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「インフルエンザの脅威から世界を救うと信じられてきた特効薬が、実は解熱鎮痛剤のアスピリンほどの効果しかないのではないか？」。こう指摘する国際的な研究結果が先月発表された。抗インフルエンザ薬タミフルをめぐる問題は、異例の大金がからむだけに特に注目が集まるが、製薬会社と薬を処方する側の結びつきという観点からすればよくある話だ。
総額１３０億フラン（約１兆４７８６億円）。１９９９年の発売開始から今年初頭までの抗インフルエンザ薬タミフルの売上高だ。だが製造元であるスイス医薬品大手ロシュがタミフルで手にした正確な利益額はわからない。同社広報担当のニコラ・デュナンさんが説明するように、ロシュは「薬の製造原価や研究開発費を公表していない」からだ。それでも一つ明らかなのは、開発者であるカリフォルニアのギリアド（Ｇｉｌｅａｄ）に、現在も売上額の一部が特許料として支払われていることだ。
１９９６年ロシュは、八角から採れるシキミ酸を化学合成して得られる抗ウイルス性のオセルタミビルリン酸塩の製造販売権をギリアドから取得。まず５千万ドル（約５０億６６５０万円）を払い、さらに売上の１４～２２％を特許料として支払う契約を結んだ。ところが販売の滑り出しは悪く、両社の関係は悪化した（対立は２００５年に決着）。デュナンさんは、背景にある複雑な法的問題に言及することは避けながらも、当初の販売低迷が対立の一因であることを示唆した。
２００４～０７年の鳥インフルエンザ、２００９～１０年の豚インフルエンザの世界的流行で、各国政府は世界保健機関（WHO）が必須医薬品リストに載せる「奇跡の治療薬」タミフルの備蓄に躍起になった。やがてこの騒動の裏には陰謀があったのではないかという疑惑が起こり、またロシュやギリアドの利益を増大する目的でパンデミック（世界的大流行）の警告が出されたのではないかと言う人まで現れた。なにしろ最終的には、予測された「大惨事」による死亡者は数百人で、季節性インフルエンザによる死亡者数よりも少なかったからだ。
健康、政治、大金
２００４年にタミフルが「スター」になってからメディアが注目し始めたのは、ブッシュ政権で国防長官を務めたドナルド・ラムズフェルド氏がタミフルの成功で得たとみられる巨額の利益だ。１９９７年からペンタゴン入りする２００１年までの間、ギリアド（Ｇｉｌｅａｄ）の会長を務めた同氏は、入閣以降は同社に関する権限は一切ないとしながらも、同社の株式を多数保有。
ＣＮＮによればその評価額は５００万～２５００万ドル（約５億～２５億円）で、タミフルによって２００５年１０月の時点で少なくとも１００万ドル個人資産を増やしたと推定している。ギリアドに大きな利権を持つ共和党有力者は同氏だけではなく、サンフランシスコのあるアナリストは「政界とこれほどつながりの深いバイオ企業は他にない」と言う。
また、ラムズフェルド氏には前例がある。１９７０年代はフォード政権を支えていたが、米食品医薬品局（ＦＤＡ）が危険性の指摘されていた人口甘味料アスパルテームの販売を許可した１９８１年には、製造元の製薬会社ＧＤサールのＣＥＯを務めていた。この周到なロビー活動の見返りに、同氏はＧＤサールから約１２００万ドルを受け取ったと、１９８５年にシカゴ・トリビューン紙が報じている。インフォボックス終わり
効果は？
「実際にインフルエンザのパンデミックの兆候はあった。ただ、幸運にも爆発的に広がらなかっただけだ」と言うのは、医療誌「ルビュー・メディカル・スイス」の編集長を務めるベルトラン・キフェー医師だ。「今となってみれば大騒ぎしすぎたと言えるかもしれないが、慎重なウイルス学者は今でもインフルエンザは重大な脅威であり、当時はリスク判断が非常に困難だったがギリギリでパンデミックを免れたと考えている」
だが、パンデミックが起きていたら、本当にタミフルは有効だったのだろうか？少なくともWHOは肯定的だ。「豚インフルエンザの流行時に、３８カ国で２万９千人の患者を対象にした７８件の研究結果をまとめた」と説明するのはWHOジュネーブ本部の広報担当者グレゴリー・アートリさん。「タミフルや英国製薬大手グラクソ・スミスクラインのリレンザなどのノイラミニダーゼ阻害薬を感染後４８時間以内に投与された患者の死亡率は、２５％低かった。新型インフルエンザに対し非常に効果があった証拠だ」
一方「自分もインフルエンザの合併症の予防にはタミフルが効果的だと信じていた１人」と認めるキフェー編集長は、新たな研究データが公表された今日では「タミフルは大して役に立たない上、重大な副作用がある」と考えるようになった。
臨床データをめぐる攻防
４月１０日、１２０カ国の２万４千人の医療関係者からなる独立した国際研究チーム「コクラン共同計画（Cochrane Collaboration）」は、英医学誌BMJに「ノイラミニダーゼ阻害薬に関する最も信頼のおける完全な検証」を掲載した。結論は断定的だ。「タミフルにより症状が治まるまでの期間は半日ほど短縮されたが、入院や合併症のリスクを軽減するという明白な証拠は確認できなかった」。この発表を受け、副作用に関しては英国ガーディアン紙が「１００万人にタミフルを処方すれば、４万５千人が嘔吐し、３万１千人が頭痛を訴え、１万１千人に精神神経障害が現れる」と試算。そしてユーモアをもってこう付け加えた。「英国は国民の８割に処方できるタミフルを備蓄していることを覚えておいでだろうか？英国中でかなりの嘔吐量になる」
この結論に至るまでにコクランは、依頼から４年経ってロシュが提出したデータを含め、タミフルに関する全ての臨床試験データを検証した。ロシュはなぜ提出に４年もかかったのか？「それまでこのような要請を受けたことがなかったからだ。情報を誰にでも渡すわけにはいかないし、個人情報の保護に関する問題もある」とデュナンさんは説明する。そして、同社が情報共有に関する方針を改めたこと、今後は同様の要請に対しては独立した専門委員会に委任することを付け加えた。
だがコクランの報告には、全てのデータが含まれているわけではない。「ロシュの完全出資による一部の研究データは、除外された」とキフェー編集長は話す。もちろんタミフルに有利なデータだった。「それらは臨床試験の条件を満たしていなかったからだ。例えば、タミフルが肺の状態を改善したとするケースでは、実際には患者への問診のみでＸ線検査もしていなかった。また、別の比較試験ではタミフルとそのプラセボ（偽薬）の色が違っていた。こんなことは容認できない」
一方ロシュ側は、提供したデータをコクランが公平に扱わなかったとして、この結論を拒否する構えだ。「当社にとって真に妥当性があるのはコクランではなく、ＷＨＯや世界中の１００以上の医薬品登録機関による、タミフルを推奨するという判断の方だ」とデュナンさんは要約する。
偽インフルエンザ、従来型インフルエンザ、新型インフルエンザ
インフルエンザに似た症状を引き起こすウイルスはたくさんある。それらに感染すると発熱やその他インフルエンザ様の症状を引き起こすこともあるが、インフルエンザではない。
季節性インフルエンザは、冬に流行する。インフルエンザウイルス感染による「真の」インフルエンザで、しばしば変異を起こす。数日間、重大な身体的症状が現れ、子どもやお年寄りなどの弱者は死に至ることもある。
パンデミック（世界的大流行）は、ヒトが免疫を持たない非常に強い感染力を持つ新型のウイルスの出現により、感染が広範囲または世界的に広がった状態。２０世紀には、スペイン風邪（１９１８～１９年。５千万～１億人が死亡）、アジア風邪（１９５７年。１００～４００万人が死亡）、香港風邪（１９６８年。１００～２００万人が死亡）の３回のパンデミックが発生している。
予防接種
は、インフルエンザから身を守るための最有効策として医師団や各国の保健機関、世界保健機構（ＷＨＯ）により推奨されている。インフルエンザに感染したら、十分に休養をとり、高熱に対処しながら肺炎などの合併症に注意する必要がある。インフォボックス終わり
圧力
だが、キフェー編集長は正反対の意見だ。「コクランは世界で最も信頼できる科学的機関の一つ。国の医薬品登録機関よりも信用すべきだ」と言う。では、ＷＨＯは？世界の人々の健康を守る機関にふさわしく、何者にも影響されない中立性を持つと言えるのだろうか？ＷＨＯ本部は、タミフルに関しロシュから一切の圧力を受けていないと断言し、ロシュのバーゼル本社も全面的に否定している。
「ＷＨＯがロシュから直接の圧力を受けた証拠があるとは考えにくい」とキフェー編集長は言う。「問題は、完全に独立した立場の専門家が少ないということだ。誰もが個人的に、または研究費として製薬会社から資金を受け取っている。ＷＨＯについては、対応が透明性に欠けていた。WHO内の専門家の利害関係や、受け取った金額、出席した学会など全てを調査したと言うが、そのリストの公開を拒否した」
タミフルに限った話ではない。医薬品の有効性検証に関わる問題はこの業界では日常茶飯事だ。だが、タミフルのケースが特異なのは、大金がからんでいること以外にも、「大量に備蓄されたタミフルがほとんど使用されず、実際に有効だったかがわからないこと。また、パンデミックの予測にパニックが起こり、各国政府は『今すぐ買わなければ、後はない』と言われ、冷静に状況を判断する時間がなかったこと」が指摘される。
特許が切れる
２０１６～１７年の間にタミフルの特許期間が切れ、ジェネリック薬（後発医薬品）の製造が可能になる。ロシュは憂慮すべきだろうか？「そんなことは全くない」と答えるのは同社のデュナンさん。「特許が切れるのは前から分かっていたこと。それに、タミフルは昨年の当社売上高の約１％でしかない」
一方キフェー編集長はというと、どのメーカーが製造してもオセルタミビルリン酸塩に将来はないと見ている。だが、今後研究が進み、新しい抗インフルエンザ薬が開発されることを望んでいる。「効果的な抗インフルエンザ薬を見つけられない理由はない」からだ。
（仏語からの翻訳 由比かおり）, swissinfo.ch