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岩盤からしみ出る水と高温に悩まされながら、数百人の作業員がゴッタルドベーストンネルで働いている。すでに１０年以上が経過しているが、ついに１年半後の２０１６年６月に完成を見る予定だ。完成すれば青函トンネルを超え世界一長いトンネルになるが、実はこれは単純なトンネルではない。その複雑さや工夫とは何か？技術者たちに聞いた。
例えば、５７キロメートルという長いトンネルに沿って作られた非常口。時速２５０キロで走る高速列車から見つけることはほぼ不可能だが、実はこれが技術の結晶ともいうべき素晴らしい「作品」の一つだ。「この非常口の扉は、子どもでも簡単に開けられ、しかも炎や煙が入り込まないように工夫されている。また電車の通過時に生み出される１０トン近い圧力に耐えられるよう工夫されている」とペーター・シュスターさんは説明する。彼はトンネル工事を請け負う企業「エルンスト・バスラー・パートナー」の技術者だ。
３２５メートル間隔で設置されたこの非常口は、緑色の引き戸でできている。「今の非常口が選ばれる前に、五つのタイプが考案された。見た目はそれほど美しくはないが、高額でしかもここだけの独自な技術でできている」とシュスターさんは続ける。
「この世界一長いトンネルでは、たとえ小さな部品でさえ、高い技術のたま物なのだ」と語るシュスターさんは他の専門家とともに、１年半後の開通を前に開かれたメディア・デーで説明に立った。
セキュリティーが一番重要
「このトンネルの一番の最優先事項は、最大限に水平な線路を作ることだった。しかし入り口と出口を繋げばよいといった単純なものではない」とエルンスト・バスラー・パートナーのもう１人の技術者、ファビアナ・ヘンケさんは言う。まず、トンネルの上部の岩石の厚さは最高で２千３００メートルに抑えられた。これはトンネルにかかる圧力を考慮した限界値だ。
さらに、５７キロメートルの長さの工事に毎回両方の入り口からトラックを入れる手間と時間を省くため、途中３カ所にトラックがアクセスできるよう小さなトンネルを作っている。
では、最終的に何本のトンネルになるのか？２方向の線路を１本のトンネルに入れ、もう一つセキュリティー用のトンネルの計２本にするか、各方向に一つずつの線路で２本のトンネルを作り、さらにセキュリティー用のトンネルの計３本にするか？と議論が分かれた。最終的には、中間をとって「各方向に一つずつの単線を含む２本のトンネルにし、事故が起きた場合はもう一つのトンネルをセキュリティー用に使うこと」にした。
「セキュリティーを重視し、またメンテナンスや費用の面からもこれが最適だと判断された」とシュスターさんが説明する
トンネルの中に傘 !
ところで、工事が始まった時期の１９９９年、山の中心部の状況はまだ正確に把握されていなかった。分かっていたのはトンネル内の温度が高温で、作業員にとってつらいものになるということだけだった。実際、気温が４５度を記録したことさえある。事故保険会社のSUVAでさえ、２８度を労働環境の限界値に定めている。
「作業員が涼を取るための部屋を作り、また冷房装置も完備した」とシュスターさんは言う。ただし、トンネル内の温度はトンネルが開通したら下がる見通しだ。それは主に列車が外部から持ち込む冷気のおかげだという。
もう他の克服すべき課題は、岩からしみ出る水だった。崩れやすいドロマイト岩石が豊富にあるピオラ（Piora）地層には水分が大量に含まれている。この地層に行き当たれば、トンネルの計画そのものを断念しなければならないといわれていた。しかし、幸いにも地質学者たちはトンネルが通る部分はこの地層ではなく、比較的乾燥している部分だと断定した。
とはいえ、「水対策として傘を取り付けた」とヘンケさんは言う。つまりアーチ型のトンネルの天井にコンクリートと耐水性の膜を施した。その結果岩中の水分は壁を通って線路の下にあるチューブの中にすべて流れ込むことになる。
挑戦と技術
工事が難航した時には、７００人もの作業員が働いたというこの巨大トンネルでは、ロジスティックも単純ではない。
また１０年を超える長期間の工事は複雑な問題を生み出す。多くのことがこの間に変わるからだ。「初期に設置された機械などが、使う前に技術的な規定にそぐわなくなり廃棄物となった」とグループ・ポエリの電気系技術者、ロジェー・ヴィーダーケーさんは言う。
線路に沿って配線された電線の責任者であるヴィーダーケーさんによると、電線に関する規定も改正され、５キロメートル間隔で電線は切断されるようになった。「これはセキュリティーを考量してのことだ。こうすると、たとえトンネル内で火災が発生してもその区間の電線だけが切断され、火災区間をすでに通り過ぎている電車はそのまま運転を続行できるからだ」
輸出される技術
２０１６年６月２日に予定されているトンネル開幕式を待ちながら、実は技術者たちはすでに、ゴッタルドベーストンネルで得た新しい技術的ノウハウを外国に「輸出」することを始めている。「こうした大型プロジェクトの場合には、技術の輸出がプロジェクトの一部に含まれている」とピニ・スイス・エンジニアーズの技術者、ディヴィト・メルリニさんは言う。
例えば、「各方向に一つずつの単線を持つ２本のトンネル」のタイプはオーストリアとイタリアを繋ぐブレナートンネルに応用された。
メルリニさんは、こうくくる。「トンネル建設工程での個々のプロジェクトでは、それ自体が固有の美しさと複雑さを持っている。だからこそ、それぞれのプロジェクトに敬意を表したい。それに、このような巨大プロジェクトを完成させた後には、他のプロジェクトも自信を持ってできるようになる。それも素晴らしいことだ」
ゴッタルドベーストンネル（ゴッタルド基底トンネル）
ウーリ州のエルストフェルトとティチーノ州のボディオを結ぶトンネルで、全長５７ｋｍ。鉄道用のトンネルとしては世界最長。
現在まで約２千６００人の作業員が建設に関わった。
トンネル工事において、８割は機械で２割はダイナマイトを爆発させ岩石を砕いた。
総工事費は１２４億フラン（約１兆４８００億円）。
２０１６年６月の開通後、最高時速２５０キロの高速列車が通過する。なお、貨物列車は時速１６０キロ。
ゴッタルドベーストンネル完成後、「アルプス縦断鉄道計画」の一環としてチェネリベーストンネル計画がスタートする予定。これが完成すれば、チューリヒ、ミラノ間の走行時間が３時間以下に短縮される。
（仏語からの翻訳&編集・里信邦子）, swissinfo.ch