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将来有望な若いアスリートたちがトップレベルのスポーツトレーニングに励みつつ、同時にセーフティーネットとして職業訓練も受けられるプログラムがスイスにはある。
ベンノ・シドラーさんには、スイスでトップクラスのバレーボール選手になれる可能性があった。しかし、将来を決める段階になって、両親にどうしても教育を受けなさいと言われた。スポーツと学業の両立は不可能だったので、バレーボール選手の道を諦めた。
「若者たちが、どちらかを選ばなければならないのではなく、両立できるようにするにはどうすればいいのだろうと思った」とシドラーさんは話す。
そこで１９９８年、スポーツインストラクターとなっていたシドラーさんは、上司にある提案をした。若いアスリートたちがトップレベルのトレーニングに励みつつ、同時に職業専門教育の修了資格も得られるような職業訓練プログラムを作ってはどうかという提案だ。４年後、スイス初の試験的プログラムとして、Vinto他のサイトへがアスリートの職業訓練生に門戸を開いた。
スイス中央部の町ツークを拠点とするこのプログラムには、全国から学生が参加する。国外から来ている者も数人いる。シドラーさんは、ツークはこのプロジェクトの実行に理想的な場所だと話す。
「トレーニング施設もあるし、あそこには職場もある」と、シドラーさんは自分のいる職業訓練校から通りを隔てた２軒の建物を指差す。「それに、州政府に頼みたいことがあれば、役所もすぐそこだ」
近所のアイスリンクでは、Vintoのホッケーアカデミーのメンバーたちが、その晩行われる決勝戦に向けてシュート練習を終えるところだ。その後、昼食までにサーキットトレーニングとヨガを行い、午後は事務アシスタントとして企業で実地訓練（OJT）を受ける。
「もちろん、皆いつかNHL（北米のプロアイスホッケーリーグ）でプレーしたいと夢見ているよ」と話すのは、ツーク出身で１８歳のネイルス・ザイラーさんだ。地元でツークのホームチームを見ながら育った。チームメートたちも彼に同意する。一番大切なのはホッケーで、氷の上でプレーするために生きているようなものだ。メンバーの多くは、おそらくスイスのナショナルチームから指名されるだろう。
しかし、Vintoでは職業訓練と学業も重視されている。職業試験に合格し、設定された目標も達成しなければならない。職業訓練生のアスリート、コーチ、教師、職業訓練の教官は、常にやりとりをしながらスポーツと学業のバランスを取っている。
「ホッケーと職業訓練の両方で規律を保つのが難しい場合もある」と、Vintoのホッケーアカデミーのラース・ヴァイバー学長は話す。「どちらも重要だということ、どちらの分野でも良い成績を上げなければ望ましくない結果になることを選手たちに理解してもらえるよう、コミュニケーションを密にとっていかなければならない」
生みの苦しみ
最初は、Vintoの学生アスリートたちはスポーツと職業訓練に大体半々の時間を割いていた。しかしまもなくトップクラスのアスリートたちが、スポーツのトレーニングにもっと時間が必要だと言ってプログラムをやめていった。シドラーさんにとっては看過できないことだった。
「これは私たちにとっての警鐘だった。もしトップアスリートが職業訓練をやめていくなら、何の意味があるだろう？」
そこで、ツークのプロホッケーチーム、EVZと協力してホッケーアカデミーが生まれた。非常に多くの時間をトレーニングに割くことを希望する、もしくはその必要があるアスリートの卵たちは、１週間に２４時間のみを仕事と学業にあて、残りの時間はスポーツをする。２年でスイスの最も基礎的な職業訓練修了資格を得ることが可能だ。これがあれば、将来、就職したり継続教育を受けたりすることができる。
その時点で、もしプログラムをやめてフルタイムでスポーツのトレーニングをする道を選んだとしても、セーフティーネットはある。あるいは、職業訓練の３年目、４年目に進み、トレーニングを続ける傍ら、商業アシスタントとしての本格的な資格を得ることもできる。
もう少し緩やかなトレーニングを行うアスリートたち向けに、スポーツと学業にかける時間がより半々に近い、当初のプログラムもまだ存在している。Vintoのプログラムは今年で１５周年を迎え、そこから派生したホッケーアカデミーは今年３年目となる。他にも、ボート選手と車椅子バスケットボール選手のアスリート２人が、できるだけ練習時間を取れるようアカデミー方式を選んでいる。
「かつては、アスリートは週に数回のトレーニングでベストコンディションを保つことができた。しかし今日では、より速く、よりうまくと、要求が高くなっている。当初の仕組みではすべてを取り入れることができなかったので、仕組みを最適化する必要があった」と、EVZのアスレチック・トレーナーのマイク・スロンゴさんは指摘する。
モノポリーのお金で
しかし障害もある。スイスの職業訓練制度は企業の人員ニーズと見習いへの経済的投資に頼っているので、週全体に分散したわずか１２時間の就業時間という条件でホッケー選手たちを受け入れてくれないかとシドラーさんが打診した際、多くの企業からは礼儀正しく断られた。また、試合や練習のために留守にすることが多いアスリートたちに不満を抱く企業もあった。
そのようななかで、スイスの一部の就職活動支援センターで用いられているあるアイディアが、解決のヒントとなった。職業訓練の最初の２年間は、ゲームのモノポリーのお金を使って、架空の在庫と請求書をもつ架空の企業を作り、それをベースに職業訓練を行うというものだった。
「私たちにとっては多くの問題がこれで解決されたが、職業訓練生たちに話してみると反応はいまひとつだった。嘘くさいと思われたのだ」とシドラーさんは認める。今は、スポーツイベントの企画のような実社会のプロジェクトに訓練生たちを参加させるなど、再びプログラムを改善しようと試みているところだ。
「当アカデミーでは、計画・実行の面で常に進歩を目指し、改善を心がけている。アスリートが学べる職種を増やし、より多くの可能性を提供できるようにしたい。これは時間がかかる、難しい複雑なプロセスだ」と、ヴァイバー学長は話す。
チームワーク
今日は、一人のアスリート職業訓練生が「注文書」に記入する隣で、「同僚」が「在庫伝票」を整理している。氷上で怪我をし、ギプスをはめた片足を椅子に上げ、松葉杖をそばに置きながら働いている者もいる。切符が完売している決勝戦を数時間後に控え、仕事に集中するのは容易ではないが、アスリートたちの職業コーチ、キュブラ・アヴルさんは、それでも皆が作業を続けるよう指導に飛び回っている。
「氷上でも会社でも、全員が協力して仕事を成し遂げる必要がある。私たちは一緒に一日を過ごし、問題が出てくれば一緒に解決する」と彼女は言う。
ベルン州ラングナウ出身で平日はツークで暮らすファビアン・ハバースティッヒ選手は、チームメートたちが「家族同然」になったと話す。「いつも一緒にいるから、チームとして協力し合えることが重要だ」
しかし、プロスポーツという厳しい世界ならではの現実もある。
「アスリート間での競争はある。皆、トップリーグでプレーしたいと思っているが、全員が行けるわけではないからだ」とスロンゴさん。
結局、成功の鍵を握るのは「規律、意志、粘り強さ」だとスロンゴさんは考える。そしてホッケーアリーナと職場の両方で、アスリートたちがこれらの価値観を身につけてくれることを願っている。
（英語からの翻訳・西田英恵）