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4月14日、バーセルで開催されたUBS銀行の株主総会で投票有効株数の52.75％が、2007年のマルセル・オスペル氏以下経営陣の免責を認めない とした。このコンテンツは 2010/04/15 09:28
株主総会で役員の免責問題が議題となることは珍しく、「歴史的」と注目されていた。事前の予想でも、銀行側の勝利は僅差とみられていた。
経営陣の賭けが裏目に
UBSがこのような「賭け」に出たのは、総会で決めることで役員の免責を広く認めさせることにあったといわれているが、経営陣の意向に反した結果が出て、その賭けが裏目に出た。
この結果を踏まえてカスパー・フィリガー会長はスイスドイツ語放送のインタビューに答え
「当初、わたしも議題として提案したことを後悔したが、話し合って悪くはなかった。これまで経営陣の責任を追及した銀行はない。今でも、当時の経営陣のことは信じている。ただ、議論せずに向こう10年間この問題を引きずるより、過去に線を引き、将来に目を向ける方がよいという判断で、議題として取り上げた」
と語った。
UBSは、連邦金融監督局 ( Finma ) のほか銀行内外からの10の機関を通し、巨額の損失を計上した2007年から2009年に経営の指揮を執った、オスペル元会長、ペーター・クーラー前会長などの責任について調査した。その結果「企業としての欠点があったが、役員、経営陣の違法行為はなかった」と経営陣が故意に経営を悪化させたということはなかったと結論付けられた。これに対し、一部の株主が異議を申し立て、2007年、2008年、2009年と年別に経営陣の免責について決議された。現在の経営陣に対しては、免責賛成85.13％と大差で認められた。
今回の総会での免責拒否決議により、UBSの役員会がこれまで元経営陣に対しては訴訟しないという方針を再度検討し直す必要が出てくる。しかし、検討した結果、必ずしも株主総会の決定を受け入れる必要はない。ただし、連邦議会の調査委員会の調査が入る可能性もあり、総会の決定を全く無視することはできない。
株主総会に先駆け連邦国民議会 ( 下院 ) の経済委員会は13日、UBS役員の免責には反対であるという意見表明を行った。UBSは経営不振に陥った際、政府から援助を受けているが、その資金は返済済みだ。委員会の投票では免責に対する反対票15、賛成票7、危険1票だった。この結果は、実際には何の効力も持たないが、UBSの現会長で元閣僚だった、フィリガー氏にその日のうちに伝えられた。フィリガー氏は、政府が一民間企業に意見したことに対し、遺憾の意を表明したという。
総会の場でもフィリガー氏は、UBSが不当に低く評価されていると嘆き
「株主総会でこうした議題が討議されることになった環境を( 経営陣は ) 軽く見過ぎていた。現時点でこうしたことが討議されることは、( 金融界において競争力をそぐことになり ) 政治的に不利。過去のことで、将来への飛躍力をそがれることは問題だ」
と反論していた。
今年は好調の兆し
4月12日に発表になった今年第1四半期の業績概要によると、税引き前の利益は最低25億フラン ( 約2200億円 ) を計上した。一方、顧客資金は前年同期比では大幅に縮小したものの、流失し続けている。今年3カ月に限ってみても、資産運用および国内業務部門で80億フラン ( 約7100億円 )、アメリカの資産運用部門で30億フラン ( 約2600億円 ) 流出した。スイスの銀行に資金を預けることで納税を逃れようとする資産家に対する外国政府の取り締まりが厳しくなったことも背景にあるとみられる。
総会の場でオスヴァルト・グリューベル最高経営責任者 ( CEO ) は、利益を挙げたことを指摘し
「UBSは再び業務に戻った。問題を解決し、将来に向けた長期的見通しのある経営方針が確認されたものだ」
と語った。
現役の経営人へ6870万フラン ( 約60億円 ) 、退職した経営陣には4000万フラン( 約35億万円 ) の賞与を支払う件について「参考的な投票」が行われ、これは認められた。金融界の雇用市場の現状を説明し、巨額の報酬を示され1つのグループが全員ごっそり他社に引かき抜かれていったことや、離職する人たちを引き留めるために大金を使ったことなどを例に挙げた。状況は徐々に是正されているものの、UBSだけでの努力ではどうにもならず、銀行はジレンマにあると語り、現在の制度を支持した。
現旧経営陣への賞与反対は有効票の39.4%を占めた。反対者の多くが個人の株主であることを考えると、賛否の差は比較的小さいとみられている。年金ファンド「エトス ( Ethos ) 」の運営者、ドミニク・ビーダーマン氏は
「これも、歴史的な出来事。約4割が反対した。たとえ参考的な投票であっても、はっきりとしたメッセージだ。経営陣は機関投資家を交えて、給与制度の検討をすることを望む」
と語った。
佐藤夕美 ( さとうゆうみ ) 、swissinfo.ch
UBS銀行の経緯
世界金融危機により、UBSは巨額の被害を被った。特にアメリカの融資部門で発行された不良債権が経営に大きな負担をもたらした。
2008年の赤字は200億フラン ( 約1兆8000億円 ) と同行創業以来の損失を計上した。
2007年は52億フラン ( 約4600億円 ) 、2009年は27億4000万フラン ( 約2400億円 ) だった。
政府はUBSに対し、転換社債60億フラン ( 約5300億円 ) の形で増資。スイス国立銀行 ( SNB ) は「毒を含む投資」を期限付きで購入した。
2009年UBSをめぐり、政府や監督庁である連邦金融監督局 ( Finma ) の責任も問われ、連邦議会の調査委員会の調査の必要性についてはこの夏に決定される。
アンケート調査
フランス語圏の週刊誌「レプド ( l’Hebdo )」が600人のスイス人を対象として行ったアンケート調査では4分の3がUBS銀行の元経営陣に対し民事訴訟を起こし、マルセル・オスペル氏に損害賠償を求めることを支持している。10%の人が免責を支持。14%は分からないと答えた。この背景にあるのは、老齢年金や企業年金運営者が、UBSの経営に強い不信感を持って、批判的になっていることが指摘されている。こうした多くの失策に対する責任が問われないことに、理解できない人が多くいるという結果で、特にスイスという国のイメージさえ悪くした責任がUBSにはあると思っている人が多いと、この背景を分析した。
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