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『みんなの牛乳 ( Milch für alle ) 』という本が、スイス牛乳 生産者協会 ( SMV/PSL ) の創立100周年を祝って出版された。20世紀のスイスの牛乳産業について、また、牛乳がどのようにして国民的飲み物になったかといった歴史をたどる本である。このコンテンツは 2007/11/01 15:25
一定の価格を保っていた牛乳が、突然値上げの発表を受け、牛乳産業が国有化された経緯なども興味深く書かれている。
牛、チーズ、チョコレート。牛乳はスイスのアイデンティティーと深くかかわっている。20世紀のスイス人の日常生活の中心的位置を占め、スイスの農業政策においても重要な役割を果たした。
公共サービス
第1次世界大戦前、スイスの社会環境は緊張していた。物価の変動は労働者階級の生活を直撃した。食糧事情が悪化する中、牛乳生産の管理はスイス政府にとって重要項目となった。1916年、政府はスイス牛乳生産者協会を発足させ、国民への牛乳配給を確かなものにした。それまで、農家、牛乳取引業者、チーズ製造者などが「牛乳戦争」に巻き込まれていたが、彼ら自身が徐々に牛乳市場を安定させる原動力となって行った。
「当時、国民一人一人が毎日牛乳を飲めるようにという共通の政治的認識がありました。牛乳配布は公共サービス的なものとして考えられ、配達網が発達して行ったのです」と著者の1人であるペーター･モーザー氏は説明する。
同書には、スイスの共同体としての認識を表す格好の写真も多く掲載されている。例えば、牛乳瓶を山積みにした荷台。牛追いと子どもがこれを引いている。そして、フォルクスワーゲンで家々を回って牛乳を売る人などがある。( swissinfo のフォトギャラリーもあわせてご覧下さい )
低温殺菌が改革をもたらす
『みんなの牛乳』では、消費者の生活様式の発展と消費形態の変化に触れている。中でも低温殺菌は1950年代に消費の改革をもたらしたという。低温殺菌により、腐りやすい牛乳が保存可能になり、厚紙パッケージで販売されるようになった。現在スイスを代表するスーパー「ミグロ」の発展期と重なったのも幸いした。毎日牛乳を買う習慣がある消費者を、ミグロの店舗に引き寄せる原動力にもなった。
20世紀半ばになると、牛乳産業の改革期に入る。乳牛の牛乳生産量が上がり、村の牛乳販売店は大手流通に取って代わられた。一方、チーズ生産者はチーズ製造の工業化に反発した。
宣伝効果
牛乳が国民に行きわたるようになると、牛乳の過剰生産が問題になった。「第1次世界大戦まで、牛乳は非常に希少なものでした。よって、宣伝は必要なかったのです。戦後、生産過剰になり、宣伝で消費を促進する必要が出てきました」とモーザー氏は広告の歴史をたどる。
1922年に「牛乳を飲もう！」という広告が初めて出た。同年、スイス牛乳産業の広告センターが創立され、牛乳を国民の飲料としてアピールするキャンペーンが始まった。牛乳の試飲スタンドを設置すると共に、市内には牛乳を宣伝するポスターが貼られ、新聞、雑誌などにも広告が載り、コマーシャルが映画館などで上映された。牛乳は公共機関にも進出した。1930年代には学校で「休憩の牛乳」が配布されるようになった。軍隊、お祭、保養地や駅などにも牛乳が浸透していった。
1960年にスイス全土に広まったスローガン「強い男子は牛乳を飲む」で牛乳摂取促進は最高潮に達した。一方、学校での牛乳配布は非難されるようになった。一部の医師が、200ミリリットルの牛乳を昼前に飲むと、子どものおなかは満腹で昼食が食べられないと批判したのである。現在、中国やロシアなどで牛乳の需要が増加し、安くなる傾向にあった牛乳価格を逆に押し上げている。
モーザー氏は「当時は牛乳産業を国営化する必要があると判断されたのですが、現在は自由化する動きになっています。食品価格の変動については、消費者は特に敏感ですので、牛乳の価格が上昇すると市場の自由化に逆行する動きが出ることも考えられます」と言う。
swissinfo、カロル・ヴェルティ、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 訳
キーワード
『みんなの牛乳 ( Milch für alle ) 』
ペーター･モーザー、ベアット・ブロトベック共著
2007年、出版社 Verlag für Kultur und Geschichte hier+jetzt
ドイツ語とフランス語で出版
乳牛
乳牛は毎日200キログラムの草を食み、2.5キログラムの穀物などの飼料を食べ、200グラムの塩を取り、50リットルの水を飲む。
毎日の牛乳の生産量は1頭に付き平均24リットル。
年間生産量は乳牛の種類により5000から1万リットル。
JTI基準に準拠