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「放射性物質で汚染された海底の土は取り出さずにそのまま残し、その海域を恐らく数十年封鎖した方が賢明だ」とニコラス・グルーバー教授は話す。
連邦工科大学チューリヒ校（ETHZ/EPFZ）で海洋科学を専門にするグルーバー教授は、PCBなどで汚染された海底の土を取り除こうとして失敗した経験を持つ。福島原発から南北方向に１００～２００キロメートルにかけての沿岸では、深刻な海の汚染が進む。
今回の海洋汚染のあり方、海洋生物の食物連鎖による汚染の蓄積、他国の海域への影響、汚染の封鎖方法など、さまざまな疑問を投げかけてみた。
swissinfo.ch ： 放射性物質による海洋の汚染という観点から、福島原発事故をどう捉えていますか。
グルーバー ： ６月初めの日本の関係省庁からの発表では、放射性物質のセシウム１３７とセシウム１３４が高濃度で海洋中に発見されている。セシウム１３７に焦点を絞ると、それは通常容認できるレベルの３００倍だという。我々が以前、同じ場所で測定した値に比較すると１０００倍。非常に深刻な汚染だ。しかし、こうなるだろうと予想された数値だ。
汚染は原発の冷却に使った水や、現場にたまっていた水の一部が海に流れ込んだ結果だ。放射性物質の一部は海流の流れで直ちに拡散されるが、一部は海中の微粒子に付着し、やがて海藻に吸収され、海底の地層にたまる。
また、特にセシウム１３７は海の微生物や貝などに摂取され、それを食べる小型の魚に、さらにそれを食べる大型の魚にと食物連鎖で徐々に蓄積されていく。
セシウム１３７は半減期が３０年。従って海から完全に消えるには１００年近くかかる。ストロンチウム９０もまだ発表されていないが、恐らく出てくるだろう。つまり今回の福島原発事故が海洋生物にとって大きなダメージとなることは確かだ。
ただ、海洋生物に対する低いレベルの被曝の影響、例えば遺伝子的な奇形などについては、研究がほとんどないため何とも言えない。
swissinfo.ch ： では、こうした食物連鎖の結果、いつごろから汚染された魚が日本の食卓に上るのでしょうか。
グルーバー ： 私はその専門家ではないが、大切なことはどの放射性物質がどれほどの範囲に拡散されたかを正確に検証し、その「汚染地図」を作成することだ。その上で、セシウム１３７がどれほどのスピードで食用の大型の魚の中にたまっていくかを調査し、その結果に従い福島近海の漁場を閉鎖するなどの処置を政府は取っていくべきだろう。
swissinfo.ch ： 最近、小型の魚のセシウム汚染の記事が日本で掲載され、大型の魚が汚染されるまでには数カ月かかるとありましたが、どう思われますか。
グルーバー ： もっと時間がかかるだろうというのが私の意見だ。まず汚染された小型の魚を中型の魚が食べ、さらに大型の魚がそれを食べて汚染されるまでにはかなり時間がかかるからだ。
また小型の魚が１０キロメートル位しか移動しないのに対し、大型の魚には種類によって、かなり移動するものがいる。例えばマグロは数百キロメートルも移動するため、汚染度が少ないと考えられる。一方で大型でも狭い海域にとどまるものがある。従って、大型の魚の種類によって、また何を食べるかによって、汚染の時期や汚染度は異なる。
swissinfo.ch ： ところで、海の汚染はほかの国にも影響を与えますか。
グルーバー ： 現在の状況を見る限り、汚染は福島第一原発を中心とした地域的なものになる。しかし第一原発から南北方向に１００キロメートルから２００キロメートルもの沿岸海域が汚染されている。従って日本の、その地域の漁業が残念ながら大きな打撃を受ける。
ほかの国は心配しなくてもよい。高濃度の深刻な汚染だが、巨大な太平洋の中で放射性物質は拡散されてしまうからだ。
例えば銚子沖の汚染された海水を太平洋の中心部まで運ぶような黒潮の流れがあるが、とにかく太平洋の大量の海水で拡散されるため、ハワイやカリフォルニアが汚染されるというようなことは考えられない。
swissinfo.ch ： 海底の汚染を除去できるでしょうか。
グルーバー ： 理論的には可能だが、海底の汚染除去は最善の方法ではない。汚染された海底の地層を削り取りどこかにストックする方法は、放射性物質ではないが、ほかの汚染で、例えばDDTやPCBに汚染されたカリフォルニアの海域で試みたことがある。
しかし結果は、地層を削っても海から取り出す前にそれらは周囲に拡散して、うまくいかない。結論としては、放射性物質を海底にそのまま残し、その海域を長期間にわたって封鎖するのが賢明だ。今後どの程度の汚染になるかにもよるが、恐らく最低数十年にわたる封鎖が必要だろう。
swissinfo.ch ： 汚染を封じ込めるために、ほかに何かいい方法はないのでしょうか。
グルーバー ： 今はまだまだコントロールできなていない状況にあり、さらに台風などで、今後大雨が降れば、原発事故現場の汚染だけではなく、内陸の広い地域の放射性物質も海に流れ込む。
従ってこうした海への汚染水の流入を食い止めることが大切だ。汚染水から放射性物質を除去する方法も悪くはないが、これがすべての問題を解決するとは、１００％ 確信できない。
結局、汚染された空気、水、土などを封じ込めるような巨大な構造物を、原発の周囲に作るというのが最善の方法だろう。
swissinfo.ch ： 最後に放射能汚染は今後何十年も残ると見ていいのでしょうか。
グルーバー ： 日本は巨大な問題を抱えてしまった。解決に向けた膨大な努力が必要になるだろう。チェルノブイリも（事故から）２５年たったが、汚染が除去されたというわけではない。
この汚染除去は資金的に、東京電力だけで行えるとは到底考えられない。従って日本政府が、ひいては日本国民が、この汚染除去という膨大な仕事に資金を投入しなくてはならないということだ。
ニコラス・グルーバー教授（Nicolas Gruber）
連邦工科大学チューリヒ校（ETHZ/EPFZ）、環境物理学科教授。
１９６８年、ペルーのリマに生まれる。
１９９７年、ベルン大学で自然科学の博士号取得。
２０００～２００５年、カリフォルニア大学で環境・環境科学の準教授。
２００６年から連邦工科大学チューリヒ校教授。
専門は生物地球化学的循環の中での海洋科学。近年は二酸化炭素（CO 2）の過去、現在、将来にわたる海水への吸収や海洋生物への影響などを研究している。インフォボックス終わり
チューリヒにて, swissinfo.ch