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国民投票を経ない戦闘機の強行購入は無効？
スイス政府が米国からF35戦闘機を調達する契約にサインし、これを受けて同機購入に反対するイニシアチブ（国民発議）が撤回された。政治学者チャーダ・ジャノーラ氏は、国民投票を見てみたかったとする一方で、スイス政府が国民投票を待たずして戦闘機の調達契約にサインしたことは、民主主義のプロセスとしては問題ないと言う。
新型戦闘機の購入を巡り、スイス政府は既に10年以上前から検討を重ねていた。2度の国民投票を経て、ヴィオラ・アムヘルト国防相は19日、調達契約に署名し、ついにF35戦闘機36機の購入が確定した。
米ロッキード・マーチン社のF35戦闘機36機を購入する政府の計画に反対するイニシアチブ（国民発議）「ストップF35」は、今年8月に連邦内閣事務局に12万筆を超える有権者の署名を提出していたが、連邦議会は国民投票を待たずして購入の決定を承認した。
調達契約が署名されたことを受け、社会民主党、緑の党、「軍隊なきスイスを目指す会（GSoA）」などが推進していたイニシアチブ「ストップF35」は撤回された。
プリスカ・ザイラー・グラーフ下院議員（社会民主党）は、スイスのメディア最大手・タメディア（Tamedia）系列の各紙に対し、「名ばかりの投票を行うつもりはない」と述べた。またマリオナ・シュラッター下院議員（緑の党）は、民主政治の茶番劇だと批判した。
これはスイスの直接民主制が崩壊する兆しだろうか？スイスのオンライン年鑑「スイス政治動向（APS）」に携わる政治学者、チャーダ・ジャノーラ氏に問題点を聞いた。
swissinfo.ch：今回の決定で、スイス政府と連邦議会は直接民主主義における国民の権利を無視したのでしょうか？
チャーダ・ジャノーラ：2年前の国民投票では、戦闘機の新規購入に必要な融資の是非が問われ、50.1%が融資に賛成しました。超僅差ではありますが、多数派の勝利には変わりありません。
その際、戦闘機の機種が問われているのではないという点が投票冊子にも明記されていました。米国は2021年10月に売買契約に署名しています。それから既に約1年が経過した今、政府は決断を迫られていました。個人的には、今回の決定に至るプロセスには民主主義的な欠落はなかったと考えます。
swissinfo.ch：とはいえ、このような軍備計画に対する国民投票は重要だと考えます。スイスの国民投票制度は、目まぐるしく変化する今日の政治についていけないのでしょうか？
ジャノーラ：イニシアチブは、もっと早くから動き出せたはずです。（署名集めを始めた）21年8月の時点で、戦闘機購入の是非が問われた国民投票から既に1年も過ぎています。購入が検討される戦闘機の機種はほぼ確定していました。もっとも、前回投票時はパンデミックの先行きなど、様々な不確定要因がありました。
ウクライナにおける戦争や、インフレによる物価上昇も、今回、連邦内閣が調達契約に署名した要因の1つであるのは間違いないでしょう。
また、政府が署名しなければオファーは失効していたという特殊な状況も考慮すべきです。確かに、ここ数十年で政治に求められる課題は変化していますが、私たちの民主主義のプロセスは昔のままです。
swissinfo.ch：どうしたら直接民主主義を加速できますか？
ジャノーラ：加速する必要はあるのでしょうか？10万人分の署名を集め、それをチェックし、連邦政府と連邦議会が審議するというプロセスの1つひとつが時間を要します。同時に、軽はずみな決定を防止する役割もあるのです。
swissinfo.ch：イニシアチブの撤回は珍しいことではありませんね。
ジャノーラ：1908年から2022年の間に105件、つまり毎年約1件のイニシアチブが撤回されています。議会が国民投票を避けるためにイニシアチブの要求を考慮し、政策に盛り込んだ場合は、撤回されるケースが多いです。
発案者が国会の対案に納得した場合、イニシアチブは撤回されるケースが大半です。イニシアチブには様々な機能がありますが、ある問題をより公にし、国会の議題として取り上げられることにも意義があります。有権者の意識を啓発する役割も担っています。
swissinfo.ch：今回のF35戦闘機のように、政治的な経緯から投票が無意味になることは過去にもありましたか？
ジャノーラ：こういったケースは珍しいです。過去に撤回されたイニシアチブの大半は、直接的・間接的な対案が出た結果でした。
swissinfo.ch：イニシアチブ「ストップF35」の立ち上げ以降、安全保障情勢に対する一般的な認識が変化しました。ロシアのウクライナ侵攻の影響で、国民は軍備増強を支持する方向に動いていますが、このような状況下で「ストップF35」に勝ち目はあったと思いますか？
ジャノーラ：ウクライナ戦争やインフレといった背景も、投票に影響を与えていたでしょう。また、連邦政府は、新戦闘機グリペン購入が否決された過去の苦い経験から学んだと見るべきでしょう。14年の国民投票では53.4％が反対し、戦闘機グリペンの購入が否決されました。今回は、同じ失態を繰り返すまいという思いがあったのでしょう。
購入に際し、戦闘機のタイプではなく、購入金額を先に決定したのはそのためです。「ストップF35」が可決されたかどうかの予測は難しいですが、投票が実現していれば面白かったでしょう。政治学者の私にとって、どんな投票もスリルがあります。
swissinfo.ch：「ストップF35」は無駄足でしたか？
ジャノーラ：イニシアチブには様々な役割があります。発起人は常に「何を達成したいのか」を念頭に置き、費用対効果を熟慮すべきです。資金繰りや、人を動員して署名を集める必要があります。しかし今、戦闘機の問題はあらゆるメディアで取り上げられ、（2023年秋の）総選挙も間近に迫っています。こういった側面も考慮すべきです。
ドイツ語からの翻訳：シュミット一恵
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