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2008年12月のシェンゲン・ダブリン協定発効以降、スイスは
ヨーロッパでの人の往来の自由にとって、なくてはならない存在になった。
陸路の国境では出入国審査が撤廃されたが、越境犯罪取締りのための国際的な協力が得られ、成果を上げている。
ヨーロッパの玄関口
2008年12月12日、スイスは「ヨーロッパ」に近付いた。人の往来の自由を謳 ( うた ) ったシェンゲン協定にはイギリスとアイルランドを除く欧州連合 ( EU ) 諸国と、EU非加盟国のノルウェーとアイスランドが加盟、スイス陸路国境での出入国検査は撤廃された。
2005年スイス国民によって承認されたシェンゲン協定への加盟により小国スイスは、シェンゲン協定加盟域という広大な領域を得ることになった。国際空港によって事実上ヨーロッパの玄関口となったスイスは、非加盟国からなだれ込む大量の不法滞在者の監視役を引き受けることになった。
シェンゲンの司法と警察に関する国境を越えた協力強化のおかげで、重要な犯罪取締りが行えるようになり、同日発効されたダブリン協定と合わせて、複数の国に手続きを求める難民申請者を管理できるようになった。
厳しい取締り
「EUに属さないスイスは、特別な状況下にあります。出入国検査は撤廃されましたが、非加盟国への検査や商品のようなほかの国境検査は維持されています」
とスイス国境警察官中央司令部のロドルフォ・コンタン氏は説明する。
国境周辺や、主要な鉄道網での人の移動の検査は、撤廃された出入国検査の代わりにより強化された。空港でも、今年3月からシェンゲン協定が発効され、非加盟国からの入国検査は「より厳しく、組織立てて」行われている。
これらのシステムは、しかしながら完璧ではない。65万人が行き交い、35万台の車が日々往来する国境では、国境警察官が足りず増員が求められている。この課題は連邦議会にかけられている。
4キログラムの麻薬
保守派が懸念したように、シェンゲン協定加盟によって犯罪増加がもたらされたわけではない。国境警察官のユルク・ノート氏はこの問いに対し、シェンゲン加盟はスイスにとって好意的な結果をもたらしたと答える。
盗難品、偽造書類、指名手配がリストアップされたデータバンクである、シェンゲン情報システム ( système informatique Schengen ・SIS ) を閲覧できることで、犯罪に対する国境を越えた協力は強化された。
「SISのおかげで、60人から70人の危険な犯罪人を含む5958人の犯罪者の身元を割り出すことができました。1日平均4キログラムの麻薬を押収することも可能になりました」
と、スイスドイツ語圏の日刊紙「ジュートオストシュヴァイツ（ Südostschweiz ）」の取材で、ノート氏は明かした。
スイスへの「脱出」
シェンゲン協定の安全システム分野では、ビザ発行に関しても政治的な共通理解を図っている。例えば、3カ月のイタリア旅行のシェンゲン・ビザを取得した場合、一切の手続き不要でスイスに入国できるというものだ。
統一ビザの導入は、特に中国、ロシア、インドからの旅行者にとって重要な意味を持つ。旅行会社にとって、ヨーロッパ周遊旅行にスイスを加えることが簡単になるからだと、スイス政府観光局のヴェロニック・カネル氏は主張する。
「行政手続きの簡素化は、特に中国市場に顕著な効果を現しました。この影響を数字で表すのは難しいですが、2009年の中国人旅行者のスイスでの宿泊日数は、23.1%増となっています」
と、カネル氏は言葉を続ける。
ビザ発行の部門でシェンゲン協定はスイスに利益をもたらしたが、思いもかけなかった利益はまだある。それは、国際的な圧力という手段だ。2人のスイス人を1年以上不法に拘束しているリビア政府に対し、ベルンは直ちにこの手段に訴えた。
無関心を装うリビア政府に対し、スイスはリビア人のヨーロッパ入国ビザの発行の制限を呼びかけた。例として11月、リビア政府筋の人物と高官へのビザ発行が拒否され、リビア政府がEUはスイスと組織的に共謀したと非難するに至っている。
さらに、2010年1月1日からは、シェンゲン加盟国との情報交換に関する連邦法の施行により、スイスはシェンゲン協定により有益な形で参加することになる。この新法の目的は、犯罪防止や起訴のための情報交換を強化し、また簡素化することにある。
ルイジ・ジョリオ swissinfo.ch、
( 仏語からの翻訳、魵澤利美 )
シェンゲン後
2009年9月、スイスと欧州連合 ( EU ) は、欧州対外国境管理協力機関 ( Agence européenne pour la gestion de la coopération opérationnelle aux frontières extérieures ・FRONTEX ) におけるスイスの活動を可能にする新たな合意に署名。
ブリュッセルはスイスに対し、EUとEU非加盟国との国境 ( ポーランドなど ) に配置する警備隊の派遣を要請。
これは、2008年著しく増加した不法滞在者の入国に対する措置。
ダブリン協定
シェンゲン協定発効日と同日の2008年12月12日、ダブリン協定が発効。この協定は、多数の国に申請する難民申請乱用者に対する調整措置。難民申請の窓口となる国は常に1カ国のみとする。
ダブリン協定加盟国 ( EU、スイス、ノルウェー、アイスランドを含む ) の14歳以上の全ての難民申請者と、不法入国者の指紋データバンク ( Eurodac ) を有する。
具体的には、この協定によりスイスは、難民申請者を申請担当国に送り返すことが可能になった。
連邦移民局は、2009年1月から11月にかけて、空路によるスイス国外退去者は6537人であり、2008年の同時期に比べて33％の増加率と発表。
1600人以上がダブリン協定により、担当国に送り返された。