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北朝鮮の拉致問題が12月7日、ジュネーブの国連人権理事会で取り上げられた。
国連人権理事会 ( UNHRC ) がすべての国連加盟国の人権状況を4年間かけて審査する「普遍的定期審査 ( UPR ) 」の枠組の中で、北朝鮮が今回の第6回審議の被審査国となった。子どもの生存権侵害や強制労働など多くの人権侵害と共に拉致も人権侵害として問題になった。
国際的連帯
「拉致は北朝鮮で今実際に存在する人権侵害の一つ。こうした国連の人権審査の場でその事実を世界に広く知ってもらいたい」
と拉致被害者の増元るみ子さんの弟で、拉致被害者家族会事務局長の増元照明氏は語った。
るみ子さんが拉致被害に遭ってからすでに30年がたつ。しかし日本政府の捜索協力にもかかわらず北朝鮮側の反応は進展を見せず、例えば2008年に日本政府が要求した調査委員会設立も滞っている。こうした中、家族会のメンバーは国際的連帯を強め北朝鮮に圧力をかけていく方向を探っている。
普遍的定期審査は、国連加盟国192カ国の人権状況を4年間かけ審査する制度で2008年に始まった。被審査国政府、国連の人権機関、NGO の3者から報告書が提出され、これを基に各国が質問や勧告を行う形式だ。
今回、NGOからの報告書には、「アムネスティー・インターナショナル( AI )」が拉致に関し
「朝鮮戦争以来、何万人もの北朝鮮人とほかの国々からの拉致と強制失踪が続いている。北朝鮮は国際法の観点から被害者をただちに解放すべきで、解放しない場合関係者は犯罪者として追及されるべきだ」
と記している。実際、拉致は韓国からおよそ490人、日本からは日本政府が認定する12人、マレーシア人4人、フランス人3人、オランダ人2人など、被害者は世界12カ国に及ぶとされている。
拉致問題への回答は不十分
12月7日午後に始まった人権審査では、北朝鮮政府の簡単な説明に続き、71カ国が質問、勧告を行った。食料配給差別による子どもの生存権問題、女性差別、政治犯に対する強制労働、拷問、人の移住の自由の迫害など多くの人権問題の中で、拉致問題も日本、韓国、チリ、メキシコ、インドネシアなど6カ国が言及し、勧告を行った。
しかし、増元氏は
「タイ、マレーシアなど拉致被害者の出ている国が言及しなかったこと。また今まで拉致問題解決に協力を約束したアメリカが拉致に一言も触れなかったことにがっかりした。拉致は現在進行中の人権問題で、特に他国における拉致は犯罪になる。このことを認識して、発言した国の少なくとも半数が言及して欲しかった」
と落胆の色を見せた。
閉会間際の回答で、北朝鮮政府は数分間を日本の拉致問題に割き
「すでに5人の拉致被害者が日本に帰国し、残り8人の死亡事実は伝えてある。北朝鮮は十分に義務を果たし、この問題は終わった」
と述べた。
「拉致問題が解決しているという発言は今までの姿勢と矛盾している。しかし少なくとも『5人の拉致者が帰国した』という表現で拉致の存在を国際社会で公言した事実は価値がある」
と、増元氏は続けた。
一方日本政府は、審査会に先立つ北朝鮮政府に宛てた質問状で
「拉致は人権侵害であり、それに対する北朝鮮側からの返答を求め、さらに2008年に北朝鮮政府が日本に対して約束した、拉致被害者調査会の設立の立ち遅れを追求したい」
と述べていた。
今回の北朝鮮の回答に対し、
「拉致問題への回答は不十分だ。また、ほかの人権問題に対する回答でも多くの国々が不満を持っていることは確かだ」
と北島信一在ジュネーブ国際機関日本政府代表部大使は語った。
里信邦子 ( さとのぶ くにこ) 、swissinfo.ch
普遍的定期審査 ( UPR )
国連人権理事会 ( UNHRC ) が国連加盟国192カ国の人権状況を4年間かけて審査する制度。各国の人権を、普遍的かつ平等に審査する。
被審査国が自己評価として「政府の人権状況報告書」、国連人権高等弁務官事務所 ( OHCHR ) が「国連の人権条約機関の報告書」と「NGOの報告書」を用意し、これらを基に国連加盟国が質問、勧告を行う。
また審査終了から48時間後に、審査の報告書が作成され採択される。被審査国はこの報告書の勧告に対し、人権向上の努力をしなくてはならない。
第1回目の審議は、2008年4月にスタートした。日本とスイスは5月の第2回目の審議で被審査国となった。
今回の第6回目の審議では、北朝鮮を含むエチオピア、コンゴ、ノルウェーなど16カ国が対象になり、11月30日～12月11日までの期間に審査が行われる。