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今年のスイスの政界では女性の存在感が大きく、トップのポストを占める女性の数は過去最高となった。だが、その道のりは決して容易ではない。
フリブール/フライブルク市にある女性センター「女性の空間 ( Espace Femmes ) 」は、来年の総選挙に向けて、女性が抱く政治的野心を実らせるための支援コースを提供している。
ハードルを乗り越えて
スイスの女性が参政権を得て40年。以来、女性たちは目覚しい勢いで政治に食い込んできた。今日では、連邦および州レベルで選出される代議員の4人に1人が女性だ。
だが、フリブールの女性活動家たちは、男性と同等になるまでにさらに40年待つつもりなどない。2010年2月、こうしてフリブール州初の女性向け政治コース「公生活の女性たち ( Women in Public Life ) 」がスタートした。
発起人の1人であるベアトリス・アッカーマン氏は同センターを率いているほか、地元の政治にも携わっている。内外的なバリアが女性の進出を阻んでいると考えるアッカーマン氏は
「このアイデアに引きつけられて、 ( コースに ) 関心を持つ才能ある女性は数多くいます。彼女たちは、政治参加の願望を持ちながらもそれをまだ実行に移していないのです。わたしにとっては驚きでした」
と語る。
「社会の中でもっと活発に活動したいのに、たとえばマイクを握って話をするのが苦手というような小さいハードルに阻まれているのは残念だと思います。これは学べば乗り越えられるハードルなのですから」
コミュニケーション能力の上達はこのコースの重点の一つだ。実践重視で、演説、演説原稿、聴衆の説得などをテーマとしたワークショップが開催されるほか、参加者は番組出演のトレーニングを行ったり、ラジオやテレビの討論会で発言したり、あるいはコースが主催する討論会で司会を務めたりする。
アッカーマン氏はまた、スイスの6大政党や政治システムを解説しながら政治知識の欠如という問題にも取り組みたいと考えている。
「女性は一つの政党に完全に同調することはあまりなく、自分たちが守ろうとしている価値感と同じ立場を取る政党はどれかというふうに判断します」
と語る。
自信を持って
アールガウ州の中道右派キリスト教民主党 ( CVP/PDC ) 連邦議会議員のエスター・エッガー・ヴィス氏も、女性が政治を学べるワークショップを開いている。そして
「女性にはいつも『みなさんも男性と同じようにできるのです』と話しています。しかし、女性は全体的に自信に欠け、効果的に議論することができないと思っているようです」
と評する。
「学ぶといっても、大部分は実践で身につけるしかありません。やってみないとわからないのです。女性はたいてい確信の不足を埋めるために議論や会議の前に入念な準備を行うので、結果的に周囲にはとてもよい印象を与えるようです」
エッガー・ヴィス氏は地元の自治体と州の政治に15年間以上かかわった後、2007年に国民議会 ( 下院 ) 議員に選出された。スイスには家庭と仕事という2重の負担をサポートできる十分な託児システムがなく、そのために政治の世界に入る時間を見つけられない女性がたくさんいると主張する。
「女性の空間」が提供しているような女性向けのコースの需要はあるとみるエッガー・ヴィス氏だが、女性政治家のクォータ制度 ( 割り当て制度) には反対だ。
スイスの有権者も、2000年のクォータ・イニシアチブを圧倒的多数で棄却した。
「政治では、女性のためのクォータ制度はどんな形にせよ、断固として反対です。変化は自覚の向上によって起こるべき。そうすれば、女性もそれが自分の人生にとってどれほど大切なことであるかを認識できるはずです」
有言実行
コースの最後のモジュールでは選挙運動に焦点を当て、人材や関係筋のネットワークを支えとして、参加者に選挙活動を始めてもらうことが目標に据えられている。
2007年の総選挙では、国民議会議員候補のおよそ35%が女性だった。だが、当選を果たしたのは全体の29.5%に過ぎなかった。社会民主党 ( SP/PS ) のジョジアンヌ・オベール氏は、この年に新人議員として当選を果たした1人だ。女性が政治の世界に突入するには、まだまだ自分を鼓舞し奮い立たせなければならないと同意する。
「これまでの3年間はとても充実した時間を過ごし、自分の役割にも大変満足しています。この先、もっと多くの女性が政治の各分野で活躍するようになってほしいですね」
来年は、5カ月間のこのコースを終えた女性たちの腕の見せどころがたっぷりある。フリブール市では2011年、地方自治体、州、連邦の各レベルで一斉に選挙が行われるのだ。これは20年に1度の出来事だ。
6年前、ヴァレー/ヴァリス州シオン ( Sion ) で類似のコースに参加し、それが報いられた経験を持つアッカーマン氏は、女性たちの夢がかない、当選の吉報が届くことを願う。
エッガー・ヴィス氏は、真の成功は女性が性の視点のみで選出されなくなって初めて訪れると考えている。
「女性政治家というふうに見られているだけでは残念です。政治はやはり、万人のためのものであるべきなのですから」
クレア・オデア、フリブールにて swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、小山千早 )
女性議員の状況
行政
連邦政府：7人のうち3人 ( 42.9% )
州政府：156人のうち31人 ( 19.9% )
立法
国民議会 ( 下院 ) ：200人のうち58人 ( 29% ) *
全州議会 ( 上院 ) ：36人のうち10人 ( 21.7% )
州議会：2678人のうち705人 ( 26.3% )
*世界平均18.4%
女性に見るスイスの政治史
1971年 女性が参政権を得る。
1971年 200人の議員からなる国民議会に女性10人が選出される。46人の全州議会では1人。
1984年 史上初の女性大臣にエリザベート・コップ氏が選出される。
1999年 史上初の女性大統領にルート・ドライフス氏が選出される。
2010年 現大統領はドリス・ロイタルト氏。世界でわずか17人しかいない女性元首の1人 ( 全体の1%以下 ) 。国民議会議長にはパスカル・ブルーデラー・ヴィス氏、全州議会議長にはエリカ・フォルスター・ヴァニーニ氏がそれぞれ就いている。
「女性の空間 ( Espace Femmes ) 」
1998年創立。移民やスイスの女性のためのサポートセンター。
語学などのトレーニングコースのほか、家族法や被雇用者の権利についての相談、女性が集まる場所などを提供している。
スイスフランス語圏宝くじ ( Loterie Romande ) 、連邦内務省男女均等待遇局 ( EBG/BFEG ) 、連邦司法警察省移民局 ( BFM/ODM ) 、フリブール州、会員、後援者および個人の寄付で運営されている。
フランス語で行われるコース「公生活の女性たち ( Women in Public Life ) 」は2010年2月12日から6月26日まで、夜と週末に行われる。
十分な需要があれば、コースは年間を通じて行われる可能性もある。費用は490フラン ( 約4万1500円 ) 。