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スイス南部の町シオンで、国民投票の投票率を上げるためにある実験が行われている。論点を「分かりやすく伝える」というシンプルな試みだが、そのプロセスには秘密がある。
スイスは1年に4回の国民投票がある。民主制としては優れているが、逆に言えば、それだけたくさんの案件をこなさなければならない。
そのための主な手段は、メディア報道を追い、家族や友人と議論し、政党や運動家の発言を見極めて、投票日の数日前に自治体から送られてくる政府作成の説明資料を熟読することだ。
スイス南部の町シオンでは1月、2月9日の国民投票を前に2万1千人の有権者のもとにこれまでとは異なる資料が届いた。無作為に抽出された市民20人が書き上げた「投票案内ペーパー」で、投票で何が問われているかを分かりやすく説明した1枚紙だ。
表面には今回問われる低家賃住宅イニシアチブの8つのポイントが、重要とみられる順に並んでいる。裏面は同案に対する賛否両論が3点ずつ書かれている。
1回読んだだけでは、当局から送られてくる政府資料と何が違うのか、どこが分かりやすくなったのかは読み取れない。唯一はっきりした違いは、政府の賛否や投票方法が書かれていないことだ（政府資料には各議題に対する政府・議会の立場が示される）。
デモスキャンのプロジェクトリーダーを務めるネナド・ストヤノヴィッチ氏は、ペーパーが情報の「フィルタリング」と「優先順位づけ」したことに価値があると話す。20人の「一般」市民の目を通して選び抜かれた最も重要な論点だけが示されているのだ。
成果物だけでなく、ペーパー作成までのプロセスも同じように重要だった、とストヤノヴィッチ氏は言う。
市民パネルへの参加者を無作為かつまんべんなく選出することで、普段は政治討論に加わらないような属性の人々もプロジェクトに巻き込んだ。4日間にわたる調査と討議は「民主主義の学校」ともいえる場となり、それまでは参加者にとって遠い存在だった機関の働きを教えることとなった。
ストヤノヴィッチ氏は議論の進み方や参加者が政治的な概念をいとも簡単につかんだことに「いい意味でびっくりした」。先月開いた記者会見では、複数の参加者が口々に「素晴らしい人類の冒険だった」などと称えた。
ポピュリズムに対抗する
それは民主主義に具体的な影響を与えるのに十分な取り組みだったのか？シオンでは投票案内ペーパーが有用だったかどうか地元住民に尋ねる検証作業が進み、20人のパネルメンバーもフィードバックを提出した。結果はこの春に発表予定だ。
他の地域ではこうした手法が有効であることが既に証明されている。
デモスキャンは米オレゴン州での取り組みを基にしたものだ。同州では2010年以降、投票前に「市民によるイニシアチブ考察（CIR）」が実施されている。
オレゴン州では投票に向けて議論する中で、当局に対してよりも住民どうしの方が信頼感を強めていることが調査でわかった。そしてCIRが示したのは「普通」の人々が難しい議題を審議できるということ、そしてそれによって全住民がより自信をもって政治に参加し、投票所に向かうようになったことだった。
シンクタンクのカーネギー・ヨーロッパ他のサイトへによると、投票以外の形で市民が政治に参加する仕組みは、西欧諸国でさまざまな試みが進んでいる。同シンクタンクは昨年11月、「政治決定は市民の間での合理的な議論の産物であるべきとの前提に基づいた、現代の審議民主主義の新しい波だ」と評した。
米国はオレゴン州以外にも複数の州がCIRを導入しており、オーストリアやポーランドなどでは市民議会・評議会、カナダでは市民パネルが広がっている。フランスでは「黄色いベスト」運動に対応して、マクロン首相は「国民大討論」を開催した。
ストヤノヴィッチ氏は、デモスキャンは「代表制の危機」や「政治プロセスに声が届かないという批判」に対する答えを見つけようとする取り組みだ、と話す。
将来的には、この取り組みがスイス全土に広がることを期待している。現時点では学界の支援でもう1回だけ試行できる。複数の自治体が関心を示しているという。
（英語からの翻訳・ムートゥ朋子）