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ここ数年で日本企業によるスイス企業の買収が相次いでいる。言語も文化も全く違う日本企業がスイス企業を統合した場合、両社には一体どんな変化が訪れるのだろうか｡
日本企業に買収されて約１年が経過したスイスの自動ドアメーカーを訪ねた。
なだらかな緑の丘が広がるシュヴァルツェンブルク（Schwarzenburg）の駅から歩くこと数百メートル。そこにひっそりとたたずむ灰色の建物が、スイスの老舗自動ドアメーカー、ギルゲン・ドア・システム（Gilgen Door Systems AG/以下ギルゲン）の本社だ。エントランスをくぐると、壁に飾られた「風林火山」と書かれた額が目に飛び込んでくる。
この額は日本の機械メーカー、ナブテスコがギルゲンに贈呈したものだ。ナブテスコがギルゲンを買収してから約１年が経過しているが、ギルゲンの社内を見渡してもこの額以外に日本を感じさせるものは特に見当たらない。
「我々はあくまでもスイスの企業であり、ここシュヴァルツェンブルクに拠点を置くベルンの企業なのだ」。社内を案内してくれたギルゲン社のヤコブ・ギルゲン社長は言う。
敷地には事務所と製造工場が併存しており、さすが自動ドアメーカーとあって、社内トイレの出入口も自動ドアだ。敷地のある一角には製品の入った大きな箱がいくつも置かれ、箱には「ウクライナ」や「ドイツ」、さらにはカリブ海の南国「グアドループ」と書かれた宛先が貼ってある。ギルゲンがグローバル企業であることを認識させられる。
日本企業がベストパートナー
ギルゲン本社はシュヴァルツェンブルクの最大の雇用先で、３８０人が働いている。企業全体では９５０人の社員を抱え、年間売上高は２億フラン（約１６０億円）。姉妹企業や卸売先を通し、ギルゲンの製品は約７０カ国で販売されている。
事業をさらに拡大するには、どこかの企業と提携する必要があった。世界中さまざまな企業からオファーを受けたが、そのなかに日本の企業ナブテスコがあった。
ギルゲン社長は言う。「我々が最終的にナブテスコを選んだのは、同社が日本企業だからではなく、我々と最高に合う企業だったからだ。同じ分野には従事しているが、事業はほとんど重ならない。未来に向けての最高のシチュエーションだった」
買収後の昨夏、ギルゲン社長は日本のナブテスコを訪問。同社から非常に温かく迎えられたと振り返る。「福島原発事故を受けて、東京の本社ではなく神戸工場を訪問したのだが、ユニフォームを着た何百人もの社員が我々のために勢ぞろいし、一斉に会社のスローガンを斉唱していた。その前を通るのは非常に印象深かった」
スイスを足掛かりに
一方、ナブテスコにとっても、ギルゲン買収は好機だった。自動ドア部門では日本市場で５０％以上の市場シェアを誇り、海外への輸出も手掛ける同社だが、欧州市場は未開拓。そんな中、ギルゲンが持つ欧州市場でのブランド力や販売網は魅力的だった。「ナブテスコとギルゲンの組み合わせはあらゆる面で理想的だった」と、日本からスイスに出向してきた板倉秀和氏は語る。
ナブテスコで経営企画管理を行っていた板倉氏は、ギルゲン買収の際の最初のコンタクトはもちろん、契約の交渉や経営移管準備まで全ての実務面を担当。「最もギルゲンのことを知る人間」としてスイスに派遣された。現在はただ１人の日本人社員として、ギルゲン本社で新規事業開拓などを担当している。
買収交渉の過程で何度もスイスを訪れていたため、新しい職場にスムーズに馴染めたという板倉氏。ギルゲンでは温かく迎えられ、労働許可や滞在許可の取得などの赴任準備から生活セットアップにわたるまで全面的にサポートされた。
異文化はチャンス
ギルゲンはスイスの会社ではあるが、１５カ国以上から社員が集まっているため、国際色豊かだ。社内では英語で意思疎通を図るという板倉氏だが、異文化ならではの難しさも実感している。「さまざまな価値観を持った人が意見を交わし議論する中で、明確な自分の考えを持ちそれを発信することが、日本にいるとき以上に必要であると感じる。スイスに来てそうした議論をする機会が増えた」
その一方で、言語や文化の違いを認めつつも、これは問題ではなく、チャンスと捉える。「言葉や文化の違いはもちろん存在し、時にはコミュニケーションに時間を要することもある。だが、お互いの違いに気づき、尊重しあうことにより、両社の経営そして人財のレベルアップにつながると信じている」
また、ナブテスコの常務取締役でギルゲンのトップに立つ三代洋右氏もEメールで以下のようにコメントしている。「一緒になった当初は、互いの物事の見方、アプローチの方法に関して、分からないことが多く、自分の正当性を主張する場面が見られた。だが、日本とスイス両方で共通する美点は、相手の話を聞こうとする、あるいは互いを知ろうとする気持ちが強く、尊敬し合っていること。一緒になり一年が経過したが、今日では互いに学び合い、（相手の）良さを自分達でも活用しよう、との機運が醸成されてきている」
相手から学ぶ
買収後、ギルゲンでは営業報告書を新しい基準に合わせたりと若干の変化はあったが、買収による解雇はなく、ナブテスコとの関係はおおむね良好だとギルゲン社長は語る。さらに、「日本の企業とのビジネスを通し、さまざまなことを学んだ。これまでの経験で、日本人も意欲的に学び、理解しようと努めているのがよく分かった」と振り返る。
日本から派遣された板倉氏も、仕事以外にも日常生活で役立てるようドイツ語を学んでおり、ギルゲンの社員とより良く付き合っていこうとの努力を惜しまない。また、日本企業がグローバル市場に進出するには、世界にはさまざまな価値観があることを踏まえてビジネスを行うことが重要だと強調し、「スイスでの経験を日本の本社でも生かしていきたい」と抱負を語った。
ナブテスコ（Nabtesco）
それぞれ長い歴史を持つ帝人製機とナブコは２００３年、油圧機器事業に関する業務提携をきっかけに経営統合し、ナブテスコとなる。
ナブテスコの製品は新幹線の車体傾斜システムに使われるほか、産業ロボットの関節や、航空機の飛行システム、駅プラットホームのドアなどでも用いられている。
常務取締役の三代洋右氏によれば、両社はそれぞれの市場で、それぞれの文化や事業慣習を尊重しつつ、事業をグローバル展開していく予定で、今後は西アジアやインドなどの新興国市場での事業拡大を目指していく。
ギルゲン・ドア・システム（Gilgen Door Systems AG）
１９６１年、ヤコブ・ギルゲン・シニア氏がベルン州シュヴァルツェンブルク（Schwarzenburg）に自動ドア会社を設立。
１９６５年、初めての支社をチューリヒに設立。
１９８５年、初めての姉妹企業を外国に設立。
１９９３年、ヤコブ・ギルゲン・ジュニア氏がドアシステム分野の経営を引き継ぐ。
１９９６年、セキュリティー産業に従事するスイス企業、カバ・ホールディング（Kaba Holding AG）に買収、経営統合される。
２０１１年、日本企業のナブテスコに買収、経営統合される。
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