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6月初旬のある日、「やった！」とミュリエル・ノカ氏は思わず叫んでいた。指導する学生たちと製作中の超小型人工衛星「スイスキューブ」が、宇宙に旅立つことになったからだ。
これは重さ1キログラム、10×10×10センチメートルの小さな箱。しかもすべてスイス・メイドの人工衛星だ。2009年初めに打ち上げられるヨーロッパ新型ロケット「ベガ」に積み込まれる、小型人工衛星の最終候補9機の中に残った。ローザンヌ連邦工科大学 を中心に、ほかのフランス語圏の高等専門学校の学生が共同で開発した、精魂こもった作品だ。
大気光調査
もともと小型人工衛星を学生たちに製作させるプロジェクト「キューブサット ( CubeSats ) 」は2000年にアメリカの2つの大学で始まった。宇宙開発に将来かかわる学生に現実感を持たせることを主眼に、またほかの宇宙関係の専門学校や企業などと協力して製作するという複雑な工程の習得も目的にしている。
このプロジェクトを受けて、ローザンヌ連邦工科大学 ( ETHL ) の「スペース・センター ( Space Center ) 」では独自の人工衛星「スイスキューブ( SwissCube ) 」を製作することになった。これはヌーシャテル大学やほかの宇宙関係専門学校と協力するもので、まさにキューブサッツ の目的に合致している。
スイスキューブの主な任務は、高度80～300キロメートルの大気が、異なる高度で異なる波長の光を発する現象である「大気光」を写真に収めることだ。モールス信号で、「s-w-i-s-s-c-u-b-e」という信号と大気温度を表す数字だけをまず送り込む。これが成功した後に届ける写真はなるべくデータ量が軽いものにしているという。地上でそれを受け取るアンテナが、フリブールの高等専門学校とローザンヌ連邦工科大学の2カ所にしかないからだ。
90分間で地球を1周する間に撮影された緑や紫色の写真データは、大気光の数字で表されたモデルと照合される。こうして、この人工衛星が位置する時間、高度、アングルなどによって変化する大気光が解析される。
安価なシステム開発
スイスキューブ打ち上げのもう1つの目的に、大型人工衛星を位置づける安価なシステムを開発することがある。イベルドン ( Yverdon ) の高等専門学校のニコラ・スタイナールさんによれば、現在大型の人工衛星は「スター・トラッカーズ ( star-trackers ) 」 という、星の位置を探り衛星を位置づけるシステムを使っている。しかし、これには膨大な費用がかかる。宇宙開発ビジネスが激しく展開する今日、もし安価なものを開発できれば、すぐ商品化できるだろう。
ところで、スイスキューブそのものも、宇宙の環境に耐えられると保証された資材を使わず、一般の市場で手に入るものを使っている。安価に仕上げるためと、もう１つは、こうした資材が宇宙の光線に耐えられるか否かをテストするためである。
「内蔵されている幾つかの回路は、定価15～16フラン ( 約1600円 ) 。ところが同じ機能の宇宙環境用の回路は3万5000ドル ( 約380万円 ) 。従って、われわれの人工衛星を宇宙環境に適するよう仕上げることは、ただ不可能と言うしかない」
とフリブール ( Fribourg ) の高等専門学校のシルバン・デカステルさんは言う。
故障しないよう願って
打ち上げは2009年初めと予定されているが、はっきりした日程は決まっていない。学生たちはかなりのプレッシャーを感じている。
今は光と温度に関するテストに追われる日々。90分間で極軌道をぐるりと1周するスイスキューブは、その都度夜明けと日没の光を浴び、マイナス40度からプラス60度の温度に耐えられるものでなくてはならないからだ。
学生たちは、たとえ最後には精力ドリンクを飲みながらでもこの「かわいい宝物」の仕上げに全力を尽くす覚悟だ。一度宇宙に飛び出したら後はなにもできないからだ。しかしもし宇宙で故障したら？
「修理も何もできないのは承知している。すべてうまく行くよう願っているし、すべてうまく行くと思う」
とサン・イミエール ( St-Imier ) の高等専門学校のノエミ・ペティナさんは言い切った。
swissinfo、マルク・アンドレ・ミゼレ 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 訳
スイスキューブ ( SwissCube )
この小型人工衛星は北極と南極の上を結んで回る極軌道上で、高度400～1000キロメートルを90分間で1周する。4カ月の期間、軌道上にとどまる予定。
およそ高度100キロメートルに出現する大気光を撮影することが主な目的。
箱の内部には、およそ1000の部品が入っている。超小型望遠鏡が１機、電子カード16枚、多くの溶接部を持つ357本のコードなど。
付属の太陽電池パネルは携帯電話よりわずかに多い電力の1.5ワットを供給する。