7. NVDA の便利な機能

7.1. アドオンの活用

NVDA のためのさまざまな機能拡張ツール「アドオン」が入手可能です。

例えば視力のあるユーザーはフォーカスやレビューカーソルを視覚的に確認するために 「フォーカスハイライト」というアドオンを使うとよいでしょう。

アドオンの説明はユーザーガイドの下記をお読みください。

NVDAメニュー ツール「アドオンマネージャー」には、「アドオンを入手」というボタンがあり、 ここから「NVDAコミュニティによるアドオン紹介」というサイトを開くことができます。

NVDA を実行しているときにアドオンファイルを開く(実行する)と、 そのアドオンをインストールできます。

使い方の簡単なアドオンをふたつ紹介します。

現在のフォーカス位置の要素の操作を NVDA+H を押すと説明します:

フォーカス位置とレビューカーソル(オブジェクトナビゲーション)を強調表示します:

なお NVDA 2019.3jp 以降にはほぼ同じ機能が備わっているので、アドオンは不要です。 NVDA 設定ダイアログ「ビジョン」カテゴリから「フォーカスハイライト」または「ビジュアルハイライト」を有効にできます。

NVDA のアドオンはこのほかにも、さまざまなサイトで公開されていますが、 NVDA の最新版と互換性がないものやライセンスが不明なものも ありますのでご注意ください。

NVDA の終了オプションで「アドオンを無効にして再起動」が選べます。 また「アドオンマネージャー」で、アドオンごとに無効の状態(保留中)に切り替えることもできます。

7.2. 設定プロファイル

NVDA の「設定プロファイル」は、 例えばアプリケーションごとにブラウズモードの設定を使い分けたいときに便利な機能です。

例として、メモ帳 (notepad) を使うときだけ音声エンジンの話者を変える プロファイルを作ってみます。 この例を応用して、ぜひ便利な活用法を考えてください。

まず、NVDAとメモ帳を起動して、メモ帳のアプリケーションが選択された状態にします。 NVDA+Ctrl+Pを押して、設定プロファイルのダイアログを開きます。

さらにTabで「新規(N)」のボタンに移動して、スペースを押して プロファイル作成のダイアログを開きます。

最初はプロファイルの名前の入力にフォーカスがありますが、 Tab を押して「アクティブ化」の方法を選ぶラジオボタンに移動します。 右矢印を押すと「現在のアプリケーション(notepad)」が選択されます。

ここでShift+Tabを押してプロファイルの名前に戻ると、 名前に notepad という名前が入ったことがわかります。

名前はさらに変更できますが、ここではEnterを押してダイアログを閉じます。

これからプロファイルを「通常の設定」に戻すまでは、 何か NVDA の設定を変更すると、 この notepad というプロファイルでだけ有効になり、 notepad 以外には反映されません。

音声設定ダイアログで話者を(例えば mei から lite に)変更しましょう。

最後に、プロファイルを戻すために、もう一度 NVDA+Ctrl+P を押します。

プロファイルのリスト項目 「notepad(編集中、トリガーしました)」 が選択されているので、上下矢印(おそらく上矢印1回だと思いますが)で 「通常の設定」という設定に戻して、 「閉じる」ボタンで設定プロファイルのダイアログを閉じてください。

これで notepad は lite の声で、それ以外のアプリケーションは mei で 読み上げるようになります。

notepad というプロファイルを削除すればもとの状態に戻ります。

詳しくはユーザーガイドをお読みください。

7.3. 入力ジェスチャー

NVDA の操作のためのキー入力やタッチ操作、点字ディスプレイのスイッチ操作を、 NVDA ではまとめて「入力ジェスチャー」と呼びます。

NVDA の操作のための機能と「入力ジェスチャー」の対応は、 NVDA メニューの設定「入力ジェスチャー」で自由に変更できます。 お使いのキーボードで押しにくい操作のキー入力を変更することもできます。

練習のためには例えば「日付と時刻の報告」を NVDA+Z に割り当てる、 といった設定をしてみてはどうでしょうか。

まず入力ヘルプやコマンド一覧表で、自分が割り当てたい機能がどういう名前で どう分類されているかを把握しておくとよいでしょう。

実際の操作は「入力ジェスチャー」のツリービューで機能を探して、 その機能の下の階層にキー入力などの追加や削除を行う、 という手順になります。

ユーザーガイドの下記の項も参照してください。

7.4. タッチモード

Windows 8 以降でタッチ対応ディスプレイがあれば NVDA は自動的にタッチモードで動作します。 タッチモードは NVDA をインストールした場合だけ有効で、ポータブル版の NVDA では利用できません。

画面を触るとその場所にナビゲーターオブジェクトが移動します。 三本指タップで「テキストモード」「オブジェクトモード」が切り替わります。 オブジェクトモードでは左右にフリックするとナビゲーターオブジェクトが 「前の要素」「次の要素」に移動します。 ただし階層をまたいで自動的に移動してくれるので、キーボードよりもちょっと便利です。 テキストモードでは左右にフリックするとレビューカーソルが文字単位で左右に移動します。

「入力ジェスチャー」設定でタッチ操作の機能の割り当てを変えることもできます。

スクリーンリーダーでのキーボードなしでの文字入力は不可能ではないが難しいと思います。 キーボードなしで利用できるかどうかは、使いたいアプリや 作業の内容によりますので、事前にお調べになることをお勧めします。

なお、Windows 10 には「デスクトップモード」と「タブレットモード」があります。 タブレットモードではスタートメニューやアプリが全画面になった状態で(最大化されて)動作します。 このガイドブックでは「タブレットモード」については紹介しません。