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スイス在住の米国人クリスティン・ウォレル氏は、故郷と呼ぶ両国で差別を経験してきた。差別問題の根源やその表れ方には両国で違いがあると説明する一方、差別への対処は同じはずだと主張する。このコンテンツは 2020/07/02 08:30
米国の状況
米国でのジョージ・フロイドさん殺害事件や構造的な人種差別を嫌な目でみる一方、そのようなことはここスイスでは絶対起こりえない、と考えることは容易だ。確かに米国には奴隷制度に関して独自の歴史があり、人種差別の根底に根付いている。私は人種差別でスイスが米国と同じ道をたどらないことを強く願うが、その一方で人種差別はガンであり、増殖していけば文明社会がむしばまれ、弱められることをよく知っている。
警察の残虐性
米国憲法修正第14条は、すべての米国人に法の適正な手続き（または公正な裁判を受ける権利）と法律の平等な保護を定めている。しかしアフリカ系米国人は同法の保護を長い間拒否されてきた。罪に問われた黒人に対するリンチ殺人は南北戦争後の米国で広まった。それは黒人を服従させ、抑圧しつづけるための一種の人種テロだった。米国では1877年から1950年の間に、4400人以上の黒人の男性、女性、子供がリンチによって殺されたという記録があり、そのほとんどが南部の州で起きた。リンチ殺人は陰惨であり、公式に行われることもあった。公式の場合は何百人もの白人が集まり、黒人が拷問され、殺害される様子を見物した。大半のケースでは黒人は首を吊って殺害された。現在では警察が黒人に対して残虐行為を行ったり、トレイボン・マーティンさんやアマード・アーベリーさんの殺害事件のように、自警団の白人市民が近隣地域の保護を目的に黒人を殺害する事件が発生しているが、こうした事件のルーツにはリンチ殺人がある。
別の人種差別には隔離教育、居住隔離、雇用差別がある。これらは南北戦争後や黒人差別法時代の「遺産」であり、今日も続いている。
教育
1954年の「ブラウン対教育委員会裁判」は、米国最高裁判所が公立学校における人種分離を違法とした画期的な裁判だ。しかし2019年の調査では、米国の生徒の半数以上が人種分離学校または「人種的に集中した」学校に通っていることが分かった。これらの学校では生徒の大半が白人か黒人のどちらかに偏っている。なぜこうした学校に通う生徒が多いかというと、米国では多くの地区が人種的に分かれ、大半の子供たちが自分たちの「区画に分けられた」学校に通っているためだ。また、米国では地元の固定資産税が学校運営の財源になっている。つまり、黒人の子供たちの多くが通う学校は低所得世帯の多い地域にあるため、運営資金が不足し、財源も少ないうえ、教育水準が低い。
住宅
多くの地区が分離されたままなのは、黒人に対する住宅差別が昔から現在まで存在しているためだ。昔は黒人に貸さない方針の大家がいたほか、白人の住宅所有者に対し住宅を黒人に売却することを禁じる制限約款が存在した。いわゆる「ホワイトフライト」とは、白人が大多数を占める地区に黒人の転入者が増えると、白人居住者が即座に住宅を売却して引っ越すという現象を指す。これが起こると土地は値下がりし、地区の大多数の居住者が白人から黒人へと変化する。「レッドライニング」は黒人の居住地域を融資対象から除外すること、または不利な金利で融資提供する方針のことで、黒人の居住地域における住宅所有率を押し下げる要因となった。住宅は大多数の世帯にとって最も価値ある資産であり、富を次世代に移すための手段だ。しかし、黒人はこの障壁のせいで経済的なメリットが得られず、極めて不利な立場に置かれた。
雇用
米国の黒人は雇用でも差別を受け続けている。黒人の平均収入は同程度の資格を持つ白人に比べ少ない。17年の調査によると、高校卒業資格を持つ黒人の収入は同程度の学歴を持つ白人の収入の78.1％しかない。また大卒では78.7％、大学院卒では81％にとどまった。最近発表された2年間の調査では、雇用者に同じ内容の履歴書を2種類送付する検証が行われた。一方は人種を特定する情報（黒人を連想させる名前、黒人組織への加入）が記載された履歴書。もう一方は「白人化」された履歴書で、白人を連想させる名前や、白人文化との関わりを示す団体所属先や活動が記載された。結果、応募先から電話がかかってきた割合は「白人化」された履歴書で25％、「黒人化」された履歴書で10％だった。
これら全ての要因に加えて、警察による黒人殺害事件がまた起きたことを考えると、なぜ「Black Lives Matter（黒人の命も大事だ）」運動が存在するのか、そしてなぜ何千人もの人々が路上に出てデモを行ったのかが理解できるだろう。事件では、武器を持たない黒人男性が白昼に警察から長時間首を押さえつけられて死亡した。野次馬が警察に止めるよう懇願している様子も、全て動画に撮影されていた。デモ参加者のごく一部が暴力行為に出たのは残念だが、「暴動は声なき者の言葉だ」との有名な言葉をマーティン・ルーサー・キング・ジュニアが残している。今回は1960年代の公民権運動の時以上に白人市民が黒人市民と一緒になって抗議し、変化を求めている。さらに世界中の人々が人種差別の撤廃を求める声に追随している。団結すれば力が生まれ、現在の抗議運動を機に米国や世界に本当の変化が起きるのではないかと、私はまだ期待している。
スイスの状況
スイス連邦統計局によると、黒人や有色人種の人口は、米国、フランス、英国などの欧州諸国に比べて明らかに少ない。スイスに住むアフリカ出身の外国人は15年現在、9万3814人おり、人口の1％強を占める。この人数には当然だが他の地域出身の黒人や有色人種は含まれていない。またスイス全人口における外国人の割合は15年現在で約25%を占める。スイスは外国人数の統計は取っているが、統計データが人種別に分析されることはあまりない。
警察の蛮行
国連人権委員会はスイスに関する17年の報告書の中で、「警察の蛮行が特に難民希望者、移民、外国人に対して広まっているという報告、およびそのような事件が過小報告されていることを引き続き懸念する」との結論を出した。さらに同委員会はスイスに対し、警察の蛮行に関する苦情を報告・調査し、統計を取る独立機関の設置を求めた。
教育
連邦内務省人種差別対策窓口の18年の報告書によると、外国籍の若者はスイス国籍の若者に比べ、後期中等教育にスムーズにアクセスできない場合がかなり多いことが分かった。外国生まれの若い外国人の後期中等教育修了率はたった73％だが、スイスに生まれた若い外国人で86％、スイス国籍で94％に達する。スイスの高等教育機関での学生人口に占める移民学生の割合はわずか10％しかない。「義務教育修了後に教育を受けていない人は、職歴がどれだけ長くとも、より高い資格を持った人との教育格差を労働人生の中で埋めることはできない。そのため、学校制度での不平等は、個人の将来のキャリア全体に悪影響を及ぼす」と同報告書は結論づけている。
さらに同報告書は、統計データから「学校や教育現場で人種差別の傾向が強まっている」と説明し、相談センターが報告する差別件数が着実に増加していると指摘。ただし多くのケースが報告されず、報告されても法的措置に結びつくことはほとんどないため、データが実際の状況を映しているわけではないとしている。
住宅
連邦住宅局が公表した18年の調査では、「スイスの住宅市場では民族差別が実際に起きている」ことが明らかになった。米国の履歴書検証に似た検証が行われ、賃貸物件のオンライン広告に対して、二つの架空の内見申込書が送られた。一方では申込者がスイス出身者だと分かる名前が記され、もう一方には申込者がトルコまたはコソボ出身者だと分かる名前が書かれた。検証の結果、コソボ人またはトルコ人の名前を持つ人は、スイス永住者かスイス国籍所持者であるかどうかに関わらず、物件の内見に招待される確率が大幅に低いことが分かった。
連邦人種差別対策窓口の報告書によると、差別的な基準で住宅が借りられなかったり、立ち退きを求められたりするケースが時折発生している。また住宅広告の中には、国籍、在留資格、肌の色、宗教などの特定グループを排除しようとするものもある。さらに、そのような形での排除は個人の権利を侵害するだけでなく、居住地域の発展にも影響を与えることが明らかになった。同報告書は「都市部で住み分けが行われ、スイスの地方と大都市圏で居住者の社会経済的な特性が偏れば、特定の地域に問題が集中するだけだ」と指摘。また「移民出身者はスイスにルーツがある人に比べて、騒がしい地域に住み、高い家賃を払い、狭い部屋に住む傾向がある」と分析する。
雇用
連邦人種差別対策窓口の報告書によれば、スイスで起きた差別のうち報告件数が最も多いのは雇用差別であり、その傾向は強まっている。雇用差別の種類には雇用時の不当な扱い、故意の過小評価、いじめのほか、偏見に基づく態度などがある。
これに関しても米国の履歴書検証と同様の検証が行われている。スイスでの移住と移動に関する研究を行う連邦科学研究能力センター（NCCR）の調査によると、外国風の名前を持つ求職者が面接に呼ばれるためには、同等の資格を持つスイス人よりも3割多く応募書類を提出する必要があることが分かった。
連邦人種差別対策窓口の報告書によると、17年の失業率は移民第1世代と移民出身者で8％だったのに対し、スイス国籍者では3％だった。高等教育修了資格の保有者で、その資格よりも低い資格で足りる仕事に就いていた人は、移民第1世代で約20％だったのに対し、スイス国籍者では10％だった。そしてスイス人労働者の16年の月給中央値は、外国人労働者の月給よりも1千フラン（約11万円）近く高い6808フランだった（外国人は5893フラン）。
人口の多様化への対応方法については、スイスは米国を反面教師として学ぶべきだ。人種差別やその他の差別は不和と憎しみを生み、社会を引き裂く可能性がある。あらゆる手段を尽くして人種差別の存在を人々に伝えるべきだ。なぜなら、問題に取り組むためにはまず問題を認識しなければならないからだ。人種差別を解決するには、より詳細な統計データの把握が欠かせない。そうしたデータがあれば、「外国籍の人」のサブグループや「移民背景がある」人、また彼らがそれぞれ受けた扱いについて理解を深められるだろう。政府は異文化コミュニケーションと包摂を促し、「他人」の文化という概念が消えるよう努めるべきだ。分離は文化の異なる2者間で理解の欠如、共感の欠如、不信感を招き、孤立したグループを社会経済的に不利な立場に置く。差別は容認すべきではない。また教育、住宅、雇用の差別を積極的に特定し、是正するためのメカニズムを整備すべきだ。最後に、権力の座にある人たちによる暴力および権力の乱用が捜査対象とならず、チェック機能が働かないということは、真の文明社会においてあってはならない。