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40の健康関連団体からなる喫煙に反対する連盟 が、スイス全土の全ての公共建造物内での喫煙を禁止するイニシアチブを立ち上げた。
スイス全26州の約半分は、バーやレストランでの喫煙を制限する規制をすでに設けている。しかしイニシアチブの提唱者は、スイスの法律は州によって異なる上、不十分だと主張する。
スイス国民は禁煙を望んでいる
「スイスの状況は非常に特殊です。喫煙を禁止しているソロトゥルン州と禁止していないアールガウ州の間の境界をまたがる町があります。つまり町の半分では喫煙が禁止され、もう半分では許可されるということになりますが、そんなことは不可能です」
と5月25日、「スイス肺連盟 ( Swiss Lung League ) 」の会長オットー・ピーラー氏は語った。
もし、このイニシアチブを反映した新法が可決されれば、レストラン、バー、学校、病院など、公共の建物の中では全面的に禁煙となる。また職場でも屋内での喫煙は禁止となる。この規制はスイス全土を対象としている。
「スイスがん同盟 ( Swiss Cancer League ) 」、多数の医療団体、そして「トラバーユ・スイス ( Travail.Suisse ) 」のような労働団体を含む反受動喫煙連盟は、この案件を国民投票に持ち込むために、10万人分の署名を2010年11月までに集めなくてはならない。
スイス国民の大半はすでに禁煙地帯を設ける運動を支持してきたことから、今回の動きが問題になることはないとイニシアチブの提唱者は述べる。
販売促進リサーチ会社の「デモ・スコープ社 ( DemoScope ) 」が640人を対象に行った調査によると、もし今日すぐに国民投票ができるならば、今回のイニシアチブは68%の圧倒的多数で可決される見通しだ。
「一般人には、全国的な禁煙に対する意欲があり、それを望んでいます」
とピーラー氏は言う。
賛成と反対
その「一般人」の中にはベルン在住のヴァルター・サックス氏のような人々は含まれていない。数ブロック離れたところで、イニシアチブのための署名が集められている一方、愛煙家と本好きのインテリが通い詰める「カフェ・ド・ピレネー ( Café des Pyrénées) 」の中でサックス氏はたばこ、「パリジェンヌ ( Parisienne ) 」を1本抜き取った。
この居心地の良いカフェの常連客サックス氏は、副流煙を時には1日1箱分以上も間接的に吸わざるを得ないレストランの従業員の健康を守る必要があるという意見も理解している。しかし、全国的な禁煙は最良の方法ではないと考えている。
「彼らがやっていることは全く民主的ではありません。禁煙にするかどうかは個々のレストランに決めさせるべきでしょう。それぞれの店にとってベストな方法を自分たちで決められるようにするべきです」
とサックス氏は主張する。
これはまさに、通りを渡ったすぐそこにあるシックな「チェザリー・バー ( Cesary bar ) 」のオーナー、チェザーリ・イノール氏が約3年前に行ったことだ。
自身も喫煙者のイノール氏は、喫煙が可能なのは夜間のバーのみと時間と場所を限定した。その結果、以前と変わらず夜間は喫煙でき、喫煙禁止の日中には子どもを連れた若い親たちが来るようになった。
「よろこんでくれたお客さんがたくさんいます。もし政府から完全に禁煙にするよう通達が出たら、もちろん禁煙にします」
個人の自由？
レストランの中では喫煙室のみでの喫煙を許可すると、議会は制限付きの禁煙を全国レベルで認可した。しかし、さらに厳しい規制を設ける権限は州政府にある。州政府は建物の面積を考慮しているが、多くの場合80平方メートル足らずの場所でも喫煙が許可されている。
その結果、現在では地域ごとに大きく異なるつぎはぎだらけの規制が適用されている。ウーリ 、バーゼル、ヴァレー /ヴァリスなどの州は、最近、公共の場所を禁煙にするためのより厳しい規制を支持したが、トゥールガウ州 ( Thurgau ) の有権者は否決した。
イニシアチブの支持者は、建物の大きさを計算する方法にはあまりにもたくさんの抜け穴があり、中途半端な寄せ集めの方策は大混乱を招く、特にさほど厳しくない規制を敷いている州と喫煙を禁止している州が隣接している場合は大混乱になると主張する。
「喫煙を禁止したくはありませんが、受動喫煙の害から非喫煙者を守らなければなりません。自分の行動が他者に害を与えるようならば、個人の自由は終わりです」
とイニシアチブの立ち上げを支援したザンクトガレンの急進民主党 ( FDP/PLD) 州議会議員エリカ・フォースター氏は述べた。
ティム・ネヴィル、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、笠原浩美 )
キーワード
スイスの非喫煙者は、2007年の67%から2008年には73%へと増加した。
たばこの煙は、ヒ素、カドミウム、鉛、放射性物質のポロニウムなど、4000以上の物質を含んでいる。
禁煙の成果
昨年心臓発作を起こしたハンツ・ルドルフ・メルツ蔵相を手術したベルンの心臓外科医のティエリー・カレル氏は、公共の場での喫煙を禁じるイタリアの法律は重大な成果を上げたと報告。2005年にその法律が可決されて以来、ローマでは35歳から64歳の男女の心臓発作が11%減少した。アイルランド、スコットランド、フランス、アメリカなど禁煙が施行されたほかの国でも同様の結果が見られる。また同氏は、もしスイスに同様の法律が導入されたならば、心臓発作などの冠状動脈の問題による発作は年間3300件の減少が予想されると述べる。インフォボックス終わり
副流煙の受動的な喫煙の影響
一般的な喫煙の影響と同様十分な研究がなされていないが、スイス人科学者による受動喫煙に光を当てた研究がある。
「大気汚染と肺病についてのスイスの研究 ( The Swiss Study on Air Pollution and Lung Diseases ) 」は現在も進行中で、過去15年間に肺と冠動脈システムに対する微粒子状物質の影響を研究してきた。
この研究によると、喫煙が行われている建物内部の空気中には、たばこの煙がない場所の空気中より平均8倍も微粒子状物質が多く含まれている。
室内の空気中に普通のレベルの33倍もの微粒子状物質が含まれているバーもある。
抜け穴
現在スイスのレストラン、カフェ、バーでは、10万人以上の従業員が副流煙にさらされている。それらの従業員自身は喫煙者でなくとも、1日15~38本分に相当するたばこの煙を吸い込んでいる。
現行の法律によると、ウェイターとウェイトレスは、本人の意思である場合のみ喫煙室で給仕をしてもよい。しかしザンクトガレンの州議会議員エリカ・フォースター氏は、ほとんどの従業員が喫煙室で働くよう同意しなければならず、さもなければ失職のリスクを負うことになると指摘する。
新しいイニシアチブは、全面的な禁煙によってそうした抜け穴を封じ、従業員の権利の増強を図る。
swissinfo.ch