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やがて、短い繊維を撚り、綯い合わせて、太さが自由な、長い長い縄が綯えるようになって、その関連技術も飛躍的に進んだのではないかと思われます。
縄がつくられると、大きな石を吊ったり引いたりして動かすことができるようになり、縄を編んで袋をつくってたくさんのものを一度に運ぶことができるようになり、家畜をつないだりしておくこともできるようになりました。
縄は、人間の生活を変える、もっとも古い道具の一つとなったのです。
縄を結んだ「結縄」は、インカではキープと呼ばれ、その結び目が数を表しました。人口、農産物、家畜などの統計に用いられ、高度な情報を共有、伝達することができました。
結縄は、文字以前には、中国や日本など、地球上の広い地域で使われていたそうです。
縄はそんな役にも立っていたのです。
さて、美しい縄といって、私が真っ先に思い出すのは、カンボジアの牛をつなぐ縄です。
１９９０年に、カンボジアを初めて訪れたとき以来、農村の市場や小さな「なんでも屋」で見つけるとついつい買ってしまった縄を、何本も持っています。
牛をつなぐ縄は、パルメラヤシの葉柄の皮を裂いてつくっています。
牛の頭に巻く短い縄と、それにつける長い紐のセットで、使う人が便利なように、どちらも一方の端がループになっています。
そのループは、つくり方が美しいだけでなく、とてもしっかりしていて、長持ちします。
これは、削った竹を縄の先につけて、ループをしっかりしたものにしています。
売っている人の手づくりの縄ですから、いろいろな太さや、いろいろなつくり方のものがあるわけです。
カンボジアの縄づくりにはたいてい、丈夫なパルメラヤシの繊維が使われます。
脱穀の時に稲束をつかむ道具、トラビエットにも、パルメラヤシの葉柄を裂いてつくった縄が使われています。
トラビエットは、二本の棒を短い縄でつないでつくりますが、縄の結び位置を違えます。
カンボジアでは中ほどで縄を結んだを棒の先を尖らせてあり、それで稲束をすくい取ります。くるっと巻いて、稲束を縄で締めてハの字型に持ち、板に打ちつけて脱穀します。
手でつかんで脱穀するより稲束を素早く掴むことができ、脱穀が終わってわらだけになったものを、遠く投げ飛ばすことができます。
カンボジアだけでなく、脱粒性の強い稲を打ちつけて脱穀する、タイ、ラオスなどの他の地域でも同じ道具が使われています。
ただ、二本の棒の縄を結ぶ位置さえ変えておけばこと足りまるので、たいていは装飾のない削っただけの棒を使っていて、カンボジアのものほど美しくはありません。
知り合いのカンボジアのお百姓さんにいただいた、このトラビエットは、
「あら、切れそう。新しいのと取り換えてあげる」
と見ている目の前で、あっというまに縄をすげ替えてくれたものです。
ヤシ砂糖をつくる道具も、先端をヤシの繊維でつくった縄で結えてあります。これで花序をはさんでやわらかくもみます。
ちなみに、カンボジアでは稲わらは牛の飼料になるので、わら縄はつくりません。
稲刈りのとき、稲を束ねるときも、わらではなくパルメラヤシの葉柄を裂いたものを使います。
ところ変わって、ソマリアの縄です。
麻のような繊維でつくっています。ヤシの繊維でつくった縄ほど張りがなく、くたくたっとしています。
これは、ラクダの首にぶら下げるベルです。
タイの水牛の首にかけるベルの縄です。
やはりパルメラヤシの繊維だと思われますが、もしかしたらココヤシなど他のヤシの繊維かもしれません。
これもタイの水牛の首にかけるベルの縄ですが、とっても太い縄です。
撚り合わせてある縄の、一つは普通の縄ですが、もう一つはどうなっているのでしょう？
よく見ると、なんだか不思議な感じの縄です。
動物の首に下げるベルの紐、背負子の紐、弓の弦などに使われている縄を見ると、どんな文化のもとでも、しっかりした美しい縄がつくられているのがわかります。
縄と縄を合わせて綯った太い縄も素敵ですが、細い、繊維を綯っただけの細い縄も素敵です。
左はカンボジアの牛の首に下げるベル、右はタイの腰籠です。
籠づくりの人も、木彫りの人も、手慣れた、太さの揃った、美しい縄をつくっています。