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物腰が柔らかなプライベートバンクの銀行員がアルゴリズムに取って代わられ、スマートフォンのアプリケーションが数百年の歴史を誇る銀行を破滅に追いやってしまった世界を想像してみよう。「フィンテック（Fintech）」と呼ばれる、金融テクノロジーを手掛ける一連のベンチャー企業や、デジタル技術に精通した投資家たちが、従来のプライベートバンキングの在り方を崩壊させてしまうかもしれない。
ウェルスフロント（Wealthfront）、ナツメグ（Nutmeg）、ミント（Mint）、イートロ（eToro）。これらの企業はすでにオンラインで金融サービスを提供している。顧客は専用のソーシャルメディア・プラットフォームに接続すれば、スマートフォンのスクリーンをタップするだけで、今までになく複雑な取引をしたり、投資についてのアドバイスを受けたりできる。
米国や英国では金融テクノロジー業界で世界的なリーダー企業が次々に現れているが、スイスでは金融のオンライン化には、オンライン銀行のスイスクオート（Swissquote）などの一握りの企業しか参入していない。
スイスに本社を置くベンチャー企業「nViso」は昨年、ニュージーランド銀行と協力して金融とテクノロジーの連携を一歩前進させた。「nVisoエモーション・スキャン」と呼ばれるソフトウエアを使って、お金に関する質問に答える顧客の表情を読み取り、銀行は顧客が投資に関して実際にどう感じているのかを分析することができる。
裕福な顧客は、デジタル技術を好む。それは１９７５～８９年に生まれたY世代（ジェネレーションY）の起業家や事業家に限ったことではない。長年にわたり従来のプライベートバンクに資産を託してきた５０歳以上の顧客でもそうだ。
仏コンサルティング会社の「キャップジェミニ（Capgemini）」とカナダロイヤル銀行が発表した「ワールドウェルスリポート２０１４」によれば、現在では世界の億万長者の約半数が、オンラインサービスを使って資産運営の取引をしている。そして、銀行が５年以内にデジタル化に対応できなければ、裕福な顧客の３分の２は銀行を離れるだろうと予測している。
マイプライベートバンキング・リサーチ社（MyPrivateBanking Research）のステファン・ビンダーさんは「プライベートバンキングのデジタル化はまだ始まったばかりだ。この業界は技術的にも文化的にも非常に保守的な業界だ」と話す。古くからスイスのプライベートバンクを特徴づけてきた、慎重さとプライバシーの保護という点において、銀行の伝統とソーシャルメディアは相いれない。
そのような傾向を注意深く観察してきた同社によると、デジタルサービスを提供する初期段階としては、スイスのプライベートバンクは米国やアジアの同業者にそれほど後れをとってはいないという。だが、全体として見るとデジタル化への対応は不完全で、いまだに多くのことが準備段階にある。
「デジタル化に関しては、プライベートバンキング業界はまだ石器時代にある」と言うのはスイスのシーズ銀行で広報を担当するモレノ・ヴォルピさんだ。「だが全ての銀行がデジタル化を考えている。これは今に始まったことではない。顧客が使っているあらゆるツールを最新化する必要がある」
現在、スイスの大手銀行UBSは金融テクノロジー企業との提携を模索中で、クレディ・スイスは裕福な顧客専用のソーシャルネットワークのプラットフォームを間もなく完成させる予定だ。
個人的なつながり
裕福な顧客の動向や希望をリサーチする市場調査会社「スコルピオ・パートナーシップ（Scorpio Partnership）」のセバスチャン・ドーヴェイ社長は、プライベートバンキングにおけるデジタル化は、難題ではなくむしろ一つのチャンスだととらえるべきだと言う。
ソーシャルメディアは新しいビジネスを拡大する際の手助けとなり、大量のデータからは顧客のニーズをよりよく理解することができる。だが、一番の目的は何と言っても、最新のデジタル技術を顧客関係管理（CRM）とマッチングさせることだ。顧客と個人的な関係を築く顧客関係管理の担当者は、他の一般銀行に差をつける、プライベートバンクの強みだ。
ドーヴェイ社長は、先月チューリヒで開催された欧州プライベートバンキングサミットで「顧客関係管理の担当者にただiPadを与えて、『何とかやってくれ』と言うだけでは何の意味もない」と発言した。
「銀行は自問しなければならない。今現在顧客がなぜ自分たちとビジネスをしたいと思っているのか、そしてその理由が将来的なデジタル化に適しているかどうか、という問いだ。プライベートバンクの顧客はすでに、インターネットで簡単に手に入ることになぜ毎年何千ドルもの手数料を払っているのかと感じ始めている」
「顧客とのつながりを強化するためへの答えは、『自由にさせること』だ。プライベートバンクと顧客のこれまでの関係は、例えば小さな子供との親子関係のようなものだ。これからは、ティーンエイジャーとの関係に移らなければならない」
ドーヴェイ社長はさらに、「デジタル化されたツールを使って顧客が自分で資産管理できる自由を与え、より多くの投資情報へアクセスできるようにすることで顧客が離れることはない。反対に、銀行との関係が強まることで顧客は引き続き銀行に忠誠についてくるだろう」と言う。
お金の問題
一方で「紙ベースのアドバイスは、テクノロジーに詳しくなってきた顧客にとっては将来何の意味もなくなるだろう」と警告するのは、税金・監査などに関するコンサルティング会社「KPMGスイス」のITアドバイザリー部に勤務するマチアス・ボサートさんだ。「例えば、顧客はどの株に投資したらよいかや、投資をコモディティから優良株式銘柄にシフトすれば自分のポートフォリオにどんなインパクトがあるかが分かるような、リアルタイムのデータを使ったインタラクティブな体験を期待している」
だがスイスの銀行はデジタル化への大規模な投資をためらっている。近年の利益減少や技術に関するノウハウの欠如、ITコストの削減、新たな調整を実行するための費用などに加え、脱税に関する調査が進行中であるという理由からだ。
秘密主義で知られるスイスの銀行にとってもう一つの課題は、デジタル化されたシステムで顧客データを安全に保護できるかという点だ。先月米金融大手JPモルガン・チェースがサイバー攻撃を受けた事件で、改めて問題が浮き彫りになったばかりだ。
スイス金融監督庁は、電子システムの安全性を監督するための規制はすでに整っているとしているが、プライベートバンキングにおける新しいデジタル化の流れに関する明確なガイドラインはない。
フェイスブックやアマゾンなどの大企業が、その莫大多大なデータ処理能力を資産運用分野に利用することになれば、テクノロジー界によってもたらされる競争はより激しいものになるだろう。そうなれば「プライベートバンクは『時代遅れ』になりかねない」とABNアムロ銀行幹部のハイン・ファン・デア・ロー氏は欧州プライベートバンキングサミットで述べた。
前出のビンダーさんは、プライベートバンクが時代遅れにならないためには、デジタルの世界に足を踏み入れながらも、他の銀行にない、プライベートバンクの持つ優れた特徴を保持し続ける道を探さなければならないと話す。
さらに「プライベートバンキングでは、医療現場と同様に、人と人との交流はかけがえのないものだ」と続ける。「顧客とのつながりは、デジタル化に取って代わられるのではなく、強化されなければならない。だが、自己満足で終わってはならない。そうやって強化されたものは、数年後に価値ある競争力として発揮される」
未来の銀行業務
デジタル化はリテールバンキング（小口金融）では早くから浸透していた。金融テクノロジーのベンチャー企業は毎年数千ドルを投資する余裕のある顧客を開拓してきた。これまでの動向を見ると、億万長者もまた、オンラインで多大な資産を管理したいと望んでいることが分かった。プライベートバンクにとっては、複雑な資産運用とデジタルツールをどのように結びつけるかが大きな課題となる。資産運用には、様々な規制や租税環境に関する多様な知識や、財産の種類（ビジネスへの投資、不動産、家族信託、芸術品、慈善寄付）などを考慮する必要があるからだ。
富裕層の顧客が自分の全資産状況を瞬時にリアルタイムで見られるようなデジタルプラットフォームの開発はすでに始まっている。次の段階は、多様な資産運用のシミュレーションができるアルゴリズムの構築だろう。それにより顧客がポートフォリオの運用計画を変更することが容易になる。
だが、同時に富裕層の顧客は相続や慈善団体への寄付などに詳しい専門家とのやり取りも望んでいる。「べスポーク・ウェルス・マネージメント（Bespoke wealth management ）」は、移動の多い顧客向けに、いつ何どき世界中のどこにいても担当アドバイザーに連絡できるサービスを提供している。
金融テクノロジーが脅威になる理由
ジュネーブに本社を置く銀行業務用ソフトウエアの大手プロバイダー、テメノス（Temenos）がシニア銀行員１９８人を対象に行った調査では、回答者の２３％がアップルやグーグルなどのテクノロジー企業との競合を恐れていると答えた。２０％は、最大の脅威は既存の大手ライバル銀行だとも見ている。また３０％は、銀行に対する顧客の忠誠心が揺らいでいることを挙げ、銀行業界はこれまでにない難題に直面していると回答した。
仏コンサルティング会社キャップジェミニ（Capgemini）とカナダロイヤル銀行が発表した「ワールドウェルスリポート２０１４」では、億万長者の３分の２が資産管理の全て、または大部分が５年以内にデジタル化されることを望んでいるという。
スコルピオ・パートナーシップ社（Scorpio Partnership）の調査によると、富裕層の顧客は技術革新の点においては、プライベートバンクが家電・通信・医療・自動車・観光・サービスなどの業界に後れを取っていると見ている。経営コンサルティング大手のアクセンチュアは、この先３０～４０年の間に３０兆ドル（約３１８４兆５千億円）の資産が、団塊の世代からデジタルテクノロジーに精通したジェネレーションX（１９６０～７５年に生まれた世代）、ジェネレーションY（１９７５～８９年に生まれた世代）へと移転すると見ている。
（仏語からの翻訳・由比かおり）, swissinfo.ch