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２０２３年までに人間の脳の試作コンピューターモデルの構築を目指す、大胆な国際プロジェクト「ヒューマン・ブレイン・プロジェクト（HBP）」が、今月ローザンヌでスタートした。この野心的な目標を達成するには、何が必要なのだろうか？
ヨーロッパおよび世界各地から１３０カ所以上の研究機関が参加。多分野の何百人という研究者がどんどんスカウトされ、１２億ユーロ（約１６２０億円）の予算（その半分は欧州連合／EUの出資）を擁するHBPと研究チームは、大きな野心を抱いて走り出した。
連邦工科大学ローザンヌ校（ETHL/EPFL）の神経科学者でHBPのディレクターを務めるヘンリー・マークラム氏によると、研究者たちの旅路は刺激的だが極めて難しいものになるだろうという。しかしその結果、「心の健康、脳の病気、突き詰めれば『私たちを人間たらしめているもの』を理解するための基礎を築いてくれるだろう」。
脳の基本情報
平均重量 １．３６kg
脳の８５％は大脳。脳の前部は左右二つの半球から成り、繊維の厚い帯でつながっている。この部分は知的機能、感情、人格に関わる。
脳の７５％は水分。
脳の４０％は樹状突起および軸索突起（神経細胞から糸のように伸びていて、細胞体から細胞体へと神経インパルスを伝導する）であり、６０％がニューロン（脳神経細胞）である。
ニューロンの数は約１千億個。
ニューロン１個につき１千〜１万個のシナプス（ニューロン間の接合部）がある。
脳の発達は１８歳で止まる。
脳が機能するには全身の血液と酸素の２０％を必要とする。
脳にある血管の長さは１０万マイル（約１６万１千km）に及ぶ。
出典 http://www.nursingassistantcentral.com/インフォボックス終わり
HBPチームは、計画の最初の３０カ月間で重要な「成果」を出せると自信を持っている。この成果とは、脳のコンピューター・シミュレーションのための基礎技術を開発し、毎年何万本も発表される神経科学関連の論文から脳研究の統合データベースを構築することだ。
アメリカでは、４月にオバマ大統領が、予算１億ドル（約９８億７千万円）の「BRAIN」プロジェクト（革新的神経科学技術による脳研究）を発表している。HBPは巨額の資金投入によって、このもう一つの巨大プロジェクトに先駆けたスタートを切った。
予測モデル
２００３年に完了したヒトゲノムプロジェクトは、人間の全ての遺伝情報を構成する、各細胞に含まれる３０億個のシナプス（塩基対）を全て解読するというものだった。HBPはこのプロジェクトと比較されてきたが、目指すところは違う。HBPは人間の脳全体の地図を作ろうとはしていない。複雑すぎるからだ。
「脳内の全ての結合を調べようにも、脳には１００兆個のシナプスがある。一つ一つを実験で位置づけることはできない。しかし、ニューロンがどのように結合するかという原理を用いれば、アルゴリズムに組み込んで予測モデルを作ることができ、その後、結合を確認することが可能になる」とマークラム氏は話す。
マークラム氏と連邦工科大学ローザンヌ校のチームは８年前から、マウスの脳の切片を用いて、このようなリバース・エンジニアリングと予測神経科学の手法を検証する「ブルー・ブレイン・プロジェクト」に取り組んできた。
研究所では、最先端のIBMのブルー・ジーン・スーパーコンピューターが休みなくデータを処理し続けている。相互に結びついたマウスの皮質柱１００本の電気活動のシミュレーション・モデルを構築するためだ。マウスの皮質柱１本には３万個のニューロンが存在する。しかし、人間の脳にはニューロンが８６０億個あるのだ。
そのため、人間の脳をシミュレートするためには、IT技術の大躍進と今より高速のスーパーコンピューターが必要になる。ブルー・ジーンは１秒間に何兆もの計算を行うことができるが、複雑なマルチタスクを行う脳の能力のシミュレーションに近づくにはこれが千台必要だ。
もう一つ、大きな問題はエネルギーだ。脳が必要とするエネルギーは３０ワット以下だが、現在のコンピューターが脳に匹敵しようと思えば、ほとんど発電所一つ分のエネルギーが必要となる。
HBPチームは、１０年以内に技術が急速に発展し、神経形態学的コンピューティング（脳のように学習する機械）に関する研究が進んで、初期シミュレーションの助けとなるだろうと確信している。HBPの支援を受けて、マンチェスター大学とハイデルベルク大学の研究グループが既に、先進的神経形態学的プログラムに取り組んでいる。
もう一つ早期に達成したい目標は、公立病院および製薬会社から精神疾患のデータを集め、分析して神経学的障害のクラスター（群）を特定することだ。そうすれば、研究者はコンピューターモデル内で健康な脳と病気の脳を比較することができる。
脳の病をより科学的に理解し、疾患および疾患の相互関連性を位置づける地図を作成することが大きな狙いの一つだからだ。この新しい「生物学的根拠のある」分類システムは、アルツハイマーなどの疾患のための薬剤開発や治療に役立つ新しいツールや戦略に貢献するだろう。
疑問視する声も
このプロジェクトの野心は壮大だが、科学者の中にはやや疑問視する声も聞かれる。２０１２年１月にベルンで開かれたスイス科学アカデミーでプロジェクトを紹介したマークラム氏には、懐疑的な意見も投げかけられた。批判の内容は、マークラム氏の計画は構想に問題があり、複雑過ぎ、自由過ぎるというものだった。
チューリヒ大学と連邦工科大学チューリヒ校（ETHZ/EPFZ）の共同構想である神経情報科学研究所（INI）のロドニー・ダグラス共同所長は、マークラム氏の元恩師だ。ダグラス所長は昨年、英科学誌ネイチャーに発表された記事で、「神経科学には意見の相違」がもっと必要だと述べた。
似たような批判は今も聞かれる。
「科学コミュニティの中でこの件に深く関わっていない人の多くには、関心の逸脱と受け取られていると思う。このプロジェクトは理論先導ではなく経験先導型だ。実のところ、このようなモデルを作れるほどには、脳のプロセスや構造について分かっていない。EUは少しだまされて出資したようなものだ」と話すのは、オープン・ユニバーシティとロンドン大学で生物学と神経生物学を教えるスティーブン・ローズ教授だ。
ローズ教授はまた、オバマ大統領のBRAINプロジェクトの方がずっと「現実的」だとし、HBPはおそらく脳科学よりもコンピューター演算の方に大きく寄与することになるだろうと付け加えた。
HBPやBRAINのような巨大科学プロジェクトに莫大な予算が注ぎ込まれることによりリスクが高まり、「一つのかごに全ての卵を入れること（リスクを分散しないこと）」になりはしないか、また他の神経科学研究に資金が回らなくなるのではないかという懸念もある。
「欧州研究会議やスイス国立科学財団（FNSNF）教授プログラムのような、他と比べて良いアイデアや優れた研究者を支援する完全に公正なプログラムに投資した方が良いと思う」と、チューリヒの神経科学センター（Zurich’s Neuroscience Centre）のマルティン・シュワブ教授は言う。
しかし、マークラム教授は動じていない。「プロジェクトを批判し、『本当に可能なのか？』と問う人は多い。しかし、過去数十年にわたって生み出されてきた情報の断片を全てつなぎ合わせる試みに着手しなければ脳を理解することはできないということは、誰もが分かっている」
（英語からの翻訳 西田英恵）, swissinfo.ch