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筋肉が脳の指示に従わなくなったらどうすればいいのか？ボツリヌス毒素製剤であるボトックス ( Botox ) はこうした病気にとても有効だという。
11月18〜26日は「ヨーロッパ、筋肉と神経の緊張、痙攣 ( けいれん ) 病を考える週」であった。これを機に、スイスインフォはベルン大学病院の神経学科を訪れた。
注射を打たれるその瞬間、アンナ・Kさんは「ちょっと待ってください」と言って、すばやく左手で右手をつかんだ。右手をきちんと固定するためだ。「25歳の時でした。急に、右手が勝手に動きだしたのは」。その後、このボトックスのお陰でやっと右手を普通に使えるようになったのは20年も経ってのこと。「でも、この薬を使おうと決心するまでに、またしばらくかかりました」と言う。
精神的なものではない
筋肉に注入された、このブツリヌス毒素製剤が神経の末端にまで行き渡るには、数日かかる。これは、神経筋伝達機能を弛緩 ( しかん ) させ、アンナさんの筋肉が極度に痙攣するのを防ぐ。
その後、3カ月すると、アンナさんは再びベルン大学病院神経学科に来なくてはならない。この薬が有効なのは、およそ3カ月間だからだ。
「確かに何回もの往復です。でも、少なくとも今は症状をどう止めるのか分かっています。以前は理由が分からなくて、ヨガから精神療法までありとあらゆることを試みました。でもこの病気は精神的なものが原因ではないということは、はっきりしています」と言う。
原因不明
「筋肉と神経の緊張、痙攣病」は病理学の中の様々な分野にまたがる。結局、様々な筋肉が影響を受けて起こる病気だが、実際の所、まだ分かっていないことが多い。
「この筋肉と神経の緊張、痙攣の病気はパーキンソン病に次いで、よく起こる病気ですが、分からないことが多いのです。つい最近、遺伝子学での様々な発見や、科学的な新しい方法で少し何かが見えてきたところです」とベルン大学病院神経学科の「体の動きの障害、特別診察科」のアレン・ケリン医師は説明する。
あまりに知られてない
ケリン医師は診察で、「この病気があまりに知られてないこと」を痛感する。「多くの患者がここに来るまでに、数軒の病院を訪れているのには、驚かされます。例えば瞼が勝手に動く『眼瞼痙攣 ( がんけんけいれん )』 にかかると、まず眼科に行って正常だと言われ、今度は精神科に行ったりするのです」
「精神科に行くとまた時間がかかり、何年も無駄に時が過ぎていくのです。だから『ヨーロッパ、筋肉と神経の緊張、痙攣 ( けいれん ) 病を考える週』といった週があることは情報が広く行き渡るという意味でとても大切です。何年も苦しんだ病気が、ボトックスを注射するだけで良くなるのですから」とケリン医師。
やはりボトックス
「ボトックスが全ての筋肉に関する病気に有効だとは言い切れません。しかし一度試してみる価値はあります。論理的には、かなり強いアレルギー反応が副作用として起こるといわれていますが、それ以外の副作用はまだみたことがありません」とケリン医師。
「もし、注射して効果があると判断すれば、適量のボトックスを筋肉に直接注射するのです」と続ける。
ボトックスで病気が治るわけではない。しかし、少なくとも、筋肉痙攣を弛緩できる。この病気の原因が解明される日を待ちながら、今のところ多くの患者にとって一番よい対症療法は、やはりボトックスのようである。
swissinfo、ニコレ・デラ・ピエトラ 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 意訳
筋肉と神経の緊張、痙攣病
「筋肉と神経の緊張、痙攣病」にかかった人は、筋肉の動きを統御できない。筋肉が極端に動いたり、痙攣したり、時には痛みをともなう。これらは神経系の機能がうまくいかないせいである。
基本的には、体の一部の筋肉が冒されるが、時には体のある部分全体が冒される。典型的なものとして、眼瞼痙攣 ( がんけんけいれん ) 、痙性斜頸 ( けいせいしゃけい )、声帯痙攣、 そして音楽家や作家の腕の痙攣などがある。
「筋肉と神経の緊張、痙攣病」の原因は解明されていない。専門家は、とにかく患者の脳に関係した、体の中心的機能が問題なのであって、精神状態が関係しているのではないという。
この病気の一番よい対症療法はボトックスだといわれている。
専門家によると、スイスではおよそ7000人がこの病気にかかっているという。