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観客数の減少や財政難など苦境にあるオペラ界だが、２０１４年最優秀オペラハウスに選ばれたチューリヒ歌劇場にとっては、どこ吹く風のようだ。快進撃をこれからも続けることはできるだろうか？
チューリヒ歌劇場のスタッフからは、わくわくした気分が伝わってくる。６月中旬。あと数日で、チューリヒ歌劇場初の試みであるオペラのパブリックビューイングが行われる。オペラハウス前の広場に設置された巨大スクリーンで、ヴェルディの「リゴレット」がライブで放映される。
歌劇場の赤と金色の内装を見渡せる舞台上では、いつも通りの光景が繰り広げられている。技術者（大半が男性だが女性も数人いる）が、電動ドライバーを手に通常の「リゴレット」の夜公演の準備をしている。
「舞台デザインはとても現代的だ」と舞台監督のマーク・リンケさんは言う。「『リゴレット』の舞台装置は、普通はもっと見ごたえのある豪華なものだが、今回は大きな黒い部屋に大きな白いテーブルを置くというもの。その周りで歌手たちが演技をする」
芸術的に多くが要求される新作を数多く制作するという挑戦を、リンケさんは刺激的だと感じている。「舞台技術者の最後の１人に至るまで」、この歌劇場のスタッフ全員が誇りを持って働いているそうだ。
スタッフの雰囲気の良さについては、客演のスター２人も証言する。念願の主役リゴレットを演じる大柄なルーマニア人バリトン歌手ジョルジョ・ペテアンさんは、「オペラ制作の場として素晴らしい」と評する。
ポーランド出身で、リゴレットの娘ジルダ役のソプラノ歌手アレクサンドラ・クルザクさんも同意見だ。「ポーランドで『まるでスイス時計のように』と表現されるように、全てがうまく機能している」と、夜公演を前に落ち着き払い、楽屋でカーラーを巻いた姿で話す。現代的な演出が特に気に入っているそうだ。
６月２１日のライブ中継には２人とも参加し、約１万人の観客を集めた。
スターだけではない
「チューリヒ歌劇場は大スターを擁するだけでなく、新任のアンドレアス・ホモキ総裁によって新たな息吹が吹き込まれた点でも際立っていると感じた」と、英国の雑誌オペラ・マガジン他のサイトへの編集者で国際オペラアワードの共同設立者でもあるジョン・アリソンさんはEメールでコメントした。
ホモキ総裁の就任は２年前。前任のアレクサンダー・ペレイラさんは、ザルツブルク音楽祭の芸術監督に就任し、２１年間率いたチューリヒ歌劇場を去った。ホモキ総裁は、チューリヒに来る前はベルリンの歌劇場コーミッシェ・オーパーの総裁を１０年間務め、オペラ演出家・監督として活躍していた。
ホモキ総裁は、歌劇場の奥にある執務室で、作品に真実味があることが非常に大切だと話した。
「新しい観客を獲得しなければならない。昔のオペラを上演するにしても、現代に通じる、現代社会にとって重要な作品だと常に証明し続けることが大事だ」
そのため、パブリックビューイングだけでなく、子ども向けのオペラを上演したり、一部公演については割引を実施して低所得者層にもアピールしたりと、歌劇場を外に開く試みを行っている。
新しいチーム
「新しいチームは斬新で独創的なアイデアをたくさん持っている。それが評価され、２年目にして年間最優秀オペラハウスに選ばれた」と、スイスの雑誌ミュージック＆シアター他のサイトへのジャーナリスト、ラインマー・ヴァーグナーさんは話す。
スイスのオペラ
スイスの雑誌ミュージック＆シアターのジャーナリスト、ラインマー・ヴァーグナーさんによると、スイスでオペラが上演される劇場は９カ所あり、システムはそれぞれ異なる。フランス語圏のジュネーブ（バレエも上演）とローザンヌは、オペラ以外の劇は上演しない。ドイツ語圏でオペラとダンスを上演する本格的歌劇場はチューリヒのみ。バーゼル、ベルン、ルツェルン、ザンクト・ガレン、そしてビール（ビエンヌ）とソロトゥルンの共同歌劇場では、オペラ、ダンス、演劇が上演される。
イタリア語圏のティチーノには歌劇場はない。グラウビュンデン州では夏に三つのオペラ・フェスティバルが開かれる。
バーゼル歌劇場は、ドイツのオペラ専門誌Opernweltが批評家に対して行ったアンケートで、２０１０年と０９年の年間最優秀オペラハウスに選ばれた。
舞台をよく知るホモキ総裁はその知識を生かし、新しい歌手や指揮者、演出家を迎え入れた。また、上演するオペラの数を年間１２〜１４作品から９作品に減らした。
「ただ、受賞したからといって安泰というわけではない」とヴァーグナーさんは言う。「今後どうなるかはわからない。しかし、チューリヒ歌劇場にとってもスイスの音楽界にとっても受賞は良いことだ。この歌劇場を大きくし、重要性を高めたアレクサンダー・ペレイラ前総裁のおかげでもある」
スイスには九つの歌劇場があるが、ヴァーグナーさんによると世界の一流歌劇場と肩を並べるのはチューリヒ歌劇場のみだ。他には、ジュネーブのグラン・テアトルとバーゼル歌劇場も高い評価を得ている。また、夏にはオペラ・フェスティバルがいくつも開かれる。
スイス人が他の国の人々と比べて特にオペラ好きというわけではない。違うのは、オペラにいくら払う気があるかだとヴァーグナーさんは言う。
「チューリヒでは３００フラン（約３万４千円）のチケットも珍しくない。ここの人々はそれだけのお金が出せるし、実際に出す。それは、オペラの初日に姿を見せることが社交界のしきたりと考えられているからだ」
歌劇場が直面する問題
米国、イタリア、ドイツなどの国では観客数が減り、運営費の高い歌劇場は閉館したり破産したり、複数の劇場が経費を分担する共同制作に頼るようになったりしているが、スイスの歌劇場はおおむねこういった問題には直面していない。
スイスは比較的景気が良いため、歌劇場も豊かな民間・公的資金を享受しているとヴァーグナーさんは言う。チューリヒ歌劇場はチューリヒ州から約８千万フランの助成金を受けている。グラン・テアトル・ド・ジュネーブもバーゼル歌劇場も公的な助成金を得ている。
しかし、チューリヒ歌劇場が経費を完全に賄うためには、寄付を含め収入の３６％を自力で稼ぐ必要があるとホモキ総裁は話す。演目数を減らしたことでスポンサーを募る可能性も減ったため批判も上がったが、それにもかかわらず昨年、チューリヒ歌劇場の収支はとんとんの業績をあげた。
ホモキ総裁は、２期目に当たる今シーズンも経営は好調だと言う。今後は、総裁自身が演出する「ローエングリン」などの新作と、ベルリンでも行った座席の字幕導入が計画されている。
「私たちは常に前進し続ける。変化や発展をやめるなら、この仕事もやめるべきだ。改善し変化し続けなければ良い仕事はできないからだ」
チューリヒ歌劇場の歴史
チューリヒ歌劇場は、演劇好きの市民によって１８３４年に株式会社として出発し、始めは「Actien-Theater（分かち合い劇場）」と呼ばれていた。同社は現在Operahus Zürich AGという名称で、今も経営を行っている。１９９５年以降は、チューリヒ州が主に資金を提供している。
１８９０年に火事で焼け、翌年ネオ・バロック様式の新しい建物が建てられた。ヨーロッパで初めて電気照明を備えた歌劇場だった。
ドイツ人指揮者ヴィルヘルム・フルトヴェングラーはここでキャリアをスタートし、リヒャルト・ワーグナーの「パルジファル」が１９１３年に上演された（独バイロイト以外での上演は初）。そのほか、指揮者ニコラウス・アーノンクールや、歌手のチェチーリア・バルトリ（チューリヒ近郊在住）、ブリン・ターフェル、アンナ・ネトレプコ、ヨナス・カウフマンなどの著名人もこの舞台に立った。
チューリヒ歌劇場には約５０人のダンサーが所属するバレエ団もあり、チューリヒ・バレエと呼ばれる。また、歌劇場所属フィルハーモニー管弦楽団のコンサートや、マチネー（昼公演）、子ども向けの歌の夕べ（Lieder evenings）などのイベントも催す。毎年３月に開かれるオペラ座舞踏会には有名人が出席する。
（英語からの翻訳 西田英恵）, swissinfo.ch