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スイスで５日、五つの案件の是非を巡り国民投票が行われた。働いているか、いないかに関わらず、国民全員に生活に必要最低限のお金を支給するベーシック・インカム（最低生活保障、最低所得保障）導入案は、反対約８割で否決。公共サービスの改善を求めたイニシアチブ（国民発議）と道路財源を巡るイニシアチブも否決。難民法改正案および着床前診断に関する法案は可決された。
ベーシック・インカムは反対大多数で否決
今回の国民投票で最も注目を集めたのが、ベーシック・インカム導入案だ。このイニシアチブでは、スイスに住む人なら誰でも最低限の所得が支給されることを要求していた。導入を求める人々は、ベーシック・インカムがあればどの人も人間としての尊厳を維持できるとしていた。
同案の中では支給されるお金の額も財源も定められていないが、導入賛成派はすべての大人に月２５００フラン（約２７万円）、未成年者に６２５フランを支給する考えを提示。現在、ベーシック・インカムの金額を下回る所得の人々の収入は増加するが、それ以上の所得の人はこれまでと変わらないと主張していた。
この案に対し国は、これまでベーシック・インカムと同程度の稼ぎがあった人は今後仕事を続ける意義を失い、労働者が減少すると指摘。企業の国外移転が促され、国の税収が減り、平均所得の低い国から多くの外国人がスイスに流入すると危惧していた。
また、財源確保のためには大幅な歳出カットや増税が必要のほか、社会保障にはベーシック・インカムではまかないきれないようなサービスや支援が不可欠なため、ベーシック・インカムが既存の社会保障制度に取って代わることはできないとしていた。
ベーシック・インカムの導入を歓迎する声は、投票日以前からあまり聞かれなかった。スイス公共放送（SRG SSR）が投票日１カ月前に行った世論調査でも反対が７割を超えた。投票結果では有権者の８割が反対し、全州の過半数で反対となったため、否決が決定した。
世論調査機関gfsベルンのクロード・ロンシャン代表はスイス公共放送（SRF）の番組で「財源に関するコンセプトができていない点が致命的になった。そのため保守派は議論する考えすらなかった」と解説している。
導入案を推進していたダニエル・ヘーニ氏はこの結果に落胆せず、「賛成は１５％程度を期待していたため、結果がそれよりも多く驚いている。５人に１人が賛成してくれた」と話し、今後もベーシック・インカムに関するテーマを世に発信していきたいとしている。
公共サービスの強化案否決
続いて否決された案件は、公共サービスの強化を求めたイニシアチブだ。スイスでは通信、郵便、鉄道事業が９０年代後半に民営化され、国は大株主になったが、サービスの質が近年落ちているとの声が高まっていた。そこで消費者保護関連雑誌の出版社らは、「通信、郵便、鉄道など国と直結する企業は利益を求めてはならない。また、公共サービス事業が他の事業の財政支援をしてはならず、公共サービスの従業員の給料は公務員の給料を上回ってはいけない」という内容を求めたイニシアチブを立ち上げた。
この案に対し国は、民営化された企業が自由に経営判断できる余地を狭め、競争力を弱めると批判。良い人材を集めるにはそれ相応の報酬を支払うことも必要であり、通信、郵便、鉄道関連企業の納税額は国や地方自治体にとって貴重な財源だと主張。同案が可決されれば納税額が下がることが見込まれるため、結果的に他の公共サービスが削減されたり増税につながったりする可能性があるとした。
この案件は、投票直前に行われた世論調査で賛成が反対を上回っていたため、投票日まで結果が不透明だった。結果的には、６割以上の反対で否決となった。同案を推進していたマッテオ・チェダ氏はSRFの取材に対し「敗北の原因の一つは、イニシアチブの文言を国民が理解できるように作成しなかった点だろう。だが根本的な理由はまだ分からない。原因をもっと詳しく分析した後、今後も同様のイニシアチブを立ち上げるか検討したい」と話した。
ガソリン税の使途は今後もさまざま
今回の国民投票では、ガソリン税（ガソリン、ディーゼルなど）の使途を道路事業のみに限定することを求めたイニシアチブの是非も問われた。
同案を支持する人々は、「今日の自動車は燃費がよいため、購入されるガソリンの量も減り、結果、税収が減って必要な道路事業にお金が回ってこない。年々増える交通渋滞や、道路の修復・改修工事に必要な財源を確保するには、ガソリン税収のすべてを道路事業に回すことが必要だ」と主張。現在は、ガソリン税収の５割が道路事業に使われ、残りは国のあらゆる事業に用いられている。
一方、国は、これまでの税収がなくなれば教育、農業、軍などさまざまな分野で投資を減らさなくてはならなくなり、地方自治体に分配できるお金も少なくなると主張。イニシアチブを否決するよう国民に呼びかけていた。
投票結果は約７割の反対で否決された。同案を支持していたのは与党第１党で右派の国民党のみだった。ロンシャン氏はSRFの番組で「賛成３割という結果は、国民党の支持率と同じだ。ほかの政党から支持を得られなかったことが敗因だろう」と語っている。
難民審査はスピーディーに
今回の国民投票では上記のイニシアチブ３件以外に、連邦議会が可決した法案の是非をもう一度国民投票で問うレファレンダムが２件あった。
その一つが、難民法改正案だ。これまでの難民審査では時間がかかり、コストも多くかかっていた。近年増え続ける難民の流入に対処するため、連邦議会は昨年、難民法改正案を可決。改正案では難民審査を国の難民センターで行い、審査にかかる日数を最大１４０日に限定。また、難民申請者に無料で弁護士をつけることで、申請者に自身の権利を知らせ、難民認定が拒否された場合も納得しやすいようにした。
この改正案に対し、国民党などが反対し、レファレンダムを成立させた。だが、国民投票では６割以上の投票者が賛成し、同案は可決された。国民党のアンドレアス・グラーナー下院議員はスイスの主要紙NZZに対し「連邦政府がプロパガンダを行ったせいで、国民が誘導された。難民審査はスピーディーにはならないだろう。それが判明した際は、我々は連邦政府と対立するだろう」と話している。
着床前診断がスイスでも可能に
もう一つのレファレンダムが、着床前診断に関する法案だ。連邦議会は２０１４年、遺伝子疾患を抱えるカップルか、不妊に悩むカップルに限り、受精卵に異常があるかどうかを検査する着床前診断を認める法案を可決。これに対し、左派から右派まで幅広い政党の党員が異議を唱え、レファレンダムを成立させた。
レファレンダムを成立させた人々は、染色体の検査が行われることは命の選別につながるとし、また１回の治療で作られる受精卵の数が１２個は多すぎると主張していた。
投票結果は、賛成６２．４％で可決。国民は着床前診断に賛成した。投票結果を受け、アラン・ベルセ内相は「国民から明白なシグナルを得た。着床前診断が可能になっても、我々の社会は健常者も障がい者も含む多様なものであることに変わりはない」と話している。
今回の投票率は平均４６％だった。
swissinfo.ch