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スイスでは淡水魚ばかりか、人間もポリ塩化ビフェニールに汚染されている。しかもこれまでスイスでは、関連研究が進んでいないと環境汚染専門家のマルグレット・シュルンプフ氏は指摘する。このコンテンツは 2010/03/26 16:25
ポリ塩化ビフェニール ( PCB ) は体内に残留する有害物質で、スイスでも1986年から全面禁止となっている。しかし、廃棄物処理場や倉庫にはいまでも何百トンもの有害物質が積まれたままだ。
許容量を超えるところもある
分解されにくいこの物質は、水や空気に交じり、魚など食物連鎖に入り込んでくるという問題がある。「スイスの淡水魚はPCBにそれほど汚染されているわけではない」と連邦環境省環境局 ( BAFU/OFEV ) は最近発表した報告書「スイスの水源におけるPCB」で現状を報告した。しかし、ジュラ州ショアンデ ( Choindez ) の工場地域に近いビルス川 ( Birs ) ( ライン川の支流 ) 、ザーネ川 ( Saane ) のラ・ピラ ( La Pila ) 倉庫下流、ホッホライン地域 ( Hochrhein ) 、ティチーノ州マジョーレ湖 ( Lago Maggiore ) から捕れた魚から許容量を大きく超えたPCBが検出されたという。
スイスはどれほど汚染されているのだろうか ? 連邦内務省保健局 ( BAG/OFSP ) や環境局の「食品摂取アドバイス」を基準にすると「現在知りうる限り危険はない」と連邦環境局のヨゼフ・トレンプ氏は語る。「食品摂取アドバイス」は2009年、連邦保健局と連邦環境局が発表したもので、釣りと魚の消費をする市民に対し可能な限り危険を避けるために各州の目安となる資料だ。
新しい報告書の発表を機に、連邦環境局は各州にPCBを検査するよう勧告した。しかし、こうした対策だけで十分なのだろうか ? こうした疑問は連邦議会でも出たが、現在ある対策で十分だという判断が下った。しかし、家屋、電気設備、廃棄物処理所に残留するPCBの処理技術などは、検討する必要があると政府は見ている。
「多くの州当局は、処理作業が遅れている」と指摘するのは、1986年に発生したバーゼルの「サンド社 ( Sandoz ) 」の化学工場の大火災による汚染について著作のあるマルティン・フォルター氏だ。フォルター氏は
「問題を解決するには、PCBが水源に流れ出ることを防ぐ必要がある」
と対策方法は明らかと言うが、昨今のスイスは化学薬品を根絶するのではなく、どうにか管理しようとしているのが問題だと指摘する。
以前の見通しは甘かった
連邦保健局の報告書によると魚のPCB汚染の人間への影響は限られているが、長期にわたって摂取することの危険性が指摘されている。また、フォルター氏は、魚だけではなく、汚染されている食品はあり、それを摂取することで人間の脂肪にPCBが残留していくと指摘する。最近発表された調査では工業地帯の男性の精子の質の低下が指摘されているが、フォルター氏によると、これもPCBの汚染と関係しているという。
PCBがどのように人体の脂肪に蓄積されるのかは、母乳を分析すれば分かる。
「PCBの含有量が高い母乳と低い母乳がある。PCBを含まない母乳はすでにもう無い」
とチューリヒ大学の環境汚染専門家のマルグレット・シュルンプフ氏は語る。スイスは、PCBの母乳含有量でヨーロッパの平均並みだ。とはいえ、長期にわたる摂取は危険で、特に子どもの初期の成長に影響する。
これまで、化学薬品一つに絞った研究が多くなされてきたが
「現実にそぐわないものだ。いまは、人間はさまざまな化学薬品にさらされている。その影響は、これまでの予想を上回る深刻なものだ」
とシュルンプフ氏は指摘する。
また、最新の汚染調査は「破壊的」と言うのはジュネーブ大学の「F.-Aフォレル研究所 ( F.-A Forel Institut ) 」のヴァルター・ヴィルディ氏だ。PCBの基準が、使用禁止前のデータを含んでおり、実際の危険度より低く抑えられていることが問題だと指摘する。また、連邦保健局のトレンプ氏はこれまでの政府のPCB対策について
「今になって振り返ってみると、PCBの人間や環境に対する危険度、そしてその処理にかかる費用を安易に見積もっていた」
と語った。
コリン・ブクサー 、swissinfo.ch
( 独語からの翻訳、佐藤夕美 )
ポリ塩化ビフェニール ( PCB )
残留度の高い有害物質。水、地面を汚染し、大気を通し世界中を汚染する。分解が遅く、食物連鎖に入り動物やヒトの脂肪に残留する。すでに、ヒトの中枢神経、抵抗力、ホルモンなどに慢性的なダイオキシンの影響と同じ影響が一部に認められる。マウス実験では、一時期に大量に摂取すると急性症状がおこるが、長期にわたって少しずつ接種した方が健康を害する度合いが強いことが分かっている。
スイスでは1972年に家屋などで、隙間を埋めるペースト、衝突緩和素材、塗料やペンキで使うことが禁止され、1986年から完全に禁止となった。
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