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２０１３年に新設された公的機関「児童・成年保護局（KESB/APEA）」。国内ドイツ語圏のメディアによる否定的な報道が災いし、この後見局は人々の目の敵にされるようになってしまった。実際、同局ではどういった業務が行われているのか。二つの異なる州で児童・成年保護局の職場を訪問した。
ある寒い冬の朝、凍って滑りやすくなった道路で転ばないように、お年寄りがそろそろと雪の中を歩いている。青空に輝く太陽が、木組みの家の屋根を明るく照らしている。
ここボーデン湖とアッペンツェルの間にある後見局の表札には「ゴッサウ児童・成年保護局」とある。この建物の中では、日々小さな牧歌的な街のイメージに全くそぐわない内容の話し合いが行われている。
スイスには都会とも田舎とも呼べないゴッサウのような街が多い。人口１万８千人のゴッサウは、ザンクト・ガレン州で４番目に大きい街だ。街の住民の年齢分布もスイスの平均値と一致しており、２０歳以下が２割、年金受給者の比率もほぼ同じ。つまり、スイスの児童・成年保護局（KESB/APEA）での「普通の１日」がどんな様子かを探るには、ゴッサウは打って付けというわけだ。
事実を言うと該当者が傷つく？
家計のやりくりができずに、子どもが相続した財産に手を出すようになった母親がいる。この女性には国の保護を受ける権利があるが、必要書類を提出しないため何の補助も受けられない状態だ。このような場合、KESBの任務は子どもの財産を守ることにある。これは記者がKESBを訪れた日の午前中、アンドレアス・ヒルデブランドKESB局長と担当社会福祉士の女性が扱っていたケースだ。
法律家、そして弁護士の資格を持つヒルデブランド局長は話し合いの中で、なぜKESBが子どもの財産を守る必要があるのか、もっとその理由をはっきりさせるべきだと発言。それに対し社会福祉士の女性は、該当者を傷つけないため、言葉に気を遣ったと回答した。
児童・成年保護局（KESB）
スイスのドイツ語圏では、かつて市町村議会が後見局も兼ねていた。そのため、素人判断や理不尽な決定が下されたこともあった。これを受け、２０１３年にスイス全土で新しく専門機関「児童・成年保護局（KESB）」が導入された。法律家、社会福祉士、心理学者、医師や教育者から構成されるKESBは、幅広い専門分野をカバーしている上、政治的にも中立。
ところが、スイスのドイツ語圏でメディアが否定的な報道をしたことから、当局に対する世間の風当たりが強くなった。その結果、透明化や権利保障の強化そして親族の共同決定権の強化を求める政治的提案も数多く出された。シュヴィーツ州では後見制度を再び自治体の管轄に戻す案が住民投票にかけられたが、わずかの差で否決。現在は、補佐人よりも親族を優遇するスイス全国レベルでの国民発議が予定されている。インフォボックス終わり
ヒルデブランド局長は少し笑って「確かに彼らが自分の欠点に直面しなくても済むように気を遣うが、なぜ当局が介入せざるを得なくなったのかも率直に説明すべきだ」と言う。そして局長と社会福祉士の二人は、法的に有効で、かつ人道的な別の表現を考案した。
最後に、幼い子どもを里子に出すケースが話し合われた。社会福祉士の女性は「この子を長期的に預かってもらえるよう養父母に確認済みです」と言うと、「養父母が母親の教育能力に関する報告書を読みたいと言っていますが、許可できますか？」と局長に法的な質問をした。局長は少し困ったように何度か首をかしげ、「社外秘と個人情報の保護に反するが、養父母の気持ちも分かる。結論は数日後に伸ばしたい」とした。
非常識であることは禁止されていない
午後になると後見局のメンバー７人全員が別の会議室に集まり、大きなテーブルを囲んだ。判断の難しいケースはここで一緒に話し合われる。複数分野の専門家が協力することで、個々の判断よりも良い結果が得られるという考えが背景にある。だが話し合いが進むうちに、すぐに法律家が心理学者や社会福祉士とは違う見方をしていることが明らかになった。激しい討論が交わされたが、意見は別々のままだ。共通の決断を下すのも容易ではない。
議題は、ある年配の男性のケースだった。彼はインターネットを通じ若い東欧の女性とチャットし、定期的に大金を振り込んでいるが、実際にその女性に会ったことは一度もないという。男性の親戚にそう相談され、KESBはコンタクトを取ろうと試みたが、男性は当局を完全に拒否。そのため男性の掛かり付けの医者を通じて健康状態を調べた結果、彼はインターネット犯罪に対する認識が低いために詐欺に遭いやすいが、精神的には健全だと判明した。
このケースを担当する社会福祉士の女性は「３カ月前、しばらく様子を見ることで合意したケースですが」と前置きをした。その間、男性が金銭面の提示を拒んだため、銀行から男性の口座明細を取り寄せた。その結果、彼が既に全財産を使い切ってしまったことが判明した。毎月平均して２７００フラン（約３０万円）が外国の口座に振り込まれていた。また、未払いの請求書が２件あることも分かった。
「この件について、皆さんはどう思いますか？」と社会福祉士の女性が問う。そして「同局にこの男性を保護する義務はありますか？」と局長が核心となる質問をした。会議の出席者はお互いに顔を見合わせ、考え込んでいる。
「財産を他人に譲渡し、分不相応な生活をすることは禁じられていない」と法律家が発言する。
それに対し担当の社会福祉士は、金銭的な余裕がなくなった結果、遠出したり食事に行ったりできなくなり、男性が社会的に孤立しているという親族の懸念を指摘。
最終的には、詐欺の危険性を自覚させるために、もう一度男性と話し合うことで合意した。そしてヒルデブランド局長が「それ以上の措置は、比例原則にも補完性の原則にも反する」と法律用語で締めくくった。つまり、男性の置かれている状況は厳しいが、国は「成年保護のための強制介入」という名目でこの男性の意思決定の自由を侵害してはいけないということだ。
「あなたの家族を動物に例えるとしたら、何？」
この会議の後、心理学者の女性の事務室を見せてもらった。明るいオフィスの片方にはパソコンを置いた事務用机があり、もう片方には子供向けの家具とおもちゃが並んでいた。「ここで子どもの事情聴取をします」と言う彼女は、以前スクールカウンセラーとして働いていたそうだ。保護局が何らかの決定を下す際は子どもにも発言権があり、その内容が考慮される場合もあるという。
そして、木でできた人形がいくつか乗った板を見せてくれた。「この人形を使って子どもに家族の構成を説明してもらいます」。家族構成は、母親、父親、子どもという単純なパターンに収まらないケースが多い。また、子どもに「家族を動物に例えるとしたら、誰がどの動物？」と尋ねるという。動物を使うと子どもは話しやすいうえ、家族のメンバーの性格や役割まで説明できる場合があるそうだ。離婚した親の面会交渉権に関するトラブルはKESBが頻繁に扱うケースだ。
だが性的虐待を扱うことは滅多にないという。「統計的に見ると、これは全くおかしい。性的虐待の大半は真実が明るみに出ないと考えざるを得ない」と言う彼女の声には、落胆と諦めが入り混じっていた。恐らくこの状況に甘んじるしかないのだろう。
また、「沢山の心理学者がKESBを辞めていった」とスイスでKESBが導入された当初を振り返った。「心理学者は、共感する心を常に持ち続けたいものです。しかしKESBでは、ときに傍観しかできない状況を受け入れなくてはいけません」。KESBの任務は、むしろ被害を最小限に抑えるだけだという。
KESBの従業員が非難の対象に
特に、メディアに否定的に取り上げられて以来、KESBで仕事を続けるのは容易でなくなったという。保護局と直接関わりのあった人から非難されるだけではなく、保護局の内部でも無理解があったとゴッサウ児童・成年保護局の職員は話す。
スイスインフォが訪問したもう一つの保護局「トゥーン児童・成年保護局」の局長によると、メディアの報道がエスカレートした当時は、不安を抱いた住民らに対話を拒否されたという。「KESBが犯罪組織だと誤解していた人もいたほどだ」
また、ザンクト・ガレン州のゴッサウ児童・成年保護局とベルン州のトゥーン児童・成年保護局の両方で同じ失敗が指摘されていた。それは、当局の導入当初はまだ仕事が手に負えなかった上、コミュニケーションも不十分だったという点だ。しかしこれら保護局の二人の局長は時間とともに専門性が磨かれ、悪いイメージも払拭されるはずだと楽観的だ。もっとも、スイスの地域により保護局の力量が大きく異なる点も両方の保護局で指摘されていた。今回メディアの訪問を許可したこの二つの保護局が、どちらかというと現代的で専門性に優れているのは想像に難くない。
夕方頃、ゴッサウの保護局長が別れの挨拶をしにドアをノックした。この後、外出先でミーティングがあるそうだ。KESBは家庭だけでなく精神病院や老人ホームを訪問し、ゴミに埋もれたマンションの視察に行くこともある。KESBの仕事は、目下スイスで最も注目を浴びている職業かもしれないが、最も内容が多彩な仕事の一つであることには間違いない。
（独語からの翻訳・シュミット一恵）