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花子とアン＃147

1 (花子)蓮様…｡ (蓮子)あなたが 純平を戦地へ送ったのよ｡ あなた…➡ ﾗｼﾞｵで日本中の子どもたちに 語りかけてたじゃない｡ ｢お国のために 命をささげなさい｣と｡ 純平を返してちょうだい！ 蓮様…｡ お願い…｡ 純平を…｡ 蓮様…｡ (泣き声) あなたのせいで…｡ あなたのせいで 純平が！ 返して… 返してちょうだい！ 蓮様…｡ (龍一)蓮子 よさないか！ 純平が死んだのは 花子さんのせいなんかじゃない｡➡ 戦争のせいだ｡➡ 花子さん… すみませんが➡ 今日は お帰り下さい｡ (泣き声) ♬｢これから はじまる｣ ♬｢あなたの 物語｣ ♬｢ずっと長く 道は続くよ｣ ♬｢虹色の雨 降り注げば｣ ♬｢空は 高鳴る｣ ♬｢眩しい笑顔の奥に｣ ♬｢悲しい音がする｣ ♬｢寄りそって 今があって｣ ♬｢こんなにも 愛おしい｣ ♬｢手を繋げば 温かいこと｣ ♬｢嫌いになれば 一人になってくこと｣ ♬｢ひとつひとつが あなたになる｣ ♬｢道は 続くよ｣ (吉太郎)はな｡ 兄やん…｡ どうかしたのか？ あ… ごめんなさい｡ 入って｡ 美里と直子は？ 学校よ｡ 空襲で 校舎は 焼けてしまったけど➡ ９月から授業を再開したの｡ そうか｡ 英治さんは？ ももや旭さんたちと 甲府に食糧を調達しに行ったわ｡ そうか｡ 兄やん？ みんな無事だって聞いて 安心した｡ 大森の町も 随分焼けたのに➡ この一角は焼け残って よかったな｡ ええ｡ 兄やん ずっと顔見せてくれないから➡ みんなで心配してたのよ｡ ああ… いろいろと忙しくてな｡ 醍醐さんは どうしてる？ 南方から戻ったっきり まだ会えてないの｡ そうか…｡ これから 日本は どうなるのかしら…｡ さあな…｡ 兄やんは？ 軍人が大勢逮捕されてるって 新聞に出ていたけど｡ 俺たちは 戦争に負けたんだ｡ どうなっても しかたないさ｡ 兄やん…｡ ごめんなさい 何も出してなくて｡ いや もう行くからいい｡ まだ来たばかりじゃない｡ ちょっと待ってて｡ 防空壕にお菓子があるの｡ ♬～ 兄やん？ ♬～ (醍醐)吉太郎さん？ 吉太郎さん！ 醍醐さん…｡ よかった…｡ ご無事だったんですね｡ あなたも ご無事でよかった｡ 心配していたんです｡ 私も ずっと心配してたんです｡ もう 自分の事は 心配しないで下さい｡ えっ？ 醍醐さん…｡ あなたに会えてよかった｡ 吉太郎さん…｡ どこかへ 行ってしまわれるんですか？ いえ｡ 自分には 行くところなんてありません｡ すみません｡ これで失礼します｡ 待って下さい！ また… すぐに お目にかかれますよね？ どうか 幸せになって下さい｡ 吉太郎さん！ ♬～ [ 回想 ] 純平｡ よろしくね…｡ (純平)じゃあ 僕 お母様を ず～っと守ってあげるよ｡ 純平！ 武運長久を祈っています｡ はい！ ♬～ (富士子)お母様も お夕食を召し上がって下さい｡ もう 何日も 食べていないでしょう？ 少しだけでも…｡ (戸が揺れる音) 純平？ 純平！ 純平なの？ 帰ってきてくれたのね！ 純平｡ 純平…｡ 純平…｡ 純平！ (龍一)蓮子！ (蓮子の泣き声と風の音) (梶原)ああ ここだよ｡ (小泉)ああ…｡ 村岡花子先生のお宅 あの空襲でも 焼けずに残ったんですか｡ ごめんください！ ≪は～い｡ ああ 梶原さん お待ちしてました｡ どうぞ｡ いや～ 元気そうで何よりだよ｡ ええ｡ あっ こちら 小鳩書房で➡ 児童文学の編集をしている 小泉君だ｡ ごきげんよう｡ 村岡花子です｡ この度は お忙しいところ お時間を作って頂き➡ 誠に恐縮でございます｡ ああ そんな かしこまらないで下さい｡ 片づいていませんが どうぞ｡ 失礼します｡ (梶原)さあ｡ うわ～！ すごいですね！ こんなに本が残っているとは｡ (英治)ああ どうも 梶原さん｡ ご無沙汰してます｡ いや～ 英治君も元気そうで何より！ おかげさまで｡ 英治さん｡ こちら 小鳩書房の小泉さんよ｡ どうも 初めまして｡ どうも｡ お二人のお話は 梶原さんから いろいろと伺っています｡ 大変仲のいいご夫婦との事で｡ ああ…｡ いや…｡ 英治君 聞いたよ 青凜社の事｡ 本当に残念だったね｡ ええ…｡ 今は まだ➡ 食糧を作ったりするので 精いっぱいですが➡ また何かの形で 本の仕事を したいと思ってます｡ そうだね｡ とにかく 家族と このうちが 無事だっただけで幸運です｡ 梶原さんのところは？ 家は 焼けてしまったけど 幸い 妻の実家は無事でね｡ 妻と２人で身を寄せているんだ｡ 富山先生… あっ 今は 梶原先生ですね｡ お元気でいらっしゃいますか？ ああ｡ 彼女は 家より本を 失ってしまった事を悔やんでるよ｡ あっ あの いつでも 本を読みにいらして下さいと➡ お伝え下さい｡ 世の中が少し落ち着いてきたら➡ 出版業界も 一気に動き出すと思うんだ｡ これから 出版できる原稿を 探していると言うんで➡ 小泉君を連れてきたんだよ｡ ああ そうですか｡ 実は 小泉君 ｢にじいろ｣のﾌｧﾝだったそうだ｡ そうなんですか？ へえ～！ はい｡ お小遣いをためて 毎号 買っていました｡ 先生の｢王子と乞食｣も もう夢中で読みましたよ｡ これは 君を紹介しない手は ないと思ってね｡ ｢にじいろ｣のﾌｧﾝと お仕事を 一緒にできる日が来るなんて➡ 何だか 不思議な気分です｡ 早速ですが 先生の翻訳されたものを➡ 弊社で出版させて頂けませんか？ あ… それは 私も うれしいお話ですが➡ でも すぐに 出版なさりたいのでしょう？ そうなんです｡ 短編でも長編でも➡ 何か 翻訳が終わっている原稿が あれば｡ あっ ちょっとお待ち下さい｡ よいしょ｡ ♬～ お待たせしました｡ こちらの作品は どうでしょうか？ ああ… ｽﾄｰ夫人ですか｡ ええ｡ 戦前に 訳し終えたものなんですけど➡ 結局 出版を 見合わせる事になってしまって｡ こちらで よろしければ｡ ありがとうございます｡ それから…｡ こちらは 翻訳し終わったばかりの ものなんです｡ 花子が 空襲の中 命懸けで守り 翻訳した物語が➡ いよいよ出版されるのでしょうか｡ ごきげんよう｡ さようなら｡ 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 イノッチ⇒９月１７日、水曜日の 「あさイチ」です。 やっぱり戦火の中、大事に持って いて夢を諦めなくて、こうやって｡ つながるんだよ。 柳澤⇒やっとドラマが暗いところ から少し明かりがあるところに

真田丸＃18

1 ♬～ ♬～ ♬～ (信幸) 源次郎から 文が届きました｡ 秀吉は 父上を大名に取り立てるとの事｡ 石田治部少輔様が 約束されたそうです｡ 父上…｡ これで ようやく 徳川や上杉と 肩を並べる事ができるのです｡ (昌幸)気に入らん｡ 何ゆえ？ 大名の座とは 力ずくで 勝ち取るものではないのか｡ 何様か 秀吉は！ それだけ 力を持っているという事では…｡ わしは あやつの家来ではない｡ 父上の事を認めたからこそ 大名にすると言っている…｡ 上洛はせん！ ♬～ (阿国)飛び込んで くるっ！ やってみて｡➡ よ～お はっ！ はっ！➡ はい！ ひー ふー みー…｡➡ はい いい感じです｡ もう一回ですよ｡➡ よ～お！ はっ！➡ はい！ ひー ふー みー！ ♬～ (阿国)よ～お！ はい！ ひー ふー みー｡➡ よし！ もう一度 やってみよう｡ (一同)はい！ ♬～(鳴り物) (信繁)利休様 お聞きしたい事がございます｡ (利休)何なりと｡ 人は 何か ひどく哀しい目に遭った時➡ それまでの事を 全て忘れてしまう事など➡ あるのでしょうか？ そして 別人として生きていく事が できるのでしょうか？ そうでんなあ…｡ 人の心は謎｡ 源次郎殿｡ はい｡ 手前は 何でも知ってる訳ではない｡ そないな事 聞かれても 分からしまへん｡ 失礼致しました｡ して ご用件は？ (兼続)安房守殿 一日も早く 上洛なされ｡ 御屋形様も心配しておられる｡ 関白殿下を 甘く見てはなりませぬぞ｡ 上洛するか否かは それがしが決め申す｡ 関白殿下は 真田殿を 直臣とされるおつもりでござる｡ 拒めば 関白殿下は 全力で この上田に攻め込んできましょう｡ なんと…｡ 形勢は 風雲急を告げておる｡ もはや 日本国の大名の大半は 関白殿下に従った｡ いくら 戦上手の安房守殿でも 太刀打ちできますまい｡ 大名か 死か｡➡ 取るべき道は 明らかでござろう｡ 御屋形様は 関白殿下に対し➡ 真田を許すよう とりなしておられる｡ お心遣い かたじけのう存じます｡ 上杉の顔を潰さぬように お願いしたい｡ 真田のため そして 上杉のためにも➡ 一日も早い 上洛を｡ (昌幸)どうすればよいものやら…｡ わしには 領地を守り抜く務めがござる｡ そのためには 大名になるしかありません｡ (とり)さようですね｡ (昌幸)しかし それは 秀吉に従うという事｡➡ 死に物狂いで戦ってきた果てに➡ 武田に縁もゆかりもない男の 家来になるというのでは…｡ これは 割に合いません｡ さようですね｡ (昌幸)そろそろ 答えを出さねばならぬようです｡ では こうしましょう｡ うそでもいいから 頭を下げなさい｡ 強い者に従う｡ 真田は こうやって生き延びてきた｡ 下手に出て 牙を隠して 爪を隠して➡ この先 秀吉の勢いに陰りが見えたら➡ 寝首を掻く｡ 卑怯者で何が悪い！ ん？ ♬～ 秀吉に会うてくる｡ 上洛するぞ 源三郎｡ はっ！ (内記)しかし それは➡ 秀吉の家来になるという事では ありませぬか？ まあ そういう事じゃ｡ (頼綱)沼田は どうなるのだ｡ これまで 我らで 必死に守り抜いてきた沼田は！ 秀吉に仕えた大名たちは 皆 本領を安堵されているとの事｡ 今までと何も変わりませぬ｡ 嫌じゃ 嫌じゃ！ 何で 今更 秀吉の下になんぞ つかねばならんのだ！ 世も末じゃ！ 案ずるな｡ 頭は下げても ここは渡さん｡ ようやく 父上が上洛を決めて下さった｡ これで 真田は生き延びられる｡ (こう)おめでとうございます｡ だからさ あんたなんか 知らないんだってば｡ 本能寺の謀反の折 安土城から抜け出した姉上は➡ 明智の兵に囲まれ 琵琶湖に身を投じました｡ もう ほっといてよ！ あんた 何が お望みなの？ 姉上には 小山田茂誠様という夫がいます｡ 茂誠様は 姉上の死を嘆き悲しまれ 今も 恐らく 琵琶湖のほとりに！ 私の名は 藤！ この一座で 阿国さんの次に 踊りが うまいといわれてるの｡ だから あんたなんか知りません！ 思い出して下さい 姉上！ 私です！ 源次郎信繁です！ ♬～ 大津の辺りで 演じておりました時➡ 寝泊まりしていた神社に あの子は ふらっと現れて｡ 名前を聞いても 素性を聞いても 答えがない｡ 行き場所もない様子で➡ しょうがないから 私どもで引き取る事に｡ いつごろの事ですか？ ３年くらい前になりますか｡ 話は合います｡ お身内の方ですか？ 弟です｡ お願いがあります｡ 勝手と 思われるかもしれませぬが➡ 姉を引き取る訳には いかないでしょうか？ 故郷に連れ帰れば 忘れていた事も 思い出すのではないかと｡ お藤さんを 引き取ってもらえるなら➡ こんなにうれしい事はありません｡ はい？ 実は 手を焼いていたんです｡ あんなに踊りの下手な子は初めて｡ そうなのですか？ ただ 手足を ぶらぶらさせているだけで➡ どうにも気持ちが悪い｡ 阿国さんの次に 人気があるのでは…？ 人気なんて 全くありませんよ｡ そうでしたか…｡ そういう訳で 姉上は 私が預かる事になった｡ (きり)ここで暮らすの？ 石田様に これ以上 ご迷惑はかけられない｡ そこで お前に頼みがある｡ いいわ｡ 私から 北政所様に お伺いしてみる｡ 助かる｡ 早く 昔の事 思い出すといいですね！ 阿国さん 何と言ってました？ 私なんて もういらないって？ そんなふうには 言ってませんでした｡ やっぱり 足 引っ張ってたのかな｡ 自分でも ひどいと思うもの｡ とにかく もう何も心配いりませぬ｡ 姉上は ゆっくり 養生して下さい｡ 養生って 別に 私 疲れてませんけど｡ しかし 覚えがないという事は➡ やはり どこかに 障りがあると思うのです 姉上｡ その｢姉上｣っての やめてくれない？ せめて 妹に｡ そればかりは…｡ (寧)人手は いくつあっても 足りないぐらいだで➡ むしろ 助かります｡ ありがとう存じます！ ≪(秀吉)寧！ 寧は いるか!?➡ 決まったぞ 太政大臣！ 太政大臣！ わしは 太政大臣になるぞ！ (寧)太政大臣!? 今日 勅使が 都から来られた｡ 信長公もなれなかった 太政大臣じゃ！ わしは ついに あのお方を越えたんじゃ！ おめでとうございます｡ かの源 頼朝も 征夷大将軍にはなったが➡ 太政大臣になれなかった！ おめでとうございます！ (きり)おめでとうございます！ おめでとうございます｡ ありがとう！ さほど うれしゅうはない｡ (茶々)ですが 征夷大将軍より 偉いんでしょ？ 官位が何じゃ｡➡ わしは そんなものが欲しくて ここまでやってきた訳ではない｡ 信長公が果たせなかった事を 引き継ぐ｡ 望みは ただ それだけ｡ 伯父上の望み…？ 日の本の大名を まとめていくには どうしても高い官位がいるんじゃ｡ 天下平定がなれば いずれ 天子様に お返しするつもりだ｡ 源次郎｡ そういえば おぬしの親父が来るぞ｡ えっ？ (秀吉)ようやく 書状が届いた｡➡ 早く 頭 下げておけば よかったものを｡ 我が真田は どうなりましょう？ 滅ぼすの？ どうするか 今 考えておるところだ｡ はっ｡ (昌相)信長も 天下まで あと一歩のところで転んだ｡ 秀吉も そうならぬとは 誰も言えぬ｡ 秀吉ごときの世が そう長く続く訳はないのじゃ｡ この先 必ず 何か起こる｡ それまでの辛抱と思うておる｡ やつの懐に飛び込んで 時を待つのだな｡ 何なら わしが➡ 明智光秀になっても構わぬぞ｡ 面白いのう｡ ﾊﾊﾊﾊ！ ♬～ (くるみが割れる音) 天正15年2月｡ 真田昌幸一行が 大坂に到着する｡ 大切に扱え｡ (一同)はっ！ 兄上！ 源次郎！ ｱﾊﾊﾊ！ よく 父上を 説き伏せて下さいました｡ 苦労させられたぞ｡ 父上も この大坂の様子を➡ ご自分の目で見れば 関白殿下の力が分かると思います｡ 俺は 少し 腹を立てておる｡ 今夜は ここで １泊とか｡ はい｡ 城にも入れず かような古寺に 泊まれというのは どういう事だ？ 大坂城は 案外 泊まれる部屋が少ないのです｡ 上杉や徳川は 御城内に泊まったと聞いたが｡ 確かに あいつらに比べれば➡ 我らの領地は 小さいかもしれぬが それにしても！ 石田様に掛け合ってみます｡ うん｡ それより 早く 父上に会ってやれ｡ はい！ ♬～ 父上！ おう！ お元気そうで 何よりです｡ ﾊﾊﾊﾊ！ 息災であったか！ はい｡ 大坂の水にも ようやく慣れてきました｡ 何じゃ 何じゃ こぎれいになりおって｡ よほど こちらの暮らしが 楽しいと見えるな｡ さようですか 自分では分かりませんが｡ 都のにおいがするぞ｡ 兄上は…｡ 土のにおいがします｡ ばかな事 言うな！ (笑い声) 大坂城は ご覧になられましたか？ ああ｡ ここに来る前に ちらっとな｡ 随分とまた でかいものを造りおったな｡ 殿下は 全てにおいて 桁外れの方です｡ 源次郎｡ お前なら どう攻める？ 先の話だ｡ そういう事にならんとも限らん｡ 大坂城は 難攻不落でございます｡ 城はのう 大きければ 攻めにくいというものではない｡ むしろ 大きいと 守りの手薄な場所が必ず出来る｡ それを見つける｡ 城周りの絵図面が欲しいのう｡ ♬～ 父 真田安房守 無事に到着致しました｡ (吉継)安房守殿が参られたか｡ はい｡ (三成)明日 殿下に 出仕する事になっている｡ 治部様 父たちは➡ 今 城から １里ほど離れた寺に 入っております｡ 私が手配した｡ 古い寺で 隙間風も かなり吹き込みます｡ 今から 御城中のどこかに移る事は できないでしょうか？ 無理だな｡ 上杉様も徳川様も こちらに お泊まりでした｡ 格が違う｡ 向こうは 大大名｡ 真田は ただの国衆にすぎぬ｡ 承知致しました｡ ♬～ (きり)はい｡ 父上が心配だ いろんな意味で｡ これからは 殿下の家来になる訳でしょ｡ 一応は｡ よかった｡ これからは 殿下が守ってくれるんですね｡ そう簡単な話でもない｡ あとは 源次郎様が 殿下と殿の間に立って➡ うまく 進めていけばいい事でしょ？ お松様の事は伝えたの？ 父上にしてみれば 殿下に拝謁する事で➡ 頭が いっぱいのはずだ｡ 頃合いを見計らって話す｡ それがいいかもね｡ さっ 戻らなくちゃ｡ しっかりね！ (薫)上洛する時は連れていくと おっしゃったのに！ それだけ 此度の上洛は 一大事という事じゃ｡ ひと言 言って下さっても よいではありませぬか｡ 私が 草津に湯治に行っている隙に 行ってしまわなくても｡ ひと言 言えば 三言も四言も返ってくるでしょう｡ それが 煩わしかったんでしょうね｡ ♬｢重なるは｣ ♬｢変わる｣ しかし 殿下も こんな席を用意してくれるとは➡ 気が利いておるではないか｡ 気配りのお方ですから｡ ♬｢おぼつかな｣ いや～ 見事 見事！ ﾊﾊﾊﾊ！ では ごゆるりと｡ あなたも 一杯 いかがですか？ これにて 御免をこうむりまする｡ 無理を聞いてくれて かたじけない｡ 何 言うてはります｡ いっぺんでも来て下さった方は➡ うちらにとっては 大事な常連さんです｡ くれぐれも 勘定は 石田様の方に回さぬように｡ 私が払いますので｡ 心得ております｡ さあ 父上 一杯｡ 今夜は ゆっくり 旅の疲れを癒やして下さい｡ 秀吉とは どんな男だ？ とんでもない男ですね｡ 信長 家康に勝るとも劣らない 器の大きさを感じます｡ ひとかどの人物か？ お調子者にも見えますが その裏に➡ 私は 深さと恐ろしさを見ました｡ 源次郎が言うのだから 間違いないのだろうな｡ ますます 会うのが楽しみになってきた｡ どちらへ？ 厠じゃ｡ いやいやいや｡ ずっと 一人でやってきた｡ (戸が閉まる音) 源次郎…｡ はい｡ 本当のところを聞かせてくれ｡ 秀吉の時代は 続くと思うか？ あのお方は 本気で 戦国の世を 終わらせようとしています｡ 惣無事令を出され 殿下のお許しなきまま➡ 大名が戦を始める事は できなくなりました｡ 国々で まちまちだった 升の大きさも➡ 殿下は 統一しようとなされています｡ これからは 日の本が 一つの大きな国になるのです｡ という事は 源次郎｡ 戦場で 暴れまくる日は もう来ないのか｡ 父上のお気持ち お察しします｡ 父上の話ではない｡ 我らの話だ｡ 我らは 生まれてくるのが➡ いささか遅すぎたのかもしれんな｡ ♬～ 珍しく 緊張されている｡ 殿下のお気に召すとよいですね｡ 上物よ｡ 必ずや喜んで頂けるはず｡ わしが欲しいぐらいじゃ｡ ≪(且元)御免！ 父上！ 石田治部少輔様でございます｡ 真田安房守でござる｡ (三成)お待ち申しておりました｡ 息子 源次郎が お世話になっておりまする｡ 源次郎が兄の…｡ 時が惜しい その辺で｡ (且元)殿下への献上品の 検分に参りました｡ 信濃の産物を取りそろえ申した｡ どれも 上方では手に入らない 貴重な品ばかり｡ 総じて 色味が悪すぎる｡➡ とりあえず 箱だけでも➡ 鮮やかな色のものに 差し替えましょう｡ それで だいぶ 見栄えが増す｡ すぐに用意するよう｡ (且元)承知致した｡ かたじけのうございます｡ 何だ？ これは｡ 猪と熊の毛皮でございます｡ 冬は羽織ると暖かいですよ｡ 臭いな｡ うぐっ！ 臭いは なんとかならぬのか？ これは そういうものなのでございます｡ 片づけ｡ しかし…｡ いいから 片づけよ｡ (且元) いやいや せっかくでござる｡ 後ろの方に 押し込んでおきましょう｡ (且元)承知致した｡ ♬～ 近江宰相 豊臣秀次である｡ 真田安房守 この度は上洛 大儀であった｡ はっ｡ ♬～ 治部｡ 安房守 本日より 真田の領地を安堵致す｡➡ いかなる者も 関白殿下のお許しがない限り➡ 真田領を攻める事はない｡ ありがとうございます｡ (三成)安房守も 今よりは➡ 関白殿下の臣下として 尽くすように｡ 以上である｡ 以上である｡ ♬～ こんな無礼な事があるか！ 父上は 関白殿下に お会いするために➡ はるばる 上田より 参上したのだ！ 殿下も お忙しいお方ですから｡ 父上は ないがしろにされたのだ！ 悔しくないのか 源次郎！ もちろん 悔しゅうござる｡ 秀吉は 父上の事を どう思っておるのだ？ 殿下は 徳川家康を 気にかけておられます｡ その家康を撃退したのが 父上｡ 一目置いているのは 間違いありませぬ｡ ならば この仕打ちはなかろう｡ ここまで ないがしろにされて 引き下がれるか｡ 殿下の口から 直々 お言葉を頂かない限り➡ 上田に帰る訳にはいかぬ｡ 石田治部に そう伝えろ！ 源三郎…｡ そう ないがしろ ないがしろ言うな｡ 失礼しました｡ それにしても 秀吉め｡ 呼びつけておいて 顔も見せぬとは➡ 礼儀を知らぬ大ばか者じゃ｡ こりゃ 先は短いぞ｡ 父上｡ 誰が聞いているか分かりませぬ｡ ﾌﾌｯ｡ 源次郎！ 刑部様！ 真田安房守殿が お見えになっていると聞いたら➡ 居ても立ってもいられなくなり つい 出てきてしまった｡ 父上！ こちら 大谷刑部少輔様｡ 石田様と共に 堺の代官を務めておられます｡ 安房守殿でござるか｡ 上田城で 僅か2,000の手勢で 7,000の徳川を迎え撃った ご武略｡ 楠木正成の再来ともいわれる そのご尊顔➡ 一度 拝したく思っておりました｡ ああ そうですか｡ さあ さあ どうぞ お座り下され｡ (吉継)はっ｡ (昌幸)さあ さあ｡ 殿下に？ どうしても お願いしたい事があるのです｡ (茶々) 取り次いであげてもよいけれど➡ そのかわり 私の頼みも聞いてくれますか？ もちろん｡ 今は忙しいのだ｡ 九州征伐の支度やら何やらで｡ 会ってやればよいではないですか｡ 今日だって ずっと 私と かるた やってたでしょう｡ ばか！ それを言うな｡ 上洛に遅れたのは 父の落ち度でございます｡ しかしながら 小なりとはいえ➡ 父にも 誇りというものがございます｡ お目通りが かなわねば 出仕した事にはなりませぬ｡ 父は帰って 戦支度をするつもりでいます｡ 真田を敵に回すのは 得策ではございませぬぞ｡ 伊達と結び 北条と手を組み 徳川を味方に引き入れ➡ いずれ 必ず 強大な敵となって 殿下の御前に立ちはだかります｡ わしを恫喝するか｡ 恫喝しております｡ ♬～ 関白太政大臣 豊臣秀吉である｡ 真田安房守昌幸｡ はっ｡ 此度の上洛 まっこと 大儀であった｡ ♬～ わしは 誰よりも そなたを 家臣にしたいと思っておったぞ｡ その知略と度胸 豊臣の大名として➡ これからは わしのために使うてくれ｡ なっ？ はっ｡ 頼りにしておるぞ 安房守｡ 治部｡ (三成)殿下は これより➡ 新しき世の仕組みを お作りになられる｡ 惣無事令も その一つ｡ もちろん 存じておるな｡ はい｡ (三成)しかしながら 万一 戦となった時➡ 誰が誰に従って 軍勢を動かすか➡ そこだけは はっきりとしておかねばならぬ｡➡ 大名は それぞれ 最寄りの大大名の与力となり➡ 出陣の時は その下知に従う｡➡ よろしいか？ はっ｡ 安房守殿は➡ 徳川の与力となるように｡ 徳川？ お待ち下さい｡ 殿下は真田に 徳川の家来になれと 仰せられますか？ 家来ではない｡ 与力だ｡ 力を貸すのだ｡ 父に 徳川の下で戦えと 命じるのでございますか！ (秀吉)そのかわり 真田の領地は 徳川が守る｡ 北条が攻めてきたとしても 徳川が楯となってくれる｡ 悪い話ではなかろう｡➡ どうじゃ 安房守｡ ははっ｡ 上田に帰る途中 家康のところへ寄り➡ 挨拶をしていくように｡➡ 明朝 駿府へたて｡ ♬～ (家康)関白殿も 味な事をしてくれるのう｡ ﾌﾌﾌﾌﾌ！ 真田安房守が わしの前で 頭を下げる日が来るとはな｡ それも こんなに早く｡ ﾌﾌﾌﾌﾌ…｡ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊ！ (正信)ﾊﾊﾊﾊ！ ｱﾊﾊﾊﾊ！ ♬～ (昌幸)面白いのう｡ 人の世というものは…｡ 武田が滅んでから 今日まで➡ だまし だまされ➡ 裏切り 裏切られ➡ 死ぬ気で ここまでやってきた｡ 己の全てを懸け 知力の限りを尽くして戦った｡ そのあげく たどりついたのは➡ 秀吉の家来となった徳川の その また家来｡ こんなに面白い事があるか｡ 申し訳もございませぬ｡ お前が謝る事ではない｡ 父上 冷えてまいりました｡ 中へ入りましょう｡ 源三郎 源次郎｡ わしは どこで間違った？ 教えてくれ｡ わしは どこで間違った…｡ 間違えてなどおりませぬ！ 父上は 大名となり 領地を守ったのです｡ ♬～ さて…｡ 休むとするか｡ 明日は早い｡ 父上 実は もう一つ➡ お伝えしておかなければ ならない事がございます｡ なかなか 折を得られず 今になってしまいました｡ 会って頂きたい人がいるのです｡ (きり)お入り下さい｡ 姉上！ 生きておったのか！ 松！ 残念ながら 皆と暮らしていた頃の事は➡ 全く覚えておりませぬ｡ 覚えてない？ よほど おつらかったのだと 思います｡ ちょっと お手をお離し下さりませ｡ わしが分からんのか？ わしじゃ！ 姉上！ 源三郎でございます！ 源三郎でございます！ 父じゃ！ やっぱり 人違いではありませぬか？ そんな事ありません！ どうだろう みんなで 真田の郷の 思い出を順に言っていきませんか｡ 何かのきっかけで 思い出すかもしれない｡ 父上｡ お前が小さい時 よく おんぶして 裏山 行ったよのう｡ わしが おんぶすると お前は 必ず 背中に しょんべんするんじゃ｡ 兄上｡ 子どもの頃 姉上には よく泣かされておりました！ 沢ガニの はさみを 俺の鼻に挟んで！ 次！ 郷の真ん中に高い木があって よく ２人で それに登って➡ 下を通る村の男を見ては あの人は 見目がいいとか➡ あの人は 頭が でかすぎるとか 品定めを致しましたね！ そのような事を…｡ 私が まだ 子どもだった頃 なぜか 姉上が下さった➡ ひからびた蛙 えらく 気味が悪かったです！ 姉上っていうのは 随分 変わった人だったみたいね｡ 父上｡ え…？ いや…｡ お前は わしが おんぶすると 絶対 しょんべんするんじゃ！ それしかないんですか！ 申し訳ありませぬ｡ 何も 思い出せませぬ｡ 姉上 焦る事はありませぬ｡ 時をかけて ゆっくり 思い出していきましょう｡ ♬～ こちらへ｡ 少し 風にあたりましょう｡ そうね｡ 生きておっただけでも もうけもんじゃ｡ そう思います｡ つらい事があれば その分 よい事もある｡ 世の中 ようできとるわい…｡ ｶｻｶｻ…｡ ♬～ [ 回想 ] (きり)近頃 かかとが ｶｻｶｻになっちゃって｡ 見て下さいよ｡ あら！ それはね 潤いが足りてないのよ｡ (梅)淋しさが募ると 荒れるっていいますよ｡ きりちゃん…｡ はい？ 私が貸してあげた手鏡｡ とうとう 返してもらえずじまいでしたよね｡ (きり)お松様!? 父上！ 源三郎！ 源次郎～！ 松！ 姉上！ 姉上！ 松！ 松！ 父上～！ 松～！ ｱﾊﾊﾊ！ 父上～！ 松！ 松！ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊ！ (昌幸)関白殿下の命により➡ 真田安房守昌幸➡ 徳川様の与力として➡ 力を尽くす事 お誓い申す｡ 面を上げられよ 安房守殿｡ はっ｡ 武勇名高き 真田安房守殿が➡ 我らに お味方下されば➡ 万人力でござる｡➡ よろしゅうお頼み申し上げる｡ はっ｡ これからは 共に 力を合わせてまいりましょう｡ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊ！ ｱﾊﾊﾊﾊ！ 真田安房守昌幸➡ この年より 徳川家康の与力大名となる｡ (家康)ｱﾊﾊﾊﾊﾊ！ もう少しだけ｡ 誰も来ませぬ｡ (寧)あの子にとって 母親も父親も➡ あなたに殺されたようなもので ございましょう｡ (稲)嫌でございます！ 父上！ (昌幸)全ては 真田のためじゃ！ (秀吉)お前は天下人の妻となる｡ (茶々)殿下…｡ <静岡県静岡市｡➡ 徳川家康が 竹千代と呼ばれていた幼少期➡ 今川義元の人質として 過ごした地です｡➡ 竹千代が通った 臨済寺｡➡ 今川家に仕える僧侶 雪斎から➡ 軍学などの手ほどきを受けたと いわれています｡➡ そして 元服 結婚をし 19歳で この地を離れます｡➡ 天正14年 豊臣家臣となった徳川家｡➡ その年 45歳の家康は➡ 新たな拠点として この地に戻ってきました｡➡ その翌年 真田昌幸は➡ 秀吉に 徳川の配下となるよう 命じられます｡➡ そして 駿府城にて 昌幸は 家康と対面するのです> <真田家が 因縁の相手 徳川に属する事となり➡ 両家の関係は 更に複雑になっていくのです> (伝内)吉右衛門｡ (吉右衛門)へい｡ 天川屋儀兵衛が 母を訪ねてきたそうじゃ｡ は？ お前に 用があるらしい｡

まれ＃004

1 ♬｢さあ翔け出そうよ､｣ ♬｢今すぐに｣ ♬｢未来が今は遠くても｣ ♬｢ひとりぼっちのままで｣ ♬｢泣く夜が続いても｣ ♬｢本当のわたしへ｣ ♬｢風が強く冷たいほど｣ ♬｢教えてくれる｣ ♬｢出会うべき人のことを｣ ♬｢どうか希望の地図を｣ ♬｢そっと開いてみてね｣ ♬｢あたたかい未来たちが｣ ♬｢僕らを待っているよ｣ ♬～ (津村 徹)お父さん 本当に生まれ変わるから｡ 今度こそ頑張る｡ 嫌いにならないで！ もしかしたら この能登で 普通の家族になれるかもしれない｡ 希の心に希望が芽生えていました｡ 先日は 大変な失礼を➡ まことに 申し訳ありませんでした！ (徹)私 この度 心を入れ替えて 地道に生きる決意を致しまして➡ つきましては 元治先生の塩田で 働かせて頂きたく➡ お願い申し上げる次第で ございます｡ あっ いや 年収２億円の雑誌の事も➡ 塩作りﾏｼｰﾝの事も お忘れ下さい｡ 今後は 地道にｺﾂｺﾂと➡ 海水の中の塩を ちまちまと拾わせて頂きます｡ (津村 希･小声で) ちまちまとか言わない｡ あっ…｡ (桶作元治) 潮くみ３年 潮まき10年｡ はっ？ 塩作りちゅうがは 軽い気持ちで やれる仕事じゃねえわい｡ あんたに ほんな根性やあるとは思われん｡ あっ いや 先生は 私を誤解していらっしゃる｡ 私は 根性がないから こういう事に➡ なってる訳ではなく むしろ 根性があり過ぎて➡ 自分の現状に納得できないと 申しましょうか…｡ (津村藍子)という訳で 元治さんのご好意で➡ 塩田で働かせて頂く事に なりまして 今 早速 塩田の方に｡ (桶作 文) あ～ ほりゃあ よかった｡ 東京 帰る前の いい思い出やがいね｡ あの 文さん｡ 私たち 家族４人で➡ 能登で やり直したいと 思ってるんです｡ お客さんは座っとってくだし｡ お客さんじゃなく 正式に お部屋をお借りできませんか？ うちは もう商売やめた言うたがいね｡ お食事でも お掃除でも 何でも手伝います｡ 結構です｡ 野良猫を置いてやると思って｡ 犬派やもんで｡ (徹)うお～！ 徹が まっとうな仕事の苦しみを 味わっていた頃…｡ もっと… いい方法は ないんですか？ 希も 能登に早くなじみ 幸せ家族になるための努力を➡ 始めていました｡ じゃあ ｢食べるでしょ｣は どう言うの？ (津村一徹)｢食べるげんろ｣とか ｢食べるげろ｣とか｡ えっ？ どう違うの？ どういう法則？ (一徹)さあ｡ 話しとれば慣れるがんや｡ えっ？ 何で今のは｢がん｣なの？ ｢うるさい｣は｢いじくらしい｣｡ ありがとや｡ (蔵本はる) ありがとえ｡ また来てくだね｡ ｢かわいらしい｣は｢いちゃけな｣｡ ｢気持ち悪い｣は…｡ (はる)どこ行くが？ あっ えっと… 相撲でがん！ 行ってきまげろ！ えっ？ ｢かちゃかちゃやがい｣は ｢散らかっている｣｡ ここの言葉をちゃ しゃべっとるつもりけ｡ (小原マキ) ほうみたいやね｡ ﾊﾊﾊﾊﾊ｡ (角 洋一郎) はっけよ～い のこった！ (蔵本一子) あんた 本気で やらんかいね！ 実力です｡ 実力ですげんげろ！ (洋一郎)げんげろ？ だらにしとるがけ！ だら？ だら？ (寺岡久美)あんたらち！ 少し休んまっしね！ (寺岡みのり)お母さん！ えっ？ お母さん？ そうです｡ ここで 希の周りの人間関係を➡ 映像付きで ご紹介致しますと…｡ 元治の塩田を手伝っている久美は みのりの お母さん｡ 郵便局で働く マコっちゃんは みのりの お父さんで➡ 村一番の愛妻家｡ お父さん！ 久美 今日の お弁当も➡ まんで うまかったわ！ 相撲が上手で➡ 親分肌の洋一郎は 漁師のシンちゃんの息子｡ シンちゃんは この辺りの 区長さんでもあります｡ ＯＫ ＯＫ！ ｻﾛﾝ｢はる｣の はるさんは➡ 一子の お母さん｡ 一子 また雑誌ばあかし 読んで｡➡ ちょっとは手伝うまっしま！ コウちゃんは はるさんの髪結いの亭主で➡ 一子のお父さん｡ ♬｢あれは三年前｣ ｴｽﾃﾃｨｼｬﾝでﾈｲﾘｽﾄのマキちゃんは➡ ３年前に能登にやって来ました｡ 彼女の過去は 誰も知りません｡ ♬｢ひとり飛びのった｣ ♬｢ﾀﾀﾝﾀﾝ ひな…｣ まだ ひと言も しゃべっていない 影の薄い高志は➡ 家族も影が薄いので まだ登場しておりません｡ そして もう一人｡ 何で圭太は来とらんが？ 分からん｡ 最近 圭太 何か変やろ｡ ｢疲れた｣は｢ちきねえ｣｡ ｢めちゃくちゃ｣は｢わやくそ｣｡ ｢カニ｣は｢がんち｣｡ がんち？ 何で？ 希が２学期から通う事になる 小学校です｡ (すすり泣き) どうかしたの？ もしかして 圭太君げんげろ？ (紺谷圭太)げんげろ？ あっ 違う？ ごめん まだ勉強中で…｡ 言葉だけ まねしたって よそ者は よそ者やがい｡ ♬～ (紺谷博之)圭太！ これから引き継ぎで 金沢に行くげん➡ 遅なるって お母さんに言うといてくれ｡ 分かった｡ ｸﾗｽのみんなには もう言うたんか？ もう時間ないがいや｡ お父さんから言うか？ 自分で言うさか 黙っといて｡ ほうか｡ どうしたんだろう？ あの子｡ ♬～ 希の目の前に これまで 見た事のないような光景が➡ 広がっていました｡ わあ～！ わあ～！ 早く能登に なじもう｡ ここで 家族と しっかり まっとうに暮らしていくのだ｡ 希は そう決意しておりました｡ お父さん 邪魔だよ｡ 希 お父さん 頑張った｡ 優しくして…｡ 元治さんって すばらしいよ｡ お父さんが どんな へましても➡ 絶対に声を荒げて 怒ったりしないの｡ 真面目で寡黙で 本当に人間のできた方｡ いいな～｡ そういうお父さんが欲しかった｡ そうですかね？ 人間 欠点の一つも あった方が➡ かわいらしいんじゃ ないですかね？ 欠点は あるわいね｡ じき分かるわ｡ ≪こんばんは！ あっ 誰か来た｡ おっ！ 来たがか！ 上がれ 上がれ！ 上がれ！ 早よ来い 早よ来い！ 早よ来いや！ ほれほれほれやっちゃ➡ 元治さんの その生き生きした顔 見たら➡ 夏や来たって思うげんて！ 早よ座らんけ 早よ座らんけ｡ おい！ 文！ 酒持ってこいま！ 祭りや｡ 祭り？ ほしたら 曳山の修理は 大丈夫やな｡ ほういや獅子舞やけど この背中んとこや➡ ちょっこり破けとって…｡ なした！ 管理や なっとらんがいえ！ うちの祭りは ここらで一番ねんぞ｡ われ 泥塗る気か！ すいません…｡ (徹)ものすごく声荒げてますけど｡ 毎年 ８月の17 18が 夏祭りねんわいね｡ ほれまでは 毎晩 こんねん｡ えっ？ でも夜は塩の釜炊きが…｡ 休みやわいや！ ♬～(歌声) 祭りばかだ この人｡ ﾊﾊﾊﾊﾊ｡ ♬～(歌声) ほやけど 無事に祭りや やれればいいげけどなあ｡ 何や？ 真人｡ どういう意味や？ いや… 実は 役場の紺谷さんが➡ 今年は祭りをちゃ やめればどうやって言うとるげ｡ なしたあ!? こっ 紺谷さんやがいね｡ 俺でなしに紺谷さんがや｡ 何か ちょっと 話が変わってきましたよ｡ 今年は人や集まらんもんで➡ 曳山をっちゃ曳かれんがで ないかって言うとるげん｡ 何や集まらん？ いや あの…➡ 若え者が帰ってこんげいて｡ 安藤んとこの せがれは➡ 家庭ｻｰﾋﾞｽやって ﾊﾜｲやって言うとるし➡ えっと 山田んとこは 仕事やって言うて…｡ ほんなもん なんとかせんかいえ！ ほう言われても…｡ そりゃ しょうがない｡ (徹)えっ？ えっ？ えっ？ (真人)どっ どこに かけるんけ？ 息子やわい｡ あれは今年も戻ってくるさか｡ おう 哲也か｡ われ この前 能登の祭りをちゃ 見てえっちゅう後輩やおるって➡ 言うとったろよ｡ 全員 連れてこい｡ ああん？ 祭りに来られん？ だら！ 祭りと仕事と どっちゃ大事ねん！ えっ その選択？ だら！ だらぶち！ だらぶち！ 祭りにも帰してもらわれん会社 やめてもえ！ ぜってえ帰ってこいや！ うそ…｡ 紺谷んとこ行くぞ！ 何か ちょっと 俺と同じにおいがしてきたよ｡ そうね…｡ 駄目おやじが もう一人…｡ 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 井ノ原⇒４月２日木曜日の 「あさイチ」です。 全然、柳澤さん出てこなかった じゃないですか出てくると思った んですけれども。 有働⇒きのうエープリルフール だったんで、柳澤さん。

ボーイズ・オン・ザ・ラン＃02

1 （田西敏行） 〈全ての事から逃げ続け→ 女の子とも 付き合った事がなかった→ 素人童貞の俺は→ マジになれるものが 何一つないまま→ ２７歳を迎えた〉 〈そんな俺が…〉 《かわいい～！！》 （植村ちはる） なんでもそうだけど→ 本気になんなきゃ つまんないでしょ？ 《ちはるちゃんのためなら 俺きっと　なんだって出来る！》 〈ところが…〉 （かーくん）人の女　ヤッといて 自分の女　ヤられても→ 文句　言えねえよなー！ ヤりました！　生で…。 《ちはるちゃん　ごめん…》 ううっ！ ああーっ！ （拍手） （まゆみ） かーくん　何やってんだよ！ （大巌　花）病院　行った方がいいぞ。 《このままでいいのか？》 《知らない女の人に助けられて→ ちはるちゃんに こんな惨めな姿さらして…》 《何か言え！ 男として情けねえぞ！！》 田西さん…。 うわぁー！ え？ はあ？ ああああ… 僕の手作りスーツが…！ これじゃ　撮影になんないでしょ！ うわぁーーーーーー！！ ♪♪～ 《結局　何も出来なかった》 《しかも　一人で逃げるなんて 最悪だ》 《もう　ちはるちゃんに 会わせる顔がない》 《会社も辞めるしかないな》 《２７歳で転職か… きっついなぁ～》 （鈴） 怖い人に 二度と絡まれませんように…。 イヤーッ！ もう… バカ　バカ　バカ　バカ　バカ！ はぁ～　よかった…。 自殺でもしてたら どうしようって思ったんだから！ なんで　何も言わずに逃げたの？ ごめん…　俺　何も出来なくて… かっこ悪くて…。 田西さんは　かっこ悪くないよ。 やめて… よけい惨めになるから。 何？　じゃあ あのヤクザがかっこいいわけ？ かっこいいよ！ 正直　うらやましいよ。 私が　田西さん　かっこ悪くない って思ってるんだから→ それでいいじゃん。 そういう問題じゃない！ 女には　わかんないよ。 うるさい…。 元気　出た？ 田西さん？ キスだけじゃ　ものたんないか…。 生でヤっちゃった　田西さんには。 ヤってない。 それは　ほんとに。 冗談！　わかってる。 ♪♪～ はぁ…。 変な奴。 ちはっす。 ちはっす。 （宍戸　修）花！ オッス！　しゅうまい。 （安藤　龍）あんたが　花って人？ ああ　そうか。 そういえば　会長が→ 耳　聞こえねえって 言ってたな。 俺　安藤龍。 わかる？ アンドリュー？ （舌打ち） めんどくせえ。 安藤龍！ おっ　通じた！ 会長から聞いてる。 今日から正式に入会だって？ 私　あんたのトレーナー 任されてるから。 いいや。　俺は俺で 勝手にやらせてもらうからよ。 勝手にやるって。 へえー　おっかねえ女。 うちでやるからには 私に従ってもらうから。 嫌いじゃねえな　気の強ぇ女。 花に手出したら　俺が許さない。 は？ 試合で　まだ負けなしらしいけど→ 日本タイトルまでの道のりは 長いから　覚悟してよ。 は？ ♪♪～ 世界の間違いだろ？ ♪♪～ 《夢でも　妄想でもない。 この俺が　ちはるちゃんと…》 《二度と　ちはるちゃんを 泣かせるようなまねはするな！》 《大好きな人を守れる 強い男になるんだ》 「まずは形から 男らしく振舞え」 （田西正子）敏行。　あんた　最近 ケンカばっかしてない？ 男の美学だから。 何　言ってんのよ。 それより　結婚式までに この腫れがひくといいけど…。 よせよ。 （田西一雄）敏行　結婚するの？ まさか！　敏行の会社の同僚の ん？　よし…。 吉久。 （一雄）なんだ～。 敏行は　いい相手いないのか？ いるわけないじゃない。 いるよ。 守るべき人が。 ごちそうさま。 いつもありがとう　母さん。 何あれ？ 《イメージしろ　強い自分を！》 ちはるちゃんには 指一本触れさせない！ 《あれ？　そういえば どんな顔だったっけ…》 （かーくん）どうなんだ？　コラッ。 《俺　ヤクザの顔すら まともに見れてなかった…》 （おなかが鳴る音） 《なんだよ…！》 《ちょっと思い出しただけで 何　緊張してんだよ》 《情けねぇ…》 《よくよく考えたら ちはるちゃんのキスって→ あれ　完全に あわれみのキスだよな》 《何　一人で舞い上がってんだよ》 《いや　でも　キスはキスだ》 《しかも　一人で逃げた俺を 追いかけてからのだぞ》 《それに　俺たちは 一緒に風呂に入った仲なんだ》 《ちはるちゃん　俺の事 どう思ってるんだろう？》 《あのね　俺は今→ あんたと争う気分じゃ ないんです》 《はっきり言って 眼中にないんだよ》 《ずれた　あんたのズラも！ 目の前の怖いおにいさんも》 （舌打ち） す…　すいませ～ん。 ♪♪～ よし。 《もし ちはるちゃんが笑顔だったら→ こっちも笑顔で 「おはよう　ちはるちゃん」…→ これだな。 でも　もし真顔だったら→ その場合は　こっちも真顔？ いや　それは気まずいぞ》 《え？　どうすりゃいいんだ？》 《ダメだ…　怖くて見れない》 《待て！　無視は一番ダメだ》 《俺たち　キスしたんだぞ。 自信持て！》 《自分から　声かけるんだ》 あっ　植村さん…！ （田中）なんだ？　田西。 植村は　風邪で休みだ。 え？ 《ちはるちゃんが風邪… 大丈夫かな？》 《あれから３時間。 ちはるちゃんからの返信はなし》 《寝てんのかな？》 《こういう時って→ 勝手にお見舞いに行っても いいのかな？》 《でも　恋人ってわけじゃないし… ビミョーなとこだよなぁ》 （店長）だってさ 存在感薄いもんね。 （青山貴博）おはようございます。 マンモスです。 あっ　青山君　おはよう。 あれ？ その顔　なんかありました？ あっ…。 おはようございます　田西さん。 おはようございます　青山さん！ （笑い声） 青山さん　ほんと　笑いすぎです。 すいません。　つい…。 まあ　ヤクザの方は 災難でしたけど→ 一緒に風呂入っておいて ヤらないなんて→ 相変わらず純愛ですね 田西さん。 まあ　俺はマイペースにね…。 痛っ…。 大丈夫ですか？ ちょっと 口の中切れてるみたいで…。 あの… ひと口もらってもいいですか？ ああ　どうぞどうぞ。 飯　食ってませんでした？ ガッツリ食べました。 けど　なんか 人の食べてるものって→ やけにうまそうに 見えるですよね。 ああ　わかります　わかります。 うん　うまい。 ありがとうございます。 えっ　もういいんですか？ ひと口だから　うまいんですよ。 《かっこいい奴って得だよなぁ～ 自然と図々しい事出来て》 《むしろ　食べてもらって ちょっと嬉しいもんな》 シャーッ！ あの…　どうやったら→ 青山さんみたいな人に なれるんでしょうか？ え？ 俺　好きな人を守れる 強い男になりたくて。 僕が　強い男かどうかはともかく 僕が心がけてる事なら。 なんです？ ダメな自分を 地道に一個ずつ克服して→ 自分に自信をつけるんです。 誰だって　初めから→ なんでも出来るわけじゃ ありませんからね。 ちなみに　僕がやってるのは→ 書道　華道　剣道　洋裁　バイオリン→ あと　英会話と　カポエラかな。 カポ…？ 田西さんも 何か始めてみたらどうです？ はい…　考えてみます。 ≪営業　戻りました。 （一同）お疲れ～。 《はぁ…　俺に出来る事って なんだろう？》 （メールの着信音） 《来た！》 《なんで？　俺は 散々　惨めな姿見せたのに…》 《やっぱ　その程度の関係なの？》 《確かに　俺はヘタレだけど→ でも　お見舞いぐらいなら 出来るのに！》 もっと頼ってくれよ～！！ （田中）どうした？　田西。 あっ…　なんでもないです。 （鈴木貫一）じゃあ　頼ってもいい？ え？ 練習に付き合ってほしいの。 吉久君の披露宴の テーブルスピーチ頼まれちゃって。 え？　鈴木さんが？ よりによって　なんで？ 社内で一番年上だから 吉久が気を使ったんだろうね。 代わりに 晩ごはん　ごちそうするから。 はい。 ワセリン塗った？ （鈴木）どうぞ。 散らかってるけど　上がって。 ただいま。 おかえり。 （花・田西）あ！ （修）おかえり。 （修・田西）あ！ ええ…？　なんで？ お客さんって　この人？ そう。　ああ　いいにおいだな。 さあ　ごはんにしよう。　ね！ はい。　じゃあ　いただきます。 （花・田西）いただきます。 花という女性に 渡してほしいんだよね。 《財布　ただいま　おかえり …って事は→ この人が奥さんで この子が息子？》 あっ　そうそう。 ジムに新入りが入ったんだけど→ なんか 世界目指すとか言っちゃってさ。 すぐ音を上げるかと思ったけど 結構いい筋してんだよね。 《…の割には　会話が弾んでない》 《まあ　この年の差だもんな》 どう？　花の手料理。 いや～　うらやましいですよ。 こんなに美味しい手料理が 毎日食べられるなんて。 お米　炊き加減最高です！ 《えっ　無視？》 《何？　俺　変な事言った？》 《お米　ほめたから？》 《仕方ないだろ　おかず 食べさせてくれないんだから》 あの…。 田西君　花はね 耳が聞こえないの。 え？ 《そうか 奥さんの耳が聞こえないから→ 俺に　スピーチの練習 付き合わせたのか》 ごめんなさい　知らなくて…。 ううん。　花はね　櫻田ジムで トレーナーをやってるんだけれども→ ボクサーの栄養管理なんかも やってっから→ 料理もうまいんだよね。 へえー。 （鈴木）これに慣れたら 他のものは食べられないよ。 《会社じゃ　ビールばっかり飲んで 頼りなさそうな鈴木さんも→ 家じゃ　一家の大黒柱》 《こんな俺でも　いつかは…》 レロレロレロレロ　ん～　ばぁ！ メガネ　こちょこちょだよ～。 ほら　こんなかわいいママを つかまえるんだぞ！　チュー！ こ　こ…　このたびは ご結婚おめでとうございます。 田西君？ 田西君！ うわっ！ 聞いてる？ はい。 アドバイスは？ えーっと…。 まずは 覚えるところからですかね…。 うーん… やっぱり　そこがネックだな。 〈次の日も ちはるちゃんは会社を休んだ〉 《あ～　癒やされる～》 《何　癒やされてんだよ！》 《こっちが癒やしてあげなきゃ ダメだろ》 《ん？　待てよ》 《いきなり家行くって 唐突すぎ？》 《やべっ…　ストーカーだと 思われたらどうしよう！？》 《ひと言 フォローしといた方がいいよな》 《そうだ　うん》 《そうしよう》 （メールの着信音） 《うわっ　返信来ちゃった！？》 今日の日に…。 《え？　精のつくもの？》 《これって もしかして誘ってる？》 《待て。　風邪ひいて 弱ってんだから　普通だろ》 《いや　でも　だったら→ 栄養あるものって書かない？》 《わざわざ　「精」という ワードを使うって事は…》 《あ～ん　どうすりゃいいんだ！？》 《ん？》 おおーっ！？ おいっ ハイ！ ハイ！ 時間！ あ？ （タイマーのブザー） へえー　体で３分覚えてるのか。 何？ なんでも。 おっ…！　なんだよ。 花さんに　ちょっと 教えてほしい事がありまして。 終わるまで待ちますんで どうぞ続けてください。 お前　まさか　ボクシングやんの？ しませんよ！　そんな野蛮な事。 ふ～ん。 じゃあ　俺 ちょっと　外走ってくるわ。 うん。 何？　もしかして　入会希望？ いえ　だから　そうではなく…。 料理？ はい。 初めて。　ジムに 料理を教えてくれって来た人。 お願いしゃっす！ お忙しい中 ありがとうございます。 じゃあ。 ん？ あっ！ 失礼します…。 やっぱ　変な奴…。 ♪♪～ ここか…。 （チャイム） ♪♪～ あれ？　ここ 植村ちはるさんのお宅じゃ…？ （しほ）田西？ は…　はい。 え？ どうぞ。 お邪魔しま～す。 は～い おっと　とっとっとっ…。 田西さん！？ なんで？ は？　いや… 精のつくもの食べたいって　メール。 送ってないよ。 え？ しほさん！ あっ　ちはる　寝てたから→ 代わりに 返事しといてあげたんだよ。 勝手に　携帯　いじんないで。 《あっ　そういう事…》 何よ　ずっと田西に会いたいって 言ってたくせに！ 《そうなんですか？》 言ってません。 《そうなんですか…》 あっ　うなぎか。 あんた　マジだね。 いや　そんなつもりじゃ…。 じゃあ　なんで→ こんなのまで買ってんの？ ちょ　ちょ…！ あっ　痛い！ アハハハハハッ。 病人相手に　やる気満々じゃん。 （ちはる）もういいから 早く仕事行って！ （しほ）あ～あ　はいはい。 ねえ　あんな面倒くさい女より 私と遊ばない？ 指名してくれたら 割引してあげっから。 しほさん！ おおっ…。 じゃあ　ごゆっくり。 ちはる。　お大事に。 ♪♪～ ごめんね。 あの人　隣に住んでて→ ここに越してきた時から 色々お世話になってて。 そっか…。　具合　大丈夫？ うん。　一応　薬飲んでるんだけど なかなか熱が下がらなくて。 じゃあ　ごはん作っていいかな？ 精つけないと！ え？ あっ　いや… そういう意味の精じゃなくて→ 栄養！　栄養！ うん。 台所　借りるね。 ♪♪～ うわぁ～　すごい！ 田西さん　お料理出来るんだ。 うん…　うん　まあ…。 はい。　熱いから気をつけて。 いただきます。 ♪♪～ ん…？　ゴボウ硬い。 嘘！？　あっ　ごめん…。 《失敗した…。 入れるタイミング間違えたか》 でも　美味しいよ。 ゴボウ以外は。 え…？ ありがとう。 （おなかが鳴る音） 《うわっ　ここで！？》 《初めて　うち来て ウンチは　まずいだろ》 じゃ…　じゃあ　俺　帰るけど ちゃんと　食べたら寝てね。 ダメ…　もうちょっと一緒にいて。 あ…　うん。 《頼むから耐えてくれ…　おなか》 ♪♪～ 《もしかしたら　本当に今夜…》 《うっ！　こっちもかよ…》 《鎮まれ　タニタン！　病人だぞ》 《でも　もし ちはるちゃんがその気なら…》 ♪♪～ …んなわけないか。 ♪♪～ えっ！？ し…　しほさん？ 大丈夫ですか？ ああ　田西～ ご指名ありがとう！ いや　ここ お店じゃないですから。 え…？ もう～　おうち帰りますよ。 いやいやいや　いやいやいや あたたたた…。 あいたたた…。 サンキュー　田西！ あっ！ はぁ…　やっちゃった。 もう電車ないよ。 あの　この辺に ファミレスとかあります？ なんで？ いや　タクシー代ないんで 始発まで　時間つぶさないと。 ここに泊まればいいじゃん。 まずいですよ！ 初対面ですし…！ 何　期待してんの？ 私としたいわけ？ と…　とんでもないです！ じゃあ　いいでしょうよ。 じゃあ　お言葉に甘えて…。 で…　したの？　ちはると。 し…　しませんよ。 熱あるんですから。 はあ？　せっかく ２人っきりにしてやったのに。 ほんと　ヘタレね。 トイレ借ります。 ああ　トイレそこ。 「高級ソープ　メレンゲ」 《朝まで　ナンバー１ソープ嬢と ２人っきり》 《耐えられるのか？　この状況》 《無理だ！　このままじゃ あっさり　過ちを犯しそうだ》 《どうする？ どうすれば　乗り切れる？》 《こうなりゃ→ 自分の手で　なんとかするしか…》 あっ！ ごめん！　紙切れてたでしょ？ ♪♪～ ≪（しほの笑い声） うるさいなぁ　しほさん…。 ≪（しほの笑い声） 田西さん？ ≪（しほの笑い声） 人んちのトイレで　何してんだよ！ シーッ！　ちはるちゃんに 聞こえちゃいますって…！ わかった。　わかったから。 ねえ　手伝ってあげようか。 ダ…　ダメですって！ なんで？ なんでって… ちはるちゃんを裏切れません。 あんた 風俗とか行った事ないわけ？ ありますけど…。 だったら　いいでしょ？ こんなの 浮気のうちに入んないって。 ええっ！？　ダメですって！ 情けないわねぇ。 本当はしてほしいくせに ビビっちゃって…。 そんなんだから ちはると出来ないんだよ。 ほんと…　ダメな男ね。 （しほの声）ダメな男ね。 ダメな男ね。　ダメな男ね…。 （青山）ダメな自分を 地道に一個ずつ克服して→ 自分に自信をつけるんです。 しほさん！ （田西の声）「ちはるちゃんへ カギは玄関のポストの中です」 「体調悪かったら無理せず→ 明日も休んでね。　田西」 「Ｐ．Ｓ．　しほさん　キャラ濃すぎ」 ♪♪～ つけました。 起立！ こっち向いて。 はい…。 我慢しなくていいからね。 《変わるんだ》 《ずっとビビって 逃げてばかりいた自分から→ ちはるちゃんを守れる 強い男になるために…》 《ちはるちゃんのために…！》 ありがとう。 うぅー…！ うわっ！ ごめんなさい！ あの…　決して　嫌とかじゃなくて→ むしろ　しほさんみたいに 色っぽい人にしてもらえたら→ もう　めちゃくちゃ 最高なんですけど→ 俺　俺…→ ちはるちゃん一筋なんで…！ 何　土下座なんかしてんだよ。 そこまで　思われてるなんて 幸せだね　ちはるは。 よし　気に入ったよ　田西。 あんたの事 全力で応援してあげる。 ありがとうございます！！ しほさんみたいな人に そう言って頂けて…！ いいから　いいから。 そんな事より→ 早く　トイレ行ってきな。 はい　行ってきます！ ああ　ティッシュ　ティッシュ。 そこ…。 ≫（ちはる）しほさーん？ ええっ…！？ （ちはる）誰か　いるの？ いるわけないでしょ…。 っていうか　何　勝手に 人んち入ってきてんのよ。 しほさんの真似～。 寝てなきゃダメなんでしょ？ （ちはる）うん　大丈夫。 なんか　熱下がったみたい。 （しほ）あっ　よかったね。 っていうか　なんか用？ 私　すっごい疲れてるんだけど…。 あのね　私さ…。 田西さんの事 好きになっちゃった。 （しほ）え…？ あんな奴のどこがいいわけ？ 空回りだけど いつも一生懸命なとこかな。 いきなり 変なＨビデオ貸してくれたり→ 強引にホテル連れ込んどいて 自分に手錠かけたり→ 慣れない手料理 一生懸命　作ってくれたり…。 田西さんって　不思議なんだよね。 一緒にいると 家みたいに落ち着くんだけど→ 波瀾万丈なとこもあって ドキドキさせられるっていうか…。 まあ　確かに…。 しほさんも　そう思うでしょ？ よし　決めた。 田西さんに言う。　好きだって。 （しほ）そういう事はさ 電話じゃなくて→ 直接会って言った方が いいんじゃないかな？ ううん　どうしても 今伝えたいから。 （携帯電話） （携帯電話） （笑い声） （しほ）確かに　波瀾万丈だわ。 （しほの笑い声） ♪♪～ （しほ）笑い死にする！ （２人の笑い声） え？　そんなにかかるの？ （ちはる）来月の納期　もう少し…。 （田中）どうした？ （ちはる）お願いします。 《あの日から数日が経ち→ 何をどう伝えても→ ちはるちゃんに 許してもらえる気がしなくて→ 俺は　何も出来ずにいた》 （ため息） 《ダメだ… 青山さんだって忙しいんだ》 《こんな事　いきなり相談されても 迷惑だろ》 《あ～　もう　どうしていいか わかんないよ…》 ご指名ありがとうございます。 しほです。 え…？ （しほ）ここ お悩み相談室じゃないんだけど。 ねえ　一つ聞いていい？ はい。 ちはるの事　裏切れない って言ったくせに→ なんで 私にしてもらおうとしたわけ？ 自分のダメなとこ 少しでも克服して→ 自分に自信をつけたくて…。 そうすれば　ちはるちゃんを守れる 強い男になれると思ったから。 あんた　強い男を勘違いしてる。 え…？ 私　今まで　１０００人以上の男を 相手にしてきたけどさ→ その中にいたよ あんたみたいなダメな男。 自分に自信つけたくて タトゥーなんか入れちゃって→ 強い男　気取っちゃってさ…。 でも　どんな女とも 長続きしなかった。 なんでだと思う？ わかりません。 自分のダメなとこを 認めなかったからだよ。 いいじゃん　ビビって何も出来ない あんただって。 認めなさいよ 自分のダメなとこを。 それが本当の強い男だって 私は思うよ。 認めたら　ちはるちゃんは 許してくれるんですか？ さあ　私　ちはるじゃないし…。 そ…　そんなぁ…。 《披露宴会場に行けば ちはるちゃんがいる》 《どうすんだ？ 玉砕覚悟でぶつかってみるか？》 《でも　ほんとに玉砕したら…》 《ああ～　どうすりゃいいんだ！？》 青山さん…　なんで　ここに？ ちょっと話せますか？ えっ？ 昨日　植村さんから電話があって 全部　聞きました。 ぜ…　全部？ …とまあ　そういうわけで。 笑われても仕方ないですよね 俺の人生って…。 笑えませんよ。 あっ…　ごめんなさい。 青山さんまで巻き込んじゃって。 謝る相手が違うでしょ。 傷ついてるのは 植村さんなんですよ。 ちゃんと謝ったんですか？ メールしたんですけど 返事がなくて…。 メール？ ちゃんと　相手の目見て言わなきゃ ダメじゃないですか。 いや　でも…→ 許してもらえないと思ったら 怖くて…。 そんなの　関係ないですよ！ 大事なのは どんなにみっともなくても→ 自分の気持ちを　ストレートに 伝える事じゃないんですか。 自分から告白しようとするくらい 好きだったんですよ。 田西さんの事。 彼女の事 大切にしてあげてください。 《返す言葉がなかった…》 すいませんでした！ ♪♪～ 《そうだよ》 （ちはるの声）私が　田西さん かっこ悪くない→ って思ってるんだから それでいいじゃん。 《初めから　ちはるちゃんは→ 強い男なんて 望んでなかったんだ》 田西さんの事 好きになっちゃった。 《今の俺を 好きでいてくれてたのに…》 《許してもらえるかどうかなんて 二の次だ》 《どんなに無様だろうと 何度だって→ ごめん　好きだ！ って言い続けなきゃ！》 社長　さすがに 披露宴のスピーチで→ 「ない」は勘弁してくださいね。 （笑い声） おっ　きた！ 「それでは　お待たせ致しました」 「新郎新婦の入場です」 （拍手） ♪♪～ ちはるちゃん！　あのー…！ （おなかが鳴る音） 《クソッ　こんな時に…》 何がしたいんだ？　あいつは…。 ♪♪～ 落ち着け…。 何も難しい事じゃない。 事実をありのまま伝えて　謝って→ ちはるちゃんの事　好きだって事 ストレートに言えばいいんだ。 しっかりしろ！ よし！　会場に戻ったら…！ ♪♪～ え…！？ なんで！？ 《あっ　女子トイレに 入っちゃってた…》 （しほ）認めなさいよ 自分のダメなとこを。 それが本当の強い男だって 私は思うよ。 大事なのは どんなにみっともなくても→ 自分の気持ちを　ストレートに 伝える事じゃないんですか。 《言え！　言うんだ！》 《場所はまあ　ちょっとあれだけど 今しかない！》 《正直に　ストレートに 自分の気持ちをぶつけるんだ》 あの…！ 何か？ …何も。 あの…　大きい声　出しますよ。 （ため息） はい！　はい！ なんだよ…　もう終わりか。 会長が目つけただけあるね。 あんた　本当に世界目指せるかも。 「かも」じゃねえっつうの。 なあ　俺がベルト獲ったら 一発ヤラせろよ。 何？ 嫌…！ まあ　いいか。 そのうち 俺に惚れさせてやっからよ。 ♪♪～ （田中）おい　田西　大丈夫か？ （司会）「それでは　ここで→ テーブルスピーチに 移りたいと思います」 （田中）鈴木さん　出番ですよ。 社長　何か　アドバイス的な何か ありませんか？ （斎田）ない。 （田中）それがダメなんですよ。 「まずは　新郎の会社の先輩である 鈴木貫一さんに→ お願いしたいと思います」 （拍手） （田中）鈴木さん　鈴木さん 頑張って　鈴木さん！ 「え～…」 えっ？ 「ただ今　ご紹介にあずかりました 田西です！」 「え～…」 えっ？ 「ただ今　ご紹介にあずかりました 田西です！」 紹介してねえし…。 「拓児君　律子さん ご結婚おめでとうございます」 田西！ 「あなたと過ごした日々は→ 僕にとって　宝石箱のような 思い出でありまして…！」 「覆水　盆に返らず という言葉がありますが→ されど　わずかな可能性を信じて 伝えたい事があります！」 （田中）何　伝えたいんだよ。 「コンドーーム！」 （女性の悲鳴） （田中）コンドームって…。 「避妊具をつけまして… フェ…　尺…→ つまり　その… して頂こうとしたのは事実で→ 弁明の余地はございません！」 「しかしながら　して頂く前に 思いとどまっており→ 性的接触は断じてございません！」 「つまり　その 何が言いたいかと申しますと…」 「僕は　あなたの事が好きです！」 「いえ…→ 世界で一番大好きです！！」 （メールの着信音） 「ご清聴 ありがとうございました！」 ♪♪～ （拍手） （律子のわめき声） （司会）「ありがとうございました！ 大変素敵なスピーチで…」 「では　続きまして 新婦の高校時代のご友人で…」 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ 「ただ今　ご紹介にあずかりました 長谷川町子です」 「律ちゃん　拓児さん　本日は 本当におめでとうございます」 鈴木さん…？ 「私と律ちゃんは　実は→ 中学時代　タイマンを張って以来の 親友で…」 ありがとね。 え…？ スピーチ　代わってくれて。 はい…！ 植村さんが退社？ （しほ）バカだね。 こんないい男　放っといて。 （青山）田西さん。 植村さんは騙されたんです！ （田中）この世界は→ やったもん勝ちだ。 対戦相手　決まったよ。 全部　田西さんのせいだよ。 お前をぶん殴りに 伺いますから！

コウノドリ１st＃04

1 産科の下屋です １階ﾛﾋﾞｰにｽﾄﾚｯﾁｬｰ 大至急お願いします はい すいません 失礼します ちょっと あけてください (職員)大丈夫ですか？➡ 水田英子さん 36週だそうです 36週 はい (真弓)かなり破水してますね 急いで分娩室に運ばないと うん 水田さん ちょっとみますね ちょっと姿勢変えますね ここで出す えッ ここで!? 赤ちゃん出てる もう時間ない すいません ここが周りから見えないように 人を近づけないように してください すいません 奥に入ってください 緊急事態なんで こちらで… すいません… すいません 失礼しますね へその緒が首に巻きついてます でも 大丈夫 お母さん もう少しです 安心してくださいね 力抜きましょう (水田)ううッー はい 生まれました おめでとうございます ちょっと今 お顔見せますからね 待ってくださいね よし 外れた (沙織)下屋先生！ ちょっと待ってくださいね (産声) よかった (産声) おめでとうございます 元気な女の子です (新井)赤ちゃん みます 新生児科の新井です 赤ちゃん 預かります ちょっと先生に 赤ちゃん みてもらいますね はい… 皮膚色良好 刺激反射良好 呼吸状態良好 出産時の異常所見は？ あッ へその緒が首に 三重に巻きついてましたが へその緒切ったら すぐに泣いてくれました はい 了解 おめでとうございます 元気な女の子です 診察のために 赤ちゃん いったん お預かりしますね あなたは？ 産科の下屋です そう (田中)女房のやつが腹痛いって 言うもんですから 病院連れてったら現場に戻ります すいません (陽子)淳ちゃん 私 破水したかも… はあッ!? (小松)今日は お手柄だったね～ いや そんな そんな (鴻鳥)妊婦を思いやった いい判断だったよ 人がいる前での出産となると お母さんの気持ちもね はい… 下屋先生 最近 患者さんに大人気だもんね ご指名増えてるし それは女医を希望する方が 多いだけの話で 私は… いや いいことだよ 医者は 患者さんから学ぶことが 一番大事だからね はい うん (田中)先生 下屋先生！ 田中さん？ 女房が腹の具合が変だって 先生 私 破水したみたいです お母さん ちょっとこちらへ 座りましょうか 下屋 何週？ 21週１日です 前期破水かな？ すぐ診察台でみた方がいいですね そうだね 下屋 車イス 下屋！ 車イス はい！ <お産に絶対はありません> <順調に進んでいたはずの 妊娠が一転するとき…> <家族は 人生をかけた厳しい 選択を突きつけられるのです> 田中さんは今 切迫流産 つまり 流産しかかっている状態です 流産って… 赤ちゃんは？ 今 妊娠21週１日で 推定体重は420グラム 心拍も しっかり確認できました ああ よかった ただ 検査の結果 やはり破水していました 赤ちゃんを包んでいる 卵膜に穴が開いて そこから少しずつ 羊水が漏れています 羊水が 漏れる… はい 本来なら 羊水は出産ギリギリまで おなかの中で赤ちゃんを 守ってくれるんですが それが今 少しずつ減っています このまま減り続けると 赤ちゃんの肺が しっかり つくれないなど 問題が起きて… 今すぐ生まれてしまうと 赤ちゃんは助かりません 何で 下屋先生 きのうの健診では 順調だって言いましたよね!? 《ゆうべから おなかが張って ちょっと痛みがあるんですけど》 《このくらいの張りなら 問題ないと思いますよ》 《子宮口も閉じてますし》 《出血もないなら 今のところ大丈夫です》 問題ないって言いましたよね だったら どうして!? それは… 切迫流産は 予測が難しいんです ほとんどの場合 症状が出てからの対処になります なら どうすりゃいいんすか！ おなかの中にいる時間が １日でも長いほど 赤ちゃんが 助かる可能性は高くなります じゃあ 十月十日まで 赤ん坊が 腹から出ないようにしてりゃ 大丈夫なんですね？ 破水してることを考えると このまま臨月まで持たせるのは 難しいです まず 最初の目標は24週です そこまで持ちこたえて 赤ちゃんの体重が 500グラムまでいけば 元気に育つ可能性は 50パーセント以上になります 50パーセント… はい 妊娠の継続を希望する場合は 今から すぐ入院して ベッドで 安静状態を保っていただきます ちょっ ちょっと待ってくれよ 今 ｢場合｣って言ったよな？ ｢希望する場合｣って！ どういう意味だよ!? 安静にして24週まで持ちこたえ 出産にこぎつけたとしても 赤ちゃんは 重い障害が ある可能性があります 障害って… 脳性麻痺や肺の病気 視力障害など考えられます それに安静というのは歩行禁止 食事もトイレも 全てベッドの上です さらに 感染症や陣痛を防ぐ薬を 24時間点滴しますが これは吐き気やだるさなど 副作用を伴います 今 お話ししたことを踏まえた上で 決めていただきたいんです 妊娠を継続するか 赤ちゃんを諦めるかを 何言ってんだよ 先生 助けてくれよ 元気に生まれるってよ そう言ってくれよ！ 結婚して10年 待って 待って やっとできた子供だぞ！ お気持ちは分かりますが… 約束はできません 妊娠の継続を望まない場合 人工流産が 法律で認められているのは 21週６日までです できれば 今日か明日までに 決めていただきたいんです 俺達に決められるはずねえだろ それでも 決められるのは お二人だけです 田中さん 僕達 医者は ご家族の未来を 背負うことはできません でも お二人の決断に対して 僕らは全力でサポートします (大澤)新井先生は 今橋先生の 医大の後輩だって？ (今橋)ええ 学生時代から とても優秀でした いや～ 助かりますよ いい人を引っ張ってきてくれて NICUに入る赤ちゃん 年々増える一方でしょ うちみたいな 地域周産期センターは大変なの 慢性的な人手不足でね でもね 産科とNICUは 病院経営の柱だから 新井先生も 来てくれたことだし これから患者さん どんどん受け入れて… おかげさまで 当直月６回で 何とか回せそうです 月に８回を超えていた今までが さすがに異常事態でしたから 新井先生 着任早々 今夜から当直で悪いね いえ ねえ 院長 あッ 会議だ そろそろ行かないと じゃあ 新井先生 よろしくお願いしますね よろしくお願いします 何で 何で私達の赤ちゃんなの 赤ちゃん どうなっちゃうんだろう 嫌だ もう 嫌だよ 動いちゃいけねえってば 嫌だ！ 何で こんなのひどいよ！ 助からないかもしれないなんて 生まれても障害が残るなんて かわいそうだよ この子が かわいそうだよ！ バカッ かわいそうなんて言うな！ 母親に かわいそうなんて言われたらよ 腹ん中で必死に頑張ってる 赤ん坊が やってらんねえだろ 俺は逃げねえぞ こいつの親だからな 時間がなくたって 難しくたって 真剣に悩んで考えて 俺達で決めてやらなきゃよ この子のこと考えてやれんの 俺とお前しかいねえじゃねえか 障害のある子が どんな思いするか その親が どんだけ大変か 俺には想像つかねえし 正直 怖えよ でもよ やっぱり 生まれてきてほしい お前には つらい思い させるかもしんねえけど この子にできることは 何だって全部してやりてえよ あちッ 下屋先生 下屋先生 はい 田中さんが気がかりなのは 分かるけどさ 患者さん 他にもいるからね すいません (四宮)下屋は 自分にミスが なかったことを確認したいのか？ いいえ そんな… 切迫流産は ベテランの医師や助産師でも なかなか予測することができない もし仮に お前が流産の兆しに 気づけなかったせいだとしても 今やるべきなのは 自分の失敗を 確認することじゃないはずだけど 相変わらず嫌みったらしいけどさ 四宮先生の言ってることは もっともだからね 私 産科医失格です ろくに説明もできないし 田中さんに 苦しい決断を迫る役目まで 鴻鳥先生に 全部任せてしまいました もう 泣かないの… すいません 鴻鳥先生 いますか？ 田中さん… 決めました 俺達… 腹の子のためにできることは 何だってします だから 助けてください 陽子と赤ん坊を！ はい 分かりました よろしくお願いします 全力で頑張ります 沙織ちゃん 抗菌薬と 張り止めの点滴 すぐに用意して はい あとLDRから病室に移動… 下屋先生 ここからが本番だよ はい… ママと一緒に頑張ろう 頑張ろうね 田中陽子さん 34歳 ご夫婦ともに妊娠の継続を 強く希望されているため 絶対安静の処置をとっています この患者 破水の前日に 健診受けてるのよね？ はい そのときに何か 手は打てなかったの？ そのときは 特に異常な所見は ないと思いました ｢思いました｣ それ感想ですか？ 新井先生 切迫流産を事前に 診断することは困難ですから 分かってます でも腹部の張りと 痛みを訴えてたわけですから 何らかの危機意識を 持つべきではないんですか？ (福田)きっついなあ 新任の先生 (白川)前の病院で 鉄の女って 呼ばれてたらしいっすよ 両親の覚悟は確かなのか？ えッ？ 生まれてくる子は超低体重児だ 肺や脳に 後遺症が出る可能性が高い その現実を どれだけしっかり 把握できているかどうか ひっかかるけど それは大丈夫だと思い… 大丈夫です 何があっても 受け止めるとおっしゃっています そりゃ今は 子供を助けたいと思うさ でも 生まれたあとに やっぱり 受け入れられないってなると… その方が悲劇だろ でも決めるのは家族だからね 僕らは その決断に対して 全力でサポートするしかないよ 四宮先生の懸念も分かります 実際 NICUには 面会に来なくなる親もいますから でも 田中さんの場合 ご主人が出産に とても前向きなんです ご両親と早くに死別されて 奥様の実家にも 結婚反対されて以来 行き来がなくて 夫婦二人だけで 支え合ってきたんです だから絆は強いと思います ｢思います｣ またそれも感想ね (加瀬)ちょっと そこ 俺の指定席なんだけど このベンチ 予約しないと座れないの？ そうじゃねえけど… ああ あんたが 新生児科に来た 鉄仮面か はあ？ 俺 救命の加瀬 よろしくちゃん アイス… いいだろ 別に (船越)ﾐｽﾏｯﾁですよね 加瀬先生の顔でｱｲｽを愛するって 何だ その格好？ トレーニングですよ 今度 大会があるんで 大会？ マラソンはいいですよ 極限状態の中 注意力と判断力を 研ぎ澄ませながら走り抜く ある意味 オペ室における 麻酔科医の仕事に よく似ています 船越先生 マラソンやってたのか？ はい 今度が大会初出場です じゃあ 僕はこれで 応援ありがとうございます 俺達 応援したっけ？ 全然 ≪(陽子)まだ22週か 私 １日が こんなに長いと 感じるの 初めてです ジッと動かず天井を見てると グルグル同じことばっかり 考えちゃうんです 赤ちゃん流れちゃったら どうしよう… 助かっても後遺症が重かったら どうなるんだろうって 順調だって信じてたんです… 担当が女医さんでよかった 安心だって思ってたのに… 私 ホントに赤ちゃん産めんのかな 産めるに決まってんだろ バーカ 情けねえこと言うな こいつ今 ちょっと ロンパースになってて うん？ 違うな あッ ナーバスだ すいません はい 入院室は どちらでしょうか？ 寝たきりでジッとしてるとよ エコノミー症候群 ってのになるからな 飛行機にも乗ってねえのによ 割が合わねえよなあ 何それ (ノック) はい どうぞ こちらです お母さん… (母)陽子… ≪(陽子)お父さんも どうして… 俺がついていながら こんなことになってしまって 申し訳ありませんでした 淳ちゃん… 俺が知らせたんだよ 悪かったな 黙ってて (父)先生から様子は聞いた どうして すぐに知らせてこないの だって… 私 勝手に 家飛び出して… すいません 陽子は 俺に遠慮したんです ずっと心配してたのよ あんた 住所も 知らせてこないんだもの お母さん… ごめんね こんなときに お母さん 陽子に 何にもしてあげられない ごめんね もう嫌だな 突然来るんだもん ビックリしちゃうよ ≪(陽子)みんな大げさなんだから 大丈夫なのに私 大丈夫なのに… (母)陽ちゃん…➡ 陽ちゃん… 田中さん ご両親に会うの 結婚以来なの？ 赤ちゃんが 生まれたら連絡とろうって 淳さんは決めていたそうですけど まあ でもよかったね 陽子さんの気持ちも 前向きになって なあ 下屋 このまま24週まで 何とか持ちこたえて くれたらいいんですけど ああッ！ 10円ハゲ 下屋 円脱できてる！ えッ えッ ヤダ どこ!? どこどこ どこどこ!? 先生 男に だまされやすいと 先々 苦労するよ えッ もうヤダ… そう それ スマイル 医者が暗い顔していても 患者は良くならないよ はい (滝)トントン サクラさん 10分前です 了解 今日もね 満席 (バイブレーター着信) どうした？ ☎鴻鳥先生 ☎田中さんの陣痛 始まってしまいました ☎胎児の心音も落ちてきています 分娩は もう回避できません 24週まで あと少しだったのに… 緊急の帝王切開になります 急いで戻ってきてください それは下屋の判断？ そうです 今すぐカイザーしないと 赤ちゃん助かりません カイザーは まだできないよ えッ？ 何言ってるんですか 今 下から分娩したら 赤ちゃん死んじゃいますよ 下屋は赤ちゃんのことだけしか 考えてないようだけど 今 第一に優先すべきは 母体の安全だろ ☎23週では子宮もまだ小さい この時期の帝王切開は 母体にかかる負担が大きい ☎下屋が今やるべきことは ☎超早産で生まれる 赤ちゃんのリスクと ☎母体にメスを入れるリスクを 正確に伝えて ☎もう一度 夫婦に決断してもらうことだよ それでも 二人が赤ちゃんを 助けたいと強く望んだときに 僕らは初めて 母体にメスを入れられるんだよ ありがとう 田中さん 分娩は回避できなくなりました まだ24週にならないのに… どうなるんですか？ このまま下から生まれてしまうと 低酸素状態となって 最悪の場合 赤ちゃんが助かりません だったら すぐに切ってください 帝王切開は リスクを伴います 大量の出血 内臓の損傷 感染症の危険もあります 安静にしてた陽子さんの場合 肺血栓症も気がかりです もちろん手は尽くしますが 田中さんの場合 超早期の帝王切開になりますので 赤ちゃんを早く安全に出すために 子宮は大きく縦に切ります そうすると 次に妊娠したときに 子宮破裂や胎盤の癒着の リスクが高くなります これだけのリスクをおかして 手術しても 今 この子が生存できる見込みは 50パーセントくらいです 障害のない生存となると もっと低くなります 母体の優先を原則とする 産科医としては 帝王切開は勧められません 先生は… 下屋先生個人は どう思いますか？ えッ？ 医者としてじゃなくて 一人の人間として 先生は どう思うんですか？ 私は… 私は… 両方 助けたいです 赤ちゃん 諦めたくないです 私もです 赤ちゃん 諦めたくない 先生… 切ってください 今日まで この子 一生懸命頑張ったんです 私 産みたい 生まれてきてほしい 田中さん… ≪(田中)先生 俺達 決めたんです この子のために できることは 何だってしてやるって 助けてください 陽子と 腹の子を！ はい 曲がりますよ はい 大丈夫ですからね 鴻鳥先生が来たら すぐに オペ室に来てもらってください 分かりました もう いるよ 鴻鳥先生！ よかった～ ちゃんと伝えた？ はい よし 助けるよ お母さんも 赤ちゃんも はい うん よ～し いいよ 外して はい 赤ちゃん出るよ ああ おめでとう (一同)おめでとうございます 下屋 臍帯は長めに切ります はい 小さい… 小さい… ≪(今橋)下屋先生… お願いします (今橋)挿管 開始してください (白川･新井)はい 気管チューブください はい チューブ 入りました 早い… モニターつけて 心拍と サチュレーションを確認 ≪(白川)はい おめでとうございます 男の子です 無事ですか？ 陽子も赤ん坊も はい 小さくて 驚かれるかもしれませんが ≪(今橋)すぐに 赤ちゃんの処置をします➡ 済み次第 詳しく 説明させていただきますので お願いします… 下屋先生 赤ちゃん どうですか？ 人が大勢いて よく見えなくて… はい… お母さん おめでとうございます かわいい男の子でしたよ 少し小さいので処置を急ぎました 抱っこさせてあげられなくて すいません 無事なんですね よかった はい しばらくはNICUで お世話することになりますが 明日には会いにいけますよ はい… (森岡)マリちゃん 呼吸が 弱くなってます 新井先生 ここはもう大丈夫ですから お願いします 田中さん うちの子… あんなに ちっちゃくて ホントに大丈夫でしょうか？ それはまだ 分かりません… でも 赤ちゃんの 生命力は未知数です 僕らが もう助からないかも しれないと思っていた赤ちゃんが 何の問題もなくNICUを 卒業することだってあるんです だから ここで働く 医者や看護師は みんな 赤ちゃんの生きる力を信じて 全力でサポートしています 信じてあげてください 赤ちゃんの生きる力 出生体重は452グラムでした 今はまだ断定はできませんが 何らかの障害が残るものと 覚悟はしておいてください まずは 最初の一週間がヤマです その間に 肺や腸が破れてしまう 可能性もあります 一週間を越えても 赤ちゃんの状態は良くなったり 悪くなったりを繰り返します 先生… 俺に… してやれることはないですか？ 赤ちゃんに触ってあげてください いいんですか？ もちろんです お父さんに触ってもらったら 赤ちゃんも安心しますよ どうぞ 手に触れてみてください そーっと 握った… こいつ 俺の指 ぎゅって握ったよ 父ちゃんだぞ 父ちゃんがついてるからな 下屋 何だ何だ こんなとこにいたのか 田中さんの赤ちゃん 元気だったよ 今夜は僕が お母さんの様子をみるから 下屋は帰って休んだら？ これで よかったんですか？ うん？ オペを決めるとき 私 田中さん夫婦に言いました 赤ちゃんも お母さんも 両方助けたいですって なのに… おめでとうって言えませんでした 田中さんの赤ちゃんを 手のひらに乗せたとき 私 怖くなったんです こんなに小さくて軽くて 本当に助かるのかなって 私は… 判断を間違えたんじゃないかって 出産は結果だから 母子ともに無事ならば それで問題はない でも もし うまくいかなかったときは たとえ産科医の判断に 何一つミスがなかったとしても 患者との信頼関係なんて すぐに壊れてしまうよ 下屋の判断が正しかったかどうか 僕にも分からない 答えは どこにもないからね それなのに 僕らはいつだって 正解のない過酷な決断を 患者に迫ってるんだ なあ 下屋 だからこそ 正しい情報を伝えて 真剣に患者に 向き合わなきゃいけない そして 患者が決断を下したとき 僕らは その答えに対して ベストを尽くすんだよ 鴻鳥先生は 怖くないんですか？ 自分の判断が 間違ってたんじゃないかって 迷うことはないんですか？ 迷うよ 人間だからね これでよかったのか 他に方法はなかったか ミスはなかったか… いつだって迷ってるさ でも もしそれを怖いと思うなら 産科医をやめて逃げ出すか 次につなげるしかないんだよ なッ ほい (田中)いいか 絶対泣くなよ ちっちぇえとか あと… チューブがつきまくりで かわいそうだとか言って 泣くなよ うちの子はよ 精一杯 頑張ってんだから うん… ああ 田中さん ホントにちっちゃいね ああ どうぞ 赤ちゃんに 触れてあげてください お母さんが来るのを ずっと待っていたんですよ (赤ちゃんの呼吸音) おい 声上げたぞ ホントに待ってたんだな 陽子のこと (陽子)あったかい… 田中大地… この子の名前 大地はどうだ？ ちっちゃく生まれた分 二人で でっかく育ててやろうぜ 淳ちゃん… うん？ 私 悲しいんじゃないからね 嬉しくて泣いてるんだからね おう 下屋先生… はい ありがとう 私 この子を産んでよかったです 結局 鴻鳥先生と二人だけか 下屋も誘ったんですけどね せっかく 豚足おごろうと思ったのにさ コラーゲンたっぷりで 朝のお肌はツルンツルンよ えッ 小松さん 誰かに見せるんですか？ それ 聞くの？ ごめんなさい 冗談です ねえ 二人だけなら あそこ行かない？ うわ～ 出た～ その企み顔 何だよ 行くよ！ どこ連れてくんすか？ それは秘密だよ 先生が… もっといい医者だったら… ごめんな ここ ここ ここ え～ッ 待って 買いたいピアノがあるの 閉店です 小松さん さすがにここじゃ… いいから いいから おじさん ごめんね あの… 先生が研修医の頃はさ 病院の近くのバーで よく弾いてくれたよね 小松さんが弾かないと 帰してくれないからですよ 違うわよ 先生が いつも 自信なさそうだったからよ えッ？ 先生はさ ピアノ弾いてるときが 一番いきいきしてたもん 何ですか それ 研修医時代の鴻鳥先生 てんで頼りなくてさ 急なお産のときなんか 情けない顔でウロウロしてた 今の下屋先生の方が よっぽどしっかりしてるよ 小松さんには よく叱られましたね 患者さんに 不安そうな顔するんじゃない 何があっても 経験したことから 逃げるんじゃないって 若かったね 鴻鳥先生 小松さんも こら おかげさまで 僕も どうにかこうにか 医者らしくなりましたかね？ そうね… だから早く… 弾いてよ お礼にさ はい やった！ ♬～ 最初の一週間 まず乗り越えないとね おう こっからが 俺ら新生児科の踏ん張りどころ まあ 任せておけって 今橋先生と新井先生がいるからね 白川は当てにならないけど はあ？ 大地君 頑張ろうね ♬～ <田中さん夫婦の選んだ道が> <正しかったのか> <それは誰にも分からない> <小さな命と向き合うとき> <親が下す決断に> <模範解答など ないのだから> 今日は平和だね はい (向井)鴻鳥先生 はい 性教育の授業をしてもらいたいと 依頼がきてるんですけど… ≪玲奈 今は いい加減な情報が ネットに散乱してますもんね ええ 本当に大切なのは 命の問題ですから 日々 現場で命と向き合っている 産科の先生から伝えてほしいと 対象は何年生ですか？ 中学３年生です (玲奈)ミカ！ 玲奈 玲奈！ 玲奈 大丈夫？ ストップ 先生 玲奈が！ 玲奈 大丈夫？ ≪玲奈 しっかりして！

フリーター、家を買う。＃10

1 （真田）１００万！？ （塚本）何てこった。 誠治が必死に仕事して→ ようやく　ためた １００万だっつうのによ。 （真田）いるんだよ そういうこと平気でするやつが。 （手島）ひど過ぎる。 （誠治）いや　参っちゃいましたよ。 だって 一瞬で１００万なくなっちゃうし→ それで 最終面接は受けられないわけで。 よし。 職長　これで　全部　終わりました。 （大悦）おう　ありがとう　助かるよ。 （あかり）お疲れさまでした。 お疲れした。 （大悦）誠治　ちょっといいか？ はい。 座れ。 はい。 実はな　うちで 事務と営業やってくれる正社員→ 雇おうかって考えてんだ。 俺としては→ 誠治が来てくれねえかなって 思うんだ。 （大悦）うちは　誠治が就職試験 受けてるような会社と比べると→ 規模も小さいけど→ 一度　考えてみてくんねえか。 給料とか条件は これに書いてあるから。 はい。 （真田）誠治が社員に？ （あかり）そう　事務や営業だって。 （真田）はあ　いや　いや　いや 事務や営業職だって→ 現場の仕事に理解のある 誠治がやってくれたら→ 俺たちだって　うれしいよな。 （手島）はい。→ まあ　はっきり言って 誠治は最初→ 僕たちの仕事に 偏見とかありましたけど→ 今は仲間ですし。 （塚本）誠治も　これで　やっと→ 就職が決まるわけだ。 よかった　よかった。 正直　戸惑ってるよ。 あっ　いや　ほら　大悦土木はさ→ ずっといる場所だとは 考えてなかったから。 （真奈美）断るの？ いや。 でも　断って→ それで　就職　決まんねえのも 最悪だしさ。 （真奈美）できれば 大悦土木よりも規模が大きくて→ 安定した会社がいいってこと？ いいんじゃない？ それが自分の基準なら。 基準？ どこの会社に入るかは 誠治の基準で決めることだから。 （誠一）何だ。 （誠一）ただいま。 ただいま。 （智也）おかえり。 （誠一）おっ　智也　どうした。 何だ　何だ　何だ　えっ？→ 亜矢子　どうした。 （亜矢子）あっ　わたしと智也だけどしばらくお世話になります。 はっ？ どういうことだ。 （誠一）姑と　うまく いかなくなったぐらいで　家出か。 （亜矢子）それなりのことが あったからよ。 どうせ大したことないんだろ？ （誠一）大したことないんだろ？ 何も言えないってことは。→ だんなは　どうしてんだよ。 （亜矢子）仕事が忙しいの。→ 患者さんの命　預かってるの。→ 嫁　姑の問題に いちいち巻き込まれたりしないの。 （ノック） はい。 （寿美子）誠治に電話。 ナミキ医療技研の木田さんから。 えっ？ （誠一）最終面接 行かなかったところか？ うん。 もしもし　すいません お待たせしました　はい。 えっ？　あっ　はい　大丈夫です。 はい　はい　あっ　失礼します。 何だって？ いや　会って話がしたいって。 （亜矢子）まだ チャンスあんじゃない？ （木田）実は　欠員が　１名　出たのでお呼びしました。 ありがとうございます。 （木田）面接を受けられなかった 理由を聞かせてください。 あっ　それは 家の事情といいますか。 （木田）何か　やむを得ない事情でもあったんですか？ はい。 あっ　母親が　うつ病でして。 その母親から電話があり→ 状態が 普通ではないと思ったので→ せっかくの最終面接のチャンスを 頂いたのですが→ 家へ戻ることにしました。 それで　お母さまは？ はい 大事には至らず　大丈夫でした。 そうですか。 では 志望動機を伺いたいと思います。 はい。 （真田）ありがとう。 あっ　ねえ　あかりちゃん→ 今日　誠治は？ （あかり）あっ　就職の面接→ 受けることになったって 連絡　来ました。 （手島）えっ ここの社員になるんじゃないの？ はっ？ （あかり）あっ　すみません　職長→ あの　わたし聞いちゃって みんなに話しました。 お前　どうなってんだよ しょうがねえな。 だって　誠治さんが 社員になるもんだと思って→ みんな　盛り上がっちゃって。 （手島）やっぱり　誠治は ずっと　ここには　いないのかな。 （大悦）いや　お前　誠治が 行きたいと思ってるとこに→ 行けんのが　一番なんじゃねえか？ 俺たちは寂しくなるけどな。 （真田）気持ち良く 送り出してやらないと。 でも　まだ 受かったわけじゃないですから。 すいません　遅れました。 （あかり）どうでした？　面接。 あっ。 何か失敗したんですか？ あっ　いや　受かった。 （あかり）えっ？ あっ　受かったんですか。　ああ。 あっ　その場で内定を頂きました。 （大悦）おめでとう。　頑張ってきた かいがあったじゃねえかよ。 （真田）よかったな　おめでとう。 （手島）頑張れよ　誠治。 （塚本）これで 親御さんも一安心だな。→ 俺らも一安心だ。 ありがとうございます。 （ため息） （亜矢子）誠治　遅いね。 ただいま。 （亜矢子）あっ　おかえり。 おかえりなさい。 （亜矢子）どうだった？　面接。 あっ？　あっ　受かったよ。 （亜矢子）えっ　受かったの？ うん。 （亜矢子）やったじゃん。 ナミキ医療技研に入れるなんて→ あんたにしては めちゃめちゃラッキーよ。 うるせえな 運じゃなくて実力だっつうんだよ。 はいはい。 あっ　そうだ　あの　これさ→ 詳しい条件が 書いてあるっていうから→ まあ　これ見て 考えてみてくれって言われた。 どんな条件だって 入るんでしょ？→ はっ？　この期に及んで→ 入社するかどうかは 条件によるっていうの？ 何　ぜいたく言っちゃってんの。 いや　そうじゃないよ。 じゃあ　何よ。 いや　ほら→ 実はさ　今のバイト先からも→ 社員にならないかって 言われてんだよね。 （亜矢子）土木の会社？ うん　大悦土木。 （誠一）お前 まさか迷ってんじゃないだろうな。 迷う必要なんかない。 ナミキ医療技研に行け。 命令すんなよ。 いや　これは俺の就職だからさ。 俺は　お前を土方にするために 大学に入れてやったわけじゃない。 何だよ　その差別的な言い方。 一生懸命　働いてる人たちを 見下すような言い方すんなよ。 差別は良くないって→ 子供のころ教えてくれたの どこの誰だよ。 うるさい。 謝れよ。 俺に良くしてくれてる人たちに 謝れよ。 おい。　おい　謝れよ。 俺に　あんたを 軽蔑させないでくれよ。 俺は　あんたを…。 親父を…。 ＜親父を尊敬したいんだ＞ ＜そう言いたかった＞ ♪♪～ ＜いつか家族の気持ちが １つになれる日は→ 来るのだろうか＞ ≪（社員）月々の家賃と 同じぐらいの支払いで→ ローンを組める物件も ございますよ。 あっ　でも 今　ちょっと無理なんで。 （社員）はい　何かございましたら 声　掛けてください。 ＜いつか→ 母さんが安心して暮らせる家を 買える日が来るのだろうか＞ ♪♪～ 母さん　眠れない？ あっ。 ごめんね　せっかく俺のこと 採用してくれるとこがあんのに→ そのことで　また 親父と　もめちゃって。 とにかくさ　早く決めて 再スタート切るからさ。 してるんじゃない？ 再スタートなら もう　してるんじゃない？ どういう意味？ あっ　おはようございます。 （大悦）おう　おはよう。 あの　職長 ここの社員になる件なんですけど。 （大悦）おう　まあ　気にすんな。 俺に声を掛けてくれたのは その　同情したからですか？ 同情？ あっ　１００万円なくして→ 最終面接も行けなくて　それで。 バカヤロー。 そんな　ぬるい理由で パートナー選ぶかよ。 パートナー？ 事務と営業　任せる社員を 初めて１人だけ雇うんだよ。 それは　つまり 将来的に俺のパートナーとして→ 会社の経営にも かかわっていく人材を→ 選ぶってことだよ。 何で…　それが何で俺なんですか？ いや　だって　募集かければ→ もっと優秀な人が たくさん集まるはずじゃ。 （大悦）俺は 履歴書なんて信用しねえから。 フリーターだったお前が たまたま　うちにバイトで来た。 金を稼ぐっていう 目的だけのために　うちに来た。 どんなに　きつくっても→ こんなとこは　いつまでも いらんねえやって思っても→ おふくろさんのために 引っ越ししたいっていう思いで→ 必死に続けた。 続けた結果　誠治なりに この仕事から何か見つけたはずだ。 金を稼ぐ以外の何かをな。 そんなお前だから信頼できる。 俺の力になってくれるって 思えたんだ。 もっと　自信　持て。 今のお前だったら どこへ行っても通用する。 ♪♪～ ♪♪～ （大悦）《で　いつから 仕事できんの》 《あっ　きょっ　今日からでも》 《じゃ　あした　朝７時４５分に…》 （大悦）《金の心配するより やることあんじゃねえか？》 《この半人前が》 《上も下も関係ないよ》 《役割が違うだけで 同じ目的に向かう者同士》 ♪♪～ 《誰にでも続けられる 仕事じゃないよ》 《続ければ分かるよ》 （豊川）《俺らが造った道路やで》 （手島）《この道 いつ地図に載るんですか？》 （塚本）《道路は逃げていかねえ。 ずっと　ここに残る》 《いやっ》 《親父さん言い負かして→ 勝ち誇ってんじゃねえよ》 （大悦）《親子だってな 言っちゃいけねえことあるんだ》 《もっと　自信　持て》 《今のお前だったら どこへ行っても通用する》 ただいま。 （亜矢子）おかえんなさい。 （寿美子）おかえりなさい。 （智也）おかえり。 親父。 就職のことなんだけど。 ♪♪～ ほら　この間は　ちょっと ケンカになっちゃったからさ→ 言えなかったんだけど。 今　事務や営業担当として 正社員にならないかって→ 職長には言われてる。 どんな職種だろうと→ 会社の安定性でいえば ナミキ医療技研の方が格段に上だ。 大悦土木も 堅実に生き残ってはいるが→ 何しろ規模が小さい。→ それに事務や営業だと→ 何でも屋扱いで こき使われるのが落ちだ。 俺は俺の基準で決めるよ。 お前の基準？ 最初はさ 稼ぐために仕事が必要だった。 それが　たまたま 工事のバイトでさ。 つらくて汚いだけだと思ってて→ やりがいなんて とんでもないと思ってた。 けど違った。 続けていくうちに→ よかったって思えるもんが ちゃんとあったんだよね。 そう思えたのもさ 俺は大悦土木だったからだと思う。 職場の仲間が好きだし 職長も尊敬してる。 その職長が 今　俺を必要としてくれてる。 今　日本で一番 俺を必要としてくれてるのは→ 大悦土木だと思う。 誠治　ちょっとは まともになってきたわよね。 いや　もっと　ちゃんと 褒めてあげなきゃね。 （ため息） わたしは何やってんだか。 おはようございます。 おはよう。 あの　職長。 社員になるお話なんですが。 よろしくお願いします。 ホントにいいのか？ はい。 ありがとう。　よろしく　誠治。 あっ。 ＜俺は再スタートしていた＞ ＜ここに　大悦土木に→ アルバイトとして入った あの日から＞ （北山）えっ？ ナミキ医療技研を蹴って→ 大悦土木？ はい。 （北山）それは　また。 あっ　でも　ほら 自分の基準で決めたことですから。 （北山）ハァ　わたしが今まで お手伝いしてきたことは→ 何だったんでしょうね。 あっ　いや　あの→ ホントに 色々と　お世話になりました。 あっ あっちの方　どうなりました？ あっち？ あっ　いや　あの　恋愛。 もう 離れ離れになっちゃいましたか。 あっ　これから送別会なんすよ。 あっ　今日で　おしまいですか。→ まあ 未練がましいのは良くありません。 すぱっと断ち切って 次いきましょう。 そうですね。 ほら　俺は　２３回も　お見合い うまくいかない人とは違うんで。 ２４回です。 駄目だったんすか？ 記録更新です。 ああ。 さあ　ほかに仕事を探してる方も いらっしゃいますんで。 あっ　はい。 今日で お会いすることなくなりますね。 はい。 まあ　会社を辞めたり→ 会社が　つぶれなければの 話ですが。 冗談じゃありませんよ。 じゃあ　これで。 （北山）あの　これ。 あっ　わたしの携帯の番号と アドレスです。 あっ　必要なければ。 あっ　いや　必要です。 じゃあ　また。 また。 次の方。 （一同）かんぱ～い。 （真田）けど　千葉ちゃん ホントよかったな　設計部　行けて。 ホントは寂しいけどな。 わたしも　さみしくなりますけど→ 橋を設計するのが ずっと前からの夢だったんで。 実現できるように頑張ります。 （真田）うん。 （あかり）千葉さんが設計した橋か。すごく見てみたいです。 千葉さんなら 絶対　実現できますよ。 俺らも応援してるから。 ありがとうございます。 設計部門に行っても→ たまには 大悦土木の現場に　顔　出しな。 はい。　でも　しばらくは 和歌山の技術センターに行くんで。 （手島）えっ　和歌山？ どのぐらい？ ２年。 （あかり）そんなに会えないなんて。（塚本）簡単には会えねえな。 ≪（戸の開く音） （大悦）おう　哲平　こっち。 （塚本）おお　退院したか。 （豊川）はい　今は 通院しながらリハビリやってます。 （真田）おっ　そっか。 おう　詰めろ　詰めろ。→ おい　哲平　ほら　ここ座れ　なっ。 （豊川）あっ　いや　これなんで。 （真田）あっ？　これって。→ あれ　何だ ２人　ケンカでもしたのか？ （塚本）あ～　どうした。 （豊川）あっ　いや。 将来どうなるか分からないとか それが何？ 今　好きだから一緒にいる。 それだけじゃ駄目なの？ ケガしちゃっても 将来どうなるか分からなくても→ わたしは 哲平さんのことが好きだから。 好きだから。 （豊川）俺　めちゃめちゃ カッコ悪いやん。 俺　この前　あかりちゃんに→ めちゃめちゃカッコ悪いとこ 見せて→ 今日は　カッコイイとこ 見せようと思って来たのに。 俺は　あかりちゃんが好きや。 一生　ずっと好きやから。 （大悦）何だよ　お前ら 勝手にやってくれよ。 （真田）あ～　熱い　熱い。 （塚本）もう　こっちが照れるよ。 （手島）いいな。 （大悦）お前ら退場。　もう２人で 勝手に　よろしくやってくれ。 （あかり・豊川）すいません。 （塚本）もう　こっちが照れるよ。 （大悦）ホントに 笑ったり怒ったりよ　お前。 あっ　頑張れよ　研修。 あっ　ちゃんと言ってなかった。 何？ 就職おめでとう。 おっ　おう　いや　別に→ 「自分の基準で　決めたら いいんじゃないの？」って→ 言ってくれたおかげだよ。 わたしは分かってたよ。 誠治は大悦土木に決めるって。 まあさ　俺も頑張るから。 うん。 やっぱ　ミカンだよな。 えっ？ あっ　和歌山っていったら。 ああ　あと梅とかね。 おお　梅　うっ　梅な　うん。 送ろうか？ えっ？ あっ　いや　ミカン？ あっ　いっ　いいよ　別に　そんな。 そっか。 いつ行くのよ　和歌山。 あっ　２９日の１１時のバス。 そっか。 うん。 気を付けて　いっ　行けよ。 ありがとう。 おう。 じゃあ。 じゃあね。 うん。 ♪♪～ ♪♪～ （亜矢子）毎日こっから通うの 大変だけど　ごめんね。 （智也）ううん　楽しいよ。 （亜矢子）んっ？ いつもは　お母さんと２人だけで ご飯だけど→ ここだと　みんながいるし→ おじいちゃん 一緒にトランプやってくれるし。 ずっと　さみしい思いしてたの？ ねえ　智也 お父さんは　一生懸命　働いてるの。 なかなか一緒に ご飯は食べられないけど→ 患者さんのために 一生懸命　働いてるの。 一生懸命　働く　お父さんは 立派なのよ。 お母さん　わたし…。 （則子）はい。 （則子）亜矢子さん　いつまで うちを空けるつもりなのかしら。 （ノック） （則子）亜矢子さん。→ 智也は？ （亜矢子）学校に送ってきました。 （則子）そう。 これからのことを話しに来ました。 （則子）聞くわよ。 （亜矢子）行かないで。 （亜矢子）今回 わたしが家を出たのは→ お母さんに　わたしの実家のことを悪く言われたからです。 今まで　ずっと お母さんと　うまくいかないこと→ わたしは不満に思っていました。 よくある嫁と姑の問題だと 思ってました。 でも　でも本当は→ わたしと文也さんの問題だと 思います。→ 夫婦の問題から目を背けて→ 嫁　姑の問題に　すり替えて いただけなんだと思います。 お母さん　智也の将来のこと→ 心配してくださって ありがとうございます。 でも　これからは　文也さんと 智也と　わたしの３人で→ 考えていこうと思います。 ３人で話し合っていくべき ことだと思います。 （文也）俺も　そう思う。 夫として　父親として→ 家族のことを ちゃんと考えていきたい。 今まで仕事を言い訳にして 逃げてきたから。 そう。 亜矢子さん　あなた　ずいぶん たくましくなったわね。 あっ　あしたから社員なるからさ あの　ワイシャツ。 かけてあるわ　アイロン。 ありがとう。 まあ　就職はしたけどさ→ これから　まだまだ やること　いっぱいあるから。 まあ　経理もできるように 簿記の勉強もして→ あっ　何つったっけな→ 建設業経理士っていう 資格　取るようにって→ 職長からも言われてるから。 （寿美子）お父さんと同じ。 お父さんと同じ経理の仕事 するようになるのね。 ありがとうございます。 （大悦）おい　みんな ちょっといいか？ （大悦）今日から大悦土木に 新入社員が入りました。 武　誠治です。 よろしくお願いします。 （一同の拍手） （大悦）まあ　皆さんに→ 迷惑を掛けることも あるかもしれませんが→ 一から教えていきますんで よろしくお願いします。 よろしくお願いします。 （一同）よろしくお願いします。 （山賀）おい。 （平田）はい。 （山賀）真奈美の後任の平田です。 （平田）平田です。→ 現場のこと教わりながら 頑張ります。→ よろしくお願いします。 （山賀）お願いします。 （大悦）あっ よっ　よろしくお願いします。 （山賀）どうしました？ （大悦）何だ　男かよ。 （山賀）えっ？ （大悦）千葉の後任ったら　お前 女子だろ　普通。 （山賀）女子社員で 現場　希望する者なんて→ めったにいないこと 分かってるじゃないですか。 （大悦）いや～。 何　出掛けんの？ 見りゃ分かるだろ。 親父　どこ行ったの　あれ。 聞いてないわ。 あっ　そう　何か　いや　何か 日曜なのに　背広　着てたからさ。 ♪♪～ ≪（誠一）失礼します。 武　誠治の父でございます。 大悦です。　お待ちしてました。 こちらへ　どうぞ。 （誠一）お恥ずかしい話ですが→ 誠治は今まで→ 何一つ　どんな仕事をしても 長続きしませんでした。 初めてなんです こんなに長続きしてるのは。 本当に　よくやってくれてます。 それは　きっと→ 大悦社長のおかげなんだと 思います。 いえ　辞める人間は すぐに辞めていきますから。 誠治も　そうでした。 何をやっても続かず→ 自分の能力のなさを棚に上げて 言い訳ばかりして→ いつまでたっても子供みたいで。 母親のために家を買うんだって バカな目標　立てて。 （誠一）その家が 買えないと分かると→ 今度は お金をためて引っ越すんだって。 でも　引っ越すために 必死になって　ためたお金も→ 母親のために使ってしまって。 ホントにバカで。 でも　うれしいんです。 そんな誠治の姿が。 （大悦）あっ　すいません。 今日は しかられると思ってました。 そんな　めっそうもない。 分かりますよ　そういう親の気持ち子供には言えないもんですから。 大悦社長は　お子さんは。 娘と息子です。 そうですか。 うちもですね 息子に言われてますよ。 親父のようにはならねえって。 ホントですか？ はい。 何だ。 （大悦）えっ？ いや　実は　わたし あなたに嫉妬してました。 誠治は　あなたのことを 本当に尊敬してます。 いや。 やっぱり 父親として悔しいじゃないですか。 うちだって 息子には　バカにされてますよ。 ホントですか？ （大悦）はい。 一緒なんだ。 一緒です　一緒ですよ。 （誠一の笑い声） （誠一）あっ　すいません。 どうか息子を よろしくお願いいたします。 （大悦）いや　こちらこそ よろしくお願いします。 （誠一）ただいま。 （寿美子）おかえりなさい。 ♪♪～ ≪（ノック） はい。 何？ 引っ越しは　どうなったんだ？ どうすんだ。 どうすんだって→ その　分かってるでしょ。 もう　１００万　なくなってんだから。 何？ そのことで　まだ何か言いたいの？ 何だ　これは。 別に　いいなって思っただけ。 俺　また一から頑張るからさ。 早く　ローン　組めるように。 母さんのこと　だいぶ 待たせちゃうかもしんないけど。 そのころには　この家も なくなってるかもしんないけどさ。 頑張るから。 何をのんきなこと 言ってやがんだよ。 このまま　ずっと ここに住んでたら→ 寿美子は 不安な心から逃れられない。 そんなこと言ったって。 お前にも 住宅ローンが組める方法がある。 ２世代ローンだ。 ２世代ローン？ まずは　俺がローンを組む。 いずれ　お前が そのローンを引き継いで→ 返済していくローンだ。 頭金は俺が出してやる。 文句ないな。 ないな。 あるよ。 何だと？ 形の上では→ その２世代ローンっての 組むけど→ 親父に払ってもらった金は 俺が　全部　返すから。 家は俺が買う。 相変わらずバカだな　お前は。 親父。 ありがとう。 父さんから話があるって　母さん。 お前から話せよ。 親父が話した方がいいでしょうよ。 いいから話せ。 何？ するよ　引っ越し。 母さん？ ありがとう。 （寿美子）ありがとう。 引っ越しが決まって ずいぶん元気になりました。 ただ　自分で 引っ越しの荷物をまとめるのは→ まだ　ちょっと　できなくて。 部屋ん中で立ち尽くしたりとか→ あと　こう 足踏みしちゃったりとか。 （岡野）日ごろの 決まった作業以外だと→ 何から手を付けたらいいのか 組み立てができないんですね。 その焦りが 足踏みなどに表れてしまうんです。 ≪（ドアの開く音） （岡野）引っ越しが決まり よかったですね。 （寿美子）はっ　はい。 ここまで通うのは 難しくなるでしょうから→ 転居先に近い病院の 紹介状　書いときます。 今まで　ホントにお世話になって ありがとうございました。 ありがとうございました。 ♪♪～ 《いつ行くのよ　和歌山》 《２９日の１１時のバス》 （業者）こちらもいいですか？ あっ　お願いします。 はい。 よし。 （誠一）せっ　誠治　手伝え。 えっ？ （誠一）これだよ　持てよ。　せ～の。 （誠一・誠治）よっ。 （誠一）よいしょ。 （誠一）よいしょ。→ てきぱきやってくださいよ。 金　払ってんだからね　こっちは。→ てきぱき　てきぱき。 （亜矢子）時間　気になんの？ あっ？　あっ　いや　大丈夫。 （誠一）よいしょっと。 まあ　いいや　これで。　よいしょ。→ ちょっと １個　入りきれなかったよ　これ。→ 参ったな　これ。 （誠一）慎重にね　慎重に運んで。 ごめん　ちょっと出てくるわ。 （誠一）えっ？ （亜矢子）はっ？ （誠一）おい　出てくって どこ行くんだ。　おい　誠治。 《誰に言い訳してんの？》 《この仕事 それが全てじゃないから》 《ラーメン橋 エクストラドーズド橋　アーチ橋》 《あっ　アーチ橋っていうのは…》 《んっ　おいしい》 《皮だけ食べてるからでしょ》 《うるせえな…》 《何か誠治ってさ 末吉って感じだよね》 《ほら。 でも　こんなんしかねえけど》 （泣き声） ♪♪～ ♪♪～ 千葉　真奈美！ 誠治。 あっ　あのさ。 やっぱ　送ってもらおうと思って。 えっ？ ミカン。　あの　和歌山のミカン。 それだけ？ あっ　いや　あの→ あっ　それと　うん 言っておきたいことがあって。 ほら　あの　あれだよ　あの→ あっち行っても 不倫とかすんなよ。 じゃあね。 好きだから。 あっ　えっ　だから。 （野口）あの　お乗りになりますか？ あっ　すいません　すぐ乗ります。 ２年間 離れ離れになっちゃうんです。 彼氏と。 ♪♪～ 来るの遅い。 あっ　ごめん。 ミカン　もう送んないから。 えっ？ 食べに来て。 じゃあね。 おう。　あっ　おい あんまミカン食い過ぎんなよ。 ♪♪～ ♪♪～ ただいま。 ♪♪～ ♪♪～ 行くぞ。 （寿美子）はい。 （亜矢子）ほら　智。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ 西本さん。 引っ越しなんすよ。 和彦さん　あれからは。 でも　和彦さんの気持ちに 気付けたんだし。 これから　やり直せますよ。 （西本）無理よ　いまさら。 じゃあ　何で 時々　戻ってくるんすか？ 荷物を取りに来たり 郵便物を取りに来たり。 でも　それって　いくらでも→ 取りに来なくていいように できるっていうか。 何で和彦さん　この家に わざわざ帰ってくるんですかね。 俺は今からでも全然 やり直せると思いますよ。 ♪♪～ ♪♪～ （誠一）誠治　就職したからってな 気　抜くんじゃないぞ。 はっ？ 今度は結婚活動に精を出せ。 何だ　それ。 世間じゃ　結婚できない男が 増えてるけどな→ お前は絶対に結婚しろ。 それと　結婚しても→ 仕事を手放さない女性を 女房にしろ。 はっ？　何それ。　結婚して お母さんに　仕事　辞めさせた人が。 時代が違うんだよ。 それにな　誠治のことだ→ 職　失って　食えなくなったら 子供は　どうなる。 うるせえな　もう。 あっ　おばあちゃんが笑ってる。 （智也）おばあちゃん。 （寿美子）智也　これ手伝って。 （智也）うん。 （寿美子）うん。 何だ何だ　引っ越しなんて 無駄だったんじゃないのか？ はっ？ ちょっと　何　言ってんだよ。 あの家にいるかぎり 不安からは解放されねえって→ 何回　言えば　分かんだよ。 偉そうな言い方すんな。 この家の頭金はな 俺が払ったんだぞ。 だから　それ　俺　いつか 払うっつってんだろ　うるせえな。 ほらほら もう　やめなさいって　来た早々。 ホント最低だな。 ＜親父のことは 一生　尊敬できないかもしれない＞ ＜俺たち家族は　気持ちが 擦れ違ってばかりかもしれない＞ ＜母さんの病気が→ いつ完全に治るかどうかも 分からない＞ ＜でも俺たちは 幸せな家族だと思う＞ ♪♪～ ♪♪～

お義父さんと呼ばせて＃06

1 ♬～ (昭栄)さらばだ 花澤家｡ ♬～ (ナレーション 花澤美蘭) ＜ この ただならぬ事態｡＞ ＜話は またまた この１週間前に遡ります｡＞ えぇ～ 遅れるの？ (大道寺保)ごめん ごめん 飛行機が遅れちゃってさ｡ あと１５分ぐらいかな｡ わかった～ んじゃ 先 入っとくよ｡ ふぁ～ 今日 徹夜で寝てないんだよね｡ うん じゃあ 早く帰ってきてね チャオ｡ はいは～い じゃあね｡ [TEL](着信音) 誰だ？ 姉ちゃん？ もしもし｡ (留美子)保 一体 何やってんのよ｡ さっきから ずっと電話してんのよ｡ [TEL] 飛行機乗ってたんだよ｡ 何？ あぁ あのさ 今日から１週間ぐらい 家 泊めてくんない？ 何言ってんの 急に｡ [TEL] うん うちさ 内装工事やんのよ｡ [TEL] ほら 前言ってたでしょ｡ 壁全部 塗り替えんの｡ でさ 臭くて いらんないわけ｡ 旦那はさ ちょうど出張で いいんだけど｡ [TEL] 私 都内に泊まろうにも➡ 今 ホテル高いのよ 外国人多くて｡ いや 急に そんなこと言われても困るって｡ あぁ～ 何か 電波届かな～い｡ 何言ってるか わかんな～い｡ もしも～し 聞こえな～い とりあえず切るわ｡ も…｡ [TEL] ﾂｰﾂｰ(不通音) あっちゃ～ 鍵忘れた～｡ ♬～ どうも お世話さまでした｡ ♬～ [TEL] ん？ [TEL] もしもし｡ [TEL] 姉ちゃん？ 姉ちゃん？ あの あんたの部屋の前｡ 何？ 捨てられてるよ 人｡ 結婚？ この子と？ うん まあね｡ わぁ～ あんた また熱出た？ インフルエンザ？ いや 熱なんかないって ないって｡ えっ えっ えっ えっ？ あっ…｡ 失礼ですけど おいくつ？ あっ ２４です｡ ２４？ はい｡ 一郎や裕太より若いじゃないの｡ あぁ～ 姉ちゃんの子供たちの…｡ あぁ～｡ あぁ～… あなた それで おうちないの？ はい はい？ えっ？ ないわけないだろ｡ ミーちゃん 徹夜で仕事して➡ で まっすぐ こっち来たから 疲れて うっかり寝ちゃったんだよ｡ えっ 徹夜の仕事って何？ 夜間 工事してる人じゃないわね｡ あぁ…｡ あっ 水商売？ …にしては貧相｡ はははっ ごめんなさい｡ あのね｡ (留美子)えっ？ ＳＥ ＳＥ｡ ＳＥ？ うん｡ あぁ あの パソコンのｼｽﾃﾑとか➡ 作ったりするやつですね はい｡ あぁ～ ＳＥね｡ はい あの ﾊﾟｿｺﾝ 好きなんで はい｡ あっ パソコン好き？ オタク？ あっ いえいえ そういうのでは ないんですけど はははっ｡ 姉ちゃん もういいだろ ねっ？ あんた もう➡ それ 本気？ 本気で結婚とか言ってるの？ お姉さん➡ 私は保さんを愛してます｡ はははっ｡ ふふふっ｡ ふふふっ ありがと｡ ふふふふっ｡ あんた➡ ５１年待って これ？ これでいいの？ こんな捨てられた しば犬 みたいなので いいの？ ちょっと待ってよ 姉ちゃん こんなかわいいじゃないか｡ 笑ってみ｡ はははっ｡ ほら これでギョーザ食わしたら もうピカイチだよ｡ (２人)ははははっ！ 悪いけど それほどかわいくない｡ で この話 どこまで進んでるの？ いや どこまでって… ちゃんと お宅 お邪魔して➡ ご両親に挨拶したよ｡ 挨拶？ うん｡ うわ～｡ えっ そ… それで どうだったの？ あぁ いや も… もう 大歓迎で➡ うちの両親も大喜びです はい｡ (花澤紀一郎)絶対に許さん｡ ふん｡ つまりね あの➡ 下にも置かぬおもてなし っていうの？ もうね 俺のこと すっごい 大切にしてくれてんだよね｡ (留美子)この人 知ってる あの 他の雑誌で見た｡ あっ｡ でしょ｡ もう す～っごい優秀な人なの｡ でね 優しくてさ｡ で 俺のこと 一目も二目も置いてくれて➡ で 我が社に引き抜きたいまで 言ってくれたんだよ｡ うん｡ 今んところ お断りしてんだよね｡ うん 断っちゃって はははっ｡ ふ～ん｡ へぇ～ すてきな家族なんだ｡ でしょ｡ (留美子)ふ～ん｡ ミーちゃんさ そろそろ 帰ったほうがいいんじゃない？ あっ そうですね ちょっと 今日は ここで失礼させて…｡ (留美子)いやいや 逃げるように帰るじゃない｡ あぁ～ すいません｡ よ… 用事がありました｡ あぁ いや 保 送ってってあげなさい｡ 何で こうなるの？ ご挨拶ぐらいしとかなきゃね｡ 大事なお嬢さんだし｡ ふふふふっ｡ ふふふふっ｡ ねえ ミーちゃん ヤバいよ これ まずいよ｡ はっ！あっ でも そういえば➡ 今日 うち 誰もいませんけど あの➡ 親 知り合いの家の展覧会行く って言ってたんで｡ あら そう｡ あぁ～ 残念｡ ほんと？ それ｡ ほんと ほんと➡ 安心して｡ 良かった｡ やめとくわ 展覧会｡ (静香)あら｡ うん 悪いけど うちにいるわ｡ ちょっと 事務作業しなきゃいけなくてね➡ それどころじゃないんだ｡ 残念｡ 珍しいですね➡ ふだん 仕事は持ち込まないのに｡ ちょっと いろいろね｡ 全く あの男が うちに来てから ろくなことないよ｡ 関係ないじゃないですか 仕事とは｡ ♬～ あっ あの こっちです｡ ♬～ ふふっ ふふっ｡ あっ あれ？ あっ ちょっと待ってください➡ 鍵が すいません ちょっと｡ あれれれ 鍵が…｡ ん？ ん？ いや…｡ 何？ 何？ んっ んっ｡ ん～～！何 もう 邪魔だ｡ あった ありました｡ あぁ～｡ すいません お待たせしました｡ おかえり｡ おっ！ あぁ どうもです｡ お父さん いたの？ あっ あっ えっと あの 保さんのお姉さん➡ 杉並に住んでいらっしゃる｡ 今 送っていただいて…➡ あの 父です ふふふふっ｡ (留美子) これは どういうことでしょう？ あぁ～！ はい？ 弟は悪徳業者と同じ という意味ですか？ ええ お身内の方には 申し訳ありませんが➡ 我が家にとっては｡ お父さん！違うんです➡ 違うんです｡ 了解｡ 行くよ 保｡ ちょっと落ち着いて｡ まさか ご親族がいらっしゃるとは｡ 半分本気ですが 半分冗談です｡ あっ… 冗談はね➡ その ひょう柄のストールだけに していただけません？ はぁ？ まあ こういう扱いで➡ 清々してますわ｡ あなた方みたいのと➡ 親戚にならなくて あぁ～ 良かった～｡ どういう意味ですかね？ 娘は しば犬 親は ひょう柄 ふふっ お似合いの親子だわ｡ ははははっ｡ 失礼だな｡ うちの娘が しば犬だと？ さようなら！ もう二度と会わないと思いますが｡ さようなら｡ ふん！ ちょ お姉さん お姉さん！ 行くな 行くな 絶対行くな｡ お姉さん 違うんです！ ≫(留美子)保 話が違うじゃないの｡ 何なの あれ 一体 どういうこと？ あぁ～ おじいちゃん おじいちゃん おじいちゃん｡ えっ おじいちゃん？ おじいちゃん｡ (昭栄)おう｡ どうもっす｡ どうも あっ…｡ あっ あっ…｡ (留美子)どうでもいいの あんたさ それより➡ ばかにされてるんだよ あのうちに｡ ご… ごめんね おじいちゃん｡ あのさ ちょっと 保➡ お断りって…｡ おじいちゃん ごめんね また｡ なんて女だ ほんとに｡ お父さんも大人げないって～｡ (静香)どうしたの？ (真理乃) 今の お姉さん？ 保っちゃんの｡ でも あんな言い方はないぞ しば犬って言われたんだぞ｡ う～ん そうだけど でも 保っちゃんのお姉さんだしさ｡ (静香)しば犬？ どれだけ 家ん中を➡ ひっかき回せば気が済むんだ あいつは｡ おまけに 今度は姉弟まで｡ もう たくさんだね！ ≫バン！ 怖っ｡ (葉理男)何か➡ 荒れてるな お父さん｡ 今のご婦人が あいつのお姉さんっていうわけか｡ 私は認めないからね はい｡ 姉ちゃんさ 俺 もう５１なんだよ｡ 認めるも 認めないも ないだろ もう｡ あんたもさ すっかり おっさんになっちゃったけど➡ 大道寺家の跡取りには 間違いないんだよ｡ あんな若さだけの小娘と 結婚します➡ あぁ そうですか いいですね っていうわけに いかないの｡ ミーちゃんは ちゃんとした子なの｡ 姉ちゃんも じっくり話せば わかるよ｡ どうだか｡ あっ それに あの父親➡ 役員か何か知らないけど 所詮 勤め人でしょ？ よくも まあ 大道寺家を こけにしてくれたもんだわ｡ とにかく 今 大事な時期なんだからさ➡ 余計なことしないでよ｡ (留美子)ふん！ (千代)あぁ～ それは 会わせないほうが無難ですね｡ やっかいな家族が原因で 結婚が破談➡ 一番よくあるパターンです｡ 恐ろしいこと言うなよ｡ だけど あの２人さ 何か もう 天敵っていう感じでさ｡ あぁ～ はぶとマングース みたいなもんですね｡ 危険です がぶっといっちゃいますよ➡ マングースが はぶのここに がぶがぶ がぶ｡ (希和)どうされました？ ん？ 何かね やな予感が➡ このあたりからするんだけど｡ えぇ～？ 大丈夫ですか？ うん｡ (石原)かような業績不振の 一番の要因は➡ どこにあると思われますか？ 郷原副社長｡ (郷原) うちに責任があるというのか？ まあ それは次の経営会議で 明らかになるでしょうが｡ 石原専務 損失の全責任を 副社長に押しつけるつもりですね｡ 石原は次期社長を狙っている｡ ここで俺の責任にして➡ 俺たちの派閥を 一気に追い落とすつもりだ｡ 次の経営会議が勝負か｡ そこを乗り越えられるかどうかだ｡ 乗り切れるスキームを 大至急考えろ｡ 他の役員への根回しも忘れるな｡ はい｡ はぁ～ ちっ うん…｡ あの姉ちゃんね 昔っから もう 自分勝手でわがままで➡ てめぇのことしか 考えてないんだよ ほんとに｡ まだいらっしゃるの？ 恐らくさ➡ 旦那と けんかしてきたんだと 思うんだよね｡ もう しょっちゅう けんかしてるから｡ で おふくろんとこ行ったら 怒られるもんだから➡ 俺んとこに逃げ込んできたんだよ｡ …ったく➡ どうしようもねぇ姉ちゃんだよ ほんとによ｡ いいの 言わないで｡ 保っちゃんのお姉さんでしょ｡ 悪口言っちゃだめ｡ ミーちゃん｡ 私 全然 平気だから｡ 保っちゃんとの結婚のためなら 私 頑張る｡ 何言われても耐えるし 気にしないから｡ ははっ｡ ミーちゃん｡ ミーちゃん｡ あっ うん とり… 今…｡ ミーちゃん｡ 今 大丈夫 大丈夫 座ろ➡ とりあえずね 座って 座って｡ ありがと｡ とりあえずね あの お父さんには もう➡ なるべく会わせないようにしよう｡ もちろんだよ➡ もう今後 一切 関わり持たせないから｡ (留美子)はくしょん！ なっ… う～ん｡ はぁ～…｡ ≪ピンポーン！(ｲﾝﾀｰﾎﾝの音) おっと… は～い｡ ん？➡ はい｡ どうも｡ (留美子)わざわざ謝罪に｡ (昭栄)全くもって➡ あの不肖の ばか息子が ご迷惑をおかけいたしました｡ (留美子)いえいえ そんな いいんです おとうさん｡ あっ ただ 少し安心しました➡ おとう様のような方がいてくれて｡ う～ん 何ていうか うちとは➡ 家風がちょっと違うのかな なんて 思ったもんですから｡ ははっ なるほど｡ うちは もともと 九州の武家の出でして➡ 質実剛健な家風ですので｡ 安心してください➡ チャラチャラしてるのは あのばか息子だけで➡ ちゃきちゃきの江戸っ子が この私｡ ほんとは あのうちも大っ嫌い｡ あら～ 気が合いますね ははっ｡ 改めまして 花澤昭栄 ７９歳 独身です｡ そこでですね 矢部常務にも ひとつ ご協力を仰ぎたいと｡ (矢部)う～ん どうしようかな～｡ 渋るお気持ちは ごもっともです｡ ですが ここは➡ 副社長の顔を立て…｡ [TEL] すいません ちょっと失礼｡ [TEL] もしもし 今ね 大事な話し中なんだよ｡ [TEL](静香)お義父さんが 散歩行ったっきり帰ってこないの｡ はぁ？ きっとね 映画でも観にいってるんだよ｡ おやじのことなんかで いちいち電話してこないでよ➡ 切るよ｡ すいません… あら？ ≫(河野) 部長 知ってます？ この記事｡ 知ってるよ｡ 資源安で➡ 総合商社も軒並み厳しいですね｡ (小松川)ついに 我々専門商社の時代が来ましたよ｡ ばかか お前｡ 総合商社がこうなんだから➡ うちなんか もっと厳しいだろうがよ｡ そっか｡ ばかなこと言ってないで➡ 営業かけてこい ほら｡ あぁ～ はい｡ ♬～ [TEL](ﾒｰﾙ着信音) ♬～ うそだ｡ (静香)お祝いが来てるんですよ 役所から｡ 今度 ８０歳でしょ｡➡ 今 どこにいらっしゃるんですか？ えっ 大道寺さんち？ 何しに？ あっ ちょっと おじいちゃん…｡ もう お義父さん｡ 切れた？ うん｡ 真理乃➡ あなた 今日 時間ある？ えっと まあ いろいろとある…｡ 行ってきて 大道寺さんち｡➡ これ渡しにきたって口実で 連れ戻してきなさい➡ おじいちゃんを ねっ きっと ろくなことにならない｡ やだよ｡ ねっ ねぇ？ 絶対やだ｡ ワン！ (静香)ねっ ねっ｡ (真理乃)やだ！ じいちゃん｡ 新居へ ようこそ｡ (留美子)だ～れ～？ えっ？ あっ 妹｡➡ 三流モデルって聞いたぞ～｡ この損失は 不可抗力という方向で➡ 持っていきたいかと…｡ [TEL](着信音) すいません ちょっと失礼｡ [TEL] 今度は何？ はぁ？ 真理乃が おやじに拉致された？ どういうこと？ もう 話が読めないよ｡ ちょっと待って ちょっと…｡ あら また｡ あっ ミーちゃん｡ あぁ～➡ ごめん ごめん ごめん ごめん ちょっと 今 どういう状況？ いや わかんない 姉ちゃん 携帯切ってるみたいでさ｡ あぁ～｡ 何 真理乃ちゃんも来てんだって？ そうなの｡ ちっ いびり倒されてんぞ➡ 今頃｡ 早く行こ ねっ ねっ ちょっと｡ ほんとに あの姉貴 もう｡ (真理乃)あぁ～ おかえりなさい｡ (昭栄)おう おかえり｡ (留美子)おかえり｡ まあ 座れ｡ (真理乃)はい 菜の花ﾍﾞｰｺﾝです｡ 遠慮するな ほい｡ (留美子･真理乃)はい～｡ 何やってんだよ➡ 俺の押し入れから 勝手に引っ張りだして｡ (留美子) いいじゃないの あんたの半生➡ 説明してたんだよ 昭ちゃんに ねぇ｡ (昭栄)うん｡ 昭ちゃん？ うん｡ (昭栄)数学をもうちょっと 勉強すると いいな｡➡ 国語 社会は まあまあだな うん｡ あっ これ あの 中学んときまでで 高校から頑張りだしたんで｡ (留美子)意外とね まめに取っとく子なの この子｡ (昭栄)きちょうめんなんだよ｡ (留美子)そうそう そう｡ あっ➡ 今さ 昭ちゃんにね➡ あの ちょいワルおやじのこと いろいろ聞いてたの ふふっ｡ お義父さんのこと話してたの？ うん｡ ちっ …ったく 妹さんもいんのに ごめんね こんな姉ちゃんで｡ 全然気にしてないんで大丈夫です｡ あんた 何やってんの？ おつまみ作ってんの｡ くそおやじ｡ よし 資料作りだ｡ (真理乃)お待たせしました じゃがいもチーズで～す｡ あら また や～ん 気が利くわね｡ (真理乃)後 ねぎとささみザーサイ すぐ出来ますから｡ (留美子) あら 美人だし 気立てもいいし➡ かわいいわね 妹さんは｡ あっ ははっ そうですかね ははっ｡ (留美子)私➡ すっかりファンになっちゃった｡ あぁ～｡ 何か モデルさんなんだって？ あぁ～ はい｡ 姉妹でも随分違うのね｡ あぁ～ ははははっ｡ (留美子)ねえ 今度 あの モデル仲間で使ってる化粧水➡ 下さるのよね？ (真理乃)はい｡ (留美子)気遣いも しっかりしてらっしゃる｡ (真理乃)私なんて そんな｡ (留美子)謙虚で奥ゆかしいとこも また いいのよね｡ ははっ 腹ん中 真っ黒ですけどね｡ お料理も とっても上手｡ あぁ～｡ できないんだって？ 料理｡ (真理乃)私には それくらいしかできないんですよ｡ お姉ちゃんみたく頭も良くないし｡ あっ…｡ 何を言ってるの 勉強だけできたって➡ しょうがないわよ ねぇ？ 落ち着け なっ｡ 大丈夫 大丈夫｡ (留美子)あぁ～ あんたも➡ どうして あっちにしなかったのかな～？ 妹さんのほうが ずっといいわよ ねぇ？ そんなことないよね おじいちゃん ねぇ？ うすうす 俺も そう思ってた｡ (留美子)ははっ｡ バン！ おぉ～ 私だって あの➡ 料理ぐらいできますよ！ (留美子)おっ➡ おぉ～ 怖っ｡ ﾐｰちゃん やめろ ﾐｰちゃん やめろ｡ 真理乃 ちょっと｡ おぉ～ 怖っ おぉ～ 怖っ｡ 真理乃どいて どいてよ｡ (真理乃)いった｡ 箸 貸して｡ (留美子)あぁ～ もう 手先が｡ ≪ワン！ワンワン！ ≫(静香)盛り上がってたんですって お義父さんと向こうのお姉さん｡ あっ そう｡ でも今 悪いけど 怒ってる暇はない｡ お仕事 大変ですね｡ ♬～ (真理乃)わぁ～ アロマまで もらっちゃった｡ ふ～ん｡ お姉ちゃんもさ➡ 義理の姉妹に なるかもしれないんだから➡ うまく取り入らなきゃだめだよ｡ べつに｡ だって ず～っと 顔が むっとしてんだもん｡ お姉さんも言ってたでしょ➡ 怒ったら 余計に犬みたいだねって｡➡ 最後にはポチとか呼ばれてんの あははっ｡ いった～！ 何すんの 顔は やめてって➡ いつも言ってるでしょ！ いった！ちょっと ちょ…｡ もう！ わっと 最低！やめてよ！ ≫(真理乃)いった！ お姉ちゃんから やったんじゃん！ あら けんかかしら｡ ≫あぁ～！ ≫(真理乃)きゃ～！もう！ やかましいね ほんとに｡ ≫最低 やめてよ！ちょっと！ (葉理男)へぇ～ 九州の？ (真理乃)そう｡➡ ひいおじいちゃん… そのお父さんだったかな｡➡ とにかくさ 明治の初めに 船でアメリカに渡って➡ ﾋﾞｼﾞﾈｽの勉強したっていうんだもん｡ ふ～ん｡ 名家だな ほんまもんの｡ 意外とお坊ちゃまだったのか 大道寺さん｡ それに お姉さんも お若いとき➡ モデルやってたんだって｡ ふ～ん｡ (真理乃)もうすっかり 仲良くしてもらっちゃってさ｡ 美人だな うん｡ (静香) ご飯はいいんですね ２人共｡ 徹夜のあとなんでね｡ けんかのあとなんでね｡ 弱くなったな 俺も｡ 強くなったな あいつも｡ よし 行こう｡ 仕事だ｡ あら｡ 私も行ってこよう｡ 早い｡➡ あっ ちょっと｡ じゃあ お義父さんの傘寿のお祝いは➡ 土曜日でいいんですか？ 松寿し 頼まなきゃいけないから｡ 傘寿？ ８０歳の｡ 前言ったじゃないですか｡ あぁ～｡ 俺のは いいや どうせ仕事になる｡ 勝手にやって｡ そんな せっかくのお義父さんの｡ 新しいホームは まだ見つからないのかね～｡ (静香) ちょっと！いってらっしゃい｡ ♬～ あの お義兄さんも体 気を付けて｡ はい それじゃあ 失礼します｡ 姉ちゃん｡ ん？ やっぱり けんかじゃないかよ｡ 早く機嫌直して帰ってこいって｡ 帰れるわけないっしょ｡ 昭ちゃんから聞いたよ｡ あんた けっこう いびられてんだって？ あのひょう柄に｡ そんなことないよ｡ あんた｡ あんたは 大道寺家をしょって立ってんだ｡ お父さんだって 草葉の陰で泣いてるよ｡➡ 聞けば 同い年だっていうじゃない ひょう柄と｡➡ 何で言いたい放題さしてんのよ｡ 俺だって言うべきときは ちゃんと きっちり➡ ばん！って言ってるよ｡ うそつきな｡ あんた 子供の頃から ここ一番 意気地がないんだよ｡ いつだって お姉ちゃんが 尻ぬぐいしてただろ？ 今回の件も ほんとは困ってんだろ ひょう柄との仲｡ ん？ 任しといて｡ お姉ちゃんが 火消し役 買ってでてあげるわ｡ いいかげんにしてくれよ｡ 何だよ！ ごめん｡ とにかくさ➡ 家の中のもめ事の鬱憤➡ 俺にぶつけるの やめてくんないかな？ 何よ 保｡ 俺 もう ガキじゃないんだよ｡ とにかく もう お義兄さんも 心配してるし 帰れよ｡ ごちそうさま｡ 何？ この荷物 土曜まであったら 放り出すからね｡ よし｡ 社内の根回しも済んだ｡ これで経営会議も乗り切れる｡ さすが 用意周到ですね 花澤常務｡ 僕の人生は いつも計画的さ｡ 恋以外はね｡ チュ！ (水嶋) はははっ… すんごい余裕だな｡ (柳本)今度の経営会議で ７００億の損失を➡ 追及されるかもしれない っていうのに｡ (愛) 大人の余裕の笑顔って すてき｡ (砂清水)こうかい？ ふっ｡ はっ？ (郷原)当日は➡ 急な出張でな 経営会議 出られないんだ｡ それで？ 君も察しが鈍くなったな｡ 代わりに君がやるんだよ｡ えっと それは…｡ 何とか切り抜けてくれよ～｡ でないと君の席はなくなる｡ 私がクビになる？ (郷原)そういうことだ｡ いい報告 待ってるから｡ 頼むよ｡ ♬～ ♬～ (砂清水) いつになく険しいな アントニオ｡ (柳本)そりゃそうだよ｡ 副社長の代わりって➡ サンドバッグ状態なのが 目に見えてるよ｡ (水嶋)一番重要な経営会議➡ 出張で出ないなんて むちゃくちゃですよね｡➡ 損失の責任 全部 常務に 押しつけようとしてるのが➡ 見え見え｡ ひゅ～ ひどい話だわ｡ (愛)かわいそう｡➡ でも 険しい顔もすてき｡ (砂清水)こうかい？ あっ あの 明日だったっけ？ うん｡ いや 大丈夫だから もう びしっと言ったから｡ 力づくでも追い返すから｡ もう会わせないから安心して｡ ねっ｡ 私さ 保っちゃんの気持ち ちょっとわかった｡ ん？ 親族に嫌われるって けっこう つらいね｡ 姉ちゃん べつに 嫌ってるわけじゃないんだよ｡ 誰に対しても ああなの｡ 感じ悪いんだよ｡ だから 気にしないで｡ いや でも ほんと ごめんね｡ あの… ひょう柄父さんといいさ～｡ いや もう全然 大丈夫だって｡ とにかくさ 悪魔が退散するわけだからさ➡ 良かったじゃん｡ いや…｡ とにかく何事もなくて良かったよ｡ 今日は飲もう ねっ｡ うん ありがとう｡ すいません ビールお代わり｡ ≪はいよ｡ ♬～ (回想 郷原)⦅何とか切り抜けてよ｡ でないと君の席はなくなる｡⦆ ♬～ ふぅ～｡ (石原)７００億の減損という➡ 不名誉な損益を計上することに なったわけですが➡ 一番の要因は何ですか？ えぇ～ 担当役員として お答えいたします｡ えぇ～ 世界的な資源安の影響は➡ 否めないところであり…｡ ≪バン！(机をたたく音) そんなものは他の商社も一緒だ｡ アメリカでの シェールガス開発の 失敗が大きいとは思いますが…｡ (石原)契約の甘さ➡ 撤退条項の詰めの甘さは なかったのか？ はい そのあたりは 今後も 精査検証していくつもりです｡ (石原)ひと事みたいだな おたくの部署でしょうが｡ ≪資源バブルに 踊らされたんじゃないのか｡ 確かに その点は否めません｡ ですが 損失は うちだけではございません｡ 他の４大商社も…｡ (石原)他が損をしていれば➡ うちが損を出してもいいとでも？ ≪一般論で逃げるんじゃないよ｡ 具体的な打開策を言えよ｡ 具体的に申し上げます｡ フリーキャッシュフローを 黒字にした部署が➡ 偉いという風潮を変えないと…｡ ピピッ ピピッ… う～ん｡ おはよう｡ (留美子)｢火消し役は帰ります お世話になりました｡ 留美子｣｡ はぁ～｡ やっと帰ったか｡ [TEL] [TEL] [TEL] はいはい｡ ピンポーン！ピンポーン！ 中？ …ったく もう｡ (留美子)恐れ入ります｡➡ これ 昭ちゃん お祝いです｡ お義母さん すいません｡ 姉ちゃんよ｡ (留美子)あら？ 何 くつろいでんだ 行くなら 実家に行けよ 実家に｡ (静香)いえいえ いえ あの おじいちゃんのお祝いにね｡ (留美子)そうよ 昭ちゃんが呼んでくれたのよ｡➡ それに お母様にご挨拶しといて 何が悪いの ねぇ｡ お座りになって｡ (留美子)あんたも座んなさい｡ (静香)これ 美蘭が作ったんですよ がめ煮ですって 福岡の｡ (留美子) はい うちの父方が そうで｡ これ ほら あんた ほら 大好きでしょ 頂きなさい｡ どんだけ ひとに迷惑かけりゃ 気が済むんだよ➡ そんなんだから お義兄さんと けんかばっかしてんだぞ｡ とにかく帰ろう！ (留美子)あぁ～ ちょっと➡ 私に 何言ってんだ あんたは｡ とにかく こちらさんにも➡ 俺にも迷惑なんだよ 行こ ほら｡ (留美子)やめてよ！ あっ 痛っ…｡ えっ えっ ちょっと待って ぎっくり腰!? えっ えっ｡ ワン！ すいません｡ はぁ～｡ (水嶋)では 僕らは ここで｡ お疲れさま｡ はぁ～｡ 失礼します｡ はぁ～｡ ゆっくり休むか｡ ただいま～｡ あっ｡ えっ!? おかえりなさい｡ おかえり～｡ 何やってんだ？ 君は｡ あぁ～ ぎっくり腰 なっちゃってさ｡ すいません この体勢が 一番 楽なもんで｡ ねえ 知ってた？ ベッドとかより こういう固いとこのほうが➡ 腰に いいんだって｡ ふ～ん そうなんだ｡ …じゃないよ！ 何で ひとんちの玄関で➡ 腰を治すはめになってんだよ｡ すいません あの これ癖なんで➡ すぐ治りますから｡ ≫(留美子)ははっ➡ そうなの？ いや～ 人は見かけによりませんね｡ 何だ？ ≫(留美子)あっ そうなんですか➡ へぇ～ いや～ びっくりだわ｡ おう 苦労人｡ (留美子)あっ お邪魔してます｡ 今 ちょうど➡ お前の話をしてたところだ｡ (静香)おかえりなさい｡ 何をやってる？ (昭栄)だから お前の話だよ｡➡ 未来の花嫁に 俺の家族を紹介してた｡➡ ただの ぼんぼんじゃない｡➡ けっこう苦労して 大学に行ったんだって｡➡ それで会社入って ひたすら へいこらして 出世したんだよな｡ でも 立派｡ 実力で➡ 今のポジションまで 上り詰めたってことでしょ？ (昭栄)な～に ぺこぺこしてたら 出世するんだから｡ うん｡➡ 楽な仕事だよな サラリーマンっつうのは｡ (留美子)やらなかったの？ (昭栄)俺は不動産だ何だ➡ でっかい商売ばっかり やってきたからな｡ (昭栄･留美子)あはははっ｡ いいかげんにしろ｡ お… お義父さん｡ 誰のせいで 苦労してきたと思ってるんだ｡ あんたが いらない商売に手出して 失敗したからだろうが！ おとうさん｡ (昭栄)何言ってるんだ｡ あんたには いつも泣かされてきたよ｡ おふくろだって いつも泣いてた｡ なのに 自分のことは棚に上げて➡ 俺のことをばかにするのか あんたは｡ ばかにしてない 偉いって言ってる｡ そこまで へいこらできるのは｡ もういいよ｡ そこまで俺が嫌なら この家 出てけよ！ あんたに振り回されるのは もう たくさんだよ！ ちょっと落ち着きましょう｡ 言われなくても 出ていくよ｡ ♬～ 本当は もう 新しいホーム➡ 決めてあるんだ｡ (真理乃)うそ｡ じいちゃん｡ (昭栄)８０になる前にな 入ろうと思ってた｡ いつまでも みんなに 迷惑かけるわけに➡ いかないからな｡ 本当はな 明日から入るつもりだったんだ｡ うん だから 今晩は 最後のうたげだと思って➡ ぱぁ～！っとな ぱぁ～！っと やりたかったんだよ｡➡ まあ １日早まったが う～ん➡ 今日は どっか適当に泊まるよ うん｡➡ 世話になったな みんな｡ 楽しかった！ お… おじいちゃん｡ 止めないでいいんですか？ 保っちゃん ごめん｡ ♬～ じいちゃん！ 絶対一緒になれよ あいつと｡ ♬～ おじいちゃん｡ これは 俺の家の問題だ➡ 止めなくていい｡ あぁ… おじゃましました 帰ります｡ すみません｡ 何か 私のために｡ いや～ あなたのせいじゃないです うちの家族の問題です｡ あっ 娘さん➡ ２人共 いい子ですね｡➡ 特にポチ… あぁ じゃなくて➡ えぇ～ 美蘭ちゃん ミーちゃん｡➡ あはははっ 融通 利かなくて 生意気で 頑固で➡ すぐ気持ちが顔に出て むっとして｡ ははっ でも あそこまで素直なのは➡ きっと このうちで 育ったからだと思う｡➡ 私が いろんなひどいこと言っても へこたれなかったし｡ がめ煮 おいしかった｡ ははっ｡ 保の好きな料理 それ覚えて 一生懸命 作ろうとしてくれてた｡ ♬～ ⦅お姉さん｡⦆ ⦅味見 お願いします｡⦆ ♬～ うん まだまだね うちの味じゃないけど｡ でも うれしかった｡ 保も顔は怖いけど➡ 根は優しい子です｡ ミーちゃんのこと 大切にすると思う｡ 私が保証します｡ ５１のぽんこつだけど 私が頑張らせます｡ だから➡ よろしくお願いします｡ ♬～ それじゃ また｡ さよなら｡ ♬～ あぁ～｡ あっ どうも ほんと すいませんでした｡ 君にも 家族がいたんだな｡ あぁ そりゃ 一応 いますよ｡ すっかり忘れてたよ｡ 君は 天涯孤独の殺し屋みたいな顔 してるからね｡ いや… ゴルゴ１３じゃないんですから｡ はぁ～ やなもんだな➡ 家族の悪口を 言われるっていうのは｡ 悪いことしたね お姉さんにも｡ あぁ… いえ｡ あの… やっかいなもんですね 家族って｡ いくつになっても｡ ああ｡ あの うちの姉ちゃん➡ いつも 台風みたいな人で｡ ふっ｡ ははっ｡ あの… お義父さん｡ それは やめろ パパンもダディーも だめ｡ じゃあ あの… おとっつぁん｡ 下町か？ 時代劇の下町か？ 魚屋の娘か？ 君は｡ ははっ｡ おじいちゃんのこと 許してあげられないんですかね？ 俺 ２８で おやじ 亡くしてるんです｡ 心筋梗塞で｡ ほんと ある日 突然ぽっくりと｡ あまりに突然で 涙も出ませんでした｡ 真面目一方の 固いサラリーマンで➡ 保険会社に勤めてたんです｡ で 家族旅行 行くときなんかも➡ ネクタイしてくような人で｡ ふ～ん｡ あの まだ 話 終わってないです｡ 若いときって あんまり 真面目すぎるおやじって➡ 面白くも 何ともないじゃないですか｡ だから俺 何かにつけて反発して➡ 悪いことばっかして➡ それでも怒らないから 余計 腹立って…｡ そう｡ あっ まだ終わってないっす｡ 何？ 何？ 会社入ったときも ほったらかしで｡ で あの ２８ つったら ほら➡ そこそこ いろいろ 仕事 覚えるようになって➡ いろんなこと 面白くて しょうがないじゃないですか｡ だから 俺 家族の顔…➡ 特に 親の顔➡ 思い浮かべたりなんか 全然しませんでした｡ そんなとき ある日 ぽっくりと｡ 親孝行なんか これっぽっちも してやれませんでした｡ 今だったら もう 酒の１杯でも…➡ ていうか 旅行の１つでも➡ 行かしてあげられるのになって｡ だから あなたのこと 羨ましくて しょうがないですよ｡ あんな元気な おやじさん いるんですから｡ 元気で もう 生きてるだけで ありがたいじゃないですか｡ 何があっても １０年たったら笑い話｡ まあ それが あの➡ 家族っていうものなんじゃ ないですかね｡ すいません 偉そうなこと言って｡ あっ そうだ｡ あの… この記事ね➡ 借りてって 家で読もうと思ってたんすけど…｡ はぁ～｡ これ おじいちゃんが 買ってきたんですよ｡ きっと 心配だったんだと思うんです｡ 息子さんの… あなたのことが｡ ♬～ おじいちゃん！ おじいちゃん！ どうでした？ はぁ… 沿線のホテルは 美蘭が電話してるが➡ 今のとこ それらしい人は 泊まってないみたいだ｡ 交番にも保護されてませんでした｡ で 新しいホームっていうのは？ わからない｡ 全く見当もつかない｡ でも この辺りのは 葉理男が 当たってくれてるみたいだ｡ じゃあ あの 俺 ファミレス当たってみます｡ この寒空だからね｡ 俺もコンビニ捜してみる｡ じゃあ 俺は こっちに｡ ♬～ [TEL] [TEL] はい｡ 何!? ≫(葉理男)何だよ｡ ≫(真理乃)もう びっくりした～｡ ≫(戸の開閉音) おう ご苦労｡ いや もう ほんと じいちゃんには参ったわ｡ (葉理男)あの家出 留美子さんの気を引くための➡ 大芝居だったんだってさ｡ てっきりさ➡ 私もついてくわ 旦那も捨てて って なると思ったんだがな｡ それで 町内 １周して 帰ってきたんだって｡ (静香)もう やめてくださいよ｡ (昭栄)恋のためなら➡ 身内も平気で裏切る｡ それが俺だ｡ ほんと すがすがしいぐらいの ワルだね｡ (葉理男)しかも かばんの中身 全部 このジュン ホンマの➡ カリカリシューだったんだって｡ (昭栄) でもな まだ諦めてないぞ｡➡ 親戚になるわけだろ？ うん｡ (昭栄)結婚式だ 法事だ まだまだ会うチャンスは➡ たくさんあるんだ｡ そう｡ (昭栄) なっ だから 絶対一緒になれよ｡➡ 結婚しろよ 俺のために｡ なっ？ わかったな？ やっぱり出てってくれ｡ (昭栄)何だ｡ 手伝います｡ (昭栄)何だ何だ 何だ お前…｡ ＜ こうして思わぬ形で➡ ほんの少し ２人の距離は縮まり…｡＞ (昭栄)恋の邪魔はさせん！ おい こらこら｡ あはははっ｡ ≪(昭栄)あぁ～ あぁ～｡ [TEL](ﾒｰﾙ着信音) (留美子)｢お世話になりました｡ 色々ありがとう｡➡ またそのうちお邪魔しま～す！｣｡ …ったく｡ ♬～ う～ん｡ ＜ このまま いい感じに なっていくのかと思いきや…｡＞ ウーー…(ｻｲﾚﾝの音) ≪ピーポー ピーポー…(ｻｲﾚﾝの音) ≪ウーー… ♬｢Yell｣ ♬～ ♬～ ちょちょ… ちょっと すいません すいません すいません➡ すいません すいません すいません…｡ あっ すいません！ そこ 俺の部屋なんすけど！ ≪これ以上は だめだよ｡ あなた こちらの部屋の方？ はい そうです｡ あぁ 大丈夫です➡ もう あの 火は消し止めましたんで｡ あぁ…｡ アロマか何かやってます？➡ いや ろうそくがね 火元みたいなんですよ｡ アロマ… ったく 姉ちゃん 付けっぱなしだったのかよ｡ ≪でも まあ もう 消火しましたんで➡ 壁が一部 ちょっと焦げたぐらいですね｡ あぁ すいません｡ ただ 部屋中 水浸しなんですけどね｡ 水浸し？ ヤッベェ どうしよう｡ ピンポーン！ピンポーン！ 誰だ？ こんな遅くに｡ ♬～ 来ちゃった｡ ははっ｡ ＜思わぬ事態が２人の距離を…｡＞ ＜２人の距離を 縮め過ぎたのであります｡＞ ＜ この続きは また来週ね｡＞ ＜アビアント！＞ お義父さん｡ お義父さんと言うな｡ あぁ すいません｡ 地獄のような朝だ｡ (静香)やだ～ 漫才コンビみたい｡ 何でやねん｡ もう出ていけ 君は｡ ゲラウト！ ワン！ 彼氏が出来たらしいんだがね｡ 真理乃も枯れ専？ (砂清水)不倫関係です｡ それに隠してるでしょ？ どういうことだ？ (真理乃) ほっといてよ｡ 大きなお世話｡ 君たちは知ってたのか？ 真理乃のこと｡ これだけは言えます 真理乃ちゃんは…｡ ＜超特急が歌う このドラマの主題歌➡ ｢Yell｣のＣＤを 抽選で３０名の方にプレゼント｡＞ ＜詳しくは 番組ホームページまで｡＞

あまちゃん＃039

1 ♬～(ﾃｰﾏ音楽) (春子)いくよ｡ ｢天野春子 高校２年生 17歳です｡ 聴いて下さい｡ 『初恋』｣｡ 恥ずかしい…｡ ♬～(｢初恋｣) すごい音だよね｡ これね ここで録ったの｡ (アキ) どうやって？ ８トラのｶﾗｵｹの機械を 漁協で借りて 持ち込んで｡ ﾎﾝﾄは 聖子ちゃんの曲が➡ 歌いたかったんだけど ｶｾｯﾄに入ってなかったのよ｡ [ 回想 ] ♬～(｢初恋｣) ♬｢五月雨｣ (夏)おい 春子！ 塩ﾗｰﾒﾝと みそﾗｰﾒﾝ どっちにする？ もう入ってこないでよ 勝手に！ あ～ ごめん ごめん｡ 見えないの これ ねえ！ 録音中！ あ～ はいはい 分かった 分かった｡ もう！ おい！ 塩と みそ どっちだ？ 塩！ 塩！ 塩！ もう！ ≪塩！ ♬～(｢初恋｣) ♬｢五月雨は緑色｣ ♬｢悲しくさせたよ 一人の午後は｣ (菅原)懐かしいな…｡ これ聴くの 何年ぶりだべ｡ (大吉)おら しょっちゅう 聴いてる｡ えっ 今でも？ (ﾋﾛｼ)ﾃｰﾌﾟ伸びないですか？ 冷蔵庫で冷やしてる｡ (吉田)駅長はな 春子さんから➡ このﾃｰﾌﾟを受け取ったのは 自分だけだと勘違いして➡ すっかり 舞い上がっちゃったんだよ｡ ﾃﾞﾓﾃｰﾌﾟの意味が 分がんねかったんですよね｡ ﾓｼﾞﾓｼﾞしてる感じですもんね｡ ｢でも…｣みたいな｡ しかも 中身が｢初恋｣だべ｡ 俺に ほれてると思うべ｡ そう思い込んで 24年間 駅長は独身を貫いてんだ｡ (黒川)あれ？ でも 奥さん いましたよね｡ [ 回想 ] (安部)私なんか 校庭の片隅で ひっそりと干からびている➡ せみの死骸ですもの｡ 俺の話は どうでもいいべ｡ とにかく 春ちゃんが ﾃｰﾌﾟ送って しばらく たって➡ たまたま 漁協で会ったんだよ｡ (大吉) ごめんください｡ (かつ枝)はい 御苦労さん｡ おっ 大吉っつぁん！ 見て見て 見て見て…！ 何だ？ 受かった！ ｢君スタ｣のﾃｰﾌﾟ審査！ 受かった！ じぇじぇ！ ちょっと 見て見て…｡ ｢７月７日土曜日朝９時➡ 東京NYBSﾃﾚﾋﾞｽﾀｼﾞｵに 集合して下さい｣って！ すんげえ！ すんげえ！ 夏ばっぱ 知ってんのか？ いや…｡ (大吉)黙って 応募したのか？ 夏さんには 一切相談しなかったの｡ まあ うすうす感づいてるとは 思うけどね｡ いつか熱も冷めるって 思ってたんじゃないかな｡ ♬～ [ 回想 ] くっだらねえ！ お願い！ 二度とないﾁｬﾝｽだから 行かせて下さい！ 駄目だ｡ 芸能人なんて おめえ 水物だ｡ 何の保証もねえし…｡ 第一 おめえ 土曜でねえか｡ 学校どうすんだ？ もともと その日は 休む事になってます｡ 学校サボって 海女の手伝いするのはよぐても➡ ｵｰﾃﾞｨｼｮﾝは駄目なのか!? 受かったら どうすんだ｡ この町さ捨てて 東京で暮らすのか？ 次の週も行ぐ｡ …何？ 10週勝ち抜かないと ﾃﾞﾋﾞｭｰできないの！ 落ちたら その時点で終わりだけど➡ 受かったら 次の週も行ぐ｡ 毎週土曜日さ 東京へ通うのか？ 大丈夫だよ｡ 10週なんて無理だから｡ もちろん １週か ２週は勝ちたいけど➡ 10週なんて無理｡ だったら 行ぐな｡ え？ 途中で負けるって分かってて 大騒ぎして 東京さ行ぐのか？ 恥ずかしい｡ 寝言語ってんでねえ！ バカこの！ 母ちゃん…｡ 何だ この！ 母ちゃん！ 本気だと思って 真面目に聞いたら… ええ!? ｢10週なんて無理｣だ？ 遊びさ行くのか｡ 違うべ！ ｱｲﾄﾞﾙ歌手になりたくて 行ぐんだべ！ だったら なれ！ 勝で！ 負けた時の事 考えてるぐれえなら➡ 最初から行ぐな！ バカこの！ ごめんなさい！ ｢ごめんなさい｣でねえ！ 本気か遊びか聞いてんだ｡ １回 ２回勝って どうすんだ｡ ゼロか 10しかねえ！ どっちだ!? ゼロか！ 10か！ …10です｡ 分かった｡ ほんなら 行ってよし｡ …ﾎﾝﾄに？ 組合長には おらが ちゃんと説得してやる｡ ≪(かつ枝)夏さ～ん！ はい｡ はい はい はい｡ あっ 組合長｡ (長内) こちら 北三陸市の市長さん｡ 知ってるべ？ えっ!? 市長が じきじきに来たんですか？ (長内)んだ｡ それだけ春ちゃんが 期待されてたって事だ！ (弥生)じぇじぇ！ いつの間に｡ (市長) 明日 北三陸鉄道が開通すれば 観光客も増える｡ 東京からも人が来る｡ (長内)新聞やﾃﾚﾋﾞの取材も来る！➡ ちょうど 海開きで 袖が浜の海女も注目される！ こんなﾁｬﾝｽ めったにねえべ！ おめえしか いねえんだ！ 春子 頼む！ (かつ枝)袖が浜の未来のためだ！ 頼む！ 潜ってけろ！ あとは おらが話して聞かせっから➡ 悪いようにはしねえがら｡ 手のひら返したのよ 夏さん｡ ひどいでしょ？ さっき 説得するって言ったのに 全然 話 違うじゃんって｡ 内心 もう腹が立って しかたがなかったの｡ それで 話し合ったの？ [ 回想 ] 明日も早え そろそろ寝るべ｡ ちょっと 母ちゃん？ 母ちゃん｡ やっぱり 海女やりだぐね｡ 東京さ行ぎでえ｡ いっつも そう｡ 最終的には自分で決めろって 突き放すのよ｡ …っていうか もう➡ 出ていけって事だと思ったよね そん時は｡ [ 回想 ] もう どいてよ！ (歓声) (大吉)ああ すいません！ 春子 なして乗ってんだ？ 春子！ なして乗ってんの？ (大吉)出発進行～！ 春子！ 春子！➡ 春子！ 春子！ (ﾎｲｯｽﾙ) (大吉) 春ちゃん 東京さ行ぐのか？➡ どうしても行くのか？ こんな ド田舎さ もう いたぐね｡ 母ちゃんの後継いで 海女になんのが そんなに嫌か？ これから 地方の時代だべ｡ 北鉄も通って この町も ますます活性化するべ｡ もったいねえべ｡ うるせえ｡ 一人で生きていくって決めたんだ｡ どいて｡ 春ちゃん…｡ あん時 あそこで引き下がらずに 連れて帰ってれば➡ こったら しょうもねえ男に つかまんねえで済んだのに！ 駅長 また ｳｰﾛﾝﾊｲ飲んでます｡ 今夜は確信犯だ！ この野郎！ おい！ 表出ろ この野郎！ おい！ すいません 何か 結局絡んじゃって…｡ いや 僕も初めて聞く 話ばかりだったんで｡ あ… そうなんだ｡ 家内は 自分の事 話したがらないんですよ｡ ｢家内｣って 何だ！ この野郎 バカ野郎 お前！ おい こっち来い！ この野郎 バカ野郎 おい！ 見送りにも来てくれなかったしさ｡ 結局 夏さんが あの時 どんな気持ちだったのか➡ いまだに分かんない｡ 応援する気持ちがあったのか➡ それとも この町に残ってほしかったのか｡ どっちもじゃない？ どっちも？ うん｡ もちろん 寂しいって思う気持ちも あっただろうけど➡ 頑張れって気持ちもあったんだよ｡ どうして そう思うの？ 分がんねえ｡ 都合悪くなると なまるよね あんた｡ だって ママが東京行かなかったら パパと知り合ってないし➡ 私も生まれてなかったし…｡ えっ？ 生まれない方が よかった？ 何 言ってんの？ 私が生まれたから ｱｲﾄﾞﾙ諦めたの？ そんな訳ないでしょ｡ バカな事 言わないの｡ じゃあ 何で諦めたの？ ああ…｡ まあ いろいろあったのよね｡ でも あの… 全然 アキのせいじゃないからね｡ だって あんた産んだの 25の時だもん｡ …つうか 親って ﾎﾝﾄに難しい！ えっ 何で？ だって アキが｢海女やりたい｣って 言いだした時やさ➡ ｢南部もぐり やりたい｣って 言いだした時にさ➡ いまひとつ こう… 強く出れないのよ ママね｡ だって ｱｲﾄﾞﾙになりたかったんだよ｡ なれると思って 高校やめて 勝手に東京行っちゃったんだよ｡ あ～ もう 何か いっぱい しゃべったら➡ おなかすいちゃった！ ﾌﾌｯ｡ ｱﾊﾊﾊｯ｡ (忠兵衛)それはねえべ 夏ちゃん！ あれ どうしたの？ アキ いいとこさ来た｡ ここさ座れ｡ えっ 何 何？ おなかすいた｡ 何か作ってよ｡ あ～ いいから 春子も｡ ﾗｰﾒﾝでも作るべ｡ ああ ﾗｰﾒﾝいいね｡ 何 何？ アキ おじいちゃんな…➡ 漁師やめるじゃ｡ じぇじぇ！ 日曜の船さ乗って 沖さ出る予定だったけどな｡ やめた｡ えっ どういう事？ もう年だべ｡ 無理して 船さ乗んなくても いいかと思って…｡ 夏ちゃんも心配みてえだし➡ アキもいるし 春子もな｡ だから 陸で 第２の人生 楽しむかってな｡ そっか｡ そうなんだ｡ 明日 漁協さ行って 引退宣言してくるじゃ｡ ついでに 仕事紹介してもらうべと思って｡ 長い間 御苦労さまでした｡ ﾋﾞｰﾙ飲む？ おお もらうべ！ よし｡ えっ？ じゃあ じいちゃん ここで 一緒に暮らすのか？ 当たり前だ おめえ！ ここは おらのうちだど｡ やった～！ ばっぱ いがったね！ ﾍﾍﾍﾍｯ まあな｡ アキ ほら 飲むか？ 飲めないよ｡ 定期健診の結果 あまり よくねがったみたいだ｡ えっ…｡ あっ 漬物あったべ｡ 持ってこい｡ あ～ はいはい はいはい｡ <一度は死んだと思い込んでいた 父 忠兵衛｡➡ 幸い元気に暮らしていますが➡ 67歳のおじいちゃんなのです> あっ 春子も来い｡ きょうの「あさイチ」 テーマは、お酒。 最近は、女性向けのおしゃれな お酒も増えていますよね。 皆さんに、飲みっぷりを伺うと…｡

あまちゃん＃152

1 (鈴鹿) ｢寄せては返す 波のように➡ 来てよ その火を 飛び越えて➡ 飛び越えて｣｡ ♬～(ﾃｰﾏ音楽) (春子)はあ!? はあ!? <突然 送りつけられた招待状｡➡ 一方 北三陸では➡ 鈴鹿ひろ美のﾘｻｲﾀﾙを目前に控え➡ 海女ｶﾌｪが 何とな～く 完成しました> (ﾋﾛｼ)いいですか？ 切りないから これで完成って事で｡ (アキ)ﾌｧｲﾅﾙ勉さん？ (勉)ﾌｧｲﾅﾙ勉さん！ あっ ちょ… ちょっと待って｡ ♬～ ﾌｧｲﾅﾙ勉さん｡ はい お疲れさまでした｡ (拍手) <そのころ 場末のｽﾅｯｸでは➡ 何とな～く 悪い噂が…> (栗原)怪しいと思うんですよね｡ (吉田)いやいや 考え過ぎだって｡ だけど 海女ｶﾌｪも完成したのに 練習する気配すら ない｡ (菅原)うん 何 何？ 何の話？ (吉田)うちの これが➡ 鈴鹿ひろ美は ﾎﾝﾄに 歌 歌えんのかって｡ (琥珀が落ちる音) (水口)失礼しました｡ それ どういう事？ (栗原)２日ほど前 駅で ばったり会ったんです｡ [ 回想 ] さおりちゃん ｢だんご３兄弟｣好き？ 好きだよね～！ 大好きなんです～！ 歌っちゃおう｡ あ～！ (手拍子) (栗原)そのﾒﾛﾃﾞｨｰが➡ 何とも言えない 不穏で 不快な旋律で｡➡ 今にも 魔界の門が開き➡ そこから聞こえる 死霊のうめき声のような…｡➡ 死霊の｢だんご３兄弟｣なんです！ (ユイ)要するに 音痴って事？ いやいや いやいや… 歌っこ うまいよ 鈴鹿さんは｡ んだ んだ｡ 昔は 歌番組とか出てたもんね｡ 栗原ちゃんは ﾘｱﾙﾀｲﾑで聴いた事がねえから➡ 分かんねえんだよ｡ <そのころ 当の鈴鹿ひろ美は➡ ﾁｬﾘﾃｨｰｺﾝｻｰﾄの準備も大詰め> (夏)老眼ですか？ ｱﾊﾊﾊｯ そうなんです｡ もう手放せなくて…｡ 春子と １つ違いでしたっけ？ 早生まれなんで 学年だと ２つ上です｡ ねえ おかあさん！ これ どうしたもんかしら｡ 何が？ (鈴鹿) ｢寄せては返す 波のように｣｡ こちらの皆さんが聴いたら 津波を連想するんじゃないかしら｡ するね｡ それが？ 何か問題でも？ あっ ほら ここも！➡ ｢三途の川の ﾏｰﾒｲﾄﾞ｣｡ ひどい歌詞｡ そこ変えるんなら ここも変えねばなんねえな｡ え？ ｢17才｣でねぐ ｢47才｣にせねばなんねえな｡ 47才…｡ ﾊｯﾊｯﾊｯﾊｯ やだ 語呂が悪い｡ (笑い声) 歌っても歌わなくても➡ 津波の事は 頭から離れませんから｡ どうぞ お構いねぐ｡ え？ それよりも 有名な大女優さんが➡ わざわざ こんな田舎さ来て 目の前で歌ってくれる｡ ああ もう それだけで➡ みんな 大喜びでがす｡ どうも ありがとうごぜえます｡ ♬～ 春子は 東京さ出てったが➡ あんたのように ｱｲﾄﾞﾙには なれねがった｡ んでも めんこい孫 連れて 帰ってきた｡ いや～ ﾊﾊﾊｯ おらの人生➡ 大逆転だ｡ ﾊｯﾊｯﾊｯﾊｯ｡ (鈴鹿)ねえ おかあさん｡ はい｡ (鈴鹿)ちょっと聞いて｡ はい｡ 春子さんが あの…｡ (引き戸が開く音) ただいま～！ ああ お帰り｡ (かつ枝)往生際 悪いぞ 大吉！ 男なら ﾋﾞｼｯと けじめつけろ！ (忠兵衛)お～い 夏さん！ １本つけてけろじゃ｡ はい はい はい｡ 何か言いました？ 私 やります｡ そんな…｡ (忠兵衛)あららららら！ 今日は 女優のお酌で飲めるぞ！ 居候ですから｡ 夏ばっぱ 夏ばっぱ！ 大吉が➡ ついに覚悟を決めた！ え？ (長内)明日 ほれ 北鉄の試運転があるべ｡ 無事に済んだら ﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞするってよ！ 誰に？ 誰って おめえ 安部ちゃんしか いねえべ｡ え!? じぇじぇじぇ！ ｢じぇじぇじぇ｣ってほどの事じゃ ねえぞ｡ んだ んだ｡ もともと 夫婦だからな｡ でも 随分 昔の話よね｡ (大吉)22年前｡ 別れたのは？ それも 22年前｡ 半年で別れたんだど 鈴鹿さん｡ ２ｸｰﾙだな！ (笑い声) ２ｸｰﾙ ２ｸｰﾙ｡ (笑い声) 大吉 ﾎﾝﾄに 言えんのか？ うっ う～ん…➡ 試運転のあと 話があるから ﾘｱｽさ来てけろって伝えた｡ ほら見ろ！ ﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞしたも同然だべ！ (吉田)駅長！ 車両点検 終了しました｡➡ 試運転 お願いします｡ はい｡ (吉田)駅長！ こっちは問題ねえですから➡ どうぞ 乗って！ 乗ってけろ！ 揺れは どう？ 大丈夫です｡ (大吉)あっ…｡ ♬～ (安部)あら アキちゃん｡ (安部)何だべ？ 今日に限って 随分 暇だね｡ あ… 安部ちゃん ｺｰﾋｰでいいか？ (安部)うん｡ [ 回想 ] いいのか？ 大吉｡ 焦ってねえか？ 春子が 正宗さんと再婚して…｡ いや それは まあ 関係ねえとは言い切れねえが➡ 若え頃 若気の至りで くっついて離れたが➡ お互い知らねえ仲じゃねえし➡ 今更 年も世代も違う➡ ｢GHOSTBUSTERS｣も知らねえ 若え娘っ子と➡ 所帯持つなんて 面倒くせえ｡ それは さすがに 安部ちゃんに 失礼じゃないかしら｡ んだよね｡ でも 偽らざる気持ちなんだよね｡ おら いいと思う！ アキ…｡ 震災婚だの 授かり婚だの➡ 何かと 理由がねえと くっつかねえのが 大人だべ？ だったら 面倒くせえ婚も 立派な理由だど思う！ 何より 大吉っつぁんと安部ちゃん➡ すっげえ お似合いだど思う！ さすが アキだ！ いい事 言うなあ！ (笑い声) どうなんだ？ 大吉｡ 安部ちゃんの事 好きか？ うっ う～ん…｡ 悩んじゃ駄目よ！ スッと言わなきゃ！ ｱﾊﾊﾊﾊｯ！ ﾊﾊﾊﾊﾊｯ！ [ 回想 ] (大吉)好きでねがったら こったらに悩まねえべ｡ 好きだから 幸せになってもらいてえがら➡ 悩むんです｡ 元夫婦間の友情を 壊したくねえんです｡ 春ちゃんも好きだ｡ 鈴鹿さんも…｡ でも おら やっぱり➡ 安部ちゃんなんです｡ [ 回想 ] (大吉)まめぶと一緒です｡➡ 甘えのか 辛えのかも 分からねえのに➡ だんだん 好きになってしまった｡ 理由なんて忘れちまった｡ 吉田君 見ろよ！ みんなの笑顔！➡ まだ試運転だっつうのに こんなに温かく迎えられるとはな｡ ﾎﾝﾄですね 駅長｡ ﾌﾌｯ｡ 鈴木のばっぱ！ 笑い過ぎでねえか？ (鈴木)ｱﾊﾊﾊｯ！ ♬～ [ 回想 ] 決めた！ 試運転 終わったら ｢再婚してけろ｣って言うべ！ ﾎﾝﾄに いいのか？ い… い…➡ 言えんのか？ じぇじぇじぇ！ 安部ちゃん あれ見で！ (安部)何 何？ 大吉っつぁん！ ♬～ いがったな 安部ちゃん｡ アキちゃん ありがとう！ ﾌﾌﾌｯ｡ あっ…｡ 何でもねえ｡ ﾍﾍﾍｯ｡ ♬～ 安部ちゃん｡ はい｡ 落ち着いて よ～く聞いてけろ｡ おらと…➡ おらと もう一度 …って どこ見てんだ!? だあ!? じぇじぇじぇ！ ♬～ ﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞ 頑張りや！ こちらこそ よろしくお願いします｡ 大吉っつぁん！ やった！ ちょっと！ 誰!? あれ書いたの誰!? [ 回想 ] (吉田)車両点検 終了しました｡ 試運転 お願いします｡ (ｸﾗｯｶｰの音) (一同)おめでとう～！ (歓声) ちょっと もう！ 鈴鹿さん！ 夏ばっぱ！ おめでとう！ よぐ言った 大吉！ まだ言ってねえよ！ 言わせてよ！ ほれほれ 今 しゃべったら いいべ｡ あ… あの 安部ちゃん｡ お… おらと➡ もう一度 再…｡ 言えねえ！ やっぱ言えねえ！ ♬～ <とりあえず おめでとうしか言えねえ> 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 イノッチ⇒９月２４日、火曜日の 「あさイチ」です。 安部ちゃん、よかったね。 よかったね。 頑張っていたもんね、東京で。 あの電車で、あの界わいが走って いたということは 地元の人たちは知っていたんです ね。

ヤマトナデシコ七変化＃05

1 〈（タケル）今日は年に一度の 特別な日　バレンタインデー〉 〈僕のいとこのスナコちゃんは〉 （スナコ）まぶしい～ 〈まぶしいものを見ると溶けちゃう 引きこもり〉 〈そんなスナコちゃんを レディーにすれば〉 〈お家賃はタダ　とママに言われて 恭平達は大奮闘〉 ≪（乃依）胸のモヤモヤは 恋の始まり ≪（美音）恭平は スナコちゃんのことが好きなの？ 〈僕は別に　レディーにならなくても いいと思うんですけど〉 〈楽しいはずのバレンタインが〉 〈まさか〉 （タケル）だッ　誰？ 〈こんなに怖い１日になろうとは〉 出た～ （雪之丞）あ～　もう　また恭平 （武長）乱暴なんだよ （恭平）うるせえな　もうや～めた いっち抜けピ～ （蘭丸）２抜けピ 暇だな おい　中原スナコ お茶まだか　お茶 は～い すみません　どうぞ 何か　お菓子 はい お菓子です 俺の部屋から漫画 はい はい　漫画です 寒いから毛布 お待たせしました お茶おかわり おかわりです～ 何かおもしろいことやって えッ… ガイコツはイガイコ　ツヨい… つまんない 無理です～ 恭平　最近スナコちゃん こき使いすぎじゃないの いいんだよ 恩返ししたいっつうから　なあ はい　こないだ 助けていただきましたから 《早く逃げろ　中原スナコ》 ≪（武長）こないだって結婚式？ あれは恭平自身が 結婚させたくなかったんだから～ 想像で堂々と ものを言うのやめてください 皆さんのお世話は私の仕事ですし タダより高いものはないですから 主婦のかがみだね それに… うん？ ちょっとずつでも レディーになれるよう頑張ろうかと マジで？ ちょっとですよ　ちょっと スナコちゃん　協力するよ スナコちゃん 立派なレディーになったら　遊ぼうね やめなさい それより　どうして朝からずっと カーテンが閉まってるんですか？ それに　カーテンの隙間から チョコのにおいが 犬かよ　お前は ぜぜぜ　絶対開けないで 怖いことになってるから 雪之丞く～ん　出てきて～ 今日はバレンタインデーだからね めんどくせえから 閉めてこもってんだよ　開けんなよ バレンタイン 来たよ　宅配便 これが　恭平あて で　これが　武長 で　蘭丸 これ　ぜ～んぶチョコレート？ こんなにどうすんだよ ホント　バレンタインてムダだよな　なッ えッ？　ああ　まあね あッ 乃依からもらう約束してんな　お前 もしもし　ダンナさん出かけたの？ もちろん… ≪（タケル）ムダだと思ってるのは 恭平だけだよ 普通うれしいよ　ねッ　雪之丞 まちこちゃんから チョコ届くんだもんね ああ…　うん まちこちゃんてね 雪之丞の彼女なんだよ アメリカで　ジュエリーデザインの お勉強してるんだよ　ねッ うん 特別な相手がいる人には すっごく大切な１日なんだよ～ 揺らすなよ　腹減ってんだから 来てないのか　まちこちゃんから 遅れてるみたいだね よく来たね 俺のバレンタインは 聡子さんだけのものさ 〈バレンタイン〉 〈恩返しに気をとられて 肝心の今日を忘れてしまうなんて〉 〈ひろし君のために おいしいチョコを買おうと〉 〈内職して お小遣いをためていたのに〉 〈ごめんなさい　ひろし君〉 すぐにおいしいチョコを 買ってくるからね 楽しみにしててね　チョコケーキ 刺身じゃん　うまそう　食おう それは　今日の晩ご飯のおかず ケチケチすんな また買えばいいじゃん １日１０００円におさめないと 食費が… タラコもあんじゃんかよ それは明日の朝… （呼び出し中） まちこちゃん？ ごめんね　こんな夜中に （留守番電話） いないの？　こんな夜中に よく来たね　メアリー 俺のバレンタインは メアリーだけのものさ スナコちゃん　何かお酒ちょうだい すんごく強いやつ 恭平が　晩ご飯と朝ご飯のおかず 食べちゃったんだ おかず？ スナコちゃんたら 今週の食費が足りないからって 自分のお小遣いで おかず買いに行くって言ってる ひろし君のために　ためてたあれ？ 内職して そうなんだよ 足りない分は僕らが出すよ 僕らの食費だから ダメです 家計管理は私の仕事ですから だって　いいの？ ひろし君のチョコケーキ そうだ　非常用の缶詰とか あるかもしれないよ そしたら　おかずは 買いに行かなくてすむでしょ チョコケーキの 材料も買いに行けるよ そうですね そういえば　地震のときとかに 食べるものがあるって ママが言ってた気がする ホント？ 私　探してきます 早ッ ひろし君は　ホントに スナコちゃんの特別なんだね→ 僕も探してくるね 《≪（まちこ）忘れないでね　雪君》 《（まちこ）雪君は私にとって 特別なんだから》 《クリスマスには 毎年帰ってくるよ》 《バレンタインには おっきなチョコ送るから》 《そんなに言わなくても 僕は平気だよ》 《心配しないで ちゃんと勉強してきなね》 《雪君》 《目つぶって》 《えッ？》 《いいから　ほら》 《いいよ　開けて》 《これが　私達の特別の印》 《まちこちゃん》 ≪（武長）そっち　あったか？ 今　探してる 本当にあんのかよ 非常食なんて 恭平も手伝えよ 誰のせいだと思ってんの お前さ　人のことより まちこちゃんに連絡ついたの？ まだ　電話してないから まちこちゃん 好きになったんじゃない　隣のマッチョ やめとけよ パスじゃなくて　ポス… バズは単なるお隣さんです 手紙に書いてあったんだろ 「バズが頼りになって助かる」 よせって 頼りになれば好きになんのか 頼りないよりは　いいんじゃないの お前も言ってたじゃん　電話しても うわの空で何かおかしい… テメエ　何すんだよ ≪（タケル）缶詰 缶詰… ないな～ （物音） 誰？ 恭平？ 何だこれ う～ん う～ん… 階段？ か～えろ ああッ だッ　誰？ 出た～ どうして　そんな無神経なんだ 恭平は 心配してやってんだろうが いつも　ちゃかしてさ ≪（タケル）出た出た出た 出た出た出た… どうした 女？ ニ～と笑って　階段上がってった 幽霊だよ 寝ぼけてんだろ ち～が～う～ じゃあ　中原スナコのホラー友達だ 聞いてみろ 言っちゃダメ　幽霊好きだもん 友達になろうとしちゃう 蘭丸が連れてきてる人妻と 見間違えたんじゃ 外国の人だったよ 二人目の相手　外国人だったよ 赤い服着た　きれいな人 メアリーって呼んでたから 間違いないと思う お前が見た女の人 何色の服着てたんだよ 赤色の服 人騒がせだよな 家の中に知らない人がいたら そりゃ怖いって そうだよ　大体恭平が 勝手におかず食べるからタケルが… 昼寝しよ 缶詰探せよ　スナコちゃんが チョコケーキ作れないだろ ていうか そのチョコ使えばいいじゃん どうせ　食いきんねえんだし 女の人にもらったチョコで ひろし君へのチョコケーキ作れというの そういうとこが無神経なんだ いちいち怒んなよ　なッ もっと　アメリカ～ンに 適当～に　やんないと ホントにバズに　とられちゃうぞ バキュン そこ　ふざけるとこじゃないから 何で　いつも まじめに考えないわけ だからスナコちゃんとだって 前に進まないんです 何であいつと 前に進まなきゃなんねえんだ 好きなんだろ 好きじゃありません じゃあどうして お見合いでモヤモヤするんですか 今まで ほかの女の人にしましたか？ そういうのを好きっていうんだ 特別だろ　認めろよ 特別なんかじゃねえ 自分がふられたからって 八つ当たりすんじゃねえ あっそう　ホント　恭平って 女を見る目がないよね 恋したことないんだもんね 小学生並みのやつに言うだけ ムダでしたね～ 先生　雪之丞君がヒステリー起こして 怖いんですけど 先生　この人　何とかしてください ガキのケンカかよ 先生 先生 俺が先だろ 僕が先です タケル　缶詰あった？ あッ　ゴメン　まだ そっか… 最高の時間だったよ　メアリー 違う 何が？ 見て見て タケル　どうしたの？ ぼッ　僕だけ～！？ ノー 何だよ 特別って （真一）いらっしゃい マスター　コーヒーくださる？ ツケで はい？ 俺だよ ≪（真一）何やってんだ 今日　大変なんだよ　家出んの （真一）そうまでして来るなよ ツケで飲むくせに めんどくせえんだよ 雪之丞が「特別」とか　うるせえし でも　確かにお前　変わったよな スナコちゃんが来てから お前は人間になった よく悩んでるだろ　ここで それまでのお前は　ここに来て いかにコーヒー代を踏み倒すかしか 考えてなかった いわば　人間以下の人間だった 人間以下じゃ人間じゃねえじゃん 以下は人間も含むんだよ 特別じゃなければ何なんだ ここらで真剣に考えてみようか 彼女はお前の何なんだ 知らねえよ ほかの女と同じか？ あんな女　ほかにいねえよ ほお～ 違う　そういう意味じゃなくて あんな変な女 ほかにいねえってことだよ 自分のこと　ブスだと思い込んで 「まぶしい～　まぶしい～」とか うるせえし ギロチンにつられて 結婚しそうになるし 危なっかしくて ほうっておけないってわけだ それって 特別ってことじゃないの？ ああ… 知恵熱出てる あと　１５４３円と２０銭 あと　１５４２円と８０銭 スナコちゃん どうしたんですか？ これあげる チョコレート コンビニ行って買ってきた もらったやつじゃないからね 外に出たんですか？ 缶詰も見つからなかったしさ これで　ひろし君への チョコケーキ作ってあげて 何で　僕だけに見えるんだよ～ （雪之丞）けなげだよね スナコちゃん なあ えッ？ まちこちゃんのことがあって 特別って言葉にこだわるのは 分かるけど　恭平だって… （乃依）武長く～ん どうしたの？ 急にごめんね 蘭丸君に玄関開けてもらって 全然いいけど　何で泣いてるの？ 私… うん チョコ作るの失敗しちゃったの トリュフ作ろうと思ったら おはぎみたいになって おはぎ？ ごめんね　ごめんね 分かったから とりあえず　あっち行こっか　ねッ 乃依ちゃんも　けなげじゃん 《そういうのを 好きっていうんだよ》 《特別だろ　スナコちゃんのこと 認めろよ》 違います 《それって 特別ってことじゃないの？》 違うっつうの 《以下は人間も含むんだよ》 それ関係ねえだろ ウガ～ オシッコ あ～！ オバケ　オバケ　オバケ～ オバケ　オバケ… 悪い　タケル　大丈夫か？ キャ～ （陽子）えッ？ オバケ 何言ってんだよ　こんな美人… 何なの　失礼しちゃうわ 陽子さん　今日のフィナーレを 飾る人だったのに～ フィナーレって何だよ 蘭丸を見て笑ってるよ えッ？ お嬢さん　俺のバレンタインは 君だけのものだよ 見えるの？ あれ　あれ　えッ？ 消えた… ホントに？ オヨヨ （武長）ここか （タケル）うん （蘭丸）本当に美しい人だった （雪之丞）ゴメンね　タケル もっと早く信じてあげなくて （タケル）僕　孤独だったよ つうか　何でタケルと蘭丸にしか 見えねえんだよ 心がきれいな人にしか 見えないんだよ 見えないんだよ どうしよう　次　僕にも見えちゃう 次は俺だっつうの 恭平なんかには一生見えません 見えてます 実は最初から見えてるんです 見えてるわけないじゃん オメエが見えるわけねえ… 何？　何で今日　こんなに仲悪いの ここにずっと 閉じ込められてたんだろうね えッ？ この家　外国から 日本に持ってきたと聞いてるし そのころからの幽霊だとしたら 外国人だっていうのも つじつまが合う なるほど ねえねえ うん？ ママに聞いてみようよ そうだね　行こっか [ﾃﾚﾋﾞ]（美音）え～　その家？ [ﾃﾚﾋﾞ]そうよ　イギリスから古い屋敷を 運ばせたのよ [ﾃﾚﾋﾞ]由緒あるおウチだったんだけど 長く空き家になっていたのを [ﾃﾚﾋﾞ]私とダーリンが 一目ぼれして買ったの 何か　いわくがあるんじゃないの？ この家 [ﾃﾚﾋﾞ]何もないわよ [ﾃﾚﾋﾞ]幽霊が出る噂ってしか 噂があんじゃんかよ [ﾃﾚﾋﾞ]大丈夫よ もう出てこないようにしてある 出てきたよ 家じゅうお散歩してるよ [ﾃﾚﾋﾞ]もしかして開けちゃったの あの地下室 やっぱり地下室なんだ 鍵かけておいてよ～ [ﾃﾚﾋﾞ]だって怖い霊じゃないのよ むしろ　かわいそ～な幽霊なの かわいそう？ [ﾃﾚﾋﾞ]その子は　１５００年以上も前の ローマ帝国の時代 [ﾃﾚﾋﾞ]バレンタインに 失恋した子らしいの 失恋… どういうこと？ [ﾃﾚﾋﾞ]その時代は　若い男女は [ﾃﾚﾋﾞ]一緒に暮らしちゃ いけないことになってて [ﾃﾚﾋﾞ]自由に恋ができなかったの [ﾃﾚﾋﾞ]今みたいに　チョコをあげて 告白なんてこともなし [ﾃﾚﾋﾞ]男女が会えるのは　年に１回だけ [ﾃﾚﾋﾞ]豊作を願うお祭りの日の前の晩 [ﾃﾚﾋﾞ]娘達は紙に自分の名前を書いて おけの中に入れるの [ﾃﾚﾋﾞ]男達は　そこから札を１枚ひいて [ﾃﾚﾋﾞ]お祭りの間のパートナーを 決めることになってた [ﾃﾚﾋﾞ]それが　２月１４日 今のバレンタインデーよ へえ～ あの幽霊さんも その中に入ってたってこと？ [ﾃﾚﾋﾞ]多分ね～　パートナー同士は そのまま恋に落ちて [ﾃﾚﾋﾞ]結婚することが多かったけど [ﾃﾚﾋﾞ]かわいそうに その子は婚約までしてたのに [ﾃﾚﾋﾞ]捨てられちゃって [ﾃﾚﾋﾞ]自殺しちゃったの [ﾃﾚﾋﾞ]彼女の魂は　流れ流れて 地下室に住み着いて [ﾃﾚﾋﾞ]いまだに　その彼を捜して さまよってるのかもしれないわね ≪（雪之丞） 忘れられなかったんだね　その彼を 俺がなぐさめてあげたのに 成仏させたほうがよくない？ [ﾃﾚﾋﾞ]じゃあ寝るから　肌が荒れちゃう きっと 特別な存在だったんだろうね その彼のこと なのに　裏切られて また特別かよ… 特別教の教祖様になっちまえよ 行くぞ　タケル どこに？ あの幽霊　捜し出して 地下室に閉じ込めんだよ ダメだよ さんざん悲しい思いしてきたのに また独りぼっちにさせるなんて かわいそうだよ 好きにしろ 今日のお前とは　しゃべるだけムダ 何　その上から目線　恭平のくせに まあまあ いい加減にしろよ　お前ら だって　アイツ感じ悪いし いつまでも ふられたこと引きずって　グチグチ 恭平だってそうだろ はッ？ 雪之丞に特別って指摘されて ずっとイライラしてるだろ だから　そうまでして来るなって ホントだと思う？ 何が？ ローマ帝国がどうのってやつ ≪（真一）バレンタインデーにも いろんな説がある 宗教も絡んでるし 何とも言えねえな ふ～ん せめて幽霊の姿が見えりゃ 幽霊屋敷として金稼げんだけどな その幽霊だけどな もし　ホントにいるなら ちょっとやっかいかもな うん？ １５００年以上も続きゃ　本物になる 幽霊だって実体を持ちたがる→ まだ男をあきらめてないとしたら なおさらだ→ 生身の体を手に入れて 恋を 成就させようとするかもしれねえ スナコちゃん　下手したら とりつかれるかもしれないぞ～ ごちそうさま アア～ ひろし君 もうすぐ完成よ あら？ あらあら？ あらららららら？ ああ～ まッ　待って～ 待って　まッ　待って～ ひろし君のチョコケーキが 待って～ スナコちゃん？ スナコちゃんは？ あッ　いた うん？ 何だか 素敵なお部屋 ここに お部屋を変えてもらおうかしら （鼻歌） 幽霊？ スナコちゃん ス…　ナコちゃん？ 遅かったか とりつかれちゃったの？ 美人のお姉さんに失礼だ なあ　ここは俺達が住んでんだ 悪いけど成仏してくれ ストレートすぎるだろ はっきり言ったほうがいいんだ でも　居住権的にいえば あちらのほうが有利だし 君の気持ち　よ～く分かるよ→ 僕　遠山雪之丞っていうんだ 俺は森井蘭丸 お前はいいから 実は　僕も今日　失恋しちゃってさ 君みたいに 婚約してたわけじゃないけど 忘れられない気持ちは分かるけど もう　君が亡くなってから １５００年以上もたつんだよ かわいそうだけど 君が好きだった彼は　もういない 捜してるんでしょ　その彼のこと フンッ　ばかばかしいことを えッ？ 誰があんな不実な男など 捜すものか とうの昔に忘れさっておるわ そうなの？ 話が違えじゃんかよ それじゃあ 何で　まだここにいたの？ 好きでいたわけではない どこぞの坊主に　無理やり 閉じ込められておったのじゃ しかし 今となっては　それもよし 男というものの正体も分からず 恋に落ちた自分が 情けのうて悔しくて 成仏もできなんだ こうやって 生身の体を手に入れたからには この世の男という男に 復讐しまくってやるわ え～ どこがかわいそうな幽霊だ それはスナコちゃんの体なんだよ 返してもらわないと困るんです 成仏したら返してやる 昇天じゃ　ダメ？ イタッ… どうやったら成仏すんだよ そうじゃのう… まずは　着替えさせてもらおうか はッ？ おぬしらもな えッ？ おい　お茶はまだか ほらよ お茶といえば　お茶菓子じゃろう 気が利かぬやつめ 何だと　テメエ ≪（雪之丞）恭平 成仏成仏 冷蔵庫にプリンとやらがあったろう それを持ってこい それ　僕の 何で知ってんだよ 冷蔵庫とかプリンとか ホントにローマ帝国の女か あの地下室で　時代が過ぎるのを ず～っと見つめておったのじゃ 何でも知っておるわ そのしゃべり方　もしかして おばちゃん 時代劇見るの好きだったね 休むな はい… せっかくじゃ 心ゆくまで楽しませてもらうぞよ これ食って　とっとと成仏しろ まだまだじゃ おぬしの部屋から 漫画とやらを持ってまいれ はッ？ はよせえ ほら 寒いのう　毛布を持ってまいれ ほれ お茶のおかわりじゃ ほら 何かおもしろいことを やってみせろ まッ　まぶしい～ つまらん 何か　デジャビュ 恭平がスナコちゃんに させていることだろ お前　ホントは中原スナコだろ この女の記憶の中から拾ったまで 調子に乗り　女をこき使うと こういう目に遭うのじゃ 自業自得だね なかなか成仏できぬのう する気ねえじゃんかよ おぬし 顔を貸せ 何なんだよ おぬし つくづく　いい男じゃのう はッ？ 私を捨てたあの男に　そっくりじゃ （鼻歌） （蘭丸）なになになに そういうご指名だったわけ？ やっぱり　まだ好きなんじゃないの 彼氏のこと おぬしのような男が いっちばん憎いわ えッ？ 己の気持ちもよく分からず いたずらに　この女の心をかき乱し やりたい放題 この女も　バカじゃ たかが　男一人のために女を捨て それなのにまた こんなものを作っておる フンッ　バレンタインなどくだらぬ こんなふうに尽くしたりするから 男が図に乗るのじゃ どうせ　この女の人生は真っ暗じゃ 生きていても仕方がない 私が有効に使ってやるわ 男など こうしてやればいいのじゃ テメエなあ… いい加減にしなよ つらかったのは分かるよ 信じてた人に裏切られて 男なんてって思っちゃう気持ちも 分かる だけど そんなふうになっちゃダメだ 確かにスナコちゃんは 引きこもりだし　ホラー好きだし 普通の女の子じゃないよ でも 君がなくしちゃった 大切な気持ちを持ってる たった一人を特別って思える 大切な気持ちを持ってる 俺へのイヤミ？ 何が特別じゃ　くだらない くだらなくなんかない 僕は今日　ふられちゃってさ 何か　いろいろ考えちゃって ずっと見てたなら 知ってると思うけど 恭平はケンカ強いし 武長はいつも冷静で頭がいいし 蘭丸は女の人の扱いが上手だし でも僕は… 僕は　男として頼りないし 何もかもが中途半端だし もう　こんな僕を 特別だと思ってくれる人 いないんじゃないかって それで　あいつあんなに… でも　スナコちゃんがひろし君に 一生懸命なの見てたら 何か勇気がわいてきたんだ スナコちゃんの笑顔見てたら また誰かを 好きになりたいって思った 誰かを特別に思いたいって そう思えたんだよ スナコちゃんの体を返してよ スナコちゃんに ケーキ作らせてあげてよ スナコちゃんの体を返せ！ 黙れ 黙れ　黙れ　黙れ　黙れ　黙れ 邪魔するならば こうしてくれるわ 雪之丞　大丈夫か 覚悟するがよい 何をする いい加減にしやがれ　テメエ 離せ やなこった 恭平　体はスナコちゃんだよ いつもいつも　手間かけやがって お前が来てからな トラブルが絶えねえんだよ 何を言うておるのじゃ さっき　雪之丞の話聞いたろ ひろしにチョコやんだろ とっとと中の女　追い出せ このブスナコ 追い出せ　このブスナコ ブスナコ ブスナコ　ブスナコ　ブスナコ ああ～ うわッ ≪（タケル）スナコちゃん　大丈夫？ ≪（蘭丸）大丈夫ですか　お嬢さん さあ　つかまって あッ… かわいそうに 出ていけなんて言われて 君は　寂しかっただけなのにね 話を聞いてほしいだけなのに みんな君を怖がって そばに寄ろうともしてくれない だから　どんどん意地っ張りさんに なっていったんだね 意地っ張りさんて… 本当の君は　とっても優しくて かわいい女の子なのに 俺が君を愛するよ 一生　俺のそばにいればいい おい これって 完璧に恋に落ちるパターンだね 私が怖くないのか 怖いものか 君は　美しいよ １５００年もの間　そんな優しい言葉を かけてくれた人は 誰もいなかった 私は　ただずっと 誰かの笑顔が 見たかっただけなのに これからは　僕がいるよ 君の名は？ マリア 皆の者　迷惑をかけたな えッ？ これでやっと　成仏ができる ちょっと待って ありがとう おぬしの言葉で　私は救われた 本気だったのに～ ふられちゃったね うう… スナコちゃん？ 目　覚めたか？ まぶしい～ うッ… はい　おはよう ひろし君のチョコケーキ ああ～ オメエは 寝ても覚めてもひろしかよ 痛い… ほら そこがスナコちゃんの いいところだって言ってんだろ オメエは　しつけーな それに気がつかない恭平は バカだ 気づいてないわけじゃ ないんだろ？ スナコちゃんのよさも お前にとっての特別も 雪之丞 僕　恭平もちゃんと スナコちゃんのいいところ 知ってると思うよ 分かってるよ 何　この展開 もしかして三角関係？ 立ち直り早いな スナコちゃんは どう思ってると思う？ 《いたずらに　この女の心を かき乱し　やりたい放題》 恭平がスナコちゃんの心を かき乱してる　か… ジャ～ン ハッピーホラーバレンタイン 話がある

八重の桜＃10

1 (佐久間)おう ここか｡ (師範)青銅製だ｡ (塾生)青銅製｡ (英書を読む声) (覚馬)肝要の地にのみ 砲台を築き➡ そこに びっしりと 大砲を置かねば なんねえ｡ ｾｳﾞｧｽﾄﾎﾟｰﾙでは 34の砲台に 1,400門の大砲が備えてある｡ (広沢)覚馬さん｡ お客様です｡ (覚馬)うむ｡ 象山先生！ おう！ 久しいの 覚馬｡ ♬～ おう！ 木挽町の我が塾と よく似ておるな｡ ここでは 洋学を志す者は 他藩の 者も受け入れていると聞いたが？ それも 先生の塾に倣いました｡ 殿も 快く お許し下さいまして｡ いや 会津は旧弊なお国柄と 聞いたが➡ 殿様は ものの分かる お方と見えるな｡ 先生は いつ こちらに？ ああ 半月ほど前に 幕命によって 上洛した｡ わしにしか できん 役目があるというんでね｡ それは？ 止まった歯車を回し 時を前に進めるのだ｡ 朝廷に 開国を説くのだ｡ えっ？ ♬～(ﾃｰﾏ音楽) ♬～ ♬～ (時尾)やっ！ やっ！ やっ！ やっ！ 参りました｡ (八重)いよいよ… 明日だなし｡ うん｡ お城さ あがったら しばらく 会えねえな｡ 宿下がりは 当分 先だべな｡ 寂しくなる｡ なあ 覚えてる？ お殿様が 初めてお国入りした時➡ 八重さん 桜の高い枝に登ってた｡ うん｡ 時尾さん 下で心配して｡ いづも そうだった｡ 大蔵様も いづも 八重さん見てた｡ えっ？ ほんとは気付いてたけど 教えたくながった｡ あんまり 妬ましぐて…｡ ごめんなんしょ｡ 私 嫌なおなごだべな｡ 私だって…｡ 妬ましかった｡ 時尾さんが ご右筆に選ばれて｡ 私の方が お役に立つのにって うぬぼれていた｡ (ユキ)八重ねえ様！ 時尾あね様！➡ 喧嘩は なりませぬ！ えっ？ 仲良しの２人が 争っては なりませぬ｡ あれ？ 果たし合いは もう終わったのがし？ どういう事だ？ 薙刀で決闘してるって おば様から聞いたげんじょ｡ ｱﾊﾊﾊﾊ！ ﾊﾊﾊ！ ユキさん｡ おっ母様に まんまと担がれたな！ なんて格好！ ﾊﾊﾊ｡ うわ～ もう なじょなってんだべ？ 時尾さんに 何かあったら いづでも お城さ 飛んでいくがら｡ 鉄砲 担いで？ うん 友達だもの｡ (笑い声) やだ 笑い過ぎて 涙が…｡ 私も…｡ 笑ってんだか 泣いてんだか あね様たち 天気雨みでえ｡ (笑い声) (犬の遠ぼえ) (浪士)あっ…｡ (桂)おい 立て｡ 走れ 走れ｡ 桂先生 先に行って下さい！ ♬～ やめんか！ 逃げろ！ (浪士)オ～！ ♬～ (木戸をたたく音) ♬～ (斎藤)長州藩邸か…｡ ♬～ (慶喜)長州の者たちが 都に入り込んでいるとの事だが｡ (容保)はい｡ (田中)既に 長州に一味する浪士➡ 200人余りが潜伏しているように ごぜえまする｡ 厄介な…｡ 何を企んでいるのか｡ (容保)ただいま 所司代と共に 探索を進めております｡ 桑名公は 会津殿の 実の弟だそうじゃの？ (定敬)はっ｡ 同じ美濃高須家の 生まれにございます｡ よい方が所司代となった｡ 兄を助け お役目に励まれよ｡ ははっ｡ 会津殿は 年初よりの病のため 守護職辞任を願い出たと聞くが｡ 十分な働きが できぬのでは かえって 不忠になるますゆえ｡ それは 心得違いじゃ｡ 養生しながらでも 勤められるがよい｡ 何しろ 貴公は 帝のご信任が 殊のほか 厚い｡ 身に過ぎた お言葉｡ 辞められては 余も困る｡ 会津の力添えがなくては 都は とても治めきれぬ｡ 共に命を捨てる覚悟で 都をお守り致そうぞ｡ (佐久間) これを中川宮にお見せし➡ 攘夷が いかに無謀であるかを お話し申し上げてまいった｡ (覚馬)宮様は 何と？ ああ｡➡ 筋道の立った開国の理を聞き 得心がいったとの仰せであった｡ では 攘夷の督促は やみますか？ 無論 そうなるであろう｡ だが その程度では足りん｡ 全てを覆して 新しい流れを作らねば｡ 帝より 開国の勅旨を お出し頂くよう➡ 進言してまいった｡ えっ？ 開国こそが国是であると 朝廷より天下に号令して頂くのだ｡ しかし そんな事 できるのでしょうか？ やるのだ｡ やらねば いずれ ﾒﾘｹﾝのように 国を二分する内乱となる｡ この企てを知れば 攘夷激派が黙ってはおるまい｡ 開国の勅旨を阻むために あるいは 御所を襲うかもしれぬ｡ 御所を？ そったな むちゃを…｡ そこでだ 帝をお守りするために 会津の力を借りたいのだ｡ 御所の守備を固めよと？ いや｡ しばらくの間 帝には 都を留守にして頂くのだ｡ ♬～ (佐久間) ああ もう この辺りでよい｡ (覚馬)先生 そのいでたちは いささか 目立ちすぎるかと｡ 大役を果たす者は 装いも それ相応でなくてはなるまい｡ んだげんじょ 都は剣呑です｡ 目を付けられ 狙われでもしたら｡ ふん！ ｢折にあえば 散るもめでたし 山ざくら｣｡ 花は ふさわしき時に 堂々と散る｡ 命を惜しんで 地味な装いをしたんでは➡ 我が信条に反するわ！ ﾌﾌﾌｯ｡ では あとは頼んだぞ｡ はっ｡ はっ｡ (梶原)帝を彦根城に 移しまいらせるというのですか？ 都は不穏すぎやす｡ それに 御所は城と違って 戦をするようには出来てねえ｡ (大蔵)大軍で攻め込まれたら 守りようがありませんね｡ この際 御所を 城構えに造り替える事も➡ 考えた方がいいかもしんねえ｡ なるほど！ 彦根遷座とは奇策のようだが なかなかの妙案ですね｡ 私から 上の方々に 諮ってみましょう｡ (覚馬)はい｡ (二葉)旦那様 よろしゅうござりやすか？ おう｡ 何も ねえげんじょ 召し上がってくなんしょ｡ 二葉殿か！ これは見違えた｡ 奥様らしくなられやしたな！ まだ不慣れで 行き届きませぬ｡ いや うちの妹とは大違えだ｡ ああ あの打てば響くような 妹御か｡ ﾊﾊﾊｯ｡ ご縁談は？ もう決まりやしたか？ それが さっぱり｡ やはり 鉄砲など撃つのが いかんのでしょ｡ ﾊﾊﾊｯ｡ ああ 姉上 都見物には行かれたんですか？ まあ のんきな事を｡ 物見遊山に 来ているのでは ありませんよ｡ 私は 旦那様のお役目を お支えするために参ったのです｡ ﾊﾊｯ 余計な事を言いやした｡ いや たまには都見物もいいな｡ どうだ？ 祇園祭の山鉾でも 見に行くか？ んだげんじょ そんな 町人のような まねは…｡ いや 土地に なじむのも お役目のうちだ｡ 承知致しました｡ では ごゆるりと｡ ♬～ 祇園祭… 何着ていくべ？ よく できた ご妻女ですね｡ しっかり者というか もの堅いというか｡ どうも その… 姉上は昔から 融通の利かねえとこがあって｡ いや あれでこそ 家を任せられる｡ 私には過ぎた妻だ｡ そうがし｡ 縁談か｡ 八重も そろそろ…｡ (権八)おなご一とおりの業は 身につけさせておりやす｡ (佐久)炊事 洗濯は もちろんの事 機織り お蚕さんの糸取り➡ お針に それから 小笠原流｡ それと…｡ (うら)畑も｡ 大根や豆も うま～く育てます｡ (岡本)先方は 昨年 ご妻女を病で亡くされ➡ 後添いという事になりやすが…｡ 承知しておりやす｡ 年は ちっと上だげんじょ 人柄は よし➡ お役目にも 懈怠なく 励んでおられやす｡ 後添いというのは なじょなものでしょう｡ 何事も ご縁だから｡ んだら 先方さ 訪ねて 話してくんべし｡ よろしくお願い致しやす｡ ≪(爆発音) (川崎)しまった｡ しくじった｡ (ユキ)たまげた｡ 八重さん おけがは？ 大丈夫です｡ 三郎は？ (三郎)無事です｡ (ユキ)血… 血が出てる！ 破片が…｡ あっ…｡ 三郎 ぼんやりしてねえで 早ぐ片づけて｡ はい｡ 慣れた作業でも 油断すると 危ねえがらし｡ はい｡ 八重ねえ様 頼もしい！ なじょした？ 大事ねえか？ はい｡ よくあっ事ですから｡ ♬～ (笑い声) ♬～ 八重…｡ 今回も 縁談は ないようだ｡ はい…｡ まだ お仕事ですか？ ええ｡ あと少し…｡ 新式銃は なじょな具合です？ ここを直したら ずんと よくなりました｡ これなら ずっと使いやすくなる｡ どれ？ ほら ここです｡ あ…｡ ♬～ こったに汚れて｡ 取り替えやしょう｡ 平気ですよ｡ なりませぬ｡ 膿むと熱が出やすよ｡ あとで 自分で やりますから｡ ほら…｡ はい｡ ♬～ 仕掛けは ほぼ出来上がりました｡ これなら ｹﾞﾍﾞｰﾙの３倍は早く撃てる｡ あとは 精度を上げて 数を多く作る事ですが➡ それには 藩の後押しが要ります｡ きっと 認めて頂けます｡ 洋式銃が優れている事は➡ 今では 子どもでも 知っているんですから｡ ええ…｡ ただ 私から願い出る事は できぬので｡ あ…｡ 仕官など どうでもよいと 思ってきました｡ でも それは 覚馬さんが いればこそで…｡ 申し訳ねえです｡ いや 八重さんが謝る事では…｡ せめて 私が 撃ち方を ご披露できればいいのですが｡ 八重さんなら 百発百中ですからね｡ さて あと もう一息です｡ はい…｡ (戸をたたく音) ≪開けろ！ ≪早く開けぬか！ (古高)朝早うから 何の騒ぎですやろ？ (近藤)京都守護職お抱え新選組｡ 御用改めである！ どけ！ (古高)お待ち下さい｡ これ 神妙にしろ｡ 御用改めだ！ (古高)待っておくれやす｡ 待っておくれやす｡ 土方さん これを｡ (土方)やはりな｡ 枡屋喜右衛門こと 古高俊太郎 屯所まで 同道願う｡ (近藤)吐いたか？ (土方)いいえ まだ｡ 起きろ！ まとめて ひっくくってやる｡ (打つ音) (広沢)新選組より 新たな知らせが参りやした｡ 古高の家より 武器や書状が 出たようでございやす｡ では 浪士どものねらいは やはり？ 世上に噂のあるとおり➡ 都に火を放ち 帝を長州にお連れする事かと｡ 何？ 古高の一味の者どもは➡ 今後の事を決めるために 集まるはず｡ (横山)場所は どこじゃ？ しかとは分かりませぬが 会津にも出動を願い出ております｡ 不逞浪士どもを一掃する よい折やもしれませぬ｡ (秋月)しばらくお待ち下せえませ｡ ここは まず➡ 一橋様と京都所司代に知らせて 兵を集め➡ 一斉に 捕り物にかかるべきかと 存じまする｡ そげな 悠長な事してて 取り逃がしたら なじょする？ 手勢を増やし 取り囲んで 穏便に 捕縛するのが 得策にごぜえます｡ 斬り合いとなれば 浪士どもは捨て身となり➡ それこそ 町に 火を放つやもしれませぬ！ (修理)殿…｡ 一橋公と所司代に使者を立てる｡ 新選組は 祇園会所から 共に出動するよう 下知せよ｡ ははっ！ ♬～ 皆はまだか？ (吉田)五ツまでには 集まるでしょう｡ (宮部)桂さん｡ 会津の備えが 調わぬうちに 先手ば打とう｡ うかつに動いては なりません｡ ｢時を待て｣と➡ 皆に言うてつかあさい｡ 僕は よそに知らせに行く｡ ばってん 古高を見捨てる訳には…｡ 取り戻す折は あります｡ 今夜は いけん｡ 新選組が 嗅ぎ回っちょる｡ 宮部さん！ いいですね？ ♬～(祇園囃子) ♬～ 遅い｡ 会津は まだか？ うむ｡ どうする？ ぐずぐずしていては 取り逃がすぞ｡ 行くか？ いざ！ (一同)オ～！ ♬～ (吉田)壬生浪どもは どこまで➡ こちらの動きを つかんどるんでしょう？ 古高が口を割るとは 思わんばってん｡ 桂さんに 釘ば刺されたけん➡ しばらくは 潜んで 様子ば見た方が よか｡ はい｡ ♬～ ≪(池田屋主人)お客様！ 御用改めでございます！ 貴様ら～！ ♬～ 会津藩お預かり 新選組である！ (笛の音) 容赦無用！ ♬～ (秋月)ご家老！ (広沢)ご家老！ 一大事にごぜえます！ 新選組が 三条小橋の池田屋に 斬り込みました！ 何？ 出陣！ (藩士たち)オ～！ ♬～ 待て～！ ♬～ 急げ！ 一人も逃がすな！ ♬～ おのれ…｡ ♬～ ぬしたちは 大義が分からんとか！ ばかたれが！ ♬～ (秋月)どけ！ こら どかんか！ しっかりして下さい｡ 敵は？ 敵は どこじゃ！ 土方殿 これは一体？ 今 ご到着ですか｡ 勝負は 既に決しました｡ 会津の皆様には 捕り縄でも ご用意下され｡ 秋月！ どういう事だ？ ♬～ どけ！ ♬～ これは…｡ ♬～ 肥後の宮部さんじゃねえか！ なじょして こった事に？ ♬～ にしら なぜ 勝手なまねを？ 誰が斬れと命じた？ 我らも 命懸けでござる｡ お手前らのように➡ 悠然と構えていては 敵に逃げられる｡ 何？ (浪士)うわ～！ (浪士)ううっ…｡ 隙だらけだ｡ ♬～ 愚かな事をしたものだ｡ おぬしたちは 火薬蔵に火を付けたのだぞ｡ 長州は 今に牙をむいて 襲ってくる！ 先生？ 中川宮を お訪ねしてくる｡ 戦になる前に➡ 帝を彦根に お連れしなければ ならぬからな｡ 御所まで お供しやす｡ 先生が刺客に襲われたら大変だ｡ 断る｡ 今 会津の者を 供に連れたのでは➡ かえって 命が危ない｡ んだげんじょ！ これが ６連発だ｡ 勝殿が 神戸から送ってくれた｡ 先生！ いや 案ずるな｡ わしには まだ やる事がある｡ 今は まだ 散る時ではない｡ (頼母)新選組は やりすぎる｡ これで会津は敵持ちになった｡ (佐川)寄せ集めの浪士ごときに 先んじられるとは情けねえ｡ 官兵衛 にし 都に行け｡ 横山様に代わって 神保内蔵助殿が京詰めとなる｡ 官兵衛を 都に呼び寄せて頂けるよう➡ わしが じきじきに 内蔵助殿に願い出る｡ ご家老…｡ 藩士の次男三男の中から 腕に覚えのある者を選び➡ 一緒に京に連れていけ｡ にしが指揮を執れ｡ はい！ ここまで来たら 兵力を増やすしか 会津を守る手だてはねえ｡ 身命を賭して 務めまする！ しかし 事態は 頼母の予想を 上回る早さで展開していった｡ 長州藩は 1,000人を超す大軍を率いて上洛｡ 京を包囲するかのように 陣を敷いたのである｡ ♬～ (久坂)いよいよ 雪辱を果たす時です｡ (真木)今度は 会津が都を追われる番だ｡ (諸侯)長州は もともと 勤王の志の厚い藩にござります｡ (慶喜)家老の福原越後を呼び出し 問いただしたところ➡ 藩主親子の罪一等が 減じられれば➡ 兵たちも得心して退くと 申すのだが｡ それでは 後手に回りまする｡ 叡慮に反する振る舞い➡ 武力にて一掃すべきと存じまする｡ 守護職は 都で戦をするつもりか？ 伏見 山崎… あるいは 街道にて食い止めます｡ 万が一という事がある｡ 貴公 殊更に武力討伐を言い立てるは➡ 長州の恨みを恐れるあまりか？➡ 池田屋では 会津配下の者どもが 要らざる斬り合いをした｡ 長州が押し上ってきたのは➡ その恨みを晴らすためとも 思えるが｡ それは あまりに…｡ 会津の戦には つきあえぬ｡ ♬～ 兄上…｡ ♬～ (田中) 命を捨てて 共に都を守ろうど 仰せになったお方が➡ どの口で あのような事を？ (内蔵助)長州は どう出るつもりかのう？ じっと動かぬのが 不気味にごぜえます｡ 何か裏があるものと｡ (内蔵助)秋月｡ はっ｡ 池田屋の一件は ぬしの失策と 非難の声が上がってる｡ 是非もねえ｡ しばらく下がっておれ｡ ははっ｡ (容保)我らは 会津のために 働いてきたのではないのじゃ｡ はい｡ 全ては 都を守護するためにごぜえます｡ この事…➡ 主上だけは お分かり下さるはず｡ ♬～ ご評議は 済みましたか？ いや まだだ｡ よいのですか？ 秋月さんは｡ うむ…｡ わしは 公用方を外れたのでな｡ えっ？ 近く 会津へ戻る｡ お待ち下さい｡ 秋月さんが いなくなったら➡ 都は なじょなんですか？ 他藩とのつなぎは？ 長州の動きの探索は？ まさか 池田屋の事で？ わしの失策であった｡ そんな…｡ ♬～ (銃声) ♬～ (銃声) ♬～ (銃声) ３倍の早さで撃つ事ができれば 兵が３倍いるのと同じだ｡ こんな たやすい算術が なぜ分からんのだ？ (銃声) もう やめてくなんしょ｡ 銃身が熱くなって 危ねえ｡ この銃は 必ず 会津の役に立つ｡ それなのに➡ ろくに評議もなさらずに お取り下げだ！ 分からず屋どもが！ 兄様も同じでした！ 何を言っても聞いて頂けず 禁足のご処分も受けやした｡ 会津は頑固で たやすくは動かねえげんじょ➡ 諦めては なりませぬ｡ 認めて頂けるまで 何度でも何度でも 作り直すべ｡ ♬～ 私が… 私が ずっと お手伝い致しやす｡ ♬～ 八重さん…｡ はい｡ ♬～ ありがとう｡ ♬～ そのころ 箱館の外国人居留地では➡ 一人の若者が ひそかに 日本を脱出しようとしていた｡ ♬～ (船長 英語で) ♬～ (新島)さらば 日本｡ 窮屈な私の国｡ それは 上州安中藩士 新島七五三太｡ 後の新島 襄が 単身 ｱﾒﾘｶへ渡る 旅の始まりであった｡ 佐川様に入隊を願い出たのか？ (佐川)何度 頼まっちも 都には連れていけねえ｡➡ 16の子に 命を捨てろとは 言えぬゆえな｡ 早ぐ手柄を立ててえ気持ちは 分がるげんじょ｡ 分がる訳ねえ！ 姉上に 何が分がんだ？ (刺客)帝を奪い去る国賊め！ (広沢)象山先生が襲われました！ (覚馬)先生は どこだ？ (長州兵) 西国街道に援軍が進んじょる！ 敵は奸賊 松平容保！ <元治元年 祇園祭の２日前➡ 長州藩士を中心とした 急進的な藩士たちが➡ 都の焼き打ちを 画策している事が判明｡➡ 新選組から知らせを受けた 松平容保は➡ 各藩に出動を命じます｡➡ 尊攘派の藩士たちは 三条小橋の 池田屋で議論の最中でした｡➡ その中には 山本覚馬や吉田松陰と同じく➡ 佐久間象山の下で学んだ 肥後藩の宮部鼎蔵がいました｡➡ 宮部は 松陰と旅した会津で➡ 藩士たちと交流を深め 藩校 日新館にも訪れましたが➡ 今や 会津と敵対する立場の 重鎮となっていました｡➡ ６月５日 夜 新選組が池田屋に襲撃｡➡ 激闘の末 宮部は自害します｡➡ その死は 尊攘派にとって 痛手となりました｡➡ 長州藩は 復讐に燃え 挙兵｡➡ 池田屋事件を境に 会津藩の運命は 大きく変わっていくのです> <柳生十兵衛｡ 柳生但馬守宗矩の嫡男にして➡ その剣 天下に並ぶ者なし｡➡ 寛永14年 島原で一揆が勃発｡➡ 旗頭は 天草四郎時貞｡➡

Marvel パニッシャー.S01E09.JA

1 シナモンコーヒー？ いいシナモンを見つけたの 私 ひどい顔？ そうなって当然 眠れてる？ いいえ 処方箋を書くわ 薬は嫌いよ ラフィから電話が そう 寝込んでるって言った？ 言わない 私の出る幕じゃないわ 気持ちは分かるけど あなたらしくない 話してみて 頭から離れないの 覚えてることは？ 銃弾が… 乱れ飛んでたわ スローモーションみたいに サムが… 死にかけてたわ あっという間で 防げなかった 頭の中で その光景が 繰り返されるの “なぜ自分は 生きてるのか？” その答えは出ないわ 考えて当然だけど― 自分を責めても 乗り越えられない 彼の葬儀で 話してほしいって 何を話せば？ 好きなことをして死んだ？ それはウソ 孤独に死ななかった？ だから何？ ダイナ 真実を求めて― 彼は死んだの 真実より 慰めになることを言う？ 伝えたいことは？ どうだ？ 相変わらず 全然 ベッドから出ない 落ち込んでる 相棒の死に関わってない とにかく裏の顔があるか― 疫病神かだな 暗号化したメールを送って 会おう 以前 メールを送って あんたは死んだ 彼女を頼ることに 賛成したろ？ あんたがバカやるからだ やるなら一発勝負だぞ 大物を狙うのと同じ 小便に行く 寒いな NETFLIX オリジナルシリーズ Marvel パニッシャー アルコール･タバコ･火器及び 爆発物取締局の職員が― 撮影した映像です 爆発はＮＹ市警の 第10分署と― 爆発はＮＹ市警の 第10分署と― 〝ＮＹで３件の爆破事件〞 〝ＮＹで３件の爆破事件〞 〝ＮＹで３件の爆破事件〞 連邦裁判所でもあり 映像には映っていませんが 犠牲者も出ています 死者は複数 負傷者は多数いる模様 ＦＢＩと ＮＹ市警が現場で… “従わなければ敵と見なす” “敵と見なす” “政府は暴君に なり下がった” “教師や一般市民を迫害” “憲法上の権利で―” “自分を守ろうとする彼らを 犯罪者のように裁く” “カレン･ペイジ様” “銃を奪われ 自由を奪われ―” “俺たちは 自分を守れなくなる” “俺は皆の自由と 自己を守り―” “皆が正義を貫くために 行動した” 爆破犯から？ みたいね 君宛てに届いた　触ったか？ 当然 触るでしょ じゃ まずＦＢＩに 連絡しよう これで犯人の狙いや 精神状態が分かるかも 正直 怖くもあるが 興奮もしてる 不謹慎だが 続きがあるわ “あんたは 街の英雄を擁護した” “時には 正しいことのために―” “法に反しても 行動すべきだと思うだろ” “戦いへの 呼びかけとして―” “この手紙の公表を 要求する” “従わなければ敵だ” “新聞社の全員を 標的にする” 最後は… “我に自由を与えよ” “然(しか)らずんば死を” パクリかよ パトリック･ヘンリー 建国の父の言葉だ これは脅迫状ってことか 気分が悪いわ この男は 私も同じ考えだと思ってる 一緒に返事も載せたら？ 私の意見を示したい 逮捕するために最善の方法を 当局に聞こう 公表でしょ？ 筆跡やクセに気づいて… ちょっと待ってくれ 何もするな まだ口外するな 当局からの指示を… 議論を 主導できるチャンスなのよ ブレティンは社説を掲載する ＦＢＩが許可すればだ 私の記名記事に 犯人は私に書いてきた 危険だ　名指しされてる ええ そうね 分かった　そうしよう ＦＢＩに連絡する 原稿を用意しろ 手紙に触るなよ 分かってる 〝爆弾は 自家製だが巧妙〞 〝爆弾は 自家製だが巧妙〞 爆弾ほど ムカつくものはない 爆弾ほど ムカつくものはない 卑怯者め 怖がらせれば従うなんて 間違いだ 人々は腹を立て 団結し 強くなる 街の人々は許さない 犯人は地獄を見ることになる マダニが仕事に戻れば 接触できる 警戒態勢だぞ 捜査官との接触は危険だ 何もしない？ バカをやるよりいい 捜査はどう？ ＦＢＩとＮＹ市警が現場へ 我々は情報を当たってる ダイナは？ 話をさせられない ボロボロなの いいの 大丈夫よ あっちにいるわ しっかり休養してほしいと 思ってるが― オフィスは今回の爆破に 全然 対処できてない 君は欠勤してるし 捜査官が数名 死亡 理由は？ 知らない方がいい 標的の名を隠してたらしいな それにニセの作戦を入力 死んだ男たちの身元は？ 政府と関係が？ 聞いたことに答えてくれ 何があったんだ？ 相棒の死を目にしたことは？ ない 銃撃戦の経験は？ ない 目を閉じる度 私を 見つめるサムの顔が浮かぶ 死ぬ間際の彼は― 悲しんだり怯えたりせず ただ驚いてた 信じられないって あの目が今も頭に 何を言えと？ カンダハールの件とは 関係ないし― 亡霊を追って 死んだのではないと 真実を知らないと 君を守れない 真実を― 追いかけた結果がこれ 誰も耳を貸さなかった “爆破テロ　14人死亡” “爆破テロ　14人死亡” 〝恐怖の拡散が狙いでも 私は恐れない〞 〝恐怖の拡散が狙いでも 私は恐れない〞 〝恐怖の拡散が狙いでも 私は恐れない〞 “カレン･ペイジ” 〝恐怖の拡散が狙いでも 私は恐れない〞 “この街は１つにまとまる” “声明文を ＦＢＩにも提出した” “犯人が憎む制度を 信じているから” “暴力を用いる者を許すな 犯人は愛国者ではない” “卑怯なテロリストだ” カレン なんでこんな奴に構うんだ 理由が分かりそうだ 何だと？ ラジオに出る 音を上げろ 次はリッキーの登場だ おはよう　ＮＹ 「リッキー･ラングトリー･ ショー」へようこそ 今日はゲストが２人いる まずオリ上院議員 長年 銃規制の強化を 訴えてますね？ お招きありがとう その通りだ それとカレン･ペイジ ブレティンの記者で 爆破犯から手紙が来た 今朝の新聞に 怒りの社説を書いたね 犯人に語りかけ 彼をテロリストと呼んだ 彼の考えに共感は？ 少しも 犯人のやり方は皮肉だ 修正第２条の擁護(ようご)に 暴力を使ってるから？ そうだ 殺人発生率を減らす努力に 抗うように人を殺してる それは あなたの考え方だ 銃規制派だからね 銃が減れば 死者も減る 使われたのは爆弾だ 英雄が銃で― 犯人を懲らしめるという 可能性は？ これは建国の 礎になった権利では？ 建国は300年近くも前だ ペイジさん 今の時代 市民が銃を 持つ必要はないのでは？ 聞く相手を間違ってる 今まで脅されたことは？ 命の危険を感じたことは？ 例えば銃と 銃を使う勇気が 生死を分けるような状況で 銃というのは社会の毒だ 悪者が持てば恐ろしい結果に パニッシャーに 怯えたばかりだ 一緒にできない 彼が殺したのは悪党よ 線引きはどこに？ 奴は自分が 法に勝ると考え― 37人殺害 テロはない 37人？ どうかな キャッスルを― 警察より有能だと 英雄視する人も多い ひと息入れよう 続きはＣＭの後で 爆破犯から電話よ 警察に連絡だ 逆探知できるかも 面白くなってきた 準備はいいね ちょうど電話がかかってきた 爆破犯だと言ってる 名前を聞いても？ 重要なのは名前じゃない 俺の行動だ ＮＹの人に言いたいことは？ カレン　なぜあんなことを？ 軽蔑してるからよ 抑えろ オリ議員みたいな奴らは 最低だ 国民の仕事を海外に渡し 銃も奪って盾突かせない なんて卑怯なの 爆死した人たちは― 政治家じゃない 一般の人々よ あなたの主張とは関係ない 皆 嫌なことが起きても― 人を殺したりなんかしないわ お前は手先だな 奴らと同じだ それとオリ議員　ふざけるな お前は皆の代表じゃない 戦争が始まるのに 国のことを考えてない “専制者は かくのごとし” じゃ ここで… 前に聞いた 歴史の授業でな そうじゃない どこかで聞いた あれは… カーティスだ 集会にいたガキが言った “専制者は かくのごとし” 確かか？ ああ　めったに 聞かない言葉だろ いつも他人のせいにする奴で 名前は… ルイスだ　タクシー運転手 それで調べてくれ 情報が少なすぎて無理だ 退役軍人だ 元軍人で白人だ 年は25歳か 絶対に30歳より若い 本当に そいつなのか？ 間違いない　見つけてくれ 見つけた後は？ どう思う？ カレンを狙うなんて どんな関係？ 絶対に守る関係だ 葬るのか？ その通りだ　サラだったら？ 彼女が狙われたら？ サラは俺の家族だ よく聞け カレンもそうだ 何かあったら俺は… 分かった 頼む ありがとう ルイス　ラジオを聞いた 家にも行った お前を止めたい 電話してくれ オコナー いるか？ オコナー？ 来たのが間違いだ お前が心配で 助けが必要だと思う 話を聞かせてくれ あの遺体は 死後 しばらく経ってるな そんなの今は どうでもいい まだ遅くはない 正しいことをしよう 正しいことをしてる お前をここに残して 帰れない そうだ 帰らせない やめるんだ おとなしくしろ 〝タクシー 営業免許証〞 〝タクシー 営業免許証〞 分かったぞ 〝タクシー 営業免許証〞 〝タクシー 営業免許証〞 ルイス･ウイルソン ルイス･ウイルソン 26歳で 所属してたのは第１歩兵師団 住所は父親の家になってる そいつだ なあ 匿名で通報するのは？ カーティスに連絡しよう 彼に任せればいい 更生を試みるだけだ 俺のやり方でやる 火曜の朝― 起きた３件の爆破事件は 未解決です ３つの爆弾は自家製ですが… 前にも届いてるかも 心当たりは？ ありません 読者からの手紙は 一部なら保管庫に 出ても？ どうぞ “未登録” ペイジです どういう気だ？ あんな奴を挑発して 私は彼に― 賛同者と思われたの 狙われるハメになって 満足か？ 何もしなければよかった？ フラ… 用件は？ ＦＢＩか？ そう おとなしくしてろ 待って 少し外へ ええ なぜ電話を？ 何を知ってるの？ とにかく おとなしくしてろ 事件と関係が？ 犯人を知ってるの？ フランク？ ＦＢＩに対処してもらうわ 遅すぎる 今回は正しい方法でやって 責任を取らせる 犯人と同じね 俺と そいつじゃ大違いだ そう？ 法を守らないところは同じ 私を口実にしないで じっとしてろ 仕事は？ 私は邪魔なだけ セックスに逃げるな 気分を紛らわしたいの 今までに17回 葬儀に出た 仲間たちのね 君の気持ちはよく分かる あなたに落ち度は？ あったとも言える 奴を撃ってたらとか 止めてたらとか もっと早く着いてたらとか 仮定はいろいろ 敵を責めるっていう手もある 死んだ奴の… 自業自得ってことも ベッドの上で そう考えたことは？ ステインのミスかも 銃を持ってたのに 刺されるなんて 自分が無力だと感じる 悪は はびこり続けるわ 挽回するのが僕たちだろ 大チャンスが目の前にある それが無理なら― 辞め時かもな 恥じることはない 欲しいのは… 辞める許可？ 仕事には戻れない 捜査官がムダ死にしたと 明らかになれば私は終わり キャッスルの名をエサにした 死んだ男を狙う奴らを 追ってた馬鹿だと思われる 正義を果たそうと 誰にも理解されない 誰も現場に いなかったからな あなたもね どこにいる？ 奴の家の前だが 留守のようだ あんたが言ったことは 正しいと思う そいつをどうにかできるなら すべきだ そいつをどうにかできるなら すべきだ 〝国土安全保障省 経歴〞 〝国土安全保障省 経歴〞 〝国土安全保障省 経歴〞 何だ？ 許可は求めてないぞ 何だ？ 許可は求めてないぞ 愛する人を守るためだ 何が言いたい？ 携帯を追跡して 居場所が分かった 今 カーティスと 同じ場所にいる ヴァン･ビューレン 83451 マズい 構わない　警察には 警察の仕事をしてほしい 大切なことは２つある まず この悲劇の犠牲者の ケアが必要だ その通り　もう１つは… このテロリストの動機に 目を向けること 感謝するよ 君の支援はとても重要だ ありがとう 寄付が決まった 彼の協力が目立つようにしろ 次は？ 警備コンサルタントが ルッソ君 オリだ　待たせたかな いいえ　忙しそうですね 犠牲者のための 募金パーティーを計画中だ 関心を高め― テロに対して 断固とした態度を示せる あなたは犯人の敵になるから 私を呼んだ 大物の友人が 君が一番だと言った その通りです 君は軍人として このテロリストをどう思う？ 逮捕されるべきですが― 個人的には こんな卑怯者は 抹殺されるべきだ 暴力が連鎖しても 気にならないのかね？ それが仕事です 平気なのか？ 武装警備員をお望みでは？ 保険だと考えていただきたい 何もなければ ムダだったかもと 何か起これば 銃規制の 議論が続く理由となる 私は銃規制運動の顔と 言える存在だ 私を襲った者が 頭を撃たれたら― 非常にマズい あなたの信念に 死ぬ価値はありますか？ いつ始める？ 今すぐです 後ろの２人が警護に 犯人が現れたら― その時は対処します なるべく… 人道的に プロだな　ルッソ君 よろしく いいか？ 目を離すな 〝敵方向に向けよ〞 カーティス？ おい カーティス　俺だ 動くな　分かったか？ じっとしてろ こっちを見ろ これを外してやる 大丈夫だ ほらな よし 何があった？ 止めようとした 義足を狙いやがって 昔なら あんな奴 真っ二つにしてた 分かってる　そうしたよな 落ち着け　いいな どこへ行くんだ？ 血を拭いて 救出法を考える 出ていけ 警察を呼んでくれればいい ほら さあ 飲むんだ いいぞ　そうだ よし 俺の義足で殴りやがった 覚えてるか？ 爆発物処理の講義での クレイモア地雷の話 700個の金属球が 秒速１キロで飛んでくる 多すぎるよな 何だ？ 携帯だ　ポケットに “未登録” 死んだはずだろ ルイスか？ キャッスルだろ 死んだって聞いたぞ 世の中はウソだらけだ 連中は葬りたかったんだな 大勢 あんたに共感してた 自分で何とかすべきだって お前は自分で 何とかしてるつもりなのか？ あんたと同じだ カーティスは？ そいつは選択を誤った いや お前が間違ってる カーティスの選択は 常に正しい 信じていい 何がしたいんだ？ どう決着を？ 警官が現れたら 全員 吹き飛ばし― 体制にケンカを売る？ 結末は最悪だぞ 注目される前に殺される もう注目はされた よく聞け カーティスを解放するんだ それから自首しろ もう誰も傷つけるな あんたと同じだ 俺も俺の戦いをする 俺とお前は全然 違う 俺は狙った奴らの目を見て 殺してやった お前は違う お前は臆病者だ 俺はアメリカ海兵隊員だぞ 足元にも― 及ばん 俺たちを殺させる気か？ 行くの？ サムのためにね 初めて会った時 彼はくすぶってた でも秘めた情熱に 私が火をつけたの 彼は私を信じて それで死んだ だから彼の葬儀で― 真実をすべて話す キャリアは終わる でも誰かが必ず真実を追うわ 真実は葬れない 私を葬れても 一大決心ね もうできるのは これだけ 危険なことが起きてる 行動する前によく考えて もう十分考えた これ以上は必要ない 踏み出したら もう取り返しがつかない 分かってる じゃ１つだけ考えてみて 引き返すのが怖いから 道を断とうとしてる？ この回路がオープンか クローズか分からない 違いは？ クローズなら どのワイヤを切っても― 爆発する オープンなら― ワイヤによっては助かるが どれか分からない 結局 終わりだ 多分 物事は 起こるべくして起こる 流れに逆らえば 痛い目に遭うだけ 頭を殴られてイカれたか 何度も戻りたいと思った そんなのは たわ言だ 脚を失った時 前向きだったと？ あれ以来 お前は立派だ 自分を哀れんだりせず 乗り越え― 人を助けてきた なぜだと？ 人に話しながら 自分に言い聞かせてるんだ 前の自分を思い出し 悪夢にうなされ目覚める 戻りたくてな ガキにボコボコに されるなんて お前は悪くない 無力さを感じたことは？ 俺はある 二度と嫌だったのに― このザマだ これなら あの爆弾で 死んどきゃよかったよ 通報した そうすると思った あんたは逃げろ なぜだ？ 俺の敵じゃない 組むべきだ それが望みか？ 分かったから教えろ どのワイヤを切ればいい？ カーティスを助け出したら 協力する 信用できない 信用なんて 何の意味もないだろ 信用しても裏切られる 脚を失った話を聞いたか？ いや 市場で… デカい即席爆弾が爆発した ひどい有り様だったよ 吹っ飛んだ体の一部が散乱し 皆 泣き叫んでた 誰もが動転する中 カーティスは… 違った 冷静に すべきことをしたんだ 吹き飛んだ子供の体を 元に戻そうとしてた 最高の衛生兵だ 俺の仕事は周辺の警備だ 女が近づいてきた 腹のデカい女だ それは関係ない 関係あった そうなんだ その女を― 排除すべきだった だが俺は国にいる妊娠中の 妻を思い出したんだ 撃ち殺すべきだったのに 引き金を引けなかった 女は自爆した カーティスが診てた子供は 死に― 彼の脚も吹き飛んだ 助けた俺のことを 恩人だと言った だが真実は― 真逆だ 窓の所に来い 分かった 聞こえるか？ 警察だ ああ 聞こえるが 俺は ここを動かない 逃げるんだ　行け！ 頼むから逃げてくれ お前は俺に借りなんかない ここにいる ルイス　質問だが なぜ入隊した？ 国に尽くしたくて ガキのたわ言は やめろ 戦いたかったからだろ 俺もそうだ だが母国に戻り― 愛国心を口実にしてるだけだ 母国？ 母国だと？ そんなもんない ペイジみたいな記者が 好き勝手に書いたり― オリみたいな政治家が 愛国者を攻撃してるうちはな 奴らは無事じゃ済まない その声にウンザリしてきた 戻ってワイヤを切る どうする 俺を殺すか？ いいのか？ カーティスを殺すのか？ お前次第だ 早く決めろ 決めてやるよ やるじゃないか なら さっさと言え！ 俺とカーティスを 殺す覚悟は？ どうだ？ 白いワイヤだ おい フランク　何する気だ？ いいから逃げろ 逃げろ 俺を見ろ 大丈夫だ 心配ない いくぞ　大丈夫だ 止まれ！ パイン通りの方へ 動くな　ＮＹ市警だ じっとしてろ 両手は頭だ うつぶせになれ お代わりは？ やめとくわ おごろうか？ 気分じゃないの 相棒が死んだから？ あなたは？ マイクロだ 映像を？ あの後 何人も死んだ 私が何か関係してると？ ああ キャッスルの次はあなた 偶然じゃないわね ２人は何？ 相棒？ 私を殺しに？ 奴らの味方じゃないよな？ 一緒にしないで 撃ちたいならどうぞ 葬儀に出なくて済むから 助かるわ カンダハールの全容を話せる 誰もいない そのＣＩＡの作戦は 非公式で… 違法だった ヘロインの密売に 気づいたズバイルは― テロリストとして処刑された 誰がやったの？ ウィリアム･ローリンズ 尋問官で首謀者だ 証拠は？ 映像ファイルがある フランクも必要だ あの場にいた 黙って来たのね 答えてくれ　これは？ 通報のあった民家から キャッスルが逃亡し… 知ってたのか？ 車載カメラに映った人物は 顔認識ソフトにより― フランク･ キャッスルだと判明 フランク･ キャッスルだと判明 〝パニッシャー 再び現る〞 ねえ 大きくして 容疑者は逃走中です 現段階では 未確認の情報ですが… 〝ニュース速報〞 〝ニュース速報〞 フランク･キャッスルが… ウソだろ なんてこと キャッスルは37人殺害し 有罪に 被害者は悪名高き 犯罪組織のメンバーで… ニュース速報です ＮＹ市警が… 日本語字幕　岡田 多美江

べっぴんさん＃021

1 よかったな｡ お前 ﾎﾝﾄ よかったな｡ えっ 何が？ お前に やっとこさ 見合いの話が来た｡ み… 見合い？ 私が？ ♬～ (すみれ)君ちゃん…｡ (君枝) すみれちゃん 良子ちゃん…｡ (はな)<女学生時代の親友➡ 良子ちゃんと 君枝ちゃんと 再会した すみれです> (良子)会いたかった…｡ ３人で 何か できないかな？ 私は商売なんて…｡ すみれちゃんが 頑張ろうと思ってるのは分かる｡➡ けど 頑張れば 報われる訳でもないし…｡ (琴子) 商売に誘うのは やめて下さい｡ うちは 家も残ってます｡ もうすぐ 息子も帰ってきます｡ 君枝を巻き込まんといて下さいね｡ <友情という 永遠に掛けがえの ないはずだったものは➡ 時を経て 変わってしまったのでしょうか> (喜代)すみれお嬢様！ お客様… お客様です｡ えっ？ ｼﾞｮﾝさん！ すみれ｡ どうしたんですか？ ｴｲﾐｰが また 体調崩して すみれに会いたいと言ってます｡ ｴｲﾐｰ｡ ﾏﾐｰになるのが 不安だって言ってます｡ 分かりました｡ ≪(栄輔)すみれさん！➡ すみれさん！ おっ すみれさん｡ おしめやで｡ おしめ？ ♬～ ♬｢『雨上がりの空に 七色の虹が架かる』｣ ♬｢って そんなに単純じゃない｣ ♬｢この夢想家でも それくらい理解ってる｣ ♬｢大量の防腐剤 心の中に忍ばせる｣ ♬｢晴れた時ばっかじゃない｣ ♬｢湿った日が続いても 腐らぬように｣ ♬｢たとえば 100万回のうち たった一度ある奇跡｣ ♬｢下を向いてばかりいたら 見逃してしまうだろう｣ ♬｢さぁ 空に架かる虹を今日も信じ｣ ♬｢歩き続けよう｣ ♬｢優しすぎる嘘で涙を拭いたら｣ ♬｢虹は もうそこにある｣ ♬｢きっと 虹は もうここにある｣ ♬～ 明美さん｡ (明美)何？ これ… 外国で使うおしめの生地で 間違いないです？ そうやけど どないしたん？ 知り合いが 手に入れてくれたんです｡ 明美さんも使うて下さい｡ 闇市に持っていけば 売れるやろ｡ いいんです｡ これは 明美さんへのお礼なんやから｡ こないだ 明美さんに言われた事やけど…｡ 今 振り返って 自分でも 世間知らずで無知やったと思う｡ 知らないうちに 傷つけてしまって…➡ ごめんなさい｡ でも… 今の私は あのころとは違うんです｡ 私は 娘と生き抜くために 何でもしないと…｡ ほんで？ おしめを必要としとる人は おるんか？ 作り方だけ教えるわ｡ 勘違いせんときや｡ これのお礼や｡ 何しとんですか？ 煮沸消毒よ｡ 新しい生地で おしめ作る場合は のりと油気を落とさないと➡ いけないんやって｡ おしめは 汚れを吸収させて➡ 拭い取るものやけど やっぱり 赤ちゃんの肌に➡ 直接 触れるものやし 赤ちゃんが 気持ちいいって思えるのが➡ 一番なの｡ <生まれてくる ｴｲﾐｰさんの赤ちゃんのために➡ そして その赤ちゃんを思う ｴｲﾐｰさんのために➡ 夜が明けるまで 夢中で 縫い物をする すみれなのでした> (英語で) (ｴｲﾐｰ)ｻﾝｷｭｰ ｽﾐﾚ｡ あ～ よかった！ ウ～ン…｡ ｴｲﾐｰ？ オウ…｡ 生まれるんやと思います｡ 大丈夫｡ ｼﾞｮﾝさん お車を早く｡ 大丈夫ですよ～｡ ウ～！ <こうして 元気な 元気な 赤ちゃんが生まれました> ｻﾝｷｭｰ… ｻﾝｷｭｰ ｽﾐﾚ｡ 何で うちが…｡ もう 関わりとうない言うたやろ｡ そうは言っても やり方が分からないって➡ 言われて… お願いします｡ (明美)ワン ツー ワン ツー｡ <これまでのものとは まるで 別物のおしめは➡ すみれにとって 一種の衝撃でした> 気持ちよさそう｡ よかったね～｡ ｽﾐﾚ｡ (明美)赤ちゃんに 何か 作ってもらえへんか言うてるわ｡ (明美)赤ちゃんが いつか お母さんになって➡ 娘が生まれたら その子も着られるような➡ 一生 大事にできるような そんな お洋服を作ってほしい言うてる｡ やらせて下さい！ ♬～ お母様… ええ？ <すみれ… ええよ> ♬～ 話って？ 実はね 赤ちゃんの洋服の注文を 受けたの｡ よかったね｡ どんな洋服なの？ ﾃﾞｻﾞｲﾝは任せるって 言われてるんやけど➡ 赤ちゃんが大人になって➡ その子どもにも また着せられるような➡ その子が また 子どもにも着せられるような➡ ずっと大事に できるようなもんがいいって…｡ それやったら ふだん着やないね｡ 何かの記念とか お祝いの時に着る…➡ ああ 晴れ着ね｡ あっ 違うの｡ ｱﾒﾘｶ人の通訳さんの赤ちゃんなの｡ へぇ～ そしたら 着物と違うね｡ うん｡ それで 考えたんやけど…｡ これ…｡ お母様の形見やない｡ ｴｲﾐｰさんが 娘に残したい思いは…｡ このﾄﾞﾚｽを残してくれた お母様と おんなじ思いやと思う｡ この焼け残ったﾄﾞﾚｽで…➡ あの赤ちゃんの宝物を作れると 思うたら…｡ 遠く離れた外国で 何十年も先まで 大事にされるのよ！ ♬～ これだけ…｡ ２人に協力してもらえたらって 思ってるんやけど…｡ いいよ｡ ほんまに？ そうね｡ ありがとう！ <すみれ よかったね> ♬～ 後ろ足 上げて ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ｡ 足の先を…｡ こちらは 足の付け根｡ 丁寧に｡

コドモ警察＃03

1 （ナレーション）＜横浜を拠点に さまざまな犯罪を操る組織→ レッドヴィーナス。 そんな悪の組織を逮捕すべく→ 横浜大黒署に 特殊捜査課が組織された＞ ＜エリートぞろいの刑事たちは たちまち→ レッドヴィーナスの尻尾をつかみ 今　まさに→ 一網打尽というところで 罠にかかってしまう＞ ＜レッドヴィーナスが開発した 特殊ガスを吸わされ→ あろうことか　全員 子供になってしまったのだ！＞ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （国光信）ナベさん→ レッドヴィーナスって どんな組織なんすか？ いわば　犯罪の あっせん業者みたいなもんだ。 犯罪を犯したい人間に 武器や方法を手ほどきしている。 たちの悪いやつらっすねぇ。 いまだに　ボスの正体は→ 謎に包まれている。　とにかく→ 手がかりになるやつを しょっぴいて追い詰めるしかない。 いや　しかし 捕まえても捕まえても→ 殺されちまうし…。 粘り強くいくしかない。 でなきゃ 俺たちは　子供のままだ。 あっ　ナベさん　最年長ですけど→ 小学校　なじめました？ この前　トイレで大便をしてから いじめられているよ。 どうやら　小学校は 大便をしてはいけないらしい。 分かる～。 いや　友達にいましたよ。 １回　うんこして以来　ずっと→ 「うんこマン」って 呼ばれてましたよ。　はははっ…。 俺は 「うんちっち」って言われてるよ。 うんちっちか…。 大便をしちゃいかんなどと…→ 意味が分からん。 （舞子）ちょっと　ナベさん→ 汚い話 やめてもらっていいですか？ （渡辺）あっ…　これは　すまん。 ≪ガチャ（ドアの音） （間）デカ長 まだ　始末書が届いていませんが。 （大沼茂）あっ　それは申し訳ない。 （下山） なんの始末書ですか？　デカ長。 ここ２件のヤマで　ホシを ２人連続で殺されている。 これは 明らかに　捜査課の不手際だ。 不手際？　ちゃんと ホシは確保してんじゃねぇかよ！ 逮捕だけでは意味がないんですよ。 分かっているでしょう？ レッドヴィーナスのヤマは ホシを確保して→ 組織のことを聞き出す。 それができなければ　意味がない。 それは　そっちの都合でしょ？ 犯罪者を逮捕しただけでも 十分なはずだわ。 何も　始末書なんて…。 いいじゃないか　マイコ。 俺が一筆書けば　済む話だよ。 （間）次のヤマで　また　ホシを やられるようなことがあれば→ 君たちを　レッドヴィーナスの捜査から 外すことも→ 考えないといけませんね。 別に　いいけどね～→ 子供でいるのも 楽しい気がしてきたから。 うそでしょ？　私　マジ勘弁だから。 [TEL] 特殊捜査課。 うん…　うん。 何!?　分かった！ （今村）事件ですか？ 港南のビルで立てこもりだ。 従業員を人質に取ってる。 ホシは　何を持ってますか？ ライフルだ。 ライフルか。　いかんなぁ。 「俺は　レッドヴィーナスの幹部だ」と 叫んでるそうだ。 本当ですかね？ （渡辺）どうかな？ 幹部が　自ら名乗るとは 考えられんがな。 とにかく　行ってくれ。 スマートは　ホシの顔写真から→ 前を調べてくれ。 了解。 （渡辺）行くぞ。 はい。 今度こそ　生け捕りですよ。 （前島）まだ来ねぇのか　警察は！ 日本の警察は　どうなってんだ！ おい！ ウィーーン（サイレン） ♪♪～ おいおい　来たな。　お前らか→ うわさの子供刑事は！ （野上）俺たちのことを 知ってるとなると→ あながち レッドヴィーナスの幹部ってのも→ うそじゃないかもね。 （下山）いや　うわさってのは→ 下っ端まで　広がるものだからな。 （舞子）新人　ホシの写真撮って スマートに送って。 はい。 犯人に告ぐ。 一体　お前の目的は　なんだ？ （前島）まず　ヘリを用意しろ！→ そして　空港に飛行機だ。 優秀なパイロットもな。 どこまでも行けるように→ 燃料　たんまり入れとけよ！ 分かった。 少し考えさせてくれ。 要求は　それだけか？ あと　金だ　金！ しばらく　遊んで暮らせるように→ ３億円ほど　もらおうか。 （今村）ガキの小遣いみたいに→ 言うんじゃねぇ！ （下山）ブル　やつを刺激するな！ （渡辺）分かった。 ３億円ぽっちでいいのか？ 何!? 派手に暮らしたら→ 割と　すぐ　なくなるわよ。 じゃ…　じゃあ→ ５…　５億　持ってこい！ [ｽﾋﾟｰｶ]（渡辺）いいだろう。 すべて用意するには→ 少し時間がかかる。　その間→ 人質には 危害を加えないと　約束してくれ。 いいだろう。 ほんとに用意するんだな!? もちろんだ。 ほんとに用意するんすか？ （渡辺）するわけないだろ。→ 時間を稼いで　策を練るんだ。 ですね。 ブル　エナメル　イノさん→ このビルの周りを調べて 侵入のルートを探ってくれ。 （下山・今村・野上）はい。 すまん　人質は　何人だ？ ２人だ。　女が２人だよ！ てめぇら　うそついたら マジで殺すからな　こいつら。 [ｽﾋﾟｰｶ]（渡辺）うそはつかん。　安心しろ。 マイコ　あの会社の人間を 署に呼んどいてくれ。 はい。 ≪マイコさん→ ホシの写真　送りました。 （渡辺）長期戦になる。 食い物でも用意しとけ。 はい。 ♪♪～ ないっすね。 あっちも行くか？ はい！ ♪♪～ （川島）ホシは　前島義男　無職。 窃盗の前が　３回あります。→ どれもこれも　ケチな盗みです。 （今村）じゃあ→ 幹部ってのは　うそですね。 （舞子）やつも　レッドヴィーナスの お客ってわけね。 今度こそ 慎重に逮捕したいところだな。 女子社員の 若林美佳　加藤ゆり子以外は→ 連絡が取れたそうです。 ってことは→ その２人が　人質ってわけか。 間違いないでしょう。 さて→ どう攻める？　イノさん。 入り口は　正面と裏口のみで→ 屋上からの侵入は無理です。 少し時間が必要だな。 よし　今日は 親も心配するだろうし　帰るぞ。 （一同）はい。 夜の間は　新人に任せるが→ 明日　誰か　現場につけないか？ 私は　１時間目が 国語のテストだから難しいですね。 そうか。 （下山）私も　球技大会の→ サッカーの練習が昼休みに…。 そりゃ　なんとかならんか？ キーパーなんです。 分かる。 キーパーなら　しかたないな。 ほかに　やるやつがいなくて…。 ブルは　どうだ？ クラスの女の子から→ 話があると言われてて…。 告られるわね。 モテるな　ブル。 ほんとは 現場に行きたいんですが→ 騒ぐと　うるさい女で。 羨ましい話だな。 分かった。　少し考える。 私に行かせてください　デカ長。 気持ちはうれしいが お前には　トラメガは重すぎる。 ♪♪～ （渡辺）犯人よ　近所迷惑だから 近くへ行って　しゃべっていいか？ （前島） 近所迷惑なんて関係ねぇんだよ！ （渡辺）そうカッカするな。→ いいか　よく聞いてくれ。 俺たちは　眠いから帰る。 何!? （渡辺）体が子供なもんでな→ 眠いんだ。 で　明日　みんな　学校があるから→ 学校終わりで　また来る。 てめぇ　ふざけんな！ のんびり構えてんじゃねぇよ！ [ｽﾋﾟｰｶ]（渡辺）どっちにしろ→ 飛行機とパイロットを 用意するのに→ ２～３日かかるんだ。 もう少し立てこもってくれ。 なんだと!? （野上）食事はあんのか？ そんなもん　いらねぇよ！ おめぇが　いらなくても→ 人質のレディーたちが おなかが　ぺこぺこなんだ。→ 少しは　気ぃ遣え！ （前島）なんで　人質に→ 親切にしなきゃいけねぇんだよ！ いらねぇったら　いらねぇよ！ （渡辺）分かった。 この新人を置いていくから→ 気が変わったら こいつに　声を掛けてくれ。 ♪♪～ てめぇ 学校　何時間目まであんだよ！ （渡辺）明日は６時間目までだ。 寄り道しねぇで 帰って来いよ　てめぇら！ （野上）それは保証できねぇな。 いつでも　届けに行きますよ～。 俺は　頂きま～す。 よいしょ～。 ふぅ～。 ズルズルズル… うおっ！　たまに食うと めちゃくちゃうめぇ　こういうの！ [TV]（リポーター）警察から　人質の詳細は まだ発表されていませんが→ 中では 女子社員が数名残されている→ という情報もあります。 また　何か→ 動きがありましたら 中継いたします。→ 以上　現場からお伝えしました。 （弘康）へえ～ これって　スマートさんたちが→ 扱ってるヤマなんですか？ （千種）てめぇ　サラリーマンのくせして ヤマとか言ってんじゃねぇよ！ （弘康） 立てこもってるんだって　ホシが。 （千種）調子こいて 刑事ぶってんじゃねぇよ　バカ野郎→ おめぇよ～！ （弘康）行かなくていいんすか？ （川島）基本的に　内勤なんで。 （弘康） だよね～。　年少さんだものね～。 （千種） そしたら　お風呂入って　寝な。 はい。 でも　今日は　ママと一緒に→ お風呂　行っちゃいますか？ こちょこちょ…。 （川島） 結構です。　一人で入りますから。 （千種） てめぇ　バカかよ。　バスタブに→ 幼稚園生が溺れちゃったら どうすんだよ　一人で入ってよ！ （川島）溺れませんから。 （千種）背中　一人で→ 洗えねぇじゃねぇかよ。 （川島）洗えます。 （弘康）いいよ　もう　無理に。 恥ずかしいんだよ　毎日→ 何かしらが。 （千種）えっ？　恥ずかしいんだ？→ なるほど。 この私のセクシーボディーが→ 生まれたままの姿になるのを 見るのが恥ずかしいんだ？ （弘康）やめろ…。 もう　セクシーじゃないから。→ なんか　脱皮してる ヘビみたいになってたから。 （千種） そうだよね　そうだよね…。→ おなかも　ぼよぼよだし 乳首も黒い…。 （弘康）いや…。 （千種）そうだよ…　うぅ…。→ バカ野郎　お前！　そんなセリフ→ 旦那が言う セリフじゃねぇだろうがよ　バカ→ 何　言わしてんだよ　お前よ～。 （弘康）違う　違う　違う…。→ だからね　セクシーにしろ セクシーじゃないにしろ→ スマートさん 中身が　３９歳の大人ってこと。→ ねっ？　スマートさん。 （川島）そうですね。 勘弁していただいて→ よろしいですか？ （千種）はい…。 （弘康）じゃあ 今日は　パパと入ろうか　パパと。 （川島）いや…。 （弘康）パパはねぇ　肩まで→ お湯につかって なんと　３００秒　数えないと→ 出してあげないぞ～！ （千種）出ました～！→ パパの…　３００秒　数えないと お風呂から上がれないの刑～！→ きついよ～　きついよ～。 だってさぁ　ちっちゃいのにさ→ 肩まで　湯船につかんなきゃ いけないわけ。　それで→ ３００まで数えたら… バカ野郎　お前→ 死んじゃうよ。 ゆでダコちゃんっていう→ キャラクターに なっちゃうじゃないか　おめぇ。 なんだよ　ゆでダコちゃんって…。 かわいいな　お前！→ ゆでダコちゃん　やってみろよ。 どんなキャラクターなのかな？ （弘康）分かんねぇよ…。 おもしろい感じなのかな…。 くぅ～！　去り際　常にクール。 （弘康）そして　動線　スマート！ バラバラバラバラ…（ヘリコプターの音） [ｽﾋﾟｰｶ]（渡辺）おい　前島。　いいかげん 人質の声を聞かせてくれ。 嫌だね！ （今村）てめぇ→ まさか　もう殺したなんてことは ねぇだろうな！ 生きてるよ　しっかりな。 [ｽﾋﾟｰｶ]（渡辺）だったら→ 一度　窓から顔を見せてくれ。→ 人質の無事を確認せんことには 我々も動けん。 （野上）いつまでたっても→ 金も飛行機も手に入らないぜ。 １つ　いいことを思いついてな。 （下山）何なんだ？ （前島）お前らの中から　１人→ 人質よこせ！　そしたら こっちの人質　見せてやる。 （舞子） ケチな盗人にしては　考えたわね。 （今村）分かった。　俺が行く！ （野上）お前じゃダメだ！ いざというときに→ 冷静さに欠ける。　俺が行くよ。 （渡辺）待て。 簡単に　ジャッジできん局面だ。 （今村）俺が行く！ チャンスがあれば　あの程度のやつ…。 （野上） 下手に動いたら　全員　死ぬぞ！ どっちでもいいから　早く来いよ！ もう　じゃあ　人質　見せてやるよ！ ♪♪～ （美佳）ああっ…　助けて～！ （野上）ブル…　お前が行け。 （舞子）最低な　お前。 （渡辺）ブル… かなりのブーちゃんだが行けるか？ （今村）ブーちゃんだろうと なんだろうと→ 関係ないっす。　俺が行きます！ （野上）頑張れ。　お前しかいない。 （下山）ブーちゃんだろうと→ 死んでいいわけじゃない。 分かったな？ （舞子） 誰も言ってないよね　そんなこと。 もう１人　いるぞ！ （ゆり子）助けて！ ここは　新人の俺が行くべきです！ （渡辺）何!? だって　そうでしょう。 下手なことをしたら 死ぬかもしれない任務なんです。 皆さんのような 立派な刑事さんたちを→ 危険な目に 遭わせるわけにいかない。 （舞子）どうして もっと早めに言わなかったの？ 勇気が　なかったんです！ 俺は　そんな情けない人間なんだ。 でも ようやく　勇気が出せたんです。 俺の骨は　拾って…→ ワイキキに　まいてください。 （下山）経費がかかるからダメだ。 行きます。 （野上）やはり　ここは　俺が…。 えっ…。 （野上）俺が行く…。 （舞子）何なんだよ　お前ら。 早く来いよ！→ 拳銃も携帯も　全部　置いてこい！ いや　お願いします。 （前島）何もめてんだよ！ いや　俺が…。　お願いします。 （前島）そこのジーパンのやつ！ （下山）えっ　俺？ （前島）ジーパン！　お前でいい。→ お前が来い！ 早く来いよ！　お前でいいよ！ いざとなったら　人質を捨てると 思ったんだろうな。 （舞子）仲間を置いておけば 余計に　手を出せなくなる。 そりゃ　子供を選ぶはずだ。 抵抗されても なんとかなりそうだからな。 ≪ガチャ ≪コツ　コツ　コツ…（足音） 策はあるんですか？ 本庁は　どうお考えで？ 金は用意しました。 ヘリも飛行機も手配済みだ。 ほほう。　すんなり 高飛びさせようってわけか。 明らかに　その方が あとで処理しやすいからな。 パイロットの命は　どうなるんだ？ それが嫌なら　突入だ。 それじゃ　人質が…→ ブルもいるのよ！ あんなケチな前科者に→ 何日も　手をこまねいている姿を 国民に見せてはいけないんですよ。 （野上）出た。　警察の体裁かよ。 （間）明日いっぱい　待ちましょう。 それで　ホシを確保できなければ→ こちらのやり方で やらせてもらいます。 ♪♪～ ブルさん　どうしてんすかね？ 変に熱くならんことを 願うしかないな。 くそ～ なんにもできないなんて…。 ちっ…　俺　つらいっすよ。 まあ　落ち着け。 どうしたんすか？　ナベさん。 今のうちに→ 宿題をやっとかないとな。 宿題…。 ドリルを５ページほどな。 大変っすね　小学生って。 算数の先生がな　怖くてな…。 ♪♪～ （今村） 若林さんと加藤さんですね？ （ゆり子）はい。　加藤ゆり子です。 （美佳）若林美佳です。 （今村）俺が来たからには もう大丈夫です。→ 安心してください。 （ゆり子）子供なのに…→ 刑事なんですか？ （今村）そこは→ 助かったあとに　ゆっくり。→ 本当に 刑事なので　信じてください。 （２人）はい。 （今村）ちゃんと→ 睡眠は取ってますか？ （ゆり子）はい。 （美佳） 私は　怖くて眠れないんです。→ 睡眠不足は お肌に　いちばん悪いのに…。→ これ　解放されたら 絶対　テレビに映りますよね？ （今村）はい。 （美佳）困るな～。→ やだ～　ほんと困る ナチュラルメイクだから。→ お直しとかもできてないし。 （今村） 助かったら　よしとしてください。 （美佳）助かったら メイク直す時間とか　もらえます？ （今村）もらえません。 （美佳）ああ～　困ったなぁ。→ インタビューとかも　されるでしょ？ （ゆり子）美佳→ いいかげんにしてよ。 死ぬかもしれないのよ。 （美佳）だって　刑事さん　来たから 助かるんでしょ？ （今村）残念ながら 確実に　そうとは言えません。 （美佳）ええ～　それ言っちゃう？ ありえなす～！ てめぇら 何くっちゃべってんだよ！ （ゆり子）すみません！ （今村）すまん。→ 俺から話しかけたんだ。 いいか　てめぇら→ もう待ってらんねぇからよ→ 明日から　１日ごとに １人ずつ　殺していくからな。 （美佳）ひぃ～～!! （ゆり子）嫌！　嫌よ　そんなの→ どうしてよ！ しかたねぇだろ！ この警察さんたちが 早く用意しないからだよ。 どうして？　どうしてなんですか!? 早く用意させなさいよ！ はははっ！ お子ちゃま刑事が困ってら。→ ははははっ！ （凛子）随分　苦労してるみたいね。 立てこもりはな… 何年やっても難しいよ。 （凛子） 簡単な事件なんてないでしょ？ そりゃ　そうだな。 （凛子）でも 困ってるときの　あなたの顔→ 好きなのよね。 おいおい　からかってくれるなよ。 （凛子）田舎の両親がね お見合いしろって　うるさいの。 またか。 （凛子）田舎じゃ→ みんな　早いのよ　結婚するの。→ 田舎の友達なんか→ み～んな　結婚しちゃったし。 君は　仕事に生きる女だ。 田舎の友達とは違うよ。 仕事に生きる女か…。 仕事が好きな女は 放っておいてもいいって→ 思ってるでしょ？ ふふっ。 （凛子）仕事ばっかりじゃ さみしいときもあんのよ。 子供には　分かんないな。 都合のいいときだけ 子供を利用しないで！ 利用なんて…。　あっ！ （凛子）ちゃんと　話　聞いてよ！ あとでな。 もう…　いつも　こうなんだから。 ♪♪～ スマート。 はい。 幼稚園に行く前に あのビルの設計図を→ 手に入れてくれ。 分かりました。 子供なのも悪くねぇぜ。 ズルズルズル… （今村）今…→ 助けますからね。 ♪♪～ （今村）おらぁ！ （前島）ああっ！ バキ！ （前島）ああっ！　ううっ…。 ドカッ！ （前島）うわっ！　ごほっ…。 バキ！ （前島）うわぁ！ （前島）カッコいいこと してくれんじゃねぇか→ ちびっこ刑事さんよ。 殺すなら　俺から殺せ！ そうはいかねぇよ。 人質が死ぬのを見るのが→ 刑事として いちばん　つらいもんな。 はぁ　はぁ…。 やめろ　前島！ ♪♪～ そろそろ　着く頃ね。 （前島） お前のせいで　こいつは死ぬぞ。 （今村）やめろ！ ガン！ （前島）ううっ！　ああっ…。 ♪♪～ まさか　ダクトを通ってくるとは 思ってねぇよな。 ≫バン！（銃声） ♪♪～ 俺も　絶対　行きますから！ 無理だって。 もう解決してる頃だよ　たぶん。 はぁ　はぁ…。　ちょっと…。 （野上） 飛行機　乗れなくて　残念だったな。 （渡辺） ケチな盗みしてりゃいいものを。→ ブル　ワッパだ。 （今村）はい。 ≫バン！ ドサッ！（倒れる音） ♪♪～ 今回は ケースがケースだっただけに→ レッドヴィーナスの捜査は 引き続き→ 俺たちが続けることになった。 （今村）俺…　すみませんでした！ あと一歩で　俺のせいで 人質が死ぬところだった。 ああ　反省するんだな。 バケツ持って　廊下　立ってろ。 （下山）学校じゃないんですから。 デカ長 あの～　何度も　すみませんが→ ニックネームを…。 そうだったな。　じゃあ　お前は…→ 「ダクトに　はまって　尻隠さず」だ。 長い！　そして　カッコ悪いです。 頑張れよ！ ダクトに　はまって　尻隠さず。 ダクトに　はまって　尻… 俺も言えないですよ。 （一同）ははははっ！ スマートさん　絶対　言えないです。 スマートさん　言ってみてくださいよ。 （川島）ダクトに　はまって　尻隠さず。 普通に言えちゃうんですね。 はい！ じゃあ　デカ長　お願いします。 ダクトに　はまって　尻隠さず。 俺が　言えないですよ。 ダクトに　はまって…　ダクトに…。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ 遠足!? 会社社長の娘が　誘拐された。 ホシの指定は　ＡＫＢなんです。 （川島）レアケースですね。 （ドイツ語） 何!? 謎のインフルエンザと言ってあります。 何!? 男が　それを口にすんのは それは　君が死ぬときさ。

夜行観覧車＃06

1 (良幸)これまでの人生 かなり恵まれてた方だと思います 開業医の親に 何不自由なく育ててもらって いい大学の医学部にも ｽﾄﾚｰﾄで 合格することができました でも本当は ずっと怖かったんです 面倒なことを見ないふりして 生きてきたツケが いつか まわってくるんじゃないかって どうにもならない現実に 突き当たったとき 僕は正面から 向き合うことができるのかって (真弓)見つけて 慎司君のことも (結城)必ず捜しだすよ (慎司)俺… 死ぬしかないのかな… 慎司！ ≪(結城)遠藤啓介だ 高橋淳子と何かある 張り込んでれば いずれ 淳子につながるはずだ ☎(淳子)真弓さん 淳子です 明日 会えない？ どこに行けばいい？ ひどい 誰がこんな… 淳子さん 真弓さん！ お願い 慎司を捜してほしいの… 淳子さん 落ち着いて このままじゃ 淳子さん 世間から誤解されたままだよ 淳子さん 良幸と比奈子に伝えて ごめんなさいって 淳子さん 事件のあと うちの主人と会ってたでしょ？ これだけは信じてほしいの 真弓さんを裏切るようなことは してない 絶対にしてない ♬～ あッ お父さん (啓介)どうしたんだよ こんな早くに ちょっとコンビニに お父さんこそ どうしたの？ 土曜日なのに 休日出勤だよ ご飯は？ いいや 時間ないから ねえ なるべく早く帰ってきて 彩花のこととか相談があるの 相談？ 受験とか 色々 《≪(三輪)万引き 捕まえて！》 《≪(彩花)どんな気分？➡》 《自分が働いてるとこで 娘が万引きするって》 ちょっと分かんないや 電話する 行ってきます 行ってらっしゃい (比奈子) お兄ちゃん やっと帰ってきた 起きてたのか (良幸)明里… コーヒー入れるよ 慎司から電話かかってきた 慎司 何て？ 何て言ってたの？ 死ぬしかないのかなって (明里)良幸 何してたん？ もう 朝やん 何回もﾒｰﾙしたのに 全然 返信こうへんし どこにいるって？ 携帯から かけてきた？ 弟から連絡きたん？ 殺人犯なんやろ？ 黙っててくれませんか 黙ってられへんわ どうするつもり？ このまま 慎司 ほっとくの？ とりあえず 一緒に横浜に帰ろう 何言ってんの？ 良幸が帰ったって どうなるもんでもないやろ 何で自分から 巻き込まれるようなことすんの？ 巻き込まれるもなにも 家族なんだよ！ 私のことは どうでもええの？ そんなこと言ってないだろ 言ってるのと同じやん 私より 家族が大事なんやろ？ それ 私と別れても ええってことやんね 飛躍しすぎ あんたは黙ってて それはこっちのセリフです さっきから聞いてたら あなた 自分のことばっかり… 男は女を守るもんやろ そっちが押しかけてきて 良幸の気持ち乱してるんやんか もう いい加減にしてくれよ いい加減にしてほしいのは こっちや！ はあ～ッ とにかく 帰ってくれ 俺達は今から横浜に戻る 分かった 私達 もう終わりやね ちょうどよかったわ ママにも言われたんよ 犯罪者の家族なんかと 関わるなって ほな さよなら (部屋から出る) 《(家族が笑う)》 ☎｢おかけになった電話は 電波の届かない場所に…｣ (良幸)ダメだ やっぱり つながんない (比奈子)慎司 電源切ってるのかな？ 多分… 《お母さん 彩花のことが知りたいの！》 《何を考えてるのか 何に怒ってるのか》 《触んな！》 《(せきこむ)》 (ノック) 彩花 そろそろ起きないと 今日 補習なんでしょ？ 彩花？ おはよう ご飯できてるから ≪(倉井)ご覧になった？ 高橋さんのお宅 (春崎)一体 誰があんなことを (安藤)ひばりヶ丘の品位を 傷つけるようなマネ➡ やめてほしいわ ねえ さと子さん (さと子) 仕方がないんじゃないかしら ひばりヶ丘の品位を 傷つけてるのは 他でもない高橋さんなんだから あれぐらいのことされても 文句は言えないでしょ (倉井)でも いくらなんでも 中傷ビラは… 中傷？ あそこに書かれてることは 全て事実でしょ 違う？ あッ そうだ さと子さん これ ちょっと早いんだけど マー君のお祝い あら いいのに そんな お気遣いいただいて 見せていただいてもいいかしら？ もちろん 失礼 まあ かわいい ほら ≪(一同)かわいい ありがとう 春崎さん ｼｭｰｽﾞは少し気が早かったかしら 大丈夫よ 子供は あっという間に大きくなるから➡ ご主人も 喜んでらっしゃるでしょう ええ もう そわそわしちゃって 大変 マー君 いつ戻ってらっしゃるの？ ３月 引き継ぎやら何やら 色々あるみたいで なるべく早く帰りたいって 本人も言ってるんだけど あッ 今朝 淳子さんに会ったの えッ ママに？ 今 どこにいるんですか？ 分からない 良幸君と比奈子ちゃんに 謝っておいてほしいって 慎司君を捜してるって言ってた 慎司を？ そうですか おばさん 慎司が パパを殺したんでしょうか？ 私達が 信じてあげなくてどうするの とにかく 慎司君のこと見つけよう 私も協力する はい これからどうするの？ おばさんのおうちに？ いえ 一度 家に戻って ここの手続きに必要なものとか 比奈子の着替えとか 取りに行くつもりです ひばりヶ丘に？ はい あら ごきげんよう こんなことになってしまって はあッ ねえ おつらいでしょう お察しするわ で 今日は何しに いらしたの？ 何って… 私 思うんだけどね 良幸君も比奈子ちゃんも もう ここには戻らない方が あなた達のためじゃないかしら 小島さん こんな仕打ちを受けてるのよ おうちに帰ったりしたら この先 どんなことされるか 分かったもんじゃないでしょ それは 私達 住民みんなで 守ってあげれば… 私達？ あッ そうよね 遠藤さん 今は ひばりヶ丘の住民だったわね ごめんなさい さあ お引き取りになって 自治会としてもね 若い方達を危険に さらすようなことはできないの どうして戻ったら いけないんですか 私達は何も… 少しは自覚してちょうだい あなた方が この街の平和と秩序を奪ったの ひばりヶ丘を メチャクチャにしたの 小島さん ここにはね もう あなた達の いるところは ないの ここで待ってるから あなた達の家だもの 誰が何と言おうと 堂々としてていいの 行こう 《え～ッ 何なに？》 《うわ～ッ かわいい》 《そのｽﾄﾗｯﾌﾟ 慎司が選んだんだよ》 《姉ちゃん》 《何よ 照れちゃって》 《ありがとう 大事にするね》 《(彩花)完成したら日本一 大きい観覧車になるんだって➡》 《完成したら乗りに行こう》 《(啓介)高いとこ苦手なんだよな》 《(彩花)ダメ ３人で乗るの ねえ お母さん》 《ねッ 楽しみ》 (結城)今日も寒いな～ ここ いい？ はい よく あんなもんに乗れるよな 俺は無理だわ ５年前に一度だけ乗ったこと あるんだけどね 観覧車 あれより ずっと小さいやつだけど 離婚すること決まって 最後に息子と どっか行こうって話になってね 息子に どうしてもって せがまれてさ でも とにかく 俺 高いところダメで 乗ってる間じゅう ず～っとビビってて ロクに話もできなかった ハハッ 情けないよな 最後に楽しい思い出 つくってやりたかったんだけどね あんなじゃ あいつも つまんなかったろうな 嬉しかったんじゃないですか 優しいな お母さん そっくりだな そういうとこ えッ？ 同級生だったんだよ 大学の 穏やかで 誰にでも 分け隔てなく親切でね 人をホッとさせる空気があった やっぱり親子なんだな よく似てる 似てないですよ 難しいよな 家族ってのは ボタン１個かけ間違えると 思ってもみない方に転がって こんなはずじゃなかったって あがいても どうやって 戻ったらいいのか分からない じゃあね お母さんとお父さんに よろしく (藤川)どうでした？ ああ 山村さん 遠藤真弓を張ってください はい お願いします 勝手に そんなことして 大丈夫なんですか？ (結城)高橋淳子は 必ず彼女に接触してくる 結城さん こだわりますよね いるんだよ 弱った人間が すがりたくなる人種っていうのが 《いえ 遠藤さんが高橋さんに 借金してるって話をね》 《ちょっと 小耳に挟んだもんですから》 《１千万》 《そのお金 もう返したのね？》 《あッ いや それはまだ…》 《じゃあ今 どこ？》 《銀行だよ 一切 手はつけてない》 《(弘幸)二十歳のお祝い》 《えッ いいの？》 《(弘幸) 欲しがってたろ 大事にしろよ》 《ありがとう》 《泣き虫だった お前と 一緒に飲める日が来るなんてな》 (チャイム) あッ これ おにぎりとか 飲みものとか色々買ってきた すいません あッ 比奈子ちゃんは？ ランドリーに行ってます あッ どうぞ 全然 実感なかったんですよね 京都で比奈子から話 聞いたときも ニュース見たときも さっき 父さんの体 冷たくて 実習では 何度も遺体に触れてるけど 全然 感覚が違うっていうか ホントに いなくなっちゃったんですよね 父さんが支えてくれてたんです うちの家族 仲よかったけど色々あって 慎司は母さんの期待に プレッシャーを感じてたし➡ 比奈子は➡ 母さんが 慎司ベッタリなのを寂しがってて 僕は僕で 母さんと 血がつながってないことを どこかハンデに思ってたり ≪(良幸)母さんは ホントの子供と同じように 僕に接してくれてたし 気にすることないって 自分に言い聞かせてたけど 心のどこかに いつも引っかかってて でも 父さんがいたから 《いいか 良幸 ボディーを 細く作るのがコツだぞ》 ≪(良幸)おおらかで 優しくて➡ 包容力があって➡ 僕の目標でした でも 一度だけ すごく 叱られたことがあるんです 学校帰りに クラスの友達が上級生に いじめられてるのを見かけて➡ でも 怖くて 《どうして助けてやらなかった》 《ごめんなさい》 《謝るなら友達に謝りなさい》 《はい》 《いいか 良幸》 《男なら逃げるな》 《見て見ぬふりして逃げ出すなんて 一番 卑怯なことだ》 《よし 約束だぞ》 ≪(良幸)けど 僕は結局➡ いつだって逃げてばっかりで 父さんとの約束を 守れたためしがなかった 京都に行ったのも そうです 比奈子や慎司が 悩んでいるのを知ってたのに 僕は１人で逃げたんです 僕が こっちに残っていれば あんな事件は 起きなかったのかもしれない 僕が逃げたりしなければ 父さんは… ≪(良幸)父さんは… そんなことない 今さら後悔しても手遅れですよね 今さらじゃなくて 今からでしょ これからの人生の方が ず～っと長いんだもの これから どうするかの方が ずっと大事でしょ はい 《戻れない 帰れないんだ》 《私 慎司のこと助けたい》 (携帯着信) フリーメール… ｢真弓さん 淳子です｣ ｢今日の４時 湾岸のｼｮｯﾋﾟﾝｸﾞﾀｳﾝの １階広場で待ってます｣ (車のエンジンをかける) (メールを打つ) おい (警官Ａ)待て！ 待ちなさい！ おい 向こうも捜せ こっちもだ はい (クラクション) 淳子さん！ 大丈夫？ (呼び出し中) (山村)結城さん 高橋淳子 現れました 場所は？ ☎湾岸のｼｮｯﾋﾟﾝｸﾞﾀｳﾝの１階広場です 分かりました すぐ向かいます ごめんね 何度も呼び出して ううん 私も話したいことがあったから あのね さっき 良幸君と比奈子ちゃんと会ったよ 伝言 伝えといた 良幸 戻ってきてるんだ そうよね でね 良幸君のところに ゆうべ 慎司君から電話があったんだって 慎司が？ 慎司君 無事だったよ よかった… 心配しないで 子供達のことは私に任せて ありがとう あッ これ 今夜ね この冬一番の冷え込みなんだって よかったら使って これ カイロもあるの 真弓さん 聞かないんだね あの夜 何があったか 信じてるから 私 諦めてたんだ この年になって もう 新しい友達なんて できないだろうなって 近所づきあいは それなりにするけど 当たり障りのない会話ばっかりで お互い ホントは 何を考えてるか分からない でも そんなもんなんだろうなって 学生時代の友達も それぞれに自分の暮らしがあるし 会えば会ったで どんな生活をしてるのか 探り合ったり うらやんだり 自分と比べて 心が ざわついたり 淳子さんに会うまで忘れてた ただ一緒に笑いあえば 幸せな気持ちになれる 明日も頑張ろうって元気もらえる 友達って そういうものだったんだって 淳子さんが思い出させてくれたの それに 淳子さん いつも 私のこと助けてくれたよね ひばりヶ丘に 引っ越してきた日からずっと だから 今度は私が淳子さんを助けたい (刑事達)お疲れさまです 山村さんは？ 中央エントランスに 出入り口を全部ふさいでくれ はい あったかい また 食べたいな ラーメン 真弓さんと一緒に うん 真弓さん 私ね… 慎司？ 慎司君 見てくれたんだ えッ？ 淳子さんと ここで会うって メールで知らせたの よかった 無事で よかった… 下がってください (警官Ｂ)どいて (警官Ｃ)そこ道あけて➡ 下がってください (警官Ｄ)すいません ≪(警官達)下がってください 真弓さん やったのは私なの えッ？ 私が主人を殺したの 嘘よ 淳子さんがそんなこと… ホントよ 私が やったの 高橋淳子さんですね ご主人の件で 伺いたいことがあります ご同行 願えますか はい 淳子さん！ ありがとう 子供達のことを よろしくお願いします [ﾃﾚﾋﾞ]警察は今日午後 高橋さんの妻を [ﾃﾚﾋﾞ]殺人の疑いで逮捕しました [ﾃﾚﾋﾞ]繰り返し お伝えします 病院経営の医師… お兄ちゃん 大丈夫だ 俺がついてる [ﾃﾚﾋﾞ]繰り返し お伝えします 病院経営の医師 [ﾃﾚﾋﾞ]高橋弘幸さんが 殺害された事件で警察は… あなた方 もう いい加減にして！ もう出てってちょうだい もう これ以上 ひばりヶ丘を汚さないで もう出ていって もう出ていって 静かにしてちょうだい もうやめて あなたも やめて！ もうやめて もう静かにして！ [ﾃﾚﾋﾞ](解説員)高橋淳子容疑者も 近所で評判の良妻賢母のようで [ﾃﾚﾋﾞ]他人には分からない悩みを 抱えていたのかもしれませんね 違う 淳子さんじゃない [ﾃﾚﾋﾞ]なお 高橋さんの次男は いまだ連絡が取れず [ﾃﾚﾋﾞ]警察は引き続き その行方を追っています [ﾃﾚﾋﾞ]続いてのニュースです お父さん お父さん 私が やりました 凶器は？ どこに捨てたの？ 私が やりました 《ごめんなさい》 <４年前 お向かいに越してきた一家は> <とても素敵な人達だ> <気取りがなくて 誠実で> <信頼できる人達> <だから きっと大丈夫> <あの人だったら 必ず救ってくれる> <遠藤さん どうか忘れないで> <私達の運命が> <あなたの手に 委ねられていることを>

おんな城主・直虎＃38

1 強大な武田相手に あくまで戦うという近藤に対し➡ 直虎は 兵力となる百姓たちを皆 逃がし➡ 戦を思いとどまらせようとした｡ (直虎)武田に帰順し➡ 開城の使者を お立て下さいませんでしょうか｡ (近藤)そなたの言うとおり 皆と共に逃げよう｡ ただし！ ただし 帰順はせぬ！ 城に火を放て！ 之の字！ (直之)では 我らも急ぎましょう！ うむ！ (信玄)城を焼いた｡ (山県)自落しおったか｡ まあ よい｡ 兵糧を集めよ｡ はっ｡ ≪申し上げます！➡ 村々が！ もぬけの殻にございます！➡ 民百姓は逃げ 食い物なども全て 持ち出したようにございます！ よかろう｡ ならば 何一つ 奪うまい！ 全ての家屋敷を 焼き払うてしまえ！ 怒った武田軍は 里の家々に火をかけ➡ 焼き払うてしまったのじゃった｡ ♬～ (近藤の従者) 井伊に かような里があったのか｡ (直之) はい｡ 井伊の隠し里にございます｡ わしは 聞いておらなんだがの｡ かような折のために ございますゆえ➡ それがしの胸に秘めておりました｡ まあ こうなると ありがたい話じゃな｡ しかし 高瀬｡ あそこで何をしておったのじゃ｡ 皆と共に逃げよと言われたろう｡ (高瀬)近藤様が おかわいそうで｡ (ため息) そなたがおらず 肝を冷やした 我らも哀れと思うてくれぬかの｡ 申し訳 ございませぬ｡ (甚兵衛)おとわ様｡➡ うまく逃げてきたのはええけが これから どうするかいやあ？ 帰順がならねば 里へ戻れんちゅう事｡ けど これだけの人数を いつまでも➡ ここに置いておくわけにも いきませんからなあ｡ 今 和尚様が もしもの折の策を➡ 取って下さっておる はずなのじゃが｡ もしもの折？ (南渓)拙僧は 井伊の菩提寺 龍潭寺を預かります➡ 南渓瑞聞と申します｡ 井伊の 一族の者か｡ はい｡ 実は 武田様が 攻めくるとの知らせに接し➡ 昨日 井伊の残党が こぞって 兵を挙げましてございます｡ なんと…！ こたび 武田様がいらっしゃると聞き➡ これは好機と立ち上がり 民百姓を逃散させる事で➡ 近藤を追い詰めました｡➡ なれど すんでのところで 城や寺に火を放たれ➡ かような ざまとなりまして｡ 民百姓も 近藤の支配を望んではおりませぬ｡ 井伊の家名を復するとともに➡ 我らに この地を ご安堵願えませぬでしょうか｡ ほう…？ (龍雲丸)高瀬の話なのだが｡ 少し様子が おかしくてな｡ おかしいとは？ (龍雲丸)火が回り始める中 ぼうっと立っておって｡➡ まるで 逃げる様子もなく｡ 足が すくんでおっただけでは ないのか？ なら いいんだが｡ 俺には 死ぬ気に見えた｡ 何故に…！ 分からんが➡ 目を離さぬ方がいいかもしれんぞ｡ [ 回想 ] (政次)その者 武田の間者 という事はございませぬか？ ≪(傑山)次郎！ 傑山さん！ 首尾は｡ 和尚様の｡ 我が殿の首と引き換えに 井伊谷を井伊に返す｡ まず 聞いてほしいのじゃが｡ (近藤)これは 意趣返しか｡ 我らを謀られたのか！ 話をお聞き下され！ 我らは もちろん➡ 近藤様の首を取る気など 毛頭ない｡ これは 名目上というにすぎぬ｡ かつて 井伊が 小野と敵味方と 見せかけたように➡ こたびは 近藤と井伊が 反目しておるよう➡ 大名らに見せかけては どうかという話じゃ｡ 見せかける？ この戦が どう落ち着くか分からぬが➡ その時々を見て こちらも 内輪もめしておるように➡ 見せかければよいのじゃ｡ 要するに 武田が強きうちは➡ 井伊が表向き治めておるような 体を取ればよいし➡ 逆に 徳川が強うなれば➡ 井伊を追い払ったと言えば よいのじゃ｡ 武田の勢いが このまま続くとなれば➡ 我が死んだとでも言うて 恭順すればよい｡ まこと 井伊を再びと 思われておらぬのか｡ 我は 民百姓が 安んじて暮らせる土地であれば➡ それでよい｡ あいにく 疑り深いたちでの｡ 痛み止めの薬か｡ はい｡ 近藤様に差し上げようと｡ 我も 腰が痛む｡ 近藤殿の分は 我が作り直すゆえ もろうてよいか｡ いえ これは近藤様の｡ 何故 我が のんではならぬ｡ お離し下さいませ！ そなたは…➡ 武田の間者か｡ そうであろう｡ 直親の娘というは 偽りじゃったのか｡ それは偽りではございませぬ｡ 母が 父は亀之丞様というお方だと 言っておったのは まことで｡ では 何故 さような そなたが間者に｡ 母が亡くなった折 重い借金がございまして…➡ 私は もう 身を売るより ほかはなく…｡ そんな折に 武田から話が来たのでございます｡ 井伊に間者として入るのならば➡ 借金を全て 引き受けてやろうと｡ で 今は武田から 近藤殿を殺せと 言われておるのか？ 答えよ｡ 今 近藤様を殺せば➡ 母上のもとに 井伊が 戻ってくるではないですか！➡ 私は 井伊で ようして頂きました｡ さような私にできる事ならば…｡ さような事 誰が頼んだ！ つらかったろう 高瀬｡ 誰にも言えず｡ もっと そなたの話を 聞いてやればよかった｡ 高瀬｡ 我は もう まこと➡ 井伊を再興したいとは 思うておらぬ｡ だから もう 物騒な事は考えるな｡ 武田も うまく丸め込んだ｡ 恐らく もう そなたが 咎め立てされる事もあるまい｡ これからは ただの娘として ここにおればよい｡ ♬～ 和尚は 幼き頃より寺か｡ 子の一人を寺に入れるは 武門の習いにございますゆえ｡ 武将として 立ちたいと思うた事は なかったのか｡ ﾊﾊﾊｯ 私は 戦ごとは苦手でございますゆえ｡ ﾅﾏｸﾞｻ坊主が ちょうど ようございます｡ ﾌﾌﾌｯ そうか｡ お屋形様は 戦ごとに飽いたり 疲れたりはなさりませぬか？ 甲斐というのはな 山に囲まれた厳しい土地でな｡ 切り開かねば 道とてなく 川は すぐに あふれ出す｡ 他国を襲い 切り取らねば 生きていけなかった｡ 戦に強くなる事こそが 何よりの生業｡➡ 疲れてる いとまさえ なかったわ｡ お屋形様は 来世 生まれ変わるとしたら➡ 何に生まれ変わりとう ございますか？ 朝な夕なに 祈願して差し上げましょう｡ ﾅﾏｸﾞｻのくせにか｡ ﾊﾊﾊﾊﾊ…｡ (信玄)わしは そうじゃの…➡ お天道様が よいかの｡ ほう｡ あちこちに にらみを利かせ➡ 天地を調略し…➡ どこも ここも 恵まれた土地とする｡ まことの 天下布武にございますな｡ ﾌﾌﾌﾌｯ｡ ≪近藤様｡ うん｡ 薬が遅うなりました｡ 井伊殿｡ 心得た｡ なぜ笑う｡ そう仰せ下さると 信じておりました｡ ♬～ へ？ もう 里に戻れるんで ごぜえますか？ (八助)ふんでも 武田は まだ おるんだらぁ？ それが どうも 武田は 西へと急いでおるらしく➡ 早々に出立したそうじゃ｡ 残念ながら 家々は焼かれてしもうたが｡ (角太郎)焼かれた…｡ 武田に 火をかけられてしもうての｡ すまなかった｡ やめてくりょ｡ (富介)何で おとわ様が謝るんで！ (福蔵)そうだでぇ｡ 大事なもんは持ち出しておるし➡ 何より みんなが のう！ (富介)ほうだでぇ 一人も死なんかったじゃんねえ｡ (甚兵衛)そうじゃのう｡ 誰も死なんかったのう｡ (福蔵)焼かれたっちゅう事はよ 田畑は 灰だらけって事らぁ？ 武田は 肥やしを まいてくれたっちゅう事だに｡ 肥やしは おらほうのうちだけどのお！ (笑い声) 皆 どうであろう｡ 先に 村の寄り合い場を建てては｡ (角太郎)寄り合い場？ 方久の屋敷があった所があろう｡ あそこに まず 大きな家を建ててしまう｡ さすれば それなりの人数が 寝泊まりでき➡ 普請を進めやすうなる｡ (富介) おお！ そりゃあ いいだに！ 何だかやあ 楽しくなってきたのお！ (八助)おえ みんなして 前より いい村にしまい！ のお！ こうして… 直虎は 百姓たちと力を合わせ➡ 井伊谷の復興を始めたのじゃった｡ (方久)お薬の調合などをこちらで｡ うむ｡ 村人ならば 寺で僧が様子を診て 薬をもらえるようにするのじゃ｡ (方久)もらえるのですか!? よいじゃろ？ あ… さすがに それは お人が よすぎやしませぬか｡ まあ そこまで高価なものは出せぬが｡ 武田が 方々 焼いて回っておる というではないか｡ そこで 井伊が住みやすいとなれば➡ 流れてくるものも 出るであろうし➡ その者たちを ほれ 囲い込む事ができるではないか｡ (方久) あ… ご苦労な事にございますが➡ しかし もう ここは 井伊家の ご領地ではないでしょう｡ 井伊の土地であろうと なかろうと➡ そういう土地が よいと思うのじゃ｡ (あやめ)殿！ あやめ！ (あやめ)お帰りなさいまし｡ うむ｡ あやめ…！ かねて仰せの鳳凰 出来上がりましてございます！ (方久)なんと！ あやめ！ あやめ！ あやめ！ わしもな｡ 糸を！ よい糸を買うてきたぞ！ ほれ｡ (あやめ)なんと お美しい！ よい夫婦じゃの～｡ とわ｡ 堺の話なんだが｡ ≪(昊天)おとわ｡ あっ 中村屋！ (与太夫)お久しぶりにございます｡ 皆様｡ (昊天)今 気賀に 船を着けておられるそうですよ｡ 気賀に戻ってきたのか？ (昊天)何を言うておるのです｡➡ そなたらを堺へ連れいくために 寄ってくれたのでしょう｡ …あ！ どうせ そんなこったろうと 思いましたよ｡ ﾌﾌﾌ｡ 頭 少し 詳しい事を話したい｡ へぇ｡ (方久)辰｡ (辰)はっ｡ [ 回想 ] 共に行く｡ 共に 堺に行く｡ ♬～ ﾊﾊｯ 堺行きを忘れておったらしいの｡ あれやこれや 忙しくしておりましたら｡ 何じゃ｡ 行きとうなくなったのか｡ いまだ 戦も収まっておりませぬし➡ 今 行ってしまってよいのかと｡ さような事を気にしておったら 一生 行けぬぞ｡ ♬～ よし もう気にせぬ｡ お帰り｡ どうじゃった？ 中村屋との話は｡ いろいろと｡ そうか｡ なあ｡ やっぱり残った方が いいんじゃねえか｡ とわは｡ 高瀬ん事も心配だろうし➡ 薬を渡して 人増やすって話も やりかけだし｡ 高瀬は 母上と暮らす事になったし➡ 薬の話は 昊天さんが 後を請け負ってくれようし｡ 大事はあるまい｡ 俺ぁさ あんたが 今まで やってきた事が➡ ようやく 実を結ぶんじゃねえかと 思うんでさ｡ 実を結ぶ？ 盗まねば生きていけぬような世は よろしゅうない｡ ならば 変えねばならぬ｡ まずは 己の周りをと｡ 言うたのを覚えてるか？ 若かったの｡ 井伊の民となれば 綿という稼ぎの道を得られ｡ 文字も教えてもらえる｡ そのための場があり➡ 百姓たちは しっかりと考えを持ち 主とすら 話ができる｡ こたびの戦に押し出され➡ ここを頼る者は ますます増えよう｡ その者たちも また 井伊の民に育っていく｡ それを積み重ねていく事で あんたは 小さくとも➡ 世を変えていったって事に なるんじゃねえのか｡ まさに ここは そういう土地に なろうとしてんじゃねえのか｡ ここで やめちまっていいのか？ この先を見たくはねえのか？ ♬～ うむ｡ 見ずともよい｡ 私は 頭と堺に行く｡ 頭と 新しいところで➡ 新しい暮らしがしてみたい｡ いいのか まことに｡ よい｡ なら 堺の詳しい話を 聞いてもらってもいいか？ え？ 中村屋が言うには➡ おもしれえとこなんだよ 堺ってのは｡ そのころ 徳川は 武田の猛攻により➡ 遠江の城を次々と奪われておった｡ ♬～(笙と笛) (忠次)今川様！ 何をしておられるのですか！ (氏真)おばば様は 笙が お好きであられた｡ 今日は ご命日｡ せめて これくらいの事は して差し上げたくての｡ ｢死してなお 今川の家を守らん｣と 仰せでしたし｡ うむ｡ この苦境も なんとか して下さるかもしれぬのう｡ ♬～(笙と笛) (忠次)滅びるわけじゃ｡ 今川は｡ ♬～(笙と笛) ♬｢夕影暗き｣ ♬｢たのめや たのめと｣ ♬｢夕影くらまの｣ ♬｢梢にかけて 失せにけり｣ さすがだ！ 見事 見事！ このまま 三河に攻め入れば➡ 日ならずして 尾張も 我らの手に落ちましょう｡ 青二才どもめ｡ 二度と 大口をたたけんようにしてやるわ｡ そうじゃ！ そのとおり…！ 遊び女は？ はい｡ 心得てございます｡ (信玄) お～ そなたか｡ 名は何と申す｡ ヒサと申します｡ (信玄)ヒサか｡ よい名じゃ｡ こちらにいらっしゃると聞き➡ 殿に お会いしとうて お会いしとうて｡ かわいい事を ﾊﾊﾊｯ｡ 冥府より お迎えに参りました｡ (信玄の悲鳴) (山県)殿！ 何があった！ 急に 血を吐かれて…！ (山県)殿… 殿～！ (南渓)井伊の皆様｡ おとわが 堺に行く事になりました｡ 末永く お守り下さりませ｡ ≪(傑山)和尚様！ (傑山)武田の信玄公が 亡くなられました｡ 方久 あやめ殿 達者でな｡ (あやめ)はい｡ (方久)おとわ様も｡ 高瀬 何かあったら 一人で抱え込まず➡ 母上や昊天さんに 相談するのじゃぞ｡ はい｡ 分かっております｡ しかし 和尚様は どこに｡ (龍雲丸)おう｡ 和尚様｡ 何か｡ あ… いや｡ 何でもない｡ ２人とも 達者での｡ はい｡ では 参ると致しましょうか｡ (与太夫)気賀からは船で 10日から半月は かかるゆえ➡ ２人とも 心しておくように｡ (龍雲丸)早くても 10日は かかるんだとよ｡ 船で｡ あ… ああ｡ あ… 何の話であったかの｡ 与太夫の旦那｡ 少し ここで待ってて頂けやすか？ すぐに戻ってきますんで｡ 帰んぞ｡ え？ 待て！ 帰るとは！ 我は帰らぬぞ！ 共に堺に｡ 勝手に ついてくんじゃねえ！ ばばあ！ ば… ば？ うっとうしいんだよ｡ いちいち いちいち｡ 前の男に未練ﾀﾗﾀﾗのくせに ついてくんじゃねえわ！ んなの こっちは うれしくも何ともねえんだよ！ 城も家もなくともさ➡ あんたは ここの城主なんだよ｡ もう 根っから そうなってんだよ｡ だから ほい 戻れ｡ 何やってんだよ｡ 待てって！ すまねえ｡ 大事ねえか｡ なにも 今 無理して 行かなくてもよ｡ やる事やって 終わってから来りゃ いいじゃねえか｡ 待ってっから｡ そんな日など 来るわけないではないか｡ 何一つ案ずる事なく 戦もない｡ そんな日など 来るわけないではないか｡ ここで行かねば➡ 頭と共に生きる事など できぬではないか！ (龍雲丸) んな事 分かんねえじゃねえか｡ あと10年 20年｡ それでは まこと ば… ばばあになって｡ 案ずるな｡ そんときゃ 俺も じじいだ｡ 待ちなど せぬじゃろう｡ 待つって｡ うそをつけ｡ 10年も20年も おとなしく待つわけがない｡ あんたみてえな女が ほかにいるかよ｡ 情に もろくて 泣いたり 怒ったり忙しい｡ そりゃあ もう 普通の女なのに｡ そいつが 何でか 兵一人使わず 町を手に入れ➡ 人一人殺さず 戦を乗り切り➡ したたかに 世を変えていくんだぞ｡ そんな女が ほかに どこにいるんだよ｡ なぁ｡ ごまかすな｡ ごまかしてねえよ｡ 頭…｡ 頭｡ ん？ やはりな… 待たずともよい｡ 頭には やはり 心のままに生きてほしい｡ ♬～ うん｡ そっちも｡ なれど あの約束だけは忘れんでほしい｡ 我より先に死なぬと…｡ うん｡ そっちも…｡ では｡ 達者でな｡ そっちも…｡ ♬～ 今 武田と徳川の戦は どうなっておる｡ これで 雌雄が決したわけでは ありませぬが➡ 武田は 勢いをそがれた事は 間違いございません｡ 井伊が どちらの立場を取ればよいか➡ かじ取りが 難しいところでございますな｡ ごめん！ 近藤殿は｡ それが 今朝方 隠し里を発ってしまわれたらしく｡ 発った？ どこへですか！ ご嫡男の秀用殿は 武田相手に野伏となって➡ 山中に籠もり 戦を続けておられるらしく➡ そこに加勢すると｡ 武者じゃの｡ ｢武者じゃの｣ではございませぬ！ (南渓)おとわ｡ 堺へ行かれたのでは？ 袖にされました｡ 未練ﾀﾗﾀﾗの ばばあなど うっとうしいだけと｡ して 何が起こったのでございますか？ その後 信玄の死に 勢いを得た徳川は➡ 遠江西部から 武田勢を追い出し➡ 井伊谷は 再び 徳川領となった｡ そして 天正２年｡ (梅) 立派な大根で ございますね｡ (祐椿尼) すっかり 畑仕事も➡ 板につきましたね｡ これ 両人 しばし よいか？ 実はの 直親の十三回忌を 行おうと思うての｡ 直親の…｡ もう さようになりますか｡ うむ｡ それで 松下の方にも 知らせてみたところの｡ 皆 こちらに来る事になった｡ 皆…？ 六左も しのも なつも 亥之助も➡ もちろん 虎松もじゃ｡ 虎松も…！ とにかく そういう事じゃ｡ 心積もりをしておいてくれ｡ はい！ まあ しかし どのように なっておるのでしょうね｡ 虎松は｡ [ 回想 ] (虎松)虎松は➡ 井伊の虎松でございます！ どうなっておりましょうね…｡ ♬～ 面を上げよ｡ [ 回想 ] (直親)久しいの｡ おとわ｡ 虎松… か｡ はい｡ 松下の 虎松にございます｡ おや どうかなされましたか？ おとわ様｡ いや…｡ 続く｡ (虎松)すばらしく豊かな里で ございました｡ 何が何でも 頂戴しとうなりました｡ (家康)井伊…｡ 井伊の 虎松？ 虎松！ 俺を信じてくれ｡ (しの)殿！ (瀬名)殿｡ やり返してはいかがですか？ (虎松)殿は まことに➡ 井伊家を再びとは 思うておられませんので？ 思うてはおらぬ｡ <山梨県甲州市｡ この町に 武田信玄が➡ 生前に 菩提寺として定めた寺が あります｡➡ 元亀４年 信玄は 遠征の途上で病没しました> <信玄の葬儀が 恵林寺で執り行われたのは➡ その３年後｡ 信玄は 領内の混乱を避けるため➡ ３年間 死を公にしないよう 家臣らに命じていたのです> <恵林寺に鎮座する…> <信玄の姿を模して彫らせたものと いわれています｡➡ 信玄自らが はけを手にし➡ 像の胸の部分に 毛髪を塗り込めた と伝わっています> <風林火山の旗印を掲げ➡ 疾風のごとく 戦国を駆けた 信玄の魂は➡ 主君を慕った 多くの家臣たちと共に➡ この地に眠っています> <並み居る戦国武将たちに 恐れられた 猛将 武田信玄｡➡ 病魔との闘いに敗れ 波乱の生涯に幕を下ろしたのです> (お咲) 大事にします… ずっと｡ この長屋での 正太郎様との暮らしは➡ 子どもの頃のように楽しくて…｡ 夢のようでした｡ (正太郎)私もだ｡ 相沢様！ 伯父上…｡

あいのり Asian Journey.S01E16.JA

1 （スタッフ） お父さんとも 会うんですか？ （アスカ） お父さん… 去年 10年ぶりに会いました （スタッフ） お母さんとは全然？ お母さんは… 鹿児島にもいるし いつでも 会えるんですけど うーん… 怖い （スタッフ） 怖い？ ああ… ♪～ （男子メンバー） 方向転換を 熱(あち)ちちっ （あきら）そういう 細かい所は うるさい （かすが）あー そうやって寝るの？ ～♪ （若林(わかばやし)）さあ 先週はね 告白するかな 裕ちゃんが って思ってたら まだちょっとね しないけど― 手をつなぐと もう本当に お願いしますよ （ベッキー） 今週は告白ないと！ もう恥ずかしいことに なっちゃうから （大倉(おおくら)）ほんまや （ベッキー）本当に （河北(かわきた)）また着てきた！ 今週はあるでしょう （若林）今週は （河北）なかったら もう１回― 着てこなきゃいけなく なっちゃうからね ３週連続はキツい！ で あきらが… （河北）わっ ヤバい ウェディング状態 （若林） ウェディング状態という 名前がついちゃってる 本来 ウェディング状態は いい言葉だからね そうなんですよね （河北）確かに （ナレーター）タイの大地を 南へ走るラブワゴン 相変わらずシャイボーイは かすがに一直線 一方 かすがは トムも気になる様子 そして裕(ゆう)ちゃんと アスカの恋が― 走り出していた ２つの恋の行方は…？ ラブワゴンが 到着したのは― カンチャナブリ 古き良きタイの風景が 広がり― 町の中心を流れる クウェー川には― 不朽の名作映画 「戦場にかける橋」の 舞台になった鉄橋が― 今も残る 列車が通らない間は 線路に 自由に出入りできる観光名所 メンバーは今夜のホテル探し （かすが） 別荘感ある おしゃれやん （ナレーター） クウェー川のほとりに 建つ― このゲストハウスは― 広々とした敷地に コテージ風の部屋が並ぶ （かにゃ）ええやん （アスカ）一番奥やん （ナレーター）浮いたホテル代で 今夜は奮発して― バーベキューを することに決定！ そして このバーベキューが… シャイボーイは 金庫番の特権を利用して… 大喜びのかすがのために トゥクトゥクで移動 一方 ライバルのトムは… おいしい （ナレーター）久々のごちそうに お酒のピッチも上がり― 日が暮れる頃には すっかり できあがっちゃったメンバー すると あいのりに参加した理由を シャイボーイが話しだした （ナレーター）そして これをきっかけに妙な空気に （ナレーター） すると 今度はアスカが… （かにゃ） ティッシュください （かにゃ） アスカにあげて ありがとうございます （ナレーター）すると淡い初恋しか してこなかった この男が… 恋愛経験が 一度もないシャイボーイは… そして… （ナレーター） すっかり できあがってしまった しかし この酔っ払いに… （シャイボーイ） ごめんなさい （かすが）みんな どこ行った？ （ナレーター）すると かすがは… シャイボーイの腕をとった （かすが）ハハハハッ （ナレーター）そして… （ナレーター）シャイボーイへの 愛しさが募っていった かすが 元カレと似ているトムでなく― あいのりでしか出会えない シャイボーイを― 見ていくことを決めた しかし… （ナレーター）一方 腕まで組んでもらった この男は… 見せてあげたい ＶＴＲ いい感じだったよ シャイボーイの あの酔い方 最高だったな （河北）最高だった （大倉）漫画みたいに 酔ってましたもんね 〝なぜ恋愛しない人を バカにするんですか？〞 でも 作戦としては よかったかも シャイボーイ （春日(かすが)）そうだね （ベッキー）だから― ちょっと弱みを見せた だけで かすがはもう… かすがは そういうの 見たら もう何か― やってあげたく なっちゃうんだね 本当に ちょっと弱い男を― 支えてあげたい だから我々でも― 酔っ払って 〝いやー…〞っつって 〝お笑い やめようと 思うんだ〞って言ったら 腕組んでくれると 思うけどね （若林） 俺もね「ＩＰＰＯＮ グランプリ」で― スベったあとに かすがの家に行きたい 癒やしてくれるよ （春日）絶対 そうだね 完璧に癒やすよ かにゃも泣いてたね （河北）いろいろあった （若林）不倫された… 不倫専門家としては どうですかね？ （河北） ちょっと 触れないで！ （ベッキー） 首 絞めていいですか？ （ベッキー）今のは！ （河北）触れないで もう （ナレーター） この日は海岸線を離れ― ドライバー ヌックさんの案内で ある場所へ向かった 到着したのは 川辺にある小さな漁村 村の人々が 軒下で作業していたのは― 大量のカニの殻むき この地方の名産 プーマーというカニだ （ナレーター） このカニを使った料理を ごちそうしてくれるというので― ご自宅にお邪魔することに ひさしがあるだけの… 家族だけでなく 近所の親戚まで集まってくる 赤ちゃんは 近所に住む ご主人の姪っ子 （かにゃ）わー すごい！ （シャイボーイ）わー すごい！ さっきのより おっきいな （ナレーター） ご家族とメンバーの晩ご飯は― この日 取れた バケツいっぱいのカニ （ナレーター）メンバーが 殻むきに夢中になっていると… 突然のスコール （ナレーター） キッチンでは調理開始 （男性） 全部… 全部入れてください （トム）早く 早く… （ナレーター） この日のメニューはカニカレー さっき むいたカニのみそ 甲羅や足― ほぐした身まで 全部 入れちゃう豪快なカレーだ （ナレーター） ご飯と一緒に盛りつければ完成 （ナレーター）昼食後 雨が止むまで こちらで休ませてもらうことに すると… シャイボーイが 見つけたのはギター ギターを手にしたシャイボーイは まるで別人 実はシャイボーイ 以前 こんなことを語っていた （ナレーター） そして― シャイボーイの こん身のライブが… （シャイボーイ）ありがとう （裕ちゃん）シャイボーイ！ シャイボーイ！ （ナレーター） さらに ライブは続く （ナレーター） そして 帰りのラブワゴンでは… （ナレーター） そして シャイボーイの 日記には… えー！ いいよ シャイ （ベッキー） シャイのライブで こんな逆転あるんだ ちょっと びっくり 俺もね この逆転は マジで びっくり （ベッキー） これでシャイの恋が うまくいったら― 日本中の男子に 勇気を与えません？ これは教育に悪いな （ベッキー）何で？ （若林） 男たちが 弱音見せれば いいと思うから （大倉）確かに （ナレーター）この夜 ホテルのロビーで １人 考え込むアスカの姿が （ナレーター）シャイボーイが 熱唱した 母親に捧げる歌が― アスカの心に 突き刺さっていた （ナレーター）アスカは 自分の心にある深い闇を― 裕ちゃんに話そうと 決意した （ナレーター） ２歳のアスカは― 母の暴力から逃れるため 施設に引き取られた （ナレーター） そして 11歳の時― 突然かかってきた― 母親からの電話で 聞かされた― あの言葉 （ナレーター） そんな時 アスカの… （ナレーター） その恐怖が アスカの… （ナレーター）裕ちゃんは その重さを抱え 部屋に戻った ラブワゴンに乗り込むメンバー すると 裕ちゃんは… アスカを避けるように 後ろの席へ その車内 裕ちゃんは ただ アスカを見つめていた 立ち寄った公園でも― アスカは１人ぼっち 裕ちゃんも１人 思い悩んでいた その夜 アスカが スタッフの部屋へやってきた こうなるのかあ… こうなったか 何人の男が あそこで アスカをちゃんと― 受け止められるのかな って思っちゃうよね 女性からしたら どういう 反応がベストだった？ あそこの言い終わり え… でも そうだな やすい言葉もイヤだしね 何か うわべの言葉も… （春日）難しいね （若林）難しいね でも本当に うまくいかなかったら 最終回にしようよ もう 本当に あっ いいじゃん ってか もう 普通に… あいのりの番組的に じゃなくて 普通に― ２人がもう 付き合ってほしい 次回かな？ 次回なの （若林） その服 着てくるな！ （河北）そうだよ！ この服が縁起悪いんだよ （ベッキー）え？ 告白しなくなるだろ （ベッキー）えー！ （河北）もう着ないで その服 禁止 もう

Code Geass Hangyaku no Lelouch 03

皇歴2010年8月10日 神聖ブリタニア帝国は 日本に宣戦布告した ブリタニアの最新兵器 ナイトメアフレームの前に 一月と持たずに敗れ去った日本は 自由と伝統 権利と誇り そして名前を奪われた イレヴン その数字が新しい日本人の名前だった 自分を 世界さえも 変えてしまえそうな 瞬間は 何時も直ぐ傍に… 隠せぬ苛立ちと 立ち尽くす自分を 見つめ 迷いながら 悩みながら 悔やみながら 決めればいいさ 君がくれた 言葉ひとつ 戸惑いは消え去り からっぽだった 僕の部屋に 光が射した 見上げた大空が 青く澄み切って行く 閉ざした 窓を 開く事を決めた 自分を 世界さえも 変えてしまえそうな 瞬間を 感じる今ここに… どういう事だ イレヴンを逃がせとは 回収すべきガスも まだ残っているのだろう しかし クロヴィス殿下の指示ですから バトレー将軍は？ 参謀府の意見を聞きたい 将軍達は席を外されたようで では コンタクト・フロアーには 殿下のみだと？ う うれしいよ ルルーシュ 日本占領の時に死んだと聞いてたから やあ よかった 生きていて どうだい 私と本国に また外交の道具とする気か お前は何ゆえ俺達が道具になったか 忘れたようだな うっ そう… 母さんが 殺されたからだ 母の身分は騎士侯だったが 出は庶民だ 他の皇女達にとっては さぞや目障りな存在だったんだろうな しかし… だからといって テロリストの仕業に見せかけてまで 母さんを殺したな！ 私じゃない！ 私じゃないぞ！ なら 知っている事を話せ 俺の前では 誰も嘘はつけない 誰だ 殺したのは？ う… 第二皇子シュナイゼルと 第二皇女コーネリア 彼らが知っている うっ あいつらが首謀者か？ そこまでは知らないか うっ… うわっ！ ほ 本当に私じゃない！ やってない！　やらせてもいない！ 分かったよ しかし や やめろ！ 腹違いとはいえ 実の兄だぞ！ きれい事で 世界は変えられないから こーら ルルーシュ！ 今 寝てたでしょ？　手が止まってた だからって叩かないで下さいよ 俺を置き去りにした罰だって そうそう　何やってたのよ 昨日 ああ いや… はいはいはい 話を脱線させないの！ 今は部活の予算審査 とっとと済ませないと どこも予算が おりないでしょ そんな事になったら 馬術部なんか マジ怒り また ここに突入して来たりして え… リヴァル あんたも一応 生徒会メンバーなんだから せめて もう１日早く思い出して くれていれば良かったんですよ もう１日遅く が正解 諦めがつく いい考えだ 今からでも ガーッツ！ ああ… またガッツの魔法ですか？ は～い あなた方は 頑張りたくなりま～す かかりませんよ そんなインチキ魔法じゃ 会長！　私 かかった事にします！ うん！　肉体派は素直でよろしい 鍛えてるって言ってくれないと うふっ そうじゃなくてさあ う？ 立派じゃん え？ この間 女子寮のバスルームで確かめた トップとアンダーの バランスがいいよね～ ほほ～ な 何 言ってるんですか　変態！ もう！　会長って中身は 絶対おじさんだよね！ 自分で話を そらしていくし ミレイちゃんは昔から ああなんで… あっはっはっ… まあ 予算表 間に合ったんだし いいじゃないの 毒ガステロだって！ あ… 怖いよなあ シンジュクなんて 30分と離れてないのに 私 見た シンジュクの方で煙が上がってるの あれ毒ガスだったんだ シンジュクの様子 他に出てない？ シンジュク？ 昨日 この件で電話したんだよ 知り合いからリアルタイムで聞いてて おい 画像アップされてっぞ イレヴンの死体が！ いやあ！　見せないで！ おかしい… なぜ あの情報を隠す？ うううう…！ う！ クロヴィスの死を隠すという事は 混乱を防ぐ為か？ しかし それをやる という事は 発表する時に ふ… 我ながら細い神経だな ぬるいな 文官出のやる事は バトレー将軍ですか？ 犯人は あれだけの警備を ２度も突破している こんな型通りの検問では ジェレミア辺境伯 クロヴィス殿下亡き今 私達 純血派が 指示は私が出す 内部をまとめるまで待て カレン！　久しぶり！ 体 いいの？ ソフィちゃん 心配してたよ もう大丈夫なの？ うん あんまり無理は できないけどね あ！ そうか 引っ掛かった訳だ だって あんまり休むと みんなに ついて行けなくなっちゃうし ルルーシュくん 何 見てるのかな？ ひょっとして惚れちゃった？ 珍しいだけだよ 彼女 始業式以来 来てなかったよな カレン・シュタットフェルト そ～れ！ なんか 体が弱いらしくてさあ 前の学年でも たまにしかね でも 成績は抜群に優秀 シュタットフェルト家のご令嬢だから 金はあるし 性格も穏やか いやあ お目が高い 違うって 隠さない 隠さない まあ ちょっと箱入り過ぎるけどね キャア～ッ！ 蜂よ！　蜂が！ え？ カレンさん 逃げて！ キャーッ！ ん… 早く逃げて！ キャアア～ッ！ こんな所に蜂だなんて 蜂の巣でも あるのかしら んっ！ ああ～ イライラする！ 病弱なんて設定にしなきゃよかった んっ ん… ヤバ 見られた やはり あの時の女だ な 何か用かしら？ 質問に答えろ はい 昨日 シンジュクで グラスゴーに乗っていたな？ はい どうしてテロを？ 私は日本人だから ブリタニアの血も半分 入ってるけど えっ ハーフ？　しかし なぜそこまで はっ！ ええっと… 私に何か？ いや もう用は済んだ そうだ 念の為 シンジュクの事は何も言うな えっ？　シンジュクって どういう事？ うっ どうしてそんな事 言うの？ 教室に戻れ あなたが質問に答えてくれたらね 効かない？　どういう事だ これは… う う… ルルー！ あっ カレンさ～ん！ 次 理科準備室だよ！ 急がないと！ やっべ！ 実験器具 出さなくっちゃ！ ああ しくじった しかし… どうしましょう 今日も遅いかも 待ちます 夕食は一緒にって言ってたから ほら できましたよ あっ？ あ… 鳥？ はい 鶴です すごい 日本人って器用なのねえ うふふ… ええっ ナナリー様？　あ… ごめん 遅れちゃって お帰りなさい お兄様 お帰りなさいませ ただいま ナナリー 咲世子さん 諸君も知っての通り計画は全て失敗した ゆえに この研究所を破棄する え？　しかし ナリタに場所を用意した　全て移す 記憶がないとはいえ 私や参謀達が クロヴィス殿下の元を離れたのは事実だ 私は本国に戻され責任を問われるだろう その際 皇帝陛下に秘密で この実験を進めていた事が知られると 分かりました 早急に準備を進めます さっきね 咲世子さんに 折り紙を教えてもらったんです １枚の紙を何度も折ると 鳥とか船とか色んな物になるんですって あ… ああ そんなに急いで話さなくても 大丈夫だよ 俺は どこにも行かないから ありがとう お兄様 どういたしまして ふふ… 良かった え？ お兄様 昨日の夜 何か怖かったから そうかい？　ごめん… ちょっと考え事があってさ ねえ ん？ この鶴を千羽 折るとね 願いが叶うんですって もしお兄様に叶えたい事があるのなら… いやぁ 俺は… ナナリーは？　何かないのかい？ う～ん… 優しい世界でありますように お前の目が見えるようになる頃には きっと そうなってるよ 本当に？ 約束する そうだ　俺達には選択できる未来が 限られている ここで匿われている といっても アッシュフォード家が いつまで 後ろ盾になってくれるか 素性がバレたらシャーリーや リヴァル達だって離れるだろうし 行く末は 政治の道具か陰謀の餌食だ 作らねば ナナリーだけでも幸せに過ごせる世界を ん？ この前 教えてもらったの 日本の約束の仕方 嘘ついたら針千本 飲ーます 指切った うふっ あ… 怖いな 千本も針を飲まなくちゃいけないのか そ だから嘘ついたら いけないんですよ 大丈夫 俺は嘘をつかないよ お前にだけは これだけが俺の武器だ 知らなくては 使い方を ルルーシュ あ もうすぐ授業が始まるぞ あ はい 先生 今度の論述試験の問題 教えて下さいよ エディンバラの屈辱と新大陸への遷都 北南戦争についてだ この力 なくなった訳ではないのか うっ 先生 ん？ 今度の論述試験の問題 教えて下さいよ 冗談言ってないで真面目に勉強しろ お前は やればできるんだからな は～い やはりな　同じ人間には １度しか効かないって訳か どうだい 久しぶりの学校は？ 窮屈… 昨日なんて歴史の授業だし ねえ そっちに戻った方が 今は軍の警戒が厳しい しばらくは そこで ほとぼりを冷ますんだ でも あの声の事だって 声だけじゃ探しようがないよ それにカレンが学生やってる方が ナオトも喜ぶ ん シンジュクの事は しばらく忘れろ また連絡する シンジュク… 分かってるけど はっ！ シンジュクの事は何も言うな まさか あの時の声 １つは貴族教育です 統治する人間を特定し 集中的に教育 訓練する事で 優れた統治者を育てる ２つ目はスピードです 選りすぐられた… 似てる… か？　いや 声の記憶なんて あてにならないけど はい よろしい 偉大なるエリザベス１世の お子であるヘンリー９世の即位によって テューダー朝は隆盛を… 与えたのはシンジュクという情報だけだ しかし… もし 私の正体を知られていたら 早いうちに 処理しなければ 研究所は？ 昨晩のうちにはナリタに そうか… 申し訳ありません 殿下 ハーブティーの専門店なの すっごく素敵なとこ カレンさんも おいでよ… ねぇルル この後さあ 悪い また今度な あ やっぱり？ カレンさん自宅通いなんだ 門限とかあるの？ あ 何？ ちょっと付き合ってくれないか 話したい事がある え ええ！ ええ 誘ってくれると思ってた はあ？ キャ～！ お分かりですか　私達の決意を だっ だから私は！ 覚えていない？ まだそんな つまらぬ言い訳を 他の者にも聞け！　証言なら… 我が身 大事か 見苦しい！ あなたが これ以上 殿下のお傍に居るのは 許されない 学校内に こんな場所があったなんて 生徒会専用のクラブハウスだ 舞踏会なんかも できるように 広めに造ってある ここなら邪魔は入らない？ そういう事だ あった～！ あ あった あった！　ほら これでしょ？ ああ それです　実験データ やれやれ 腰痛え そっち見つかった？ こっちも できたから 始めよっか おお すげえ！ さっすがミレイさん！ うっふふ… もっと褒めるがよい あの… なんですか？　これ 知ってて 連れて来てくれたんじゃなかったの？ カレンさん生徒会に入れるから は… お爺ちゃんに頼まれちゃってさあ 理事長に？ うん 体の事もあるから 普通に部活は難しいだろうって あ 私 生徒会長のミレイ よろしくね あ… よろしくお願いします 俺 リヴァル　書記ね 分からない事があったら なんでも聞いて シャーリーです 水泳部と掛け持ちだけど よろしく わ… 私… ニーナです あ いえ こちらこそ あの… シャーリーさん すみません これ テーブルに あ ありがとう ナナちゃん ナナリー お前まで ん ルルーシュの妹よ 私は中等部なので 生徒会じゃないんですけど いいでしょ 準会員って事で うん カレンさん よろしくお願いします よろしく こちらこそ さて まずは乾杯といきますか あ シャンパン！ 生徒会 自ら これはまずいんじゃ まあまあ 堅い事言わないで ダメに決まってるでしょ！ なんですか？ ナナリーはこっちね ルルーシュ パス！ あ！ え あ もう！ ルルも簡単に受け取らないの！ ああ！ ふっ う！ うわ～ん どうかしました？ 着替えは？ 咲世子さんが これだからブリタニアは… 全く！ あ ルルーシュだ え 着替え 持って来たんだけど 大丈夫 カーテン引いてるから ああ 悪いな… にぎやか過ぎる連中で ううん　たまには こういう無邪気な楽しさも悪くないわ 着替え とりあえず俺のでいいか？ 気にしない そういうのは 早いのね 男子寮まで行って来たんでしょ 俺 ここに住んでるから え？ 寮で暮らすのは 妹には難しくてさ 理事長の好意で ここに住まわせてもらってる そう それじゃ あ 待って！ 取ってくれる？　そこのポーチ ああ んっ えっ 思ったより活発なんだな あの日 シンジュクに居たの？ なんの事だ とぼけないで なぜシンジュクって言ったの？ シンジュクだと何か都合が悪いのか？ 質問に質問で答えないで！ 答えはイエスかノー それ以外は聞きたくない う… 出ないと誰か来ちゃうけど いいかな はい アッシュフォード学園 生徒会 え？　いや 俺は… はあ 君あてだ 出れば分かるってさ ん… もしもし 無事だったようだな Ｑ１ はっ！ 違った…？ 明後日の16時 あ 旧東京タワーの展望室に１人で来い お前は誰だ 停戦命令を出させたのは… あっ おい！　切るな！ くっ… なんだ 停戦命令って あ 随分 物騒なお友達だな あ 今のは その… 当てようか え ゲームの話だろ？　ネットとかさ え ええ！　そうなの 私… 家に こもりがちだったから だから忠告したんだよ シンジュクの事は言わない方がいいって いるんだ 君みたいな人に わざと画像とか見せたがる奴らがさ ところで… 見えてるんだけど え？ あ ああ！ あの 誰にも言わないから じゃあ後で 違ったんだ 無事だったようだな Ｑ１ あ！ あれ…？ 生徒会っていっても 大して仕事はないんだ たまに書類仕事があるくらいで あとはイベントの企画 イベントって文化祭とか？ 男女逆転祭りとか 絶対無言パーティーとか 水着で授業とか なあに？　それ 会長の趣味 そのうち付き合わされるから 覚悟しとけよ お兄様 大変！ なんだい？ クロヴィス殿下が亡くなったのよ 殺されたんだってさ！ え？ ん… クロヴィス殿下は こうぎょされた イレヴンとの戦いの中で 平和と正義の為に 殉死されたのだ 我々は悲しみを押して その遺志を継がなければならない たった今 新しい情報が入りました え？ 実行犯と見られる男が拘束されました ええっ！ 発表によりますと 逮捕されたのは名誉ブリタニア人です まさか！ 枢木スザク一等兵 容疑者は元イレヴン 名誉ブリタニア人の枢木スザクです 行けどもけものみち 獅子よ虎よと吠え 茜射す空の 彼方にまほろば 幽囚の孤獨に 彷徨う青春は 弱さと怒りが姿無き敵ですか 父よ 未だ我は 己を知りがたし 先立つ兄らの 見えない背中を追えば 迷いの一夜に明星は誘う 死して終わらぬ 夢を焦がれども 確かな君こそ我が命 烈風の荒野で 蝶よ花よと生き とこしえの春に 咲き添うまぼろし 混濁の純潔 この身は汚れても 心の錦を信じていてください 母よ けして我は 涙を見せねども 足下の草に露は消えもせで これは喜ぶべき事なのか？ スザクが生きていた しかし なぜ？ どうしてあいつが捕まっているんだ？ 俺の代わりに あいつを救わなければ なんとしても 計画を前倒しにしてでも 俺ならやれる！ やれるだけの力があるのだから

紙の月＃05

1 なのでこの恋するフォーチュンク ッキーも、そのブラスバンドの定 番曲になるかもしれません。 ＞＞ブラスバンドに受け継がれて いくと、ずっと延々、伝統になっ ていくんですよ、その曲が。 (正文)ちょっと お互い 思うところが あるだろ｡ 君が 上海 来ない事について｡ 離婚 考えてるのか？ (光太)金のために 魂 売って あくせく働くなんて➡ ばかばかしいよなって｡ (木綿子)出張手当とか 実は 別口座に入ってきてて➡ かわいい女の子に ごはん ごちそうしたりして｡ (真一)何だよ？ それ｡ (岩田)悩んでんだろ｡ 離婚の本当の理由を 娘に言えないって｡ (亜紀)さんざん ほっといて 今更 母親になんて なれっこないし｡ (探偵)仁志まどか 22歳｡➡ 平林光太が通っていた大学の 学生ですね｡ (梨花)<光太に 年下の彼女が できても➡ 私たちの関係は 変わらなかった> ♬～ <私たちの間には 彼女にはない 強い絆がある｡➡ そう思い込む事で 幻の現実に しがみついていた> ♬～ ♬～ 君のとこにも ないんだよね？ 梨花からの連絡｡ はい｡ ♬～ すいませんでした！ 僕は…｡ 謝ってもらおうと思って 連絡した訳じゃない｡ ずいぶん迷って こんな１か月近く たってしまったけれど…｡ 一度 会っておかないと 整理つかないと思ってね｡ 彼女が どうして 横領までして 金を手に入れようとしたのか➡ それは 僕なりに 理解したつもりなんだ｡ ただ… どうして 君だったのかな？ 彼女は そんなに簡単に… 何ていうのかな｡ 他の男と どうこうなるような 人じゃないんだ｡ それが どうして…｡ 分かりません｡ 何か思い当たるような事は ないかな？ 君でなきゃダメだったような｡ 分かりません｡ 君の主観で いいんだよ｡ 彼女の言葉とか 行動とか｡ 分かりません｡ そんなはずないだろう！ 君は 梨花と２年以上も…｡ 本当に分からないんです どうして 僕だったのか｡ もしかしたら 彼女にとっての僕は➡ ｱﾌﾘｶの子供だったんじゃないかと 思った時もありました｡ ｱﾌﾘｶ？ 彼女が 昔 はまってたっていう ﾎﾞﾗﾝﾃｨｱの｡ 学校に行けない ｱﾌﾘｶの子供です｡ (亜紀)梨花の旦那さんから 電話あったの｡ 梨花の居場所に 心当たりは ないかって｡ 何で 今更？ 旦那さんね 会ったらしいよ 梨花の相手に｡ その子に 梨花が言ってたんだって｡ 何でも言い合えたのは 高校の時の友達だって｡ 私と木綿子なんだって｡ 木綿子？ どうかした？ うちの人 やっぱり浮気してた｡ えっ？ 携帯のﾛｯｸがね あのﾚｼｰﾄの日付だったの｡ ♬～ (木綿子)ｲﾀﾘｱﾝの日…➡ 浮気相手の誕生日だった｡ 笑うよね｡ 彼女の誕生日 携帯の暗証番号にしてんの｡ 笑えないよ｡ ごめんね こっちは いいの｡ また連絡あったら教えて｡ 大丈夫なの？ 大丈夫｡ 私 間違ってないから 堂々としてる｡ じゃあね｡ ばか｡ 梨花も ばか｡ [無線] 私も ばかだよ｡ 再来月？ [無線]うん｡ 再来月には 日本に帰れる事になった｡ そう…｡ [無線]長い間 ごめんな １人にして｡ ううん｡ [無線]また ２人で暮らしていけるね｡ [無線]詳しい日程が分かったら また連絡する｡ うん｡ [無線](呼び出し音) もしもし｡ どうしたの？ これから会えない？ 話があるの｡ 明日じゃダメかな？ ちょっと 約束が…｡ 何時でもいいの｡ ﾏﾝｼｮﾝで待ってるから｡ [無線]帰れるかどうか 分かんないよ｡ じゃあ この電話でもいい｡ 実は 今ね…｡ [無線]悪いけど 時間が…｡ 誰かと一緒にいるの？ [無線]とにかく 今日は無理だから｡ [無線](電話を切る音) ♬～ どうしてよ…｡ 私が これまで こんなお願い した事ある？ 今日 会いたいって たった一度の頼みも断るの？ どうして断れるの!? ♬～ 買えなかったんです｡ 彼に貸したお金 買ったお金 食べたお金➡ ﾏﾝｼｮﾝの家賃 車の代金…➡ 株の資金｡ それだけの お金を使っても 買えなかったんです｡ その日 会う時間も 彼の気持ちも｡ (たま江)愛してるのね 彼の事を｡ えっ？ 涼子は ほれっぽいから 心配よ｡ でも 親の言う事なんか ばかにして➡ 聞きゃしないんだろうけれど｡ でもねぇ 涼子｡ あなたは その前に 自分を愛せてるの？ 誰かを愛するには まず 自分を愛さなくちゃダメよ｡➡ 誰かに愛される事ばかり 考えるんじゃなくって➡ 自分が自分を認めて 愛してあげなさい｡ 自分を愛せない人がね 一番 不幸なのよ｡ ♬～ こちらです｡ すいません｡ ちかげ…｡ 本当に申し訳ありませんでした！ ♬～ (ちかげ)ママ 痛い！ あなたが悪いんでしょ！ 万引きなんかして！ だって 言ったって どうせ買ってくれないでしょ！ 当たり前でしょ！ あんな必要のないもの！ ママは 私が 仲間外れに なったっていいの？ ｢ちかげんちは貧乏だから｣って 言われてもいいの!? ♬～ (真一)ちかげに あんまり無理させるなよ｡ えっ？ もういいんじゃないか？ 節約は｡ 何それ？ みんなが持ってるから 欲しいって言われれば➡ 何でも買ってやれって言うの？ そうじゃないよ｡ ２人で話し合って 決めたんじゃないの｡ お小遣いとか ﾃﾚﾋﾞの時間とか 節約にもなるし➡ 教育にも いいって｡ 確かに そう話し合ったよ｡ 節約して 貯金も増えれば ちかげの将来も安心だって➡ 俺も思ってたよ｡ でもさ その将来のために 今 金に振り回されるなら➡ 本末転倒だろう｡ 私が いつ お金に 振り回されたのよ？ いつもだよ…｡ 何でもかんでも 金 金｡ 疲れて帰ってきて 安い飯 食わされて➡ 好きなように風呂も入れなくてさ もう うんざりなんだよ｡ だから… 浮気してるの？ (木綿子)彼女に おごったんでしょ こんな高い２万もする食事！ 何度も会って お茶したり 映画 見たり➡ 私が 家族のために 必死で ためてるのに➡ 何で よその女に こんな お金 使って！ 彼女にかけた お金 木綿子…｡ 全部 返しなさいよ！ 結局 金なんだな…｡ ♬～ <自分を愛せない人が 一番 不幸だと➡ 名護たま江が言った｡➡ 他人と比べたり 羨んだり➡ いつから 自分を 愛せなくなったのだろう？> お前 治ってないだろ 買い物依存症｡ これ 全部 着ろよ｡ ほら！ やだ… 何すんのよ！ これ 開けずに隠しとくから どんどん自己嫌悪に陥るんだよ！ お前は 必要だから 服を買ったんだよ！ 不安だから買ったんじゃない！➡ もう 自分を責めるのは やめろ！ (亜紀)やめてよ！ <ありのままの自分でいいと 思えなくなったのは➡ どうしてなんだろう？> ♬～ ごめんね 遅くなって｡ すぐ食事にするね｡ おいしいﾜｲﾝ 買ってきたよ｡ 腹 減ってないから｡ 話って 何？ ｺｰﾋｰ いれる｡ 何も いらない｡ 話って？ 夫が 帰ってくる事になったの｡ それでね いろいろ相談したくて｡ 将来の事とか｡ 夫とは もう暮らせないと思ってる｡ 今すぐ どうこう できる訳じゃないけど➡ 準備しようかなって｡ あなたも 言ってくれてたでしょ｡ ぜいたくは無理だけど 普通の家に住んで➡ 普通の旅行をして…｡ 梨花さん｡ 俺… ここから出ていきたい｡ ここから… 出して｡ お願い｡ ｢ここ｣って… どこ？ <私は ようやく気付いた> <私が 私を 愛してこなかった事が➡ 全ての始まりだったのだ> ♬～ (沙織)やっぱり ﾌﾞｰﾂも履いちゃうと いいよね～｡ これ全部は ダメ？ 今日は 手持ちが ないから また今度にしよう｡ 何で？ ｶｰﾄﾞが あるでしょ｡ ダメなの｡ 着替えてらっしゃい｡ (沙織)じゃあ ﾌﾞｰﾂは いいから これだけ｡ 着替えてきなさい｡ (沙織)だって 亜紀ちゃんが➡ 何でも買ってくれるって 言ったんじゃん｡➡ だから お父さんに うそついて来たんだよ｡➡ 亜紀ちゃんと会うって言うと 怒られるから｡ いいから 買ってよ！ 友達と遊ぶんだから｡➡ おしゃれして遊びに行こうって 約束したの！➡ ちょっと… やめてよ｡ やめてよ！ ごめんね｡ あなたが悪いんじゃない｡ 私が悪いの｡ ごめん…｡ ごめんなさい｡ 私… 買い物依存症で 離婚されたの｡➡ 不安になると 買い物して… ｶｰﾄﾞ破産しそうになって｡ (沙織)何 言ってんの？ かっこよくなんかないの｡ 全然ダメな お母さんなの｡ それでも あなたの お母さんでいたかった｡ もう帰る…｡ 母親なんて いらない｡ ♬～ ただいま｡ お帰りなさい｡ いろいろ報告してたら 遅くなっちゃった｡ ごはん 出来てるから｡ (井上)来月の初めから 10日間 休みを取ってもらえますか？ 10日ですか？ 我々社員は ﾘﾌﾚｯｼｭ休暇あるけど ﾊﾟｰﾄの方 ないでしょう｡ でも 私は 別に休まなくても｡ お客様に ご迷惑を…｡ いや いや 佐倉と 他の社員が回りますから｡ どうぞ 安心して 休みを取って下さい｡ (栄子)検査なのよ ほんとは｡ 検査？ ｽｺｰﾝ 食べる？ (美穂)ほんとかどうか 分からないけどね➡ 先月 他の支店で 社員が お金 横領したんだって｡ ＡＴＭの故障のふりして 1,000万 抜いたんだって｡ 会社が焦って 1,000万！ 一斉検査するらしいわよ｡ ｽｺｰﾝ 食べる？ あ～ 頂く 頂く｡ ♬～ <ここまでだった> <何でも できる｡ どこへでも行ける｡➡ そう思って 走ってきたけれど➡ 私が行けるのは ここまで> ♬～ <それでも 私は まだ この先へ進む事を選んだ> お休みをもらえる事になったの 10日間｡ 10日間？ ずいぶん長いね｡ 順番に取るの｡ ﾘﾌﾚｯｼｭ休暇みたいなものだって｡ ふ～ん まあ ゆっくりすればいいよ｡ それでね 私 ちょっと 旅行に行こうかと思ってるの｡ 旅行？ 短大時代の友達が 結婚して ｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙに住んでるの｡ たまたま電話が来て おいでよって言われて｡ へぇ～ そんな友達が いたんだ｡ 初めて聞いた｡ 年賀状は 毎年 来てたよ｡ ふ～ん｡ 俺も 休みを取ろうかなぁ｡ えっ？ あ～ いや ｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙに ついていく訳じゃないよ｡ その前とか あととかにさ どっかで落ち合って➡ 南の島にでも行くっていうのは どうかな？ そうね｡ じゃあ 先に どこか行こうか｡ それで 向こうで別れて 私は ｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙに行くから｡ うん｡ ４日ぐらいだったら 休み取れるから｡ うん｡ そういえば 昔…➡ こういうふうに暮らそうって 話してたよな｡ 君が働きだして すぐのころ➡ 子供が いなくても ２人で食事して➡ たまには 海外旅行 行って➡ ２人で楽しめたらいいねって｡ そうだったね｡ もし… 子供が できてたら どうなってたかな？ もし 私が 上海に ついていってたら➡ どうだったかな？ ｢もし｣なんて ないよ｡ そうだよね｡ ♬～ だけど もし…｡ ♬～ いや…｡ ♬～ (孝三)えっ 10日も休むの？ ええ 連休も入れて 10日ですけど｡ だったら １日ぐらい つきあってくれても➡ いいじゃない｡ 夫と旅行に行くので｡ あんたに 何回 断られたかなぁ？ すいません｡ まあ 俺も 実は 連休 予定が入ってて｡ せがれ夫婦が 遊びに来るって言うんだよ｡ まあ どうせ 金の無心だろうけどね｡ あ～ そうだ あんた ﾉﾙﾏ足りてんの？ よかったら 先月の家賃 ほら… 何だ？ ｢ｽｰﾊﾟｰｺﾞｰﾙﾄﾞ定期｣ あれに かえようか？ いえ 大丈夫です｡ (孝三)いいんだよ 遠慮しなくて｡➡ どっちみち 遊ばせてる金なんだから｡ ありがとうございます｡ でも… もういいんです｡ <夫との旅行のあと ｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙへ 行くつもりは なかった｡➡ もうこのまま 日本へは➡ 戻らないかもしれないと 思っていた> 今日は 気分が いいの｡ 久しぶりに 頭が すっきりしてる｡ 顔色も いいですよ｡ ほんと？ じゃあ 和室の電球 替えましょうか｡ えっ？ うれしい！ わぁ～！ <彼らに 何か言うべきだと 思ったけれど➡ 何も言葉は見つからなかった> ♬～ <大量に買った 高価な服や ｱｸｾｻﾘｰを売り➡ 手元に残ったお金は 20万円だった> ♬～ <あれほど あった お金は きれいさっぱり消えてしまった> お母さん？ うん これから出発｡ うん 楽しんでくる｡ 分かった 伝えるね｡ お母さん 元気で｡ お父さんと仲よくね｡ [無線](呼び出し音) もしもし｡ 私｡ [無線]うん｡ あのね あのﾏﾝｼｮﾝ もし まだ いるなら➡ できるだけ早く出てね｡ 家賃は 来月まで 落ちるようにしてあるけど｡ [無線]うん｡ それから もし これから先➡ 誰かが訪ねてきて 私の事を聞いても➡ ｢何も知らない｡ 関係ない｣って言って｡ [無線]えっ？ どういう事？➡ どっか行くの？ 夫が また 海外になったから ついていくの｡ さっき言った事 お願いね｡ じゃあ 元気でね｡ [無線]梨花さん｡ ありがとう｡ ♬～ いろいろと… ありがとう｡ ♬～ ああ お母さん どうだった？ 正文さんに よろしくって｡ まだ 少し あるな｡ ああ… これ 君に もらったやつ｡ 大事な旅行だから してきた｡ この間の夜 ちょっと話したよね｡ ｢もし 子供が生まれてたら｣とか｡ ｢もし｣なんて ないって言ったけど➡ 最近 もし 俺が 君と きちんと向かい合ってたら➡ 何か変わったのかなって 思う事が あるんだ｡ 俺は 俺が いないと 君が 生きていけないって思う事で➡ 自分を支えようと してたんだと思う｡ 君を失うかもしれないと 思って 初めて➡ 自分の身勝手さに気付いた｡ ほんとに 勝手だよね｡ ♬～ ごめん｡ 君が必要なんだ｡ 私 ずっと感謝してた｡ 結婚してから あなたが してくれた事｡ でも ずっと あなたに それを伝えてなかったのよね｡ 私が ばかだったの｡ 違うよ｡ ごめんなさい｡ ♬～ 今まで ほんとに… ありがとう｡ ♬～ そろそろ行こうか｡ 中で お茶でも飲もう｡ ♬～ [ 留守電 ] 用件を １件 再生します｡ [ 留守電 ] (井上)わかば銀行 すずかぜ台支店の➡ 井上と申します｡➡ 奥様の件で 大至急 ご相談したい事がございます｡➡ 折り返しの ご連絡を お待ちしております｡ それは… 家内が 金を 横領していたって事ですか？ (井上)奥様が担当されていた 顧客の 定期預金証書が➡ 偽造されていました｡ まあ 正直 申し上げて 私どもと致しましても➡ 信じがたいと言いますか…｡ べ… 弁償します｡ いくらですか？ 金額は｡ 判明しているかぎりにおきまして 約… １億円｡ 奥様の居場所について お心当たりは ありませんか？ ｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙへ行くっていうのは あれ うそだった訳ですね｡ あの… どちらへ？ 警察に…｡ 梨花を捜さないと｡ 現在 こちらで調査中ですので もう少し お待ち下さい｡ 梨花に何かあったら どうするんですか！ ｼﾝｶﾞﾎﾟｰﾙが うそなら どこに いるかも 分からないんですよ｡ １億なんて大金 横領して 思い余って…｡ 私どもとしましても 事実関係を 事前に調査する必要があるんです｡ とにかく こちらから 連絡を差し上げます｡ ♬～ あなたは 私を 必要としてくれてるの？ どうして いつも あなたの話には 私が いないの？ 今まで ほんとに… ありがとう｡ ♬～ 妻を捜して下さい！ お願いします｡ 妻を見つけてやって下さい！ お願いします！ お願いします！ ｢わかば銀行 すずかぜ台支店で➡ 契約社員の女性が 顧客の預金などから➡ 約１億円を横領し 行方が分からなくなっています｣｡ (記者たち)平林さん！ あぁ～！ 何かの間違いに 決まってるよ！ あの子にかぎって そんな…｡ でも 実際 預金を➡ だまし取られていたんですよね？ うるさいな もう！ 金の事だって 言ってくれりゃ いくらでも やったのに｡ あんたたちに 何が分かるんだよ！ すみませ～ん｡ 梅澤梨花さんって どんな方でしたか？ 梨花さんは 天使様よ｡ 優しくて きれいな 天使様｡ 来た！ 来た 来た 来た！ 梅澤さん｡ お話 よろしいですか？ 奥様は なぜ あのような事を されたと思います？ 私の責任だと思っています｡ 私が 彼女を追い詰めたんです｡ 奥様から 何か連絡は ありましたか？ 日本へ戻ってくると 思われますか？ 戻ってくるまで ずっと待ちます｡ 何があっても 彼女は 私の妻ですから｡ 彼女と一緒に 罪を償っていくつもりです｡ ♬～ <ビザなしで この国にいられる 期限が迫っていた｡➡ わずかな希望を求めて 私は 国境の町に来ている> 動け！ [ 心の声 ] <国際手配されていなければ ｲﾐｸﾞﾚｰｼｮﾝを通れる可能性もある｡➡ また 進み続ける事が できる> [ 心の声 ] 動け！ (雷鳴) [ 心の声 ] 動け！ <けれど… 私は 一体 どこへ行きたいのだろう？> 何が欲しかったのか 分からなくなっちゃった｡ 同じだね 梨花ちゃんも私も｡ 梨花ちゃんは お金 使って 私は 節約をして➡ 幸せになろうとしてただけ｡ こうすれば こうなれるって信じて➡ 他を見ないようにしてきたのは きっと 同じ｡ 全然 違うよ｡ 木綿子がしたのと 梨花のとは 全然 違う｡ 犯罪なんだから｡ でも 梨花ちゃんも 苦しんで…｡ それは分かるよ｡ でも 梨花は このままじゃ 絶対にダメ｡ ちゃんと戻ってきて 捕まらないと｡ そうしないと 救われないんだよ｡ どうしてなんだろうね？ 何で いつも 幸せになる方法 間違えちゃうんだろ…｡ 昔… 結婚する時 お兄ちゃんに➡ ｢幸せになれよ｣って言われたの 思い出した｡ 結婚したから これからは ２人でっていうんじゃなくて➡ ｢一人の人間として 幸せになりなさい｡➡ そして 幸せにしてあげなさい｣｡ ｢本当は 人間は誰でも➡ 簡単に 幸せになれるんだよ｣って｡ ♬～ ごはん作ったよ｡ これ パパとママ｡ さて 今日の ごはんは 何円でしょう？ 50円… かな？ ママ｡ ごめんね｡ ごめん…｡ ♬～ [無線] もしも～し｡ お～い 買い物してないか？ 鋭いね｡ [無線](岩田)やっぱりな｡➡ 今 どこ？ すぐ行くから 一緒に 飯 食おうよ｡ ♬～ 私ね… 一人になるのが 怖かっただけなんだと思う｡ [無線](岩田)えっ？ だから もう大丈夫｡ 一人で大丈夫｡ ♬～ <信じられない罪を 犯してしまった時➡ 果てのない旅が始まったと 思っていた> <でも 本当は 答えは ずっと 私の中に あったのだ> ♬～ <自分を探して 逃げるのではなく 愛してみよう> ♬～ <その時 私は 本当に どこへでも行けるのだから> ♬～ ﾏｲ ﾈｰﾑ ｲｽﾞ ﾘｶ･ｳﾒｻﾞﾜ｡ ♬｢うん 分かってる｣ ♬｢手放さなくちゃ｣ ♬｢手放さなきゃって｣ ♬｢And I know what I know｣ ♬｢I know what I know｣ ♬｢どんよりした 部屋にも｣ ♬｢And I know what I know｣ ♬｢I know what I know｣ ♬｢私が帰る場所｣ ♬｢それは 聞こえてる子守唄｣ ♬｢鳴り止まぬ この子守唄｣ ♬｢迷子になる その前に｣ ♬｢分かってる 今｣

交渉人〜THE_NEGOTIATOR〜２nd＃09

1 （宇佐木玲子） あなたが…→ サマー・クロース…。 （木崎誠一郎）サマー・クロースは 高林の息子だ！ 澪をどうするつもり？ （高林直樹）「あなたが降りたら そのバス　爆発しますよ」 「忘れていませんか？ 僕が爆弾を作れるって事」 （乗客たちの悲鳴） （直樹）「遠隔操作で起爆します」 （桐沢圭吾）サマー・クロースが 行動を開始しました。 （工藤幹夫）地図も同封されていた。 宇田川第５倉庫に　印がついてる。 あなたの目的は何！？ （直樹）「宇佐木玲子…」 （直樹）あなたの命です。 ♪♪～ あなたの狙いが私の命だとしたら→ どうして こんな回りくどい事…。 もしもし？　聞こえてる？ もしもし！？ （不通音） （佐山葵）指揮本部より　各局。 宇田川第５倉庫　住所　港区南芝浦。 急行願います。 （蓮見芳樹）宇田川第５倉庫 到着まで　約７分。 ≫宇佐木さんの携帯電話 拾えませんか？ ≫はい。　宇田川倉庫…。 （桜庭健二）ダメです。 宇佐木さんの携帯 探知出来ません。 （墨田耕平）サマー・クロースめ…。 一体　どんな罠 仕掛けてやがんだ。 （八木喜一）どうしたんだ？ 電話　切れたのか？ （岸田良太）今のうちだ。 おい…　バス止めろ！ （乗客たちの騒ぎ立てる声） （直樹）「動かないでください」 「爆弾のスイッチ　押しますよ」 「そちらの様子は すべて　こちらに届いています」 （直樹）宇佐木玲子さん。 この方が　話がしやすい。 携帯電話は 妹さんに返しましたよ。 澪はどこ？　無事なんでしょうね！？ （直樹）「乗客の皆さん。 私の指示に従ってください」 １人でも妙な行動に出たら 爆弾のスイッチを押します。 ♪♪～ （直樹） 「自分だけ逃げようとしたり→ 警察に通報しようとしたり しないでください」 「運転手さん。　バスの 通信機能を停止してください」 （真里谷恭介） 玲子を守れるのは　たった１人。 …僕だけ。 俺が　なぜ ここに来てるのか　考えろ。 手ぶらじゃ帰れねえんだよ。 （真里谷の笑い声） 何がおかしい？ 死ぬよ…　玲子は。 でも　時間はある。 サマー・クロースは そう簡単に玲子を殺さない。 おもしろそうな話だな。 もう少し　聞かせてもらえないか。 （ため息） 落ち着いてください。 大丈夫ですか？ 大丈夫ですか？　ごめんね。 あなたも泣かないで。 必ず助けるから。 乗客は　私１人で十分でしょ？ 他のみんなを解放して。 お断りします。 （メールの着信音） ≫恵理菜からきた？　恵理菜から。 もう　またふざけてるよ～。 あっ　きてるわ。 まっ　いっか。 ウケる！ （直樹）「次の信号を左です」 「そろそろ見えます。 第５の倉庫が」 （蓮見）宇田川第５倉庫　到着。 （蓮見）「中へ入ります」 ♪♪～ （蓮見）高林直樹だな？ （工藤）高林？ うっ　うう…！　なんだ！？ あっ　いてっ…！ （王子隼人）サンタクロース　確保！ やった！ いや　待て！ 今　サンタクロースって 言わなかったか？ ちょっと…。　宇佐木さんは？ （王子）「いや…　それが…」 （徳島吾郎） 俺が何したって言うんだよ！ （徳島）若い男に　それを渡せって 言われただけだよ！ （徳島）話が違うじゃねえかよ！ ♪♪～ ウサギ…。 なぜ　こんなところに 連れてきやがった…？ おちょくってるわけじゃ ないとすれば…→ 何かがある。 ♪♪～ （直樹）「着きました」 ここで何するつもり？ 私を殺したければ 私だけを殺しなさい。 （直樹）「慌てないでください」 「もちろん あなたには死んでもらいます」 そう。　じゃあ 他の人たちは必要ないわね。 （直樹）「いいえ。　必要なんです」 （真里谷）玲子にとって 一番幸せな死に方って→ どんなのかわかる？ さあな。　教えてくれ。 自己犠牲だよ。 大切な市民を守り 自分１人だけが死んでいく。 なるほど。　あいつらしい。 でも。 サマー・クロースは そんな死に方　絶対に許さない。 どんな死に方を与えるんだろうな。 …絶望と後悔だけが残る死。 玲子は 人間に絶望して死んでいく。 人を信じ　守ろうとした自分が 間違っていたと→ 後悔して死んでいくんだ。 それがサマー・クロースの目的か。 玲子の死を見るために→ でっかいステージと仕掛けが 用意されている。 （蓮見）「サマー・クロース 高林直樹と思われる人物の→ 目撃情報あり」 「目黒区新町の喫茶店で 若い女性と一緒だった模様」 宇佐木さんの 妹さんじゃないですか？ 人質にされてるのか？ まずいですよ！ 早く　付近一帯を封鎖しないと！ 出来りゃあ　すぐにやってるよ！！ （片山一義）非常事態です。 一刻の猶予もありません！ どうか　高林直樹の全国指名手配と 緊急厳戒態勢の発令を！ 弓坂警視正！　お願いします！ （弓坂史子）ツバ飛ばさないで。 （平井由希子）お願いします！ この子だけでも助けてください！ （岡本敏子）家に帰してください！ （乗客たちの騒ぎ立てる声） （直樹）「皆さんが助かる方法が １つだけあります」 「宇佐木さん 拳銃を出してください」 「早く」 （八木）持っているなら 出しなさい！　早く！ （直樹）「その銃口を 小柳郁夫に向けて」 「その男は　人生の半分を 刑務所で過ごしたような奴です」 「あなたの　その手で 処分してください」 「銃弾１発につき　１人解放します」 「車内には　その男以外に あなたを含めて９名」 「９発で　全員解放されるんです」 （小柳郁夫）やめてくれ…。 やめてください！ （小柳）許してください…。 （直樹）どうしましたか？ 他の乗客の皆さんを見てください。 たくさんの罪を犯してきた その男に比べたら→ 皆さん　善良な市民です。 「あなたが守るべき 善良な市民です」 「さあ　守ってください」 …撃てない。 （直樹）「え？」 「なんですって？　聞こえませんよ」 撃たない！ （直樹）「へえ。　あなたは そこにいる罪のない人たちを→ 見捨てるんですね」 「皆さん　どう思いますか？ 見捨てられましたよ」 （岸田）…撃てよ。 あんた　刑事だろ？ 撃ち殺せよ。 そうだ！ 私たちは巻き添えを食ったんだ。 悪いのは　あんたや　この男だ！ なんとかしてくれ！ 責任取って　さっさと撃てよ！ （若山あずさ）撃っちゃえ！ （直樹） 「他の皆さんも訴えてください」 「それで　皆さんは助かります」 （敏子）撃つ場所　気をつけたら→ 死ぬような事は ないんじゃないの？ （敏子）指先とか　ふくらはぎとか 耳たぶとか撃ったらどうなの？ （由希子） １発だけでも撃ってください！ この子　まだ５歳なんです！ （岸田）１発だけってわけ いかねえだろ！ ９発だ！　９発！ （八木）撃たないなら それ　よこしなさい。 （岸田）そうだ。　よこせ。 俺が撃ってやるよ。 ♪♪～ 人を信じるウサギが 試されてるって事かよ。 …だったら　大丈夫だ。 あいつの信念は 何があっても変わりはしねえ。 俺や　お前なんかの手に負えない 厄介な女だよ。 宇佐木玲子は。 （直樹）そこの女子高生の君。 （直樹）君 さっき　宇佐木さんに言われて→ 助けを求める メールを送ったでしょ？ （直樹）「そんな事しちゃ ダメだって言ったのに…」 「君にも罰を与える」 「拳銃を奪い取りなさい」 「奪い取らなければ 君を真っ先に殺しますよ」 ♪♪～ よしなさい。 他の皆さんも　死にたくなければ 行動を起こしなさい。 （直樹）「あなたたちの手で その男を殺しても構いません」 ♪♪～ （佐竹紀夫）あんたなんか… 乗せるんじゃなかった。 （直樹） 「自分たちが生き残るためです」 拳銃をよこせ！ 俺がやってやる！ （岸田）おらあっ！ あっ！ どけ！ ううっ！ （殴る音） あっ…。 （殴る音） うりゃーっ！ （岸田の荒い息遣い） わからないの？ みんな　試されてる。 あなたたちの姿を見て あの男は　あざ笑ってるのよ！ （岸田）どういう事だ？ 人の心に潜む　闇や悪意…。 それを　あなたたちを通して 私に見せたいだけ！ 踊らされないで！ 今　あなたたちが見せてるのは 闇でも　悪意でもない！ 人として　生き残りたいという 本能でしょう？ 誰だって…→ 人を犠牲にしてでも　自分だけ 助かりたいと思うものよ。 でも　私から　この拳銃を奪った時→ この人に手をかけた時…→ あなたたちは 一線を越えてしまうの。 ♪♪～ 越えないで…。 そこに踏みとどまって。 （泣き声） （由希子）大丈夫！　大丈夫よ！ （平井のぞみ）ママのお顔　怖い！ （のぞみの泣き声） 大丈夫よ。 私は誰も死なせない。 全員助けてみせるから！ （直樹）「愚かな人たちだ」 「あなたたちも　同じ偽善者ですね」 （桜庭）他に 大勢　人質がいるって事ですか？ そうだ。 ウサギは　そういう状況に 置かれている可能性が高い。 （王子）なんのために？ 試されてるんだよ。 宇佐木さんが？ ウサギだけじゃない…。 俺たちもだ。 （メールの着信音） （墨田の舌打ち） なんだよ　こんな時に。 すいません。 （菅原由美） 聖カルロ女子高　ミホ？ ≪（ノック） （工藤）おじゃましますよ。 （葵）ちょっと！　部外者は…！ （工藤）部外者じゃねえよ！ サマー・クロースは 宇田川第５倉庫を指定してきた。 それも　俺を使ってだ。 そこに　なんかあると思わんか？ …俺たちへのメッセージか。 俺や　あんたたちを翻弄する中で→ 何かヒントめいたものを 与えてきたのかもしれない。 さっきの倉庫街が　ここだ。 （工藤）こっちにも 似たような倉庫街がある。 第５倉庫は　ここにもある。 ちょっと…　これ…。 これ　ちょっと見てくれ。 （桜庭）「マジやば バスジャック　ころされる～」 なんですか？　これ。 （墨田）いや　これはだな…。 女子高生のお友達から 送られてきたチェンメ。 女子高生のお友達！？ そんな事は　どうでもいいんだよ。 これ… なんか　ひっかからないか？ （王子）女子高生のいたずらにしか 読めませんが…。 （墨田）そうか？ バス会社に確認しろ。 連絡がつかなくなってるバスが あるかどうか。 よっし。 （一同）はい！ ひとつ聞いていい？ あなた　お父さんとは どういう関係だったの？ それがどうしました？ お父さんは あなたの行動を知って→ なんとか それを止めようとしてた。 だから　最後は　身をていして 弓坂警視正をかばったの。 （銃声） お父さんは　弓坂警視正を 助けたかったんじゃない。 あなたを救いたかったのよ！ 「これでいい」…。 それが最後の言葉だった。 あなたにだって　お父さんの 気持ちは伝わってるはず。 だから　あの事件のあと→ あなたは連絡をしてこれなかった。 それは…。 （直樹）「ねえ…。　まだ続けるの？」 「笑いこらえるのに 必死なんですけど」 親子の情に訴えれば→ 僕が泣き崩れるとでも 思ったんですか？ （直樹）「ひとつ いい事を教えてあげます」 「僕　父さんが飛び出してきたの ちゃんと見てましたよ」 （銃声） 父親だと認識して 撃ったっていうの？ （直樹）「そうですよ」 なんで！？ （直樹）「足を引きずって→ よたよたと出てくる 無様な姿を見たら…→ 殺したくなりました」 「僕が憧れていた父とは 別人でしたから」 （直樹）「死ねよ と思って撃ちました」 「まだ何か質問はありますか？」 ２時間前から連絡がつかず→ 路線から消えたバスが あるんですね？ （桜庭）港南地区を走るバスですね。 この辺だよ。　見なさいよ。 ビンゴだ！ ♪♪～ （桜庭）木崎さん！？ （墨田）あれ？　死んでなかったの？ 大丈夫か？ 見てのとおり重症です。 サマー・クロース 絶対に許さねえ！ 行くぞ。 （直樹）「やっと気づいたようですね 宇佐木さん」 「交渉も説得も 通じない相手がいるって事に」 諦めたわけじゃないから。 （敏子）ここよ！　助けて！ ここよ！ おい！　早く来い！ （敏子）助けてー！ （岸田）おーい！　おーい！ ♪♪～ （直樹）「待っていたんですよ 彼らが現れるのを」 「これで全員　そろいましたね」 「聞いてください」 「（電話の呼び出し音）」 「はい」 （直樹）「桐沢警視ですね？」 そうだ。 （直樹）「目の前の第５倉庫→ そこに何があるか ご存じのようですね」 「ニトロセルロース…」 （直樹）「もし　倉庫が爆発したら→ どうなるかも　おわかりですね？」 ああ。　大惨事だな。 （直樹）「５分後 倉庫にバスを突入させます」 「突入と同時に　バスに仕掛けた 爆弾のスイッチを押します」 爆弾処理班は？ 手配済みです。 （直樹）「その結果 どうなるか　おわかりですね？」 「あなたたちも 逃げられないでしょう」 突入なんてさせない…！ （直樹）「運転手の佐竹紀夫さん」 はい？ 「小学生のお嬢さんが いらっしゃいますね？」 「上大崎小学校５年２組 佐竹麻衣ちゃん」 「まだ自宅に戻ってないはずです」 麻衣をどうする気だ！？ やめてくれっ！ （直樹）「お嬢さんを助ける方法は ただひとつ」 「５分後に倉庫に突入する事」 はぁ…！ 運転手の娘　確認しろ。 とことん腐った野郎だな。 ５分じゃ　お前… 逃げようがねえな。　逆探は？ ダメです。　なんらかの細工を しているようで…。 なんとかしろよ！ 近くにいるはずなんだから！ わかってます！ そこまで筋書きが 決まってるんなら→ これ以上　話しても無駄だな。 （直樹）「では… 別の筋書きにしましょう」 「桐沢さん　あなたが今すぐに バスを爆発しろと言えば→ スイッチを押します」 「そうすれば被害はバスの中の人間 １０名だけで済みます」 （岸田）ふざけるなっ！ （直樹）「桐沢さん その程度の被害なら→ 警察の力で事故として 握りつぶせますよね」 「あと２分」 迷う余地はない。 どうしろと…。 我々が守らなければならないのは 警察の威信。 市民が警察を信頼しなくなったら 治安国家は崩壊する。 多少の犠牲は　やむなし。 １０名の命が　多少の犠牲と 言えるんでしょうか！？ あなたの価値観は問題ではない。 はい。 （弓坂）「桐沢管理官 被害を最小限に食い止めなさい」 もちろん　そのつもりです。 何をするべきか わかっていますね？ はい　わかっています。 すべて　あなたに任せます。 「はい」 （直樹）「あと１分」 「桐沢さん　お返事は？」 「ウサギ　聞いてるか？」 「お前は間違っていない」 「甘利の時も…　今回も」 （直樹）「桐沢… それがお前の答えか？」 わかった。 桐沢さん　運転手の娘は無事で 自宅で保護されました。 （直樹）「どうなんだ？　桐沢 答えろ！」 お前は黙ってろ！ 俺はウサギに話をしてるんだ。 チーフ…。 「ウサギ…→ 俺はな お前を部下に持てて幸せだった」 だから　お前に付き合って 死んでやるよ。 チーフ　どうしちゃったんですか？ わからんのか？　計算だ。 高林はウサギに 無様に死んでほしいはずだ。 褒めたたえられて死なれちゃ 困るはずだ。 とっくに５分すぎてるよ。 運転手さん お嬢さんは無事ですよ。 （直樹）「ここまでだ」 お前たち　全員　処分する。 （笑い声） （乗客たちの叫び声） 伏せて！ ≫（銃声） どうして…！？ 俺　１人が…　死ねばいい…。 あんたたちまで 死なせたくない…。 早く…　うっ… みんなを外へ…。 みんな　逃げてくれ！ あんた…　いい人だな…。 こんな俺を守ってくれた…。 ウサギ！　待避だ！ ウサギ　どけ！ 蓮見！ 安全圏まで待避！ （一同）はい！ ウサギ　行くぞ！ ♪♪～ よっしゃ！ （桜庭）「居場所わかりました」 どこだ？ 「すぐ近くです。　港南新町です」 （携帯電話） （直樹）「助かったと 思いましたか？」 「あそこで爆発させたら→ あなたは名誉の戦死を遂げた 英雄になってしまう」 「そんなのは絶対許せない… ０点だ」 （宇佐木澪） 「お姉ちゃん！」 澪！？ （銃声） （澪）うっ…　あっ！ お姉ちゃん！ 宇佐木さん　これが最後です。 僕を撃ち殺してください。 それで１００点満点です。 （直樹）撃たなければ… 僕が撃ちますよ。 （銃声） あなたは僕を殺した事を 悔やんで生きていけばいい。 私は…　誰も殺さない。 フッ…　ハハハハッ ハハハハハッ！ （直樹）ハハハッ… ハハハハハッ！ （直樹）さあ…　撃て。 撃て。　撃て。 撃てぇーっ！ （銃声） （澪の叫び声） 澪！ 見てろ…　妹が死ぬ姿を。 （銃声） チーフ…。 （銃声） 澪！ （澪）うぅ…。 （澪）お姉ちゃん…。 （澪の泣き声） ♪♪～ （弓坂） 事件の経過を精査した上での→ 総合的な状況分析の結果→ 桐沢警視の拳銃使用には→ 違法性はなかったものとする。 以上。 桐沢管理官。 はい。 私見ですが あなたは私の指示どおりに動き→ 事件を解決に導いた。 それは高く評価します。 宇佐木警部補。 はい。 あなたは私のもとで働きなさい。 私の椅子の座り心地を 味わいたければの話ですが。 ありがとうございます。 しかし　私には 現場が向いております。 問題　女性警察官が のし上がるために必要なものは？ 答え　かわいげ。 あいにく　そういったものは 持ち合わせておりません。 失礼します。 ♪♪～ （墨田）何はともあれ 年越さなくて　よかったよ。 しかし　僕は感動しました。 木崎さんが宇佐木さんのために その体で駆けつけるなんて…。 そんなんじゃねえよ…。 僕は生理的に→ 浪花節は受けつけませんけど。 そんなんじゃねえ っつってんだろ！ ちょっと動かないでください！ うっ…。 もういいから　こんな奴は 放っとけよ　もう　このー！ 今度のクリスマスだけどさ→ いいお店　見つけたんだよ。 ほら　これ。 予定入ってます。 あっ　そう。 あっ　僕　空いてますけど。 僕も空いてますよ。 玲子には 二度と会えないと思ってた。 そう簡単に死なないわ。 僕より先に死ぬわけがないよね。 僕の死刑執行は ちゃんと見届けてよね　その目で。 何？ やっぱり…→ もう会えないかも…。 ♪♪～ 警察の汚点には　一切触れずか…。 この国は　救いようがねえな。 ♪♪～ うっ…　あ…。 あっ…！ はぁ…　はぁ…。 うっ…！ ♪♪～ （銃声） （乗客たちの悲鳴） 何をした！？ ハイジャックだ！ 我々　政府は→ １５９人の命を 犠牲にしてでも→ 国の体面を 取るべきだと！？ 御堂啓一郎氏を 即刻　釈放する事。 もう降りられないぞ。 わかってる。 彼らは死ねと言えば 死にますよ。 （爆発音） そう来たか…。 ♪♪～ 民間機を 撃墜するのか？ こいつは あと１時間も飛べない。 どういう意味！？ ウサギ　必ず無事に 機を下ろせ！ はぁ　はぁ…。 （乗客たちの悲鳴） あっ…　ううっ！ ♪♪～

ホテル・コンシェルジュ＃01

1 (紺野)天野 意外と似合ってるぞ その制服 (塔子)ありがとうございます (二階堂)Apparel makes the man 馬子にも衣装？ (牧原)頑張れよ おう！ おはようございます 本城さん 本日付で料飲部から異動してきた 天野塔子です よろしくお願いします (三上)助けてください！ どうしよう… 601号室の三上様です (本城)いかがなさいましたか？ ないんです 部屋中探したけど あの 何をなくされたんですか 契約書です 上海に➡ 持っていかなきゃいけないのに 封筒に入っていましたか (三上)うちの会社の水色の封筒に 落とし物には届いていません もう おしまいだ フライトは何時ですか？ ≪(三上)11時 羽田発です ２時間後？ 荷物をまとめる お手伝いを はい 天野 三上様がここに戻られる までの行動を伺ってｲﾝｶﾑで流して 分かりました 三上様 お部屋のほうへ えッ でも あの… 大丈夫です お任せください はい 昨日 契約書を受け取られてから どうされましたか (三上) 丸の内の先方の会社を出て… ﾎﾃﾙﾌｫﾙﾓﾝﾄの本城と申します どうぞ (三上)ありがとう (和代)ないですね あ～ッ！ はッ！ えッ これじゃ飛行機に乗れない！ 直してきます そんなことﾎﾃﾙで できんの？ できます どうしたの？ 三上様が すぐに ﾁｪｯｸｱｳﾄできるよう手続きを 冷蔵庫の利用はなし ビルを出してください 了解です 牧原 羽田までのタクシーを１台確保 了解しました すいません 通ります！ あッ いた！ 西崎さん 壊れちゃって できる？ ちょっと ねえねえ 何分で できる？ はッ？ はやッ さすが名人 よし！ パンツ？ ヤバッ 気をつけなきゃ ありがとう よいしょ こっちか はあッ もう見つかりませんよね まだ時間はありますから ありがとうございます はい お待ちしております 三上様 見つかりました えッ？ 昨夜 ご乗車されたﾀｸｼｰに 置き忘れていたそうです ホントに？ はい 近くにいらっしゃいますので 届けに来てくださいます よかった ありがとう ありがとう 君は救世主だ！ よかったですね 三上様 ありがとうございました 勉強になりました 私も早く 一人前の ｺﾝｼｪﾙｼﾞｭになれるよう精進します ここには１日 100件から200件の お客様からのﾘｸｴｽﾄがある 俺からの指示は３つだ どんなﾘｸｴｽﾄにも対応すること はい ２分以内に 何らかの提案をすること はい それから 答える必要のない質問はするな 無駄話は禁止だ 自分のケツは自分で拭け 以上 (小声で) えッ？ ３つじゃないじゃん 内容的には３つだ (小声で)地獄耳 How can we help you？ Yes, I was wondering if you could tell me how to get to Shibuya Scramble Crossing？ If you take the train, You need to use Daiba, Shimbashi and Shibuya stations (海宝)ありがとう (小松)お待ちしておりました (泉)いらっしゃいませ ≪(従業員)ようこそ ﾎﾃﾙﾌｫﾙﾓﾝﾄへ (朝子)よいしょ 海宝様 いらっしゃいませ (沙知)よろしくお願いします お願いします 本日は お誕生日おめでとうございます あッ どうもありがとう (鷲尾)海宝様 お帰りなさいませ ≪(海宝)どうも ≪(沙知)あら お待ち申し上げておりました 総支配人が お出迎えしてくださるなんて 本日のﾊﾞｰｽﾃﾞｰﾊﾟｰﾃｨｰが 成功しますよう ｽﾀｯﾌ一同 精いっぱい 努めさせていただきますので お部屋のご準備できております ご案内いたします どうぞ 総支配人 随分 早く出てきてくださって 変わらないね 素敵なご夫婦だな ようこそ ホテルフォルモントへ ≪(奈央)ﾌｧｯｼｮﾝ界のｶﾘｽﾏですから ｻﾁﾌﾞﾗﾝﾄﾞの ｳｴﾃﾞｨﾝｸﾞﾄﾞﾚｽを着ると離婚しないって (美咲)都市伝説的なのは うさんくさいけど (奈央)でも 本人も旦那さんと いつも一緒で仲よさそう 理想の夫婦ですよね～ (亜里砂)すみません シーツもタオルも 全て１枚足りません こちらでございます やっぱり このお部屋は いいわ ねえ (海宝)うん 結婚式で 利用させてもらって以来➡ 大切な日は ここにいないと しっくりこないんですよね ありがとうございます 最終的な出席者の人数は 145名で頂戴しております 分かりました こちらから… おッ どうですか？ 新米コンシェルジュは 総支配人は なぜ 天野をｺﾝｼｪﾙｼﾞｭに 抜てきされたんですか？ まあ 光が見えたから かな いずれ 君にも分かるときがきます 君達コンシェルジュは ホテルの顔になるでしょう 明日には新任のﾍｯﾄﾞｺﾝｼｪﾙｼﾞｭも 来ることですしね 総支配人が ﾍｯﾄﾞﾊﾝﾃｨﾝｸﾞされたんですよね？ 伝説と呼ばれている 素晴らしい人ですよ 伝説 ですか… (鷲尾)天野君 総支配人 なかなか 様になってるじゃないですか どうですか？ 初仕事は まだ 感想を言える段階にも たどりつけていないというか ハハハ… 大丈夫 君ならできます はい (電話のベル) ｺﾝｼｪﾙｼﾞｭﾃﾞｽｸでございます 海宝です ちょっと来ていただけるかしら かしこまりました すぐに伺います 本城さん 海宝様… (英語で話している) (ノック) コンシェルジュでございます こんにちは (翼)こんにちは ママ ホテルのお姉さん来たよ どうぞ 失礼いたします ご用件を承ります 今日のお料理 試食させていただけるかしら？ ご試食ですか？ やっぱり 確認しておいたほうが いいと思って かしこまりました シェフに確認いたします すいませんね 妻が勝手なこと申し上げまして よろしくお願いします はい (富永)無理！ えッ？ ﾛｰｽﾄﾋﾞｰﾌは切り分けたら 会場に出すとき見栄えが悪い 何とか お願いできないでしょうか 無理！ まずい… (富永)これ 誰が作った？ 作りなおせ 富永シェフ お願いします いくら天野の頼みだって無理だ 計算して食材揃えてるんだ すみません でも いつも予備の 予備まで準備されてますよね それは 不測の事態に備えて… お願いします！ ご試食の準備をさせていただいて おりますので 少々お待ちください ありがとう 無理を言って すいませんでしたね それから 一つ変更をお願いしたいの はい 何でしょうか？ 会場のお花に ｶｻﾌﾞﾗﾝｶが入ってるわよね 全部 白の胡蝶蘭に変えてほしいの えッ？ カサブランカを 白の胡蝶蘭にですか？ 来賓でいらっしゃる フランス大使の奥様 香りが苦手なんですって お姉さんはママのお願い 何でも聞いてくれるの？ そうよ お姉さんはね ママだけじゃなくて ホテルにいる人 みんなの願いをかなえてくれる➡ コンシェルジュっていう お仕事してるの へえ～ッ すごいんだね コンシェルジュさん (沙知)コンシェルジュ 分かりました お任せください よろしくお願いします 失礼いたします ママ 見て できた わあッ 上手 ねえ ママのほうが上手ですよ 翼 ちょっと向こうの部屋行って シッターさんと遊んでてくれ➡ ママと お仕事の話があるんだ はい ごめんね 向こうで遊びましょう はい これ 今日のドレス？ ええ 着てみせて えッ 今？ そう 今 はい (珠久里) 心配しなくて大丈夫ですよ いらっしゃいませ 今日は10年おつきあいされてる 彼女の誕生日の記念に 初めて こちらでご宿泊されるそうです ありがとうございます (渡辺)ああ いや 相談に 乗ってもらったほうがいいですよ 聞くだけタダですから 遠慮なさらず 何でも お申しつけください (小声で)誰？ ﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞはｻﾌﾟﾗｲｽﾞがいいんじゃ えッ プロポーズ？ 何で分かるんですか？ 給料３ヵ月分の指輪じゃないかと すごい 当たりです 俺 花の市場で働いてて このﾎﾃﾙに 時々 花を届けに来てると話したら 彼女 うらやましがってたんで ここにしたんです ぜひ プラン作り お手伝いさせてください お願いします お二人のこと聞かせてください 初デートは どちらで？ ひまわり畑です あｯ お部屋に ひまわりのｱﾚﾝｼﾞﾒﾝﾄ 置きましょうか ありがとうございます 彼女喜びます 黄色 好きだし では 黄色のバルーンとかで お部屋を飾りつけしましょうか ≪(渡辺)お願いできるんですか？ はい (海宝)ホントに それ着るつもり？ 露出が多すぎだよ 年を考えないと でも このデコルテのラインが うちのブランドの売りでしょ 見苦しいと思わない？ 僕は君のために言ってるんだよ パーティーの主役が恥をかいたら かわいそうだと思って (丹後) はあッ？ 無理に決まってるっしょ ｶｻﾌﾞﾗﾝｶが苦手なお客様が いらっしゃるそうでして… お持ち帰り用の花 全部用意したし 申し訳ないんですけど (丹後)そもそも 白の胡蝶蘭をこれだけの数 夕方までに集めるなんて無理 そこを何とか お願いできないでしょうか あいつ… お願いします ≪(丹後)無理 勝手なことをするな！ すみません ですが 海宝様が… 白の胡蝶蘭は無理でも しゃくやくとｶﾗｰなら可能ですよね それは明日のｲﾍﾞﾝﾄで使う分だから お願いします こちらも時間がありません それで その客は納得するのか？ ご説明して納得していただきます ですが 海宝様は白の胡蝶蘭と… お願いします 陸 ｶｻﾌﾞﾗﾝｶを しゃくやくとｶﾗｰに変更 (池上)えッ？ ≪(丹後)｢えッ？｣じゃねえ なぜ 勝手にＯＫした そのせいで どれだけのｽﾀｯﾌに 迷惑かかるか分かってんのか 全てのリクエストに 対応すべきかと お前 この仕事ナメてんのか？ いえ ただ ｺﾝｼｪﾙｼﾞｭは NOと言わないのが鉄則だと… ＮＯと言わないっていうのはな できないことを できるって嘘つくことでも できもしないことを 安請け合いすることでもない ここのスタッフは みんなプロだ その仕事に口出す側も プロとしての仕事を するべきじゃないのか お前は何を考えた？ 最善の方法を 考える努力はしたのか？ コンシェルジュはな ただの伝言係じゃない より華やかに 海宝様のイメージに 合うよう仕上げますので ご了承いただけないでしょうか じゃあ お任せします ありがとうございます 新人さんに本城さんと 同じﾚﾍﾞﾙのｻｰﾋﾞｽを期待するのは 酷だったわね 本当に申し訳ありませんでした 今後は全て 私が対応させていただきますので 失礼いたします 海宝様の前に もう姿を見せるな 気分を害される この部屋とパーティー会場は 出入り禁止だ いいな はい なぜ 僕の許可もなく 勝手に返事をしたのかな？ ごめんなさい 君に その権限があんの？ 白の胡蝶蘭がよかったのに すみません でも 豪華にしてくださるって 君は僕とﾎﾃﾙの人間 どっちを信頼するの？ 君みたいなダメな人間が カリスマっていわれてんのは 誰のおかげなんだっけ？ あなたです ｶﾘｽﾏﾃﾞｻﾞｲﾅー･海宝沙知を つくったのは君じゃない 僕だ (沙知)すみませんでした かつ丼ください 大盛りで ≪(安藤)はいよ ごめん 今 話しかけないで 超むかついてるから 自分に！ (安藤) は～い かつ丼大盛り お待たせ どうも ほいほい ほいほいほい 何かあったんだ 天野さん むかついてると バカ食いするから (携帯着信) はい 天野です ☎(渡辺) もしもし 渡辺といいますが あッ 渡辺様 実は急な仕事が入っちゃって 何時にそちらに着けるか… 落ち着いてください 渡辺様 しゃくやくを 千葉の農園まで 取りにいかなきゃいけなくなって もしかして うちのﾎﾃﾙからのｵｰﾀﾞｰですか？ はい 明日の分が足りないから 今夜中にって 申し訳ありません 渡辺様にまで そんなご迷惑を 大切な サプライズの日だというのに まどか ﾎﾃﾙに向かってるんです 田中まどか様は 私どもで ご案内させていただきます どうしよう プロポーズの計画が… 別案を考えます 渡辺様は一刻も 早く こちらへいらしてください お待ちしております 失礼します はあッ [TEL](牧原) 渡辺様のお連れ様 ご到着です えッ？ 田中様でいらっしゃいますか？ (まどか)あの… 渡辺様から 言づかっておりますので あッ 何かすいません お預かりいたします (二階堂)いらっしゃいませ いらっしゃいませ 田中様のご到着です いらっしゃいませ (美穂子)ノット エレガント (和代)いいな～ サプライズ 私も いつか やってもらいたいな～ (携帯着信) 客室係の高垣です コンシェルジュ 天野です あの… 分かりました 撤収です ≪(和代)えッ？ (亜里砂) お花だけ残して あとは全部 (和代)えッ えッ 何で？ (牧原) こちらのお部屋でございます➡ どうぞ お入りください カワイイ ウェルカムドリンク 待ってくださ～い！ ちょっ ちょっ ストップ ノット エレガント (成沢)待っていたよ 片桐君 お世話になります 成沢社長 ｲｷﾞﾘｽの名門ﾎﾃﾙで 働いてきた君から見た このホテルの感想は？ ノット エレガント 一流ではありません やはり そう思うか はい (ノック) 失礼いたします お呼びでしょうか 鷲尾総支配人 今日から 経営戦略室ｾﾞﾈﾗﾙﾏﾈｰｼﾞｬｰとして 来てもらうことになった 片桐君だ ご無沙汰しております 鷲尾総支配人 お久しぶりです ≪(成沢)そうか 君達は前にも一緒に働いていた ことがあったんだったね はい ならば 話が早い 率直に言おう 私は このホテルを 誰もが高い金を出してでも 泊まりたいと思う➡ つまり 客単価の高い ホテルにしていきたい おもてなし重視の 日本流のやり方では 無駄が多くて コストパフォーマンスが悪すぎる 総支配人が力を入れている コンシェルジュ 数字に結びつかない 無駄なサービスだと思うがね 数字に直接は 結びつかないかもしれませんが お客様の満足度につながります ので 必要だと思っております うん イギリスの一流ホテルでは ｺﾝｼｪﾙｼﾞｭの品格が そのﾎﾃﾙの格を 決めるといわれております そのｺﾝｼｪﾙｼﾞｭがいるﾎﾃﾙに 泊まりたいと ﾘﾋﾟｰﾄしてくださるお客様も 多くいらっしゃいます ≪(成沢)ほお このホテルを 名実ともに一流にするためには コンシェルジュの品格を 向上させるのがよろしいかと 現状は 質が悪いようですから 徹底的な教育が必要ですが そういうことなら 片桐君 君に期待しよう 私は このホテルフォルモントを 名実ともに一流にするために まいりましたので 頼もしい フフッ (鷲尾)元気でしたか？ 天野塔子 彼女は異動させましょう➡ ｺﾝｼｪﾙｼﾞｭには ふさわしくないわ 彼女は料飲部にいたんですが 僕が抜てきして 今日からコンシェルジュに なったんです あなたが彼女を？ (ﾊﾞｲﾌﾞﾚｰﾀｰ着信) ええ はい ☎総支配人 ☎海宝様のﾊﾟｰﾃｨｰのお客様 ご到着されています 分かりました それじゃ (小松)ようこそ ﾎﾃﾙﾌｫﾙﾓﾝﾄへ (泉)ようこそ ﾎﾃﾙﾌｫﾙﾓﾝﾄへ (岩橋)いらっしゃいませ いらっしゃいませ いらっしゃいませ ≪(従業員Ａ)同じ作業をするな 時間がないから分散してやれ (従業員Ｂ)間もなくｹﾞｽﾄご案内です 各ﾊﾟｰﾄ急いでください (従業員Ｃ) ｶﾆと赤ﾋﾟｰﾏﾝのﾑｰｽ 入りました (従業員Ｄ)ボルドー用のグラスに 変更 急いでくれ ドラセナが足りない はい！ (鷲尾)さあ もう おみえになる 間に合いますか？ 分かりません いらっしゃいませ どうぞ いらっしゃいませ (翼)あッ コンシェルジュさん！ あッ 翼君 どうしたの？ あのね コンシェルジュさん 僕のお願いも聞いてくれる？ うん 何かな？ このメダルに 魔法をかけてほしいんだ あッ これ ママへの誕生日プレゼント シーッ ダメだよ 内緒なんだから ごめんごめん 何の魔法かけるの？ 僕が正義の味方になれる魔法 正義の味方？ 僕 ママのこと守りたいんだ でも 弱虫だから… う～ん 翼君は 誰からママを守りたいの？ パパ ママ いつも いじめられてて かわいそうなのに 怖くて助けに行けないんだ 僕 強くなりたい 分かった 魔法かけるね うん よし コンシェルジュパワー チャージ！ はい ありがとう (海宝)翼 こんなとこにいたのか ほら行くよ はい (小声で) 翼 人前では ちゃんと笑いなさい はい (拍手) 皆様 本日は お忙しい中 お集まりいただきまして ありがとうございます ママ！ 翼 わ～ッ お誕生日おめでとう ありがとう 沙知 ハッピーバースデー ありがとう お写真 ありがとうございました ありがとうございます 大丈夫ですか？ ありがとう お気をつけて (沙知)驚いた ごめんなさい ≪(鷲尾)重いですもんね ≪(沙知)ﾊﾞﾗﾝｽが… (ﾊﾞｲﾌﾞﾚｰﾀｰ着信) はい 天野です ☎(渡辺)あッ 渡辺です ☎すいません 向かってるんですが 渋滞してて 何時になるか… あッ そうですか サプライズでの別案なんですが… ☎あの 今日 プロポーズやめときます えッ？ ☎食事にも間に合わなかったし ☎うまくいく気がしないというか あッ でも… ☎色々考えてもらったのに ホントすいません えッ… (電話が切れる) え～ッ ため息をつくな すみません 田中様 キレイな夜景ですね 私も初めてここに来たとき 感動しました あれは？ チャペルなんです いいですね 私も あんな素敵なところで やってみたかったな ぜひ 田中様も あの 何か おありになったんですか？ いえ 何も 何にもないんです 10年も つきあってるのに 私も もうすぐ30だし このまま ずるずるいくのは嫌だから 今日 はっきりさせようって 決めてきたんです でも 彼 来られるか分かんないし これも運命なのかなって いや そんなことないです あの… もういいんです 待つの疲れちゃいました どうしよう… すれ違ってるだけじゃないかな そうだよね ありがとう あッ 渡辺様 ホテルフォルモントの天野です あの やっぱり やりましょう サプライズ お帰りなさい 翼 ただいま～ 今日のママ すっごく かわいかったよ ホント？ 翼 はい 今日は ｼｯﾀｰさんと一緒に帰りなさい えッ？ でも 今日は翼も一緒に… お願いします はい 翼君 お支度しましょう はい 翼が帰るなら私も帰ります 君は ここに泊まる➡ 君の行動を決めるのは僕だ 総支配人 どうしました？ あの お願いがあります 何ですか？ 使用を許可していただきたい 場所があるんです 渡辺様のｻﾌﾟﾗｲｽﾞ ﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞ 決行することになりました 皆さん よろしくお願いします 渡辺様のｻﾌﾟﾗｲｽﾞ ﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞやるってよ (綾乃)はい よし あれッ 翼君 帰っちゃうの？ 僕 正義の味方になれなかった えッ？ 魔法 かけてもらったのに (朝子)行きましょう ありがとうございました 悪いですね (亜里砂)あッ あの こちらはここに 置いたままでよろしいでしょうか うん？ いえ 捨ててください よろしいんですか？ ええ ゴミですから かしこまりました すいませ～ん！ あの… (丹後)何だよ 今度は 今日はもう おしまいなの 表には出せない花 もらえませんか はあッ？ 開いて 丸一日もたない花は飾れない 商品価値がなくなるから 捨てるって言ってましたよね ああ どうすんの？ そんなもん サプライズです えッ？ サプライズ！ 天野 田中様 チェックアウトの 手続き 来てるぞ 何とか阻止してもらえませんか 田中様 大変申し訳ございません 端末の調子が悪いようでして そちらで おかけになって お待ちいただいても よろしいでしょうか はい 何か お困りでしょうか？ 次のｼｬﾄﾙﾊﾞｽに乗りたいんですが [TEL]断れ 申し訳ございません 定員ｵｰﾊﾞｰになっておりまして あッ そうなんですか ﾘﾑｼﾞﾝﾊﾞｽをご用意いたしますので お待ちいただけますか じゃあ お願いします (奈央)これ 重いです (美咲)終わらせて帰ろう➡ 何やってんの？ お花男子 サプライズです えッ？ (海宝) 君さ さっき僕に恥かかせたよね 何のこと？ 総支配人に色目使ってた そんなことしてない してたよ！ 君はすぐ 男をああいう目で見るんだ 汚らわしい 謝ってくれる？ この僕に恥をかかせたんだから できないの？ すみませんでした (海宝)全然 気持ち入ってないよね ≪(海宝)伝わらないな (海宝)じゃあ 僕も帰るから (丹後)気にしないでやっていい 色とか二階堂が気にしてるけど… そういうとこ厳しいんですよ 皆さん ありがとうございます！ お前のためにやってんじゃねえよ そうそう だって気になるもの 別れようとしてる彼女と ﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞしようとしてる彼の行方 ですよね～ 間に合いますかね？ ギリギリ アウトかな セーフでよくないですか？ 何笑ってんだよ はい すいません (携帯着信) はい 天野です えッ あと30分ぐらいで着きそう？ はい かしこまりました お待ちしております あの リムジンバス まだでしょうか？ 新潟行きの 高速バスの時間があるので 渡辺様 間もなく到着予定です あッ 田中様 今日お誕生日でしたよね？ はい 申し訳ございません ｻｰﾋﾞｽのｸﾞﾗｽｼｬﾝﾊﾟﾝ まだ 差し上げていませんでしたよね いえ でも もう… ご案内いたします 海宝様 お出かけでいらっしゃいますか 急用で帰ります 家内は疲れて寝ているので このまま休ませていきます かしこまりました 12時まで あと７分 ありがとう (小松)ありがとうございました 行ってらっしゃいませ あッ 到着しました お待ちしておりました こちらへ 何が どうなってるんでしょうか 向かいながら説明します 誕生日 終わるんで はい 田中様 大変お待たせいたしました ﾘﾑｼﾞﾝﾊﾞｽのご用意ができましたので こちらへ はい こちらです どうぞ 頑張ってください➡ よし どうぞ 田中様 お待ちしておりました あの… どうぞ まどか 祐二 誕生日おめでとう え～っと あの… (小声で)言え (小声で)早く (小声で)頑張れ 俺と結婚してください 新潟で 一緒に うちの農園やろう 遅いよ もうダメかと思った (渡辺)待たしちゃって ごめん うん 絶対 幸せにするから おめでとうございます！ 皆さん ホントに ありがとうございます！ (従業員達)お～ッ！ おめでとう！ おめでとう！ あの➡ これ 高垣さん それ どちらで？ 海宝様のご主人からゴミだと えッ？ 失礼します ひどい 翼君からママへのプレゼントを ゴミだなんて… 捨てたのが海宝沙知様 ご自身だったらどうする それはないです なぜ 言い切れる ホテルには 色んなお客様が来られる その一人一人に別の人生がある 皆 同じじゃない お前の単純な 価値観と感情で決めつけるな 彼の言うとおりですね お客様は お一人 お一人 同じじゃない でも 同じようにコンシェルジュも 一人一人 違っていいんじゃないですかね 人柄もサービスも (チャイム) 翼？ 翼… 夜分にすみません お誕生日のサービスの グラスシャンパンを お届けにまいりました 少し遅くなってしまったんですが 結構よ あの… いらないって言ってるでしょ これ 翼君からです 翼君 言っていました 正義の味方になりたい パパに いじめられているママを 僕が守りたい 僕は弱虫だからって 私の魔法 全然 効き目なくて せめて 翼君の気持ちだけでも お伝えしなきゃと ここのチャペルで お式を挙げた頃は 幸せだったのよ さっきの若いお二人みたいに でも 翼が おなかにできた頃からだった 夫が私の仕事を 手伝うようになってからは 四六時中 私を監視し始めた 彼の言うとおりにしないと 怒られて 二人っきりになると 人格を 否定するようなことを言われて いつの間にか 彼に怒られないようにしようって 気持ちを先回りして 考えて行動するようになって 仕事も家庭も 彼の顔色をうかがって どうして そこまで 我慢されてきたんですか？ 世間体が悪い 幸せになれるドレスって いわれてる うちのブランドに傷がつく 自分の選んだ人が そんな人だなんて思いたくない いつか 最初の頃みたいに 戻れるんじゃないかって 彼との結婚生活を諦める 勇気も自信もなかったの なのに それに全部ふたをして 翼のためだからって 翼を言い訳にして… 私が 私が我慢すれば 波風立たずに やっていけるって思ってた でも一番我慢して 気 使ってたの 翼だったのよね 私 最低の母親よね 差し出がましいことを 申し上げるようですが それは違うと思います 翼君にとって 海宝様は金メダル 世界一のママです 私も なってみたいです 誰かの世界一に (海宝)まだﾁｪｯｸｱｳﾄもしてないのか これから海宝家 一日密着取材なんだぞ その服どうしたの？ 髪形もメイクも全然似合ってない 私 今まで自分に嘘をついてました はッ？ 勇気も自信もなくて そんなもの 君に持てるはずがない いえ 翼が持たせてくれました 何を 何を訳分かんないことを 言ってんだよ 私 やっと分かったんです 私が幸せじゃなきゃ 翼を幸せにはできないって だから 今日から自分を取り戻します (海宝)はあッ？ 今まで ありがとうございました (チャイム) はい お荷物をお預かりにまいりました ありがとう 失礼いたします 翼 行きましょう うん 海宝様 お忘れ物は ございませんでしょうか？ ありません 嘘だ… この僕に刃向かうなんて… 嘘だ… 私 少し分かった気がします コンシェルジュが どんなリクエストにも ＮＯとは言わない理由です お客様が本当に求めている答えが 何なのかを見抜く それが私達の仕事だから 違いますかね？ 言ったはずだ 答える必要のない質問には 答えない おはようございます おはよう 海宝様 このたびは 誠にありがとうございました (沙知)お世話になりました あなたの魔法 効いたわよ えッ？ 翼は私の正義の味方 ホント？ うん やった～ ありがとう コンシェルジュさん 私は全然 また伺います 翼と二人で はい お待ちしております 海宝様 お車のご準備できておりますので (美咲)まさか あの旦那がﾓﾗﾊﾗ夫だったとは 見た目じゃ分からないね 怖いっすね あｯ 今日からでしたよね 新しいﾍｯﾄﾞｺﾝｼｪﾙｼﾞｭ そう ｱﾙ･ﾊﾟﾁｰﾉに似てるんでしょ ﾌﾞﾗﾋﾟっすよね (紺野)ﾊﾞﾗﾊﾞﾗだな (美咲)どれが正解かしら➡ 楽しみだわ～ (男)すいません コンシェルジュの制服を 遅いですね 君達のチーフは 伝説の コンシェルジュなんですよね 伝説の番頭さんですね えッ 番頭さん？ ええ ｺﾝｼｪﾙｼﾞｭになってからは ２年なんですが それまでずっと 高級旅館で働いていて おもてなしの流儀を極めた方です すいません 遅くなってしまって ああ 珠久里さん 待ってましたよ いや～ッ 申し訳ありません 電車を間違えてしまって 珠久里さん 一緒に働いてもらう コンシェルジュの二人です 本城です 天野です 珠久里太一です 昨日 君達の仕事ぶり 拝見させてもらったんですが 二人のファンに なってしまいました それでは皆さん あちらにお願いします う～ん いいですね➡ 三人の並び 昨日 一日見て 気づいた改善点です 天野塔子 やはり 彼女は異動させましょう なぜ 彼女のことが 気に入らないんですか ノット エレガント 一流になる未来が見えない しかしね… あなたとは また 戦わざるをえないようね そうだ カオルは元気？ ああ 元気だ そう 何かあるな あの二人 うん うん いらっしゃいませ ようこそ ホテルフォルモントへ

家政夫のミタゾノ＃02

1 (木杉 舞)｢さあ いよいよ 最終ステージがやって参りました｣ ｢なんと このステージ 問題に正解しますと→ 持ち点が倍になります｣ ｢よっしゃー！｣ ｢どなたにも 逆転のチャンスがありますよ｣ (結 頼子)この子 最近 よく出てるよねえ｡ (花田えみり)そりゃそうですよ｡ キスパンは 今 一番 売れっ子女子アナですもん｡ キスパン？ 木杉舞アナ｡ 通称キスパン｡ お嫁さんにしたい ナンバーワン女子アナです｡ ｢逆転チャンス！｣ 木杉のキスは わかるけど パンは どこにあるのよ パンは｡ …ですね｡ ｢では 一般正解率0.1パーセントの 問題です｣ (阿部真理亜) 0.1パーセントって…｡ (有沢春希)そんなの わかるわけないじゃないですかね｡ (藤川 蘭)答えられるはず ないじゃない ねえ｡ (三田園 薫)トリプトファン→ リジン メチオニン フェニルアラニン→ トレオニン バリン ロイシン イソロイシン ヒスチジン｡ ｢正解は こちら｣ ｢トリプトファン リジン→ メチオニン フェニルアラニン トレオニン→ バリン ロイシン イソロイシン ヒスチジンでした｣ すごっ！ 全部合ってる！ えっ!? なんで こんな事まで 知ってるんですか？ 家政婦として当然のたしなみです｡ では お先に｡ 当然？ さすが！ もう１回 言って｡ ♬～ 開けて…！ ねえ！ (舞)ちょっと…！ 開けて…！ ♬～ (悲鳴) おはようございます｡ おはようございます｡ おはようございます｡ (中井達也)舞ちゃん！ 大変だったね｡ 大丈夫？ はい｡ どうにか｡ 偶然通りかかった方に 助けて頂いて｡ (玉井桃子)先輩！ 無理しないで ゆっくり休んでください｡ 私が 精いっぱい 代わりを務めますから｡ そうしたいのは山々だけど→ スタッフの皆さんに 迷惑がかかるのは→ 目に見えてるから｡ こんな事ぐらいで 番組に穴は開けられません｡ (電話) はい むすび家政婦紹介所でございます｡ はい？ (記者)木杉さん！ (記者)木杉アナ！ (記者)ちょっといいですか？ 木杉アナ お怪我は ありませんでしたか？ ご心配をおかけしました｡ 私は大丈夫です｡ ストーカーについて 何か心当たりは？ ありません｡ でも こういう卑劣な行為には 絶対に負けません｡ これからも いつもどおり アナウンサーとして→ 皆さんを笑顔に出来るように 頑張ります｡ (記者)先日 週刊誌に報じられた→ 白岡選手との交際が原因 という事はございませんか？ 白岡一馬さんとは ただのお友達です｡ (白岡一馬)残念だな｡ 今日は 朝まで 一緒にいられると思ったのに｡ ごめんね 一馬｡ 母が急に具合悪くなっちゃって｡ 家の前まで送るよ｡ あんな事があったあとだし｡ ううん 大丈夫｡ どこでマスコミが見張ってるか わかんないから｡ もうさ バレてもいいよ｡ 俺 本気だから｡ ごめんね｡ 今度 埋め合わせするから｡ ♬～ (足音) ♬～ もう 三田園さんが置いていくから 迷ったじゃないですか｡ ハァ… ハァ…｡ あっ… キスパン!? まさか ご依頼頂いた木杉様って…｡ っていうか あなたたち 誰？ あっ むすび家政婦紹介所から 参りました 花田と申します｡ 三田園と申します｡ そんなの呼んだ覚えないから 帰って！ いや… でも 確かに こちらに…｡ いいから早く帰って！ 帰って！ (木杉璃子)おかえりなさい！ (璃子)お母さん！ (木杉優太)お母さん！ えっ… お母さん!? ♬～ ≪(木杉登代子)アイタ～…｡ ああ… イタ…｡ (登代子)イタタ… ああ 痛い…｡ (登代子)イタ～…｡ はあ…｡ なんで家政婦なんか呼んだのよ？ しょうがないじゃない｡ 持病のヘルニアだから→ 入院が必要だって 言われたんだもの｡ この子たちの面倒 誰が見るのよ？ 私が子持ちだって世間にバレたら どうなると思ってんのよ｡ 早くタクシー呼んでちょうだいよ｡ ああ～ もう…｡ ちょっと いいかしら？ はい｡ 守秘義務ってあるわよね？ 家政婦にも｡ はい もちろんです｡ じゃあ 子供の事は 絶対 秘密にして｡ やっぱり あの子たち 本当にキスパンの…？ あっ… すみません｡ あなたも いいわね？ もちろんでございます｡ ちなみに…→ 父親は誰なんです？ 死んだわ｡ ずっと昔に｡ じゃあ 契約は 母が退院するまでの間という事で｡ 私は 朝のレギュラー番組があるので→ 夜中３時には いつも家を出ます｡ ３時!? 帰りは 収録の都合で 何時になるかは わかりませんし→ 時には泊まりになる事もあります｡ なので 出来れば 住み込みでお願いします｡ 母の部屋 使ってください｡ 璃子 優太！ いい？ 明日から しばらくは この家政婦さんたちが→ 面倒見てくれるからね｡ お母さんは？ いつも言ってるでしょ｡ お母さんが働かないと→ 着るものも食べるものも 住むところもなくなっちゃうの｡ お母さん あんたたちのために 働いてるんだからね｡ わかった？ (舞)わがまま言わないの｡ ねっ｡ (優太)はーい｡ (舞)おやすみー｡ (ため息) 大変そうですね お仕事｡ でも 大丈夫ですか？ ストーカー｡ そんな事ぐらいで ビクビクしてたら→ 女子アナなんて務まりませんから｡ はあ…｡ あっ おはようございます｡ まもなく 朝食 出来ますから｡ あっ いらない｡ もう出るから｡ えっ…｡ (舞)何？ これ｡ ガム？ ちょっと どこにガム捨ててんのよ！ これ 今日の衣装なのに｡ ああ もう… 取れない｡ お任せください｡ こういう時は 氷で冷やすと簡単に…｡ あれ？ あれ？ あれ？ 使えないわね｡ 目には目を 歯には歯を｡ ガムには…｡ ガムテープ…｡ ♬～ (舞)ちょ… ちょ… ちょっと！ ♬～ お急ぎになられたほうが｡ ありがとう｡ 痛み入ります｡ いってきます｡ いってらっしゃいませ｡ 三田園さん 今のは どういう…？ 私…｡ あっ ごめんね｡ 起こしちゃった？ 余計な事するな！ ブス！ ブスって… どっち？ 冷やしても ガムが取れなかったのは→ 繊維の奥に 入り込んでしまったからです｡ くっついてから 時間が経ってしまったか→ あるいは…｡ (ガムが割れる音) こうやって わざと強く押しつけなきゃ→ ああはならない｡ そうよね？ 三田園さん なんて事を！ (優太の泣き声) あらあらあら うん？ (泣き声) 夜は お静かに｡ はい これ｡ ガム 取っておいたよ｡ あっ…｡ もう いらない こんな服｡ ちょ… なんて事を！ あ… いってらっしゃい｡ (ドアの閉まる音) 三田園さん→ キスパンが あの子たちの事 秘密にしてるって事は→ あの子たち お母さんの事を→ 誰にも言えない って事なんですよね｡ こういう学校行事にも→ 一度も参加出来ない って事ですよね｡ 運動会も入学式も｡ それって きっと キスパンも つらいですよね｡ さあ それは どうかしらね｡ ええっ？ ああ～…｡ あっ すごい！ ウォークインクローゼット というか 衣装部屋ですね｡ さすが キスパン｡ あっ これ ブランド品ですよ｡ (舞)それでは また明日｡ (ﾃﾞｨﾚｸﾀｰ)はい オーケーです｡ 本日 以上になります｡ お疲れさまでした｡ お疲れさまです｡ お疲れさまです｡ (中井)舞ちゃん お疲れ｡ お疲れさまです｡ いや 今日も よかったよ｡ 本当ですか？ ありがとうございます｡ このあと どう？ 時間あんの？ うん｡ じゃあ 飯行こうよ｡ 行きましょう｡ 中井さん あの ちょっと よろしいですか？ ああ…｡ 舞ちゃん ごめん｡ あとで連絡するわ｡ ギロッポン行こう｡ はい｡ (桃子の声)話が違うじゃない｡ 次のクールから 私をメインにする って約束したでしょ｡ ああ…｡ いや まあ そのつもりだったんだけどさ→ 舞ちゃん ｽﾄｰｶｰに襲われた時の 毅然とした態度が→ 好感度 上げてんのよ｡ (指を鳴らす音) やっぱ 彼女 持ってるわ｡ そういう勢いには乗っからないと｡ (舌打ち) 乗ってんのは彼女にでしょ｡ えっ？ どうせ 枕営業されてるんでしょ？ そんな事あるわけないだろう｡ あるんだな～｡ 久々だね 君と こういう時間 過ごすのも｡ その前に 私の冠番組の話 どうなった？ ああ うまく進んでるよ｡ 早ければ 次のクールから スタートさせれるかもしれない｡ 本当？ やったー！ ♬～ (携帯電話の着信音) はい｡ わかったよ｡ すぐ戻る｡ 悪い｡ 現場トラブった｡ え～｡ ただいま｡ おかえりなさいませ 奥様｡ (璃子･優太)おかえりなさい｡ 見て見て 図工の時間に描いたの｡ 先生に 上手って褒められたんだよ｡ ちょっと こんなの描いたら→ お母さんの事 バレちゃうかもしれないじゃない｡ ごめんなさい｡ 璃子ちゃんと優太くん→ 寂しいんじゃないかなって 思うんです｡ 例えば お忍びで こっそり 見に行く事は出来ませんか？ そんな事して もしバレたら どうなるか わかってんの？ お嫁さんにしたい 人気ナンバーワン女子アナ→ 隠し子 発覚｡ 番組は 全て降板｡ スポンサーとの契約も 全部 白紙｡ 損害額は 数千万よ 数千万｡ あんたに それが払えるの？ …いえ｡ 余計な事しないで｡ 家政婦さんは 言われた事だけ やっててくれればいいの｡ ≫(優太)うわっ！ どうした？ (優太)玄関の外に誰かいる｡ あっ… あっ！ もしかして 例のストーカーじゃないですか？ 三田園さん 見てきてください｡ どうして わたくしが？ いや だって 男…→ まさりじゃないですか｡ (ため息) ♬～ あっ ちょ… ちょっと そこのあなた！ 待ちなさい！ 木杉さん 警察に電話を｡ 駄目｡ そんな事したら ここが私の家だって→ マスコミにわかっちゃう｡ そしたら 子供の事だって…｡ (秒針の音) (秒針の音) あっ す… すみません｡ ♬～ ああ…｡ 怖いわね ストーカーって｡ 完全に キスパンの事→ 恋人だと思い込んでますね これは｡ ゆがんだ愛でもいいから 私も これくらい愛されてみたい｡ えっ あの 大丈夫ですか？ 何が？ いや だって このケーキ…｡ (真理亜) 高いのよね ここのケーキ｡ いらないなら ちょうだい｡ はあ～…｡ あまり深入りはしないようにね｡ もし 私たちのせいで 秘密が漏洩したなんてなったら→ 賠償金 数千万よ 数千万｡ 三田園ちゃんも わかってるわね？ (真理亜)でも 昨今の女子アナは大変ですよね｡ 子供を隠さなきゃいけないわ ストーカーには狙われるわ｡ せめて 父親が生きてたら 違ってたかもしれないけどね｡ 父親は誰なんです？ 死んだわ｡ 生きてますよ｡ 多分 生きてます｡ えっ どうして そう思うんですか？ 理由は２つ｡ １つは あの家にはなかった｡ 何が？ 父親の遺影が１枚も｡ 本当に死に別れただけなら→ 思い出の写真が １枚ぐらいあるのが普通です｡ でも それが全くなかったというのは→ 恐らく どこかで まだ生きていて→ その事を 子供たちに知られたくないから｡ もう１つの理由は？ もう１つの理由は このバースデーケーキ｡ ここに書かれた情報によると→ 今日は 木杉さんの誕生日じゃありません｡ っていうか 三田園さん これって 母子手帳じゃないですか？ そうですよ｡ なんで そんなもの 持ってるんですか？ あっ… 掃除をしていた時に 落ちていたのを拾って→ 間違って そのまま 持って帰ってきてしまいました｡ 明日 返さないと｡ なんですか？ その棒読みのセリフは｡ 大体 母子手帳なんて そうそう落ちてませんよ｡ 三田園ちゃん いつも気をつけて って言ってるでしょ！ まあ うっかりじゃ仕方ないわね｡ で 続き 続き！ 今日 誕生日だったのは→ 母親ではなく あの子供たちです｡ えっ だけど あの子たち そんな事 ひと言も…｡ きっと これまでも→ まともに誕生日を 祝ってもらった事がなかったのよ｡ だから…｡ このケーキは 母親に贈られたのではなく→ この子供たちに贈られた｡ つまり…｡ あのストーカーが 父親…｡ さっきは怖い思いさせて ごめんね 優太｡ 璃子も｡ ううん｡ 平気｡ お母さん いてくれたから｡ あのね お母さん これから 冠番組を持ちたいの｡ 冠番組？ (舞)そう｡ お母さん それが ずっと欲しかったの｡ ２人とも お母さんが たくさん テレビ出るようになったら→ 嬉しいよね？ うん｡ でもね そうなると 今までより もっと忙しくなって→ なかなか お家にも 帰って来れなくなっちゃう｡ でも そんな時に→ また さっきみたいに 変な人が来たら どうしようって｡ お母さん ものすごく心配なの｡ だからね→ イギリスの学校に 留学させる事にしたから｡ (２人)えっ!? (舞)向こうの寮に入って→ お友達と一緒に遊んだり 勉強したり…｡ やだ！ 私 今のままでいいよ｡ 僕も｡ お母さんと一緒にいたい｡ わがまま言わないで｡ (舞)お母さんはね→ あんたたちの将来の事を思って 言ってるんだからね｡ ｢今日は 幼少期からの英才教育を→ 特集しました｣ ｢小学校低学年からの海外留学 木杉さん どう思われますか？｣ ｢そうですね 私には まだ子供がいないので→ 想像でしか言えませんが→ やはり その時期に 子供と離ればなれになるのは→ 寂しいですね｣ (ｷｬｽﾀｰ)｢そうですね｣ (舞)｢それでは 今日の血液型占いです｣ ｢第１位は ＡＢ型のあなた｣ 彼女は あのストーカーが→ 子供たちの父親だと わかってるんでしょうか？ (ドアの開く音) おはよう｡ 朝ご飯 出来てるよ｡ いらない｡ (舞)｢今までの習慣が いい結果を生むかも｣ あの… 今日 なんか 璃子ちゃんも優太くんも→ いつも以上に 元気なかったですよね？ 家を見れば 人がわかる｡ えっ？ どういう…？ この家は 子供部屋よりも 衣装部屋のほうが はるかに広い｡ 彼女にとって大切なのは 子供ではなく自分を着飾る事｡ 捨てられちゃったわね あの子たち｡ おはよう｡ 朝ご飯 出来てるよ｡ いらない｡ 私 ストーカーを捕まえます｡ 璃子ちゃんと優太くんを 救えるのは→ 父親である彼しかいません｡ あと よろしくお願いします｡ ストーカーがお父さんだとすると→ 昔 彼女と付き合っていた人の中に いる可能性が高いですよね｡ ちょっと 深入りしちゃ駄目って 言ったでしょ｡ すいません 所長｡ でも…｡ で どうなの？ 彼女 どんな人と付き合ってたの？ えっ？ お笑い芸人？ その前がＩＴ企業社長｡ その前がプロデューサー｡ 歯科医 ミュージシャン 映画監督…｡ 山手線女ね｡ 何？ それ｡ 乗り換える時は 必ず重なってて→ いつも 誰かしらと 付き合ってる女って事です｡ うらやましい…｡ あっ いや… これじゃ 誰が父親だか わかんないですね｡ う～ん…｡ 他に手掛かりは？ うん？ あっ…｡ (店員)ああ｡ 確かに これ うちのケーキだな｡ このお誕生日ケーキを注文した お客さん→ 誰だか ご存じないですか？ 客じゃないよ｡ それ作ったの うちでバイトしてる…｡ ああ あいつだよ｡ (野口正晃)いらっしゃいませ｡ あっ！ ちょっ… 待ちなさい！ 待ちなさい！ (野口)すいません…！ 危ない 危ない 危ない 危ない！ 待ちなさい！ コラッ！ 待ちなさい！ ああっ！ 三田園さん！ 捕まえてください！ ストーカー ストーカー…｡ は… 速い…｡ ♬～ (野口)マジかよ！ ♬～ 嘘でしょ!? (野口の荒い息遣い) ♬～ 嘘だろ！ うらあっ！ (荒い息遣い) うりゃあ！ うわあっ！ イタッ… クッソ…｡ 今日は 一番 ツイてるんじゃなかったのかよ…｡ ああ…｡ (荒い息遣い) なんなんだよ？ お前らは…｡ では わたくしは 夕食の支度がありますので→ これで｡ (野口)ああ？ ちょっ… 協力してくれるんじゃ ないんですか？ 野口正晃さん…｡ あなたは 璃子ちゃんと優太くんの 父親なんですよね？ ストーカーみたいなまねをして 木杉さんを脅したのは→ あの子たちを取り戻すため…｡ 野口さん…｡ 一度 木杉さんと ちゃんと 話し合ってもらえませんか？ 璃子ちゃんと優太くんの 父親として→ 力になってあげてほしいんです｡ ♬～ (携帯電話の着信音) はい 奥様｡ えっ… わたくしがでございますか？ はい｡ はい｡ (女性)大丈夫？ もう… かわいそうに…｡ お母様…？ 優太が いつも お世話になっております｡ どうも はじめまして｡ 実は 優太くんが→ こちらのお友達と 体育の時間に ケンカしてしまいまして…｡ (机をたたく音) お宅は 一体 お子さんに→ どういう教育を なさってるのかしら？ (担任)突き飛ばした時に転んで→ お友達のジャージーが 破れてしまったようなんです｡ うちの子のジャージーは 限定アイテムなんですよ！ 一体 いくらしたと 思ってるんですか!? 当然 弁償して頂けるんでしょうね？ ♬～ 優太 お前も ちゃんと謝れ｡ やだ｡ 僕 悪くない｡ 先に手を出したの お前だろ？ 先生 見てたぞ｡ 承知致しました｡ えっ まさか ご自分で直されるんですか？ ♬～ あっ…｡ うっ…！ ♬～ これは 万能ジャージー雑巾でございます｡ はあ？ この細かい裏生地が→ ブラシでは届かないような 溝の奥の汚れまで かき取ります｡ 優太には 罰として１週間→ このジャージー雑巾を使って→ この教室を 隅々まで掃除させましょう｡ (担任)えっ いや そういう…｡ これが 我が家の 謝罪のしきたりでございます｡ ♬～ (璃子)優太は悪くないよ｡ 向こうが 優太を 嘘つき呼ばわりするから｡ わたくしは家政夫ですので→ 別に 何もお聞きするつもりは ありません｡ 前に 一度だけ つい言っちゃったんだ｡ 僕たちのお母さんは有名人だって｡ そしたら 誰なのか教えろ→ 一緒に写っている写真を 見せてみろって…｡ でも そんな事 出来ないから 嘘つきだって…｡ (璃子)この話 絶対 お母さんには内緒だよ｡ 有名人だって言った事がバレたら 本当に嫌われちゃうから！ (優太)あっ お母さんだ｡ ♬～ ♬～ ♬～ (指を鳴らす音) 皆さん こんばんは｡ 家政夫の三田園でございます｡ もう すっかり秋の装いですね｡ それでは 本日の家事情報 振り返って参りましょう｡ その１ 服に こびりついたガムは→ ガムテープ サラダ油 中性洗剤で 簡単に取る事が出来ます｡ その２ もう着なくなってしまった→ ジャージーのポケットを切り取り→ 裏返し 手にはめると→ 万能ジャージー雑巾になります｡ その３ カーペットに絡んだ 髪の毛やホコリを→ 簡単に取る方法は…｡ それは このあとすぐです｡ それでは 全ての終わりの始まりです｡ (指を鳴らす音) 三田園さん 三田園さん ちょっと ちょっと…｡ 三田園さん…｡ やりましたよ｡ 野口さんの説得に成功しました！ 璃子ちゃんと優太くんの 父親として→ 力になってあげてほしいんです｡ わかりました｡ 半年前に あの子たちの父親だと 聞かされました｡ だけど 自分は いつになっても 売れない役者で…｡ 自分が父親だと名乗り出る勇気が ありませんでした｡ でも 彼女が そんなに苦しんでるなら→ いつか 家族４人で→ 幸せに暮らせるようになる日まで→ 子供たちは 俺が育てる｡ 舞に そう話してみます｡ これで みんな幸せになれますよ｡ きっと｡ …だといいわね｡ あっ…｡ (携帯電話の着信音) 週刊文報？ ｢ええ｣ 実は 明日 生放送で 木杉アナが白岡選手との婚約を→ 発表するという 情報をつかみまして…｡ ♬～ (司会)さあ 生放送 盛り上がって参りました！ 『秋のスポーツ大魔王』！ 続いては プロ野球界のプリンス 白岡選手です！ どうぞ！ (歓声) ♬～ 木杉アナ｡ あっ…｡ では 白岡選手 準備は よろしいでしょうか？ その前に…｡ 今日は この場を借りて→ 皆さんに ご報告したい事があります｡ わたくし 白岡一馬は…｡ このたび…｡ ≫(野口)ちょっと待った！ 俺は そんな婚約 絶対 認めないからな｡ (野口)話が違うじゃないか 舞｡ お前… もしかして 例のストーカーか！ そうです｡ ストーカーです！ この人がストーカーです！ 早く捕まえてください！ (警備員)離れなさい！ 君！ 落ち着いて…｡ (ﾃﾞｨﾚｸﾀｰ)スタジオに戻します！ (中井)いやいや いいから続けろ｡ 俺を裏切って→ なんで こんな男と 婚約発表なんか…｡ ちょっと… 何言ってるの？ 俺が 今日 発表しようとしたのは→ メジャー移籍が決まった っていう話だ｡ えっ…？ 俺たちは婚約なんかしていない｡ 嘘だね｡ フンッ 嘘だ 嘘だよ｡ 嘘だ！ 嘘だ！ 嘘だね！ (璃子)やめて～！ 嘘だ！ (司会)君たち 危ないから 早く逃げなさい！ やめろ！ キスパンをいじめるな！ (司会)誰？ この子たち｡ 知りません…｡ (野口)おい いい加減にしろよ…｡ この２人は 俺たちの子供じゃないか｡ 子供…!? あなた 何 わけのわかんない事言ってるの？ (野口)もういいだろ！ 璃子 優太｡ 今まで寂しい思いさせて ごめんな｡ さあ お父さんだよ｡ これからは 一緒に暮らそう｡ おいで 璃子｡ 優太！ おいで おいで…｡ (優太)助けて お母さん… あっ！ 優太 それ言っちゃいけないって お母さん…｡ ごめんなさい お母さ…｡ お母さん？ 何 言ってるんですかね？ この子たち｡ どこの子？ えっ これ ドッキリか何か？ そう言えって言われたのよね？ そうよね？ ♬～ (ざわめき) ♬～ 赤ちゃん…？ 双子…!? ♬～ (司会)あの… これはどういう…？ (野口)皆さん｡ 私と木杉アナは 昔 付き合ってました｡ その時に出来たのが この子たちです｡ 違う…｡ 僕は いまだに売れない役者ですが→ これからは この子たちの父親として→ 出来れば 舞の夫として 家族…｡ 違う｡ 違う…｡ 本当に違うって言ってるでしょ！ この馬鹿！ えっ？ あんたみたいな奴の子供なんか 産むわけないでしょ｡ 嘘…｡ ♬～ 母子手帳にあった 彼女の血液型はＢ型｡ そして ２人の子供たちはＯ型｡ つまり ＡＢ型の野口が 父親という事は あり得ない｡ 三田園さん 知ってたんですか…!? なんだよ それ…｡ ふざけるなよ！ お前が言ったんじゃないか｡ 父親なんだから協力してくれって｡ だから 俺は→ ストーカーのフリまでしたんだぞ｡ (ざわめき) (野口の声) 自分の話題作りのために→ 全部 お前がやれって 言ったんじゃないか！ (どよめき) ♬～ (司会)あの… 要するに あのストーカー事件は→ あなたの自作自演だった って事ですか？ (司会)しかも この子たちは あなたの隠し子だと…｡ (璃子)違います！ この人は 私たちの…｡ もういい！ 今まで せっかく頑張ってきたのに…｡ 全部 台無しじゃないのよ｡ (舞)ずっと思ってたの｡ あんたたちなんか 産まなきゃよかった！ (白岡)なんだよ お前…｡ 嘘ばっかりじゃねえか！ (中井)何が お嫁さんにしたい ナンバーワン女子アナだよ！ だましやがって！ ≪ふざけんな！ ≪最低！ ♬～ ♬～ (チャイム) なんか用？ 請求書をお持ちしました｡ 悪いけど すぐには払えないわよ｡ 予想どおり 仕事は全部なくなって→ ＣＭの違約金払うので必死だから｡ あんたのせいよ！ あの時 あの場所に→ 璃子と優太を 連れてさえ来なければ→ こんな事にならなかったのに…｡ まあ おかげで→ やっと あの２人から 解放されたけど…｡ これから しばらくは→ 母と愛媛の田舎で 暮らすそうだから｡ 私も ここ引っ越して→ どこか 誰も知らないとこでも行くわ｡ なら 引っ越しのお掃除 １人で大変ですね｡ あっ そうそう｡ カーペットを掃除する時→ 繊維に引っかかった 髪の毛やホコリを→ 簡単に取る方法 ご存じですか？ ゴム手袋で こするんです｡ そうすると 摩擦で静電気を発生させて→ 簡単に取る事が出来ます｡ 摩擦があるからこそ→ 得られるものも多いんです｡ ぜひ 試してみてください｡ ♬～ ♬～ あのね お母さん これから 冠番組を持ちたいの｡ 冠番組？ (舞)そう｡ お母さん それが ずっと欲しかったの｡ ♬～ (すすり泣き) ♬～ やめろ！ キスパンをいじめるな！ (２人)おかえりなさい！ お母さん！ ♬～ そういう事じゃないって…｡ これだから子供は…｡ (すすり泣き) ♬～ ♬～ では これを｡ はい ありがとうございます｡ (桃子)｢今 一番勢いのある俳優 野口正晃さんです｣ ｢(拍手)｣ ｢よろしくお願いします｣ (桃子)｢よろしくお願いします｣ ｢お願いします｣ 結局 父親って誰だったんだろうね？ ｢ハリウッド映画のオファーも 来ているとか｣ ｢はい｡ 来年 全米公開予定の…｣ うーん 今頃 どこで 何してるんですかね？ キスパン｡ あれ？ 知らないの？ 彼女 愛媛のローカル局で 女子アナしてるみたいよ｡ ほら｡ 本当だ｡ ふ～ん｡ あれ？ そういえば 愛媛って…｡ では 行って参ります｡ えっ ちょっ… 三田園さん！ 待ってくださいよ！ 三田園さ～ん！ 父はなくても子は育つ｡ はいはい！ 今日も元気で お役に立ってきてちょうだい｡ はーい｡ (３人)いってきまーす！ ♬～ 家政婦総取締役…!? (春日井福子) 使えなければ即刻クビ！ なかなかやるわね｡ あのお局様→ 会社のお金を横領してるんじゃ ないでしょうか？ お掃除 始めまーす！ (徳山康介)よせ！ うりゃあ！

刑事７人２nd＃04

1 ♬～ (ドアロックの解除音) ♬～ (青山 新) なんのキャラですか？ これ｡ (永沢圭太)知らないの？ 世代の差かなあ…｡ 『宇宙刑事ギャバン』の トランプですよ｡ 蒸着！ 俺 ヒーローとか あまり興味なかったからな｡ (永沢)｢君 根っからの 不良って感じだもんね｣ 刑事やってるのが 不思議なぐらい｡ はあ？ 怖いよ…｡ 冗談ですよ｡ (沙村康介)うわあ～ 『宇宙刑事ギャバン』かあ…｡ 懐かしいな…｡ 沙村さん 世代ですもんね｡ (水田 環)ねえ さっき トランプ占いしてたでしょ？ 何占ってたの？ 恋愛運です｡ (永沢)｢最近 僕 モテ期みたいで｣ ｢私のも占ってよ｣ (永沢)｢無駄ですよ｣ さっき ついでに 占ったんですけど→ 生涯孤独って出ました｡ フフッ…｡ むかつくなあ！ ああ…！ せっかく ちゃんと並べてるのに｡ そんなの 適当でいいでしょ｡ (永沢)駄目ですよ｡ こういうのはね きちんと順番に並べないと｡ (永沢)まったく 12係は みんな Ｓキャラばっかりで→ Ｍは 僕１人だけじゃないですか｡ 僕がね いなくなったらね 成立しませんよ｡ (永沢)じゃあ 僕 先に帰ります｡ これから デートなんで｡ 聞いてねえよ｡ フフッ…｡ あっ…｡ これ 天樹さん 欲しがってたんですよね｡ はあ？ じゃあ｡ お疲れ！ なんだ？ あいつ｡ ♬～ ♬～ ごちそうさまでした｡ お会計 お願いします｡ (店員)はい｡ (セミの鳴き声) おじさん｡ ここ 僕 座ってもいいですか？ 他にも空いてんだろう｡ ハハッ… そうなんですけど どうしても ここがよくて｡ じゃあ 酒代くれ｡ えっ？ 酒代｡ あっ…｡ じゃあ これで｡ サンキューベリーマッチ｡ どうもありがとう｡ サンキュー！ (携帯電話の振動音) (ﾎﾞｲｽﾁｪﾝｼﾞｬｰの声)｢永沢圭太｡ カツ丼は うまかったか？｣ (永沢)やっぱり 僕は 監視されてるんですね｡ ｢勝負の前にはカツ丼｣ ｢父親も そうだったそうだな？｣ 僕の事 なんでも知ってるんですね｡ ｢デートの前には 相手を調べないとな｣ 12係を盗聴してるんですか？ ｢指示に従え｡ 場所は指定する｣ そうすれば あなたたちに会えるんですね？ ｢山笠団地の敷地内へ｣ (通話の切れる音) ♬～ ♬～ ♬～ (無線)｢西新宿４で 暴行事件発生の情報…｣ (無線)｢西原８で 盗難車両…｣ (無線)｢葛飾区中野４丁目 山笠団地脇の道に→ 男性の遺体ありと入電｣ (天樹 悠)機捜１０４｡ これから 現場に向かいます｡ (パトカーのサイレン) (小林健太)機捜の方ですね？ こちらです｡ (丸藤遼平)ご苦労さまです｡ ♬～ ♬～ 遺体の身元が判明しました｡ 警視庁捜査一課12係…｡ 永沢圭太巡査部長｡ ♬～ ふぅ…｡ (片桐正敏)沙村｡ なんですか？ (片桐)永沢が死んだ｡ お前たちで捜査出来るよう 手配しておいた｡ 現場に天樹が行ってる｡ わかりました｡ (携帯電話の着信音) はい｡ 事件ですか？ ｢永沢が死んだ｣ ｢俺らで捜査する｣ 現場に向かいます｡ ♬～ 12係の方たちですね？ ああ…｡ 機捜の天樹は？ 天樹さんなら 屋上に｡ ♬～ 天樹さん｡ 天樹｡ 天樹くん…｡ なぜ この団地にいたのか…？ 被害者は ここから転落したものと 思われます｡ 被害者って…｡ ひとごとみたいに言うなよ｡ 毛髪が発見されたそうです｡ 証拠になるかもしれません｡ 永沢さんに 何があったんだ？ まずは 目撃者に聞き込みを｡ ♬～ (チャイム) 恐れ入ります｡ この方を見かけませんでしたか？ (野間紗代) ああ この人なら さっき→ 買い物に行く時に すれ違ったと思います｡ この人を見かけませんでしたか？ (中西健二)ああ…｡ 夕方の６時ぐらいだったかな｡ そこで 洗濯物を取り込んでたら 女の人の悲鳴が聞こえて…｡ ≫(女性の悲鳴) (中西の声)で この人 ここ 走っていくの見ましたよ｡ (木下あずさ)帰宅して ドアを開けたところ→ 急に襲われて…｡ (悲鳴) (あずさの声)男は 小柄で 50代くらいだったと思います｡ 玄関で抵抗しているところに その男性が助けに来てくれて…｡ (永沢)何やってんだ！ (あずさの声)男は逃げて その男性が追いかけていきました｡ この人を見かけませんでした？ (森川直子) 私が階段を下りていったら→ ものすごい勢いで 男が上がってきて→ すぐ 写真の人も追いかけてきて…｡ この方を見かけませんでしたか？ (中村一哉)この人が屋上で 男を追いかけてるのを見ました｡ ♬～ (中村の声)男は 屋上のフェンスを乗り越えて→ この人も それを追いかけて フェンスを乗り越えたんです｡ (中村の声)そしたら…｡ 永沢くんは→ 被疑者を逮捕しようとして 転落した｡ 被害者は なぜ この団地に…｡ その被害者っていうの やめろ｡ 犯人は まだ逃亡中です｡ 足取りも つかめてません｡ 目撃者の証言から 似顔絵を作成する｡ 必ず捕まえる｡ (永沢和子)生前は 圭太が大変お世話になりました｡ いえ｡ こちらこそ 永沢くんには助けられました｡ 本当に優秀な刑事で…｡ (和子)本当かしら？ (和子)本人は やる気のない サラリーマン刑事だなんて→ 言ってたんですよ｡ (和子)あの子の父親も… 人を助けて亡くなったんです｡ 似たもの親子です｡ 親子２代で警察官だったって事は 聞いてましたが…｡ 被疑者は必ず逮捕します｡ 事件が解決するまで→ 息子さんの遺体は 預からせて頂きます｡ よろしくお願いします｡ ♬～ (山下 巧)この男に永沢さんが？ ああ｡ まだ 身元は不明｡ 所轄も行方を追っているが 足取りは まだつかめない｡ 私が改良中の 認証システムがあります｡ まさか こんな形で役に立つとは…｡ (山下)似顔絵をデジタル化し 顔認証システムにかけてみます｡ ♬～ (山下)事件直後 団地付近で 似た男が確認出来ますね｡ その後の足取りは…｡ (山下)帽子を被っているため 顔は半分隠れていますが→ 50パーセントの認証度｡ (山下)服装の一致から 同一人物だと思われる人物が→ いくつかの防犯カメラに 映っています｡ 防犯カメラに映っていた場所を 地図にしてもらえますか？ 了解｡ ♬～ 海岸線に近づいてる…｡ 若洲漁港かも…｡ 金を払えば 漁船で離島まで 連れてってくれるって話を→ 聞いた事があります｡ 船で逃亡する気かも…｡ 若洲漁港に向かうぞ｡ (青山)はい｡ ♬～ 倉庫と漁船の貨物 しらみ潰しに調べるぞ｡ (青山)はい｡ ♬～ すいません！ すいません！ ちょっと いいですか？ この人って 見かけた事ありませんか？ ♬～ ♬～ 北14番倉庫 被疑者発見｡ ♬～ 警察です｡ お話…｡ うわあっ！ ♬～ ♬～ ああっ！ うっ！ ああ！ あっ…｡ くっ…｡ 被疑者確保！ ほら 立て｡ ♬～ あなたの名前は 村山茂で間違いないですね？ (村山 茂)はい 間違いありません｡ ７月29日18時20分→ あなたは この女性の帰宅時を狙い→ わいせつな行為をしようとした｡ (青山)なぜ彼女を？ ラーメン屋で見た週刊誌に→ 団地妻のグラビアが 載っていたんです｡ それで なんだか ムラムラしちゃいましてね｡ (村山の声)街を歩いていたら→ ちょうど 薄着のいい女が 団地に入っていったんです｡ 年がいもなく 止まらなくなってしまって…｡ で 彼女の部屋に押し入った時→ 永沢巡査部長が現場に駆け付けた｡ (村山の声)ええ｡ 警察の方だったんですか？ そうだ！ あなたは→ 永沢巡査部長から逃れるため 屋上に逃走｡ 永沢巡査部長は 屋上から転落して亡くなった｡ あの人 亡くなったんですか？ そうだ…！ でも 私は 直接 何かしたってわけじゃ…｡ (あずさ)あの…｡ 裁判などになるのは 避けて頂きたいのですが…｡ 告訴しないという事ですか？ ええ｡ お願いします｡ 天樹が現場で採取した髪の毛と→ 村山のＤＮＡが一致した｡ 村山の自供と 目撃者の証言も一致している｡ 村山茂52歳 無職を→ 強制わいせつ未遂の容疑で 逮捕する｡ ただ 被害者の木下さんは 告訴しないと言っています｡ (青山)じゃあ すぐに釈放ですね｡ ♬～ ♬～ 終わったのか？ ええ｡ そうか｡ ご苦労だったな｡ ここ禁煙ですよ｡ いいだろ 今日ぐらい｡ たばこ やめたんじゃ…？ ほっとけ｡ あの…｡ 事件が解決したって→ 永沢さんのお母さんに 伝えませんか？ そうだな 行こう｡ 天樹も来るだろ？ …ええ｡ よし｡ 片桐さんは？ またにするわ｡ じゃあ｡ これで 圭太も→ 少しは浮かばれる事と思います｡ そう言って頂けると…｡ 水田｡ はい｡ 永沢くんが亡くなった時に 持っていたものです｡ ありがとうございます｡ (和子)この時計は→ 主人が警部補に昇進した時に 買ったものです｡ あの子 大事に手入れして使って…｡ 永沢くん→ お父さんの影響で 警察官になったんですね｡ (和子)ええ｡ 最初は 私に気を使ってか→ 危険な警察の仕事に就くのは やめるって言ってたんですよ｡ 初めは 銀行に勤められてたんですよね｡ はい｡ それなりに 頑張ってたようですが→ やっぱり 自分も警察官になるって…｡ あの子が８歳の時に 主人は亡くなったんですけど…｡ ずっと あの子の中で→ 父親への思いが 生きてたのかもしれません｡ あの…｡ これ 形見分けで…｡ 何か圭太のもの１つずつ…｡ ありがとうございます｡ あの…｡ 永沢くん このトランプを いつも持ち歩いてたんですか？ どうでしょう？ 主人からの 最後のプレゼントだから→ 大切にしていたとは思います｡ ♬～ そういえば天樹さん そのﾄﾗﾝﾌﾟ欲しかったんですよね？ 僕が欲しがった？ ええ｡ だって 永沢さん そう言ってましたよ｡ いや…｡ おい｡ ちょっと 飲みに行くか｡ はい｡ ええ｡ 僕は 仕事に戻ります｡ わかった｡ 俺たちは とうとう→ 全員揃って飲みに行く事 出来なかったな｡ えっ 僕が来る前もですか？ なかなかタイミング合わなくて…｡ っていうか 合わせるような人たちじゃないし｡ 12係らしいですね｡ だからって→ 今日ぐらい付き合ったって いいだろうがよ｡ 天樹くんですか？ もう通常運転してるんですかね？ ♬～ もしかして欲しいですか？ いらない｡ ああ…｡ 随分 几帳面に並べるんだね｡ ああ… 親父が そうだったからですかね｡ お父さんが？ はい｡ (永沢)欲しいですか？ いや… 欲しくない｡ (青山)そういえば天樹さん そのﾄﾗﾝﾌﾟ欲しかったんですよね？ 僕が欲しがった？ ええ｡ だって永沢さん そう言ってましたよ｡ ♬～ 永沢くん…｡ 俺はさ 12係を 最強のチームにしたかったんだよ｡ いずれは天樹も山下も戻してさ｡ でも 永沢がいなくなっちまった…｡ (携帯電話の着信音) おっ 天樹｡ おう 仕事終わったのか？ いえ 沙村さんたちも まだ終わってませんよ｡ トランプがどうしたの？ 僕は このトランプを 欲しがった事はありません｡ でも永沢くんは 僕が このトランプを→ 欲しがっていたと 言っていたんですね？ ええ そう言ってました｡ 永沢くんは このトランプに→ メッセージを 込めたのかもしれません｡ どういう事？ 永沢くん いつも スペードのエースが→ 一番下になるように 揃えていたのは知ってますか？ ええ 確か…｡ でも… 見てください｡ 永沢くんの いつもの揃え方とは違うんです｡ そういえば あの時 並べ替えてた気がする｡ 彼は12係を出る時に 何か言ってました？ あっ デートだって｡ ですよね？ ええ… そう言ってたけど｡ いえ 永沢くんの財布に入ってた レシートから→ そば屋で１人 カツ丼を 食べていた事が確認されています｡ 彼は事件当日 デートをしていない事は事実です｡ 店員の話では カツ丼を食べたあと→ トランプを出して 中身を確認していた｡ その直後 彼は あの団地に向かい→ 事件に巻き込まれ 亡くなった｡ 彼は 自分の死を 予見していたのかもしれない｡ まさか…｡ 目撃証言 ＤＮＡ鑑定 被疑者の自供など→ ほぼ完全にピースが集まった この事件で→ 徹頭徹尾 欠けているピースがある｡ 永沢くんが あの団地に向かった 本当の理由です｡ 理由？ なんだ？ わかりません…｡ ただ もう一つ 違和感があります｡ 村山が逮捕時に所持していた タオル→ 市販品ではなく→ ヤマジ警備保障という企業の 試供品でしょう｡ 同じ物を証言者の１人 中村一哉も持っていました｡ 被疑者と証言者に 共通点があるって事ですか｡ 偶然かもしれないし…｡ でも… 気にならないって言ったら 嘘になる｡ 団地住民を丸ごと洗い直す！ 表向きは 事件の前にも 永沢を見かけていないか→ 質問するだけだ｡ だが どんな些細な違和感も 見逃すな｡ (チャイム) 事件より前に→ この人を この団地で 見かけた事ありませんか？ いや… あの日だけだと 思いますけど｡ 何度も申し訳ありませんが→ あの日の事を もう一度 話して頂けませんか？ (紗代)ですから 買い物に行く時に すれ違ったと思います｡ (青山)事件当日の事を お聞かせ願えますか？ (中西)いや だから その日も→ ここで 洗濯物 取り込んだりしてて→ そしたら悲鳴が聞こえて→ で 見たら そこを人がバーッて走って行って｡ (青山)洗濯をしていたと…｡ ♬～ (あずさ)あの日 助けて頂いただけです｡ それ以外に お見かけした事は ないと思います｡ おつらいでしょうが→ あの日の事を もう一度 話して頂けますか？ (あずさ)帰宅して ドアを開けた時に→ 急に襲われて…｡ 玄関で抵抗しているところに→ この男性が 助けに来てくれたんです｡ あの日以外に見た事ないと思うわ｡ ごめんなさいね｡ 失礼ですが→ あの日の事を もう一度 話して頂けませんか？ (直子)ですから→ 私が階段を下りていったら 男が上がってきて→ その人が追いかけてきたんです｡ この間も言ったでしょ｡ もういいですか？ ♬～ (チャイム) 度々 恐れ入ります｡ なんですか？ (青山)事件当日の午後６時頃 何をされていたか→ もう一度 お聞かせ願えますか？ (中村)いや… ですから 僕は屋上にいたんです｡ あっ あの… 報告です｡ 警察の人が また来たんですけど…｡ 女性の証言者は 年齢も職業もバラバラですが→ ３人とも 自傷行為の痕がありました｡ それから 同じ飲料水のペットボトルが→ 部屋に届けられています｡ 送り主は ぬくもりの家族｡ 性暴力被害を受けた女性の 支援団体です｡ 女性証言者３人に共通点ありだな｡ そっちは？ (青山)村山 中村と同様 中西健二も→ ヤマジ警備保障のタオルを 所持していました｡ もう一つ 共通点が→ わき腹の手術痕が 中西 中村 両名にありました｡ 永沢は ただの殉職じゃないかもしれない｡ 村山 追うぞ｡ (環･青山)はい｡ (青山)何があった？ あの村山が死んでいるのを 大家さんが見つけて…｡ 状況から見て 突然死でしょうか？ (青山)天樹さん｡ 村山が死亡しました｡ 司法解剖を要請します｡ ♬～ (堂本俊太郎) 村山茂は突然死じゃない｡ 中毒死だ｡ 耳の裏側に 針で刺された痕がある｡ 針の先端にアルカロイド系の毒を 塗って刺した｡ 現場では 針は発見されていません｡ 何者かが突然死を偽装した 殺人ですね｡ 直接の死因とは関係ないが→ 村山は腎臓を１つ摘出されていて 存在しない｡ 手術の痕も かなり荒っぽく→ 正規の病院で受けたオペじゃない｡ 過去の例から推測すると→ 借金のカタに腎臓を売った｡ 中西 中村も同じですかね？ 永沢くんの遺体を なんとしても診たい｡ だが 司法解剖には それなりの根拠がいる｡ わかりました｡ 証拠を積み上げます｡ ♬～ (担当者)３名とも 当社に 登録していた時期はありますが→ 現在は在籍しておりませんね｡ この方たちを ご存じありませんか？ 皆さん ここで グループケアを受けていましたよ｡ ここ最近 来ましたか？ あっ そういえば→ 最近は ちょっと お見かけしていないような気が…｡ (青山)村山 中西 中村は→ 同じ闇金融で 借金をしていました｡ その後 ヤマジ警備保障で→ 仕事を斡旋してもらっていた 時期があります｡ 木下 野間 森川の３名は→ ストーカー被害を受けていた 過去があり→ それで ぬくもりの家族という 支援団体で→ 心のケアと生活支援を 受けている事がわかりました｡ それぞれが 共通の犯罪の被害を 受けてたって事だな｡ さらに この２つのグループに 共通する情報があります｡ データを洗ったところ→ 彼らは 被害を受ける前に 警察に相談をしていた｡ ですが 警察は動かなかった｡ 警察が動いていたら 彼らは被害に遭う事はなかった｡ そう思っていたとしたら 警察を恨んでいる可能性が高い｡ 偽の証言をする事も 十分にあり得る｡ まだ証拠が足りない｡ 時間がない｡ 権力者 利用するぞ｡ まだ終わってなかったって事か｡ ええ｡ 永沢の遺体の司法解剖を 申請したいと思います｡ 取り計らって頂けますか？ わかった｡ 堂本先生に回すようにする｡ ありがとうございます｡ 沙村｡ 気をつけろよ｡ (片桐の声)最近… 随分 仕事熱心じゃないか｡ (永沢)え？ なんか お前らしくねえな｡ 人は変わるんですかねえ？ (片桐)え？ まあ 片桐さんの 禁煙みたいなもんです｡ ♬～ 合掌｡ 10時｡ 司法解剖を始める｡ メス｡ 事件直後の検視報告によると→ 永沢くんは 被疑者を追って 団地の屋上から転落死…｡ まあ 大筋は そのとおりなんだが…｡ 何か違いがあったんですか？ 永沢くんの肋骨には→ 転落の衝撃とは別に→ 打撃によるものと思われる骨折が 確認出来る｡ 格闘によって 受けたものだとすれば→ 戦闘不能になるダメージだ｡ 村山に… そんな力はあったと思いますか？ 村山は 残った腎臓も 腎不全に侵されていた｡ 俺が主治医なら 余命宣告をするレベルだ｡ 体力も 相当弱まっていただろうな…｡ 私が村山を確保した時も そんな力は感じられなかった｡ 訓練を受けた警察官が 不覚 取るかな…｡ もう一つ 永沢の遺体の足首に 強く握られた痕がある｡ これは 握力60以上でないとつかない｡ 村山の筋力では無理と考えられる｡ って事は…→ 村山以外の誰かが？ 事件現場には 永沢くんと村山以外に→ 第三者がいた可能性がある｡ その第三者が永沢くんと格闘して 強いダメージを与えた｡ 目撃者の証言は→ 事実とは違っていた？ その人 ここ走っていったの見ましたよ｡ そしたら 男を追って…｡ すれ違ったと思います｡ あの日 助けて頂いただけです｡ 男が上がってきて その人が追いかけてきたんです｡ あの中の誰かが 永沢くんを団地に呼び出し→ 殺害した可能性がある｡ 行きます｡ ♬～ 弔い合戦だ｡ ♬～ 必ず勝て｡ ♬～ ♬～ いない…｡ こっちも…｡ (舌打ち) クッソ…！ 沙村さん！ 中西は引っ越してます｡ 野間紗代もいない｡ ♬～ (青山)村山は死に 証言者全員いなくなるなんて…｡ 筒抜けだ…｡ 山下さんに連絡を｡ ♬～ ♬～ (探知音) (探知音) (山下)盗聴器です｡ かなり高精度で→ ２キロメートル圏内まで 電波を飛ばして→ 皆さんの会話を筒抜けに出来ます｡ 永沢や俺たちを 監視してたってわけか…｡ ♬～ ♬～ 行くぞ｡ ♬～ なぜ 死後12年も先の プレゼントを…？ (片桐) 永沢の親父さんも参加してる｡ ｢みくぼげん｣は 人名です｡ お前なら解けるだろ…｡ 必ず勝つ…！

ひよっこ＃011

1 <｢過去も 悲しみも 涙で 流してしまいたい！｣｡➡ 優作の腕の中で➡ こころは そう叫んでおりました> (次郎)6時39分の列車に 乗るっつってたど｡ 6時39分っつったら 上りだっぺ｡➡ な？ 小太郎さん｡ (小太郎)んだ｡ (みね子)え… だって…｡ <お父さん…｡➡ 何で お母さんは 私に うそをつくんですか？> ♬～ <お父さん… お母さんは大丈夫でしょうか？➡ 大丈夫ですよね？> ♬｢Pon pon pon…｣ ♬｢愛の言葉をリル｣ ♬｢ｼｬｲなﾊｰﾄがﾄﾞｷﾄﾞｷ｣ ♬｢あの日観てた “ｻｳﾝﾄﾞ･ｵﾌﾞ･ﾐｭｰｼﾞｯｸ”｣ ♬｢瞼閉じれば蘇る｣ ♬｢幼い頃の大事な 宝物だけは｣ ♬｢ずっと この胸に 抱きしめて来たのさ… Ah ah｣ ♬｢夜の酒場で Lonely｣ ♬｢あの娘 今頃どうしてる？｣ ♬｢さなぎは今､ 蝶になって｣ ♬｢きっと誰かの腕の中｣ ♬｢肩寄せ合い 声合わせて｣ ♬｢希望に燃える 恋の歌｣ よし！ ごめん もう大丈夫｡ (時子)そう？ うん｡ さて 頑張らないとね 三男｡ (小声で)聖火ﾘﾚｰ｡ (三男)お… おう… あっ！ 次の青年団の会議の日程が 決まったみだいなんだ｡ (２人)えっ？ 今度の日曜だ｡ そうなの？ すぐでねえの！ 大変だっぺ｡ 何で 早ぐ言わないの？ そんなこど！ 何でって… お前が 朝 バスの中がら沈んでだからだっぺ｡ え… あぁ そうか…｡ あぁ でも ごめん！ 今日 私 残れないんだよ｡ お母ちゃん いないからさ 帰って うちのこど やんないと｡ うん しかたないよ それは｡ うん 今日は 俺と時子の２人で やっとぐから 気にすんな｡ (２人)ん？ ♬～ 美代子さんが たどりついたのは➡ 実さんのような 出稼ぎの男たちが暮らす➡ 建設会社の宿舎です｡ ♬～ (美代子) これ つまんないもんなんですが｡ (管理人)すいません 悪いわねぇ｡ あの… 主人から連絡は？ あぁ ないわねえ｡ あ… 何か変わった様子とか…｡ 悪いわね どんな人だったかも よく覚えてないのよ｡➡ ここ 人が多いから｡➡ 置いてった荷物 持っていきます？ はい｡ 主人のです｡ 一応 中 確認してくれる？ (管理人) 大変なのよ 出稼ぎの人たち｡➡ 朝から晩まで 体 使って働いてさ➡ 何の楽しいこともせずに 金は み～んな クニに送って｡➡ もう 嫌になってね➡ どっか行っちゃう人 たくさんいるの｡ ♬～ (ﾉｯｸ) ♬～ じいちゃん ただいま！ (茂)おぉ｡ (ちよ子)お姉ちゃん ｶﾚｰ粉 まだ？ はいはい ただいま｡ 昭和30年代になると 即席のルーが発売されて➡ ｶﾚｰﾗｲｽは 一気に 庶民の人気ﾒﾆｭｰになりました｡ ｢ｲﾝﾄﾞ人も びっくり！｣｡ 食品会社は ﾃﾚﾋﾞｺﾏｰｼｬﾙで ｶﾚｰﾙｰの宣伝合戦をしていました｡ でも ここ 奥茨城村では➡ なかなか ｶﾚｰﾙｰは手に入らないので➡ 谷田部家では 小麦粉とｶﾚｰ粉で作っています｡ (ちよ子)お母ちゃん 今頃 何してんだろね｡ んだね｡ 寂しいね お母ちゃん いないと｡ んだね｡ ♬～ 昨日 宗男さん 来たっぺ？ うん｡ 何 話してだか聞いた？ あんた｡ 分がんね 進と外行ってろって 言われだから｡ ふ～ん…｡ 何で？ ううん 何でもね…｡ あぁ 早ぐ 明日になって お母ちゃん 帰ってこないかな～｡ んだね｡ ﾌﾌﾌ！ あんた 大きくなってんだねぇ｡ まぁね｡ (社員)この日が 最後だったみたいだねえ｡➡ どっか うまそうな話にでも 乗っかったんじゃねえのかね｡➡ まっ うまい話ってのは 危ないってことなんだけどね｡➡ 多いんだよね 奥さんみたいな人｡ ♬～ (美代子)すみません｡ 何分 子どもが小さかもんですけん 困ってしもうて｡ こん子のほかにも２人 男の子がおっとです｡ (担当官) そういう話は民生委員さんですね｡ よろしくお願いします｡ うちが苦労すっとは構わんとです｡ ばってんか 子どもには 幸せになってほしかって思うて｡ ♬～ (茂)ん？ どうした？ うん もうすぐ ごはんになるよ｡ そうが｡ ちよ子も頑張ったよ｡ そうが｡ じいちゃん…｡ 何だ？ どうがした？ 何かあったの？ 何でだ？ 何か元気ねえ じいちゃん｡ フッ… 年寄りだかんな こんでも｡ 何だ？ 何か やだ｡ 何か 隠してるよ｡ 私だって バカじゃねえがら それぐらい分がるよ｡ フッ… 何のこど 言ってんだが｡ ひょっとして 東京 行ったの？ お母ちゃん｡ そうなんでしょ？ お父ちゃんのこど？ 何かあったの？ 何で 私に うそつくの？ お母ちゃん｡ 何で うそつくの？ みね子 こっちさ 来お｡ ん…｡ 座れ｡ 親が子どもに うそなんかつきてえわげなかっぺ｡ じゃ 何で？ いいが？ 親が子どもに うそをつくとぎには わげがあんだ｡ 子どものこどを思って うそついでんだ｡ 分がっか？ ♬～ なら うそと分がっても➡ 母ちゃんから話すまで 待ってやれ｡ 分がったか？ ♬～ 分がった…｡ 心配すんな｡ 心配すんな｡ <お父さん…｡➡ じいちゃんの言うことは よく分かりました｡➡ でも… でも…> (一同)いだだきます｡ <お父さん…｡➡ 一体 何を私に言いたく ないんだろうって考えると…➡ みね子は 怖いです> うん うん｡ (進)あれ やっぺ あれ やっぺ！ あれ やっぺ！ ん？ はいはい どうぞ｡ ｢ｲﾝﾄﾞ人も びっくり！ ん～まいっ！｣｡ (笑い声) 茨城ね…｡ (綿引)失礼します｡ 点検 お願いします｡ (担当官) 茨城県 え～ 奥茨城村か｡ 茨城も多いね 出稼ぎは｡ でもね 奥さん｡ 見つかると思わない方がいいよ｡➡ 出稼ぎで 東京 来て しんどくて➡ どっか消えてしまう失踪者がね 腐るほどいるんだよね｡➡ まっ 一応 預かるけど これは｡➡ 本当にね 茨城から来て ご苦労なんだけど｡ ｢いばらき｣です｡ ｢いばらぎ｣じゃなくて ｢いばらき｣です｡ (担当官)はぁ？ 谷田部 実といいます｡ 私は… 私は 出稼ぎ労働者を 一人 捜してくれと➡ 頼んでるんではありません｡ ちゃんと 名前があります！ 茨城の 奥茨城村で 生まれで 育った➡ 谷田部 実という人間を 捜して下さいと お願いしてます！ ちゃんと… ちゃんと 名前があります！ お願いします！ あの人は 絶対に➡ 自分で いなぐなったりするような 人ではありません！➡ お願いします！ お願いします！➡ 捜して下さい！ お願いします！

未来日記～ANOTHER：WORLD～＃10

1 ＜父　九郎の手によって 仮想空間　オリンピアに戻された　新太＞ ＜現実世界の東京を 救うためには→ デウスに　直接　解除コードを 打たなければいけないと知り→ 再び　デウスを捜し始める＞ ＜さらなる真実を　知るため 由乃の家に向かった　新太＞ ＜そこで　目にしたものは ２人の由乃の姿だった＞ ＜一方　春奈は　何者かに→ クロノスシード社の スマートフォンを　渡されていた＞ ＜現実世界で　２人は 恋人同士だったこと＞ ＜再ログインしたことで→ オリンピアには もう一人の自分が　いることを→ 新太に告げた　由乃＞ ＜しかし　現実世界の由乃には 体力の限界が　迫っていた＞ （新太）由乃？　由乃！ 由乃？　由乃！ [TEL] （新太）デウス。 [TEL]（デウス）「お前たちの秘密も 目的も　全て　把握した」→ 「あの球　一つで ここまで　情報が得られるとはな」 全部　お前が仕組んでたのか？ [TEL]（デウス）「捜しても　無駄だ」→ 「近々　君には 大事な決断をしてもらう」 [TEL]（通話の切れる音） （由乃）あっくん？ （新太）由乃。　ああ。 よかった。 （須藤）アドレナリンを 投与した結果→ バイタルは　安定しました。 （九郎）なぜ　あの子を オリンピアに行かせた？→ ここまで　体力が落ちれば→ もう　現実世界に 戻ってこれないんだぞ？ （須藤）彼女には オリンピアが　必要なんです。 意識の戻らない　新太君と 話したり　笑ったりできることが→ どれだけ　幸せなことか。 星野さんも　お分かりですよね？ （九郎）だからといって 東京を　犠牲にはできない。 新太君は 犠牲になっても　いいんですか！？ 解除コードを打つと 何が起こるか→ まだ　彼に　説明してませんよね？ （新太）こっちの世界にいたら→ 由乃　今みたいに　どんどん　体が おかしくなってくんじゃないのか？ 一緒に　現実世界に戻ろう。 方法なら　ある。 （由乃）えっ？ （新太）親父に　頼まれたんだ。 デウスを捜し出して この解除コードを　打てって。→ そうすれば　現実世界で起きてる サイバーテロが収まって→ 俺たちは　元にいた世界に 戻れるって。 （由乃）それ　ホント？ お父さんが　言ってたの？ 俺の体も　治療が可能だって 言ってた。 ２人で　帰ろう。 （高坂）頼ってくれて うれしいです。→ 僕が　責任　持って。→ うーん。　何でしたっけ？ あの。　彼女さんの名前。 （新太）由乃。 （高坂）イエス！　由乃さん。→ 由乃さんを　新太さんちまで しっかり　送り届けます。 （由乃）あっくん？ 由乃は　待ってて。　デウスのことは俺一人で　大丈夫だから。 でも…。 （新太）ここにいても　危ないし。 分かった。 （高坂）ちょい　ちょい ちょい　ちょい　ちょい。→ 何なんすかね？ その　目で　会話しちゃう感じ？ （高坂）っていうか　新太さん。 いつの間に　こんな　女神さんと→ 出会ってたんすか？ ずっと　前だよ。 大事な人なんだ。 ♪♪～ （新太）じゃあ　頼んだぞ。 （高坂）頼まれました。 （高坂）いってらっしゃい。 [TEL] もしもし？　萩戸さん？ （萩戸）すぐ　来れるか？→ デウスの顔が　割れた。 分かりました。 ♪♪～ ♪♪～ （類）未来日記？ （春奈）だよね？→ こないだ　お兄ちゃんの友達が 回収してたのと　同じ。 （類）どうしたんだよ？　これ。 （春奈）図書室で　寝ちゃってたら 誰かが　置いてったの。→ 女の人だったみたい。 （類）そっか。 知らせてくれて　よかった。→ 新太に　渡しとくよ。 （春奈）私ね　こないだ ちょっと　感動したんだよ。→ 新太さんが お兄ちゃんに　言ったこと。 （新太）《俺は　俺の目の前にいる お前を信じる》 お兄ちゃん　いい友達　持ったね。 （類）あっ…。　ああ。 [TEL]（更新音） （春奈）何　これ？ ≪（割れる音） （従業員）あっ。 失礼しました。 これが　未来日記なんだね。 [TEL]（更新音） （春奈）嘘？ ≪（新太）類。 （類）あっ。 （新太）類も　萩戸さんに 呼ばれたの？　デウスのことで。 （類）うん。 （新太）そっか。　じゃあ　急ごう。 （類）なあ？　新太。 （新太）うん？ 俺　お前のこと　信じてるからな。 何だよ？　急に。 何でもない。 行こう。 この女が　デウス？ （木部）ああ。 彼女に　未来日記を渡された。 （まりな）デウス？ （萩戸）気にするな。　説明しろ。 （まりな）いいんですか？ （萩戸）いいから　早くしろ。 （まりな）クロノスシード社が開発した 新型のスマートフォンに→ 日記アプリを　搭載するよう 提案してきた→ この　神宮寺　零と名乗る 女性ですが→ 個人情報を 特定できませんでした。→ 戸籍も　存在しません。→ 神宮寺という　名前も 会社名も　架空。 （蔵田）取引の記録も　消えてた。 （新太）消えた？ （蔵田）改ざんされたんだよ。→ クロノスシード社のような　会社のデータベースに→ アクセスできるなんて どういう人間なんだ？ （萩戸）取りあえず この画像を　奥田に確認させる。→ ２人は　ここのデータを 誰が　改ざんしたのか→ 徹底的に　調べてください。 いいですね？ （木部）もちろん　協力する。 （新太）ありがとうございます。 （萩戸）お前のためじゃねえよ。 お仕事。 （木部）それにしても 分からないことばかりだな。 （木部）君　まだ　われわれに→ 何か　話してないことが あるんじゃないか？ ありません。 知ってることは　全部　話しました。 （萩戸）まっ　何かあったら 連絡してこい。→ こっちも　何かあったら すぐ　連絡するから。 はい。 （高坂）新太さんに 頼まれてきました。→ あっ。　それから　こちら 新太さんの彼女の　由乃さんです。 （礼子）彼女？ （由乃）お久しぶりです。 （礼子・高坂）えっ？ （由乃）あっ　いや。→ 初めまして。 古崎です。 （礼子）あっ。　初めまして。 何か　ちょっと　由乃さん 具合　悪いみたいなんです。 （礼子）あら。 あのう　さっき はだしで歩いてた？ （由乃）えっ？ （礼子）ああ。　ごめん　ごめん。 違うわよね。→ でもね　すごく　よく似てるのよ。 さっき　はだしで歩いてた子に。→ フフフ。　どうぞ。　上がって。 （高坂）お邪魔します。 （礼子）はい。　あっ。 ちょうどよかった。→ あのね　コロッケ 買ってきたとこなの。 （高坂）ホントっすか！ あの子と　話さなきゃ。 ♪♪～ ♪♪～ （由乃）《私たち もう　ずっと前に　出会ってる》→ 《ねえ？　思い出して》 （新太）《一生　忘れないって 言ったのに》 （由乃）《やっと　会えたね》 （新太）《由乃》 ♪♪～ ≪（神宮寺）聞いちゃったんでしょ？ この世界の秘密。 （由乃）誰？ （神宮寺）ここが 現実世界じゃないってこと。 （神宮寺）ひどいよね。 もう一人の　君。→ 自分が　この世界にいたいからって君のこと　閉じ込めて。 （神宮寺）耳鳴りがするのは この世界に　２人の君がいるから。 （神宮寺）本当は 一人じゃなきゃ　いけないのに。 ♪♪～ （神宮寺）この世界に 君は　２人　いらない。→ 彼女には　出てってもらおうよ。→ 心配ないよ。 見ててあげるから。 （新太）《この女が　デウス？》 [TEL]（デウス）《「近々　君には 大事な決断をしてもらう」》 [TEL]（更新音） ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （デウス）「近々　君には 大事な決断をしてもらう」→ 「それが　今だ」 デウスなんだな？ （神宮寺）さあ　話を始めよう。 （神宮寺）どうしたの？ 僕を捜してたんでしょ？ （九郎）新太が　デウスに接触した。 僕は　とても がっかりしたんだよ。 君は　あと一歩で ゲームに勝てたのに。 そしたら　あのとき 世界が　完成したのに。 世界が　完成？ これが　僕たちのいる世界 オリンピア。 だけど　もともと　未完成だった。 こんな感じ。→ この穴を埋める　パズルの 最後のピースが　足らなかったの。 （神宮寺）だけど 君の　お父さんたちが→ 無理やり オリンピアを稼働した。→ あの火事に　巻き込まれた 君たちが→ いいモデルケースになると 思ったみたい。 （神宮寺）でも　それじゃあ いい音が　鳴るわけ　ないよね。 （神宮寺）オリンピアは すぐに　壊れ始めた。 （神宮寺）だから　僕は→ この最後のピースを 探すことにしたの。 この世界の ラストピース。 （神宮寺）オリンピアに　つながれた君たち　７人。→ その中で　一番　優秀な脳を ピースにして　組み込めば→ 奇麗な音が　鳴るはずなんだ。 （新太）じゃあ あの　サバイバルゲームは？ （神宮寺）オリンピアを 完成させる→ ラストピースを　選ぶための ゲーム。 欲しかったのは 生きる力の　強い人間。 そして　星野　新太。 君は　とても強かった。 あんなことが　なければ…。 僕は　君を選び 世界は　完成したのに。 ふざけるな。　誰が ラストピースになんか　なるか！ そしたら　また ゲームを繰り返すだけ。→ 元の時間に　戻して 最初から　やり直し。→ 君たちが　また ここに　戻ってきたように。 （神宮寺）それが オリンピアの欠陥。→ 壊れたままじゃ ひとつき以上の時間を　進めない。 （新太）何で　俺たちが　その欠陥を 埋めなきゃならない？→ 来たくて　ここに 来たわけじゃない。 （神宮寺）じゃあ　打ちたい？ 解除コードを。 （新太）当たり前だ。 （神宮寺）どうして？ （新太）サイバーテロを　止める。→ そして　由乃と一緒に 現実世界に　戻るんだ。 君も　あの子も　戻れないよ。 （新太）えっ？ コードを打ったら 君たち　死んじゃうから。 （神宮寺）それでも　よければ 僕に　解除コードを打てばいい。 （須藤）いいんですか？→ このままじゃ　新太君 ホントのことを知ってしまいます。 想定内だ。 覚悟は　できてる。 （神宮寺）解除コードを打てば ネットワークから　切り離されて→ この世界　オリンピアは 崩壊する。→ もちろん　君も この世界には　いられなくなる。→ かといって　君の場合 現実世界に　戻ることもできない。 絶対に　不可能。 どうして？ （神宮寺）だって　君→ 向こうの世界じゃ 目覚める見込みが　ないんだよ。→ それくらい　重傷なの。→ だから　君のお父さんは 君の命を　諦めた。→ 君を捨てて 現実世界を　選んだの。 ここに　いようよ。 ここは　君が　生きていける たった一つの　世界なんだよ。→ ここに　いなければ 君は　ただ　眠り続けるだけ。 でも　ここに　いれば→ 恋人や　友達や　家族と 幸せに暮らせる。 そんな世界を　完成させたいとは 思わない？ （神宮寺）赤は　オリンピア。 君のいる世界。→ 青は　現実世界。 君を捨てた世界。 どっちを選ぶ？ ♪♪～ ♪♪～ どうして　そっちなの？ 親父が　俺に 嘘を言うわけない。 解除コードを打って 由乃と一緒に　現実世界に戻る。 これで　２回目。 僕を　がっかりさせるの。 別のラストピースを 探さなきゃ。 ゲーム　再開。 やめろ！ （神宮寺）君には→ 古崎　由乃と 同じ未来を　あげる。 由乃と！？ （デウス）「排除」 由乃！？ [TEL]（呼び出し音） 由乃？ [TEL]（由乃）あっくん？ （新太）ああ　よかった。 由乃。　俺の家に　いるよね？ いないのか？ どこにいるんだよ！？ （由乃）ごめんなさい。 うちに　戻ったの。 どうしても　会って 話さなきゃって　思って。 もう一人の私と。 だから…。 そこにいて。 すぐ行く！ （須藤）オリンピアを 完成させましょう。 デウスが言う ラストピースを　開発するんです。 オリンピアが完成すれば　サイバーテロだって 止められるはずです。→ そうすれば　新太君や　古崎さんや 東京だって　救える。 無駄だ。 何度もやろうと　したことだ。 それでも　私は　もう　黙って 見てることなんて　できません。 デウスが　新太君を 排除する前に…。 （九郎）排除されない。 デウスには　新太も　古崎　由乃も 排除することは　できない。 えっ？ （九郎）オリンピアは　人間を ケアする　医療補助システムだ。→ それに　搭載してある 人工知能　デウスが→ 設定に反して　人に　危害を 加えることは　できないんだろ。→ 現に　新太を排除したいなら→ その場で殺すことだって できたはずだ。 だとしても　安心はできません。 別の方法で ２人を　排除するはずです。 私も　新太君たちと一緒に 戦います。 ♪♪～ ♪♪～ （神宮寺）《排除。　排除。　排除。 排除。　排除》 （デウス）《「排除。　排除。　排除。 排除。　排除」》 ♪♪～ ≪（ドアの開く音） （由乃）あっくん？ ≪（足音） ♪♪～ ♪♪～ 話　聞いて。 （由乃）もう　聞いた。→ 神宮寺って人に　全部　聞いた。→ 私たち　どっちか　一人しか ここで　生きられないって。→ 横入りしてきたのは　そっち！ ここで生きるのは　私！ 放して！ ごめんね！→ 私　自分のしてることに夢中で→ あなたのこと 全然　考えてなかった。→ いきなり　あんなとこに 閉じ込められたら→ 怒るの　当然だよ。 許せっていうの？ （由乃）そんなんじゃない。→ 私は　自分が悪いことをしたから 謝りたかったの。 あっ…。 うっ…。 何で　こんな無茶するの？ もう　元の世界に 戻れないんでしょ？ じゃあ　私か　あなたか 決めるしかない。 私は　あなたじゃない。→ ずっと　一人で　生きてきた。 生きていく場所が あればいい。 それを邪魔する　あなたは 許さない。 （由乃）あっくん　猫舌なの。 なのに　指摘すると 絶対　否定する。 何　言ってんの？ （由乃）負けず嫌いなの。 ２人で　映画　見るときも 動物ものは　絶対　見ない。 涙もろいの　隠したいの。 でも　カンフー映画でも 泣いちゃう。 意味　分かんないよね。→ 寝癖は　必ず　右側につく。→ 特技は　ガチャピンの物まねだけど全然　似てなくて。→ でも　そこが　カワイイの。 全部　好き。 （由乃）ごめんね。→ 私　あっくんのそばに いたかっただけなの。→ ずっと　一緒にいたいの。 ♪♪～ （由乃）私は あなたの気持ちが　分かる。 あなたは　私。 あっくんに　会えなかった もう一人の　私。 一人で　さみしいよね？ 苦しいよね？ ごめん。　ごめんね。 ≪（新太）由乃！ ≪（ドアの開く音） （由乃）あっくん。 ≪（新太）由乃！ （由乃）助けて　あっくん。 助けて！ （由乃）違う。 あっくん　違うの！ （由乃）由乃だよ。 私が　本物の由乃だよ。　助けて！ 違う…。 お願い！　信じて！ ♪♪～ ♪♪～ 分かった。　信じるよ。 本当？ 由乃は　由乃なんだよ。 俺にとっては。 君も　由乃でしょ？ 俺の知らない　由乃だけど。 でも　由乃だ。 ２人とも　信じるよ。 ♪♪～ 由乃？ あっくん。 ≪（由乃）よかったね。 あなたは　見つけたんだね？ 私にも　見つかるかな？ あっくん　みたいな人。 うん。 きっと　出会えるよ。 はっ！？ どうしたの？ 解除コードを　打っちゃ　駄目。 （新太）えっ？ 私　聞いたの。　あなたたちは 現実には戻れない。→ コードを打ったら　オリンピアも あなたたちも　死んじゃう。 信じて。 コードは　絶対　打たない…。 ♪♪～ （神宮寺）ありがとう。 大事な役目を　果たしてくれて。 デウスだ。 デウスが　消したんだ。 ♪♪～ ♪♪～ じゃあ　始めようか。 ♪♪～ ♪♪～ 何　これ？ （警告音） （須藤）星野さん。　あのコード。 （警告音） どういうことですか？ 説明してください。 どうすりゃ　いいんだよ？ 解除コード　打っちゃ　駄目だよ。 あの子の言ったこと ホントだと思う。 親父が　嘘ついたのか？ 私たち　この世界で 生きてくしかないんだよ。 だから　あっくん。 由乃？　由乃！　由乃！ 由乃！ （スタンガンの音） ♪♪～ ♪♪～

立花登青春手控え２nd＃02

1 ♬～ (刃音) 待ちやがれ！ 野郎… んっ！ (巳之吉)でや～！ てめえ！ んっ！ ん～！ うわ～！ やっ！ あっ！ や～！ (慶斎)巳之吉！ (巳之吉たちの倒れ込む音) うっ…｡ うわっ ああ～！ んっ！ あっ…｡ あっ…｡ てめえ！ (刺す音) うっ うっ…｡ はあ はあ はあ… えっ？ あっ あっ…｡ おっ おい… 朝蔵～！ あっ あっ… うわわっ！ あっ あっ あっ…｡ はあ…｡ あっ あっ…｡ はあ はあ… あああ…｡ 巳之吉…｡ この…｡ ばか野郎｡ 巳之吉｡ ♬～ <立花 登は➡ 小伝馬町の牢医者である｡➡ その日 登は いつもの見回りを終えると➡ 同僚の土橋桂順と別れ➡ 東の大牢に向かった｡➡ 気になる病人が いたからである｡➡ 吟味が終わって 遠島の刑を言い渡され➡ 島から来る迎えの船を待っている 男であった> (平塚)巳之吉はいるか｡ へ～い｡ 巳之吉 これに控えておりやす｡ おい｡ (登)具合は どうだ？ まだ くだるか？ 血は まじってないな？ ええ｡ 先生は お若えが 独り身かい？ そうだが｡ あんたには いるのか？ 女房じゃねえが ｢おこま｣って娘がいたんだ｡ 別れたのは こっちが18➡ 向こうが15の時だけどな｡➡ きれいだったなあ…｡ 気立てもいいし 優しいし｡ あんなに優しい女➡ そのあと 会った事がねえや｡ それで 今は どうしてるんだ？ その おこまという人は｡ 分からねえよ｡ 一度は捜してみたんだ｡ 人並みに 所帯が持ちたくなった頃にな｡ 見つからなかったのか？ 見つからねえ｡ フッ もっとも➡ こんなざまになってみたら➡ あの時 見つからなくて よかったって思うよ｡ ああ… でも 会いてえな｡ 今頃 何してるかな…｡ フッ 先生 笑わねえで下さいよ｡ 近頃 夢を見るんだ｡ もしか あいつと一緒になってたら➡ 今頃 こんな事に なってねえんじゃねえかって…➡ そう思うんだよ｡ ♬～ あの男は 腕のいい蒔絵師だそうで➡ 若えのに 腕一本で 食っていける男のようだったが➡ 島送りになっちゃ 全部 しめえだな｡ 先生 何か気になる事でも あるんですかい？ あっ いえ｡ 船は いつごろ来るんですか？ さあて… あと ひとつきもしたら 来るんじゃねえんですかね｡ あと ひとつき…｡ ♬～ [ 回想 ] (巳之吉)近頃 夢を見るんだ｡➡ ｢おこま｣って娘がいたんだ｡➡ きれいだったなあ…｡ [ 回想 ] (巳之吉)ああ… 会いてえな｡ 何だ お前か｡ ｢何だ｣とは何よ｡ 誰と間違えたのよ！ まあ 怒るな｡ なかなかの美人が いると思ったら➡ お前さんだった｡ そんなふうに言われても 別に うれしくなんかない！ 何をしていたんだ？ みきのうちに行った帰りよ｡ また遊びか｡ 薬を届けてあげたのよ｡ 風邪で寝込んでたわ｡ ふ～ん｡ 登は？ 今日は どうしたの？ 非番なの？ うん｡ うちに帰ったら お母様が待ってるよ｡ 裏のヒバが伸び過ぎたから 枝を 落としてもらいたいんだって｡ はあ…｡ ﾌﾌﾌﾌﾌｯ ﾌﾌﾌﾌｯ｡ はあ…｡ ｱﾊﾊﾊﾊﾊ！ ﾊﾊﾊｯ｡ (玄庵)まだ飲んどるのか｡ (くしゃみ) 一滴も飲んじゃいかんと 言ったじゃないか！ おい 口開けろ｡ 酒は害毒だ｡ 五臓六腑 全てやられるぞ｡ 酒はやめろ｡ 命が惜しくば 酒をやめろ｡ 分かったか！ (患者)へ… へい｡ あ～ 酒は いかん｡ 人には言いたい放題｡ 酒は いかん｡ 絶対に いかん！ ≪(枝を切る音) ≪(松江)もっと上｡ (松江)そう そっち そっち｡ そこ みんな落として｡ うっとうしいから｡ いいの いいの｡ 本当に こういう仕事➡ あなたの叔父上に話しても いい加減な返事ばっかりで➡ 隙があれば ちょろりと抜け出して 吉川さんのところに行くの｡ 頼りになるのは 登さんだけよ｡ 後で 水くみの方も よろしくね｡ はい…｡ 登… 登｡ おい ちょ… ちょい｡ はい｡ 急ですまんが わしの代診に行ってもらえんか｡ あら？ 今すぐでなきゃ いけないんですか？ たった今 知らせが来てな｡ あ～ 何やら 今日は忙しい｡ どうしても抜けられんのだ｡ そうですか｡ うん｡ 分かりました｡ どこへ？ うん… 松坂町２丁目の大塚屋だ｡ はあ… 孫娘が急な腹痛らしい｡ 松坂町…｡ うん｡ じゃあ あなた 診察が終わったら あなたが水くみをして下さる？ あっ？ いや… あっ…｡ 今夜は 吉川と約束があってな 終わり次第 駆けつけねばならん｡ すまんな｡ あ～ 忙しい 忙しい｡ あっ では 行ってまいります｡ えっ？ あら…｡ あ～ 忙しい 忙しい｡ 私も お供しよっかな～｡ あっ！ もう～｡ ちえ！ あなた 草むしり｡ はい｡ え～？ きよ… きよ！ はい～｡ あなたも草むしり｡ それから 水くみ｡ はいはい 分かりました｡ やっぱりね～｡ お～ ﾊﾊｯ｡ 雨 上がりましたね｡ ええ？ 本当ですね｡ 先生 今日は どうも ありがとうございました｡ <南本所の松坂町という場所は➡ 巳之吉から聞いていた 地名であった> <往診を終えた登は➡ 誘われるように 足を運んでいた> (慶斎)あの野郎が うちに奉公に入ったのは➡ 14の年だったかなあ｡ 初めっから 人より 勝ってたよ｡ ﾊｯﾊｯﾊｯﾊ…｡ 手先が器用なのは➡ 博奕のせいだった かもしれねえがな｡ ﾌﾌﾌﾌ｡ だけど 性根は変わらねえ｡ やつが 突然 逃げちまったのは 二十歳になった頃だった｡ また 博奕に溺れたんだ｡ 手引きをしたのは 伊助って渡り職人でね➡ 友達面しながら➡ 逃げても 逃げても 地獄の底に 引きずり込もうとしやがる｡ 今度の事だって そうだ｡ ２～３年たった頃に 巳之吉が 突然 帰ってきた｡ もう一度 やらせて下さい！ お願いします！ 巳之…｡ よう戻ってきた｡ 俺は うれしかった｡ ところが 伊助が 博奕で不義理をして➡ その借金を 巳之吉に かぶせたんだ｡ 巳之吉は 匕首を持っちゃ いなかったという事でしたが｡ いや～ 相手が持ってたんだよ｡➡ 巳之は それを奪い取って刺した｡ そこんところをな➡ 俺は しっかり お白洲で申し上げたんだ｡ あいつにゃ 潔いところがあって 言い訳の一つもしやしねえ｡ それじゃあ 死罪になっちまう｡ そう思うと たまらなくなってな…｡ そうですか｡ それで島流しという事に｡ あと もう一つ お聞きしたい事がある｡ おこまという女を ご存じですか？ おこま？ 幼い頃の知り合いだそうです｡ 巳之吉の口から 何か 聞いた事はありませんか？ さあ…｡ (藤吉)知らねえってんですかい？ 以前に 一度 ｢そろそろ 所帯を 持ったらどうだ｣と言った時も➡ 巳之吉は 恥ずかしそうに 笑っただけで➡ 何も答えなかったそうだ｡ それじゃあ 先生は なんですかい？ そのおこまって女を 捜し出そうってんですかい？ うん… できれば そうしてやりたいと思うんだが｡ そいつは ちょいと難しいな｡ 雲をつかむような 話じゃありませんか｡ それにね 用心しねえと その話 うそっぱちかもしれませんぜ｡ うそ？ うそっていったって➡ 人をだます うそじゃねえ｡ てめえをだます うそでね｡ 人間 どん底に落ちて 何の望みもなくなると➡ 妙な作り話をこさえるやつが いるんだ｡ どこかに母親がいるんだとか ガキがいるんだとか｡ 好きな女がいるんだとか｡ そして だんだんと 信じ始めるんだよ 本人がね｡ てめえのうそに すがるしか➡ 生きた証しを確かめる事が できねえんでさ｡ 妄想か…｡ 野郎が夢の中でこさえた 幻の女ですよ｡ 幻の女…｡ (巳之吉)おこまは 同じ町の生まれじゃねえ｡ 10の時に父親に連れられて 引っ越してきたんだ｡ 父親は 指物師だったかな｡➡ よその町から来たってのも あったんでしょうが➡ おこまは おとなしい子どもだった｡➡ 遊びに加わっても➡ 一歩 みんなより 後ろに控えてるような…｡ フッ そんなところが ありやした｡ だから お前が 一緒に遊んでやったのか｡ (巳之吉)その時 俺は13だぜ？➡ 娘っ子と遊ぶような そんな年じゃねえ｡ 地回りどもと いっつも つるんで 悪さばっかりしていたさ｡ それに 14の年の頃にゃ 親方んとこに奉公に出ちまって➡ 一緒にいたのは１年くれえかな｡ それなのに忘れられない…｡ そうなんだよな｡ 俺も そんなつもりじゃ なかったんだけどな｡ 年に２回の藪入りで家に戻るのが 楽しみだったよ｡ 18の年の正月だったかな➡ 思いがけねえ事があってね｡ (戸をたたく音) 初詣で もらってきた➡ 蔵前の八幡様のお守りだった｡ 俺は 親も兄弟もいねえから➡ そんなもの もらうのは 生まれて初めてだったよ｡ そのあとにも 一ぺんもねえや｡ (巳之吉)だけどな 俺にとっては それが➡ おこまをこの目で見た 最後になった｡ 次の藪入りで帰った時には➡ 父親と一緒に その町からいなくなってた｡ 行った先を聞いても 誰も知らねえんだ｡ 一度は捜したと言っていたが それは いつごろの事だ？ 26の時でさ｡ 親方から そろそろ 所帯を持ったらどうかと➡ 言われましてね｡ 言われてみりゃ 改めて 思い当たる女なんていやしねえ｡ おこましかいねえって 気が付いたんだ｡ フッ だけど 手遅れだったね｡ 夜逃げみてえに 町を出たもんだから➡ 事情が さっぱり分からねえ｡ ハッ 江戸は広えから➡ 捜し出そうなんて どだい無理な話だ｡ そう思って 諦めてたんだけどな｡ もうじき 江戸から おさらばするって決まったら➡ フッ…｡ 何だかよ…｡ フッ ああ…｡ 何だかなあ｡ <藤吉は おこまの父親が 職人で働いていた➡ 指物師を突き止め…> (直蔵)ここです｡ <その糸をたぐった> おう 古い事を 聞きに来たんだがな｡ ざっと ７～８年前の話なんだが➡ この長屋に住んでいた娘の 消息を知りてえんだ｡ 父親は 惣六といって 指物師だが 元締めの話によると➡ この長屋にいる間に 病気で死んじまった｡ そのあと 娘が どこへ行ったのか 行方が分からねえんだ｡ (お松)娘って もしかしたら おこまちゃんの事かい？ おう｡ おっ 分かるのかい？ 分かるよ～｡ だって 惣六さんが死んだ時には… ねえ？ (おちか)うん｡ 長屋のみ～んなで お弔い 出してやったんだから～｡ おこまちゃんは いい娘だったね～｡ ねえ｡ せっせと内職してて｡ ここを出て どこへ行ったか 分からねえかい？ あ～ そうなんだよね～｡ 何しろ ふ～っと 出ていっちまったから｡ そう｡ ある晩 急に荷物をまとめて｡ 男が２人 手伝いに来ててね｡ 男？ (おちか)ええ｡ だから ちょっと➡ 驚いちゃって｡ あっ そこのうちだよ｡ ♬～ (おちか)身寄りはないって 聞いてたし➡ まあ よくできた おとなしい子で➡ 男づきあいなんか なさそうだったしね｡➡ みんな 不思議だ 不思議だって 言ってたのよ｡ ♬～ (藤吉)それで それっきりかい？ 誰か そのあとの事を 知ってる者は いねえのかい？ (２人)さあね～｡ 大家さんも 行き先は知らなかったし｡ ≪(おりく)あたしゃ 聞いてるよ｡ (２人)えっ？ (おりく) 松ちゃんが 偶然 会ったってさ｡ (お松)いつ？ どこで？ ２～３年前かな｡ 深川の… 何とかって所｡ 深川の馬場通りにある 伊勢甚って料理屋で➡ 女中をしてたっていうんでさ｡ いや 松五郎は 客で行ったんじゃなくて➡ 親方と一緒に 離れ座敷の修理に 入ってたんですがね｡ 間違いなく おこまだったのか？ へい｡ 松五郎は そう言ってます｡ どんな話をしたんだ？ それが 何にも覚えてねえって 言うんでさ｡ 廊下で呼びかけても 逃げるように いなくなったっていうんで｡ 先生 どうなさいます？ えっ？ 深川のあの辺りは悪所ですぜ｡ 女の生き血をすすってる町だ｡ 先生だって ご存じでしょう？ 親子で住まいを 転々と変えていたのは➡ 多分 借金がらみだ｡ それが 親父が死んで みんな 娘の肩にのしかかった｡ 引っ越しの手伝いに来ていた 男たちは➡ その借金取りの手先だ｡ 借金は 親の不始末だ｡ 幼い娘には 何の関わりもない｡ おこまは むしろ貧しい暮らしにも 文句一つ言わず➡ せっせと 父親を支えてきたんだ｡ そういう娘だ｡ そんな事情は やつらの 知ったこっちゃありませんよ｡ ろくに世間も知らねえ 年頃の娘が➡ 借金抱えたまま 親に死なれて 独りぼっちになったんですぜ？ 男どもが ほっとく訳がねえ｡ あっしらは この辺で 手ぇ引かせてもらいますぜ｡ 泥水ん中 手ぇ突っ込んだって 出てくるものは知れてまさ｡ ですから 先生も もう この辺で｡ そうはいかないよ 親分｡ このままじゃ 何もしなかったのと 同じだからね｡ 伊勢甚まで たどりついたのなら もう一息｡ 幸せに暮らしてるのかどうか せめて そこまでは知りたい｡ もしも 不幸せな暮らしであれば➡ 助けてやる事だって できるかもしれない｡ ｱｯﾊﾊﾊﾊﾊﾊ！ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊ！ ごめん｡ ちと 尋ねたい事がある｡ (きん)どちらさん？ 医者だ｡ 立花 登という｡ 医者が 何の用だい？ 人を捜していてね➡ おこまという女だ｡ おこま？ 知らないねえ｡ うちは 大概 若い子ばかりでね➡ 25より上の女は 私だけさ｡ フッ 私は 年までは言ってないが｡ ４年前に 確かに この場所で 見たという人がいるんだ｡ うそは やめてくれ｡ 知らないんだよ｡ あの女は １年もいないで この店を出ていったんだ｡ 知ったこっちゃないよ｡ どこに行ったか分からんか？ あんた…｡ おこまの身内か何か？ いや 人に頼まれてきた｡ フッ だったら 教えてやるよ｡ あの女は 伊勢甚の顔に 泥を塗ったんだよ！ 酔っ払った客を介抱するふりして 財布を抜いたんだよ｡ だから 追い出されたのさ｡ 今 どこにいるのかなんて 知るもんか｡ ♬～ (女性たちの笑い声) おにいさん 遊ぼうよ｡ にいさん 寄っとくれよ｡ かわいい顔してんね｡ あら いい男｡ 安くしとくよ～｡ おにいさん 遊ぼうよ｡ おにいさん 寄ってきなよ｡ (女性たちの笑い声) ♬～ ≪(男性)立花さん… 立花さん？➡ 立花さん！ 立花さん｡ 久坂｡ 驚いたな 立花さん｡ こんな所に遊びに来るんですか｡ 違う｡ 人を捜してるんだ｡ 誰をですか？ 女ですか？ お前 この辺りに詳しいのか？ いや～ まあ… ﾍﾍｯ｡ 三男坊の冷や飯食らい 先行きの見通しも暗いんで➡ やけになって ﾍﾍﾍﾍｯ｡ 本当ですよ？ いや うそだとは思わんよ｡ 尋ね人なら お手伝いしましょうか？ そうか｡ そりゃ ありがたい｡ それじゃあ とにかく どこか 話せる店に｡ ♬～ ああ～｡ そりゃ 立花さん うそですよ｡ 知らないはずなんかない｡ 第一 見た者がいるんでしょ？ う～ん｡ じゃあ 間違いない｡ だまされたんですよ｡ やつらは きっと その女の 居所だって知ってるはずだ｡ 隠してるんです｡ なぜ 隠すんだ？ 裏があるからです｡ 酒に酔わせて 財布を抜くって 話がありましたね｡ 詳しくは分かりませんが 多分 その絡みです｡ 立花さんね 女のしでかした事にゃ 必ず 男が絡んでるんです｡ 店を変わるにも 悪さをするにもね｡ 何人もの女を動かして 裏で糸を引いていて➡ やばくなると さっと姿を消す｡ タチが悪いんです｡ 伊勢甚で騒ぎがあったのは 知ってるよ｡ 客と女が もめたんだろ？ いつの話だ？ 最近だよ～｡ みつきばかり前｡➡ ﾌﾌﾌﾌﾌ…｡ 来たわ あいつら｡ 困るわよ｡ 店の外で やってよ！ ♬～ てめえ いつまで うろついてんだ？ 何 ほじくり出そうとしてんだ？ 言ったとおりだ｡ おこまさんを捜している｡ 余計な事に 首 突っ込むんじゃねえ！ 痛え目を見るぜ｡ お前たちが隠しているなら ちょうどいい｡ ここで教えてもらおうか｡ ♬～ さあ 言え｡ おこまは どこだ？ 隠し立ては許さんぞ！ あっ ああっ！ はあ はあ… おこまの居所だと？ そんなもの知って どうする気だ？ もちろん 会いに行く｡ 伝えたい事があるんだ｡ ﾊﾊﾊﾊ… ﾊﾊﾊﾊﾊﾊ！ 何がおかしい！ はあ はあ…｡ そんな事はできねえよ｡ できない事があるか！ できるもんなら 会いに行ってみろよ！ おこまはな… おこまは➡ 小伝馬町の牢屋敷にいるんだ！➡ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊ！ ﾊ～ｯﾊｯﾊｯﾊ！ 何？ ♬～ ﾊﾊﾊﾊﾊﾊ！ (殴る音) うぐっ！ あっ あっ…｡ ♬～ <島送りの日が決まると➡ その前日 囚人たちは 遠島部屋とも呼ばれる➡ 東ノ口揚屋に移される> そうですかい｡ おこまは 結局 見つからなかったんですかい｡ なんとか 今日までに 間に合わせたかったんだが➡ 私の力が足りなかった｡ 申し訳ないと思ってるよ｡ あっ いえ とんでもねえよ｡➡ 先生は 俺みてえな者のために 骨を折って下さったんだ｡➡ それだけで十分でさ｡ 先生 長え間 ご面倒をおかけして➡ 申し訳ございませんでした｡ ありがとうございました｡ はあ…｡ どだい無理な話だ｡ 何しろ 10年以上も会ってねえ女だ｡ そう やすやすと 見つかるはずがねえや｡ あれから 俺も いろいろ考えたんだよ 先生｡ 仮に めっかったとしてもだよ➡ 相手は もう きっと 所帯持ちだ｡ ひょっとしたら ５人も６人も ガキがいるかもしれねえ｡ そんな中➡ 俺みてえな人殺しが 面 出したって フッ…｡ 相手は 迷惑なだけだよな｡ ﾍﾍｯ｡ ♬～ (藤吉)そうですかい｡ いや それは ようござんした｡ これから 島での暮らしが 始まろうってのに➡ 重い荷物を抱え込む事は ありませんからね｡ おこまをお縄にしたのは➡ 富吉町の政之助って 親分でござんした｡ したたかな女だったって 言ってやしたよ｡ 客を酔わせて 財布の金を抜く｡ 暴れだすやつがいれば➡ 男たちが 寄ってたかって 半殺しの目に遭わせる｡ しっかり グルなんでさ｡ (ほらがい) ♬～ (藤吉)巳之吉の頭ん中にゃ➡ 今でも 昔のまんまのおこまが 住んでるんだ｡ そのまんまにしといた方がいい｡ (藤吉)その方がいい｡ ♬～ ﾊﾊﾊﾊﾊ！ おめえだろ！ 違います｡ 本当の事 言え｡ ほら 吐けよ～｡ おこまは いるか？ はあ～｡ あんたが おこまさんか…｡ 随分 捜したよ｡ まさか ここにいるとは 思わないからね｡ 何のために？ 人に頼まれてね｡ 巳之吉という男を覚えているか？ えっ？ 会いたがっていたよ｡ 一度は 嫁にしようと 本気で捜した事もあったらしい｡ 巳之吉は いい職人だったが➡ 人を殺めて 島送りになった｡ 今朝までは 隣の遠島部屋にいたんだが➡ 今は もう船の中だ｡ あんたによろしくと 言っていたよ｡ あああ…｡ ♬～ あの…｡ あの人は 私が ここにいるって➡ 知っていたでしょうか？ いや 知らないで 出ていったよ｡ ♬～ 高瀬様の牢問ですが ちと 腑に落ちかねるところがあります｡ あっしには隠している事なんて ございませんので｡ どうして うちの人が？ おつぎって名だったな｡ 房五郎の女房は｡ ６両ですかい!? 手籠めにされかかっただけで？ あの男は盗賊の片割れじゃ｡ かわいそうに あの人 濡れ衣まで着せられて｡ おちえと仲良くな｡ 伽羅屋って知ってる？ 化粧道具を売ってる店か｡ よかったら 一緒に行ってみない？ おつぎ？ ♬～ ♬～ 青い海と空｡ やって来たのは ｲﾀﾘｱのｼﾁﾘｱ島｡ 見えているのは 北海岸の街 ﾁｪﾌｧﾙ｡ ﾁｪﾌｧﾙは ｢岬｣っていう意味なんだって｡ 岬には 巨大な岩が ﾄﾞｰﾝと｡ 街のｼﾝﾎﾞﾙみたい｡

弱くても勝てます～青志先生とへっぽこ高校球児の野望～＃11

1 (田茂青志) 『堂学』は お前達に 打たせまいと必死だった｡ けど お前達は打った 何度も何度もだ｡ 俺達は 俺達の野球で➡ プライドを持って やり切ったんだ｡ (主審) ゲーム！ (一同) ありがとうございました！ みんなが ホントに よく頑張った｡ (部員達) ありがとうございました！ (泣き声) (青志の声) すっかり涼しくなりましたね｡ (樽見 楓) 充実してると時間は あっという間に過ぎるけど➡ ダラダラしてても また あっという間に過ぎるのよね｡ 何が言いたいんですか？ 少しは 部員 増えたの？ あのね こんな時期に➡ 部活を異動する生徒が そもそも いないんですよ｡ はぁ 情けないわね うちなんて もう３人も入ったってのに｡ ｢うち｣って？ この店よ｡ バイト バイト｡ えっ？ どうして バイトなんか｡ 私一人で回してたんじゃ 練習に行けないじゃない｡ はっ？ また… 『武宮』のコーチ 続けてるんですか？ もちろんよ 夏の敗戦をバネにね だいぶ 力つけたわ｡ 早くも来年が楽しみよ！ あっ… ごめんなさい｡ 来年には いない人の前で 来年の話なんて｡ あのね 別に 『城徳』を去るっていうだけで➡ 俺にも来年はあるんですよ｡ はぁ…｡ (増本) そうそう 思いっ切り振れ 思いっ切りだ｡ どうだ？ 気持ちいいだろ？ (増本) あっ… 危ねぇじゃねえか この野郎！ すいません｡ 手が痛い｡ ありがとう 返すよ｡ (光安) もういいの？ (増本) おい 勝手に やめんな！ (生徒)やっぱり 野球は いいです｡ (生徒)ﾙｰﾙも よく分からないし｡ 覚えりゃいいだろ 『城徳』に受かった頭があれば…｡ (生徒) 失礼します｡ (生徒) 失礼します｡ おい ちょ… ちょっと待て｡ おい 諦めんの早過ぎるだろ！ そんな やる気のない奴に やらせたって無理ですよ｡ いや やる気のある奴を待ってたら 時間がいくらあっても足りません｡ どうしたんですか？ 急に｡ 日を追うごとに 来年 自分が監督に返り咲くという➡ 実感が増して行くんです｡ そんな時 ９人いないんじゃ 話になんない｡ (赤岩公康) 野球してぇなぁ｡ 試合がさ｡ (江波戸) 『東大』受験が僕達の試合だよ｡ うん いや 分かってるけどさ➡ でも監督も 試合ができないんじゃ つまんねえだろうな｡ 勝ちに こだわる人だしね｡ うん…｡ (樽見柚子) 『堂学』に勝たない限り➡ 監督にとっての高校野球は 終わらない｡ また 監督のトラウマ説か｡ もう よそうよ 監督の気持ちは 決まってるんだから｡ ううん 絶対まだ迷ってる｡ じゃあ お前が言う通り➡ 監督が もし自分の過去に こだわってるんだとしたら➡ 俺達が勝とうが負けようが 関係ない｡ じゃあ 何が関係あんの？ いや それは…｡ (岡留) いいかげんにしろよ お前ら‼ (生徒達) シ～｡ (岡留) 何だよ！ こいつらだって 喋ってたじゃねえか！ とにかく 今は やるべきことをやろうぜ｡ いつまで 現役のつもりで いやがんだよ｡ お願いします！ (部員達) お願いします！ (浦瀬) 聞いたよ 辞めるんだって？ はい 辞めます いや… でも 辞めますけど…｡ (赤岩晴敏) おめおめと 去り行く者もいれば➡ 今まさに 立ち上がらんとする者もいる｡ (浦瀬) それは どなたです？ この俺だ｡ 来年度より 『武宮』の経営に 加わることになった｡ ハハっ ビジネスの世界に 舞い戻るってわけだ｡ (浦瀬) あっ そうなんですか｡ ｢あっ そうなんですか｣って 何 悠長なこと言ってんだよ｡ 県大会ベスト８に入んなかったら 即 廃部だからな｡ (浦瀬) 廃部!? そうね そのぐらいの緊張感が必要よ｡ いやいや もうちょっと 適度な緊張感にしてください｡ 甘えるんじゃないよ｡ 初戦敗退だなんて 名将が聞いて あきれるよ｡ あなたも 何か言ってくださいよ！ あなたのせいでも あるんだから！ 俺は別に関係ないでしょ！ (楓) ほらね もう すっかり 部外者面なのよ｡ もう勘弁してくださいよ｡ 引っかき回すだけ 引っかき回して あとは知らん顔か｡ 引っかき回すって どういう意味ですか？ あんたが来てからってものな 俺と息子は言い争ってばっかりだ｡ いや別に それは 俺が来る前からの話でしょうよ｡ とんでもないよ その前までは➡ あいつは ろくに 口も利いてくれなかったんだから｡ (楓) 人数さえ そろってれば➡ 監督の引退試合とか できるのにね｡ いや それはもう お気持ちだけで｡ (璃子) 監督！ 利根さん｡ (璃子) 楓さんが 多分ここじゃないかって｡ あっ 読みましたよ 最終回｡ あっ すいません 何だか 尻切れトンボで｡ そんなことありませんよ｡ とても希望のある いい幕切れでしたよ｡ きっと 監督の言葉でしょうね｡ 俺の？ どれひとつ取っても 希望に満ちあふれてる｡ よく分からないけど すごいことが 起きそうな気がして➡ いつもワクワクするんです｡ 結局 何にも起きないことのほうが 多かったですけどね｡ でも 少なくとも ｢やってみよう｣って➡ ｢勝負してみよう｣って 気持ちにはなります｡ 何だ➡ 結構 投げれるじゃないですか｡ フッ｡ 私も勝負してみようかな｡ ふてくされてたって しょうがないし｡ あ…｡ あのファッション雑誌｡ ひとまず やりたい企画 全部 出してみます｡ もっと 不本意な場所に 回されちゃうかもしれないけど｡ ハイリスクなんですね｡ ｢思いっ切り振れ｣って アドバイスは➡ 高校生限定ですか？ そんなことありませんよ｡ まぁ ただ 大人になればなるほど➡ 勇気のいる行為だとは 思いますけど｡ いりますね｡ このままだと 見逃し三振しそうです｡ うまく当てようとするな｡ 思いっ切り振って来い！ はい！ 秋の大会は絶好調じゃないですか｡ (峠) 夏の大会は 振るわなかった って言いたいのか？ いやいや…｡ でも 『甲子園』には 『堂学』が行ってほしかった｡ 過去を振り返っても 何も始まらん｡ このままだと 『選抜』は 大丈夫そうですね｡ まぁ 頑張ってください｡ がんば…!? 声援なんかいらん！ 薄気味悪い｡ ≪やめ！≫ ≪気を付け 礼！≫ (谷内田) 久しぶりだな｡ おかえりなさい｡ 『城徳』の監督 辞めるんだって？ いよいよ プロのコーチになるそうですね｡ 今 話してるのは 君の話だ｡ あなたの助言通りでした｡ どういうことだ？ やっぱり…➡ ここは 俺のいるべき場所じゃ ない｡ 随分と あっさり認めるんだな｡ 失礼します｡ ♬～ (白尾) お～！ さすが赤岩｡ (江波戸) 全部 Ａ判定だ｡ まぁ 余裕だな｡ 私 ｢理２｣Ｃだった｡ (江波戸) 僕も ｢理３｣は やっぱりＤだった｡ 白尾は？ (白尾) う～ん… やっぱ『東大』は厳しいわ｡ わっ でも 『早稲田』と『慶應』 Ａだったんだ｡ 短期間で よく ここまで取り戻したな｡ で 岡留は？ 岡留君？ 何でだ～!? 岡留！ この時期 Ａ判定 出なかったのは 結構キツいな｡ あんま 考え過ぎんなよ｡ 考えるよ！ 大丈夫だって｡ 無責任なことばっかり｡ 違うよ…｡ ホントは 落ちてほしいんでしょ？ お前 何 言ってんだよ？ 幼なじみで 小･中･高って ず～っと一緒｡ もう いいかげん うんざりしてんでしょ？ してねえよ｡ あのさ 私なら大丈夫かと 思ってるかもしれないけど➡ そんなに しょっちゅう うざがられてたら➡ こっちだって 傷つくよ！ はぁ…｡ 傷ついてんだからね！ あ～ もう 集中できないから 黙ってろ！ 集中しないでよ！ ひとが真面目に話してんのに！ んっ！ あ～ クソ！ 何をムキになってんの？ きっかけがいるんだよ きっかけが｡ えっ？ あぁ…｡ 私 先 帰る｡ あ～ ちょっと待ってろ もうすぐだから｡ もう ずっと 待ってんじゃん！ また 明日｡ 好きだ‼ あっ… 違う よし！ えっ？ 今更 遅ぇか…｡ あっ いや ずっと 何か 頭の中で繰り返してた…｡ いや… 繰り返してた…｡ 何 言ってんの？ はぁ…｡ 俺 お前が好きだ｡ 私も…➡ 好きだよ｡ そうか｡ うん｡ そっか｡ (三條) そろそろ 高校野球もシーズンオフか｡ 特に試合がなかった うちは➡ 変わりはありませんけどね｡ (三條) 私が教えた中で➡ 君ほど 野球を研究し 愛した生徒はいなかった｡ 本当だよ｡ でなかったら 左利きに キャッチャ－なんかさせるもんか｡ (青志の声) ご期待に応えることは できませんでしたが｡ 私の野球は 勝つことが全てじゃ ない｡ 君は必死に 打者の心を読もうとしていたし➡ それを投手に伝えてもいた｡ 技術が伴わなかったってだけでね｡ 君は 私の求めに 精いっぱい 応えようとしてくれたんだ｡ それを見られただけで 満足だった うん｡ いや 今も…➡ 満足だ うん｡ カウントダウンに先駆けまして➡ 亀… 亀… フフフフ…｡ 何？ 大丈夫ですか？ 亀沢君の…！ ちょっと もう あ～！ もう どいて！ 亀沢の高卒認定試験 合格を祝って…｡ (一同) カンパ～イ！ (白尾) おめでとう 亀沢！ (一同) おめでとう！ (亀沢) その言葉は『東大』合格発表の ３月まで取っておいてくれ～！ その通り 頑張れよ ３年生｡ 当たり前じゃん｡ はい｡ はい｡ よし 帰って勉強すっかな｡ (江波戸) えっ？ 初詣は？ (樫山) 岡留さん？ いいんだ よせよせ｡ 準備の仕方は 人それぞれだから｡ 全員 第１志望に 合格するといいわね｡ (光安)きっと受かります｡ (志方)念を送っておきますからね｡ (伊勢田) 本当に頑張ってください｡ ありがとう｡ ありがとう｡ (牛丸) 璃子さん 何か 雰囲気 変わりましたね｡ あっ ちょっと… いや… あんまり見ないで｡ 弊誌『オシャLady』の方針で｡ (樫山) その雑誌 立ち読みしたんですけど 何ていうか…｡ 言わないで！ ダッサいよね～｡ やめろよ 柚… 樽見｡ はっ？ 聞いた？ 今｡ 何 何…？ (江波戸) もう いいよ ｢柚 樽見｣は｡ もう とっくに みんな知ってます｡ マジで!? 俺が勉強や 労働に励んでる間に お前ら…｡ 何だ？ 何を知ってるんだ？ えっ お前 言ってないの？ 言うわけねえだろ 親父に｡ だから あれですよ｡ はい｡ (江波戸) おめでとう 赤岩｡ 毎年 生徒達を見てて思うけど➡ 高校の３年間なんて あっという間よね｡ でしょうね｡ ウフフ… はぁ～｡ 特に この一年 青志君が来てから早かったわ｡ フフフ｡ 今まで 見ていただけの野球に➡ まさか 自分が コーチで参加するなんて｡ 結果 試合で 対戦までしてますからね｡ はぁ…｡ ありがとう 青志君｡ いや 礼を言うのは こっちですよ｡ 私は 何もしてないわよ｡ してくれたじゃないですか｡ 野球部の監督になりなさいって グローブまで頂いちゃって｡ あ～ 始業式の日ね｡ ありがとうございました｡ もう… どういたしまして｡ (樫山) んあ～！ あっ あっ…！ あ～ ギリギリじゃねえか！ (一同) ３･２･１…｡ あけましておめでとう！ おめでとうございます｡ ≪樫山！≫ ≪おめでとう おめでとう≫ ≪私も受かりました≫ よくやったな おめでとう｡ ≪ありがとうございます≫ 『東大』理３ 合格しました｡ 『東大』理１ 合格しました｡ 同じく 『東大』理１ 受かりました！ よくやったな おめでとう！ ありがとうございます｡ 失礼します！ 白尾 どうだった？ 『早稲田』に行きます！ そうか｡ 『東大』はダメだったか｡ いいじゃん 『早稲田』でレギュラー 狙いなよ｡ そうだな 強いチームで もまれて来い｡ はい！ それで あの…｡ ん？ 岡留君？ (戸が開く音) 失礼しま～す‼ 岡留 圭➡ もう一年 頑張ります｡ 頑張れ｡ ありがとうございます｡ あ～～！ うわ～～～！ (樫山) 速え～｡ (牛丸) 岡留さん｡ 八つ当たりとかで いじめられなきゃいいな｡ (岡留) 来年は無敵だ～！ ♬～ (生徒達) ♪～ 相模の海に 茜さすところ ♪～ そびえる山に 高まりし ♪～ あふれる希望よ 輝く未来よ ♪～ いざ吾等 いざ吾等 ♪～ 学びの丘より 旅立たん ♪～ あゝ 春風切りて 天翔ける ♪～ あゝ 小田原城徳 ♪～ 我らが母校 まずは３年生 卒業おめでとう｡ ありがとうございます｡ (拍手) と まぁ 同時に 俺も今日 この『城徳』を去る｡ つまり➡ お前達全員と ここで お別れだ｡ この景色を見ると いろんなことを思い出す｡ でも まぁ こうして 毎日のように 集まってた この部室に➡ この全員は集まることは もう ないんだ｡ 寂しいな｡ …って思えるのは➡ 俺達が ちゃんと野球と向き合って 来れたからなんだと思う｡ 伊勢田｡ はい｡ お前は 兄貴のことを 負い目に感じていた光安を➡ １人で守り切ったんだ｡ 誰かに友情を感じることが あったとしても➡ それを守ろうと行動できる人間は なかなか いない｡ カッコいいぞ｡ これからも その気持ちは大事にしろよ｡ もっと…｡ もっと 努力します｡ 光安｡ はい｡ お前は無愛想だから➡ 最初 やる気があるのか どうかすら分からなかった｡ けど あの兄貴と同じ 野球を選んだ｡ この決断は 誰もが尊敬してる｡ けどな➡ 本当は➡ いらないんだ｡ そんな決断なんて｡ 野球が楽しくて たまらない｡ いい顔してたぞ｡ だから これからも お前は➡ 『城徳』野球部のために➡ いい顔で居続けろ｡ はい｡ いい顔でいます｡ 志方｡ はい｡ 俺はさ 驚いてんだよ｡ だって➡ 別に 誰かに引き止められた わけでもないのに➡ お前は お前で この野球部に根を張ったんだ｡ 自分をさらけ出すことで｡ こんなにも たくさんの仲間を つくることが できたじゃないか｡ よくぞ 俺の予想を裏切ってくれたな｡ はい すいません｡ 牛丸｡ はい｡ お前は 誰にでも➡ 同じだけ 優しくすることができるから➡ いつも 後ろのほうで➡ みんなのことを見守ってたよな｡ だから 練習が終わった後➡ お前の元に➡ みんなが集まって来て 輪をつくってるのを➡ 何度か見たことがあった｡ そこで気付いたんだよ｡ 打順も線で考えるんじゃなく➡ 輪で考えれば➡ 上位も下位も存在しない｡ お前の その➡ 誰にでも 同じだけ優しくできる気持ちに➡ 俺は 教えられたんだ｡ お世話になりました｡ 樫山｡ はい｡ 俺は いつか ｢野球は無駄なことだ➡ こんなもん やっても やらなくても➡ 誰も困らない｣➡ …そう言ったよな｡ はい｡ お前は 時間を効率的に使う奴だから➡ 無駄が嫌いなんだ｡ じゃあさ…➡ これは 無駄だったか？ いえ… 無駄じゃなかったです｡ 無駄だと思って 避けるんじゃなく➡ 効率良く無駄と向き合うことで➡ 無駄は もう 無駄じゃなくなるんだ｡ だから これからも 無駄だからっていって➡ よけるんじゃなく➡ お前の その効率の良さで➡ 無駄と しっかり向き合ってくれ｡ はい 向き合って行きます｡ 亀沢｡ はい｡ お前との別れは もう これで➡ ２度目だけど➡ １度目の時は 大変だったんだよ｡ お前の席を➡ 永久欠番だとか 抜かす奴が出て来て…｡ 何だよ それ｡ そこから みんなが お前が担ってた役割を➡ 少しずつ少しずつ➡ やりくりするようになって｡ この野球部は 変わった｡ お前の おかげなんだ｡ だから 大丈夫だよ｡ なぜなら➡ 亀沢は どこに行っても亀沢だからだ｡ ヘヘっ｡ はい 超楽しかったっす｡ 岡留｡ はい｡ ｢俺は 無敵だ～‼｣➡ …って あれ 誰に言ってたんだよ｡ ハハハ…｡ 確かに｡ 俺はさ➡ 自分自身に言ってるようにしか 聞こえなかった｡ はい｡ お前の スカウト組へのプライドと➡ 何かをやり直したいと思ってる その気持ちにさ｡ 過去に こだわることを➡ 悪いことだって 言う奴もいるけど➡ こだわったからこそ➡ 前に進めることだってあるんだよ｡ お前は その一歩を 踏み出せたじゃないか｡ だからこそ➡ お前は強くなれた｡ だからな➡ 頑張れ｡ ただ ひたすらに頑張れ｡ お前は 無敵なんだから｡ 俺が無敵になれたのは➡ 監督のおかげです｡ クッソ…｡ 江波戸｡ はい｡ まずは キャプテンとの務め➡ それは ご苦労さまでした｡ お前はさ 悩んで悩んで➡ いろいろ こう 気になっちゃうんだよな｡ だからさ キャッチャーっていう ポジションは➡ まさに適任だったんだ｡ あのポジションは 唯一 みんなの顔を見ながら➡ 守ることができる ポジションなんだ｡ つまり みんなの思いや気持ちを➡ ダイレクトに 受け取ることができる人間しか➡ できないポジションだったんだ｡ 俺は こう思うんだよ｡ お前から見た悩みってのは➡ 俺達から見ると チャンスなんじゃないかって｡ だから いくつもあった このチャンスを➡ お前なりに 向き合って来たからこそ➡ お前は こうして➡ みんなの中心に 立ってるんじゃないのか？ はい｡ ありがとうございます｡ 白尾｡ はい｡ お前なんだ➡ 『城徳』が ここまで来れたのは｡ 俺がダメでも 他の奴にナメられたって➡ ｢白尾が｣ ｢白尾が｣…｡ その気持ちで➡ みんな ここまで来れたんだ｡ でもな➡ その言葉を➡ 誰よりもウソにしないように 頑張ったのは➡ 白尾だ｡ 孤独だったろうし つらいこともあったと思う｡ けど いつもと変わらず笑って➡ ｢おう！｣って言う お前に➡ 俺達は 何度も助けられたんだ｡ ありがとう｡ 俺のほうこそ ありがとうございました｡ 赤岩｡ はい｡ 頭が良くて お金持ちで…｡ 悩みがないのが悩みなんて 言えちゃう お前だからこそ➡ ちょっと つまずいただけで➡ ｢人生が終わった｣ ｢この場から逃げ出したい｣➡ あっ いや… 逃げたこともあったよな｡ あ…｡ 赤岩｡ はい｡ 後ろ向いてみろ｡ でも お前は ちゃんと こうして➡ この場所に 戻って来れたじゃないか｡ 俺は お前が言った➡ ｢野球は下手だけど得意です｣➡ …って その言葉が 忘れられないんだよ｡ まぁ 俺達は 野球は下手だけど好きなんだ➡ 得意なんだ｡ 得意なんだったら やるべきだよな｡ そうですね｡ うん｡ だからさ…｡ はい｡ これから 何か決断する時は➡ 今みたいに振り返れ｡ 支えてくれた人達のことを 思い出して➡ 感謝するつもりで決断をしろ｡ はい｡ はい 柚子｡ はい｡ 顔が変わったよな｡ いい顔になったよ｡ でも お前はさ➡ 夢を大きく見る癖があるから➡ その現実を知った時に➡ 受けるショックも またデカいんだ｡ でもさ➡ それで いいんだよ｡ そうやって 人は 大きくなって行くんだろうし➡ お前は その経験を この野球部のみんなと➡ 分かち合うことができたんだ｡ だから お前も どこに行っても大丈夫だ｡ はい｡ それと➡ 俺を 野球部に 誘ってくれてありがとう｡ お前に誘われなかったら➡ 今の俺は ここに立ってない｡ ありがとうございました｡ ありがとう｡ 俺は野球が大好きだ｡ こんなにも 素直に言える日が 来るなんて思わなかった｡ 俺の後悔は 今➡ やっと ちゃんと過去になったんだ｡ それは お前達のおかげだ｡ お前達に出会えてよかった｡ お前達のことが大好きだ｡ 本当に…｡ ありがとう｡ ありがとうございました！ ♬～ で 何が始まるの？ 最後の練習ですかね？ (増本) 練習？ そんなもん 聞いてないぞ｡ まぁ もうちょっと 待ちなさいって｡ フフフ｡ あっ｡ 青志君 早く！ 一体 何させようって話ですか？ 試合よ｡ (部員達) 試合!? (楓) そう ３年生と青志君の引退試合よ｡ 試合って 相手 誰ですか？ こんだけいるんだぞ 相手なんて 必要ないだろう｡ み～んなで やりましょう 試合を｡ 面白そうじゃん やろう やろう！ (岡留) 試合か｡ (白尾) 試合やるか～！ (白尾) おい 見ろ！ (増本) 『堂学』の鬼監督だ｡ ≪来た～！≫ ≪鬼≫ 何のご用ですか？ あ～ よくぞ いらしてくださいました｡ どういうことですか？ これは｡ 私は 来月の親善試合について➡ 話し合いがあると言うから わざわざ｡ いいじゃないですか そんなこと｡ ライバルの田茂監督の門出ですよ｡ ライバルなんかじゃ ない！ いいでしょう｡ 相手にとって 不足は なしだ｡ こっちは不足だ！ (亀沢) 監督も やる気だぞ！ よっしゃ 試合だ～！ よっしゃ｡ こら！ 勝手に盛り上がるな！ 盛り上がるのは まだ早い｡ 何でだよ？ ん？ 鬼監督を入れても まだ １７人しかいない｡ でも 大丈夫｡ １人ぐらい 何とかなる｡ 私でいいの？ よろしくお願いします！ ♬～ お願いします｡ (部員達) お願いします｡ ちょっと待て｡ 君の身内しかいない中で うちのﾁｰﾑに どうやって勝てと？ それは…➡ みんなが俺の味方をするとでも？ 普通に考えれば そうするだろう｡ 俺は そんな指導した覚えは ありませんよ｡ 誰が相手だろうと 思いっ切り戦う｡ それが 『城徳』の野球です｡ よっしゃ～！ ≪絶対 負けねえからな！≫ 絶対 負けないからな！ おい 現役！ 夏から ひたすら練習に明け暮れた 成果を見せろ‼ ♬～ (白尾) おい 赤岩！ 彼女だからって 手 抜くんじゃねえぞ！ 抜いて｡ 抜くか！ (晴敏) あっ… あぁ 痛い…｡ そんぐらい捕れただろ 親父｡ その前に打たれんな！ 何だと？ 何だ？ (白尾) おい 赤岩！ (江波戸) 待て待て…！ (晴敏) かかって来い｡ (白尾) 落ち着け 落ち着け！ (志方) さよなら 樽見さん｡ さようなら！ 兄は 元気ですか？ あぁ… よく 部員達に自慢していたよ｡ 自分には 頭のいい弟がいるんだってな｡ あぁ…｡ 僕は 監督のような まねはできないけど➡ 監督のスピリットは 受け継いで行きます！ よろしくお願いします｡ (増本) あっ 当たった！ 当たったよ！ 早く走れ！ (白尾) 走ってください！ ≪早く早く！≫ ≪ゴー ゴー ゴー！≫ 璃子さん｡ うん？ アシスタントとか できることが あったら言ってください｡ ありがとう｡ それと…｡ 俺とデートしてください｡ えっ？ えっ!? ボケっとするな！ 利根！ はぁ？ 何よ！ うわ～！ お前より速いな｡ そうだな｡ ♪～ パッパパパパパ パッパパパパパ ♪～ パッパパッパ パッパパッパ パッパパッパパ ♪～ パッパパ～ パパパパ～ ≪かっ飛ばせ～！≫ 気が散るよ｡ すいません｡ あっ かぁ～！ 君のせいだ！ ぬれぎぬだ！ やっぱり いい学校だよな｡ 『城徳』って｡ はい｡ 追い付けるだろ 岡留！ (岡留) てめぇでやってみろ！ いいぞ 浪人生！ 浪人先輩！ うるせぇぞ！ 私が打ったら 監督 続けなさいよ 青志君！ じゃあ 打たせません｡ さぁ 来い！ 意志は相当 固いわね｡ 六大学野球で会おうな 赤岩｡ おう｡ (打球音) ♬～ (峠) ああっ！ (峠) 貴様～！ わざとだな!? (白尾) おい 監督 守れ～！ ♬～ よ～し！ (増本) 行け！ 走れ走れ！ 走れ走れ！ 走れ！ 行け～！ (白尾) 監督 走れ！ (増本) ＯＫ！ ナイス ナイス！ (白尾) ナイスバッティング 監督！ (白尾) イェ～イ！ (増本) イェ～イ！ ♬～ グラウンドを去るのが 名残惜しいか？ まぁ… もちろん それなりに｡ たった１年じゃ そんな 思い出もないだろう？ あなたに 何が分かるんですか？ こないだの県大会の試合 見させてもらったよ｡ 感想は結構ですよ｡ いや…➡ ろくに 球も見ずに振って来る｡ 不格好な戦い方だ｡ だが 少しでも勝ちたいという 気持ちは伝わって来た｡ それが 俺の知っていた 『城徳』との違いだ｡ 何ですか？ これ｡ 着けろ｡ 何のために？ ゲームやめるんなら➡ しっかり アウト取ってからにしろ っていうことだよ｡ こんなことして 肩 大丈夫なんですか？ 心配してくれるなら➡ しっかり 捕ってくれ｡ しっかり構えて 動かなければ捕れる｡ あ…｡ ♬～ ♬～ ♬～ フッ｡ ♬～ ♬～ ようやく スリーアウトか｡ 先は まだ長いな｡ カッコいいぞ 青志君｡ ♬～ うん これでいい この実験データを➡ シーケンス解析に回しといてくれ｡ (研究員) はい｡ え？ どちらへ？ ♬～ まぁ 初戦は勝ってもらわないとな｡ 偉そうに｡ 僕達だって２回戦敗退なのに｡ 大丈夫だって 絶対勝てるよ｡ 勝ってもらわなきゃ 連載が終わっちゃう｡ (亀沢) 行け～ 『城徳』！ 『城徳』！ 頑張れ～！ ピッチャーをやろうとするな！ うまくなくていいんだ！ 正面に来た球だけを確実に捕れ！ (志方) 光安！ ビビるな！ 球に向かって ｢来い！｣という気持ちだ！ どさくさ どさくさ！ 絶対 勝つぞ～！ (志方) 樫山！ (審判) ヒズアウト！ ≪アウト！≫ よし！ いいぞ！ (子供達) はい！ うまく当てようとするな｡ 思いっ切り振り切れ！ (子供達) はい！ ♬～

海の上の診療所＃04

1 ♬(太鼓の音) (一同)よいさー｡ よいさー｡➡ よいさー｡ よいさー｡ ♬(太鼓の音) (一同)よいさー｡ よいさー｡ ♬(太鼓の音) (一同)よいさー｡ よいさー｡ ♬(太鼓の音) (一同)よいさー｡ よいさー｡ ♬(太鼓の音) (一同)よいさー｡ よいさー｡ ♬(太鼓の音) (海藤)何じゃ？ こりゃ！➡ どうして こんなことに なっちゃったんだよ？ カルロス｡ (ｶﾙﾛｽ)どうしてでしょう？ (海藤)ただでさえ お前➡ 事務長から 食費 使い過ぎだって うるさく 言われてんだぞ｡ (前島)すいません｡ カルロスは➡ 悪気があって やったわけじゃないんです｡➡ ただ ちょっと 桁を 間違えてしまっただけで｡ (海藤)ちょっとどころの 問題じゃねえだろうが！ (海藤)どうすんだよ？ このモヤシ｡➡ 1,500袋だぞ？ えっ？ モヤシに ６万も掛けて どうすんだよ？ (ｶﾙﾛｽ)日本語 難しい｡ (海藤)日本語の問題じゃねえだろ！ (海藤)ゼロが ２つ 多いんだよ｡ (ｶﾙﾛｽ)ああー｡ (日内)えっ!? きょ… 今日から？➡ か… かしこまりました｡ 大至急 対応いたします｡ (海藤)はい｡ お待たせ｡ (前島･ｶﾙﾛｽ)お待たせ｡ (海藤)はい｡ いただきます｡ (前島･ｶﾙﾛｽ)いただきます｡ (眞子･葵)いただきます｡ (昇)いただきます｡ (海藤)どうした？ 食べていいぞ｡ (航太)何か➡ モヤシ 多くないですか？ (海藤)そうか？ (葵)モヤシの なんちゃって ナムル？ (眞子)モヤシの おひたし｡ (昇)モヤシ炒め｡ (海藤)モヤシ感謝デーだ｡ 何で モヤシに➡ 感謝するんですか？ (海藤)気にすんな｡ 食べよ 食べよ｡ (日内)ちょい ちょい ちょい ちょい｡ (日内)朝ご飯 中止！ 注目！ (一同)えっ？ 何？ (日内)来るんですよ｡ 本土の病院から お嬢さまが｡ お嬢さま？ (日内)理事長の娘さんですよ｡ (日内)本土の病院で 研修医 やってて｡ 研修医生活 最後の１カ月を うちで 過ごすことに｡ (昇)何で お嬢さまが この船に？ (日内)質問 禁止！➡ いいですか？ 理事長の娘さんですよ｡➡ くれぐれも 丁寧に 扱ってください｡➡ 三崎君｡ (昇)はい｡ (日内)変なぼけ かまして いらっと させないように｡➡ 海藤さん｡ 前島さん｡ カルロス｡ 今夜は 盛大な歓迎会を｡ (前島)いや｡ でも 今月の食費が｡ (ｶﾙﾛｽ)ゼロ ２つ 多い｡ (日内)食費は 気にしなくていい｡ (海藤)おっ｡ 戸神さん｡ スリッパ 跳び蹴り ぷりぷり 禁止｡➡ 葵先生｡ (葵)うん？ (日内)こまやかで 優しさ あふれる お嬢さまのフォロー➡ お願いします｡ 以上！ あら？ 僕は？ (日内)引っ込んでてください｡ できれば 今回は 一切 登場しなくていい｡ いや｡ 僕 登場しなくていいんですか？ (昇)いや｡ そんなの 駄目ですよ｡ 何でですか？ (葵)理事長の娘さんって ｢美人すぎる 研修医｣で➡ 有名な人よね？ ｢美人すぎる｣？ (葵)ほら｡ 雑誌にも 載ってる｡ (日内)あっ｡➡ どうして それ 出しちゃうかな｡ (前島)あっ｡ これだ｡ うわっ｡ これ ホント 美人ですね｡ (ｶﾙﾛｽ)美人 大好きです｡ (海藤)おい おい おい｡➡ ほら｡ 見ろ 見ろ｡ ほら｡ ほら｡ (ｶﾙﾛｽ)おい｡ それ しまってください｡ (一同)うん？ 僕 興味ありませんから｡ (眞子)見なくていいんですか？ だから しまってって｡ 眞子ちゃん｡ 瀬崎 航太｡ 学習してますよ｡ 恋の心配は ご無用です｡ 外見に 惑わされたりはしませんよ｡ 気付いたんです｡ 人には ２つの目が あるってことに｡ (昇)そんなの 当たり前じゃないですか｡ 昇｡ ここのことを 言ってるんじゃないんだよ｡ ここのことを 言ってるんだよ｡ (昇)うん？ 心の目｡ 心眼ってやつですよ｡ (昇)カッコイイっす｡ (葵)どこが？➡ うん？ うん？ うん？ (海藤)何だよ？ これからは どんなに うら若き 美しき女性が 現れたとしても➡ 一切 動じません｡ 全て 心の目で見て 判断します｡ 見えますね｡ (一同)うん？ (日内)生まれ変わった 瀬崎 航太先生の姿が｡➡ 分かりました！ 顔出しを 許可しましょう！ ありがとうございます｡ 何してんねん？ (昇)ああ｡ でも 部屋 余ってませんよね？➡ あの｡ どこに 寝泊まりしてもらうんですか？ (日内)三崎君が どいて｡ で 部屋 奇麗に 掃除して｡ コータ先生の部屋で 寝泊まり｡ 男 ２人で!? あんな狭い部屋で？ (昇)コータ先生｡ よろしく お願いします｡ よろしくじゃねえんだよ！ (海藤)何だよ？ (日内)はい｡ 仲良く｡ 以上！ (昇)コータ先生｡ 部屋に 荷物 入れさせてもらいました｡ 何で お前と ２人なんだよ？ 俺 ベッドだからな｡ お前 床で 寝ろよ｡ (昇)はい｡ ホント めでたいやつだねぇ｡ いつも 楽しそうでさ｡ はい｡ 尊敬できる コータ先生と 同室になれたんですから｡ それに ずっと 夢だった 離島医療も やれてますし｡ 夢？ はい｡ ちょっと どいてくんない？ あっ はい｡ 高校を 卒業するころ 将来 何やろうかなって 悩んでて｡ そんなとき ﾄﾞｷｭﾒﾝﾄ番組の あの 『灼熱大陸』を 見たんです｡ 『灼熱大陸』？ はい｡ へえー｡ 医者や 看護師がいなくて➡ 困ってる島の ドキュメント特集を やってて｡ 島に住む人たちが 苦しんでる姿を見て｡ エヘヘ｡ 何だか 僕 涙が止まんなくて｡ へえー｡ そうなんだ｡ だから 僕 患者さん 一人一人と➡ 向き合える 看護師に なりたいって 思ったんです｡ 単純だな お前は｡ はい｡ あれ？ 鯨？ えっ？ 鯨？ あれ あれ｡ うん｡ どこですか？ 鯨｡ えっ？ どこですか？ 鯨｡ えっ？ ここら辺 近海では➡ あんまり 見られない｡ えっ？ ♬～ (日内)こちら 理事長の お嬢さまでいらっしゃる｡ (みちる)藤井みちるです｡ (昇)よろしく お願いします｡ よろしく｡ (昇)ちゃんと 心の目で 見てますね｡ (日内)では 最初に ざっと 自己紹介を｡ ああ｡ そういうの いいから｡ 私 名前 覚えるの 苦手なんで｡ (日内)はい！ では 自己紹介 なしで｡ (みちる)ねえ？ ここには ＣＴとか➡ カテ室も ないんですよね？ (日内)えっ？ あっ はい｡ えー｡ 予算の関係で そこまでは｡ よく それで 病院船って 語れますね｡ (日内)ヘヘヘ｡ (みちる)ここに 重症で 運ばれた 患者さんは➡ 死んでくださいって 言われたようなもんね｡ (葵)あなた 言うわねぇ｡ ちょっと｡ 何なんですか？ そりゃ お嬢さん｡ 言い過ぎですよ｡ (みちる)何で 目 つむってるんですか？ (日内)あっ｡ いや｡ 何か 目が お疲れのようでして｡ (みちる)あなたが ドクター コータ？ ええ｡ (みちる)本土の病院で➡ 噂になってたの｡ この ちんけな設備の中で➡ 何度も 重症患者の命を 救ってるって｡ ちんけって｡ (みちる)へえー｡ あなたがねぇ｡ ちょっと イケメンかも｡ (日内)ちょい｡ それ以上 刺激しますと｡ (みちる)仕事も できるし｡ ううー｡ (日内)ちょい｡ (みちる)頼りがい ありそう｡ あっ｡ (日内)開いちゃったよ｡ ああ｡ お美しい｡ で 何ですか？ イケメンで 仕事ができて 頼りがいがある｡ 何でも ずばっと言ってしまう その素直な心｡ 心も お美しいとは 思いましたが 見た目も とても お美しいですね｡ ねえ？ 私の指導医 コータ先生にしてね｡ えっ？ (葵)あなたの指導医は 私よ｡ ああ｡ 代わって｡ (葵)はっ？ いいよね？ (日内)ええ｡ あっ｡ はい｡ もちろんです｡ 謹んで お受けいたします｡ あっ｡ 申し遅れました｡ 私 マンツーマン指導には 定評のある➡ ドクター コータ｡ 独身です｡ あっ｡ ああ｡ あっ｡ ♬～ ＯＫ ＯＫ｡ 全然 大丈夫です｡ (佐千男)まだまだ 先生には➡ 負けないぞ｡ じゃあ 腕相撲でも しちゃいます？ (佐千男)ありがとうございました｡ じゃあ｡ 眞子ちゃん｡ お大事にね｡ じゃあ どうも｡ 思ったとおりのとこね｡ ほとんど 慢性疾患の 患者ばかりじゃないですか｡ だから 何ですか？ 老人の話し相手に なってるだけ｡ 医者の意味 あります？ はあ？ 何？ その言い方｡ 何？ 怖い｡ ねえ？ ほら｡ 眞子ちゃん｡ もう ぷりぷりしないの｡ (みちる･航太)ねえ？ ほら｡ プリンでも 食べてきなよ｡ (みちる)いただきます｡ (日内)あっ｡ どうでしょうか？ お味の方は｡ (みちる)うん｡ おいしい｡ (日内)いい感じです｡ お嬢さまに 気に入ってもらえれば➡ 食費の予算 増やしてもらえるかも しれませんよ｡ おおっ！ よし！ 夜は 歓迎会だ｡ あり得ん｡ 何なの？ あの医者｡ だいたい 何でさ あっちは 豪勢なのに➡ こっちは また モヤシなの？ 私の プリンまで｡ (葵)彼女の指導医に ぶつけて｡ 無理です｡ あの恋愛バカには｡ 一緒になって 楽しんじゃってるし｡ みちる先生｡ (みちる)うん？ みちる先生｡ 午後は 一緒に 往診に行きますよ｡ (みちる)車？ いえ｡ 歩きです｡ (みちる)えー？ めんどくさい｡ ねえ？ めんどくさいよね？ (みちる)うん｡ (日内)今日の 午後の往診は コータ先生と➡ 三崎君ペア ＆ みちる先生で お願いします｡ (みちる)疲れた｡ これ ずっと 歩いて回るわけ？ ですよね｡ (昇)歩かなきゃ➡ 回れないところが 多いんですよ｡ おい｡ 昇｡ (昇)はい｡ 休憩しようか｡ 休憩｡ (昇)ああ｡ はい｡ ハァー｡ (昇)あっ｡ 休憩だったら 僕 いい場所 知ってますよ｡ ホント？ (昇)はい｡➡ よし｡ じゃあ 行きましょう｡ 行きましょう｡ (昇)ああ｡ ここですよ ここ｡ ほら｡ うわー｡ (みちる)うわー｡ うわー！ すごいな！ (みちる)ホント｡ いいとこ 知ってんじゃん｡ (昇)はい｡ 昇君｡ たまには 役に立ちますな｡ (昇)こういう 素晴らしい景色が 見られるのも➡ 離島医療ならではですからね｡ まあ でも 歩いてくんの 疲れるけどな｡ (みちる)ねえ？ コータ先生は 何で 医者になったの？ えっ？ いやいや｡ まあ いいですよ そういうのは｡ (みちる)えっ？ いや｡ 何か➡ 恥ずかしいじゃないですか｡ (みちる)えっ？ 聞きたい｡➡ 教えてよ｡ そうですか｡ うん｡ まあ あの｡ 僕が 中１のときに 大好きだった クラスメートの➡ みよちゃんって子が いましてね｡ その子 病気になって 入院しちゃったんです｡ みよちゃんを 助けようとして？ あっ いや｡ そうじゃなくて｡ まあ 単純にいいますと｡ みよちゃん 入院先の先生のことを 好きになっちゃったんです｡ で 僕 もう ｢あれー？｣みたいな 感じになっちゃって｡ で 僕も 先生になったらみたいな｡ えっ？ そっち？ (昇)へえー｡ というのも ありまして｡ そう そう そう｡ でも あの｡ あれですよ｡ あの ほら｡ よくある あれです｡ ドキュメント番組の 『灼熱大陸』っての 見たんです｡ (みちる)ああ｡ 知ってる 知ってる｡ (昇)えっ？ それ 僕…｡ うん｡ 知ってる｡ で あの｡ 医者がいない場所に 住んでる人たちが➡ 苦しんでる姿を見て｡ ねっ？ (昇)はい｡ 涙が止まらなかったんですよ｡ (みちる)へえー｡ 単純｡ あっ｡ はい｡ えっ？ じゃあ みちる先生は 何で 医者になろうって？ そうですよ｡ みちる先生の お話を｡ (みちる)子供のころから 親に言われてたから｡➡ 医者になって 病院 継げってね｡ ふーん｡ (みちる)別に 興味なかったのにさ｡ (昇)医者に なりたいわけじゃ なかったんですね？ (みちる)最初はね｡ けど 外科医なら いいかなって｡ カッコイイじゃん｡ 人の命 救うってさ｡ ちっちゃいときから うちの病院で 見てたんだよね｡ 患者さんから 感謝されてる 外科医の姿｡ へえー｡ 患者さんを 自分の手で 助けてさ➡ 私も ｢ありがと｣って 感謝されたいなって｡ いやー｡ 素晴らしいね｡ そうやって 人の命を 救いたいっていう 気持ち｡ って 思ってたんだけどね｡ うん？ 何でもない｡ 行こう｡ コータ先生｡ あっ｡ もう 行きます？ 何で あんな研修医が ここに 来たんですか？ それは ちょっと｡ 戸神さん｡ お願いします｡ ハァー｡ [CD]♬(音楽) おかしいですよ｡ 理事長の娘が ここに 来るなんて｡ 本人だって 離島医療に 全然 関心ないみたいだし｡ (葵)晃君｡ 教えてあげたら？ 何か 知ってるんでしょ？ うん？ 教えてください｡ (日内･葵)アスーカル！ ごまかさないで｡ じゃあ おじいちゃん｡ 背中 向けてもらいます｡ (幸田)はい｡ 昇｡ じゃあ｡ (昇)はい｡ 寝たきりの 患者さんは➡ 床擦れチェックも してくださいね｡ あれ？ みちる先生は？ (みちる)はい｡ まだ 決めかねてて｡➡ もう少しだけ 考えさせてください｡➡ あっ はい｡ また 連絡します｡ ≪(男性)すいません！ ≪(男性)すいません！ (男性)海診丸の 先生ですよね？ 助けてください｡ (男性たち)お願いします｡ こっちです｡ お願いします｡ (葵)医療事故？ はい｡ みちる先生が？ (日内)一人で 当直してるとき 外傷で 運びこまれてきた➡ 患者さんの処置を したんですが 小腸の損傷を 見逃してしまって｡ (葵)で その患者さん どうなった？ (日内)すぐ 他の先生が フォローに 入ってくれて➡ 無事だったんですけどね｡ それ以来➡ 患者の処置をするのが 怖くなったみたいでね｡ みたいでって｡ 外科医に なりたいんですよね？ (日内)うん｡ まあ 本人的には そうなんでしょうけど｡➡ 理事長は 将来的に➡ 病院を 継いでくれさえすれば いいと 思ってるので｡ 理事長らしいわ｡ (日内)何とか 研修を 終わらせるために➡ オペが ほとんど ない この海診丸に 来たってわけです｡➡ ああ｡ 全部 言ったら すっきりした｡ 全然 筋が通ってない｡ 何のための研修よ？ (日内)まあまあ 仲良く やっていきましょうよ｡ できません！ あんな 半端な人とは｡ (男性)突然 櫂伝馬競漕の 練習中に 苦しがって｡ (みちる)櫂伝馬？ (男性)この島の➡ 地区対抗の 伝統行事で｡ (晴男)いちいち 医者なんて➡ 呼ぶなよ｡ 少し 休めば 良くなる｡ (みちる)ちょっと 失礼します｡ (晴男)いっ…｡ すいません｡ (晴男)ホントに 医者かよ？ 大丈夫だから｡ (みちる)でも 一応➡ レントゲン 撮っておいた方が｡ (晴男)いや｡ そんな時間 ねえよ｡ (晴男)練習 やるぞ｡ (男性)おい 晴男｡ 大丈夫かよ？ (男性)おい｡ 晴男｡ ≪みちる先生｡ こんなとこに いたんですか｡ 心配しましたよ｡ 暇だったから ちょっと 散歩してたの｡ じゃあ 僕も 呼んでくださいよ｡ (みちる)やだよ｡ (昇)いやいや｡ 先生｡ うん｡ まあ でも 往診は 無事に 終わりました｡ これから 帰って みちる先生の 歓迎会ですよ｡ なあ？ (昇)はい｡ 行きましょう｡ (昇)行きましょう｡ お前な 女性を 一人にしちゃいけないんだよ｡ (昇)ああ｡ すいません｡ (日内)はい｡ どうぞ｡ (みちる)夕飯も おいしそう｡ (日内)みちる先生｡ 今夜は おいしいもの 食べて➡ じゃんじゃん 飲んじゃってください｡ (葵)それ 私のワインじゃない？ (日内)はあー｡ (葵)はあ？ もう｡ (日内)どうぞ おくつろぎください｡ (みちる)食事は ホントに 豪華だね｡➡ 大した仕事 してないのに｡➡ 本土の医者が 知ったら 怒るよ これ｡ 何様のつもり？ 何が？ 私たちは ここの仕事に 誇りを持って やってんの｡ 病院のない 離島の人たちの力に 少しでも なりたいって｡ ろくに 仕事もしない あなたに➡ この船を バカにしてほしくないんだけど？ (みちる) バカにしてるわけじゃない｡➡ ただ あなたたちの やってることに➡ ｢意味 あるの？｣って 思ってるだけだって｡ (日内)あのう｡ ねっ？ あの｡ 楽しく いきませんか？ (みちる)老人の話し相手に なるのが 医者の仕事なの？ そんなことのために この船に 幾ら 使ってると 思ってんの？➡ そんだけ 予算 掛けて➡ いったい どれほどの患者が 救えてるのかって話｡➡ 本土の病院に 費用を 集中させた方が➡ 結果的に 多くの人 救えんじゃないの？ お金のこと 言うなら あなたが 辞めれば？ 眞子ちゃん｡ オペもできない 外科医こそ➡ 人件費の無駄です｡ (葵)眞子｡ (日内)ちょい｡ 医療事故 起こしたんでしょ？ 聞いたの｡ 全部｡ あなたが ここに来た理由｡ 医者として 半人前なくせに 偉そうなことばっかり 言って｡ ここに 追いやられてきたくせに｡ 私たちに 八つ当たりしないでよ！ 何 熱くなってんの？ バカみたい｡ ≪みちる先生｡ 大丈夫ですか？ (みちる)何が？ 何で 目 つむってんの？ みちる先生が 何を考えてるのか 心の目で見ようかと 思いまして｡ 何？ それ｡ 心眼ってやつですかね｡ フフッ｡ ホント コータ先生って 面白い｡ アハハ｡ 痛っ｡ あ痛っ｡ さっきの話 ホントなんだ｡ 医療事故 起こしたって｡ 医者のくせに 患者 救うどころか 危険な目に遭わせてさ｡ 私 もう 駄目なんだよね｡ 患者さんの前に 立つのが 怖いの｡ 医者として 致命的でしょ？ うん｡ 怖いのは 当然ですよ｡ 僕だって 怖いですよ｡ 人の命を 預かってるんですからね｡ 怖いと思わなきゃ 医者 失格なんじゃないですかね？ ただ 怖いって思いに 耐えられないんだったら➡ 医者なんか 辞めちゃえばいいんですよ｡ ほら｡ 楽しくないでしょ？ 仕事は 楽しい方が いいじゃないですか｡ ねっ？ 正直な人だね コータ先生って｡ えっ？ あっ｡ 私 正直な人 好きだよ｡ ねえ？ コータ先生｡ うん？ もう１回 目 つむって｡ えっ？ 何で？ 早く｡ 分かりました｡ その心眼だっけ？ ああ｡ そっち｡ それで 私を見てほしいの｡ 分かりました｡ 東京で 芸能事務所 やってる人がさ➡ 私が出た 雑誌 見て 連絡してきたの｡ うん｡ ふんふん｡ タレント活動 してみないかって｡ どう思う？ うーん｡ どうなんですかね？ 医者 やりながら タレント活動 するっていうのは➡ ちょっと 中途半端に 聞こえますけどね｡ あっ｡ でも みちる先生が やったら➡ 人気者 間違いないですね｡ ハハハ｡ ねえ？ コータ先生｡ はい？ 一緒に 東京 行かない？ えっ？ ああ｡ 私 急に 何 言ってんだろ｡ でも コータ先生みたいな人が そばにいてくれたら➡ 心強いし うれしい｡ ああ｡ うん｡ 東京の系列病院 紹介するからさ｡ お父さんにいえば➡ 院長ぐらい いけるかも｡ 院長!? コータ先生は タレント活動に 興味ないの？ あっ いや｡ そういうのは ちょっと➡ 考えたこと ないですね｡ もったいないよ｡ えっ？ コータ先生 面白いし｡ ルックスだって いいんだから｡ あっ｡ はい｡ 医者 やりながら タレント やったら➡ もう 絶対 人気 出ると思う｡ うん｡ 事務所 紹介するから｡ うーん｡ 東京で 借りようと思ってる マンションさ➡ 部屋 いっぱい あるから 一部屋 貸してあげるよ｡ えっ？ ちょっと 待ってください｡ それって ちょっとした 同棲的な？ まだ｡ えっ？ 目 開けちゃ駄目｡ あっ｡ はい｡ ねえ？ 選んで｡ 私と一緒に 東京に行くか｡ それとも このまま 船のお医者さん 続けるか｡ うーん｡ 考えてね｡ うん｡ 医者も タレントも 両方 一生懸命 やれば➡ これ 中途半端になりませんね｡ 分かりました｡ 瀬崎 航太｡ 決めました｡ えっ？ 嘘｡ ええっ!? あっ｡ あっ｡ (日内)ああ｡ ちょっ ちょっ｡➡ コータ先生｡ ちょっと｡ ど… どうなってんすか？ 皆さま！ 大変 突然ではございますが｡ 私 瀬崎 航太｡ この船を 下りることとなりました｡ (海藤)ハァー｡ で みちる先生と➡ 東京に行きまして タレントになります｡ (海藤)タレント？ ブッ｡ おい｡ おい｡ おい｡ おい｡ おい｡ 何か あるでしょ？ 言葉が｡ 何も言えねえ｡ (海藤)何も言えねえやな｡ ヘイヘイ ヘイヘイ ヘイヘイ｡ 医者は？ 辞めちゃうんですか？ いや｡ 系列病院の 院長になります｡ それで まあ 医者 やりながら タレント やるっていう➡ 東京の あるあるパターンで いきます｡ それは あるっちゃ あるけどね｡ あっ｡ そうでしょ？ コータ先生が 院長に？ うん｡ んでね そんでね｡ エヘッ｡ みちる先生と 一緒に➡ 同棲なんか しちゃったりなんか しちゃったりして｡ (葵)眞子？ 眞子ちゃん？ 眞子ちゃん｡ どしたの？ 私 瀬崎 航太が この船を 下りるんですよ？ うん？ ねえ？ ぷりぷりしてんの？ うん？ フッ｡ うーん｡ まあ 分かるよ｡ 眞子ちゃんが みちる先生のこと 気に入らない 気持ち｡ ねえ？ まあ あれだけ 悪口 言われたら 怒りたくもなるよねぇ｡ でもね 僕は➡ 心の目で 彼女の弱さが 見えてしまったんですよ｡ 私には 全然 理解できない｡ まあ 彼女は ああやって 気丈に 振る舞ってるけどさ｡ 患者を 危険な目に遭わせて 何とも 思ってないわけないでしょ｡ 思ってるからこそ 患者と 向き合うのが➡ 怖くなっちゃったんですよ｡ ハァー｡ ちょっと｡ 眞子ちゃん｡ まあ とにかく➡ 私 東京に行きまして タレント活動を しながら➡ みちる先生を 支えていきたいと 思います｡ うん｡ [TEL] あっ あっ｡ ちょっ｡ ちょっと すいません｡ ハァー｡ (玲子)航太？ 元気にしてるの？ お母さん｡ どうしたの？ 急に｡ (玲子)あのね｡ お母さん 航太に 話したいことがあるのよ｡ 何？ ううん｡ やっぱり 会ったときに 話すね｡ 婚約者 連れてきてくれるんでしょ？ あっ｡ その話ね｡ うん｡ もうすぐだよ すぐ｡ うん｡ すぐ すぐ｡ もう 間もなくだから｡ うん｡ 楽しみにしてるね｡ じゃあ 体に 気を付けて 頑張んのよ｡ うん｡ はい｡ (日内)今日は 櫂伝馬競漕の日です｡➡ 海診丸からは 医療サポートとして➡ 戸神さんに 行ってもらいますので よろしく お願いします｡ はい｡ あれ？ みちる先生は？ (葵)さっきから 見ぃひんけど｡ ホンマに 手 かかる人やわ｡ (日内)うん｡ じゃあ 撮りますよ｡ (シャッター音) コータ先生？ ハァ｡ ちょっと カメラ 向けられるとな｡ ああ｡ いや｡ それ でも タレント 大丈夫ですか？ 大丈夫だよ｡ ああ｡ こんな感じ？ はい｡ こっちの方が いいかな？ うん｡ うん｡ じゃあ 撮ります｡ うん｡ (シャッター音) (昇･航太)ああ｡ はい｡ ちょっと チェックしてみよう｡ はい｡ (昇･航太)硬いな｡ はい｡ うん｡ あの｡ ちょっと テンシｮン 上げて｡ 上げてこう｡ 上げていきましょう｡ じゃあ ジャンプ｡ ジャンプな｡ (みちる)はい｡ 決めました｡ よろしく お願いします｡➡ ああ｡ あと 一人 ご紹介したい 先生がいて｡➡ 後で 写真 送ります｡ ♬(太鼓の音) (歓声) (男性)はい｡ ≪晴男さん！ 久しぶり！ おっ｡ 眞子ちゃん｡ あれ？ 相変わらず 色気ねえな｡ えっ？ うるさいなぁ｡ ことしも 出るの？ おう｡ 頑張ってね｡ (歓声･拍手) [ﾏｲｸ](男性)よいさー｡ ♬(太鼓の音) みんな 頑張って！ (一同)よいさー｡ よいさー｡ よいさー｡ よいさー｡ よいさー｡ (海藤)おい｡ このまま いけば➡ お嬢さまの力で 予算は クリアになる｡➡ 問題は 残った モヤシを どうするかだ｡ (ｶﾙﾛｽ)はい｡ 興奮します｡ (前島)興奮して どうすんだよ？➡ 日本語 覚えろ！ いいかげん｡ (ｶﾙﾛｽ)じゃあ ビーフンにします｡ (海藤)お前 おちょくってんのか？ お前｡ この野郎｡➡ モヤシ ブラジルに 送りつけるぞ｡ この野郎｡ (ｶﾙﾛｽ)着払いで お願いします｡ (海藤)もう いい｡ しゃべんな｡➡ おっ！ おおっ！ おっ｡ きた きた きた きた｡ ≪(男性)すいません！ (海藤)えっ？ えっ？ ≪(男性)た… 助けてください！ (海藤)ちょっ ちょっ ちょっ｡ (ｶﾙﾛｽ)行きます｡ (一同)よいさー｡ よいさー｡ よいさー｡ よいさー｡ よいさー｡ いけ いけ！ 突っ走れ！ (一同)よいさー｡ よいさー｡ よいさー｡ よいさー｡ 頑張れ 頑張れ！ (一同)よいさー｡ よいさー｡ よいさー｡ (歓声･拍手) よかった｡ (男性)晴男？ おい｡ 晴男！ (男性)おーい｡ 大変じゃ｡ 晴男｡ (一同)晴男｡ おい｡ しっかりせえ｡ えっ？ 晴男さん？ (男性)おい｡ しっかりしろ｡ (男性)おい｡ 大丈夫か？ 晴男さん｡ 大丈夫？ 晴男さん｡ (男性)もうちょっと もうちょっと｡ (男性)晴男｡ 大丈夫か？ 血圧 60｡ 下は 触知 不能｡ 脈拍 120｡ (みちる)どしたの？ 池田 晴男さん｡ 以前にも 何度か 気胸に｡ (男性)昨日も 苦しんでて｡ この先生が 診てくれたんだけど｡ 昨日？ (みちる)診断しようと➡ 思ったんだけど 大丈夫って 言われて｡ だからって そのまま ほっといたんですか!? (日内)えっ？ ええっ？ ちょっ｡ 重症患者!? はい｡ 至急 コータ先生を 呼んでください｡ (日内)いや｡ ちょっと こっちも 今｡➡ どうして こう 重なるかなぁ｡ 急病人の 治療中なんですよ｡ ハァー｡ 血圧は？ (昇)94の 59です｡ (日内)コータ先生｡ 戸神さんから｡ もしもーし？ コータ先生｡ すぐ 来てください｡ どうしたの？ 眞子ちゃん｡ 男性 35歳｡ 櫂伝馬競漕中に倒れ 呼吸困難｡ [TEL]ショック｡ 気胸の既往 ありです｡ [TEL]先生｡ 早く｡ 早く 来てください｡ いやー｡ 参ったなぁ｡ こっちも 今➡ ショック状態の 患者さんを 処置中なんだ｡ 腹腔内で 出血を 起こしてるかもしれない｡ 今 ここには みちる先生しか いなくて｡ えっ？ コータ先生です｡ (みちる)はい｡ 所見は？ [TEL](みちる)自然気胸で ﾃﾝｼｮﾝに なっていると 思います｡ [TEL]血圧は？ (みちる)上は 60で 下は 測れません｡ 緊張性気胸ですね｡ すぐに 脱気をしてくださーい｡ えっ？ [TEL]僕も 葵先生も➡ 緊急の処置中なんですよ｡ あと そこに行くのに ちょっと 時間 かかっちゃうなぁ｡ みちる先生に 処置を お願いするしか ないんです｡ (みちる)でも ドレナージなんか したことないし｡ 第一 こんなとこで 脱気なんて｡ 大丈夫ですよ｡ 僕が 電話で フォローしますからね｡ 頑張りましょう｡ 初めての共同作業｡ ウフフ｡ じゃあ 準備できたら 電話 くださいね｡ [TEL]待ってまーす｡ (みちる)あっ｡ 待ってください｡ メスと チューブなら ここに あります｡ 処置には これで 足りますか？ 先生｡ 早く お願いします｡ 先生！ 無理｡ こんなところで できない｡ はあ？ 無理だって｡ また ミスしたら 私…｡ 何 ぐだぐだ 言ってんだよ！ 何のために 外科医 目指したの？ ねえ？ 人の命 救うためじゃないの!? ハァー｡ あなたが やらないなら 私が やる｡ (みちる)えっ？ 誰かが やらなきゃ➡ 晴男さんは 死んじゃう｡ ♬～ (晴男)助けて｡ 助け…｡ (みちる)待って！ 私が やるから｡ [TEL](バイブレーターの音) (昇)コータ先生｡ [TEL](バイブレーターの音) 準備できましたか？ (みちる)はい｡ これから ドレナージ処置をします｡ 最初に 第４･５肋間で 切開をしてください｡ はい｡ メス｡ はい｡ ♬～ 切開したら ペアンで 皮下を 剥離して➡ その先で 胸膜を 破ってください｡ はい｡➡ ペアン｡ はい｡ 胸膜まで きたと思います｡ ペアンが 深く 入らないように｡ 一気に いきましょう｡ はい｡ 胸膜を 破ります｡➡ うわっ！ あっ｡ どうしました？ (みちる)胸壁から 血液が｡ [TEL]よく 見てください｡ そんなに 出血しないはずです｡ 大丈夫｡ 深呼吸して｡ 慌てなくていいですからね｡ もう一度 やってみてください｡ はい｡ 落ち着いて｡ 晴男さん｡ 頑張って｡ (心電計の警告音) 岡田さん？ 岡田さーん？ 聞こえますか？ 岡田さん？ (葵)挿管するわよ｡ お願い｡ うまくいって｡ (心電計の警告音) 昇｡ (昇)はい｡ (葵)10cc 入れます｡ ♬～ (空気の抜ける音) (みちる)あっ｡ 抜けた｡ 今 空気が抜けました｡ (晴男)うっ｡ ううー｡ 晴男さん？ ああ｡ よかった｡ 呼吸音も 確認してくださいね｡ はい｡ (昇)サチュレーション 戻ってきました｡ コロイド 全開にしてください｡ (葵)ＯＫ｡ これで 本土まで 持ちそうね｡ 呼吸音も 両側で 聴取｡ 頸静脈も 正常です｡ [TEL]後は 本土の病院に 搬送します｡ それから 救急艇を 待ってください｡ はい｡ みちる先生｡ よかったですねぇ｡ はい｡ よかった｡ お疲れさまでした｡ みちる先生｡ 晴男さん｡ もう 大丈夫だからね｡ みちる先生が 助けてくれましたから｡ (晴男)ああ｡ ありがとう｡ 先生｡ ああ｡ 何 泣いてるんですか？ (みちる)怖かったんだって｡ ホントに｡ ♬～ あっ｡ みちる先生｡ うまくいって よかったですね｡ (葵)やるやんか｡ 一人で 処置するなんて｡ まあ でも これからは➡ ナイス パートナーに なっちゃいそうですね 僕たち｡ 私 この船を 下ります｡ うん｡ じゃあ 一緒に 行っちゃいましょうか｡ 東京｡ (みちる)本土の病院に 戻ります｡ うん？ 病院？ (みちる)一から やり直したいんです｡➡ 患者さんを 救えたのは コータ先生の おかげ｡ いえいえ｡ (みちる)私 一人じゃ➡ 何にも できませんでした｡ そんな｡ (みちる)医者 失格です｡ (みちる)でも 私 外科医になりたい｡➡ みんなから 必要とされる 医者になりたい｡➡ だから 本土の病院で 研修を やり遂げます｡ あっ｡ 東京じゃないんです…｡ コータ先生｡ ありがとう｡ コータ先生みたいな 指導医 他に いませんでした｡ いえいえ｡ お礼なんて とんでもない｡ それより 東京じゃないんですね？ (みちる)コータ先生は➡ ここにいなきゃ 駄目な人です｡ うん？ ですかね？ あれ？ そうですか？ (みちる)あっ｡ でも 東京で タレントを やりたいなら｡ あの｡ 事務所の ＯＫ 取ってるんで お一人で どうぞ｡ (海藤)あっ｡ 行っちゃえ 行っちゃえ｡ あっ｡ そうですね｡ 僕 一人で 東京でね タレントをね｡ (みちる)コータ先生なら いいタレントに なれるよ｡ 今日 最後の便で 帰ります｡➡ 皆さん｡ ホントに お世話になりました｡ (葵)頑張りや｡ (みちる)はい｡ 意外と いい助手だったよ｡ ビビってたくせに｡ (葵)生意気やったけど 嫌いじゃないな ああいう子｡ では コータ先生｡ 宣言どおり 東京ライフ 楽しんで｡ グッバイ｡ (ｶﾙﾛｽ･海藤)グッバイ｡ いや｡ ちょっと 待った！ 皆さま｡ 私 瀬崎 航太｡ 院長にも タレントにも 一切 興味はございません｡ どうか 私のことを 心の目で 見てください｡ あああー｡ あっ｡ 眞子ちゃん｡ 眞子ちゃん｡ わあー｡ ハァー｡ ≪(ドアの開く音) ハァー｡ ホント 腹立つ人でした｡ みちる先生｡ でも いい外科医に なるんじゃないかな｡ 指導医 お疲れさまでした｡ 眞子ちゃん｡ 教えてもらいたいことが あんだけど｡ うん？ ちょっと｡ 女の子のさ 好きって どういう意味？ うーん｡ ラブだったり ライクだったり｡ まあ 色々ですかね｡ ラブとか ライクとか 難しいんだよな｡ 眞子ちゃんさ 試しに 好きって 言ってみてよ｡ はあ？ いやいや｡ ほら｡ ニュアンスの勉強 したいから｡ いや｡ 何で 私が？ いいじゃん 別に｡ 好き｡ いや｡ 早いでしょ｡ ちょっと ちゃんと 聞きたいから｡ えっ？ １回だけ｡ お願いします｡ じゃあ １回だけね｡ 好き｡ ラブ？ えっ？ いや｡ ライク｡ …の 裏返しの ラブ｡ …の 裏の裏の ラブ｡ からの ライク｡ ラブ ＆ ライク｡ ちゃんとして｡ すいません｡ ハァー｡ じゃあ おわびに これ あげるよ｡ うん？ 何？ これ｡ きっつ｡ いらない｡ いや｡ いいでしょう｡ いらない｡ じゃあ しょうがないな｡ サインしてあげるよ｡ ああ｡ もう 分かった｡ えっ？ もう いい｡ ちょい ちょい｡ [TEL] うん？ [TEL] もしもし？ (輝)瀬崎 航太さん？ [TEL]はい｡ (輝)輝｡ (輝)私 羽鳥 輝｡ ♬～

花子とアン＃069

1 (英治)花子さん｡ (はな)はい…｡ よかったら 今夜 歓迎会 やり直しませんか？ (三田)逢い引きか｡ 生まれて初めての 逢い引きのお誘いに➡ 心拍数が上がる はなでしたが…｡ ♬～ (醍醐)はなさん｡ 今日 村岡さんと 歓迎会 やり直すんですって？ え…｡ 三田さんから聞いたの｡ 私も ご一緒してよろしくって？ ええ！ もちろん｡ 本当に？ うん！ ♬｢これから はじまる｣ ♬｢あなたの 物語｣ ♬｢ずっと長く 道は続くよ｣ ♬｢虹色の雨 降り注げば｣ ♬｢空は 高鳴る｣ ♬｢眩しい笑顔の奥に｣ ♬｢悲しい音がする｣ ♬｢寄りそって 今があって｣ ♬｢こんなにも 愛おしい｣ ♬｢手を繋げば 温かいこと｣ ♬｢嫌いになれば 一人になってくこと｣ ♬｢ひとつひとつが あなたになる｣ ♬｢道は 続くよ｣ ちょっと早く来過ぎたわね｡ あのね はなさん｡ 私 好きになっちゃったみたいなの｡ えっ？ よく当たる占い師さんに 見てもらったの｡ それによると 私の運命の人は 以前から知っていて➡ 最近 急に身近になった 男性なんですって｡ それなら あの方しかいないわ｡ あの方って？ 村岡英治さんよ｡ てっ！ 村岡印刷さん!? ごめんなさい…｡ 新しい雑誌の打ち合わせで 最近 会う機会が増えたし➡ 村岡さんなら 編集者の仕事にも理解があるし➡ 結婚したら とても うまくいくと思うの｡ そんな先の事まで考えてるの…｡ はなさん！ 応援して下さるわよね？ え… ああ…｡ (ﾄﾞｱﾍﾞﾙ) (女給)いらっしゃいませ｡ (かよ)いらっしゃいませ｡ どうも｡ ゆうべは 姉が失礼しました｡ いえ｡ 今日は 弟を連れてきました｡ 兄さんが会わせたい女性って…｡ 初めまして｡ お目にかかれて うれしいです｡ てっ!? ｢てっ｣？ やめてくれちゃ…｡ ｢やめてくれちゃ｣？ なんて不思議な響きだ…｡ ｱﾒｰｼﾞﾝｸﾞ！ かよさん すいません｡ 驚かれたでしょう？ 弟は ｲｷﾞﾘｽから帰国したばかりで いろいろ 変なんです｡ かよさんとおっしゃるんですか？ はあ…｡ 郁弥｡ お前に会わせたいのは かよさんのお姉さんの方だよ｡ ん？ (ため息) あっ 姉たち もう来てますよ｡ 村岡さん ごきげんよう｡ 醍醐さんも来られてたんですね｡ ご迷惑でしたか？ いえいえ 大勢の方が楽しいですよ｡ 何だ｡ 初めから 逢い引きじゃ なかったみたいですね｡ ♬～ 私の両親も しばらく ﾛﾝﾄﾞﾝにいたんですよ｡ へえ～｡ 郁弥さんは 留学で ﾛﾝﾄﾞﾝへ？ はい｡ 最新の印刷術を勉強しに｡ 英語は 少しは しゃべれるようになったのか？ まあね！ 英語が堪能で 翻訳の才能は すばらしいと｡ そうなんだよ｡ 彼女の翻訳は バカが読んでも分かる｡ また バカって…｡ 兄さんは 褒めてるつもりでも その言い方じゃ誤解されるよ｡ 村岡さんって 本当に面白い方ですわ｡ あっ お二人とも村岡さんで ややこしいですわね｡ 英治さんとお呼びしても よろしくて？ どうぞ｡ てっ…｡ お姉やんが英語しゃべってるの 初めて聞きました｡ 弟を連れてきたかいがありました｡ ずっと 英語から離れていたと 伺ったので 思い出してほしくて｡ えっ｡ 英治さんって お優しいのね｡ お姉やん｡ 英語 もっと こぴっと しゃべってくれちゃ｡ ああ…｡ ｢こぴっと｣｡ なんて ﾐｽﾃﾘｱｽなんだ！ あっ かよさん｡ 今 7時27分ですが お仕事は 何時ごろ終わりますか？ はっ？ (英治)弟は ﾛﾝﾄﾞﾝで買ってきた あの腕時計が自慢なんです｡ お仕事が終わったら どこかで会えませんか？ (英治)郁弥！ ここは そういうｶﾌｪｰじゃないので➡ お店の外で お客様と逢い引きはしません｡ ほかに ご注文は？ あ… いえ…｡ なければ 失礼します｡ そうだ｡ 本 持ってきたんだろ？ うん｡ わあ…｡ すてき！ ﾛﾝﾄﾞﾝの書店で書棚を見ていると➡ 端から端まで 全部 日本に 持って帰りたくなるんですよ｡ こんなに美しい本が 並んでるなんて…｡ ｢The Prince and the Pauper｣｡ あの… 読んでもいいですか？ もちろんです｡ ♬～ (郁弥)本 気に入りましたか？ あっ ええ！ 差し上げますよ｡ とんでもない！ こんな高価な物｡ 正直 僕の英語力では 歯が立たないんです｡ あなたのような人に 持っててもらった方が➡ 本も喜びます｡ そうよ はなさん！ ありがとうございます｡ ♬～ あの… どなたか この単語 分かりますか？ はなさんが分からないんじゃ 分かる訳ないわね…｡ 確かに…｡ 気になる…｡ 帰ります｡ (英治)えっ？ 皆さんは どうぞ そのまま気にせず｡ ごめんなさい！ ごきげんよう！ えっ？ あっ…｡ はなさんは 昔から➡ 分からない英語の単語があると ああなるんです｡ きっと 英語の辞書を引きに 帰ったずら｡ perplexity… perplexity…｡ perplexity…｡ perplexity… perplexity…｡ あった！ 当惑 混乱 難問か～！ ♬～ おはようございます！ おはよう｡ おはよう｡ 編集長｡ 新しい雑誌の企画 募集してましたよね？ (梶原) 何か 面白いものでもあった？ はい｡ これです｡ 英文じゃないか これ｡ それを日本語に訳して 連載にしたら どうでしょうか？ 翻訳物か｡ はい｡ 私に翻訳させて下さい！ えっ？ (三田)日本に いい小説家が大勢いるのに➡ わざわざ 海外のものを 取り上げる事もないでしょう｡ そうだな…｡ でしたら 私が翻訳したものを 読んでから判断なさって下さい｡ まあ すてきな本！ 編集長｡ 私 その本 読んでみたいです｡ 日本語で読めたらいいのにな～｡ 編集長！ やらせて下さい！ お願いします！ 分かった｡ そこまで言うなら｡ はい！ ありがとうございます！ はなさん！ (小声で)醍醐さん ありがとう｡ 頑張って｡ ええ｡ (はなが英文を読む声) (かよ)う… うん…｡ 宇田川先生｡ もう一度だけ お話を聞いて頂けませんか？ (宇田川) あなたの顔 見たくないって 言ってるでしょ｡ そう おっしゃらず｡ 私でできる事なら 何でもしますから｡ お願いします｡ ♬～ 戻りました｡ はなさん｡ どうだった？ ☎ 安東君 出て｡ はい｡ ☎ もしもし 聡文堂でございます｡ ☎(電話交換手)福岡から お電話です｡ おつなぎします｡ はい｡ ☎(蓮子)そちらに 安東はなさんは いらっしゃいますか？ え… 安東は 私ですが どちら様でしょうか？ もしもし はなちゃん？ 私よ｡ ごきげんよう！ てっ！ 蓮様!? ごきげんよう｡ さようなら｡ 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 イノッチ⇒６月１８日水曜日の 「あさイチ」です。 ちょっと電話で どなた様ですかと言った瞬間に 分かったというのに

撮らないで下さい！！グラビア・アイドル裏物語＃09

1 ＜２０１２年某日 ついに　その日が訪れた＞ ＜最強のグラビアアイドルユニットを 結成すべく→ テレビ東京が仕掛けるプロジェクト…＞ ＜　いよいよ その決勝審査の火蓋が→ 切って落とされたのだ。 栄光の座を求めて 全国から集まったグラドルは→ なんと５００名以上。 その中から 決戦の舞台に駒を進めたのは→ 選び抜かれた １９名のグラビアアイドルたち。 激しくも美しい戦いを 勝ち抜くのは　果たして誰か？ そして我々は 決勝審査に至るまでの→ 彼女たちの１週間に完全密着＞ ＜グラドルのリアルに迫った＞ （ユウ）愛がいっぱい　Ｉカップ テジマユウです。 え～と…　上から　９５　５８　８６です。 今のグラビア界は 上下関係がなってないんですよ。 挨拶とかも　ちゃんとできない子も 増えてきたし…。 なんか　そういうのも すごく変えたいんですよ　私は。 あともう　仕事がどんどん 減ってきてるんですよ　グラビア界。 なので　私が一番を取って 変えたいと思います。 ありがとうございました。 「ゴッドタン」で テジマが言ってたんだけどさ→ ああ見えて すごい　押しに弱いらしい。 お前　いっとけよ。 いやいや…。 ファンの人でも 強引に誘われると→ 流されるっていう話を 聞いたことがあって…。 なんていうんですかね… ファン食いですよね。 ファン食いなんですか！？ ちょっと待ってください。 おはようございます。 おはようございます。 セクシーですね。 セクシーですか？ ちょっと決めてきました。 気合いで。 決勝審査までの１週間 密着カメラを付かせていただきます。 はい。 （石田）石田です。 １週間よろしくお願いします。 お願いしま～す。 ちなみに彼 ウチで　いちばんイケメンなんで。 そうなんですか。 でも　たしかに…。 私　結構　好き系な…。 ホントですか？　よかった～。 あと　密着カメラとは別に→ 自分で撮ってもらう 記録用のカメラです。 イケメンディレクター　石田さんで～す。 ジャンジャンジャン…。 今日は　某テレビ局さんに ラジオの収録に来ています。 どこのテレビ局さんなのでしょうか？ ダカダカ　ダカダカ　ダカダカ…。 ダン！ テレビ東京さんで～す。 はい　カット！　どうでした？ （石田） なんか　バラエティーみたいですね。 ああ…　違いますか？ （石田）こっち　ドキュメンタリーだから。 あくまで素の表情が 撮りたいんで…　ええ。 素か…　素…。 はい　今から　テジマユウの 好きなものを紹介します。 こちら　携帯美顔器です。 ちょっと疲れたときとかに シャーッてやると…。 縁結びのお守りです。 こちら　エンデマ用のオフショットです。 これ　ホント　超アツくて なんか大変だったんです。 ≪テジマさんとこ…。 ≪私　さっき行ってきたんだけど この間の話　あるじゃん？ ≪見た？ ≪超　見ちゃったよ。 ≪どうだった？ ≪絶対　豊胸。 ≪マジで？ ≪だって　どう考えても 不自然じゃない？ ≪ハハハ！　ウケる！　マジで？ ≪それじゃね。 すみません…。 ちょっと　カメラ 止めてもらってもいいですか？ （石田）ああ…　はい。 大丈夫？ 今の…　知り合い？ あ…　後輩ですね。 ああ…。 すみません…。 はい。 １人にしてもらっても いいですか？ は～い！　今日は　スタジオ なんと女子祭りです！　ワッショイ！！ （一同）イエーイ！ でも　ユウちゃんさ すごいスタイルいいよね　やっぱね。 いやいや… そんなことないんですけど。 でも　私　整形とか　おっぱい 入れてるとか　超言われるんです。 Ｉカップでさ　ウエスト５８センチって すごい細いじゃん。 でもね　頑張ってんですよ　私。 え～っ　細い！ 見えない努力をね。 はい。 いや　ちょっと　ちょっと　キミたち。 すごいとか言ってるけど→ さっき廊下で　メッチャ　私のこと 豊胸だよねとか言ってたんですよ。 超　言ってたの。 細い！　とか怖いですよね。 言ってないよね…。 あれ？　ちょっと　なに… そんなこと言ってたの？ えっ　言ってないです…。 言ってたし！！ どっち？　２人で言ってたでしょ？ いつですか？ さっき　さっき　さっき。 超　怖くないですか？ もう　アイドル怖い！　若手の。 嫌いなんですよね　グラビアアイドル。 （石田）あぁ　仲いい子とかは いないんですか？ （ユウ）ああ　いないですね。 だって結局グラビアアイドルって→ 裏切るし。 （石田）ふ～ん。 一応　みんながいるところに 入ったりはするんですけど→ 結局すぐ 悪口になったりするんですよ。 っていうか だいたい最近のグラビア界は→ 礼儀が　なってないんですよ。 （石田）ああ　そうですか。 挨拶とかも帽子かぶったまんま チッスみたいな。 （石田）ホントですか？ まぁ　先輩をたてつつも 自分も出ていくっていうのが→ 普通だと思うんですよ　私は。 （石田）なるほど。 叩き落してやりますよ　私は。 本番で。 もうアイドル怖い　若手の！ そんなんね おいしいように使わないと→ 生きていけないですから。 （石田）おはようございます。 おはようございます。 （石田）今日は　水着を 着ていらっしゃるんですね。 そうですよ。 今日は　ピンクのフリフリです。 ありがとうございます。 サービスショットですね。 最近　何か変わりました？ アイドルに命を注いでる感じですかね。 そうなんですか。 だって　今まで私あれなんですよ。 恋愛に　ちょっとうつつ 抜かしてたところがあったんで。 おっと！　それは　なんかさ 仕事と　あとは恋愛の→ バランスだったりとかっていうのを 両立させるとかっていうのは→ そこは？ ありえないですね。 ありえないんですか？ ありえないです　ホントに。 無理です　私は！ 「ゴッドタン」なんですけど ファンの人でも強引に誘われると→ 流されるっていう話を ちょっと聞いたことがあって。 はいはい。　なんていうんですかね ファン食いですよね。 ファン食いなんですか？ えっ　ちょっと待ってください。 今　４人連続　フラれてるんですよ。 そうなんですか。 今まで　その４人は全員 働いてないんですよ。 働いてない？ そう　働いてなくて→ で　私は　その人のために すごい尽くしてて→ まぁ　身の回り 掃除洗濯とかもするし。 いいじゃないですか。 あと　お金貸したりとかもするし→ あとは…。 ちょ…　ちょっと待ってください！ ちょっと待ってください。 何ですか？ えっ　お金を貸しちゃうんですか？ お金　貸します。 貸しますっていうか　あげます。 家賃払ったりとか ケータイ代払ったりとか→ 働きたくないっていう 人たちだったから→ じゃあ　働かなくていいよ。 私が代わりに働くから　みたいな。 あの…　テジマさん大丈夫ですか？ なんで？　大丈夫ですよ。 だって　すごい笑顔に なってましたよ　その人たち。 どっか行っちゃったけど　今もう。 みんな音信不通だから　ちょっと よくわかんないんですけど。 どうも！　愛がいっぱいＩカップ テジマユウです。 今から　ちまたで噂のセクシー居酒屋に 潜入してみたいと思います。 すみません。 どうも。 すごいですね さすが人気店ですね。 お客さんが続々と入店しています。 というわけで　私も早速 行ってみたいと思います。 おい！ おっ　ビックリした。 スルーすんなよ　突っ込めよ。 おやおやおや？ 山崎さんじゃないですか！ どうしたんですか？ この　ペラペラなスーツ。 自前でしょ？　自前。 衣装に決まってるだろ。 もっと俺は自前のとき かっこいいよ。 こんな　しゃべりしたって どうせカットされちゃうんだからさ。 セクシーで　みたいな… そういう形になるんですよ。 あの…　ちょっといいですか？ あっ　はい。 ご相談なんですけど→ テジマがですね　あんまり　その… 素の部分といいますか→ そういうのは撮られたくないって 言ってまして。 ファン食いですよね。 ファン食いなんですか？ あぁ　そうですか。 ファンでも　みたいな話とか→ 男関係のこととか やめてもらえますかね？ バラエティーは慣れてるほうだと 思うんですけど→ ああいうのって　だいたい 台本あるじゃないですか。 これもまぁ　ふだんの素のテイ っていうことですよね？ あの　テイっていうか…。 編集入るっていうのは わかるんですけど→ 素材として そういうのを撮られてるのを→ 本人も敏感になってて。 では　噂のセクシー居酒屋の実態を→ リポートしていきたいと思います。 どうぞ！ よっ！ いらっしゃいませ！ うわぁ～　きた！ いいね　いいね。 回ってみて　１周回って　ゆっくり。 ストップ！　Ｔバック。 見えてますよ　おパンティーが。 シーザーサラダになります。 おいしそうですね。 結構かけてくれるんですね。 うん　もういいよ。 以上です。 はい。 あれ？　これからの セクシーな展開とかは→ ないんですか？ ヒザにのっかったりしないの？ そうですね　そういうのは一切 禁止となっているんですよ。 どうすんだよ　お前これ。 わかりましたよ。 私　たぶん　この小娘たちよりも この衣装　似合うと思うんで。 ハーイ！ よっ！ お待たせ。 いいね。 かけます。 いいね　揺れてるね。 もっとかけていいですか？ もっとかけて　もっとかけて。 もっとかけて　もっとかけて。 いい　ユウちゃん最高だな。 はい　オッケーです。 はい。 大丈夫ですか？ 大丈夫　大丈夫です。 今度いい？　プライベートで来て。 ぜひ　お待ちしてます。 お疲れさまです。 お疲れさまです。 あの　テジマさん　すみません ちょっと　ひと言だけいいですか？ もう今日　十分 撮ったじゃないですか。 お疲れさまです。　失礼します。 （石田）はい。 はぁ…。 （古舘）でも　雑誌のグラビアとか やっても　ギャラ０なわけじゃない。 でも　そういうとこから テレビとかに出られたらなって。 （古舘）バラエティーとかで 水着になっても→ １本　５，０００円くらいなわけでしょ。 ねぇ　むなしくないの？ おはようございます！ （一同）おはようございます。 お疲れさまです。 古舘さん！　おはようございます。 （古舘）あっ！　おぉ　来た。 （古舘）テジマさん おはようございます。 イエーイ！　おはようございます。 おはようございます！ そうだ！買った　俺。 正月の『ＦＲＩＤＡＹ』。 本当ですか？ ありがとうございます。 ５冊　買いました。 アハハハ！　あれ　完売したんですよ。 私も　１冊ください。 買えなかったんです。 ごめん…　５冊　買ったというのは ちょっと嘘ついちゃったけども。 嘘かい！　嘘つく必要ない…。 でも　俺は　本当ね！ ちょっと　私　お手洗い 行ってきますから…　はい。 はい　はい　行きましょう！ いや　来ないでくださいよ。 レッツ　ゴー！ レッツ　ゴー！ イエーイ！ レッツ　ゴー　イエーイじゃないですよ。 じゃあね。 バイバーイ！ （古舘）はぁ…。 （古舘）素材　見たわ。 （石田）あ…　あぁ ありがとうございました。 あれ どうでしたかね？ お前…　あんな話は もう　ネタだろうがよ！ バラエティーで　あんなの　あの子は いくらでも喋ってんだろうがよ！ なんのために　お前に テジマつけたんだよ　コラ！ （石田）いや　あの…　すみません。 えっと　古舘さん…。 あぁ！？ （石田）実はですね 事務所さんから→ あんまり　プライベート 突っ込まないでほしいって…。 ふざけんな　お前！　おい…。 事務所に言われたとおりの番組 撮んのか？　お前は！ （石田）いや　あの…　違います。 プロモーションビデオ撮んのかよ？　お前は！ （石田）違います。　すみません。 このバカ！ （石田）すみません。 お前な　テジマでな　ある程度のもん 撮れなかったらな　お前な→ 本当　話になんねえんだよ！ （石田）はい。 はい　わかってます。 すみませんでした。　すみません。 ねぇ　サヨコちゃん。 ねぇ？ （サヨコ）ねぇ…。 言ってやってよ。 えっ？　大丈夫ですか？ （古舘）大丈夫ですか　だってよ。 （石田）大丈夫です。 じゃあ お疲れさまでした。 明日も よろしくお願いします。 はい　オーケーです。 ありがとうございました。 ありがとうございます。 あ～　あの。 はい？ 素材足りてないですよね？ ああ　いや…。 ぶっちゃけ 何が撮りたいんですか？ あ～ バラエティとかでは見られない→ テジマさんの部分とか 見られるのが。 おっぱいとかですか？ いやいやいや　それは　まあ。 見たいですけどね。 見たいんですか。 う～ん　なんですかね？ カメラ向けられると　普通が よくわかんなくなっちゃって→ なんか普通にしようと思うと→ なんかかえって不自然になる みたいになっちゃうんですよ。 あ～　だからやっぱり 生活がのぞけるのが。 自宅とか。 自宅。 ええ　ええ。 いや～　自宅見れたら かなりいいと思うんですけどね。 [TEL] あっ　ちょっとすみません。 ああ　はい。 すみません　やっぱちょっと 自宅は。 ごめんなさい。 あの　場所とか→ 絶対わからないようにするんで。 いや～　いや～。 いらっしゃい　どうぞ！ （石田）どうも　おじゃまします。 おお　なんかすごい きれいな玄関ですね。 本当ですか？ あっ　このダンボールは これは何ですか？ これはダメです　写しちゃ。 ああ　そうなんですか。 ダメです。 えっ　これ引越しですか？ いや　ちょっと今 荷物の整理してるんですよ。 ああ　そうなんですか。 失礼します。 なんかすごい。 きれいな部屋ですね。 本当ですか？ あっ　これ僕持ってますよ。 てじーガガですよ。 てじーガガ？ てじーガガって何ですか？ あの　レディーガガの→ いい感じの名前 いただいたヤツです。 今日は お客様が来たということで→ 特別っぽいメニュー 牛肉とキノコとオレンジのソテーです！ （石田）お～。　っていうか　テジマさん。 はい。 エプロン姿が すごく似合いますね。 ホントですか？　エプロン。 エプロン好きなんです。 エプロン。 何ですか？ いや　別に。 あ～　いいですね。 いい音　ジュー。 よく 男の人に作ったりするの？ いや　私ホントに　今までつき合った人 １人しかいないんですよ。 しかも　その人と私 ４年半もつき合ってたんですよ。 ４年半？ そう。　そう　だからね→ そのへんのチャラいグラビアアイドルと 一緒にされたくないですね。 みんな彼氏いませんとか 言ってるじゃないですか。 全員いますからね。 え～　そうなんですか？ テジマさんは　なんか　いたらいるって 言っちゃいそうですよね。 言っちゃいますよ。 １００パー言っちゃいます。 なんか　ちょっと…。 すみません。　ちょっと カメラ止めてもらってもいいですか。 あ　はい。 何でこっちきたの？ ≪別に荷物取りにきたんだよ。 連絡してって言ったよね。 ≪近くまで来たから。 っていうかもうここ私の家だから。 ≪じゃあ　さっさと荷物送れよ。 私も忙しいの。 ≪じゃあ　文句言うなよ。 ちょっとダメ…。 ちょっと　ダメダメ…。 ダメだってば！ ≪これ？ 早く帰ってよね。 帰るよ。 っていうかこの間 彼女と一緒だったよ。 何で？ 現場　ラジオ。 ((女子祭りです　ワッショイ！ イエーイ！)) ってか　悪口言われたんだけど。 ふ～ん。 …が言ってんの？ 言ってないよ。 お前　本番でやり返したろ？ まあ…。 やめろ　そういうこと…　バカ！ はぁ？ 公共の電波で みっともねえだろ！ じゃあなに？ 陰で悪口言うのはいいんだ。 いいとは言ってないけど。 っていうか　あの子のほうが よっぽど性格悪くない？ っていうか　全然　売れてないし。 別に　売れてる女と つきあいたいわけじゃねえよ。 はぁ？ お前　なんなんだよ！ なんなんだよ！ なんなの？ …が　昔さ ほしのあきちゃんとか→ 小池栄子さんくらい有名になれば 話題になるから→ 周りにも言えるとかいって。 だから私　それ　すごい くやしかったんだよ！ で　今まで　仕事 頑張ってきたのに。 だから　売れてきたじゃん！ いいじゃん！　何が問題？ あの子とか　そんときの私より 全然　売れてないじゃん！ そりゃ そうかもしんないけど…。 おかしくない？ おかしくないよ　別に！ 売れてないから別れようって そういう感じでもなかっただろ。 隠してただけだしさ。　ってか つきあってるの隠すの→ 普通じゃねえかよ。 じゃあ　なんなの？ あの子とか　現場で 言いまくってるよ。 そりゃ　向こうも若いし 俺も　３５になったから…。 私だって　２３だった！ ヤダ　ちょっと　やめて！　ヤダ！ やめてよ。 悪かったよ…。 悪かった。 グラビア　ヤダとか言ってたじゃん。 なんで　またグラビアなの？ たまたまだよ　たまたま。 そんなわけないじゃん。 いいよ　なんでも！ どうせ　グラビアに引っかかるような 安い男だよ　俺は。 （ドアの開閉音） ♪♪～ ごめんなさい。 （石田）うん。 大丈夫？ はい。 大丈夫です。 見返したいですね。 １番になりたいです。 私…。 ワン　ツー　スリー　フォー ファイブ　シックス　セブン　エイト。 ワン　ツー　スリー　アンド　フォー ファイブ　シックス　セブン　エイト。 寒い…。 （ナツミ）いいですってば！ もう…。 あれ？ （石田）えっ？ あれ？ えっ　何ですか？ たぶん　あの子　オーディションで 一緒だった気がする。 あれ　うちのディレクターだ。 えっ　ウソ！？ あれ　完全もめてますよね。 （石田）もめてますね。 いや　大丈夫です。 えっ　何！？　絶対あやしいでしょ。 あれ…。 あっ　お店ここです。 あっ　はい　すみません ありがとうございます。 うわぁ　見てしまったぞ。 大丈夫かな？ 明日はいよいよ　決勝本番です。 緊張をほぐすために ちょっぴりシャレオツなバーで…。 いやん　バカ！　何見てんの？ ハハッ　なんつって。 サーモンのスモークサーモン　あれ？ カルパッチョ。 今　しゃべったのが→ 私を密着している 石田ディレクターさんです。 いやいや　あの　僕はいいですよ。 撮らないでください。 撮りますよ。 石田さん的に見て オフの私ってどういう感じですか？ （石田）どうっていうのは？ どう見えるかなと思って 結構　ギャップないですか　私？ （石田）嫌な意味での 裏表っていうのはないじゃない。 作った裏表とかじゃなくてさ。 作れないんですよね。 （石田）そうだよね。 だから女子ウケは いいんですよ　すごい。 女の子には　モテる。 （石田）わかる　わかる。 わかる　わかるって何ですか？ そんなことないよ 男子にもモテるよ　みたいな→ 今　フォロー　絶対 必要だったと思うんですけど。 たぶん男子にも モテるとしたら愛人か→ テジマ　男だったらよかったのにな とかすごい言われるんですよ。 （石田）なるほど　確かにね。 なるほど　確かにって→ おかしいでしょ　今のも。 でも　私もともと　ドＭなんですよ。 だから結構　ギャップあるって 言われるんですよ。 だから　アナウンサーとか殴ったり するんですよ　バラエティとかで。 それを見た親とかが すごい　ビックリしたりとか。 うち　田舎なんで　地元が。 信じちゃうんですよね。 でも　バラエティとかで ぶっこめって言われたら→ ぶっこむしかないじゃないですか。 求められることを 一生懸命やるっていうのが→ 今　私のできることだし。 なんか今まで 頑張ってきたのって→ 結局　男に売れてないって 言われたくない意地というか→ だったかなと思って 理由が不純だったかなと思って→ それじゃいかんと思って。 （石田）それで悔しいと 思うっていうのは→ こういう風になりたいんだって ビジョンがあって→ そこに届かないから 悔しいと思うってことじゃない。 ああ　全然届いてないですね。 まだまだだし。 小４ぐらいから劇団とか 通いだしたんですけど→ 全然　仕事もないし 最近　ホント１年ぐらいまで→ エキストラとか全然やってたし…。 ホント悔しかった。 トップになりたいですね。 私　すごい嬉しいことが あったんですよ。 （石田）ふ～ん　何なに？ 私　栃木県の足利市の 出身なんですけど→ それで足利市の 観光大使にもなったし→ あとは栃木の 未来大使にもなったんですよ。 （石田）すごいじゃん！ すごくないですか？ だって　いかがわしい仕事 ばっかりしてる→ タレントだって思われてたら→ そういうのって 任命されないと思うんですよ。 そうだよね。 そう　私…。 お父さんも→ 応援してくれるように なったんですよ。 そうなんだ。 いろいろ迷惑かけたから。 なんか私　泣いてばっかですね。 なんか　うまいように 編集しといてください。 ♪♪～ どうぞ。 （ナツミ）失礼します。 アーティストボックスから来ました カマタナツミです。 女優志望なんだ？ はい。 舞台もよく出させてもらってます。 じゃまあ　ぶっちゃけ グラビアはもういいって感じだよね？ ちょっと迷ってます。 失礼します。 お疲れさまです。 出ましたね　舞台やってますアピール。 ていうか　オーディションで→ 迷ってるって言っちゃあ　なぁ…。 ダメだろ。

警視庁捜査一課９係９th＃08

1 ≪おーい 誰か来てくれ！ ♬～ (宮原礼治) ｢おお 浅輪！ 俺だ 宮原｣ (浅輪直樹)ああ 宮原？ (宮原)たまには 俺に付き合え｡ どうせ １人で 暇してるんだろう？ どうせ１人でって なんだよ｡ (キャッチホンの音) あっ｡ ごめん｡ 悪いけど 切るぞ｡ はい｡ 了解しました｡ (パトカーのサイレン) (村瀬健吾)被害者は プロ野球 東京エレファンツのスカウト→ 東野森男さん 63歳です｡ 昨日は ここの野球部の紅白戦の 視察に来てたようですね｡ (加納倫太郎)紅白戦に プロのスカウト 来るの？ 明工っていったら 強豪校ですからね｡ このグラウンドも 野球部専用ですよ｡ へえ～｡ 後頭部を鈍器で一撃…｡ (小宮山志保)はい｡ でも まだ 凶器は見つかってません｡ ゆうべの雷雨で 足跡も 全部 流れてしまってます｡ えー 遺留品は… 腕時計に スマートホン｡ あっ お金残ってるから 強盗ではないですね｡ 手帳がない｡ 今どき スマートホンあれば 手帳いらないでしょう｡ 手帳とボールペンって セットでしょ｡ …本当だ｡ (本間秀夫)学長の本間です｡ こちらが 野球部部長の石川先生と 横屋監督｡ (石川 貢)石川です｡ (横屋康二郎)横屋です｡ (青柳 靖)どうも｡ (矢沢英明)よろしくお願いします｡ (青柳)早速ですけれども→ 東野さんは よく こちらに いらしてたんですか？ はい｡ うちは 決勝トーナメントで 敗れはしたものの→ 野球の名門と言われてまして｡ 特に ４番の伴藤琢也は→ 本格派のスラッガーと 評判も高く→ 東野さんも 以前から 注目してくださってました｡ 昨日は ４年生引退記念の紅白戦で→ 東野さんは エレファンツの上司を伴って→ 観戦にいらしたんです｡ しかし 目玉の伴藤がボロボロで…｡ 石川先生…！ あら？ あららら？ 聞きたいですねぇ｡ 続けていただいて よろしいですか？ 最初こそ ホームランを打ったものの→ 最後は １年生のリリーフピッチャーに→ それも ハエが止まるような スローカーブに ３球三振｡ (矢沢･青柳)ハハハ…｡ それで 試合のあとに 伴藤の親父さんが→ 東野さん相手に キレちゃいまして｡ その場にいた みんなで 押しとどめて→ なんとか 何事もなく終わったんですが…｡ (本間)伴藤琢也の父 大造氏は 運送会社の社長で→ 我が校の野球部の 後援会長なんです｡ お前 運送屋ぐらい 漢字で書けよ｡ ああ 君たち 野球部だよね？ (清水桃子)警察の方ですか？ はい｡ (桃子)選手に話を聞きたいなら 学校を通してください｡ あ… これ あの 取り調べじゃなくて→ 備品について聞きたいんだよ｡ それなら 私が！ 一応 マネジャーですから｡ ああ…｡ このバットの中で なくなってるものって なかった？ さあ…｡ さあ…？ バットは 個人のものが多いんです｡ 毎日 持ち帰る部員もいれば 置きっぱの部員も｡ 卒業生が置いてったのも ありますし｡ つまり なくなっていたとしても わからないという事？ はい｡ (早瀬川真澄)死亡推定時刻が 昨夜８時から10時の間｡ 死因は 頭蓋骨の陥没骨折と脳挫傷｡ 凶器は 円筒型のもので 最大直径6.6センチ｡ 6.6センチ… 野球のバットか｡ かもね｡ 防御創は なし｡ 傷は この１か所のみ｡ という事は 犯人は バットを こう 大上段に構え→ 被害者の後ろから 殴った？ ああ…｡ って事は あれか？ 顔見知りからの 不意打ちって事か｡ しかも 明らかな殺意があるわね｡ ああ｡ バットか…｡ うん｡ 野球部の部室にあった バットからは→ ルミノール反応 出ませんでした｡ ああ ルミノール反応ね…｡ えっ？ ああ いや 別に｡ 犯人は 凶器のバットを→ 持ち帰ったって事ですかね？ うーん…｡ 部外者のグラウンドに入る ルートは２つ｡ 学校正門を通って こうやって グラウンドに入る道と→ あと 裏門を通って 直接 グラウンドに出る道｡ (志保)正門には 防犯カメラが設置されていて→ 夜８時半以降は 誰も出入りした形跡がなく→ 東野さんの姿も映っていない｡ という事は 犯人も 被害者も 正門ではなく→ 防犯カメラのない裏門から→ 直接 グラウンドに入ったと 考えられるわ｡ その東野森男さんについて なんですけれども→ プロ野球界でも かなり有名な人でした｡ 大学野球で活躍したあと 昭和48年のドラフトで→ 東京エレファンツに 入団しております｡ 正直 この時は あんまり目立った活躍は→ なかったんですけどね｡ 引退後 スカウトに転身してからが すごいんですよ｡ 有名選手を発掘してますから｡ 球界屈指の名スカウト といったところでしょうか｡ ご家族は？ いません｡ ５年前に奥さんを亡くしてからは 都内のマンションで一人暮らし｡ 駄目ですよ｡ 球団事務所は 我々が当たりますから｡ 行くぞ 小宮山君｡ 行かれた｡ 仕返しかよ あいつ｡ どうぞどうぞ いってらっしゃい｡ じゃあ 俺と係長は…｡ 被害者の自宅 当たってみたら どうですか？ お二人は どうするんですか？ うーん…｡ どうすっかなあ？ 伴藤｡ おう｡ さすが ベテランスカウトですねぇ｡ 選手のデータ ちゃんと残してるんだ｡ あれ？ 係長！ はい？ たー君！ マー君？ 違う違う｡ たー君のほうですよ｡ ヤンキースはマー君でしょ｡ 違いますよ｡ エレファンツから 大リーグ行って 活躍してる…！ うわあ すごいな｡ 彼も 東野さんが見いだしたのか｡ あれ？ 係長｡ はい？ 明峰工業 もう１人います｡ ほら ｢田中斗真｣｡ ４年生のピッチャーですね｡ これだけ 別｡ スコアブック？ なんか 暗号みたいですね｡ 決め球はスライダー｡ スライダーって…｡ こうやって やるんじゃないですか？ ラスト！ お疲れ｡ (伴藤琢也)ありがとう｡ 伴藤君だよね？ (琢也)そうですけど｡ ちょっと 話 聞かせてくれるかな？ はい｡ 亡くなった東野さん 君と田中斗真君 ２人を→ スカウトしようと してたみたいだけど｡ でも 東野さんが見てたのは 俺より 田中でした｡ そうなの？ あいつを見る目つきは 全然違ってた｡ 君 ショックだよね？ 自分の実力は わかってます｡ それに 東野さんの言う事は いつも納得出来たし｡ 尊敬してたんだね｡ はい｡ 部員は みんな｡ あっ… でも 清水は なんか揉めてたな｡ 清水って？ 清水桃子｡ うちのマネジャーです｡ 先週 スコアが どうのこうのって…｡ 返してください！ あのスコアは見なかった事にして｡ (桃子)お願いします！ スコア？ ありがとう｡ 田中君は どこ？ 今日は もう上がりました｡ えっ？ 早いね｡ ああ…｡ はい？ 先に行ってて｡ あっ わかりました｡ ♬～ ≫(桃子)斗真！ 昨日の事だけど… ごめんね｡ あの…｡ (田中斗真)お前のせいじゃない｡ でも…！ ≪田中斗真君！ だよね？ (田中)はい｡ よかった｡ 君に聞きたい事があったんだよ｡ えっと 清水さん？ はい｡ 君も ちょっと待ってて｡ 突然 ごめん｡ 亡くなった東野さんについて なんだけど→ 君 東野さんに 随分 買われてたみたいだね｡ 具体的に プロ入りの話っていうのは…｡ 具体的な話をする前に 亡くなりました｡ ああ…｡ 俺は 高校時代も無名だったし→ 大学は 特待生で入れてもらったのに→ 結局 優勝には手が届かなかった｡ これから先 プロのスカウトに 注目されるチャンスもないし→ 東野さんが死んで 俺の未来も消えたんです｡ そっか…｡ もう いいですか？ バイトに遅れますから｡ ああ ちょっと まだ…！ 昨日の夜 ８時から10時までの間 どこにいたかだけ教えて｡ その時間なら 家にいました｡ 家って事は 誰か一緒だった？ いえ｡ うちは母子家庭で→ 母は まだ その時間 働いてますから｡ 失礼します｡ あっ… 東野さんの家 いろいろ 調べさせてもらったんだけど→ 試合のスコアって 君が書いたものだったんだね｡ 東野さん忙しいから 観られなかった試合のスコアを→ 貸してくれって 頼まれていたんです｡ そうか…｡ そのスコアについて→ 東野さんと言い争ってたって 聞いたんだけど｡ 別に 何も…｡ 失礼します｡ ♬～ ここですね｡ あ そう｡ (青柳)あれ？ これ 押すドア？ 引くドア？ (矢沢)これ 押すでしょ｡ (青柳)引くだろ｡ (矢沢)押すですよ｡ (青柳)え？ (矢沢)ハハハハ！ (青柳)両方じゃねえかよ｡ (伴藤大造)だから ページを 買い取ると言ってるんだ！ どーんと10ページ 琢也の特集やってくれたら→ 金は いくらでも出すぞ！ (大造)ハハハハハ！ ああ そういう事だ｡ また連絡する｡ 改めまして 警視庁の青柳と申します｡ 矢沢と申します｡ (大造)今朝の事件の話かね？ ええ｡ 残念でしたね｡ 東野さんは お宅の坊ちゃんの事を とても買ってらしたんですよね｡ なあに エレファンツだけが プロ野球じゃない｡ むしろ 万年Ｂクラスのチームなんて→ こっちから願い下げだよ｡ 息子さんの試合は すべて→ こうやって 映像に残してるんですか？ もちろん｡ リトルリーグ時代から すべての試合を記録してある｡ プロに頼んで プロモーションビデオも→ 作ったんだよ｡ 見るかい？ っていう事は 昨日の試合も 録画してるんですか？ いや 昨日の試合は 撮ってなかったはずだが…｡ これ 昨日の試合じゃないですか？ ほら 撮ってあるじゃないですか｡ 昨日 東野さんと 一悶着あったそうですね｡ ビデオ鑑賞しながら→ 詳しく 話 聞かせてもらいましょうか｡ (田上雅人)東野さんは 28年間のスカウト生活で→ 53人の新人を入団させました｡ (清住 猛)彼の世話になった選手は 現役にも大勢います｡ みんな ショックを受けてますよ｡ 恨んでる人に 心当たりは？ まあ ものの言い方が きつい人でしたから→ それなりには…｡ 具体的に教えていただけますか｡ 例えば 昨日の試合です｡ 明峰工業の紅白戦ですね｡ 我々は ここにいる田上君と 東野さんと３人で→ ドラフト候補の野手を 観に行ったんですが→ 東野さんは 父親の前で→ その選手の致命的な欠点を 暴いてみせたんです｡ (大造)ＧＭには 琢也の１打席目から→ 観ていただきたかったですな｡ そりゃあ でかいホームラン だったんですよ｡ 伴藤君は プロで やっていけそうですかね？ 東野さん｡ 東野さん｡ この機会に ＧＭに はっきり言ってください｡ うちの琢也は プロとして 十分通用するって｡ (東野森男)無理でしょう｡ えっ？ 彼は ただ腕力で ボールを運んでいるだけです｡ それに バッターとしては 致命的な欠点がある｡ 何を言うんだ…｡ うちの琢也に欠点などない！ 失礼｡ ♬～ (審判)ストライク！ ストライク！ (審判)ストライク！ バッターアウト！ あのピッチャーに 何を言ったんです？ 伴藤は 緩急の変化に弱く→ 遅い球を混ぜると 一気にガタガタになる｡ だから 初球は スローカーブを 投げろと教えました｡ これで わかったでしょう？ このままでは ご子息は 二軍でも通用しない｡ (審判)ゲームセット！ (審判)互いに礼！ (一同)ありがとうございました！ (大造)待て 東野｡ (横屋)伴藤さん！ 伴藤さん！ (石川) バカな事は やめてください！ (清住の声)駄目なら駄目で 笑顔で切り捨てればいいのに｡ とことん媚びない男でした｡ まあ だからこそ→ スカウトした選手との絆は 強かったわけですが｡ (携帯電話の振動音) ちょっと失礼します｡ もしもし？ ああ すいません 主任｡ あの… 東野さんの部下の→ 田上雅人さん そちらに いらっしゃいますかね？ 田上さんなら 今 ここでお話を｡ それじゃあ 昨夜の８時から10時の間→ どこで何してたか 聞いてもらえます？ ええ｡ ああ 実は 伴藤琢也君の父親の大造さんが→ その時間 田上さんと 一緒にいたって言うんですよ｡ ちょっと待て｡ 伴藤って…｡ あっ！ 田上さん 失礼ですが→ ゆうべ ８時から10時の間 どこで何を？ ゆうべは スカウト会議のあと→ 伴藤さんに呼び出されて お会いしましたが…｡ (田上)｢でも ９時前には お別れしました｣ ありがとうございました！ …だそうです｡ 鍵 貸していただけますか｡ 東野さんの死亡推定時刻が ８時から10時の間｡ ９時前に別れたんだったら 十分 犯行可能だよな？ ええ｡ (矢沢)へい！ (青柳)へい！ 金属バット発見！ 俺は ただの野球好きだ｡ マイバットを車に積んでて 何が悪い！ まさか今日 ルミノール試薬なんて 持ってきてねえよな？ まさか そんなもん 持ってきてる わけないじゃないですか｡ 持ってきてる～！ ヘヘヘヘ｡ ほい｡ はい｡ (青柳･矢沢)はい 出た～！ (青柳) 場所変えて お話伺えますか｡ だから さっきから言ってるだろ｡ あれは猫の血だ！ 車庫の前に猫の死体が転がってて 手で触りたくないから→ バットで路肩に寄せたんだ！ はいはい｡ 猫の血って…｡ なあ？ ちょっと 言い訳にしては…｡ 言い訳じゃない！ 真実だ！ やれるもんなら 本気で あいつを殴り殺してるよ｡ あららら…｡ 紅白戦で三振したぐらいで→ そこまで根に持たなくても いいんじゃないですか？ はあ… そんな単純な事じゃないんだ｡ (青柳･矢沢)えっ？ 俺は あいつに だまされたんだ｡ (青柳)だまされた？ あいつは 俺から…→ 金を受け取ってたんだ｡ ちょっと待った｡ それ 賄賂って事？ 全部で３回｡ 合わせて200万｡ それ もちろん 領収書なんてないよね？ だが… 受け取りのメールが来てるよ｡ (矢沢)｢伴藤様 お心遣い ありがとうございました｣ ｢立場上 わざと 無愛想な態度を取ることが→ あるかもしれませんが ご理解ください｣ あとから いくらでも 言い逃れ出来そうな文面だね｡ ええ…｡ 最初こそ こんなものは 受け取らないとか言ってたが→ 一度受け取れば 素直なもんさ｡ あとは あうんの呼吸で ドラフト突入｡ …って 普通は そう思うだろうが｡ ええ？ なのに あいつは裏切った｡ それが 昨日の紅白戦に繋がったと｡ よりによって 初めて ＧＭが観に来た その前で…｡ ちっきしょう…！ 何が名スカウトだよ あのじじい！ これ グラウンドに面した→ マンションの 防犯カメラの映像です｡ まずは ８時半｡ これ グラウンドに 東野さんが向かっていく様子｡ 続いて ９時３分｡ はい｡ 野球帽に ウインドブレーカーの男が→ 自転車に乗って グラウンドに入っていく様子です｡ で その12分後の９時15分｡ はい｡ さっきの男が グラウンドから 走り去る様子です｡ ８時から10時までの間に→ このグラウンドから 出てきた人物は→ この全速力で自転車をこいでる この男だけです｡ 青柳さん｡ (青柳)はい｡ あなた また勝手に報告もなしに 容疑者連行したそうですが→ 本当に この男ですか？ どうかなあ？ 大雨のせいで よく見えないよね｡ これ バット持ってないのは 明らかですよね？ う～ん？ つまり 凶器は→ まだ学校内にあるって事ね｡ ああ いやいや｡ 凶器のバットは すでに 俺らが押収してるから｡ はあ？ 何!? ルミノール反応が出たバット｡ たぶん 被害者の血だと思うんだよね｡ (志保)青柳さん…！ ほら 来た｡ あ… 例のバットの血 猫の血でした…｡ 伴藤は そう言ってるけど 被害者の血だったんだろ？ 猫の血でした｡ そっか…｡ 頑張った｡ 落ち込むな｡ 猫の血って…｡ ハハハ…｡ それじゃ 被害者が 賄賂を 受け取ってたっていうのも→ あれ 眉つばですね｡ そうだよね…｡ ねえ 東野さんの家に 賄賂を受け取った形跡は？ 通帳を見ましたけど 不審な点 ありませんでした｡ マンションの部屋も 質素だったよね｡ ねえ｡ なんか 私腹を肥やしてるっていう 感じじゃなかったですよ｡ 何か金が必要な事でも あったのかもしれないね｡ 裏金の受け取りメールも 慣れたもんですしね｡ 猫の血って… ハハハ…｡ (志保) 球団事務所から出したメールね｡ (村瀬)ああ｡ ｢７月18日｣…｡ ああ すいません｡ (志保)うわっ｡ (青柳)なんだ？ 何？ そのファイル｡ スコアブック｡ スコアブック？ あの 東野さんの家から 持ってきた資料なんですけど→ もう 専門的すぎて 全然わかんないんですよ これ｡ 浅輪君｡ 机の上は もう少し きれいにしときなさい｡ はい…｡ ちょっと待て｡ 君が それを言うか…｡ (青柳)バット！ おーい バット！ いねえな｡ 結局 凶器がすべてなんだよ｡ 伴藤の親父 締め上げたほうが 早くないですか？ (青柳)おっ この中 埋まってるんじゃねえのか｡ げっ なんだこれ？ 汚いな｡ これ ウッドチップですよ｡ えっ？ いらない木とか崩して 腐葉土を作ってるんです｡ 触るの嫌だな｡ えっ？ じゃ 金属探知機でも 持ってきますか！ 持ってきて～｡ あっ 閉めといて｡ (矢沢)なし｡ (青柳)なしか｡ ん？ ああ もうちょっと スタンス 広く取って｡ ボール イメージしなきゃ 駄目だよ｡ ただ振ってるだけにしか見えない｡ 野球 知らないじゃないですか！ ハハハ…｡ 伴藤琢也君だよね？ １人で居残り練習？ 欠点克服です！ ああ あの 例の緩急に弱いってやつ？ 東野さんに ずっと言われてた事だから｡ でも お父さんには 青天の霹靂みたいだったよ｡ 親父は わかってないんです！ あの人が いい事ばっかり 吹き込むから→ すっかり その気になって…｡ (矢沢)あの人？ 東野さんじゃなくて 若い人のほうです｡ 若い人のほう？ ♬～ あっ あったぞ｡ どこ？ (村瀬)７月18日… 神奈川大会の準々決勝だな｡ 東野さんは 神奈川文化大学の この真田投手を観るために→ この試合を観戦して スコアを残してる｡ やっぱり…｡ 大体 関東地方担当のスカウトが 試合真っただ中の午後３時に→ 球団事務所から メール出せるわけないんだよ｡ 青柳さんも 随分 焼きが回ったわね｡ なあ？ えっ…？ だとしたら このメール これ 誰が出したんだ？ 伴藤さんに呼び出されて お会いしましたが→ でも ９時前には…｡ あの人！ 随分高そうな腕時計 してなかった？ それで この宮原を頼ってきたか｡ お前が高校球児だったって事を 思い出してさ｡ 今も こうして目を閉じると あの夏の決勝戦がよみがえるぜ｡ ９回裏 二死満塁→ ピッチャー 俺の渾身の一投が…！ ああ お前のワイルドピッチで サヨナラ負けってやつだろ？ 前に聞いたよ｡ 目 開けろよ｡ チッ…｡ 一流パティシエ 宮原礼治は→ その失敗をバネに生まれたのだ！ ああ それも聞いた｡ だから お前も くよくよするなって→ 慰めてるんだろうが！ お前 なんか知ってるのか？ 俺と倫子ちゃんの事｡ おっと いけねえ…｡ 口止めされてたんだ｡ 倫子ちゃん 今 どこにいるんだ？ 元気にしてるか？ 普通に働いてるよ｡ 菓子作りはしてないが…｡ 俺に言えるのは ここまでだ｡ で 解読出来ないスコアってのは これか？ ああ… そうそう｡ はい｡ コピーされてるスコアのほうは なんとなく理解出来たんだけど→ こっちの手書きのほう｡ うん｡ これが何を表してる表なのか わかんないんだよ｡ 参考書にも書いてなかったし｡ これは 球種とコースを 分析したものだろう｡ 球種…？ ああ｡ 例えば これなら→ １球目が 外角高めのストレートで→ で ２球目が 内角低めへのカーブ｡ で ３球目の 内角高めのストレートで→ えー ショートゴロに 打ち取ってる｡ スライダーは？ スライダーは…｡ ああ… ない｡ えっ？ このピッチャー 決め球はスライダーなんだけど｡ 待てよ｡ うん｡ 確かに 春季大会では多投してるな｡ 最後にスライダーを投げたのは…｡ あっ ここだ｡ 決勝トーナメントの２回戦→ この試合を最後に スライダーの記録はない｡ それって…｡ まあ 一般的なスコアでも→ ピッチャーの調子は 測れるものなんだ｡ 例えば 三振の数が極端に減る…｡ 宮原 ありがとう｡ 恩に着る｡ おい！ 倫子に伝える事 あるんじゃないのか？ (矢沢)忙しい東野の代わりに→ 伴藤家に行っていたのは 部下の田上だった｡ あのメールも 田上なら 偽装出来る｡ 先に気づいて よかったですね｡ 俺は そんなちっちゃい事は→ 気にしないけどな｡ またまた～｡ (青柳･矢沢)イエーイ｡ イエーイ｡ あっ いらっしゃいました｡ ≪(志保)田上雅人さん！ えっ？ 我々と一緒に ご同行願えますか｡ ちょっと…！ 横取り!? なんだよ…｡ あっ！ (青柳)バカ！ そっち 上りだろ！ あれ？ そっちも上りじゃないですか！ (村瀬)｢伴藤大造さんは 東野さんに贈る賄賂を→ あなたに渡したと供述してます｣ ｢確かに 僕が受け取り 東野さんに渡しました｣ このメールは？ (田上)僕がお願いして 書いてもらったものです｡ 伴藤さんから 何度も 確認を求められていたので｡ それは おかしいですね｡ この日 東野さんは 地方大会に 視察に行ってる｡ この時間 球団事務所から メールを出すのは→ 不可能なんですよ｡ このメールを書いたのは あなたですね？ 伴藤さんのお金も あなたが着服した｡ その事が紅白戦でバレて 追い詰められた あなたは→ 東野さんを…｡ ち… 違います！ あなたには 殺人容疑がかかってるんだ｡ 正直に話したほうが 身のためですよ｡ (田上)｢東野さんは 最初から 伴藤琢也を→ パワーだけの見かけ倒しだと 見抜いてました｣ ｢でも 売り込みがうるさくて→ 面倒な父親の対応を 僕に押しつけたんです｣ 最初に金を受け取ったのは？ ７月の10日頃でした｡ でも 東野さんは 中身を見ないで ｢返してこい｣とだけ言って…｡ 困って 中を見たら 100万円の札束が…｡ そのあとも２回 合計200万もの金が→ 伴藤さんから あなたの手に渡ってる｡ その金は どうしたんですか？ 全部 使っちゃいましたよ｡ それが おとといの紅白戦で バレてしまったんですね？ バカ野郎！ ＧＭには黙っていてやる｡ すぐに金を返して ドラフト指名は出来ないと→ 伝えてこい！ でも 下位で指名するぐらい…｡ 親父さんの夢なんですよ 息子をプロに入れるのが｡ 親父さんの夢はかなっても→ 息子には それから 長い人生がある｡ あのレベルでプロに入ったら 苦しむのは本人なんだ！ ７時にスカウト会議が終わって→ 僕は 伴藤さんと待ち合わせました｡ ｢でも 本当の事を言ったら 自分が殺されそうで…｣ ｢結局 何も言えずに 別れたんです｣ 伴藤と田上が会っていた喫茶店は 両国駅前のアルファーノ｡ で ２人が店を出た時間は レジの記録によると ８時51分｡ 自転車に乗った怪しい男が→ 防犯カメラに映ってたのが ９時３分｡ 店からグラウンドまでの 所要時間は？ 歩いて30分 自転車だと10分ぐらいですかね｡ ギリギリ行けそうだなあ｡ ところで 浅輪君は？ ん？ 学校｡ ≪斗真君！ 僕と一緒に来てくれないかな｡ どうして…？ 東野さんが残したスコア 解読したんだよ｡ 君は 決勝トーナメントの ２回戦から→ 決め球のはずのスライダー 投げてないよね｡ どこか故障してるんじゃないの？ それに気づいた東野さんは→ もうドラフトで指名出来ない… 君に そう伝えたんじゃないかな｡ ≪(桃子)待って！ 私のせいなんです！ 私が東野さんに…｡ 桃子｡ 彼が怪我してる事を知った 東野さんは→ 詳しく調べるために 君から スコアを借りたんだよね？ まさか 怪我を疑ってたなんて 知らなかったの｡ 普通のスコアからも 故障が読み取れるものだなんて｡ ごめんなさい 斗真｡ ♬～ 君が痛めているのは…｡ (田中)肘です…｡ あれは… 紅白戦が終わったあとでした｡ (東野)田中君！ 東野さん…｡ 今日は ストレートと カーブだけだったな｡ 下級生に本気出しても しょうがないんで…｡ 俺の目は ごまかせないぞ｡ お前 肘やってるだろ？ やっぱり そうか…｡ 故障はありません｡ 昨日 ちょっと肘をぶつけて｡ 嘘をつけ｡ 春頃から違和感があったはずだ｡ その頃から 三振が極端に減ってる｡ 東野さん 俺 プロに行きたいんです｡ 行かなきゃ困るんです｡ 進路の事は あとで ゆっくり話し合おう｡ 今夜９時でいいか？ このグラウンドで待っている｡ 斗真｡ プロ野球は 俺の夢なんだ…｡ でも ９時に グラウンドに行ってみたら…→ 東野さんは死んでたんです｡ 大雨の中 頭から血を流して…｡ どうして 通報しなかった？ だって あれじゃ→ 誰が見ても 俺が疑われるでしょう！ ドラフトどころか 就職も出来なくなって…｡ そしたら 母さんは…｡ 手帳を抜いたのは 君だよね？ でも 殺したのは俺じゃない！ 信じてください｡ 供述どおり 田中斗真の自宅から→ 東野さんの手帳が発見されました｡ (村瀬)防犯ビデオに映ってるのも→ 自分だって認めたんだろ｡ 状況証拠は 完全に→ 田中斗真が犯人だって 告げてるな これ｡ でも 凶器がまだ見つかってない｡ ああ そうだ…｡ 結局 バットかよ｡ 金属バットなんて そう簡単に隠せませんよ｡ いつから 凶器が金属バットになったの？ (真澄)雷が鳴っても 金属バット？ あっ えっ…？ それは…｡ あっ！ 行きましょう！ えっ どこに？ 学校！ えっ なんで？ (矢沢)いいから！ (青柳)えっ？ じゃあ ちょっと いってきます｡ はいはい｡ 係長さん 『スポーツ医学入門』 持ってきました｡ ありがとう｡ 机の上 置いといて｡ 何 見てるんですか？ 紅白戦｡ 東野さんの映ってる最後の映像｡ ♬～ あれ？ ちょっと見た？ 今の人｡ あっ 東野さんに あいさつに行った｡ うん ちょっと待って｡ ♬～ ああ… これ ただのスカウト仲間だろう｡ 伴藤目当てに 他のスカウトも 来てたっていうし｡ いや けどさ…｡ これ スピードガンだぞ｡ 伴藤君目当てのスカウトが→ スピードガンなんか 持ってるかな？ よーし 行くぞ おら！ (部員たち)おう！ ≫(志保)すいません！ 大阪パンサーズのスカウト→ 星野昌平さんですね？ (星野昌平)はい｡ ちょっとお伺いしたい事が あるのですが→ あなた ３日前 明峰工業の 紅白戦を観に行かれましたか？ 行きましたよ｡ 目的は ピッチャーの 田中斗真ですよね？ ええ まあ｡ 彼 そんなに いいピッチャーなんですか？ 確かに 紅白戦は 流してた感じでしたが→ そやけど あの東野森男が 目をつけた選手やって聞いたら→ 興味も湧きますよ｡ 聞いたっていうのは どなたから？ 大学野球部の時の後輩です｡ これの事？ (矢沢)ええ｡ (矢沢)これが ウッドシュレッダーです｡ 整列！ (一同)おう！ 気をつけ！ 礼！ (一同)ありがとうございました！ (横屋)解散！ (一同)はい！ 横屋監督 ちょっと お話よろしいですか｡ 大阪パンサーズの星野スカウトは ご存じですよね？ 星野さんは あなたから→ 田中斗真君を 熱心に 売り込まれたと言ってますが｡ 大学野球部の先輩です｡ 掘り出し物の選手がいりゃあ そりゃ 紹介ぐらいしますよ｡ それだけじゃ ありませんよね？ 星野スカウトが告白しましたよ｡ 田中君が 大阪パンサーズに 入団した暁には→ 監督のあなたに 多額の謝礼を支払う→ 約束があったって｡ 田中君の故障が明るみに出て 一番困るのは→ あなただったんじゃありません？ 東野さん殺害したのは あなただ｡ 何を…！ 言いがかりだ！ 何を証拠に！ ≪(青柳)証拠は見つけたよ！ (矢沢)園芸部にあった ウッドチップの中から→ 東野さんの血痕のついた→ 木製バットの破片が 見つかりました｡ あんたは 東野さんの事を撲殺したあと→ 凶器のバットを 園芸部の シュレッダーにかけたでしょ｡ 雷が うまい具合に→ シュレッダーの音を 消してくれたと｡ 嘘だ｡ そんなのは作り話だ！ 作り話だっつうんだったら→ あんたのバットを持ってきて 見せてくれる？ (村瀬)あなたの家にあった 督促状です｡ これ 随分 いろんなところから 借金してたようですね｡ ギャンブルですよ｡ ｢競艇に競輪…｣ ｢俺は 何年も ツキに見放されてるんです｣ ｢野球の名門なのに どうしても 優勝に手が届かない｣ ｢でも 教え子がプロになれば→ 俺の監督人生も逆転する｣ 俺は 田中に賭けていたんです｡ でも あの日…｡ 俺の目は ごまかせないぞ｡ お前 肘やってるだろ？ やっぱり そうか…｡ (横屋の声)あの人を なんとか口止めしなければ…｡ 俺は 東野さんを追いかけて 今夜 田中と会う前に→ 俺の話を聞いてくれと 頼んだんです｡ あの人が来たのは８時半頃でした｡ やっぱりな｡ 突然 スライダーを 投げなくなったから→ おかしいと思ってた｡ それでも ストレートとカーブだけで→ 決勝まで行ったんです｡ 田中の肘さえ 万全なら 今頃は…｡ 肘が限界なのが わかっていて なぜ１人で投げさせた？ なぜって…｡ 勝つためですよ｡ 優勝の実績があるかないかで 野球人生が変わってくるんだ｡ そのおかげで １人の有望な選手が→ プロの夢を絶たれたんだぞ｡ まだ 望みはありますよ｡ あなたさえ黙っててくれたら｡ まさか… 他のチームも田中を？ (遠雷) 大阪パンサーズか？ そういえば 今日 星野が来てた｡ パンサーズは→ 田中をドラフト指名すると 言ってくれてるんです｡ 頼みます 東野さん！ このとおりです！ 田中の故障の事は 口外しないでください！ バカな…！ 挫折すると わかっているのに→ プロに入れて その先は どうなる？ 入ってしまえば あとは なんとか！ あんたは 自分が育てた選手が かわいくないのか！ パンサーズの星野は よく知ってる｡ 田中の事は諦めるように 言っておくよ｡ やめろよ…｡ やめろ｡ やめてくれ！ ああー！ (殴る音) (雷鳴) (雷鳴) (志保)それから あなたは 証拠隠滅のために→ 園芸部のウッドシュレッダーで 凶器のバットを始末した｡ そのあと 朝まで どこにいた？ 部室に泊まりました｡ 返り血のついた ウインドブレーカーを→ 洗濯機に放り込み 朝が来るのを待って…｡ そして 部員たちが登校するのを 見計らって→ 何食わぬ顔で出て行ったのか？ まさか シュレッダーで粉砕した→ バットの木くずが見つかるとは…｡ 田中君の故障なんて 東野さんを殺したところで→ 隠し通せるものじゃ なかったでしょうに！ むかついたんですよ｡ どうしようもなくね…｡ スカウトなんて しょせん→ 若い選手に値段をつけて 売り買いしてるだけじゃないか！ (横屋)｢なのに 偉そうに…｣ ｢育てた選手が かわいくないのかだと…？｣ 養豚場の経営者に→ 豚を売るなと説教する人間は いないだろう！ 俺は監督だ｡ 育てた選手で儲けようとして 何が悪い！ ふざけるんじゃないわよ!! 純真な… 純真な若者の夢を 踏みにじっておいて！ あんたみたいな人が 指導者を名乗るんじゃないよ！ ♬～ (篠田 肇)すいません｡ 田中斗真君は どこに？ 今 ランニングしてますけど｡ あの…｡ 三電住宅の野球部監督 篠田肇です｡ (田中)篠田って…｡ 元エレファンツの…？ 実は 東野さんから 君の事で 相談を受けていてね｡ うちには 肘の再生プログラムがあるんだ｡ どうだ？ うちへ来れば→ 君も もっといい球が 投げられるようになるはずだ｡ ♬～ (桃子)三電住宅 野球部は 別名 再生工場って言われてて→ 主力には 怪我から復活した選手が いっぱい いるんです｡ へえ～｡ 肘の故障で→ エレファンツを自由契約になった 篠田さんが→ 意地で作り上げたチームだって｡ ふ～ん｡ あっ じゃあ 斗真君は そこに行くんだ？ 斗真は建築学部だし→ 住宅メーカーなら ぴったりでしょ？ わあ さすが一流スカウト｡ 東野さん いろいろ考えてくれてたんだね｡ 肘は そう簡単には治らない｡ でも フォームを矯正する事で→ もっと いいボールが 投げられるはずだって→ 東野さんは言ってたそうです｡ 時間は かかりますけどね｡ そうだね｡ 私 うざいって言われても 斗真を見守っていくつもり｡ えっ…？ まさか 君も そこに？ これから 面接｡ 三電住宅｡ うわあ いいなあ｡ 青春だね｡ 刑事さんにも いないの？ ずっと見守っていたい→ その人の夢を応援したい そんなふうに思える人｡ うるさいよ｡ (２人の笑い声) あっ！ あっ｡ じゃあ｡ 頑張って！ ♬～ (桃子)お疲れ｡ お疲れ｡ 頑張れよ！ ♬～ ♬～ Ｖ６が歌う この番組の主題歌 『涙のアトが消える頃』を→ 抽選で100名の方に プレゼントいたします｡ ご応募ください！ (一同)待ってまーす！ (村瀬)凶器は男物の香水か…｡ (秋元美鈴)私は犯人じゃない｡ (志保)お金に 困っているんじゃありません？ (巽 三郎)単なる第一発見者です｡ (矢沢)映像があるって事は 顔認証で絞り込める→ って事じゃないですか？ どうして 犯人→ オーデコロンの瓶なんか 凶器に使ったんだろう？

独身貴族＃04

1 (守)結婚するぐらいだったら 僕は 切腹した方が ましです｡ (亜希子)高倉 雄二先生の 企画が 通らなかったら➡ 現王園 玲子と 結婚なさい｡ (守)脚本を 返してください｡➡ 春野ゆきという 新人の作家が 書いたものです｡ (水島)こんな ごみみたいな 本のために｡ (ゆき)もう一度 見ていただけませんか？ (ゆき)私 直したいんです｡ (進)俺 ゆきちゃん 飯に誘おうかな｡ (守)どうぞ ご自由に｡ (進)ゆきちゃんのこと ちょっと 借りていい？➡ ゆきちゃん｡ 行こう｡ 『あじさい』かな｡ (沙織)ゆきさぁ 気になってない？ 専務のこと｡ 何 言ってんの｡ そんなわけないじゃん｡ (水島)あなたが 社長になった方がいい｡ あなたの方が 経営者としての器を 持ち合わせてる｡ (進)日本映画と 取引 なくなったら 会社 やってけないよ｡ (亜希子)責任を取りなさい 守｡ 玲子さんに プロポーズなさい｡ もしもし｡ (守)君の脚本について➡ 聞きたいことがあって 電話しました｡➡ もっと せりふ 減らしても いいんじゃない？➡ きっと 表情で見せた方が 伝わるよ｡ いや｡ でも…｡ (守)痛いね｡ 君 頭 かたいよ｡ (進)ゆきちゃん｡ はい｡ (進)この後 時間あるかな？ 仕事が…｡ (川越)行ってこいよ｡ えっ｡ 社長からです｡ もしもし｡ (守)昨日の課題 いい答えが 見つかったよ｡ ごめんなさい｡ 今 星野専務と 食事していて｡ そうか｡ 邪魔して すまなかったね｡ 社長って 集中すると 周りが 見えなくなっちゃうし➡ 話しだすと 止まらないし｡ ホント 社長は 変わり者過ぎ｡ みんな そう言うんだよ｡ みんな 分かってないんだよ｡ 会社を支えてるのは いつだって 兄貴だ｡ 結局 兄貴に かなうことなんて 何一つ ないんだよ｡ ♬～ いただきます｡ うーん｡ おいしい｡ うーん｡ おいしい｡ ♬～ 進｡ 《ごめんなさい｡ 今 星野専務と 食事していて》 (須美花)ねえ｡ 専務 昨日 春野さんと どこ行ったんだろう？ (川越)ああ？ ああ｡ 専務のことだから➡ ラグホじゃねえか？ (須美花)ラグホ？ (川越)ラグジュアリーホテルだよ｡ (須美花)ホテル｡ おはよう｡ (一同)おはようございます｡ (２人)おはようございます｡ おはよう｡ (須美花)専務｡ 昨日と 同じ服…｡ ああ｡ 昨日 家に帰れなくてね｡ (須美花)えっ？ そうなんですか？ えっ…｡ (川越)ほらな｡ 俺の言ったとおりだろ？➡ 絶対 お泊まりだよ｡ さすがだな｡ (須美花)えー｡ おはようございます｡ (須美花)おはようございます｡ おはようございます｡ (社員)おはようございます｡ (須美花)あっ｡ ほらほら｡ 違うじゃん｡ あの子 昨日と 服 違うもん｡ (川越)いやいや｡ 何 言ってんだ｡ あっ｡ 現場の人間は➡ いつでも 泊まれるように 着替え 持ってきてんだよ｡ 絶対 お泊まりだ｡ (須美花)えー｡ (川越)ドンマイ｡ (須美花)ドンマイ…｡ ♬～ ♬～ ≪(チャイム) 進？ (亜希子)いったい➡ どういうつもりなの？ えっ？ どうして 約束を 守らないのかしらね？ 何ですか？ 約束って｡ プロポーズよ プロポーズ｡ いや｡ その｡ 約束を 守らなかったというより➡ 守ろうとしたんですけど ハプニングが ありまして｡ この辺に 確か あったと思うんですけど｡ ハプニングというより アクシデントでして｡ 僕には その意思は あったんですけど｡ あら｡ ないわねぇ｡ 何を 捜してるんですか？ プロポーズよ｡ この部屋に プロポーズが あるんですか？ ああ 分かった｡ 叔母さんが 玲子さんに➡ プロポーズするってことですね？ それは 素晴らしいアイデアだ｡ 何で 今まで 気付かなかったんだ｡ あら｡ ないわね｡ ｢あら｡ ないわね｣って｡ だから 何を 捜してるんですか？ はっ｡ ないわねぇ｡ これは オールデンなんです｡ もう 指紋を 付けないでください｡ 指紋を｡ ちょっと 叔母さん｡ ちょっと｡ 何？ 勝手に｡ やめてくださいよ｡ どこへ いったのかしら？ うん？ うーん｡ そこ 見ても 何も ありませんよ｡ 何を捜してるか 分かりませんが ありませんからね｡ そこに ありませんよ｡ 叔母さん｡ あら｡ あったわ｡ 守｡ これが 何だか お分かりになります？ 母親に もらったものですが｡ そう｡ これは 星野家の妻に 代々 受け継がれてきたものです｡ えっ？ 次に持つのは あなたの奥さま｡ これを 玲子さんに お渡しなさい｡ いよいよ あした キネマ･エトワールの 最新作➡ 『太陽の食堂』 完成披露試写ﾊﾟｰﾃｨｰが 行われます｡ このﾊﾟｰﾃｨｰで より多くの方々に この映画を 知ってもらって➡ 宣伝してもらえるか？ それが この映画の➡ 成功の鍵を 握ってると言っても 過言ではありません｡ 各自 与えられた仕事を しっかりと こなすように｡ いいね？ (社員たち)はい｡ (牧村)ということで 招待客や➡ われわれ 日本映画の宣伝部は もちろんのこと➡ キネマ･エトワールの 皆さんにも ドレスコードが ありますので➡ 注意してください｡ (川越)どの程度の ﾄﾞﾚｽｺｰﾄﾞですか？ ブラック･タイだ｡ えっ｡ タキシードか｡ みんな いいね？ それじゃ 解散｡ (社員たち)はい｡ じゃあ 行きましょう｡ (牧村)はい｡ (細井)当日の タイムテーブルは こうなってます｡➡ みんな 取りに来て｡ ドレス どうしよう｡ 持ってないの？ はい｡ じゃあ 会社で 待機してれば？ ええ｡ 先日 お送りした 完成披露試写と➡ パーティーの ご案内の件ですが その後 ご都合いかがでしょうか？ まだ スケジュールが分からない？ ああ そうですよね｡ いえ｡ お席 確保して お待ちしておりますので｡ おはよう｡ (川越)おはようございます｡ (社員たち)おはようございます｡ それでは 失礼いたします｡ どう？ はかどってますか？ あっ｡ おはようございます｡ いや｡ なかなか はっきりとした お返事 頂けなくて 大変です｡ そうですか｡ ≪もっと 派手に やらなきゃ➡ 意味が ないんですよ｡ (牧村)宣伝予算 ないから➡ 回収できなくなりますよ｡ いや｡ でも 宣伝しなけりゃ➡ 見てもらえないじゃないですか｡ 日本映画の牧村さんって➡ あんまり 乗り気じゃないんですか？ 牧村さんが 言ってることは ある意味 正しい｡ おそらく この作品じゃ 稼げないし➡ ビジネス的に 期待が できないからね｡ でも 僕は たとえ 興行成績が 悪くても➡ 今まで 自分が関わってきた映画で 一本も 嫌いなものは ないよ｡ だから この『太陽の食堂』だって➡ かわいくて しょうがない作品なんだよ｡ いいですね そういうの｡ この作品はね➡ たくさんの ボランティアが 参加して 成り立ってるんだ｡ 特に 全日本農業組合の 高砂さんと 国原さんには➡ とっても お世話になってね｡ この２人の協力が なかったら➡ この映画は 完成してなかったと思う｡ そういう善意って お金に 換えられないものだよね｡ もちろん 企業にとって 利益が大切だけど➡ 何でもかんでも お金で 換算してると➡ 純粋に つくる喜びを 失ってしまうんじゃないかな？ そうなると➡ 自分が 自分じゃ なくなるような気がするよ｡ その お二人 試写会に ご招待しませんか？ えっ？ 真っ先に 見ていただきたいですよね？ 完成した映画｡ うん｡ でも 席 空いてるの？ 何とかしてみます｡ ありがとう｡ じゃあ 連絡先 書くから➡ ペン 貸して｡ あっ｡ (牧村)では そういうことで｡ はい｡ よろしく お願いします｡ お疲れさまでした｡ (一同)お疲れさまでした｡ お疲れさまでした｡ お疲れさまでした｡ (一同)お疲れさまでした｡ お疲れさまでした｡ ♬～ ああ…｡ (須美花)専務｡➡ 今日 食事に連れていって いただけません？ いいよ｡ (須美花)ホントですか？ やった｡ えっ｡ 何？ (須美花)えっ｡ 食事｡ ああ…｡ (須美花)フフフ｡➡ ねえねえ ねえねえ ねえねえ｡ 私 専務と➡ 食事 行くことになっちゃった｡ (川越)嘘つけ｡ (須美花)ホントだって｡ (川越)あっ｡ 俺は？ (須美花)いや｡ 誘われてないよ｡ (川越)嘘つけ｡ (須美花)いや｡ ホント｡ (須美花)夢みたい｡ 専務と こうしてられるなんて｡ [TEL](バイブレーターの音) ハァー｡ ちょっと ごめん｡ [TEL](バイブレーターの音) もしもし｡ すいません｡ 今 まだ 仕事中でして｡ はい｡ 後ほど｡ (須美花)私と いるのは 仕事なんですか？ いや｡ 面倒な電話だったからさ 嘘も方便ってね｡ ごめん ごめん｡ 実はさ 離婚協議中の 奥さんの弁護士｡ えっ｡ 弁護士さんって？ 弁護士さん 付けるほど➡ 離婚って 大変なんですか？ 大変なんて レベルじゃないよ｡ 離婚はさ 果てしなく続く 山道を➡ 必死になって 登っていく つらさが あって➡ 結婚の 100倍は エネルギーが いるよね｡ 100倍も？ でも じゃあ➡ 何で そんな 大変な思いしてまで 離婚するんですか？ 今 思えば 結婚が 幸せのピークだったなぁ｡ 結婚まではさ お互いの いいところを 見つける➡ 加点法で 盛り上がっていくんだけど➡ 結婚を境に 減点法になるんだよ｡ (須美花)うん｡ ｢手伝ってくれて ありがとう｣が➡ ｢余計なこと しないで｣に変わって 最後は 舌打ち｡ 奥さん 結婚して 人格 変わっちゃったんですか？ 結婚で 変わったっていうか 離婚話になった途端➡ 急に 別人になっちゃったよね｡ あれも これも よこせだ➡ 家だ 車だ 貯金だ 慰謝料だ｡ もらえるはずだった 給料だって｡ いったい 俺から 幾ら 取るつもりなんだよ｡ ≪(小林)１億6,200万｡ そう｡ １億…｡ (小林)飛んで 5,800円です｡ 今のところ｡ ブラック･タイ｡ ブラック･タイ｡ ああ…｡ やっぱり 最低でも カクテル･ドレスか｡ (沙織)カクテル･ドレス？ あっ｡ ゴージャスなやつ？ うん｡ (沙織)そんなの 私も持ってないよ｡ はー｡ どうしよう？ (沙織)相談しなよ｡ えっ？ 誰に？ 専務に｡ 上司なんでしょ？ えっ？ 何なんだ あいつは｡ ハァー｡ (須美花)専務｡➡ もう 帰られますか？ えっ｡ 何？ (須美花)ホテルのバーでも 行きません？➡ まあ 私は ホテルかバーかって…｡ [TEL] ホテルの方に行きたいんですけど｡ もしもし｡ どうした？ あのう｡ ちょっと ご相談が｡ 何かあった？ どうした？ あのう｡ あした 私➡ 会社待機というわけには いきませんでしょうか？ どうしたの？ 何で？ えっとですね｡ [TEL]どうした？ えーと｡ 早く言いなさいよ｡ シッ｡ [TEL]何？ 私 パーティーに着ていけるような ドレス 持ってないんです｡ 何だ｡ そんなことか｡ ねえ｡ 今から すぐ 会社 来れる？ うん｡ １時間後に｡ はーい｡ (須美花)トラブルか 何かですか？ ごめん｡ すぐに 会社に戻らないと｡ ああ｡ もしもし？ 急で 悪いんだけど 今から 会社の方に 来れるかな？ うん｡ そう？ うん｡ ホント 悪い｡ うん｡ それとさ さすがに ハムタンは 空いてないよな？ お疲れ｡ お疲れさまです｡ ゆきちゃん｡ こっち 来て｡ はい｡ あのう｡ ♬～ 好きなもの 選んで｡ いや｡ でも｡ よろしく｡ (ｽﾀｲﾘｽﾄ)何とかしましょ｡ フフフ｡ いいねぇ｡ 次 いってみよう｡ 次｡ うん｡ うーん｡ 奇麗な青だね｡ うん｡ あれ？ 次は？ 次｡ さあ｡ あら！ これも いいんじゃない？ うん｡ いいね｡ どうなのよ？ ちょっと｡ 迷うわね｡ ああ｡ うん｡ ちょっと待って｡ ひらめいた｡ うーん！ フフッ｡ どうよ？ これじゃない？ ねえ？ だったら 靴は これで バッグは これ｡ アクセサリーは これかな？ よく似合ってる｡ ありがとうございます｡ ゆきちゃん｡ 完成披露の連絡は 終わった？ はい｡ じゃあ それは 全部 プレゼント｡ いや｡ そういうつもりじゃ｡ いいのよ いいのよ｡ もらっときなさい｡ ドレスに 負けないように ちゃんと メークしてこいよ｡ 何 やってんの？ お前を 待ってた｡ 準備は できた？ ああ｡ やれることは 全部 やったよ｡ 一人でも多くの マスコミ 呼んで➡ 一行でも長く 記事を 書いてもらう｡ 商品は もう そこに あるんだから 後は 宣伝するだけ｡ 商品って 言うな｡ 悪い悪い｡ 作品ね｡ 作品｡ で 招待客は？ ああ｡ ちゃんと 数字 持ってる➡ ワイドショーや 情報番組 持ってる テレビ局順｡ 売れてる部数の多い 新聞 雑誌順に 選んだから 完璧｡ 進｡ お前が 頑張ってるの 分かるんだけど➡ これは そんな 大規模な宣伝をするような➡ 作品じゃないと 思うんだ｡ えっ？ 小規模上映をして ネットや 口コミで➡ 評判を獲得して 長く 興行を続けて｡ そういう 地道に稼いでいく 作品だと思うんだ｡ 何 甘いこと言ってんだよ｡ そんなんじゃ いつまでたっても 製作費 回収できないでしょ？ で？ 今日は 春野ゆきと 食事 行ったの？ いや｡ 今日は 須美花ちゃん｡ 何 兄貴？ ゆきちゃんのこと 気になるの？ いや｡ 毎晩 連れて歩かれると➡ 彼女の 『８月のボレロ』 直し 遅れるから｡ ホントに それだけ？ 他に 何があるんだ？ っていうかさ 何で 外で話してんだよ？ 寒いよ｡ 仕事の話は 家でしない 約束だろ？ そこまで やる必要あんのかよ？ 《よく似合ってる｡ じゃあ それは 全部 プレゼント》 ♬～ (川越)あれ？ 春野は？ (須美花)うん？ ちょっと 遅れてる｡ (川越)えっ？ もう 来るぞ｡ ≪(車の走行音) (川越)来た来た｡ 来た｡ (川越)おはようございます｡ (須美花)おはようございます｡ おはよう｡ おはよう｡ ≪すみません｡ 遅れました｡ ♬～ (須美花)ちょっと｡ 専務も 早く行きましょ｡ ああ｡ あのう｡ 場違いじゃありませんか？ 駄目ですか？ やっぱり｡ ゆきちゃん｡ 行こうか｡ はい｡ (川越)開場まで あと １時間になりました｡➡ 今日は まず ここの受付で お客さまを 出迎えます｡➡ そして 試写会 会場の 入り口が あそこ｡➡ 試写が 終わったら あちらが パーティー会場になりますので➡ あちらに ご案内してください｡ それでは 皆さん よろしく お願いします｡ (一同)よろしく お願いします｡ よし｡ あー｡ 《次に持つのは あなたの奥さま》 (亜希子)《これを 玲子さんに お渡しなさい》 《うーん｡ あー》 ≪(玲子)《ハハハ！》 [ﾃﾚﾋﾞ](音声) (玲子)《ハハハ！》 (玲子)《どちらの方かしら？ ハハハ！》 (玲子)《今日 あなたの ラッキーカラーは 赤なんですよ》 《へっ？》 (玲子)《それから ラッキーアイテムは➡ 金のネックレス》➡ 《それと 帽子》➡ 《とっても 似合ってる》 (玲子)《あなた｡ お弁当 忘れてる》➡ 《うーん》➡ 《うーん》 ♬～ あっ｡ 専務｡ うん？ ごみが｡ ＯＫです｡ 川越君｡ はい｡ 愛には いろんな形があって いいと思うんだ｡ でも 俺は そっちじゃない｡ えっ？ 専務？ どういうことっすか？ お疲れさまです｡ お疲れさまです｡ で？ どうだったの？ 専務と｡ はい？ 寝たんでしょ？ はっ？ ホテル 行ったんじゃないの？ いやいやいや｡ 行ってませんよ｡ いや｡ そんなんじゃ ありませんから｡ えっ｡ ホントに？ ホントですよ｡ いや｡ だって 緒方さん自身 おっしゃってたじゃないですか｡ 専務は 誰にでも 優しいんだって｡ 考えてみてくださいよ｡ そもそも 専務みたいな人が➡ 私みたいな女 相手にするわけ ないじゃないですか｡ じゃあ 今後 専務に誘われても 断んなさいよ｡ ハァー｡ いかん いかん｡ ため息は いかん｡ 笑って 笑って 笑って｡ ♬～ あっ｡ 小野寺さん｡ (小野寺)完成 おめでとう｡ ありがとうございます｡ 先生｡ 今日は ありがとうございます｡ こちらへ｡ 春野｡ はい｡ 小野寺 秀作さんね｡ ああ｡ あっ｡ あっ｡ 小野寺先生の 脚本の 大ファンです｡ お会いできて 光栄です｡ (小野寺)ああ そう｡ ありがとう｡ 君は？ 春野ゆきといいます｡ 奇麗な名前だね｡ 先生｡ 石波出版の 神林さんを 紹介します｡ (小野寺)うん｡ ねえ｡ この２人は？ あっ｡ ≪(水島)星野専務｡ ああ｡ 水島部長｡ (水島)東都テレビの方々 お連れしましたよ｡ 今日は 遠くまで ありがとうございます｡ (男性)おめでとうございます｡ ありがとうございます｡ (高砂)受付｡ あっ｡ お名前は？ (高砂)高砂 賢一です｡ (国原)国原 保です｡ まあ どうも 本日は お招きにあずかりまして｡ 春野｡ 東都テレビさん 10名ね｡ 10名？ 今 席 ご用意しますんで｡ あっ｡ あのう｡ すみません｡ うん？ 東都テレビさん｡ ８人分しか お席 ご用意しておりません｡ どういうこと？ (水島)えっ？ 席がないんですか？ あっ｡ いや｡ 申し訳ございません｡ こちらの 手違いでして｡ (水島)アハハ｡➡ ホントに 席 ないんですか？ 川越君｡ 川越君｡ (川越)はい｡ (男性)ちょっと待ってくださいよ｡ 急いで 補助席 用意して｡ (川越)分かりました｡ (水島)いや｡ 補助席って あのう パイプ椅子か 何かですよね？ それで ２時間っていうのは ちょっと｡ 申し訳ありません｡ (男性)勘弁してもらえませんか？ そしたら あのう｡ 私らが 補助席に 座ったらいいですがね｡ いえいえ｡ そんな｡ そうしていただけると助かります｡ いや｡ でも｡ 春野！ ありがとうございます｡ 川越君｡ お席 ご案内して｡ (川越)はい｡ 分かりました｡ こちらです｡ (水島)あっ｡ じゃあ お願いします｡ さあさあ｡ 水島部長｡ ホントに 申し訳ありません｡ お持ちしますので…｡ (水島)11部ね｡ ホントに 申し訳ありませんでした｡ あっ｡ 本当に 申し訳ございませんでした｡ (高砂)いやいや｡ (国原)大丈夫 大丈夫｡ こちらの 手違いで｡ 春野｡ ちょっと｡ 失礼します｡ どういうこと？ どうして 東都テレビが ８名なの？ 俺 10名で リスト 渡してるよね？ あのう｡ 高砂さんと 国原さんを お呼びしたかったので｡ 高砂さんと 国原さん？ 社長から 撮影で お世話になった方だと 伺って｡ それは 社長の命令なの？ いえ｡ 私の判断です｡ いらっしゃるかどうか 分からない 東都テレビに➡ 10席 空けておくより➡ ２席 そちらに 回した方がいいと 判断しました｡ その結果が これだよ｡ すみませんでした｡ 君は 映画にとって マスコミが➡ どれだけ重要なのかを 全然 分かってない｡ いい？ あの２人に 見てもらったところで➡ マスコミのような 宣伝効果は 得られないんだよ｡ でも お世話になった方に 見ていただくのも➡ 大切なことじゃ ないんですか？ それに あの２人が➡ 口コミで 広めてくださるかもしれませんし｡ 君は ビジネスってものを 全然 分かってないんだ｡ そもそも 君が 判断するような ことじゃないんだよ｡ ♬～ ♬～ (高砂)いやぁ｡ まあ いい映画だがね｡ ホントに お世話になりました｡ 高砂さんの おかげです｡ ああ｡ そんなことないです｡ こちらの お料理は 映画の中で 出てきたものと➡ 同じメニューなんですよ｡ (男性)へえー｡ そうなんですか｡ (須美花)何になさいますか？ (女性)シｬンパンを お願いします｡ はい｡ ｼｬﾝﾊﾟﾝで よろしいですか？ (女性)はい｡ 楽しんでってください｡ (高砂)はい｡ ♬～ 春野さん｡ さっきの件 聞きました｡ すまなかった｡ 僕が 余計なこと 言ってしまって｡ いえ｡ 私が 悪いんです｡ 専務のことを 許してやってくれる？ 許すも何も｡ ≪(男性)星野社長｡ 申し訳ない｡ ハァー｡ いかん いかん｡ ため息は いかん｡ 笑って 笑って 笑って｡ 今日は ありがとうございます｡ (男性)ああ｡ とんでもないです｡ (亜希子)守｡➡ 玲子さん お待ちかねよ｡ (玲子)いえいえ｡➡ お仕事を 優先してくださいね｡ 最後まで お待ちしていますから｡ (亜希子)守｡ 例のものを｡ (玲子)何かしら？ 今日は 守さんが➡ 何か プレゼントしてくださるって 伺っているんですけど｡ 控室に 置いてありますから｡ 今 取ってきます｡ ちょっと 待っててください｡ ≪(足音) ≪(玲子)あっ｡ 守さん｡ (玲子)《ハハハ｡ ハハハ！》 (玲子)《今日 あなたの ラッキーカラーは 赤なんですよ》 (玲子)《あなた｡ うーん｡ うーん》 無理だ｡ あっ｡ 社長｡ 持ってて｡ えっ？ 何ですか？ 取りあえず 持ってて｡ えっ｡ 隠して！ えっ？ ちょっ｡ (玲子)守さん？ えっ？ 隠す？ (小野寺)あっ そう｡ 君も キネマ･エトワールなんだ？ (須美花)はい｡ (小野寺)お宅は➡ カワイイ子が 多いね｡ (須美花)あっ｡ カワイイだなんて｡ (小野寺)あの子 何て 名前だったかな？ ああ｡ 春野ゆきです｡ あっ｡ 脚本家志望で 先生の大ファンみたいですよ｡ (小野寺)あっ そう｡ ありがとう｡ ふーん｡ (高砂)あのう｡ ちっと前に 星野社長から 聞きましたがね｡➡ われわれを 招待してくださったんは➡ あなたなんだんべ？ (国原)私らなんかを 招待してくれて➡ ホントに よかったんかい？ もちろんです｡ 一緒に 映画を作った 仲間なんですから｡ (高砂)いやぁ｡ (国原)ああ｡ ≪(小野寺)春野君｡ あっ｡ すみません｡ ちょっと 失礼しますね｡ (男性)映画 よかったですよ｡ ありがとうございます｡ ♬～ (川越)なあ？ (須美花)うん？ お前 もしかして 小野寺さんに 春野ゆき 紹介した？ あっ｡ うん｡ したよ｡ あの人 手が早いって 噂だしなぁ｡ (須美花)そうなの!? (川越)まあ 大丈夫だろ｡ さすがに この状況じゃ 手 出さないだろ｡ あれ？ ヤッバくない？ これ｡ (須美花)あっ｡ いや｡ これくらい 洗礼 受けた方が いいんじゃない？ いい気味でしょ｡ (川越)そうか？ どうしよう？ お気を付けて｡ (男性)ありがとうございます｡ ♬～ すいません｡ (小野寺)君が 新人映画脚本大賞に 応募した作品｡ 確か 読んだよ｡ えっ？ ホントですか？ うん｡ タイトル 何だっけ？ 『僕と君と』ですか？ ああ｡ そうそう そうそう｡ あのう｡ いかがでしたか？ うーん｡ あっ そうだ｡ ちょうど 添削した台本が 私の部屋にあるんだけど 来る？ そうなんですか？ ぜひ 伺います｡ うん｡ じゃあ｡ 川越君｡ 春野ゆき 知らない？ あっ｡ あのう 実は…｡ 緒方が 小野寺先生に 春野ゆき 紹介しちゃって｡ 何か あのう｡ 手とか 触ってて｡ 僕も すごく 心配したんですけど｡ でも 絶対 大丈夫だろうと思って 僕…｡➡ あれ？ (小野寺)どうぞ｡ お邪魔します｡ (鍵を掛ける音) お疲れ｡ (須美花)あっ｡➡ ありがとうございます｡ (須美花)お互い 好きで 結婚したのに➡ 何で うまくいかなく なっちゃうんですかね？ やっぱり 不自由なんだよ｡ ２人で暮らすっていうのは｡ 俺は そっから 逃げたんだよな｡ 私だったら 専務が 不自由に感じるようなこと➡ 絶対 しないのにな｡ 君は 最高の女性なのかも しれないね｡ (須美花)やっと 気付きました？ 私 求めないし 縛らないし➡ いつだって 専務の望むとおりの 女性になれます｡ そういえば ゆきちゃん 見ないね｡ ああ…｡ いや｡ あのう｡ 実は 私 全然 知らなくて➡ 小野寺さんに 春野さんのこと 紹介しちゃったんですよね｡ ちょっと 捜してくる｡ (須美花)えっ｡ ちょっ｡ すいません｡ (従業員)はい｡ 脚本家の 小野寺 秀作 何号室ですか？ (従業員)いえ｡ あのう｡ プライバシーなので お教えできません｡ 息子です｡ 教えてください｡ お願いします｡ ♬～ (小野寺)まっ｡ これでも 飲んで リラックスして｡ ありがとうございます｡ あのう｡ 脚本は？ ああ｡ 今 持ってくるから 待っててね｡ ♬(鼻歌) ≪(ドアの開閉音) ６０１号室です｡ ありがとうございます｡ ♬～ ≪(シャワーの水音) ♬～ ♬～ はっ!? (秘書)先生の機嫌を 損ねると➡ この業界では 生きていけなくなりますよ｡ いや｡ でも 私 本の感想 聞きたかっただけで｡ (秘書)自分から 部屋に やって来て➡ そんな言い訳が 通用すると 思ってるんですか？ ≪(チャイム) さあ どうぞ｡ あっ｡ いや｡ ちょっと｡ ≪(チャイム) 小野寺さん いますよね？ いません｡ ちょっ！ 何なんですか!? 開けてください！ ちょっと｡ おい！ いないって 言ってるだろ！ 春野！ ちょっと どいてください｡ しつこいんだよ！ (殴る音) (秘書)うっ!? 行こう！ えっ｡ (小野寺)ふーん｡ ゆきちゃん お待たせ｡➡ うん？ どした？ ♬～ ♬～ ♬～ 社長｡ どこまで 行くんですか!? (玲子)すみません｡➡ 守さんを 捜しているんですけど｡ あそこ｡ ♬～ ♬～ ああー｡ もう 大丈夫だろ｡ すみませんでした｡ ご迷惑を お掛けして｡ うかつでした｡ とにかく よかった｡ 無事で｡ あの スケベじじい｡ ああー｡ 疲れた｡ あっ？ 社長!? うん？ 足｡ (笑い声) ♬～ (高砂)あっ｡ 高砂です｡➡ 今日は ご招待 ありがとうございました｡ こちらこそ｡ (国原)映画｡ まあ よかったですよ｡ ありがとうございます｡ (高砂)みんなにも見せたくて➡ チケット 買いたいんだけど どこで 買ったら いいでしょう？ チケットなら 普通に プレイガイドで 買えますけど｡ いや｡ それが そのう プレイガイドに 問い合わせたら➡ 売ってくんないんですよ｡ 売ってくれない？ そんなはずは｡ 枚数が ないって いうんですがね｡ 枚数がない｡ 失礼ですが 何枚 必要なんですか？ 取りあえず ５万枚ぐらい？ ５万？ ５万枚も どうなさるんですか？ (国原)私ら 全日本農業組合 北関東支部に 所属してまして➡ 支部だけで 100以上あって 全部 足すと ５万枚なんですよ｡➡ うちの野菜の活躍｡ これ みんなにも見てもらうべと思って｡ ありがとうございます｡ 至急 手配させていただきます｡ ああ｡ そりゃ 助かります｡ また 映画 作るなら➡ 声 掛けてください｡ 宣伝しますがね｡ ありがとうございます｡ (高砂)どうも どうも｡ (国原)まだまだ｡ 《あの２人に 見てもらったところで➡ マスコミのような 宣伝効果は 得られないんだよ》 《でも お世話になった方に 見ていただくのも➡ 大切なことじゃ ないんですか？》 《そんな➡ 大規模な宣伝をするような 作品じゃないと 思うんだ》 《あの２人が 口コミで 広めて くださるかもしれませんし》 《ネットや 口コミで 評判を獲得して…》 ♬～ (亜希子)あなたが どうしたいのか もはや 分かっているわよ｡➡ あなたは 玲子さんと 結婚したくないんじゃない｡➡ 誰とも 結婚したくないんでしょ？ つまり 相手の問題じゃないのよね｡ そうです｡ 叔母さんの 言うとおりです｡ でも それは 許されません｡ 約束したんですから｡ ♬～ ♬～ ♬～ (ｽﾀｯﾌ)じゃあ あと お願いします｡ はい｡ お疲れさまです｡ ゆきちゃん｡ あっ｡ 専務｡ あのう 今日は すみませんでした｡ あのう｡ 私が 勝手なことをして➡ 皆さんに ご迷惑を お掛けしました｡ そのことは いいんだ｡ こっちも 感情的に なってしまって｡ パーティー どうだった？ 少しは 楽しんだ？ 今日は 失敗続きでした｡ お席の件も そうですし➡ 油断して 小野寺さんに ついていったところ➡ 社長に 助けていただいて｡ あっ｡ 何もなかったんですよ｡ 社長が 来てくださったので｡ 社長 殴られても 立ち向かって｡ すごいですよね｡ その後 私 社長と一緒に 逃げたんですけど｡ あんなに 一生懸命になって 走ったの 子供のとき以来で｡ 何だか 逆に 楽しくなっちゃって…｡ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～

テラスハウス Aloha State.S04E07.JA

1 （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）こんばんは （一同）こんばんは （YOU(ユウ)）テラスハウスは 見ず知らずの男女６人が 共同生活する様子を ただただ 記録したものです 用意したのはステキなおウチと ステキな車だけです 台本は一切ございません （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）はい さて前回は シェリーとエリックが ２人で飲みに… （山里(やまさと)）すごかったですね 衝撃のシーン （徳井(とくい)）ベロンベロンでね （YOU）大人のやつ （徳井）もう ご機嫌ですよ そんなものは （山里）での 朝帰りですからね （ｼｪﾘｰ）本気な恋愛 全然したくなかったけど 何か しなかったら バカっていう感じがする （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ） 真面目にエリックのことを 考えてるのかなっていう （徳井）もしかしたら いい感じに進んでいくのかも （山里）本当に お二人が言ってた 床発進っていうのがあるんですね （徳井）床発進ですね （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）そして… （山里）急に来ました ミラの 卒業 （馬場園(ばばぞの)）ねっ （ミラ）急なんだけど ハワイから 東京に帰ることになったのね （徳井）この2017年での ミッションを 無事終えて 未来に戻るという （山里） 2017年の日本に帰っただけですよ 多分 あれは 友達か何かに電話してね “もう共同生活やめるんだ”って いう話で 別に 何も解決とかもしてないですよ あの子 表向きはね そういうことにしとこう （YOU）まあ いいよ そこは 分かりました いいです （山里）えっ 俺だけ 現代のバカなヤツなの？ で まあ 魁(がい)とミラは もう卒業して ただ すごい展開になりそう もう新メンバー （健太郎(けんたろう)）早かったですね （YOU）来ますよ （山里） 女子 かなりイケてる感じの銀行員 仕事… 銀行 何て言ってんの？ 銀行いいの？ （女性）何かね もう言ったんだけど 結構… （女性）大手 厳しくない？ （女性）厳しい （徳井）ただ ちょっと何やろな しゃべり方 前回に ちょっと見た あのしゃべり方の感じとかで もしかしたら 気が強いんではないか （馬場園）なるほど （徳井）…ってなったら智可子(ちかこ) シェリー このあたりと もめたりするのではないかという 男子はアパレルの子で ちょっと こう イケメンな空気は （YOU）日本から行くって （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）爽やか系な 見てきてもらいたいお店もあるし そこで どんなものが置いてるか うちの店でも展開できたら （男性）そうですね （YOU）目があの… ああいう パターンあるじゃないですか （山里）アップですか？ （YOU）ううん カバンの中に入っちゃう子 誰だっけ？ （山里）あー はい はい… エスパー伊東(いとう)感があったね カバンの中に入っちゃう人に 似てる子ね （YOU）そうそう 全ての行動のあとに “はい～”って言いそうだっていう （YOU）そうそう… （健太郎）あいつもなかなかでしたね （YOU）“はい～” （コナー）〈やぁ お待たせ〉 〈来ないかと思ったわ〉 〈私のルームメイトはあなたのこと 「ロシア人」って呼んでるのよ〉 〈そうなの？〉 〈最初に元メンバーと デートしに行ったの〉 〈そして あの夜あなたとキスして 家に帰って来た時〉 〈「やばい！ キスしちゃった！」って 大騒ぎだったわ 酔っぱらってたし〉 〈お酒飲んでない時 キスしたことあったっけ？〉 〈記憶にないわ〉 〈あるよ あそこに登った時に…〉 〈あそこに登った時に…〉 〈あそこに登った時に…〉 〈ジェイムソンだよね〉 〈違うよ あの崖だよ〉 〈そんなことどうでもいいの〉 〈そんなことどうでもいいの〉 〈そうか ごめん〉 〈あなた温かいわ〉 〈酔っぱらわせちゃったかな〉 （ｼｪﾘｰ）〈実はちょっと前まで 他の人とデートしてたの〉 〈さっき言ってた元メンバーの人？〉 〈そう〉 〈その人とキスした翌日 すごくいい人だから〉 〈手放すのが惜しいって思った〉 〈あなたが私にどれだけ興味があるか 分からなかったから〉 〈私はただ 楽な道を選ぼうとして 彼といたんだと思う〉 〈でも 数日経って〉 〈やっぱりあなたの方に もっと興味があるって気づいたの〉 〈大丈夫だよ 特に心配はしてないけど… した方がいい？〉 〈しなくていいわ〉 〈ただ 好きだからこそ あまり距離を縮めすぎたくないの〉 〈嫌なの分かってるから〉 〈焦ってもいい結果は 生まれないと思うんだ〉 〈そうね〉 〈あなたが好きだから ゆっくり時間をかけたいわ〉 〈それで上手くいけばいいし 上手くいかなければ仕方ないかなって〉 〈それでいいと思うよ〉 〈じゃあ時間をかけて ゆっくりってことでいい？〉 〈焦ったら上手くいくものも いかなくなると思うから〉 〈他の人とデートして 良かったと思うの〉 〈恋愛の扉が開いたから〉 〈そのおかげで あなたとの扉も開いた訳だし〉 〈まぁ利用したみたいで 彼には悪いけどね〉 〈彼が大丈夫だといいわ〉 （大志）いっせーの せっ （智可子）待って 待って いいよ いいよ… （智可子）いいよ （大志）いいよ いいよ （智可子）いいよ （大志）何だよ （智可子）そっか 変わんないか ありがとう　勝った 負けたー　負けた （大志）いや 混ざってなかったな （智可子）ありがとう （大志）クソ （智可子）またじゃん いっせせーのせ これ 普通のスピードじゃないの？ （智可子）普通のスピードだよ （大志）いっせせーのせ （智可子）ありがとう （大志）負けたわー （ｼｪﾘｰ）何か話すことありますか？ （智可子･大志）え？ （智可子）何？ （大志）何？ いや 大志に話したいことがあって えっ 何？ ２人で話す？ それとも… 智可ちゃん いてもいいんだけど ああ じゃあ… いいよ まあ 私も… 死ぬほどの恋が分かるっていうか 何か 大志 悪いヤツって なってる時もあんじゃん みんなとデートして どうのこうのって みんな… 死ぬほどの恋の人と 出会ってない… まだ出会ってないんだったら 今までの悩みとかも 分かるなって思って まあ だから 自分も エリックと楽しかったけど 迷うっていうか 他の人も 考えられちゃう部分だったから エリック 死ぬほどの恋じゃないんだ っていうかさ 恋したくなったら 試しちゃうしさ 何か 周りにいる人とか ちょっと気になる人とか まあ エリックとか コナーとキスして ちょっと悪い ヤバいって 思うとこもあるけど まあ それも してみないと それが もっと強くなるのか 冷めちゃうのか分かんないから まあ 今まで大志に ちょっと からかってたような いじってたとこも多分 あれはジョークだったけど まあ もちろん ちょっとは悪かったかな （大志）あっ そう （ｼｪﾘｰ）…な感じで （大志）なるほどね でもありがとう 言ってくれて もう私も 恋するんだったら 死ぬほどの恋じゃないと しないし 自分も エリックは どうなった？ （ｼｪﾘｰ）あれから話してない （智可子）聞いてもいいなら （智可子）話してないの？ （ｼｪﾘｰ）あれから話してない っていうか最初は エリックと チューして 次の日 まだエリックのことが好きで “あっ じゃあ ロシア人に言わないと” “エリックといい感じに なってきちゃってる”っていうのを ただ友達として “いや やっぱり うちら 違うかもね”みたいなことを ロシア人に言おうとしたけど 逆に 考えるたびに楽しみに… 会うのが 楽しみになってきちゃって そして 普通のデートになって フフフ… そして そっちとのほうが 私はワクワクするし （大志）もうそれは じゃあ結論出たんだ？ うん （ｼｪﾘｰ）出た （大志）エリックには話すの？ うーん… 別に話してもいいけど あっちから連絡ないし （大志）まあ 俺は 話されてると うれしい “あっ そっか”って “じゃあ 次に行こうかな” みたいなの考えられるから まあ エリックは多分 好きだったとは思うし 俺は話したほうがいいかなと思う （YOU）大丈夫ですか？ （馬場園）病み上がりですか？ 田中(たなか)角栄(かくえい)のモノマネですか？ “まあ そのー”って言う 寸前や もう まあ そのー 好きな男を口説くために 俺のことを 楽な道とか言ってるって 思っただけで… （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）いやいや… でもそれで 悪いと思ってるっていう 素直な気持ちじゃないですか （山里）いやいや… “楽な道” あんなひどい表現ある？ （YOU）でも何か さっき おウチ帰ってきて “分かんない　連絡ないし”って いうのを聞いた時に ちょっと “え？”って 思いますよね （YOU）ちょっと自分が 床発進みたいに “いいかも”って思ったのに エリックから連絡がなくて 勝手に怒っちゃってるパターン ないですか？ 怒るっていうか… （徳井）あー （YOU）“えっ 何でこんな” “ナイスな感じだと思ったけど” “連絡ないって どういうこと？” という こう プライドに （徳井）はいはい… 火がついて ロシア人に これをしてる っていうパターン （徳井）あー そのパターンは… （YOU）ありますよね （徳井）そうですね （YOU）なくは ないですよね （徳井）なくは ないですね あのキスしたスピードが すげー性欲 むき出しでしたけどね 何か 当てつけのように行く とかいうよりも “やっぱ こいつ好きだわー” って感じの “酔っぱらってないのに キスしたことあったっけ？” “うーん…”って考えてる最中に （山里）速かったですね あのスピード “それが今日よ”っていう あれ あの詰め方 すごかったですね あれ ただ ちょっと あの ロシア人 コナーですけど そんなに… 俺もシェリーが大好きなんだって 感じでもない （YOU･山里）ないですね （徳井）コナー あれ 遊んでるやろ （山里）ガッチリ遊んでるでしょ あの感じ むちゃくちゃ コナー ちょうどよさそうですもんね “準備すんのね？ ああ どうぞ どうぞ” “付き合うとかそういうのじゃない” （徳井）“ないよね？” “こういうのって” （徳井）“ないよねー” “だよねー”みたいな スパシーバ！ みたいな感じやもん （山里）“ありがとう！” 大志に謝ってるのもね かなり自分を正当化しましたからね まあね （山里）でもそれ 自分でも 気づいてたのがよかったですね “ちゃかしてて ごめんね”って 言ってましたもんね “ちゃかしてたんだ”と 思いましたけど （徳井）先週 今週 ２週連続 シェリーのキスを見る 激しめの （YOU）ねっ すごい （馬場園）すごい （徳井）すごいですよ （YOU）ありがとう シェリー （山里）来週 大富豪とのキスも あったりとかするんじゃ？ （YOU）えー 見たい 大富豪のキス 絵みたいな大富豪がいいな （馬場園）帽子かぶって （YOU）ねっ 石油王 （山里）石油王的な （YOU･山里）アラブの （徳井）ダブルのスーツでな （YOU）そういうのがいいな （馬場園･山里）見たいな （大志）ご飯 食べた？ （ｳｪｽﾘｰ）ご飯 食ったよ （大志）何食おっかな （杏奈(あんな)）こんばんは えっ 誰もいない？ （杏奈）よっ びっくりした 何 勝手に入ってきてんのー？ （杏奈）お邪魔します あと数日でハワイ出ちゃうからね っていう （大志）いつ出る？ （杏奈）22に出る 22？ あと４日？ （杏奈）あと４日 （大志）うわっ マジか （大志）また旅人に戻るんですね （ｳｪｽﾘｰ）旅人だね （杏奈） 何かね バリも行くんだけど （大志）本当に？ （杏奈）そう 魁と２日違いで会えなくて バリで （大志）オーケー じゃあ俺 風呂入ってくるわ （ｳｪｽﾘｰ）オーケー （杏奈）いってらっしゃい プレールーム行こうよ じゃあ ああ 行こうよ （ｳｪｽﾘｰ） いやー 寂しくなるね また （杏奈）寂しくなる？ （ｳｪｽﾘｰ）寂しいっしょ ハワイからいないんでしょ だって 最後に会いに来とこうと思って （ｳｪｽﾘｰ）うん ありがとう どうなの？ 最近 いい人いないの？ （杏奈） いい人って どういうこと？ （ｳｪｽﾘｰ）調子いい人いないの？ （杏奈）調子いい人ね （ｳｪｽﾘｰ）うん 調子いい人 いると思っ… …ってたんだけどね ああ そう （杏奈）“ああ そう”って何？ もう マジでウェズ… （ｳｪｽﾘｰ）ハハハ 何だよ それ （杏奈）もーっ １ヶ月 延ばしたじゃん （ｳｪｽﾘｰ）うん 延びたよね （杏奈）伝えたけど 私の中で その理由 ウェズ大きかったし 言ってたよね まっ 会えるっしょ またすぐ 頑張ってね （杏奈）ウェズもね （ｳｪｽﾘｰ）うん （杏奈）帰ろっかな じゃあ （ｳｪｽﾘｰ）見送るよ （ｳｪｽﾘｰ）じゃあ またね （杏奈）またね （ｳｪｽﾘｰ）ありがとう 会いに来てくれて （杏奈）ありがとう （ｳｪｽﾘｰ）元気でね （杏奈）ウェズもね （ｳｪｽﾘｰ）またね （杏奈）じゃあね （ｳｪｽﾘｰ）ありがとう どうなってんの？ 何かなってんの？ ２人 いや　とりあえず ずっと俺は気になってはいて で 気になってくれてたみたい （智可子）へえー もうハワイ出るから あの… 最後に 会いたいって 言ってくれて 来てくれた感じ 何かさ 全然ごめん ちょっと違う話してもいい？ （大志）いいよ 何か昨日 ３人で話したのね シェリーと大志くんと （ｳｪｽﾘｰ）あー そうなんだ 何かさ １個 すごい気になったのが もし 相手が 全然 自分に興味がないんだったら 言ってほしくって そしたら自分が次に動けるって 言ってたじゃん うん うん… 何か 分かんない 一応… 一応っていうか まあ デートに誘ってくれたじゃん だから どう思ってるのかなっていう それが聞きたくって （ｳｪｽﾘｰ）これ 俺 いたほうがいい？ 全然 全然… 違う 全然 大丈夫 また 第三者の意見が欲しい あー オーケー じゃあ 別に智可も 何ていうの 遊んでるわけじゃないし 真剣に向き合ってると思うし だからといって 別に他の人を 見てないっていうわけではないの （大志）うん うん （智可子）正直ね 長い 付き合いがあって 去年 それが終わって 正直 何て言うの 自分の中で 本当 恋愛していいのか 分かんないっていうのもあるのね そんな中で 大志くん 声かけてくれて うれしかったのもあるし だけど実際 どう思ってるのかなっていう… まあ… （智可子）正直 言ってほしい （大志）正直に言うと 俺は もうめちゃくちゃ好き で （智可子）オーケー （大志）多分 俺 今まで 出会った中の女性で 一番好き （大志）で… （智可子）オーケー ありがとう で… 分かんない 俺は 好きすぎるから だから すごい不安でもあるわけよ 何だろ… 他の人に行ってしまった時 俺は本当に死ぬと思うのね 多分 シェリーみたいに 他の男と チューしてたって聞いた瞬間 俺は もう多分 立ち直れないぐらい 落ち込むとは思うけど でもそれは分かんない もう そうなってみないと 追いかけるとか まだ好きでいられるかどうかは もう 俺自身 初めてだから こんなに好きなのが 分かんない それは だけど 今 俺は 智可ちゃん… のことが めちゃくちゃ好き アハハハ… （智可子）ごめんね こんな 言わせちゃって ごめんね 何で確認したかったかって言うと 多分 だってもうすぐ 新しい人たち入ってくるじゃん それで自分が 正直 どう思うか分かんない 大志くん 正直なところ すごい好き！ っていうふうではないのね だけど だからといって 違う人に行っちゃったら もしかしたら 寂しいって思うかもしんないし 何か 自分の気持ちに すごい波があって 何か すごいいいな… 性格すごい好きだし 考え方とかも すごい好きだと思うし 理想的な人だって 分かってるの 多分 こういう人と一緒にいたら 幸せになるんだろうなって すごい思うんだけど 幸せになるんだろうなっていうか 今まで自分が失敗したことは しないんだろうなって すごい思うんだけど （大志）何だろ そんな別に 俺も答え急いでないし そこは 智可ちゃんが ゆっくり考えて 答えを出してほしいかなと 思うから 俺もまだ 気持ち言ってなかったし （智可子）オーケー そうだよね （大志）多分 智可ちゃんも （大志）〈準備が整ってない〉 …と 俺は思ってたから （智可子）ごめんね 聞いちゃって （大志）そう それは思ってたけど でも俺は 〈準備が整ってる〉 だから そこに関しては ゆっくり 考えてほしいかな いや 何か中途半端な感じでさ いきたくないなと思った まあ 俺は中途半端じゃない オーケー （智可子）いや 怖いわ （大志）何が？ 分かんない　何が起こるか 分かんないから怖い 俺は めちゃくちゃ好き （智可子）フフフ… 今日 寝れないなあ （ｳｪｽﾘｰ） じゃあ２人で話してよ あとは （大志）ありがとう ウェズ （大志）大丈夫？ （智可子）うん 大丈夫 何か本当 日に日に ありがたみを感じる 本当に？ うれしい （智可子）寝ようかな （大志）寝よっか （智可子）ごめんね こんな長々と 付き合ってもらって （大志）いえいえ （大志）びっくりしたけど （大志）話せてよかった （智可子）ごめん （智可子）ちょっといろいろ たまってたみたい （大志）じゃあ 寝るわ おやすみ ハグしていい？ ごめんね ２つ持ってた おやすみ （智可子）おやすみ あれは切ない 杏奈側から見ると 切なかったですね 切ないですよ ちょっと杏奈に 気の強い親友でもおったら “中嶋(なかじま)さんさあ”みたいな “杏奈の気持ち 分かってたんじゃないの？” “お話ししたいんですけど” （馬場園） 出てきますね そういう人ね ちょっと冷たくないですか？ （徳井）ねえー だから もうほんま ラストのラストチャンスとして 来たわけですからね 絶対セクってるじゃないですか だって （徳井）セクってますよ もう （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）え？ （YOU）それで… してます してます もう 何か男って… って思っちゃいますね （徳井）男って 男が どうもすいません 本当に あれは代表じゃないです 絶対 （徳井）男が どうもすいません 中嶋さんの あの罪なセリフね “何か最近いい人いんの？” （山里）あれ ひどいね （馬場園）ひどいよ （YOU）あれはズルいな （徳井）中嶋が好きな女に対して “何か最近いい人いるの？” っていう あれは罪やな （馬場園）ズルい しかも 完全に分かってるわけじゃ ないですか 自分のこと好きって それで あれいくって すごいっすね あれで１回シャッターを 閉じるんですか？ （徳井） もう 意思表示やわな あれは （YOU）そうね 僕は別に君のこと そんなに好きじゃないんだよ って言わないけどっていう （山里）ってことですよね （山里）すげーな “じゃあね” 切なかったですよね “ねっ”って言って… 最後 涙は見せたくない 明るく別れようって決めて 追い返されてたもんな “じゃっ”か何か言って バタン このドアをもう ドアをもう こうよ “じゃっ”　バタン （笑い声） （山里）涙こらえてる！ （馬場園）泣く泣く泣く… （山里）下見たら こぼれちゃう これや そして結構あそこ 坂が多いから帰り大変ですよ （徳井）帰り大変やで もう 下りは こう こうなりながら… （山里）ちょっと トトトトトッて なりながら 前のここの筋肉 ものすごい使いながら （馬場園）どうでもええわ ちょっとでも ヒールでもあったら もう本当に ここ パンパンなるんですよ （徳井）パンパンなりますよ ちょっと 智可子が 何か あの… 何のスイッチですか？ あれ （馬場園）ねっ 急に何？ 僕ね “ちょっと違う話していい？” って言って “杏奈と実は いろいろ 話 聞いてて”とかって さっきの件について 問い詰めるかと思ったら マジで違う話 したじゃないですか ただの違う話 （山里）あげく 大志の気持ちを “あなたの気持ち 知りたい” みたいな感じのことを言って それを言われたら 大志は もう めちゃくちゃ好きだから 気持ち ちゃんと 言うじゃないですか そしたら こっちはこっちで “私 それほどでも ないんですよね” （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）あれは ただ単純に 寂しい女が ちょっと自分のこと いいと思ってる人を何かこう 行っちゃうのも寂しいし とりあえず今 誰もいないから 近くに置いとこう みたいな… （YOU）分かります そうだと思います （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）感じですよね （山里）そう見えたな だって次ね ひょっとしたら 自分のすげータイプの人が来たら その人に行くかもしれないしって フェアにしてますっていう… （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）アピール （徳井）感じをやっぱり でもシェリーが そうやってるのも見て “私も だったら言っとこう” みたいな （YOU）“もう全部言おう” （徳井）“言おう！” シェリーの開花でテラスハウスが ガラッと変わりましたね （健太郎）すごいですね 変な感じで蔓延(まんえん)してるよね （山里）シェリー菌が 大志はレディーですからね もうね （徳井）そうね “俺はレディー”って 言ってましたから その“俺はレディー”のあとも もう “ハグしていい？ じゃ ねえ” っていうさあ （山里）しかも“ハグしていい？” すげーイヤそうじゃなかったですか？ （山里）あんま… （健太郎）コップ こんなんなって コップ こんなん… “今？ ウソ”っていう グイッと上げて 肩 気持ち 確認したいねん 聞きたいねんとは言ったけど 言い過ぎやねん もう じゃんじゃん言っちゃうから 堰(せき)を切ったように あふれてもうて Too much大志 （徳井）いや “本当に好きだよ” “俺は真剣に好きだよ” だけでよかったのに 好きだ 好きだ 好きだ… 言っちゃって ハグ ハグ ハグ ハグ あかんねん あれが 大志 だって“フラれたら死んじゃう かもしれない”って 言ってましたよね “他の人とチューしてたら俺 死ぬかもしれない”って （山里）あれは… （健太郎）やかましいわっつって （健太郎）マジで いやでもなー もう訳分かんない… （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）でも智可子さんも絶対 大志が ああいう人だってのは 分かってるし ああいう話したら ああいうふうに 返ってくるってのも知ってるから （YOU）分かってると思う だから そこは何かちょっと… （山里）そうだよね （ﾄﾘﾝﾄﾞﾙ）違う方法で何か… これはだから 次来る新メンバーの男の子 かなり大事な役を担いますよ （徳井）担うね （チャイム） 俺 開けてくるよ （大志）開けてきて （ｳｪｽﾘｰ）ヤバッ （女性）ハーイ （ｳｪｽﾘｰ）ハーイ （女性）こんにちは （ｳｪｽﾘｰ）どうも （女性）どうも （ｳｪｽﾘｰ）どうぞ どうぞ （女性）いいですか？ （大志）こんにちは （女性）こんにちは （女性）あっ ２人？ 今 （大志）女の子もいますよ （女性）ハーイ （大志）ハーイ 新田(にった)満理子(まりこ)と申します （満理子）新田満理子 （大志）新田満理子さん （大志）初めまして （満理子）初めまして ここ いいのかな？ 真ん中座って （大志）どうぞ どうぞ 何か面接みたい （満理子）よろしく （ｳｪｽﾘｰ）よろしく ハーフですか？ （満理子）ハーフです 外人に見えるんだけど （大志）めちゃくちゃ （満理子）でしょ　よく言われます どこのハーフ？ 日本とドイツと 〈アイルランド〉 いろんな… ちょっと メガネ外してくれませんか？ （満理子）目が見えないんだけど （ｳｪｽﾘｰ）オーケー こんな感じっす （大志）あっ （満理子）あっ （満理子）あっ こんにちは （智可子）こんにちは （ｳｪｽﾘｰ）おはよう （智可子）いつの間にか （智可子）智可子です （満理子）智可子さん （満理子）満理子です （智可子）満理子さん （満理子）よろしく （智可子）よろしくお願いします （大志）座る？ （智可子）いつの間に （大志）さっき来た さっき来た 日本育ち…？ （満理子）あの… 半分 半分 （大志）半分 半分 （ｼｪﾘｰ）ハーイ （満理子）ハーイ ハイ アイム マリ 満理子です （ｼｪﾘｰ）シェリー （満理子）ナイス トゥ ミート ユー （満理子）何か このほうが ハワイっぽいよね （ｼｪﾘｰ）日本から？ いや ここに住んでます （大志）そうなんですね （ｼｪﾘｰ）クール （ｼｪﾘｰ）何歳？ 25歳です おいくつですか？ みんな 29で　ここが おっさんだね おっさんだぜ 28　おばさん いやいや… いやいや 全然 ハワイは どのぐらい住んでるの？ えっと 高校から 引っ越してきたから （ｼｪﾘｰ）日本から？ （満理子）いや ずっと寮の学校に行ってて 〈全寮制学校〉 （ｼｪﾘｰ）どこで？ ボストンとか ニュージャージーとか でもその前は日本 日本語は 親が話すの？ 父親 日本人だから （智可子）あっ そうなんだ （満理子）お父さんがね 普通 反対じゃない？ だから ずっと家は 大体 日本語かな （智可子）へえー すごい テラスハウス見てた？ テレビで （満理子）あのね 見ちゃうと 考えちゃうじゃん だから わざと見ないように 〈フレッシュな気分で始めたい〉 大志も知らなかった？ あの ちょっと聞いたけど （大志）いろいろ 俺は聞いてんのか （満理子）いろいろ聞いちゃったけど （大志）俺は そうか （満理子）あんまり性格は知らないので 〈偏見を持ちたくない〉 満理子ちゃん 何してるの？ 私は銀行で働いてます （ｼｪﾘｰ）〈どこの銀行？〉 〈バンク オブ ハワイ〉 （大志）何でテラスハウスに 入ろうと思ったの？ プライベートバンキングの 部署なんだけど 日本からいらっしゃる お客さんの対応してて やっぱり そこらへんを もっと知ってほしいし 顧客を増やしていきたいです 今 彼氏はいないの？ いない （ｳｪｽﾘｰ）結婚は？ （満理子）結婚？ いや 彼氏いないから 結婚はしてないね （ｳｪｽﾘｰ）一応ね （満理子）結婚してますか？ してない （大志）可能性をね （ｳｪｽﾘｰ）一応 聞いとこうかなと （英語の会話） （チャイム） 開けたーい！ ピンポン来ました （ｼｪﾘｰ） ハーイ またサーファーです （男性）こんにちは （ｼｪﾘｰ）こんにちは （男性）こんにちは （一同）こんにちは （大志）爽やかな （満理子）ありがとう　サンキュー 初めまして 関川(せきかわ) 良(りょう)です （ｳｪｽﾘｰ）初めまして （良）初めまして （良）どこ座っていいっすか？ （大志）こっちどうぞ （良）こっちでいいっすか？ （良）こんにちは （一同）こんにちは （ｼｪﾘｰ）あれ？ お名前は？ （良）関川 良と申します （ｼｪﾘｰ）良？ （良）良です よろしくお願いします （大志）よろしくお願いします （良）よろしくお願いします （大志）ハーフですか？ いや 日本人なんですけど （大志）日本人っすか？ 純ジャパニーズで （大志）本当ですか 爽やかだな （大志）おいくつなんですか？ 今 26です 今年７になりますね 英語も話せるんですか？ 英語は日常会話程度 （大志）すごいっすね 日本に ずっといて どっか海外 行ってたんですか？ （良）オーストラリアの１年で 何とか勉強して （大志）すごい それは何歳の時だったの？ ３年前なんで 23ですね 大学卒業したあとに １年間 お金貯めて １年間 行って ナイス （大志）ずっと東京っすか？ （良）えっと 埼玉に住んでて 東京の職場に アパレルの卸しの会社に 勤務してるんですけど （大志）そうなんですね （良）直営店にいながら オンラインとか いろいろやって （大志）でも仕事 どうしたんですか？ 仕事は いったん お店は任せて こっちにちょっと 市場調査として いろんなものを見に 来てる感じなんですけど サーフアパレル関係の 仕事してるのもあって やっぱり カリフォルニアとか ハワイとかオーストラリアは 最先端を行く トレンドの場所なので 現地で ものをいろいろ吸収して 帰ってきたいと思って 来たんですけど だから みんなと一緒に いろいろ回れたらなと思って （良）ぜひ行きましょう （大志）ぜひ

女くどき飯２nd＃02

1 (神林恵) ｢女くどき飯 ～season２～｣!? (裕子)内容は 前回とおんなじよ｡ 応募者の男が選んだお店で➡ ご飯デートしながら 口説いてもらおうっていう企画｡ 一応 言っとくけど…｡ 食われちゃダメなんですよね？ ♬～ ｢ごきげんよう 艶子です｡ 今週のアナタは➡ ﾏｯｽﾙﾎﾞﾃﾞｨｰに魅了される予感｡➡ 艶子が 素敵な恋を お届けします｡➡ ラッキーアイテムは 艶子も飲んでる このプロテイン｣｡ ｢ご購入は こちら｣…｡ おい いつの間にか 通販ページになってんじゃねぇか｡ [TEL] はい もしもし｡ 記事 ありがと｡ 今回も おもしろかった｡ あざま～す｡ 今 次の応募者データ 送ったんだけど 見れる？ はい 喜んで！ ｢小笠原大和 ２４歳 運送会社勤務｣？ そう 佐川男子的な？ ｢佐川｣か ｢ヤマト｣か➡ はっきりしてほしいところですねぇ｡ 今回も おもしろいの期待してるから｡ 了解です｡ あっ そうだ 裕子さん➡ 艶子の占いﾍﾟｰｼﾞが 通販ﾍﾟｰｼﾞみたいに なってるんですけど あれって➡ ｢DISH｣的に オーケーなん…｡ [TEL](裕子)一応 言っとくけど➡ ほんとに食われちゃダメだからね｡ 私 今週から ポールダンス始めたから｡ [TEL] ブチッ ツー ツー… (電話が切れた音) 裕子さん どこへ向かおうとしているんだ…｡ 運送会社勤務ね～｡ どうせ 冬なのに半袖焼けした➡ ポロシャツ筋肉男子が来んだろ？ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ (店員)いらっしゃいませ｡ あっ すみません｡ 小笠原さん いらっしゃってますか？ ガタン！ (小笠原大和)あの…➡ 神林さんですか？ はい｡ 小笠原大和です｡ 今日は よろしくお願いします｡ こちらこそ よろしくお願いします｡ (心の声) ≪爽やか細ﾏｯﾁｮ男子やんか～！≫ 乾杯｡ 乾杯｡ ≪爽やか系細マッチョの配達員 小笠原大和が選んだのは➡ 薬膳火鍋が楽しめる 自由が丘 ｢爆香房｣≫ ♬～ ≪この人 ｢SASUKE｣とか出てそう≫ ああ～…｡ ふふふっ｡ 小笠原さんは よく このお店 いらっしゃるんですか？ いえ 自分 女の人 連れてけるような➡ おしゃれな店 全然 知らなくて…｡ ≪いかにも 女慣れしてなさそうだもんな…≫ 実は 今日が ２回目なんです｡ そうなんですか｡ でも このお店➡ すっごくすてきだし 女の人が好きな感じですよ｡ あっ ほんとですか？ 薬膳火鍋 好きな子 多いし｡ よかった…｡ 実は 何軒か 下見した中で➡ いちばん 喜んでもらえそうだなと思って➡ ここに決めたんです｡ わざわざ➡ 下見してくださったんですか？ はい｡ 会社の先輩と２人で｡ あっ！ 気合い入り過ぎて キモいですか？ 全然！ わざわざ ありがとうございます！ いえ 気に入ってもらえたみたいで 安心しました｡ ≪サスケ かわいい…｡ 女は 自分のために➡ ひそかに時間や 手間暇かけてもらうんが➡ 大好きなんやで≫ (店主)よだれ鶏と 肉汁小龍包でございます｡➡ こちらの よだれ鶏は よだれが出るぐらい➡ おいしいタレが掛かった 蒸し鶏とﾋﾟｰﾀﾝの冷菜でございます｡ 私 小龍包 大好きなんですよねぇ｡ あっ ちょっと 失礼します｡ カシャ！(携帯のｼｬｯﾀｰ音) じゃあ まずは 小龍包から…｡ ♬～ いただきます｡ ≪んん～！ 豚のうまみあふれる このスープ≫ ≪そのコクと モチモチの生地の コンビネーション！≫ おいしい…｡ こっちの鶏も すげぇうまいっす｡ あぁ… じゃあ…｡ ≪はぁ～！ ラー油の香ばしい香りと➡ 黒酢の独特の風味！≫ ≪花山椒も ピリッと効いてるし そして➡ どこまでも ふっくら しっとりとした この鶏肉！≫ おいしい！ ふふっ よかった～｡ ふふふっ｡あっ 小笠原さん さっき➡ ｢女の人 連れていくようなお店知らない｣って➡ おっしゃってましたけどふだんは どういうところで➡ デートとかされるんですか？ あっ 家… ですかね…｡ あっ お家デート派だ？ あの… 実は 俺 あんまり デート自体➡ したことないんですよね…｡ あっ そうなんですか｡ じゃあ もしかして 女性と つきあったこと…｡ いや あります あります！ それは あります！ いや そんな 必死になんなくても 大丈夫ですよ｡ すみません…｡ わあ～ めっちゃ恥ずかしい…｡ ≪サスケ 確実に チェリーやな≫ でも やっぱり がっちりしてらっしゃいますよね｡ あっ はい 割と｡ お仕事だけで➡ そんなに 筋肉 つくもんなんですか？ 自分 シラットをやってて｡ シラット？ はい｡ あの～ 東南アジアの武術なんですけど｡ 格闘技的な？ はい｡ ｢ザ･レイド｣っていう➡ ｲﾝﾄﾞﾈｼｱ映画があるんですけど 見たことあります？ ああ～ ごめんなさい｡ 見たことないです｡ シラｯトを取り入れたアクションが めちゃくちゃ格好よくて➡ 自分 映画館で 5回 見たんですよ｡ ええ～！ ネットで調べたら 日本でも 教えてくれるところがあったんで➡ ２年くらい前から 習いはじめたんです｡ そうなんですか～｡ ≪映画に憧れて格闘技なんて 単純で かわいい！≫ いつか 海外で シラットの試合に出るのが➡ 夢なんです｡ すてきな夢ですね～｡ ≪まぶしいわ サスケ…≫ ≪あんた 心身ともに 健全すぎて まぶしいわ…≫ (店主)黒酢豚でございます｡ 中国の黒酢と➡ 中国の醤油で ビターな大人の味わいの酢豚に➡ 仕立ててあります｡ シンプルに さつまいもと合わせ➡ アクセントに チョコレートが添えてあります｡ カシャ！ (恵･小笠原)いただきます｡ んん～！ これ うまいっすよね～｡ めちゃくちゃ軟らかくて おいしいですね！ なんか こう 酸味が丸くて 独特のコクがありますね｡ 隠し味に コーヒーを使ってるんですって｡ えっ そうなんですか!? あっ メニューに➡ 書いてあったんですけど｡ あははっ そうなんですか｡ 神林さんって なんか スポーツ やってたりしないんですか？ あっ まったくやってないです｡ パソコンの前から➡ ほとんど動かないですね｡ 小笠原さん こたつって持ってます？ いや 持ってないですけど…｡ 絶対に買わない方がいいです！ あれ とことん 人間を ダメにする機械ですから｡ あははっ！ 確かに この時期 出られなくなりそうですもんね｡ ほんっとに出られなくて こないだ➡ ぶっ続けで １２時間仕事してたら こたつで➡ ｴｺﾉﾐｰｸﾗｽ症候群になりかけて｡ あははっ！ こたつ 処分するか 少し 運動した方が➡ いいかもしれないですね｡ そう思って➡ ジョギングウエアを 去年 一式 買いそろえたんですけど➡ 結局 １週間も続かなくて｡ いや～ 一人じゃ なかなか続かないですよね｡ 自分も ジョギング苦手なんで分かります｡ ジョギングって しんどいうえに飽きますよね？ はい｡ だから 自分は なるべく 仕事で走るようにしてますね｡ 荷物担いで！ いや それは➡ さすがに無理なんで 配達したあとです｡ 担当してる地域が 結構 坂道の多いとこなんで➡ 車 戻るときに ガァ～って走ったりしてますね｡ 坂…｡ ♬～ パン！(ｽﾀｰﾀｰﾋﾟｽﾄﾙの音) (ﾅﾚｰｼｮﾝ)＜配達担当地区にある 心臓破りの坂＞ ＜ この坂も また 実に 走りたくなる坂である＞ はぁ はぁ はぁ はぁ…｡ ≪肉体派男子 いい…≫ (店主)石焼き エビの 特製チリソースでございます｡ うわぁ～！ ちょっと失礼します！ カシャ！ おいしそう！ (店主)それでは こちらを 取り分けさせていただきます｡ ああっ！ おお～っ！ (店主)おこげとともに 召し上がっていただきまして➡ 香り 食感を お楽しみください｡ はぁ～…｡ いただきます｡ ≪んん～！ 熱々のチリソースと プリプリのエビ！≫ ≪そして もはや 説明不要な香ばしいおこげ！≫ ≪カリカリと しっとりのｺﾝﾄﾗｽﾄが たまらんわ！≫ んん～！ 神林さんって いつも 家で仕事してるんですか？ うん ９割くらいは｡ 家だと 怠けちゃいませんか？ あははっ｡ 誰も監視してない分 怠け放題なのは 確かですね｡ でも 怠けたら 怠けた分 結局 自分に返ってきちゃうんで｡ そっか～…｡ いや 在宅の仕事って➡ 心が強くないと できない仕事ですよね｡ いやいやいや｡ なんか すごいな～ 神林さん｡ いや 全然 すごくないんですよ｡ 書かないと➡ お金が入ってこないから 書くだけで｡ そもそも 文章 書いて お金 稼いでるってこと自体➡ すごいですよ｡ 自分 学がないんで➡ こう 頭 使って仕事してる人って すげぇ憧れます｡ ありがとうございます｡ ≪｢自分 学がないんで｣ってｾﾘﾌ➡ こういう肉体派の男が言うと キュンとするわ…≫ だから 実は 今日 かなり緊張して ここに来たんです｡ えっ？ 自分 ふだん 神林さんみたいに➡ 頭よくて きれいな女の人と接することって➡ 絶対 ないんで｡ いやいやいや！ ≪頭よくて きれい！ 仕事に燃える三十路ﾗｲﾀｰには➡ 最高の褒め言葉やわ！≫ でも 神林さん すごい気さくで話しやすくて…｡ ほんと 思い切って応募してよかったです｡ あっ… なんか ありがとうございます｡ ≪かわいいこと言うやん サスケ≫ 小笠原さんは ふだん どういう女性と➡ 接してるんですか？ ああ～ もう お客さん以外は➡ ほとんど 女性と 接してないかもしれないですね｡ 合コンとか行かれないんですか？ 行かないですね～｡ 自分➡ そういうところに来てる女の人って ちょっと 苦手で｡ ≪チェリーらしい偏見だな…≫ 趣味も シラットくらいなんで 野郎しかいないですし｡ じゃあ 今までつきあった女性は どこで出会ったんですか？ あっ お客さんです｡ お… お客さん!? 配達に行って 恋に落ちちゃうってことですか!? いや 恋に落ちるっていうか なんか…➡ 気がついたら 押し倒されてたり…｡ 押し倒される!? はい…｡ ≪そんな 安物のＡＶみたいな事件が➡ 現実に起こりうるのか？≫ なんか 年上の女性ばっかりで 断れなくて…｡ ちなみに 年上って いくつくらい？ これまで ３人しか つきあったことないんですけど➡ みんな ４５とか…｡ ４５!? ≪まさかの熟女キラー!?≫ なるほど…｡ 相手が お客さんだから➡ お家デートになるわけですね｡ はい｡ 外だと 人目も気になりますし➡ 夜は 旦那さんや 子供が帰って来ちゃうんで｡ ええ～っ!? ≪まさかの人妻キラー!?≫ ≪心身ともに健全な チｪリーボーイだと思ってたら➡ まさかの 熟女ア～ンド人妻キラーとは…≫ ≪つうか 勤務中に何やってんだよ サスケ≫ 小笠原君はさ 熟女が好きなの？ それとも 人妻が好きなの？ あっ どっちも好きじゃないです｡ じゃあ なんで➡ 熟女の人妻と つきあっちゃったの？ それは…｡ 自分 男３人兄弟の真ん中で➡ 高校も 男子校だったんで 全然 女の人に対する➡ 抗体がなかったっていうか…｡ ≪確かに 男兄弟の真ん中って感じするわ≫ だから どうやって断っていいのかも➡ 分からなかったっていうか…｡ なるほど…｡ 今は 人妻と つきあってないよね？ もう 全然！ 二度と つきあうつもりはないです｡ うん｡ もう 絶対やめなよ｡ 会社にバレたら 即行クビでしょ？ はい…｡ じゃあさ 今日は 一緒に たくさん飲んで➡ 女に対する抗体 作って帰んなよ｡ はい 仕切り直し｡ はい！ カチン (店主)お待たせいたしました｡ 当店名物になります➡ 薬膳火鍋 美湖香鍋でございます｡➡ 香り立つ赤いスープと 美しい湖のような緑のスープを➡ お好みで混ぜて お召し上がりください｡ カシャ！ 入れてっちゃいますね｡ お願いします｡ はい！ ♬～ 小笠原君はさ もともと どういう人がタイプなの？ ああ～ 家庭的で 包容力がある人が好きですね｡ あははっ！ それで 人妻だったわけ！ いや それは もう 勘弁してください｡ やっぱ 年上がいいってこと？ そうですね～｡ 結婚するなら 姉さん女房がいいですね｡ 尻に敷かれたいタイプ？ いや 別に➡ そういう訳じゃないんですけど 俺 すげぇ子供 好きで｡ だから 最低でも ３人くらい子供つくって➡ しっかり 肝っ玉母ちゃんに なってくれる人がいいんです｡ なるほどね～｡ ≪サスケ 私 ３人くらい子供産みたいし➡ ジャイアンの母ちゃんみたいな 肝っ玉母ちゃんになる自信あるで≫ ♬～ そろそろ いけそうですね～｡ じゃあ まず それぞれのお味を…｡ ≪はあっ！ 薬膳と ネギが織り成す➡ この複雑で 芳醇な香り｡ いろんなうまみが➡ たっぷりと溶け出した 深い塩味のスープ！≫ ≪あっさりしているのに コクがあって…≫ これ おいしい…｡ やばいですよね？ やばい｡ これは 薬膳が ちゃんと スパイスになってて➡ すっごくおいしいです！ こっちの赤い方も うまいっす｡ すっごく辛そうに見えるのに 全然 引っ掛からないし➡ 酸味も柔らかい！ ですよね！ 緑２で 赤１ぐらいが ちょうどいいかもです｡ ほんと～？ いや ほんとです｡ ♬～ おいしい！ おお～！ やった…｡ いいね～｡ やったね！ (２人)あははっ！ ≪こういう肉体派男子って ふだん➡ あんまり 接する機会ないけど 健全で 爽やかで➡ なんかいいよね…｡ 昔は マｯチョな男って苦手だったけど➡ 年々 男の筋肉に魅了されていくわ…≫ 小笠原君はさ 出会いさえあれば➡ 全然 普通に モテると思うよ｡ えっ？ わざわざ 人妻と つきあわなくたって➡ すっごい需要あると思う｡ えっ マジっすか!? なんかさ コチャコチャしてないじゃん？ 素直で まっすぐっていうか｡ そうなんすかね？ それに ほら なんていうか 男らしいでしょ｡ んん～… ん？ はははっ｡ う～ん…➡ 意外と がっしりしてるっていうか…｡ 前に なんかで読んだんだけど➡ 人って ギュッって抱きしめられると➡ 脳みそから 幸福ホルモンが出て 心配事とか➡ 悩み事が和らぐんだって｡ へえ～！ だから なんか 分からなくもないんだよね➡ 小笠原君を押し倒した 人妻の気持ち｡ えっ？ あっ！ もちろん➡ その… 変な意味じゃなくて 単純に この人に抱きしめられたら➡ いろんなストレス 吹っ飛びそうみたいな…｡ うれしいです すごく｡ ≪やだ もう… そういう はにかんだ笑顔 キュンとするわ≫ ♬～ ああ～ 麺も 雑炊もって 欲張り過ぎたかなぁ｡ 全然 大丈夫っす｡ 残ったら 自分 食うんで｡ ≪キュン！≫ ≪そういう男らしいコメント キュン！≫ ♬～ いただきます｡ いただきます｡ ♬～ う～ん｡ う～ん｡ う～ん！ あははっ！ ねえ すごい食べっぷりだね｡ すみません がっついちゃって｡ ううん 全然！ 男の人がいっぱい食べるのは もう 最高だよ！ マジっすか？ ≪この人 見てるだけで すっごく和む…≫ なんかさ いいよね 肉体派男子｡ えっ？ 私さ➡ もう ずっと恋愛してなくて 自分が➡ どういう人がﾀｲﾌﾟなのかも 全然 分からなくなってたんだけど➡ 生命力に あふれた人が 好きなのかもしれない｡ 生命力？ うん｡ たくさん食べて➡ たくさん動いて あんまり 細かいこと気にしない➡ 身も心も 健全な人｡ ああ～…｡ ん？ あははっ！ 私なんかはさ こう➡ 日々 部屋にこもって パチパチやってるもんだから➡ いろいろ 考えなくてもいいこと 考えちゃうんだよね｡ 漠然とした 将来への焦りとか➡ つまんないこと グルグル悩んで｡ んん～…｡ 神林さんは➡ そういうとき どうするんですか？ う～ん… まあ➡ 普通に 酒 飲むね｡ あははっ！ お酒じゃ な～んにも解決しないんだけどね｡ ギュッってすると 幸福ホルモンが出て➡ 悩み事が和らぐんですよね？ ん？ 今度 悩み事があったら いつでも連絡してください｡ 僕が いつでも ギュッってしに行きますんで｡ ♬～ 小笠原君！ 神林さん！ 大和きゅ～ん！ 恵さぁ～ん！ ♬～ お届け物で～す！ は～い！ はぁ～！ ＜幸せへと続く坂道＞ ＜ この坂も また 実に…➡ 実に 走りたくなる坂である＞ はぁ… はぁ はぁ… はぁ…｡ 僕が いつでも ギュッってしに行きますんで｡ ♬～ 今すぐ ギュッとして！ (２人)あははっ！ あはははっ！ ♬～ じゃあ ここで｡ あっ はい…｡ 今日は ほんとに ありがとうございました｡ 神林さんのおかげで 自分 自信つきました｡ こちらこそ ありがとう｡ すっごく楽しかった…｡ じゃあ おやすみなさい｡ あの！ 悩み事ができたら ギｭｯってしに来てもらえませんか？ えっ？ 私のこと➡ いつでも ギュッってしに来てください｡ 神林さん…｡ 私は あなたと➡ スープの赤と緑が絡み合い➡ その芳醇なうまみと コクが 身も心も健全にする➡ 美湖香鍋のような恋がしたい！ ♬～ 神林さんのおかげで ようやく 気づきました…｡ 自分… やっぱり➡ 熟女も 人妻も好きみたいです｡ ん？ 結婚して ４０過ぎたら連絡ください！ いや… おい…｡ ≪サスケ… 心身ともに不健全すぎる…≫ ♬～ 幼少期の トラウマでもあんのかな？ ♬～ ≪男は 人に相談をするとき➡ 具体的な解決法や アドバイスを求めるものだろう≫ ≪しかし 女の多くは そうではない≫ ≪男子諸君 恋人が 悩みや愚痴を こぼしはじめたら➡ ひとまず 黙って聞いてあげてほしい≫ ≪そして 彼女の気がすんだら ギュッと抱きしめてあげよう≫ ≪悩める彼女を救うのは 千のアドバイスではなく➡ 愛のこもったハグなのだ≫ いっそ 押し倒してしま…｡ いや 無理 無理｡ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ≪イケメン美容師≫ 絶賛 予約受け付け中ですけど｡ ≪ドキドキしてまうわ！≫ すご～い！ ≪シャトーブリアン様≫ すごくうれしいです➡ 神林さんに会えて｡ 俺のこと 男として見てくれますか？

相棒１４th＃16

1 (警笛) ≪(踏切の警報音) (マリオの荒い息遣い) (杉下右京)どうしました？ 大丈夫ですか？ ああ… 救急車を呼びましょう｡ (マリオ)ああっ はあ…｡ 小峰医院に…｡ 小峰医院？ すぐそこです｡ 歩けますか？ ｓｉ…｡ ≪(マリオの荒い息遣い) (せき) (小峰律子)持てる？ ゆっくり呼吸して｡ そう｡ 診療時間外に申し訳ありませんね｡ いいえ｡ 連れてきて頂いて 助かりました｡ 気管支喘息の発作は 気道が狭くなって危ないんです｡ (せき) 大丈夫よ｡ もう心配ない｡ すぐに楽になるから｡ 失礼ですが 小峰律子さんでは…｡ はい？ ありませんか？ あなた…｡ 杉下くん!? 杉下右京です｡ お久しぶりです｡ ♬～ でも よく覚えてたわね フフッ｡ 杉下くんと 一緒のクラスだったの→ ５年生の ほんの数日だけよ｡ そうでした｡ あなたは 二学期が終わる ３日前に転校してきて→ 冬休みの間に また 引っ越してしまいました｡ ええ｡ 杉下くん 昔から 記憶力抜群だったわよね｡ いえいえ｡ 小峰さんが印象的だったんですよ｡ あの事件があったから？ はい｡ どうも｡ おや マテ茶ですね？ 私の故郷のお茶｡ ビタミンたっぷりです｡ お国は どちらですか？ エルドビアです｡ 南米の？ 日本には お仕事で？ マリオは 日系三世で在留資格があるの｡ なるほど｡ お仕事は ビルの管理関係ですね？ えっ？ 入館証が見えてます｡ フフフ…｡ (マリオ)ああ これ｡ 私 ビルの清掃をしてます｡ 観察眼が鋭いのも 相変わらずだこと｡ 恐縮です｡ 先生 私 そろそろ仕事に行かなくちゃ｡ ダメよ｡ 今夜は 休んだほうがいいわ｡ 外国人は あてにならないと 思われたくないですから｡ そう｡ じゃあ お薬を出すから 飲むの忘れないようにね｡ はい｡ そうだ｡ これ お借りした本｡ あら もう？ お薬｡ ありがとうございます｡ じゃあ 次は これね｡ 日本語の勉強ですか？ えっ？ ああ… はい｡ (マリオ)子どもの本を読むの→ 日本語を学ぶのに 一番いいです｡ (冠城 亘)こちら野坂さん｡ 僕が新人の頃 お世話になってた先輩です｡ (野坂信一)先輩って言うなよ｡ 私 彼みたいな キャリア官僚じゃないんですよ｡ 入管の人間で｡ (月本幸子)入管？ 入国管理局｡ 野坂さんは 入国警備官｡ 入国警備官？ (野坂)密入国や 不法滞在してる外国人相手の→ まあ 警察官みたいなもんです｡ ああ なるほど｡ (角田六郎)暇か？ どうも｡ おい｡ ヘッ 聞くまでもないか｡ お客さん 暇潰しの読書中だもんな｡ 暇潰しではなく 熱心に勉強しているようですよ｡ えっ？ 何？ 『よくわかる入管法』？ ハハッ あんた 次は 入管に出向するつもり？ ええ｡ 物好きだねえ｡ ここんとこ失態続きだよ あそこは｡ また 摘発のミスがあったようですねぇ｡ うん｡ (野坂)イミグレーション！ パスポートチェック！ (警備官)また やられた｡ (角田)踏み込んでみたら もぬけの殻だとか→ 内偵で確認した人数の半分に 逃げられてたとかさ｡ ここだけの話 リークしてる奴が いるんじゃないのかね？ 入管の職員にですか？ 入管じゃなきゃ 合同摘発やってる 所轄のほうかもな｡ (大木長十郎)課長！ うん？ おお 銀龍会 どんな様子だ？ (小松真琴) 今のところ動きはないです｡ おお｡ 何かありましたか？ いや… 今朝 変死体が見つかったんだよ｡ 北品川第三ビルの裏｡ あの辺は 銀龍会のシマだから 一応な｡ 北品川第三ビル… ですか｡ どこ行くんですか？ ちょっと 個人的な用件で｡ そんな事 言って 現場に行くんでしょ？ じゃあ 僕も｡ 冠城くん 前にも言いましたが→ 事件捜査は 君の 暇潰しの道具ではありませんよ｡ 捜査が仕事じゃないのは 僕も右京さんも同じです｡ 北品川８丁目の雑居ビルで 変死体が発見されました｡ (芹沢慶二)あっ どうも｡ (伊丹憲一)おお｡ (伊丹)どんな感じだ？ (米沢 守)ああ どうも｡ (米沢)死因は 後頭部頭蓋骨骨折による脳挫傷｡ (米沢)死亡推定時刻は→ 昨夜の11時から 午前２時といったとこですかね｡ 飛び降りた可能性は？ 極めて低いですな｡ 頭部以外 目立った外傷はありませんから｡ 自殺の線は薄いか…｡ 事件か事故に巻き込まれて死亡｡ 人目につかない場所に 遺棄されたってところか…｡ 遺体を発見したのは ゴミ収集車の作業員だそうです｡ なるほど｡ つまり ゴミを積み込もうとしたところ→ 裏手に倒れている人間を発見した という事ですかねぇ｡ 警部殿…｡ わざわざ お出まし頂くような 事件じゃありませんよ｡ ガイシャの身元は？ 所持品によりますと 高井義人さん 43歳｡ 一般社団法人 国際ディスパッチ協会の→ 職員ですな｡ 米沢｡ ん？ ああ…｡ ディスパッチという事は→ 何かの発送を扱っている団体 という事ですか？ え～ 外国人労働者の 職業紹介事業のようですね｡ どうかしましたか？ やっぱり ここか｡ おや？ 君も このビルに何か？ つい先日 このビルで 働いている人と会いました｡ 清掃員だそうです｡ ただの偶然でしょうかねぇ｡ ちょっと 気になりましてね｡ で そちらは何を？ 秘密指令なんですよね｡ では 話さなくても結構｡ あっ ちょちょちょちょ…｡ 実は 先日 事務次官から呼び出されましてね｡ 摘発情報の漏洩？ 入管からですか？ それとも所轄？ (日下部彌彦) それを探ってほしい｡ お前なら出来るだろ｡ 入管にも顔が利き 今は 特命係という→ 極めて自由な立場にいるんだ｡ 秘密指令ですね｡ ベテラン警備官を飲みに誘って 話を聞いたんです｡ 野坂さん 言ってたじゃないですか｡ 俺たちは 国を守ってる｡ 金はないけど 誇りと使命があるって｡ ｢誇りと使命｣か…｡ なるほど 店のマッチですか｡ で 君は その入国警備官が 変死事件に関わっているとでも？ まさか｡ 野坂さんに限って それはないです｡ 単なる偶然だと思います｡ 死んだ男が 外国人専門の 職業紹介事業っていうのは→ どうも引っかかりますが…｡ 入国警備官 外国人労働者 職業紹介業…｡ まるで 連想ゲームですねぇ｡ 右京さん この際ですから 共同戦線 張りません？ おや 秘密指令だったのでは？ 特命係に メンツとか関係ないですよね？ フフフ… では 僕の線から探ってみましょう｡ はい｡ (律子)ジョニー オーケー｡ はい おしまい｡ 先生 ありがとう｡ (律子)はい お大事にね｡ こんにちは｡ はい？ 杉下くん どうしたの？ 杉下くん？ 僕の同僚です｡ たまたま 外出先で鉢合わせまして…｡ ああ｡ 冠城です｡ どうも｡ 病院を訪ねたら→ こちらだと伺ったものですから｡ あ～｡ ここの診療室は 医療チームが当番制で診ているの｡ 今日は 私が当番｡ なるほど｡ (律子)どうぞ｡ エルドビア… ハイ！ (女性)ハーイ 律子｡ ネパール ペルー 中国｡ いろんな国の人たちが ここを頼ってくるわ｡ 事情があって 病院に行けない人のために→ 診療室も必要なの｡ 事情っていうと 例えば 滞在期間が過ぎてるとか？ 中には そういう人もいますけど…｡ 違法ですよ オーバーステイは｡ ええ｡ でも 目の前で苦しんでいる人がいたら→ どんな国の人であろうと→ たとえ オーバーステイでも 助けるのが医者です｡ (女の子)律子先生！ (女の子)遊ぼうよ｡ (女の子)遊ぼうよ 遊ぼう！ ローザ おなかの痛いの治った？ うん 大丈夫｡ よかった｡ 上手！ (女の子)早くあっち行くよ｡ (律子)待って 待って！ ところで 右京さん｡ どうして ｢杉下くん｣なんですか？ 同級生だからですよ｡ えっ？ それが何か？ ああ いや…｡ (律子)あー！ ハハハ 鬼だ｡ ん？ どうしたの？ 仕事中に 金属プレス機で切ったと 言ってます｡ アパートで苦しんでました｡ 診ますよ｡ 小林さん すぐに 中央病院へ連れて行って｡ (小林)はい 確認します｡ (ニコラ)ノー… オスピタル ノー｡ 病院 ノー！ ノー！ あなた オーバーステイなの？ 大丈夫｡ 病院に通報義務はないわ｡ (律子)人道的立場から→ 今は 通報より 傷の手当てが優先されます｡ (律子)名前は？ ニコラ･ガルシ｡ 仕事中の怪我なら→ 外国人でも ちゃんと労災が下りるから｡ (ニコラのエルドビア語) ニコラ 先生を信じて｡ ｓｉ｡ 勤務先は？ クロキ金属加工会社です｡ 先生 会社に迷惑かけた｡ 私 クビですか？ 先生 確認取れました｡ 心配しないで さあ！ よし 行こう｡ (律子)急いで！ ああ… ごめんなさい｡ (マリオ)杉下さん！ この間は ありがとうございました｡ マリオに会いに来たんですって｡ もう元気です｡ 薬も忘れずに飲んでいます｡ それは よかった｡ 実は マリオさんに→ ちょっと 伺いたい事がありましてね｡ はい｡ 今朝 北品川第三ビルの裏手で→ 男性が死んでいるのが 見つかりました｡ (マリオ)えっ？ なんの話？ 亡くなったのは 国際ディスパッチ協会の→ 高井さんという方です｡ 国際ディスパッチ協会？ ええ｡ ご存じですか？ (律子)ええ｡ 外国人労働者を受け入れて→ 中小企業に 就職を斡旋する団体ですから｡ 遺体が見つかった そのビルで→ マリオさんが働いている事を 思い出しましてね→ もしかしたら 不審な人物でも 目撃してはいないかと…｡ いいえ 何も｡ なぜ そんな事を聞くの？ 杉下くん あなた… 刑事ね？ はい｡ しかし 捜査員ではありません｡ ただ 少々 気になったものですから｡ マリオ 話さなくていいわ｡ 事情を聞くなら聞くで→ ちゃんと手順を踏んでちょうだい｡ これは申し訳ない｡ 帰って！ マリオという男 どうも怪しいな｡ なんか 隠してるんじゃ…｡ 怪しいと思うのは→ 彼が 外国人だからでは ないでしょうねぇ？ まあ 君に限って そんな事はないと思いますが→ 予断をもって捜査に当たるのは 間違いの元ですよ｡ はい 心します｡ とはいえ 何か隠してる気配は ありますよねぇ｡ あっ これは 予断ではなくて 刑事としての勘ですがね｡ 刑事の勘？ ええ｡ 外国人斡旋業 ちょっと気になりますねぇ｡ (犀川武彦)理事長の犀川です｡ 高井の件 大変残念です｡ (犀川)事件ですか？ それは まだ なんとも｡ 高井さんは どんな仕事をされてたんですか？ あっ どうぞ｡ 外国人の斡旋先を 定期的に巡回調査してました｡ 巡回調査といいますと？ 職場になじんでるか 困ってないか→ 労働環境は健全かなどの 確認です｡ たくさんの国と 交流が おありなんですねぇ｡ 日本で働きたい人は 世界中にいます｡ まあ 一方で日本の産業界→ 特に 中小企業の連中は→ 優秀な外国人労働者を求めている｡ 両者をマッチングさせる事は→ 国益に叶い 国際貢献にもなるというわけです｡ どうぞ｡ 平たく言えば 外国人労働者の ブローカーですね？ ブローカーという言葉は ちょっと耳障りですね｡ 上に｢悪徳｣とつきそうだ｡ 私たちは法を守り→ 正規就労の外国人を 仲介しています｡ まさに 人材の架け橋ですねぇ｡ 受け入れ先も幅広い｡ 繊維業界 建設関係 金属加工…｡ ひょっとして クロキ金属加工も こちらの提携企業ですか？ クロキ金属…？ ああ 協同組合を通じて→ お付き合いがあるかもしれません｡ そこが何か？ 知り合いが働いてまして… エルドビア人の｡ (黒木)ニコラが怪我した事 知らなかったんですよ｡ (黒木)プレス機で指飛ばす事故 たまにあるんでね｡ (黒木)わかってたら すぐ病院連れて行ったのになあ｡ 病院に行きにくいわけが あったんじゃないですか？ 例えば オーバーステイとか｡ あんたら 本当に 国際ﾃﾞｨｽﾊﾟｯﾁ協会から来たの？ ええ｡ それだったら 細かい事は 高井さんに聞いてよ｡ (黒木)この間も 巡回の時 ニコラと話し込んでたし｡ 高井義人さんは こちらの調査を 担当されていたんですよね？ はあ？ あんたら ディスパッチの人だろ？ おや 誤解させてしまいましたか｡ 我々は ディスパッチのほうから来たと→ 申し上げたつもり だったんですが…｡ さっきまで お邪魔してたんで｡ もしかして おたくら入管？ 労働基準局？ いえ どちらも違います｡ ニコラさんの怪我を 診察した医者が→ 心配していたものですから｡ オーバーステイの外国人を あえて雇って→ 低賃金の過重労働で→ 事故を起こす会社が あるみたいで…｡ そりゃ 給料は安いよ｡ うちだってカツカツなんだよ｡ まともな給料が払えるぐらいなら→ 上納金なんか払って 外国人なんか雇わねえよ！ もう とにかく ニコラの事は高井さんに聞いて｡ 高井さんは 亡くなりました｡ 今朝 遺体で発見されました｡ 誰にやられたの？ 殺されたとは言ってませんが｡ 殺されても不思議じゃないほど 恨まれてたというわけですか｡ 知らねえよ｡ 忙しいんだよ か… 帰って！ 右京さん 巡回調査って→ 実は 上納金の集金じゃ ないでしょうかね？ 右京さん これを見てください｡ ここ半年で起きた 入管の 摘発失敗の一覧なんですが…｡ 内部文書ですね｡ 日下部事務次官のルートですか？ まあ そんなとこです｡ 摘発を逃れた外国人で 最も多いのは→ エルドビア人でした｡ 確かに 目立って多いですねぇ｡ 彼らを企業に斡旋したのは→ 関東繊維協同組合→ 中小金属加工組合など いろいろですが→ 実は どの団体も 例の 犀川理事長の→ 国際ディスパッチ協会の 会員なんです｡ そういえば ひときわ大きな写真が…｡ あれは エルドビアの国旗でしたねぇ｡ 入管の情報漏洩には 死んだ高井さんが→ 関わっていたんじゃ ないでしょうか｡ 例えば 彼が 入管から摘発の情報を手に入れ→ 不法就労の外国人を逃がしていた｡ そして 何か いざこざが起こって殺された｡ その場合 外国人を 逃がしている目的というのは→ なんでしょう？ 取り調べで 余計な事をしゃべると困るから｡ オーバーステイと知って 働かせれば→ 不法就労助長罪に当たります｡ なるほど｡ しかし それだけでしょうかねぇ｡ 入管の情報漏洩と→ 高井さんの死が つながっているとしたら→ ２つの事件を結びつける 何か もっと大きな秘密が→ 隠されているような気が するのですがねぇ｡ (携帯電話の振動音) 失礼｡ (携帯電話の振動音) 杉下です｡ 昨日は…｡ はい？ この薬 あなたのでしょ？ (芹沢)言葉 わかるよね？ (伊丹)遺体の近くに 薬が落ちてたんですよ｡ あくまで参考人としての 事情聴取なら→ 在宅でも 話を聞けるんじゃありませんか？ まあ そうですが…｡ 出頭要請に 素直に応じたんで｡ 逃亡すると思って 連れてきたんですか？ 彼が 外国人だからですか？ いやいや そういうわけでは…｡ あの喘息の薬は 私が処方したものです｡ 違法性はありません｡ 薬の成分ではなく 落ちていた場所が問題…｡ 薬は どの辺りに 落ちていたんですか？ 警部殿…！ こんなとこまで…｡ 何か ご用ですか？ 小峰さんから 連絡を頂いたものですから｡ えっ？ 知り合いですか？ ええ｡ ったく もう めんどくさいなあ… ホント｡ わかりました｡ わかりました｡ ですから→ ビルの裏手の すぐ入ったとこに 落ちてたんですよ｡ 伊丹さん｡ マリオさんは清掃員ですから→ 集積所にゴミを運んだ時に 落とした可能性もありますねぇ｡ まあ… 可能性としては｡ 私が身元を引き受けます｡ 杉下くん 任意だから 連れて帰れるんでしょう？ 無理に引き留めると→ 人権侵害って 言われちゃいますよ～｡ 呼び出したりして ごめんなさい｡ マリオが混乱して→ 自分に不利になるような事 言ったら→ 大変だと思って｡ うっかり余計な事を話すと 困った事になりますからねぇ｡ 最初から 出頭拒否すればよかったのに｡ きっと 怖かったんです｡ 拒否すれば疑われて 逮捕されるかもしれない…｡ (律子)歩いているだけでも 職務質問される｡ そういう経験を 何度もしていますから｡ マリオは 殺していません｡ だけど 亡くなった高井という人には…→ 殺されるだけの理由があるみたい｡ どういう事でしょう？ ニコラが打ち明けてくれたわ｡ (律子の声)労災が下りても→ 高井に そっくり持っていかれるって｡ 高井さんに？ 国で家族が病気をして お金を借りたの｡ 元本の何倍にも膨れ上がる 不当な利子で｡ (律子)返済出来ないニコラに 高井が吹き込んだのよ｡ 職場で怪我をすれば お金がもらえるって｡ 杉下くん｡ 日本に働きに来る人たちは→ 国を出る時 地元のブローカーに 高いお金を支払ってる｡ みんな 借金をしてでも 工面するわ｡ 日本で働けば すぐに返せると教えられるから｡ でも 実際の賃金は低くて…｡ 返済出来ないまま→ オーバーステイになる人が 大勢いる｡ そんな人たちから→ 高井のような人間が さらに搾り取る｡ 警察や入管が 捕まえなきゃいけないのは→ 彼のほうじゃないの？ しかし 高井さんは もう 死んでいます｡ １人でやってる事だと思う？ (芹沢)どうぞ｡ (律子)マリオ！ 国際ディスパッチ協会…→ あの団体は おかしい｡ 杉下くんなら 突き止められるでしょう？ 本当に悪いのは 誰なのか…｡ (秘書)理事長｡ エルドビア官邸から 返事がきました｡ ご来訪をお待ちしている との事です｡ (犀川)わかった｡ 今度の滞在は 少し長くなりそうだ｡ 支度を頼む｡ なるほど｡ エルドビア政府公認の 送り出し機関が→ 実質的には 犀川の経営なんですね｡ エルドビアで出国の手数料を取り 日本では就労斡旋料を取る｡ 両方 犀川の利益になる 仕組みですね｡ 一人の外国人労働者で 二度 儲ける｡ 元手のかからない 人買いビジネスですねぇ｡ その上 上納金や労災まで 巻き上げるわけですから→ まさに悪徳ブローカーです｡ (米沢)失礼します｡ 杉下警部 ちょっと お耳に入れたい事が…｡ なんでしょう？ 高井の毛髪から コカイン反応が出ました｡ 捜査一課は色めき立ってますよ｡ コカイン絡みとなれば→ 高井義人変死事件は 大きなヤマですからな｡ 右京さん エルドビアの高地は コカの産地です｡ エルドビア人を 運び屋に使ってたんじゃ…？ だから 密輸の発覚を防ぐために 摘発から逃した｡ 逃したって 誰をですか？ だとすれば 情報を流していた人物は→ 相当な見返りを 受け取っていたでしょうねぇ｡ いや… ああ まさか…｡ はい？ いや…｡ (電話) 失礼｡ (電話) はい 特命係｡ ええ 一緒ですが…｡ わかりました｡ すぐに伺います｡ (内村完爾)お前たちは 捜査一課のふりをして→ 国際ディスパッチ協会の 犀川理事長に接触したそうだな｡ 捜査一課を名乗った覚えは ありませんが｡ あちらが 勝手に思い込んだだけです｡ 命令だ｡ お前たちは動くな｡ 考えるな｡ 何もするな｡ しかし 今回の件は 上の意向も…｡ 皆まで言わなくて結構だ｡ この件に関しては 日下部事務次官の意向でもある｡ (中園照生)万が一 外交問題に発展したら→ お前たちの停職処分くらいでは 済まないぞ｡ 外交問題？ (内村)お前も しゃべるな！ はっ！ 日下部さんまで 圧力かけてくるなんて…｡ それにしても 外交問題とは｡ 犀川という男 エルドビアと→ よほど太いパイプが あるようですねぇ｡ あれ？ (伊丹)高井義人の変死事件→ 転倒事故として処理する事が 決まりました｡ 転倒事故？ はっ そんなバカな…｡ コカイン反応まで出たのに｡ そういう決着を望む人物が 上にいるって事ですよ｡ 携帯の通話記録も 取れてたんですよ？ ああ｡ これ… うちでは 使えなくなりましたから｡ 行くぞ｡ (芹沢)はい｡ この番号…｡ (野坂)大将 ごちそうさん！ (店主)はい どうも！ 気をつけて帰ってくださいよ！ いいかな？ (マリオ)どうぞ｡ 野坂さん｡ (野坂)冠城…！ (マリオ)杉下さん…｡ ｢山辺縫製工場 社員寮 ２月23日｣ これは 入管の摘発情報ですね？ 二つの事件があります｡ 一つは 高井義人変死事件｡ そして もう一つは 入管の摘発情報のリークです｡ 情報を流していたのは あなたでした｡ あなたは 高井の変死事件にも 関わっていますねぇ｡ 高井の携帯に 通話記録が残っていました｡ あなたは 高井に情報を流して→ 見返りを 受け取っていたのですか？ マリオは？ 黙秘です｡ 彼は…→ 非常に厳しい立場になるでしょう｡ マリオは…｡ 誰に 摘発情報を 伝えていたんですか？ (ドアの開く音) (律子)マリオ？ マリオは来ません｡ 彼は 今 警察にいます｡ (律子)え…？ 小峰さん→ 入国警備官の 野坂信一さんを ご存じですか？ あ… なんの話？ 最初 僕は 入管の誰かが→ 国際ディスパッチ協会の犀川に 情報を流し→ 金銭など 利益を得ているのだと 考えていました｡ でも 野坂さんは→ 汚い金のために→ 入国警備官の誇りを 捨てるような人じゃありません｡ であれば 話は逆です｡ 彼は 救おうとしていたのでは ないでしょうか｡ 犀川たちから搾り取られ→ 母国に送還されれば 借金地獄に陥る人たちを｡ ここからは 僕の推測なんですが…｡ 国際ディスパッチ協会の高井は→ 野坂さんが 摘発情報を 流している事に気づいた｡ そして それをネタに 野坂さんを脅した｡ 追い詰められた彼は 高井を殺してしまった｡ 殺した!? 野坂さんが そんな…！ やはり お知り合いだったんですね？ 野坂さんもマリオも 何も話しません｡ これ以上 黙秘を続けていれば ２人の立場は悪くなるばかりです｡ 今… あなたがやるべき事は→ 真実を明らかにして→ 今の状況から→ ２人を救う事なのでは ありませんか？ マリオを介して→ 入管の摘発情報のメモを 受け取っていたのは→ 小峰さん あなたですね？ なぜ… 私が 情報を受け取っていたと思うの？ 最初にお会いした時→ あなたとマリオは 本を交換していました｡ 『はてしない物語』… 上下２巻の本です｡ マリオが あなたに返したのが 下巻でした｡ そして あなたがマリオに渡したのが→ 上巻でした｡ 日本語の勉強のためとはいえ 先に下巻を読むのは おかしい｡ あの本は 読むためではなく→ 摘発メモを挟むために 使っていたんですね？ ♬～ 最初から 疑っていたの？ ずっと… 引っかかっていました｡ 半年前の夜…→ 私の病院に 外国人の若い女性が 逃げ込んできたの｡ 働いている風俗店に 入管が踏み込んできたって｡ 助けてって すがりつかれた｡ その人 オーバーステイで その上 客を取らされていた｡ でも 借金があるから 逃げられないって…｡ 店に連れ戻すより 国に帰すほうが ましだと思った｡ だから 追ってきた入国警備官の 野坂さんに 引き渡そうとしたわ｡ (律子の声)でも 彼女は病院を飛び出して…｡ (律子の声)送還は嫌！ こんな仕事をしている事を 家族に知られるなら→ 死んだほうが まし！ そう叫んで…｡ ウェイト！ ああっ！ 私のした事は…→ その人を追い詰めただけだった｡ あとで わかったわ｡ 彼女を借金で縛り 売春組織に送り込んだのは→ 犀川のディスパッチ協会だって｡ でも 彼らを裁く事は 出来なかった｡ そこから始まったのですね？ 野坂さんとの連携が｡ 追い詰めて死なせるくらいなら 逃がしたい…｡ たとえ 法を犯す事になっても｡ 思いは 野坂さんも同じだった｡ 覚えていますか？ あなたが転校してきた翌日 クラスで 筆箱の盗難騒ぎがあり→ １人の女の子に 疑いがかかりました｡ その子のうちは とても貧しくて…｡ 先生も 彼女を犯人扱いしていました｡ あなただけが １人 先生に向かって…｡ 先生 なんの証拠もないのに 疑うなんて→ 先生は間違っています｡ そう言いました｡ 大丈夫よ｡ 心配しないで｡ 筆箱は すぐに杉下くんが 見つけてくれたわね｡ 盗られたというのは ただの思い違いで…｡ ええ｡ 理科室の机の下に 置き忘れていただけでした｡ そう｡ フフ…｡ 持ち主の行動を思い出せば→ すぐに わかる事だったんです｡ 理科室から戻った時 彼女は 筆箱を持っていなかった｡ でも 誰も気づかなかった｡ 盗られたと思い込んで…｡ 僕も 思い出せなかったかも しれません｡ もし… あなたが→ 疑うのは間違っていると 声を上げなければ…｡ ♬～ 行きましょう｡ 警察で 全部 話さなきゃね｡ お願いします｡ 小峰医師が 全て話しました｡ あなたから情報を受け取ると→ 摘発対象の外国人を レストハウスにかくまい→ 折を見て 地方の農場などに 逃がしていたと｡ 高井と… 何があったんですか？ 最初に近づいてきたのは 高井のほうでした｡ 高井義人と申します｡ (野坂の声)犀川の部下だと知って→ 私は 彼を利用しようと 思ったんです｡ あの国際ディスパッチ協会は 明らかにクロだ｡ しかし 接触を図ろうとすると 必ず どこからか横槍が入る｡ 犀川が守られているのは→ エルドビア政府の有力者と 強いつながりがあるからです｡ 恐らく向こうも 犀川のビジネスで 莫大な利益を得てるんでしょう｡ 人材斡旋以外に→ 犀川には もう一つ 裏の錬金術がある｡ コカインの… 密輸入ですね？ 何人ものエルドビア人から 噂を聞いたよ｡ 私は犀川に近づき 裏の顔を暴くつもりでした｡ しかし 向こうは最初から→ 私が摘発情報を流している事を 知っていて近づいてきたんです｡ どうして 殺したんですか？ 殺すつもりじゃなかった｡ 告発でもなんでも 好きにしろ｡ だがな しかるべき場所で 言うだけの事は言わせてもらうぞ｡ (高井)こっちも 道連れにしようって腹か｡ いいのかい？ そうなったら 女医さんも一蓮托生だぜ｡ 小峰律子だよ｡ あんたとつるんで 外国人を逃がしてるだろ｡ 表沙汰になれば 身の破滅だよな｡ あの人は関係ないだろ！ あの人の名前を出すな！ (高井)おい…！ 熱くなるなって｡ あんたら もうデキちゃってるの？ (高井)うっ…！ (野坂の声) すぐに自首するべきでした｡ (ドアの開く音) (野坂の声)でも 怖くなって…｡ 夜間清掃に来ていたマリオに→ 死体遺棄の片棒を 担がせてしまったんです｡ 自首出来なかったのは→ 小峰さんを 殺人事件に巻き込む事を→ 恐れたからですか？ 律子先生は 高井の死とは 一切関係ありません｡ 彼女は 高井と会った事もないんです｡ (ドアの開く音) 犀川が 成田に向かってます｡ (伊丹)行き先は エルドビアか？ １時間後には 成田から飛び立ちますよ｡ ♬～ 心配はいらん｡ 警察にも釘は刺しておいた｡ あと ひと月もすれば 全ては元通りだ｡ はい｡ 高井が死んだのは 好都合だったな｡ あいつは 汚れ仕事をやり過ぎた｡ (犀川)ほう これは… いつぞやの刑事さん｡ ご旅行ですか？ こんなところで捜査ですか？ 入管法違反 職業安定法違反→ さらに コカイン密輸の嫌疑が かかる人物を追っています｡ なんの話かね？ 私には関係ない｡ エルドビアに逃げ込めば→ 恐らく あなたは 国賓級の待遇で 守られるのでしょうねぇ｡ 自分は安全な場所に身を置き→ 弱い立場の人間を苦しめて 富を増やす事など→ 許されるはずがありません｡ エルドビア政府が いつまでも あなたを守ってくれるとは→ 限りませんよ｡ 犀川さん｡ 今日は 単なる お見送りになってしまいますが→ お帰りの際のお迎えも 我々が致しましょう｡ その時は きっちりと 証拠を揃えて参ります｡ 話は それだけかね｡ 我々は 必ず あなたを立件しますよ！ やれるもんなら やってみろ！ 現役の警備官が犯人だったのは 残念だが→ これ以上の情報漏洩の心配は なくなった｡ お前が特命にいて助かったよ｡ もう… 全て決着したという事ですか？ 他に 何かあるのか？ (律子)日本で働く以外に 生きる道のない人たちが→ 入管や警察におびえ 犯罪者のように追われ→ お金に縛られて…｡ 闇の底に落ちていくの｡ 放っておく事なんて 出来なかった…｡ 変わりませんねぇ あなたは…｡ 弱い者に寄り添い 権力と戦う｡ 心情においては 理解出来ます｡ しかし 同意は出来ません｡ 人が殺され 野坂さんは罪に問われる｡ それは あなたの違法行為と 無関係ではないのですから｡ ええ…｡ そうね｡ でも どんな法も規範も→ 人を救えなければ 正義の名には値しないと→ 私は思うの｡ 杉下くんの考える正義とは きっと違うわね｡ はい｡ 違います｡ フフ…｡ ねえ…｡ 盗難騒ぎのあとの事を 覚えている？ 私はクラスのみんなから… 距離を置かれて…｡ 気まずいまま 冬休みに入った｡ (律子の声)父の都合で また急に引っ越す事になって…｡ とても残念だったわ｡ ここでは 誰とも友達になれなかったって｡ (律子の声)そうしたら…｡ (律子の声) １人だけ 見送りに来てくれた｡ 杉下くんだけが｡ ええ｡ そうでした｡ ♬～ よかったんですかね？ これで｡ はい？ 本当の悪党は 裁きをすり抜けたのに→ 弱い者への同情から法を犯した 野坂さんや 律子先生は→ 罪に問われる｡ 不正は不正として 裁かれなければなりません｡ たとえ それが どんなに→ やりきれない思いを 伴うとしてもです｡ 右京さん｡ もしかして 律子先生は 初恋の人だったんじゃ…？ いいえ｡ 同級生だったというだけですよ｡ それも たった３日間だけの｡ ただ… 他の子どもたちとは 少しばかり 違っていたんです｡ 彼女も 僕も…｡ まあ… 変わってますからね｡ ♬～ ああ さてと…｡ ♬～ (堀井 亮)どうした!? 早く助けないと｡ (青海翔太)あの研究 呪われてるんでしょうか？ 物理学者と猫とは さながら シュレディンガーの猫ですねぇ｡ 何者かが…｡ 事故に見せかけて 殺害するためですよ｡ あなたには この道しかなかったのですか？ 当番組は同時入力の為、誤字脱字 が発生する場合があります。 ≫杉下右京に続いては 「報道ステーション」です。 こんばんは。 ≫本日のコメンテーターの ご紹介です。 経営コンサルタントの ショーン・マクアードル 川上さんです。 よろしくお願いします。 たまには、小川さん

花燃ゆ＃35

1 (晋作)出たか｡ (利助)全国32藩に 出兵を命じたそうです｡ その数 総勢15万｡ 我が藩の兵力は およそ6,000｡ 腕が鳴るのう｡ (せきこみ) (うの)晋作様…｡ (利助)高杉さん…｡ 誰にも言うなよ 伊藤｡ こねなもん 酒飲んで寝とりゃあ治るんじゃ｡ 長州征討のため 幕府軍は 広島に陣を進めていた｡ (小笠原長行)表向き恭順の裏で 武備を推し進め➡ 再三の召喚にも応じず➡ あまつさえ 密貿易の疑いまである｡ その長州を討てと 再び 勅許が下された！ (徳川茂承) 公方様も すでに 大坂にご着陣｡➡ 長州が こたびの呼び出しに 応じなければ➡ 直ちに攻撃を開始する！ (一同)おお！ (靖) これまでの知らせをまとめると➡ どうやら 幕府軍は この５方面に兵を進めとる｡ 芸州口 石州口 周防大島口 小倉口 萩口｡ いずれも 突破されると やっかいじゃ｡ (山県)こたびは 武士 百姓 町人ともに戦います｡ 兵の訓練 士官の養成など まだ不足が｡ 小銃7,000丁 すでに配りましたが➡ 何せ 新式銃です｡ 扱いに慣れんもんで｡ (前原)諸隊に弾薬を運ぶ経路も 見直さんにゃならん｡ いましばらく 時を稼ぎたいところじゃな｡ (伊之助)私が広島へ｡ 嘆願書を持参し➡ 毛利家の罪状を すべて否定した上で➡ 談判し 時を稼ぎましょう｡ (元徳)じゃが 単身 敵陣に乗り込むとなれば➡ 抜き差しならぬ事になろう｡ たった一藩で 幕府軍を打ち砕くか否か｡ 天下分け目の今｡ たとえ 骸となって帰ろうとも いささかの悔いもございませぬ｡ それに 京では 桂殿が密約を｡ 更に 我が軍には 海軍総督 高杉晋作なる風雲児が｡ この命 実に懸けがいがございます｡ ただ一つ 懸念すべきは民です｡ 民…｡ 民百姓も兵に加わるからには なぜ今 戦火を交えるんか｡ 幕府を迎え撃つにあたり 長州藩の忠義とは何か｡ 広く藩内に知らしめるべきかと｡ (敬親)伊之助…｡ そうせい｡ はっ！ (銀姫)小田村殿が？ 小田村は すでに➡ 幕府との交渉のため 広島に向かった｡ …というても 時を稼ぐためじゃ｡➡ 幕府は 我が藩から 10万石 減封し➡ 殿や余 四支藩の主➡ 桂をはじめとする重臣たちと共に 広島へ出頭せよと｡ それに… 興丸も｡ (元徳)応じれば和平｡ 拒めば戦｡ なれば… 戦でございますね｡ ああ｡ いよいよじゃ｡ ♬～(ﾃｰﾏ音楽) ♬～ ♬｢愚かなる 吾れのことをも｣ ♬｢友とめづ人は わがとも友と｣ ♬｢吾れをも 友とめづ人は｣ ♬｢わがとも友と めでよ人々｣ ♬～ ♬｢吾れをも｣ ♬｢友と めづ人は｣ ♬｢わがとも友と｣ ♬｢めでよ人々｣ ♬｢燃ゆ｣ ♬～ (銀姫)御前様 これは…｡ (都美姫)私の甲冑である｡ この城に攻め入られる事も 十分ありうるであろう｡ その時 私は 戦うつもりじゃ｡ 姫は どうじゃ？ 無論 私も戦います｡ (潮)おそれながら 私も｡ (鞠)私も｡ (園山)私も｡ 美和｡ (美和)おそれながら…｡ 私は 逃げたいと｡ 姫様 興丸様をお連れし 逃げて どこまでも逃げ延びて➡ 危急の際には この身をていして 興丸様をお守り致します｡ たとえ 長州が焦土となろうとも➡ 興丸様さえ ご無事なら 毛利家は 必ずや復興しましょう｡ 美和｡ お前は 諸隊の兵たちに見知りも多い｡ 今こそ お前の力がいる｡ お許し頂けますなら 申し上げたき事が｡ これが山口城にございます｡ 東と南にあります 外門の警護をまず固め➡ 次に内門｡ もし破られても砲台が｡ その砲火をかいくぐられた場合➡ 土塁とお堀の水で時を稼ぐ｡ そして 警護の者を 七つ口に集める｡ その奥の書院に興丸様を？ いえ｡ 興丸様は こちらに｡ 女中の長局に？ ここに おなごたちを集め その奥に興丸様を｡ 隙を見て 勝手口から外門へ お逃がしします｡ はあ… どこで その策を？ 昔 兄の講義を聞きかじった事が｡ 兵の数が劣る時は まず 一点に敵の兵を集めよ｡ そして その裏をかき 速やかに退却せよと｡ はあ…｡ 気に入った｡ 日出様｡ 万一の時は➡ 長局の差配をお任せしても よろしゅうございますか？ (日出)私に？ なぜ 日出様に？ 恐らく 一番 肝が据わったお方かと｡ 幕府軍相手にひるまず騒がず➡ 一杯食わせるくらいの気骨を お持ちでいらっしゃいます｡ お任せ下さい｡ 一杯どころか 二杯三杯食わせてご覧に入れます｡ (笑い声) 病？ 皆 病と申すか｡➡ 藩主 敬親公 元徳公 興丸殿…｡ 今 国元では はやり病が｡ (本荘宗秀)桂 小五郎は？ それが… 京での戦以来 行方知れずでございます｡ 高杉晋作｡ 同じく 行方知れずで｡ 前原一誠｡ 脱藩致しました｡ 太田市之進｡ 同じく 脱藩｡ 村田次郎三郎｡ 死去致しました｡ もうよい！ それ以上の繰り言は ご公儀への謀反と見なす！➡ 先の使者 宍戸備後助ともども 押し込めとする！ 今日は 宍戸は！ 病にて｡ 宿で伏せっております｡ ひっ捕らえよ！ はっ！ (滝)小田村様が捕らわれた？ (梅太郎)美和が 奥でも そのように聞いておると｡ (亀)ですが 小田村様は 殿様の ご名代として参った訳ですから➡ 御身は ご無事で…｡ (梅太郎)いや｡ もはや そのお命 幕府の腹積もり一つじゃ｡ 見せしめに 刑に処される事も｡ (寿)覚悟しております｡ これ…｡ 読みました｡ こたびの戦 なぜ戦うか｡ 長州藩の大義とは 何かを 記したもんじゃ｡ もはや この戦 避けられぬと 分かりました｡ 食べ物… それから 薬を用意しましょう｡ 誰が いつ ここに来ても ええように｡ 寿 手伝うてくれますね｡ はい 母上｡ (雅)ごめんくださいませ｡ 今日は ご挨拶に伺いました｡ 下関にたつものですから｡ 下関に？ 海軍総督 高杉晋作を支えに｡ (晋作) 雅が こっちへ来たがっとる｡ そばで 身の回りの世話をと｡ (靖)しかし べっぴんじゃのう｡ いや～ 野村様！ (利助)どうするんですか？ おうのさんは｡ (中原)高杉様！➡ 幕府軍 進軍が始まったもよう｡ 幕府軍艦 周防大島の久賀浦沖にて威嚇砲撃｡ (前原)朗報じゃ！ 薩摩勢が出兵を取りやめたぞ！ (小笠原)なぜ 薩摩は出ぬ？➡ 薩摩ばかりでない｡ 広島 宇和島藩も｡ この戦には大義がない｡ 朝意に反すると｡ (竹中重固)薩摩の兵が引いては 萩口への攻めは なし難く…｡ ならば 残りの四境を 攻め落とせばよい｡ 数では こちらが有利｡ まずは 周防大島からじゃ｡ 何か 幕府軍が 向かってきよるらしい｡ (悲鳴) 一人たりとも逃がすな！ 大島が？ (小忠太) 攻め取られたとの知らせが｡ 砲弾が撃ち込まれ 民家が焼き払われ➡ 女 子どもまでもが 犠牲になっておると｡ 討て！ 前原｡ この戦 どう思う？ まともに考えたら 勝てる気はせんな｡ 向こうは万 こちらは千｡ その万の兵が 皆➡ 本気で長州を滅ぼしたいと 思うとるならな｡ 志のない寄せ集めの兵など 恐るるに足らん！ この扇 一つで十分じゃ｡ おい あれを見ろ｡ 何だ ありゃ…｡ 明かり目がけ 撃て～！ (山田顕義)撃て～！ 周りに見えるんは すべて敵じゃ！ 撃ち込めるだけ 撃ち込め！ 撃て～！ 撃て～！ 撃退？ (園山)はい！ 高杉殿率いる丙寅丸が 幕府軍艦に砲撃｡ 更に 第二奇兵隊が西から上陸｡➡ 山あいから 鉄砲を撃ちかけたそうです｡ 幕府軍は 軍艦へと引き返し 大島から撤退｡ みずから 石もて戦った民たちも 快哉を叫び 喜んでいると！ ああ… まことによかったのう｡ はい！ はい…｡ 雅様｡ まさか 山口でお会いできるとは｡ どうされました？ (雅)これを｡ 杉家の母上様から➡ 父上様が残された 畑の種だそうです｡ 父上の…｡ これが唯一の形見です｡ ありがとあんした｡ あっ そうそう｡ ちょうどよかった｡ これ｡ 先日 手紙をもらいました｡ 杉家では 今 薬袋を作っとるそうですね｡ ならって 奥でも作ろうと｡ これ 出来たばかり よかったら｡ いかが致しました？ おなごがおりました｡ 旦那様に お妾がおったんです｡ [ 回想 ] (元徳)家に帰らんと➡ どこぞの芸妓のとこに 身を寄せとるらしいが｡ (雅) どうしても そばにおりたくて➡ 下関まで出向き 人づてに聞きました｡ 主人は もう ずっと ある芸妓と一緒におると｡ こんな事 ほかの誰にも話せません｡ 私は一人 家で…｡ なのに あの人は こんな裏切り…｡ [ 回想 ] (玄瑞)京の女と情を通じた｡ ほんまに 惨めなもんやね｡ 辰路さん 昔は売れてたやん｡ せやのに こんな こぶつきじゃ もう どうにもならへんなぁ｡ (辰路)さあ 仕上がりましたえ｡ 行っといでやす｡ 気にせんでええ｡ こぶってなぁ 宝物いう意味や！ 秀次郎｡ お前のお父ちゃんはな➡ 偉いお侍さんで 萩いう所から来たんやで｡ 京で立派に戦うて 逝ってしもたの｡ もっと知りたいね｡ お父ちゃんの事｡ いつか 萩に行けたら 話 聞けるんやろか｡ もっと お前… 幸せになれるんやろか｡ (雅)久坂さんも以前 確か ある芸妓と…｡ あっ… あれは 何でもなかったんです｡ ただのうわさやったようで｡ そうですか…｡ それは ようございました｡ つらいものです｡ 夫の心が移ろうのは｡ 一方 戦は➡ 諸藩の寄せ集めである幕府軍が まとまりを欠き➡ 長州軍が各地で勝利を収めていた｡ 石州口では 兵学者 大村益次郎が みずから 指揮を執った｡ 大村の西洋式散兵戦術は 幕府軍を圧倒した｡ 和議を？ そろそろ 頃合いでは？ 実は 殿は懸念されておられる｡ 確かに今は 我が軍 士気高く善戦しておるが➡ さすがに 幕府海軍 総力挙げてこられては➡ 勝ち目はない｡ 幕府軍とて 戦が長引く事は 望みますまい｡ ふん｡ 今更 和議など｡ もし 私を釈放し➡ 山口 そして 下関へ 遣わせて頂けるなら…➡ この不利益な戦 和平に転じてみせましょう｡ (茂承)それで 勝手に交渉を？ 私の一存で｡ すでに書状は したためました｡ 間もなく返書が来るかと｡ もし 長州が和議に応じましたら 即座に｡ 返書なら ここに｡ ｢和議には応じず｡ あくまで戦い抜く構え｣と｡ ですが！ もし あらぬ話に乗せられ➡ 軽挙妄動に出たというなら その方の罪は重い｡ 直ちに大坂に召喚｡ お役御免｡ 厳罰を覚悟せよ｡ 知らせが来ました！ 芸州口が苦戦しとるとの事｡ 初戦は 戦果を上げたはずじゃが…｡ いや いよいよ勝機じゃ｡ 彦根と高田が逃げた知らせを 敵に触れ回るんじゃ｡ 幕府軍は てんでんばらばら｡ ここが勝負場！ 更に奇襲をかけ 敵を混乱させる！ (一同)おお！ 皆の者 長州男児の腕前を 日本中に知らしめるんじゃ｡ (一同)おお！ 残るは最後 大砦｡ 九州 小倉口｡ 開戦前から 幕府軍は小倉を本拠に➡ 九州諸藩 ２万の兵を 集結させていた｡ 今日 これより 門司 田野浦に奇襲をかける｡ 先手必勝｡ 我らが流れを作る｡ 酒盛りは それからじゃ｡ (一同)おお！ (せきこみ) 高杉さん！ 高杉さん！ 高杉さん！ まさか 高杉さんが… 病？ まことにございますか？ どうも 肺をやられておるらしい｡ 本人の望みもあって まだ この件は内密にと｡➡ もし 今 晋作に何かあれば➡ 長州軍は 総崩れとなるやもしれぬ｡ 興丸の事 重ねて頼む｡ はい｡ 下関に戻るぞ｡ じゃが ここは一気に！ 焦るな｡ 一体 いつから…｡ この戦 必ず勝つ｡ そのために まず先に あの化け物をたたく｡ (汽笛) (潮)今朝方来た伝令によると➡ 高杉殿 かの富士山丸に小舟を近づけ➡ 砲撃を加えたと｡ 小舟？ (潮)砲弾は 次々命中したものの➡ 巨大な軍艦を破壊するには 至らず…｡ (赤ちゃんの泣き声) せわぁない｡ どねに心配で 気に病む事があっても➡ せわぁない｡ そう言うて 我が家では 皆 働きました｡ 働くというても…｡ 種がございます｡ 種？ ♬～ では お願い致します｡ (一同)はい｡ ♬～ (雅)畑？ やはり こういう時ですから 皆 不安を抱えております｡ なので 働こうと｡ 雅様も 萩に戻られたら いかがです？ 少し ご気分を変えられて 杉家で塾を手伝うて頂いたり➡ また 組みひもなど やったりして 高杉さんのお帰りを｡ もう 戻るかどうか｡ えっ？ 芸妓の事を知って以来➡ 前のように旦那様を思う気持ちも ついえました｡ なので しばらくは 親元で過ごそうかと｡ 私も… よう分かります｡ 本当は おったんです｡ せんだっては つい あんなふうに…｡ でも本当は…｡ 久坂さん？ 打ち明けられました｡ 京に ええ人がおったと｡ そん時は 雅様と同じ｡ 悔しいような➡ ｢ああ やっぱり｣なんて 諦めにも似た…➡ 心が冷えるような｡ でも…｡ 思ったんです｡ あの人は 命を散らしていたんやと｡ 富士山丸は 依然 姿をくらましております｡ 大きい使命があって…➡ 戦い 傷ついて…｡ きっと 高杉さんも｡ 富士山丸！ 見ろ｡ 煙が出とらん｡➡ 機関の止まっとる船など ただの塊じゃ｡ ひるむな｡ 寄せろ｡ 今頃 命を散らすように 戦っているんでは…｡ 兄に託され 久坂たちに託され…➡ もう ずっと 重い荷物しょって｡ 結局 一人なんやないかって…｡ 誰とおっても 一人｡ やから せめて 信じてあげてつかぁさい｡ あなただけは 帰りを 待っていてあげてつかぁさい｡ きっと 無事にお戻りになります｡ 褒めてあげてつかぁさい｡ あのお方の事やから 小憎らしい事言うて➡ どうせ また ちゃかすんやろうけど｡ 言うてあげて｡ あなたは やり遂げた｡ 英雄だと｡ 撃て～！ みんな 語り継ぐ｡ その名は輝いて 後の人をも照らす｡ 長州一の英雄だと｡ 撃て～！ ♬～ 私の夫は 大した人ですね｡ ええ｡ 私は… その妻なのですね｡ ♬～ 一方 誰も予想だにしなかった事が 起きた｡ 大坂にて 将軍 家茂様 ご逝去！ 衝撃的な知らせにより 幕府軍は 完全に戦意を喪失｡ 奮闘していた小倉藩は 援軍を得られず➡ みずから 城に火を放ち 退却した｡ 幕長戦争は 長州軍の歴史的な勝利に終わった｡ どうじゃ… 先生…｡ 久坂… 見たか…｡ 俺は やったぞ｡ ♬～ こたびの広島行き 大儀であった｡ 敵陣にて 捕らわれ 連日の厳しい糾弾➡ さぞ こたえたろう｡ いえ｡ 至福の時でございました｡ ほう…｡ 獄で伝え聞く 我が藩の四境での快進撃｡ 強大な幕府軍が右往左往するのを 目の当たりにし➡ まさか ここまでと… 胸が震えました｡ 長州人である事を これほど 誇りに思った事はございませぬ｡ これから この国は 大きゅう うねる｡ その渦に立ち向かえるよう➡ わしと… この長州を助けてくれ｡ 身に余るお言葉｡ 無論 どこまでも この命ある限り➡ 忠節を尽くす所存でございます｡ 面を上げよ｡ (都美姫)初めて お前に会うた時➡ なんという者が奥に参ったのかと 私は思った｡ しかし 今は…｡ この奥も 変わらねばならぬ時である｡ より寛容に そして しなやかに…｡ そう 美和に教えられた気が致す｡ めっそうもない事でございます｡ そなたは 開戦の折 まず 興丸の事を思い➡ 奥を守る策を考えてくれた｡ おかげで 奥座敷は 薬袋でいっぱいじゃ｡ (笑い声) 美和｡ そなたを 中臈に任ずる事に致す｡ (都美姫)そして 家名断絶となっていた久坂家｡ 再興せよとのお許しを得た｡ 亡き夫の墓前に 知らせてやるがよい｡ ♬～ 恐悦… 至極に存じます｡ ♬～ 高杉さん！ 死期が迫る高杉｡ その知らせを受けた美和は｡ 私に話とは…｡ えっ？ 京で戦が始まるようです｡ ついに 幕府との最終決戦｡ 高杉の思いを受けた美和の 新たな戦いが始まる｡ 泣き言は言いません｡ <慶応２年５月｡➡ 小田村伊之助は 藩主の名代として➡ 広島の国泰寺で 幕府との交渉に臨みました｡➡ 幕府の処分命令を 受け入れなかった伊之助は➡ ついに拘束されてしまいます> <そして 幕府軍は 周防大島を皮切りに➡ 長州の国境 ４か所で 長州軍を攻撃したのです> <中でも激戦だったのが 九州 小倉での戦いでした｡➡ 高杉率いる およそ1,000人の長州軍が➡ 小倉に陣を構えた ２万の幕府軍を 攻めたのです｡➡ 高杉の戦略と 奇兵隊などの活躍により➡ 小倉城下を制圧｡➡ 長州軍は 勝利します｡➡ この戦いで 幕府の権威は 地に墜ち➡ 時代は 一気に➡ 討幕へと進む事になるのです> <蒔坂家の参勤交代を 差配する事になった小野寺一路｡➡ 参勤交代を記した 先祖伝来の書｢行軍録｣を頼りに➡ 江戸までの道を踏み出していた> (一路)訳を言って下され！ <その裏で お家乗っ取りのたくらみが➡ 着々と進んでいる事も知らずに>

あさが来た＃125

1 <平治が なぜ おせっかいを 焼く気になったのか｡➡ 夏美は この時 まだ その理由を➡ 何にも 知らなかったのでございます> ≪ごめんください！ (成澤)はい｡ ちょちょっ…｡ あ… あなたは！ ♬｢朝の空を見上げて｣ ♬｢今日という一日が｣ ♬｢笑顔でいられるように｣ ♬｢そっと お願いした｣ ♬｢時には雨も降って｣ ♬｢涙も溢れるけど｣ ♬｢思い通りにならない日は｣ ♬｢明日 頑張ろう｣ ♬｢ずっと見てる夢は｣ ♬｢私が もう一人いて｣ ♬｢やりたいこと 好きなように｣ ♬｢自由にできる夢｣ ♬｢人生は紙飛行機｣ ♬｢願い乗せて飛んで行くよ｣ ♬｢風の中を力の限り｣ ♬｢さあ 心のままに｣ (新次郎)あさ｡ 惣兵衛さんたち そろそろな｡ (あさ)もう帰って しまいはるんだすか？ (はつ)そうや｡ 生きてる あんたに会えて➡ ほんま よかった｡ えらい すんまへんだした｡ 山に おみかんの木ぃ ありましたやろ？ 中には 立派なのもあれば 細いのもあります｡ 立派なのは ええおみかんも出来る｡ そやけど 天気が悪なって 海から ひどい風が吹いた時➡ 最初に折れてしまうのは その頑丈そうな立派な木ぃなんや｡ 逆に 細い木の方が 風に あおられても➡ ふら～ ふら～ってして➡ 嵐のあとも また 実ぃつけてくれたりする｡ せやさかい うちは あんたが あんまり 立派になり過ぎるのも➡ それはそれで 心配だすのや｡ 頑張るのもええけど あんたの大事な人や➡ 心配してくれはる ようけの人のためにも➡ 決して もうﾑﾁｬしたら あきまへんで｡ はい｡ 分かりました｡ (小声で)さすがだすわ｡ わてが 何べんも➡ もう やめてくれ言うても 止まれへんかったもんを…｡ (惣兵衛)なぁ｡ わても 家の者みんな 今は もう➡ はつに ｺﾛｺﾛ 転がされてますのやさかいな｡ はぁ！ <はつと惣兵衛は➡ その日のうちに 和歌山へと向かう事となりました> (惣兵衛)…で お前は この先 どないするつもりや？ もうじき お母ちゃんと約束した ３年になるで｡ (藍之助)僕は このまま この加野銀行で働きたい｡ まあ せやろなぁ｡ そない言うやろ思てたわ｡ 幸いな事に 養之助が➡ ほんま よう働いてくれるように なったさかいなぁ｡ 養之助が？ そうですか｡ うん｡ 藍之助｡ 軟こう おおきに｡ お母ちゃんも うれしいわ｡ あんたが立派に 真面目に 働いてる事が よう分かって｡ お父ちゃん｡ おばあちゃんに 伝えてもらいたい事があります｡ <千代も 京都の女学校へと 戻る事となりました> (よの)千代が卒業したら いよいよ お嫁さんだすな！ え!? お嫁さん？ そうだす｡ 千代は 早 お嫁さんなりたい➡ 言うてましたやろ？ はぁ～！ そろそろ 本腰入れて 探さな あきまへんなぁ｡ え～っと… ｱｲﾀﾀﾀｯ！ あっ あっ…｡ (千代)うちが お嫁さんか… ﾌﾌｯ｡ (よの)こないに上品で 優しい子ぉやったら➡ なんぼでも見つかりますやろなぁ｡ (かの)へぇ ほんに ほんに｡ (笑い声) [ 回想 ] (啓介)大丈夫？ 君｡ どうかしたの？ ﾌﾌﾌ…｡ (ため息) (啓介)やぁ ﾘﾝｺﾞちゃん｡ へえ～ 君 女学生だったのか｡ へぇ｡ こんにちは｡ 母の容体が落ち着きましたので 明日 京都に戻る事になりました｡ 入院していたのは お母さんだったのか｡ これは驚いた｡ てっきり お父さんかと｡ …で 君は京都の？ 白川女学校で 寄宿舎暮らししております｡ また週末には こっちに帰ってきますのやけど｡ そうか｡ 僕は 週末まで こっちにいて➡ 東京に帰る事になっているんだ｡ 運がよければ もう一度 会えるかもしれないね｡ はい！ <そのころ 加野銀行では…> (亀助)頭取｡ お話いうのは？ (榮三郎)亀助｡ 大阪に戻ってきてくれへんか？ は？ お兄ちゃんとも話 しましたんやけどな➡ 加野商店の北九州本部には 柴田を 支店長に回そう思てますのや｡ はぁ 柴田やったら きっと うまい事やる思いますわ｡ わてとしても 願てもない お話だす｡ 嫁も娘も喜びますわ｡ うん｡ ほんで 役職の話なんやけど｡ あ… ひょっとして 天神橋の支店長だすやろか？ いや 前に雁助さんが そないなるいう噂が…｡ いや！ 亀助には 役員秘書に なってもらいたいんだす｡ へ？ や… 役員秘書て 何だすのや？ (うめ)へぇ 加野屋で役員扱いいうたら➡ 榮三郎様と新次郎様と おあさ様だすさかい｡ ええ｡ その３人を 助けるいう事だすやろなぁ｡ あの へぇさんかて 支配人やいうのに➡ わてが ただのお助け係やて…｡ アホ！ 役員秘書いうのはなぁ 支店長や支配人なんかより➡ ずっと力がありますのやで｡ へ？ ほんまだすか？ せや｡ わては ええとしても 榮三郎も あさも➡ 仕事 抱え過ぎてます｡ 誰か両方の商い知る者が➡ うまい事さばいたげな 回るもんも 回っていかへんようになる｡ うん…｡ なんてな｡ ほんま言うたら➡ わてが頼みましたのや｡ お前に そばにいててほしいて｡ はぁ？ あれま！ 今回の事で身にしみてしもた｡ 亀助｡ どうか あさのそばにいてて 守ってやってくれへんか｡ うちからも どうぞ よろしゅうお頼申します｡ もう～ しょうがあらしまへんなぁ｡ ﾌﾌｯ… ﾌﾌﾌ～｡ <亀助は 役員秘書として働き始め➡ あさのもとには 連日 大勢の見舞客が詰めかけました> 今度は 加野屋に生命保険て？ (山屋)銀行が ぎょうさん出来たあとに➡ 生命保険いうて 誰かが亡うなったあとに➡ 残された者の生活保障したり 貯蓄の役割も果たすもんが➡ 出てきましたやろ？ ああ 出てましたなぁ｡ 雨のあとのﾀｹﾉｺみたいに ぎょうさん増えてなぁ｡ もう その数の半分は 潰れてしもてますのやけどなぁ｡ …で その潰れそうな一つが 八代目に➡ 力貸してほしいて 言うてきてるそうだっせ｡ (山屋)死んだら お金がもらえるやなんて➡ こら 私らみたいに 年取った者には➡ おいしい話だすがな｡ はぁ 死んだら お金て➡ ちょっと前まで 死にそうやった家内の前で➡ 縁起悪い事 言わんといとくなはれな｡ (笑い声とﾉｯｸ) 失礼致します｡ 申し訳あらしまへんのやけど➡ ぼちぼち 次のお客さんの時間だすよって｡ すんまへんな｡ ほな 皆さん お送りしまひょか｡ おおきに ありがとうございました｡ 皆さん お元気で｡ あんさんこそ お気張りやっしゃ｡ さあさあさあ 行きまひょ 行きまひょ｡ あっ 大隈様！ (綾子)先に 成澤先生に会ってきました｡ あささんに 合わせる顔がないって➡ 随分 気落ちして いらしたようだけど｡ そうだすか｡ そないな事 言うてんと➡ 会いに来てほしいのに…｡ それに早い事 女子大学設立に動かなあかんし➡ 寝てる間も もったいない事でございます｡ ｱﾀﾀｯ…｡ あらあら｡ ほらほら｡ けれども… よかった｡ あささんが 何に妨げられても 心に決めた目的を➡ お忘れになっていない ご様子で｡ へぇ もちろんだす｡ 大隈様と おんなじだす｡ そう｡ それだったら➡ そんなに焦って 気をもむ事はありません｡ これ ご覧頂けます？ これは…？ 賛同すると言って下さってる 方々から頂いた ご署名です｡ ここ よくご覧になって｡ これは 奥様方の お名前だすやろか？ そうです！ あなたの奮励する姿に み～んな 心を動かされたのよ｡ 私も その一人だけれど｡ 大隈様…｡ 男たちは どんなに権力があっても➡ 立場が変われば 態度を変えてしまうかもしれない｡ 大隈だって そうよ｡ でもね 私たちは違います｡ 最後まで あなたを支えます！ だから 焦らないで｡ もっと ご自分を大切にして しっかり 体を治して下さい｡ おおきに…｡ おおきに ありがとうございます｡ <そして…> (養之助)お母ちゃん 今度は 東京行くんか？ へぇ｡ あさのお見舞いに久太郎… いや 今井の当主になった➡ 弟が来てた時にな あんたのおじいちゃんの具合が➡ あんまり ようない 言うてたみたいなんだす｡ (栄達)はぁ 今井の忠興さんがなぁ｡ へぇ｡ せやさかい ちょっとでも暇なうちに➡ 会いに行かしてもらお思いまして｡ うん｡ せやな｡ 養之助 お前も行ってこい｡ へ？ お見舞いと 東京の市場や問屋の様子➡ 見聞きしといたら 後々 役に立つやろ｡ はい 分かりました｡ 任しといて！ はぁ～｡ それから…｡ お母ちゃん｡ (菊)何だす？ 改まって｡ 大阪に もういっぺん 山王寺屋 出すいう夢…➡ もう諦めてくれへんか｡ ほう…｡ 藍之助に話 聞きましたんや｡ お母ちゃんが 藍之助に➡ 加野銀行で きっちり働いて いつか のれん分けしてもろて➡ 大阪に もういっぺん山王寺屋の 看板あげてほしい言うてたて｡ そやけどなぁ お母ちゃん そら 無理や｡ ﾊﾊｯ…｡ 何で 無理だすのや？ 銀行には のれん分けいう しきたりなんか あれへん｡ 銀行は 両替屋とは 何もかも違てますのや｡ 今の大阪の町で 藍之助が 山王寺屋の看板あげるやなんて➡ そないな事… 土台 無理な話だすのや｡ 藍之助… なんという情けない事を！ 何のために 大阪行ったんだす？ 何のために 今まで苦労して 勉強さした思てますのや!? お母様｡ 学んだんは➡ 山王寺屋のためやあらしまへん｡ 藍之助のためだす｡ 藍之助 お母様に申し訳ない 言うてました｡ そやけど 感謝してるて｡ せやさかい お母様…｡ ♬～ 関口知宏さんが列車に乗って ｵｰｽﾄﾘｱを巡る 10日間の旅｡ 今日は その５日目｡ さあ どんな出会いと発見が 待っているのでしょうか｡ ﾖｰﾛｯﾊﾟのほぼ中央に位置する ｵｰｽﾄﾘｱを➡ 西から東へと横断する 関口さんの旅｡ ５日目は ｻﾞﾙﾂﾌﾞﾙｸを出発｡

クロス・ロード１st＃03

1 俺の人生を変えた男が➡ 25年目にして 目の前にさ…｡ <25年前 警視庁捜査１課の 刑事だった尾関を➡ 大手新聞社の板垣が 記事にした事で➡ 尾関は現場を離れる事になった｡➡ 所轄を転々とした尾関は 今 青梅中央署警務課に勤務する> あの時の…｡ (貝谷)捜査の事を➡ 外部にしゃべるような捜査員は 不要ですよ｡ 火葬場の工事現場から 人の骨が出たんやってね｡ <そして今 その管内で 白骨死体が発見された｡➡ それは 15年前 東東京で起きた強盗殺人事件➡ いわゆる 多岐川事件の関係者と見られ➡ 捜査本部が置かれた 青梅中央署で➡ 警視庁捜査１課との 合同捜査が始まった> 私は５年間 毎日 あの事件だけを 捜査していたんです｡ 当時の生存者の話も 直接 聞いてるんです｡ 生存者？ (セミの声) お嬢ちゃん｡ このうちの子？ うん｡ <15年前 多岐川事件の３日前➡ 被害者 間島夫妻の娘 間島千鶴は➡ 家の前で 不審な若い男に声をかけられた> これ 食べる？ <当時 捜査本部に所属していた➡ 多岐川中央署の刑事 太田 巌は➡ ６歳だった千鶴から その証言を得ていたが➡ 本部は 子どもの証言に 確証なしとして➡ 若い男を 捜査対象から外した> あの… 間島千鶴さんですよね｡ たま多摩新聞の板垣と申します｡ たま多摩新聞？ 15年前の多岐川の件で お伺いしたい事が…｡ お話しする事は 何もありません｡ 被害者遺族である あなたの口から 事件の事を聞きたいんです｡ ♬～ 寒いからね｡ は～い｡ 気を付けてね｡ ありがとう｡ またね｡ じゃあね｡ 寒いな｡ 春 まだだな｡ ♬～ ♬～ ああ いたいた！ 尾関君｡ はい｡ 市営住宅で 親子の死体が 発見された｡ 鑑識連れて 現場 行ってもらえないか？ はい？ 出払ってるんだ 例の白骨死体の事件で｡ 警務課の方には こっちで話を通しとく｡ はい｡ ♬～ (駒田)急きょ 尾関を現場に行かせました｡ 刑事課と警務課の双方で 話がついているなら構わない｡ 今は課を越え 署が一丸となる時だ｡ 捜査が長引けば それだけ うちの 署の経費が かさみますからね｡ ここは 一気に 捜査を進めたいところだが➡ 尾関を捜査本部に回すのは…｡ 捜査の事を外部にしゃべるような 捜査員は混乱のもとです｡ 不要ですよ｡ それは まずいんじゃ｡ 管理官が あれだけ はっきり…｡ ｢上に逆らう癖あり｣か…｡ ただ 先日のｽﾄｰｶｰ事件にしろ ﾗｲﾌﾙ事件にしろ➡ 尾関の事件への対応は的確だ｡ 署長!? 別に 本庁と 波風を立てる気はないよ｡ 脅かさないで下さいよ｡ 尾関には 今回のように➡ 刑事課の手が回らない 地域の事件を担当してもらおう｡ 301です｡ 打撲痕も絞殺痕もないな｡ 無理心中じゃなさそうですね｡ 恐らく 事件性はないだろう｡ (ﾃﾚﾋﾞ)｢警察によりますと ２人の遺体には外傷がなく➡ 餓死した可能性があると見て 調べを進めています｡➡ 発見されたのは この部屋に住む➡ 無職 落合真奈美さん 22歳と➡ 長女の里美ちゃん ３歳と見られ 真奈美さんは ２年前➡ 生活保護の相談をしていましたが 市の福祉課によりますと➡ 保護の対象とはならなかった という事です｣｡ とりあえず 矛先は 福祉課に向かったようですね｡ 昨今は 何でもかんでも 警察のせいだ｡ たまったもんじゃない｡ うちの娘も３歳でね➡ ひと事とは思えんよ｡ えっ 署長の娘さん ３歳なんですか｡ こういう幼子の事件は 本当 痛ましくて胸が…｡ 現場 ご苦労だった｡ 今の時代に 餓死とはな…｡ はあ｡ 刑事課は 白骨死体の事件で 手いっぱいになりつつある｡ もろもろ 雑用が そっちに回ってくると思うが➡ よろしく頼む｡ はい｡ あれから 太田の動きは？ 今後 捜査の邪魔を するような事があれば➡ 容赦なく逮捕すると 伝えましたので｡ うむ｡ ただ 最近 現場から 気になる報告が…｡ 何だ？ 間島千鶴の周辺を 嗅ぎ回っている記者がいるとか｡ 間島千鶴…｡ 15年前のご遺族の名前が 媒体に 出るような事にでもなれば…｡ 今は そこまで手が回らんだろう｡ 出回ってからでは遅いかと｡ 折を見て 対処させよう｡ たま多摩新聞の 板垣という記者だそうです｡ (ゆかり)青梅丘陵の 白骨死体の件ですか？ 私も…｡ いいよ｡ 板垣さん 今朝の市営住宅の事件 どない思いはります？ (保)ああ 僕が朝一で取材を｡ あんたみたいな兵六玉に 何ができますかいな！ 兵六玉？ 何すか？ それ｡ あんたみたいなの｡ あんな痛ましい事件 この街で 二度と起こしたらあきまへんわ！ あっ ﾎﾃﾙのﾗｳﾝｼﾞに 人を待たしてますねん｡ あっ ちょっと あんたも 一緒に来て下さい｡ 今ですか？ 貧しい女性を助けるために 頑張ってる人です｡ これが 貧困女子の資料｡ 車の中で読んどくなはれ｡ まあ 日本人は涙に弱いんだす｡ まあ 大新聞社から来てくれはった 板垣さん➡ 働いてもらわん事には｡ ﾌﾌｯ｡ あんたらも 早う来なさい｡ (２人)はい！ まあ 駅からは近いですけどね 年数がたってますからね｡ (春雄)駅前ですよ 駅前｡ 徳枝さん！ ｱﾊﾊｯ｡ どちらさんですか？ 私 不動産会社の西田と申します｡ 不動産!? ご依頼頂きましたビルの査定を｡ 帰っとくんなはれ！ べ… 別にいいだろ？ 査定ぐらい｡ あんた まだ 青山のﾏﾝｼｮﾝ 売ってへんのんか？ それと あの車も｡ お… 大きなお世話だ！ これは もともと 俺のｵﾔｼﾞのビルなんだ｡ それを 後妻のあんたが…｡ 後妻の私が どないしたといいますねん｡ 死にそうなｵﾔｼﾞ たぶらかしやがって！ ﾊﾊｯ それだけの元気があったら 大丈夫やな｡ ｲﾃｯ！ 何すんだよ！ もういっぺん 言うてみなはれ！ 修羅場ですよ 修羅場｡ うわっ 初めて見た｡ そろそろ行った方が｡ うん 行こう｡ たま多摩新聞の板垣です｡ ﾗﾋﾞｯﾄ代表 河原 彩です｡ 早速ですが 今朝の餓死した親子の 事件なんですけど➡ 母親は 何で 助け 求めなかったんですかね？ 女性の貧困化の一番の原因は 人間関係のなさにあるんです｡ 家族や地域 制度から 見放されてしまっている｡ 亡くなった方 ｼﾝｸﾞﾙﾏｻﾞｰだったんですよね｡ 小さい子どもに手がかかり 家に籠もりがちな点では➡ そういう状況に 陥りやすいと言えます｡ 何か 相談の窓口を 設けられているとか…｡ 仕事の紹介や生活保護 児童扶養手当の申請の相談を｡ うちも給料 安いしな｡ 生活保護って どう…｡ 代表といっても ほとんど 私一人でやってるようなもので➡ だから 取材なんて…｡ まあ たま多摩新聞なんで｡ いつから この会を？ ３年前からです｡ 彼女たちは 皆 真面目で 不器用な人が多いんです｡ そんな彼女たちに 絆をつくってあげたくて｡ 絆？ 本当に怖いのは お金がない事ではなく➡ 絆がない事なんです｡ 会のｷｬﾗｸﾀｰです｡ 私のﾃﾞｻﾞｲﾝなんですけど｡ ♬～ あら かわいい！ 貧困女子を守る会の ｵﾘｼﾞﾅﾙｷｬﾗｸﾀｰだそうだ｡ 貧困女子を…｡ 大変ね｡ そこの代表っていうのが 泉と そう年も変わんない女性なんだよ｡ そうだ！ さっき 泉がね…➡ 来週 公演があるって｡ 買わされたのか？ 頑張ってるみたいよ あの子も｡ [ｽﾋﾟｰｶ] はい 板垣です｡ ああ そうです 特集記事で｡ いや うちで駄目なんで そっちで 記事にしてもらいたいんです｡ ええ｡ ≪そうです｡ ええ｡ 犯罪被害者のﾙﾎﾟﾙﾀｰｼﾞｭです｡ ええ… ３時｡ はい 伺います｡ 知ってるの？ ｵｰﾅｰ｡ この前も言ったけど たま多摩新聞 辞めないでよ｡ この年になって ﾌﾘｰなんて…｡ この年だからだよ｡ どこ行くの？ 風呂｡ 泉 あんた…｡ さっき渡すの…｡ 自分で渡しなさい｡ お父さん お風呂だから 今｡ また ８年前と同じ事 しようとしてんだ あの人｡ 犯罪被害者って言ってたよね｡ 週刊誌？ 分からないわ｡ 嫌だからね｡ 二度と あんな思いすんの｡ お兄ちゃんだって…｡ お母さん やめさしてよ｡ 自分で言いなさい｡ 絶対 やめさしてよね｡ 待ちなさい！ ねえ 泉！ ≪(ドアの開閉音) ♬～ ☎ (安原)受付から ５年前に解散した武蔵会の件で➡ 市民の方からの情報だそうです｡ へえ｡ それなら刑事課に｡ いえ そっちで処理してくれって｡ 尾関さんにって｡ え？ いや…｡ ３番です｡ え？ はい お電話 代わりました｡ ☎解散した武蔵会が➡ 西多摩を根城に 再結成しようとしている｡ そちら様のお名前と お電話番号 お願いします｡ ☎市内にある熱帯魚専門店 ｺﾞｰﾙﾄﾞﾗｯｼｭを調べろ｡ ゴ…｡ ☎(不通音) ｢ねえ 善ちゃん 見なかった？｣｡ ｢いや 見てないけど｣｡ ｢どこ行っちゃったんだろ｣｡ 出ました｡ ｢出ました｣｡ ｢どうでしょうか？｣｡ ｢あなたは ｽﾞﾊﾞﾘ…｣｡ 恋愛満願期です｡ 恋愛満願期です｡ ｢恋愛…｣｡ (今井)おい 泉！ すいません！ もういいよ｡ お前 役 ﾁｪﾝｼﾞだ｡➡ 10分 休憩！ (一同)はい｡ 特集記事とかいってさ 社会のためっていうか➡ 結局は自分のために 他人の事 暴き立ててるだけじゃん｡ そう思わない？ あの人が 俺の事を分からないように➡ 俺も あの人の事は分からない｡ また 何か書こうとしてるみたいよ あの人｡ 俺は あの人みたいにはならない｡ お兄ちゃん…｡ 配達があるんだよ｡ お前 もう帰れ｡ え？ ちょ… ちょっと！ (のぞみ)いくら？ ﾁｹｯﾄ ５枚は買ってやらないとって 智君｡ しまった…｡ 10枚 頂戴｡ え？ 私も買う ５枚｡ 本当に？ ありがとう！ のぞみさん 本当に大好き！ お父さんの事 否定しきれないんだと思うな｡ どっかで分かっちゃうんだよね きっと 男同士って｡ (吉野)尾関さん 捜査１課にいたんですよね｡ 捜査のｲﾛﾊ 教えて下さいよ｡ ｴｰｽだったって…｡ そろってんな｡ ういっす｡ 寒くねえのかよ？ 寒いっす｡ 入れよ｡ ♬～ (吉野) 雇われ店長の西村勇人はじめ➡ いずれも 元武蔵会のﾒﾝﾊﾞｰに 間違いないようですね｡➡ ５年前に準暴力団 大久保愚連隊 との抗争事件を機に解散｡➡ 大久保愚連隊が 都内の暴力団経営のｸﾗﾌﾞで➡ 飲食しているところを 武蔵会が襲撃｡➡ 店内は全壊｡ 従業員１人が巻き込まれて死亡｡➡ 数人が重軽傷を負いました｡➡ 三田正弥ら 武蔵会の 主要幹部たちは逮捕され➡ 現在 服役中です｡➡ 西村自身は 抗争事件に 直接 関わっていなかったため➡ 逮捕は逃れましたが 抗争により損壊した➡ 暴力団のｸﾗﾌﾞへの莫大な賠償金の 支払いをかき集めているようです｡ 西村は 地元の養護施設 フキの子ﾎｰﾑで育ち➡ 高校中退後 ｵﾚｵﾚ詐欺の受け子や➡ 風俗のｽｶｳﾄﾏﾝなどを やってるうちに➡ 武蔵会の中心人物であった 三田に拾われています｡ 最近 西村は滞納していた賠償金の 一部を支払ったようですね｡ 何か新しい資金源を 手に入れたって事か｡ [ｽﾋﾟｰｶ] 今 刑事課だ｡ 悪いな｡ まだ 手が離せないんだ｡ 尾関さん 報告書は自分の方で｡ ≪尾関さんと 何で俺なんだよ｡➡ 白骨死体の捜査で忙しいって時に 警務課のｵﾔｼﾞなんかと｡ (島津)尾関さん さっき 帳場用の布団 運んでたぞ｡ 資金源ってさ…｡ 今更 武蔵会の残党に 何もできねえっつうんだよ｡➡ 無駄なんだよ 無駄｡ 子どものお迎えの時間なんだけど｡ 子どもいるのに万引きって…｡ 保育園 どこ？ さくら保育園｡ 常習だよね｡ 引き取り人がいないと 帰れないから｡ 親からは 二度と 連絡してくんなって言われてるし｡ 兄弟は？ 相談できる人いないの？ 一人ぐらい｡ 西村さん 呼んで下さい｡ 地元で ｺﾞｰﾙﾄﾞﾗｯｼｭっていう 熱帯魚屋やってる｡ ｺﾞｰﾙﾄﾞﾗｯｼｭ…｡ ♬～ (ﾉｯｸ) ♬～ はい｡ 旦那と別れて 一人で子ども育てて 苦労してるやつなんですよ｡ 万引きしていいっていう 理由にならないから｡ すいません｡ おい よく聞いとけよ｡ 自分も昔 相当 悪かったんで➡ こういう若いやつら ほっとけなくて｡ 面倒見がいいんだな｡ 自分も 先輩たちに 助けられてきたから｡ そういうのって あるじゃないですか 何か｡ どんな時でも 受け入れてくれる 場所があるんだって事➡ こいつらに分からしてやらないと｡ こいつら 本気で 行き場なくしちゃいますから｡ ♬～ (羽田)あっ どうも｡ ８年ぶりに復活って訳ですか｡ その節は ご迷惑をおかけしました｡ どうぞ｡ 板垣さんの特集は 定評がありましたからね｡ こちらとしても そろそろ お願いしようと➡ 思ってたところだったんです｡ どうしても 追ってみたい 案件があるんですよ｡ 犯罪被害者でしたっけ？ ええ｡ 犯罪によって親を失った 子どもの➡ その後を追ってみたいんです｡ 具体的な取材対象者は？ 15年前に起きた 多岐川の強盗事件で➡ 両親と祖母を失った 女性なんですが…｡ ああ 例の青梅丘陵の 白骨死体のＤＮＡが➡ 現場に残されていたものと 一致したっていう…｡ 多岐川事件も視野に入れて 捜査するって➡ ﾆｭｰｽで言ってましたね｡ いらっしゃいませ｡ あなた…｡ (小野)仕事で近くまで来たから｡ これ ﾀﾙﾄ｡ お前 好きだろ｡ 何しに来たの？ そう 突っかかるなよ｡ とにかく帰って｡ ただいま戻りました｡ 智君…｡ 君 ﾊﾞｲﾄ？ あっ はい｡ この店 １か月の純利益は いくらだ？ あなたに関係ないでしょ｡ この前 偶然 お父さんと お会いしてね｡ 経営者として ｱﾄﾞﾊﾞｲｽして やってほしいって頼まれた｡ あっ あの… この方は？ 元亭主｡ あんたか この間から電話で…｡ この店 このままじゃ ３年もたないぞ｡ お父さんが 何て言ったか 知らないけど➡ 私は私で ちゃんとやっているから｡ いくら お父さんの資金でやってる 店だからって➡ 甘く考えてると 痛い目に遭う｡ ｺﾝｻﾙﾃｨﾝｸﾞ料は ｻｰﾋﾞｽしてやる｡ 経営者なら 使えるもんは使え｡ あっ 板垣さん！ まあ あんた どこ行ってましたんや｡ ｱﾊﾊﾊﾊｯ！ ちょっと近くまで…｡ 貧困女子の取材 大反響でっせ｡ やっぱり たま多摩新聞は➡ 全国紙や よそで できない事を やらなあきまへんのや｡ 次号も特集 頼みましたで｡ それより 息子さんの件 大丈夫なんですか？ ﾊﾊｯ あんな貧困男子 ほっといたらよろしいねん｡ まあ 借金はあるやろうけど➡ 貧困男子でもないしな｡ ﾊﾊﾊﾊﾊｯ…｡ ♬～ 夜回りって どこに行くんですか？ 一番困ってる人たちの所です｡ 一番困ってる人？ ♬～ 泊まるとこあるの？ 大丈夫｡ 今 神待ちだから｡ 神待ち？ 神待ちｻｲﾄというのが ﾈｯﾄ上にあって➡ 宿を提供してくれる 不特定の男性を神と呼んで➡ 連絡を待つんです｡ もし 気が向いたら ここに来て｡ え～ ﾗﾋﾞｯﾄだって！ かわいいんだけど これ｡ ここ どういう場所か分かってる？ ｴﾍﾍｯ どういうって？ 出会い系ｶﾌｪでしょ｡ うちら ﾜﾘｷﾘしに来たんだけど｡ ﾜﾘｷﾘ？ いわゆる援交ですよ｡ つまり売春｡ この先です｡ この先に 出会い系ｶﾌｪが｡ えっ 本当ですか？ また来て下さい｡ 楽しかったです｡ 楽しかったよ｡ ありがとうございました｡ はい｡ 寒！ ♬～ (ゆかり)どうかしました？ あっ いや 何でもない｡ ♬～ 失礼します｡ 貧困女子を守る会 ﾗﾋﾞｯﾄです｡ 何か困った事があったら いつでも来て下さい｡ ♬～ なぜ ここまでして 貧しい女性のために？ 母親に 殺されかけた事があるんです｡ 私の家も 貧しい家庭で…｡ あの時の恐怖と 何かに のみ込まれるような悲しさは➡ もう誰にも 味わわせたくないから…｡ すみません｡ 今の話 記事にしないで下さい｡ 分かりました｡ おはよう｡ あっ おはよう｡ 朝ごはん 作ったけど｡ ん？ いや いいや｡ じゃあ 今 お茶いれるね｡ 取材って？ ん？ たま多摩新聞の 例の貧困女子の｡ ならいいけど｡ はい｡ あのさ 泉なんだけど…｡ ん？ いや いいや｡ 分かってあげて 泉の気持ちも｡ 寝るね｡ お風呂 沸いてるわよ｡ 元大久保愚連隊と ｺﾝﾀｸﾄが取れた｡ ﾀﾚｺﾐも 恐らく やつらだろう｡ 尾関さん…｡ もう やめませんか？ 武蔵会とか 大久保愚連隊とか 終わってますよ｡ この際だから はっきり言います｡ 自分 捜査本部の方に 行きたいんです｡ ﾀﾚｺﾐがガセだって 裏さえ取れればいいんですから！ 嫌ならいい｡ ♬～ たま多摩新聞の板垣公平…｡ 例の15年前の 多岐川の被害者遺族➡ 間島千鶴の近辺を 嗅ぎ回ってるらしい｡ 一体 何を？ 事件が未解決のうちは➡ ご遺族に 危険が及ぶおそれもある｡ 誰か たま多摩新聞にやって 板垣を止めさせてくれ｡ しかし 今 うちの方も人手が…｡ 署長 尾関はどうでしょう？ 尾関？ 武蔵会のｶﾞｾﾈﾀに入れ込んでるって 刑事課から苦情が…｡ 尾関か…｡ ま いいだろう｡ とにかく頼む｡ 承知しました｡ 西村がひそかに人を集め 武蔵会を 再結成しようとしてるって➡ 裏社会では専らの噂ですよ｡ 暴力団への 莫大な賠償金の支払いのために➡ ヤバい所から 金ツマんで…➡ 金利だけでも ギリなはずなんっすけどね｡ 再結成の噂が出たのは？ ここ３年くらいかな｡ やつがやってる熱帯魚店の上がり なんて たかが知れてますよ｡ 新しい資金ﾙｰﾄでも 手に入れたんじゃないかと｡ 武蔵会の三田は 昔 ﾃﾞﾘﾍﾙで儲けてたんで➡ 西村も やってんじゃねえかなって…｡ ♬～ 武蔵会の件 刑事課で 捜査の必要なしとの判断が出た｡ 捜査は終わりだ｡ いや しかし➡ 西村は 新しい資金ﾙｰﾄを…｡ たま多摩新聞へ行ってくれ｡ たま多摩新聞？ 15年前の 多岐川事件の被害者遺族➡ 間島千鶴に対する取材を やめさしてほしいんだ｡ ご遺族から被害届が？ いや 捜査本部の意向だ｡ 捜査本部？ 板垣公平という記者だそうだ｡ ♬～ [ｽﾋﾟｰｶ] ♬～ いってらっしゃ～い！ ﾊﾞｲﾊﾞｲ｡ ♬～ 昨日のお客から 詳しい話を聞きました｡ ええ｡ 確かに 彼女は うちの登録会員です｡ 彼女が援デリをしてる事は？ いえ…｡ しかたないじゃん｡ 子どもがいたら どこも雇ってくれないし｡ だったら 生活保護の申請を｡ 生活保護なんて ふざけんな！ 車だって持てないし 親にだって連絡が行く｡ 子どもだって いじめられるかもしれない！ 絶対 困るから｡ 生活保護を拒否するｹｰｽも 珍しくないんです｡ 私一人でやったんだ｡ ここは関係ないし…｡ ♬～ 河原さん フキの子ﾎｰﾑに？ ええ…｡ それが？ (吉野)西村は 地元の養護施設 フキの子ﾎｰﾑで育ち➡ 最近 西村は滞納していた賠償金の 一部を支払ったようですね｡ 西村勇人さんとは…｡ ♬～ たま多摩新聞の方は どうなってるんだね？ 取調室にいるぞ 尾関｡ 昨日 行ったんじゃないですか｡ まさか まだ 武蔵会を…｡ ｱｲﾀｯ！ ｱｲﾀﾀﾀｯ… ああ…｡ 資金源は援デリだったって訳だ｡ 証拠は？ 夏音の身元引受人のｻｲﾝは しました｡ もういいですよね｡ 貧困女子を守る会だって｡ 河原 彩に 援デリの仲介をさせてたんだろ｡ だから 違うって！ 何の事ですか？ そこだけなのか｡ そいつらの行き場ってやつは…｡ こっちが 教えてほしいくらいですよ｡ ♬～ いらっしゃいませ｡ ありがとうございます｡ ２名様ですね｡ ごゆっくり お楽しみ下さい｡ ♬～ 絶対 辞めないから 私｡ ﾎｽﾃｽと ﾓｷﾞﾘしたぐらいで 世の中を分かった気になるな｡ それが お前のやりたい事なのか？ 自分だって… 特集記事とか書いて 何かあったの？ 大きな新聞社 辞めさせられて 家族が ﾊﾞﾗﾊﾞﾗになって…➡ 全部 なくしただけじゃん｡ そういう事だ｡ やりたい事をやるっていうのは｡ お母さんには言ってない｡ 言うか 言わないかは 自分で決めろ｡ ♬～ 待て こら！ 待て こら！ 調子こいてんじゃねえぞ！ 待て！ 待て言うたやない この野郎！ おい この野郎！ 待て こら！ どこ行った？ 捜せ！ ♬～ [ｽﾋﾟｰｶ] 今 どこ？ 尾関って刑事に バレたっぽい｡ うん… 来た こっちにも｡ 証拠は まだみたいだけど…｡ ≪(足音) ちょっと待って｡ いたぞ！ てめえ この野郎！ 逃がすな！ 彩…｡ 大丈夫？ お金 支払い たまってない？ 間違ってたのかな 私たち…｡ 合ってるとか 間違ってるとか… そんな選択肢 俺らにあんの？ ないだろ 最初から｡ そうだね｡ ♬～ (鳴き声) ♬～ (ﾃﾚﾋﾞ)｢13日未明 熱帯魚専門店 店長の西村勇人さん 30歳が➡ 西太田町の路上で殺害されて いるのが発見されました｡➡ 警察では ５年前に武蔵会が起こした➡ 抗争事件の賠償金を巡り 金銭ﾄﾗﾌﾞﾙがあったと見て➡ 調べを進めています｣｡ 河原 彩容疑者は➡ 貧困女子を守る会と称して ﾈｯﾄｶﾌｪ等で女性たちに近づき➡ 就職を紹介するとだまして 性風俗に送り込んでいました｡ これほど悪質で 残酷な貧困ﾋﾞｼﾞﾈｽが いまだかつてあったでしょうか｡ 間もなく 河原容疑者が 出てくるもようです！ 河原さん！ 下がって！ 下がって！ <｢母親に 殺されかけた事があるんです｣｡➡ 河原 彩は 息を吐き出すように言った｡➡ ｢あの時の恐怖と 何かに のみ込まれるような悲しさは➡ もう誰にも味わわせたくない｣｡ そう言ってしまってから➡ 彼女は慌てて言葉を継ぎ足した｡➡ ｢すみません｡ 今の話 記事にしないで下さい｣> ♬～ 間島千鶴への取材はやめろ｡ これは 捜査本部からの警告だ｡ ﾌﾌｯ…｡ 何がおかしい？ 警察が わざわざ 地方紙の一記者にか？ 事件が未解決のうちは 被害者遺族の保護のためだ｡ 伝えたぞ｡ ♬～ 白骨死体の復顔が完成｡ 復顔を基に 似顔絵を作成｡ それをもって公開捜査に踏み切る｡ (一同)はい！ ♬～ (ﾃﾚﾋﾞ)｢東京･西青梅市荒神の 火葬場建設現場で➡ 白骨死体が見つかった事件で➡ 警視庁は 今日 頭蓋骨から生前の顔を描く➡ 復顔法と呼ばれる手法で 再現された➡ 男性の似顔絵を公開しました｡➡ 男性は 年齢35歳から50歳の間で➡ 身長170cmから175cm｣｡ (ﾃﾚﾋﾞ)｢この事件では 頭蓋骨から採取されたＤＮＡが➡ 15年前 東京･多岐川で起きた➡ 宝石商殺人事件の現場に残された 血痕のＤＮＡと➡ 同一のものと見られ…｣｡ ♬～ ここで働かせて下さい｡ お願いします！ お願いします！ うちじゃ無理だね 悪いけど｡ ♬～ 行こっか｡ ♬～ はい 青梅中央署です｡ はい はい｡ はい そうです｡ (中村)放送終了後から 電話が鳴りやみません！ (時田)情報が多すぎて 捜査しきれるかどうか…｡ こうなったら 警務課の人材も 投入せざるをえんだろ｡ しかし…｡ いるじゃないか｡ はい回るのが得意な男が｡ ♬～ ♬～

Hi Score Girl.S01E02.JA

1 "NETFLIX オリジナルシリーズ" オープニングテーマ 'New Stranger' "ハイスコアガール" ♪終業のチャイムで 走り出す ゼロフレーム♪ ♪今日も戦いに 飢えた獣とたわむれる♪ ♪ずっと画面の端 待ちながら溜め続けた♪ ♪情熱の炎が 西の空染める♪ ♪陽の当たる ステージでは見えない♪ ♪小さな想い♪ ♪今も街のどこかで 輝いている♪ ♪心の奥のゲージを 使うのはいつ？♪ ♪デタラメと 何度言われたって♪ ♪誰にも 認められなくったって♪ ♪止まらない止まれない この勝負は譲れない♪ ♪高く弾くコイン♪ ♪表と裏 選び取る選択♪ ♪教科書に載ってない 答えを探して♪ ♪戦いはずっと続く♪ ♪もっと高く♪ ♪もっと遠くで♪ ♪きっといつか♪ ♪また出会う♪ ♪デタラメと 何度言われたって♪ ♪誰にも 認められなくったって♪ ♪止まらない止まれない この勝負は譲れない♪ "ROUND 2" （明るい音楽） （はしゃぐ声と掃除する音） （男子） プール開きってまだ6月だぜ （先生） こらーちゃんと 掃除せんと浣腸するぞ！ いよいよだな 「ＦＦ４」 夏休み前に出るってのも スクウェアの粋な計らいだぜ またスーファミの話かよ そんなド王道じゃねぇ もっとゲーマーらしい 話題をしようぜ 例えばＰＣエンジンとかさ は？ ＰＣエンジン？ あ 持ってねぇのかよ これ位のヒューカードに 名作が入ってんだ スーファミのカートリッジ より小さいのにすげぇぞ スーファミのカートリッジ より小さいのにすげぇぞ "ひゅうカード ＰＣエンジン" "ひゅうカード ＰＣエンジン" "ひゅうカード ＰＣエンジン" ＰＣエンジンこそ "ひゅうカード ＰＣエンジン" "ひゅうカード ＰＣエンジン" 時代の最先端を行く 夢のハードだと "ひゅうカード ＰＣエンジン" "ひゅうカード ＰＣエンジン" 俺は自負している 俺は自負している うっへ さすがゲーマー - ウゼェー - 逃げようぜ おい ＰＣエンジンを 侮るなよ スーファミに引けを取らない ハードだからな うわっ！ - トーシロどもが - こら走るな あ？ なんだよ大野(おおの) 聴きてぇのか？ ＰＣエンジンのこと - コラコラそこの劣等生 - う… 高嶺の花と対等に 話せる身分かね 君は？ 大野さんがやってる仕事は 君がやりたまえ - は？ - それより大野さん 今度映画でもどうだい？ はぁ！ なぜ春雄(はるお)なんかが 大野さんと口がきけて この僕とは… - こら春雄！ - げっ さぼってると しょーちせんぞ！ （効果音） プール掃除もロクにできん バカ生徒… 私の究極奥義で お前の腸を 破壊してやらないでもない なんでだよ！ ったく お前といるとすぐ 劣等分子ってさげすまれる （水の音） ほんといい 引き立て役だよ 俺は… ＰＣエンジンも知らねぇ 腕だけのモグリがよ う… んがーっ！ あひゃひゃひゃ… おほっ！ こら 大野ー 何やってんだー でも可愛いから許す！ ハッスルハッスル… （母） 早く寝なさーい （春雄） はいはい （鳥のさえずり） （ブルル…） （春雄） ぶぇくしょい！ "かぜ 内用薬 やぐち はるお" "かぜ 内用薬 やぐち はるお" ゲホッゲホッ ぬぅああ… ゲホッゲホッ ぬぅああ… せっかく学校休めたのに 熱が俺の下心を抑制させる 熱が俺の下心を抑制させる "下心" （コンコン） ああ お袋？ お袋 苦しいよー 水をおくれ 氷まくらの 氷取り替えておくれ （ガラッ） あとヨシヨシも しておくれよ ひェわあ！ 大野！ なぜお前が俺の家に！ そんな言い方ないでしょ 大野さん 日直だからって （カサ） わざわざプリント 持って来てくれたんだから 聞いた？ ヨシヨシしてって - 小６にもなってね キシシ - あー死ぬ死ぬ うちの春雄んとこに こんな可愛い子が せっかく来たんだからね おもてなししなくちゃ お 俺だけに おもてなしを… くそ どういう風の吹き回しだよ あ？ "授業参観開催 ７月１日９:00" あ、プリントか "授業参観開催 ７月１日９:00" "授業参観開催 ７月１日９:00" 授業参観のお知らせ？ 断じて行かせねぇ 授業参観のお知らせ？ 断じて行かせねぇ 授業参観のお知らせ？ 断じて行かせねぇ "バカ親集まれ ガキどもの授業を ジロジロ見てやろうぜ" "バカ親集まれ ガキどもの授業を ジロジロ見てやろうぜ" "バカ親集まれ ガキどもの授業を ジロジロ見てやろうぜ" 自分の劣等ぶりを 見せたい息子がどこにいる 自分の劣等ぶりを 見せたい息子がどこにいる 自分の劣等ぶりを 見せたい息子がどこにいる "奴等を苦しめたろう" 数字の形と同じで 開いた口がふさがらねぇ "視力検査報告 左０.７　右０.７ 眼医者に行け" "視力検査報告 左０.７　右０.７ 眼医者に行け" ゲームのやり過ぎを 怒られてるようでへこむぜ ったく 気が滅入るモン ばっかり持って来やがって "オシッコ" 俺が元気になるものは ないのかよ （ストローの音） "「THE 功夫(クンフー)」" （カサ） ていうか用が済んだら さっさと帰れよ （ドン） - うわ！ - お待たせ うふふふ 春雄ママ特製 （タラーン） マンガで出てくる ホットケーキよ！ もがー ヒヒ 可愛いー お人形さんみたい おいおい 夕飯前のお嬢様に んなもん食わしていいのかよ じゃお母さん 買い物してくるから エロい事しちゃダメよ - しねぇよ！ - うふふふ おい大野 お前もなんか言え！ お袋の妙な スパイラルにハマってっぞ あああ！ おい なに覗いてんだよ！ - うふふ - バレバレなんだよ - ひーひひ - うわーっ！ （ガラッ） ああ！ 行くなら早く行けよ もう！ はいはーい （タン） でい！ くっ これが 熱を出した息子の扱いか？ お前もそれ食べたら 帰れよな ったくお袋も なんで部屋に通すかな （飛行機の音） くかーっ うん？ （大野） ふむ… うん？ なんだぁ？ ははーん！ 読めたぞ お前の下心 ＰＣエンジンがやりたくて ウズウズしてるんだろ！ - そうだろ？　大野晶(あきら) - う… （カチッ） しゃーねぇな "「THE 功夫」" （ゲームの音） よっこいしょーいちっと… （ゲームの音） どうだ？ 功夫おもしれぇだろ？ 蛾を倒しながら フワフワ浮いてる ウーロン茶を攻撃すれば 体力アップさ ウーロン茶が フワフワ浮いてくんだぜ もう病みつきさ でもそれが終わったら 今度こそ帰れよ 見るしかできねぇ俺は 禁断症状で おかしくなっちまう おい もっと音 でかくしてもいいんだぞ アーケードだと神がかった レバーさばきなのに パッドとなるとズブの 素人並になるんだな なぁ お前ってハード どんぐらい持ってんの？ ううん えっ ないの？ - 一つもねぇの？ - うん ウソだろ… でもそうか お嬢様だもんな ゲームなんて 買ってもらえねぇのかも だから一人遊びに 興じているのか こいつもこいつで 日々溜まったうっ憤を ゲームで発散してたのかな ゲッんぐぐぐぐ！ （パッ パッ） 次はコイツらをやってみろ！ （ゲームの音） 「Ｒタイプ」！ 分かるか？ これが家でできる喜び！ こっちの「妖怪道中記(ようかいどうちゅうき)」は 100円で買えたんだぞ 「ビジランテ」と 「ワンダーモモ」！ この２つはなんと 380円で手に入れた ヒューカードはいきなり ぐっと安くなるんだ 親の財布にも優しいのさ まだまだあるぞ 「獣王記(じゅうおうき)」「ＰＣ原人(げんじん)」 「ダライアス」「奇々怪界(ききかいかい)」 お前の嫌いな「スプラッター ハウス」もご在宅だぜ ひん 分かっただろ？ PCエンジンは家をゲーセンに 変えちまう凄いハードなんだ これがなかったらゲーセンで 使う金は倍以上になって とっくに親に勘当されてたぜ だがＰＣエンジンの進撃は とどまることを知らねぇ ヒューカードを そのまま使える 世界初のカラー携帯 ゲーム機もあるんだ （パッ） その名も 「ＰＣエンジンＧＴ」！ 44800円もするから 持ってねぇが… そして「ＰＣエンジン ＣＤロムロム」！ も 買ってもらってねぇが キャラクターがベラベラ喋る ゲームが遊べるんだ 未知との遭遇だと 思わねぇか？ ま 今はヒューカードの 素晴らしさを 分かってもらわねぇとな この「源平討魔伝(げんぺいとうまでん)」は 神ゲー中の神ゲーだと思う やってみい！ ケホケホ "「源平討魔伝」" "「源平討魔伝」" （ゲームの音） （ゲームの音） （ゲーム） ひゃひゃひゃひゃ （ゲームの音） "地獄" ああ ああ… うう… （効果音） ああ あああ！ ああ ああ ああ！ うわあああ！ （ガラッ） - やらせろや！ - ただい…あ！ - もう辛抱たまらん！ - う… - 俺の禁断症状が！ - あ！ 春雄！ うわっ！　げぼぉ なんて下品でおゲレツな 息子に育ってしまったのー ふー お母さん そんな子に育てた つもりはなくてよ なんでちょっと 嬉し泣きなんだよ あんたも大きくなったのね！ は？ （はしゃぐ声） かけあえーかけあえー かけあえーかけあえー "死" "死" "死" - 仲よくお水をかけあえ - あはは こら土井(どい) 視線がやらしいぞ へへっ 病み上がりの お陰でサボれた （水の音） わぶっ 何すんだ！ 大野？ （水の音） なっ！ なんなんだよ まさかお前 また俺に風邪をひかせて ＰＣエンジンする算段か？ あー やらしい やらしい 女の下心はやらしいなー （水の音） むう… "ハイスコアガール" （走る音） （生徒達）イエーイ！ "どうぐばこ 図画工作大賞" "どうぐばこ 図画工作大賞" - 夏休みだ！ - 夏休みだ 明日から魅惑の夏休みだー （歩く音） （女性） 悪い噂を 耳にしましたわ 晶さん 私の授業を すっぽかしてる間 おぞましい盛り場に 出向いていると へ へっ 大野家の指南役を勤める この業田萌美(ごうだもえみ) 夏休みの間 ありとあらゆる教養を みっちりじっくり 深めさせて頂きます 終業式が終わった瞬間から 地獄だと思いなさい！ ふ… （歩く音） "戸塚(とつか)商店" "戸塚(とつか)商店" じゅ 10円ゲーセンだって？ ウソだろ？ じゅ 10円ゲーセンだって？ ウソだろ？ 都市伝説だけどね どこにあるんだ？ 多摩川(たまがわ)を上流に向かって ３駅ほど行った 銭湯の近くって聞いたけど おお近ぇ！ おお近ぇ！ "重貞" "重貞" "重貞" そこ スト２対戦の メッカらしいんだ 10円で僕らの何倍も プレイ数をこなした 猛者が集まってるとかでね 豪指の春雄と称えれた君の 勝負魂もうずくだろ？ （走る音） うぐ！ おばちゃん 自転車貸してくれ！ 壊すんじゃないよ （パッ） （パッ） １ばっかりの通知表じゃ 帰るに帰れねぇ ここは現実逃避のため 行くっきゃねぇぜ！ さ 伝説のゲーセンに 向かってレッツラ… あ なんだ？ いつの間に まさかお前も都市伝説の 真相を知りたいって腹か？ （効果音） うん （静かな音楽） 仕方ねぇ お前もいっぱしの アーケードゲーマーだからな 一緒に遠征だ （自転車の音） この林を抜ければ すぐ多摩川なんだぜ この林を抜ければ すぐ多摩川なんだぜ "ゴミを捨てるな ここはオレの土地だぞ" いい近道知ってるだろ？ ピアノ 英語 習字 そろばん お絵描き お茶！ お花ー！ （歩く音） どうよ 大野 強豪が揃うゲーセンなんて 腕がなるだろ？ （タッ） （自転車の音） ウンともスンとも言わねぇで 俺にチャリこがせてからに 純度の高いお嬢様だぜ よくよく考えたら 俺らもアホだぜ 終業式終わって早々 ゲームしに行くんだもんな なぁ大野 連れてってやるお礼に 俺の夏休みの宿題全部 やってくれるのはどうだ？ （パシ） いでっ 運転中の俺に なんて事しやがるんだ そろそろ３駅分 来たと思うんだがな （コンコン） うん？ そうか 銭湯の近くって言ってたな ド忘れしてたぜ お前の盗み聞きに感謝だな - う！ - いでっ！ "ゲームセンター がしゃどくろ" あった... （歩く音） なんか雰囲気が怪しいけど いだだだ！ - なんでツネったよ！ - う… あ そうか お前怖いのが嫌いなんだっけ - 痛い痛い！ - う… （歩く音） "オール10円" "オール10円" このおざなり感 怪しさ全開だぜ （ガタン） （ゲームの音） ぐっ、カビくせぇ！ "注意 台を叩くな さえずるな" "注意 台を叩くな さえずるな" え 俺らだけ？ スト２の猛者が 集うって話は？ "はしゃぐな 引き込もるな ねむい" うん？ 元祖ストリートファイター じゃねぇか どうだ大野 スト１のデカボタン すげぇだろ （タンタン） 押す強さで攻撃力が 変化するんだ スト２の６ボタンと比べると あまりにかけ離れてるだろ？ （ゲームの音） - フン！ - 強攻撃を出せば こっちの体力も消耗する 台パンがプレイの 基本とされる 嘘みたいな筐体だ - イヒヒヒ - うん？ - イヒヒヒ - 気色悪い店員だな 「クレイジークライマー」 「プーヤン」 「エレベーターアクション」 すげぇ 時が止まってるぜ… スト１が一番新しい ゲームって所にも驚愕だけど 大野 「スペースハリアー」 があるぞ （タッ） 体感型じゃないのが ちょっと寂しいが 当時のゲーマを うならせた名作だ 店員は気持ち悪いが 全然遊べる良い所じゃねぇか うわ クレーンゲームまで 時が止まってるよ 小せぇ頃にデパートの屋上で 見たやつじゃねぇか この安っぽい景品 なつかしいな （カチッ） （ピンポーン） （ガタン） （歩く音） うん？ なんだ - ギブか 大野？ - うん 確かに オール10円で良いけど 陰気くさくて苦労してまで 来る所じゃないかもな けぇんべ けぇんべ 都市伝説の真相も 分かった事だし しまった カギをゲーセンで 落としちまったっぽい ちょっと下まで取り… "テナント募集" え？　どゆこと？ さっきまでのゲーセンは？ （効果音） そこはもうとうに 潰れちまってるよ うわ？ 経営に失敗した店主が 87年に夜逃げ… 否 この世から 逃げてしもうたんじゃ 最後までスペース インベーダーの時のような ブームの再来を信じてな 87年って スト１が出た年… あと４年待てば スト２で盛り上がったのに… うう… （バシバシ） - いたっ 痛い痛い - うう！ なんで怖くなると 暴力に出るの？ ふおっ… - 熱いね - ふんふん！ （飛行機の音） （歩く音） 長い道のりだな チャリだと あっという間だったのに おばちゃんに ドヤされるな チャリのスペアカギもらって 今度取りに行かねぇと… 見ろよ大野 もう夕方だぜ 昼過ぎについたのに ５時間近くも経ってたのか まるで異次元にでも 入りこんだような まさに都市伝説を 垣間見た思いだ - ふん！ - お… （電車の音） 電車は川の向こうだし （ぐー） そういえば昼から何も 食ってなかったな うん？ "精肉のヨコヤマ" （歩く音） お前 買い食いとか した事ないだろ （パッ） ちょっと待ってな （歩く音） よっと… 見よ このジューシーな ビッグメンチカツを！ はう！ 空腹時に食えば 一生忘れることのできない 味になろうよ はむ！ （静かな音楽） お前 ほんと 分かりやすい顔するよな （食べる音） うん （カサカサ） さて 家まではまだあるな （カタン） うん？ どしたよ？ 靴ずれ？ お前 そんな硬そうな靴で 歩いてたのかよ - 仕方ねぇな - あ！ 俺の靴で よかったら履けよ ちょっとは 痛くなくなると思うぜ うん 不服か？ おぶるのは無理だぜ 重そうだし - べっ！ - うわほ （歩く音） 俺んちはともかく 大野の家はかなり 心配してるだろうな 早く帰らねぇと… うん？ （ブルル） （じいや）おじょーさまー どこですかー やっぱり心配してたな おーい 大野はここだぜー！ あ？ ああ お嬢様 こんな所に いらっしゃいましたか 業田先生がお屋敷で 御冠でございますよ なぁ お前さ 夏休みとか楽しめるの？ じゃあさ しんどくなったら 逃げて来いよ また妙ちくりんなゲーセンに 連れてってやっからよ 川崎の巨大ゲーセンとか 筐体が一つしかねぇ プレハブゲーセンとか ゲームやり放題の 老人ホームもあるらしいぜ ゲーム代は全部 出してくれるっていうんだ すげぇだろ うん （風の音） （母）春雄！ （春雄）あ！ オール１の通知表って どう頑張れば 取ることができるの？ 罰としてＰＣエンジンは 封印させてもらうわ （タンタン） あ ウソだと 言っておくれー！ （ピアノの音） （業田） どこでモチベーション 上げて来たのかしら ちゃんと授業も受けるし 姿勢も良いし 顔つきも ♪10カウントで終わる♪ ♪世界はモノクロだった♪ エンディングテーマ '放課後ディストラクション' ♪朝の鍛錬 いちにのさんしで♪ ♪ゴーゴー学校 コケコッコー♪ ♪ＮＡＳＡの陰謀 しのごの言わずに♪ ♪東京観光 大統領♪ ♪登下校は高級車で♪ ♪挨拶はごきげんよう♪ ♪ジョン・レノンは 殺されたの♪ ♪退屈な授業 エスケープ気取って♪ ♪10カウントで終わる♪ ♪はずだった 世界が色づく♪ ♪エンカウントで コンティニュー♪ ♪小さな革命だった♪ ♪放課後♪ ♪ディストラクション♪ ♪放課後♪ ♪ディストラクション♪ "「エレベーター アクション」 1983年アーケード稼働" （春雄） 遊園地のゲーセンって 何か微妙だよな 最新のゲームが常に 全部揃ってるわけじゃない "株式会社タイトー" 最新のゲームが常に 全部揃ってるわけじゃない 最新のゲームが常に 全部揃ってるわけじゃない "「1942」 1984年アーケード稼働 株式会社カプコン" "「1942」 1984年アーケード稼働 株式会社カプコン" "「1942」 1984年アーケード稼働 株式会社カプコン" やたらに レトロゲームが残ってたり やたらに レトロゲームが残ってたり やたらに レトロゲームが残ってたり "「グラディウス」 1985年アーケード稼働 "「グラディウス」 1985年アーケード稼働 "「グラディウス」 1985年アーケード稼働 でも妙にでかい体感タイプ だけは置いてあったりとか でも妙にでかい体感タイプ だけは置いてあったりとか でも妙にでかい体感タイプ だけは置いてあったりとか "株式会社コナミ デジタル エンタテインメント" "株式会社コナミ デジタル エンタテインメント" "株式会社コナミ デジタル エンタテインメント" なぁ 今度一緒に 行ってみっか？ ♪10カウントで終わる♪ ♪はずだった 世界が色づく♪ ♪エンカウントで♪ "日本語字幕 パク・スミン"

続・最後から二番目の恋＃01

1 ♬～ (千明)いいですね｡ この道｡ 私 好きです｡ (和平)私もね 長年 住んでますけど➡ やっぱ 何か こう ほっとしますよ｡ ここ 歩くと｡ (千明)うん｡ フフフ｡ (和平)ハハハ｡ あっ｡ どうも｡➡ こんにちは｡ 長倉です｡ (男性)あっ 長倉さん｡ こんにちは｡ (和平)どうも｡ こんにちは｡ アキラちゃん こんにちは｡ (千明)へえー｡ ここですか｡ (和平)ええ｡ 何か こう 雰囲気 よくありません？ これ｡ (千明)うん｡ いいですね｡ (和平)これ｡ ああ もう｡ これ あのう｡➡ 足元 気を付けてください｡ (千明)ああ｡ すいません｡ はい｡ (和平)ここら辺 がたがたしてますから｡ (千明)あっ｡ カワイイな｡ (和平)ホントだ｡ (千明)何か 鎌倉の結婚式って 感じがしますね｡ (和平)でしょう？ いいと思いません？ (千明)いや｡ いいんじゃないですかね｡ (和平)よかった｡ 吉野さんに 気に入ってもらえて｡ (千明)フフフ｡ でも あれですよね｡➡ 若かったんですよね？ こちらで 結婚式を挙げたときは｡ (和平)うん？ 誰が？ (千明)いや｡ あなたが｡ (和平)私？ (千明)はい｡ (和平)結婚したとき？ (千明)はい｡ (和平)当たり前じゃないですか｡ 何 言ってんですか｡ (千明)いやいや｡ 何か こう➡ 若者だった姿が 全然 想像できないんですよ｡ (和平)相変わらず 失礼ですね｡ ナウい若者でしたよ｡➡ 一応 湘南ボーイですからね｡ (千明)ナウいとか やめて｡ 無理｡ (和平)タッキーニの ポロシャツ 着てですよ｡➡ ねっ？ ボートハウスの トレーナー 巻いて｡ (千明)ボートハウスとか 無理｡ (和平)フｧーラーのパンツ はいて｡ (和平)クラークスの…｡ (千明)想像できない｡ (和平)そんな 笑わなくたって…｡ (千明)したくない｡ (和平)したくないとは 何ですか｡ (ﾌﾟﾗﾝﾅｰ)お待たせいたしました｡ 長倉さま｡➡ このたびは おめでとうございます｡ (和平)どうも ありがとうございます｡ どうも｡ (千明)いや｡ ホントにね 急な展開で｡ (和平)そうですか？ 私は そうでもなかったですけど｡ (千明)ホントですか？ (和平)ええ｡ 去年あたりから➡ そうなるんじゃないかなって｡ (千明)へえー｡ (和平)あら｡ ドラマとか 作ってる割に➡ 読みが 甘いんですね｡ (千明)今 ちょっと かちんと きましたけど｡ こういう場所なんで やめときますね｡ (和平)そうですね｡ すいません｡ いいえ｡ こちらこそ｡ (ﾌﾟﾗﾝﾅｰ)ええ…｡ ご新郎さまの ご両親さまで➡ よろしかったでしょうか？ ちょっと待ってください｡ 違いますよ｡ 違うでしょ？ ククク…｡ (ﾌﾟﾗﾝﾅｰ)あっ｡ 申し訳ございません｡ ククク…｡ いいって｡ いいって いいって｡ そんなようなもんですから｡ ねえ？ お母さん｡ いや｡ もう 慣れてますけどね｡ 最近 こういうの｡ こないだもね｡ (ﾌﾟﾗﾝﾅｰ)申し訳ございません！ まあ いいや｡ こんな話｡ いいの いいの｡ (女性)はい｡ 撮ります｡ (一同)はい｡ はい｡ チーズ｡ (真平)イェイ！ ≪(女性)パンケーキ まだ？ (真平)ありがとうございます｡ もう ホントに➡ ゆっくりしてってくださいね｡ (女性)ちょっと｡ イケメン店長｡ (真平)ちょっと お待ちくださいね｡ おいしいですか？ おいしい…？ (女性)店長｡ 店長｡ (真平)あっ｡ はいはい｡ (女性)お水 ちょうだい｡ (真平)あっ｡ お水？ はいはい｡➡ ちょっと待ってくださいね｡ (女性)それから パンケーキ｡ (真平)パンケーキね｡ (典子)うわっ｡ 何 これ？ (真平)ちょっ ちょっと…｡ 典姉｡ (典子)ちょっと…｡ (真平)ちょっと｡ いいから 手伝って｡ (典子)やだ｡ (女性)パンケーキ まだ？ (真平)はい｡ パンケーキ｡➡ 愛情たっぷりで 焼きますからね｡ (女性)よろしく｡ (真平)典姉｡ (典子)最近 みんな ﾊﾟﾝｹｰｷ ﾊﾟﾝｹｰｷ｡ (典子)パンケーキみたいな 顔して｡ (真平)もう いいから いいから｡ (典子)やだよ｡ 私はね➡ 癒やしを求めに 実家に 来てんだよ｡➡ 帰ってきてまで ご飯 作ったり 運んだり したくないの｡➡ だから やだ｡ (真平)分かったから｡ はいはい｡➡ 手伝って｡ 手伝ってよ｡ (典子)分かってないじゃないのよ｡➡ お兄ちゃんは？ (真平)出掛けてる｡ (典子)ったく｡ 肝心なときに 役に立たないんだから｡ (真平)ちょっと ちょっと…｡ (典子)あの男は もう｡ (真平)はいはい はいはい…｡ (典子)ちょっと やだ｡ 万理子は？ (真平)先生は 執筆中｡ (典子)もう｡ (万理子)長倉 万理子｡ 快調に 飛ばしております｡ (万理子)千明さまの 喜ぶ顔が 目に浮かびます｡ やっぱり 鎌倉彫って いいですよね？ (ﾌﾟﾗﾝﾅｰ)ありがとうございます｡ えっ？ で こっち側に？ (ﾌﾟﾗﾝﾅｰ)はい｡ 新郎新婦の お名前を 彫らせていただきます｡ わぁ｡ そりゃ いいや｡ ねっ？ (せきばらい) あのう｡ うん？ 何ですか？ 寝てました？ 今｡ いえ｡ 起きてますよ ちゃんと｡ いやいや｡ 何か おっしゃりたいことが あるんじゃないんですか？ ううん｡ ないです ないです｡ いや｡ どうぞ 言ってください｡ ご意見 伺いたいんで｡ いや ホントに 何にもないですよ｡ 分かりますよ｡ 分かるように なっちゃったんですよ｡ あのね｡ ここに ｢言いたい｣って 書いてある｡ いや｡ 書いてないですよ｡ ここにも ｢言いたい｣って｡ 書いてない 書いてない 書いてない｡ いや｡ あのう｡ 無理しない方が いいと思いますよ｡ どうぞ 言ってください｡ ねえ？ (ﾌﾟﾗﾝﾅｰ)はい｡➡ 何か ご意見 あれば｡ あっ｡ そうですか？ ええ｡ いや｡ 私ね➡ 今まで 数えきれないほどの 結婚式に 自慢じゃないけど➡ 出席してきたんですよね｡ なるほど｡ 80年代から この 2010年代まで ずっと｡ ということは まあ 数えきれないほどの➡ 引き出物を 頂いてきたという そういう歴史が あるわけですよ｡ 私の場合 ほとんどが 新婦の 友人として 出席しますから➡ 帰り道にね 女同士で あのう｡ 引き出物の中身を 確認し合ったりするわけですよ｡ あるでしょ？ そういうの｡ 知ってる 知ってる｡ ｢ああ｡ 何だろう？｣ ｢じゃあ 私 私｣って言って➡ 誰か 一人が 代表して 包みを開けるという｡ ねっ？ いや｡ みんな やっぱ 言いたい放題 言いますよね｡ 辛口の意見を 散々 聞いてきたわけですよ｡ まあ 私自身も 言ったりするわけですけどね｡ 言いそうですよ｡ 言いそうですよね｡ で この 鎌倉彫の お盆｡ ねっ？ 素晴らしいですよね｡ とっても すてきです｡ (ﾌﾟﾗﾝﾅｰ)ありがとうございます｡ 私も 鎌倉に引っ越してきてから すぐに 買いましたもん １つ｡ その上で あえて 意見を 言わせて いただきたいんですけれども｡ うーん｡ ちょっと どうかなって 思うわけですよ｡ うん？ うん？ いえいえいえ｡ いや｡ あんまり 立派過ぎて 使うの もったいないから➡ 押し入れに しまっとこうって｡ で そのうち➡ こう 忘れ去られてしまうというね 運命を 感じるわけですよ｡ せっかく 持って帰っていただくんですから➡ 使っていただきたいじゃないですか｡ それで こう 名前とか入ってると➡ もう さらに 使いにくいっていうね｡ そして あのう｡ ああいう箱に 入ってるじゃないですか｡ これ かさばるんですよね｡ 女子はね 結婚式っていうと➡ 洋服も 靴も よそ行きで 不自由なんですよ｡ だから もう➡ こういう かさばるのは ちょっと 勘弁って感じなんですよ｡ 要するにね 評判が悪いです｡ この手は｡ 目に浮かぶわけですよ｡ ｢何だった？ お盆？ わー｡ 使えねえ｣みたいなね｡ 分かっていただけますかしら？ 私の言ってること｡ おっしゃるとおりかも しれませんね｡ あっ｡ でしょう？ ねえ？ ありがとうございます｡ ただ あなたは 引き出物の意味が 分かってらっしゃらない｡ ちょっと 分かんないんですけど｡ それこそ｡ それで いいんですよ｡ はっ？ 引き出物っていうのはね｡ はい｡ 実用的じゃなくて｡ いや｡ むしろ 実用的じゃないものの方が➡ いいんですよ｡ いや｡ だから 意味が➡ 分かんないんですけど 逆に｡ 記念品ですよ｡ 引き出物っていうのは｡ はい｡ 消耗品を送ったりする お歳暮や お中元とは 違うんですよ｡ だから 使わないものだって いいんです｡ いやいや｡ 使えるものの方が いいに決まって…｡ 例えばね｡ 例えば｡ ある ご夫婦が 式に参列をした｡ はい｡ その日から 何年か｡ いや｡ 何十年か たったとしましょう｡ 何十年ですよ｡ ねっ？ 引っ越しでも 大掃除でも いいですよ｡ 押し入れの中を 整理してたりするとね➡ 出てくるわけですよ｡ このキリの箱が｡ ああ これが｡ ｢わぁ｡ これ➡ 何だったかしら？ これ｣って ふたを開けてみると➡ 中から 鎌倉彫の お盆ですよ｡ ｢わぁ｡ 高価なもの｡ これ いつ どなたから 頂いたものだった？｣ ｢ねえ｡ お父さん｡ 覚えてる？｣ ｢いや｡ 私は 覚えてないな｣ ｢ちょっと 見せてごらん｣つって くるっと お盆を ひっくり返す｡ すると そこに ｢長倉｣の文字ですよ｡ ｢長倉｡ 長倉｡ あっ｡ これ 長倉さんの 結婚式で頂いた➡ これ お盆だろ？｣ ｢あっ｡ そうね｣ ｢あのとき 頂いた お盆だわ｣って 思い出すわけですよ｡ ここですよ ここ｡ 名前が 威力を発揮するのは➡ この瞬間ですよ｡ もし ここに 名前が なかったらですよ➡ いつ どなたから 頂いたものかなんて➡ これ 思い出さないでしょ？ 分からないでしょ？ 分かりませんよね｡ いや｡ 分からないかもしれないですね｡ そこで 懐かしむんですよ｡ ｢ああ｡ 長倉さんとこは ずいぶん ご無沙汰しちゃったけど➡ お元気にしてらっしゃるのかな？ お子さんができたって聞いたけど➡ もう だいぶ 大きくなったんじゃないのかな？｣ ｢長倉さん まだ 鎌倉に お住まいかな？｣ ｢母さん どうだろう？ 来週あたりね 連絡を取って➡ 鎌倉に 行ってみないか？｣って｡ 結婚式の日からですよ➡ もう 何十年もですよ ちょっと 縁遠くなっていた ２つの家族が➡ この引き出物を 見つけたことによって➡ その縁が その距離が また ぐーっと 近くなるわけですよ｡ 引き出物っていうのはね 思い出であり➡ 縁を 再び 結び付けるものなんですよ｡ ああ｡ なるほどね｡ もう一つ いいですか？ もう一つ｡ いやいや｡ どうぞ｡ 確認しないで どうぞ 言ってください｡ これ あなたね｡ これ 邪魔になって かさばるって 言いましたよね｡ おっしゃいましたよね｡ いや｡ おっしゃいました｡ いいから 確認しないで 言ってください｡ あれでしょ？ あの ほら｡ あの 皆さんが 持って帰る➡ この ほら｡ 白い 紙袋｡ あれです｡ あれですね｡ ほらほら｡ ちょっと ちょっと｡ えっ？ あの紙袋でしょ？ ああ｡ そうですよ｡ あれです｡ あれ いいじゃないですか｡ えっ｡ どこが いいんですか？ 風物詩ですよ｡ 日本の結婚式の｡ 他の国には ない｡ ああ｡ そうかもしれないですね｡ 例えばですね｡ ねっ？ 例えばですよ｡ はい｡ はい｡ はいよ｡ あるサラリーマンが 仕事に疲れて 帰途に就く｡ はい｡ その道すがらですよ｡ あの集団と 擦れ違ったら 何と思うと 思います？ ｢あっ｡ 結婚式だったんだ｣ 一目瞭然ですよ｡ ｢俺は こんなに 仕事に 疲れてしまったけど➡ 今日は 幸せになった カップルが いるんだな｣ ｢待てよ｡ 今日は 日が よかったんだ｣ ｢大安か 友引か｣ この デジタルな時代にですよ➡ 日が よかったのか 悪かったのかなんて考えるのはね➡ このときぐらいですよ｡ そういう ささやかなことがね➡ 日本人の持ってるね 情緒なんじゃないんですかね｡ 向田 邦子か｡ えっ？ どなた？ 向田さん？ いやいや…｡ 昭和を懐かしむ ちょっと いい話の➡ エッセーかっつってんですよ｡ あっ｡ そういうことでしたか｡ そういうことでしたか｡ 私だってね➡ ああいうの 嫌いじゃないですよ｡ いや｡ 何か いい話だなとも 思いますよ｡ ただね 時代は 確実に 変化してるんですよ｡ もう こういうこと言うと 私が 現実的で➡ とても つまらない女に 思えてきますけどね｡ つまらないですよ｡ ああ そうですね｡ 今みたいな 時代だからこそね 実用的じゃないものの方が➡ 大事なんですよ｡ そういう 心の余裕がね➡ 世界に誇る 日本の文化で あるべきなんですよ｡ ハハッ｡ 世界遺産か あんたは｡ はい？ アハハ｡ ありましたね そういえば｡ 世界遺産 落選問題っていうのが｡ 私がね 世界遺産の➡ ｢せ｣という言葉を 聞いただけでも 腹が立つのを 知ってて…｡ せ！ せ！ やめてください｡ やめて｡ ふ！ ｢ふ｣って 何ですか？ 富士山の ｢ふ｣ですよ｡ ｢ふ｣は 大丈夫ですよ｡ 富士山 大好きですよ 私は｡ 何か 気苦労が あったんでしょうね｡ あれから めっきり 老け込みましたもんね あなたね｡ そりゃ 老けますよ｡ 52ですからね｡ フフフ｡ でも あなたも 48ですしね｡ いやいや｡ だいぶ 老けてらっしゃいますよ｡ 一緒にしないでもらって いいですか｡ 私 まだ 40代なんで｡ まだ 分かんないんですか？ 52とね 48なんてね 一緒ですよ｡ いや｡ 全然 違うでしょ｡ 大して 変わりませんよ｡ 何遍 話させるんだろうな｡ 全然 違う｡ いいですか？ (真平)また 来てください｡ ありがとうございました｡ (一同)すごい楽しかったわね｡ おいしかったね｡ (真平)おお｡ えりな｡ おかえり｡ (えりな)ただいま｡ (典子)ああ｡ 疲れた｡ (えりな)ただいま｡ (典子)ああ｡ おかえり｡➡ ああ…｡ (真平)いやいや いやいやいや｡➡ あっ｡ 典姉｡ サンキュー｡ (典子)えーっ｡ (真平)ああ｡ 片付け｡ よっこいしょ｡ おっ｡ (万理子)お客さま方は お帰りで？ (典子)何 言ってんのよ？➡ 帰ったから 下りてきたんでしょ？ 万理子｡ (万理子)ご明察のとおりで ございます｡➡ 知らない人々が 苦手なものでして 申し訳ございません｡ (典子)ずるいわよ｡ あんた｡ 私だって 人見知りなのよ｡ (万理子)さすがに それは 説得力に 欠けるような｡ (真平)万理｡ 快調なんだろ？ (万理子)分かりますか？ (真平)ヘヘッ｡ 双子だからね｡ (万理子)私も 真ちゃんの幸せを➡ 感じております｡ (典子)何よ｡ みんな 人生 うまくいっちゃって｡ 何か つまんない｡ 何か 失敗しろ｡ (知美)こんにちは｡ こんにちは｡ (典子)あっ｡ どうも｡ (真平)あれ？ 金太郎｡ 式場 行ったんじゃないのかよ？ (知美)そっちこそ 行ったんじゃないの？ (真平)いや｡ 急に 団体の予約が 入っちゃったから 代わりに➡ 兄貴に 行ってもらったんだけど｡ (知美)えっ？ 私も 急に➡ 仕事 入っちゃって 千明さんに 頼んだんだけど｡ (真平)えっ｡ マジで？ (知美)うん｡ (典子)何で 千明？ (知美)いや｡ 長倉家に➡ そういうことを お任せできる 女性が いないので｡ (一同)ああ｡ (えりな)いってきます｡ (一同)いってらっしゃい｡ (知美)何か 大人っぽくなったね｡ えりなちゃん｡ (真平)金太郎より ずっとな｡ (知美)あっ？➡ ちょっと それ どういう意味よ？ (真平)いや｡ 誰が見たって…｡ はい｡ あのう｡ 今の議題は そこでは ないのではないかと｡ ああ｡ あっ｡ じゃあ 今 兄貴と 千明が 式場 行ってんの？ 式の打ち合わせで｡ (万理子)はっ｡ 惨劇の予感が いたします｡ (真平)えっ｡ だね｡ 足して 100 足して 100って おっしゃいますけどね➡ 何で 足す必要が あるんですか？ それにですよ あなたの➡ 50を過ぎてからの ２歳ね｡ これ 負債ね｡ これを 何で 私が 背負わなくちゃ いけないんですか？ 冗談じゃないですよ｡ 負債って｡ だって 引いたって➡ いつまでたっても ４なんだもん｡ いつも 一緒なんだもん｡ でも 足して 100ですよ｡ ねえ｡ 映画館 行くじゃないですか｡ よく あるじゃないですか｡ あのう｡ 100歳割引って｡ ありますね｡ 今度 映画 見に行きます？ バッカじゃないの？ 行くわけないでしょ｡ あっ｡ ここ ないんですかね｡ あのう｡ 100歳割引 結婚式｡ あったら すんのかよ｡ っていうか しねえわ｡ (ﾌﾟﾗﾝﾅｰ)そんなもん ありません！ すいません｡ ああ｡ すいません｡ (ﾌﾟﾗﾝﾅｰ)すいません｡ ごめんなさい｡ いや｡ び… びっくりしちゃった｡ 何だか あのう｡ すいません｡ いえいえ｡ こちらこそ すいませんでした｡ あれですね｡ 何でしょう？ 成長しないですね｡ 私たちっていうか｡ いや｡ 私｡ いや｡ もう しないんじゃないでしょうかね｡ 成長とかって｡ 私たち｡ そうですね｡ ２人 合わせて 100歳なのにね｡ 怒られるでしょうね｡ 真平たちに｡ 申し訳なかった｡ いっ…｡ 痛っ｡ フフフ｡ 折れました？ 折れやすくなってますもんね｡ いや｡ 骨は強いから 大丈夫です｡ 子供のころから 牛乳 飲んでましたから｡ ハハハ｡ そういう顔してる｡ 牛乳 飲んでる顔してるわ｡ どんな顔ですか｡ 牛乳 飲んでる顔って｡ ♬～ [ﾏｲｸ](講師)えー｡ 今 お配りしているのは➡ 皆さんの 新しい名刺です｡ どうぞ 古い名刺を お持ちの方は➡ 交換なさってください｡➡ この新しい名刺｡ それは 単に 文字が 増えたり 減ったりして➡ 新しくなっただけの名刺では ありません｡➡ あなたは その名刺を持った この瞬間➡ 今までとは違う 責任を 持つことになります｡➡ これまで あなた方が 色々な 現場や 職場で…｡ (篠原)お待たせしました｡ (飯田)遅いよ もう｡➡ 何時間 かかってんの？ (篠原)すいません｡ (飯田)すいません｡ お待たせ…｡ (三井)いいえ｡ (社員)吉野副部長｡ はい｡ (社員)あっ｡ あのう｡ ああ｡ これですよね？ 今 やってますから｡ 出来上がったら 持っていきますから｡ (社員)お願いします｡ はい｡ (社員)まだなの 吉野副部長だけなんで｡ すいません｡ 副部長 副部長って うるせえんだよ｡ 誰だって なれるっつうの｡ ５人も いんだから 副部長｡ ♬～ どう？ 調子は｡ (一同)あっ｡ お疲れさまです｡ お疲れさまです｡ いやいやいや｡ あれだね｡ 武田｡ いや｡ 武田プロデューサーか｡ (武田)はい｡ 君は 局員だったんだね｡ 全然 忘れてたわ｡ (武田)いやぁ｡➡ 僕も 忘れてましたよ｡ アハハ｡ で どうなの？ 問題あったりしないの？ まあ 大丈夫か｡ うん｡ ねっ｡ (武田)はい｡ 武田プロデューサー｡ (武田)はい｡ 頑張ってね｡ (武田)はい｡ みんなもね｡ (一同)はい｡ 私は ほら｡ 管理職だからさ｡ 遠くで 応援してるからね｡ つっても 近いけど｡ ガラス張りだし｡ (一同)お疲れさまです｡ あれだよね｡ 何かあったら 相談しに来いよとか 言ってさ➡ 相談したら がんがん 口 出すような人 いるじゃない？ 私 全然 そういうタイプじゃないからさ｡ だから 私に 相談なんかしたら 駄目だよ｡ じゃないと 君たちが 育たないからさ｡ 若手を育てるのが 今の 私の仕事だから｡ 管理職だから｡ (武田)はい｡ 副部長｡ じゃあ 頑張って｡ (一同)はい｡ お疲れさまです｡ お疲れさまでした｡ (武田)あれって 相談しろって 言ってるんですかね？ (三井)そうですね｡ (万理子)わざと➡ 思ってることの逆を しつこいくらい 強調すると➡ かえって その逆が 強調されるという➡ 脚本 初級の テクニックですね｡➡ 例えば ｢あんたなんか 大嫌い｣というのは かえって➡ 大好きなのだということが 伝わるという手法です｡ (飯田)現場が 好きですもんね 千明さん｡ (万理子)はい｡ (三井)ですね｡ (武田)参ったな｡ (三井)来た｡➡ 笑顔｡ みんな 笑顔よ｡ (飯田)はい｡ (三井)スマイル｡ いやいや｡ 違う 違う｡ トイレ トイレ｡ (一同)ああ｡ どうぞ どうぞ｡ ああー｡ 君 新人｡ (篠原)はい｡ 名前 何だっけ？ (篠原)篠原 淳です｡ しのじゅんだ｡ フッ｡ ねっ？ (篠原)えっ？ いやいや｡ これから 私が ｢ねっ？｣って言ったら➡ にっこり 笑顔で ｢はい｣って 言ってほしいのよ｡ 何か そのう｡ ｢ねっ？｣については 理解しなくていいから｡ ねっ？ (篠原)はい！ (三井)大事 大事｡ 大事な仕事よ｡ (武田)そうだよ｡ 俺には できない仕事だから｡ (飯田)できない できない｡ かえって いらいらする｡ さて｡ トイレか｡ (万理子)あのう｡ あの｡ 千明さん｡ (万理子)ちょっと ちょっと…｡ ちょっと よろしいでしょうか？ 何？ 今 相談すんなって 言ったばっかりだけど｡ 桐谷先生 原作の台本 書いてみたのですが｡ えっ？ (武田)だって まだ➡ 許可 下りてないよ この原作｡ ねっ？ 三井さん｡ (三井)はい｡ 先生から なかなか お返事がなくて｡ えっ｡ そうなの？ (万理子)いいんです｡➡ 駄目なら駄目でも｡ 日々 学習ですから｡ ただ いつも 千明さんが 原作者や 俳優さんたちに➡ ｢本を読んでから 決めたい｣などと 言われ➡ 困っているのを 見ていたものですから｡ あんたって子は もう｡ 日本中の脚本家が みんな 万理子みたいだったら いいのに｡ (三井)ですよね｡ 原作者や 主演の事務所から➡ 台本 読んでから 決めたいと 言われ｡➡ 脚本家の先生からは 決定しなきゃ 書きたくないと言われ➡ ｢もう どうすりゃいいのさ 私たちは｣って 感じですもんね｡ ねっ｡ (武田)そうですよね｡➡ 三井さん｡ (三井)うん？ (武田)早速 打ち合わせしましょう｡ (三井)うん｡ (武田)完璧にして 先生に 送りましょう｡ 飯田｡ 会議室 空いてたかな？ (飯田)空いてます｡ 空いてたよ｡ 空いてた｡ (飯田)万理子ちゃん｡ コピーを｡➡ 行こう 行こう｡ チーム武田 頑張りましょう｡ 頑張って！ ねっ？ (篠原)はい！ フフフ｡ じゃあ 君も仕事だ｡ (篠原)はい！ トイレか｡ トイレか｡ おい｡ お疲れさま｡ (男性)お疲れさまです｡ こういうのは ちゃんと 剥がせよ｡ もう｡ 何で こうなんだよ｡ もう！ (田所)あの年になって 後が ないんだから｡ ただいま｡ (一同)お疲れさまです｡ (知美)おかえりなさい｡ (田所)あっ｡ ちゃんと 剥がしとけよ｡ (田所)すいません｡ (知美)課長｡ 聞きました？ 何を？ (知美)あっ｡ さっき 人事の人が 来て➡ 秘書課長が 病気で しばらく お休みされるそうです｡ 若松さん？ (知美)はい｡ えっ｡ こないだ 何か 俺に ｢これ かばん 買ったんです｣なんて➡ すっごい 何か 喜んでたのに｡ (田所)というわけで しばらく 課長に➡ 観光推進課と 秘書課の課長を 兼務してもらうことになったと➡ そういうことだそうです｡ あっ そう｡ (田所)はい｡ へえー｡ えっ？ (田所)えっ？ えっ｡ 兼務…｡ 兼務って 俺が？ (田所)はい｡ (知美)ひどいですよね｡ 懲罰人事ですかね？ 懲罰って 何で？ (知美)だって 人事の人も 言ってましたよ｡ 長倉さんも➡ 世界遺産のことが あるから 頑張ってもらわないとって｡ 世界遺産のことが あるからって それ 何だよ それ｡ 何で いつの間にか 俺の責任みたいに なってんだよ｡ だいたいね 世界遺産に なったら なったで➡ 色々 大変だとか 何とか 言ってたじゃないか｡ いったい どっちなんだっつうんだよ｡ (田所)難しそうですよね 今度の市長｡➡ それで 胃腸 壊したって 噂ですよ 若松さん｡ ハァー｡ 俺もさ この手の おばさん 苦手なんだよね｡ (田所)得意な人 いませんよ｡ だろう？ (知美)何か 課長のこと お気に入りみたいですよ｡ (田所)ううー｡ 何で？ (知美)こないだの シンポジウムの 会食のとき ほら｡➡ 同じテーブルだったじゃ ないですか｡ 一緒だった 一緒だった｡ (知美)そのときから｡ (田所)モテるんだから｡ やめろ お前｡ 何でだよ｡ 何でよ｡ (知美)邪魔にならないらしいです｡ (田所)ハハハ｡ 邪魔｡ チッ｡ どういう意味だよ｡ 邪魔にならないって どういう意味だよ｡ (市長)説明しましょうか？ 説明なんて いりません…｡ いえ｡ あっ｡ (市長)どういう意味か➡ 説明します？ ｢邪魔にならない｣の意味｡ いえ｡ あっ…｡ 大丈夫です｡ あのう｡ 私 わりと よく 言われるというか 分かります｡ (市長)じゃあ よろしく お願いします｡ よろしく お願いいたします｡ ♬～ ≪(万理子)観覧車に こだわらなくても➡ よろしいのでは？ ≪(一同)えっ？ 例えば？ ≪(万理子)先日 先生が 雑誌の対談で➡ あれは メリーゴーラウンドでも よかったのではないかと➡ おっしゃってたんです｡ ≪(一同)ああ｡➡ メリーゴーラウンド いいじゃない｡ ≪(万理子)いいですか？ (篠原)お疲れさまです｡ ねっ？ (篠原)はい！ はい｡ フフフ｡ (篠原)失礼します｡ はい｡ (篠原)コーヒー お待たせしました｡ (祥子)で 何か 寂しくなっちゃったわけだ？ (啓子)若い子が きらきらしてて？ うーん｡ そうじゃなくてさ｡ 何ていうのかな｡ ほら｡ 私 最近 副部長になったじゃん｡ (啓子･祥子)うん｡ ああ｡ あなたたちもでしたっけ？ (祥子)マネジメント部 副部長｡ はい｡ (啓子)私も 出版企画部 副部長｡ (祥子)おおー｡ 副部長 三人娘だ｡ (啓子)お笑い やる？ (千明･祥子)えっ？ (啓子)どうも どうも どうも｡➡ 副部長 三人娘です｡ いいね いいね｡ で どうですか？ 副部長｡ 最近は｡ (祥子)いや｡ どうもこうも ないですよ 副部長｡ つうか 全然 つまんない｡ (祥子)どうした？ 副部長になって｡ いや｡ そいで 一応さ 管理職研修とか 出たわけよ｡ (啓子･祥子)うん｡ ああ｡ 私って➡ 会社員なんだなっていうことを 思い知らされてしまったわけ｡ ドラマ 作るみたいな 仕事してるとさ➡ そういうの 忘れてたりするわけよ｡ 何か まあ 一応ね 身分としては 会社員なんだけど｡ ｢普通の会社員とは 違いますから 私｣みたいな｡ ｢クリエーティブな仕事 してますから 私｣みたいなさ｡ 分かるよ｡ うん｡ でね 研修 出たらさ➡ 自分の知らない部署の人が わんさか いるわけ｡ で 出世したことをさ うれしそうに してるわけよ｡ でも 私 全然 うれしくなくてさ｡ 好きなドラマ 作れなくなっちゃったしさ｡ もう はんこばっか 押してるうちに➡ 定年が来るよ 定年が｡ (啓子･祥子)えーっ!? (啓子)やめようよ｡ (祥子)そうだよ｡ やめよう…｡➡ 飲もうよ｡ 飲もう 飲もう｡ 飲もうって｡ でもさ 私 今日さ 飲んでも いいんだけどさ➡ こういう気分じゃないんだよね｡ (祥子)えーっ？ 新橋の 何か おっさんたちと 語り合いたい みたいな感じ｡ あっ｡ いいね｡ (祥子)うん｡ 行っちゃう？ ホッピーとか 飲んじゃう？ 行くか｡ 行けば いいのか｡ (啓子)うん｡ (栓の開く音) (３人)うわ!? (祥子)ああ…｡ シャンパン キャンセルって➡ 今 言おうとしたんだよ｡ (祥子)あら｡ (３人)まっ いっか｡ 飲むか｡ 飲むか｡ もったいないし｡ 引っ掛けてね｡ 上げてからね｡ (祥子)いっちゃおう…｡ (３人)副部長 三人娘でーす！ (祥子)おじさんたち 幾つ？ (啓子)そう｡ 何歳ですか？ (男性)ジャスト 40｡ 40？ (男性)42｡ みんな 年下じゃねえかよ｡ (男性たち)えっ？ (祥子)やだ やだ｡ つうか じゃあ 今日は とことん 飲みますよ｡ 俺に ついてこい！ (一同)イェーイ！ ＜人が 大人になるということは➡ それだけ 多くの選択を してきたということだ＞ ＜何かを 選ぶということは➡ その分 違う何かを 失うということで＞ ＜大人になって 何かをつかんだ 喜びは➡ ここまで やったという思いと➡ ここまでしか やれなかったという 思いを 同時に知ることでもある＞ ≪(ドアの開閉音) (典子)ああ｡ おかえり｡ ご飯は？ (翔)いらねえ｡ (典子)ちょっと｡ いらねえって 何よ いらねえって｡➡ 食べてくるんだったら 連絡しろって➡ 何回 言ったら 分かるの？ ≪(ドアの開閉音) (広行)ただいま｡ (典子)おかえり｡➡ あっ｡ すぐ ご飯にする｡ (広行)あっ｡ 食べてきたんだ｡ (典子)はあ？ 何で 連絡しないのよ？ (広行)ごめん ごめん｡ ちょっと 仕事でね｡ よいしょ｡ (典子)ったく もう｡ ＜だからこそ 人は➡ 自分の選んだ 小さな世界を 守り続けるしかない＞ (典子)ハァー｡ ＜選択が 間違っていたと 認めてしまったら➡ 何も 残らないから＞ (知美)後悔してない？ 結婚 決めて｡ (真平)何で？ してないよ｡ (知美)なら いいけど｡ (知美)あのさ｡ (真平)うん｡ (知美)念のために 聞くけど｡ (真平)うん｡ (知美)今までは 世界中の女の人を 幸せにするために➡ 天使を やってたわけだけど｡ (真平)うん｡ やってたね｡ 結婚したら できないんだよ？ (真平)ああ｡ それ 分かってるよね？ (真平)うーん｡ 頑張る｡ 頑張るって 何よ？ 頑張るって｡ (真平)金太郎専用の天使になるよ｡ (知美)はあ？ あっ｡ ちょっと｡➡ あっ｡ ちょっと｡ また そういう ホストみたいな｡ (真平)ホストじゃないよ｡ ほっぺたに してあげるから｡ (知美)やめて やめて｡ やめて｡ (真平)いいじゃん｡ ＜それは 30代では➡ まだ 知ることのなかった 感覚なのかもしれない＞ ＜無限の可能性とは 言えないかも しれないけれど➡ まだ この先に 世界が 広がっていると 思っていたから＞ ＜私は いったい 何を 得たんだろう？＞ ＜そして 何を 失ったんだろう？＞ (えりな)返してよ｡ やだ｡ その顔｡ ねえ｡ 返して｡➡ 返して｡ ホントに 返して｡ おい｡ えりな｡ (えりな)あっ｡ どうも｡ うちの お父さん｡ ｢どうも｣じゃないよ｡ お前 今 何時だと思ってんだよ？ (蒼太)初めまして｡ (蒼太)えりなちゃんと お付き合い させていただいてます➡ 原田 蒼太といいます｡ お… お付き合い？ あっ｡ どうも｡ あっ｡ そう｡ ああ｡ 初めまして どうも｡ ≪(薫子)あのう｡ (薫子)蒼太の母でございます｡ あっ｡ お母さん？ ああ｡ そう｡ (薫子)どこかしら？ えっ？ 大丈夫…？ (薫子)あった｡ ああ｡ (薫子)申し訳ありませんでした｡➡ あのう｡ えりなちゃん｡ うちに 遊びに来てくれて➡ つい 楽しくて こんな時間になっちゃいました｡ ああ｡ そうだったんですか｡ いや｡ すいません｡ 何か わざわざ 送っていただいて｡ (薫子)いえ｡ あのう｡ あっ｡ 初めまして｡ あのう｡ 私 あのう｡ 長倉…｡ あっ｡ 長倉は 一緒なんですけど｡ 父でございます｡ どうぞ よろしく お願いいたします｡ (薫子)初めまして｡ えっ？ (薫子)痛い…｡ 大丈夫？ 大丈夫ですか？ あっ｡ ちょっと これ あのう｡ 使ったものを➡ ラップしたんじゃなくて 新しいものなんで｡ (薫子)うちね あのう｡ 蒼太と ２人なもんですから➡ えりなちゃん 来てくれると ホント 楽しくて つい｡ あっ｡ そうですか｡ もう…｡ ホントに おてんばなんですよ｡ (薫子)ああ｡ いえ｡ すいませんでした｡ すいません｡ 申し訳ありません｡ こちらこそ ホントに｡ (薫子)これからも よろしく お願いします｡ あっ｡ いや｡ こちらこそ よろしく お願いいたします｡ あっ｡ バナナ｡ バナナの｡ それ バナナなんですか？ (薫子)バナナが 入るんです これ｡ (えりな)ハァ｡ ごちそうさま｡ ≪おはようございます｡ (万理子)おはようございます｡ おはようございます｡ (真平)おはよう 千明｡ おはよう｡ (真平)あっ｡ 今日は 二日酔いの 朝ご飯だね｡ 分かる？ さすが…｡ (真平)元カレ｡ (万理子)あのう｡ それは そろそろ やめた方が よろしいかと｡ 何で？ (万理子)真ちゃんは もうすぐ➡ 結婚するわけですし｡ (真平)そっか｡ お前 いいこと言ったよ｡ (万理子)恐れ入ります｡ (真平)兄貴｡ 秘書課長も やるんだって｡ 世界遺産問題の➡ 責任なんでしょ？ 責任じゃない｡ 何 何？ 兼務すんの？ 兼務？ 責任じゃない｡ おしゃべりだな お前の彼女｡ ≪(典子)ちょっと！ 聞いて！ 何だ 典子！ お前 おはようございますって➡ 入ってこいって いつも 言ってんだろ｡ (典子)おはよう｡ おはよう｡ (典子)うちの亭主 浮気してる｡ (真平)はいはい｡ 何だよ 朝っぱらから｡ しょうがないでしょ｡ 朝 洗濯しようとして 分かったんだから｡ 夜まで 待てないのか？ 朝飯 食いながら する話じゃないだろ｡ それは 典姉には 無理な話かと思われ｡ そうだけどさ｡ で で で で？ 何で 分かったの？ (典子)ワイシャツに ファンデーション｡ (万理子)また ずいぶんと べたな発覚ですな｡ ですなぁ｡ お前さ よく あるじゃないか｡ 何か こう 満員電車に乗ってて こう ぺったり 顔が➡ くっついちゃったみたいなやつ｡ (典子)違う｡ 絶対 違う｡ 何でだよ？ (典子)しかも 千明が使ってる➡ ファンデーションと 同じにおい｡ えっ？ ちょっと待ってよ｡ 私じゃないよ｡ 分かってるわよ｡ でも 私のより かなり高い｡➡ 金だけは持ってる 独身女だね｡ フフフ｡ 悪かったですね｡ (典子)しかも ここだよ？ ここ！ やめなさい｡ (典子)ここにだ｡ ﾌｧﾝﾃﾞｰｼｮﾝ…｡ お前 朝から どこ 指さしてんだ｡ (真平)ちょっと ちょっと｡ 真平｡ これから 結婚すんだ｡ お前 そういう話 慎め 少し｡ (真平)そうだよ｡ 何だ お前｡ 朝から｡ (典子)だから やめとけって話だよ｡ (典子)結婚なんて｡ まだ 間に合う｡ やめときなさい｡ 典子！ (真平)何だよ｡ 勝手に もう｡ で？ どこに 付いてたって？ (典子)だってさ｡ あなたも 見えてたでしょ？ 見えないから 聞いてんの｡ (典子)ここだよ ここ！ やめなさい 典子｡ えりなの前で｡ (真平)やめて｡ やめてよ｡ (えりな)大丈夫です｡➡ 大人ですから｡ いやいや｡ こういう大人には なってほしく ないんだ｡ まったく もう｡ (えりな)ちょっと待ってください｡ それ おかしいと思います｡ 何で？ 親は 子供の成長を➡ 喜ぶもんじゃないんですか？ そりゃ そうよ｡ そりゃ そう…｡ (えりな)不公平だと 思うんです｡ 小さいころは➡ ｢あれが できるようになったね｡ すごいね｣➡ ｢そんなことも 分かるんだ｡ 大人だな えりなちゃん｣って➡ 褒めてたくせに この年になったら➡ 何か 大人になるのが 悪いことみたいになってて｡ いや…｡ (えりな)それって 親の勝手な➡ 願望ですよね？ 違いますか？ おかしくないですか？ 確かに そうですね｡ (えりな)それって➡ 女の子だからですよね？ 絶対｡ 違う違う｡ そういうことじゃない｡ (えりな)いいですか？ 痛っ｡ 例えば この年の男の子に対して 大人になったなって 言うのは➡ 単純に 褒め言葉ですよね？ うん｡ (えりな)｢わぁ｡ 立派になって 楽しみだな｣みたいな？➡ 違います？ 違います？ そうですね｡ そうです｡ (えりな)なのに 女の子だと ｢あーあ｡ 何か➡ 大人に なっちゃったな｣みたいな 言い方で｡➡ 汚れてきたみたいな目で見られて｡ いやいや｡ そういうことじゃない｡ それって 何か すごい不愉快｡ 汚れてるとか…｡ 何で 人より早く 成長しちゃ いけないんですか？ いいことじゃないですか｡ いや｡ いいよ｡ だから 汚れる…｡ すごいや えりな｡ 今度 一緒に 飲み 行こうぜ｡ (えりな)うん｡ (真平)すげえな えりな｡➡ でもさ 何か やっぱ ちょっと 兄貴に 似てきたよね｡ 確かに｡ 着眼点とかね｡ (真平)そうそうそう｡ (えりな)全然 似てません！ (真平)はい｡ ごめんなさい｡ ごめんなさい｡ [TEL] っつうか あんた さっきから➡ 人の話 聞いてる？ (典子)聞いてないわよ｡➡ 人の話なんて｡ 今 殺人計画 練ってるとこなんだから｡ はい｡ もしもし｡ おはようございます 長倉です｡ [TEL] あっ｡ 市長｡ おはようございます｡ すいません｡ 鎌倉の姉妹都市？ もしもし？ ニースです｡ ニース｡ 武田？ どうした 朝っぱらから｡ あっ｡ 急きょ 会合が｡ ちょっと｡ 相談とか やめてよね｡ お気を付けて｡ えっ 私もですか!? この前 言ったばっかりじゃん｡ いや｡ 私は ちょっと｡ うん｡ いいけどさ｡ いやいや｡ 大丈夫ですけど｡ 今さ 鎌倉だからさ｡ いきなり過ぎて｡ はい｡ 急いで 行くっつったって➡ ちょっと 時間 かかるよ｡ 今すぐ 市役所って｡ ちょっと｡ いや｡ 分かりました｡ 分かった 分かった｡ じゃあ 行く｡ すぐ 用意しますけど｡ ほら 万理子 行くよ｡ (万理子)はい｡ 行ってまいります｡ ３泊？ ３泊ですか？ フランスの ニースに ３泊｡ おはよう｡ (万理子)おはようございます｡ (武田)千明さん｡ どうした どうした？ 武田｡ (武田)いや｡ 例の万理子先生が 書いてくれた台本の➡ 原作なんですけど｡ うん｡ (武田)あほ部長が 台本 読んでもないくせに➡ 深追いするな｡ 諦めろって いうんですよ｡ 何 それ？ どういうこと？ (武田)他のチームが➡ 同じ作家の 違う原作 狙ってるんですって｡➡ ホント ふざけんなって話ですよ｡ こっちが先ですよ 提案したの｡ (飯田)台本 面白いのに｡ (三井)すいません｡➡ 私が なかなか うまく 先生を つかまえられなくて｡ (武田)三井さんのせいじゃ ないですよ｡ ハァー｡ よし｡ 決めた｡ (三井)どうしました？ 千明さん｡ ねっ？ (篠原)はい｡ 行くよ｡ (三井)行くって？ 直接 会って 原作権 取ってくる｡ (三井)はあ？ どんなことしたって取ってくるよ｡ 女 使ったって 取ってくるよ｡ (武田)でも 千明さん｡ それが 私の仕事だよ｡ あんたたちを 守ることが 今の 私の仕事｡ ここで 行かなきゃ 男じゃないじゃん｡ つうか 男じゃないか｡ もう どっちでもいいや｡ 男でも｡ 飯田｡ (飯田)はい｡ 先生 今 パリだよね？ (飯田)はい｡ チケット すぐに 手配して｡ (飯田)あっ｡ はい！ (万理子)千明さん｡ 心配すんな｡ 俺に 任しとけ｡ あんたの頑張りは 無駄にしない｡ させない！ カッコイイです 千明さん｡ オホホ…｡ よいしょ｡ ふーん｡ ホントに つながるわ｡ えー｡ ｢千明さま｣ ｢実は 入れ違いで 先生は 日本に 帰国されていることが➡ 発覚いたしました｣ 何 それ？ 嘘でしょ？ えっ？ 行く意味 ないじゃん｡ つうか ここ どこだ？ まだ 日本の上か｡ もう｡ 何やってんだよ｡ 返信が 来ました｡ (武田)えっ？ 何て返しました？ はい｡ ｢実は 先生からは 送った脚本を 読み➡ 喜んで 許諾しますという メールが➡ あほ部長に あったのですが あほ部長が それを すっかり➡ 忘れていたという 顛末で ございます｣と 返しました｡ 何 それ？ ちょっと待っ…｡ 何 それ？ つうか あほ部長｡ チッ｡ 絶対 殺す｡ ぶっ殺す｡ ぶっ殺す｡ すいません｡ つうか じゃあ 最初っから 行く意味なんか ないんじゃんか｡ もう やだ｡ やだやだ やだやだ…｡ やだやだやだ｡ チッ｡ しょうがない｡ 酒でも 飲むか｡ あっ｡ すみません｡ (ｷｬﾋﾞﾝｱﾃﾝﾀﾞﾝﾄ)はい｡ いいですか？ えっと｡ シャンパンと➡ あと あのう｡ あっ｡ 大阪 タコハチの➡ ミニお好み焼きと…｡ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ おっと｡ ♬～ ここ フランスだ｡ はい｡ はい｡ ７時半です｡ はい｡ 朝の｡ ハハッ｡ はい｡ はい｡ 分かりました｡ はい｡ 失礼いたします｡ はい｡ ハァー｡ ≪ボンジュール ムッシュ｡ ハイ｡ ボンジュール｡ フフフ｡ っていうか 何 カッコつけて➡ ボンジュールとか 言っちゃってんですか？ いや｡ 何ですか？ ど… どうして ここに？ あのう｡ っていうか もう これ➡ 飲んじゃって いいですか？ 散々 歩いちゃって 喉 渇いちゃって｡ あっ｡ ちょっと待って｡ ちょっと待って｡ 私 喉 からから｡ 喉 からから｡ 今 電話してて 楽しみにしてて｡ 全部 飲みやが…｡ ああー｡ おいしい｡ 全部 飲みやがって｡ ムッシュ｡ どうして ここに あのう…｡ ドゥ シャンパン シルブプレ｡ どうして ここに？ えっ？ 何ですって？ ｢何ですって？｣じゃなくて｡ どうして ここに いるんですか？ ああ｡ あなたに どうしても 会いたくて｡ えっ？ んなわけないでしょ｡ ついでですよ ついで｡ ついで？ ああー｡ 気持ちいい｡ ちょっと どいて｡ よいしょ｡ 危ない 危ない｡ どいて｡ ほら｡ どいて｡ メルシー｡ なるほどね｡ 地球を股に掛けた ついでですか｡ まあ そういうことですね｡ 電話くれりゃ いいじゃないですか｡ いや｡ だって 仕事中だったら 悪いなと 思うじゃないですか｡ ああ｡ まあ そうですけど｡ フフフ｡ はい｡ よっこいしょ｡ 今回は 大丈夫ですか？ はい？ 市長に 体を要求されたり してませんか？ あの世界遺産問題のときみたいに｡ ｢意気地なし｣みたいなね｡ してませんよ｡ 何で いい年した おっさんが そう何度も➡ 体を 要求されなきゃ なんないんですか｡ それとね あのう｡ その世界遺産の話も➡ ホントに 勘弁してもらえませんかね？ あっ｡ 何か 近くに アビニョンって➡ すごい いいところ あるらしいじゃないですか｡ 人の話 聞いてます？ ねえ？ わぁ｡ ここ 名所だわ｡ いや｡ 名所とかって そういうことじゃなくて｡ うわぁ｡ すごい奇麗だよ この橋｡ いや｡ 私が 言ってるのは…｡ いや！ 大変！ ここ 世界遺産に登録されてる｡ 行きません！ 世界遺産には 行きません｡ っていうかさ｡ もう そういうのはさ➡ 笑いに 変えちゃえば いいんじゃないですか？ 年 取るとね なかなか 心の傷は 治りませんよ？ だから もう 自ら 笑いにして 自虐的なネタにしちゃうんですよ｡ ネタって 何ですか？ 人ごとだと思って そういうふうに｡ だから ほら｡ もう 名刺にさ 書いちゃいなさいよ｡ ｢世界遺産登録を 落選させた男 長倉 和平｣みたいなね｡ ちょっと待ってください｡ いいですか？ ｢ああ｡ どうも｡ このたび 世界遺産問題の➡ 責任を 取ることになりまして➡ 秘書課長と 兼務になりました 長倉でございます｣みたいな｡ あのですね…｡ ｢はい｡ もしもし｣ ｢ああ｡ お世話になっております｡ 世界遺産登録 落選男の➡ 長倉でございます｣ ちょっと｡ 落選男って 何ですか？ いいですか？ ちょっと 話を聞いてください｡ いやいや いやいや｡ 世界遺産 落選…｡ そうするとね！ そこまでやるとね 人は➡ ｢あれ？ ホントは この人の責任じゃ➡ ないんじゃないかな｣って 思うものなんですよ｡ そうですか？ そういうもんですよ｡ ぜひ やってみてください｡ ええ｡ いやいや いやいや…｡ やりませんよ そんなこと 絶対｡ ｢意気地なし｣ 何が ｢意気地なし｣ですか｡ ｢意気地なし｣ 誰がやるか そんなこと｡ ああ｡ メルシー｡ メルシー｡ ヘヘッ｡ ジャン｡ でも 相変わらず カッコイイですね｡ あなたの 仕事ぶりは｡ えっ？ ｢私に任せろ｣なんつって パリに飛んで｡ それに比べて 私は しょぼいというか 何というか｡ こんな感じで 終わりなんですかね？ 私の仕事人生は｡ 私も 同じです｡ えっ？ まあ しょぼいですわ｡ これで 終わりなのかなって 感じです｡ いいや まだ｡ 何か いいこと ありますかね？ この先｡ そうですね｡ まだ 終わったわけじゃないですからね｡ まっ そうですね｡ うん｡ (フランス語) あらあら｡ あっ｡ 取ります 取ります｡ 大丈夫 大丈夫｡ はい｡ はい どうぞ｡ (男性)メルシー｡ いいえ｡ 優しい｡ こっちも 夫婦だと 思われましたかね｡ どうですかね？ まあ そうかもしれませんね｡ ああいう人生には ならないんだな 私は｡ どうしてですか？ うん？ あんなふうに➡ 仕事とか 子育てとか 人として 人生で やるべきことを➡ やり終えた｡ 後は のんびり 楽しく 過ごして➡ 何が悪いんだ みたいなね｡ まあ これは これで 楽しいですけどね｡ なるほどね｡ ああー｡ いいところですね｡ 鎌倉と 姉妹都市というのも 何となく 分かります｡ はい｡ うん｡ あのう｡ 何ですか？ ありがとうございます｡ うれしいです｡ ついででも 会いに来てくれて｡ 何ですか｡ 急に 改まっちゃって｡ いやいやいや…｡ いやいや｡ あれですよ｡ パリで 飲み友達 探してたら➡ ニースにいた みたいな 感じですからね｡ あっ｡ はい｡ なるほどね｡ はい｡ まあ 国際的で カッコイイですよね｡ まあ カッコイイですよね｡ ええ｡ じゃあ ニースに｡ ニースに｡ 乾杯｡ 乾杯｡ 何なんですか？ あなたね｡ ねえ｡ 指さしちゃいけないって 教わりませんでした？ 失礼｡ 何？ 何よ？ もう｡ つくづく➡ タイプじゃないと 思っちゃって｡ はあ？ 全然 違う｡ そんなのはね お互いさま｡ で で で？ で あなたの場合➡ どんな人が タイプなんですか？ 私？ そうですよ｡ 私のタイプの女性？ うん｡ うーん｡ そうですね｡ 何ていうのかな｡ 全体的にね ふわ ふわ ふわ ふわ ふわっとした人｡ 例えばよ 雰囲気とか 話し方とか 洋服のセンスとか➡ 全部 やわらかいっていうかな｡ うん｡ うん｡ で 性格的に 言わせていただきますと➡ ｢ちょっと 私 天然 入ってるんです｣ ねっ｡ ｢運動とか 全然 駄目なんです｣ ｢駆けっこなんて ものすごい 遅かったんです｣なんて｡ そんなこと 言われたら 最高｡ ハッ｡ ハハハ｡ ｢ハッ｣って｡ あんた 今 鼻で 笑いましたね｡ ねえ｡ 何だ それ？ 欧米か｡ デ･ニーロか？ 私なんか あれっすよ｡ 運動会では➡ リレーの アンカーの座を➡ 守り通すような女ですからね｡ わーっと 走っちゃう｡ 分かる｡ 足 速そう｡ がむしゃらに｡ 速い 速い｡ マイ タイプ？ 言っちゃう？ 聞いてあげましょう｡ 聞いてあげますよ｡ だからさ➡ とにかく まあ こういうんじゃ ないんだよね｡ 分かったっつうの｡ うるせえな｡ うるせえ｡ あーん｡ 少年っぽいやつ？ うん？ 何つうの？ 少年っぽくて 声とかも ちっちゃくて➡ ぼそぼそ みたい｡ ぼそぼそ みたいに しゃべるから｡ ｢何？ 何？ 何？ 今 何つったの？｣ ｢何て？ もう１回 言って｣みたいな｡ 近づきたくなっちゃう｡ ｢聞こえない｣みたいな｡ じゃあ あれだ｡ あなたが 前 話してた➡ あのう ポスト･イット 貼って 別れるとき 出てった➡ 通称 ポスト･イット男｡ あれも そんな感じだったんですか？ うーん｡ うーん｡ どうしました？ うーん｡ うーん｡ うーん｡ うーん｡ どうしました？ どうしました？ 気持ち悪い？ ♬～ ヤベえ｡ また やっちまった｡ ちょっと｡ そこの 日本人の おっさん｡ 痛っ｡ 起きて｡ 痛い｡ 起きてください｡ 痛い｡ おはようございます｡ おはようございます｡ あれ？ 臭え｡ ここ どこですか？ ちっと あれ｡ 寒い｡ あれ やっちゃいますか？ 何 やるんですか？ せっかくだから｡ 寒い｡ ほら｡ チャンスですから｡ 痛っ｡ さあ 起きて｡ ウエイクアップ｡ ちょっと待って｡ もうちょっと｡ いえいえ｡ 頑張って｡ もうちょっと 寝たい｡ 頑張って｡ もうちょっとだけ 寝かして｡ 行きましょ｡ チャンスですから｡ 痛え｡ あれ やっちゃいましょ｡ あれ｡ ちょっと 気持ち悪い｡ あれ やっちゃいましょっつってんの｡ 何ですか？ ちょっと いきなり 気持ち悪い｡ 気持ち悪くない｡ ちょっと 気持ち悪い｡ もう 早く｡ ううー｡ 駄目｡ だって 昨日 あんなに｡ あなた よく 平気ですね でも｡ 何ですか？ どこ 行くの？ 痛い｡ たぶんね｡ たぶん こっち こっち｡ こっち｡ 絶対 こっち｡ 何で 分かるの？ あなた どこ 行くんですか？ いいから 来て｡ 危ない 危ない!? 危ない…｡ 見て この街 カワイイ｡ カワイイけど これ どこ 向かってんだ？ においがする においが｡ 痛っ｡ 痛っ｡ ほらほら｡ ほら｡ 見えてきた 見えてきた｡ 海？ 海 海｡ 海 行くんですか？ 海ですよ｡ 結構｡ 結構 走ってますよ これ｡ 何か ハイになってきますね｡ 走ってると｡ これ ﾗﾝﾅｰｽﾞﾊｲってやつですかね｡ 追い抜かした！ (せき) 海！ ああー｡ 気持ち悪い｡ 気持ち悪い｡ バカヤロー｡ あなたも 早く 靴 脱いでください｡ 靴 脱ぐんですか？ 脱ぐに決まってるじゃないですか｡ 早く｡ 分かりました｡ 待ってくださいよ｡ いってえ!? 何 これ？ えっ？ いってえ｡ 石 痛え｡ 靴下も脱いで 早く｡ 靴下…｡ 分かりました｡ 脱ぎます｡ 脱ぎます 待って｡ 早くして｡ 分かった 分かった｡ 分かった｡ 脱ぎます 脱ぎます｡ いってえ!? あなた よく 平気ですね｡ はい はい はい…｡ いいから｡ でっかい｡ でっかい 健康器具の上 歩いてるみたい｡ わあー｡ ざっぱーん｡ ああー!? ああー 冷たい｡ 冷たい｡ でも こんなの 恥ずかしくて 日本じゃ できないでしょ｡ まあ そうですね｡ やろうとも あんまり 思わないですけど➡ 地中海に入るなんて そう ないですからね｡ ねえ｡ ねえ｡ じゃあ あれですよ｡ あれも やっちゃいますか？ 何を？ 青春っぽいやつですよ｡ 青春っぽいやつって 何ですか？ この野郎！ ああー!? やめて！ やめて やめて！ やめて！ ちょっと待って！ 私 これしか スーツ ないの｡ もう あなたね！ もう｡ ハハハ！ ちょっと待って｡ 波打ち際で 水を掛け合う 長倉 和平 52歳と｡ ああー!? 吉野 千明 48歳｡ ２人 合わせて…｡ 100歳！ 100！ っていうか それ やめろっつってんの｡ あなたが 言いだしたんでしょ？ あなたが｡ そうか そうか｡ あなたが 言いだしたんでしょ？ うるさい うるさい うるさい｡ あなたが！ うるさい！ っていうか 一気に 酔い さめたわ｡ ああー｡ あっ！ 何ですか？ いや｡ 朝の会議の前の 打ち合わせ｡ あららら…｡ あのう｡ 私 行きますけど 大丈夫ですか？ 私 大丈夫ですよ｡ 癒やし系じゃ ありませんし➡ しっかり系の たくましい系ですから｡ ああ｡ そうでした｡ 痛てて｡ 痛っ｡ あなたこそ 仕事 大丈夫ですか？ 大丈夫です｡ 私 真面目｡ 真面目系なんで｡ 痛てて!? 痛てて!? あーあ｡ 和平さん｡ はい｡ 今日も お仕事 頑張ってくださいね｡ 癒やし系で 言ってみました｡ ありがとう…｡ 何ですって？ ちょっと あのう｡ 無口な少年系で 言ってみました｡ 痛い!? 痛い!? じゃあ 行きますよ｡ 気を付けてくださいよ｡ はい｡ いってらっしゃい｡ いいですか？ 痛い!? 痛てて!? ヤベえ ヤベえ ヤベえ｡ ハハハ！ 痛てて…｡ 痛っ｡ ヤバい ヤバい｡ ヤバい ヤバい｡ 痛てて｡ ううー｡ 寒い｡ ♬～ 一条さん｡ (一条)ああ｡ クラちゃんか｡ お久しぶりです｡ 相変わらず お元気そうで｡ 何ですか？ 痛てて｡ ちょうどいいところへ 来たよ｡ ほら｡ これ 面白いよ これ｡ ためになる｡ あんたも 読んだ方がいい｡ いや｡ 私は いいです｡ 私は いい｡ だいたい 一条さん｡ よく 見てくださいよ｡ 50代って 書いてあるでしょ｡ 一条さん 80代ですからね｡ 言っときますけど｡ (一条)｢50代からの｣って 書いてあるだろ ほら｡ いや｡ そう 書いてありますけど｡ ｢からの｣って｡ (一条)男はね 死ぬまで 男なんだよ｡ いや｡ それ 分かりますけど｡ じゃ どこまでだって話に なるでしょ｡ (一条)あっ｡ そういえば ほら｡ 世界遺産｡ また その話ですか｡ (一条)うん｡➡ あれ よかったね｡ ならなくて｡ ホントに よかった｡ ありがとうよ｡ いやいやいや…｡ (一条)いやいや｡ これ以上ね➡ 人が増えたら たまんないだろ｡ ほら｡ だから よかったんだよ｡ ですよね｡ そうですよね｡ (一条)そうですよ｡ あっ｡ ヤバい ヤバい｡ そう言っていただけると…｡ 何ですか？ (一条)うちの ばあさん そこに➡ 突っ立ってる｡ じゃあ 俺 行くからね｡ 私 隠れることないじゃないですか｡ (一条)これ これ｡ これ 持って｡➡ 読まなきゃ 駄目だ｡ 私は いらないって｡ いらないって｡ 一条さん もう｡ こそこそした方が 怪しいって もう｡ 似てるよな｡ 似てますよね｡ ええ｡ (薫子)こんにちは｡ こんにちは｡ 何で ここに…｡ 似てるんですけど➡ 私では ないんです｡ (破れる音) もちろん｡ もちろんです｡ (薫子)だって➡ この人 ここに ほくろ｡ でも 私には ほら｡ ないでしょう？ ないです｡ でも ちょっと うれしかったです｡ はい？ あっ｡ 今度 ぜひ えりなちゃんと 一緒に➡ うちに いらしてください｡ ありがとうございます｡ (薫子)失礼します｡ 何で…｡ すいません｡ 何で ここにいるかを…｡ ここに…｡ おかしいだろ｡ こんな偶然｡ お疲れさまでした｡ (警備員)お疲れさまです｡ (ｽﾀｯﾌたち)お疲れさまです｡ お疲れさまです｡ 何してんの？ (ｽﾀｯﾌ)入構証 忘れちゃって｡ バカじゃん｡ お疲れさま｡ お先に｡ (ｽﾀｯﾌ)お疲れさまです｡ お疲れさま｡ (涼太)お疲れさまです｡ 涼太？ どうしたの？ (涼太)あっ｡ いや｡ 何？ (涼太)あのう｡ (涼太)ごめんなさい｡ ちょっ ちょっと｡ (従業員)いらっしゃいませ｡ (従業員)あのう｡➡ 今 これ 破きましたよね？ お買い上げいただかないと➡ 困るんですけど｡ いや｡ 私 破いてないです｡ (従業員)お買い上げいただけ…｡ いやいや｡ 大丈夫｡ (従業員)買えば 全部 見れますから｡ 50代からの➡ セックス特集も グラビアも｡ 分かりました｡ 買います｡ 買います 買います｡ 買います すいません｡ あっ｡ これ 届けりゃいい｡ そうだ｡ そうか｡ 一条さんに 届けりゃいいんだ｡ ちょっと｡ 何 急に来て 土下座とか｡ みんな 見てたじゃん｡ 何してんの？ なっ!? なっ!? ちょっと｡ 何!? どうした？ こっちですって｡ あっちでしょ｡ 分かってないでしょ｡ 分かってますよ｡ キャー！ キャー！ 何 これ!? 幾らになります？ 吉野さん｡ ちょっと待って｡ 左？ はい｡ ちょっとですね｡ チーズ｡ はい チーズ｡ (シャッター音) はい｡ 撮りましたよ｡ 撮りました？ 入ってない｡ 私を 撮ってください｡ 待って 待って｡ もう１枚｡ (外国語) それ 駄目｡ ほらほら｡ 何か とられた｡ 今｡ ちょっと待て｡ これ 持って 持って｡ 私は 同じ てつを踏まないんです｡ カッコ悪い｡ 来た 来た…｡ ﾊﾝﾄﾞﾊﾞｯｸﾞ よけて｡ うるさい！ うるさい！ ださい｡ 何なの これ？ 大丈夫ですか？ あなた ホントに｡ ちょっと 支えが欲しい｡ 何か バッテリー ないわ｡ メルシー｡ メルシー｡ 危ない｡ 失礼じゃない｡ 危ない｡ ああいうの 危ない…｡

桜からの手紙～AKB４８・それぞれの卒業物語～＃09

1 ♪♪～ （みなみ）　私達は　高校時代という 青春の１ページに。 （大島優子） 永遠に忘れることのない。 （板野）　尊い人に出会った。 （麻友）　命が絶えたとしても。 （陽菜）　確かにある。 （由紀）　変わることなく。 （前田敦子）　脈々と流れている。 （麻里子）　「先生」と呼ぶ　その人は 私達に残して行った。 （一同）　大切なものを残して。 それは 一通の先生の手紙から始まった。 ♪♪～ ねぇ　聞いて！ 受かったよ！　医学部　受かった！ （峯岸）　ウソ～！ （峯岸）　さすが　優子！ ラクロスも両方やり遂げたね。 あの時　ホントに 諦めなくて　よかったよ。 前田先生の手紙のおかげかな。 これがなかったら　中途半端に 高校生活　終わってたかも。 大切なことを教わった気がする。 （みなみ：陽菜）　優子も？ えっ？　みなみと陽菜も？ 私も　このおかげで　大切なものを 見失わずに済んだの。 私は　赤ちゃん産む決心した。 えっ!? えっ!? （由紀）　私も　救われた。 新しい自分に気づけたの→ なのに 大切な手紙　捨てちゃったけど。 ごめんなさい。 （由紀）　これ…。 ゴミ捨て場で拾って 捨てられないまま持ってたの。 ありがとう。 私も　先生の手紙がなかったら 友達　失ってたかもしれない。 麻友たちも　そうだよ。 手紙のおかげで 本当の友達になれたの　ねっ。 私も　進路　決められた。 （瑠美）　私も。 （板野）　すごい！ 先生の手紙　大活躍じゃん。 この手紙には　先生の 私達への精いっぱいの気持が→ 詰まってたんだね。 （前田幸次）　((皆さんに→ 報告と謝罪をしなければ ならないことがあります)) ((これを)) （板野）((何？　それ)) （遥香）((デートに遅れちゃうよ)) ((佐藤さん　小嶋さん)) ((その手紙が　僕から皆さんへの→ 卒業証書になります)) ((ざわめき)) ((もしかしたら 遺書になるかもしれない)) （遥香）((先生　遺書って 死んじゃうっつうことですか？)) ((申し訳ありません)) ((最近　調子がよくなくって 病院に行って来ました)) ((病名は　すい臓がんでした)) ((僕の余命は　あと３か月です)) ((今日から入院することに なっておりますので→ これで　皆さんとは　お別れです)) ((心残りは→ 皆さんの卒業を見届けることが できなかったことです)) ((皆さんが　今　過ごしている 青春時代は→ 二度と巡って来ない 人生の春です)) ((悔いのないように 大切に過ごしてください)) この手紙が みんなの人生を変えるなんて…。 桜マン　ちゃんとウチらのこと 考えてたんじゃん。 （智美）((出た　桜マン)) （亜樹）((あの桜　一回も咲いてるの 見たことないよ)) （みなみ）((前田の奴 あんなことしてる暇があるなら→ ちょっとは　担任らしいこと してくれればいいのに)) 先生　桜の世話しか 興味ないように見えたのに。 何で　あんなに桜の世話ばっか してたんだろ？ 先生の病状　どうなのかな？ お礼の電話しようよ。 えっ　柏木さん 先生の携帯番号　知ってんの？ （由紀）　私と先生　メル友だもん。 おぉ～！ （みなみ）　マジで？ [TEL]（女性）　もしもし？ あの… 前田先生のケータイでしょうか？ （看護師）　はい　そうです　前田さん 今　電話に出られないんです。 [TEL]　かけて来るかもしれない生徒が いるのでと　おっしゃって→ 出られない時は 出るように頼まれていて。 （由紀）　電話に出られないくらい 悪いんですか？ （看護師）　そうですね。 ホームルーム　始めま～す。 （麻友）　前田先生 もう　そんなに悪いんですか？ 宣告された３か月は もうすぐだしね。 先生…　これじゃ 娘さんに会えないんじゃ…。 どういうこと？ （みなみ）　先生 みんなに話してもいいですか？ 先生　娘の敦子さんに→ ３年前から 全く会ってもらえないままなの。 えっ　何で？ 先生　昔は この学校じゃ有名な熱血教師で→ いい先生だったらしいんだ。 へぇ～。 ((お父さん　お弁当　忘れてる)) ((あっ…)) ((ダメでしょ！　愛妻弁当ならぬ まな娘弁当なのに)) ((熱血教師は体力勝負！)) ((敦子　お前　進路どうする？)) ((私は　もう決まってるよ)) ((教師になるの)) ((お父さんみたいな ウッザ～い熱血教師に)) ((そうか)) ((あ～　ウザい　ウザい いってらっしゃい！)) ((うるっさいんですけど)) なのに １人の生徒に勘違いされて→ 恋愛感情　持たれて…。 （指原雄三）((ウゼェ！)) （指原莉乃）((お父さん！)) ((莉乃さんの気持を 考えてやってください)) ((先生のことが好きなんです)) ((指原…)) 思いが伝わらなかった その教え子が→ 敦子さんにウソをついたりしたの。 その頃　敦子さんは いじめを受けてて→ 精神的に追い込まれてたみたい。 ((お父さん　私　話があるの)) ((後で聞くから)) ((指原が大変なんだ 「今から死ぬ」って電話して来た)) ((そんなの　お父さんの 気ぃ引こうとしてるだけだよ！)) ((ホントに死のうとしたら 電話なんかして来るわけない！)) ((もし　そうだとしても ほうっておけないだろ)) ((俺は教師なんだ)) 敦子さんは 自分よりも彼女を心配して→ いじめに気づいてくれなかった 先生に→ 絶望したの。 （麻里子の声）　それが原因で 敦子さんは家を出て…。 ((はい　どちら様ですか？)) ((おとうさんだ)) ((帰って)) ((敦子…)) ((会いたくないって いったでしょ！)) （麻里子の声）　先生のこと 拒絶するようになったみたい。 それから　先生も変わっちゃって。 （由紀）　そんな…。 （里英）　先生　悪くないじゃん。 （才加）　そんなんで親が死ぬのに 会えなかったら→ 敦子さんも後悔するよ。 先生　かわいそう。 ねぇ　何とかなんないの？ 先生に→ 敦子さんにも手紙を書くように いったんだけど。 ≪みんな！≫ ≪大変！≫ （亜美菜）　桜が…　桜の木が！ （亜樹）　切り倒されちゃう！ え？ ≪早く！≫ （校長） では　切り始めちゃってください お願いします。 （作業員）　はい。 （チェーンソーの音） やめてください！ （みなみ）　やめてください！ お願い　切らないで！ やめてください。 あなた達！　何してるの！ 危ないじゃない。 お願いです この木は　切らないでください。 前田先生が 大切に守って来たんです。 （校長）　あなた達みたいな 優秀な生徒が何いってるの？ この木　もう死んでるじゃない。 そんなふうに思えないです。 花も咲かない桜なんて 邪魔なだけでしょ。 花が咲くことだけが 大事じゃないと思います。 ここに　この木があると 心が安心するんです。 そうだよ！　お願いします 前田先生は咲くって信じてます。 この桜の木は 先生の生きる支えだから。 それなら ウチらが生き返らせます。 校長先生　私達は 「桜乙女」と呼ばれるほど→ この桜は　わが校の象徴です。 （みなみ）　そうです 卒業した桜乙女達が訪れた時→ この木がなくなっていたら ショックを受けると思います。 でも　この木を切れば グラウンドが広く使えるのよ。 校長　私からもお願いします。 せめて　春まで 待っていただけないでしょうか。 今年の春　生き返らなかったら 諦めます。 （麻里子）　このコ達が　こんなにも 桜を守りたいと思った気持を→ くんでやって いただけないでしょうか。 分かりました。 ただし　あなた達が卒業するまでに この木が生き返らなければ→ 即刻　切り倒します。 今日は　ご苦労さま　もういいです。 （作業員）　はい。 でも　卒業までって 無理じゃない？ ねぇ　みんな 先生に恩返ししたくない？ （智美）　恩返し？ うん。 私達 先生から手紙もらったおかげで→ いろんなことが変わった。 ううん　変えられたじゃん。 そのお礼をしたくない？ 賛成　私も　そうしたい。 恩返しって　何するの？ 先生が喜ぶこと…　だよね。 だから 何とかして桜を生き返らせる。 （板野）　やっぱり　それか… 花が咲いたの見たら→ 先生　泣いちゃうだろうな。 そうだね。 でも　この桜 もう死んでるんでしょ？ それを　どうにかするの。 そうだよ　この桜の花が咲いたら きっと　先生の病気も治るって。 うん　私も　そう思う。 （みなみ）　でしょ！　治る治る。 （才加）　桜の花　咲かせよう！ （亜樹）　うん　咲かせよう！ 桜大作戦　開始！ （一同）　お～！ じゃあ　教室で作戦会議しよう。 ♪♪～ （里英） ねぇねぇ　由紀　見つけたよ！ よいしょ。 この　リン酸石灰っていう薬が 桜にいいんだって。 ホント？　先生　もう試したか メールしてみる。 私　先生の手紙がなかったら もう　ここにはいなかったかも…。 あっ！ 由紀が生きてて　よかった。 （由紀）　＜私は　いてもいなくても いいような存在で→ たった一人　孤独な闇の中にいた＞ （柏木君子） 由紀は　覇気がないのよね。 ＜常に優秀な兄と比べられ ダメだと烙印が押される毎日＞ ＜「この世から 消え去ってしまいたい」→ その衝動で 自分自身を傷つけていた＞ [TEL]（振動音） ＜だけど　先生のメールが 私に勇気を与えてくれた＞ 北原さん…。 電車とか好きなの？ うん　鉄子で恥ずかしいけど。 私もなの。 ＜そして　その勇気が 力を与えてくれた＞ 欲しいものは　こうやって 自分で手を伸ばさないと→ 誰も与えてくれないんだね。 由紀…。 私さぁ　お母さんに反対されてた→ ヨーロッパの電車　見に行くために バイトするんだ。 私も一緒に行きたい！ うん。 [TEL]（振動音） まだ使ったことないって。 よし！ じゃあ　板野達に伝えなきゃ！ うん。 桜さん　元気になっておくれ！ よみがえれ！ 桜に話しかける　意味不明な奴ら。 （亜樹）　いいじゃん！ 言葉に出せば伝わるって。 （遥香）　言霊　言霊！ 先生の手紙には やられたからさ…。 意味分かんないし。 （板野）　＜私は　クラスでも イケてるグループのリーダーで→ みんなの恋愛の神様だった＞ 男って　寝てみないと 分かんないじゃん。 はぁ～。 ＜胸がないのが コンプレックスで→ 彼氏とエッチできない 遥香の相談に乗ったりしながら→ イケてる女　それが みんなの認める私だった＞ 男のことなら　私に任せて。 ＜でも　リアルな私は 男とチュ～したこともない→ デカパンをはいてるような 女子で…＞ 誰でもいいから 会えないかな？ ＜そんな私の彼氏に 会いたいと→ みんなが言い出したことで 大慌て＞ 彼氏の一人　レンタルさせてください。 （板野明日香）　ダメ。 ＜急きょ　彼氏をつくろう大作戦を 開始したんだけど…＞ （板野）　キャ～！ ＜大失敗＞ お待たせ。 ＜だけど　そのナンパ男は 智美の彼氏だったのだ＞ この人　やめたほうがいい。 何で？ 友達が傷つくのは 黙って見てられない。 悪いけど　この人は浮気者だよ。 （正）　そんなこと　いっていいの？ ＜私は　イケてる彼女達のグループの 一員になれたことが嬉しくて→ 無理して　いい女ぶってたんだ＞ 許してもらえるようなことじゃ ないよね…。 フフフ…。 （智美）　そんなウソくらいで ウチらの友情　変わんないよ。 ともちん。 うん！ そうだよ！ ♪♪～ 「桜マン」なんて バカにして　ごめんね。 きれいな花を咲かせてよ→ 先生のためにもさ！ みんなが…　ですか？ はい。 力を合わせて→ 桜の木を　よみがえらせようと 頑張っています。 はぁ…　よかった～。 あのクラスは 僕に指導力がないせいで→ バラバラだったから。 みんなが　まとまってくれたことが 何より嬉しい。 先生は　なぜ　それほど　あの桜に？ 桜の木のように→ 生徒達を　ただ見守るような 教師になりたいって→ 思ってたんです。 桜の木のように？ 花は　柔らかい心を 傷つけることもない。 太くて　たくましい幹は あのコ達を→ ただ　受け止めてやることが できるから。 この３年間　僕は生徒達に→ 申し訳ないことをしたと 思ってました。 それは何ですか？ あっ…。 僕が彼女達のことを 書き続けて来たノートです。 今さら後悔しても遅いんですが→ 生徒達との距離の取り方が→ 分からなくなってしまった ために→ 担任として 十分なことをしてやれなかった。 だから　せめて あの桜を満開にして→ あのコ達を 送り出してやりたかったんです。 そういえば昔 そんな歌を歌ったなぁ。 先生の心には　いつも生徒のことが あったんですね。 教師って　素敵な職業ですよね。 私　教師になってよかったって 初めて思いました。 ありがとうございます。 （麻里子）　キャ～！　あぁ！ うわ～　やっちゃった。 桜の歌　桜の歌…。 桜の歌と…。 あっ　これかな？ （生徒達）♪～　別れめ ♪～　いざ　さらば やっぱり　『蛍の光』のほうが よくない？ （佐江）　え？　でもさ　卒業式 っていったら『仰げば尊し』でしょ。 何か　私達らしさがないよ。 （佐江）　え～　そうかな？ （佐江）　みんなは　どう思う？ （麻友）　＜佐江は 私の掛け替えのない親友＞ ＜何をするのも どこに行くのも　一緒だった＞ ＜だけど　そんな佐江が 突然　よそよそしくなった＞ ＜その理由が　佐江に 彼氏ができたんだと知った時→ 嫉妬が　私を　どうしようもない 行動に走らせた＞ 私と　付き合ってもらえませんか？ （吉田）　麻友ちゃんでしょ？ 佐江の友達の。 ＜佐江がいなくなったら 独りぼっちになってしまう＞ ＜それが　寂しくて怖かった＞ 先生　あの手紙 どういう意味ですか？ 寂しさで誰かと くっついている間は→ 本音で　ぶつかることも できないよ。 私は…！ 佐江が彼氏のこと秘密にしてて→ 麻友　超寂しかったんだよ？ だから　余計に いえなかったんじゃん！ そんな大切なこと　秘密に されるほうが寂しいじゃん。 私　麻友といる時　無理してた。 洋服だって あんまり好きじゃなくても→ 麻友が喜ぶと思って　合わせてた。 佐江も？ え？ 麻友も時々 無理に合わせて　しんどかった。 ごめん　一番の親友だったのに→ 佐江の一番いいたいこといえる 私じゃなくて…。 ＜そして　初めて　私と佐江は→ 本気で向き合うことが できたんだ＞ ♪～　開けてぞ　今朝は ♪～　別れゆく 何か　『紅白歌合戦』な感じ。 （佐江） うん　何か　年末って感じだね。 ねぇ　こんなの見つけたんだけど。 （佐江）　あ…。 （麻友）　え？ ≪何？≫ ≪弾くの？≫ ♪～　（ピアノ） ねぇ　もし　先生からの手紙が なかったら　どうなってたと思う？ う～ん…。 （優子：みなみ）　私は…。 アハハハ…。 いいよ　優子。 う～ん。 私は　人生　損してたと思う。 ＜医者になりたいという 幼い頃からの夢に向かって→ 受験勉強している私に…＞ アメリカですか!? そう　うちのラクロス部が…。 ＜もう一つの夢が　手招きをした＞ あなた達の代は 引退しちゃったから→ ２年生が行ってもいいんだけど 進路のこともあるし→ どっちが行くかは 相談して決めてくれる？ ウチらが行きたいよね？ うん！　行きたい　行きたい！ よし！　レッツ　ゴー　アメリカ！ イェ～イ！ （峯岸）　優子？ ごめん　私　行けないや。 え？ 優子は受験　控えてるから アメリカなんて無理なんだよ。 （大島絹江）　あら　ラクロス？ ＜受験のために 一度は諦めたけれど→ ラクロスをやりたい気持が抑えられず チームに戻ったけれど→ 私の不注意から 峯岸にケガをさせてしまった＞ 優子がラクロスやりたくて 戻って来たのは分かるよ。 でも　迷いがあったでしょ！ 受験かラクロスかなんて→ そんな中途半端な気持だから 事故が起きんのよ！ 先生　ラクロス諦めて 受験に専念することにしました。 ラクロスできなくなったのは 悲しかったけど→ 私　ホントは ホッとしてるとこもあったの。 自分のキャパ以上のことに 挑戦しなくてよくなって。 でも　そんな時ね　先生の手紙が 気になりだしてたんだ。 「負荷をかけろ」。 （絹江）　やればいいじゃない。 無理だって。 先生だって　みんなだって 「二兎を追う者　一兎も得ず」って。 あ～ら　大島家の家訓は→ 「二兎を追って　両方　得よ」よ。 バカな…。 本当よ　優子→ ２つとも欲しいなら 欲しがっていいのよ？ そりゃ　ひとの２倍 頑張んなきゃダメよ。 何ひとつ　諦めなくていい。 手に入れたいなら 頑張ればいいんだって→ 先生の手紙が教えてくれたんだ。 だから　大学行ったら　前から やりたかったけど　諦めてた→ ピアノ　習い始めるつもり。 そうなんだ　私は　今　思うと→ 先生は　私が養女だって 知ってたんじゃないか→ …って思うくらい どんぴしゃなアドバイスでさ。 え？　何？　それ。 （みなみ）　＜遺書だなんて 訳の分からない→ 手紙を送りつけられ 憤慨していた私は…＞ （みなみ）　谷崎杏子？　何で…？ パパとママは　本当のお父さんと お母さんじゃ　ないの？ ＜とんでもない真実を知った＞ ＜私の産みの母は 世界的なバイオリニストで…＞ 実の親だと思ってた人が そうじゃなかった。 何が起こって私が生まれたのか→ 知りたいと 思うんじゃないですか!? （杏子）　そりゃそうだ。 私を捨てたこと 後悔したことはないんですか？ ないわ。 ＜私は　生まれて来なかったほうが よかったんじゃないかと→ 悲しみと憤りで いっぱいになった＞ 母親は　ただ一人です。 それは　取り換えなんか きかないはずです！ その人は　許されない恋で 私を妊娠しちゃったんだよね。 マジで？ えっ　その話　過激過ぎ。 ハハハ…。 それでも　バイオリンは 諦められない　その人のために→ 私を育ててくれた母が 私を引き取ってくれたの。 どうして 話してくれなかったんだよ！ （高橋晶子）　何を!? 私が実の娘じゃないってこと。 えっ!? もういいよ！ 隠さなくても知ってるんだから。 忘れてた。 えっ？ あなたが 実の娘じゃないってこと。 あの時　血がつながってるとか→ 形に　こだわってる自分が 小っちゃく思えて。 私と両親は ホントの親子だったのに。 私　今度のことで ママとパパのこと→ 超尊敬するようになったよ。 そうだったんだ。 ねぇ！　やっぱり…→ 先生　このままじゃダメだよ。 先生　敦子さんへの手紙は 書きましたか？ はぁ…　いや。 先生　書きましょうよ。 敦子は受け取らない。 それに 今さら　何を書けばいいのか…。 何を諦めてるんですか！ 私達に「悔いのないように」って おっしゃったじゃないですか。 先生は　私に 欲しいものは諦めないことを→ 教えてくれたんですよ。 （みなみ）　そうです　先生の手紙で うちのクラスの人達→ みんな　先生の思いを 受け取ることができたんです。 敦子さんにも 届かないはずがありません！ ありがとう 君達の気持は　ホントに嬉しい。 でも　僕は　もう…。 私達が届けますから。 届けさせてください。 じゃあ　あっちゃん　店番頼んだね。 はい。 いや　参ったよ　娘の結納だってさ。 あっちゃんもな　そんな慌てて お嫁さん行かなくていいんだよ。 おとうさんが寂しがるからさ。 私は　家族はいませんから。 あぁ　そうか。 じゃあ　頼んだね。 はい。 （陽菜）　うわ～　間違えた！ ごめん　紙　変えてもらえる？ うん　分かった。 （亜美菜）　ねぇねぇ→ 男の子と女の子 どっちか　もう分かったの？ （陽菜）　生まれてからの お楽しみにしてるんだ。 （才加）　でもさ　陽菜に似たら かわいいっぽいよね。 そうかな？　男の子だったら 先生の名前　もらおうと思って。 幸次？ うん！ ＯＫ！ あっ　ありがとう。 （才加）　ちゃんと作ってよ　美穂→ みんな　ちゃんと やってんだからさ～。 （才加）　大丈夫？ 最近　気持悪くなるんだよね。 もしかして　妊娠だったりして。 あっ…。 （陽菜）　＜突然の　その出来事を→ 私は　どうしても　父にいうことが できなかった　だけど…＞ ＜悩んだ父は　入院している先生に 会いに行った＞ （小嶋陽三）　今の　娘の味方でいる ためには　どうしたらいいのか。 もっと　陽菜さんの心に 踏み込んでしまっても→ いいんじゃないんですか？ もしかしたら→ 踏み込んで来てくれるのを 待ってくれてるんじゃないかって。 あのコ達に　その手紙を 送ってから気づかされたんです。 おとうさんと陽菜さんは それができる関係を→ つくって来たんじゃ ないんですか？ ＜いつもは私を　腫れ物に 触るように遠慮していた父が→ 初めて私に正面を向いた＞ そのミミズが嬉しかったんだ！ ミミズが　心臓をドクドク 脈打たせてるのを見て→ とうさんと　かあさんは２人で→ 笑いながら泣いたんだよ。 （陽三）　ドクドク 必死で生きようとしてる→ そのミミズが　お前だよ。 それが　命じゃないわけがない。 じゃ　どうしろっていうのよ。 ＜父が　私の命に出あった時の 思いに触れて→ 私は　私に宿った命を 育みたいと思ったんだ＞ できなかった。 お父さんの　あんな思い聞いたら 私　ミミズに見えなくて。 ＜こうして　私は 先生から大切なものをもらった＞ 出来た～！ おっ　いいじゃん！ でしょ～？ いい感じ。 すご～い。 幸次。 [TEL]　今日から　高校１年生です。 [TEL]　部活と…→ あとは　友達が　いっぱい できるように頑張ります。 [TEL]　イェイ。 [TEL]　今日から　高校１年生です。 [TEL]　部活と…→ あとは　友達がいっぱい できるように頑張ります。 [TEL]　イェイ。 [TEL]　今日から　高校１年生です。 ((ガン？)) ((もう　あと２か月ぐらいしか 生きられないかもしれません)) 大丈夫かな？ 大丈夫だよ　きっと。 うん…　ここだよ。 いらっしゃいませ どんな　お花を…。 何の　ご用でしょう？ 仕事中なので…。 先生からの手紙を持って来ました。 この前もいったように→ 私は　あの人のことを 父親だと思っていませんから。 敦子さん　お願いです。 これだけは読んであげて。 あなた何？ 何で　こんなことすんの？ あ…。 まさか　あなたも　あの人の愛人？ そっか…　そうだよね。 あの人　教え子に手出すの 得意だもんね。 こんなもの！ 何すんのよ？ あんた　何見てんだよ！ 先生は　そんな人じゃないでしょ！ ホントは　あんただって 分かってんじゃないの？ 先生が そんなことする人じゃないって。 それを　いつまで　ひねくれて 反抗してんだよ！ 私の気持なんか 誰にも分かんない！ 私…→ 私だって　助けを必要としてた。 毎日毎日　いじめを受けて…。 私　教師を目指すの　やめたよ。 いい先生→ 熱血教師なんて おだてられてても→ 自分の子供が いじめられてることに→ 気づきやしない。 あの人は　最低の父親で 教師なのよ！ ちょっと待ってください！ 先生は 間違いをしたかもしれない。 あなたに悲しい思いを させたかもしれない。 だけど　死に向き合って→ 私達にくれた手紙は 私達を救ってくれたんです。 今さら　そんなもの読んで どうなるのよ！ （みなみ）　まだ間に合うからだよ！ まだ　先生は生きてる。 今なら どんなに　すれ違った心でも→ もう一度 出あうことができるから！ 「敦子　俺は何度すまないと お前に詫びて来ただろう。 ごめんな　敦子。 ふがいない俺のせいで 傷つけた…。 俺を必要としていたのに→ 俺は　そんなお前に 気づくこともできなかった。 俺が何よりも守りたかったのは→ 敦子　お前の笑顔だったのに。 そして　何より　それを いおとしく思っていたのに…」。 「俺は　その大切なものを壊し 失ってしまった。 命の限りを知った時 一番に思ったのは　そのことだ。 お前が嫌なら 俺に会わなくてもいい。 ただ　お前に　あの屈託のない 温かな笑顔が戻ってほしい。 俺は　そのためになら どんなことだってしたいと思う。 だけど情けないな　今の俺には 祈ることぐらいしかできない。 そして　その祈りの中で→ 生きるということの意味を 考えた。 生きること…→ それは愛することなんだよ　敦子。 愛を伝え続けることなんだ。 家族と過ごすのも 仕事をするのも→ どんな全ての行いも→ 生きる全てが 愛を伝えるためにあったんだ。 そのことに もっと早く気づいていれば→ お前を　そんな孤独の闇の中に 追いやることもなかったのにと→ 悔いは尽きないけれど→ 本当に伝えたいことは ただ１つだけ。 敦子…→ 愛している。 俺の心は　呼吸をするように そう　つぶやいている。 その思いは 俺の体が消えうせても…」。 やめて！ もう…　いいかげんにしてよ！ （みなみ）　敦子さん！ みんな　うまく行ってる？ やっぱり 桜の花は無理みたいです。 やれることは やってみたんですけど。 （板野） 花が咲かなきゃ　意味なくない？ （みなみ） 本当に困ってるんですよ。 ねぇ　みんな。 前田先生が 桜の花を咲かせたかったのは→ みんなに　笑顔で卒業して もらいたかったから。 これ　何かヒントになんないかな？ はい！ みんなで歌いたい曲が あるんだけど。 『桜の木になろう』。 前田先生が作詞作曲した この曲　どうかな？ 先生が　やってたんだね。 ≪すごいね≫ （みなみ）　いいじゃん！ はい。 敦子。 お父さん…。 どうして　こんなに…。 よく来てくれたね。 ごめんなさい。 私…　私…。 ありがとう　敦子。 もっと… もっと早く来ればよかった。 今すぐにでも 会いに来たかったけど→ どうすればいいか　分かんなくて。 いいんだよ。 会いに来てくれて→ ありがとう。 お父さん。 ♪♪～ ♪♪～ （泣き声） ♪♪～ ♪♪～ 皆さんのおかげです。 何と お礼を申し上げたらいいのか…。 やった～！ よかった～！ 先生の思いが　私達にも 敦子さんにも伝わってよかった。 （麻里子）　これから 看病　大変だと思いますが→ 私達にできることがあったら 何でもいってください。 ありがとうございます。 父も→ 皆さんによろしく伝えてほしいと いっていました。 敦子さん 私達　お願いがあります。 うっ…。 ハァ　ハァ　ハァ…。 うっ…。 （麻里子）　いらっしゃった？ ≪まだです≫ 遅いなぁ。 もう　とっくに過ぎてるのに。 もう　何分過ぎた？ 敦子さんとは １０時の約束だったんだけど。 （みなみ）　間違ったかな。 （亜樹）　まさか　先生…。 大丈夫だって。 きっと来るよ。 うん　大丈夫。 そうだよ。 そうかなぁ。 そう。 私　病院行って来る！ （里英）　私も行く！ [TEL]（着信音） 待って！ [TEL]（着信音） 敦子さんから電話。 [TEL]（着信音） もしもし。 えっ？ お父さん。 これは…。 みんなで 桜　咲かせようと思ったんだけど→ できなかったんだって。 それで　あれを。 きれいだ。 本当に　きれいだ。 うん。 （麻里子）　≪一同　入場≫ ♪♪～ （麻里子）　礼。 先生　お体は　大丈夫ですか？ ええ。 このコ達 前田先生に送り出してほしくて→ この卒業式を やりたいと言い出したんです。 よかったね　お父さん。 （麻里子）　それでは　これより→ 平成１９年度　桜高校　前田学級→ 卒業式を執り行いたいと思います。 まず初めに　生徒一同より　謝辞。 （みなみ）　私達は 先生のことが嫌いでした。 学級委員になった私に クラスのことは任せっぱなし→ 先生が興味あるのは 桜のことだけなんだって→ みんな　正直 教師失格だと思ってました。 その先生が　最後に教壇に立って→ 私達に手紙をくれました。 読んだ時は　意味が分からなくて→ 大きなお世話だとさえ思いました。 だけど 先生の手紙に書いてあったのは→ 今の私達に すごく必要なことでした。 先生の手紙をきっかけに 自分を見つめなおし。 家族と向き合い 生き方を変えました。 （由紀）　それは　とても 勇気がいることだったけど→ 先生が見守ってくれている そう思ったら→ 目の前にあった壁を 乗り越えることができました。 それは　先生が私達の力を 信じてくれたからです。 先生が　桜の木のように 私達を包み込み→ 見守りたいと おっしゃったと聞きました。 私達は　気づくことが できなかったけれど→ 先生は　この桜の木のように。 （智美）　いつも　そばにいて。 （才加） 私達を見ていてくれたんですね。 （陽菜） 今日　ここに　桜高校　前田学級を 卒業する私達は→ 新しい場所で　自分の人生を 切り開いて行きます。 そして　先生が教えてくれたことを 道しるべにして行きます。 前田先生 先生は　私達の桜の木です。 ありがとう。 ♪～　『桜の木になろう』 ♪～ これは…　覚えてるか？ うん　お父さんが昔 ♪～ 生徒達に作った歌。 ♪～ 一緒に歌ってくれないか？ ♪～ ♪～　春色の空の下を ♪～　君は一人で歩き始めるんだ ♪～　いつか見た夢のように ♪～　描いて来た長い道 ♪～　制服と過ぎた日々を ♪～　今日の思い出にしまい込んで ♪～　新しく生まれ変わる ♪～　その背中を見守ってる ♪～　不安そうに振り向く ♪～　君が無理に微笑んだ時 ♪～　頬に落ちた涙は ♪～　大人になるためのピリオド ♪～　永遠の桜の木になろう ♪～　そう僕は ここから動かないよ ♪～　もし君が心の道に迷っても ♪～　愛の場所が わかるように立っている ♪～ 先生。 ♪～ ありがとう。 ♪～ ♪～　誰もみな 胸に押し花のような ♪～　決心をどこかに忘れている ♪～　思い出して　桜が咲く季節に ♪～　僕のことを…　一本の木を… ♪～　永遠の桜の木になろう ♪～　そう僕は ここから動かないよ ♪～　もし君が心の道に迷っても ♪～　愛の場所が わかるように立っている ♪～ ＜それから数日して→ 父は旅立った＞ ＜思い残すことのない 安らかな最期だった＞ ＜父が残してくれたもの＞ ＜それは…　確かに　ここにある＞ ((敦子)) あっ。 お父さん…。 ♪♪～ ♪♪～ ＜「ＡＫＢ４８」が熱演した 青春感動ストーリーを再び＞ ♪♪～ ♪♪～ ＜人　呼んで…＞ ＜まずは…＞

イタズラなKiss～Love in Tokyo.S01E03.JA

1 （相原琴子(あいはらことこ)） あ… 相原琴子です Ｆ組の― これ読んでくれる？ （入江直樹(いりえなおき)）いらない （池沢金之助(いけざわきんのすけ)） 琴子を振るなんて許せん これは俺に対する挑戦状や （石川理美(いしかわさとみ)）住む所が変われば 運気も変わるって きっと いいことがあるよ （琴子）ん？ 流れ星？ （一同）うおっ （琴子）流れ星に― 打たれた？ （琴子）ひょんなことから お父さんの大親友の家に― お世話になることになった 私 相原琴子― でも その家は… わあ！ ああ！ ああ… （相原重雄(しげお)）どうした？ 琴子 ご挨拶が遅くなりました… （琴子） 私の憧れの男の子― 入江直樹君の 住む家だったのです （直樹）一緒に住んでるなんて 誰にも言うなよ 学校でも一切 話しかけんな そこまで言わなくったって 俺 頭の悪い女は嫌いなんだよ （琴子）私 期末テストで 入江直樹を負かしてやる じゃーん 返せ 返せ （琴子）期末テストまで１週間 勉強を私に教えて （琴子）期末テストまで１週間 勉強を私に教えて （入江紀子(のりこ)） もしかして琴子ちゃんて 私が思っている以上に すごい子なのかも うそ！― 100番？ （金之助）新しいあいつの家には 何か秘密があるはずや え～！！ （小森(こもり)じんこ）何？ この写真 （金之助）お前が 今 住んでる所っちゅうのは 入江直樹の家なんか？ 相原！ （琴子）何？ いいから来い！ （琴子） 私と入江君の同居がバレ― 学校中のうわさに （直樹）あんたの友達って 何考えてるんだ！― あんたは俺にラブレターまで 書いたぐらいだから― うわさされても 平気だろうけど― 俺は迷惑だね これ以上 俺のペースを狂わさないでくれ 私… 何で泣いてんだろ？ （琴子）とっくの昔に 振られたはずの入江君に― どんな意地悪言われたって― へっちゃらだって 思ってたのに― 何で涙が出るんだろう 私… やっぱり入江君のことが 好きなんだ （紀子） 琴子ちゃん 遅かったじゃないの 心配したのよ すみません 連絡するの忘れちゃいました ごめんなさい ♪～ （琴子）生まれて初めて書いた ラブレター ― 決して読んでもらえない ラブレター いらない （琴子）あんなやつって 分かってるのに― やっぱり好きなんて おい 風呂入れってよ― 入るぞ― お袋が風呂入れって （琴子）“入江君へ”― “私は Ｆ組の相原琴子といいます”― “あなたは私のことを 知らないでしょうけれど”― “私は知っています”― “入学式の挨拶をした”― “入江君の知性とかっこよさに 憧れて２年間”― “初めて入江君を 見たそのときから”― “まるで流れ星に 打たれたみたいに”― “特別な気持ちが 私の中で生まれて”― “入江君のことが”― “好きです” ♪～ やばっ よっこいしょ おはようございまーす （紀子）おはよう 琴子ちゃん 相変わらず寝ぼすけだなあ 琴子は たまには早起きして 奥さん手伝ったらどうだい すいません いいのよ お兄ちゃんも裕樹も 何にもやらないんだから さあ 早く朝御飯 食べちゃって （琴子）はーい よいしょ― いただきまーす （重雄）なあ 琴子 ん？ ん？ 今日 早めに 学校から帰ってこれるか 今日 早めに 学校から帰ってこれるか うん いいけど 何で？ いやあ イリちゃんちには いつもお世話になりっぱなしだから 今夜の夕食は 俺が作ってみようかと思ってな それで 琴子にも 手伝ってもらおうかと そっか 今日 お店 定休日だもんね そんな相原さん お気遣いなく いえいえ せめてもの気持ちです （入江重樹(しげき)） いやあ アイちゃんの料理は 天下一品やけのう （２人の笑い声） 楽しみだな 直樹 裕樹(ゆうき) そうだね ごちそうさま いってきます あ いってらっしゃい あ いってらっしゃい （重樹）いってらっしゃい （重樹）いってらっしゃい （重樹）いってらっしゃい （入江裕樹）いってらっしゃーい （入江裕樹）いってらっしゃーい ほら 琴子ちゃんも あ はい （琴子）何？ パン 付いてた （ドアが開く音） （ドアが閉まる音） 何？ 今の （チャイム） （銅蔵(どうぞう)）気を付けて 階段や 階段や 足元 気を付けて （銀太郎(ぎんたろう)）下がります もう 金ちゃん 歩きづらい っていうか はっきり言って迷惑 （金之助）琴子のためや せめて 学校だけでも 入江のやつが近づかんように 俺が琴子を守らんと あ 入江！― じゃない… 大丈夫だって 私 本当に嫌われてるんだから 学校では 声かけるなって言われてるし （銅蔵）異常ありません （金之助）了解 （渡辺(わたなべ)）あれ？ あれって お前の家に 住んでる子じゃないの 何してんの？ 知るか （じんこ） 入江の家に偵察に行くって そこまでするか？ 金ちゃん せやけど お前らかて ２人のこと気になるんちゃうん？ （２人）まあ ねえ （銅蔵）あの家ですね でかい （金之助たち）抜き足 差し足 抜き足 差し足― 抜き足 差し足 抜き足 差し足… ああ こんなのバレたら 入江に怒られそう！ シーッ おる おる （重雄）おーい 琴子！ はーい （金之助）あれ 見えへん 蓋！ 蓋！ 蓋！ 蓋！ あっ 蓋… あっ 蓋… 取って ちゃんと すごいわ おいしそう わあ やっぱさすがやねえ アイちゃん ねえ これ何？ （琴子）アハッ それは 琴子お姉ちゃんが作った 揚げ出し豆腐よ 形は悪いけど おいしいわよ 僕 いらない 俺も いらない （紀子）あっ こら！― お兄ちゃんも裕樹も 何てこと言うの そうだよー あっ もう そう ほら席着いて ね おのれ あいつら 琴子の手料理を！ 金ちゃん 聞こえちゃうって （理美）何やってんの （重樹）じゃあ 私が― 琴子ちゃんの作ったものを いただこうかな？ フフ… 私が食べたら ちゃんと２人ともいただくんだぞ ねえ？ ん～ んっ… （裕樹）うう… うっ… げっ まっじい… んーっ… （重雄）ああ やっぱり そんなことない そんなことないよ うまいよ うまい うんうん イリちゃん 気い遣わんでええて こいつは昔から料理音痴で んー もう 俺の娘とは思えんたい このまんまやったら― 嫁にもらってくれるとこ あるんやろか うう ごめんなさい あら 平気ですよ 琴子ちゃんは うちでもらうから えっ えっ… えっ えっ… （理美）へっ？ （理美）へっ？ （理美）へっ？ えっ… えっ… 今… 今 何て言うた！？ だから 琴子ちゃんは お兄ちゃんのお嫁さんに なったらいいじゃないの ああ… 反対！ 僕 反対 そうですよ 勝手に決めないでください ひとの人生で遊ぶなよ （紀子）あら そう？― 琴子ちゃんは絶対― お兄ちゃんのタイプだと 思うのにな そ… そうなんですか？ んなわけないだろ 真っ平だよ こっちだって真っ平ごめんよ ハハハ… ええで 琴子 よう言うたな ハハハ アハハ… ハハハ へえ そうなんだ あんな熱いメッセージを くれたのに “はじめまして 入江君” “私は Ｆ組の相原琴子といいます” “あなたは私のことを 知らないでしょうけれど”― “私は知っています”― “入学式の挨拶をした”― “入江君の知性とかっこよさに 憧れて”… 何すんだよ！ ひどい 手紙見たの？ だって 俺に書いたんだろ だからって 暗記することないじゃない！ １回読んだら覚えるんだから しかたねえだろ！ だからって みんなの前で 言うことないでしょ！ ねえ ちょっと待って 待って ねえ どういう意味？ えっ 琴子ちゃんて もしかして お兄ちゃんのこと ずーっと好きだったの？ ほら はっきり言えよ ラブレター 書いたの え… ほんとか？ 琴子 じゃあ 私の提案て… 夢じゃないんじゃないの？ でも それは前の話で 一緒に暮らす前の話です だから 今は もう… そんなこと言わないで また お兄ちゃんのこと 好きになったらいいじゃないの ねえ パパ ん？ ん… そうだな うん うん ２人が それでいいなら （金之助）ちょっと待ったあ！ 開けんかい！ だ… 誰だ？ あの子たちは 金ちゃん？ （金之助） おい！ 琴子！ 開けー！ あの子たち 私の同級生です （重樹）えっ？ （琴子）ちょっと ひとんちで何やってんの？ ごめん 金ちゃんが琴子の様子を どうしても知りたいって… （銅蔵）すいません （じんこ）上がるの？ 入江が なんぼ天才や言うたかて男や いつ ケダモノに変わるか 分からへん 見てみい！ 来て正解や さっきから聞いとったら 好き勝手 抜かしやがって （裕樹）てか お前 誰だ？ ああ？ あっ あ… ああ… ヘヘ ヘヘ… 入江家の皆さん お初にお目にかかります 私 金ちゃんこと池沢金之助です 琴子のクラスメートです （裕樹）ってことは ばかだ 何やて！？ （紀子）こら！ 裕樹 琴子と僕は クラスでも評判の ホットな関係なんですわ ちょっと 金ちゃん！ 適当なこと言わないでよ あら 琴子ちゃんて モテるのねえ そうなんです 何か すいません せやから― 変なちょっかい 出さんといてもらえるか 結婚なんか お話にもならへんで なあ 入江君 そんなこと分かんないよ え？ 何や それ どういう意味や？ 人の気持ちなんて分からない 今日は嫌いでも― あしたは 好きになってるかも しれないからね 何やと？ やっぱり お前 琴子に気があるんか？ さあね― けど 彼女は あんたより俺に 気があるってことを忘れるなよ― じゃ 俺は２階に行くので ごゆっくり （琴子）何？ 今の― どういう意味？― これって もしかして― 期待しても いいってことなのかなあ― そんな中― 私たちの高校最後の夏休みが 始まろうとしていた （じんこ）んー でもさ 高校最後の夏休みくらい 何か すてきな思い出欲しいよね だけど うちら一応受験生だし ん～ それでも！ ねえ？ ねえ だって― 高校最後の夏の思い出が 宿題だけじゃねえ 琴子はいいじゃない 夏休みの間中 入江と一緒にいられるんだから 何も起こんないよ （じんこ） んー 分からないよ― この前は あんな情熱的な告白を！ あんなの 売り言葉に買い言葉でしょ まあねえ 入江ったら 琴子の手料理も 食べてなかったしねえ 私 料理苦手だからさあ （理美）そういう問題じゃない 男は 気になる女の手料理を 食べたいものなのよ たとえ それが どんな味でもね そうだよ 一緒に住んでるんだから― 手料理 食べさせるくらい 楽勝でしょ せめて そのくらいの思い出 この夏に作っちゃいなさいよ！ おっ… ああ 手料理かあ ああ あんなん言われて 心配でたまらんわ せやかて 毎日 見張りに行くわけにもいかんし 学校が休みの間 入江の野郎は 毎日琴子と一緒におるわけやし 確かに 女ってやつは 近くにいる男になびきますからね ああ？ ああ？ こら 何てこと言うんだ 何てこと言うんだ いや… 兄貴 負けちゃ駄目です 兄貴も入江に負けないぐらい― いつも 琴子姉さんのそばにいなくちゃ おはようございまーす （一同）おはよう 琴子ちゃん 今日から夏休みじゃないの？ フフ… アハ… あの ちょっと… 学校に行かなくちゃいけなくて 夏休みなのに どうして？ ウフ… あっ あの… その… えっと… （玄関のチャイム） 裕樹 お願いね （裕樹）はーい （金之助）入江家の皆さーん おはようございます 私 金ちゃんが 琴子さんの 補習のお迎えに参りました （紀子たち）補習！？ この前のテストで 100番だったのに？ ああ… 期末は 100番だったんですけど… その前の 中間の結果が 思わしくなくて… 今まで どんだけ成績悪かったんだよ やっぱり ばかだ こら！ いってきまーす 全員 Ｆ組だねえ んー これじゃ いつもの授業と変わらないよ （渋川(しぶかわ)）いいか！ お前たちは はっきり言って 内部進学できるかどうか ギリギリのラインの上に 立ってる― 期末テストで100番だった 相原だって例外ではない！ だからこそ この補習には 真剣に取り組んでもらいたい― 斗南(となん)高校地獄の夏期講習 始まります― 夏は天王山です （琴子）これじゃあ 夏休みの思い出なんて― 到底期待できないね 高校最後の夏の思い出は 宿題だけ 琴子が言ったとおりになりそう （金之助）ええやんか 夏休みの間 この金ちゃんと 一緒に過ごせるんや 最高の思い出や さあ 食いや 空気を読みなさいよ 金ちゃん 琴子が一緒に過ごしたい人は あんたじゃない （じんこ）まあ でも 補習ばっかりじゃ それも無理か お？ でも さっき 入江の野郎見かけたな ばか 余計なこと言うな ばか 余計なこと言うな あっ えっ… あっ えっ… あっ えっ… えっ うそ… えっ 入江君？ えっ うそ… えっ 入江君？ えっ うそ… えっ 入江君？ えっ？ えっ うそ… えっ 入江君？ えっ うそ まさ… えっ ま… まさか… 入江君が補習？ んなわけないでしょ 校庭見てみなさいよ あっ あ そうか そうだ 入江君 一応テニス部だもんね 一応って何よ ん？ 正式な部員じゃないの 部員以上にうまいから 大会前だけ駆り出されるみたい （じんこたち）ふーん そっか 今月末 高校テニスの全国大会が あるって言ってたもんね 何やと！ 何やと！ いった… 何？ いった… 何？ あいつ ガリ勉の 運動音痴やなかったんか！ 性格以外はパーフェクトなのよ 嫌味なやつよね はぁ でも 部活で学校に行くなんて 教えてくれなかった 相変わらず 完全にアウトオブ眼中なんだねえ フッ ええやん ええやん それでええやん （直樹） 人の気持ちなんて分からない 今日は嫌いでも― あしたは好きになってるかも しれないからね （じんこ）何見とれてんのよ えっ？ ん？ 別に だって 毎日の腹筋とかランニングとか ボール拾いを全部飛ばして 勝つなんて 全然青春じゃない よし 勉強やるよ 勉強 よし やるよ （渋川）Mars the red planet has fascinated people― from the earliest times.― Ancient people― identified it with the god of war. （琴子） やっぱり かっこいいなあ― テニスの練習 疲れるだろうなあ― 家帰ったら 私の手料理 食べてもらってー ― 元気になってもらってー ― フフッ ヒヒッ なんてね （渋川）相原！― 相原琴子！ はい！ （渋川）今 先生が 読んでいた続き読んでみろ はい？ ん？ （じんこ）63… たるんでいた罰として 校庭10周！ ええっ！ 10周？ はい ペース落ちてるー！ （琴子）わあー！ ♪～ （琴子）ハァ ハァ… （琴子）ハァ （せき込み） 相原 あと１周！ ん？ お？ 痛い （直樹）ああ ごめん わざとじゃないよ 補習 終わったんじゃないの？ 放っといてよ 走りたくなったの （渋川）こら 相原！ 夫婦げんかしてるな！ ああ あ… あっ ああーっ （紀子）はい あら 琴子ちゃん 日焼け？ 体育の補習もあったの？ エヘヘ えーっと それは… 琴子のやつ 補習さぼって その罰として 校庭 走らされたんだぜ 何で あんたが そんなこと知ってんの？ 蛇の道は蛇だ じゃ？ じゃ… 砂利道？ はぁ んなことも知らねえのかよ ばっかじゃないの 裕樹 いいかげんにしなさい もう （重樹）まあ まあ 夏なんだし 日焼けもいいじゃないか ほんとよねえ 毎年 夏は 山か海にバカンスに出かけるのに 今年は つまらないわあ え？ （重樹） あっ あれ？ アイちゃんから 何も聞いてないかな？― あのね まっ 実はね― 我々２人の 中学んときの同窓会があってね 久しぶりに九州に帰るんだよ へえ そうなんですか だから 家族旅行はお預けなの （琴子）おば様も 九州に行ったらいいのに だって あなたたちを 放っていくわけにはいかないもの しゅんまちぇんねー ごちそうさまでした ごちそうさま おば様 私もお手伝いします ありがとう 琴子ちゃん じゃあ 洗い物 お願いしよっかな はーい その間に 琴子ちゃんとお兄ちゃんの― あしたのお弁当の準備を しなくっちゃ いつも ありがとうございます 朝 早いから 下ごしらえだけでもね あの おば様 ん？ 今度 私に お料理を 教えていただけませんか？ いいけど 琴子ちゃんには プロのお父さんがいるじゃないの そうなんですけど 何ていうか 家庭的なっていうか お袋の味を覚えたいなあなんて 入江家の味を 覚えたいんじゃないの？ アハハ… フフ… ねえ 琴子ちゃんて 本当は 今でも お兄ちゃんのこと好きでしょ？ おっ… 何で そう思うんですかあ？ そんなの見てれば分かるわよ ねえ やっぱり うちにお嫁に来たらいいのに 入江君と私じゃ 釣り合わないですよ あのね 私とパパが結婚したとき 19歳だったの 自分で言うのも何だけど 求婚者は たくさんいてねえ みーんな ハンサムで お金持ちの若者ばかり そんな中 パパは ご覧のとおりの見た目だし― 年も ずーっと上― 当時は 会社を興したばかりで貧乏 私の両親も 交際には大反対だったわ でも おば様は おじ様を選んだんですよね 何でですか？ パパは 誰よりも誠実で― 誰よりも真面目で― そして 私を思ってくれたから パパは 私の家柄とか お金とか若さじゃなくて 私自身を 好きになってくれたの― 何だか琴子ちゃんを見てると あのころのパパを 思い出しちゃうのよねえ （クラッカーが鳴る音） （重樹たち）おめでとう！ では テニス高校大会― 直樹の優勝を祝って 乾杯！ （一同）乾杯！ ああ… さあ さあ さあ… 座って 座って いただきましょう いやあ しかし すごいね 直樹君は 勉強ができるだけじゃなくて テニスが得意なんてね しかも ３年連続 優勝なんだろう？ ええ まあ いやあ 練習に明け暮れてる わけじゃないんだろうに 感心したよ 簡単ですよ 相手の癖とか早く見つけて 頭で計算すれば 大体どこに飛んでくるか 分かりますから ほう ねえ お兄ちゃんて かわいくないでしょう？ （重樹と紀子の笑い声） いや いや 頭がいいんでしょう 顔は似てないけど― そういうとこは イリちゃんにそっくりたい （重樹と紀子の笑い声） いや いや 俺は これほどじゃなかったろうもんて だって 覚えとろう？ 中学時代の俺を そうやったか？ ああ いやあ しかし 懐かしかねえ うん 楽しみやねえ あしたの同窓会 うん 九州 帰るの 久しぶりたい みんな 変わっとるやろのう うん キヨマサは来るやろか… （２人）いってきまーす （紀子たち）いってらっしゃーい 相原さん お洋服似合ってますよー （重雄）てれますね お気を付けて じゃあねー （重雄）はーい パパたち まるで遠足に行く 小学生みたいだったわね お父さん お店が忙しくて 帰省するの久しぶりだから きっと楽しみにしてたんだと 思います （電話の着信音） はい 入江でございます えっ 本当ですか？― は… はい すぐ伺います はい― あっ どうしよう… 大変だわ どうしたの？ おばあちゃんが けがしたらしいの 幸い大したことはないんだけど 今夜は入院で それで 私 病院に付き添いに行かないと そうしてあげてください ありがとう 琴子ちゃん じゃあ お兄ちゃんと２人で 家のこと よろしくね あ… はい えっ？ ２人！？ 裕樹は連れてくわ お兄ちゃんも琴子ちゃんも あした 学校でしょ？ だから… 分かった いいよ 急いで 支度して （琴子）ってことは― この家に 入江君と二人きり？― すっごく緊張するけど― でも これは… （紀子）裕樹 行くわよ はーい （琴子）今度こそ― 入江君に 私の手料理を食べてもらえる― チャーンス！ 最高の夏休みの思い出― 作っちゃうもんねーだ ん？― ビフテック･アン… ボワ？ ん？ ブフ？ ブルジョハーズ ブルジョワーズ フフフ これだ （せき込み） 何だ？ これ （直樹のせき込み） 入江君… ううっ それは？ ビフテック･アン･ブルジョワーズ ああ… エヘヘ… エヘヘ… ああ ああ… ねえ レシピ見なくていいの？ さっき見ただろ １回見れば 覚えられるから おお… ん～ いい匂い （裕樹） それで おばあちゃんは？― 行かなくていいの？ これには いろいろと理由があるのよ 裕樹 あの２人って なかなか奥手でしょう？ この辺りで ちょっと意識させ合いたくてね で パパたちが 旅行に行くのをきっかけに― 邪魔者は消えようと思って （裕樹）じゃあ おばあちゃんが けがしたっていうのは？ もちろん うそよ 電話は ただのセールス ママ 迫真の演技だったでしょ？ 何だって？ 帰る あら じゃ これはいらないの？ ウフフ わっ すごい レシピの写真と全く一緒 いただきます いただきます ん～ おいひい （琴子） 私の手料理じゃなくて― 入江君の手料理に なっちゃったけど― 入江君と二人っきりで すてきな食事― 私たち まるで― 新婚さんみたい ごめんね 入江君に作ってもらっちゃって じゃあ 琴子には とびきり甘い デザートをもらおうかな ♪～ （直樹）おい 食器ぐらい お前が洗えよ 後 キッチンも元通りにしとけよ うん 分かった あっ 入江君 これから宿題？ よかったら 一緒にやらない？ 宿題？ そんなの 夏休みの初日に全部やったよ えっ？ 初日？ すごっ… まさか まだやってないとか？ アハハ… その まさかのまさかなんだよねえ あんたなら どうあがいても 徹夜で１週間はかかるよ えっ まあ 頑張りなよ やばい もう10時だよ キッチン 片づけたら 遅くなっちゃったよ はぁ やるか 分からない 英語にしよ 英語なら分かるさ 結局 最後まで 勉強に追われる夏休みか ふう… 古典と世界史と英語は なんとか書きなぐったけどさ 数学と物理は もう無理！ 限界 ふう… （琴子） 神様 仏様 ごめんなさい （琴子）私― 追い詰められた犯人のような 気分なんです ♪～ 回答をちょっぴり― 見させてもらいまーす はあっ セーフ 入江君のノート ノート… あったー 数学と物理 お借りしまーす はあっ 何してんだよ 夜中に ひとの部屋でごそごそと 何でもないの 何でも じゃあ おやすみ そうはいかないよ ああ… あっ あの… これは… えっと… フフ あの… 分かってるよ 夜ばいしに来たんだろ？ えっ― ちょっ… 違う 何 言ってんの！ （直樹）何が違うの？ こんな夜中に 男の部屋に 忍び込んでくるのは― それ以外ないだろ？ 安心しなよ 恥 かかせないから は… 恥って… あっ それって そ… そういうこと？ 家には 俺たち以外 誰もいないしね あっ そ… そんな… あいつだって言ってただろ “天才だって いつ ケダモノに なるか分からない”って あーっ 待って！ 私… 入江君のことは好きだけど 私たち まだ早いと思うの まずは 健全なおつきあいから ハッハッハッ… “健全なおつきあい”だって そっか お前 まだ俺のこと好きなんだ からかったの？ 安心しろよ 健全も何も おつきあいするつもりないから みんなに言ってやる― 入江君に襲われたって 学校中に言い触らしてやる （直樹）言えば？ ん？ （直樹）こんだけ うわさされてるんだから― 今更 そんなこと言ったって みんな 勝手に想像してんだろ 負けた （直樹）おい 忘れ物 そんなもの… うう… じゃあ ３番は同じ公式だから 解いてみな ん～ もう写すだけでいいじゃん それじゃあ 宿題やった意味ないだろ ほら さっさとやる （琴子）結局 高校最後の 夏休みの思い出は宿題だけ― 期待していたようなことは 何もなかったけど― でも 何だか幸せな気持ちなのは どうしてなんだろう ボケっとしてないで さっさとやれ はい ♪～ （琴子のあくび） 結局 徹夜になっちゃったね おわびに 朝御飯 作ろうか？ （直樹）はぁ やめてくれ― 新学期早々 腹こわしたくない コーヒー えっ？ コーヒー いれてくれ いいけど （琴子）はい 入江君 おはよう ずっと起きてただろ （琴子） 高校最後の夏休みの思い出は― これといって 何もなかったけれど― 入江君と飲んだ モーニングコーヒーの香りは― きっと忘れない ♪～ 大吉だ～っ！ （じんこ）やっぱ入江直樹の 第一志望って東大なの？ 大学行って どうするの？ （琴子） 受けるよね？ センター試験 応援しちゃう！ 琴子ちゃん？ （琴子） 私 入江君が東大の門 くぐるまで見送ってきます おおっ 滑った！ （直樹）まさか この薬… （重樹）吐くんだ 直樹！ （金之助） このこと 琴子には絶対言うなよ （紀子） お兄ちゃん どうしたの？ （琴子） お守り 効かなかったんだ （渡辺）あの子とお前は 一生 一緒にいる気がする あんなにハラハラしたの 生まれて初めてだった さよなら― 入江君

SPEC～警視庁公安部公安第五課・未詳事件特別対策係事件簿～＃05

1 （古戸）罪を償うのは　あなた達よ （瀬文）誰だ （津田）連れてけ （海野）熱は高いですが 大丈夫でしょう （看護師）イチ　タス　イチさん？ （一）ニノマエ　ジュウイチです 一体　何が起こってるんだ ここは警察だぞ 何で　そんなに落ち着いてるんだ お前　何か知ってんじゃねえか （当麻）私は何も知りませんよ ただ… 私達 気をつけないと 消されるかもしれませんなあ どうされました？ 手がヤケドをして ホントだ　どうしま… 四谷かよ　刑事のくせに いいとこ住んでんじゃん …した？ 　　　　　　　　　　　　　　　 いつまでそこに立ってんの 邪魔なんだよ 里中先輩 （里中）よう　久しぶり ごぶさた　してます お前　ずっと立って待ってたのか？ こっちは もうやめた人間なんだから そう堅苦しいことすんなって はッ じゃあ　乾杯 命　捨てます 懐かしいな お元気そうで　何よりです 元気だよ 俺の元気のもと うちの娘　５歳だ 拝見します 結婚はいいぞ お前も早いとこ刑事なんてやめて 家庭を持て 変われば　変わるもんですね うん？ いえ　まさか あのＳＩＴ随一の鬼軍曹が 退官したからといって そんなこと言い出すなんて 女房と出会って 俺の人生は変わったよ→ 仕事のために命をかけるより 家族のために命をかけたくなった 今は南アフリカから 宝石を輸入する会社に勤めてる 部長じゃないですか　安泰ですね いやいや　捜査で命を落とすことは なくなったが 今度は海外出張ばっかりだ これが　結構危なくてさ 元ＳＩＴが強盗にでも遭ったら シャレになんないからな 南アしよっとか　でありますね 南アフリカだけに はッ？ おッ　お前… ひと皮むけたな　コノヤロウ そろそろ シメの親子丼　頼んどくか はッ　すいません　親子丼２つ 親子丼？　今終わっちゃったよ 終わった？ １人で１１人前食べちゃった お客さんがいてさ うまいのか？ うっす　うまいっす 瀬文さん こんなとこで何やってんすか？ 親子丼　何杯食えば気が済むんだ たくさん食べたら悪いんすか 犯罪ですか　何罪ですか 高たんぱく高カロリー取締法ですか そんなのカラスの勝手でしょ 誰だ　この子 知りません 当麻ちゃん　またね お疲れサマンサです～ あ～　もう食えねえ 水兵リーベ僕の船 あの子　お似合いじゃないか だとしたら　撃ち殺してください 本気でさ　お前も考えてみろよ 普通の人生 普通の家庭の幸せってやつをさ 自分には どうしても決着をつけたい事件が その決着がつくまでは やめられないか ただ　もう見舞いとか行くな どうして　ですか？ 過去は過去 前を向いて生きてかねえと お前の人生がヤベエからさ お疲れサマンサ お疲れさまです （美鈴）入ります どうぞ （美鈴）遅くなってすいません バイトが終わらなくて こちらこそ　急にお呼びだてして お座りください 何かありましたか？ 事故から 間もなく２ヵ月たちます そろそろ いろいろ決断していかないと いけないかもしれません というと？ お兄さんは 一般的でいうところの脳死です 回復は 残念ながら難しいでしょう 兄と もう一度だけ話がしたいんです あの日の朝…→ 《予備校やめて 働くって言ってんの→》 私は　兄と大ゲンカして 《私には才能なんてないの もう無理》 《（志村）死んだ父さんや母さんに 今さらやめますとか言えんのかよ》 《死んだ人間のことなんか 知らないよ》 《ていうかさ　家族ってだけで 恩着せがましいんだよ》 《おい》 《触んなよ》 《キモイから》 ≪（美鈴）ひと言でいい 謝りたいんです それだけなんです （野々村）おはよう お～　カレーくさい 朝からカツや　イカリングや ウインナーカレーなんて 我々の世代では 考えもしなかったけどね バカうま 天才は奇人というのは 本当だね ただの味オンチです　舌バカです 舌バカ上等　雅ちゃん来ますよ 雅ちゃん （雅）入りま～す 私　昨日プロポーズされた えッ　誰に？ 警視庁公安部公安第五課 秋元才三課長代理が お見えになりました はいッ　これはこれは秋元課長代理 こんなむさ苦しいところへ ようこそ　何かご用件でも （秋元）早速だが　これを見てくれ→ このひと月の間に公安の刑事が ５人　次々亡くなってる ５人も？ 殺されたってことですか？ ≪（秋元）解剖の結果　死因は あくまでも病死ということだ これは確か　工事用のクレーン運転中に 亡くなった… 昨日の新聞に… 公安の刑事でしたか ５人とも きわめて優秀な潜入捜査官だった 全員まったく違う病気ですね カルテに偽造などの不審な点は？ ≪（秋元）一切ない やはり　たまたまということかも しれませんね まことにお気の毒ではありますが たまたまであればいいが これほどの短期間に５人だ 計画的な犯行だとすれば 公安への挑戦ともとれる どういう意味ですか？ つまり… 病死に見せかけて 公安の刑事を次々と狙った殺人 ということですか そんなバカな 貴様！ お茶 ああ　お茶　はいはい まあ このバイトがバカにしてるように 我々も ただの偶然だとは考えてるが 念のため　捜査をしてもらいたい 私　バイトじゃないっす 刑事です　公安のデカです 貴様が？ ５人の捜査官の潜入の目的と 潜入先は？ 捜査の内容に関しては一切機密だ ５人の病死についてのみ 真相究明してもらいたい 御意 では 御意 検視の報告書を書いたのは あなたですよね うん　そうだけど 字　汚いっすね　読めないっすよ ア　アメフィラキシー… 不審な点なんて　何もなかったよ 俺達も 必死に何かないか探したんだがね 健康診断でも 何も問題なかったんですよね 健康診断？ 幸か不幸か他殺じゃないね どう見ても自然死だ お手間かけました それも　食べていい？ どうぞ ヤダ 何か分かったの？ 不自然な点はゼロ ただの偶然ですね そうか　ご苦労さま それじゃ　それを報告書にして… ただの偶然にしては 不思議な点が１つあります えッ？ 何だ？ 健康診断を　みんながみんな 受けてるってことですよ それが何で不思議なの？ 僕もほら ちゃんと受けたよ うわッ　すごい すでにだいぶ死んでますね 当麻　ホントのこと言うな これ　公安部の 潜入捜査マニュアルなんですが トップシークレットの… どこで手に入れた？ 「潜入捜査官に命令ある場合は 暗号にて指示する」 「それ以外は 潜入先のルーティーンに準じること」 だから何だ　要点だけ言え この５人は 別々の会社　職業に就いてます 健康診断の時期は 各職場によって異なりますよね ところが　この５人は この１ヵ月内に 全員が健康診断を受けている つまり　公安の暗号を知っている 誰かが暗号を使用し 《（刑事Ａ）暗号だ》 《（刑事Ｂ）あ　ん　ご　う》 《（刑事Ｃ）あんこうだ》 《け…》 この５人に健康診断を受けさせ 《谷田理です》 何らかのワナを仕掛けた 《≪（検査員）息を大きく吸って はい　止めます》 そのワナは何だ 分かりません まったくの手詰まりです 何すかおっさん　２度目？ 瀬文君 公安の超高度機密データベースに ハッキングしたろ 何すか 高度何とかデータベースって （峯岸）午前３時１０分 貴様のＩＤでアクセスしてるだろ 知りません 自分はそんな技術もありませんし そうですよ　瀬文さんは肉体バカで そんな知能犯みたいなこと できません とにかく来い ムダなことはやめたほうがいい ムダだと！？ 瀬文さんに ハッキングの知識はありません ということは 瀬文さんのＩＤカードが 誰かにコピーされたと 考えたほうがいい その犯人は公安部の 超高度機密データベースに侵入し 今　この瞬間にも そのデータを使って 何か犯罪を 実行しようとしているはずです ていうことは　その犯人を 追ったほうがよくないですか 貴様の命令は受けない ちなみに 何のデータが盗まれたんですか？ 機密に係わることは 貴様らには教えられん つまり　私達のこと 信用できないってことですか？ 貴様の不注意で 貴様のＩＤカードがコピーされ 我々の機密が盗まれた これは事実だ 誰にコピーされたか 心当たりあるか 心当たりはありません 貴様 嘘をつくと　ためにならんぞ 感じ悪ッ　感じ悪ッ　感じ悪ッ 戦前か　特高か うるせえ！ 貴様　八丈島勤務にしてやろうか えッ　マジ？ 行きたい　アシタバ大好き いい加減にしろ　この地底人が 若造 そのへんにしとけ この事件は未詳でケリをつける 係長… 貴様ら とっとと出て行け ひとまず お手並み拝見といきましょうか 行くぞ！ 瀬文君 はッ 君のＩＤカードを コピーした相手に 心当たりはあるんだろ？ 《命　捨てます》 《懐かしいな》 詳しくは聞かん が　刑事に私情は禁物だ そのことだけは　忘れんでくれ 捜査に行ってきます 瀬文君 頼む じゃあ私も 当麻君 はい 瀬文君を頼むよ はい 下ろしたら上げろよ　瀬文のヤロウ うッ… 老人達がずっと閉ざし続けた パンドラの箱を ついに開けるか 開けてしまうのか… あ～ん おいちい？ おいちい 雅ちゃん食べないの？ あ～ん で　いつ結婚すんの？　私達 それは… あ～ん 雅ちゃん　僕　糖尿が… 知ってるよ　あ～ん おなかの子供も どんどん大きくなってるんだよね おいちい？　あ～ん クリームあと２つ　大盛りで 雅ちゃん！ 瀬文さんがかばってる人って 先輩の里中さんですよね 違う 焼き鳥屋で 瀬文さんがトイレに立ったときに 里中さんが 瀬文さんのＩＤカードをコピーした そしてそれを利用して　公安の 超高度機密データベースに侵入した 違う その目的って何なんすかね～ 知らん 瀬文さんに嘘ついてまでって よっぽどの事情 抱えてるんじゃないですか だとしたら　すごい苦しいはず 先輩を救ってあげないとです 茹で５　焼き５　ニンニクマックス （アラータ）あい （親父）茹で５　焼き５　ニンニクマックス おみゃあさんも一緒に働け （チャイム） [ｽﾋﾟｰｶ]（小百合）はい 夜分にすいません 先ほどお電話した瀬文です 里中先輩とは つい先日　久しぶりに飲みまして たまたま近くに来たもんで 自慢のお嬢さんの顔を 拝見しようかと そうなんです 餃子くさくないですか？ ミカンどうぞ （小百合）せっかく 来ていただいたのに　すみません 昨日から出張で 南アフリカのほうですか？ ええ　キンバリーに キンバリー？ ダイヤが採れる町ですね ちなみに　いつもと違う様子か何か ありましたか？ いえ　特には 何か主人が問題でも？ いえ キンバリー じゃあ… ≪（梨花）ママ 大丈夫　寝言です 名前は （小百合）梨花っていいます メッチャ子供ほしいっすね 将来が楽しみですね すいません　何か失礼なことを？ この子 あとどれだけ生きられるか えッ… ジェニファー氏病なんです ジェニファー氏病？ 心臓に脂がたまって 硬い石になって 詰まってしまうって病気なんです いつごろ分かったんですか？ それが　つい最近なんです １ヵ月前　お医者さんに 検査してもらったときは 何の問題もなかったのに どうして　急にこんな… ヤダ　私ったら ≪（小百合） 私がしっかりしなくちゃ ≪（小百合）パパ　お仕事なんだから 　　　　　　　　　　　　　　　 瀬文さん 幸福なんて 砂の城より　もろくて はかないですよ 瀬文さんだって 一瞬にして 人生メチャクチャになったでしょ お前はどうなんだ 《何これ》 《（地居）広い意味で　プロポーズ》 《何それ》 《本気だけど》 《えッ　何それ》 《ループ量子重力理論で》 《本気で　ノーベル賞とるから》 《結婚してください》 《ジョワッ》 《重い？》 《うん》 《指輪の分だけ》 《当麻　紗綾》 《当麻紗綾　好きだー！》 《一十一》 《逮捕する》 失ってしまったものに 思いをはせても仕方ないです 私達刑事が守るべきは 他人の幸せです 今回は多分 里中さんの家族の幸せです それは 俺が守る 当麻 はい 何か少しでもいい方法があったら 何でもいいから教えてくれ 頼む このとおりだ 私情は禁物です でも… はい 　　　　　　　　　　　　　　　 何だ おい　吸い込まれてく ねえ　僕のＩＤカードで ハッキングしたら 捕まっちゃうの僕じゃないの？ あッ　すごいことが分かりましたよ 里中さんも 現役の潜入捜査官だったんですね 連続不審死の５人と里中さんは 同じミッションに従事してますね 何の捜査だろう それは分かりません ただ　石油　レアメタル 穀物を牛耳る 大メジャーに関する何かを 調べてますね 歴史さえ動かしてきた 世界の財閥か それと　冷泉俊明について いろいろ調べてますね あの　未来をつかさどる占い師の？ 何を知りたかったんだろう 一番の問題は 公安の刑事の里中さんが 瀬文さんのＩＤカードを使って 公安の超機密データベースを ハッキングした ということは 何かやましいことがあった もしかして… 二重スパイを はたらいてたんですね なぜそんなことを　金か？ もしかして 誰かを人質に取られていたりして 人質？ まさか ええ　確かに 娘が検査を受けたのは １ヵ月前です それが何か？ どこで検査を？ 警察病院です 夜間診療で受け付けてくれたのが そこだけだったもので どんな先生だか覚えてますか 名前とか 先生は普通の人でした ただ… ≪（小百合）検査の人が→ 白い口ひげをたくわえた お年寄りの方で→ 夜勤なのにって思ったんです 白い口ひげの老人 それがどうした そのことについて ご主人と何か話されました？ そういえば→ 主人のほうから突然 私に尋ねてきたんです 《梨花を病院に連れてったのか？》 《ええ　何ともないって》 《梨花》 《（梨花）パパ？》 《どうしたの？》 それからしばらく 梨花のそばを離れなくて ３日後　梨花の具合が 急に悪くなったんです あれ　やっとけ やだな　今回 《≪（刑事Ａ）暗号だ》 《あんこうだ》 《≪（秋元）潜入捜査官だった》 《≪（秋元）公安の機密データベース》 《≪（小百合）梨花っていいます》 《ジェニファー氏病》 いただきました ここも危ないか （携帯着信） もしもし これは あくまでも仮説です ５人の捜査官を病死 しかも急死に至らしめ 梨花ちゃんを難病にした犯人には 病を処方する　というＳＰＥＣが あるんじゃないかと思うんです えッ？ バカな 動物にはそもそも 自然治癒力が備わっています その昔は人間にも そういうＳＰＥＣが 備わっていたんじゃないかと 思います 私が子供のころは 手当てといってね おふくろに 手を当ててもらうだけで 鼻血　腹痛　フン詰まりくらいは ホントに治ったもんだよ 病を治すＳＰＥＣというのは 聞いてる？ 人間の細胞を 正常に戻す能力だと思うんです もしそれが　本当にあるなら その逆もあるかもしれない そんなこと　聞いたことねえ しかし　もしそういうことが できる人もいると考えれば すべてのつじつまが合うんです どう合うの？　アチッ… つまり　何者かが ５人の公安の刑事に 検診の通知を送り 何者かが　ターゲットに検診と称し 病を処方する そして５人の刑事は死に至った 完璧な病死として 恐らく　５人の捜査官の死は 里中さんを脅すためのものです 何のため？ 目的は 里中さんを使っての 冷泉俊明の拉致　誘拐 これ　秋元課長代理の ＰＣに入ってた数字なんですが どうやらマップコードなんです これを打ち込むと… マンションが 浮かび上がってきます このマンションは重要証人や 要人をかくまう保護施設なんです ということは 元ＳＩＴの里中さんは 冷泉を拉致しにやってくる 必ず アチッ （冷泉） ラミパスラミパスルルルルル ラミパスラミパスルルルルル 運命のときがきた きた　きたー！ サンタモーニカ サンタクロース 三蔵法師 三角四角… うれしいのか？ お前　今日誕生日だろ 特上寿司を買ってきた　食えよ あれ　今日俺の誕生日でしたっけ？ そうだよ　違ったっけ？ まあいいよ　食え食え クラクラ寿司？ うん こっからそっちがお前な こっからこっちが俺 何か入れてんじゃないですか？ 入れてねえよ　人聞き悪いな あッ 醤油つけないの？ 醤油なし派です うまい 津田さんて　意外に優しいんですね 全然 気がついてないかもしんないけど 俺達はお前をずっと守ってんだぞ 誰からですか？ お前の能力を 利用しようとしてるやつらだよ こっから出てみ どっかの連中がお前を確保する すると　その連中に敵対する連中が どうすると思う？ よってたかって お前を殺しに来るぞ えッ？ 俺を狙ってるのは誰ですか？ 早く食えよ イクラ食え　一番高いんだから イクラ　好きです うん こっち側か… ちょろいな もしもし もしもし 突入された 時間がない 冷泉の居場所を教えてもらおう 先輩に俺が撃てますか？ もちろん撃つ 命　捨てます 捨てねえよ！ お前も子供を持てば分かる さあ　冷泉の居場所を教えろ できません 子供の命がかかってるんだ 頼む 俺は刑事です あんたも 刑事だろうが 観念しなさい 瀬文 俺の負けだ 里中さん 教えてください 里中さんは 誰に脅されてるんですか もしかして 梨花ちゃんに病を処方され それをネタに 脅されてるんじゃないですか なぜそれを やはり… 病を処方したやつは誰なんですか 名前を教えてください そいつの名前は… 先輩！ う～わ～　やばかったな　えッ？ てか　おとりのための未詳が パンドラの箱に手をかけやがって いっそ消しちゃうか 奥さんに連絡してきます 潜入捜査官の死は　公にできない じゃあ　ご家族には このまま　だびに付し 南アフリカで事故に遭ったとか 嘘の口実をでっちあげるんだろ 奥さんや梨花ちゃんは 遺体に会えないんですか？ このなきがらに 奥さんとお嬢さんを会わせても ショックが大きくなるだけだろう 残酷すぎる真実は 伏せておいたほうがいい 私達がなすべきことは ほかにある 《大丈夫か？》 《動けません　置いてってください》 《バカヤロウ　仲間は決して見捨てねえ それがＳＩＴだ》 《つかまれ　力を抜け》 当麻 はい 死は　常にそこにある 里中先輩の死は 罪に見合った罰だ ただし 里中先輩の妻や娘に罪はない 俺は命をかけても ２人の幸せは守る 梨花ちゃんの命を必ず救う 私情は禁物です でも… はい ♪♪～

相棒１３th＃08

1 ♬～ (杉下右京) ちょっと よろしいですか？ この籠に防犯ネットをつけると ひったくり防止になりますよ｡ そうですね｡ ご親切に どうもありがとうございます｡ ありがとうございました｡ (甲斐 享)特命係って 商店街の パトロールもするんですね｡ 防犯も大事な仕事ですよ｡ そもそも カイトくん…｡ なんでもやるのが特命係｡ まあ そういう事ですねぇ｡ はい｡ (久米健一) ん？ これ 研光学習塾→ 蒲田教室って書いてあるぞ｡ (平 直哉) うん 蒲田の駅前で配ってたの｡ こんなもの質草になんないよ｡ じゃあ 買い取りで｡ 晩飯代に500円 お願い｡ 平くん またパチンコで 全部すっちゃったんだろ！ そう｡ 遠征したのに 大負けしちゃってさ｡ 朝からなんも食べてなくて もう腹ペコ｡ ここは 俺と久米さんの 仲に免じて… ね？ まったく しょうがないなぁ｡ じゃあね ボールペンは質入れ→ それから ストラップは買い取りね｡ (久米)あ～あ まったく もう｡ ああ…｡ (鳴き声) おお～ フェルナンド！ (久米)質屋の番犬が懐くほど→ しょっちゅう質屋に来てちゃ いけないんだよ？ (操作音) 俺が持ち込むもの いつもその袋だね｡ フフ… これが 蔵にしまうようなもんかい？ ええ？ 平くんのはね このガラクタ袋で十分｡ 年末にはね 整理しなくちゃ｡ (電子音) ちゃんと 栄養のあるもの食べるんだよ｡ 久米さん 感謝！ 待ちなさい！ どうせ受け出しには 来ないんだろうけど→ 一応 質札は渡す｡ (久米)平くん 君は学生だね？ 僕は この間も君に こんこんと注意をしたね｡ いや あれは お年寄りにお使いを頼まれたから→ そのついでに買っただけ｡ 人間っていうものは→ そういう些細な事から 人生を棒に振るっていう事がね…｡ あっ そうそう さっき そこの雀荘の前でさ→ 呉服屋のノブさんに会ったよ｡ (小池信雄)おっ 寒いね｡ (平)そうっすね｡ (平)いいよなあ ノブさんは｡ 婿養子なのに遊んでいられて｡ (平)やっぱさ 美人でしっかり者の 女将さんがいるって→ 最強だよね｡ あら いい仕上がりですねぇ｡ 俺もノブさんみたいに 楽してえ｡ 信雄は駄目だ！ あれは昼行灯で 穀潰しで 役立たずで…→ 絶対的に駄目な人間だ！ どうも！ また来るよ｡ ≫(店員) ありがとうございました！ 信雄？ (久米)誰だよ？ あの若い女｡ ♬～ 信雄の奴！ (作動音) (久米)くぅ～…！ 瑠璃ちゃんという伴侶が ありながら…！ ああ… うう～っ！ もう許せない！ 今度という今度は 性根叩き直してやる！ もう許せない！ もう！ あの…｡ えっ!? どうかされましたか？ 私？ 私は大丈夫です｡ いろいろと ストレスがあるんですかね｡ そのようですねぇ｡ ♬～ お前の悪行は 全てここに記録されている｡ お前 こんな事して 恥ずかしくないのか？ ん？ なんとか言えよ！ この女は一体誰なんだよ？ うわっ この期に及んで しらを切るつもりか？ 俺はね お前と違ってモテるんだよ！ 女のほうが放っとかないんだよ！ うらやましいだろ？ ざまあみやがれ！ 何ぃ～？ わかったぞ～ おめえの魂胆が！ 俺をゆすろうってんだな？ ええ～？ うらやましいから俺をゆすって ええ？ 苦しめて…｡ そういう腹だろ｡ ええっ！ そうだよ｡ お前 苦しめ！ お前は苦しんで当然なんだよ！ この昼行灯の穀潰し！ くう…｡ 口止め料だ｡ えっ？ 毎月２万｡ これ以上は出せねえからな｡ むむ… このケチンボ！ (久米) こんなはずじゃなかったんだよ｡ ちょっと懲らしめてやろうと 思っただけでさあ｡ (鳴き声) こんなもん… 撮るんじゃなかったなあ｡ (ため息) (ため息) (電子音) あっ こんにちは｡ こんにちは｡ ご苦労さま｡ どうも｡ うーん 何度も来ると 顔見知りになっちゃいますね｡ 君 さっき 何か買い物をしていましたね｡ ええ？ ああ へへ…｡ これを｡ おや｡ 僕たちの商売が繁盛というのは→ いかがなものでしょうね？ いや これは花の里の幸子さんに｡ あっ それはいいですねぇ｡ ええ｡ (久米) あっ それでしたら こちらの→ 金無垢の腕時計なんかは いかがですか？ ちょいと傷はありますが お値打ちです｡ コンビのとかは ないの？ えっ ああ コンビ…｡ (鳴き声) ん？ どうした？ あっ ちょっと待っててください｡ あ… ああ ちょっと！ どうした？ フェルナンド｡ あっ！ 平くん 何してんだ！ すみません！ (久米)平くん！ 平くん!? 平くん…｡ お… 落ち着け｡ 平くんは よく知ってる青年だし これは 出来心だ｡ ここは 穏便に話をして 解決するのが→ 大人として賢いやり方だ｡ うん ね うん うん｡ 現金とガラクタ袋ぐらい 慌てる事は そんな…｡ あっ…｡ まずい…｡ (久米)フラワーコーポ｡ (久米)あっ ここだ｡ 開いてる｡ 平くん 入るよ｡ 平くんか…？ (久米)あっ…｡ 平くん どうした…？ (ノック) ≫(大家)平さ～ん！ ≫(ノック) ≫平さ～ん 入りますよ！ ≫平さ～ん！ そろそろ 家賃 払ってもらわないと…｡ (大家)誰かー！ 誰か－！ 平くん… どうして… なんで…｡ あっ… この状況は まずいんじゃないか？ あっ ガラクタ袋…｡ ガラクタ袋… どこ？ (芹沢慶二)被害者は 平直哉さん｡ 慶明大学大学院 数学科の 学生ですね｡ (伊丹憲一)正面から一撃か…｡ (米沢 守)ええ｡ 凶器は棍棒のようなものかと｡ 死後 １時間 といったとこでしょうかね｡ じゃあ 犯行時刻は 午後２時前後ですね｡ しかし なんでこう 万札が散らばってるんだ？ (芹沢)なんか やばい商売でも やってたんですかね？ それで儲けた金か…｡ 被害者は お金には あまり縁がなかったと思いますよ｡ ああ～ また もう 当たり前のように…｡ 近くの商店街で パトロールしていたので｡ なんで ガイシャが 金に縁がなかったって→ わかるんです？ 質店で お金を借りています｡ えっ？ 1000円 2000円 500円｡ 奥の部屋の棚にありましたよ｡ ご助言 どうも｡ では もう お引き取りください｡ はい どうぞ｡ どうも｡ どうも｡ どうも｡ あの方は 何をなさっているのでしょうね？ えっ？ どの方？ えっ？ あの部屋にガラクタ袋が なかったって事は→ 途中で どっかに 捨てたりしたはずなんで…｡ 何か お捜しですか？ ええ ちょっと…｡ ああ こちらのバケツは もう 見ましたか？ あっ そっちは まだだ｡ あれ？ あんた どっかで…｡ 以前 夜道で｡ あっ…｡ 警視庁特命係の 杉下と申します｡ 同じく 甲斐です｡ 私は 名乗るほどの者では ありません｡ よろしければ お手伝いしましょう｡ はい？ 捜し物｡ いえいえ もう 大した物じゃないんですよ｡ ほとんど 見つからないほうが いいかなぁというぐらいの→ つまらない物でして｡ それでは さようなら｡ 《こっちを見てる｡ 俺は目をつけられてしまった》 (男性)はい 王手角取り｡ あっ ちょっと待った｡ この飛車 待った｡ (久米)あっ 信雄 ちょっと ちょっと ちょっと…｡ や～だね｡ ノブ！ 何様だよ まったく…｡ 信雄 お前 今日の２時頃 俺と一緒にいた事にしろ｡ なんで？ 言うとおりにしないと→ あの動画 寄合所で みんなで鑑賞するぞ｡ それでも いいのか？ そんな事してみろ｡ お前だって ただじゃすまねえぞ！ こんにちは｡ こんにちは｡ 何か ご用でしょうか？ ちょっと 気になる事がありましてね｡ 先ほど 道端で 何か捜しておいででした｡ それは ひょっとして→ これではありませんか？ そうです これです｡ これを捜してたんです｡ お前 道端に だるま落としたの？ 馬鹿だねぇ｡ 黙れ！ どうも 本当に ありがとうございました｡ これで 全ての問題が 解決致しました｡ 以後 お気遣いなく｡ お役に立てて何よりです｡ あっ つかぬ事を伺いますが 今日の午後２時頃→ どこにいらっしゃいましたか？ えっ？ ああ あの… 俺と一緒にいましたよ｡ ちなみに どちらに？ その辺 こう ぶらぶらと→ お喋りをしながら…｡ そうですか｡ ところで こちらは？ 商店街の 小池呉服店の穀潰し…｡ いや 主の小池信雄です｡ そして？ 私は 久米質店の久米健一です｡ そうですか｡ それにしても お二人 仲がよろしいんですね｡ この寒い中 お喋りしながら散歩だなんて｡ いやぁ こいつとはね 小学校の時以来の…｡ (久米)仲良しなんですよ｡ あの… ４年生の学芸会の時に→ 『うらしまたろう』を 一緒にやりましてね｡ それ以来の仲良しなんです｡ そうだろ？ なあ？ そうそうそう｡ 私が浦島で こいつは亀だったんですけどね｡ あっ まだ他に何か？ いえ｡ どうも お邪魔しました｡ それでは｡ どうも｡ はい｡ ノブ これで お前の偽証罪が成立した｡ 偽証罪？ それじゃあ 何か？ 俺は さっき 警察に お前のアリバイを偽証したのか？ そうだ｡ おまけに 例の動画が入った ガラクタ袋を盗まれた？ そうだ｡ 何 威張ってんだ！ 頭きた｡ 今から警察行って→ さっきのは嘘でしたって 言ってやる！ ｢どうして 嘘をついたんですか？｣ って聞かれるぞ｡ それは お前が 例の動画をばらすって｡ ｢例の動画とは なんの動画ですか？｣｡ 言えません｡ はぁ～ ここが壁か…｡ なあなあ ノブ こうなったら ひとつ あれだ｡ ２人で協力をして…｡ ああ 動画を見つけるしかないな｡ えっ？ 不用心なので 店番を｡ それは ご親切に｡ もう戻りましたから…｡ 久米さん こちらのお店に→ よく 平直哉さんが いらしてましたよね？ はい｡ 彼の事件の事は もう？ ええ あの… 野次馬の方から伺いました｡ それが何か…？ 実は 彼の部屋にあった質札に→ ちょっと 気になる事がありましてね｡ 確か ボールペンで1000円 神社のお守りで1000円→ ハンカチで500円とありました｡ 質草と貸しつけた金額が→ ちょっと釣り合わない気が するんですがねぇ｡ それは まあ 商売ですからね 儲けは大事です｡ ですがね…→ 質屋には その他にも役割がある｡ 私はね そう思ってるんですよ｡ 江戸の昔から 庶民ってのは→ どうしたって 暮らしに浮き沈みがある｡ 食うに困った時は まあ お互い様｡ まあ 社会事業の一環です｡ なんですか？ 素晴らしい！ 実に素晴らしい信念です｡ まさに 質屋さんの鑑ともいえる 信念だと 僕は思います｡ ええ｡ いや～ それほどでも…｡ よろしければ 平さんが預けた質草 拝見出来ますか？ ええ お安い御用です｡ 平くんのはね このガラクタ袋で十分｡ 年末にはね 整理しなくちゃ｡ 何か お困りですか？ いえいえ…｡ ちょっと待っててくださいね｡ (鳴き声) (久米)お守りと…｡ ハンカチ ハンカチ…｡ ≫見つかりました？ はい！ ボールペン…｡ おや ここ→ ｢隅吉商店街｣と書いてありますね｡ それは 去年 うちの商店街で作って→ お客さんに配ったものなんですよ｡ 自分たちで作ったボールペンを お客に配って→ そのボールペンを お客から預かって→ お金を貸してあげた｡ 《どう考えても 不自然だぞ》 あっ 社会事業の一環？ そう！ それそれ！ その一環です｡ それじゃあ また いつでも遊びに来てください｡ いつでも？ ええ いつでも｡ 実は そこの和菓子屋さんで…｡ おまんじゅうを買ってきました ２人分｡ よろしければ ご一緒に…｡ 今…？ あっ これは お茶がないと のどが詰まりますねぇ｡ お茶？ ええ｡ のどが…｡ お客さんだからな フェルナンド ちょっと こっち…｡ な？ よいしょ｡ 汚くしてますけど どうぞ｡ 突然 すみませんねぇ｡ 《平くんは ここの鍵を開けて入ったのか》 お邪魔します｡ あっ…｡ お座布団など…｡ どうぞ｡ では 失礼して｡ (風の音) おや 隙間風が激しいようですね｡ ハハ… 古い家ですから｡ 夜 ここでお休みになるの 寒くありませんか？ いや… 私→ 風通しのよいところでないと 眠れない体質でして｡ ああ そうですか｡ おや 金庫があるんですねぇ｡ ここには何が？ あの… お客さんに渡すために 少しだけ 現金が入ってるんです｡ 他には一切 何も入っていません｡ しかも 非常に安全な金庫です｡ プッシュナンバー式ですね｡ ええ ４桁の暗証番号を入れます｡ ずっと同じ暗証番号ですか？ いえ １週間ごとに変えています｡ 親父の代からの習慣で｡ さすが 老舗の質屋さんですねぇ｡ 防犯が行き届いている｡ まあ 古いってだけが うちの取りえでして…｡ 《そういや 平くん どうやって 金庫を開けたんだろう？》 あっ ごめんなさい｡ お茶でしたね｡ すみませんね｡ ♬～ その黒い粉って 一体 なんだったんです？ 少々持ち帰って 米沢さんに 調べてもらったのですが→ やはり コピー機のトナーの粉末でした｡ トナーの粉末？ (月本幸子)でも どうして そんなところにトナーの粉末が？ 幸子さん ちょっと 電卓を拝借出来ますか？ はい｡ ♬～ 仮に 何者かが あらかじめ→ 金庫のナンバーキーの指紋を 拭き取っていたとします｡ 何も知らない久米さんが 金庫を開ける｡ 暗証番号は４桁｡ 押した数字に指紋が残る｡ あっ トナーの粉末は→ 指紋採取用のアルミ粉の 代用になる｡ じゃあ それを使えば どのキーを押したのかがわかる｡ 粉末は ４つのキーに残っていました｡ ですから 久米さんが押したキーは４つ｡ ４かける３かける２かける１ イコール24｡ つまり 24通りの並びのどれかが 暗証番号にヒットします｡ ひょっとして その金庫破りって…？ ええ 数学科の平さんならば すぐに思いついたでしょうし→ しょっちゅう あの店に出入りしていたのなら→ あらかじめ ナンバーキーの指紋を 拭き取っておく事も容易です｡ 平さんが金庫を破って 中の現金を盗んだんだとすれば→ 現場に散らばっていた一万円札の 説明もつきますね｡ でも もし そうなら その久米さんって方→ どうして その事を 警察に届けないんでしょう？ 盗まれたのが現金だけならば 普通 警察に届けますねぇ｡ つまり 現金と一緒に 他にも 何か盗まれたものがあって→ 久米さんは それを 警察に知られたくなかった｡ ええ｡ 久米さんが 現場の近くで捜していたのは→ 恐らく その知られたくないものの ほうでしょうねぇ｡ それがなんであれ 僕は→ 今回の殺人に関係している 可能性が高いと思っています｡ なるほど｡ で そちらのほうは？ 俺は 久米さんと小池さんの様子が なんか 変な気がしたんで…｡ 健一と信雄は ちっちゃい頃から犬猿の仲で→ 寄ると触ると口喧嘩だ｡ あの２人が仲が悪いのは この商店街じゃ 有名だよ｡ そうですか｡ なるほど｡ ずっと犬猿の仲だった２人が→ 今回の事件が起きた途端→ 仲よくしなければならない 事情が出来た｡ …というわけですね？ ええ｡ 平さんが 見かけない男と話し込んでた？ ええ うちは 近所の常連さんばっかりだからね｡ あれ？ 見かけない顔だなぁって｡ 先週だったかな？ あの席で １時間ばかし なんか話し込んでたよ｡ (伊丹)どんな話をしてたか わかりませんか？ あっ そういや 料理 持っていった時→ ２人で1000万円だとか 1500万円だとか→ 声を潜めて コソコソ話していたよ｡ 大将 お愛想｡ おう！ あっ ちょっと ごめんなさいね｡ ほらほら…｡ やっぱ ガイシャは なんかやばい仕事してたんですよ｡ それで…｡ 仲間割れか｡ 1000万なら 殺しの動機になり得る大金だ｡ はい おつり1000万円｡ (芹沢)えっ!? 大将 そこの3000万の 焼酎のボトル入れて｡ (大将)はいよ～！ (米沢)ハハハハハハ！ あっ いや… 失礼｡ …という話を 手洗い場で漏れ聞きまして｡ 質屋通いしていた被害者に→ そんな大金 縁があるわけないでしょ｡ 1000万円は 1000円 1500万円は 1500円ですね｡ そうでしょうかねぇ？ えっ 違うっていうんですか？ 大の男が２人 1000円や1500円の事で→ 声を潜めて コソコソ話しますかねぇ？ 言われてみれば 確かに そうですな｡ 確かに｡ これは 被害者の部屋に→ あったものですね？ (米沢)ええ そうです｡ ガラクタ袋 一体 どこ捨てたのかなぁ…｡ 困ったなぁ｡ 大体 お前が盗まれたりするから こんな事になるんだぞ！ 何言ってんだよ！ 元々は お前が若い女と…｡ こんにちは｡ (２人)こんにちは｡ また 何かご用でしょうか？ いえ 今日は 小池さんに ちょっと…｡ えっ 私？ 実は 亡くなった平さんの部屋の 傘立てに 傘が入ってましてね｡ おや？ と思って 確かめてみたところ…｡ ちょっと失礼｡ ほら ここ！ この傘の紋→ あなたの羽織の紋と 同じなんですよ｡ 本当だ 同じだ！ ええ｡ これ お前んちの傘じゃん｡ おい なんで 平くんの部屋に お前んちの傘があるんだよ！ 俺が知るわけねえだろうが！ …あっ いや 本当です｡ (小池瑠璃子) あっ ノブさん いてよかった｡ ｷﾖさん お使いから帰らないのよ｡ ちょっと お店…｡ 警視庁特命係の杉下と申します｡ あっ 小池呉服店の女将 瑠璃子と申します｡ 亡くなった平くんの部屋に うちの店の傘があったんだって｡ えっ？ あっ…｡ この傘なんですがね｡ この傘なら 私が貸して差し上げたんです｡ (瑠璃子の声)急な雨で 店の軒先で 雨宿りをしてらしたので…｡ それは いつの事でしょう？ １週間くらい前だったと思います｡ 瑠璃ちゃん 平くんと知り合いだったの？ 知り合いってほどじゃないけど 商店街で よく見かけてたから｡ (キヨ)そうなんですよ｡ ここだけの話ですけどね…｡ ええ｡ ひと月ぐらい前 旦那さん→ 一晩中 帰ってこなかった事が あったんですよ｡ で 次の日 朝の９時も過ぎた頃になって…｡ 飲みすぎちゃったよ…｡ 頭 痛えな…｡ (キヨの声)でもね お酒のにおいなんか→ 全然しなくて その代わりに→ 香水のにおいが プンプンしてたんですよ｡ (小池)この寒いのに なんで こんなとこ集まるんだよ｡ (久米)俺んちも お前んちも→ 奴が いつ現れるか わかんないだろ｡ (小池)あの刑事か…｡ (久米)うん｡ なあ ノブ 俺 思うんだけどな→ もしかしたら 誰かが平くんに頼んで→ あの動画を 捜してたんじゃないかな？ 目的は 金庫の現金じゃなくて あの動画だったって事か？ それなら いくら捜したって 見つからないはずだ｡ もし あれを手に入れるために→ 殺人を犯す人間がいるとしたら…｡ (２人)犯罪の陰に女…｡ 《もしかしたら…》 ほら 盗ってきましたよ！ ごめんなさい こんな事 頼んで｡ でも ノブさんの浮気が 世間に知れたら→ 商店街の噂の種になるわ｡ 私 そんなの耐えられない…｡ 僕 奥さんのために 泥棒したんです｡ お礼くらい してくれてもいいですよね？ えっ？ 僕 前から奥さんの事…｡ 何するの！ 離して！ えっ？ えっ？ えっ？ ひょっとして…｡ (小池)あの若い女が…｡ 若い女？ それって あれか？ お前が浮気した？ なんで ここに お前の浮気相手が 登場してくるんだよ！ あっ いや… ほら 関係者だから｡ お前 俺に なんか隠してるな？ 女将さん 帳場の金が また合わないんですよ｡ ああ それは…｡ あとで私が見るから そこに置いといて｡ いや しかし 女将さん 先月も金が合わなかったんですよ｡ これ おかしいですよ ちゃんと調べないと｡ いいから そこに置いといて｡ はい…｡ (雷鳴) 奥さん｡ えっ？ 幸運って信じます？ 何を隠してるんだ！ ノブ 言え！ いや な… なんにも隠してない！ (久米)言え ノブ！ (小池)いやいやいや…｡ (久米)言え ノブ！ あっ 危ない！ (鉄パイプの落下音) ノブ？ ノブ 大丈夫？ ノブ！ なんだよ ノブ！ なんだよ～！ ノブ!! 〈ドラマの世界を堪能する 大好評 展覧会企画 第３弾〉 〈京都 大阪 千葉 北海道で開催〉 〈詳しくは ｢相棒展｣で検索〉 では お二人は 何者かに命を狙われたと？ ええ 誰かが 私たち目がけて 鉄パイプを落としてきたんですよ｡ でも 無事でよかった｡ お医者様の話だと→ 軽い脳震盪で 心配ないそうなんです｡ 実に 不幸中の幸いでしたね｡ 私ね こう見えても 運動神経 いいほうなんですよ｡ さて 小池信雄さん｡ あなたは 11月４日 午後10時過ぎ→ 若い女性とホテル スティングに 行きましたね？ いやいや いやいや… あれはね 出来心なんですよ｡ あっ 本当だよ 瑠璃ちゃん｡ ノブ お前から ちゃんと言え！ 出来心！ こいつね 積極的じゃなかったんですよ｡ それがね その女が もう なんかこう→ 無理やり ホテルに引っ張り込んだ｡ そこで 昏睡強盗に遭ったのですね？ そうそう！ そこで こん… こん… 昏睡強盗!? 秋頃から都内で頻発してるんです｡ 昏睡強盗｡ ノブさん 本当なの!? ホテルの方の話では 女性のほうは 15分ほどで出ていった｡ ところが あなたは 翌朝 ９時前に→ フロントが電話をした時も まだ眠っていたようだった と｡ 場所柄を考えれば ちょっと あり得ない熟睡の仕方ですねぇ｡ 面目ない！ 恥ずかしくて言えなかったんだ！ (小池の声)初めは→ ｢財布を落としたから 一緒に捜してくれ｣って言われて→ 捜したけど でも めっかんなくて｡ 地方から出てきて 相談相手がいない｡ 外は寒いから どこかで 話 聞いてくれなんて言われてね｡ で ホテルに入った途端→ 一服盛られて 財布の中身を 全て盗られてしまった｡ (小池の声)かっこ悪くて 言えやしないでしょう｡ 十分 被害者だと思いますよ｡ 水臭い人！ 私…｡ 頭 痛えなぁ…｡ (瑠璃子の声)あの日以来→ てっきり あなたが浮気してるもんだと…｡ 私ね あなたが浮気してても→ その人から取り戻そうって 思ってたのよ｡ 平くんが言ってたみたいに 幸運を取り戻そうって｡ 私の幸運は ノブさんと出会えた事だもの｡ 瑠璃子…｡ 私 信じていいのね？ もちろん！ 俺もホテルは 乗り気じゃなかったんだよ｡ なあ？ 健一｡ そうなの？ 健ちゃん｡ ああ ノブはね ホテルの前 こう 行ったり来たりして…｡ 本当だよ？ 証拠だって ちゃんとあるんだから｡ おや 撮影しましたね？ なるほど｡ その映像を握られていたために→ 小池さんは 久米さんのアリバイを偽証した｡ じゃあ あなたは 昏睡強盗の犯人の顔を→ 撮影したんですね？ いやいや 健一は ほんの出来心で→ 悪意はなかったんですよ｡ (伊丹)そんな事はどうでもいい！ いいですか？ その女は 何度も 昏睡強盗を繰り返してるんです｡ 巧妙な奴で 防犯カメラには 全く顔を残さないようにしてる｡ その動画は 犯人逮捕の重要な手掛かりです｡ 今すぐに提出してください！ それは… その…｡ 久米さん！ そろそろ 本当の事を話して頂けますか？ んん…｡ じゃあ 動画の件が バレちゃいけないと思って→ 金庫の中のものが盗まれた事を 隠してたんですか？ すみません…｡ おい 平さん殺害は 昏睡強盗の唯一の手掛かりである→ その動画を奪うための 犯行だったんじゃ…｡ そして 犯人は ばっちし 顔の映ってる動画を見ている→ ２人の命を狙った！ あの… 差し出がましいようですが…｡ 芹沢 ガイシャと接触のあった女 捜すぞ｡ はい！ あっ あっ あ～…｡ 行っちゃいましたよ｡ ええ｡ ところで 瑠璃子さん 先ほど あなたは 平さんが→ ｢幸運を取り戻す｣と言っていたと おっしゃいましたね？ ええ 傘をお貸しした時…｡ 僕の幸運は すぐそこにあったんです｡ でも 気づいてなかった…｡ やっぱり 幸運は取り戻さないと｡ ｢幸運は取り戻さないと｣…｡ なるほど｡ 平さんには 幸運のありかが わかっていたわけですね｡ それで あんな事になってしまった｡ え… どういう事ですか？ あの… 犯人は その昏睡強盗の女なんですよね？ 顔が映ってる動画を見たからこそ 俺たちは２人 狙われたわけで…｡ 動画は 隠し撮りだから→ 女は 撮影されていた事自体 気づいていないはずです｡ ましてや 金庫のガラクタ袋に 入ってたなんて→ わかるはずがない｡ じゃあ なんで 犯人は俺たちを？ 犯人が狙ったのは 健一さんだけです｡ えっ？ 犯人が欲しかったものを 知っているのは→ 健一さんだけですから｡ ええ…？ (久米)こっちが質入れしたもんで こっちが買い取ったもんです｡ 平くんが うちに持ち込んだものは ここに全部書いてあります｡ 拝見します｡ 本当に価値のない ガラクタばっかりっすよ？ ええ 平さんも 初めは→ そのものの価値を 知りませんでした｡ 価値があるとわかった時には すでにあなたのものになっていた｡ もちろん 今さら返してくれとは言えない｡ しかし どうしても 取り戻したかったんです｡ 杉下さん これ！ 買い取りです｡ 久米さん｡ こちら 確かに 平さんが持ち込んだものですか？ ええ｡ 健一さん｡ はい｡ 犯人逮捕に ご協力願えますか？ 喜んで｡ (春日由紀夫)これ…｡ (係員)払い戻し車券ですね？ 待ってください｡ 失礼｡ これ 今日が払い戻し最終日の 当たり車券ですね？ 300円分で 配当金は1539万円｡ これは 平直哉さんが 久米質店の金庫から盗んだ→ ガラクタ袋に 入っていたものですね？ 何の事かな？ それ 俺の車券だ｡ 返せよ！ いいえ｡ あなたは 平さんと共謀して→ 久米質店の金庫から 現金とガラクタ袋を盗んだ｡ その目的は 初めから 袋の中の この車券だったんです｡ 調べれば この車券からは→ 亡くなった平さんと久米さんの 指紋が出てくると思いますよ｡ 間違いありません｡ この男が 平くんが盗みに入った時 店に来ていた客です｡ (春日)コンビのとか ないの？ これが その時のあなたを映した 防犯カメラの映像です｡ (ため息) しかし なぜ 車券が質屋の金庫なんかに？ ２か月前に 平さんが持ち込んだんです｡ (平)じゃあ このお守りと これで→ 晩飯代500円 お願い！ えっ 何？ 競輪のあれ… 車券じゃない これ｡ 学生のくせに競輪なんかして！ いや これは 朝 パチンコ屋に並んでたら→ 後ろのお年寄りが ｢場所 取っとくから→ 競輪場で車券買ってきてくれ｣って 頼むんでね｡ 競輪場とか初めてなんで 記念に自分のも買ったの｡ これ 大学入試の時の受験番号｡ こんなのはね 質草にならないの！ じゃあ 買い取りで｡ 俺 見てないけど→ 1000円ぐらい 当たってるかもしれないよ？ 久米さんは 平さんを説諭し 夕食代を貸して→ 車券とお守りを ガラクタ袋にしまった｡ (春日)平は パチンコ一筋でね→ それが万車券だって 教えてやったのは 俺だよ｡ (芹沢)あ～ じゃあ 平さんが→ 居酒屋で 大金の話をしてたってのは…｡ 配当金を山分けする話ですね｡ (春日)ああ｡ 配当金の払い戻し期限は 60日｡ 期限まで あともう少ししかない｡ たとえ 金庫に近づけたとしても→ 24通りの暗証番号を試すには→ 一定時間 久米さんを金庫から 遠ざけておかなければならない｡ そこで あの日…｡ あなたが客を装って→ 久米さんの注意を 引きつけておく事にした｡ その間に…｡ 平さんは 縁側のガラス戸から侵入し→ トナー粉で指紋を見つけて 暗証番号を割り出した｡ (操作音) (電子音) 鍵が開き 金庫が開く｡ (鳴き声) ところが 久米さんが異変に気づき…｡ あ… ああ ちょっと！ 平さんは 車券を狙ったと 気づかれないように→ 現金と袋を持って 逃げようとしたところを→ 見られてしまった｡ (平)すみません！ 平さんの部屋で待ち構えていた あなたは…｡ 春日さん？ 配当金を独り占めするべく→ 戻ってきた彼を正面から一撃｡ やはり 車券に気づかれないよう 現金と袋を持ち去った｡ どうして こいつは すぐに 車券を金に換えなかったんです？ 久米さんに 車券の一件を 感づかれたと思ったからです｡ 違いますか？ 質屋の窃盗事件が 報道されなかったんでね｡ 感づかれたと思ったよ｡ 他に警察に届けない理由なんて ないだろ｡ 久米さんには 窃盗事件を隠す 別の理由があったんですよ｡ えっ？ ええ｡ その事を知らなかったあなたは こう考えた｡ 久米さんが自分の顔を見ている｡ 配当金をもらえば→ 久米さんが 分け前を 要求してくるに違いないと｡ そこで あなたは 昨夜…｡ 後難を断つべく 久米さんの口を封じようとした｡ あんた 車券の事 気づいてなかったのか？ ああ｡ くっ…！ あんた 金なんかのために 人の命 取る事ないだろ｡ 平くん まだ学生だったんだぞ｡ ああ あいつは お人よしの ひよっこだったよ｡ 俺はな 夜中に押し入って 質屋の親父 ガツンとやって→ 金庫を開ければ早えっつったのに あの野郎…｡ おじさんにケガをさせるのは 絶対に嫌だって言い張ってね｡ (笑い声) (久米)お前は…！ (芹沢)落ち着いて 落ち着いて！ (伊丹)おい その辺にしとけよ！ お前 立て！ ほら！ 芹沢 連れてけ！ オラ！ ペラペラ ペラペラ 喋りやがって この野郎！ (小池)元気出せよ 健一｡ 平くん 車券の事 一言 相談してくれてたらなぁ｡ そうしたら あの車券は返してあげましたか？ そうねぇ… 相談されてたら→ 私が 金を受け取って→ 平くんに口座を作らせて 貯金して→ 彼が立派な社会人になったら→ 通帳とかカードとか 渡してやってたね｡ 平さんも 久米さんなら→ きっと そうすると 思ったかもしれませんね｡ でも 待てなかった｡ あっ 配当金は 奨学基金に 寄付されたそうですね｡ 平くんみたいな 若い学生のためになればと思って｡ 業突く張りな顔してるくせに 気の利いた事するでしょ？ フン！ お前 なんだ？ 店の金に手つけて 何やってんだ！ いや あれは瑠璃子のためなの｡ 瑠璃子さんのために？ うん｡ 昏睡強盗に遭ったあと→ こりゃ 悪くすりゃ 死んでたかもと思ってね｡ このままじゃいけない→ 何か女房のためにやっとかなきゃ と思って→ 内緒で生命保険入ったの｡ でも 小遣い 使い切ってたから 掛け金を ちょっと拝借…｡ フフ… 拝借せずに払えていたら なおよかったですがね｡ まあ お前は 死ぬくらいしか 役に立たないからな｡ 浦島に助けられた亀が 偉そうに言うな！ 俺がいなきゃ おめえは 鉄パイプでぺしゃんこだぞ！ 亀！ ハッ！ お前なんかな→ 玉手箱の煙吸って もーっと じいさんになれ！ 何!? まあまあ まあまあ…｡ あっ そうそう！ 犯人の供述で ガラクタ袋が見つかって→ 例の動画のおかげで 昏睡強盗も捕まったそうですよ｡ おお～！ ああ そりゃよかった｡ あっ 忘れてました｡ これをお返ししなくちゃ と｡ ああ これはこれは…｡ それ 俺のなんですよ｡ ああ 若いのに…｡ (瑠璃子)こんにちは｡ その節は どうも｡ これ 皆さんで…｡ おう！ (久米)あっ たい焼き！ どうぞ 食べて 食べて｡ どうも すいません｡ ノブさん いづつ屋さんがいらしたわよ｡ おう！ じゃあ これから 商売に精を出しますんで｡ 失礼します｡ 本当に いろいろと ありがとうございました｡ 亀が鯛を食うか…｡ 久米さん 乙姫は 瑠璃子さんだったんですねぇ｡ えっ？ あなたが 動画の事を→ 必死に隠し続けたのは→ 小池さんの浮気を 瑠璃子さんが知ったら悲しむ｡ 本当は そう思ったからでは ありませんか？ まあ 亀には 多少の知恵があるからね｡ 乙姫は 浦島と亀がいて初めて幸せ→ という事でしょうかね｡ あっ 杉下さん そろそろ時間ですよ｡ おやおや もうそんな時間ですか｡ あ… これから 我々 これがありますので｡ では 今日は これで…｡ さよなら｡ 行きましょう｡ はい！ (女性)こんにちは｡ ご苦労さまです｡ (２人)どうも｡ ところで 俺ら いつまで 防犯パトロール続けるんですか？ それは 僕にも 皆目見当がつきませんねぇ｡ え～！ フフフ…｡ さてと カイトくん 掃除から始めましょうか｡ (小宮山佳枝)ろくに掃除の仕方も 知らないのかい｡ 奈々さんを殺害する動機があった って事ですよね？ (佳枝)また この刑事たち 勘違いしてるよ｡ 刑事ドラマのご意見番に 聞いてみましょう｡ 当番組は同時入力の為、誤字脱字 が発生する場合があります。 ≫こんばんは。 ≫「相棒」から直結で 「報道ステーション」です。 今、後ろに映っておりますのが ノルウェーのオスロとありますが 日本時間で正確に言うと 先ほどの９時半過ぎになろうかと 思いますがノーベル平和賞の 授賞式のワンシーンです。 お二方が映っております 笑顔です。

ひよっこ＃043

1 <母親になるというのは どういう事なのか➡ こころは考えていました｡➡ もう一度 みんなで やり直す日のために> お母さんか…｡ ♬｢Pon pon pon…｣ ♬｢愛の言葉をリル｣ ♬｢ｼｬｲなﾊｰﾄがﾄﾞｷﾄﾞｷ｣ ♬｢あの日観てた “ｻｳﾝﾄﾞ･ｵﾌﾞ･ﾐｭｰｼﾞｯｸ”｣ ♬｢瞼閉じれば蘇る｣ ♬｢幼い頃の大事な 宝物だけは｣ ♬｢ずっと この胸に 抱きしめて来たのさ… Ah ah｣ ♬｢夜の酒場で Lonely｣ ♬｢あの娘 今頃どうしてる？｣ ♬｢さなぎは今､ 蝶になって｣ ♬｢きっと誰かの腕の中｣ ♬｢若い広場 愉しﾄﾞﾗﾏ｣ ♬｢夢膨らむ 青い空｣ ♬｢肩寄せ合い 声合わせて｣ ♬｢希望に燃える 恋の歌｣ ♬～ 実さん… ですよね｡ 生きていたんですねぇ 実さん｡ でも どこか 雰囲気が 変わったように見えますよね｡ ♬～ (松下)おはようございます｡ (一同)おはようございます｡ (松下)皆さんも ご存じかもしれませんが➡ 昨夜も 巨人が勝ちました｡ 絶好調ですね うれしいことです｡ 別に 私が長嶋ﾌｧﾝだから 言ってるわけではありませんよ｡ 我が社にとって ありがたいことなのです｡ どういうことか 分かりますね｡ いいですか？ 巨人が強い｡ そうすると 後楽園球場は 連日 満席になります｡ その時 お客さんたちが 手にしているものは➡ え～ 何でしょう？ 澄子さん｡ (澄子)え…？ う～ん…｡ あっ ﾃﾚﾋﾞでやってる あの… グッと飲むやつ｡ ﾅﾎﾟﾘﾀﾝ…｡ Ｂ？ だっぺか？ (松下)違います｡ 違うし しかも 間違ってる！ あっ Ｃか！ な？ んだな？ そもそも それではないし しかも 間違ってる！➡ そうではなくて お客さんたちは➡ 何を手に持っているんでしょうか｡ 安部さん｡ (安部)はい ﾄﾗﾝｼﾞｽﾀﾗｼﾞｵです｡ そのとおり！ これで分かりますね｡ (豊子)野球も見ていて ﾗｼﾞｵも聞くんですか？ (みね子)んだよね｡ (幸子)うん｡➡ 球場で見でっとね ﾃﾚﾋﾞみだいに 解説や実況がないがら➡ ﾗｼﾞｵ 聞ぎだぐなるらしいよ｡ へぇ そうなのげ？ なるほど｡ このころ 巨人は 王 長嶋を擁する黄金時代｡ この年から ９年連続で ｾﾘｰｸﾞ優勝に輝く➡ Ｖ９時代に突入しました｡ 巨人は 爆発的な人気となり 子どもの好きなものとして➡ 巨人･大鵬･卵焼きという言葉が はやったほどです｡ せ～の！ (澄子)あっ！ Ｄだ！ Ｄ！ Ｄ！➡ な？ な？ (笑い声) <お父さん 暑中お見舞い申し上げます｡➡ いかが お過ごしですか？➡ 東京に来て もうすぐ ４か月になります｡➡ 私たち みんなで 一緒に頑張ってます｡➡ 時子は 仕事以外の時間で お芝居の勉強のため➡ 頼み込んで 劇団の稽古に 参加させてもらっています> [ 回想 ] (時子)あ～｡ (一同)あ～｡ お願いします！ (一同)お願いします！ はい よ～い！ はい！ ｢警鐘を鳴らせ～！➡ 謀反だ！ 皆の者 起きろ～！｣｡ ｢何事です？｣｡ ｢あなたには とても お聞かせできない｣｡ ｢何かあったのか!?｣｡ ｢ああっ！｣｡ ｢奥方様！｣｡ はい 侍女！ ｢奥方様 いかがなされましたか？｣｡ <時子 気合い入ってます｡ かっこいいです> <豊子は 通信制の高校で とってもいい成績を取りました> [ 回想 ] (一同)お～！ <豊子 すごいです｡ 偉いです｡➡ そして かわいいです> 何も… それほどでも…｡ あります｡ (幸子)何だ それ～｡ 何だよ それ｡ (時子)本当だよ もう！ もう～！ ありがとうございます｡ いでっ！ 誰だ？ 誰か一人 すごぐ強ぐ ぶった｡ (一同)えっ？ おれでねぇ おれでねぇ｡ 澄子！ ♬～ <幸子さんは 寮長であるにもかかわらず➡ 一度 門限を破りました> [ 回想 ] 気ぃ付けて｡ 落ちないでね｡ 何だベ？ (優子)し～っ！ し～っ！ ごめん｡ <その顔は 何だか とっても かわいかったです｡➡ でも 不良です｡➡ 寮長ではなく 不良長です｡➡ すみません 駄洒落です> (せきこみ) <優子さんは 夏の暑さが こたえるらしく➡ 少し 体調が心配です｡➡ そこで…> [ 回想 ] ﾚﾊﾞｰ 苦手なんだぁ｡ ♬～ いただきます｡ ありがとうございます｡ <食堂の和夫さんが 優子さんのために➡ 夏バテ防止ｽﾀﾐﾅﾒﾆｭｰを 特別に考えてくれたので安心です> ♬～ あ～！ <澄子は 一番 ここでの暮らしを 楽しんでいるように思います> [ 回想 ] 澄子！ 澄子！ 朝だよ！ 澄子！ 澄子！ どうすっぺ…｡ おれ 東京来て ３ｷﾛｸﾞﾗﾑも太っちまった｡ そんだべな｡ えっ？ 知んないよ｡ そのうぢ 百貫デブになるよ｡ え…？ ♬｢分かっちゃいるけど やめられない｣ お代わり！ <さて 私はというと…> <お父さんがいたという ここに 時々 来てみるけど➡ お父さんには いつになっても会えないし➡ 都心に出ると まだ怖くて おどおどしてしまいます｡➡ 東京に住んでいるのに 東京の人でもないし➡ 茨城からは 遠く離れてしまっているし➡ 私は 何なんだろうと 思うことがあります> <長い暑中見舞いに なってしまいました｡➡ どうか お元気で お過ごし下さい｡➡ みね子> (セミの声) あっ！ ねえ みんな お盆休み どうすんの？ 帰んの？ おれは帰らねえ｡ 私も 勉強集中してやれるし 残ります｡ (優子) 私も帰りたいけんど やめておく｡ そうか… 時子も？ うん やること たくさんあるし お母ちゃん 楽しみにしてて➡ 帰ってくるもんだと思ってるから ちょっと悪いけど｡ んだね｡ 私も そうしようかな｡ お金かがるし｡ お正月まで我慢かな 帰りたいけど｡ そっか｡ ねえねえ！ 一日だけ どっか みんなで出がげない？ 一日だけ｡ え～!? え～ 何？ どごさ？ どごさ？ やっぱり 夏だし 海水浴でないがな？ あ～！ 水着かぁ！ いや～ かわいいね これとが｡ 私は これがいいな｡ いいね 時子っぽいね｡ あっ 私は これがいいなぁ｡ 優子さん 似合いそう｡ (優子)そう？ こんなの着るんですか？ 私 自分が壊れそうだ｡ いや 大げさだっぺよ それ｡ いやいや！ 高いがよ？ やっぱ 生地が少ない方が安いですかね？ そうじゃないと思うよ｡ はぁ でもよ…｡ 買います おれ！ 買います！ よし！ じゃ 日曜日 買いに行ぐか｡ ﾊﾞｰｹﾞﾝやってるしねえ 一緒に｡ はい！ 行きます！ あっ そうだ！ あいづ 会社の車 借りられんだって｡➡ だから 運転手させよう｡ すばらしい！ わ～！ 車で海？ かっこいいね！ 加山雄三の映画みたい｡ んだねえ！ でも 会社のﾄﾗｯｸだけどね｡ (笑い声) あ～ どうしようかな～？ ≪海かぁ｡ 愛子さん！ (愛子)いいねえ 青春だねえ｡ 何か すみません｡ 何で謝るの？ いや お盆って そういう日ではないっていうが➡ そういう休みではないですよね｡ そうだねぇ｡ 確かに お盆は ご先祖様のことをお迎えしたり➡ 亡くなった人のことを しのぶための日だもんね｡ それは いいのよ 気持ちさえあれば｡ それにさ 私たちの年くらいまでの人は➡ しのぶ人も たくさんいるけど➡ あなたたち 戦後生まれの人は 違うんだから➡ 精いっぱい 楽しみなさい｡➡ それが 亡くなった方々への いい供養になるよ｡ そんな楽しい世の中に なったんだなって｡ ♬～ 愛子さんは どうされるんですか？ ん？ 私？ 私は 泣くの｡ たくさん思い出して ずっと泣くの｡ 涙 出なくなるくらい泣くの｡ そうですか…｡ それでね たくさん食べるの｡ 食べられなかった頃のこと 思い出して➡ たくさん食べてやんのよ｡ もうね とんかつでしょ ﾗｰﾒﾝ ｵﾑﾗｲｽ 炒飯 ｶﾚｰﾗｲｽ➡ それに とんかつ！ あっ あと ｺﾛｯｹ！ ﾒﾝﾁｶﾂ ﾊﾑｶﾂ｡ あと とんかつ！ とんかつ 好きなんですねえ｡ ん？ 何度も言った？ 私｡ はい ３回｡ あら やだ｡ (笑い声) でも いいなぁ 海か｡ 水着かぁ 私も行きたいなぁ｡ 私も着たいなぁ｡ みね子さん ちょっと誘ってみて｡ 断るから｡ あっ はあ…｡ <お父さん…｡➡ 何で こういう時 私なんでしょうか？> 愛子さん 一緒に水着買って 海水浴 行ぎませんか？ (時子)どうですか？ (幸子)行きましょうよ｡ うん 行く！ (６人)え…？ 冗談よ｡ なんて顔してんのよ あんたたち！ (笑い声) 楽しんでおいで 若者たち｡ ♬～ (一同)わ～！ これくらい いいですよね｡ 年頃の女の子なんですものね｡ ﾆｬﾝ 真横から｡ ネコの横顔｡ ♬～ 額から鼻 顎へのﾗｲﾝ｡

ツバキ文具店～鎌倉代書屋物語～＃04

1 が現実味を帯びたように感じるん ですよね。 私たちもこれまで以上に、国会の 議論に向き合っていかなければな りません。 (鳩子)<祖母である｢先代｣の死で➡ 私は ８年ぶりに 鎌倉に帰ってきた｡➡ 先代は 人からの 手紙の代筆を請け負う➡ ｢代書屋｣をしていた｡➡ 成り行きから 代書屋を継いだ私は…> (男爵)あの時のあれ うまくいったようじゃないか｡ うまくいったんですか？ ああ｡ <代書の仕事にも 少しずつ慣れてきた> ああ… ｶﾌｪｵﾚを｡ (守景)かしこまりました｡ <日々の生活の中には 小さな喜びや…> (陽菜)かーしゃんね 今 天国に居るの｡ 亡くなった陽菜の母親が残した ﾚｼﾋﾟで作ったもので…｡ そうだったんですか｡ <小さな痛みがある｡➡ そして 私は あれほど反発して 別れたはずの先代の事を➡ 今になって たびたび思い出している> ♬～ (陽菜)<｢ポポえ ぱんやさん➡ だいすきな ちょこれーとぱん➡ うりきれ ざんねん｣> (園田)すいません｡ はい｡ 手紙の代書をして下さる ﾂﾊﾞｷ文具店は こちらですか？ ♬～ どうぞ｡ ありがとうございます｡ あの～ 普通の手紙でも 書いて頂けますか？ 普通の… と言いますと？ 何というか ただ 僕が元気だという事を➡ 伝えたいだけの手紙なんです｡ お相手の方は？ 初恋の人で… 幼なじみです｡ 子供のころ ﾏﾝｼｮﾝの部屋が 隣同士で 小学校も中学校も一緒｡ かつては 結婚の約束を していたのですが➡ 結局 結ばれませんでした｡➡ 僕は 今 他の人と結婚していて 子供もおります｡➡ 共通の友人から 彼女も ７年ほど前に伴侶を見つけて➡ 幸せに暮らしているらしいと 聞きました｡ いまさら どうこうって話ではなくて➡ もう 10年も会ってませんし➡ ただ ひと言 僕も元気だと伝えたいんです｡ (園田)自分で書こうとも 思ったんですが 書けなくて…｡ 10代のころとはいえ 結婚するなら この人しかいないと➡ 決めていた人なので 妻に悪い気がして｡ 分かりました｡ 何か 他に ご希望は？ 文字を 女性の文字で 書いてほしいんです｡ 女の人の？ 男からと分かる手紙が届く事で 彼女の幸せを壊したくないので｡ 旦那さんが見たら 複雑ですよね？ でも 名前で 分かってしまうんじゃ…｡ 僕は 園田 薫で 幸い 女性にもいる名前なので➡ 女性の文字なら 女友達からの 手紙だと 思ってくれるはずです｡ ｻｸﾗは 僕だと 気付くでしょうし｡ ｻｸﾗ？ 相手の名前が ｻｸﾗなんです｡➡ 結婚相手の名字が 佐倉さんという方で➡ 今は 佐倉 桜という 名前なんですよ｡ こんな事って あるんですね～｡ あの～ これ 持ち帰ってもよろしいですか？ ああ どうぞ｡ 娘の大好物で｡ 今 自転車に乗れるように 頑張ってるので➡ そのご褒美にさせて下さい｡ じゃ 今 ﾗｯﾌﾟを…｡ あっ いえ このままで大丈夫です｡ あっ… それから これ つきあってたころの写真です｡ 参考になれば｡ 今 拝見してもいいですか？ ♬～ あの… もう少し お二人の事を 伺っても よろしいですか？ もちろんです｡ あっ でも 今日は時間がなくて…｡ 雨宮さん どこかで 少し時間を頂けたら➡ お連れしたい場所があるんですが｡ はい 大丈夫ですけど｡ (帆子)ねえ 大丈夫なの？ その人｡ 大丈夫って？ 初対面のﾎﾟｯﾎﾟちゃんを 誘い出すなんて➡ なんか怪しくない？ 子ぼんのうそうで そういうﾀｲﾌﾟじゃ…｡ それに 普通の手紙だなんて➡ 男が 昔の女に連絡を取る理由は ひとつだと思うけどなぁ｡ えっ 何ですか？ 不倫のお誘い｡ でも 内容は ｢普通の手紙｣ですから｡ いや いや 男はね 奥手ぶってるヤツに限って➡ 遊んでるからね～｡ さっ これを 一晩 寝かせて 明日 ｵｰﾌﾞﾝで焼く｡ ありがとうございます｡ おいしいパン 友達に食べてほしかったんです｡ じゃあ お礼に 男爵を 私に 引き合わせてくれない？ えっ？ ちゃんと紹介してほしいんだ｡ この前 会った時の感じだと➡ 私の存在 認識されてないでしょ？ でも 私も この前は仕事で 男爵と そんなに➡ 親しい訳じゃないから｡ じゃ これ 没収｡ あっ…｡ 今日は 友達と ご一緒なんですね｡ はい｡ 楠 帆子です｡ ｢ﾊﾟﾝﾃｨｰ｣って呼んで下さい｡ パ… えっ？ あの～ 今日って 男爵って来ますかね？ ああ ええ… 見えると思いますよ｡ ﾎﾟｯﾎﾟちゃ～ん！ はーたん！ あっ これ このおねえちゃんに 教えてもらって焼いた➡ ﾁｮｺﾚｰﾄのパン｡ (帆子)どうぞ 召し上がれ｡ (守景)ほら はーたん ｢ありがとう｣は？ ありがとう｡ おとしゃん 今 食べる！ (守景)お昼 食べたばっかりだから おやつに頂こう｡ は～い｡ あ～ 偉いねぇ｡ ﾎﾟｯﾎﾟちゃんも 今度 ﾃｰｻﾂ行こう｡ ﾃｰｻﾂ？ お恥ずかしい話なんですけど➡ 27日の日曜に よその店が どんなｶﾚｰを出しているか➡ 偵察に行くんです｡ あっ その偵察｡ ﾎﾟｯﾎﾟちゃんも行こう！ いや… はーたん ﾎﾟｯﾎﾟちゃんは お店があるから｡ 日曜日は お店が お休みだから 大丈夫ですけど｡ でしたら ぜひ お願いします｡ おとしゃん よかったね～｡ ﾎﾟｯﾎﾟちゃんと ﾃﾞｰﾄできるよ｡ (守景)ﾃﾞｰﾄなんかじゃないよ｡ よかったら➡ ご一緒に いかがですか？ パン… 帆子さんも｡ いえ 私は先約があるんで ３人で ﾃﾞｰﾄして下さい｡ いや だから ﾃﾞｰﾄじゃないですって…｡ (守景 陽菜)いらっしゃいませ｡ 男爵だ｡ 鳩ﾎﾟｯﾎﾟ 来てたのか｡ この前は ごちそうさまでした｡ 成功報酬だって言ったろ｡ あの… この前も ちょっと お会いしたと思うんですけど➡ 友達の…｡ 楠 帆子です｡ よろしく お願い致します｡ どうも｡ 相席 よろしいですか？ 気分転換で来てるんです｡ 一人にしてくれ｡ はい｡ すいません…｡ ﾊﾟﾝﾃｨｰさん やっぱり 男爵は ちょっと…｡ やっぱり かっこいい 男爵｡ えっ？ ﾎﾟｯﾎﾟちゃんも頑張ってね 守景さん｡ 私は そんなんじゃ…｡ 守景さん いいと思う｡ でも この前の不倫の手紙は 要注意ね｡ えっ？ 子ぼんのうそうに見えて ｢不倫は別腹｣ってヤツもいる｡ 不倫の片棒 担がされたら 大変だよ～｡ <確かに なぜ 今になって➡ 園田さんが 桜さんに 手紙を出そうと思ったのかは➡ 私も気になる> (電車の警笛) 寒いですよね？ 大丈夫です｡ すいません 仕事で 日中 時間が取れなくて｡ いえ｡ 私も 朝が早い方が 助かりますから｡ ここは 僕らの通学路だったんです｡ 小学校 中学校… 高校からは 学校は別でしたけど｡ 春には 桜が きれいで➡ 名前が桜っていうのもあって 彼女も 桜が好きでした｡ 僕は 毛虫が苦手で➡ 毛虫の季節に 僕が逃げ回ってると 桜が大笑いして…｡ 園田さんは どうして 今➡ 桜さんに手紙を出そうと 思われたんですか？ 実は 今度 入院する事になって｡ あっ 全然 命に関わるような 病気じゃないんですけど｡ それを きっかけに 自分の人生 考えちゃったんです｡ それで 心に引っ掛かったのが 桜の事で…｡ 少しは ｢また会いたい｣って 気持ちも あるんですか？ う～ん… どうでしょう｡ 全然ないって言ったら ウソになるかな｡ でも いまさら 彼女と どうこうなろうって事は➡ 本当に なくて…｡ それなのに手紙なんて 変ですか？ いえ 変ではないと思いますが…｡ 向こうが この手紙を機に 会いたいと言ってきたとしても➡ 僕は 会うつもりはないんです｡ どうしてですか？ 僕は 妻と子供を愛しています｡ でも 桜は それとは違った意味で 大切な存在で…｡ やっぱり 会うとなると➡ どこか 後ろめたく 思ってしまうと思うから｡ (園田)勝手ですよね それなのに いまさら手紙を出したいなんて｡ だからこそ 彼女が見た時に 心に波風の立たない➡ ｢普通の手紙｣を 届けられたらって思ってます｡ ♬～ 雨宮さんに お願いしてからも➡ なんとか自分で書けないかと 考えてみるんですけど➡ 考えれば考えるほど どうしていいのか 分からなくて｡ もし ご自分で お書きになるとしたら➡ おっしゃって下さい｡ それでも かまいませんから｡ ありがとうございます｡ こうして お二人の 思い出の場所に来ると➡ お二人の過ごした時間を 感じられる気がします｡ もし 雨宮さんが よろしければ➡ 他にも見て頂きたい所が あるんですが｡ 私は 大丈夫ですが｡ よかった｡ じゃあ また ご連絡 差し上げます｡ (魚福の奥さん)ﾎﾟｯﾎﾟちゃん｡ わっ！ おはようございます｡ すいません ちょっと出かけてて 開店が ｷﾞﾘｷﾞﾘになっちゃって…｡ もしかして 朝帰り？ 違いますよ｡ 今年って 年賀状 大丈夫？ 年賀状？ うん｡ うちだけじゃなくて➡ この辺の人 毎年 先代さんに 宛名書き お願いしてたのよ｡ そろそろ 12月だし 今年は どうかなぁって➡ みんな気にしてるから 聞きに来たの｡ ぜひ お引き受けさせて下さい｡ 私も助かります｡ (白川)おはようございます｡ あら 白川さん｡ お客さんが 日本の文房具を 見たいって言うんだけど➡ いいかな？ あっ もちろんです｡ どうぞ ゆっくり ご覧下さい｡ ＯＫ ﾌﾟﾘｰｽﾞ ｶﾑ ｲﾝ｡ ♬～ ちょっと すいません｡ はい｡ 白川です｡ えっ…？ ああ… 申し訳ありません｡ 白川さん 何かあったんですかね｡ あっ… うん 何だろうねぇ｡ 午後には そちらへ｡ はい｡ 本当に申し訳ありません｡ はい 失礼致します｡ 白川さん 何かあったんですか？ えっ？ あっ… いや あの… 事務所で ちょっとね｡ 大丈夫｡ ごめんね｡ あっ じゃあ… 私は行くね｡ ありがとうございました｡ どう？ お店は｡ 大丈夫？ はい おかげさまで｡ 何かあったら 何でも遠慮なく言って｡ ありがとうございます｡ あれ？ まだ あるんだ～ この折り紙｡ はい｡ 品ぞろえは 昔から あまり変わってなくて｡ 僕は もともと ここで 先代さんが されていた➡ 書道教室の生徒だったんだよ｡ 知らなかったです｡ 私が生まれる前ですよね？ ああ｡ ある時 書道教室のあとに 大雨が降ってね｡ 母が迎えに来てくれるのを 待っている時➡ 先代さんが もう いろんな柄の いろんな色の折り紙で➡ 折り鶴を 折ってくれた事があってね｡ その鶴 紙の角と角が ﾋﾟｯﾀﾘそろって➡ ピンと背筋が伸びていて➡ 僕らが折った鶴とは どこか違ってた…｡ (外国人観光客)ﾐｽﾀｰ ｼﾗｶﾜ｡ ｲｴｽ｡ (外国人観光客)ﾜｯﾄ ｲｽﾞ ﾃﾞｨｽ？ ﾃﾞｨｽ ｲｽﾞ ﾊﾝｺ｡ <確かに 祖母の手が生み出すものには➡ すべて 祖母の きちょうめんさが➡ にじみ出ていたかもしれない> ♬～ <料理では 便利な かりゅうの だしなどは 一切 使わない➡ いつも きんぴらや 筑前煮といった➡ 地味な和食ばかりだった> (カシ子)鳩子 これ運んでちょうだい｡ なに ｸﾞｽﾞｸﾞｽﾞしてんだよ｡ たまには 味が濃いものが 食べたいんですけど｡ ｸﾞﾗﾀﾝとか ﾊﾝﾊﾞｰｸﾞとかさぁ｡ じゃあ 自分で作ればいいだろ｡ 人間 口から入ったものは その人の体になる｡ 若いうちは いいさ｡ でも 何も考えずに➡ 好きなもんばっかり食べてたら いつか 体が参っちまうよ｡ <しゃくだけど そのとおりになった｡➡ １人暮らしを始めたころ 偏った食生活をしていたら➡ すぐに胃を壊した｡➡ 今は 少しは 先代の食事の ありがたみが分かる｡➡ でも おなかがすいて 作るのが面倒くさいと…> 何か食べに行こ｡ こんばんは｡ いらっしゃいませ｡ お店 まだ開いてるんですね｡ ええ ちょっと 明日の準備を｡ おとといは すいませんでした｡ ｶﾚｰの偵察だなんて お忙しかったら➡ 気にしないで下さいね｡ あっ いえ 楽しみにしてます｡ これから お出かけですか？ あっ いえ｡ その辺で 何か食べようかなと思って｡ でしたら うちで どうぞ｡ 今日は まだ閉めませんから｡ すいません｡ じゃあ お言葉に甘えて｡ 今日 はーたんは？ 実家から じいちゃんと ばあちゃんが遊びに来て➡ 見てもらってるんで｡ 守景さんは すごいですよね｡ 僕が？ 何がですか？ お店も はーたんの育児も しっかり されていて｡ 私なんて 自分一人の事で いっぱいいっぱいで➡ 何をしても 自分に自信が持てなくて➡ ﾀﾞﾒﾀﾞﾒです｡ 僕も いっぱいいっぱいで ﾀﾞﾒﾀﾞﾒですよ 実際｡ 朝は 保育園に行くのに ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ｡ 夜なんて 店を閉めると 陽菜に急いで食事をさせて➡ 急いで 風呂に入れて➡ そうこうしてるうちに もう寝る時間で｡ 陽菜に 寂しい思いを させてるから➡ 父親としての自信も 全然なくて…｡ あっ でも ﾎﾟｯﾎﾟさんが 陽菜と 文通をして下さるようになって➡ 陽菜との会話が増えたんです｡ ｢ﾎﾟｯﾎﾟちゃんに 何て手紙を書こうかな｣って➡ 毎日 聞いてくるんで 一緒に考えて｡ 僕ら２人親子は ﾎﾟｯﾎﾟさんに 助けられてるんです｡ ♬～ (戸をたたく音) (帆子)ﾎﾟｯﾎﾟちゃん！ (戸をたたく音) ﾊﾟﾝﾃｨｰさん！ ﾎﾟｯﾎﾟちゃ～ん！ じゃあ ヤケ酒した流れで うちに…｡ そう ﾎﾟｯﾎﾟちゃんが 居なかったから➡ ﾊﾞｰﾊﾞﾗ婦人ちで 待たせてもらってたの｡ (ﾊﾞｰﾊﾞﾗ婦人)うちにも 頂いたﾜｲﾝが たくさん あったから➡ つい飲み過ぎちゃったのよね｡ でも ヤケ酒って➡ 何かあったんですか？ 男爵よ｡ えっ？ (帆子)魚福の奥さんにね 男爵の行きつけのお店 聞いて➡ 張り込んでたの｡ で 狙いどおり 男爵が来たから その店に入って➡ 思い切ってね 隣に座って いろいろ話しかけたのね｡ 男爵って 年下は いくつぐらいまで➡ ＯＫなんですか？ (せきばらい) 少なくとも 鳩ﾎﾟｯﾎﾟや 君のような ｵﾎﾞｺ娘に➡ 俺は興味はないな｡ ﾎﾟｯﾎﾟちゃんは ともかく 私まで ｵﾎﾞｺ娘って➡ ありえなくない？ ｢ﾎﾟｯﾎﾟちゃんは ともかく｣って…｡ (ﾊﾞｰﾊﾞﾗ婦人)いい事じゃない｡ 恋が簡単に実ってしまったら➡ つまらないもの｡ そうですか？ 最高の恋愛は 最高の出会いから 始まるとは 限らないもの｡ もう男爵は諦める｡ いいんですか？ 私 こう見えて 打たれ弱いの｡ 完全に脈なしなら 引き下がるしかない｡ (ﾊﾞｰﾊﾞﾗ婦人)大丈夫｡ きっと 全部 うまくいくわ｡ 今日は 月が きれいだもの｡ <ﾊﾞｰﾊﾞﾗ婦人の優しい声が➡ 胸に しみこんでいくような 気がした> ♬～ ここは 僕が 桜に告白した場所なんです｡ 僕らは 一時期 遠距離恋愛だった事があって｡ 桜は よく ここに来て お祈りしてたみたいです｡ 僕と ｹﾝｶした時は ｢仲直りできますように｣➡ 僕が仕事で悩んでる時は ｢うまくいきますように｣って｡ そのせいかは分からないけど 僕は 離れていても➡ 桜を いつも 近くに感じる事ができました｡ 気持ち悪いですよね 昔の彼女を こんな…｡ あっ いえ｡ 強い絆があったんですね｡ 雨宮さんは そんな方って いますか？ えっ？ えっ？ あっ あの… 彼氏がいるとか そういう事じゃなくて➡ 何か そういうのって 雨宮さんも あるかなって…｡ 絆っていうのとは違うけど… 先代ですかね｡ (園田)先代？ 両親がいない私を 育ててくれた祖母です｡ 私は ８年前に家を出て ずっと会わずにいたんですが➡ この秋 亡くなってしまって…｡ わだかまりが 全部 解けた訳じゃないけど➡ 今は なぜか 毎日のように 先代の言葉を思い出して…｡ いい思い出は少ないけど 近くに感じる事があります｡ 姿は見えなくても ご先代は 近くに居ますよ きっと｡ ♬～ 樹木の美しさは 命の美しさなんでしょうね｡ 僕と桜は この木を よく一緒に見てました｡ この木は 何百年も いろんな人を 見てきたんだねって｡ ♬～ 僕と桜の人生は もう二度と 交わる事はありません｡ でも 僕は 桜と 同じ時を生きている事を➡ 幸せに思います｡ もう二度と会わなくても➡ 桜が幸せであるように 祈っています｡ (園田)この木が➡ 僕らの かけがえのない日々が 確かにあった事の証しに➡ なってくれているように 感じるんです｡ ずっと 笑っていてほしいんです 桜には｡ ♬～ 自分で書くかもしれないなんて 言ったけど➡ やっぱり この手紙は 雨宮さんが書いて下さい｡ はい｡ 書いたら そのまま投かんして下さい｡ 退院後は 仕事が立て込んでて すぐには伺えないので｡ でも 内容の確認は？ 必要ありません｡ すべて お任せします｡ 雨宮さんは 僕の手紙に ちゃんと向き合って下さった｡ あなたなら 僕以上に 僕の思いを➡ しっかり 桜に届けて下さると思います｡ ♬～ <園田さんの深い愛情➡ 桜さんの心を乱したくないという 思いやりを 筆に込めたい> ♬～ <迷ったあげく ｶﾞﾗｽﾍﾟﾝで したためる事にした｡➡ ｶﾞﾗｽﾍﾟﾝは 一塊の ｶﾞﾗｽから出来ている｡➡ 明治時代に 日本の 一人の風鈴職人が生み出した｡➡ それが 瞬く間に ﾌﾗﾝｽやｲﾀﾘｱに広まった｡➡ 便箋は ｶﾞﾗｽﾍﾟﾝとの相性を考えて➡ 表面が滑らかなものを選ぶ｡➡ 選んだのは ﾍﾞﾙｷﾞｰ製の ｸﾘｰﾑﾚｲﾄﾞﾍﾟｰﾊﾟｰ｡➡ 手で触ると 手すきのような ぬくもりがあって➡ 優しさや 柔らかさを感じる｡➡ 園田さんの思いを運ぶのに 最適な紙だ｡➡ 文章は はがきｻｲｽﾞ１枚にまとめる｡➡ 何枚も書いたら 桜さんも 重く感じてしまうだろうから｡➡ 文面を家族に見られないように➡ さりげない封筒に入れて…> <ｲﾝｸは ｾﾋﾟｱ色に決めた｡➡ ２人の重ねた月日を思うと➡ ｾﾋﾟｱ色が 頭に浮かんで 離れなかった> ♬～ <あとは ぶっつけ本番 園田さんに なりきって➡ 桜さんの幸せを願いながら 言葉をしたためればいい> ♬～ (園田)<｢毎日 笑っていますか？➡ きっと あなたのことだから➡ 時々は楽しそうに 歌をうたっていることでしょう➡ 僕は元気です➡ 最近は時々 小学生になる お転婆娘に➡ 自転車の乗り方を教えています｣> (園田)<｢あなたとも 子供の頃 一緒に あの桜並木で➡ 自転車の練習をしましたね➡ ともに長い年月を過ごした あなたが 幸せでいてくれたら➡ こんなに うれしいことはありません｣> (園田)<｢僕も 幸せに暮らしています➡ どうか 体にだけは 気をつけてください➡ 遠くの空から➡ あなたの幸せを願っております｣> ♬～ <園田さんにとって かけがえのない人 桜さんが➡ 幸せでありますように> ♬～ <園田さんの願いが➡ 桜さんの胸に届きますように> ♬～ (守景)このｶﾚｰｼｮｯﾌﾟ 女性客ばっかりで➡ 僕と陽菜だけでは 来づらかったんです｡ 私 ここのｶﾚｰ 好きなんです｡ 和風ｷｰﾏ｡ じゃあ 僕は ﾁｷﾝｶﾚｰにするので ｼｪｱしてもいいですか？ 和風ｷｰﾏも試したいんで｡ あっ はい｡ はーたんは？ ﾌﾟﾘﾝ！ ﾌﾟﾘﾝは お父さんと ｶﾚｰのごはんを食べてから｡ から揚げも頼むから｡ いい？ 約束ね｡ は～い｡ よし｡ (守景)あとは…｡ 折り紙？ 折り紙 好き～｡ この子 昔から 待つ事に慣れてるんです｡ 僕が 店のｵｰﾌﾟﾝで忙しかったんで｡ はーたんは偉いねぇ｡ ﾎﾟｯﾎﾟちゃん 鶴 折れる？ う～ん… あんまり上手じゃないけど｡ ♬～ (守景)えっ？ お父さんも？ うん｡ ♬～ うん おいしい｡ コクがあるけど ｻｯﾊﾟﾘしてますね｡ うん｡ ｼｮｳｶﾞかな？ 隠し味に ｼｮｳｶﾞを入れてるのかも｡ うん そうだ ｼｮｳｶﾞですね｡ ♬～ 和風ｷｰﾏも どうぞ｡ あっ すいません｡ ありがとうございます｡ はーたん おいしい？ うん｡ ﾎﾟｯﾎﾟちゃん ｶﾚｰ ﾋﾟﾘﾋﾟﾘ 平気？ 平気だよ｡ 何で平気なの？ 大人だから？➡ 大人になると ｶﾚｰ ﾋﾟﾘﾋﾟﾘも 梅干し 酸っぱ～いも➡ ｺｰﾋｰ 苦いのも 平気なの？ 何で？ う～ん… 何でだろう？ すいません ｢何で 何で｣って言う 年頃みたいで｡ いえ｡ 今度までの 宿題にしてもいい？ いいよ｡ ♬～ (千代)嫌！ 母さん 頼むから 言う事 聞いて｡ (千代)帰る！ 行こう｡ (千代)帰る～！ 嫌～！ ♬～ もう 大きな声 出さないで｡ 乗って｡ 手紙！ 何？ 手紙！ 手紙な｡ 手紙｡ うちに 来てるかもしれないじゃん｡ 見に帰ろう｡ 大丈夫だよ 母さん｡ 大丈夫 大丈夫｡ 何も怖い事ない｡ 座って…｡ はい｡ ♬～ (魚福の奥さん)それ きっと 白川さんの お母さんだわ｡ ほんとは 大変なんじゃないかなぁ｡ 私も 最近 知ったんだけどね ここだけの話➡ 白川さんの お母さん 認知症らしいのよ｡➡ 目を離すと 徘徊しちゃうらしいの｡ 白川さん 自分からは話さないし こっちも 何だか聞きづらくて…｡ 知りませんでした｡ 東京の大商社に勤めてたのに➡ 急に辞めて 鎌倉に戻ったのも そのためなんじゃないかねぇ｡➡ 離婚したのも 会社 辞めたのと 同じころだったみたいだし…｡ み～んな いろんな事を抱えて 生きてんだよね｡ ごちそうさま｡ 藤井さんと三輪さんの年賀状も よろしくね｡ はい｡ 頑張って｡ ありがとうございました｡ ご苦労さまでした｡ <何日かして 園田さんから 現金書留が届いた> <代金よりも かなり多い金額が入っていた> ☎(呼び出し音) もしもし 園田さんですか？ ☎(園田の妻)園田の妻ですが…｡ <奥さんが出るとは 思っていなかった> あの～ 仕事で お世話になってる者なのですが➡ 園田さんは…｡ ☎(園田の妻)主人は… 昨日 亡くなりました｡ [ 回想 ] (園田)実は 今度 入院する事になって｡ あっ 全然 命に関わるような 病気じゃないんですけど｡ <園田さんは 脳の病気で 何度か手術していた｡➡ 今回は かなり難しい手術になると 言われていたという｡➡ 私は 桜さんに 会わなければならないと思った> (桜の夫)いくぞ！ ほい！ (桜)あ～！ どうぞ｡ 優輝 ｢どうもありがとう｣は？ すいません｡ ありがとうございます｡ パパ 優輝相手に 本気にならないの｡ (桜の夫)ごめん ごめん｡ もう大丈夫だから｡ ♬～ (桜の夫)ママに優しくしてよ｡ (桜)えい！ あ～！ ♬～ は～い 投げて…｡ ♬～ <桜さんは 今 園田さんが望んだように➡ 幸せそうに笑っている> <私は せっかくの 園田さんの思いを➡ 台なしに してしまうところだったんだ> [ 回想 ] 代書屋は 影武者｡➡ 決して 日の目は見ないけど➡ 誰かの幸せのために 必要な商売なんだよ｡ ♬～ ずっと 笑っていてほしいんです 桜には｡ <園田さんは 自分の死を➡ 予期していたのだろう> あなたなら 僕以上に 僕の思いを➡ しっかり 桜に届けて下さると思います｡ ♬～ (園田)樹木の美しさは 命の美しさなんでしょうね｡ ♬～ <園田さんは かけがえのない人への➡ 人生最後になるかもしれない 大切な手紙を➡ 私に託してくれた> ♬～ (ﾊﾞｰﾊﾞﾗ婦人)ﾎﾟｯﾎﾟちゃん｡ ﾊﾞｰﾊﾞﾗ婦人…｡ お友達に おいしい ｱｯﾌﾟﾙﾊﾟｲを頂いたの｡ 少しだけど お裾分けね｡ ありがとうございます｡ 手紙の神様と お話？ 私は 代書屋失格だなって…｡ 依頼人の方が 急に亡くなってしまって｡ 代書屋として 一番 してはいけない事を➡ してしまいそうになって…｡ 私ね ﾎﾟｯﾎﾟちゃんに 一つ 秘密を打ち明けるわね｡ 秘密？ 私が ず～っと やってきた➡ 幸せになれる 秘密の おまじない｡ 心の中で ｢ｷﾗｷﾗ｣って言うの｡ 目を閉じて ｢ｷﾗｷﾗ ｷﾗｷﾗ｣って｡ そうすると 心の暗闇に どんどん星が増えて➡ きれいな星空が広がるの｡ これをするとね つらい事や 悲しい事も➡ 全部 きれいな星空に 紛れちゃうの｡ ﾎﾟｯﾎﾟちゃん 今すぐ やってみて｡ <｢ｷﾗｷﾗ ｷﾗｷﾗ｣➡ 私は 心の中で 何度も繰り返した> <どうしてだろう｡ 不思議だけれど➡ 確かに何もなかった心の暗闇に 星が現れて➡ それは だんだん増えていって 最後は まぶしいほどだった> ♬～ 魔法みたい｡ でしょ？ これは 私からのﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄ｡ ♬～ <そういえば➡ いつもは 背筋をピンと伸ばして 手紙を書く先代が➡ 夜中に 背中を丸めて 書いていた事があった｡➡ あの どんな事にも動じなかった 先代にも➡ 背中を丸めてしまうような つらい日も あったのだろう> [ 回想 ] (陽菜)何で平気なの？ 大人だから？ 宿題…｡ ♬～ ♬～ (外国人)ﾊﾄﾁｬﾝ ﾄﾞｺ？ 怪しい外国人？ 姑が もうすぐ 還暦の お祝いなので➡ ﾒｯｾｰｼﾞｶｰﾄﾞを添えようと思って｡ 最高の嫁さんだ｡ 美人だし｡ 実は 私 ｢おもじ｣なんです｡ いい女だろ｡ つ～か 私だって美人だっつ～の！ あの見た目ですからね 内心 私の事を見下してるんだって…｡ 男爵は 嫁姑問題に お詳しいですか？ お母様に会いたい？ 会いたくないです｡ ♬｢もっと素直に｣ ♬｢ごめんねと言えたら｣ ♬｢神様いまお願い｣ ♬｢時を戻して｣ ♬｢伝えたいことは｣ ♬｢溢れるほどあるけど｣ ♬｢あなたへの言の葉が｣ ♬｢時を超えて 愛を結ぶ｣ ♬～ ♬～ 映画でもおなじみの ｱﾒﾘｶﾝ･ｺﾐｯｸ➡ いわゆるｱﾒｺﾐのﾋｰﾛｰたちが 今 世界中で大人気！

Doctor-X４th＃03

1 もう２連勝しかありませんが。 ≫やはり ホームの力がありますので １日空くので切り替えていくしか ないでしょうね。 ≫そして古田さん あと２試合で…。 ≫どうなるんですかね。 仮に第７戦までいったら黒田は もう１回投げるんですかね。 ≫恐らく投げると思います。 ≫中４日 ということにはなりますがね。 ≫ああ～ いらっしゃい｡ 久しぶり｡ ≫はい 150円ね｡ はい どうもありがとう｡ (大門未知子)えっ？ 嘘…｡ ♬～ ああっ…！ ♬～ ああっ…｡ ≪未知子ちゃん お待たせ！ 今 ちょうど焼き上がったよ｡ ほらほら 熱々の持ってって！ うん うん…｡ (犬の遠吠え) はーい！ (神原 晶)どうしたの？ 未知子｡ 珍しく 気前がいいじゃない｡ 珍しくって何よ｡ さあ どんどん… おかわり いいから｡ 雪でも降るんじゃないの？ リーチ！ (神原)おーっ！ 何？ 何？ 何？ 一気通貫!? (神原)うわあー！ ああーっ！ フッフッフッフッ…｡ (萬田康介)えっ なんですか？ いやあ 参ったなあ…｡ (萬田)なんですか？ (加地)ほら～｡ (加地)いやあ～ ねえ｡ この子ね この前ね 僕がね オペしてあげた子なんだけど…｡ ｢私をオペしてくれた 加地センセーでーす♥｣ 23歳だよ！ 23歳！ (西園寺猛司)脇が… 甘いね｡ えっ？ (西園寺)医者はね→ そう簡単に 患者と個人的に 親密になってはいけないな｡ いや でも これは…｡ そういう女はね ストーカーになる恐れがあるよ｡ ストーカー…!? (萬田)あっ 更新された｡ えっ？ (中間大喜)｢東帝大病院で→ 一番カッコいいドクター！｣ だって！ 拡散！ 直ちに拡散！ 全世界に拡散！ 本当に いいんですか？ 致しません｡ 医者としての将来を 考えるならね→ くれぐれも 軽はずみな行動は 慎んだほうがいいな｡ おう…｡ 今日も お美しいですな｡ (南 幾子)ありがとうございます｡ (西園寺)えっ？ 大門先生 受付にお客様が｡ 誰？ 大門先生 ゆうべ お財布 拾われました？ (加地)おいおい デーモン… お前 まさか ネコババしたのか？ (須山三佐江)あっ…｡ あなたが 私の財布を拾って…｡ はい｡ 警察から連絡もらいました｡ どうもありがとう｡ 助かりました｡ いいえ｡ あっ 落とし物ですね｡ お預かり致します｡ お預かり致しますよ｡ えっ？ 手を放して｡ 手を放しなさい｡ 手を放しなさいよ！ 未知子ちゃん 売れ残りのたい焼き 持ってくか？ えっ？ タダでいいよ｡ ほれほれ｡ で これ お礼と言っては なんだけど…｡ 私も あそこのたい焼き 大好きなの｡ それでは｡ ありがとうございました｡ ありがとうございます｡ (館内アナウンス)｢ただ今より 西園寺外科部長による→ 総回診を行います｣ ♬～ ねえ お礼ついでに こちらの病院で→ 人間ドックの予約でも してあげようかしら｡ あっ そう？ あっ ねえ ねえ ねえ｡ こちら 人間ドックの予約したいって｡ 〈これは 一匹狼の女医の話である〉 何日間か 泊まり込みで受けられる 豪華なのあるわよね？ 最高ランクの｡ はい ございます｡ それでは どうぞ｡ 〈2016年 白い巨塔の崩壊は とどまるところを知らず〉 〈命のやり取りをする医療は 迷走を極めていた〉 〈有名大学病院は ブランド力の強化に奔走し→ 一方 高いスキルを持つ外科医は 高額な金で海外へ流出〉 〈医学界は さらなるグローバルな 弱肉強食の時代に突入した〉 〈そんな中 どこの組織にも属さない→ フリーランス→ すなわち 一匹狼のドクターが現れた〉 〈例えば この女〉 〈群れを嫌い 権威を嫌い 束縛を嫌い→ 専門医のライセンスと 叩き上げのスキルだけが→ 彼女の武器だ〉 〈外科医 大門未知子〉 〈またの名を ドクターＸ〉 ♬～ (黄川田高之)あっ あのね…｡ ちょっと 南くん 貸して｡ 22日から24日までは 民自党の久我先生の→ 特Ｓコース 極秘人間ドックが 入ってるの｡ バッティング｡ 完全にバッティングですよ｡ あっ そう｡ ｢あっ そう｣じゃなくて！ 内科チームは 久我先生シフトで総動員態勢｡ とても 一般患者の… しかも よりによって→ 特Ｓコースの相手など してはおれんのです｡ 私が対応すべきでした｡ 申し訳ございません｡ しっかりしてちょうだい｡ 久我先生の人間ドック つつがなく終えられたら→ うちの病院の箔がつくって あなたが言ったんでしょ｡ 申し訳ございません｡ ねえ もう いいかな？ 帰って｡ ああ 本当 いち外科医の勝手で→ スケジュール狂わされて こっちは いい迷惑ですよ｡ そもそも 紹介状もなく→ 素性もはっきりしてない患者の 人間ドック→ うちの病院では受けかねます｡ そんな事 言われたって 私…｡ あのね 何か問題起きたら どうするの？ 問題って？ 人間ドックは保険適用外です｡ しかも うちの特Ｓコースは 大変 高額です｡ その料金を支払える方かどうか｡ ああ… そういう事ね｡ もう 断ってください｡ いや それは まずいです｡ 一度引き受けてから 断ったとなれば→ どんな風評を流されるか｡ 当病院の評判に関わります｡ もう 帰っていいですか…｡ 大門未知子｡ あなたが後見人として 責任を取りなさい！ はあ？ 致しません｡ (神原の声)｢致しません｣じゃ 通らないわよ｡ えーっ なんでよ？ (神原)もしもよ その どこの誰かもわからない→ ボロ財布の持ち主さんが→ 特Ｓコースの人間ドック代を 払わなかったら どうなるの？ どうなるの？ 後見人の未知子が 支払う事になるの｡ そりゃあ そうなるかも｡ えーっ!? という事は つまり→ この神原名医紹介所が 支払う事になるの｡ その特Ｓコースの人間ドック代を｡ (雀野義人) 特Ｓコースは やばいよね｡ なんなのよ！ 特Ｓコース 特Ｓコースって→ どんだけすごいのよ！ お肉に例えれば Ａ５ランクの神戸和牛フルコース｡ えっ!? (神原の声)専任のｺﾝｼｪﾙｼﾞｭが ホテルのように→ 何から何まで お世話｡ 部屋は特別室｡ 料理は高級レストランからの ケータリング｡ 待ち時間はなく 他の受診者にも会う事もない｡ 至れり尽くせりの３日間で 総額…｡ それは すっごいわ｡ 何？ ごめんなさい｡ 怖い 顔怖い｡ まあ 君の軽はずみな行動が 引き起こした事だからね｡ 観念しなさい｡ フフッ…｡ あんた なんなの？ ああ…｡ まあ 特Ｓコースの お客様だからね→ 一応 外科部長として ごあいさつをしないとね｡ なかなかの美人だそうじゃないの｡ ハハハ…｡ おお～ さすが特Ｓコースのお客様｡ 食事も ジュベール･ロベションの ケータリングだ｡ へえ～ 三佐江っていうのか｡ あっ そういえば この人 この間→ あんたの事 ジーッと目で追ってたけど｡ ええ～ もう… 参ったなあ｡ 何よ｡ あのね→ もう 何十年も前になるんだけど 僕が 御成門病院にいた時ね→ 胃潰瘍のオペで助けた女性が→ この 同じ三佐江っていう 名前だった｡ いやあ もう 昔の話だ｡ ふ～ん…｡ それでね その三佐江…｡ 入ります｡ えっ!? あら～ 西園寺先生！ (三佐江)奇遇ですねえ｡ (西園寺)あっ…｡ (三佐江)お久しぶりです～｡ どうも…｡ (三佐江)まさか こんなところで 再会するなんて…｡ 相変わらず お美しい｡ 知り合い？ ええ｡ 私たち 前に…→ お付き合いしてました｡ いや…｡ ああ～｡ 奥さんがいるなんて 知らなかったんだもん｡ ああ… いやいやいや…｡ ハハハ…｡ ああ～ カンファレンスの時間だ｡ 大門くん そういう事なんで じゃあ あとは頼んだよ｡ 不倫？ 何言ってんだよ…｡ 不倫かあ…｡ プリンかあ…｡ デザート 楽しみ｡ ♬～ どういうつもりだ？ タバコは吸いますか？ だいぶ前にやめたわ｡ お酒は？ ワインを少しだけ｡ う～ん たまには いいものね こういうのも｡ ねえ 誰でも払える料金じゃないと 思うんだけどなあ…｡ 聞かないのね｡ はい？ 私の爆弾発言について｡ 西園寺先生の事｡ 私 そういうの 興味ないんで｡ ええー… 体で痛いところは？ そうね…｡ 立ち仕事が多いから 腰とか背中が よく張るけど→ でも すぐ治るし 気にはしてないわね｡ 便秘は？ ありません｡ 私ね 結構 女を見る目があるのよ｡ あなた そう見えて…→ 実は 男性経験 浅いほうでしょ｡ ねえ 最後にキスしたの いつ？ ２時間後｡ えっ？ 血液検査｡ ああーっ もう やだ！ もう すっごい つまんない！ (加地)ああーっ もう やだ！ もう 立て続けのオペ しんどいわ 本当に｡ おや？ デーモンさんは ＶＩＰさんのお世話で→ 大変そうですね｡ へへっ｡ 切りたい｡ はあ？ いや… やめて！ やめれ！ ちょっと やめれ！ じゃあ 切らせて｡ (看護師)失礼します｡ 大門先生 人間ドック 特Ｓコースの→ 須山三佐江さんの 検査結果出ました｡ はーい｡ (加地)なんだ？ あいつは…｡ ああ～あ…｡ ♬～ これって…｡ (検査技師) これは… なんですかね？ このあと ＭＲＩ よろしく｡ (検査技師)えっ？ あっ しかし…｡ ちょっと ちょっと ちょっと… 大門先生 何してるんですか？ ＣＴ｡ この時間はね 民自党の久我先生の予約が→ 入ってるんですよ｡ そうだよね？ はあ… でも 無理やり…｡ 緊急なので｡ 急患でも 特患でもないでしょ あの人｡ 人間ドックでしょ！ 急患になる可能性があるので｡ やっぱり ＭＲＩで見たいな｡ だから このあとのＭＲＩも→ 久我先生で予約…｡ ＭＲＩ 急げ！ はい！ おーい！ (医師たちの話し声) 西園寺先生の愛人だって｡ 元カノだろ｡ えっ？ (医師たちの話し声) 不倫相手って事？ (ざわめき) なんだ？ これ｡ (黄川田)でかいな｡ (赤井富夫) 見た事ない大きさですよ｡ まさか 膵癌か？ その可能性は考えられる｡ でも…｡ (北野 亨)大きすぎるね 膵癌だとしたら｡ (黄川田)膵癌が これだけ 大きくなっていたとしたら→ 痛みを伴う事が多い｡ 日常生活にも支障をきたす｡ (赤井)入院治療が必要ですね｡ 大門くん｡ 君は これを なんだと判断する？ ♬～ (西園寺)大門くん！ ♬～ さっぱり わからん！ わからないじゃ 済まされないんだよ｡ 切ってみないと わからない｡ (黄川田)出ましたよ 切らせろアピール｡ 僕が切りましょう｡ はあ？ 見たところ 大きくなった 軟部腫瘍の可能性が｡ そうだよ｡ 北野先生はね 軟部腫瘍の権威じゃないですか｡ でも 担当医は 私…｡ 軟部腫瘍のオペ経験は35回｡ 私に切らせないという論理が どこにありますか？ オーケー！ 了解です 了解です｡ このオペは 北野先生にやってもらいましょう｡ でもさ もし この腫瘍がさ→ ここまで大きくなってるんだと したらだよ…｡ この臨床例は あんた 前代未聞だよ｡ 世界初の症例になるかもしれんね｡ (幾子)東帝大病院にとって 素晴らしいアピールになります｡ まあ そういうね 世界が注目するようなオペはね→ やっぱり この東帝大にね ちゃんと→ 正式に所属したドクターに やってもらわん事にはね｡ 御意｡ (黄川田･西園寺)御意｡ やだ｡ 私が切る｡ だから 待てよ おい｡ (ドアの開く音) 西園寺先生｡ はい？ で どうなってんの？ 愛人関係｡ あっ いや… えっ？ いや あの それは…｡ 不倫してんでしょ？ 患者さんと｡ いやいや そういう話は ここでは…｡ 軽はずみな行動で 命取りになりますよ｡ 清算したんですか？ もちろんです あの女とは…｡ いや… あの患者さんとは 一切 金輪際 神に誓って…｡ (黄川田)フフッ｡ (西園寺) なんの関係もございません｡ では あの… 所用がありますので 私は これで｡ (幾子)彼女のほうの気持ちは どうなんでしょうか？ えっ？ 今回 彼女が うちの病院で→ 人間ドックの検査を 受けた事について→ 少し気になる部分が｡ 何よ？ 私は ただ 財布 拾っただけでしょ｡ それも含めて 全て仕組まれていたとは→ 考えられませんか？ (蛭間)えっ？ えっ？ って事は何？ この患者さんは なんらかの意図を持って→ この東帝大病院に 入院したって事？ じゃあ 意図は何？ いや あの 私には… 全く何もわかりません｡ ちょっと 伺っていいですか？ (西園寺)はい｡ (蛭間)この須山さんと 付き合ったっていうのかな→ 知り合ったのは あなたがなさった オペの前ですか？ それとも 後ですか？ あの それは… もちろん 後者ですが｡ (蛭間)ああ そうなんですか…｡ (西園寺)はい｡ それが何か？ いやいや ちょっと… まあ 時系列で→ ちょっと興味があったもんだから｡ ハハハハ…｡ (ため息) 切るの 僕だからね｡ (博美)怖～い！ 捨てられた女の執念？ 執念って…｡ まあ 偶然の再会って事でしょう｡ (博美)だろうねえ｡ (神原)でも 未知子的には その三佐江さんに→ なんかジトッとしたものを 感じたと｡ まあね…｡ でも もういい｡ 考えても しょうがない｡ さっぱり わからーん！ そんな事より 私が気になるのは→ そのＭＲＩに写った 腫瘍の大きさよね｡ ああ そうそう｡ 膵癌 脂肪性腫瘍 腹腔内膿瘍は→ まず あり得ないわね｡ あり得ない｡ ねえ 平滑筋肉腫は？ かなり大きめの｡ それも考えたけど→ 潰瘍や壊死の所見も 見当たらないから｡ あり得ない｡ (博美)じゃあ なんなの？ 開いてからの お楽しみって事ね｡ ああ… 私が切りたかったのにな｡ だったら 助手にでも付けば？ やだよ｡ あんな 変な英語しゃべる男の 助手なんて｡ オーマイゴッド！ アメージング！ (北野)では 膵体尾部切除 始めます｡ よろしく｡ (一同)よろしくお願いします｡ (北野)しかし 君が第一助手に 名乗りを上げてくれて心強い｡ どうも｡ メス｡ はい｡ モノポーラ｡ はい｡ ♬～ (黄川田) 別れて どれぐらいですか？ 大体 20年くらいかな…｡ 20年!? 20年も前に捨てた女が まだ こだわって こだわって→ 来るはずもない男を→ 一人 飲み屋で待ってます～ みたいな｡ うわあ 昭和だな｡ 演歌だな｡ やめなさい！ ♬～｢わたし 今も ひとり…｣ (北野)えっ なんだ？ これ｡ 嘘でしょ…｡ これは…｡ ガーゼオーマ｡ ガーゼオーマ!? おい…｡ ああ～｡ ｢ガーゼオーマ｣ (西園寺)｢ガーゼオーマ!?｣ ガーゼオーマ？ ガーゼオーマって…｡ 体内のガーゼから生じた腫瘤｡ つまり 手術で おなかの中に ガーゼを置き忘れたって事｡ ♬～ (幾子)という事は… 医療ミス｡ ♬～ (蛭間)｢閉じろ！｣ 今すぐ 閉じなさい｡ 即刻 閉じなさい｡ (蛭間)｢手術は中止｣ じゃあ 横行結腸間膜と腫瘤を剥離｡ メッツェン｡ はい｡ (蛭間)｢手術は中止だと 言ってるだろ！｣ インオペだ インオペ！ インオペ!? なんでよ？ こんなの簡単じゃない｡ ガタガタ言うな 大門！ 今すぐ閉じろ！ 意味わかんない｡ ちょっと どいてよ｡ 連れ出せ｡ ちょっと… やだ ちょっと！ 放して！ やだー！ ちょっと！ 私… ああっ…｡ ちょっと… なんで インオペなのよ？ あんな ガーゼオーマの摘出なんて 簡単に出来るでしょ！ 何？ 一応さ…→ ここは 権威ある大学病院って事に なってるでしょ？ だから 何よ？ お気楽フリーランスの君には どうでもいい事かもしれないが→ こういう事は 極めて デリケートな問題なんだよ｡ はあ？ 東帝大病院の外科部長が→ 患者の腹に ガーゼを置き忘れてましたなんて→ お前 表に出来る話か？ (ため息) 外科チーム 至急 院長室に集まれとの事です｡ えらい事やってくれましたね 西園寺外科部長｡ はっ…｡ 20年前ですよね｡ しかし よく今まで…｡ あり得ないミスだ｡ あの… 大門先生は？ あっ…！ (蛭間)えっ？ ガーゼを… 置き忘れた？ はい｡ (ノック) ああ…！ ここに？ そこに｡ 20年前の手術で？ あなたが？ そういう… 事です…｡ どうするの？ 手術をして取り出します｡ (笑い声) あなたとは とっくに 終わってたって思ったけど→ 妙な因果で繋がってたのね｡ (机を叩く音) お前… 言っちゃったの？ 本人に言っちゃったの!? はい｡ ちょ… ちょっと前に来いよ｡ 前に来いよ｡ 前に来いよ｡ あの この… あんた 名前なんつったっけね？ えっ？ あの… 西園寺です｡ ああ 西園寺くんが→ 西園寺くんが あなたのおなかに ガーゼを忘れちゃってましたって→ 言っちゃったの？ だから何？ デーモン…｡ あんた バイトでしょ!? フリーランスです｡ いちいち噛み付くんじゃないよ もう 本当に…｡ 恐らく これは…｡ えっ？ 復讐です｡ 復讐…？ かつて西園寺先生に 捨てられた事を恨み→ どこかで検査をした時に ガーゼオーマの存在を知り→ それにつけ込んで ゆすろうと…｡ ねえ あのさ…｡ 当時 ホステスだった三佐江は…｡ あの… あの人 ホステスだったの？ どこの？ あの 銀座ですが…｡ (蛭間)ああそう｡ (西園寺)それが何か？ 興味本位です｡ ごめんなさい 続けて｡ ホステスだった三佐江は→ 副業で経営していた 化粧品会社の経営に失敗し→ 多大な借金を抱えておりました｡ 恐らく それで 今も苦しんでいるんでしょう｡ なので この私を… いや 東帝大病院をゆすって→ 大金をせしめようと しているのではないかと…！ いやいや 恐ろしい話だなあ！ ねえ あのさ…｡ あのね 今 対策を練ってるの！ ねっ 静かにしててね！ (西園寺)御意…｡ 早くオペしなきゃ！ だから この東帝大病院にとって 一大事…｡ 一大事なのは患者のほうでしょ！ 私が切るから｡ (蛭間)ちょっと…｡ ちょっと待てよ！ ちょっと待て！ ああっ！ 西園寺先生！ はい…｡ 普段から女をなめてるから こういう事になるんです｡ あっ… いや その…｡ とりあえず 病院で知ってる者には 緘口令 敷きました｡ この病院で事実を知っている者は ごく一部です｡ お心遣い 感謝致します…！ さすがですねえ 久保副院長｡ びっくりぽん｡ 頭抱えてる暇があったら→ 先手打って 対応策を考えるのが先でしょ｡ 当たり前の事じゃない｡ (西園寺)…ったく 重たい女だ｡ (舌打ち) ≪(黄川田)えらい事に なりましたねえ｡ (黄川田)そうですか…｡ ガーゼオーマですか｡ しかし まあ えらいもんを置き忘れましたね｡ しかも相手が悪い｡ お察し致します｡ 親不孝なお坊ちゃまだ｡ ♬～ 西園寺先生よ｡ 不倫ですって｡ ゲス男じゃない？ (看護師)本当 最低｡ (看護師)よくやるわよね｡ (加地)まあ 西園寺部長も 自業自得だよね｡ だけど まさか今になって 過去に復讐される事になるとはな｡ ああ… こりゃ確かに→ 画像だけじゃ 腫瘍に見えちゃうよね｡ 当時はまだ Ｘ線に写らないガーゼ 使ってたんだ｡ (加地)20年も経ってるって事は かなり癒着しちゃってんだろ｡ これ どうやって はがすの？ これって…｡ 何？ どうした？ (加地)おーい！ 何？ どうしたんだよ？ インオペは正解だった…｡ おい｡ 造影剤 入れて｡ はい｡ どうしたのよ？ なんか よくない事？ ｢しゃべらない｣ 違う角度｡ はい｡ 今後の対策としては→ まず これが せめて病院外部に 漏れないようにする事です｡ マスコミ関係には特に｡ 南くん ありますか？ その対策案は｡ 20年前当時のオペは 実は西園寺先生ではなく→ 別の第三者のドクターがした事に 記録を書き換える｡ それってさ… データ改ざん？ 犯罪じゃないの？ かなりのリスクを伴いますが→ 東帝大病院の名誉を守るためには やむを得ないかと｡ そうね やむを得ないね｡ (西園寺)ですよね｡ 私は この話は一切聞いてない｡ 私が出て行ってから 続きして｡ ねえ！ 呼んでない｡ あんたは呼んでないし あんただけは呼ばないし｡ 緊急オペしたいんだけど｡ は？ このままだと 彼女 死ぬよ｡ これを見て｡ (モニターを叩く音) 20年前 御成門病院にて 当時 そこの勤務医が→ 胃潰瘍のオペ中に ガーゼを置き忘れた｡ (黄川田)本当 大変な事 やらかしちゃいましたね｡ それが20年経ち→ ガーゼオーマ… 異物性肉芽腫になって→ 今は周囲の組織や臓器に 癒着してる｡ それは わかってるよ｡ 大変な事になってる｡ (北野)何言ってるの？ ガーゼオーマを取り除く 手術自体は→ さほど難しい事じゃない｡ 君だって あの時 続けようとしてたじゃないか｡ あのインオペは… 正解だった｡ おお…｡ (黄川田)あなたも ようやく→ 大人の事情ってのが わかるようになったんすか｡ 学習能力というものが あったんだね…｡ 黙って聞いて｡ あの時 もし あのまま続けてたら→ この患者 死んでたかも｡ どういう事？ こっちの画像 見て｡ 実は このガーゼオーマの裏側に→ 今にも破裂しそうな 仮性大動脈瘤が存在する｡ ここ 血管外に出来た血腫に ガーゼオーマが巻き付いてる｡ つまり あの時→ もし このガーゼオーマを 無理にはがそうとしてたら→ 動脈瘤が一気に破裂 患者は出血死してた｡ この仮性大動脈瘤は→ かなり以前からあったと 考えられる｡ それが今まで 破裂せずにいたのは→ このガーゼオーマが癒着し 巻き付いてたから｡ (北野)つまり ガーゼオーマで 患者の命が守られてたって事か｡ オーマイゴッド…！ 皮肉すぎる…｡ (三佐江)ああ そうなの…｡ その… 西園寺さんが置き忘れた ガーゼのおかげで→ 私は今まで死なずに済んだ って事なんだ…｡ うん… まあ そういう事かも｡ このままにしておけば→ 今までどおり 生活出来るんだよね？ 彼の忘れ物を そのままにして生きていく｡ …ってのは ありかしら？ ない｡ ガーゼオーマがあるのを知ってて→ 何もしないという選択肢は 私にはない｡ でも…→ うまくいかなかったら 私 死んじゃうんでしょ？ それもない｡ 私 失敗しないので｡ じゃあ 手術は予定どおり 明日の午前10時から｡ これ サインしといて｡ これまで いろいろ むちゃ やってきたけど→ 生まれ変わるチャンスが 来たのかな？ 私ね これからは 全てをクリーンにするつもり｡ ♬～ ｲﾝﾌｫｰﾑﾄﾞｺﾝｾﾝﾄにしては 長かったじゃないか｡ 何を話してた？ 主治医としての 守秘義務があるんで｡ 彼女は… なんと？ 全てをクリーンにするつもり だってさ～｡ 全てをクリーンにする…｡ ♬～ (北野)癒着したｶﾞｰｾﾞｵｰﾏを はがしつつ→ 動脈瘤が破裂しないように 血管再建か…｡ 難儀だねえ…｡ (加地)しかしさ 西園寺部長も→ せめて助手に付くべき なんじゃないの？ (北野)そんな生々しいの こっちから願い下げです｡ 生々しいって… 人としての問題でしょ？ オペ室 準備整いました｡ (加地)はいよ｡ (博美)硬膜外麻酔と 全身麻酔により→ バイタル安定しています｡ ♬～ これより腫瘤摘出および→ 腹部大動脈人工血管置換術を 始めます｡ よろしく｡ (一同)よろしくお願いします｡ モスキート｡ (北野)鑷子｡ はい｡ ♬～ 横行結腸間膜と腫瘍剥離｡ ルーペ下げて｡ 失礼します｡ メッツェン｡ はい｡ ♬～ (蛭間)西園寺先生｡ (西園寺)は… はい…｡ あなた 実は こう思ってるんじゃないですか？ はっ？ 大門未知子 失敗しろって｡ でもね… 悔しいかな→ 憎たらしいぐらい 失敗しないんだよねえ→ この大門未知子ってのは！ どうしたもんかね？ 三佐江は→ 全てをクリーンにすると 言っています｡ えっ…？ 恐らく 退院後 私を告発…｡ 恐ろしい話だな それは！ 全ては公に…｡ まずいよ！ それ 絶対まずいよ！ 何？ 助けてください…｡ 何？ 何？ お願いします…｡ これは もう 金で解決するしかありません…！ …って事は 口止め料って事？ お願いします…｡ お願いします！ なんとか…→ なんとか まとまったお金を 融通して頂けませんでしょうか！ おいおい おいおい！ もう…！ お願いします！ お願いします！ ちょっと 手術終わったみたいね｡ ｢ガーゼオーマ摘出完了 人工血管に置換｣ (蛭間)見てよ…｡ この 自信に満ちた大門未知子！ (２人)ああぁぁーっ！ (加地)これで 大動脈瘤も破裂しないね｡ 終了｡ バイタル 111の76でサイナス｡ ♬～ これからだね｡ (博美)お疲れさま｡ お疲れ｡ お疲れ｡ 500万…｡ (ノック) (三佐江)あっ… どうも｡ どうも｡ その… 今日 退院って聞いたんで｡ うん｡ あの… 大変ぶしつけで 申し訳ないんだが→ 今回の事は…｡ ちょうどよかった｡ ん？ 私のほうから あなたのところに 行こうかと思ってたの｡ うん… えっ？ これ…｡ ん…？ 2000万!? 実はね 私 今度の都知事選に→ 与党の推薦で 出る事になってるの｡ ああ 都知事選… 都知事選!? いや…｡ 実は私ね あなたに捨てられたあと 事業 立て直したのね｡ うん…｡ 政界とも太いパイプが出来たの｡ あっ そうなの！ だから これは口止め料｡ えっ…？ 昔 私が あなたの愛人だったって事→ 世間には黙っててほしいの｡ まあ… せっかくのチャンスだし→ 都知事になって 世の中の全てを クリーンにしようかなって｡ 全てをクリーンにする…｡ これからが大事な時期なのよ｡ 叩けば ほこりが出るっていうのは よくないのよ｡ わかるでしょ？ そ そ そ… そうだね｡ 過去のつまらない男との スキャンダルで→ 足をすくわれたくないのよ｡ つまらない男!? えっ…｡ あなた もしかして 男に捨てられた女は→ もれなく不幸になるとでも 思ってた？ まあ どこかに置き忘れたものは 忘れるのが賢明ね｡ ただ… それが 今になって邪魔になったら→ 取り払わないと｡ じゃあね｡ さようなら｡ えっ…？ ちょ… ちょっと…｡ ちょ… ちょっと！ いや ちょ… ちょっと！ ちょ…！ ちょ ちょ ちょ…！ ちょっと！ つまらない男…！ くぅぅ…！ ♬～ (蛭間)2000万…｡ 逆に 向こうから口止め料…？ はい…｡ なめられたもんです｡ しょうがないよね そりゃ｡ (西園寺)はい…｡ え～？ (蛭間)｢え～？｣って…｡ だって 口止め料でしょ？ いや 私…｡ いやいや｡ 私が黙ってればいいわけでしょ？ いや それは…｡ (三佐江)あっ 止めて｡ どうも！ あなたが これを拾ってくれたおかげで→ 心身共にリフレッシュ出来たわ｡ ついでに 邪魔くさい過去も整理出来て→ よかった！ それ 嘘でしょ｡ ん…？ その古い財布 ずーっと大事に 持ってたんじゃないの？ えっ？ あいつからの プレゼントだったから｡ ごめん｡ その財布 拾った時 中 見ちゃった｡ まあ 私には どうでもいい事なんで｡ 〈これは 一匹狼の女医の話である〉 ♬～ 〈例えば この女〉 〈群れを嫌い 権威を嫌い 束縛を嫌い→ 専門医のライセンスと 叩き上げのスキルだけが→ 彼女の武器だ〉 (神原)メロンです｡ 請求書です｡ ちょちょちょちょ…！ 何これ？ 2500万って｡ 今回の請求書の80パーセントは→ 西園寺先生に関する 口止め料でございます｡ そうなんだけど…｡ あれ？ この下に…｡ ちょっと失礼します｡ あら まあ！ ご用意のいい事で｡ あなたさ… 透視やるの？ あっ やるんだ…｡ ♬～(神原)｢ランラ ランラ ランラ ランラ…｣ ♬～｢ラッタ タッタタ｣ オ～イ！ よいしょ！ 大成功～！ 〈外科医 大門未知子〉 〈またの名を ドクターＸ〉 ♬～ ♬～ 同時刻じゃ 私が２人とも出来ないじゃない｡ (四葉美麗)私は美のカリスマ｡ 痩せないと 四葉姉妹は おしまいなのよ｡ あなたを呼んだのは その腕を 見込んだだけじゃありません｡ (西園寺)助手が執刀医に 喧嘩を売るな！ 私 助手でも失敗しないので｡ 当番組は同時入力の為、誤字脱字 が発生する場合があります。 ≫こんばんは。 ≫日本シリーズ延長のため 「報道ステーション」は いつもより５０分遅い スタートとなります。 いつもよりだいぶ遅い時間ですが お付き合いください。 まずは、こちらです。 今日の午前８時３４分に 昭和天皇の弟

京都人情捜査ファイル＃04

1 (スタッフ) 倉澤様 お待たせ致しました｡ ウェディングドレスのご試着の 準備が整いました｡ (倉澤誠一)あかり｡ いつまで そうやってる気だ？ (倉澤あかり)あっ ごめんなさい｡ (葉山慎吾)彼女 子供の頃から→ このガラス玉を見ると 気持ちが落ち着くんです｡ 恥ずかしいんですけど 宝物なんです｡ 式は いよいよ来週ですし ドキドキしますよね｡ 娘たちがお世話になります｡ (スタッフ) めっそうもございません｡ お嬢様のドレス とても素敵に 仕上がっておりますよ｡ そうですか｡ 楽しみだな｡ (戸隠鉄也)参事官の息子さんの 披露宴 今日でしたか｡ (岩瀬厚一郎)ああ｡ 参った事に スピーチを頼まれてな｡ 部長は 俺と違って→ お喋りには 長けていらっしゃる じゃないですか｡ 犯人を恫喝するようにはいかん｡ (ノック) はい｡ (吉崎仁美)失礼します｡ 事件ですか？ ええ｡ 二条のブライダルショップで 倉澤の社長が殺されたわ｡ 和菓子屋の倉澤か？ はい｡ 犯人は 倉澤さんを刃物で殺害し 現場から逃走しています｡ ♬～ ≪(加藤善浩)おい 車回してくれ｡ ≪(仲田周平)わかりました｡ (仲田)聞き込み始まってる！ (加藤)裏に回せって…｡ (仲田)俺たちが担当する事件の シエンは→ なんで いつも あんたらなんだ？ お嬢さんの結婚式が→ １週間後に控えてたって 聞いたんですけど｡ (加藤)ああ 無念だろうな｡ 一人娘の花嫁姿が見れずに…｡ そんな事より お前ら さっさと自分の仕事をしろ！ お嬢さんは どこに？ ≫(鑑識官)仲田刑事｡ はい？ ああ はいはい｡ はいはい｡ えっ…｡ あの…｡ ついてこい…｡ (加藤)娘が第一発見者でもある｡ あのドレスを試着している時に 父親が刺されたんだ｡ どう？ お父さん｡ お父さん？ お父さん！ お父さん しっかりして！ 嫌だ… お父さん！ (葉山) あかりは まだ あの状態です｡ 話を聞くのは もう少し待って頂けませんか？ ああ いえいえ｡ 府警の犯罪被害者支援室の者です｡ 娘さんの婚約者の方だ｡ 吉崎と申します｡ お力になれる事があればと思い 伺いました｡ だったら 早く犯人を捕まえてください｡ きっと あいつに違いないんだ｡ えっ？ あいつって？ 彼女が落ち着いたら 話すつもりでいたんですが…｡ (葉山)｢結婚をやめないと殺す お前だけ幸せにさせない｣ そう書かれてました｡ あかりさんは ストーカー被害を？ (葉山)間違いない｡ 社長は…→ いや お義父さんは ストーカーに殺されたんです｡ ♬～ 〈全国 各都道府県の警察には→ 犯罪による被害者や その家族を支えるために→ 犯罪被害者支援室が 設けられている〉 〈本来 支援室の人間に 捜査権はない〉 〈だが 彼ら特捜班は→ 人知れず捜査し 事件の早期解決を目指す〉 〈被害者と家族の心を 救うために…〉 脅迫状を送ってきた人間に 心当たりはありませんかね？ いいえ｡ どうして 私じゃなく父なんでしょうか？ 結婚式を あんなに楽しみにしてたのに…｡ これ以上は…｡ 葉山さんね…｡ はい？ あなた あかりさんが ドレスを試着している間→ 倉澤さんと 一緒じゃなかったんですか？ ええ 一緒でしたが→ 会社から電話が入って あの部屋を出たんです｡ 裏取っておけ｡ あかりさん 着替えましょうか｡ …はい｡ 行こう｡ あれ？ どうしました？ ないんです お守りが｡ お守り？ ガラスの玉なんです｡ これくらいの｡ ああ…｡ 僕が捜しておくよ｡ 君は先に着替えを｡ 行こう｡ あれ？ もしかして これですか？ そうです｡ ありがとうございます｡ きれいなガラス｡ 大切なお守りなんですね｡ ♬～ (直江裕二)お嬢さん！ (伊藤由香･笹井友美)お嬢さん！ (友美)驚きました…｡ (由香)どうして社長が…｡ (直江)野島！ (野島 豊)あかりさん 気をしっかり持ってくださいね｡ はい｡ 倉澤で 副社長を務めております 直江と申します｡ 警察の方ですね｡ 犯罪被害者支援室の者です｡ 社員の皆さんのお気持ちは わかりますが→ あかりさんは 大変疲れていらっしゃいます｡ お話は 時間を置いてからという事で→ お願い出来ませんでしょうか？ 何か進展がありましたら 私から社のほうに報告します｡ じゃあ 後で電話をくれ｡ それでは｡ なんだ？ これ｡ どうしました？ いや…｡ 触らないで｡ ちょっと いいですか？ はい｡ 室長 先に中へ｡ ああ…｡ 入りましょう｡ 気をつけて｡ ♬～ この箱には…｡ これが 入っていました｡ ガラスのペン…｡ ええ｡ 念のため これは警察のほうで 預からせて頂きます｡ これが 先ほど話した脅迫状です｡ あっ…｡ (葉山)この脅迫状と同じ人間が 送ってきたんですかね？ (あかり)慎吾さん…｡ 私 結婚出来ない…｡ えっ？ ごめんなさい｡ いや あかりさん…｡ 考え直させて｡ 待ってくれよ｡ こんな事があったんだ｡ １週間後の式が無理なのは 当然だよ｡ だから 半年先… いや １年先に延期したっていい｡ ダメなの｡ そこに書いてあるとおり→ 私だけが 幸せになっちゃいけないのよ｡ そうじゃないと あなたまでお父さんのように…｡ 僕は平気だ｡ それに 警察が 犯人を きっと見つけてくれる｡ ごめんなさい もう帰って｡ お願い｡ 帰って！ あかりさん…｡ あの…｡ 今日のところは…｡ 落ち着いたら話し合おう｡ こんなところにまで押しかけて すみません｡ しかし 皮肉なもんだな｡ 一方では 結婚を間近に控えた 娘の父親が殺された｡ はい｡ 捜査一課は 脅迫状を送った ストーカーの線で動いている｡ 何が気になる？ 娘の背中には ひどい やけどの痕がありました｡ 考えられるのは 親からの虐待か｡ さっき 娘は倉澤さんの 養女だという情報が入った｡ 養女？ あかりさんは 養子だったんですか？ 22年前 倉澤夫婦は→ 特別養子縁組という制度を 利用して→ 当時３歳だった娘を 施設から引き取ったそうだ｡ まさか 倉澤さんが虐待を？ たとえ 血の繋がりのない 親子だったとしても→ あかりさんが虐待を 受けていたようには思えません｡ あのやけど→ 養女になる前に つけられたものとも考えられます｡ その根拠はなんだ？ 彼女が大事に持っている ガラス玉に→ 何か秘密が隠されている 気がします｡ 同じくガラスで出来た 今日 届けられたペン｡ あれを見た時の彼女の驚きは 尋常ではありませんでした｡ あのペンとガラス玉のお守りに 何か関係が？ あるとすれば→ 倉澤さんが 養女として 迎え入れる前のものだと→ 思えてなりませんが…｡ あの脅迫状は→ 彼女の過去に関係した 人間の仕業だって言うの？ わかりません｡ でも 彼女の言葉が 引っかかるんです｡ そこに書いてあるとおり→ 私だけが 幸せになっちゃいけないのよ｡ 犯人は 単なるストーカーではない という事か｡ いえ それも まだ…｡ ただ 彼女の過去に まつわる事であれば→ この事件には 根深い何かがある気がします｡ 小さな花が踏みにじられる…｡ 特捜支援の許可を お願い出来ませんか？ 許可する｡ ありがとうございます｡ (清水安裕)倉澤あかりさんを 狙っている男は多そうですね｡ しかも 社長令嬢だし→ 捜査一課が言うように→ ストーカーの線も ありなんじゃないですか？ でも どうして彼女じゃなく 父親を殺すの？ (花園 健)逆恨みかも｡ 葉山さんとの結婚を許した 倉澤さんが許せへんかった｡ (星野佳世)ありえるわね｡ (清水)あ～ 君らは そういうタイプっぽいね｡ (佳世)はあ？ 清水さんと星野くんは→ 倉澤本社に潜入して 内側から会社を探ってください｡ 了解です｡ 了解｡ 和菓子屋だからって 食いすぎるなよ？ 清水たんがね～？ 花園くんは 22年前→ 倉澤さんの養女になる前の あかりさんを調べてください｡ 了解｡ 室長と俺は あかりさんの支援に 専念しましょう｡ 何度も言うけど それが支援室の本来あるべき姿よ｡ はい｡ (直江)社長が突然 このような事になり→ 皆さんも 動揺している事と思います｡ 当面の間 私が社長代行を 務めさせて頂く事になりました｡ よろしくお願いします｡ (直江)このような時だからこそ→ みんなで力を合わせ→ 150年続く倉澤の名に 恥じない仕事をしていきましょう｡ ♬～ ねえ この間の騒ぎ 事件と なんか関係あるのかな？ ああ 社長に会わせろって 変な奴がやってきた あれ？ あれね…｡ お前らに用はないんや｡ 社長に会わせろ 社長に｡ ただのクレーマーだって話よ？ (由香)副社長が しっかり対応してくれたから→ 大きな騒ぎにならずに 済んだけどね｡ それよりさ ノジーのが怪しくない？ おはようございます｡ (清水)野島…｡ なるほど ノジーね｡ 葉山さん どうかなさったんですか？ えっ？ しっかり あかりさんを 見守ってくださいよ｡ あなたは婚約者なんですから｡ ♬～ (あかりの泣き声) 結婚式のキャンセルに いらしたんですか…｡ お調べになったように→ 私は今出川教会で拾われ 教会の施設に預けられました｡ だから あそこで式を挙げたかったんです｡ でも もういいんです｡ そのガラス玉も 今出川教会にあったんですか？ えっ？ 胸にしまい込んでいるものを→ よかったら 我々に話して頂けませんか？ そんなものありません…｡ 隠さなくていいんですよ｡ あなたの背中の傷は→ 施設に預けられる前に→ つけられたものじゃ ありませんか？ 戸隠さん その事を急に言っても…｡ 失礼はお詫びします｡ ですが 今後 犯人が 犯行を重ねる恐れもある｡ ですから お尋ねしています｡ 父が… 父が 最期に 私に こう言い残しました｡ お父さん…！ お前のお兄さんが…｡ えっ？ あなたにはお兄さんが…｡ 兄の記憶は全くありません｡ でも あの教会で→ このガラス玉をくれた 男の子の事は覚えています｡ もしかすると あれは兄だったのかもしれません｡ 教会で…｡ だとすると お兄さんは虐待する親から→ あなたを守るために 教会へ連れて行った｡ 私も そう考えていました｡ だから お守りとして これをくれたんだって｡ でも 父が殺された日 あのガラスのペンが…｡ (あかり)あれを見た瞬間→ 死ぬ間際に父が言いたかった事が わかった気がしたんです｡ ｢お前の兄さんが 私を刺したんだ｣…｡ 父は 最期に そう言いたかったんじゃないか｡ 兄は １人だけ 幸せになろうとしている私を→ 許せなかったのかもしれない｡ だから 父まで…｡ 待ってください｡ 考えすぎかもしれませんよ｡ でも 父が殺された日に 届いたんですよ｡ 偶然ですか？ どうして そんな日に…｡ 私には あのガラスのペン先が→ 兄の憎しみがこもった ナイフのように見えました｡ ですから 私だけが 幸せになっちゃいけないんです｡ 父が殺されたのは 私のせいです｡ これは もうお守りなんかじゃない！ まだ 捨てる時じゃありませんよ｡ (清水)殺害された倉澤さんは 人望が厚い方で→ 他人から恨みを買うような人では ないですね｡ ただ 最近 引退をほのめかしていて→ 副社長の直江裕二以下 取締役の面々が→ 水面下でうごめいているという 噂を聞きました｡ あかりさんの婚約者の葉山さんも その中の１人ね｡ (清水)ええ｡ ああいった亡くなり方をしたんで→ 倉澤さんには 遺言状はないでしょうし→ 京都でも有数の老舗です｡ 次期社長の座に関しては→ 熾烈な争いが あるんじゃありませんかね？ ただ 俺的には ノジーが一番怪しいです｡ ノジー？ (佳世)野島という工場の主任です｡ 私も奴が 一番怪しいとにらんでいます｡ 本人気づいてないだけで→ 誰もが認める あかりさんのストーカーです｡ 事件当日→ 心配して あかりさんの自宅に 駆けつけた社員の中にいたわね｡ (花園)マジっすか？ ストーカーの王道いってるな｡ あかりさんの結婚 阻止したいって動機は十分ですよ｡ あっ…｡ ♬～ 見っけ｡ あの すいません｡ ≪(男性)はい｡ このペンを作られたのは どの方ですか？ ああ 奥の彼ですが｡ 倉澤あかりさんの お兄さんですよね？ (中村耕平) なんの話だか 俺には…｡ ああ それは変ですね｡ おそらくは あかりさん宛てに→ そのガラスのペンと同じものが 届いたんですが…｡ 誰かが ここで 買ったものかもしれないだろ｡ そうですね｡ それじゃあ 向こうの方は→ その人の事を 覚えてるかもしれませんね｡ ちょっと 尋ねてきます｡ 失礼しました｡ 待ってくれ！ ♬～ (耕平)俺と妹は もう関係ない｡ 言いたい事は それだけだ｡ あかりさんは あなたが 倉澤さんを殺したと思っています｡ あなたも聞いてたはずだ｡ 結婚して 幸せになろうとしている自分に→ 兄である あなたが 憎しみを抱いてる｡ そう思ってるという事を…｡ それで その裏を取りに 俺のところに？ いえいえ｡ あの… 私の仕事は→ 犯罪が生んだ被害者と その家族の支援をする事なので｡ どういう事だ？ あの… もし あなたに→ 自分の身の潔白を明らかにしたい という思いがあれば→ あかりさんに会って 直に話してみてはいかがかと…｡ 冗談じゃない！ あいつには あいつの人生があるんだ｡ だから あいつを おふくろの手から…｡ あかりさんとあなたが負っている あのやけどの痕は→ お母さんの仕業だったんですか｡ そんな事どうだっていいだろ！ 俺が倉澤さんを殺したと 思ってるんだったら それでいい｡ いや… むしろ そう思ってくれたほうがいいんだ｡ ちょっと待ってください｡ ちょっと待ってください！ あなた 本当に それでいいんですか？ あなたは あかりさんに会いたくて→ 昨日 あの場にやってきたんじゃ ありませんか？ あなたが あの教会で彼女に渡した ガラス玉を→ 彼女は お守り代わりに 肌身離さず持ち歩かれてます｡ でも… 今は あのガラス玉が 彼女を苦しめてる｡ あなたへの疑いが 彼女を苦しませてるんです｡ ガラスは きれいですが もろいものです｡ 今のあかりさんは→ そんなガラス細工のような心を 痛めて→ 結婚を取りやめる… そんな決断までしましたよ｡ なんだって!? あのガラスのペン→ あれは あなたが あかりさんの結婚祝いのために→ 送り届けたものだったんじゃ ありませんか？ 彼女が あのペンで 婚姻届にサインする…｡ その姿を思い浮かべてたんじゃ ありませんか？ 本当の気持ちを 教えてください｡ あなたは 彼女に…→ あかりさんに 会いたいんじゃありませんか？ 倉澤さんにも 同じ事 言われたよ｡ ようやく あなたを 見つける事が出来ました｡ あかりの父 倉澤です｡ お願いがあって来ました｡ あかりの結婚式に 出席してくれませんか？ (耕平)結婚…？ 俺は 今 あいつとは関係のない人間です｡ あかりに つらい昔の事を 思い出させたくない｡ あなたの気持ちは わかります｡ でも… あかりは あなたに ずっと会いたがってるんです｡ お兄さんという 記憶はありません｡ だが 自分を救ってくれた人である という事は→ 肌で感じてわかってるんです｡ どうか 結婚式に出てやってください｡ あなただって あかりに会いたいはずです｡ ♬～ (耕平)でも 今は会えない…｡ 会っちゃいけないんだよ 俺は！ 室長 あかりさんは？ 部屋に こもったっきり｡ そっちは？ ええ…｡ 兄である事は認めたんですが→ 会う事は…｡ そう…｡ (携帯電話) もしもし？ ガラス工房の中村耕平の 母親の居場所がわかりました｡ (ドアの開く音) (中村美砂) セールスならお断りだよ｡ 欲しいのは こっちなんですよ｡ あなたの情報が｡ 金は払えませんけどね｡ なんだ？ お前ら｡ 警察が なんの用だい？ 22年前の話を 聞きに来ました｡ おたくが当時３歳の娘に 何をしたかをね｡ 娘？ 私に娘なんか いないよ｡ 戸籍上では｡ 出生届 出されてないんですね｡ でも あなたの息子 耕平さんは 妹の事を認めました｡ (舌打ち) 余計な事を…｡ あ～ いたねえ １人｡ 言う事聞かないガキがね｡ うるせえ！ 腹減ったぐらいで 泣くんじゃねえよ！ (あかりの泣き声) (美砂)教育だよ｡ そうじゃないとしたって とっくに時効だろ？ 刑事さん｡ それで… 揚げ句の果てに 捨てたっていうんですか!? ふざけんなよ…｡ 突然いなくなったんだ｡ 神隠しだよ！ ふざけてるのは どっちよ！ 産むだけ産んで 母親らしい事は 何一つしてないどころか→ 背中に あんな傷まで負わせて…｡ それが許されるとでも 思ってるの!? (せき払い) なんなんだよ こいつ…｡ おい… なんのつもりだよ お前！ こっちの言う事にね… ちゃんと質問に答えないと→ この人が何するか わからないよ｡ 怒らせると 京都府警一… 怖いんだから この人｡ その娘さんの事 誰かに話した事ありますか？ この期に及んで嘘つくと ためにならないわよ！ １人だけ…｡ 屋敷田っていう腐れ縁の男だよ｡ あの母親の話が本当なら→ 屋敷田って男のアパートは この先よ｡ (刺す音) (屋敷田英和)ああーっ！ (屋敷田)ああっ…！ ♬～ 戸隠さん！ 室長 あとは頼みます！ ♬～ あんたが屋敷田を殺したのか？ 違う｡ 俺は 屋敷田と 話をしようとしただけだ！ 屋敷田に なんの用があった？ おふくろと付き合ってる屋敷田が 倉澤さんを殺したんだと思った｡ いい金づるが出来たって 屋敷田が話してたのを→ 思い出したんだ｡ (屋敷田)いい金づるが出来たわ｡ 金づる？ ああ｡ 倉澤さんを脅して 金を手に入れてたとしたら→ 断られた腹いせに殺しても 仕方がない｡ そして 次は あかりを 金づるにしかねないと思って…｡ それじゃあ あかりさんを守るために→ 屋敷田と話を？ ああ｡ でも…｡ ♬～ ああーっ！ ああっ…！ 男の顔は見たか？ (耕平)いや 暗くて見えなかった｡ そうか…｡ でも その男は→ あんたに顔を見られたと 思ってるかもしれないな｡ 野島！ ♬～ (仲田)脅迫状…｡ 野島で決まりだな｡ 屋敷田を刺したナイフは→ 倉澤さんが殺害された凶器と 一致したそうよ｡ 捜査一課は 行方がわからない 倉澤の社員 野島の犯行だと見て→ 指名手配の準備を進めてるわ｡ いえ｡ 野島の犯行じゃありませんね｡ なぜ そう言い切れるんです？ 野島が あかりさんの出生の秘密を 知っていたとしたら→ 脅迫状に ほのめかすはずですが それがありません｡ でも だとしたら 誰が…｡ 倉澤さんを亡き者にして 最も得をする人物ですよ｡ それも 屋敷田と接触し 繋がりのある…｡ ちょっと 釣りをしてみましょう｡ 釣り？ ええ｡ 清水さん｡ (清水)はい｡ 電話をしてください｡ ｢屋敷田を殺したのを見た｣｡ ｢倉澤さんを殺したのも お前だろう｣とでも言って→ 金を要求すれば→ 犯人ならば 餌に食いついてきます｡ 犯人って 一体…？ 確実な証拠がありません｡ ですから 呼び出した場所に 現れてくれれば→ それが 倉澤さんと屋敷田を殺した 動かぬ証拠になります｡ 野島豊が指名手配されました｡ (あかり)彼が 父を殺した 犯人なんでしょうか？ いいえ｡ 脅迫状を送っていたのは 彼でしたが→ 殺人はしていないと 私は思います｡ じゃあ やっぱり… 兄が父を…｡ いえ｡ お兄さんじゃありません｡ あかりさんを守りたい… その気持ちに嘘はありませんか？ ああ｡ 支援… させてもらいます｡ ♬～ 金は？ やっぱり… あなたが犯人だったんですね｡ 倉澤に長く勤めてきた あなたが こんな事をするなんて…｡ 倉澤で働ける事に誇りを持ち→ 倉澤を愛する気持ちは 誰にも負けないと→ 自負していた私が…｡ 運命とは わからないものだ｡ でも 揺らいだんですよね？ 直江さん｡ あなたの会社への思いは 屋敷田が現れた事によって…｡ 社長に会わせろ 社長に｡ 副社長の直江です｡ 社長に代わり お話は私が伺います｡ (屋敷田)あかりとか言うたっけ？ 社長の娘｡ はい｡ あれな 親に捨てられた子やったんや｡ 何？ 施設に預けられたんを→ お宅の社長が 引き取ったっちゅうわけや｡ まあ 今では ああして 立派なお嬢さんになってるけど→ 実の母親はな 産みっぱなしで 出生届も出さへんかった→ ひどい女なんや｡ あかりさんが養子だからといって 何か問題があるのか？ こんな マスコミが 飛びつきそうなネタ→ 買わへんかったら 後々 後悔するで｡ (直江の声)社長の一人娘である あかりさんが婿を取り→ 倉澤を継ぐのは当然の事だ… そう思っていた｡ だが 違った！ これまで私を支えていた 倉澤への思いが 一気に揺らいだ｡ 今の話… 私に預からせてくれないか｡ そして あなたは 倉澤社長に その情報をぶつけたんですね｡ 私は 先代社長の時代から 倉澤に人生を捧げてきました｡ あかりさんの結婚も 心から祝福していたんです｡ ですが 社長の実のお嬢さんでないのなら→ 葉山を婿に取り 次の社長の座に座らせる事は→ 断固承服しかねます｡ (倉澤)だったら 私に どうしろと言うんだね？ 私に倉澤を任せてください｡ 世襲でなくなるのなら 私こそ 倉澤に必要な人間です｡ 君には申し訳ないが それは出来ない｡ 血は繋がらずとも→ 私は あかりの事を 本当の娘だと思ってるんだよ｡ だったら…→ 私に お嬢さんをください｡ 本気で そんな事を…!? 長年 仕えてくれた君には 感謝してる｡ 残念だ…｡ 今の君こそ 倉澤にふさわしくはない！ だから 殺したんですか？ (直江)和菓子 倉澤の 葉山 お願いします｡ (スタッフ)ご新郎様｡ はい｡ 会社から お電話でございます｡ ああ…｡ すいません｡ ♬～ (刺す音) (倉澤)うっ！ ♬～ 屋敷田を殺したのは？ 脅迫されましたか？ 社長を殺したのは あんただろうって｡ 社長を殺す そう思い立った時から それは想定していた事だ｡ だから 社長を殺したナイフで…｡ (刺す音) ああーっ！ (屋敷田)ああっ…！ (直江の声)あの時 目撃されていたとは迂闊だった｡ あなたは 顔なんか 見られてませんでしたよ｡ なんだって!? (ドアの開く音) 直江さん あなたって人は…｡ 直江さん あなた→ 全て会社のためにやったと 思ってるんじゃありませんか？ ああ｡ 私の 和菓子 倉澤を愛する思いに 一点の曇りもない！ あなたが行った事は…→ 愚かな事でしかない！ はあ!? お願いします｡ 最後に教えてくれ！ なぜ 教会に呼び出した？ お二人の 唯一の思い出の場所だからですよ｡ 待ってください｡ あかりさんのお父さんは→ 最期に あなたの事を 言い残しました｡ お前のお兄さんが…｡ それが最期の言葉でした｡ だから あかりさんは あなたが殺したとばかり思って…｡ でも 違った｡ お父さんは きっと こう言いたかったんです｡ お前のお兄さんが 結婚式に来るよって｡ あかりさん｡ このガラスのペン→ これは…→ 結婚を祝う お兄さんの思いが 込められたものでした｡ (耕平)許してくれ｡ 22年前 ああするしか 俺には出来なかった｡ ここに お前を連れてくる事しか…｡ いいか？ 今日から お前は あかりって名前になるんだ｡ あかり？ そうだ｡ もう二度と つらい思いをしなくてもすむ｡ でも もし つらい事があったら…｡ これを握り締めるんだ｡ ♬～ きれい｡ ♬～ 俺は お前を置き去りにしたのも 一緒だった｡ 違う｡ 私を… 私の人生を 救ってくれたんです｡ ああしてくれたから お父さんにも出会えたんです｡ こうして ２人が再会出来て… お父さん きっと喜んでます｡ だから あかりさん→ 誰に気遣う事なく 結婚していいんですよ｡ ♬～ 来てくれますか？ その時は この教会で→ お父さんに代わって→ 一緒にバージンロードを 歩いてほしいんです｡ お願いです…｡ お兄ちゃん｡ ♬～ そうか｡ ご苦労｡ 特捜支援 完了｡ ♬～ ♬～ (清水)ご苦労さまです｡ 野島が確保されたそうですが アリバイがあったようですね｡ 屋敷田が殺された時間 野島はネットカフェにいた｡ 目撃者も大勢いる｡ それで 自分が指名手配されたと知って→ 帰るに帰れなくなっただけだった｡ でも なんでシエンがよ…！ だけど なんでシエンがまた…！ 結婚式の下見に来たら 犯人と ばったり｡ ♬～ ♬～ 被害者は 元殺人犯ですか｡ (河原佐智子)死んでも父親とは 呼びたくありません｡ 警察の捜査の何がわかる！ 10年前の事件は 河原さんの犯行じゃないと？ (佐智子)だったら それを証明してください｡ お父さんは 人を殺めるような人ではない｡

悦ちゃん＃04

1 内野安打となって１点を返します｡ それでも 稲垣、気持ちを 切り替えたと落ち着いていました｡ (悦子)せっかく ママができると思ったのに！ ｶｵﾙさんとｹﾝｶをして 家を飛び出してしまった悦ちゃん｡ 具合を悪くして 街で倒れ込んでしまいます｡ (碌太郎)悦子！ 碌さんは 悦ちゃんを必死で捜しますが…｡ 悦ちゃん！ ウメさん 悦子から連絡は？ (ウメ)ありません｡ じゃ 悦ちゃんは まだ…｡ どこにもいない｡ 警察へは？ 悦子は もう 尋常５年だぜ｡ しかも 家出じゃ 取り合っちゃもらえない｡ 今夜 帰ってこなかったら 明日また来るようにって｡ 随分と横柄な言いぐさですね｡ 何かあったら どうするつもりでしょう！ 俺が悪いんだ｡ ご令嬢に目がくらんで➡ 悦子を一瞬でも 不安にさせちまった｡ 大丈夫｡ ちゃんと帰ってきますよ！ 悦ちゃんは しっかりした子ですから｡ どこ行っちまったんだ！ あっ 碌さん 電話だよ｡ 池辺さんて女の人｡ 池辺？ (藤子)親御さんは いらしたのかい？ (鏡子)ええ｡ 事情を説明して➡ 明朝お送りしますと お伝えしました｡ お宅は どちら？ 中野だそうです｡ 私が勝手にした事なのに➡ ｢ご迷惑をおかけしました｣なんて 言われてしまって｡ 律儀な人だね｡ ええ｡ 作詞家なんです｡ (大声で)何だ！ (小声で)知り合いだったのかい？ 以前 一度 お店に｡ とっても面白い詩を書く方で｡➡ あっ もう こんな時間｡ お母さんは 先に寝て下さい｡ あとは 私が見ますから｡ お鏡ちゃんこそ 先に寝たら？ この子は私が見てるわよ｡ いいえ 私が連れてきたんです｡ お宅に送るまで私が｡ そうかい？ でも…｡ おやすみなさい｡ おやすみ｡ あんた ほどほどにしておくれよ｡ もう しかたないね…｡ ママ…？ まだ寝てないといけませんよ｡ 悦ちゃんは大好きだった ママの夢を見ていました｡ ずっと押し込めていた気持ちが 熱に浮かされて➡ 顔を出したのかもしれません｡ 鏡子さんの看病のおかげも あって➡ 悦ちゃんの熱は 朝には すっかり引いていました｡ (藤子)悦ちゃん どうぞ｡ うわ～ おばさん ありがとう！ 元気になって よかったわね｡ 一緒に食べよう？ (琴)うん！ (藤子)こら お琴 それは お客さんの分でしょう｡ でも おばさん 一人じゃ食べられないよ｡ だったら お鏡ちゃん あんたが食べたらいいよ｡ みんなで食べよう？ いい？ うん｡ (久蔵)そういや お鏡 例の縁談を進めるのに➡ ﾃﾞﾊﾟｰﾄの仕事は 早めに辞めちまえ｡ なっ｡➡ 後腐れのねえように 店には ちゃんと事情を話しておくんだぞ｡ はい｡ 縁談？ おねえちゃん 結婚するの？ 相手は 越後屋ってぇ 老舗の米屋の跡取りだ｡ どんな人？ 器量も甲斐性もあって➡ 周りの評判も申し分ねえ なかなか見どころのある若い衆さ｡ おねえちゃんに聞いたのに…｡ でも おめでとう｡ ありがとな｡ おねえちゃんに言ったの！ ﾍﾍﾍﾍｯ…｡ おめでとう｡ さっき あんまり うれしそうじゃなかったね｡ 縁談が決まってるっていうのに｡ 私？ もちろん うれしいわよ｡ でも うちの碌さんなんて もっと ﾃﾞﾚﾃﾞﾚだったよ｡ お見合いの時の話したり➡ 別荘に行った時だって 随分 浮かれちゃって｡ でもさ…｡ どうしたの？ 相手のご令嬢が 私の事が邪魔みたいでさ…｡ 私を寄宿舎にやろうとしてるんだ｡ 私が家に残ったら 縁談が駄目になるかもしれない｡ そしたら 碌さん ｶﾞｯｶﾘするよね｡ う～ん どうかしら｡ 離れて暮らす方が よっぽど ｶﾞｯｶﾘすると思うな｡ だって パパと２人きりの家族でしょ？ ♬～ おう お帰り｡ ♬～ 何だよ 随分 遅かったじゃねえか｡ 碌さん｡ どうした？ 私 寄宿舎へ行った方がいい？ その話なら なくなった｡ 縁談は断ったよ｡ どうして｡ ああ毎日 ｸﾗｼｯｸばっかり 聴かされたんじゃ➡ 退屈でしょうがねえ｡ ｹﾞｲｼﾞﾂは ちとばかし苦手なんだ｡ 不安にさせて悪かったな｡ 不安なもんか｡ ただ 心配だっただけだよ｡ 碌さんを一人にするのがね｡ ﾊﾊｯ｡ ♬～ 相手は 若い娘さんだぜ？ 洋菓子の一つも出しなさいよ｡ (ウメ)ありませんよ そんなもの｡ ﾁｮｺﾚｰﾄは？ まさか！ 煎餅は？ 昨日 食べてしまいました｡ (２人)そんな…｡ (ウメ)あれまあ｡ おねえちゃん 朝まで ずっと看病しててくれたから｡ あっ すみません｡ あの お構いなく｡ いや しかし まさか 悦子が➡ 大松のおねえさんのところに いたなんて…｡ 迷惑をおかけして 大変 申し訳ありませんでした｡ いえ こちらこそ 勝手な事をして ご心配をおかけ致しました｡ いいえ 本当に助かりました｡ 大人って謝ってばかりいるね｡ お前が迷惑かけたんだろ｡ いや 元はと言えば 碌さんが…｡ いいから あっち行ってなさいよ｡ (ウメ)悦ちゃん｡ は～い…｡ 何だ それは｡ ﾌﾌﾌｯ｡ 何だ イ～ッて｡ 全く もう… 人騒がせな娘ですよ｡ 結局 縁談は成就せず➡ せっかく助言頂いた背広も 無駄になってしまいました｡ これで俺も また ｷｬﾗﾒﾙ野郎に後戻りです｡ ｷｬﾗﾒﾙ？ 前に 悦子が俺の事を そう呼んだんですよ｡ ﾈﾁﾈﾁして しみったれた ｷｬﾗﾒﾙ野郎だって｡ ｷｬﾗﾒﾙ野郎…｡ あっ それで ｢ｷｬﾗﾒﾙｴﾚｼﾞｰ｣なんだ｡ えっ どうして その歌詞を？ ﾌﾌｯ 以前 たまたま｡ 結局 あれも ボツになっちまいましたけど｡ でも 私は好きですよ ｷｬﾗﾒﾙ｡ 頂きます｡ ええ｡ うん おいしい｡ ﾌﾌﾌｯ｡ おねえちゃん またね｡ うん またね 悦ちゃん｡ おねえちゃん！ またね｡ うん｡ またね！ こうして 悦ちゃんの家出騒動は 一件落着！ しかし 柳家の問題は まだ何一つ 解決しておらず…｡ 駄目だ！ 駄目だ～！ しばらく 作詞から遠ざかっていた 碌さんは➡ 大ｽﾗﾝﾌﾟの中にいたのです｡ (ウメ)旦那様 そろそろ 買い物に 出たいのですが…｡ どうぞ｡ 出ればいいでしょう｡ しかし お米も お酒も➡ これまでのツケを まだ払い終えておりません｡ いよいよ お店の方も ツケで売るのを渋っておりまして｡ 米は あと何日分 残ってます？ ３日｡ なるほど｡ ♬～ ﾍｿｸﾘですか？ ねえや！ ﾊﾊﾊ…｡ もちろん 分かってるよ｡ 米の分ぐらい用立てておくよ｡ それと 大変申し上げにくいのですが➡ 私のお給金も ここ数か月分が 未払いとなっておりまして…｡ そうだっけ？ こっから ここまで ド～ンと 古本屋に売っちまってくれ！ よろしいんですか？ まあ いいって…｡ 本当に売っちまうの？ ああ…｡ すごい熱…｡ (富子)悦ちゃん さっきから これ 何回目？ 寝てるだけじゃ つまんないよ｡ まだ寝てないといけませんよ｡ そればっかり…｡ (鉄男)おい 悦子｡ お前の父ちゃん また振られたってな｡ うちの母ちゃん 言ってたぞ｡ 売れない作詞家と➡ 金持ちのご令嬢じゃ➡ 釣り合わないってな｡ (２人)釣り合わないってな｡ (３人)ﾊｯﾊｯﾊｯﾊｯ！ また出たな 鉄男｡ 碌さんは振られたんじゃない｡ こっちから振ってやったんだ｡ 嘘つけ｡ 貧乏人が➡ 金持ちになるﾁｬﾝｽを 棒に振る訳ない｡ なっ！ (２人)なっ！ また 碌さんを馬鹿にしたな｡ おい 悦子やめろ！ 鉄男 頑張れ！ 鉄男 頑張れ！ 悦ちゃん｡ 悦子！ どうした？ 何だ？ 覚えてろ！ 覚えてろ！ うわっ！ どうした？ 悦ちゃん｡ もしかして まだ ｶｵﾙさんの事が好き？ 馬鹿言うなよ！ お金持ちと結婚したかった？ 何 言ってんだよ！ だから 言ったろ？ あの話は きっぱり断ったって｡ 未練なんて ある訳ないだろ｡ 出かけてくる｡ えっ！ 姉さんは？ 旦那様とご一緒に お出かけになりました｡ あっ そう…｡ 何か聞いてない？ 随分前に 50円ばかり用立てて頂く 約束をしたんだけど…｡ いいえ 何も｡ そうかい｡ ならいいんだ｡ ならいい｡ (信吾)この度は 大変 失礼を致しました｡ (鶴代)うちの馬鹿な弟が お嬢様にご迷惑をおかけして…｡ (絹)失礼も面倒もございません｡ さあ｡ (一郎)28回の破談が 29回に増えただけの話ですから｡ そもそも ｶｵﾙも まだ若いんですから➡ 連れ子の世話までは させたくないというのが本音で｡ 私どもとしても➡ お子さんを寄宿舎へ 入れたい方針だったんです｡ ねえ ｶｵﾙさん？ お姉様？ お姉様 聞こえていらっしゃいますか？ (ｶｵﾙ)あ～っ うるさい！ ごめんなさい｡ ♬～ うるさいというのは お姉様 もしかして…｡ なぜか 雑音に聞こえます｡ 詩を読んでも 文字が目に映るだけ 絵を眺めても同じ｡ 何を食べても味がしない｡ 夜も眠れない｡ 私は何か 悪い病に 侵されてしまったのでしょうか！ それは いつからですか？ (ｶｵﾙ)柳さんのお宅に伺ってから｡ 碌太郎との縁談が 破談になってからという事ですね｡ そのようです｡ 落ち着いて聞いて下さい｡ それは… 恋です｡ 恋！ 恋｡ 恋…｡ なんと！ それは ｶｵﾙさんの中に芽生えた➡ 生まれて初めての感情でした｡ そのころ 碌さんはというと…｡ 頼むよ ほかに頼める人間が いねえんだ｡ 少しばかり用立ててもらえねえか｡ (春奴)５万円の支度金は？ シ～ッ！ ご令嬢とは どうなったんだい？ 静かにしろ 馬鹿 馬鹿！ 静かに… 来い！ ちょっと事情があってな 断っちまった｡ 馬鹿な事したね｡ お前も そう思うか？ そう思うよな｡ 未練ﾀﾗﾀﾗじゃないか｡ いやいや いいんだ｡ あの美貌も支度金も 惜しいには惜しいが➡ もう過ぎた事｡ それに 少々疲れちまった｡ いくら 嫁探しをしても 生活は変わらねえ｡ それどころか どんどん 悪くなってく一方だ｡ 悦子には悪いが もう諦めた｡ だったら 書いて稼ぎなよ！ あんた 作詞家だろ？ また 夢月んとこでも 持ってきゃいいじゃないか！ それが何にも浮かばねえんだよ！ これまでも 作詞に詰まった事はあったが➡ 今回のは重症｡ もう 頭の中が真っ白になって➡ 何を書いていいか さっぱり分かりゃしねえ｡ でも 腹は減る｡ 娘も食わせなきゃならねえ｡ 分かってるじゃねえか｡ 頼むよ｡ 50円でいいんだ｡ じゃあ 私が買い取ってあげるよ｡ 何を？ あんたの歌詞をさ｡ 善しあしは関係ない｡ ﾃﾞﾀﾗﾒでも構わない｡ １曲10円｡ ２曲書いたら 20円だ｡ 本当かよ｡ よし｡ (村上)細野夢月先生は 大事なお得意様だぞ｡ どうして 私が行くんですか？ ありがとうございました！ ありがとうございました｡ どうしてって… ご本人からのご指名だよ｡ ちょっと こっち…｡ 君 彼と随分 いい仲だそうじゃないか｡ は？ 噂になってるぞ｡ ﾌﾌﾌﾌｯ｡ (鏡子)誰が そんな噂を…｡ (夢月)わざわざ ありがとう｡ あなたですよね 変な噂を流したのは｡ 今日 君を ここへ呼んだのは ほかでもない｡ 話を聞いて下さい！ そう！ 僕の新曲を聴いて下さい｡ は？ あなたにささげるﾗﾌﾞｿﾝｸﾞです｡ ♬～ ♬｢ﾗﾗﾗﾗ｣ 本当に迷惑なんです｡ 勝手な事をされると｡ ♬｢ﾗﾗﾗﾗ…｣ あの！ 聞いて下さい！ ♬｢ﾗﾗﾗﾗ…｣ 私 今度 お見合いをする事に なったんです！ お見合い？ はい｡ ですから 変な噂を立てられると 困ります｡ 僕というものがありながら？ あなたとは 何もないじゃないですか｡ でも ほら 僕は細野夢月だよ｡ ｽｲｰﾄﾚｺｰﾄﾞ専属 日本を代表する作曲家➡ 細野夢月な訳で｡ 知ってます｡ 僕と一緒になれば 世間の羨望の的だ｡ 贅沢だって できるんだ｡ それも分かってます！ じゃあ 何が足りないって言うんだ？ 何もいりません！ ですから もう 私とは関わらないで下さい｡ (久蔵)見合いが済んだら 来月には結納だろ？ って事は 式は 10月だから 日がいいのは…｡➡ ボ～ッとしてたら あっという間だな｡ でも よかったのかい？ 何がよ｡ 本当なら お鏡ちゃんを お嫁に出すんじゃなく➡ 跡取りが 欲しかったんじゃないか｡➡ もともと そのつもりで 相手を探していたんだろ？ 俺みてえな半端な職人の家に 養子に入る ﾏﾇｹがいるかよ｡ 半端なのは お酒のせいでしょう｡ お酒を今の半分にでも減らせば➡ 弟子だって取れるほどの 名人なのに｡ 酒は燃料｡ 減らしたら走らねえよ｡ それに時代は機械化だ｡ 手仕事なんざ もう はやらねえ｡ ≪(久蔵)何 嫁に出すも 婿をもらうも大差ねえや｡➡ あと一息で肩の荷が下りらぁ｡ ≪(藤子)そんな お鏡ちゃんを お荷物みたいに言って｡ 荷物だったら気楽だったろうがな｡ あらぁ 俺の娘だ｡ ≪(久蔵)あいつの母親が 亡くなってから こっち➡ お前と一緒になるまで➡ しばらく ２人きりで貧乏した 相棒よ｡ せめて 食うに困らねえ 嫁ぎ先を見つけてやらなきゃ➡ 何のための父親だよ｡ お見合いが近づき 結婚という現実を➡ 受け入れつつある鏡子さん｡ ﾛﾏﾝｽの妄想をつづっていた あの日記は➡ もう書けなくなっていました｡ 駄目だ…｡ 何も書けないのは こちらも同じ｡ ｽﾗﾝﾌﾟは重症で…｡ 駄目だ 駄目だ 駄目だ…｡ 碌さん…｡ 何だ 悦ちゃん 眠れないのかい？ 起きちゃったんだよ…｡ 怖い夢でも見たか｡ また ママの夢さ｡ 夢で会えてよかったじゃねえか｡ でも もう ママの顔は ぼんやりしてる｡ 霧がかかったみたいに｡ もう３年だ｡ それも しかたねえ｡ 碌さんは？ はっきり覚えてる？ ああ｡ きれいな人だったよ｡ 出会った時からな｡ パパとママは どこで出会ったの？ 医者だった お前のじいさんの病院｡ まさに 白衣の天使ってやつさ｡ どっちが先に声をかけたの？ ﾍﾍｯ…｡ パパとママ どっちが先に 好きって言ったのさ｡ よせよ｡ ねえ 教えておくれよ｡ それは秘密だ｡ 俺とママだけの思い出だからな｡ ずるいや…｡ でも 悦ちゃんは 新しいママを見つけるんだろ？ 俺の新しい奥さんをさ｡ そうなりゃ 俺に聞くまでもねえ｡ その目で見ててくれよ｡ なっ 悦ちゃん｡ ♬～ やっと書き始めた碌さん｡ どうやら 悦ちゃんの言葉が 碌さんをｽﾗﾝﾌﾟから➡ 救い出したようで…｡ ♬～ おはよう 碌さん｡ ああ… まぶしい｡ あ～ 肩痛え…｡ あ～ 肩痛え…｡ 首も痛え…｡ ｢ﾊﾟﾊﾟﾏﾏｿﾝｸﾞ｣｡ ♬～ ｢ﾊﾟﾊﾟﾏﾏｿﾝｸﾞ｣｡ 碌さん すごいよ！ 最高だよ！ 早く曲つけてもらえばいい｡ ねっ ｽｲｰﾄﾚｺｰﾄﾞ行ってきて｡ ねっ 早く早く！ 起きて 起きて 起きて｡ もうちょっと寝ていくからさ｡ 駄目｡ 曲つけてもらおう｡ 一方 鏡子さんは➡ いよいよ今日が 見合いの当日でありますが…｡ あの ご趣味は？ 何かありますか？ ご… ご趣味ですか？ お酒を少々｡ あんた 違うよ｡ お鏡ちゃんに聞いたんだよ｡ ああ そうか！ すいません｡ 何で あんたが あがっちゃってるんだろうね｡ 本当に すいません｡ (小声で)趣味は？ あっ 趣味などは特に…｡ あの たまに映画を見るくらいで｡ 映画ですか…｡ 俺は そっちの方は 詳しくないもんで｡ 日本の映画より 特に外国の…｡ あんたさんの ご趣味は？ ちょっと！ あんたが聞いても しかたないでしょ｡ 邪魔しないの！ そうか｡ また やっちまった｡ もう 恥ずかしい…｡ 鏡子さんは ﾃﾞﾊﾟｰﾄｶﾞｰﾙでしたよね｡ ええ｡ 銀座の大松で 殿方洋服を販売しております｡ 若い女性の憧れの仕事だ｡ 忙しいんじゃないですか？ 店は すぐに辞めさせます｡ ですから 米屋の仕入れから そろばんから何から➡ ﾋﾞｼﾋﾞｼ たたき込んでやって下さい｡ いや しかし…｡ 話は ついてます｡ なっ 鏡子｡ うちも ２人には 本店とは言いませんが➡ 小さい支店から任せようかと 思ってるんです｡ ２人に店を…｡ 鏡子さんの気持ちも構わず 話は 先へ先へと進んでいきます｡ なるほど そういうもんか …と 諦めかけた その時！ ≪鏡子さ～ん！ 何か聞こえるなあ…｡ そら耳じゃないのかい？ 鏡子さんと 越後屋を 切り盛りできるなら心強い｡ よろしくお願いします｡ ええ こき使ってやって下さい｡ ≪鏡子さ～ん！ (久蔵)やっぱり 聞こえる｡ 鏡子さん…｡ 見せに来ました 僕の本当の愛を｡ 私を試しての事でしょうが➡ 見合いの席に僕を誘い出すなんて 無謀な考え➡ しかし ﾄﾞﾗﾏﾁｯｸだ｡ は？ なるほど 君の言うように 地位も名誉も意味などない！ 最後に残るのは そう 愛のみ｡ 誰だ おめえは｡ お父様ですか？ 鏡子さんは この僕が幸せにするので➡ ご心配なく｡ あ？ 何 言ってやがる！ (藤子)あんた！ さあ！ 夢月さん どうして ここが分かったんですか!? あなたの事なら 何でも分かるよ｡ お鏡ちゃん 知り合い？ お母様｡ もう 私には関わらないでと 言ったじゃないですか！ 恋の駆け引き…｡ (指を鳴らす音) 楽しませてもらったよ｡ あれは➡ 追いかけてこいという意味でしょ｡ 追いかけてこないで という意味です｡ なるほど…｡ それも裏の裏… そのまた 裏を返せば➡ 私を連れ去って という意味になるな｡ よし！ さあ｡ なりません！ (次作)そこまでだ！ 鏡子さんが嫌がってる｡ 何だ 君は｡ 脇役は引っ込んでなさい！ 僕は 拳闘をたしなむんだ｡ ﾉｯｸｱｳﾄするよ｡ ん？ (指を鳴らす音) こっちは 柔道黒帯よ｡ 大丈夫でしたか？ 誰だ その男は？ 鏡子｡ あっ お店のお得意様で…｡ てめえ よそに 男をつくってやがったのか！ そんな… 違います！ 勝手に勘違いして いらっしゃるだけで…｡ 勘違いで こんな むちゃする馬鹿あるか！ ですから あそこに！ もういい｡ 親の気も知らねえで 恥かかせやがって…｡ とっとと出てけ！ 俺の前から うせやがれ！ (藤子)お鏡ちゃん！ 細野夢月の乱入により ﾒﾁｬｸﾁｬになってしまったお見合い｡ 縁談は このまま 破談となって しまうのでしょうか｡ しかし なぜでしょう｡ 当の鏡子さんは少しだけ ホッとしているのでした｡ 何よ これだけ？ 一枚きりかい？ だが 傑作だ｡ 何すんのさ｡ お渡しよ｡ いや この歌詞 もう一回だけ 夢月に当ててみる｡ どうせ また破られてしまいだよ｡ 分かってる｡ あいつに頼るのは これが最後だ｡ おい 夢月 例の作詞の公募 まだ間に合うかい？ いや～ この間は断っちまったが やっぱり 傑作が書けちまってよ｡ 破るなよ？ 今度のは 本当の本当に➡ 正真正銘の傑作だ！ 駄目なんだ…｡ 何が？ 恋に破れ 恥をかき 僕のﾒﾛﾃﾞｨｰは途切れてしまった！ (泣き声) 何 言ってやがんだ？ 駄目だ｡ 夢月は使いもんになんねえ｡ やっぱり この歌詞 買い取ってくんねえか｡ ありがとよ！ これで米が買える！ やってるか？ すてきですね｡ 実は この10円で売った歌詞が➡ 更なる騒動を巻き起こすのですが それは また次のお話｡ そして 行く当てのない鏡子さん｡ あらら この道は ひょっとして…｡ よりにもよって こんな所に来てしまって➡ どうするつもりなのでしょう？ そうよね…｡ 大松のおねえさん？ 何してんのかしら｡ ♬～ ｢ﾊﾟﾊﾟﾏﾏｿﾝｸﾞ｣が 近々発売になるって話だ！ こっちも なかなか 結婚に縁がなくて…｡ 親に なんて 口ききやがる！ 専属？ ﾎﾟﾘﾑﾋﾞｱの？ これこそが真実の愛｡ ｶﾂﾚﾂﾌﾞﾙｰｽ｡ ♬｢教えてよ パパ｣ ♬｢教えてよ ママ｣ ♬｢教えてよ パパとママ｣ ♬～ ♬｢パパとママと｣ ♬｢ママとパパ｣ ♬｢どっちが先に言ったのよ｣ ♬｢パパはママが好きだって｣ ♬｢ママはパパが好きだって｣ ♬｢パパとママ ママとパパ｣ ♬｢好きだって｣ ♬｢教えてよ ママ｣ ♬｢教えてよ パパ｣ ♬｢教えてよ｣ ♬｢ママとパパ｣ ♬～ ♬｢教えてよ パパ｣ ♬｢教えてよ ママ｣ ♬｢教えてよ｣ ♬｢パパとママ｣ ♬～

マルモのおきて＃07

1 （護のあくび） （薫）出発。 （友樹）おう。 （薫）ひゅ～。　もう１回。 おう。 ≪（主婦）写真の人と一緒にいるし。 （護）んっ？ （警察官）どちらですか？ （主婦）あっ　あそこです　犯人。 （警察官）あっ　不審者　発見。→ そこの　おかっぱの男　動くな～。 （護）えっ　何？ （主婦）けだもの！ （友樹・薫）えっ？ 何？　何　何　何～。 （友樹・薫）マルモ～。 （千葉）また　あなたですか。 いや　ここにいる意味が 全然　分かんないんすけど。 （千葉）これですよ　これ。→ 幼児を狙った誘拐未遂事件の 容疑者です。→ ほら　どんぴしゃ。 （薫）マルモ？ マルモだ。 似てる。 マルモ。 似てる人物がいるって 通報がありましてね。 冗談じゃないっすよ。 あんな昼間の公園で　のんびり 漫画　読んでるわけないでしょ→ 誘拐犯が。 何か身分証明書は？ 勘弁してくださいよ。 これ　これが俺の運転免許証で これが子供たちの保険証です。 ほう　もうすぐ　この子たち 誕生日ですか。 誕生日は？ はっ？ 「はっ？」って 知らないんですか？　誕生日。 もっ　もちろん知ってますよ。 もうすぐだよな。 ５月２９日だよ。 今度の日曜日。 今度の日曜日です。 頼みますよ　あなた 子供の誕生日っていったらね…。 大丈夫ですって。 もう こんな　おっきいケーキ買って→ すんごい誕生会　開きますから。 ホント？ おう　任せとけ。 （薫・友樹）やった～。 やった　やった　ケーキ　ケーキ。 そっか　今度の日曜日　誕生日か。 （薫・友樹）うん。 なあ　何か欲しい物とかあるか？ あるけど。 何だよ　言ってみろ。 あのね→ もうサンタさんに頼んだから 大丈夫なの。 サンタはクリスマスだろ。 １２月しか来ないぞ。 えっ　どうしよう。 間違えちゃった。 だから言ってみろ。 でも　他の人に言っちゃ駄目って パパが言ってたよ。 サンタさんとの秘密に しなきゃって。 えっ？ だからマルモにも言えないの。 ごめんね。 ごめんね。 笹倉のやつ。 ごめんね。 ごめんね。 ごめんね　ごめんね。 ごめんね　ごめんね。 ムック　来い　来い　来い　来い。 座れ　座れ　座れ　座れ　座れ。 なあ　ムック あいつら何が欲しいか分かるか？ ちょっとさ 探ってみてくんねえか　ムック。 なっ。　なっ　よし。 俺と　お前で　当てて　あいつら びっくりさしてやろうぜ。　なっ。 はい。　ファイト　オー。 んっ？ （真島）どうしたんすか 難しい顔しちゃって。 いや　小学１年生ってさ→ プレゼント 何がいいのかなと思って。 （民子）何で高木君が？ （凛花）ロリコン？ いや　知り合いの子なんですよ。 今度　誕生日なんで→ プレゼント　何　あげようかなって。ああ。→ 洋服とかなら　何枚あっても 困んないんじゃない？ あっ　洋服か。 （民子）うん。 体のサイズとか分かんないか。 それは大丈夫です。 風呂　一緒に入ってますから。 風呂？ 一緒に？ いや　あっ　あっ　いやいや→ ちっ　ちっ　違います。 （真島）あっ　あれですよね→ たまたま 銭湯で一緒になっちゃった系の？ そう　そう　そう ちゃった系の　ちゃった系の。 いっ　いや 女の子だけじゃないんですよ。 男の子もいるんです 双子なんです。 （真島）聞いてみれば いいんじゃないですか？→ 何が欲しいのか。 聞いたんだけどさ サンタさんに教えたから→ 俺には教えないって言うんだよね。 サンタさんね。 困っちゃいましたよ。 （凛花）そういえば　私も　よく サンタさんに　お願いしたな。 お手紙とか書いて。 手紙　書いて　どうすんの？ 家の中の大切なとこに しまっておくんですよ。 手紙か。 （薫・友樹）最初はグー じゃんけんぽん。 あっち向いて　ほい。 あっ　負けた。 イェーイ。 （ムック）ねえ　僕も入れて。 えっ　ムックもできるの？ うん 勝ったらプレゼント教えてね。 う～ん　いっか。 うん。 じゃ　一緒にやろう。 じゃ　いくよ。 最初はグー。 （薫・友樹）じゃんけんぽん。 それ　グーだよね。 じゃ　僕の勝ち。 あっち向いて　ほい。 （薫・友樹）イェーイ。 残念　ムック プレゼント教えられないな。 教えられないな。 ただいま。 （薫・友樹）あっ　おかえり。 ねえ　マルモ ムック　あっち向いて　ほいで→ 友樹に負けたんだよ。 えっ？ 作戦失敗。 お前　グーしか出せないだろ。 どこだろうな。 サンタさん　サンタさん。 どこだ　サンタさん宛ての手紙は。 ねえな。 どっかにあるはずなんだよ ムック。 お前も捜せ。 平成１６年って　つい最近だよな。 ほら　ムック。　これ　薫と友樹。 ちっちゃくてカワイイだろ。 今度で７歳だってさ。 まだ６年しか 生きてねえんだもんな。 びっくりだよな。 う～ん。 あいつら　どういうのが欲しいのか分かんないな。 （鮫島）高木君。 はい。 （鮫島）例の企画書　どうなった？ あっ　まとめてみました。 （鮫島）面白いね。 （民子）何ですか？　企画書って。 新しい文房具の提案です。 （真島）えっ　どんな物なんですか？ 書くことに　こだわった マルチペンなんです。 ボールペン　シャープペン→ で　蛍光ペンも出て 極め付けは　これ。 耳かきも出るんです。 耳かき？ （真島）あっ あのときのクレームですか。 ボールペンのキャップを 耳かきにして　血が出たってやつ。 ああ　クレームが来るくらいなら→ いっそ　ボールペンから 耳かきが出る方が→ もっと使われるかなと思って。 （鮫島）災い転じて福となすってね。 クレームを プラスに変えられるんだったら→ こんなに　いいことないじゃない。 ねえ。 よろしくお願いします。 （鮫島）これ　ネーミングもいいよね。→ 書くことに　こだわったペンで かけるんるん。 あっ　はい　耳まで　かけるんるん。 かけるんるん　かけるんるん かけるんるん　俺　まもるんるん。 あっ　あっ　ちょっと あっ　牧村さん。 （かな）お疲れさまです。 何か　ご機嫌ですね。 あっ　すいません。　ちょっと 企画が　うまくいきそうな感じで。 あっ　それは　すごいですね。 頑張ってくださいね 応援してます。 ありがとうございます。 それじゃ。 牧村さん。 はい。 あの　今週の　どこか お時間　頂けませんか？ はい。 ナイス。 ナイス。 おやつあるかな。 マルモのことだから→ ないんじゃない？ でも　あったら→ 僕　アイスがいい。 私も。 （薫・友樹）アイスが食べたいな。 プレミアム。 （まなみ）薫ちゃん　バイバイ。 バイバイ。 バイバイ。 （一同）バイバイ。 （友樹・薫）バイバイ。→ ごめんね　ごめんね。 ごめんね　ごめんね。→ ごめんね　ごめんね。 ごめんね　ごめんね。 お姉ちゃん　宿題　終わったら 公園　遊びに行く？ じゃ　この間の公園　行こうよ。 うん　そうしよう。 じゃ　宿題　早く終わらせよう。 おう。 おう。 あっ　お花　奇麗。 友樹！ （男性）あっ。 あっ！ 危ねえぞ。 友樹　大丈夫？ （あゆみ）大丈夫？ 大丈夫？　ケガは？ うん　大丈夫。 大丈夫？ （あゆみ）血が出てるね。 痛くない？　友樹。 うん。 痛い？ （あゆみ）はい　これで　もう大丈夫。ありがとう　おばちゃん。 お姉さんでしょ？ あっ　お姉さん　ありがとう。 いいんだよ　おばちゃんで。 うん。 ありがとうございました。 友樹　帰ろう。 うん。 あっ　そうだ　ねえ→ ２人とも よかったら　これ食べない？ とっても　おいしい　クッキーなの。 うわ～　クッキー大好き。 でも　知らない人から もらっちゃ駄目って。 そうだった。 ごめんなさい。 ごめんなさい。 いいのよ。 ２人とも　本当に　いい子たちね。 おばさん　前に会ったことある？ えっ？ ♪♪～ ≪（彩）薫ちゃん　友君。 あっ　彩ちゃん。 （彩）一緒に帰ろう。 うん　分かった。 じゃ　おばちゃん　バイバイ。 バイバイ。 バイバイ。 ♪♪～ はい　行こう。 （秋人）あの子たちの 母親のことなんだけど。 連絡してきたのは→ あの子たちを引き取りたいとか そういうことですかね。 （秋人）それは　ないと思う。 自分から　あの子たちを置いて 出てったんだから。 （秋人）それまでは　あゆみさんも よくやっていたんだ。 だけど　あるときから 糸が切れたみたいになって。 結局　育児ノイローゼってことで 別れるしかなかった。 （秋人）いまさら　あの２人に会ってどうしようっつうんだ。→ もし　引き取りたいなんて 言いだしても→ 俺は　絶対　認めない。 ３０代半ばの女性？ （彩）そう　公園でね ２人のこと　じ～っと見てたの。 あゆみさん。 （彩）えっ？ あの子たちの母親かもしれない。 母親？ （陽介）えっ？　そうなの？ たぶん。 あの子たち 気付いたのかな　母親のこと。 （彩）ううん 分かってないみたいだった。 ３歳のときだから　別れたの。 顔も覚えてないと思う。 それに 母親は死んだと思ってますから。 （彩）うん　今の状況で 母親だなんて名乗られたら→ あの子たち混乱しちゃうわね きっと。 うん。 母親が生きてるって分かったら→ 自分たちを置いて出てったって 分かったら→ あいつら　どう思うか。 ごちそうさマングース。 おいしかっタヌキ。 ごちそうさマルモ。 ごちそうさマンモス。 なあ　お前たちさ ママのこと覚えてるか？ ママ？　どうして？ いや　ちょっと。 （薫・友樹）う～ん。 僕は　よく覚えてない。 私も。 そっか。 だって薫たちが３歳んときに 死んじゃったんだよ。 そうだよな　覚えてないよな。 うん。 変なの　マルモ。 うん　いいんだ。 それよりさ　お前たち→ お誕生日プレゼント 何がいいんだ？ う～ん　欲しい物は サンタさんに頼んじゃったから→ マルモはいいよ。 えっ？ うん　クリスマスまで待ってるから大丈夫。 マルモは タコさんウインナー作ってよ。 カニさんウインナーも。 ウインナー？ サンタさん　サンタさん。 サンタさん宛ての手紙さえ 見つかればな。 宝箱は？ 宝箱？ これか？ ごみか　これ　何？　これ　違うな。 こっちか。 んっ？　値札か？ 何で　これが宝物なんだよ。 訳　分かんねえな。 これかもな。 うん。 ざけんなよ。 んっ？　んっ？ 「さんたさんへ」 ビンゴ。　でかしたぞ　ムック。 （鳴き声） 何だ　これ。 「かしゃかしゃが　ほしいです。 かおる」 「ぷちぷちが　ほしいです。　ともき」 かしゃかしゃ？　ぷちぷち。 んっ？　分かんねえ。 つうか　余計　分かんねえ。 情けないな　親代わりだろ？ 分かんねえもんは 分かんねえんだよ。 お前こそ ずっと　うちにいんだから→ ヒントぐらい見つけとけ。 いいよ　もう　それは　もう。 何だ　かしゃかしゃ　ぷちぷち。 かしゃかしゃ　ぷちぷち。 かしゃかしゃ　ぷちぷち。 かしゃかしゃ　ぷちぷち。 かしゃかしゃ　ぷちぷち。 かしゃかしゃ　ぷちぷち。 かしゃかしゃ　ぷちぷちって　何～。 ♪♪～ かしゃかしゃ　ぷちぷち。 かしゃかしゃ　ぷちぷち…。 （千葉）ちょっと　ちょっと。→ どうされました？ えっ？ （千葉）何か　今　変な　呪文みたいのつぶやいてたでしょ。 あっ　はい。 実はね 子供たちの誕生日プレゼントの→ 暗号なんですよ。 暗号？ はい。 ちょっと言ってみてください。 いや　どうせ分かんないすよ 難しいんすから。 推理なら任してください。 私ね　古畑マニアですよ。 『古畑　任三郎』に憧れて 警察官になったんですから。 えっ　じゃ　あの　かしゃかしゃって何だと思います？ かしゃかしゃ？ え～　分かっちゃいました。 似てる。　つうか　もう分かったの？ これね　アナグラムですよ。 アナグラム？ これ　文字を入れ替えて→ 別の単語を作ってるんです。 はあ。 それか 縦読みの頭文字かもしれないな。 縦読み。　それ気付かなかった。 はあ。 か　語呂合わせだな。 分かってないでしょ。 全然　分かってないでしょ。 え～。 もういいです　うん。 お姉ちゃん 誕生日のプレゼント　楽しみだね。 うん　サンタさん お手紙　読んでくれたかな。 ねえ　何が欲しいの？ ムックは犬だから 教えても大丈夫かな。 うん　じゃ ムックにだけ教えてあげるね。 ホント？ うん　僕は　ぷちぷち→ お姉ちゃんは　かしゃかしゃ。 だから　それは　いったい。 （薫・友樹）ぷっちぷち。 ナイス。 （薫・友樹）かっしゃかしゃ。 あ　よっと。 （薫・友樹）ぷっちぷち。 ナイス。 （薫・友樹）かっしゃかしゃ。 あ　よっと。 （友樹・薫）ごちそうさマントヒヒ。 あっ　ねえねえ　２人とも→ 誕生日のプレゼントって 何が欲しいの？ 内緒。 内緒。 え～　お姉ちゃんにも 教えてくれないの？ うん　だって　他の人に言ったら サンタさん→ お願い　聞いてくれないんだよ。 そうだよ。 あっ　分かった。　友樹君がゲームで薫ちゃんが洋服だ。 ブー　残念。 残念。 分かんねえな。 欲しいの　ママだったりして。 （彩）えっ？ （陽介）このバカ。 あっ　嘘　嘘　嘘　嘘　嘘。 あれだ　あの 速く走れるスニーカー。　ねっ。 （陽介）あっ　それだな。 今　はやってるよね。 （彩）あっ　あっ　あれだ　あの→ みんなで履いたら みんな速くなっちゃって→ 結局　みんなの順番 変わらないっていうね。　ねっ。 はやってるけど違うよ。 違うのか。 あの。 はい。 牧村さん　彼氏　いないって おっしゃってましたよね。 あっ　はい。 その　す…　す…。 す。 す…。 酢味噌　おいしいですね　これ。 あっ　はい。 好きなんです。 酢味噌。 はい。 いや　違うんです。 あの　よかったら→ 僕と　お付き合いして いただけませんか？ はっ。 なんて　駄目ですよね。 いいんです 気にしないでください。 俺が勝手に 盛り上がっちゃっただけですから。 いえ。 それに　実は俺…。 よろしくお願いします。 はい。 えっ？　えっ　いいんですか？ はい。　私で　よかったら。 そんな　いいなんて　そんな…。 いや～　本気ですか。 じゃ　あっ　いや　あの　でも 俺　実は　子持ち…。 あっ　子持ち。 いや。 あっ　シシャモ。 はい？ （かな）あっ 確かメニューにありましたよ。 すいません 子持ちシシャモ　お願いします。 あっ　あと　日本酒も。 （店員）子持ちシシャモ。 （店員）はい　子持ちシシャモ　１丁。 ただいま。 あっ　寝ているか。 ムックさん　ムックさん　どうも。 かなさんが お付き合いしてくれるって。 かなさん　かなさん。 でもね　子供たちのことは 言いそびれてしまいました。 今度は言う。　絶対　言う。 今度は絶対に言うから　かなさん。 ♪♪（鼻歌） マルモ　曲がってるよ。 んっ？　そうか？ 友樹　早く準備しちゃえ。 うん　ちょっと待って。 作戦　その２は？ あっ　そうだったな。 あっ　あのさ　薫 クイズ考えたんだけど　いいかな。 うん　いくよ。 ザワザワって何の音でしょうか。 風の音？ 正解。　じゃ　カチカチカチは？ 時計。 正解。　じゃ　いくぞ　これな。 かしゃかしゃは。 うんち。 正解　うんち。　んっ？　うんち？ 出ちゃうよ。 あっ　駄目。　絶対　駄目。 トイレ　トイレ　トイレ　トイレ トイレ行って　トイレ。 なっ　出しちゃ駄目　うん 行け　行け　行け　行け。 もう　遅刻しちゃうよ。 ありがと　マルモ。 いや　いや　いや　いや　いや。 いや　それはいい→ いいんだけどさ 薫　かしゃかしゃの答えは？ ねえ　かしゃかしゃの答えは？ ≪トイレットペーパー！ 正解。　んっ？ んっ　トイレットペーパー？ トッ　トイレットペーパー→ ちょっと　待て　待て。 待て　どこだ　どこだっけ。 作戦　また失敗。 載ってねえな。 何だよ　かしゃかしゃ ぷちぷちってよ　おい。 （せきばらい） えっ？　あっ。 あっ　買いますよ　うん　買います。 かしゃかしゃって何だよ。 これ　これは違うな。 これ？　これ違うだろ　これ。 うん　ちょっ　おじょ　お嬢ちゃん お嬢ちゃん　６歳ぐらい？ かしゃかしゃって何か分かるかな。 分かんない。 じゃ　ぷちぷちは？　ぷちぷち。 おっ　お菓子かな。 口ん中　入れて→ ぷちぷちってして　びっくり しちゃったみたいなやつかな？ ねっ　違う。 （主婦）何ですか？　あなた。 決して怪しい者ではないです。 これ…　あっ。 [TEL] （真島）はい あけぼの文具　お客様相談室→ 真島でございます。→ はい。　はい　高木ですね 少々お待ちください。→ 高木さん 青木さんって方から　お電話です。 青木？ （真島）はい。 はい　お電話　代わりました 高木でございます。 [TEL]（あゆみ）ごぶさたしてます。 青木あゆみです。 （あゆみ）まさか 高木さんが　あの子たち→ 預かってくれてるなんて 思いもしませんでした。 ええ　まあ　成り行き上 そうなっちゃいまして。 （あゆみ）すいません。 あっ　座りますか。 （あゆみ）はい。 あの子たちに会ったんですよね。 本当は合わせる顔なんかないの 分かってるんですけど→ 純一郎が亡くなったって聞いて どうしてるか　気になって。 気になるだけなら そっとしといてもらえませんか。 引き取りたいとか そういうわけじゃないんですよね。 母親は死んだことになってます。 もう この世には　いないものとして→ あの子たちも受け止めてるんです。だったら→ 母親だなんて名乗りません。 ただ　あの子たちの近くで 時々　顔　見ることさえできれば。 そういう中途半端な気持ちで 会わないでくれって→ 言ってるんです。 俺の方こそ→ こんなこと言えた義理じゃないの 分かってます。 親戚でもないし 血も　つながってないし。 でも　笹倉が→ 笹倉が どんな気持ちで　あの子たちを→ 育てたかは知ってます。 ホントに 申し訳なかったと思ってます。 俺に謝られても。 謝るなら　笹倉に謝ってください。 謝っても 謝りきれないと思ってます。 子育てしてた　あのころは→ やれば　やるほど　空回りして 自分を見失ってしまって。 このまま一緒にいたら→ あの子たちまで　駄目にして しまうんじゃないかって→ 恐ろしくなって 逃げ出してしまったんです。 別れてからも　ずっと→ あの子たちの顔が 頭から離れませんでした。 この４年間 後悔しなかった日はありません。 ♪♪～ だいぶ　できたね。 そうだね。 カワイイ？ うん　カワイイね。 ありがとう。 マルモ　それ。 えっ？ あっ　あっ　しまった。 駄目だな　マルモ。 ごめん　ごめん。 あっ　ところで　お前らさ いいかげん　ヒントくれない？ ヒント？ うん　かしゃかしゃと　ぷちぷちの。 えっ　何でマルモが知ってるの？ あっ　あっ　いえ→ あの　それは　あの　あれで。 あっ　サンタさんからさ 問い合わせがあったんだ。 えっ　うちに電話？ そう　そう　そう　そう そう　そう　そう　そう。 「お手紙　読みましたよ」 「かしゃかしゃは 何色が欲しいのですか？」って。 ん～　いろんな色がいいな。 あっ　そう。　カラフルなんだ。 うん。 あっ　そうそう　それでね　あの→ 「それは どこで売っていますか？」って。 サンタさん　買おうとしてるのかな売ってないのにな。 えっ？　売ってないの？ うん。 あっ　僕の　ぷちぷちは？ サンタさん何て？ あっ　あの　あっ　あっ→ 「ぷちぷちは 何味が好きなんですか？」って。 えっ　おいしいの？ えっ？　食べ物じゃないの？ まだ食べたことないな。 今度　食べてみようっと。 えっ　なっ　なっ　えっ えっ　何だ　何なんだ　えっ？ かしゃかしゃ　ぷちぷち　何だろう。あした誕生日だってのに。 （陽介）何だ　まだ悩んでんのか？→ どうして　そう　こだわるかな。→ 気持ちが　こもってりゃ 何だっていいんじゃねえのか？ （彩）そうですよ。→ あの子たち 高木さんのプレゼントなら→ 喜んで受け取ると思いますよ。 （陽介）なあ。 笹倉なら　きっと→ あの子たちの欲しがってる物 分かってあげてたはずなんです。 笹倉が生きてたら 手紙なんかなくたって。 俺　やっぱり ホントの親じゃないから。 （彩）高木さん。 （陽介）大丈夫だよ。→ 大丈夫だよ　護 ホントの親じゃなくったって。 えっ？ ホントの親だってな→ 自分の子供のこと 全部　分かってるつもりでも→ 全然　分かってなかったり するんだよ。 （陽介）まあ　血が　つながってるか どうかよりも→ あの子たちのことを　どれぐらい→ 思いやってやれてるかって いう方が　大事だろ。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ そっか　笹倉のやつ 見せないようにしてたのか。 連絡帳。 「薫ちゃんも友樹くんも→ ブロックで遊んで いい子にしていました」 「優子先生より」か。 「今日は ママと遊んだ話をしてくれました」 「イチゴをもらったので かしゃかしゃと　ぷちぷちで→ お店やさんごっこをして遊んだと 二人とも　うれしそうでした」 イチゴ？　お店屋さん。 よいしょ　できた。 よいしょ。 よいしょ。 よし。　これで　よしと。 そっち　できた？ う～ん　ちょっと待って。 どうだ。 あっ　できた　できた。 よし　じゃ　集合。 よし。 なあ 俺　ちょっと出掛けてくるから→ それまで　下で待っててくれるか？ どこ行くの？ うん　ちょっとな。 帰ってきたら誕生会やろう。 もう おいしい物　いっぱいあるからな。 （友樹・薫）やった～！ おい　肉　頼んどいたぞ。 超スペシャルな牛肉だ。 嘘　すげえ。 何牛でしょうか。 う～んと　松坂？ 松坂　残念。 イチロー。 そう　日本が誇る大リーガーって→ 違う！ 違う　イチロー食べちゃ駄目。 牛肉だっつってんだろ。 分かんないよ。 まあ　まあ　まあ　まあ 後での　お楽しみだ。 なっ それまで　いい子で待ってんだぞ。 （友樹・薫）は～い。 いってらっしゃい。 いってらっしゃい。 （店員）あっ　奥さん　これ おいしいよ。　いらっしゃい。→ いらっしゃい　いらっしゃい。 いらっしゃい。 八百屋に何かヒントがあるはずだ。 （店員）いらっしゃい　いらっしゃい。 いらっしゃい　おいしいよ。→ いらっしゃいませ　何にしましょう。 いらっしゃいませ　何にしましょう。 （客）すいません　マンゴー下さい。 イチゴ買えよ。 （店員）これね　すごく甘いですよ。 これね　すごく甘いですよ。 （客）じゃ　それ　２つ下さい。 マンゴー２つ ありがとうございます　８００円です。 マンゴー２つ ありがとうございます　８００円です。 あ～！ あっ　すいません　すいません すいません。　前　すいません。 すいません　お願いがあります。 はい？ すいません　お願いがあります。 （店員）はっ？ すいません　お願いがあります。 （店員）はい？ （彩）遅いな　高木さん。 どこ行っちゃったんだろうね。 もう　早く誕生会やりたいな。 （陽介）はい　お待ち。 （彩）あっ　はい。 （陽介）はいよ。 （彩）はい。→ できたよ　はい　はい。 あっ　すげえ　お肉だ。 タコさんウインナーもある。 （陽介）どうだ　おいしそうだろ。 （薫・友樹）うん。 あっ　すいません。 あっ　ごめんなさい。 遅くなりました。 （陽介）ああ　おかえり。 遅い　マルモ。 ごめん　ごめん。 ねえねえ　お肉　すごい。 すごいな。 すごいよ。 うん　すごい　すごい。 肉祭り。　あ　ナイス。 肉祭り。　あ　ナイス。 （友樹・薫）肉祭り。 あ　ナイス。 （友樹・薫）肉祭り。 それ。 （３人）肉祭り。 あ　ナイス。 （３人）肉祭り。 あ　ナイス。 （３人）肉祭り。 あ　肉。 （３人）肉祭り。　肉祭り。 （３人）♪♪「ハッピーバースデー トゥー　ユー」→ ♪♪「ハッピーバースデー トゥー　ユー」→ ♪♪「ハッピーバースデー ディア　薫＆友樹」→ ♪♪「ハッピーバースデー トゥー　ユー」 せ～の。 いよ～　お誕生日　おめでとう。 （薫・友樹）ありがとう。 （鳴き声） よし　じゃ　次は　お待ちかね プレゼントいくぞ。 （薫・友樹）うん　何　何　何？ まあ　まあ　まあ　まあ。 よいしょ。 ドルルルル…。 ドルルルル…　ジャン。 早く見せてよ　マルモ。 早く。 ドルルルル…。 オープン。　ご対面。 わっ。 はっ。 あれ　これじゃなかった？ かしゃかしゃと　ぷちぷち 間違えちゃった？ ありがとう　マルモ。 マルモ　すごいよ。 やった　かしゃかしゃが　いっぱい。 もらった物だから ちょっと　まちまちだけどな。 ぷちぷちも　すごい。　でっけえ。 ぷちぷちし放題だろ。 やった。 マルモ。 ありがとう。 マルモ　ありがとう。 かしゃかしゃ。 すごいよ　サンタさんより早く もらっちゃった。 やった。 やった。 よかった　ホントよかったわ。 ありがとう。 ありがとう。 （鳴き声） ありがとう。 ありがとう。 うれしい。　俺も　うれしいよ。 （陽介）はい　いらっしゃい。 （あゆみ）こんばんは 青木と申します。 高木さんは　いらっしゃいますか？ よいしょ。 キャー！ いやっ。 イェーイ。 マルモ　こっち来て。 あっ　はい　はい　はい。 いらっしゃいませ　いらっしゃいませ。 どうも　奥さん。 どれにしよっかな。 じゃ　これにします。 はい　かしこまりました。 はい　２，０００円になります。 ごま塩　高えな　おい。 少々お待ちくださいね。 はい。 マルモ　こっち来て。 あっ　はいはい。 よし　もう１回いくぞ　友樹。 おう。 よいしょ。 キャー！ 楽しいね　友樹。 うん　楽しい。 ≪（ノック） お客さま　お待たせしました。 あっ　どうも　すいません お待たせしちゃって。 （彩）お邪魔します。 ありがとうございました。 高木さん　ちょっと。 んっ？ あゆみさん。 じゃ。 先日は　すいませんでした。 あの子たちのそばで→ 時々　顔を見ることさえ できればなんて→ そんなの 許されるものではないと→ あれから　考えて　思い直しました。 いや　俺の方こそ　何だか 余計なこと言ってしまって。 私　あの子たちと→ 二度と会わないようにしようと 思ってます。 ただ　１つだけ お願い聞いてもらえませんか？ えっ？ 今日は→ あの子たちの誕生日なんです。 はい。 もし　よければ あの子たちに　これを。 これは？ 恥ずかしいんですけど 私が作ったお菓子なんです。 ホントは　何かプレゼントをと 思ったんですけど→ 今のあの子たちに何がいいのか 全然　分かんなくて。 ４年もたてば 色々　変わるだろうし。 でも　お誕生日　祝ってあげたくて。 分かりました　お預かりします。 ありがとうございます。 護さん。 あの子たちを どうぞ　よろしくお願いします。 ♪♪～ ♪♪～ ８４円です。 （彩）はい。 おっ　上手だね　薫ちゃん。 ぷちぷちスケート。 ぷちぷちスケート。 ぷちぷちキック。 （彩）あっ　大丈夫ですか？ あっ　はい。 薫　友樹　これな　俺の友達から プレゼントだそうだ。 えっ？ お菓子だって　開けてごらん。 うん。 うん。 わあ　おいしそう。 よいしょ。 これ　『ぐりとぐら』だ。 そうだ　『ぐりとぐら』だよ。 えっ？　何だ　それ。 絵本のことよね。 うん　ちょっと待ってて。 （彩）うん。 よいしょ。 うまい。 ムックも食べる？ あっ。 これだよ。 ほら　ここに出てくるの。 僕　大好きだったんだ　この絵本。 このカステラも。 ぐりとぐら　双子なんだよ。 えっ？ せ～の。 （薫・友樹）ぼくらのなまえは ぐりとぐら。→ このよで　いちばんすきなのは→ おりょうりすること たべること。→ ぐり　ぐら　ぐり　ぐら。→ うたいながら やけるのをまっています。→ かすてらづくりの　ぐりとぐら。→ けちじゃないよ　ぐりとぐら。→ ごちそうするから　まっていて。→ さあ　できたころだぞ。 《「かしゃかしゃと　ぷちぷちで→ お店やさんごっこをして遊んだと 二人とも　うれしそうでした」》 （薫・友樹）ぐらが おなべのふたをとると→ まあ　きいろい　かすてらが ふんわりと　かおをだしました。 《ホントは　何かプレゼントをと 思ったんですけど→ 今のあの子たちに何がいいのか 全然　分かんなくて》→ 《４年もたてば 色々　変わるだろうし》 （薫・友樹）やあ　おいしそう。→ みんなは　めをまるくして かんしんしました。 覚えてるんだ。 うん。 うん。 ♪♪～ （彩）えっ？　あっ　ちょっと。 マルモ。 マルモ。 （あゆみ）《あの子たちの顔が 頭から離れませんでした》→ 《この４年間 後悔しなかった日はありません》 ≪あゆみさん！ あっ　あゆみさん！ 高木さん。 かっ 変わってなんかいないですよ。 えっ？ あの子たち ４年たっても　全然　変わってない。 ぐっ　『ぐりとぐら』　大好きだし→ あのカステラだって大好物だし→ かしゃかしゃと　ぷちぷちも 大好きだし。 一目…　一目　会っていったら。 カステラ作ってくれたの このおばちゃんだぞ。　ほら。 マルモのお友達だったの？ （あゆみ）うん　そうなの。 そっか だから優しくしてくれたんだね。 ありがとう。 ありがとう。 カステラね　すごく　おいしかった。ねっ　お姉ちゃん。 うん　あのカステラね すごい大好きだったんだ。 薫と友樹がね ずっと　ちっちゃいころに→ 食べてたんだよ。 うん 『ぐりとぐら』のカステラなんだよ。 （あゆみの泣き声） おばちゃん？ これからも　いい子にして お勉強してね。 はい。 はい。 高木さんの言うこと　よく聞いて。 うん。 あのね　マルモはね　すごいんだよ。 サンタさんに　お願いしたこと 全部　分かっちゃうの。 うん　薫と友樹が欲しかった かしゃかしゃと　ぷちぷち→ いっぱいくれたの。 そう　よかった。 ウ～　マンボっていう→ お花が咲く　おまじないも 知ってるし→ キャッチボールもしてくれるんだ。 パパと約束してたランドセルも 買ってくれたの。 ハートのマークは　マルモが 付けてくれたんだよ。　ねっ。 うん 僕のはね　おにぎりのなんだよ。 おばちゃん？ 悲しいの？ ううん　うれしいの。 おばちゃん そろそろ行かなくちゃ。 元気でね　２人とも。 うん　また会える？ 遠くに行っちゃうから もう会えないかもしれない。 そうなんだ。 元気でね　薫ちゃん　友樹君。 うん　おばちゃんもね。 さようなら。 さようなら。 さようなら。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ おばちゃん　バイバイ。 バイバイ。 バイバイ。 バイバイ。 バイバイ。 （薫・友樹）バイバイ。 バイバイ。 バイバイ。 バイバイ。 バイバイ。 バイバイ。 （薫・友樹）バイバイ。　バイバイ。 バイバイ。　バイバイ。 バイバイ。 バイバイ　おばちゃん。　バイバイ。 （友樹・薫）バイバイ。　バイバイ。 バイバイ。　バイバイ。 バイバイ。 （３人）かんぱ～い。 お～。 ぷは～。 あ～。 よし　お肉　食べるぞ。 （薫・護）おう。 （３人）うまっ。 うまっ　何これ　うまっ。 何これ　うまっ。 うまっ。 あっ　そうだ　今日のおきてだ。 書くぞ　今日のおきて。 うん。 うん。 たんじょう日は 家族みんなで　お祝いすること。 はい　ご一緒に。 （薫・友樹）「たんじょう日は 家族みんなで　お祝いすること」 そう 家族みんなで　お祝いしたら→ お肉もケーキも もっと　おいしくなるもんな。 （薫・友樹）うん。 じゃ　マルモの誕生日 薫たちが　お祝いしてあげるね。 えっ？　うん　そうか？ ムックのもね。 ホント？ お前さ　誕生日　いつなの？ あれ　いつだっけ。 何だよ 自分の誕生日ぐらい覚えとけよ。 （３人の笑い声） ねえ　マルモ ８歳も　９歳も　１０歳も→ ず～っと お誕生日のお祝いしてね。 ああ。 約束だよ。 おう　約束だ。 ずっと　ずっと お前らのお誕生日　お祝いする。 すんなって言われても するからな。 うん。 うん。 よし せっかくだから　いただきます。 いただきます。 いただきます。 うん　おいしい。 ホントに　おい　おいしいな このカステラ。 おいしい。 うん。 （泣き声） あれ？ マルモ　おいしいと泣くの？ おいしいとな　涙が出るんだよ。 マルモが泣いてる。 泣いてる。 （友樹・薫）マルモが泣いてる。 いっぱい泣いてる。 泣いてるって言うなよ。 今日は頑張ったんだから 泣かせてやれよ。 うるせえ。 （薫・友樹）垂れてる　垂れてる いっぱい垂れてる。 ♪♪～ ♪♪「マル・マル・モリ・モリ おしりブリブリ」 ブリブリ　ブリブリ。 あっ　友樹　違うでしょ。 エヘ　バレちゃった。 ちゃんと踊るよ。 は～い。 （薫・友樹）みんな　踊れるかな？ うんうん。 うんうん。 （薫・友樹）じゃ　いくよ。　せ～の。→ ♪♪「マル・マル・モリ・モリ みんな食べるよ」→ ♪♪「ツル・ツル・テカ・テカ 明日も晴れるかな」→ ♪♪「ダバデュア　ダバジャバ」 （ムック）忘れ物するなよ。 （友樹・薫）♪♪「ダバデュア ダバジャバ　デュア」 というわけで　薫と友樹 たまにムックが歌う主題歌→ 『マル・マル・モリ・モリ！』を 抽選で１００名の皆さまに。 さらに　このドラマの サウンドトラックＣＤを→ １００名の皆さまに プレゼントしちゃいます。 詳しくは　こちらまで。 どんどん応募してください。 （友樹・薫）待ってま～す。　ナイス。

となりの関くんとるみちゃんの事象＃08

1 ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ [ｽﾋﾟｰｶ] ｷｰﾝ ｺｰﾝ ｶｰﾝ ｺｰﾝ…(ﾁｬｲﾑ) (教師)｢田中に株有り｣｡ (生徒たち)｢田中に株有り｣｡ (教師)｢兔走りて株に触れ｣｡ (生徒たち)｢兔走りて株に触れ｣｡ (教師)｢頸を折りて死す｣｡ (横井るみ･心の声) ≪私の隣の席の関くんは➡ 授業中 いつも 何かして遊んでいる≫ (教師)｢復た兔を得んことを冀ふ｣｡ (生徒たち) ｢復た兔を得んことを冀ふ｣｡ (教師)Repeat after me.➡ ｢An airport is an excellent place｣｡ (生徒たち)｢An airport is an excellent place｣｡ (教師･英語) (教師)例えば ええ～…➡ ２と３を解とする 二次方程式の１つは➡ 次で与えられる (Ｘ－２)(Ｘ－３)…｡ (教師)いいか このようにして 信長は 京都を抑えると➡ これまで 交通の障害となっていた➡ 関所の撤廃を 徹底的に進め➡ 城下町には 楽市･楽座令を出して➡ 商工業者に 自由な営業活動を勧めるなど…｡ ≪今日の関くんの遊びは パラパラ漫画≫ ≪かなり時間をかけた 大作のようだ…≫ ≪また 無駄な労力 つぎ込んじゃって…≫ ≪あれ？ でも 関くんの絵って➡ 案外 見たことないかも≫ ≪碁石を並べたりとかは あったけど…≫ ≪たぶん 上手だと思うけど≫ ≪んん～？ んん～～!?≫ ≪文字!? なんか 歌の歌詞みたいに書いてある≫ ≪関くんの絵がどうのより 字の方が 気になるよ≫ ≪だって パラパラすると すぐ 文字なんて消えちゃうよ≫ ≪一瞬だから 読めないよ≫ ≪ぎゃあ～～！≫ ≪同じ文字が 何十ページも書いてある！≫ ≪それなら 確かに読めるけど…≫ ≪あまりの手間に 気が遠くなっちゃうよ≫ ≪ダメ ダメ ダメ！ ちゃんと勉強しなくちゃ≫ ≪ただでさえ 厄介なのに➡ 今日のは 一段と 集中力を奪われそう≫ (関俊成)はぁ～ ふぅ…｡ ≪何？≫ ≪何っ？≫ (小声) ≪ええ～～!? マイクで 声を録音してる！≫ ≪パラパラ漫画に合わせてる!?≫ ≪アニメの絵を見て 声優さんが 声を吹き込むやつだ≫ ≪確かに アニメも止まった絵を 並べて見るものだけど➡ でも 教科書の隅に 書いてあるんだよ≫ ≪そこまでする!?≫ ≪それじゃ パラパラアニメだよ≫ ♬～ ♬～ ふぅ～…｡ (教師)特に 経済政策については➡ しっかりと復習しておくこと いいな｡ [ｽﾋﾟｰｶ] ｷｰﾝ ｺｰﾝ ｶｰﾝ ｺｰﾝ… (教師)それじゃあ 今日は…｡ [ｽﾋﾟｰｶ] ｷｰﾝ ｺｰﾝ ｶｰﾝ ｺｰﾝ… おお～！ あれ？ 横井は？ ああ～ 忘れ物したみたい｡ ふ～ん そうか｡ ≫ 教室 戻るって｡ ≫ うん｡ (後藤)≪横井さんと 一緒に帰るチャンス≫ ≪気になる…｡ あのパラパラ漫画の完成形が≫ ♬～ ♬～ ♬～ これでいいんだよね…｡ たぶん 合ってると思うんだけど｡ ♬～ ふぅ～… よし スタート！ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] タッ タッ タッ タッ！ 足音が入ってる｡ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] バタッ！ あっ！ あっ 立ち上がった！ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] タッ タッ タッ タッ！ 頑張れ～｡ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] タッ タッ タッ タッ！ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] バタッ！ ああっ…｡ あぁ…｡ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] バタッ！ ああ～！ もうダメなの？ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] タッ タッ タッ タッ！ 誰か来た｡ ♬～ よし！ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] タッ タッ タッ タッ！ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] バサッ！ ピュ～～！ 鳥の鳴き声 関くんじゃ～ん｡ なんだ セリフじゃなくて 効果音 録音してたんだ｡ さっきの足音も 関くんだった気が…｡ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] プルプルプルプル…｡ ≪また 関くん…｡ なんか 聴くの恥ずかしくなってきた≫ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] プルプルプルプル…｡ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] ♬ 悲しみのない 自由な空へ 歌 始まった！ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] ♬ 翼はためかせ ああ～ よかった 歌は プロの歌だ｡ 歌まで 関くんのだったら➡ さすがに 耐えられなくて 停止してたよ｡ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] ♬ 翼はためかせ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] ♬ 行きたい [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] ♬～(｢翼をください｣) [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] ピュ～～！ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] ♬～ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] ｢トヤマ模型店｣｡➡ 想像力を育む お手伝い ｢トヤマ模型店｣｡ ＣＭ!? っていうか 今の誰？ (ﾅﾚｰｼｮﾝ)＜ プラモデルから 工作キットまで➡ なんでもそろう 町いちばんのお店｢ﾄﾔﾏ模型店｣は➡ 関くんが 週２で通う ごひいきのお店なのだ＞ 関くんって… なんなの？ ♬～ (後藤)横井さん…｡ 放課後の教室で 一人 関くんの机に座って➡ 関くんのことを 一人 思ってるんですね…｡ 甘い… 甘い恋のひととき｡➡ キラキラと輝く 青春の１ページ｡ 邪魔してはいけませんね…｡ [外:031C712D541F747D928E9D58678A2091] ♬～(｢Green Bird｣) んん～？ ♬～ はぁ～…｡ ♬～ ≪私の隣の席の関くんは➡ 授業中 いつも 何かして遊んでいる≫ ♬～ [ｽﾋﾟｰｶ] ｷｰﾝ ｺｰﾝ ｶｰﾝ ｺｰﾝ… (郁野るみ)ああ～ 眠かった｡ (吉田くみこ) るみちゃん 完全に 寝てたよ｡ よし じゃあ 腕相撲しよう｡ 腕相撲？ よし ほら！ いや なんで!? よし｡ ｢よし｣ じゃなくて…｡ ほらほら 遊びだから｡ うん…｡ じゃあ 一応 罰ゲームは…➡ 抜歯ね｡ 抜歯!? あの 歯を抜く抜歯？ ほかの抜歯があるの？ いや ないけど…｡ ２本か ４本ぐらいでいいよね？ よくない！ っていうか 絶対 嫌だ｡ じゃあ いいや 4000円で｡ 4000円？ 高くない？ まあまあ 軽い遊びだから｡ でも 4000円は 高いよ…｡ ちょっ… ちょっと待って➡ 始まり ずるいって…｡ るみちゃん ずるいよ 始まり…｡ おらぁ～～！ ちょっと…｡ おりゃあ～‼ はぁ はぁ…｡ 負けちゃった～｡ くみちゃん 強いね｡ いや そんな…｡ はい 4000円｡ えっ ちょっと｡ えっ… ねえ ちょっと｡ ≪ ガン！(壁をたたく音) ≪ ちくしょう 負けた！ ≪ ガン！ ガン！ ≪ こんな右腕！ こんな右腕！ ≪ ガン ガン！ ガン！ ≪ 痛い…｡ えっ ちょっと るみちゃん!? 先生～ 寝かしとくれ～｡ まずは 右手 診てもらわないと｡ もう いいんだ｡ めっちゃ眠いし｡ もう さっき あんなに寝てたのに…｡ (富田) あんた ただじゃ 寝かさないわよ｡ 休憩3500円 宿泊8000円 １１時チェックアウトよ｡ は～い｡ 失礼します｡ お待ちなさいよ｡ ゆっくりしてったらどうなの？ はい…｡ すっかり 秋ね｡ まだ ちょっと早くないですか？ 私の中じゃ すっかり 秋よ｡ ｢♬ ドンくりコロコロ ドンくりこ｣よ｡ いや… よく分かりません｡ で 最近どうなの？ リビドーの方は｡ リビドー!? (富田)性的衝動よ｡ 男根の秋とは よく言ったものね｡ 言いませんよ そんなの！ きのこ たけのこ 杉の子よ｡ 何 言ってるんですか？ はぁ～あ！ ヤりたかと～ ヤりたかとよ～｡ なんで 急に 方言 入ったんですか？ あんた 今 いちばん 誰とヤりたいわけ？ ええっ？ 抱かれたい男 ナンバー１は？ えっ…｡ お願い！ お願いだから➡ 聞かせてちょうだい！ まあ… 玉山鉄二ですかね…｡ んまっ‼ 玉鉄 私も好きよぉ～！ 右手が痛くて 眠れね～よぉ｡ だから言ったのに～｡ あんた 今 いちばん 抱かれたい男は？ う～ん…➡ カラマーゾフの兄弟… ですかね？ んん ２人!? はぁ… 濡れるわ～｡ せやろ～｡ (富田)ああ～ あぁ…｡ せやな～｡ (富田)せやせや～｡ せやな～｡ (富田)あっ せやな～｡➡ ああ～ いいわ～｡ ♬～(店内BGM) ♬～ 本日 ホールサービスを担当します 郁野るみです｡ (ひろゆき)あっ どうも｡ よろしくお願いします｡ お連れ様が まだのようですが➡ コース料理の ご説明 させていただきますね｡ まず １品目｡ ｢生ハムのキャビア添え｣｡ あっ はい はい｡ ２品目が➡ ｢フォアグラと生ハムの キャベツ包み｣｡ また 生ハム？ ええ｡ それで ３品目が➡ ｢かぼちゃと生ハムのポタージュ｣｡ ちょっと 生ハム 多くないですか？ ん？ そうですか？ 次は 魚料理ですよ？ 魚… 魚ならいっか｡ ええ｡ ｢金目鯛と えびのポワレ➡ ペルノー酒風味の オレンジソース｣…｡ おお～ おいしそう｡ ｢の 生ハム巻き｣です｡ なんでだよ！ そこ 生ハムで巻く必要ないだろ！ 私に 必要ないと言われましても…｡ 次は メインの肉料理ですが…➡ やめておきますか？ やめないけど…➡ 肉って 生ハムじゃないだろうな？ あっ 違います 違います｡ めっちゃ硬いハムです｡ いいかげんにしろよ！ ってか 今日 プロポーズするんだよ｡ もうちょっと そのへんのとこ 頼むよ｡ えっ プロポーズ？ あっ！ なんだよ？ あなた もしかして➡ 天才プロポーザー･紅さんですか？ 誰だよ！ それ｡ 天才プロポーザー･紅ですよ！ 天才プロポーザー･紅です｡ (紅)お前は もう… 結婚している｡ そんなヤツ 聞いたことないぞ｡ ≪(ｳｴｰﾀｰ)新田様｡ お連れの方が見えました｡ マジ？ 女 来た？ どうします？ 指輪とか➡ 私が 渡しておきましょうか？ なんでだよ！ ってか 指輪 どこ隠してんの？ えっ 言わないよ！ 指輪 どこにあんの？ ちょっと マジ… 触んなって！➡ ちょっと マジ やめろって！ (たか子)ごめん お待たせ…｡ いや～ どうも～ 汚い所ですが どうぞ！ (たか子)あっ はい…｡ ささ どうぞ どうぞ｡ お尻に合うか 分かりませんが…｡ (たか子)いえ…｡ お二人は ご夫婦ですか？ (たか子)いえ… 違います｡ ♬～(店内BGM) では ごゆっくり｡ ♬～(店内BGM) なんか 変わった店員さんね｡ (ひろゆき)うん… でも 明るくて いい子みたいよ｡ 先 ちょっと お手洗い 行ってきていいかな？ (ひろゆき) うん！ もちろん もちろん｡ 問題が 発生しました｡ (ひろゆき)なんだよ｡ うちのシェフが お連れ様に ひと目ぼれしてしまいました｡ はあ？ 見てください この顔｡ 申し訳なさと それでも 込み上げてくる気持ちで➡ 張り裂けそうになっています｡ 知らないよ！ ってか 何なんだよ！ 早く 料理 作れよ！ (たか子)どうしたの？ そんな どなり声 上げて｡ ♬～ あの子 なんなの？ どういう関係？ えっ… 普通に 今日 会った 店員さんだよ！ (たか子)うそ｡ なんか変だよ｡ 最近 ひろゆき おかしくない？ 妙に ソワソワしてさ…｡ 私に なんか 隠し事してるんじゃないよね？ たか子！ 俺と 結婚してください！ えっ うそ…｡ ♬～ こちらこそ… よろしくお願い…｡ ≪(ｼｪﾌ)ちょっと待った‼ (ｼｪﾌ)ひと目ぼれです｡➡ 結婚を前提に つきあってください｡ (ひろゆき)マジかよ こいつ…｡ ≫(紅)おいおい ちょっと待てよ｡ ♬～ (紅)この俺を 忘れちゃいない？ (ひろゆき)誰だ？ お前は｡ (紅) 俺は 天才プロポーザー･紅だ！ (ひろゆき)お前か！ ああ～！ (ｼｪﾌ)ああ…｡ (紅) 俺の辞書には ｢お前と結婚｣の…➡ ４文字しかねぇ｡ (ひろゆき) ４文字じゃなくねぇか？ さあ 決めるのは➡ あなたですよ｡ んん～… ひろゆき！ ♬～ だよね！ だよね！ 長いよ ドキドキしたぁ｡ ♬～ おい！ ♬～ まことに 申しわけございませんでした‼ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ (るみ) くみちゃん 買って お願～い｡ 俺たちには 恋が 青春が➡ 待っていると 思い込んでいた｡ 監獄における懲役を命ずる｡ 覚悟はいいな？ 何なんだ？ あいつら｡ 男は… クズ｡ なめて きれいにしろ｡

オレンジ・イズ・ニュー・ブラック.S01E12.JA

1 NETFLIX オリジナル作品 オレンジ･イズ･ニュー･ブラック “Ｅ棟 シャワー室” あなたも処罰？ 心の中で感情が 散らかったら— 掃除をする この汚れが 自分の感情で— 床を心だと考える こういうのを 対処と言う きれいになれば 看守は満足だ こういうのを 共生関係と言う スーザン ラリーがラジオで 話した内容は— すごく誇張されてた それに彼に話した時は あなたが— いい人だと 知らなかったの 強引だったし… いいんだ　タンポポ なぜか分かる？ 私を好きになって もらおうと— 必死で いろいろ考えた 髪形を変えようか それとも— ケーキを贈ろうか あなたは今のままで ステキだわ 知ってる 結論は 君が ひどい人だってこと 意地悪だ 黄色いタンポポだと 思ったけど— 綿毛の抜けた茎だった 仕方ない そういう性根だ 人は変わらないよ 意地悪？ それは誤解だわ 中から掃除しないと 拭いた所を踏むよ おはよう 早起きね 夜明け前に もう起きてる 私が心配？ オシッコよ わざわざ白状して 処罰される気分は？ クソよ 本当にクソを 掃除してるんだし 平気そうで ガッカリだわ 彼とは話した？ 話したわ 私の逆境を メシのタネにして— 稼がないでと 彼を責めた 彼は私の 裏切りを責めた 予想はついてたと 言われたわ 大変ね 話は それで 終わらなかったの 私の弁護士でもある 彼の父が— ある記録事項を確認した 私を売ったのは あなただったとね バレた いいのよ 私がバカだった 聞いて アレックス もういいの 本当よ 問題ない 私のは？ カプート用メニュー 持ち出し禁止よ 大目に見られない？ この年になると 血糖値が下がりやすいの 分かったわ チーズサンドイッチです 少し食べて 来るわ 耳の形が好きだ それ以外は？ ミモザが飲めたらいいのに 頼みたいことがある 朝食は終わりよ 寝るほうを選んだの ミス･クローデット ラリーが言ったことを 謝らせて ウワサをうのみにせず— 私に聞いてほしかった 風邪ぎみなら 手を洗ってちょうだい 近寄らないでね 私にとって明日は大事な日よ 台なしにしないで 今朝は無口ね 別に話もない 奇跡もないわね あら 反論なし？ 相当の投薬ね 言い返せば？ 私は負けたんだよ　リアン もう神は味方じゃない 私は味方よ ずっと慕ってきた私に とうとう神が— 声をかけてくれた 私は彼のものだと でも違った チャップマンの声だった この刑務所の悪魔よ 彼氏のラジオがひどかった 彼女のおかげで あんたは戻れた 彼女は毎朝 トイレ掃除よ 大丈夫　仕返しする気はない いずれ やられてた 何を言うの あんたには言葉がある 悪事を働く人間が 神に罰せられないなら— 善人が報われることもない 審判も正義も ないんだよ 人間は地面をはい回り— 死ぬだけ 中絶するな お前が心配でさ 政府が赤ん坊にカネをくれる 食い物も いろいろ もらえるぞ チーズやピーナツバター ベビーフードもな ベビーフードを 鍋に入れて— コーンチップとツナをかける うまいぞ 主成分は野菜だしな 赤ん坊は何を食べるのよ？ 勝手にしろ 産まないわ いつもだ 去年 いとこのシエラが 赤ん坊を産んだ 薬物検査をして 赤ん坊を取られ— 未成年者への危害で 逮捕された 赤ん坊は かわいいけど 逮捕されたくない なあ こうすればいい ヤクをやめる 明日 病院まで車で送ってよ ムリだ 明日は用事が入ってる 要らないわよね トーストは ここでヤる？ 出てってよ 見つかるとマズいわ いいでしょ ウソがバレて かえって安心した 時間ないけど— ここならマーガリンも 使い放題 やめて 問題がなくなったお祝いよ 何なの 楽しもうよ 本当にやめて 何でも許してくれる女には 欲情しちゃう 違うってば！ 問題はある やっと話し合えるわね そのために？ ええ　そのとおり 金持ちと婚約したと 思ったら— 私のせいで 刑務所に入れられたのよ なのに“問題ない”って？ バカみたい ふざけんな このクソ女 怒ればいい？ 私は怒ってる 愛してるからよ あんたを愛してるけど 大嫌い 気持ちを整理しようと してるのに— 怒らせるのね 彼にフラれた？ だから私とは問題ないフリを 今のあなたは 何をされても許すわ 独りが怖いからよ 私は その程度？ 一時的に— 気持ちが落ち着くまでの 慰め役？ 私を見て なぜ密告を？ 情報を出せば 減刑すると言われたの あなたとは８年間も 音信不通で— 実感も湧かず 言いやすかった どうせ誰かが言うんだし それに 正直に言うと— まだ怒ってた あなたに ママの件でね だから あの時は こう思った “ざまあ見ろ”とね 恥じてるわ ウソをついた ここで会った時 言えたはずよ 好かれたくて 今もよ それを貫いてほしかった これ コーヒー？ タンポポだよ カリウムが豊富だ バナナだけが カリウム源じゃないぞ ラジオの件は 彼女が正しいよ 今の僕には 彼女は最大のネタだ 僕が間違ってた でも浮気は許せない 浮気は言いすぎだ 他に言葉があるか？ 今後ヤるのは この人だけと 誓ったのに— よそでヤったんだ 相手が女なら 浮気じゃないよ 姉貴は— 君とスカッシュをする 休暇に姉貴が ソフトボールをしても… そこが問題なんだ 女と寝た またレズビアンに？ “今はどうか”とかは 知らない でも 姉貴は姉貴だよ つまり何だ？ 人を何かに 分類しようとするから— 悩むんだよ もう終わりかもな 間に挟まれて 俺は妙な気分だよ 他人のゴタゴタを 避けるために— こんな山奥に住んでる なのに姉貴とのことを 相談されては— まるで意味がない そうだな 帰ろうか？ いや ２〜３日 ゆっくりしていけよ ただ心を決める相談には 乗れないからな 汚水タンクが限界だ トイレは控えめに “ネリ：イエス” 大変だ 大丈夫？ 婚約した “聖誕劇オーディション 木曜日” カプートさん シャワー室のことで苦情を 看守に言え あなたに言えと 看守に言われました だろうな カビのせいで大変です 親指の爪の下に— ドロドロした緑色のものが できてます 見ます？ やめてくれ　その必要はない クレイジー･アイズが 掃除してくれたら— 尼さんのアソコより 清らかになる 小指と薬指の間も ひどいんです 診察時に 医師には言っときます 苦情は報告済みだとね サンダルは？ 座ったまま寝て 起きたら足から消えてた ところで盗難も 最近の問題よね 少なくとも 私たちに非はないわ あら　いいカードね 用具室から 泣き声が聞こえました それは困る 自殺のこともあるし 心配なんです 気をつけないと— 生理のたびに 悩んだ人が死ぬかも 私たちを励ます文書を くれたけど— 文字の読めない人もいる 確認したくても— 私って感情移入が激しいから もし25分後に自宅で 酒を飲んでなかったら— お前の責任だぞ そうよ　イイわ もっとよ もっと強く もうイキそうだ ああ　愛してる イク！ おい　勘弁してくれよ 機嫌がいいのね 弁護士の考えでは有利らしい 午後に結果が出る あげたいものが 自分用にと思ったけど よければ使って 特別な日に 似合うかどうか 手を出して 何か計画は立ててる？ 待ってる人が いるだけで十分よ ディナーに 出かける予定なの 夜７時にね 人間らしく どう？ きれいね “本日のヨガは中止 再開未定” 信じられない 所長を心臓発作で 死なせる気なの？ 今のあなたなら 暗殺者より— 確実に彼を殺せる 単独の事件だ ２週間前の自殺も そうだと言うの？ アルマジロのほうが ここをうまく管理する 私にも限界がある 昨夜 あのバカが 思い立って— レイプしたのも私の責任か？ ちょっと待って レイプじゃない その言葉はナシよ 受刑者の意に反して看守が… 彼女は叫んだ？ 泣いてた？ 年金のためなら 平気で体を差し出す女たちよ 規則上 合意はあり得ない それでもレイプって言葉は 記録に残さない メンデスは無給休暇にするわ 理由は仕事上のストレス 浮いた給与を予算に回せる プラスの結果として 所長に報告するわ あなたの後始末ばかりね 昨夜 何があった？ 大丈夫？ ええ ダヤ　彼は… ベネット 平気よ あなたもね 何が？ 妊娠がバレても あなたは疑われない まさか 怒らないで わざとか？ 私たちのためよ だからメンデスと？ 彼は休職処分になった 休職？ クビじゃないの？ レイプよ 君のワナだろ 彼らは知らない とにかく— これでひと安心よ 君は誰だ？ リアンが呼んだ？ 君の様子が変だと心配してる 確かにそうかもね まだ薬が抜けてない ここでは神について 語るだけで— 隔離病棟行きだよ リベラル派は多い でも正しいよ 何が？ チャップマンって女に— 神に選ばれたと思わされた バカにされ 笑われてた私を— 神は助けもしなかった つまり神はいないし いたとしても— 私は知りたくもない 「マタイの福音書」 ５章11節 “私のために ののしられ 迫害され—” “悪口を浴びる時 あなたがたは幸いだ” 神は見捨てていない 迷える人を示された 彼女に必要なのは自分と— 恋人の大女だけよ 不幸な人間は他人を傷つける 罪の意識はあるが 許しを得られない 何を言ってもムダよ あの女を許す気はない そこまで寛容じゃないの 神は望んでる 君を英雄として選んだ 君も許しを得ただろ？ ５回目？ ６回目は無料にすべきかしら “ウィメンズ ヘルスクリニック” “中絶は殺人” “中絶は人生を引き裂く” 弾を使うなよ 私を見下した メンデスのことは聞いたか？ 交わりを持ったと “交わり”か 忘れられないものを 目撃したんだ お察しします 困ったのは— 彼を休職処分にして 人手不足になったことだ 聖誕劇の１週間前にな まともな光景じゃないぞ 気の立った女たち 200人が争う ラクダのケツ役を巡ってだ 残業ですか？ 政府が超過勤務手当を 出すはずがないから— 手伝いを呼ぶ 君もトラブルに注意して— メンデスのようになるな 私は女性に興味は… 違う　そんな意味ではない 君は ごくまともだよ 火を見るより明らかだ そうですね 私が言いたいのは— 受刑者への態度だ 甘くすると つけあがる 昨日 見かけたよ 食べ物の持ち出しを 黙認してたな 彼女は無害です 人を殺してる 政治的抗議では？ 関係ない 彼女たちは犯罪者だ かわいく見える 受刑者でさえ— 恐ろしい罪を犯して ここにいる 看守らしく振る舞え 威厳を保ち 誰がボスかを分からせろ アドバイスが必要なら— 先輩として私が教えよう 声を低くしますか？ “急ぐんだ” それも効果的だが— 名前で呼ばないことだ こう言え　“受刑者！” 人間ではないことを 教え込むんだ 人間です そうではない　羊だと思え エサを与え 移動させる まさに羊だろ 君とは違う 君は女で— 私は男だ パン粉はこれでいい それを運んで これは何？ やめろよ 加工肉は食べない約束よ 必要な動物タンパクは 自分で狩るの 腹が減ってた 遊び半分なの？ 肥料にもできない有害物よ 考え方には 100パーセント同意だが 度合いは 調整しようじゃないか やりすぎだと？ あなたなんて— 私がいなきゃ ハッパを吸うだけ まるで ひげでデブの フォークシンガーよ 何でも白黒つけたがるなよ 何が問題か分かる？ 私たちは根本的に違うの ＤＮＡレベルでね！ 君の実家も金持ちだろ？ オーガニックな生活を— 本気で追求する気がある？ それとも お遊び？ それ 大事か？ もういい！ 気まずかった どこが？ 見てるだけでも きついケンカだった あんなの前戯と同じだってば いつもこうだよ 攻撃的だね 俺の育った家では— 問題を見て見ぬフリだった 父親は２人の女と 浮気してたし— 母親は７年近く 酒とチーズで生きてた だけど誰一人 そのことに触れない ネリと俺は何でも話せる 安心だろ 叫んだり 物を投げたりして— 刺激的でエロチックだよ ユダヤ系なら分かるだろ 言いたくないけど— まだ知り合って ２ヵ月ちょっと？ 展開が早くない？ なるほど 一般的ではないかもな でも関係ない 俺たち２人の気持ちは 本物だから ビデオを撤去しろって グアテマラ出身の おばあちゃんが— 「ターナー＆フーチ」で 英語を学んでた １日６回 見るから 誰かがウンザリしたのね ヨガの講習は？ “ハッピー･ハヌカ” 少し休憩してるの ヨガが休憩でしょ そうだったけど 私は あなたを殴った 禅に傾倒していると 時には— 感情が欲しくなる 話してみなよ マリフアナを栽培してたの カリフォルニア州 フンボルト郡で １エーカーの畑で 必要な分だけ作ってた 自分で吸う分？ 家賃の分よ たまには吸ったけど— 大体は お酒よ 両親の背中を見て 自然とそうなったの ＦＢＩに見つかった？ 違うわ　鹿だった 鹿だって？ マリフアナが好きなのよ 跳び回って畑を荒らすの 本当に頭にきたわ 何度も やって来る いい撃退法がないの 全部 試したわ せっけんの削りくずに キツネの尿 尿はホームセンターで 売ってるのよ フェンスを立てれば？ 高さ2,5メートルの 鉄条網も— 鹿は余裕の笑顔で跳び越える 本題に入ってよ 猟銃を手に— 徹夜で鹿を 待ち構えることにした 週に４〜５日もね ある晩 ついに— 彼らの姿を見つけたの 畑を荒らしてたわ 最高級の品種を植えてた畑よ ＡＫ-47という名前の 交配品種だった 売れ筋の商品だったから 頭にきたわ 酔ってた？ 言うまでもないわ それから？ 撃ったわ それで？ 鹿じゃなかった 撃ったのは— ８歳の少年だった 隣の農家の子よ 家を飛び出して逃げてたの ゲーム機を没収されたから 子供よ マジかよ… 両親は— 彼を敷地内に埋葬した 箱に入れて 作業中の私語は禁止よ そこの… 受刑者 私は間違えただけ あら 深刻な話だ ごめんなさい　続けて クワンザって何？ ダシキを着るのは 知ってるけど 誰も知らないよ でも政府の施設だから 平等に伝統を祝う そうだ　伝統だから 仕事を休まなきゃ 民族のルーツをたたえて クワンザを祝おう　同胞よ クワンザの精霊の祝福を！ かぎ針を輪から出して ひと目 完成 すごい あと９万5000回で ヒザ掛けになる なあ 大学女 話がある じゃあ— 率直に言わせてもらうよ あんたを憎んでる 助けたのは私よ もともと あんたのせいだ 感謝されないからって 驚くなよ 私も懲罰房に… 話を聞けよ あんたは私の人生を— 壊しかけた 私の全能なる神を ジョークにしたんだ そのジョークは私に 手紙なんかくれないし— 希望もくれなかった ここじゃ 希望がなきゃ 生きてけない 何を信じてる？ そうね 不可知論は責任逃れだと思う でも しいて言えば— 私は世俗的な人道主義者で… 信仰心はないんだね もういい オバマ信奉者？ 電気自動車や シェイクスピアや— レストランでの食事 私は無縁だ　あるのは神だけ ごめんなさい 私じゃなくて神に 直接 許してもらって もし これが 神の計画なら— もう争わずに済む 争う気は… じゃ 祈って この場でやってよ イエスよ 普段 祈らないのに 馴れ馴れしい じゃあ… キリスト様？ キリスト様 先日 私は— あなたの道徳的な規範に— そぐわないことをしました 自分を恥ずかしく思います 他人を非難して— 情けないことをしたと 思います どうか仲直りしてください “許してください” 許していただけるなら 本当に… 心の慰めです アーメン どう？ 正しい道を歩きだした よし あとは洗礼だね 私なら“聖母マリア”も 入れたわ 私はね よく来た 用件は？ 不遇の同僚に 冷たいじゃないか あなたはディアスを犯した 誤解しないでくれ 彼女が望んだ ベネット 愛し合ってる まったく哀れな… ああ でも大丈夫だ 会えなくても我慢できる 彼女に渡してくれ 頼む 見つかったら 僕が困る それに健全じゃない 別の女性を探したほうが いい情報を教えよう どうも 明日 荷物が来る ネプチューンという業者だ 荷下ろしする前に 車を止め— 印付きの箱を探せ 面倒はゴメンだ ヤクだ ロシア女が 受刑者に流して— ヤク漬けにしてる カプートに 箱を見せれば喜ぶぞ 昇給してくれるかもな カネが増えて 困ることはないだろ 俺の手柄にしようと 思ったが— お前に譲る なぜ？ 気が済む これも 預かるだけ 渡せよ 仲間だろ “待っててくれ” クソ 正解よ ラリーのこと フラれたかも いい？ 手の内は見せたわ 全部ね 私は人を操るナルシストで あなたを見捨てた 私は あなたを売り ウソをついた 最低ね 心は軽くなったわ あなたに振り回されてるわ これが本音よ あなたが原因で 人生を２度 棒に振った 最後はどうなるのか知りたい 出所後は どうする？ バーモントで 陶芸工房でも開く？ サンタフェっぽい まじめな話よ 普通の人みたいに 働く気ある？ 想像できないけどね 私も ヘロインの密輸は得意よ 天才的と言ってもいい それしかできない 刑務所に戻るのだけは ゴメンだわ 私だって違法行為は もうしない 計画がないだけ 予定は未定よ それが私なの 子供を産み 家を改装したいなら— そうすればいいわ 構わない カンボジアの海岸で ハイになるなら… 今のは例えばの話よ でも— あり得る カンボジアは好き 私もよ チャップマン にらめっこかい？ 見かけた？ 誰を？ 同室者のモナコ王女だよ まだ聞いてない？ 上訴は棄却だ 今夜は両目 開けて寝な ウソでしょ 名札は どこなの？ 答えなさい マニキュアも規則違反よ どこで手に入れたか 言いなさい 手を離せ 重警備刑務所へ 構わない さあ 立つんだ 行こう 何の騒ぎ？ テイスティ？ もう寂しくないからね 何それ これで共用の電子レンジを 使わずに済む あれはクサい 戻ってくるかも 看守に手を出したら 二度と戻ってこないよ 私はデンゼルを ベッドに連れてく これもだ 私がもらう 文句あるかい 彼女と同室で 苦労したのは私よ イビキも我慢した だから それは私のものよ 分かった リトル･ブー　殺せ！ 訓練中だ おいで 話す気ある？ あんまり オッパイねじりの刑だね 出所して分かった ＫＧＢ並みに管理される 夜は外出禁止 突然の尿検査もある 週に３件 面接しても 仕事はない 保護観察官の連絡も多い ここなら夕飯は出る 何するの ぜいたく言うな 刑期15年の女がいる 男に殴られるから 薬物取引に関わっただけ 子供が赤ん坊の時に 別れたままの女もな その子供が銃を持って 街を歩いてる ここに来て２年経った あと４年ある ８ヵ月前 食堂を掃除してた時— 自分の母親が死んだ でも言葉一つ かけられなかった 外の自由が 都合が悪くて— 戻ってきたと私に言う気？ そうじゃない 最低賃金はひどい でも刑務所への返済が 900ドルもあるんだ 自分の部屋もない 親戚の家で 犬みたいに 床に寝かされた ２部屋に６人もいたよ 小切手を盗まれ シラミに たかられた 知人は みんな貧乏で 刑務所か墓の中だ 私を気遣う人もいない おかしくなりそうだった ここにいれば— 居場所はあるし 規則も知ってる ベッドがある あんたもいる 会いたかった 仕方なかったんだ ここに戻るために 何をしたんだ？ まずは缶ジュースから 始めて— 次はクリップを100個 電工室で見つけた 見つかったら懲罰房行きよ 見つからなきゃいい 電圧は どれくらい？ 分からないから面白い イヤなら やめてもいい いつもの生活に戻ろう 作業 就寝 人数確認の毎日に 大丈夫か　ジョーンズ 想像してたのと違った びっくりだよ ごめん いいえ よかった いい気分よ とてもね 本当に？ これを求めてた ほら　あなたもやる？ 準備いい？ タオルは用意した まさか洗礼のこと？ 本気だったのね 私のどこが本気じゃないと？ そうね ラリーの面会日なの きっと来てくれるはず 後で行きなよ 神の国への切符が 数分で手に入る 永遠に続く王国だよ アーメン 神が味方に戻った合図だ やあ　ティファニー あんたは？ 君の弁護士 私の弁護士は太った人だよ しかも三流の公選弁護人で 腕もよくない キリスト教系の弁護士に 任せないか？ 無罪に？ 白昼に人を撃ったんだ 実刑は免れない だが刑期は減らせるだろう 君の行為は 道義的信条による— 救命行為だと主張する 無防備な命を救ったとね でも… 弁護士費用がない 解決済みだ 君の服役中は ご両親に手当も支給する 誰が払うの？ 神だよ それから— 君の友達が 来たぞ “神の祝福を” “ティファニー 大好き” 静粛に！ 静粛に願います 静粛に！ 静粛に願います 〝ティファニーを 大統領に〞 着席しなさい 着席しなさい 〝胎児の擁護者〞 〝胎児の擁護者〞 あなたには大事よね　でも… 大学女 約束だろ 分かったわ　でも10分でね 任せな 走るな こいつはでかした ベネット 仕事ですから 次に昇進させる人を決める いい材料だ あのロシア女を ようやく追い詰められる 最高だ &lt;もう飽き飽きだわ&gt; &lt;テレビを見てばかりの 生活はイヤよ&gt; 退屈してる 外に連れ出して 他の男に色目を使うんだ &lt;ふしだらなマネを？&gt; &lt;向こうが見てくるのは 仕方ないでしょ&gt; 見られるのは仕方ないと 嫉妬しすぎね 穏やかに暮らしたいだけだ &lt;静かに生活したいと&gt; &lt;公務員だからね まだマシなほうだよ&gt; &lt;睡眠中に 足の爪が当たるの&gt; 足の爪を切って 長いと嫌がられる カプートの部屋へ 忙しい 行ったほうがいい メンデスの野郎だね 去り際まで汚い どうなってる 万一の場合は あの子たちを頼むよ ベネット　説明しろ ベネット！ &lt;食費の話がまだ残ってる&gt; お待たせ！ 迷える子羊を連れ戻したよ 洗礼用の川の代わりに シンクを掃除しておいた シャツは脱いでくれ できない　私にはムリ 仲良くしたいけど— 信じてるフリは できない 誰でも疑いは持つ いいえ　違うの 科学を信じてる 進化論もよ ネイト･シルバーや タイソン博士— ヒッチンスもよ イヤなヤツだけどね こんな不平等な世界で 神なんて信じられない 異教徒は地獄行きで— ガンになるのは 人生を学ぶため？ 子供が死ぬのは 天使が足りないとか— 変だと思わない？ 天使の話は そうかも 信徒でしょ そうだけど— 疑問はある 宗教を信じることで つらい人生が— 生きやすくなるのは分かる 私も信じられれば きっと幸せでしょうね でもムリ 感情だけじゃ— 信用できないの 行くわ 仲良くなろうとした 信仰で幸せになって もしもし フィゲロアさん？ そうよ シティポスト誌 オンライン版の者です 最近 ラジオで— チャップマンという 受刑者が話題になりました 誰のことかしら 今年は刑務所の予算が 削減されて— 運動場は閉鎖 教育プログラムも中止とか やはり予算配分の 問題ですよね？ 最善を尽くしてますが— できることにも限度が そうですよね 州の予算を調べてみました そちらの刑務所は— ５年間で230万ドル 増額されてます そのお金は どこに行きました？ 調べてみないと あなたが責任者では？ 調べます 来てくれたのね 僕たち— 考えが甘かったよな 君が戻ったら 元どおりになると思ってた でも やはり— 僕たちは前とは違う あなたに非はない 確かに だけど— このイカれた状況は続く 寂しさのあまり— お互いバカなことを するだろう だったら今すぐにでも 結婚すればいい 夫婦として乗り越えよう それか別れよう 今はどっちつかずで— つらいんだ 君は— どう思う？ こうするしかない 私を見下した だから— 殺さなくちゃ

リトルウィッチアカデミア.S02E15.JA

1 （クロワ） 暗い歴史を持つ古い魔法は― 今後 ますます 価値を持たなくなるでしょう 今後 ますます 価値を持たなくなるでしょう （生徒たち）わあ！ （クロワ） これからの時代― 魔法は近代化すべき というのが― 私の考えです― 例えば これはレイラインルーター （アッコ）わあ！ （ロッテ） あれって レイラインだよ （クロワ）レイラインルーターを ホウキに搭載すれば― ホウキは 自動的に レイラインを感知して― ホウキは 自動的に レイラインを感知して― （生徒１）すごーい！ ごいすー ごいすー （生徒１）すごーい！ ごいすー ごいすー （生徒１）すごーい！ ごいすー ごいすー 魔導石(まどうせき)の圏外でも 魔法が使用できます 魔導石(まどうせき)の圏外でも 魔法が使用できます それって 全部 クロワ先生が発明したんですか？ もちろん 開発者は私です もちろん 開発者は私です （生徒たち） すごーい すごーい！ （生徒たち） すごーい すごーい！ （生徒たち） すごーい すごーい！ （アッコ）先生 天才！ さあ レイラインルーターを起動して― あなたたちも シミュレーションするのよ （アッコ）ヒャッホー すごいね カーッ！ すごーい （生徒２）魔法と科学って 合わせられるんだ！ ♪Take Action！ ♪Raise your hands！ ♪“One Scene” 　　　シャッター切るように ♪刹那を映して創りあげる ♪名も無き一つのStory ♪私たちは誰だって 　　　ヒーローになれる ♪可能性を 　　秘めた存在、 ♪そうでしょう？ ♪踏み出した一歩が 　　初めは小さくたって ♪きっと新しい未来を 　　　　　描き出せるんだ ♪どんなときも ♪信じているよ ♪この世界を、 　　　　自分の夢を ♪抑えきれない衝動は ♪始まりの合図だってさ ♪まだ私が知らない 　　　　私に出会うため ♪決めたよ （♪恐れないで try again） （♪何度だって fly away） ♪It's Showtime！ （♪（Oh）I don't want to 　　　　　　　miss a thing） ♪この場所から （足音） （アーシュラ）あら ダイアナ― また調べ物？ いつも勉強熱心ね （ダイアナ）名簿を見ていました クロワ先生について 知りたいと思って クロワ… 先生の？ （ダイアナ）とても 優秀な生徒だったのですね― 若くして 魔法の発展に功績を収めて…― 特に この魔力変換法の研究は とても革新的ですわ ええ ダイアナ あなたにも負けないほどの 才能の持ち主だった 彼女の 魔法に懸ける情熱は とても強く きっと 魔法で成し遂げたいことが あったのかもしれない でも 昔は もうちょっと地味な印象だったわ 先生 お知り合いですか？ クロワ先生と か… 彼女は 学内では有名だったから 親しくはなかったけれど うわさは よく 耳にしたわ― あっ そろそろ行かなきゃ― あ～ 忙しい忙しい 平教員は つらいわぁ （足音） （ダイアナ）アーシュラ… アーシュラ･カリスティス （アーシュラ）やはり ねらいは 復活したクラウソラス…― クロワ… （アッコ） クロワ先生 最っ高！― 強いし 賢いし 美しい！ あんな先生 見たことない！ （アマンダ）そうか？ “現代魔法”ってやつ？ かえって 面倒じゃね？ （アッコ） 何でよ！ 最高じゃん！― やっぱ 魔法界も時代に適応しなきゃ！― ついに 未来が やってきたんだよ （アマンダ）未来ね― でもよ これじゃ 魔法も科学も変わんねえじゃん― チッ この… 先生が開発した ソーサリー何ちゃらのおかげで これからは 学校の外でも もっと 魔法が使えるし！ （ロッテ） あっ クロワ先生の 紹介が載ってる （アッコ）“新任教師 クロワ･メリディエス―” “10年前にルーナノヴァを卒業” （ロッテ） “在学中は「神童」といわれ―” “極めて優秀な成績を収めて―” “「金のトネリコ賞」 「月光の魔女」など―” “数々の賞を受賞した” 月光の魔女！？ シャリオと同じじゃん！ （ロッテ）シャリオの在学中 クロワ先生もいたんだね ハッ！ ２人はライバルだったのかも！ ２人はライバルだったのかも！ （足音） （ネルソン） お前ら いつまでも そんなオモチャ いじってんじゃないぞ！ 先生 ２人はライバルだったんですか？ （フィネラン）とんでもない （４人）あ… （フィネラン） 当時 クロワとシャリオじゃ 比べものになりません クロワは努力して 魔力を磨き抜いた実力派 でも シャリオのほうは 成績は さっぱりだったな 確かに シャリオの魔法のセンスは 一流だった しかし― 学問をおろそかにし― あまつさえ 軽薄な芸能活動で 神聖な魔法を見せ物にするなど― 許されないことです （ネルソン） 魔女の間違ったイメージを 広めちまったからな― シャリオの魔法界の評価は最悪だよ それに比べ クロワこそ 魔法界の未来を担う 人材だと… 魔法界の未来を担う 人材だと… （生徒３）これ すごい！ 見て見て （生徒３）これ すごい！ 見て見て （生徒４）また目撃情報 出たらしいよ 伝(でん)ホ （フィネラン）ん？ （生徒３） ウソ～ まだ飛び回ってるんだ （生徒４）見てよ～ （生徒３）マジだ 草生える あなたたち！― 授業以外でのコンピューターの 使用は禁止ですよ！ （２人）はーい （生徒３） プッ… コンピューターだってさ ハァ… それが この10年 魔法科学とやらに 傾倒していたとは― 残念でなりません あれ？― アッコ？ クロワ先生！ 先生は シャリオの先輩だったんですね！ 先生は シャリオの先輩だったんですね！ （足音） （足音） （足音） （クロワ）ん… （クロワ）ん… シャイニィシャリオです！ （クロワ）ああ 覚えてるわ― 学生時代は “シャリオ･ デュノール”と名乗っていた― 魅力的な魔女で 幼いころから― 周りの人を引きつける才能に あふれていたわね （アッコ）あ…― この学校に来て― シャリオのこと褒めてくれた人 初めてだったから― 感激しちゃって…― みんな “シャリオは 間違った魔女だった”って （クロワ） シャリオ･デュノールは― 見せることを意識した 華やかな魔法が好きだった― 保守的な魔女からは 反感を買ったわ― でも 私は 古い先入観には 縛られない主義よ― 彼女が果たした役割は大きいわ― たとえ それが どんな結果だったとしてもね たとえ それが どんな結果だったとしてもね わあ！― わあ！― クロワ先生 やっぱり最高！― シャリオが 何で いなくなったのか 知ってます？― 今どこにいるのか （クロワ） そんなに シャリオが気になるの？ （アッコ） 会って お礼が言いたいの！― あたしに夢をくれたこと！ 感動も！ （クロワ）何か 彼女の手がかりに なるようなものがあれば― 魔法科学で 分析できるかもしれないけど （アッコ）手がかりになるもの？ （クロワ）例えば… （アッコ）シャイニィロッド！― シャリオの杖！ あたし 持ってるんです！― アルクトゥルスの森で見つけたの！ （クロワ）アルクトゥルスの森で？ （アッコ）持ってきます！ （クロワ）待って アッコ （アッコ）ん？ （クロワ）この教室では 設備が足りないわ― 放課後 新月の塔へ いらっしゃい （アッコ）新月の塔？ （クロワ） 私の研究室ができたの― そこで分析するわ その…― 何とかという杖を シャイニィロッド！ 必ず持っていきます！ （走る足音） あっ 先生 アッコは いる？ 新月の塔に行きましたけど （アーシュラ）新月の塔へ？ （ロッテ） クロワ先生に シャイニィロッドを 持ってくるように言われたとか あっ （走る足音） （走る足音） （ロッテ）ん？ （走る足音） （アーシュラ）アッコが危ない！ ♪～ （足音） （アッコ）クロワ先生の研究室って どこだろう？ （アッコ）え？ （バルンの電子音） 案内してくれるってこと？ （電子音） あっ…― わあ！ いらっしゃい アッコ （アッコ）シャイニィロッド 持ってきました！― 分析してください！ （クロワ）うっ…― ハッ！ （アッコ）ん？ （クロワ）そこへ置いて アナライズするわ （アッコ）あっ はい （クロワ）シャイニィロッドは スピリットエネルギーに対して― 高い数値で反応するようね 何ですか それ？ 持ち主の精神的なエネルギーに 感応して 魔力を発動するということよ （アッコ）それって えーっと… （クロワ）かつては シャリオの心に反応した― そして 今は… 今は？ シャイニィロッドが あなたの心に反応したことはない？ はい あります （クロワ） シャイニィロッドが なぜ― どんなときに あなたに反応するのか― 調べてあげる （アーシュラの荒い息） ♪～ （アッコ） シャリオみたいになりたい！― すごい魔女になって 世界中の人を感動させるの― 信じる心が あたしの魔法だから！ 性格分析を （コンピューター） エモーショナルパターン イエロー― 計画性 なし― 客観性 なし― 気質 衝動的― 自己中心的― 強引 単純― ズボラ― 能天気 （電子音） （クロワ）来たわね シャリオ （アーシュラの荒い息） （走る足音） （アーシュラ）アッコ！ （アーシュラ）えいっ― あっ… ふっ （アーシュラ）ベガヴァルラス！ ♪～ （アーシュラ）ベルガヴィーダ！ （アラーム） ♪～ （アーシュラ）ハッ！ （アーシュラの荒い息） （アーシュラ）オォォォ～！― えいっ （アーシュラの荒い息） （アーシュラの荒い息） （走る足音） （アーシュラ）あっ…― ああっ…― うっ… うう… 最後に会ったときから ずいぶん たったわね シャリオ･デュノール （アーシュラ）私の力を 試したのね？ クロワ （クロワ） シャイニィシャリオの名を 捨てて10年― さぞかし衰えただろうと 思っていたけれど― 思ったより 力は残っていたようね （アーシュラ）あっ…― アッコ！― アッコに何をしたの！？ （クロワ） データを採取したのよ― もっとも その子については― この数か月 ひそかに観察していたので― どれも想定内― 有効な情報は得られなかった あなたが ルーナノヴァへ戻ってきた目的は 察しがついてる 世界改変魔法を手に入れるため あなたは全く変わっていない １人で全てを手に入れようとする！ （クロワ）あなたは変わったわ― 見る影もなく落ちぶれた― かつては あんなに輝いて見えたのに― フフフ… （アーシュラ）くっ… （クロワ）何にせよ― この私が 何をたくらもうと― それを止めることなど― あなたには 不可能ということよ― シャリオ― いいえ 今は アーシュラ先生ね― その子に教えたの？ あなたの秘密 輝きが戻らなくても― アッコは私が守ってみせる （アーシュラ）アッコ！ （アッコ）あっ…― アーシュラ先生？ あれ？ クロワ先生の研究室にいたのに （アーシュラ） 気分が悪くなったみたいだから 運んできたのよ （アッコ）夢… 見てた― シャリオがいて 話してたような （アーシュラ）あ… （アッコ） 改変… 魔法が どうとかって （アーシュラ）いつか あなたに話そうと思っていたの― あなたの前に シャイニィロッドが現れた― その本当の意味を…― そして “世界を変える力を持つ” と いわれている― 世界改変魔法 グラントリスケルのことを― それが どんな魔法なのか― 知っているのは ナインオールドウィッチだけ （ダイアナ） グラントリスケルの起源は 数千年前に さかのぼる （アッコ）わあ！ （アーシュラ）その昔― イグドラシルの枝は 世界を あまねく覆い… （アッコ）わあ！ （アーシュラ）その枝は 星々をも つないでいた― 魔女たちは そこから無尽蔵の魔力を得ていたの ♪～ （アーシュラ）でも その力も 時と共に失われ― 偉大なる魔法の時代は 終わりを告げた 今は レイラインとして 僅かに残されているだけ― でも その力は ひそかに受け継がれ ９人の魔女 ナインオールドウィッチによって アルクトゥルスに封じられた それこそ 世界を改変する魔法 グラントリスケル グラントリスケル？ “７つの言の葉を よみがえらせれば” “その封印を解くことができる”と いわれているわ あれが７つの言の葉― ルーナ文字で書かれている （アッコ）全然 読めない （アーシュラ）古代の魔女が 月と星から教わった文字だもん― 今 読める魔女は ほとんどいないわ― ７つの言の葉は 長い間 忘れ去られていたから ただ唱えただけでは発動しない― 唱える者が命を吹き込んだとき よみがえり― 魔力を放つの （アッコ）唱える者が 命を… （アーシュラ）あなたは すでに ３つの言の葉をよみがえらせた あたしが？ 覚えてる？ ルーナノヴァに来た日― あなたは １つ目の言の葉に 命を吹き込んだ （アッコ）手を伸ばせば…― きっと始まる！― ドキドキで― ワクワクの― あたしの物語が！ ノット… オーフェ… オーデン… （アーシュラ･アッコ） フレトール！ あれが１つ目の言の葉… （アーシュラ）その意味は “目指せ 理想の場所へ” “夢をかなえようとする者は 困難の中を進む” “失敗が続き 夢を見失うこともある” “だけど 胸にともる炎を消してはいけない” “たった１つの炎を燃やして 理想の場所を目指せ” そういう意味よ （アッコ）ノットオーフェ オーデンフレトール あっ… （アーシュラ） ２つ目は ブルームーンアビスで… 夢見たものが手に入るんじゃない！ １歩ずつ積み重ねたことが 手に入るんだ！ （アッコ） フェドアリーアフェルゴー そして３つ目は 魔法祭で唱えた… （アッコ）開け心よ！ 笑おう！ 一緒に！― アライアリーラ！ （アッコ）わあ！ （アーシュラ）わあ！― あなたとシャイニィロッドが― 失われていた言の葉を よみがえらせた （アッコ）あたしが？ （アーシュラ）言の葉は あと４つ ４つ… どんな意味なの？ （アーシュラ） それは これから あなたが 自分で知らなければならない 先生は知ってるの？ 最後の１つを除いてね （アッコ）あ… （アーシュラ） あなたが自分の力で成長し― ７つの言の葉 全てに 命を吹き込んだとき― グラントリスケルの封印が解ける （アッコ） そうか そうだったんだ― 先生！ とうとう分かったよ― シャリオ！ えっ！ シャリオは 言の葉を 探してたんだ！― それを追って 姿を消したんだよ！― 私も 言の葉を追いかければ きっと シャリオに会える！― 私 探す！ ７つの言の葉を！ ♪覚えたての呪文じゃ ♪叶わない事ばかりだけど ♪イメージするのは 　　　　　　今より高く ♪飛び立ち 　　踊りだす心 ♪小さな殻 　　　何度も脱ぎ捨てて ♪ガムシャラだけで 　　　　　終わらせない ♪昨日の私を 　　越えるように ♪透明な翼 　　　羽ばたかせたら ♪憧れてた ♪明日へきっと ♪近づける気が 　　　　してるんだ ♪見つけた星空の 　　　　　欠片(かけら)結んで ♪もっと知りたい ♪夢を追うよ

３人のパパ＃09

1 じゃ… 開けるよ ああ (チャイム) は～い (亜沙美) 久しぶりだね 拓人くん あの子に 会いにきました えッ？ 覚えてる？ 私のこと 俺の… 初体験 え～ッ！ どうした？ ≪(朔)たっくん？ パパかも… 俺が… 晴大のパパかも… えッ!? じゃ… 坪井亜沙美と申します その子の… 母親です あなたが… 晴大の母親？ はると？ はるとじゃなくて その子は翔馬です いや… そんなはず ｢は｣じゃなくて ｢しょ｣？ 今まで 翔馬をありがとう 翔馬を連れて帰ります 聞きたいことが 山ほどあるんです どうして 晴… いや 翔馬くんを ここに 置き去りにしたんですか？ １年前… 三軒茶屋の駅で 久々に 拓人くんを見かけて その時に 翔馬を 預かってもらおうって 決めたんです これからは ちゃんと 私が 育てていきます 何ですか？ ｢預かってもらって 助かりました｣ …で あっさり返せると 思いますか？ ｢預かって｣って 手紙にも書きました 差出人が手紙に 書かれてなかったせいで 俺達が どれだけ混乱したと 思ってるんですか 誰が父親かも 分からなかったんだ それに １年間も一緒にいたら 自分の子同然になるから 違う… あなた達の子では ありません この子は この子を産んだのは私です なら 何で １年間も放っておけた！ そんな無責任な人間に 晴大を返すことはできない 無責任なのは ３人も一緒でしょ 父親が分からなかった ってことは それぞれ 何かしら思い当たる 節があったってことですよね？ 相手のことも考えず 無責任なことをした …ってことですよね？ だよね？ ごめん… いいの 相談せずに勝手に産んだの 私だから でも もし 罪悪感があるなら 今すぐ 翔馬を返して！ 翔馬を連れていきます ちょっと待って ちゃんと 話し合ってからにしてよ 何も話し合うことなんて ありません 返してくれれば それでいいから 俺も その子のパパだから 翔馬 ママと一緒に帰ろう イヤ １年も時がたてば 誰だか分からなくなる あなたのことは… 覚えていない 明日 また来ます 《母親が子供を愛してた証拠だ》 (足音) すいません (ドアが開く) 今 女の人 出て行ったけど… 何か… あった？ 今 出て行ったのが… 晴大のママなんだ えッ!? じゃ… パパは？ たっくん？ あッ… これ フリマで見つけて 晴大くんに それだけだから ガッカリだよね 晴大のママ １年間 押しつけといて あの態度はねえよ あのさ… 何で 晴大を置いてったのかも 迎えにきたのかも まだ 聞いてないわけだし 彼女の話を聞いてみない？ 聞いて どうするんだ どうすれば 晴大が一番幸せになるのか 話し合う その必要はない お前は 一度 関係を持ったから 情に流されてるだけだ 違う… 責任を感じてるから 同情してるだけだ 違うよ！ 晴大のためだよ 晴大には ｢母親が必要だ｣って 恭平も言ってたよね 責任感のある まともな母親だったらの話だ 俺らだって一緒じゃん 最初は 晴大 育てるの 諦めようとして… 俺らと あの人は違う あの亜沙美って人 血つながってるのに 晴大 手放したんだぞ！ 恭平だってロスに行くのに 何言ってんだよ！ だから 養育費は 俺が払うって言ってるだろ 僕も払う たっくんが忙しい時 預かりもする 形は違えど こうやって ３人で協力して 晴大を… 勝手に話を進めるなよ！ 俺だから！ 俺が晴大のパパだから 血は つながってなくても 晴大の将来を ちゃんと考える身として あの母親に返すのだけは 許さない 僕も… 恭平に賛成 口出す権利は ないかもしれないけど あの人… 晴大と同じ お守りを持ってた トートバッグに 入ってたのと… 同じの 返すのは… 反対 でも… たっくんに ああ言われたら… 僕は何も言えない 今 情に流されてる あいつなら 母親に返す方向で 話が進む可能性がある あいつの頭が冷えるまで 晴大は 俺が守ります ３人で パパを続けるべきか それとも 彼女に晴大を返すべきか 血のつながった父親として 決めなきゃね だけど… １人で 晴大のことを決めるのは 初めてだから… 正直… 自信はないんです あの… 今日は たっくん 会社 お休みみたいで そうだったんですか 時々 こうやって 翔馬を見にきていました 《よく見てみろ これ》 《同じヤツが 写真に写り込んでる》 夜のお花見… 楽しそうだった どうして 今になって迎えに？ ずっと 仕事を探してました だけど… 途中で 体を壊してしまって でも 今は治って 仕事も無事に あッ… 翔馬は 託児所で いい子にしていますか？ ええ… すごく いい子ですよ よかった～ やっぱり 翔馬くんを 連れて帰るんですよね？ そのつもりでした➡ 絶対に 翔馬を 連れて帰るんだって その気持ちが ブレないように あの３人の所には 強気で行ったんです➡ でも 翔馬は… 私のことなんか 全く忘れてて… 私が翔馬を幸せにできるのか… 正直 不安なんです➡ 経済的な面でも 愛情の面でも 晴大 聞いて お前は どうしたい？ ママと一緒にいたい？ ３人のパパと一緒にいたい？ 今までさ… 色んなこと ３人で話し合って 決めてきたよね でも… 本当に大事なことは 僕らじゃなくて… 分かってる 言わなくても分かってる 華ちゃん 大丈夫？ 私は全然 大丈夫 むしろ心配なのは 亜沙美さんだから あの３人に色々 誤解されたままらしいし ちゃんと いい人だって 私から言わないと だってさ 亜沙美さん 晴大くんを育てる自信 なくしてて… 頼る人もいなくて… やっぱ 言った方がいい たっくんなら 亜沙美さんの力になって くれると思うし うん… たっくんなら 華ちゃんは それでいいの？ 自分の気持ちを 無視したら 一生 後悔するよ 10年間も 好きなんでしょ 拓人くんのこと (バイブレーター着信) 悪いな こんな時間に ううん 俺… 色々と 分からなくなっちゃってて このまま ３人のパパを 続けていきたいけど 晴大のママだって 晴大と暮らしたいわけだし 晴大を思う気持ちは みんな一緒なのに 別々の方向 向いちゃってて 俺 パパの権利ないのかな？ えッ？ 俺が はっきりしなきゃ いけないこと 分かってるんだけど できてないし 恭平の言うことも 分かるんだよ 彼女が ホントに いいお母さんなのか 確証もないし どうすればいいんだよ 俺 私がさ… 私が… 《華って いいお母さんに なりそうだと思って》 私が晴大くんの… 《俺と晴大には お前が必要だ！》 晴大くんのお母さんに… 《やった～！》 《やった～！》 会って話をしてきた えッ… 亜沙美さん 仕事 見つけたんだって 体 壊したあとにだよ 会いたいって思う気持ちを 抑え込んで 必死で 晴大くんを 育てる準備をしてた すごい覚悟だよね たっくんさ 私に ｢いいお母さんになりそう｣ って言ってくれたよね うん… だから 保育士になれたし たった１週間だけど 晴大くんの お母さんにもなれた その私が言うんだから 間違いない 亜沙美さんは いいお母さんだよ あの人以外 晴大くんのお母さんに なれる人はいない 亜沙美さん 会社近くの サンパホテルにいる あの人 迷ってる 行ってあげて 早く… 走る！ ありがとう 恭平とはじちゃんにも 伝えなきゃ たっくん！ たっくん… 頑張れ たっくん ファイト！ おう！ ううッ… ３人で話し合って 晴大のこれからを 決めたいんだ ３人のパパだから やっぱり 俺としては 亜沙美さんと… お前が全部 決めていい ここでのルームシェアも 晴大を育てようって 決めたのも 全部 お前だった 僕ら… たっくんのおかげで わりと幸せだった お前の判断に いつも間違いなんてなかった お前が一番 晴大を幸せにできる たっくんが 晴大のパパでよかった ありがとう 行ってくる うん いってらっしゃい これで 晴大とは お別れか… ルームシェアも終わりだね あのバカ！ ありがとうございました あッ 美奈子さん！ 晴大 お願いします！ (美奈子)ど… どないや！ 亜沙美さん！ ２人で翔馬を育てよう 結婚しよう

クロコーチ＃04

1 <(清家)今から45年前> <昭和43年12月10日に発生した> <３億円事件の捜査は 混迷を極めた> 《≪(刑事)ｼﾞｭﾗﾙﾐﾝｹｰｽごと別の 車両に移しかえて逃走した模様》 《新券の五百円札 2000枚》 《100万円相当の紙幣番号が》 《銀行によって 控えられていました》 《番号は ＸＦ２２７００１Ａから》 《ＸＦ２２９０００Ａ》 <捜査本部は 犯人の手がかりを得るため> <奪われた紙幣の一部を公表した> <しかし その後> <該当する五百円札が> <世に出回ることはなかった> 《本部の番号の公表が 早すぎるな➡》 《ＸＦ２２７００１Ａから➡》 《ＸＦ２２９０００Ａまでの 五百円札は取り除け》 《犯人を特定する恐れがある》 <紙幣番号> <ＸＦ２２７００１Ａから…> <３億円事件は> <今もなお 未解決> 新入１名 連行した 来なさい 三〇三六 (黒河内)そろそろかなあ うん？ (浅沼)ああ～！ キャーッ (ざわめく人々) (坪倉) ホトケの名前は浅沼兼次 32歳➡ 衆議院議員 伊地知伝助の公設秘書です 捜一の皆さんに わざわざ… これ ほぼ自殺なんで (磯村)まあ 政治家の秘書ですからね 衆議院議員の伊地知さんといえば 次期大臣と 目されている方ですよね (布袋)で？ 昨夜 午後10時頃 大勢の人間が 男の叫び声とともに➡ ビルから落下する 浅沼を目撃してます 転落死ですか (刑事調査官)死因は 頭蓋内の損傷➡ 屋上から本人のものと思われる 靴が見つかったよ (布袋)じゃあ やっぱり飛び降り自殺か あの～ 自殺する人が叫びながら 飛び降りたりするでしょうか？ さあ？ でも飛び降りる動機はあるんだろ (伊地知)まさか こんなことになるなんて (牛井)確か 浅沼さんは➡ 先生の政治資金の虚偽記載で 嫌疑がかかっていましたよね (柿崎)牛井君 次の選挙活動の票集めに 疲れてたんだろう 真面目な男だったからな 動機は 政治資金規正法違反の罪に 問われたから それを苦に浅沼さんは… (兼男)息子は自殺じゃない 離せよ 落ち着いて 息子は自殺じゃない ダメです ちょっと入ってこないで いいか 息子は伊地知に殺されたんだよ！ 伊地知さんに殺された？ 息子は ゆうべ 伊地知を 告発すると電話で言ってきたんだ 自殺なんて絶対にあり得ん 告発？ とにかく署の方で お話を 現場に行けと警察に言われたんだ えッ 警察にですか？ ああ あの どなたにですか？ 名前は聞いてないが 感じの悪い刑事だった 感じの悪い？ ゆうべ 息子が運ばれた警察で 《残念ですが お父さんのお役には立てません》 《何言ってるんだよ》 《あんた 刑事なんだろ》 《いや 刑事は刑事でも部署が違います》 《殺しは一課です 現場に行ってみてください》 《ああ 伊地知先生の方は》 《私が責任を持って お友達になっておきますから》 それは 黒河内さんですね ≪(柿崎)黒河内が 先生のところへ？ ああ アポもなく押しかけてきて ゆうべは どこにいたのかと しつこく聞かれたよ 大変 失礼いたしました 伊地知先生のアリバイは こちらで確認済みですので 君が謝って 済む問題じゃないだろう どうするつもりだ？ その 黒河内とかいう刑事 あの 先ほど おっしゃっていた告発とは？ その感じの悪い刑事にも 話したんだが 息子は 伊地知の裏金のことが書かれた 手帳を手に入れたと 言っていたんだ 裏金 手帳 あッ あと 桜がどうとか 言っていたような気がしたが それは よく覚えていない 桜？ 《もしかして それ》 《桜吹雪会の？》 《(薬師寺)そうだ 沢渡とその会は》 《３億円事件に関与してる》 それは… 桜吹雪会 どうやって手に入れるか その手帳 浅沼兼次さんの捜査は しないんですか？ ええ 伊地知先生のゆうべのｱﾘﾊﾞｲは 後援会の方が証言済みです それに浅沼さんの検視結果から 事件性はないということで 自殺の方向に まとまりましたので 自殺の方向？ あの 浅沼さんの遺留品は？ ああ お父さんが言っていた 裏金の手帳のことですか？ でも 亡くなった浅沼さんは 手帳など 持っていなかったようですよ 持っていなかった？ それより清家さん 黒河内君とのコンビは もう解消していいそうですよ えッ？ 黒河内圭太 来月付で 総務部 留置管理課への 異動を命じる 留置管理課って 定期異動の 時期でもないのにですか？ お前は沢渡の事件で 住居侵入罪に問われただろ 《(薬師寺)おとなしく出てこい！》 それって ご自分で うやむやにしませんでしたっけ？ 責任は自分で取れ (ため息) 異動は ゆうべの転落死のせいですか え～っと 何なに？ 柿崎部長は警察庁時代 伊地知先生の部下でしたよね 警察人事は鉄の掟だ それが嫌なら辞職しろ！ あと 刑事部支給の携帯 返せ はあ？ 留置管理課の人間は 捜査をする必要は一切ないからな で 異動なんですか？ まだ内示だけどね 留置管理課だって あの～ 伊地知さんに何をしたんですか？ 秘書の浅沼さんの不審死を 嗅ぎ回らないであげるから お金ちょうだいって言っただけ すみません 今 よく聞き取れなかったんですけど 浅沼さんは自殺じゃないよ だって これから死のうって人間が 自分のボスを告発するって 父親に電話する？ それに 自殺するやつが 叫びながら飛び降りる？ ああ～ッ どちらも しないと思います でしょ やっぱり 伊地知先生が怪しいんじゃないの アリバイがあってもさ お聞きになってますよね 伊地知さんの手帳には 裏金の証拠と ｢桜｣のことが書かれていると まさかとは思いますけど ｢桜｣とは… 伊地知先生が 警察庁ＯＢだって知ってるよね これは知ってた？ あの人 沢渡を政界に引っ張った張本人 お二人は知り合いなんですか？ てことは あなたのお父さんを 殺したやつらとも つながってたりして 桜吹雪会 殺しが殉職にねつ造されたり 事故処理されて隠蔽されたり 自殺に すり替えられたことも 過去にあったよね つまり 今回も桜吹雪会が絡んだ 殺人事件だとおっしゃるんですか もし その手帳に桜吹雪会のことが 書かれてるとしたら 殺しの可能性は十分にある 手帳に… あの 桜吹雪会とは どういう会なんでしょうか？ だから～ それを知るためにも 浅沼さんの自殺のことを よ～く 調べ直した方がいいと思わない？ これは… 異動ついでに 支給品の携帯も 没収されちゃったの 何か困ったことがあったら そこに連絡してね [ﾃﾚﾋﾞ]次のニュースです [ﾃﾚﾋﾞ]昨夜 民自党･衆議院議員 [ﾃﾚﾋﾞ]伊地知伝助さんの公設秘書 浅沼兼次さんが [ﾃﾚﾋﾞ]後援会事務所が入る建物の [ﾃﾚﾋﾞ]屋上から転落し 死亡しました [ﾃﾚﾋﾞ]自殺とみられています… 警察には予定どおり 先生のアリバイは しっかりと 証言しておきましたので 何のことですか？ (バイブレーター着信) あッ ちょっと失礼 ああ 柿崎君 黒河内の件？ うん そうか ご苦労でした 浅沼から学んだよ 大事なものは 身につけておくに限るとね 黒革の手帳 見～っけ 失礼しま～す ≪(斑目)澤なら いないわよ 彼女 ちょっと体調崩して 休職したの 休職？ あなたが 清家真代さん？ あッ あの なぜ私の名前を… で ご用件は？ 臨時だけど 聞いてあげる あの 浅沼さんは 本当に自殺だったのかと まずは３ページ目 浅沼って人の靴が➡ 屋上に揃えて 置かれてたけど➡ なぜか屋上の 手すりに➡ 本人の指紋は なかった 手すりに指紋がない 普通 乗り越えるのに 手すりは つかむものだけどね それに６ページ いつも かけてた眼鏡も➡ 現場に落ちてなかった 眼鏡？ それで よく自殺なんて言えたもんよね 多いのよねえ い･ん･ぺ･い どこでも 浅沼さんの身長は176センチ なぜか手すりに 指紋は ついてはいなかった いつも かけている眼鏡も 現場に落ちてはいなかった おい ここは俺のシマだ 出てけ！ 一般廃棄物処理計画に従って 家庭から排出された 廃棄物を持ち去った場合 市の条例違反に当たります (バイブレーター着信) はい 留置管理課 黒河内 まだ内示の段階… えッ 眼鏡？ 浅沼さんの眼鏡を見つけました 転落したビルの 向かいのゴミ置き場です ということは？ ということは あくまで推測なんですけど 浅沼さんは 何者かに抱きかかえられ 手すりを越える勢いで 投げ捨てられた ☎ただ 大人一人を そんな簡単に 投げられるものでしょうか？ さあ？ じゃあ その調子で頑張って 自殺でないのは確かです (財界人)この事業の成功を 祈っております チケットは ご自宅の方に お送りしますので ≪(財界人)はッ 先生 工事着工の際は➡ 何とぞ お願いいたします 私達も この事業には 全力を尽くしてまいります あッ？ 失礼します 銃刀法違反だよ 私には 息子が生きる望みだったんだ お父さんが 息子さんに してやれることは もう何もないんですよ 次は六本木で会食の予定です では 行きましょう 伊地知先生 あの～ 何とか柿崎部長に言って 異動を 撤回させてもらえないでしょうか 浅沼殺しは黙っておきますんで 何の話だ？ いえ ただ お二人とも 大人一人を簡単に ビルの屋上から投げちゃいそうな タフガイだなと思いまして 帰りたまえ 先生とは いい関係が 築けると思ったんですが 残念です おい！ パーティーなんか やらなくても 政治資金 たくさん お持ちでしょう 裏金とか 何を言ってるんだ？ 黒革の手帳のことですよ 黒革の手帳には 裏金の他にも書かれてることが あるんじゃないですか？ 例えば 桜吹雪会のこと どこに隠してるんですか？ ご自宅ですか？ 議員会館ですか？ 捜査もできないやつが 何を言ってる まあ そうなんですけどね まッ 浅沼殺しで 留置場 入るときは 黒革の手帳 持ってきてくださいよ ハンコ押す係 やってると思いますから 三〇三六 面会だ (沢渡)ご無沙汰しております 伊地知さん 君が罪を認めるよう 説得してほしいと頼まれてね 時間は 15分だ 沢渡さん 実は黒河内が… 問題ありませんよ 彼は まだ何もつかんでません ですけど… ただ ここへ来たのは まずかったですね はい～ 黒革の手帳に 桜吹雪の記載 ほぼ決定 あとは頼むよ 清家ちゃ～ん 鑑定報告書 ありがとうございました 臨時の私が言うのも何だけど あんまり首を突っ込まない方が いいんじゃない？ 監察官の薬師寺って あの怖～い顔した人みたく なりたくないでしょ えッ？ 《薬師寺さん》 あれは事故として… 処理されたみたいね 事故として 上の方で あなたのお父さんのときみたく これ ８年前に起きた 謎の焼死 この人 45年前の 大きな事件に関わってたの 45年前 そう 薬師寺って人や あなたのお父さんと同じ ３億円事件の真相を追ってた 葉月トモって人は 火の不始末ってことで 事故処理された ちなみに この人 あなたのパートナーと お知り合いだったみたいよ 黒河内さんの？ そこから 始まったんじゃないかな あなたのパートナーは色々 熱かったでしょう 《ＸＦ》 《２２７》 《００１Ａ》 《守ってきたものだ》 先生 何ですか？ ちょっと 頼まれてくれませんか 湾岸都市開発事業 関連会社 浜下建設株式会社 顧問 2011年 2012年 (バイブレーター着信) はい ☎(牛井)ああ 清家さんですか ☎至急 お話ししたいことが あるんですけど 今どちらに？ すぐに戻ります 何を探ってらっしゃるんですか？ 伊地知先生を 疑ってらっしゃるようですけど それは 浅沼さんの お父さんの証言からですか？ はい その話は信ぴょう性に 欠けるんじゃないでしょうか 死んだ浅沼さんは 伊地知先生の不正の件を 名前も知らない人から 教えてもらったと お父さんから聞きましたよ 名前も知らない人から？ ええ なんでも 感じの悪い男だったとか 感じの悪い？ 何か分かったの？ 黒河内さんは 秘書の浅沼さんを 操っていましたよね 元々 伊地知さんのことを 探っていた黒河内さんは 《伊地知先生に忠誠 誓って》 《虚偽記載で訴えられるのは 勝手ですけど》 《あの人 もっと》 《あくどいことしてますよ》 《どういうことですか？》 秘書の浅沼兼次さんに近づき 裏金の情報を流して たきつけた そして 証拠の手帳を 手に入れた浅沼さんは 《ああッ う～ッ うわッ》 自殺に偽装して 殺された 言っておくけど 浅沼さんには 危険が伴うって ちゃんと忠告はしていたけどね 葉月トモさんにも 忠告をしていたんでしょうか？ 色んな訳があったとだけは 言っておくよ それより 伊地知先生の裏 取れたの？ 裏金の証拠を 突き止めようと思ったんですけど 上から止められました 企業名は？ 覚えてます あッ そう じゃあ これ あげる これは？ 明日 伊地知先生の政治資金ﾊﾟｰﾃｨｰ あるから行ってみたら？ 面白いものが 見られるかもしれないよ 面白いもの？ どうにもならないですから 盛大で何よりです (柿崎)清家 柿崎部長 何で君が ここにいるんだ？ あッ 私は 捜査が終了した ご報告をしに 柿崎さんこそ 何で ここに？ これだけの 財界人が集まってるんだ 警備の状況を見に来たんだよ で 伊地知先生は どこにいるのかな？ お力も ぜひお借りしたい よろしくお願いします 追え ラジャー え～ 本日は ご出席を賜り 誠にありがとうございます➡ 今回の湾岸都市開発は 県のさらなる発展は もとより➡ 我が国の経済にとって 必要不可欠な事業です ピエロ？ ほう 余興もあるんだな (伊地知)皆様方のご支援を賜り… 何だ 君は 息子の敵！ 下がって 下がってください！ 落ち着いて 私は県警の柿崎といいます この私が話を聞くから 牛井に電話して お前じゃダメだ 黒河内を出せ！ えッ？ 今 黒河内って言った？ ≪(兼男)黒河内を呼べ 黒河内としか話さない 柿崎 早く黒河内を呼べ はいッ しまった 携帯 没収したんだった 早くしろ！ 私 プライベートの 番号を知ってます ホントか じゃ 早く電話しろ あッ はい (呼び出し中) はい 黒河内～ 近い 黒河内 お父さん どうしました？ 俺は あんたしか信用しない 話を聞いてくれ！ 協力しろ 浅沼は お前なら話すって言ってるんだ あれ～ でも 留置管理課の人間は 捜査をする必要は一切ないって 言いませんでしたっけ？ これも捜査ですよね お前！ そうなのか？ 柿崎 異動を撤回しろ 早く …て言ってますけど 部長 警察人事は鉄の掟なんですよね うッ いいから早く撤回しろ 撤回だッ 異動を撤回するから 早く話をしろ！ 了解ッ え～ ご来場の皆様 たった今 刑事に復活した 黒河内圭太です 浅沼さんのお父さん 改めて聞きます どうして そんなことをされたんですか？ 息子は こいつに殺されたのに 警察は 何も聞いてくれなかったからだ えッ！ 伊地知先生が 不正を隠蔽するために 息子さんを転落死させたんですか (ざわめく人々) そこまでは言ってません でも お父さん 息子さんが殺されたという 証拠でも あるんでしょうか？ 手帳だ 息子は 裏金の証拠は全て 手帳に入ってると言ってたんだ 手帳？ その黒革の手帳とやらを 先生が今 身につけてるというんですか？ おいッ 身につけてる？ や やめろ おい！ あれッ 先生の胸のあたり ちょっと膨らんでませんか？ ありましたね～ そ それは ただの手帳だ それじゃ ちょっと清家さん あの黒革の手帳の中身を 確認してもらえますか は はい 黒河内！ まあまあ 先生の無実を 証明するためですから お父さん その女性に渡してください おい 戻せ 清家さん そこに何が書いてありますか？ ｢浜下建設 200万…｣ はて？ どこかで 聞いたことのある企業名ですよね 清家さん これは 伊地知さんが 過去に顧問を務めていた企業で 今 彼が発起人となって進めている 埋め立て予定地の 公共事業の関連会社です では その200万とか 300万という数字は？ 恐らく 金額だと思います 金額？ 公共事業 関連会社 金額 あれッ それは秘書の 浅沼さんが手に入れたという 裏金の証拠じゃないんですか 伊地知先生？ (ざわめく人々) 柿崎部長 先生を救うつもりが 浅沼兼次さん殺しの 動機につながる証拠を 見つけちゃったかもしれませんね これは 再捜査の対象になりますよね あッ ああ… これは 黒河内さんのシナリオですね あなたは 終わりでいいんです あれッ ない ない！ あっちゃ～ 桜吹雪会のことは？ ごっそり持ってかれてたみたい たぶん 誰かさんに 誰かさん？ たぶん よ～く知ってる 誰かさんにね 五百円札？ これ ただの五百円札じゃないよ 紙幣番号… 45年前 ３億円の実行犯と一緒に 消えた五百円札 あの人は 実行犯ではありませんよね あの人 年 いくつだっけ？ 《終わりました》 《ジュラルミンケースは 逃走車に戻しておけ》 《実行犯は どうしますか？》 《遺書を用意しろ》 《(電話のベル)》

ヴァンパイア・ヘヴン＃07

1 ＜ あるところに 人間は誰も知らない➡ ｳﾞｧﾝﾊﾟｲｱの世界がありました｡ 悪い伯爵から逃れてきた ２人のｳﾞｧﾝﾊﾟｲｱ 桜子と小町＞ (隼人)一緒に ２人で 歳とっていく感じ？ ＜桜子は 決して叶うことのない 隼人への恋心に苦しみ…＞ (健太郎)桜子さんは…｡ ＜ かたや小町は➡ 隼人に惹かれていた 自分自身に気づき 激しく動揺｡ ｳﾞｧﾝﾊﾟｲｱと人間の禁断の恋は➡ より複雑に 絡み合っていくのでした＞ (桜子)隼人さん…｡ まだ起きたら ﾀﾞﾒです｡ 隼人さん？ あの…｡ お前… いつまで ここにいるつもり？ えっ？ ずっと３人で暮らすわけ？ いや そういうわけじゃ…｡ あの… 何か あったんですか？ 俺んち 来る？ ﾀﾞﾒです！ 私…｡ 隼人さんのそばには いられないんです｡ そっか｡ 隼人さん！ (ﾄﾞｱが開く音) (小町)ｱｲﾂ なんで出て…｡ 桜子？ どうしたの？ 嫌われちゃった｡ でも… 私 そばにいられないし｡ 血 欲しくなっちゃうから｡ 桜子…｡ なんか… 苦しい｡ もう心臓 止まってるのに｡ ♬～ たとえ ｷﾐが宇宙人でも➡ 貧乏神でも ﾓﾝｽﾀｰでも構わない｡ [ﾓﾆﾀ]ありのままのｷﾐが好きなんだ｡ (葵)健ちゃん 歌って｡ いや… 唐突ですね｡ いつにも増して｡ だって 店が暗すぎるんだもん｡ 隼人さん 連絡 取れたんですか？ 何考えてるんだろう あの人…｡ まぁ 隼人も隼人で 複雑なんだけどね｡ そうなんですか？ 朽木秀和って知ってる？ あっ 映画音楽とか CM曲とか ﾒｯﾁｬ作ってる人ですよね？ あれ 隼人のお父さん｡ えっ!? ﾎﾝﾄは ｻﾗﾌﾞﾚｯﾄﾞなわけよ｡ それが 毎晩 こんな店で弾いてんのよね｡ (ﾄﾞｱの開く音) (理沙)もう大丈夫ですか？ いらっしゃい｡ すぐ開けるから座ってて｡ あっ 隼人さん！ 噂をすればってやつね｡ すっごい景色がきれいで あと恋人同士で行くと…｡ なんだって すごいよね｡ 行きたいな｡ すみません！ 行くから｡ 全然 平気です｡ 私 ｻﾝｸﾞﾘｱで｡ 隼人は？ 俺はいい｡ 以上ですけど｡ はい…｡ あの…｡ ｹｶﾞ 大丈夫ですか？ ああ｡ 何？ えっ？ まだ用あんの？ いえ… あの ｹｶﾞよくなって よかったです｡ 葵さん あの お先 休憩いただきます｡ 桜子さん！ これ 私の奢り｡ 全部 飲めよ｡ なんか怖いんですけど あの２人｡ 桜子さん 泣いてなかった？ もう俺には関係ないから｡ 何だよ｡ ﾏｼﾞで いい加減にしてくださいよ｡ 何ですか それ！ っていうか どんだけ桜子さんのこと➡ 傷つければ気が済むんですか！ ﾎﾝﾄやってること 全部 中途半端ですよね｡ そんなだから父親すごいのに➡ ここでｷﾞﾀｰ弾くことしか できないんですよ！ そんなのは… ずっと前から わかってんだよ｡ あら？ わかってて何もしてないわけ？ 中途半端を続けるんなら 桜子ちゃんのことは忘れなさい｡ 覚悟が必要なの｡ あの子といたいならね｡ じゃあ ちょっと出てくるから｡ よろしく～｡ えっ ちょっと！ あっ… なんだ これ｡ それ 小町さんが 大量にﾀﾊﾞｽｺ入れてた｡ 隼人！ 今頃 ｱｲﾂ 相当苦しんでるだろうな｡ え？ 小町特製ｼﾞｭｰｽ 作ってやった｡ 桜子を苦しめた仕返し｡ ﾌﾌｯ…｡ 笑った やっと｡ あ～ いったいどこがいいの？ ｱｲﾂの｡ わかんない｡ は？ 何それ｡ いや どことか そういうの よくわかんないんだけど➡ でも… 隼人さんがいい｡ ふ～ん｡ 何？ ﾌﾌｯ いや…｡ な～んか こまちゃん変わった｡ え？ いや 前ならさ 人間なんてって怒ってた｡ べつに 今だって ありえないって思ってるよ｡ そっか｡ ただ 前に言ってたじゃん｡ ｱｲﾂのそばにいると➡ ｱｲﾂの血 すごく吸いたくなるって｡ うん｡ 好きなのに殺しちゃうって➡ それは つらいのかなって｡ まぁ 私には どうでもいい話なんだけどね｡ まぁ その心配も なくなったけどね｡ もう そばにいられないし｡ でもね こまちゃんが来るまで ずっと考えてたんだけど…｡ ん？ やっぱ好きなんだよね｡ 嫌われても 振り向いてもらえなくても｡ だから このまま好きでいようって｡ 物好きだね 桜子は｡ ありがとね こまちゃん｡ なんだよ｡ なんでもない｡ な～んでもない！ ♬(鼻歌) よし｡ できた｡ (源十郎)うっ おわ！ (２人)え？ 無理じゃないですか これ｡ (藤兵衛)え～ 敵地への潜入が 困難を極めてまして｡ お前ら… 死罪｡ (２人)え!? ちょ ちょっと待ってください｡ 私の眠りの邪魔をするﾔﾂは みんな 死ねばいい｡ ﾔﾂらに手を貸してる女を 突きとめました｡ 詳しく話せ｡ 実は…｡ うわ～っ！ ８時間後にね｡ ごめん｡ まだ渡してなかったね｡ はい｡ なに？ ♬～ お～っ すげえ！ すげえ！ なにこれ すげえ｡ おかえりなさい｡ それ誰のか知ってる？ 健太郎さんのじゃ｡ 隼人の｡ 小さい頃に お父さんにもらったんですって｡ そうなんですか｡ 僕にはそれ すぐ捨てろ的なこと 言ってましたけどね｡ わかってないわね 健ちゃん｡ 愛と憎しみはね 表裏一体よ｡ 壊したいのと 同じくらい愛しくて仕方ない｡ 桜子ちゃんに対してもね｡ それって…｡ つまり 隼人は まだまだ 青臭いｶﾞｷってこと｡ 私たちからしたら みんな ｶﾞｷだけどね｡ 言うわね｡ じゃあこれは 隼人さんにとって大事なもの｡ そう｡ 手放しちゃ いけないものだと思う｡ だから 桜子ちゃんが持っておいて｡ はい｡ これ切っとく｡ いや～ ありがとう 助かる｡ 私も手伝います｡ いや お前もな｡ なんですか その扱いの違い｡ この野菜どうやって切るの？ (健太郎)これは…｡ ♬～ (瑞穂)あ 隼人さんいた？ これ捨ててきて｡ え これって 隼人さん使ってたやつじゃない？ もうﾎﾞﾛいからいらないんだって｡ (ちさと)楽器って何ｺﾞﾐ？ えっ ｺﾞﾐって それ捨てちゃうんですか？ だったらください｡ 学祭で使いたいんで｡ ああ いいけど｡ ありがとうございます｡ ありがとうございます｡ あの ｶﾌｪにあったｷﾞﾀｰ知りません？ ｷﾞﾀｰ？ はい｡ あれは理沙に 捨てていいって言われたから➡ 女の子たちにあげちゃったけど｡ その人たち どこ行きました？ あれ？ どこ行ったの？ えっ？ ♬～ 待ってください！ 桜子？ あれ!? いない？ さっきまで いたのに…｡ 嫌な予感がする…｡ あ… ちょっと 小町さん！ 熱っ！ あのﾊﾞｶ！ あっ！ ねぇ いた？ あのさ 太陽当たっちゃったら やっぱ…｡ 焼け焦げて 死ぬ｡ 僕… もう１回 あっち見てくる！ 桜子…｡ よかった…｡ ♬～ 大丈夫｡ きっと 日陰見つけて そこで 太陽しのいでるはずよ｡ それができないのが 桜子なの！ ｱｲﾂのｷﾞﾀｰ ﾊﾞｶみたいに追いかけて…｡ あぁ… 本当 もう 何 考えてんの!? 隼人さん｡ どうかしたのか？ お前のせいでな… お前のせいで…｡ 何すんだ!? いきなり！ 殺しとくんだった｡ 殺せるうちに…｡ えっ？ 桜子がお前のｷﾞﾀｰを探しにいった｡ で… たぶん ひどい目に遭ってる｡ なんだよ？ それ！ どういうことだよ!? あっ！ 桜子さん｡ 桜子！ こまちゃん ありがとう…｡ ﾊﾞｶ！ ﾊﾞｶ ﾊﾞｶ！ ﾊﾞｶ!! ごめんね…｡ ＜ｳﾞｧﾝﾊﾟｲｱと人間の恋｡ 危険なのは 血を吸われる 人間だけと思われがちですが…＞ 桜子！ ＜ｳﾞｧﾝﾊﾟｲｱにとっても これは 命がけの恋なのです＞ 桜子… 桜子！

八重の桜＃45

1 (大沢)琵琶湖疏水の工事 いよいよ 来月から始まりますねや｡ (覚馬)京都と琵琶湖が 運河で つながれば➡ 水運の大連絡路が出来る｡ (時栄)ほしたら 京都は ますます繁盛するのどすな｡ 戦で 焼け野原になって 遷都で 寂れた都が➡ よう ここまで 盛り返したもんや｡ ≪(町の喧噪) 町の活気が聞こえる｡ 人間の やり直す力は やはり 大したもんだ｡ ええ｡ そやけど 年には勝てまへんな｡➡ 私も すっかり老いぼれや｡ (大沢)情けない事 言わんといておくれやす｡ いざという時は おやじに 出張ってもらわな あきまへん｡ へえ へえ｡ 分かってます｡ 先生は 大したもんや｡ 京都府顧問 府議会議長 勤めてきて➡ 今度は 商工会議所の会長はん｡ ずっと 働きづめどすな｡ いや まだまだ やりきれてねえ｡ 先生｡ 行ってくる｡ お早う お戻りやす｡ (登美)う～ん！ いい匂いだこと｡ (民治)何だ これは｡ 西洋の大判焼きか？ (八重)ﾜｯﾌﾙです｡ 襄の大好物で➡ 棚に隠していても すぐに見つけんですよ｡ 子どもの頃は 隠しただんごを 見つける名人でした｡➡ 鼻がきくんですね あの子は｡ 我が息子は 今は ﾎﾞｽﾄﾝとやらに いるらしい｡ １年以上も留守にして➡ 八重も 母屋に一人では 寂しかろう｡ ちっとも｡ 襄は まめに 葉書を送ってくれますから｡ それに 女学校も いろいろあって さみしがってる暇もねえ｡ 十分な お世話ができなくて 申し訳ねえなし｡ (民治)ﾊｯﾊｯﾊｯﾊ｡ いやいや…｡ ≪(久栄)ごめんやす｡ あれ 久栄だ｡ 久栄｡ なじょした？ (久栄)叔母様…｡ うち あの人 嫌いや｡ あの人が いはったら 母様が変わってしまう｡ ♬～ おおきに｡ とにかく 上がらんしょ｡ また 来るわ｡ ♬～ ♬～(ﾃｰﾏ音楽) ♬～ 女学校から 手を引く!? (市原)女子宣教師は みんな 引き揚げると➡ ｽﾀｰｸｳｪｻﾞｰ先生に 言い渡されました｡ (高松)それで 朝から 皆さん 姿が見えへんのですね｡ (金森)ｼﾞｬﾊﾟﾝ･ﾐｯｼｮﾝが 女学校ば 廃校にする事を➡ 満場一致で決めたとです｡ 廃校!? なじょして そんな大事な事 相談もなく 決めんのですか！ 新島先生が留守の間に こぎゃんこつは 許されんばい｡ 言いなりになる事は ねえ｡ 宣教師がいなくたって 学校は やれる｡ (市原)ばってん 続けるには 金が かかっとです｡ 今は 大学設立の資金集めに 汲々としとる時だけん｡ 金森さん 市原さん これは ﾁｬﾝｽです｡ (２人)ﾁｬﾝｽ？ ﾐｯｼｮﾝに頼りきっていた 今までの やり方が間違っていたのです｡ この機会に 学校を作り替えましょう！ (覚馬)女学校を続けるには➡ 当座の運営資金と 経営を任せられる人が要るな｡ 私に 商工会議所の人を 紹介してくなんしょ｡ 一人一人 訪ねて 寄付を頼んでみます｡ (覚馬)今は 時期が悪い｡ 琵琶湖疏水の工事に 商工会の人たちも➡ 相当な額を出資してる｡ 女学校を 守らねばなんねえのだし！ 襄が留守の間に 負げる訳にはいがねえ｡ 分がった｡ 会員名簿を持っていけ｡ ありがとなし｡ 時栄さんは？ 北野天神だ｡ 青木を 縁日に連れていった｡ 縁日に…｡ 珍しい｡ 書生に来て １年になる｡ たまには 息抜きもさせてやんねえとな｡ 兄様｡ 昨日 久栄が うちに来て➡ 妙な事を…｡ 何だ？ ≪(久栄)何してんのや！ (佐久)なじょした？ 大きな声 出して｡ (久栄) この人 母様の手を握らはった！ 何 言うのんえ｡ 鉢を渡そうとして 手ぇが触っただけや｡ うそつき！ 母様は 不道徳やわ｡ 私が見てくんべ｡ これ… どういう事だし｡ (青木)先生に話します｡ 待って！ 何を言う気や！ 放して下さい！ 青木さん！ なじょした？ 先生に伺います｡ 時栄さんを 何と思っておいでだべか｡ 妻ですか？ それとも…｡ 何を言っている｡ 14の年から 先生の世話だけに明け暮れて➡ 今日も 縁日に行ったぐれえで 子どもみてえに喜んでた｡ 名士の妻などといっても まるで…➡ 女中のような暮らしだ｡ やめなさい！ 時栄さんは 先生の手足ではねえ！ 一人の女だ！ いい加減にしっせえ！ 僕は あの人を解き放ってあげたい！ 八重さんには 自由であれと 言っておきながら➡ 時栄さんには 忍従を強いでる！ 先生は 偽善者だ！ (時栄)やめて｡ もう やめておくれやす｡ お願いや｡ (覚馬)間違いが あったのか？ (時栄)何も あらしまへん｡ 一人で心細いやろと➡ お世話してたんを 勘違いしはったんや｡ 知らん土地で 学校にも なじめんで➡ 頼る人が欲しかったんやろ｡ 青木は 国に帰す｡ こんなふうでは 学問も 物にはなんねえ｡ 学校だけは 続けさせてあげとくれやす｡ まだ 若いのや｡ こんな事で 将来が台なしになったら➡ かわいそうや｡ 遅えから 今夜は もう寝らんしょ｡ 母様は 父様を裏切ったんやろか｡ そんな事 ある訳ねえべ｡➡ 心配しねえで｡ 今に 元に戻っから｡ (時栄)八重さん｡ 旦那様が｡ 兄様…｡ 青木を 大阪の私塾に移す｡ 転校の手続きを頼む｡ 時栄さんの事は なじょすんのです？ 口を出すな｡ 何もない｡ 何もなかった｡ 生徒たちは➡ 学校が続くのを信じて 学業に励んでいます｡ どうか お力を貸して下さい｡ うちとは 関わりあらへんわ｡ お願いします｡ (英語の朗読) そこまで｡ さちさん 訳して下さい｡ はい｡ ｢お話を聞かせてと 子どもたちは言った｣…｡ これからは 英語も 商売道具や｡ うちの娘も ここに通わそかな｡ うちは 門徒やからなあ｡ この学校は ｷﾘｽﾄ教徒にならんでも 構いまへんのや｡ そうか｡ そりゃええな｡ では 次のところ｡ はい｡ (英語の朗読) 授業参観とは ええ事 思いつかはった｡ 耶蘇の学校やいうて 敬遠してた人たちも➡ これで 見方 変わるやろ｡ はい｡ 寄付も どうにか集まりそうどすな｡ 経営の方は せがれの大沢が 見させてもらいますよって➡ 何でも 言っておくれやす｡ ありがとうございます｡ 時栄から 話を聞きました｡ 自分のせいで➡ 先生が苦しんではるのを 見るのが つらい｡ そない言うて 相談に来ましたんや｡ 心配いりまへん｡ 私しか 知らんこっちゃ｡ 八重さんも さぞ腹が立つやろうけど➡ 堪忍してやって もらえまへんやろか｡ その事は…｡ 時栄が悪い｡ つけいられる隙があったんや｡ 時栄を 先生のお手伝いにやってから➡ もう 20年がたちます｡ 薩摩屋敷に捕まらはった時➡ 時栄は 牢に通うて よう お世話してました｡ 先生が 目ぇも見えず 足も立たん体にならはった時➡ 私は言うたんどす｡ 嫁ぎ先を世話するよって➡ 後は こっちに任したら どないやいうて｡ そやけど 時栄は おそばを離れんかった｡ どないな事があっても 先生に お仕えしたい 言うて｡ 一遍だけ 目ぇつぶって➡ 許してやっておくれやす｡ 大垣屋さん…｡ ≪(生徒たち)♬｢Jesus loves me！ This I know,｣ ♬｢For the Bible tells me so.｣ (大垣屋)きれいやなぁ｡ 天から聞こえてくるようや｡ はい｡ ♬｢They are weak, but He is strong｣ 私のような無学な者でも あれを聴くと➡ 魂が洗われるようや｡ この学校は 京都の誇りや｡ ここ 守るためやったら➡ どないな事でも さしてもらいます｡ ありがとうございます｡ ♬｢For the Bible tells me so.｣ ♬｢Little ones to Him belong;｣ ♬｢They are weak, but He is strong｣ ♬｢Yes, Jesus loves me！｣ (雨の音) 時栄｡ へえ｡ ２人で 洗礼を受けねえか｡ 俺は 罪を悔い改めようと思う｡ (覚馬) お前も 一緒に洗礼を受げて➡ もう一遍 一から やり直してみねえか｡ へえ｡ ♬～ (ｺﾞｰﾄﾞﾝ)山本覚馬｡ (英語で) (ｺﾞｰﾄﾞﾝ)ｱｰﾒﾝ｡ ｱｰﾒﾝ｡ この日 洗礼を受けた 覚馬と時栄は➡ ２人そろって ｷﾘｽﾄ教の信徒となった｡ 無事に洗礼が済んで よがったなし｡ へえ｡ 時栄さん｡ ありがとうごぜえました｡ え？ 今までの事 改めて お礼を言わねえと｡ 兄様が生きてこれたのは 時栄さんのおかげだ｡ みねの事も 立派に育ててくれて 本当に ありがとなし｡ 兄の事 山本家の事 これから先も➡ よろしくお願いします｡ 礼なんか…｡ うち 罰当たるわ｡ 神様に 見抜かれたんやないやろか｡ ここに隠してある事 みんな｡ 何の事？ うち…➡ ずっと 妬んでましたんや｡ え？ うらさんの事｡ 身を引いた うらさんは➡ 旦那様の胸に 消せん傷をつけはった｡ 旦那様の中に ずっと うらさんが おんのや｡ 年も取らんと きれいなままで｡ 時栄さん…｡ そんな気持ち もう捨ててくなんしょ｡ 時栄さんと兄様は 洗礼を受けて 生まれ変わった｡ 今日から 新しく生き始めんだし｡ 新しく…｡ そうや｡ やり直すんや｡ はい｡ ♬～ この年の12月 太政官が廃止され 内閣制度が発足｡ 伊藤博文が 初代内閣総理大臣に就任した｡ そして ｸﾘｽﾏｽを迎える頃➡ １年８か月ぶりに 襄が 日本に戻ってきた｡ あっ お着きになったぞ｡ (学生たち)先生！ お帰りなさい！ お疲れさまでした｡ 襄！ (新島)ただいま帰りました｡ お帰りなさい｡ (市原)無事のご帰国 おめでとうございます｡ (学生たち)おめでとうございます｡ ありがとうございます｡ (金森)土産話ば伺おうと 待っとりました｡ では まず よい報告から｡ ｱﾒﾘｶﾝﾎﾞｰﾄﾞから ５万ﾄﾞﾙの寄付金を 頂いてきました｡ (市原)５万ﾄﾞﾙ！ (金森)そらあ たまげた！ 詳しく 聞かせち下さい｡ んだら 話は中で｡ ささやかな祝いの席を設げました｡ (市原)先生も 早う 中へ｡ ♬～ もう！ 子どもみたいに！ お土産です｡ 長い事 家を空けて すいませんでした｡ きれい…｡ 羽みたいだ｡ 留守の間 苦労かけましたね｡ 少し痩せたんでは？ 胸は苦しくねえがし？ さすけねえか？ さすけねえ｡ ﾌﾌｯ！ まあ！ 今度の旅が 私に また 生きる力を与えてくれたようです｡ 広い世界に出た方が 襄は 伸び伸びと 息ができんのですね｡ 寄付も集まったし 養生にもなりました｡ んだげんじょ あの文が届いた時 どんだけ 驚いたか｡ あの遺書は 手違いで送られたんです｡ 驚かせて すいませんでした｡ 今度は 一緒に行きます！ 離れて心配すんのは もう嫌です｡ そうしましょう｡ 私も 次は ２人で 異国の景色を眺めてみたい｡ さあ 留守の間の事を 聞かせて下さい｡ いい話も 悪い話も ありますよ｡ では まず 八重さんが 女学校のために戦った話から｡ はい｡ 八重さん｡ 私が 一番ゆっくりと 息がつける場所は➡ やっぱり あなたの隣です｡ おおきに｡ 御苦労さん｡ 先生は お出かけどすか？ 学校に行かはった｡ ほんなら 改めて 注文取りに参じます｡ 時栄さん｡ 青木さん 何で ここに？ 会いたくて 来てしまった｡ 一目だけでもと…｡ 近寄ったら いかん｡ 忘れなくちゃなんねえと 思うげんじょも➡ どうしても 未練が断ち切れねえ｡ 女々しいと思っても 会いたくて 苦しくなんだ｡ 時栄さん…➡ 一緒に 逃げてくなんしょ｡ あほな事 言わんといて｡ 二度と会いとうないねや｡➡ もう ここには 来んといてくれやす｡ あんた ひでえ人だ｡ ♬～ 優しいそぶりで…➡ 誘ったのは あんたじゃねえか｡ え？ (本を落とす音) あの… 先生に見てもらう本が あったんやけど…｡ ほな また今度｡ ♬～ 時栄と青木の事は 噂話に 尾ひれが付き➡ 覚馬の妻の不始末として 京都の町に広まっていった｡ (金森)宣教師たちが 不道徳だと怒っとります｡➡ 時栄さんの不祥事が 問題になっとっとです｡➡ 何しろ 洗礼ば受けて すぐのこっですけん｡ 困ったこつに 先生が ｱﾒﾘｶﾝﾎﾞｰﾄﾞから引き出した➡ ５万ﾄﾞﾙの使いみちにまで 飛び火してしもうたとです｡ 伝道のための資金が➡ 大学設立に使わるっとは おかしかと｡ 私は 伝道と大学設立との境目は➡ あえて 曖昧にして 寄付を募りました｡ 大学のためだけだと 寄付が集まらないのです｡ (金森) もう 大学どころじゃなかたい｡ (市原)覚馬先生の名にも 傷がついてしもうた｡ 宣教師たちには 私が説明します｡ つまらぬ噂話などに惑わされず➡ なんとか しのぎましょう｡ ばってん 不義の話が ほんなこつやったら…｡ そんな噂 でたらめだし｡ 不義だなんて… そんな事 あるはずがねえ｡ ♬～ 心ない噂の事は 気にしなくていいがら｡ ある事ない事 面白がって 言い触らす人たちが いるだけだ｡ 青木さんは 二度と このうちには 近寄らせねえ｡ 安心してくなんしょ｡ 時栄さん？ 何も… なかったんだべ？ 何年 一緒に暮らしたかて➡ 旦那様は いつまでたっても 会津のお方や｡ 当たり前だ｡ 何を言ってんだし｡ うちは 旦那様の胸にいはる うらさんとは違う｡ 生身のおなごや｡ きれいなままでは 生きられへん｡ 言い寄られたら➡ 抱きすくめられたら 手ぇ握られたら…｡ 時栄さん！ 罪深いおなごや｡ 洗礼を受けたかて➡ 清められへん｡ なんて事を…！ なんて事してくれたんだし！ こんな時に…｡ 不始末の噂が どんだけ 足を引っ張っか…｡ 兄様の名を どんだけ 汚す事になっか！ 分かってます｡ よう分かってます｡ 出てってくなんしょ｡ お願いします｡ このうちから 出てって下さい｡ 兄と別れて下さい｡ (戸の開く音) 兄様…｡ 八重か｡ 時栄も いんのか？ へえ｡ 今度の事は 俺から出た事だ｡ 始末は 俺がつける｡ んだげんじょ！ (佐久)八重｡ 覚馬は 商工会議所を辞めてきたんだぞ｡ えっ…｡ もういい｡ 騒ぐな｡ 旦那様…｡ 縁を切っておくれやす｡ うちを 離縁して下さい｡ (時栄)久栄を お願いします｡ 母親のせいで あの子の心が 歪まんように｡ ♬～ 神戸に 大垣屋の身内がいる｡ しばらくは そこに 身を寄せていろ｡ へえ｡ 暮らしの面倒は見る｡ 肩身の狭い思いは させねえ｡ おおきに｡ 身の回りの物を しもうてある場所は➡ おばば様に みんな 伝えておきますよって｡ ああ｡ 腰が痛む時の塗り薬は 久栄が 作り方 知ってます｡ 山本覚馬の妻である事が➡ うちの誇りやった｡ ♬～ 長い事 お世話になりました｡ ♬～ (佐久)久栄は？ 久栄の事 お頼み申します｡ 母様！ 久栄｡ やっぱり 父様を裏切ったん？ それで 縁を切られて出ていくんか？ これには 訳があんだ｡ 後で ゆっくり 話して聞かせっから｡ 母様が傷つけたんは 父様だけやない！ うちの事も 裏切ったんや！ 母様なんか…！ 何を ぐずぐずしていんのです｡ さっさと出ていってくなんしょ！ 久栄｡ この人は もう 母様ではねえ｡ 山本家とは 縁を切った人だ｡ ほら 早ぐ出てけ！ ♬～ やめて！ 母様に ひどい事せんといて！ 出ていかんといて｡ うちを置いてかんといて！ (泣き声) 久栄…｡ 堪忍や｡ 母様は もう ここには いられんのや｡ (泣き声) 父様のお世話を頼んだえ｡ 母様と別れるのは 嫌や！ 久栄 幸せにならんといかんよ｡ 嫌や～！ 嫌や！ ♬～ (佐久)これで よかんべ｡ 母親を憎んだまま別れたら 久栄が救われねえ｡ ♬～ [ 回想 ] お帰りやす｡ 小田時栄どす｡ やめよし！ 近づいたら 撃ちます｡ おい！ １発や２発 外しても 構わねえぞ｡➡ 弾は ６発入ってっかんな｡ 一発も外しまへん！ (覚馬) 不自由な体で 世話をかける｡➡ よろしく頼む｡ へえ｡ ♬～ 時栄…｡ ♬～ おおきに｡ ♬～ 母様！ (泣き声) ♬～ (久栄) 健次郎さんは 同志社をやめて➡ 東京で 小説家になると 言うてます｡ (健次郎)兄貴に比べたら 俺は取るに足らん 蘆の花たい｡ (久栄)うちら 今から 結婚するつもりや｡ 家族だから 反対すんだ！ 叔母様に 口出しされる いわれは ないわ！ どうしたら 母親らしくなれんのか｡ (ユキ)八重ねえ様らしくねえな｡ 子は 思うようにはならん という事を 心得ておくといい｡ (健次郎)自分ば こらえて まっとうな人間になろうと➡ みんな 必死に もがいとっとじゃなかですか!? (久栄)これから ２人で 東京に行きます｡ <新島 襄の ２度目の海外周遊からの帰国後➡ 多くの資金集めに成功した 同志社では➡ 近代建築を取り入れた校舎が 建ち始めました> <将来的な 総合大学設立に向けた準備が➡ 着々と整えられていきました｡➡ 更に 襄の布教活動の成果も現れ➡ 京都をはじめ 各地に ｷﾘｽﾄ教が広まっていきます｡➡ 襄の夢が 一気に 花開いていったのです｡➡ 一方 八重が教鞭を執っていた 同志社女学校では➡ ある事件が起きます｡➡ 明治18年 ｼﾞｬﾊﾟﾝ･ﾐｯｼｮﾝが➡ 女学校を一時閉鎖すると 決めたのです｡➡ 八重たちと 外国人宣教師の➡ 文化の違いによる 確執が原因でした> <八重たちは 同志社女学校を 存続させるために奔走します｡➡ その後 実業家 大沢善助らの 支援により➡ 廃校を免れました｡➡ この事件を機に 教師と生徒との絆は➡ 一層 強いものに なっていくのです> (仁左衛門)１つ作って入り また １つ作って入り｡ 三度 繰り返さねば 金蔵に入る事は かなわぬか｡ <雲霧一党を追いかけ➡ 江戸から名古屋へと来た 火付盗賊改方は➡ 逗留先の寺から 藤屋を見張っていたが➡

Q１０＃02

1 ♪♪～ （小川　訪）　ふぁ～…。 え？ （小川しげ）　また来てるよ。 え？ あ…　中尾じゃん。 知ってるコ？ うちのクラス。 昨日も来てた。 ウソ!? え？　な…　何で？　何？ あんた　恨まれてんでしょ？ やめてよ。 あぁ！ え？　何？ Ｑちゃん目当てじゃないの？ えぇ？ （深井平太）　＜うちのクラスに ロボットが　やって来た＞ ♪♪～ ＜校長先生は 絶対に秘密だというけれど→ そんなバカな話 誰にも　いえるわけがない＞ ＜同級生がロボットって…＞ 何だよ！ （影山）　何だよ。 おめぇ　あっち映せよ。 （影山）　あ～　あれなぁ…。 すまん！　あれ　気の迷いだった。 は？ ハマってたよな～　俺。 まぁ　でも　よく考えたら そんな好きなタイプじゃ　ないし。 何だ　それ。 というわけで　俺　もうフリーですわ。 いいよ　何だよ。 撮んなよ　俺を撮るな。 ≪影山　おはよう！≫ おう　おはよ～！ おはよ～　行ってるよ～。 また今日も 何ら変わることのない風景です。 うい！ うい！ おはよう！ おぉ…　え？　何すか？ ストーカーだよ　ストーカー。 は？ Ｑ１０に　まとわり付いてる奴が いるんだよ。 まさか。 中尾？ マズイって。 このまま付きまとわれてもみろよ お前→ Ｑ１０がロボットだって バレちゃうじゃねえかよ。 だって　あいつ　オタクだし 女なんか　興味ないんじゃ…？ 中尾に諦めさせろ。 どうやって？ 考えろよ。 何すか…　え？ 頼んだよ。 いや　無理ですよ。 頼んだよ　よろしく。 いや　無理ですって　無理ですよ。 無理ですよ　え？ ♪♪～ ♪♪～ 「だらだらした日常に　突然 キラキラしたものが現れる」。 えぇ～？ 「俺たちは　キラキラしたものを つかむのに　いつも必死で→ もし　そいつを一瞬だけでも つかまえることが　できたなら→ また　ど～でもいい教室に 戻ってゆけるのに」。 「キラキラ」って…。 （久保）　≪そりゃ恋だな≫ ≪恋!?≫ いや　でも　中尾なんだけどな。 （久保） 俺も　やっときゃよかったかな～。 恋を？ うん。 いや　相手は誰でもいいんだけどさ こう…→ デートっていうか。 デートって…。 いや　あるんだよ レイ・ブラッドベリの小説に。 夜に散歩する話　手つないで。 それが　生涯たった一度の 夜になるっていう。 生涯に…→ たった一度のデートが 夜の散歩。 うん。 はぁ～　あり得ない。 え　じゃあ　お前だったら　何？ 俺は　ん～　俺は　普通がいいよ。 普通って？ 一緒に映画見て→ ２人して　涙出るほど笑って…。 ((笑い)) あ？　ん？ やっときゃよかったな～ 夜の散歩。 そしたら　手術　失敗しても 「まぁ　いっか」って思えるし。 その程度なのかよ。 でも　この世に 引き留めるものなんて→ その程度なんだよ。 大丈夫　できるよ　夜の散歩。 じゃあ　戻ったら　ダブルデートな。 ♪♪～ ＜俺を この世に引き留めるもの…＞ （彼女）　≪え～　どれにする？ 迷っちゃうね≫ 早く。 （彼氏）　ちょっと待って…。 じゃあ　いっせ～の　せで。 いい？　行っちゃう？ （彼女）　せ～の！　はい！ ＜「俺たちは　キラキラしたものを つかむのに　いつも必死で→ もし　そいつを一瞬だけでも つかまえることが　できたなら→ また　ど～でもいい教室に 戻ってゆけるのに」＞ そっか…。 中尾　恋してんのか。 ♪♪～ ねぇ　そんなにさ　俺ばっか いつも撮ってさ　楽しいの？ 分かった　俺が撮ってあげる…！ バカ　やめろ　俺の…！ 誰？　知ってる？ 山本？ 山本…。 山本だし!! （何かが落ちる音） 山本なんだ…。 あぁ　これは　ピック 多分　山本のだよ。 あいつ　ギターやってっから。 （Ｑ１０）　これは　うろこです。 う…　うろこ？ うろこって　何の？ 人魚姫。 人魚姫…　あいつが？ おはよう…　あ…。 人間の男の人に 恋に落ちたのですか？ 男の人に会うために…。 小川先生が　すぐ来いって ごめんね～　ごめん　はいはい…。 人間の…。 はい　え～…→ 山本は　人魚姫じゃありません 人間です。 ずっと人間だったし これからも人間　分かった？ でも　うろこが…。 だから　これピック。 ギターを弾く道具 プラスチックで出来てるの。 プラスチック。 そう。 だから　ちゃんと返しとけよ 山本に　ね。 人魚姫は？ だから　そんなもん　いねえよ！ 世界中　探したって どこにも　いないの！ 作り話　まったくのウソ！ でも　本に…。 本には　ウソも書いてんの。 人魚姫は　ウソ。 そう　ウソ　まったくの　でたらめ 分かった？ 何のために？ はっ!? 何のために　ウソを書くのですか？ 知らない！　知りません！ とにかく　もう　絶対　山本のことを 人魚姫とかいうなよ！ 分かった？ （柳）　人魚姫？　知ってるよ。 （藤丘）　お待たせしました。 海でしか生きられないのに 陸に来た。 とても　無謀だと思います。 まぁ　確かにバカだよね。 多分　海を出て暮らすのは 無理があるって→ 彼女も分かってたと思うよ。 でも　ハマっちゃったのよねぇ 人間の男に。 「ハマる」？ 食べることも　寝ることも 忘れるぐらい好きになること。 それは　悪いことですか？ う～ん…　普通の生活が 送れなくなるからなぁ。 でも　そういうことでもないと やって行けないんじゃないかな。 そういうことがあるから 明日も生きて行こうって→ 思えるんじゃないかな。 （岸本）　ハマってること？ あえていえば　仕事かな。 「教育」って現場が とてつもなく好きなわけよ→ 俺って人間は。 （岸本）　ビビアンちゃんかぁ いいコだったよな～。 校長先生は　仕事にハマってる。 （岸本）　ま　そういうことかな。 先生は　仕事に戻ってください。 ん？ （岸本）　あぁ!? 捨てては　いけなかったのですか？ いや　捨てるんだけどさ→ 一人一人 お別れしたかったのに～…。 平太は　今 ハマっているのですか？ うん…。 中尾君に　ハマっているのですか？ うん…　あ　ごめん 俺　ちょっと用事あるからさ→ １人で帰ってくれる？ パフ。 平太は　中尾君にハマっている。 うわ～…。 偶然だね　お前も　ここなんだ。 何　読んでんの？ へぇ～…。 これ　面白い？ （中尾）　ンフフ…　ウフフ…。 これ　誰かに似てんな。 どうしたの？　何で逃げんだよ 何で逃げんだよ！ うぅ～！ フフ…　すいません。 そっか…　それでか。 Ｑ１０に似てんだ　これ。 （来店のチャイム） おう。 ん？　どうした？ （恵美子）　イヤっ！ ちょっと　え？　えぇ!? 何なの？ 女の人って 何いわれたら嬉しいんだろ？ 「お前の家賃は　俺が払う」。 えぇ？　いや　そんなこと…。 あぁ　あとは 「お前の健康保険も俺が払う」。 いやいや…。 ハァ…。 （チャカ） ♪～　キスして　抱き締め合えたら ♪～　不器用な君の口元も 緩むのかな ♪～ 今日のライブ 超カッコよかったです！ （チャカ） ごめんね　プライベートなんだ。 行こう。 な～んだろ　あれ。 もういいじゃん　帰ろ。 ただいま。 （深井千秋）　おかえり。 あぁ…　あ～！　うわ～！ えっ　何？　何？ お母さん！ ちょっと…。 （深井ほなみ）　何　何なの？ （ほなみ）　うわっ。 ねっ　ねっ　ね～！ 何だよ？　何だよ？ [TV]♪～　十五夜の月明かりの下で [TV]♪～　１６本目の キャンドルを消す [TV]♪～　１７度目のキスをした後 （ほなみ）　何で　今まで 気づかなかったんだろう。 弟が　ハジメだったとは。 [TV]♪～　おはこ～ （千秋）　あっ　ここ！ ここんとこ ちょっと　あんた　やって。 は!?　俺が？ ちょっと　いいじゃん！ もう　ちょっとだけ！ ♪～　おはこ～ え～？ いいじゃん　ほらほら！ ♪～　おはこ～ （ほなみ：千秋）　あ～!! 何それ！　何だよ　それ！ （千秋）　もう一回！ もう　いいよ　もう　いいよ。 やりなさい。 う～ん　あ～　もう！ ちょっと　あんた何する気？ （千秋）　誰の頭だと思ってんのよ！ 俺のだろ！ うるさい！ 勝手なこと　するんじゃないわよ！ 痛たた…。 （ほなみ）　明日から　もう　あんた ずっと　この髪形ね　決定。 分かりました　分かりました 痛い痛い…。 じゃあ　行くわ。 （民子）　じゃあ。 ≪来たよ…≫ ブスのくせしてさ　チャカが 本気で相手すると思ってんの？ ≪聞いてんの？ 何とか　いいなさいよ！≫ ≪おい　ブス！≫ ≪おい　ブス　待て！　こら！≫ ふざけんな　何　逃げてんだよ！ 二度と チャカに　近づかないでよね！ ≪分かってんのかよ！≫ ≪ふざけんなよ　おい～！≫ ≪ふざけんじゃねえぞ！≫ ≪チャカが本気だとか 思ってんのかよ≫ ≪もう　ライブ来んじゃねえよ≫ ≪二度と来んじゃねえよ！≫ ≪二度と チャカに近づくんじゃねえぞ！≫ ≪何なんだよ　お前≫ 痛たたた…！　離せよ！ 何すんだよ！ 降参です。 降参です　降参です。 白旗は　降参です。 何なんだよ　お前。 降参した人間には 危害を与えないのがルールです。 キモいんだよ。 うわ～！ 降参です。 痛いのですか？ そうじゃなくて…。 「死んでしまえ」って思った。 マジで死んでしまえばいいって。 ここは　生きて行ける場所ですか？ ♪♪～ うぅ～。 どう？ どうしたらいい…。 あ～。 やっぱ　中尾には はっきり　いったほうがいいよな。 俺の女に　手　出すんじゃねえよ。 フッ　「俺の女」って…。 うわ～！ うわ～！ よう。 分かりました　やめます。 いいの？ もともと　久戸さんが好き ってわけじゃ　ないですから。 ん？ こっちが好きだったわけですし。 あ～　こっち　こっちね。 もしさ　デートとか できたりなんかしたら→ 生涯に一度の 思い出になったりするのかな？ いや　まぁ　デートっつっても 散歩するぐらいの話なんだけど。 も…　もし　ルナちゃんと お散歩できるんでしたら…。 「ルナちゃん」？ ルナちゃん。 ３０００万円　払ってもいいです！ ３０００万円!?　持ってんの？ 高校生が持ってるわけ ないじゃないですか！ だって　「３０００万円」って…。 だから　ローンですよ～。 サラリーマンに　なってから コツコツ　コツコツ返して行くんです。 お前　すげぇな。 え？　何がです？ いや　だって　散歩するだけで…。 何だったら ４０００万円　払ってもいいんです！ 分かった　分かったよ！ じゃあ　最後の思い出に→ デートしとく？ それで　今後　付きまとうの 一切なしということで。 えっ。 何　何…？ お礼したいんだけど 何もないですから。 いやいや　いいよ そんな大事なもの。 深井には 分からないかもしれないけど→ それぐらいの価値が あるんだって！ ♪♪～ （恵美子）　深井君！ うぉ～　ビックリした～。 あ…　あの　昨日の髪形って もう　しないのかな？ あ～！　もしかして　お前も？ ハジメとかいうやつの。 ちょ…　深井君　声　デカイ。 あれ　俺　もう　一生やんないから。 え～!?　お願い　一回だけ。 プリクラ撮ってくれたら何でもする…。 絶対に無理　無理…。 無理　無理。 かぁ～！　もう！ （プリントシール機のシャッター音） もう　いいんじゃない？　これでね。 こんなに　たくさん…。 ハジメのアップ　ハジメのアップ。 （プリントシール機のシャッター音） や～！　ハハハ　アハハ！ ホント　疲れた。 （影山）　じゃあね。 んだよ　平太の奴 女子とプリクラかよ。 ほいっ。 おっ…。 だから　ね　俺が 「オハコ」っていうアイドルに→ すごい似てるらしくて　ね？ それで何か　一緒にプリクラ撮ってくれ っていわれただけだから。 それだけの話！ いいよ　そんな必死に…。 いや　だって 絶対　誤解してんじゃん。 ほら　絶対　誤解してる。 だから　いったじゃん。 河合のことは 別に何とも思ってないし。 いや　ホントに 何とも思ってないから　ホントに。 今日は楽しかったです。 あの…。 はい？ よかったら　ケータイのアドレス 教えてもらっても　いいっすか？ 何か　ほら　また連絡…。 いいですよ。 あっ　僕　やり方 よく分からないんですけど。 私　やりましょうか。 すいません。 何で電柱？ あっ　いや　割と好きなんですよね そういうの　電柱とか。 はぁ。 あぁ　そうなんだ。 あっ　いや　そんな　好きって ほどでもないんですけど。 たまに鳥居形とか　ちょっと いいかなって思う程度で。 そんぐらい。 あ…　あぁ…。 今日は　ホントに ごちそうさまでした。 あっ　いや　あの　もし　よかったら この後　軽く飲みに…。 今日は　ちょっと…。 そういわずに…。 いえ　本当に。 お願い…！ お前の家賃は　俺が払うから！ は？ お前の健康保険も　俺が払う。 あっ　いや　違う！ 違うんです！　違う！ 違うって！　あぁ！ あぁ～…。 ごめんね　何か呼び出したりして。 あれだろ？ 平太とプリクラ行ったことだろ？ 大丈夫だから 俺　誰にも　いわないし。 いや　あの　そうじゃなくて。 違うの？ あの　私が　アイドル好きなこと→ 絶対　みんなに いわないでほしくて。 ほら　アイドルオタクだって 知られたら→ みんな　引くと思うし。 あの　影山君には 分からないと思うんだけど→ これ　結構　切実なんだ。 分かるよ。 え？ 俺も同じだから。 いや　俺も好きな奴 いるんだけど→ みんなに知られると　絶対 引かれるの分かってるから→ 誰にも ホントのこと　いえなくってさ。 影山君って　見かけによらず けなげだね。 え？ そうかな？ あ　もしかして　好きな奴って…。 え？ 私と同じ　ハジメだったりして。 あっ　いや　そうじゃなくって…。 ヤスのほうなんだ よかった～　担当違って。 いや　あの…。 一瞬かぶってるかと思った。 じゃ　ない　じゃ　ない。 じゃあさ　じゃあさ ヤスの家のこと知ってるよね？ ヤスひとりがさ すっごい頑張ったのにさ→ 結局　家族全員 バラバラになっちゃってさ。 私　この一連のヤスの頑張り話 聞いた夜　泣けた！ っていうか　号泣？ 俺も泣けた　うん。 泣くよね～。 だってさ　ヤスってさ　テレビじゃ ボケ担当みたいになってるけど→ 本当は　裏で　辛い思い いっぱい　してんだよ。 だからさ　私達だけでも 分かってあげないとさ→ 報われないじゃん。 うん　そうだよね　そうだよ。 そうだ。 ん？　どうしたの？ あぁ…。 こんな話　ネット以外で したことなかったから。 あぁ。 奇跡ってあるんだね。 ねぇ　ねぇ！　あるよね！　奇跡ね！ 奇跡　あるよ　奇跡は。 中尾と　デートしてくんないかな？ なぜですか？ う～ん…　中尾が喜ぶ？ パフ。 おう　いいの？ 平太は　中尾君が好き。 はぁ？　何で？ 平太は　中尾君にハマってる。 だから　それは　違うって。 違う？ 違うよ　何で俺が中尾なんかに…。 では　なぜ　中尾君を 喜ばせたいのですか？ それは…。 だから　いろいろあんだよ ひと口では説明できないこととか。 平太は　中尾君を喜ばせたい。 それは　そうなんだけど…。 中尾君のことが好き。 分かった　じゃあ　そういうこと…。 平太は　中尾君を喜ばせたい。 平太は　中尾君にハマってる。 平太は　中尾君が好き…。 分かった　よし　もう帰ろう　な！ 平太は　中尾君…。 はいはい…。 （しげ） ここをね　丸く丸く…　キュっ。 ほら　ほらね。 （深井武広） ≪お～い！　俺　風呂入るぞ≫ （武広）　何だよ　寝てんのか。 いいな～　デート。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ （シャッター音） 何？　Ｑ１０　デートしてんの？ どぉ!? 何で教えてくれなかったのよ。 いつの間に。 もしかして　デートですか？ 私？　合コン。 ふ～ん　するんだ。 意中の人　いました？ 「意中の人」だって。 じゃ　何ていうんですか？ 「よさそうな人」？ 「よさそうな人」…。 ダメだよ　それじゃ。 お似合いの人？ あのね　恋は革命ですよ。 自分の中の常識が　全部→ ひっくり返っちゃうような ものなの。 「お似合いの人」とか 「よさそうな人」とかじゃ→ 永遠に　ひっくり返らないでしょ。 はぁ。 つまり→ そんな程度の奴とは 恋は始まらないってことですよ。 なるほど。 それ　撮ったやつ　ちょうだいね Ｑ１０のこと　チェックしたいから。 んじゃ！ あの！ ん？ もし　恋に落ちて→ 常識が ひっくり返ってしまったら→ その後 どうなってしまうんですか？ 違う自分がいる。 それが　恋だよ。 ♪♪～ ♪♪～ チャカが好きなの 私じゃないよね。 え？ 白いワンピースとか 細いヒールの靴とか→ 肩のとこで　クリンとした髪とか→ 小っちゃくて　かわいいバッグとか…。 フッ…。 何いってんの？ 私　実は人間じゃないんだ。 え？ 私　人魚姫だったの！ 私　無理してたの！ チャカ　こっちに来れる？ 来れないよね？ だって　生きてる場所が 違うんだもんね！ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ 私が生きて行ける場所。 中尾君は　明日も生きて行こうと 思いますか？ 思います　多分　明後日も 明々後日も　その次の日も→ ずっと　そう思います。 約束する。 約束です。 うん。 ♪♪～ はい。 （中尾）　あぁ　おかえり。 これも。 これは　焼いて　後で渡すから。 ありがとう　一生の宝物にする。 ホントに　これで 気が済んだのかな？ 十分だよ。 しょうもないサラリーマンの おっさんになっても→ これさえあれば 俺　生きて行けると思うし。 ホントに　それでいいのか？ だって仕方ないじゃん。 好きになった人が 二次元の人だったんだからさ。 平太　草！ 葉っぱ。 平太は中尾君にハマってる。 だから　違うっつってんだろ。 平太は　中尾君を喜ばせたい。 あのな…。 Ｑ１０　眠くなりました。 え？　もうちょっとだからさ。 ちょ…　待って待って！ ウッソ…。 こんなとこで。 何で俺が　中尾なんかに ハマんなきゃなんないんだよ。 俺が あいつを喜ばせたかったのは→ あいつは　俺より 偉いと思ったからだよ。 堂々と　人間じゃないものが 好きだっていえる　あいつがさ。 俺は多分　あいつより臆病だ。 俺だったら　そんなこと ひとに　いえないし→ そんなものが好きだって 自分で認めんのも怖いと思う。 何だ　雨か。 俺　一瞬→ 涙かと思ったよ　フフ…。 バカ　あり得ねえっつうの　ハハ。 ハハ…。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ 中尾　もう付きまとわないって いってますから。 そうか　すまんかったな。 電柱　好きなんですか？ あ…　何だよ。 笑ってんのか？ いや　ちょっと感動しちゃって。 何が？ 俺は鉄塔が好きなんです。 え？　あっ　そうなの？ 笑われると思うから 誰にも　いえないけど。 分かる　分かる　俺も　そう 絶対　ひとに　いえない。 なかなか分かってくれねえもんな こういうのな。 いいのかな？ ん？ そんなもんが好きでも。 何いってんだよ！ いいに決まってんだろ！ 人間　何を好きになったって いいんだよ。 （物音） 何してんの？ おぉ！　いや　別に。 何？　捜し物？　何　捜してんの？ いや　だから　箸袋っていうか…。 何かメモしてたんだ　大事なこと。 いやいや　昔の記念っていうか。 何の記念？ 初任給もらって行ったんだよ 女の人と。 デート？ まぁな。 へぇ～　母ちゃんと？ 別の人。 ふ～ん。 ないか　ないなぁ。 今まで捨てずに 取って来たっていうのに→ この期に及んで 捨てられてしまうとは。 今も忘れられないんだ そんな昔のことなのに。 その人のことが　今でも好きとか そういうんじゃ　ないよ。 でも　あの時の気持を 取っておきたいのよ。 女のコに 正体バレないかビクビクしてさ。 でも　怖いものなんて 何にもなくて。 何にも持ってなくても 全然平気でさ。 あった。 あった！ ほら！　これ　あった！ 箸袋あった！ ＜久保の言う通り この世に引き留めるものなんて→ ささやかなものかもしれない＞ はい　夜の散歩。 （せき込み） フフフ！ （せき込み） ごめん　ごめん　ごめん。 ＜「俺たちは　キラキラしたものを つかむのに　いつも必死で」＞ アイドルって奥が深いよな～。 ＜「もし　そいつを一瞬だけでも つかまえることが　できたなら」＞ ＜「また→ ど～でもいい教室に 戻ってゆけるのに」＞ （生徒達）　おはようございます。 はい　おはようございます。 それでね　来週ね 休んでた富士野が→ 登校するかもしれない ということですので→ その机 それ　片づけとくようにね。 （伊坂）　富士野って　どんな奴？ （由起恵）　知らない。 新学期から休んでるんでしょ？ （月子の母）　月ちゃん 小川先生　来られてるわよ。 富士野　無理しない程度に 頑張って行こうな。 （月子の母） ≪月ちゃん　聞いてるの？≫ （ドアが開く音） （ドアが閉まる音） おう！ 出て来るのは いつでも　いいんだからな。 おぉ！　久戸さん。 （中尾）　あっ　そうだ　久戸さん こうやってもらっても…。 ＜俺を　この世に引き留めるもの＞ ((人間　何を好きになったって いいんだよ！)) （柳）((自分の中の常識が　全部→ ひっくり返っちゃうような ものなの)) （中尾）　かわいい！ （中尾）　はい　ポーズ！ ＜そっか＞ ＜俺　恋してんのか＞ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～

幕末グルメ・ブシメシ！１st＃06

1 (二郎)いらっしゃいませ｡ (栄輔)やあ｡ 同じので｡ まだ 頼んでないんやけど｡ ﾊﾞｰﾎﾞﾝやろ｡ <２人の雰囲気に 胸騒ぎのタケちゃんなのです> <時は幕末 所はお江戸｡➡ 参勤交代で江戸に来た 酒田伴四郎｡➡ 殿様のお召し物を支度する 衣紋方ではありますが➡ 仕事は少なく 暇ばかり｡➡ 今日は どんな騒動を 巻き起こすやら…> (お菊)私 川原屋 お菊は➡ こちらの高野藩衣紋方 酒田伴四郎様と…｡ 祝言を挙げさせて頂きます！ (伴四郎)え～!? え～!? え～!? ♬～ <｢あっちもこっちも不景気で 参っちまわなぁ｣｡➡ ｢ﾊﾝｯ｡ あっちとこっちで済むかよ｡ そっちもどっちも不景気よ｣｡➡ ｢あっちもこっちも そっちもどっちも➡ にっちもさっちも いかねえってか？｣｡➡ ｢こりゃ いいや｡ あっちもこっちも➡ そっちもどっちも にっちもさっちも｣> (お菊)払えないって 冗談じゃないよ！➡ 掛金の回収が遅れりゃ たちまち 店は傾いちまうんだよ！ (吾平)なら ほかから先に取ってくれよ｡ どいつもこいつも 恩を仇で返しやがって…｡ このままじゃ 川原屋は潰れちまうよ｡ あ～ うまそうじゃ｡ ♬～ もう大丈夫ですよ｡ ♬～ いいねぇ あんたら２人は のんきで｡ どうかしましたか？ お菊さん｡ どうもこうもないよ｡ あっちもこっちも不景気で➡ 掛金の回収も ままならないんだから｡ あっ だんご食いますか？ フン！ お主ら デキておるのか？ まさか｡ なぜです？ いや お主の食いかけを…｡ まあ よい｡ お主は 国元の妻に ぞっこんであったな｡ どうした？ 返事がないのです｡ こちらから 文を送り続けているのですが➡ その返事が…｡ 女一人で 子の面倒を見てるのじゃ｡ しかたあるまい｡ ひと事だから そう言えるのです｡ 打っても響かぬ妻との関係が➡ うまくいっていると 言えましょうか｡ そうか｡ なら まあ だんごでも食って元気出せ｡ しるこで｡ しるこ？ しるこで｡ しるこないぞ ここ｡ 叔父上 私宛ての文は？ (平三)飛脚なら来ておらん｡ そうですか…｡ (平三)おっ ﾎﾎﾎﾎ 膨らんできた！ 取り引きを打ち切るって どういう事です？ (庄兵衛)藩の財政は依然厳しく➡ 少しでも支出を減らすために 仕出しは もう…｡ それじゃ 高野藩は➡ このまま 仕出し｢川原屋｣が 潰れちまっても➡ 構やしないってんだね？ これまで うちが どんな思いで…｡ (与一)女将さん！ 恩を仇で返すようで申し訳ない｡ ただ 重役衆と勘定方の決定に➡ 我々 賄方が異論を挟む余地など ないのです｡ なぜなんじゃ…｡ なぜなんじゃ…｡ 何をしておるのじゃ 伴四郎｡ 客じゃ｡ (襖を閉める音) 手を貸すって 私は何をすれば？ あの惨助さんを 呼び出しておくれよ｡ 殿を？ 打ち切られた藩邸との取り引きを 結び直したいんだ｡ さもなきゃ うちは もう潰れるしかない｡ でも 呼び出すっていっても➡ こちらからは 何もできないんです｡ いつも勝手に来るから あの人｡ のんきな殿様だねぇ｡ それに 我が藩の財政も 厳しいと聞きます｡ 他藩との取り引きを考えた方が 賢明かもしれませんよ｡ そんな時間ないよ｡ お菊さん？ これ以上 商売が傾くようだと 縁談を受けなきゃならないんだ｡ もともと川原屋は 亡くなった旦那から引き継いだ店｡ 本当なら あの人が亡くなって すぐに縁談を受けて➡ その相手と 店を続けるはずだったんだ｡ 女手一つじゃ厳しいだろうって｡ では 縁談を受けても よいではありませんか｡ ほかに好きな人でも？ あら～ おるのですな？ やかましいね！ あんたみたいな不粋な男に➡ 頼み事なんか するんじゃなかったよ！ あっ…｡ 仕出しを？ (栗山)はい｡➡ 改めて帳簿を調べましたら…｡ ならん｡ 仕出しがなければ 法事や花見の時 困るではないか｡ (渡辺)今後は 賄方で➡ できる限り仕出しと同じ内容で 食事を作らせます｡ 嫌じゃ！ わしは仕出しが食いたい！ (原田)仕出し｢川原屋｣に 何か ご執心でも？ いや そういう訳ではないが…｡ (ため息) 五郎右衛門｡ はい｡ 伴四郎は どこにおる？ 表で飛脚を待っております｡ 飛脚？ またか～｡ 暇な男じゃのう｡ ♬～ 来た！ あ～ あ～ あ～｡ 私宛ての文は？ こちら宛てでしたら 確か１通｡ あった｡ はい｡ では｡ 矢沢五郎右衛門宛てではなく 酒田伴四郎宛ての｡ 文なら それだけです｡ そんな訳なかろう｡ こう… きれいな字で 酒田すずより 酒田伴四郎宛ての｡ 文なら それだけですって！ 十分 考える時間はやっただろ お菊｡ そろそろ 縁談の一つも 受けてみたらどうかねぇ｡ 商売だって うまくいってないんだろ？ 跡取りもないまま 女手一つ｡➡ このまま棚を切り盛りするのも 大変だろう｡ そこいくと この京一は やり手の料理人だ｡ 一緒になれば 店の評判も上がる｡ ありがたいお話ですが➡ この店は 亡くなった旦那が 私に残してくれた仕出し屋です｡ 私の手で商売を続ける事が あの人の願いでもありますので｡ 潰れちまったら 元も子もねえだろ！➡ どうやって店を守るつもりだ？ ほかに助けてくれるいい人も いないんだろ？➡ お菊 ど… どうなんだい？ 逃げようってのかい？ 厠です｡ お菊しゃ～ん｡ 伴四郎様！ すずは 私を見放したのだ｡ 江戸になど来るのではなかった｡ 嫌だ…｡ ♬～ ちょっと いいかい？ え？ ♬～ 仕出し屋だから ただで飯が 食えると思ってるんだったら➡ さっさと出ていきな！ ごくつぶし！➡ お前の事だよ｡ 分かるか！ あっ｡ ♬～ 私 川原屋 お菊は➡ こちらの高野藩衣紋方 酒田伴四郎様と…｡ 祝言を挙げさせて頂きます！ えっ？ え～っ!? ちょ… ちょっと待って！ どこの馬の骨か分からない男に➡ この川原屋を継がせる訳には いかないよ！ この酒田伴四郎様 料理の腕に関しては➡ 高野の殿様のお墨付きです｡ 店を任せるに 不足はありません！ あの～ お菊さん…｡ ちょっと あんた 人前で およしよ｡ このとおり 私は どのような縁談も➡ お受けするつもりはございません｡ お帰り願えますか？ ♬～ (小声で)私が…｡ えっ？ えっ？ 私が お菊さんに好かれてない という事は よく分かりました｡ しかし 料理人として酒田殿に劣る と言われると 納得しかねます｡ 仕出し｢川原屋｣に必要なものが 腕の立つ料理人なら➡ 料理で勝負して お菊さんの旦那➡ そして 川原屋の主人を決めて頂きたい｡ そ… そうだよね｡ よく言った 京一｡ 料理屋なんだから 料理で勝負すりゃいいんだ｡ そう 勝負だよ｡ うん｡ どうだ？ お菊｡ 承知しました｡ その料理勝負 この私と伴四郎様の２人で➡ お受けしましょう｡ え～？ そのかわり 伴四郎様が勝利した暁には➡ 皆さん この川原屋から 潔く手を引き➡ 今後一切 関わらないと 約束して頂きます！ その判定は誰に？ 藩邸の重役に一席設けて➡ 支持された方が 主人の座につく というのは どうだ？ あ～ 確かに｡➡ うまくいけば 取り引きの再開を 考えてもらえるかもしれない｡ 承知しました｡ いいね？ 伴四郎様｡ いや…｡ すまない｡ 川原屋を守るためなんだ｡ どうか 協力してもらえないか？ しかし 私は 妻も子もある身ですし…｡ 知ってるよ｡ 勝負に勝って 親戚衆が身を引くまでの間➡ 夫婦でいてくれりゃいいんだ｡ しかし 勝つと言っても 相手は腕利きの料理人だと…｡ 私と あんたが手を組んで 勝てない相手なんかいるもんか｡ しかし…｡ ねえさん｡ おりん｡ 何度も ごめん｡ でも ねえさん… ねえさんしか頼る人がいないのよ｡ 気にしなくていいよ｡ 困った事があったら いつでもおいで｡ ありがとう｡ 見てたのかい？ 今のは？ おりんっていってね➡ 今は 身請けされて足を洗ったけど 元は吉原の女郎｡ 昔の仲間だよ｡ 女郎… お菊さんも？ 足を洗ったって言っても➡ 私みたいに まっとうに生きられる 女だけじゃない｡ おりんなんて ひどい男に捕まったばっかりに➡ 家に金は入れない 虫の居どころが 悪きゃ 殴る蹴るで…｡ でも 亡くなったうちの旦那は 本当に優しい男だった｡ こんな私を身請けしてくれて うまいもん食わしてくれてさ➡ ｢おいしい おいしい｣って言う姿を 喜んでくれた｡ 旦那様が亡くなってからは？ ５年になるねぇ｡ もう 顔も おぼろげだよ｡ でも この川原屋は 私が守らないとね｡ 分かりました｡ この勝負 絶対に勝ちましょう！ お呼び立てして申し訳ありません｡ 判定人を引き受けて頂いた 料理勝負に先立ちまして 今夜は➡ 当日も腕を振るう事になっている 京一が➡ お膳を用意させて頂きました｡ 今後 川原屋を取りしきるのは この京一しかおりません｡ (原田)いや それは 勝負の結果によるのではないか？ 建て前は そうなんですが…｡ さあ お試し下さい｡ 京一の膳は 器にも凝っております｡ (渡辺)ん？ (笑い声) (お菊)ほら 与一 かまどの火が消えかけてるよ｡➡ 火種を絶やすんじゃないよ｡ (与一)へい！ 終わったら これ 買い出し頼むね｡ (与一)へい！ ちょっと…｡ 優しい字ですね｡ 与一！ さっさと買い出し行ってきな！ へい！ ♬～ 身を傷つけないようにね｡ はい｡ よし｡ 塩は高い所からふるんだ｡ 均等にね｡ 均等に｡ あっ かけ過ぎるんじゃないよ！ ｱｯﾊﾊﾊ！ 全く…｡ ああ… すっかり暗くなってしまった｡ 長屋に帰ろうったって この雨じゃ ずぶぬれだよ｡ せめて やむまで ここにいりゃ いいじゃないか｡ そうですね｡ え～ 次は…｡ よし｡ ふう～｡ こうしてると 旦那の事 思い出しちまうよ｡ 甚兵衛さん｡ そう｡ 昔は こうして ２人で 新しい献立を よく考えたもんさ｡ どんな人だったんですか？ 優しくて頑固｡ 私を 身請けするって きかなくてねぇ｡ 女郎の身分で 仕出し屋の 女将なんて無理だって➡ 何度も断ったんだけど｡ 旦那さんの目に 狂いはなかったんですよ｡ 潰しかけてるのにかい？ すぐに盛り返しますよ お菊さんなら｡ 熱っ｡ おお…｡ 大丈夫ですか？ あっ 申し訳ない｡ 伴四郎様 私ね…｡ はい｡ 私…｡ お… お菊さん？ (鼓動) ただいま戻りました！ (２人)あっ！ 遅いよ 与一！ 遅いよ 与一！ すいません｡ 雨宿りしてたら 暗くなっちまって｡ 体 拭いといで｡ へい！ ♬～ 寝ちまった｡ おはようございます お菊さん｡ ♬～ さあ 今日は いよいよ本番｡ それまでに 献立 詰めるよ｡ ちょ… バカ 与一！ えっ？ 水！ あっ あっ… はい！ 熱っ！ 与一 早く！ (与一)へい！ あ～｡ どうしましたか？ 指南書が…｡ でも 薪の上にあったから…｡ 伴四郎様 申し訳ない｡ 私が…｡ お菊さん やけどはありませんか？ 私は大丈夫だけど 指南書が…｡ 構いません｡ なまじ 指南書などあるから頼るのです｡ めそめそと 国元にいる妻子を思い 甘えてしまうのです｡ 伴四郎様…｡ さあ 本番まで 献立を詰めましょう｡ 一刻の猶予もありませんよ｡ ﾍﾍｯ｡ ♬～ やっぱり 一味足りない｡ いいや もう十分だよ｡ しかし 相手は腕の立つ料理人だと｡ これが私の実力｡ これで勝負に負けるんなら 諦めもつくよ｡ お菊さん…｡ (戸が開く音) 叔父上！ 届いたぞ 伴四郎｡ (すず) ｢食いしん坊な伴様の事です｡➡ もうとっくに指南書の味に 飽きてしまっている頃でしょう｣｡ お国の味 梅干しを使った調味を 書き足してあります｡ くれぐれも 食べ過ぎには注意して下さいね｡ すず… ありがとう｡ ♬～ こりゃ 勝てないね｡ 何を言っておるのです お菊さん！ これで勝てます！ (庄兵衛)本日は 鯛料理での勝負となります｡ (庄兵衛)重役衆のお三方には 双方の膳を自由に食して頂き➡ 最後に勝ち負けを決めて頂きます｡ では 料理を どうぞ｡ (３人)頂きます｡ おお 来た来た｡ (３人)ごちそうさまでした｡ では 軍配を お願いします｡➡ お菊殿 酒田殿の料理が うまかった｡ 京一殿の料理が… うまかった？ 本当に それでよろしいですか？ 何じゃ？ 軍配は上がっておろう｡ しかし これで 京一殿に 軍配というのは 承知しかねます｡ ♬～ (小さい声で話す京一) (一同)えっ？ (京一)なぜ残すのです？ いや それは ついつい 相手の膳を 食べ過ぎてしもうてのう｡ 話が違うでしょうが！ 約束守れないなら 金 返せ！ ♬～ 金？ 金とは何です？ 栗山 殿に提案致す 財政立て直しの策じゃが➡ あれ まだ ととのうておらなんだな？ 確かに｡ 明日までに まとめる必要がありますな｡ 本日は これにて失礼しましょう｡ 庄兵衛さん 勝負は？ お菊さん 酒田殿の勝ちです！ (笑い声) ♬～ あ～｡ やはり 川原屋の仕出しは うまいのう｡ 仕出しを再開するとは どういう風の吹き回しじゃ？ いや… たまの贅沢 多少は構わぬかと｡ 信じておったぞ すずよ｡ 文一つで そこまで 一喜一憂できるとはなぁ｡ 伴四郎 食うなら食うで 文を離せ｡ 行儀が悪い｡ あっ そういえば五郎右衛門｡ お主にも文が届いておったぞ｡ 文？ これじゃ｡ ♬～ 伴四郎 この文 いつ届いた？ 確か ２～３日前だったか｡ なぜ 早く知らせぬ!? この アホが！ どうしたんじゃ 五郎右衛門のやつ｡ さあ｡ ｢拝啓 すず殿 はな坊｡➡ 江戸は危うい町です｡➡ 五郎右衛門の この文が➡ まさか 我々に あんな大事件を招こうとは…｣｡ ♬～ この世には 男と女と 彼らもいる｡ 男として生まれながら 別な生き方を選んだ人たち｡ いわゆる… その時代を切り開いた 伝説の ﾊﾟｲｵﾆｱがいた｡

５→９～私に恋したお坊さん～＃08

1 (潤子)兄弟!? (天音)自分 兄さんと➡ 結婚するん？ 寺の嫁になるんは アホやで｡ (高嶺)潤子さんと 結婚して 一橋寺を 継ぎます｡ (天音)お願いします｡ 住職は 兄さんしか おらん｡ (香織)何を たくらんでるのですか？ (潤子)ホントに すいません｡ ニューヨークには➡ 自分の力で 行きます｡ (清宮)俺は お前の味方だ｡ (ひばり)高嶺を ここに 連れていらっしゃい｡ (潤子)誕生日 おめでとうございます｡ (高嶺)こんなに うれしい 誕生日は 初めてです｡ (潤子)あなたのことを 好きになってさしあげます｡➡ あなたの 恋人になってさしあげます｡ (天音)嘘をつきました｡➡ おばあさまは 今晩 話を するつもりだったんです｡ (天音)兄さんが 持っているもの 全部 根こそぎ もらいますよ｡ (一同)お付き合い？ (高嶺)はい｡ (潤子)まあ 一応｡ (高嶺)皆さまの おかげで➡ 相思相愛と なりました｡ (恵子)そう｡ ついに｡ (満)長かったな｡ 高嶺君｡ (寧々)お兄さん｡ おめでとう｡ (潤子)大げさ！ (潤子)ってか さっき 帰ったのに 何で また？ (高嶺)いわゆる ｢来ちゃった｣と いうやつです｡ はっ？ (寧々)お兄さん カワイイ｡ (恵子)ねえ？ もう１回 やって｡ (高嶺)来ちゃった｡ (寧々･恵子)キャー！ 何 調子に乗ってんのよ？ (恵子)付き合ったら １秒も 離れたくないわよね｡ あっ｡ っていうか お寺 大丈夫なんですか？ いとまを 頂いたので しばし 一緒に いられます｡ (寧々)い… いとまって？ (恵子)休暇のことでしょ｡ 有給休暇？ お付き合い休暇です｡ えっ？ (寧々)じゃあさ しばらく うちに➡ 泊まってけば？ (恵子)いっそ このまま➡ 同棲しちゃいなさいよ｡ (高嶺･潤子)同棲？ (恵子)私たちも 同棲してたころが 一番 ラブラブだったわよね｡ ラブラブ？ ほう｡ 前のめり｡ (満)２人で 邪魔されずに いちゃいちゃしたよな｡ いちゃいちゃ？ 具体的に どのような？ だから また 前のめり｡ (恵子)おはようの チュー｡ (恵子)おやすみの チュー｡ ありがとうの チュー｡ いってきますの チューって もう 年がら年中 チューチューして｡➡ 今は 絶対 しないけど｡ チューチューですか｡ 分かりました｡ メモ｡ (恵子)とにかくね 同棲は 愛が深まるのよ｡ 愛が深まる｡ 潤子さん｡ うえー｡ 何？ 何？ 私たちも 同棲して➡ いちゃいちゃして ﾗﾌﾞﾗﾌﾞして ﾁｭｰﾁｭｰして 愛を深めましょうぞ｡ はい？ (恵子)そうと 決まったら➡ 模様替えよ｡ (寧々)私の部屋➡ 使っていいですから｡ いや いや いや｡ 同棲とか➡ 気が早いから｡ ねえ？ 付き合って １日目よ｡ あっ｡ ちょっ｡ 何やって…｡ 寧々｡ 何してんの？ ホントに｡ ちょっと｡ (ひばり)高嶺が？ (天音)ええ｡ 兄さん 大事な 話し合いのこと➡ すっかり 忘れてしもうたようで｡ (寺田)大奥さま｡ 高嶺は➡ 約束を 忘れるような男では ありません｡➡ これには きっと 理由が｡ (ひばり)檀家の 皆さま方に ご連絡を｡➡ 近々 天音を 皆さまに ご披露いたします｡ (一同)はっ｡ (ひばり)それから 香織さん｡➡ その席で 天音との婚約を 発表いたしましょう｡ (香織)えっ？ (ひばり)フフフ｡➡ あなたは この一橋寺には なくては ならない人｡ いや｡ あの｡ (天音)あらら｡ こんな べっぴんさん 俺には もったいないですわ｡➡ でも これも 運命やと思うし 仲良う やりまひょ｡ では いざ いちゃいちゃしませう｡ いや｡ ｢しませう｣って 言われても 無理だから｡ ちょっと｡ 潤子さんは 私のことが 好きでは ないのですか？ いや｡ そんなこと ないけど｡ ならば 好きと おっしゃってください｡ いや｡ ほら｡ そういうのは 大事なときに 言うから｡ 今が その大事なときなんです｡ そんな 急に 言われても｡ ほら｡ いきなり 態度 変えられないし｡ では 気持ちを 変えるために 呼び方を 変えてみましょう｡ 呼び方？ 何と 呼べば よろしいですか？ いや｡ えっ？ 別に 呼び捨てで いいんじゃない？ 承知しました｡ じゅ…｡ じゅ…｡ じゅん…｡ 『北の国から』みたいに なってるから｡ 北の国とは カナダや ノルウェーのことでしょうか？ いや｡ ≪(満)♬｢あーあ あああ…｣ お父さん！ 今の 何ですか？ いいです｡ いいから 今日は 寝よう｡ 記念すべき 初夜という…｡ おやすみなさい｡ 潤子さん｡ おやすみの チューは？ いいから もう 寝てください｡ もう｡ ♬～ うわっ｡ あっ｡ あっ そうだ｡ この人 目 開けたまま 寝るんだった｡ 無理です｡ 起きてます｡ 眠れません｡ 寝てください｡ これも 修行です｡ 修行｡ ならば せめて 手を｡ ♬～ ♬～ もう 遅刻する！ すいません｡ あなたの寝顔が 美しくて 目覚ましを 止めてしまいました｡ バカ｡ 潤子さん｡ お弁当です｡ ああ｡ 重っ｡ ありがとうございます｡ ありがとうの チューを｡ えっ？ あっ｡ そう｡ そう そう そう｡ これ｡ はい｡ 合鍵｡ 初めて もらいました｡ 今日は 合鍵記念日ですね｡ 行ってくるね｡ 潤子さん 潤子さん｡ いってきますの チュー｡ いってきます｡ 潤子さん｡ うん？ もう 遅刻するから｡ うーん｡ ちょっと｡ うーん｡ もう しょうがない｡ しゃがんで｡ いってきます｡ うわー｡ これも 悪くない｡ ♬～ (まさこ･百絵)星川さんと 付き合ってる!?➡ しかも 同棲!? ちょっと 声 大きいかな｡ (百絵)何で あんな 嫌いだったのに 急に 付き合って➡ 同棲まで｡ うーん｡ 理解できん｡ (まさこ)まあ 恋愛って そういうもんだから｡➡ んで 潤子先生｡ 星川さんのこと ちゃんと 好きなんですか？ うん｡ まあ｡ (百絵)星川さんの 粘り勝ちか｡ (まさこ)んで ちゃんと 好きって 言ってます？ いや｡ まあ｡ まあ 一応ね｡ １回だけね｡ (まさこ)１回？ 毎日 20回ぐらい 言わないと 駄目ですよ｡ でも ほら｡ 私も 久しぶりの 彼氏だから｡ １周 回って 何していいか ちょっと よく 分かんないんだよね｡ 結婚は？ ま… まだ 付き合っただけだから｡ (まさこ)潤子先生｡ ねえねえ｡➡ まだ そんなこと 言ってるんですか？➡ 年齢的に考えて 付き合う イコール 結婚ですからね｡➡ 恋愛を 楽しむとか はっきり いって➡ 時間の無駄ですから｡ (百絵)無駄って｡ えっ？ あっ｡ あれは？ ほら｡ まさこちゃん｡ ほら｡ あの｡ 例の 年下の 彼氏君は？ (まさこ)ああ｡ もう 当然➡ 結婚とか あり得ませんから｡ えっ？ (まさこ)確かに カワイイし 全然 悪くないんですけど｡➡ でも まだ 若いし｡ あれ？ でも お金持ちなんだよな｡ 何 ぶつぶつ 言ってんの？ (まさこ)ああ｡➡ 私のことは どうでも いいんですけど｡➡ ねえ？ 潤子先生｡ 結婚したら 仕事 どうするんです？➡ ＥＬＡ 辞めちゃうんですか？ そこなんだよね｡ (まさこ)ニューヨークで 働くの 諦めるんですか？➡ お寺に嫁ぐ覚悟 あるんですか？ うーん｡ でも お寺の お嫁さんって 美坊主に 囲まれて➡ ちょっと 楽しそう｡ (まさこ)いやいや いやいや｡ 若い弟子に 山ほど ご飯を炊いて➡ 炊いちゃ 食べられ 炊いちゃ 食べられ➡ 一日中 ご飯 炊くことになるんですよ｡ それ 相撲部屋の 女将さんね｡ おお｡ 力士｡ ｢攻｣と ｢攻｣ (まさこ)とにかく 結婚したら➡ お寺の お嫁さんです｡ 分かってますか？ 寺の嫁か｡ ♬～ ≪(三休)高嶺さま｡ (成田)大丈夫ですか？ ご心配を おかけして 申し訳ありません｡ ≪(天音)兄さん｡ どこ 行ってたん？➡ 心配しとったんやで｡ 兄さんが 帰ってきはったって➡ おばあさまに 伝えたって｡ (成田･羽田)はい｡ いったい 何を 考えてるんです？ 天音｡ 兄さんこそ 何 考えてるんです？ 俺が 約束の時間 嘘 ついたって みんなに 言えばいいのに｡ 全部 言ったら おばあさまも 許してくれるかもしれませんよ？ その必要は ありません｡ 嘘をついた 人間が➡ 一番 罪悪の念を 感じているはずですから｡ 嘘をついてでも ここの住職に なりたいんですよ｡ 俺は｡ 小さいころから ちやほやされてきた 兄さんに➡ ずっと 邪魔者扱いされてきた➡ 俺の気持ちなんて 分かりっこない｡ (寺田)高嶺が 来ております｡ どうか 会ってやってください｡ (ひばり)あの子の 顔を見るのも 嫌です｡ (寺田)しかし 大奥さま｡ (ひばり)この一橋寺に➡ 高嶺の居場所は ありません｡ (寺田)参ったな｡ ああなると 大奥さまは 長い｡ 長いですね｡ (寺田)高嶺は 今➡ 桜庭さんの お宅か？ はい｡ 無事に お付き合いすることに なりました｡ そうか｡ よかったな｡ ええ｡ (寺田)ならば ここは 私に任せて｡ しかし 住職｡ (寺田)大奥さまのことは 何とかする｡ 大船に 乗ったつもりでおれ｡ ハハハ｡ ≪(成田)住職｡ (寺田)何だ？ (羽田)大奥さまが お呼びです｡ (寺田)えー？ う… うん｡➡ あの｡ 高嶺｡ 大奥さまに 見つからぬよう 気を付けて 行け｡ ありがとうございます｡ (寺田)うん｡ (香織)高嶺さま｡ 香織さん｡ もう お戻りに なられないのですか？ 今のところは｡ このままでは 私は 天音さんと｡ それは 嫌でございます｡ 私は➡ 高嶺さまが 好きです｡ 申し訳ありません｡ 私は 潤子さんと お付き合いすることになりました｡ あなたも 家に 帰りなさい｡ ♬～ (清宮)桜庭｡ はい｡ (清宮)次回の 正社員採用試験の エントリーシート｡➡ 受かれば もちろん ニューヨーク校に 行ける｡➡ 仕事で ちゃんと 認められて 夢を かなえるんだろ｡ ♬～ ≪(蘭)潤子先生｡ うん？ はい｡ 何？ これ｡ (蘭)これは 恋愛相関図です｡ ＥＬＡの 表参道校って➡ 恋愛線が 入り組んでるじゃないですか｡➡ だから 整理しようと思って｡ えっ？ それで 何で 私が？ (蘭)だって 潤子先生 清宮さんとは➡ 終わったじゃないですか｡ で 今 お坊さんと 同棲中だから➡ 戦線離脱でしょ？ えっ？ ちょっと｡ えっ？ それ まさこちゃんが？ (蘭)すっごい 広まってますよ｡ えっ？ (蘭)噂じゃ 子づくり 始めたとか｡ (蘭)すでに 産んだとか｡ いや｡ 産んでないから｡ (蘭)とにかく 客観的な 意見が 欲しいんです｡ えっ？ いや｡ そんなこと 言われても｡ (蘭)まずは この２人なんですけど｡ (ｱｰｻｰ)《ミス 百絵｡ 今夜なんですが》➡ 《お願いです》 (蘭)微妙ですね｡➡ アーサー先生が 猛アプローチ かけてるのに➡ 百絵先生 全然 なびかないし｡➡ アーサー先生 かわいそう｡ うーん｡ (蘭)最近 この２人 いい感じなんですよ｡ えー？ (蘭)近々 何か 起こるかも｡ (三嶋)《百絵先生｡ こないだ 大丈夫でした？》 (百絵)《ああ｡ あの｡ あの｡ 三嶋さん｡ あの》➡ 《ちょっと この英文を 日本語で 読んでもらっても いいですか？》 (三嶋)《｢君が 欲しいものを 言ってごらん｣》 (百絵)《あっ｡ ありがとうございましゅ》➡ 《あっ｡ あっ｡ もう１回｡ もう１回 いいですか？》 (三嶋)《｢君が 欲しいものを 言ってごらん｣》 ああ｡ うん？ まさこちゃんと 蜂屋君？ (蜂屋)《はい｡ これ｡ この前 形で 示せって 言ったでしょ？》 (まさこ)《いらない｡ 子供から こんなの もらえない》 (蜂屋)《ちょっと 待ってよ｡ そっちが…》 (蘭)まだ 完全じゃなさそうですけどね｡ まさこちゃんが 言ってた 年下君って 蜂屋君だったの？ (蘭)気付かなかったんですか？ 潤子先生 鈍っ｡ えっ？ 何？ 何？ 何？ 何？ (蘭)由希ちゃんは➡ 潤子先生に 振られたし｡ いや｡ 振られたとか ないからね｡ ≪(由希)寧々！ (蘭)この声は｡ えっ？ ≪(寧々)由希ちゃん｡➡ どうしたの？ (由希)これ あげる｡ (寧々)えっ？ ありがとう｡ (由希)今度 一緒に➡ お買い物 行こう｡ (寧々)行きたいけど お金がね｡ (由希)大丈夫｡ 由希が 全部 買ってあげる｡ (蘭)まさかの？ 寧々が？ (蘭)あり得ますよ｡ いやいや いやいや いや｡ (蘭)由希ちゃん 女装してるだけで 男子だし｡ えっ？ (蘭)２年後には ごりっごりの➡ イケメンに なってるかもしれない｡ 書かないで…｡ ちょっと 待って｡ 妹 巻き込まないで｡ ちょっと 待って｡ ああ｡ ちょっと 待って｡ ＯＫ｡ (三嶋)フフッ｡ フッ｡ はあ？ うっ｡ ホワッツ？ (天音)おばあさま｡ 聞きました？ 兄さんのこと｡ (天音)兄さん 潤子さんと 付き合い始めたらしいですわ｡ おまけに 同棲まで しとるとか｡ この寺に 関係のない人間の話など 何の興味も ありませんよ｡ 天音｡ こそこそするのは やめなさい｡ (天音)フッ｡ (ひばり)フフッ｡ ♬～ (天音)《小さいころから ちやほやされてきた 兄さんに➡ ずっと 邪魔者扱いされてきた➡ 俺の気持ちなんて 分かりっこない》 (蜂屋)ちょっと｡ ちょっと｡ 待って｡➡ 受け取って｡ (まさこ)ああ｡ もう しつこいな｡ そういう関係じゃないし｡ もう 遅いから 早く 帰んなさい｡ (蜂屋)これで 渡せる関係に なったでしょ？ ♬～ ♬～ 下手くそ｡ ♬～ (まさこ)あれ？ 何か ちょっと ヤバいかも｡ (百絵)ホントに こんなところで ルシファーさまの➡ イベントが あるんですか？ (ｱｰｻｰ)すみません｡ ミス 百絵｡ イベントは ありません｡ (百絵)えっ？ (ｱｰｻｰ)あなたに 会いたくて｡ (百絵)いつまで からかうつもりですか？ (ｱｰｻｰ)ミス 百絵｡ 正直に 言います｡➡ 他の女性と違って あなたは➡ 一度も 私に 興味すら 示さなかった｡ そんな人は 初めてです｡➡ だから 弱みを 握ってでも 近づこうとしました｡ 自分の 好きなことで あんなに 笑顔になれる人は➡ 見たことがない｡➡ そして あなたの笑顔を 見ているうちに 気付きました｡ ミス 百絵｡ ♬～ ♬～ (百絵)あっ｡ そうだ｡ 今日 ＢＬの新刊 出たんだ｡➡ 買いに行かなくちゃ｡➡ って そうじゃねえだろ 私｡ もっと すごいこと あったろ｡➡ 今さっき｡ いやいや｡ 釣りだろ あれは｡➡ でも 待て｡ もしかして｡ Ａ 万が一 億が一 本気だったら 人生初の 彼氏さま｡ Ｂ やはり どう 考えても 釣り｡ うーん｡ やっぱ こっちのが しっくり くるよな｡ でも 人生初の キス｡ まさか 人生初の 失恋｡ (従業員)かしこまりました｡ ありがとうございます｡ ハァー｡ ただいま｡ ♬～ センス｡ 力加減は いかがですか？ (満)いやー｡ 気持ちいいよ｡ 夢でした｡ 実の父には できなかったので｡ 高嶺君｡ お…｡ あ痛たたた｡ どうしました？ いや｡ ちょっと お尻がね｡ うん｡ これ あったまった方が いいな｡ ああー｡ 高嶺君｡ ここ 滑るから 押しちゃ 駄目だよ｡ はい｡ 分かった？ 押しちゃ 駄目だからね｡ はい｡ 絶対 押しちゃ 駄目だよ｡ 分かりました｡ ああ｡ うん？ ≪(満)背中 流すの うまいね｡ お風呂 頂きました｡ 頂きま…｡ (恵子)高嶺君｡ お座りなさい｡ はい｡ よいしょ｡ これ 何？ これは 輪げさといいます｡ 名称ではなく ここに 付いてるものは 何？ これ 誰の口紅？ これは 香織さんですね｡ 香織さんと 会ったの？ 昼間 私物を取りに 一橋寺に 帰った際に｡ あっさり げろったわよ｡ それで なぜ 口紅が？ それは おそらく…｡ これ 完全に➡ 胸に飛び込んでる 状態ですよね？ じゃなきゃ 付きませんよね？ (満)落ち着け｡ 潤子｡ 落ち着け｡➡ 何かの拍子で 付いただけだろ｡ (恵子)ふざけんじゃないわよ！ (満)お母さん｡ (恵子)思い出した｡ 昔 お父さんが ワイシャツに 口紅を➡ べっとり 付けてきたとき ゲイバーだから 問題ない｡➡ ゲイバーだから セーフだって 言い訳してたけど｡➡ 結局 ２軒目に行った スナックの ママだったじゃない！ えー！ (満)そんな 昔のこと 忘れようよ｡ (恵子)ああ｡ 思い出しただけで むかむかする｡ お母さん｡ それは 不可抗力です｡ 不可抗力なわけ ないでしょ！ (恵子)そうよ｡ 絶対 受け入れなきゃ 付かないもん！ 高嶺君｡ 何とかしてくれよ｡ ２人とも 落ち着いてください｡ ただの 口紅ですから｡ 何 丸め込もうとしてるんですか？ (恵子)もう 絶対 許さない｡ 離婚する！ (満)離婚!? 同棲 解消です！ 同棲 解消!? (恵子)もう 顔も 見たくない｡ (満)ちょっ｡ お母さん｡ (恵子)もう｡ 信じられない｡ 信じられない｡ やっと｡ 浮気者！ ううー｡ 潤子さん｡ (満)痛い｡ 痛い｡ ちょっと お尻は 駄目だって｡➡ 高嶺君｡ 助けて｡ 出てって｡ もう 出てって｡ 早く｡ バカ！ (恵子)バカ！ (満)お母さん｡ 潤子さん｡ 開けてください｡ 潤子さん｡ ううっ｡ 高嶺君｡ 高嶺君｡ 寒い｡ お父さん｡ 大丈夫ですか？ ああ｡ 寒い｡ お父さん｡ お父さん｡ 高嶺君｡ 眠くなってきた｡ お父さん｡ 寝てはなりません｡ あっ｡ 何か 見える｡ ハハッ｡ お父さん｡ 何も 見えません｡ お父さん｡ お父さん｡ お父さん｡ (満･高嶺)潤子さん｡ 痛っ｡ もう うるさい！ 恥ずかしいから 早く 入ってよ｡ ありがとうございます｡ (恵子)もう 死んじゃえ｡ (満)ちょっと｡ おい｡➡ 俺も 入れてく…｡ ああ｡ 痛い 痛い｡ まだ 許したわけじゃないから｡ ですから 誤解です｡ っていうか 何？ このペアグッズ 一式｡ ラブラブな カップルは 皆さん ペアルックをすると この文献に｡ それ 少女漫画｡ しかも 30年前の｡ 私たちも 仲直りの証拠に ペアルックを｡ うっ｡ それ 着るぐらいだったら 死んだ方が ましです｡ でしたら 潤子さん｡ このマフラーは いかがでしょう？ もう 発想が 中２レベルなんですけど｡ 今まで 結構な人と 付き合ってきたんですよね？ 交際を 申し込まれたら お断りせずに➡ お付き合いしてきましたが 皆さん 長くても ２週間程度で 解消に｡ 何か 分かる気がするわ｡ もう 寝ますよ｡ よっと｡ いや｡ あっ｡ えっ？ 何？ こんなこと してしまうのは 潤子さんだからです｡ 潤子さんの笑顔が 見たくて➡ いろんなことを してしまうんです｡ 許してください｡ もう 分かったから｡ もう 離して｡ 絶対に 離しません｡ 何で？ もう 離して｡ 絶対に 離しません｡ 何でよ？ 離して｡ 絶対に 離さない｡ 離して｡ うん？ でしたら 私のこと 好きだと 言ってください｡ １回 言いましたから｡ 何度でも 聞きたいんです｡ いいよ｡ そん…｡ ねっ？ さあ｡ えっ？ さあ｡ いいから｡ いいから｡ 潤子さん｡ 潤子さん｡ いい｡ ちょっと｡ ≪(満)高嶺君｡ (いびき) (満)冷えちゃったから➡ 熱かんでも どう？ (いびき) (満)ヘヘッ｡ 高嶺君｡ 高嶺君｡ 何だよ？ もう 寝ちゃったの？➡ つまんねえな もう｡ せっかく 面白い ギャグ 考えたのにな｡ では 潤子さん｡ 続きを｡ 実家だから 駄目です｡ やはり そうですよね｡ 実家ですもんね｡ (満)ヤバいよ ヤバいよ｡ 高嶺君｡ ヤバいよ｡ 捜索願 出しますか？ 何？ 朝から｡ (寧々)あっ｡ おはよう｡ 朝 起きたら これが｡ (恵子)｢しばらく いとまを 頂きます｡ 母｣ ああ｡ 大丈夫｡ これ 年に １回の 恒例行事だから｡ (寧々)今ごろ 埼玉の おじいちゃんの家だよ｡ (満)いやいや｡ もう 今度は 本気かもしれない｡ お父さん｡ それ 毎回 言ってるじゃん｡ ホントに 警察に 届けなくても？ 大丈夫 大丈夫｡ 夫婦って そんなもんでしょ｡ 夫婦とは まか不思議なものだ｡ (寺田)天音が？ (成田)すぐに 高嶺さまに➡ ご報告せねば｡ (寺田)分かった｡ 私が｡ (羽田)ええ｡ じゅん…｡ じゅん…｡ じゅん…｡ じゅん…｡ じゅん…｡ ハァー｡ ≪(チャイム) すまん｡ あれ？ それ 作ったんだ？ はい｡ (せきばらい) 悠長なことを してる場合ではない｡ 状況が 変わった｡ 天音が 何か よからぬことを｡➡ このままでは 一橋寺が｡ 天音にも 何か 考えが あるんでしょう｡ 甘いぞ｡ 高嶺｡ お前が 大奥さまとの 話し合いに➡ 来れなかったのも 天音の仕業では ないのか？ 高嶺｡ 天音には 少し➡ 誤解されやすいところが｡ あの子のことを 兄の私が 信じなくて➡ 誰が 信じてやるんです｡ ♬～ あっ｡ 三嶋｡ 何で こんな 早い時間に？ (三嶋)ちょっと 清宮さんに 報告に｡ うん｡ 桜庭にも 報告が あるんだけど｡ うん？ (三嶋)俺 今月で ＥＬＡ 辞めるから｡ うん？ (三嶋)転勤に なったんだ｡ 転勤？ (三嶋)うん｡ ニューヨークに｡ そっか｡ まあ 寂しくなるけど よかったじゃん｡ 頑張ってね｡ なあ？ 桜庭｡ うん？ あっ｡ いや｡ ごめん｡ 何でもない｡➡ 送別会 盛大に 頼むよ｡ 分かった｡ (天音)やっと 寺を捨てる 決心が つきましたか？ 天音｡ いったい 何を たくらんでるんです？ (天音)何のことでしょうか？ 嘘は 決して 許しませんよ｡ 女の家で ほうけてる人には 関係ないでしょ｡ あっ｡ それとも 今すぐ 潤子さんを捨てて➡ 寺に戻ってくる 覚悟は あるんですか？ 私は 一橋寺も 潤子さんも 諦めません｡ ニューヨークか｡ ≪ちょっ｡ ちょっと｡➡ 何なんですか？ うん？ えっ？ ≪いらっしゃいました｡ あっ！ ご… ご無沙汰しております｡ 高嶺と お付き合いしてるそうね？ はい｡ 一言ぐらい ご挨拶 頂いても よかったんじゃないの？ あの｡ すいませんでした｡ あの｡ 先日から 星川さんと…｡ (ひばり)素晴らしいところで 働いてらっしゃるのね？ ありがとうございます｡ (ひばり)潤子さんに➡ とっても お似合いだわ｡ はあ｡ (ひばり)あなたの 大好きな ニューヨークみたいね｡ フッ｡ あなたは こちら側の人間｡ 私と 高嶺は 生きてる 世界が 違うの｡➡ あなたが どんだけ 努力 なさっても➡ 私は あなたを 高嶺の嫁として 認めません｡ 高嶺と 別れなさい｡ いいわね？ (ひばり)参りましょ｡ (一同)はっ｡ ♬～ ≪(ノック) (清宮)桜庭｡ 大丈夫か？ 大丈夫です｡ (清宮)大丈夫って顔 してないぞ｡ (清宮)言ったろ？ 何でも 相談してこいって｡ ありがとうございます｡ [TEL](バイブレーターの音) あっ｡ すいません｡ [TEL](バイブレーターの音) もしもし？ [TEL](寧々)お姉ちゃん｡ お父さんが｡ えっ？ お父さんが？ どうした？ ≪(寧々)お姉ちゃん｡ 寧々｡ お父さんは？ 私も 寧々さんも 今 来たところで｡ (寧々)もう どうしよう？ ああ｡ 寧々｡ (寧々)あっ｡ あの｡ お父さんは？ (看護師)すみません｡ (寧々)えっ？ えっ？ (寧々)もう やだ｡ お父さん｡ ただの じじゃん｡ (満)お母さんは？ (寧々)ああ｡ 電話したけど➡ どうせ じでしょって｡ (満)ハァー｡ 冷たいなぁ｡ やはり お母さまに ちゃんと 説明した方が｡ (寧々)ああ｡ 大丈夫です｡ じも ４年に １回の➡ 恒例行事なんで｡ ったく｡➡ オリンピックかって 感じ｡ (満)痛い 痛い｡ 痛いってば｡ (天音)そんなに 嫌わんでくれや｡ 傷つくやん｡ なあ？ そんなに 兄さんのことが 好きなんか？ はい｡ (天音)フッ｡ それで いい｡ 兄さんのものは 俺が 全て もらう｡➡ 全て 奪って➡ ぐっちゃぐちゃにして 捨ててやる｡ ♬～ ♬～ ごめんね｡ 晩ご飯 これで いい？ もちろんです｡ ああ｡ これで ３分 待つんですね？ もしかして カップラーメン 初めて？ はい｡ 初めてです｡ (ひばり)《私と 高嶺は 生きてる 世界が 違うの》 《高嶺と 別れなさい》 どうされました？ ううん｡ 何でもない｡ 嘘は 嫌いです｡ 何でも 話してください｡ 私に できることでしたら 何でも してさしあげます｡ ♬～ 潤子さん｡ ♬～ (タイマーの音) ♬～ (タイマーの音) えっ？ えっ？ えっ？ 何で チン？ えっ？ コロッケを 温めておりました｡ 何か いつも 私たち こうなるね｡ あれかな？ 神様が 駄目って いってるのかな？ 神様も 仏様も そのようなことは おっしゃいません｡ ♬～ 潤子さん｡ このままで いい｡ もう少し このままで いさせて｡ ♬～ ♬～ (男性)おお｡ ペアの マフラー｡ (メグミ)あつあつだね｡ (秋)ラブラブだね｡ (男性)やけちゃうね｡➡ パン屋だけに｡ お上手です｡ 乗せなくていいから｡ (男性)褒められちゃった｡➡ じゃあな｡ 満ちゃん｡ お大事に｡ (満)あ痛｡ 痛い 痛い｡ 痛いよ｡ もう｡ (男性)潤子ちゃん｡ うん？ (男性)幸せに なるんだぞ｡ えっ？ (男性)結婚しても パン 食えよ｡ うん｡ (メグミ)ﾍﾞﾋﾞｰｶｰは あるからね｡ うん｡ いや｡ 何か みんな 気 早いよ｡ (満の泣き声) 何 泣いてんのよ？ ねえ？ お母さんは？ (満)メールが 来た｡➡ ｢おだいじに｡ じエンド｣だって｡ なぜ うれしいのです？ (満)｢じエンド｣が 来たら 帰ってくる 合図だから｡ ますます 夫婦とは まか不思議なものだ｡ じゃあ 私 仕事 行くから｡ (満)おう｡ お大事に｡ (満)おう｡ 潤子さん｡ うん？ あっ｡ ありがとう｡ いってらっしゃいませ｡ いってきます｡ (蘭)潤子先生｡ はい｡ (蘭)また お客さんが｡ また？ 今度 誰？ ♬～ (清宮)桜庭と 付き合ってるんですか？ はい｡ (清宮)結婚するつもりですか？ ええ｡ そうですか｡ 私が 潤子さんを 幸せにします｡ 星川さん｡ それが あいつにとって ニューヨークへ 行く夢を➡ 捨てることになるってのは 分かってるんですよね？ もし 桜庭を 泣かすようなことがあれば➡ そのときは 俺が あいつを 奪います｡ 寺を 追い出された？ (寺田)はい｡ どうして そんな 大事なこと？ (寺田)心配 かけたくなかったんでしょう｡ えっ？ じゃあ 星川さんは 住職には？ (寺田)このままだと 天音が｡ そんな｡ 高嶺が 住職になるために どれだけ 精進してきたことか｡ 潤子さん｡ 一橋寺は 高嶺にとって 掛け替えのない 場所です｡➡ あいつは 両親が 亡くなってから➡ 毎日 仏壇に 語りかけてきました｡ (高嶺)《お父さん｡ お母さん》➡ 《学校の テストで 全教科 100点を 取りましたよ》 (高嶺)《見てください》➡ 《運動会の 徒競走で １位を 取りましたよ》 《無事 成人式を 迎えることができました》 《これからも 一橋寺の 次期住職となるため➡ 精進いたします》 (寺田)高嶺にとって 一橋寺は➡ 両親との 唯一の 思い出の場所なんです｡ しかし このままでは｡ (天音)親父と おふくろの 仏壇か｡➡ フッ｡ 知らねえわ｡ こんなやつら｡ 俺にとっては 赤の他人だからな｡➡ 赤の他人なのは 親父や おふくろだけじゃない｡➡ あの くそばばあもだ｡ 兄さんばっかり かわいがって➡ 次男の俺は あっさり 京都の寺に 捨てやがって｡ そのくせ こういうときだけ 利用しやがって｡ ♬～ (天音)どいつも こいつも 死ぬほど ムカつくわ｡ (寺田)天音は 一橋寺を つぶすつもりです｡ それを 食い止められるのは 潤子さん｡ あなたしか いません｡ (寺田)お願いします｡➡ 高嶺と 別れてください｡ (寺田)いえ｡ 勝手なことは 承知しています｡➡ しかし 大奥さまの気持ちを 変えるには➡ もう これしか ないのです｡ (寺田)どうか 高嶺のことを 忘れてください｡ ♬～ (ひばり)《私と 高嶺は 生きてる 世界が 違うの》 《高嶺と 別れなさい》 ♬～ (清宮)《それが あいつにとって ニューヨークへ 行く夢を➡ 捨てることになるってのは 分かってるんですよね？》 ♬～ (寺田)《高嶺のことを 忘れてください》 《私は あなたが 好きです》 《あなたの 全てが 大好きです》 ♬～ (ドアの開く音) ただ今 帰りました｡ おかえりなさい｡ 早かったんですね｡ 星川さん｡ 大事な話が あります｡ ♬～ 住職が おみえになりました｡ お寺 追い出されたそうですね？ どうして そんな 大事なこと 黙ってたんですか？ あなたに 心配を かけたくなかったので｡ 私たち 付き合ってるんですよね？ はい｡ だったら 心配 かけてください｡ 心配したいんです｡ それが 付き合うということです｡ そうなんですね｡ おばあさまも おみえになりました｡ 私たちは 生きてる 世界が 違うって｡ 星川さん｡ 私…｡ 潤子さん｡ それ以上 言わないでください｡ 私は あなたと 別れたくありません｡ 絶対に 嫌です｡ でも 私がいると お寺に 戻れないんですよね？ あなたから 大切な場所 奪いたくないし｡ ご両親と 過ごした➡ 思い出の場所 失ってほしくないんです｡ 潤子さん｡ でも ごめんなさい｡ 私 あなたが 好きです｡ どうしようもなく あなたが 好きです｡ だから 別れたくない｡ ごめんなさい｡ どうしよう？ ♬～ やっと 好きだと 言ってくれましたね｡ 私も 決して あなたと 別れない｡ ♬～ ≪(チャイム) ≪(チャイム) あっ｡ お母さんかも｡ ♬～ えっ？ 天音｡ (天音)ちょっと ２人に 相談したいことがあって｡ ｢解体工事｣？ (天音)あそこ ぶっ壊して ビルに することにしたから｡ フッ｡ で 相談なんだけど ビルの名前 何がいい？ 俺的には 星川ヒルズとか いいと 思うんだけど｡ 天音｡ お前 いったい 何 考えている？ 決まってるでしょ｡ 兄さんに 復讐すんだよ｡ 一橋寺の全てを 破壊して➡ 兄さんに 復讐するんです｡ ♬～

ひよっこ＃024

1 甘～いはずの新婚生活も 最初っから波乱含み｡➡ 優作さんは 診療所の開設で大忙しだし➡ 倖ちゃんは 反抗期なのか 何だか荒れてるし｡➡ 浅草の人たちが開いてくれた 開設ﾊﾟｰﾃｨｰも➡ ただじゃ終わらない予感です｡➡ 結婚した途端に ２児の母親となった➡ 私 こころの大奮闘 ご期待下さい> ♬｢Pon pon pon…｣ ♬｢愛の言葉をリル｣ ♬｢ｼｬｲなﾊｰﾄがﾄﾞｷﾄﾞｷ｣ ♬｢あの日観てた “ｻｳﾝﾄﾞ･ｵﾌﾞ･ﾐｭｰｼﾞｯｸ”｣ ♬｢瞼閉じれば蘇る｣ ♬｢幼い頃の大事な 宝物だけは｣ ♬｢ずっと この胸に 抱きしめて来たのさ… Ah ah｣ ♬｢夜の酒場で Lonely｣ ♬｢あの娘 今頃どうしてる？｣ ♬｢さなぎは今､ 蝶になって｣ ♬｢きっと誰かの腕の中｣ ♬｢肩寄せ合い 声合わせて｣ ♬｢希望に燃える 恋の歌｣ この列車は 集団就職の 子どもたちのための専用列車です｡ この年 集団就職列車は 100本 運行され➡ 1万5, 000人の子どもたちが 東京へ向かいました｡ うぢも 最後まで決まらねえ子がいで➡ やきもきしちまって｡ そうですか お互い大変でしたね 今年は｡ (時子)みね子 その服｡ すごいね きれいだね｡ (みね子)そうでしょう？ お母ちゃんがね つくってくれたんだよ｡ へぇ すごいね｡ 私もさ 洋裁 もっと ちゃんと 教えでもらっとげばいがったなぁ｡ (三男)あっ でもよ みね子｡ 何よ？ おめえ 不器用なのによ ﾄﾗﾝｼﾞｽﾀﾗｼﾞｵの工場って➡ 細けえ仕事なんじゃねえのけ？ 大丈夫なのが？ あっ そうだねえ｡ 分がってるよ｡ そう聞いたとぎから できんのかなって➡ 考えただけで憂鬱になっから 考えんのやめてたんだ｡ やめんなよ 考えんの｡ まっ なんとかなっぺ｡ 時子もいるし！ ﾍﾍﾍﾍ！ (３人)いただきます｡ (３人)う～ん！ うめえ…｡ ﾌﾌｯ！ ♬～ かわいいね それ｡ ♬～ え…？ これ｡ あ… 死んだお母ちゃんがくれたんだ｡ そう…｡ こっちさ 来ねえか？ え…？ おいで｡ おいで｡ ほら 三男 どいて｡ おう｡ ほら 言うとおりにしねえと 怖えぞ 姉ちゃんたぢが｡ 何よ！ ほれ こご おいで｡ はい…｡ どっから？ どごの中学？ 福島の いわきです｡ 小名浜中学｡ そう｡ 私たちは 奥茨城で 常陸高校だ｡ はぁ… 高校…｡ うん これ 一緒に食べよう｡ ほれ｡ いや そげな…｡ いいから｡ とんでもねえ もらえないです｡ 食べよ 食べよ｡ はい｡ 言うこど聞かねえと おっかねえぞ 姉ちゃんたぢ｡ んだよ おっかねえよ｡ 怖いよぉ｡ えぇ…｡ (笑い声) いだだきます｡ どうぞ｡ ♬～ うめえ｡ (笑い声) えっ？ ﾄﾗﾝｼﾞｽﾀ工場!? はい… 向島電機っていう 会社だそうです…｡ あれま！ へ？ 一緒だよ 私たちと｡ えぇ～!? 本当かよぉ？ うん よろしくね｡ よろしく｡ はい…｡ (車内ｱﾅｳﾝｽ)｢長らくのご乗車 お疲れさまです｡➡ 列車は あと８分少々で 終点 上野駅に到着します｣｡ (田神)よし おめえら 支度しろ！ もうすぐ着くぞ！ ほら みんな！ もう着くよ！ みね子 起きろ｡ 澄子ちゃん 澄子ちゃん 澄子ちゃん 起きなさい｡ (田神) おめえら 忘れ物すんでねえど｡ しっかり確かめろ｡ (ｱﾅｳﾝｽ)｢上野～ 上野～ 上野 入線でございます｣｡ (喧騒) 上野駅に着くと ここで 子どもたちは➡ 迎えに来た人と共に それぞれの職場へと向かいます｡ <お父さん 東京に着きました｡➡ 私は こんなに大勢の 知らない人を見るのが初めてで➡ みんな 何だか ものすごく急いでて➡ 怒ってるみたいで 怖いです> え～っと 角谷三男君 どこかなぁ？ 角谷三男君！ え～…｡ あ… はっ はい！ おぉ！ あ～ 君か！ ﾊﾊﾊ ﾊﾊﾊﾊ！ さっ さささ はい 行こう行こう｡ あっ いや あっ あの…｡ あっ 忘れてた！ 先生 先生！ 先生！ 田神先生～！ あっ はい はい！ あ～ 安部さんですか？ はい｡ 常陸高校の田神と申します｡ はいはい はいはいはい｡ というわけで え～ 角谷三男君｡ 確かに お預かりしますんで｡ はい！ では！ (田神)あっ いや どうか よろしくお願いします！➡ 三男 しっかりな！ はい｡ 三男！ 頑張ろうね！ おう！ 三男 負けんな！ 負けたら 嫌いになっかんね！ おう 分がった！ あっ あっ 連絡取り合おうね！ (三男)おう！ ♬～ (田神)大丈夫が？ 寒くねえが？ はい｡ 夏には また帰ってこれっから｡ うん 頑張れ｡ (愛子)ごめんなさい 遅くなってしまって！ ごめんなさいね｡ えっと こんにちは こんにちは｡ こんにちは こんにちは｡ あの 常陸高校の田神ですが 向島電機さん？ はい 永井です｡ いがった｡ すみません｡ いえいえいえ｡ お電話の感じだと もう少し おじいさんかと思ってました｡ ﾌﾌﾌ！ ﾊﾊﾊ…｡ あっ あの子たちです｡ おい おめえら 来い｡ はい！ あら かわいらしい｡ か… かわいらしい？ よろしくね 永井愛子です｡ 愛子さんって呼んで｡ えっと 舎監といって あなたたちの面倒を見たりします｡ えっと…｡ 助川時子さん｡ はい｡ はい｡ 青天目澄子さん｡ はい…｡ はい｡ ん？ ん？ あっ 書類だと ２名になってますけど…｡ えっ!? いやいやいや 向島電機さん！ 追加で 一人 お願いしてるはずですよ｡ 谷田部みね子｡ そうでしたよね！ えっ？ どうなってんだろ？ 会社 大丈夫なのかな？ ここに書いてないけど｡ ちょっと ちょっと！ しっかり調べて下さいよ！ どうしましょう？ どうしましょうって…｡ ちょっと…｡ ちょっと 電話借りて 会社に確認してきます｡ ちょっと待ってて下さいね｡ (田神)あ～ 一緒に行ぎます！ ちょっと ここで待ってろ！ 動ぐな！ いいな！ はい｡ ごめんなさい ごめんなさいね｡ ♬～ みね子 大丈夫？ どうしよう…｡ えっ？ 私… 働げないのがな？ そんなわけないよ｡ どうしよう…｡ どうなるんだろう 私｡ え… 帰んの？ このまま？ 帰れないよ…｡ 帰るわげにいがないよ…｡ うう… いがないよ 帰るわげには…｡ 大丈夫だ｡ きっと大丈夫だよ｡ な？ ごめんなさいねえ｡ 確認できました｡ ありました 谷田部みね子さん｡ はぁ～｡ いがったぁ…｡ いがった…｡ いがったぁ｡ ごめんなさい｡ 心細い思いさせて ごめんね｡ はい…｡ よろしくね みね子さん｡ はい よろしくお願いします｡ うん｡ じゃ 行きましょう！ 重っ！ あっ 大丈夫です｡ ｱﾊﾊﾊ…｡ じゃ 永井さん どうが よろしくお願いいだします｡ (愛子)はい お引き受けしました｡ みね子 時子…｡ それに 澄子…｡ 頑張れ 体に気ぃ付けてな｡ はい！ お世話になりました！ 先生 ありがとうございました｡ じゃ… こっちです｡ ♬～ 頑張れ 頑張れ…｡ ♬～ <お父さん…｡➡ 最初から 何だか ﾄﾎﾎなことに なってしまいましたが➡ みね子は 元気です> あれ？ こっちだ｡ ｱﾊﾊ！ <舎監さんの愛子さんは 正直ちょっと頼りねえけど…> 大丈夫ですか？ みね子さん｡ うん｡ みね子｡ 負けないでいこう 東京に｡ うん｡ ♬～ <というわけで お父さん そして お母さん｡➡ みね子は➡ 東京に着きました> さあ どんな毎日が みね子を待ってるんでしょうか｡ 来週の｢ひよっこ｣は…｡ (松下)ご安全に～｡ (一同)ご安全に～｡ いよいよ 東京で みね子の新生活が始まります｡ ちょっこし 体 弱くて｡ 歌は どんも 私｡ んだが？ 初めての 工場でのﾗｼﾞｵづくり｡ 子どもじゃないんだ｡ 仕事なんだからさ！ 頑張っぺ！ みね子！ 大丈夫 大丈夫！ さっ 頑張ろう！ ♬～ 日本各地の鉄道を旅する ｢中井精也のてつたび！｣｡ 今回は千葉県の房総半島を走る 小湊鉄道線です｡ 旅人は… 鉄道にまつわるものなら 何でも➡ 時には美しく 時には緩く 写真に収めていきます｡

ホワイト・ラボ～警視庁特別科学捜査班～＃08

1 ≪(本田)何があったんですか？ 一ノ瀬の父親に 一ノ瀬さんは 犯人ではない 一ノ瀬の過去を調べました アメリカの大学では 素粒子物理学を専攻し 天才と呼ばれていた しかし あるときを境に なぜか法医学などを広く学び 研究者への道を捨てた あいつは父親の事件をきっかけに 自分の生きる道を変えたんです しかし 分からないことが ひとつあります 犯罪者および その疑いのある人間の親族が 警察官になることは 極めて難しいはずです 刑事部長が手を回したんですか？ 私の中では まだ終わってないんだ おはようございます おはようございます ≪(岸部)どけ！ ≪すいません (岸部)どうだ？ (淡島)腹部を刺されてます➡ 凶器は鋭利な刃物 死後12時間以上は たっています (岸部) 凶器はまだ見つかってないのか？ はい それから遺体の腕に いくつも注射の痕が 薬物の常習犯だったようです 凶器 探れ (平野)はい ここ 触りました？ いいえ 凝固血液の一部が剥がれてます 確かに (平野)淡島さん ちょっといいですか？ (写真を撮る) 毛髪 わずかに白髪交じり 被害者のもんじゃねえな ｢天罰｣ ≪(奥貫)触るな！ (奥貫)どけ 何なんだよ クモの巣？ (山根)被害者は小坂美里 二十歳➡ 歌舞伎町のｷｬﾊﾞｸﾗ ｢ＪＪ｣に勤務 現場に｢天罰｣と書かれた 書き置きが残されていたことから 犯人は被害者に強い恨みを抱く 人間と考えられています 死亡推定時刻は？ 昨日の正午から３時の間です 分からないのは凶器です 検視の結果 遺体の傷口から 微量の ﾋﾞｽﾏｽとｲﾝｼﾞｳﾑが検出されました ビスマス？ 金属元素です ≪(山根)普通 刃物に 用いられていない元素ですね それと不思議なことが もうひとつ あの… 遺体の傷口の 凝固血液の一部が 剥がれてるんですよ つまり血が固まってから 誰かが 遺体を触った可能性があるんです 奥貫は？ まだ現場です 何か クモを捜すとか言ってました クモ？ 事件に関係あるんすかね？ 重要な容疑者が上がった えッ ☎(岸部)永倉卓司 19歳 被害者と付き合ってたが 最近 いさかいが絶えなかったそうだ ☎昨日も現場付近で被害者と いるところを目撃されている 19歳 未成年ですね 未成年だろうが何だろうが 経歴は とんでもないワルだ どうやら今回は 足の捜査が科学捜査に… おい！ (平野)裏 回れ はい！ 永倉さん 警察です いらっしゃいますか？ 永倉さん？ 永倉さん (平野)岸部さん！ 本部に連絡しろ はい チッ… (淡島)死後 20時間は たってます 凶器は恐らく 小坂美里のときと同じく 鋭利な刃物➡ こいつも クスリをやってたってわけですか ああ？ ≪(淡島)何か？ これ 刺されたわりに 出血の量 少なくないですか？ ≪(淡島)はあ… そうでしょうか あの これは？ (淡島)これって… こいつが あの殺された女と 雑木林で会っていたのは 間違いないみたいですね 岸部さん！ ああ これ… 鑑識に回せ 岸部さん 注射器がトイレに 鑑識に回せ 何で わざわざ 別々に隠してたんでしょう？ (岸部)事件と関係あんのか？ いえ よし！ 犯人は永倉卓司 小坂美里 二人を 恨んでる人間に間違いない➡ しかし永倉を恨んでる人間は 世の中にごまんといる➡ 手分けして捜査にあたれ (刑事達)はい！ <凶悪犯罪の阻止> <事件の早期解決 えん罪の防止> <それらを目的に設立された> <それは…> [ﾃﾚﾋﾞ]先月31日 永倉卓司さんと 小坂美里さんが➡ [ﾃﾚﾋﾞ]刃物で 殺害された事件で 警視庁は [ﾃﾚﾋﾞ]二人に恨みを持つ同一犯の 可能性が高いとみています [ﾃﾚﾋﾞ]また永倉さんと小坂さんは 顔見知りであり… (下山)俺は 永倉のことは何も知りません あいつとつるんでたのは ずっと昔の話です だったら なぜ あなたの部屋から ｸｽﾘが出てきたのかしら？ 最近 そのｸｽﾘの代金の支払いが遅れて 永倉から だいぶ責められていたようね 俺が殺したって言うんですか？ 勘弁してくださいよ 永倉と小坂美里について 知ってることを教えて 彼女の店で知り合って 意気投合したみたいです 彼女が男を引っ掛けては 永倉が ゆするってのが 最近の手口だったみたいで 刑事さん あいつを 殺そうと思ってるヤツなら 俺以外にも大勢いますよ おい！ 何だ お前 すいません ｢週刊ｼﾞｬｰﾅﾙ｣の小沢と申します 帰ってもらえ ちょっと！ こらこら！ 捜査の状況について… お前らに話すことなんか何もない 第一 何だ あの記事は いくらワルでも永倉は被害者だ 犯人を追っかけてる俺達が 悪者みてえじゃねえか そら そうでしょう そもそも永倉なんてヤツ 野放しにしといた おたくらが いけないんじゃ… 何だと!? ああ すいません 永倉卓司の傷口からも 微量の ﾋﾞｽﾏｽとｲﾝｼﾞｳﾑが検出されました この二人は同じ凶器で殺された 可能性が高いってことですね 永倉の死亡推定時刻は？ 昨日の午後３時から６時の間です ということは 犯人は 昨日の正午から３時の間に 雑木林で小坂美里を殺害し そのあとに永倉の アパートを訪れて ３時から６時の間に 彼を殺害した 現場に残ってた書き置きから 何か分かった？ ノートを切り取って 書かれたもののようです 正確にいいますと そのノートは 東都製紙の大学ノート➡ ごく一般的に使われてるもので 市場には相当数 出回ってます 実は この書き置きから微量なんですが ステアリン酸マグネシウムという 薬品が検出されました ステアリン酸？ 錠剤を作るときや 金属を加工するときなどに 用いられる薬品なんですが 主に工場や大学の研究施設で 使われてることが多いです 大学… ちょっと待ってください １年前 明専工業大学の教授の娘が 自殺した事件があります➡ 彼女は当時 不良少年と付き合っていて➡ 遺体からは 薬物が検出されたそうです ここでは実名が出ていませんが この不良少年 17歳 というのが 今回 殺された 永倉のことです 記事によりますと 彼女は付き合っていた永倉に 捨てられて自殺したそうです だったら その女性の父親が 永倉を恨んでる可能性は 十分にあるか この女の人も自業自得ですよね 逆恨みってやつじゃ ないでしょうか 父親は？ この人です➡ 明専工業大学工学部教授 戸川敬三 直接 話を聞きにいく 本田と奥貫にも連絡 (山根)奥貫さんはまだ クモの巣を 作った犯人を捜してますけど お前か… ついに捕まえたぞ (ノック) (戸川)はい 警視庁の神山です 本田です 一ノ瀬です どうぞ あッ あの これ… ペン 落ちてました ああ 失礼 それ私のです 申し訳ありません 永倉卓司さんが殺された件 ご存じですね？ そのことについて ちょっとお伺いしたいことが そろそろ おいでになる頃だと思ってました 確かに私は あの男を殺しました といっても… 毎晩 夢の中でです 100回… 200回 何度 殺しても 殺し足りない 実は本当に殺そうと思って 刃物を持って あの男の 部屋の前まで行ったことも 一度や二度じゃありません でも 結局 何もできませんでした あなた方が今 何を考えているのか 当ててみましょうか あんたの娘だって自業自得だろう 永倉と出会い 彼に気に入られてしまったことが 娘の不幸の始まりでした 《≪乾杯！》 ≪(戸川)娘は だまされ➡ 睡眠薬の入った飲み物を 飲まされたんです 永倉は意識もうろうとなった娘を 家に連れ帰り 薬物を注射しました そして逃げれば 今までのことを すべて世間にバラすと脅して それからも無理やり 薬物をやらせたんです 娘は禁断症状に苦しみ とうとう 自ら命を… 《おい… 麗子》 《麗子！》 娘の遺体から 薬物が検出されたと聞き テレビも週刊誌も 飛びつきました (戸川)娘は ただの被害者です でも 誰も守ってくれなかった フッ おかしな話だと思いませんか？ 加害者の人権を守る法律は 100もあるのに 被害者のことは 誰も守ってくれない あの これ… 変わった置物ですね ヘヘ ≪(戸川)ああ それですか 知り合いに そういう 美術品を作る 作家がいましてね➡ 何かのオブジェだそうです オブジェ… すいません 美術品に疎くて お気持ち お察ししますが 私達は今回の事件について 捜査をしなければなりません 事件の日のことをお尋ねします ５月31日 正午から７時頃まで どこに おられました？ 午後は 思索のため ずっと あちこち ぶらぶらしていました どこを どう歩いたのか 覚えていません ３時頃 日暮里の 行きつけの本屋に立ち寄りました 日暮里… 永倉のアパートのすぐそばですね はい ただ 彼のアパートには 一歩も近づいていません 午後４時から上野で 重要な学術会議があったので 本屋の近くでタクシーを拾って そこに向かいました 永倉さんが付き合っていた 小坂美里さんという女性が 鶯の森の雑木林で殺されたことを ご存じですよね？ その件について 何かご存じですか？ いいえ 鶯の森なんか 行ったこともありません 分かりました こちらで 裏を取らせていただきます よーしよし いい子だ おうち入れてやっからな それ 事件と関係あるの？ あるかどうか 分かんないから 見つけてきたんだろうが ＤＮＡ鑑定の結果が出ました 奥貫さんが 現場で採取した毛髪のＤＮＡが 戸川教授のものと一致しました 戸川教授は あの現場に行ったことがあった 彼はウソをついていた 問題は凶器が何かってことです (受信音) [ﾃﾚﾋﾞ]本田です 事件当日 [ﾃﾚﾋﾞ]戸川教授を乗せたという ﾀｸｼｰの運転手を見つけ出した 確かに戸川教授は その日の午後３時半頃 日暮里付近の路上で タクシーを拾い 学術会議出席のため 上野の会場まで 乗っていったそうだ そのとき教授に変わった様子は なかったでしょうか？ 凶器を 持ってた可能性があるんですけど [ﾃﾚﾋﾞ]その凶器についてなんだが [ﾃﾚﾋﾞ]教授はタクシーを降りてすぐ 会場の入り口で [ﾃﾚﾋﾞ]金属探知機の検査を受けている [ﾃﾚﾋﾞ]探知機の係員に確認したところ [ﾃﾚﾋﾞ]刃物なんか持っていたら すぐに分かったはずだと タクシーを拾ったとき 教授は もう凶器は持っていなかった もし教授が永倉を殺害したあと 凶器をどこかに捨てたとしたら➡ 永倉のアパートから➡ タクシーを拾ったこの地点の どこかってことになりますね 大至急 このエリアの捜索を まだ何か 残ってるかもしれない ちょっと待ってください この日は土曜日ですから 午後４時から役所の清掃業者が 歩道の清掃に入ってるはずです [ﾃﾚﾋﾞ]それについてなんだが 役所の清掃業者に確認してみた [ﾃﾚﾋﾞ]確かにその日の午後４時頃 その一帯の清掃を行ったらしい [ﾃﾚﾋﾞ]だが刃物みたいなものは なかったそうだ ということは… 戸川教授が犯人だとしたら 凶器は どこに消えたんでしょう すいません 戸川教授ですよね？ 私 ｢週刊ジャーナル｣の 小沢と申します ちょっと 永倉卓司君が殺された件で お話を伺えないかなと思いまして 実は 警察じゃあ 先生 かなり有力な 容疑者になってるらしいんですよ はあ 凶器はどこに消えたのか… 低融点合金？ はい ビスマスとインジウム それに 鉛やスズを適正な比率で混ぜると 融点が70度ぐらいの 金属を作ることができるんです 融点が70度？ 沸騰したお湯の温度は100度 つまり その金属は お湯に溶けるということです なるほどね 犯人は あらかじめ その金属で刃物を作り 犯行後 それを溶かして持ち去った はい 確かに 戸川教授なら それくらいのことは できますね でも ちょっと待って 教授はその後 会議場の金属探知機を通ってる お湯に溶かせば その金属は 探知機に反応しなくなる？ お湯に溶かしても金属探知機には 反応してしまいますね [ﾃﾚﾋﾞ]いや 待ってくれ [ﾃﾚﾋﾞ]とんでもない見落としを していたのかもしれない [ﾃﾚﾋﾞ]会場の係員に 事情聴取をしたとき… 《教授は この金属探知機には全く 引っ掛からなかったんですか？》 《引っ掛かるには 引っ掛かったんですが➡》 《反応したのは 刃物なんかじゃなくて➡》 《ただの金属製の水筒でした》 《中身は ただのお茶です》 《≪(係員)すいません お手数おかけしました》 それです！ その水筒の中に刃物を溶かして 持ってたんですよ (ノック) はい 失礼します ≪(戸川)ああ どうしました？ よかった まだありました ああ ちょっと これ… お借りしても よろしいでしょうか？ ええ 構いませんが それが… どうしました？ いえ ちょっと… お借りします それじゃあ 失礼します (ドアが閉まる) これが凶器だっていうの？ はい 溶かして水筒に入れて 持ち帰ったあと その合金で この置物を 作ったんじゃないかと思うんです ちょっと調べてみますね 十分に注意してよ もしかしたら 本当に高価な… あッ！ やっぱり これは低融点合金だったんです だからって… これが凶器だっていう証拠は!? ああ それは調べてみなきゃ 分かんないです 班長 溶けた金属の中に 微量ですが 繊維片と 人の体液が混じってました 繊維片は永倉が殺されたときに 着てた衣服のものと一致 それから体液のＤＮＡは 小坂美里のものと一致しました じゃあ やっぱり あれが凶器 うん 犯人は戸川教授 私は あの二人を殺してなどいません 戸川さん お気持ちはお察しします ですが… 私は やっていない 証拠があります (受信音) [ﾃﾚﾋﾞ]班長 ちょっと来てください [ﾃﾚﾋﾞ]ちょっと 気になってたことがあるんです [ﾃﾚﾋﾞ]これは僕達が最初に戸川教授の 部屋を訪れたときのものです [ﾃﾚﾋﾞ]あの これ 変わった置物ですね [ﾃﾚﾋﾞ](戸川)ああ それですか [ﾃﾚﾋﾞ]知り合いにそういう 美術品を作る作家がいましてね [ﾃﾚﾋﾞ]何かのオブジェだそうです [ﾃﾚﾋﾞ]ここです [ﾃﾚﾋﾞ]普通 こんなマズイものを 見つけられたら [ﾃﾚﾋﾞ]もっと 動揺するんじゃないでしょうか [ﾃﾚﾋﾞ]第一なぜ こんな物 いつまでも 部屋に置いといたんでしょう？ [ﾃﾚﾋﾞ]本当は戸川教授は僕達に これを [ﾃﾚﾋﾞ]見つけてほしかったんじゃ ないでしょうか 何で そんなことを？ [ﾃﾚﾋﾞ]それは僕にも分かりません (奥貫)こっちもひとつ 分からないことがある 書き置きの裏に付着していた クモの巣のことだ➡ あの巣を張ったのは オニグモという種類のクモだ オニグモは日が暮れると巣を張り 夜が明けると その巣を食べて 回収する習性がある いいか 書き置きの裏に クモの巣がついてたってことは 書き置きが置かれたのはクモが 巣を作る日没以降ってことになる ということはだ➡ 犯人は事件当日 正午から３時にかけての間に 小坂美里を殺害し➡ そのあと永倉のアパートへ行き 彼を殺害➡ そして 日が暮れて もう一度 あの雑木林に戻って➡ 小坂美里の遺体のそばに 書き置きを置いたってことになる 何で そんな危険なマネを する必要があったんだ？ 戸川さん 本当のことを話してください 刑事さん テレビや週刊誌は 私のことをどう言ってますか？ 有力な容疑者の一人 ということになっています 一番 新しいのを 見せていただけないでしょうか それは… お願いします １年前の事件のことは 今回は戸川さんが話したように 報じられています お嬢さんは ただ 永倉に だまされただけの被害者だ そうですか… ああ そうだ えッ？ いや 事件の日のことで 思い出したことがありまして 私 午後は思索のために あちこち ぶらぶらしていたと 言ったでしょう 確か 昼を だいぶ回った頃だったでしょうか 田端の喫茶店に入ったのを 思い出しました [ﾃﾚﾋﾞ]田端の喫茶店に来てます [ﾃﾚﾋﾞ]美人ｳｴｰﾄﾚｽの好子ちゃんが 戸川教授のことを覚えてました [ﾃﾚﾋﾞ]好子ちゃん ５月31日の午後２時頃 この人 この店に来たんだよね？ はい 私 この人にコーヒーを出そうとして 《お待たせしまし… あッ！》 《すいません！ 大丈夫ですか？》 《大丈夫です》 《申し訳ございませんでした》 優しいお客さんだったので 助かりました 僕も優しいよ [ﾃﾚﾋﾞ]はい 戸川教授が １時から３時までの間に 小坂美里が殺された雑木林まで 行くのは不可能だった [ﾃﾚﾋﾞ]はい アリバイ成立ですね 振り出しに戻った 引っ掛かることが いくつかあるんですよ まず永倉の遺体の出血量が どうも少なすぎるんですよね それとｸｽﾘと注射器が 別々の場所に隠してありました 発見されたとき 永倉はどこに？ ここで ここで こういう感じで ちょっと立ってみろ 早く 犯人が永倉を刺すためには こうやってテーブルを乗り越えて ちょっ ちょっ… くすぐったい くすぐったい いつまでやってんですか 気持ち悪い ううッ 見てみろ 普通はこうなるんだよ だがしかし 実際は 争った形跡は なかった てことは何か 永倉は無抵抗のまま 刺されたってことか？ (受信音) [ﾃﾚﾋﾞ]鑑識から連絡がありました 一ノ瀬さんに言われたとおり 永倉の遺体を もう一度 調べてみたそうです それで？ [ﾃﾚﾋﾞ]一ノ瀬さんの 予想どおりだったそうです 永倉は刃物で刺される以前に 薬物中毒を起こして 死んでいた可能性がある [ﾃﾚﾋﾞ]でも変じゃないですか？ 犯人は死んでいる永倉を わざわざ刃物で刺しますかね？ 意味が分かりません [ﾃﾚﾋﾞ]それと もうひとつ おかしなことがあります 永倉の衣服から小坂美里の血液が 検出されたそうです➡ 永倉本人の血が紛れてしまって➡ 見落としていた らしいんですけど [ﾃﾚﾋﾞ]つじつまの 合わないことだらけですね こうなると本当に 物証を信じていいのかどうか… [ﾃﾚﾋﾞ]いえ 物証はウソをつきません それを説明する何かが きっとあるはずです (ノック) あッ 失礼します ああ どうも あの これをお返ししに すいません 一生懸命 復元したつもりなんですが 少し形が変わってしまって いや 構いません それと事件のご報告に といっても刑事としてじゃなく 一人の科学者として 同じ科学者である あなたに ご意見を伺いたいと思いまして [ﾃﾚﾋﾞ]この事件には いくつかの 物証が残されてました その物証を 科学的に分析していくと かなり奇妙で 矛盾だらけの事実が 浮かび上がってくるんです 聞いていただけますか あの どこか間違えてたら 遠慮なく言ってください まず 小坂美里を 雑木林で殺害したのは 永倉です 永倉の遺体のﾎﾟｹｯﾄに挟まってた 小坂のﾈｲﾙと 服に付いていた小坂の血が その証拠です 永倉は遺体を そこに放置したまま 部屋に戻った そして興奮した状態で 薬物を摂取して そのｼｮｯｸで心臓発作を起こして 死んでしまった そこで あなたは 死んでいる彼の腹部を 合金で作った刃物で刺した 証拠は この置物です そのあと あなたは注射器を隠して 永倉が ｸｽﾘをやっていた痕跡を消した 注射器とｸｽﾘが 別々の場所に隠してありました あなたは その夜 永倉が小坂美里の遺体を 放置した雑木林に行った そして 彼女の遺体の傷口をもう一度 合金の刃物で刺し直した 遺体の傷口の凝固血液が ほんの少し 剥がれていたのが その証拠です そうやって あなたは 二人が誰か同じ人間に 殺されたかのように 見せかけたんです いかがでしょうか？ 確かに 物証だけをつなぎ合わせると そういうことになりますね しかし なぜ私が そんなことをしなければ ならなかったんですか？ そこなんです 問題は 物証が指し示している あなたの行動は とても奇妙でバカげたものです でも どんなにバカげていようとも 僕は科学者です 物証を信じるしかない そうしたら 唯一可能な 説明があることに気づきました あなたは その答えを 一番 最初に 私達におっしゃっていたんです 《おかしな話だと思いませんか？》 《加害者の人権を守る法律は 100もあるのに》 《被害者のことは 誰も守ってくれない》 あなたは永倉を 殺人事件の加害者ではなく 被害者に 見せたかったんじゃないですか？ 彼が 小坂美里を殺害した加害者だと すぐに分かってしまってたら どうなっていたんでしょう 彼は未成年です 実名で報じられることも ありませんし 法によって プライバシーも守られる でも被害者だったら マスコミは彼の名前を 実名で報じる 過去の悪事も 好き放題 暴かれる あなたは そうやって 娘さんの復讐を 遂げようとしたんじゃないですか そのとおりです 娘が自殺してから 私は 何度もあの男を殺そうとしました いくつもの殺人計画を立て お湯に溶ける刃物まで用意した➡ でも➡ いつも あと少しのところで 決意が鈍ってしまった あの日もそうでした ≪(戸川)私が あの男の部屋に入ると➡ あの男はｸｽﾘで興奮状態にあった➡ そして 自分は今➡ 雑木林で 女を殺してきたところだ➡ お前には そんな勇気 とてもないだろうって➡ あざ笑うように 私に言ったんです➡ 恥ずかしいことに そこまで言われても 私は あの男を 殺すことができなかった そして あろうことか➡ その 私の目の前で 彼は心臓発作を起こして➡ 死んでしまったんです 私がそのとき 何を思ったか分かりますか？ 娘への 罪悪感です ≪(戸川)私は 復讐を遂げてやれなかった➡ 自分の弱さを呪いました➡ そして恐ろしいことに 気がついたんです➡ このままでは この男は法律に守られ➡ 最後まで名前も過去も➡ 世に知られることなく 終わってしまう 娘が 世間のさらし者にされてるのに なぜ この男は 法に守られなければ ならないんだ だから私は あの男を 加害者ではなく 被害者に見せかけたんです (戸川)思ったとおり テレビも週刊誌も➡ [ﾃﾚﾋﾞ]あの男の過去を [ﾃﾚﾋﾞ]ほじくり返しては 書き立てました でも それだけじゃ 娘の名誉を回復することには ならないと思ったとき➡ ふと気がついたんです 私が有力な容疑者になれば みんな私の話を 真剣に聞いてくれるんじゃないか 《ちょっと 永倉卓司君が殺された件で》 《お話を伺えないかな と思いまして》 だから あなたは わざわざ 僕達が あなたを 疑うようにしむけた 僕達警察は あなたが思ったとおりに 動かされてしまった ってわけですね 行きましょうか 人を殺してないとしても 死体損壊の罪は 逃れることはできません 分かっています これからは 永倉は殺人犯としても 世に知られることに なるんですよね 本当は… 本当は この手で あの男を殺してやりたかった 《麗子…》 《麗子 起きろ！》 《麗子》 《麗子…》 《ごめん》 《ごめん》 戸川さん 私は科学捜査班におりますが ときどき非科学的なことを 考えることがあります 戸川さんが最後まで 永倉を殺せなかったのは きっと お嬢さんが 戸川さんを 殺人犯にしたくなかったからだと 私は そう思いたいです ♬～ お帰りなさい お疲れさん 珍しく遅いね ハハ… 戸川教授は満足したんだろうか 何がです？ 犯罪を犯してまで 娘の汚名をそそいだ しかも娘は すでに 亡くなっているにもかかわらず 亡くなったからこそ そうしたかったんじゃ ないでしょうか それじゃあ 失礼します 君もそうなのか？ だからこそ ホワイト･ラボに？

あさが来た＃146

1 ですが 夏美も どうする事も できずにいたのでございました> (風鈴の音) (あさ)榮三郎さんの興しはった 生命保険だすけどなぁ➡ 契約数伸びてたのに この不況で 止まってしもてましたな｡ (榮三郎) はい｡ 戦争のあとで 保険金が 支払われた事で 日本でも➡ ようよう 生命保険のありがたみが 分かってきたいうのに➡ 契約増やす競争は 余計 厳しなってしもて…｡ (平十郎)ひょっとして 奥さん｡ 炭坑だけやなく➡ 生命保険の商いまで 手放すおつもりですか!? え!? いいや｡ いっそ 大きしよ思てますのや｡ ♬｢朝の空を見上げて｣ ♬｢今日という一日が｣ ♬｢笑顔でいられるように｣ ♬｢そっと お願いした｣ ♬｢時には雨も降って｣ ♬｢涙も溢れるけど｣ ♬｢思い通りにならない日は｣ ♬｢明日 頑張ろう｣ ♬｢ずっと見てる夢は｣ ♬｢私が もう一人いて｣ ♬｢やりたいこと 好きなように｣ ♬｢自由にできる夢｣ ♬｢人生は紙飛行機｣ ♬｢願い乗せて飛んで行くよ｣ ♬｢風の中を力の限り｣ ♬｢さあ 心のままに｣ うちと おんなじように➡ 経営に行き詰まってる保険会社は ようけあります｡ そこを２つほど見繕うて 手ぇ組んで合併して➡ より大きい保険会社にしたら どないか思いますのや｡ へ!? 合併？ いや～ しかし 今 保険は欠損が続いております｡ しかも この金融恐慌のさなかや いうのに…｡ そうです！ 合併なんて ややこしい事してられません｡ そうだす｡ まずは自分らで 黒字に持っていきまひょ！ 不安な時ほど 大きいもんに 頼りたなるのは 人の常だす｡ そやけど 小さい会社が 守りに入ってたら➡ 結局 大きい会社に のみ込まれて おしまいだす｡ まずは自分らが大きなって この保険業界に風穴 開けまひょ｡ まさか 最初から そのつもりで 炭坑を？ ご明察だす｡ 頭取も言いはったとおり➡ この国は 保険のありがたさに ようよう 気ぃ付きましたのや｡ 加野屋の事業の中でも 生命保険は この先の日本で➡ 一番 見込みのある事業だす｡ これを伸ばさへん手あらしまへん｡ (亀助)え～ これが今現在 廃業しそうになって➡ 困ってるいう噂のある 保険会社の一覧だす｡ へぇ！ これは 北から南までありますなぁ｡ 困ってるとこに 手ぇ差し伸べたら➡ 合併交渉かて有利に進められます｡ 今が好機だす｡ (亀助) こっちゃが 頭取が披露宴に 呼んでほしい言うてはります➡ 大阪のおもだった 経済人の方々の一覧だす｡ (啓介)はぁ～｡ (千代)こないに ようけなぁ｡ 当たり前だすがな｡ こないな時やからこそ➡ 啓介さんを 大阪中に お披露目して➡ 加野屋は この先も安泰やいうとこ 見せとかな あかんのだす｡ ほんなら皆さん よろしゅう頼みましたで｡ お気張りやす 千代｡ あんたの啓介さんの妻としての➡ 初めての大事なお務めだっせ｡ 分かっております｡ せや｡ お父ちゃん お母ちゃん｡ 啓介さんと話してて うちらの住む 家の事なんやけどなぁ｡ はい｡ 僕ら そんなに慌てて 家を建てる必要は➡ ないんじゃないかと 思っているんです｡ へぇ｡ 銀行が大変な今 僕たちだけが 結婚したからといって➡ ぜいたくをしている場合では ありません｡ (新次郎)ほ～う｡ 商社の商いも 今は何かと厳しいと聞きますし｡ そうだすのや｡ 新しい商法で➡ ようよう諸外国と おんなじ仕組みが➡ 出来たとこだすさかいなぁ これからだすのや｡ それでしたら僕たちも➡ とりあえず 近くに 仮住まいをしたいと思います｡ 僕も もっと大阪の事を知ってから 家を建てたいですし｡ …という事だすのや｡ はぁ～ そないな事まで 考えてはるやてなぁ｡ あ… それから 次から こちらに来た際には➡ 僕も会議に参加させて もらえませんでしょうか？ え？ 無論 末席で結構です｡ もっと商いの事を知りたいんです｡ はぁ そらそら 熱心な事やな｡ なぁ｡ そないな事 言うてくれはんのやったら➡ ほんまに ありがたい事だす｡ びっくりぽんや｡ おおきに 啓介さん！ あっ ちょっと…｡ ≪(平十郎)奥さ～ん！ あれ？ はれ？ あの声➡ へぇさんと違いますのか？ ああ…｡ 奥さん 朗報です！ (荒い息遣い) どないしはりましたんだす？ そないな格好で…｡ (うめ)へぇ お風呂入ってたのに 走ってきたて｡ へぇ！ 今 家の方に新聞記者 やってる友人が来まして➡ 大阪の金融恐慌に 日銀の 救済融資が決定したそうです！ あ… ほんまだすか!? よろしおました！ やりましたな｡ これで 銀行も大阪も安泰だすな｡ (亀助)あ～ よろしおました｡ 近頃は 婚礼でﾄﾞﾚｽ着る花嫁も いるそうだす｡ そう｡ 僕は 常々 女性の洋装は苦手だったんだ｡ 着物の方が お好き？ うん…｡ うちも そうだす｡ しかし お母さんの洋装は悪くないね｡ ふ～ん…｡ 母と仲がええのは うれしい事だすけど➡ それ以上 言いはったら ちょっと やきます｡ ん…？ いいや 何も｡ 啓介さんは 頼もしなぁ｡ あないなふうやったら 安心して 千代 託せます｡ そうだすなぁ｡ 何や 加野屋にも新しい風➡ 吹き込みそうな気ぃします｡ せやろ？ わてなぁ 近頃 よう昔の事 思い出しますのや｡ 例えば…｡ [ 回想 ] 明治の世やなんて 誰が作りはったんや！ くそ食らえだす！ わ～っ！ (笑い声) 嫌や… よりによって そないな事｡ あれから もう30年以上も たったやなんてなぁ｡ そうだすなぁ｡ 五代様や大久保様の願てはった➡ 国づくりが ようよう 出来上がろうとしてます｡ 五代様も ちょっとは 立派になった言うて➡ 褒めてくれはりますやろか？ さあ まあ そら どないだすやろな？ 旦那様が昔話やて… 珍し事なぁ｡ はれ そうだすか？ へぇ｡ <翌朝 平十郎の言葉どおり➡ 新聞で 大阪の金融恐慌に 日銀の救済融資が決定した事が➡ 大々的に報じられました> ありがとうございました｡ あんだけ 出ていくばっかりやった お金が➡ こないに一転して 戻ってくるとはなぁ…｡ 現金だけに 現金なもんですなぁ｡ へ？ へぇ｡ 経済は まだ不安定だす｡ 今のうちに➡ 今は まだ弱い この生命保険部門を強化したい｡ 保険部門を強化すれば 長期の契約を増やす事ができます｡ <生命保険会社の合併への動きは 一気に進みました｡➡ そして あさは 新次郎と東京へ足を運び➡ 念願だった女子大学校の授業に 出席しました> ﾃﾞｨﾅｲ ｻﾞｲ ﾌｧｰｻﾞｰ ｱﾝﾄﾞ ﾘﾌｭｰｽﾞ ｻﾞｲ ﾈｰﾑ➡ ｵｱ ｲﾌ ｻﾞｳ ｳｨﾙﾄ ﾉｯﾄ ﾋﾞｰ ﾊﾞｯﾄ ｽｳｫｰﾝ ﾏｲ ﾗﾌﾞ➡ ｱﾝﾄﾞ ｱｲﾙ ﾉｰ ﾛﾝｶﾞｰ ﾋﾞｰ ｱ ｷｬﾋﾟｭﾚｯﾄ｡ ｼﾞｭﾘｴｯﾄは こう言うてます｡ ｢おお ﾛﾐｵ！ ﾛﾐｵ！➡ なぜ あなたはﾛﾐｵなのじゃ？｣｡ ♬～ へえ～ 宜ちゃんが みんなを まとめてなぁ｡ (宜)はい｡ 成澤先生に学生生活の 自治組織化を図るようにと➡ 言われてるんですけど…｡ 白岡のおば様 こんにちは｡ こんにちは｡ へぇ こんにちは｡ (２人)はぁ！ 次に来はりました時は➡ 成澤先生の実践倫理の講義を おすすめ致します｡ あの火山から立ち昇る 火柱のような熱弁ゆうたら！ はぁ そら 聞いてみたいなぁ｡ せや｡ 女子寮の方は どないだす？ はい… 寮監のくせに 世間知らずがたたり➡ 台所道具を買い集めるとこから まごつきました｡ せや｡ 千代ちゃんも結婚の支度で 頑張ってる頃ですね｡ へぇ そらもう｡ そうですか｡ 千代ちゃんも そのうち 洋館でﾄﾞﾚｽ着こなす➡ 貴婦人になるのやろなぁ｡ へ？ 千代が ﾄﾞﾚｽ？ はい｡ 千代ちゃんは 子どもの頃から ﾄﾞﾚｽが好きで➡ それが 何や 気に入らんお人が 先に着たせぇで➡ 意地張って ず～っと興味ないふり してたみたいです｡ 気に入らん…？ [ 回想 ] どないだす？ 似合てます？ (千代)ぜ… 全然 似合てへん｡ あっ！ ちょっとも 気ぃ付かへんかったわ｡ (成澤)白岡さん！ ああ 先生｡ どうぞ｡ ああ…｡ はぁ…｡ あっ ここで 寝泊まりしてはりますのか？ はい そうです｡ あれ？ ご主人は？ 亀助さんと一緒に 校内 散歩してくる言うて➡ 出ていきました｡ はぁ この上着も そない継ぎ当てして…｡ ああ｡ 私は なるべく学生たちの そばにいたいだけです｡ 彼女たちは 我々が 誹謗中傷を浴びながらも➡ 苦労して この学校を作ったのと 同じように➡ ｢なぜ 女が大学校なんか｣と 言われながらも➡ 類いまれなる情熱を持って 入学してきてくれた者ばかりです｡ 私は 彼女たちを愛しています｡ 彼女たちが成長するならば➡ どんな事でもしてやりたい｡ もっと語りかけ 話をしたい！ あっ そうだ｡ 白岡さんも そのうち➡ 学生たちに 訓示を与えてやって下さい｡ うちだすか？ (成澤)はい｡ そやけど うち➡ 何 話したら ええのか…？ 何を話すどころか➡ あなたの人生経験そのものが 女子の一つの指標です｡ 何でも語って下さい｡ そない 言うてくれはりますのやったら➡ そうだすなぁ いつか是非｡ ええ！ どうぞ｡ 頂きます｡ (成澤)頂きます｡ ああ うまい！ お代わりを｡ (宜)はい｡ <大阪に戻ると…> 東京行って この古川生命の様子 見てきたんだすけど➡ 悪ない会社でしたわ｡ おお｡ 農商務省からは➡ ここと ここを勧められましたわ｡ 営業している地域や顧客層が うちとは違てますしなぁ｡ 合併したら お互いに有利やないかて｡ へぇさん｡ 印つけたとこ 交渉 始めてもらえますか？ へぇ 任しといて下さい｡ この保険業界きっての好機に 我々みんな➡ だんごでいてても しかたありません｡ 契約内容をすり合わせて いいものに一新していけば➡ これまでの各社単独の時の➡ 何倍もの急伸を見る事 間違いありません｡ しかし 役員は どう選出するんですか？ へぇ｡ そもそも契約者の層も 違いますが？ へぇ｡ <そして 年を越して…> あっ 来はった！ <東京の京橋区で営業していた 古川生命> <九州の資産家を発起人とした 福豊生命が➡ 加野生命の合併相手として 選ばれました> 古田様 富永様 ようこそ大阪へ｡ <加野屋最大の事業誕生への 最後の山場です> ﾆｬﾝ おなかを見せて…｡ 寝ているのか？ 起きているのか？ ﾏﾚｰｼｱでも｡ ｵｰｽﾄﾗﾘｱでも｡

まれ＃088

1 (大悟)うっ…｡ そこのﾘﾝｺﾞ取ってくれ｡ (弥生)はい！ ﾍﾟﾃｨﾅｲﾌ｡ (浅井)はい！ あ～！ えっ？ 大丈夫ですか？ こっち… こっち置いてくれ｡ (浅井)了解で～す｡ (希)まだ治ってないのに無理して｡ (美南)認めたくないんだろうね 現実を｡ (輪子)見てられない あんな痛々しい大悟｡ (徹)そんじゃ 私が一肌脱ぎましょうかね｡ (大悟)うおっ！ ♬｢さあ翔け出そうよ､｣ ♬｢今すぐに｣ ♬｢未来が今は遠くても｣ ♬｢ひとりぼっちのままで｣ ♬｢泣く夜が続いても｣ ♬｢本当のわたしへ｣ ♬｢風が強く冷たいほど｣ ♬｢教えてくれる｣ ♬｢出会うべき人のことを｣ ♬｢どうか希望の地図を｣ ♬｢そっと開いてみてね｣ ♬｢あたたかい未来たちが｣ ♬｢僕らを待っているよ｣ ♬～ という訳で 私 この度 この問題に決着をつけるために➡ とあるｲﾍﾞﾝﾄを 企画させて頂きました｡ 皆様 お手元の資料をご覧下さい｡ ｲﾍﾞﾝﾄ名は ｽﾞﾊﾞﾘ ｼﾞｬﾝ！ ｢プロに聞いちゃおう！ 希のｹｰｷとｼｪﾌのｹｰｷ➡ ﾎﾝﾄは どっちが美味しいの？｣｡ (拍手) (美南)｢プロに聞いちゃおう｣？ そう｡ そこが重要｡ (珍)大悟さん 素人が何言っても 納得しないでしょ｡ だから プロに 食べ比べてもらうって事よ｡ まあ そういう事なんだけど➡ できれば俺が最後まで 説明したかったとこだから｡ プロが食べ比べるんけ うちとｼｪﾌのｹｰｷ｡ ごめんね｡ 嫌だろうけど お願いできるかな？ ほやけど うちの手で ｼｪﾌに引導渡すなんて…｡ お前 勝てる気満々だね｡ (浅井)まだ分かりませんよ｡ やっぱり何かの間違いで ｼｪﾌが勝つかもしれませんし｡ じゃあ 何で さっきから 転職雑誌 読んでるんですか｡ よろしいでしょうか？ (徹)はい そこのお客さん｡ あの 審査をして頂く プロの方というのは➡ どなたなのでしょうか？ それは 当日のお楽しみという事で➡ 私が責任を持って 適任の方を ご用意させて頂きます｡ あっ もしかして ﾃﾚﾋﾞ対決の時の西園寺一真？ えっ あのｲｹﾒﾝですか!?➡ 私も拝見しておりました！ (徹)だから それは➡ 当日のお楽しみだって 言ってるでしょ そこ｡ 悪いね… こんな事に つきあわせて｡ 大悟には 私が言うから｡ みんな あの人の行く末を きっちり見守ってやって｡ ♬～ (輪子)ありがとう｡ ｢好きにしろ｣って｡ 大丈夫｡ 職人なら 誰もが通る道なんだから｡ ♬～ ただいま｡ (徹)お帰り｡ お前 まだ働くの!? ｼｪﾌとの勝負に備えて研究するげ｡ 勝負って 食べ比べか？ 全力で勝負せな ｼｪﾌに失礼やさけね｡ 考えたら ｼｪﾌかって➡ 最初の頃から ずうと うちみたいな素人相手にも➡ いぃつも真剣に 向き合うてくれとってんわいね｡ そうか…｡ よし じゃあ 全力でやったれ！ そんな流れの中 悪いんだけどさ…｡ なしたん？ いや あの…➡ こんな時に何なんだけどね 俺も ｼｪﾌの騒ぎで ずっと➡ 言いだしそびれてたんだけどさ｡ 何け？ 聞くよ｡ お前 明日休みだよね？ そうやけど｡ ちょっと 俺に つきあってくんない？ ん？ ん？ ここ 何け？ お父さんの会社｡ ん？ お父さんの会社｡ あん!? まいもんﾈｯﾄの成功で もう独立間近だって言っただろ｡ で 資金繰りが うまくいって➡ いよいよ ここに 会社開く事になったんだよ｡ うそ…｡ まあ なんとか約束の３年に 間に合ったってとこかな｡ なして ほんな冷静なん？ もっと早よ言わんけね！ ほしたら こんで お母さん迎えに行かれるがいね！ もう一回 ﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞできるがいね！ おう…｡ なしたんけ？ 俺… 喜んでいいかな？ ん？ いや 何か… 俺 喜んだら 止まらなくなりそうで➡ それが怖くてさ 自粛してたんだけど➡ いいかな？ 喜んでも｡ いいわいね！ 本当に 止まらなくなるかもしれないよ｡ いいっちゃ！ おめでとう お父さん！ じゃあ… 喜びます｡ どうぞ！ 本当に止まらなくなる…｡ どうぞ！ やった～！ ﾊﾊﾊﾊ！ これで藍子にﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞだ～！ ﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞや～！ よ～し！ 俺 よく頑張った～！ 頑張った！ おめでとう～！ ありがとう～！ 会社が出来たぞ～！ 俺の会社だ～！ 本当に止まらんかったね お父さん｡ もう喜べない…｡ よかったね お父さん！ うん… よかった｡ ほして いつﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞするが？ お母さんに｡ 最終的な事務手続きが終わったら｡ もうすぐだよ｡ へえ～ 楽しみや～｡ しかし… どうやってﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞしようかな｡ あんまり普通っていうのもな｡ ３年も待たせた訳だし｡ ほんなら… ｹｰｷ作れば？ ｹｰｷ？ うん ﾌﾟﾛﾎﾟｰｽﾞのｹｰｷ｡ お父さんの手作り｡ いや 俺 作れないよ｡ 下手でも いいげわいね｡ うちも こないだ みのりらちに 作ってもろてんけど➡ まんで うれしかったし お母さん喜ぶよ！ 喜ぶかな？ 喜ぶわいね！ こ～んな笑うて！ (藍子)は～い｡ (文)まんでいい香りやね｡ 本当け！ ん～！ 藍子の笑顔は 本当に かわいいからな～｡ よし！ 作るか ｹｰｷ！ 教えてね！ もちろんやわいね！ さて その一方で➡ いよいよ 希と大悟の勝負の日が やってまいりました｡ やる気満々ですね 津村さん｡ 紺谷です｡ (浅井)ああ 了解です｡ ｼｪﾌ 正々堂々と闘いましょうね！ うるさい｡ あっち行け｡ すごい緊張してるね｡ こんな大悟 初めて見た｡ (浅井)よ～い 始め！ ２人が作るのは ｾ･ﾏ･ｳﾞｨ｡ 大悟が ｢これが俺の人生だ｣と名付けた➡ ﾏ･ｼｪﾘ･ｼｭ･ｼｭの看板ｹｰｷです｡ ♬～ はいはい！ いらっしゃいましたよ プロの先生が！➡ お願いします！ (幸枝)ﾎﾞﾝｼﾞｭｰﾙ！ おばあちゃ～ん！ (美南)おばあちゃん!? 希 あなた 本当に ﾊﾟﾃｨｼｴになったのね｡ こちらが 希の祖母にして➡ 本場ﾌﾗﾝｽの有名ﾊﾟﾃｨｼｴで あらせられる幸枝ﾛﾍﾞｰﾙ先生です！ (拍手) ぞ… 存じ上げております！ 若い頃から数々のｺﾝｸｰﾙに出場し➡ 数年前には 一旦 ｽﾗﾝﾌﾟに陥ったものの➡ 不死鳥のように よみがえった 三つ星ﾊﾟﾃｨｼｴ！ (徹)そのとおり｡ 説明ありがとう｡ 幸枝ちゃん あれがね 希の師匠のね…｡ 大変 ご無沙汰しております！ お久しぶり 大悟｡ あん 知り合いなん!? (徹)いや… 俺 知らないよ｡➡ 俺は ただ幸枝ちゃんが 日本に来るっていうから➡ それなら ちょうどいいと思って｡ この店に来る約束したのよ 大悟と｡ そうよね｡ ｳｲ ｼｪﾌ！ 大悟は ﾌﾗﾝｽ時代➡ うちの店で修業してたの｡ 私の弟子よ｡ ｳｲ ｼｪﾌ！ (珍)治ってるね ぎっくり腰｡ ほんなら早よ言うてま！ びっくりしたわいね！ 紺谷 ｼｪﾌに向かって 何だ その口のきき方は！ あら 感心ね｡ ちゃんと紺谷って 覚えたじゃない｡ ｽﾀｯﾌの名前を覚えるのは ｼｪﾌの基本ですから｡ はあ？ あらら ちょっと ほら｡ ほら 曇ってる｡ 失礼致しました！ よっぽど怖い師匠やってんね｡ もしかして 大悟が最近おかしかったのって➡ ﾛﾍﾞｰﾙさんが いらっしゃる 予定だったからじゃない？ (美南)あ～ そうかも！ あなた ずっと緊張してたの？ 幸枝ちゃんが怖くて｡ それで 粉の計算 間違えたり…｡ 案外かわいいところあるんですね｡ だ… 黙れ｡ よかった～！ じゃあ ボケ始めた訳じゃなかったんだ！ ん？ ほんなら ｹｰｷは…｡ 先生 どうぞ｡ 食べるまでもないわ｡ 見れば分かる｡ あの… どちらが？ 大悟の方が おいしいに決まってる｡ (徹)えっ ｼｪﾌの勝ちって事？ そんな あっさり？ 当たり前だ｡ ただでさえ ややこしい時に 面倒くさい事 言いだしやがって｡ ややこしい時にって 私のせいかしら？ いえ…｡ (美南)じゃあ➡ 何で希ちゃんのｹｰｷの売り上げが １位になるの？ 説明してもいいの？ 私から｡ お願いします！ 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 井ノ原⇒７月９日木曜日の 「あさイチ」です。 有働⇒なんで？ こうやって、やっていたよ。 有働⇒なんで見ただけで分かるの｡ 何？ 今ここで言って全部当たって

ごちそうさん＃124

1 ♬～ (め以子)あの～｡ (中西)あっ あの～ 課長が逮捕されました！ …えっ？ ♬～ ♬｢突然 偶然 それとも必然？｣ ♬｢始まりは 気付かぬうちに｣ ♬｢予報通り いかない模様｣ ♬｢そんな時こそ 微笑みを｣ ♬｢ﾎﾟﾂﾘﾎﾟﾂﾘと町の色 変わってゆけば｣ ♬｢傘はなくとも雨空に唄うよ｣ ♬｢どんな君でも ｱｲｼﾃｲﾙ｣ ♬｢顔を上げてごらん 光が照らす｣ ♬｢涙の河も海へと帰る｣ ♬｢誰の心も 雨のち晴ﾚﾙﾔ｣ (中西)市役所の主催で 防火演習をする事になって➡ 西門課長は その担当をする事に なったんです｡➡ それで 今日 軍と警察の視察の下➡ 有志の皆さんと共に➡ 防空演習をする事に なったんです｡➡ 最初は 予定どおり 演習が行われていたんですが➡ さて 水をかけるいう段になって➡ 課長が…➡ 燃えてるとこに 更に ｶﾞｿﾘﾝを まき始めたんです｡ (静)何で そんな事を？ 空襲いうんは こんなもんやない｡ (悠太郎) 焼夷弾が降ってくるいうんは➡ 空から 火ぃついたｶﾞｿﾘﾝが 降ってくるようなもんや！ 消してなんかおられん！ 命が惜しかったら とにかく逃げろ～！ (中西)そう 言い始めはって…｡ 街は人を守るためにあるんです！ 街を守るために 人がおるんやないんです！ 街を守るために 命なんか懸けるんは➡ 道理が通らんのや！ 課長が言いだしたんは➡ 防空本部の通達とは 正反対の事ですから➡ その場で 捕まってもうて｡ (静)どないなるんですか？ (中西)厳罰…｡➡ 厳罰は まず 免れないと思います｡ (静)ちょっと あんた… あんた どこ行くん？ 悠太郎さん 何も間違うてないやないですか｡ 正しい事 教えようとした だけやないですか｡ 街の人の命を守ろうとした だけやないですか！ (静)聞こえたら どないすんの！ 捕まらなあかんような事 何もしてないやないですか！ (勝治)今は 納めとき！ 確かに あんたの言うとおりやとは思う｡➡ わし そこの現場 行っとったんや｡ 実際に燃えるん見て➡ 西門さんの言う事が正しいんは よう分かった｡ けど… 今は 納めとき｡ あんたまで連れてかれたら このうち どないなるんや！ 火事で お母さん亡くして｡ 安全な街を造りたいて｡ それだけで 生きてきたんです｡ これも 安全のためやからて➡ 今度は引き倒して｡ 身を粉にして 尽くしてきたんです｡ それの… それの何があかんのですか!? ♬～ (源太)おう｡ 何や いくらか 知らせは来とるか？ (川久保)少しは｡ わしも また聞きやから➡ 詳しい事は よう分からんのやけど｡ (川久保)とりあえず 僕らのところにまで➡ 嫌疑が かかるいうんは 今のとこは｡ ほな 泰介君やら ふ久ちゃんやらも大丈夫かいな｡ (希子)一応 連絡してみます｡ ああ わし やるさかい｡ 身内の人間は 動かん方がええと思う｡ ほな｡ (川久保)おおきに｡ ♬～ いつもどおり やるんや｡ 分かってる｡ (戸が開く音) 何やってんねん｡ 嘆願してくれそうな人に手紙｡ もっと 何かないんか？ 早い事 動いてくれそうな つては？ 処分決まったら終わりやぞ！ 知ってたら 頼んでる！ こいつ 何で こんなもん持ってんねん？ …あっ｡ どこ行くん？ 悠太郎さんの事 お願いに 藤井さんとこに｡ (藤井)こんばんは｡ あ…｡ あの… 小麦粉 持ってきたさかい 晩飯 寄せてくれる？ 藤井さん…｡ 藤井さん！ ほな｡ 大丈夫かな？ お兄ちゃん｡ 藤井さんの幼なじみ 司令部におんのやろ？ 結構な偉いさんやと思うで｡ けど 何で ちい姉ちゃんは 連れていかはったんですか？ 実はな…｡ いや… こんな夜分に悪いな さんちゃん｡ (里見)ﾎﾝﾏに 何なんや｡ まっ とりあえず｡ これでも 食べてや｡ (里見)ｶﾙﾒﾗか｡➡ 頂くで｡ 食べて 食べて｡ よう出来とんな このｶﾙﾒﾗ｡ うちのおばあちゃん並みの腕前や｡ それでな さんちゃん｡ わしの部下が ちょっと捕まってもうたんや｡ まさか あれか？ 市役所の｡ せや｡ あれは あかん｡ いくら こうちゃんの頼みでも｡ 西門君はな 昔 ﾐﾅﾐの大火で お母さん亡くしとるんや｡ それでな 安全な街を造りたい｡ その一心で 今までやってきたんや｡ 森花小学校やんか｡ (藤井)せや｡➡ ここ 君の孫 通うとったやろう？ 震災の混乱の中で これ造ったん 彼や｡ それから 地下鉄｡ これも 全部 あいつがやった｡ なあ さんちゃん｡ こないにでける人間をやな➡ 牢屋に入れとくんは もったいない思わんか？➡ やるとなったら ごっつ頑丈なもん造りよる｡➡ 恩に着せて 軍の施設でも何でも 造らせたらええ｡ そんなん 軍に反抗しよるような奴に｡ あいつに思想性はないんや｡ あいつにある思想は ｢建物は人を守るためにある｣｡ それだけなんや｡ その立場になったら 最大限 兵隊を守るためのもんを造る思う｡ これ 全部ええんか？ ちなみにな この見事なｶﾙﾒﾗ焼いたん➡ そいつの奥さんや｡ え…？ (藤井)挨拶ええか？ はっ？ ご所望であれば 何百回でも何千個でも➡ その ｶﾙﾒﾗ お焼きします｡ 閣下のために 一生作り続ける事も いといません｡ ですから 何とぞ…➡ 何とぞ 寛大な処置を お見せ下さいませ｡ (里見)あんな➡ ﾄﾞｳﾅｯﾄは作れるか？ うん？ ただいま戻りました｡ ちい姉ちゃん お帰り｡ どうでした？ ああ…｡ ちょちょ…｡ ほな 今まで 延々 甘いもん作ってたん？ ものすごい甘党の方で➡ おばあちゃんとの 思い出のお菓子を 延々と｡ けど… あるとこにはあるんですね お砂糖｡ あんまり腹立ったんで 頂いてきちゃいました｡ こ… こんな事して大丈夫なん？ あんた｡ これで ばれるような量 ちゃいましたから｡ けど そんなんやったら 大丈夫なんですよね？ 大丈夫と… 思いたいけど…｡ (ため息) どうぞ｡ (子どもたち)頂きます！ はい｡ おばちゃん どないしたん？ このお砂糖｡ ｢し～！｣やで｡ 絶対 ｢し～！｣やで｡ 言うたら 次から 出てこんようになるからな｡ 僕らにも頂けますか？ ♬～ (子ども) ご… ごちそうさんでした｡ (子どもたち)ごちそうさんでした｡ ♬～ ﾎﾝﾏに すいませんでした｡ みんなが… みんなが どれだけ 心配したと思ってるんですか！ 後先 考えんと これが ええ年した大人のやる事ですか！ あなたを頼りにしてる家族の事➡ 何も考えてませんよね？ 考えてたら こんな事できませんよね!? ♬～ ﾎﾝﾏに…｡ せやけど… 立派でした｡ 立派なお仕事でした｡ ♬～ 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 イノッチ⇒２月２７日木曜日の 「あさイチ」です。 有働⇒ひとまずよかったですね、 厳罰というから何かと思っていま したけどね、でもやっぱり芸は 身を助くですね。

水球ヤンキース＃07

1 (渚)＜水蘭との 練習試合に負けて➡ みんな ばらばらになってしまった カス高ミズタマ部＞ ＜しかし 龍二に頼るばかりでは 駄目だと思い直し➡ 再び 一致団結した ミズタマ部だったが➡ 何と 教頭から 活動停止を言い渡されてしまう＞ ＜しかも 尚弥は退学に？＞ ＜いったい どういうこと？＞ ＜それでは 第７話 始まるよ＞ ♬～ (尚弥)俺は やってねえ！ (桑原)犯人は 必ず そう言うんだ｡ (千春) どうして 稲葉君なんですか？ (桑原) 現場に これが落ちてたんですよ｡ 何で こんなもんが｡ お前が やったからに➡ 決まってんだろうが！ だから やってねえって！ (桑原)カス高というだけで 恥だというのに➡ 負けた腹いせに 嫌がらせか！ 何だと！ (入江) 稲葉君 落ち着いてください！ (桑原)とにかく 問題が 明るみに出た以上➡ 水球部は活動停止｡ 構いませんね？ 校長先生｡ そんな…｡ (桑原)じゃあ それとも 逆に➡ 稲葉が やってないという 証拠が あるんですか？ ♬～ (朋生)自宅謹慎？ 尚弥が？ (公平)えっ 俺たち どうなんの？ (千春) 水球部は 全ての活動を停止｡ 練習も控えるようにって｡ (龍二)はめられたな｡ (幸喜)水蘭？ おそらくな｡ (千秋)どうすんのよ｡➡ もう インターハイ予選まで あと１カ月もないよ｡ (シヅ子)加東さんちの弟さん➡ カス高水球部だよね？ (浩介)はい｡ (シヅ子) 何てことしてくれるんだろうね｡➡ 水蘭は インターハイ連覇が 懸かった 大事な時期なんだから｡ (陽子)カス高水球部が やったとは 限らないんじゃないですか？ この町には 水蘭水球部だけ あればいいんだよ｡ 稲葉君が こんな大事な時期に あんなことをするとは思えません｡ 処分を取り消してください｡ お願いします｡ (荒川)証拠なんです｡ 証拠の かけらでも あれば…｡ 残念なことに 商店街の人たちの 声を 無視しては➡ 水球部の存在そのものが➡ なくなってしまうかも しれないんです｡ うお～！ 納得いかねえ！ (朋生)待て待て待て｡ 落ち着け 尚弥！ 何で やってないことで 謹慎 食らわなきゃなんねえんだよ｡ しかも 活動停止だ？ ふざけんな！ 俺が チョクダンパンしてくる｡ (公平)ちょっと… 落ち着いて｡ (渚) それを言うなら直談判でしょ｡➡ そうやって ぷりぷりしたって 問題解決しないでしょ｡➡ まず トウモロコシ食べて 落ち着く｡ (渚)分かった？ 分かった｡ うん｡➡ はい 座って｡ (渚)はい｡ 尚弥｡ んっ？ お前 フローターやれ｡ えっ フリーター？ フローターだよ｡ 何回 言ったら 分かんだよ｡ (慎介) つうか いきなり どうした？ 水蘭の練習に参加して はっきり分かった｡ 俺の適性は フローターじゃない｡ フローターバックだ｡ だから カス高のエースは お前だ 尚弥｡ えっ… 俺がエース？ 謹慎中だからって 練習サボんなよ｡ 当ったり前だよ！ (公平)尚弥がエース？ まあ 龍二が言うんじゃ しょうがねえな｡ (千秋)尚ぴょん｡ (千秋･幸喜)全力サポートすんぜ！ (朋生)お前の謹慎も 活動停止も 俺らだって納得してねえよ｡➡ でも まあ 誤解が解けるように 何とかすっからさ｡➡ なっ？ お前ら…｡ ≪ハハハ…｡ 渚 手伝うよ｡ えっ？ いいよ｡ そこ置いといて｡ さすがだな 尚弥の扱い｡ ホントは 納得いってないよ｡ でも こんなときこそ➡ 私が 冷静になって 尚弥を支えてあげなくちゃ｡ いや あの… 幼なじみだからさ これぐらい してあげないとね｡ でも みんな来てくれて よかった｡ ホントは 尚弥 帰ってきてから あんまり元気なかったから｡ みんなで騒いだ方がさ 気分が紛れると思ってな｡ インターハイ予選 駄目になったりしないよね？ させねえよ｡ 渚も見たいだろ？ 俺らが勝つところ｡ 私 水蘭生だよ｡ 見てほしいんだ｡ お前に｡ えっ？ 渚➡ もし 水蘭に勝てたらさ…｡ いや 何でもない｡ このたびは 三船君のことで ご迷惑をお掛けして➡ 本当に 申し訳ございませんでした｡ (真冬)彼は 選択を誤りました｡➡ あんな騒動に巻き込まれて➡ 水球を続けることも 危うくなってるなんて｡ いや でも 本当に そうなんでしょうか？ 信じられる仲間たちと 一緒になって てっぺん目指す｡ 素晴らしいじゃないですか｡ (真冬) 勝負の世界は 勝つことが全て｡ そんな甘いこと言ってたら 生き残れません｡ (郷田) こないだは うまくいったな｡ (郷田･宮間)ハハハハ…｡ (郷田)次は これだ｡ (宮間)何だよ これ｡ (郷田)頼むぞ｡ (宮間)ああ｡ (郷田)またな｡ (涼子)何してるの？ (郷田)何でもねえよ｡ (敏夫)精が出るね｡ エースたるもの 普段からの➡ 努力が 大切だからな｡ (静香)すっかり元気になっちゃってね｡ 仲間がさ 俺のこと信じてくれたんだよ｡ 何か すっげえ うれしくてよ｡ ほら 俺 親父に くっついて 海外 転々としてただろ｡ だから これまで 渚ぐらいしか➡ 友達って呼べるやつ いなかったから｡ 仲間から頼られるとよ➡ 少しでも それに応えなきゃなって 思ってな｡ だから 落ち込んでる暇なんて ねえなってよ｡ (静香)よかったわね 尚弥君｡ おう！ よいしょ！ (敏夫)あら｡ (一同)え～！ (朋生)くっそ 桑原の野郎！ (千秋)ぶっ壊せ こんなもん！ (桑原)こらこら こらこら お前ら 何をやってるんだ！➡ お前ら 活動停止中なんだぞ｡ 恨むんだったらな➡ バカなことをしでかした 稲葉を 恨むんだな｡➡ まっ もともと 水蘭に勝とうなんて 無理な話だったんだ｡ そんなもん やってみねえと 分かんねえじゃねえか｡ バカに影響されて くだらない夢を 見るなと言ってんだ！➡ お前らな カス高に来た時点で もう終わってんだよ｡ いいかげん 気付け｡ おりゃ！ (理子)尚弥さん 冷たい｡ 何やってんのよ｡ 見て分かんねえ？ (渚)どこから もらってきたの？ このプール｡ 朋生たちが 持ってきてくれたんだよ｡ 練習に励めってな｡ プールは やっぱ いいな｡ あっ 渚も入る？ (渚)入らない｡ (理子)私 入ります｡ (渚)入らない！ バイト中でしょ！ でも よかった 尚弥さん 元気そうで｡ 何てったって カス高のエースに 任命されちまったからな！ 最初はよ カス高を守るために 始めた ミズタマだったけど➡ 何ていうか こう はまっちまったっていうかさ➡ 今は ミズタマやってるときが すっげえ楽しいんだよ｡ よし！ 練習だ！ (千秋)あっ これ… あの これ｡ ねえ？ ここだな｡ (公平)犯人捜しか｡ 何か 手掛かりか目撃者 見つけないとね｡ じゃあ 俺ら あっち行ってみるわ｡ (慎介)おう｡ じゃあ 俺らも こっち行くか｡ なっ？ (千秋)あっ すいません｡ はっ？ はっ？ はっ？ (公平)えっ？ 嘘だろ｡ (慎介)何だよ これ｡ (朋生)とにかく消そうぜ｡ (公平)うん｡ ≪(シヅ子)誰か～！ 誰か来て～！ カス高が また 悪さしてる｡ みんな 早く来て！ 違います｡ ごっ 誤解ですって｡ (シヅ子)何が 誤解なんだよ｡ (郷田)聞いたか？ 商店街の事件｡ これで あいつらも終わりだな｡ (虎雄)郷田➡ お前 この事件に関係してねえだろうな｡ 関係してたら どうする？ 冗談だ｡ そんなわけねえだろ｡ ♬～ (涼子)稲葉 尚弥？ あなた…｡ 剛に頼まれたの？ (宮間)どけ！ (幸喜)お～ ファンタスティック！ あっ！ あ～ 待て～！ (千秋)大丈夫？ 何で かばったの？ えっ？ 私 あんたに ひどいことしか してないのに｡ 男ってのはな➡ いかなるときも 女の子を 守らなきゃいけないんだぜ｡ (幸喜)千秋！ 大変だ～！ (桑原)あっ！ ちょっ お前…｡ みっ 皆さん➡ うちのバカどもが 大変 ご迷惑をお掛けいたしました｡ (朋生)だから 違うんだって！ (慎介) 俺らは この落書きを消そうと…｡ うるさい！ そんな へ理屈が 通ると思ってんのか！ はい！ 犯人 見ちゃいました～！ (入江)えっ？ (千春)あっ ホント？➡ どんなんだった？ それが 尚弥を救う➡ 証拠になるかもしれない｡ (千秋)身長 これぐらいで…｡ カス高の制服 着てて…｡ (幸喜･千秋)うん｡ 金髪だった！ これぐらいの身長で カス高の制服 着てて 金髪…｡ 稲葉 尚弥か！ (公平)尚弥…｡ (男性)やっぱり カス高の連中だ！ (千秋)違～う！ それ違う｡ ホントに 尚ぴょんではない｡ (桑原)お前もバカなやつだな｡ うっかり➡ 口を滑らせてしまうとはな｡ (千秋)尚ぴょんじゃない｡ それはホントに｡ 信じて…｡ あっ お前も見たよね？ 犯人｡ 尚ぴょんじゃなかったよね？ 何で 逃げんの？ (シヅ子)カス高は いったい➡ どうなってるんだい｡ (桑原)稲葉には➡ 即 謝罪させますので｡ (公平)だから 尚弥は➡ やってないって言ってんだろ｡ (桑原)分かった 分かった｡ そうやって 犯人 かばい続けてる以上➡ こっちも考えがあるぞ｡➡ お前らには 活動停止は甘過ぎたようだな｡ カス高水球部は 廃部の方向で検討する！ (千秋)何で やってもない罪を 認めなきゃいけないんだよ｡ あんた カス高の先生だろ｡ 自分の生徒の言ってること 信じんのが 役目じゃねえのかよ｡ カス高の生徒の 何を信じろというんだ？➡ 廃部が嫌なら 罪を認めて 商店街の皆さんに謝罪しろと➡ 稲葉に伝えとけ！ ごめん｡ 犯人 見つけようとしたけど 余計に面倒なことになっちゃった｡ いや 俺のために ありがとな｡ (慎介) ホントのピンチってやつだな｡ (公平)ハァ～｡➡ やってもないことで 罪 認めろなんて！ (朋生)チクショー どうすりゃいいんだよ｡ こんなときはよ やっぱり あれしかなくね？ よしよし｡ おい 次いいぞ｡ (一同)ひゃっほ～！ (慎介)超 気持ちいい！ (幸喜)やっぱ これだよな！ 尚弥！ うい！ (一同)うい！ 慎介！ (慎介)うい… うい うい～｡➡ ほら ナイスキャッチ｡ アハハ｡ ちゃんと取れや！ (朋生)うるせえ この野郎！ ほら 取ってこい こら！ (千秋)幸喜｡ (幸喜)千秋｡ お～ら！ (一同の笑い声) 公平｡ (朋生)どうしたんだよ 公平｡ (千秋)何 何～？ 俺➡ やっぱ みんなと水球やんの好きだよ｡ (一同の笑い声) 何で 水球やっちゃ駄目なんだよ｡ カス高ってだけで どうして➡ こんな思い しなきゃいけないんだよ！ (公平)俺 悔しいよ｡ (公平) このまま廃部なんて やだよ｡ ♬～ (桑原)不祥事の始末をつけるには もはや 廃部しかありません｡ 待ってください｡ (桑原)これ以上➡ 騒ぎが大きくなれば カス高全体の問題になります｡ 今なら 水球部内に とどめることが できるんですよ｡ でも…｡ ≪(ドアの開く音) (桑原)何だ 稲葉｡ お前 謹慎中だぞ｡ 俺が犯人だ！ えっ？ (桑原)何だと？ 商店街の事件だよ｡ ちょっと 尚弥｡ あんた 何 言って…｡ うるせえな！ 水蘭にムカついて やっちまったんだよ｡ 尚弥が そんなことするわけないでしょ｡ (桑原)青山先生 もう やつは認めたんですから｡ ねえ ちょっと落ち着こう｡ (桑原)私はね 最初から反対だったんですよ｡➡ こんな かすが 水球をやろうなんてね➡ いつか 問題 起こすに 違いないってね！ (千春)尚弥 ちゃんと話そう｡ うるせえっつってんだよ！ やったな！ 退学だ！ 退学！ ああ 辞めてやるよ！ こんな学校 こっちから願い下げだ！ 商店街の連中には 謝罪だけはしてやるよ｡ それで この学校とは さよならだ！ カス高ってだけで バカにされんのは➡ もう うんざりなんだよ！ (入江)稲葉君 何てことを…！➡ 大丈夫ですか!? (千春)尚弥… 尚弥！ 学校 辞めたら 水球できなくなるよ｡ ミズタマで てっぺん取るって 約束したじゃん！ ねえ 辞めたら あいつらは どうなんのよ！ ミズタマ？ んなもん知らねえよ｡ ♬～ 自主退学？ まっ そういうことで カス高は もう辞めた｡ 水蘭に 迷惑 掛けて 悪かったな｡ ちょっと いらついちまってよ｡ 龍二たちにも わび入れねえとな｡ 大会 近いのに こんなことになっちまって｡ まっ １人 部員 集めりゃ 大会には出られるしな｡ どうして そんな嘘つくの？ えっ？ うっ 嘘じゃねえって｡ あんまりにも ムカついちまったから➡ やっちまったんだよ｡ 私には ホントのこと言ってよ！ 私には分かるよ｡ 尚弥 苦しそうだよ｡ だから 全部 話して｡ どうしようもなかったんだよ｡ 考えたよ｡ 必死に考えたよ｡ カス高ミズタマ部 守るためには どうすりゃいいかって｡ でも こうするしか 方法なかったんだよ｡ あいつら 俺のこと信じてくれたんだ｡ だから 俺も あいつらのこと信じる｡ あいつらなら きっと カス高を守ってくれるって｡ だから それでいいんだ｡ いいわけないでしょ｡ そんなの いいわけない！ ♬～ (千春)尚弥…｡ (理子)渚先輩➡ 尚弥さん どうなっちゃうんですか？ ≪(一同の笑い声) ≪(小坂)あの事件の犯人 やっぱり 稲葉だったんだろ？ (土野)嫌だねえ｡ カス高生は野蛮で｡ (藤倉)今日 商店街の人たちに 謝罪するらしいよ｡ (小坂)え～ 何 それ｡ あの くそ野郎が 謝る姿➡ めっちゃウケるんですけど｡ (小坂)あっ？ (渚)取り消して｡ (小坂)はっ？ 今 言ったこと 取り消して！ (土野)むきになってんじゃねえよ｡ (小坂) まさか あいつの肩 持つわけ？ (一同の笑い声) あんたたちに 尚弥の 何が分かるっていうの!? 尚弥は ホントにバカだし デリカシーないし➡ あんなヤンキーだけど➡ 誰かを傷つけたり➡ そんなこと するようなやつじゃ 絶対にない！ あんなに仲間思いで 優しいやつなんて いない｡ 証拠があるんだろ？ あいつが やったんだよ｡ くだらないこと 言ってんじゃねえよ｡➡ お前も あいつと同じ かすの仲間か｡ そうよ｡ それでいい｡ 私は あいつの友達だから｡ だから 尚弥のことバカにしないで｡ ♬～ 俺だよ｡ 俺が あいつを はめたんだよ｡ ハハハハ…｡ 許さない！ 許さない！➡ 何で!? 何で…｡ (虎雄)やめろ！ やめろ！ 冗談だよ｡ ハハハハ…｡ 放して！ ねえ！ 何でよ！ (渚)放して！ (渚)何で!? (渚)放して…｡➡ 放して！ (桑原)え～ このたびは 霞野工業高校の生徒が➡ 不祥事を起こしまして 誠に申し訳ございませんでした｡ (女性)何か言いなさいよ！ (男性)おい どうした？ (桑原)おい 稲葉｡ 今回のことは 俺一人が やった｡ (シヅ子) やっぱり あんただったんだね｡ これだから カス高は！➡ 水蘭をひがんで こんなことして ホントに どうしようもないよ！ それが 謝るときの態度かい！ カス高にはな 確かに 俺みたいな どうしようもないのも いるよ｡ でもな カス高にだって てっぺん目指して➡ がむしゃらに頑張ってるやつが いるんだよ！ そりゃ カス高に入った時点で 諦めてたかもしんねえよ｡ でも そっから踏ん張って➡ 汗まみれになって 努力してよ➡ はい上がろうとしてるやつも いるんだよ！ 商店街 荒らしたのは 俺一人だ！ 他の部員は 何の関係もねえ｡ だから➡ あいつらの思い つぶさないでくれよ｡ このとおりだ｡ 頼む！ ≪(戸の開く音) (桑原)何だ？ お前ら｡ 何しに来た？ カス高水球部 皆さんに お話があって 来ました｡ 何の用だよ お前ら｡ 俺は もう ミズタマやめたんだよ｡ 関係ねえだろ｡ カス高のエースが 何 言ってんだよ｡ 尚弥 俺たちは お前一人に背負わせたりはしない｡ 大切な仲間に そんなことさせない｡ 稲葉 尚弥は 犯人じゃありません｡ 尚弥は 俺たちのために➡ カス高水球部を 廃部にしないために➡ １人で 責任を取ろうとしています｡ (公平)俺たち ずっと ｢かす かす｣って言われて➡ 自分でも そう思い込んでたけど➡ でも 尚弥と出会って 変わることができたんです｡ 水蘭と戦おうなんて 前なら 絶対 思わなかったけど➡ でも こいつとなら やれるんじゃないかって➡ そう思ったんです｡ 俺たちはね 正々堂々 戦って 水蘭に勝とうとしてるわけ｡ だから そんな ひきょうなこと 絶対しません｡ (千春)私たちには➡ 彼を救える証拠を 見つけることが できませんでした｡ でも ここにいる稲葉君が➡ 本当に あんな事件を起こすと 思いますか？ 私たちを信じてください｡ お願いします！ (一同)お願いします！ (桑原)黙れ 黙れ！ カス高生の言うことを 信じられるわけないだろうが！ あんた カス高の教師やってんのが そんなに情けないか？ 何だ!? 俺たちも あんたも➡ カス高に入った時点では 負け組かもしれない｡ けどな やり直すのに 遅過ぎることはない｡ 諦めずに 乗り越えられるかどうかは➡ 自分しだいだ｡ それを 尚弥が教えてくれたんだよ｡ (千春)尚弥 ごめんね｡ あのとき 尚弥の気持ちに 気付いてあげていたら➡ こんな つらい思いすること なかったね｡ (千春) 尚弥 水球やりたいんでしょ？ ミズタマやりたいんでしょ？ (千春)ちゃんと答えてよ！ やりてえ｡ みんなと ミズタマやりてえよ！ (荒川)申し訳ございません｡ あの ちょっと…｡➡ ちょっと お邪魔させていただいて よろしいですか？ あの…｡ 実は 彼女 あの…｡ (千秋)あっ｡ (荒川) 水蘭高校の生徒さんなんですが➡ その彼女が 犯人を見たと 申し出てくださいましてね｡ (一同)え～｡ (荒川)で その犯人は 彼ではなかったと➡ 断言してくださったんです｡ はい｡➡ で それでですね あの➡ 実は 土手に これが落っこってんのが➡ 見つかったんですよ｡ (男性)かつら？ (荒川)これで 少なくとも➡ うちの稲葉が犯人ではないという 証拠になると思うんですが｡ ♬～ (荒川)いや～ カス高生徒の疑いが晴れて➡ 本当に よかった｡➡ これで 晴れて 水球部も活動再開ですね｡ で 教頭先生➡ 稲葉 尚弥君の 退学の件なんですが…｡ 何のことですか？ しゃあ！ 円陣 組むか！ (一同)うぇ～い！ (公平)やっぱ この７人じゃなくっちゃね｡ みんな➡ ホントに ありがとな｡ (千秋)あれ？ 尚ぴょん もしかして泣いてんの？ (幸喜)尚ぴょん 泣いてんの？ おっ いってえな！ よっしゃ！ カス高ミズタマ！ ファイ！ (一同)バ～ン！ (千春) よっしゃ！ みんな 準備運動！ (シヅ子)ちょっと あんた｡ 話があるんだけど｡ 何だよ｡ (千秋)また 水 差される｡ みんな！ 悪かったね 疑ったりして｡ (一同)えっ？ でもね あんた見てたら➡ 何か 昔のカス高 思い出して ちょっと うれしかったよ｡ 尚ぴょん｡ (シヅ子)これ 練習の後で食べな！ うお～！ (千秋･幸喜)お～ ﾌｧﾝﾀｽﾃｨｯｸ！ ありがとな！ イェイ！ (シヅ子)は～い！ よっしゃ やるぞ！ (渚)ホントに人騒がせなんだから｡ 渚｡ (渚)んっ？ 本当に ありがとな｡ 何が？ 何でもねえよ｡ てかよ 渚って ミズタマちゃんに似てない？ はっ!? 突然 何 言いだすの？ ほら 顔の形の丸さとかさ➡ ぷりぷりしたときの目の形とか 唇の ぷりっと感とか｡ ほら そっくりじゃねえかよ｡ それだよ それ｡ 人が せっかく いい気になってんのに 何よ！ もう そんな ぷりぷり ぷりぷり すんなよ！ ん～ 痛いな もう｡ ホントに ぷりぷりするよ！ そっくりだよ やっぱ｡ 尚弥の方が似てるよ ほら｡ (静香)トウモロコシできたわよ｡ うわ！ (敏夫)おっ 食べよ 食べよ｡ 返せよ｡ (静香)はい｡ はい｡ (静香)は～い パパ｡ はい｡ (渚･尚弥の笑い声) (一同)いただきま～す！ (涼子) ちょっと 毎週 ひど過ぎない？ (郷田)はい どうも すいません｡ 予告は ﾏｲﾙﾄﾞに お送りします｡➡ 来週は いつもと違う 『水球ヤンキース』 (涼子)カス高と水蘭が 海辺の合宿先で鉢合わせ？ (郷田) あいつと あの子が 急接近？ (涼子)甘酸っぱ～い 恋の予感｡➡ 恋って いいよね｡ (郷田)来週も見てね～｡ このドラマの…｡ (朋生)バカ 俺だよ｡ このドラマのｻｳﾝﾄﾞﾄﾗｯｸＣＤを 抽選で 30名さまにﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄします｡ (公平･朋生) 皆さま 奮って ご応募ください｡ お前 見てんじゃねえよ｡

昼のセント酒＃05

1 ♬～ 早いっすね｡ 無能な奴ほど仕事が遅いんだよ｡ お前も早く帰れよ｡ はい｡ このあと ﾃﾞｰﾄっすか？ まぁな｡ お疲れさまでした！ (一同)お疲れさまでした｡ 内海 赤松ﾌｰｽﾞの企画書 頼んだわよ｡ はい 今日中に仕上げます｡ じゃあ お疲れ！ (一同)お疲れさまです｡ 内海さん まだ帰れないんですか？ うん これから 企画書 やんなきゃいけないからね｡ そうですか｡ 内海さん｡ ﾌｧｲﾄです！ うん ﾌｧｲﾄです｡ じゃあ お先 失礼します｡ お疲れ｡ さてと とっかかるとしますか｡ 大仕事だぞ｡ ＜真っ昼間の銭湯上がりの生ﾋﾞｰﾙ｡ これに勝てるやつがいたら 連れてこい！＞ やっぱ 終電は無理だな｡ ♬～ あ～ できた！ あ～！ あ～ 完徹なんて いつ以来だろ｡ これで どうだ！ ここで ﾎﾞｰｯとしてても しようがない｡ この勢いでいっちゃうか｡ いってきます！ 《まずは腹ごしらえして そのあと朝ｲﾁから全開で営業だ》 《喫茶店か ﾁｪｰﾝ店くらいか｡ この時間に 空いてるとこっていうと》 ｳｿ？ やってるよ｡ 銭湯が！ ＜上野御徒町の繁華街｡ ﾋﾞﾙの間に佇む燕湯は 東京で唯一➡ 文化庁の登録有形文化財に 指定されている➡ 室内型の銭湯である｡ 趣ある千鳥破風 真っ白なのれんが➡ 懐かしい昭和の薫りを 感じさせてくれる｡ そして この板 ｢わ｣の板で湯が沸いた｡ 営業中という意味である｡ ちなみに 営業が終了すると ｢ぬ｣の板になる｡ そう 湯を抜いた｡ こんなところに 江戸の粋➡ ｼｬﾚ好きな下町人情が残っている＞ ここか～ 朝湯で有名な燕湯って｡ お～っ 画になるな｡ そう そう 朝６時から やってるんだよな｡ 《朝飯食べて 仕事しようと 思ってたんだけどな｡ いや 待て 何をためらうことがある｡ まだ始業前｡ 何をしようが 俺の自由｡ それに 朝まで大残業したんだぞ｡ うん 頑張ったんだ！ 自分で自分を褒めてあげたって いいじゃないか｡ 朝湯につかってもいいじゃない》 同志も現れたことだし｡ 今日は 文句なしということで｡ ♬～ 《え？ この下駄箱に？》 《なるほど 奥に長いんだ｡ おもしろいな》 ♬～ いらっしゃい｡ ♬～ 《やっぱり縮むのかな》 ありがとうございました｡ 《これから ご出勤か》 ♬～ 《常連さんは あそこに置いといて 手ぶらで来るのか｡ あ！ 竜｡ でも ちょっと かわいいな》 《燕湯七か条…》 《しっかり 釘をさしとこう ってわけだな｡ あ～ いいことだ》 《天井 高いな｡ しかも 格天井ってのが渋い｡ いいなぁ｡ ここにいるだけで➡ なんだか 懐かしさが 込み上げてくる》 よし！ うわ すごっ！ 《何だ あれ？ 本物の岩？ 昨日は 家に帰ってないし しっかり洗っとこう》 《う～ん 地獄谷だな》 ♬～ 《摩周湖？ これまた珍しいな》 ♬～ 《ふぅ すっきりした｡ よし つかるぞ》 ♬～ あ～！ あ～ 申し訳ない｡ きれいにしていかないと｡ きれいに｡ 汚い すごい汚い…｡ とりあえず きれいにしよう｡ ｼｪｰﾋﾞﾝｸﾞ…｡ ｼｪｰﾋﾞﾝｸﾞ…｡ 剃って…｡ なるほど ありがとう ありがとう｡ おはようございます｡ おう おはよう｡ おう おはよう｡ はぁ 気持いい｡ 《はぁ～ たまんないなぁ 徹夜明けの朝湯って｡ 鉛みたいに重かった体が 湯の中でﾌﾆｬｯﾌﾆｬにほぐれてく》 《あぁ いかん いかん｡ 気持よすぎて睡魔が襲ってきた》 《みんな 出勤前の ｻﾗﾘｰﾏﾝに見えるな》 《戦国武将 武田信玄は 上杉との戦に備え➡ 信玄の癒やし湯と呼ばれる 数々の名湯につかった｡ 豊臣秀吉は 有馬の湯につかり 天下統一を成し遂げた｡ そして 時は移り 平成の企業戦士たちは➡ ここ 燕湯で 戦う英気を養うのであった》 なんてね｡ やっぱりええな｡ あ～ ええな｡ 最高や｡ うん｡ お前 ちゃんと 体洗わな あかんで｡ うん｡ 燕湯七か条の三や｡ そうやな｡ 《大阪の人か？》 朝からやってるのがええな｡ そうやな｡ わざわざ前の晩から東京へ来て 朝ｲﾁ 燕湯につかる｡ 最高やな｡ 仕事もはかどるし ｼｬﾝとするがな｡ ああ そうやな｡ あくびしとるやないか お前｡ (中国語) ん？ あれ 中国語か？ 何しゃべっとんのやろ｡ え？ このへん 秋葉原 近いやろ｡ 何か爆買いの相談でも しとるんちゃうか｡ 《まさか》 ちょっと ちょっと ちょっと！ ここで体を洗って➡ 湯船に入る｡ ﾃﾞｨｽ ﾋﾟｸﾁｬｰ｡ (２人)あ～！ ｵｰｹｰ？ ｵｰｹｰ｡ ｲｴｽ｡ よっ｡ 《行くか 深いほう｡ 熱い！》 《一気に目が覚めた｡ うへぇ 48℃》 あぁ！ うわ～！ いい いい いい すごい いい感じする｡ 熱っ！ 大丈夫？ 無理 無理…｡ 絶対 絶対 ﾀﾞﾒ ﾀﾞﾒ｡ うめて うめて｡ ｺﾗ！ 勝手にうめるんじゃねえよ！ すみません｡ すみません｡ あ～あ 怒られよった｡ いや このへんね ﾈｯﾄｶﾌｪが多いから➡ ああいう若いのがね 知らんと来て➡ よう怒られよんのよ｡ そうなんですか｡ よくご存じですね｡ 週１で出張 来てるからな｡ そうな こっちへ｡ あ～ ぬるい｡ ♬～ ぬるいなぁ｡ まったく ぬるくて しかたがねえよ｡ そろそろ あがるか｡ 失礼します｡ あっ どうも｡ (２人)お疲れさまです｡ あ～ やっぱり うまいわ｡ うまいな｡ ああ｡ (２人)はぁ～｡ ああ うまいな｡ ああ うまい｡ おう うまいやろ｡ これがｼﾞｬﾊﾟﾆｰｽﾞ銭湯ｽﾀｲﾙや｡ (一同)あ～ うまいなぁ！ (ｲﾝﾁｷ中国語) 《あ～ すっきりした！ ﾘｾｯﾄ完了》 《さて 何食べよっかな～｡ どっかに 開いてる店ないかな？ 腹減ってるし のどもｶﾗｶﾗだ》 ♬～ えっ やってんの？ 《まさかの居酒屋…｡ でも 望むところだ》 いらっしゃいませ｡ 奥へどうぞ｡ 《え～ ほたるいかの沖漬に➡ つぶ貝わさび和… 渋いな｡ 板わさに… 塩らっきょう｡ いい酒のｱﾃが揃ってる｡ って いかん いかん… 朝っぱらだぞ》 《この時間に しめさばはないな… あっ じゃこ天揚｡ こいつが 当たりつまみか？ 串焼きもあるぞ… ん？ 何だ これ？ 店主のお好み？ それとも 客が選べるのかな？》 すみません｡ あっ おい…｡ はい｡ この お好み焼き串って何ですか？ お好み焼きを串にしてるんです｡ お好み焼きって➡ あの お好み焼きですか？ はい｡ じゃあ それと➡ おにぎりを お願いします｡ おにぎりは 明太子と➡ 梅がありますけど｡ 明太子で｡ はい｡ あっ それと… 生ﾋﾞｰﾙも お願いします｡ はい｡ 《つい ﾋﾞｰﾙを頼んでしまったけど 居酒屋だもん しかたないよな｡ のども ｶﾗｶﾗだし… １杯くらい いいよな 朝だけど》 はい どうぞ｡ あぁ…｡ かぁ～っ うまいね どうも！ 空きっ腹に染みわたるねぇ…｡ すっからかんの胃袋にな 生ﾋﾞｰﾙが ﾀﾞｲﾚｸﾄに飛び込んできやがったよ｡ はっはっはっはっ！ これ以上 敏感にだ ﾋﾞｰﾙの刺激 感じたことあるかい？ えっ？ 徹夜明けで 朝湯につかりだ すっかり あったまった体で➡ 迎え入れる このﾋﾞｰﾙの なんと 初々しいことよ！ おう！ 俺は 平成の小原庄助｡ 朝湯 朝酒で 身の上つぶすんなら 本望ってもんだい！ やめらんないな～｡ 《それにしても こんな朝っぱらに 居酒屋感満載の店に➡ ひとりっきりって 背徳感がすごすぎる｡ でも 困ったことに…》 あ～ うまいんだよなぁ｡ ♬～ お待たせしました｡ 《へぇ～ これが お好み焼き… ってことは ｿｰｽだよな》 《おぉ ほんとだ お好み焼きだよ｡ ｱﾂｱﾂで うまいなぁ～ 48℃ってとこか》 ♬～ 《ｿｰｽ味が ﾋﾞｰﾙに合う 合う！ 祭りの屋台的なﾉﾘ 最高だな》 《おにぎりも でかくて いいですね～》 ♬～ あ～！ 《あ～ 飲んだ食った…｡ 徹夜明けの居酒屋めし 大満足》 おはよう！ (一同)おはようございます！ 早苗ちゃん 内海に電話して｡ 赤松ﾌｰｽﾞのｱﾎﾟ なるべく早く取るようにって｡ わかりました｡ [TEL] 何なの これ？ 何なの これ!? 早苗ちゃん➡ 内海は？ 電話に出ません｡ ♬～

パーフェクト・スイーツ.S01E06.JA

1 「パーフェクト･スイーツ」 へようこそ 目指すは夢のケーキ！ でも― 現実はこう 私はニコール 審査員は ジャック･トレスと― ゲストの ジェイ･チャンドラセカール ３人の参加者が お手本ケーキを再現します 勝負は２回戦 勝者には１万ドルを プレゼント！ 参加者を紹介するわ ＬＡ在住のカイルです お菓子作りを習いたい モテるためにね 上手に作って 女の子を驚かせたい だから上達しなきゃ ケーキやブラウニー 何でもアリ アナベルよ 出身はベネズエラ 母の料理は食べないで 昔から すごく下手なんだ 息子のために 上達したい 上手に作れるようになれば― もう 息子を 泣かせなくてすむでしょ キミーよ アトランタに住んでる モンキーブレッドが焼けた いい匂いよ ちょっと硬いけど… お菓子はよく焼くわ 子供には不評だけどね いいから どいて 子供たちに わからせたいの ママに不可能はないって ようこそ カイル アナベル キミー 用意はいい？ もちろん 今日のテーマは― アートと食の融合 〝顔が命〞よ 審査員長は私の かわいいフレンチブル ジャック･トレスよ ジュテーム ニコール 私もよ！ ゲスト審査員はこちら 「だめんず･コップ２」主演 作家 俳優 監督 アマチュア料理評論家 ジェイ･ チャンドラセカール 発音 合ってた？ ウィ ＜僕もフランス語わかるよ＞ ＜かわいいね＞ かわいい？　私のことね １回戦は ベーカーズ･チョイス お菓子細工の 最難関のひとつが― 人の顔を作ること 今回は 選択肢はナシよ だって 今日 作ってもらうのは― 自分の顔だから！ そうよ アイシングで模様を描いた クッキーよ 歯の隙間もあるのね 写真をもとに顔を再現したの 写真はフェイスブックで 勝手にもらったわ 自分のクッキーを取って！ 私の顔クッキー！ すごくかわいい 気に入っちゃった ハーイ キミー！ こんなかわいい クッキー 初めて ここからが本番よ 制限時間は１時間 お菓子作り 開始！ さあ さっさと始めて！ クッキーを焼くぞ まずは… これ すごく重い！ 小麦粉４カップね オーケー ジャック 手順を教えて 顔を作るには まず― クッキーの生地を 顔の形に切る 焼けたら― 形を整えて 輪郭は完成 そこにアイシングをする 最後は飾り付け 肌や唇の色を再現する 面積の大きい部分を 先にやるといい 細部は最後で大丈夫 なかなか難しいよ 小麦粉まみれも 覚悟の上だ ３カップ ４カップ… カイルは 材料を 量り始めたわ 砂糖２カップ 砂糖が入るぞ　ドーン 麻薬密売人の気分だ グラニュー糖じゃなく 粉砂糖を使ってるね そのようだ 粉砂糖は細かいから― 混ざりすぎて クッキーが硬くなる グラニュー糖の方が 食感がいい 水分がない 何か入れ忘れた？ 早くもミスだ 手で取り出すぞ あれでは 水分が足りないよ 時間を節約したいから― 材料を一度に混ぜちゃう キミーは 粉と液体を 全部 一緒にしてる 大丈夫？ クッキーが硬くなるな なるほど まずバターを練って― 粉物を 少しずつ入れる サクサクした食感が 欲しければ― 混ぜすぎない方がいい 私の顔を作るわ アナベルは等身大の クッキーを焼くつもりかな ボーナス点がつくの？ やれやれ 顔はいいんだけど 髪が難しい これでよしと 顔の形を― 切り抜いて… うまくできたぞ 先に髪を直そう 粉がついた フケ入りクッキー？ ここに入れて 先に焼いて― それから顔型に切る その方が早いわ あのまま焼くのかな？ とにかく焼かなきゃ 時間がかかるぞ よし アイシングね ここに― 水を大さじ10杯 入れる 多いわね こうやって混ぜるのよ しっかり見てなさい アイシングが ネバついてる もっと水を入れなきゃ 薄くのばさないと イヤだわ ひどい 次はアイシングね アイシングか　見落としてた 何やってんの？ アイシングはどこ？ ロイヤル･アイシングよ 自分で作るの ホントだって　砂糖でね 冷蔵庫の中？ 違うってば　もう！ 時間ないのに あった！ そう それよ わかったよ これでひとつ 貸しができたわ 水を入れるわ　１杯… ２杯… できてきた アイシングは完成 クッキーを出すぞ ゆるいわ よし カイルのクッキーが焼けた 素手で触って ヤケドしたみたいね おやおや 飾り付けだ まずは髪だ 僕の完璧な髪を再現するぞ 生焼けでも やるしかない 彼女のは 大きすぎて ケーキみたい 生焼けかしら 全然 似てない 飾り付けをすれば― 私の顔になるはず 髪はできたわ 髪はフォンダンね 色を塗った方が早いのに 大変そうだ 笑顔を描くわ 唇はこれにしよう ぷっくりした唇が ずっと欲しかったの 自分を表現するわ みんな 残り３分よ そろそろ顔が描けている頃ね ウソでしょ どうしよう クッキーが焼けてない まずいわ 先に切るべきだった 私は発想が柔軟なの あるもので なんとかする 母親業と同じ そうでしょ？ アイシングで顔を作って クッキーに乗せるのか うまくいくかもしれない 焼けるまでの時間を― うまく使える 悪くないかも 残り２分よ ウソよ！ ホントよ！ 鼻はどうする？ クッキー生地で作ろう よし 楽しみだわ ハラハラする ワクワクよ ここまでよ　出さなきゃ 大丈夫　できるわ 大きく切って… うまくいった 完成してなくても そろそろ終了よ よし 崩れなかったぞ オーケー 10, ９, ８… ７, ６, ５, ４… ３, ２, １　そこまで！ 作品を持ってきて まずは カイルから お手本はこちら あなたの作品を見せて パーフェクト！ 鼻は何で作ったの？ クッキー生地だよ 焼いてあるの？　 それとも生？ 生だ 味見しましょう 髪がオススメ なるほど グラニュー糖ではなく― 粉砂糖を使ったね グラニュー糖を使えば― もっとサクッとした食感に なったはずだ 鼻をもらうよ どうぞ 鼻の味だ 焼かなきゃ 生のまま人に出すのは― 絶対にダメだよ 次は食べる前に言って バイバイ カイル 次はアナベルね これが お手本 あなたの作品は？ パーフェクト！ 笑ってゴメンなさいね これ チートス？ ええ 鼻がないよ スペースがない 唇が大きくて… 眉毛もない 眉毛ナシ 鼻ナシ なんていうか… そうだね 味はいいかも なるほど チートス食べるの？ とても美味しい 同感だ 少し焼きすぎだけど チートスは？ 辛くて クッキーには 合わないわ お疲れさま アナベル ありがとう 次はキミーの番ね お手本はこちら 作品を見てみましょう パーフェクト！ 怖がらないで 何がおかしいの？ 笑うつもりじゃ… 笑ってる ごめんなさいね 毎回 笑っちゃって キミー これは一体… 自分では どこが気に入ってる？ いくつかあるわよ リボンが なかなか よくできた 本気で言ってるのよ 唇も好き ちゃんと顔の形になってる 試食しよう アイシングも食べて 食感がイマイチ その原因は たぶん― 材料を一度に混ぜたからだね そのせいで 小麦粉を練りすぎた それで硬くなったんだ お疲れさま ３人とも どうもありがとう 集合してちょうだい 審査が終わったわ 人の顔に一番近いクッキーを 焼いた人が勝者よ ジャック お願い 勝者は… カイル イェイ！ おめでとう やったわね！　 ジェイ 賞品は？ 絞り金セットだ すごい これがあれば 一晩中 ケーキの飾り付けができる やったわね 素敵 勝者の証 黄金のベーカー･ハットよ やった オシャレだし 強そう とってもよく似合うわよ アナベルとキミー ２回戦では頑張ってね テーマは第２の扉の向こう さあ ついてきて！ 全員よ！ さっさと動きなさい！ ニコール やりすぎだ １回戦のことは忘れて ゼロからスタートよ 賞金の１万ドルは― ２回戦“キメなきゃ負けよ”の 勝者に贈られる ジェイ お題を 俺様はケーキ王だ 俺に勝てる奴はいない 見たこともないぐらい 立派なケーキ “ビッグリー”なケーキに― 一生の忠誠を誓いたまえ ウソでしょ トランプ･ケーキ！ お願い　誰かウソだと言って なぜ 当選したのか 理解できない でも それは置いといて― 賞金に集中するわ 誰にもジャマはさせない なんてことかしら 私 彼に投票したの 顔クッキーも焼けないのに 大統領のケーキなんて よりによって トランプ大統領よ！ ディテールをよく見てね 垂れた顎に― オレンジの肌 ふわふわの髪 難易度が高いわ ジャック コツは何？ これは難しいぞ 何より顔が肝心だ スポンジを急いで焼いて 顔を作るのに 時間をかけたほうがいい 僕らのクッキー 見た？ 今回は少しだけ 助けてあげる 全員に パニック･ボタンを あげるわ これを押すと 審査員が駆けつけて ３分間 助けてくれる アナベル 前回は大惨事だったわね 今回はハンデをあげる 華麗なフランス語ボタンよ 他の人のパニック中に― これを押すと ジャックが フランス語で話し始める パニック･ボタンが台無しに 始めましょう 今回の制限時間は ２時間よ 用意はいい？ もう始まってるわよ よし やるぞ ケーキを焼こう まず最初に… よし このケーキの 手順を説明しよう スポンジを焼く間に 顔を作る 顔の表面は チョコレート細工だ 焼きあがったスポンジを 積んで― 肩や胸を作り クリームを 次にフォンダンを被せる ラーメンで髪を作り― 細かい細工を加えたら 出来上がりだ まず スポンジを焼く 今度こそやるわ １回戦の最大の失敗は― 材料の混ぜ方を間違えて 食感が悪くなった 今度こそ ちゃんと レシピ通りにやるわ 私ってすごい 基礎をちゃんとしないと いいぞ あのケーキ型を使って― 真ん中の穴に マネキンの 棒を刺す気ね なるほど アメリカを再び 美味しくするぞ パーフェクトよ 見て見て これでよし 小麦粉を忘れてる このままじゃ まずいな さてと うまくいくかな よし 見てくるわ 頼んだ 報告するわ どうも アナベル スポンジが 液体みたいだけど 膨らむわよ 何か忘れた？ イヤだわ　ちょっと待って まずいな オムレツになっちゃう 悪夢の回だ 私は戻るけど… 入れ忘れた 頑張ってね どうしよう 最初のステップなのに 小麦粉なしのスポンジなんて 私ったら いったい何やってるの 出さないと 間に合う？ どうだろう 問題なしよ オーブンに戻すわ よし この番組は録画だから― 念のため 別バージョンも 撮っておくわ 今日 作ってもらう ケーキのモデルは― トランプ元大統領よ 念のためね そう 一応ね スポンジ４個 オーブンに入った このチョコ めちゃくちゃ硬いぞ 普通のチョコと違う まだ硬いから 温めないとね ホワイトチョコ？ 細工用のチョコレートだ 砂糖とチョコのペーストで― フォンダンみたいに 薄く広げて 飾りに使う ゴメンね トランプ 謝らなくていいわ あの男は謝らないもの 尊敬してるの あら そう 私はしない 一応 耳も つけてあげるわ 人の話 聞かないから― 使わないだろうけど 私って 優しいわね スポンジを積み上げるぞ １段目だ これが２段目 すごいぞ！ これだけで 十分すごい 次は… 穴を見つけるのが 難しいな 外れててもいいか こういうミスが 後から響いてくるんだ この番組 大変だな 今回は一番 難しいかも ケーキの匂いがするわ！ 頑張らなきゃ やるわよ まずこれを敷いて… お腹の肉よ トランプの体の形が― お手本通りになるように 残り42分よ そろそろ 髪も作ってね 大変 ちょっと外してもいい？ ベビーシッターから連絡が キップ 聞こえた？ 一回 家に帰って また戻ってくる キップに聞いて キップ ベビーシッターから 連絡があって― 子供を迎えに 行かなきゃいけない 近くなんだ　すぐ戻るよ 悪いね 戻って来る？ どうかしら 試食したくないのかも ボロボロよ 体を作るのに スポンジが足りない 助けが要るわ 助けて！ パニックよ！ どうした？ 体の高さが 足りなくて… なるほど ライスクリスピーを 積み上げればいい それしかないよ なんとかなる それからクリームを 少し足せば― フォンダンがくっつく がんばって わかった ありがとう ジャック！ ジェイ 間に合うかな どうだろう 心配だ いかにも この番組らしいわ 審査員が子供のお迎えで 消えるなんて かの有名な髪の毛よ トランプはこうやって 髪をつけてるのよ 本物ソックリ 後頭部の髪はあるわよね？ やだ 口に入った やめてよ 後頭部が怖い 後ろ姿は バーニー･サンダースね 一人二役！ これが… 目の周り 顔を描くわよ 全部 完璧にしたいの 目が赤いぞ！ スーツを作るわ 私 デザイナーなの 専門分野よ 完璧なスーツに 仕上げるわ イタリア製の ピカピカしたやつ もしもし ジェイ？ 番組の司会してるニコールよ 戻って来れそう？ トランプの事務所が こんなだったら 負けてた 大統領っぽいぞ カイルはフォンダンを 使ってるけど― クリームを塗っていない フォンダンがくっつかない 味も単調になる そうね くっつかない スポンジと砂糖だけ 傾いてきた 頭が落ちないよう 祈るしかない カイル 何？ 棒を取ったの？ 頭が落ちるかも なぜ棒を刺さなかった？ 穴が見つからなくて… だから 彼女ができないのね 絶対に そう言うと思った！ 思った通りよ くると思ったの！ イジメだ お約束よ みんな 残り時間は18分よ まずいぞ　助けが要る パニック･ボタンよ 助けて フランス語ボタン！ あらら きたわね ウソだろ うん 全然わからない キャンセルしていい？ ボタンが戻ったよ カイル わかった？ 指差しはね わかったよ カイル お疲れさま 助かったよ ありがとう やあ 調子どう？ ジェイ！ 用事を済ませてきた 庭にコーヒーの木があるんだ 豆を焙煎して コーヒーを売ってる 素敵ね ローカルの コーヒー屋さんて大好きよ ギリギリで間に合ったわね 私 集中すると― よく喋るの あと一息で完成よ 旗を立てるぞ 残り30秒 落ち着いて いい感じだぞ なんとか形になったわ ５, ４, ３, ２, １ そこまで！ トランプの首をここへ カイル これがお手本ね あなたの トランプ･ケーキを見せて パーフェクト！ すごい！ トランプの生き写しだろ とても大統領らしい 気に入った 素晴らしいわ おちょぼ口だし 鼻も 眉毛も 髪も上手よ 鼻を食べたい 鼻フェチなのか？ なんなんだ？ 鼻が欲しい “鼻が欲しい” 愉快なケーキだわ 右じゃなく 左に寄ってる ホントだ　右の間違いだね うまいわね どうも カイル お疲れさま ありがとう アナベル あなたの作品は？ パーフェクト！ ワーオ！ どう？ 上手よ！ 顔の色が黄色っぽい なんだっけ 黄疸(おうだん)？ そう 黄疸(おうだん)みたいだ なぜ おしゃぶりを？ 若い頃のトランプに 似てるから ベイビー･トランプよ 服のセンスがいいわね イタリアの高級スーツ みたいにしたの ピカピカの絹のやつ アナベル ありがとう キミー！ あなたの作品は？ パーフェクト！ これは… あら 踊ってるのね すごいわね 踊りましょ また後でね これは… 上手ね やっと気を取り直した 髪がすごいわ 今にも風で飛びそう 目の周りの赤は？ 片目は僕 もう片方はジェイを見てる このトランプ ストレス抱えてそう リアルでしょ スーツはいいのを着せた 確かに上手ね どうも ネクタイもシャツも ３人とも とっても個性的に 上手にできたわね 一切れ取って 持ってきてちょうだい 試食の時間よ　さあさあ 鼻も頼むよ どうぞ まず カイルからね パサつくね クリームが ないからだね ああ クリームがあれば違った 塗るべきだった 食感が かなり硬いし 歯ごたえがある フォンダンと一緒に食べると 少しマシだけど パサつくわ パサパサだけど 僕は好きだよ よかった お疲れさま ありがとう お疲れさま 次はアナベルね 少し硬いな もしかすると― 一度 オーブンから出して 戻したからかも でもクリームのおかげで パサつきが減ってる とても美味しかったよ 食感がイマイチだけど― 悪くないわ　お疲れさま 次はキミーの番ね さてと キミー 鼻は残して わかってるよ これはヤバいわ 私じゃなくトランプの髪よ 絶対そう 確かに 麺だ エクステ入り？ 違うわ エクステって？ 買った髪よ 編み込んである 知らなかった 髪が入ってませんように クリームと食感が好きよ 同感だ　美味しかったよ ありがとう 夢に出そうだけどね 毎日 このケーキを 思い出すわ こんなワイルドなもの 今まで見たことない この中の１人が１万ドルと― 番組特製トロフィーを 手にするわ 勝ったのは… アナベルよ！ おめでとう！ 現ナマよ！ アナベル おめでとう！ トロフィーを受け取って 泣いてるの？　嬉しい？ おめでとう すごい　やったわ！ 夢が叶った これで 息子も 私のお菓子を食べるかも みんな 笑って いいね 観てくれて ありがとう このまま全部 イッキ見しちゃって！ 日本語字幕　加藤 智子

神様のボート＃02

1 ♬～ (りか子)野島さん｡ 一緒に帰らない？ (草子)うん ありがとう｡ 何で？ え？ 何で ありがとうなの？ 転校生に 最初に 仲良くしてくれる子は➡ すごく勇気が要ると思うの｡ だから｡ ふ～ん｡ ねえ 私んちに来ない？ うれしいけど 今日は駄目｡ ママの仕事がない日は なるべく一緒にいてあげたいから｡ ふ～ん｡ ﾋﾟｱﾉの先生なんでしょ？ 野島さんのママって｡ そう｡ 公民館で教えてるの｡ 月曜日と水曜日と木曜日｡ うちね 駅前で 和菓子屋さんしてるの｡ あっ 鳥居の横の いい匂いのする？ そう｡ 今川焼きも 焼いてるから ねえ おいでよ｡ (葉子)｢楽器店 ﾊﾟｻﾄﾞのｵｰﾅｰ ご連絡ください｡➡ ｲｴﾍﾟｽの ｷﾞﾀｰ曲のﾃｰﾌﾟ 探しています｡➡ ﾓｰﾂｧﾙﾄの主題による 変奏曲で始まって➡ JUEGOS PROHIBIDOSで 終わるやつです｣｡ ｢当方 千葉県館山市に在住｡ J.S.B｣｡ ﾊﾞｲﾊﾞｲ｡ [ 回想 ] (沢木)この手 大好きだ｡ ♬～ 恥ずかしい｡ 節くれ立ってるから｡ 少しの間 離れて暮らさなきゃならない｡ お金の事？ なるべく早く 片をつけたいんだ｡ 給料のいい 運送会社があるんだ｡ 寮に住み込んで働けば➡ ２～３年で お金は つくれると思う｡ ついていっては 駄目？ 葉子ちゃんを巻き込む事なんて できない｡ 惨めな思いをさせる理由なんて どこにもない｡ ♬～ きれいな背骨｡ あのね 私…｡ 待っていてほしい｡ 信じてほしい｡ 一瞬も疑わないで｡ 僕は 必ず葉子ちゃんを見つけ出す｡ どこにいても｡ 葉子ちゃんだけの気配を 身にまとってる限り｡ ♬～ (ドアの開く音) ただいま｡ お帰り｡ <ママは 引っ越しすると 必ず意味不明の葉書を➡ 音楽雑誌の読者ｺｰﾅｰに 何枚も送る｡➡ それが 居場所の分からない パパとの 唯一の通信手段だから> <でも 私が知る限り 返事が来た事はない> 冷蔵庫に 頂いたﾁｮｺﾚｰﾄがあるから 食べていいわ｡ うん｡ <ママは 必ず 夜のｱﾙﾊﾞｲﾄをする｡➡ 週に３回のﾋﾟｱﾉ教室だけでは➡ 親子２人 生きていけない事くらい 私にだって分かる> <そして ママには すぐに ﾌｧﾝができて➡ ママの大好物のﾁｮｺﾚｰﾄを せっせとﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄする｡➡ これも 私にだって分かる｡➡ とても自然な成り行き> ﾁｷﾝｽｰﾌﾟは もう少し煮込めば大丈夫｡ ｻﾗﾀﾞを残しては駄目よ｡ 食後に ﾘﾝｺﾞを半分だけ食べなさい｡ <ママは 私の食べる物に うるさい> (ﾋﾟｱﾉの音) こっちも 調律しないと｡ 引っ越しのあとは 駄目ね｡ ♬～ <この町には どれくらい いる事になるんだろう> ♬～ じゃあ ママ また｡ (美智子)またね｡ (北島)社宅とはいえ 都心に ５年も住んでんだよ｡ それを 今更 君津に 戻ってこいって言われたってさ｡ いいじゃないの｡ 現場に戻ってこれたんだから｡ 技術者の出世ｺｰｽでしょう？ (麻穂)やだ 生まれも育ちも 房総半島のくせに｡ かみさんと娘は 死んでも 東京 離れたくないって言うし｡ 結局 単身赴任ですよ｡ 北島ちゃん かわいそう｡ 葉子ちゃんなら 分かってくれるでしょ？ この気持ち｡ 東京の人なんだから｡ もう 東京出て 10年になりますから｡ 懐かしくは思いますけど｡ (麻穂) 参考にならないよ｡ 葉子ちゃんは 東京を捨てたんだから｡ じゃあ ご両親は東京に？ じゃあ 草子ちゃん… たっ！ あんまり詮索しないの｡ ええ ええ すしでも食って寝るかな｡ 麻穂ちゃん つきあってよ｡ え～ 行く 行く｡ ママも どう？ 誰が店 閉めんのよ｡ 私一人で大丈夫ですよ｡ 鍵さえ お預かりできれば｡ ママ たまにはいいじゃない｡ そう？ じゃ お願いしちゃおうかな｡ もちろん｡ 悪いわね｡ 今日は ﾀｸｼｰで帰っていいから｡ じゃあ よろしくね｡ じゃあね｡ ﾊﾞｲﾊﾞ～ｲ｡ (野島)もう もう やけずしだ！ (麻穂)何 食べよっかな～｡ ﾀﾞｰｸﾗﾑのﾛｯｸ お作りします？ (朝倉)分かるんですね 僕の飲みたい酒が｡ 朝倉さん 最近 よく来て下さるから｡ 君津の工場に戻ってきてから こっち➡ 自分でも よく来てると思いますよ｡ それも 葉子さんがいる日だけね｡ 何回か お酒を作っていれば 自然と覚えるものです｡ 僕だけ特別って訳じゃないか｡ 最初に ｳｵｯｶのｿｰﾀﾞ割り｡ 次に ｽｺｯﾁを ﾛｯｸで２杯｡ 最後にラム｡ お酒に詳しいんだな 葉子さんは｡ 昔 お酒好きの人に たたき込まれたんです｡ 恋人？ 葉子さんも どうですか？ 一杯｡ あいにく 禁酒してるんです｡ へえ～ どれぐらい？ 10年？ 自制心の強い人だ｡ いいえ｡ 我慢強くないですよ 私｡ 願かけみたいなものです｡ 本業は ﾋﾟｱﾉ教師なんでしょ？ 麻穂ちゃんですね｡ 今度 聴いてみたいな｡ 葉子さんのﾋﾟｱﾉ｡ 残念｡ ｺﾝｻｰﾄの予定はありません｡ 師の教えなんです➡ プロは 報酬なしに 人前で ﾋﾟｱﾉを弾いてはいけないって｡ ♬～ きれいな… 背骨｡ ♬～ ママ？ ごめんなさい 起こしちゃった？ ♬～ (桃井)電話帳で 捜し当てたんだ｡ 日本に➡ これほど ﾋﾟｱﾉ教室があるとは 思わなかったけどね｡ ﾊﾊﾊ…｡ どうぞ｡ 元気そうで 安心したよ｡ 沢木君の子か？ 私にできる事があったら 何でもしたい｡ そういう気持ちで ここまで来た事を分かってくれ｡ 君のﾌﾟﾗｲﾄﾞが許さないのであれば➡ 生まれてくる子どものため… という事でも構わない｡ ♬～(ﾋﾟｱﾉ) ♬～ <ママは寂しい時に よく この曲を弾く｡➡ 私は その事に 随分昔から気付いている> うわあ…｡ うちの今川焼きは すごく おいしいよ｡ そうなの？ うん｡ (２人)頂きま～す｡ やった ｸﾘｰﾑ！ あんこと交互に食べると 絶妙だよ｡ <りか子ちゃんは 時々 ｲﾝﾓﾗﾙな事を わざとする> その｢ｲﾝﾓﾗﾙ｣って どういう意味？ 日本語でいうと ｢背徳｣っていうんだって｡ 背徳…｡ 背中の背に 道徳の徳って書いて 背徳｡ もっと分かりやすく説明して｡ う～ん… 本能に正直に行動する事｡ ふ～ん｡ 例えば？ <そんな事 言えない> うまく説明できないけど➡ 自分が正しいと思うなら ｲﾝﾓﾗﾙになる事は➡ 決して間違いじゃないって ママが言ってた｡ ねえ ねえ 草子ちゃんのママって あんなに きれいなのに➡ 何で 再婚とかしないの？ 再婚？ ママが？ <ありえない> しないと思う｡ ねえ 草子ちゃんのパパって どんな人だったの？ 親友の誓い｡ え？ 私 草子ちゃんの事 好きだから もっと知りたいの｡ だから 親友になりたい｡ 親友の秘密は 死んでも守る｡ 死んでも？ そう｡ 死んでも｡ 親友の誓い？ うん｡ 私には分からないわ｡ 親友なんか いなかったし｡ 一人も？ 私には パパと草子がいれば 十分だもの｡ ♬～ はあ…｡ うん！ うん！ ♬～ ≪(産声) ♬～ (桃井)この子は 美人になるな｡ そんな事は分からないわ｡ 美人は 作られるんだよ｡ 女の子は 美人に生まれるんじゃない｡ 美人に育てられるんだ｡ ここにいれば 草子は きっと 美人になる｡ ♬～ 何だか うれしい｡ 葉子と…➡ 葉子の赤ちゃんと こうやって歩けるなんて➡ 思ってもみなかったから｡ 泣く事ないじゃない｡ そうよね｡ 普通の事よね｡ きっと 私たちも 普通の家族に見えるわね｡ ♬～ どうしたの？ 葉子｡ お母さん ごめん｡ ♬～ 哲哉さん！ ♬～ [ 回想 ] 僕は 必ず 葉子ちゃんを見つけ出す｡ どこにいても｡ 葉子ちゃんだけの気配を 身にまとってる限り｡ 信じてほしい｡ 一瞬も疑わないで｡ ♬～ 必ず戻ってくる すぐに｡ ♬～ 母親になったからって 髪を切る必要 ないと思うけど｡ これからは なるべく 身軽でいたいの｡ 私 あんまり強くないから｡ 何 考えてんの？ 切って｡ (ため息) (桃井)つまり 君は➡ 僕を捨てるんだね｡ あの男は もう… いないのに｡ ごめんなさい｡ 東京から… 出ていってほしい｡ それが たった一つの条件だ｡ 道で 髪の短い女を見る度に➡ 君じゃないかと考える事には➡ 耐えられないよ｡ 小さな女の子を見る度に➡ 草子じゃないかと思う事には➡ 耐えられない！ ♬～ ☎(美津子) 桃井さんに あなたと草子を➡ 東京から 追い出す権利なんてないわ！ 私たちは追い出されたんじゃない｡ 自分で選んだの｡ ☎正気じゃないわ！ 赤ちゃん抱えて｡ 行く当てもなくて！ 今すぐ ﾀｸｼｰ拾って うちへ帰ってきなさい！ 許して… お母さん｡ ☎まさか あなた…➡ 本気で あの男の約束を 信じてる訳じゃないでしょ？➡ 草子は 父親を知らない子になるわ｡➡ ねえ 葉子 聞いてる？ ♬～ 私は 決して➡ あなたに惨めな思いをさせない って約束する｡ でも… これだけは 分かってほしいの｡ 私は…➡ あなたのためだけには➡ 生きられない｡ パパのために…➡ パパに もう一度会うために 生きていたいの｡ それが… 神様に与えられた 私たちの運命だと思って｡ ♬～ (りか子)草子ちゃん！ (２人)せ～の…➡ 親友の誓い｡ 裏切らない｡ 秘密は守る｡ 休み時間の度に 必ず何か ひと言でもいいから➡ 言葉を交わす｡ 一緒に帰る｡ え～っと…｡ 毎朝 お互いに 相手に会うまでは 笑わない｡ だから どちらかが学校を休んだ日は➡ もう一人は 一日中 笑ってはいけない｡ (笑い声) ♬～ ありがとう りか子ちゃん｡ ♬～ <ママは この鋳物の鍋一つで 何でも作ってしまう｡➡ でも ﾛｰｽﾄﾋﾞｰﾌを作るのは 年に一回きり➡ パパの誕生日だけだ> (２人)乾杯｡ <パパについて 私が 知っている事は そんなにない｡➡ 今日で 44歳になった事｡➡ 11年前の身長と体重｡➡ 少し癖のある長い髪｡➡ 背骨の形と 額の感じが 私に似ていて➡ 楽器店のｵｰﾅｰで ｽﾊﾟﾆｯｼｭｷﾞﾀｰが上手で➡ でも その どれ一つとして 私が自分で確かめた事じゃない> 今年で 10枚目だね パパに見せる写真｡ そうね｡ ねえ パパの新しい話 聞かせて｡ 一番すてきなのは… 背中｡ 背骨の話は もういいからね｡ 広くて しなやかで 背中のくぼみが➡ ママの ほっぺの形に ぴったりなの｡ まるで ｼﾞｸﾞｿｰﾊﾟｽﾞﾙみたいに｡ 嘘だあ｡ ﾎﾝﾄよ｡ ここだ｡ きっと 神様が➡ ママのほっぺと パパの背中を 一対で作ったんだと思う｡ この世で たった一つの組み合わせ｡ <本当の事を言うと➡ 私は パパの誕生日が あまり好きじゃない> <どうしてだか分からないけど 少し怖くなる> <パパも どこかで私たちの事を 思い出しているんだろうか｡➡ それとも…> ♬～ おとうちゃん ここ！ ここ！ お帰り～！ お父さん お帰り！ お帰り！ お帰り！ ♬～ ４か月間 御苦労さん｡ はい｡ お世話になりました｡ あっ ちょちょちょ…｡ これ 少ないけど ﾎﾞｰﾅｽ｡ 随分と 網の補修なんかも やってくれたらしいね｡ あんたの手先が器用で 助かったって 船長も言ってたよ｡ ありがとうございます｡ まあ 座って 座って｡ ﾏｸﾞﾛ船に乗ったのは 初めてかい？ はい｡ こういう仕事をする人間の手には 見えんがね｡ 東京の人かね？ ええ｡ これから 家族の所に帰るのかい？ まだ 新宿行きの夜行バスには 間に合う｡ やぼな事 聞いたな｡ すまん｡ 今度の出漁は 来月の10日だ｡ よかったら また乗ってくれ｡ 入金 お願いします｡ お預かり致します｡ ☎(弁護士)先方のご両親から 借り入れていた負債も➡ もうすぐ 完済ですね｡ 大したもんです｡➡ これで 先方が離婚届に 判を押さない理由が無くなります｡ 時間が かかりすぎてしまいました｡ ☎そういえば 全く 音信不通に なった時期もありましたね｡➡ 今でこそ 笑い話ですが➡ あの時は てっきり 全部投げ出して➡ 姿を くらましたのかと 思いましたよ｡ 恥ずかしい話ですが 逃げ出そうと 思った事は 何度かあります｡ ♬～ (山田) 思ったより 早く終わったな｡ 早めの昼飯にするかい？ はい｡ (山田)何 食う？ うまい店だな｡ 何で 知ってるんだい？ この仕事 始めるまで ここで暮らしてたんで｡ へえ～ てっきり 東京の人間だとばかり思ってたよ｡ あの… 30分だけ 時間もらってもいいですか？ ああ｡ その辺で ｺｰﾋｰでも飲んで待ってるよ｡ ♬～ 葉子｡ 葉子｡ 葉子！ そこ 空き家ですよ｡ おととしまで ここにいた者ですが➡ 同居人が１人残って 暮らしてたはずなんですが｡ さあ？ 俺 引っ越してきたの 半年前だから｡ ちょっと よく分かんないっす｡ ☎(不通音) にいちゃん！ 終わったんだったら 早く代わってくれよ！ すいません｡ ♬～ (車内ｱﾅｳﾝｽ) ｢間もなく 終点 新宿｣｡ ♬～ (ｸﾗｸｼｮﾝ) ♬～ (草子と りか子の笑い声) 何 あの犬？ でも かわいいよね｡ でも 臭いじゃん｡ ﾊﾞｲﾊﾞｲ｡ ﾊﾞｲﾊﾞｲ｡ <ママに会いに行くんだ> すいません｡ 公民館は どっちですか？ 公民館に 何の御用ですか？ いや… その… ちょっと ﾋﾟｱﾉを聴きに｡ ♬～(ﾋﾟｱﾉ) ≪はい 今日は ここまで｡ ありがとうございました｡ はい さよなら｡ ♬～(ﾋﾟｱﾉ) ♬～ すいません｡ 無断で入るつもりは なかったんだけど➡ 入り口が開いてたから｡ これ｡ 厚かましい男だって顔ですね｡ 前に言ったでしょ？ プロは報酬なしに 人前で ﾋﾟｱﾉを弾くべきじゃないって｡ それ 葉子さんの師匠の教えでしょ？ ええ 前の夫です｡ せっかく いらしたんだから ｺｰﾋｰでも いかが？ 報酬なしに あなたの演奏を聴いた男は➡ 一体 何人いるんです？ 父と 前の夫 それに うちの娘の父親｡ 世界に たった この３人だけ｡ その… お嬢さんの父親が 一番 愛する男って事か｡ 迷惑ついでに言ってしまうと➡ 僕は あなたの演奏を ただで聴ける➡ ４人目の男になりたいと 真面目に思ってる｡ これを飲んだら 帰ります｡ ごめんなさい｡ 興ざめさせるような女で｡ いえ… あなたは強い人だ｡ 悲しくなるぐらい｡ <この男の人は 分かっていない｡➡ ママは 決して強くない｡➡ 強くないから 神様みたいに 信じるものが欲しいだけなんだ｡➡ パパは… 神様なんかじゃないのに> ♬～ (ｲﾝﾀｰﾎﾝ) ♬～ 御無沙汰… してます｡ 驚いたな｡ また 君に会うなんて｡ 不愉快になられるのは 承知で伺いました｡ あの…｡ 葉子は いないよ｡ 10年ほど前に ここを出ていって以来➡ 音信不通だ｡ どこで どうしているか…➡ 彼女の両親さえ知らない｡ なぜ 彼女は…｡ 私に分かるものか｡ 巡礼に出るような 思い詰めた顔で 出ていったよ｡ まだ…➡ １歳にもならない 赤ん坊を連れてね｡ 君の… 娘だ｡ ♬～ なじまなければ パパに会えるの!? ママは 本気で そんな事 信じてるの!? 私は現実を生きたいの｡ ママは 現実を生きてない｡ パパなんて どこにもいないんだよ！ 随分前に あの男が ここに来たよ｡ もう… 死んでもいい｡ いつ死んでも｡

とめはねっ！～鈴里高校書道部～＃02

1 ♪♪～（「チョコレイト・ディスコ」） ♪♪～ （日野ひろみ）よしみ？！ コスプレかよ！ さすが　目立ちたがり。 ♪♪～（「言葉にできない」） ♪♪～ すいません　遅れちゃって。 ♪♪～ うわ～　ブラックの部長さん かっこいい！ う～ん　萌える～。 やっぱり　メイドには メガネっ娘ですからね。 よしみのヤツ　私らに　わざと これを見せつけたくて呼んだのよ。 考えることが いちいち嫌みなヤツだ！ でも　かなり練習してるわ。 ♪♪～ 鵠沼学園　書道部部長 日野よしみ。→ 小田和正「言葉にできない」 完成です！ （日野よしみ）こんにちは！ 鵠沼学園　書道部です！ （一同）こんにちは！ （拍手） この　ふれあい広場は…。 すご～い。 こんなに　たくさんの人たちが いる中で　字が書けるなんて→ すごいなあ。 そうですか？ そうだよ！　だって　自分の字が 好きじゃないと　できないよ。 私も　いつか　やりたいなあ。 それでは　次は　私たち書道部 唯一の　男子部員が書きます！ １年　勅使河原。 ♪♪～（「ＨＯＮＥＹ　ＢＥＡＴ」） ♪♪～ こいつ　どっちの味方だよ。 ♪♪～ （拍手） これは…。 ♪♪～ （勅使河原　亮）皆さん 見に来てくれたんですね。→ うれしいなあ。 あの…　勅使河原さんて どちらに　お住まいですか？ えっ？ さすが　体育会系。　直球　投げるわ。 藤沢だけど。 藤沢…。 それが　どうかした？ あ…　いや　あの～→ 私も　昔　藤沢に住んでたので。 えっ？！　ホント？　小学校どこ？ （よしみ）勅使河原　何やってる！ あんた　何？　ナンパしに来たの？ 違います！ 勅使河原は うちの大事な１年生なの。 誘惑するの　やめてくれる？ そんなこと　してません！ 何だよ　その言い方！ イケメン　ナンパして　どこが悪いのよ！ だから　ナンパじゃありませんって！ あんたたち→ そんなに　チャラついてるから 小学生レベルの字しか書けないのよ。 ちょっとは うちを見習ったらどう？ パフォーマンス　すばらしかったでしょ？ 甘いな。 はぁ？！ 鵠沼のパフォーマンスにはな 足りないもんがあんだよ。 それはね　エンターテインメント性よ。 また変なイチャモンつけて！ よしみ　すばらしかった！ うちには　まだまだ無理！ そうよ！　文句つけるだけだったら 誰にでも　できるのよ！ 偉そうに言うんだったら あんたたちも　やってみれば？ そうよ！　文句つけるだけだったら 誰にでも　できるのよ！ 偉そうに言うんだったら あんたたちも　やってみれば？ アハハ！　どうせ　下手くその 集団だもん　できるわけないわね。 できます！ バカじゃないの？　あんた。 できるわけないじゃん。 まともに字も書けないくせに。 あ～　できるね！ 少なくとも　あんたたちより　客に ウケることぐらい簡単なんだよ！ そう　できますよ！ ちょっと～！ 言ったわね。　もう　ホントに パフォーマンスやらないと許さないから。 だから　やるって言ってんだろ！ 言ってるでしょ！ うそ…。 マズいですよ。 やるの？ あんたもよ。 やるって言ってんでしょ！ 分かったわ。 逃げるんじゃないわよ。 もちろんです！ 僕　自信ないです。　人前で あんな大きな字を書くなんて。 半紙に書くのも下手なのに。 大丈夫だよ。　「母」の字対決の あんな変な字でも　いいんだもん。 ちょっとくらい下手くそでも 頑張って書けば　なんとかなるよ。 そういうレベルじゃないと思いますよ 僕たち。 えっ？ 僕たちが 足を引っ張ることになるんです。 だから　部長さんは 「できない」って言ったんです。 なのに　勝負なんて無謀すぎます。 そうかな…。 書道で　パフォーマンス？ うん。 ホントに？ びっくりした？ するわよ。　だって　あなた→ 人前では　絶対 字　書きたくないっていうほど→ 字に　コンプレックスあったじゃない。 そうなんだけど この機会に頑張ったら→ うまくなれるんじゃないかなって 思ってさ。 うまくなりたかったの？ そりゃ　そうだよ。 どこに行っても　自分の字を 隠さなきゃいけないのは→ 何か　やだ。 でも　結希→ パフォーマンスって　ただ字を書くより もっと難しいわよ。 よほど　力がないと。 そう…　だよね。 ♪♪～ やっぱり…。 ♪♪～ （４人）朝練？！ だから　柔道じゃないっつうの！ 悪い　パス。 私も　朝は苦手なの。 ちょ…　ちょっと待ってください！ パフォーマンスって　ただ字を書くより 難しいんですよね。 絶対　特訓しないと 間に合わないんです。 お願いします！ やめてくれよ　その熱血。 やる気　ありすぎ。 でも　確かに　あと２週間で→ どこまでいけるか ちょっと不安なんだよね。 僕　朝練します！ 時間がないのは確かだよね。 歌も決めなきゃいけないし→ やることは　山ほどあるわ。 よしみを　つけあがらせるのは やだな～。 しかたないか。 うん。　やろう　朝練。 ありがとうございます！ ＡＫＢとか　いいんじゃね？ 振り付け覚えるの大変だよ。 ほら　縁。　何か　アイデアねえのかよ？ 僕　日本の歌　知らないんです…。 使えないヤツ。 聖飢魔Ⅱは？ だったら　デーモン木暮　縁だろ。 ♪♪～ お前も　蝋人形にしてやろうか！ デーモンて　何ですか？ デーモンも知らないんだもん。→ コスプレして 大相撲解説する人よ。 三輪ちゃん　一応 デーモンは　バンドの人だって。 一目で見て分かるコスプレじゃないと 笑いは　とれないっすよね。 三輪ちゃん　一応 デーモンは　バンドの人だって。 一目で見て分かるコスプレじゃないと 笑いは　とれないっすよね。 （影山　智）おはよう！ 影山。　お前　何で来たんだよ！→ 朝から　お前の顔なんて 見たくねえんだよ！ そういうこと言うなよ！ 望月から電話があったんだよ。 先生も　お願いします。　私たちに 書道の特訓　してください！ 何だ？　どうかしたのか？ 私たち　今度　パフォーマンスに…。 えっ？　パフォーマンス？ …ていうお店があるのよ。→ 知らない？ キャバクラみたいな名前だな。 そうなの　キャバクラ。 先生　通っちゃ駄目よ。 通うわけないじゃない。 影山は反対するから→ 内緒にしないと。 先生　お願いします！　私たち 一日も早く上達したいんですよ。 教えてください！ えっ？ お願いします。 書道部で　「お願いします」って 頭　下げられたの　初めてだなあ。 おい　見ろ！ 新入生は　素直で　かわいいなぁ。 どうせ　うちらは かわいくねえよ。 分かりました！ 教えを請う者を　教師として 拒むわけには　いきません！ ありがとうございます！ どういたしまして！ ねえ　コスプレで　何が好き？ コスプレ？ 望月がやるの？ うん。 ゴジラとか　ボブ・サップとか。 おい　そこで おしゃべりしている望月。 １１９２年　鎌倉幕府を創設した人は 誰だ？ わ…　分かりません。 （笑い声） じゃあ　大江　分かるか？ 源　頼朝です。 正解。 おばあちゃんも　昔 書道やってたんだよね。 うん。　女学校の時ね。 お前も始めたなんて　うれしいね。 お父さんも　やってたんだよね。 少し教えたことがあったけど あの子は飽きっぽいから駄目。 もう　３日も帰ってこないけど 大丈夫かなぁ。 また仕事が見つからなくて 帰りづらいんでしょ。 それにしても 板前の腕は　いいんだから→ もうちょっと しっかりすれば　いいのにね。 お前も苦労するね。 お母さんが亡くなってから→ わがままオヤジと　親一人　子一人で。 どこ　ほっつき歩いてんのやら。 （おなかが鳴る音） あ～　腹へった。 よし。　望月　大江 手本　書いたぞ。 ああ　はい。 この間　書道展に出したのと 同じですね。 うん。　まあ　考えたんだが 筆の使い方を覚えるのは→ やっぱり　基本を　みっちり やった方が　早いと思うんだ。 これが基本なんですか？ うん。 漢字の書体には…。 ５つがあるんだが　この楷書が 現代の漢字の標準形なんだ。 そもそもは　紀元前２２１年→ 秦の始皇帝が　篆書というものを 定めたことに始まって→ そっから変化していって 隷書というものが定まったのが→ 紀元前　何年でしょう。 先生。 何？ 話　長いんですけど。 じゃあ　これが　７世紀→ 中国で書かれた楷書の完成形 「九成宮醴泉銘」だ。 うそ～　しょぼい。 何が　しょぼいんだ。 よく見なさいよ。 だって　後ろ黒いし ところどころ破れてるし。 黒いのは　拓本だから。 拓本？ 石碑を写し取ったもののこと。 いいか？　この「九成宮醴泉銘」は→ 拓本？ 石碑を写し取ったもののこと。 いいか？　この「九成宮醴泉銘」は→ 「楷書の極則」といわれるほど 完ぺきな字なんだ。→ いいか？　これを臨書すれば 必ず上達するはずだ。 臨書？ お手本どおりに 書くことだ。 ふ～ん。 だから　勅使河原君は これを臨書したものを→ 書道展に出したんですね！ そう。 そうか。 僕　やります！ これで練習します！ うん！　これで うまくなれるんだったら→ 頑張ってやろう！ いいか？　楷書の基本は 「トン　スー　トン」のリズムだ。 一画一画の中に この３つの要素がある。 トン　スー　トン。 トン　スー　トン。 だいぶ　よくなってきたんじゃ ないか　大江。 あ～　もう！　全然　駄目だ！ 先生　どうしたら 早く　うまくなるんですか？ そんな方法なんてないよ。 一歩一歩　うまくなるしかない。 柔道だって同じだろ？ そうですけど…→ これじゃ パフォーマンスに間に合わないよ。 パフォーマンス？ そういえば　お前　この間→ そんな名前のキャバクラが 出来たとか　なんとか…。 お前　まさか　バイトでもしてんのか？！ えっ？！　いや…。 ≪（加茂）あ～　もう　こんなんで パフォーマンス　いけるのかよ。 パフォ？ ≪（ひろみ）でも　カラオケで お客が喜ぶ曲　探そうなんて→ さすが　三輪ちゃんね！ カラオケ？！ ≪（三輪）お客さんを とりこにするのが大事だからね。 とりこ？！ お前たち　どんなに　いけないこと してるのか　分かってるのか？ 何があった？　金か？ 金に困ってるのか？ 困ってることがあるなら 相談してくれよ。　水くさいだろ！ 何　言ってんの？ キャバクラで…　働いているんだろ？ （３人）はい？ キャバクラじゃないのか？ …ってことは！　あ～っ！ 何だ何だ　パフォーマンスって そういうことか。 はい。　すいません 先生に言わないでいて。 いいじゃん　いいじゃん。 えっ？　反対しねえの？ えっ？ 前に　学校の外でやる活動は→ 校長の許可がいるから難しいって おっしゃってましたよね？ だって　書道のパフォーマンスでしょ？ 取るよ　許可なんて。 楽しそうじゃないか！ もう　曲は決めたのか？ まだです。 パフォーマンスは　選曲が命だからな。 ウケるの選ばないとな。 ジュリーなんか　どうだ？ ジュリー？ ♪♪「寝たふりしてる間に」 知ってる？ 聞いたことない。 父が　お風呂場で　よく…。 古くねえ？ じゃあ　これは？ ♪♪「すばらしい　Ｙ．Ｍ．Ｃ．Ａ」 影山って　ただの中国史オタクじゃ ねえな。 こわっ。 それにしても 早く　曲　見つけないと→ 衣装作ったり　練習する時間 なくなっちゃうよ。 私　昨日　夢で　よしみに 罵倒されて　うなされちゃったわ。 よしみ　私たちに　パフォーマンスなんか できるわけないって→ 昨日も　うちで言ってた。 あ～あ　こんなんじゃ やるなんて言わなきゃよかったよ。 先輩！ 私も　曲　探してきます。 望月。　ねえ　先生　無視？ ねえ　ねえ！ 失礼します！ （影山）あ　そう。 パフォーマンスの稽古は　どう？ 進んでる？ 当ったり前じゃないですか。 バッチリですよ。 楽しみだなぁ。 超ウケるの　作りますから。 頑張ってね。 はい！ あっ　勅使河原さんて→ 好きな人に ラブレターとか書く人ですか？ ラブレター？ あっ　いや　あの… やっぱり　何でもないです。 気にしないでください。 びっくりした。 いきなり変なこと聞くから。 ですよね。　忘れてください。 ちょっと待ってよ　望月さん。 ♪♪～ （テレビ）♪♪「人生　楽ありゃ」 お帰り。 どうしたの？ この歌…　胸に染みます。 ただいま。 変な子だね。 ♪♪「人生　楽ありゃ　苦もあるさ」 いいね　この歌。 いいよ。　偉いよ　大江。 ちょっと返してよ！ 邪魔しないでよ。 （影山）だって　それ　もう 縫ったんでしょ？　いいじゃん。 （三輪）順番があるの。 （影山）何の順番だよ。 大江君　うまくなってる。 そうかな？ ジャ～ン！　水戸黄門の印ろうと刀 演劇部から借りてきたよ。 お～　ありがとう。 ちょっと　いい？ 皆の衆　この印ろうが 目に入らぬか？ お前　調子　乗りすぎだよ。 すいません。 （三輪）衣装　縫うのって すごく時間が　かかるわね。 書く練習が全然できねえな。 （ひろみ）困ったね。 ♪♪～ （ひろみ）三浦先生！ どうかね？　練習しとるかな？ おじいちゃん！ これは　三浦先生→ （ひろみ）三浦先生！ どうかね？　練習しとるかな？ おじいちゃん！ これは　三浦先生→ 先日は　いろいろと ご指導いただきまして→ ありがとうございました。 その後　ユニークな字を書く鈴里は→ 頑張っとるか　気になってのう 練習を見に来たんじゃ。 お陰さまで　書道に対する面白さに 目覚めたようで→ 今度　ふれあい広場で　パフォーマンスを したいと言いだしまして→ 今その準備に励んでるところです。 ほう～。 影山君。 はい。 まさか　この２人まで　パフォーマンスで 字を書かせるつもりか？ まあ　それは…。 どうしてもと言うんなら→ 何も言わんが　こんな箸にも棒にも かからんような字を→ 人前で披露していいのかのう？ 鈴里の恥をさらすことに ならぬよう　気をつけることじゃ。 （影山）ありがとうございました。 三浦先生は厳しい方だから ああ　おっしゃったけど→ なんとかなるわ。　頑張りましょ。 （影山）清風先生に あそこまで言われちゃ無理だろ。 （加茂）影山！ （三輪）何で　そう弱いかなぁ。 僕たちが 足を引っ張ることになるんです。 ♪♪～ やめます。 パフォーマンスに出て字を書くの 私　やめます。 えっ？ おじいちゃんの言うとおりです。 私　超下手だし→ えっ？ おじいちゃんの言うとおりです。 私　超下手だし→ パフォーマンスなんて　やっぱ無理っす。 望月　あんなクソジジイの 言うことなんて　気にすんなよ。 裏方　回ります。 私が衣装縫った方が→ 先輩たち　字を書く時間が できるじゃないですか。 そりゃ　そうだな。 うん。　絶対　その方がいいですよ。 みんなで　それぞれ　やれることを やればいいじゃないですか。 頑張りましょう！ ♪♪～ ≪お～い！ はは～ん。 それで泣いてたのか。 やりゃいいじゃん やりたいんなら。 やれるわけないじゃないですか。 自分のせいで みんなが恥かくんですよ。 おねえちゃん　何で　そんなに パフォーマンスなんか　やりたいの？ だって かっこいいじゃないですか。 大勢の人たちの前で 字を書くんですよ。 自分の字が好きじゃないと できないですよ。 もしかして　嫌いなの？ 自分の字。 すっごい下手なんです。 ハハハハ！　それで　よく 書道部　入ったなぁ。 挑戦ですよ　人生最大の。 嫌なもんですよ　自分の字を 隠さなきゃいけないのって。 そうだなぁ。 「字は体を表す」なんてな。 いい字を　スカッと書けた時は 気分いいもんなぁ。 おじさん　書道やってるの？ ま…　まさか。 やってるように見えるか？ 見えない。 あんなものは　インテリぶったヤツが コジャレて　やるもんだ。 おれは　嫌えだ。 え～？　三浦先生に お前　習ってるの？ うん。　何で？ おばあちゃん　知ってるの？ 書道の世界では 有名な方だからね。 …で　清風先生が　どうしたの？ 僕と望月さんが… 同じ新入生の女の子なんだけど→ あんまり下手だから　パフォーマンスで 字なんか書いたら　恥をかくって。 そう。 僕は　別にいいんだけど…。 彼女…　望月さん　すっごく 頑張って　練習してたんだ。 パフォーマンスに出たいって。 ♪♪～ はい　これ。 何これ？ 「仙厓」？ 望月さん！ 痛っ！ あ…　おはよう。 見て　これ。 何？ 仙厓ってお坊さんの　書の本。 「○」「△」「□」？ これも　書なんだって。 書道って ただ字を書くだけじゃないんだよ。 だから…。 これなら　私にも書けるかも。 そう！　だから パフォーマンスに出ましょう！ えっ？　それで　この本…。 僕一人だったら　パフォーマンスに 出るなんて考えられなかったです。 望月さんがいたから 頑張れるって思ったんです。 だから　一緒にやりましょう！ 大江君…。 うん！ （マイクをたたく音） あ。 ふれあい広場に　おいでの皆さん こんにちは！ 私たちは　鈴里高校　書道部です。 （拍手） これから　書道のパフォーマンスをします。 お時間のある方 見ていってください。 よろしくお願いします！ ♪♪～（「ああ人生に涙あり」） ♪♪～ 「水戸黄門」か…　考えたなぁ。 お～　わしの好きな黄門様か。 三浦先生　お待ちしてました。 どうぞ。 ♪♪～ （拍手） フン！　曲は面白いかもしれないけど 書は普通じゃんか。 「助さん　格さん 懲らしめてやりなさい」。 （拍手と笑い声） ずるいぞ。 あんな歌詞　ないじゃないか。 まあ　そうですね。　あれ 歌詞じゃなくて　オチですもんね。 でも　そのオチを　一番上手な 部長さんが書いてるってのが→ おかしいんだよなぁ。 勅使河原。 さて　皆さんは　書道に対して…。 清風先生　お忙しい中 わざわざ　ありがとうございます。 難しいもの　堅っ苦しいものと 思われているかもしれません。 ですが　書道とは もっと自由なものなんです。 例えば　江戸時代に 仙厓というお坊さんがいました。 仙厓さんは　こんな書を 書いていました。 「○」と書いてある横に→ 仙厓さんは　こんな書を 書いていました。 「○」と書いてある横に→ 「これくふて　茶のめ」と 書いてあります。 この「○」は おまんじゅうのことなんです。 このように　自由に書くのも 書道なんです。 それでは　私たちも　仙厓さん風の 書を　書いてみようと思います。 ♪♪～ （拍手） 望月さんの「○」　うまいなぁ。 （よしみ）ただの「○」だぞ。 あれぐらいなら書けるだろ。 （勅使河原）部長は　子供のころから うまかったから→ 分からないんですよ。 普通　あれだけ大きな書になると→ 難しいですよ。　よほど身体能力が 高くないと書けないですよ。 あの…　三浦清風先生で いらっしゃいますよね？ いかにも。 お久しぶりでございます。 ４０年近くになりますが 覚えていらっしゃいますか？ もしかして　神林君か？ まあ　うれしい。 覚えててくださったんですか？ もちろんです。　あなたは 私の弟子の中でも特に優秀だった。 実は　あの「×」を書いたのが 孫でございまして…。 そうですか。 それでは　ここで　大江君に クイズに挑戦してもらいます。 問題です。 鎌倉幕府を作った　源　頼朝は→ １１９２年に征夷大将軍に任じられた。 ○か×か。 大江は帰国子女だから 歴史　知らないぞ。 いや　でも　この間 授業でやったから知ってますよ。 果たして　大江君は 正解することができるでしょうか。 １１９２年　「いい国　造ろう」… 源　頼朝だよね。 （ひろみ）間違えたら　大江君は 粉だらけになってしまいます。→ 飛び込んでください！　どうぞ！ ♪♪～ （笑い声） ♪♪～ ♪♪～（「サウスポー」） ♪♪～ （観客）ミーちゃ～ん！ ♪♪～ （観客）ケイちゃ～ん！ 何だ？　何で　こんなにウケてる？ ノリは　いいですけど ちょっと古いですよね。 ♪♪～ （義之）ミーちゃん！ ♪♪～ ケイちゃん！ 大江君！ ♪♪～ （５人）せ～の ありがとうございました！ （拍手） やったね。 はい。 やった～。　ウケたな。 皆さん　ありがとうございます！ 鈴里高校　書道部でした！ （５人）ありがとうございました！ こんな　ウケたパフォーマンス見たの 初めてだ。 悔しいけど　そうね。 部長…。 勝敗は明らかだよな。 うちらの方が盛り上がってただろ。 はい　ホントに面白かったです。 確かに　あんたたちのパフォーマンスは お客に　ウケてたわ。 でもね…。 ありゃ　何じゃ！ あれが書道といえるか！ 清風先生　大変　むさ苦しいものを お見せいたしました。 お前たちは　あれが 書のパフォーマンスだと思っておるのか？ 確かに　見ている人は沸いていた。 だが　それは書の出来ではなく→ 書かれた文句の意外性だったり クイズを間違えて　笑いを誘ったり→ 果ては　歌と踊りという演出の方が 目立っておったではないか！ それはですね 道行く人に　立ち止まって→ 見てもらうためには それなりに面白いことをして→ 興味を引かないと無理です。 「過ぎたるは及ばざるがごとし」。 何じゃ　あのピンク・レディーは。 ですよね。 書いてる横で ピンク・レディーなど踊られたら→ 視線は　書ではなく 太ももに行ってしまうわ！ 私の指導不足で 大変　申し訳ございませんでした！ 特に　貴様は駄目じゃ！ 「×」の出来も さして　いいものではなかったが→ それ以上に　自分の書いたものを→ すぐに自分で破くような演出は ふざけすぎじゃぞ！ でも　大江君 答え知ってたのに何で？ （ひろみ）わざと間違えたの？ ♪♪～ 望月さんの「○」が あんまり　きれいだったから…。 あの「○」 勢いがあって　弾んでて→ 望月さんみたいだって思って どうしても破れなかったんです。 それで　わざと？ 大江君…。 僕　望月さんの字　好きです。 ♪♪～ う～ん。 わしが懇意にしてる寺が 鎌倉にある。 そこで１週間 お前たちに書道を教える。 お前たちも一緒に合宿じゃ。 うちらもって　そんな勝手に！ 嫌よ！　貴重な夏休みに 書道の合宿なんて。 すごいチャンスなんだぞ！ ちょっと待ってください！ 三浦先生。 先生に教えを請う貴重なチャンスを→ こんな鈴里だけでは もったいなさすぎます。 ぜひとも　私たち鵠沼も→ その合宿に 参加させていただけませんか？ 何？！ いいじゃろう。 寺は　１００人ぐらい泊まれる 施設じゃしのう。 てめえ　何　話　大きくしてんだよ！ （三輪）よしみたちとなんて 絶対　嫌よ！ （よしみ）あんたたちばっかり うまくなろうったって→ そうは　いかないのよ！ ♪♪～ 行きたいです。 私　行きたいです！ 僕も行きたいな。 面白そうじゃないですか。 合同で合宿しましょうよ。　ねっ？ 賛成！ 私たちの高校を 書道甲子園　出場校に→ 推薦していただけないでしょうか。 何ですか？　書道甲子園って。 イケメン　好きになることは 自然なことなんだから。 鈴里のみんなと一緒に あの場所に出たいんです。 ５人のうち　１人でも 最下位になったら　推薦はなし。 神様！

フリンジ・マン～愛人の作り方教えます～＃04

1 ＜教授の機転で なんとか 危機を脱出した俺だったが➡ 今度は 山口さんの元彼と 鉢合わせてしまった！ 追いつめられた俺は 不得意のﾀﾞﾝｽで 元彼を骨抜きに！ おまけに 元彼のｽﾏﾎをｹﾞｯﾄだぜ！ そこには なんと 詠美と違う 女性の待ち受け写真が…｡ ﾁｬﾝｽ到来！ 彼女をﾃﾞｰﾄに誘うのですと 教授のﾐｯｼｮﾝがくだる｡ どうやってﾃﾞｰﾄに誘えばいいの!? 教授 どうすれば！＞ ご迷惑をかけた皆様 本当に申し訳ございませんでした｡ 《とにかく まずは 山口さんに謝らないと》 奥さんが 出産を控えている状況で➡ よく不倫なんてできましたね？ でも 一線は越えていません｡ 一線を越えてないと おっしゃっていますが…｡ もう こういう男ってさ 病気だよね｡ え？ そう思わない？ ああ… いや そうだよね｡ おはよう｡ おはようございます｡ あれっ 山口さんは…｡ いないですね｡ 珍しい｡ この時間なら 絶対いるんですけど…｡ 《まさか あれが現実になるんじゃ…》 ｟ｷﾐの赴任先 ここだから｠ 《ｲﾔだ～！》 主任！ 遅れてすみませんでした！ 山口さん…｡ ちょっと 熱っぽくて 病院 行ってて…｡ ああ… そう｡ 大丈夫？ もう大丈夫です｡ あの… 山口さん｡ このあいだ ごめんね｡ ええ… まあ いきなり 踊りだしたんで ちょっと…｡ ただ 主任 あの時➡ なごませようと してくれてたんですよね？ ん？ あ… まあ｡ おかげで あいつとは もう完全に終わりました｡ 本当にありがとうございました｡ そっか よかったね｡ 《結局 俺との関係も終わりか｡ まあ これでよかったんだよな》 ｟たった一度きりの人生➡ 思い残すことがあっては 無念すぎませんか？ やるからには 最後まで完遂するのです｠ 《いや 俺は決めたんだ｡ ｳﾆを食うと！》 (ﾊﾞｲﾌﾞ音) 井伏です｡ あ 教授 すみません あの…｡ 今 ちょっと いいですか？ 今 取り込み中ですが かまいませんよ｡ どうしました？ あの 教えていただきたいんです｡ 彼女を本当のﾃﾞｰﾄに誘う方法を｡ 田斉さん いよいよ 本気になってきたようですね｡ いいですか｡ ﾃﾞｰﾄに誘う際は➡ ﾒｰﾙではなく 手書きのﾒﾓを使ってください｡ ﾒﾓ？ 山口さん｡ ｟昨今の不倫は ﾒｰﾙやSNSが原因で 足がつく場合が多いのです｡ その点 証拠が残らないﾒﾓは いちばん安全です｠ ｟そして 何より｠ ねえ 詠美｡ これどうしたらいいの？ ｟肉筆のやり取りは➡ そのｽﾘﾙも また ひとしおなのです｡ 待ち合わせ場所は➡ 会社近くの書店などが よいでしょう｡ 万が一 見つかっても さして怪しまれない｠ 《これが本当のﾃﾞｰﾄか｡ すっごいﾄﾞｷﾄﾞｷする 何なんだ この感覚》 お待たせしました｡ 王子｡ 《めちゃくちゃかわいい！》 王子 いいですか？ え？ これって 世に言う➡ 不倫ってことになるんですかね？ でも ｴｯﾁしてないから 不倫じゃないか｡ 《あ～ 楽しい！ この しようもないやりとりが➡ もう たまんなく楽しい！》 やばっ｡ どうしよう… ちょっと こっち…｡ なに 彼氏って…｡ なんて言うんでしょう｡ 今日は 彼氏いない設定なので｡ 行きました｡ やっぱり 絶対会ったことある｡ 俺の記憶が正しければ たしか この店で｡ えっ その写真 安吾さんの彼女さんですか？ か 勝手に見るな｡ ｸｿ｡ ったく 女って ほんと ﾃﾞﾘｶｼｰがない｡ だから嫌いだ｡ (ﾊﾞｲﾌﾞ音) ｸｿｯ！ 田斉は愛人作りに 勤しんでいるというのに➡ 俺は いったい何を…｡ ｸｿ！ ああ…｡ ああ…｡ 何やってんだよ 使えねえな この ｴﾛ豚ｸｿ野郎がよ！ すみません すみません｡ 早くやっとけよ！ 《わかった》 じゃあ せっかくﾃﾞｰﾄできたのに➡ 飯だけ食って帰ってきたのかよ？ そのあと どうやって 誘ったらいいか わかんなくて｡ そろそろ 最終ﾚｸﾁｬｰ｡ ﾎﾃﾙへの誘い方を 教える必要があるようですね｡ (満島/田斉)ﾎﾃﾙ…｡ (ﾊﾞｲﾌﾞ音) 安吾からだ｡ どうした？ ﾅｶﾞｻﾞｲﾙの待ち受けの女を➡ 偶然 ﾊﾞｲﾄ先で 見つけちまったんだよ｡ ﾅｶﾞｻﾞｲﾙの本命？ もう 今さらどうだっていい｡ こっちは 大事な話をしてんだ｡ じゃあ その女を 俺が今 連れてきたとしても？ なんだって!? 教授｡ それは興味深い｡ 安吾！ はやっ｡ そこで電話してたのか｡ 連れてきたぜ｡ 本当に そこにいるのか？ ﾅｶﾞｻﾞｲﾙの本命の女が！ ああ｡ ここにな！ AV？ ふざけてんのか お前 全然おもしろくない！ 待て待て 待て待て！ よく見ろ｡ どれどれ？ ちょっと｡ 教授 何を？ AVのﾊﾟｯｹｰｼﾞは 修正が かなりされている｡ しかし 動画ではごまかせない｡ そこまで？ (あえぎ声) (あえぎ声) どうやら 間違いないようですね｡ ﾅｶﾞｻﾞｲﾙのやつ AV女優とつきあってたなんて！ す すごい男だ｡ すごいか？ AV女優なんて➡ 誰にでも やらせんだろ？ いや｡ AV女優は きわめて難敵です｡ 男たちからの 口説きの最前線で戦う➡ ｷｬﾊﾞ嬢をはじめとする 水商売の女たち｡ そのなかで AV女優とは➡ 最終進化系といっても 過言ではない｡ ﾊｲﾚﾍﾞﾙな種族なのです｡ ちなみに 教授は AV女優との対戦は？ あります｡ ちなみに 対戦成績は？ 負け越してる｡ そんなに強敵なのか！ ちょっと待ってください｡ それは 企画女優ですか？ 単体女優ですか？ まさか 俺の 葵つかさじゃないですよね！ あるいは 紗倉まなとか！ おい！ 俺の菊地えりだったら 許さんぞ｡ 男って ほんと ﾊﾞｶだわ｡ (安吾)誰ですか？ それ！ (満島)何十年前だよ！ ここは店だぞ お前ら！ 俺の 最終ﾚｸﾁｬｰは？ 《結局 待ち受けの女に 全部 持っていかれてしまった｡ ﾎﾃﾙへの誘い方を 教えてもらいたかったのにな》 《う～む この AV女優とねぇ…》 主任！ うわっ!! いや…｡ あれっ 何見てたんですか？ いやいや… 違う…｡ これ 違うんだよ あの… いや ｳｲﾙｽでさ…｡ 困ったな これ…｡ あの… 今夜 空いてますか？ え？ ちょっと お話したいことが｡ うまいこと ﾊﾟﾛってるな｡ しかし 本当に この子か？ 間違えた 田斉じゃなくて…｡ やっぱ この女優さんが 好きなんじゃないですか｡ 棚戻し たまってますよ｡ 仕事中に ひとりｴｯﾁしてんじゃねえぞ｡ (ﾄﾞｱの開閉音) 教授！ 大変です！ こちらも 予想外の事態が起きています｡ (２人)え？ これは 田斉さんのGPSです｡ (２人)あいつ… まさか！ 《や や… 山口さんから ﾎﾃﾙに誘ってくるなんて➡ なんで？ な なんで？》 主任 ご存じだったんですね｡ ご存じって？ これは 予想外ですね｡ ﾀｰｹﾞｯﾄが まさか…｡ 私が AV女優をやっていたこと 知ってたんですね｡ 整形した 元AV女優だったとは｡ 俺が ３つの胸のﾎｸﾛで 気づいたんです！ 待て！ ﾎｸﾛくらいで決めつけられるか！ いえ 間違いないでしょう｡ この目を二重にすると こちらの目になります｡ あとは 鼻と口を ちょっといじれば 完成です｡ まあ ざっと 230万といったところでしょうか｡ あれ まさか…｡ 私…｡ 自分の顔が 死ぬほど嫌いだったんです｡ 子供の頃から 目も鼻も口も➡ 全部 ｺﾝﾌﾟﾚｯｸｽで…｡ ｟なんで こんな顔に生んだのよ!!｠ (泣き声) 大嫌いでした…｡ それでも… 高校の頃➡ ﾀﾂﾔが つきあおうって言ってくれて…｡ ただ… 私 自分に自信がなかったから➡ 彼が 浮気するんじゃないかって 疑って…｡ 毎日 ｹﾝｶばかりで…｡ 結局 私から 別れを…｡ 決して… いいことではないって わかっていたんですけど…｡ (鼻をすする音) こんなふうに 生きていくくらいなら➡ 顔を捨てて➡ 別の人間に生まれ変わりたいって 思ったんです…｡ だから 故郷を捨てて➡ 整形をすることにしたんです｡ もちろん 両親は反対したし➡ お金も ありませんでした｡ だから そのお金を稼ぐために AVに…｡ ようやく… 別の人間になって➡ 新たな人生を生きようと 思っていたのに…｡ ﾀﾂﾔに 嗅ぎつけられて…｡ もう… 過去には戻りたくなかった…｡ だから… 主任に➡ 彼氏のﾌﾘを頼んだんです｡ こんなこと 主任に言いたくなかった…｡ 山口さん… 何を…？ 私を… 抱いてください｡ いや ちょっと あの…｡ いや…｡ 《これで すべてを忘れろってことか》 あの…｡ 俺が こんなこと言うのも なんだけど➡ 山口さんの元彼は➡ 本気で ｷﾐのことが好きなんだと思う｡ 彼のｽﾏﾎ 拾ったんだけどさ➡ 待ち受けが ｷﾐの整形前の顔だった｡ 彼は 外見を変えても➡ 過去を捨てても➡ ありのままの ｷﾐが好きだったんだと思う｡ あの… 俺 あの➡ 山口さんに あの… 愛人になってほしかったんだ｡ だけど こういうことじゃない｡ うん 今の気持ちは そうじゃないんだ｡ 俺は ｷﾐを抱くことができない ごめんなさい｡ ほんとに いいんですか？ えっ？ うん ﾍﾍｯ｡ 主任｡ さよなら 私の王子様｡ 動いた！ もう終わったのか？ いや この短時間で ことを済ませたとは考えにくい｡ じゃあ あいつ…｡ ただいま｡ 遅かったね｡ どこ行ってたの？ ああ… まあ ちょっと｡ この日 歩いて帰ってきたって 言ったよね｡ それに日曜日 麻雀に行くって言ってたけど➡ 代官山のｶﾌｪにいたでしょ｡ こそこそ 何やってんの？ 男には つきあいがあるんだよ｡ ﾀｸｼｰに乗って 何が悪い｡ 代官山で飯食って 何が悪い｡ ｶﾈなんかな そのうち出世して 稼いでやるよ！ ただ これだけは言っておく｡ 俺は何もしてない｡ ｢王子様へ｡ 王子の言葉のおかげで➡ ﾀﾂﾔと前向きに 話し合うことにしました｡ 実家にいったん 戻って➡ 疎遠だった両親にも 会いに行こうと思います｡ 最後に 私 王子のこと➡ 本気で好きになってました｡ だから あの日➡ 抱かれてもいいと 思ったんですよ｣｡ これ 絶対 愛人にできただろ｡ 一発やっとけばよかったのに～｡ そういう問題じゃないんだ｡ 俺は 彼女と接してるうちに 愛が芽生えてしまった｡ これは 愛人同盟の掟に反する｡ 彼女には 幸せになってほしい｡ 話を聞いてるうちに そう思ったんだ｡ 結局 俺は ﾏｼｰﾝにはなれなかった｡ ただ…｡ ﾐｯｼｮﾝは 失敗したけど この経験は きっと➡ 次に生かせると思う｡ お前…｡ 大人になったな｡ ﾊｯ まあね｡ 田斉さん｡ 重要なことを 言い忘れてませんか？ え？ あなた➡ ただ単に AV女優とｾｯｸｽをして➡ 自分が試される気がして 怖かっただけでしょ｡ そうなのか？ なんだよ お前｡ 俺の感動を返せ！ まっ ちょっと 気持ち わかるがな｡ そうだとしても田斉さん｡ 心は 折れてないでしょうね？ 田斉さん｡ 愛人作りというのは➡ 出会いと別れの連続｡ 強じんなﾊｰﾄがなければ➡ とても務まりません｡ それでも まだ あなたは 続けるつもりですか？ はい！ ここか｡ 必ず復讐してやる｡

七つの会議＃01

1 ♬～ (加瀬)原島万二さん｡ (原島)はい｡ 現在の役職をお教え下さい｡ 営業本部 営業一課長です｡ 入社年月日は？ 平成２年４月１日です｡ ﾊﾞﾌﾞﾙ最盛期の入社ですか｡ 楽しかったろうなあ｡ でかい携帯電話 持って いいもん食って｡ 私は 伝票でしか知りません｡ 最初に配属されたのは 経理部だったので｡ (記者)中堅電機ﾒｰｶｰ 東京建電で 発覚した 今回の不祥事➡ 本社では連日 第三者委員会による 真相究明が続けられています｡ 来たぞ！ それ 急げ！ (騒ぐ声とｼｬｯﾀｰ音) 営業部では どんなお仕事を？ 住宅関連のﾕﾆｯﾄﾊﾞｽ 空調 照明➡ 冷え込んだ景気の中 朝から晩まで 売り込みに回りました｡ 四課の課長になられたのは… ２年前？ 地味な部署ですよ｡ 産業関連を扱う 花の一課や 電子機器の二課と比べたら➡ 人も少なく 実入りも小さい｡ そこから 一課長のﾎﾟｽﾄをつかんだ訳だ｡ 失う時は あっという間ですね｡ 手放したのは あなた自身です｡ そろそろかな… 定例会議がありますので｡ 原島さん｡ もう 会議はありません｡ そうでした｡ 原島さん｡ 我々は この半年の間に この会社に何が起きたのか➡ あなたに何があったのか 知りたいと考えています｡ なぜ あなたは 何もかも壊そうとしたのか｡ 全てを失うと分かっているのに｡ 話して頂けますか？ 始まりから 全て｡ ♬～ <会社というのは 生き物だ｡➡ 本音と建て前 正論と欲望➡ あらゆるエゴを 照らし合わせながら➡ 少しでも前へ進もうとする> <この生き物に 隅々まで 血を巡らせるための呼吸運動➡ それが 会議だ> <組織は会議によって活性化され➡ 分化され ろ過され 凝縮され➡ 新たな地平に踏み出そうとする> <ある日 突然 東京建電を襲った嵐> <それは 既に 半年前に始まっていた｡➡ あの会議の時から> (ﾊﾟｿｺﾝのｷｰﾎﾞｰﾄﾞを打つ音) (ペンでたたく音) (北川) もう一度 言ってくれないか｡ ５週連続 減注の理由だ 言ってみろ！ …はい｡ 計画停電以降 冷暖房などの➡ 空調設備の冷え込みが 続いたままです｡ 従来のガス 石油ｽﾄｰﾌﾞへと 切り替える住宅も➡ 増えておりまして…｡ で お前は何をやったんだ？ 顧客のﾆｰｽﾞを見直すべく➡ 大型家電量販店を 一軒一軒 回りました｡ そこでのﾋｱﾘﾝｸﾞを基に 新たな営業戦略を…｡ お前の武器は 何なんだよ？ は…｡ 言ってみろよ｡ 何だ！ あの… いえ…｡ 顔だよ 顔｡ のろまで鈍いとこも 押しの弱さも➡ 女から見れば 助けてやりたくなるんだよ｡ 女の経営者をねらえ｡ 女社長 女店長を落としてこい｡ 武器の使い方も分からないやつが この市場を戦えるか！ 今のお前は ただの…｡ (いびき) クズだ｡ 次！ 営業一課｡ (坂戸)はい｡ 営業一課より 先週の売り上げ実績➡ ならびに 当期累積実績について➡ 発表させて頂きます｡ (いびき) 会議をなめてんのか？ それとも 俺をなめてんのか？ (八角)そう とんがるなよ｡ 課長｡ フッ｡ おい！ 坂戸！ よせ！ 坂戸！ ﾐｰﾃｨﾝｸﾞにも顔を出さない 売り上げの報告もない！ 朝から晩まで 俺たちが駆けずり回ってる間➡ あんた 一体 何してんだ！ 何もできないなら➡ せめて居眠りはやめろ！ 一課の足を引っ張るのは よせ！ よせ 坂戸！ よせ 坂戸！ 一旦 落ち着こう な！ 冷静な司令塔も ついにキレちゃいましたね｡➡ 今まで我慢してたんすかね？ あいつ以上に 努力してるやつはいない｡ 怒る権利はあるよ｡ 当たり障りのない事を ｸﾞﾀﾞｸﾞﾀﾞ｡ 競わない 挑まない 手を汚さない｡ そういうやつも それは それでタチが悪い｡ ハッ｡ ﾊﾟﾜｰﾊﾗｽﾒﾝﾄ？ はい 坂戸課長が訴えられました｡ 八角係長に｡ ﾊｯｶｸさんに？ うそだろう？ いや ここのところ業務支援もなく 言葉や態度による暴力が➡ 度を増していると｡ あの一件以来 坂戸も➡ 周りの目 気にしなくなってたからな｡ (佐伯)ま ﾊﾟﾜﾊﾗなんて言いだしたら 真っ先に処分されるの➡ 部長ですけどね｡ おい｡ でも 委員会が 調査に動き出したみたいです｡ (浜本)原島課長｡ (靴音) (靴音) 失礼します｡ (河上)実は 営業部の労働状況について➡ ﾋｱﾘﾝｸﾞを行ってます｡ …はい｡ 営業部内のﾊﾟﾜｰﾊﾗｽﾒﾝﾄについて➡ 心当たり ありませんか？ いえ｡ 坂戸君による➡ そういう場面を目撃した事は？ ありません｡ もし…➡ 目撃したら どうする？ 営業現場での叱責は 往々にして➡ 下を育てるためと 理解しております｡ 営業部四課長として 双方の誤解が解けるよう➡ 全力で努力してまいります｡ (奈々子)すいません｡ どうも 失礼します｡ よろしくお願いします｡ ありがとうございました｡ よかったね～ 融資 見込めそうで｡ (奈々子)九条興産の受注を 見込めそうっていうのが➡ 大きかったんだよ｡ お兄ちゃんの売り込みのおかげ｡ 社長 お疲れさまでした｡ (三沢)これからだぞ｡ 九条興産のｺﾝﾍﾟ通ったら➡ うちの仕事 見てもらって… あとは信用だな｡ (泣き声) バカ… 泣くなよ｡ だって…｡ ２年前に いきなり 取り引き 打ち切られた時は➡ もう駄目だと思ったよ｡ あいつの顔 絶対忘れない｡ 東京建電の事は忘れろ｡ (奈々子)お兄ちゃんだって 覚えてるでしょ？ あの陰険そうな担当｡ 何てったっけ 名前が え～っと…｡ ♬～ (日野)認定された？ 坂戸のﾊﾟﾜﾊﾗが 認められたっていうの？ (木村)ゆうべの委員会 河上部長が ﾌﾛﾝﾃｨｱのｶﾞｲﾄﾞﾗｲﾝ持ち出して➡ これはクロだと｡ 坂戸は花の一課長だぞ｡ あんな居眠りﾊｯｶｸなんかに 飛ばされたら➡ うち 売り上げ どうなるんだよ！ シ～ッ！ (せきばらい) (木村)処分を出すのは役員会だよ｡ 良識派の社長が 営業のｴｰｽ 見放す訳ないだろう｡ ♬～ すいませんでした｡ 失礼します｡ 坂戸｡ この辺りで アポですか？ そこで 食洗機のﾄﾗﾌﾞﾙ｡ とりあえず➡ ﾒﾝﾃﾅﾝｽして 頭下げてきた｡ お疲れさまです｡ あ 飯でもどうだ？ おごるぞ｡ 昼休みしか時間のとれない ｸﾗｲｱﾝﾄがいるんですよ｡ もう一押し 詰めときたいんで｡ 残念ですが また今度｡ あまり働き過ぎるな｡ 比べられるの こっちなんだぞ｡ は～ 動くしか できなくて｡ 要領悪いもんですから｡ じゃ 失礼します｡ あまり気にすんなよ｡ お前の事は みんな分かってるから｡ [TEL] もしもし｡ 坂戸課長の処分が出ました｡ 坂戸が更迭？ うそだろう｡ (小声で)人事部付け？ 一課は どうなるんだよ｡ (靴音) (ﾉｯｸ) (河上)はい｡ 失礼します｡ 人事部付けになった 坂戸君の後任として➡ 君に営業一課長を任命します｡ 私を… ですか？ 役員会で 君の名前が挙がってね｡ 君の努力は 私も相応に認めてきたつもりだ｡ 頑張ってくれ｡ 早速 やってほしい事がある｡ …はい｡ 今まで営業一課で扱ってきた ネジの一部を➡ 急いで 新しい下請けに発注し直したい｡ 製造の稲葉部長に 同席してもらったのは➡ そのためだ｡ 発注し直し…｡ 転注という事ですか？ 坂戸君が 取り引きしてきた会社には➡ 信用不安があってね｡ (稲葉) 万が一 倒産という事になれば➡ 工場の計画生産に 大きな支障が出る｡ ま 俺は もともと 営業に 調達まで任せるのは反対だが➡ 徹底したｺｽﾄ管理とやらじゃ しょうがない｡ 新しい取引先を見つけ➡ 坂戸が扱ってきたネジを全て 可及的速やかに転注する事｡ よろしく頼む｡ 納期は絶対厳守｡ …はい｡ ♬～ (浜本)あ 原島課長｡ 総務から ﾃﾞｽｸの移動について 連絡がありました｡ 指定日までに片づけ お願いします｡➡ それから 名刺なんですけど…｡ ちょっと… ごめんね｡ 坂戸 坂戸！ お前…➡ 北川部長と何かあったのか？ じゃなきゃ ありえないだろう こんな人事｡ 営業部の業績を上げてきたのは お前だ｡ 言ってみろ 何があった？ もう 決まった事ですから｡ 大変かもしれませんが…➡ あと よろしくお願いします｡ 坂戸｡ 一課長を外されたからといって➡ お前の実績まで 否定された訳じゃない｡ お前が会社にとって 必要な人材である事に➡ 変わりはない｡ だから 自信を持って…｡ そんな人間… どこにもいませんよ｡ 代わりなんか いくらでもいます｡ 会社って…➡ そういうもんでしょう？ ♬～ (ﾉｯｸ) (万作)あ～ 来てたのか｡ なかなか 顔出せなくて｡ 具合 どう？ 墓参り 行ってきたよ｡ 兄貴 来年 十七回忌だって｡ 早いよな｡ 何だ？ え？ 何かあったのか？ いや… 別に何もないけど｡ 営業一課長になった｡ 一課長？ お前が…｡ いろいろあって 流れで｡ 今日 内示が出た｡ ふ～ん｡ 明日から 引き継ぎや新規開拓で 忙しくなるから…｡ 無理はするな｡ 無理じゃないよ｡ どうせ 帰り道だし｡ 仕事の話だ｡ 背伸びはするな｡ 帰る時… ｶｰﾃﾝは閉めてってくれ｡ ♬～ (江利子)営業一課？ 一課って あの 花の一課？ ああ｡ そう すごいじゃない！ おめでとう｡ ただの補欠だよ｡ 次の適任者が育つまでの つなぎ｡ ﾃﾝｼｮﾝ低いなあ！ 悪い癖だよ 君の｡ いい事があっても 保険掛けて 全然 喜ばないんだから｡ 陸！ お父さん 花の一課長だって｡ (陸)明日 ﾃｽﾄだから｡ こら！ 受験なんか しなくてもいいぞ！ いいでしょ？ 本人がしたいって言ってんだから｡ お父さんにも 報告してあげなきゃね｡ 行ったよ もう｡ いつ？ うん？ 会社の帰り｡ さっき 病院 寄ってきた｡ へえ～ よしよしって褒めてもらった？ 子どもじゃねえぞ｡ ふ～ん｡ (航空機の飛行音) 前任の坂戸さんは どうされました？ 坂戸は 人事部に異動に｡ 新しく 私が担当という事になりまして｡ 人事部か… 出世ｺｰｽですね｡ ＵＮＪ｡ 米軍規格の航空機用部品ですね｡ あの～ お願いできますか？ この種のネジを➡ 扱って頂けるところは いくらもない｡ 単価も納期も 厳しいのは承知してますが➡ 引き受けて頂ければ…｡ 原島さん｡ はい｡ このネジね うちも お宅のｺﾝﾍﾟに かけました ２年前｡ けど 赤字覚悟で出した提案を➡ あんたたちは 鼻も引っ掛けなかった｡ それどころか うちが割高の商売してると➡ 一度決まった取り引きを ひっくり返した｡ 失礼があったら おわびします｡ 何分 納期が迫っておりまして…｡ いま一度 ご検討して頂く訳には｡ 無理ですよ｡ 単価もそうだが この納期で間に合う訳がない｡ 申し訳ありませんが｡ (奈々子) お兄ちゃん！ ちょっと来て｡ 何だよ いきなり｡ え！ 社長 緊急会議｡ ああ｡ 九条興産から電話で…｡ うん｡ 残念だけど 今回は見送らせてほしいって｡ 何だって？ たった今 会議で決まったって｡ 東京建電さんの仕事 受けるよね？ 間に合うよね？ いや 駄目だ｡ 今 あの条件で受けたら➡ うちは もっとﾎﾞﾛﾎﾞﾛになる｡ でも 仕事は仕事でしょ？ あの単価 のんだら…➡ 次は もっと安く買いたたかれるんだ｡ そうなったら 取り返し つかない｡ 工場だけじゃない｡ この子の将来だって…｡ だからって 来月は300万 その次は400万｡ この赤字 一体どうするつもり!? 分かってる…｡ お兄ちゃん！ …分かってるよ｡ どうだ？ そっちは｡ まあ なんとか｡ また課長に 使ってもらえるよう頑張ってます｡ なあ お前 どうして うちの会社に入った？ 何すか？ 藪から棒に｡ いや…｡ あ～ 手当たりしだい受けて➡ やっと引っ掛かったのが ここです｡ それだけですよ｡ 課長は？ 俺も似たようなもんだよ｡ 親会社のﾌﾛﾝﾃｨｱ 落ちて ほかのﾒｰｶｰも全滅して➡ ここだけだよ 受かったのは｡ いいですよね 一流企業で➡ 自社製品にﾌﾟﾗｲﾄﾞ持って 売ってるやつは｡ ﾌﾟﾗｲﾄﾞか｡ 忘れてたよ そんな言葉｡ でも なりたい職業に就いてる やつなんて ほんの一握りです｡ 大抵の人間は 金のために働いてます｡ だから 会社に愛を感じなかったり 仕事に やりがいを➡ 見いだせないからって 恥ずかしく 思う必要なんてないと思います｡ あ 仕事ができない言い訳にも しちゃ駄目ですけどね｡ ﾌﾌﾌﾌﾌ｡ ﾌﾌﾌﾌﾌ｡ [TEL] ♬～ (靴音) (ドアが閉まる音) (靴音) (新田)原島課長｡ 悪い 急いでるんだ｡ ちょっと待って下さいよ｡ 最近 一課に 取り引き実績のない 会社への接待伝票が➡ 多すぎましてね 困るんですよね｡ 以後 こういうのは➡ 私用として扱いますから ちゃんと周知徹底を…｡ ちょっと待ってくれ｡ 今 大がかりな部品転注の➡ 真っ最中なんだ｡ 転注？ 下請け業者 替えるって事ですか？ 今 この時期に｡ だからって 部下の接待費の乱用を 放っといていいんですか？ 最終的に 目標の数字をｸﾘｱｰしたら 文句ないだろう？ 経理は黙って 伝票切ってろって事ですか？ 悪い 本当に急ぐんだ｡ 後で｡ つなぎ課長が｡ (住田)課長 ５分の遅刻です｡ 全員このあとアポを控えてます｡ 時間のロスは売り上げに響くと お考え下さい｡ すまん｡ (川村)ネジの転注は まだ終わらないんですか？ 転注が部長ﾏﾀｰなのは 承知してます｡ でも➡ 課長が そっちに掛かりきりの間 前任の担当先➡ みんなで手分けして 回ってるんですよ｡ (嶋野)戦力が足らないんです｡ 援軍で佐伯君に➡ 来てもらいましたけど まだ不慣れで｡ すまん｡ 事情は分かるが 納期まで間がないんだ｡ もう少し 我慢してくれないか｡ 納期を遅らせたら どうですか？ それは無理だ｡ 製造との絡みがある｡ だったら 製造部と 話をつけてもらえませんか？ これ以上 引っ張らないで ほしいんです｡ 坂戸さんなら➡ そうします｡ (佐伯)発注単価を…➡ ｺｽﾄを上げたら どうでしょう？ そうすれば 転注も 早く終わらせる事ができ…｡ ｺｽﾄは死守して下さい｡ 前課長の築き上げた➡ 一課の利益率を 絶対 下げないで下さい｡ (稲葉)原島！ いい加減にしろよ お前｡ 申し訳ありません｡ 今 こちらの…｡ ネジだよ！ いつまで かかってんだよ｡ これ以上 納期の見通しが立たなきゃ➡ 製造のﾗｲﾝが止まるんだよ｡ 分かってんのか？➡ 経費が全部 無駄になるんだよ！ おい こんなとこで 製造が何してるんだ？ 営業が ちんたら仕事してるから 活 入れに来たんだよ｡ やる事は ちゃんとやってるよ｡ 黙って待ってろ｡ ﾗｲﾝが止まれば 億の損害だ｡ お前ら それ かぶってくれるんだろうな｡ 課長は どう思ってるんだ？ 原島 一課長は お前だろう｡ 課員は みんな お前の判断 待ってるんだよ｡ 課長｡ (一同)課長！ 納期は… 守ります｡ 決めたんなら 何も言わん｡ お前の好きにやればいい｡ ♬～ (ﾊﾟｿｺﾝのｷｰﾎﾞｰﾄﾞを打つ音) ネジの事なら断ったはずですが｡ もう一度➡ お願いできないかと思って｡ 無理ですよ その単価と納期じゃ➡ うちがもたない｡ その単価の事なんですけど➡ 以前 取り引きさせて頂いた時の 資料です｡ 前任の残したﾌｧｲﾙの中に 御社の 見積もりが残っておりました｡ 改めて この値段で お願いできないでしょうか？ それは あんたらが…｡ ただし 納期は譲れません｡ 製品を待ってるのは お客様なんです｡ こちらのネジと職人さんの事は ほかの業者さんから➡ よく伺ってます｡ うちも 品質だけは落としたくない｡ 厳しいのは承知してますが よろしくお願い致します！ 条件がある｡ １回目の発注分1,000万➡ 前払いにしてもらえませんか？ 銀行の融資が駄目になって このままじゃ➡ 建電さんの仕事 引き受けても 途中で潰れてしまいそうだ｡ 前払いか…｡ 問題は 経理と… 役員会か｡ (ﾍﾟｰｼﾞをめくる音) ﾄｰﾒｲﾃｯｸ…｡ 営業一課の資料です｡ ここ３週間 利益率が落ち続けています｡ ３週間？ 原島に代わってからか？ 原因は下請け部品の転注です｡ 新規取引先は４社｡ これらが 軒並み 前課長時代より 高いｺｽﾄで発注されてるんです｡ この上 特定の業者に 支払いを前倒ししたいなんて➡ そんな でたらめ 経理部として 見逃す訳にはいきません｡ よし 次の計数会議で 徹底的にたたく｡ ねじ六への前払いは 断固 突っぱねる｡ 計数会議なんかで いいんですか？ どういう事だ？ 課長が入れ代わった途端➡ 何で わざわざ 取引先を替えるんですかね…｡ 癒着？ 原島が？ もしくは 前任の坂戸か｡ まさか…｡ 良識派の宮野社長が これ知ったら どうなりますかね｡ 役員会です｡ 我が物顔の営業に 一泡吹かせるﾁｬﾝｽです｡ ごめんな 面談 遅くなって｡ あとは 私と八角係長ですか？ ﾊｯｶｸさんが なかなか捕まらなくてね｡ 係長は 独自の営業活動されてますから｡ 営業一課は 浜本の方が先輩だもんな｡ いろいろと教えてもらわなくちゃ｡ え～っと 浜本は…｡ あ 環境委員か｡ 課長｡ うん？ 坂戸課長が急に異動になって➡ いつ言おうか迷ってたんですけど｡ うん｡ 私 辞めたいんです 会社｡ え？ すいません｡ いきなり そんな…｡ 何か嫌な事でもあったのかな？ いえ…｡ じゃあ 職場に不満とか…？ いや…｡ まあ こういう会社だから➡ 女性社員は いろいろあると 思うけど｡ 結婚… するんです｡ え？ 夏までに式を挙げたいと 思ってるので➡ できれば ６月いっぱいで｡ 勝手な事言って 申し訳ありません｡ あ…｡ (場内放送)｢単勝式…｡➡ 複勝式 １着…｣｡ おっ 外目を歩いてるじゃないですか｡ 今日は いけそうかな｡ こんなとこまで 追いかけてきやがって｡ そろそろ 御社に卸した製品が➡ いくつか ﾘﾆｭｰｱﾙの時期かと 思いまして｡ フン｡ 来週 会社の方へ出直してくれ｡ 何だよ こんなとこまで｡ 領収書の話なら 会社に戻ってからにしてくれよ｡ 一課の事で ちょっと…｡ 最近 無理な転注のせいで➡ ｺｽﾄが かさんでるのは ご存じですよね？ 数字が不満なら 課長に聞け｡ その課長ですよ｡ 新しい仕入れ先は 全部 原島さんが選んでるとか｡ (笑いながら)何だよ お前｡ 癒着を疑ってんのかよ？ ないない｡ あいつに限って そんな度胸｡ じゃあ 前の課長は どうです？ ﾄｰﾒｲﾃｯｸという会社 ご存じですよね？ 前任の坂戸課長が 部品を発注していた会社です｡ 最盛期には 月額7,000万近い 取り引きがあった｡ それが全部 凍結されて➡ 坂戸さんが 飛ばされた｡ 何が言いたい？ ﾊﾟﾜｰﾊﾗｽﾒﾝﾄか～｡ そんなの 本当にあったんですかね？ お前 まだ営業部に未練あんのか？ どういう事ですか!? だから ｽﾙｰされたんだよ｡ ｽﾙｰ？ 一課の下請けの切り替え｡ 原島が就任したばかりなんだから やりたいように➡ やらせてやれってさ｡ 確かに良識派だわな 社長のおっしゃる事は｡ ですが 一課の この数字は 確かに おかしい…｡ もういい！ とにかく 役員会で 経理部は恥をかいた｡ お前のせいだからな｡ こんにちは！ すいません！ こんにちは！ (奈々子)社長ですか？ あ どうも｡ 今 ちょっと近くに…｡ あの… 私でよければ承りますが…｡ じゃあ 待たせてもらってもいいですか？ 直接 ご報告したくて｡ あ じゃあ あの… 行ってみますか？ 裏の製作所なんです｡ ネジの強度を調べる試験機が うちには ないんです｡ ネジの強度？ はい｡ ちょっと待って下さい｡ 本日 役員会で了承を得ました｡ 前払いの件 確かに承りました｡ ありがとうございます｡ こちらこそ｡ おい 何やってるんだよ｡ お茶｡ あ～ そっか｡ いや ﾋﾞｰﾙ｡ 仕事中だよ｡ いいから｡ ま 一杯ぐらい いいか｡ ああ 原島さん！ 終わったら寄って下さいね｡ あの… お構いなく｡ ﾎﾝﾄ ありがとうございます｡ こちらこそ ありがとうございました｡ あ そうだ 前任者の残したｻﾝﾌﾟﾙが え～っと これと…｡ はい｡ あと これもｻﾝﾌﾟﾙですね｡ はい｡ それから 仕様書が…｡ あっ！ すいません｡ あ 大丈夫です｡ 原島さん｡ はい｡ 私も… ｻﾗﾘｰﾏﾝでした｡ 鉄鋼会社のﾗｲﾝ管理 担当しました｡ そうでしたか｡ ずっと ネジみたいだと 思ってました 自分の事｡ 会社の大きな部品を留めるだけ｡ 私じゃなくても 代わりは いくらでもいる｡ おやじが死んで この会社 継ぐ時ね➡ だから決めたんです｡ これからは 自分が誇りを持てる仕事をしよう｡ 小さくても一国一城の主になろう｡ たかがネジです｡ ですが うちのネジは どこにも負けない｡ 精いっぱい やらせてもらいます｡ よろしくお願いします｡ はい｡ あの 携帯を掛けさせてもらっても いいですか？ この事を 社に知らせなきゃいけないんで｡ あ どうぞ｡ すいません｡ あ もしもし 俺だ｡ うん お疲れさま｡ 最後のＵＮＪネジ 転注先 決まった｡ うん｡ ねじ六さんが受けて下さった｡ (機械の作動音) うん｡ 今日中に すぐ戻って 書類にするから｡ (機械の作動音) は～ これで ﾐｯｼｮﾝ ｸﾘｱｰだ｡ (機械の作動音) もう大丈夫だ｡ 明日から ｶﾞﾝｶﾞﾝ 新規行くぞ｡ (折れる音) ♬～ [TEL]もしもし？ 原島課長？ ♬～ 強度が… 足りない？ (ﾊﾟｿｺﾝのｸﾘｯｸ音) ♬～ (新田)原島課長｡ 珍しいですね｡ 何か捜し物ですか？ ほこり すごいでしょ？ 汚れますよ ｽｰﾂ｡ お前 何が目的だ？ はい？ 何を探ってるか知らないが 営業部に裏はない｡ 転注について 立ち入られる事は 何もない｡ ﾎﾝﾄに そう思ってます？ 営業のｴｰｽ 坂戸さんのあとに➡ 何で 捨て部署の自分が納まったのか➡ 一番知りたいと思ってるのは 原島さんじゃないんですか？ 何だと？ 原島さんが➡ 一課長に抜てきされたのには 理由があるって事ですよ｡ あんた 巻き込まれてるんだよ！ 何かの渦に｡ フッ 妄想だよ お前の｡ 妄想？ 俺は➡ そんな大層な男じゃないよ｡ ただの つなぎの一課長だ｡ 妄想なんかじゃねえよ｡ 妄想なんかじゃ！ 何で あんたが一課長なんだ！ どいつもこいつもクズばっかりだ｡ みんな 俺を下に見やがって！ (ﾛｯｶｰをたたく音) ♬～ もしもし 坂戸か？ [TEL]｢ただいま 電波の届かない…｣｡ ♬～ やめときな｡ ﾊｯｶｸさん｡ ちょっと前 経理の新田が入ってった｡ 新田が？ よせ！ なぜ止めるんです？ 何があるんですか？ ここには｡ さあな｡ とぼけないで 教えて下さい！ 家族を持つ一人の男が それで ﾎﾟｽﾄを失ったんだ｡ 坂戸の事か…｡ あなたが坂戸を ﾊﾟﾜﾊﾗで訴えたのは➡ 坂戸に何か秘密が あったからなんじゃないですか？ それで ﾊﾟﾜﾊﾗをでっちあげて 彼を隔離しようとした｡ 坂戸は ﾄｰﾒｲﾃｯｸと➡ 癒着していたんですか？ 癒着…｡ ハハ｡ 癒着ね｡ ﾊｯｶｸさん あなた 誰なんだ？ あなた 私を見張ってたのか？ 一課長になってから ずっと➡ ここに近づかないように…｡ 見張ってなんかいねえよ｡ 強いて言えば そうだな… 試したんだ｡ 試した？ 何をです？ ここから先の事を知ったら➡ お前 二度と戻れなくなるぞ｡ 今の自分の生活に｡ ♬～ ネジが… 折れたんですよね｡ 何の話か分からんが… そりゃ大変だ｡ 新田は… どうなるんです？ 新田か…｡ なかなか頑張ってたが あの坊や 駄目だ｡ 秘密ごっこと ないしょ話で➡ 大人の仲間入りした気になってる ただのガキだ｡ それも 今日までだがな｡ ♬～ (浜本)課長｡ うん｡ 環境会議に提出する企画書を 書いてみたんです｡ ご検討頂けますか？ (嶋野)あの新田がね｡ 女は怖いよ｡ 不倫して 男を左遷させて➡ 自分は寿退社だもんな｡ 残業者のために ﾄﾞｰﾅﾂの無人販売を計画してます｡ この辺 ｺﾝﾋﾞﾆもﾌｧｽﾄﾌｰﾄﾞもないんで｡ 失礼します｡ 浜本｡ 新田が異動になったのは 君のせいじゃないよ｡ 私のせいじゃないっていうのは 私がよく知ってます｡ え？ 今まで 何度も ﾒｰﾙをもらった事があります｡ 多い時は 一日に何通も｡ でも 今まで ただの一回も ２人で会った事ないんです｡ 今まで 誰にも言えなかったけど➡ 寿退社って言ったら やめてくれるのかなって｡ そうか…｡ 気付いてあげられなくて すまなかったな｡ 会社を辞めるっていうのも それが理由？ 違います｡ それは 自分で考えて そう決めました｡ ﾄﾞｰﾅﾂか…｡ うん いいよ これ｡ 残業の合間に つまむのに ちょうどいいや｡ うん ﾄﾞｰﾅﾂ いいよ これ｡ フフ はい｡ でも 不思議ですね 会社って｡ うん？ 結局 人が信じるのは うわさの方なんですね｡ 朝から晩まで 会議会議って➡ あれだけ 分かり合おうとしてるのに｡ ♬～ 知ったら 二度と➡ 戻れなくなるか…｡ あなたが真実を知ったのは➡ その すぐあとですね？ そうです｡ 隠蔽に加担しろ という事ですか？ 全社員が路頭に迷うんだぞ｡ ｻﾉｹﾝさんのあだ名 知ってるでしょ 社内政治家ですよ｡ これをﾘｺｰﾙしたら うちの会社 なんて ひとたまりもありません｡ お前 これで 終わらせるつもりじゃないよな？ そんな事が 誇りですか!? この件 隠蔽せよ｡ ♬～

夫のカノジョ＃02

1 <(真人)世の中には 本当に不思議なことがあります> <これから 僕がお話しするのは> <僕達家族に起きた> <とっても不思議な物語> <ママは パパに 彼女がいると疑っていました> (菱子)パパが 私を裏切るなんて しかも あんな若い子と <でも それは ママの勘違いだったのです> (麦太郎)女性の部屋に 男が一人で 出入りするのはマズイから (星見)私が ムギとか石やん 相手にするわけないでしょ <パパは 会社の 山岸星見さんという女の人に> <正社員になるための勉強を 教えていただけなのに…> 夫に もう会わないでほしいんです <ママは 自分の勘違いに 全然 気づいていませんでした> あなたは どうせ遊びなんでしょ？ 悪いけど 私 遊びのつもりないから <そんな二人の前に 不思議なお婆さんが現れて…> (老婆)大事かもんが 見えとらんばい 二人とも <何と ママと星見さんの体が 入れかわってしまったのです> 何だよ これ？ 何なんですか？ 何で 奥さんが私になってんの？ 何で あなたが私に？ アンタらが ちゃんと試練を乗り越えて➡ しかるべきときが来たら イヤでも戻られる <こうして ママと星見さんは> <入れかわって 生活することになりました> <ママは星見さんになって> <パパと同じ会社で お仕事をすることになり> どうしたの？ <星見さんは 僕のママになったのです> (千代乃)皆さんも いかが？ 私も… えッ 佑生に？ 真人がケガをさせた？ 真人！ こんなに話の分からない人だとは 思わなかったわ 違うんです 誤解なんです 言いたいことがあるんだったら ちゃんと口にしな ごめんなさい ≪(千代乃)分かればいいのよ 佑生君も謝ってよ ハムちゃんに 悪いことしたじゃないか (佑生)遊んでただけだから ふざけんなよ！ 自分がイヤなことは 人にも動物にもするんじゃねえよ 自分より弱いやつに イヤがるようなことするのはな イジメなんだよ ママ うん？ ありがとう ううん 言いたいこと言えば いいわけ？ 違うでしょ みんな 色んなこと 我慢してるんじゃないの？ 私だって言いたいこと 山ほどある 主婦には主婦の ママ友にはママ友の世界があって うまく立ち回るのも必要なの 私が何したっていうの？ 何で こんな思いしなきゃ いけないのよ！ 山岸 何かあったのか？ 黙ってちゃ分かんないだろ？ 大丈夫か？ 大丈夫じゃないわよ 全然 大丈夫じゃないわよ 全部 パパのせいじゃない！ ≪(石黒)山岸！ (久米)パパ？ (茉莉子)…て言ったよね？ (香織)コレってこと？ あの あの… どうしよう すみません (石黒)山岸！ 小松原 今のはどういうことだ パパって何だ？ いや… お前 まさか山岸と え～ッ！ はあ!? ちッ 違いますよ 違うから 勘弁してくれよ 山岸は 俺の娘と ほとんど変わらない年齢だよ そんな趣味ないって ですよね ホントだな？ 本当です よし… だったら アイツはクビだ！ 上司をひっぱたくなんて 言語道断だ あの野郎 どうしよう パパって言っちゃった 私と星見さんが 入れかわってることがバレたら… 《アンタらが入れかわったことば 誰かにしゃべったら》 《永遠に戻ることはなかけんね》 どうしたらいいの？ (バイブレーター着信) もしもし？ 私 私！ 真人のことだけどさ 心配ナッシング ケガさせたっつっても ツバつけときゃ 治る程度のもんだったからさ ☎ハハハハハッ <何なの？ この能天気な感じ> <私は こんなに困ってるのに> 奥さんも大変だよね 何だっけ あの口うるさいオバサン 相川さん あんな連中と つきあわなきゃなんないんでしょ マジ尊敬するわ ☎で そっちはどう 順調？ もしもし？ そうでもないです えッ どういうこと？ ちょっと色々… えッ 色々って？ ☎何か やらかしちゃったわけ？ 山岸！ ちょっと切りますね えッ ちょっと もしもし？ もう… 会社 戻るぞ でも… 大丈夫 課長が うまくやってくれたから えッ うまくって？ 《実は 山岸の実家の方で》 《色々と問題が起きてるらしくて》 《彼女の父親が 何か色々 問題を持っているらしく》 《オイ それじゃあよ》 《パパっていうのは 父親のことか？》 《そうなんですよ さすが部長》 《いやいやいや そうかよ》 《心配とか 色んな感情が いっぱいになって 自分でも》 《訳が分からなくなったんだと 思いますよ》 ≪(石黒)何も心配すんな 何かあったのか？ いえ ホントにすみません いつでも話聞くから Let's go！ <石黒君まで 星見さんに優しいんだ> 山岸 ちょっと来い あッ はい 申し訳ありませんでした 今回は 小松原に免じて勘弁してやるけど 次はないと思え いいな いいよ 行けよ <どうして？ どうしてそんなに 星見さんをかばうの？> <そんなに 彼女のことが大事なの？> <社内メールで 連絡 取り合ってたってわけね> ≪(久米)そうだ 小松原 明日の開発部との合同会議だけど 多分 かなり絞られると思うぞ 何しろ この半年 売り上げが右肩下がりだからなあ 大変だよ お前 フッ！ 頑張れよ <浮気なんかしてるから 仕事にも影響するのよ> <明日の会議で 思いっきり絞られて> <痛い思いすればいいんだわ> どうしよう もうすぐパパが来る ああ 何で断らなかったのかしら パパが ここで彼女と どんなふうに過ごしてるのか 見えちゃうってことよね 《ほうちゃん ただいま～》 《ガシャン ガシャン ガシャン》 《ムギムギさ 今日も ちかれたよ》 《でもさ 大口の契約 ３本も取ったから》 《ご褒美なり～》 《星見 君の瞳に乾杯》 そんなこと言ったら また ひっぱたいちゃうかも ううん 蹴っ飛ばして 踏んづけて バケツの水 頭からかけて アパートの階段から 突き落としてやる！ (足音) (近づく足音) (チャイム) よッ！ 星見さん!? 何で電話 出ないかなあ すみません 携帯 ﾊﾞｯｸﾞに入れてて それより 早く帰ってください もうすぐ… 何言ってんの ここ 私んちだよ 違うんです！ 違わねえし ああ～ これこれ この感触 枕 取りに来たの やっぱ 自分ちの枕じゃないと眠れなくて マズイんです 早く 早く帰ってください！ わあ～ 随分 キレイに片づけてんだね こんなにキレイにしてたら 落ち着かなくない？ 落ち着きますよ へえ～ えッ？ 星見さん 家のこと ちゃんとやってくれてますよね 掃除機かけたり 毎日 雑巾がけもしてくれてますか？ 雑巾がけって 毎日？ 当然です めんどくさ～ 子供達に ちゃんと栄養あるもの 作ってくれてますか？ 作ってるよ タンパク質だって忘れてないよ (チャイム) 来ちゃった 来ちゃったって？ もしかして ムギ？ 山岸 俺だけど だから早く帰ってって言ったのに や～まぎし ヤバイじゃん 一緒にいるとこ見られたらさ もうバレちゃうよ 俺だけど… や～まぎし ヤバイじゃん 一緒にいるとこ見られたらさ ちょっと… <きっとパパは慌てるでしょうね> <妻と彼女が一緒にいるなんて 想像もしてないだろうし> 何してるんですか？ ここ２階だから こっから出れば ダメ 私の体なんですから そっか 山岸？ えッ？ いるんだろ？ どうしよう どうしたらいいの？ どうしようって バレちゃうよ 今 パパの顔見たら 星見さんのフリする自信ないです 私だって 何かボロ出ちゃうかも アイス買ってきたぞ アイス!? うわ 食べたい 何言ってるんですか こんなときに お～い ちょっと 行ってよ (ノック) すみません 帰ってください どうして？ どうしてもです 何か おかしいぞ？ 会社でも おかしかったじゃないか パパのせいとか何とかって パパ？ 何か あったのか？ 何もないです とにかく帰って 帰らないと 警察 呼びますよ ああ 分かった じゃあ アイス ドアノブにかけとくから また明日 会社でな ああ～ ヤバかった つーか 奥さん 会社で ムギのこと パパって呼んだの？ すみません つい ｢つい｣じゃないよ 奥さん 分かってる？ あの婆さんに言われたこと 私達が入れかわったのが 周りにバレたら 元に戻れないんだよ？ すみません <ああ～ また謝っちゃった> もう 奥さん のんきだよね ていうか ホントは もう元に戻れなくても いいとか思ってたりして そんなわけないじゃないですか だって奥さん 20歳になれたんだよ 今 40っくらいっしょ？ 39です 私 20歳だよ まだ なのに 一気に40になっちゃってさあ すみません でも39です 39も40も 一緒だっつーの そうですよね すみません もう とにかく 気をつけてね はい 気をつけます <ああ～ どうして 私 妻なのに> <夫の彼女に こんな低姿勢なの？> 奥さん 頼むよ はい あッ ラッキー これは もらってくね ええ～ アイスくらい置いてってよ ≪(石黒)課長？ おお あれ どうしたんですか 勉強会は？ いや 山岸 帰ってくれって 玄関 開けてくれないんだよ 帰らないんなら 警察 呼ぶって ええッ!? 何か やっぱ おかしすぎますね 正社員採用試験の勉強まで 拒否するなんて 最近 やる気になったように 見えてたのに 実家の父親がとか 適当に言ったけど もしかして 本当に 実家で何かあったのかな 何で相談してくれないんだろ 山岸 そういうとこあるから だからこそ 心配なんだよな (目覚まし) えいッ 《星見さん 家のこと ちゃんとやってくれてますか？》 《掃除機かけたり 毎日 雑巾がけしたりしてますか？》 《子供達に ちゃんと栄養あるもの 作ってくれてますか？》 も～う 分かった 分かった 分かったよ も～う やりますよ やったろうじゃないの 何か すごい組み合わせだな (実花)これって 手抜き？ 何言ってんの 座って 座って 座って 座って ああ シリアルは栄養満点 けど カロリーの取りすぎも マズイから 納豆 納豆は高タンパク 低カロリー しかも安い いただきま～す 真人は ホントいい子だなあ ていうか これ私へのイヤがらせ？ えッ？ 私が納豆苦手なの 知ってるじゃん あッ… もちろん 知ってるよ 当然じゃん けど好き嫌いは よくないよ 何で急に そんなこと言うの？ 絶対 食べないからね ダメだよ タンパク質 取らないと 奥さんに… 奥さん？ ああ いやいや 将来 いい奥さんになれないぞ はあ？ 意味 分かんない ママが作ってくれたんだ 食べなさい 食べなさい そういえば ママ 昨日も ソファで寝てた？ あッ… ああ うん いや だって パパのイビキ すごいんだもん ああ そうか ごめんな ううん 全然 大丈夫 それじゃ 行ってきます 気をつけてな 行ってらっしゃ～い ママ はいはい いつものやつね ギュ～ はい 行ってきま～す 行ってきます 行ってらっしゃい おはようございます おはようございます ≪(真人)行ってきま～す 《私達が悪口を言ってるとでも おっしゃるの？》 《悪口でしょ》 《失礼な》 《オバサンは黙っててよ》 おはようございます おはようございます はあ～ この間のこと ま～だ根に持ってんだ めんどくさッ 開発部って 怖いですね 怖いなんてもんじゃないわよ 部長は 鬼の杉下って呼ばれて➡ 社内のどんな部署も 頭が上がらないの (杉下)パスタソースが ここまで 売り上げが落ちるとはね 俺達 開発部が 何日も寝ないで 試行錯誤して 完成させたソースが これじゃ 情けなくて 涙も出ないってやつだ まったく カレー部門とスープ部門は 伸びてるんですけどね 小松原 お前 パスタソース部門の リーダーとして 恥ずかしくないのか？ 申し訳ありません <いい気味だわ 浮気なんかして浮かれてた罰ね> <もっと怒られればいいのよ> 今後は 新しい取引先の獲得に向けて 病院や学校の給食センターなども 開拓していくつもりです 言うのは簡単だけどねえ 能なしの営業部に そんなことできんの？ ﾁｬﾗﾁｬﾗした若造ばかりの営業部に できると思えないけどね そんな言い方ないでしょう 俺達 あっちこっち回って 必死に頭下げてますよ 言いたくないですが 俺達 営業先で よく言われるんです お宅のパスタソースは… 石黒！ 何だ？ オイ お宅のパスタソースが 何だっていうんだ？ ≪(杉下)言ってみろよ ウチのパスタソースが 何なんだ？ まあ おいしくないよね はあ？ ≪(杉下)お前 オイッ おいしくないって どういうことだ お前 俺達が作った味を バカにしてんのか！ すみません そういうつもりでは だったら どういうつもりなんだ！ あの え～と それは あの… 申し訳ありません！ 山岸は この春に入ったばかりで まだまだ勉強不足でして 今後は 私が厳しく指導いたしますので どうか ご容赦を そんなにマズイならな えッ！ お前ら営業部が うまいもん作ってみろ！➡ バカにしやがって… オイッ！ ≪(開発部員達)はい 杉下部長！ バカ野郎➡ 杉下部長！ すみません 僕が余計なこと言ったばかりに いや お前のせいじゃないよ そうですよ 余計なこと言ったのは 山岸さんよ ≪(香織)あり得ないよね あれは すみませんでした 気持ち 切り替えて 頑張ろう (石黒)はい 申し訳ありませんでした 課長 今日 山岸と二人で お宅に お邪魔しちゃマズイですか？ いいけど 山岸 落ち込んでるみたいだし 元気 出るかなと思って そうだな 山岸の気分転換くらいに なるかもしれないな 課長のお宅に!? 今日ですか？ 何か予定でもあんのか？ それはないんですけど ＯＫ なら決まりな あッ でも… 怒られてばっかりだよ お疲れさまです <家に彼女を呼ぶなんて> <パパ どういう神経してるの？> まあ 子供達も喜ぶと思うし 子供達!? あッ 子供 苦手だった？ 好きです 大好きです でも… だったら 遠慮するな でも あの… 今日 こっちに来るんだって？ 何で断んなかったの？ すみません 一度は断ったんですけど <自分の家に行くだけなのに 私 何で謝ってるんだろ> だって 石やんも来るんでしょ ボロが出たら どうすんの？ 分かってます？ 入れかわってることがバレたら 私達 戻れないんだよ？ 分かってますよ！ とにかく バレないように ちゃんとしましょうね あッ すみません 大丈夫です もう ヤッバイ 間に合わないかも 小松原課長の奥さんって メチャクチャ 手料理うまいんだよ So delicious そうなんですか <ちゃんと味が分かるなんて さすが 石黒君ね> あんまりハードル上げんなよ 家の中も いつもピッカピカに 掃除してあるし ホントいい奥さんなんだよなあ <ありがとう 石黒君> お荷物 玄関まで運びますので 助かるわ ありがとう こんばんは あッ こんばんは 相川さん お買い物ですか？ ええ… えッ？ 知り合い？ いや… 失礼します どなただったかしら どなたですかね ここ 素敵な おウチですね さあ！ ただいま～ ≪(真人)パパだ！ お帰りなさい ただいま こんばんは <真人…> 大きくなったね 久しぶり 元気だったか？ はい えッ？ あッ… 山岸？ ハッ… すみません あまりにカワイイので つい ≪(石黒)山岸って そんなに子供 好きなんだ は… はい ≪(石黒)全然 知らなかった ママ こちら 山岸星見さん 今年の春に入ったばかりで 契約社員なんだけど すっごく頑張ってくれてんだ へえ～ そうなんだ そんなに頑張ってませんけどね で こっちは妻の菱子 息子の真人 初めまして 初めまして 初めまして 小松原真人です 小学３年生です しっかりした いい子ですね ありがとうございます じゃ どうぞ どうぞ 失礼しま～す どうぞ おッ ありがとう ちょ ちょ ちょ… 奥さん マジ気をつけてよね 分かってますよ 分かってないよ さっきも真人を ｷﾞｭｰｯと抱きしめちゃったりしてさ すみません 大丈夫？ はい 気をつけてね はい 真人 お･も･て･な･し ≪(真人)お･も･て･な･し <ふ～ん とりあえず 掃除はしてるみたいね> <何 そのチェック 姑かっつーの> お姉ちゃん お客さん 来たよ 実花た～ん 実花たん？ はいはい <実花…> 娘の実花 ちょっと反抗期だけどな うるさいな こんばんは 久しぶり ああ～ 石黒さん 何で早く言ってくれなかったの ごめん ごめん で こちらが 会社の同僚の山岸星見さん こんばんは うん？ あの 何か？ あッ… ううん 何も ここのは最高に おいしいんだよね ここの食べたら もう他の店 食べらんないから いつもは手料理なんだけど… いえ そんな パーティーといえばピザでしょ あッ そうですよね <パーティー!? それ ちょっと 違うんじゃないの？> <お客様をお迎えするなら 普通 手料理でしょう> ピザ嫌いだった？ あッ お寿司でも取ろうか お寿司!? うん お寿司も食べた～い ダメ！ あッ… ごめんなさい そんな お寿司だなんて もう お気遣いなく そう？ <パパのお給料 そんな余裕ないんだから> よ～し それじゃ 食べよっか 真人 フォークとお皿 は～い えッ？ あッ タバスコも タバスコ？ ビール ビール 真人 ビールも はい 奥様！ えッ 奥様って私か… 何か？ ちょっと よろしいでしょうか ちょっと 頼むわ これ ごめん じゃあ 先やってて おお なッ 何すか？ 何なんですか？ あれ はッ？ 何でも 真人 真人って こき使って お手伝いでしょ お手伝い だって 実花は何もしてないのに 実花たん 食器洗い担当だから 実花に そんなことさせてるんですか？ 家事なんて 家族みんなで やった方がいいじゃん だって よく言うでしょ？ 自分のことは 自分でやんなさいって それはそうですけど 家族って 協力し合うもんなんじゃないの？ でも ウチは 専業主婦ですから 専業主婦だって 立派な職業じゃん だったらさ 休みがあったっていいわけだし ちょっと手伝ってもらうぐらい いいんじゃない？ ママ ワインあったよね？ ワイン？ ほら 田中さんから お土産で もらったやつ ああ あったね あったね… ≪(真人)お姉ちゃん 早く食べないと➡ ピザ 冷めちゃうよ あッ うん あったかいうち いただきます 石黒 そのワイン パーカーポイント90 (石黒)Really？ That's great！ I love it ≪(実花)石黒さん 英語ペラペラなんですね 素敵 (真人)今 何て言ったの？ あの… 山岸 どうかした？ あッ いや 何も あッ から揚げ ラスト ≪(石黒)あッ いただきます は～い あった あった あった あったよ！ 田中さんのワイン どうぞ 何か ママ 変だね ねッ ああ～ ワイン うまッ だろ？ いや～ でもホントうまいっすね ここのピッツァ でしょ？ 絶対 石やんなら そう言うと思ったんだ 石やん？ あッ… あの いやいや… 山岸さんが さっき そう呼んでたから はあ 全然いいっすよ これから そう呼んでください うん うん あれ？ もうピザなくなっちゃうよ ちょっと小さかったんじゃない？ 六人もいるからな そっか いつもは 一人で食べることが多いからな えッ？ ママ 一人で こっそり食べてんの？ 何それ ズルイ 違う違う 昔の話だよ ママ 何か一品 作ってよ えッ？ まだ物足りないって感じだもんな うん パスタがいい ママのパスタね すっごく おいしいんだよ いや～ それはちょっと どうかな どう… どうかな じゃあ 私 手伝います えッ ホント？ はい 一緒に作りましょう そう じゃあ 一緒に作ろっか お願い うん 一緒に作るね 一緒に作ろう じゃあ パパの番ね パスタ た… 田んぼ 戸棚から ｶﾙﾎﾞﾅｰﾗｿｰｽ 出してください はい これ ウチの会社のじゃん おいしくないっしょ おいしくしますから 冷蔵庫から 白味噌 出してください 白味噌？ 早く 塩 入れます はい もっと えッ そんなに？ はい このくらいの量だと ７分30秒ぐらいですね ええ～ 細かッ (チャイム) ちょッ 違う違う… は～い (千代乃)小松原さん 大変なの！ 相川さん？ 相川さん!? あッ 小松原さん 大変なの あの子が またいたのよ えッ？ この間 お宅を外から のぞいてた こんな派手な格好をした若い子 さっきね 表で すれ違ったの どっかで見たことある顔だなって ずっと考えてたのよ 気をつけた方がいいわよ 私には分かるの あの子 絶対 何か たくらんでるから ねえ！ 相川さん 今夜は お客さん 来てるんで ええ でも大変なの もう これにて失礼します えッ たたた…➡ ああ～ ちょっと ちょっと 相川さんに何してるの？ いやいやいや あの人 あんくらい言わないと 分かんないから さあ 続き続き！ 私 相川さんに にらまれたら困ります もういいです そこに ﾚﾄﾙﾄｿｰｽを入れて混ぜます アッチッチ… これだけ？ まあ 食べたら分かりますよ (一同)いただきま～す おいしい これ 本当にウチのパスタソース？ そうなんだよ 香りが全然 違うだろ？ 香りも味も 何もかも違います とてもウチのだとは思えません どんな工夫してるんですか？ 白… 白味噌 入れてんの ああ 白味噌ですか これ メチャクチャうまいっす ありがとう ねえねえ おかわりある？ あるよ～ 私も おかわりしよ～っと あれ ダイエットは？ もう うるさいな (笑い声) おいしい おいしい う～ん うん！ ≪(真人)おいしい いっくらでも食べられる なあ いいの？ 食べて ≪(実花)あれだよ ウチの学校 お弁当じゃん➡ 友達が お弁当にスパゲティ 持ってきてたんだけど ダメだね どうした？ あッ… ごめんなさい 何か… 何か家族って いいですね 家族って いいね うん ありがとうございました ごちそうさまでした 山岸 また来いよ はい お姉ちゃん また来てね 絶対だよ うん ありがとね 真人… 君 また絶対 来るね それじゃあ 失礼します 気をつけて バイバ～イ バイバイ よし 入ろうか うん あの 私 星見さんに ちょっと渡すものがあったっけ おう 行ってくるね 星見さん！ あッ ちょっと… これ 持っていきなよ いつでも来なよ ここは奥さんの家なんだからさ ありがとうございます じゃあ 失礼します ああ～ <…て 何か 昨日は妙に ホロッときたけど> <よくよく考えたら おかしな話だわ> <パパは一体 どういうつもりで 彼女を家に呼んだの？> <ホント あり得ないでしょ あんなこと> よし 下のキッチンに行くぞ キッチン？ パスタソースにチャレンジ！ 俺も あとで行くぞ はい 何か物足りないなあ もう少し ケチャップを 加えてみたらどうですか？ 甘みが強くなんないか？ とりあえず 試してみましょうよ そうだな 山岸 何かアイデアある？ いや ありません <パパには絶対 教えてやるもんですか> ≪(杉下)営業マンが ままごとか？ 杉下部長… ままごとって 何ですか！ 何だ こりゃ？ まだ未完成ですから お前らみたいなのを 給料泥棒っていうんだよ 営業マンのくせに 売ることもできない➡ かと思うと 勤務時間に こんなマズイものを作って 金も時間も無駄にして こんなことして 遊んでる暇があるんだったらな 一軒でも多く 外を回って 注文 取ってこいよ お前らの頭はな 俺達のマネをして パスタソースを作るために あるんじゃなくって 営業先で下げるためにあるんだろ えッ？ どうなんだ？ ≪(開発部員Ａ)何とか言え どうなんだよ ≪(Ｂ)言い訳があるなら 言ってみろよ オイ！ 分かったか！ チッ… 違うと思います 何？ 違うと思います 何？ お前なんかに 何が分かるっていうんだ えッ！ お前はな 黙って言われたとおりに 仕事してりゃいいんだよ あッ あの… 私 難しいことは分かりません でも 杉下さんのお仕事も 主婦の仕事も同じだと思うんです 主婦だ？ 主婦は 家族のみんなに おいしいと言ってもらえるように 毎日 工夫して お料理 頑張ってるんです 杉下さんは お客様にマズイって言われて 悲しくないですか？ 私は家族に そんなこと言われたら悲しいです でも 一生懸命 作ったからって おいしいってかぎらないわけで 家族？ 山岸って一人暮らしですよね ああ そのはずだけど だから 家族みんなに おいしいって言ってもらうには どうしたらいいんだろうって あれこれ悩んだりするんです 私は みんなが おいしいって 言ってくれてる姿を見たいです みんなの笑顔が見たいです お前 今 自分が何を言ったか 分かってんのか？ そそッ そうだ 上司に向かって… 重ね重ね 申し訳ございません だったら 今ここで うまいパスタソース作ってみろよ ですから… 分かりました ≪(石黒)山岸！ 少し お時間いただけますか？ お待たせしました ウチのミートソース使ってたよね ですよね 見た目 全然 変わってないけど 大丈夫なのか？ レバーか はい ちょっと濃厚さが足りないと思い レバーペーストを足しました お前 ウチの商品に… 他には？ えッ？ 他に何かあるか トマトソースは ちょっと甘さが強すぎるので 梅干しをすり潰して入れます たらこソースには サワークリームを加えて濃厚に 和風きのこには ﾛｰｽﾄｱｰﾓﾝﾄﾞを… お前 ウチの商品 全部 食べてるのか？ はい 13種類 全部？ 全部 食べて それぞれ ちょっと工夫しています オイ 開発部員 全員 集めろ はッ はい 作ってみろ お前のパスタ 13種類 全部 はい まいりましたね これは ≪(開発部員)うますぎる… チョイ足しするなんて 思わなかったよ 杉下部長も うまいって言ってるし よかった ありがとう こんなおいしいの 初めて食べたかも 山岸さん 料理うまかったんだ あッ いかがですか？ 杉下さん 先ほどは生意気 言って 申し訳ありませんでした いや… 俺達も もっとうまいパスタソース 作んないとな はい 営業部に こんなうまいもん 作られたら 黙ってらんねえからな おう 小松原 今度 ウチと合同で 開発会議やらないか？ あ… はい！ うん ≪(杉下)君は 結婚してんのか？ えッ？ いや さっき 主婦として 家庭がどうのこうの 言ってたじゃないか ああ いや… うん？ ちょっと 片づけしに 行ってきます うん ありがとな 山岸 別に 私は パ… 課長に喜んでもらうために やったわけじゃありませんから ≪(久米)杉下部長 いかがですか？ ≪(杉下)大したもんだよ 俺達 冒険が足んなかったなんて 話してた すばらしいじゃないですか 山岸 (杉下)大したもんだよ (久米)アイツね 営業部のエースですから (杉下)久米 お前 今度 チェンジしろ 実花たんには内緒だよね～ ねえ～ あ～ら 小松原さん こんばんは あら 何してんすか？ ＰＴＡのパトロールでしょ まあまあ お気になさらないで じゃあ 失礼します 失礼します (千代乃)どうも ウフフフッ 行きましょうか 自由の女神 何それ 超ウケる (星見･真人の笑い声) ああ～ また星見さんの株 上げちゃった 私 何やってんだろ パパのことなんか どうでもよかったのに ≪(女)星見 (車のドアが開く) (史子)久しぶりね あッ はあ… <誰なんだろ？>

ひよっこ＃146

1 早く 優太と仲直りできるといいな｡ ごめん｡ <匠の背中を見つめながら➡ こころは これでいいのだと 小さく つぶやいていました> ♬｢Pon pon pon…｣ ♬｢愛の言葉をリル｣ ♬｢ｼｬｲなﾊｰﾄがﾄﾞｷﾄﾞｷ｣ ♬｢あの日観てた “ｻｳﾝﾄﾞ･ｵﾌﾞ･ﾐｭｰｼﾞｯｸ”｣ ♬｢瞼閉じれば蘇る｣ ♬｢幼い頃の大事な 宝物だけは｣ ♬｢ずっと この胸に 抱きしめて来たのさ… Ah ah｣ ♬｢夜の酒場で Lonely｣ ♬｢あの娘 今頃どうしてる？｣ ♬｢さなぎは今､｣ ♬｢蝶になって｣ ♬｢きっと誰かの腕の中｣ ♬｢肩寄せ合い 声合わせて｣ ♬｢希望に燃える 恋の歌｣ (世津子) 私と みね子ちゃんのお父さん｡ (みね子)はい｡ 私にとっては 谷田部 実さんではなく 雨男さん｡ はい｡ 私たちが 過ごした時間については➡ 私は みね子ちゃんに…｡ いや 誰にも｡ 話すつもりはない 絶対に｡ 私だけの思い出だし｡ ♬～ 病院の先生が言ってたんだけど➡ 谷田部 実さんの記憶が 戻ったとしたら…｡ 今度は 忘れてしまうことがあるんだって｡ つまり➡ 私との時間を 忘れてしまうんだって｡ ♬～ そうすれば ２人の時間が➡ あなたのお父さんを 苦しめないし➡ それに…｡ あの時間が…｡ 本当に 私だけのものになる｡ ♬～ そうなれたらいいなって思ってる｡ ごめんね｡ ♬～ (美代子)寝ました？ (実)うん｡ はい どうぞ｡ あっ ありがとう｡ お花ですか？ うん｡ (美代子)うまぐいぐといいね｡ (実)うん…｡ うまぐいぐといい｡ いや うまぐいがせてえ｡ はい｡ うん｡ あ…｡ 美代子｡ はい？ 話をしといた方がいいと思うんだ｡ 何の？ うん…｡ そこについでは 触れずにきたけど｡ 俺が その…｡ 東京で どうしてだかっていう…｡ 何つうが その…｡ 秘密みだいになんのは 夫婦で よぐねえと思うんだ｡ ちゃんと話してねえし 美代子も聞かねえし…｡ でも…｡ それは話しておいだ方が いいと思うんだ｡ どんな暮らししてだのかとが｡ ちゃんと 夫婦で共有しといだ方が いいと思うんだ｡ フッ…｡ 実さん｡ ん？ 変わってないね｡ えっ？ 優しくて 誠実で 真面目で…｡ 相手のこど いづも考える｡ でも 女心は あんまし分がってない｡ ごめん｡ ﾌﾌﾌ！ 女心か…｡ ﾌﾌﾌ！ そうけ…｡ ダメな男だったのがね 俺…｡ いいんです そういうとご 好きになったんだから｡ ん？ 分がんなくていいんです｡ 男の人には分がんないから 女心っていうんです｡ はぁ｡ 知りたぐないです 私 実さんの東京でのこど｡ そう？ はい｡ だから 言わないで下さい｡ うん…｡ うん 分がった｡ うん｡ あっ でも もし 私が我慢できなくなって➡ 私から ｢教えて下さい｣つったら そんとぎは教えて下さい｡ 私が聞きたいと言ったこど 全て｡ えっ？ そうなの？ そうなんです｡ 女心 です｡ ｱﾊﾊﾊﾊ！ (２人)ｱﾊﾊﾊ！ 分がった｡ (２人)ｱﾊﾊﾊ！ (美代子)ん？ 何？ あっ いや…｡ 何つうが…｡ (せきばらい) かわいいなと 思って｡ あ…｡ (せきばらい) 俺…｡ 好きだ 美代子のこど｡➡ あの… 女房だったからとが 関係なぐ➡ そうじゃなぐて…｡ 美代子のこどが好きだ｡ 一緒に 生きてってくれっか？ 美代子と一緒に 生きていきてえんだ｡ ♬～ はい｡ ありがとう｡ よろしくお願い致します｡ ♬～ (すすり泣き) ♬～ 実さん｡ ん？ おんなじ言葉でした｡ えっ？ ｢美代子と一緒に 生きていきたいんだ｣｡ おんなじ言葉でした｡ 結婚した時と｡ …で 私は➡ ｢はい ありがとう｡ よろしくお願い致します｣って➡ 答えました｡ そうか｡ はい｡ ♬～ あんとぎも うれしかったけど…｡ うれしいな…｡ こんな うれしいこど 普通は ２回もないよね｡ んだな｡ んだよ！ うん｡ 私…｡ 幸せもんだ｡ ♬～ (きよ)はぁ～ そうがぁ｡ たまげちまったなぁ｡➡ すげえな 実さん｡ (美代子)きよさん 泣かねえで｡ (君子)いがったなぁ 美代子｡ いがった｡ ありがとう ありがとう｡ (きよ)泣がせんなぁ 実さんもよ｡ (君子)なぁ｡➡ あの…｡ (美代子)ん？ もういっぺん やって もういっぺん｡ えっ？ まだ～？ いいがら いいがら！ (美代子)じゃ 最後だよ 最後ね｡ いくよ！ (せきばらい) (実のまねで)｢美代子と一緒に 生きていきたいんだ｡➡ 一緒に生きてってくれっか？｣｡ (きよ 君子)あ～ いがったなぁ！ ♬～ (きよ)本当に いがったよぉ！ ありがとう｡ (君子) なかなか出る言葉じゃねえよ｡ (きよ)さっすが 実さんだよ｡ やっぱり 実さんは すごいな｡ すごいよ｡➡ でも 美代子も よく頑張ったな｡ 私は 何にもしてねえよ｡ 会長と副会長のおかげだ｡ 何 言ってんだよ！ (２人)なぁ！ はぁ… 私も言われでみでぇもんだなぁ｡ えっ？ 征雄さんに？ あら！ じゃ 私が征雄さんになって 言ってあげようか きよさん｡ いいね！ (きよ)え～？ きよ…｡ きよと一緒に生きていきてえんだ｡ 一緒に生きてってくれっか？ 断る｡ え～！ (美代子)何よ それ きよさん！ やだよ そんなの やだよ｡ 何でだよ～！ (笑い声) ねえねえ ねえねえ 私にもやって｡ おう そうか｡ じゃ 私が 正二な｡ (せきばらい) 君子｡ 断る｡ 早えわ！ (美代子)早えな｡ お断りだよ｡ おととい来やがれっつうんだ！ (笑い声) ♬～ (岩合)やあ ｸﾞｯﾄﾞﾓｰﾆﾝｸﾞ｡ 靴下ちゃん おはよう｡ 靴下ちゃん？ 足の先が白くなっている ネコたちを➡ 岩合さん 靴下ちゃんと呼ぶんです｡ 前足は 短い靴下ですね｡ そして 後ろ足は ﾊｲｿｯｸｽ｡

花子とアン＃060

1 (はな)よし｡ こぴっと売り込むだ｡ はなは 書き上げた新作を➡ かつて働いた事のある出版社に 持ち込む事にしました｡ (梶原)あれ？ 安東君じゃない？ 梶原さん！ ごきげんよう｡ どうしたの？ あっ あの 新しい物語を 書いたので 読んで頂けたら…｡ さっきの書類なんだけどな まとめて 机の上に置いといて｡ 分かりました｡ お忙しいですか？ これから 打ち合わせなんだ｡ とにかく 中に入ってて｡ (宇田川)ちょっと邪魔｡ どいて｡ あっ すいません｡ てっ！ (梶原)宇田川先生 お待ちしてました｡ こちらへ｡ (須藤)宇田川先生 さあ どうぞ こちらへ｡ どうした はな｡ こぴっと 売り込むんじゃなかったの？ ♬｢これから はじまる｣ ♬｢あなたの 物語｣ ♬｢ずっと長く 道は続くよ｣ ♬｢虹色の雨 降り注げば｣ ♬｢空は 高鳴る｣ ♬｢眩しい笑顔の奥に｣ ♬｢悲しい音がする｣ ♬｢寄りそって 今があって｣ ♬｢こんなにも 愛おしい｣ ♬｢手を繋げば 温かいこと｣ ♬｢嫌いになれば 一人になってくこと｣ ♬｢ひとつひとつが あなたになる｣ ♬｢道は 続くよ｣ いや～ 面白いですね｡ [ 回想 ] (拍手) 売れっ子の小説家に すぐに なってみせます｡ はなと一緒に 児童の友賞を 受賞した宇田川満代は➡ あの言葉どおり 人気作家になっていました｡ それに引き換え…｡ あら？ どっかで見たような 顔だと思ったら➡ ｢みみずの女王｣の？ (梶原)そうです｡ 一緒に 児童の友賞を受賞した安東君です｡ ちょっと ご挨拶しなさい｡ はい｡ どうも ご無沙汰しております｡ 彼女も新作を書いたそうです｡ ふ～ん｡ あなた もう書くのは やめて➡ 田舎で教師やるとか 言ってなかった？ ええ｡ でも…｡ ちょっと見せて｡ あっ いえ…｡ ｢たんぽぽの目｣｡ 相変わらず ぬるい作文みたいな題ね｡ こっちは 命懸けで書いてんのよ｡ 田舎教師の趣味と違うの｡ これでは いつ読んでもらえるか 分かりません｡ (醍醐)はなさん お久しぶり｡ 醍醐さん！ 編集長 今日は ずっと打ち合わせだから➡ 明日 出直した方がいいわ｡ 必ず読ませるから｡ うん｡ (かよ)どうぞ｡ お邪魔します｡ ちっくいけど ここが おらのお城｡ うん｡ 洋服店の旦那さんも女将さんも いい人で よかったね｡ お姉やん 座ってくりょう｡ ありがとう｡ へえ～｡ かよに話したい事が いっぱいあるさ｡ 手紙に書ききれんかった事も たくさんあっただよ｡ おら いっとう びっくりしたのは ももの事じゃん｡ あの子が こんなに早く お嫁に行くとはね｡ ほれも 北海道なんて｡ おら まだ納得できん事がある｡ ももは 朝市の事が好きだったのに…｡ もも こぴっと 朝市に気持ちを伝えただよ｡ ほれなのに…｡ 朝市の方から断っただね｡ うん…｡ ほれで ももは 北海道なんて 遠い所に お嫁に行っただけ｡ おら 朝市の事が許せなくて…｡ もも 一生分の勇気を振り絞って 朝市に気持ちを伝えただと思う｡ ほれを断るなんて 男の風上にも置けねえ｡ お姉やん… 何で 朝市が ももの事断ったか➡ 本当に分からんの？ 分からんから怒ってるだよ｡ もも あんなに いい子なのに｡ お姉やんは 誰かを 本気で好きになった事ねえの？ 本当に好きになったら➡ ほかの人と取り替えなんか 利かねえさ｡ 朝市が本当に好きなのは…｡ きっと ほういう 取り替えの利かねえ相手なんだよ｡ かよ…｡ 知らんうちに大人になっただね｡ お姉やんは ちっとも変わらんね｡ てっ｡ ほんな…｡ 確かに ３人姉妹の中で 恋愛問題に一番疎いのは➡ はなかもしれません｡ (ふじ)静かじゃんね｡ (周造)そうさな…｡ (リン)やだよ～｡ ここんちは お通夜みてえじゃん｡ リンさん おいでんなって｡ はなちゃん 東京行っただとう？ うん｡ 自分の書えたもんが 本になるかどうか➡ 見てもらいに行っただよ｡ 本当に小説家になる気ずらか｡ 困ったねえ…｡ 何で おまんが困るでえ？ うちの朝市だけんど➡ 縁談があっても 断ってばっかしだから➡ おかしいと思って おら こぴっと考えただ｡ ｢ひょっとしたら 心に決めた人がいるずらか｣って｡ ｢ほりゃあ はなちゃんじゃねえか｣って！ リンさんは おかあのくせに 今っ頃 気が付いただけ｡ そうさな｡ てっ！ やっぱし ほうけ！ 何で ２人とも 言ってくれなんだでえ！➡ やっぱし ほうけ！ 勢いで 出版社に持ち込んでみたけんど➡ 宇田川満代さんに会って 圧倒された｡ 小説一本でやってく人は やっぱり違うさ｡ 本当に小説家になりてえなら 何だって できるはずじゃん｡ お姉やんが本当に本気なら｡ かよの言うとおりかもしれねえ｡ 本当は 自信がないの｡ うん｡ かよは 何でも自分で決めて➡ いっつも前に進んで偉いじゃんね｡ おやすみ！ おやすみ｡ ♬～ 編集長 いらっしゃいました｡ その辺に座ってて｡ はあ…｡ ♬～ ｢君は 小説家になるには 普通すぎる｣と言ったよね｡ はい｡ 諦めた方がいいと言われました｡ 君の新作は ひどく普通だ｡ 平凡すぎる私が 本を出したいなんて➡ やっぱり無理ですよね｡ 分かりました｡ 諦めます｡ お時間とらせて 申し訳ありませんでした｡ はなさん…｡ 安東君｡ あっ あっ 大丈夫です！ 慰めとか そういうのは 一切いりませんから｡ これで こぴっと諦めがつきました｡ ありがとうございました！ ごきげんよう｡ さようなら｡ 話は 最後まで聞きたまえ｡ この作品は 何気ない ありふれた日常を切り取ってる｡ ささやかな暮らしの断片に 光を当て➡ 奇をてらったところが 少しもない｡ そこが 実にいい｡ てっ…｡ 君は 平凡さを逆手に取って すばらしい作品を書き上げた｡ 洗練された平凡｡ それは 直ちに非凡さに通じるものだ｡ 是非 出版させてくれ｡ 本にして頂けるんですか？ よろしく｡ おめでとう はなさん！ …じゃなかった｡ 安東花子先生 おめでとう！ はなは ふわふわと どこかへ 飛んでいきそうな気分でした｡ ついに 花子の名前で➡ 本が出版されるのです｡ そのころ 朝市は…｡ [ 回想 ] (もも)朝市さんも こぴっと伝えんきゃ駄目だよ｡ (朝市)よし｡ 朝市は 決意していました｡ はなが東京から帰ってきたら➡ 今度こそ 気持ちを打ち明けようと｡ 安東はな様｡ 堅っ苦しいな…｡ はな｡ おら ずっと はなの事が好きだっただ｡ 結婚してくりょう｡ 今度こそ 安東花子の名前で 出して頂けるんですよね｡ もちろん！ ただし 出版社は ここじゃない｡ えっ？ 実は 近々 出版社を作る事になったんだ｡ 私も 編集長についていくの｡ 醍醐さんも？ この｢赤い鳥｣のような➡ 児童向けの本を作りたいと 思ってる｡ 独立後の第１冊目として➡ 君の あの話を出版したいと 思うんだが どうかな？ ありがとうございます！ もし 君が 本気で 執筆を続けていく気があるなら➡ 東京に来ないか？ 新しい会社で 一緒に働いてほしい｡ きっと いろんな出会いが あるだろうし➡ 君にとっても いい勉強になると思う｡ はなさん！ 一緒に頑張りましょう｡ てっ…｡ この続きは また来週｡ ごきげんよう｡ さようなら｡ ＞＞おはようございます。 週刊ニュース深読みです。 きょうはまず、雨のニュースから お伝えします。 ＞＞低気圧と前線の影響で、関東 地方はおとといから雨が降り続き､

エンジェル・ハート＃02

1 (冴羽 [外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D])⦅会いたかったよ⦆ ⦅香の心臓で生きてる 君に⦆ ⦅急ブレーキ音⦆ ⦅君は…➡ 俺と香の希望だ⦆ ⦅君には２人分の命が 宿ってると思って➡ 生きるべきだ⦆ ♬～ (ｸﾞﾗｽ･ﾊｰﾄ) 香…｡ (ノック) (ドアが開く音) (智) 回診の時間で～す！ (ドク) おぉ 起きてたか｡ もう 痛みは取れたかな？ なぜ私に ここまでする？ 香の心臓を持ってるからか？ いや ここは病院だからさ｡ 患者の診察するのは当たり前だろ｡ ⦅ドク…➡ あのコ しばらく頼めるか？⦆ ⦅ん？⦆ 住むとこ ないんだってな｡ 奥に物置部屋があるから 好きに使っていいよ｡ (智) いいんですか？ 先生｡ (ドク) ああ いいんだよ 後で案内してあげて｡ は～い！ (ドク) じゃあね｡ (ドアが開く音) どうしたの？ 私のカルテ…｡ 名前が…｡ (ﾎｰﾘｰ) ≪聞いたわよ [外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D]ちゃん≫ (ﾎｰﾘｰ) 何か 若い女 救ったそうじゃない？ ん？ ああ…｡ (ﾓｯﾁｰ) 何で あんな危ない女 助けたのよ！ その女 モッチーに｢ＸＹＺ｣の意味 聞いて来たんでしょ？ …ってことは つまり！ 依頼人？ (ﾛｯｺ) じゃあ １年ぶりに シティハンター復活ってこと？ そんなんじゃねえの｡ まぁ ちょっと 訳ありだってことさ｡ [外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D]ちゃん？ 訳ありって どういう意味よ！ (３人) どういう意味よ！ お前らは ここで油を売ってていいのか？ (３人) あ～！ もう こんな時間 大変！ みんな行くわよ！ 早くしないと 開店に 間に合わなくなっちゃう！ ここ お勘定 置いておきます｡ 聞きたいことは山ほどあるけど 今日のところは退散するわ｡ じゃあね～！ (ﾓｯﾁｰ) やだ～！ さてと 俺も行くか｡ (ﾌｧﾙｺﾝ) 待て｡ ん？ ヤツは どうするんだ？ 何が？ とぼけるな｡ 彼女が動けるようになるまでと お前が置いてった あいつだ｡ あ～ 信宏のことか｡ (せき払い) 意外と いいヤツだろ？ いつまで ここに置いとくんだ？ それは お前に任せるよ｡ 俺は あのコのことで 手いっぱいなんでな｡ じゃあ 後は よろしく｡ ヘッヘヘヘ…｡ (掃除機の音) 朝っぱらから 何の騒ぎだ｡ (掃除機の音) うるさい！ (掃除機の音) (劉) おはようございます！ 起こしちゃいました？ 店の物には一切 手を触れるなと 言ったはずだ！ これは何のまねだ！ (劉) お世話になったんで お礼をと思いまして｡ よいしょ｡ あの～ 差し出がましいようですけど➡ この店 ちゃんと掃除してます？ それに失礼ですけど マスターも こわもてで愛想がないし➡ これじゃあ お客さん入らなくて 当然って感じですし｡ あっ！ (指を鳴らす音) そうだ！ 人を雇ってみたらどうですか？ キレイ好きで 人当たりのいい人｡ そしたら お客さんが も～っと…！ お客なんか 大勢入ったら ウザイだろ！ 何が言いたい？ ｢彼女が しばらく新宿にいるなら 自分も この街に残りたい｣｡ それか？ はい｡ フンっ｡ 海坊主さん！ 俺の名前はファルコンだ｡ 住み込みのバイト代 安いぞ｡ ありがとうございます！ 海坊主さん！ ♬～ お～ 待て！ 早まるな！ 何するつもりだ？ うっとうしい｡ ん？ …から 髪を切る｡ よこせ｡ あのなぁ…｡ メスで髪を切ろうとするヤツが どこにいる？ それに これは病院の物｡ 勝手に持って来ちゃダメだろ｡ 生きろって言った｡ どうすればいい｡ 分からない｡ よし！ ほら 支度しろ 出掛けるぞ｡ えっ？ 生きるには まず 飯だ｡ あの部屋に物騒なもん 置いとかないほうがいいぞ｡ とんだ野良犬だな｡ あのコを見てると思い出すよ｡ 香と出会った頃の➡ まだシティハンターになる前の お前を｡ (ﾌｧﾙｺﾝ) いらっしゃい｡ いつものナポリタン ２つな 海坊主｡ ナポリタン ２つ｡ この店に迷惑 掛けた｡ ⦅弾がガラスに突き刺さる音⦆ なのに なぜ怒ってない？ お前は もう仲間だからなぁ｡ 昨日の敵は 今日の友 っていうだろ？ ここは そういう街なんだよ｡ ついでに さっきから こっちを チラッチラ見てるヤツも➡ 仲間かな？ (劉) ≪ちょっと押さないで…！≫ あ～！ お前も隠れてないで手伝え｡ 信宏？ (劉) 実は 俺も組織を抜けて➡ ここで 住み込みのバイト始めたんだ｡ 何で？ ずっと思ってた｡ 人を殺す人生なんて 人間の生き方じゃ ないって｡ でも やっと決心がついたよ｡ お前のおかげだ｡ それと お前に伝えなきゃ いけないことがあるんだ｡ お前には…➡ 本当の名前が…｡ 名前？ あ～ いや… 何でもない｡ お～い 何だよ 何だよ おい！ やっぱ 無理ですよ｡ だって彼女に ｢何で今まで 知ってたのに黙ってたんだ？｣➡ って言われたら どうすれば…？ それは 自分…｡ 信宏？ あっ！ そうだ 用事 思い出した！ じゃあ またな 香瑩！ シャンイン？ 誰のことだ？ いや… あの…｡ なぜ そんなふうに私を呼ぶ？ 違う… あの… 違う…｡ お前の本当の名前だよ｡ 信宏が組織の上層部に忍び込んで 調べてくれたんだ｡ ホント 名前だけな それ以外は ホントに 何も｡ 名前…｡ 私の…？ 偶然とはいえ 俺も驚いたんだが➡ お前の心臓は 香の心臓だ｡ そして お前の名前にも➡ ｢香｣の文字が入ってる｡ ｢香｣は中国語で｢シャン｣｡ そして ｢イン｣｡ 宝石のように美しくて大切なもの｡ 香瑩…｡ 私の… 名前…｡ さしずめ 今日は お前の誕生日ってところだな｡ おめでとう｡ 香瑩｡ ♬～ ♬～ (小宮山) ≪例のｷｬｯﾂｱｲ襲撃の件ですが…≫ (小宮山) 妙なんすよ｡ 本庁が いきなり この件は預かるって言って来て｡ 何か聞いてます？ (野上冴子) そう…｡ 署長？ 私達が思ってるよりも➡ もっと大きな組織が かかわってるかもしれないわね｡ えっ？ また 何か分かったら報告して｡ (小宮山) はい｡ (ｶﾘｰﾄ) グラス･ハートの件ですが➡ どうやら 冴羽 [外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D]と その仲間達に かくまわれているようです｡ (李) 仲間？ (ｶﾘｰﾄ) 新宿西署の署長 野上冴子｡ (李) 野上…｡ (ｶﾘｰﾄ) シティハンターの活動が 警察に感づかれぬよう➡ 握りつぶしているのは 彼女のようです｡ なるほど｡ (ｶﾘｰﾄ) それと もう１人 元傭兵で 名をファルコン｡ ファルコン｡ (ｶﾘｰﾄ) 傭兵時代の コードネームのようです｡ 現役時代 作戦上のトラブルで 両目を負傷し➡ 視力を失いかけていますが➡ 高い戦闘ｽｷﾙを持っていることに 変わりはありません｡ 見くびるなよ｡ ご安心ください｡ 私の敵ではございません｡ 私が言っているのは 冴羽 [外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D]のことだ｡ ヤツを一人の人間だと思うな｡ 軍隊を相手にしていると思え｡ はっ｡ お～｡ うん！ 似合ってるじゃないか｡ 当たり前じゃない 私が選んだんだから｡ お見事｡ はい｡ あぁ それから➡ これは お前のケータイだ｡ これは…➡ 何の任務だ？ 新しい服とケータイを渡される｡ それ 誰かを殺せということ｡ 私に 誰を殺させる気だ!? 香瑩｡ よく聞け｡ お前は もう 二度と 人を殺す必要なんかないんだ｡ 驚かせて ごめんなさい でも これは全部➡ あなたが これから生きて行く ために用意したものなの｡ あなたは これから 普通の女性として生きて行くのよ｡ これで３人分｡ よろしくね｡ ♬～ これまで 組織の任務のためだけに 生きて来たんだ あのコは｡ 普通の生活に なじむのも大変だ｡ どういうつもり？ ん？ まさか 一生 レギオンから彼女を 守るつもりじゃないでしょうね？ さて どうだかな～｡ これから 何を感じ 何を選んで行くのかは➡ あのコ次第だからな｡ (ﾊﾘﾙ) バ～ン！ (ﾊﾘﾙ) ケバブ おいしいよ｡ (ｼﾞｪﾐﾙ) ハリル！ こら やめなさい｡ すいません 私の息子なんです｡ (笹島) ≪おい！ おいおい！≫ (笹島) 誰に許可取って 店 出してんだ？ (ｼﾞｪﾐﾙ) 許可なら ちゃんと もらってますよ｡ やめてくださいよ！ 勝手に入らないでください！ (ﾊﾘﾙ) パパ！ うるせぇ！ (ｼﾞｪﾐﾙ) あ～！ パパ！ (ｼﾞｪﾐﾙ) ハリル！ (笹島) おい あっちで話そうか｡ (ｼﾞｪﾐﾙ) やめてください｡ 息子だけでも｡ (ﾊﾘﾙ) パパ！ (ｼﾞｪﾐﾙ) ハリル！ (鼓動) (鼓動) 香瑩｡ まずいわね｡ ♬～ (銃声) レギオンね!? やめてくれ！ やめて やめて…｡ それぐらいにしとけ｡ あぁ… ハァ ハァ ハァ…｡ 大丈夫か？ はい｡ 威力業務妨害の現行犯よ｡ あんた どこの組？ くそっ｡ あっ！ あっ…！ 痛たたた…｡ お見事｡ ハァ ハァ ハァ…｡ ん？ 体が勝手に動いた？ なぜか分からない｡ 心臓が鳴って…｡ 私じゃ ない｡ ここに…➡ 心臓が来てから…➡ 飲んだこともないものを おいしく感じた｡ 知らない記憶が…➡ 時々 浮かんだ｡ (ドク) なるほど 臓器にも➡ 性格や記憶が宿る っていう説がある｡ 臓器移植を受けた レシピエントが➡ その臓器の人の性格や趣味嗜好が 似るっていう例が➡ 世界各国で報告されてるが｡ う～ん でも信じらんないな 香瑩が他人を救うなんて｡ もし あの時 香瑩を突き動かしたのが➡ 香さんだったとしたら｡ (ドク) まさか｡ 私は…➡ 香じゃ ない｡ 香瑩は香瑩だ｡ そこに香の心臓があるとしても➡ 香が戻って来るわけじゃ ない｡ 香は香｡ お前は お前だよ 香瑩｡ ♬～ 傷 まだ癒えぬ｡ (ドアが開く音) 当然ね｡ (ドアが閉まる音) (ドク) ⦅あのコを見てると思い出すよ⦆ ⦅香と出会った頃の➡ まだシティハンターになる前の お前を⦆ ハァ ハァ ハァ…｡ あぁ… ハァ ハァ…｡ ざまぁねえな…｡ 俺らしくもねえドジを…｡ あぁ… ハァ ハァ…｡ 最後の眺めは こんなもんか…｡ ふさわしいかもな…｡ (槇村 香) 野良犬にふさわしい 死に場所ね｡ 意識はあるみたいね｡ どう？ ここで死ぬ？ くそっ… たれが…｡ くそったれが…｡ みんな知ってるのか？ 香を｡ ああ｡ [外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D]の婚約者でな➡ 香がシティハンターをやる前から 知ってる｡ シティハンター？ 香が？ シティハンターは もともと➡ 香さんのお兄さん 槇村秀幸が始めたものなの｡ 彼は私の同僚で➡ 優秀な警察官だった｡ そのシティハンターを [外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D]と香がやるまでには➡ まぁ いろいろあってな｡ ちょうど お前さんくらいの年の頃➡ 香は うちで看護師をやってた｡ (ドアの開閉音) (槇村秀幸) 何者なんだ？ この男は｡ 兄貴｡ (槇村) 免許証もパスポートも 全部 偽造だ｡ この 冴羽 [外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D]って名前も 偽名かもな｡ ドク この男は危険だ 我々 警察が身柄を預かる｡ ダメよ！ 香？ この２日間 生きるか死ぬかの 瀬戸際だったのよ？ しかし この男は…｡ まだ 意識だって回復してない｡ (香) どんな人でも 今はケガ人よ｡ (ドク) 家族を失う悲しみを 知っていた香は➡ もう二度と 誰の命も 失わせたくないと思っていたんだ｡ (槇村) 何で香のヤツ こんな病院で看護師なんか…｡ あんたのためなんじゃないかな？ えっ？ 香にとって あんたは たった一人の肉親だ｡ 絶対に失ってはならないという 大きな存在なんだよ｡ 刑事をやってると いつケガするか 分からないじゃない｡ だから 自分が せめて看護師になって➡ あんたを 守ろうとしてるんじゃないかな｡ 俺のために？ あれ？ もう帰るの？ こんな俺のために｡ えっ？ 何？ ばかめ｡ (ドアが開く音) (ドクの声) 結局 刑事だった アニキの反対を押し切って➡ 香は [外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D]の看病を続けた｡ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ (ドアが開く音) ♬～ (香) 聞こえる？ 野良犬さん｡ 目を覚まして｡ ♬～ 誰だって 死んだら悲しむ人がいるはず｡ あなたにも いるはずよ｡ だから 生きて｡ そんな人いないって思うなら➡ 私が なる｡ あなたが死んだら➡ 私が悲しむ人になる｡ だから➡ 生きて｡ 私を悲しませないで｡ 死んじゃダメ｡ ♬～ サンキュー 看護師さん｡ お前が 診療所に運び込まれた日➡ ３人の悪党どもの 他殺体が発見された｡ プロの手口によるものだ｡ 俺がやったってのか？ 俺の目は ごまかせないぞ｡ (槇村) だが ３人の悪党どもを 裁くこともせずに➡ 放置し続けた警察にも罪はある｡ 時には 法を犯してでも➡ 制裁しなければならない 悪党もいる｡ 行け 二度と この街に姿を見せるな｡ シティハンターって知ってっか？ 悪党ばかりを狙って始末する 闇の掃除屋｡ うわさじゃ そいつの正体は 警官だって話だ｡ 何が言いたい？ 看護師の妹さんは そのこと知ってるのかな？ お前には関係ないだろ｡ ついでに これも うわさなんだが…｡ シティハンターの命を 狙ってるヤツがいるらしい｡ 忠告は したからな｡ (銃声) (物音) 言わんこっちゃない｡ (物音) (ドアが開く音) うぅ…｡ 重てぇな お前は｡ 兄貴！ ハハハ… いや しかし ドジだね こいつ｡ 思いっ切り 階段 踏み外してやんの｡ 取りあえず ここに寝かして｡ はいよ｡ よいしょ｡ (ドク) 随分 派手に転んだね｡ あのケガ…➡ 階段から落ちたものじゃ ない｡ きっと 仕事熱心なんだろうなぁ｡ 刑事として｡ さてと 行くか｡ ありがとう｡ 兄貴を助けてくれて｡ いや… こちらこそ…｡ 優しく看病してもらった お礼さ｡ 初めてだよ…｡ 俺のために悲しむなんて 言ってくれたヤツは｡ うれしかった｡ 自分でも信じられないぐらい｡ うれしかった｡ ♬～ (ドアが開く音) ♬～ 何で 俺を助けた？ 忠告は しといただろ 世話焼けるなぁ｡ まぁ 俺がドジ踏んで もたもたしてたから➡ 依頼主が しびれ切らしたんだろう｡ えっ？ あんたを襲った連中は➡ 俺の代役だ｡ シティハンターの始末は もともと➡ 俺が請け負った 仕事だったんだよ｡ 俺も忠告したはずだ｡ 二度と姿を見せるなと｡ 二度目の忠告は ない｡ バ～ン！ はい 消えた｡ 素人同然だな あんた｡ 仕方ない…｡ 俺も一緒にシティハンター やってやるよ あんたと一緒にな｡ はぁ？ ふざけるな！ お前 何が目的だ!? 妹さん 泣かせたくないだろ？ あのコの涙 見たくないの 俺｡ 俺が先に行く 援護を頼む｡ えっ？ おい！ (銃声) 言わんこっちゃない｡ 槇村 アタック カバー｡ (銃声) (香) 何で こんなものが うちの病院にあるわけ？ 説明して｡ 焼き捨てるんだよ｡ こんなものがあるから この街がダメになって行くんだ｡ それ 警察のやり方じゃ ないよね？ シティハンターって知ってるか？ うわさでは聞いたことあるけど それが何？ あれ… 俺達のことなんだ｡ 兄貴が 何で そんな危険なこと しなきゃなんないのよ！ あ～ もう！ いい機会だ｡ 槇ちゃん 後は俺一人でやるから➡ あんた シティハンターやめろ｡ [外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D]！ 正直 足手まといだって 言ってんだよ｡ いや 俺は やめない｡ あのなぁ…｡ 痛っ！ 痛った！ シティハンターのうわさを 耳にした時から➡ 兄貴なんじゃないかって感じてた｡ (香) 兄貴 正義感が強過ぎるから➡ きっと いつか 警察組織の枠から はみ出すって｡ 香…｡ ハァ… 仕方ない！ 言い出したら聞かない うちの血筋だもん｡ その代わり ムチャは禁止よ！ 約束して｡ はい｡ はい｡ [外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D]は 香さんと槇村を 守るつもりで➡ シティハンターになったの｡ 命知らずで無鉄砲だった あいつを 人間にしたのは香だ｡ だけど [外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D]は彼を 守り切れなかった｡ ハァ ハァ…｡ 兄貴…｡ お願い… 目を覚まして｡ ねぇ 起きて！ ねぇ…！ (泣き声) (冴子の声) [外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D]の悲しみと➡ 香さんへの贖罪は 計り知れなかった｡ (冴子の声) でも 香さんは…｡ すまない…｡ 謝らないで｡ あなたと一緒に シティハンターをやれて➡ きっと 兄貴は自分の人生を 全うしたと思ってる｡ 私がシティハンターを継ぐ｡ 何 言ってるんだ？ 危険過ぎる｡ お前だって分かってるだろ…｡ いいの！ 私も兄貴も この新宿で育った｡ ２人きりだった私達を➡ 受け入れて 育ててくれた この街が➡ 大好きで 大切で｡ この街に住む人達の笑顔を 守りたいっていう➡ 兄貴の思いは…➡ 私が継ぐ｡ だから お願い｡ シティハンターになるための 技術を教えて｡ お願い｡ 香さんを 危険な目に遭わせたくないと➡ 悩んでいた[外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D]も➡ 香さんの熱意に負け➡ 最後には首を縦に振った｡ それで ２人はシティハンターを？ それ以来 香は[外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D]を支え続けた｡ なのに そんな香さんも…｡ (鼓動) ⦅急ブレーキ音⦆ (鼓動) ⦅生きたい…⦆ ⦅あなたから離れたくない…⦆ (鼓動) おい！ 行かせてやれ｡ (ドアの開閉音) ハァ ハァ ハァ ハァ…｡ １人で出歩くなって言っただろ｡ 知ってる｡ この屋上｡ この景色｡ 何で ここに来たか…➡ 分からない｡ 何で こんなことを感じるのか…｡ 何で こんなに胸が苦しいのか…｡ でも…➡ これだけは分かる｡ 心臓が…➡ 香が…➡ あなたに立ち止まってほしくない｡ 全て…➡ 糧にして…➡ 前を向いてほしいって｡ 強く… 強く思ってる｡ そうか…｡ この心臓…➡ 何で こんなに反応する？ 分からない…｡ あなたも…➡ 香も…➡ 生きろと言う｡ 生きるって何だ？ 多分…｡ 今の お前が答えなんだろうな｡ 今 お前は➡ 香の思いを俺に伝えるために ここまで来てくれた｡ 生きるっていうのは…｡ 誰かのことを思うことなんだ｡ 難しいことじゃ ない｡ 誰かのことを思って➡ 誰かのために 一歩を踏み出す｡ それが…➡ きっと 生きるってことなんだ｡ 来てくれて ありがとな 香瑩｡ どうすればいい？ 私は どう 生きたらいい？ 焦ることは ない｡ ゆっくり…➡ 一緒に ゆっくり考えて行こう｡ (ﾊﾘﾙ) これ お礼 おいしいから食べに来てよ｡ 受け取ってやれよ｡ (ｼﾞｪﾐﾙ) 本当に ありがとうございました｡ 待ってるね じゃあね バイバイ｡ バイバイ｡ バイバ～イ！ よかったな 香瑩｡ お前は いいことしたんだよ｡ あの２人にとっても お前にとっても｡ 私じゃ ない｡ お前だよ｡ お前が あの親子を助けたんだ｡ (ドアが開く音) 無事だったか よかった｡ 心配したんだぞ 香瑩｡ 何で 黙ってた｡ ん？ 私の名前 ずっと知ってたのに｡ あっ ごめんなさい｡ あっ 信宏！ (劉) あ痛ててて…！ 心配かけたな｡ 無事で何より｡ [外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D] そろそろ いいんじゃないのか？ ん？ シティハンター復活｡ 悪い冗談だな｡ 何を 今更｡ 他にあるの？ あなたにできること｡ 誰も覚えちゃいないさ 俺のことなんか｡ 素直じゃないんだから｡ ♬～ (香の声) ありがとね [外:EC0D160D9254B2E11D601546DB93002D]｡ ん？ (香) 兄貴の遺志を継いで シティハンターを続けてくれて｡ お互いさまだろ｡ お前こそ よかったのか？ 看護師やめちまって｡ (香) ｢ＸＹＺ｣って➡ ｢もう後がない｣ って意味じゃない？ ああ｡ この街には 私達 シティハンターの助けを➡ 必要としている人達が たくさんいる｡ (香) その人達が 少しでも 幸せになってくれたら➡ 私が生きてる意味も➡ 少しはあるのかなって…｡ 家族を失った私を 受け入れてくれた この街に➡ 少しでも恩返しできるかなって｡ ああ｡ ♬～

八重の桜＃42

1 (板垣)我が党 団結の趣旨は➡ 世論によって 政を行う政治を 起こすためであります！ (一同)そうだ！ 今こそ 政党政治の確立に向け 立ち上がる時であります！ (一同)そのとおり！ そうだ！ (拍手) 明治15年 前年に発布された 国会開設の詔勅を受け➡ 板垣退助は 自由党を結成｡ 拍手が鳴りやみません｡ いま一度 ご登壇を｡ いや もう 今日はこれで｡ ♬～ (相原)板垣！ 国賊め！ ♬～ 先生！ 先生！ 早く 医者を！ ほたえな！ 死ぬか 生きるかゆうくらいで…｡ わしが死んだち…➡ 自由は…➡ 自由は 死なんぜよ！ 先生！ 先生！ 板垣が襲撃された事件は➡ ｢自由ハ死セズ｣の 言葉と共に 全国に広まり➡ 政党政治確立への機運が 一気に高まった｡ (八重)みね 教会を作る資金集めのために➡ 近所の子どもに 英語を教えているそうだ｡ (佐久)今治なんて慣れねえ土地で 苦労してねえべか｡ 楽しくやってるみてえだ｡ 畑で野菜作って 食べるものにも 困らねえって｡ みねは 畑仕事も うめえもんだから｡ うらのやる事 見て育ってっから｡ 姉様… 今 どこにいんだべな｡ (ため息) みねが 嫁に行った事 知らせてやりてえけんじょ…｡ ♬～(ﾃｰﾏ音楽) ♬～ ♬～ (時栄)おいしい！ これ 何どす？ (新島)MILKSHAKEです｡ 牛乳と卵は 成長の糧ですよ｡ 後で 作り方を教えましょう｡ へえ おおきに｡ 襄は 岐阜で襲われた板垣退助様を お見舞いに➡ わざわざ 大阪まで出向いて ﾐﾙｸｾｰｷを振る舞ったそうです｡ (覚馬)板垣さんと つきあいがあったのか｡ いいえ｡ 勝手に押しかけて➡ 大学設立に協力して頂けるよう お願いしてきました｡ 京都に 大学を？ 日本で初めての私立大学です｡ 官立の大学は ともすれば 国の都合で➡ 人を型に はめ込みます｡ 人民の力を育てるには 民間の大学が必要なんです｡ さあ どうぞ｡ 妙な男やき｡ うん｡ 人民の力かえ…｡ わしが それを思い知ったがは 会津の戦の時ぜよ｡ 会津の？ 会津の武士は よう戦うた｡ けんど➡ 領民の多くは 戦を傍観するばっかりで➡ 何ちゃあ やらんかった｡ これを 日本という国に 置き換えてみた時➡ わしは ぞっとしたがやき｡➡ 武士だけが戦うても 人民が そっぽを向いちょったら➡ 国は滅びるろう｡ はい｡ 人民に 上下の区別があっては➡ 日本は 強い国には なれんがやき｡ 領民こぞって 力を合わせちょったら➡ 会津は 焦土に ならんかったかもしれん｡ ♬～ 今年の夏休みの 伝道旅行ですが➡ 会津に行こうと思っています｡ えっ？ 前から一度 東北を回ってみたかったんです｡ 八重さんも 一緒に行きませんか？ どうして 東北に？ 東京や京都だけが 学問の場ではありません｡ いずれ 日本各地に 私学を作りたいのですが➡ まず 東北から始めます｡ 戦の深い傷を負った所から｡ ♬～(ｵﾙｶﾞﾝ) ♬｢Jesus loves me！ This I know,｣ (久栄)♬｢Jesus loves me！ This I know,｣ ♬｢For the Bible tells me so.｣ ≪♬～(ｵﾙｶﾞﾝ) 伊勢さんと みねを 会津に連れていくべか｡ みねか…｡ つらい思いを すっかもしれねえげんじょ…｡ 兄様は？ うん？ 兄様は行かねえのか？ 俺は行けねえ｡ みねの事を頼む｡ はい｡ 学校が夏休みを迎えると➡ 襄と伊勢は 中山道を伝道しながら東へ｡ 八重と みねは 神戸から 船で向かった｡ (せみの声) 叔母様たち 会津に着いたやろか？ まだまだ｡ 昨日 みねさんと 船に乗らはったとこや｡ 父様は 何で 一緒に行かへんのやろ？ ふるさとやのに｡ さあ… 何でかいな？ ♬～(｢会津玄如節｣) ♬｢姿隠しの 霧が降るヨー｣ (手拍子) ♬～ ああ ながなが いい｡➡ きれいだ｡ ♬～ (女)どうぞ お気を付けて｡ 八重さ～ん！ こっちです こっちです｡ 襄｡ どうぞ｡ あれ！ (徳富)お久しぶりです｡ 猪一郎さんも一緒だったのですか｡ そん格好… 相変わらず 鵺んごたる｡ よぐ似合うでしょう｡ はい｡ (海老名)よう来なはりました｡ (みね)みや子さん！ (みや子)みねさん！➡ 元気だった？ (みね)うん！ 安中で伝道する 海老名のもとには➡ 伊勢の妹 みや子が 嫁いできていた｡ お茶とお菓子ば お願いします｡ はい｡ (伊勢)道中 先生と徳富が そばの食い比べば したとです｡➡ まあ 食うこと 食うこと｡ 勝ったのは どちら？ 徳富さんが 11杯｡ 私が 12杯｡ 私の勝ちです｡ それなら よがった｡ 勝負は 負げたら つまりません｡ 次は 負けんたい｡ (笑い声) 今治の教会建設は どぎゃんね？ 着々と献金が集まっとる｡ なあ｡ はい｡ (海老名)よか伴侶ば めとって 伊勢は 果報者たいね｡ おや 私は 果報には ならんとですか？ いやいや 私が 一番の幸せ者たい｡ あなたば 妻に迎えて｡ まあ！ 随分 奥様を 大切になさっていますこと｡ 先生ば 見習うとるだけです｡ 猪一郎さんは 今は 東京ですか？ 熊本に戻って 塾ば開いとっとです｡ お前は 新聞記者になるて 思うとったばってん｡ 青年たちに 自由自治ば 教えとっと｡ 日本の将来を背負うとは 青年だけん｡ そのためにも ｷﾘｽﾄ教精神は 大切です｡ 徳富さん 心改めて また 教会に通って下さい｡ 先生 そん話は 道中で さんざん聞きましたけん｡ もう 許してはいよ｡ 教会に行ってないのですか？ 自分は どぎゃんしても ｷﾘｽﾄ教ば 信じきれんとです｡ ばってん 同志社にいた時から 自分は 新島先生の信者たい｡ ここで別れて 明日は 東京に行くとです｡ 新聞社を いくつか 回りたかですけん｡ 記者の夢は 変わってないのですね｡ いや ただの記者になる気は もう なかです｡ えっ？ 自分で 新聞社ば 作ろうと思うとります｡ 新聞社を作る!? 自分で 新聞社を？ 誰からも縛られんと 自由に 記事の書ける新聞ば➡ この手で作りたか｡ (海老名) 猪一郎らしか でかか夢たい｡ 夢じゃなかと｡ 事業計画たい｡ 国会が開かれるまでに 新聞ば 創刊して➡ 言論の力ば 示すたい｡ では 私から 餞別を｡ 自由党の板垣さんに 紹介状を書きましょう｡ 新島の紹介と言って 訪ねてごらんなさい｡ 先生…｡ ありがとうございます｡ 新聞の創刊 楽しみにしています｡ はい｡ どうぞ 皆さん｡ 会津だ…｡ 襄 こごです｡ こごが 私たちのふるさとです｡ 美しい所ですね｡ ようやく 戻ってきました｡ ♬～ 失礼しやす｡ 晩御飯 部屋に運んでも いいべか？ そうしてくなんしょ｡ 酒は 何本つけたら いいべ？ 要らねえ｡ 酒は 飲まねえから｡ そうがし｡ まだ 何か あっかし？ もう ねえ｡ んだら すぐに支度すっから｡ 偉人みてえな格好だげんじょ 口開けば 会津の言葉だ｡ おかしな お客さんだなぁ｡ うん｡ 宿のご主人に 聞いてきました｡ 会津では 昨年 ようやく 中学校が出来たばかりだそうです｡ 昔は 日新館という 立派な学校が あったげんじょも｡ 日新館には 長州の吉田寅次郎さんが➡ 見学に来らった事も あんですよ｡ 長州の吉田って 吉田松陰？ ええ｡ そのころ 世の中は まだ 少し のんびりしていて…｡ [ 回想 ] (吉田)僕は 長州の吉田寅次郎｡➡ こうやってね 日本中を旅してきたんじゃ｡ それがら間もなく 黒船が やって来て➡ 国中が大騒ぎになりました｡ 会津は 渦中に投げ込まれ➡ 何もかも 無ぐしてしまった｡ みね｡ 明日は 家があったとこに 行ってみんべ｡ ♬～ それ…｡ (みね)おっ母様 私の顔 分がんねえかもしんねえ｡ これがあっと 気付いてくれんべ｡ んだなし｡ ♬～ ここが ご城下だべか…｡ (みね)お城も 屋敷も 何にもねえ｡ すっかり変わってしまった｡ お城は ７年前に 取り壊されたそうです｡ 聞いではいたげんじょ…｡ 家は あっちかな？ 行ってみんべ｡ あんた 嫁さんは？ はっ？ 縁がねえ｡ こごらのはずだげんじょ 目印になんのが 何もねえな｡ (女)何か 用がし？ お尋ねすっけんじょ こごは 米代四ノ丁だべか｡ 元は 焼け野原だ｡ 何町だか 分がらねえ｡ 昔 山本家に嫁いでいた➡ うらという人を ご存じねえでしょうか？ いや～ 聞いた事ねえな｡ 中を見せてもらって いいだべか？ 戦の前のものは 残ってねえよ｡ 蔵も 何にもねえ｡ (みね)本当に ここが 家かな？ あっ！ わあ～！ みね！ 大丈夫ですか？ ええ｡ 何だろか？ ここだけ 掘ったごつなっとる｡ ♬～ (みね)叔母様…｡ ♬～ 角場だ｡ はい｡ ♬～ これ… 的撃ちのだ｡ ♬～ 襄 こごに 角場があったんです｡ 角場？ 鉄砲の稽古をする所だ｡ ♬～ (みね)こっちが 母屋｡ あそこは 畑で…｡ ♬～ ここが あなたが育った場所か｡ 大事なものは みんな こごに あったんです｡ [ 回想 ] お行列が来た！ 時尾さん 早ぐ みんなに知らせんべ！ あの日 兄様が ｹﾞﾍﾞｰﾙ銃を担いで 会津に戻ってきた｡ (銃声) たまげた！ 私も 兄様みでえに➡ 鉄砲さ 撃ってみでえ｡ あれ この子は また とてつもねえ事 言いだして｡ (権八)おめえが 鉄砲撃って なじょする｡➡ おなごは 薙刀さ やるもんだ｡ 鉄砲は 勇ましくて 強くて 不思議で…｡ 私は 夢中だった｡ ダン！ それで 習い始めたんですか｡ そう簡単には いがねえ｡ おなごが 鉄砲撃つなど 許されなかったから｡ こっそり 砲術の本を書ぎ写しては➡ 見つかって 叱られて 取り上げられて｡ それでも諦めなかった｡ もちろん｡ [ 回想 ] (覚馬)にしは 侍の娘だ｡➡ 始めっと決めたら 極めるまで 引く事は許さねえ｡➡ 覚悟は いいな!? はい！ いづか強くなって 会津を守ると 思っていたげんじょ➡ それが なじょな事か あの戦まで 分がんなかった｡ こっちに 土蔵と作業場があって…｡ [ 回想 ] 新式銃は なじょな具合です？ (川崎)これなら ずっと使いやすくなる｡ どれ？ ほら ここです｡ あ…｡ あ…｡ ♬～ (銃声) 命中…｡ よし！➡ 八重さん｡ はい｡ 夫婦になりましょう｡ えっ？ 私は ここで生きたい｡ 八重さんと共に 会津で生きたいんです｡ 妻になって下さい｡ はい｡ 結婚を決めたのも… やっぱり 角場でした｡ あ… ごめんなんしょ｡ 幸せだったんですね 会津の暮らし｡ 思い返せば 一つ一つが いとおしくて…｡ んだげんじょ 穏やかな日々は 途切れてしまった｡ [ 回想 ] (三郎)行ってまいりやす！ 行ってきらんしょ｡ 気ぃ付げてな！ 戦が始まって…➡ 弟は 伏見で命を落とした｡ [ 回想 ] 三郎の敵を討つんだし！ どこへ行くんです!? 誰を撃つ気ですか!? 三郎！ (泣き声) 会津は 都を追われて➡ 新政府軍が ご城下に迫ってきた｡ [ 回想 ] 私たちの大事なふるさと➡ 会津は この手で守る！ 会津は 戦場に変わった｡ [ 回想 ] よ～ぐ狙えば 必ず当たる｡ 合図したら 一斉に撃ちなんしょ！ (少年たち)はい！ さすけねえ｡ 私が一緒だ｡ んだら 行くべ！ (少年たち)お～！ ♬～ 構え！ 狙え！ 撃で！ (銃声) 次！ (川崎)狙え！ 放射 撃て～！ (発砲音) 皆で お城に籠もって 戦って そして…｡ (権八)にしゃ わしの誇りだ｡ お父様！ 旦那様！ お父様！ (砲撃音) ♬～ 燃えでしまったのです｡ 私たちの ご城下が…｡ あれから 14年｡ 必ず よみがえります➡ 八重さんたちの美しい故郷は｡ (お吉)嬢様…｡ 八重嬢様でねえか？ お吉…｡ やっぱり 八重嬢様だ！ みね嬢様か？ お吉！ 嬢様！➡ 嬢様！ 嬢様！ (泣き声) ≪(お吉)早く！ いいって ほれ！ 早くしろ！ (徳造)お元気そうで 何よりだなし｡ ２人は いつ 夫婦になったんだ？ 村に戻って すぐ｡ お似合いだな｡ ｱﾊﾊ…！ あの… 野菜を売りに来たら➡ 洋服着た おなごの話を してる人がいた｡➡ もしかすっとと思ったら やっぱし 嬢様だ｡ 奥様は お達者がし？ おっ母様も 兄様も 京都で 元気に暮らしてる｡ そうがし｡ よがった～！ んだげんじょ 姉様は 米沢で別れたきりだ｡ うら様…｡ 会津に来たら 消息が知れるかと｡ 姉様の事 何か聞いてねえか？ お吉？ 何か 知ってんのがし？ もう 縁は切れたからと➡ 皆様の事は 決して 口にされねえ｡ 姉様に会ったのか!? どこで!? いつ会ったの!? 居所 知ってんのがし!? 教えてくなんしょ！ 訪ねていっても お会いにならねえかもしんねえ｡ そんな…｡ 姉様の居所 教えてくなんしょ！ ♬～ おっ母様…？ おっ母様！ 姉様｡ おっ母様｡ みねです｡ (うら)11年前に 山本家とは 縁が切れた｡ 親子の縁も あん時に切った｡ 待ってくなんしょ！ お吉から聞いた｡ ずっと みねの無事を 祈ってくれていたんだべ？ 私 嫁に行ったんだよ｡ いい人に望まれて みんなに祝福されて➡ 嫁に行った｡ よがった…｡ よがった～！ おっ母様！ みね｡ きれいになって…｡ 幸せに暮らしていんのか？ はい｡ よがったなし｡ おっ母様 一緒に帰ろう｡ 一緒に暮らすべ 昔みてえに｡ この くし…｡ おっ母様の｡ よ～ぐ似合ってる｡ 私は行かねえ｡ (みね)なじょして!? おっ母様一人 置いていけねえ！ 今まで 大事に育ててくれた人を➡ ないがしろにしては なんねえよ｡ 悲しませたら なんねえ｡ んだげんじょ…｡ 姉様｡ あん時 私が 自分で決めた事だ｡ 会津で生きていく｡ 八重さん…｡ ♬～ 達者で｡ ♬～ おっ母様➡ また 一人で…｡ ♬～ 私 余計な事をしたべか…｡ また つらい思いをさせてしまった｡ でも ほほ笑んで おいでだったのでしょう？ 重荷を下ろしたのでは ないでしょうか｡ みねさんの幸せを見届けて｡ 私は 会津に 教会を作ります｡ 傷ついた人が 息をつき➡ 荷物を下ろせる場所｡ 襄…｡ ♬～ 八重たちは 米沢を回ってから 戻ってくるそうだ｡ 会津は なじょな様子ですか？ (佐久)昔の面影は ねえけんじょ 角場の跡が残っていて➡ お吉と徳造に 会えたそうだ｡ 元気でいたのか｡ よがった｡ んで あの２人が➡ うらを助けてくれてんだと｡ 八重たちが うらに会った｡ 心配いらねえ｡ みねは 元気で 今治に戻ったから｡ ♬～ このころ 東京大学 理学部に 奉職する健次郎は➡ 日本初の物理学教授として➡ 学界で 名を成し始めていた｡ (健次郎)気体分子が 陽極と陰極の間で 電離ｲｵﾝ化し➡ その中に電流が走ると発光する｡ 発光を強くするには…｡ (ベル) 時間だ｡ では ここまで｡ 珍しいですね｡ 教授が 授業を 途中で切り上げるなんて｡ 今日は 妹が戻ってくるので｡ 妹さん？ 旅行にでも 行かれていたのですか？ いや｡ 10年ぶりに ｱﾒﾘｶから帰国する｡ (艶)10年間 捨てたつもりで 待ったんだ｡ ♬～ 捨松か！ (捨松･英語で) 捨松！ Mother！ 二葉！ 常磐！ (英語で) ♬～ (英語で) (子どもの泣き声) (英語で) (泣き声) (艶)捨松｡ お前 日本語を忘れたのがし？ (英語で) ♬～ Shut up！ 会津は 逆賊ではない！➡ ｱﾒﾘｶでは考えられない｡➡ 国費で留学した私に 仕事をさせないなんて｡ (勝)おうおう 八重さん｡ あんた➡ 男を見る目があるね｡ はい｡ (大山)捨松さあは 才媛として ｱﾒﾘｶでも 名高か｡➡ 我が妻に 最適ち｡ (浩)妹を 道具のように言うな｡ (大山)おはんは 誇り高か 会津ん おなごでごわす｡ 私がお相手します｡ 捨松さんを 本当に好いていんなら➡ 勝負して 奪ってみらんしょ｡ <明治15年に 新島 襄と八重が訪れた安中は➡ 襄の父と母が暮らした町でした> <今も残る 新島家の住まい｡➡ 京都で 八重に出会う前 ｱﾒﾘｶから帰国した襄は➡ 家族が暮らす この家へ 帰ってきました> <龍昌寺は 襄が 安中で➡ 最初に ｷﾘｽﾄ教の説教をした寺です｡➡ 多くの僧侶が 新しい宗教の教えに 耳を傾けたといいます> <それから ４年後➡ 私設図書館 便覧舎の中で 30人が 襄から洗礼を受け➡ 今の安中教会を設立しました> <安中教会には 八重も 何度か 足を運んでいます｡➡ 襄の没後30年を記念して 建てられた➡ 新島襄記念会堂を訪れた際には➡ 襄の生き方や思い出を 生き生きと 話して聞かせたといいます> <安中は 襄 そして 八重にとっても➡ 特別な町だったのです> (仁左衛門)すぐに 江戸を出ろ｡ さもなくば 容赦はせぬぞ｡ <盗賊 雲霧一党は 仮牢前に 火を放ち➡ その隙に乗じて 因果小僧六之助を連れ去った｡➡ 火付盗賊改方長官 安部式部は➡ 雲霧仁左衛門の早業に 驚くと同時に➡

陸王＃05

1 (茂木)前回より ソールは かなりいい感じだと思います でも ちょっと気になるのが… (村野)アッパーか？ はい 薄手で軽いのはいいんですけど 不安定というか 走っている時に グラつく感じがするんですよ (宮沢)分かりました 次のﾚｰｽまでには必ず改善します (村野)どうした？ この前のトライアルで あんな結果だったんで… ﾆｭｰｲﾔｰには 選ばれないかもしれませんね 最終的には 城戸監督が決めることだからな でも少なくとも俺は お前は いい走りをしたと思ってるよ 私も 同感です ありがとうございます これでﾐｯﾄﾞﾌｯﾄ着地が完成すれば もうﾆｭｰｲﾔｰも大丈夫だ (江幡)ソールの次はアッパーか➡ 一筋縄じゃいかないっすね いくつか つてのある繊維ﾒｰｶｰに 問い合わせたんですが どこも試作品段階の 少ないロットじゃ受注できないと (安田)顧問は昔 繊維ﾒｰｶｰに 勤めてたんですよね 知り合いとかいないんですか？ (飯山)今の俺に力貸してくれる ようなやつなんか いやしねえよ (あけみ)だろうね (坂本)大橋課長に聞いてみては どうでしょうかね？ ええ？ 大橋に？ はい➡ 大橋課長は支店に来る前 本部で 繊維関係を担当していましたから (大地) 銀行は陸王に反対してんだから あんま期待しない方が いいと思うけどね 大地 坂本さんは せっかく提案してくれてんだ やってもみないうちから ダメだと決めつけんな 別に坂本さん 悪く言うわけじゃないけど ただ厳しいって言っただけ 大体 親父が銀行 怒らしたのが悪いんじゃねえかよ ごめんなさい 僕が安易なことを 言ってしまったばっかりに 坂本さん悪くないですよ もうこいつが… 俺は事実を言っただけだよ 親父が 銀行怒らしたのが悪いんだろ お前 酔っ払ってんのか!? ああー！ むーらのさんよ 率直に聞くが 陸王はRⅡに勝てると思うかい？ 私は ｱﾄﾗﾝﾃｨｽに どんなすごい技術があるか 嫌というほど よく分かってます それでも 私はここにいる うん いい答えだ (村野)むしろ ここからが 本当のシューズ開発です アッパー素材は もう少し みんなで探そう (一同)はい (富島)また時間もお金も かかるってことですか (あけみ)暗すぎるんだよ ｸｿｼﾞｼﾞｲ ｱﾝﾀに言われたかないね (家長)まずいですね これは (大橋)ｼｭｰｽﾞの開発費が かさみすぎてる このままだと➡ 近い将来 足袋の方の利益を 侵食するのは目に見えています (家長)大丈夫ですか？ 返済の方は 当面は 社長の解約した 定期2000万円で どうにか… それはただの急場しのぎです (家長)ま 2～3カ月は様子見ますが それでも改善ができない場合は 覚悟していただく必要が あるかもしれませんね➡ 自業自得や さっさと切り捨てろ はい 銀行が そんなことを… 最後通告だな (富島)すぐに陸王を 商品化できないなら➡ 開発はキッパリ やめるべきです➡ そうすれば まだ銀行との 話し合いの余地はあります もう いいじゃないですか 十分やりましたよっ 今ここで諦めたら 親父のやったことと同じでしょう それでも こはぜ屋は残ります 今のこはぜ屋は泥船だ！ いつか沈むと分かってるのに 何もしない船長がどこにいる！ 乗組員達と力を合わせて 生き残る方法を探して 努力するのが 当たり前じゃないか！ 舟を早く沈めてしまうことに なってもですか？ 私はやはり 先代や 先々代と共につくってきた こはぜ屋を 少しでも長く残していきたいっ 私にとって こはぜ屋は足袋屋です シューズメーカーじゃない！ (茜)ただいまー (美枝子)お帰り ﾃｽﾄどうだった (茜)うーん まあまあかな 何あれ？ (美枝子)シーッ ゲンさんと お金のことでやりあったらしくて ずーっと あの調子なの えっ 会社そんなヤバいの？ 陸王の開発に 時間も金も かかりすぎてんだよ (茜)これじゃ海外留学どころか➡ 奨学金で国立の大学 目指すしかないか➡ そうだ 今日のテストで… おつまみ何かいる？ ううん すまん 美枝子 何よ いきなり 定期も崩しちまって これで 陸王がうまくいかなかったら また苦労かけちまうな 今さら何言ってんの これまで楽したことなんか いっぺんもなかったわよ ええ？ でも その度に 頑張って乗り越えてきたんだし 今やっていることが ぜーんぶムダになるわけじゃない いつか 役に立つ時もあるわよ ごめん 怒った？ これは ひっかけだな いや そうじゃなくて… AをBに当てはめるんじゃなくて 今何か… 思いついたんだけど BをAに当てはめんだよ 逆転の発想だよ それだ！ それだっ それだ それだ それだ！ 今日集まってもらったのは みんなに提案したいことが あるからだ まさか ここまで来てやめようって いうんじゃないんでしょうね？ 新製品を開発したい 新製品 また!? 新しい地下足袋だ 地下足袋!? 今さら何だってまた… 生ゴムのソールを シルクレイにする そうすることで この地下足袋が はるかに軽くて丈夫になる 俺は今まで 100年培ってきた 足袋作りの技術を 陸王に生かそうと 躍起になってきた その過程で得たシルクレイと シューズ作りの新しい知識を 今度は逆に 足袋に生かすことが できるんじゃないかと ピーンと来た！ みんなの意見 聞かしてくれ いいじゃない ずっと変わらないのも 大切だと思うけど もっと よくなるなら 変えた方がいいと思う 賛成です！ 俺 その地下足袋作りたいです 大地は？ 顧問がやるっていうなら… 別にいいと思うけど やるっきゃねえだろ こういうのを企業努力ってんだよ 飯山ちゃんに言われても 説得力ないけどね うん… ゲンさん どうだい？ 社長 ウチは足袋屋ですよ やるべきです！ ただし 値段は少し高めに設定して 従来の物との 差別化を図りましょう それでも本当に いい製品なら お客様は 必ず選んでくれるはずです よし！ 決まりだ！ 陸王と新しい地下足袋 これから ますます 忙しくなるよっ よーし みんなっ よろしく頼みます！ (一同)はい！ よしっ <それから1カ月後> <ソール部分を シルクレイで製作した> <こはぜ屋の新しい地下足袋> <その名も｢足軽大将｣が 店舗に並んだ> まずは300足か うまく いってくれるといいけどな (安田)社長ー！ 大変です 社長！ 社ちょ… 社長！ ヤス！ 今 ナトリホームから電話があって 足軽大将 1000足の追加発注 いただきました 現場で口ｺﾐで広がって 一度に20足近く売れたそうです！ (指を鳴らす) い～よっしゃ～！ (大歓声) ≪ﾌｼﾞﾔﾏﾎｰﾑで300足入りました！ (美子)社長 追加注文入りました ｼﾞｮｲﾌﾙﾎﾝﾀﾞで1000足！ こっちもｶｲﾝｽﾞﾎｰﾑから500足 追加発注入りました 販売店も増えてますし 今のままでは 一週間 在庫が持つかどうか よーし！ 製造計画変更だ 5000作るぞ！ よっしゃ～！ 攻めに出るってことですか？ ここが勝負どころだ <逆転の発想で生まれた 足軽大将は> <地下足袋としては 異例の売れ行きとなり> <こはぜ屋を代表する 商品となった> これで陸王 続けてもいいよな 陸王に挑戦していなかったら この成功も あり得ませんでしたからね あがいてみるもんですな (広樹)これで こはぜ屋も安泰か いや 所詮 地下足袋だからな 将来的に厳しいのは変わんないよ (広樹)やっぱり お前が 後を継ぐってわけにはいかねえか 当たり前だろ どっちにしろ 足袋屋なんか継ぐ気ねえよ そんなこと言って 本当は このままでいいと思ってんだろ 就活 最近 ほとんどしてねえじゃん へへへ ほい 一次審査 通った サクラダフーズ？ 大手じゃねえかよ 俺だって ちゃんとやることは やってんだっ (佐山)茂木くーん➡ この前のﾄﾗｲｱﾙﾚｰｽ ええ走りやったなー ありがとうございます すっかりケガも治ったようやし 約束どおり もう一度 ｱﾄﾗﾝﾃｨｽのｼｭｰｽﾞ 履いてもらうことにしたから 新しいRⅡ ぜひ試してみてくれ よく そんなことが言えますね 一旦は俺のこと 見限ったじゃないですか それはまあお互い 多少の誤解が あったかもしれんけど またｱﾄﾗﾝﾃｨｽから ｽﾎﾟﾝｻｰﾄﾞしてもらえんのや 君にとっても悪い話 ちゃうやろ 俺にはもう 履くシューズがあるんで 失礼します (大橋)この足軽ナントカ 本当に こんなに売れたんですか？ うん？ これ 見れば分かるでしょ これ大ヒットだよ 大ヒット 夢でも幻でもない これ現実ですよ つきましては 運転資金として 3000万ほど お貸し いただけませんでしょうか？ ﾗﾝﾆﾝｸﾞｼｭｰｽﾞは どうしたんです？ 地下足袋を作るって話でしたっけ もちろん そっちもやってるよ 今 陸王の新しいｱｯﾊﾟｰ素材を 探してるところなんだ 坂本さんから聞いたんだけど そっち関係の企業の担当 してたんだって？ どこか心当たりあったら 教えてくださいよ 少なくとも坂本さんだったら そうしてくれましたよ 社長 大橋さん あなた走る人かい？ いえ 自分は書斎派なんで 人類ってのはね 走れたから生き残れたんだよ おっしゃってることは よく分かりませんが 私は坂本とは違います➡ 銀行員として見るべきは 数字に表れる結果と実績だと 信じています➡ まあ そういう意味では この売り上げは評価に値する えっ？ 運転資金に関しては 稟議にかけさせていただきます ありがとうございますっ なーんか よく分かんなくなってきたよ あいつ ただのいけ好かない 野郎だと思ってたけど 彼は彼なりに 銀行員としての ﾎﾟﾘｼｰがあるんでしょう (携帯着信) どうした ヤス？ 大丈夫だからね (冨久子)うん… (あけみ)元々 心臓に持病があったらしくて➡ しばらくは安静が必要みたいで➡ 私が 気づいてあげられなかったから➡ すいません 社長 あけみさんのせいじゃないよ 足軽大将で 残業続いちまったからな (米子)私達の仕事は ﾁｰﾑﾌﾟﾚｰみたいなもんやからね 冨久子さん 頑張ってくれてたから 作業の方は大丈夫なのか？ 誰かが 冨久子さんの代わりを やるしかないですよね 少なくとも 2000足は今月末に 納品しなければなりません 私がやるよ あけみさんは今でも 手いっぱいやない これ以上 抱え込んで あけみさん まで倒れられたら元も子もないよ だけどさ… 美咲ちゃん どうだ？ (美咲)えっ… 私ですか？ いや… 無理です そんな 冨久子さんの代わりなんて だけど ウチに来てからずーっと 冨久子さんに仕事を教わってきた 愛弟子みたいなもんだろ？ やれるんじゃないか？ でも… 冨久子さんみたいに うまくやる自信ありません (あけみ)アンタならできるよ 美咲ちゃんは不器用だけど 手を抜いたことは一度もないって 冨久子さん いつも言ってた みんなで力を合わせて 冨久子さん 安心させてあげよう 私 やってみます 足を引っ張ってしまうかも しれないけど よろしくお願いしますっ (家長)3000万ね… こはぜ屋の悪運の強さには 正直 私も驚いております しかし それだけの売り上げが 見込める以上 増加運転資金としての融資なら 問題ないかと いや ある！ いくらヒットしたとはいえ 足袋製造業そのものが 衰退事業や 一過性のものじゃないかね ちゃうか？ おっしゃるとおりです それも考慮した上で 3000万であれば 売上予測に見合った リスクの少ない額かと まあ 今回だけは通してやるか ありがとうございます ただし本当にリスクがないか もう一度 よくチェックした上で 少しでも問題がある場合は 即中止しろ いいな 承知いたしました そっちをハンドリングして ちょっと縫ってみて 踏む はい そうそうそうそう ここが外れないようにね はい ストップ ストップ それぐらいで そこの時にはｷﾞｬｻﾞｰ寄せなきゃ いけないから そこら辺でいい 顧問 すいませんが月末の納品の日 俺 面接で 立ち会えなくなりました まだ そんなことしてんのか しょうがないじゃないですか そうするしかないんですから どこを受けるんだ？ サクラダフーズ 総合職です いや… 言いたいことは分かりますよ そんなことやるために 工学部出たのかって 親父にさんざん言われましたけど でももう 選り好みできないんで 今の段階では あそこの会社がベストなんです そうかい ふーん もったいねえなあ よし 電源落とせ はい あれ？ どうした？ 今 一瞬 警告みたいなの出ました でけえ図体して 繊細だからな こいつは 大丈夫ですかね？ まあ 明日 細かく点検してみるか あの… この機械の設計図って 見せてもらえないですかね？ ダメだ 当たり前だろうが こいつを作れるのは 世界中で俺だけなんだよ その設計図は 俺の魂なんだ そう簡単に 他人に見せるわけには いかねえんだ じゃあ俺 鍵かけてから行きますんで お疲れさまです おう お疲れ ええい！ (騒ぐ声) コラア！ ううっ！ やめろー！ ああ!? よせ 大地 来るな！ 離せ このジジイ！ ≪やめとけ！ ううっ！ ≪いくぞ はい 顧問！ 大丈夫ですか!? 今 救急車呼びますから しっかりしてください 大地 すまねえ… 何言ってんすか… 何言ってんすか こんな時に！ (素子)命にかかわることは ないそうですが➡ 骨折と全身打撲で 少なくとも3週間は➡ 入院が必要だと言われました (あけみ)3週間も？ でもまあ 最悪のことにならなくて よかったですよ ホントに (素子)すいません… 一体 何があったんですか？ いや いいんです いいんです 今はとにかく 早く元気になるようにと お伝えください ありがとうございます (あけみ)お大事に 以前 お金を借りたｼｽﾃﾑ金融の 連中にやられたんだと思います こんなことになってしまって ホントに… 本当に申し訳ございません すいませんっ ごめんなさい… 冨久子さんに続いて 飯山さんか 一難去る前に また一難だな (あけみ)ｼﾙｸﾚｲは 飯山ちゃん いなきゃ できないもんね 足軽大将の製造は しばらく中止するしかないな ウチの信用は 丸潰れだ 俺がやるよ 全部 教えてもらったわけじゃないから 見よう見まねになるところも あると思うけど 大ちゃん 大丈夫？ たぶん 少し前から つけ狙われてたんだ 会社休んで しばらく家に 隠れることもできたはずなのに 顧問は そうしなかった やるしかないだろ 大地 会社に戻る ♬～ (有村)＜目に 高画質＞ わぁ～！ ♬～ ＜耳に 重低音＞ おぉ～！ ＜重低音バズーカ搭載レグザ 誕生＞ ♬～ ｢レグザ｣は 音まで美しい｡ どうだ？ うん よし 陸王の茂木ﾓﾃﾞﾙは もっと精密さが 要求されるかもしれないけど 足軽大将のソールなら これでいける よし！ あとは時間との勝負ですね 一週間で残り1000足 まあいけるっしょ！ 早速 量産に入ってくれ はい まただ どうした？ 分からないけど どっかで 不具合が起こってるみたい 直せるか？ まずは 原因突き止めないことには何とも 社長 大橋融資課長が お見えになりました よし 来たか 融資できないって 理由は何ですか 理由は！ 一度は支店長の決済も 下りかけたんですが 足軽ナントカの製造にかかわる 技術者が 二人も入院したと聞きました 製造は間に合うんですか？ 不測の事態ですが 全社員が その穴埋めを… 不足の事態であろうと 何であろうと結果が全てです！ 現状での融資は できかねます 結果でしょ？ 今月末に 2000足分の納品があるから 問題があるかどうか その結果を 見てから判断してくれませんか？ 必ず ご安心いただける 結果を出しますんで！ どうか お願いします！ (村野)ﾆｭｰｲﾔｰ駅伝のﾒﾝﾊﾞｰはもう？ (城戸)勘弁してくださいよ いくら村野さんでも じゃあ質問を変える 茂木の走りは どうですか？ いいです ﾐｯﾄﾞﾌｯﾄ着地も 身についてきた じゃあ… 皮肉なものです➡ トライアルの茂木の走りを見て 他の連中も気合を入れ始めた➡ 今のあいつらなら 誰を出しても いい結果が狙えますよ (村野)しかし茂木は特別だ 私はそう思っている 城戸さんも 同じなんじゃないですか？ 今回のメンバーだけは 分かりませんよ もう一人 特別なやつが出そうなんでね (村野)平瀬？ 新型のRⅡ (小原)茂木へのプレゼントだ 何としてでも口説け これは？ それで我々の思いも 伝わるだろう クッソ 大地君 帰るね ああ 最後？ うん どう 直りそう？ ううん 頑張ろうね お互い うん じゃ ねえ うん？ 何で あん時 冨久子さんの代わり 引き受けたの？ 断ろうと思えば 断れたのに 初めてだったから 人から あんなに必要とされたの 感動しちゃって ふ～ん でも やってよかったよ こはぜ屋に入って 今が一番 充実してる 分からないことがあったら 意地を張らずに すぐ聞いてみるようにしたの そしたら 気も楽になっちゃったし じゃあね (素子)ちょっと 何やってんのよ！ 絶対安静って言われてるのよ ねっ ちょっと！ 俺は こんなとこで 寝てるわけにはいかねえんだよ 何言ってんのよ 俺が行ってやらないと ｲﾃﾃ… もう嫌だ もうバカ！ 大地からメールが来たんだ うまくいってねえらしいんだよ だからって そんな体で行って 何ができるの 死んじゃうわよ 骨折で死ぬか バカ バカはアンタよ これ以上 心配させないで うん お前の言うとおりだ 俺はバカだ 俺は大バカ者だ ケッ 大地君や宮沢さんに 任せておけば大丈夫よ 今 あなたにできるのは➡ とにかく 早くケガを治すことでしょ おい ちょっと頼まれてくんねえか (素子)うん (佐山)朝練 ご苦労さま ウチからのプレゼント 最新のRⅡ 言ったはずですよ 俺が履く靴はもう… ああ そうそう これも君にあげます 君が期待している その足袋屋 もうすぐ 潰れるで (有村)＜準備は完璧｡ 絶対うまくいく＞ (男性)おう！ あっ！ ＜あれだけ相談して共有して➡ 完璧な資料を作ったのに…＞ (落ちた音)トンッ！ ＜えーっ！＞ ＜薄い 軽い だけじゃない＞ ＜めざすは 世界最強モバイル＞ ＜インテル Core プロセッサー 搭載＞ ぜひ！ わが社にお任せください｡ ♬～インテル 入ってる ＜｢dynabook｣で良かった＞ もう クッソ お兄ちゃん お前 いつ来たんだよ さっき そこで待ってろっつったの お兄ちゃんでしょ えっ？ はい これ 着替えと差し入れ ああ ありがとう そこ置いといて よかったね はあ？ 何それ 嫌み？ だって お兄ちゃん すごく楽しそう じゃ お邪魔しました こんにちは こんにちは あっ 親父なら 今 事務所の方にいますけど ううん 今日は大地君に用があって 俺？ これを届けるようにって 主人から ああ… えっ？ 後は頼むって 《その設計図は 俺の魂なんだ》 《そう簡単に 他人に 見せるわけにはいかねえんだよ》 <すげえ こんな複雑な仕組みを> <顧問は たった一人で> <それは まさしく> <飯山の執念の結晶とも言うべき> <設計図であった> <あっ エラー番号リスト> <確か 今回のエラー番号はx7A012> <一体 どこのエラーなんだ> あった！ ｢中央制御センサの異常｣ <中央制御センサ> <確か ここら辺に… あっ これだ！> やっぱり ここか よしっ <これも異常なし> <この中の どれかが> <不具合を 出してるはずなんだけど> <何だ？ あれ> これか？ (ドアを叩く) 顧問！ おう どうしたんですか 退院してきた 自主退院だけどな ムチャですよ おい 状況はどうだ？ 中央制御ｾﾝｻにｴﾗｰが出たんで 分解しました ここを見てください おう 間違いねえ これだ！ よく見つけたな お前 明日の朝一番で ここの部品 注文します それは無理だ もう売ってねえよ 随分前のもんだからな えっ じゃあ… そのために来たんだよ おい あれだ はい うん お前んとこのミシンと一緒だ あれは世界に たった一台しかねえ 特別なマシンだからな だから こういう時のために 使えそうな部品 集めといたんだ やっぱり部品は生命線ですか ああ だが 勘違いするな 部品は所詮 部品だ 本当に大事なのは そんなもんじゃねえ 何です？ ノウハウですか 人だよ 絶対に代わりがねえのは 物じゃなくて人だ なあ 大地 お前っていう人間は この世に たった一人しか いねえんだぞ 代わりは いねえんだ だから もっと自分にプライドを持て ただの部品には なるな 会社の大小や 肩書なんて大した問題じゃねえ 本当に大事なのは 自分と 自分の仕事に どれだけ胸を張れるかだ そんな仕事 俺にも見つけられますかね もう とっくに見つけてんじゃねえのか うっ うっ… あっ 大地 そろそろ戻るぞ (八百屋のおばちゃん)朝摘みだからさ！ (アスカ)新鮮なうちに｡ ＜新技術 ミストチャージユニット 搭載＞ ＜水分チャージで 摘みたてのおいしさを＞ ＜鮮度なら東芝 新鮮 ５つ星｢VEGETA｣＞ ピンときちゃった｡ (満島)ふぅ…｡ ＜業界初！ ウルトラファインバブル洗浄＞ ＜ナノサイズの 100億個の泡が➡ 洗剤を 繊維の奥まで運んで 汚れを落とす＞ ＜驚異の洗浄技術＞ ＜東芝｢ZABOON｣ 誕生＞ ピンときちゃった！ 熱も下がって ぐっすり眠ってる よかった ほら 帰ろう 何で 飯山さんみたいな人が 倒産しちまうんだろうな あんだけ一生懸命な人がさ 茂木と同じだな 前にも言ったけど どんだけ努力したって できないことって あるんだよ 彼らのゴールを勝手に作るな 茂木選手も飯山さんも まだ走ってる途中なんだ 走り続けてるかぎり まだ負けじゃない 全力で頑張ってる人間が 全ての勝負に負けるとは 俺は思わない いつか必ず勝つ 茂木選手も 飯山さんも 大地 お前もだ よ～っしゃ 直った！ よしよし… やったやった やった やった～ ああ～！ やった やった シルクレイ 生産再開だ！ おう！ これが最後の200足だね はい (あけみ)大ちゃん よくやった よく間に合わせた アンタは偉い！ 偉い！ 偉いっ アンタは偉い 偉いっ おう 大地 急がねえと ｻｸﾗﾀﾞﾌｰｽﾞの面接 間に合わないぞ ああ すみません 後は お願いします (あけみ)大丈夫 後は私らに任せな 大ちゃん 頑張れよ 面接中に居眠りするなよ！ あれっ 今日は？ 足軽ナントカの大量納品は 今日ですよね 融資は それを見て判断しろと おっしゃったのは あなたですよ それで 間に合ったんですか？ 鋭意 努力しております 必ず間に合わせます なあ みんな！ オー！ よし やろう やろう (安田)よし 行くぞ！ どうにか間に合いそうだね うん (安田)社長 これ ソールに亀裂が えっ？ どういうことだよ 分かりません 前回 検品した時は 問題なかったんですが 今 最終チェックしてたら これ ｼﾙｸﾚｲの機械が 壊れる寸前に作った分だね あの段階から不具合が？ 100足近くあります どうしますか 社長 どうするって これをお客様に 売るわけいかんだろ 作り直しだ！ ヤス 正確な数 調べてくれ (安田)はい (携帯着信) はい えっ？ シルクレイ製造機の 操作方法を教えてくれ ☎ムチャ言うなよ そんな簡単に できるかよ 大丈夫 とにかく お前の 帰る時間まで待ってられないんだ 心配すんな 絶対 何とかするから じゃ メモメモ メモ出して メモ？ うん うん ああ～ もう！ よし いいぞ 教えてくれ ☎まず 繭を煮る温度を95度に設定して ☎それから 繭を入れて… こんな急場しのぎで 大丈夫なんですか たとえ納品できたとしても 品質に問題があったら それこそ こはぜ屋さんの信用は 地に落ちますよ 《(飯山)本当に大事なのは 自分と》 《自分の仕事に どれだけ胸を張れるかだ》 《そんな仕事 俺にも見つけられますかね》 《もう とっくに見つけてんじゃねえのか》 《全力で頑張ってる人間が》 《全ての勝負に負けるとは 俺は思わない》 《いつか必ず勝つ》 《茂木選手も 飯山さんも》 《大地 お前もだ》 ヤス どうだ？ ダメです やっぱり 微調整は顧問か 大ちゃんじゃないと難しいですね こりゃ納品は 無理かもしれないね 宮沢社長 納品は18時って言ってましたよね 間に合うんですか？ まあ 察するかぎり 無理のようだ➡ では 大橋課長 融資の件は また改めて お願いに… (富島)大ちゃん！ (あけみ･安田)大ちゃん!? 大地 お前 面接は？ こんなんで行ったって 受かるはずねえよ 俺がやるから 絶対 間に合わせる 最後まで やり遂げたいんだ なるべく早くね 私だって 必死なんだから おう よっしゃ～ じゃあ もうひと踏ん張りするか！ 社長 繭 取り行きますよ おう (あけみ)みんな行くよ よっしゃ～！ しぶといだけが ウチの取りえなもので いいんですか 製品をこんなに粗末に扱って いや これは先ほど出た不良品です 不良品？ どこが悪いんですか？ (富島)この筋が問題なんです こんな細かい傷 一度 履いたら分かりませんよ いや これが 100年 守り続けてきた こはぜ屋の品質 プライドです これより ニューイヤー駅伝に出場する 7人を発表する 立原 内藤 はい！ (城戸)オリユク イエス (城戸)水木 川井 はいっ 平瀬 はい！ (城戸)最後は… 茂木！ はいっ 稟議の再検討を重ねた結果 満額の融資というのは やはり では いくらなら？ 2000万 6カ月の短期資金という形でなら 6カ月って それじゃ 結局 すぐに借り換えなきゃ ならないじゃないですか 減額は ともかく 返済期間は何とかなりませんか 申し訳ありません また今回のようなことが いつ起こるとも 限らないというのが理由です しかし 足軽大将は きっちり納品しました その結果を考慮して… ダメなものはダメなんです！ 私の力不足です 本当に申し訳ありませんでした ですが 以前 担当していた タチバナラッセルという会社で 作っているものです 社長が おっしゃっていた ｱｯﾊﾟｰ素材の件を問い合わせたら 興味を示していただけましたので お持ちしました タチバナラッセル？ どこの繊維メーカーですか いえ メーカーではなく織物の会社です 織物？ そっちには気が回んなかったな これ どう思いますか？ これ いいな ゲンさん ええ でも どうして 陸王には反対だったんじゃ？ あなた方が作業を しているところを初めて見ました 《(富島)大ちゃん！》 《俺がやるから 絶対 間に合わせる》 《(富島) これが100年 守り続けてきた➡》 《こはぜ屋の品質》 《プライドです》 こはぜ屋さんは 将来性のある会社だと 銀行員として そう判断しました それだけです 新しい陸王 完成したら 私 買います ありがとう ありがとう ありがとう 大橋さん！ <数日後 宮沢は村野とともに> <大橋に紹介された編み物会社> <ﾀﾁﾊﾞﾅﾗｯｾﾙを訪れていた> (橘)布には織物と 編み物があるのは ご存じですか？ はい ウチは編み物の中でも 経編みという 編み方の新技術で 特許を持ってるんです その最大の特徴は 柔軟性と耐久性を保ちながら 通気性に優れていることです これが弊社の持つ特許 ダブルラッセルで編まれた布です ああ 確かに しっかりした強度があるのに しなやかですね 長さは？ 一反です ちょっと いいですか？ はい 軽い よかった 次に お見せするのが… 橘さん あの 発注は どのくらいから 受けていただけますか？ 正直言うと 陸王は まだ試作段階で 大量発注することが できないんです 構いませんよ 元々 ﾗﾝﾆﾝｸﾞｼｭｰｽﾞには興味があったんです でも 起業3年目のﾍﾞﾝﾁｬｰなんて 大手ﾒｰｶｰからは どこも相手にされなくてね だから ウチの技術を必要だと 言ってくれて 本当に嬉しかった 宮沢さん 私の方こそ お願いします ウチの特許 生かしてやってください！ はい 必ず 約束します ありがとうございます いいですか あっ ありがとうございます いえ お願いします 頑張りましょ ありがとうございます どうぞお願いします 茂木 見つかったぞ 最高のアッパー素材を手に入れた ニューイヤーまでには 完全な陸王を必ず届けるからな 村野さん こはぜ屋さんのｱﾄﾞﾊﾞｲｻﾞｰ どうして引き受けたんですか？ どうした 急に？ 《はっきり言って この会社 シューズ業界に参入するどころか》 《いつ倒産しても おかしくないことが》 《これを見れば一目瞭然や➡》 《メインバンクからも 融資を 打ち切られたという情報もある》 《そんな状況やから わらをもつかむ思いで➡》 《君に すり寄ってきたんちゃうかな➡》 《シューズの合う合わんは もちろん重要や》 《せやけど 倒産のリスクを 抱えてるような会社と》 《サポート契約を結ぶのは 自分の首を絞めるだけちゃうかな》 《君と こはぜ屋では ミスマッチや》 村野さん 確かに陸王は 素晴らしいシューズだと思います でも それを作る会社自体が なくなってしまったら 全てムダになってしまいますよね それでも村野さんは 陸王を履くべきだと 言い切れますか？ 分かりました みんなには 私から伝えます 社長 できました！ お願いします 来ました 来ました 来ました お願いします 完璧です よっしゃーっ！ やったー！ 痛い痛い痛い… みんなのおかげだ どうもありがとう 社長 茂木ちゃんが 首長くして待ってるよ 早く届けにいってあげなよ ああ ただ… アトランティスの野郎 汚えまねしやがって！ 茂木ちゃんも 茂木ちゃんやで！ 私ら必死になって アッパー素材まで探して やっと陸王 完成させたっていうのに (一同が同意する) あいつを 責めることはできません！ ランナーにとって どこのどのシューズを履くかは 選手生命にもかかわる 重大なことなんです だから 本当に納得のいく 一足を選択するのは ランナーの当然の権利だ！ 俺達が ここまでそうだったように 茂木も必死なんだよな 人生懸けてっから どうよ ええやろ それ？ ええ まあ おいおい もっとはっきり ええって言ってくれよ 最高やろ？ 何せ 君が以前 履いてたモデルを さらに うん百万かけて 改良したんや 大きいスポンサーやないと できへんことやで 最高かどうかは これから確かめます こちらの要望に合わせて さらに 修正はしていただけるんですか？ もちろん ニューイヤー駅伝に それ履いて 結果出してくれたらな 分かりました そうか 分かってくれたか もういいですか 練習の途中なんで ああ すまん すまん すいません (平瀬)いいんじゃないか アトランティスのサポートの方が 安心できるっていうなら そっちを選ぶべきだ 情に流されて 自分の気持ちを偽る必要はない お前の責任を取れるのは お前だけなんだ はい ただ ケガの再発だけは 気をつけろよ RⅡで大丈夫なのか？ それは問題ないです ミッドフット走法も だいぶ身についてきたんで そっか はい ご心配おかけしました すいません まったくだよ お前まで… 挫折してほしくなかったからな 俺… やめるわ ニューイヤーを最後に引退する ちょっと待ってくださいよ 何で… 限界が見えちまった➡ 俺も お前と同じケガして それからずっと またいつ再発するかもって どっかでビクビクしながら 走ってた だからお前のことも ずっと心配だったよ でもお前は そんな俺を いとも簡単に追い抜いて➡ あの瞬間 お前や毛塚には もう追いつけないって 悟ったんだ そんな… でもこれで やっと吹っ切れる お前のおかげだ➡ ありがとうな 茂木 お前は俺の分まで走れ 俺の夢は お前に預ける あっ いた まだ分からないだろ 迷ってるだけかもしれない 大地君の言うとおりですよ とにかくこの 陸王の完成品だけでも渡さないと しっかりしろよ 親父 うん そうだな いや すまん すまん よしっ よーし！ これが 今の我々にできる 全てをつぎ込んだ 完全な陸王です ぜひ試してみてください ありがとうございます おっ ああ だが アッパーの強度は上がっている➡ 前のものより はるかに 安定感が得られるはずだ➡ 履いてみろ はい よし ありがとうございます 走ってみてもいいですか？ もちろんだ どうだ？ 何なんですか この靴は？ ああ 何て言ったらいいか こんなにも気持ちのいいｼｭｰｽﾞは 初めてなんですよ 本当に最高のｼｭｰｽﾞだと思います よかった でも… すいません 俺はまだ… いいんです 村野さんに聞いてますから ショックじゃないと言ったら 嘘になるけど みんなと相談して決めたんです 茂木さんが どんな決断をしても 俺達は茂木裕人を応援する おい あれあれ 息子の大地です どうも これ 会社のみんなからです ありがとうございます どうしてこんなこと… もし俺が陸王履かなかったら こはぜ屋さんにとっても 死活問題なんじゃないんですか？ そりゃあ こはぜ屋としては 陸王を履く茂木選手を支えたいし それがﾋﾞｼﾞﾈｽになったら最高です でも たとえ それができなかったとしても 私達と茂木選手の絆が 消えるわけじゃない 茂木選手がいたからこそ ここまで陸王を 作り続けることができたんです 迷惑かもしれないけど 俺達は もう勝手に 茂木選手を仲間だと思ってるから だから 本当に納得のできる答えを 選んでほしいんです これだけは… 言わせてください 確かに こはぜ屋は 小さな足袋屋かもしれません でも 100年間 技術を守り抜いてきた 諦めの悪い人達ばっかりなんです だから そう簡単には 絶対に潰れません こはぜ屋を信じてください お願いします もし今回がダメでも 次か その次か いつか茂木さんに 信頼してもらえる会社をつくって 再挑戦させてもらいます 大地 ありがとな えっ？ こはぜ屋を 信じてくれって言ってくれて 俺は ただ 何としても 茂木に陸王を 履いてもらいたかっただけだよ 見たいんだよね 俺達が作った陸王を履いて 茂木がレースに勝つところを おお 俺もだ！ 痛えよ (村野)いいか 茂木 悔いのない走りをしろ そのためなら どっちのシューズを履こうと 俺達は構わん (ｱﾅｳﾝｻｰ)2018年 新しい年を迎えました➡ 皆さん あけまして おめでとうございます➡ 今年最初のｽﾎﾟｰﾂｲﾍﾞﾝﾄ 第62回全日本 実業団対抗駅伝 ﾆｭｰｲﾔｰ駅伝➡ ここ 群馬県庁前をスタートし➡ 新春の上州路を駆け抜ける 100キロの7区間➡ 駅伝日本一に輝くのはどのﾁｰﾑか ｽﾀｰﾄの時が迫ってまいりました (ｱﾅｳﾝｽ)毛塚直之 すごいな 正月から こんなに観衆が集まるなんて 今年は特別じゃないかな 今や長距離界のプリンスの 毛塚が出場するからな 大丈夫ですかね 茂木選手 陸王履いてくれますよね？ おお 当たり前だ 村野さん どうやら 6区に直前で メンバー変更があったらしい 誰がかわったんですか？ アジア工業の田中に替わって 毛塚だそうです 毛塚が 茂木と 同じ区間走るんですか!? アジア工業 第3区の毛塚が 第6区へ 第6区の田中が 第3区へ移動いたします 役者は揃ったな 大宣伝になるぞ これは あの 昨日 ｱｼﾞｱ工業の清崎監督と 何かお話しされてましたが まさかこれも小原部長の… 私は ただ 今後もｱﾄﾗﾝﾃｨｽは➡ 全力でｱｼﾞｱ工業をｻﾎﾟｰﾄしたいと そう言っただけだよ それより 茂木は 間違いなく RⅡを履くんだろうな？ 間違いありません 不屈のランナーの 華麗な復活劇 宿命のライバルとの激闘 RⅡにふさわしい 最高の舞台じゃないか はい イッツ ショータイム (スターターピストルが鳴る) ダイワ 頑張れ！ いけいけ 茂木にタスキつなげ！ いけっ 茂木のスタートまで どれくらいですか？ ペースにもよるが 3時間半後ぐらいだ よし じゃあ 俺達も6区に移動しよう (江幡)あけみさん 社長達来ましたよ (美咲)社長 こっち こっち おお みんな 新年早々来てくれてありがとね (あけみ)当ったり前だべ 茂木ちゃんが 陸王履く姿見なかったら ウチらの新年 始まんないんだもん (小原)ああ これは これは お役に立ててますかな ｳﾁのお下がりｼｭｰﾌｨｯﾀｰは？ 村野さんには 新製品の開発に とても力を貸していただいてます それはよかった ああ 来た来た やはりお前には 田舎の 足袋屋くらいが分相応だったか ちょっと アンタ 田舎の足袋屋で悪かったね でもさ 村野さんに見限られたの アンタ達の方だからね 大体さ… ところで 今日は 皆さん どうしてここに？ 茂木ちゃんの応援に決まってん だろうが 茂木ちゃんの！ ウチの選手を 応援していただけるとは ウチの？ あれ 聞いてないんですか？➡ 彼のサポートを 再開しましてね 当然 今日も彼には RⅡを 履いてもらうことになってます えっ もう決まっちゃったんですか？ 茂木ちゃんに限って そんなことあるわけないだろ (小原)すぐに分かりますよ 来ました あっ 茂木ちゃん ほら！ (歓声があがる) (大歓声) 茂木ちゃん履いてる 大丈夫 絶対 茂木ちゃん 陸王履いてる そんな… まあ そういうことですんで➡ しっかり応援の方 よろしくお願いしますよ ハハハッ ハハハハハッ… みんな 元気出せっ こうなったら 茂木選手を 精いっぱい応援しようじゃないか RⅡを履いた茂木をですか？ (あけみ)何のかんの言っても 茂木ちゃん 陸王履いてくれるって 信じてたのに これでまた 商品化は遠のきましたね いや まだ終わってないかも 佐山ーっ！ (佐山)ちょっと茂木君 どういうつもりなんっ!? ウチのRⅡ履くって言ったよなっ!? ええ だから履いて ギリギリまで試してたんです 自分には どっちのシューズが 合っているか 君は ｱﾄﾗﾝﾃｨｽより あんな吹けば 飛ぶような足袋屋を選ぶんかっ!? 俺はただ いいシューズを履きたい それだけです ふざけんなっ そんなもん認めへんぞ！ (村野)そこまでだ！ レースを前にした選手に 心ない 言葉をかけるのはやめなさい！ 今 茂木としゃべっとんねん 部外者はどっか行けーっ！ それは違いますよ あなた今 私達のことを 吹けば飛ぶような足袋屋と おっしゃいましたが 茂木選手が選んだのは アトランティスではなく その足袋屋の靴だ 部外者は あなたの方です これ以上 ウチの サポート選手の 邪魔をするのは やめていただきたいっ！ 嬉しいです 陸王を選んでもらって こんないいシューズもらって 履かないわけにはいきませんよ ありがとう 私達こはぜ屋は あなたを見捨てるようなことは 絶対しない 約束します (あけみ)茂木ちゃーん！ (こはぜ屋一同) 茂木 いけーっ 頑張れー！ ファイトーッ 茂木！ 思いは… 一緒に走ってるからっ はい

BARレモン・ハート２nd＃07

1 (松ちゃん) どっかに金のなる木はないかな｡ (ﾏｽﾀｰ)何ですか やぶから棒に｡ 今月 金欠でさ｡ メガネさん 100％当たる 万馬券ってないかな？ (メガネさん)ケッ｡ そんなの俺が知りたいぐらいだ｡ ハァ…｡ あっ 社長 ここにいたしましょう｡ えっ？ おいおい 何か しみったれてんな｡ なっ 銀座 行こう｡ もうちょっとで落ちそうな チーママがいるんだよ｡ 社長！ ハァ…｡ いらっしゃいませ｡ なかなか 良いお店ですね｡ どうぞ｡ 色気も何にもないのね｡ そこが良いんです｡ 余分な金を支払わずに済みます｡ 何を お飲みになりますか？ そうね じゃあ レミーマルタンのルイ１３世…｡ 安い酒を下さい｡ え？ この店で一番安い酒です｡ 駄目でしょうか？ いいえ｡ では 究極に安い酒を お願いします｡ おい おい おい！ みっともないから おやめなさいよ｡ なぜですか？ ここでの領収書は 接待費で落ちませんよ｡ いや そういうこと 言ってんじゃないんだよ｡ 何だか面白そうな人たちだね｡ フフッ｡ こいつはね うちの会社の経理でね｡ 私が銀座で飲み歩いていることが 気に入らないんですよ｡ 気に入らない訳ではありません｡ 無駄だと申し上げているんです｡ 一夜で30万円以上のお金を 高級クラブで使うことに 会社として どんな意味があるんですか｡ 俺の会社だ！ 金を どう使おうが 俺の勝手だ｡ フン｡ かしこまりました｡ え？ お酒の価値は値段ではありません｡ それに お客さまのご希望に できるだけ お応えするのが バーマンの務めです｡ 今夜は うちにある中で 究極に安いお酒を 選ばせていただきます｡ よろしくお願いします｡ 勝手にしろ｡ えー 一番安いお酒…｡ やっぱり これですかね｡ こちら…｡ トリスです｡ やっぱり！ (斎藤)え？ すいません｡ 究極に安い酒って聞いて ちょっと気になっちゃって｡ うちの常連の方々です｡ どうも｡ どうも｡ で 飲み方は いかがなされますか？ その前に 一つ質問をしても よろしいでしょうか？ はい どうぞ｡ 何を基準に トリスを お選びになったんですか？ 安いお酒ということでしたので 安さを基準に選びました｡ トリスは 小売価格が900円です｡ 他の候補は？ お出ししましょうか？ お願いします｡ はい｡ えーと うちにある中で 安い部類といいますと…｡ まず ハイニッカ 1200円｡ 角が 1414円｡ ホワイトが 1174円｡ レッドが 884円です｡ あれ？ トリスより レッドの方が安い｡ １ミリリットルの値段ですね｡ さすが｡ そのとおりです｡ え？ 入ってる量が違うだろ｡ トリスは 700ミリリットル｡ レッドは 640ミリリットルだ｡ ああ なるほど｡ １ミリリットルの価も 明確に出しましょうか？ ならば 私が｡ おい！ およしなさいよ｡ こんな所で電卓たたくのは｡ すぐに終わります｡ (斎藤)ハイニッカ 720ミリリットル 1200円｡ (斎藤)１ミリリットル １.６円｡ 角… ２.０円｡ (斎藤)ホワイト… １.８円｡ レッド… １.３円｡ トリス… １.２円｡ なるほど｡ つまり 安さの順に並べると…｡ こうなります｡ あー やっぱり トリスが一番安いんだ｡ さすが マスター｡ 大したことじゃありませんよ｡ いや 大したもんだ｡ 普通のバーじゃ この手の酒は なかなか置いてないからな｡ 懐かしがって たまに飲みたがる お客さんがいらっしゃるんですよ｡ だいたいね この辺のお酒の 上にくるのがダルマ｡ その さらに上にくるのが ローヤルだ｡ あのころはな 出世するたびに 酒を替えたもんだ｡ こちらですね｡ お～！ 懐かしいねえ｡ ハハハ｡ その形からダルマって 呼ばれてるんですよね｡ 関西じゃ たぬきと呼ぶ人もいるらしい｡ へぇ～｡ マスター ロックで｡ 駄目です 社長｡ トリスを二つ｡ ロックでお願いします｡ よろしいですか？ はーい｡ かしこまりました｡ 角か｡ 思い出でもあるのか？ 駆け出しのころ 打ち合わせが いつも 新宿のｺﾞｰﾙﾃﾞﾝ街であって そこで出てきたのが いつも 角だったんだよ｡ 酔っぱらうと 先輩が ｢角は いつか見た男の青空です｣ って｡ 井上陽水のＣＭですね｡ そう！ カッコ良かった～｡ ＣＭでいえば 俺はホワイトだな｡ サミー･デイヴィスＪｒ.が カッコ良かったんだ｡ へぇ～｡ お待たせしました｡ トリス ロックです｡ ちょっと待ってください｡ え？ 作っていただいたのに 大変 恐縮なんですが 先ほどの計算で 大切なことを 見落としておりました｡ と言いますと？ アルコール度数です｡ あー お酒ですから ｱﾙｺｰﾙ度数を 無視するわけにはいきませんよね｡ やはり｡ それでは この際ですから 焼酎なども範疇に入れてみては｡ おい！ 俺は ｳｲｽｷｰしか飲まんぞ｡ おい これでいい｡ でも 究極に安いお酒というのが ご希望ですから それが はっきりしないと…｡ え…｡ 少々 お待ちください｡ あー くそっ！ では これは…｡ あっ あっ｡ で アルコール度数は どういう風に計算しましょうかね？ あっ それは簡単です｡ まずは ボトル１本の アルコール量をもとめ その後で １ショット 30ミリリットルの単価を出します｡ はあ…｡ アルコール量は 酒の容量 掛ける アルコール度数で算出できます｡ １ショットの単価は…｡ さあ 始めましょう｡ はあ｡ (斎藤)出ました｡ はい｡ アルコール度数を考慮した １ショットの値段｡ 端数 切り捨てです｡ はい｡ そして トリス｡ レッドの逆転だ！ はい｡ ということで 順番は…｡ このようになります｡ では マスター レッドを二つ お願いいたします｡ いやあ お見それいたしました｡ ああ｡ お待たせしました｡ 究極に安いお酒 レッドです｡ (丸山)はいはい｡ ありがとうございます｡ いかがですか？ いやいや いかがですかって レッドはレッドだよ｡ 問題ありません 酒の味がします｡ レッドは かつて赤札というふうに 呼ばれていたのはご存じですか？ 赤札？ はい｡ それに対して 白札がホワイトだ｡ さすがは社長 お詳しいですね｡ 親父に聞かされたよ｡ 昭和４年に サントリーが 国産ウイスキー 第一号として 造ったのが このホワイト｡ 社長のおっしゃるとおり 当時は白札という名前でした｡ ところが この白札は ピート臭が強すぎて 不評に終わってしまいます｡ で 翌年に ブレンドを変えた弟 レッド｡ つまり 赤札が発売されました｡ ところが この赤札も 急場しのぎに造ったために 消費者の不評を買って 結局は 製造中止になってしまいます｡ 製造を再開したのは 確か 昭和39年｡ 東京オリンピックの年だったかな｡ はい｡ 当時 ニッカウヰスキーが 500円でハイニッカを 発売したんですよ｡ それで ライバルのサントリーは これに対抗して 同価格帯でレッドを復活させたと いわれています｡ ホワイトの弟がレッドで レッドとハイニッカは ライバルなのか｡ 面白い｡ ハハッ｡ 社長もレッドの世代なんじゃ ないんですか？ さあね｡ マスター｡ お代わり｡ はい｡ いいんですか？ レッドで｡ ああ｡ こいつが うるさいからね｡ ハハハ｡ 酔われてしまったようですね｡ ああ こいつは もともと酒が弱いんだよ｡ たった一杯で つぶれやがって｡ お前はね 安上がりな男だよ｡ ん～｡ お酒の高い安いは ご本人の体質も 関わるみたいですよね｡ それは あるね｡ フフフ｡ どうぞ｡ あっ ありがとうございます｡ おいおい ちょっ… お前じゃないよ｡ お前じゃない｡ えー？ 私だってね まだまだ飲めます｡ マスター｡ タクシー タクシー｡ 分かりました｡ タクシー!? そんな ぜいたくなもん…｡ おい ちょっと お前 そんなこと 言ったって歩けないだろ｡ 歩けますよ！ だって ほら こうやって…｡ あー あー 危ない｡ ああ…｡ 何で タクシーなんて そんな ぜいたくなもん｡ だいたいね 社長は ぜいたくが過ぎるんですよ！ 分かった 分かった｡ あのね 特に酒｡ 酒が ひどい｡ 世の中で一番高いお酒が 何だか教えてあげましょうか｡ それはね ホステスにねだられて 入れるボトルですよ！ そして最後に振られたら それは計算できない高い酒だ！ 分かるか!? この どスケベ エロ社長が！ 何ぃ!? ああ まあまあ…｡ あの… 腰掛けてください｡ アハッ いただきます｡ あああ… おいおい！ おい やめとけ｡ あー うまい｡ あー うまいな！ 安い酒 最高！ アハハハハ！ アーハハハ｡ あら…｡ おい｡ 斎藤｡ おい！ ハァ…｡ ん？ 何？ うるさいよ｡ あのね！ 私はね 会社を すごーく愛して ながーく愛して 愛して 愛して 愛して…｡ ハァ…｡ お代わり いかがですか？ お願いします｡ はい｡ ハァ…｡ あっ 皆さん お騒がせして すいませんでした｡ ああ いやいや｡ いやいや｡ ハァ…｡ それより 社長の会社は安泰ですね｡ フッ｡ ええ そうですね｡ ハハッ｡ ハッハッハッ｡ マスター｡ はい｡ 一つ頼んでもいいですか？ はい 何でしょう？ いや あの…｡ ちょっとね 懐かしい飲み方を 思い出しちゃったもんだから｡ もし良かったら 爆弾やらせてもらえないかな｡ あ～！ 爆弾って何？ ビールとウイスキーの ちゃんぽんさ｡ 日本じゃ爆弾だが カクテルにも ビールとバーボンを合わせた ﾎﾞｲﾗｰﾒｰｶｰっていうのがあるんだ｡ いやいやいや われわれのはね そんな高尚なもんじゃないんだ｡ それにね まあ ちょこっとした 流儀があるんですよ｡ へぇ 何か よく分かんないけど マスター 僕も それ頂戴｡ じゃ 俺もだ｡ そうですね もう お客さまは 皆さんだけですし 今夜は一つ 社長に爆弾のやり方を 教えてもらおうじゃありませんか｡ あっ じゃあね お騒がせしたお詫びに 奢らせてください｡ やった！ ヘヘッ｡ まずは ウイスキーの入った ショットグラスを グラスの上に掲げる｡ そして 落とす｡ うわ～！ はい｡ うっ｡ ハハハ！ そして 飲む｡ あ～｡ きく！ これが爆弾!? ん～ 秩序のない味だ｡ だろう？ ハハハ｡ 実はね こいつが初めて うちの会社 訪ねてきたときもね これで歓迎してやったんだ｡ ハハッ｡ もちろん 一杯 飲まないうちに バタンキューだ これ｡ そうだったんですか｡ ハッハッハッ！ あの頃はな 会社を 起こしたばかりで 金がなくてね｡ まあ 手っ取り早く酔うために こんな飲み方してたんだけどさ みんなでね これこそが サラリーマンの正しい飲み方だ！ とか何とか盛り上げちゃって｡ ハッハッハッ！ そうだな｡ あんときもレッドだったね｡ もう少し高い酒を 飲ませてやりたかった｡ だから 安い酒は嫌いだ｡ あの頃の事なんか 思い出したくもない｡ でも それが彼にとっては 良い思い出だったんじゃ ないんですかね｡ そうだね｡ 酔っぱらっても あの頃のＣＭの話してやがった｡ 長く愛して 少し愛してか｡ ん？ 逆か？ まあ いいか｡ あ～｡ うん｡ でも どうして みんな お金を持つと 高いお酒を 飲むようになるのかな？ それはですね 高いお酒は 女性に見立てるんですよ｡ 金のかかる ちょいと良い女｡ 飲む飲まないの判断は 自分がつけるんです｡ そりゃ飲むしかないね｡ まあな｡ じゃ金欠の僕は しばらく安い酒だな｡ 金のかからない女も いないけどな｡ それは言わないでよ！ もう…｡ マスター｡ はい｡ もう一杯！ 僕も｡ はい かしこまりました｡ 飲むぞ～！ 良い女だ！ ハッハッハッ！ フゥ…｡ こんばんは メガネさん｡ すごい霧だ｡ まるで ロンドンにいたときみたいだ｡ 斬り裂きジャックでも 現れますかね？ 話題にしては ちょっと古くないか？ こりゃ失礼しました｡ それにしても 幽霊が出ても おかしくないような夜だ｡ ハハハハ… まさか｡ 幽霊なんか出ませんよ｡ (ドアの開く音) ああ… い… いらっしゃいませ｡ メガネさん…｡ 足は ちゃんとあるようだ｡ あのう…｡ 松田さんは まだですか？ 松田さん？ フリーライターの松田さんです｡ ああ 松ちゃんですか｡ 僕 待ち合わせなんです｡ ああ お待ち合わせなら もうすぐ おみえになると思いますよ｡ それより そのう… あの…｡ 服を ちょっと これで拭いて どこでも お座りください｡ さあ どうぞ｡ いえ 結構です｡ いやいや… でも｡ ホントに 大丈夫です｡ え～… そっ そうですか？ あの ぬれ方じゃ 雨の中 ぼーっと ２～３時間 立ってたんじゃねえか？ はい｡ 何か 深い事情がありそうですね｡ 出口君 来てる!? あれ？ まだ来てないか｡ マスター 僕の後輩が 来る予定なんだけど｡ ん？ うわ～！ びっくりした！ ちょっと 近すぎるよ｡ ていうか 存在感なさすぎ｡ すいません…｡ どうしたの？ 出口君｡ びしょぬれじゃない｡ はい｡ 風邪ひくよ｡ しょうがないな もう…｡ (泣き声) 出口君？ 僕 もう 死にたいです…｡ えっ？ 死にたいんです…｡ 松田先輩 お願いです｡ 僕のこと 殺してください！ 何バカなこと言ってんだよ｡ (泣き声) ちょっ… 出口君｡ (泣き声) 少しは 落ち着いた？ はい｡ 彼は 出口君｡ 出版社に 勤務してるんだ｡ どうも 出口です｡ １年ぐらい前に 僕が書いた記事を 担当してくれたときからの仲でね｡ 話してみたら 僕の大学の後輩でさ｡ ほう｡ 松田先輩には 大変お世話になってます｡ で いったい 何があったの？ 実は ひと月ほど前 ひどい風邪をひいたんです｡ ホントは 会社を休みたかったんですけど 営業部に異動になったばかりで 無理をして仕事をしていました｡ 偉いじゃないか｡ 大事なクライアントと お話しをしていたんですが 突然 とんでもない くしゃみが出て 相手方の お偉いさんの背広にも 重要な契約書にも 鼻水やら 唾やら もう そこら中が ベッチャ…｡ ハーックション！ うわっ！ ちょっと！ えっ!? ちょっと もう…｡ ああ… すいません！ ああ… 違う｡ すいません｡ もう… ずぶぬれで ぶり返しちゃったんじゃないの？ すみません…｡ で どうなったの？ それで お偉いさんは 機嫌を悪くして帰ってしまって もう少しで まとまるはずだった話もパーに｡ それは ついてないね｡ そんなストレスから 神経性の下痢にまでなって ５分置きに トイレに駆け込まないと 漏らすようになってしまって…｡ ちょっ… 大丈夫？ もしかして… えっ？ やっちゃってないよね？ あ～…！ でも 今度は…｡ まだ 何かあんの？ さっき 彼女に ふられたんです…｡ もう 最悪なんです！ 彼女いたのか…｡ 結婚の約束までしてたのに ｢あなたと付き合ってると こっちまで暗くなるから 別れましょう｣って言われて…｡ ご愁傷様｡ 松田先輩…｡ はい｡ 僕は もう 生きる希望が なくなりました｡ こんなに つらい思いをしてまで この先 何十年も 生きていける自信がない…｡ やっぱり 僕 もう死にたいです｡ また!? 松田先輩 いっそのこと 先輩が 僕のこと殺してください！ いやいや そんなこと言われても…｡ お願いします｡ 殺してください｡ ちょっと 何？ こんなやつ もう 殺してやってください～！ やめてよ ちょっと やめてよ！ うっとうしいぞ！ この甘ったれの若造が！ さっきから聞いてりゃ ぐずぐず ぐずぐず ぐずぐず｡ そんなに死にたきゃ 勝手に死ねってんだ｡ メガネさん…｡ 一回 女に ふられたぐらいで ビービー 泣き言 並べやがって｡ お前の隣の松田先輩 見てみろ！ えっ？ 僕？ その先輩なんざ 女にモテない歴 うん十年だ｡ いったい 何回 死ねば済むってんだ｡ ちょっと！ ひどいじゃない！ 松ちゃんも 松ちゃんだ｡ そんな甘ったれに 同情するから つけ上がるんだ｡ 死ぬ 死ぬ 言うやつにかぎって 死ぬ度胸もありゃしねえのさ｡ おい 若造！ そんなに死にたけりゃ このおじさんが お前さんに ぴったりなものをおごってやろう｡ えっ…｡ この世で 最も危険な酒をな｡ この世で 最も危険な酒？ な… 何？ それ｡ マスター｡ 例のブツを出してくれ｡ えっ!? ああ… あれをですか？ こういうときのために フランスから持ち帰ったんだ｡ ああ… まあ そうですが…｡ 心配するな！ 責任は俺がとる｡ ハァ… かしこまりました｡ ハァ…｡ お待たせしました｡ 何… それ… 怪しい瓶だね｡ ホントに お酒なの？ あるいは…｡ まさか ホントに 毒薬ってわけじゃないよね？ ど… 毒!? こいつには ニガヨモギという植物の 毒が入っている｡ え～！ 死にたい 死にたいと 言ってる若造の 望みを かなえてやろうじゃないか｡ マスター ショットグラス｡ かしこまりました｡ ちょっ… えっ!? ああ…｡ フフ…｡ あ… あ… ああ…｡ よし｡ これくらいで いいだろう｡ ほら 飲め｡ 最後の酒だ｡ どうした？ 死にたいんだろ？ で… 出口君｡ 早くしろ！ 俺は せっかちなんだ｡ こいつなら お望みどおり 一口で楽になるぞ｡ 飲めません！ ハァ ハァ ハァ…｡ 遠慮すんな｡ 俺のおごりなんだ｡ そうか…｡ 自分で飲む 度胸がないなら 口 開けろ｡ 俺が飲ませてやる｡ ああ…｡ そうだ｡ そのまま開けとけ｡ ちょっ ちょっ…｡ 開けとけ 開けとけ ほら｡ ちょっと メガネさん！ 死にてえんだろ！ 俺が殺してやるって！ ああ… ああ… 死にたくない！ 死にたくないよ…｡ ご… ごめんなさい！ 許してください｡ 僕が甘ったれでした｡ 簡単に 死にたいなんて言って 申し訳ありませんでした！ ヘッ… 分かりゃいんだよ｡ 出口君 大丈夫？ ここに座って｡ はい｡ メガネさん ひどいじゃないか！ ちょっと いたずらが過ぎましたかね｡ そうだよ｡ いたずらが過ぎるよ｡ えっ？ いたずら？ ちょっ… いたずらって どういうことよ？ 実は これは お酒です｡ はい？ エクストリーム･アブサンという れっきとした リキュールです｡ じゃあ 毒薬っていうのは 嘘なの？ いや それは 本当だ｡ 主原料のニガヨモギには ツヨンという 香味成分があり 高い濃度のツヨンを 大量に摂取すると 幻覚などを 引き起こすといわれている｡ えっ!? そんなの飲んで 大丈夫なの？ まあ その疑問に お答えする前に まず このお酒の歴史について お話しましょうね｡ そもそも この ｴｸｽﾄﾘｰﾑ･ｱﾌﾞｻﾝというのは アブサンという 薬草系リキュールの一種なんです｡ アブサン｡ 野球漫画の｢あぶさん｣なら 知ってるけど…｡ その名前も この酒に由来するって噂だ｡ へぇ～｡ 18世紀に フランスのお医者さんが 薬用酒として 開発したのが始まりで それが リキュールとして 売り出されると 19世紀には ヨーロッパ全土で大流行して たくさんの アブサニストを生みました｡ アブサニスト？ はい｡ アブサンを愛し あがめる人々です｡ 感性や インスピレーションを 引き出す お酒ともいわれて その魅力に 多くの芸術家たちも とりこになりました｡ ふ～ん｡ ゴッホや ゴーギャン モネ｡ それから ヘミングウェイも アブサニストだったらしい｡ そうそうたるメンツだね｡ ゴッホが 自画像を描くときに 左耳が 邪魔だからと 自ら切断したのは アブサンを飲み過ぎたせいだと いわれている｡ 何それ… 怖っ｡ その後も アブサンを がぶ飲みした男が 殺人を犯したり アブサン中毒者による事件が 問題視されて やがて アブサンは 製造禁止になったんだ｡ じゃあ… ここにあるのは？ 現在では そういった 異常行動の原因は アブサンのせいではなく アルコール中毒や 粗悪な不純物の せいだということが分かって アブサンの製造は 解禁になっています｡ ニガヨモギに含まれている ツヨンという成分も 摂取しても問題ない程度の 基準値に従って 製造されてますから もちろん 飲んでも大丈夫です｡ 死ぬというのは メガネさんの 悪い冗談だったというわけです｡ 何だよ いつものブラックジョークか｡ すっかり だまされちゃったよ｡ でも 何だか 気が楽になりました｡ よかったな｡ フフフ｡ でも 何で こんな 怪しげなスポイトがついてるの？ エクストリーム･アブサンは アブサンの中でも 特に苦味が強くて おまけに アルコール度数が 70度と高いからなんですよ｡ 70度!? はい｡ 通常のアブサンは 水割りで飲むのがｽﾀﾝﾀﾞｰﾄﾞだが このエクストリーム･アブサンは スポイトで 数滴 取って 別の酒に混ぜて飲むビターズか 角砂糖に垂らして味わうんだ｡ 角砂糖？ 砂糖の甘味と とても 相性がいいんですよ｡ 少々 お待ちください｡ どうぞ 召し上がってみてください｡ 大丈夫ですよ｡ じゃあ いただきます｡ うん… ハーブの香りが すごい｡ 薬草みたいな味がするけど 後から甘味が来て…｡ うん｡ いける｡ おいしい｡ うん｡ 俺は ビターズ派だ｡ おい 若造｡ 元気を出すには ジンがいいぜ｡ 飲んでみるか？ はい｡ マスター｡ 思いっ切り 元気が出るジンを チョイスしてくれ｡ お任せください｡ これなんて いかがでしょう｡ ヴァン･ウィー･ジン ３年です｡ いいチョイスだ｡ このジンは 1782年の創業以来 一貫して手作りに こだわってきた オランダのジンです｡ ロンドン･ドライ･ジンとは まったく違う味で 麦の香りを感じられる 懐かしさがあります｡ おしゃれなボトルだね｡ ええ｡ 江戸時代に オランダから 長崎に輸入されていた デルフト焼きを 復刻したボトルです｡ このブルーの深みが 美しいでしょ？ ホント奇麗だな～｡ 僕も飲みたいな｡ かしこまりました｡ お待たせいたしました｡ ヴァン･ウィー･ジン ３年と エクストリーム･アブサンの ジン＆ビターズです｡ 俺が 最初に飲む｡ つまり 毒味ってやつさ｡ うっ…｡ うっ…｡ ちょっ えっ!? うううう…｡ メガネさん!? メガネさん！ 大丈夫ですか!? うう… うう… うー…｡ うまーいー！ はっ？ うまいよ マスター｡ ハハハハ！ そんなことじゃないかと 思いましたよ｡ もう… 心配して損した｡ まあまあまあ｡ お二人とも 召し上がってみてください｡ もう…｡ おいしい！ うん！ きついね｡ でも 香りがいい｡ 何だか 僕 元気が出てきました｡ そうか｡ ありがとうございます｡ あのう 先ほどは 軽はずみなこと言って すみませんでした｡ 僕 もう 二度と 死にたいなんて言いません｡ なあ 若造｡ はい｡ 冬の次には 何が来る？ えっ？ えっと…｡ 春ですか？ 夜が終わると？ 朝！ 雨の後には？ 虹！ ご名答｡ なっ？ 人生 悪いことばかりじゃないだろう？ はい！ 何 この２人…｡ 何か 変なんだけど｡ アブサンの毒のせいですかね？ (着信音) か… 彼女からだ！ えっ!? ちょっ…｡ ｢さっきは 感情的になっちゃって ごめんね｣ ｢仲直りしたいので 電話ください｣ 生きてて よかったな｡ はい！ 僕 ちょっと 電話してきます！ どうぞ｡ グッドラック｡ ハァ～ めでたし めでたしですね｡ いつなんだよ…｡ えっ？ 僕の春は いつ来るんだよ…｡ そのうち来るさ｡ 人生 長～いですからね｡ まったくだ｡ ハァ…｡ 今夜も ＢＡＲ レモンハートに お越しいただき ありがとうございました｡ では 今夜 登場した お酒を あらためて ご紹介いたします｡ まずは…｡ およそ80年の歴史がある 日本を代表する国産ｳｲｽｷｰです｡ 発売後 消費者の不評を買い 一時 製造中止に追い込まれた レッド｡ しかし 家庭でも手軽に 本格的なｳｲｽｷｰを提供したいと サントリーが改良を重ね 昭和39年に 低価格の 500円で復活させました｡ 不遇の歴史を乗り越え 日本のｻﾗﾘｰﾏﾝに愛されてきた ウッディーな風味｡ ｼﾞｬﾊﾟﾆｰｽﾞ ｳｲｽｷｰの味わいを 今夜 堪能してみては？ 続いては…｡ ニガヨモギを中心に 複数のハーブやスパイスを使った 薬草系リキュール アブサンの一種です｡ アブサンは 薬のような独特の風味や 水を加えると 緑色が 白く変色する神秘性から 緑の妖精と呼ばれ 19世紀のヨーロッパで 爆発的な人気を誇りました｡ このエクストリーム･アブサンは アルコール度数が 70度と高く 苦味も強いため かなりドライな 味わいになっています｡ その刺激的な口当たりは まさに 緑の悪魔｡ ジンに 数滴 垂らしていただく ジン＆ビターズのほか ビールやコーラ お好みのカクテルに垂らしても お楽しみいただけます｡ 爽やかな苦味が いつもと ひと味 違う うま味を引き出しますよ｡ では また 次回｡ ＢＡＲ レモンハートで お待ちしております｡ 神様って 不公平だと思いませんか？ 実は僕 双子なんですけどね 不思議なことに きょうだいで ここが まるで違うんですよ｡ 生まれつき頭の悪い人間は損だ｡ そういうことか？ メガネさん ちょっと｡ そのとおりですよ 僕みたいにね｡ でも あんまり 気にしない方がいいよ｡ だいたいメガネさんだって 東大出てるわけじゃないんだから｡ 今のお前に この酒を飲む資格はない｡ ここは バーです｡ 人生を考えるには ぴったりの場所ですよ｡

ステップ・ファザー・ステップ＃03

1 （直・哲）泥棒！？ ≪（礼子）宗野正雄さんて→ この人ですよね？ これ　誰です？ （俺）このことは　誰にも言うな うん 男か… とられたもん取り返してくる 約束だよ （直）あ～ッ （哲）直！ あの子達は信じてるんです また家族四人で 暮らせる日が来るって→ あなた　何者なんですか？ なあ　いつまで こんなこと続けてんだよ （柳瀬）そりゃあ　この勝負が つくまででしょうが げッ 引っ掛かってやんの そうじゃねえよ　違うよ 双子のことだよ それ　今　俺がやった 俺は　一刻も早く 元の生活に戻りたい （イスを蹴る音） （ナオ）あのオヤジ　番号　変えてる どうしたの？ 例のヤマ　しくじったみたいでさ 今　イライラしてんだ　ナオちゃん してないし！ 痛いな　今もう 耳がキーンとなったでしょ！ あのオヤジ　紹介したの　そっちよ 耳揃えて返してよ　私の１００万円 １００万？ えッ？ 実業家を装うために借りた 高級マンションの家賃が６０万 ブランドスーツ　２０万 エステ代　１０万 だますのに　かかった経費 締めて１００万円だよ ビジネスにリスクは つきもんでしょうが １００万ぐらい 俺が　すぐに盗み返してやるよ ホント？　そいつ　時計マニアで いくつもレアもん持ってんの それ売れば　１００万以上になるよね 任しとけって このままじゃ　腕が鈍っちまうわ そりゃダメだ 泥棒はしないって契約だよね　パパ パパって言うんじゃねえよ 大体　そんな契約書なんか… お前さんのハンコも押してある それは　親父が無理やり でも押したよね 破ったら　違約金１億だよ 違約…　１億！？ ここに書いてある （電話のベル） ねえじゃねえか 見えないよね　ちっちゃいから はい　これこれ （柳瀬）ねッ 書いてある ちょっと待って やり方　汚えんだよ はい　電話 えッ　俺に？ 「パパ　すぐ来て～」だって　はい どうした？ 《女房　実家に戻っちゃって いつ帰るか分かんないんです》 《（吉村）ご両親は亡くなってて》 《実家はないって転校の手続きの時 お母さんが言ってたよ》 ウソばっか 何なの　あの父親 あ～ッ　もうこんな時間 何で俺が… ここんところ　町内で 空き巣が連続してるでしょ それで　早苗ちゃんのお父さん ご近所中　集めるって ウチだけ行かないのはマズイから 俺　関係ねえだろう パパ （芳江）あら～　宗野さ～ん すいませんね　お忙しいとこ あら　またステキになりました？ ねえ　早苗 （早苗）うん　ウチのと大違い ねえ （脇坂）やっちゃった　やっちゃった 大丈夫ですか？ 礼子先生　お待ちしてました どうも　こんにちは 今日は大役を引き受けていただき 大感謝です でも　高校のとき以来ですから うまくできるかどうか 大丈夫ですよ ≪（芳江）宗野さん　準備しましょう アンタ　もう時間でしょ ご準備　お願いします パパ　行くよ 準備って何だよ？ ≪（礼子）泥棒～！ 人の家で　何してるのよ 宗野さん　セリフ あッ？ 「おとなしくしろ」ですよ 声を出すと痕跡が増えます プロの泥棒は声を出さないんじゃ じゃあ　ナイフのくだり　いきます ナイフ出して　早く→ 緊張感　持って～ ギャー　うわ～ッ かわいくねえなあ おい　何すんだよ 来ないで　証拠は押さえたわよ いい加減にしろよ この泥棒！ この人でなし やめろって言ってるだろ このすっとこどっこい！ あ～ッ　イヤ　触んないで うッ はい　ストップ　そこまで ご苦労さまでした パパ　かっこいい かっこいい　ねえ すばらしかったです　さすが 元演劇部だけのことありますわ ありがとうございます つい感情が　あふれ出ちゃって 宗野さん　ちょっと かたかったから　助かりました 皆さん　このように 空き巣と遭遇したときは 危険が　いっぱいです 先生のように　一人で闘うのは ベリー　デンジャラス すぐ　ご近所に駆け込んで １１０番しましょう 普段から　声を掛け合いましょう つながりましょう そういう町に　コソ泥は 寄りつきません　これホント 犯人が　この町の住民だったら どうするんですか？ えッ？ この町だけで　既に３軒も 空き巣の被害に遭ってる 警察が警戒する中でだ そんなところで　不審なよそ者が 犯行を続けられますか？ どうしよう （芳江）そうよ 宗野さんの言うとおりよね ちょっと　宗野さん 素人が余計な推理をして 不安をあおらないでくれます？ 失礼 （芳江）あら　あら… ≪（脇坂）皆さん　大丈夫ですよ 落ち着いてください 宗野さん ちょっと　お話があるんですけど パパ　待ってよ さすがパパ　似合ってたよ あんな話　聞いてねえぞ 僕らも知らなかったんだもん なあ ああ　先生　何か？ あッ　いえ また今度　ゆっくりと 先生　バイバイ バイバイ 行こ　帰る前にスーパー寄らないと ええ～　そんなの　お前達だけで 勝手に行ってこいよ　俺は帰る あの親の子とは思えない ティッシュ　超安かったね もっと買っとけば　よかったかな 十分だろう でも買いだめって　いいじゃん ただいま ただいま 何で俺が… 泥棒！？ どうしよう どどどッ　どうしよう 落ち着け　落ち着けって！ まず何が盗まれたのか　確認しろ うん アニメのＤＶＤはある　大丈夫 商店街のスタンプカードも大丈夫 金めのものから確かめるんだよ さすが　元泥棒 現役だ　いいから行け 哲　行くよ うん 早く うん 散らかしやがって ド素人が 男か ない…　やっぱりない 直　どうしよう 盗まれたこと　パパに言わなきゃ ダメ！　パパには内緒　いいな？ 何で？ 何でも お～い　おう　安心しろ お前らの通帳と印鑑は 無事だったぞ ここも　ひでえな どうだ　こっちは 何か　とられたもん　あったか？ なッ　ないよ なあ　哲？ うん　ない そうか じゃあ　泥棒に入られたことは もう忘れろ 何で？ いいから このことは　誰にも言うな いいな？ うん （笑い声） 泥棒が泥棒に入られたってか あの怪盗キングが　空き巣だって しかも相手は 素人だっていうじゃない うるせえな　笑いすぎなんだよ 大体な　こっちは被害者なんだぞ 被害者！ ひひひッ　被害者　被害者→ 腹が　よじれます 手伝おうか　犯人捜し 懲らしめてやんでしょ？　ねッ あら 怒っちゃった したくても　できないわな 犯人捜しは 何で？ 泥棒に入られたこと 警察に知れてみろ あの家の秘密がバレちまうだろ よし　できた ホントに僕らだけで捜せるかな やるしかないだろ よし　行くぞ うん！ あッ　あった ここが１件目の 空き巣に遭った　新村さんの家 パパが言ってたように 犯人は町の人なのかな ねえ　直　何やってんの？ 犯人は　きっと ここから中に入ったのよ やめてよ　危ないから ちょっと中　のぞくだけだって こらッ　何やってんだ！ あッ　あッ　あ～ッ！ 直　大丈夫か？ 直ッ　直！ 　　　　　　　　　　　　　　　 哲君！ 先生　直　直が 大丈夫　絶対　大丈夫だからね 直　死んじゃヤダよ　ヤダよ！ 死なないよ　そんなことない 大丈夫 あの～ 直君 直！ ただのねんざだって 何か　ごめん よかった　ホントによかった 何だよ　心配させんなよ だから　ごめんて これ　直君のお荷物です すいません　ご迷惑おかけしました お大事に ドロボウ… ねえ　何これ？ あの　先生… 正直に話して 先生　ウソ嫌い まったく どういうつもりよ　あの親 あッ　もしもし 毎朝新聞社さんですか？ あの　宗野正雄さん お願いしたいんですが 足　痛くない？ ちょっと痛い 直　哲 パパ！ 大丈夫なのか？ 大丈夫　ただのねんざだって 何でケガなんかしたんだ？ 塀に　のぼってたんだろ？ 柳瀬の親父から聞いた 何で塀なんかに　のぼってた？ 塀の上に　おいしそうな 柿がなってて ミカンがなってて 残念でした　正直に話せ おい （礼子）泥棒を 捕まえようとしてたんです 何で　そんなことしたんだ？ 何するんだよ お宅　空き巣に入られたそうですね ちょっと　顔貸していただけます？ 二人が　どうして 泥棒を捕まえようとしていたのか あなた　父親なら 分からないんですか？ 分かりませんね　さっぱり あの～　タイムしていいですか？ はあ？ 教師　タイムしていいですか？ どうぞ このバカ親父 取り戻したかったのよ お母さんのネックレスを！ ネックレス？ 盗まれたんでしょ　奥さんのネックレス 例の空き巣に だから　それを取り戻したくて 泥棒捜しをしてたんです　二人は あなたが警察に届けないから どうして届けなかったんですか？ 何か　隠し事が あるんじゃないんですか？ ありませんよ　そんなもん 仕事なんで ありますよね　隠し事 私　分かってるんです 奥さん　実家に帰られてるって 言ってましたよね でも調べたら　奥さんに ご実家は　ありませんでした 会社も辞めてる 新聞社に電話したら １ヵ月前に退社したと 余計なことを よくもウソのオンパレードを だから奥さんに逃げられるんです 関係ねえ… 奥さんから連絡は？ 今　どこに？ 知らねえよ どうして捜そうとしないの？ あなたには必要なくても あの子達には母親が必要… ほっといてくれ 他人の家のことだろう 他人じゃありません 私のクラスの子供は 私の子供と同じです 書いてください　携帯番号 今日みたいなことがあると 困りますから 早く！ これでいいすか 字には人格が表れるって→ ホントですね ほっとけ じゃあ 帰りますんで 体の傷は　いつか治ります でも心の傷は 一生　残ることもあるんです 覚えておいてください あの子達は信じてるんです いつか　お母さんが帰ってきて→ また家族四人で 暮らせる日が来るって 先生　何て言ってた？ 別に 泥棒のこと　先生に話したの 怒ってる？ 別に 今日　ご飯　どうする？ これじゃ　僕　作れないよ じゃあ　僕が作る 絶対　ヤダ 《≪（礼子）このバカ親父》 《取り戻したかったのよ お母さんのネックレスを！→》 《だから　それを取り戻したくて 泥棒捜しをしてたんです　二人は》 お母さん　おいしいって… ウソだ～ ホントだよ （柳瀬）ケガしたんだろうが 今日ぐらい　泊まってってやりゃあ よかったじゃないか 忙しいんだよ 最低　あのオヤジ 家まで引き払ってた どうしてくれんのよ　私の１００万円 あれ？　あのときのキーンで 耳が遠くなったみたいよ～ もうッ ねえねえ　ちょっと ご飯でも行こうよ　おごってよ いいよ　おごってやる えッ？　何　珍しい その代わり コイツ見つけるの　手伝ってくれ この空き巣 放っておくんじゃなかったの？ 何もなきゃな だが　アイツらの家から プラチナのネックレス　盗んでいきやがった 俺のプライドが許さねえ ほお　プライドがね それだけか？ 他に何がある 犯人の目星は？ 住民達が警戒している中 立て続けに　ヤマ踏んでる 犯人は　あの界わいを うろついていても怪しまれねえ 町の住民の男だ 男って　なぜ決めつける？ 部屋に足跡があった 明らかに男物のスニーカーだった ふ～ん　何だ　簡単なヤマじゃん 盗まれたプラチナのネックレスが どこに流れたか調べれば すぐ分かるよ だな どうせチンケな 金目当てのコソ泥だ 頼んだぞ おい うん？ 成功報酬だ ≪（店主）来い　来い　来い… ≪（柳瀬）ねえねえ 最近　この辺りに→ プラチナのネックレスが流れてきてるって噂 聞かない？ 聞いたことないなあ ああ　そう ねえ　キングのスリーカード ほれ　ロイヤルストレートフラッシュ ウソ… 何か　やったでしょう 約束だよ すいません はい こういう者ですが えッ… 警察 ここ１ヵ月の貴金属の売買リスト 見せてもらえませんか？ あッ　はい すいません クソ～　見つかんねえ （携帯着信） どうだ？ ダメ　こっちは全滅 近辺の質屋に全部　当たったけど 盗品は　どこにも流れてない こっちもダメだ　闇で 売りさばかれたって情報はないな クソ　こんなもの買わされて おい　経費だけは　もらうからな だから　成功報酬だっつっただろう 何で盗まれたもんが 売られてねえんだ 　　　　　　　　　　　　　　　 （芳江）ああ　寒い　何でこんなこと アンタのせいだからね 町内をパトロールするって 言い出したの　お前だろ はあ　はあ　はあ？　空き巣の一人も 捕まえられないくせに 捕まえるさ　捕まえるとも 捕まえたら　ベッドで 寝かせてもらえるんですよね？ アンタがベッド？　１０年　早いわ この浮気者が あれは誤解だって　満員電車でね はいはい ≪（芳江）泥棒！？ ちょッ　ちょっと しっかりしなさい　刑事でしょ ああ～　ちょっと こんばんは 宗野さ～ん ご夫婦でパトロールですか 仲がよくて　うらやましい だといいんですけどね 宗野さんは　お仕事ですの？ ええ　取材で　あの例の空き巣 追っかけてましてね 事件の捜査　難航してるんですか？ それが ちょっと変わった犯人みたいなの ねえ 変わった犯人？ あの　捜査上の秘密は 教えられませんから　行くぞ いいじゃないのよ 宗野さんになら　少しぐらい 盗まれたのは　ダイヤ付きの プラチナネックレスだけ これ以上は　すいません ダイヤ付きの…　やはり 金品目的の盗みなんですか？ いや　なぜか一緒に置いてあった 金や　金の指輪には 一切　手つけられてないんですよ これ以上は　すいません 他にもあんじゃないの？ これが全部なんだよ　あッ… ご協力 どうもありがとうございました じゃあ　おやすみなさい ごきげんよう えッ　盗まれたのは　ダイヤの プラチナのネックレスだけ？ ああ　他のものには目もくれてない どういうこと？ 金銭目的でもない 犯人の狙いは一体　何なんだ？ あッ　そうか うん？ 犯人はだな　盗んだネックレスで クラブのねえちゃん達を 口説き歩いてるんだ ああ　よし　行って調べてくる ただ自分が行きたいだけでしょ 経費ください ふざけるな あッ　あッ わあ～　冷たいご返事 パパ　最近　来ないね 連絡もないし まだ怒ってるのかもね 先生に　しゃべったこと ねえ　電話してみない？ 理由もないのに呼んだら もっと嫌われるって でも… （チャイム） パパ！？ お帰り こんばんは ねえ　ご飯　食べた？ ううん じゃあ　先生が お母さんの代わりに作ってあげる お邪魔しま～す 先生　ちょっと　いきなり… ジャーン どうぞ　召し上がれ いただきます ほら　遠慮しなくていいから いただきます はい　どうぞ おいしい！ 先生　料理　上手じゃん でしょ　でしょ 栄養と愛情　たっぷりだもん アスパラは　ちょっと 皮むいたほうがいいけどね 細かい男はモテないぞ おいしい おいしいね 《（礼子と息子）いただきます》 《おいしいよ　ママ》 《残さず食べるのよ》 《うん》 先生　先生！ おかわり はい　喜んで ねえ　お父さん　何してるの？ 帰ってこないけど ああ　仕事みたい パパ　忙しいから 仕事ね はい　どうぞ ありがとう 先生ね　二人のお母さん 捜してみようと思うんだ 何で　どうして？ このままで　いいわけないもん 二人だって寂しいでしょ だからさ　色々と教えてほしいの いつ出てっちゃったのかとか よく行ってた場所とか いいよ　そんなこと そうだよ　捜さないでいいよ 遠慮しないで　先生がそうしたいの 捜さないでいいって 言ってんじゃん お母さんは僕達のこと捨てたんだ 先生は　そうじゃないと思う 何があったか分からないけど でも　お母さんも 出ていくの　つらかったはずだよ そうかな そうだよ　絶対 二人が 寂しくて悲しいのと同じだけ お母さんも寂しくて悲しいって 今も思ってる ジュース飲む？ おいしいの買ってきたから え～っと　ジュース　ジュース 金銭目的じゃない 犯人は男だから コレクターの線も考えにくい じゃ　何なんだよ ねえちゃん 口説くためでもなかったぞ もう　あのオヤジ ちょっとオヤジ　会社まで辞めてた 取り返せないじゃん　私の１００万円 一度　手放したものを 取り返すのは難しいわな ≪（柳瀬）さあ　いただきましょう あッ　それ私の 一度　手放したら 取り返せないんでしょ まあ　そうだけど… そうか なあ　ナオ プラチナネックレスの件 あの町の質屋には まだ当たってなかったよな？ 当たり前でしょ いくら犯人が素人だからってね 犯行現場の近くで 売りさばくバカいないでしょ 今すぐ　当たってみてくれ え～ッ　無駄だって いいから 売買リストが欲しいんだよ 　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　 地元の質屋に　ダイヤのプラチナのネックレスを 売りにきた客は　確かにいた やっぱりな でも外れ 客は板倉和代って女 板倉　板…　これか 質草は　もう流れてんのか 残念でした　犯人は男だもんね いや　にらんだとおりだ 何言ってんの　よく見てよ この女が　ネックレスを売りにきたのは 事件が始まる２ヵ月も前 だから事件とは無関係だね いいんだよ　板倉和代を当たる えッ？ 灘尾さんですか？ はい　お仕事中　すみません 宗野さんの同僚の方ですよね？ ええ その後　宗野さんから連絡は？ 何も…　突然　辞められて こっちも困ってんですよ あの　変なこと伺いますが 宗野正雄さんて　この人ですよね？ これ　誰です？ こんにちは （和代）こんにちは 板倉和代は心臓の病気で １ヵ月前から入院してるそうだ じゃあ　シロだね あの体じゃ　犯行は無理でしょう ああ　やったのは彼女じゃない えッ？ ほら　アイツだ （板倉）母ちゃん　寒いでしょう これ　借りてきた 柳瀬の親父の情報によると 一人息子の板倉裕之 どういうこと？ コイツをつけて 彼女と接触してみてくれ そうすりゃ分かる 返せよ 分かってるよ （ノック） ≪（ナオ）こんにちは お花のお水　かえておきますね ああ　それ はい？ 私も　それとよく似たネックレス 持ってたから あッ　これ？ 誰かからのプレゼントですか？ 亡くなった主人からの ずっと苦労をかけてきたからって 亡くなる前に　くれたの ふ～ん　いい旦那さんですね 後にも先にもないわ 人生の中で そんな高価なプレゼント　もらったのは あッ　今度　見せてくださいよ そのネックレス 残念だけど　手放しちゃったの えッ　どうして そんな大事なものを？ それより大事なものがあったから それで和代さん 息子の学費のために 大事なネックレスを 質に入れたんだって 一度　手放したら 取り返すのは難しい…　か どこ行くの？ とられたもん取り返してくる 泥棒しないって約束は？ 取り返すだけだ アンタ　誰なの？ 何者なの？ 《宗野直と哲の父親です》 《俺は父親なんかじゃ…》 《はい？》 《いえ》 何なの？ どういうこと？ しょうがねえなあ ビンゴ 誰！？ 安心しろ　警察じゃない 忠告だ　もうやめとけ あんな下手なヤマ踏んでたら 遅かれ早かれ　足がつく うるせえな　ほっといてくれよ そもそも　お前の狙いは 金でも盗みでもない 母親のネックレス 取り戻したかっただけなんだろ？ 《はい　はい》 《母ちゃん》 《うん？》 《俺　学校に通いたいんだ》 《料理の？　いいじゃない》 《でも　入学金が足りなくって…》 《大丈夫　それぐらい お母さん　何とかするから》 《あったかいうち　食べよう》 だが　お袋さんの思いは 無駄だったようだな 学費になるはずの金は こんなものに化けちまった その金が どこから工面されたものなのか お袋さんの胸もと　見てりゃ バカだって気づく で　お前は 急いで買い戻そうとした しかし　気づいたときには 既に　誰かの手に渡った後だった 素人には　質草の流れ先なんか つかみようもない で　お前の選んだ方法が 泥棒だったってわけだ 被害に遭ったのが　ダイヤ付きの プラチナネックレスだけだったのも 当然といえば当然か そうだよ だから早く警察に通報してくれ しねえよ 俺だって警察なんか好きじゃねえ でもな 一度　手放したら取り返せないのは ネックレスだけじゃねえかもしれねえぞ お袋さんの病気　重いぞ お前が聞かされてるより　ずっと ウソだ ウソつくなよ ウソじゃねえ お袋さんは　みんな知ってる お前の借金のことも 恐らく　ギャンブルのことも それでも　お前のこと信じて 大事なネックレス　売ったんだ 母ちゃんが… もうやめとけ お前が　とったものは お前にとってはガラクタでも とられたほうには　思い出の 詰まったものかもしれないだろう というわけで コイツは返してもらう （ドアを叩く音） ≪（脇坂）警察だ　板倉裕之 今すぐ　ここを開けろ （桜庭）板倉　いるのは分かってるぞ 開けろ！ 俺に任せろ 板倉　いるんだろう！ お宅　拝見　桜庭！ はい ほっとけない　ほっとけない あの子達を　ほっとけない あッ ちょっと　すいません ちょっと　ごめんなさい ちょっと　あッ… 　　　　　　　　　　　　　　　 コソ泥が！ 俺から逃げられると思ったか はいはい　すいませんよ 板倉さん　弁護士の柳瀬です 接見　よろしいかな？ 後にしてくださいよ いやいや　法律だよ 君　それ破るつもり？ いや　そういうわけじゃ おい　コイツと先生を 接見室に案内しろ はい 取調室で待ってるからな そうだ　君に会いたいっていう人が いるんだ どうぞ 母ちゃん ちょっと困りますよ かたいこと言わないで　まあまあ ≪（板倉）母ちゃん 裕之 裕之　ごめんね　母さんのせいで 何で　母ちゃんが謝るんだよ 俺が悪いこと… ううん　私が悪いの 私が裕之の母親なんだから ネックレス売って　お金なんて つくるべきじゃなかった そうすれば　そうすれば… 母ちゃん ≪（和代）でも信じてたの ヤンチャだった裕之が 真面目に働くって言ってくれて 嬉しかったよ　私 母ちゃん… ごめんなさい ごめんなさい そんなことないよ ≪（板倉）ごめんなさい 私が悪いんだから ごめんね ごめんね お母さん　元気なうちに 帰すようにするから たっぷり親孝行してやれ （チャイム） パパ！ 泥棒に入られたこと 内緒って約束してたのに 話しちゃって ごめんなさい もういいって それよりな これ捜してたんだろう 取り戻してきてやった 何で　こんなことしたの？ えッ？ 何で　こんなことしたんだよ！ 誰も頼んでないじゃん！ 何だよ 泥棒したんでしょ？ また泥棒したんでしょ？　パパ 泥棒じゃねえよ　取り返しに… 泥棒は泥棒だよッ ちょっと待てよ　俺は… 全然　嬉しくないよ！ お前らだって 犯人　捜してたじゃねえかよ えッ？ ネックレス　取り戻そうとしてたんじゃ ねえのかよ 何なんだよ わけ分かんねえよ 俺は　お前ら… お前らの母親のもん 取り返してきてやったんだろ！ 僕らが取り返したかったのは ネックレスじゃない いいよ　哲 僕らは　パパに 泥棒なんてしてほしくない！ そうかよ 勝手なマネして悪かったな マヌケな犯人が捕まって それ　警察に見つかったら パパが捕まっちゃうじゃん 僕ら　それがイヤだったんだよ パパが　捕まったら　どうすんだよ パパが捕まったら　僕達 また二人ぼっちになっちゃうよ 泣くなよ 男だろう もうしねえよ もうしねえ 約束だよ 約束だ なあ 風呂でも入るか うん！ あれ　パパ　入んないの？ 誰が一緒に入るって言ったんだよ ああ～ ほら イエーイ やめろって　ほら アイツら （チャイム） こんばんは また何か？ 見ちゃいました はあ？ あなたが 人の家から出てくるところ あなた　何者なんですか？ ♪♪～

ごちそうさん＃029

1 (め以子)お父ちゃん もう 賄い食べた？ (照生)話があるって 悠太郎さんが来てさ｡ 話？ (悠太郎) 近くに 家を借りてもええですし➡ 大将さえよければ 僕は ここから 仕事に通おうかと思てます｡ それなら め以子さんも 今までと 変わりなく過ごせますし➡ 実家の いざこざにも 巻き込まれずにすむと思います｡ 僕が こちらで 就職するという前提で➡ もう一度 お考え願えないでしょうか？ 駄目！ 絶対 駄目です！ そんな こっちで就職なんて 何 考えてんですか！ お母さんのくれた夢は どうなるんですか！ それは 今 ええですから｡ お父ちゃん｡ 西門さんはね➡ 火事に巻き込まれて お母さんを亡くしてるの｡ だから 自分の手で 大阪を安全な街にしたいって｡ だから 階段も直してくれたの｡ 手すりも つけてくれたの｡ その夢は 西門さんなの｡ 西門さんの生きてきた全てなの｡ 私の夢でもあるから｡ この人の夢は 私の夢だから｡ だから 分かってもらえないかな？ (大五) そんな大層な夢を 女一人のために 変えちまう奴なんぞ➡ 俺は 信用できないね！ お父ちゃん！ どうしても 一緒になりてえんだったら➡ もういい 出てけ！ 勘当だよ｡ そのかわり 二度と うちの敷居またぐなよ｡ お父ちゃん！ ♬～ ♬｢突然 偶然 それとも必然？｣ ♬｢始まりは 気付かぬうちに｣ ♬｢予報通り いかない模様｣ ♬｢そんな時こそ 微笑みを｣ ♬｢ﾎﾟﾂﾘﾎﾟﾂﾘと町の色 変わってゆけば｣ ♬｢傘はなくとも雨空に唄うよ｣ ♬｢どんな君でも ｱｲｼﾃｲﾙ｣ ♬｢顔を上げてごらん 光が照らす｣ ♬｢涙の河も海へと帰る｣ ♬｢誰の心も 雨のち晴ﾚﾙﾔ｣ 私 もう 家 出ます｡ どこに住むつもりなんですか？ 友達の家とか｡ ２～３日ならともかく➡ 何か月も 受け入れてくれるんですか？ じゃあ 住み込みで働きます｡ 堪忍して下さいよ｡ じゃあ どうするんですか？ だから こっちで就職するって 言うたんですけど｡ でも 私 そんな事されたくないです！ それは どうも 余計なお世話でしたね｡ だって こんな事くらいで…｡ こんな事やないでしょう！ 自覚がないのかもしれんけど➡ あなたは ものすごく幸せな中で 育ってきてるんです｡ あんな家 ほかにないんです｡ それこそ こんな事で 失ってええもんと違うんです｡ それでもよかったって 思えるくらい➡ ２人で幸せになれば いいんじゃないですか｡ それと これとは 別ですよ｡ お父さんや お母さんに 何かあった時➡ 駆けつける事もでけんように なるかもしれないんですよ｡ そんなの あなた 絶対 後悔するでしょう｡ (イク) あれ言われちゃ おしまいだよ｡ 分かってんだろ？ 自分でも｡ だから 好きにすりゃいいって 言ったじゃねえかよ｡ 私は もう止めないよ｡ 勝手にしろよ｡ (山本)大将 もう後に 引けなくなっちゃってるよな｡ (タマ) 大将 意地だけで生きてるからね｡ 俺らが 何か言ったら…｡ 駄目駄目 火に油注ぐだけだよ｡ あっ…｡ あの人だったら 駄目かな？ あの人って？ お待たせ致しました｡ ﾊﾞﾀｰﾗｲｽｶﾚｰでございます｡ どうぞ ごゆっくり｡ おい ポン｡ テル どこ行った？ さあ… 御不浄だって聞きましたけど｡ 御不浄？ あいつ どんだけ長いんだよ｡ すいません 遅くなりました｡ おい すぐ手ぇ洗って ｼﾞｬｶﾞｲﾓの皮｡ はい｡ [ 回想 ] (クマ)暑気払いに おいしいみそ汁 作ってさしあげたら➡ 旦那さんも 結婚 許して下さるかもしれませんよ｡ あっ お店 終わった？ うん 終わったけど｡ あら？ 何 作ってんの？ うん ちょっとね｡ (足音) (新井)もう 看板かい？ ああ 社長｡ 何か 召し上がりますか？ すぐに｡ いやいや そのまま そのまま｡ (新井)何が そんなに嫌なんだ？➡ いい青年だって 気に入ってたじゃないか｡ あいつ… どんどん変わっていくんですよ｡ 手前じゃ 何にもしなかったのに｡ ただの食いしん坊が おむすび作って 弁当 作って｡ どんどん 大人になって｡ ｢そいつの夢は 私の夢｣だなんて➡ いっぱしの女みてえな口 きくようになって｡ そいつに ほれ過ぎてて｡ 俺 何か 怖いっつうか｡ いや～ ほれてたら 何だって しちまうじゃないですか｡ それこそ どんな つらい事だって やるだろうし｡ あいつは バカだから それこそ 何だって やっちまうだろうし｡ ｱﾊﾊﾊﾊｯ｡ それを お前さんが言うかね｡ 無一文のお前さんの夢を➡ 自分の夢と思って やってきてくれた人が➡ １人 いるじゃないか｡ 彼女が苦労してきたところは た～くさん見たけれど➡ 不幸に見えた事は 一度もなかったよ｡ ♬～ (照生)姉ちゃん 何だよ これ｡ 何だ？ これ｡ がわがわ｡ がわがわ？ 漁師さんのお料理で 食べる時に がわがわって音がするから➡ がわがわっていうんだって｡ 魚の身をたたいて シソとか ｼｮｳｶﾞとか ネギとか➡ 何でもいいから 薬味を いっぱい入れて➡ 汁は 冷やして その上に氷を浮かべるの｡ お父ちゃん 食べてみて｡ うん｡ おいしい？ まあ 食える｡ お父ちゃん｡ 私さ➡ 頑張るから｡ ややこしい家だって言ってたし➡ いろいろ大変な事も あるかもしれないし｡ 私 バカだし 頼りないかもしれないけど➡ 気に食わないって言われても へこたれないから｡ ちゃんと 相手の事 見て 御飯 作るから｡ ちゃんと 努力するから｡ 絶対に幸せになってみせるから｡ だから… 大阪 行かせてくれないかな？ ♬～ (室井) いいとこ 住んでるじゃないか｡ 悠さん？ おお…｡ どうしたんですか？ 室井さん｡ ちょっと 話があって｡ 何ですか？ 話って｡ いや～ あの…｡ 僕が 小説 書く事にね➡ 親兄弟は みんな やめとけとしか言わないんだよ｡ はあ｡ 僕が｢大丈夫だ｣って いくら言ったって➡ 認めてもらえない訳｡ 多分 そういうもんだと 思うんだよね 親って｡ けど うまくいったら きっと 手のひら返して喜ぶんだよ｡ ｢よかった｡ よく頑張った｣って｡ まあ 人によっちゃ 言わないかもしれないけど｡ 心の中では きっと 認めて｡ だから 僕は…｡ 僕は 大将が どう言っても➡ めいちゃん 連れてっていいと思う｡ 悠さんが ちゃんと幸せにしてやれば➡ いつか きっと 分かってくれる事だと思う｡ 初めて 室井さんの口から ためになる事を聞きました｡ でも 俺が こんな事 言ったって 大将には…｡ 言いませんよ｡ たすきと前掛け 持ってこい｡ えっ？ 何やってんの？ 鶏のﾌｫﾝ 作ってるんだよ｡ ふ～ん｡ もう ポン帰しちまったからよ たまには お前も手伝え｡ いいけど｡ 鶏ガラに残った 血の塊を取って 血抜きをすんだよ｡ (大五)鶏ガラを 熱湯にくぐらせて 霜降りにする｡ そのくらい 分かってるけど｡ 確認だよ 確認｡ 時には ちゃんと言葉にしねえと いい加減になるだろ｡ まあ…｡ まあ 大きめのﾎﾞｳﾙとザルに入れて➡ 上から熱湯をかけるっつう方法も あるわな｡ 家庭では その方が やりやすいかもしれねえな｡ ♬～ 表面が白くなったら 鶏ガラを きれいに洗う｡ 取れてねえと あくが すげえからな｡ それから ぶつ切りにする｡ ああ お前 駄目だよ それじゃあ｡ まだ 脂残ってんだろ？➡ それだと ﾌｫﾝが 白く濁っちゃうんだよ｡ はい｡ よし｡ 生字幕放送でお伝えします 生字幕放送でお伝えします おはようございます。 イノッチ⇒１１月１日 金曜日の「あさイチ」です。 もうね なんかいいよね。 お父さんの気持ちを考えるとね、 昔は朝ドラをヒロインの気持ちで 見ていたけれども、親側の気持ち

ブル・ドクター＃07

1 （釜津田知佳）　お疲れさまでした。 （大達珠実）　うん。 明日から１週間 夏休みだそうですね。 そう　キャンプに行く。 自然と戯れて リフレッシュってわけですか。 リフレッシュどころか 疲れに行くようなもんよ。 ホントは温泉とかで のんびりしたいんだけど。 じゃ　温泉行けば いいじゃないですか。 私も　そういった　でも高広が…。 高広…　あっ　旦那さんですね。 高広が　康介は キャンプのほうが喜ぶからって。 しかも高広　その日 ３６時間勤務明けなんだよ。 いくら康介のためとはいえ よくやるよ。 気づいてます？　さっきから 旦那さんのこと　のろけてるって。 どこが？ 全てですよ　「高広　高広」って。 釜津田は何て呼んでんの？ 名倉先生のこと。 そのまんまですけど。 潤之助？ そっちじゃなくて。 え～　何？　何？ 名倉先生。 フッ！　フフ。 いけませんか？ まぁ　いいんじゃない？ でも　呼び方ひとつで 距離が縮まったりするかもよ。 いや　でも 今さら「潤之助」っていうのは…。 練習してみる？ はい？ 私を名倉先生だと思って。 いや　でも…。 ほら　呼んでみな。 えっ？ ん？ じゅ…。 潤之助。 フッ！　フフフ！ ちょっと　からかわないで…！ いうんじゃなかった。 大体　こんなことで距離なんか 縮まったりしませんから。 まぁ　まずは名倉先生に 朝　目が覚めた時→ 僕の隣にいてもいいよって いってもらわないと。 余計なお世話です！ １週間　どうぞ　ごゆっくり。 大達先生と顔を合わせなくて 済むと思うと　せいせいします！ （事務員）　じゃ　いってきます。 （武田伸生）　お願いします。 （名倉潤之助）((この前の お酒の件なんですが…)) ((誰にも話すつもりは ありません)) ((ただ一つ 教授に　ご相談があるんですが)) ((その手の震えのせいで→ この前の針刺し事故が 起こったんですよね？)) ((そういうことでしたら　当然 そろそろ　ご勇退を→ お考えになっていらっしゃる ことだと思います)) ((武田教授の後任教授には→ 僕を推薦して いただけないでしょうか？)) お腹すいたね。 うん。 何にする？ じゅん…。 じゅん…？ じゅん…。 じゅ…。 ハハ　フフフ…。 いや　名倉先生　何にする？ あぁ　え～　僕はね　この→ スペイン風リゾット。 私…。 じゅん…。 じゅん？ 旬野菜のペペロンチーノ　これ。 あっ　旬野菜…　旬野菜。 よいしょ。 （大達康介）　ねぇ　明日 お父さんが帰って来たら→ すぐ出発するんだよね？ うん。 何時頃？ え～　午前中には 帰って来るんじゃないかな。 あっ。 ねぇ　花火は？ あっ　買ってない。 え～。 ごめん　ごめん　明日　買おう。 うん！　いっぱい買ってね。 （大達高広） ５０２のイトウさん　明日から→ デカトロンの量 ８ｍｇに変更しといたから。 はい。 夏休みは　ご家族で？ キャンプ　帰ったら　すぐ出発。 あとは　よろしく。 はい。 大達先生！ ん？ 救命に意識障害で運ばれた 患者さんが→ ＣＴで出血性の小脳梗塞を 起こしてることが分かりました。 すぐにオペが必要だな。 野村先生は？ 別のオペが入ってます。 緊急オペ？ 分かった　でも　体　大丈夫？ ３６時間勤務明けで あんまり寝てないよね？ 他の病院に回したら 手遅れになるかもしれない。 じゃ。 お父さん　行けないの？ ううん　遅れるんだって。 緊急の患者さんが運ばれたの。 え～。 手術をしないと 助からない患者さんなの。 おかあさんと２人で先行ってよう。 康介。 同じ医者でも　お父さんと お母さんがやってることは→ 正反対なんだね。 そうだね。 （八代）　あ　そっか。 （藤村）　何ですか？　急に。 （八代）　何か　いつもの威圧感が ないなと思ったら→ いないからなんだね。 （あやめ）　ホントだ　後ろから 押し寄せて来る空気が軽い！ （成海）　平和が何より。 （武田美亜）　そうですか？　何か 皆さん　物足りなさそうですよ。 （一同）　ない　ない。 松岡先生。 （あやめ）　はい。 今日の交通課のご遺体なんだけど 初執刀してみる？ 本当ですか？ 武田教授　よろしいですよね？ はい。 お～！ ありがとうございます。 （成海）　頑張ってください。 （美亜）　おめでとうございます。 （八代）　デビューじゃん。 松岡先生の初執刀です よろしくお願いいたします。 （あやめ：藤村） よろしくお願いします。 胸腹部　切開します。 お疲れさまでした。 （桐子）　お疲れさまでした。 何か　天気予報が 外れちゃいましたね。 あっ　藤村先生　髪切りました？ あぁ　ほんの少し。 ですよね～。 ですよね。 僕も切ったんですよ　ですよね～ 僕も　ここ切っちゃって　前髪。 松岡先生。 あっ。 難しい傷の所見も ちゃんと　とれていたよ。 ありがとうございます。 よし！ 褒められちゃった～！ あれ？　どうかした？ いろいろあったじゃないですか。 針刺し事故や 大達先生が逆恨みされたり。 危険が多い割に　収入は臨床医より ずっと少ないし。 法医学　やめたくなった？ まだ　やめたいとまで 思ったわけじゃ…。 お疲れさま。 お疲れさまです。 手術は問題なく終了しました。 （梶田久美子） ありがとうございました。 ただ　脳の中でも→ 運動をつかさどる 小脳の手術ですので→ まぁ　自分の思い通りに 体を動かすようになるには→ リハビリが必要です。 原因については ある程度　回復した時点で→ ＭＲＩを使って 詳しく調べましょう。 （梶田勝彦） よろしくお願いします。 お母さん　ボールちょうだい！ いいよ　はいはい！ それ！ お父さんだ！ お父さ～ん！ あっ　疲れたでしょ？ 大したことないよ。 康介　テント張るぞ！ うん！ よいしょ。 （大達）　さぁ　手伝ってくれ。 さぁ！ さっ　これ開けよう　なっ。 わぁ　おいしそうじゃない！ はい　どうぞ。 は～い。 お待ちどおさまでした。 おいしそう。 じゃ　乾杯しよっか。 乾杯！ 乾杯！　康介～。 乾杯！ いただきま～す！ いただきます！ あ～　うまい。 うん！　おいしい！ おいしい！ （大達）　うまい？ 終わっちゃうぞ　どうする？ これ？ あ～　ハハハ！ やった！　次　お父さんの番。 （康介）　お父さん　寝ちゃってる。 シ～。 おとうさん　疲れてるから 寝かせてあげよう。 （康介）　じゃ　花火やろう。 そうだね。 あっ　色変わった。 ホントだ～。 わぁ～。 （康介）　キレイ！ ねぇ　キレイ！ フッ。 よし　フッ！ おはよう。 （一同）　おはようございます。 夏休み　ありがとうございます。 とんでもない。 背中が重い。 来るね～。 波乱の予感が。 やっぱり嬉しそうじゃないですか。 え～。 えっ？　何？ （一同）　何でもありません 何でもありません。 うん。 さっ　仕事しよう。 仕事ですよ　仕事！ （成海）　よし　コーヒー。 順調ですね　今日から リハビリを始めましょう。 （梶田弘樹）　先生。 ん？ またサッカーできるように なりますか？ もちろん　最初は 立ち上がる練習からだけど→ まっ　焦らずやって行きましょう。 はい。 （弘樹）　先生。 ん？ この病院に運ばれる前→ 他の病院に 何件か断られたと聞きました。 先生も お帰りになる頃だったって。 ありがとうございました 先生に診てもらえてよかったです。 大変なのは これからのリハビリだからね。 はい。 （大達）　では。 こんにちは～。 こんにちは。 （看護師）　４…。 ５　じゃ 体を起こしてみましょうね。 はい。 お願いします。 はい　じゃ　まずは脚を下ろすね。 フラフラしない？ はい。 大丈夫？ ゆっくり立ってみましょう。 お願いします。 はい。 ハッ！ （久美子）　弘樹？ （看護師）　どうしました？ 弘樹！ 弘樹！ 先生　お願いします！ （看護師）　弘樹君　大丈夫？ （看護師） 先生　梶田さんが意識不明です。 （看護師）　モニター確認します 突然のアプニアです。 レートが低下しています。 （大達）　挿管準備して！ （看護師）　はい！ ＰＡだ。 アドレナリン…　ＩＶして！ （看護師）　はい　ＩＶできました。 （心電計のアラーム） （心電計のアラーム） Ｖｆだ　ＤＣ　１５０！ （看護師）　はい！ チャージできました！ （大達）　離れて！ （心電計のアラーム） ２００！ （看護師）　はい！ （看護師）　チャージできました！ 離れて！ （心電計のアラーム） アレストだ。 （心電計のアラーム） 何で…。 （扉が開く音） 手術は　うまく行ったんじゃ ないんですか？ はい。 じゃあ　どうして？ 分かりません。 分からないって…。 さっきまで　大丈夫だって…。 原因を調べるためには→ 病理解剖という手段があります。 病理解剖？ （大達）　弘樹君の体に 何が起こったのか→ 責任を持って突き止めるので→ こちらで 病理解剖をさせてください。 ここで？ はい。 医療ミスが原因だった場合→ 私達に　ちゃんと真実を 伝えてもらえるんですか？ ミスがあったとは 考えにくいですが→ もし　そのような場合でも→ きちんと　お伝えをします。 今朝　「何も問題ない 大丈夫だ」っていわれた直後に→ 弘樹は亡くなったんですよ。 そんな先生の言うことなんて→ 信用できるわけないじゃ ないですか。 本当に　何が起こったのか 分からなくて→ それを解明するためにも→ ぜひ　病理解剖をさせてください。 そうは行かない。 病理解剖は拒否します。 （久美子の泣き声） このまま　亡くなった原因が 分からないままだなんて。 手術自体は うまく行ったんだよね？ ああ。 その手術をした時って…。 確かに ３６時間の勤務の後だった。 だけど　何かミスがあったら 自分で分かるよ。 術後感染は？ もちろん考えられることだけど→ 経験上　そんな感じはしない。 体を起こした途端 倒れたんだったら→ 肺塞栓症は？ もちろん　それも考えられる。 でも　肺塞栓症予防のために できることは→ ちゃんとやった。 あとは　何らかの原因で 心不全を起こしたとか。 やはり→ 医師として きちんと原因を知りたい。 でも　ご遺族は→ 聞く耳を持ってくれなかった。 ご遺体は　もう　ご遺族に？ ああ。 葬儀屋の所じゃないかな。 私から　ご遺族に解剖すべき だってことを話してみてもいい？ えっ？ 法医学者として　それから→ 父の死因が分からないまま 過ごして来た→ 遺族として。 分かった。 ♪♪～ （チャイム） はい。 国立上都大学　法医学教室の 大達と申します。 大達さん…。 関東医療センターで 弘樹さんの担当した医師→ 大達の妻です。 息子さんのこと 心よりお悔やみ申し上げます。 （久美子）　お話というのは？ 息子さんの死因が ハッキリしないままだと聞きました。 どうしても納得行かない。 私は　死因が分からなかったり→ 納得できないご遺族が→ 苦しむ姿を見て来ました。 私自身　高校生の時→ 父を病院で亡くしました。 その時は 病死だと説明されましたが→ 今でも納得していません。 医療ミスだったんじゃないかって。 ご遺体が焼かれてしまったら→ 調べようがないんです。 何をおっしゃりたいんですか？ 解剖して　死因を究明することを お勧めします。 弘樹が亡くなった病院で 病理解剖したら→ 病院は都合の悪いこと どうとでも隠せるじゃないですか。 病理解剖なら もう　お断りしたんですから。 司法解剖は　どうでしょう？ 司法解剖？ 司法解剖なら 関東医療センターは　もちろん→ 関連病院でも 解剖されることはありません。 どうしたら 司法解剖してもらえるんですか？ 警察に届けを出すんです。 死因に納得ができないことを→ 警察に強く主張するんです。 あの　よく分からないんですが 警察が入るってことは→ もし解剖で 医療ミスが発覚したら→ ご主人は　罪に問われる かもしれないですよね？ はい。 本当に突然　亡くなったんです。 病院の先生は　大丈夫だって いってたのに。 病院側の説明に納得が行かない という　ご相談ですね。 はい。 主治医は　関東医療センターの 脳外科の大達高広先生です。 関東医療センターの 大達高広先生？ （久美子）　はい。 ただいま。 おかえりなさい。 おかえり。 康介　まだ起きてたのか？ うん。 梶田さん　どうだった？ うん。 やっぱり 病理解剖は　したくないって。 そっか　ありがとう　わざわざ。 仕方ないよ。 警察に届けを出すことを勧めた。 どういうこと!? 「司法解剖という方法がある」って。 康介　もう寝なさい。 はい。 歯　磨いてね。 うん。 おやすみ。 おやすみなさい。 俺は　病理解剖するよう→ 説得してくれるもんだと 思ってたのに。 病理解剖は 初めからしたくないって。 だからって…。 高広だって　ホントの死因を 知りたいって　いってたよね？ 警察がかかわるとなったら 話は別だろ！ 何で？ 当たり前だろ！ 警察が来るだけで→ こっちは 診療時間を割かれるんだ。 入院患者　外来　救急の対応で→ ただでさえ大変なんだよ！ 警察や亡くなった患者さんに かかわってる暇なんか…。 亡くなった人より→ 生きてる人を診る医者のほうが 上だってこと？ 今　そんな話を してるんじゃないだろ。 ううん　関係ある。 亡くなった患者さんの死因が ハッキリすれば→ 同じ過ちを繰り返さずに済む。 生きてる人を 守ることにつながるんだから。 珠実は何も分かっちゃいない。 何が？ 司法解剖が決まった時点で→ 俺は被疑者だ。 それだけで どれだけ耐えがたいことか…。 俺は→ 康介の父親なんだよ？ そんなこと分かってる。 分かってるなら→ どうしてこんなことが できるんだよ！ ((そういうことでしたら　当然→ そろそろ　ご勇退をお考えになって いらっしゃることだと思います)) ((武田教授の後任教授には→ 僕を推薦して いただけないでしょうか？)) [TEL]（メールの受信音） お医者さん連れて来る っていうから来たのに。 えっ？　藤村先生 お医者さんですよ。 普通のお医者さんかと思った。 解剖する医者だなんて 聞いてない。 私　帰る。 帰る。 私も帰ろ～。 え～　え～。 法医学やってる限り ず～っとモテないんじゃ…。 いや それだけじゃないと思うけどね。 お待たせ　あれ？ フフっ。 どうした？ バッサリ　パ～。 早いよ。 フフっ。 あれ？ 先生　ケータイ替えた？ これはね　新しい彼女用。 こっちが　いつも使ってるやつね。 奥さんいるのに 何で彼女までいるんですか？ ん？ しかも八代先生ですよ！ 「しかも」って何だ？　おい。 納得できません！ いや それだけじゃないと思うけどな。 おっ　彬。 （神岡）　うわ～　いや　今日も→ どんどん激しく 暑くなって行きますね。 お待たせしました。 お仕事中　申し訳ありません。 いえ　さっ　どうぞ。 先生が担当されました 梶田弘樹さんのご遺族から→ 死因に疑問があると 届け出がありました。 手術はうまく行き　経過も順調だと 説明を受けたのに→ 突然　亡くなり　原因も分からない といわれたということですが→ そのようなことが　実際に おありになったんでしょうか？ はい。 ご遺族は　医療ミスが あったんじゃないかと→ 疑っています。 手術に問題はありませんでした。 それを証明するためにも 梶田弘樹さんのご遺体を→ 司法解剖に回したいと思います。 何か　こんな形で お会いすることになるなんて。 妻なんです。 えっ？ 梶田弘樹さんの病理解剖を 拒否したご遺族に→ 警察に届け出るよう話したのは→ 妻なんです。 （和泉） いや～　旦那を警察に売るなんて 恐ろしいね～。 （神岡）　もうビックリでしたよ。 まっ　ウチのカミさんなんて かわいいもんだな。 ホント　いい奥さんで。 フフ→ まぁ　何だかんだ 俺に　ほれてるからよ。 釜津田警部 梶田さん　いらっしゃいました。 はい。 上都大学の法医学教室で解剖？ はい。 大達高広先生の奥さんが いるじゃありませんか。 事実が隠ぺいされたら どうなるんですか？ ご安心ください。 解剖は　大達先生以外の先生に お願いしますし→ 警察も立ち会います。 隠ぺいするようなことは 絶対にありません。 失礼します。 どうもです。 （一同）　お疲れさまです。 解剖　１件　お願いします。 はい。 病院で亡くなった患者さんです。 出血性の小脳梗塞の手術を受けた １週間後に突然　亡くなり→ 原因は不明で ご遺族から届け出がありました。 医療ミスの可能性がある ご遺体ですね。 解剖は　大達先生以外の先生で お願いします。 どうしてですか？ それは…。 それは 小脳梗塞の手術の執刀医は→ 私の夫だからです。 これは　大変なことになったぞ。 キツいな～。 先生　大丈夫ですか？ ご心配なく。 ご遺族に　警察に届けを出すよう 勧めたのは　私です。 分かりました。 僕が解剖します。 よろしくお願いします。 お願いします。 行くぞ。 （藤村）　僕　助手入ります。 死因究明とはいえ→ 大達先生のことが 少し分からなくなりました。 私の何を知ってんの？ 家族をちゃんと守ろうとする人 だと思ってました。 どう思う？ 夫婦ってさ→ 守り合うものじゃないのかな？ 大達先生のプライベートまで 気になるの？ いや　何のために 結婚したのかなぁと思って。 夫婦なんて しょせん　他人同士だから。 すいません　また 騒ぎになるようなことをして。 そんなこと　ありません。 大達先生らしいですね。 武田先生には　感謝しています。 私をここに呼んでいただいて。 まだまだ　もっと活躍して いただきたいと思ってますから。 ありがとうございます。 直腸温　１０℃。 （成海）　はい。 では　始めようか。 （藤村）　よろしくお願いします。 （成海）　よろしくお願いします。 ((小脳梗塞の手術の執刀医は→ 私の夫だからです)) 胸腹部　切開します。 （成海：藤村）　はい。 （瑞江）　上手でした。 （生徒）　ありがとうございました。 康介？ 何かあったの？ 元気ないみたいだけど。 お父さんとお母さんが ケンカしてるみたい。 フフ　そうか それで心配になっちゃったんだ。 うん。 大丈夫　夫婦ゲンカなんて→ 何事もなかったかのように いつの間にか終わるもんだから。 ホント？ うん。 お疲れさまです。 （武田）　どうでした？ （成海）　へいへいへい　はい。 解剖結果です。 死因は　肺塞栓症。 いわゆる エコノミークラス症候群ですね。 手術の後　しばらく 寝たきりの状態が続いたのが→ 原因ってことですよね？ 頭部は　手術のあとも とてもキレイで→ 問題ありませんでしたよ。 医療ミスは なかったってことですか？ はい。 ご主人の医療ミスの疑いが晴れて よかったですね！ 名倉先生　小脳梗塞の原因は？ そもそも　小脳梗塞は病気ですよ。 打撲の可能性は考えないの？ 死因は　肺塞栓症です。 小脳梗塞の原因を 解明する必要が？ 釜津田　ご遺体は？ もう運び出してます。 大達先生！ あら大変　こりゃ大変！ おぉ～！ 待って！ 待って！ 待って！ ご遺体を戻してください。 名倉先生　ご遺体　戻しました。 もう一度　解剖してください。 解剖なら　やりましたよ。 首の骨を開いて 椎骨動脈　調べた？ 首は診ましたが 骨の中までは診ませんよ　普通。 武田教授も骨の中までは 診たことありませんよね？ ええ。 骨を開いて　椎骨動脈を調べて。 損傷があれば　小脳梗塞との関係が 分かるかもしれない。 どういう関係があるんですか？ この動脈を損傷し 血の塊が小脳に飛んで→ 小脳梗塞を起こすことがある。 何度もいいますが　死因は→ 小脳梗塞の後の寝たきりによって 引き起こされた肺塞栓症です。 小脳梗塞の原因を調べる必要は ありません。 小脳梗塞を発症しなければ 亡くなることはなかった。 だから　小脳梗塞の原因を 解明しなければ→ 本当の意味での 死因究明とはいえない。 その必要はないと思いますよ。 大達先生が そんなふうにおっしゃるのは→ 私情を 挟んでるからじゃないですか？ 夫のことは関係ない。 私は　ご遺族に 死因を納得してほしいんです。 それは　どうだか。 教授。 はい。 武田教授は　どう思われますか？ あらためて解剖を行ったほうが よろしいでしょうか？ 先生　お願いします。 再解剖の必要は　ないようですね。 （美亜）　あの　他の先生が 解剖するわけには…？ それは　できないんだな。 （美亜）　どうしてですか？ １体のご遺体に対して→ 執刀医は１人ってのが 決まりだから。 お父さん。 名倉先生。 はい。 もう一度　解剖　お願いします。 椎骨動脈の損傷が見つかれば→ 事件の可能性が 出て来るわけですから。 では 再解剖　よろしくお願いします。 （神岡）　お願いします。 ♪♪～ ♪♪～ （久美子）　≪失礼します≫ どうされました？ 解剖の結果が気になって。 私達に　お任せください。 どうぞ。 刑事さん　弘樹は？ 解剖を担当した名倉です。 よろしくお願いします。 弘樹さんが お亡くなりになられた原因は→ 肺塞栓症　いわゆる エコノミークラス症候群でした。 手術後　寝たきりの状態が 続いたためだったと考えられます。 そんなこと納得できません。 だって　そうならないように 足を動かしたり→ ソックスをはいたり してたんですよ。 いくら予防していても 防げないこともあります。 じゃ　何ですか たまたま　運が悪かったとでも？ それじゃ納得できません。 出血性小脳梗塞がなければ→ 肺塞栓症で亡くなることは ありませんでした。 小脳梗塞の原因は→ 首の椎骨動脈という血管が 傷ついたためです。 首の血管が傷ついた？ ええ。 変に首をひねった拍子に 傷が出来ることがあります。 そこに出来た血の塊が 小脳に飛んで→ 小脳梗塞が発生したと 考えられます。 首をひねったりなど 何か心当たりありませんか？ えっ？ その時は　何でもないような ことかもしれません。 何でもないようなこと っていわれても…。 何か思い出したのか？ えっ　ホントに 全然大丈夫そうだったのよ。 （久美子） ((行け行け…！　あっ　あぁ！)) ((行け行け！　弘樹！ 弘樹　頑張れ！)) ((弘樹！)) ((弘樹　大丈夫？)) ((大丈夫　大丈夫…)) あの時 すぐに病院に連れてってれば→ こんなことには ならなかったんですか？ 病院に運ばれる数日前から→ 目まいや吐き気などの症状は 出ていませんでしたか？ 出てましたけど 風邪か何かだと…。 目まいや吐き気の症状が出→ ２時間以内に 病院に行っていれば→ 手術をせずに治療することも 可能でした。 え…　えっ。 何で　すぐに 連れて行かなかったんだろう。 （泣き声） 釜津田！ 再解剖のお礼なら結構ですよ。 警察の仕事をしたまでですから。 大達先生に 聞きたいことがあります。 解剖して　もし悪い結果が 出ていたとしても→ 大達先生は　旦那さんを 守るつもりでいたんですよね？ 当たり前じゃない 夫婦なんだから。 釜津田　ありがとう。 失礼します。 ♪♪～ ♪♪～ 小脳梗塞の原因は 椎骨動脈の損傷。 うん。 そして　小脳梗塞の手術後 肺塞栓症が起きた。 肺塞栓症が起きないよう　ちゃんと ケアをしていたから仕方がない→ 防ぎようがなかった 誰もが　そういうだろう。 けど　それで終わらすわけには いかない。 必ず 何か方法を探し出さないとな。 ((ありがとうございました)) ((先生に診てもらえて よかったです)) でなきゃ　解剖した意味がないし→ 俺が彼を担当した意味もない。 そうだろ？ うん。 解剖してくれて　ありがとう。 康介。 康介。 フフ…。 ん？ 夫婦ゲンカは…→ 犬も食わない。 こら　康介！　待て！ ちょっと　意味　分かって 書いてんの？ おばあちゃんに教えてもらった。 ろくなこと教えないんだから 釜津田と一緒だ。 （康介）　やめて。 こら　こら！ いつの間に貼ったの？ ねぇ　どうして？ お父さんなら　絶対　再解剖する っていうと思ったのに。 ダメな教授だな　優柔不断で。 これからはビシっとしなきゃな。 大達先生が来てから 何か　お父さん変だよ。 名倉先生。 何？ もしかして 今日の再解剖のこと？ 知佳はさ　僕の味方だよね？ 今日　家に来てほしい。 朝　僕が目を覚ました時に→ そばにいてほしい。 ♪♪～ [TEL]（着信音） あ～　はいはい。 [TEL]（着信音） まだ５時半じゃない。 [TEL]（着信音） 釜津田～。 [TEL]（着信音） 何なの？　こんな時間に。 [TEL]　いわれたんです　朝 目を覚ました時にいてもいいって。 名倉先生の寝顔　見ながら のろけてるわけ？ 違います！　名倉先生が起きる前に 飛び出して来ちゃいました。 何で？ いや　分かりません。 [TEL]　ずっと 望んでたことなんでしょ？ そうなんですけど…。 何か…　何か　すごい… すごい違和感があって。 ♪♪～ 私　どうすればいいんでしょうか？ とりあえず　家　帰りなさい。 私　もうひと寝入りするから。 あ…　ちょっと　ちょ…。 どうしよう…。 何なのよ　もう…。 釜津田。

ハンマー・セッション！＃11

1 　　　　　　　　　　　　　　　 《（立花）関係のある生徒さえ わかれば》 《やつの所在が　わかるんだよ！→》 《オーディションに現れたのは 音羽４号だ》 （ロク）えッ　どうして明日 出てっちゃうんすか？ （蜂須賀）坂本のダンスの オーディションで足がついた （今村）てことは… ここが　ばれるのも 時間の問題ってことか だったら 今すぐにでも逃げたほうが 何の仕上げもせずに逃げるのは 性に合わないんでね 明日　生徒たちに別れを言います 僕は　どうすればいいんだ ≪（今村）ハハハ おめえは　生きたいように 生きりゃいいんだよ といっても どうせ　寂しい人生だろうけどなッ ほっといてくださいよ！ なに！？ こうやって言い合うことも もう　ないのか でも　悪くなかったよ おまえとの　むさ苦しい暮らしもな そうですね さて　どこまで逃げ切れるか おいロク　別れの杯だ 酒　持ってこい ♪♪～ 　　　　　　　　　　　　　　　 ごめん　これも頼む （楓）ねえ　お父さん えッ？ 昨日さ　お父さん そこで寝てたっしょ ファイルにあった写真 ちょっと見ちゃったんだけど あのイケメン　捜してんの？ もしかして　人殺しとか？ おまえには関係ないよ でもほら　私だって　どっかで 見かけるかもしれないしさ 人殺しじゃないよ 詐欺師だ ほら　遅刻すんなよ 詐欺師… 生徒たちに会ったら　行きます それでは （水城）蜂須賀君 君のような教師には 二度と出会えないだろうな 僕は　教師なんかじゃありません 教師の役を演じていた ただの詐欺師です いや　この「光学園」にいた君は 紛れもなく教師だったよ 蜂須賀先生 人は変われるんだ いつでも　その思いさえあれば それを 生徒たちに教えてくれたのは ほかの誰でもない　君だよ 小樽へ異動って どういうことですか？ （奥村）組織の方針に背き 勝手に単独行動を取る人間を 中枢部に 置いとくわけにはいかない 逃亡中の指名手配犯を 野放しにする方針に従うほうが 間違ってるでしょ！ 何度も言ったはずだ 音羽４号の捜索は 打ち切りになったんだ その理由は　これですか？ 上層部の 裏金づくりに関する調査です 政界入りした 元某警察官僚の政治資金として 上層部は裏金をつくっていた 音羽４号は その金を奪おうとして逮捕された この裏金の事実を隠すために 音羽４号の逮捕は公表されず 捜索も打ち切りになった もしかしたら　あの護送車の事故も 仕組まれたものだったんじゃ… くだらない推測だ 裏金に関する証拠は 集めてみせますから 立花 おまえ一人で 何ができるっていうんだ 悪いことは言わない 警察にいたかったら　命令に従え これは　俺からの最後の忠告 いや　警告だ 《涼子先生に…》 《会えてよかったです》 涼子先生 おはようございます （涼子）おはようございます （岬）東大走も面白かったよね （エリカ）きつくなかった？ （耀子）正直きつかった （真潮）でも　蜂須賀先生 ほかの先生じゃ 絶対やらないようなことやるよね （結衣）やるねえ おっはようっす～ （生徒たち）おはようございます よし　じゃ出席取るぞ と思ったけど 全員いるから　いいや （繭）何それ　いいかげん ほんと こんな　いいかげんな教師に おまえらも　よくつきあってきたな （司馬）いまさら何言ってんだよ シュコラン・マッサラーマ （杏奈）何それ　何かのおまじない？ そう　そのとおり よく効くおまじないだ よし　じゃ今日も 一日張り切っていこう （生徒たち）オーッ！ ちょっと おう　楓ちゃん どうした？ あんたが詐欺師って　ほんとなの？ 私のお父さん　刑事なんだ そうか あんたのこと捜してる まだ　光学園の教師だってことは 気づいてないみたいだけど そのとおり 俺は詐欺師だ 犯罪者ってこと？ 詐欺って何やったの？ だいたい なんで詐欺師が教師なんか… まあまあ　まあまあ ほら　説明すると長くなるじゃん インチキ教師も楽しかったよ おまえみたいに 面白いやつにも会えたしな 何だよ　面白いって 何でも首突っ込むだろ？ 空気も読まず　周りに流されず さすが　刑事の娘だな 将来は婦人警官か？ 今　そんな話は　どうだって… おまえは　そのまんまでいろよ まだ話は終わってない 突然　詐欺師とか言われて 訳わかんないっつーの！ 私は　どうすりゃいいんだよ このトンチキ野郎！ ≪（涼子）立花さん 涼子先生 義賊って… 世界中で悪い人から　お金をとって 恵まれない人に分けてたらしいの そうなんだ… すごい悪人とかだったら どうしようかと思った それに… 私にとっては あの人は詐欺師なんかじゃない 教師の蜂須賀先生よ だけど 逃亡中ってことは事実でしょ？ このままだと逮捕されちゃうよ 蜂須賀先生は　きっと この学園を去る気でいると思う ≪（奥村）音羽４号は そう遠くない場所に 潜伏してるらしいとの情報が そうか 立花が見つける前に 我々の手で 音羽を確保したほうが あくまでも極秘に捜索してくれ わかりました （野島）シュコラン・マッサラーマ 何だったっけ… この　「エトワール」ってブランド 最近　人気だよね （百花）「エトワール」ってフランス語だっけ？ 意味なんだっけ あッ！ 何だよ　野島 さっき　蜂須賀先生が言ってた言葉 何のこと？ 「シュコラン・マッサラーマ」　って アラビア語だ 《シュコラン・マッサラーマ》 「ありがとう」 「さよなら」 ふ～ん えッ？ 楓？ あのインチキ教師 まさか　黙って行くつもり！？ そういえば　ロク君は？ 昨日の別れの杯で　今村さんに 飲まされて二日酔いです まったく　最後の最後まで 情けないやつですよ じゃあ　校長 いろいろ世話になりました お元気で 君たちもね それじゃ 蜂須賀先生 ありがとう こちらこそ ありがとうございました 来世で　また会えたら 僕は　もう一度 君を教師として雇うよ 楽しみにしています 蜂須賀！ ≪（涼子）蜂須賀先生！ 蜂須賀！ 蜂須賀先生！ 蜂須賀！ 蜂須賀！ ≪（涼子）蜂須賀先生！ さ～て とりあえず　どこへ行く？ あんちゃん 先輩 うん？ ちょっと　つきあってもらっても いいですか？ 蜂須賀　何かあったのか？ あのインチキ教師は　もう来ないよ 来ないって？ 辞めたんだよ （海老原）マジで！？　なんで急に （結衣）どういうこと？ （藤井）そんな　そぶり 全然なかったじゃん 立花 何か知ってるんじゃないのか？ 私たちじゃ どうにもできないんだよ 蜂須賀先生… ただいま どうしたの　こんな時間に 今日　異動を命じられた 異動？ 小樽だ 小樽って　北海道？ こんな辞令に従う気はないがな 別に　いいんじゃないの？ 寿司もうまいっていうし あんな詐欺師　追っかけないでさ 北海道でも　どこでも行って のんびり暮らせばいいんだよ あんな詐欺師って あいつのこと知ってんのか？ 知るわけないじゃん おまえ　何かあったのか？ 別に　何もないよ おい　楓！ ありがとう は～い お兄ちゃん　ありがとう あとは　お願いします ここは　俺が子どもの頃に 過ごした場所なんです ええッ？ ここが？ あんちゃんがいた施設は 園長が死んで　閉鎖になったって 言わなかったっけ？ ええ　その後に人手に渡ったのを 俺が買い戻して 新しく建て直したんですよ そうだったのか 親の顔すら知らず 後にも先にも 園長だけが信頼できる人でした 今でも　そうかい？ あんちゃんが信じてるのは 死んじまった園長だけかい？ 俺には… そうは思えねえな そろそろ行きますか？ みんな しばらく会えないけど 仲よく遊ぶんだぞ （子どもたち）は～い！ じゃあな バイバーイ ケンカすんなよ ≪（子ども）また来てね は～い （携帯着信） どうした？ いや… あんちゃんなら　いくらでも ウソの作り話で 生徒たちを納得させて　すっきり 辞めることもできたのにな どうも あんちゃんらしくねえんだよな なんか　迷ってるように見えんだ 「マジで辞めんの？　海老原」 「帰ってきて　耀子」 「男らしくないぞ　黒沢」 「ライブ来るって言ったじゃない 真潮」 「辞めて　何のメリットが あるんですか？　甲斐」 「学級委員として許せねえよ　広瀬」 「戻ってきて　繭」 ほんとに このまま行っちまっていいのか？ 「約束破んのかよ　葛城」 「なんで　なんでだよ　岬」 「帰ってきて　野島」 「超許せない　結衣」 （女子生徒たち）「先生　戻ってきて」 先輩 最後の宿題 出しに行ってもいいですか？ 俺たちは　一蓮托生 ここまできたら とことん　つきあうぜ 行くぞ 　　　　　　　　　　　　　　　 （太田）先日起きました　３年Ｂ組の 勉強合宿でのルール違反 これは決して 許されるものではありません 近々　職員会議にかけて 担任である 蜂須賀先生の責任問題を 徹底的に追及していきたいと 思っております 一つ　お知らせがあります その蜂須賀先生なんですが… また何か　やらかしたか？ 昨日をもって退職しました ああ　退職ね えッ　退職！？ （扉が開く） 今日は　一つ 残念なお知らせがあります 実は　蜂須賀先生が… おっはよ～う！ おはよう　おはよう 蜂須賀先生… なんで… （広瀬）やっぱウソか　驚かせんなよ 楓が　先生は辞めたとか言うから そのつもりでいたけど 一日延ばすことにしたよ でも　今日かぎりで 俺は　この学園を辞める （甲斐）なんで辞めるんですか？ 実は　俺… 教師じゃなくて 詐欺師なんだ （黒沢）冗談はいいから まじめに話してください 黒沢　それが冗談じゃないんだよ 詐欺師って　何だよ 犯罪者ってこと？ まッ　詳細は立花君に聞いて なんだ　また　そのムチャ振り いろんな経緯があって おまえたちの担任になったけど これ以上　続けるのは難しくなった ちゃんと説明してくれよ ちゃんと説明しろよ どういうことだよ　蜂須賀！ はいはい　とにかく 今日までは　おまえたちの担任だ 以上 蜂須賀先生！ どうして… 何がですか？ 何がって どうして戻ってきたんですか？ それに生徒たちに　あんなこと あいつらから　黙って行くなんて 最低だっていう クレームのメールが ジャンジャンきちゃって そんな　のんきな… 警察が来たら　どうするんですか！ 捕まるくらいなら 逃げてください 逃げて また　どこかで 教師を続けてください 涼子先生 らしくないですよ 蜂須賀先生！ ≪（葛城）指名手配中の義賊って （千夏）ここにいることが　ばれたら 逮捕されちゃうんだ なんで　あいつ戻ってきたんだろう （優希）私たちが　最低だとか メール打ったから？ 別れを言いにってことかな （エリカ）ほんとに いなくなっちゃうんだ 蜂須賀先生 ≪（水城）生徒たちに ほんとのことを？ それを言うために ここに戻ってきたってことか？ ほかにも何か… あいつらに 出し忘れた宿題があることに 気づいて それは… 最後の　ハンマーセッションです （塚本）教頭先生　大丈夫ですか？ 元気ないですけど そう？　別に 蜂須賀先生！？　ちょっと はい 辞めたんじゃなかったの？ 教頭先生に挨拶もなしに　僕が 辞めるわけないじゃないですか 何ですか　これ？ 勉強合宿でのルール違反 勝手にキャンプファイアーをやった罰です よッ　待ってました！ あなたの責任問題も 職員会議にかけますから 了解で～す （服部）教頭先生　何だか 元気になりましたね 蜂須賀先生がいないと 張り合いがないとか バカ　そんなこと… ≪（立花）強きをくじき→ 弱きを助けるか ほんとの悪は　どっちだ これも… 今日が見納めですね （玲奈）この日課も　最後だと思うと ちょっと寂しいわね でしょ？ だから今日は　特別出血大サービス ってのは　どうでしょうか？ じゃあ　ちょっとだけ？ ≪（玲奈）イヤーン おまえは　どうすんだ 校長先生に返されたんです ここでは無理だけど どこかで　もう一度 教師　目指してみないかって へえ 僕　やってみようかなって また校舎に火つけて　逃げ出すなよ しないですよ！ 僕だって　少しは変われたんだ そうは見えねえけど 少しは変わったんだ モンスターに見えた生徒たちが 人間なんだって　わかったし そこからか でも　少しは成長したんだ それに　人間と係わるのも 悪くないかなって どうせ無理だと思って バカにしてるんでしょ してねえよ ロク 頑張れ 今のおまえなら　きっとできるよ 禁止されたにもかかわらず 俺たちは　キャンプファイアーをした その罰として 全校舎の掃除をすることになった （生徒たち）ええ～ いいか？ ルールを犯した者は 罰を受けなければならない わかるよな？ 楓ちゃん その呼び方 キモイっつってんでしょ 頼みがあんだけどさ 掃除の間　俺に 携帯電話貸してくんないかな はあ　なんで？ 携帯　寮に忘れてきちゃってさ ほら　最後だし みんなと写真撮って 思い出として 俺の携帯に送っときたいんだ まったく　しょうがないな　はい サンキュー みんな　写真撮ろうぜ 記念だ　記念 早く早く いくぞ　いいか？ はい チーズ！ （シャッターを切る） よく平気でいられるね 何が？ 何がって いつ警察が来るか　わかんないのに 俺　悪運強いから　大丈夫だろ お父さんが あんたを捕まえるとこなんか 見たくないよ そうか なんで　詐欺師になったの？ なんでっつーか　気づいたら 詐欺師になってたな 蜂須賀っていうのも 偽名なんだよね 本名は何？ 忘れた まッ　蜂須賀ってことでいいじゃん そうだね あんたが担任で　楽しかったよ 蜂須賀先生 よし　二人で写真撮ろうぜ はい （シャッターを切る） （葛城）次のライブ　先生に 見に来てほしかったんだけどな 先生がいたから バンド続けられたんだし メジャーになってくれよ そしたら　テレビで見れるしな～ 先生 おう もし　病気になったら うちの病院に来てください いつでも面倒見ますから 心強いねえ 親父さんと話できたんだな いい医者になれよ はい 早乙女　この間 セリフのある役で出てたよな 見てくれたんだ もちろん ていうか先生　マジでのんきだな 明日から　どうすんの？ う～ん　どうすっかな （詩織）どっかで　先生やってほしい やってほしい でも　先生がいなくなると寂しいな そんな情けねえ声　出すなよ おまえも男になったんだからさ あッ　先生もアメリカ来いよ そしたら俺が　かくまってやる いいねえ　それもアリだな だろ？ よし　ここも終わりだ あとは屋上だけだ みんなで写真撮ろうぜ 集まって　集まって ほい （シャッターを切る） どう　いい感じ？ やっぱ　今日が最後なんだね ほら　早く行け 行け はい [ｽﾋﾟｰｶ]（聡子）はい 警視庁の立花と申します ちょっと 伺いたいことがあるんですが [ｽﾋﾟｰｶ]少々　お待ちください （携帯着信） よし　いいだろう　終了だ みんな　よくやった お疲れ！ じゃあ　みんなで 最後に写真でも撮ろっか おッ　いいねえ　撮ろうぜ撮ろうぜ 俺が写真撮るから　みんな集まって 早く　早く いいか　いくぞ ハーチースカ！ （シャッターを切る） おお　いい感じ 今度　私撮るよ ちょっと待って ええ～ [TEL]（音声アナウンス） １件の新しいメッセージがあります [TEL]（立花からのメッセージ） 楓　お父さんだ　メールは見た [TEL]今から　そっちへ行く メール？ 顔が嫌だったんだ　絶対そうだ ちょっと待て どういうこと？ なんで　お父さんに 写真送ったりしたんだよ！ 俺が　ここにいるって 一番わかりやすいだろ？ お父さんを呼んだってこと？ ああ （パトカーのサイレン） 警察呼んだってことかよ 蜂須賀　最初から　そのつもりで… そろそろ来る頃かな 何言ってんだよ　早く逃げろよ！ （生徒たち）早く逃げろ！ お父さん 最後の授業の始まりだ やっと見つけたよ　音羽４号 お待ちしてました メール　いい写りだったでしょ？ おまえが送ったのか？ ええ なんで　そんなこと… 決まってんだろ 逮捕してもらうためだよ 俺には 物心ついたときから 親も　家族もいなくて 一人で生きるしかなかった 生き抜くために 詐欺師になったんだ 正しいとは思ってないが 後悔したことはなかった だから　詐欺師として ずっと逃げ続けるつもりでいた でも　この学園に来て おまえたちと出会って 初めて思ったんだ もしかしたら 俺にも　違う生き方が あったのかもしれない というより 違う生き方をしてみたくなった 自分以外の誰かを 信じる生き方を 蜂須賀… だから　逃げるんじゃなくて この場所で おまえたちの前で 俺自身をリセットすることにした この姿を おまえたちに見せることが 俺の最後の授業だ どう受け止めるかは それぞれが考えてくれればいい お父さん！ （藤井）ちょっと待ってくれ！ 蜂須賀は　犯罪者なんかじゃない 俺たちに　いろんなことを 教えてくれた先生なんだ 親の愛情とか 《最高に　かっこいい親父さんだな》 失って 初めて気づくものがあることも 《命懸けで おまえを守ってくれた人の》 《愛情を信じて 一緒に生きていくか》 《決めるのは　咲山　おまえ自身だ》 弱い人間でも　勇気を出せば 変われるということとか 《男になるには　やっぱり 優しさがなきゃな》 戦うことの意味とか 負けることの意味とか 《おまえは親に気に入られるために 生まれてきたわけじゃないだろ》 《生まれ変われよ》 いつも　私たちの気持ちになって 考えてくれた 《踏みとどまって やりたかったことをやるか》 《選ぶのは　おまえだ》 先生に会えたから　気づけたことが たくさんあるんだ 《あれは　おまえの光だ》 《ちっぽけだけど》 《すごく明るく光ってる》 私は　人に対しての思いやりを 俺は　人を好きになることの意味を 俺は　思いを伝える大切さを 私は　一人で 生きてるんじゃないってわかった （坂本）俺は　自分の夢を 決してあきらめないことを 蜂須賀に教わったよ 蜂須賀は　マジで 超いい教師なんだよ！ お父さんは 何のために刑事やってんの？ 悪い人を捕まえるためっしょ？ 蜂須賀は　手錠かけられるような ことはやってない 詐欺師ったって 弱い人を助けてきたんだよ！ すぐに人をだます　インチキ教師の トンチキ野郎だけど だけど… 何が大切か どうすれば　前に進めるのか 理屈じゃなくて 私たちに　たたき込んでくれた 蜂須賀じゃなきゃ 伝えられなかったことが いっぱいあんだよ！ 蜂須賀は　悪いやつなんかじゃない 最高の先生なんだよ！ 俺が追い続けてきたのは 第一級詐欺師の　音羽４号だ そこにいる　蜂須賀という教師を 逮捕する理由が 俺には見つけられない お父さん… （生徒たち）先生！ よっしゃ～！ ≪（水城）蜂須賀先生 君は　今日 ここで生まれ変わったんだ （佐伯）先輩！→ 音羽４号は？ 間違いだった えッ？ 音羽４号は　ここにはいなかった というか　やつは もう　この世には存在しない はッ？ 引き揚げよう 先輩 おい　行くぞ 逮捕される心配がないなら ここにいればいいのに さすがに このまま居続けるのは厳しいだろ でも　生徒たち　誰も 見送りに来ないなんて冷たいな 来るわけねえじゃねえか 最近の若者は　クールだから こんなもんだよ 蜂須賀先生！ ≪（涼子）大変です　生徒たちが… あいつら また何かやらかしたんですか？ いいから　来てください！ あいつら… いくぞ～ せ～の！ ♪♪～ ≪（生徒たち）ありがとう！ ありがとう！ ♪♪～ バイバイ　トンチキ野郎！ おまえたちも　元気でな！

ユニバーサル広告社～あなたの人生、売り込みます！～＃03

1 節子さん！ あっ いらっしゃい！ 今日 何がおいしい？ 今日はね ｻﾜﾗがいいよ！ ちょうど おいしいの たくさん入ってきたから｡ じゃあ それにする｡ お父ちゃんと２人だと 張り合いなくてさ｡ おいしいとか何にも言わないし｡ 煮付けにするなら 生姜 入れてみて｡ うん わかった｡ ちょうど いいとき来てくれた｡ さくらちゃんとこ 行こうと思ってたの｡ そうなの？ なんで？ ｴﾋﾞﾋﾟﾗﾌ？ ｱﾊﾊｯ 違うよ｡ 広告会社が 引っ越してきたんだって？ うん｡ いい人たちだよ｡ ふ～ん｡ (猫の鳴き声) はい はい… わかりました｡ ありがとうございます｡ 光栄でございます｡ 頑張ります！ 私じゃなくて 社員が｡ ﾊﾊﾊﾊﾊ！ 私は 邪魔しないのが 仕事みたいなもんですから｡ ええ！ わかりました｡ それじゃあ 失礼いたします｡ 何 引き受けちゃったんですか？ え？ 早く言ってしまったほうが 楽になりますよ｡ は？ 断るなら 今のうちですよ｡ 何 言ってんのよ！ あのね… 残ったの｡ 何が？ 例のｺﾝﾍﾟよ ｺﾝﾍﾟ｡ おひさま食品の｡ あの冷凍食品の？ そう｡ 最終の２社にうちが｡ へぇ！ ﾏｼﾞかよ｡ 記念受験くらいに思ってたのに｡ お前 そんなふうに思ってたのか？ 意識 低っ…｡ ちょっと待てよ｡ 俺だけじゃないだろ！ で 社長 残りの１社は？ ああ あの… 博王堂らしい｡ ｟どういう意味ですか？ 今回 外れろって！ やめろ やめろって！ 辞めてやるよ！ 辞めてやるよ こんな会社！｠ 何 心配そうに見てんだよ？ あれだ… 敵に不足はない っていうやつだよ…｡ 勝ちたいなぁ 勝ちたい｡ 勝てば 会社の評価が ｶﾞﾗｯと変わるからなぁ｡ 勝ちたいなぁ｡ 勝ちにいきましょうよ｡ 杉山君｡ 頑張ろう｡ うん｡ はい｡ 社長 ﾌﾟﾚｾﾞﾝの日程は？ 10月31日｡ まいったなぁ｡ これは いい話なのかどうなのか わかんないよ｡ まいっか｡ どうも｡ さくらさん どうしたんですか？ あのね 仕事をね➡ 依頼したいという人がいて｡ 頼まれちゃって｡ ありがとうございます｡ ほら もう いい風が吹き始めた｡ なっ｡ そういう感じ？ あ… そうだよね 仕事だもんね｡ あの どんな仕事なんでしょう？ 話を…｡ とりあえず！ 行こうか｡ ねっ｡ というわけで こちらの節子さんが依頼主｡ この店が 昔みたいに➡ お客さんが来るように してほしいんだよね｡ そういうこと！ よろしくね！ あの お客さんが減ったのは やっぱり➡ 商店街の人が 少なくなったからですかね？ まあね｡ 邪魔！ ああ！ 邪魔 邪魔…｡ まっ みんな ｽｰﾊﾟｰ行くからね！ 自分で さばかなくても➡ 切り身になって きれいに ﾊﾟｯｸされてるから｡ ずっと お一人で やられてるんですか？ 邪魔！ あぁ… すみません｡ 旦那さん亡くなってから ずっと １人なんだよね｡ そう｡ 何か 要望とかありましたら…｡ どんな広告にしたいとか｡ あぁ そっか｡ あんたたちに任す｡ でも 期限だけは きっちり守ってよね｡ いつですか？ 10月31日｡ うん？ あ…｡ ＜仕事をしていると こういうことってありますよね｡ 暇なときは 全然なんにもないのに➡ 忙しくなるときは 絶対 重なる｡ なんで今なの？ っていう｡ やれやれ… 頑張りましょう＞ 承知しました｡ 帰るけど｡ そう｡ 気をつけてね｡ で？ なあに？ 何じゃなくて もう 答え 出てるでしょ｡ なんで？ なんでって… お母さん｡ 話 終わってないんだけど｡ 帰るって言ったじゃない｡ 帰るけど…｡ さあ お風呂 入ろう！ じゃあね｡ ﾊｧ…｡ 以上が広告ﾌﾟﾗﾝだ｡ 意見 聞かせてくれ｡ なんで 黙ってんだよ｡ はい すみません｡ わかってるよ！ 全然ﾀﾞﾒだよ｡ わかってます わかってます｡ はいはいはい もう 回収 回収｡ 何も まだ 言ってませんけど｡ いいよ なんにも言わなくても｡ ちゃんと わかってるよ 自分でも｡ じゃあ あれか お前 これでも いいっていうのか？ そんなﾔﾂ 最低だぞ 俺は認めない｡ はあ？ 面倒くさい人だ｡ うるさい！ 社長は？ 営業に 外回りに行くそうです｡ すごく会社にとって 大事な局面だから➡ 邪魔しないように 社には 戻らないそうです｡ どんな社長だよ｡ 正直 そのほうが助かる｡ ですね…｡ ﾊｧ… 杉山さん 大丈夫ですか？ だいぶ追い詰められてますけど｡ うん…｡ ﾊｧ う～ん…｡ やり直させていただきます｡ できた？ 何 これ？ 気に入って いただけませんでしたか？ 話にならない｡ こんなの見て 客が来ると思うの？ あの ちょっと…｡ うちの魚はね 新鮮だし➡ 目の前の海で獲れた魚しか 置いてないの｡ これじゃ ちっとも 伝わらないじゃないの｡ いや でも 魚屋は魚屋ですから 魚 見せないと｡ それ以外のﾋﾞｼﾞｭｱﾙ なんかあります？ は？ やり直し｡ わかりました｡ いつまでに？ できるだけ 急ぎます｡ 言ったでしょう？ 時間がないの｡ とりあえず また 明日 来るから｡ えっ｡ いや いくらなんでも それは…｡ じゃあ また明日！ なんだよ あれ！ 結構 面倒なｸﾗｲｱﾝﾄだな…｡ なんで あんなに 急いでるんですかね？ さあ…｡ あの… さくらさん｡ うん？ 魚屋の節子さん 広告作るって ほんとですか？ は？ ほんとだよ 私が紹介した｡ へぇ～｡ なによ？ その顔｡ いやいや…｡ なによ？ いや…｡ そんなことしても しようがないって思ってんだろ？ いや 僕は 何も…｡ いいじゃない！ ｷﾐみたいに 諦めて何もしないより…｡ だよね！ いや 何も 言ってないじゃないですか！ 少しは 節子さんを見習いなさい！ そうだよ！ なんで 僕が そんな なんでもかんでも➡ 否定されなきゃ いけないんですか｡ あ～ だからか…｡ うん？ いや… 魚屋 売りにだすかも って噂 聞いたからさ…｡ えっ？ どういうこと？ よっしゃ～ 売れた！ あっ ごめん… 帰る！ えっ…｡ どういうことよ？ いや… 僕は 何も知らないですよ｡ もう… 何も言ってないとか 何も知らないとか➡ そんなのばっかじゃない ｷﾐは…｡ すみません…｡ ☎ええ… ああ そうなんですね｡ あっ ﾀﾞﾒだったんですか？ はい ええ うん…｡ あっ いいと思いますよ うん…｡ はい はい ええ…｡ ん～っ!! ☎はい ええ…｡ ☎営業の範囲を広げられたほうが いいんじゃないかと…｡ え？ 大丈夫です｡ うん｡ 大丈夫です 頑張ってください｡ はい では はい…｡ なんだって？ 社長｡ 会社に来たがってるようでした｡ もういいよ 来て…｡ 社長は社長なりに真剣なんです｡ うまくいってほしいと思って やってるんです｡ 役に立ちたいんです｡ まあ 行動が曲がってはいますが…｡ だな…｡ はぁ…｡ なんか どﾂﾎﾞだな～｡ 悔しいな～！ ♬～ はぁ…｡ 壁ｺﾞﾝ…｡ なんちゃって…｡ はぁ…｡ 終わっちゃったのかな～ 俺…｡ なんちゃって…｡ (ﾉｯｸ) 失礼します｡ ♬～ で… お話というのは？ 母の依頼を撤回したいんです｡ すみません…｡ で… お話というのは？ 母の依頼を撤回したいんです｡ すみません…｡ 母が広告をお願いしたのは 私と約束したからなんです｡ ほんと ﾊﾞｶみたい｡ なに考えてんだろ…｡ あの… その約束っていうのは どんな？ 店を続けたければ 昔みたいに お客さんを取り戻す｡ それができなければ 今月で 店を閉めるって…｡ だから 急いでたんだ…｡ でも… お母さん どうして そんな約束を？ 母 大きな病気したんです｡ 長い手術で すっごい心配して…｡ で ようやく治ったと思ったら お父さんが死んで…｡ お店を閉めて 東京で一緒に 暮らそうって言ったんです｡ あっ… 私 結婚して 東京で暮らしてるんですけど…｡ お母様は あなたのところに 行きたくないんですか？ 別に 仲が悪いわけじゃないんです｡ 普通の親子です｡ 私と暮らしたくないわけじゃ ないと思うんです｡ お店を やめたくないだけなんですよ｡ それに 今は少ないけど…｡ お客さん 来てるみたいだけど…｡ 誰も来なくなって終わりとか 悲しすぎるじゃないですか｡ 嫌なんですよ そんなの｡ もう いいと思うんです｡ さんざん苦労してきたんだから｡ だから 広告なんて やってほしくないんです｡ ｷｬﾝｾﾙさせてください｡ お願いします｡ そう あの子 あんたたちのとこ行ったの｡ ﾊﾞﾚちゃったか｡ ﾌﾌﾌｯ そっか 悪かったわね｡ いえいえ そんな｡ あっ そうだ ちょっと待ってて｡ 渡したいものがあるの｡ あとで持ってこうと思ってたの｡ 差し入れ｡ たいしたもんじゃないんだけどさ｡ ああ どうも｡ あの話なんだけどね…｡ うまい ちらし寿司｡ 好き ちらし寿司…｡ わかったから それは｡ なんだよ｡ 杉山さん｡ ああ… うん うまいな ちらし寿司｡ どうしたんですか？ うん？ 広告の件は？ 依頼 やめるって｡ え？ これ食べたら 冷凍食品のほう詰めるぞ｡ あと５日しかないからな｡ はい｡ うまい ちらし寿司｡ あ… すみません｡ 杉山さん｡ うん？ どうした｡ うまかったっすね 節子さんのちらし寿司｡ ﾊﾊﾊｯ！ そんなに好きなのか？ 昔 しょっちゅう食ってたんすよ｡ 誕生日 ｸﾘｽﾏｽ 正月｡ おふくろ 何かあったら ちらし寿司作ってたんで｡ ふ～ん｡ 節子さんに似てるんすよね おふくろ｡ むかつくこと ｽﾞﾊﾞｽﾞﾊﾞ言ってくるとことか｡ 意地っ張りな感じとか｡ で？ 元気なの？ おふくろさんは｡ さあ…｡ もう ずいぶん会ってないから｡ 顔あわせづらいんですよね｡ さんざん でかいこと言って 飛び出してきたんで｡ ふ～ん｡ ちょっと 喜ぶ顔見たかったな 節子さんの…｡ ﾊｯ しようがないっすよね｡ こんばんは｡ ああ｡ すみません こんな時間に呼び出して｡ ううん｡ 秋だね｡ え？ ああ ﾊﾊｯ そうですね｡ なんだろうね 栗とかさ ｻﾝﾏとか➡ そんな匂いが するわけじゃないんだけど➡ 秋の空気って感じ…｡ ああ 確かに｡ 秋だ｡ ごめんなさい… ごめんね｡ え？ なんで さくらさんが謝るんですか？ 変なことに巻き込んじゃって｡ ああ いえ 全然 そんな｡ あぁ… 何か嫌になっちゃう｡ 冴えないことばっかり｡ ちょっとだけ 期待してたんだよね 私｡ え？ 期待？ うん｡ 私だってさ 冷静に考えれば➡ 加奈ちゃんが言うとおり そんな簡単に➡ うまくいかないことは わかってる｡ 杉山さんに➡ ｢広告は魔法じゃない｣って 言われたしね｡ でも ちょっと➡ 楽しいことになるんじゃないか って思ったし｡ なんか あの歳で 広告出したいっていう節子さん➡ かっこいいな って思ったし｡ 杉山さんたちが どんなことするのか➡ 見てみたかったし｡ ひょっとしたら 奇跡とか 起きちゃったり？ みたいなことになるのかな… とも思ったりとか｡ ちょっと ﾜｸﾜｸしたんだよね｡ でも 現実は やっぱり 冴えない｡ 冴えないことばっかりだ｡ 嫌になっちゃう｡ 私も この町も…｡ 冴えない｡ あ～ もう 冴えない！ でもね 一番 冴えないのは 僕です｡ そうなの？ あ～あ｡ ちっちゃいな 俺｡ 節子さんの話がなくなって 正直 ﾎｯとしたんです｡ すみません｡ 先に仕事が入ってて➡ ｺﾝﾍﾟなんですけど それも大きな｡ どうしても取りたくて 勝ちたくて｡ 僕が前にいた会社なんです 競ってる相手｡ へぇ｡ 正直 集中できると思いました｡ それに どうしたらいいか 全然わからなくて｡ 客が来なくなった魚屋さんを もう一度 繁盛させるって…｡ はぁ…｡ そうか｡ あ～ 情けないなぁ 俺｡ あ～ 冴えない 冴えないな…｡ はぁ…｡ お互い 冴えないってことだね｡ えっ？ 冴えないから この町に たどり着いたんじゃないの｡ そっか｡ ﾌｯ｡ そうだよ｡ 頑張って 前の会社との戦い…｡ やっつけて ねっ！ ありがとうございます｡ (猫の鳴き声) (猫の鳴き声) どう？ すてきなｺﾋﾟｰだと思います｡ よし じゃあ この線でいきましょう｡ うん｡ じゃ 社長に会社に 帰ってきてもらおうか｡ ですね｡ そろそろ電話が来るころかと｡ あ そう｡ ☎ 俺が出るよ｡ ☎ お願いします｡ はい ﾕﾆﾊﾞｰｻﾙ広告社です｡ あっ はい いつもお世話になってます｡ ええ あ… 石井はですね ちょっと 席をはずしておりまして➡ 代わりに 私が…｡ はい はい はい…｡ え？ いえいえ とんでもないです｡ はい 失礼します｡ どうしたんですか？ ｸﾗｲｱﾝﾄ｡ なんか 今になって ｺﾝﾍﾟの内容 変えたいって言ってきた｡ え～！ なんか 冷凍食品全般じゃなくて➡ 冷凍焼きおにぎりに特化した 宣伝にしたいんだって｡ なんだよ それ～｡ じゃあ 全部作業 やり直しってことですか？ うん｡ しかも…｡ ﾌﾟﾚｾﾞﾝの期日は 変わらない｡ なんだと思ってんだよ ったく！ はぁ…｡ なんで こうなるかなぁ｡ お待たせ 他 何かいる？ あれさ これ あっためれば終わり？ ﾁﾝすればいいの？ そうそう ﾁﾝして｡ 蒸すの？ ﾁﾝするの？ ﾁﾝでも どっちでも…｡ どっちでもいいのか｡ これ ｻﾊﾞ｡ ２枚におろしておいたから｡ すまないね｡ 来週には おいしいﾌﾞﾘが入ると思うよ｡ 入ったら 持ってこうか？ 大丈夫｡ ここまでちょうどいい運動だから｡ そう？ いつでも言ってよ｡ じゃあね は～い｡ ありがとうね｡ はい｡ あ ねえ ねえ やっぱり送ってく！ え？ 貸して 貸して｡ ありがとう ごめんね｡ いいから いいから｡ 気をつけてよ｡ いい 急がなくて 大丈夫 大丈夫｡ 助かるわ｡ あの…｡ あっ 社長 どうしたんですか？ うん 来ちゃった｡ ﾀﾞﾒ？ 来ちゃったって…｡ いや 聞いたよ いろいろ｡ 大変だったね｡ あぁ 大丈夫です｡ え 何で？ えっと｡ あの 節子さんの店➡ もう一度 依頼してもらうことになった｡ え？ 本当ですか？ うん｡ じゃあ 何か勝算が？ ない｡ ん？ あ じゃあ 焼きおにぎりのほうに勝算が？ まったくない｡ ん？ なんか… やりたくなった｡ えっと あの…｡ やりたくなったんだ｡ へ～｡ じゃあ 仕方ないですね｡ よしっ！ じゃあ まずは➡ 冷凍焼きおにぎりから やっつけよう！ はい｡ 資料お持ちしました｡ あぁ ありがとう｡ う～ん｡ なんすか？ あ～ いやいや…｡ 今の ｢う～ん｣は 村崎じゃないから｡ どうかしました？ いやいや 気にしないで｡ あの 続けて｡ みんな うん 続けて｡ う～ん｡ あ ごめん ごめん｡ 何かあったら 言ったらどうですか？ いいの？ 俺が発言しても｡ お願いします｡ いや 最近の冷凍食品ってさ 結構おいしいんだよね｡ うちの女房もよく使ってるしさ｡ でも こうやって 写真を見ると…｡ なんか伝わってこないっていうか｡ なんか こう ｼｽﾞﾙ感が足りないな なんて思っちゃってさ｡ まぁ 冷凍食品の広告って難しいよね｡ ｼｽﾞﾙ感…｡ ＜ ちなみに ｼｽﾞﾙ感とは➡ 料理の焼ける音や焦げ目➡ 湯気や香ばしさなどを 表現することで➡ 五感を刺激する効果を意味する 広告用語のことです＞ 社長！ ごめんなさい 忘れてください｡ 猪熊 すぐに企画書作るぞ｡ はい｡ 村崎！ 資料写真 そろえてくれ！ 何 用意すれば？ えっと 企画書のﾀｲﾄﾙは…｡ これでいこう｡ はい｡ 写真は… ちらし寿司の素材 集めてくれ｡ はい！ あの 今 どんな状況なのかな？ 俺にもわかるように 教えてもらってもいいかな？ どうでしょう？ これが あんたたちが考えた うちの広告ってわけ？ はい｡ ふ～ん これがね…｡ これが あんたたちが考えた うちの広告ってわけ？ はい｡ ふ～ん これがね…｡ 楽しそうじゃない！ でも ほんとにできるの？ はい！ 準備だって大変よ？ きっと大丈夫です！ ﾌﾌﾌﾌｯ ﾌﾌﾌﾌｯ ふ～ん｡ よし！ ﾌﾌﾌ…｡ おもしろそうでしょ？ この企画！ でも 手伝えって言われてもね｡ ほら 俺たちだって仕事が… な？ そうそう｡ でも ﾋﾏでしょ？ どうせ お客さん来ないんだし｡ ﾊｯﾊｯﾊ そりゃそうだ｡ お前もだろ？ まあ そうですけど｡ だったらさ みんなでやろうよ！ なんか楽しそうじゃん！ お祭りみたいで｡ 子どもたちも喜ぶよ きっと｡ 昔は いっぱいｲﾍﾞﾝﾄあったもんな｡ 港の祭りに 子ども会の祭りにさ｡ 今じゃ なくなっちまったけどな｡ そうそう いっぱいあった｡ やろうよ みんなで！ 昔みたいに みんなでさ！ お願いします｡ はい じゃあ こっちですよ｡ ちょっと前 すみませんね｡ はい 奥 奥！ 奥 持ってきて！ 奥？ はい｡ おい もうちょっと 大きいもの使わなきゃ｡ 外にやるんだから｡ な？ いやいやいや 違うじゃないですか…｡ あ～ 眼鏡忘れた～！ 皆さん！ ありがとうございます｡ あんたらのために やってんじゃねえよ？ さくらちゃんに言われて みんなやってんだ｡ そうそう｡ ですよね｡ でも ありがとうございます！ (笑い声) なんか手伝いましょうか…｡ お茶 どうぞ｡ ああ どうも｡ ごくろうさん ありがとう｡ どうぞ｡ あ… ありがとうございます｡ おい 青年！ 手を動かせ 手を！ すみません…｡ 何作ってるんだよ…｡ 昔 こうやって よく差し入れしたもんだよな｡ 祭りの準備をしてる若い衆によ｡ した した｡ お母さん たくさんおにぎり握ってた｡ ﾍﾍ…｡ お父ちゃん うちは 米屋でも➡ おにぎり屋でもねえんだぞ って 怒ってさ｡ 怒ってたか？ 怒ったよ！ 謝りなさいよ お母さんに｡ お母ちゃん どこ？ ごめんな！ (笑い声) 皆さん さくらさんから➡ おにぎりの差し入れ いただきましたよ～｡ 私からも差し入れ！ みんな 本当にありがとうね！ 本当だよ ｾｯちゃん｡ 今回はね 高くつくよ ねえ みんな！ お礼に ちらし寿司 たくさん作ってきたから！ 食べて！ (歓声) はい どうぞ｡ はい いただきます ありがとう｡ まだまだ いっぱいありますよ｡ みんな おかわりしてね｡ (一同)は～い｡ 皆さん これ食べ終わったら もうひと仕事 頑張りましょうね｡ はい｡ おい 人使いあらいよな｡ 頑張ります｡ だって帰ってこないのよ｡ 自分の娘なのに｡ はい 差し入れ持ってきたよ｡ ﾂｰ ﾂｰ ｱｱ ｱ ﾂｰ｡ あ これだ で これがｱｯﾌﾟ｡ お～｡ 地元の皆様を愛し…｡ そして 愛され続ける➡ さくら通り商店街からの お知らせです｡ 本日の13時より 海鮮料理屋 はまゆうにおいて➡ さくら通り商店街のお魚屋さん 魚久主催の➡ 楽しいｲﾍﾞﾝﾄを行います｡ お年寄りからお子様まで ふるってご参加ください｡ 皆さん お集まりいただいて ありがとうございます｡ 本日のｲﾍﾞﾝﾄはですね さくら通り商店街にある➡ 鮮魚店 魚久さんが主催する ﾜｸﾜｸ親子料理教室です｡ 今日は 魚久さんでも販売している 地元の新鮮な魚を使って➡ 親子で作れるお魚料理を 教えていただきます｡ それでは早速 今日の料理の先生に 登場していただきましょう｡ 節子先生です｡ そんな 先生だなんて ねえ｡ ただの魚屋のおばちゃんですけど｡ 今日は 皆さんにおいしい魚料理を お教えしますので➡ 楽しんでいってください｡ それでは ｶﾂｵを３枚におろします｡ (一同)お～｡ 椎茸は このくらいの細さに切って さいの目に切ります｡ どう？ ねえ あ 上手 上手｡ もっとね こう空気入れるように｡ あ いいね 上手 上手｡ あ～｡ みんな楽しそう｡ ね よかった やって｡ さくらさんのおかげです｡ 節子さん あんなふうに笑うんですね｡ 村崎 お前 おふくろさんに 会いたくなったろ｡ ちょ… 杉山さん｡ 何それ｡ こいつね 結構ﾏｻﾞｺﾝなんです｡ やめてくださいよ また猪熊に ｷﾓｲって思われるじゃないですか｡ とっくに思ってますから｡ あっそう｡ じゃ 母ちゃ～ん｡ おいしい｡ どうですか 自分で作ったちらし寿司は｡ おいしいです｡ 出来立ておいしいでしょ｡ おいしい｡ いっぱい食べてよ｡ おいしいね｡ お～ やってるね やってるね｡ 食べて 食べて｡ おいしかった？ おいしかった｡ おいしかった？ ｲｪｰｲ ｲｪｰｲ｡ 煮付け うまっ｡ こっちのほうがおいしいから｡ 何だよ｡ あっ 加奈ちゃん｡ ん？ あっ｡ 何ですか？ どういうことです？ お母さんのお店の広告です｡ これがですか？ はい｡ ほら お料理 おいしそうでしょ｡ 見てるだけで お魚買いたくなる｡ それが いちばんの広告なんだって｡ ﾎﾟｽﾀｰやﾁﾗｼだと 香りや味まで 表現するの難しいんで➡ だったら 作って食べてもらおうって｡ いいｱｲﾃﾞｱだよね｡ うまっ！ おいしい｡ おいしい｡ それに お母さんのお店で 売られている新鮮な魚は➡ 上手に料理されて初めて➡ その本当の価値が わかるって思ったんです｡ たくさん食べてね はい どうぞ｡ ありがとうございます｡ 新鮮なお魚 おいしいでしょ｡ おいしいです｡ 幸せそうだね お母さん｡ おかわりする人いますか？ どっちにしようかな｡ ♬～ あんたも食べれば｡ うまいよ 節子さんの料理｡ 知ってます… お母さんの 魚料理がおいしいのは｡ 加奈 もうちょっとだけ 頑張らせて｡ ね？ 楽したくないんだ 私｡ 楽しみは とっときたいんだ なるべくあとに｡ 勝手にすれば｡ その代わり 私にも教えてよね 料理｡ 魚屋の娘が 三枚におろせないのは➡ 恥ずかしいもん｡ 大成功｡ 食べすぎちゃってるからもう｡ (笑い声) おいしい？ よかった じゃあ みんな ｶﾒﾗに…｡ ｶﾒﾗに ｲｴｰｲ おいしかったよ｡ おいしかったよ！ ありがとうございます｡ はい ええ…｡ ｺﾝﾍﾟも大成功っていくと いいですけどね｡ なあ｡ 本当ですか？ ありがとうございます｡ いや こんなに嬉しいことは ありません｡ はい はい ほんとに ありがとうございました｡ 社長…｡ ｺﾝﾍﾟ 通ったんですか？ ﾀﾞﾒだったよ｡ え？ じゃあ なんで嬉しそうなんですか？ 担当者が すごく褒めてくれた｡ 僅差だったって｡ よく頑張ったって｡ 特に ｺﾋﾟｰがよかったってさ｡ そうですか｡ 私も好きです このｺﾋﾟｰ｡ じゃあ よしとしよう｡ なんか 冴えないっすね 俺たち｡ あなたと一緒にしないでください｡ でも ほら 楽しかったから よしとしよう｡ そうっすね｡ うん｡ ですね｡ (笑い声) いいのか？ 俺たち これで…｡ まっ いっか！ ♬～

町医者ジャンボ！！＃02

1 (飛鳥)ジャンボ先生… 帰ってきてくれたんですか？ (鶴田)このオンボロ医院は 今日から俺のものだ｡ お前 ダメ｡使えねえ｡ クビ｡ (西川)馬場医院長への １億円の借用書や➡ 土地家屋の権利書まで 持ってました｡ (天龍)その男の名は？ (西川)鶴田正義｡ 私が間違ってました｡ 心を入れ替えます！ だから ここで働かせて下さい！ あの男 尾行しろ｡目ぇ離すな｡ [TEL]倒れた!? バナナを食べて 急に倒れたんです！ どうした？何があった？ はい…バナナ食べたみたいで｡ すぐに行く｡ ♬～ 太川さん 聞こえますか？ 太川さん！ (ﾎｽﾃｽ) 何やってるのよ！いいから早く 救急車 呼びなさいよ！ 邪魔 どけ！ (ボーイ)何だ あんたは！ お前も邪魔！ あっ！ 先生！あの 今 救急車呼ぼうと 今…｡ 余計なことすんな｡ここで治す｡ ええっ!?でも…｡ 俺のクライアントだ｡ うちの稼ぎにしねえとな｡ 稼ぎって… そんな事 言ってる時ですか！ 呼吸が止まったら どうするんですか？ 人工呼吸器とか ないんですよ！ (千種) あるでしょ ここに｡ 手で押し続けるのよ あんたが｡ ボスミン０.５ 先に皮下注する｡ はい｡ それからラインの用意をしろ｡ いやいや…設備が整った所で ちゃんと検査してからでないと｡ あ～ もう うるせえんだよ！ この口 なんとかしろ！ ピーピーうるせえんだ！言われた 事も満足にできねえようなら➡ 黙ってろ！今 この患者を 一番よくわかってるのは この俺だ｡ 救急車呼んで また一から 必要もない検査をして➡ それから治療するってか？ バカバカしい！ 時間と労力の無駄だ｡ ボーッとしてんなら消えろ！ 目障りだ｡ アンビュー よろしく｡ はい｡ ♬～ 風船にバナナか…推測通りね｡ ああ｡ 馬場医院の件 その後 いかがですか？ (太川雅美) と おっしゃいますと？ あ…地域医療統合ネットワーク システムへの加入の件ですよ｡ あなた方 風見町の皆さんの 健康を守るためには➡ 馬場医院が このシステムに加入し➡ 白根総合病院の 支配下に入る事が➡ ベストだと 西川さんはお考えになり➡ この話を私に 持ちかけてきたんですよね｡ はい そうなんですけど…➡ 西川先生が あんな事に なってしまったので｡ (天龍)西川さんが回復するには まだ時間がかかります｡ 太川さん あなたは後援会長として 西川さんの代わりに➡ 計画を推し進めて下さい｡ 私なんかとんでもない！ この天龍一郎が 全面的な協力を お約束しましょう｡ はい｡そういう事でしたら是非！ (携帯の着信音) ちょっとごめんなさい｡ どうぞ｡ (携帯の着信音) はい もしもし…うん｡ えっ!? またのご来店 お待ちしておりま～す！ (千種)安定したようね｡ (太川星児) どうしてこんなことに？ 女房に内緒でこんなとこで 遊んでっからだよ｡ もしかして性病ですか？ そうなんですね？あ～っ！ (ボーイ)こちらです｡ あなた！ ああっ！ 大丈夫？大丈夫？ うん…な なんとか｡ あんたの旦那は ラテックスアレルギーだ｡ ラテックス？ あんた ここの風船触って バナナ食べただろ？ え？…はい｡ ラテックスアレルギーって いうのは➡ 天然ゴムに含まれる たんぱく質の➡ ラテックス抗原で引き起こされる アレルギー症状よ｡ つまり 手が痒くなったのは ゴム製品に触れたせい｡➡ 以前勤めていたゴム製品の会社で 繰り返し天然ゴムに触れ➡ 体内にラテックス抗原が入り 感作されたの｡ しかし 厄介な事に それだけでは治まらない｡ 感作されると ラテックス抗原と 酷似するたんぱく質を含む➡ フルーツなどの食品を食べても 交差反応により➡ 即時型アレルギーを 引き起こすことがあるの｡ あんたはバナナを食べて ｱﾅﾌｨﾗｷｼｰｼｮｯｸになったんだ｡ アナフィ？フェ？ アナフィラキシーショック｡ 急性アレルギーによって➡ 血圧低下などのショック症状が 引き起こされることよ｡ そんなことより あんた 何で こんな店にいたのよ！ こんな事が ご近所に知られでも したら どうするつもり！ あ～あ｡たまんねえよな｡ 俺 あんたの気持ち よくわかるよ｡ 旦那の病状よりも➡ 世間体ばかり気にする女房に 虐げられた毎日送ってりゃ➡ たまの息抜きもしたくなるわな｡ 私が悪いっていうの？ 私利私欲のために➡ 俺の馬場医院を 白根総合病院の 支配下に入れようとしてんだろ？ 旦那ほったらかして そんな事に加担してっから➡ こんな事になるんだよ｡ これでわかったろ？ この町に必要なのが誰なのか｡ 俺だよ｡ あんたはこれから アレルゲンを 回避していかなければならない｡ 食べ物はもちろん 日常で使う➡ 天然ゴム製品の 手袋や輪ゴムなんかもな｡ そういう相談にも いちいち 乗れるのが町医者ってもんだ｡ わかったか？ 俺は あんたら夫婦の恩人だ｡ 恩返しをしたかったら宣伝しとけ｡ ｢馬場医院の鶴田先生はすげえ｣ ってな｡ ♬～ またやってくれたな｡ ｢目を離すな｣って言ったろ｡ 命に関わるような 危険があるって➡ どうして 言ってくれなかったんですか？ それを聞いてたら 私だって違いました！ 訳もわからず 尾行しろって言われたって…｡ あ～ うるせえ！ お前 やっぱ無理だ｡ ここにはいらねえ｡出てけ｡ 危険な状態だろうが そうでなかろうが➡ 先入観を捨てて 同じ目で見ないといけないのよ｡ 私たち 医療従事者は｡ 地域医療って この町の人の事➡ よく知ってないと できないんじゃないの？➡ 目の前の患者さんの 症状だけ見ててもダメ｡➡ 身体全体 心…日常生活まで 興味を持たないとね｡ この町の人…心｡ (馬場公平) ⦅いいか 飛鳥｡この町の住民は みんな大切な家族なんだ｡➡ そう思って向き合えよ⦆ (高村亜紀) お兄ちゃん どうするの？ (高村賢介) 亜紀…もうなんともないんだろ？ お腹痛いの 治った｡ じゃあ 帰るぞ｡ (ドアが開く音) ♬～ なんか用か？ お～い！忘れもん！ 早く来い！ (三沢)飛鳥ちゃん！➡ あのさ 今年の夏休みなんだけどね➡ 大学時代の仲間とｷｬﾝﾌﾟしようって 話になってるんだけど➡ もしよかったら 飛鳥ちゃんも…｡ 父の言葉 忘れてた｡ え？ ｢この町の人たち みんな家族だと 思え｣って言われてたのに｡ そんな風に思ってなかった｡ 心も日常生活も気にしてなかった｡ だから太川さんを 危険な目に遭わせちゃったんだよ｡ もしかして またジャンボに 何か言われたの？ あいつは関係ないよ！ 私の問題なの｡ 飛鳥ちゃん うちの病院においでよ｡ 白根総合病院で看護師として 働けばいいんだよ｡ 私がここで逃げ出したら 父の思いはどうなるの？ 逃げ出せないよ｡ 私は絶対に逃げない！ 計画は白紙撤回ということですか｡ はい 本当に申し訳ありません！ 天龍先生に せっかく ご尽力頂いたっていうのに｡ 私の事なら気になさらないで 下さい｡どうぞ｡ あの町で暮らす皆さんの意向が 最優先されるべきですが➡ しかし なぜ急に？ え あの…｡ 馬場医院に素晴らしい先生が いらっしゃったからです｡ それは 鶴田先生のことですか？ あ はい そうです｡ 見かけによらず腕のいい先生で 聞くところによると➡ 西川先生が助かったのも その鶴田先生のおかげだと｡ 彼は優秀な男ですからね｡ここに いた頃も よくやってくれました｡ あの先生も こちらに？ はい｡私の元で働いてました｡ 天龍先生のお弟子さんなら 益々心強いです｡ 良かったわねえ｡ うん｡ あ すいません｡ このへんで失礼します｡ そうですか では｡ すいません お気遣い頂いて｡ あ いえ…｡ ♬～ (麗子) ジャンボこと鶴田正義は この 白根総合病院で働いてたんですね｡ 君が気にかけるほどの 男ではないと言ったはずだが｡ 天龍先生の計画の支障になる男は 私にとっても許せない存在です｡ 支障になどなりませんよ｡どうせ すぐに馬脚をあらわすでしょう｡ それを 私が見届けても よろしいでしょうか？ 勝手にすればいい｡ 私は止めませんよ｡ 私の役に立ちたいという 君の気持ち 評価しましょう｡ ありがとうございます｡ (亜紀)お兄ちゃん 待ってよ～｡ もっと早く歩けよ｡ なんともないんだろ？ どうしたの？ お腹 痛いの？ さっき ちょっと痛かった｡ うん｡病院行った？ さっき馬場医院に行ってきたけど もう痛くないって言うから…｡ そのまま帰ってきたの？ うん｡それにこの前 お母さんと 白根総合病院に行ったから｡ 先生 何か言ってた？ 大丈夫だって｡ そう｡白根総合病院なら 大丈夫だね｡ いくぞ｡ あ ちょっと待って｡おうちどこ？ お姉ちゃんが送っていくよ｡ いいです｡ いや 子供は遠慮しちゃダメだよ｡ ほら！ 乗って｡ よいしょ！さあ 行こう｡ こっちでいいんだよね｡ よいしょ｡おいで｡ 遅くなっちゃったね｡ お母さん 心配してるよ｡ お父さんとお母さんは？ ２人とも仕事｡ 帰ってくるのは夜遅く｡ そうなんだ｡ あ ご飯とかどうしてるの？ パンとかお菓子とかある｡ よし！じゃあ今日は お姉ちゃんが ご飯作ってあげる｡ いいです！ 元気になるためには 美味しいものをたくさん➡ 食べなくちゃいけないんだよ｡ でも…｡ 遠慮しちゃダメ｡ この町に住んでいる以上➡ みんな大切な家族なんだから｡ じゃあ食材買ってくるね｡ (ドアの開閉音) あの子 どこ行ったんだろ？ あんな奴 いてもいなくても同じだ｡ かなりへこんでたから ちょっと心配｡ さすがに もう 続けられないかもね｡ はなから期待なんかしてねえよ｡ せっかくジャンボの口癖 伝えたのに｡ 口癖？何だよ そりゃ？ ｢目の前の患者の症状だけ 見ててもダメなんだ｡➡ 身体全体 心 日常生活まで 興味持たねえと➡ 地域医療なんて やってらんねえ！｣｡ あんな奴に そんな事言ったって… 意味わかんねえよ｡ は～い お待たせしました｡ たくさん食べてね｡ ああ…私 今日は帰るけど➡ これから困ったことがあったら 何でも言ってね｡ こっちが病院｡ で こっちが私の携帯｡ じゃあ またね！ (ドアの開閉音) 亜紀 お前も早く食え！ 見つかったらどうすんだよ！ お腹ちょっと痛い…｡ 随分とご機嫌だな｡ 新しい仕事でも見つかったか？ ♬～ 私…逃げませんから｡ 看護師 辞めませんので｡ はぁ？ この町で 看護師続けますから｡ 失礼します！ ♬～ どうしたんだろう？ ほっとけ｡ (ドアの開く音) (高村真奈美)ただいま｡ お帰りなさい｡ ちゃんと勉強してた？ うん｡ 何か 変わったことは？ ないよ｡ 亜紀は どうしてる？ もう寝てるよ｡ 大丈夫なのね もう｡ 大丈夫みたい｡ 亜紀のこと 頼むわよ｡ あなた お兄ちゃんなんだからね｡ 亜紀が泣いたりすると➡ また お父さんの機嫌が 悪くなるんだから｡ ｢お父さん｣じゃない…｡ 賢介！いつまで そんな事 言ってるの！あの人は もうすぐ➡ あなた達の お父さんになるの！ お兄ちゃんの あなたが➡ いつまでも そんな事 言ってて どうすんの！ は～い！ここに座って 順番を待ちましょう｡ 座って｡はい はい…｡ 雅美さん！ (雅美)え？ どうしたんですか？ ご覧の通り 患者さんよ｡ ｢馬場医院の ジャンボ先生は➡ 素晴らしい｣って言ったら みんな 来てくれたの｡ え～！ お～ 上出来じゃねえか｡ でしょ？ 皆さ～ん お名前と症状を 順番に お伺いしますね｡ ほら あんたも ぼ～っとしてないで 手伝う！ はい はい｡ ところでよ｡➡ みんな 金持ってんのかよ？ もちろん！お年寄りは お金 貯め込んでんだから｡ なら いいんだけどさ｡ あっ 白根総合病院の天龍先生がね ジャンボ先生の事 褒めてたわよ｡ ｢優秀な男だ｣って｡ ふ～ん…｡それは どうも｡ あっ おじいちゃん こっちこっち こっちに並んで｡ねえ｡ (雅美)あっ 新しい患者さんですか｡ 違うんです…｡ 取材で 伺いました｡ 取材？ わたくし 医療ジャーナリストの 里中麗子と申します｡ 地域医療の現状を取材しています｡ 鶴田先生の評判をお聞きして➡ こちらに伺いました｡ 先生のお仕事ぶりを➡ 今日一日 拝見したいのですが…｡ 別に 構わねえけど｡➡ ちゃんと持ち上げて 宣伝してくれよ｡ ありがとうございます｡ よろしくお願いします｡ あ～ 疲れた！ やっと ひと休みできるわ｡ お疲れさまです｡ あ どうも｡ いっつも こんなに 忙しいんですか？ いつもなんて勘弁してよ｡ ジャンボからは➡ 楽な仕事だって 聞いて来たんだから｡アイタタ…｡ 休憩入りま～す！ どこ行くの？ 私なりの…往診です｡ 何それ？ 大丈夫かな？あの子｡ どうした？ 往診に行っちゃった｡ 両親が 留守がちな兄妹の 面倒見てるみたい｡ 妹が ちょっと具合が 悪かったらしくて｡ ここにも 昨日来たそうだけど｡➡ いたっけ？そんな兄妹｡ (千種)変に張り切りすぎて 空回り しなきゃいいんだけど｡ (ノック) (千種)はい！ どうも ありがとうございました｡ 今日は この辺で失礼します｡ ご苦労さま｡ こんにちは！ 亜紀ちゃんの様子は どう？ あっ 大丈夫そうだね｡ ねえ 今日も ご飯作るからさ 一緒に買い物行こ！ でも…｡ 亜紀ちゃんも 行こう！ おいで｡ お母さんと お父さんが いない時は 賢介くんが➡ いつも 亜紀ちゃんの面倒 見てるんだ｡えらいね｡ 亜紀ちゃんも よかったね やさしいお兄ちゃんがいて｡ うん…｡ 飛鳥ちゃん？ 何してるの？➡ この子たちは？ 私の…家族｡ (三沢)えっ!! 家族と同じくらい 大切な存在ってこと｡ 今から ご飯作るんだ～｡ 何で…そんなこと？ 父が目指してた 地域医療って こういう事だったんだよ きっと｡ じゃ またね｡ 行こう！ (三沢)どういう事なんですか！ なんで 飛鳥ちゃんに➡ 家政婦のようなマネ させてるんですか!? 知らねえよ｡ 僕は分かってますよ！ あなたは 飛鳥ちゃんをいじめて ここから追い出そうとしてるんだ｡ 僕は 飛鳥ちゃんのこと 守りますからね！ おい…一緒にいた女の子の 様子は どうだった？ えっ？ 昨日 ちょっと具合が 悪かったらしいって｡ あんたの飛鳥ちゃんが 言ってたのよ｡ そうですか…特に そんな様子は なかったと思いますけど｡ あ！そういえば お腹に 手 当ててたような気が…｡ そのアパート どこだ？ 今日も たくさん食べてね｡ じゃ またね！ バイバイ！ (ドアの閉まる音) ♬～ ガキと遊んでんだって？ いや 遊んでなんかいません｡ ちょっと具合悪そうな子の 面倒を見ているんです｡ お前なんかに 面倒見れんのか｡ ちゃんと見れてます｡ 心配ありません｡ ちゃんと ご飯も食べて 元気です｡ ふ～ん…｡お前 何か楽しそうだな｡ 別に楽しくないですけど｡ 何の為に やってんだ？ 何の為にって 子供たちのために 決まってるじゃないですか｡ てめえの為だろ｡ は？ ｢子供の世話を かいがいしくする 白衣の私って 素敵｣って…バカか！ ちょっと待って下さい｡ 失礼じゃありませんか!? 私は ただ 父の教えを 守っただけです！ お前の親父 そんな事を しろって言ったのか？ はい！ だとしたら とんでもねえ ダメ医者だな｡ 今度それ言ったら 私 ほんとに許しませんからね｡ 許さなかったら どうするんだよ？ ♬～ お前も食べろよ｡ (ドアの開く音) (石倉)はぁ～…｡ よう 何だ これは？ 答えろよ！ (石倉)その看護師が こいつらの 面倒 見てたそうだよ｡ よかったな～ お前たち｡え？ こんなご馳走 作ってもらって｡ ｢勝手に 他人を家に上げるな｣って 言ったの 忘れたのか？あ？ フッ…｡世間とか 役所ってのはよ ろくに調べもしねえで➡ やれ虐待だの ネグレクトだの 騒ぐんだよ｡ そんな事になったら どうしてくれんだよ？あ？ それとも この看護師に 訴えようとでもしたのか？ん？ 違うわよね？ね どういう事？ どうして看護師が来たの？ 病院なら この前行ったでしょ｡ 大きな病院で➡ 様子見ましょうって 言われたでしょ！ でも 亜紀が…｡ 亜紀 もう大丈夫なんでしょ？ お腹 ちょっと痛い｡ (真奈美)お腹が…｡ あ～ そういうことか！ 亜紀 お前はこの｢ばばあすか｣って 看護師に 連れ回されたり➡ 変なもの食べさせられたりして お腹 痛くなったんだな？ ったく ひでえ話だよ｡かわいい 子供 こんな目に遭わせて｡ でも…亜紀は 何も食べてない｡ 食べたよな？ いいか お前たちは➡ 強引に連れ回されたり 食べたくもないものを➡ 無理やり食べさせられたんだよ｡ そうだろ？ はい…｡ (ノック) はい｡ 夜分遅くすいません｡ わたくし こういう者です｡ ♬～ 少し お話を伺いたいんですが｡ はぁ…｡ ♬～ どうしたんですか こんな時間に｡ 天龍先生に ご報告があります｡ 何でしょう？ 馬場医院は 大きな問題を 起こしています｡ 火種は 元院長･馬場公平の娘 馬場飛鳥｡ ほぉ…｡ 聞かせてもらおうか｡ ウソです！私 そんなこと してませんよ！ 無理やり連れ回したり 食べさせたりしてませんよ！ 子供が そう言ってるんですよ｡➡ 何で ウソをつく必要が あるんですか？ 賢介くん 本当のこと言って｡ お姉ちゃん そんなこと してないよね？ どうなんだ 賢介？あ？ 本当のこと 言っていいんだぞ｡ 無理やり…食べさせられました｡ なんで？ねえ どうして そんなウソつくの!? 君 いい加減にしろよ！ 子供ひどい目に遭わせた上に➡ ウソつき呼ばわりまで すんのか？え？➡ 亜紀はな 苦しんで寝てるんだぞ｡ 亜紀ちゃんに 会わせて下さい｡ お母さん 苦しんでるなら 連れてきてもらわないと｡ ちょ…こんな看護師のいるとこに 連れてこれるか！ あなたが 院長先生ですか？ はい｡ 私が院長です｡ (石倉)あのさ 看護師に どんな教育してんの？え？ 今回の責任 どう考えてるのかな？ 大変な事を しでかして しまいました｡責任は取ります｡ こいつ 差し上げますので 煮るなり 焼くなり➡ 叩き売るなり お好きなようにして下さい｡ は？ こいつ どうせ必要なかったんで 助かります｡ 最近は不用品の回収も お金が かかるんですよね｡ 洗濯機やら冷蔵庫やら…｡ おい あんた 何ふざけた事 言ってんだ!? あんた ここの院長だろ？ 院長としての➡ 責任の取り方ってもんが あんだろうが｡ それって 金ですか？ まあ それもひとつの方法だ｡ ってか 目的それしかねえだろ！ 何だよ その言い草！ お～…さすがはクレーマーさんだ｡ 石倉義雄さん あなた 近所でも 有名なｸﾚｰﾏｰだそうですね？ あちこちで クレームつけて 回ってるそうじゃないですか｡ 酒屋さんからは 配達が ３分遅れただけで➡ お詫びに ビール １ケースですって？ こいつは くれてやっけど それ以上は知らねえよ｡ ふざけんなよ!!おい… このままで済むと思うなよ！ ｢覚えてやがれ｣ってか？ 時代劇かよ！ おい！おい 行くぞ｡ (石倉)≪行くぞ！≫ おい！忘れもん｡ (ドアの閉まる音) 置いてっちゃったよ｡ 気を付けなきゃね｡ お前 何見てたんだよ｡ 中途半端に上っ面だけ関わって➡ 自己満足に浸ってっから 罰が当たったんだよ｡ ザマねえな みっともね｡ 看護師 辞めたくなっただろ？ さっさと辞めて こっから出てけよ！ 不用品に要はねえ｡ 私は…あの子たちの為に 精一杯やったんです！ そんなに エラそうに 言うんだったら➡ 最後まで ちゃんと面倒みろよ｡ そうやって逃げてるのが 一番楽だよな｡ お疲れさん｡ この 高村亜紀という少女は うちの患者ですよ｡ 診察記録を見る限り 特に異常も見当たらず➡ 経過観察ということに なっています｡ この少女に 何かあったとなると➡ うちの病院にとっても 望ましいことではない｡ 白根総合病院には 何ら非はありません｡ 責められるべきは 少女の容体を著しく悪化させた➡ 馬場医院の看護師 馬場飛鳥と➡ 監督責任のある院長 鶴田正義です｡ しかし この石倉義雄という男は 単なるクレーマーじゃないですか｡ こういう男を利用するのは いかがなものかな｡ その男は単なる捨て駒です｡ 私は馬場医院の➡ 許されざる行為を告発する記事を 書ければ それでいいんです｡ 天龍先生の お役に立てれば…｡ 君のジャーナリスト魂 評価しますよ｡ 妹はどうした？ お母さんと一緒に部屋にいる｡ あんな親に任せて遊んでんのか？ 妹と一緒にいるのがつらくて 逃げてんだろ？ ほら また逃げた！ この意気地なしが｡ お前は逃げてばっかりだな｡ そんなんじゃ 誰のことも守れねえぞ｡ まだ わかんね～のか｡ お前だけだろ｡妹のことを しっかり見てやれんのは｡ お前 あんな親あてにしてんのか｡ 妹に何かあったら お前が 何とかするしかねえんだよ｡ 妹だって お前のこと 頼りにしてんだぞ｡ お前みたいな意気地なしでもな｡ 妹を守れんのは お前だけなんだ｡ それだけは忘れるな｡ どこ行ってたの？お母さん パート 行かなきゃいけないんだから➡ 亜紀のこと 頼んだわよ｡ うん｡ じゃ 行ってきます｡ (石倉)ああ｡ 亜紀！どうした？大丈夫？ お兄ちゃん お腹痛い…｡ お兄ちゃん｡ 亜紀…｡ おい 何やってんだよ？ そんなの仮病だ｡放っとけ！➡ 聞こえてんのか？ ♬～ 聞こえてんのかって 言ってんだろ～が！ (ｼﾞｬﾝﾎﾞの声) 妹を守れんのは お前だけなんだ｡ ♬～ 亜紀は…亜紀は僕の… 僕の妹だ！ 何だと？ 僕はもう逃げない！ 亜紀 行くぞ！もう大丈夫だ｡ 何だと？コラ｡許さねえぞ｡ ♬～ 亜紀 頑張れ！ お兄ちゃんがついててやるからな｡ ♬～ お姉ちゃん！ 賢介くん どうしたの？ 亜紀が死んじゃうよ！ お姉ちゃん 嘘ついて ごめんなさい｡ もう 嘘つかないから 亜紀を助けて！ 今度は逃げなかったようだな｡ お前は どうすんだ？ もう大丈夫だよ｡ よいしょ｡先生 お願いします！ 何だよ あいつ｡ 千種さん はい！ (千種) 亜紀ちゃん 痛いね｡大丈夫だよ｡ ちょっと お腹見せてね｡ お兄ちゃん｡ 邪魔！ 賢介君 こっちにおいで｡ ♬～ あ…ああ…うっあ…｡ 鼠径ヘルニアだ｡ このままじゃまずい｡ 先生 亜紀を助けて！ 助けてください！ 後は任せろ｡ 親に電話しとけ｡ はい｡ 私も手伝います！ 当たり前でしょ｡ はい！ メス｡ はい｡ 筋鉤｡ はい｡ 賢介！ 亜紀は？亜紀は どうなの!? 答えなさい！ ≪｢僕が助けた｣って言ってやれ≫ 心配ねえ｡１週間で退院だ｡ そこまで取り乱すくらいなら➡ 最初っから しっかりと 守ってやれよ｡ あんた 母親だろ｡あんな クレーマーに振り回されて➡ 現実から逃げてばっかりで どうすんだ｡ すいません…｡ 俺より逃げなかったこいつに謝れ｡ この意気地なしが 根性 見せて妹を守ったんだ｡ 賢介…ごめんね｡ ごめんなさい｡➡ ごめんね｡ 先生…お姉ちゃん…ありがとう｡ ありがとうございました｡ 礼は いいから手術代｡ ちゃんと払えよ｡ あんなクレーマーと別れりゃ 金も貯まんだろ｡ もう少ししたら亜紀ちゃんに 会えますから お待ちください｡ つまり君が書き上げたこの原稿は ボツになったという事ですね｡ 申し訳ありません！ 気にする事はありません｡ 少女の病気が発見され 無事 治ったんですから➡ よかったじゃないですか｡ しかし…｡ 気にするなと言っているんだ！ ♬～ こんなつまらない記事や➡ 君の力で あの男を叩くのは 私の本意ではない｡ (シュレッターの音) 叩くときは それなりの理由で➡ それなりの手段を使い 完膚なきまで叩きのめし➡ 息の根を止める｡ 私が そういう人間だと わかっていますよね 君は｡ あの～…｡ 先生…すみませんでした｡ 私 何もわかってなかったです｡ 父の言葉の意味も 先生に言われた事も｡ そこまで反省したなら➡ 自分が看護師に 向かねえって事も わかったろ？ 今まで ご苦労さん 心置きなく出てってくれ｡ いや…いや…確かに私の行動に 問題はあったかもしれませんが➡ でも もし私が賢介君と 亜紀ちゃんに➡ 声をかけていなかったとしたら どうなってたんでしょう？ 私が賢介君ちに足を運んで いなかったら➡ 病気にも 気づかなかっただろうし｡ はあ？ やっぱり私の行動は 間違っていなかったんです！ 父の言葉も無意識のうちに 理解していたようですし｡ 何 言ってんだ？ 明日からも頑張りますので➡ よろしくお願いします｡ ♬～ なんだ ありゃ？ ♬～

亜人.S02E02.JA

1 （テレビ音声:キャスター） 現場では緊迫した― カーチェイスが続いています （戸崎優(とさきゆう)） あの野郎…！ （中野攻(なかのこう)） 永井！ こんな事しなくてもいいだろ！ （永井圭(ながいけい)） 邪魔するな 中野！ （戸崎） 君の仕事は何だ？ （下村泉(しもむらいずみ)） あなたを守ることです （圭） あなたの顔なんて 二度と見たくありませんでしたよ 殺せっ！ やめろっ！ （圭） ここへは取引をしに来た 亜人など信用できるかっ！ （攻） 俺たちは 何が何でも 佐藤を倒すつもりだ！ だから！ あんたの駒になってやるよ！ （圭） 不死身の兵士として （平沢(ひらさわ)） 容疑者は確保した （警官） 永井圭でしたか？ （平沢） いや 別人だ　似てるだけのな （モニター画面:佐藤(さとう)） やあ またまた会ったね　佐藤だ （佐藤） 私の知る限り― 我々の要求に対する 政府からの返答はない （佐藤） だから 始めることにした （佐藤） そう トップバッターの 若井(わかい)さんだ （若井のうめき声） そして これが… （うめき声） （銃声） （机を叩く音） （佐藤） カウントダウン開始の合図だ （佐藤） この第２ウエーブの 終了とともに― （佐藤） 我々は次のウエーブへと駒を進める 第３ それが最終ウエーブだ 私が この国を統治する （戸崎） 10分ほど前に― “AJIN.net”に アップロードされたものだ 嵐が来る ♪接近戦　切り裂く♪ ♪僕の前に立っている 　　　　　　お前は誰だ？♪ ♪逃げ続けるのも永遠じゃなくて♪ ♪噛み砕き飲み込んだリアルに♪ ♪Shout it out 　　　そして曖昧さを断って♪ ♪影の危うさを知りながら♪ ♪ある種の冷静すぎるシステム♪ ♪ON or OFF 今ならどっちだ？♪ ♪結果　何度感情を殺して♪ ♪いいえ　そもそもすり抜けて♪ ♪壊されて　いっただけ♪ ♪ほっといてくれ　Craze♪ ♪僕は僕であって 　　　切羽詰まったって♪ ♪yeah yeah♪ ♪最初からリスクだけのスタート♪ ♪ぶっこんでいけ　Craze♪ ♪むき出す本能　本性で♪ ♪反転攻勢　yeah♪ ♪切り裂いた　お前は誰だ？♪ （ゲン） 配分 間違えないでね （高橋(たかはし)） わーってるよ お前 だんだん 奥山(おくやま)みてぇになってきたな 失敗しても 死ぬだけだからいいけど （高橋とゲンの笑い声） （ゲン） どう？　似てた？ いいね いいね はい 完成 （佐藤） いやあ すごいね （佐藤） オスカーに ノミネートされてもいい出来だよ （奥山(おくやま)） はい これ （奥山） 佐藤さんに渡しておいて （田中功次(たなかこうじ)） ちゃんと２席分取ったか？ （奥山） うん 本当に足は つかないんだろうな？ （ため息） （奥山） 射撃でも それくらい用心深くなれば― うまくなるのに うるせぇよ 決済は 他人名義の カードでしたから大丈夫 ロシアのサイトで買った カード情報を― タイプしたものだよ （奥山） 日本人名義のも 結構 落ちてるんだ ほぅ （奥山） それに 取引には 仮想通貨を使うから― 絶対に足はつかない へぇ しばらくいない間に― とんでもねぇ 世の中になってんだな （奥山） やろうと思えば 中学生でもできるよ （佐藤） 田中君 誰だ？ （佐藤） 物騒だなぁ 私だよ へ？ 佐藤さん… すか？ いい出来だろう？ （田中） ホントに奥山で大丈夫すか？ あいつド下手っすよ 本来なら君が適任なんだけど― 顔割れ過ぎてるからね ま 何とかなるよ （♪） （圭）うぅ…くっ… なんで 僕が… こんな事… はぁっ… もう 無理 まだ 20回もやってねぇぞ （圭） 僕はホワイトカラーなの （平沢） 適材適所は認める （平沢） だが 40日前のデータより ４キロも増えてる それだけは落とせ ブラック企業ってこんな感じかな （戸崎） 永井圭！ しっかりやれ　サボるな！ （圭） あーあ！　殺しときゃよかったな！ （戸崎） ホルマリン漬けにするぞ！ （圭） ちっ ひどいやつ （攻） えーっ （攻） あと３セットもやんのかよ！ それじゃ 永井の倍じゃねーか！ （平沢） 適材適所だ お前は筋肉担当だからな はぁ？　なんか馬鹿みてぇじゃん （真鍋(まなべ)） まあ そう愚痴るな さっき言ってた 麻酔銃の使い方も 教えてやるから （攻） ホントだな！？ ちゃんと約束守れよ！ （攻） よっ！ （泉） 戸崎さん 曽我部(そかべ)さんから 連絡がありまして― 桜井(さくらい)氏は やはり予定を変更しないそうです そうか まったく こんな時に出張とはな のんきなものだ 警護も増員しましたし― 向こうに着いてしまえば 逆に安全だろうとのことでした では （戸崎） 下村君 君も なるべく早く 住居を移してくれ これから集中的に― 佐藤を拘束するための作戦を 考えなければならない 分かりました そのためには― 我々にあって 佐藤にないものを 明確にしていく必要がある ここが前哨基地だ あぁ… （圭） ぶはーっ ふぅ （攻） そんなん飲んだら体重落ちねぇぞ 疲労回復には糖分が必要なんだよ 筋トレやっただけじゃねぇか 永井君 中野君 （攻） はっ！ あっ ああ… （圭） 何でしょうか？ （泉） 会わせたい人がいるの ついて来て はい あ？ 何だ？　どうした 中野？ 下村さんて― すげぇ 奇麗だよな トザキさんと デキてんのかな？ いつも一緒にいるし それはないと思うぞ だって あの人 亜人だろ えっ！？ お前 気付いてないのかよ… 病院で幽霊出してただろ 村から逃げる時にもいたし 彼氏いんのかなぁ あぁ… （泉） 何してるの？ 早くして （ドアが開く音） （圭） あ… 誰？ オグラ･イクヤ アメリカの亜人研究者だ （オグラ・イクヤ） 天才だよ （オグラ） 君が永井圭だな （オグラ） 国内３例目の亜人 俺は中野です （オグラ） 亜人は面白い 無意味な人の一生にも― 価値があるのだと ほのめかしてくれる あの中野… （オグラ） 吸ってもいいかな？ すみません たばこは苦手なんです （オグラが煙を吐く音） （せき） （オグラ） 永井君 人は なぜ 死ななければならないと思う？ 心臓が止まるから？ 細胞の再生回数には 限度があるからだ それを超えると 再生が行われず― 生命としての機能が停止する （オグラ） 違う 宇宙がそう決めたからだ （圭）はぁ？ （攻）あぁ？ （戸崎） オグラさん 余談はいい 話を進めてくれ （オグラ） カメラの向こうの タザキ君が言うには… トザ… （オグラ） 君のＩＢＭはかなり変らしいな トサキだ 出してみろ （圭）え？ （攻）え！？ 死ぬかもしれませんよ たばこのパッケージか お前は （泉） いいんですか？　オグラさん 駄目だって！ 黙れ 患者を診ずに カルテが書けるか （圭） でも どうせ見えないでしょ？ 殺す気で来い それなら見える （攻） な… 形状はプレーンだが 濃度が高いな ここまでクッキリ見えるのは 珍しい （圭ＩＢＭ） ブラック企業ってこんな感じかな （圭ＩＢＭ）おしっこしたい… （圭）しゃべれ （オグラ） 報告どおりだな （オグラ） 命令と逆の行動を取る… か とことん根性が ねじ曲がってるらしい （笑い声） （攻） がはっ… ん… なんで 俺… （オグラ） おまけに命令なしだと オートランか こいつは面白い （攻） ああ はぁっ… アイオワの農家出身の亜人で 似たような事例があったな （オグラ） 最初のうちはＩＢＭに― 草むしりなどの 単純作業をやらせていた だが 数年後のある朝― 自発的に コーンの刈り入れを始めた トラクターに乗ってな 君の場合 長いこと ほっときすぎたな （圭） え？　でも― １カ月前くらいですよ？ 初めて出したのは （オグラ） いや 君は もっと昔からだ 多分 幼少期 （攻） あっ やばい！ （泉） ふぅ… どうしましょうか？ ほっとけ ５分も経ちゃ消える え？ （オグラ） 何だ？ （圭） いや 前にいろいろ調べた時は― 30分持ったこともありましたよ 連続で何体 出せた？ （泉） 報告書に５体と記載しましたが… （圭） 最高記録は９体ですよ ハハハ… 異常だ 異常なくらい ＩＢＭが濃い 幽霊が… 濃い？ 何なんだ？　その量は 確か 佐藤さんも そんなこと言ってたな （攻） おい永井！　汚れたぞ！ ブルーカラーは慣れっこだろ？ 赤だろ！ （オグラ） 相当な長期間でないと― この濃度はあり得ない いや 期間だけが要因じゃない ＩＢＭの濃度は― 自我や心の発育段階によっても 変わってくる 君は いつから亜人なんだ？ え…？ だから １カ月前くらいですよ （係員） 少々 お待ちください （係員） お待たせしました 搭乗は30分前からとなります 良い旅をお過ごしください （佐藤） ああ ばっちり楽しんでくるよ （係員） 異常なし （奥山ＩＢＭ） どう… ぞ お疲れ （奥山ＩＢＭ） どう… イタ… イテ… いたテまして 君は器用なのに― 幽霊の扱いだけは なかなか うまくならないねぇ （奥山ＩＢＭ） 機械みテには イケ イカ ないね ま 何事も練習だよ （奥山ＩＢＭ） シモ… ヘイヘ？ さすが 奥山君だ じゃ いってくるよ （男性１） 宮古島は２日目だって （男性２） 可愛い子いるかな？ （男性３） やばい… 緊張してきた （女性） もう？　大丈夫だって お父さん優しいから （男性４） テロとか大丈夫すかね？ （男性５） そんなこといいから 資料確認させてくれ （男性４） そういえば ファーストクラスの客 見ました？ （男性４） あれ 犯人護送とかすかね？ （男性５） はぁ？ （男性５） 犯人護送にファーストクラス 使うわけないだろ （桜井） おどおどすんな 客の身元チェックは済んでんだ そうだな？ （ＳＰ） はい やつらも さすがに 沖縄までは追ってこんだろう ま 来るなら来たで とっ捕まえて 実験室行きだ （部下） ちょっと 桜井さん （笑い声） （ＣＡ） まもなく 離陸します （飛行機が飛び立つ音） （佐藤） あ… さて… （ＣＡ） あ… お客様 ベルト着用のサインがまだ… あれ？　桜井さんは？ （部下） え…？ あの お客様 （銃声） ひぃっ （銃声） （ＣＡの悲鳴） （銃声） （佐藤） だぁっ… ぐぁっ… （銃声） うっ… （銃声） （窓が割れる音） （ＣＡの悲鳴） あっ… ど どうなってる！？ あっ… （機体がきしむ音） 佐藤… やあ　なんだ トイレだったのか （銃声） あら （桜井） はぁっ はぁっ… ひぃっ ひぃっ… （殴る音） が… ご… （殴る音） （桜井）どぁっ… ボン･ボヤージュ （爆発音） （圭） 僕は 佐藤さんたちより― 多くのＩＢＭを出せる… か 作戦に組み込めるかもな 君は いつから亜人なんだ？ （ドアを開ける音） 永井 はっ！ 止まれっ！ （男たち） おおっ （攻） あ… 大丈夫か？ え？ （攻） おい 永井！ （壁に押し付ける音） ちょっと おかしいんじゃねぇのか？ 撃ち方 教わってただけだろ！ おかしいのは お前だ！ 黒服との友達ごっこも いい加減にしろ （攻） はぁ？ あいつらのスキルのひとつは “ちゃんと死ねる”ってことだ これは 僕らにあって 佐藤にない 捨て駒として 作戦に組み込めるかも しれないんだ ふ ふざけんな！ お前… 人を大切に思ったりとか ねぇのかよ （圭） ない （攻） じゃあ ニュースで言ってた “あの人”は？ お前の逃走を 手伝ってくれたっていう― 友達はどうなんだよ？ はっ！ （海斗(かいと)） 俺は大丈夫だ すぐ行く 今は大丈夫だ だって 友達だろ？ 圭！ お前は人間だよ いらないよ もう 余分な感情は 状況を悪化させるだけだ 情にすがったって 窮地は好転しない 本当は 昔から分かってたさ… 心に流されれば 身を滅ぼす クズが！ 馬鹿が 永井と中野を見なかったか？ 来い！ （攻） えっ？ （キャスター） 繰り返しお伝えします （キャスター） 本日 午後３時25分― 羽田発 那覇空港行きの ＴＡ１６７便が― 何らかのトラブルに 見舞われ― 静岡県沖に 不時着しました 関係者によると 亜人 佐藤の 殺害リストに記載されている― 桜井和夫(かずお)氏が乗っていたとの 情報もあり― 警察は 佐藤の関与の可能性も 視野に入れて… だから 出張なんかやめとけと 言ったんだ では… ああ 佐藤の仕業だ　間違いなくな ん… （圭ＩＢＭ） 馬鹿が… いらないよ もう しゃべれ （圭） あの木を倒すな おい！ （圭ＩＢＭ） うるさいな！ （圭） うっ… 殺せ！ （圭ＩＢＭ） はい （圭） うわっ！ 馬鹿 やめろ！ （圭ＩＢＭ） 黙ってろ！ ぐっ… こいつ… （圭ＩＢＭ） おかしいのはお前だ！ 本当は 昔から分かってたさ おかしいのはお前だ！ あーあ 殺しときゃよかったな 殺しときゃよかったな！ 殺しときゃよかったな！ （圭ＩＢＭ） 馬鹿が 馬鹿が 馬鹿が 馬鹿が 馬鹿が 馬鹿が 馬鹿が 馬鹿が！ くそ… どいつもこいつも 馬鹿ばっかりだ ♪もう飽きたから交換しよう♪ ♪お前が持ってる普通のと♪ ♪キラキラしてる神のカードと♪ ♪ザラザラしてる紙のカード♪ ♪今度家に来たら♪ ♪全部見せてやるよ♪ ♪だから♪ ♪校庭の隅に二人 風が吹いて♪ ♪今なら言えるかな♪ ♪誰にも言わない言葉♪ ♪「優しくするから 　　　　遊びに来てよ」♪ ♪「何でもあげるよ ねぇ」♪ ♪「これからずっと 　　　　友達でいてよ」♪

とと姉ちゃん＃154

1 ♬｢泣くの歩くの 死んじゃうの あなたなら あなたなら｣ (拍手と歓声) <｢あなたの暮し｣ ２世紀 第32号➡ 戦争中の暮らしを特集した 最新号は➡ ついに 100万部を超える発行部数を➡ 達成しました> (花山)ありがたいね｡➡ 我々の思いに 共感してもらえた｡ (常子)これで やっと ゆっくりできますね｡ ん？ (美子)また おうちに 戻られるんですよね？ まずは お体を治さないと｡ 次号があるだろう｡ 準備を始めんと｡ 安心しなさい｡ 決して 無理はせんよ～｡ はい｡ ♬｢普段から｣ ♬｢ﾒｲｸしない 君が｣ ♬｢薄化粧した朝｣ ♬｢始まりと終わりの狭間で｣ ♬｢忘れぬ約束した｣ ♬｢花束を君に贈ろう｣ ♬｢愛しい人 愛しい人｣ ♬｢どんな言葉並べても｣ ♬｢真実には ならないから｣ ♬｢今日は贈ろう｣ ♬｢涙色の花束を君に｣ ♬｢涙色の花束を君に｣ ♬～ <次号の出版に向けて➡ 編集部員たちは 会社と花山家を行き来して➡ 仕事を進めていました> 花山さんに どなられたんですね？ (扇田)分かります？ (島倉)私も 昨日 行ったら➡ ｢やり直せ！｣って｡ (木立)僕なんか ｢辞めちまえ！｣ですよ｡ 私も｡ 私もです｡ (扇田)この会社 入って 何回 花山さんに どなられたんだろう｡ ちゃんと 数かぞえておけば よかったな｡ (島倉)だけど 怒られるのも 久しぶりだったから➡ 私は懐かしかったですね｡ (木立)僕もですよ｡ 心のどこかでは ｢あなたの暮し｣は こうでなくっちゃって｡ (緑)確かにね｡ (寿美子)今頃 たまきさんも どなられてるのかしら｡ (緑)そうかもしれないですね｡ (たまき)ただいま戻りました｡ (一同)お帰りなさい｡ (木立)あ～あ～｡ たまきちゃんも 花山さんに どなられちゃったか｡ (たまき)どなられた方が よっぽど よかったです｡ (木立)えっ？ 花山さんの原稿を 口述筆記してきたのですが➡ 今日は それも つらそうで…｡ ♬～ うん… これでいい｡ はい｡ 残りの原稿は 来週の中頃に また お持ちできると思います｡ よろしいですか？ ああ｡ では 来週 また お邪魔しますね｡ ♬～ 常子さん｡ はい｡ すまんが もう一つ 筆記を頼みたい｡ でも 今日は もう お休みになった方が…｡ 平気だよ｡ 分かりました｡ 何の原稿ですか？ あとがきをね…｡ ああ…｡ (ﾎﾞﾀﾝを押す音) では｡ ハァ…｡ 書き出しは そうだな…｡ 今まで ｢あなたの暮し｣を ご愛読下さった皆様へ｡ 私が死んだらね➡ その時の号の あとがきに 載せてほしいんだよ｡ まだ お元気なのに 何をおっしゃってるんですか｡ もう めったな事 言わないで下さい｡ 人間 誰だって いつ死ぬか分からない｡ 帰りに 交通事故に遭って 君が先に死ぬかもしれないよ｡ 書いてくれないか？ 常子さんにしか頼めない事だ｡ 分かりました｡ ハァ…｡ 読者の皆様｡ 長い事 ｢あなたの暮し｣を ご愛読下さり➡ ありがとうございます｡ 昭和22年の創刊以来➡ 27年たって➡ 部数が 100万になりました｡ これは 皆様が➡ 一冊一冊を買ってくれたからです｡ 創刊当初から➡ 本当に よい暮らしを 作るために➡ 私たちが この雑誌で掲げてきたのは➡ 庶民の旗です｡ 私たちの暮らしを大事にする➡ 一つ一つは 力が弱いかもしれない➡ ぼろ布 はぎれを つなぎ合わせた➡ 暮らしの旗です｡ ハァ…｡ 世界で初めての 庶民の旗｡ それは どんな大きな力にも負けません｡ 戦争にだって 負けやしません｡ そんな旗を あげ続けられたのも➡ 一冊一冊を買って下さった➡ 読者の皆様のおかげです｡ 広告がないので➡ 買って下さらなかったら➡ とても 今日まで続ける事は できませんでした｡ そして➡ 私たちの理想の雑誌も➡ 作れなかったと思います｡ 力いっぱい 雑誌を作らせて下さり…｡ ありがとうございました｡ ♬～ それに甘えて➡ お願いがあります｡ 今まで ｢あなたの暮し｣を 読んだ事がない人 １人に➡ あなたが ｢あなたの暮し｣を ご紹介して下さり…➡ ハァ… １人だけ➡ 新しい読者を 増やして頂きたい｡ それが 私の…➡ 最後のお願いです｡ ♬～ (ﾎﾞﾀﾝを押す音) あぁ…｡ さあ…➡ もう帰りなさい｡ 花山さん｡ もし 花山さんが いなくなったら…➡ 私 どうしたらいいんですか…｡ 常子さん 大丈夫だよ｡ 君はね…｡ 27年 一緒に やってきて➡ 大体 僕の考えと一緒だよ｡ 君の考えだけで やっていけるだろうけれど➡ 悩んだ時は➡ 君の肩に語りかけろ｡ 君に宿ってやるから｡ ｢おい 花山｣｡ ｢どうしたもんじゃろのぉ｣と｡ ﾌﾌﾌ｡ ハハ…｡ ﾌﾌﾌ…｡ はい｡ ♬～ お邪魔致しました｡ (三枝子)いえ ご苦労さまでした｡ 花山さん｡ あなた 寝ていませんと…｡ うん｡ これをね 忘れていた｡ 次号の表紙だ｡ すてきな人ですね｡ 初めて 私の絵を見た時も➡ 君は そんな顔をしていた｡ すてきな家ですね｡ 常子さん｡ どうもありがとう｡ 嫌だわ 花山さん｡ また来ますね｡ ♬～ (戸を閉める音) (三枝子)さあ あなた…｡ ああ｡ ♬～ (風の音)

アルジャーノンに花束を＃07

1 (咲人)ママ (窓花)咲人… (遥香)咲人さんの立派な姿見たら お母さんも喜ぶ… (竹部)そんな単純じゃないんです 母の感情も見えたし良かったです 報われなくてもいいなんて あまりに非合理的ですよ <理性の力で心に蓋をすればいい> (檜山)お前 誰なんだ？ <そう 心に蓋をすればいいだけだ> (鹿内)バカだったくせに 気持ち悪いんだよ！ (蜂須賀)今度は君が 人を見下してやればいい➡ 君には私がいる 僕には先生がいる ダメよ そっちに行ったらダメ (花蓮) 白鳥咲人さんがいらっしゃる 研究室は どちらでしょうか？ 妹です (河口)今日の学会に お前も 連れていく お前は治るんだよ (舞)ALG 第１号被験者？ 薬の安全性を確かめるための 実験台だ ウソ… ｱﾙｼﾞｬｰﾉﾝ 僕の友達は君だけだ ≪(蜂須賀) 白鳥咲人さん どうぞこちらへ (拍手) この世界にある膨大な知識 それを理解する知能 さらに活用する知性 知識 知能 知性 これら３つを活用することを 英知と呼ぶのでしょう 蜂須賀先生の開発した このＡＬＧ ｢ｱﾙﾌｧｰ･ﾘﾎﾟｷｻﾝﾁﾝ･ｸﾞﾙｺｼﾄﾞ｣ が 私に その英知を授けてくれたのです 現在 私は先生のチームに参加し このＡＬＧが 皆さんを含めた一般の方々に 適用できないかという 研究を進めています それが可能になれば世界の未来を 変えることになるでしょう (どよめき) 例えば 学校に 落ちこぼれは一切いなくなる 知能が低いというｺﾝﾌﾟﾚｯｸｽから 他人の悪口を言う 攻撃的で 野蛮な人間はいなくなるのです 素晴らしいことではありませんか 全ての人が 人間としての英知を手に入れれば 差別や戦争はなくなる 穏やかで静ひつな 平和な未来社会が実現します (英語で話す) [TV]あいきょでしょ [TV]あいきょでしょ？ [TV]あいきょでしょ 彼を ご覧ください 屈託のないこの笑顔は 周囲の悪意から身を守るための 精いっぱいの防御だったんです 叱られれば 怒られれば それは 自分のせいだと思ったんでしょう 悲しいほど真実を知らなかった 過去の私です バカにされ 疎まれても 笑うことでしか 自分を守るすべを知らなかった かわいそうな彼 その彼を救い出してくれた 蜂須賀先生に もう一度 盛大な拍手をお願いします そして このALGによって世界に 平和がもたらされることを祈って パパ… (ノック) (小久保)咲ちゃん ちょっといいかな あなた… お兄ちゃん どう？ 17年ぶりに再会した お兄ちゃんの感想は？ 何ていうか もう会えないんじゃないかって 思ってたから 胸が いっぱいっていうか➡ 信じられないです 僕がここまで案内したんだ 彼女 研究センターに来ていて お兄ちゃん 私ね あの頃のことは小さかったから ちゃんとは覚えてないの ごめんね でも私 お兄ちゃんが 大好きだったってことは 何となく覚えてて… それは記憶違いじゃないかな えッ？ 君はよく僕のことで 母にダダをこねていたよ なぜ 自分の兄は こんなにバカなのか こんな兄のせいで友達に笑われる 恥ずかしいと言ってね 私が…？ 忘れてしまったみたいだね 人間は自分に不利な記憶を 都合良く忘れてしまうものだから 当然といえば当然か 咲ちゃん そんな昔のこと今さら… 疲れてるんだ 出てってくれないか お兄ちゃん… 出ていけ ちょっと待って どうして あんな… 妹は まだ若いせいかな 母とは全く違うリアクションだ そりゃ あなたも つらかったかもしれないけど 花蓮ちゃんだって色々 つらい思いをしたんじゃないかな もしかしたら そのつらい記憶を 忘れるしかなかったんじゃない それに お母さんだって 障がいのある息子を持つって はたから見るより ずっと大変なことだと思うの だからといって 許されることじゃない それとも僕にも あの妹のように 嫌な記憶は都合良く忘れてしまえ そう言うつもりですか？ 違うわ そんなこと言ってない 私は 以前の咲人さんなら単純に 妹さんが会いに来てくれたことを 喜ぶはずだと思うの それはヤツがバカだからだ どうしようもなく 無知で愚かだから 咲人さんを悪く言うのは やめて 私も咲人ですよ ごまかさないで だったらなぜ 自分からお花を持って お母さんに会いに行ったの？ 配達の仕事を続けたいなんて 言ったの？ 今のあなたの心にだって… (ノックされドアが開く) (小沼)咲人さん 取材の準備ができました はい <人は何かを手に入れると同時に> <持っていた何かを失うという> <まるで 神様との取り引きのようだ> <しかし> <過去の私に> <失って惜しいものなど あったのだろうか> <以前の私に 失ってはいけない 大切なものなど…> (柳川)マジで？ マジで治るの？ 梨央ちゃんのその病気 進行性… 進行性要素しぇいしょうがい… かんでる かんでる (梨央)可能性はあるみたいです すげえ 良かったじゃん ねえ すごい縁だよね 梨央と咲人さん 世間は狭いっていうか いや 何か運命っていうかさ そういうのあるんだなって あるある 絶対ある 俺もね運命の出会いとか信じる～ アンタが言うと いきなり安くなっちゃうけど ≪(梨央)でも咲人さんに 何て言ったらいいのか 何て？ だって 咲人さんは ある意味 私の実験台に… 別に あいつは 君の症状のことを 知ってるわけじゃないし それに 実験台だったなんて言われても あいつも気分悪いだけだしな そもそも 咲は薬のおかげで 頭良くなったんでしょ それで 梨央ちゃんも 同じ薬で治るって話でしょ 要するに最高じゃね そうよ 最高よ おみゃあが言うと軽いけどな 何よ？ 咲人が怒るのは当然よ あなたは幼い頃 咲人に とても ひどいことをしたの ママ… 大丈夫よ 私は もっとひどいことしたの ≪(竹部)もう いいじゃないか 家族なんだ いつか分かり合える時がくるさ 帰っちゃうの？ おじさんの分もあるのに ああ 腹壊すからいいや ≪(花蓮)ひどい これでも➡ だいぶ上達したんだから あなたも たまには 外に出た方がいい 咲人… そうですか 研究の方が そんなに忙しくね ええ 研究所では こちらの仕事を 辞めることができないかと ああ 人を補充すればこちらの方は でも 私は反対してるんです ここの寮に住んで いわば 仕事も友達とも つながっている そのことが彼にとって とても大切なことだと思うので そう言っていただけると 嬉しいです➡ 咲人だけじゃなくて うちの連中はみんな➡ 生い立ちに 傷のあるヤツばっかりなんですよ 傷を なめ合うとかじゃなくて そういうことが 必要な人間もいるんです ええ 分かります 彼がまた お母さんのところに？ ええ それで 俺の顔見て逃げ出したっていうか 何か 変な誤解されちゃったかなって ビックリしただけですよ きっと 亡くなられた お父さんの 後輩だった竹部さんが 心配して時々 様子を 見に行ったりしてるのは 考えれば 全然 不自然じゃありませんし 彼女も気の毒なんです 障がいのある息子が生まれて 精神的に いっぱいいっぱいに なってしまって それで咲人を手放してしまった そのことを今になって とても後悔してる とても そうですか 家族なのに ひどいって責めるのは簡単だ でも中にいる本人達にしか その苦しみや葛藤は分からない はい お前ら ぜってえ笑わねえか？ 俺 恋をしている (神田)相手は人間っすか？ ≪どういうこと？ 意味が分からない 咲人 咲人さん 今 竹部さんと あなたのここでの仕事のことを 話してたんだけどね 自由出勤ってわけじゃないんだが お前 何だか 難しい研究チームに 組み込まれちまったみたいだから 気分転換っていうか 配送の仕事は適当でいいぞ (波多) 俺らの仕事 気分転換だってさ ブルーカラーの差別っすよね 悪い悪い そんなつもりはないよ そんなこと言ったら お前 俺だって骨の髄までブルーだしな いい年こいて嫁さんもいねえしな うるさい お前は 付き合ってる人は いるんですよね ≪(鹿内)マジで？ 俺と一緒で➡ 恋してんの？ 参ったな やっぱり 変な誤解させちまったか 違うのよ 竹部さんは あなたの お父さんの後輩だから 心配して時々… 何 何？ 何の話？ 相手は僕の母なんです ≪(神田)マジで？ あのな 咲人 だから… それなら なぜ僕に 話さなかったんですか？ 聞いてなかったですよ あなたが あの家に出入りしてるなんて それは… 後ろめたさがあったから？ だから 陰でコソコソと コソコソ？ 何を言ってるの？ 竹部さんが そんな人じゃないことぐらい よく知ってるでしょ ただの善意ですか？ 障がいのある僕や 刑務所上がりの 彼らの面倒をわざわざ見るなんて おい 咲人 大げさなこと言うな 俺は そんな大した人間じゃねえよ ええ そうでしょう 後輩だ親友だと うそぶいて 平気で父を裏切ってる もうやめて 自分が何を言ってるか 分かってるの？ 言いたいことがあったら ハッキリ言え 母と寝たんでしょ 関係は いつからなのか分からない 妹は もしかしたら あなたの子供だったかも 出てけ ここから出ていけ これでいい これで スッキリして 研究に集中できる なぜ 泣いてるんです？ 娘の症状は日々進行してきている 明日の検査結果次第では すぐにでも 入院することになるだろう そうですか それは… 病院の主治医とALGの投薬量 装置の装着の有無 その他を話し合ってほしい (杉野)その件ですが河口社長 うん？ お嬢様のいらっしゃる前で とても言い出しづらいのですが ＡＬＧは適応外なんです ≪(河口)適応外？ どういう意味だ ALGは当初 連鎖的に起きる アポトーシスの防止に適応できる 薬剤と考えておりました しかし 研究が進むにつれ ＤＮＡの 自動的な断片化を防げないため 進行性要素性障害には適応性が 低いということが分かったんです つまり ＡＬＧでは 娘は治らないということか？ 残念ながら 蜂須賀… 貴様！ 社長 冷静にお願いします なぜ もっと前に言わなかった？ 申し訳ありません つい先日分かったことなので ≪(河口)見え透いたウソを言うな 私を だましたな➡ ＡＬＧで娘を治せないことは 研究当初から分かっていたんだろ とんでもない もういい！ 今すぐ 今すぐ他の治療薬の研究を始めろ 今すぐだ！ 残念です社長 私の力ではここが限界のようです これ以上 お力にはなれません バカな… このような事態になってしまい 大変 心苦しく思っています お詫びの印として 今後は御社からの研究資金は 辞退させていただきます ちなみに ご心配には及びません 先日の学会発表以来 世界各国から 我々の研究を支援したいとの 申し出が あとを絶ちませんので 貴様 最初から それが目的だったな 失礼します (笑い声) 梨央？ 何してるんですか 望月さん！ ちょっちょっちょ… 望月さん 離して こんなものがあるから 何してんすかッ 望月さん (ノック) ≪蜂須賀だ おはようございます 寝てるとこ 起こしてしまったかな いえ 入りなさい 彼女は知ってるね 小沼です 今後 君の身の回りの世話や必要な文献 論文の手配など全て 彼女にやってもらうことになる 遥香は… 望月さんは？ 彼女は退職した 退職？ 激務に 耐えられなくなったんだろう 朝から深夜まで 家には ただ寝に帰るだけだ 私は 聞いてません 問題ないだろ 小沼君は とても優秀だ それに個人的な意見だが 望月君より美人だ そう思わないか？ ≪(小沼)部長 じゃあ あとはよろしく はい 私の携帯とＥメールアドレスです ごめんなさい 朝食のご用意をお持ちします (留守番電話) お前な 勤務中に しょっちゅう 呼び出すんじゃねえよ まいっか ここのバーガー 激ウマだからな ありがとよ あれ 今日 梨央ちゃんは？ あッ もう お目付け役は 終了だからね 大丈夫か 大丈夫じゃない えっとね… あッ？ 大丈夫じゃないの 咲ちゃん この間は悪かったね 妹さん 花蓮ちゃんのこと そのことなら もういいです それが あんまり良くないっていうか 咲ちゃん いや お兄さんにだから正直に言うけど 実は俺 彼女のことﾀｲﾌﾟっていうか 私には関係ありません 気に入ったんならお好きにどうぞ いや 連絡先 聞いてなくて そんなことより 望月さんのこと何か知ってます？ クビになった理由？ クビ？ 彼女は自主的に退職したんじゃ？ まさか 俺達 理系大学院卒にとっちゃ この研究ｾﾝﾀｰでの仕事は花形さ どんなに忙しくたって 自分から 辞めるヤツなんかいるもんか でも女性だからな 男っ気もないようだし ストレスでキーッて 感じになっちゃったのかもね 彼女は何を？ 君には言えなかったんだろうな まあ解雇は気の毒だけど 同情の余地はない 一体 何を？ 破棄しようとしたのさ ＡＬＧを えッ？ 残酷な話だよな 目の前で聞かされたらしいよ 咲に使った薬じゃ 梨央ちゃんの病気治んないって そうか だけど 彼女 笑ってたんだって 笑ってた？ それで舞ちゃん逆に 心配に なっちゃったみたいだけどね なんつうか ショックのあまり イカれちった つうか たぶん 違うだろ 違う？ ずっと前から 梨央 覚悟を決めてたんだよ 覚悟 花になる 覚悟➡ それでな 絵本の世界に逃げ込んだんだ 絵本か 一種の現実逃避だろうよ 絵本の世界で リアリティーのない恋を してみようとも思った その相手が前の咲か 変な話 その世界にいれば 彼女は 安心で幸福なのかもしれない だから現実に引き戻される 病気が治ることの方が おっかないっつうのかよ 現実は そんなに 幸せじゃなかったのかもしれない あんなに金持ちの お嬢様でもか その中にいる人間にしか 分からない➡ 他人には分からない➡ そんなもんかもしれない ≪(蜂須賀)明日 彼女と一緒に ﾊﾟｽﾎﾟｰﾄを作りにいってほしい ﾊﾟｽﾎﾟｰﾄ？ (小沼)ｱﾒﾘｶ ﾖｰﾛｯﾊﾟ 中国も➡ 科学界は ALGの発表に衝撃を受けています➡ 多くの学会から蜂須賀先生と あなたへの招待状が届いています 私には研究が しばらく休んでも 罰は当たらんだろう 世界各国を 旅行がてら訪れるのも悪くない しかし 実験の経過が心配なら 杉野君や小久保君から データを送ってもらえばいい 私も お供します 各国の研究施設を回るのも➡ 勉強になると思います ≪(蜂須賀)彼女 語学が堪能でね➡ もっとも 今の君には 通訳も必要ないかもしれんが 望月さんのことなんですが 誰かに聞いたのかね？ ええ 彼女は とんでもないことを しようとした 事もあろうに 私が長年費やした研究の成果を 台なしにしようとした 冒とくだ そう思うだろ 私にとって いや まさに君にとっても 何より科学にとっての冒とくだ 解雇は厳しすぎるとでも 言いたいかね？ いえ ただ 先生と望月さんの関係上 私と彼女の関係？ そうか あのキスのことを 言ってるんだね➡ あれを君は まだ誤解したままなんだ 誤解？ 今さらだが 君は彼女に対して 母親のような感情から派生して 一種の恋愛感情を持ったと 私は感じていた➡ だから私は彼女に 君を傷つけないように➡ その気持ちを受け入れてあげて ほしいと要求したんだ 私の気持ちを？ 彼女は できないと言った 自分に その気持ちがないのに そんなｳｿをつくことはできないと 先生だって できないはずですって そう彼女は食ってかかってね そうかな たやすいことだと思うが それが あのキスの説明だ あなたは 彼女の気持ちを… もてあそんだ？ そうじゃない 私にとって大切なのは 君だということだよ 咲人➡ 私の誇り 私の息子 咲人 君だけが大切なんだ すいません 研究室に戻ります？ それとも (ｱﾙｼﾞｬｰﾉﾝの鳴き声) イッテ… お前何すんだよ アルジャーノン ゆうべは どうだった？ 私に魅力がないからでしょうか 残念ながら そのまま研究室にお送りしました 彼は まだ性的には未熟だ まあいい 海外で一緒に長く滞在すれば… ええ 君は変わった人だね 私は恋とか愛とかには 興味がありません ほう ただ 天才には抱かれてみたいです おはよう (一同)おはようございます どうした？ 今までの研究の経過と 私の考察を添えてあります ああ 午後からパスポートを取りに… それと これも お返しします どういうことだ？ 辞めます 何だって？ 私は あなたを尊敬していました 優れた科学者であり とても立派な方だと 何より私のことを息子だと 言ってくれて本当に嬉しかった 本当のことだ 涙が出るほど嬉しかった それが 自分に都合がいいだけの ロボットをつくるための 洗脳だと気づくまでは 遥香が 望月さんが それに気づかせてくれました 彼女を解雇したことを 根に持っているのか？ 君が望むなら 戻してもいい そんなことじゃない 僕が 私が言いたいのは そんなことじゃありません あなたは あるいは ここにいる誰もが 人間としての大切な何かを 欠落してるのではありませんか まごころを 待て ここを出て 一体どうするっていうんだ 何をするっていうんだ？ 分かりません 少しくらい休んでも 罰は当たらないんじゃないですか 薬は使わせんぞ ＡＬＧを持ち出すことは許さん 部長 これは？ 私の父は ただ １人です 彼もつくれるそうです ＡＬＧを バカな これは私だけが… 《咲人さんを悪く言うのは やめて》 《なぜ 泣いてるんです？》 《約束》 《分かった 頑張ってね》 《ごめんね 苦しませて ごめん》 《咲人さん 打って》 《はるかは せかいでいちばん すきな おんなのこ》 《ありがとう》 《あるじやのん》 《アルジャーノンって言った？》 《あいきょでしょ》 (ドアが開く) お前 ノックぐらいしろよ 檜山 うん？ (梨央)お邪魔します (檜山)適当に座って あッ お茶でも入れるね あッ これ イテ… ごめん ううん 聞いてますよね？ 舞ちゃん経由 柳川 柳川経由 俺で そう ２人とも 随分 心配してた 君が すごい ショックを受けただろうって 檜山君は 心配してくれなかったの？ 絵本の世界から 出たくないんだろうって 俺は言った まるで白雪姫 毒りんごを食べて そのまま眠っちゃう メルヘンだな そう メルヘン 最初に チカチカって ほら 電球が切れかかるみたいにね ああ そして プツンと真っ暗になるの 停電みたいにね ああ それから またチカチカってなって 目が覚めるんだけど その間のことは全然 覚えてない ああ 最初は １分とか２分だった あれ 私ぼんやりしてたのかなって そんな感じ そうか それが １時間２時間 どんどん長くなって 最初は嫌だな 怖いなとか 思ったりもしたんだけど 不思議ね だんだん慣れてきちゃって 眠るのと変わらないんだよ ただ夢を見ないだけ なら 良かった 痛くも苦しくもないんだね うん なら 良かった ここのところ 発作がくるとね ５時間も６時間も たってるの お前 どんだけ寝るんだよって感じだな ホント そう もうすぐ つながっちゃうんだろうな ホントの眠りと この病気の眠りが… よせ もうすぐ お花になるの もういい 聞いて 私の話 誰かには知っていてほしかったの ううん ただ聞いててほしかった だけかもしれない 前は咲人に そう 以前の彼なら ただ うんうんって言って 忘れてくれると思ったから 俺は代役か ごめん そういう意味じゃ 俺も いつかは忘れてしまうだろうって だから違う 違うの… 何が違う？ 檜山君には 私のこと 覚えていてほしいの 何でだろう 忘れないでいてほしいの にしても 随分 長えな おいしく 召し上がってんじゃないですか あいつラブホ行く金もねえのかよ よし じゃちょっとのぞきに行くか 声ぐらい聞けるかもしれないから コップ持っていきますか コップ コップコップ ほっといてやれっつってんだよ 何だよ 急にでけえ声出して ≪(神田)ホントは聞きたいくせに この むっつりスケベ 彼女 病気なんだよ えッ？ 難病だよ もう治る見込みないらしい マジかよ 全然そんなふうに 見えないじゃん 見た目じゃ分かんねえんだよ 病状は進行してるって話で たぶん今日だって 家か病院 抜け出してきたんだよ ﾏｼﾞかよ そういうのｼﾞｮｰｸだったら よくねえぞ それで檜山に会いにきた 正直 檜山だって どうしていいか 分かんないだろう 必死の思いで来て 必死の思いで 受け止めようとしてんだよ (檜山の叫び声) 檜山！ ≪(檜山)ちくしょー こんなの耐えられねえよ 神様➡ 誰か いねえのか 誰か助けてくれよ 早く ≪(檜山)誰か助けてくれよ 咲人さん 買い物してたの ストレス発散っていうか やっぱり 女子は物欲ね ストレスの原因は僕ですか？ 違うわよ そんな あなたを たくさん心配させた あなたに たくさん迷惑をかけた 揚げ句は 望んだ仕事まで あなたには関係ないの 私は自分で ＡＬＧの効果について 疑問を持ち始めていたから 僕が 何かを失っていくのを感じて？ 何か 大切なものを ええ 以前の咲人さんが持っていた 繊細な優しさのようなもの それが そんなに 大切なものだとは思わなかった バカにされ 人から利用されるような ものじゃないかと そういう人は いるかもしれない でも みんながじゃない そうだね 君の言うとおりだ だから 僕もセンターを辞めてきた えッ？ そんな まさか… だって これから どうするの？ 君だって どうするの？ それも そうね ここで暮らしてもいいかな？ えッ？ 行くところがないんだ あのキスのことなんて ホントは どうでもよかったんだ 僕が ずっと いらだっていたのは 遥香 君が僕への気持ちを ごまかそうとしていたからだ ホントは恋してるくせに ホントは愛してるくせに そうよ もう一度 ついこの間まで あなたは まるで小学生のようで 私は ただ心配で それが いつからか ええ そうよ もう一度 あなたを 愛してる もう一度 あなたを あ… アルジャーノン 間違ってるよ どうした？ アルジャーノン… <大切なものは きっと> <自分では気づくことが できないのかもしれない> <それは> <自分を愛してくれる人が そっと教えてくれるもの> <耳もとで優しく> <愛を ささやくように>

医龍～Team_Medical_Dragon～４th＃06

1 (龍太郎)先生｡ 大丈夫ですか？ (荒瀬)すぐに 精密検査➡ 受けた方がいいな｡ Ｌ＆Ｐに運べ｡ 俺 Ｌ＆Ｐの院長になるわ｡ (龍太郎)お前なら できる｡ (岡村)野口先生は初めてでしたね｡ (岡村)検査が 終わったら ご紹介しますよ｡ (野口)桜井 修三？ (野口)彼は どこが悪いの？ (岡村)検査結果を➡ 見てみなければ 分からないですが➡ おそらく 長年の献身的な医療で 無理をされたんでしょう｡ (野口)長年の献身的な医療｡ (岡村)チームドラゴンは 皆 桜井先生を 慕っています｡➡ 特に 朝田先生にとっては 言うならば➡ ヒーローのような存在です｡ (野口)ヒーロー｡ (桜井)通院している 横山さんだがな➡ 冬場は 血圧が上がるから 利尿剤の量を 増やしといてくれ｡ (桜井)あっ｡ それと 自宅療養の河原さん｡ (桜井)在宅酸素を 導入したばかりだから➡ 夜にでも…｡ (龍太郎)分かってます｡ 先生｡ 今は 自分の体のことを 考えてください｡ (桜井)ああ｡ しっかり 休め｡ 荒瀬院長からも そう 念を押されたよ｡ 荒瀬｡ この病院を 変えていきますよ｡ (荒瀬)あしたの ＡＲの オペは 青木に切らせろ｡ (木原)いや｡ いや｡ あのう｡ 彼女は助手で 執刀医は➡ 柏田先生の予定ですが｡ (荒瀬)柏田の手袋のサイズは ８｡ (荒瀬)青木は ６｡ この患者の傷は ７cmで 収めなければいけない｡ (荒瀬)狭い術野での オペだ｡ 青木が 執刀する方がいい｡ (木原)外科医 一人一人の 手袋のサイズを｡ 頭に入れて 当然だ｡ (荒瀬)それと あさっての ＡＳＤの オペの執刀医は 佐伯だ｡ (木原)いや｡ あいつは まだ ３年目で 経験が…｡ (荒瀬)若い外科医は 経験を 積まないと 成長なんてしない｡ (野口)新院長｡ ずいぶんと 張り切っているみたいだね｡ (岡村)麻酔科医は 様々な オペに立ち会い➡ 豊富な データベースを 兼ね備えています｡➡ 荒瀬院長は 合理的に オペの ローテーションを➡ 決めてくれていますよ｡ (野口)ずいぶんと➡ 現場は 混乱しているだろう｡ (岡村)いえ｡➡ 荒瀬院長が 決めるようになってから➡ 大幅に オペ時間が短縮され➡ 患者も 術後の回復が 早くなっています｡ (野口)本丸は 朝田だからね｡ (岡村)私は 朝田先生を 説得する自信が ありますよ｡ 彼は 君が考えるほど 簡単な男じゃないよ！ (岡村)結果を 見ていただければ 満足していただけると 思います｡ (岡村)ああ｡ そう｡ そういえば 先ほど 気にされていた 桜井先生｡ (岡村)これが 本日の検査予定表です｡ ♬～ (野口)こんなところに いたとはねぇ｡ (検査技師)それでは 造影剤が 入ります｡ (桜井)うっ｡ [ﾏｲｸ](検査技師)大丈夫ですか？ 中断しましょうか？ いや｡ 大丈夫だ｡ 続けてくれ｡ (千尋)桜井院長を 今すぐ 出してください｡➡ 桜井院長の誤診のせいで➡ 私の人生が めちゃくちゃに されたんです｡ (看護師たち)誤診？ (早川)誤診？ (猪原)平山さん｡ 落ち着いてください｡ (千尋)どうして ただの 気管支ぜんそくが➡ 心臓病になるんですか？ (猪原)とにかく➡ カルテを 確認して…｡ (千尋)必要ありません｡➡ Ｌ＆Ｐで 再検査したら やっぱり➡ ただの 気管支ぜんそくと 言われましたから｡ (岡村)桜井先生が 誤診？ (早川)ええ｡ (岡村)うん｡ 確かに 気管支ぜんそくですね｡ (早川)Ｌ＆Ｐの 正確な診断とは違って➡ 桜井先生は 問診と 聴診器だけの 簡単な診察だったそうです｡➡ 平山さん｡ 心臓病だと診断され 同僚に相談した｡➡ それを 偶然 上司に聞かれてしまい➡ 彼女が企画した プロジェクトから 外されたらしいです｡ 心臓病を抱えていては 無理だと｡ ところが 実際は 気管支ぜんそくだった｡➡ それで 抗議に来たんです｡ (岡村)うん｡ 桜井先生が 誤診｡ 信じ難いことですが｡ ≪(野口) 当然のことかもしれないよ？➡ 彼が 誤診するのは｡ (岡村)野口先生｡ それで どうなったの？ えっ？ あっ｡ 明日の 10時 院長代理として➡ 朝田先生が 対応することになりました｡ あしたの 10時｡ ♬～ (野口)桜井 修三｡ (野口)彼は 君の 恩師だそうじゃないの｡➡ 長年の献身的な医療で 無理が たたったのかな？➡ 気の毒だね｡ もし それが 本当だとしたら｡ どういう意味だ？ 彼は 君の ヒーローなんだってね｡ 何が言いたい？ とかく ヒーローとは➡ 秘密を 抱えているものだからね｡ ♬～ ♬～ ハァ｡ 平山さん｡ もう一度 診断をさせてください｡ 必要ありません｡ Ｌ＆Ｐで調べて ただの 気管支ぜんそくだったんです｡ 機械が はじき出す結果だけじゃ 分からないことも あります｡ 誤診は Ｌ＆Ｐの方だって いうんですか！ (猪原)平山さん｡ 落ち着いてください｡ 平山さん｡ 桜井先生は 誤診をするような 医者ではない｡ そう 信じてます｡ あくまで 非を 認めないということですか？ (加藤)違います｡ (加藤)桜井先生に代わって もう一度 診断した上で…｡ 会社に入って 初めて通った 企画だったんです｡➡ なのに 誤診のせいで 外されてしまった｡ どんなに悔しいことか 分かりますか？➡ とにかく 院長から 正式な謝罪がなければ 訴えます｡ (野口)お気の毒ですね｡ 誤診とは｡➡ 私 こういう者です｡ どうぞ｡ (荒瀬)お前の お師匠さんの容体 思った以上に よくない｡ そうか｡ (荒瀬)それにしても 誤診って ホントなのか？ 桜井先生に限って そんなことは ない｡ (荒瀬)今は 話さない方がいいな｡ もう一度 その患者に会って➡ 自ら 診るって 言いだしかねないぞ｡ (岡村)あっ｡ 先ほど 桜井先生の 検査結果が出ました｡ (荒瀬)弓部大動脈瘤｡ やっぱり 最悪の 心臓大動脈瘤か｡ (荒瀬)だが 俺たちなら 助けることができる｡ ああ｡ (岡村)桜井先生の病気 心臓だけじゃありません｡ 脳動脈瘤｡ 脳にも 動脈瘤が｡ しかも 最も オペが難しい 脳底動脈先端部に｡➡ どちらも いつ 破裂しても おかしくない サイズです｡ (伊集院) 心臓と脳に 最悪の動脈瘤!? 朝田は 心疾患の可能性は 覚悟していたそうよ｡➡ でも 予想外に 脳にも 動脈瘤を抱えてた｡ (早川)だから 誤診してしまった｡➡ だって 弓部大動脈瘤なら➡ 胸痛や 嚥下時の 違和感が あるはずです｡➡ 脳動脈瘤も あるとすると➡ 頭痛 けいれん 四肢のしびれや まひ｡➡ 視野障害だって 抱えていた可能性が あります｡➡ 診療に 支障が出ても おかしくない｡ ♬～ ♬～ (荒瀬)《脳にも 動脈瘤が》 (岡村)《どちらも➡ いつ 破裂しても おかしくない サイズです》 (野口)《とかく ヒーローとは➡ 秘密を 抱えているものだからね》 ♬～ ♬～ (鬼頭)桜井 修三｡ (野口)はい｡ では あした よろしく お願いします｡ ♬～ ♬～ 平山さんに 会ってくる｡ このまま 放ってはおけない｡ (加藤)今日は ずっと こっちに いるから｡ (伊集院)大丈夫ですか？ 人工心臓の開発は｡ こんなときに 協力しないで いつ するのよ｡ 加藤｡ 助かる｡ ≪(駆ける足音) (早川)おはようございます｡ (伊集院)どうしたんですか？ (桂)大変です｡ 監査です｡ 厚生労働省の医療監査です｡ (伊集院)厚労省？ (早川)医療監査？ ♬～ (嶋田)医療法に基づき これより 桜井総合病院の➡ 医療監査を 行います｡ (伊集院)厚労省が 何で うちに｡ (猪原)しかも 抜き打ちで｡ (嶋田)この病院の現状を➡ 緊急に 把握する必要があると 判断しました｡ (猪原)どうして？ ≪(野口)当然じゃないかな？ (伊集院)何で 野口先生が？ 桜井院長が 誤診をしたそうじゃない｡➡ 現に 誤診をされた患者さんも 来ていらっしゃる｡ 平山さん｡ (野口)正しい判断をした➡ Ｌ＆Ｐの顧問として 患者さんに 対する 責任があるからね｡ 監査に 立ち合わせてもらうよ｡ (嶋田)では 医師免許 患者カルテ等の➡ 関係書類の提出を お願いします｡ (監査員)資料を 拝見させてください｡ (伊集院)こちらへ｡ (嶋田)医療関係の➡ 資料の提出を お願いします｡ (朋子)こちらです｡ 監査で 見つかると思うよ｡ ヒーローの秘密｡ ♬～ ♬～ (監査員)医療機器操作マニｭアルの 不備が 確認できました｡ (監査員)医療安全管理委員会の 実施が 確認できました｡ (伊集院)野口先生は 誤診追及のために わざわざ➡ 厚労省を 動かしたんでしょうか？ (嶋田)桜井院長の 医師免許も 見せてもらえますか？ (猪原)あっ はい｡ 今 持ってきます｡ (嶋田)誤診のことも含め この病院での 診療形態について➡ あなたたちからも 聞き取り調査を させてもらいます｡➡ こちらが 桜井院長が 診断した カルテですね？ (嶋田)心臓病だと 診断したのは 問診と 聴診所見からだけですか？ その２つで 心臓病の ほとんどが 推測できる｡ (嶋田)詳しい検査もせずに➡ 心臓オペの 必要性があると 伝えていた｡ 問題だと 思いませんか？ (伊集院)それは➡ 無理しないように 彼女のことを思って｡ 結果 誤診をしてしまった｡ 誤診か どうかは もう一度 彼女を 診断してからです｡ (嶋田)カルテを精査して 驚きました｡ ここは 高難易度オペの症例数が➡ 中小病院にしては 基準値を はるかに超えている｡ (伊集院)それが 何か？ 高難易度オペは 保険点数が 高い｡➡ 利益のために 無理して やってるんじゃないですか？ そんなわけ ないじゃないですか｡ (嶋田)それに➡ この病院は 患者の 死亡率が高い｡➡ 誤診｡ 高難易度オペの症例数｡ 患者の死亡率｡➡ そして もう一つ 問題がある｡ (嶋田)未収金の多さです｡➡ 診療報酬を 着服している 疑いがある｡ そんなことは 絶対にない｡ (早川)未収金？ (伊集院)うちは➡ 中小病院にしては 患者さんが多い｡ でも 経営状態は よくない｡ (早川)つまり 赤字の原因は 診療費を申告せずに➡ 着服してるわけですか？ 桜井先生に限って 着服なんて｡ Ｌ＆Ｐは 何で こんな病院と 協力関係を 結んでんだよ｡ (猪原)はい｡ (監査員)院長の医師免許 ありましたか？ いえ｡ どこに しまったのか｡ ♬～ ♬～ 何ですか？ もう一度 診断させてください｡ 監査が入って 誤診を 追及されるのが 怖いんですよね？ 平山さんの体のことを 心配してるんです｡ もし 心臓に…｡ 何が何でも➡ 私を 心臓病にしたいんですね｡ いいかげんに してください｡ ☎(呼び出し音) 荒瀬｡ 調べてもらいたいことがある｡ (荒瀬)分かった｡ すぐに 捜してみる｡ (木原)院長｡ 大変です｡ 朝田の師匠が｡ (ノック) (監査員)まだ 見つからないんですか？ (猪原)ええ｡ (監査員)通常監査では➡ 提出されていたんですよね？ (猪原)看護師の分は➡ 私が まとめて｡ 医師の分は 院長に任せっきりで｡ (監査員)専門医の認定証や 学会の表彰なども➡ 掛けていないんですね｡ (嶋田)やはり どう考えても この未収金の多さは 不自然です｡ (桂)院長｡ 治療費が 払えない患者に➡ 払えるときに なったらで いいって 言ってるんです｡ (朋子)私たちが止めても 患者のためだって｡ (嶋田)これほど 経営状態が 悪いのに➡ 診療費を いつでもいい？ 信じられませんね｡ それが 桜井先生という人です｡ (嶋田)院長の 医師免許は？ (監査員)どこにも ないようです｡ (猪原)どこかに しまっているんだと思うんですが｡ (荒瀬)朝田の師匠の 医師免許？ 医療監査が入ったんです｡ 野口先生の 差し金です｡ (荒瀬)あの たぬき親父｡ 何 考えてんだ｡ ☎(伊集院)とにかく 桜井先生に➡ どこに しまってあるか 確認してもらえますか？ それが できない｡ (木原)先生｡ Ａライン 入れますね｡ (荒瀬)ついさっき けいれんの発作を 起こした｡ (伊集院)けいれんの発作？ [TEL](荒瀬)ああ｡➡ 鎮静剤を打って 今は 落ち着いたが➡ まだ 話せる状態じゃない｡ (伊集院)そうですか｡ [TEL](荒瀬)意識が戻ったら 連絡を入れる｡ (伊集院)分かりました｡ (猪原)桜井先生が 発作を？ (伊集院)今は もう 落ち着いてるようですが➡ まだ 意識は｡ (野口)ずいぶんと 都合がいいときに➡ 発作が 起きるもんだねぇ｡ いくら 捜しても 無駄だよ｡ 医師免許は 見つからない｡ どういう意味だ？ 彼は 医大に 入学はしているけど 卒業は していない｡➡ つまり 医師国家試験を 受けていないんだよ｡➡ 桜井 修三｡ 彼は 無免許医だ｡ 何 言ってる？ そんなこと あるはずがない｡ じゃあ この中に 彼の医師免許を 実際 見たことがある者は？ 猪原さん？ 詳しく 教えてあげよう｡ 君のヒーローの 秘密をね｡ (野口)この椅子 座り心地 悪いね｡ 桜井先生は 長年 この病院で 院長を 務めてきた｡ 医師免許が ないなんて…｡ 懐かしいねぇ｡ これこそが 君のヒーローが 無免許医だっていう 証拠だ｡ 1968年｡ 桜井 修三は 帝都医大の 医学部の学生だった｡ 当時は 医大を卒業しても １年間は ｲﾝﾀｰﾝという立場で➡ 医師免許も与えられず 給料も 出なかった｡ そのインターン制度 廃止を求めて 学生たちが 立ち上がった｡ 桜井 修三は その運動の リーダーだったんだよ｡ 僕も その運動に 参加した｡ 確かに 46年前 彼は ヒーローだった｡ [ﾏｲｸ](桜井)《学位と ポストを餌に 無給で 医局に縛られている》 (一同)《そうだ！》 [ﾏｲｸ](桜井)《われわれは➡ インターン制度 廃止を 要求する！》 (一同)《おおー！》 [ﾏｲｸ](桜井)《われわれは 自らの手で 未来を 切り開く》 (野口)《そうだ！ そうだ》 [ﾏｲｸ](桜井)《われわれは…》 (野口)彼は 本当に カッコ良かったよ｡ (桜井)《闘うものである！》 (野口)《大学が 機動隊を入れる 噂があるんですけど➡ 大丈夫でしょうか？》 (桜井)《ここで 闘争を➡ やめるわけには いかない｡ 今 諦めてしまえば➡ これからも ずっと 俺たちは 大学や教授の 言いなりだ》 (桜井)《生活のために➡ 医師免許もないのに 当直の アルバイトをして➡ ふらふらになりながら 医局の雑用を 押し付けられる》 (桜井)《俺たちは 医者になって 患者を診るために ここに入った》 (桜井)《権威や 金もうけのためじゃない》 《今 俺たちが 動かなければ 何も 変えられない》➡ 《一緒に 最後まで闘おう》 《はい》 (野口)桜井たちは 最後まで 大学に 立てこもった｡ (隊員)《おとなしくしろ！》 (桜井)《うわー！》 (野口)だが 結局 不法占拠で 逮捕｡➡ 退学処分になった｡ 僕は 機動隊が来たとき➡ その場におらず 難を逃れたんだ｡➡ ヒーローは 敗れて 失墜した｡ 退学になっても 別の医大に 入学すれば…｡ 僕たちは それを待ったよ｡ これからが 本当の闘争なんだって｡ でも それっきり 彼の行方は つかめなかった｡ 本当に 逃げたんだよ｡ 理想ばかり語って 僕たちを たきつけるだけ たきつけてね｡ 退学になった 桜井は 国家試験を 受けていない｡ つまり 医師免許を 持っていないんだよ｡ 行き場を失った 僕は 仕方なく 医局へ戻った｡ 学生運動に 参加していたから➡ 上から 目を付けられ ひどい扱いを 受けた｡ でもね それでも 耐え忍んで やっと 医者になった｡ それなのに やつは こんなところへ 逃げ込んで➡ ヒーロー面をして 活動を続けてる｡ 桜井 修三は 無免許医｡ これが 真実だ｡ ≪(足音) (早川)加藤先生｡ 大変なことに なってますよ｡➡ 桜井院長｡ 無免許医だったらしいです｡ (加藤)えっ？ (早川)医大を退学して➡ 医師免許を 取っていないまま ずっと 診療を 続けてきたんです｡ ≪(倒れる音) ≪(看護師)大丈夫ですか？ どうされました？ ≪(看護師)大丈夫ですか？ (看護師)大丈夫ですか？ (看護師)先生 呼んできて｡ (看護師)はい｡ (看護師)しっかりしてください｡ 大丈夫ですか？ (看護師)どうされました？ (野口)監査の結果 間違いなく 桜井病院は 閉院だ｡ 君も 無免許医の 桜井の下に いたなんて知れたら 困るだろう｡ その前に Ｌ＆Ｐに来なさい｡ 世界の誰よりも 君のことを 評価しているのは 僕だよ｡ 君を あのころの 僕みたいに したくない｡ これ以上 桜井に だまされるな｡ 俺は…｡ 桜井先生を 信じる｡ あんな 偽医者 何で 信用するんだ！ (伊集院)朝田先生｡ 平山さんが｡ (加藤)呼吸困難を 訴えて ロビーで 倒れたわ｡➡ 両肺野に wheezingを聴取した｡ ぜんそくの発作よ｡ (朋子)血圧 75の 45｡ 心拍数 112｡ サチュレーション 91％｡ (加藤)酸素 ５リットルに上げて｡ (桂)はい｡ (加藤)朝田｡ βブロッカー 用意してくれ｡ (紗枝)はい｡ (野口)βブロッカーだって？ 何を バカなことを｡ 気管支ぜんそくなら β２刺激薬に 決まってるだろ｡➡ βブロッカーなんて 打ったら 呼吸が止まって 最悪 死を招く｡ 医療過誤で 医師免許は 剥奪になるぞ｡ 彼女は 気管支ぜんそくじゃない｡ 心臓ぜんそくだ｡ 何を言ってる？ Ｌ＆Ｐで➡ 呼吸器内科の専門医が ＣＴも 撮った上で 診断したんだ｡➡ 気管支ぜんそくに 決まっている｡ β２刺激薬だ｡ (伊集院)Ｌ＆Ｐの診断どおりなら β２刺激薬｡➡ でも 桜井先生の診断どおりなら➡ βブロッカー｡ (桂)どっちなんだ？ 無免許医を信じて 患者を殺す気か？ (紗枝)βブロッカー 持ってきました｡ (加藤)朝田｡ (野口)やめろ｡ 打つな｡ ノー！ ♬～ 何て バカなことを｡ 発作が 収まったわ｡ (野口)どうして？ 平山さんは 感情が高ぶったとき…｡ 《誤診は Ｌ＆Ｐの方だって いうんですか！》 頸静脈の 怒張が 見て取れた｡ それに…｡ (千尋)《何ですか？》 下肢の浮腫もあった｡ これは 明らかに 心臓ぜんそくの兆候だ｡ さらに 桜井先生の カルテによれば➡ 聴診時の 収縮期雑音と Ⅱ音の分裂もあった｡ だから βブロッカーを打った｡ (野口)なぜだ？ Ｌ＆Ｐの診断が 間違ってたというのか？ ≪(鬼頭)Ｌ＆Ｐでは 心臓は 調べてない｡ 鬼頭｡ (鬼頭)荒瀬に頼まれた｡➡ カルテを調べたら 彼女は 呼吸器内科には 行ったけど➡ 循環器内科では 診断を受けてない｡ つまり 肺は調べたけど 心臓は 調べてない｡ (伊集院)もし 心臓も きちんと 調べていたら？ (鬼頭)心臓ぜんそくと 分かったでしょうね｡ (野口)だからといって 桜井が 無免許医で あることには…｡ (猪原)これを見てください｡ 物置にあった｡➡ 院長は どうやら 海外の医大を 卒業してたみたいです｡ (野口)海外？ (野口)ﾊｰﾊﾞｰﾄﾞ ﾒﾃﾞｨｶﾙｽｸｰﾙ？ バカな｡ 偽造に決まってる｡ (鬼頭)偽造ではない｡ (鬼頭)私が シカゴで 研修医だったころ➡ ハーバードで 活躍する 日本の 若い天才外科医の噂を➡ 誰もが してた｡➡ 柔軟な発想｡ 瞬時の判断力｡ 圧倒的スピードの テクニック｡ (鬼頭)その天才外科医の名は➡ 桜井 修三｡ 彼のことを みんな 慕ってたわ｡➡ 誰もが アメリカで ドクターを 続けてほしいと 思っていた｡➡ でも 彼は 日本へ 戻っていった｡➡ 日本の医療に 貢献したいと｡➡ アメリカでの臨床実績があれば 日本の医師免許は 取得できる｡ ハーバードの 卒業証書があった場所を➡ よく 捜してみなさい｡ 桜井先生の 医師免許も 見つかるはずよ｡ (加藤)もう 大丈夫よ｡ (千尋)桜井院長の診断 正しかったんですね｡ (加藤)Ｌ＆Ｐで 再検査したとき➡ 桜井先生の 心臓病の診断 話さなかったんですね？ 本当に 心臓病だと言われるのが 怖くて｡ 気管支炎だけのことを 話して｡ (伊集院)Ｌ＆Ｐは 平山さんの話を 聞いて➡ 肺だけを調べて 気管支ぜんそくだと 診断した｡ 《お仕事 大変そうですね》 (千尋)《はい｡ 夜 せきが 止まらなくなって➡ 息が できなくなることが あるんですよ》 《コーヒーは できるだけ 我慢して➡ 夜 早く 眠るようにした方が いいですよ》 (千尋)《はい》 (千尋)もし あのまま ハードな プロジェクトに 入っていたら➡ 今ごろ 私…｡ 正式な病名は ＡＳＤ｡ 心房中隔欠損症です｡ 今の状態なら 手術で すぐに治ります｡ (千尋)桜井先生に 伝えてください｡➡ ｢ごめんなさい｣ それと ｢ありがとうございました｣って｡ ♬～ (嶋田)なぜ 桜井院長は ﾊｰﾊﾞｰﾄﾞの卒業証書を 物置なんかに｡ (猪原)経歴を ひけらかす人じゃない｡➡ そういうこと 一番 嫌がる人だから｡ どこの大学を 出ようと 桜井先生にとっては➡ 医師として 患者を診る 一つのプロセスに すぎない｡ (根岸)院長先生は？ (伊集院)今 いませんけど｡ どうされました？ (根岸)うちの子 長い間 こちらで 診てもらったのに➡ 薬代を 払えてなくて｡ (猪原)あら｡ 根岸さん｡ (根岸)院長の 払えるときに なったらって言葉に甘えていて｡➡ ありがとうございます｡ おかげで 息子も 良くなったんです｡➡ くれぐれも よろしく お伝えください｡ 分かりました｡ (嶋田)未収金の多さ｡ 着服では ないようですね｡ (伊集院) 信じてもらえるんですか？ (嶋田)なぜ この病院は 死亡率が 高いか？➡ カルテを見ると 末期がん患者や➡ 他の病院で 見捨てられた患者が多い｡➡ ご家族に 聞き取り調査をしました｡ どの病院でも 受け入れを断られ ここが 最後の駆け込み寺だったと｡ (嶋田)桜井先生は さじを投げずに 最後まで診てくれた｡ 皆さん そう おっしゃってました｡ 桜井先生らしいなぁ｡ (嶋田)監査の結果➡ 幾つか 改善勧告は 出させてもらいますが➡ 病院運営に 問題はないと 判断しました｡ ♬～ (伊集院)桜井先生は 今まで 猪原さんに➡ 一度も 昔のこと 話したこと なかったんですか｡ 少しは 自分のこと 話してくれても いいのにね｡ (岡村)桜井先生は➡ 日本の医療システムの 犠牲者だと 思っています｡➡ 日本では 医者が 患者のために 身を粉にして 働いても➡ 経営は 厳しくなる｡ 揚げ句 医者自らが 壊れてしまう｡ 腕のいい医者であれば あるほどね｡ 一人の ｺﾞｯﾄﾞﾊﾝﾄﾞに 頼らなくていい 環境が 必要なんです｡ 私は ビジネスの力で➡ 患者だけでなく 医者のことも 救いたい｡ 迷惑 掛けたな｡ 平山さん 大丈夫か？ はい｡ 先生に 感謝していました｡ (桜井)そうか｡ (荒瀬)ハーバードを出て 向こうの医者をね｡➡ だから 米軍のドクターなんかと 知り合いだったのか｡ (桜井)フッ｡ (荒瀬)それにしても野口のやつ｡➡ ったく はた迷惑な野郎だ｡ (桜井)あのときの野口は…｡ (荒瀬)野口のことを？ (桜井)うん｡ (野口)《私は 患者を救うために 医者になりたいです》 (桜井)《そうか｡ その気持ちを 絶対に忘れんな》 (桜井)｢患者を救うために 医者になりたい｣って➡ 誰よりも 熱く語ってた｡ (荒瀬)あの たぬき親父が？ (鬼頭)桜井 修三は 自分の理想を 貫いた｡ (鬼頭)あなたと まるで 違う道を 進んできた｡ 青臭い理想なんかでは 何も変えられない｡ だから あなたは 理想を捨て 権力側に立った？ (野口)誰が見ても 僕の方が 成功者だ｡➡ 僕は 日本の医療の 舵取りを 任されている｡ あんな おんぼろ病院の院長とは 違うんだよ｡ (鬼頭)そうね｡ でも 本当は 誰よりも あなたが➡ 桜井 修三のような医者に なりたかったんじゃないの？ ♬～ ♬～ ♬～ (野口)《私は 患者を救うために 医者になりたいです》 (桜井)《そうか｡ その気持ちを 絶対に忘れんな》 ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ (岡村)朝田先生｡ 一つだけ 分かってほしいことが あります｡ (岡村)私と 野口先生は ビジネス上の パートナーです｡ でも 私は 野口先生とは違います｡ ♬～ [TEL](バイブレーターの音) (伊集院)うわ｡ [TEL](バイブレーターの音) (伊集院)もしもし｡ [TEL](美雪)伊集院君｡ 大事な話があるの｡ 大事な話？ (美雪)今から 会って 話したい｡ (伊集院)えっ？ ♬～

べっぴんさん＃085

1 (拍手と歓声) <突き進む先に 何があるのかを 知りたいがために➡ 人は進むのです> (紀夫)僕は この人が ええんやないかと思うてる｡ (良子)あっ 私も｡ (明美)賢そうやった｡➡ しゃべりも 上手やったし｡ (紀夫)そうやなぁ｡ (良子)う～ん やっぱり 大学も いい所を出てるのね｡ (すみれ)私は この人 いいと思うてるんですけど｡ (紀夫) 中西直政… 記憶にあらへんなぁ｡ (明美)確か おとなしそうな人やったよねぇ｡ でも こんな絵を描くのよ｡ ♬～ (はな)<親と子でも その関係を 大事に育まなければなりません｡➡ でも…➡ 親と子やからこそ それを忘れてしまうのです> (君枝)かわいらしい絵やなぁ｡ ♬～ ♬｢『雨上がりの空に 七色の虹が架かる』｣ ♬｢って そんなに単純じゃない｣ ♬｢この夢想家でも それくらい理解ってる｣ ♬｢たとえば 100万回のうち たった一度ある奇跡｣ ♬｢下を向いてばかりいたら 見逃してしまうだろう｣ ♬｢さぁ 空に架かる虹を今日も信じ｣ ♬｢歩き続けよう｣ ♬｢優しすぎる嘘で涙を拭いたら｣ ♬｢虹は もうそこにある｣ ♬｢きっと 虹は もうここにある｣ (君枝) かわいらしい絵やなぁ｡ ﾌﾌｯ｡ 目が ちゃんと こっち向いてる｡ 確かに そやけど➡ これだけで…｡ 私は… ここが大事やと思うんです｡ 子どもみたいな気持ちを 持ってるいうか…｡ (足立) とっことん話し合いましょうか？ そうやね｡ よし 一人ずつ…｡ ♬～ (龍一)健太郎 すごい世界やろ？ 知らへんかったやろ？ 自分が｢井の中の蛙｣やって 思ったやろ？ ♬～ (二郎) お前らが来るようなとこやない｡ ♬～ ♬～ (拍手と歓声) (五月)さくら 行こう｡ よっしゃ！ 踊るでぇ～！ ♬～ 子どもは 早 帰った方がええ｡ ♬～ (五月)こんなとこで 突っ立ってる方が おかしいわ｡ ♬～ もう… 決まらへんやないか｡ 多数決しても 半々やし｡ 大体 偶数いうのが ようないんやな｡ 奇数やないと｡ 今夜は もう十分 楽しんだやろ？ 早 帰れ｡ 私は 子どもやない｡ ４月生まれか？ ううん…｡ 名前｡ ああ… 6月12日｡ 二郎ちゃん 二郎ちゃん ｴｲｽの社長が来たって！ (栄輔)よう｡ 二郎 決まってるやないか｡ ありがとうございます｡ ほな 後で ﾖｰｿﾛｰ 行くわ｡ はい｡ すみれ｡ まず 即戦力を育てて 余力が出来た時に➡ こういう人は 採用したらええんやないやろか？ 私は 即戦力になると思うて 言うてるんです｡ もう どうするのよ～｡ ２人 採用したら ええんちゃう？ すみれちゃんが ここまで言うんやから｡ お願いします｡ よし そこまで言うなら ２人 採用しよう｡ はぁ～ よかった｡ 倒れそうやわ｡ おいおい 健太郎君｡ さっきの栄輔さんを見たか？ かっこええやろ？ 何してる人なんや？ ﾓｸﾞﾘやなぁ｡ 神戸に住んどる人間やったら➡ みんな 知っとるやろ｡ 俺も 初めて会うたけど｡ ﾌｧｯｼｮﾝ関係の会社の社長さんや ｴｲｽいうな｡ 神戸に住んでる 若いもんの間やったら➡ もう そら すごい人気者なんやで｡ なあ？ 二郎ちゃん｡ (二郎)栄輔さん｡ ああ｡ わしが着とる この服も 一式やるわ｡ えっ!? ええんですか？ ああ｡ そのかわり ｴｲｽの服やって 宣伝してくれよ｡ はい｡ もちろんです｡ (栄輔)え？ 君は なしや｡ ガ～ン！ (栄輔)玉井｡ (玉井)はい｡ ありがとうございます｡ (玉井)君は なしや｡ (龍一)腹立つわ～！ よろしゅうな｡ かわいいな～ えっ？ 高校生やろ？ え…？ ﾍﾍﾍｯ きれいに化粧しても➡ 幼さは隠されへんでぇ｡ 私の１つしか➡ 年下やないんやけどなぁ｡ 五月が大人っぽいんや｡ いじめんとってや さくらの事｡ さくら…？ 何や！ (栄輔)君 さくらいうんか？ はい｡ ええ名前やな｡ 俺の幼なじみなんです｡ 母親同士が 女学校から仲ようて➡ 一緒に 店やったりとかしてるんです｡ (五月)店？ 何の？ (さくら)ﾍﾞﾋﾞｰ服とか 子ども用品の…｡ (玉井)その店 何ちゅう名前や？ ｷｱﾘｽです｡ (玉井)えっ？ ｷｱﾘ… ｷｱﾘｽ？ 君 名字は？ 坂東です｡ 坂東さくらです｡ 何か？ いや…｡ (さくら)好き～｡ 今年は 一緒に見ような｡ 桜の花が パ～ッと咲いて きれいなとこ｡ ３人で一緒に見ような｡ ♬～ あの～ お会いした事 ありますか？ いや…｡ 玉井 帰るで｡ (玉井)はい｡ (栄輔)気ぃ付けて帰りや｡ さくら 帰るで｡ まだ いいよ｡ 子どもやないんやから｡ ♬～ (健太郎)さくら さくら｡ 何？ みんなは？ どっか出かけた｡ もう 帰ろう｡ (紀夫)ごめんね｡ ちょっと 通らせてもらう｡ おい！ 気ぃ付けや！ さくら？ まさか…｡ (紀夫)おい すみれ｡ あ…｡ (岩合)チーちゃん おはよう｡ どうですか？ チーちゃんっていうんだ｡ まだ眠いのかな？ ﾌﾌｯ｡ いいお天気の時には眠いのかな？

カエルの王女さま＃06

1 （玲奈）首？ （ピート）「舞台といっても→ 君が出たのは　たかだか 『コーラスライン』の代役」→ 「君には　才能も可能性もない」 （玲奈）ブロードウェイ　スターって嘘！？ ≪（物音） （澪）先生からの　コーチ手当 １０万　引くことの　生活費。→ ニューヨークの　家賃滞納分 イコール　残金　３２０円。 （澪）まずい。　絶対　まずい。 （忠子）音楽堂　取り壊し反対の 署名　お願いします。 （玉子）お願いします。 （みぞれ）お願いします。　おね…。 （玉子）お願いします。 （男性）今　忙しいから　駄目　駄目。 （みぞれ）じゃあ　後ならいい？ （玉子）あーん　もう。→ 全然　集まんないです。 （南）朝からやって 署名　ゼロじゃん。 （香奈絵）目標は　１，０００人。　まだ 始まったばかりでしょう。　もう。 （みぞれ）あーっ！　コーチ。 （玉子）あっ　コーチ。 （まひる）来てくれたんですね。 あんたたち　本気で　やってんの？ 署名運動。 （一希）お前　やれよ。　持てよ　これ。何　これ！？ もっといいの　使ってよ。 （玉子）よかった。→ コーチがいれば　もう　大丈夫。 ちょっと待って。 （忍）コーチがいるだけで 勇気　１００倍。 （まひる）コーチのおかげで みんな　変わったし。 （南）やっぱ ブロードウェイ　すげえよな。 まあ　そう。　先生　私　スターだからこういうこと　できないでしょ。 ≪（子供）あー。　ママ　ママ。 あれ　テレビ　出てた。→ 見たい　見たい。 （母）えっ？　あっ　ホントだ！ やだ。　もう　スターのオーラ 隠しきれない。 （子供）サイン　ちょうだい　サイン。ここに　サイン　ちょうだい。 アハハ。　あのね サインは　書いてないのよ。 あっ　お母さま。 代わりに　いかがです？　署名運動。 ぜひ　ぜひ。 （玉子）お願いします。 さあ　さあ　どうぞ　どうぞ。 署名　やってください。 （一同）署名　お願いします。 ♪♪～ そんな　やり方じゃ　全然　駄目。 もっと　派手に　いきましょう。 派手に。 レディース　＆　ジェントルマン。 ブロードウェイ　スター　倉坂　澪が率いる　シャンソンズです。 さあ　音楽堂　存続のために 署名に　ご協力…。 あっ　ジェントルマン。 ぜひ　ぜひ　お願いします。 さあ　皆さん　ご一緒に。 ♪♪「ＯＨ～」 （一同）♪♪「負けない事 投げ出さない事」→ ♪♪「逃げ出さない事 信じ抜く事」→ ♪♪「駄目になりそうな時 それが　一番大事」 ほら。　いんちきも アピール　アピール。 （忍）やりましょう　一希さん。 （一希）俺も？ （一同）♪♪「今は　遠くに離れてる」→ ♪♪「それでも　生きていれば いつかは逢える」→ ♪♪「でも　傷つかぬように 嘘は　繰り返される」→ ♪♪「ここに　あなたが　いないのが せつないのじゃなくて」→ ♪♪「ここに　あなたが いないと思う事が　せつない」→ ♪♪「でも　負けない事 投げ出さない事」→ ♪♪「逃げ出さない事 信じ抜く事」→ ♪♪「涙　見せてもいいよ それを忘れなければ」→ ♪♪「ＯＨ～」 ありがとうございます。 さあ　皆さん→ ご署名　お願いします。 （清忠）署名運動？ （教育長）すごい 盛り上がってましたね　商店街で。 （税務窓口課長）うちの嫁にも 言われましたよ。→ 署名したんだけど 本当に　音楽堂を→ ごみ処理場にするのかって。 （町づくり推進課長）まあ　確かに 他に　候補地を探すっていう手も。 （清忠）バカを言うな。　音楽堂は→ この由芽市の 古臭い歴史　文化の象徴だ。 （清忠）取り壊し反対の声を 受け入れたら→ 合併そのものへの　反対の声に 広がる可能性もある。 断じて 受け入れることは　できない。 （哲郎）よーし。 いいんじゃないんでしょうか。 （清忠）あの　いまいましい ブロードウェイ女の正体は→ まだ　暴けんのか？ （哲郎）もう少し。→ もう少しだけ　時間を下さい。→ 例の　広報課の女性が そろそろ　何か。 （清忠）そのスパイと　君の関係は 知らんが→ 女を使って　何も出なかったでは ただじゃ済まんぞ。 君も　男だ。　何も 清廉潔白でいろとは　言わんが→ そこまでするなら　結果を出せ。 はい。 [TEL] [TEL]（通話の切れる音） （哲郎）ちょっと。　何で出ないの？ 飯付きっていうから いてやったのに。 客も来ないし。 [TEL]（メールの着信音） 「ジャマイカ　最高。 光熱費は　払っといてね」 ふざけんな。 無い。　ちょっと　お金…。 あれ？　あれ？ へそくり　ないの？　へそくり。 まずい　まずい。　まずいって。 （ハウリングする音） あの。　コーチ　お話が。 すまん。　後にして。 いや。　でも　大事な話なんです。 悪い。　体調不良。 でも…。 （忠子）あら。　玲奈さん。→ 昨日は　どうしたの？ （玲奈）あっ　ちょっと。 （南）早く　練習しようぜ。 （みぞれ）あっ。 （忠子）コーチ。　時間ですよ。 （忠子）コーチ。 今日は　何をすれば？ うるさいな。　そんなもの…。 （おなかの鳴る音） （一希）お前　飯　食ってねえの？ 私はね　プロとして→ 過酷な　ダイエットに 挑戦しているだけです。 あなた　ブロードウェイじゃね→ １ｋｇ　体重が増えただけで 契約違反っていって→ 首になることだって…。 （おなかの鳴る音） （一希）でけえ。 （一同）ハハハ！ （忠子）ダイエットだか　何だか 分かりませんが→ 早く　今回の歌を決めましょう。→ 昨日の署名運動で ５０名も　署名が集まったんです。→ このまんま　効果的な パフォーマンスを考えれば→ 目標達成だって 夢ではありません。 （忍）で　今度のテーマは 何ですか？ そんなもの　勝手に考えなさいよ。 （忠子）えっ？ そうやってね 何にも　悩むことなく→ 朝　昼　晩　ご飯　作って　コロッケ 食べてりゃいいと思って…。 （忍）コロッケ？ 私になんか頼らないで→ その　おつむで考えなさい。 おつむで。 （忠子）ハァ。　分かりました。 今回のテーマは　私が決めます。 （玉子）リーダーが？ 私ね　署名運動してみて 思ったの。 自分の　思いや情熱を 人に伝えるのって　難しいなって。 （みぞれ）あっ　分かる。 署名　お願いしますって言っても→ 誰も 立ち止まってくんなかったもんね。 思い返せば　自分の家族や 身内の人たちに→ なかなか　伝えられない思いって あるなって。 （忍）伝えられない？ うん。 例えば　片思いとか？ （一希）こっちを見んじゃねえよ。 バカヤロー。 （玉子）私もある。 人に言えないこと。 （玲奈）それって　隠し事ってこと？うん。 心に　しまった思いという 意味では　そうね。 みんなの心の中に　しまってある なかなか　言葉にできない思いを→ 歌にして　伝えるの。 （玉子）えっ？ （忍）あれ？ つまり　今回のテーマは メッセージソングです。 メッセージソング？ （おなかの鳴る音） （みぞれ）えー？ （おなかの鳴る音） ♪♪～ カモーン。 あーっ！？ あっ！？　あっ！？　オー　マイ　ゴッド。オー　マイ　ゴッド。 ≪（玉子）コーチ？ あんた　パチンコなんて　やんの？ （玉子）内緒ですよ。→ 私　お姑さんには 子ども手当の　申請に行くって→ 出てきたんで。 コーチは　どうして？ あの　ほら。　こっちには カジノが　ないからさ→ パチンコって　どんなもんかなと 思ってね。 カジノ。　あっ　いい台　ありますよ。私　教えましょうか。 何？ こっち　こっち。 きた　きた　きた　きた。 ほらほら　言ったでしょ。　アハッ。 あんた　すごい。 でも　これで　しばらく 生きられるから。 えっ？ （哲郎）ねえ。 無視はないでしょう　無視は。→ 何度も　電話したんだよ。 （玲奈）放してください。 （哲郎）頼む。　何でもいいから あの女の情報　教えてよ。 （玲奈）放してって 言ってるでしょう。 あっ。　何？　この　英語の紙。 ≪（玲奈）何でもありません。 ≪（哲郎）何か　分かった？ ≪（玲奈）何でもないです。 ≪（哲郎）見せてよ。 えっ？　主人が　玲奈さんと？ （玉子）はい。　もみ合ってたんです。 もみ？ いえ。　もめてたっていうか。 そう。　仕事で　何かあったのかな。 さあ？ あっ　そうだ。　私ね　署名運動用の 楽曲を　考えてみたんだけど。 はい。 とてつもなく　遅い。 （玉子）すいません。 発声練習から。 ちょっと待ってください。 私が　先に　曲の話を。 ノー。　楽曲は　私が用意します。 私も　ノーです。 あなたが　自分で考えろと おっしゃったんじゃないですか。 あら。　そうだったかしら。 署名運動なんか→ どうでもいいと思ってる　あなたに選曲なんか　任せられません。 運動は　ご自由に　どうぞ。 でも　人々の心を打つ　メッセージソング あなたが　用意できて？ なら　お互いに １曲ずつ　用意しましょう。 いいわよ。　あなたと　私 より強く　心を打つ→ メッセージソングを 用意した方が　勝ちね。 （みぞれ）また　始まった。 （南）いいから　早く練習しようぜ。 レッツ　バランスボール。 （玉子）はい。 （玉子）おっ。　ほっ。 ちょっ　ちょっ　ちょっ…。 あっちの玉も　よろしくね。 （玉子）はい？ あんな　おっきい球じゃなくて こっちの方。 フィーバー　フィーバー。 あっ　これですね。 えーい。　大漁　大漁。 （玉子）はい。 あんた　ホント　才能ある。 あっ。 これ　ブロードウェイの？ えっ？　うん。　フフン。 すごいなぁ。 私は　パチンコより　歌の才能が 欲しかったんですけどね。 シンガーに　なりたかったの？ はい。　アイドルに憧れて。 ああ　だから　その格好。 ハハッ。 変ですか？ そりゃあ　変…。 いや。　いいと思う。 すごい個性的で→ そのリボンだって　何ていうの チャーミング。 とっても似合ってる。 ああ　よかった。 ブロードウェイ　スターに 褒められるなんて　うれしい！ よし。　これからは　誰に バカにされても　負けないぞ。 ♪♪「負けない事 投げ出さない事…」 （玉子・澪）♪♪「逃げ出さない事」 ♪♪「信じ抜く事　駄目にな…」 ≪（タキ）玉子さん！ 何なの　これは？ （玉子）あっ。 リコの　ビー玉ですかね。 （タキ）んなわけ　ないでしょう。 だいたい　何なの？　その格好は。 （玉子）えっ？ （タキ）私や　リコが　どれだけ→ 恥ずかしい思いしてるか。 （玉子）リコも　でも→ リボンとか好きですし…。 （タキ）年が違うでしょ　年が。→ ねえ　リコちゃん。 （リコ）うん…。 （タキ）ほらね。 おばあちゃんがね→ もっと　カワイイ　リボン 買ってあげるからね。→ さあ　行こう　さあ　行こう。　はい。 行こう　行こう　行こう。 ２６５。　２８０。　２８３。 うわぁ　すごい。　もう　こんなに。 （みぞれ）やっぱ ブロードウェイ　スターの　おかげね。 （南）コーチが歌うと みんな　寄ってくるもんな。 言いたくないけど そうかもしれないわね。 ようやく　私のすごさが お分かりか？ あれ？ アイドルもどきちゃんは？ 玉子ちゃんなら　しばらく 休みたいって　連絡が。 困る。　がぜん　困る。 私の　ライフラインが。 （清忠）署名　３００人分も 集まったそうだな。 （哲郎）はあ。 （清忠）君も　結果を 出したんだろうね？ （哲郎）それが　そのう。→ もう　彼女からは 何も　引き出せないかと。 （清忠）どういうことだ？ （哲郎）どうも　あの　ブロードウェイ女に 取り込まれたようで。 いつからだ？ （哲郎）あっ。　たぶん→ 学園祭に 出演しようとしたころから。 君と　その女の関係だ！ あっ。　関係なんか　ありません。→ 一方的に まとわりつかれただけで。 今　君が　すべきことは　一つ。 すぐに　荷物をまとめて 井坂家から　出ていけ。 まずい。　非常に　まずい。 私の食いぶちが。 あっ。　そういえば あれ　どうした？ うん？ ない。 何で　ない？ あの　アイドルもどきか！ ≪（ドアの開く音） ひどい…。 えっ！？ こんなふうに　裏切るなんて。 いや。　あのう 何を見たか　知らない。 知らないが…。 ダーリンまで→ メイドカフェなんて　ひどい！ ああっ。 （泣き声） メード？ ああ。　旦那さん そういう趣味で　あなたとね。 （玉子）昔は　カワイイ　カワイイって言ってくれたんです。 なのに　出張だって 東京　通い詰めて→ 若いメードに　ぞっこん。 私　もう　歌　歌えない。 えっ？ 昨日から　ショックで→ 歌おうとしても　声が出なくて。 あなた 抜群に　うまくなったし→ 譜読みの正確さは シャンソンズ　一よ。 昔も今も　アイドルよ。 そんなこと　ありません。 ホントは。　ホントは　私→ 子供のころは…。 （玉子）《♪♪「セーラー服を」》 （子供）《黙れ　ブス！》 （子供たち）《うぜえんだよ。 うぜえんだよ。　黙れ》→ 《かわいくねえんだよ》 だから　かわいくなりたくて ダイエットして→ もっと大きな　リボンとか フリルの服とか→ それだけじゃなくて 顔も　いじって…。 えっ！？　顔も？ 目を　二重に　ぱっちりに。 おお。 でも　もし　バレて 仮面が　剥がれたら→ リコや　ダーリンにも 軽蔑されちゃう。 軽蔑なんて。 もう　誰も愛してくれない。 歌も　一生　歌えない。 歌えない？ 大丈夫。　素顔の　あなたを 愛してくれる人はいる。 それに　歌うたいとして　あなた とってもいいもの　持ってるし。 大丈夫。　歌える。 ハァ…。 （玲奈）どうしたの？　そんなに。 （哲郎）もう　俺　駄目だ。 （玲奈）えっ？ （哲郎）君とのこと お父さんに　勘繰られてさ。→ ハハッ。　家　追い出された。 仕事も　辞表　出せってさ。 （哲郎）自業自得だよな。→ お父さんの　プレッシャーから 逃げたくて　君に走った。 （哲郎）気を持たせて　ごめん。 俺　君を傷つけた。 （哲郎）でも　もう覚悟した。 ホントに 今まで利用して　ごめん。 （哲郎）ごめん。 ♪♪～ アイドルもどきちゃんは？ ＯＫ。　レディース。 次の署名運動のために 私から　あなた方に→ 素晴らしい　メッセージソングを 用意しました。 （南）よっ。　待ってました！ あなたも　心して聴くように。 それだけ　自信があるということはブロードウェイ仕込みの→ これぞという１曲なんでしょうね。もちろん。 ブロードウェイ　スターが送る→ 歌というものの力を示す 珠玉の１曲。 今回は　楽譜だけではなく→ 私の美声で 録音してきてあげたので→ これを　お手本にするよう ここにいない→ アイドルもどきちゃんにも…。 ≪（清忠）アイドルもどきじゃなくて→ ブロードウェイ　スターもどきじゃないかな？ お父さん！？ （一希）哲郎。 あら　入団希望？ （清忠）いつまで　そうやって→ 減らず口を たたいていられるかな？ 君は　スターなんかじゃない。 ただの　詐欺師だ。 （一同）えっ？ たぬき市長が　何を血迷って。 私は　ブロードウェイの歴史に 名を残す　あの大ヒット作→ 『コーラスライン』の ステージに立った…。 （清忠）確かに　君は 『コーラスライン』の舞台に立った。→ 主要キャストの コニー役として。 分かってるなら。 （清忠）ただし　６年前の　６月２１日。 たった　一度だけ。 （まひる）一度だけ？ （清忠）その朝　コニー役の女優が ケガをし→ その夜の舞台に 急きょ　君は立った。→ 代役としてね。 代役？ （清忠）それを　ここの田舎新聞が 騒ぎ立てただけの話で→ その後　オーディションを受けても落ち続けて→ まともな　オファーもない。 （指を鳴らす音） （哲郎）はっ。 この解雇通知を出した エージェントに　確認したよ。 君が　三流のシンガーで ど素人同然だったってことを。 ピートが？ （南）嘘。 コーチ。　嘘ですよね？ （忍）コーチ？ （清忠）これで　分かったろう。 君たちが　あがめていたスターは まがい物。→ 行き場を　なくした女が 苦し紛れに　ここで→ ブロードウェイ　スターを 演じ続けてた。→ これで　お前も　目が覚めたろう。 （清忠）ブロードウェイ　スターの ブランドで集めた　この署名も→ 紙くずだ！ （みぞれ）ああ…。 この女を　広告塔として 祭り上げてきた→ シャンソンズも　同罪だ。 （みぞれ）私たちを だましたってこと？ （忍）ブロードウェイだって いうから　ついてきたのに。 （南）何とか言えよ。 スターじゃねえって　ホントかよ。 否定はしない。 （南）ざけんなよ　てめえ！ 理由を教えてください。 どうして　そんな…。 チャンス。 えっ？ 私が　もう一度　舞台に立てる チャンスだと思ったから。 でも　桜まつりでも 『こんにゃくイブニング！』でも→ あんなに　シャンソンズのために 頑張って。 あれも全部 私が　自分を売り込むため→ ブロードウェイに　返り咲くため あんた方を　利用しただけのこと。 ハァー。 ハッ。　バレて　清々した。 正直　しんどかったのよね。 署名活動だの しちめんどくさいこと言いだすし。 もともと　１カ月の約束だったし→ 私には　音楽堂が　なくなろうが この町が消えようが　関係ないし。 何よ　それ！？ 私たちを　だましておいて 無責任な。 だます？ でも　私は 自分の責任は　果たしてきた。 じゃあ　あんたたちは　私が…。 フン。 ハァー。 シャンソンズなんてさ そこらで鳴いてる　カエルと一緒。 どんなに頑張ったって カエルは　カエル。 カエルの合唱団には　そこの お堅いリーダーが　お似合い。 この人の言うことでも 聞いてさ…。 もう　結構です。 出ていってください！ ♪♪～ （一希）くだらねえ。 ♪♪～ （女性）逃げたらしいのよ。　あの ブロードウェイ　スターもどき。 （女性）ホントに！？ （女性）ねえ。　あの子 シャンソンズの子じゃない？ （一希）おい！ コーチ。　私たちを利用したって あれ　本心ですかね。 私が　歌を歌えるようになったのはコーチのおかげで。 私だけじゃない。 みんな　自信とか勇気とか コーチに　もらったはずで。 （女性）ブロードウェイ　スターって嘘だったの？ （男性）ああ。　そうなんですよ。 （女性）いやぁ。 もう　私　信じてたのに。 （玲奈）あそこまで　しなくても よかったんじゃない？ （哲郎）あっ。　ちょっと。→ 向こう　行こう。 どうして　あんなこと しちゃったんだろう？ （哲郎）あっ。　ねえ。 だから　話なら　向こうで。 私　今　すっごい後悔してる。 コーチのことも　係長とのことも。 どこにも　いねえと思ったら 何やってんだよ　この文無しが。 それで？　連れていってくれんの？くれないの？ （一希）ずかずか この町　やって来て。 俺のこと　強引に　引っ張りこんで。はい　さよならってか。 謝罪でもしろっての？ お断り。 私は　私の　やりたいように やっただけ。 お前が捨てた　あの金色の靴。 あれ　１回だけ『コーラスライン』に出たときの靴だろ。 だから　何？ 思い出の靴 泣きながら　捨てといてよ→ よく俺に　「過去から 逃げんな」なんか　言えたよな。 なあ！ 俺は　もう　逃げてねえよ。 どっかの　でけえ女のせいでよ。 私だって　逃げてない。 あっ？ あの靴は　自分が ブロードウェイのステージに→ たった１回でも 立ったことの証明。 誰が何と言おうと　私は その１回を　誇りに思ってる。 だから　取り戻そうとした。 それでも それも嘘だって　いうんなら→ こんな所に　いる必要はない。 何で　そこまでして ブロードウェイに？ 約束だから。 約束？　誰と。 もう　いない。 これ　ごちそうさま。 私は　前に進む。 おい！ 知ってたって。 先生も知ってて 私たちを　だましてたんですか？ （香奈絵）ええ。 ええって。　どうして　そんな。 あの人のせいで　シャンソンズは 終わりなんですよ。 （香奈絵）もう　諦めちゃうの？ えっ？ ≪失礼します！ ああ。　あのう。 署名をしてくれた人たちが 署名を取り消せって。 （女性）経歴　ごまかして 詐欺じゃない。 いえ。　そういうわけでは。 （女性）署名は　全部→ 取り消してください。 （女性）ブロードウェイ　スターだって→ いうから　署名したんです。 （母）うちなんか→ 子供まで　だまされて。 ひどいじゃない。 （女性たち）ねえ。　ひどい。 （香奈絵）分かりました。 全て　破棄します。 申し訳ありません。 申し訳ありません。 （女性）行きましょ。 （母）ヒデ君　帰るよ。 （母）ジュン君　帰るよ。 ハァー。 フゥー。 （子供）ねえねえ。 今度　いつやるの？ えっ？ 僕　おばさんたちの歌　聴きたい。 ≪（母）こら！ ヒデ君　何やってんの？→ 嘘つきに　関わっちゃ　駄目。 帰るわよ！ （子供）やだ　やだ。　あれ　見たい。 （母）駄目！　帰るの！ （子供）何で？　聴きたい。 やだ　やだ。 私たちの歌を　あんなに。 （香奈絵）大事なことは 嘘か　どうかじゃない。 「心を　動かされたか どうか」じゃなくて？ ≪（ドアの開く音） あの　でか女　行っちまったぞ。 コーチ。 『歌うたいの　バラッド』 それ　あの人が選んだ。 （一希）あいつ。　嘘を ホントにしてみせるんだってよ。 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]（♪♪『歌うたいの　バラッド』） ♪♪～ [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「嗚呼　唄うことは 難しいことじゃない」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「ただ　声に　身をまかせ 頭の中を　からっぽにするだけ」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「嗚呼　目を閉じれば 胸の中に映る」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「懐かしい思い出や あなたとの毎日」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「本当のことは」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「歌の中にある」 （一希）♪♪「歌の中にある」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「いつもなら」 （香奈絵・一希）♪♪「いつもなら」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「照れくさくて」 （香奈絵・一希）♪♪「照れくさくて」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「言えないことも」 （香奈絵・一希）♪♪「言えないことも」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「今日だって あなたを思いながら」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「歌うたいは　唄うよ」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「ずっと言えなかった 言葉がある」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「短いから　聞いておくれ 『愛してる』」 （リコ）ママ。　これ　着けて。 （玉子）えっ？ （リコ）私　ふりふりでも どんなママでも　大好きだから。 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「嗚呼　唄うことは 難しいことじゃない」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「その胸の目隠しを そっと外せばいい」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「空に浮かんでる 言葉をつかんで　メロディを」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「乗せた雲で 旅に出かける」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「情熱の彼方に　何がある？ 気になるから　行こうよ」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「ハッピーエンドの　映画を今 イメージして　唄うよ」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「こんなに素敵な 言葉がある」 [CDﾌﾟﾚｰﾔ]♪♪「短いけど　聞いておくれよ」 ♪♪「『愛してる』」 ハァ…。 （一希）カッコつけんなよな。 あいつ。 でも　伝わった。 （南）私だって　元レディースだって隠してたし。 （みぞれ）えっ！？ （忍）僕らが成長したのは事実だし。 （玲奈）私も　どうしても 謝りたいことがある。 （一希）あいつだったら 背負えんじゃねえの？ あの人の歌に　嘘はなかった。 ごめんなさい。 私　間違ってた。 私　コーチに 戻ってきてほしい。 （忍）っていっても コーチが　素直に戻るとは。 あの人に　何かを 伝えることが　できるとしたら…。 [ﾏｲｸ]（職員）植木　進さんのお宅の 雌のレトリバー→ メロンちゃん　５歳が 迷子になっております。→ メロンちゃんを　見つけた方…。 えっ。　ちょっと。　何です？ （スイッチを切る音） （玲奈）何だか　ここ　蒸し暑い。→ 代わってもらえる？ がー！　ううー。 ≪（チャイム） [ﾏｲｸ]（玲奈）こちらは 由芽市役所　広報課。→ 迷子のお知らせです。 かの有名な　コーラスグループ シャンソンズのコーチ→ 倉坂　澪さん。　倉坂　澪さん。→ お言付けがございますので お聞きください。 はっ？ [ﾏｲｸ]あなたからの　メッセージ 受け取りました。 でも　あなたは　まだ 私が選んだ歌を　聴いていません。 [ﾏｲｸ]私が選んだ　珠玉の１曲。 この町の空に響く→ 私たち　シャンソンズからの メッセージを　聴いてください。 [ﾏｲｸ]（♪♪『何度でも』） [ﾏｲｸ]（一同）♪♪「こみ上げてくる」 何やってんの！？ [ﾏｲｸ]（一同） ♪♪「涙を　何回　拭いたら」→ ♪♪「伝えたい言葉は 届くだろう？」→ ♪♪「誰かや何かに　怒っても 出口はないなら」→ ♪♪「何度でも　何度でも　何度でも 立ち上がり　呼ぶよ」→ ♪♪「きみの名前 声が涸れるまで」→ ♪♪「悔しくて　苦しくて がんばっても」→ ♪♪「どうしようもない時も きみを思い出すよ」→ ♪♪「１００００回　だめで へとへとになっても」→ ♪♪「１０００１回目は 何か変わるかもしれない」 ♪♪「口にする度」 ≪（哲郎）桜井さん。　さく…。 ♪♪「本当に伝えたい言葉は」 （一同）♪♪「ぽろぽろと　こぼれて 逃げていく」 （一希） ♪♪「悲しみに支配させて　ただ」 （南・一希） ♪♪「潰されるのなら」 （一同）♪♪「何度でも　何度でも 何度でも　立ち上がり　呼ぶよ」→ ♪♪「きみの名前 声が涸れるまで」→ ♪♪「落ち込んで　やる気も もう底ついて」→ ♪♪「がんばれない時も きみを思い出すよ」 （南）♪♪「１００００回　だめで かっこ悪くても」→ ♪♪「１０００１回目は　何か」 （一同） ♪♪「変わるかもしれない」 （一同）♪♪「前を向いて しがみついて」→ ♪♪「胸　掻きむしって あきらめないで　叫べ！」→ ♪♪「何度でも　何度でも　何度でも 立ち上がり　呼ぶよ」→ ♪♪「きみの名前 声が涸れるまで」→ ♪♪「悔しくて　苦しくて がんばっても」→ ♪♪「どうしようもない時も きみの歌を　思い出すよ」 ♪♪「１００００回　だめで 望みなくなっても」→ ♪♪「１０００１回目は　来る」 ♪♪「きみを呼ぶ声」 （一同） ♪♪「力にしていくよ　何度も」→ ♪♪「明日が その　１０００１回目かもしれない…」 バッカじゃないの。 とてつもなく　遅いです。 何で　あんたたち　ここに？ ≪（足音） 私が選んだ曲 聴いていただけましたか？ どういうつもり？ 市内放送なんかで流しちゃってさ。 あれは　あなたが　今まで 私たちに　教えてくれたことです。 はあ？ ただ　代わり映えのない日々を→ 過ごすことしか　できなかった 私たちに→ 変わることを　教えてくれたのは あなた。 だから　最後まで 戦い方を　教えてください。 （一希）どうせ　お前 行き先なんか　ねえんだろうが。 だから　行き先は…。 ここです。 これからは　私たちが あなたを　雇います。 必要なんです。 私たちが　進むために。 ♪♪～ ♪♪～ （香奈絵）本気なのね？ あなたは？ ≪（ドアの開く音） （一同）ああ！？ コーチ　ありがとうございます。 フリーズ！ 本気なら　感動のハグも 感謝もいらない。 今すぐ　やるわよ。 （忍）やるって？ あんたたちの　はったりごと 私が真実にしてやる。　いいわね？ （一同）はい。 じゃあ　これ　お願いします。 はっ？ 私　今から　用事があるので。 後は　コーチに　お任せしますので よろしく　お願いいたします。 署名運動は　あんたの…。 あなたの本気を　見せてください。 何　見てんのよ！？ 早く。　ゴー　アヘッド。 （みぞれ）はい。 ≪先生まで。 （香奈絵）県の　合唱コンクールに 出ることにしました。 そこで　優勝して 音楽堂の存続を　訴えます。 （清忠）何を　言ってるんだ。 もう　清ちゃんが どんなに　邪魔をしても→ シャンソンズの結束は 壊れない。→ 一枚岩になった　彼女たちは 強い。 ♪♪～ ≪（従業員）いらっしゃいませ。 （哲郎）何？ 俺　早く戻らないと。→ 昨日の市内放送のこと　お父さんに説明しなきゃいけないから。 ちゃんと　教えてほしいの。 あなたが隠してること　全部。 （哲郎）隠してるって　何？ [TEL] 焼き肉　桃太郎！？ あっ。　これ　宴会の幹事やってて。 そのう　宴会の。 お店だったら　かけても　平気よね。いや。　それは…。 [TEL]（呼び出し音） [TEL]（玲奈）電話して　ごめんなさい。 もう二度と　電話しないって 思ったんだけど→ シャンソンズのためにも はっきりさせておきたくて。 もう　係長と会いません。 今までのこと 全部　忘れます。 それだけです。 [TEL]（不通音） レディース　＆　ジェントルマン。 音楽堂存続のために 署名を　お願いします。 さあさあ　こちらです。 えっ？　私？ 私は　あの　シャンソンズに 市内放送で　歌を歌わせた→ ブロードウェイの アンダースタディー→ 倉坂　澪でございます。 アンダー？ 私　聞いたことある　それ。 確か　舞台の代役のことで。 （南）英語で　ごまかす気かよ！？ シャンソンズの世界に　ようこそ。 あなたの隣に　シャンソンズ。 振り向けば　シャンソンズ。 歌って　踊って　シャンソンズ。 ありがとうございました。 お友達　連れてきてくださいね。 ああー。　すがすがしい。 ああ。

[Raws-4U] Hajime no Ippo ~New Challenger~ - 15 (NTV 1280x720 H.264 AAC)

1 鷹村さんの世界戦 決定ですって？ ああ 12月だ いやあ 僕 いい時期に ジムに入りましたよ　楽しみです 楽しみなのは俺たちも同じだよ あの人を ずっと見てきたからな ついに世界一になる時がきたか 浮かれるのは それまでじゃ ああ… まずは10月の試合じゃ 世界前哨戦の鷹村はもとより 前座の板垣 木村 両名 気合を入れるように うっす　格下相手に 取りこぼすわけにはいかねえな 前座の僕から景気よくいきますよ 活気づいてきましたね なんだかんだで このジムは あの人に引っ張られてるからな ひとごとじゃないよ 一歩君 12月の鷹村君のセミファイナルで 君も やるんだよ ぼ… 僕もですか？ 相手は未定だけど 鷹村君と一歩君 うちの二枚看板で 超満員 間違いなしだ するってえと会場は… もちろん日本 鷹村君たっての希望で両国国技館 鷹村君は あれで男気があるから 伊達英二の夢が散った場所で 代わりに無念を晴らす気なのさ 両国国技館　伊達さんが 戦ったリングに僕も立てるのか よし！八木さん 頑張ります うん やるぜ！俺も頑張りますぜ え… 君の試合はないんだよ あ… 青木さん 仲間外れのにおいがプンプンする 聞きましたよ 世界挑戦 あれ？鷹村君は トイレじゃよ あやつ 最近 長くてのう よし 入ってねえ 毎回チェックしねえと またアレが入ってるかも しれねえからな 世界戦控えてんのに心配だぜ おう 便秘気味なんだって？ さすがの君も ナーバスになってるようだね 俺様がナーバスだと？ふざけんな びびってんのは チャンピオンの方じゃねえのか 世界戦断ったり 突然オーケーしたり 小細工かましやがって あれは話を有利に運ぼうとする マネジャーの戦略さ 何？ ブライアン･ホークは 管理の難しい選手らしくてね 何しろ奔放な性格で 練習している姿すら見かけない おまけに試合１週間前でないと 連絡もつかないそうだ 練習嫌いで有名な チャンピオンだからな だって世界チャンピオンですよ？ 練習しないでなれるわけが… 持って生まれた才能だけで勝つ 世界には まれにいるんだよな そういう選手が タイトルを取った時は さすがに したらしい 記者会見で｢９日間も練習した｣と 堂々と言ってやがった こ… ９日間だけ ｢試合前は女とベッドで過ごす 時間の方が長い｣と言い放った まったくナメた野郎さ それってハッタリなんじゃ… 真相は分からん だが強えのは事実だ 20戦20勝 17ＫＯ ん？ 強豪ひしめく アメリカのジュニアミドル級で 挫折なく ベルトを取った男だからな フン　しかし今回の相手は 人類史上最強の俺様だ ホーク君も今頃 ベソかきながら 必死こいて練習してるだろうぜ うーん ん？ マネジャーが頭を抱えている 例によって連絡がつかないそうだ ちょ… ちょっと待てよ 試合のことは知ってんだろうな？ さすがに それは伝えてある しかし… しかし？ ｢相手が日本人だ｣と言ったとたん 電話は切れた それ以来 行方不明らしい 名前も聞かずに切ったのか？ うん 名前も… 日本人だと聞いたとたん… 中 重量級はアメリカの独占市場だ 日本人が軽く扱われても おかしくはねえが 練習もしねえ 挑戦者の名前も知らねえ ナメすぎだぜ チクショウ 熱くなるな鷹村 まずは目の前の前哨戦じゃ 分かってるって　奴が 練習しようがしまいが関係ねえ 俺は俺のやり方で世界を取る その上で！ 殺す おい ちょっと押すなって おっ 世界前哨戦って書いてあるぜ 本当に決まったんだな 世界挑戦 え？もうそんなに 入ってるんですか 燃えちゃいますね 鷹村さんに感謝しろよ お気楽でいいよな お前はよ あれ？木村さん 緊張しちゃってるんですか おいおいベテラン しっかりしてくれよ 久々の試合だからな　名前も カタカナの｢タツヤ｣に変えて 気持ちはデビュー戦なんだよ じゃあ僕と同じ気持ちですね お前も少しは緊張しろ いくぞ 板垣 よっ　しっかりやってこいよ 鷹村さんの試合に 花を添えるんだぜ そのつもり… はあるんですけどね 僕にも目指すものがありますから あくまで自分のために リングに上がりますよ 続きまして フェザー級４回戦を行います あいつ デビュー戦で 応援 寂しいだろうし でけえ声で｢学！｣って叫んで 気合入れてやろうぜ はい 赤コーナー 125ポンド２分の１ 鴨川所属 板垣学 せーの… キャー！ 学君 頑張って 勝ってね 何だよ あの女子大生の大群は お… 応援団みたいですね 青コーナー 125ポンド４分の３ 佐山所属 牧野文人 何だか地味な奴が出てきたな プログラムによりますと ２戦して２敗 まだ勝ちがねえのか 板垣は鳴り物入りでアマから 転向したスーパールーキーだぞ よく対戦 引き受けたもんだ 板垣の奴 控室とは随分 違うな どう思う？チャンピオン ん？お前のことだ お前の ああ そうか さすがにデビュー戦ですからね 締まった顔しています でも決して硬くなってないですね 集中力を感じられます いい感じです 大舞台には慣れっこだからな 逆に相手は 思い詰めた顔してやがるぜ 何がなんでも 勝ちが欲しいという顔だな お前の評判は相手も承知だ ペース乱しに突っ込んでくる …気をつけろ オリの中に 閉じ込められてるみたいだ これがプロのリングか まずは１発目をよけよう それで今日の自分の調子が分かる (ゴングの音) よし まずは１発目をよけよう それで今日の自分の調子が分かる (ゴングの音) よし あ… 動く　体が軽い　いける キャー！学君 かっこいい すげえ！４回戦の動きじゃねえぞ チェッ　言いたかないが 板垣のボクシングには華があるぜ ええ うわ 速え 今 何発出したんだよ すごい ＫＯ狙え！ スーパールーキーらしく 華々しいデビューを飾っちまえ うわ 怖い　振り回してきた あれしかねえんだよ スピードが違いすぎるからな 破れかぶれの一発狙いか がちがちの打ち合いに 巻き込むしかねえんだ 全弾フルスイングかよ　でも こういう相手は逆に狙いやすい カウンターで倍返し 野郎 冷静じゃねえか 決まったぞ いけ！倒せ 効いてる　いける 幕之内さんの持つタイトルまで 最短距離で突っ走らせてもらう いかせるもんか 今度こそ止める アマの借りはプロのリングで返す それまで回り道はしない いい判断だ　畳みかけろ あ… 追い詰められた目をしている 目の前の板垣君に？ 違う　リングに上がった時から あの目をしていた 何に？ なあ牧野 やっぱり ある程度 才能は必要だよ お前がボクシング好きなのは 分かるけど 続けても体痛めるだけだよ 次 勝てなかったら諦めなよ 気をつけて！板垣君 レフェリー バッティングだ　今… バカ！何アピールしてやがる 相手見て！手出して ああ 何やってんだ ワン ツー… 何でカウント取ってるんだ ﾊﾞｯﾃｨﾝｸﾞだよ　ﾀﾞｳﾝじゃないよ ｽﾘｰ ダウンじゃないってば フォー… 板垣君 落ち着いて ファイティングポーズ取って シックス クソ やれるよ 相手の人は追い詰められていた 勝つためにはギリギリのことを やってくるのは当然 プロのリングなんだ 何があるか分からねえんだよ 気抜いてアピールなんぞ しやがって このダウンは深刻だぜ アマチュア上がりの きれいなボクサーが ラフファイトに潰される典型だぜ そんな ボックス クソ クソ… 足使って立て直せ 冷静になって ４回戦はツーノックダウン制だ 間違っても倒れるなよ もう もらうもんか 僕は回り道なんか… できないんだ あ！エルボー ストップ　試合終了 バ… バカな そんな ヒジだよ　パンチじゃないよ 全然 効いちゃいない まだ やれるよ　まだ… なんだよ 負けたことを 認めねえってのか とっとと帰れや 次の試合が始まらねえぞ 引っ込め こんな奴 初めて見た お前は負けたんだよ 潔くねえぞ い… 板垣 ま… まだやれる 僕は まだ… 板垣！ 出直してこい バカ野郎 態度悪いよ 誰も同情しねえぞ 拍手どころか 罵声浴びて退場だなんて 最悪のデビューになっちまった 板垣君 ぼ… 僕 控室行ってきます 木村さんの応援 お願いします おう 心配すんな あいつの かませ犬ハンターぶりは 俺以上だからよ 続きましてセミファイナル ジュニアライト級10回戦を 行います おお 木村 久しぶりだぜ 期待してんぞ 次にベルトを巻くのはお前だ また間柴とやってくれ (ゴングの音) 始まった　木村さんは心配ないよ ベテランだから 格下相手に 取りこぼしたりしないよ 板垣君 あの… 僕の相手だって 明らかに格下だった 取りこぼすつもりなんて さらさらなかった デビュー戦だから 緊張してたんだよ そう見えましたか？ いや いい感じだった パンチも見えていた あんなテレホンパンチ 僕には当たらない 当たったのは頭とヒジ 反則じゃないか クッ 板垣君 あのレフェリー どこに目つけてんだ ２度も反則見逃しやがって！ 板垣君 拳痛めるよ 先輩には分かったでしょ？ あれは反則だ ボクシングをやった気がしないよ 何だよ これ 何で 何で僕の負けなんだ 相手の表情を見た？ ん？ 必死の形相をしていたよ きっと何か負けられない理由が あったんだ だから… 反則しても勝てばいいんですか 参ったな　プロは何でもありかよ 反則じゃないよ レフェリーは止めなかった 故意じゃないと 判断したのかもしれないし 本当に 気づかなかったのかもしれない どちらにせよ 試合続行中に気を抜いた 君が悪い 相手以上に必死になっていたら バッティングの後も 打ち返していたはずだよ 先輩… 元々 何があるか分からないのが プロのリングだし… もうたくさんだ！ 先輩は僕の味方だと思ってた 何がプロのリングだ　幻滅だよ！ 板垣君 もっと早く伝えておけば よかったのかもしれない あの海のスパーで気がついていた スピードも技術も申し分ない だけど背筋の凍るようなパンチは 一つもなかった 執念とか気迫とか プロなら 向かい合っただけで伝わってくる 板垣君には それが足りなかったんだ お？おお　どうした？板垣は 走って 出ていっちゃいました 僕が きついこと言っちゃって 落ち込んでいたのに 申し訳ないことしちゃいました ほっとけほっとけ ２～３日すりゃ ジムに顔出すさ だと いいんですけど で 木村さんは？ 次 10ラウンドだ 最終ラウンド 随分 時間かかって… あ！ すごい打たれてるじゃないですか 相手 強いんですか？ 正真正銘の かませ犬さ ポ… ポイントは？ 俺の採点じゃイーブンだ そんなバカな！ ラウンド10　ラストラウンド よっしゃあ！ 一発ドカンとかましてやるぜ ドラゴン･フィッシュブロー！ あ… ウッ あんな大振り 木村さんらしくないですね 相手にパンチ力がないから 助かったようなもんだぜ 久々の試合だから 本来のスタイル忘れて 倒すことしか頭にねえ 力みっぱなしで10ラウンドよ この野郎 倒れろ！倒れろ 肩の力 抜けってんだ 小さく手数出してください ストップ　試合終了だ は… 判定になっちゃいましたよ 今のラウンドを 取られたんじゃねえのか やべえ　ＫＯ予定が 判定になっちまった ポイント リードしてるよな？ 俺の勝ちだよな？ 何で そんなに長く読んでんだ 早く計算しやがれ ま… まさか 赤コーナー 木村 よっしゃあ！ ほんとかよ　今の採点 怪しいぞ 木村の負けじゃねえのかよ？ 地元判定に救われたな え？出直してきます 今日は日が悪いのかな 木村さんまで 一体どうしちゃったんだろう 海の合宿の成果が まるで出てねえよ かませ犬ハンターが 聞いてあきれるぜ 誰がハンターだ 誰が 木村さん くそったれ　鷹村さんの試合に 花添えるつもりだったのによ 鴨川ジム３連発　こうなったら ３発目に期待しようぜ はい ただ今より本日のメーンイベント ジュニアミドル級10回戦を 行います うわ 鷹村だ 熊の毛皮で登場だぞ 待ってました 鷹村 やっぱ声援が俺ん時とは違うね ヘヘッ　あの人なら この暗雲を きれいに払ってくれそうだぜ 今宵 後楽園ホールに 大いなる野望とともに 堕天使が降臨する 熊がよろけてるぞ 何のパフォーマンスだ それ いつもながら楽しませてくれるぜ 毛皮脱ぐぜ 早く顔 見せろ 鷹村 鷹村！ お聞きください 期待感高まる この… 大歓声？ 何だ？ ゲッソリしてるぞ どうなってんだ か… 完全に減量失敗って面だな ものすげえ濃い暗雲が 立ち込めてきやがった やばすぎるぞ そういえば試合前 トイレに こもってましたから 何かに当たってゲリしてるとか え？ あれ 俺のせいじゃねえって 対するはフィリピンミドル級の チャンピオン モーリス･ウエスト 今日の勝利で世界ランキングを もらうと息巻いております つ… 強そうじゃねえか コンディションばっちりって 顔してますね クソ　もし負けたら 俺のせいになりそうだ 頼む！勝ってくれ 鷹村さん 気負いすぎによるオーバーワーク 計量後の水分取りすぎによるゲリ まともに動けるとは思えん しかし これは世界前哨戦じゃ 落とすわけにはいかんぞ 誰に もの言ってんだ 大船に乗った気で… おい よろけてるぞ まともにパンチ打てねえじゃん 暗雲立ち込める後楽園ホール しかし待ったなし 大事な一戦のゴングが今… 打ち鳴らされた

救命病棟２４時５th＃09

1 (本庄)救命医を 続けられなくなると➡ いうことですか？ (牧村)至急 手術を受けることを➡ お勧めします｡ (本庄)２週間ほど時間を下さい｡➡ 最悪の場合 戻れないかもしれません｡ (広瀬)それじゃあ よろしく お願いします｡ (一同)お願いします｡ よろしく お願いします｡ (楓)私は 今日 午後から➡ ＮＢＣ災害の シンポジウムに 行ってきます｡ (猿田)ＮＢＣ災害って 何ですか？ (広瀬)ああ｡ これだよ｡ はい｡ (猿田)核｡ 生物｡ 化学物質｡ (片岡)生物兵器を使った テロとか 化学工場の事故とか そういうの｡ (安藤)アメリカで起きた 炭疽菌事件とかも そうだしね｡ (猿田)救命の 最前線じゃないですか｡ それから もう一つ 連絡事項があります｡ 今日から 本庄先生が お休みを 取ることになりました｡ (広瀬)どうかしたんですか？ (本庄)眼科で➡ ポスナーシュロスマン症候群と 診断されて➡ 長い間 ステロイドで 治療してたんだが｡ (本庄)眼圧が上がって どうにもならない｡ (夏目)緑内障の症状が 出てきたんですか？ ええ｡ 薬物療法を試したが 俺には 合わなかった｡ (夏目)じゃあ オペをするんですね？ 病状が このまま 進行すれば➡ いずれ 失明するといわれてる｡ (夏目)いつごろの予定ですか？ 今日 これから 入院して あした｡ (さやか)オペ自体の予後は いいんですよね？ 一般的には そうなんだろう｡ だが メスを入れる以上 後遺症の覚悟はしなきゃならない｡ 失明のリスクは 隣り合わせだ｡ (広瀬)ここには どれくらいで 戻ってこれるんですか？ 普通に 生活できるのと➡ 救命医として 何の違和感もなく 動けるのとは 違う｡ 確かに そうですね｡ 必ず 戻ってきてくださいね｡ でも 案外 明るく 報告してたじゃないですか｡➡ 命に関わる オペでもないし｡ (広瀬)うーん｡ どうかな｡ (猿田)えっ？ (広瀬)本庄先生はさ➡ 若いときに アメリカに渡って｡ でも こっち 戻ってきて｡➡ いろんな病院 転々としてたんだよ｡ (広瀬)やっと 湊大に落ち着いて ほっとしてたんじゃないかな｡➡ 自分の居場所を 見つけたっていうか｡➡ だから 本庄先生にとって➡ 目が見えなくなるかも しれないっていうのは➡ 命を 奪われるのと 同じなんだと 思うよ｡ [ｲﾝﾀｰﾎﾝ] 湊大 救命救急センターです｡ [ﾏｲｸ](ｵﾍﾟﾚｰﾀｰ)消防庁 指令センターです｡ 23歳 男性｡➡ 薬物を使用した疑い｡ 目立った外傷は ありません｡ 分かりました｡ (隊員)通ります｡ (山室)おい！ お前ら 勝手なことすんな！➡ 誰が助けろなんて 言った！ (駒沢)大丈夫ですよ｡ (片岡)治療拒否の 患者さんだとは 聞いてなかったですね｡ 移します｡ (一同)１･２･３｡ (駒沢)足 一緒に押さえて｡ (山室)ヤバい！ 患者さんが 暴れてますって 一言 伝えてもらえると➡ こっちも 助かるんだけどね｡ (隊員)患者さんの情報は 消防庁のルールに従って➡ 伝えているんですよ｡ まあ それぐらいにしときましょう｡ 頭部外傷があります｡ 頭部ＣＴ お願いします｡ (麻衣子)はい｡ (隊員)えっ？ (片岡)薬物依存って 決め付けて➡ これだけの外傷を 見逃すとはな｡ (猿田)重い症状を 軽く見るって➡ 救急隊が 一番 やっちゃ いけないことじゃないですか？ そうだよ｡ アンダートリアージで 患者さんから 責められるのは➡ こっちだからね｡ まあ そんなことも ありますよ｡ 彼らも 患者さんから 殴られたり 蹴られたりしながら➡ 必死で 運んでますからね｡ [ﾏｲｸ](有村)例えば サリンのような 有害物質が➡ ばらまかれたとします｡➡ 消防に どのような指示が 出るかというと➡ とにかく 二次災害を防ぐために➡ 汚染物質を 現場で 洗い流せという 命令が出る｡ (有村)水で 洗い流すと 簡単に 言うけれど➡ 水除染の施設を 設営して➡ 排水を きちんと 管理しないと 機能しない｡ (有村)そんなことを やっているうちに➡ 心肺停止の患者さんは トリアージで 見捨てられていく｡ [ﾏｲｸ](森)えー｡ 有村さんは 救急隊長として➡ どうすればいいと お考えですか？ 現場で 診断や 治療の優先度を 考える場合➡ 救命医と対等なレベルで➡ 救急隊にも 権限を 与えるべきでは ないでしょうか？ [ﾏｲｸ](有村)医者にしか 診断が許されていない➡ 今のルールを変えて 信頼し合える➡ 本当の連携を 目指すことが 大切だと 思います｡ (安中)そりゃ 理想論だよ｡ 理想を語らずに 何を語れって いうんですか？ 理想は 今日 何をすべきかを 教えてくれますから｡ (広瀬)すごい 説得力｡ (さやか)もうちょっと 若かったら タイプなんだけどな｡ 静かに｡ (有村)湊大の 小島先生ですね？➡ 東京消防庁の 有村と申します｡ はい｡ 初めまして｡ (有村)明日から 九段消防署 勤務になります｡➡ 湊大も管轄です｡ どうぞ よろしく お願いします｡ あっ｡ こちらこそ｡ (有村)先生の お噂は 救急隊員の間で➡ 鳴り響いてますよ｡ はっ？ (有村)こんな きゃしゃな手で 男も ひるむようなオペを されるんだ｡ ああ｡ 先生は 独身ですか？ オペとは関係ないと 思いますけど｡ 関係のないことは 聞かない方が いいですか？ 失礼します｡ (広瀬)これは 事件だね｡ ♬～ ♬～ ♬～ ≪(ノック) (看護師)本庄先生｡ お時間です｡ 分かりました｡ 本庄先生のオペ そろそろ 始まりますね｡ (片岡)さすがに 緊張してるかな？ (さやか)何やってるの？ (広瀬)代わりに 書いてるの｡ 本庄メモ｡ (さやか)何 それ？ (広瀬)本庄先生 50歳になったら➡ 本 出すんだって｡ 自分のことを 褒めて 褒めて➡ 自慢する内容らしいんだけど｡ (さやか)本庄先生らしいね｡ (広瀬)入院してる間は 僕が 代わりに書こうと思って｡ [ｲﾝﾀｰﾎﾝ] (さやか)はい｡ 湊大 救命救急センターです｡ [ﾏｲｸ](ｵﾍﾟﾚｰﾀｰ) 消防庁 指令センターです｡➡ 40代 男性｡ 左の歯の痛みです｡ (さやか)えっ？ 歯の痛みなら 歯科じゃないんですか？ [ﾏｲｸ](ｵﾍﾟﾚｰﾀｰ)そうなんですが 救急隊の判断で➡ 心筋梗塞の疑いが あります｡ 診ていただけませんか？ お願いします｡ 移します｡ (一同)１･２･３｡ (花音)モニター つけます｡ (さやか)ライン とります｡ 確かに 心筋梗塞の疑いが あるな｡ 12誘導を とりましょう｡ (花音)はい｡ 救急隊の 判断どおりってことですか｡ [ﾏｲｸ](ｵﾍﾟﾚｰﾀｰ)62歳 男性｡ 肝臓がんによる 肝破裂で➡ 出血性ショックです｡➡ 湊大に お願いしたいんですが 受け入れ可能ですか？ ちょっと待ってください｡ 分かりました｡➡ 肝臓がんから 肝破裂って➡ この段階で 言ってくるの 珍しいですよね｡ 肝破裂を 認めます｡ また 搬送前診断ですね｡➡ カテ室 連絡して｡ (看護師)はい｡ (片岡)移動の準備しよう｡ (看護師)はい｡ 片岡先生｡ ちょっと お願いします｡ (片岡)はい｡ ちょっと すいません｡ 湊大への搬送は 患者さんが 希望されたんですか？ (隊員)いえ｡ うちの 有村隊長からの指示です｡ (さやか)すごいですね｡ 新しく来た 九段署の隊長｡ (安藤)患者さんが 言ってないことが➡ 検査なしで どうして ここまで 分かるのかね？ 勘なんですかね？ 熱心な救急隊員だと➡ ｢あの患者さん どうなりましたか？｣って➡ 後から 確認の電話 かけてきたりするの｡ いますね｡ (猿田)はあ｡ 経験を積んで 身に付けた スキルなんでしょうね｡ (さやか)そのうち 湊大にじゃなく➡ 医局長にとか 安藤先生にとか 指名で 搬送され始めたら➡ 怖いですね｡ (安藤)怖っ｡ やめようよ そういうの｡ (猿田)えっ？ どうしてですか？➡ 僕なら 指名されるの 大歓迎ですよ｡ (広瀬)救急隊が 猿田君を 指名する理由って 何？ そりゃ 色々 あるじゃないですか｡ 元気だし 努力してるし｡ それに イケメン｡ ハハハ…｡ (猿田)ちょっと 今のは 笑うとこですよ 皆さん｡➡ さすがに 冗談ですって｡ ねっ｡ 本庄先生が 入院中で助かったね｡ (広瀬)間違いなく ぶん殴られてますね｡ 本庄先生のオペ うまくいったみたいですね｡ はい｡ ほっとしました｡ ☎ (安藤)痛てて…｡ 痛いから｡ (猿田)はい｡ 救命救急ｾﾝﾀｰです｡➡ はい｡ 少々 お待ちください｡ 九段消防署の 有村隊長から 医局長と 直接 話したいそうです｡ はい｡ はい｡ 小島です｡ (有村)及川 琢巳さん｡ 57歳｡ 膝の痛みを 訴えています｡ (猿田)ストレッチャー 通ります｡ (猿田)切り返します｡ (片岡)バイタルは？ (さやか)安定してます｡ お… 及川さん｡ (及川)仁志君？ お知り合いですか？ (及川)そうです｡ 驚いたな｡ (有村)膝の痛みですが オカルト骨折を 疑っています｡ 分かりました｡ 音が 違いますね｡➡ 救急隊の 見立てどおり オカルト骨折だと思います｡ 仁志君｡ 立派な先生になられた｡ (片岡)僕なんて まだまだですよ｡ (片岡)あれ？ どうされましたか？ (及川)いやぁ｡ 理事長がさ➡ こんなふうに 成長した 息子さんの姿を 見たら➡ きっと 感動すんだろうなって｡ ♬～ (猿田)何ですか？ この ナース｡ ナースプ…｡ (花音) ナース プラクティショナー｡ (駒沢)医者の指示がなくても➡ 診察や 治療ができる 看護師の 新しい資格｡ へえー｡ すげえ｡ (駒沢)まだ 日本じゃ 正式に スタートしてないけどね｡ (麻衣子)勉強会かぁ｡ (杉吉)参ったよ｡ 今日 医師会で 遠回しに 嫌み 言われてさ｡ 何でしょうか？ (杉吉)湊大の 救命救急ｾﾝﾀｰは➡ 救急隊に 金を渡して 患者を 呼びこんでんのかって➡ 疑われたんだよ｡ はっ？ (最上)救急隊と癒着して 患者を 多く運ばせてるってこと？ (杉吉)そういうことです｡ センター長は➡ 黙って 帰ってこられたんですか？ もちろん 言い返したような…｡ …てないような｡ (最上)うちの救命救急が 初めて １位を取ったのも➡ 医師会を 刺激した理由だろうね｡ (杉吉)そうかもしれませんね｡ チッ｡ (最上)この間 小児の臓器移植も 成功したことが➡ やっかみを 買っているんでしょう｡➡ 実績が 全てだからね｡ 堂々としていればいい｡➡ やっかみは まあ いいとして 実際 現場では どうなの？ ホットラインを通さずに 患者さんを 搬送したいという➡ 相談の電話は 確かに ありました｡ 搬送前に 救急隊長が 診断してるそうじゃない｡➡ ルールでは 医者が やるべきことだよね｡ はあ｡ (最上)何にせよ➡ ルールは ルールだから｡ (ノック) ≪どうぞ｡ 失礼します｡ 具合の方は どうですか？ まだ 眼帯が取れないんで➡ どういうものだか 実感はないんだけど｡ 今んところ順調だって 牧村先生 おっしゃってましたけど｡ 困るなぁ｡ 個人情報ですよ それ｡ お見舞いに みんなで こういうものを 作ってみました｡ (いびき) 何ですか これ？ 広瀬先生が 当直で 居眠りを しているときの➡ いびきです｡ えっ？ あと 安藤先生が歌ってる 鼻歌と➡ 奈良先生が 夜食に カップラーメンを すすってる音｡ それから 片岡先生が ストレｯチを しているときの 荒い息遣いと➡ 猿田先生と 師長の かみ合わない 会話です｡ いったい 何の冗談ですか？ 眠れない夜は 医局の当直を イメージしていただいて➡ 笑っていただければと｡ (広瀬)｢夏目先生｡ 何やってるんですか？｣ 夏目先生｡ 何が狙いですか？ (広瀬)うん｡ ｢何が狙いだと 言ってる時は まんざらでもない｣ (及川)仁志君と ゆっくり話すのは ８年ぶりか｡ (片岡)及川さんは あれから ずっと？ (及川)はい｡ 理事長の下で もう 30年になります｡ (片岡)ハハッ｡ ご苦労さまです｡ (及川)ハハハ｡ (片岡)へえー｡ (及川)理事長は 後悔してるんです｡ (及川)仁志君のこと 家から 追い出してしまったけれど➡ ホントは 帰ってきてもらいたい｡ 後を継いでほしいって 思ってるんだよ｡ それは ないです｡ じゃあ｡ (及川)仁志君｡ 実は 理事長 がんなんです｡ (及川)胸腺腫でね｡ それも かなり 進行していて｡ ステージは？ (及川)Ⅳａです｡ (及川)オペも １回やりましたが 思わしくありません｡ 何とか その…｡ 帰ってきてもらえませんか？ ♬～ ☎ はい｡ 救命 医局です｡ ☎(有村)あっ｡ 有村です｡ 小島先生ですか？ はい｡ いつも お世話になっております｡ ☎(有村)お忙しいとこに すいません｡➡ 今日 搬送した 膝を痛めた 患者さん いかがでしたか？ 有村さんの 指摘どおりでした｡ ☎(有村)そうですか｡ やっぱり 湊大に運んで 正解でした｡ (杉吉)《救急隊長が 診断してるそうじゃない》 《ルールでは 医者が やるべきことだよね》 あのう｡ 有村さんに➡ 少し お話ししたいことが あるんですけど｡ ☎(有村)だったら 会いませんか？➡ 先生｡ 今日は まだ お仕事ですか？ (有村)小島先生｡ すいません｡ お待たせしました｡ あっ いえ｡ 私も 今 来たところです｡ (有村)よかった｡ 蒸し暑いし 入りましょうか｡ あのう｡ ここですか？ 少しだけ 付き合ってください｡ あっ｡ あのう｡ 忘れられない患者さんが います｡ 脳に ダメージを受けていることに 気付かずに➡ 搬送してしまった 患者さんで｡ 脳死になってしまった｡ 実は その患者さん 意思表示カードを 持っていて｡ でも その希望を➡ かなえてあげることは できなかった｡ どうしてですか？ 脳死での臓器提供は➡ ガイドラインに該当する 施設でしか 扱えない｡ でも その病院は 当てはまらなかったんです｡ 意思表示させることを 勧めておきながら➡ いざというときに 応えられない制度がある｡ 私も 疑問に思います｡ (ｳｴｰﾀｰ)失礼いたします｡ ♬～ (有村)助けることが できなかった｡ 希望する 亡くなり方さえ させてあげられなかった｡ でも その救命医は➡ 吐き捨てるように 僕に 言ってきたんです｡ そんなに 臓器提供させたいなら 患者を連れてくる前に➡ 意思表示カードを 持っているか どうか➡ 確かめてからにしろってね｡ そんな｡ そのことがあって 決めたんです｡ 例えば 脳死になりそうな 患者さんならば➡ 腕の立つ 優秀な脳外科医がいる 該当施設に➡ 最初から 搬送を考える｡ 救急隊の仕事は 患者を運ぶことだ｡➡ 病院に運んだ後は もう 手の出しようがない｡ それが ルールならば➡ 医者の上をいく 判断力を 身に付けるしかない｡ 救命医など 信用してたまるか｡ ♬～ 申し訳ない｡ いえ｡ でも あなたには 話しておきたかった｡ あなたなら 分かってくれそうな気がして｡ 何か 話があったんですよね？ 自分のことばっかり 話してしまって｡ 大丈夫です｡ 伺いたいことは だいたい 分かりましたから｡ (有村)さあ 食べましょうか｡➡ これ 結構 いけますから｡ はい｡ いただきます｡ (広瀬)ああー｡ いいなぁ デート｡➡ 最近してないなぁ｡ (安藤)ふーん｡ 中澤さんと どんなデート するんですか？ (安藤)最近ね ２人で サンバ 習い始めたの｡ 楽しいよ｡ (広瀬)着るんですか？ あれ｡ (安藤)着て 着て｡ ≪(花音) ちょっと よろしいですか？ 何？ (花音)カルテ ちゃんと見てます？ (広瀬)あっ｡ いやぁ｡ (花音)猿田先生の患者さんの カルテです｡ (広瀬)うわー｡ (花音)雑談ばかりで 必要なことが 何も書かれていません｡ 猿田君｡ 面白くしようと したのかな？ ちゃんと 指導してください｡ これじゃ 仕事になりません｡ はい｡ [ｲﾝﾀｰﾎﾝ] (猿田)はい｡ 湊大 救命救急センターです｡ [ﾏｲｸ](ｵﾍﾟﾚｰﾀｰ) 消防庁 指令センターです｡➡ 36歳 女性｡ めまいと 嘔吐｡ 意識 清明｡➡ 血圧 180の 100｡ 脈拍 95｡ (猿田)僕 行かなくて いいんでしょうか？ (広瀬)君は そっちよりも こっち｡ はい｡ (猿田)えっ!? 別に 今 やんなくても いいじゃないですか｡ ｶﾝﾌｧﾚﾝｽは 医局の先生たちが 集まる 貴重な時間なの｡ １秒でも 無駄にできないの｡ はい｡ じゃあ その10人の症例報告を ２分に まとめてください｡ えっ!? ちょっと待ってください｡ (広瀬)いきます｡➡ 用意 スタート｡ (猿田)おはようございます｡ ９月５日｡ ｶﾝﾌｧﾚﾝｽを始めます｡ 昨日 搬送された重症の患者さんは 全部で 10名 いらっしゃいます｡ 僕が来てから 最多記録です｡ (広瀬)その情報 いらないから｡ まずは １人目｡ デーデン｡ (さやか)頑張ってね｡ (猿田)山田 隆一さん｡ 78歳 男性｡ 突然 発症の…｡ (看護師)奈良先生｡ 先ほどの 田中さんですが｡ (さやか)点滴 もう１本 増やしましょう｡➡ 後は 血糖値の採検 お願いします｡ (看護師)はい｡ (さやか)松井さん｡ 気分 どうですか？➡ しびれ 収まりました？ (及川)お世話になりました｡ (片岡)退院後も お大事になさってくださいね｡ (及川)ありがとうございます｡ それから あの話｡ 考えてみます｡ (及川)ありがとう｡ (看護師)新婚旅行 どこ 行くんですか？ (千秋)あの人 全然 決めてくんないんだよね｡ (看護師)そんな感じする｡ ♬～ (花音)すいません｡ 休憩 いってきます｡ (看護師)はい｡ (麻衣子)フレンツェル 持ってきました｡ (安藤)ホットラインでは 意識 清明って話だったよね？➡ 救急車の中で 反応 なくなったの？ (隊員)いえ｡ あのう｡ 最初から 意識レベルは 100の状態で｡ (安藤)そうなの!? (隊員)はい｡ (安藤)眼振は ありました？ (隊員)搬送途中から 悪化してます｡ 中枢性目まい 小脳病変の 可能性が ありますね｡ 血圧 高いですね｡ ＣＴ検査室に オーダー お願いします｡ (看護師)分かりました｡➡ 救命です｡ ＣＴ １名 お願いします｡ (猿田)激しい腹痛を 訴えみたいな感じで｡➡ あれ つらかったんですよ｡ で 内視鏡の結果は➡ 胃体部に 活動性の出血を認め 同部位に クリッピングを…｡ (広瀬)はい｡ ２分 終了｡ (猿田)えっ!? まだ ２人目ですって｡ (広瀬)猿田君｡ いちいち➡ 面白くしようとしなくていいから｡ (猿田)でも 人に聞かせるなら➡ エンターテインメント性は 必要じゃないですか？ (さやか)いらない｡ (花音)何？ 今 仕事中だよ｡➡ お金なら 今日 送ったから｡ うん｡ お母さんの 新しい恋人のことは いいって｡ 私は 私で やってるから｡ わざわざ 連絡してこないで｡ じゃあ お母さん 切るよ｡ (花音)あっ｡ 師長｡ (睦子)何？ ナース プラクティショナーの 勉強会 参加 希望します｡ (睦子)そう｡ (睦子)頑張ってね｡ 私 負けたくないんです｡ (花音)救命救急センターからの 参加は➡ 今のところ ２人だけみたいですよ｡ (駒沢)よろしくね｡ 医療と看護は 対等だって 看護学校では 習ったのに➡ 現実は 違うでしょ｡ ナースは 医者の アシスタントじゃない｡ 私は それを証明したいんです｡ (駒沢)そうだね｡ (美羽)夏目先生の他に 誰か➡ 救命の先生 お見舞いに 来てくれた？ いいや｡ でも いいんだ｡ 私はね 友達に ｢もう お見舞いに 来ないでいいよ｣って 言ったの｡ どうして？ 入院している私に 慣れてほしくないなって｡ いつでも パジャマの記憶だけに なったら やだなって｡ 分かるな｡ そういうものなのかも しれない｡ うん｡ [ｲﾝﾀｰﾎﾝ] はい｡ 湊大 救命救急センターです｡ [ﾏｲｸ](ｵﾍﾟﾚｰﾀｰ) 消防庁 指令センターです｡➡ 港区の 廃工場 撤去作業中に 事故です｡➡ 重症の負傷者が １名｡➡ レスキューが 別の事故現場から 直接 向かっていますが➡ 現場到着が 遅れています｡➡ 患者は 足を挟まれて 動けません｡ ドクターカーで➡ 出動を お願いできますか？ 分かりました｡ ♬～ (警察官)崩落から 15分になります｡➡ 現場は シャッターの向こう側です｡ ♬～ (有村)分かりますか？ 先生｡ 来てくれ｡ こっちだ｡ 有村さん｡ (隊員)こっちです｡ (有村)医者が 来ましたよ｡ もう 大丈夫ですからね｡ 分かりますか？ 一番 苦しいとこ 教えてください｡ ちょっと まぶしいですよ｡ (有村)血圧で 左右差がある｡ 外傷性の 大動脈損傷が あるんじゃないかと思う｡ (麻衣子)手首を持っただけで 血圧の左右差が 分かるんですか？ (有村)右が 90 左が 70で 20くらい違う｡ (麻衣子)すごい｡ 呼吸状態も悪い｡ ライン とりましょう｡ (麻衣子)はい｡ (有村)よし｡ そっちの がれきだ｡ いくぞ｡ (隊員)はい｡ (苦しむ声) 皮下気腫 著明｡ 気胸です｡ ﾁｪｽﾄﾄﾞﾚｰﾝと ﾎﾟｰﾀﾌﾞﾙｴｺｰ｡ (麻衣子)はい｡ (有村)１･２･３｡ (有村)１･２･３｡➡ 患者を 引っ張りだしてくれ｡ いくぞ｡ (一同)はい｡ １･２･３｡ (有村)くそ！ もう１回｡ (一同)１･２･３｡ いまだ！ 引っ張ります｡ せーの｡ せーの｡ もう１回｡ せーの｡ (有村)よし｡ 抜けた｡ 分かりますか？ (有村)バックボード 寄せて｡ はい｡ 移しますよ｡ (一同)１･２･３｡ (高梨)永岡さんは 助かってますか？ えっ？ (高梨)２人で 作業してたんです｡ 分かりました｡ 必ず 見つけますから｡➡ 俺たちは これから もう一人を 捜す｡➡ 端の方から がれきを どけていこう｡ (隊員)はい｡ 夏目先生と 美木さんは➡ 患者さんの搬送を お願い できますか？ 私は ここに残ります｡ 分かりました｡ 気を付けて｡ はい｡ 行きましょう｡ (麻衣子)はい｡ (一同)永岡さん｡ 永岡さん｡ 聞こえたら 返事ください｡➡ 永岡さん｡ 永岡さん｡ いますか？ 永岡さん｡ (一同)聞こえますか？ 永岡さん｡ 永岡さん｡➡ 永岡さん｡ 聞こえたら 返事してください｡ いた｡ いたぞ！ 先生｡ こっちだ｡➡ がれきを どけろ｡ (一同)せーの｡ (有村)おい｡ 医者が来たぞ｡ もう 大丈夫だ｡ (隊員)港区の 耐震工事 現場です｡ 分かりますか？ (隊員)重症患者 １名…｡ (有村)先生｡ 脈が触れていない｡➡ 心肺停止だ｡ 私は 気管挿管します｡ 有村さんは ライン とってください｡ (有村)分かった｡ 胸骨圧迫 交代で入ってください｡ (隊員)分かりました｡ 代わります｡ レスキュー まだですか？ (隊員)間もなくって 言ってるんですけど｡ (有村)先生｡ はい｡ (有村)どう思う？➡ 救えるんだろうか？ 私は 諦めません｡ 救命の仲間が 待ってるから｡ あっ｡ (有村)どうした？ 脈 触れました｡ ≪(きしむ音) (有村)先生｡ ゆっくり 立ち上がって➡ ここから 離れてくれ｡ えっ？ (有村)この現場が 危ない｡ 残りの天井が 崩れかけている｡ 今 離れられません｡ (有村)ドクターの命を 守ることも 救急隊の仕事なんだ｡➡ 言うことを 聞いてくれ｡ ≪(きしむ音) (有村)もうすぐ レスキュー隊が来る｡ 先生は 先に ここから離れてくれ｡ 頼む｡ 分かりました｡ ♬～ 早く出ろ！ 急げ！ ♬～ (隊員)安全確認 急げ｡ (一同)はい｡ (隊員)おケガは ありませんか？ 私は 大丈夫です｡ 中 お願いします｡ (隊員)分かりました｡ ≪(崩落する音) 分かりますか？ お願いします｡ ♬～ ≪ストレッチャー 通ります｡ 骨盤骨折と 腹腔内臓器損傷の 可能性があります｡ 脈 強くなってきてます｡ (片岡)分かりました｡➡ 後は 任してください｡ (隊員)切り返します｡ (広瀬)そのまま 真っすぐ お願いします｡ (安藤)移すよ｡ (一同)はい｡ １･２･３｡ (安藤)アンパッケージ｡ (麻衣子)血ガス 結果 出ました｡ カリウム 6.9｡ ＧＩ 入れてください｡ 奈良先生は Ａライン 入れてください｡ (さやか)はい｡ ♬～ ♬～ ♬～ (有村)先日は すいませんでした｡ えっ？ 救命医を 信用しないなんて｡ フッ｡ どうして あんなことが 言えたんだろ？ 気にしないでください｡ はい｡ (麻衣子)医局長｡ (麻衣子)患者さん ２人とも オペ室 入りました｡➡ 夏目先生が ２人とも もう 大丈夫だと 伝えてほしいって｡ ありがとう｡ (有村)湊大は 本当に いいチームです｡ 救急隊も 救命医も含めて 一つのチームになれば➡ もっと たくさんの命を 救えるような気がします｡ ああー｡ おなか すいた｡ あのう｡ また 食事に誘っても いいですか？ 今度は 前もって 言ってくださいね｡ 分かりました｡ あっ｡ あした 僕 お休み もらったから よろしくね｡ (さやか)えっ？ また デートですか？ ちょっと 会いに行きたい人が いてさ｡ へえー｡ じゃあ お先 失礼しますね｡ (片岡)お疲れ｡ (さやか)お疲れさまです｡ [TEL](及川のﾒｯｾｰｼﾞ)｢仁志君｡ 及川です｣➡ ｢急変して 理事長が 先ほど 亡くなられました｣ ♬～ ♬～ (睦子)小島先生のこと➡ 顔で選んだって おっしゃってましたけど➡ 今でも そう思っていますか？ 腹立たしいよね｡ 常識人に 非凡を感じたのは 初めてだ｡ 正しく 生きることは➡ 強くて 美しいんだと 教えられたね｡ (睦子)院長が 言ってらした➡ 満足していない人材が いるって どなたのことでしょう？ ♬(鼻歌) ♬(鼻歌) ☎ (社員)はい｡ スコープ現代です｡➡ はい｡ ああ｡ いつも お世話になっております｡ (塚原)いいんですか？ (杉吉)うん｡ じゃあ 遠慮なく｡ (塚原)それにしても どういうことですか？➡ 外に出していいものじゃ ないでしょう｡ 僕の 救命救急センターをさ➡ 僕の手に 戻したいだけなんだよね｡ (安藤)どうしたの？ このバナナ｡ (広瀬)ああ｡➡ 猿田君の 実家からみたいですよ｡ (安藤)サルが？ (広瀬)うん｡ (安藤)こんな いっぱいあって➡ どうすんの？ (広瀬)よかったですね｡➡ 安藤先生の分も いっぱい ありますよ｡ (安藤)いや｡ だから 俺 バナナ そんな 好きじゃないから｡ (広瀬)またまた｡ (安藤)またまたじゃなくて｡ ♬～ (花音)どうしましたか？ 大丈夫ですか？ (広瀬)どうしました？ 病院です｡ 分かりますか？➡ 分かりますか？ 病院です｡ 国友さん…｡ (睦子)国友さん!? ♬～ ♬～ ♬～ 採血 検査室に回して 最短で 結果 出してもらってください｡ (麻衣子)分かりました｡ 内視鏡 準備 お願いします｡ (千秋)はい｡ (駒沢)下血です｡ 鮮紅色です｡ 安藤先生｡ (睦子)心配しなくていい｡ 私が 付いています｡ ♬～ ♬～ ♬～ 国友 花音が｡ ここからが 本当の闘いになると 思ってます｡ (隊員)タドコロ ユウジさん｡ 35歳 男性｡ [ﾃﾚﾋﾞ](ｺﾒﾝﾃｰﾀｰ)新たに 死亡した 患者も いるそうですし➡ バイオテロの可能性も含めて 国の対応が 気になりますね｡ [ﾃﾚﾋﾞ](軽部)もし そうだとしたら➡ これ 大変な事態ということに なりますよね｡ (塚原)湊大の救命は 存続の危機にあると 思いますが｡ (広瀬)世の中で 国友さんが お母さんって 呼ぶ人は➡ 一人だけです｡ 多くの ご心配を おかけし 申し訳ありませんでした｡ ♬～

外交官～黒田康作～＃02

1 （霜村）すまない　黒田。 こんなことに　なるなんて。 （利香子）起きてください。 （山路）現場に　残されてた→ 遺留品の持ち主が 特定できました。→ 本ボシで　間違いありません。 （新居田）被疑者　霜村　毅が→ サンフランシスコで 投身自殺したそうだ。 （黒田）どうして 俺に　会いに来た？ （利香子）自殺するなら　わざわざ 海外に　来なくていいですよね。→ 被害者は　どこか別の場所で 殺されて→ ここに　運ばれてきたとか。 もし　それが　事実なら 事件は　大きく　様変わりする。 （ジョン）ヘイ。　黒田。 （安藤）３カ月間の　本省勤務だ。→ それと　君の希望どおり→ 中南米局に　所属できるように 根回ししてある。 （安藤） 《ヒューマン・ロンダリング》 《検視を担当した　医師が 協力すれば→ 別人に　成り済ますのは 可能でしょう》 （安藤）《マスコミが知れば 大喜びしそうな　ネタだね》 （安藤）《事が　はっきりするまでは霜村の生存は　伏せるべきだ》 《警察にも　伏せると？》 《彼女を選んだのは それが　理由ですね？》 《あんまり優秀だと 困るだろう》 《調査する上で　警察手帳として 活用できりゃ　それでいい》 （西園寺）はい。 今　リスト　確認しました。 ありがとうございます。　はい。 （アミ）経産省からですか？ （西園寺）ええ。　三元石油開発も 参加するそうです。 どんどん　増えてますよ。 参加企業。 （武井）こんな　チャンス めったに　ないしね。 （大島）でも　ホントに 大丈夫なんですか？→ あっ　いや。　もし　アメリカや　イギリスの 石油メジャーが　参加してきたら。 （西園寺）大丈夫ですよ。　今回は。 （美月）西園寺さん。→ 先ほど　メキシコ大使館から 電話がありました。 （西園寺）分かりました。 すぐ　折り返します。 （鴨下）こちらの部屋です。→ 今は　２日後の　ＣＯＭＣＥ訪問の ロジに　追われていまして。 メキシコ湾岸油田の 新規入札ですか。 （鴨下）ええ。 ４月の　流出事故の影響で→ アメリカや　イギリスが 不参加ですから。 日本の企業にとっては 大きな　チャンスです。 （西園寺）室長。 今　新しい　リストが…。 （鴨下）今日から　入っていただく 黒田さんだ。 西園寺です。 よろしく　お願いします。 よろしく。 彼は　うちの若手の中では→ やり手でして。 今回の　ロジの責任者です。→ 黒田さんに　お願いする仕事は？ ああ。　来賓の中に 外食産業関係の方もいるんです。→ 早速で　申し訳ないんですけど 人手が足りないので。 分かりました。 （鴨下）まあ　１０年以上も 本省を　離れていたわけですから→ 色々　やりづらい部分 あるかもしれませんが→ お願いします。 （西園寺）お願いします。 （斉藤） ＷＴＯの　一件ですが→ 今回は　不問とします。→ どうあれ　結果に　変わりは ありませんでしたからね。→ このような　スタンドプレーは 二度と　許しませんよ。 （斉藤）何事も　予定どおりに→ 進むに　越したことは ないのですから。 （観上）分かりました。 以後　気を付けます。 （斉藤）それから　人事に 根回しを　したそうですねぇ。→ サンフランシスコから 人を呼んだと　聞いていますが。 （観上）先日の　元　外務省員が 起こしました→ 殺人事件の　調査のためです。 私の方でも　事件の全容を→ 把握するべきだと 判断いたしました。 （斉藤）それだけですか？ どういう意味でしょう？ （斉藤）フッ。→ あなた　なかなかの 野心家ですから。→ あまり　欲は　かかない方が いいですよ。 うちに　いるだけで　あなた→ じゅうぶん 役割は　果たしています。 失礼いたします。 （悠木）お疲れさまです。 （観上）ホントに　疲れるわね。 腹の内の見えない人と　話すの。 今日からね。 どう？　久しぶりの本省は。 これといって　特には。 （観上）紹介するわ。 秘書官の　悠木君。 （悠木）悠木　圭一です。 お噂は　伺ってます。 黒田です。 今度　一緒に 食事でも　しましょうよ。 あなたとは　話したいことが 山ほどあるから。 機会が　ありましたら。 ねっ。　なかなか　いい男でしょ。 （悠木）ええ。 （利香子）こっちが 関係者の調書と。 （山路）非番の日に ご苦労なこったな　おい。 （利香子）いえ。　それほどでも。 （山路）褒めてねえし ねぎらってもいねえよ。→ だいたい　何で　お前が　外務省の お手伝いに　指名されんだ？→ うん？　大垣。→ アメリカで　適当なことを 吹いてきたんじゃねえだろうな。 （利香子）あっ。　わたしは　別に。 （山路）適当に　片　付けろや。→ この件は　うちじゃ　とっくに 終わってんだからよ。 何ですか？　これ。 （山路）現場の　目撃証言だ。 えっ？ （山路）お前　昼間は→ 死体なんか なかったっつってたろ。 でもな　おんなじ日の午前中に→ 死体を　見たってやつが 現れたんだよ。 瑠衣ちゃんと　同じ学校だ。 （山路）目撃者には　俺が 直で　聴取した。 お前のは　ただの　見過ごしの 勘違いだったってことだ。 [TEL]（バイブレーターの音） （利香子）あっ。　お待たせしました。黒田さん。 サンフランシスコでは お世話になりました。 いや。 お手伝いって 言われたんで→ 一応　資料とか 持ってきたんですけど。 取りあえず　天王洲アイルに行く。 はっ？ ちょっとした　調査だ。 そこにある　メキシコ料理店に 用があるから　案内してほしい。 案内って　天王洲なら ここから　千代田線に乗って→ 日比谷で降りて 有楽町から　浜松町。 そこから モノレールに　乗れば…。 もしかして　行き方 分からないんですか？→ あのう。 今日　わたしを呼んだのって→ そのために？ 地理は　得意なんだろ？ 切符…。 リーマンショック後の 売り上げの推移は？ （店長）だいたい　２０％減ね。 厳しいよ。→ これ　うちの 人気メニュー　１・２・３。→ 牛肉タコス。　チラキレス。 エンチラーダ。 （利香子）あー　おいしそう。 （外国語） （シャッター音） （利香子）はい。 もう　いいですか？ ああ。 ちょっ…。 食べないんですか？ 領収書。 あのう。　じゃあ　わたし 今日は　これで。 まだ　行く所がある。 ほかの　お店に行くなら　わたし すぐ　地図　描きますから。 どうしても　君が必要な場所だ。 （鷹村）２係の紺野さん。 昇格　決まったって話ですよ。 （新居田）昔っから　上に取り入るのうまかったからな　あいつは。 （藍子）失礼します。 捜査１課の　新居田警視ですよね。 （新居田）そうですが。 （藍子）私　フリーライターの 佐々木　藍子と申します。 （藍子）先日の 湊教授　殺害事件の→ 捜査主任に　ぜひ お話を　伺いたくて。 （鷹村）わざわざ 取材するような事件か？→ マスコミの食い付き 悪かった気がしたけど。 色々 伏せられてましたからね。 被害者の湊教授が　訴えられた 過去の　薬害訴訟のこととか。 （新居田）詳しいね。　君。 （藍子）被疑者死亡のまま→ 解決って話に　なってましたけど。 実は　まだ　捜査は 続いてるんじゃないですか？ いや。 捜査本部も　解散したし→ 残ってるのは 事務的な　処理だけだ。 （藍子）でも　外務省では その事件を　内部調査してるとか。 外務省？ （藍子）元　外交官の事件ですし→ 警察の捜査とは　別で 動いてるって　聞きましたけど。 （藍子）ご存じなかったですか。 ノーコメントだ。 （職員）お待たせしました。 照会担当の者ですが。 外務省の　黒田と申します。 １２日から今日まで　入国した 日本人　中国人　韓国人。 それから　日系人のリストを 調べたいんですが。 （職員）こちらへの　事前の依頼は？ 警察です。　ご協力ください。 緊急性の高い　案件ですので。 （職員）少々　お待ちください。 こんなこと　バレたら 大目玉ですよ　わたし。 君が　処分を受ける前に やるべきことは　やる。 処分！？ （利香子）ここで　調べることって 何ですか？→ 入国した人って 言ってましたけど。 （職員）こちらです。 外で　待っててくれ。 ♪♪～ ロベルト・イシイ。 国籍　メキシコ。 ♪♪～ （利香子）バイバイ。 バイバイ。　ハハハ…。 あっ。　何か　分かりましたか？ 今日は　もう　帰っていい。 （利香子）えっ？ ああ。　そうですか。 例の目撃者から ちゃんと　話を　聞いといてほしい。 それと　霜村さんの娘は 今　どうしてる？ （利香子）あっ。　瑠衣ちゃん。 あれから　一人で 暮らしてるみたいです。 親戚の方が 同居を　勧めたんですけど→ 断ったらしくて。 それとなく 様子を　見といてほしい。 自信ないんですけど。 帰りの飛行機でも　ほとんど お話ししませんでしたし。 何か　やっぱり 嫌われちゃってるみたいで。 頼んだ。 あのう。 わたし　今日　ホントは お休みなんですけど…。 （鴨下）落札後の １日の　生産量については？ （武井）２８５万バレルまで 引き上げることに　なっています。 （鴨下）そうすると　収益予想は？ （アミ）１バレル　２ドルの契約で １日　５７０万ドルですね。 （鴨下）約　５億ってとこか…。 （武井）歴史的ですね。　フフフ。 （西園寺）情報が　入ってきまして。 米政府が　今回の ＣＯＭＣＥの来日に→ 反応を　示してるようです。 （アミ）アメリカ　メジャーが　参加する 可能性　あるってことですか？ （武井）入札額　大幅に上がるな。 （鴨下）確実な情報　探れないのか？ メキシコ大使館の エルナンド氏が→ 幹部とのパイプを 持ってるようなんですが。 機密費が使えれば　その筋から→ アメリカの動向を うかがえるかもしれません。 そんな予算枠　あるはずないだろ。 （利香子）今日は　すみません。→ 事前に　連絡もせずに 来てしまって。 （教師）いいえ。 まあ　今後は　気を付けてください。 （教師）霜村さん本人が 休んでいても→ 警察の方が　来たりすると また　色々　生徒が　噂しますので。 今後は　配慮します。 あの。　君島　祐太朗さんですか？ 怪しい者じゃないんです。→ わたし　あの。 こういう者で。 （利香子）やっぱり 間違いないですか？ その…。 被害者の死体を　見たこと。 （祐太朗）ええ。　そのときは 酔っぱらいだと思ってましたけど。 でも　あなたと逆で 日中　あの場所には→ 何もなかったっていう 証言もあるんです。 僕は　確かに見ました。 （利香子）そうですか。 （祐太朗）あっ。 そろそろ　いいですか？→ 予定　入ってるんで。 （利香子）あっ。　すみません。 （利香子）あっ　あのう。→ 目撃したのって 朝　９時ですよね？→ どうして　そんな時間に あの辺りに　いたんですか？ （祐太朗）どうしてって？ （利香子）あの日は　月曜日ですし→ 平日ですから 学校あったと　思うんですけど。 サボりです。 でも　家からも遠いし　あそこって ぶらぶら　するような場所じゃ…。 （祐太朗）サボったとき 行く場所なんか→ 別に　決めてないですから。 （利香子）ああ。 （祐太朗）すいません。 マジで　急いでるんで。 （利香子）あっ。　最後に　一つだけ。 （祐太朗）何ですか？ 霜村　瑠衣ちゃんって子→ あなたと同じ学校に いるんですけど　知ってます？ 知らないです。　そんな子。 ♪♪～ ♪♪～ [TEL]（シャッター音） あっ…。 [TEL] （今日子）はい。　おおがき湯です。 [TEL]（利香子）わたし。 あっ。　おかえり。 ご飯　食べた？ [TEL]（利香子）まだだけど。→ こういうの　いいって 言ってるでしょ。→ 帰れない日もあるし 腐らせちゃうと　困るから。 だって。　お父さんが 持ってけって　言うんだもん。 （保）ったくよぅ。 わたし　一応 一人暮らし　してるんだから。 [TEL]（今日子）意味ないわよねぇ。 そろそろ　引き払ったら？ 警察は　生活　不規則だし 一緒に暮らすの　大変だよ。 あっ　ねえ。 それより　この　パンフレット。 [TEL]（今日子）富士五湖の温泉ね。→ 今度の休み お父さんが　一緒に行こうって。 あんたも　行くでしょ？ （利香子）もちろん。 あっ。　でも　ちょっと　今 立て込んでるから。 警察なんか さっさと辞めろって　言え！ あっ。　お父さん　今 仕事　辞めろって　言ったでしょ。 （今日子）正解。 そして　わたしも　賛成。 ハァー。　いいかげん 応援してくれてもいいと思うけど。 そろそろ　いい人　見つけたら？ お見合いとか　どう？ あんたは　わたしに似て 顔だけは　いいんだから。 はいはい。 その話は　また　今度ね。 あしたも　仕事あるから。 今日　お風呂は？ [TEL]（利香子）あっ。　シャワーでいい。→ じゃあ　おやすみ。 ハァー。 富士五湖かぁ。 （西園寺）それでは　あした よろしく　お願いします。 （エルナンド）ええ。 今日のこと　感謝します。 メキシコ大使館の　館員だな？ （西園寺）ええ。 トラブルが　あったそうで。→ 車で　タクシーに 衝突したらしくて→ その事務処理を。 よくあることです。 入札の件は？ 駄目でした。 それとなくは　探ったんですが。 待ってください。 （エルナンド）はい。 申し訳ないが それは　引き受けられない。 黒田さん。 （エルナンド）いつも これぐらいのことは→ そちらで　どうにか してくれてるはずですが。 そういった特権が 常に　利用できると思うのは→ 間違いです。 （エルナンド）そんな…。 こちらが　処理しなければ→ あなたは　膨大な始末書を 書かされる上に→ 本国にも　連絡がいく。 ああ。　非常に　まずい状況だ。 何が　望みです？ 情報が　欲しい。 利益を　与えるばかりでは 対等な関係は　結べません。 えっ？ （武井）メキシコ湾岸油田 入札の件ですが→ 今日　情報が入りまして→ 不参加だったはずの アメリカ　メジャーが→ 入札に 参加することになりました。→ 企業名や　数は まだ　不明なんです。　はい。 （西園寺）黒田さん。 ちょっと　よろしいですか？ （西園寺）あんな　やり方は 二度と　しないでください。 フッ。　機密費　使って 情報　買う時代じゃないからな。 ああいう　強引な交渉が→ メキシコ大使館との関係を 悪くするんです。 今は　何事も 穏便に　処理するのが→ 各国との 正しい付き合い方なんですから…。 （鴨下）西園寺。　もういい。 （西園寺）いや。　しかし　室長。 あなたの　おかげで 情報を得ることが　できました。 ありがとうございます。 いいえ。 これの処理　お願いします。 ≪（チャイム） （利香子）あっ。　久しぶり。 学校で　先生に聞いたら→ ずっと　お休みだって言われて 心配で。→ 今　大丈夫？→ ハァー。 やっぱり　駄目だ。 （瑠衣）出掛けるから。 来るなら　来れば？ （利香子）大丈夫なの？ 学校　サボって→ こんな所にいて。→ お巡りさんに 補導されちゃうよ。→ って　わたしも　一応 刑事だけど。 （利香子）わたしが 高校のときは→ サボるなんて 許してもらえなかったよ　絶対。→ 親が　すごく厳しかったからさ。 今も　超　過保護でね。→ 独身の警察官って　ホントは 独身寮　入るのが　規則なのに→ 一人暮らし　させてやるからって 実家の前に　アパートを借りてさ。 あっ　そうだ。 瑠衣ちゃんの学校に→ 君島　祐太朗君って 生徒がいるの　知ってる？ （瑠衣）知ってる。 （利香子）あっ　ホント？ 向こうは　瑠衣ちゃんのこと 知らないって　言ってたけど。→ ど…　どうしたの？ （瑠衣）誰かに　つけられてる。 （利香子）えっ？ （瑠衣）振り向かないで。 （利香子）あっ　あっ…。 （瑠衣）ハァー。 アメリカから　戻ってから 何回か　あるの。 変なメールとかも　来るし。 （利香子）えっ。　心当たりは？ パパの事件のことでしょ。 誰かの　嫌がらせだと思う。 ♪♪～ ついてきて。 あの　白いビルのとこ 曲がるから。 ♪♪～ ♪♪～ （利香子）ここに　いて。 ♪♪～ （利香子）あっ。　痛っ。→ 痛い。 （男性）ごめんなさい。 （利香子）あっ。　すいません。 ごめんなさい。 ああ…。　もう。 [TEL]（安藤）残念な報告だ。→ 調べたかぎり　都内の宿に→ ロベルト・イシイが 潜伏している様子は　ない。 個人宅…。 協力者の下に かくまわれてる可能性が　高いと。 [TEL]（安藤）ああ。　そうなるねぇ。 捜し出すのは　骨が折れそうだ。 分かりました。 （銃声） （霜村）《黒田。 自分を　責めなくていい》→ 《お前の判断は　正しかったんだ》 ♪♪～ （悠木）お疲れさまです。 何か？ （悠木）書類を 取りに来ただけですよ。 （悠木）亡くなった　霜村さんとは→ メキシコで 一緒だったんですよね？ 確か　１９９９年ごろに。 ええ。 当時　向こうは　かなり　治安が 悪かったんじゃないですか？ あの　立てこもり事件も そのころでしょう。 日本でも　ニュースが こぞって　取り上げてました。 痛ましい事件でしたよね。 特に　黒田さんにとっては。 すいません。 正直　言うと→ あなたのこと　調べるよう 言われてるんです。 まっ　僕も　少し 興味あるんですけど。 黒田さん　あちこちの　へき地を 転々とされてますよね？ 外務省員としては　明らかに 出世コースから　外れています。 なのに　副大臣は ずいぶん　あなたを→ 気にしてるみたいですから。 赴任地で 人　判断してるようじゃ→ 外務省も　まだ 変わってないってことだな。 気を付けた方が　いいですよ。 厄介ですから　あの人は。 （利香子）じゃあ よろしく　お願いします。 （利香子）今日から　この辺りの巡回強化してくれるって。 わたしも　また　顔　出すから 心配しなくていいよ。 じゃあ　わたし そろそろ　行くね。 （瑠衣）あのさ。 （利香子）うん？ ありがとう。→ ホントは　ちょっと 怖かったからさ。　一人でいるの。 （利香子）言ってくれれば よかったのに。 危ないよ。 一人で　街　出歩くのだって。 落ち着くの。 街なかだと　みんな わたしのこと　知らないから。 学校とか　近所だと 人殺しの娘って目で　見られるし。 瑠衣ちゃん。 （瑠衣）あのさ…。 パパって ホントに　死んだのかな？ えっ？ （瑠衣）あり得ないんだけど…。 似てた気がする。 ♪♪～ [TEL]（バイブレーターの音） [TEL]（利香子）あっ。　黒田さん。 わたし　大垣です。 何か　あったのか？ あのう。　どうしても 聞きたいことがあって。 黒田さんが　入管で調べてたのって誰なんですか？ 瑠衣ちゃん　ストーカーに 付きまとわれてたんです。 今日　原宿で ほんの一瞬でしたけど→ 相手も見ました。 もしかして　霜村さん 生きてるんじゃないですか？ 本当のこと　教えてください。 その相手が　間違いなく 霜村さんだと　断言できるのか？ いえ。　でも…。 君に求めてるのは　調査協力だ。 それが不服なら　この仕事 降りてもらって　構わない。→ 失礼する。 [TEL]（通話の切れる音） 辞めよっかな。 ハァー。 ♪♪～ （柏田）おう。　用意できた？ （柏田）全然　足んねえぞ。 （祐太朗）すぐには 用意できないから。 （柏田）ふーん。 じゃあ　いいや。　別に。 瑠衣ちゃんだっけ？→ このこと　知ったら どんな顔すっかな？ もう少し　待ってください。 必ず　用意しますから。 １００円。　ゲーム　やり直すから。 （利香子）ご協力 ありがとうございます。 えっと。　次は…。 よし。 ♪♪～ ♪♪～ やっぱり。 （鴨下）出迎えの担当は　わたしと 西園寺君と一緒に　空港へ。→ パーティーの担当は 大使館へ　お願いします。 （一同）はい。 （西園寺）室長。 黒田さん　今日は　休みですか？ 仕事は　きっちり 片付けてくれたけどな。 （鴨下）西園寺。 ペース　乱されんなよ。 （西園寺）分かってます。 （利香子）ご協力 ありがとうございました。 ♪♪～ 何か　分かったのか？ （利香子）この近くの　通りに面した防犯カメラ　全部　チェックしました。→ あれは　やっぱり 霜村さんです。 出過ぎたことして　すいません。 でも　ちゃんと調べて→ 瑠衣ちゃんには ホントのこと　教えてあげたくて。 わたしは　刑事として 未熟だってこと→ 自分でも　分かってますけど。 でも　ホントのこと 何も知らないで→ 協力だけ　するっていうのは やっぱり　悔しいですから。 ♪♪～ （利香子）ロベルト・イシイ。 霜村さんは　今 その人物に　成り済ましてる。 彼が　どこへ行ったのか 手掛かりは　なかったか？ えっ？　いや。 一晩　かけて　見ましたけど そこまでは…。 それが分からないと　意味がない。 これから　捜します。 都内のホテルとか しらみつぶしに　当たって。 そっちは　調査済みだ。 どこにも　いなかったんですか？ じゃあ　メキシコ人が　たくさん 住んでるところ　訪ね歩きます。 こないだ　メキシコ料理店巡り したみたいに。 あっ。　すいません。 でも　メキシコ人に 成り済ましてるわけですから。 何ですか　それ？ １２日。 Ｎシステムの映像　確認できるか？Ｎシステムですか？ まあ　警視庁で　手続きすれば。 来てくれ。　今から　確認する。 （利香子）ハァー。　いませんね。 （利香子）降り口に　近いからって→ 高速　使ったかどうかは 分かりませんよ。 （利香子）あっ。 （利香子）これ　助手席の人って…。 （利香子）あっ。 間違いないですよ。 ああ。　運転席にいる男もな。 （利香子）知ってるんですか？ メキシコ大使館の　館員だ。 今日の作業は　これで　終了だ。 俺は　これから メキシコ大使館へ行く。 （利香子）霜村さんのこと 瑠衣ちゃんには？ 事件の裏に　何があるか 見極めてからだ。 （利香子）新居田警視。 （新居田）さっき聞いて　驚いたよ。 まさか　警視庁に 乗り込んでくるとはな。 やっと　ご対面ですね。 あなたの噂を聞いて→ お会いしたいと 思ってたんですよ。　黒田さん。→ 捜査１課の　新居田です。 初めまして。 わたしに　何か？ （新居田）うちが　解決した事件を→ 外務省の方が　調べ直してると 聞きましてね。 素人に　首を突っ込まれては 迷惑なので→ 一度　釘を刺しておこうかと。 （新居田）あなたのパートナーは 事務員同然の　女の子です。→ あまり　振り回すと かわいそうですよ。 （新居田）湊のヤマは もう　解決してる。→ ぶり返すような　まねは やめていただきたい。 彼は　元　外務省員です。 こちらは　こちらの責任で 調べる必要が　ありますから。 失礼します。 ♪♪～ 新居田警視の 言うとおりなんです。 わたし　親からも→ 刑事なんか　向いてないって 言われちゃって。 君のおかげで 手掛かりが得られた。 えっ？ シンプルな発想が 近道の場合もある。 黒田さん。 あしたから また　手伝ってもらう。 今日は　もう 帰って　休んでいい。 メキシコ大使館 わたしも　連れてってください。 こうなったら　とことん 付き合わせてほしいんです。 （利香子）運転手さん。 これ　あげます。→ お薦めの観光スポット チェックしておきましたから。 （運転手）はあ。 大使館に行く前に 少し　寄り道する。 はい？ （観上）日本とメキシコは 交流　４００周年という→ 揺るぎない友好関係を 築いてまいりました。 中でも　近年では ＣＯＭＣＥとの連携によって→ ＥＰＡの発行など　経済分野で 目覚ましい発展を遂げております。 （西園寺）室長。　黒田さんから 連絡があって→ 間もなく　こちらへ着くそうです。 （鴨下）今？ （観上）中南米諸国の発展と 私たち　日本の発展に→ 大きく　かかわってくると 思います。 （利香子）あのう。 何で　こんな格好を？ あの服じゃ　パーティーでは 余計に目立つ。 おなか 痛くなってきちゃったんですけど。 緊張しちゃって。 ほかの職員からも 情報を得たい。 来た以上は　働いてくれ。 （観上）黒田さん。 いらしたのね？　こちらは？ 知人です。 （利香子）あの…。 わたし　ちょっと　お手洗いに。 （利香子）あっ。 （悠木）大丈夫ですか？ すいません。 失礼。 ありがとう。 失礼。 ちょっと　よろしいですか？ （エルナンド）失礼します。 ハァー。　場違いだ。 ♪♪～ （エルナンド）どういうことですか？ 申し上げたとおりです。 あの事故の件は まだ　処理してません。 （エルナンド）約束が違います。 もちろん　あなたの力に なるつもりです。 ですが　そのために→ ひとつ　教えていただきたいことがあるんですが。 ♪♪～ ♪♪～ 車に乗っていた人物のことです。 あなたが　あの事故を もみ消したかったのは→ その人物のことを 知られたくなかったからでしょ？ ♪♪～ （エルナンド）黒田さん。　あなたは…。 ロベルト・イシイは　どこにいる？ （外国語） （利香子）ちょっと 待ってください。 （利香子）放してください。 あっ　黒田さん。 （利香子）黒田さん。　上。　上です。 上？ いたんです。　ロベルト…。→ 霜村　毅が。 ♪♪～ 出よう。 今は　騒がない方がいい。 ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～ ♪♪～

まれ＃104

1 (節子)こんにちは｡ (希)すみません 今日は お休みなんです｡ あなた 辞めちゃうんだって？ 昨日 閉店してたから 理由聞いたら➡ あんたが辞めるから ｼｪﾌが怒っちゃったって｡ 怒りますよね｡ まだまだのくせに修業の途中で｡ (節子)一生懸命 育ててたもんね あなたの事｡➡ そのﾚ･ｷｬﾄﾙ･ｻﾝ･ｸｰ あなたのｵﾘｼﾞﾅﾙｹｰｷだったでしょ｡ はい｡ 心配で しょうがなかったのよね｡ 最初の頃は それ買ってくると 必ず電話がかかってきて｡ (客)そうそう！ ｢うまかったか｡➡ どっか気になるとこはあるか｣って もう しつこく しつこく！ ｼｪﾌが？ ♬～ ♬～ (輪子)名残惜しいけどさ 切りないから この辺で｡ 本当に…➡ お世話になりました｡ (ドアが開く音) あん!? 陶子さん！ (陶子)本当なの 能登に帰るって｡ (浅井)大丈夫ですよ｡ ｽｰｼｪﾌは 私が責任を持って…｡ (珍)懐かしいな｡ 辞めないでしょうね ﾊﾟﾃｨｼｴは｡ はい｡ 辞めません｡ 分かった｡ ｽｰｼｪﾌは 責任持って 私が紹介する｡ ありがとうございます！ (浅井)いや そろそろ私がｽｰｼｪﾌ…｡ (弥生･ＹＯＵのﾓﾉﾏﾈで) ちょっと～➡ もうさ これでお別れとか あんた 意味分かんないんだけど｡ ごめん 何なの この人｡ もう つらすぎて 普通にさ しゃべれない訳｡ だって ほら 私って 一回 ﾊﾟﾃｨｼｴ 諦めてるじゃない｡➡ それなのに 希ちゃん… いろいろ…｡ 弥生さん｡ (美南)希ちゃ～ん！ (泣き声) 美南ちゃん…｡ (珍)大丈夫｡ 世界は一つだよ｡ 私の奥さんと娘たち 中国いるよ｡ でも 寂しくない｡ 私 家族 愛情比べたら➡ 地球の方が小さいよ｡ だから離れても大丈夫｡ (輪子)うん｡ 大丈夫｡ 希ちゃんの未来を 占おうと思ったけど やめた｡ あなたは きっと 自分で どんどん変えていく人だから｡ ♬～ 元気でね｡ 頑張って！ おし！ うち 高志のおかげで ここに来られてんね｡ ありがとえ｡ 一緒におってくれて心強かったわ｡ (高志)ほれは… 俺も｡ 希から いぃつも… 音楽もろとったさけ｡ (ドアが開く音) (大輔)希ちゃん 準備できた？ ほんなら ﾊﾞﾝﾄﾞの練習や あるさけ｡ また村でね｡ (大輔) あ～あ 本当に帰っちゃうんだ｡ うん｡ しばらくは 塗師屋の女房になるよ｡ だから俺にすればよかったのに｡ 俺なら むしろ専業主夫になって ﾌﾗﾝｽについてっちゃうよ｡ ふるさとって 生まれた場所じゃないんだね｡ ん？ 能登も横浜も➡ 大事な人たちに出会えた場所が➡ ふるさとなのかもしれないね｡ また会おうね｡ 君が来てくれて うちの家族 変わったよ｡ ｸﾘｽﾏｽも した事なかったぐらいだからさ｡ ちゃんと お互いの気持ち 言い合った事なんか➡ なかったけど…➡ 何か ほどけてきた｡ 感謝してると思うよ おふくろも 美南も➡ おやじも｡ ｼｪﾌは… 最後 裏切っちゃったから｡ あんなふうにしか 気持ち表せないんだよね｡ でも… あの人が 一番 希ちゃんの事 思ってるよ｡ 怒ってるんじゃなくて➡ 泣きたいんだよ あの人は｡ 粘りつくような…｡ 粘りつくような…｡ 芯を作る｡ 芯を作る｡ 芯を作る｡ ♬～ ｼｪﾌ！ ｼｪﾌ！ ｼｪﾌ！ ｼｪﾌ！ ｼｪﾌ…｡ (泣き声) んっ!? (大悟)まだいたのか｡ 何で そうやって…｡ もういっぺん作ってきました｡ 最初に作った 横浜ﾛｰﾙｹｰｷ｡ 食べて下さい｡ 私 絶対に…➡ もう一度 ﾊﾟﾃｨｼｴになります｡ まずい｡ ♬～ おい｡ バカ！ 違う！ ♬～ 持ってけ｡ いや… でも これは いつもｼｪﾌが…｡ お前が持ってろ｡ これで いつか世界一のｹｰｷを作れ｡ 俺が食いに行ってやる｡ ♬～ ありがとうございました！ ♬～ おやじのｹｰｷでも食べようかな 久しぶりに｡ お前に分かるのか 俺様のｹｰｷが｡ どうだろう｡ 作ってくれますか｡ ♬～ 第２のふるさと 横浜に別れを告げて➡ 希は歩きだしました｡ 家族が待つ能登へ｡ 女性が悩んでいる痛みのベスト３｡ 第３位は、手足の関節の痛み。 第２位は腰痛。 では、第１位は？ 肩こりです。 しつこい肩こりに悩んでいる方 多いですよね。

その「おこだわり」、私にもくれよ！！＃03

1 ＜清野とおるさんの漫画➡ 『その｢おこだわり｣､ 俺にもくれよ!!』｡ 他人には なかなか理解できないけど➡ 本人は幸せになれる おこだわりを持つ人との➡ 交流を描いた作品です｡ この漫画を題材にした ﾊﾞﾗｴﾃｨｰ番組に➡ 松岡茉優と 私 伊藤沙莉が挑戦｡ 漫画のﾓﾃﾞﾙになった おこだわり人との出会いと➡ その裏側を含めた 私たちの全記録を➡ ご覧ください！＞ おはようございます お願いします 今日も｡ うまく下がりました？ 垂れ幕｡ あと 下で ちょっと 修正すればいいだけです｡ あぁ 上出来｡ 何 撮ってんだよ｡ 何 撮ってんだよ｡ いつも撮ってっから わからねえだろう｡ 撮られてる気持が！ どうですか？ なんで声とってるんですか？ やめられなくなっちゃいました｡ えっ｡ かっぱえびせん的な 感じなんですね｡ そうですね｡ よいしょ｡ おはよう｡ ｴｰｲ おはようございます｡ ありがとう｡ 勉強熱心っすね｡ 今日のｹﾞｽﾄ あんま 知らなかったからさ｡ 今回は 大橋さんが➡ これ 知ってるんだって 思ってもらう➡ こっちに興味 持ってもらえるようなことは➡ 何個か粒立てて置いておく｡ やばいね そんなの みんなやってるの？ ﾊﾞﾗｴﾃｨｰで｡ やってるでしょう こじるりとかさ➡ 指原さんとか？ だから ﾊﾞﾗｴﾃｨｰできるよね みたいなこと➡ 言ってもらってる方たちは やってるんじゃない？ それのﾏﾈしてるわけじゃないけど｡ ｢特徴的で かわいいですね｣｡ 目？ 目が印象的な人だから｡ 私 これ 会ったときにさ 茉優がそれ言ったら➡ 笑っちゃうんだけど｡ 笑わないで 絶対言うから｡ これ ﾏｽﾄなやつだから ちょっと 本当に言わないでよ｡ これ ﾏｽﾄなやつだからね｡ 沙莉が書けばいいんだよ こういうの それこそ｡ なんで？ 思いつきで ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ言って➡ 向こうが なんか 変な感じになるんだもん｡ でも その先に もしかしたら 希望があるかもよ｡ そこに行くまでに 炎上があったら➡ 私は その希望にまで 行かなくていいよ｡ ﾏｼﾞ？ うん｡ いいから 勉強したいの｡ ｵｯｹｰ｡ 今日 移動短いから ﾊﾞｲﾊﾞｲ｡ ﾊﾞｲﾊﾞｲ｡ 今日も よろしく｡ よろしく｡ さあ というわけで 今回やってまいりましたのは➡ 武蔵小金井でございます｡ おっ｡ ここでは どんな おこだわり人に 会えるんでしょうか｡ こちらでございます｡ おっ ﾋﾞｯｸﾞ…｡ お～っと！ これは ちょっと まだ あれなんですけれども➡ まさか 会社名に お名前が入ってるとは➡ 思いませんでしたけども｡ やっぱ 名前だよね｡ もう 今回の方は ｽｰﾊﾟｰ有名人｡ 本当に 逆に➡ (ｲﾝﾀｰﾎﾝ) 会えるの すごい 楽しみだったから｡ そうなんだ｡ ちょっと ﾃﾝｼｮﾝ落としながら やらないと｡ ちゃんと そうして…｡ あれ？ 鳴らなかったかな？ いいんだよね？ (ｲﾝﾀｰﾎﾝ) うわ！ はじめまして｡ あぁ どうも｡ こんにちは｡ ＜今回の おこだわり人は➡ 独特の作風が 人気の➡ 個性派漫画家 大橋裕之先生｡ ふだんは 人を入れないという 仕事場に おじゃましました＞ これですよ やっぱり｡ 沙莉 知ってる？ どれ？ 私 先生の漫画 大好きなんですけども➡ 『音楽と漫画』 そして この『ｼﾃｨﾗｲﾂ』➡ めちゃめちゃ おもしろいですよね｡ もう 私 ずっと先生の活躍を 追いかけてきたので➡ 今日 本当 興奮しております｡ これ さっき ｳｨｷってましたよ｡ これ さっき ｳｨｷってたやつだよね ｳｨｷﾍﾟﾃﾞｨｱで｡ さっき めっちゃ調べてました…｡ 確認！ 確認です それは確認｡ この時期に これは どっちが先 だったかなっていう確認ですよ｡ そうなんです｡ ﾉｰﾄ めっちゃ書いてましたから｡ 先生の漫画は 目なんですよ｡ へ～｡ 知ってますか？ これ見れば 沙莉も絶対わかります｡ さっき ﾉｰﾄに描いてたやつ？ なんだろう 描けるんじゃないかな と思って 描いてみても➡ 全然 描けないんですよ この目って｡ あっ 確かに 描けそう｡ ですが 描けないんですよ これが｡ 意外と… 意外と難しい｡ すごい 特徴的な目ですよね｡ どんなｷｬﾗｸﾀｰも こういう目が ﾍﾞｰｽになってるんですね｡ へぇ 描けそう｡ ＜全然 知りませんでしたが➡ 私 伊藤沙莉 なんと➡ 大橋先生が原作の映画に 出たことがありました｡ いや～ びっくり＞ 実は あの漫画の先生でした！ こんにちは｡ さすがに あの漫画読んだもんね｡ いや｡ え？ 読んでない｡ ここで読んで…｡ 伊藤さん おもしろいですね｡ おもしろくないですよ ここで…｡ ありがとうございます｡ 本当 ごめんなさい すみません 本当に…｡ いえいえ｡ 知ってるふりされるよりは 全然いいです｡ 知ってるふりしたみたいに なっちゃったじゃん｡ でも ｳｨｷﾍﾟﾃﾞｨｱだから 本当に｡ 違う 本当に読んでる 持ってるし 家にあるから｡ こんにちは｡ はい じゃあ このへんで いったんｶｯﾄで｡ いったん ｶｯﾄ｡ はい いったんｶｯﾄ｡ 本当すみません ごめんなさい 本当に もう 読んでると…｡ 原作漫画 読まないんだ｡ 読まない｡ だって なんか 気になっちゃうじゃん｡ 私 こんな かわいい顔…｡ 大橋先生 ちょっといいですか？ 目入れだけ すみません 目入れだけ お願いしたい…｡ お仕事中ですからね｡ ちょっと いいですかね➡ 仕事して｡ もちろんです それも 撮っても➡ 大丈夫ですか？ 大丈夫です はい｡ ＜ と ここで 大勢のｱｼｽﾀﾝﾄを抱える➡ 大橋先生の ﾌﾟﾛの仕事っぷりを➡ 見学させてもらうことに なりました＞ こちら 命が吹き込まれるわけですね｡ 入りました これが 先生の真骨頂 目でございますけれども｡ これ 人物は先生が描かれて➡ 目を入れて 背景はｱｼｽﾀﾝﾄさんが みたいな感じですか？ えっと 僕は 目しか入れてないです｡ 他 全部 ｱｼｽﾀﾝﾄさんで｡ へ～！ え～！ え？ そうです｡ え？ え？ 目しか？ 目だけです｡ 目がない 全部ない｡ 引っ張りだこだね｡ 目がないよ 全部｡ 目がないんだ｡ 先生は 目を描くだけなんですね｡ そうです｡ 目の人なんだ｡ 僕も すっごい 目の練習したんですけど➡ 全然 やっぱ 先生が描いたのとは違いますね｡ 目が違う… 特に どんなところが 違うんですかね？ 曲線のﾗｲﾝとかが やっぱ きれいですね｡ すごい すてきですね すてきな師弟関係ですね｡ どうしよう｡ 目だけ…｡ 目描きなんだよ｡ 目が好きなんだよ｡ でも やっぱり 漫画読んでても➡ 引き込まれるのは 目ですからね｡ というわけで 先生 ずばり➡ 先生の おこだわりは 何でしょうか｡ え～ 僕のおこだわりは 梅です｡ 出ました これ｡ こちらに ずらっと ありますから｡ 本当だ 梅しかないね｡ 薄々 気づかれた方も➡ いらっしゃったかなと思いますが｡ 梅ばっかりだよ｡ えっ 描いて… わざわざ今日のために？ はい｡ ＜ なんと 大橋先生は この番組のために➡ 初めて梅を食べたときの衝撃を 漫画にしてくれました｡ １人で漫画を仕上げたのは かなり久々だそうです＞ ﾄﾞﾋﾞｭｰﾝ！ って頭から 突き出ちゃってますもんね｡ 本当に 飴とかでも なんでも 梅味を選んでて➡ そうですよね｡ そうです でも やっぱり➡ 本物の梅には勝てないんで｡ いや そうですよね わかります｡ だから 常に 梅を食べていたいなと思って➡ 小瓶に詰めて 常備して➡ ちょくちょく 外でも 食べることにしてたんですよ｡ え？ 持ち歩いてってことですか？ 鞄に入れて？ そうです｡ 梅干しって 種あるじゃないですか｡ ありますね｡ あれが 結構 食べて➡ 種を その場に捨てるのも あれなんで➡ 種がなくて ｶﾞｯﾂﾘ梅感を 味わえるものを➡ 探してたんですけど｡ なるほど｡ 最近は 自分で作り始めました｡ 梅ｸﾞｯｽﾞを？ 梅を はい｡ へ～！ ＜大橋先生が 独自に考案したという➡ おこだわりの梅ﾚｼﾋﾟ➡ いったい どんな梅が 出来上がるんでしょうか？＞ この 一口ｻｲｽﾞに…｡ ちぎって？ ちぎって 電子ﾚﾝｼﾞに…｡ そんな！ ﾗｯﾌﾟもせずに｡ ﾗｯﾌﾟもせずに!? はい｡ 600ﾜｯﾄで １分｡ はい｡ なるほど｡ へぇ｡ ﾗｯﾌﾟもせずに ちょっと…｡ 温まって… 湯気出てる！ 燃えてる 燃えてる 燃えてる…｡ うわぁ 火事 火事 火事…｡ うわぁ 梅干しのにおいする｡ しかもなんか 中見えないじゃん燃えすぎて｡ 先生 火花見えますけど｡ 大丈夫です｡ 焦げてる！ 焦げてるにおいする！ これ 皿 大丈夫なんですか？ 皿｡ 全然 大丈夫です｡ 爆発するんじゃないの？ これ におい気になんないんですか？ あぁ…｡ もう慣れたんだ｡ もう ｱﾛﾏみたいな感じですかね？ これ 怖いよ｡ あぁ 終わった 終わった よかった…｡ うわぁ くさっ｡ くせっ くせえ｡ これが 特製 大橋梅です｡ 大橋梅 出ました！ 大橋梅…｡ 一見 焦げてます｡ ＜一時は 市販の梅ﾀﾌﾞﾚｯﾄに ﾊﾏっていたという➡ 大橋先生がたどりついた おこだわりの 大橋梅｡ いただきます＞ うん お菓子みたいな｡ そうです そうです｡ 梅のﾀﾌﾞﾚｯﾄとかって こういう味ですよね？ そうです｡ おいしい｡ ちょっと ちっちゃくなってきたときに➡ 強く噛むと…｡ うわぁ！ ｽﾊﾟｰｸしますね｡ あぁ ほんとだ 結構 口に入れた瞬間は➡ 結構 梅のお菓子の 今までの 感じかなと思ったんですけど➡ 強く噛んだとたんに もう 梅干しの旨みと➡ 塩っけと うわぁって ｽﾊﾟｰｸしますね｡ 普通の梅だよ｡ 梅が焦げた味｡ 梅好き？ 梅大好き｡ 梅 好き好き 好きです｡ でも 梅を 焦がした味です｡ これなら確かに 触った手もべたつかないですし➡ あの種もね お家で捨ててからいけますから｡ これは どういった感じで…｡ こういう状態で｡ この状態で…｡ そうです そうです｡ 持ち歩いてるんですね｡ あぁ おいしい まだ食べたい｡ おいしい…｡ この状態でｷｽしたら➡ めっちゃ梅の味するんですかね？ 確かに…｡ ねっ しそうですよね｡ 確かにじゃないですよ｡ ちょっとやってみます？ はぁ？ 何言ってんの？ 検証したいですよね｡ 私とすればいいじゃん そしたら｡ なんで… だって こうあるじゃん｡ あぁ なるほどね｡ なるほどねじゃないよ｡ 何だよ！ え いるんですか 彼女とか？ え？ いや いないです｡ ﾓﾃそうなのに｡ あんま先生のﾌﾟﾗｲﾍﾞｰﾄに 立ち入るんじゃないよ➡ もう先生のﾌﾟﾗｲﾍﾞｰﾄですから｡ ﾓﾃそうですよね｡ いや いやいや 全然…｡ 魅力的な 目してますね｡ 伊藤さんは？ 彼氏とかいらっしゃるんですか？ 私 彼氏 つい最近 別れちゃった｡ あぁ そうですか へぇ…｡ そうですね ３年くらいですね｡ え？ そんなにいないんですか？ ＜ いや～ 大橋先生って➡ なんか不思議な魅力が あるんですよね｡ あの つぶらな瞳に 吸い込まれるっていうか…｡ あ また 茉優がｲﾗついてるんで 次の場所へ移動です＞ 大橋さんって どんな人が好きなんですか？ ﾀｲﾌﾟは… ｴﾛい人ですかね｡ ｴﾛい人？ ｴﾛい人｡ 私もｴﾛい人好きです｡ なんか手がｴﾛい人とか｡ 沙莉 沙莉…｡ ｴﾛい人が 好きな人も好きです｡ え～ すごい！ じゃあ ちょっと脈ありですね｡ 沙莉 沙莉 沙莉…｡ 嬉しい｡ そうなんだ…｡ 沙莉…｡ 寝てるから あんま大きい声出すな｡ 疲れてるんだから｡ わかった ｵｯｹｰ ｵｯｹｰ｡ え じゃあ ｴﾛい人っていうことは➡ じゃあ ちょっと 大人っぽい 人のほうがいいのかな？ いや～ でも いろんなｴﾛが あると思うんで…｡ どんなｴﾛだよ｡ そっか…｡ こういう感じどうですか？ いいですね｡ ぐったり いい感じ？ いいぐったり？ あの 沙莉 明日のさ…｡ そっか…｡ え～ どうしよう…｡ ん？ 何？ 何じゃないよ 今 目 合ったろ？ 何？ 明日の ｽｹｼﾞｭｰﾙ届いた？ 届いた｡ 確認しといてね 台本も｡ ｵｯｹｰ｡ 明日 何してるんですか？ 明日は…｡ 仕事だよ｡ 私たちが｡ 目？ 目 入れるの？ そうです そうです｡ 目 入れたら終わり？ 終わりです｡ ほんとですか？ じゃあ 私も頑張って➡ 巻くから なんか 会いたいです｡ あぁ… ぜひ…｡ ＜ こちらは 大橋先生行きつけの居酒屋｡ お酒に合う 梅の味わい方を 教えてもらいます＞ 激しくこぼしましたね｡ あれ？ 先生 愛人ですか？ 違いますよ｡ (笑い声) ２人 同時に連れてくるっていう｡ ＜大橋先生のことを よく知る店員さん｡ 市川海老蔵さんに 似ていることが➡ 唯一の自慢だそうです＞ はい というわけで 我々は 居酒屋さんに➡ おじゃましております｡ この 先ほど話題の大橋梅が➡ また お酒の場でも また 活用できるということで…｡ そうです｡ この 大橋梅に➡ いちばん合うのが 宝焼酎の純です｡ はいはいはい｡ へぇ あ それ 書いてある｡ あぁ これ ﾎﾞﾄﾙ…｡ ﾎﾞﾄﾙｷｰﾌﾟしてる｡ あぁ ほんとだ｡ 割合はそのくらいなんですね｡ あ すみません ありがとう…｡ 割合は？ え？ 同じでいいです｡ 結構 強いと思うけど｡ うん 大丈夫 全然｡ 大丈夫ですか？ ありがとうございます｡ ねぇ ｸﾙｸﾙしてもらった｡ よかったね｡ まずですね この 大橋梅を 一粒口に入れまして➡ しばし こう梅感を味わってから で この 宝焼酎 純を➡ 一口 飲みます｡ あぁ…｡ あ～ かわいい 今の すごいよかったです｡ それじゃ 乾杯を…｡ ここで ちょっとｶﾒﾗに…｡ ｷｬｰ かわいい｡ それでは乾杯いたしましょうか｡ はい お願いします｡ 口に入れて 噛んでから➡ 大橋先生 今日は 取材させていただきまして➡ 本当にありがとうございました｡ 乾杯｡ (一同)乾杯！ 狙ったよ｡ いや～ 恥ずかしい これって…｡ でも なかなか｡ うん まあ そのつもり｡ あぁ そうか｡ お湯割りとも➡ 合うんですよすごい｡ あぁ そうなんですね｡ どう？ う～ん｡ (２人)ｿｰｸﾞｯﾄﾞです！ ２人で合わせた 初めての共同作業ですかね｡ ＜ このﾀﾞﾌﾞﾙｿｰｸﾞｯﾄﾞ以降➡ 私の恋愛ｽｲｯﾁが 完全に入ってしまいました｡ ｶﾒﾗを忘れて ちょっと ﾊﾒはずしちゃいそうです＞ いや ﾊﾞﾚたか…｡ うん たぶん 見てる人 全員わかると思う｡ ちょっと ちょっと…｡ お姉さん…｡ 大橋先生ね あの 相当ﾀｲﾌﾟです｡ え？ ｳｿ？ 私？ ほんとに？ え？ めっちゃ 物好きだね｡ すぐわかる｡ え～ 嬉しい｡ 微妙な違い いつも来てるから わかるんですよ｡ そうなんだ… え？ ごめんね なんか…｡ いいんだよ いいんだけど ﾃﾚﾋﾞだから一応 抑えないと➡ 沙莉もね 人気商売ですから｡ え そうなんだ…｡ ＜ｴﾋﾞｿﾞｰから ｿｰｸﾞｯﾄﾞな情報を聞いて➡ 久しぶりに 鼻息が荒くなりました｡ 女優の本気 見せちゃいます＞ 塩分気をつけてるんですか？ そう｡ 私 結構 ﾍﾙｼｰ目な料理とか すごい 作れるんですよ｡ あ うまいですよ この子｡ 私 すごい 料理 上手なんですよ｡ 今度 食べさせますね｡ そういうことで 言ったんじゃないよ｡ ほんとに塩分控えめとか 超作れるんで私➡ ﾍﾙｼｰ料理… ﾍﾙｼｰ志向なんで｡ すごい たぶん…｡ 肉食だろ がっつり 現在｡ 肉食だけど 肉をすごいﾍﾙｼｰに 食べさせることができます｡ さっきからさ このﾎﾟﾆｰﾃｰﾙが 凶器なんだよ｡ ﾎﾟﾆｰﾃｰﾙって どうですか？ ﾎﾟﾆｰﾃｰﾙ いいですよね｡ ﾎﾟﾆｰﾃｰﾙいいですか？ いいですよ ﾎﾟﾆｰﾃｰﾙ｡ 今 ちょっと明るくなったから ほんとに好きなんだね｡ ﾎﾟﾆｰﾃｰﾙがね｡ 好きです｡ そうなんだ まぁね ﾎﾟﾆｰﾃｰﾙはね やっぱ鉄板だよね｡ じゃあ ﾎﾟﾆｰﾃｰﾙと梅干し どっちが好きですか？ どうですか？ 梅干し…｡ もう大丈夫そう？ 梅干しが付いてたらいいですね｡ ﾎﾟﾆｰﾃｰﾙ｡ 梅干しの頭の髪飾り➡ ってことですか？ もういいですか？ もう大丈夫｡ もう大丈夫ですよね？ もう結構 撮れ高ｵｯｹｰですよね？ 今 まだ最後の質問してんじゃん！ まだ項目 残ってますよ｡ でも ﾎﾟﾆｰﾃｰﾙと梅干しの話でしょ？ ＜ もう撮れ高は十分ってことで ｶﾗｵｹで打ち上げをすることに｡ 私 ｳｷｳｷしてます！＞ (３人)乾杯！ [外:ACBF9D98872F6F6382279087513B8B72]師里保は永遠です｡ [外:ACBF9D98872F6F6382279087513B8B72]師里保は 私の天使です｡ 一生 変わることはありません！ 彼女は天使だから｡ すごいでしょ？ この愛がやばいんですよ｡ ♬｢きっと 私 忘れません｣ もっと いっぱい飲んでね｡ 乾杯｡ おい！ 聴いてたか？ てめえら！ 聴いてた 最高！ やっぱ [外:ACBF9D98872F6F6382279087513B8B72]師のことを 考えてしまうの｡ ありがとうございました！ これ歌うときはね｡ 誰 これ頼んだの!? ちょっと やめてよ！ 先生 これ？ ﾊｰﾄのﾋﾟｻﾞじゃんよ！ 私が頼んだ！ おい！ 持って歌えよ！ ♬｢春の冷たい 夜風にあずけてﾒｯｾｰｼﾞ｣ うっぜえ！ ♬｢痩せた色の無い夢を見てた｣ ねぇ 返して！ ﾀﾞﾒﾀﾞﾒﾀﾞﾒﾀﾞﾒ…！ 返して！ 何すんだよ！ ない！ ない！ めっ！ めっ！ 私の持ち歌！ ねぇ！ 空気読んでよ｡ ♬～ ♬(２人)｢何年たっても 口づけするとき｣ ♬｢どきどきして ｷｭ～ﾝとなりたい｣ ♬｢Ｉ＆YOU＆Ｉ＆YOU＆Ｉ｣ ♬｢YOU＆Ｉ＆YOU＆Ｉ LOVE YOU｣ ありがとう！ いい曲だね｡ でしょ？ 帰るか｡ これ すごい好きなの｡ こっちに戻るね｡ これは私は➡ 帰ったほうがいいやつか？ ねぇ 近いよ！ 大丈夫 沙莉がやる｡ なんだよ！ なんだよ こいつら！ ほら 先生先生 できてる見ろよ！ ♬｢TELL ME 心なら TELL ME 動いてる｣ ♬｢悲しみは 続かない｣ 歌って｡ 言われなくても｡ はっ はっ…！ せ～の！ ｲｴ～ｲ！ ♬～ 飽きてきてない？ 飽きない？ ｶﾗｵｹ あんま来ない？ たまに｡ たまに？ たまに｡ たまに来るんだ｡ ねぇねぇ さっき これ！ 試してみよう｡ さっき言ってたやつ｡ これ食べて ﾁｭｰしたら➡ 梅の味するかどうか いい？ やって｡ 今？ うん｡ はい｡ いくよ せ～の｡ ｷｽして｡ せ～の！ (叫び声) (叫び声) ♬～ ちょっ ﾏｼﾞかよ｡ した？ 試せてよかったね｡ 終わった？ ♬～ せ～の！

トゥルーと虹の王国.S02E01.JA

1 NETFLIX オリジナルシリーズ トゥルー あの子(こ)は トゥルー トゥルー トゥルー！ みんなの願(ねが)い とどける あの子(こ)は 虹(にじ)の国(くに)のトゥルー トゥルーと虹(にじ)の王国(おうこく) グリズモのピンチを救(すく)え こんにちは バートルビー こんにちは ほら 見(み)て ネコはハコが大好(だいす)きよね でも毛糸(けいと)はもっと好(す)き 毛糸(けいと)って言(い)った？ そんなことしたら 食(た)べちゃうわよ おいしい マシュマロの ボクを食(た)べたね だって フワフワなんだもん それに あまい ホントだ でしょ キラキラでステキね ありがと 雨(あめ)の日(ひ)だから たくさん作品(さくひん)ができたね でも もう雨(あめ)やんだみたい！ 晴(は)れてきた　外(そと)で お絵(え)かきパーティーする？ もちろんだよ おっと 大丈夫(だいじょうぶ)？ うん　すべっただけ マシュマロで？ ちゃんと口(くち)に入(はい)らないなんて 見(み)て ドアがよごれた そう？ このおかげで キラキラでかわいくなったわ ほんとだ もっとスゴくなったぞ ボクたちのおうちに ピッタリだ それにキラキラ ドアがキラキラだ ステキだね キラキラだ なにかが始(はじ)まりそうだね どうやら そうみたいだ みんなのドアを見(み)てよ すごくキラキラしてる ステキだね すばらしいアートで あふれてる 見(み)て！　ボクの絵(え)だ うれしいな ジャガイモだよ みんな ドアを キラキラにしてるようね わたしのは どうなってるかしら？ グリズモ どれくらい キラキラか見(み)せてくれる？ キラキラじゃないわ ここは山(やま)のてっぺん ドアはキラキラでなくちゃ 王国中(おうこくじゅう)のみんなが 見(み)えるように わかった！ クリスタルよ ドアだけじゃなく― 塔(とう)をつくろう みんなが見(み)えるように 全部(ぜんぶ)クリスタルで いちばんキラキラの クリスタルを持(も)ってきて わかりました バートルビー　起(お)きて あの人(ひと)が なでてくれたら 起(お)きれる 虹(にじ)の王様(おうさま)？ 忙(いそが)しい人(ひと)だからムリよ かわりに こちょこちょしてあげる くすぐったいよ みんなのドアを 見(み)るのが楽(たの)しみ トウモロコシが食(た)べられない どうなってるの？ おひさまが強(つよ)すぎる こんなこと言(い)うなんて ネコはおひさまが好(す)きなのに わからないわ 見(み)て　まぶしいのは おひさまじゃない グリゼルダのお城(しろ)だよ ほんと？　見(み)えないよ 見(み)えた すごくキラキラしてる なにが起(お)きてるか 調(しら)べよう これで おひさまも平気(へいき)さ モクモク　こっちにきて かわいそうに この光(ひかり)で目(め)がいたいの？ まぶしくて 飛(と)べないだろ ほら にあってるよ グリゼルダのお城(しろ)へ トゥルー グリゼルダ じゃあね　モクモク フルーキー　言(い)ったろ なめないで　べちょべちょだ わたしに賞(しょう)を 渡(わた)しに来(き)たの？ わたしのクリスタルの塔(とう)が 一番(いちばん)よね ちがう　大会(たいかい)じゃないよ だって みんなやってる なにをくれるの？ リボン？　トロフィー？ もしかして 王冠(おうかん)？ そうなんでしょ？ ごめん　王冠(おうかん)はない ティアラ？ ううん ヘアピン？ ううん そう　でもステキでしょ？ どのおうちよりも キラキラしてるわ でも 塔(とう)が光(ひかり)を反射(はんしゃ)して― 王国中(おうこくじゅう) まぶしいの このキラキラが見(み)えてるのね まぶしいなら サングラスをすればいいわ なんだ？ お城(しろ)が沈(しず)んだ？ お城(しろ)が？ そんなわけない それじゃ 失礼(しつれい) もっとステキなクリスタルが つくのを見(み)なきゃ ねえ こんにちは グリズモ こっちにきて この穴(あな)に行(い)くの？ ほらほら “うん”ってことね いこう　いこう ここだ ほら お城(しろ)の下(した)に住(す)んでるの？ いいわね ネコには向(む)かない家具(かぐ)だ ただ言(い)ってみただけ クリスタルはここから きてたんだ クリスタルの塔(とう)が 重(おも)くなって― 柱(はしら)が こわれそう これを見(み)せたかったの？ 大変(たいへん)だったね あぶない つかまえた ありがと お城(しろ)が沈(しず)んでるのね ここは城(しろ)の下(した) みんな 柱(はしら)がこわれる前(まえ)に にげて これは訓練(くんれん)じゃないぞ クリスタルの塔(とう)で 城(しろ)が重(おも)くなって― あなたたちの おうちに沈(しず)んでる にげよう クリスタルを外(はず)すよう グリゼルダにおねがいするわ そうしよう わたしのお城(しろ)が… グリゼルダ トゥルー　たすけて お城(しろ)が沈(しず)んでるの どうして？ クリスタルが… ちょっとまって わるい知らせは キライなの わかった　言(い)わない バートルビー クリスタルのせいだ そんな～！ おわった？ おわったわ 塔(とう)をなくさなきゃ 重(おも)すぎる でもキラキラで すごく気(き)に入(い)ってるの わかるけど 塔(とう)をなくさないと グリズモのおうちに 沈(しず)んじゃう つぶれちゃうよ そんな～！ またやってるよ グリゼルダ ごめん わたしはわるくない おうちがあったなんて 大丈夫(だいじょうぶ) わたしたちが お城(しろ)を支(ささ)えるから― その間(あいだ)に クリスタルを外(はず)して まかせたわ でも まぶしくて よく見(み)えないわ なんで こんな… そっか わたしのせいね それじゃあ 積(つ)み始(はじ)めよう できるだけ高(たか)くね これで大丈夫(だいじょうぶ) もう少(すこ)しで天井(てんじょう)だ 急(いそ)いで 大(おお)きい物(もの)が もうないよ 小(ちい)さい物(もの)を使(つか)って いい考(かんが)えだ　小(ちい)さい物(もの)を！ やった！　できたぞ われわれは成功(せいこう)を収(おさ)めた 歴史(れきし)の本(ほん)に書(か)くべきだよ “成功(せいこう)”はしてないね ここから出(で)よう グリズモ　外(そと)に出(で)て さあ グリズモ 列(れつ)を乱(みだ)さず移動(いどう)しろ やれることはやった ウィッシュに たすけてもらおう モクモク 願(ねが)いの木(き)へ もっと急(いそ)いで モクモク ズィー やあ 二人(ふたり)とも… ごめんね みんな大丈夫(だいじょうぶ)？ もちろん どれくらい ジャンプできるか見(み)てたんだ たのしそう ああ 外(そと)の光(ひかり)に ビックリしたみたい グリゼルダのお城(しろ)のせいなの クリスタルが重(おも)くて― お城(しろ)が沈(しず)んでるの それは大変(たいへん)じゃないか 座(すわ)って考(かんが)えよう 考(かんが)えはあるの？ 作業(さぎょう)してる間(あいだ) 光(ひかり)を隠(かく)さなくちゃいけない サングラスは？ せっかく これで かっこよくなったのに いつもかっこいいけど バートルビーったら お城(しろ)を支(ささ)えて グリズモのおうちを守(まも)る クリスタルの塔(とう)を なくすまでね そしてクリスタルを戻(もど)す もう わかってるみたいだね ３つのウィッシュを 分(わ)けてもらおう 準備(じゅんび)できたわ 願(ねが)いの木(き)よ ウィッシュを 分(わ)けてください 不思議(ふしぎ)な力(ちから)をもつ ウィッシュを どうか分(わ)けてください 願(ねが)いの木(き)よ どうか ウィッシュを分(わ)けてください お願(ねが)いです どうか 不思議(ふしぎ)な力(ちから)を 　　　分(わ)けてください お願(ねが)い　お願(ねが)い… お願(ねが)い　お願(ねが)い… 願(ねが)いの木(き)の不思議(ふしぎ)な力(ちから) すばらしいウィッシュだ ウィッシュ事典(じてん)を見(み)にいこう １つ目(め)はツムツムだ ツムツムは積(つ)み重(かさ)なり― 大(おお)きな物(もの)になるんだ アクロバットみたいだ 天井(てんじょう)を支(ささ)えるのに ピッタリだわ ２つ目(め)のウィッシュは プクプクだ 空気(くうき)を体(からだ)にためて 浮(う)かべるんだ これで塔(とう)の上(うえ)にいって― クリスタルを外(はず)せるわ ３つ目(め)のウィッシュは スベリンだ すべり台(だい)になる 上(うえ)にも下(した)にも すべっていけるんだ めずらしいだろ 上(うえ)にすべったことないよ これはどうやって 役(やく)にたつのかしら なにか思(おも)いつくさ ありがとう 願(ねが)いの木(き)も ウィッシュをありがとう じゃあね ズィー がんばって よし やろう ありがと モクモク まずは天井(てんじょう)を支(ささ)えて グリズモのおうちを― 守(まも)ろう ツムツムの時間(じかん)ね ウィッシュ あなたの出番(でばん)よ でてきて ツムツム 願(ねが)いをきいて ツムツム 積(つ)み重(かさ)なって すごくかわいい 見(み)かけによらず強(つよ)いな ツムツム がんばれ お城(しろ)は支(ささ)えたから― グリゼルダを手伝(てつだ)おう グリゼルダ　そっちはどう？ ダメよ まぶしくて見(み)えてない おひさまを隠(かく)さないと そうだね　それには… 大(おお)きい… 大(おお)きいプクプクで光(ひかり)を隠(かく)そう ウィッシュ あなたの出番(でばん)よ でてきて プクプク 願(ねが)いをきいて さあ プクプク 大(おお)きくなって でっかい このシッポ… どこで光(ひかり)を隠(かく)そうかな？ たすけて つかまえた さあ いくわよ こっちだよ 隠(かく)せてるよ グラグラしてる？ ちがう ボクだけか 急(いそ)いで クリスタルを外(はず)して もとの場所(ばしょ)に… ツムツムのところへ ずっとお城(しろ)は支(ささ)えられない 急(いそ)いでクリスタルを 戻(もど)さないと 急(いそ)いで グリズモ 今(いま) 向(む)かってるよ すごく急(いそ)いでる ほらよ ああ 急(いそ)げないよ　ヘトヘトなんだ どうなってるんだ？ つかまえた どうする？ いいこと思(おも)いついた クリスタルですべって 早(はや)く下(した)に こられた スベリンを使(つか)えば― クリスタルを早(はや)く運(はこ)べる スベリン すべろう！ ウィッシュ あなたの出番(でばん)よ でてきて スベリン 願(ねが)いをきいて スベリン すべり台(だい)をつくって グリゼルダのお城(しろ)までね いけ スベリン バートルビー いくわよ でも ここは一番下(いちばんした)だよ 上(うえ)にもすべっていけるって 言(い)ってたでしょ？ それはやってみたい レッツゴー 上(うえ)にいこう カーブして またカーブ またまたカーブ… トゥルー 遊(あそ)ばないでよ ちがうよ これでクリスタルを運(はこ)ぶの さあ みんな スベリンでクリスタルを 下(した)まで運(はこ)んで いいわよ グリズモ はしゃぎすぎるなよ やったわ　いこう 見(み)て 柱(はしら)にクリスタルを戻(もど)してる がんばってくれて ありがとう よくやったわ スベリン　プクプク よし！ トゥルー お城(しろ)を守(まも)ってくれた 少(すこ)しやりすぎたみたいね みんなに勝(か)ちたくて 少(すこ)しだけかな？ 大会(たいかい)じゃなくても 勝(か)ちたかったの でも グリズモをたすけた それが大事(だいじ) ドアをキラキラさせたいなら サプライズがあるよ まあ ステキね ほんとうにありがとう やったぜ まただわ わたしのケーキ？ ステキだわ さあ わたしの パーティーを始(はじ)めましょう 日本語字幕　礒崎 渚

アテルイ伝＃02

1 (タキ)<奈良に 大仏が造られ➡ 都が 今の京都に うつされようとしていた頃➡ 東北に 蝦夷と呼ばれた人達が 住んでいやんした｡➡ ﾔﾏﾄの威光が及ばねがらと➡ 一くくりに 蝦夷と呼ばれていたのす> (阿弖流為)佐斗 帰るぞ！ (道嶋大楯)愚かな蝦夷！ <780年 ﾔﾏﾄに従っていた 蝦夷の呰麻呂が➡ 反乱を起こしやんした｡➡ 阿弖流為は その乱に乗じて 捕まっていた妹を助け出し…> (阿佐斗)ナは 誰だ？ <陸奥国府の多賀城に 火を放ったのす> ♬～(ﾃｰﾏ音楽) ♬～ 佐斗｡ 川に入らぬか？ 気持ちよいぞ｡ ナは 誰だ？ また それか｡ 誰だ？ ああ ナは 大伴様の？ (佳那)はい 須受様が ｢ﾔﾏﾄの絹を 阿佐斗に届けよ｣と｡ それと…｡ 何だ？ 多賀城に 火を放たれたと 聞きましたが｡ ああ｡ 妹を助けたい一心で…｡ ワは 弖流様を 誇りに思います｡ ♬～ しかし 佐斗は 何も覚えておらぬ｡ 何も思い出さぬ｡ ワに 何か お役に立つ事があれば｡ ♬～ 恩に着る｡ また 遊んでやってくれ｡ 喜んで｡ ♬～ 大墓は 美しい所でございますね｡ 初めて来たか？ はい｡ さっき 通った森は ワら兄妹の遊び場だった｡ ３人で よく駆け回った｡ 比古兄は 仕掛けの名人でな｡ どこに仕掛ければ 何が取れるか よく知っておった｡ うらやましゅうございます｡ ワは そのような楽しい思い出を 持たぬ故｡ ♬～ ワは 捨て子です｡ 生まれた所も 父母も知らず ましてや 兄弟がいるのかさえ｡ ♬～ 今日から ナは ワと佐斗の兄妹だ｡ ♬～ はい｡ <呰麻呂の乱は 各地の蝦夷の族長達にも➡ 大きな波紋を投げかけやんした> ワは 呰麻呂に 手を貸さなかった｡ ﾔﾏﾄのお咎めも なかろう｡ ワも 断った｡ しかし 手を貸した者も やむにやまれぬ思いで…｡ すまぬ｡ うちの弖流が 軽はずみなまねを｡ (波奴志己)謝るヤツがあるか!? ワの志波は 北で遠いためか 呰麻呂からの誘いはなかった｡ あったら 喜び勇んで 手伝うておった｡ ナらの里も ﾔﾏﾄに踏み潰されたら 分かる ﾔﾏﾄに刃向かう気持ちが｡ (諸絞)ﾔﾏﾄの仕返しは 大きいぞ！ それを よく考えねば｡ (八十嶋)だからというて ﾔﾏﾄの 好きにさせておいて よいものか!? (族長１)ﾔﾏﾄに勝てる訳がない！ (族長２)ワのお父は➡ ﾔﾏﾄに殺された！ (言い争う声) ﾔﾏﾄは変わったぞ！➡ 商いして 穏やかに つきあっていた頃のﾔﾏﾄとは違う｡ だから 戦うしかない！ いや！ ﾔﾏﾄに刃向かってはならぬ！➡ ﾔﾏﾄの言うとおり ワらは どこかへ移り➡ この土地を明け渡すしかない｡ (多比良)須受様｡ 佳那！ 大事な客人だ｡ はい｡ (須受)佳那 外へ｡ はい｡ 道嶋大楯の子 道嶋御楯にございます｡ 聞いております｡ お父上 大楯様 呰麻呂の 狼藉により 亡くなられたとか｡ まこと お気の毒にございました｡ その憎き呰麻呂を追っております｡ 行方 ご存じありませぬか？ いいえ｡ もし 居所が知れましたら お教え下さい｡ 承知しました｡ 須受様｡ 蝦夷と 長き縁がおありとか｡ この際 その縁 切っては下されぬか？ 何を言われる!? (御楯)信濃に➡ 帰りたくはございませぬか？ 我に お力添え下され｡➡ 決して 悪いようには致しませぬ！ ♬～ (男１)ﾊﾊﾊ… 相変わらず 見事じゃの｡ (男２)あそこに当てるとはの！ (母礼)さすがの腕前じゃ｡ 母礼！ 無事だったか？ ナのおかげで 命拾いをした｡ 礼を言う｡ いつか ワが 同じ目に遭うたら 助けてくれ｡ 決して 見捨てはせぬ｡ 呰麻呂様！ ご無事で 何より｡ (呰麻呂)ナも｡ 妹を取り返したとか｡ ワらが 事を起こしたので➡ 伊治 磐具の里人は たちまち ﾔﾏﾄに追われる身となった｡ 阿久斗と 話がしたい｡ 取り次いでくれぬか？ それは 構わぬが…｡ お呼び立てして 申し訳ありませぬ｡ いつぞやは 失礼を｡ ワに 急ぎの用とは？ 磐具の里人も加え 100人余り➡ 生まれ育った土地を追われ 戻れませぬ｡ 勝手な願いながら 里人達を 引き受けてもらえぬものかと｡ このとおり｡ 乱を起こせし者の罪は 深い｡ ワ自身 相応の覚悟は できております｡ ♬～ 里人に 罪はない｡ 引き受けよう｡ お礼の申し上げようも ございませぬ｡ ♬～ ナの父は 見込んだとおりのお方｡ 呰麻呂様｡ 阿弖流為｡ ナにも 頼みがある｡ 母礼達を ナの下で 鍛えてやってくれぬか？➡ 皆 腕が立つ｡ 母礼は ﾔﾏﾄの軍略にも 精通しておる｡ 何なりと使うてくれ｡ ナのため ナの考えどおりなら ワは 喜んで働こう｡ ワに 考えなどあろうはずもない｡ ただ 末永う いつまでも ここで 大墓の里で暮らしたい｡ こたびの事 ワは ナがいたから立てた｡ 阿弖流為 頼むぞ｡ ♬～ 呰麻呂様！ 待て！ 追ってはならぬ｡ 託した里人達の命と引き換えに…｡ 呰麻呂様｡ 呰麻呂様は はるか西のﾔﾏﾄ憎しと 死んでいかれた｡ いや 伊治の里が 恋しかったのだ｡ そっちを向いて 今は➡ 里で 遊んでおられる｡ ♬～ 比古兄も呰麻呂様も 兄と慕うた人が 皆 いなくなる｡ ♬～ ワは 離れぬぞ！ ♬～ ナのそばに付いて 離れぬ！ ♬～ 忘れぬぞ！ ♬～ (阿万比古)ワは 蝦夷ぞ！ 蝦夷で 何が悪い!? (役人１)こら！ ﾔﾏﾄ人は 蝦夷を恐れているのであろう!? 恐れているから 罪をかぶせて ワを 亡き者にしようと…｡ (役人２)うるさい！ おとなしくしろ！ 呪ってやる｡ 死んでも お前らを 呪い続けてやる｡ 静かにしろ｡ (田村麻呂)待て！ どけ！ どけ どけ！ どけ！ そこの蝦夷 何をした？ (役人)盗みを 何度も繰り返し｡ ワではない！ ﾔﾏﾄは 蝦夷を 目の敵にし 何でも 罪をなすりつけ…｡ 蝦夷！ 先ほど 汝は ｢ﾔﾏﾄ人が 蝦夷を恐れている｣と申したが➡ それは 誤りだ｡ 余が それを 汝に教えてやる｡ ♬～ やはり 比古兄は 西へ…｡ (古天奈)風の噂ですが➡ 父が すぐに 阿弖流為に知らせてやれと｡ 何よりの知らせ｡ 比古兄は 西で生きている｡ 阿弖流為｡ (近づく足音) ワは 後にするか？ いや 構わぬ｡ 志波 波奴志己の娘 古天奈｡ おお｡ 古天奈なら 話してもよかろう｡ 磐具母礼｡ 故あって かくまってる｡ 磐具母礼？ 波奴志己様のお働き ワらの耳にも入っております｡ では ワは これで｡ いや 古天奈 ナも 話に加わってくれ｡ 波奴志己様の名代として｡ それがよかろう｡ いずれ 志波の 力も 借りねばならぬ時が来る｡ と 言いますと？ 志波 大墓が ﾔﾏﾄを跳ね返し 呰麻呂様が 乱を起こし➡ 伊治城 多賀城が燃えた｡ ﾔﾏﾄが このまま 黙っているとは思えぬ｡ 早くて ３年 遅くとも ５年の うちに ﾔﾏﾄは陣容を立て直し➡ 再び この地に現れると 母礼は言っておる｡ 何としても それまでに 各地の長達に声かけ➡ １人でも多く 兵を集め 鍛えねば｡ 父は 間違いなく立ちます｡ ﾔﾏﾄ追従は 無策に等しい｡ 母礼 まあ そう焦るな｡ まだ ３年の猶予がある｡ もう３年しかない｡ ﾔﾏﾄは 強いぞ｡ 大きいぞ｡ よく考えてから 事に当たらねば｡ ♬～ 西へ行ってみぬか？ 西へ？ ♬～ <当時 ﾔﾏﾄ軍に捕らえられた 蝦夷達は➡ 全国各地の村々に 移住させられやんした｡➡ 新たな土地での暮らしに なじめぬ者も多がったのす> (役人)急げ！ (役人)急がんか!? ♬～ このにぎわいは どうだ？ 珍しい物が 次から次に｡ ああ 目を奪われる｡ なのに 何故 ﾔﾏﾄは ワらから奪おうとする？ 十分ではないか!? 足りてるではないか!? なのに 何故 ワらから…？ そのとおりじゃ｡ 母礼 ﾐｶﾄﾞとやらに 聞きに参ろう｡ ≪(役人)どけ どけ どけ！ ≪(男１)近衛将監様だ｡ (男２)坂上田村麻呂様だ｡ (役人)どけ！ ♬～ 比古兄｡ 見たか？ (古天奈)えっ？ 今 比古兄が｡ (古天奈)どこに？ 見間違えたか…｡ (男１)田村麻呂様も 変わったお方よ｡ (男２)えっ？ 奴婢の事か？ そうだ｡ 処刑される蝦夷を助けて 奴婢にした｡ 物好きなお方だ｡ 比古兄だ！ すぐ戻る！ ♬～ これが 蝦夷の好む蕨手刀か｡ (延手)田村麻呂様の お申しつけどおり➡ 我ら 上野の鍛冶人総出で➡ 腕によりかけ 作り上げし 逸品にござりまする｡ 蝦夷の力を まざまざと見せつけられる思いだ｡ 蝦夷とは 長い戦になろう｡ (扉の閉まる音) 我に用か？ 聞かせてくれぬか？ 田村麻呂様のご家中に かような男がいたはずだが｡ 頭がよく 目が大きくて…｡ 何者だ？ ワの兄だ｡ 阿万比古という｡ よく似たのがいた｡ が 違うだろう｡ 鍛冶人に 飯は不要と 我を追い出した舎人がいた｡ 汝の兄上は そんな性悪か？ いや 違う｡ 別人だ｡ 役に立てず 悪かったな｡ ここには 何でもあるのう｡ 鉄の矢じり 鉄の鎧 甲…｡ ワらも 鉄は持ってる｡ あるにはあるが 兵の数が増えれば足りぬぞ｡ 勝負を決するのは 風より速く走る馬と 鉄だ｡ 馬は 大伴で 何とかする｡ やはり 鉄だ｡ 鉄は欠かせぬぞ｡ 自前で作れると 一層よいが…｡ (扉の開く音) ♬～ また 会うた｡ 聞いたか？ 呰麻呂様が 多賀城に火をつけたとか｡ 聞いて 我は 飛び上がって喜んだ｡ 乱を起こしたのは呰麻呂様だが➡ 多賀城を燃やしたのは 別の人間だ｡ 誰だ？ 胆沢 大墓の 阿弖流為とかいう男だ｡ 阿弖流為？ 聞かぬな｡ どんなヤツだ？ ワにそっくりな男だ｡ 汝に？ まさか…｡ 信じるな｡ ナをからかったんだ｡ 汝らは 何者だ？ (古天奈の笑い声) (古天奈)あれ 何だ？ (男)ﾔﾏﾄに刃向かうからだ！ (男達の騒ぎ声) (延手)蝦夷のさらし首だよ｡ (男)蝦夷め！➡ ﾔﾏﾄに刃向かうからだ！ (男達の騒ぎ声) 弖流｡ ♬～ 行くぞ｡ ♬～ 一つ ワも ぶつけてみるか｡ ♬～ ワが相手じゃ！ (延手の笑い声) 面白いヤツだな｡ ワは 胆沢 大墓の阿弖流為だ｡ ナの腕が欲しい｡ ワらは 物言わぬ首ではない｡ そう思わぬか？ 名は 延手｡ 延手 力を貸してくれ｡ 比古兄｡ 会えて よかった！ 来て よかった！ 何用あって？ ただ ただ 比古兄に 会いたかったのだ！ 帰ろう！ さあ 大墓へ帰ろう！ ワは 帰らぬ｡ ここで 生きていく｡ 決めたのだ｡ 比古兄…｡ 心配するな｡ 一度は ああなりかけたが もう二度と あんな惨めな事には｡ ♬～ 比古兄！ やめろ｡ あいつは もう 蝦夷に戻りたくはないんだ｡ ♬～ 我は約束する｡ 大墓に行くぞ｡ 鉄作りの腕のいいのを 連れて｡ 必ず行くぞ 阿弖流為｡ ♬～ 今から ﾔﾏﾄに備えておかねば 取り返しのつかない事になる｡ そこで 一計だが 各地の長は ﾔﾏﾄと戦う兵を出してほしい｡ 多ければ多いほど よい｡ 各地から集まった兵を ワらで鍛え 来るﾔﾏﾄの戦いに備え…｡ (族長１)戦が始まったら ﾔﾏﾄに寝返る気か？ (族長２)いつ あっちに付くか 分からんぞ あいつは！ (族長３)そうだ 信用できん！ (騒ぐ族長達) 聞いてくれ！ ナらが ワのような➡ 呰麻呂様の残党に 不審を抱くのは よう分かる｡ もっともだ｡ ワらが 乱を起こす前 確かに ﾔﾏﾄにくみして…｡ (阿久斗)やめろ！ ﾔﾏﾄと戦うために 伊治や磐具の 一族を引き受けた訳ではないぞ｡ 悪いが 大墓からは 兵は出さぬ｡ 一人もだ！ 前から言っておる｡ ﾔﾏﾄに刃向かえば 一つが 十にも 二十にもなって 返ってくる｡ 大墓からは 一兵たりとも出さんぞ！ おい！ 都の土産話が まだだろ？ 聞いてくれ 聞いてくれ｡ ﾔﾏﾄの女は 美しいぞ！ 都の女は いいぞ！ (皆の笑い声) 都は 物があふれとった｡ あれもこれも ワの欲しい物ばかりじゃ｡ (歓声) しかし 欲しくない物があった｡ 二つだ｡ 何だと思う？ 仏と観音だ！➡ どうじゃ？ 違う！ 広場に 二つ 並んでおった｡ みんな それに向かって 石投げとった｡ 何と思われる？ ♬～ 首だ！ 蝦夷の首だ！ ワらの仲間の首が さらしものになっとった！ ♬～ ワは 悲しゅうて 悲しゅうて…｡ 涙は出んのに 悲しゅうてしかたなかった｡ ♬～ 誰かいるか？ 死んで 石投げられても いいというヤツは｡ ♬～ 誰かいないか!? ♬～ (族長１)戦うぞ！ (族長達)おう！ ♬～ お父｡ 森は いい｡ ここの森は 宝じゃ｡ ワにも 小さい頃があってな｡ 朝 早うから 夜 暗くなるまで 森で遊んだんじゃ｡ ここを捨てたら 二度と この森へは帰ってこれぬ｡ お父もワも それでいい｡ さんざん遊んだからな｡ しかし 子供らは どうする？ これから この地で 生まれる子供らは 森を知らぬ｡ 森で遊べぬ｡ 弖流｡ ナなら 務まる｡ 長の仕事は 神祭りと戦じゃ｡ お父｡ 弖流 ナが 大墓の長になれ｡ ワは 疲れた｡ もう 務まらぬ｡ お父 本気で言ってるのか？ 当たり前じゃ｡ このような事は➡ 軽々しくは言えぬ｡ 阿万比古も いない｡➡ ナが 大墓の長になるしかないのじゃ｡ 弖流 ワも ﾔﾏﾄが憎いんじゃぞ｡ ♬～ ほかならぬ弖流の頼みじゃ｡ 馬を出してやろう｡ そう言って下さると思ってた｡ 無論 米と引き換えじゃ｡ まあ 強欲な事は言わぬから 安心せよ｡ うれしゅうございます 須受様｡ 馬の話とは思わなんだ｡ てっきり｡ ♬～ 早う 連れていけ｡➡ 佳那が ずっと待っているぞ｡ ♬～ 先に帰るぞ｡ ♬～ 弖流 よい友を持ったのう｡ ♬～ どこまで行こう？ 弖流様の行きたい所なら➡ どこまでも付いていきます｡ ♬～ よし！ ♬～ <そして その翌年> 延手｡ ちいと遅すぎたかの？ よく来てくれた｡ おお 阿弖流為！ 約束じゃ！ さあ 皆に会うてやってくれ｡ 見よ｡ たたらじゃ｡➡ たたらで 風を送り続けて➡ ３日３晩 炉の中の熱を上げ続ける｡➡ これで 砂鉄が どろどろに溶けるという訳よ｡ 熱を作るには 砂鉄と炭が 山のように必要だ｡➡ ここは 山の中だから 炭は 簡単に作れる｡ できた！ ♬～ 飯だよ！ できたよ！ ♬～ <訓練が軌道に乗ると 阿弖流為は 北の津軽へ 走りやんした｡➡ そこは 北の果てだったから➡ まだ ﾔﾏﾄの支配も 及んでいなかったのす｡➡ 津軽の長は 岩木といって ちょっと癖のある女子だったのす> 話は ここまで届いている｡ ﾔﾏﾄ相手の備えとか｡ 知っているなら 話は早い｡ 津軽も 一緒に立ってくれぬか？ 岩木様が味方に付いてくれたら➡ ワらは 北の心配をせず 南だけを向いて 存分に戦える｡ ワは ﾔﾏﾄを 敵に回すつもりはない｡ ここは どこからも手出しされず 栄えている｡ 誰を敵に回すのも ごめんじゃ｡ ﾔﾏﾄは 今はおとなしゅうても 必ず いつか ナらの敵に回る｡ その時になったら また 考えよう｡ なら どうしても？ 阿弖流為 ひと言だけ忠告してやる｡ ﾔﾏﾄの力は 強大ぞ｡ ナらの兵なぞ ひとたまりもない｡ 打ち負かせるなぞと考えるのは 大間違いじゃ｡ 悪い事は言わぬ｡ 今のうちに ﾔﾏﾄに逆らうのは よしたほうが｡ 間違うとるのは ﾔﾏﾄだ！ 気が変わったら 知らせてくれ｡ こっちに 火の粉を飛ばさんでくれよ｡ 来たよ 来たよ！ <それから しばらくして➡ 阿弖流為と佳那は 夫婦になりやんした> ♬～ 族長｡ 族長｡ 族長｡ ♬～ 阿弖流為｡ どうだ？ 昨夜は よう眠れたか？ おう｡ そうか｡ ナに渡す物がある｡ おう！ ♬～ <阿弖流為達は 鉄から たくさんの蕨手刀や➡ 鉄の鎧を作りやんした> ♬～ <そして 山部親王は ﾐｶﾄﾞとなり➡ 紀朝臣古佐美に 征東大使 蝦夷征伐の総大将を命じたのす> おう！ (桓武)坂東の安危 この一挙にあり｡➡ 我が方 ５万の兵をもってすれば 勝利は おのずと明らか｡ 朕は 静かに 吉報を待っておるぞ｡ はっ！ 朕の徳をもって 国を治むれば 民は 皆 幸せになる｡ 朕は 民の喜ぶ顔が見たい｡ ♬～ <789年 延暦８年３月➡ いよいよ 戦いの幕は 切って落とされやんした｡➡ ５万のﾔﾏﾄの大軍が 北を目指して 進軍を開始したのす> ♬～ ご無事で｡ ﾔﾏﾄのヤツらを 驚かせてやる｡ はい｡ ♬～ (海浦)弖流｡ おっ母｡ 心配するな｡ ワらの備えは万全じゃ｡ 言うか言うまいか 迷うたが 悪い夢を見た｡ 悪い夢？ 大勢のﾔﾏﾄの兵に囲まれて➡ 弖流 お前は たった１人なんじゃ｡ たった１人｡ ♬～ ♬～ ﾔﾏﾄの数に勝てるのは ワらの強い絆だけだ！ 朕が欲しいのは 阿弖流為の首じゃ｡ 一つ 派手に暴れてやれ！ (阿万比古)｢蝦夷をもって 蝦夷を制す｣は➡ かねてより ﾐｶﾄﾞのご意向｡ (田村麻呂)阿弖流為を 亡き者にする｡

とと姉ちゃん＃077

1 (恒夫)冬ちゃんも頑張るんやで！ えっ？ 恒夫にいちゃんも 頑張るんやで！ <翌朝 恒夫にいちゃんは➡ 朝 早くに 一人で黙って旅立ちました> ♬～ やだよ｡ 行きたくない｡➡ や～だ｡ どうしたの｡ 大丈夫か？ (常子)お竜さん？ お竜さん… お竜さん！ あ… あの… 私です｡ 昔 銀座で｡ 銀座？ はい… ﾋﾞｱﾎｰﾙで｡ ああ… ﾏﾌﾗｰの｡ そうです｡ ♬｢普段から｣ ♬｢ﾒｲｸしない 君が｣ ♬｢薄化粧した朝｣ ♬｢始まりと終わりの狭間で｣ ♬｢忘れぬ約束した｣ ♬｢花束を君に贈ろう｣ ♬｢愛しい人 愛しい人｣ ♬｢どんな言葉並べても｣ ♬｢真実には ならないから｣ ♬｢今日は贈ろう｣ ♬｢涙色の花束を君に｣ ♬｢涙色の花束を君に｣ ♬～ それじゃあ 川崎の親類のところに？ ああ｡ ほかに頼るところもなくて➡ 妹たちと向かってたんだ｡ あ 痛っ｡ あっ ごめんなさい｡ ごめんなさい｡ このけがも 空襲の時に？ まあ… そんなところさ｡ (美子) ねえ きれいにしてあげるから➡ おねえちゃんのとこに おいで｡ ほら 行ってきな｡ (鞠子)さあ こっちよ｡ おいで｡ ここ おいで｡ ここに座って｡ (君子)その節は 娘が お世話になったようで➡ ありがとうございました｡ お世話なんか してないよ｡ 助けて下さったじゃないですか｡ あ… よっちゃんがくれたﾏﾌﾗｰ 無くした時もね➡ 届けて下すったの｡ お世話になりました｡ もう よしとくれ｡ よかったら 召し上がって｡➡ こんな時だから 大したもの出せないけど｡ そんな事ないよ｡ あたいらには ごちそうさ！ さあ お待たせしました｡ はい どうぞ｡ ほら 食いな｡ (庸蔵)頂きます！ (和子)頂きます！ 空襲以降 何も口にしてなかったからね｡ 下町の方は ひどかったと 聞きました｡ 警戒警報が解除されて 安心しきったところで…➡ 急に始まったんだ 空襲が｡ あたいは 必死に こいつらに頭巾かぶせて➡ 防空壕へ放り込んだ｡ その直後➡ 家に焼夷弾が落ちてきてね｡ とても ﾊﾞｹﾂなんかじゃ消せない 火の海だった｡ このまま 庭の防空壕にいたんじゃ 焼け死ぬと思って➡ こいつらと一緒に 逃げ出したんだ｡ どこもかしこも ひどい ありさまさ｡ 火と煙と死体と悲鳴｡ どこに行っても それが付きまとう｡ しまいには 何とも思わなく なっちまったけど…｡ ♬～ じゃあ 庸蔵君 おねえちゃんと一緒に寝ようか｡ 嫌だよ｡ えっ 何で？ だって おねえちゃん 寝相悪いでしょ｡ 言ったな～！ うわ～ 逃げろ！ 待て待て 待て待て！ もう よっちゃん！ ほ～ら 捕まえた｡ さあ そろそろ 寝る準備しましょうか｡ じゃあ お布団ひくの 手伝ってくれる人！ (庸蔵 和子)は～い！ あと何年 続くんだろ｡ えっ？ 戦争さ｡ あの子たちだって➡ いつか 兵隊にされて➡ どっか遠くに行かされる日が 来るんじゃないかって…｡ そう思うと…｡ 悪い…｡ お竜さん｡ おっかないんだ｡ 去年の空襲で 父親が死んだんだ｡ あたいまで死んじまったら 弟や妹は…｡ そう考えると おっかないんだ｡ 私も…➡ 焼け出された人たちを見て➡ 同じ事 考えました｡ 私たちも いつ どうなるか分からないって｡ 明日 焼夷弾が 降ってくるかもしれないって｡ もし そうなったら➡ 何としてでも 私が家族を守らなきゃって｡ あたいだって…➡ 守れるもんなら 守ってやりたいよ｡ ここに来るまでに 庸蔵と和子に 何か食わせてやりたくて➡ やっとの思いで 食い物を恵んでもらったんだ｡ でも ２人のところに行き着く前に 奪われちまったよ｡ 男の２人組だったね｡ 力ずくで やられたよ｡ この腕は その時のけがさ｡ ひどい…｡ 今まで 男に負けないつもりでいたけど➡ 本気で来られたら➡ とてもじゃないが 太刀打ちできない｡ 女なんて 弱いもんだ｡ そう考えると あたい 一人で あいつら守ってやれるか…｡ ♬～ (君子)ﾌﾌﾌﾌ…｡ ただいま｡ (一同)お帰りなさい｡ お姉ちゃん どうして お外 行ってたの？ 外の空気を吸いたくなってさ｡ ふ～ん｡ それより お布団も敷かずに 何 話してたの？ 大きな声では言えないけど➡ 戦争が終わったら 何をしたいかって話｡ あ～｡ 庸蔵君と和子ちゃんは 何がしたい？ 前に お姉ちゃんに 連れてってもらった➡ 上野の動物園に行きたい｡ 私も！ ああ… いくらでも連れてってやるよ｡ (２人)やった～！ みんなは？ 何て言ったの？ 私は そりゃあ 好きなだけ小説を書く事よ｡ うん｡ 私は かわいい お洋服を➡ いっぱい作って 着たいなあって｡ (庸蔵)お姉ちゃんは？ あたいは…➡ 特にないよ｡ 戦争が終わってくれりゃ 十分さ｡ 最後は とと姉｡ ん？ とと姉は 何？ あぁ う～ん 私は…➡ やっぱり 雑誌作りかな｡ 五反田さんと約束したの｡ みんなが戻ってきたら 好きな雑誌を作ろうって｡ 女の私でも 自由に やりたい事を考えて➡ それを実現する雑誌をやりたい｡ ﾌﾌｯ やりたいばかりだけど｡ あんた 本を作る仕事なんか やってんだ｡ あ… 以前 お会いした時は ﾀｲﾋﾟｽﾄでしたよね｡ 私 今 雑誌の編集者 やってるんです｡ へえ…｡ この雑誌です｡ どうぞ｡ へえ…｡ あ… 興味なかったですか｡ ああ いや…｡ (庸蔵)お姉ちゃん もう眠い…｡ (和子)私も眠い…｡ それじゃ 寝ましょうね｡ 寝ましょう｡ こっち こっち｡ <その夜 常子は なかなか 寝つく事ができませんでした｡➡ もし 自分が生き残り➡ 戦争が終わる日を 迎える事ができたなら➡ 自分のやりたい事ができる雑誌を 作りたいと➡ 本気で思い始めていたのです> <翌朝 目を覚ますと➡ お竜と妹たちの姿は ありませんでした> (お竜)おはよう｡ あっ おはようございます｡ (庸蔵 和子)おはようございます！ おはようございます｡ えっ 何を？ 見りゃ分かるだろ｡ 掃除だよ｡ 泊めてくれたお礼にさ｡ ああ… ありがとうございます｡ 黙って行っちゃったのかと 思いました｡ そんな失礼な事 するもんかい｡ あたいを誰だと思ってんだよ｡ すみません｡ お～ 上手｡ おっ｡ おっ｡ お竜さん｡ 西の方は 電車が走っているそうなので➡ 川崎まで行くには 渋谷まで行くと いいそうです｡ そろそろ 出ようかと思ったんだけど➡ こいつが目に留まってさ｡ なあ… これは 何て題名だい？ 悪いけど 字が読めないんだ｡ 仮名は なんとか読めても 漢字は さっぱり…｡ ガキの頃から 母親がいなかったもんで➡ 学校にも行かず 家の手伝いやら➡ あいつらの面倒を 見てきたもんだから…｡ これは ｢新世界｣という雑誌です｡ ｢新世界｣か｡ あのあと 考えたんだけど➡ あたいは 戦争が終わったら いろんな事を知りたいね｡ いろんな事？ 字も そうだけどさ➡ 普通の人が 当たり前のように 知っている事を 知りたい｡ あんたが羨ましいよ｡ あんたは あたいが知らない事を たくさん知ってんだから｡ そんな事ありません｡ 今まで 働いて お金を稼ぐ事ばかり➡ 考えてきましたから｡ 私も 知らない事が いっぱいあって➡ 知りたい事や 見たい事が➡ まだまだ たくさん あるんです｡ そっか｡ あんたも一緒か｡ はい｡ ♬～ <この時 お竜と語り合った事こそが➡ 戦後の常子を 大きく動かす事になるのです>

いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう＃06

1 (母･音)せーの｡ ♬｢アルプス一万尺｣➡ ♬｢小槍の上で｣➡ ♬｢アルペン踊りを さあ 踊りましょ｣➡ ♬｢ランラララ ララララ ランラララ ラララ｣➡ ♬｢ランラララ ララララ ランランランランラーン ヘイ｣➡ やった｡ できた｡ やった｡ (音)つながった｡ (母)つながった｡ おった｡ (音)おーい｡ (母･音)音｡ おーい｡ (音)お母さん｡ (母)うん？ (音)コイって 何？ (母)池に おるでしょ｡ 赤と 白の｡ (音)魚と ちゃう｡ りょう君が 音に してるやつ｡ (母)ああ｡ そっちの 恋か｡ そやな｡ (音)うん｡ (母)お母さんが 思うんはな｡ (音)うん｡ (母)帰るとこ｡ (音)帰るとこ？ (母)うん｡ (母)うん｡ おうちも なくなって お仕事も なくなって➡ どっこも 行くとこ なくなった人の 帰るとこ｡ うん？ (母)うん？ 分からへんか｡ うん｡ (母)大丈夫｡ いつか 分かる｡ お母さん 音にも 分かってほしいわ｡ お母さん｡ (母)うん？ 見て｡ (母)何？ 犬のうんこ 発見｡ (音･母)ああー！ (母)埋めて｡ 埋めて｡ (音･母)埋めて｡ 埋めて 埋めて｡ (母)音｡ いつ したん？ してない｡ 音のやない｡ (音)＜追い抜いた覚えは ないのに もう 前を歩く母は いない＞ ＜27歳になった＞ ＜母が 死んだ年になった＞ ＜あれから ５年 たった｡ 東京にも 慣れた＞ ＜トイレの便座が 冷たいのは ５年後も 同じ＞ (音)はい｡ お手｡ うーん…｡➡ 偉いね｡ ≪(静恵)音ちゃん｡ (音)うん？ (静恵)どっちが いいかしら？ (音)彼氏って 年上ですか？ 年下ですか？ (静恵)年下｡ (音)うーん｡➡ こっちかな｡ 色っぽいし｡ (静恵)そうする｡ (音)うん｡ (静恵)あと｡ 音ちゃん｡ (音)うん？ (静恵)これ 古いものだけど｡ (音)えっ？ (静恵)嫌じゃなかったら｡ (音)えっ？ ちょっと かがんでみて｡ (音)いや｡ いいですよ｡ いいです｡ そんな｡ 私には もったいない｡ もったいなくない➡ 女性に なってちょうだい｡ ♬～ あっ｡ 谷口さんの 歯磨き介助 してくれた？ (物音) どうされました？ (松川)勘弁してよ｡➡ 動かないでって 言ってるでしょ｡ 代わります｡ 後ろに 行って｡ 川崎さん｡ 大丈夫ですか？ よいしょ｡ じゃあ つかんでください｡ いきますよ｡ せーの｡ はい｡ あんな言い方 しないでください｡ (松川)すいませんでした｡ (一同)乾杯！ (一同)ああー｡ (朋子)いや｡ でも みんな 元気そうで よかったよ｡➡ ホントに｡ えー？ 何 食べようかな？ (朋子)ねえねえ｡ 杉原はさ 今 もう 介護福祉士の➡ 資格 持ってるんでしょ？ 給料 上がった？ 給料 上がるって 何ですか？ (朋子)えっ？ (美織)昔 そういう 世の中が あったらしいよ｡ (朋子)何？ そういう 世の中って｡ 仕事の量は➡ ３倍になりましたけど｡ (朋子)ふーん｡ あっ｡ このタンシチュー おいしそう｡ (美織･朋子)うん｡ 確かに｡ 食べたい｡ (朋子)違う違う 違う違う 違う｡ えっ？ (朋子)はい｡ こっち｡ (音･美織)あっ｡ ああ｡ サラダ系 頼みます？ (朋子)あっ｡ そう｡ サラダ｡ こないだ 社員さんにさ➡ ちゃんと 自炊して サラダとか 食べなよとか 言われてさ｡➡ そんな サラダとか 作れるほど➡ 給料 もらってないんですけどっていう｡ (美織)私なんか 今月で 切られるんですよ｡ (朋子)まあ 私ら 派遣はさ➡ これから ３年ごとに 職場 替わることになるんだしさ｡ (美織)そっか｡ すいません！ 注文 お願いします｡ (従業員)はい｡ (朋子)杉原は 元気だね｡ 杉原 一杯だけ 飲みます｡ (朋子･美織)おおー｡ (朋子)じゃあ 私も 飲もっかな｡ 生ビール！ (朋子)じゃあね｡ ありがとうございます｡ (美織･朋子)バイバイ｡ またね｡ (朋子)バイバイ｡ ああー｡ (美織)ほら｡ 大丈夫？ (朋子)杉原！➡ 生き残れよ！ こんばんは｡ (静恵)うん｡ ≪こんばんは｡ あっ｡ 木穂子さん!? (木穂子)久しぶり｡ えー？ びっくり｡ (静恵)座って｡ (木穂子)３年前に 会社 辞めたの｡ で 今は デザイン系の事務所で｡ へえー｡ あっ｡ お会いできて うれしいです｡ (木穂子)５年？ かな｡ ５年ぶり｡ ああ｡ 何だっけ？ あの｡ 介護の お仕事｡ うん｡ 変わってないです｡ ふーん｡ ねえねえ｡ ご飯とか 行きたいね｡ 行こう｡ 焼き鳥とか 食べられる？ うん｡ 好き｡ ちょっと｡ ここね 塩レモンで｡ うわー｡ おいしそう｡ えっ？ 行こ 行こ 行こ｡ ぜひ｡ ねっ？ 杉原さんは 独身？ です｡ うん｡ 一緒 一緒｡ 彼氏は？ います｡ へえー｡ いいな｡ 木穂子さんは？ いるんだけど｡ いるんじゃないですか｡ うーん｡ でも どっちも 忙しくて｡ どんな人なんですか？ うん｡ １年くらい前に 知り合って｡ やっぱり デザイン関係の｡ へえー｡ 杉原さんの 彼氏は？ 前に｡ 覚えてるかな？ あのう｡ ここで １回 私と 一緒にいた｡ 分かります？ 同じ介護の職場で｡ ああ｡ あれ？ あの｡ あの しゅっとした？ そうそう そうそう｡ えー？ あの人なんだ？ へえー｡ ああ｡ そっか｡ ああ｡ 練と 付き合ってるのかと 思ってた｡ そうなんだ｡ うん｡ 私も 木穂子さん そうだと 思ってました｡ えっ？ じゃあ 最近 練とは？ 全然｡ あれっきりです｡ 最後に 会ったの➡ あのとき ここで｡ あのとき？ はい｡ そっか｡ 私も あれっきり｡ 連絡とかは？ 震災のとき｡ あっ｡ 連絡 なかった？ ありました｡ でも その日は もう 全然 つながんなくて｡ 会津だったしね｡ うん｡ あれ？ 次の日｡ その次かな？ やっと つながって｡ で メールだったんだけど｡ 何回か こう 無事です 無事ですって｡ 私もです｡ その次の日 何回か メールで やりとりして｡ もう それっきり 連絡 なくて｡ アパートは？ 静恵さんに 言われて 見に行ったときには➡ もう 空き部屋になってました｡ それだけ？ 木穂子さんと 一緒だと 思ってました｡ 私も あなたと 一緒だと 思ってた｡ 貸してた お金も 全部 振り込まれてたし｡ ああ｡ もう 私に 会う気は ないんだなと思って｡ そうなんですか｡ うん｡ 携帯の番号って まだ 持ってる？ お風呂掃除してて １回 落としちゃって｡ そっか｡ 変わってないのかな？ うん？ かけてみようかな？ うーん｡ かけてみよう｡ [TEL](呼び出し音) あっ｡ もしもし？ 夜分 遅く 失礼します｡ あっ｡ 日向と申しますが｡ こちら 曽田さんの携帯…｡ あっ｡ そうですか｡ あっ｡ 申し訳ありません｡ 間違えました｡ はい｡ 失礼しました｡ はい｡ ああー｡ フフッ｡ うーん｡ 出なくて よかった｡ うん｡ いまさら➡ 昔の女から 連絡 きてもね 困っちゃうよね｡ 私 あのとき あなたに 負けたって 思ったんだ｡ あなたと 練が 今 一緒に いないんなら➡ 私 何で 身 引いたんだろ？ あっ｡ 別に いまさら➡ 何がっていうわけじゃ ないんだけどね｡ うん｡ でも こう｡ たまに こう｡ 練の名前 検索しちゃったりするの｡ ♬～ ♬～ ♬～ (朝陽)僕もね ここで➡ おととしまで 働いてたんですよ｡➡ あっ｡ 神部さん｡ 新人には 厳しいから 頑張ってくださいね｡ (神部)やめてくださいよ｡ 井吹さん｡ あっ｡ おはようございます｡ (朝陽)おはようございます｡ (神部)お茶｡ (朝陽)あっ｡ 僕は いいよ｡ (神部)じゃあ 君たちは 先に 交流室に 行ってて｡ (一同)はい｡ 失礼します｡ (神部)本社は どうですか？ (朝陽)派遣事業は 伸びてるけど 法改正もあって➡ 介護で 採算 取るのは 難しいみたいだね｡ (神部)勝浦の施設も 売却が 決まったと 聞きました｡➡ うちは どうなんでしょう？ (朝陽)うーん｡ どうだろうね？ (神部)いや｡ 井吹さん｡ 何とか してくださいよ｡ (朝陽)いや｡ 僕の 今の仕事は 本社で 派遣登録業務だよ｡ そんな権限 ないし｡ まあ 駄目なときは 駄目なもんだからね｡ (神部)手 洗った？ 洗いました｡ 手 洗った？ 洗いました｡ フフフ｡ ネックレス 珍しいよね｡ 静恵さんから もらって｡ (朝陽)うん｡ 似合ってる｡ やめてよ｡ 緊張するから｡ (朝陽)何で？ だから ファミレスにしようって 言ったのに｡ (朝陽)これぐらい 普通だよ｡ 普段 来ないじゃん｡ (朝陽)それは だって ２年 付き合ってて➡ 二度とも クリスマスに 付き合ってくれなかったからね｡ 仕事｡ (朝陽)音ちゃんが➡ 引き受けちゃうからでしょ｡ だって➡ みんな 彼氏と 約束 あるって…｡ [TEL](バイブレーターの音) どうぞ｡ [TEL](バイブレーターの音) [TEL](バイブレーターの音) あっ｡ ねえねえ｡ 船川さんって 覚えてる？ (朝陽)もちろん｡ 彼女も うちで 派遣登録してる人でしょ｡ そう｡ あの｡ 今日 何回か 連絡があって｡ ずっと 擦れ違ってて｡ (朝陽)いいよ｡ 出て｡ ごめんね｡ (朝陽)うん｡ [TEL](バイブレーターの音) (朝陽)デザート 注文した タイミングで｡ (従業員)照明 落として 音楽 スタート｡ (朝陽)ハァー｡ (朝陽)もし 断られたら｡ (従業員)断られること 考えて プロポーズするやつ いるか？ ♬～ デザート 何にしよっか？ 船川さん すごく 困ってるみたいで｡ 今 朝陽君と 一緒だよって 言ったら➡ 相談に 乗ってもらえないかなって｡ 俺に？ 本社の人にね➡ 聞いてもらいたい話が あるみたい｡ 今から？ うん｡ そっか｡ (玲美)月に 120時間 残業してたんですけど｡ 残業代が 出ません｡➡ 時間内に 終わらない量の 仕事をしても➡ 君が 勝手に 残業したんだから 当たり前だって 言われます｡ (玲美)精神的に 参って 診断書 もらってきたら➡ 甘えてる 証拠だからって➡ 会議室で 毎日 反省文を 書くことになりました｡ なるほど｡ 私たちって 消耗品なんですか？ 分かった｡ 僕から 上に 相談してみるよ｡ ホントですか？ (朝陽)うん｡ 任せて｡ (玲美)ああ｡ ハァー｡ よかったね｡ 朝陽君｡ ありがとう｡ (朝陽)音ちゃんの 友達だしね｡ 本来なら 自己責任だと 思うけど｡ まあ 何とかするよ｡ その代わり 俺からも お願いがあるんだけど｡ うん｡ 月曜日 休みでしょ？ えっ？ ちょっと 無理｡ まだ 見せてないし｡ ｢10 YEARS ANNIVERSARY｣って 書いてあった｡ 人が 集まったり 飲んだり 食べたりするだけで｡ パーティーでしょ？ 絶対 大丈夫｡ もう 絶対 シャンパン あるもん｡ あの｡ 積んであるやつ➡ 絶対 倒しちゃう｡ 倒しちゃっていいから｡ 倒していいはず ないでしょ｡ ドレスも 靴も 一式 プレゼントするから➡ それ 着て 一緒に行こう｡ いらない｡ もったいない｡ もったいなくないって｡ 音ちゃんの年だったら➡ ドレス 着て パーティー 出るぐらい 普通なんだよ｡ はい｡ もう いいんだよ｡ 君は お母さんより 長く 生きるんだから｡ お母さんの分も 楽しい思い しなきゃ｡ (大輔)ｺﾊﾞﾔｼさんは 朝 ８時 起床｡ ≪８時 起床｡ (大輔)ああ｡ お疲れさま｡ お疲れさまです｡ (大輔)早く 帰って ゆっくり 寝て｡ はい｡ ３日ぐらい 寝れそうです｡ お疲れさまでした｡ ≪お疲れさまでした｡ ♬～ (加持)ああ｡ すいません｡ 今 出しますんで｡ あっ｡ あのう｡ 柿谷運送さんですか？ (加持)はい｡ (加持)何か 練の 知り合いみたいです｡ (嘉美)誰？ (加持)うん｡ (嘉美)おいで｡ 失礼します｡ すいません｡ すいません｡ あの｡ 申し訳ありません｡ お忙しいところ｡ (嘉美)食べる？ ほら｡ あっ｡ ありがとうございます｡ (嘉美)皮ね ここ 出してね｡ はい｡ (嘉美)あんた 練の女？ フフフ｡➡ もう ５年も前に 辞めたよ｡ 電話 一本 よこしたっきり｡➡ あれ以来 顔も見てない｡ そうですか｡ (嘉美)ねえ？ 佐引なら 分かるかな？ (加持)ああ｡ (嘉美)佐引も あの後 しばらく 福島 戻ってたでしょ？ (加持)そうっすね｡ (嘉美)ちょっと 待ってて｡ えっ？ あっ｡ いいです いいです｡ もう ホントに｡ はいはい はいはい はいはい｡ (佐引)ボルト 知ってる？ ウサイン･ボルト｡ (佐引)そう｡ 俺が あいつに 走り方 教えてやったんだよ｡ えっ？ (佐引)ジャマイカで｡ 俺 高校生で あいつ まだ 小学生んとき｡ へえー｡ フッ｡ (佐引)練に 会いたいのか？ いえ｡ (佐引)じゃあ 何でだ？➡ 何のために 居場所 捜してるんだ？ 知り合いが 捜してたので｡ (佐引)だったら その知り合いが➡ 聞きに来ればいい｡ はい｡ ごめんなさい｡ ただ｡ あの｡ 元気にしてるかどうか➡ それだけ 知りたかったんです｡ 会津の家で おじいちゃんと 一緒に 暮らしてるなら➡ それで い…｡ じいさんなら 死んだ｡ あいつは 今 東京に いる｡ (佐引)ここに いる｡ 会いたいなら 持ってけ｡ ♬～ (晴太)練君｡➡ あっち｡ ♬～ (晴太)あっち｡ ≪(山下)はい｡ (晴太)山下さん｡ 迎えに来ました｡➡ 尾辻から 連絡 いってると 思うんですけど｡➡ 中條です｡ ≪(ノック) (晴太)えー｡ そしたら 片付けてもらって➡ 準備してもらって｡ 僕 外で 待ってるんで｡ ♬～ (石黒の すすり泣く声) (石黒)お金が 無い｡ お金が 無いです｡ (晴太)じゃあ サインしてください｡ (山下)ここが 派遣会社なの？ (晴太)うちも 下請けなんで｡ 小さいですけど➡ その分 親身になって 相談に 乗れます｡ (山下)何か 聞いてた 仕事と 違わない？ (晴太)まあ いい仕事は やっぱり 先に 埋まっちゃうんで｡ (山下)産廃の処理とか できないよ｡ (晴太)あっ｡ 大丈夫です｡ だいたい 限定品の➡ セールに並ぶ 仕事とか 工場で 流れてくる➡ 蒸しパンに チョコ 載せる 仕事とか｡➡ まあ あと 出会い系のメール 書いたり｡ そういう感じの｡ (山下)ハァー｡➡ ちょっと 時給 安過ぎない？ あんたら ピンはねしてるんだろ？ (晴太)いや｡ そんなわけ ないでしょ｡ (尾辻)うち以外で 雇ってくれるとこ あるの？➡ アパートの 保証人にだって なってあげるし｡➡ われわれはね 貧しい若者を 応援したいんだよ｡ ねっ？ (晴太)印鑑は 持ってきたかな？ ♬～ (尾辻)お疲れ｡ (晴太)すいません｡ (石黒)あっ｡ (石黒)ありがとう｡ ♬～ (晴太)はい｡ (晴太)どこ 行くの？ (練)買い物｡ (生徒)あの おっさん 万引して 逃げてて 転んだらしいよ｡ (生徒)嘘？ マジで？ (生徒)ヤバくね？ (生徒)自業自得過ぎるでしょ｡ (生徒)あの年で ヤベえよな？ ♬～ (ノック) (練)ご飯 できたよ｡ (朝陽)お疲れさま｡ (朝陽)あっ｡ どうしたの？ (和馬)ちょっと いいか？ (朝陽)うん｡ 俺も ちょうど 相談が あったんだ｡ (朝陽)派遣先で トラブルに 遭ってるらしいんだ｡➡ まあ そういう例も 多いだろうし 普通は ほっとくんだろうけど｡➡ その子 俺の彼女の 友達なんだ｡ (和馬)お前 そういうやつだったか？ (朝陽)何が？ (和馬)昔は➡ 世の中を 変えたいって 言ってたのにな｡➡ 今じゃ 彼女の友達を 特別扱いしろか｡ (朝陽)いや｡ 俺は…｡ (和馬)悪いけど 俺は 何も してやれないよ｡ 異動願いを 出した｡ (朝陽)えっ？ 何で？ 親父に 疲れた｡ (朝陽)フフフ｡ 何？ それ｡ お前 うちのグループが➡ どうやって 大きくなったか 知ってるか？ それは 派遣業務で｡ (和馬)違う｡ 企業を買収して 不動産を 手に入れたら つぶすんだ｡➡ そうやって 親父は 金を 生みだしてきたんだ｡➡ 親父が 俺に与えた仕事は➡ つぶした会社の 社員を 全員 解雇することだった｡ (和馬)この10年 俺は 散々 ｢鬼だ｡ 人でなしだ｣って 言われてきたよ｡ 親父は 何で そんな やり方を？ 殺すか 殺されるか それしか ない人なんだよ｡ なあ？ お前｡ 兄ちゃんと 一緒に 親父を 追い出さないか？ (静恵)奇麗よ｡ とっても 奇麗｡ (静恵)バッグも 頂いたの？ うん｡ 結構 高そうですよね？ ２万円!? フッ｡ バカね｡ えっ？ 20？ えっ？ ちょっと｡ どうしよ？ どうしよ？ どうしよ？ はい｡ いってらっしゃい｡ はい｡ [TEL](バイブレーターの音) はい｡ はい｡ そうです｡ はい｡ 分かりました｡ 失礼します｡ うん｡ 平気 平気｡ 時間 つぶしてるから｡ [TEL](朝陽)ごめん｡ ごゆっくり｡ はーい｡ じゃあね｡ ♬～ ♬～ (ノック) (秘書)失礼します｡ (征二郎)おおー｡ (征二郎)座れ｡ (朝陽)はい｡ (征二郎)ビール 飲むか？ (朝陽)はい｡ (征二郎)ビール｡ (秘書)はい｡ (征二郎)ハァー｡ 聞いたか？ 和馬が 異動願いを 出した｡➡ フッ｡ 弱いやつは 駄目だ｡ (征二郎)なあ？ 朝陽｡➡ あしたから 社長室に 入れ｡➡ これからは 俺の後を 継ぐつもりで やれ｡ ≪(ノック) (征二郎)はい｡ ♬～ (征二郎)うん｡➡ お前も もう 30か？ (朝陽)はい｡ (征二郎)つい この前 生まれたばかりなのにな｡ ♬～ (征二郎)和馬に 電話しろ｡ (朝陽)はい？ お前が あいつに リストラを 告げるんだ｡ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ ♬～ あっ｡ えっ？ えっ？ 引っ越し屋さん！ 引っ越し屋さん！ ♬～ ♬～ ♬～ お邪魔します｡ 失礼します｡ 久しぶり｡ 柿谷運送の方に 教えていただいて｡ ごめんなさい｡ すぐに 帰るから｡ 何か この部屋 カラオケ屋さんみたいですね｡ (練)もともと カラオケ屋だったんで｡ やっと しゃべった｡ ふーん｡ やっぱり｡ 照明とか 壁紙とかも 何か そういう感じだよね｡ カラオケは ないんですか？ そこ｡ そこの壁紙の 若干 色あせてないとこ➡ カラオケマシン的なやつ あったんじゃないんですか？ フフッ｡ ほこり 捕まえた｡ すいません｡ (練)何の用ですか？ えっ？ 何の用ですか？ あっ｡ この間 木穂子さんに 会ったんです｡ で 引っ越し屋さんの 話になって｡ 引っ越し屋じゃ ありません｡ あっ｡ 何屋さんですか？ 曽田です｡ あっ｡ 名字｡ 曽田さん｡ はい｡ えー｡ 曽田さんの 話になって｡ ｢曽田さん どうしてるのかなぁ？｣って｡ まあ ホントは ｢練 どうしてるのかなぁ？｣って｡ ホントは 呼び捨てだったんですけど｡ ハァー｡ すいません｡ 呼び捨てして｡ 何の用ですか？ 用｡ 用は ないです｡ 特に ないです｡ ありません｡ ハァー｡ はい｡ (割れる音) (割れる音) ♬～ ♬～ ♬～ 隕石的な？ あっ｡ 違うよね｡ 裏から 出て｡ えっ？ 裏から 出て 帰って｡ いや｡ 何なんですか？ 今の｡ 逆恨み｡ 知ってるやつ｡ 引っ越し…｡ 曽田さん｡ 今 何の仕事してるんですか？ 早く｡ ここの会社の名前➡ 検索したんです｡ 求人の 何か｡ 何か そういうところに➡ 怒ってる人たちがいて 色々 書いてありました｡ お金に 困ってる人に 付け込んで➡ いい話のふりして 法律 すれすれの 仕事を➡ 斡旋してるとか｡ それが 何？ そうですよ｡ 金に困ってる どうしようもないやつ➡ 見つけてきて 仕事 紹介してます｡ だまして ピンはねしてるから たまに 逆恨みして➡ ネットに 書き込まれたり｡ ちょっと 元気のあるやつは 石 投げてきたりしますけど｡ だから 早く 帰って｡ どうして ｢何の用ですか？｣なんて 聞くの？ ｢何の用ですか？｣なんて｡ 用なんか あるわけ ないじゃないですか｡ 用があって 来てるわけ ないじゃないですか｡ 用があるぐらいじゃ 来ないよ｡ 用がないから 来たんだよ｡ 顔が 見たかっただけですよ｡ 私は…｡ 私は こっちに いたから 東京に いたから➡ メール もらっても 人づてに 聞いても➡ 実際 会うまで 分かんないじゃないですか｡ 大丈夫かどうか 分かんないじゃないですか｡ 顔 見たかっただけです｡ 声 聞きたかっただけです｡ 無事で よかった｡ いて よかった｡ それだけです｡ まあ ちょっと 大げさに 言いましたけど｡ でも 何か 危ない仕事 してるんなら➡ そういうのは…｡ ｢そういうのは｣って？ やめた方が｡ あんたには 分からないよ｡ えっ？ ♬～ うち 転売も やってるんで 知ってます｡ このバッグ 幾らするか 知ってます｡ これは…｡ あんたには もう 分からないよ｡ 分からない｡ もう 違うから｡ ♬～ ♬～ はい｡ ♬～ あのね｡ ≪(鍵の締まる音) ≪(ドアの開く音) 小夏｡ 起きたのか？ (小夏)何？ 違う｡ 窓が 割れただけ｡ (小夏)どうして？ 大丈夫｡ 大丈夫だから｡ (荒い息) 大丈夫 大丈夫｡ (荒い息) 大丈夫 大丈夫｡ (荒い息) 何でもない｡ (荒い息) 何でも ないから｡ ねっ？ (荒い息) ゆっくり｡ ゆっくり｡ 大丈夫｡ (荒い息) もう 大丈夫｡ (荒い息) [TEL](朝陽)ごめん｡ 今日 パーティー 行けなくなった｡ ああ｡ 分かった｡ 大丈夫｡ じゃあね｡ ♬～ ♬～ ああ｡ ♬～ (晴太)また？ 飯 食うか？ 大丈夫？ 何が？ 一生 小夏ちゃんの 面倒 見んの？➡ 一生 償うつもりで いんの？ ♬～ 玉子丼で いいか？ 今日 ごめんね｡ ううん｡ 風 強かったでしょ｡ 早く 入って｡ ありがとう｡ 今 あったかいもの 入れる｡ うん｡ 今ね 船川さんから 電話があって➡ こないだのこと どうなったかなって｡ まだ かかりそう？ ああ｡ そうだね｡ そっか そっか｡ じゃあ また そういうふうに 伝えとく｡ どうした？ 親父と 会った｡ 親父が 俺の目を見て 話してくれたんだ｡ そうなんだ｡ よかったね｡ 音｡ よかったね｡ 何か うれしいね｡ 結婚しよう｡ 結婚しよう｡ どうしたの？ 急に｡ ♬～ 俺と 一緒に 幸せになろう｡ ♬～