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スイスは更なる法的措置をとらなければ、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減目標を達成できないと連邦議会グループ「ピークオイル」は主張する。自家用車の排出ガスも、自発的な対策を講ずるだけでは充分でないことが明らかだという。このコンテンツは 2010/03/24 15:25
2007年、スイスの新車は1キロメートル走行あたり約180グラムの二酸化炭素 ( CO2 ) を排出した。一方でEU諸国は160グラム以下だった。
スイスの課題
スイスは燃料から排出されるCO2を目標1420万トンに設定したにもかかわらず、2008年には1770万トンのCO2を排出した。これは、スイスのエネルギー財団がピークオイル ( Peak Oil ) の春の会合で発表した数値だ。
ピークオイルは、石油採掘量がピークに達し、石油やガス、石炭といったエネルギー源の残量は限られてきている上に、気候保護のためにも運輸部門が早急に石油に頼る状況から抜け出さなければならないと公言している。
スイスは、世界中の平均温度の上昇が産業化時代以前と比較して、1.5度までに抑えられるよう貢献しなければならないという。
任意的な措置は特効薬にならず
今日までCO2税の導入に反対している人たちは、気候を保護するためには、禁止や規則ではほとんど効果を成さず、任意の制限によって達成されるべきだと主張してきた。しかし、増加し続ける石油消費量を目にすると、これまで言及されてきた法的拘束力のない、任意の措置では京都議定書の目標は達成されないことは明らかだという。
確かに車の新しいエンジンが導入されたり、技術が進んだことにより、近年は石油需要量が減少している。しかし、燃料を節約したり、温室効果ガスが排出されないよう貢献したりしていても、自家用車の重量が年々上がってきているため、結果的にCO2を減少させることにはつながっていない。
窮地に立たされた状況の打開策として賞賛されている電気自動車は、期待されたほどの結果を出していない。それは、近年の販売統計を見ると明らかだ。2008年、自家用車は28万7971台販売されたが、そのうち、電気自動車はほんの4台だった。
投資証券
環境保護組織だけでなく、政府も具体的な対策を講じるべきだと指摘している。が、具体的に何をどのように対策するか両者の意見は一致していない。グリーンピース ( Greenpeace ) などの環境保護組織は、新車に対して取引可能なガソリンクレジット証券を導入することに賛成している。
その仕組みは、例えば、政府が初年度に新車の1キロメートル走行時のCO2排出量を178グラムから170グラムに目標を設定したとする。その年、1キロメートル走行あたり160グラムのCO2を排出する車を購入する人は、基準値より低い10グラム分だけ1グラムごとにクレジット証券を受け取ることができるというものだ。
しかし、1キロメートル走行あたり180グラムのCO2を排出する車を新しく購入する人は、基準値より多い10グラム分のクレジット証書を購入しなければならない。このようにして平均目標値が維持されることになる。クレジット証券の価格はその都度交渉されることになる。
アールガウ州にある、技術工学企業の「株式会社メトロン ( Metron AG )」ブルック本社の管理委員会委員のペーター・マルティ氏は、自らの会社がグリーンピースの依頼で調査した研究に基づいて語る。
「原則的に、こういった証券を使った方法はうまく機能することでしょう」
この取引は、多くの市場参加者が見込まれるため、証券の価値がなくなることがほぼないという利点がある。マルティ氏は取り引きされ得る証券として、CO2証券、火力発電証券、有害物質証券を例に挙げている。
反対意見
しかしながら、こういった証券を市場に出す計画に反対する人も多くいる。新しいものには常にリスクがあるため、実験的なことには手を出すべきではないと反論を持ち出す人々もいる。
「その上、感情的な意見もあります。人々は購入する自由を制限されて、購入したいものが購入できないと単に不安になっているのです」
しかし、マルティ氏は、この不安には根拠がないとし、また次のようにも語る。
「人の好みはそれぞれで、心地よさに対する要求も違います。あまり燃料を要さず、あまりCO2を排出しない車を購入するという選択肢も常にあります。ですから、誰も生活の質を落とすリスクを冒さなくてよいのです」
小さな一歩
連邦エネルギー省エネルギー局 ( BFE/DETEC ) は、電化製品に付属されたエネルギー消費量を示すエネルギー消費効率ラベルの次なるものとして、環境ラベルを導入する予定だ。このラベルには自家用車のエネルギー効率が明示されているだけでなく、それぞれの自家用車がどれだけ環境を汚染しないかも示している。
環境ラベルシステムは今春、連邦政府によって議決される予定だ。環境、空間計画とエネルギーのための委員会は、さらに新車のCO2排出量を2012年までにEUと同じ目標の1キロメートルあたり130グラムに抑える意向だ。
さらに委員会は州自動車税を上げる方針で、車で走行すればするほど高い自動車税を支払い、あまり車を使用しない人は支払いも少なくなるようにしたいという。
「多様な措置が必要とされることは確かです。効果のある全ての対策を講じて京都議定書の目標を達成することができるのです。そうわたしは確信しています」
とマルティ氏は語った。
エティエン・シュトレーベル、swissinfo.ch
( ドイツ語からの翻訳、白崎泰子 )
石油ピーク ( Peak Oil ) の定義
専門用語で、油田の産出量が最大に到達し、ピークを越えることを意味する。これは油田に残る石油が無くなったという意味ではない。
多くの専門家は、世界的に既に石油ピークに達したか、まもなくピークに達すると判断している。また、エネルギー価格の急騰は、石油と天然ガスの不足を示唆している。
しかし石油ピークは、石油発掘率が長期間増加することがなくなった時に、初めて決定的に定義される。その時点で需要が供給を永遠に上回ることになり、石油価格に多大な影響を及ぼす。経済学者は産業国に大きな影響が出ると予想している。
スイスと京都議定書
京都議定書は1997年12月11日、環境保護の目的のために「気候変動に関する国際連合枠組み条約 ( UNFCCC ) の締約国会議で議決した議定書。
1997年、スイスは京都議定書に署名した。スイスは環境に影響を与える排気ガス排出を減少させる義務を負う。二酸化炭素 ( CO2 ) 排出減少対策の法律は、2010年までにCO2排出が1990年より10％減少するよう定めている。
この目標が達成されなければ、連邦政府にはCO2税を導入する権限がある。
議定書は、温暖効果ガス排出を減少させるために、初めて国際法として拘束力のある目標を定めたもの。2008年から2012年の間に、産業国全体でCO2排出量を1990年よりも5.2％減少させることが目標とされている。スイスとEUは、8％減少が義務付けられている。