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スイス当局に身柄を拘束されていたロシアの元原子力相、エフゲニー・アダモフ氏が12月30日、モスクワへ発ち、ロシア当局へ引き渡された。これは、昨年12月29日のスイス最高裁の決定に基づいたもの。
米国から国際手配をされていたアダモフ氏はスイスに滞在する娘を訪問中の2005年5月に首都ベルンで逮捕された。しかし、ロシア政府、米国政府共に同氏の身柄引渡しを要求していたためにスイス当局は両者の板ばさみ状態になっていた。
12月30日、夜にチューリヒを発ったアダモフ氏はモスクワに到着後、直ちにロシア当局に逮捕された。飛行機はロシア当局が用意した特別便でロシア警察官5人に連行された。スイスの警官は同行しなかった。
スイスの最高裁の決定
この身柄引き渡しは、スイスの最高裁が下した12月29日の決定の24時間後に行なわれたものだが、昨年10月の連邦司法省が決定した米国の送還要求を受け入れる方針とは異なるものだ。この連邦司法省の決定にアダモフ氏は抗議し、ロシアへ送還してもらいたいと言っていた。
判決は、ロシアへの送還の理由としてアダモフ氏のロシア国籍、犯罪が行なわれた場所がロシアであったことなどを考慮して決定された。5人の裁判官が満場一致で決定した。
核の秘密を握る人物
アダモフ氏はボリス・エリツィン大統領時代の原子力相だったが、米国はロシアの古くなった核施設の安全性向上のために援助した資金のうち、900万ドル（約10億円）を同氏が横領したとして、詐欺、隠匿、マネーロンダリング、脱税などの容疑で追跡していた。
一方、ロシア政府はアダモフ氏が米国へ送還された場合、ロシアの核兵器情報が洩れるのを恐れ、アダモフ氏の身柄取引渡しを要求していた。ロシア当局はアダモフ氏が在職中に1700万ドル（約20億円）を横領したとして逮捕状を出していた。
この決定によってアダモフ問題についての決着がついた。この事件でスイスは米ロ間の板ばさみになり、困惑していた。
swissinfo、外電 屋山明乃（ややまあけの）
補足情報
- エフゲニー・アダモフ氏は汚職容疑の疑いをかけられるまで、1998年から2001年までの間にロシアの原子力相を務めていた。
- 米国政府はアダモフ氏がロシアの原子力施設の安全性向上のために援助した資金を騙し取ったとして、身柄取引渡しを要求。
- これに続いてロシアも汚職容疑で2005年5月17日に同氏の身柄引渡しを正式に要求していた。