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人と物の往来の自由化に伴い、近年多くの害虫がスイスに上陸してきた。それらの中にはヒトスジシマカのように人に直接被害を与えるものもある。しかし外来昆虫の一番の脅威は、生物多様性と農業に対する影響だ
かつては海、山、砂漠といった自然の防壁があったが、近年ではそれを越えてやって来る侵略的外来種が増え続けている。スイスではここ数カ月間、特にアジア原産の昆虫が注目を集めている。「数年前からすでに外来昆虫の種類は増えていたが、最近ではアジア産の昆虫が蔓延（まんえん）し出し、非常に気がかりだ」とシャンジャン・ヴェーデンスヴィル農業研究センター（Station de recherche agroscope de Changins-Wädenswil）に勤める昆虫学者ステーヴ・ブライテンモザーさんは言う。
例えば、体長約３ミリメートルと裸眼ではほとんど気がつかないほど小さく、見かけは貧弱な日本産のクリタマバチ。この外来生物は侵略的であり、急速に拡散した。最初に姿を現したティチーノ州では、昨年、栗の木が甚大な被害にあった。そして、クリタマバチがアルプスの壁を越えるのにそれほど時間はかからなかった。すでにヴァレー/ヴァリス州とグラウビュンデン州でも確認され、「近いうちにスイス南部一帯に蔓延するだろう」と警告するのはスイス森林保護相談所（PBMD/SPOI）のベアト・フォスターさんだ。
生物多様性の損失
このような重大な事態がすでに日常化しているわけではないが、ある種の木が絶滅してしまうこともあり得ない話ではない。前世紀に見られたニレの木の全滅がその一例だ。１９００年代初めスイス全土の森に生息していたニレは、キクイムシが媒介するアジア原産の菌類が原因で、そのほとんどが枯死してしまった。
黒と緑色のメイガの幼虫に食い荒らされているツゲや、同じくキクイムシの被害に遭い北アメリカで５千万本が枯れたナラなども同じ運命をたどる可能性がある。
侵略先の新しい環境には天敵や寄生生物も居ないため、外来種は難なく地域の生育条件に適応する。しかし、「作物や野生植物に被害を与えるだけでなく、その地域にもともと生息していた生物のすみかをも奪ってしまう。在来種を追い払ってしまったアジア原産のナミテントウがそのよい例だ」とブライテンモザーさんは指摘する。
環境保護団体プロ・ナチュラ（Pro Natura）の広報担当、ニコラ・ヴュートリヒさんも同意見だ。「生物多様性が損なわれる原因は、第１に自然環境の悪化、第２に侵略的外来種の蔓延にある」
密航者
今年７月の終わり、チューリヒ州ヴィンタートゥール（Winterthur）で、ツヤハダゴマダラカミキリの大掛かりな駆除作業が行われた。この昆虫は、アジアから輸送されてきた貨物の木製パレットや、輸入植物に紛れ込んでスイスに上陸したと見みられている。被害に遭った６４本の木が根こそぎ取り除かれ、焼却炉までコンテナに密封して運ばれた。「これはほとんど終わりのない作業だ」とブライテンモザーさんは語る。「アジアとの行き来や日々持ち込まれる木製パレットの量から見ると、駆除をやり遂げることなど到底無理な話だ」
「これら外来種の昆虫が急速に蔓延する背景には、海外との取引やますます重要になるばかりの大陸間貿易が大きく関わっている」とブライテンモザーさんは明言する。「いったん侵入した虫の中には、地球温暖化も助長してここの土地にすっかり住み着いてしまうものもいる」
その一つの例が、ヒトスジシマカだ。デング熱、チクングニア熱、西ナイル熱、黄熱など一連の熱帯感染症を媒介し、他の多くのアジア原産の生物と違い直接人間に被害を与える。２００３年にティチーノ州で見つかり、昨年初めにはアルプス北部のアールガウ州でも生息が確認された。
恐れる生産者
外来生物によって農業や林業が経済的に甚大な被害を被ることもある。２０１１年にスイスで初めて見つかったオウトウショウジョウバエは、果物の生産者にとっては考えただけで冷や汗が出る存在だ。キイロショウジョウバエと同科で、スペインやイタリア経由で入って来たとみられるこのアジア原産のハエは、サクランボ、ブドウ、リンゴなどあらゆる種類の果実を食い荒らしてしまう。
「幸いにも今年の春からの被害は最小限にとどまっているが、油断は出来ない。ショウジョウバエは今やスイス全土に拡散していて、暖冬には何が起こるかわからないからだ」と農業研究センターの昆虫学者セルジュ・ヴァデンスヴィルさんは話す。
ショウジョウバエは化学薬品に対する新しい耐性を素早く獲得するため、農薬による駆除は効果がなく、酢を使用したトラップや腐敗した果実を早期に取り除くなどといった方法しか有効な対策がない。緊急措置を要する問題で、被害が拡大した場合、経済に大打撃を与えかねないことから、行政、生産者、研究者が連携して素早い対策が図られた。
不毛な戦い？
「しかし全てのケースに対して同様に事が運ぶわけではない」と前出のヴュートリヒさんは嘆く。「特に植物に関しては、優先的にどの侵略種を駆除するか、どの地域に立ち入るかなどのプランが全くない。政府は、緊急を要するものへの対策に追われるばかりだ」
一方、２０１０年に名古屋で開催された国際会議では、生物多様性保全を目的とした議定書が採択され、それを受けて連邦議会は今年６月、対策案を可決した。この対策案は、前出のような指摘に答える内容になっている。「来年内には生物多様性保全に向けての包括的な実行プランを練り上げるため、州、研究者、さまざまな環境団体と密接に協力し取り組んでいる」と連邦環境省環境局（BAFU/OFEV）外来種担当官ジャンレトー・ヴァルターさんは説明する。
対策案と平行して、ヒトスジシマカやツヤハダゴマダラカミキリのような最も有害な外来種に関しては、特別に作業チームが設置された。「害虫はそれぞれ違った特性を持っているので、それに見合った個別の対策が必要になる。作業チームの設置により、害虫の拡散を阻止し、甚大な損害を引き起こさないよう素早い措置を取ることが可能となった」
スイスはまた、国際レベルでの対策にも働きかけている。ヴァルターさんによると「在来種の動植物を保護するには、貨物梱包に関する国際協定の見直しが望まれる。多くの害虫が梱包に紛れて侵入してくるからだ」
侵略的外来種
スイスには５１種類の侵略的外来動物が存在する。大半は人間と共に偶発的に入り込んだものだが、中には意図的に持ち込まれたケースもある。
アメリカ原産のウチダザリガニや、温室内でのアブラムシ駆除の目的で１９８２年天敵として輸入されたナミテントウがその例。ほかには、思慮のない飼い主が湖などに捨てたミシシッピアカミミガメなどがある。
また、国内に存在する４５種類の侵略的外来植物は生物多様性への大きな脅威となっている、と環境保護団体プロ・ナチュラ（Pro Natura）は指摘する。中でも、イタドリは土手や建造物を突き破るため、重大な経済的損失を招きかねない。
人間にとって有害なものもある。ジャイアントホグウィードの汁は、皮膚に付着して日光に当たると、第３レベルの火傷に相当する炎症を引き起こす。また、繁殖力が強くひどいアレルギー反応の原因となっているブタクサは、現在都会から高原に至るまであらゆる地域で生息している。インフォボックス終わり
（仏語からの翻訳、由比かおり）, swissinfo.ch