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漂う悪臭、魚の大量死、泳げないほど汚れた湖…。１９５０年代までスイスでは、排水が川や湖に垂れ流されていた。その後、事態は大幅に改善され、いまや下水道はほぼ全人口に普及するに至った。だが、新たな問題も生まれている。
今のスイスでは、川や湖の水はきれいなのが当たり前。水質に関しては模範的な国である。それゆえ、昔は川や湖に「遊泳禁止」の看板が立つほどの状態だったとは、にわかには信じがたい。
だが、１９６０年代に入ってもスイスの下水道接続率は約１５％と低かった。有害な産業排水も含め、排水の大半はそのまま河川や湖沼などの公共用水域に流されていたのである。
ミヒャエル・シェーラー連邦環境省水質保護局長は、スイスの公共ラジオ放送SRFとのインタビューで７０年代を振り返り、「子供の頃は湖でよく『海牛』を見たものだ」と語った。「海牛」とは水面清掃船の俗称で、これらが当時、繁殖した藻を取り除く作業にあたっていたのだ。さらに少しさかのぼった同氏の親世代では、湖で遊泳中に飲み込んだ水で下痢を起こすこともあったという。「遊泳は自己責任で」と警告する看板があちこちに立っていた。
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「スイスは下水処理のパイオニア」
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「水なくして生命なし」。この一見シンプルなフレーズが、長年ベアート・アマンさんを「きれいな水」の追求に駆り立ててきた。アマンさんは、１５年前からスイス最大の下水処理場「ARAベルン」の所長を務める。
今年で創立５０周年を迎えるARAベルンの処理区域は１３の自治体。約２８万世帯の他に商店や工場などの事業場を抱え、１日当たりの処理量は排水量にして約９千万リットルになる。
同処理場の技術水準は欧州でも最高レベル。下水処理だけでなく、その過程で採取される汚泥を利用してバイオガスを生産、それをベルンの電力会社の天然ガス電力網に供給している。この電力は例えばベルン市の市バスなどが利用している。
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市民の圧力
汚れた川の表面を覆う山のような泡、湖畔に打ち寄せられた使用済みトイレットペーパー、繁殖する藻、水面に浮かぶ魚の死骸。視覚的にも嗅覚的にも水の汚染は明らかだった。
６３年、観光地ツェルマットでチフスが発生し、死者３名、患者４５０名以上の被害が出た。この流行がきっかけとなり、連邦政府や州は自治体に対しインフラ建設のための助成金支給を行うなど、下水道整備に本腰を入れ始めたのである。
市民の環境保護意識の高まりが水質保全推進の原動力となったケースもしばしばだ。市民がイニシアチブ（国民発議）「水を汚染から守る」を成立させ、国に政策転換を迫ったのは６７年。７１年には、下水処理を法律で義務付けることが決まった。
こうして２００５年には全国の下水道接続率が９７％に達した。現在、全長１３万kmに及ぶ下水道は、８００カ所の処理施設とつながっている。
この成功には巨額の投資が伴った。下水道網や下水処理場などインフラ整備にかかった総費用は約５００億フラン（約５.７兆円）。連邦政府はこの巨大プロジェクト実現のため、そのうち５３億フランを負担した。今年はこの助成金の最終支払い分、１千万フランが自治体に分配される。
サクセスストーリー？
このようにスイスは水質保護で大きな成果を上げてきた。下水は処理された後、きれいな水となって放流されるようになった。これを「サクセスストーリー」と評価する前出のシェーラー局長は、「スイスを訪れる多くの外国人観光客は、都市中心部の湖や川でも安心して泳げることに驚いている」と話す。また、蛇口から直接良質の水が飲めるのも「この上ない贅沢だ」。
だが、未解決の問題も立ちはだかっている。医薬品、農薬、化学製品、環境ホルモンといった化学物質の残留成分だ。これらは魚の内臓疾患や不妊の原因となるなど、動植物に悪影響を及ぼす。しかし、現在のところ微量化学物質を処理する設備を備えた施設がない。
このためスイスでは、国家プロジェクトとして約１０億フランを投じ、２０４０年までに国内の主な下水処理場に微量化学物質処理設備の順次導入を目指す。
下水道 料金設定は地方自治体の裁量
スイスの下水道料金は、汚染者負担および事業費でのカバーが原則。これに基づき自治体は月額料金を徴収。その金額は、各自治体が採用している処理システムの種類によって、例えば４人家族ならば月額２０～７０フランと開きがある。
（独語からの翻訳・フュレマン直美）
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