Document ID: /fineweb-2-swissfilter-quality_10-filterrobots/filtered/00533.jsonl.gz/6

喫煙は、肺がんと心臓病を引き起こすだけではもの足りないようだ。喫煙者は糖尿病になるリスクも高いことを、スイスの研究チームが発見した。
医学雑誌「ジャーナル・オブ・アメリカン・メディカル・アソシエーション」12月号によると、タバコを常用する人は、非喫煙者に比べ、「2型糖尿病」になるリスクが44%高まるという。
「喫煙と糖尿病の関係性を裏付ける調査報告はすでにいくつかあるのですが、今回のように多数の結果が出るとは思いませんでした。調査件数25件のうち1件を例外とした全てのケースで、喫煙者に糖尿病のリスクが高いと出たのです」と、ローザンヌ大学のキャロル・ウィリー氏は語った。
禁煙で糖尿病予防
ウィリー氏と同僚の研究者らは、調査内容の分析を行い、喫煙が2型糖尿病の発症やそのほかのブドウ糖代謝異常の発生と関連していることを示した。
2型糖尿病は多くの場合、肥満、不健康な食生活、運動不足による、いわゆる生活習慣病で、スイスも含め徐々に世界中に広まっている。
ウィリー氏らの調査で、ヘビースモーカー ( 1日に最低20本のタバコを吸う喫煙者 ) の2型糖尿病になるリスクはさらに高いことが分かった。非喫煙者と比べると、糖尿病になるリスクは61%高くなる。しかし、禁煙をすることで糖尿病のリスクが軽減することも分かった。非喫煙者と比べると、禁煙中の人はリスクが23%高く、喫煙者よりもリスクはかなり低くなる。
「現在、糖尿病の発症が急激に増加していることから、喫煙と糖尿病の関係性は保健政策上、非常に重要です。糖尿病予防ということで、喫煙者がタバコをやめる良いきっかけになるでしょうし、非喫煙者がタバコを敬遠する理由にもなります」
とウィリー氏は言う。
2007年の統計によると、スイス人の3割が喫煙者だ。
動かぬ証拠
ウィリー氏が認めたことだが、分析に用いた最初の調査からは、喫煙が糖尿病の原因になることを証明できなかった。しかし、喫煙と糖尿病の関係性を示唆するいくつかの条件ははっきりと出た。
「確かに、糖尿病の発症増加には、運動不足、貧しい食生活、ストレスのような不健康な生活習慣が関係するでしょう。しかし、喫煙が糖尿病の原因になると思われる要素もあります」
とウィリー氏は指摘する。
第1に、時間的な因果関係が挙げられるという。全調査において、糖尿病の発症以前の喫煙が確認されている。
「もう1つの要因は、個人的にはこれがもっとも重要だと思うのですが、タバコを吸う量が増えると、糖尿病のリスクも高くなるということです」
とウィリー氏。3つ目として、糖尿病の原因と言われる「インスリン抵抗性」や「インスリン分泌不全」を喫煙が引き起こす可能性があることを、数件の調査が示していて、因果関係を生物学的に説明することが可能だという。
swissinfo、トーマス・スティーブンス 中村友紀 ( なかむら ゆき ) 訳
補足情報
- 世界保健機関 ( WHO ) の報告によれば、世界の年間死亡者数の約5%が糖尿病を原因としている。
- 糖尿病患者の8割は低・中所得国に暮らしている。
- 低・中所得国の糖尿病患者のほとんどは65歳以上の高齢者ではなく、45歳から64歳までの中高年だ。
- 緊急対策が取られない場合、糖尿病による死亡者数は今後10年間で5割以上増す見込みだ。
- 糖尿病患者の9割は2型糖尿病だ。2型糖尿病の増加は保健専門家の間に懸念を引き起こしている。今後20年間で、糖尿病にかかる人の数は世界で3億8000万人に上るといわれている。