Document ID: /fineweb-2-swissfilter-quality_10-filterrobots/filtered/00638.jsonl.gz/12

16歳の少女がモデルにと誘われ殺害された事件が、スイスで大きな議論を巻き起こしている。
その日リュシー・トゥレジニさんは、チューリヒでダニエル・Hに「モデルにならないか」と誘われ、写真撮影について行き殺された。今回の議論の1つは、なぜ2003年にほかの女性を殺害しかけ4年間リハビリセンターにいたダニエル・H容疑者 ( 25歳 ) が、その後普通の生活に戻っていたかという点だ。チューリヒ州法務省で犯罪セラピーに携わる法精神医学の専門家フランク・ウルバニオック氏に聞いた。
swissinfo ： 新聞では一般に、暴力的な犯罪者でも普通の生活を送っていると書いていますが、それは事実ですか。
ウルバニオック ： 暴力的または性的な犯罪者は、セラピーなどを行なった後、ある時点で普通の生活に戻るということを一般の人は充分に認識していませんが、事実です。
swissinfo ： 暴力的な犯罪者に対する評価や処置はうまく行なわれているのですか。
ウルバニオック ： 現代的方法を使い、特にきちんとした訓練を受けた担当官であれば、信頼できるリスク評価ができると思います。リュシーの事件では、リスク評価に問題はなかったようですが、再犯予測が問題だった気がします。しかし、充分な情報がないため決定的な意見は述べられません。
リスク評価をする担当官にとって、対象となるクライアントの数の多さが問題です。与えられた時間内に10人も20人も診なければなりません。しかも麻薬常習者や評価基準に一致しない者などさまざまです。どれがすぐに処置を取らなければならないケースかといった判断は容易ではないのです。
swissinfo ： 資金面での問題もあるのですか。
ウルバニオック ： いいえ資金面で問題があってはならないと思います。大切なのはリスク評価で、特に危険だと思われる暴力的な犯罪者を見つけ出すことに集中することが大切です。そうした場合、時間や資金が充分でないようなことがあってはなりません。
swissinfo ： 暴力的な犯罪者を担当する精神科医の数は充分なのですか。
ウルバニオック ： 過去10年間で随分改善され、数が増えてきました。しかしこうした専門家を育てるのは容易ではありません。医学部での研修後、法精神医学の研修を受けますが、トップレベルになるには4、5年かかり、また才能も必要とされます。
法精神医学は誰にも向くというものではありません。法精神医学に全身全霊を捧げる位の気持ちがあり、しかも充分に訓練され、問題点をきちんと把握し、セラピーや判断などに責任を持つ準備ができている人を見つけ出すというのが、われわれの基本です。
swissinfo ： リハビリに同意した犯罪者は、更生する意志を持っていると捉えていいと思いますが、その機会を簡単に放棄することもあるのですか。
ウルバニオック ： 犯罪者によります。自分を向上させることにまったく興味のない犯罪者もいるのです。しかしそれを判断するのは精神科医の仕事です。もし、ある犯罪者がまったくリハビリに興味を示さなければ、違う方法を考えなければなりません。
swissinfo ： その判断は簡単なのですか。
ウルバニオック ： 正しい判断能力、方法を身につけていれば、比較的簡単です。しかし1週間に1度クライアントに対面するだけの方法では、充分とはいえません。クライアントが演技している場合もありますから。
グループセラピーに重点を置くことです。例えば8人の性犯罪者を一緒に座らせ、自分たちの犯罪について語らさせるのです。何かを空想していたのか？、犯罪を犯すまでの経緯は何だったのか？などについて話し合うのです。こうした環境では、長い間演技を続けることは難しく、精神科医またはほかの犯罪者がすぐに演技をしている者を発見します。
swissinfo ： こうした犯罪の取り扱いに、メディアはどのような役割を担うのでしょうか。
ウルバニオック ： メディアは判断を下す前に、その犯罪ケースについて充分な情報を得るべきだと、私はいつも主張しています。しかし一般市民もそうですが、メディアは急速に「彼らは明らかに間違っている」といった決定を下します。
一方、一般市民がこうした犯罪ケースに興味を持ち、検討するようになることは大切なことなので、われわれはメディアも大切だと思います。ただスケープゴートを見つけ出すような感情的なやり方は間違っていると思います。
また、メディアはセンセーショナルでスキャンダラスな部分に興味を引かれ、きちんと分析したコメントが少ないようです。
swissinfo、聞き手 ジュリア・スラッター 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 訳
リュシー・トゥレジニさん殺害事件
3月4日、チューリヒにショッピングに出かけたリュシー・トゥレジニさんは、ダニエル・H容疑者に「モデルにならないか」と誘われ、写真撮影について行ったアパートで殺された。
ダニエル・H容疑者は、2003年に同僚の女性を殺害しかけて4年間リハビリセンターにいたが、昨年8月に普通の生活に戻っていた。
多くの新聞記事によると、麻薬常習者であるダニエル・H容疑者は麻薬の影響を受けやすいタイプだったという。
また、同じように誘われた女性も数人いたが、殺害されたのはリュシー・トゥレジニさんだけだった。
フランス語圏の新聞では、なぜ思春期の女子がこうした誘いを信じてついて行く傾向にあるかを数人の心理学者にインタビューした記事もあった。
暴力的な青少年犯罪者のリハビリセンター
スイスの法廷は、暴力的な青少年犯罪者に関しては、監獄に送る代わりにリハビリセンターに送ることができる。
こうしたセンターはとくに精神的異常によって犯罪を犯したとされる者に対して開かれており、犯罪を犯した年齢が18～25歳の青少年に限られている。
ここに送られた青少年は、自己向上の意欲を見せなくてはならない。
更生プログラムは最高で4年間続く。30歳を超えた青少年犯罪者はここにとどまることはできない。
青少年犯罪者はここで仕事を覚えると同時に、正常な生活に戻るための訓練を受ける。
さらに、破壊的な行動パターンを繰り返す態度を変え、自分の行なった行為に対する責任を持つ態度を持てるよう精神療法を受ける。