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夏のバカンスシーズンが始まり、新型インフルエンザ ( H1N1型 ) が猛威を振いそうだ。スイス当局は国民の健康もさることながら、例えば150万人が病気で倒れた場合に予想される社会的な機能のマヒを懸念している。このコンテンツは 2009/07/23 15:25
「スイス国内で通年の流行の5倍、150万人が病気で倒れた場合を想定しています」と連邦保健局 ( BAG/OFSP ) のジャン・ルイ・ツルヒャー氏は語る。 連邦保健局はパンデミックになった場合の対処を各州に助言する立場にあり、現場での責任は各州に委ねられている。
バカンスがパンデミックのチャンスに
予防接種が奨励されるが、ワクチンの準備はこの秋になってからとツルヒャー氏は明かす。このワクチンは一般的な冬のインフルエンザにも効果があるという。しかし、秋を待たずにH1N1型インフルエンザは猛威を振うことが考えられる。その原因が、始まったばかりのバカンスシーズンだ。
予防接種が受けられず感染の可能性があることが分かっていても、夏のバカンスを取りやめたいと思う人は少ないだろう。というのも今回のインフルエンザは、これまでのインフルエンザと症状においてあまり違いがないためでもある。人々が楽観視することで、世界各地で感染者がより多くなり、流行している都市が多くなればなるほど、人々が感染するリスクはさらに高くなっていく。
ヨーロッパ各国は現在、バカンスのハイシーズンにある。空港、飛行機内、バス、ホテルなどが旅行者で満員に近い状況であり、他の人が吐く息を直接吸ってしまう距離まで人々が近づく状態にある。イギリスの観光業界向け国際オンラインサービスのトラベルモール ( Travelmole ) によると、クルージング運航会社がインフルエンザの症状のある旅客を拒否するといった、バカンスシーズン中の混乱が生じる可能性もあると予測している。
チェックインでチェック
H1N1が多発するイギリスでは、「ブリティッシュ航空」と「ヴァージン・アトランティック航空」がチェックインの際、乗客に対しインフルエンザの症状をチェックし、感染している場合は搭乗を拒否する体制を敷いた。
スイス連邦保健局のツルヒャー氏は、このようなフィルターを掛けても意味は無いと言うが、スイスの大手旅行会社「クオニ ( Kuoni ) 」の広報担当者アンドレア・ミューラー氏は、空港の入口で明らかに感染していると分かる人への対策が必要で「空港付きの医師は空港だけに限らず、一部のホテルでも隔離施設を用意しているので、感染者は病院に行く必要はない」
と語った。
クオニは他の旅行会社同様、多くの観光客を海外に送り出しているが
「各国それぞれのパンデミック対策がある。契約しているホテルもそれぞれの対策を講じており、クオニのローカルスタッフはこれを熟知し、現地の医者との連携プレーもある。一般的なインフルエンザと同じような措置が施されるはずだ」
と説明する。
スイスではこれまで、海外渡航者が感染する場合が多かったが、バカンスシーズンに海外からの外国人旅行者が国内にウィルスを運び込み、スイスでパンデミックが発生した場合はどうなるのだろうか？スイス政府観光局のヴェロニック・カネル氏によると、感染した旅行者は病院などに隔離され、ほかの人にうつす可能性がなくなるまでスイスに留まることになるという。このような事態には今のところ至っていないが、夏季にはそのような可能性も否めないとカネル氏は指摘する。
食中毒の経験を生かす
観光業にとっては症状の重さより感染者の数が重要だ。パンデミック的な状況は、例えばクルージングを組む旅行会社の場合、船上でのサルモネラ菌による食中毒の発生と比較される。船会社「P & O航海 (P & O Cruises ) 」などはトラベルモールによると、旅行者が船を降りる際、健康に関する質問用紙に記入 させているという。
クオニによると、クルージング中の健康管理は船会社に責任があり
「最悪の場合、船全体が隔離されることもある。以前にも感染病が発生した経験があるため船会社にはその準備がある」
という。
一方、大手旅行会社「ホテルプラン ( Hotelplan ) 」の傘下にある「M-トラベル ( M-Travel ) 」は、特別な対策は取っていない。
「明らかに熱があると思われる人がチェックインで申告しなければ、添乗員がその人に聞くことは自然だ」
と同社の広報担当者ガビー・マラクリダ氏は語った。
「旅行先で具合が悪くなったら、旅行期間を延長することは可能だ。その超過料金はその人がかけている保険の条件による」
と言う。
実際、保険からお金は降りるのだろうか。保険会社の「エルヴィア ( Elvia ) 」のアンディ・ケラー氏は
「インフルエンザの流行や大流行などは基本的には保険ではカバーされていない。保険会社が倒産してしまうからだ。しかし、エルヴィアではメキシコから流行したH1N1型インフルエンザのいくつかのケースに対しては、小額なりとも支払っている」
と明かす。ケラー氏によると、保険の内容により保障される場合もあるが、現在のところ新型インフルエンザに対する特別な損害賠償はしてないという。今は対策を講じる時期ではないという考えだ。
アレクサンダー・キュンツレ、swissinfo.ch
( ドイツ語からの翻訳、佐藤夕美 )
予防ワクチンは秋
連邦保健局 ( BAG/OFSP ) は9月に新型インフルエンザ ( N1H1 ) が流行することを予想している。まず、旅行で外国からウィルスを持ち帰るケースが増える。学校で新学期が始まる。子どもが親に移し全国的に流行するのではないかと考えられている。
予防接種のガイドラインは連邦保健局により8月中に作成される予定にである。ワクチンのテストは9月に行われ、10月から接種可能になる見込み。政府は1300万人分を発注している。
パンデミック
インフルエンザは季節的な流行とパンデミック状態で広がるが、病気の重度や深刻さとは無関係にある。
人から人へ感染するといった季節的な流行はこれまで何度も繰り返されてきた。一方パンデミック状態とは、世界的に流行することで重症患者や死亡者が出ることを指す。パンデミックになるのは、ウィルスの型が新しく人間に抵抗力がないためだ。
インフルエンザのウィルスは、人間だけではなく動物にも感染する。今回発生した新型インフルエンザのウィルスはH1N1型で、豚にかかった2種類のインフルエンザと鳥インフルエンザ、ヒトインフルエンザが合体したもので、メキシコで発生した。
スイス連邦保健局は、以下の国がH1N1に感染するリスクが高い国として挙げている。アメリカ、カリブ諸島、オーストラリア、ニュージーランド、香港、サウジアラビア王国、日本、フィリピン、シンガポール、タイ、イスラエル、英国、スペイン、スペインの各諸島
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