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経済危機が世界中に広がる中、エジプトの投資家サミー・サヴィリス氏は、中央スイスのアンデルマットの村に計画中の観光リゾートを縮小することなく実現する意向だ。
この秋には1軒目の高級ホテルの鍬入れが予定されている。金融危機も経済危機も、サヴィリス氏のスイス投資を止められないようだ。
スイスの不動産価格は下がらず
4月後半、アンデルマット ( Andermatt ) で記者会見を開いたサヴィリス氏は
「スイスは今、不動産関係の投資にとても魅力的だ」
と述べた。
「スイスは今でも確実な国。これは、外国の個人投資家にとってとてもいい条件だ。同じプロジェクトをドバイやスペインで行おうとしたら、状況はまったく異なるはず」
と、52歳になる実業家サヴィリス氏は言う。これらの国では不動産価格が暴落している。だが、スイスはその逆なのだ。
サヴィリス氏は、ウーリ州のゴッタルド山近くにあるアンデルマットにリゾートを作り、その地にホテルやマンションの建設を計画している。
「しかし、これらは事前に売却が成立しない限り建設されることはない」
とサヴィリス氏。こうして経済的なリスクを回避しようというわけだ。また、住人のいないブロックが発生しないようにするという目的もある。
大規模に
このリゾート計画が持ち上がったのは2005年。時とともに計画の具体化が進んでいる。今年の秋には、ホテル「チェディ ( Chedi ) 」とゴルフ場の鍬入れが行われる予定だ。また、「ポディウム」と呼ばれる、巨大な駐車場のような地下3階建ての建物の建設も始まる。
その地上にはリゾートの中心となる歩行者天国ゾーンが作られ、周辺には全490戸、42棟のマンション群が建ち並ぶ。これらの建物の設計は16の建設事務所が行った。
「マンションが売れなくても、その分庭が大きくなるだけ」
とサヴィリス氏は言う。
この中心部にはまた、600人を収容できる会議・コンサートホールも予定されている。 オープン後は、「ルツェルン・フェスティバル」もここでいくつかコンサートを開催することになるはずだ。
今年の夏には取り壊し作業がすべて終了し、残された古い建物の改築作業が始まる。その後、最も計画が進んでいるホテルチェディの建築申請が提出される予定だ。
ホテルでスタート
5つ星ホテル、チェディはこのリゾートの看板的存在であり、現存の村と新しくできる村を1つに結ぶ位置に建てられる。部屋数は50、そのほかコンドミニアムも122床ある。設計はクアラルンプールの「デニストン ( Denniston ) 」、建設はウーリの建築家「ゲルマン & アッハーマン ( Germann & Achermann ) 」が担当する。ホテルのデザインは周囲の景観に溶け込むように配慮されている。
一方、ホテルを経営するのはシンガポールの「ジェネラル・ホテル・マネージメント ( General Hotel Management ) 」社だ。同社はこのプロジェクトに対し、全体の49%の投資も行っており、その分、サヴィリス氏の会社「オラスコム・ホテルズ & 開発ホールディング ( Orascom Hotels & Development ) 」が抱えるリスクが縮小されている。
オラスコムの欧州責任者であるレイモンド・クロン氏によると、建設が終了してホテルがオープンするのは2013年から2014年になるという。その後、漸次6つのゾーンの建物がオープンする。クロン氏は、このリゾートによって1000人から1500人の雇用が創出されると言う。
スキー場を現代化
具体的な計画がまだはっきりと定まっていないのは、駅周辺、スポーツセンター、そして18ホールのゴルフ場に隣接するヴィラ・ゾーンだ。この観光リゾートの建設と並んで、ウインタースポーツの町アンデルマットも根本的にリニューアルされる。ネッチェン ( Nätschen ) 、ギュッチュ ( Gütsch ) 、オーバーアルプ ( Oberalp ) 、そしてセドルン ( Sedrun ) にあるスキー場を1つにまとめ、ギュッチュ―オーバーアルプ間は3つの新しいリフトで結ばれる予定だ。
「新アンデルマット」に関するプロジェクトではいずれも長期的な視野と環境に対する配慮が尊重されており、環境団体や自然保護団体との緊密な協力体制が敷かれている。当初、地元の住民や当局から懐疑の目を向けられていたこのプロジェクトも、現在では大きなバックアップを受けている。
ゲルハルト・ロプ、アンデルマットにて、swissinfo.ch
( ドイツ語からの翻訳 小山千早 )
アンデルマット観光プロジェクト
2005年12月、エジプトの実業家サミー・サヴィリス氏がアンデルマット ( Andermatt ) の村で贅沢な観光プロジェクトを発表した。
計画されているのはコンドミニアムを含む全844室の6つのホテル、全490戸42軒のマンション、および20軒から30軒のヴィラ。
さらに2000台を収容できる地下駐車場、3万5000平方メートルの広さの商店街、駅の改築、スポーツ・レジャーセンター、600人を収容できる会議・コンサートホールのほか、1.3平方キロに及ぶ18ホールゴルフ場建設も予定されている。
サヴィリス氏は、元在カイロ・スイス大使のライムント・クンツ氏を介して、観光リゾート開発の可能性を検証するためにウーリ州に招待された。
サミー・サヴィリス氏の略歴
1957年カイロ生まれ。現地のドイツ人学校に通う。
ドイツでの大学生活を終えた後、エジプトの企業「オラスコム・ホテルズ&開発 ( Orascom Hotels & Development ) 」社の社長となる。紅海沿いのリゾート地「エル・グウナ ( El-Gouna ) 」やアカバ湾の「タバ・ハイツ ( Taba-Heights ) 」を建設した。
オラスコム社の純利益は、近年急増した。2008年は前年比13%増の1億1600万フラン ( 約102億円 ) 、売上高は4割増の5億6800万フラン ( 約500億円 ) となった。
しかし、同社の株はスイスの証券取引所で大きく値を下げている。