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多くの人に知られるヒット映画「ベッカムに恋して」。しかし、現在スイスに住むサッカー選手の話をもとに映画化されたことは、ほとんど知られていない。このコンテンツは 2008/03/12 15:26
インド系イギリス人のぺルミ・ジョーティさんは子どもの頃の夢を実現させ、イギリスで最初のアジア系女子サッカー選手になった。現在は「コンコルディア・バーゼル」 でプレーをしている。
36歳のジョーティさんは2005年からスイスで暮らしている。当時、彼女の夫がバーゼルの製薬会社「ノヴァルティス ( Novartis ) 」で働くことになったためだ。バーゼルでの暮らしに満足しているジョーティさんは現在、情報科学者としてバーゼル大学で心臓研究に携わっている。
映画のモデル
ジョーティさんの両親はインドからイギリスに渡った移民だ。2人は娘のサッカーにかける情熱を歓迎しなかったという。映画「ベッカムに恋して」の両親のように、娘がインド料理のレシピよりもサッカーに興味を示すと家庭内での衝突が絶えなかった。しかし、それでも両親はトレーニングの許可を与えたと、ジョーティさんは強調する。
「でも、2人とも我慢していました。イギリスに移住してきた多くのインド人家族がそうであったように、両親は自分の夢を追う娘を応援したかったのですが、その一方で、社会、あらゆる人種差別、そのほかの危険から私を守りたかったのです。それに、アジア系の女の子がサッカーという『男のスポーツ』をするというのは、今でもまだ珍しいことです」
イギリスで最初のアジア系女子サッカー選手
ジョーティさんはイギリスで最初のアジア系女子サッカー選手になり、フラム ( Fulham ) 、ミルウォール ( Millwall ) 、チェルシー ( Chelsea ) の女子チームでプレーをした。
大学卒業後、29歳のジョーティさんはサッカーをしている最中に大きなけがをした。しかし回復後、もう1度サッカーがしたくて復帰した。
「すごく調子が良かったのです。特に精神的に。それで、私の人生で最高のプレーをしました。それも、テレビで放映されたのです」
ジョーティさんはサッカーを再開したことを母親には告げていなかった。
「あのけがの後、母は私にもう2度とサッカーをしてほしくなかったのです。テレビで私の姿を見た時、母はすごく驚いたのですが、それでも私のことを誇りに思ってくれました」
さらなる嫌なこと
ジョーティさんの母親はサッカー選手を引退することを勧めた。なぜなら、
「若い娘は結婚して子どもを産まなければいけない」
からだ。
しかし、ジョーティさんはサッカーを続けた。結婚はしたが、相手はインド人ではなく、イギリス人だった。この彼女の結婚は、両親、特に母親にとっては耐え難いことだった。というのも、両親はインド人移民であるために、60年代に屈辱的な経験をしたからだ。
「イギリス人は根本的に ( インド人に ) 敵意を持っていると両親は感じていました」
しかし、今では母親も義理の息子をとても気に入っていると、ジョーティさんは言う。
女子サッカーの親善大使
現在、ジョーティさんはコンコルディア・バーゼル ( Concordia Basel ) の女子チームでプレーをしている。また、国際サッカー連盟 ( FIFA ) の親善大使として、女子クラブチームや女子リーグを作るためにさまざまな国を訪問している。
「インドにもサッカーをしたい若い女性たちが大勢います。女性がサッカーをできるようになるためには、まず組織作りをしなければいけません」
まだマイナーなスポーツ
女子サッカーは依然としてマイナーなスポーツだ。
「男子サッカーは押しも押されぬ花形スポーツです。それだけに私たち女性は苦労しています」
と、ジョーティさん。
「ちょうどスイスの ( 男子 ) サッカーの抱えている問題と似ています。イタリア、スペイン、イギリスのリーグが強すぎて、ヨーロッパのレベルでは、スイスのチームにはほとんどチャンスがありません。つまり、対抗できないのです」
また、「サッカーは女のスポーツではない」という、女子サッカーに対する偏見もまだあるという。
それでも希望を
しかし、ジョーティさんは楽観的だ。
「私の時代には、女性にはほとんどチャンスがありませんでした。今は変わってきています。スイスでもそうです」
今日の女子サッカーのレベルは非常に高いが、まだほとんど認知されていない。男子サッカーほどの人気がないからだ。
「10年後には女子サッカーは成功しているかもしれません」
と、ジョーティさんは希望を語り、テニスを例に挙げる。
「以前はテニスは男のスポーツだといわれていました。今では男性も女性も同等で、大きな大会では同額の賞金をもらいます」
移民を統合するサッカー
サッカーは新しい土地にやって来た外国人を統合する良い方法だと、ジョーティさんは言う。ただ、サッカーにも人種差別があることも認めている。
「移民ひとりひとりが、新しい国に溶け込めるよう努力しなくてはいけません」
スイスが何かを与えてくれると思って待っていてはいけないと、ジョーティさんは言う。
「だから私は今ドイツ語とフランス語を勉強しています。職場やサッカーチームやプライベートで、地元の人たちと関わりを持つよう私も努力しています」
その結果、良い経験ばかりしているという。
「ここの人たちはオープンで親切です。スイス人には大きな共同体意識があります」
swissinfo、ジャン・ミシェル・ベルトゥ、バーゼルにて 中村友紀 ( なかむら ゆき ) 訳
スイスの女子サッカー
女子サッカーはいまだにマイナーなスポーツだが、スイスではブームだ。女子選手の数は2003年から約1万8000人と2倍に増えた。サッカーがスイスの女性たちにとって最も人気のあるチームスポーツになる日も遠くない。
華々しいスイス女子サッカー界：「U-20」代表チームは2006年に初めてワールドカップに出場。サッカーチーム「Luwin.ch」は2005−06年のシーズンにUEFA女子カップ ( 欧州サッカー連盟主催のチャンピオンズリーグ ) の 第2ステージまで進んだ。
プロ化が進み、大きな大会は世界でテレビ中継されている。この女子サッカーブームに映画「ベッカムに恋して」が一役買った。ぺルミ・ジョーティは女性のサッカー界進出のシンボルだ。
映画「ベッカムに恋して」
コメディー映画「ベッカムに恋して」 ( 原題 : "Bend It Like Beckham" ) はインド系イギリス人監督グリンダ・チャーダによる2002年の作品。
翌2003年、映画にもとづいた学校用英語書籍『ベッカムに恋して』 ( ナリンダー・ダミ著 ) が出版される。
受賞 : 2002年、ロカルノ国際映画祭にて「観客賞」受賞。同年、イギリス・コメディー賞では「ベスト・コメディー映画」に選ばれた。
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