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最低賃金法制が国民投票で多数の反対票を得たことはすでに書きましたが、今回は、では一体スイスの低賃金とはどういうものか、統計で見てみることにしましょう。
少しデータが古いのですが、2010年の事業所対象の給与統計をもとに、Bundesamt für Statistikは低賃金に関するレポートを公表しています。そこでは、週40時間のフルタイム換算で、月給が3,986フランに満たない職を低賃金の職と定義し、それについて若干の分析をしています。それによるとこの低賃金の職業につく人は労働者全体の12.2％で、低賃金労働者全体を100％とした場合の構成は以下の図のようになっています。 女性、短時間労働者、外国人･･･ぼんやりと描いていたイメージと一致するでしょうか。しかし、これを見ると例えば「案外、職業教育を修了していても低賃金が多いんだな」などと思いがちですが、対象となっている労働者に職業教育修了者のカテゴリーに属する人が多いので、ここにも多く現れる結果となっています。したがって、その他の公表されているデータとあわせて属性別に見てみると、以下のような点も指摘できます。
- 若年層にその割合が高い。20歳未満の人の給与の中央値は3,948フランで、半数以上が”低賃金”。その後給与の中央値は20代、30代、40代、50～64／65歳と上昇し続け、定年後の年齢層で下がっている
- 男性の6.9％、女性の19.1％が”低賃金”
- 給与の中央値が最も低いのは、その他サービス業（クリーニング、理髪店など）、中央値は3,698フランで、半数以上が”低賃金”。
- 男女とも50％未満で働く人の約1/4が”低賃金”
- 企業の規模別に見ると、5人未満の企業で働く人の2割強が”低賃金”
- スイス人の9.4％に対し、外国人の18.5％が”低賃金”。特に短期ビザの外国人女性においては半数以上が”低賃金”
- 職業教育修了者の9.9％、職業教育の修了証のない人の32.4％が”低賃金”
- 地域別に見ると、イタリア語圏のTessinで”低賃金”の職の割合が高く、その地域の仕事の約25％が”低賃金”
イメージがさらに具体的になったのではないかと思います。すべてのスイス人が”低賃金労働”に関して、データで裏付けられるような認識を持っているとは限りませんが、法定最低賃金はいらないという背景には、
- 年齢が上がるにつれ給与も上がるので、若いときの低賃金
- 物価の低い地域の低賃金、または季節労働などでいずれ物価の低い外国に帰る外国人の低賃金
- 家計を支える必要がない者の低賃金
- 職業教育の程度や就業年数からみて知識や経験が少ないと判断される者の低賃金
- 業種による賃金の違い
等を容認 ― 積極的にか、やむを得ずかの程度の違いはあるものの ― する考え方があるといえます。もっともな考え方もありますが、同一労働同一賃金の理念にあてはまらないもの、ひいては差別的といえる賃金設定を肯定するものもあります。もちろん、差別がよいと考える人はいないでしょうが、経済がうまくまわるには、そしてその恩恵にあずかるには、理念より実践的な手段をとるということでしょう。その意味からも、この国民投票の結果は現実的なスイス人らしさをよく現していると思います。
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