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ジュネーブ大学病院の実験結果によると、抗うつ剤が効かなかった重症のうつ病患者でも、磁気を頭にあてるだけで症状が改善した。
磁気は脳の神経を活性化させる。ジュネーブ大学病院は30人の患者に対して経頭蓋的磁気刺激(Transcranial magnetic stimulation、以下TMS)の実験を行った。
実験に参加した患者は、抗うつ剤や心理療法があまり効かなかった人々だ。ジュネーブ大学病院のラヒド・ファディ博士は胸を張る。「被験者の半数に、TMSは非常に良い効果をあげました。現在、患者は数カ月間安定した状態にあります」
幅広い効用
TMSは患者の脳表皮を磁気で刺激する技術で、スペインが世界で最初に取り組み、その後米国、フランス、ドイツ、英国、フィンランド、オーストリアなどに広がった。スイスではまだ実験段階だが、カナダやイスラエルなどではその効果が認められて保険でもカバーされている。
また、TMSはうつ病だけでなく、神経病やパーキンソン病、複合的な硬化症、てんかん、慢性の頭痛などにも幅広く使用されている。
「フランスではTMSは抗うつ剤に代わるものとして受け入れられています」とファディ博士は語る。「患者にとって選択肢が沢山あるのは良いことです。抗うつ剤が効いている患者さえ、試してみる価値があると思います」
死亡例も７件
しかしファディ博士によると、TMSが完全に抗うつ剤の代替になるかといえばそうでもないらしい。携帯電話の電磁波が懸念されているのと同じように、TMSから出る磁気も本当に脳にダメージをもたらさないかというと、まだ議論の余地があるようだ。
ファディ博士の同僚、ジャン・ゴラズ氏は語る。「確かに、私たちがTMSを患者に使う頻度は、携帯電話や電子レンジよりずっと多いかもしれません。しかし、これは脳の非常に特定した部分にのみ使用されています。磁気は頭蓋骨の下の２、３センチメートルだけに照射されます」
「磁気で脳を焼いてしまうわけではありません。この療法によって脳に影響がでるというような事態は断じてあってはいけませんから念には念を入れています」
ファディ博士はさらに続ける。「磁気の波動画像が進化を遂げてから、この方法は世界中で何百回と使用されていますが、患者が亡くなった例は、たった７件だけです。亡くなった人々は、過去の手術などで脳の中に金属が入っていたなど、絶対にTMSを受けてはいけない人たちでした」
頭が良くなるかも
ところで、TMSに興味を覚えたのは病院関係者だけではない。この方法では脳の特定部分だけを活性化できるため、精神学会はこれで心理的なパワーが増強できるのではないか、どんどん学習能力があがり、複雑な数学なども簡単に解けるようになるのではないか、などと食指を動かしている。
「オーストラリアでは、実際この研究が開始されていますし、米国では科学論文も発表されています」と言いながら、ゴラズ氏は眉間に皺を寄せた。「これはあまり感心しませんね。ちょっとSFじみていますし、もし現実的になれば、危険だと思います」
swissinfo、ラファエラ・ロッセロ、遊佐弘美（ゆさひろみ）意訳
キーワード
先進国では抗うつ剤は最も多く処方される薬品の一つ。
スイスの人口の５％はうつ病で精神科に通っている。20％は人生の中でかなり深刻なうつ状態に悩まされたことがある。
スイス政府はうつ病関連で年間２億3000万フラン（約206億円）を支出している。
補足情報
-TMSの実験は、30人の患者に対し２年間以上かけて行われた。
-TMSは抗うつ剤や心理療法などの対処方法より比較的安い費用で済む。