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シュヴィーツ州シュトースの世界で最も急勾配のケーブルカーならば、スリル満点。思わず息をのむほどの絶景を楽しめること請け合いだ。この世界記録のおかげで、中央スイスの小さな村に再び世界中から観光客が集まっている。
年配の日本人夫婦は道に迷っているようだ。夫はしきりに公共交通機関の時刻表を確かめている。鉄道、バス、あるいは船か？困惑した様子の妻は手がかりを探して辺りを見回している。２人とも登山靴にストックと登山用の装備だ。ルツェルン湖畔にあるシュヴィーツ州の小村ブルンネンの小さな鉄道駅で、その夫婦は途方に暮れているようだった。
私は力になろうと「シュトース？」と英語で話し掛けた―反応が無い。「鉄道？」―やはり反応が無い。私が手の甲を反らせて急勾配を作り、「世界記録？」と尋ねると、「そうです！そうです！」と夫婦は声を揃えて答えた。通じる言語が無く、会話はそこで途絶えた。しかし、一つ確かなことは、この夫婦は世界一勾配の急なケーブルカーに乗りたいということだ。
世界的な反響
５２００万フラン（約５９億２千万円）を超える総工費を掛けた新路線は、走行距離１７４０メートル、高低差７４４メートルのルートをたった３分で結ぶ。最大勾配は１１０％（斜度４７度）に達する。シュトースは、この特徴ゆえに米国から中国まで世界中のメディアの注目を集めた。
「私たちは世界的なレベルである程度の関心を集めるだろうと期待していたが、まさかここまでとは思ってもみなかった。このケーブルカーは世界中のほとんどの国で話題になった」と同地域の観光局長、イヴァン・シュタイナーさんは驚きを隠せない。ソーシャルメディアでは、雪崩防止柵の間を抜けて、山の斜面を這い上るケーブルカーの動画が何百万回も再生された。
英ビクトリア女王お気に入りの逗留地
標高１３００メートルに位置するシュトース村の人口はわずか１５０人ほどだ。村への交通手段は限られており、狭い私道の他に、ロープウェーとこのケーブルカーしかない。「私たちの村は観光に大きく依存している。特に冬の観光が重要だ」とモルシャッハ・シュトース他のサイトへの村長、ダニエル・ベチャートさんは指摘する。
１９世紀末のベル・エポック（良き時代）には、この地方はすでに有名だった。シュトースのスパは富裕層の顧客にとても人気があった。スパ跡地に建てられたホテルのウェブサイト他のサイトへに書かれているように、乳清を使ったセラピーが大ヒットし、スパはフランス人、ロシア人、英国人を中心に世界的な注目を集めていた。「ビクトリア女王は頻繁にこの村でバカンスを過ごした。女王は御付と共に何週間も滞在した。かつて、ここには大きなホテルがいくつもあり、１８ホールのゴルフ場が１つではなく、２つもあった」とベチャートさんは説明する。
２０１８年に訪れるべき名所５２カ所の一つ
第一次世界大戦後、観光業は衰退を余儀なくされた。その後、中央スイスのこの地域を訪れたのはもっぱら地元や隣接する州のスイス人客だった。ベチャートさんによると、「新ケーブルカーによって、再び世界から観光客が集まるようになった」という。
ガソリン車乗り入れ禁止のシュトースで小道を散歩すると確かにその通りだ。７月末のこの日は快晴で、ランチタイムを少し過ぎているにもかかわらず、レストランのテラスは混み合っている。席では、主にスイスドイツ語が聞こえるとはいえ、湾岸諸国やアジア、東欧からの家族客もたくさんいる。
昨冬の訪問客数は前年と比べて３割程増加したと観光局長のシュタイナーさんは指摘する。今年の５月１日から７月２４日の間に、１０万９千人の訪問客を記録した。これは前年の同時期と比べて２倍の数だという。「この増加は間違いなく新ケーブルカーによるものだ。新ケーブルカーは、１時間に１５００人を輸送することができる。旧路線よりも５００人多く運べるということだ」
「それでも、新ケーブルカーによる実質的影響を数量化することは難しい。天候に恵まれたことも考慮に入れなくてはならないからだ」とシュタイナーさんは補足する。とはいえ、シュトースが思いがけない宣伝効果を期待できることは間違いないという。「米ニューヨーク・タイムズ紙は、『２０１８年に訪れるべき世界の名所５２選他のサイトへ』で、シュトースとルツェルン湖畔を５番目に挙げた。私たちにとっては、またとない宣伝だ！」
バリアフリーで村直結型の新ケーブルカー
シュトースバーンが世界的に有名になったのは、車両の斬新なデザインや革新的な技術によるところも大きい。スイスのメーカー、ガラベンタ社が考案した自動平衡システムによって、車両は常に水平に保たれる。また、麓やシュトースの乗車駅では、荷物、ベビーカー、車椅子で搭乗する人の負担となる階段はないとシュタイナーさんは説明する。「これは、乗客や貨物の輸送を容易にするために欠かせないことの１つだった。傾斜を調整するシステムは他にもあるが、３つのトンネルを通過するために重要な基準の１つである車両のコンパクト化を可能にするシステムは現在採用されているものだけだった」
もう１つの特徴は、新シュトース駅の場所だ。旧駅とは異なり、新駅は村の中心にあり、スキーリフトからも近い。ケーブルカーを降りるとすぐにスキーを履くことができる観光客にとっても、住民にとっても便利なことは確かだ。村長のベチャートさんが強調するように、ケーブルカーは何をおいても谷に降りる必要のある人々の公共交通機関であり、建設資材から食料品に至るまで、村で必要なあらゆる物資を山の上まで運ぶ実用的な手段なのだ。
「このケーブルカーはバスや鉄道に匹敵するものだ。今後は、新ケーブルカーで住民の交通手段を確保することができる。生活に不可欠な路線だ」とシュタイナーさんは強調する。村長のベチャートさんと観光局長のシュタイナーさんによれば、シュトースでは、みんながこの新しい交通機関に満足しているという。とはいえ、計画の実現には１４年の歳月と１１回に及ぶ住民投票を要した。
「ここだけでも５回投票した！」
「大規模事業に住民が意見を表明することができない国もあるだろう。しかし、ここでは逆に、１１回も住民の意思が問われた」とベチャートさんは話す。主に「手続きに関する投票」だったという。新ケーブルカーの路線は３つの地方自治体にまたがっているため、いくつもの土地区画の修正が必要だったからだ。モルシャッハ・シュトースだけでも、住民は５回投票したと村長は振り返る。
「計画はいつも幅広い支持を得た。また、人口１１００人という私たち小自治体にとっては巨額の５００万フランという予算も住民は承認した」。シュタイナーさんによれば、この投資はアルプスの小村にとって生命保険のようなものだという。「新ケーブルカーによって、シュトースとこの地方全体の観光の未来は保障された」
シュトースバーンの情報
最大勾配：１１０％（斜度４７度）
最大輸送人数：１時間当たり１５００人
乗車時間：３～５分
走行距離：１７４０メートル
高低差：７４４メートル
総工費：５２００万フラン超
乗車料金：往復２２フラン（各種割引有り）インフォボックス終わり
（仏語からの翻訳・江藤真理）