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西欧の富豪美術品収集家が得をするアフリカの考古遺物の略奪を、美術専門家が非難している。
美術専門家グループは、ジュネーブのバルビエ・ミュラー美術館 （ Barbier-Mueller Museum ） で開催されている古代アフリカの陶磁器を集めた新しい展示に非難の矛先を向けた。しかし、主催者側はこの批判をはねつけている
略奪された文化財
先日、フランス語圏の日刊紙「ル・タン ( Le Temps ) 」に掲載された署名記事「アフリカの歴史の略奪」の中で、ジュネーブ大学とマリのバマコ大学で考古学を教えるエリック・ヒュイセコム教授がアフリカの文化遺産の略奪を非難した。
ヒュイセコム氏の批判の一部は、アメリカ、アジア、オセアニア地域の古代美術品を専門にするジュネーブの有名なコレクター、ジャン・ポール・バルビエ・ミュラー氏が主催する「アフリカン・テラコッタ：千年の伝統展」に向けられている。なお、この批判には、セネガルの文化遺産局長ハマディ・ボコウン氏、ボコウン氏の仕事仲間であるニジェールのオウマロウ・イデ氏、国際博物館会議スイス委員会のマリー・クラウデ・モラン会長を含む12人の文化遺産の専門家が連名している。
ヒュイセコム氏によれば、今回新しく陳列されている陶器やそのほかの工芸品は、出土地であるマリから不法に輸出されたものに違いないという。
「これらの作品は1977年以降に発掘された場所からのもので、1979年に美術品市場に現れたものだ。しかし、文化財に関するマリの最初の法令は1973年からある」
と、マリの首都バマコ （ Bamako ） で50人以上の学生に考古学を教えているヒュイセコム氏は説明し、
「このような考古遺物を偶然手にすることは極めて考えにくいことから、これらの展示品は明らかに略奪後、マリから不法に持ち出されたものだ」
と断言する。
批判を拒絶
しかし、美術館のキュレーターを務めるバルビエ・ミュラー氏は、この批判をはねつけ
「過去32年間にわたり、わたしは世界中で展示を行い、ジュネーブの文化的知名度を高めてきたわけだが、まるで不道徳な犯罪者のように文化財の不法売買にかかわっていると思われている」
と不満を述べた。
バルビエ・ミュラー氏によれば、ヒュイセコム氏の非難は陳列中の考古遺物200点以上のうち、ごく限られた作品にのみ関係があるという。
「それ以外の作品は近年手に入れたもので、地元の陶工から買い求めることができた」
と言い、さらに、不法売買の疑いがかけられているものに関しては、1970年から1988年の間に購入したと説明し
「これらの陶器は1983年に当館が開催したマリの古代美術展で展示されており、その際には批判や苦情の声は聞かれなかった」
と言い、問題があると聞いた考古遺物はすぐに購入をやめたと主張している。
法律の抜け穴
ヒュイセコム氏は、バルビエ・ミュラー氏が法律を破ったと非難しているのではないと言う。
「彼はきちんと法律に従っている。しかし、スイスの法律は不十分だ」
というのがヒュイセコム氏の意見だ。
スイスの文化財売買に関する法律は2005年に発効されたが、遡及 ( そきゅう ) 効力がない。つまり、2005年以前に購入された美術品には適用されないのだ。
「スイスは1970年のユネスコ条約に沿う形で、比較的複雑な法律を成立させた」
そして、スイスの法律は基本的に2国間協定に基づいていることを、バルビエ・ミュラー氏は指摘し
「世界中の国が連絡を受けたのに、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国はどこも反応を示さなかった」
とも言う。
科学的なお墨付き
さらに、今回のル・タン紙の記事の中で、展示品のカタログの作成に協力したという理由から、ジュネーブ民俗博物館のボリス・ワスティアウ館長に対して
「ワスティアウ新館長はバルビエ・ミュラー氏のコレクションに科学的な保証を与えたことになる。道徳的な見地からして、このことは許しがたい。粉飾行為だ」
と、美術専門家グループは非難の声を上げた。
ヒュイセコム氏によれば、科学的な解説付きのカタログを出版することにより、所蔵品は何のリスクもなく売却可能になるという。しかし、美術館側はそのようなことを念頭に置いてカタログを作ったのではないと主張する。
同様に、ワスティアウ氏も
「過去10年間にわたり、アフリカの文化財の不法売買に関する仕事、特に国立博物館のケースを担当してきた」
と、立場をはっきりさせ、これはカタログ作成で科学的な貢献をしたほかの23人の立場でもあると、付け加えた
一時的な保有者
ワスティアウ氏は、カタログが完全に透明性のあるものと確信している。
「バルビエ・ミュラー美術館であれ、ほかの誰かであれ、コレクションのカタログが作られるというのは良い意味での前進だと思う。ほとんどのプライベートコレクションは表に出ず、カタログが出版されることもない。人前に出し、出版することで、今回のような議論や抗議の声が聞かれるようになる」
とワスティアウ氏は言う。
また、ワスティアウ氏には、文化財所有権全般に関しての一般的な見解があり
「今後数年の間に、文化財の問題はますます大きくなるだろう。遅かれ早かれ、アメリカ先住民文化の代表者から、ジュネーブ民俗博物館にある特定の館蔵品を返還するよう求められると思うが、われわれは快く協力するつもりだ。この意味で、博物館や美術館というのはコレクションの一時的な保有者だと思っている」
と語った。
フレデリック・ビュルナン、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳 中村友紀 )
すのイス文化財保護
1962年、スイスは武力紛争の際の文化財の保護に関するハーグ条約に批准。
2003年10月、スイスは文化財の不法売買に関する1970年のユネスコ条約に批准。
2005年6月、ユネスコ条約に沿う形で、2003年にスイス国民議会で承認された新しい国内法が発効。
盗まれたり不法に輸出された文化財に関する1995年のユニドロア条約については、スイスは1996年に署名はしたが、まだ批准していない。この条約の内容は1970年のユネスコ条約よりもさらに厳しい。