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ベルンのクマは伝統的な観光アトラクションだ。そして、スイスの首都のシンボルでもある。このクマたちがまた1歩、より広い新居に近づいた。
動物愛護団体や来園者は、「今の濠 ( ごう ) は狭すぎる」と何年も前から訴え続けてきた。ベルン市は現在、クマをその生態により適した公園へ引っ越しさせようと計画しているところだ。
2007年3月末、ベルン州議会はこの970万フラン ( 約9億5000万円 ) のプロジェクトに対し、275万フラン ( 約2億7000万円 ) の支出を決定した。
市民も募金
残りの資金はスポンサーが頼り。3月28日、ベルン観光局は同22日に開催された「ランニング募金」の収益総額が23万7650フラン ( 約2300万円 ) に上ったと発表した。この募金運動は、参加者が事前に募金の協力を知り合いに頼んでおき、当日走った距離を金額に換算して各協力者からこれに相当する募金を集めるという仕組みで、およそ1000人が参加した。
ベルン観光局のサンドラ･シェア広報課長が満足げに語る。「これまでに資金の8割がたがカバーされました。もちろんスポンサー探しはまだ続いていますが、このプロジェクトは必ず実現されると確信しています」
新しいクマ公園予定地は、現在の濠がある敷地からアーレ川に向かって広がる。草木に囲まれた公園はより自然に近く、クマたちは川で魚を捕ることもできる。総面積は6500平方メートルと現在の濠より10倍も広い。
シェア氏は、市民も来園者も2009年夏に開園が予定されている新しい公園を楽しみにしていると言う。「春や夏の行楽日和には、国内外から大勢の人々がこのクマ公園を訪れます。もちろん、ベルンの住民や家族連れにも人気の場所です。しかし、この濠はもう時代遅れ。クマたちを広々とした公園に放ち、アーレ川で泳いだり魚を捕まえたり、みんなでじゃれあったりできる環境に早く移してあげなければなりません」
クマと歴史
クマとベルンの関わりは長い。その昔、ベルンの町を築いたツェーリンゲン家のベルヒトルト5世が、アーレ川の湾曲部に囲まれたこの土地で1頭のクマを射止めたことから、この町はベルン ( クマを現すドイツ語Bär ) と呼ばれるようになったという。町の紋章もやはりクマだ。
ベルンではほぼ500年前からクマが飼われており、1857年に現在の濠が造られた。当時、深さ3.5メートルのこの濠に飼われていたクマは12頭を超えていた。それは動物に対する人類の支配力と勝利の象徴だった。
約10年前、この濠は改築されることになり、環境がいくらか改善された。観光客も、毛むくじゃらで愛嬌たっぷりのクマたちを眺めやすくなった。それでもこの公園に対する苦情は続いた。動物愛護団体は自然環境が不足していると指摘し、観光客からも濠の狭さを批判する声がよく聞かれた。
現在の新しいクマ公園プロジェクトは2003年に持ち上がった。新しいクマ公園では、クマは朝から晩まで野外で過ごせるようになる。これは動物にとってとても大切なことだ。また、来園者も囲いに沿って延びる遊歩道からクマの生態を観察できる上、カメラやセンサーでクマの居場所を知ることもできるという。
この公園は、単に観光促進だけを目的としているのではない。プロジェクトチームは、ベルンの住民にもレジャーの場所を提供したいと願っている。
ペドロとタナ
この新しい公園に最初にすむのは、現在の「濠の住人」、スペインのバルセロナ動物園から贈られたペドロとタナになるだろう。このピレニアン・ブラウンベア兄弟は現在26歳。3頭目のウルスは今年の3月初旬に30歳という長寿を全うした。
このように計画は進んでいるものの、ベルン市民にはまだ、この公園建設に向けて市内の区域変更を承認するという作業が残されている。つまり、市民投票が行われるのだ。だが、シェア氏は予定通りに公園がオープンされると確信している。これはベルンの町にとっても特に大切なことなのだ。「クマはベルンの町に欠かせません。何しろクマはこの町の名前となり、ずっと昔からこの町にすんでいる動物なのですから。クマのいないベルンなど考えられません」
swissinfo、イゾベル・ライボルト・ジョンソン 小山千早 ( こやま ちはや ) 意訳
キーワード
現在のクマ公園にすむのはペドロとタナの兄弟クマ
この2頭はスペイン出身のピレニアン・ブラウンベアで1981年生まれ
ヨーロッパには推定約5万頭のブラウンベアが生息
オスのブラウンベアは体重350キログラム、メスは200キログラムまで成長する
ウルスの最後の旅
クマ公園のウルスは2007年3月初旬に30歳の長寿を全うし、その遺骸はソロトゥルンの町に送られた。
1925年以来、ソロトゥルンは彫刻家ウルス・エッゲンシュヴィラーを追悼して、ベルンのクマ公園にクマを送っている。私設動物園でクマを飼っていたエッゲンシュヴィラーは、ソロトゥルンの町にその中の1頭ウルスを贈ると遺言。町はウルスをベルンに託すことにした。
その後も、常にウルスと名づけられたクマがソロトゥルンからベルンに送られ、死後、その遺骸がソロトゥルンに送り返されるようになった。
このようなやり取りはしばらく途絶えていたが、1978年に復活。ベルンへと送られるクマの名前もそのまま保たれている。今回死亡したウルスは、もともとはフレディという名前だった。