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「Atel ( 旧名アーレ・ティチーノ電力会社 )」が6月10日、新しい原子力発電所建設の申請を連邦政府に提出した。このコンテンツは 2008/06/28 15:26
スイス国民は原発建設を10年間停止するモラトリアムを選んだ後、その期限切れ後の2003年に、さらに10年延長することも、原発の段階的廃止にも反対した。2007年連邦政府は現存する原発が老朽化した場合の建て替えを決めた。今回の新原発建設申請にはこうした背景がある。そこで建設予定地の1つ、ニーダーゲスゲン村を訪ねてみた。
人家が密集する地域
ソロトゥルン州のニーダーゲスゲン ( Niedergösgen ) は、村の中央通りに数軒の民家、1軒のパン家、数軒のレストランに自動車修理工場などが並ぶ、人口4000人の、静かな、いたって平凡な村だ。ただこの村がほかと違うのは、ネオバロック様式の教会と隣村デニケン ( Däniken )にある原発の巨大な冷却炉が見えることだ。
原発が30年前に建てられて以来、教会はこの冷却炉の陰に入ってしまった。司教、ユルグ・シュミット氏は、
「すでに原発が1基ある地域にもう1基建てるとは、信じられないことだ」
と憤る。デニケン原発を建設した「 Atel 」は、デニケン、グレッツェンバッハ ( Gretzenbach ) 、ニーダーゲスゲン の3村の一つを新しい原発建設予定地にしているからだ。
スイスの電力不足は理解するが、こんなに人家が密集する地域に建てるという考えがシュミット氏には納得できない。さらに、ニーダーゲスゲン村で子供が数人白血病にかかったという話を耳にすると、ドイツで行われた、子供の白血病が原発の近くで多いという研究結果を思い出す。
みんな賛成
「30年間も隣村の原発と付き合ってきて、住民はその安全性に大きな信頼を置いている」
と語るのはニーダーゲスゲン村の村長クルト・ヘンツマン氏だ。ほかの多くの住民と同様、新しい原発建設に賛成する1人だ。連邦政府と州政府が定期的にデニケン原発をコントロールしていることに絶大な信頼を置いている。
経済的側面も見逃せない。同原発で働く400人のうち、8割が地域の住民だからだ。
「もちろん原発には絶えず危険が伴う。しかし、スイスにある原発のほうが、国境の向こう側にある原発より安全で安心できる」
とヘンツマン氏は言う。
ただ一つ彼が好ましく感じないのは、冷却炉から出る水蒸気の雲のせいで水平線が絶えず隠れ、景観が損なわれることだ。1979年、彼がまだ少年だった頃、大規模なデニケン原発建設反対デモがあった。あのいやな経験を繰り返さないためには、準備を怠らないことだと考える。
村のレストランでトランプ遊びに興じる4人は、みんな原発で働いており、新原発建設に大賛成だ。確かに2基も同じ地域に建てられると、景観には良くないが、2基目は高さが低いから大丈夫だと言う。
冷却炉からわずか数メートルのところで、2人の子供とイチゴ取りをする母親は、2基目は、形が悪いと聞いているが、美的な形にできないのかしらと言い、
「それにもし事故が起こったら、スイス全体が汚染されるわけだし、ただ原発に近ければ近いほど早く死ぬことになるだけ」
とシニカルに付け加える。
ある種の冒瀆 ( ぼうとく ) 的行為
農地が完全に冷却炉の陰に入る農家の青年、ブルーノ・マイエールさんも2基目の建設に賛成している。地域で仕事が増えるというのがその理由だ。
「原発はほかの工場などと何の変わりもない。ただ2基目は1基目より少し大目にお金を地域に落としてほしいが。それに事故はどこでも起こり得る」
と淡々と語り、自分の農産物の汚染問題など眼中にないといった様子だ。
こうした多数の賛成派の意見に、オルテン( Olten ) 市のある社会教育研究者は、
「原発を批判することは、この地域ではある種の冒瀆 ( ぼうとく) 的行為とみなされているようだ」
と分析する。さらに、原発を建設した電力会社は、地域でお祭りなどを組織して、住民の気持ちをつかむことに成功しているとも言う。
教会の司教を除いて、ただ1人2基目の原発建設に反対の意見を述べたのは、パン屋の女性だった。
「30年間も原発と共に暮らしてきた。もううんざりだ。2基目などとんでもない」
と苛立ちを隠さない。ただ、この女性によると、建設計画が具体化してきたら反対派が現れるが、今はまだ時期が早すぎるという。
swissinfo、コリンヌ・ブクサー 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 訳
子供の白血病
ドイツのマインツ ( Mainz ) 市における小児ガンの統計によると、原子力発電所の近くに住む5歳以下の子供が白血病にかかる率は、ほかの地域の子供より高い。
スイスでもベルン大学の社会・予防医学研究所とスイスの小児科ガングループは同様の研究をすべきだと主張している。
スイスの医師、ピエール・モラン氏は1994年に小児白血病と原子力発電所の関係に関する博士論文を発表し、ソロトゥルン州での小児白血病が増加していると説明している。
現在稼働中のスイスの原子力発電所
ベツナウI、ベツナウII ( Beznau )
アールガウ州デッティンゲン ( Döttingen )、北東スイス電力会社 ( NOK )
稼動年1969年/1971年
ミューレベルグ ( Mühleberg )
ベルン州ミューレベルク、ベルン電力会社 ( BKW )
稼動年1972年
ゲスゲン ( Gösgen )
ソロトゥルン州デニケン ( Däniken )、Atel社
稼動年1979年
ライプシュタット ( Leibstadt )
アールガウ州ライプシュタット、ラウフェンブルク電力会社 ( EGL )
稼動年1984年
以上の2007年の年間総発電量：約265億kWh。これはスイス全体の発電量のおよそ4割を占める。
新しい原子力発電所申請
2020年には、ミューレベルク、ベツナウI、ベツナウIIの発電所は、老朽化のため代わりの発電所が必要となる。ゲスゲンの寿命は2040年、ライプシュタットは2045年と予測される。
2008年6月10日、アーレ・ティチーノ電力会社 ( Atel ) は、ソロトゥルン州のデニケン ( Däniken ) 、グレッツェンバッハ ( Gretzenbach ) 、ニーダーゲスゲン ( Niedergösgen ) などの村があるニーダーアムト ( Niederamt ) 地域を建設予定地として、新しい原子力発電所建設の申請を行った。
ほかの２つの電力会社AxpoとBKWもベツナウIとミューレベルクに代わる原子力発電所建設を計画している。しかし、スイスが3基の新原子力発電所を建設することは経済的にも不可能で、上記3社も、60億～70億フラン ( 約600億円～7000億円 ) かかる原子力発電所は、スイスでは１基の建設がせいぜいだとみている。
一方、新しい原発申請は国民投票にかけられるだろうとみられる。「原子力発電反対協会」や緑の党 ( Grüne/ Les Verts ) がすでにレファレンダムを用意している。
電力会社は、新しい原子力発電所を建設しなければ2020年以降の完全な電力供給は保証されないという
JTI基準に準拠