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九州ほどの面積に、四つの公用語が存在するスイス。特にフランス語地域とドイツ語地域では、投票行動などの政治面や、文化面で大きな違いがあるとされる。こうした言語地域間の「溝」を世界無形文化遺産に登録しようという動きが今、一部の市民の間で起きている。
フランス語地域とドイツ語地域では、国民投票時に投票行動の違いがみられることが多く、こうした言語地域間の違いはスイスでは「レシュティの溝」と呼ばれている。レシュティ（Rösti）とはジャガイモのガレットのこと。ドイツ語地域で食べられることが多く、逆にフランス語圏ではあまりみかけられないことがその名の由来とされる。
「レシュティの溝は、多様性の中でも一つにまとまろうとする意志を象徴している。国の『息づく伝統リスト他のサイトへ』に登録されるべきだ」。アールガウ州ブルックのヴィンドニッサ博物館の主張は今、スイスで波紋を呼んでいる。
さらに、同館展示「レシュティの溝 スイスをつなぐもの他のサイトへ」のオープニングでレネ・ヘンギ館長は、「レシュティの溝をヨーデル、フォンデュ、アルプホルンとともに、ユネスコ（国連教育科学文化機関）の無形文化遺産に登録すべきだ」と述べ、近々署名集めを開始する予定だと話した。
今回の展示はすでに２００４年に、フランス語地域ローザンヌのローマ博物館他のサイトへで行われたものだが、「レシュティの溝は両言語地域間の古い友情を示している」（ヘンギ館長）という理由から、今年ドイツ語地域で開催することが決まった。
ローマ博物館のローラン・フルッチュ館長は、「両言語地域間の違いをなくすことはできない。だが、人々の間でこうした多様性が容認されれば、（自分の言語地域以外からくるものを）受け入れやすくなるだろう」と話す。
フルッチュ館長によれば、言語地域間の違いが生まれたのは７千年前にさかのぼる。ヨーロッパ全体でみると、スイスは地理的にドイツ語圏、フランス語圏、イタリア語圏それぞれの言語圏の端に位置している。
レシュティの溝は存在するか
言語地域間の違いが顕著だったのが、１４年の国民投票結果だ。しかし、言語地域がそこに暮らす人々の投票行動に影響を与えるとは考えにくいと、歴史学者のゲオルク・クライスさんは指摘する。
「こうした政治的な溝は、ジャーナリストが作り上げたステレオタイプだ。しょせん、フランス語民族などいないのだ。人々の移動範囲が拡大しているこの時代に、居住地域がどれほど投票行動に影響するのかは疑問だ」
クライスさんは、都市と地方との溝や、社会的な溝の方が、人々の投票行動に与える影響は大きいとみている。
一方、政治学者レネ・クニューゼルさんは、「レシュティの溝は存在するが、それは社会が作り上げたものだ」と主張する。「地理的にみて、地域を分断するような物理的な障害はない。だが人々の態度や感受性に違いがみられる」
ミスター・スイスになれないフランス語地域
フランス語地域とドイツ語地域の違いを示す例は枚挙にいとまがない。フィットネス回数や肝硬変患者の数が両地域で異なるという統計はあるし、フランス語地域では生活保護の受給件数や医者にかかる回数が多いともいわれる。そのため、フランス語地域の人がドイツ語地域の右派から「悪い市民」と揶揄されることもある。
スイス人男性が美を競い合う大会「ミスター・スイス」で優勝するのは、きまってドイツ語地域の男性だ。「で、私たちは？」とフランス語地域の人々が悔し涙を流すのが恒例になっているのも事実だ。
昨年の夏に行われた全国世論調査他のサイトへでは、言語地域間のバリアを感じると答えた人は全体の４分の３。一方、レシュティの溝はないと答えた人は２２％いた。特にドイツ語地域ではその割合が２５％と多かったのに対し、フランス語地域では１４％。レシュティの溝はフランス語地域だけの問題なのだろうか？
被害者意識？
フランス語地域はドイツ語地域に比べて人口が少ないため、国の行政機関トップに同地域出身者が就任する機会も、ドイツ語地域に比べて少ない。こうしたことに「彼らは不満を募らせている」と、フルッチュ館長は言う。
また、ドイツ語地域に根強い保守主義のせいで、フランス語地域の発展が妨げられていると考える人も多く、被害者意識が高まる原因にもなっていると、クニューゼルさんは指摘する。
ドイツ語圏の日刊紙NZZ紙・西スイス支局のクリストフ・ビュッヒさんは、「『フランス語地域は隣国フランスの影響が濃い。また彼らは、国の資源を（国民に平等に）配分することや、社会国家に理想を抱いている』との偏見がドイツ語地域にある。だが、フランス語地域に対して特に不満もなく、大して気に留とめてもいない」と語る。
しかし実際、「フランス語地域側では、国がルールを定めなければ、ドイツ語地域に経済が集中し、フランス語地域が不利を被るとの不満が根強い」（ビュッヒさん）ため、ドイツ語地域の偏見はあながち間違っていないという。
偏見を煽る
１２年にドイツ語圏の週刊誌ヴェルトヴォッヘが掲載した記事はスキャンダルを巻き起こした。誌上でフランス語地域の人を「スイスのギリシャ人」と称したからだ。経済危機真っただ中だった当時のギリシャを引き合いに、同誌は彼らを怠惰でお気楽主義、社会保障のお荷物だと批判した。
人類学者のイサベル・ラブー・シューレさんは、この件に社会は過剰に反応したと指摘する。「スイス人の大半は、親のどちらかが他の言語地域出身者。実際、この国を維持しているのは、非常に多様な市民たちだ。しかし、皆がすべての価値感を共有しているわけではないので、国をまとめることは難しい」
溝があるからこそ寛容になれる
言語地域間の問題を解決するのは簡単ではない。だが、テニスのロジャー・フェデラーさん（ドイツ語圏出身）とスタン・ワウリンカさん（フランス語圏出身）らスイス代表チームは今年、デビス杯で初優勝を果たし、スイス中が歓喜に沸いた。日刊紙レクスプレスはこう書いている。「テニスのスイス代表は異なる言語間に橋を架けた。政治的議論では成し遂げられなかったことだ」
「『レシュティの溝』という言語地域間の違いの象徴が存在することで、互いの違いを認め合うことができる」とクニューゼルさん。スイスは国際的にみても、少数派に配慮を示している国だという。
市民の行動範囲は固定されていないので、レシュティの溝が横たわる地域も状況によって変わってくる。だが、溝で地域が分かれるからこそ、各地域がそれぞれ自主性を保つことができると、クニューゼルさんは考える。「ドイツ語やフランス語がうまく話せなくても、こうしてスイスで暮らしていくことができるのだ」
レシュティの溝
レシュティの溝（独語Röstigraben、仏語barrière de rösti）は、ドイツ語地域（人口の６５％）とフランス語地域（人口の２３％）の違いを意味する。この溝が位置するのは、主にフリブール州を流れるザーネ川で区切られる地理的境界。
レシュティの溝と並行して、「ポレンタ（トウモロコシの粉粥）の溝」というのもある。これはゴッタルド峠南のイタリア語地域（人口の８．３％）とその他の地域に横たわる文化的相違を指しているが、あまり一般的には使われていない。
レシュティの溝が登場したのは、フランス語地域の兵士がフランス側の味方に、ドイツ語地域の兵士がドイツ側についた第１次大戦中だった。
この言葉が用いられるのは、国民投票結果で地域間の差が出たときが多い。特に、スイスのEU加盟問題や移民問題、国の役割に関するテーマでは、各言語地域で投票行動の違いが見受けられる。
スイスの欧州経済地域（EEA）加盟の是非を問う１９９２年の国民投票では、フランス語地域で加盟賛成が過半数を上回ったのに対し、ドイツ語地域では反対が多かった。結果は５０．３％で否決となった。
（出典：スイス歴史事典）
（独語からの翻訳・編集 鹿島田芙美）, swissinfo.ch