Document ID: /fineweb-2-swissfilter-quality_10-filterrobots/filtered/00285.jsonl.gz/34

「内政的には対ヨーロッパ政策は将来も国民の大半の支持が必要だ」とウルス・ブーハー氏は警告する。ブーハー氏は15年間、対EU外交を担い最後は連邦欧州統合局長を務めたが、この程、東京へ転任する。このコンテンツは 2010/06/30 15:25
壁を飾っていた絵は取り外され、観葉植物も部屋の隅にまとめて置かれている。筆者が訪れた時、ブーハー氏はちょうどベルンのオフィスの引っ越しの最中だった。
労働者の4人に1人は外国人
反欧州連合 ( EU ) 派からは「親ヨーロッパの政府宣伝機関」とも呼ばれた外務省の欧州統合局 ( Integrationsbüro/Bureau de l’intégration ) のトップだが、EU外交にかかわりを持った15年間の自分の業績は大きかったと振り返る。在任中にスイス国民はシェンゲン条約の批准により、人の往来の自由の対象国の拡大やEU新加盟国への援助を認めたからだ。
国境には必ずあった検問が撤廃されたことは、スイスを入出国する旅行者全員が実感することだ。もっともスイス人にとっては、職場での変化がより身近に感じる変化だろう。労働者の内訳は現在、4人に1人が外国人となっている。
影響は予想以上のものがあったとブーハー氏は語る。
「1999年、人の往来の自由化協定が結ばれた時点で、労働者数の国別割り当て制度が廃止される時期が、それまでにないほどの好景気に当たるということは計算にはなかった」
と明かす。
移民はしかし、以前から予想されていた通り、需要に左右される。不景気になれば労働市場の需要も低下し移民も減少するが、その時期はずれる。この数年間失業率が上昇しても、外国人の移民は増加しているのは、こうした時期のずれだとブーハー氏は説明する。また、失業率は目下、低下しつつあるとブーハー氏はその報告書で確固とした意見を綴っている。
「スイスが競争力のある国になったのはEUとの協定のおかげででもある。この恩恵を国民一人一人が被っている」
とブーハー氏は語った。
2国間協定の将来
連邦政府も大半の政党も現在スイスが取っている2国間協定路線を支持するが、管轄局の局長の意見は違う。農産物の貿易の自由化、医療問題のEUとの協力、二酸化炭素 ( CO2 ) 証明書の取引などは緊急に解決されなければならない課題だ。しかし
「利害があり、政治的な意志があれば、基本的に問題は解決する」
とブーハー氏は見る。
EUにも関心事項があり、EU委員会をはじめとするEU諸国は、EUの法律がすべての物差しであると主張する。これは対スイス外交についても当てはまる。特に金融問題はEUの中心的な関心事項だ。「アンフェア」な法人税制が糾弾され、ブリュッセルからの要求は最近、高まるばかりだ。銀行の守秘義務については毎回のように問題に上がる。多くのEU諸国では、アメリカがUBS問題でスイスに対していかに強力な圧力を掛け、明確な期限を付けてスイス政府の譲歩にこぎつけたかが注目された。
アメリカから学ぶこと？
アメリカの対小国スイスの勝利作戦からEUが何かを学べたかということについては、ブーハー氏はコメントを避けた。比較は同じもの同士でなければならないからだという。スイスはすでにEU諸国出身者に対しては利子課税を課していることを指摘し、利子課税協定を挙げた。さらに、現在各国と租税協定を交渉中であるとも語った。
しかし、EUからは脱税事件に関する当局同士の協力協定を結ぶようにとの圧力が強まる可能性をブーハー氏は否定しない。EUからの交渉要請は今のところ無いことを強調することで、間接的に銀行の守秘義務については、EU諸国内でも意見が分かれていることを示唆した。こうした現実から見て、脱税調査協力協定を各国と個別に結ぶという判断は正しかったという意見だ。
EU諸国内での意見の相違がスイスにとって利益となるのか、それとも逆にスイスに対する要求が強くなるのかということは、対スイス外交についてEUが新しい基本方針を打ち出す数カ月後に分かるという。
経済の他に科学や文化も
こうしたことは今後、ブーハー氏は東京から傍観することになる。もっともそれも、時間があればの話だ。まずは、日本語の勉強から始めなければならない。日本語をなるべく習得することはブーハー氏の希望でもある。仕事で必要となるからだ。
「大使の仕事は両国の関係者をより多く対面させることにある」
と経済連携協定 ( EPA ) を結び、現在具体的に実践化されようとしている日本について語る。経済関係のほか、共同研究や文化交流をブーハー氏は挙げた。
また、スイスの金融は引き続きブーハー氏の興味の対象だ。多くの日系金融企業がスイスから撤退して既に長い時間が経過している。この点についてブーハー氏は将来を見据えながら
「スイスの金融界の魅力は最近になってより頻繁に取り上げられるようになった。その魅力とは、金融市場を調整する枠組みを持ち安定していることにある」
と語る時ブーハー氏の外交官らしい一面が見えた。さらに
「日本の金融界でこうしたスイスがより深く認識され、ビジネスのきっかけとなれば 嬉しい」
とも述べた。
エヴァ・ヘルマン 、swissinfo.ch
( 独語からの翻訳、佐藤夕美 )
ウルス・ブーハー氏 ( Urs Bucher ) 略歴
1962年、ゾロトゥルン市生まれ。
1990年から外務省勤務。1996～2001年までブリュッセルのスイス大使館に勤務。以降、連邦欧州統合局の政治調整課長。2005年から同局長。
今年の夏から在日スイス大使として東京へ。
この記事は、旧サイトから新サイトに自動的に転送されました。表示にエラーが生じた場合は、<email-pii>に連絡してください。何卒ご理解とご協力のほどよろしくお願いします