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スイスで最も面積の小さい州、ツーク州は税率が驚くほど低く政治的にも安定し、生活水準が高い。そのため、居住や仕事をする地域としてはスイスで最も魅力的な州の一つだ。
農場や牧場の風景を眺めながら、中央アルプスの山々が望める美しいツーク湖に沿ってドライブをする。州の中心部にさしかかると、その入り口に立っている標識に少し戸惑う人がいるかもしれない。
標識には「１２７カ国から住民が集まる州都ツークにようこそ」と、アラビア語で書かれているからだ。
国連（UN）加盟国数が１９３カ国であることを考えれば、この１２７という数字は相当なものだ。しかし、この州の広さは１３平方キロメートル、人口は２万６０００人強しかいない点において、この数字は極めて特別だ。
ツーク州民の４分の１は外国人。８８％がヨーロッパ出身者で、特にドイツ人が多い。連邦内務省保健局（BAG/OFSP）によれば、この州に住む９２％の人が自分のことを幸せだと思っているようだ。
「生活水準でツークの右に出るものはない」と自慢げに話すのは、ツークに長年住んでいるカナダ人のダヴィッド・コートさん。コートさんはツーク駅近くでミスター・ピックウィック・パブ（Mr. Pickwick Pub）という人気の居酒屋でマネージャーを務めている。
過去１５年間で町が信じられないスピードで成長していく様を見続けてきた。「ここ数年で町は本当に、望むものは何でも提供する場所へと変わっていった」とコートさんは振り返る。
１９７５年時点でツーク州には３９００社が存在し、３万５０００人分の雇用があったが、今日では１万社以上が８万３０００件を超える雇用を創出している。そのうち、フルタイム勤務の従業員が２人以下の企業が約４５％を占める。特筆すべきは、２０１０年末時点で法人登記している企業の数は、ペーパーカンパニーも含めおよそ３万社もあることだ。
低い税率をアピール
ツーク州にはドイツの大企業シーメンス（Siemens）をはじめ、米国のバイオテクノロジー企業アムジェン（Amgen）や商品取引大手のグレンコア（Glencore）など、多国籍企業の多くが本社を構えている。そうした企業の多くが、互いに徒歩で行ける距離に立地している。
なぜツーク州に企業が多く集まるのかというと、ツーク州の税率がスイス平均の半分でしかないからだ。そのため、スイスで設立される企業１６社のうち１社がツーク州で登記を行っている。
国際会計事務所のKPMGが昨年行った調査によると、ツーク州における企業収益にかかる税率は、普通の企業には１５％、特権を持つ企業には８．８％。特権を持つ企業とはツーク州で事業活動を行っていない、または本業以外の事業だけを行っている企業のことで、ホールディング会社などがその例だ。企業収益にかかる税率はスイス全体で２１％、イギリス、ドイツ、イタリア、フランスでは約３０％、米国と日本では約４０％となっている。
低い税率で得をするのは企業だけではない。個人の所得にかかる税率はツーク州で約２３％だが、フランス、ドイツ、イタリアでは４０％以上、イギリス、オーストリア、オランダでは約５０％にも及ぶ。そのため、外国の富裕層はもちろん、裕福なスイス人もツーク州に居住地を移している。例えば、製薬会社ノバルティス（Novartis）のダニエル・ヴァセラ代表取締役はツーク湖畔のリシュ（Risch）に住んでいる。
「税率を考えると、ここから離れるのは非常に難しい」と話すのは、ドイツ人のアンドレア・クツピさん。多くのドイツ人同様、クツピさんも職を求めツーク州に越してきた。今では隣のルツェルン州で病院勤務をしており、夫は地元でグローバル購買の主任を務めている。クツピさんは言う。「ここには何でもある。高い給料も、短い通勤時間も、良い教育も、素晴らしいレジャー施設も皆そろっている」
貧しい地域から裕福な地域へ
クレディ・スイスが行った調査によると、税率・教育・人財・交通をトータルに判断した２０１１年のランキングで、ツーク州はスイスのトップに輝いた。だが、歴史的に見ればツーク州がいつもそうだったわけではない。
１９世紀のツーク州には農業以外に産業はほとんどなく、スイスで最も貧しい地域の一つだった。１９６０年代にはスイスで最も１人当たりの借金が多い州となり、平均収入は全国平均をはるかに下回っていた。ツーク州が繁栄への道を歩み出したのは、企業家らがイニシアチブを取ったことがきっかけになったからだ。
企業家ヴォルフガング・ヘンゲラー氏は１８３４年、ツーク州のウンターエゲリ（Unterägeri）に紡績工場を建設。これは同州で初の工場であった。その後、アメリカ人ジョージ・ハム・ページ氏が１８６６年、同州カーム（Cham）にヨーロッパで初となる、小規模のコンデンスミルク工場の操業を開始。時を同じくして、ツークにスイスの鉄道網が敷かれ、同州の経済的発展は加速した。
商品取引を手掛ける企業フィリップ・ブラザーズ（Philipp Brothers）がツークに拠点を置いたのは１９５６年。同州で新しい税法が導入されてから１０年後のことだった。魅力的な税率とチューリヒ空港への利便の良さのおかげで、ツーク州は２０世紀後半、金融と貿易の中心地へと発展していった。
今日ではスイスで最も裕福な州であり、失業率はたった１．９％（ちなみに、日本の今年４月の完全失業率は４．６％）。リサーチ・コンサルティング会社のバーゼル・エコノミクス（BAK）の見積もりでは、２０１０年末、ツーク州の一人あたりの州内総生産は１１万７０００フラン（約９７０万円）だった。
ビジネスの中心地であるチューリヒから電車で３０分ほどのところにあり、観光客が大勢集まるルツェルンからも近いツーク州は、経済・金融・政治・社会面において何年もの間安定している。連邦統計局（BFS/OFS）によれば、州民の平均年齢は４０歳以下で、州民の１割が大学を卒業している。
「ツークは美しく、どこよりも安全」。主婦のナタリー・ステイガーさんはそう語る。夫は国際的なスポーツ系アパレルメーカーに勤務している。「南アのケープタウンやオーストラリアのシドニーに住んでいたため、こんなに平和で、湖が近く、スキーなど素敵なアウトドアスポーツができる山があるところに暮らすのが私たちの夢だったの」
ツークでは外国人を対象に幅広いサポートが提供されている。例えば経済省は「外国人駐在員向けガイドブック」を発行している。また、同州にはインターナショナルスクールが４校あり、ドイツ語を話せない人を支援するインターナショナルクラブもいくつかある。
暴騰する不動産価格
前出の居酒屋勤務のコートさんによると、ツーク住民の中には、町はのんびりしすぎだし、清潔すぎるし、感じが良すぎると批判する人がいるそうだ。また、誰もが文句を言うのが高い生活費だ。不動産価格がこの数年で暴騰しているのが理由だ。実際、不動産ポータルサイト「ホームゲイト（Homegate）」をのぞいてみると、ツーク州にあるエゲリ（Ägeri）湖畔に立地する６部屋あるヴィラは、５００万フラン（約４億１０００万円）で売り出されている。
「アパートの家賃は法外な値段になっている」と、この地域に１０年住んでいるスイス人のペトラ・フェッティングさんは言う。「ツーク州の物価についていけないスイス人は大勢いる。そのため、やむを得ず周辺の町や州に引っ越しする人は少なくない」
ツークに住む
スイスの不動産を購入予定の外国人（個人または法人）は、まず購入したい土地の州から購入許可を得なければならない。購入許可の数は限定されている。
欧州連合（EU）または欧州自由貿易連合（Efta）の出身者およびスイス在住外国人でCタイプの滞在許可証保持者は、この場合の「外国人」には入らない。
永続的に企業活動をするために不動産を購入する場合も例外となる。ただし、不動産の取引・貸し借りを目的とした事業は除く。
住むために不動産を購入する外国人は、その家を主要住居として使用しなければならない。
外国からの投資家から国内の住宅市場を守るため、１９６１年、外国人の不動産購入に関する規制が導入された。
この規制は１９８３年に法制化され、その後さらに改正された。政府はこの法律の撤廃を呼びかけたが、２００８年、連邦議会に否決された。インフォボックス終わり
スイスでビジネスを行う
スイスには二つのタイプの会社がある。一つは株式会社（AG/SA）で、もう一つは有限会社（GmbH）だ。両方のタイプに以下のメリットがある：
・資本に限定した債務とリスク
・経営参加権および株式の譲渡の簡素化
・規制された代表権
・ドイツのGmbH、米国のジョイント・ストック・カンパニー（Joint Stock Company）などの外国法人に相当
株式会社や有限会社を設立する以外にも、外国企業の支社を法人登録したり、法的には法人ではないが、個人の会社を設立することも可能。
個人が自営業を行う場合、最低資本金は不要。会社の名称は少なくともオーナーの名字が入っていなければならない。
（出典：ツーク州）インフォボックス終わり
（英語からの翻訳・編集、鹿島田芙美）, swissinfo.ch