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6月1日に行われた国民投票では、外国人のスイス国籍取得の承認方法の改正を求めるイニシアチブ、国民投票前の内閣による説明活動の制限を求めるイニシアチブ、健康保険制度を憲法に取り入れる政府案の3項目が審議されたが、全て国民に否決された。
2つのイニシアチブは国民党 ( SVP/UDC ) が中心となり提起した。国民党によるイニシアチブが否決されたことについて、国民投票を長年分析するクロード・ロンション氏は、国民党内の対立により、エネルギーが投票キャンペーンまで行き渡らなかったことを理由に挙げた。
敗者 国民党、勝者 最高裁判所
スイスに帰化を希望する外国人は、その人が住む自治体と州、そして連邦の承認が必要である。一部の自治体では、承認を住民投票で決定しているが、2003年、こうした方法は憲法違反であると最高裁判所の決定が下された。これに対し、国民党を中心として、帰化の承認は各自治体の権限で行えることや、決定に対する異議申し立てはできないことを求めるイニシアチブが提起され今回の国民投票で審議された。
投票1カ月前のアンケート調査によると、このイニシアチブを支持する人が多かったが、2週間ほど前からこれが逆転。結局、イニシアチブが可決される条件の1つである州の数で過半数に至らず否認された。過半数を超えたのは、全26州のうちシュヴィーツ州だけだった。このように明確に拒否されたことについては、ロンション氏も意外だったと語った。
この投票結果を踏まえ国民党のルチ・シュタム国民議会議員は14時のラジオニュースで、現司法大臣エヴェリン・ヴィトマー・シュルンプフ氏をめぐる党内闘争と今回の結果を関連付け
「残念ながら、国民がわが党にノーを突きつけたという面があるのは否めない」
と国民党の敗北を分析した。また同党のナタリー・リンクリン氏は
「常に国民党は政府に対抗して戦わなければならない。今回の投票で負けたのは直接民主主義であり、国民だ」
と語った。国民党は、帰化承認の権利を自治体に限って委ねることで、政府や連邦裁判所の介入を避けられると強調していた。
一方、シルヴィア・シェンケ国民議会議員 ( 社会民主党・SP/PS ) は
「投票終盤戦には右派の急進民主党 ( FDP/PRD ) やキリスト教民主党 ( CVP/PDC ) の理解を得ることができた。帰化を希望する外国人に対し、平等に承認の審議がされることになる。だが、これにより帰化希望者が急増するようなことはない」
と国民投票の結果を評価した。
患者対保険会社
スイスでは住民に最低限の健康保険の加入が義務付けられている。健康保険は保険会社が運営し、各企業間では市場競争がある。しかし、健康保険料が過去10年間で6割上昇し、未納者増加が社会的な問題になっている。最低限のサービスを提供する基本保険料の引き下げとともに、加入者が受けられるサービスの限定を要求したイニシアチブを提起したが、議会ではイニシアチブの内容が具体性に欠けたため受け入れられす、不成立となった。政府はその後成立しなかったイニシアチブに応じ、将来の健康保険について代案を提示した。
政府案は健康保険の経済面を配慮することを文章化し、憲法に取り入れることが主な内容だったが、現在の健康保険制度を大きく変えるものではなかった。憲法改正のため今回、国民にその是非が問われたが否決となった。全州議会議員のシモネッタ・ソマルガ氏は
「この結果は当然のこと。政府案は患者のためにはならない。健康保険会社と大手医薬品会社の利益を中心に考えた提案だった」
と語った。キリスト教民主党のネーフ・フンベル氏は
「政府案は将来を方向付けるものだった。患者に対する連帯と健康保険会社の競争を活発化するものだった」
と語った。
内閣閣僚による国民投票前の説明会全国行脚を1回に制限するイニシアチブは予想通り、投票者の7割以上が反対し、明確に否決された。
帰化の承認方法や健康保険の憲法成文化などについては、国民の間で投票前から激しい討論が繰り広げられたが
「このような意見の対立は地方的な差や世代の差といったものはなく、全国にわたって起こっている」
とロンション氏は分析する。
swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )
キーワード
帰化承認方法の変更を求めるイニシアチブ
賛成36.3%、反対63.7% （ 過半数を超えた州1州 )
内閣閣僚の投票説明会を制限するイニシアチブ
算定24.8%、反対75.2% ( 過半数を超えた州0州 ）
健康保険制度政府代案
賛成30.5%、反対69.5% ( 過半数を超えた州0州 ）
投票率 44.1%