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100キロメートルをガソリン1リットルで走れたら。そんな夢のようなプロジェクトをスイスの科学者たちが達成した。この車は排気ガスによる地球温暖化の問題に道を拓くかもしれない。
同時に専門家は、「アメとムチ」対策の必要性を訴えた。排気ガスを沢山出す「汚い車」に課税などで罰を与え、代わりに環境に優しい「緑の車」にはごほうびを与えるというものだ。
スイスは他の欧州諸国に比べ、大きなエンジンの車を好んできたため、排ガス量も多い。
ある程度、妥協もしないと
エネルギー科学週間の目玉は、チューリヒ工科大学の教授たちが発表した「1リットル車」だ。
この車は、スイスの企業ホーラッハー社 ( Horlacher ) によって生産された。空気力学の大きな前進によって生まれたこの夢の車は、通常の自家用車より75％も軽く、食うガソリンも10分の1だ。
欠点の１つは、安全性が低いことだ。しかし、この車には飛行機と同じようなハイテク制御装置が組み込まれており、衝突を避けることができる。過密した空で飛行機がお互いに衝突しない状態が、路上でも可能になるというわけだ。
「この車はスピードや快適さ、スタイルなどの点では完璧といえないかもしれません」とエネルギー科学センターのリノ・ゲツェッラ教授は語る。「でも、これまでのような感覚ではもうやっていけません。深刻な地球温暖化を前にして、ある程度妥協して二酸化酸素を大幅に減らさないと、将来はないのです」
アメが必要
現在、地球全体には8億台の車が走っていると推定されている。1000人あたりの数で割ると、スイスは500台、アメリカは800台、インドと中国は50台足らずだ。
スイスのドライバーたちは、他の欧州諸国よりパワフルでガソリンを食う自動車を好む傾向がある。欧州自動車生産協会によると、平均的なスイスの自動車は2リットル・エンジンだが、他国の平均は1.6リットル・エンジンだ。
「スイス人は地球温暖化に対して、口では二酸化炭素の削減に非常に熱心ですが、その割には行動が伴っていません」と研究者のペーター・デ・ハーン・デル・ヴェーク氏は苦い顔だ。
ヴェーク氏は、「スイス政府は、人々に環境に優しい車を買わせるための具体的な奨励策を取るべきです」と語る。いくつかの国ではすでに対策が実施されている。アメリカでは、環境に優しい車を買うと3000ドル ( 約36万円 ) まで非課税措置が受けられる。オランダでは、6000ユーロ ( 約90万円 ) が支払われる。
スイス政府内では、現在ベルン市と左派中道の社会民主党から出された同じような2つの対策案を叩き台にあげている最中だ。
「普通の人々に『50年後の世界を念頭に置いて行動しろ』と求めても、現実的にはなかなか難しいものです」とヴェーク氏は語る。「だから本当に環境のことを考えて、現状を変えるためには、政府が積極的に規制を設けることが必要なのです」
swissinfo、マシュー・アレン 遊佐弘美 ( ゆさ ひろみ ) 意訳
キーワード
現在、スイスは国民1人当たり6トンの二酸化炭素を排出している。
米国は同20トン、世界の平均は同4トン。
スイスが排出している6トンのうち、2.6トンは輸送関連による。このうち車によるものは1.5トン。
スイス環境・エネルギー週間
10月9日から13日までチューリヒ工科大学とアカデミア・エンゲルベルクの共催で行われた。
様々な分野の専門家が招待され、エネルギー消費と環境について活発なディスカッションが展開された。また、「世界は持続可能なエネルギー・システムをいかに構築できるか」ということについても話し合われた。
チューリヒ工科大学の約40人の大学教授によって「持続可能なエネルギー・プロジェクト」が、同校のエネルギー科学センターで2005年から始まっている。