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11月29日に行われた国民投票では、予想外の大差で「ミナレット建設禁止」が国民の支持を得た。「ミナレット禁止はわが国の問題を何一つ解決しない」とコメントするのは、発行部数がスイス最大の日刊紙「ターゲス・アンツァイガー ( Tages Anzeiger ) 」だ。
予想を大幅に上回る賛成票が得られた理由として、「グローバル化が大勢の移民を招き、スイス人の自己価値に疑問を投げかけ、外国人敵視が再び強まった」とさまざまな要素の関連性を挙げている。
実在するファナティズム ( 狂信主義 )
そして、今回の国民投票可決はスイスで多様な文化が平和に共生していくために役立つどころか、西側諸国ですらスイスがますます孤立していくのではないかと危惧する。
スイスのドイツ語圏有力紙「ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング ( Neue Zürcher Zeitung ) 」は、以下のようなコメントを載せた。
「多文化チームのサッカーU17代表が世界を制したときには大騒ぎしたが、有権者はこの多文化に制限を加えることを選んだ」
可決を導いた決定的な要素は、イスラム界の女性蔑視のイメージと現実に存在するファナティズムだと同紙はみている。
フランス語圏では、日刊紙「ル・タン ( Le Temps ) 」が「決定的打撃」と題し、
「すべての有権者が反イスラムだというわけではない。公共の場へのイスラム教の進出があまりにも目に付き過ぎると、それに反発するのだ」
とコメントした。
海外でもこの国民投票の結果は反響を呼んでいる。ドイツの日刊新聞「ディ・ヴェルト ( Die Welt ) 」は
「この可決は、ヨーロッパがこれまで一生懸命築いてきた啓蒙と寛容というハイレベルからスイスを放り落とした。この水準によってスイスは多民族国家の模範になったというのに」
と、この結果を残念がった。
また、イギリスの経済日刊紙「フィナンシャル・タイムズ ( Financial Times ) 」は次のように報道している。
「国民党 ( SVP/UDC ) 幹部の中には、ミナレット禁止イニシアチブはイスラム撃退の手始めに過ぎないと主張する人もいる。これに続いてブルカの着用や女性器切除の禁止を求めたいという考えだ。しかし大部分の党員は、このキャンペーンのターゲットだった政治的イスラム教徒と一般イスラム教徒を区別しようと努力している」
11月30日付の朝日新聞も「モスク尖塔禁止、可決へ」と題した記事を載せ、
「『イスラム化』の不安をあおる右翼勢力の運動が功を奏した形で、政府には大きな痛手。イスラム諸国の反発が予想される」
と述べている。
小山千早 ( こやまちはや ) 、swissinfo.ch