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スイスの電力市場が自由化されてもいないうちから、電気料金が25%も値上がりするもようだ。これを知った消費者は今、かんかんに怒っている。配電の元締めとなる「スイスグリット」に料金高騰の責任があるという。このコンテンツは 2008/09/15 15:26
自由化を進めるためにスイスを始めとするヨーロッパ諸国の消費者は、市場の独占が無くなり電気料金は下がると説得された。ところが現実には料金は高くなるという。自由化失敗のつけを消費者が負担することになるのか。
求められる情報公開
「自由化を前にして電力会社は、売買価格と消費者が支払う最終価格しか把握していなかった。こうした意味で価格の透明性に欠けている」
ローザンヌ大学のネットワーク工業を専門とするマティアス・フィンガー教授は言う。フィンガー氏は連邦電力委員会「エルコム ( ElCom ) 」の一員で、電力市場自由化を管理する独立監視員だ。
自由化された市場では第一に、価格設定の透明性が求められる。透明性があってこそ価格も下がる余地があるからだ。フィンガー氏によると「以前の電力会社は消費者が負担する料金のどの部分が電力会社の収入になるかということは公表していなかった。また、電力生産コストや配電コストは把握していなかった」
このため今回の電気料金の設定に誤算が生まれたらしい。
ケーブル使用料が高くつく
2009年からは、配電を担当するスイスグリット ( Swissgrid ) が年間10億フラン( 約930億円 ) の請求書を発行することになる。スイスグリットには大手電力会社の役員や担当官庁からの出向者もいる。スイスグリットが請求する高い配電料金は、全国にある900以上の電力配給会社に課せられ、最終的には消費者が負担することになる。来年からの自由化に向け、新しい料金の発表は8月末まで時間があったが、料金高騰の責任はもっぱらスイスグリットにあると非難されている。
こうした中、エルコムによると、スイスグリットの料金は5月に発表されたが、その時点では大きな問題には発展しなかった。しかし、一部の小規模電力会社が訴えを起こしたため、エルコムは2カ月前からスイスグリットの調査を始めた。
料金を下げることができるのは誰 ？
エルコムが調査しているのは、例えば配電ネットワークの使用料金だ。新しく設定された料金はスイスの配電法に準じているのだろうか。現在のところ調査中のため、この料金値上げに違法性があるかどうかについては、公表できないという。
実際のところ、料金引下げの権利を持つのはいったいどの機関なのだろう。連邦価格監視員は2008年から2014年までを自由化の過渡期と定め、電気料金についての調査資料を作成するという。ただし、連邦価格監視員は料金引き下げを勧告することはできるが、実際料金を下げる権利を持つわけではない。一方エルコムの権力が及ぶのは送電料金で、製造コストや市場価格の操作まではその力は及ばない。また、環境保護の観点から再生可能なエネルギーに対する免税などについても、エルコムは何の影響力も持たない。
市場の自由化は来年から始まるが、実際一般消費者が電力会社を選べるようになるのは2014年まで待たれる。ということは、5年間は市民に選択の余地は無く、地元の電力会社の料金を強制的に支払わされることになる。
欧州連合 ( EU ) はスイスに先駆けて電力市場を開放した。しかし、例えばドイツはスイスと比較しても電力市場における政府の権力が強い。ドイツ当局は料金引き下げを前もって決めることもできる。また、不正の疑いがある電力会社の証拠隠滅を防ぐため立ち入り捜査の権利も持っている。料金についてみると、ドイツやオーストリアも自由化直後は上がったものの、その後下がった。
swissinfo、アレクサンダー・クンツレ 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 訳
補足情報
スイスの電力市場の自由化
2009年から企業の電力会社の選択が自由になる。
2014年から一般消費者の電力会社の選択が自由になる。
スイスを通過して、年間取引額10億フラン ( 約930億円 ) 規模でヨーロッパの電力の取り引きが行われている。
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