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スイスの俳優、ブルーノ・ガンツさんの訃報は世界を駆け巡った。国際的な報道機関が独特の演技力を称賛する一方で、スイスのメディアは氏の人間性に焦点を当てた。
ドイツ語圏の日曜紙ゾンタークス・ツァイトゥングは「スイス映画界は最大のスター、ブルーノ・ガンツを失った」と報じ、ガンツさんは名声を得てからも自分の質素なルーツを忘れることはなかったとした。
日曜紙NZZ・アム・ゾンタークは、ガンツさんがかつてインタビューの中で、質素な家庭に生まれながら成功するためには強い意志が必要だと語っていたと報じた。「演技派俳優」だったガンツさんは、演技であることを観る者に忘れさせてしまうほど完全に役になりきっていたと役者としての才能をたたえた。世界的なスターとして認められていた点にも触れ、 「スイス映画界の問題は世界的なヒットに欠ける点だが、ガンツさんは別格だった」とした。
ありがとう、ブルーノ・ガンツ
大衆紙ブリックは、タブロイド版の1面に「ありがとう、ブルーノ・ガンツ」という大見出しで、氏に関する記事を6面掲載した。ガンツさんの友人の一人、ダニエル・ロール氏とのインタビューも掲載され、パートナーと一人息子に見守られながら氏が息を引き取ったことが明らかになった。
同紙はまた氏の人柄に触れ、晩年はハリウッドを避けよく生まれた育った故郷に戻っていた様子を伝えた。「いつもリュックをしょって、顔にいたずらっぽい笑顔をたたえていた」姿は、チューリヒのニーダーデルフリ地区でたびたび目撃されたという。
若い頃にはかんしゃく持ちで傲慢なイメージがあったが、これはアルコール依存が背景にあったとブリックのドミニク・フーク記者は言う。しかしある時酒に酔って大出血を伴うケガをしたことで、「次にあったら死ぬ」と感じて一念発起。すっぱりとアルコールを絶って更生した。「これが彼を偉大にした理由だ」（フーク記者）
フランス語圏の日曜紙ル・マタン・ディマンシュは、1面の掲載ではなかったが、ヴィム・ヴェンダー監督作の「ベルリン・天使の詩」で演じた地球に降り立った天使の役柄が際立っていたと報じた。無邪気さ、人間性、そして深みを兼ね備えた天使はまさにガンツさんそのもので「銀幕に独特の痕跡を残した」とした。
海外からの声
ニューヨーク・タイムズはまた、「ベルリン・天使の詩」での天使の描写、および国際的に有名になった「ヒトラー 最期の12日間」で演じたナチスの指導者アドルフ・ヒトラーについて述べた。
ハリウッド・リポーターは、「ドイツ語圏の象徴的な人物、スイスなまりのある重厚な声は、彼のきまぐれな性格と同様、独自のスタイルだった。静けさから突然、火山の爆発に飲み込まれるような緊迫感を秘めていた」とした。
詩的で発想が豊か
英国の大手一般紙ガーディアンは、彼を「詩的で発想が豊か」な俳優だったとした。
また、偉大な俳優は時として些細なことがきっかけで知名度が上がると指摘。ガンツさんの場合、「2004年公開の『ヒトラー 最期の12日間』で氏の演じるヒトラーが防空壕で見せた暴言シーンを元にしたパロディーがユーチューブで拡散し、若い世代の脳裏に焼き付いた」とした。
「しかし、ガンツ氏の演技が素晴らしかったからこそ、この映画はインターネット・ミームで拡散していった」。従来、ドイツ語を話す俳優がヒトラーを演じること自体が稀であり、死の直前のヒトラーの姿を描写した作品はそれ以上に稀なことだとした。
「知性と繊細さを兼ね備えた彼の演技はこれからも惜しまれるだろう」と結んだ。
swissinfo.ch