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世界的に人口は増え続けているが、今後、地球上の全ての人に供給できるほどの食糧を生産できるのだろうか？スイス人昆虫学・農学者のハンス・ルドルフ・ヘレン氏は、可能だと考える。だが、それには世界全体で農業制度を一変させ、小規模農家の評価を高めることが重要だと語る。
イタリアで現在開催中のミラノ国際博覧会（ミラノ万博）他のサイトへは「地球に食料を、生命にエネルギーを」をテーマに、食料に関する幅広い課題を取り上げている。地球上の全ての人に、安全で、十分な、持続可能な食糧をいかに確保するか。講演者として万博に招待されたスイス人農学・昆虫学者のハンス・ルドルフ・ヘレン氏は、この大きな課題には解決策があると主張する。
swissinfo.ch： ２０５０年には世界の人口が９０億人を超えるといわれています。全ての人に与えられるほど多くの食糧を地球で生産できるのでしょうか？
ハンス・ルドルフ・ヘレン： できる。なぜなら、すでに１００億人、いや１２０億人をまかなうだけの食糧が生産されているのだから。問題は、何を、どこで、どのように生産するかだ。現状では、ある地域では生産過多なのに対し、他の地域では十分に生産されていないという不均衡が生じている。
先進国や新興国の一部では、特定の農作物が過剰生産されている。例えば、トウモロコシや穀類、米、大豆、菜種などだ。これらは主に、バイオ燃料や飼料、でんぷん、糖類の製造に使われる。だがこれらは必ずしも必要ないものだ。反対に多くの発展途上国では、生産が不十分で、まだまだ生産性を高められる可能性が残っている。
つまり、世界の食糧供給システムと経済システムのバランスを回復することが重要なのだ。現在、必要以上に食糧を生産しているにもかかわらず、何百万人もの人が飢餓で亡くなっている。今のシステムが機能していないということだ。
swissinfo.ch： どのようにして世界の食糧供給システムを変えることができるのですか？
ヘレン： それには政治レベルで明確な決定が必要だ。今年は、国際的に二つの重要なイベントが予定されている。一つは９月にニューヨークで開かれる、持続可能な開発に関する国連サミット。そこでは、２０１５年以降の開発目標「ポスト２０１５」について話し合われる。もう一つは、１２月にパリで開かれる気候変動枠組条約締約国会議（COP21）だ。この二つのイベントは、食糧供給システムをがらりと変える貴重なチャンスとなる。また、化学物質で土壌を汚染し、大量の二酸化炭素（CO2）を放出する従来型の集約農業から、自然と調和の取れた持続可能で再生可能な農業へと移行を促すきっかけとなるかもしれない。
この機会を逃してはならない。土壌を救い、全ての人に食糧を供給し、気候変動を食い止めたいと思うなら、もたもたしている暇はないからだ。これまでに私たちは、環境に優しい農法を用いて生産性を高める方法を実証してきた。迅速に、具代的な手段を決めなければならない。安全で十分な食糧を得る権利は、世界人権宣言でも保障されている基本的人権だ。各国政府は、全ての人に食糧を保証しなければならない。
ハンス・ルドルフ・ヘレン略歴
１９４７年生まれ。ヴァレー（ヴァリス）州出身。スイス連邦工科大学チューリヒ校と米カリフォルニア大学バークレー校で農学と生物学を学ぶ。
ナイジェリアの国際熱帯農業研究所とケニアの国際昆虫生理生態学センターで２７年間活動し、その間には世界で最も重要とされる、生物学を応用した寄生虫対策プログラムを指揮した。
アフリカでキャッサバ畑に壊滅的な被害を与え、２億人を飢餓の危機に陥れた寄生虫コナカイガラムシを、益虫のハチによって駆除したことで注目を集めた。
その研究開発の功績をたたえられ、世界食糧賞（１９９５年）、ブランデンベルガー賞（２００２年）、もう一つのノーベル賞といわれるライト・ファイブリーフッド賞（２０１３年）など、数々の賞を受けた。２０１４年には、その年に成功を収めたり、社会に貢献したりしたスイス人を表彰する「スイス・オブ・ザ・イヤー」にもノミネートされた。
１９９８年にビオビジョン環境開発財団を設立。人々の生活環境の改善と貧困削減を目的として、開発途上国で有機農法の拡大と開発を進めている。
swissinfo.ch： 食糧供給システムの変革を妨げているものは何ですか？
ヘレン： 経済、財政面の利害は、政治的な決定に大きな影響を与える。欧米では、生産から輸出にいたるまで、農業関連産業には多くの助成金が出されている。ケニアのモンバサ港では、地元産の３分の１の価格で米国産のトウモロコシを買うこともできる。こうやって地元の農業や市場がつぶされていくのだ。
また、開発途上国では政府が大規模な私的財団や多国籍企業の影響下にあることが多い。このような企業は、遺伝子組み換え（GM）種子、殺虫剤、農薬、化学肥料などを製造販売している。そのため、環境と健康に害を及ぼす農業が行われ、農家はこれらの製品を購入するために借金を余儀なくされるなどの状況を生み出している。
swissinfo.ch： では他の選択肢は何でしょうか？
ヘレン： 農業関連産業のこれまでのあり方を変えることが必要だ。現在、世界的に見ても単作が進んでいる。例えば収益性の高い食品に加工する目的で、ある一つの農産物が集中的に生産されたりしている。往々にしてそのような加工食品は、高カロリーで健康に悪い。世界では８億人が飢餓に苦しんでいるというのに、１５億人以上が肥満というのが実態だ。
このような単作の代わりに導入すべきは混作だ。つまり、小規模な有機農業でさまざまな種類の作物を育て、より多くの果物や野菜を生産するシステムだ。そのためには特に開発途上国の農業従事者に知識と技術を提供し、彼らが耕作地や市場にアクセスできるよう支援する必要がある。
swissinfo.ch： 有機農業や小規模農業で全人類に食糧を供給することが本当に可能ですか？
ヘレン： 小規模農業の単位面積当たりの収穫量は、大規模な単作にまさっている。国連食糧農業機関（FAO）が昨年発表した調査結果にも出ている。また、ビオビジョンが進める、農業に生態学を生かす「アグロ・エコロジー計画」では、例えばクローバーなどの土壌を改良する植物との混合耕作や、益虫を使った害虫駆除などの試みを通して、その土地の条件に適した種子や植物を使用することで、収穫量が倍になることを証明できた。
だが、有機農業はまだまだ進歩する必要がある。有機農業は土壌の生態系に関する研究に基づいているため、研究分野への投資が重要だ。しかし、現在のところ投資は従来型の農業研究に偏っている。スイスの例を挙げよう。連邦政府は、従来型農業の研究に２億７千万フラン（約３４６億５千万円）もの助成金を出しているのに対し、有機農業にはたったの４００万フランだ。この割合は、逆になるべきだ。
swissinfo.ch： 有機農業には多くの人手が必要になりますが、現在では農村から人口が大量に流出しています。２０５０年には世界人口の７～８割が都市部に住むという推定もあります。
ヘレン： 確かに、何もしなければその推定は現実のものとなるだろう。だが、私たちはそのシナリオが現実になるのをただ傍観しているわけにはいかない。もっと農村に投資し、住民が地元の学校や病院に行くことができ、電気やインターネットを使用できるような環境を作り出さなければならない。農村は、そこに人が住み、人が働いてこそ魅力的なものになる。誰も住んでいないようなところに、人はとどまらない。
そして、農業従事者の仕事をもっと評価して、彼らが貧困から抜け出せるようにする。これは何も、開発途上国に限ったことではない。スイスでも、生活が苦しくて農業をあきらめる人も多い。食料品の価格は、実際の価値に見合っていない。全ての人にとって、食糧は生きるために不可欠なもの。それなのに農業従事者はなぜ弁護士よりも稼ぎが少ないのか？農業従事者の仕事は、間違いなく弁護士の仕事よりも重要だといえる。
（仏語からの翻訳・編集 由比かおり）, swissinfo.ch