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くいなちゃんAug 22, 2017
「６さいからの数学」第6話では、図形に関することを公理から考えていきます！
第5話では、実数ℝを拡張してn次元ユークリッド空間(ℝn,d)を定義しましたが、今回はこの(ℝn,d)上で様々な図形を扱っていきます。
初等幾何学
まずは円や三角形などを扱うために、図形の公理について説明します。
図形に関する公理は「ヒルベルトの公理」と呼ばれるものが有名で、全部で20個あります。 多いですが、すべてを網羅してしまうとヒルベルトの公理の通りになります。
抽象的で解りにくいと思いますが、試しにこれらを使って「三角形の2辺が合同ならば2つの角も合同である」ことを証明してみましょう(二等辺三角形の問題)。
証明は二等辺三角形の問題の証明のようになります。
このようにヒルベルトの公理から図形の様々な性質を証明できますが、すべてをここから導き出すのは大変ですので、そこで以前にも説明した通り、その気になれば証明可能とした上で、本講座では既に証明された定理を紹介することにします。
幾何学の主な定理
ここでは憶えるべき重要な定理に絞って紹介します。
直線と角と三角形の性質
直線、角の基本的な性質は直線と角の性質の通りです。
図のように、平行な2つの直線と交わる直線に対し、「対頂角」「同位角」「錯角」はそれぞれ等しいです。
また、三角形の基本的な性質は三角形の性質の通りです。
三角形の内部の角を「内角」といい、線分を延長してできる外部の角を「外角」といいます。
このとき、3つの内角の和は2つの直角の和に等しくなります。
また、外角はそれに隣り合わない2つの内角の和に等しくなります。 例えばCの外角は、Aの内角とBの内角を足したものに等しいです。
円の性質
「円」はヒルベルトの公理では直接定義されていませんが、円の定義のように定義することができます。
またこのとき、点Oを円の「中心」といい、線分OAの長さを円の「半径」といいます。 円のことを「円周」と呼ぶこともあります。
ヒルベルトの公理からどのように円の定理が導けるかは想像しにくいですが、例えば公理Ⅴ-2を用いると、「線分ABにおいて、点Aが円Oの内部にあり、点BがOの外部にあるとき、ABはOと交わる」などの定理が証明できます。
円の基本的な性質は円周角と中心角の関係、接弦定理の通りです。
図のように、円周上の異なる2点によって切り取られた円の一部を「弧」といいます。
弧の2点と、弧の上に無い点とが作る角を「円周角」といいます。 弧の2点と、円の中心とが作る角を「中心角」といいます。 このとき、同じ弧に対する円周角はどれも等しく、また中心角は円周角の2倍に等しくなります。
またこの図のように、円周上の異なる2点A、Bが作る直線ABと、Aを通る円の接線があったとします。 このとき接線上の点Cと線分ABとが作る角は、直線ABに対しCと同じ側にある弧ABの円周角ADBに等しくなります。 この定理は「接弦定理」と呼ばれます。
三角形の合同条件と相似条件
さて、2つの三角形において、対応する辺の長さと角の大きさがそれぞれ等しいとき、これらの三角形は「合同」であるといいます。 言い換えると「合同」とは、2つの図形を移動・回転・反転させると形がぴったり重なることともいえます。 2つの三角形が合同であるための条件は、三角形の合同条件の通りです。
また、2つの三角形において、対応する辺の長さの比と角の大きさがそれぞれ等しいとき、これらの三角形は「相似」といいます。 「合同」がぴったり重なることだとすると、「相似」は拡大縮小するとぴったり重なることだといえます。 2つの三角形が相似であるための条件は、三角形の相似条件の通りです。
図形の面積
図形の「面積」はヒルベルトの公理では直接定義されていませんが、三角形の面積を三角形の面積のようにおなじみの方法で定義することで、あらゆる図形の面積を相対的に考えることができます。
例えば多角形の面積は、三角形に分割してそれぞれの面積を足し合わせることで求まります。
円の面積は、円に内接するn角形と外接するn角形の面積を考え、nを限りなく大きくしたときにこの2つの面積が同じ値に収束することを利用して求まります(円の面積)。
「内接するn角形の面積≦円の面積≦外接するn角形の面積」という関係が常に成り立っているため、この2つのn角形の面積がある数に収束するならば、前回解説した極限の定義より、これらに挟まれた円の面積もその数に収束するといえます。
この方法のように、自然数nに対して常にa(n)≦b(n)≦c(n)であるような写像a、b、cにおいて、aとcの極限が等しいならばbの極限も等しくなることを「はさみうちの原理」といいます。 この定理は、直接極限が求まらないものを求めるときに役立ちます。
これを実際に計算すると、円の面積は「半径×半径×π」で求まることが分かり、πの値は「π=3.14159265358979…」という無理数になります。 πは「パイ」と読み、この値は「円周率」と呼ばれます。
ピタゴラスの定理
そのほか、図形に関する重要な定理として、「ピタゴラスの定理」があります。 これは、直角三角形の斜辺の長さをc、それ以外の2辺の長さをa、bとしたとき、「a2+b2=c2」が成り立つというものです(ピタゴラスの定理)。
三角関数
また、三角形と円から導かれる重要な概念として「三角関数」というものがあります。 ここで「関数」とは、基本的には写像と同じもので2つの集合の元を対応付けるものです。 ただし、1つの元に対応付けられる元が複数だったり、存在しなかったりするものも関数として許可されることがあります。
さて、「三角関数」とは、三角関数のように定義される3つの関数「sin」「cos」「tan」のことを指します。
図の左側のように、三角形ABCにおいて、角∠BCAが直角で線分ABの大きさが1のとき、角∠ABCをθとすると、「sinθ=線分CAの大きさ」「cosθ=線分BCの大きさ」と定義されます。 言葉ではなく図で把握したほうが解りやすいでしょう。 縦がsin、横がcosです。
また、図の右側のように、三角形ABCにおいて、角∠BCAが直角で線分BCの大きさが1のとき、角∠ABCをθとすると、「tanθ=線分CAの大きさ」と定義されます。 このとき、図の左側をそれぞれcosθで割って右側と比較すると「tanθ=sinθ/cosθ」になることが分かります。 cosθが0のときのtanθの値は定義されません。
ところで、角の大きさは、1周を「360°」とする「度数法」に馴染みがありますが、数学では1周を「2πrad」とする「弧度法」がよく使われます。 「rad」は弧度法の単位で、しばしば表記からは省略されます。 例えば「2πrad」のことは単に「2π」と書かれます(度数法と弧度法)。
「360°=2π」ですから、「180°=π」「90°=π/2」「60°=π/3」「45°=π/4」「30°=π/6」などとなります。
sinθやcosθが具体的にどのような数になるかといいますと、ほとんどは極限を計算しないと求まらないような複雑な数ですが、いくつかの値は分数や平方根で表すことができます。 例えば先ほどのsin、cosの定義から、π/2ごとのsinとcosの値の値が導けます。
|sinθの値||cosθの値|
|sin(0)=0||cos(0)=1|
|sin(π/2)=1||cos(π/2)=0|
|sin(π)=0||cos(π)=-1|
|sin(3π/2)=-1||cos(3π/2)=0|
|sin(2π)=0||cos(2π)=1|
また、θがπ/4、π/3、π/6のときも、辺の長さの比が「1:1:√2」や「1:2:√3」となるおなじみの直角三角形を考えることで、sinやcosの値が導けます(三角関数の性質)。
これらのsin、cosの値は頻繁に使いますので、憶えておくと役立ちます。
非ユークリッド幾何学
ここまでは、無限に広がる平面の上に三角形や円を描いたりするような、わたしたちに馴染み深い幾何学を考えてきましたが、数学的にはそれ以外の幾何学を考えることもできます。 例えば、球や曲面の表面に図形を描いた場合の幾何学です。
ヒルベルトの公理Ⅳ-1は「平行線の公理」と呼ばれますが、この公理を削除するとわたしたちに馴染み深い図形の体系とは異なる体系が生まれます。 わたしたちに馴染み深い体系では三角形の内角の和は2直角(2つの直角の和)と等しいですが、平行線の公理を削除した体系では2直角よりも小さくなることがあります。
平行線の公理を認めたわたしたちに馴染み深い体系は「ユークリッド幾何学」と呼ばれ、平行線の公理を削除した体系は「非ユークリッド幾何学」と呼ばれます。
また、平行線の公理以外の公理をいくつか削除することで、三角形の内角の和が2直角よりも大きくなる体系を作ることもできます。 この体系も、非ユークリッド幾何学に含められます。
解析幾何学
それでは最後に、「n次元ユークリッド空間(ℝn,d)」の中で図形を扱うことを考えます。
前回、ℝnの元を「点」と言うと説明しましたが、この「点」をそのままヒルベルトの公理における点とみなし、直線や平面などを「点の集合」だと考えることで、ヒルベルトの公理を満たすような体系がℝnに構築できます。 つまり、ℝnに定義されていた「座標」や「ユークリッド距離」といった概念がヒルベルトの公理の図形に対して適用できます。
例えば、ある図形がℝ2の点で構成されていた場合、それらの点はそれぞれ(x,y)の座標を持ちますので、その図形はy=f(x)という方程式によって表せることになります。 例えば、y=2x+1という方程式は、ℝ2上の一つの直線になります。
ℝ2における直線と円の方程式を図形の方程式にまとめました。
2点A(xA,yA)、B(xB,yB)を通る直線の方程式は、「(xB-xA)(y-yA)=(yB-yA)(x-xA)」と表せます。
中心O(xO,yO)、半径rの円の方程式は、「(x-xO)2+(y-yO)2=r2」と表せます。
図形を方程式で扱えるようになったことで、例えば「直線と円が2点a、bで交わっているときの線分abの長さ」のような、ヒルベルトの公理からは導けないものが計算できるようになります。
いろいろな図形
図形が方程式で扱えるようになったということは、逆に方程式で表されるものを新たな図形として考えることもできます。 ここでは色々な方程式が作り出す図形について紹介します。
指数関数
a>0かつa≠1であるような実数aに対し、「f(x)=ax」と定義される関数fを、「指数関数」といいます。 また、このときのaを指数関数の「底」といいます。
例えば、指数関数が作り出す図形として「y=2x」と「y=(1/2)x」という方程式を考えると指数関数が作る図形のようになります。
対数関数
a>0かつa≠1であるような実数aおよび、b>0である実数bに対し、ax=bを満たす実数xを、「logab」と表します。 例えば、「23=8」ですので、「log28=3」です。 言い換えると「logab」とは、「aを何乗するとbになるか」という数を表します。
このとき、x>0である実数xに対し、「f(x)=logax」と定義される関数fを、「対数関数」といいます。 また、このときのaを対数関数の「底」といいます。
例えば、対数関数が作り出す図形として「y=log2x」と「y=log1/2x」という方程式を考えると対数関数が作る図形のようになります。
三角関数
最後に、三角関数が作り出す図形「y=sin(x)」「y=cos(x)」「y=tan(x)」という方程式を考えると三角関数が作る図形のようになります。
角度は2πで1周するため、xに対して2πごとに同じ形が繰り返されます。
今回は、ヒルベルトの公理から導かれる図形の性質や、それをn次元ユークリッド空間で扱う方法について説明しました。 次回は、これらの図形の接線の傾きを求める「微分」について解説します！