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最初にデング熱と診断したお医者さんが、デング熱のことを知っていたのは、本当にラッキー、まず日本ではあり得ない幸運でした。
というのも、デング熱を検査すると血液の値が異常なので、放射能にあたったとしか思いつかないお医者さんが普通だからです。
デング熱は、ネッタイシマカやヒトスジシマカという蚊を媒体にして人に感染します。
新聞を読むと、デング熱に感染した人の症状ははだいたい軽い、まれに重いことはあるので、あまり心配しないようにと書かれていますが、これではなんだかさっぱりわかりません。よくよく日本には知られていない病気なのだなぁと思ってしまいます。
デング熱には、いまのところタイプの違うものが四種類あると言われています。罹ると発熱したり、身体の節々が痛くなったりしますが、一週間ほどで身体の中に抗体ができて、次第に直ります。効く薬はありません。
一度罹ったタイプのデング熱には二度罹るということがありません。ただ、一種類には罹らなくてもあと三種類あり、何度も罹るたびに、重いものとなります。
熱帯で子どもたちが、流行る年には２００人も死んでしまうのは、何度も罹った末に、重いデング出血熱に罹るからです。
じつは私も、２５年ほど前にタイの農村でデング出血熱にかかったことがあります。
昔はデング出血熱は子どもだけの病気と言われていましたが、最近では大人も罹り、症状は子どもがかかるよりさらに重いものになります。私の場合、バンコクの病院で診てもらったのですぐにデング出血熱と診断され、二週間ほど入院しました。
日本に新聞に、デング熱にはまれに発疹が出るものもあると書かれていましたが、発疹ではありません。出血熱に罹ると血小板の力が弱くなり、血が固まらなくなって、あちこちに溢れ出るのです。
皮膚に溢れ出たものは発疹のように見えますが、始末に悪いのは内臓に溢れ出たものです。のどが渇いても「水」を想像しただけで、吐き気がします。もちろん食べ物は受けつけません。
ですから、農村の子どもたちは、病院に行って点滴をしてもらわない限り、水も飲めなくて、脱水症状で命を落とすことになります。
私も入院していたとき、十日ほどは何も口にすることができませんでした。ひたすら点滴による水分補給と栄養補給に頼ります。
また頭痛もひどく、お手洗いに行こうと、点滴をぶら下げたまま歩くのですが、一足進めるごとに、がぁんと殴られたような衝撃を頭に感じます。わずか３メートルほど離れたお手洗いに、ベッドから起き上がって行って帰ってくるまでに３０分くらいかかりました。
がんの薬などは研究は日進月歩ですが、マラリヤ、デング熱など熱帯病の薬の開発が進まないのは、開発しても製薬会社がもうからないからだと言われています。
デング熱の場合、十日ほど点滴さえしていれば治る病気ですが、農村から都市にある病院への距離は、考えられないほど遠いのが現状です。
デング出血熱は、十日目くらいからなんとか食べられるようにもなりますが、その後一ヶ月ほどは肝臓が弱り、身体のだるさが続きます。
日本でデング熱が発見されたのを契機に、デング熱で死んでいく熱帯の子どもたちに注意が向けられることを、少しだけですが期待してしまいます。