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スイスで起こった事件やニュースをたどり、2009年を振り返る。上半期は金融危機の影響が収まらない中、脱税ほう助問題でドイツなどからバッシングを受け、スイスがOECDのグレーリストに載った。
一方、銀行最大手UBSはアメリカで脱税ほう助の容疑がかけられたことから、顧客情報をアメリカ当局に渡してしまう。こうして今年は、銀行の顧客情報に対する守秘義務が大きく揺らいだ。
1月13日
スイスへの難民希望者数が2008年は53%増加し1万6606人を記録。2003年以来最高となった。これを受け連邦政府は、難民受け入れ規定を強化し、スイス国民党 ( SVP/UDC ) が打ち上げた外国人国外退去を求めるイニシアチブに対応する政策を打ち出した。
1月15日
赤十字国際委員会 ( ICRC ) のスイス人アンドレア・ノッター氏を含む職員3人がフィリピンのホロ島で誘拐される。犯人はイスラム教原理主義過激派のアブザヤフ。
22日には、西アフリカのマリとニジェールの国境付近を観光中のスイス人の夫婦とドイツ人、イギリス人各1人が誘拐されるという事件も発生。
赤十字国際委員会のノッター氏は4月18日に解放。
7月12日にはマリでの人質も解放された。マリでの人質交渉に政府は、550万フラン ( 約4億9000万円 ) の経費がかかった上、人質になった夫婦もスイスへ帰国のための費用として、2万フラン ( 約180万円 ) の負担を強いられることになった。
1月28日
医薬品大手のロシュ ( Roche) の2008年業績発表。不況にもかかわらず同社の純利益は社史最高の82億フラン ( 約7200億円 ) を計上し、前年比を25%上回った。
2月1日
世界経済フォーラム、ダボス会議が終了。世界金融危機が会議の主要テーマとして挙げられ、世界中から集まった政・経済界の要人が意見を交換した。グローバル化に反対したデモでは約130人が一時拘束されたものの、大半のデモは暴動化することもなく、物的被害も前年より少なかった。
2月7日
スイス南部で10年来の大雪に見舞われる。2月15日にはジュラ州ラ・ブレヴィン ( La Brevine ) で、この冬最低気温マイナス33.1度を記録した。その後もスイスは大雪に見舞われ、交通事故が多発。鉄道のダイヤも大幅に乱れた。
2月8日
国民投票で、欧州連合 ( EU ) の新加盟国との人の行き来の自由化が予想を上回る59.6%の支持を得、承認される。チューリヒ州の州民投票では、外国人の富裕層に対する見込み課税の廃止が承認された。
2月9日
スイス大手銀行UBS、2008年の業績発表。最終的な赤字額は209億フラン ( 1兆8000億円 ) となる。同銀行創業以来、初めての赤字となった。アメリカ政府による顧客情報の開示要求、金融危機による巨額の損失などの問題から不信がつのり、資金を引き揚げた顧客は多く、その総額はおよそ2260億フラン ( 約20兆円 ) と見られている。今年も引き続き赤字経営となり、更なる人員削減も行われた。一方ボーナスについて金融監督庁 ( FINMA ) は、 UBS行員の2008年分の220億フラン ( 約2兆円 ) の支払と、2012年まで16億フラン ( 約1400億円 ) の支払いの可能性も認め、政・産業界から非難される。
9月には、大銀行を小型化する運動が、スウォッチ ( Swatch ) の創始者ニコラス・ハイエック氏、元閣僚のクリストフ・ブロッハー氏、社会民主党党首クリスティアン・レブラ氏などの間から起こった。
2月11日
クレディ・スイス ( Credit Suisse ) が2008年の業績を発表。UBSと同じく、最大赤字額82億フラン ( 約7200億円 ) を出した。
2月11日
連邦政府は景気活性化計画第2弾として、7億フラン ( 約600億円 ) を設備投資に投入すると発表。3月9日には連邦国民議会で、11日には連邦州議会同計画が承認される。
2月18日
UBSはアメリカ司法省の要求に従い、250件から300件の口座情報を開示。銀行の守秘義務を破るUBSの行為に対して政府が非難した。
2月24日、UBS株価が10フラン ( 約88円 ) を初めて切る。
2月26日には、経営陣が交代。最高経営責任者 ( CEO ) としてクレディ・スイスからオスヴァルト・グリューベル氏が、3月4日には会長として元スイス大統領のカスパー・フィリガー氏が就任した。
連邦政府はUBSに資金援助として投資をしていたが8月19日にその債券を売却。12億フラン ( 約1860億円 ) の利潤をもたらした。
8月19日に明らかになったところによると、UBSは4450件の顧客情報をアメリカ当局に渡し、脱税ほう助事件のアメリカでの裁判を回避した。
2月22日
スイスのアーティスト、ハンス・エルニ100歳の誕生日を祝う。
3月13日
ドイツのペール・シュタインブルック財務相が、メルツ大統領に対し、スイスは脱税ほう助をしていると激しく非難する中、スイスも納税犯罪の国際協力を定めた経済開発協力機構 ( OECD ) スタンダードを受け入れることに。これにより、スイス国内では外国人顧客に対する銀行の守秘義務が消滅した。
また3月25日にはアメリカと日本との租税条約の見直しを始め、その後他国とも交渉を始めた。連邦議会、プライベート業務を専門とするスイスの銀行などからメルツ財務相が非難される。
スイスはOECDの脱税ほう助国の「グレーリスト」に挙がっていたが、各国との租税条約の締結が進み、9月25日になって、リストから名前が削除された
4月20日
スイス連邦警察はマネーロンダリングの時効を無効とし、ザイールの故モブツ元大統領がスイス銀行に預けていた預金770万フラン ( 約6億8000万円 ) をザイール政府へ返却することを決定。7月14日に返却となった。モブツ資金は10年間、スイスの銀行に凍結されたままになっていた。
4月23日
メキシコから、新型インフルエンザ ( H1N1型 ) が発生したとのニュースが伝わる。スイスでは4月29日、連邦内務省社会保険局 ( BSV/OFAS ) に対策本部が設置される。翌日、スイスにおける新型インフルエンザの患者第1号が確認された。この男性はメキシコから帰国したばかりだった。
6月11日には世界保健機関 ( WHO ) が、新型インフルエンザの世界的大流行を認め、スイスでもパンデミックの段階であるフェーズ6へ。
5月17日
国民投票でIC旅券の導入が承認される。IC旅券はバイオメトリックス・パスポートとも呼ばれ、顔写真と2枚の指紋データをICチップに入れた旅券で、2010年の発行分からIC旅券に統一されることになる。
5月28日
機械・設備建設のゲオルク・フィシャー ( Georg Fischer ) は2300人の解雇を発表。
6月24日にはスルツァー社 ( Sulzer ) が1400人の解雇を発表。
6月17日、連邦政府が景気対策第3弾を発表し、失業対策に乗り出した。ほかのメーカーも人員削減や時間短縮などで、不況に対応したが、11月の失業率は過去6年間最高の4.2%に達した。連邦政府は、2010年の20歳から24歳の若者の失業率が10%に迫ると予想した。
5月29日
在トリポリのスイス大使館に拘束されているスイス人ビジネスマン2人をミシェリン・カルミ・レ外相が初めて訪問。
6月7日
テニスのロジャー・フェデラー選手、フレンチオープン初優勝。7月23日には双子の父親となる。
6月8日
スイスのホテル業界、2008年、2009年のウインターシーズンの収益が前期比6.1%減少。
6月12日
パスカル・クシュパン内務相 ( 急進民主党・FDP/PLD 出身 ) が10月末で引退すると表明。医療費の急増と健康保険制度の存続危機問題でクシュパン氏の有無を言わさぬ政策方針は、医師連盟などから厳しく非難されていた。
後任として同じく急進民主党出身の、ディディエ・ブルカルテール氏が9月16日、上・下院合同会議で選出される。
6月27日
ラ・ショードフォンとレ・ロクルの両市がヌーシャテル州の時計の町として、ユネスコ (UNESCO ) の世界遺産に認定された。これを含めスイスでは9カ所が世界遺産として認定されている。
構成 佐藤夕美 ( さとうゆうみ )、swissinfo.ch