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福島原発事故は世界各国の原発政策に影響を及ぼした。しかし、この事故によってスイスやドイツなど脱原発を決定する国がある一方で、原子力を今後も重要なエネルギー政策の柱に置く国もあるなど、各国の対応はさまざまだ。
こうした各国の原発政策の違いをテーマにしたパネルディスカッションが３月１３日、チューリヒ大学アジア・ヨーロッパ研究所（UFSP）の主催で行われた。
フクシマから１年の節目に開かれた今回のパネルディスカッションには、チューリヒ大学と連邦工科大学チューリヒ校（ETHZ/EPFZ）から４人の専門家が参加。
原子力の危険性に対する各国の認識の違いについて、それぞれが日本や中国、台湾、スイスを中心にして議論を繰り広げた。
チェルノブイリよりも大きな余波
「福島原発事故が各国の原子力政策に与えたインパクトは、チェルノブイリ原発事故よりもはるかに上回っている」。今回のパネルディスカッションの司会を務め、UFSPで日本のメディアなどの研究を行っているファビアン・シェーファー氏は冒頭、福島原発事故がこれまでにないほど世界に衝撃を与えたと話した。
「チェルノブイリ原発事故が起きたのは冷戦の最中。当時の世論は、共産主義を掲げる旧ソ連の技術が旧態依然としていたせいで事故が起きたと考えていた。だが今回は、最新技術を誇る日本が『失敗』をした。原発の平和利用にはどれくらいの危険性があり、またそれはあらかじめ想定することができるのか？フクシマで初めて、こうした問題が世界中で問われることになった」
経済性を優先する東アジア
シェーファー氏はまず質問の初めとして、フクシマ後に各国のエネルギー政策がどう変化しているのかを参加者に質問した。
チューリヒ大学東洋学部日本学科のダヴィッド・キアヴァッチ教授は、日本では反原発運動は事故以前にもあったが、どれも規模は１００人程度、地元住民レベルの小さなものだったと説明した。しかし、事故後は１万人を超す参加者による反原発運動が起き、世論は原発に対し批判的になったと話す。
現在日本では全原子炉５４基中５２基が停止されており、脱原発に向かっているように見える。だがキアヴァッチ氏は、実際に日本が脱原発への道に進んでいるとは考えにくいと言う。「原発推進は日本のエネルギー政策の中心にある。日本の目標としては、まず原発技術を自国で発展させ、次にそれを国外に輸出することだ。事実、福島原発事故後も日本はインドや中国への原発輸出を決定している」
中国でも今だに原発が推進されていると話すのは、チューリヒ大学で台湾や香港の環境政策を研究する博士後研究員のシモーナ・グラーノ氏だ。グラーノ氏によれば、中国では福島原発事故後、計画中の２５基の原子炉建設を一時中断したが、その後再開。８年以内にこれらの完成を目指す中国だが、コストを抑えるために、古いタイプの第２世代原子炉が建設される。また、資格のある技術者の数も少なく、問題は多いとグラーノ氏は見る。
グラーノ氏はさらに台湾の事情にも言及。台湾には３カ所の原子力発電所に計６基の原子炉があり、１カ所は南に、２カ所は台北から約１４～２０キロメートルのところにある。４カ所目の原子力発電所建設が計画されているが、福島原発事故後、約１万５０００人が反原発運動に参加。建設予定地の近くには７０もの活火山があり、近辺住民の不安は計り知れない。だが、２０１２年１月の大統領選挙では原発推進派の馬英九（マー・インチウ）氏が勝利し、脱原発を目指した蔡英文（ツァイ・インウェン）氏は敗北した。
開かれた議論のできる欧州諸国
一方ヨーロッパでは、欧州連合（EU）が中心となって加盟国全体で原発のストレステストを導入するなど、福島原発事故に対し機敏に反応した。連邦工科大学チューリヒ校で原子力の歴史を研究するパトリック・クッパー氏は「日本以外で原発事故に対しこれほど大きく反応した地域はヨーロッパのほかにない」と述べ、それには三つの理由があると言う。
一つは、ヨーロッパでは７０年代を中心に、すでに原発の危険性について社会全体で多くの議論がなされてきたこと。二つ目は、チェルノブイリ原発事故後、ヨーロッパ全体が脱原発の方向に向かっていったこと。三つ目は、ヨーロッパには世論が政治を動かすことのできる市民社会が確立していることだ。
またクッパー氏は、原発は５０年代、６０年代当時の輝きをすでに失っており、現在でも原発をエネルギー政策の中心に据えるのは、中央集権的な「強い国」だけだと主張。そのため、フランスや強権的な東欧諸国では今でも原発が推進されていると話す。
キアヴァッチ氏もクッパー氏の説に追随し、日本をその中央集権的な国の一つに加える。「日本は学校の教科書に『原発は安心』と記述するなど、原発に肯定的な世論を形成してきた。また、どの地域だったら世論は反対しないか、どこが経済的に弱いかなど、国は緻密に考えたうえで戦略的に原発建設を推し進めていった」。キアヴァッチ氏はまた、日本では６０年代、７０年代にかけて公害が多かったため、すすなどの汚染物質を大気中に排出しない原発に賛成する人も多かったと説明した。
今だに解決できない核廃棄物問題
司会のシェーファー氏は次に、実際に原発は自給自足のエネルギーなのかを問題にした。クッパー氏はそれに対し、原発の燃料となる濃縮ウランを製造する業者は少ないため、原子力は「見せかけの自給自足エネルギー」だと説明した。
その後、ディスカッションのテーマは核廃棄物処理問題へと移る。中国、台湾が専門のグラーノ氏は、台湾では過去２０年にわたり核廃棄物をめぐり住民の反対運動が行われていると説明。台湾は原発に無知だった先住民族が住む島に、また中国もチベットなど少数民族の住む地域に核廃棄物貯蔵施設を建設するなど、国民の反対が起こりにくいような場所に貯蔵していると述べた。
ヨーロッパ専門のクッパー氏は、原発は建設当初からすでにこの問題を抱えていたが、当時の風潮がこの問題を軽視していたと語る。「５０年代、６０年代当時、世の中は楽観的だった。核廃棄物問題は未来の科学技術がどうにか解決してくれるだろうと人々は考えていた。だが、２１世紀の今でも問題は解決できていないのだ」
チューリヒ大学アジア・ヨーロッパ研究所（UFSP）
チューリヒ大学の１機関で、アジアとヨーロッパの関係を、文化、宗教、法律、社会の面で研究する。この研究所には同大学の４学部１３学科から５０人以上の研究者が参加し、２００９年から博士課程が開講されている。
世界の原発
欧州連合（EU）では、加盟２７カ国中１４カ国が原発を利用している。フランスは電力供給量の実に８割を原発で賄っている。フランスの原発には、地震の危険性が高い地域で稼働しているものもある。
ヨーロッパで原発を一番多く保有しているのはフランス（５８基）で、次いでロシア（３２基）、イギリス（１８基）、ドイツ（１７基）、ウクライナ（１５基）、スウェーデン（１０基）、スペイン（８基）、ベルギー（７基）、チェコ（６基）、スイス（５基）、フィンランド（４基）、ハンガリー（４基）、スロバキア（４基）、ブルガリア（２基）、ルーマニア（２基）、スロべニア（１基）、オランダ（１基）。ポーランドでは、原発の新規建設計画が持ち上がっている。
世界のほかの地域で見ると、１位はアメリカ（１０４基）、次いで日本（５４基）、韓国（２１基）、インド（２０基）、カナダ（１８基）、中国（１３基）となっている。
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