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スイス南東部のグラウビュンデン州で８月下旬、大規模な土砂崩れが発生した。ふもとのボンド村が土砂に飲み込まれ、８人のハイキング客が未だ行方不明だ。温暖化の影響でこれらの自然災害は増加傾向にあるが、登山道での安全をどのように確保したらいいのだろうか。
スイスの登山道のネットワークは合計すると６万５千キロメートルにもなる。登山道は「できる限り危険がない状態に保つ」よう政府に求められている。なるべく災害リスクの高い場所を避けるように登山ルートは設定されているが、登山道の管理者が落石や土砂崩れといった自然災害のリスクを検証する法的な義務はない。つまり、ルートの選択は全て登山者の自己責任ということだ。
登山道の管理は州、自治体、地元登山団体などに任されている。状況に応じ、担当区域の登山道に警告標識を立てたり、登山のリスクが大きい場合には通行止めにしたりする。しかし、落石や土砂崩れの危険性が高いからと登山道を封鎖するのは受け身な対応であり、事前対策的ではないとスイス登山道協会は指摘している。登山道の管理者はモニタリングを行っているが、登山客や林業関係者、農民などからの情報に頼るところが大きい。
リスクが認められた場合、登山道の管理者は該当エリアを更に詳しくモニタリングし、防護壁の設置や、岩石を事前に破砕したり警告標識を立てたりするなどの対策を取る。
登山道のルートを少し変えるだけで十分な場合もある。スイス登山道協会は「落石や土砂崩れが発生しやすい地域は、その場所の特別な地質条件が原因であることが多く、隣接する場所は全く問題がないこともある」と説明する。ヴァレー州のツェルマット近郊に世界最長の歩行者用吊り橋が建設されたのも、このような背景からだ。
一定区域の登山道を全て封鎖しなければならない場合もある。例えばアレッチ氷河近郊のモースフルー傾斜面の登山道だ。ここではスイスでたびたび深刻な被害を引き起こす土砂崩れのリスクが大きくなったため、昨年から６キロメートルに渡るエリアが通行止めになっている。モースフルー傾斜面はスイスで最もモニタリングが厳重に行われている地域の一つで、設置された数多くのセンサーが常に地表の動きを監視している。
自然災害のリスクを査定するスイス連邦森林・雪氷・景観研究所のクリストフ・ヘッグさんは、スイス公共放送SRFに対し「気候変動により永久凍土が溶け出し、山の地盤があちこちで緩くなっている。登山ルートの見直しや登山道の通行止めは今後ますます増えるだろう」と話した。
チューリヒ大学のリスク分析の専門家、クリスティアン・フッゲルさんは「研究者の間では、過去３０年間で落石や土砂崩れが増えたことは前から分かっていた」と言う。スイスアルペンクラブで安全管理を担当するウエリ・モシマンさんも、落石や土砂崩れのリスクが原因で、ハイキングやロッククライミングに使用できなくなったルートがいくつもあると話す。
ボンド村の悲劇
大規模な土砂崩れに見舞われ、８人の登山客が行方不明になったグラウビュンデン州のボンド村も傾斜面のふもとに位置しており、当局はここ数年監視を行っていた。今回より規模の小さい土砂崩れが発生した２０１１年以来、当局は周辺を調査し、３年間で山が３０センチも移動したことが判明していた。大規模な土砂崩れに備えて村に設置された警報システムのおかげで村民は無事に避難できたが、登山客に速やかに警報を伝えることはできなかった。
ボンド村の村長はメディアに対し、土砂崩れのリスク軽減のために「村として出来ることは全てした」と述べた。この地域の登山道には落石の危険を知らせる警告標識が立てられ、少なくとも一つのルートは全区域通行止めになっていたという。
今回土砂崩れが発生した場所はボンド村の上部に位置する特定のエリアで、危険性が高い地域に指定されていた。登山道の管理者は、ここにとどまってピクニックなどをしないよう登山客に呼びかけていたが、州当局は「特に切迫した危険性はない」という認識だった。登山客が少なく、今回のような規模の土砂崩れが発生する可能性が低いのがその理由だったが、それがあだとなった。
土砂崩れの発生現場から最寄りのシオラにある山小屋の管理人は、山小屋を通る登山客全員に、この地域でハイキングする危険性について警告していたという。死亡の可能性が高いとされる行方不明者８人も、その中に含まれていた。８人は事故当日の午前８時、２グループに分かれてこの山小屋を出発。土砂崩れのあったエリアに向かったという。そして二度と戻ることはなかった。
ハイリスクのエリアはどこ？
州当局が発行しているリスクマップを利用すれば、潜在的に地盤が不安定なエリアを登山道の管理者もチェック出来る。スイス各州のリスクマップはここ（独語）他のサイトへで見ることが出来る。
もっとも、あるエリアに潜在的なリスクが示されているからと言って、ボンド村を起きたような災害が間近に迫っていたり、実際に発生したりするわけではない。ボンド村の土砂崩れの検証を行っている地質学者のイブ・ボナノーミさんはSRFに対し「あれだけの規模の土砂崩れは非常に稀なケース」と話した。土砂崩れは通常、天然のバリアに阻まれて発生現場のすぐそばで止まり、後で粉々になった土砂が谷に落ちるという。
山での安全を確保するには
スイス登山道協会は、特に登山ルートでは（赤と白で表示）正しい地形図を見て、決められた登山道を外れないよう呼び掛けている。
落石は高い気温や雪解け水、強風のほか、登山客、動物などが原因で発生することがある。登山者は落石が起きやすい場所（通常は警告板がある）は立ち止まらずに通過し、休憩は安全な場所で取ることが大切だ。
（英語からの翻訳・シュミット一恵）