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基本的にやせているか太っているかで健康度を測るとして、やせていて健康的なライフスタイルを送っている人 は健康保険料を安くするという提案に、議論が沸いている。
いかに医療費の値上げをストップさせるかという討論の中で、太りすぎの人に多くの負担を強いるという案は不公平で、保険の財政と太り過ぎは別問題だと反対する意見が聞かれている。
自己管理の必要性
急進民主党 ( FDP/PLD ) の国民議会議員で医師のフェリックス・グッツヴィラー氏は、任意を基本としてボディーマス指標 ( Body Mass Index/BMI ) や体力検査を通し健康体であると認められた人には健康保険料を安くする制度を提案している。こうすることで国民が自己の健康管理に目覚め、責任を持つようになり、医療費も節約になるとグッツヴィラー氏は主張している。
急進民主党全体が反対している意見だが、政界やメディアには大きな波紋をもたらしている。消費者の最大関心事として3年間続けて挙げられたのが健康保険料の負担だったこともあり、スイス消費者フォーラム ( kf ) も2月末、討議の主要課題として取り上げた。
スイス消費者フォーラムの討議には提案者グッツヴィラー氏と同じ急進民主党党員のドリス・フィアラ氏が出席し、最近17キログラムの減量に成功したことを例に挙げ、党がこの提案に勇気をもって賛同すべきであると主張した。スイスでは4割の住民が太り気味で、9%は肥満といわれている。「これは、流行と言っても間違いではない」とフィアラ氏は指摘する。糖尿病や心臓病の原因ともなり、子どもたちは太っている傾向にあるという。
BMIでは不備
一方、肥満対策基金のハインリッヒ・フォン・グリューニゲン氏は討議の場で「BMIボーナス」は不備があると指摘した。
「( 健康保険会社の ) 財政に、否定的であれ肯定的であれ、直接刺激的な影響を及ぼす提案は興味深いものがある。しかし、BMIは適さない」
との意見だ。BMIはその人の体重と身長から健康体の体重をはじき出す。BMIが18.5から25であれば、理想の体重で、30以上であれば肥満となる。
「BMIが低い人でも、BMIが平均より高くとも健康な人と比べて、病気になりやすい人がいる。BMIが高い人でもBMIが低い麻薬患者などより健康ということもありうる」
とフォン・グリューニゲン氏は指摘する。いずれにせよ、調査によれば体重による差別が健康保険の財政に与える影響はみられない。どのような判断が適切なのかは分らないという。
「解決法の一つは、健康食品を安くし不健康な食品は高く設定するということか」
とフォン・グリューニゲン氏は言う。
差別的で実践不可能
スイス消費者フォーラムの会長、フランツィスカ・トレーシュ・シュニーダー氏は、BMIは一面的で、貧困層や重労働者、移民家族をターゲットとしているという意見だ。
「フィットネス器具を買いなさい。スポーツに時間を使いなさい。高い健康食品を買いなさいと、こうした人たちに強制することはできない。フェアーな案ではない上、さほど節約はできないと思われる」
スイス健康保険協会 ( Santésuisse ) のフェリックス・シュノイヴィリ氏は、肥満を保険料とリンクさせることに反対ではないが、こうした提案は実践不可能だとみている。
「体重管理に正しい方法を用いているかというチェックは難しい。事務コストが膨大にかかるだろう」
と語る。
増加し続ける医療費
参加者の誰もが医療費を抑える必要性があると認識している。チューリヒ工科大学 ( ETHZ ) の景気調査機関 ( KOF ) の発表によると、スイスの医療費は2007年で553億フラン ( 約4兆5700億円 ) で、アメリカとフランスに次いで最も高い上、2009年には600億フラン ( 約4兆9600億円 ) に上るとみられている。
グリューニゲン氏は医療費全体の1割を占める肥満者をターゲットとしても、医療費を大きく節約できないとみている。例えば、患者が望む診断を得るまで次々と病院をめぐり歩くことを止めさせることで節約できるという。
シュノイヴィリ氏は、医療機関の競争がないことが問題であると指摘し、少ない資金でより良い仕事をするように仕向けることが必要だという。
トレーシュ・シュニーダー氏は、一つのグループをターゲットとするのではなく、全員が少しずつ痛み分けをすることが必要だという意見だ。
イゾベル・レイポルド・ジョンソン 、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、佐藤夕美 )
スイスの医療制度
2007年の医療費は553億フラン ( 約4兆5700億円 ) で、国内総生産 ( GDP ) の10.8%を占めた。増加も激しく、2007年の上昇率は4.9%だった。
2010年の健康保険料金は前年より平均8.7%上昇した。
2009年、パスカル･クシュパン前内務相の提案で、まず電話で医師に相談してから、医療機関へ行く制度については、今回の連邦議会で審議される。また、ホームドクターを経由せず直接病院に行く患者の費用負担を加算する案は、多くの政党が支持している。