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温めて、かき混ぜて、搾って、ひっくり返して、そして待つ…そんなに単純ではなく、チーズ作りは技のいる芸術である。牛が食べるエサの選定から始まるチーズ作りの工程の一つ一つが最終的なチーズの味に影響を与える。
高品質
スイスのチーズ作りで一番大切にされていることは、高い品質を保つことである。チーズの元となる牛乳、その牛乳を出す牛は、夏は新鮮な牧草、冬は干草を食べ、サイロ（牧草などを発酵させて貯蔵する倉庫）に貯蔵されていた発酵飼料は、チーズの品質を低下させることからチーズ用の乳を出す牛に与えることは禁止されている。搾乳された牛乳は、18時間以内にチーズ工場に運ばれ、24時間以内にチーズ製造に使用される。スイスのチーズは、低温殺菌されていない新鮮な牛乳から作られるため、手早い作業が必要とされる。搾りたての牛乳ができる限り早く工場に届けられるように、スイスの多くのチーズ工場は農村にある。
牛が山の牧草地で放牧される夏には、高原の牧草地でアルプチーズ作りが行われる。
10リットルの牛乳から1キロのチーズ
チーズ作りの最初の工程は、牛乳を“ケーゼケッシー”（スイス・ドイツ語でチーズ鍋の意味）という大きな銅製の鍋に入れ、かき回しながら32℃に温めることから始まる。温まった牛乳に乳酸菌を加え乳酸発酵させ、凝乳酵素を加えることで30分後には牛乳は固まり始め、水分が出てくる。さらに30分後に鍋に入った固まりつつある牛乳を“ハーブ”と呼ばれる櫛のようなカッターで切り、それによってチーズの元となる凝固物が乳しょうという液体から分離する。凝固物を再び混ぜ合わせて、ハードチーズなら50℃から55℃、少し柔らかめのチーズなら40℃から45℃に温める。
出来上がったフレッシュチーズをチーズの型に入れて水分を搾り、約24時間後にはチーズの香りを引き出すために塩水に浮かべる。チーズの種類によって塩水に浸ける長さや塩水の濃さなどが違う。
熟成
その後、チーズは温度が一定に保たれた貯蔵庫の棚に一つ一つ並べられ熟成する。貯蔵庫内の湿度は90%以上と、とても高く、温度はチーズの種類によってさまざまである。例えば“エメンタールチーズ”は20℃から23℃に保たれた場所に保存され、炭酸ガスの発生によってチーズにおなじみの穴が開く。その他のハードチーズはより温度の低い場所に保存され、例えば“グリュイエールチーズ”は最高でも12℃、“エティヴァチーズ”は8℃から10℃である。チーズの表面は洗われるか、もしくは合剤が塗られ、規則的にひっくり返されながら熟成する。チーズの種類により数ヶ月から数年間も貯蔵庫で熟成するチーズは、製品となって出荷されるまでその品質は絶え間なく管理されている。
スペシャルチーズ
高品質なだけでなく、スイスでは、チーズ作りの仕上げにさまざまな工夫を凝らし、個性的なチーズが作られている。例えば“ヴァシュラン・モン・ドール・スイス”というほのかな樹木の香りが漂うクリームチーズは、モミの木一種であるエピセアの樹皮で巻かれて熟成される。昔、冬には大量の牛乳が搾取出来ず、グリュエールのような大きなチーズが作れなかったため、代わりに“ヴァシュラン・モン・ドール・スイス”が10月から春にかけて作られていた。この伝統が残り、現在でも“ヴァシュラン・モン・ドール・スイス”は、9月末から4月にかけての冬季限定で生産されている
チーズの特徴
その他にも高品質なチーズを作るためにチーズによってさまざまな製造方法がある。例えば、“ヴァシュラン・モン・ドール”というクリームチーズは必ずモミの木一種であるエピセアの樹皮で巻かれて熟成され、エピセアの箱に入れて出荷される。昔、冬にはグリュイエールのような大きなチーズを作るだけの牛乳が搾取できなかったことから小型のチーズが作られ、その伝統が引き継がれて“ヴァシュラン・モン・ドール”は毎年8月中旬から3月末までの冬季限定で生産されている。
その他、“テット・ドゥ・モアンヌ”は切るというより削って食べるチーズである。“テット・ドゥ・モアンヌ”はフランス語で“修道僧の頭”という意味で、チーズの上部を切り落として削って食べることから、その名前は頭のてっぺんを剃り落とした修道僧の頭に由来している。今から20年ほど前には“テット・ドゥ・モアンヌ”を削るための“ジロール”という特製の道具が作られ、薄く削られたチーズはまるでカーネーションの花びらのように美しい。