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くいなちゃん2019年06月18日
「６さいからの数学」第4話では、いろいろな小数を紹介し、しかしその集合を考えるときには直感に反する場合があることを解説します！
第3話で、整数「」を定義しましたが、今回はこれに小数を含めた集合「」と「」を定義します。 そしてそれらのような元が無限個の集合を考えると直感に反する場合があることを、「写像」や「濃度」といった概念を使って示していきます。
1.1有理数
「整数整数」の分数で表せる、分母が以外のすべての数を「有理数」といいます。 例えば、「」や「」や「」は有理数です。 「」という小数も、「」という分数で表せるので有理数です。
このとき、有理数全体の集合を「」と表すことにします。 つまり、「」です。
1.2実数
有理数以外の小数を「無理数」といいます。 無理数には、例えば円周率「」や、の値「」などがあります。 これらは「整数整数」の分数で表すことができません。
「」のように数字が循環する小数は必ず「整数整数」の分数に直すことができ、有理数になります。 循環しない小数は必ず無理数になります。
有理数と無理数を合わせて「実数」といいます。 つまり、実数とはすべての小数のことを意味します。 実数全体の集合を「」と表すことにします。
1.3包含関係
さて、すべての自然数は、整数の中に含まれます。 また、すべての整数は、有理数の中に含まれます。 従って、今までに紹介した数は図1-1のような包含関係になります。
1.4主な演算
有理数および実数には、整数と同様に、2つの数に対して、加算「」、減算「」、乗算「」、累乗「」、絶対値「」が定義されています。 またでないに対して、除算「」も定義されています。 がの場合、例えば「」などは未定義です。
これに加え、実数には「平方根()」や「冪根()」が定義されます。 「」とは、「」のときのの値のことです。 例えば「」なので、「」です。 またこれを拡張して、「」のときのの値を「」と表します。 例えば「」なので、「」です。
平方根の値は表1-1のようになります。
|平方根|
2写像
さて次に、これらの集合を扱う上で重要となる「写像」を説明します。
「写像」とは、ある集合のすべての元それぞれをある集合の元に対応付けるもので、「関数」と呼ばれることもあります。 図2-1における、元と元とを結ぶ「矢印」の集まりに相当するものが写像です。
写像が集合の元と集合の元を対応付けることを「」と表します。 またこのとき、集合の元に対応する集合の元を「」と表します。
「」のとき、集合のどのような元に対しても、対応する元は集合に1つだけ存在します。 対応先が存在しなかったり、複数存在することはありません。
また写像は、同じ集合の間で対応付けることもできます。 つまり「」であっても構いません。
例えば、自然数全体の集合に対し、の元を2倍する「」は、写像「」となります(図2-2)。
2.1全射、単射、全単射
「」において、の元がのすべての元を余すところなく対応付けている場合、を「全射」といいます。 厳密には、集合のすべての元に対するを集めたものが集合と一致したとき、は全射です。
また、のそれぞれの元に対応するの元に重複が無いとき、を「単射」といいます。 厳密には、の任意の異なる2つの元に対し、必ずとが異なるとき、は単射です。
写像が全射かつ単射であるとき、を「全単射」といいます。 このとき、の元との元がちょうど1対1で対応する形になります。
全射、単射、全単射のイメージを図2-3にまとめました。
2.2逆写像
写像の、元の対応の向きを逆にした写像を、の「逆写像」といい「」と表します。 厳密には、「」「」の2つの写像が、の任意の元に対して常に「」を満たし、の任意の元に対して常に「」を満たすとき、はの逆写像「」です。
例えば「」という写像「」と、「」という写像「」を考えると、「」および「」ですので、はの逆写像「」だといえます(図2-4)。
写像が全単射でなければ、に逆写像は存在しません。 またが全単射であれば、必ずの逆写像が存在し、それは1種類しかありません。
3濃度
それでは最後に、整数や実数などの元の個数について考えてみましょう。 元の個数が無限個の場合でもその大小が判断できるように、「個数」を一般化した「濃度」というものを導入します。
3.1有限集合の濃度
ある集合に対し、その元の個数のことを、集合Aの「濃度」といい「」と表します。 例えば「イヌネコウサギ」のとき、「」です。
このとき、2つの集合、に対し、それらの元の個数を比較することで、濃度が等しい「」とか、の濃度のほうが大きい「」などと言えます。 例えば、「イヌネコウサギ」「ミカンリンゴブドウ」であるとき、「」「」なので、「」です。
さて、元の個数が有限個の場合はこのように個数を数えることで濃度の比較ができますが、元の個数が無限個になると個数を数えることができなくなって比較できなくなります。 そこで、元の個数の代わりに写像を使うことで、濃度を比較することにします。 図3-1のように定義します。
例えば、「イヌネコウサギ」「ミカンリンゴブドウ」のとき、元を1つずつ対応付ける写像は全単射ですので、「」といえます。
「イヌネコ」「イヌネコウサギ」のとき、元を1つずつ対応付けていくとの元が1つ余りますので全単射の写像を作ることはできません。 よって「」です。 またこのとき「」なので「」です。
このように、元の個数を数えなくても、写像を使うことで濃度の比較ができるようになりました。
3.2可算の濃度
さてそれでは、元が無限個の集合同士の濃度を比較してみましょう。 まずは自然数と整数の濃度を比較します。
図3-2のように写像を作ると、の元に余りも重複もありませんので、これはととの間の全単射の写像になります。 よって、です。
はを含んでいるため、直感的に考えるとの濃度のほうがの濃度よりも大きくなりそうですが、このように1対1の対応付けが行えるために同じ濃度となります。 元が無限個の集合は、しばしば直感と異なる結果をもたらしますので慎重に扱う必要があります。
同様に、有理数を考えた場合も、図3-3のように辿ることでの元を網羅することができ、ととの間に全単射の写像を作ることができますので、です。
このように自然数と1対1で対応付けられる集合の濃度のことを、「可算の濃度」といい「」と表します。 すなわち、「」です。
3.3カントールの対角線論法
元が無限個の集合の濃度は必ずになるかというと、そうとも限りません。 例えば実数の濃度は、自然数の濃度よりも大きくなります「」。 ではこれから「カントールの対角線論法」と呼ばれる方法で、それを証明してみましょう。
まず、「カントールの対角線論法」では「背理法」と呼ばれる証明方法を使います。 背理法とは、「が成り立つと仮定してわざと矛盾を導き消去法でを証明する」という証明方法で、第1話で解説したように、一般的な数学があらゆる命題に対して「矛盾が無いこと(とが同時に証明されないこと)」と「排中律(かのどちらかが成り立つこと)」を前提としていることを利用したものです。 図3-4のような流れになります。
それでは、背理法である「カントールの対角線論法」によって、「」となることを見ていきましょう。
まずは「」の否定である、「」を仮定して矛盾を導きます。 ただし実数は広大すぎるので、ここでは話を単純にするために、の代わりに「より大きくより小さい実数」だけに絞った集合「」を使って進めます。 なお、ととの間には全単射が作れることが知られていて、と言うことができます。
すると、このとき集合の包含関係「」より「」ですから、これに先ほどの「」を仮定すると、「」とせざるを得なくなり、濃度が等しいことからととの間に1対1の対応付けが存在することになります。
つまり、例えばの元「」にはのある元「」が対応し、の元「」にはのある元「」が対応するといった具合です。 この例を図示すると、図3-5のようになります。
この図では、「」番目のの元の「桁目」、「」番目のの元の「桁目」、「」番目のの元の「桁目」、…と丸で囲んでいますが、この丸で囲んだ対角線部分の数字を抽出し、それが奇数であれば「」、偶数であれば「」とするような数字列の小数を考えます。 すると「」となります。 このような小数もまた集合のどこかに存在するはずなので、図のように「」番目のの元として対応付けておきます。
さてここで、図の「？」で示した部分に何の数字が入るかを考えます。 試しにを入れると「対角線部分がで偶数なのでを入れるべき」となり、を入れると「対角線部分がで奇数なのでを入れるべき」となって、どのような数字も入れることができません。 つまり「」番目のの元として対応付けられないことになります。
よって、「」番目のの元として対応付けられることと、対応付けられないことが示されましたので、矛盾します。
以上より、「」を仮定すると矛盾が生じましたので、「」が証明されます。 以上が「カントールの対角線論法」でした。
3.4連続の濃度
このような実数の濃度のことを、「連続の濃度」といい「」と表します。 以上をまとめますと、濃度の大小関係は図3-6のようになります。
「」とは以前に説明した通り、元が1つもない集合「空集合」です。
今回は、有理数と実数および、写像や濃度について解説しました。 次回は、「」について解説します！
©Kuina-chan