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航空業界はパニックに陥り、旅行客は足止めされ、流通はマヒ状態に。火山灰で曇った世界に映し出された私たちの社会の姿とは。災害人類学と危険管理の専門家に聞いた。このコンテンツは 2010/04/27 15:25
噴き上がる火山灰のせいで空港に釘付けとなっている航空機の映像は
私たちの社会を象徴していると、フライブルク大学の災害人類学専門
家であるアンドレア・ボスコボイニク氏は語る。
災害の定義
1998年のハリケーン・ミッチ、2005年のハリケーン・カタリーナのように発音しやすい名前ではないにもかかわらず、特にトランジットの乗客にとって、エイヤフィヤトラ氷河火山は無視できない存在となった。日々重要性を増していくこの一連の状況を、ボスコボイニク氏はこのように分析する。
「一般的に、どこからを災害と呼ぶのかという定義はありません。現在の例で言うなら、中米を襲来し何千人もの死者を出したハリケーン・ミッチのように、死者が出たわけではありません。しかし、今回の噴火は経済社会に大きな損害をもたらし、メディアの注目を浴びています。災害かそうではないかというのは、人々がどれだけ話題にしているかで決まるのです」
テクノロジーの脆弱性
ボスコボイニク氏にとって、自然災害という言葉は意味を持たない。
「本来は、自然現象の一つにすぎないのです。それが、例えばハリケーン・カタリーナが引き起こしたミシシッピ川の堤防決壊のように、人間の活動に破滅的な状況をもたらした場合に、自然現象が災害として認識されるようになるのです」
ボスコボイニク氏にとっては、ヨーロッパの空港閉鎖と社会の反応は、私たちの社会と自然とテクノロジーの関係を物語っている。テクノロジーが自然を制覇する、という考えへの警鐘でもある。
「スマトラ島沖地震の際に発生した津波やハイチの大地震などにより、私たちは、災害は貧民を襲うという認識を持ちました。しかし、今回の例ではテクノロジー社会が災害に遭い、この認識が覆されました。テクノロジーに依存する私たちの社会の脆弱性が暴露されたのです。2000年のバグ ( 2000年問題 : 2000年になるとコンピュータが誤作動する可能性があるとされた問題 ) が思い起こされます」
国際的な危機
この火山灰がまいたもう一つの教訓は、現在においては危機も国際的となるということだ。連邦工科大学ローザンヌ校 ( ETHL ) の地理学者で、社会環境空間危機管理を専門とする学術グループESPRI (Le Groupe ESpRi - groupe d’étude de la spatialité des risques de l’Ecole polytechnique fédérale de Lausanne Le Groupe ESpRi ) の創始者であるヴァレリー・ノーヴェンバー氏も同じような意見だ。
「インターネットで火山の噴煙を検索し、駅や空港で足止めされている乗客の様子を知ることができます。この出来事は、私たちが社会、経済、政治的に密接につながっていることを知らしめました。テクノロジーに依存していることも明らかになりましたが、そのテクノロジー自体も国際的に連結しているのです。これが、現代の私たちの社会の縮図なのです」
とノーヴェンバー氏は分析する。
ここ数日のうちに語られ始めたメディアでの批判は、事態が収束するまでのある一連の流れを物語っている。
「スイスは危機管理の予行演習に力を注いでおり他国より抜きん出ていますが、予期せぬ出来事にはうまく対処できない、というのは事実です。今回、欧州連合 ( EU ) はうまく対応したと思いますが」
とノーヴェンバー氏は評価する。
身代わりを探して
メディアで湧き上がった批判は予想された通りの成り行きだとボスコボイニク氏は指摘する。
「災害時の事態収束までの人々の動きを人類学的に分類すると、3つの段階があります。まず犠牲者や損害の調査を行い、次に一体何が起こったのかという説明と予想を専門家に問い、最後に当局や専門家といった中から責任者の責任を追及します」
こういった一連の流れの中に、人類学者は中世から行われていた、事態収拾を図るための「身代わり」の意識を見い出す。ボスコボイニク氏の説明は続く。
「ヨーロッパにペストが大流行した時には、ユダヤ人が井戸に毒を投げ入れたとされました。ハリケーン・ミッチの後では、道徳的な生活をしていないからだと、教会がある社会階級を批判しました。災害は、1万人にも上る死者を出した2003年の猛暑の際のフランスがそうだったように、時に政治的にも利用されます」
エコロジーという側面からはとの問いに、科学的な答えではないが人類学的な観点からボスコボイニク氏は次のように述べる。
「人々は、恐怖は恐怖で追い払います。核の脅威やエイズといった前世紀の社会不安は、地球温暖化という新しい恐怖に置き換えられました」
一方、畏敬の念は予防という見地において、長期的に発展的影響をもたらすと、ノーヴェンバー氏は主張する。
「災害への恐怖は、アジアの津波の例が示すように、協力と改善を促します。今回の火山の例では、航空業界の一層の連帯が促進されました」
カロル・ヴァルティ 、swissinfo.ch
( 仏語からの翻訳、魵澤利美 )
アイスランド火山の噴火
アイスランドの首都レイキャヴィーク ( Reykjavík )から東に120kmに位置するエイヤフィヤトラ ( Eyjafjalla ) 火山が、20年間の休止の後に3月20日に噴火。噴火活動は3週間で一旦休止。
4月14日、1回目の噴火の10倍以上の激しさで2回目の噴火が始まり、周辺地域の住民が避難。
頂上の氷帽がアイスランドで5番目に大きいエイヤフィヤトラヨークトル氷河 ( Eyjafjallajökull ) に位置するエイヤフィヤトラ ( Eyjafjalla ) 火山の噴火の際には通常、地震を伴う。
今回の噴火では、巨大な火山灰の雲が、大気圏に噴出。
風のため、アイスランドでは火山灰による被害は少なく、15日にはヨーロッパ大陸北部に火山灰が達する。
火山灰の持つ研磨剤のような性質が、航空機のエンジンと機体に大きな損害を与え、視界も遮る。
記録によると、エイヤフィヤトラ火山の噴火活動後、1918年以降噴火活動を休止している、さらに危険とされるカトラ火山（ Katla ）も活発化する可能性が高く、科学者が厳重に調査している。
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