Document ID: /fineweb-2-swissfilter-quality_10-filterrobots/filtered/00451.jsonl.gz/75

スイス航空 ( Swissair ) の破産から5年以上経過した1月16日、当時の経営陣に対する刑事裁判が始まる。
訴訟内容は、株主に対する損害のほか公文書偽造、背任横領、脱税など。スイス経済界を代表する大物に対する裁判に、世間の注目度は高い。
2000年7月6日、スイス大手銀行クレディ・スイスのアナリストがすでに、スイス航空はいつ最低5億フラン ( 約480億円 ) の損失を計上するだろうと分析した。これを受けて株価が敏感に反応したこともあり、スイス航空の当時の最高経営責任者 ( CEO ) のフィリップ・ブルギッサー被告人はクレディ・スイスのルカス・ミューレマン被告人 ( CEO ) に苦情を申し立てたという。クレディ・スイスはこのアナリストを「プロとして失格」という理由で解雇した。
史上最大の損益
スイス航空の損失は、解雇されたアナリストの警告をはるかに上回る30億フラン ( 約2900億円 ) となり、最終損益はスイス経済史上最大の170億フラン( 約1兆6450億円 )にまで達し、約5000人が職を失った。
2001年年初に行われた財政建て直しの際、スイス航空は「S−エアーグループ( SairGroup)」として2000年末時点で大きな経営上の問題はなかったとの報告をもとに新会社へと移行した。しかし、この報告は偽造されていたと検察側は判断。ブルギッサー被告人とミューレマン被告人をスイス航空の資産価値を下げた責任と、背任横領の容疑
で訴えた。また、当時経営難にあったベルギーの子会社サベナ航空への増資決定についても違法行為があったとして訴えている。
元チューリヒ州財務大臣兼スイス航空会長のエーリッヒ・ホーネッカー被告人は、スイス航空の運営上の問題のほか、14万6000フラン ( 約1400万円 ) の脱税容疑も掛けられている。スイス航空再建のために2001年10月からグループの総責任者に就任し財政の責任者でもあったマリオ・コルティ被告人は2001年4月の株主総会で、銀行からの10億フラン (約 970億円 ) の融資契約が成立していなかったにもかかわらず、あたかも融資を受けるような偽りの発表をしたとも訴えられている。この発言が結果として株主に投資損失を招いたと検察側は主張している。
裁判の行方
法律専門家のダニエル・ヨシッチ氏は、裁判の結果は訴訟の内容よっては無罪、執行猶予付き有罪、罰金となると見る。チューリヒ大学の経済法教授カール・ホーフシュテッター氏は、スイス航空について刑事裁判を行うことは不適切との意見で「偽造や詐欺行為など故意の違法行為に対しては刑事裁判が可能だが、スイス航空の場合、故意の違法行為より深刻な経営過失行為が大半を占める」と言う。
チューリヒ検察庁のアンドレアス・ブルンナー氏は「今回の裁判に対する期待が大きすぎるのではないか。世間は、裁判がスイス経済史へ一石を投じることを要求しているかのようにも思う」と言う。裁判は長期にわたる可能性が高いが、訴訟の一部は2008年に時効となる。ブルンナー氏によると、被告は裁判で時間稼ぎをする意向はないのではないかと見る。「被告人とすれば時効によって無実になるより、完全なる無罪判決を目指しているのではないか」と語った。
swissinfo、アンドレアス・カイザー 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 意訳
補足情報
- スイス航空に対する刑事裁判は1月16日から3月9日までビューラッハ市 ( チューリヒ州 ) で行われる。
- 傍聴席は1500席あるが、注目度が高いため即刻満席になると見込まれている。
- 19件に及ぶ検察側訴えは2月9日まで続き、15日から尋問が始まる。
訴訟状は100ページに渡り、訴訟内容の書類は4150のファイルに上る。検察側が費やした時間は4万時間で訴訟に至るまでに関わった人は300人。家宅捜索を受けた家は20軒。
- 検察側はさらに民事裁判を行う意向である。