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スイスでは今年、有名企業の重役２人が相次いで自殺したことを受け、管理職のストレスが大きな話題になった。近年ストレスに悩む重役幹部が急増しているため、その予防と対応は一大ビジネスに発展している。
仕事のストレスが問題として認識されるようになったのは１９６０年代だが、一般に理解されるようになるまでには時間がかかった。「現在では企業の方から『アドバイスが欲しい』と連絡してくる」とベルン大学精神医学研究所のノルベルト・ゼムマー教授は語る。「このようなことは３０年前にはあり得なかった」
ビジネスのグローバル化や２４時間対応勤務に始まり、単身赴任や業界のスキャンダル、職場の人間関係、株主からの期待など、管理職のストレスには様々な要因が関係しているようだ。
「特に男性は、不眠などストレスの蓄積を示す初期症状に対して無反応になることがある」とゼムマー教授。「私が管理職に伝えることの一つは、自分の体が出しているサインに耳をすませということだ」
「面接すると『ストレスは全く無い』と言う管理職がいる。しかし１０分後には同じ人物が『夜中に目が覚めると汗びっしょりになっていて、仕事上の問題に思いを巡らすことがある』と語り始める」
ゼムマー教授によると、努力と報酬の不均衡は「燃え尽き症候群（バーンアウト）」に発展する恐れがある。またストレスの対処に最も有効な方法は、社員自身が仕事をコントロールすること、つまり自分の業務内容や労働条件について発言権を持つこと、そして社会のサポートを得ることの二つだ。
しかしストレスについて語るのは必ずしも容易ではなく、ましてや社会のサポートを受け入れることは「『能力不十分』と否定的な含みをもたらしかねない」とゼムマー教授は指摘する。さらに「（仕事に没頭することによって）成功を重ねれば自己肯定感が増す。それが強力な動機となって、仕事に対する意欲がさらに高まる。こうして、人は自分の体が出しているサインを無視し始める」と教授は説明した。
転換点
ルドルフ・ヴェッツェルさんも実際に激しいストレスに苦しんだ経験がある。かつて投資銀行に勤め、ルフトハンザ航空のスイス航空買収を担当したが、４０歳代前半で深刻な危機に直面した。夜中に胸の動悸と不安発作で目を覚ますようになり、免疫システムは機能不全に陥った。さらに重い腰痛を発症し、４年間以上も「円を描くように」しか動けなかったにもかかわらず、こうした不調を隠し続けた。
「自分の人生全てが、間違った方向にあるように感じた」とヴェッツェルさん。「会社に認められるために、肩書のために、ボーナスのために走り続けた。人間関係、家族との生活、自己充実、人生の目的など、自分の人生にとって仕事より重要なものが欠けていた」
「心身の破綻」に苦しんだヴェッツェルさんは、最終的にストレスを抱えた管理職の多くが恐れていることを実行した。両手を揚げて降参したのだ。高給で実入りの良い仕事を辞めて、オーストリアのザルツブルグからフランスのニースへ徒歩の旅を開始した。
「自分の働き方、自分のモチベーションを上げる方法についてよく分かるようになった」とヴェッツェルさん。現在はグラウビュンデン州で宿泊所を営むと同時に、かつての自分と同様、人生の危機に苦しむ管理職のカウンセリングをしている。
問題に取り組む
ヴェッツェルさんは、顧客が「現状から離れて自分自身を客観視し、他の選択肢があることを気付く」ようサポートしていると言う。また、「問題解決のために周囲の環境を変える必要はない。むしろ自分の内面に取り組む必要がある」と語る。
しかし、これを簡単に理解できる人は少ない。「主導的な立場にある管理職は、危機の際に頭の中の理論だけに動かされる傾向がある」とヴェッツェルさんは指摘する。「感情や心情、感性と感覚に対してもっとオープンになれば自立性を回復し、自分の人生をコントロールできるようになる」
私立病院から薬品会社にいたるまで、ストレスやバーンアウトへのケアを提供する現在、この分野が一大産業になったのは不思議ではない。
企業のサポート
ストレスに悩む重役への対処は、企業にとってデリケートな問題だ。スイス通信最大手スイスコムも他社と同様、管理職のストレス対策として各種サポートを提供している。個人的な問題に対するコーチング、健康増進と病気予防のためのワークショップ、相談機関の紹介、勤続５年ごとの長期有給休暇、フレックスタイム制などがその例だ。
また、「通信手段の発達によって、いつどこにいても仕事のメールに応答したり書類を読んだりできるようになったが、就業時間外労働は全く望んではいない」と広報担当のカールステン・レーツさんは明言する。
しかし、社員に対するサポートがあっても、それが活用されているとは限らない。ヴェッツェルさんは「勤めていた企業がそのようなサポートを提供しているとは知らなかった。しかし知っていたとしても、利用はしなかっただろう。頭の中が戦闘モードになっているときは、そのようなものに見向きもしないからだ」
ストレスやバーンアウトへの対処は、就職した時点から準備を開始すべきだとヴェッツェルさんは考える。さもなければ「２０年間住んでいた家に突如火事がおきたとしても、消火器がどこにあるのかさえ分らないような状況」になり得る。
２００５年にスイスの国際的な企業のトップ管理職１４３人を対象に、家庭と仕事のバランスについての調査が行われた。調査を実施したベルン大学のゼムマー教授らは、「耐久力の限界を能力不足の表れとみなすことなく、それについて話し合える労働文化の開発が必要」と結論を記している。
人に優しい企業を作る
そのような労働文化の開発を目指している機関がチューリヒのグレート・プレイス・トゥ・ワーク研究所だ。ここでは世界規模の調査研究、コンサルティング、企業研修が行われ、「深い信頼関係のある労働文化の開発を通し、企業のアイデンティティーの確立、素晴らしい職場の創造と維持」をサポートしている。
２０１２年に同研究所は、ベルンにヨーロッパ本社を置く米競売サイト「イーベイ」を優れた労働環境を提供する企業の第３位に選んだ。
ローレン・サギノーさんは、イーベイで勤続６年の若手管理職だ。近ごろ、財務分野のリーダーシップ開発プログラムの参加者に選ばれた。また、ヨーロッパ地域のビジネス開発マネージャーにも昇進。１日約１２時間働き、１年のうち約５０日間は出張している。
スイスコムと同様、イーベイもまた勤続５年ごとに１カ月間の有給休暇を認めている。サギノーさんは、この有給休暇を日本で過ごした。「この休暇で何が大切かを大いに知ることができた。そしてストレスの軽減にも少々役立った」
しかし結局のところ、サギノーさんも他の管理職と同様、ストレスの発生源は仕事であり、ストレスが減少する兆候はない。
「私は重役と共に働いている。毎日際立った業績を示さなければならない」
（英語からの翻訳・編集 笠原浩美）, swissinfo.ch