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ミシュリン・カルミ・レ大統領は10月30日、ベルンでの移民問題会議の冒頭演説で「移民は国民を脅かしたり、経費がかかったりするものではなく、スイス社会に豊かさを付け加えてくれるものととらえるべきだ」と語った。
さらに「スイスは外国人を恐れる必要はない。なぜならスイスは土台がしっかりとした国であり、国民のアイデンティティーも価値観も地についているからだ」と強調した。
総人口の2割強にあたる、約150万人が外国人であるスイスでは、外国人、移民問題は国政の大きなテーマであり、10月の総選挙でも議論の中心となった。右派の国民党 ( SVP/UDC ) が外国人、移民に対して厳しい政策を打ち出し、多くの票を獲得した矢先の大統領の発言である。
ネスレやスウォッチも移民によって創始された
「最近、移民問題を話し始めると、すぐに多くの人が否定的になる。外国人による犯罪の増加や、外国人政策をうまく利用する移民といった話になる」と語るのは、スイス外務省 ( EDA/DFAF ) の安全保障を担当する第4課課長トマス・グルミンゲール大使。外国人がスイス経済の発展を助けてきたポジィティブな側面は忘れられているという。
カルミ・レ大統領は前述の演説の中で「スイス国民は移民によって文化的なアイデンティティーや社会的団結の精神が脅かされていると感じている。これは大きな懸念事である」とも発言した。
また、移民を受け入れる国が得る豊かさを指摘し、大手食品会社ネスレ ( Nestlé ) はドイツ人、時計製造のスウォッチ ( Swatch ) はレバノン人が創始者だと語った。
外国人同化対策はスイス社会全体の課題
スイスはほかのヨーロッパ諸国と同様、移民問題に頭を悩ませてきた。特に最近、不法移民の数が増えてきているからである。
同時に、移民法、外国人法も1980年代半ばから厳しさを増し、国民党のクリストフ・ブロッハー司法相は10月30日、外国人脱走兵のスイスへの亡命要求を拒否する政策を提案している。また連邦難民局 ( BFM/ODM ) のエデュアール・グネザ氏は「過去10年間、幾つかの政党はスイスに同化できない若者や犯罪の増加という現実に目をつぶってきた」と批判した。
こうした動きに対し、カルミ・レ大統領は「壁や鉄条網で、人の移動を食い止めることはできない。厳しい法律はかえって不法に入国する外国人を増やすばかりだ」と反論。ただ、外国人が社会に同化するためにスイス国家は最大限の努力をすることは必須であり、これは政治家とスイス社会全体の「共通のチャレンジである」と強調した。
移民の流出国とパートナー関係
移民政策の一環として、スイスは移民の流出国や地域とパートナー関係を結び、特に経済、社会、医療面で、相手国の発展を援助している。現在さまざまなパイロットプロジェクトが、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、コソボで進行中である。これらプロジェクトには、移民の流出を管理する能力の開発や、移民が祖国に戻るための対策も含まれているという。
スイス外務省は、人権が侵されている紛争地域での安全性を推進することも、長期的な移民政策の視野に入れている。しかし、カルミ・レ大統領は「特に危機的状況にある難民のスイスへの亡命要求に対しては、割り当て制度を復活させながら、紛争地域での安全が早く実現されることを望む」と結んだ。
swissinfo、シモン・ブラドレイ 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 訳
補足情報
スイスの外国人数は152万3586人で、これは総人口の20.4％にあたる ( 2006年統計 ) 。
スイスには約13万人の不法移民が住んでいると推定される。
2006年、スイスは国民投票で、欧州連合 ( EU ) と欧州自由貿易連合 ( EFTA ) の加盟国の国籍を持つ外国人と、特殊技能や専門性の高い外国人を除く、外国からの移民を制限する法律を採択した。
同法はさらに言語学習を通して、外国人の同化を推進する対策も含み、また一方で不法な外国人労働者雇用や便宜上の結婚などを削減することを目的にしている。この法律は、外国人のスイス社会への同化の努力を前提にしている。
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