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松井孝典『文明は〈見えない世界〉がつくる』（岩波新書）
上のサイトには「われわれは何者になるのか？」と書かれているが、「に」と「る」は余計だ。本書はしがきでも本文でも結びにかえてでも「われわれは何者なのか？」という問いを何度も何度も繰り返しているのに。自社の本の紹介で、どうしてこんな間違いをするのか。粗忽な出版社だ。
科学史入門書はたくさん読んだ。科学が発展するにつれ、入門は何度も書き直されていく。本書前半、アインシュタインの登場までは、どの入門書でも同じ歴史をたどるが、本書後半の現代科学の部分は、現在史でもあり、多様な書かれ方になるだろう。
本書の特徴は、第１に、総合性だろう。天文学、物理学、磁気学、熱力学、生物学をはじめ、地球環境、宇宙論、素粒子論のいたるところに筆を伸ばして、見事に総合的に記述している。
第２に、数式を用いないことである。優れた科学史入門は、どうしても数式で説明することが多くなる。本書は数式に頼らず、文章でていねいに説明している。
第３に、内容面では、＜見えない世界＞と＜見える世界＞の関係という視座から全体を見渡す手法に特徴がある。見えない世界が見える世界をどのように規定しているのか。古代ギリシア、ローマ時代、あるいはアラビア、そして近代西欧における科学の発展を見えない世界への挑戦として把握し、読者をたくみに引き込んでいく。
最後の宇宙原理と人間原理の部分は、わかったようで、わからないところもある。素人にはついていけないところもある。しかし、現代科学史をこれだけコンパクトに個性的に描き出しているのは、さすが、と思う。