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スイス製のソーラーボート「サン21 ( Sun 21 ) 」が大西洋を横断し、ついに最終目的地のニューヨークに到着。
スペインのチピオナ ( Chipiona ) 港を出港した後、1万3000キロメートルの行程を完走し、予定通り5月8日ノース・マリナ港に入港した。世界で初めてガソリン燃料をいっさい使わず太陽エネルギーだけで大西洋横断を果たした。 ( なお、ビデオも併せてご覧ください )
この偉業を果たした乗組員たちによれば、この14メートルのカタマラン ( 双胴船 ) は航海中、1時間2000キロワットのソーラーエネルギーを生産し続けたという。これは「現代社会において、環境を尊重しながら世界を航海すること」を可能にしたのだという。
新しい局面
雲ひとつない空のもと、「サン21」は多くの人の出迎えを受けた。船長のミカエル・トニー氏は完走に満足しながら「太陽は、未来の燃料」と語った。
出迎えたニューヨークのスイス総領事、クリストフ・ボブ氏も「この航海は太陽エネルギーの活用における、新しい局面を開き、またこのエネルギーの研究、開発でのスイスの革新的なイメージを創ってくれた」と喜びを隠さなかった。
「サン21」は、2006年10月にスイスのバーゼルを出た後、12月3日スペインを出発。今年2月2日にカリブ海のマルティニック島に到着。その後マイアミから、ニューヨークに向け航海を続けた。
航海中、大きな故障はなかったが、高さ7メートルにも及ぶ荒波をくぐって進んだ時もあったという。
太陽炉
もともと、この航海の目的は、船舶部門での太陽エネルギー使用の可能性を探ることにあった。「小さい規模で、まずできるのだということを証明したかった。それは、大きな規模での応用につながるから」と語るのは、乗組員で、物理学者、環境問題のパイオニア、マルティン・ホスラー博士。
ホスラー博士によれば、地球の温暖化に対し、運命論者になってはならないという。いくつものクリーンなエネルギーを使っての「勇気ある」発明がなされているからだ。
ただし、核エネルギーは解決策ではないという。太陽こそ、地球から理想的な距離にある、開発すればよいだけの無限の可能性を秘めた、原子炉ならぬ『太陽炉』なのだという。
太陽エネルギーはまた、経済的な可能性も秘める。「この経済的開発の機会を逃さないように」とホスラー博士は、スイスの、そして世界の政治家に訴えた。
swissinfo、リタ・エムシュ 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 意訳
サン21
長さ14メートル、幅6メートルの双胴船。太陽エネルギーのみで航海。日中ソーラーパネルで集められたエネルギーの半分はバッテリーに貯蔵され、それで夜間は運転された。
航海中、平均1時間2000キロワットのソーラーエネルギーを生産し続けた。
最高速度9ノット ( 時速約16.5キロメートル ) で、平均速度は6 ノット ( 時速約10〜12キロメートル )。
ヴォー州イベルドン市の「MW-Line」で製造された。制作費は、9万フラン ( 約890万円 )。「スイス・トランスアトランティック21連盟 ( Swiss Transatlantic 21 Association ) 」が基本的に資金を出し、かつ開発も進めた。