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太陽電池だけで初の世界一周を試みる飛行プロジェクト「ソーラー・インパルス」。現在アメリカで、今後の指標となる一連のテスト飛行を行っている最中だ。一方スイスでは、新しい試作機で使用するより軽量な最先端材料の研究が進んでいる。
ソーラー・インパルスの創案者ベルトラン・ピカールさんとアンドレ・ボルシュベルクさんにとって、このプロジェクトは記録を作るだけでなく再生可能エネルギー技術の利用促進という目的も兼ねている。試作機の創案、製造、テストおよび飛行を手伝う協力会社は約８０社。スイス企業も多い。これまでの成果は当初の野心をはるかに超える大きなものだ。
スイス西部の本拠地では、大歓声も無数のカメラもないところで新しい試作機HB-SIB号が造られている。科学分野のアドバイスをしている連邦工科大学ローザンヌ校（EPFL）や製造パートナーにとって、太陽光エネルギーで動くこの超軽量飛行機は技術的な難題の密集に等しい。中でも大変なのは最適な材料の特定作業だ。
ソーラー・インパルスの飛行機には、びょうは一つも打たれていない。すべてのパーツは接着剤でつなぎ合わせてある。太陽電池のみを使いノンストップで地球を一周するという夢飛行の実現に向け、チームのエンジニアはより軽量でかつ耐久性に優れた素材を求めて複合材料の開発を進めてきた。
その中心になっているのはローザンヌ近郊にあるデシジオン（Décision）社とノースTPT（North TPT）社だ。両社とも本来は船舶を扱う。ソーラー・インパルス・プロジェクトには連邦工科大学ローザンヌ校との緊密な協力体制を敷きながら参加している。
ソーラー・インパルスのハイライト
５月３日にアメリカ横断飛行を開始した。５地点で離着陸する予定。サンフランシスコを出発して（カリフォルニア州）フェニックス（アリゾナ州）、ダラス（テキサス州）、セントルイス（ミズーリ州）あるいはアトランタ（ジョージア州）を経由。最終着陸地はワシントンD.C.か、ニューヨークシティー。
ソーラー・インパルスの最初の試作機HB-SIA号は２００９年６月２６日に公開された。初のテスト飛行は翌年に開始。ソーラー飛行史上初の夜間飛行は２０１０年７月７日に行われ、２６時間以上続いた。
２０１０年９月、ソーラー・インパルスはスイス上空を飛行し、ジュネーブ国際空港とチューリヒ空港に着陸。スイス国外の初飛行は２０１１年。まずブリュッセルに、その後パリに飛んだ。
２０１２年、スイスのペイエルン（Payerne）から全７行程でモロッコのラバト（Rabat）を往復。同年、新しい飛行機HB-SIB号の製造が始まる。最終的な目標は２０１５年の世界一周飛行。
超軽量
現在アメリカ上空を飛行しているのは最初の試作機HB-SIA号だ。超軽量のフレーム体、コックピット、翼はデシジオンが工科大学と協力して製造した。飛行に最適なハニカムサンドイッチパネル（炭素繊維）を作り出すまでに１年かかった。シートの重量は１平方メートル当たりわずか９３グラムだ。
「ハイテクだが、同時に職人技でもある」。工場の中を歩きながらデシジオンのディレクター、ベルトラン・カルディス氏が言う。国際ヨットレースのアメリカズカップに出場した「アリンギ」チームのヨットや、ロケットを背に担いで空を飛ぶ通称「ジェットマン」、イヴ・ロッシーさんの翼を製造した場所だ。
ここの技術者が現在取り組んでいるのはソーラー・インパルスの新しい飛行機の機体につけるパネル。加熱処理を施したり組み立てたりする作業が続く。パネル１枚の製造に６千時間もかかるという。
新モデルHB-SIB号の翼の全長は７２メートルとさらに長くなる。一方でより軽く、またソーラーパネルを取り付けるスペースも多くなる。新しい機体に取り付けられるカーボンフィルムは紙よりも３倍軽く、１平方メートル当たりわずか２５グラムまで軽減された。
「時代の最先端をいくプロジェクトを開発するには快適な領域を出なければならない」とカルディス氏は言う。「つまりリスクを覚悟する領域に入り、そのリスクを最小限に抑えるよう努力する。そういう意味で工科大学との共同研究は非常に貴重だった」
その工科大学で研究に従事するパスカル・ヴイリオメネさんは、同プロジェクトの材料研究開発において主な関係者が地理的に非常に近いところにいることが大きな利点になったと言う。「ここにあるものは計り知れない専門技術の集結だ」
層を増やす
デシジオンとその取引先のノースTPTは車で数分の距離にある。ケーブル工場を改装した建物の中にあるノースTPTは、アリンギが２００７年のアメリカズカップに出場した際に帆の新材料を開発した。この革新的な炭素繊維複合材料は型にはめ込んでプレスした新タイプ。車両やボート、電車などに利用されている。
この新材料は焼いて固めたプリプレグ繊維シート（強化繊維と樹脂の混合物）の層からできており、非常に薄くてしなやかだ。繊維層の数が多く、層を重ねる向きや強度はさまざまに異なる。こうしてノースTPTは工科大学との協力で、これまでにはない軽さと強さを兼ね備えた材料を作り出した。
「写真でいえば画素が増えたようなもの」とマネージング・ディレクターのフランソワ・モルダシーニ氏は説明する。
材料の特長を生かすには繊維を最適な角度で重ねなければならないが、シートが非常に薄いため、作業にはコンピューター制御の特別ロボットが必要だ。釣ざおから時計部品、F１レース用変速装置まで、利用の範囲も幅広い。
ノースTPTはまた、炭素繊維複合材料の強度を計算するため新しいコンピューター・プログラムも開発した。モルダシーニ氏は「個々の状況に合わせて素材を最適化することができる新しいツールボックスを作り上げた」と満足そうだ。
試み
薄層の炭素繊維複合材料の特性は従来のものとは異なる。連邦工科大学ローザンヌ校の応用力学・信頼性解析研究所（Laboratory of Applied Mechanics and Reliability Analysis）のロビン・アーマッハーさんのチームはその試験を行っている。
「この炭素繊維複合材料で注目すべき事柄は、破断点がかなり高いことと破断面がきれいなことだ。また疲労抵抗性も驚くほど高い。これで材料の性能を最高に生かせる設計ができるようになった」
アーマッハーさんのチームは計測を行うだけではない。「素材がどのように破断するのかも調べている。そうすればどこをどう改善すればよいのかが見えてくる」
工科大学は２００３年、実行可能性調査の実施時にソーラー・インパルス・プロジェクトに加わって以来、多数の研究を行ってきた。その中の一つにヒューマンマシンインターフェース（HMI、リンク参照）センサーがある。長時間神経を張りつめたまま飛行するソーラー・インパルスのパイロットたちには有意義な技術だ。１２月には新しい飛行機のシミュレーションテストが予定されている。
ヴイリオメネさんの中には確信が広がる。「ソーラー・インパルスのような冒険プロジェクトはやりがいのある仕事だ。自分たちの技術を世の中に紹介できるだけでなく、学生も質の高い革新的な研究に参加して、自分の仕事がすぐに活用されるのを目の当たりにできる。誰にとっても利益になる技術移転だ」
（英語からの翻訳 小山千早）, swissinfo.ch