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スイスで４日、公共テレビ・ラジオ放送の受信料の廃止を問う国民発議（イニシアチブ）「ノー・ビラグ」と、付加価値税（VAT）と連邦直接税の課税期限延長を問う「新財政規律２０２１」の２件が国民投票にかけられた。「ノー・ビラグ」は反対が７１．６％、全ての州で否決され、受信料の存続が決まった。「新財政規律２０２１」は賛成８４．１％、全ての州で可決され、二つの税金の２０３５年までの延長が確定した。
「ノー・ビラグ」
スイス国民は公共放送の受信料の廃止に明確な「ノー」を突きつけた。２６州の全てで反対が過半数を得た。投票率は５４％と平均を上回った。ティチーノ州などで懸念された投票妨害も起きなかった。
スイス公共放送協会（SRG SSR）他のサイトへはテレビ・ラジオの受信機を所有する全ての世帯に年間４５１．１０フランの受信料納入を義務付けている。年間売上高が５０万フラン（約５６００万円）以上の事業所も年間収入に応じ３６５～３万５５９０フランを支払う。受信料は徴収の委託先会社にちなんで「ビラグ」と呼ばれている。受信料収入の一部は、公共性の高い放送を制作する民間放送局にも流れる。
イニシアチブではビラグを２０１９年１月１日から撤廃し、平時は政府によるテレビ・ラジオ放送局への資金援助を禁止することの是非が問われた。
急進民主党青年部と国民党青年部の一部がイニシアチブを発議。受信料の義務付けは強制的な税金に等しく、個人の自由とメディア業界の競争を制限していると主張した。ネットフリックスやソーシャル･メディアなど、消費者がテレビ・ラジオ以外にも多くの選択肢を持つ現代、全く視聴しない放送局のために受信料を強制的に支払わされるのは時代にそぐわないと訴えた。
発議人たちは公共メディアの存在そのものを否定したわけではない。公共メディアも広告料や契約に基づく受信料で予算をまかなえる。強制的な受信料をやめれば、放送市場はより自由になり競争が起き、結果的に視聴者の利益になると論じた。
「公共放送の終焉」免れる
一方、イニシアチブの反対派は、強制的な受信料の廃止は公共放送の終焉に等しいと主張。政府による資金援助がなければ、チューリヒ以外の放送局は経営が成り立たない。受信料の廃止はスイスの多様性が滅びるとも訴えた。映画をはじめ、受信料の一部が当てられている文化事業にも大きな打撃となると反論した。
またスイス公共放送協会は約６千人の従業員を抱えるスイス最大の雇用者の一つ。受信料廃止はスイス経済にも大きな被害をもたらすと警告した。
連邦政府・議会は、こうした理由から反対を表明していた。直近２月中旬の世論調査では、反対が６５％だった。
３月４日の投票に向けて、議論の焦点は受信料の強制力にとどまらず、公共放送の政治的、文化的、社会的意義にも広がった。直接民主制をとり、四つの公用語を持つ特殊な事情を抱えるスイスで、全ての言語圏に放送拠点を持つ公共放送の役割は大きい。一方で、インターネットによる無料の情報収集・発信が簡単かつ多様になった今、こうした特殊事情を支えるのに公共放送という形態が必要なのかどうか、疑問を呈す人々も少なからずいた。
大差でイニシアチブが否決されたのを受け、ドリス・ロイトハルト環境・運輸・エネルギー・通信相は４日夕方に開いた記者会見で、「有権者は公共放送の継続を望んでいる。国民はそのためにお金を払う心構えがあり、少数派を含む全ての人に対する社会サービスが続くことを望んでいる」と述べた。連邦政府は新たに期限付き営業権を協会に付与するが、「公共放送協会は受信料の少なくとも半分を情報発信に投じ、娯楽分野は民間と差別化しなければならない」。
イニシアチブの発起人の一人、オリヴィエ・ケスラー氏は「（強制の受信料に疑義を唱えた）議論は正しかったことが証明された。強制的な受信料はタブー視されなくなった。大部分の国民が強制的な受信料に納得していない。政治はこうした人々に向き合うべきだ」と話した。主要組織・団体のなかで唯一イニシアチブに賛成の立場だったスイス商工業連盟のウルリッヒ・ビグラー会長は「変革を求める声があることは明確になった。公共放送協会にはより謙虚になってほしい」とコメントし、引き続き企業経営者に対する「二重の受信料賦課」の解消を求めていく方針を示した。
欧州の周辺国も多くが公共放送の受信料制度を持つことから、スイスの「ノー･ビラグ」は大きな注目を浴びた。今回の国民投票を経て受信料は存続が決まったものの、公共放送をとりまく環境は必ずしも安泰ではない。連邦政府は昨年、対抗策の一つとして１９年１月から受信料を年３６５フランに減額することを決めた。これによりスイス公共放送協会の予算は４千万フラン減ることになり、同協会は今回の投票で問われた「公共放送の意義」を再確認し、全てのスイス国民に信頼される番組作りを目指す必要がある。
「新財政規律２０２１」
連邦国家スイスでは、直接税の多くは州が課税権を握る。その例外である付加価値税（VAT）と連邦直接税は、１９５８年に導入されて以降、連邦に引き続き課税権を認めるかどうか、定期的に国民投票（強制的レファレンダム）にかけられる。今回は９回目の投票で、２０３５年までの延長が問われた。
２税は連邦予算の３分の２を占める重要財源。万が一にも延長案が否決されれば「メルトダウンに等しい重大事故」（ウエリ・マウラー財務相）は免れない。それだけに、過去の投票と同じく波乱なく延長が可決されるとの見方が多勢だった。連邦議会でも全政党が賛成を表明していた。
直近の世論調査では７４％が賛成だった。これを上回る賛成票を得て、連邦予算はこれまで通りの安定財源を確保した。ただ付加価値税は老齢・遺族年金制度改革の財源として引き上げが提案されたものの、昨年９月の国民投票では世論の理解を得られず否決された経緯がある。３５年までの課税権は保障されたものの、今後も付加価値税をめぐる議論は続く。日本の消費増税論にも参考となりそうだ。
州・自治体レベルの住民投票
３月４日は地域レベルで住民投票を実施する州や基礎自治体もあった。うちいくつかの議案は国全体でも注目された。
シュヴィーツ州とフリブール州では、政党の収支の透明化を求めるイニシアチブが行われた。シュヴィーツでは賛成票が５０．２８％の僅差で可決。フリブールでは賛成が６６．８６％と反対を大きく上回って可決された。同様のイニシアチブは国レベルでも発議され、近く国民投票が実施される予定だ。両州の住民投票はその予行演習との位置づけだ。
ベルン州とチューリヒ州では、教育カリキュラムを州の教育委員会ではなく州議会と住民投票によって決める案件が投票にかけられた。カリキュラムは入学年齢やどの言語で授業をするかも指定する。特にドイツ語圏では繰り返し議論の的になっている。投票では両州とも大差で反対が賛成を上回り、カリキュラムの決定は引き続き教育委員会に委ねられることになった。
ヴォー州では歯科医療保険の義務付けを問うイニシアチブが実施された。スイスの健康保険は歯科診療費を保険金支払いの対象外としており、貧困層の経済的な重荷となっている。当イニシアチブは、連邦レベルの年金改革の試金石として注目されたが、反対５７．５７％で否決された。
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