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2019年のスイス連邦議会総選挙（20日投開票）までもうすぐ。だがこの国では、日本のように選挙カーが往来したり、たすきをかけた候補者が辻立ちすることもない。選挙運動らしい選挙運動をしないのは、なぜなのだろうか。ある政治学者は「直接民主制の国だからだ」と話す。
気候デモや女性ストライキなど、スイスでは今年、大規模なデモが続いたが、政治的議論に広がっているとは言えない。
ここ近年の選挙運動では、移民・難民問題がよく争点になったが、今年は、そういった目立った争点もない。
この単調さを、ベルン大学政治学研究所の研究者ショーン・ミュラー氏は想定の範囲内だと指摘する。
スイスインフォ：気候変動や男女平等について、政党が本腰を入れると思っていましたが、実際の選挙運動はそうではないようです。どうしてでしょうか。
ショーン・ミュラー：今年は、2015年のいわゆる「難民危機」や2011年の福島原発事故のような、ショッキングな出来事がありませんでした。この時はいずれも、政党が何らかの立場を取らざるを得ませんでしたからね。
現在の論点、つまり気候、平等、ヘルスケアは、（難民危機のような）突発的に起こった事象に関する、全く新しい問題ではありません。これらが「難民危機」より多くの人々に影響を与えるものであったとしても、逆説的に政党は言及を避けることが出来るのです。
前回、前々回の激しい選挙運動は例外といえます。今年の退屈な選挙運動が通常なのです。
スイスインフォ：国の政治運営が良すぎるのでしょうか？
ミュラー：それだけではありません。 （前回、前々回の総選挙が行われた）4年前も8年前も、この国はうまくいっていました。他の国々のような大きな経済危機、ストライキ、政治的な問題もなかった。
考え方による部分もあるのでしょうね。私たちは「普通の流れにのること」に慣れていて、そのためにみんな一緒になって動きますから。
政党の目標も控えめです。国民党は、投票総数の29％を維持したいと考えています。最も大胆な緑の党系は4〜5議席を狙っていますが、国民議会（下院）の200議席からすれば微々たる数に過ぎません。肝心の政党に野心的な目標がないのに、国民にどうやって選挙運動に熱狂しろというのでしょうか。
スイスインフォ：なぜ他の国の選挙運動はもっと盛り上がるのでしょう。
ミュラー：スイスには直接民主制のシステムがあるからです。年に最大4回、国民投票があり、政党はその間、具体的な問題について議論することが出来ます。
政党は（意見や）立場を説明する機会がそれだけあるということ。市民も政党のことをよく知っています。
選挙は少し退屈ですよ。新しい事象が起こらない限り、同じ議論をまた聞くのですから。近隣諸国では、政党が様々な問題に意見を述べることができるのは、ほかでもない選挙なのです。
スイスインフォ：選挙運動がつまらないのは、スイスの政治システムの副産物ということでしょうか。
ミュラー：はい、スイスの政党は近隣諸国ほど重要ではありません。
国民は（直接民主制によって）ほとんどすべての政治的課題に投票します。政党は政治的議題（の決定権）を独占しているわけではありません。最終決定権は（国民投票で投票する）国民や州にあるのです。
さらに、連邦主義と多言語主義は、政党にとって障害です。理想的なのは、政党が独特のメッセージを持ち、代表者は全国で1人または2人に絞ることですね。
この国では、4つの全言語圏に名の通った政治家は存在しません。国民党のクリストフ・ブロッハーは例外ですが。政党の州支部が地域によって少し右寄りだったり左寄りだったりしますね。近隣諸国では、政党は専従で、規律があり、（党是が）首尾一貫しています。
スイスインフォ：コンセンサスを重視するスイスの政治はつまり、政治的議論を殺すようなものなのでしょうか。
ミュラー：はい、ですがそれによって、スイスの政党が近隣諸国に比べイデオロギーに重きを置けるゆえんでもあります。
スイスの社会民主党はドイツよりも左寄りで、スイス国民党は（ドイツの）保守派（ドイキリスト教民主同盟）よりも、「ドイツのための選択肢（AfD、極右）」に近い。
スイスでは、政党が極端になりやすい。なぜなら、言ったことすべてを実行できるわけではなく、他の政党と「妥協」しなければならないからです。
スイスの政党は結束が他より薄い。キャンペーンを活気づける強い個性も少ない。
その利点は、私たちのシステムが、自ら問題提起をしようとする様々な立場の人々に政界入りするチャンスを与え、多様性を支えているという点です。
スイスインフォ：つまらない選挙運動は、代わり映えしない議会を生むのでしょうか？
ミュラー：スイスは依然、保守的な国です。革命や大きなアイデアが生まれる国ではない。しかし、それは誰が勝つかによります。緑の党が3〜4議席を獲得する可能性はまだあります。保守政党はこれまでの党是から脱却し、同性婚などの社会問題により門戸を広げています。
選挙はまた、世代交代と、各言語圏の代表者交代につながるでしょう。これらは細かいことです。次の議会に特段の大きな変化はないでしょう。
スイスでは、変化は非常に遅いですが、一度決定すれば、誰もがそれを受け入れます。なぜなら、その決定過程に、すべての人がかかわれるからです。
選挙ポスターの事実上の禁止
国民議会（下院）選挙のある候補者が、アッペンツェル・インナーローデン準州の自身の選挙区でポスターを掲示し、批判された。
候補者はスイス国民党所属。政党と機関が公のポスターなしで選挙活動を原則行わないことに合意したが、その規則を破った。
選挙ポスターが事実上禁止されたのは、農村地域の人口1万6千人のコミュニティで、どの候補者もすでに知られた存在であるため、ポスターによる選挙活動は必要ない、という理由だった。
この規則は昨年4月開かれた同州の青空議会（ランツゲマインデ）で承認された。
(出典: スイス通信, Keystone-SDA)インフォボックス終わり
（英語からの翻訳・宇田薫）, swissinfo.ch