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ここ数カ月間、気候研究者が非難の矢面に立たされている。地球温暖化に対して懐疑的なグループは、地球温暖化は虚構だと主張している。こうした批判は客観的な調査だけで収まるのだろうか ?
昨年11月の国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議を目前にして、クライメートゲート事件が発生した。
データ改ざん ?
イギリスの研究者がデータを改ざんし、過去1000年間の気象データを誇張していると非難された事件だ。ウォーターゲートに倣ってクライメートゲート事件と呼ばれたのは、イギリスの気象研究で中心的な役割を果たしているイーストアングリア大学から漏えいしたEメールのやりとりが温暖化懐疑派の手に渡り、温暖化は虚構であるという証拠として公表された。その上、国連の気候変動に関する政府間パネル ( IPPC ) が出したヒマラヤ山脈の氷河についての資料で間違いが発覚し、IPPCはこれをしぶしぶ認めなければならなかったこともあり、一部の報道機関は現在の気象研究に疑問を投げかけた。
やみくもな非難ばかりではなく、イギリスの高級紙「サンデー・タイムズ ( Sunday Times ) 」さえアマゾンの熱帯雨林の4割が温暖化で失われることに疑問を投げかけた。アマゾン専門家のサイモン・ルヴィス氏の発言を引用した記事は世界中で引用された。後にルヴィス氏はサンデー・タイムズが自分の発言を曲げて引用したことを証明し、サンデー・タイムズはこの6月、間違った報道をしたと謝罪し終止符を打った。
三重に名誉回復
結局、イーストアングリア大学の研究者は、イギリスの下院、国際専門家委員会、そして、大学自らが組織した委員会によって、その名誉が回復されたが、この事件の痕跡はすでに広く残されたままであるとウルス・ノイ氏は指摘する。ノイ氏はスイス科学アカデミー気象・地球温暖化プラットフォーム「プロクリム ( Proclim ) 」の代表者だ。
「一部の市民の気象研究への信頼が失われた。最終的に嘘だと分かっても、このような告発は何らかの痕跡を残す」
と言う。しかも、この事件以来、気象問題についての報道が激減したと指摘する。
隠し事はいけない
イーストアングリア大学の研究報告が、たとえとがめられるような内容ではなく、間違ったものではなかったとしても、大学関係者が何か隠し事をしているようなそぶりがあったことは良くないとノイ氏。
「信頼を取り戻すのが今の科学の責任だ。それには、隠し事をせず、コミュニケーションを可能な限り良くすることにある」
科学者の多くは、自分の得た研究結果を知らしめることは苦手だという。そうした経験も少なく、教育もされていないのだ。
「公の場でコミュニケーションをすることは科学者にとって新しい責務だ。科学とは無関係のことではあるが、科学者は心理作戦的な攻撃に対処するすべを知らなければならない」
とノイ氏は語る。さらに、科学者が一度言ったことは、いつか再び取り上げられることがあるということを認識すべきだという。話す内容には慎重にならなければならない。「それは同僚との雑談でも言えることだ。こうした雑談でも『あげ足を取られる』可能性はある」と指摘する。
あらゆる手段で
気象専門家の中にも気象学を政治的協議事項にすることに疑問を持つグループもある。温暖化論は気象専門家たちの陰謀だと主張する人たちは、アメリカの議会で新しい気象法を審議するタイミングに合わせて反対キャンペーンを張っている。
「政治が絡む議論に対しては、あらゆる手段が正当化される。( イーストアングリア大学の場合は ) メールが盗まれ、非客観的で根拠のない非難が作られていった」
科学者が正当性のない批判の的になることは避けられないとノイ氏は言う。なぜなら、政治的判断は、なすべきことをしなければという判断だけでは下されない。それぞれの政治的な立場、経済的な利害などに左右される。「そして、政治的判断が、しなければならないことより力を持つ」とノイ氏は認める。
データの公共性
もっとも、科学者が公共の場に出てこないことだけが悪いのではない。例えば気象データは研究者のためには提供されるが、公共のためには提供されないことが問題だという。クライメートゲート事件では、イーストアングリア大学が世界各国から入手したデータの中に公開しないと署名したデータもあった。
「スイスでも同様だ。スイス気象台 ( メテオ・スイス ) も、政府からデータを売ることを委託されているが、アメリカと違って公開することはしない。アメリカなら公共機関が収集したデータは万人に公開される」
エティエン・シュトレーベル、swissinfo.ch
( 独語からの翻訳、佐藤夕美 )
国連の気候変動に関する政府間パネル( IPPC )
本部 ジュネーブ
創立 1988年
世界気象機関 ( WMO ) と国際連合環境計画 ( UNEP ) により設置された。活動結果は、国連の気候変動枠組み条約 ( UNFCCC ) の基幹となる。
活動内容は以下の三つからなる。1．気候の変動の科学的な把握。2．社会・経済的な問題と自然界への悪影響や良い影響を調べ、対応策を立てる。3．気象保護対策を立てる。