Document ID: /fineweb-2-swissfilter-quality_10-filterrobots/filtered/00542.jsonl.gz/93

世界の貧しい子供たち専用に開発された「100ドルラップトップ」の量産がいよいよ始まる。世界の知恵を絞り集め最新テクノロジーを駆使したPCだ。そのデザインを売れっ子デザイナー、スイス人のイヴ・へアール氏が手掛けた。
このプロジェクトの発起者「1人の子供に１台のラップトップ」基金 ( OLPC ) は途上国政府による子供たちへのラップトップ配給が将来の社会への投資につながると考えている。
OLPCの創立者ニコラス・ネグロポンテ氏は「これは決してコンピュータプロジェクトではなく、教育プロジェクトです」と度々繰り返す。ネグロポンテ氏はマサチューセッツ工科大学 ( MIT ) のメディアラボの創設者であり、世界的ベストセラー『ビーイングデジタル・ビットの時代』 ( 福岡陽一訳/アスキー出版 ) の著者としても有名だ。2005年の世界経済フォーラムが主催するダボス会議で初めて「100ドルラップトップ」の企画を発表した。
子供１人に1台でなければ
OLPC ( One Laptop per Child ) は名前の通り「１人の子供に１台のラップトップ」を信条としている。今まで機能しなかった、学校にコンピュータを配る制度よりも各生徒が自らのコンピュータを持っていることが必要と考える。このPCはノートとして、百科事典として、またインターネット接続によって世界の窓として習得する道具となる。また、学校にある幾つかの大きなコンピュータより大事に愛用するだろうというのが趣旨だ。
実行の人、ネグロポンテ氏はすぐさま企画を軌道に乗せる。早速、サーチエンジン、グーグルやコンピュータ用プロセッサを製造するAMD、ルクセンブルグの衛星通信事業者「SES Global」、米携帯電話端末流通のブライトスター社、オープンソースカンパニーのレッドハットなどをこの冒険に巻き込むことになる。パートナーに合計1600万ドル ( 約19億円 ) を先払いさせ、2005年、チュニジアの世界情報サミットで初めてプロトタイプを発表した。
「暑い気候で、電気もない」といった難しい環境で使えなければ意味のないこのPCは電流が届かないところでも充電できることが重要だ。このため巻き上げ式電源装置が加えられた。デモンストレーションの際に前国連事務総長のコフィ・アナン氏が感激のあまり手が力んでしまい、取っ手が外れてしまったという。2006年3月、不備な点の最後の仕上げにスイス人デザイナー、イヴ・べアール氏のフューズプロジェクト の出番が来た。
決して安物ではない
「途上国用に作られた多くのものに反して、技術的には決して安物 ( チープ ) ではありません」と喜ぶベアール氏。「この小さな機械には価格が10倍のPCなどにはないユニークな先端技術が盛り込んであります」
まずは革命的なのがディスプレイ ( 画面 ) 。暗い場所から明るい太陽の下までとさまざまな状況下で画面の判読ができる頑丈で安価な液晶ディスプレイ ( LCD ) を開発した。太陽光が強いと白と黒の画面に変わり、バックライトなしで読み取れる。
問題の電池に関しては新しい充電式巻上げ電源装置が発明された。この電源装置は頑丈で人体にピッタリしており、芝刈り機を作動する操作に似ている。動作が大きいため疲れにくく、足で巻き上げることもできる。6分間巻き上げれば1時間コンピュータを使用できる。
このプロジェクトの素晴らしい点はコンパクトで遊び心を備え、頑丈で熱い砂漠でも湿った熱帯地域でも使えるという子供のために設計された初のコンピュータだ。
台湾製
このプロジェクトは当初から「貧しい子供たちにはコンピュータ以外に必要とするものが沢山あるのでは？」との問いが多かった。しかし、ベアール氏は「この機械はこれらの国には存在しない情報を提供することができます。情報にアクセスすることは長期的には民主主義にもつながります。何よりも新しい視野、考えやアイデアを個人が発見することが大事なのです」と語る。
OLPCの発表によると2007年1月現在で既にアルゼンチン、ブラジル、リビア、ナイジェリア、ルアンダとウルグアイと契約を結んだ。最初の量産が台湾のカンタ ( Quanta ) の工場で近々始まる予定だ。カンタはデルコンピュータや ヒューレット・パッカード社のために世界中の多くのPCを既に造っている会社だ。
現在のところ、1台の製造費は100ドルよりも150ドルに近い。しかし、量産がさらに増えれば近いうちに1台100ドルまで値段が下がることを期待している。
swissinfo、マルク・アンドレ・ミゼレ 屋山明乃（ややま あけの）意訳
100ドルラップトップ
- Linuxベースで366MHzのプロセッサ、128MBのDRAM、512MBのフラッシュメモリを搭載。
- 透過型フルカラーおよび3倍の解像度となる反射型白黒液晶のデュアル・モード・ディスプレイ。
- 2つのUSBポート、ワイヤレスブロードバンドを備え、ラップトップ同士を接続できる無線メッシュネットワーキングの機能も搭載。スピーカーとウエブキャムカメラも組み込まれている。
- 消費電力が2ワットを切る通常のPCの10分の1。電力がないところでも使える巻き上げ式の電源装置が搭載されている。
イヴ・ベアール ( Yves Béhar ) 氏
- ローザンヌ生まれの39歳。カルフォルニア州パサデナのアート・センター・カレッジ卒業。アメリカのシリコンバレーでデザイナーとして働きスウォッチやマッキントッシュなどのデザインを手掛ける。1997年に自らのデザイン会社「フューズプロジェクト ( Fuseproject ) 」を創設し、現在社員は30人ほど。
- この10年間で世界から引っ張りだこのデザイナーにのしあがった。彼のデザインしたものは多く賞を受賞し、サンフランシスコの現代美術館の展示会でも取り上げられた。マイクロソフト、ナイキ、サムソナイトやBMWなど幅広いデザインを手掛ける。
- 彼のデザインによる東芝のノートパソコンがアメリカの「IDEAデザイン」賞を受賞したので日本でもお馴染みのデザイナーだ。