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バーゼル市で二酸化炭素排出ゼロの清掃車「シティ・キャットH2」がテスト運転を始めた。開発はスイス企業「ブーハー」が担った。
ブーハー ( Bucher ) が開発した清掃車が道路に落ちたゴミや汚れを吸い上げるが、排気ガスは一切排出しない。「シティ・キャットH2 ( City Cat H2 )」は、連邦マテリアル科学技術センター「エンパ( EMPA) 」とパウル・シェーラー基金 ( PSI ) が開発し、「ブーハー・シェーリンク」などスイスとドイツの複数の企業の協力で作られた燃料電池で動く。
ラボから街へ
シティ・キャットH2は5月14日から、半年の期限でまずはバーゼル市で、その後はザンクトガレン市などほかの都市で試験運行される予定になっている。
「われわれの時代が担っているのは、燃料電池を研究室から街へ持ち出すことにある」
EMPAの燃料エンジン部のトマス・バッハ部長は語る。酸素を電気に即時に変換し、その電気でエンジンを動かす燃料電池は、非常にクリーンなエネルギーを作り出す。シティ・キャットH2の電池の水素の容量は約7キログラムで、最高8時間運転が可能だ。
運転中の清掃車は水素と酸素が化学反応を起こした水蒸気を出すだけであり、従来のジーゼルエンジン搭載の清掃車とは違い環境汚染は非常に少ない。
大量生産までには時間が必要
「この種の自動車は歩行者天国や人の往来のある通りにも使うことができます」
とバッハ氏。また、駅の構内や展覧会場など屋内でも利用できるという。
世界の多くの都市では「環境ゾーン」の設定を計画している。例えばロンドンだが、従来型の自動車で市内を走るドライバーに、都市通行料金を課している。二酸化炭素 ( CO2 ) 排出ゼロの車であれば、通行料金は課せられない。
「私たちの計画は、燃料電池がバスや自家用車などに搭載されるようなきっかけになるとみています」
とバッハ氏は胸を張る。
とはいえ、その実現への道のりはまだ長い。燃料電池を搭載した自動車が市場に出回るには、今後10年から15年かかるとみられている。バッハ氏によると、開発費用が高く、研究には時間もかかるためだ。クリーンな自動車が「汚い」自動車に対抗できるのは、それなりの条件が必要で、このためには政治的なサポートが必要だという。
業界は燃料電池の小規模ながらの生産を向こう5年間で軌道に乗せる計画である。これにより価格をある程度下げることができるとバッハ氏はみている。しかし、本格的な大量生産は2020年まで待たなければ実現しない。
清掃車ならではの利点
「それまで、燃料電池の自動車は従来の自動車の2割から4割高い値段になる」
とバッハ氏。ヨーロッパの他国では、バスや自家用車への燃料電池の搭載計画が進んでいるが、公的設備としての「クリーンな清掃車」は、より早くスイス全土に広まるだろうと見られている。グリーンなテクノロジーの良い例として導入するというプレシャーがかかっているからだ。開発者としても、シティ・キャットH2
が研究所で「ごろごろ」と喉を鳴らしているだけではなく、町に仕事に出てもらった方がいいに決まっている。
今後の研究課題は、エンジンの耐久性と気候の違いによる影響、大気汚染や酸素の純度がどのような影響をもたらすかということだ。さらに、シティ・キャットH2
がどの程度受け入れられるか、効率、コストなども考慮されなければならない。
製造を担当するブーハー・シェーリンク( Bucher Schörling ) は今回のプロジェクトの重要なパートナーだ。
「市場が発展し、価格が下がれば、私たちの目標に近づきます」
とバッハ氏は語る。そうなれば、大量生産に取り掛かることができる。現在の経済危機が功をなすか、それともこの計画にブレーキをかけるのかは分らないという。
イゾベル・レイポルド・ジョンソン swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、佐藤夕美 )
HY.MUVEプロジェクト
シティ・キャットH2は二酸化炭素 ( CO2 ) 排出ゼロの清掃車。連邦マテリアル科学技術センター「エンパ ( EMPA) 」とパウル・シェーラー基金 ( PSI ) が開発し、スイスとドイツの企業ブーハー・シェーリンク ( Bucher Schörling )、プロトン・モーター ( Proton Motor ) 、ブルサ・エレクトロニック ( Brusa Elektronik ) 、メーザー ( Messer ) の協力で作られた。
予算は連邦工科大学チューリヒ校 ( ETHZ ) 、連邦エネルギー局などから出ている。
ほかの国での燃料電池 搭載自動車の開発は、バスや自家用車が中心。