Document ID: /fineweb-2-swissfilter-quality_10-filterrobots/filtered/00542.jsonl.gz/45

イースター（復活祭）が終わり、暦の上ではスイスにも春がやってきた。欧州では、今年はちょうどイースターの週末に夏時間へと移行し、日本とスイスとの時差は７時間となった。イースターの日にちは毎年変わる。２０１６年は３月２５日が、イエスキリストが亡くなったとされる聖金曜日（Karfreitag）の祝日。２８日はキリストが復活をした月曜日とされるイースターマンデー（Ostermontag）で、共に祝日で、多くの人々が週末を絡め春の４連休を過ごした。
我が家もイースター休暇を利用して、スイスから国境を越えて、フランスのアルザス地方へ１泊旅行をした。アルザスといえば、学生時代の教科書の中で、「最後の授業」の舞台となった場所であるとご記憶をされている方もおられるであろう。今回はスイスから気軽に行けるアルザス地方の様子を、観光としての視点で、ワイン街道の中心の町コルマールと、周辺の村をメインにご紹介してみよう。
アルザス地方はフランスの東部、スイスとドイツの国境沿いに位置する。１０年以上前に筆者が住んでいたバーゼル市内からは、フランス側の国境の町ミュールーズを通過し、観光客で賑わうコルマールまで車で約1時間。ワイン購入の目的も兼ね、ワイン街道の村々へはしばしば日帰り旅行に出かけた。現在の住まいがあるチューリヒ州からアルザスまでは、交通事情により多少は異なるが、約２時間半のドライブで到着する。混み合う事が予想されるバーゼルとミュールーズの市街地を通るルートを避け、今回はチューリヒからドイツへ抜け、アウトバーンを走ってフランスへと入った。ドイツの国境を超えると、自動的に携帯電話にメッセージ表示がされ、スイスからドイツの電話会社のシグナルへと切り替わる。お次はフランスへチェンジ。陸路で続く欧州ならではと感じる。
コルマールに到着すると、公共駐車場にはスイスナンバーの車がずらりと並んでいた。町を歩けばフランス語に交ざって、スイス訛りのドイツ語を話す人達の声があちらかこちらから耳に入ってくる。コルマールはスタジオジブリの作品、「ハウルの動く城」の制作において、参考にされた町としても知られている。この日の町は、イースターにちなんだ装飾で彩られていた。家々には卵やニワトリ、ウサギなどのカラフルな飾り付けが華やかだった。
土産物屋が並ぶ人通り踊りの多い界隈を抜け、少し離れた教会の方に向かって歩くと、辺りはとても静かになる。教会の中へ入ってみると、ちょうど礼拝が行われているところであった。とても寂しいメロディーの曲が演奏され、多くの人々が静かに祈りを捧げていた。辺りの喧騒とは打って変わり、聖金曜日はキリストが亡くなった悲しい日である事をあらためて実感させられた。
アルザス地方には１６世紀〜１７世紀の中世の時代に造られた、「コロンバージュ（Colombages）」と呼ばれる木組みの美しい建築物が数多く並んでいる。当時のこの地方では、採掘される石材に限りがあり、木造建築が栄えたのだという。木を組み合わせた造りは、ドイツの影響を受けているのだそうだ。ちなみにスイスドイツ語圏のチューリヒ州でも、古い建物の中に、時々このような造りの建物を見かける事がある。
美しい町並みと共に魅力なのが、この地域一帯で生産されるワインだ。夏が近づくと、村々の丘陵一帯には、青く葉が生い茂る葡萄畑が見渡せるようになる。アルザスのワインは世界中のワイン愛好家達の間でも高い評価を得ており、この地方の主要な産業の一つだ。ワイン街道の地図を片手に、村のワイナリーを巡り、試飲をしながら好みのグレープのワインを選ぶもよし、またはワイナリーにはこだわらず、地元の酒屋さんからおススメのワインを直接伝授していただき、異なった種類の美味しいワインを買い求めてみるのも楽しい。
コルマールとその周辺には、グルメなレストランが多い事も、更なる魅力の一つ。星付きのレストランも数軒存在する。筆者もそのうちの1軒を訪れた。ミシュランシェフの料理に舌つづみをうち、美味しいアルザスワインを堪能した。大奮発であったものの、スイスの同じクオリティのレストランと比較してみると、価格はぐっと抑えめである事が嬉しい。レストランのマダムいわく、スイスから訪れる旅行客も多く、毎年イースターを機に観光シーズンがスタートするのだという。
翌日はコルマール郊外にある食材店、メゾン・フェルベール（Maison Ferber）を訪れてみた。クリスティーヌ・フェルベール（Christine Ferber）のコンフィチュール〈＝ジャム〉と言えば、ご存知の方もいらっしゃるであろう。アルザスの季節おりおりのフルーツを使用して作られるジャムは、日本でも都内の百貨店などで高級ジャムとして販売され、人気が高い。「コンフィチュールの妖精」と呼ばれるクリスティーヌ・フェルベールのお店は、コルマール郊外のニーデルモルシュヴィル（Niedermorschwihr）という小さな村にある。店には地元の人々をはじめ、遠方からも多くの人々が押し寄せる。コルマールから、タクシーを利用して訪れる人もいる。そう広くはない店内は、復活祭用のケーキを買い求める地元の人達でも賑わい、旅行客らしい日本人のご家族連れやカップルが買い物に訪れている姿もお見かけした。
春のアルザス地方で、見逃せない光景がコウノトリだ。この季節にアルザスの町や村を訪れると、コウノトリが雛を育てている光景や、悠々と空を飛ぶ姿に遭遇する。
アルザス地方がコウノトリの村として知られるようになった理由は、昔から湿地帯が多い場所で、トカゲや蛙などを食するコウノトリが営巣するのに適していたため、繁殖が進んだのだそうだ。アルザスにはコウノトリ用の公園もあり、広大な敷地を持つ自然公園内では、約１５０羽のコウノトリの繁殖が行われているのだという。ワイン街道にある村リボーヴィレでは、教会の尖った塔のてっぺんや、高い建物の上にコウノトリの巣を見つけた。
スイスでは、チューリヒ州の郊外にも広大な湿地帯があり、コウノトリ達が空を飛ぶ姿や、つがいの親鳥が雛を育てる春の風景を眺める事ができる。アルザスやスイスで見かけるコウノトリは、正確にはシュバシコウという種類の、コウノトリ科の鳥なのだそうだ。
青空の下、桜が咲き、背後にワインフィールドが広がるのは春の美しい風景。初夏から夏になると、町や村には花々が咲き、ぶどう畑に緑いっぱいの丘陵が広がる景色となる。次回は眩しい太陽の下、花々で彩られる夏のアルザスを、スイスから再び訪れてみたい。
スミス 香
プロフィール：スミス 香
福岡生まれの福岡育ち。都内の大学へ進学、その後就職し、以降は東京で過ごす。スイス在住12年目。最初の2年間をバーゼルで過ごし、その後は転居して、現在は同じドイツ語圏のチューリヒ州で、日本文化をこよなく愛する英国人の夫と二人暮らし。日本・スイス・英国と3つの文化に囲まれながら、スイスでの生活は現在でもカルチャーショックを感じる日々。趣味は野球観戦、旅行、食べ歩き、美味しいワインを楽しむ事。自身では2009年より、美しいスイスの自然と季節の移り変わり、人々の生活風景を綴る、個人のブログ「スイスの街角から」をチューリヒ湖畔より更新中。