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ここ１０年、主に私的財団の出資のおかげでマラリア患者数は激減した。しかし撲滅からはほど遠い。各国政府は「顧みられない病気」と呼ばれるこの疾病の克服に向け、強制力のある資金調達の協定締結を試みるが、まだ足並みをそろえられないでいる。
「マラリア市場は、需要は計り知れないほど大きいが、利益は取るに足りないほど少ない」。こう言い切るメディシン・フォー・マラリア・ベンチャー（MMV/以降MMV）のレポートを見れば、長い間悪い空気に起因する（イタリア語でmal aria）と思われていたこの「湿地熱」が、なぜ現在でもアフリカを中心に毎年何十万人という子どもの犠牲者を出し続けているかが分かる。
２０世紀の終わり、マラリア病原体は従来の治療薬に耐性を示すようになったが、新薬の開発は手つかずのままだった。そこでスイス政府を含む公私の出資者が、さらに有効で改良された、低価格のマラリア治療薬の開発に向け前出のMMVを立ち上げた。一方同じ目的で、ジュネーブに２００３年、国境なき医師団（MSF）と協力した、DNDi（Drugs for Neglected Diseases initiative 顧みられない病気のための新薬イニシアティブ/以降DNDi）が設立された。
これらの団体はビル・ゲイツ氏とメリンダ夫人の慈善財団ゲイツ財団による何億ドルもの寄付に後押しされ、２１世紀最初の１０年間でマラリアの衰退に大きく貢献した。
「それまで過去２０年間、悪いニュースしかなかった。６０年代に撲滅を夢見た後、状況はかえって深刻化した。２０００年代に入って実際に新しい手段、治療薬を使って再びマラリアとの闘いが始まった。殺虫剤処理された蚊帳が広範囲で使用されたことによって、いくつかの国ではかなりの患者数が減少した」とDNDiのディレクター、ベルナール・ペクール氏は語った。
マラリアは間違いなく「顧みられない病気」のカテゴリーに入る。すなわち、貧しい国々が中心的に襲われる疾病だ。「過去３０年間に開発された新薬のうち、『顧みられない病気』用に製造されたのはわずか１％程度。ところがこうした病気は、世界の疾患の１２％以上を占めるものなのだ」とペクール氏は指摘する。
サクセスストーリー
前出のMMV、DNDiやその他の団体は、まさにこのような不均衡を正すために活動している。
例えばマラリア治療薬コアルテム（Coartem）が、そのケースに当たる。二つの作用物質のうち一つに、中国医学では良く知られた植物から抽出されるアルテミシニンを使用したこのノバルティスの治療薬は、世界保健機関（WHO）から、現在のところ最も有効なマラリア治療薬とみなされている。
コアルテムは９０年代に、熱帯地域を訪れる欧米諸国の旅行者向けに開発され、一回の治療で約１２ドル（約９５０円）かかる治療薬だった。これではアフリカの子どもたちには高額すぎ、また成人用に調合されていて使用できなかった。２００３年にノバルティスの働きかけで小児用コアルテムの開発費の一部をMMVが負担し、２００９年市場に出された。こうしてコアルテムは、すでに１００万人以上の子どもたちの命を救った。
ノバルティスにとってこの新薬開発は採算的に得るものが何もなかった。しかし会社のイメージアップには大いに貢献している。多国籍企業ノバルティスのこうした努力と成果をたたえながら、ペクール氏はこう言う。「このサクセスストーリーは、それでも少しばかり例外的なことだった」
待ち望まれる協定
ノバルティスが行ったような「例外」が慣例となるように、マラリアとその他の顧みられない病気との闘いの立役者たちは、WHOが発展途上国の衛生保健上のニーズを軸にした研究開発が進められるよう強制力のある協定を採用することを期待している。
これは、ジュネーブで５月に開催された世界保健機構総会のテーマの一つだった。WHOの専門家グループは、各国が国内総生産（GDP）の最低０．０１％を出資すれば、年間３０億から６０億ドル（約２千４００億から４千８００億円）の資金が途上国を苦しめる病気の研究費にささげられると提案した。しかし、すでに国内総生産の０．０１％をこの分野に当てているアメリカを筆頭に、日本や大多数の欧州諸国はこの提案を容認しなかった。国境なき医師団の代表が「極めて困難だった」と言い表す交渉の果てにこれらの国々は、まずは国内で検討するとして協議の開始を一年後の総会へと持ち越した。
一年後の約束
他の欧米諸国と比べると、多少発言のニュアンスが異なるものの、スイス政府もまた前述の強制力のある協定締結に消極的だ。「我々は各国のコンセンサスを得るのは困難であるだろうと理解できた」と、連邦内務省保健局（BAG/OFSP）国際課課長ゴウデンツ・シルバーシュミット氏は語る。「それに、専門家グループは総会の１カ月前に報告書を出してきた。そのような短期間に特に財政問題について関係閣僚全てに諮問し、その上で見解を固めることの可能な国は私の知る限り一つもない」
スイス政府はこの難題の実態を認識しているとシルバーシュミット氏は続ける。「専門家グループの分析は素晴らしい。しかし我々は協定締結が唯一の解決策だとは１００％確信していない。迅速に問題をより深く掘り下げ、より適切なメカニズムを模索していく」
紛れもない惨禍
地球上で最も流行している感染症マラリアは、マラリア原虫を媒介する、夜行性のハマダラカのメスに刺されることによって人から人へと感染する。感染予防ができ、治療可能な病気だが、治療が受けられなかったり適切に対処が施されなかったりした場合、多くの子どもが命を落とす。マラリアはアフリカを中心に４５秒に一人の子どもの命を奪い、アフリカ諸国の保健衛生費の４０％を使い果たす。
世界人口の約半分がマラリアの脅威にさらされている。程度の差こそあれアフリカサハラ砂漠以南、アジア、ラテンアメリカ、中近東、さらにはヨーロッパまでがその地域に含まれる。
症状：マラリアに感染してから普通１０日から１５日で症状が現れる。初期の発熱、頭痛、悪寒、吐き気などの症状は軽いこともありすぐにマラリアだと診断するのが難しい。４種類ある既知のマラリアのうち、最も深刻な熱帯熱マラリアの場合は、２４時間以内に治療を受けなければ重症化し、死に至ることもまれではない。
２０１０年、６５万５千人の死者が報告されそのうち８１％がアフリカの人々だ。犠牲者の大多数が５歳以下の子どもたちである。同じ年、２億１６００万人の感染者が登録されている。しかしこれらの数字は推定に過ぎない。マラリアが流行する国々では保健衛生基盤が十分に整っておらず全てのケースを正確に診断し統計を取ることは困難だからである。
今世紀初めからマラリアは衰退している。２０００年、推定死亡者数は依然１００万人にのぼり、感染者数は２億３３００万人。すなわちこの１０年間で死亡者数は全体で３４．５％減少し、アフリカの１１カ国では５０％、又はそれ以上の減少を意味する。しかし専門家たちはこのような状況の進歩があっても油断ならないと強調する。
（出典：WHO世界保健機構）インフォボックス終わり
マラリアワクチンまであと一歩
ゲイツ財団からの強力な支援を受け、英国の製薬大手グラクソ・スミスクライン社 （GSK）が開発したワクチン「RTS，S」は、２０近く存在するマラリアワクチン候補の中で最も臨床試験が進んだものだ。現在アフリカ７カ国で生後５カ月から１７カ月までの子ども１万６０００人が、臨床試験（第３相試験）に参加している。
臨床試験の中間報告によると、ワクチン投与によりマラリア発症が約半数に抑えられたという。まだ「奇跡の薬」というわけではないが希望への大きな第一歩だ。実用化されれば、ウイルスや細菌に比べるとより巧みに宿主の免疫システムをくぐり抜ける、寄生虫による感染症に対する世界初のワクチンとなる。
「RTS,S」は２年以内に実用化が見込まれており、おそらく１０ドル以下（約８００円）の原価で販売される予定だ。インフォボックス終わり
（仏語からの翻訳、由比かおり）, swissinfo.ch