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新石器時代の木製の弓、石英の矢頭、祈りの本― アルプスの氷河が溶けて後退するにつれ、考古学的に貴重な品々や遺体などが良い保存状態で続々と姿を表し始めた。ヴァレー博物館ではそのような珍しい発見のいくつかを展示している。
「氷河の上にある木の破片は、何らかの形で人間によって持ち込まれたものである可能性が高い。特にその木片が一風変わった外見で、人が手を加えた形跡がある場合は、必ず考古学の専門家に連絡して欲しい」。そう訴えるのは、考古学者のピエール・イヴ・ニコさんだ。
ヴァレー歴史博物館の学芸員を務めるニコさんは、今月６日にヴァレー（ヴァリス）州の州都シオンで開催が始まった展示会「氷の思い出 ― 危機にさらされる痕跡（Mémoires de glace: vestiges en péril）他のサイトへ」を担当した。小規模ながらも、過去何世紀にわたりアルプス氷河の中で眠っていた、紀元前６千年から２０世紀までの貴重なコレクションが展示されている。大半は登山者やスキー客が山で発見し、その後、考古学者が炭素年代測定を行って検証した品々だ。
去年７月には、マルセリン＆フランシーヌ・デュムラン夫妻の黒くて重いブーツが発見された。シオン近郊のサヴィエーズ出身のデュムラン夫婦は、１９４２年８月１５日に悪天候の中、高山の牧草地にいる家畜の様子を見に行ったまま行方不明となった。後には７人の幼い子供が残された。
それから７５年後、レ・ディアブルレ村の上方にある氷河グラシエ・ド・ゾンフロンの表面で、リフトの従業員が夫妻の遺体と一緒にリュック、時計、祈りの本、ワインボトルを発見した。１９６０年以来、ここの氷床は約０．５キロメートルも後退し、かなり縮小が進んでいた。２０１７年６月２２日、孫とひ孫も参列する中、デュムラン夫妻の葬儀が行われた。
危険な氷河で悪天候に見舞われ、行方不明になることは珍しくない。厚い氷の下に未だ閉じ込められている遺体は一体どれだけあるのだろう？それは誰にも分からない。１９２６年以来、ヴァレー州だけでも約３００人が行方不明者として登録されている。ヴァレー州はアルプスで最も標高の高い山々と氷河が多く存在する州だ。
しかしスイスの氷河が解けて後退するにつれ、それまで氷の中に閉じ込められていたミイラ化した遺体や、珍しい考古学的な遺物が姿を表すようになってきた。この現象は、今後更に加速すると予想される。科学者らも地球温暖化の影響で２０９０年までにはスイスの氷床のほぼ全てが消滅する恐れがあると警鐘を鳴らしている。
今月１日にもヴァレー州警察は、９月にマッターホルンの登山基地で発見された人骨と登山道具が、４年前に行方不明になった日本人登山者のものであると明らかにした。厚い雪と氷の層が解けて遺骨が出現したという。
他にも、アレッチ氷河ではヨハン、クレトゥス、フィデリス・エーベナー兄弟の遺骨と遺品が発見された。行方不明になってから８６年後の２０１２年のことだ。エーベナー兄弟の一人が履いていた登山靴は、博物館のガラスケースに納められ、やはり氷河から姿を現した新石器時代のモカシンと一緒に展示されている。
展示会ではまた、「テオドゥール・パスの傭兵」と呼ばれる男性の所持品も紹介されている。この身元不明の男性は１７世紀にツェルマットの上方にあるクレバスに転落したと考えられている。サーベル、ピストル、短剣やバッグを所持していた。遺骨や衣服、お金やその他の私物は１９８４年にツェルマット在住の夫婦が発見した。後に行われた詳しい調査の結果、この「傭兵」は裕福な商人で、恐らくイタリアからの旅路だった可能性が出てきた。商人らが行き来するスイスの山道を通り、ドイツに向かう途中で不幸に見舞われたようだ。
「興味深いのは彼の所持していたサーベルや短剣ではなく、靴べらだ」とニコさんは言う。「これは日付が完全に記された、最も古い鉄製の靴べらの一つだ。また、ポケットナイフやお守りといった私的な所持品からは、持ち主のリアルな姿が見えて来る」
このような物を発見するのは感動的であると同時に、少し不気味で冒険的な側面を持つ。だが「これはもう、自然の摂理としか言いようがない」とニコさんは言う。おのずと「標高３０００メートルの場所に、一体なぜこんな物が？」という疑問が湧いてくるという。
商人と思われるこの男性の所持品は保存状態が良く、まるで過去の「写真」を見るようだという。これらの品々は、何世紀にもわたり山道を超えた人々の動きを理解するのに役立っている。また、当時の衣料、備品、狩猟技術や、どんな自然資源を利用していたかを知る上でも貴重な歴史的資料だ。
この展覧会では、新石器時代（紀元前２８００年）の狩人が持っていた珍しい所持品も展示されている。靴の一部、弓と矢、矢のケースに脚のカバーといった所持品は２００３～０４年にシオン北部にあるシュニーダーヨッホの山道でスイス人のハイカーとドイツ人の登山者、そしてベルンの考古学者が発見した。骨は発見されなかった。
弓を見つけたドイツ人登山者は、ひとまずドイツの自宅に弓を持ち帰った。弓を引き渡すためにヴァレー州の考古学専門家に連絡を取ったのはそれから３年後だ。
北東イタリアのボルツァーノで５８００年前の木と柳材で作られた雪靴が発見されたときも同じようなケースだったとニコさんは言う。
「雪靴を発見したのは、オーストリアとイタリアの国境で働いていたイタリア人技術者だった。彼は雪靴をひとまず事務所に持ち帰り、ずっと戸棚に保管していた。考古学者に委ねようと思い立ったのは、発見から７、８年経ってからだった」と振り返る。「考古学的に興味深い発見は数年に一度あるかないかだ。傷みやすい品々なので非常に残念だ」（ニコさん）
こういった遺品は非常にもろく、一旦空気にさらされると急速に劣化が進む。そのため、専門家が寒冷な環境下で収集し、適切に保管することが重要だ。
１９９１年にオーストリアとイタリアの国境にあるアルプスの氷河で５３００年前のミイラ「アイスマン」（スイスでは「エッツィ（Özti）」）が発見され、氷河の考古学は世界的に大きく注目を浴びたが、学問としては未だに比較的新しい分野だ。
スイスでは、この分野は過去３０年間で著しく発展し、専門性がかなり高くなった。ベルン州では専門知識を集結させた研究センターが設立され、毎年夏になると考古学者のチームが数週間費やし、氷河から姿を現した品々の収集・保存に努めている。
同様の計画はヴァレー州でも進められており、氷河考古学の研究をどうのように発展させるかを考える国際的なワーキンググループが結成された。一般の人が氷河で珍しい物を発見した場合、速やかに情報を送信できるスマートフォン用のアプリもそんなアイディアの一つだ。
「氷河は近年、急速に溶け始めている。アルプスの氷河の３割がヴァレー州に集中しているため、速やかに行動する必要がある」（ニコさん）
（英語からの翻訳・シュミット一恵）