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世界中で起こっている紛争は、多くの場合水の奪い合いから引き起こされている。またこの紛争の可能性は人口増加と地球温暖化によってさらに高まっている
「第5回世界水フォーラム」開催前にスイスで行なわれたシンポジウム「水は公的な財産」に参加した120人の専門家は、水問題のさまざまな側面に光を当てた。
スイスは水過多
「過去60年間の37の紛争において、水は重要な要因だった。今後2025年までに世界の人口の3分の2が水不足に苦しむことになる。従って21世紀の紛争原因は世界のあちこちで起こる水不足に関係することになるだろう」
と、アムネスティ・インターナショナルのブルーノ・リーゼン氏は語った。
一方スイスでは、2003年の干ばつを除いて、むしろ多量の水が引き起こす洪水が問題になっている。
「200年来スイスでは川の至る所に堤防を築き、それは生態系を破壊し安全性も脅かすようになった。増水を防ぐには川幅を広げるべきだが農民は反対するだろう」
とチューリヒ連邦工科大学 ( ETHZ/EPFZ ) の水化学科の教授ベルンハルト・ベーリ氏はスイスの問題を提示した。
しかし、 国際的な観点からは、水が充分にあるスイスの役割を、
「スイスは隣国に対して責任があり、 ( 隣国を助ける ) 将来のヴィジョンを構築する必要がある」
とリーゼン氏は提言した。また、こうした政策決定がしばしば連邦制のせいで進まないとも指摘した。これに対し連邦外務省（ EDA/DFAE ）の代表は、世界の平和を推進するスイスは水を重要な政治的テーマの1つに考えていると強調した。
水は１つの人権
ところで、スイスは、国連人権理事会 ( UNHRC ) 内に水問題に関する専門家のポストを作るというドイツの提案を支持した。このポストに就任したカタリナ・アルブケルク氏は、
「飲料水と浄化水へのアクセスは万人にとっての人権である。私の任務はそれを国連のアジェンダに盛り込むことだ。そして各国がこの問題に真剣に取り組むよう義務づけるべきだと考える」
と語った。
だが、世界の260以上の河川、海岸が国境を越えて広がるにもかかわらず、アルブケルク氏の職務範囲は多くの国の反対に合って制限を受け、国境を越えた数カ国間の問題は取り扱えなくなった。
「私の任務に制限があるのは充分に承知している。しかし1つの国家が水への権利に関していくつかの義務を果たすなら、それだけで大きな第1歩だ。また一方、さまざまな国で具体的な問題解決を見つけることにも力を注ぎたい」
と語り、コスタリカで殺虫剤が地下水や河川を汚染することを防ぐため、パイナップル生産を有機農法に切り替えた例を挙げた。
中東の水問題
エルサレムのNGO ( 非政府組織 )「ダンチャーチ・エイド ( DanChurchAid ) 」の代表ファディア・ダイベス・ムラッド氏も、中東での水問題がいかに深刻かを訴えるため、シンポジウムに参加した。
「イスラエルが1967年にヨルダンの一部とガザ地区などを占領して以来、パレスチナ人はさまざまな地域に分散させられ、水への自由なアクセスがまったく不可能になり、制限付きのわずかなアクセスしか残されていない」
と、このパレスチナの専門家は訴えた。
解決への政治的意志が欠けている現状では、問題はひどくなるばかりだという。オスロ合意にはパレスチナ人の水へのアクセス権は認められているが、現実にはイスラエルにコントロールされている。
「イスラエルは水路を変える、または水の輸送などを提案しているが、膨大な費用がかかる」
とムラッド氏は言う。最良の方法は、水問題に対する共通のヴィジョンを持つために、または現在ある方法に代わる方法を探るために、イスラエルとパレスチナ両者間話し合いのプラットフォームを成立させることだとムラッド氏は考える。
ペットボトルで水を浄化
以上のようにさまざまな問題提起が行なわれた後で、リーゼン氏は、
「全般的に見て、問題はグローバルであるにもかかわらず、その解決の展望は非常に暗い。2025年には国連のミレニアム開発目標の半分しか達成できないだろう。現在の金融危機の優先目標は銀行を救うことで、貧しい人たちを救うことではない。ないしは、スイスがそうであるように、議論の多くがエネルギー問題にのみ向けられている」
と結論する。
一方チューリヒ連邦工科大学 のベーリ氏は、
「われわれの研究所ではもっと具体的な解決法を探っている。ペットボトルで水を浄化するシステムを発明したところだ。これは安価な発明品でしかもきちんと機能する。しかし、こうしたプロジェクトを実用化するには何百万ドルもかかるだろう」
と語った。
swissinfo、イザベル・アイシェンベルジェー 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 訳
水問題
世界で12億人が飲料水へのアクセスができない。国連の調査によるとこの数は2025年までに2倍になるという。
世界の水の7割から8割が農業用水として消費されている。使用される水の６割が、灌漑 ( かんがい ) が効率よく機能していないために失われている。
国際赤十字赤新月社連盟 ( IFRC ) によると、コレラのような下痢を引き起こす病気は2008年に2006年比で35％増加した。特にアフリカのサハラ砂漠地域で著しい増加を見せた。