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内部告発サイト「ウィキリークス」の創設者ジュリアン・アサンジュ氏がジュネーブの国連人権理事会に出席する前日の11月4日、外国人記者団の質問に応じた。
アメリカは11月5日に国連人権理事会 ( UNHRC ) の「普遍的定期審査 ( UPR ) 」で、自国の人権問題について審査を受ける。アサンジュ氏はこの審査の場でNGOに招待され発言する予定だ。
40万件のイラク戦争機密情報
北欧を中心に居場所を転々としているといわれるオーストラリア人のアサンジュ氏 ( 39歳 ) は、ガードマンに守られ記者団の前に長身の姿を現した。一つ一つの言葉を慎重に選び、ウィキリークス ( Wikileaks ) の立場を噛み砕くようにゆっくり説明する。
2006年に立ちあげられたこの内部告発サイトは、6カ月前にアフガニスタンの戦争に関し9000件、また2週間前にはイラク戦争に関し40万件の機密情報を発表し、大きな波紋を投げかけた。これらは特に民間の犠牲者と捕虜の拷問の事実を扱ったものが多い。
「これらの情報は、いかに戦争が犯罪へと滑り落ちて行くかを証明している。この情報によって尊い命を失った多くのイラク人たちの苦しみに光が当たり、また、いつかその犠牲に対して補償が与えられることを望む」
とアサンジュ氏は10月27日発刊の雑誌「レ・ザンポッキュティブル ( Les inPockutibles ) 」の中で語っている。
事実の検証を拒否
今回アサンジュ氏は、国連人権理事会 でアメリカが初めて人権の審査台に立つため、こうしたアフガニスタン、イラクでの人権侵害行為の証人として、ジュネーブのNGO「平和と正義、人権の国際組織 ( IIPJHR ) 」に招待された。
イラク戦争に関する機密情報の中には、アメリカ軍がイラク人捕虜を拷問を受けると知りながらイラク側に引き渡し続けた事実が多くあり、それはブッシュ政権のときだけでなく、オバマ政権に替わってからも続いたと言われている。
「ところがアメリカ当局は、こうした事実の検証を完全に拒否し、そればかりかわれわれのサイトを非難し、サイトの存在を脅かし続けている」
とアサンジュ氏は話す。
それは、イギリスやデンマークがウィキリークスに掲載されたこれら自国の兵士による不法行為を検証すると表明した態度と対照をなすとした上で
「アメリカは言論の自由と人権の尊重に関して信頼を失いつつある。そのためにもアメリカは今回の人権理事会を、そのイメージの修復を図るための場にすべきだ」
と主張する。
サイトなどへの攻撃
ところでウィキリークスは、その3分の2が個人の出資で賄われているが
「4月にまずアフガニスタンの情報が掲載された1週間後、口座への振り込みがストップされた。そのためアイスランドで違う方法での振込方法が考案され、今は機能している」
と語る。
資金の振り込みだけでなく、サイトそのものも何度もサイバー攻撃を受けている。実際アメリカ国防省のスポークスマンは、
「ウィキリークスの情報はアメリカ政府に所属する情報であり、従って直ちにこれらをわれわれに返還し、サイトから消却すべきものだ。もしこうした修正を行わない場合は、それを強制的に遂行させる手段をわれわれは持っている」
と公言している。
今回の記者会見でもジュネーブ市は特別なセキュリティ体制を敷き、2人のガードマンがしっかりとアサンジュ氏を護衛する中で行われた。
なお、アサンジュ氏は11月4日夜のスイスのフランス語圏テレビ ( TSR ) に出演し
「電話番号や居場所を絶えず変えて身の安全を図っているのは、わたしだけでなく、スタッフ全員だ。特に過去3カ月間、身辺の危険は急増し非常に困難な状況だ。スイスに亡命申請をする予定もある」
と答えている。
普遍的定期審査 ( UPR )
国連人権理事会 ( UNHRC ) が行う国連加盟国192カ国の人権状況を4年間で審査する新しい制度。各国の人権を、普遍的かつ平等に審査する。
審査前に、被審査国は自己評価である「政府の人権状況報告書」を提出。国連人権高等弁務官事務所 ( OHCHR ) が「国連の人権条約機関の報告書」、「NGOの報告書」を用意する。
これらの3種の性質が異なる資料を基に、国連加盟国は被審査国の人権に関し、質問、勧告を行う。
1国に関し3時間に及ぶ審査が行われる。審査終了から48時間後に、報告書が作成され採択される。
今回、アメリカが被審査国として11月5日に審査を受け、ジュリアン・アサンジュ氏はNGOの立場からスピーチを行う。
swissinfo.ch