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スイスでは、基本的な医療サービスが受けられる一般健康保険への加入が連邦憲法で義務付けられている。健康保険は87の民間企業や基金、協会などによって運営され、それぞれ掛け金が異なる。特別なサービスを受けられる「補足健康保険」への加入は任意だ。
3月11日の国民投票で問われるのは、1項目。一般健康保険を全国で一本化し、掛け金は所得によって、定めるというイニシアチブの是非である。
健康保険の掛け金が毎年上昇し、市民の負担は深刻だ。2003年5月にも、付加価値税を引き上げ、低所得者に対する掛け金の補てんを提案したイニシアチブの是非が問われたが、7割以上が反対し却下された。
競争原理が働かないと政府反対
イニシアチブを発足したグループは、健康保険を一本化することで、事務経費や宣伝費が節約され、掛け金も下がると主張している。一方、政府および議会、社会民主党 （SP/PS ）を除く3つの政権党、医師たちはこのイニシアチブに反対だ。健康保険会社間の競争がなくなることで経費削減の努力がなされず、サービスも低下する。低所得の加入者にはすでに国の補助があるとして、一本化しても掛け金の上昇にブレーキをかけることはできないという考えだ。
イニシアチブ発足グループは、健康保険会社は「リスクの高い」老人や病気がちな人をなるべく避け、低リスクの男性の若者を積極的に受け入れる傾向にあると主張し、正しく、国が指すところの競争原理を否定していると言う。
掛け金算出に大差
イニシアチブ発足グループは健康保険の一本化で、経費が5億フラン ( 約490億円 ) は節約できると主張している。しかし、導入後の掛け金について健康保険会社協会「サンテスイス ( santésuisse )」 がインターネットの価格比較機関「コンパリス ( Comparis ) 」 に算出させた数字と大きく異なり、国民は判断に迷うところだ。
保険会社と居住地域によって差があるものの、イニシアチブ側は年収9万フラン ( 約880万円 ) の人は1カ月300フラン ( 約2万9000円 ) の節約ができると計算し、コンパリスによると逆に500フラン ( 約4万9000円 ) 余計に支払うことになるという。所得が高くなるほど、イニシアチブとコンパリスの差は大きくなる。政府は、一本化されれば中産階級が大きなダメージをこうむるだろうと警告している。
スイスのように健康保険制度が多数の健康保険会社による運営で、所得に掛け金が連動しない国はヨーロッパでも少ない。
swissinfo、佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )