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「夏の間の車の速度制限は、光化学スモッグ対策にほとんど役立たない」という結論をスイスの科学者が出している。
理由は、光化学スモッグの主な成分オゾンをはじめ、オゾンの元となる窒素酸化物や炭化水素等の有毒ガスがほとんど国境を越えて来るからである。
自動車や工場から排出される窒素酸化物や炭化水素が夏の強い紫外線を受けて化学反応を起こし、発生するオゾンは人体にとって有害で、目や喉の炎症を起こすだけでなく、肺に入って呼吸困難も引き起こす。これを日本では「光化学スモッグ」と総称し、ヨーロッパでは主に「オゾン」と呼ぶ。スイスで1000人の死者を出した2003年の猛暑に、ティチーノとグラウビュンデン州は高速道路での最高速度制限、時速120kmを時速80kmにした。今年もティチーノ州は8月にこの速度制限を場合によっては実施する予定にしている。
1%のオゾン削減
「われわれが行ったシミュレーションによれば、時速80ｋｍという速度制限は、最大で1%のオゾン削減にしかならない」とスイスの国立研究センターである「ポール・シェラール研究所 ( PSI ) 」が結論している。
原因は、オゾンをはじめ、オゾンの元となる窒素酸化物や炭化水素等の有毒ガスがほとんど外国から来るからである。上空高く昇ったガスは何千キロメートルも離れた場所に降りて来るという。
例えばドイツ語圏のオゾンの75%は他国から来たもので「ほとんどが近隣のヨーロッパからですが、遠くアジアやアメリカからもかなり来ています」と指摘するのはPSIのアンドレ・プレボ氏。
ティチーノ州の問題
北イタリアの工業地帯に隣接し、ドイツとイタリアを結んでスイスを南北に縦断する幹線に位置するイタリア語圏ティチーノ州の公害問題は深刻だ。プレボ氏のシナリオによると「アルプス南部で観測されるオゾンの50%は隣のイタリアから来るので、スイスが速度制限しても何の役にも立たない」ということになる。
しかし、ティチーノ州の空気保護課の責任者ルカ・コロンボ氏は「80kmの速度制限で州内のオゾンの排出を半分近く抑えることができる。またオゾンだけではない。他の有毒ガスや有害粒子状物質も抑えられる」と速度制限を強く支持する。
ところで、スイスはドイツやオーストリアなどと同様、地上オゾンのレベルを下げるグーテンベルグ議定書に調印している。1999年に制定された同議定書は、2010年までに硫黄、窒素酸化物、炭化水素、アンモニアなどの量を1990年のレベルにまで下げることを謳っている。
もし、同レベルにまで下がれば、オゾン量は現在より4割削減されるという。
swissinfo、ルイジ・ヨリオ 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 意訳
オゾン
< 有害オゾン >
有害オゾンは目や喉の炎症を起こすだけでなく、肺に深く入り込んで呼吸機能を低下させる。
夏の紫外線の強い日に、自動車や工場から排出される窒素酸化物や炭化水素が紫外線によって化学反応を起こしオゾンに変わる。
オゾンは地上から6〜10kmの高さに集中して存在する。
有益オゾン >
有益なオゾンとは、地球上空の成層圏にあるオゾン層のことをいう。
オゾン層は皮膚癌、白内障、免疫障害を引き起こす短波長紫外線を吸収することで、人類を保護している。
しかし近年、主にフロンガスにより破壊され、いわゆる「オゾンホール」が広がっている。