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スイスの電力事業は段階的に民営化に向かっている。2008年1月1日に電気事業条令が、また4月1日には電力市場条令が発効された。そして、2009年1月1日には大口消費者に対する自由化、さらに再生可能エネルギーの給電補償金に関する条令が発効される。このコンテンツは 2008/11/08 15:26
大口消費者とは、年間の電力消費量が10万キロワット時を超える消費者を指す。需要がそれに満たない一般家庭が自由に電力会社を選択できるようになるのは2014年の予定だ。
値上げ幅を圧縮
自由化が導入されると、普通はその市場には競争が起こって価格が下がる。そういう理由で欧州連合 ( EU ) も自由化を市民に説得してきた。だが、今回の電力自由化では逆に電気料金が値上げされる。いったい何が起きているのだろうか。
2009年から各電力会社は、国内の送電網を一括管理している「スイスグリッド ( swissgrid ) 」社の送電網を利用して消費者に電気を送り届けることになる。送電網の利用には使用料がかかる上、電力会社の規模や構造もさまざまに異なるため、すでに提示された各社の電気料金には大きな開きが出てしまった。また、新しい法律の下では、すでに減価償却が済んでいる資産を経営の必要経費として顧慮し直すことができるという解釈も成り立つことから、2重に減価償却を行う電力会社が出てきた。
スイス経済界の上部組織「エコノミースイス ( economiesuisse ) 」は10月21日、来年予定されている電気料金の値上げ幅があまりにも大きすぎ、経済界にマイナスの影響を与えると考えられることから、送電網の使用料を下げるなど、幾つかの対策案を公表した。モリッツ・ロイエンベルガー・エネルギー相はその数日後、経済界の代表者と会談し、電力網の資産価格を2006年9月末時点の帳簿価格以上に引き上げることを禁止するほか、契約などによって予備電力をより安く買い入れるようにするなど、条例の問題点を早急に改善にすることを決めた。
まずは節約
ロイエンベルガー・エネルギー相との会談に消費者の代表は招かれなかった。スイスのイタリア語圏、フランス語圏、そしてドイツ語圏の各消費者団体「ACSI」「FRC」「SKS」や「スイスエネルギー基金 ( SES ) 」「グリーンピース・スイス」「WWFスイス」の各団体は、経済界の動きとは別にまったく新しい電気料金体系案を共同で提案した。「消費者保護基金 ( SKS ) 」広報担当のサラ・シュタルダー氏は10月22日の記者会見で
「現在の電気料金は、電気を節約すればするほど高くなる。これでは誰も節約しない」
と訴えた。
この共同案の大筋は、スイス全土で基本料金を廃止し、電気を使えば使うほど1時間当たりの電気代が上がるような累進的な料金体系を導入するというもの。
「資源保護の意味で電気料金を値上げするのは良いが、電力給不足に備えて新たな施設を建設するための費用捻出目的の値上げには反対だ。まずは節エネで需要を抑えることが肝心」
という考えだ。
これらの団体の試算によると、現在の料金体系では、一般家庭が電気の使用量を半分に減らした場合、1時間当たりの電気料金は15%から25%も高くなるという。同グループは公的活動を通じてこの案を世間に広め、各電力会社が自発的に料金体系を変えるような方向にもっていきたいと考えている。
また、一足先に発表されたエコノミースイスの対策についてシュタルダー氏は
「全体的な方向性は正しい。しかし、経済界は再生可能エネルギーを促進するための給電補償金額の引き下げを要求している。これにはやはり賛成できない」
と見解の相違を明らかにした。
swissinfo、小山千早 ( こやま ちはや )
電力の自由化
2009年1月から電力の大口供給 ( 年間消費量10万キロワット時以上 ) が自由化される。
すべての消費者に対する供給が自由化されるのは2014年以降。
2007年に新設された連邦電気委員会 ( ElCom ) が、2008年1月からスイス電力市場の自由化、つまり電気料金の動向を監視している。
自由化とともに発電事業と送電事業が分割される。国内の高圧送電は「スイスグリッド ( swissgrid ) 」社が一括して管理し、1キロワット時につき0.90フラン ( 約75円 ) の使用料を徴収する。経済界はこの料金を0.20 ( 約18円 ) フランと想定していた。
また、再生可能エネルギーを促進するため、連邦政府は再生可能エネルギーから作られる電力を2030年までに最低5400ギガワット時 ( GWh ) に増やす計画を立てている。水力 ( 10メガワットまで ) 、太陽エネルギー、風力、地熱、バイオマスなどの技術を利用した電力発電に対して、年間総計3億2000万フラン ( 約270億円 ) の補償金が準備されている。
2008年10月に経済界代表とモリッツ・ロイエンベルガー・エネルギー相が話し合う前は、地域によって20%以上の電気代の値上がりが予想されていた。
ロイエンベルガー・エネルギー相はこの値上げ幅を40%から45%減らしたいと考えている。
スイスの一般家庭向け電力料金の一例 ( ザンクトガレン市 )
＜2008年末までの電気料金＞
‐単一料金
0.241フラン ( 約20円 ) /kWh
1カ月の基本料金7.50フラン ( 約630円 )
‐時間帯別料金
昼間料金：0.241フラン ( 約20円 ) /kWh
夜間料金：0.086フラン ( 約7円 ) /kWh
1カ月の基本料金10.80フラン ( 約908円 )
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