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8月15日に幕を閉じた第62回ロカルノ国際映画祭は、中国人、郭小櫓 ( グオ・シャオルゥ ) 監督の「彼女、中国人 ( She, a Chinese ) 」( イギリス・ドイツ・フランス ) に、金豹賞を授与した。
中国人監督による映画は大賞とはいえ1つの賞を受賞したのみ。スイス通信 ( sda ) によると、オランダとアイルランドの「ナッシング・パーソナル( Nothing Personal )」 ( ウルズラ・アントニヤック監督 ) が主演女優賞、最高処女作賞など5つの賞を受賞するなど、国際部門の審査員と他部門の審査員の意見が分かれる結果となった。
家族と孤独、文化や個人を超えたメッセージ
「彼女、中国人」は、日常生活に飽き足らず、故郷を飛び出すが、犯罪組織と関係する生活を経て、ひょんなことからロンドンに脱出。しかし70歳の老人と結婚し家庭の主婦となり再び変化のない生活を送ることになる若い中国人女性の物語を扱った。
郭氏は「現代の若い中国に1つの声となるような映画を作りたかった。文化や個人を超えたビジョンを伝える声である」と語っている。郭氏は2006年に「How is Your Fish Today?」でロッテルダム映画祭やフリブール映画祭に出品するなど、国際的にも評価されている。今回は、中国映画を集中的に扱った「オープンドアー部門」にも参加し、注目されていた監督の1人だった。
このほか、審査員特別賞と監督賞は「ブベン・バラベン ( Buben.Baraban」( ロシア/ アレクセイ・ミズギレフ監督 ) 、主演男優賞はアントニス・カフェツォポウロス氏 ( ギリシャ/ドイツ「アカディミア・プラトノス ( Akadimia Platonos ) 」、主演女優賞はロッテ・フェルベック氏「ナッシング・パーソナル ( Nothing Personal )」が受賞した。また、日本の映画が2本出品されていた新鋭監督賞には「投錨地 ( 仮訳 The Anchorage」( アメリカ/スウェーデン C.W.ヴィンター/アンダース・エドシュトローム監督 ) が受賞した。
スイス映画は今年も不振。国際部門でのスイスとフランスの共同制作「共犯者 ( 仮訳Complices ) 」( フレデリック・メルモ監督 ) も新鋭監督部門の「イヴル (Ivel ) 」、「ミルナ ( Mirna ) 」、「マースドリーマーズ (The Marsdreamers ) 」も受賞はなかった。
一方、ピアッツアグランデで上映されたスイスとハンガリーの共同作品「谷 ( La Valle delle Ombre ) 」( ミハリ・ギエリック監督 ) は、集客の最も高い映画だった。
実写以外の作品に対する見方
今年のロカルノ国際映画祭では、日本のアニメを大きく取り上げた「マンガインパクト( Manga Impact ) 」が1つの呼び物となっていた。コンペティションにも国際部門には、田舎に住む武田信玄の家臣の末裔 ( まつえい ) の家族が全員一丸となって、インターネットの仮想世界の危機を力を合せて救う家族アクション映画「サマーウォーズ」 ( 細田守監督 )、新鋭監督部門には西久保瑞穂監督の「宮本武蔵－双剣に馳せる夢」も出品されていたが、残念ながら授賞には至らなかった。
「サマーウォーズ」の細田守監督は、映画祭真っ最中の8月12日、スイスインフォの単独インタビューに答え、実写とアニメという区分けについて
「コンピューターグラフィックス( CG ) と実写を組み合わせた作品もある。表現として映画を作るという意味では、実写もアニメも同じ土俵ではないかと思う。アニメーションという手段を使って、( 自分たちは ) 映画を作っているつもりでいる。そういった意味で、 映画というカテゴリーの中で一緒に評価してもらうということは、ぼくらにとって意義あることだと思う」
と語っていた。
授賞はなかったことについて、プロデューサーの齋藤優一郎氏も
「選ばれたことだけでも驚きだった。一般の映画と一緒に、また海外で観ていただき、( ロカルノに ) 来たかいがあった」
と前向きにこの結果を受け止めている。
今年初めてアニメも審査したロカルノ国際映画祭。今後、アニメや新しい手法の作品も評価の対象としていくのかはまだ不明だが、アートディレクター、フレデリック・メール氏最後の仕事となる今年は、映画の今後を次世代に受け渡した転機となる年だった。
佐藤夕美 ( さとうゆうみ ) 、swissinfo.ch
第62回ロカルノ国際映画祭
8月5日から15日までイタリア語圏ティチーノ州のロカルノ ( Locarno ) 市で開催された。
カンヌ映画祭と並ぶ長い歴史を持ち、ジャンルの多様性や若い監督を応援することなどで定評のある、ヨーロッパの代表的な映画祭である。
コンペティションでは、メインの金豹賞部門 に18の作品が、新鋭監督部門 ( Cinéastes du présent ) に17の作品が出品され、今年は、中国人、郭小櫓 ( グオ・シャオルゥ ) 監督の「彼女、中国人 ( She, a Chinese ) 」( イギリス・ドイツ・フランス ) に、金豹賞が授与された。
今年は日本のアニメ約80本を歴史的かつ総合的に眺める「マンガインパクト ( Manga Impact ) 」が企画され、上映、展覧会、対談などが開催される。これはイタリアの「トリノ国立映画博物館」との共同企画で9月16日からは、トリノで開催される予定。
戦前の短編アニメ、戦後の手塚治作品から、最新の作品まで幅広く上映。高畑勲監督特集、富野由悠季監督特集、「スタジオ・GGAINAX」の特集、シンポジウム、セミナーなども組まれた。