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人口2000万人の巨大都市メキシコシティー。しかしここは今やほとんど「死の街」と化している。スイスのフリブール州出身のカロル・Dさんに話を聞いた。
学校、大学、美術館、バーなど人が集まる建物はすべて閉鎖。市長マルセロ・エバード氏はこの警戒態勢を少なくとも10日間は解かないと宣言した。
娘の婚約者が感染
「娘の婚約者が豚インフルエンザにかかり入院した。娘が週末ずっと彼と一緒にいたことを思うと心配でじっとしていられない。24時間後に、もし最初の症状が出たら病院にすぐ直行だ」
と、メキシコシティーで不動産業を営むカロル・Dさんは言う。たまたま5月1日から5日までは連休。予定していた家族旅行はもちろん取りやめになった。
「街ではすべての人がマスクをつけている。誰もが自分を守り、当局の指示に従っている。指示は分かりやすくはっきりしている。特にタミフルは、自分の判断で服用したり、発病前に使うことは厳しく禁止されている」
と語る。
気温が33度から34度のため誰もがエアコンを使い、そのせいでみんな咳き込んでいて誰が本当に病気にかかっているのか判断がつかないとも言う。
「死者の中には若者が多いと聞いた。( 娘や婚約者のことを思うと) 怖くて仕方がないが、早期に入院し、早期に治療を受ければ大丈夫なのでは」
と心配を隠せない。
深刻に受け止めている
娘は月曜日から大学には行っていない。マスクをつけ、会社には出たカロル・Dさんは、
「早目に帰宅し、ラジオやテレビで流される情報を聞き、インターネットで検索している。メディアのヒステリーさは、しばしば人に恐怖感を与えてしまう」
と言う。
「銀行にも、レストランにも行かないほうがいいと言われている。街はガランとしている。メキシコ人は楽天家で何も心配しない気質だが、今回だけは深刻に受け止めているようだ」
と言いながらも、一方でスイス人のように徹底したところはないとも言う。
「月曜日にタクシーの運転手が何人マスクをつけているか数えたら、10人に4人しかつけていなかった」
空港が諸悪の根源
世界保健機関 ( WHO ) は4月27日の時点では、海外旅行の制限を勧告していないが、日本などは28日、メキシコへの旅行を必要がなければしばらく行かないよう勧めるている。スイスも28日夕刻からメキシコへの旅を延期するよう勧告している。
カロル・Dさんは、こうした対処は少し遅すぎると考える。なぜなら、問題は巨大なメキシコシティー空港にあると思うからだ。
「空港を閉鎖すべきだ。あの大きな空港の雑踏の中では、たとえたった1人の患者がくしゃみをしただけで、何人もの人に感染する。こうして、ウイルスはヨーロッパにも運ばれる」
さらにメキシコシティーでの噂話にも触れ、
「4月初めにメキシコに来た1人のアメリカ人が病気になったが、その後帰国した。彼から、インフルエンザが広まったと人々は言っている。いすれにせよ、空港は最も危険だ」
と確信する。
さまざまな噂
アメリカでの患者に関してはWHO自体が、
「アメリカでは豚インフルエンザと思われる患者から患者へと広がったようだ。メキシコ旅行から帰って来た人から、始まったのではない」
と発表し、アメリカ、カナダ、イギリスの患者のウイルス発生の原因や場所がまだ確かめられていない。
こうした不確定性がさまざまな噂 ( うわさ ) を引き起こす。
「実は、オバマ大統領はメキシコを訪問した際色々な所へ行き、民族学博物館にも行った。そこの館長と握手をしたが、その館長がその3日後のちょうど先週亡くなった。何が原因か分からないがオバマ大統領も内心、心配しているのではないかなどという噂が立っている」
ところで、メキシコのスイス大使館には、メキシコ在住のスイス人からの電話が数日来鳴り止まない。
「メキシコのスイス人には、WHOを始めメキシコ当局からの情報や勧告を充分に渡してある。インターネット上でも情報が見られるようになっている。スイス外務省からの勧告も日々更新されている」
と連邦外務省（ EDA/DFAE ）の広報担当官は話している。
swissinfo、イザベル・アイシェンベルジェー 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 訳
世界保健機関 ( WHO ) の対策本部
4月23日からWHOには、公衆衛生対策センターが24時間体制で世界からのデータを集めている。
2007年に発効された国際保険規則 ( IHR ) の基づき、加盟国は国際的に脅威となる公衆衛生緊急事態をWHOに通知しなくてはならない。
公衆衛生対策センターは2004年に創設された。