -- you'll have an eight-week vacation of doing absolutely nothing. You'll eat countless gourmet meals. Flowers will arrive by the truckload. People will say to you, "You look great. Have you had any work done?" And you'll have a lifetime supply of good drugs. You'll be challenged, inspired, motivated and humbled. Your life will have new meaning. Peace, health, serenity, happiness, nirvana. The price? $55,000, and that's an incredible deal. By now I know you're dying to know what it is and where you can get one. Does Amazon carry it? Does it have the Apple logo on it? Is there a waiting list? Not likely. This gift came to me about five months ago. It looked more like this when it was all wrapped up -- not quite so pretty. And this, and then this. It was a rare gem -- a brain tumor, the gift that keeps on giving. And while I'm okay now, I wouldn't wish this gift for you. I'm not sure you'd want it. But I wouldn't change my experience. It profoundly altered my life in ways I didn't expect in all the ways I just shared with you. So the next time you're faced with something that's unexpected, unwanted and uncertain, consider that it just may be a gift.
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どこが違う視点なのかというとー 幼児教育の話になると どんなすばらしい効果があるかが 通常 議論されます こんな幼児教育をうけた子供達は 他の子供より 学校のテストでより良い点数を取り 大人になってより高い収入を得るとか それはとても重要な事です しかし私がお話ししたいのは 幼児教育が 州の経済安定や発展を促すのに どんな役割を果たしているかです 実はこれはとても重要です なぜなら初期幼児教育への投資を増やすのに 必要なのは 州政府に興味を持ってもらう事だからです 連邦政府は手一杯なので 州政府が推し進めることになるからです ですから私達は州の議員達に 訴えかけなければいけません そして 州の経済発展を 促進しなければならないと 理解させるのです 経済的発展を促すといっても 魔法を使うわけではありません 早期幼児教育はもっと多くの より良い仕事を 産み出す可能性があり それゆえ 州の一人あたりの所得アップを 促進してくれるのです ところで通常人々は 州や地域の発展を始めから 育児や幼児教育プログラムに 結び付けるようなことは あまりしないですよね その通りです 私はこれらの問題に ほとんどの研究生活を費やしてきました そして経済発展局の役人や 多くの議員達に これらの議題について話をしました 経済発展について考える時 彼らがまず考えるのが 優遇税制や資産税減税 雇用創出控除についてです こんなプログラムは 至る所に山ほどあります 例えば 州がとても精力的に 新車工場や自動車工場拡大を促したとしましょう 彼らは全種の事業税制措置を施します それらが本当にビジネスを誘致できるなら これらの計画には意味があります これがもっと多くの より良い仕事を生み出す事によって 雇用率を上昇させ 州住人の個人所得を上げるからです 企業の税が安くなることで 州住民が 支払うコストに 見合う恩恵を受けられるのです 私の議論は本質的に早期幼児教育プログラムが まさに同じ事ができる そして もっと多くのより良い雇用を生むというものです 違う方法でですが 確かにより間接的ですがね これらのプログラムがより多くの良い雇用を生み出すには 質の高い幼児教育に投資し 将来的に地域の労働者の技術を向上させる事です 教育を受けた子供の多くがその土地に残れば 今度は その質の高い労働力が 地域社会の 雇用創出や 一人当たりの所得向上を 推進させる鍵となります では これに関する数字に目を向けてみましょう ここで広範囲に渡る研究の結果に注目します まずは 早期幼児教育プログラムが どれほど 現在の大人の学業成績や賃金やスキルに 影響を与えているかを示す研究― この効果はすでにわかっています また どのくらいの人が移住せずに 州に残って地方経済に貢献するか― そして彼らの能力がどれくらい 雇用を生み出せるか— これら3つの研究結果から 導き出された結論です 幼児教育に投資する1ドルに対して 州住民の一人あたりの所得は 2ドル78セント上昇するというもので つまり3倍の利益を産み出します これを16倍のリターンまで上げることも可能です もし犯罪がもっと減り 幼児教育を受けた人が 誰一人州から出ていかないと 仮定すればですが― しかしこの3ドルに注目するには 正当な理由があるのです なぜならこれは 行動するべき州の 州議員や政治家にとって重要な数字だからです 経済発展を考えた時 州の政治家が考慮すべき 重要なメリットがここにあるのです さて よく聞く反対派の意見ですが みんな遠慮して言わないから もしかしたら聞いたことがないかもしれませんね なぜ他人の子供達に投資するために より多くの税を払わなければいけないのかとか 自分に何の得があるのかというものです この反対意見が問題なのは 全くの誤解を反映しており 地域社会はどれ程 持ちつ持たれつの個々人を 巻き込んでいるか理解されていないことです とりわけここで言う相互依存とは 技術による大規模な波及効果のことです 他人の子供達がよりスキルを得る場合 実はスキルに変化のない人々を含む 他の全ての人も より繁栄するという事なのです 例えば何が実際 都市地域の成長を 促しているかという 莫大な調査の結果が示すのは 低課税 低コスト 低賃金の状況などではなく その地域のスキルの高さです スキルを測る尺度は その地域の大学卒業率です 例えばボストンやミネアポリス セントポール シリコンバレーのような都市地域を見ると これらの都市は低コストだから 経済的にうまくいっているというわけでは ありません シリコンバレーで家を買うなら まったく安くはありません ハイレベルなスキルを持っているため これらの都市は成長できるのです ですから他人の子供達に投資し 彼らのスキルを高める事は 都市部全体の雇用率を 上げる事なのです 他の例を挙げてみましょう 何が個人の賃金を決定するのかという 統計の研究を見ると 個人の賃金は 部分的には受けた教育に 関係するという事が わかります 例えば大卒かどうかということです もう一つ付け加えると 面白いことに あなた個人の教育水準が一定に 保たれている場合においても 統計的に見ると 都市地域の他の人全ての教育水準が あなたの賃金に影響を与えます あなたの教育背景が変わらなくとも 都市地域の大卒率を上げたなら あなたの賃金にとても良い影響を 与えるという事がわかるでしょう 実際その効果はとても高いので ある人が学位をとった時 都市地域の他の人達の賃金に 与える波及効果は 実はその直接的な影響より大きくなります 学位をとった場合 その人の生涯賃金は 70万ドル以上も上がります 都市地域の大卒率を上げるという事は その地域の全ての人への影響があります 一個人だけでは小さな影響ですが 都市地域全ての人の教育水準を上げた場合 実際 合計すると 1人当たりの賃金を 100万ドルほど上げる事になります 教育を受ける事を選んだ本人が 直接受ける利益より 実際はるかに大きいのです ここで何が起こっているのか これら絶大な教育の波及効果を どう説明できるのでしょうか こう考えてみましょう 私が世界で最もスキルを持った人物だったとします しかし自分の会社の 他の全ての人にスキルがなければ 雇用主は新しい生産技術を導入する事は 難しいと思うようになるでしょう 結果として雇用主は生産的ではなくなり 私に良い賃金を払う余裕はなくなるでしょう たとえ会社の人がスキルを持っていたとしても 会社の仕入れ元の人々が 優秀なスキルを持っていなければ 私の会社は 国内・国際市場で戦うには 競争的ではなくなるでしょう また同様に 競争力の低い会社は 私に良い賃金を払う事はできないでしょう そしてハイテクビジネスでは特に 絶えず他のビジネスからアイデアや人材を盗んでいます ですからシリコンバレーの会社の生産性は明らかに その会社で働いている人達のスキルだけではなく 都市地域の他の会社の人達のスキルと 大いに関係しているのです 結局 質の高い幼児教育などを通して 他人の子供達に投資する事ができれば その子供達を手助けしているだけでなく 都市地域の全ての人々が高い賃金を受け取ったり 職を得ることの支援に なるのです 幼児教育投資に関して ここで 時々見かける別の反対意見は 移住する人達についての問題です 例えばオハイオ州が コロンバスの幼児教育に より力を注ぐことを 検討しているとします しかしオハイオ州の子供達が 将来的に ミシガン州のアナーバーに移住するのではと 心配します そしてミシガン州は アナーバーの幼児教育に投資しても ミシガンの子供達が結局移住して オハイオ州の住人になるのではと心配します みんな移住してしまうのだからと 両者ともに投資を控えてしまいます データを見ると実は 人々が思うほど アメリカ人は移動に 積極的ではありません 60パーセント以上のアメリカ人が 職務キャリアのほとんどを 生まれた州で積んでいるとデータは示しています その比率は州によってそんなに変わりません 州の経済や 好景気 不景気かによっても そんなに変わらない 時代によってもそんなに変動しない つまり子供達に投資をしたならば 実際その子供達は その州に留まるであろうという事です あるいは少なくとも 彼らのうち州経済に 還元するのに十分な程には留まるでしょう 要するに 高い質をもって 幼児教育が運営されるなら より高度な熟練したスキルがもたらされるのだと 多くの研究は示しているのです また研究結果から 州に留まる人達は地元州の経済により関心を持つようになり 高度なスキルを持つ働き手が多くいる事は 地域経済に高賃金と高い雇用を もたらすという事が 証明されています 計算すると 1ドルの投資に対して 州の経済に3ドルほどの利益が あるとわかります 私の意見では この研究の結果は とても説得力があり 論理的です ではこれを成し遂げるための障害とは何でしょう そうですね 一つ明らかな障壁はコストです いったいどれくらいのコストがかかるのかー もし全ての州政府が 4歳の全日プログラムの全幼稚園に投資したら その全国内コストは 大体300億ドルにもなるでしょう 300億ドルは大金です 一方合衆国の人口が 3億人以上であることを考えれば 私達は1人当たり100ドルくらいの額の お金について話していると いう事になります いいですか 1人当たり100ドルというのは どの州政府でも払う余裕のある額です つまり単に政治的な意思の問題なのです もちろん先ほど述べたように このコストは利益と比例します 私は余剰収入の800億ドルの観点から 州経済におよそ3倍の 利益があると言いました ここで何十億という想像しにくい話を 身近な話にたとえましょう それはつまり 平均的な低収入の家庭の子供に 幼児教育を受けさせるだけで その子供の生涯にわたっての収入を 約10%増やせるという事なのです 幼稚園から高校卒業までの教育や 大学の授業料や進学率を改善するわけではなく ただ幼稚園を直接改善するだけで 中流家庭の子供達は5%高い収入を 得ることができます ですからこれは 州人口における幅広い所得層に対して 具体的な意味で見返りがあって 多くの明白な利益を生む投資なのです これでコストの障害はクリアです 実はもっと根深い障壁は 早期幼児プログラムのメリットが明らかになるまでに 時間がかかることです この議論で私が言いたいのは 地域の労働力の質を高めれば 経済発展が促されるという事です 4歳児の幼稚園があったとしても 5歳になったらすぐ悪環境の中で 働かせるわけではないでしょう? 私はそう願います 私達が話しているこの投資は 州経済に与える影響の視点からすると 15~20年は元が取れるものではないでしょう もちろんアメリカは 短期的思考の社会として悪名高い国です これに対して お答えできるのは これらのプログラムには特殊教育や補習教育の コストの早期削減において 利益があるということです また親が早期教育に関心を持ち 良質な幼稚園を求め 移動することによる 経済効果があるかもしれません その通りなのですが ある意味 重要な点を見落としています 結局私達は 将来の為に投資しているのです 最後に皆さんに考えていただきたいのは 究極ともいえる問題です 私は経済学者ですが これは究極的には 経済学の問題ではなく モラルの問題なのです 私達はアメリカ人として また社会としてー 自分達の子供の為だけでなく 私達の地域共同体の長期的な将来を良くする為に 敢えてもっと税金を払い 今を犠牲にする政治的選択をすることが できるでしょうか? 国としてできるでしょうか? そしてそれは各市民そして有権者が 自分自身に問いかける必要があることなのです あなたは長期的投資に関心を持ち 投資に値するものだと信じますか それが投資の概念なのです 後の利益の為に 今を犠牲にするのです 地域経済の幼児教育利益に関する 研究による証拠は かなり強いと私は思います しかし 市民としてまた 有権者としての モラルと政治の選択は依然として私達次第なのです ありがとうございました(拍手)
It's a different idea, because usually, when people talk about early childhood programs, they talk about all the wonderful benefits for participants in terms of former participants, in preschool, they have better K-12 test scores, better adult earnings. Now that's all very important, but what I want to talk about is what preschool does and for promoting state economic development. And that's actually crucial because if we're going to get increased investment in early childhood programs, we need to interest state governments in this. The federal government has a lot on its plate, and state governments are going to have to step up. So we have to appeal to them, the legislators in the state government, and turn to something they understand, that they have to promote the economic development of their state economy. Now, by promoting economic development, I don't mean anything magical. All I mean is, is that early childhood education can bring more and better jobs to a state and can thereby promote higher per capita earnings for the state's residents. state and local economic development, they don't generally think first about what they're doing about childcare and early childhood programs. I know this. I've spent most of my career researching these programs. I've talked to a lot of directors of state economic development agencies about these issues, a lot of legislators about these issues. When legislators and others think about economic development, what they first of all think about are business tax incentives, property tax abatements, job creation tax credits, you know, there are a million of these programs all over the place. So for example, states compete very vigorously to attract new auto plants or expanded auto plants. They hand out all kinds of business tax breaks. Now, those programs can make sense if they in fact induce new location decisions, and the way they can make sense is, by creating more and better jobs, they raise employment rates, raise per capita earnings of state residents. So there is a benefit to state residents that corresponds to the costs that they're paying by paying for these business tax breaks. My argument is essentially that early childhood programs can do exactly the same thing, create more and better jobs, but in a different way. It's a somewhat more indirect way. These programs can promote more and better jobs by, you build it, you invest in high-quality preschool, it develops the skills of your local workforce if enough of them stick around, and, in turn, that higher-quality local workforce will be a key driver of creating jobs and creating higher earnings per capita in the local community. Now, let me turn to some numbers on this. Okay. If you look at the research evidence -- that's extensive -- on how much early childhood programs affect the educational attainment, wages and skills of former participants in preschool as adults, you take those known effects, you take how many of those folks will be expected to stick around the state or local economy and not move out, and you take research on how much skills drive job creation, you will conclude, from these three separate lines of research, that for every dollar invested in early childhood programs, the per capita earnings of state residents go up by two dollars and 78 cents, so that's a three-to-one return. Now you can get much higher returns, of up to 16-to-one, if you include anti-crime benefits, if you include benefits to former preschool participants who move to some other state, but there's a good reason for focusing on these three dollars because this is salient and important to state legislators and state policy makers, and it's the states that are going to have to act. So there is this key benefit that is relevant to state policy makers in terms of economic development. Now, one objection you often hear, or maybe you don't hear it because people are too polite to say it, is, why should I pay more taxes to invest in other people's children? What's in it for me? And the trouble with that objection, it reflects a total misunderstanding of how much local economies involve everyone being interdependent. Specifically, the interdependency here is, is that there are huge spillovers of skills -- that when other people's children get more skills, including people whose skills don't change. So for example, numerous research studies have shown if you look at what really drives the growth rate of metropolitan areas, it's not so much low taxes, low cost, low wages; it's the skills of the area. Particularly, the proxy for skills that people use is percentage of college graduates in the area. So when you look, for example, at metropolitan areas such as the Boston area, Minneapolis-St. Paul, Silicon Valley, these areas are not doing well economically because they're low-cost. I don't know if you ever tried to buy a house in Silicon Valley. It's not exactly a low-cost proposition. They are growing because they have high levels of skills. So when we invest in other people's children, and build up those skills, we increase the overall job growth of a metro area. As another example, if we look at what determines an individual's wages, and we do statistical exploration of that, what determines wages, we know that the individual's wages will depend, in part, on that individual's education, for example whether or not they have a college degree. One of the very interesting facts is that, in addition, we find that even once we hold constant, statistically, the effect of your own education, the education of everyone else in your metropolitan area also affects your wages. So specifically, if you hold constant your education, you stick in percentage of college graduates in your metro area, you will find that has a significant positive effect on your wages without changing your education at all. In fact, this effect is so strong that when someone gets a college degree, the spillover effects of this on the wages of others in the metropolitan area are actually greater than the direct effects. So if someone gets a college degree, their lifetime earnings go up by a huge amount, over 700,000 dollars. There's an effect on everyone else in the metro area of driving up the percentage of college graduates in the metro area, and if you add that up -- it's a small effect for each person, but if you add that up across all the people in the metro area, you actually get that the increase in wages for everyone else in the metropolitan area adds up to almost a million dollars. That's actually greater than the direct benefits Now, what's going on here? What can explain these huge spillover effects of education? Well, let's think about it this way. I can be the most skilled person in the world, but if everyone else at my firm lacks skills, my employer is going to find it more difficult to introduce new technology, new production techniques. So as a result, my employer is going to be less productive. They will not be able to afford to pay me as good wages. Even if everyone at my firm has good skills, if the workers at the suppliers to my firm do not have good skills, my firm is going to be less competitive competing in national and international markets. And again, the firm that's less competitive will not be able to pay as good wages, and then, particularly in high-tech businesses, they're constantly stealing ideas and workers from other businesses. So clearly the productivity of firms in Silicon Valley has a lot to do with the skills not only of the workers at their firm, but the workers at all the other firms in the metro area. So as a result, if we can invest in other people's children through preschool and other early childhood programs that are high-quality, we not only help those children, we help everyone in the metropolitan area gain in wages and we'll have the metropolitan area gain in job growth. Another objection used sometimes here to invest in early childhood programs is concern about people moving out. So, you know, maybe Ohio's thinking about investing in more preschool education for children in Columbus, Ohio, but they're worried that these little Buckeyes will, for some strange reason, decide to move to Ann Arbor, Michigan, and become Wolverines. And maybe Michigan will be thinking about investing in preschool in Ann Arbor, Michigan, and be worried these little Wolverines will end up moving to Ohio and becoming Buckeyes. And so they'll both underinvest because everyone's going to move out. Well, the reality is, if you look at the data, Americans aren't as hyper-mobile as people sometimes assume. The data is that over 60 percent of Americans spend most of their working careers in the state they were born in, over 60 percent. That percentage does not vary much from state to state. It doesn't vary much with the state's economy, whether it's depressed or booming, it doesn't vary much over time. So the reality is, if you invest in kids, they will stay. Or at least, enough of them will stay that it will pay off for your state economy. Okay, so to sum up, there is a lot of research evidence that early childhood programs, if run in a high-quality way, pay off in higher adult skills. There's a lot of research evidence that those folks will stick around the state economy, and there's a lot of evidence that having more workers with higher skills in your local economy pays off in higher wages and job growth for your local economy, and if you calculate the numbers for each dollar, we get about three dollars back in benefits for the state economy. So in my opinion, the research evidence is compelling and the logic of this is compelling. So what are the barriers to getting it done? Well, one obvious barrier is cost. So if you look at what it would cost if every state government invested in universal preschool at age four, full-day preschool at age four, the total annual national cost would be roughly 30 billion dollars. So, 30 billion dollars is a lot of money. On the other hand, if you reflect on that the U.S.'s population is over 300 million, we're talking about an amount of money that amounts to 100 dollars per capita. Okay? A hundred dollars per capita, per person, is something that any state government can afford to do. It's just a simple matter of political will to do it. And, of course, as I mentioned, this cost has corresponding benefits. I mentioned there's a multiplier of about three, 2.78, for the state economy, in terms of over 80 billion in extra earnings. And if we want to translate that from just billions of dollars to something that might mean something, what we're talking about is that, for the average low-income kid, that would increase earnings by about 10 percent over their whole career, just doing the preschool, not improving K-12 or anything else after that, not doing anything with college tuition or access, just directly improving preschool, and we would get five percent higher earnings for middle-class kids. So this is an investment that pays off in very concrete terms for a broad range of income groups in the state's population and produces large and tangible benefits. Now, that's one barrier. I actually think the more profound barrier is the long-term nature of the benefits from early childhood programs. So the argument I'm making is, is that we're increasing the quality of our local workforce, and thereby increasing economic development. Obviously if we have a preschool with four-year-olds, we're not sending these kids out at age five to work in the sweatshops, right? At least I hope not. So we're talking about an investment that in terms of impacts on the state economy is not going to really pay off for 15 or 20 years, and of course America is notorious for being a short term-oriented society. Now one response you can make to this, and I sometimes have done this in talks, is people can talk about, there are benefits for these programs in reducing special ed and remedial education costs, there are benefits, parents care about preschool, maybe we'll get some migration effects from parents seeking good preschool, and I think those are true, but in some sense they're missing the point. Ultimately, this is something we're investing in now for the future. And so what I want to leave you with is what I think is the ultimate question. I mean, I'm an economist, but this is ultimately not an economic question, it's a moral question: Are we willing, as Americans, are we as a society still capable of making the political choice to sacrifice now by paying more taxes in order to improve the long-term future of not only our kids, but our community? Are we still capable of that as a country? And that's something that each and every citizen and voter needs to ask themselves. Is that something that you are still invested in, that you still believe in the notion of investment? That is the notion of investment. You sacrifice now for a return later. So I think the research evidence on the benefits of early childhood programs for the local economy is extremely strong. However, the moral and political choice is still up to us, as citizens and as voters. Thank you very much.
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バトロワか明けた今日ももちろんNSOにログインした。 思い返せばまるで少年漫画の主人公のように戦いに熱中してしまった。 今はぐっすり眠ったことで頭は冴えてる。 悔しい気持ちは変わらないが、一晩冷静に考えたことでわかったこともある。 やはり、俺の理論は間違っていないということだ。 遠くから敵を攻撃できたからこそ最多キルが取れた。 敵に接近を許してしまったから戦いに負けた。 こは矛盾しない。 射程を伸ばすプレイスタイルが否定されたわけではないんだ。 むしろ、敗北がこの理論の正しさを補強してくれたと言っても過言ではない。 射程を伸ばして反撃されない位置から攻撃する。 この理論を胸に今日からまた鍛えまくるぞ。 「さて、まずは貰ったNSOメダルを使ってみるか」 NSOメダルは専用のショップであらゆる物と交換できる。 スキルや装備はもちろんのこと、オシャレアイテムや特別なスキンなどとも交換できる。 俺の場合はオシャレよりも強さを追求したいから、スキルや装備が欲しいな。 ......と思っていたのだが、実際にショップに来て交換するとなると悩む。 俺、レアアイテムとか残しておきたいタイプなんだよな。 使わずに残しておく意味もないのに、もう手に入らないとなると結局エンディングまで使えない。 NSOメダルはまたイベントで手に入るけど、入手難易度が高いことに変わりはない。 交換レートもスキル1つにメダル50枚と高めだ。 なんて思いつつカタログをスクロールしていると、下の方にすごいスキルを見つけてしまった。 「このスキルとこのスキルをいただけますか?」 ちゃんと交換できる物を最後までチェックして正解だったな。 この俺に即決させるレベルのスキルが2つもあった。 メダルを100枚使っても後悔はない。 次に強化すべきは装備だ。 今回のイベントは着心地を優先し、初心者装備のまま戦いに挑んだ。 だが、流石にこの先もこのままというわけにはいかない。 新しい装備を早めに手に入れ、体に馴染ませておきたい。 残り100枚ちょっとのメダルで装備を交換しようかと思ったが、一式揃えようとすると枚数が足りない。 『両腕』の枠はゴリラの拳でいいとしても、『頭部』『胴体』『脚部』『両足』を揃えなければならないし、『装飾』に関しては同時に3つも装備できる。 ここはメダルを温存し、別の方法で装備を揃えるとしよう。 その別の方法とは......ネットで得た情報をもとにしたフィールド探索である。 攻略に頼ったというより、目に入ってしまったのだ。 昨日の夜、ログアウトした後もNSOについて寝ころびながら調べていた。 主にバトロワに関する感想を見ていたのだが、その際に『フィールドの特定のポイントに行くと装備が手に入る』という眉唾な情報が流れてきた。 最近プレイヤーから投稿された裏技のようで、真偽は不明だ。 正直怪しいと思うが、子どもの頃は友達の間で広まった謎の裏技を本当に試してみたものだ。 時間はあるし、本当だったら得をする。 騙されたら騙されたで笑い飛ばして懐かしい気持ちになればいい。 俺はこの情報に記された場所に行ってみることにした。 ◆ ◆ ◆ 「ここらへんのはずなんだけど......特に目立つ目印がないからなぁ」 その場所は薄暗い山の中といった感じだった。 出てくるモンスターは問題なく倒せる。 強力なモンスターが出るところに初心者を誘い込む罠ではないようだ。 うーん、罠ではないけど装備が手に入る気配はないな。 こう不思議な雰囲気の石碑とか やっぱガセなのだろうか? ミシ......ミシミシ......パキッ! 「ん? うわああああああああああああ!!!」 お、落とし穴!? 枯れ葉で隠されていてまったくわからなかった! でも、この穴の先に装備が隠されているのかも......。 「..................」 穴の下を見て俺は絶句した。 恐怖のあまり声も出なかった。 大きな虫が......俺をうじゃうじゃ待ち構えているのだ。 この先どうなるのか......想像するのを俺の脳は拒んだ。 ただ、無心で弓を上に向けて矢を放った。 キリリリリ......シュッ! ストンッ! 矢が穴の上にあった木の枝に刺さる。 そして、俺の体はその矢の位置にワープした。 な、なんとか底に落ちる前に助かった......。 本当にメダルと交換しておいてよかった。 この【ワープアロー】をな......。 【ワープアロー】 矢の刺さった位置にプレイヤーを移動させる。 長距離移動や緊急脱出にも使える超便利スキルだ。 これは見た瞬間手に入れないとと思った。 敵に接近された時の逃走手段にも使えるからな。 それにしても、ガセはガセでも悪質なガセだな!? きっとこの落とし穴は天然のもので、運悪く落ちて虫にキルされてしまった人がいたのだろう。 確かにそんな目にあったら、誰かにも同じ思いをさせたくなる気持ちはわかる。 でも、やったらダメだ! 俺、脱出できてなかったらショックで引退してたかもしれない......! ガセつかまされて強いモンスターにキルされるのならば笑える。 虫に襲われるのはちょっと笑えるラインを超えているぞ。 これは良識ある大人として放置するわけにはいかない。 見るのも嫌だが、穴の底の虫をすべて退治しておこう そうすれば、ただの落とし穴になるからな。 「こっちにはちょうどいい新スキルもあるんだ......。バーニングアロー!」 炎を纏った矢が穴の底で爆発する。 これも【ワープアロー】と同じく、メダルで獲得したスキルだ。 【バーニングアロー】 炎を宿した矢を放つ。着弾と同時に小さな爆発を起こす。 普通の矢は刺さっても傷口が小さい。 頭や胸の急所に刺さらないとダメージも出ない。 小さいが爆発を起こすことでダメージは増加し、外しても爆風で少しはダメージが入る。 また攻撃範囲が広いので、今回みたいにうじゃうじゃ敵がいる時は役に立つ。 属性が炎なのも良い。炎を弱点とするモンスターは多い。 例えば......虫とかな。 「バーニングアロー!」 キリリリリ......シュボッ! バァンッ! 穴の底が炎で満たされる。 気持ち悪くて直視は出来ないが、よく燃えているようだ。 このまま一匹残らず退治してやる! 「バーニングアロー! バーニングアロー! バーニングアロー!」 キリリリリ......シュボッ! シュボッ! シュボッ! バァン! バァン! バァン! MP回復アイテムを使いつつ、無心で射撃を続けた結果、穴の中には何もいなくなった。 倒されたモンスターは光になって消えるシステムがこんなにありがたいと思ったことはない。 虫が好きな方には申し訳ないが、俺は正しいことをしたと思う。 仕事をやり切った男の気分だ。清々しい。 会社にいた頃はあまり味わったことのない気分だな。 「さて、使命は果たした。帰ろう」 とはいえ、これが天然の落とし穴なら中にいたモンスターは時間経過で復活するかもしれない。 SNSのアカウントとか持ってないけど、騙された一人としてあの情報はガセだと発信するべきだろうか。 真実が広まれば、嫌な思いをする人は減るし......。 『現在の職のレベルが最大値に達しました』 「......へ?」 『第2職へのクラスチェンジが可能です』 頭の中に声が響く。 ステータスを確認すると、確かに『射手』のレベルがMAXの20になっていた。 俺、そんなに虫を倒してたのか? というか、穴の中にモンスター詰め込みすぎだろ運営......。 炎上する前にアプデで撤去した方が良いぞ。 「ま、まさかこんな方法でレベルを上げることになるとは......」 不幸中の幸いか、怪我の功名か......。 どちらにせよ、良いことをした後にはご褒美があるようだ。 今こそ、第2職への扉を開こう。
It was the next morning after the battle royale, and of course, I logged into NSO again. Now that I thought back on it, I had really become so passionate, just like the protagonist in a comic book. But after a good night’s sleep, I was cool-headed again. There was still anger about losing, but there were also several things I now understood after giving it some thought. The first, was that I wasn’t on the wrong path. I was able to get the most kills due to my ability to attack from a great distance. I had only lost because I allowed the enemy to get too close to me. These two did not contradict each other. It wasn’t as if my playstyle had proven to be ineffective. If anything, you might say this defeat only further proved how correct I had been. Increase my range so that I can attack without worrying about counterattacks. It was with this rationale that I would continue to train today. “So, I guess I should use those NSO medals that I acquired.” These NSO medals could be exchanged for all kinds of things in the shop. Not only were there skills and equipment, but cosmetic items and rare skins as well. In my case, I wanted to pursue strength over appearances, and so I would choose skills and equipment. ...But when I actually arrived at the shop, it turned out that choosing things to trade in was quite difficult. I was the type who wanted to keep rare items. Even if there was little point in keeping them, knowing that I wouldn’t get any more made me save them until the very end. I would have more opportunities to win NSO medals in other events, but they were still very difficult to get. As for the rate, it was about medals per skill. It was as I was thinking this while scrolling through the catalogue. I suddenly saw an amazing skill at the bottom. “Can I have this skill and this skill?” There were two skills that I decided on immediately. And even losing medals was not going to make me feel regret. It was perfect. The next thing I needed to strengthen was equipment. In the last event, I had prioritized comfort, and so went out to fight in my beginner equipment. However, there was no way that I could continue to do this. It would be best to get some new equipment early on, and get used to wearing it. And so I had hoped to use the remaining 100 medals to get new equipment, but it was not enough to get a whole set. Even if I kept using the gorilla fists for my arms, there was still my ‘head,’ ‘body,’ ‘legs,’ and ‘feet.’ And there were 3 slots for accessories. It seemed like it would be a better idea to save the medals and get my equipment somewhere else. Somewhere else... In other words, searching the field based on information found on the net. It wasn’t that I was relying on guides, but I just happened to have stumbled upon it. Last night, even after logging out, I lay in bed and read about NSO. I was mainly reading comments related to the battle royale. And it was then that I saw something about being able to acquire equipment if you went to a certain area of the map. Apparently, this was something discovered recently, and I wasn’t sure if it was even true. Still, it was the kind of thing that you wanted to put to the test. It reminded me of being a kid and hearing my friends talk about hidden tricks within games. I had the time, so it was worth trying. If it turned out that I was fooled, I would have a good laugh and a fond memory. And so I decided to go to the spot that had been pointed out. ◆ ◆ ◆ “It should be around here... But I don’t see anything that sticks out.” I was in a fairly dark mountain area. All the monsters that came out were easy enough to kill. So at least this wasn’t some kind of trap to lure in beginners. Hmmm. While there were no traps, it didn’t feel like I was going to find any equipment either. If only there was some kind of mystical monument or shrine nearby... Maybe it was a false rumor after all? Rustle...rustle...snap! “Huh? Aaaaahhhh!!!” A-a pitfall!? It had been covered in leaves so that I didn’t see it! But what if this was where the equipment was hidden... “...” I looked down in horror. The fear was so overwhelming that I couldn’t even utter a sound. Large bugs...were swarming there. Waiting for me. What would happen next...I stopped myself from imagining it. All emotion was pushed aside as I pointed my bow upwards and fired. Kiriririri...shu! Thud! It went into the branch of the tree above me. And then I warped to where the arrow had landed. Somehow, I managed to hold on without falling back into the pit... It was a good thing I had traded in those medals. This was ‘Warp Arrow’... [Warp Arrow] Teleports the player to where the arrow landed. It was a convenient skill for long distance travel or escape. I knew that I needed it as soon as I laid eyes on it. I would be able to use it to escape even if the enemy got close. Still, it was one thing for the information to be fake, but did it have to be this nasty!? This pitfall was likely naturally made. And someone must have been unlucky enough to fall in and be killed by the bugs. And to be honest, I could understand the desire to have people share in the pain. But you still shouldn’t do it! Had I not been able to escape, I might have been so traumatized that I ended the game with an early retirement...! Yes, the idea of being killed by a powerful monster because you were gullible enough to believe a rumor was pretty funny. But being eaten to death by bugs was crossing the line of good humor. And since I was an adult with morales, I decided that I couldn’t leave them here. Even though I didn’t want to look at them, I would kill all of the bugs in the pit. And then it will just be an ordinary hole. “Besides, I have just the right skill for the job... Burning Arrow!” An arrow that was enveloped in fire shot into the pit and exploded. Just like ‘Warp Arrow,’ this was a skill I had acquired with the medals. [Burning Arrow] Unleashes a fiery arrow that causes a small explosion during impact. Ordinary arrows only made small wounds even when they hit. So you had to aim for the head or chest if you wanted to deal great damage. The small explosion would increase the damage. And even if you missed, the explosive winds would cause some damage to your target. Furthermore, the area of effect was quite large, which made it perfect for attacking groups of monsters like these bugs. Especially because it used fire. There were a lot of monsters who were weak to fire. For instance...these ones. “Burning Arrow!” Kiririri...shubo! Boom! The bottom of the pit was filled with flames. It was too disgusting to really look at, but I could see that it was burning up well. I wouldn’t let a single one of them get away! “Burning Arrow! Burning Arrow! Burning Arrow!” Kiririri...shubo! Shubo! Shubo! Boom! Boom! Boom! I continued to shoot arrow after arrow while also using MP recovery items. And in the end, there was nothing left inside of the pit. The dead monsters turned into light and disappeared. I was never more grateful for that system. I apologize to all the bug lovers out there, but I believe that I did the right thing. Yes, I felt like a man who had done his job to the fullest. It felt good. It was a feeling I rarely felt back at the company I used to work at. “Well, now that that’s done, I should head back.” That being said, the monsters might just respawn after some time had passed. I didn’t have any social media accounts, but should I try and spread the word that this was a trap? It would mean fewer traumatized people... ‘Your job level has reached its max.’ “...Huh?” ‘It’s now possible to change to a second class.’ The voice rang in my head. When I checked my status, I did see that ‘Archer’ had reached level 20, which was the maximum level. Had I really killed that many bugs? Management really needs to practice some self-control there... They should update it before the backlash begins. “Well, I didn’t expect to gain so much experience like this, but...” Fortune among misfortune, or just a lucky break... In any case, it seemed like good deeds were actually rewarded. Yes, I would open the door to the second job.
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◇◆◇◆◇ その理由しかない。彼らの主導的立場にあるクファルが不機嫌そうにテーブルを指で叩いていたからだ。 その外見はいつもとまったく変わらないように見えるだけに、より不機嫌さが際立って見えた。 「........................」 「......そうだな」 ぼそりと、独り言のように漏れた言葉に、それぞれが重い答えを返す。 「ああ。だが質を落としたつもりはないんだ」 「数もそれほど減っていない。エリオット王の取り締まりの強化を考えると、むしろ良くやっていると見ていい」 「以前ほどあったが、そっちの方が異常だったという可能性はないか?」 ここ最近、召喚の成功率が激減してることへの反論だった。 無論、彼らの手落ちというわけではない。減った分はクファルが秘密裏に捕食しているせいだ。 生贄として使う奴隷は、エリオット王の施策によって、その獲得が大幅に減少している。 「......足りないのかもしれないな」 「数か? それは前と変わっていないはずなんだが」 一応他の客もいる手前、露骨な単語の使用は控えている。クファルの言葉を、生贄の数が足りないのではないかと解釈し、それに異論を唱えて見せた。 不機嫌そうな相手に反論するなど、肝の冷える行為ではあるが、これ以上の活動の激化は、組織の存続にかかわりかねない。 「いや、違う。足りないのは質の方さ」 「質と言ってもな。これも以前とはあまり変わっていないはずなんだが」 「物質的なモノじゃないさ。精神的なモノだ」 古来より、生贄として子供や処女が貴ばれていた。それは今でも変わらない。 「邪竜の危機が去り年以上が過ぎた」 「ああ、二くらいか?」 「そうだ。その当時は人々も絶望していた。そしてそれは倒された後も、この北部では続いていた」 「それは治安の回復がこの北部では特に遅れていたからだな」 エリオット王がこの北部に三か国連合を建国するまで、無政府状態が続いていた。 「安寧な暮らし、それは言うなれば未来への希望だ。今、民衆は復興の希望で湧いている。絶望が足りない」 「だが、生贄は捕らえられた段階で絶望してはいないか?」 「そう。だけどまだ助けが来るのではという希望も抱いている。そしてそれはぎりぎりまで変わらない。もっと深い絶望が必要じゃないか?」 「深い、と言われてもな?」 「助けなど来ない。万が一助かったとしても、将来の希望などない。そんな深い絶望を持った生贄を用意したい」 クファルの提案に、他の三人は顎に手を当てて思案する。 今の状況では、攫ってきてそのまま生贄に使うという流れになっている。その結果に不満を抱いているのなら、どこかで改善する必要がある。 「質と言われても、結局すぐには改善できない。ならば数で補うしかないのではないか?」 「回転を速めるということか? だが仲間にできそうなやつを取り込むのには時間がかかるぞ。召喚士や貴重な能力を持つ連中は、できるなら手駒として取り込みたい。我々はやはり数に劣る」 「それにすぐに利用しては、足が付きやすくなってしまうかもしれない」 彼一人では生贄を用意する効率は落ちる。やはり組織という力はまだ必要だった。 「ふむ、なるほどね。では即席で村を一つ落とすのはどうだろう?」 「どうやって? 最近は締め付けが激しいから、それすら心許無いのだが」 「それはこの近辺の治安が整ったから、管理できるという面もある。ならそれを乱してしまえばいい」 「乱すとは?」 「そうだな――まずは六英雄の足を止めないといけないな」 北部の治安の一角を担う六英雄の一人、ライエル。その戦力を封じることは難しいが、他所に移動するのを制限するのは不可能ではない。 「まず、ライエルの村のそばに雑魚を一匹配置しよう。いや、できれば数が多い方がいいんだけど」 を配置しよう。あれなら群れで行動する」 「よし、ではその方針で。ライエルがこれを討伐し、その原因を調査するのに数日はかかるだろう。その間に別の村を狙う」 「ふむ......だがそれだけ目立つ行動は危険ではないか?」 「もちろん何度も通用する手じゃない。だから一度だけだね。それに、北部だけで動くわけじゃないし」 「というと?」 「そうだね。この件が終わったら、フォルネウス聖樹国に遠征するのはどうだろう?」 「世界樹教の総本山か......」 そこに遠征するというのは、彼らの本懐とも言えた。そこで暴れまわる自分たちを想像し、一瞬恍惚とした表情を浮かべてしまう。 「悪く、ないな」 「ああ、連中に一泡吹かせられるのは、悪くない」 「どうやら決定のようだね。では本命の選定に入ろうか」 ライエルのいる村の近くにニードルビートルを配置するのは決定事項。では本命に狙う村をどこにすべきか。 彼らは先ほどまでの重い空気とはまったく違う明るい表情で、邪悪な計画を練り始めていたのだった。 ◇◆◇◆◇
◇◆◇◆◇ The usual tavern, the usual table, the usual four people. However, the atmosphere around them was not the usual. There was just one reason for that. Because their leader figure, Kufar, was tapping on the table with his finger in displeasure. He tapped on it with a fixed rhythm. But strangely enough, he was not saying anything. He looked quite the same as always, but his displeasure was quite conspicuous. He was not actually displeased, but the other three had no way of knowing that. “.........” “...Yes.” Each of them replied uneasily at his monolog-like mutter. “Lately, the success rate of summoning has dropped under %.” “Yeah. But we haven’t dropped in quality.” “And the numbers haven’t gone down that much either. Considering the strengthened control from King Elliot, you could say we are doing better than expected.” “We were at % before, but don’t you think that was abnormal instead?” Of course, it was not their oversight that caused this drop. It was because Kufar had been preying on them behind the scenes. But even that was not enough for him. He wanted to eat stronger beings and add them to his strength. But doing any more than this would just make them stand out. The acquisition of sacrificial slaves had become very restricted due to King Elliot’s policies. Even so, they were making it up by capturing passerby Adventurers and peddlers. “...It might not be enough.” “Numbers? I don’t think it’s that different from previous though.” There were other customers around, so they were refraining from saying specific words. He interpreted Kufar’s words to mean the sacrifice number and objected to it. It was scary to object to Kufar who was in a bad mood, but increasing their activities any more would risk the survival of their organization. “No, not that. I’m talking about quality.” “Even if you say that, I don’t think it’s that different from before either.” “I’m not talking about physically, but mentally.” From times immemorial, children and virgins have been prized as sacrifices. That fact has not changed even now. It was close to impossible to cover all the required sacrifices with that, but the ratio should not have changed from before. But Kufar was saying that it had. “It has been over twenty years since the Evil Dragon crisis has ended.” “Yeah, about twenty five years, I guess?” “Right. So people at the time were desperate. And that has continued in the north even after the Evil Dragon was defeated.” “Because it took a long time for the north to regain its public order.” Before Elliot founded this United Alliance of the North, it was in a state of anarchy. And its public order did not immediately diffuse even after he did. After all, he was only a five year old child at the time. Even so, his reign started to show power as he grew, and the order had started to settle down in every place. It could be said that people had finally obtained their peaceful lives. “Peaceful life, that in other words, could be called hope for the future. Now, people are full of hope for the revival. There isn’t enough despair.” “But don’t they start despairing the moment they are caught?” “Yes. But they still hold on to the hope that someone would come to the rescue. And they hold on to it until the very end. Don’t you think we need to give them a deeper form of despair?” “So you say, but what would that deeper form be?” “The rescue won’t come. Even if they do, they would have no hope for the future. We need sacrifices with such deep despair.” The other three started pondering with hands to their chins at Kufar’s proposal. At present, they were catching and using them as sacrifices as is. If Kufar found that unsatisfactory, they had to make some improvements. But they could not think of a way that would give them a deeper despair. “But we can’t suddenly improve the quality. Don’t you think the only way would be to make up for it with numbers?” “So speed up our rotation? But it’ll take a while to find people we can get along with. If possible, I want to keep the summoners and people with special abilities as our pawns. We are already lacking in numbers as is.” “And even if we use them immediately, it’d make us easier to trace.” With all of them objecting back, Kufar could not insist on it any more. The efficiency of gathering sacrifices would drop if he acted alone, so he still needed the organization’s power. “Hmm, I see. Then how about we take down a village as an impromptu measure?” “How? They’ve been suppressing us quite hard lately, so even that would be risky.” “They can do that because the order has been stabilized around these parts. We can just throw them into disorder again.” “Disorder?” “Let’s see—We have to stop the Six Heroes first.” One of the Six Heroes, Lyell, took charge of the safety of part of the northern land. It was hard to restrict his power, but it was not impossible to limit his movement. “Let’s start with dropping one small fry near Lyell’s village. No, actually, more would be better.” “Then let’s go with Needle Beetles. They move in groups.” “Okay, let’s go with that then. It should take several days for him to take them down and investigate the cause. Let’s aim for another village in the meantime.” “Hmm... But wouldn’t it be bad to stand out like that?” “Of course, we can’t do this over and over. Just this once. Besides, it’s not like we’d be working only in the north.” “What do you mean?” “Let’s see. Once this matter is over, what do you think about visiting the Holy Tree Kingdom of Forneus?” “The World Tree Religion’s headquarters huh...” The World Tree Religion was the headquarters of people discriminating against half-demons like them. Going on a campaign there was their long-cherished desire. Imagining themselves rampaging there, their expressions became momentarily ecstatic. “Doesn’t sound so bad.” “Yeah, It wouldn’t be so bad to give them a little blow.” “Looks like we have come to a decision. Let’s start deciding which would be the real one.” It was decided that they would leave Needle Beetles near Lyell’s village. But they needed to decide which village they would be aiming at for real. They would be in the red unless it was a village that could make up for the wasted Needle Beetles, by allowing them to summon a stronger Devil. For that, they wanted it to be a lively village full of children and women. They started to polish their heinous plan with bright expressions, completely different from the previous heavy mood. ◇◆◇◆◇
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高資産価格を裏付けるよく聞かれる理由として、(インフレ率調整後) 実質長期金利がとても低いという理論が挙げられる。しかし投資家はこの理論を敬遠するであろう。聞こえは良いが、この理論には確証に乏しく、さらに重要なこととして、高価格の持続性を予測させるものではない。
But investors should be wary of this argument. It may sound plausible, but it is hardly conclusive, and, more importantly, it certainly does not tell us that high prices are sustainable.
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「ここがそうですか......。」 「わうぅん......。」 イズミたちの前には天を衝くような大きさの巨木がそびえ立っています。その大きさは頂上が雲で霞んでいるほどです。 「じゃあ、まずは情報収集と下準備だね。モヤ助は子供たちを連れて近くの森にでも隠れていて。」 モヤ助はイズミを降ろした後、自分の子供たちを連れて近くの森の方へと姿を消します。 ああそれと、女性たちは戦力の増強も十分にできたので、イズミの経験値になってもらいました。このことをクロキリ兄ちゃんに言ったらお前の方がよほど魔王に向いていると言われましたけどね。 そしてイズミはダンジョン近くに作られた街に入っていきました。 『ダンジョンの名は『天地衝く巨樹』、魔王の名は『争い煽栗鼠』。出現は最初期で今までの攻略からダンジョン内には森が広がっており、出現モンスターは獣・虫系を主体に各階層ごとに変化すると判明。また、数少ない遭遇した際の情報から魔王の能力は撹乱、幻惑系と思われる。攻略に関しては現在層深部まパーティが到達済み。』 これがこの街でイズミが手に入れた情報です。 うーん。獣・虫系主体やダンジョン内に森があるのは別にいいですけど、魔王の能力が問題です。集団戦を行う際に最も厄介なのは味方が全員巻き込まれるような範囲攻撃ではなく、敵と味方を識別できなくなるという状況で、彼我の数の差が有ればあるほど少ない方にとっては有効な手段になりますから。 まあ結論としては、 「まあ、イズミとモヤ助が互いを認識できていれば問題は無いですよね。薄靄狼たちの役割は雑魚散らしなわけですし。」 こんなところなんですけど。 そしてイズミは街でロープやカンテラのようにダンジョン攻略に必要と思われる物を買い揃えた所で、モヤ助と街の外で合流して『天地衝く巨樹』へと突入しました。 --------------- 「木の中なのに明るいですね。」 イズミたちは『天地衝く巨樹』の中を陣形を組んで進んでいきます。 が、今のところは大したモンスターにも遭遇せずに薄靄狼たちだけで対応が出来ています。 明かりについては考えてみたら『白霧と黒沼の森』の第二階層も洞窟内なのに明るかったので、きっとこちらでも同じ様な何かがあるのだと思います。 と、また敵が来たようですね。 あれは不味いです! 森の中から茂みを掻き分けるように出て来たモンスターは巨大なカマキリの様なモンスターでした。 その姿には特におかしな点はありません。ただ大きくて全身が赤いだけのカマキリで、ここまでにその色違いの様なモンスターも見てきました。 ですが、その雰囲気は今まで見てきたモンスターたちとは明らかに違い、こちらに圧倒的な威圧感を与えてきます。 恐らくは他のカマキリたちの上位種と言ったところなのでしょう。 それなら、イズミがこの場でとるべき策は...... 「全員逃げろ!」 逃げの一手です! イズミたちが逃げ出すのと同時に赤カマキリが動き出します。 その動きは一番初動が遅かった薄靄狼を見極め、右手の鎌を振り上げ、そして、次の瞬間にはまるで瞬間移動をしたかのように進路上にあった木ごと薄靄狼の一匹を断末魔すら上げさせずに切り裂きました。 「!?」 イズミはそのスピードと鎌の切れ味に恐怖しました。あのスピードと攻撃力では殆どの薄靄狼たちは逃げられません。そして、ここはまだダンジョンの入り口であり、イズミにはこんなところで躓いている暇はありません。 だから、 「モヤ助!≪人騎一体≫≪生体武器生成・斧≫≪生体武器強化・血≫≪筋力強化≫」 全力で赤カマキリの排除に入ります。 イズミの使ったスキル。≪人騎一体≫によってイズミの意思はダイレクトにモヤ助に伝えられ、モヤ助が得た情報は余さずイズミに伝えられます。続けて≪生体武器生成・斧≫によって右腕から骨で出来たポールアクスが生え、≪生体武器強化。血≫でイズミの体から若干量の血液が斧の中に流れ込み、斧の刃を妖しく紅く彩ると同時に切れ味と強度が強化されます。そして、≪筋力強化≫によってイズミ自身の筋力と同時にイズミと一体化していると捉えられたモヤ助の筋力が強化されます。 また、それと同時にモヤ助は自分の周囲に霧を展開してイズミたちの姿を赤カマキリの目で捉えるのを難しくします。 「ハアッ!」 「ー!」 モヤ助が赤カマキリに突撃し、その突撃の勢いを乗せる形でイズミはポールアクスを赤カマキリに叩きつけます。 イズミの攻撃によってポールアクスを防いだカマキリの左手にヒビが入ります。 しかし、この攻撃によって赤カマキリはイズミたちを真っ先に排除するべき敵だと判断したのか左手でイズミの斧を弾くと、先程の一撃と同じような構えを取ります。 「ー!?」 「甘いです!」 ですが、鎌を上に振り上げるという事はその先に続く太刀筋もある程度予測が出来ることになるので、イズミは斧の柄を正面に構えてその一撃を防ぎます。 ただ、流石の攻撃力とでもいうべきでしょうか?今の一撃で柄の半ばまで鎌が食い込んでいます。 しかし、この一撃が防がれたことによって赤カマキリは今隙だらけです。だから、 「関節を食いちぎれ!」 「ーーーーーーーーーーー!?」 イズミは周囲に散らばった薄靄狼を再度招集。赤カマキリの右手側から関節部を狙って食らいつかせます。 赤カマキリは自由に動かせる左手で必死に抵抗しようとします。が、残念ながら左手の鎌では体に食らいついている薄靄狼を切りつけることはできず、ただ、脚を動かして薄靄狼たちを蹴りつけることで抵抗しようとするだけです。 ですが、徐々にその動きは遅くなっていき、脚は食いちぎられ、最後にはモヤ助の牙によって首をねじ切られました。 「ふう。」 しかし、今回は何とか倒すことが出来ましたが、一匹絶命に重傷数匹と少なくない被害が出てしまいました。 次からはもっと気を付けなければいけません。 ここはダンジョンで、イズミたちを助けてくれる者なんて居ないんですから。 そして、イズミたちはダンジョンの奥へとその歩を進めます。
“Is this the place...” “Woof...” Before us towered a colossal tree of such size that it seemed to challenge heaven. The magnitude of the tree was amazingly immense, and its top was obscured by clouds. “Well, the first step to take is to collect information and do preliminary preparations. Moyasuke, take the children and hide them in the nearby forest.” After dropping me off, Moyasuke took his own children and disappeared into the nearby forest. Oh, when the women were able to augment their fighting strength adequately, they were turned into experience points for me. Once I shared this story with Kurokiri though, he replied to me, “You’re far more qualified to be a Demon King than I am”. I then entered a town built near the dungeon. ————– “The dungeon’s name is ‘Giant Tree that Threatens Heaven and Earth,’ while the Demon King’s name is ‘War-Mongering Multitude [i] Squirrel’. From my previous investigations, I have learned that the dungeon is surrounded by a forest, and the monsters are primarily beast and insect types, varying from each level of the dungeon. Furthermore, based on the information obtained from the few encounters with the Demon King, it is believed that his abilities are of the disruption and illusion type. As for the strategy, some parties have already advanced all the way to the second level.” This was the information I obtained in this town. Yeah. While I didn’t mind the fact that there was a forest in the dungeon or that it was predominantly beast and insect type, the ability of the Demon King was irksome. When confronting a group combat, the most tricky scenario was not a ranged attack in which all allies were involved, but one in which it became impossible to distinguish between friend and foe. The greater the numerical disparity between the two sides, the more successful the side with the fewest numbers will be. Well, in conclusion... “As long as both Moyasuke and I are able to recognize each other, it should work out fine. Besides, the role of the Thin Mist Wolves is to disperse small fry.” ...this was my plan. After I had purchased all the items that I considered essential for capturing the dungeon, such as rope and lantern, I met up with Moyasuke outside of town and plunged into “Giant Tree that Threatens Heaven and Earth”. “Even though we’re amidst the trees, the light is bright.” We were advancing through the “Giant Tree that Threatens Heaven and Earth” in formation. However, we had been able to get by so far with just the Thin Mist Wolves and hadn’t run into any major monsters. Despite being in a cave, the second level of “White Mist and Black Swamp Forest” was likewise bright, which led me to assume that there may be something similar here for the lighting. And now, it looked that a new foe had shown up. That’s not a good sign! The monster that had emerged from the forest as if it were trying to thrust its way through the bushes was a massive praying mantis-like creature. Its appearance was not particularly eccentric. It was simply a large, full-body red praying mantis, and I had seen other monsters like this one in different colors up to this point. Nonetheless, its vibe was strikingly distinct from any of the creatures we had faced so far, and it exerted an overwhelming sense of intimidation over my side. It was likely that it was a higher species than other praying mantis. If so, then the measure I should take at this moment is... “Run away, all of you!” ...to make a daring escape! Simultaneously with us fleeing, the red praying mantis began to act. It noticed the slowest of the wolves and lifted its right-hand sickle, then ripped through an entire tree in its path in a heartbeat as if by instantaneous teleportation without even letting the wolf wail its death cry. “!?” That speed and the sharpness of the sickle filled me with dread. With that speed and attack power, hardly any of the Thin Mist Wolves would be able to escape. Moreover, this was still only the entrance of the dungeon, so I didn’t have time to be stuck in a place like this. Therefore... “Moyasuke! ≪Human and Cavalry As One≫, ≪Bio Weapon Creation・Axe≫, ≪Bio Weapon Enhancement・Blood≫, ≪Strength Enhancement≫.” I was going all out to eliminate the red praying mantis. There were four skills utilized by me. Through ≪Human and Cavalry As One≫, my intention was directly conveyed to Moyasuke, and the information obtained by Moyasuke’s five senses was conveyed to me without any restriction. Subsequently, a poleaxe comprised of bones sprouts from my right arm by ≪Bio Weapon Creation・Axe≫ and a small amount of blood flowed into the axe from my body through ≪Bio Weapon Enhancement・Blood≫, coloring the edge of the axe a bewitching crimson and reinforcing its sharpness and strength at the same time. Furthermore, ≪Strength Enhancement≫ boosted my own strength as well as Moyasuke’s strength, who was considered to be united with me. While simultaneous to this, Moyasuke also deployed a mist around himself, rendering it tougher for the red praying mantis’ eyes to catch sight of him. “Haah!” “ー!” As Moyasuke pounced on the red praying mantis, I used the momentum of the assail to slam the pole axe into the red praying mantis. By my attack, the praying mantis’s left hand cracked as it defended against the pole axe. The red praying mantis, however, may have determined that Moyasuke and I were the first to be eliminated after this strike, and it repelled my axe with its left hand, adopting a stance similar to the one it used in the previous blow. “ー!?” “Too naive!” Notwithstanding, lifting the sickle implied that the next line of attack can be anticipated to a certain extent, which was why I held the handle of my axe in front of me to block the blow. Perhaps it was more accurate to say that my attack power was second to none? With the current strike, the sickle dug into the center of the handle. The red praying mantis, though, had left an opening with me blocking this attack. Hence, “Bite off its joints!” “ーーーーーーーーーーー!?” I called for the Thin Mist Wolves again, which were scattered around the perimeter. They swooped down from the red praying mantis’ right side and devoured its joint. The red praying mantis frantically struggled to resist with its left hand, which can move unhindered. Unfortunately, the sickle in its left hand cannot slice through the Thin Mist Wolves that were gnawing at its body, so it can only fight back by kicking the Thin Mist Wolves with its legs. But gradually its movement became slower and slower, and its legs were chomped off with its neck ultimately severed by Moyasuke’s fangs. “Phew.” Despite the fact that I was able to defeat it this time, one of the wolves died and several others sustained critical injuries. I must exercise more vigilance the next time. After all, this was a dungeon where there was not a soul to help us. And so, we continued to venture deeper into the dungeon.
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「あー、そういえば。お惣菜かお弁当として販売することになるんだけど、やっぱり商人ギルドに申請するんだよな? はあ、言いがかりをつけられなきゃいいけど」 ビーフシチューの試食と後片付けを終えたところで、聞こうと思ってたことを思い出した。 「何を言ってるんだナオヤ? 準備ができたら売ればいいだろう? なんなら私が買い占めるぞ?」 「お客さまへ売らせてください。それに買い占めたら食いきれないで腐るだろ。なに言ってんだこのエルフ」 「すばらしい案ですクロエさん! 普通の『アイテムポーチ』では時は止まりませんが、腐りにくくなることもまた確かなのですから!」 「アンナさんまで壊れた。あ、『アイテムポーチ』に入れると日持ちするんすねの温度で菌がいないから、とかでしょうか」 「......食いだめ」 「いや人間は食いだめも寝だめもできな......バルベラはドラゴンかあ。食いだめできそうだなあ」 お客さまに販売する新商品だって言ってるのに買い占め宣言するポンコツ騎士とマトモだと思ってたリッチ。 バルベラの言葉に目を輝かせている。 とも、カツもハンバーグもビーフシチューも気に入ってくれたらしい。 ビーフ......モンスターだけど。角牛って名前だしビーフでいいか。ほら日本に短角牛ってのもいるし。 「そういう話じゃなくて! クロエ、ガレット売りの女の子が商人ギルド長に注意されてただろ? 無許可営業するな、場所代払えって」 「だからナオヤ、何を言っているんだ? ここは街じゃないんだぞ?」 コミュニケーション研修を開催してくれ」 「クロエさんの言う通りですよ、ナオヤさん。街で飲食店や屋台をはじめるにはその街の商人ギルドへ申請が必要ですが、ここは街の外です。申請はいりません」 「マジかよクロエがおかしいんじゃなかったのか。そういえば『場所代』って」 日本だと地味に面倒な食品衛生責任者の講習や、準備に気を遣う衛生検査を受けなきゃいけないのに。 でも異世界の場合でも、街中で営業するにはギルドに申請しなきゃいけないみたいだ。 「待て待て待て。んじゃアイヲンモールってどうやって納税してるの? クロエと街に行ったとき、各種ギルドが取りまとめるって聞いたけど?」 「心配するなナオヤ! アイヲンと国で話は通ってるからな、アイヲンモール異世界店は国に直接納めるんだ!」 「ああなるほど、国家事業なわけね。そういえば、だから騎士のクロエが派遣されてるんだっけ。んで国家事業だから売上の目標があって達成しなきゃ国が手を引いて潰れると。重いなおい!」 月間売上一億円の目標は株式会社アイヲンの目標であると同時に、この国からの指示っぽい。 金になるからアイヲンモール異世界店の出店を認めたんだろう。日本から持ち込まれる珍しい品目当てってのもあるだろうけど。 「そのへんもちゃんとレクチャーしてくれよ! というか引き継ぎ資料に書いとけよ! 三年目社員の初店長になんてもの背負わせてんだ伊織ィィイイイ!」 お客さまがいないアイヲンモール異世界店に俺の嘆きが響く。 クロエはなんだかキョトンとしてて、アンナさんは苦笑を浮かべてる。 バルベラはとことこ俺に近づいてきて、俺の顔を覗き込む。 「......大丈夫? ビーフシチュー飲む?」 飲んでも元気出ないし。おいしいから出るか。 「容器? ナオヤ、試食で使ったこのお皿でいいんじゃないか?」 「イートインだけならそれでいいんだけどな。持ち帰りされたらあっという間に皿がなくなる」 朝から午前中にかけてのビーフシチューの試食はまあまあ好評だった。 クロエは農家のおばちゃんを拝み倒して、行商人は目新しい食べ物に勇気を振り絞って、冒険者にはバルベラが超高速で口の中に放り込んだ。 お客さまがいなくなったお昼過ぎ、店舗入り口に設置した試食ブースで、昼食がわりのビーフシチューを食べる。 「クロエでもアンナさんでも、こっちで手に入る使い捨ての安い容器を知らないか? カツとハンバーグは平皿、シチューは深皿だな。まあぜんぶ深皿でもいいけど。とにかく料理を入れるものを」 「入れるもの......だと......? し、しかも肉料理を......? ま、まさかナオヤ! 『ほら俺の肉を入れてやろう』などと言って私を襲い! くっ、殺せ!」 「発想の飛躍がヒドい。皿だって言ってんだろエロフ」 「深皿......つまり、ビーフシチューを入れても熱で壊れず、こぼれない形が必要なわけですね」 にビーフシチューを入れるとか言い出しませんよね? 猟奇的すぎて売れるわけありませんよ?」 「......くち?」 「もう皿にもなってない。そのまま食べる気だろドラゴン」 お客さまがいないことを見計らって近づいてきたエプロン付きスケルトンにゴミを渡す。 「回収してその分は割引かキャッシュバックでもいいんだけど、持ち込まれた皿は数が限られてるからなあ。農家のみなさんはともかく、冒険者や行商人は出歩いてるうちに割りそうだし」 それを考えると、お皿じゃなくてプラ容器ならまだいいかもしれない。 閉鎖してる日用雑貨コーナーには、弁当箱や使い捨ての紙皿なんかがあることはわかってる。 お惣菜コーナーの調理場にはプラ容器もある。 回収前提ならなんとか—— 「いや、売れたら容器の数が足かせになる。だったら街で買ってきて回収前提で使う方がまだいいか」 「ナオヤ、木の皿でもいいのか? どれ、私が木を斬ってきてやろう! 聖騎士の! この私が!」 「エルフの森林伐採宣言でました。でも森で暮らす種族なら間伐は当然......え? 斬る?」 俺のツッコミも疑問も聞くことなく、クロエが土の駐車場を駆けていく。 速い。 「速いっていうか、はい? 速すぎない?」 「ナオヤさん、クロエさんは騎士ですから。それに、この速さは『身体強化』の魔法も使っていますね」 「......もっと速い」 「へえ、そんなのあるんですねえ。そんでバルベラはこれよりもっと速いと。さすがドラゴンだなあ。ハハッ」 異世界の身体能力に乾いた笑いが出る。 なぜか張り合うバルベラの頭を撫でる。 クロエはあっという間に駐車場を駆け抜けて、森の手前にたどりついた。 「精霊剣エペデュポワの斬れ味を思い知れ! てやっ!」 「斬れ味っていうか木剣だけどね。でも斬れるんだった」 クロエが精霊剣なんちゃらを一振りすると、駐車場に一番近かった木が一発で倒れた。 エルフなのに伐採にためらいがない。 あと木剣で木を伐るって意味がわからない。異世界ヤバい。 クロエは倒れた木に向けて、精霊剣なんちゃらを何度も振る。 かがんで何かを拾って、駐車場を駆け戻ってきた。 「どうだナオヤ、精霊剣エペデュポワの斬れ味は素晴らしいだろう! お皿はこれでどうだ?」 そう言って、クロエが手にした物をぽいっと俺に投げてくる。 ぱしっと受け取って眺める。 「薄く輪切りにした木かあ。『浄化』すればカツとハンバーグには使えるかな。もう突っ込まない。木剣なのに斬れ味すげえとかムダに木を伐り倒すエルフとかもう突っ込まない」 輪切りにした木をキレイにして、お皿にする。 アイヲンモール異世界店のまわりは森だから大量に用意できるだろうし、衛生面は『浄化』があるから問題ないし、なんならちょっと小洒落たカフェで使ってそうだけど—— 「ビーフシチューはこれじゃムリなんだよなあ」 「むっ。ナオヤ、いくら精霊剣エペデュポワの斬れ味が鋭くても、木をくりぬくのは大変だぞ?」 「だよなあ。そんで一族に代々伝わる剣なのに扱いが不憫すぎる」 木の平皿。 平皿というか、薄くてまっすぐな木の板だ。 ビーフシチューはこぼれるだろう。 「不安定すぎて持ち運びには向いてないしなあ。うーん......」 「ふふ、お困りのようですねナオヤさん。では、今度は私とバルベラちゃんの案をお見せしましょう! さあバルベラちゃん!」 「......がおー」 気の抜けた声がして、でも気の抜けた声とは裏腹にすごい勢いでバルベラが飛び出した。 いつの間にか全裸で。 「ちょっとアンナさん! 見た目10歳の全裸っていろいろマズいですから! 服を着せてあげ——あ、このパターン前も」 アンナさんの陰から跳躍したバルベラは斜め上へ飛んでいく。 まぶしい光に思わず目を閉じる。 「グオオオオオオンッ!」 目を開けると、真っ赤なドラゴンがいた。 「見たの二回目だけど違和感すごい。ところで飛び出す前の『がおー』と変身後の『グオオンッ!』はどうにかならないんでしょうか。ギャップがちょっと」 俺のボヤきに答える声はない。 アンナさんはニコニコ笑って、クロエは「カッコいいぞバルベラ!」ってハイテンションだ。 ゆっくり羽ばたいて、アイヲンモール異世界店の駐車場から浮かび上がる。 赤い身体を青い空に浮かべて、レッドドラゴンは彼方へ飛んでいった。 「ナオヤさん、ちょっと待っていてくださいね。私とバルベラちゃんが容器を提案しますから」 「あ、はい。ところでアンナさん、クロエ。ドラゴンがアイヲンモール異世界店から飛んでいったけど、まわりに見られても大丈夫なんだよな? 道や街から目撃されそうだけど、話は通ってるんだよな?」 俺の質問に答える声はない。 らす? アンナさん、その汗はなんですか? あ、リッチも汗かくんですね、じゃなくて!」 クロエがヘタな口笛を吹き出した。 アンナさんは何事かと見に戻ってきたっぽいスケルトン部隊に目を向ける。 「おいいいいい! ドラゴンが出るってウワサになったらただでさえ少ないお客さまが減るだろ! クロエ、ダッシュで街に行って見間違いだって説明してこい! ほら魔法! 幻を見せる魔法ですって!」 「ナオヤは天才かッ!」 「いいから行け! アンナさんは」 「私はバルベラちゃんを追いかけて隠れて帰ってくるように伝えます! 行きますよ隊長!」 すぐに二人がいなくなる。あとスケルトン部隊も。 俺は一人、アイヲンモール異世界店の入り口に取り残された。 ふらっとしたのは徹夜明けだからだ。きっとそうだ。 「そういえば屋上にいるドラゴンを見たのは夜だった。自己紹介でドラゴン形態になったときは飛ばなかった。............お客さま、減らないといいなあ」 アイヲンモール異世界店は、今日も通常営業です。悪い意味で。こんな通常も日常もどうかと思う。
“Oh, by the way. It’s going to be sold as a side dish or bento, so we have to apply to the Merchant Guild, right? I hope we don’t get nitpicked.” After finishing the tasting and cleanup of the beef stew, I remembered what I wanted to ask and directed the question to Chloe and Anna-san, who looked satisfied with their full stomachs. Barbera was also present, but I didn’t expect her to answer honestly, since she was a dragon. “What are you talking about, Naoya? If it’s ready, just sell it to the customers. I can even buy them all if you want.” “Please let the customers buy them. Besides, if you buy them all, you won’t be able to eat them and they’ll just rot. Are you really an Elf?” “That’s a great idea, Chloe-san! Ordinary ‘item pouches’ don’t stop time, but it’s certain that they’re less likely to spoil!” Anna-san exclaimed. “Even Anna-san is broken. Oh, so if we put them in the ‘item pouch,’ it lasts longer. Is it because there are no bacteria at a certain temperature or something like that?” “...Food hoarding.” “Well, humans can’t hoard food or sleep...but Barbera is a dragon, right? So she might be able to hoard food,” I joked. Despite saying that it’s a new product that will be sold to customers, the clumsy knight who declared she would hoard them and the Lich who I thought was normal. Barbera’s eyes also shone at their words. All three of them seemed to like the cutlet, hamburger, and beef stew. I said beef... even though it’s a monster. It’s called “horned cow,” so beef is fine. There are also short-horned cows in Japan. “That’s not what I meant! Chloe, remember the girl selling galettes who was scolded by the Merchant Guild Leader? She was told not to operate without permission and to pay for the location fee.” “Naoya, what are you talking about? This isn’t a town, you know?” “I don’t feel like we’re communicating. Can someone hold a communication training for inter-world communication?” “Chloe-san is right, Naoya-san. To start a restaurant or stall in a town, you need to apply to that town’s Merchant Guild, but this area isn’t in the town. We don’t need to apply.” “Seriously? Wasn’t Chloe the one who was weird? Oh, come to think of it, ‘location fee’...” It seems that in this country, you don’t need to apply for, obtain permission or a license to sell food and beverages. In Japan, on the other hand, you have to undergo the somewhat troublesome training for the food hygiene manager and pay attention to hygiene inspections. However, even in a different world, it seems that you have to apply to the guild to operate in the city. This is not for hygiene management, but for paying the location fee and taxes. “Wait, wait, wait. How does Aion Mall pay taxes then? When I went to the city with Chloe, I heard that various guilds collect taxes.” “Don’t worry, Naoya! We have an agreement with the country, so Aion Mall’s otherworld store pays taxes directly to the government!” “I see, it’s a national project. By the way, that’s why Knight Chloe was dispatched, right? And because it’s a national project, there’s a sales target that must be achieved, or the country will withdraw its support and the store will be shut down. That’s a heavy burden!” The monthly sales target of one hundred million yen is both the goal of the company, Aion Corporation, and seems to be an instruction from the country. They allowed the opening of Aion Mall’s otherworld store because it would be profitable. Of course, there might also be a demand for rare items brought in from Japan. “Make sure to explain all of this properly! And make sure it’s written in the handover documents! What are you making me carry as the first store manager, Ioriii!” My lament echoes in the empty space of the mall. Chloe looks a little bewildered, and Anna-san is smiling wryly. Barbera approaches me and peers into my face. “Are you okay? Would you like some beef stew?” That’s something you said when you offered a drink, not a stew. Even if I drink it, I won’t feel better. But it’s delicious, so I might feel better. “About the container. Naoya, how about using this plate we used for the tasting?” “For eat-in, that’s fine. But if it’s for take-out, the plates will disappear in no time.” The beef stew tasting from the morning until midday was moderately well-received. The customers were put off by the appearance and took some time to try it. Chloe begged the local farmer, the traveling merchant summoned up the courage to try something new, and Barbera put it into the adventurers’ mouths at lightning speed. Once they tried it, most people said it was delicious. Some said it didn’t suit their taste, but that was a matter of preference and seasoning. It was still a prototype after all. In the afternoon, after the customers had left, they ate the beef stew we set up at the tasting booth near the store entrance. Chloe, Anna-san, and Barbera naturally ate as well. “Chloe or Anna-san, do you know of any cheap disposable containers we can get around here? For cutlets and hamburgers, use flat plates, and for stew, use deep plates. Well, all deep plates are fine. Anyway, we need something to put the food in.” “Something to put in... for meat dishes...? Don’t tell me, Naoya! Are you going to attack me and say, ‘Let me put my meat in there?’ Kuh, kill me!” “That’s a terrible leap of thought. I said plates, not that kind of thing, you perv.” “Deep plates... in other words, we need a shape that won’t break or spill when we put beef stew in it, right?” “Excuse me Anna-san, are you thinking about a skeleton’s head right now? You’re not going to suggest putting beef stew in the skull, are you? It’s too gruesome and won’t sell, you know?” “... Chomp it all?” “It’s not even a plate anymore. That’s just you going to eat it as is, as a Dragon.” I sighed as I dealt with the three as usual. I approached the skeleton wearing an apron who came over when there were no customers and handed over the garbage. “We’ll collect and give them a discount or cashback, but the number of plates we have is limited. Farmers might be fine, but adventurers and traveling merchants are likely to break them while they’re out and about.” Considering that, using a plastic container instead of a plate might be better. I know that there are bento boxes and disposable paper plates in the closed daily goods section. There are also plastic containers in the prepared foods section. If the premise is recycling, then– “No, if they sell well, the number of containers will be a hindrance. It would be better to buy them in town and use them with the premise of recycling.” “Naoya, would a wooden plate be okay? Which one, I’ll go chop down some wood for you! As a holy knight! Here I go!” “Usually Elf banned something like cutting down the forest. But thinning is natural for races that live in the forest... Huh? Chop it down?” Without asking for my comments or questions, Chloe runs through the dirt parking lot. Fast. “So fast! I mean, isn’t she too fast?” “Naoya-san, Chloe-san is a knight. And she’s also using the ‘body strengthening’ magic for her additional speed.” “...I’m faster.” “Oh, there’s something faster than that? And Barbera is even faster than that. As expected of a dragon. Hahaha.” A dry laugh escapes me at the physical abilities of this other world. For some reason, I pat Barbera’s head as she tries to compete. Chloe quickly runs through the parking lot and reaches the edge of the forest. “Feel the sharpness of the spirit sword Epee De Poix! Hiyah!” “Well, it’s not look that sharp, it’s just a wooden sword. But it can cut.” When Chloe swings the spirit sword, the nearest tree in the parking lot falls with one blow. Even though she’s an Elf, she has no hesitation about cutting down trees. And I don’t understand why she’s using a wooden sword to cut down a tree. This other world is dangerous. Chloe swings the spirit sword several times towards the fallen tree. Then, she bends down and picks up something before running back to the parking lot. “How’s that, Naoya? The sharpness of the Spirit Sword Epee De Poix is amazing, right?! How about using this wooden plate?” Saying that, Chloe throws something she held in her hand to me. I catch it and look at it carefully. “This is thinly sliced wood. If we purify it, we could use it for cutlets or hamburgers. I won’t make any more jokes about it. I won’t make any more jokes about an elf who cuts down trees unnecessarily, even though it’s a wooden sword with incredible sharpness.” I clean the wood slices and turn them into plates. Since the Aion Mall Otherworld store is surrounded by a forest, We can prepare a large quantity of them, and there won’t be any hygiene issues with purifying them. Perhaps they’re even used in a fancy cafe. However... “Beef stew won’t work with this.” “Hmm. Naoya, even if the Spirit Sword Epee De Poix has such sharpness, it’s tough to carve the wood, you know?” “Yeah, that’s right. And it’s a sword passed down for generations in your clan, but it’s being treated so poorly.” It’s a wooden flat plate. Or rather, it’s a thin, straight wooden board. The beef stew will spill out. “It’s too unstable to carry around. Hmm...” “Hehe, you seem to be troubled, Naoya-san. Then, let me show you and Barbera-chan’s idea next! Now, Barbera-chan!” “...Graw” I heard a deflated voice, but despite its lack of energy, Barbera flew out with incredible force. Before I knew it, she was naked. “Hey, Anna-san! It’s not good to see a naked -year-old! Give her some clothes– oh, this happened before.” Barbera, who jumped out from Anna-san’s shadow, flew diagonally upwards. In mid-air, Barbera shone. I closed my eyes involuntarily because of the bright light. GROOOAAAR!!! When I opened my eyes, there was a bright red dragon. Barbera was gone. “I saw it twice now, but it feels weird. Can’t you do something about the difference between the ‘graw’ before she jumps out and the ‘groaaar’ after she transforms? The gap is too much.” There was no answer to my grumbling. Anna-san smiled, and Chloe said, “Barbera looks so cool!” When I looked absent-mindedly, Barbera, in her dragon form, spread her wings. Slowly flapping them, she floated up from the parking lot of the Aion Mall. With her red body floating in the blue sky, the red dragon flew away into the distance. “Naoya-san, please wait for a moment. Barbera-chan and I will propose a container.” “Oh, sure. By the way, Anna-san, Chloe. The dragon just flew away from the Aion Mall. Is it okay if people see it? It might be seen from the street or the city, but the story is going to hold up, right?” There was no answer to my question. “Hey, Chloe, why are you looking away? Anna-san, what’s with the sweat? Oh, even Lich also sweats, not that–!” Chloe started to whistle poorly. Anna-san turned to look at the skeleton squad that seemed to be coming to see what was happening. “Hey, hey, hey! If a rumor goes around that a dragon appeared, the already few customers will decrease, won’t they? Chloe, go to the city and explain that it was a mistake! Come on, use magic! Tell them it was an illusion!” “Naoya is a genius!” “Enough already, just go! Anna-san,” “I’ll tell Barbera-chan to come back and hide, You are coming too, Captain!” They disappeared quickly. The skeleton squad too. I was left alone at the entrance of the mall. I was feeling a bit dizzy, probably because I had been up all night. “Come to think of it, I saw the dragon on the rooftop at night. When she introduced herself and transformed into her dragon form, she didn’t fly...I hope we don’t lose any customers.” The Aion Mall in the other world is open for business as usual today. In a bad way. I can’t help but think that this kind of normality and everyday life is just wrong.
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