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雄弁で、エネルギッシュ、野心的であり、どんな状況下でも冷静。スイスで最も著名な気候学者であり、環境物理学者でもあるトーマス・ストッカー氏は、国連気候変動に関する政府間パネル（IPCC）の次期議長に自身が選ばれる可能性は高いと自信をのぞかせる。
IPCCの議長選に名乗りを上げているストッカー氏が選挙キャンペーン中に訪問した国の数は、欧州をはじめ、日本や中国、南米、中東、インド、タイなど３０カ国。さらに電話を通じて連絡を取った国の数は１０カ国。「私が選ばれるチャンスは大きい。IPCCのトップに選ばれるには、専門能力、個人的な資質の他に、政治的な要素がものを言う」。ベルン大学の教授である同氏は、この２月にスイス政府からIPCCの次期議長に推挙された。
スイスは中立国で、政治的にどのグループにも属しておらず、ジュネーブに国際機関が集まっていること、また国連分野への関与が大きいことなどから、非常に有利なポジションにある。
IPCC議長へ５人の候補者
１０月５日から８日にかけて、ドブロブニク（クロアチア）で開かれる国連気候変動に関する政府間パネル（IPCC）総会で新議長が選ばれる。気候学者として最高の地位にあたるこのポジションの候補者として、スイスの気候学者トーマス・ストッカー氏の他に、韓国、米国、ベルギー、オーストリア（モンテネグロと共同）から候補者が出ている。
また、ドブロブニクの総会では、議長の他に３４人からなるIPCC役員が選出される見通しだ。役員候補は、それぞれの出身国によって推薦される。IPCCに所属する１９５カ国のそれぞれが一つの票を持っている。インフォボックス終わり
もちろん、他の４候補も手をこまねいて見ているわけではなく、票の獲得のため懸命に世界中に足を運んでいる。こうしたアピール合戦がすべて合法的に行われているかどうかは、ストッカー氏は知らないし関心もないという。「他の国には我々とは違った手段がある。例えば気象観測所の設置に金銭的支援をするなど、（票を投じてくれたことへの）見返りを提示する国もあるだろう。だが、スイスはそういったことは行わない」
ストッカー氏がIPCC次期議長を目指して行っている広報活動は、国のお金で賄われている。世界中を回れば、人間活動が自然や環境に与える負荷（エコロジカル・フットプリント）が高まることは、自身も自覚しているし、そういう批判を聞くのははじめてではない。「このような立場や責任を負う者が、個人的に各国に足を運ぶのは当然だ。離れたところから人と接触することはできない」。その上、IPCC関連業務で飛行機を使う場合、そこで排出された温室効果ガスは２００８年以降、他の温室効果ガス削減活動への投資を通じて埋め合わせされているという。
「科学者としての役割は、はっきりと定義されている」
それ以外の点では、ストッカー氏はエコロジカル･フットプリントがこれ以上大きくならないように、いつも注意を払っている。仕事場へは自転車で通い、エネルギーを効率よく使い、ゴミもきちんと分別。肉はエメンタール地方の精肉店で買い、冬にペルー産のアスパラガスは買わない。「私は環境保護への自覚はあるが、先駆者でもなければ、ましてや宣教師などではない」
著名な気候学者として、一般的にメディアでは好意的に受け止められているとはいえ、批判的な声も聞かれる。政治活動家であるとか、自身の活動の犠牲者であるとか、あるいは伝道師、予言者などと嘲笑されてもきた。とりわけ、右派の国民党に近い週刊誌ヴェルトボォッへは、ストッカー氏をこれまでさんざん批判してきた。しかし「彼らの想像力には驚かされるばかりだが、それも承知の上のことだ」と、同氏はそういった批判も気楽に受け流している。
「我々の研究分野は、社会的な影響がとても大きい。我々の役目は、はっきりしている。IPCCの主要な業務は、情報と研究結果を評価し、それを施政者や社会に伝えていくことだ」
非常に仕事熱心なストッカー氏には、気候変動を抑制し、二酸化炭素排出を抑制し、海洋を守るという明確な目標がある。そのため「一歩一歩の前進に喜びを感じている」。だが政治に関与することはないし、もし活動家だったらNGOに参加するだろうという。「仕事上でいまだ政治的圧力や経済界からの圧力を感じたことはない」
希望の光
今年１２月にパリで開かれる国連気候変動会議（COP２１）には、ある程度の希望を感じている。それはオバマ米大統領が、発電所からの二酸化炭素（CO２）排出削減を目指す「クリーンパワープラン」を打ち出したからだけではない。なにより米国と中国が気候変動対策に関する共同声明を出したからであり、またスイスを筆頭に、各国が排出抑制のための政策プランを提示したからだ。「これらは皆、良い兆候であり、最初の一歩でもある。とはいえ目標には遠く及ばない。必要なのは具体策だ。残された時間はわずかしかない」
ブロックハウス百科事典を「ググる」
チューリヒ市で育ったストッカー氏は、常に知識欲旺盛な少年だった。１０歳のときには月面着陸とアポロ計画に関するすべてを知りたいと思った。「アポロ計画に関する新聞の切り抜きをA４ノートに整理し、メモを書き込んだ。午後の間ずっとブロックハウス百科事典を読むのに没頭していた。自宅には２４巻全部がそろっていた。ブロックハウスで調べ物をし、情報を集め、グーグルのように『検索していた』」。ギムナジウム（高校）時代には、物理学、生物学、化学を通じ、世界を科学的な知見でとらえるようになった。常に好奇心旺盛ではあったが、さほど粘り強いタイプではなかったと同氏は強調する。
真剣にスポーツに打ち込むことはないが、自転車で通勤し、暖かい夏の夕べにはキロメートル単位で水泳を楽しみ、年に一度、妻とともにベルナーオーバーラントのモルゲンベルクホルンに「体の調子を図るために」登山をしている。
重要なのは人生を楽しむことであり、また食の喜びだ。「おいしいパスタと上質のワインがあれば、カロリーなど気にしない。細かいことにこだわりすぎるのは、健康の最大の敵だ」
熱望される地位の獲得競争
IPCC議長選挙は、この１０月初旬、ドブロブニク（クロアチア）で行われる。ストッカー氏が選出された場合、ベルン大学の気候・環境物理学科での仕事を減らすことになる。
そして、もし選出されなかった場合は、「もちろん失望は大きいだろう。これほどエネルギーを注いできたことだ」。だが、人生とその満足の度合いが、このポジションにかかっているのではないと強調する。「私にはやるべきことが十分ある。欧州の共同研究事業体とともに、南極で世界最古の氷を発見するプロジェクトなどだ」
トーマス・ストッカー（Thomas Stocker）経歴
１９５９年、チューリヒ生まれ。連邦工科大学チューリヒ校で環境物理学専攻。１９８７年博士号取得。ロンドン大学（英国）、マギル大学（カナダ･モントリオール）、コロンビア大学（米ニューヨーク）での研究の後、１９９３年、ベルン大学物理学研究所教授に招へいされ、気候及び環境物理学科の責任者となる。
国連気候変動に関する政府間パネル（IPCC）に１０年間携わり、２００８年に第１作業部会の共同議長となる。中国の秦大河氏とともに、２５０人以上からなるチームを率いて、IPCC第５次評価報告書の科学的論拠を用意した。
ストッカー氏の研究には様々な賞が贈られている。スイスの科学賞であるラチス賞もその一つ。２００８年にはノーベル平和賞がIPCCとアル・ゴア前米副大統領に贈られている。インフォボックス終わり
（独語からの翻訳・矢野正人 編集･スイスインフォ）