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スイス国民全員に社会奉仕を義務付ける国民発議（イニシアチブ）が提起されようとしている。ねらいは地域社会や環境分野での働き手の確保だ。同様の案は連邦議会でも浮上。奉仕義務を導入すれば、公職を兼職で担う「名誉職制度」が維持され、主要分野の人手不足が解消するとされる。だがこのような制度は強制労働の禁止を定める国際法に抵触する可能性がある。
名誉職制度の促進を目指すスイスの団体「ServiceCitoyen.ch」は、全てのスイス国民に社会奉仕を義務付けるイニシアチブを年内に提起する予定だ。この案では、兵役、またはその代替役務である民間役務の枠内で社会奉仕が行えるものとする。また外国人に軍事分野以外での社会奉仕を認める場合、活動の範囲を連邦議会が定めるとしている。
発起人はこれを機に名誉職制度に対する世間の評価を高めたいとしている。また、現在の「環境および人口動向に関する社会全体の課題」の解決促進や、女性の「完全な市民としての地位」の実現を目指す。
現在、スイスで兵役義務があるのはスイス国籍の男性のみで、女性には任意の兵役が認められている。
発起人は「人口動向に関する課題」として、介護分野での深刻な人手不足を挙げる。
「医療制度は深刻な費用問題と人手不足に直面している」と同団体のノエミー・ローテン共同会長は語る。同氏が引き合いに出した研究によると、長期ケアの分野では、こうした問題が奉仕義務の導入で緩和される可能性があることが分かった。
奉仕義務で労働力を増強
キリスト教民主党所属のベアート・フォンランテン氏は全州議会（上院）議員だった昨年、政府に対し奉仕義務導入の検討を求め、動議を提出。その際、「奉仕義務で名誉職制度が強化され、新しい社会的課題に対処できるかどうか」について政府の見解を尋ねた。またスイスで高齢化が進んでいることを踏まえ、「そうした奉仕活動で介護および看護分野の担い手を増やせるか」について評価するよう求めた。
政府は動議を認め、連邦国防省は年末に報告書の公表を予定している。
「（報告書では）奉仕義務と国際法が整合しているかという問いに答えが示されるだろう」と、連邦国防省のロレンツ・フリッシュクネヒト広報官は語る。
スイスの名誉職制度が危機に
スイスでは一般的に、公職は兼職かつ任意の職務とされる。例えばスイス軍は民兵を基本に構成されている。ちなみに民間役務（奉仕義務とは異なる）は兵役の代わりとなる役務を指す。
近年は特に行政分野で「なり手」が不足し、名誉職制度の維持が難しくなっている。スイス軍でも兵役から民間役務への変更や、短期再訓練コースの免除の増加で人手不足が問題化している。インフォボックス終わり
奉仕義務は強制労働に当たるか
実際、社会奉仕を義務化するには難点がある。ヨーロッパ人権条約や国連諸条約などの国際人権法では、何人も強制労働や義務的労働に服してはならないとの規定があるからだ。一方、兵役、良心的理由による代替役務、緊急・災害時での役務、国民の義務の一部とされる役務は強制労働に当たらない。
奉仕義務はそうした例外には該当しない。兵役制度についての調査を政府から委託された調査委員会は、報告書の中で「全国民対象の奉仕義務が強制労働を禁じる国際法に整合するか」という問いについては明言を避けた。
そうした中でも、発起人は「奉仕義務は国際法が禁じる奴隷や強制労働には当たらない」と確信する。
前出のローテン共同会長は「奉仕義務は人権と整合し、強制労働ではない」と主張。また、奉仕義務では多種多様な役務から選択できるため、かえって自由度が高まると付け加える。
問題は期間と内容
一方、奉仕義務に詳しいライナー・J・シュヴァイツァー教授（法学）はより懐疑的だ。
「人手不足の穴を奉仕義務で埋めることが適切かは疑問」と言う。しかし民間救護活動など小規模な公益活動に兼職で従事することは問題ないと考える。
国際法では「通常の国民の義務」に含まれる労働と奉仕活動は強制労働に当たらないとされる。
「山岳地方には、洪水が度々発生する場合に村民を強制動員して（堤防などの）施設を建設できる自治体がいくつかある」とシュヴァイツァー教授は説明する。
しかし「工業、ホテル、レストランでの人手不足を補う目的で、奉仕義務に従事する人の労働力を搾取することは認められない」と強調。さらに「奉仕活動が長時間続き、職業選択の自由が事実上制限される場合も同様に認められない」と付け加える。ただ、奉仕義務の導入で男女平等が保障され、外国人が社会に受け入れられやすくなるといった利点もあると同教授は指摘する。
イニシアチブは否決の可能性
奉仕義務イニシアチブの可否の行方は、これがどう解釈されるかに左右されるだろう。発起人は介護分野などの人手不足の解消を公然の目標として掲げている。そのため、このイニシアチブが労働力の搾取防止を目的とする「強制労働の禁止」に抵触すると判断される可能性がある。
国際法における強行規範（強制労働の禁止を含む）に抵触する場合、イニシアチブは連邦議会から無効と宣言される。しかし、そうしたケースは過去にわずかしかなく、奉仕義務イニシアチブの運命が最終的に有権者の手に委ねられる可能性は濃厚だ。
ただ、このイニシアチブが国民投票で可決される見込みはまずないとシュヴァイツァー教授は考える。奉仕義務が現在のスイス人のメンタリティーと相いれないからだ。
「今の平均的なスイス国民は何よりもお金を稼ぎ、自分や家族の生活を支えたいと思っている。社会全体への奉仕は二の次だ」
（英語からの翻訳・鹿島田芙美）