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地球温暖化の波をまともに受けているスイスアルプスに、世界から観光客が詰めかけている。氷解が進んでいる人類の財産が、この世から消えてしまう前に一目見ようと、最近の観光の目玉になっている。
夏到来。マッターホルンで有名なツェルマットにあるトリフト氷河は、後退が心配されているスイスの氷河の中でも特に深刻な状況だ。このたび、新たにケーブルカーとつり橋が建設されて、より足を運びやすくなった。
ちょっと膝ががくがく。足元のはるか下は、美しい青緑色の水をたたえた湖だ。ここの水は氷河が溶けてたまったものだ。100年前、サーカスを世に広めたアメリカ人、P.T.バーナムだったらこの自然を舞台に、どんな興行の呼び込みを思いつくだろう。
まずは「寄ってらっしゃい、見てらっしゃい、地球上で最もすごいスペクタクル！あなたの目の前で、巨大な氷河が消えてなくなっていく！」というところか。
「岩壁にへばりついた氷河がどんどん溶けています。下半分が崩れ落ちるのも、時間の問題でしょう」と言うのは、バーナムではなく、ヴァルター・ブロクさん。もちろんブロクさんは興行師でもなければ、人を呼び込むために大げさに言っているわけでもない。ブロクさんはヒュッテ（山小屋）のビジネスマネージャーだ。
彼は深刻に、この10年間で何百メートルも後退してしまったスイスの氷河の状態を憂えている。残されたのは、山の斜面を覆う薄い氷一枚だ。解けた水で、ふもとの湖は水かさを増している。昔、この氷河は山峡をつないでいたものだった。
近道復活
５年前までアルプスの登山家は、山から山へ移るのに氷河を伝っていた。ブロクさんのヒュッテにもこの道をやってきた登山客がにぎわっていたものだが、氷河が溶けてこの近道がなくなってしまうと客足も遠のいた。そこで考え付いたのが山と山をつなぐつり橋だった。
つり橋を建設したのは、ネパールの国際援助プロジェクトで実績があるスイスの会社だ。数ヵ月で作ってしまった。長さ100m以上のこのつり橋は、欧州でも類を見ない規模のものだ。それだけでも話題を呼んだが、美しい湖の上にかかるこのつり橋の眺めも、多くの観光客を惹きつけている。
多くの登山客はつり橋を渡るためにやってくるので、渡り終わった時点で写真を撮り、地球温暖化の影響を目の前に息を呑んだら、すぐに来た道を引き返してしまう。
ケーブルカー
つり橋の落成と時を同じくして、現地の水力発電所がケーブルカーを開設した。これで鬼に金棒。地上からつり橋と氷河までの道がぐっと近くなった。今までは３時間半かけて登ったルートだったが、今では経験豊富な登山家だったら１時間ちょっとで行ってしまう。
50年前にもケーブルカーは建設されていたが、これは工事の材料を運ぶためのものだった。グリムゼル発電所のエルンスト・バウムベルガー通信部長は、発電所が登山客のためのケーブルカーを建設した理由を次のように語った。
「水力発電所のイメージアップのためです。スイスには多くの発電所がありますが、自然に優しい水力発電がアルプスの山でどのように行われているか、広く知ってもらうことを期待しています」
去年までは毎年たった1500人ほどしか、氷河に囲まれたスイスアルプスに登頂することはできなかった。しかし、ケーブルカーが開設したことで、同じ数の観光客が毎週押し寄せるようになった。
氷河が人々を守っていた
「アルプスの氷河は目に見えて溶けています」とバウムベルガー部長は続ける。「特に夏はすごい量の水が流れ出しており、大きな問題になっています。氷河があれば、水の流れを調整できるのですが、それがなくなってしまえば、水は傾斜を流れ、洪水となってふもとの村を襲います。氷河の代わりを探そうと思えば、人間はダムを作るしかありません」
ヒュッテのマネージャー、ブログさんも語る。 「人々に地球温暖化の影響を実感してもらいたいのです。最終的には雪氷学や地質学に基づいた情報も準備したいと思っています」
最悪のケースでは、科学者は「100万立方メートルの巨大な氷が氷解して湖に流れ込み、それが津波のように谷に覆いかぶさることもありえる」と警告している。
風光明媚な橋の真ん中で、そんな警告の言葉を思い出しながら、私たち取材陣は強い風に吹かれて必死にバランスを取っていた。遠くで、アルプスの山頂に浮かぶ不気味な雲がこちらを見下ろしていた。
ｓwissinfo、デイル・ベヒテル 遊佐弘美（ゆさひろみ）意訳
キーワード
トリフト氷河へはベルナー・オーバーラントにあるリゾート地、マイリンゲンから日帰り旅行が可能。
10分間ほどケーブルカーに乗った後、１時間から１時間半歩けばつり橋や氷河の湖にたどりつく。