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スイスではうつ病が増加の一途をたどっている。その大半が軽度のうつ病と診断された女性だ。
連邦内務省保健局 ( BAG/OFSP ) の新しい調べによると、うつ病の治療を求める人がますます増えているという。2008年にうつ病で医者にかかった患者数は約34万5000人で、これは1000人に13人の割合だ。
フランス語圏に多いうつ病
この約34万5000人のうち3分の2が、最初の診察で軽度のうつ病と診断された女性だった。一方、中程度または重度のうつ病では、男女間の格差はなかった。さらに、地方よりも都市の方がうつ病と診断される人の数は多く、ドイツ語圏やイタリア語圏よりもフランス語圏の方が多いことが分かった。
うつ病が1000人に13人という全国平均に比べ、フランス語圏のジュネーブ州、ジュラ州、ヌーシャテル州、ヴォー州、ヴァレー/ヴァリス州では、一般開業医による診察1000件のうち27件にうつ病の診断が下された。
なぜうつ病患者に女性が多いのか。「スイス心理学者連盟 ( Föderation der Schweizer Psychologinnen und Psychologen ) 」によれば、これはごく単純な理由によるという。
「認識の問題です。女性の方がよく医者にかかることからも分かりますし、婦人科を訪れてそこでうつ病が発見されることもあるように、女性の方が男性よりもうつ病を意識しています」
と広報担当のテツェアナ・フラッシネッティ氏は説明する。こうしたことから、男性のうつ病は明るみに出ないケースが多いという。
「男性の場合、アルコール依存症がうつ病のサインであることが非常に多く、男性はアルコールの力に頼ります。しかし、 ( 妊娠や更年期のような ) 生物学的変化の時期は別として、一般に女性にうつ病の傾向が多いというわけではありません」
とも言う。
専門家の助け
都市と地方に関しては、都市生活が影響因子になりえると、フラッシネッティ氏は指摘するが、地方ではうつ病が気付かれず治療が施されないケースが多いという。
「例えば、生物学的変化によるうつ病は地方でも都市と変わらず見受けられます。ただ、精神病と同様、地方ではあえてうつ病について語ったり、わざわざ医者にかかろうと思わないだけのことです。『まあ、おじいちゃんもうつ病だったから、わたしもそうなるだろう』といった感じです」
とフラッシネッティ氏は言う。
今回発表された2008年のうつ病患者数は、前回行なわれた2001年の全国調査の時よりも増加した ( ただ、正確な比較はできない ) 。連邦内務省保健局によれば、うつ病と診断される人が増えた理由には「精神的な問題に対して、より多くの人が専門家に助けを求めているという事実」によるという。
言語圏による違い
フランス語圏の州とそれ以外の州との間に見られる「顕著な」格差に関しては、連邦内務省保健局が三つの仮説を提示している。フランス語圏のスイス人は普段から医者にかかる傾向があり、精神科にかかることをさほど恥ずかしいと思っておらず、また、医者によるうつ病の評価がほかの地域よりも的確だということだ。
「今回の調査は、うつ病の発見と治療の最適化に向けてスイス国内で統一的なアプローチを採用するべきだということをはっきり示している」
と報告書に記されている。患者数の増加に対応するべく、連邦内務省保健局はうつ病に関するアドバイスを行い、とりわけ一般開業医にうつ病に関する教育を行なうパートナーシップ「反うつ病同盟」に加盟するよう、各州に呼びかけを続けるという。
世界や各国の調査によれば、世界人口の7%がうつ病に苦しんでいるという。現在、ヨーロッパでは5000万人以上がそれぞれの人生のある時期でうつ病に悩んでおり、世界保健機関 ( WHO ) の予測では、今後20年間にうつ病はほかの病気よりも増える見込みだ。
うつ病対策に関して、フラッシネッティ氏は
「あらゆる精神病同様、病気について語ることが重要です。さらに、もし早期にうつ病を発見できなければ、慢性になる可能性があり、対応が非常に難しくなります」
と指摘する。
「慢性的なうつ病は治療が非常に困難です。人々をうつ病に対して敏感にさせることが大切です。たとえ軽度のうつ病であっても、それをはっきりさせて悪化を防ぐよう行動する必要があります」
と語った。
うつ病
世界保健機関 ( WHO ) では、うつ病を抑うつ気分、興味や喜びの喪失、罪悪感、低い自尊心、睡眠障害、気力の低下、集中力の欠如といった症状に見られる、よく知られた精神障害としている。
こうした症状は慢性または再発の恐れがあり、規則的な生活を送れなくなる。
最悪のケースでは、うつ病が自殺を招くこともある。世界では毎年約85万人がうつ病から死に至っている。
世界では約1億2100万人がうつ病にかかっている。うつ病は的確に診断され、治療を受けられる。抗うつ剤や簡単な心理療法はうつ病患者の6割から8割に有効だ。
情報元：世界保健機関 ( WHO )
スイスのうつ病
2008年、スイスでは34万5000人がうつ病と診断された。軽度は11万8000人、中程度は18万5000人、重度は4万2000人。
患者の年齢別の内わけでは、15～34歳、45～54歳が最も多く、65～74歳が最も少ない。
州別では、フランス語圏のジュネーブ州、ジュラ州、ヌーシャテル州、ヴォー州、ヴァレー/ヴァリス州に最も多く、全国平均の1000人中13人に対し、フランス語圏では1000人に27人がうつ病と診断されている。最低の州はグラウビュンデン州とティチーノ州で、1000人に3人。
情報元：連邦内務省保健局 ( BAG/OFSP ) 2008年調べ
「反うつ病同盟」
2000～2002年、ドイツのグループ「うつ病 ( Depression ) 」に所属する研究者チームが4段階のアクションからなる行動計画「反うつ病同盟」を開始した。
うつ病患者の治療や生活環境の向上を目指したプロジェクト。
2003～2005年、ツーク州は団体「心の平静 ( Equilibrium ) 」と連邦内務省保健局と共同して、スイスに反うつ病同盟の行動計画を導入した。
現在、ヨーロッパ18カ国が「ヨーロッパ反うつ病同盟」に加盟中。スイスはオブザーバーとして参加している。
( 英語からの翻訳 中村友紀 ), swissinfo.ch