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怠慢で学校と協力しない親を罰する法律を制定したバーゼル・シュタット州が、今多くの批判を浴びている。しかし親としての義務を果たさない保護者に、その責任を追及する姿勢はほかの州でも変わらない
2つの町からなるバーゼル・シュタット州は、定刻の登校、充分な食事、充分な睡眠などを含む、基本的な親としての義務を果たさない保護者に罰金を課すと決定した。反応はほとんど例外なく「罰金は問題の解決にならない」というものだ。
社会、経済的な要因の組み合わせが問題を形成
「先生たちは親と喧嘩 ( けんか ) する気力も失い、もう限界にきている。子どもたちは授業中に睡眠不足で寝込むし、親は設定された話し合いの場にも出てこない。さらに幼稚園でも多くの欠席が目立つ」
と罰金制度導入の必然性と緊急性を、バーゼル・シュタット州教育局のハンス・ゲオルク・ジグナー氏は説明した。
今回、罰金を含む教育に関する法律を伝える紙を受け取った州の親たちが、特に驚いたのはその詳細に渡る親としての義務の列挙だった。
「しかし、親としての権利もかなり拡大した」
とジグナー氏はバランス性を強調する。
ジグナー氏によれば、親が移民であることもスイスの教育制度を理解していないという意味で問題の一要因だが、基本的には社会、経済的な要因の組み合わせが問題を形成するという。
対策は早ければ早いほど良い
「習得しているべきことが信じられない位少ない子どもたちが、就学前にすでに多数存在する。この不平等に対し州は対策を立てるべきだ」
と言うのは「スイスドイツ語圏教師連盟 ( LCH ) 」のベアト・ツェンプ氏だ。バーゼル・シュタット州は、幼稚園に入る前にその子どもにドイツ語を教える必要があるかどうかを調査するプログラムも検討している。
このプログラムを支持する、「フリブール大学家族カウンセリング研究所」のアンヌ・シナ・ジョセン氏は、
「子どもにチャンスを与えたければ、対策は早ければ早いほど良い。やはり非行の原因は学校でうまくやっていけないことに起因する場合が多いからだ。さらに、朝食をきちんと取っていない子どもや、疲労している子どもは集中力がなくなり、その結果ほかの子どもの勉強も妨げることになる」
と言う。
一方、バーゼル・シュタット州で保護者の会の代表を務めるマヤ・ミューレさんは、
「食事や休息、宿題をするのに適した環境などを指導するのは素晴らしいことだ。しかし、青少年期に入った子どもに朝食を強制するのは難しいことだし、紙に書いてある通りを子どもに言っても実行しないことが多い。それなのに、こうした状況を一切考慮せず親に罰金を課すのはどうかと思う」
と主張する。また、
「親としての義務を実行しないのは、ほんの少数の親たちだ。彼らはスイスの教育システムが分からない上、社会的に上の立場にないこうした親たちは、それを知る手立てさえない」
と付け加える。
スイスフランス語圏では、ヴォー州を除いて親への罰金制度は実行されていない。
「だが、親の義務の問題はフランス語圏でも何十年にもわたって話合いの中心主題になっている。生徒が成功するには親と教師との信頼関係が非常に大切。だからといって、この信頼関係が法的な懲罰によって向上するとは思えない」
と「フランス語圏教師組合 ( SER ) 」の代表、ジョルジュ・パスキエ氏は言う。
プレッシャーを絶えずかける親もいる
こうしたさまざまな議論に対してジグナー氏は、
「一方に、年少の子どもがテレビを夜遅くまで観たり、母親に代わって小さな子どもの面倒を見たり、家事をさせられたりするケースがある。その一方で、ある種の親たちは子どもの成功にあまりに熱心で、勉強しろと絶えずプレッシャーをかけている。後者もある意味で、子どもを無視した、親としての本当の義務を軽視しているケースだ。我々は、後者の問題にも将来取り組むべきだろう」
と結論した。
swissinfo、アリアンヌ・ジゴン 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 訳
親への罰金制度の背景
1999年1月ザンクトガレン州で、移民の家族の生徒の父親が、担任の教師を殺害して以来、親と教師との関係を築くことは緊急の課題になった。
さまざまな教師組合から、１つの研究グループが形成され、およそ50の対策が検討された。その1つが義務を果たさない親に対する罰金制度である。スイスドイツ語圏教師連盟 ( LCH ) 」によれば、この罰金制度を導入した初めての州が、ザンクトガレン州だった。
今日、少なくとも以下6つの州で罰金制度が取られている。アールガウ州 (最高1000フラン、約7万8000円) 、バーゼル・ラント州 ( 同5000フラン、約39万円 ) 、ソロトゥルン州 ( 同1000フラン、約7万8000円 ) 、チューリヒ州 ( 同5000フラン、約39万円 ) 、ザンクトガレン州 ( 同1000フラン、約7万8000円 ) 、 ヴォー州 ( 同2000フラン、約15万6000円 )