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ウソをつかなければ人助けができない。これが、スイスで献血を望む男性同性愛者の置かれる状況だ。スイスではエイズ感染の拡大予防措置として、男性同性愛者の献血が禁止されている。だがこの差別的な禁止措置の解除を求める声が高まっている。
「１９７７年以降に男性同士で性交渉がありましたか？」。スイスで献血をしようとする人は全員、この項目を含む２０問ほどの質問に答えなければならない。冒頭の質問に「はい」と答えた人は献血する権利がない。
「僕や友達は、献血のために何度かウソをつかなければならなかった」と打ち明けるのは、ストイヤンさん。ベルン出身で２９歳の彼は、同性愛者が献血から排除されることの理解に苦しむ。「特定の性的パートナーを持たない人の献血禁止は理解できる。だが不特定多数と性交渉を持つことと、同性愛であることは全く別のことだ」
１２カ月たてば献血可能に
スイスでは１９８８年から、エイズ感染の恐れがあるとして「男性と性交渉を持ったことのある男性」の献血が禁止されている。だが近隣諸国では、イタリア、スペイン、ポルトガル、ポーランドのように男性同性愛者の献血を完全に解禁した国や、厳格な制限つきで解禁した国もある。
最新の例はフランスだ。仏政府は２０１５年１１月、１６年の春から条件付きで男性同性愛者の献血を許可すると決定。全血献血（血球細胞と血しょう）では過去１２カ月間、血しょう献血では過去４カ月間、男性献血者が他の男性と性交渉がなければ献血が許可される。
こうしてフランスでは段階的に献血禁止の緩和が進められる。マリソル・トゥーレーヌ厚生・女性権利大臣は、同性愛者という新たな血液提供者に関する調査・研究に取り組んでいくとし、その結果「リスクがないと分かれば、男性同性愛者に対する規則も一般規則に近いものになるだろう」とツイッターで発言している。
着せられた汚名に反発
だが、同性愛者の権利を擁護するフランスの活動家たちは喜びにわいたわけではなかった。活動家の多くは、献血条件が全ての人に同じでないことを不満に思っている。活動団体「SOSホモフォビア」は特に、「この禁止緩和はゲイの男性に着せられた汚名を消し去るものではなく、その結果ホモフォビア（同性愛に対する恐怖感・嫌悪感・拒絶・偏見）を維持するものだ」と懸念している。
また、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどの性的少数者（LGBT）の権利を訴えるフランスの団体は、「リスクのある人々」ではなく「リスクのある行為」という概念に基づいて献血禁止の基準が設定されるよう主張している。
スイスの擁護団体「ピンク・クロス」もまた同意見で、同性愛者の献血禁止は差別だと主張する。「献血規定は偽善的だ。安全のためだといいながら、社会から一部の人たちを排除している」（共同会長メディ・キュンツレさん）
スイスでは医療品認可機関の「スイスメディック」が輸血・献血を監督し、それに関する規定の承認を担当しているが、キュンツレさんは「スイスメディックは、同性愛者の献血が議論になるたびに拒否反応を示すのをやめ、事実に基づいた公平な議論をするべきだ」という考えだ。
条件付き解禁？それとも実質的な禁止？
スイスでは男性同性愛者の献血を許可するよう求める声が上がっている。数回にわたり連邦議会への提議も出された。昨年秋には、自由民主党（中道右派）議員の質疑に対し、政府は「性的指向ではなく、リスクのある行為に対する献血禁止基準が定められるよう、あらゆる努力がなされるべきだ」と答え、話し合いの姿勢を見せている。
また、スイス赤十字社輸血サービスも、献血基準緩和の可能性を検討している。モデルの一つはフランスの例だ。だが、ディレクターであるルドルフ・シュワブ氏は全面的には賛同していない。男性献血者は過去１２カ月間男性と性交渉のないことがフランスの条件だが、これを「ばかげている」という。「条件付きで解禁すれば差別の度合いが少ないかもしれないが、これでは禁止しているのとほとんど同じだ。ただ献血をしたいという理由だけで、１年間も禁欲する人などどこにもいない」
性的指向ではなく性的行動に基づいた献血基準の設定を支持するスイス赤十字社輸血サービスは、スイスメディックに基準改正を要請した。シュワブ氏は「私たちの働きかけで、１７年初めまでには基準が改正されると確信している」と前向きだ。
２０１５年、スイスのエイズ感染者
連邦内務省保健局によると、１５年の新たなエイズ感染者は約５００人（９月３０日までに確認された感染者数からの予想数値）で、１４年とほぼ横ばい。男性同性愛者の新感染者数は２４０人。保健局は「男性同性愛者では明らかに感染のリスクが高くなっている。新たな男性感染者のうち、不特定多数の女性と性交渉のある男性は３％であるのに対し、男性と性交渉のある男性が６割を占める」と指摘している。
差別を否認するスイスメディック
だがスイスメディックはこれまで、妥協しない姿勢を崩してはいない。スイス赤十字社輸血サービスによる二つの提案を拒否し、他国で献血基準の緩和の動きがあることにも影響されないとしている。
スイスメディックのペーター・バルツリ広報官は声明で「スイスの献血基準はスイスにおける科学的データに基づいたものだ」と強調し、差別を否認している。また連邦内務省保健局の数字を引き合いに出し、「スイスの一般人と比較すると、男性同性愛者はエイズ感染が３０倍も多い」と指摘する。
バルツリ広報官はまた、要請があった場合にはスイスメディックが献血禁止基準の再評価をする義務があることにも触れ、議論自体を拒否するつもりはないという。例えば、スイスでHIVワクチンが使用されるようになったり、男性同性愛者の感染が劇的に減ったりした場合には献血基準の変更もあり得るとしている。
だがエイズ感染の現状はそうではないようだ。最新の結果では、スイスのエイズ感染者は１千人に３人だったのに対し、男性同性愛者では１千人に１００人となっている。「つまり男性同士の性交渉は今でも、リスクの高い性的行動と考えるべきだ」とバルツリ広報官は結論付ける。
フランスの例を参考に
エイズの専門家たちの間では、男性同性愛者の献血禁止に疑問を持つ声も聞かれる。ジュネーブ州立病院（HUG）でエイズ医療を担当するアレクサンドラ・カルミ教授は、現在の献血基準は差別的だと考える。「確かに、男性同性愛者の間で新たなエイズ感染が多いという事実もあるが、それでも献血禁止の理由にはならない」と言い、むしろリスクの高い性的行動に基づいた禁止基準を支持している。
カルミ教授はまた、段階的に献血を解禁するフランスの例を高く評価する。そして「１２カ月という期間は妥当だ。その後、期間を短くすることもできる。この進め方は理にかなっていると思う。スイスもこのモデルに従っていければ嬉しい」と話した。
スイスにおける献血
献血を禁止されているのは男性同性愛者だけではない。注射による麻薬使用者や、不特定多数または過去４カ月以内に知り合った人と性交渉のあった人、HIV感染者・梅毒・B型肝炎・C型肝炎患者と性交渉のあった人の献血も禁止されている。
献血者は質問表にある条件を満たさなければならず、医療スタッフの問診にも答える必要がある。提供された血液は全て試験所で検査されるが、１００％の安全性というものは存在しない。感染初期では、病原菌やそれに対する抗体が検査で分からない期間があるからだ。
例えばヒト免疫不全ウイルス（HIV）では１２日。つまり、HIVに感染して１２日以内に献血すればウイルスが検知されず、その血液を輸血された人は感染の危険にさらされる。
輸血によるHIV感染の最新のケースは２００１年１月。血液提供者は男性同性愛者だった。
（出典：スイス赤十字社輸血サービス）
（仏語からの翻訳・編集 由比かおり）