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風刺画にタブーはない。どんな微妙なテーマも扱える。バーゼル・カートゥーン博物館のアネッテ・ゲーリク館長はそう話す。ただし、そんな風刺画も、今日のメディアの世界では苦労が絶えない。経費削減のあおりを受けるとともに、カラー写真の勢いに押されているからだ。
バーゼル・カートゥーン博物館（Cartoonmuseum Basel）は、世の中を皮肉った作品を集める博物館としてはスイスで唯一。ゲーリク館長は、ある人を笑わせ、またある人を怒らせるこの媒介と日々向き合っている。
swissinfo.ch ： 政治や社会といったテーマで風刺画が意味をなすのはどんなときですか。
ゲーリク ： テーマは、特に関係ないと思う。風刺画が合わないテーマなどない。戯画化するとなれば、風刺画家はそのテーマについてよく知らなければならないし、題材をよく吟味し分析しなくてはならない。また、社会的な背景を組み入れることも必要だ。
swissinfo.ch ： 絵や風刺画は、言葉より多くを語るものなのでしょうか。
ゲーリク ： そう聞かれると、「百聞は一見にしかず」ということわざがぱっと頭に浮かぶ。風刺画は、あることがらをたった１枚の絵で簡単明瞭に表現することができる。風刺画にはユーモアが欠かせないが、そのユーモアにはいろいろなニュアンスが含まれている。文章やコミックの方が適しているのはおそらく、物事をいろいろな方向から眺めたいときだろう。
バーゼル・カートゥーン博物館
１９７９年に風刺画・カートゥーン収集基金（Stiftung Sammlung Karikaturen & Cartoons）が創設された。博物館は３０年前にオープンし、２００８年からアネッテ・ゲーリクさんが館長を務めている。
バーゼル・カートゥーン博物館は皮肉のある作品のみを扱うスイスで唯一の博物館。対象は風刺画、ユーモアのある絵、コミックなど。
コレクションは、社会政策、文化、日常をテーマとしたオリジナル作品が約３４００点、賃借作品が２０００点。４０カ国の２０世紀および２１世紀の芸術家約７００人によるさまざまな手法を使ったカートゥーン（Cartoon）や風刺画が集められている。インフォボックス終わり
swissinfo.ch ： 風刺画の役割は、この数十年間でどのように変わりましたか。
ゲーリク ： １９６０年代以降、風刺画の数は激減した。まず紙媒体にカラー写真が使われ出したことが一つ、そして写真やグラフィックの制作が非常に簡単になったことが一つ。写真はこの数年間で利用度がとても高まり、風刺画やイラストは押しのけられている。
今や、文章を入れず風刺画だけでも一つの論評となることを認識している新聞社は、少なくなったようだ。
２０世紀への変わり目には、アメリカなどで風刺画や絵がとてももてはやされた。このときが風刺画や大手新聞社の全盛期だった。新聞社は当時、社会政治をテーマに絵を使って読者と対話をしていた漫画家やイラストレーターを、正社員として雇っていた。それは当時、ごく普通のことだったのだ。
今の状況は全く違う。スイスでは、独自のコミック・ストリップ（何コマかでできた短い漫画）を載せる余裕のある新聞社はごくわずかになった。世の中の動きが早くなり、経費削減も強いられている。新聞社は合併し、コミック・ストリップはどこかから買い取るだけ。漫画家が活躍する余地は、もうなくなってしまったのだ。とても残念なことだが。
swissinfo.ch ： 風刺画は、皮肉を使います。ドイツのユダヤ人風刺作家クルト・トゥホルスキーは、皮肉では何をしてもよいと言っていますが、風刺画はホロコーストや宗教、障害者などの微妙なテーマにも使えますか。
ゲーリク ： 使える。それが本当に皮肉であるのなら。現代の社会には言論の自由がある。風刺画は、社会のある状況に対する批判だ。それは共感できない方向性であったり、共感できない形に表されたりすることもある。そこのところは、我慢しなくてはならない。
しかし、あるテーマを真剣に扱っているのなら、その核心にあるものを取り上げ、問題提起を行うよい機会になるはずだ。たとえ、そのために苦い思いをすることになっても。
swissinfo.ch ： しかし、このような言論の自由をよしとしない人もいます。これは、預言者ムハンマドを扱った風刺画をめぐる一連の争いを見ても明らかです。数年前に発生した暴力を伴う抗議は、今もまだ収まっていません。
ゲーリク ： 感情的な問題である宗教が扱われるとき、少なくとも博物館としては、人が敏感になっていることに注意を払うべきだ。アラビアの風刺画展を開催するときには説明や補足を加え、社会的な背景などを伝えるといったふうに。
風刺画で有名なフランスの週刊紙「シャルリー・エブド（Charlie Hebdo）」は最近、預言者ムハンマドの風刺画を発表したが、この週刊紙には当然誰もが皮肉を期待している。その読者はそこに風刺があることを知っているし、読みたければ読み、読み飛ばしたければ読み飛ばす。だが、世論が過熱状態にあるときは、特定のテーマに対し風刺画を使うべきかどうかよく考えるべきだ。
swissinfo.ch ： つまり、風刺画はどの文化や宗教からも同じように理解される普遍的な表現方法ではないということですね。
ゲーリク ： 絵による批判と誇張、つまりここで言う風刺画のことだが、これは例えば中国にはない。中国の風刺画は象徴的、暗号的な意味合いが非常に強い。もちろん批判も含まれている。普遍的なメッセージとして難しいところはまさにここだ。読者は批判を読もうと思うとともに、社会との関連性や隠された暗号も知っていなければならないのだ。
スイスの著名風刺画家
パトリック・シャパット（ル・タン、NZZアム・ゾンターク、ヘラルド・トリビューン）、オルランド・アイゼンマン（デア・ブント）、フェリックス・シャート（ターゲス・アンツァイガー）、マックス・シュプリング（ベルナー・ツァイトゥング）、ミックス＆レミックス（エブド）、レイモンド・ブルキ（ヴァントキャトラー）、ティエリー・バリック（ヴィグス）インフォボックス終わり
swissinfo.ch ： 報道の自由を守り、同時に人の考え方も尊重する。綱渡りのようですね。あるいは、全く不可能なことかもしれません。
ゲーリク ： 風刺画は誇張や戯画化をするものだし、中立ではなく誰かの側に立って攻撃的になる場合もある。風刺画を見て笑うか怒るかは、その人の立場による。風刺画がよく武器と見なされるのは、そのためだ。
風刺画家は、ある状態を理想とする「傷ついた理想主義者」だとトゥホルスキーは言う。風刺画家は風刺画の中に精神的な状態をも描き入れ、核心をはっきりと示すために誇張する。そこで読み手が何も感じなければ、それはおそらく良い風刺画ではないのだろう。風刺画というものは、ひょっとしたら常に礼儀をわきまえないものなのかもしれない。
風刺画・カートゥーン・コミック
風刺画は、絵を使った論評としてそれ一つで成り立つ。現在話題になっている社会的あるいは政治的テーマを扱い、強調したり誇張したりした絵が使われる。
カートゥーンは、絵を使ったしゃれ。ある状況や変わった出来事などを面白おかしく描く。現在起こっている具体的な事例を扱うことはあまりない。
コミック・ストリップは、何コマかの絵をつなげて一つのストーリーにするもの。
コミックは、一つの話を絵で伝える。いわゆる日本の漫画。
グラフィックノベルは長く込み入ったタイプのコミックを指す。インフォボックス終わり
（独語からの翻訳 小山千早）, swissinfo.ch