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国際的な資産の運用方法の展望が変化しつつある。そのためスイスのプライベートバンクは、競争に打ち勝つよう営業方法を変更せざるを得なくなったと専門家は認める。
スイスに流入する資産が減少しているため、プライベートバンクはスイス国外におけるオンショア業務、つまり、外国での国内市場業務で新しい顧客を引きつけなければならないと専門家の意見は一致する。そして小規模のプライベートバンクの場合、この点を解決するために賢明な方法を見つける必要がある。
競争激化
スイスのプライベートバンクは、金融危機と納税回避に対する国際的な取り締まりというダブルパンチを受けた。UBS銀行に対する米国の法的措置に加え、アメリカとヨーロッパにおける一連の税金恩赦やタックスヘイブン ( 租税回避地 ) の国際的な改革運動がスイスへの資本流入に急ブレーキをかけた。
最近ザンクトガレン大学は、税金についてのコンサルティング業を行う企業「KPMG社」と共同でレポートを作成した。それによると、スイスのプライベートバンクが運用している資産の20%から25%がヨーロッパの顧客のものと推計され、税務当局に未申告の可能性がある。
アメリカとヨーロッパの税金恩赦の成功に加え、新しい顧客が未申告の資産をスイスに持ち込むインセンティブ ( 動機 ) を失ってしまったことによって、スイス市場内の競争が激化することになると同レポートは予測する。
規模が問題？
この難局を切り抜ける唯一の方法は、外国、特にアジア、中東、ヨーロッパなど、スイスから資産を引き揚げつつある国々でオンショア業務を立ち上げることだ。
UBSや「クレディ・スイス ( Credit Suisse ) 」、「ジュリアス・ベアー ( Julius Bär ) 」などの大手銀行は、すでに海外支店のネットワークを作り上げている。一方、小規模の銀行や金融資産運用専門会社は、海外支店を限られた資本で一から立ち上げなければならないという気の進まない問題を抱えている。
しかし全てを失ったわけではないと、「ウェゲリン銀行 ( Bank Wegelin) 」の頭取でスイス・プライベートバンク協会の会長コンラード・フムラー氏は語る。スイスの銀行はその手腕、伝統、信用で依然として巨額の資産をスイスに引きつけることができると同氏は反論する。
また、フムラー氏は、運用資産額が100億フラン ( 8900億円 ) 以下のプライベートバンクがスイス国外で業務を展開できる見込みは全くないというザンクトガレン大学の調査に対しても反論している。しかし、スイス国外での業務展開で成功するためには500億フラン ( 約4兆4500億円 ) の資産が必要だと考える観測筋もある。
「新しい方法でやっていかなければならないでしょう。しかし、私は経験から、これがいかなるものであろうとも問題にはならないと考えています。銀行の規模とは全く関係はありません。むしろどのように銀行が組織され、国外での特定の業務にどれだけコストがかかるかという問題です」
とフムラー氏は分析する。
「小規模の銀行に問題が出るとの予測がありましたが、過去数年間にどの銀行が問題になったでしょうか？ あらゆる問題を抱えていたのは、小規模の銀行ではなく、巨額のコスト体質を抱える大規模な銀行です」
賢く戦え
ここ数週間、中小規模のプライベートバンクがスイス国外に事務所を設置することを発表した。先ごろアメリカから撤退したスイス最古の銀行ウェゲリンはまだ海外支店を開設していないが、「バンク・エリタージュ ( Banque Heritage ) 」
は、資産運用企業の「レイル・エ・シ ( Reyl & Cie ) 」と共同でシンガポールにおける事業展開を行うことを先ごろ発表した。一方「ジュネーブ州立銀行 ( Banque Canonale de Genève ) 」は香港に駐在員事務所を開設した。
バンク・エリタージュのプライベートバンク業務部門の代表ローランド・クネヒト 氏は、小規模のプライベートバンクが、外国市場ですでに地位を確立した大規模な銀行と競ってその地の顧客を得るためには、賢く戦わねばならないと言う。
「海外事業の大規模な展開は、銀行によってはその能力を上回る大仕事です。従って資産運用会社を設立し、本社または地元の銀行が有価証券の管理業務を行うようにする方が、リスクやコスト面から見て管理がもっと容易です」
サービス低下の恐れ
ヨーロッパの顧客の多くは、資産を自国へ移すことについて消極的だ。スイスの金融業界は、顧客、特に非常に裕福な顧客に対し、その能力と手腕を持って、洗練されたサービスを提供しているが、顧客の国の銀行業界がこうしたサービスを提供できないということがある。
小規模でも海外支店を開設することによって、スイスの銀行は全面的なオンショア事業立ち上げの問題を抱えることなく、顧客との関係を維持することができるようになる。
「スイスの銀行業務の伝統や知識を欠いた人間を雇わなければならないため、これはサービスの低下につながる可能性があります」
とクネヒト氏は説明する。
一方、スイスのプライベートバンク業界では整理統合の様相が表面化し始めている。強大な銀行の多くが、弱小ライバルを飲み込むチャンスを舌なめずりしながら狙っている。
プライベートバンク業界の整理統合は、その後の影響を抜きにして討論されている。そして最近の動向は、スイス支店を閉鎖しようとしている外国の銀行に起きている動きだ。しかし困難に直面し、買収価格が低下しているスイスの小規模のプライベートバンクは、現在新しい道を模索するか、大手に飲み込まれるかの瀬戸際にあるようだ。
スイスのプライベートバンクの展望
スイスのプライベートバンク112行についてのKPMG社のデータベースによると、スイスのプライベートバンク業界の2008年末付けの運用資産額は約4兆7千億フラン ( 約418兆6300億円 ) 。
そのうち半分をUBS銀行とクレディ・スイス ( Credit Suisse ) が運用し、ほかの大手銀行11社が各々最低約500億スイスフラン ( 約4兆4500円、市場シェア27% ) の資産を扱った。
小規模のプライベートバンク26社による各社最低運用額は約150億フラン( 約1兆3400億円、市場シェア16% ) 。
さらに小規模の73行が各々預かった顧客の資産は150億フラン以下 ( 約1兆3400億円以下、市場シェア7% ) 。
スイスのプライベートバンクについての調査
最近ザンクトガレン大学とKPMG社が実施したスイスとリヒテンシュタインのプライベートバンクおよび資産運用企業30社に関する調査で、以下が明らかになった。
30社の約57%は、業界の成長はスイス国外の市場にあると考え、今後3年間でスイス市場が成長すると考えるのは29%のみ。
スイス金融市場の整理統合が起きる可能性については、4分の1の回答者が確信している ( 54%が同意し、18%が異論を唱えている ) 。約68% が、今なら好条件で買収ができると考えている
約88% がスイス国内での競争は激化すると予測する。
3分の2強の回答者 が、伝統的なオフショア業務は今後3年以内に減少すると推測する。
調査対象の半分以上 ( 54% ) が海外市場への進出を重要と考えている。
しかし4%の回答者が、顧客は一層の透明性とシンプルな商品を求めるようになると予測する。
( 英語からの翻訳、笠原浩美 ), swissinfo.ch