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スイスは世界３大たばこ企業の本社があり、世界保健機関（WHO）のたばこ規制枠組み条約他のサイトへ（FCTC）を批准していない国でもある。その一方、ジュネーブでは同条約に関する重要な会合が開かれた。
今年２月、ジュネーブで開かれた国連人権理事会で、スイスのイグナツィオ・カシス外相は国民・政治的権利の重要性を訴えた。特に強調したのが、安定と平和を保障するための個人資産の確保、経済的自由だった。
このアプローチは、スイスの近代史を通じ、同国の成功に寄与してきた。７０年前に採択された世界人権宣言に定められた、健康などに関する他の権利をないがしろにしかねないとしても、だ。
たばこ・喫煙に対するスイスの姿勢や法制度は、このアプローチを体現する代表例といえる。スイスは２００４年にたばこ規制枠組み条約に署名したが、１４年たってもまだ批准していない。ちなみに批准していない国はスイスを含め１３カ国。たばこ産業が盛んな米国、アルゼンチン、マラウィ、キューバなどだ。
なぜ批准しないのか
スイスが同条約をなぜ批准しないのか。連邦内務省保健局のダニエル・ダウヴァルダー広報官は、スイスインフォに対し「現行の慣習に従えば、わが国が国際条約を批准するのは条約に合った国内法制を整備した後だ。したがって批准には、条約の求める最低要件を国内法が満たしていることを前提とする。例えば未成年者への販売禁止、広告の制限などだ。だがそれは問題ではない」と話す。
同氏は「こうした項目を盛り込んだ新たな法案が作られたものの、条約の最低要件を満たしていない。法案は今年末に議会に上程される予定だ。法律が可決された後、連邦内閣が条約批准の要件を満たしているか否かを判断する」という。
これと似たようなシナリオが何年も繰り返されている。議会はこれまで何度も、同条約を批准するための国内法の整備を試みたが、たばこ産業に肩入れする一部議員らの存在が足かせとなってきた。
スイスに本社
スイスはたばこ会社にとって極めて重要な国だ。世界有数のたばこ製造会社フィリップモリスインターナショナル他のサイトへは、スイス西部のローザンヌに本社を構える。ヌーシャテルにはリサーチセンターとたばこ工場があり、北部のシュプライテンバッハにも関連施設がある。世界第２位のブリティッシュ・アメリカン・タバコ他のサイトへもローザンヌに拠点があり、ジュラ州ボンクールに工場を持つ。日本たばこの海外事業を担うJTI他のサイトへの本社はジュネーブにあり、ルツェルン州ダグマーゼレンに工場を構える。
２０１７年１０月の大手会計事務所KPMG他のサイトへの報告書によると、たばこ企業がスイスに与えた経済効果は年間６３億スイスフラン（約６３００億円）、雇用も１万１５００人に上る。
スイスの法制度が米国や欧州連合（EU）に比べ、たばこ産業に対する締め付けがゆるいのはこうした背景が影響しているとみられる。WHOがあるジュネーブ近辺に世界のたばこ製造会社が集中し、条約の批准に圧力をかけている（もしくは挫折させようとしている）のも要因のひとつだろう。
このロビー活動と圧力は、スイス連邦議会では今に始まったことではない。フランス語圏のスイス公共放送（RTS）で９月に放送された「Temps Present他のサイトへ」は、たばこ産業の「族議員」である一部の連邦議会議員が、健康推進派の施策に対抗する非常に凝った戦略を推し進める実態を報じた。
スイスの大統領への公開書簡
１０６団体の国際機関とスイスの非政府組織（NGO）がつくる連合が今月、たばこ規制枠組み条約を「遅延なく」批准するよう求めたアラン・ベルセ連邦大統領あての公開書簡を公表した。
NGO「Action on Smoke and Health（煙と健康に関する行動）」が主導する同連合は、「たばこ規制をめぐるスイスの現状に深い懸念と不満を表明する」とし、たばこは「公衆衛生、人権、経済発展に重大な影響を及ぼす国際問題」と警告している。
連合は、すでに自治体などに対する意見公募手続きにかけられた政府のたばこ製品法案を批判。２０６０年までに国内のたばこ普及を削減するとした同法案だが、それに向けた現実的で明確な措置が講じられていないと主張する。また連邦内閣は、国民の健康を守るための施策を怠っているとし、たばこ規制枠組み条約に適合した国内法整備を求めている。
たばこ規制枠組み条約事務局のヴェラ・ルイザ・ダ・コスタ・エ・シルヴァ事務局長は、同条約に対するスイスの姿勢を批判。「スイスが条約に参加しないのは、問題というよりむしろ恥ずべきことだ」と述べた。
ダ・コスタ・エ・シルヴァ氏は、スイス国内に巨大たばこ産業の存在があり、条約を批准するためのあらゆる措置を講じようという十分な政治的意思がないとも指摘した。
（英語からの翻訳・宇田薫）, swissinfo.ch