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物質の最深部の追究に向けて、ジュネーブにある世界最大の素粒子加速器が2度目のスタートを切った。11月20日、1年前の稼働直後に発生した故障の修理がようやく終わり、再び陽子ビームを衝突させて素粒子を生成する実験が可能になった。
核物理学者たちは、これまで机上の論理でしかなかったヒッグス粒子の存在を証明することができると期待を寄せている。
当分は低速度で稼動
11月20日、「欧州合同素粒子原子核研究機構 ( Cern ) 」の広報担当ジェームス・ギリー氏は
「再稼動は予想以上に順調に進み、1回目のテストは予定より7時間早く終了した」
と発表した。
スイスとフランスの国境にまたがって地下100メートルの深さに造られた全長27キロメートルの「大型ハドロン衝突型加速器 ( LHC ) 」はまず、低エネルギーで稼動を再開した。来年になると、LHC内を回る陽子は3.5兆電子ボルトの速度まで加速される。これは、これまで世界最大だったシカゴの「フェルミ研究所 ( Fermilab ) 」にある素粒子加速器の最高速度の3.5倍に相当する。セルンで到達できる最高エネルギー量は7兆電子ボルトだ。
小規模の素粒子加速器は、数十年前から原子の構造の研究に使用されている。長い間、陽子と中性子は原子核の最小の構成要素だと認識されてきた。しかし、素粒子加速器を利用することによって、これらよりさらに小さいクォークやグルーオンという粒子があることが分かった。
昨年9月の稼動開始と故障
宇宙誕生についての通説によると、140億年前のビッグバンで物質や反物質が同じ量だけ生まれた。普通の粒子と反粒子が同じ数、100億個ずつあって互いに反応して消えて行ったが、性質のほんのわずかな差から普通の粒子が一個残ってしまった。例えばヒトが自然の一部であり物質として存在しうるのは、物質と反物質の量がわずかに異なるためだ。
セルンのLHCプロジェクトには世界各国から8000人以上の物理学者が参加しており、宇宙誕生の謎を解明しようとしている。40億ユーロ ( 約5300億円 ) をかけて建設されたこの施設は昨年9月に始動したが、故障のためわずか36時間後に停止された。
現在終了した修理および新たな安全対策にかけられた費用はおよそ2700万ユーロ ( 約36億円 ) 。ロルフ・ホイヤー所長は先週末
「物理学の研究を開始する前にやることはまだある。だが、これは一つの一里塚であり、経過は順調だ」
と語った。来年には初めての途中結果が出る予定だ
swissinfo.ch、外電