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世界的な金融・経済危機に見舞われたスイスでは、政府が昨年10月に金融の安定化策を打ち出し、その翌月と今年2月には2度にわたり景気安定化政策を次々と発表した。さらに6月17日には第3の対策が発表される予定だ。
政策発表前の6月8日、スイスの経済連合「エコノミースイス( economiesuisse )」は記者会見を開き、政府の大きな経済介入はあまり効果がないと警戒のメッセージを送った。
次々と出される政府対策
昨年11月にスイス政府より発表された第1景気安定化政策では、これまで停止されていた連邦債の発行 ( 2億500万フラン/ 約184億8000万円 ) が連邦議会で承認を得、2009年の投資のための追加予算として申請された1億3600万フラン ( 約122億6000万円 ) も認められた。また、環境関連業界の活性化を目的とした省エネ建築促進費としての8600万フラン ( 約77億5000万円 ) が予算として承認され、2009年からの雇用増加のための準備金の中から5億5000万フラン ( 約495億9000万円 ) を景気安定費として充てることも決まった。
しかし、景気は停滞したままだ。政府はさらなる安定化政策が必要と判断し2月には約7億フラン ( 約631億円 ) に上る第2景気安定化政策を新たに提示した。道路、鉄道、大学や公共建築物の改築などの公共事業、実践を目的とした研究開発、環境関連事業などへの投資が決まった。
また、輸出関連企業の援助政策も打ち出された。このほか、国民の持ち家率の向上、工場の操業時間短縮制限期間をこれまでの12カ月間から18カ月間に延長するといった政策も打ち出され、4月1日から発効している。
増税を懸念
6月中旬に発表される予定の第3景気安定化政策も合わせると、政府の計算では現在の景気に約120億フラン ( 約1兆800億円 ) の活性化効果が表れると見込まれている。
一方スイスの経済連合エコノミースイスのゲロルト・ビューラー会長はこうした一連の政策に対し
「第2次世界大戦以来の不景気で、今後早急の回復は見込まれそうにない状況にあり、政府の景気対策を求める政治的圧力も道理だ。現在の不況から脱出するためには、必要な雇用対策を行い、市場原理に逆行するような増税を避ける必要がある」
と語った。
政府の景気安定化政策により、国が国内総生産 ( GDP )に100%相当する負債を抱え、歳入の2割を利子の支払いに使ってしまうような国の金融政策は余裕を失ってしまう。スイスは特に、国の金融政策における経済界との連帯と( 税金の低い ) 税制の魅力は大きいとエコノミースイスは強調する。
「税金などの引き上げは、真剣に検討する必要がある。健康保険料の値上げ、二酸化炭素 ( CO2 ) 排出税、水道・光熱費の値上げなどは、経済の現状から見て必要な限り避けるべきだ」
と取締役員の1人、パスカル・ジェンティネッタ氏は具体的な例を挙げた。
ビューラー氏は、政府の介入は「タイミング、目的を絞った、そして時間的に限りを付けたものでない限り、効果はない」と言う。経済界はその経験から、不景気には、金融政策と市場原理による調整が最も効果的であり、大きな政府の介入による、赤字財政は最終的に経済に負担と危険を招くだけだと再度警告した。
佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) swissinfo.ch