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1500年間祈りの絶えたことのないヴァレー州のサン・モリス大修道院に、スイス一を誇る49個の鐘のカリヨンがある。このコンテンツは 2009/07/20 12:00
カリヨンは本来「4個の鐘でメロディーを奏でること」を意味する。スイスの教会では、4個から8個の鐘が時を告げてはきたが、音楽性があまりなかった。しかし4オクターブも演奏できるサン・モリスの大型カリヨンが代表するように、カリヨンは最近1つの楽器となり、ポピュラーな曲をコンサート風に演奏するようになってきている。
1500年間続く祈り
「宗教的な曲のほかに、ジャズやビートルズ、民謡などポピュラーな曲も加えて演奏していきたい」
サン・モリス大修道院 ( Abbaye de Saint-Maurice ) のカリヨン奏者、フランソワ・ロタン氏は、ビートルズ の「イエスタディ」や映画「ゴッドファーザー」のテーマ曲を演奏しながら将来の夢を語った。
究極の理想は、サン・モリスの市民が週末などにレストランのテラスでくつろぎながら、「大修道院のカリヨンが素敵な曲を奏でているね」と聞いてくれることだという。
515年建立のサン・モリス大修道院は、その後の火災やがけ崩れなどの災難に耐え、ほぼ1500年間祈りが絶えることなく続いている。「こうした意味でヨーロッパで一番古いこの修道院」には現在45人の修道士が生活し、中庭には4、5世紀に洗礼式を行った跡も残る格式ある場所だ。この荘厳な修道院にイエスタディは受け入れられるのだろうか？
「もともとカリヨンは、1500年ごろにオランダで時計台の鐘が時を告げる直前に、市民の注意を促そうと曲を演奏したのが始まり。教会とは関係がなかった。しかし今でも本場のオランダでは市庁舎などから聞こえるカリヨンを、市民が買い物をしながら楽しんでいる」
と「スイスカリヨン・鐘奏者協会 ( GCCS ) 」 会長 アンドレアス・フリードリッヒ氏は説明する。
サン・モリスのカリヨンも、演奏されれば塔から町の隅々まで鳴り響く。そのため有料コンサートとは違い、「誰もが聞ける民主的なコンサート」になる。だからこそポピュラーな音楽はふさわしいとフリードリッヒ氏は付け加えた。
カリヨンの音は深く体に響く
サン・モリス大修道院の石造りの塔に、鐘が初めて取り付けられたのは14世紀初頭。その後これらは火災などで消滅したが、現存する8個の鐘が1818年に新しく製作された。
この8個の鐘を、1989年修道院に入ったロタン氏は「ヴァレー地方のカリヨン」と呼ばれる方法で演奏してきた。これは鐘を固定したまま中の芯棒に取り付けられたロープをカリヨン奏者が引っ張って音を出す方法で、スイス独自の伝統だという。
「21世紀を記念して鐘が寄付されたとき、それに引き続き大きなカリオンも寄贈してもらうことにした」
とロタン氏は当時を振り返る。結局修道院にあった8個の鐘のうち4個を生かし、新しく45個の鐘をオランダに注文した。オランダはカリヨン製作技術に定評があるからだ。「4オクターブもあり、特に小さな鐘は澄んだ高音を奏でて素晴らしい。スイスで最高のカリオンを演奏できて誇りに思う。手動式なので、ニュアンスは鍵盤に触る力の入れ具合で出す」
とロタン氏は言う。
パイプオルガン奏者でもあるロタン氏だが、今では、
「パイプオルガンよりカリオンのほうに魅かれ始めている。カリヨンの音は深く体に響いて来るし、また体を動かすのが楽しい」
と、キーボードの棒をこぶしでたたいたり、握ったり、足元のキーボードを踏んで重い大きな鐘を鳴らしたりと、絶えず激しく動き続けてイエスタディを弾いた。
「ガジェット」ではあるが
ウイリアム・テルが悪代官ゲスラーの囚われの身になり、ウーリ湖を小船で移動中、船から陸へと飛び船を沖へ押しやって、脱出を図ったとされるシシコン村 ( Sisikon ) のテルスプラッテ ( Tellsplatte ) は、スイスの原点を知ろうとする観光客が引きも切らない。
この芝生の丘に、「スイスチョコレート製造者協会 ( Chocosuisse ) 」がその創立100周年を記念してカリヨンを寄贈した。37個の鐘が20曲のメロディーをコンピューター制御で奏でる、100% スイスメイドのカリヨンだ。2004年にサン・モリスのカリヨンにその規模で追い越されるまでは、スイス一の座を誇ってきた。
「ここ8年間、毎年1万曲も奏でているがいまだ壊れていない。がっしりと作る。これがスイスの職人の誇り」
と鐘製造の伝統を２代にわたって引き継ぐ「ヤコブ・ムリ ( Jakob Muri AG ) 」のシュテファン・ムリ氏は胸を張る。
しかし、スイスカリヨン・鐘奏者協会のフリードリッヒ氏は、
「ムリは教会の大きな鐘を作ってきた伝統ある工房。このカリヨンの音質も決して悪くない。しかし、オートマチックなのでカリヨン奏者がニュアンスをまったく引き出せない。そういう意味でいわばガジェット ( 遊び道具 ) に近いカリヨンだ」
と言う。
たとえガジェットだとしても、観光客はボタンを押せばロッシーニ作曲の「ウイリアム・テル序曲」がすぐ聴ける。また大きく鳴り響くためウーリ湖の船上でも充分に聴ける。ムリ氏はそのため、観光船の船長が携帯電話からショートメッセージを送るだけで、カリヨンが鳴り出すように設計した。
さて、スイス一のサン・モリスのカリヨンは厳格な修道院に孤立してあるが、手動式の4オクターブの楽器として、今後スイスのカリヨン演奏がポピュラーな曲で市民に親しまれ、発展していく役を担うようになるとフリードリッヒ氏は見ている。
「楽器はそこにある。従って演奏者もこれから育っていく。スイスのカリオン演奏はこれからだ」
と力を込めた。
swissinfo、里信 邦子 ( さとのぶ くにこ ) サン・モリスにて 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) シシコンにて
＜サン・モリス大修道院のカリヨン＞
鐘49個、4オクターブ、鐘の総重量15トン、最小の鐘は9.1キログラム、最大の鐘は3.99トン。
鐘は銅78%、スズ22%の「銅ブロンズ」製だが、スズの含有量が増えると高音が澄んできれいになるため、高音を出す小型の鐘にはスズの割合が多少多い。
21 世紀の記念にサン・モリス大修道院付属高校の卒業生が鐘を寄付した景気にカリヨンも作られた。それぞれの鐘には寄贈者の名前が刻まれている。既存の1818年製の4個の鐘に新しくオランダ製の45個を付け加え2004年に完成。
「重量の点においても、大きさの点においてもスイスで現在一番だ。4オクターブあり、手動式なのでニュアンスが出せ、1つの楽器として音楽的に高い可能性を秘めている。また、場所も1500年の歴史を誇る大修道院にある」とスイスカリヨン奏者協会長アンドレアス・フリードリッヒ氏は手放しで賞賛する。
＜テルスプラッテのカリヨン＞
鐘37個 縦横5メートル、高さ10.5メートル、鐘の総重量5トン768キログラム、最小の鐘は8キログラム、最大の鐘は880キログラム、鐘ブロンズ製。スイスにちなんだ20曲がコンピューター制御で演奏される。
2001年、「スイスチョコレート製造者協会 ( Chocosuisse )」 創立100周年の記念にスイスの市民への寄贈品として作られた。テルスプラッテは、スイス建国に由来するリュトリの丘が対岸にあり、スイス建国700周年に作られた「スイスの道 ( Der Weg der Schweiz )」が通っている。ショコスイスのフランツ・シュミット会長は「当時、スイスで一番大きなカリヨンになったのは偶然。( 2年後に1位の座を奪われたが) 、それは問題ではない。テルスプラッテのカリヨンは、純スイス製であり、スイスをまとめ、スイスの心を象徴し、スイスの強さを示すといった意味で1番だ」と語る。
＜スイスの代表的カリヨン＞
カリオン世界連盟 ( WCF ) が認めるスイスの手動式カリヨンは以下の4つ。
サン・モリス大修道院 ( Abbaye de Saint-Maurice ) 、鐘の数49 / ジュネーブ州カルージュ ( Carouge ) 聖十字架教会 ( Sainte-Croix ) 、鐘の数36 / ゾーフィンゲン ( Zofingen )、鐘の数36 / レンス ( Lens ) 、鐘の数24。
代表的コンピューター制御のカリヨンは、シシコン ( Sisikon ) 、鐘の数37 / チューリヒ クルツ宝石店 ( Bijouterie Kurz ) 、鐘の数31 / シュプライテンバッハ－キリヴァンゲン ( Spreitenbach-Killwangen ) ハーゼル教会市民会館 ( Kirchgemeindehaus Hasel )、鐘の数24 / ラ・ショドフォン( La Chaux-de-Fonds ) 時計博物館 ( Musée d’horlogerie ) 鐘の数24（ 参考資料 「スイスカリヨン・鐘奏者協会 ( GCCS ) のサイト」)
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