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高度経済成長、低い失業率、巨額の国際収支の経済余剰などで、スイスは経済の世界競争力でハイランキングを果たした。
スイスの世界有数ビジネススクール「世界経営開発研究所 」が5月14日発表した「世界競争力年鑑 」によると、スイスはヨーロッパで1位、世界で4位の座を獲得した。
「世界経営開発研究所 ( International Institute for Management Development・IMD ) 」の世界競争力調査センターが毎年発表する「世界競争力年鑑 ( WCY ) 」によると、昨年世界６位だったスイスは、今年は4位に躍り出た。「スイスは経済成長、インフラ、税制などの分野でグローバルリーダーの仲間入りをした」と同年鑑は報告した。国内総生産 ( GDP ) の成長率も3.1％で、欧州連合 ( EU ) の多くの国を上回る。
開発経済の発展にうまく参加
世界競争力調査センターのステファン・ガレリ教授によると、スイスは安定した金融サービス、産業などの分野を別にして、 ( 途上国で急成長する ) 開発経済の発展にうまく参加したという。
「開発経済においてスイスは、経営能力の専門性の高さだけではなく、国際的な経験を活用した。しかし競争力の高さを維持するには、スイスの利点をさらに生かしていくべきだ」
と語り、アジア、南米、ペルシャ湾岸の急成長する途上国の企業と協力していく可能性を示した。
一方、巨額の国際収支の経済余剰などが示すように、スイスには過去100年間に渡って蓄積された資産がある。
「従って競争力だけでなく、資産を作ってきたという長い歴史がある。しかし絶えず豊かであった歴史的利点は『もろ刃の剣』にもなり得る」
と、警鐘を鳴らす。つまり、豊かさという到着点にすでに達したので、仕事量を減らそうといったことを考えだす可能性があるというのだ。
この警告はかなり的を得ており、実際1990年代のスイスは豊かだが、競争力に欠けた状態にあった。
インフラ大改善の必要性
開発経済の只中にある幾つかの途上国が、ヨーロッパやアメリカが前世代に掲げていた「働いて豊かになる」というスローガンのもとに猛進している間に、すでに到着点に立ったと信じていたスイスは、足踏み状態にあった。
この遅れに気付き、ようやくヨーロッパ経済強国の1つに仲間入りした今日でも、スイスは大型、小型の開発経済のプレッシャーに立ち向かっていく必要がある。実際、1963年に独立したばかりのシンガポールが、すでにスイスより豊かで競争力では上を行っている。
「スイスは現在安定しているが、政治家はインフラの大改善を行う必要がある。スイスのチャレンジはインフラ、それも単に経済的インフラだけではなく社会的なインフラ改善を行うことにある」
と世界競争力調査センターのエコノミスト、アンヌ・フランス・ブルジョー氏は提唱する。
ガレリ氏も同意見だ。
「スイスは公的なインフラにかなりの投資をしなくてはならない。ただし、競争力全体を概観した場合、その一部をなす社会的側面に注意を払ったインフラ改善だ。それは経済成長プラスの何かなのだ」
と言う。「プラス何か」とは生活のレベル、個人の資産の豊かさ、持続的な発展と環境を含むという。
今回、世界競争力年鑑 では、331項目について55カ国を対象に調査が行われた。
IMDの競争力調査では、「経済に対する広い観点からのアプローチ」を実践している。それは主観的な要素も取り入れた観点だという。今年で世界競争力年鑑は20周年を迎えた。
swissinfo、ジャステイン・ヘンネ 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 訳
キーワード
世界競争力年鑑 ( WCY ) トップ10位
1、アメリカ
2、シンガポール
3、香港
4、スイス
5、ルクセンブルク
6、デンマーク
7、オーストラリア
8、カナダ
9、スウェーデン
10、オランダ
日本は昨年の24位から22位に。
IMD 世界競争力調査センター
IMDはスイスのローザンヌに本拠をおく、世界有数のビジネススクール。
8人のメンバーからなる「IMD 世界競争力調査センター」は、ステファン・ガレリ教授によって1989年に創設された。
ガレリ氏は競争力研究を「現代の経営において、最も効果的な道具」と言う。
同センターは、競争力を「企業がさらにその価値を増加させ、国民がさらに繁栄するような環境を作り出す能力」と定義する。
同センターの「世界競争力年鑑 (WCY ) 」は、331項目について55カ国を対象に調査を行った。
情報は、世界各国、世界銀行、国連 ( UN )、世界貿易機関 ( WTO ) などから収集された。