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12月2日、フリブール ( Fribourg ) の町は、朝から市も立ち、3万人もの人が集まり、大賑わいである。でも、メインは17時から始まるサン・ニコラ ( Saint Nicolas) の行列。
怖い「鞭のおじさん( Père Fouettard )」に囲まれ、ロバに乗ったサン・ニコラは、子供たちに香辛料の入った小さなパン、ビスコウム ( biscômes ) を配りながら行進し、最後は教会で演説もするという。
フリブール市のサン・ニコラのお祭りは年々、スイスの他州からも見に来る人が増えているという。人口3万5000人のこの町で、3万人もの人が通りに出るのだから一大祭りだ。「前日から両親の家に泊まって、毎年必ずこの日にはフリブールに来ます。友人に会えるし、高校生の時、行列の中で横笛を吹いていたのを思い出します」と今はジュネーブに住むバレリー・クラークさん。
高校生が始めた
そもそも、サン・ニコラはフリブール市の守護聖人であり、その聖遺物は今もこのフリブールの大聖堂、サン・ニコラ・カテドラルに祭られている。サン・ニコラはフリブールにとって切っても切れない存在なのだ。
そうしたことから、1906年フリブール市の有名高サン・ミシェルの生徒たちが、寮祭にサン・ニコラに変装して演説などを行い、それがこのサン・ニコラ祭の始まりという。今もこの高校の生徒の一人がサン・ニコラになり、数人が鞭のおじさんに変装。それに横笛の合奏隊も加わる。
17時に高校を出て町を行進し、18時頃カテドラルに着き、そのバルコニーから、サン・ニコラが今年起こった出来事を交え、かなり政治的な演説を黒山の人だかりを前に行うという。「今年は、先週末の国民投票の結果について語ることはまちがいありません」とクラークさん。
サン・ニコラとは？
このサン・ニコラとはどういう人物だったのか？サン・ニコラは西暦270年に生まれ、トルコのミール( Myre ) という町の司教を勤め西暦345年に亡くなっている。その生涯は数々の逸話に包まれている。
中でも有名なのは、3人の子供の話。3人は落穂拾いに出かけ、道に迷った揚げ句泊めてもらった肉屋に殺され、そば粉を入れる壷に閉じ込められる。サン・ニコラはこの子たちを7年後に生き返らせるのだ。
こうした逸話から、サン・ニコラは、子供、学生、教師、独身の男性、そして船乗りの守護聖人として祭られるようになり、亡くなった12月6日にカトリックの伝統の強い地域ではサン・ニコラのお祭りを行ってきた。
それは、サン・ニコラに変装した大人が子供のいる家に来て、その子がいい子だったら、みかん、ピーナツ、ビスコウムなどの入った小さな袋をくれるというのが一般的。ところが、サン・ニコラが大きな袋をもっていて、その中に悪い子を入れて脅かしたりする地域もあれば、鞭おじさんがサン・ニコラと一緒にきて、悪い子に説教したりする地域もある。
この日、子供たちはうれしさ半分、恐ろしさ半分なのだ。「小学校低学年の時、毎年、黒く塗った顔に黒い服をまとい、鞭をもったおじさんとサン・ニコラが村の学校に来て、悪い子を数人挙げて、説教をしました。そしてその後、やっとビスコウムをもらうのです」とフリブール州の村に住んでいたクラークさんは昔を懐かしむ。
ところで、この謎の鞭おじさんとは、3人の子供の話に登場する、肉屋の象徴的人物なのだという。子供に「気をつけろ」というメッセージが「いい子になりなさい」という説教に代ったのか。
サン・ニコラとサンタ・クロース
さて、12月の始めにサンタ・クロースのような服を着て、小さなプレゼントを子供たちに配るこのサン・ニコラと、12月24日にプレゼントを子供たちに配るサンタ・クロースとの関係は何だろうと思った人は多いのではないだろうか？
実は両者は同一人物なのだ。サン・ニコラはベルギーのオランダ語でシンテル・クラース ( Sinterklaas )。この名がアメリカで形を変え、サンタ・クラウス ( Santa Claus ) になり、12月6日の代わりに、12月24日にプレゼントを持って来るようになった。
フランスのロレーヌ地方では、伝統的にはサン・ニコラだけを祝っていて、24日は教会に行くだけだった。それにサン・ニコラは暖炉の煙突から家に入ってくるといわれていた。これら全てがアメリカで形を変え、戦後、ヨーロッパにサンタ・クロースとして逆輸入されたのだ。
こんな複雑な、各地の伝統が混じりあう歴史に思いをはせながら、フリブールで、サン・ニコラの演説を聴き、ビスコウムを食べるのも楽しいのでは。
swissinfo、里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) フリブールにて