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スイスの投票率は低い。とりわけ女性、低所得者、低学歴者、そして特に若者の投票率が低いことが研究で明らかになった。このグループを代表する政治家も明らかに少数派だ。せっかく与えられた権利である投票権を自ら放棄すれば、民主主義のプロセスでこの「不在グループ」の関心事が政治的に取り上げられることはない。その理由は何か？政治学者サンドロ・リューシャー氏がひも解く。
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スイスにおける直接民主制は、数十年に渡る戦いの上に成り立っている。血塗られた1847年の分離同盟戦争の結果、現代まで維持されるスイス連邦の基本的な枠組みが作られた。
今日、世界中でスイスほど包括的な政治参加権を市民に与えている民主制度は他に例がない。だが投票率には波があり、ゴッタルド道路トンネルの補修に関する2016年の国民投票では63.5％とトップレベルだったが、通貨制度の抜本的改革を求めた「ソブリンマネー・イニシアチブ」をめぐる2018年の国民投票では最低レベルの34.6％だった。同イニシアチブは、発起人でさえ説明に困るほど複雑な内容だった。
すなわち直接民主制度は、いわば市民の政治的理想を「制度的かつ甘美に」表したものにすぎないという考え方だ。
スイスの有権者約550万人のうち、投票に行く人は平均で5割にも満たない。その背景には、案件の複雑さと投票率の密接な関係がある。これまであまり重要視されてこなかったこの関連性を詳しく見てみよう。
「誰でも何でも決められる」民主制度
スイスの民主制度の包括性にはデメリットもある。それは村のパン屋が法人税制のあり方を決められるのと同じように、除角していない牛に対して農家が国から助成金を受けるか否かをIT関係者が決定できるという点だ。
本投稿について
研究に用いた方法
投票にかけられる「案件の複雑さ」を算出するため、二つの指標を使用した。一つは複雑さに対する投票者の主観的な認識、もう一つは、選挙ごとに集計した有効票における白票の割合。後者は、有権者にとって案件の内容が難解すぎることを示す間接的なバロメーターと言える。方法論的な理由から、それぞれの選挙で投票率が最も高い案件のみの評価を行った。インフォボックス終わり
外国で不思議がられるのは、スイス人の民主主義に対する意識だ。すなわち直接民主制度は、いわば市民の政治的理想を「制度的かつ甘美に」表したものにすぎないという考え方だ。
もちろん市民と国家の固い信頼関係は、草の根デモクラシーが機能するための前提条件だ。
要求と過大な要求
近年、投票内容はますます複雑化している。そんな中、有権者は入手可能な情報を元に、焦点となっている問題についてバランスのとれた独自の意見を形成することができるのだろうか？
投票率の低さは、世界が複雑化した結果生じた過大な要求に対する拒否反応だろうか？そしてこの過大な要求が特に大きくダメージを与えている特定の社会層は存在するのだろうか？
これらの問いは、現代の民主制度の根本的な問題にメスを入れる。すなわち、民主主義の根底にあるイデオロギーと、民主制度を実行する上で生じる現実問題とのギャップだ。
具体的な数値を見てみよう。投票率は1940年を過ぎた頃から下降が始まった。1980年代初頭に平均42％と最低レベルに落ちた投票率はその後少し持ち直し、現在は45％前後を保っている。これは決して理想的とは言えない値だ。
案件の複雑さに左右される投票率
市民の政治参加は、民主主義のベースにある理想の姿だ。だがそのためには政治の内容を理解し、さまざまな議論や立場に基づいて自分の意見を形成できることが前提となる。
その反面、投票にかけられる案件があまりにも複雑で、専門家でさえ主旨をつかめないほど難しい内容では、国民が民主制度に背を向けるのも納得が行く。
もし楽をしたければ、有権者は（自分の意見がなくても）政治家や専門家、あるいは支持する政党のスローガンを受け売りするだけで良い。「彼らは良し悪しが分かった上で物を言っているのだろうから」という信頼のもとに。
しかし残念ながら、案件が複雑すぎると有権者は投票にさえ行かない可能性の方が高い。事実、下のグラフは案件の複雑さと投票率の明らかな関連性を示している。
投票の内容が複雑になるほど、投票率は低くなる可能性が高い。キャンペーンの規模や案件の重要性といった他の要因を考慮しても、この相関関係は依然として存在する。
低い投票率は社会の不平等を拡大させる
投票率が低いことは、民主制度においてそれほど問題なのだろうか？政治的な不在は、単に国民が満足していることの表れなのでは？
それに対し、リューシャー氏は「低い投票率は大問題」という明確な答えを出している。第一に、政治的な決定が正当性を持つためには、国民の政治参加が不可欠だ。参加率が低ければ低いほど、国民投票の政治的な正当性も揺らぐことになる。
第二に、政治的な不在は社会階級全体で均等に分配されているわけではない。政治参加率はむしろ社会的な立場に左右されるため、民主主義の平等の原則が危ぶまれる恐れがある。
国民の意識を高め、より多くの意見をくみ取る
「恵まれた状況にある少数派だけでなく、すべての社会層の利益を代表するという民主主義の原理を満たすためには、このジレンマに対する解決策を見つけなければならない」
投票率が低ければ低いだけ、社会的格差が広がっていく。言い換えれば、内容が複雑で一握りの熱狂的な民主主義者だけが参加した選挙よりも、投票率の高い選挙のほうが国民の多様性が浮き彫りになる。
恵まれた状況にある少数派だけでなく、すべての社会層の利益を代表するという民主主義の原理を満たすためには、このジレンマに対する解決策を見つけなければならない。これは世界で最も包括的な権利を国民に与えているスイスの実力が問われる問題だ。
スイスでも「市民パネル」導入へ
しかし、解決策はある。米オレゴン州で始まった「オレゴンモデル」と呼ばれる市民パネルを利用した方法がその一つだ。市民パネルの参加者はあらゆる社会層から抽選で選出される。そして投票案件をめぐる全ての関係者や専門家を交え、その内容について一緒に話し合ってもらう。
市民パネルの参加者はその後、審議の結果を「中立的な立場から、分かり易い言葉で」有権者に提示する。これまでの経験から、有権者が意見を形成し決定を下す際、この中立的なレジュメが非常に役立っていることが明らかになった。
スイスでは今年11月、ヴァレー（ヴァリス）州の州都・シオンの住民投票で市民パネルを使った最初の試みが予定されている。実施にあたり、スイス国立科学財団はジュネーブ大学のネナド・ストヤノビッチ准教授と促進チーム他のサイトへを監督に起用した。
国民投票に関する情報源
国民投票の上に成り立つ直接民主制度には、幅広くバランスの取れた高品質で中立的な情報が必要だ。
スイスでは、民間および公共のメディアの他にも、スイス政府が投票案件他のサイトへに関する情報を提供している。国民投票は年に4回行われる。
投票が近づくと、いわゆる「投票冊子」がスイスの各有権者に送付される。連邦政府はまた、短いビデオの中で案件の長所と短所を要約し、主要な政治家の立場と投票に関する政府の立場を説明する。
しかし近年、政府のこういった二重の役割が繰り返し批判の対象となっている。その例として、法律上の婚姻関係にある夫婦に対する不平等税制の改善を求めた2016年の国民投票では、政府の情報が間違っていたことが判明し、苦境に立たされた。
シリーズ「直接民主制の裏側」
スイスは、国民投票の数では世界のトップ。しかし、投票回数が約630回という「世界記録」（2019年5月現在）を保持する模範的なスイスでも、民主制度が完璧に機能しているわけではない。
このシリーズでは、政治学者サンドロ・リューシャー氏が問題領域に批判的な目を向ける。リューシャー氏はチューリヒ大学で政治学を学び、スイスの政治動向に関するブログ他のサイトへを運営。現在、ザンクト・ガレン大学で助手として州選挙制度の研究を行う。インフォボックス終わり
（独語からの翻訳・シュミット一恵）, swissinfo.ch