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ナチス略奪品が含まれているとされ、物議を醸したグルリット・コレクションの展示がベルン美術館で始まった。コレクションの出所調査の成果を公開することが今回の狙い。一部の作品は出所が不明のままだ。
首都ベルンにある同美術館の壁には「棚卸しとは、説明責任を果たすことだ」と大きな文字で書かれている。同美術館が、物議を醸したグルリット・コレクションの作品展を開くのは3度目だ。今回は作品そのものよりも、作品の出所に重点を置いた。同美術館はこの8年の歳月を、コレクションの来歴解明に費やしてきた。法的、政治的、道徳的な難題にぶつかりながら。
ドイツのアートコレクター、コーネリウス・グルリット（1932～2014）は2014年、ナチス時代の美術商、父ヒルデブランド・グルリットが主に収集した膨大なコレクションをベルン美術館に遺贈。コレクションがドイツで没収された2年後のことだった。ドイツ当局が2012年、グルリット・コレクションの存在を偶然突き止めたのをきっかけに、ナチス略奪美術品の扱いを巡って大きな議論が起こった。ドイツ、スイス、そして国外のメディアは、何十億フランもの価値のあるナチスの略奪美術品について書き立てた。
しかし、コレクションの精査は難航を極めた。2021年12月、1600点以上の作品がベルン美術館に届いたが、略奪品と判定され正当な所有者に返却した作品や、出所確認のためドイツに戻った作品は、わずか数十点に過ぎない。ヒルデブランド・グルリットが出所隠しの工作を図ったことに加え、第二次世界大戦の混乱の中で、資料、知識、証人といった貴重な情報が失われたからだ。
ドイツの話がスイスへ飛び火
ベルン美術館に作品が遺贈されたとき、美術界ではいくらか驚きの声が上がった。ナチスによって盗まれた、あるいは取引された美術品や、ナチスの影響によって汚された作品をどう扱うかという、まったくもってドイツの話に思えたからだ。戦後数十年を経ても、道義的責任と公正な返還をどうすべきかについては、満足のいく回答を見いだせていない。ナチス時代の法的、政治的遺産の処理は、ドイツのトップレベルの文化系政治家の問題だった。
しかし、スイスとのつながりは、たとえ多くの人がそれを認めようとしなかったとしても、常に存在していた。スイスは昔から国際的な美術品取引の中心地であり、グルリット一族はしばしばスイスの仲買人を通して作品を売っていた。すべてのケースで道徳的に問題があったわけではないが、常に無実だったわけでもない。
ベルン美術館はグルリットの遺産について、早くから透明性のあるアプローチに取り組んできた。2017年には、スイスで初となる出所調査部門を設立。このアプローチは、トラフィックライトシステムと呼ばれる手法を使った。出所に問題がない作品は緑色。ナチスの略奪品は赤色。そして大半は、出所情報が不完全であることを意味する黄／緑色か、ごく一部は、出所情報が不完全で略奪品の証拠はないが、それを指し示すものがある黄・赤色に分類された。後者の場合は返還が検討されている。
未解決のままに
今回のグルリット展は、このような透明性の追求の論理的帰結と言える。作品展は、出所調査に際し美術館がどういうアプローチを取ってきたか、どんな問題に直面したかを明らかにしている。最終的に解明できないものは、あえて未解決のままにした。
その1つが、ヒルデブランド・グルリット自身の人となりだ。作品展では、彼がユダヤ人の祖母を持つことから、ナチスから「ミシュリング」（ナチス・ドイツでアーリア人と非アーリア人の混血の人を指す蔑称の法律用語）とみなされていたと紹介している。彼は迫害を免れたとしても、社会的に多くの不利益を被ることになった。しかしヒルデブランドは、ナチスが「退廃芸術」を国外に売却するよう委託した4人の美術商の1人でもあった。ヒルデブランドは多くの作品を破壊から救うことができた。あるものは彼のコレクションになった。またあるものは利益のために売却した。
どの時点までなら被害者で、どの時点から加害者になるのか。そして、純粋なご都合主義は、合理的な生存本能とどう調和するのか。独裁政権下の生活は常に矛盾に満ちている。そのことをこの作品展が如実に示している。
「T外部リンクaking stock. Gurlitt in review外部リンク」は、ベルン美術館で開催。2022年9月16日から2023年1月15日まで。
英語からの翻訳・宇田薫
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