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スイス人研究者を含む国際科学者チームが、ヒトの体内でできた鳥インフルエンザウイルスH5N1型の抗体を、マウスに使用。
その結果、ほとんどのマウスが生き残るという結果を得た。
これがうまくいけば、世界的に大流行 ( パンデミック ) するかもしれない新型インフルエンザパンデミックに対する新しい治療法になると研究者たち。
モノクローナル抗体
「モノクローナル抗体を新型インフルエンザの治療に使えるかもしれない」と語るのは、スイスのベリンツォーナ ( Bellinzona ) の生物医学研究所のアントニオ・ランザベッキア教授。
今回の共同研究者の1人であるランザベッキア教授は、H5N1型ウイルスに感染して、生き残ったベトナムの4人の患者の血液から取り出した抗体を増やし、それをマウスに使った。
モノクローナル抗体とは特定の抗原にのみ反応する抗体で、今回の場合特定の抗原とはH5N1型ウイルスのことである。
このモノクローナル抗体をさまざまな量投入された60匹のマウスのうち、58匹が生き残ったのに対し、H5N1型ウイルスに感染したほかのマウスは数日で死亡した。
さらに、抗体を投入されたマウスは何も投入されなかったマウスより、肺におけるH5N1型ウイルスの数が10〜100倍も少なかった。
もう1つの治療法
「もしこの研究結果が、他の研究所や医療機関でさらに検証されれば、今回のヒトのモノクローナル抗体は、新型インフルエンザパンデミックの治療方法になるかもしれない」と語るのは「アメリカ国立アレルギー、感染症研究所 ( NIAID)」の主任教授アントニー・ファウキ氏。
スイスのランザベッキア教授は主に抗体を作り、NIAIDとベトナムの「熱帯性の病気専門病院」と共同研究を続けてきた。
「ワクチンは長期間に渡って免疫を作るが、免疫ができるまでに数週間、数カ月かかるという欠点がある。インフルエンザが流行し始めたらもう間に合わない。ところが抗体はただちに効果を発揮する。 大量生産も可能だ。ただしこの抗体療法は数カ月しか免疫力が持続しないというのが欠点」とランザベッキア教授は説明する。
いずれにせよ、もう少し検証を続ければ新型インフルエンザパンデミックが起こった際の「タミフルやほかの薬以外のもう1つの治療法になりえる」というのが結論である。
一方、 世界保健機構 ( WHO ) 側は「今回の研究結果の重要性を判断するのは、今の段階では早すぎる」と慎重である。
swissinfo、アダム・ボーモント 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 意訳
モノクローナル抗体
ヒトの体内では、免疫細胞であるB細胞がウイルス( 抗原 ) などに対して抗体を作り出し、感染を防いでいる。
細胞融合技術を使って、特定の抗原に反応する抗体を多量に生産することが可能で、こうしてできた抗体を「モノクローナル抗体」という。
これを使って病気の治療をすることは免疫療法の1つである。