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高まる電力不足の脅威 ブラックアウトを回避するには
欧州での電力輸送において、スイスは中継国として重要な役割を担う。ウクライナにおける戦争やエネルギー転換、そして欧州連合（EU）との電力協定の交渉決裂といった問題は、スイスの送配電事業会社スイスグリッドに大きな課題を突き付ける。広範囲で停電する「ブラックアウト」の脅威を回避するには、何が必要なのか？
- Deutsch Strommangel: Die grosse Angst vor dem Blackout
- Português Falta de energia elétrica: o grande medo dos apagões
- عربي القائمون على إدارة شبكة الكهرباء السويسرية يُواجهون تحديات غير مسبوقة
- Français Les extraordinaires défis de la gestion du réseau électrique
- English Swiss electricity providers face shocking challenges
- Pусский Грозит ли Швейцарии энергетический голод?
- Italiano Le sfide senza precedenti di chi gestisce la rete elettrica (原文)
2021年1月8日、その異変は起きた。欧州の送電網他のサイトへの周波数が急激に低下したせいで、欧州大陸は文字通り、東南部と中西部の真っ二つに分断されたのだ。
問題の発生源はクロアチアの変電所の故障だった。約1時間の不具合の後、幸いほとんどの人が気づかないうちに復旧したが、欧州大陸の何億人もの人々が停電に見舞われる危険性は十分にあった。
大規模な停電を回避できたのは、スイスの高圧送電網を運営し、近隣諸国との電力流通を管理するスイスグリッド他のサイトへの介入が大きい。
欧州南部の調整役を担う同社は、欧州の他の送電事業者と連携して送電網を切り離し、連鎖的にダウンが起こるのを防いだ。広報担当者アレッサンドロ・カメローニ氏は、「予測できることを予測し、予測できないことをリアルタイムで管理するのが私たちの任務だ」とswissinfo.chに語る。
電力不足が大きなリスクに
欧州30カ国以上に及ぶ5億3千万人の人々に電力を供給する欧州の電力網にとって、スイスは欠かせない存在だ。スイスは国際送電網の誕生の地でもある。北西部アールガウ州にある変電所「ラウフェンブルクの星他のサイトへ」では、1958年にスイス、ドイツ、フランスの電力系統が初めて相互接続された。
「スイスと欧州で電力不足が発生するリスクはかつてないほど高まっている」
ヴァレリー・ボルダン、スイス電力会社連盟（VSE/AES）広報担当者End of insertion
現在、スイスには国家間をつなぐ国際連系線が41本あり、夏期にスイスで生産される電気の輸出に使われる。特に国内の水力発電の生産が落ちる冬期の電力を確保する上でも、これらの送電線は重要だ。1年で最も寒い時期、スイスは需要電力の最大4割を外国から輸入している。
だが連邦国防省国民保護局は、電力不足はスイスを脅かす最大のリスクの1つ他のサイトへと位置付ける。スイス電力会社連盟（VSE/AES）他のサイトへの広報担当者ヴァレリー・ボルダン氏は、「現状を踏まえると、スイスと欧州の電力不足リスクはこれまでになく高まっている」と話す。
エネルギー価格の高騰や国際政治情勢など、今やかつてないほどの困難が待ち受けている。カメローニ氏は、「スイスの電力システムは史上最大の変革期にある」と言う。
需要と供給の一致が不可欠
ブラックアウトのリスクや、電力の安定供給のためにスイスが模索する解決策に目を向ける前に、まず電力がどのように一般家庭に供給されるのか、そして送配電事業者にとってなぜ50が重要な値なのかを概観しよう。
スイス国内外の発電所で生産された電気は、高圧送電線（22万ボルトと38万ボルト）を通して輸送される。再生可能エネルギー（太陽光や風力）や化石燃料（石油や石炭）、原子力といった発電方法は問われない。
送電時にエネルギーが失われるのを避けるためには、電圧はできるだけ高くする必要がある。一方、電気が地域の配電網、そして最終的に一般家庭のコンセントに届くまでには、電圧を徐々に下げなければならない。
これを担うのは変電所の変圧器だ。電圧を230ボルトまで少しずつ下げることで初めて、電気は携帯電話の充電やコーヒーメーカーに使えるようになる。
効率良く安全に送電するには、欧州では送電網の周波数を50ヘルツに保つ必要がある（米国や日本の一部地域は60ヘルツ）。
周波数のわずかな乱れも送電網の安定を崩し、ドミノ倒しのように広域停電を引き起こす可能性がある。周波数が50ヘルツから49.75ヘルツに低下した前出の1月8日のトラブルも、そんな危険性をはらんでいた。
電気に用いられる単位
電圧：ボルト（V）で表示。電気を押し出す「力」を表す。正極と負極の差が大きいほど、電圧は高くなる。
電流量：アンペア（A）で表示。導体内を同時に移動する電子の数を示す。電子が多く流れるほど、電流量は大きくなる。
周波数：ヘルツ（Hz）で表示。1秒間に電流の向きを変える速さを示す。End of insertion
周波数を安定させるためには、需要と供給を一致させなければならない。カメローニ氏は、「例えば、ドイツ北部の風力発電所で生産される電力が余るケースなど、欧州で想定できるあらゆる事態が起こったときに周波数を50ヘルツに保つ必要がある」と説明する。
周波数が変動した時は、発電所に発電量の調整を依頼する。送電網や国際連系線にどんな負荷がかかるか見通しを付け、電力の需給バランスを保てるのは、時に1年前から立て始めることもある綿密なプランのおかげだ。
欧州最大の原子力発電所、国際連系線に接続
欧州の送電網に新しい国が加わる場合にも、周波数を50ヘルツに保たなければならない。最近では今年3月、ウクライナとモルドバが参入他のサイトへした。
当初、両国の統合は2023年に予定されていたが、ウクライナでの戦争を受け前倒しされた。スイスグリッドの戦略アドバイザー、エマヌエレ・コロンボ氏は、「ウクライナで発生しうる問題が欧州に飛び火して制御不能になるのを回避するため」の対策は立ててあると話す。
ウクライナ中部にあるザポリージャ原子力発電所は、欧州最大の発電所だ。突然の稼働停止や発電量の大幅な低下は、相互接続された電力系統全体に波及しかねない。「そうなると周波数の乱れが大きくなり過ぎる。国境を守る対策として、問題が起きたらウクライナは速やかに送電網から切り離される」（コロンボ氏）
スイスグリッドなどの欧州の送配電事業会社にとって、ウクライナにおける戦争がもたらした最大の影響はエネルギー価格の上昇だ。特に、送電網の予期せぬ変動に対応するための供給余力のコストを押し上げている。
15年計画では遅い
再生可能エネルギーが普及するにつれ、発電量の変動にどう対応するかがますます重要になってくる。欧州送電網の約1割の電力が流れるスイスでも同じだ。
太陽光や風力は発電量に波がある。スペインなどは、太陽光発電で生産した大量の電力を他国に送る必要がある。
そのため、大部分が1960年代に建設された旧式インフラの近代化が重要になってくる。「ネットワークを広げ、必要なら新しい配線を設けて今日のニーズに合わせる必要がある」とカメローニ氏は強調する。
「スイスで大きな問題が起きれば、それは欧州にとっても大きな問題で、その逆も然りだ」
エマヌエレ・コロンボ、スイスグリッド戦略アドバイザーEnd of insertion
連邦工科大学チューリヒ校（ETHZ）のエネルギー科学センター他のサイトへ長、クリスチャン・シャフナー氏は、スイスの送電網は優秀だと評価する。欧州諸国の送電網と比べても、毛細血管のように張り巡らし、柔軟性に富む。
「だが将来的に見ると、あらゆるレベルで難点がある」とスイスグリッドとの対談他のサイトへで同氏は指摘した。例えば送電網の場合、既に容量の限界に達しているノードや変圧器、送電線があり、拡張が必要だという。
スイスグリッドは、総額25億フラン（約3400億円）を投じスイス送電網の更新と拡張を行う予定だ。スイス政府は今、水力発電所や風力発電所の新設許可にかかる時間を短くしようとしている。スイスグリッドは配電線の新設手続きも迅速になることを期待する。
送電線の新設には平均して約15年他のサイトへかかるが、コロンボ氏は、「実現化にこれだけ時間をかけていては、急速に発展するエネルギー情勢のニーズに追いつけない」と指摘する。
より多くの電力がEUに
だが新たな投資や手続きを速めるだけでは不十分だ。コロンボ氏は、国際的な電力の融通を増やすには、他の欧州の送配電事業者との協力が不可欠だと強調する。しかしスイス・EUは電力協定を結んでいないという問題がある。
そうした分野ごとの協定を一括して結ぶのが、2014年からEUと交渉していた制度的枠組み条約だった。ところがスイス政府は昨年5月他のサイトへ、EUとの制度的条約には署名しないと発表し、交渉を打ち切った。「電力協定がなければ、計画外のエネルギーが流れ、送電網の安定が脅かされる」（コロンボ氏）
EUのクリーンエネルギー政策で状況はもっと複雑になった。20年1月1日、EU加盟国は自国のネットワーク容量の7割以上をEU加盟国間の取引に割り当てるという「7割ルール他のサイトへ」が発効。つまりEU加盟国により多くの電力が配分され、スイスの分け前は減少するということだ。
その結果、送電網の安定性や、安定供給に悪影響が出る恐れがある。特に冬期、スイスは電力の輸入に依存している。スイスは各国を結ぶ送電網を切り離し、自国の領土をまたぐ電力輸送をブロックすると圧力を掛けることもできるが、スイスグリッドは技術的な二国間協定を欧州の他の送配電事業者と結ぶことで問題の解決を目指している。
だが、こういった個別の協定はEUとの電力協定に代わるものではない。コロンボ氏は、「協力することはお互いのメリットになる。スイスで大きな問題が起きれば、それは欧州にとっても大きな問題で、その逆も然りだ。スイスは欧州を必要とし、欧州にはスイスが必要だ」と訴える。
独語からの翻訳：シュミット一恵
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