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丹精込めて作った仮面や仮装衣装に最後の仕上げをする時期が到来。今年もスイスの各地でさまざまな謝肉祭 ( カーニバル ) が行われる。
キリスト教では、春の復活祭 ( イースター) 前の40日間にあたる四旬節には、断食をして心身ともに清めを行う。この断食の前に無礼講の大騒ぎをするのがカーニバルだ。
4つの言語から成るスイスでは、各言語地域の伝統や、カトリックかプロテスタントかによってカーニバルのあり方もさまざま。しかし「ばかげた大騒ぎ」だけはスイス中共通の要素だ。
ルツェルンとソロトゥルンのカーニバル
キリスト教徒は伝統的には、春の復活祭から逆算40日目の「灰の水曜日」から断食に入った。その前に行われるカーニバルは、ラテン語で「カルネ・バーレ ( carne vale ) 、肉よ、さらば」という表現に由来するという。ドイツ語のファスナハト ( Fasnacht ) も「断食の ( 前 ) 夜」という意味になる。
スイスのフランス語圏では、ヴォー州のパイエルヌ ( Payerne ) のカーニバルがその代表格といわれ、イタリア語圏ではベリンツォーナ ( Bellinzona ) のものが有名。しかしスイスでは何といってもドイツ語圏バーゼル、ルツェルン、ソロトゥルンのカーニバルが規模が大きく、世界的にも知られている。
カトリックとプロテスタント地域でのカーニバルの違いは、時期や、長さやそして「音」にあるという。中でも、ドイツ語圏のカトリックの町ルツェルンとソロトゥルンのカーニバルはその音の大きさで群を抜く。
両者とも「灰の水曜日」の1週間前の木曜、早朝午前5時に「爆音」と共にスタートが切って落とされる。グッゲン・ミュージック ( Guggenmusik ) という、故意にハーモニーを崩したような音楽を演奏する、パーカッションとブラスバンドの仮装音楽隊が町の静けさを突き破る。多くの観客には魅力たっぷりのこの音楽も、ある人にはカーニバル中はどこかに出かける方がよいほどの騒音になる。
何といってもバーゼルのカーニバル
スイスの多くのカトリックの都市でカーニバルが終わる頃、「灰の水曜日」の後の月曜日からプロテスタントの町バーゼルのカーニバルがスタートする。
スイスで最大規模のこのカーニバルは世界的にも有名で、中世的で静かな旋律を奏でるピッコロと太鼓の鼓笛隊は、前述のグッゲン・ミュージックとはまったく異なる種類のものだ。
「最もすばらしい3日間」といわれる72時間にわたるこの祭りは、生きる喜びとメランコリーが入り混じったもの。仮面、仮装、山車、詩、パレード、さまざまな要素が織り成す72時間は、味わい尽くすのに数年かかるといわれるほどだ。
何世紀にもわたるこの伝統を現代のメディアが放っておくわけがなく、お祭りに酔いしれる人々をカメラやマイクが追い掛け回す光景もみられる。バーゼルの観光局は、カーニバルのパッケージツアーを作って宣伝しているという。
swissinfo、ウルス・マウラー 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 訳
スイスの主なカーニバルの日程
ルツェルン、1月31日午前5時から2月5日まで
ソロトゥルン ( Solothurn ) 、1月31日午前5時から2月6日まで
ベリンツォーナ ( Bellinzona ) 、1月31日から2月5日まで
ベルン、2月7日から9日まで
チューリヒ、2月8日から10日まで
パイエルヌ ( Payerne )、2月8日から11日まで
バーゼル、2月11日午前4時から14日午前4時まで
ドイツ語圏のカーニバル、ファスナハト ( Fasnacht )
ファスナハトは古いゲルマンのいけにえの伝統にその起源があるといわれる。次いでこの異教の祭りは、仮面をつけた仮装の祭りへと変遷していった。
キリスト教は、この異教の祭りを四旬節 ( 春の復活祭までの40日間 ) に結びつけた。即ち、四旬節の断食を行う前に大騒ぎをする祭りへと変えていった。
ファスナハトはまた、植物や人間にとって有害な悪魔を追い払う儀式にも起源がある。悪魔は仮面に映る自分の姿を見ると、恐れて逃げて行くといわれる。
さらにファスナハトには、冬の終わりと春の到来を祝う祭りがその起源だという説もある。