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「楽しいイースターを」と、別れの際に言い交わす時期がきた。
キリスト教ではクリスマスに次いで大きい祭りがイースター( 復活祭 )。スイスでは、この日に何をするのだろうか？
イースターは四旬節の終わりの金曜日に十字架に架けられ亡くなったキリストが、3日後の日曜日によみがえったことを祝って行われる、復活の祭り。キリスト教徒は復活祭前日までは、断食に近い食事を40日間続け、特に聖なる金曜日には、肉などを食べることは禁じられている。
卵探し
こうして、聖なる金曜日や復活を祝う日曜日にミサにでかけたりと、多くの宗教的行事があるが、子供たちにとってイースターは、ウサギの形のチョコレートを食べたり、卵に色を付けたりと楽しい行事がいっぱいつまった時期だ。
スイスの多くの家庭では、茹でた卵に色を付けたり絵を描いたりした後、復活祭の日曜日に、庭のあちこちにそれらを隠す。そして子供たちは宝探しのように卵を見つけるのを楽しむ。庭の無い人はアパートの中に隠して代用。見つけた卵をカチンと2つぶつけ合わせて、どちらが割れるか戦わせるのも楽しみの一つだ。
スイスドイツ語圏のザンクトガレン州などでは、ウサギ型のチョコレートと卵型の小さなキャンデー、それに色の付いた茹で卵が小さな籠に入れられて、庭の大きな木のそばなどに隠される。
その籠を朝早く運んでくるのは、ウサギだといわれている。
「娘は4歳の頃、動物園で普通のウサギをじっと見つめて、こんな穴ばかり掘っているウサギが私の家まで重い籠を運んでくるなんて信じられない。それに、なぜウサギが鶏の卵を運ぶのかも分からないと言い、わたしは答えに窮しました」
と、ザンクトガレン州出身のスザンヌ・ミュグラーさんは懐かしそうに語った。
確かに、なぜ卵でありウサギなのだろうか？またウサギと卵が結びつくのはなぜだろうか？
ウサギと卵と野草と
卵は、世界中で普遍的に生命の再生を象徴する。また復活祭前日までの40日間の断食中に卵を食べることは禁じられていた。そのため卵は復活祭にテーブルに載る第1の食べ物だった。卵を彩色する習慣は、古く紀元前にエジプトやペルシャで行われていたという。
一方イースターのウサギは、もともと野ウサギが起源で、野ウサギは豊穣、繁殖、再生の象徴。またスカンジナビアやケルトの神話では、「母」なる女神の象徴とされてきた。
このウサギと卵を結びつけたのは、ドイツの神話だといわれている。「お菓子を子供たちにあげられない貧しい母親が卵に色をつけ、庭に隠す。それを見つけた子供たちはそれをウサギが産んだ卵だと思う」という内容だ。
ところで、こうした宝探し的な卵の遊びも、チョコレートを食べることも、つい30年ほど前まではそれほど行われていなかった。
「小さいときは、茹で卵に、色鉛筆で絵を描いたするだけが楽しみだった。後は、ミサに出かけるとき、母が編んでくれた靴下と新しい靴をはく日だった」
と、カトリックの伝統の強いヴァレー州出身のロメンヌ・クラレさん。
最後に、シンプルな伝統が支配していた時代からある、「卵の色付け」をクラレさんが紹介してくれた。たまねぎの皮を集めておいて、それを卵と一緒に茹でると赤茶色に染まって、とても素朴できれいだという。また、春の野草を、茹でた卵に張りつけて取れないよう網などで留めて染めると、卵の殻に草の形が現れ、春の祭りにふさわしいものになる。
幼い頃、野草を摘みに野原に出たら、野ウサギを見かけたこともあったというクラレさん。イースターは春の香りがイッパイの祭りだ。
swissinfo、里信邦子 ( さとのぶ くにこ )