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同性愛者のカップルの養子縁組というと、男性のカップルが子どもを養子に取る図を想像しがちだ。
しかしスイスには、およそ6000人の子どもたちが女性の同性愛者の家庭で育てられ、これらの「両親たち」が子どもを正式に養子にしたいと希望することが多いという。
ところが、2005年に施行された同性愛者のパートナー登録法は、ほぼ結婚と同等の権利を同性愛のカップルに与えるが、養子と親権は認めていない。
このため、「家族のチャンス( Family Chances ) 」協会は法の改正を連邦議会の特別委員会に訴える請願運動を組織し、1万9390人分の署名を集めた。同協会の広報担当者モエル・フォルケン 氏に聞いた。
swissinfo.ch ： もし、法律が変われば、現実的に何が変わるのでしょうか。
フォルケン ： ある女性の友人が、もし自分が亡くなったら子どもを引き取ってほしいと頼みました。しかし現行の法律では、わたしは現在の ( 同性愛 の ) パートナーとの登録を破棄した場合にのみ、この子を養子にできるのです。これは関係者の誰にとっても好ましくない。また子どもにとっても良くないと思います。( 編集部註: 現在養子縁組は、独身者か結婚したカップルに認められており、同性愛の登録したカップルには認められていない )
また、わたしたちの委員会には、女性の同性愛者のカップルがいて、それぞれが子どもを持っており、この子たちの親に2人ともなりたがっていますが、現在は不可能です。もし、2人のうちの1人が亡くなった場合、子どもの1人には親がいなくなるわけです。この取り残された子どもは、もう1人の女性や兄弟と一緒に成長できる保証がなくなるわけです。
一般に、同性愛のカップルが養子をもらうというと、たいてい男性の同性愛のカップルが子どもを引き取るという風に考えがちですが、こうした形の養子縁組を認めてもらうことが今回の請願運動の主な目的ではありません。
swissinfo.ch ： 現行の法律を改正し、登録したカップルにもっと権利を与えるということが必要となるわけですね。
フォルケン ： 登録した同性愛のカップルの中で育つ子どもと結婚したカップルの下で育つ子どもに同じ権利を与えるということです。そんなに多くの子どもが養子になるわけではありません。たかだか10人から20 人の子どもでしょう。しかし、数が少ないからといって法律を改正しなくてもよいわけではありません。
swissinfo.ch ： ほかの国と比べた場合、スイスはどうなのでしょうか。
フォルケン ： スペインは素晴らしい例です。スイスが同性愛のカップルのパートナー登録法を承認した2005年の同じ月に、スペインは同性愛者の結婚と子どもを養子にする権利の法律を成立させ、2週間後に施行しました。
スイスのパートナー登録法は、結婚とは違い、特に子どもを養子にする権利が認められていません。しかも施行に2年もかかりました。しばしば、わたしはこれを女性の参政権と比較しますが、ほかの国が女性の参政権を認めた50年後にやっとスイスはこれを認めました。
イギリス、スウェーデン、オランダなどスイスと似た文化を持つ国は、スペインと同様に同性愛者の養子権を認めています。南ヨーロッパでは一般に、同性愛のカップルと距離を置きたがりますが、スペインは特別です。スイスでは、二つの主要な政党、キリスト教民主党 ( CVP/PDC )と急進民主党 ( FDP/PRD )がこの問題を取り上げることを避けようとしています。
swissinfo.ch ： 同性愛者たちの行った調査によると、スイスでは国民の多くが同性愛者の養子権を支持しているようですが。
フォルケン ： およそ86.3% の国民が同性愛者の家族のために、現行法の改正を支持しています。これは信じられない数です。さらに53% が同性愛者の家族の養子権を支持しています。
swissinfo.ch ： これは同性愛者の家族に対する態度が変わったということですか。
フォルケン ： そうです。2001年、2202年ごろには、同性愛者の家族の養子縁組権への支持率は36 % くらいでした。一つには、2005年のパートナー登録法が認められたこと、さらに過去3年間のメディアによる同性愛者や同性愛家族に関する報道のお陰だと思います。
swissinfo.ch ： 請願運動に対する反対はいかがですか。プロテスタントの政党が、子どもは父親と母親を持つべきだと主張して、反対の態度を表明していますが。
フォルケン ： 子どもは父親と母親を持つべきだという主張はどこまで正しいのでしょうか。もしそうだとしたら、離婚を禁止すべきでしょう。現在、色々な理由で多くの子どもが片親やパッチワークのように新しく形成された家族の中で暮らしています。いずれにせよ、すべての子どもが安全で適切な家庭で成長すべきで、それは同性愛のカップルの下であっても同じことです
swissinfo.ch ： プロテスタント系の政党であるプロテスタント国民党は、同性愛者が子どもを養子にすることは、子どもの成長に害を与えると主張していますが。
フォルケン ： 確かに子どもにとっては生物学上の両親の下で成長していくのがベストだと思います。しかし、離婚や事故、また同性愛者ではないカップルが子どもを養子にした場合は、生物学上の両親と一緒に生活しているわけではありません。
大切なことは、本当に子どもの世話をし、子どもを愛する人が一緒に住むことではないでしょうか。一方、子どもが成長する上で、カップルの性の組み合わせは、さほど重要なものではないという、さまざまな研究結果があります。
イソベル・レイボルド・ジョンソン、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、里信邦子 )
同性愛者家族の養子権請願運動
親権と養子縁組権において、同性愛のカップルと結婚しているカップルが同じ権利を持つことを要求している。
登録された同性愛のカップルと結婚しているカップルは子どもの成長にとって同じ権利を有することも要求する。
また、養子を望むカップルの市民としての権利の向上をはかるというより、養子になる子どもの権利を守るための改正法を要求している。
現在、連邦議会の特別委員会で検討されている。今後、委員会の中だけの討議で終わるか、連邦議会に掛けられるかは不明。
なお、スイスではおよそ6000人の子どもが同性愛の家族の中で暮らしている。そのほとんどが2人の女性の親を持つ。
このうち、およそ半数の子どもが、以前の結婚生活で誕生した子ども。残りの半分は、人工授精などの治療や同性愛の男性の友人等の関係を通じて誕生した子ども。