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アメリカは、スイス最大手UBS銀行にスクリュー・ドライバーを突きつけ、スイスの銀行守秘義務とスイスの金融システムに大きな穴を空けようとしている。
2月18日UBSは、アメリカ人顧客の脱税をほう助したとしてアメリカ司法省が突きつけてきた告訴の最後通牒 ( つうちょう ) に対し、7億8000万ドル ( 約730億円 ) を支払い、200～300人のアメリカ人顧客のデータを開示すると約束した。しかし翌19日、アメリカはさらに5万2000人のデータの引き渡しを要求してきた。
銀行守秘義務の健全宣言後に追い討ち
アメリカ司法省は、UBSがアメリカ富裕層2万人の約200億ドル ( 約1兆8700億円 ) に上る脱税を助けたとして、2008年6月以来告訴していた。さらに刑事訴訟に発展させるという2月18日を期限とする最後通牒を突きつけていた。
スイスの金融監督当局 ( Finma ) は、
「刑事訴訟に発展することはUBSにとってドラマチックな結果をもたらし、UBSの存在さえ危ぶまれる」
との認識に立ち、UBSが初めて行なう200～300人のアメリカ人顧客データの開示と7億8000万ドル ( 約730億円 ) の支払いで解決する方針を2月18日承認した。
これを受け2月19日、ハンス・ルドルフ・メルツ大統領は、
「スイスの銀行守秘義務は個人の資産秘密を守るものだが、納税不正者の秘密を守るものではない」
としてUBS とアメリカ司法省の解決合意を歓迎し、
「しかし、今後もスイスの銀行守秘義務は健全だ」
と宣言した。
ところがこの宣言の数時間後、さらに5万2000人のデータの引き渡し要求がアメリカから突きつけられた。
「UBSに対する要求は、何百万人ものアメリカ人が職や家を失っている状況の中で、5万人ものアメリカ人富裕層が脱税行為を働いたことを訴えようとしているのだ」
とアメリカ司法省税務局のジョン・ディシッコ氏はコメントした。
パンドラの箱は開けられた
2月20日付けのスイスの各新聞は、この「アメリカからのスイスの銀行守秘義務に対する宣戦布告」を大きく取り上げ報道し、全般的には、すでに2月18日の200～300人のアメリカ人顧客データの開示による銀行守秘義務の初めての「風穴」の今後を危惧 ( きぐ ) している。
フリブールの日刊紙「ラ・リベルテ ( La Liberté ) 」は、「パンドラの箱は開けられた。欧州連合 ( EU ) はこれを賞賛し、スイス側から同じような寛大なサービスを受け取ろうと準備している」と書いた。
フランス語圏の日刊紙「ル・タン ( Le Temps ) 」は、「UBSは再び過ちを犯し、スイスを変えようとしている」とコメントし、チューリヒの日刊紙「ターゲス・アンツァイガー ( Tages Anzeiger ) 」は「スイスの銀行守秘義務は神話になろうとしている」と危惧している。
「ファイナンシャル・タイムズ ( Financial Times ) 」もスイスはアメリカの圧力に屈したとし、「スイス政府はスイスの銀行だけでなくスイスのグローバルな金融界での役割と国の経済をリスクにかけたようだ」と言う。
「ウォールストリート・ジャーナル ( Wall Street Journal ) 」は、UBSへの圧力のより広い意味合いをほのめかし「さらなる5万2000人の顧客データー開示の追い討ちは、スイスを非常に気まずい立場に追い込むことになるだろう。これらの顧客が単に脱税だけなのか否か分からないからだ。さらにスイスの金融産業は国内総生産 ( GDP ) の1割を占め、5%の労働人口がこの分野で働いており、それらがすべて、この事件の解決にかかっている」と書いている。
swissinfo