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ベルンの中心にそびえる時計塔。時間になると雄鶏や道化師、踊る熊たちが、時を知らせる鐘の音と共に出てくる。ベルンを訪れる観光客にとっては必見の名所だ。
今年10月は、この愛すべき時計塔の600周年記念にあたる。スイスインフォは文字通り、時計塔の知られざる裏側に迫った。
時計塔に登って東側の窓から古都を望んだ。あと数分たったら、街で最も古い、楽しいショーが始まる。はるか下には、わくわくしながら待つ観光客の列が見える。
生い立ちはちょうど600年前
時計塔の先っぽには、1.4トンの鐘がついている。鐘の表面には、鋳造された年と月が彫られている。1405年、10月。この時から600年、鐘の音は時を告げ続けてきた。
この1405年は、ベルン市にとっても歴史的な年だった。木材建築の多い古都が大火事で焼け落ちてしまったのだ。しかし、災い転じて福となす。大掛かりな都市再建プロジェクトが組まれ、現在に至るこの美しい姿に生まれ変わったのだ。
至れり尽くせり
クリスティネ・モジマンさんはベルン観光局のガイドだ。またの名を、「時計塔の歴史の案内人」。時計塔の裏側に回り、裏のまた裏の話まで聞かせてくれた。
「外側の文字盤は、一日を24時間単位で示し、星は月と日にちを指しています。15世紀には、10月はワインの月と言われました。後ろにある濃い色の計器盤は、夜明けと日の入りの時を示しています。もう一つある針は、12の星座を表しています。月の満ち欠けを示す針もあるんですよ」
こんなに精巧な機械は、現代でいったらコンピュータのような存在だったと表現すれば、なんとなく想像がつくだろうか。
なにしろ、当時の人々の生活を根底から変えてしまうほど、大きな影響力を与えたのだ。24時間単位の時計は14世紀に開発され、この世紀の後半には欧州全体に広まった。スイスは欧州の中でも、最も初めに時計を使い始めた国の一つだ。スイスで、初めての時計が時を告げたのは、チューリヒで、1368年だった。これをベルンの再建に利用しない手はない。
交響楽に圧倒される
時計塔の複雑な中身が現在の形になったのは、1530年のことだ。目の前で実際に重なり合う鉄の歯車、ロープ、レバーや取っ手などを眺めていると、その精巧な造りに見とれてしまう。それぞれがまた、それぞれの仕事の音を奏でるのだ。
ブンブン回る音、カチッと鳴る音、かと思えば、低いカタカタ音、振り子の規則的なリズム。時計の国スイスの交響楽だ。
「中でも、振り子を取り付けるのが、非常に難しかったようです」とモジマンさんは語る。「専門家や熟練工が試行錯誤し、何度も失敗を重ねた後で、18世紀の初めにやっとベルン出身の農民が問題を解決したのです」
牢獄塔
時計塔の近くには、その名も「恐怖の牢獄塔」がある。12世紀末に街の西側を外敵から守るために建てられた防御のための塔だったが、後に女性専用の牢獄となった。
「ここに収容された女性は“聖職者の売春婦”と呼ばれました。女性たちは過酷な罰を受け、多くがここで生涯を終えました」
ふと窓の外に目をやる。西側の窓はマルクト通りに面し、ここから先は旧市街だ。昔の悲しい思い出なんてまったく知らない人々が行きかっている。時計塔が規則正しく、永年の時を告げるのを聞きながら。
ｓwissinfo、クレア・オデア 遊佐弘美（ゆさひろみ）意訳
キーワード
時計塔が最初に時を告げる鐘の音を鳴らしたのは、1405年10月。
10月は、時計塔の特別観光ツアーが催される。毎日午後２時半、大人９フラン（800円）、子供4.50フラン（400円）。