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くいなちゃん2020年09月20日
「６さいからの数学」では、数学自体の構造から解説し、どのような場面で役立てられるかという実用面まで網羅します。
基本編(全12話)では、数学の基本的な構造から始まり、応用しやすい実用的な数学を解説します。 それ以降の章では、第1期で解説した概念を深く踏み込んで、正しさを裏付けたり、幅広い視点で数学を扱っていきます。 一緒に頑張りましょう！
数学とは、大まかには、正しいとするいくつかの前提から出発して、正しいと言えるものを論理的に導出していく学問です。 これらのあらかじめ決めておいた正しい前提のことを「公理」といいます。 そして公理の他にもいくつかのルールが定義され、数学では公理とこれらのルールを使って次々と正しいことを導出していきます(図1-1)。
新しく導出された正しいことを、公理と合わせて「定理」と呼び、定理を導出する過程のことを「証明」といいます。
別の見方をすると、数学の問題を解くこととは、今までに導出された定理を使って、いかにその問題の答えが定理になるかという証明を見つける作業になります。
「である」「である」のような、定理であるかどうかを判断しうる対象のことを「命題」といいます。
命題の扱い方にはいくつかの方法がありますが、ここでは解りやすく論理式を使って、「定理ならば真、定理でないならば偽」と考えることにします。 例えば、「である」という命題が定理であれば、「である」は「真」となります。 「である」という命題が定理にならなければ、「である」は「偽」です。
このとき、ある命題たちを「」「」などの文字で表すことにすると、「ならば」や「かつ」のように、これらを組み合わせて新しい命題を作ることができます。 例えば、が「である」という命題で、が「である」という命題であれば、「または」とは、「である、または、である」という命題を意味します。 通常、「または」は「」の記号、「かつ」は「」の記号で表し、「」「」のように書きます。
「」「」の厳密な値は表2-1の通りです。
|偽||偽||偽||偽|
|偽||真||真||偽|
|真||偽||真||偽|
|真||真||真||真|
例えば「」が真つまり定理であり、「」が偽つまり定理でないとき、「または」で繋げた「」は真で定理となり、「かつ」で繋げた「」は偽で定理でないことになります。
さて、「である」という命題に対し、「ではない」という否定の命題を表すときには、「」の記号を使います。 命題に対し「ではない」ことを「」と書き、そのときの値は表3-1のようになります。
|偽||真|
|真||偽|
この表から、どんな命題であっても「」か「」のどちらかが真、つまり定理になることが解ります。 このような「もも定理にならないような命題は存在しない」という法則を「排中律」といいます。
また、「もも定理である」ことを「矛盾」と言います。 この表から、矛盾を引き起こす命題は存在しないことも解ります。
論理式のその他の記号として、「ならば」を意味する「」や、「のとき、かつそのときに限って」を意味する「」があります(表4-1)。
|偽||偽||真||真|
|偽||真||真||偽|
|真||偽||偽||偽|
|真||真||真||真|
「」の記号で注意が必要なのは前提が偽の場合で、例えば「」のが偽の場合、が真でも偽でも「」は真になります。
「私は数学を決して勉強しない」という命題が偽で、「私は1兆円を手にできる」という命題も偽であるとき、「私は数学を決して勉強しない、ならば、私は1兆円を手にできる」が真となるのは、直感に反しているように感じるかもしれません。 しかし数学の「ならば」とは、日本語の「ならば」のように因果関係を表すものではなく、条件を表すものです。 つまり「私は数学を決して勉強しない」という条件が決して満たされることのない場合、「私は1兆円を手にできる」と主張しても何ら差し支えがないわけです。
見方を変えると、「、ならば、は奇数である」という定理があったとき、がでない場合については何も言っていないので、がでない場合がどうであってもそれによってこの定理が覆ることはありません。 よって「偽、ならば」のときは命題は常に真になるべきだと理解できます。
またこの表の値から考えると、「」は「」と等しく、「」は「」と等しいです。
5命題関数
定理や命題を扱うために、もう少し論理式について踏み込んでいきます。
外から値を受け取ると命題になるものを「命題関数」といいます。 例えば「である」という記述に対し、に、にを代入すると「である」という命題になりますので、「である」は命題関数です。
命題関数には「」「」などの具体的な値の他に、「すべての値」や「ある値」というものを入れることができます。 これらは「」「」などの文字の前に「」「」の記号を付けることで、それぞれ「すべての値」「ある値」を表します。 例えば、「である」という命題関数に、で囲んでにを代入して「である」のように書くと、「どのような値xに対してもである」という命題を表します。 同様に、で囲んでにを代入して「である」のように書くと、「であるようなある値が存在する」という命題になります。
別の例として「」という命題関数があり、とにを入れた「」は真で、にをにを入れた「」は偽であるとしましょう。 このとき、すべてのとに対して「」が真になるわけではないので「」は偽となります。 また、「」が真になるようなとは少なくとも存在していますので「」は真となります。
以上、「命題」と「」の記号と「命題関数」と「」の記号を使うことで、様々な命題を表すことができることを説明しました。
ここまでは、論理式が定理かどうかを「真」「偽」で扱ってきましたが、このほかにも命題を扱う方法があります。 その一つが「トートロジー」を用いる方法です。
トートロジーとは、「」のように、やなどがどのような値であっても常に真となるような論理式のことです(表6-1)。
|偽||偽||真|
|偽||真||真|
|真||偽||真|
|真||真||真|
そして、「論理式がトートロジーならば定理であり、トートロジーでなければ定理ではない」と決めておくと、なんと先ほどまでと同様に命題を扱うことができます。 先ほどの方法と比べて、命題の意味から切り離された抽象的な扱いが可能とされているため、論理学的な視点ではトートロジーの方法がよく使われます。
最後に、「直観主義論理」と呼ばれる、これまでとは異なる考え方を簡単に紹介しておきます。
これまでは、命題とがあったときに少なくとも一方は定理であるとする「排中律」を前提としていましたが、直観主義論理ではこの排中律を否定します。 つまり、「あなたは数学が好きかどうかは判らないが、あなたは数学が好きか好きでないかのどちらかだ」とこれまでの論理では言えましたが、直観主義論理ではこれすらも懐疑し、「あなたは数学が好きか好きでないかのどちらかである、かどうかも判らない」となります。 証明できるかどうか判らないという可能性を考慮しています。
排中律を前提にしないと、多くの定理が証明できなくなってしまうため、数学の多くの分野では直観主義論理は主流ではありませんが、論理自体を対象とする分野や計算機科学などでは直観主義論理との親和性が高くよく使われます。
今回は、数学の基本的なルールを説明しました。 次回は実際に、具体的な公理から定理を証明してみましょう！