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スイス政府はここしばらくの沈黙を破り11月4日、リビアとの関係正常化のために8月20日に結んだ協定を一時無効にすると発表した。
さらに、リビア人のスイスへの入国制限を行うことも明言した。
リビア側からの一貫した拒否
2008年7月に起きたリビアの最高指導者ムアンマル・カダフィ大佐の息子ハニバル・カダフィ夫妻逮捕事件に対し、今年8月20日ハンス・ルドルフ・メルツ大統領がリビア政府に対しトリポリで謝罪した上、リビアとの関係正常化のために結んだ協定を、スイス政府は一時無効にすると発表した。
理由は、1年間以上リビア国内に拘束されている2人のスイス人ビジネスマンの解放交渉における「リビア側からの一貫した拒否」による。さらに、
「この拘束は国際法に違反する誘拐行為であり、拘束場所も明らかにされていない上、リビア政府は2人を訪問する権利も拒否している」
からだという。
また、メルツ大統領がリビアのバグダディ・アリ・マハムーディ首相と交わした協定には、拘束中のスイス人の解放を含む両国の関係正常化の諸条件が60日間以内に解決されることが盛り込まれていたが、10月20日にその期限は切れた。
一方、スイスには、メディカルチェックなどを定期的に行うリビアからの富裕層が多く訪れるが、今後こうした旅行客のビザに制限が加えられる。さらにスイスはシェンゲン協定の加盟国であるため、スイスが要請すればほかの加盟国も入国制限や拒否権を行使でき、主なヨーロッパ諸国へのリビア人の入国が制限される可能性がでてきている。
swissinfo.ch、外電
スイスとリビア関係、これまでの経緯
2008年7月15日 リビアの最高指導者ムアンマル・ガダフィ大佐の息子ハニバル･ガダフィ氏と妊娠中の夫人がジュネーブで逮捕される。容疑は使用人に対する傷害、恐喝など。
7月17日 逮捕後2日で夫妻は釈放される。
7月19日 リビア政府、2人のスイス人を逮捕。容疑は入国･滞在規範違反。
7月22日 ミシュリン・カルミ・レ外相、電話でリビア政府に抗議。
7月23日 リビア政府、スイスへの石油輸出を停止すると脅す。
7月25日 スイス外務省が2国間関係の「非常事態」と発表。
7月26日 リビア政府がスイス政府に対し、謝罪と今回の事件についての事情説明を要求。
7月28日 スイス、リビア両政府の直接交渉が行われる。
7月29日 保釈金が支払われ、2人のスイス人は解放される。しかし帰国は許可されなかった。
8月13日、ガダフィ大佐の息子ハニバル･ガダフィ氏の使用人2人の弁護士が告訴を取り下げないと発表。
9月2日、使用人2人が告訴を取り下げる。
9月3日、ジュネーブ州の検事総長ダニエル・ザペリ氏が事件に終止符を打つ。
2009年8月20日 ハンス・ルドルフ・メルツ大統領 トリポリで謝罪。
8月30日 ハニバル・ガダフィ夫妻逮捕事件の合法性を問う裁判の裁判官として、スイスがイギリス人エリザベス・ヴィルムシュースト氏を任命。
9月2日 リビア側はパンナム機爆破事件のリビア側弁護士サアド・ガーバー氏を任命。
9月24日 国連総会でメルツ大統領、ガダフィ大佐と会見。
10月18日 スイス政府は6人の派遣団をトリポリに送るが、拘束者2人は帰国せず。10月20日 この日は2国間の協定で正常化に向けての条件を整える期限日だった。
10月22日 メルツ大統領とカルミ・レ外相は記者会見を行い、リビアに対する非難のトーンを強めた。しかし具体的な問題解決策は提示されなかった。
なお、拘束中の2人は9月に健康チェックを受けた後、安全な場所に移されたといわれている。