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幻覚剤LSDを発明したのは、スイス人のアルベルト・ホフマン氏だ。９５才になった今、ホフマン氏は自然に囲まれ静かに暮らしている。
幻覚剤LSDを発明したのは、スイス人のアルベルト・ホフマン氏だ。９５才になった今、ホフマン氏は自然に囲まれ静かに暮らしている。
バーゼル近郊Birsigのアルベルト・ホフマン氏宅の書斎からの眺めは、ホフマン氏が生まれた約１００年前からほとんど変わっていない。ホフマン氏はバーゼルの化学薬品メーカー、サンドス（チバガイギーと合併、現ノバルティス）に長年勤務していた。LSDの発明は世界を変えたが、またホフマン氏の人生も変えたという。現在、ホフマン氏は木立の中や庭を散歩するのが日課だ。
ヒッピー時代を築く原因となったとされるLSDについて、ホフマン氏は物質世界と精神世界の間の掛け橋だと言う。「人間の種々の生理学上のシステムを調整するのに薬が必要なように、精神的な感覚を刺激するためにも薬が必要だ。現実の世界では、物質面だけが全てではなく、精神面も大切だ。が、我々の暮らす合理社会では精神的なものとのコンタクトを忘れがちだ。」
６０年代から７０年代にかけて、世界じゅうの人間が１人残らずドラッグでハイにならなければ世界平和は不可能だと人々を煽動した米国の心理学者ティモシー・レアリーが、１９７１年スイスに亡命しようとした原因の１つはホフマン氏の存在だった。また、アンディー・ウォーフォール、ジャスパー・ジョンら２０世紀を代表するポップ・アーティスト、作家のトム・ウォルフらもLSDによってインスピレーションを受けたとしてホフマン氏に作品を捧げた。
ホフマン氏は、LSDの大量使用は政治の薬に対する態度を硬化させ禁止へと追い込まれると強く非難している。が、LSDの心のセラピーでの有効性は確信しているという。ホフマン氏自身、３０年前までLSDを服用し「精神の旅」に出ていたが、必ず友人と一緒に管理された状況でのみ服用した。が、唯一の例外があるという。
第２次大戦中、循環系刺激を研究していたホフマン氏は、５年前に有効性がないとして除外された物質を思い出した。それは、ライ麦などの穀物に繁殖する菌類、ergotから派生された物質だった。１９４３年までにサンドスはより繊細なテスト・メソッドを開発していたため、ホフマン氏はもう１度試してみたいと思ったのだった。「偶然、吸い込んでしまった私は、即座に陽気な気分になった。」とホフマン氏は当時の様子を思い起こす。この偶然の発見からホフマン氏は自ら実験台になることを決心した。ある春の日、ホフマン氏は０.２５mgのLSDを服用した。それは、完全にハイになれる量の３倍だった。
ホフマン氏はLSDは神聖な薬物だという。第２次大戦後、彼は世界各地の古代文明でこの「魔法の物質」が用いられていた事を突き止めた。メキシコのマザテク・インディアンが宗教儀式で使用していたキノコが天然LSDを含有している事実を発見し、また、古代ギリシャでも毎年の生殖儀式期間中に配られた聖なる飲み物にLSDを加えたと思われ、野生の菌類が擬似物質を含有していたことを発見した。
ホフマン氏は、LSDの全面禁止については批判的だ。少なくとも精神障害の治療にはその有効性がすでに証明されていることから、LSD使用を認めるべきだと言う。が、LSD合法化以外の問題について語るのは、気が進まないようだ。彼自身、LSDのことを「私の問題児」と同名の著書の中で述べている。
ところで、ホフマン氏は化学薬品産業の研究における環境は１９４０年代より大きく変わっているのだろうかとの問いに、唯一の違いは動物実験の有効性が進歩したことだと答えた。