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くいなちゃん2021年05月12日
「６さいからの物理学」第2話では、質点のさまざまな運動を具体的に見ていきます！
第1話では、ニュートン力学の概要について解説しました。 今回は典型的な質点の運動に対して、それぞれの解き方を説明していきます。
基本的にはすべて、前回説明した運動方程式「」の微分方程式を作って解く流れです。
1.1斜方投射
まずは、ボールを前方に投げ上げたときの単純な運動を考えましょう。 図1-1の問題です。
図示すると、図1-2のようになります。
問題文中の「仰角」とは、図の「」のように、水平方向をとしたときの見上げる角度のことです。 問題文中の「重力加速度」とは、物体が重力により地面へ引っ張られるときの加速度のことです。 地球上の場合、場所や高さによって異なりますが、だいたい程度です。
ではこの問題を解きます。 軸と軸の運動は独立していますので分離すると計算しやすいです(図1-3)。
軸では、同じ速度でまっすぐ進み続けるため加速度はです。 軸では、下向きに重力加速度がかかるため、上向きを正とすると加速度はです。 それぞれ前回説明した等加速度直線運動になっていますので、あとは公式「」に代入して、軸は「」、軸は「」となります。
ボールが着地するまでの時間とは、再びになるときの時間ですので、を解いて、が求まります。 これを軸の式に代入して、より、が答えです。
1.2抵抗と摩擦
先ほどの問題では考慮していませんでしたが、現実には進む物体は、空気抵抗を受けたり、地面と摩擦が生じたりします。 これらは遅くなる方向に働くので、進行方向と逆向きの力です。
空気抵抗は、物体が低速なときは速度に比例し、物体が高速なときは速度の二乗に比例する力です。 物体が落下していると重力加速度によりどんどん加速しますが、速いほど強く空気抵抗を受けるため、ある速度で釣り合ってそれ以上の速度にはなりません。 この速度を「終端速度」といいます。 空気抵抗は「流体力学」という分野で細かく研究されます。
物体と接しているときの摩擦には、「静止摩擦力」と「動摩擦力」の2つがあります。
机の上に本を置くと、本にある程度の力を加えなければ動き始めず、また一度動き始めたら力を弱めても動かし続けられます。 このとき、動き始めるまで物体を静止させ続けている力を「静止摩擦力」といい、一度動き始めたら止めようとし続ける力を「動摩擦力」といいます。 静止摩擦力が最大になるときの値、つまり静止した物体が動き始めるために必要な力を「最大静止摩擦力」といいます。
最大静止摩擦力も動摩擦力も、摩擦を受ける他の物体から強く押しつけられているほど強くなります。 例えば机に置いた本の場合、本が重いほど重力が強くかかって机に押しつけられるため、最大静止摩擦力も動摩擦力も大きくなります。 数式で表すと、最大静止摩擦力は、動摩擦力はです。 ここでは物質によって異なる定数で、それぞれ「静止摩擦係数」「動摩擦係数」といいます。 は押しつけられた物体を押し返そうとするときの垂直方向の力で、「垂直抗力」と呼ばれます。
1.3単振動
次は、引力が働いて振動する運動を考えましょう。 ばねを使った、図1-4の問題です。
図示すると、図1-5のようになり、物体がばねによって左右に振動しています。
便宜上、地表と平行な方向を軸とし、ばねの自然長の位置をとしました。 このとき、ばねが自然長から伸びたり縮んだりすると、自然長に戻ろうとする力が働きます。 この力の大きさをとすると、ばね定数をとして「」が成り立つことが知られており、「フックの法則」と呼ばれます。
ばねが自然長へ戻る「復元力」を考えると、フックの法則の符号がマイナスになってとなります。 これを、前回の運動方程式に代入すると、という微分方程式になります。 これを解くと「(は任意の定数)」となるため、この式でばねの位置が計算できます。
微分方程式の解に含まれる任意の定数には、のときの状態に応じて適切な値「初期条件」を代入します。 今回のケースではのとき、は最大振幅、は初期位相を表しており、これらを代入して計算します。
では問題を解きましょう。 この式に問題の値を代入すると、となり、が求まります。 よって、答えは「自然長から伸びた位置」です。
1.4振り子の運動
次は、振り子の運動です。
振り子の運動は計算が複雑ですが、振れている角度が小さいときは、上下の動きがほとんど無いため、先ほどのばねの運動と同じとみなして近似することができます(図1-6)。
このような近似ができるのは、が成り立つときです。 このとき微分方程式の解はばねの式と似た式になり、振れる最大角度を、重力加速度を、ひもの長さを、初期位相をとすると、「」と表されます。
振れている角度が大きいときの振り子の計算は、微分方程式を解くと「楕円積分」と呼ばれる難しい積分が出てくるため、手で計算することはあまりありません。
次は、太陽の周りを回る惑星の運動です。 惑星の運動というとスケールが大きいため身構えるかもしれませんが、これも単なる質点の運動として計算できます。
太陽を回る惑星の運動に関しては、ケプラーによって発見された「ケプラーの法則」と、ニュートンによって導出された「万有引力の法則」が有用です。
ケプラーの法則とは、図2-1の3つの法則です。
図示すると、図2-2となります。
第1法則は、惑星は楕円軌道を動くというものです。 楕円とは、ある2つの点それぞれとの距離の和が等しいところを結んだ図形です。 この2点をこの楕円の「焦点」と言います。 図ではで表している2点が焦点です。 第1法則によると、太陽は焦点の1つとなります。
第2法則は、惑星と太陽を結ぶ線分が描く面積は、同じ時間で比べると等しいというものです。 図のaとbが同じ時間で惑星が描く図形だとすると、aとbの面積は等しくなります。 この法則によって、太陽から惑星が離れるほど惑星の動きは遅くなることが分かります。
第3法則は、惑星が太陽の周りを1周する時間の乗は、楕円の最も長い半径(軌道長半径)の乗に比例するというものです。 厳密には、周期を、軌道長半径の長さを、太陽の質量を、後述の万有引力定数をとすると、と表されます。
ニュートンはこのケプラーの法則などを参考にして、太陽が惑星を引き寄せていると考え、また同様にすべての物体は他の物体を引き寄せていると考えました。 この力を「万有引力」といい、図2-3の式で表されます。
万有引力定数とは程度の定数で、測定精度が低いため、現在も細かな値は変わり続けています。
太陽の周りを回る惑星の運動と説明しましたが、2つの質点があり一方の質量が十分小さいときの万有引力による運動は、同様に扱えます。 例えば、地球を回る月の運動も同様です。
3保存則
さて、最後にニュートン力学で重要な「保存則」を紹介します。 保存則とは、あるものが、出来事の前後で必ず維持されるという法則です。
3.1力学的エネルギーの保存則
まずは「エネルギー保存則」です。 エネルギーが出入りしない領域の中では、エネルギーの総和は常に一定になります。
特にニュートン力学で重要なのは、「力学的エネルギーの保存則」です。 他のエネルギーに変化しない限り、「運動エネルギー」と「ポテンシャルエネルギー」という2つのエネルギーの和は一定になることが知られています。 このため、運動エネルギーの増減を調べることでポテンシャルエネルギーの増減を知ったりすることができます。
「運動エネルギー」とは、移動する物体が持っているエネルギーです。 移動する物体が他の物体にぶつかると他の物体を動かすことができるため、この能力はエネルギーです。 物体の質量を、速度をとすると、運動エネルギーは「」と表されます。
「ポテンシャルエネルギー」とは、高い位置にある物体や、伸びたばねに繋がれた物体などが持っている、主に位置に関するエネルギーです。 高い位置にある物体が重力によって得ているポテンシャルエネルギーは、物体の質量を、重力加速度を、物体の高さをとすると「」と表されます。
例えば、高い位置にある物体が低い位置に落下すると、ポテンシャルエネルギーは運動エネルギーに変換されて物体の速度が増します(図3-1)。
このように、ポテンシャルエネルギーと運動エネルギーが相互に変化して、他のエネルギーに変化しない限り和が一定になるというのが力学的エネルギーの保存則です。
3.2運動量の保存則
ニュートン力学で保存するものは力学的エネルギーのほかに、「運動量」もあります。 「運動量」とは、質量と速度の積です。 つまり物体の質量を、速度をとしたとき、運動量は「」です。
2つの物体があり、それぞれの質量を、衝突前の速度を、衝突後の速度をとしたとき、この2つが「完全弾性衝突」すると、運動量は保存して「」となります。 「完全弾性衝突」とは、運動エネルギーの損失がない衝突のことで、2つの物体の衝突前の相対速度をとすると衝突後の相対速度がになるものです。 この式により、衝突後の物体の速度が求められます。
今回は、質点の典型的な運動を解説しました。 次回は、質点が1つではなく、たくさんあったときの運動を説明します！