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ジュネーブ湖畔のラヴォー ( Lavaux ) に広がるブドウの段々畑は昔、修道士たちの手によって作られ、当時から今日に至るまで人間と自然が共存してきた地域でもある。2007年、このブドウ畑は世界文化遺産に登録された。このコンテンツは 2010/05/04 09:01
ヴォー州の人々は、電車でラヴォーを訪れる旅行者は帰りの切符を窓から捨てるという。これは少し大袈裟な表現だが、実際この地域の景色は、訪れる人を魅了してやまない。ラヴォーに広がるブドウ畑から見る、湖と山のパノラマ絶景は、ヨーロッパのどこを探しても見当たらない。
段々畑の景色
足元を見下ろすと、丘のふもとには湖が広がる。レマン湖の水面は光と影によって現実とはまた少し違った風景を写し、湖の向こう側には、山頂に雪をまとったフランスアルプスの壮大な山峰がそびえ立つ。ラヴォーのブドウの段々畑は、12世紀にシトー会修道士によって耕され、その後、ブドウ栽培者がさらに拡大と改良を重ねたことによってできたものだ。段々畑にある仕切りの壁は、何百もの小道と階段が広がるブドウ畑の景色をまるでタイルのように美しく見せてくれる。
それは神と人間によってつくられた
ブドウに甘味を与え、成熟させる太陽もこの地域にとっては重要な要素だ。地域の人々は、「太陽は3つある」と言う。それは、真っ赤で壮大な空の太陽、レマン湖から反射する光の太陽、そして石壁に蓄えられた熱の太陽のことだ。
ラヴォーの印象的な美しさは、以前から画家、作家、映画監督などを魅了してきた。例えば、フェルディナント・ホドラー、ウィリアム・ターナー、オスカー・ココシュカ、チャールズ・チャップリンといった人々の名が挙げられる。ラヴォーは、常に人間と自然が完全調和するブドウ栽培地域だった。
スイスの詩人、シャルル・フェルディナン・ラミュは1923年にこう語っている。
「神は天地を創造し、やがて人間が現れた。そして、人間は仕事を完成した。今日、それはもはや単なる丘の斜面ではない。家や塔、砦の壁ができ上がった」
バリの田んぼのテラスのように
ラヴォーのブドウの段々畑は、2007年にユネスコの世界遺産に登録されたが、自然遺産としてではなく、文化遺産として登録された。これは、何年か前にラヴォーを訪れた人が思いついたことがきっかけだった。
「バリのライステラスと呼ばれる棚田が世界文化遺産として登録されているならば、なぜラヴォーの段々畑は世界文化遺産に推薦されないのだろうか？」このような発想がラヴォー以外から浮上し、登録運動が始まったという。
そして2003年、この地域のブドウ栽培者たちとこの地域に心寄せる住民は、ラヴォーにユネスコ世界遺産登録推進協会 「アイル( Ailu / Association pour l’inscription de Lavaux au patrimoine mondial de l’Unesco ) 」を設立した。その甲斐あって、4年後にはニュージーランドのユネスコ委員会の審議会で申請が通った。
祝いの鐘が鳴った
2007年6月28日のちょうど正午前、ユネスコ世界遺産認定の知らせは特別な方法で伝えられた。リュトリー ( Lutry )、エペス ( Epesses )、サン・サフォラン ( Saint-Saphorin )、といった絵に描いたように美しい14の自治体の教会の鐘が一斉に鳴りだし、地球の裏側での採決をラヴォーの全住民に知らしめたのだった。
「ユネスコ専門委員はこの地域の類稀なる特性を高く評価しました。何百年もの間、この地域では都市化政策は押えられ、景観が損なわれずに残ったのですから」
とワイン醸造家であり、アイル( Ailu ) の会長であるベルナール・ボヴィ氏は語る。
特に戦後、この地域における都市化計画を推し進めようとする圧力は強く、何人かのブドウ栽培者は、不動産業者に多額で土地を譲る計画に抵抗しなかったという。
「ラヴォーは、1977年にフランツ・ウェーバー氏が広めた市民運動と署名運動によって助けられたのです」
とブドウ栽培者のピエール・ジョリー氏は語る。彼は、スイスで有名な環境保護活動家であるウェーバー氏に師事し、ブドウの段々畑の保護のために尽力した人でもある。
ラヴォー地区では、残念ながらこの運動は同意を得られなかった。しかし幸運なことに、ヴォー州全体では、住民投票で56％の賛成票が集まり、結果的に地方自治体はこの地区の保護を承認した。
「こうしてユネスコ世界遺産の認定を得られる必要条件が整ったのです」
とジョリー氏は説明する。
穏やかな観光化を図る
2005年、ヴォー州はウェーバー氏が率いるさらなる市民運動による要求に応じた。これによって、ラヴォーの保護はさらに徹底された。しかし自然保護者たちと保護規定を緩和したいと考える自由主義者たちとの間の対立はまだ結末を迎えていない。そのため、ウェーバー氏は2009年に3度目の市民運動を起こした。
ラヴォーがユネスコ世界遺産に認定されても、ヴォー州の地方自治体は、何の法的義務を負わない。しかし、この世界遺産認定は多くの人々に、ヴヴェイとローザンヌの間に広がるブドウ栽培地区の重要性を明示した。
それ以来、ラヴォーを訪れる観光客は増えたが、ブドウ栽培者たちは、観光客で村が溢れることにならないよう願っている。
「私たちは、地元の人々がこれまでと同じように静かに生活できる環境を保ちつつ、この土地の景色や自然が好きでハイキングに来る人たちや、レストランでの食事やグラス1杯のシャセラワインを楽しみにこの土地を訪れる人たちを迎え入れたいと思います」
とボヴィー氏は静かに語った。
アーマンド・モンベッリ、ラヴォーにて、swissinfo.ch
( 翻訳 白崎泰子 )
ユネスコの視点から見るラヴォー ( Lavaux )
ヴォー州にあるラヴォー ( Lavaux ) は、数百年の間、丘陵の自然を残しつつブドウ畑が切り開かれた地域で、スイス屈指のワインの産地でもある。ラヴォーは、自然と人間の共存によってできた世界でも稀有な例であり、ブドウ畑とワインづくりはこの地域経済において非常に重要な役割を果たしてきた。
この地域は、およそ1000年の歴史の中で、昔ながらの建物や地域の伝統が守られ、地域全体が保護されているお蔭で、景観が昔と変わらない、特有の文化地域とされている。
このブドウ畑一帯は、美しい景観を守るために、急速な近代化と都市化を防ぎ、地域の住民運動によって自然保護措置が取られている。
ラヴォー ( Lavaux )
ヴォー州にある伝統的なブドウ畑一帯は、ローザンヌ－ヴヴェイ間のレマン湖を見下ろす丘の斜面に位置する。
およそ900ヘクタールに広がるブドウ畑は、約800年前にシトー会修道士が初めてブドウの木を栽培したことが起源となっている。
南の斜面と古い石壁の建物は、地中海の雰囲気を醸し出し、湖に面したブドウ畑をより美しく引き立てている。
ラヴォーに属する14の自治体
リュトリー ( Lutry )、 ヴィレット ( Villette )、グランヴォー ( Grandvaux )、キュリー ( Cully )、リエ ( Riex )、エペス ( Epesses )、ピュイドゥー ( Puidoux )、シェーブル ( Chexbres )、リヴァ ( Rivaz )、サン・サフォラン ( Saint-Saphorin )、シャルドン ( Chardonne )、コルソー ( Corseaux )、コルシエ・スール・ヴヴェイ ( Corsiersur-sur-Vevey )、ジョンニー ( Jongny )End of insertion
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