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スイスでは連邦政府が定めた出産育児保険が存在しない。1945年、連邦政府は同保険の導入の検討を始めたが、州や企業によってばらばらのまま今日まで続いている。女性が多く働くレストランやホテルなどでの出産に対する手当は、銀行などデスクワークが主な職場より低いのが現状だ。このコンテンツは 2004/09/09 15:51
スイスでは、出産手当として最低3週間に相当する給与が保証される一方で、母親の健康を考慮するという理由で8週間、労働が禁止され、働く女性にとって経済的負担が他の欧州諸国と比べて大きい。
9月26日に行われる国民投票で審議される政府の法律改正案は、職業を持つ女性が出産した場合、出産から14週間、1日172フラン（約1万4,600円）を限度に給料の8割を支給する。資金は今後2年から3年間は、これまでの出産育児保険で賄う。以後は、これまで労使で折半し、給料によって変動していた同保険の掛け金を0.2ポイント引き上げることで賄うという。
遅れている出産育児保険
企業間や個人間の契約、労働条件などに関連する法律を定めた「連邦義務法」では現在、妊婦と出生後16週までの子供を持つ母親については、雇用者は解雇できないよう定められている。また、出産手当として最低3週間に相当する給与が保証され、出産後8週間は労働できないと定められている。実際には州や企業によって条件は異なるが、現在のスイスは、欧州諸国でも国による統一した出産育児保険がない唯一の国である（連邦女性委員会）。
ヨーロッパで出産に対する公の援助が100年以上前からあるのはフランス。最低16週間の休暇が保証されている。ドイツでは出産後3年は母親もしくは父親が無給休暇を取れ、その間は解雇されない。さらに14週間は給料が全額支払われるなど手厚い保証がある。オーストリアでも出産後8週間は給料が全額支払われる。自営業の人には1日22ユーロ（約3,000円）、職業を持たない主婦であれば8ユーロ(約1,060円)が支給される。
反対意見と政府の主張
今回、国民投票で問われることになったのは、議会が承認した出産育児保険の法律改定に対して国民党が反対し、再び国民に問うべきであると訴えたため。有権者の署名が7万件以上集められ、国民が再審議する道を開いたスイスの政治システムであるレファレンダムが成立した。
反対の理由は、「出生育児保険を手厚くすると歳出が大幅に増える上、経済界の負担も増加する」というもの。将来保険が破綻し、付加価値税の引き上げにつながるのではないかという懸念もある。また、今回は働く女性のみを対象としていることから、同党員のヤスミン・フッター下院議員は、「家を守り家事を立派にこなしている主婦を貶める」と法案は無職の女性に対して不平等であると指摘する。
一方、連邦政府は「企業の大部分が法律以上の保証をしている。反対意見が主張する経済界のさらなる負担はそれほど大きなものではない。連邦で統一した法律がないため、転職した女性は不利になる場合があり、今回の法案が国民に承認されれば、こうした不備を是正できる」と主張している。
出産育児保険が手厚くなることで、女性の負担が軽減され、さらには「子供を生みたい」と思う女性が増えるようになるか。9月26日の国民投票では、少子化問題も含めスイスの将来が問われる。
スイス国営放送 佐藤夕美 (さとうゆうみ)
補足情報
現在
妊婦と出生後16週までの子供を持つ母親については、雇用者は解雇できない。
出産手当は最低3週間の給料に相当する額。出産後8週間は労働できない。
改正後
職業を持つ女性が出産した場合、出産から14週間、1日172フラン（約1万4,600円）を限度に給料の8割を支給する。