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「サプライズ、新しさ、発見、の映画祭にする」と第63回ロカルノ国際映画祭の映画選択について、アーティスティック・ディレクターのオリヴィエ・ペール氏は7月14日、ベルンでの記者会見で語った。
ペール氏はフレデリック・メール氏の後任者として、フランスから招聘された。映画評論家、ジャーナリストとして、また、カンヌ国際映画祭の企画でその実力を認められている。
アーティスティック・ディレクターの個性で選択
フランス人のペール氏は上映映画の本数を約100本に絞り、新鋭監督の映画20本を含む世界初公開の映画およそ50本を選択した。若い監督の映画に重きを置くことに対しペール氏は
「すべてのリスクの責任を取る。リスクと言っても、これは管理できるリスクだ。ロカルノ映画祭で重要なのは、ありきたりの映画を見せることではなく、観客を驚かせ、芸術面で挑発することにある。普通ではないものを見せる勇気だ」
と語る。
国際コンペティション部門では、ルーマニアからマリアン・クリサン監督の「朝 ( Morgen ) 」とボドガン・ゲオルグ・アペトリ監督の「郊外 ( Periferic )」の2本、また中国から、徐辛 ( シュ・シン )監督の「克拉瑪依 ( カマライ )」 と李紅旗 ( リ・ホンクイ ) 監督の「寒假 ( Winter Vacation )」が選ばれた。そのほか、フランス、ドイツなどヨーロッパ勢、カナダ、ブラジルからも選出されている。スイスもシュテファニ・ショー、ヴェロニク・レモン両監督の「小さい家 ( La petite Chambre ) 」が参加する。
また、ロカルノ市の中心をなすピアッツア・グランデで毎晩上映される映画には、スイスからダニエル・フォン・アールブルク監督の「フーゴ・コブレット－魅力の自転車乗り ( Hugo Koblet – Pédaleur de Charm ) 」とパウル・リニケカー監督の「蝶 ( Sommervögel ) 」の2本が上映される。また、ペール氏が特に指摘したのはドイツからのゾンビ映画「ラムボック ( Rammbock ) 」( マルヴィン・クレン監督 ) 、ドイツ人監督で20世紀前半にアメリカのハリウッドで活躍したエルンスト・ルビッチの「生きるべきか死ぬべきか ( To be or not to be ) 」が上映される。フィクションからドキュメンタリー、探偵物、アニメ、ファンタジー、サイエンスフィクション、アバンギャルドまでジャンルはさまざまだ。
「ロカルノ映画祭は、特定のテーマを持った映画祭ではない。映画全般が主役だ」 とペール氏は語り、ロカルノ映画祭は個性の強い監督を映し出す鏡であると例えた。
また、ペール氏はアーティスティック・ディレクターとして
「当然映画祭にはアーティスティック・ディレクターの個性が出る。前任者を模倣するつもりはない。観客を大切にした上で、自分個人の見解で映画を選ぶ」
と映画と観客を結ぶのが映画祭の役割であると語った。
このほか、レオポルド名誉賞が中国人監督、賈樟柯 ( ジア・ツァン ) 氏とスイス人監督で、ヌーヴェルバーグのアラン・タネール氏にすでに決定された。また、有名スターの招待客としてイタリア人俳優マルチェロ・マストロヤンニの娘、キアラ・マストロヤンニさんが招待されている。
さらに向こう3年間の計画で、夏のアカデミーを開催し映画界に入ったばかりの業界人や映画を学ぶ人に向けて、有名な監督や専門家がセミナーを開くことも新しい試みとして行われる。
資金欠乏
ロカルノ国際映画祭の会長マルコ・ソラーリ氏によると、今年の予算は1130万フラン ( 約1億円 ) だ。2割が入場料など収入で賄われるが、8割は寄付金や支援金に頼っている。経済不況の中、どの文化活動に支援をするのかが選ばれる時代になっていると指摘した。
幸いロカルノ国際映画祭は引き続き、UBS銀行、スイスコム ( swisscom ) 、マノール百貨店 ( Manor ) などからの寄付が得られた上、ティチーノ州は25万フラン ( 約2000万円 ) に支援金を増額することが州議会で可決された。しかし、いまだに40万フラン ( 約3000万円 ) 不足していることを挙げ
「連邦政府は2400万フラン ( 約20億円 ) と映画助成金を増加した。スイスの映画祭全体への支援金は250万フラン ( 約2億円 ) だが、映画祭の数も質も向上した。その中で、ロカルノ国際映画祭を無視することはできない」
とさらなる支援金の増額を強く要望した。
今回からロカルノ映画祭はエコを意識している。映画祭で使用されるエネルギーはティチーノ州の太陽エネルギーラベル「エレクトロナトゥーラ」を使い、オフィシャルバッグもペットボトルをリサイクルした物を使う。また、20年間同じデザインだったカタログもより軽くコンパクトにし、紙の使用を従来より5割少なくした。さらに、アイフォーン (iPhone ) のアプリケーションでもプログラムを配信する。
オリヴィエ・ペール ( Olivier Pere ) 氏略歴
1971年マルセーユ生まれ。ソルボンヌ大学文学部卒業。
1995年からフランス映画ライブラリー勤務。
1997年からカンヌ映画祭を担当。そのほか、ベルフォー映画祭の企画も担当する。
1997年からは映画評論家、ジャーナリストとしても活躍。
第63回ロカルノ国際映画祭
8月4日から14日まで。スイス、ティチーノ州ロカルノ市で開催される、ヨーロッパでもっとも古い国際映画祭として有名。国際コンペティション賞や、新鋭監督コンペティション賞などが贈られるほか、町の中心をなすピアツァ・グランデで毎晩、大スクリーンに上映される映画で8000人のファンを魅了する。
第63回レオポルド名誉賞受賞 中国人監督、賈樟柯 (ジア・ツァンケ ) 氏とスイス人監督アラン・タナー氏
回顧展 エルンスト・ルビッチ監督
国際コンペティション 18本
ピアッツァ・グランデ上映 16本
オープンドアー アジアの映画が中心
スイスの映画は34本上映される。
swissinfo.ch