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アルプスで放牧されている牛たちにとって、高い標高での環境はあまり快適というわけではないらしい。
しかし、この牛から出たミルクは人間にとっては通常のものより健康に良い。脂肪酸を多く含むこのチーズは、心臓病を予防する。
この実験は、チューリヒ連邦工科大学(ETH)によってジュラ山脈の東側、ヴァイセンシュタイン・アルプスで行われた。ヴァイセンシュタインには、牛の健康に関する研究所があるのだ。牛たちは標高1900メートルから2600メートルと、標高400メートルの二つのグループに分けて放牧され、比較された。
痩せます
この実験結果によると、標高が高いほど牛乳の出が悪くなった。標高が高いほど酸素が薄くなるので、通常の量を出すのはやはり難しくなるのだろう。調査チームを率いたミヒャエル・クロイツァー教授は語る。「標高の高い所で時間を過ごすことは、牛に余計なエネルギーを使わせ、いつもより食べる草の量も減ります」
標高3000メートルを過ぎると人間にも同じことが起きる。地上にいる時に比べ食べ物の味が変化し、体力が４割落ちてあまり食べる気がしなくなるのだ。この代償を補うために、身体の中で脂肪や筋肉のタンパク質が消費され、体重が減る。
健康に良い酸性物質
クロイツァー教授によると、実験台になった牛が酸素不足で苦しむということはない。「身体の中に蓄積された脂肪などを消費するには当然限度があります。だから牛が限度を超えて病気になるということはありません。ただ、牛乳の出が少なくなってしまうわけで、農家にとっては嬉しくないでしょうね」
しかし、牛たちはすぐに高いところに慣れる。「アルプスの山で過ごす牛たちにとって最善なのは、最初の子供が生まれる前に放牧地に連れて行ってしまうことです。つまり、乳を出す前に高い標高に慣れさせるということですね。牛たちは厳しい環境で鍛えられます」
スイス農業酪農家協会（SBV）も慣れる時間が必要だという意見に賛成だ。「動物も高い標高で訓練されなければいけません。トップの運動選手のようにね」と語るのはSBVの経済部、トマス・イェッギさんだ。
心臓病を予防するチーズが作られるまで
確かに牛乳の出は悪くなるが、チーズの質は上がるらしい。「オメガ３などの脂肪酸が集中して作られ、リノール酸が活性化します」とクロイツァー教授は説明する。このような物質は心臓病を予防する。
当初、調査チームは、標高の高い場所の草が前述したような身体に良い成分を含んでいるのだと予想していた。ところが研究結果を見ると、事はそう簡単ではないことが分かった。
「厳しい環境の中で、いつもは使われない脂肪が動員されます。この脂肪に脂肪酸が含まれています。また、アルプスに咲く花の中には、牛の胃の中でこの脂肪酸を増加させるような物質を持つものがあります」。このため、標高の高いところで長い時間を過ごす牛は、地上の牛よりも脂肪酸を多く含んだ牛乳を出すわけだ。
観光にも一役買ってます
アルプスの農家では、毎年５月から９月まで、牛たちを標高の高い放牧地で過ごさせている。イェッギさんによると、これは昔からの風習らしい。もっと低い土地はまた別の目的で使わなくてはいけないことがあるのだ。「農家も経済的なセンスが必要ですからね」
また、スイス政府もアルプスの風景の守り手である農家に対して直接補助金を出している。「牛や羊のいないスイスの山なんて想像できますか。私たちはスイスのあるべき姿がこれからもそのまま続くよう、がんばっているわけです」
swissinfoファイヤル・ミルツァ、遊佐弘美（ゆさひろみ）意訳
キーワード
チーズはスイスの主要輸出品で、食品の中で61％を占める。
スイスのチーズの年間生産量は16万2397トン（2004年）。
スイス人は一人当たり毎年80リットルの牛乳を飲む。