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サステナブルな建築でアルプスを守る
建築部門は全世界の二酸化炭素排出量の約4割外部リンクを占める。建設物が増えるアルプス地方でも、建設時に環境への配慮が欠けていることが多い。建築ジャーナリストのケビ・ガンテンバイン氏は、これでは「粗大ゴミ」の大量生産だと話す。同氏の使命は、この状況を変えることだ。
グラウビュンデン州出身のガンテンバイン氏は、業界に精通する。建築経済紙「ホッホパルテール（Hochparterre）」を創刊、長年編集長として活躍し、サステナブルな建築物に与えられる建築賞「コンストラクティブ・アルプス（Constructive Alps）」の審査委員長も務めた。このような経歴を背景にスイスやアルプス地方全体の建設開発を観察・論評してきた同氏は、こう結論づける。確かに、スロベニアからフランスに横たわるアルプス山脈には模範的なプロジェクトや建築物が存在する。建築やリフォームもサステナブルな上、省エネで建築的価値も高い。だがその数はあまりにも少ないという。
コンストラクティブ・アスプス賞の目的は、賞の授与や雑誌の出版、アルプス各国での移動展示を通し、こういった建築物への注目を集めることだ。
「コンストラクティブ・アルプス（Constructive Alps）」は、山岳地帯のサステナブルな建築物を競うコンクール。アルプス協定と協定内の気候対策行動計画への取り組みの一環として、スイスとリヒテンシュタインが実施する。建築家、プランナー、建築主、建築当局など、アルプス全域にわたるネットワークが運営に携わる。2022年に開催6回目を迎えた。
アルプス協定は山岳地帯の持続可能な発展を目標とした世界初の拘束力のある国際協定。1991年にアルプス山脈に位置する8カ国と欧州連合（EU）が共同で採択し、95年に施行。スイスは2021年と22年に議長国を務めた。
省エネでサステナブルなだけでは受賞には至らない。「最終的には外観の美しさが決め手」とガンテンバイン氏。家屋も建物も単独では存在せず、周囲の環境や風景との調和の中で成り立つためだ。22年の受賞作品はこの点で特に優れていると審査員は評価する。受賞に輝いたのはザンクト・ガレン州・アツモース村にある学校外部リンク、フェルト校だ。独ベルリンのフェルゲンドレーヤー・オルフス・ケッヒリング建築事務所が設計し、20年に完成した。
同校は木材、コンクリート、鉄鋼から成る1階建ての建造物。2カ所に分かれた村の中心部に位置し、その景観とよく調和している。屋根から採光し、照明に必要なエネルギーを節約する。また、建物に熱がこもらないように窓は北側に配置され、南側の屋根にはソーラーパネルを設置。ドアを開け放てば風が南から北に建物を通り抜ける。教室は廊下沿いに一列に並ぶのではなく、各教室に最低2つあるドアで各々つながるように配置されている。オルフス氏はこの学校をハチの巣に例える。巣穴から巣穴へ動くように、教室から教室へ移動できるというわけだ。
スイスでは公募コンペが匿名で行われるため、受賞者が独ベルリンの建築事務所であることは決定まで伏せられていた。これは有利に働いたのだろうか？オルフス氏はその点についての憶測は避けたいと言う。同氏とパートナーのクリスティーナ・ケッヒリング氏はスイスを熟知する。2人はベルリンで学位取得後、バーゼルの建築事務所に数年間勤務した経験がある。その後、ベルリンに戻り大学の同級生だったフェルゲンドレーヤー氏と共にベルリンで建築事務所を立ち上げた。アツモースの学校の設計時や、バーゼル勤務時代も、スイス人はとてもオープンで「遠慮を感じることはなかった」とオルフス氏は言う。
オルフス氏はスイス人施主の依頼を受けるのも、スイス人と一緒に働くのも好きだと言う。材料や品質に対する意識が高く「考え方と文化を重視し、お金が最優先のテーマではない」。そして資材、設計、職人仕事、全てにお金がかかるが、品質を保つために意味のある経費だと考えるという。同氏はまた、スイスには「非常に素晴らしい木材建築技術者と職人」がいると高く評価する。
前出の建築ジャーナリスト、ガンテンバイン氏もこの点を強調する。「アルプス地方では職人仕事は特別重視されている。これは建物からも見て取れる」。しかし「特別な存在」になろうとする意欲が欠けていると残念がる。特に観光業界には凡庸なものが多いと厳しく批判し、「観光業界にもっと好奇心と魅力があればと思う」と話す。とはいえ、変化の兆しもある。オーストリアは、フォアアールベルク州を中心としたアルプス地方におけるサステナブルで刺激的な建築に関し、先駆者かつ模範的な存在だ。
農業に伴う実用的な建造物に関しても、今日ではようやく優れた建物が作られるようになったと同氏は喜ぶ。近年コンストラクティブ・アルプス賞にノミネートされたチーズ工場や共同農業施設がその好例だ。空間と資源を有効的に利用した点も評価が高かった理由の1つだという。
例えばフレンチアルプスのアルク谷に位置する地方共同体、オート・モリエンヌ・ヴァノワーズは、地元の木材を使った家畜小屋外部リンクを9棟建て、農家に90年契約で貸与している。「このプロジェクトは現代のアルプスの農業の手本となるものだ。将来に向けて農家が共同し、しかも景観に配慮しながら建てられることを示している」と審査員は称賛する。
しかしアルプスでは「いまだに過剰に建設され、土地を無駄に使い、景観が損なわれている」とガンテンバイン氏は苦言を呈する。その結果、山間部で個人による交通量が増えている。いかに優れたプロジェクトでも、周囲のインフラとの関係を考慮に入れなければならない。「10世帯が入った集合住宅の前に車が10台停まっていたら、やはり地方の模範的な建築としての魅力はあせる。たとえその車が、その建物の屋根で発電した電力で走るとしても、だ」
同氏が推すのはリフォームだ。「家の建築が1つでも減れば、アルプスの生態系保護に寄与できる」と確信する。建物の二酸化炭素の総排出量の4分の1は建設時に発生する。いわゆる「グレーエネルギー（製品の製造や使用時に消費するエネルギー）」は特にセメントや鉄鋼の生産時、輸送、建設時に発生する。さらに取り壊しの際にも二酸化炭素が発生する。資材の廃棄処分に手間がかかるためだ。
つまり、気候危機対策の目標を達成する鍵は建築部門にある。パウル・セーガー駐ベルリンスイス大使は、ベルリンで開催されたコンストラクティブ・アルプス展のオープニングに際し、「建築業界には何よりも革命が必要だ」と述べた。
美しく壊れやすいアルプスの生態系を守り、氷河の後退を食い止めたいなら、迅速な行動が求められる。言い換えれば、建て方を変えなければならない。少なくとも州のエネルギー法は効果を上げている。「今ではエネルギーに配慮した建築が標準となっている」とガンテンバイン氏は評価するが、「建築技術的、エネルギー技術的に改善の余地はまだまだある」とも話す。
アツモースの学校完成から2年が経過し、生徒や教師にも好評で「とても良い反応を得ている」と建築家のオルフス氏は喜ぶ。コンセプトは成功し、学校は活気に満ちている。オルフス氏にとって、これは建築賞にも勝る最高の賛辞だ。
独語からの翻訳：谷川絵理花
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