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芸術は見る人をどこまで挑発できるのか。芸術に対する的確な規制はあるのか。「麻将〜シック・コレクションによる中国現代アート〜」に出展されている作品のひとつが、簡単には答えが見つかりそうにもない問題を大きくクローズアップするきっかけとなった。
問題となっている作品は、カモメの翼が生えた胎児。過度の暴力の表現、死に対する尊厳の侵害であると訴えがあり、脅迫も受けたことから展覧会場から取り下げられた。
6月にベルン美術館で始まった「麻将〜シック・コレクションによる中国現代アート〜」の反響はこれまで、好意的なものが多かった。スイスではあまり紹介されていなかった1979年から2004年までの現代中国アートが、質、量ともにそろっていると高く評価された。
出品されているのは、元中国大使のウーリ・シック氏のコレクションの一部で、この中の多くの作品が1999年の芸術祭ベネチア・ビエンナーレでも展示された。いずれも作者の主張が色濃く出ており、見ごたえのある作品が多い。今回ベルンで問題になった作品も、ベネチアに出品された一つである。
遺伝子工学への批判は挑発的
問題の作品は、６つの大きなガラス容器が並べられている連作「ＲＵＡＮ」。容器にそれぞれ、違ったオブジェがホルマリン漬けになって入っている。その一つは、胎児にガラスの眼球がはめこみ、カモメの翼をつけたもの。作者のシャオ・ユ(Xiao Yu)氏は、作品の意図を、遺伝子工学に対する疑問を投げかけたかったと語っている。胎児は中国の科学歴史博物館から譲り受けたものという。
昔から芸術は、美しいものだけを表現する手段だけではなく、骸骨に装飾を施したり、処刑された人の首を写真に撮った作品もある。「今のアーチストは、これまでの表現を繰り返すことでは世間からまともに取り合ってもらえないと感じている。挑発的になるのは自然の成り行き」とベルン美術館のマティアス･フレーナー館長は語る。
訴訟の応酬
作品を見たスイス人ジャーナリストのアドリエン・デ・リードマッテン氏は、作者、ベルン美術館、作品の所有者であるウーリ・シック氏の３者に対し、過度の暴力を表現している。死に対する尊厳が侵害される。動物に対する虐待であると3つの点で訴えを起こした。
ベルン美術館は「この作品の展示をめぐり、各方面から脅迫を受けたことから、美術館の警備保安のため」と一旦この作品の展示を取りやめた。その上で、逆にリードマッテン氏を訴訟した。
さらに美術館は「表現における限界」についてのシンポジウムを22日に開催し、美術館館長、中国文化専門家、宗教学者など各界の専門家8人が聴衆とともに活発な意見を交わす討論となった。
表現の自由と倫理は常に対立
弁護士でジャーナリストでもあるペーター・シュトゥーダー氏は、リードマッテン氏が勝訴する可能性は低いと見ている。「問題になっている作品を創造する過程で暴力が施行されたわけではないし、胎児は法律上死体ではない」と指摘。ただ、美術館も反訴していることについては「大砲でスズメを撃とうとするようなもので、やりすぎ」と批判した。
アーチストのミリアン・カーン氏は「いかなる規制も政治的な要素がある。芸術家はあらゆる規制から自由であるべきだ」と主張した。これに対して連邦倫理委員会会員のベアット・ジッター・リバー氏はカーン氏と真っ向から対立。「科学研究者にも規制があるように、芸術家にも規制はある。創造したい作品のためにアーチストが意図的に動物や人を殺傷したのか、それともすでにあった胎児などからインスピレーション受け作品が制作されたのかが判断の分かれ道となる」という。
芸術もすでにグローバル化している昨今。中国芸術の倫理を欧州人が語るというのではなく、国境を越えた芸術の倫理については、まだまだ討論されてゆく必要をスイス人は感じているようだ。
なお、問題の作品を再び展示するのか。また、その展示の形はどうするのかは、今回のシンポジウムを踏まえて、美術館側が検討するという。
swissinfo、 佐藤夕美（さとうゆうみ）
キーワード
「麻将〜シック・コレクションによる中国現代アート〜」
ベルン美術館で6月13日〜10月16日まで開催
Kunstmuseum Bern
Hodlerstrasse 12
3000 Bern 7
Tel. +41 31 328 09 44
Fax +41 31 328 09 55
開館時間
火曜日10時〜21時
水〜日曜日10時〜17時
月曜日休館
補足情報
- 元中国大使のウーリ・シック氏のコレクション1200点のうち250点が展示されている。
- 100点は大型のアートのためアールガウ州ホルダーバンクのセメント会社ホルシム本社に展示される。
- 今回表現の自由とモラルの問題になった作品はシャオ・ユ氏の「ＲＵＡＮ」。胎児とかもめの翼が合体したホルマリン漬けのオブジェ。
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