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ドイツ・ケルンで年末に起きた女性襲撃事件を受け、メルケル首相が党首を務めるキリスト教民主同盟は１８日、アルジェリア、モロッコ、チュニジアを「安全な国」に指定する方針を発表した。しかし、出身国が難民申請者の帰国を認めない限り、こうした「安全な国」から来た難民申請者を簡単に強制送還することはできない。一方、スイスの難民政策はどうだろうか？
「迫害のおそれがなく、人権が尊重される安定した民主主義的な国」。これがほとんどの欧州諸国が、移民政策で使っている「安全な国」に対する定義だ。こうした国からの難民申請者は、基本的に迫害の危険がないとみなされ、強制送還の対象となる可能性が高い。
しかし、欧州各国の「安全な国リスト」は一様ではない。例えば、スイスは西アフリカのブルキナファソを「安全な国」としているが、ドイツはそうではない。またスウェーデンは、「安全な国」の定義さえ使用していない。
各国が難民申請手続きにおいて「安全な国リスト」を使用する目的は、難民の流入を抑えることと強制送還を容易にすることだ。スイスの場合、こうした「安全な国」から来た難民申請者に対しては審査すら行わない。彼らの審査が行われるのは例外中の例外だ。
今回ドイツで候補に挙がったアルジェリア、モロッコ、チュニジアは、スイスの「安全な国リスト他のサイトへ」には含まれていない。それだけでなくスイスでは「ファストトラック手続き」と呼ばれる簡略化措置により、こうしたマグレブ諸国からの難民申請の審査は、通常よりもはるかに短い期間で行われている。
ヌーシャテル大学人文地理学の教授で連邦移民問題委員会の副委員長を務めるエティエンヌ・ピゲ氏は、「安全な国リスト」が難民申請者に与える影響を相対化している。同リストの意味はむしろ、「難民法の厳格化の方向性を示す政治的なメッセージ」にあると指摘する。
難民申請者送還の鍵は出身国
しかし、ドイツが「安全な国リスト」の拡大を行っても、難民申請者の送還手続きは迅速化しないとピゲ氏は指摘する。なぜなら、送還には難民申請者の出身国の同意が必要だからだ。経験上、アルジェリアとモロッコからこうした同意を得ることは非常に難しい。
一方スイスはこれまでに、アルジェリアとモロッコへ難民申請者が自発的に帰ることで送還を実現してきた。こうした背景で強制送還されなかった難民申請者は、受け入れ国にとって「望まれない人物」となり、最終的には不法移民としてその国に留まるケースが多い。「これは、今日の移民政策が抱える大きな問題の一つだ。こうして公的なシステムへ登録されない人物は、社会扶助を受ける権利を失い、さらに罪を犯さないようにするための対策からも外れる。おそらく、年末にケルンで起こった事件の犯人の一部は、まさにこういった状況に置かれていた人物なのだろう」とピゲ氏は言う。
こうした状況に対しスイスは、出身国と移民に関する協定を提携することで、難民と認定されなかった移民の送還の実現・改善に取り組んでいる。例えば、チュニジアの「ジャスミン革命」から１年後の２０１２年、スイスはチュニジアとの間で移民分野における協同を取り決める協定を締結。そこでは、「スイスがチュニジアの経済およびその他のプロジェクトを支援する代わりに、チュニジアはスイスの難民審査で拒否された自国民を受け入れる」といった内容が規定されている。
スイスは同協定によって、チュニジアからの難民が減ったと高く評価する。一方、NGOは途上国に対する開発援助政策と難民政策を関連付ける同協定は危険だと批判し、スイスにとって有利な協定だと主張する。
チュニジアの他にも、スイスは２００７年にアルジェリアとの間で難民の送還を規定する協定を締結したが、実施には至ってない。
（独語からの翻訳・編集 説田英香）, swissinfo.ch