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出来過ぎの話のような約束をする人がいる。説得力があるように聞こえるが、もし人間の頭の中を見ることができるなら、そういう人を信用するべきかどうか分かるだろう。このコンテンツは 2010/01/08 08:11
チューリヒ大学とドイツのコンスタンツ大学の科学者が、守るつもりのない約束をするときの人間の脳がどのような活動をするかを解明した。
犯罪防止に役立つ？
信用できそうに見える人も、そうでない人も、みんな同じようにふるまうが、約束を守らない人間の場合、「感情と制御」の処理において重要な役割を果たす脳の部分の活動が活発になることを経済学者と脳科学者の研究チームが発見した。そしてより重要なことに、約束を守るかどうか、脳の活動のパターンによって予測が可能になることがつきとめられた。
チューリヒ大学はこの研究結果を応用し、「 ( 遠い ) 将来」不正や犯罪計画の防止に役立てることができる可能性があると仮定して研究を進め、その研究結果を米科学誌「ニューロン ( Neuron ) 」に掲載した。
投資家と金融業者
研究チームは、ボランティアの学生を2人1組にして社会相互ゲームをさせる実験を行った。学生はそれぞれ投資家と金融業者の役割が与えられ、どこにお金を投資するべきかを選択した。金融業者になった学生はスキャナーの中に座り、研究者が脳の活動を測定した。
投資家のAは2単位の資金を持ち、それを金融業者のBに渡して投資する。もしBが投資し、投資金額が5倍になって戻ってきたとしたら、10単位のお金が手に入る。
「これを実際の状況に当てはめるには注意が必要です。適切な質問をしなければなりません」
とチューリヒ大学のトーマス・バウムガルトナー氏は言う。
Bは、Aに収益の半分を渡すと約束することによってAを説得し、投資資金を引き出す。Bは各々の投資家に5単位の収益を返却する。しかし、Bは投資収益を返却してくれないとAが考えた場合、Aは投資を行わず2単位の資金を保有し、ゲームはその時点で終了になる。
実際に実験が行われ、AはBの約束に従って投資を行ったが、その約束と異なる結果が起きた。
「約束を破るか守るかは、まったくBの自由です」
と脳神経学者のバウムガルトナー氏は説明する。
金融業者Bを演じる各被験者は、全員説得力があるように見えた。しかし科学者は脳スキャンによって彼らの脳の中で何が起きているのかを観察することができる。
「Bが実際に約束を守るか、または破るかについてかなり的確な予測を立てることができました」
とバウムガルトナー氏は語った。
ゲームで使用された金額はそう大きくないものの、本物のお金が用いられたため、被験者の行動は現実的なものだと研究者は考える。
「約束通りお金を渡した被験者がいました。それはおそらくそうすることが正しいことだったからでしょう。しかしお金を渡さない被験者もいました」
社会を強固にする絆
研究チームは、2002年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の映画「マイノリティー・レポート」との類似点を見つけた。この映画では、警察が予知能力者を使い、犯罪が起きる前に犯人を特定する。
長期的にはこの研究を、アメリカのヘッジファンド会社会長バーナード・マドフが起こした詐欺事件のような大規模な不正を防ぐために使うことができるようになると研究チームは提言する。
バウムガルトナー氏は、詐欺行為を行う可能性のある人間が脳スキャンを使った検査を望むことはあり得ないと認めるが、そうしなければ資金を預ける投資家はいなくなり、いずれ選択肢がなくなると考えている。
また同時に、スキャンは絶対確実な間違いのない方法ではないとも同氏は認めている。しかしだからといって他人を頭から信用するようなこともできない。
「相手が信用できる人間かどうか判定するためには、補足的な証拠があったほうがよいでしょう。いつかこうした脳の測定機を用いて、あのような金融不祥事を防止できるようになるかもしれません」
とバウムガルトナー氏は期待する。
倫理
今回の研究をこうした方法で使用することに対する倫理について、チューリヒ大学の応用倫理学教授ペーター・シャーバー氏は、スキャンを義務付けることは受容できないが、投資家は契約に際して脳スキャンによる金融業者の検査を「必要条件」として要求できるだろうと説明する。
バウムガルトナー氏は、この研究結果を用いることによって不正行為を行う可能性のある人間すべてを見破ることができると主張しているのではない。
「しかし私はこれが、脳スキャンによって潜在的な犯罪者の特定が将来可能になるという証拠を提供する最初の研究だと考えています」
シャーバー氏は、もし脳スキャンが真に信頼性の高い方法だとしても、脳の活動の観察結果から導き出せる結論は相関的なものにすぎないと指摘する。
「『同じような脳の活動を見せた人間が約束を守らないことが分かりました。従ってこのケースもそうかもしれません』と言うことはできるかもしれません。しかし、それ以上のことは言えないのです」
危険な犯罪者
研究結果は、服役者の釈放時期の判断にも応用できる可能性がある。しかし専門家が間違いを犯した場合、結果は悲劇的になる。
「いつか脳内の画像を使った証拠も補足として提供できるようになるかもしれません」
とチューリヒ大学のバウムガルトナー氏は言う。
「この方法を専門家の鑑定に置き換えたくはありません。心理学者や精神科医に依頼することが重要です。しかし、はっきりと分からない場合は、脳内の画像を追加証拠として提供できる日が来るでしょう」
とバウムガルトナー氏は語った。
シャーバー氏もまた信頼性のある脳スキャンは追加手段になると指摘する。
「もし誰かが脳のスキャンを拒否したとしたら、『よろしい、あなたの選択です。しかし刑務所に残らなければなりません』と言えます」
バウムガルトナー氏は、この研究が犯罪防止につながる理由を大仰に宣伝しないが、慎重に楽観的な見方をしている。
「この研究は、それが不可能ではないという証拠を示しています」
ジュリア・スラッター 、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、笠原浩美 )
反故にされた約束
この研究は、「反故にされた約束の神経回路 ( The Neural Circuitry of a Broken Promise ) 」のタイトルで米科学誌「ニューロン」に掲載された。
チューリヒ大学のトーマス・バウムガルトナー氏とエルンスト・フェール氏、そしてコンスタンツ大学のウルス・フィッシュバッハー氏が研究を行った。
この研究では、約束を破った参加者が金銭的な利益を得るという社会相互作用ゲームが行なわれた。
不正な行動で正しい行動が抑制されるとき、感情の葛藤が引き起こされることが判明した。
また研究者チームは、「不誠実な」パターンの活動によって、誰が約束を破るか予測することが可能になると結論を出している。
JTI基準に準拠