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スイスでは伝統中国医学が大人気だ。医療保険の対象としても特定条件のオプションで認められている。ところが、マラリア治療薬の発見で中国人の屠ユーユー（トゥーユーユー）さんがノーベル賞を受賞したために、伝統中国医学の評判が落ちるのではと懸念する声が上がっている。
マラリアとスイス
マラリアとの闘いではスイスも数多くのプロジェクトに携わってきた。
１９４８年、スイスの化学者パウル・ヘルマン・ミュラーは殺虫剤DDTのマラリアに対する働きを発見した。DDTはマラリアを媒介する蚊の根絶に絶大な効果を現す一方、薬の影響が問題視された。この発見でミュラーはノーベル医学生理学賞を受賞。
スイス熱帯病研究所（TPH）は、アフリカの子どもたちの治療にアルテミシニンを使用した最初の機関。インフォボックス終わり
今年のノーベル医学生理学賞は、マラリア治療薬「アルテミシニン」を発見した中国の女性研究者トゥーさんが、別の新薬を発見したアイルランドのウィリアム・キャンベル博士、大村智・特別栄誉教授とともに同時受賞した。この快挙は中国でも大絶賛されたが、同時に論争も巻き起こした。
スイス熱帯病研究所（TPH）他のサイトへで所長を務めていたマルセル・タンナーさんは、トゥーさんの受賞は明白だったと言う。「アルテミシニンがどれだけ多くの人々をマラリアの死の淵（ふち）から救ったかを考えれば、その貢献度は明らかだ。受賞の理由を説明するまでもない」
南京中医薬大学他のサイトへの王旭東（ワン・シュウトン）教授もトゥーさんのノーベル賞受賞は当然だと語る。ただしノーベル賞フィーバーに浮かれてアルテミシニンが伝統中国医学（以下、中医学）の評判を落とすことのないよう注意すべきだとワン教授は警鐘を鳴らす。
古い文献にひらめきを得る
晋時代の道家で錬金術師の葛洪（カツ・コウ、２８０年頃～３４０年頃）が急性病の応急処置などをまとめた書物「肘後備急方」には、「よもぎの仲間の青蒿（せいこう）１束を２升（約４００ミリリットル）の水に浸し、汁をしぼり、それを飲み干すべし」と記されている。トゥーさんはこの記述にひらめきを得たという。中医学に基づく加熱による抽出方法では有効成分アルテミシニンが壊れ、マラリアに対する効力が格段に落ちる。ところが低温で抽出したアルテミシニンを投与したところ、９割以上が治癒したという。
高まる伝統中国医学（中医学）の認知度
ここ数年、スイスでも伝統中国医学（中医学）の認知度は次第に高まってきた。健康保険においても、保険会社によっては、補完医療の追加保険で中医学を保険の対象として認めている。
現在スイスで活動中の南京中医薬大学の王旭東（ワン・シュウトン）教授によると、スイスで中医学を実践する診療所は数十施設から数千施設にまで増えた。中医学に関心を持つスイスの学生も増加の傾向にある。
「スイスで中医学の認知度はますます高まっている」と、鍼治療・アジア医学アカデミー（Chiway）のジモン・ベッカー学長は言う。当アカデミーの認定書は国家資格としても認められている。
トゥーユーユーさんのノーベル賞受賞を喜び、ベッカー氏は言う。「中医学にはまだ発掘すべき宝がたくさん眠っているという証拠だ」インフォボックス終わり
つまり、大事なのは有効成分の抽出方法だ。そして、その事実が「アルテミシニンは化学薬品なのか、伝統的な中国医薬なのか」という論争を巻き起こした。
ノーベル委員会はトゥーさんの受賞を「今年のノーベル賞は中医学ではなく、伝統医学にひらめきを得て新しい医薬品を開発した偉大な研究者に与える」と説明している。
現在バーゼル大学で教授を務めるタンナーさんは、アルテミシニンは中医学と現代薬学が一緒になって生み出した産物だと話す。中国で湧き上がった批判には同意できない。「この点を議論するのは間違っている。薬を作る方法ではなく、アルテミシニンを発見したこと自体が偉大なのだ」
ワン教授も「トゥー氏は現代薬学の方法でアルテミシニンを抽出したが、ひらめきを得た中医学あっての功績だ。ノーベル委員会はこの点を正しく見抜いた」と強調する。
「三無教授」として知られていた科学者
中国で盛んに議論されている点の一つに、薬学者としてのトゥーさんの履歴がある。博士号もなければ中国最高の研究機関である中国科学院の会員でもない。また、海外での研究や留学経験も持たない。しかし肩書はなくてもトゥーさんは、れっきとした科学者として自分の薬で何百万人もの命を救ったのだ。
「そういう意味で、トゥー氏は本当に無名の存在だった」とワン教授も言う。「中国人の物差しで判断すると、トゥー氏には多くの観点でこれといって際立ったところがなかった。そのため、受賞に対し一部で不満やねたみの声が上がった。一方、外国では社会的地位ではなく薬の発見が評価された。この点に関し、ノーベル委員会の判断には本当に敬意を示したい。我が国の研究所の中には実際、今回のことで目を覚ましたところもある」
タンナーさんもまた、各研究機関は柔軟に対応し、肩書がなくても社会に広く貢献する偉業を成し遂げた個人には、名誉称号を与えるべきだという考えだ。「トゥー氏の拠点がスイスなら、すぐにでも名誉博士号が与えられたに違いない」。もちろん重要なのは肩書ではなく優れた頭脳だとも付け加える。
中医学が追いやられる？
トゥーさんのノーベル賞受賞は中国でも大絶賛されたが、ワン教授は批判的な見方もしている。「今回の受賞は必ずしも中医学のメリットになるわけではない。将来、中医学が袋小路に追い込まれる危険性もはらんでいる」
「トゥー氏は実験に基づく方法で新しい薬を発見してノーベル賞を受賞したことから、この受賞は常に中医学と関係づけて見られるだろう。そのため西洋化した中医学が普通になってしまう恐れがある」とワン教授は憂慮する。そして、「それが中国政府の中医学に対する政策に影響を与え、実験室での研究を対象とした資金的・政治的支援を増大させかねない。広い視点から全体的なバランスを重視するのが中医学。それを個々の要素に焦点を当てる西洋医学で分析しようとすることは、中医学に死刑宣告が下されたのと同じだ」と警鐘を鳴らす。
今日までに何百万人もの命を救ったアルテミシニン。この薬の発見にはノーベル賞をもってしても釣り合わないほどの意味がある。受賞によりトゥーさんは今後権威ある学者と見なされるべきか？この薬品は中医学と現代薬学、どちらの賜物（たまもの）なのか？そんな疑問に対しワン教授は言う。「地球上から全ての病がなくなれば、誰がノーベル賞をもらうかといった話題も消えてなくなるだろう」
（独語からの翻訳・シュミット一恵 編集・スイスインフォ）