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金融業界のメルトダウンで、大勢の小口投資家が損失を被った。彼らは大手銀行の「クレディ・スイス」と画期的な交渉を行い、どうやら損失の一部を取り戻せそうだ。
クレディ・スイスは、崩壊後価値のなくなったアメリカの投資銀行「リーマン・ブラザーズ」の金融商品を購入したおよそ1700人の顧客への賠償金として5000万フラン ( 約42億円 ) を準備した。
小口顧客の勝利
これ以前にも約2000人の被害者が「クレディ・スイス ( Credit Suisse ) 」の申し出に応じており、同銀行はすでに1億フラン ( 約84億円 ) を支払っている。今回クレディ・スイスと交渉したのはスイスフランス語圏の「ロマンド消費者協会」だ。このような交渉は、いずれスイス国内外に住むほかの大勢の顧客にまで広がりそうだ。
消費者協会の400人を代表する弁護士マテオ・ペドラツィーニ氏は、クレディ・スイスの申し出は大銀行に対する小口顧客の大勝利を象徴するものだと言う。
「小口顧客のこのような要求が受け入れられるのは非常に稀なこと。スイスで消費者協会が大銀行と公正な話し合いを行うチャンスを得たという話はこれまで聞いたことがない」
ペドラツィーニ氏のクライアントは投資家の集まりの一部で、スイスではおよそ20人の弁護士が彼らを代弁している。
善意のジェスチャー
今年初め、クレディ・スイスは、同銀行に50万フラン ( 約4200万円 ) 以下の預金をしている顧客で、100%の資本保護が補償されている「リーマン・ブラザーズ ( Lehman Brothers ) 」の金融商品に預金の半分以上を投資した人に対して保証を行うという申し出をしたが、この申し出は受け入れられなかった。
そして4月中旬、クレディ・スイスは預金の2割を不良投資につぎ込んだ顧客に対して50%から70%の金額を返却すると発表した。また、この基準から外れても特に困っているケースがあれば調査を行うと約束した。この申し出は「善意のジェスチャー」であり、リーマン・ブラザーズの金融商品の販売に対する法的責任を認めたわけではないという。
プライベート・バンキング部門の最高責任者であるヴァルター・ベルチトルト氏はコミュニケの中で
「顧客の信用と満足はクレディ・スイスにとって最も重要なものだ。わが社は、リーマン・ブラザーズの破産宣告が顧客にもたらした窮状を十分理解しており、対応策を早期に探し始めた」
と述べている。
評判に関わるリスク
つまり、クレディ・スイスは4月24日に開催された年次総会で、株主から不愉快な攻撃を受けることのないよう配慮したというわけだ。ほかの投資家団体を代表している弁護士のダニエル・フィッシャー氏は、彼のクライアントの多くもこれで少しは気分が落ち着くだろうと話す。
「クレディ・スイスは、年次総会で問題がたくさん持ち上がると考えていた。この件が同銀行の評判に関わるリスクとなることもあり得た」
しかしフィッシャー氏は、この交渉の対象外である少数のより裕福な顧客が独自に法的措置に訴える可能性もあると警告する。
ペドラツィーニ氏は、小口投資家のほとんどは自分のお金をいくらかでも取り返せればいいと思っていると言う。
「人々はリスクの一部を担うことを承知している。この交渉は、それほど裕福ではない人々が金融危機の悪影響を極力受けないようにするためのもの。昨日は何も持たなかった彼らも、今日は何かしら手にしているものがあるのだ」
同じような苦情を訴えている大勢の人々に訴訟を起こさせ、スイス初の集団訴訟に持ち込むと脅した弁護士もいた。しかしペドラツィーニ氏は、集団訴訟に耳を貸すようスイスの法廷を説得するのは難しいと考える。
「スイスには集団訴訟はないが、われわれは集団交渉ができたということで勝利を収めたといえる」
swissinfo、マシュー・アレン チューリヒにて 小山千早 ( こやま ちはや ) 訳
オンブスマン、交渉を歓迎
スイスの銀行オンブスマン、ハンスペーター・ヘニ氏は、クレディ・スイス ( Credit Suisse ) が追加支払いを申し出たことに満足していると語った。
これまでの補償の対象は、同銀行に預けてある預金の半分以上をリーマン・ブラザーズ ( Lehman Brothers ) の金融商品に投資した顧客に限られており、そのことが問題になっていた。
オンブスマンは預金に占める割合を10%にまで引き下げるように働きかけてきたが、20%が限界だとみている。
今年初め、ヘニ氏は、昨年9月のリーマン・ブラザーズ破産後、同社の金融商品購入に関して1800件の苦情を受け取ったと発表した。
これらの苦情はクレディ・スイスに関わるものだけではなかった。
ヘニ氏の事務所に舞い込んださまざまな性質の苦情は、前年の1505件から2008年には合計4073件に急増した。