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電子投票では先駆的な取り組みを行ってきたスイス。しかし、このシステムの今後の展開が不透明になってきている。１０月１８日の総選挙に向け、電子投票の使用を申し込んだスイス１３州のうち、政府が許可を出したのはわずか４州だったからだ。ここ数年大きく進展してきた電子投票だが、安全性、特に個人情報の安全性が問題になってきている。
電子投票についての議論が盛り上がったのは、先月１２日に政府が出した簡単な発表からだ。４年ごとに開催される１０月の総選挙で、外国に住むスイス人の電子投票使用を申し込んだ１３州のうち九つの州に対し使用禁止が言い渡された。
それ以来、チューリヒ市に集まった１３州の代表グループと政府間で、この禁止に対する責任のなすり合いが始まった。
「今回の政府（内閣）の決定は、理解できないだけではなく、スイス市民に電子投票に対する信頼性を失わせる結果になった」。こう話すのは、アールガウ州知事ペーター・グリュネンフェルダー氏だ。氏は電子投票の使用が禁止された、９州のグループの会長も務める。
そしてこう続ける。「政府の事務当局は、我々を助ける代わりに、システムの欠点を見つけ出すことに専念した。過去１８回の国民投票で、我々はすでに電子投票を使ってきている。それを証明することもきちんとやるべきだ」
容認できない攻撃
一方、こうしたグリュネンフェルダー氏などからの攻撃に対し、政府の広報担当官、アンドレ・シモナッチ氏は、こう抗弁する。「口頭での批判は、とにかく容認できない。州は１８カ月も前から電子投票使用の条件を知っていたはずだ。ところが、禁止された州はその条件を期日までにクリアにしなかった。ただそれだけのことだ。特に重要とされた条件の一つが個人情報の安全性だ。サイバーアタックの際に個人の（どの議員を選んだかの）情報が解読される危険性がある。それは民主主義において、絶対にあってはならないことだ」
米国家安全保障局に知られる危惧
電子投票の一般化には、他の左派や右派の政党と同じく中道左派の社会民主党も反対する。今回の政府の決断を賞賛して社会民主党のジャン・クリストフ・シュワブ議員はこう語る。「ここ数年、電子投票をかなり推進してきた政府だが、現在は慎重になっている。これは正しいことだ。安全を保障できないシステムを許可するのは無責任だからだ」
シュワブ氏が特に政府の決断に満足するのは、米国のユニシス（Unisis）が開発した電子投票システムが特に禁止されたからだ。「米国の企業は、彼らの開発したシステムの中にこっそりと個人情報を取得できる方法を導入し、米国家安全保障局（NSA）やその他の米国政府の情報機関が個人情報にアクセスできるようにしているのは、誰もが周知のことだ。スイス人の投票に関する個人情報が外国の政府に流れることは、（民主主義において）許されないことだ」
投票者個々人の検証
しかし、誰もがスイスの電子投票システムが失敗だったと考えているわけではない。欧州評議会（CoE）における電子投票の専門家でスイス人のアルディタ・ドゥリザ・マウラー氏は、「政府の今回の決定は、１３年来少しずつ進めてきた電子投票に対する姿勢が真剣だったということの証しだ」と断言する。「スイスの電子投票に関する規則は、個人情報の安全性において最も厳格な上に優れている。この規則は２０１４年に導入されたばかりだ。従って各州がそれに見合った方法を見つけるのにはしばらく時間がかかって当然だ」
さらに、こう続ける。「第２世代のシステム導入と投票者個々人の検証が、今年の一番大きな課題だった。個人情報を１００％保障することは、今も将来も不可能だろう。しかし、許可されていない投票の情報やシステムへの『侵入』は、必ずキャッチできる」
具体的には、電子投票システムを使う投票者は、投票に関する情報とともに、個人コードを受け取る。そして、イエスかノーの返事をするたびに画面に現れるコードと自分が受け取ったコードとが一致するかの確認をする。
こうした一歩進んだ個人検証システムを取り入れたために、ジュネーブとヌーシャテル州は、今年政府から許可をもらっている。その結果、両州とも約３０％の州民が自宅から投票を行う予定だ。しかし将来、州民全員にこのシステムを推奨するには、投票が確実に登録され、正しくカウントされたという「全体的検証」を州は導入する必要があるだろう。
郵送での投票より複雑
だが、社会民主党のシュワブ議員はこう言う。「確かに個人検証システムは進歩したかもしれない。しかし電子投票では、市民はいつでも悪意を持った人の犠牲になり得るという事実からは、逃れられない。また、問題が起きた場合、手で投票用紙を数えなおすといったことはできない」
シュワブ議員はまた、電子投票は外国に住むスイス人や目の不自由な人などのように特別な人が使う方法であって、それを国民全員に広げることには反対する。「ヌーシャテル州が使っている第２世代のシステムでは、１人に対し少なくとも三つの個人コードが必要になる。ところが、郵送での投票だと署名一つでオーケーだ」
一方の電子投票推進派のグリュネンフェルダー氏は、反対派の消極的態度を批判する。「リスクにばかり注目している。スイスの直接民主制にとって、第３の投票方法があってもいいはずだ。１９９０年代初めに郵送での投票を開始したとき、もし今回と同じようにリスクばかりを強調すれば、実現されなかったはずだ。しかし当時は、勇気ある政府が存在した」
スイスの電子投票
スイスは電子投票の可能性を提供する数少ない国の一つ。欧州では、他にエストニアとフランスが実行した。ノルウェーは一度導入したが、２０１４年に廃止した。
スイスでは三つのタイプの電子投票が存在する。ジュネーブ、バーゼル・シュタット、ルツェルン州はスイス国内で開発されたシステムを使っている。
ヌーシャテル州は、スペインの企業、サイトゥル（Scytl）のものを取り入れた。ところが、チューリヒ州と他の八つの州は米国のユニシス（Unisis）が開発した電子投票システムを使った。このことが、これら九つの州に対し使用禁止が言い渡された理由ではないかと、グリュネンフェルダー氏は憶測している。電子投票の専門家マウラー氏によれば、「リスクの観点からは、異なる会社のシステムを使うほうが良い」。
一方、年４回行われる国民投票で年間計１９００万枚の投票用紙を郵送するスイス郵便は、独自にサイトゥル社と提携して電子投票の可能性を探っているという。
なお、第５回電子投票国際会議が９月２日～４日、ベルンで開催される。議題は主に個人検証システムと個人情報の安全性について。
（仏語からの翻訳・編集 里信邦子）, swissinfo.ch