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2015年10月20日火曜日
ビルマの籃胎（一）
まるでストゥーパのような形をした蓋物は、もともと何を入れるためにつくられたのでしょうか。
木を轆轤で挽けば、わりと簡単にできる形ですが、籃胎（らんたい）でつくるとなると、ちょっと手間です。
籃胎とは、竹を籠に編んで下地をつくり、それに漆を塗る技法です。
木を彫ったり組んだりすることは、今では道具が発達して簡単なことのように思えますが、大きな木を切り倒してからとなると大仕事でした。
轆轤を挽くには道具や技術が要りましたし、板を組んで箱をつくるには、道具だけでなく薄い板をつくる技術や、丈夫に組む技術が要りました。それに比べると、竹を編む籃胎は、より簡単な道具で下地をつくることができたと言えます。
しかも、出来上がりはとても軽いものでした。
１９８１年に、タイのビザを延長するためにタイ国外に出なくてはならなかった女性三人がビルマに行くというので、同行したことがありました。
ラングーンの町では、ロンジー（男性のサロン）姿のおにいさんたちが、直径４０センチもある大きな籃胎のボウル（鉢）を天秤棒で二つぶら下げて運んでいたり、道端に腰をおろして両脇にボウルを置いて商いをしていたりしました。
片方に砂糖水、片方に豆や小さな器など入れて、路上で混ぜてみつ豆をつくったり、スープやおかずを売ったりしていたのでしょう。籃胎は軽くて、持ち運びにとても便利なのです。
ビルマの籃胎の技術の高さは、キンマ道具入れなど、蓋ものに発揮されています。細い竹ひごで薄い籠をつくり、鋭角に曲げ、厚みは２ミリもないものもあります。
この蓋ものは、籠を絞ったり膨らませたりとでこぼこに編み、縁や底にはさらに竹を貼りつけて凹凸をつけ、複雑な形にしています。
かけた手間は、ただただ美を求めてのことでしょうか。だとしたら、心の豊かさと高い技術に脱帽する以外ありません。
籃胎の上には、日本では 蒟醤（きんま）塗りと呼ばれる、模様が施してあります。
漆を塗り重ねてから細く小さく紋様を彫り、それに別の色の漆をすり込んで、磨いて仕上げます。
平行な直線は定規を当てながら彫っているようです。
蓋の模様は、うろこの紋様です。
蓋のてっぺんには、針で突いたような小さな穴が残っていますから、同心円はコンパスを使って彫ったことがわかります。
見えるところだけでなく、蓋を閉めると見えなくなるところにも、同じ精度で模様が施されているのが、ビルマの籃胎の蓋ものの特徴です。
蓋は、ぴったりと閉まります。
そして、誰も見ない底にも、鳳凰の模様が施されています。
ここにも、よく見ると中心に小さな穴が開いているので、コンパスを使ったようでした。