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スイスは日本企業に対し、欧州連合市場への窓口としてスイス国内に欧州営業所を創設するよう薦めている。
ドリス・ロイタルト経済相が率いるスイス経済界の代表団一行は東京に10月8日まで滞在し、9月1日発効された「日本・スイス自由貿易・経済連携協定 ( FTEPA ) 」締結に基づき2国間の貿易の不均衡の修正を求めた。
直接投資のギャップ
アメリカやヨーロッパは、スイスの法人税の低さと生活水準の高さに魅力を感じスイスに複合企業を多く設立した。ところが、アジアでは同じような思考方法を取らないようだ。
東京で開催された「スイスシンポジウム」でロイタルト経済相は10月6日、日本の経済力はスイスのそれを大きく上回るにもかかわらず、スイスからの輸出と直接投資額は、日本からの輸出と直接投資額よりはるかに多いと指摘し、
「スイスは日本への直接投資によって6万5000の雇用を生み出したが、スイスにもたらした雇用は4000に過ぎない。直接投資において両国の均衡が取れていない」
と語った。
直接投資とは、工場建設、インフラ整備、生産などに投資する、ないしは投資先の企業の普通株または議決権を10% 以上所有することを指す。
ロイタルト経済相の上記の発言は統計に基づいたもので、2007年のスイスから日本への直接投資額は2.9% 伸び137億フラン ( 約 1兆1860億円 ) だったが、日本からスイスへの直接投資額は4400万フラン( 約38億円 ) 減少し、総計9億3200万フラン ( 約807億円 ) に過ぎなかった。
実際、企業数でみれば、日本で直接ビジネスを行っているスイス企業は約140社なのに対し、スイスにある日本企業は約100社を数えるのみだ。
最近「アーンスト・アンド・ヤング ( Ernst & Young ) 社」が世界700社を対象に行った調査では、外国での営業を行うのに適した国として、スイスはドイツに次ぐ第2の地位を勝ち取っている。しかし、調査対象をアジアの企業だけに限ると、スイスは世界的には第7位にランクされ、ヨーロッパの中では5位にランクされている。
法人税の低さだけではない
また、上記の調査によるとスイスの法人税の低さはアジアの企業にとって、さほど大きな魅力にはなっていないようだ。
「日本の企業は、立地地点を決めるにあたって、（単に法人税率が低いということで決めるのではなく）英語で業務が遂行できる労働力の確保、税制、市場への近接性、流通網へのアクセス、労働コストなどを考慮する」
と、ジュネーブに事務所を置くジェトロ ( 日本貿易振興機構/JETRO ) の渡辺道明所長は解説する。
さらに、
「日本の企業はヨーロッパ全体の販売網を構築しやすい場所を選ぶという観点から、ヨーロッパ市場を網羅できる地点を欧州本社の立地地点とする傾向がある」
と言う。
しかし、まさにスイスはこうした考えを持つ日本企業をバックアップできると考えている。なぜなら欧州連合 ( EU ) と締結している「自由貿易協定 ( FTA ) 」によって関税撤廃を行っており、さらに日本とも、9月1日発効のFTEPAを結んでいるからだ。
6割はスイス・メイド
アーンスト・アンド・ヤングは東京でのシンポジウムで、電気製品や車などの日本製品はもしスイスで組み立てられたり、スイスで製造された場合、欧州市場には無関税で出荷できると説明した。しかし、このためには少なくとも6割の部分がスイス・メイドでなくてはならない。
「ビジネス・ネットワーク・スイス ( Osec ) 」のダニエル・キュング氏は同シンポジウムで前向きな姿勢を示しながら、日本とスイス間のFTEPAを有効に活用することが求められていると語り、
「FTEPAの主要な利点を活用することで、日本企業は今後欧州本社の立地地点にスイスを選ぶようになるだろう」
と語った。
マシュー・アレン、東京にて、 swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、里信邦子 )
日本・スイス自由貿易・経済連携協定 ( FTEPA )
スイスと日本は「日本・スイス自由貿易・経済連携協定 ( FTEPA ) 」を2月に調印。同協定は9月1日に発効された。
2008年のスイスの対日輸出は、合計70億フラン強 ( 約 6050億円 ) で4.9%の増加。
スイスにとって日本は、欧州連合 ( EU ) とアメリカに次ぐ第3位の貿易相手国。
主要な対日輸出品は機械、精密機器、化学製品、医薬品、特に時計などの消費財。
日本からスイスへの輸入は、主に貴金属、車、電気製品、機械など、合計約41億フラン ( 約3540億円 ) で18.2%の増加 。しかしこれらの数字には、ヨーロッパで製造された日本製品は含まれていない。
2009年の第1四半期に、スイスから日本への輸出は13.7%増加したが、日本からの輸入は25 % 減少した。
スイスの日本企業
日本で直接ビジネスを行っているスイス企業は約140社。一方、スイスでビジネスを行う日本の企業は約100社。
日本貿易振興機構 ( ジェトロ ) の調査によれば、ドイツのデュッセルドルフにある日本企業は566社、アムステルダム356社、ロンドン316社、しかしスイスには、ジュネーブ46社、チューリヒ22社と少ない。
スイスにある主な日本企業は、ジュネーブの「JTインターナショナル ( JT International ) 」、ヨーロッパ本社をフランスからヴォー州に2006年移した「日産インターナショナル ( Nissan International SA ) 」など。
「日立メディカルシステムズヨーロッパ ( Hitachi Medical Systems Europe Holding AG ) 」は12年前にツーク州に欧州本社を設立した。
「積水アルベオ ( Sekisui Alveo AG ) 」はルツェルンに、「エルピーダ・メモリ ( Elpida Memory ) 」はジュネーブにある。
「マイコム・インターテック( Mycom Intertec ) 」は2004年来ツーク州に会社を構え、また「サンスター・スイス株式会社 ( Sunstar Suisse S.A. ) 」はヴォー州に先月その世界的本社を設立した。