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文化財譲渡法は美術品取引における法制度をはっきりさせ、悪用を防ぐ。これはインターネット上の美術品売買においても適用される。連邦文化局はこのほど、イーベイと取引協定を結んだ。
文化財譲渡法は、文化財を取引する際に厳格な監視を要求する。文化財を取引する人は、売買以前の段階で、対象となる美術品が盗品ではないか、所有者の意志に反して手離された物ではないか、または不法に発掘、略奪された物ではないかを明らかにしなければならない。
インターネット取引の変化
この法律は、個人が文化財を直接売買する場合にも、インターネット上で売買する場合にも適用される。その文化財がスイス国内の物であるか、海外から輸入された物であるかといったことは問われない。
美術品の専門取引においては、監視がさらに厳しくなる。美術商人は、美術品取引が登記簿に記載されるよう管理しなければならない。法律の監督は、連邦文化局( Bundesamts für Kultur/BAK ) の文化財国際譲渡専門部署に委ねられる。
2008年11月の時点ではまだ、スイス州認定考古学者会議の会長のシュテファン・ホッホウリ氏は、「チューリヒゼー・ツァイトゥング ( Zürichsee-Zeitung )」紙 の取材で「インターネット上の販売者はほとんど法的義務を果たしていない」と説明している。
考古学上意義のある、矢じりや硬貨、中世時代の文化財、古美術品といった、全ての先史時代の美術工芸品は、いつの時代も証明書や拾得地証明がないまま販売されてきたのだ。
連邦文化局による措置
2005年、文化財取引の際に問題となる、法律の大きな穴を埋めることを第1の目的に文化財譲渡法が施行されたが、今秋に入りようやく、連邦文化局はイーベイ( eBay ) と取引協定を結んだ。以前は、違法な商業取引や輸出入品には、特に不法に発掘、略奪された考古学分野の文化財が多くあった。
ようやく文化財譲渡法が施行されたおかげで、スイスの法律は国際基準に達したが、インターネット上の美術品取引は増加した。通常の美術競売者は、専門家によって検査された美術品だけを競売にかけるが、イーベイやリカルド ( Ricardo ) といったインターネットオークションは、そういった監視がないいまま美術品が提供されていた。
連邦文化局の専門部門責任者のベンノ・ヴィトマー氏は、イーベイとリカルドのサイトの美術品取引に関与するリスク管理部門と話し合う機会を持ったと明かし、その話し合いで、リカルドは連邦文化局の取引基準に関する助言をあっさりと受け入れたという。そして、その約束は即座に実行された。
しかし、イーベイとほかのインターネットサイトの取引基準は以前と変わらないままだった。2008年に入り、連邦文化局はイーベイと協力して美術品取引を監視するようになった。ヴィトマー氏によると、当時は日々、最高で50点の問題のある文化財がインターネット市場に売りにだされていたとみられている。
グローバルな市場でもスイス国内の法律が有効に
ヴィトマー氏は、スイスでは民法が古代の発掘物を規制していると語る。本来、発掘物は、出土した州に属するという。
文化財譲渡法によって、2005年より発掘物は地方当局の許可なしでは売買が不可能になった。発掘物を不法に取り引きしたり、略奪したりした場合、輸出入、売買、仲買に関わった全ての人が罰せられる。文化財譲渡法は、美術品が発掘されてから売買されるまでの一連の取引を規制する。
インターネット上での取引は、対象となる美術品が必ずしもスイス国内にあるとは限らない。しかし、こういった状況下でも文化財譲渡法は適用される。
「違法の文化財をスイスで取り引きする、もしくは、違法取引された美術品に関わるだけで、犯罪を犯したことになります。スイスでミラノにある美術品を購入した人は、スイス国内に輸入する際に申告しなければなりません。しかも、正確にです。さもなければ、違法行為となります」
とヴィトマー氏は説明する。
イーベイは、連邦文化局と取引協定の話し合いを行った際、二つの選択肢があったとヴィトマー氏は語る。一つは、イーベイが、美術商人が美術品の全ての売り手と全ての美術品を検査するように、法的に必要とされる厳格な監視義務を果たすという条件。もう一つは、出所が明確で、公正な文化財だけを競売に出すように取り計らうという条件だった。イーベイは、世界最大のインターネット美術取引を行う立場として、後者の条件を選択した。
国によって異なる法律
ヨーロッパ諸国のうちドイツ語圏だけを取り上げても、法律は国によって異なるとヴィトマー氏は説明する。
「ドイツは、ようやく最近になり1970年に採決されたユネスコ条約を批准しました。オーストリアは批准していません。スイスは2003年に批准しています」
すなわち2005年に施行されたスイスの文化財譲渡法は、国際基準のユネスコ条約がスイス国内において順守されているという点で、多くの国で手本となっていることが分かる。
ドイツでは、今もって文化財において、一種の州連邦主義が盛んだ。古代発掘物については、同じドイツでも南のバーデンヴュルテンベルク ( Baden-Württemberg )州では申告しなければならないが、北のノードハインヴェストファーレン ( Nordhein-Westfalen ) 州ではその必要はないといった違いがある。
アレクサンダー・キュンツレ、swissinfo.ch
( 独語からの翻訳 白崎泰子 )
連邦文化局 ( Bundesamts für Kultur / BAK ) ：取引協定
連邦文化局とインターネットオークションサイトのイーベイ( eBay )は、10月に文化財の販売に際して出所を厳しく監視するために取引協定を結んだ。
この協定は、スイス全土のイーベイサイトに適用される。
以前は、決められた品目において、証明書が必要とされ、これによって国内外当局は、考古学上重要な文化財の販売を許可していた。
連邦文化局は、既に2005年からスイスで最も利用されているインターネット販売サイトのリカルド( Ricardo )と協力してインターネット上の取引を監視している。
文化財譲渡法について
2005年、スイスで文化財譲渡法が施行される。
この法律は、美術商人と競売会社、またその顧客の身元確認を要求する。
盗品文化財に対する返還訴訟の時効は5年から30年に延長される。
スイス国内外への文化財輸出入は、年間およそ15億スイスフラン( 約1350億円 ) に上る。
ベンノ・ヴィトマー氏略歴
2008年 6月より連邦文化局 ( Bundesamts für Kultur/BAK ) の文化財国際譲渡に関する専門担当責任者及び、略奪美術品の問い合わせ担当責任者として勤務。
バーゼルとジュネーブの大学で法律を専攻し、弁護士資格をバーゼルで取得。
後に、オーストリア文化研究所に勤務する傍ら、ロンドンで美術史を専攻し、学業を終了する。
経済法を専門に数年間実務経験を経た後、2005年、連邦文化局の職に就く。
文化財譲渡に関するデータ
1962年、スイスは武力紛争の際の文化財の保護に関するハーグ条約を批准。
2003年10月、スイスは、文化財の不法輸出入及び所有権譲渡の禁止及び防止をする措置として、1970年にユネスコ総会で採択されたユネスコ条約を批准。
2003年 6月に連邦議会で議決された、文化財が国際的に移転される際の新法律が2005年 6月に施行。