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文字や数字から色を連想するような知覚現象「共感覚」を持つ人は、ほかの人よりも創造性に富んでいるようだ。
さらに、ベルン大学の心理学者の研究によれば、共感覚保有者は記憶力においても優れているという。
文字や数字に色が見える
誰かが自己紹介をしたり電話番号を手渡したりするたびにサイケデリックな体験をするとしたらどうだろう。共感覚保有者 ( 以下、共感覚者 ) にとって、これは日常茶飯事だ。特定の味や音楽から匂いや形という強烈な印象を受ける共感覚者もいるようだ。
「普通の刺激が並外れた体験を引き起こすことを共感覚と言う。例えば、ある共感覚者が『A』という文字を目にすると、この人は赤い色を体験する」
とベルン大学心理学研究所のニコラス・ローテン氏は説明する。このような文字や数字から色を感じる共感覚を「書記素色覚」という。
ローテン氏とその同僚ベアト・マイアー氏は、アーティストの中に共感覚者の割合が高いという学説を究明することにした。両氏はチューリヒの美術高等学校の学生99人を対象にコンピューターによる書記素色覚テストを行った。
高い創造性
被験者の学生にはアルファベット26文字と10個の数字すべてが提示され、1度に一つずつ示された。13色の色のパレットを手にした学生は、各書記素 ( 文字と数字 ) に対して1色選ぶように指示された。その後、被験者には引き続き抜き打ちテストが実施された。今度は違う順序ですべての文字と数字が示された。ローテン氏とマイアー氏は、学生の回答がどれだけ一貫性を持っているかを見極めるべく、テストの結果とさらに彼らのコメントを考察した。
この実験の被験者群にはベルン大学の一般公開日に訪れた人たちを採用した。彼らはチューリヒの学生と同じテストを受けた。その結果、美術学生のうち7人が共感覚者であることが分かり、一方、比較対象のベルンの被験者からは2人だけだった。
「共感覚的な連鎖から引き起こされるより豊かな体験の世界があるため、美術学生に書記素色覚保有者の割合が高く、趣味や職業でアートに関わるということは考えられる」
と、ローテン氏とマイアー氏は雑誌「パーセプション ( Perception ) 」に最近発表した記事に書いている。
さらに、ローテン氏は
「クリエイティブな人たちが共感覚を養うということもありえるが、共感覚が人をクリエイティブにするとも考えられる。どちらが原因でどちらが結果なのかははっきりしない」
と言い、研究の余地を示唆する。
抜群の記憶力
共感覚者はほかの人よりも創造力にたけていることに加え、記憶力においても優れている傾向がある。ローテン氏とマイアー氏はほかの実験でこのことを詳しく調べた。「共感覚により電話番号のようなものが覚えやすくなることはある」とローテン氏は言う。書記素色覚を持つ共感覚者は数字、名前、日付を覚えるためにカラーコードやパターンを使うという。
しかし、両氏は共感覚者が記憶力の点で極めて優れているという結論は得ていない。共感覚者には、特定の記憶課題の際に効果を発揮する記憶検索の手掛かりがほかの人よりも豊富にあるだけのようだ。
ローテン氏によれば、共感覚者は若い頃に自分の能力を発見する傾向があるという。
「普通、人間は自分と同じような世界をほかの人も体験していると考える。そこで、ほかの人と話をすることで自分たちがどうやら特別だということを発見する」
ところで、訓練しても共感覚者にはなれないようだ。文字や数字に色を関連づける練習はできても、知覚的な体験を習得することは恐らくできないとローテン氏は言う。今後も彼らの研究は続く。
スーザン・フォーゲル・ミシカ、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、中村友紀 )
感情のコントロール
ジュネーブ大学の心理学教授クラウス・シェラー氏は人間の感情に関する分野では中心的研究者だ。シェラー氏のプログラムは感情を引き出す事象や、顔と声による感情表現を判断する。インフォボックス終わり
共感覚
「共感覚 ( synaesthesia ) 」という言葉はギリシャ語の「共に、同時に」を意味する「syn」と感覚を意味する「aesthesis」から派生した言葉。
世界の人口の1～5%が共感覚保有者だと推定され、共感覚は遺伝すると考えられている。
有名な共感覚保有者にはイギリス人アーティストのデイヴィッド・ホックニー、フランス人作曲家オリヴィエ・メシアン、ロシア人作家ウラジミール・ナボコフが挙げられる。