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渡り鳥がヨーロッパでは移動を始める時期になった。この冬、鳥インフルエンザはどう猛威を振るうのだろうか。このコンテンツは 2007/11/08 15:25
また、鳥インフルエンザウイルスが変異し、ヒトからヒトに感染し始めパンデミックになる危険性は？対策は十分なのだろうか？
普通のインフルエンザを「季節性インフルエンザ」と呼び、それ以外のインフルエンザがヒトの間で発生した場合「新型インフルエンザ」という。この新型インフルエンザが世界的に大流行した状態 （ パンデミック ）になった場合、「パンデミックインフルエンザ」と呼ぶ。この冬、パンデミックになる危険性は？スイスの対策、世界保健機関 ( ＷＨＯ ) の対策は十分なのか？などWHOで鳥インフルエンザ感染制御やインフルエンザパンデミック対策に関わるメディカル・オフィサー、進藤奈邦子氏に聞いてみた。
swissinfo : 現在、ヒトからヒトへの感染が起こる可能性は高くなっているのですか？
進藤 : 実はもうヒトからヒトへ感染したとしか考えられない事例が2件挙がっています。2004年タイで鳥から感染した女の子を看病した母親と、2006年にインドネシアでやはり鳥から感染した男の子の父親の例です。しかし、2例は限定した事例で、それ以上広がりませんでした。
したがって今のところ、ヒトからヒトに感染したこのウイルスは、感染力の効率が悪いウイルス、濃密な接触を長くもたないと感染しないものと考えられています。
swissinfo : それで今まで広がらなかったと。しかしウイルスが感染効率の高いものに変異することもあるのですか？
進藤 : ウイルスの遺伝子が1つ2つ変わることで、そうなる可能性は大いにあります。
1つは、ヒトの上気道に多い細胞のレセプターに感染しやすくなること、2つ目は、鳥は体温が高いのですが、低温、つまりヒトの体温に適応すること、この2つの性質をもつことがキーポイントといわれており、1つのウイルスの中でこれら2カ所の遺伝子が変異すればヒトに感染しやすくなります。
もともとインフルエンザウイルスは変異を起しやすいものですが、特に季節性インフルエンザにかかっている人が、鳥インフルエンザにかかった場合、両ウイルスがものすごい勢いで増殖を起こし、両者の遺伝子の相互交換のようなことが起こって、あっと言う間に新しいウイルスができてしまう可能性があります。これはブタなどでも起こります。
結論としては、自然にウイルスが遺伝子変異を起こす場合と、ヒトやブタの固体の中で2つのウイルスの遺伝子の相互交換のような形で変異を起こすという2つのシナリオを考えています。
swissinfo : ということは、季節性インフルエンザにかかりやすい冬に、鳥インフルエンザにもしかかったら変異が起こりやすいとうことで、冬は、よりパンデミックの危険性が高まるということですか？
進藤 : そうです。トルコやアジャルバイジャンで、昨年の1～2月に鳥インフルエンザが発生しましたが、それは渡り鳥が11月ごろ移動し、そのH5N1型ウイルスが地域のニワトリに感染し、ヒトに移るまで増殖するのに2～3カ月かかったからだと考えられています。
ですから、新しい地域で鳥インフルエンザが発生するとしたら、冬なので、パンデミックの危険性も高まると思います。
swissinfo : 新型インフルエンザがパンデミックになると、WHOは200万～700万人の死者がでると報告していますが、この数字は今も正しいのですか？
進藤 : 最低でこの数だということです。また、パンデミックが広がる速度を推定した科学者たちは、3カ月で世界の隅々まで広がると言っています。
世界銀行は、世界経済に与える損失は8000億ドル ( 約92兆円 ) と推定しています。サーズが400億ドル ( 約4兆6000億円 ) でしたから、その20倍。インパクトは大きいということです。
swissinfo : 人類は巨大な危機に直面するということですね。ところでスイスは、インフルエンザ・パンデミックを予想して、今年5月に マスクを売り出し、抗インフルエンザウイルス薬タミフルを200万人分、ワクチンを800万人分用意しました。特にワクチンは全人口分を用意しましたが、これで予防は十分でしょうか？
進藤 : スイスはH5N1型ウイルスがパンデミックになるという前提で、このウイルスからのワクチンを用意しているのです。もともとインフルエンザのワクチンは、打てばかからないという、はしかなどのワクチンとは違い、重症化を防ぐワクチンです。
スイスはパンデミックになる前に、老人や子供などを皮切りに短期間に予防注射を打って、部分免疫を作って入院患者を減らし、そうして時間をつないでおいて、パンデミックウイルスから取れる本物のワクチンを打とうと考えています。パンデミックウイルスのワクチン製造には6カ月位かかりますから、最初のインパクトを減らして待つという予防は正しいと思います。
やればここまでできるというモデル国で、しかし、これは例外です。カナダやドイツなどは何もしないといっていますから。ちなみに日本は2000万人分のワクチンを用意しています。
swissinfo : WHO としては、どのようなことを行っているのでしょうか？
進藤 : WHOのパンデミック対策では、ワクチンなど医薬学的対策、マスクなど個人衛生学的対策、そして公衆衛生学的対策の3つを揃えておくのが理想というガイドラインを出していますから、この意味でもスイスは理想を行ったといえます。
具体的にWHOは、パンデミックになった時、ワクチンを持っていない国に平等分配を行う計画を立てています。特に途上国用に1億人分のワクチンをストックしておいて第1波が来たときに、平等に分ける予定です。タミフルも封じ込め用に、300万人分取ってあります。またこれとは別に200万人分を途上国用に持っています。これは封じ込めだけでなく鳥インフルエンザ用にも使えます。
一方、瞬時に世界中でワクチンを生産できることが大切ですから、半年で世界人口の約半分の30億人分、1年で67億人分を生産できる体制を今作ろうとしています。そのため、日本、アメリカ、ドイツ、など世界9カ国にしかないワクチン生産技術をWHO が仲介になってベトナム、インドなどに技術移転しようとしています。これは2012年が最終目標ですが、2～3年内には実現するよう計画しています。
swissinfo : しかし、もしこの冬パンデミックになったら、どうなるでしょうか？
進藤 : 封じ込め作戦はもうやった経験のある国では、うまくできると思います。しかし、やったことのない国では難しいでしょう。ウイルスの種類により、封じ込めがうまくいくか否かも決まります。
またワクチンに関しては、もしパンデミックになったら世界中をカバーするに足るワクチンはありませんから、人類は大変な危機に立ち向かうことになると思います。
swissnfo、 聞き手 里信邦子 ( さとのぶ くにこ )
進藤奈邦子氏略暦
1990年、東京慈恵医科大学卒、医師、医学博士。その後英セント・トーマス病院などで、外科、脳神経外科などの研修を行う。
2000年、国立感染症研究所感染症情報センター、主任研究官を務める。
2002年、世界保健機関 ( ＷＨＯ ) に派遣され、メディカル･オフィサーとして感染症アオウトブレーク警戒対策、危険病原体に対する感染制御などを担当する。
鳥インフルエンザ、パンデミックインフルエンザ関係のWHO での仕事>
屠畜作業、院内感染対策、患者治療などに関するガイドライン、パンデミック対策におけるドキュメント、迅速封じ込めプロトコールなどの作成に従事。
また、WHO 世界パンデミック会議、パンデミック迅速封じ込め会議などパンデミックインフルエンザ関連会議の開催を担当。
2006年1月トルコ、5月インドネシアなどの鳥インフルエンザアウトブレークには感染制御担当として派遣された。
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