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スイス国立銀行 ( スイス中銀 ) のトマス・ヨルダン審議員が、ドイツ語圏新聞のインタビューで労働組合が要求するベースアップを懸念する発言をした。ベースアップが物価上昇をきたし、再びベースアップにつながるという螺旋階段を登るような状態になるからだというのが理由だ。これに対し労働組合は烈火のごとく怒っている。このコンテンツは 2008/07/11 15:26
国立銀行はインフレが2%以上になると、価格の安定は保障できないという見解だ。一方現在のスイスの物価は、原油の高騰により2.9%まで上昇している。よって国立銀行は対応措置を講じなければならないというわけだ。
螺旋階段を登らないように
ヨルダン氏は7月6日付のNZZアム・ゾンターク紙上で「好ましくないインフレ」と現状を表現した。国立銀行の物価上昇への対応策は、金利と通貨政策に限られており、他の方法は禁じ手だ。その他の手段は議会 ( 予算 )、政府 ( 公共事業 ) 、企業と労働者に委ねられている。
雇用者と労働組合の話し合いで労働者の所得は決まる。現在労働組合は、雇用者に対しこれまでの生産性の向上による利益を労働者に還元し、ベースアップをするように要求している。ヨルダン氏は企業が上げた利益の取り合い戦の中に勢いよく飛び込み「燃料値上げなどの実際的な損失を給料の値上げで調節すること」は危険だと忠告した。つまり、組合が秋に行うことになる労使交渉での物価上昇に連動した給料の引き上げには反対だと言ったのだ。
原油の高騰は実質的な所得の減少になるが、これはすべての人が押しなべて負うべきことだとヨルダン氏は主張する。つまり、企業もマージンを縮小し、労働者もベースアップを我慢する。労働組合に対しては、ベースアップの要求率をある程度引き下げるよう勧告する。物価上昇に見合ったベースアップは我慢すべきだ。でなければインフレを挑発してしまい、国立銀行は金利を下げ、通貨量も引き締めることになるという。
国立銀行の試みは信じがたい
「国立銀行が試みようとしていることは、信じられないことだ。雇用者の召使になったようなもの。国立銀行の信用と独立性が侵されかねない発言だ」
と労働組合「トラバーユ・スイス ( Travail.Suisse ) 」のスザン・ブランク氏は言う。
「データを詳細に分析すると、状況はそんなに深刻ではないことが分かる。2004年から景気が上向き、国内総生産 ( GNP ) も11.7%伸びた。つまり企業も大きな利益を上げマージンも増加したはず」
企業はマージンを減らすことができるはずで、国立銀行が物価上昇について口を挟むことは理解できないという。
給料を節約するのなら、トップマネージャーの報酬を見直すべきだというのが労働組合の意見だ。近年、トラバーユ・スイスはトップマネージャーの報酬の伸びと「一般労働者」の給料の推移を比較した調査を発表した。法外なトップマネージャーの報酬は最近の大きな話題となっている。
「いまになって国立銀行が給料のことに言及することには怒りを感じる。数年前にマネージャーの報酬について意見することができたはず」
とブランク氏は言う。さらに
「マネージャーたちは企業を食いものにしてきた。一般労働者は黙ってそれを見ていただけ。物価上昇に伴ったベースアップを要求しただけで、国立銀行は反対する」
と怒る。ブランク氏の計算によれば、トップマネージャーの報酬は給料全体の10%から15%を占め、残りが一般労働者に支払われる給料だ。その85%から90%の部分を少なくとも物価上昇に見合った分引き上げて欲しいと言っているだけなのだという。
swissinfo、アレクサンダー・キュンツレ 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 訳
スイスの労働組合 トラバーユ・スイス
2002年に創立したスイスの労働組合。以前のスイス・キリスト教国家労働組合 ( CNG ) とスイス労働者同盟 ( VSA ) が合併してできた。
組合員は約17万人。
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