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「スイスの相撲の王者」を決める、3年に一度の連邦シュヴィンゲン・アルプス祭が今日8月20日から3日間にわたって開催される。
スイスの国技「シュヴィンゲン」にフランス語圏から参加する、「ほかの人と少し違う」選手がいる。ワイン生産者アラルド・クロップトさんだ。母親がハイチ出身のため肌の色が少し違うので、伝統色の強いシュヴィンゲンの世界ではどうしても目立つ。「サッカー選手だったらこれほど話題になることもないのだが」と軽く笑い飛ばす。
14歳ではまった
母親のマドレーネさんは医学を学ぶためハイチからスイスにやってきた。そしてヴォー州のワイン生産者フィリップさんに出会う。マドレーネさんは、その後夏休みをブドウ畑が広がるシャブレ ( Chablais ) の村で過ごした。
こうして2人は結婚し1人息子が誕生。それがクロップトさんだ。スイスではごく普通の国際結婚だ。やがてクロップトさんは、14歳になった年にシュヴィンゲン( Schwingen ) に「はまって」しまった。
「闘いは親愛の情に満ちたもの。ライバル意識はまったくない。勝った方が負けた相手を助け起こし、背中についたオガ屑を払ってやる。土俵から降りればみんな友だちだ。スイスドイツ語圏では、スポーツではなく遊びだと呼ぶくらいだ」
と話す。
身長1メートル95センチ、体重125キロの「巨人」は、すぐにフランス語圏のシュヴィンゲン協会で重要な競技者の1人になる。2004年、初めてこの3年に一度の大会に、ある参加者の代わりとして出場した。
のどかで素朴なスポーツだが…
やがて3年後の2007年、アーラウ ( Aarau ) の大会では、大会2日目に0.25ポ
ント足りずに格付けを逃した。しかし、この経験は忘れ難いものになった。
「4万8000人もの観客が見守る中で競技を行うなんて、本当に深く感動した。まるで子どもたちの集まりのように無邪気な雰囲気で喧嘩などは一切ない。人々はワインの瓶やサラミを切るナイフなんかを持ってワイワイ言いながら会場にやって来る」
こう聞くと、のどかで素朴な大会のようだが、アーラウやほかの大会などで、やじの口笛や「黒人の相撲とりだ」というひそひそ声が、土俵に上ったクロップトさんを包んだことがある。
「確かに1、2回、特にデビューした頃そんな反応があった。しかし、もうそれも過去の話しだ」
と言う。
さらに
「確かに、僕は ( シュヴィンゲンのイメージである ) 頑強なアルプスの羊飼いのタイプではない。また、もしサッカー選手だったら、珍しくも何ともなく、これほどジャーナリストに追いかけられることもなかっただろう」
と話しながら、この「人と違う特殊性」こそを宣伝材料として利用し、愛する格闘技がもっと一般に知られるようになり、またもう少し伝統の強さから切り離せられたらと考える。フランス語圏での人気は衰える一方だからだ。
それでも外国人？
しかし、人種差別の問題はそれほど単純ではない。連邦鉄道が発行する雑誌「ビア ( Via ) 」のインタビューで、シュヴィンゲンには外国人が参加していないのではと聞かれ、今大会の有力候補のベルン人クリスティアン・シュトゥッキさんは
「いや、ヴォー州の黒いワイン生産者、アラルド・クロップト選手がいる。彼は自分で選んでこの道に入り、みんなに認められている」
と答えている。
またシュトゥッキさん自身もスイス人であることを、右派の国民党 ( SVP/UDC )の言い方をそのまま引用し
「自分はまず、スイス連邦の一員だ。誰でもスイスの国籍を手に入れることはできるが、スイス連邦の一員になることはできない」
と述べている。( 編集部註、スイスではまず州の独立性があり、その上で各州が連邦を形成した国家だという 意識は強い。ここでいう「連邦の一員」とは、先祖代々が住む州に根を張った、伝統を重んじる真の国民という意味合い )
これに対しクロップトさんは
「確かにスイスには伝統がある。僕自身アルプスホーンが好きだ。しかし伝統はエーメンタルチーズやグリュイエールチーズで留まっていてはいけないと思う。ただ、自分はそうしたことを推し進める運動家ではない。2007年に国民党の選挙地盤アーラウの大会に行ったとき、おまえはきっと ( 国民党 ) の狼の中に投げ込まれると友だちに脅かされたが、何事もなくうまく行った。僕はただ、自分の喜びのためにシュヴィンゲンをやっているだけだ」
と淡々と話す。
賞品は牛、ヤギ、家具、カウベル
地域に根を張った国民を真のスイス人というのなら、ヴォー州の方言を話す、この穏やかなスイス人は最近移住してきた外国人ではない。エーグル市のそばのシャブレ ( Chablais ) 地方、オロン ( Ollon ) 村に先祖から受け継いだ2ヘクタールのブドウ畑を持ち、そこでのワイン生産に誇りを感じている。
ワイン醸造学とワイン酒庫管理資格を農業学校で取得し、ピノグリやシラなどの新しい品種の収穫が温暖化のせいで早くなったことなどを話し始めると、思わず熱が入る。
インタビューの間中水の入ったコップを手にしている。
「ワイン生産者には容易なことではないが、シュヴィンゲンの試合前はワインを口にしないようにしている」
と言う。こうして話はまたシュヴィンゲンに戻る。シュヴィンゲンにはワイン生産と同じ位情熱を傾けているからだ。そうして「賞品は、牛、ヤギ、家具、カウベルなどだ」と、この格闘技の「自然さ」を自慢げに続ける。
大会最後の日曜日には、王者に力の象徴である雄牛が授与される。クロップトさんは、シュヴィンゲンでのオバマ大統領になれるだろうか？
「いつか王者になりたいと、競技者なら皆夢見ている。しかしその座は偶然には手に入らない。多くの練習の積み重ねの上で手に入るものだ。また例え優れた技を持つ者でも、100% 集中しないと、あっという間に組み敷かれてしまう」
と説明する。
自分のベルトをしっかりと締め、相手の半ズボンもしっかりと掴んで欲しい。健闘を祈る。
サムュエル・ヤベルク、swissinfo.ch
( 仏語からの翻訳、里信邦子 )
連邦シュヴィンゲン・アルプス祭
3年に一度開催される。今年は8月20日から22日まで、フラウエンフェルト
( Frauenfeld ) で行われる。
5つの協会から、予選で選ばれた者が参加する。今年は計287人が参加。そのうち27人がフランス語圏から、また6人が外国から参加する。
今回の大会の予算はおよそ2000万フラン ( 約16億円 ) で、スイスで行われるスポーツ大会としては最大規模で、同大会のために建設される競技場には約4万7500人の観客が入場できる。試合はテレビで実況中継される。
3日間で約20万人の観客が集まり、20万リットルのビールと13万個のソーセージが消費されると関係者は見ている。
2007年大会では、ヨルグ・アプデルハルデン さんが王者になり、3回連続優勝を飾った。1979年生まれの建設技術者で、ザンクトガレン州トッケンブルク 出身。