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世界で一つしかないユニークな美術館がローザンヌにある。「アール・ブリュット」（Art Brut）と呼ばれ、「生（なま）の芸術」や「アウトサイダー・アート」と訳される。
このアートは、社会から外れてしまった不適応者−精神病患者、受刑者、隠遁者などが（生き残るために）作らざるを得なかった作品を指す。
フランスの芸術家、ジャン・デュビュッフェはこれらの芸術に目をつけ、この概念を提唱した。ローザンヌ市が屋敷を提供することで、彼の集めた200人の作家の、5000点にのぼるコレクションに住み家ができた。お陰で、来訪者は今まで見たことのない驚くべき強烈な作品群に出会え、芸術、創造とは何か？について再考させられる。
アール・ブリュット美術館に入るとまず、目に入ってきたのは床に並べられているモザイク模様に陶器が貼られている等身大の動物たちだった。その奥にはプリミティブな人間の像も並び、独特な世界を醸し出している。訪れた時は丁度、インドの作家、ネック・チャンドの展示だった。チャンドと思われるインド人作家の制作過程がビデオで上映されていた。身体を動かし、しゃべるチャンドは普通のおじさんで精神病患者にはみえない。アール・ブリュットは異常者のアートと思っていたのだが？
アール・ブリュットって？
この誤解を館長のルシエーヌ・ペリー氏がすぐに解いてくれた。「精神的な病を抱えているといった基準はありません。アール・ブリュットは伝統的な芸術教育を受けたことのない、社会からはみ出てしまった人のアートを指すのです。結果的に精神病患者が多いということはありますが」と説明する。「ほとんどが、愛する人の死や戦争、移住などといった辛い経験に打ちのめされた人が多いのです。ですから、彼らは生きるために、社会から忘れられてしまったために、自らの叫びとして、自分の世界を再構築する膨大な量の独特の作品を作るのです」
さらに「彼らは芸術家と違って、認められるために作品を作っているのではなく、自分のために『静かに』『秘密に』『孤独に』作っているのがキーワードでしょう」と加えた。デュビュッフェは「その無垢さが彼らに翼を与えるのだ」と言っていたという。
世界を再創造
なるほど、常設展のある2階に上がるとスイス人、アドルフ・ウェルフリ（1864-1930）の作品がある。チベット仏教の曼陀羅を思わせる迷路のような構成の楽譜とも字ともつかない模様が並び、所々にハゲ頭の黒い目の顔が繰り返し出てくる。ペリー氏のいう「他の芸術作品とは似ても似つかない」という言葉がぴったりだ。
作者説明の記述に「ウェルフリは幼少期、アル中の父を亡くし、続いて母も亡くしたため、様々な家を点々とする。1889年には強制わいせつ罪で2年間投獄される。再犯したため、31歳から死亡するまでベルンの近くの精神病院に収容される。その後30年間、朝から晩まで止むことなく制作活動を行なう」とある。作品の量は膨大で3万5000ページにも及ぶ楽譜、絵や文学作品が描かれているという。
次は未婚の母から生まれ、9歳まで閉じ込められて育ったマッジ・ギルのコーナー。彼女は後に霊感に押されて膨大な量の絵を描いた。想像上の建造物を描いた絵にはいつも帽子を被った同じ女性の顔が現れる。
階段を上がると、天井まで長いカラフルな両面描かれた絵が吊るしてある。青い虚ろな目の女性と王子様がテーマのアロイーズの作品だ。彼女はオペラ歌手になることを夢み、ドイツの皇帝に恋をし、後にローザンヌの精神病院で余生を過ごした。外とのコンタクトを遮断する瞳のない目が特徴だ。
どの作品も、あまりに個性が強いので、見ているうちに誰の作品かすぐに区別が付く。まるで知り合いのお婆さんの家を訪問しているような、お屋敷に展示されているので作品が身近に感じられる。
来訪者は屋根裏まで足を伸ばし、驚くべき米国人ヘンリー・ダーガーの絵物語を見逃さないように。「奇妙な少女たちVS大人の戦争絵物語」が展開される『非現実の王国で』と題するシリーズだ。少女趣味の可愛いグラフィックで描かれる「ヴィヴィアン・ガールズ」は良く見るとおチンチンが付いている。ダーガーの人生については「知恵遅れの学校から抜け出した」こと意外はあまり知られていない。身寄りのなかったダーガーが死んだ後、見つかった「非現実の王国で」は19歳から死ぬまで書き続けたので1万5000ページ、15巻にも及んだという。これが発見されたときの衝撃は想像がつく。
日本人作家も
美術館には欧州出身の作家が多いが、今でも世界中にアンテナを張ってコレクションを広げている。ペリー館長は「最近、日本の大阪出身の（知恵遅れの）松本国三という素晴らしい作家を発見しました」と語りながら、彼の漢字を中心にあらゆる文字がカレンダーの上に羅列して描かれた作品を見せてくれた。字は常用漢字だけではなく、自らが造った字もあるようで、独特な世界をなしている。
最近はアール・ブリュットのコレクターも増えてきたらしい。「美術商が興味を示してきましたし、出版物の量にも現れています。現在、このアートがやっと認められてきた曲がり角（転機）にいると思います」
交差点のような美術館
この小さな美術館には世界中からの来訪者が訪れる。「この美術館は交差点のような場所です。芸術家、神学者、医療関係者から社会学者、主婦、学生や日曜大工が趣味の人まで全ての社会層の人が訪れてくれることは喜びです」と誇らしげだ。「この美術館の強さは芸術へのアプローチには様々な扉があるということでしょう」
そして、館長に反対に聞かれた。「日本人のお客さんも多く、インターネットで日本からの当館へのアクセスが非常に多いのです。どうして、日本の人にそこまで人気があるのか、是非教えて欲しい」とのことだ。
swissinfo、 屋山明乃（ややまあけの） ローザンヌにて
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アール・ブリュット・コレクション（Collection de l’Art Brut）はローザンヌ駅からバス2番か3番で7分、ボーリュウ劇場（Beaulieu）で下車。美術館は劇場の向かいにある18世紀の館に入っている。
住所：avenue des Bergières 11, CH-1004 Lausanne/ Tel : +41 21 315 2570。
開館時間は火曜〜日曜（祝日も）まで11から8時まで。毎月、最初の土曜日は入場料無料。入場料は8フラン（約720円）、16歳まで無料。
補足情報
＜アール・ブリュットに関する参考文献＞
- 『アウトサイダー・アート —現代美術が忘れた「芸術」』、服部正著、光文社新書、2003年9月出版。
- 『アウトサーダー・アート』、ジャン・デュビュッフェ、ミシェル・テボー、求龍堂、2000年10月出版。
- 現館長ルシエーヌ・ペリーのフランス語の著書『L’Art Brut』（Flammarion出版/2006年3月再版）は英語で『Art Brut : The Origins of Outsider Art』と訳されて同じ出版社から出ている。
＜アール・ブリュット・コレクションについて＞
- アール・ブリュット・コレクションはフランスの画家であり、この言葉の提唱者であるジャン・デュビュッフェ（Jean Dubuffet/1901-1985）が1945年ごろから集め始めたもので、1976年にローザンヌ市に寄付され、美術館ができた。
- 美術館はデュビュッフェのコレクションをさらに広げ、現在では世界各国の作家の3万点にものぼる作品を収集している。
- コレクションの日本人の作家には松本国三（くにぞう）、戸次公明（べっきこうめい）、藤崎美佐枝、吉田修三、西川智之（さとし）などがいる。
- デュビュッフェはアール・ブリュットについて「全く無垢で生の、作家が自らの衝動に駆られてゼロから創造した芸術制作」と称した。
- 日本を含め世界中から毎年、3万人に及ぶ来訪者がこのユニークなコレクションを訪れる。このため、作家や作品紹介はフランス語と英語の両方記述されているのが嬉しい。
- 常設コレクションのほか、毎年2、3回のテーマ展示が行なわれる。
- 2004年に同館で行なわれた展示「妄想する文体（écriture en délire）」（松本国三、ヘンリー・ダガー、カルロ・ツイネリ、アロイーズ・コルバ、アドルフ・ウェルフリやオーガスト・ヴァラら）は2007年には日本に巡回する予定。
- アール・ブリュットに影響を受けた近代アーチストにはジャン・ティンゲリー、ニキ・ド・サンファールやパウル・クレーなど多数いる。