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スイスの電力会社BKWは先週の３月２日、同社が運営するミューレベルク原発を２０１９年１２月２０日付けで稼動停止し、廃炉にすると正式に発表した。これはスイス初の廃炉にあたる。一方この発表が行われたちょうどその日、連邦議会の下院が、原発の寿命に制限を設けないと決定。これは上院の決定に添ったもので、この結果、スイスでは原発の寿命に制限がなくなる。この決定とBKWの発表は「偶然ではない」と日刊紙ル・タンは言う。
「ミューレベルク原発の稼動停止は、スイスの全５基の原発を監視する連邦核安全監督局（ENSI）の要求に応えたものだ」とBKWはこの日、説明した。
だがBKWは、問題が度重なるミューレベルク原発の廃炉を１３年にすでに決めており、稼動停止後の廃炉工程計画も練ったうえで１年前の３月、原発周辺の住民に対しその説明会を行っている。そのときの資料によると、第１ステップは使用済み核燃料の取り出しとその輸送で、核燃料は稼働停止後の２０２０年から取り出され、原発内のプールで約５年間冷却される（２０～２４年）。
その後、２０２４～３０年には、原発内部の放射能汚染されたインフラ施設の解体・除去が行なわれる。第２ステップは、汚染されていない建物の解体にあてられている（３０～３４年）。
今回の発表によると、こうした工程計画は、昨年１２月に国の環境・エネルギー省に提出済みで、この４月からは解体作業の安全性や費用などが査定され、今年末には最終的に承認される予定だ。
世界一古い原発
ところで、残るスイスの４基の原発のうち、１９６９年に建設された世界一古いベツナウ第一原発（BeznauI）が、昨年７月から稼動を一時停止している。これを運営している電力会社アクスポ（Axpo）は、早くて今年７月からの再稼動を見込んでいると説明するが、「巨額な修理費を計算すると、ほぼ間違いなくベツナウ第一も廃炉に追い込まれる」と、ル・タン紙はみている。
また、ベツナウ第一とミューレベルク原発が現在生産している電力はスイス全体の1割を占めるが、その発電量は水力と太陽光発電で十分に補えると、BKWもアクスポも見積もっているという。
原発の寿命に制限なし
一方、ミュールベルク原発の廃炉が正式に発表されたその日、連邦議会の下院ではエネルギー政策「エネルギー戦略２０５０（SE2050）」が討議されていた。
このエネルギー戦略は、段階的脱原発を求めて緑の党が提案した２００３年のイニシアチブ（国民発議）に対する対案として連邦政府が出したものだ。当初の案では再生可能エネルギーの推進や電力消費量の削減、段階的脱原発などを掲げている。
しかし脱原発に関しては、今後新しい原発を建設しないとしながらも、既存の原発の寿命についての決定がなく、今回下院で審議されたのがまさにこの点だった。結局、「原発の寿命に制限を設けないこと」を賛成多数で決定した。（賛成１３１、反対６４）
賛成派の主張は、たとえ連邦核安全監督局が、電力会社の意向に反して稼動停止を要求したとしても、原発から上がる利益と修理費をはかりにかけて、最終的には電力会社が決定を下すものだという。ただし、連邦核安全監督局が１０年ごとに安全性を確認した上で稼動許可を更新するという条件は付けた。
偶然ではない
下院による原発の寿命延長決定とミュールベルク原発稼動停止の発表が同日だったことをル・タン紙が「偶然ではない」としたのは、同原発とベツナウ第一が廃炉になった場合、残る３基の寿命に対し圧力をかけるのを避け、できるだけ寿命を延ばしてその間に再生可能エネルギーや水力発電の生産能力をさらに高めたいと下院が判断した、と見てるからだ。
また現在、下院（２００議席）は、原発維持に賛成の右派国民党（６５議）と経済・産業界の利益を代表する右派・急進民主党（３３議）の両党が半分を占めるが、今回、延長賛成が過半数を超えたのは、「エネルギー戦略２０５０のパッケージそのものがこの二つの党に反対されるよりも、原発の寿命延長に賛成することのほうを選んで寝返った」キリスト教民主党などからの票が入ったからだと、ル・タン紙は説明している。
この下院の決定は、昨年の上院の決定と同じものであったため、今後「スイスの原発の寿命に制限はない」ことが連邦議会の決定になった。しかしそうなると、残る３基の原発の寿命はアメリカ並みに６０年などにもなり、エネルギー戦略２０５０の一つの柱である「段階的脱原発」のゆくえもあやしくなってくる。
こうした結果に対し原発に反対する左派政党は、原発の寿命に制限を設けるべきだったと主張している。緑の党のバスティアン・ジロ議員は資料を振りかざしながら、「今回の下院の決定は完全な間違いだ。原発は、稼動年数が増えれば増えるほど安全性が低下していく」と怒りをあらわにした。スイスエネルギー基金（SES）の代表も「連邦議会は、福島第一原発事故から何も学ばなかった」と嘆いた。
今後、「エネルギー戦略２０５０のパッケージ」の他の議題、例えば再生可能エネルギーの推進資金などについて両院でさらに議論が続く。
スイスの電力供給
水力: ５５．８％
原子力: ３９．３％
その他: ２．９％
新再生可能エネルギー（廃棄物、バイオマスおよびバイオガス、太陽光、風力: ２％
出典：連邦エネルギー省エネルギー局（BFE/OFEN）、２０１２年
スイスの５基の原発
ミューレベルク原発（Mühleberg）、１９７２年建設。首都ベルンからわずか２０キロに位置する。３７３ＭＷ
ベツナウ第一原発（BeznauI）、１９６９年に建設された世界一古い原発。３６５ＭＷ
ベツナウ第二原発（BeznauII）、１９７１年建設。これも４４年が経過する。３６５ＭＷ
ゲスゲン原発（Gösgen）、ソロトゥルン州にあり１９７９年建設。９８５ＭＷ
ライプシュタット原発（Leibstadt）、アールガウ州にあり、最も新しく１９８４年建設。１１９０ＭＷ
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