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風刺漫画家のパトリック・シャパット氏とジェフ・ダンジガー氏が、死刑と風刺漫画家にとっての「9.11 ( 米同時多発テロ) 」である「2005年ムハンマド風刺漫画問題」について語った。
2月24日から26日までの間ジュネーブで開催された第4回死刑廃止世界会議の期間中、スイス人とアメリカ人の風刺漫画家が、死刑についての風刺漫画の展覧会を主催するためジュネーブを訪れた。
死刑廃止に向けた国家および国際戦略を立てるために、約1000人の政府代表者と活動家がジュネーブに集結した。近年特にアフリカと中央アジアでは、一年間に4カ国が死刑を廃止した。活動家は、今回の会議によってこの傾向に弾みがつくと期待している。2月24日にスペインの首相ホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ氏が、2015年までに全世界で死刑執行を停止するよう訴えた。任期6カ月間の輪番制で欧州連合 ( EU ) の理事会の議長国を務めるスペインは、この問題を精査するために「死刑廃止国際委員会 ( international commission against the death penalty ) 」の設立を計画している。
swissinfo.ch ： 風刺漫画は死刑に対する一般人の意識をどのように変えることができるのでしょうか。
シャパット ： 風刺漫画で考えが変わった人がいるとは思いませんが、一つの考え方を凝縮させることができます。風刺漫画はコミュニケーションのためのパワフルな道具です。ペンで描いた単純な線で多くを語ることができるのです。
swissinfo.ch ： 今回の展覧会は死刑廃止論者のための単なる宣伝の道具なのでしょうか。
シャパット ： これは正当な理由のもとに開催されたもので、宣伝ではありません。もちろんEUの全加盟国は死刑制度を廃止していますから、一般人は何が言いたいのかと不思議に思うでしょう。
しかし、展覧会を見れば分かるように、これは一つの見方だけについての風刺漫画ではありません。例えば風刺漫画家のNo-Rio ( 山井教雄 ) は死刑を容認する国の人です。私は、いたる所に死と破壊がある一方で、サダム・フセイン1人の処刑にショックを受けているヨーロッパを風刺した作品を１点描きました。
また、大半が死刑に賛成の観衆と、報道の自由を解禁しない政府の間に挟まれている中国人アーティストの作品もあります。抑圧された状況の中でも、単純な、しかし美しい絵でどのように自分の考えを表現できるか、非常に興味深いものがあります。
swissinfo.ch ： あなたはデンマークのムハンマド風刺漫画問題を、風刺漫画家にとっての「9.11 ( 米同時多発テロ ) 」と表現していますが、この事件はあなたの仕事にどのような影響を与えましたか。
シャパット： 私は、作品や編集者との連絡に関して通常は自分の意見は何も言いたくないのですが、この死刑についての展覧会では、 ( 展覧会場となった ) ジュネーブ大学による検閲があったということを聞いています。こうした場所でこのようなことが起きるとは思いもしませんでした。ジュネーブ大学は、ブルカや投石 による死刑 についての風刺画を出展すべきではないといった、突拍子もない意見があったと謝罪めいた釈明をしました。このようなことがあるなんてまったく信じられないことです。
世界的な死刑廃止を訴える展覧会が、誰にもショックを与えないならば開催を許可するというのは馬鹿げたことです。
デンマークの保守派高級紙に掲載されたムハンマド風刺漫画で、イスラム諸国がデンマークを非難した事件の真の問題は、自己検閲です。これをすると、新聞が死んだも同然になり、世論を喚起しようという編集者の意欲が減退してしまいます。
ダンジガー ： 仕事は厳しくなりましたが、インターネット上ではどんなことでも起きていますから良くなった面もあります。私は「ハフィントン・ポスト紙 ( Huffington Post ) 」と「ニューヨーク・タイムズ紙 ( New York Times) 」のウェブサイトの仕事があります。
新聞は予算を削減し、誰も怒らせないように腐心した結果、発行部数が減っています。利益を上げることは困難ですが、それは誰しも同じで風刺漫画家だけではありません。
swissinfo.ch ： 表現の自由はあなたにとって絶対的なものですか。それとも自分の作品に制約を課していますか。
シャパット ： 紙一枚とペン一本を使って、何であろうと自由に表現できるのです。そして頭の中に浮かんだものを描いて誰かにショックを与えることは非常に簡単です。しかし、それが政治風刺漫画の目的ではありません。読者を挑発しなくても、問題の核心を射ることによって彼らの心を動かすことです。怒りに満ちた風刺漫画は必ずしも良い風刺漫画であるとは限りません。
ダンジガー ： 私が自分の作品に課している唯一の制約は、自分の主張に対して自分が個人的に同意しているかどうかです。
swissinfo.ch ： 会議の参加者は、死刑廃止の早期実現を期待していますが、どのように考えていますか。
ダンジガー ： 死刑囚監房に収容されている人々が、冤罪調査組織の「イノセンス・プロジェクト」によるDNAテストによって釈放されることがアメリカで大々的に報道されています。しかし、アメリカでは経済問題のせいで死刑は大きな問題にはなっていません。
シャパット ： 現在のところ、正当性や死刑廃止の問題が重要であると考えられているとは思えません。経済危機や、一般の人々が抱えているそのほかの問題や心配事のせいで、死刑廃止の問題は逆の方向へ向かっているように思われます。早期実現についての確信は持てません。
サイモン・ブラッドレー 、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、笠原浩美 )
死刑
スイスは死刑を1942年に廃止した。
1940年10月18日、スイス人男性が警察官殺害の罪で、オブヴァルデン州 ( Obwalden ) のサルネン ( Sarnen ) でギロチンの刑に処され、スイス最後の死刑囚となった。
国連加盟国の3分の2がすでに死刑を廃止、または廃止手続きを行っている。一方2009年に25カ国が死刑を執行した。そのうち95%が中国、イラン、アメリカ、サウジアラビア、パキスタンでの執行。
「アムネスティ・インターナショナル」によると、2008年には25カ国で少なくとも2390件の死刑が執行された。しかし実際の数字はそれ以上と考えられている。
パトリック・シャパット氏 ( Patrick Chappatte) とジェフ・ダンジガー氏 ( Jeff Danziger )
シャパット氏は仏語紙「ル・タン ( Le Temps ) 」、独語紙「ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング ( Neue Zürcher Zeitung ) 」、国際紙「インターナショナル・ヘラルド・トリビューン ( The International Herald Tribune ) 」に作品を掲載。
政治風刺漫画家ダンジガー氏は、「ニューヨーク・タイムズ ( The New York Times ) 」やインターナショナル・ヘラルド・トリビューンを含む数多の英字新聞、雑誌、ウェブサイトで作品を掲載。
平和のための風刺漫画 ( Cartooning for Peace )
2006年10月16日、国連事務総長 ( 当時 ) のコフィ・アナン氏とフランスの日刊紙「ル・モンド ( Le Monde) 」のジャーナリスト・風刺漫画家のプランチュウ氏が「不寛容を捨てる ( Unlearning Intolerance) 」と題した会議を開催した。ニューヨークの国連本部に世界中から著名な新聞風刺漫画家12人が出席した。
「平和のための風刺漫画 ( Cartooning for Peace ) 」のイニシアチブは、新聞の風刺漫画を通して、異なる信条と文化を持った人々の間のより良い理解と相互尊重を促進することを目的とするよう、この会議から生まれた。平和のための風刺漫画は、言論の自由とプロの風刺漫画家の作品の認知を一層促進するために、報道風刺漫画の展覧会および世界のプロの風刺漫画家と一般人による会議を開催した。また、風刺漫画家のネットワークを支援する目的を持っている。
平和のための風刺漫画はフランスの協会として活動しているが、スイスにおける組織も4週間前に設立された。またアメリカのアトランタ州にも支部が設立された。