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スイスの多くの地域で深刻な洪水被害が出てから1年が経つ。このような災害を二度と起こさないため、各地で洪水対策プロジェクトが着手されている。しかし、専門家は「まだまだ不十分」と見ている。このコンテンツは 2006/08/26 21:10
死者6人。被害総額は推定25億フラン ( 2360億円 ) 。もちろん、この中には将来の災害に対する予防対策費は含まれていない。
3日間の激しい土砂降りが続いた後、次に来たのは洪水と崖崩れだった。去年の夏、スイス26州のうち、3分の2の州が水害を被った。
傷跡は深く
最も深刻な被害を受けたのは、スイス中部のベルン州だ。アルプスの山を流れる川が氾濫し、ブリエンツ村を襲った。家屋が流され、死者2人を出した。ルツェルンの郊外では崖崩れが起きて、2人の消防士が亡くなった。
道路や鉄道が遮断され、多くの村が何日も孤立した。特に山間の村などでは、何週間も外界から遮断されてしまった。首都ベルン市の上をヘリコプターが巡回し、屋根に逃げた住民を助け出そうとする画像が世界中を駆け巡った。被害者は強風にあおられて、もぎとられるようにして命からがら、やっと救助された。
水が引いてくるに従って、被害額もだんだん明らかになってくる。民間保険会社が支払った損害賠償件数は3万6000件、合計約13億3000万フラン ( 約1255億円 ) 、州の建築関連保険会社が払った金額は6億6600万フラン( 約623億円 )。公共道路や鉄道、農業分野などの被害復興金額は5億1100万フラン ( 約482億円 ) にもなった。
一方、スイス放送協会が設立した慈善事業団体、「スイスの連帯( Swiss Solidarity )」は、保険に加入していなかった被害者のために5000万フラン ( 約50億円 ) の寄付を集めた。
備えあれば憂いなし
洪水が収まると、ただちにいくつかの州はダムや川の堤防の建設に取り掛かった。また、より効果的な洪水対策はないかと、1999年に作成された洪水対策を再度検討し直した。
一方、スイス全土をカバーする「危険地域マップ」も、作成作業がスピードアップした。これには洪水や地滑り、なだれなどの危険地域が網羅されている。また、連邦政府傘下の水・地質学局は、早期警告システムを大幅に改善することを約束した。
ベルン州のトゥーンでは、トゥーン湖が増水した場合、水を吸い上げる地下パイプラインを建設する計画を立てている。パイプラインの水は町の下を通り、アーレ川に注ぎ込む。首都であるベルン市も同様のプロジェクトを検討中だ。問題なのは、川の氾濫を防ぐために川幅を広げる時に、その地域に住む住民に立ち退いてもらわなければならないことだ。全ての住民の承諾を得るのは簡単なことではない。
ルツェルン州は2012年までに洪水対策プロジェクトを完了する予定だ。この中にはクライネ・エンメ川の拡張も含まれている。一方、スキー・リゾートで人気のあるクロスターズ ( Klosters ) では、もうすぐ700万フラン ( 約7億円 ) の洪水対策費が市民に提示される。ここは去年の洪水で、145棟の建物が被害にあった。
保険料があがる
しかし、これでも十分ではないらしい。専門家は「1999年や昨年の水害を予防するためには、さらに政府はこの後何年か何十億フラン( 何千億円 ) もの出費を覚悟しなければならない」としている。
また、洪水関連の専門家がスイスインフォに語ったところによると、効果的な洪水対策を迅速に実施するためには、連邦政府や州政府、地方自治体の間で、それぞれの政策を調整することが必要だ。
「連邦政府は、関連法令を制定しますが、実際にそれを実施しなければならないのは州政府です」とチューリヒ大学のマルク・ツァッグ教授は言う。言うのは簡単だが、行うのは難し、ということか。
まず確実なのは、今後保険料が上がるということだ。また、鉄道や道路、建物の建設などの復興事業で、政府の負債は2億5000万フラン ( 約236億円 ) から10億フラン ( 約940億円 ) まで上がるだろう。
swissinfo、外電 遊佐弘美（ ゆさ ひろみ ）
キーワード
民間保険会社が被害者に払った金額は13億3000万フラン( 約1255億円 )。
州の建物専門保険会社が払った金額は6億6600万フラン( 約623億円 )。
鉄道や道路など、公共の被害に連邦政府が出費に合意した金額は2億5100万フラン ( 約237億円 ) 。
補足情報
-1991年、洪水予防対策のため、連邦水圧技術法が可決。
-同法は、洪水を予防するために州政府が必要な処置を取らなければならないと定めている。
-この中には、必要ならば自然の川の流れを人工的に整備することも含まれている。
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