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「新ゴッタルド基底トンネルはヨーロッパのインフラ構築に多大な貢献をしている」と、モリッツ・ロイエンベルガー運輸相は言う。
スイスの交通政策に対し外国から寄せられる「称賛の嵐」に、顔を赤らめそうになるというロイエンベルガー運輸相に話を聞いた。
swissinfo.ch ： あなたにとってトンネルとは何ですか？
ロイエンベルガー ： 山の克服です。それは上からではなく、下からの克服です。わたしなら「トンネルの出口に見える明るい光」という表現を茶化したり「トンネル建設大臣」になったというような冗談も言えるでしょう。任期中、全部で115本の鉄道トンネルや道路用トンネルをスイス国内に建設しました。今のわたしは、永遠にトンネルの中にいるような視野の狭い人間にはなっていないと思いたいものです。
ただ、真摯に受け止めていることが二つあります。一つ目は、人間が山に戦いを挑むという、山にまつわる神話です。今もこの神話は生きています。トンネル作業員からは「攻撃」という言葉が聞かれます。これでは戦争のようですが、山は敵なのです。しかし、鉱山の守護聖人である聖バルバラが危険から守ってくれます。さらに、ゴッタルドにはかつてウーリ州の人びとにだまされた悪魔の言い伝えもあります。
二つ目は、トンネル建設を求める地域の数です。特に内閣の視察旅行でそれがよく分かります。わたしたちが各地を訪問すると、地方自治体の長が進み出て、強引にトンネル建設を求めます。こうした要請件数は次第に過剰になってきています。これは、できるかぎり多くの移動性を獲得したいが、静寂も確保しておきたいという考えの表れです。多くの人たちにとって、当然の解決策は見えないところに道路を作り、騒音や排気ガスを避けるということになります。しかし、トンネル建設には莫大な費用がかかります。それに、排ガスは簡単になくなりはせず、どこかほかの場所が汚染されるのです。
swissinfo.ch ： あなたにとって新ゴッタルド基底トンネルはどのような位置づけですか？
ロイエンベルガー ： このトンネルは、スイスにとって非常に大きな意味を持ち、ヨーロッパのインフラ構築に多大な貢献をしています。この巨大な建造物は大胆かつリスクを伴うものでした。この15年間、わたしは連邦議会でこのプロジェクトを擁護してきましたが、トンネル計画は成功しないという意地悪く疑念に満ちた声を何度となく聞いてきました。トンネルというのは、貫通してからようやく作られるものです。それまでは非常に多くの地理的リスクがあります。そして、それ以前に、わたしは国民投票の前にきちんと警告したにもかかわらず、有権者は賛成したのです。
swissinfo.ch ： このプロジェクトが大失敗に終わるという心配はまったくなかったのですか？
ロイエンベルガー ： 15年前、わたしがこの計画について数多くのプレゼンテーションを行っていたころ、4回の国民投票を経てこのような巨大かつ複合的なプロジェクトが実現するとは、はっきり言ってだれも信じていませんでした。当時は現実離れした未来派的な話でした。
政治の仕事は船の舵取りと似たようなものです。風向きはよく変わりますし、常に過半数を獲得しなければなりません。「新アルプス縦断鉄道計画 ( Neat ) 」 、「大型車両通行税 ( LSVA ) 」 、EUとの陸上輸送協定、「公共交通機関のインフラ整備とその費用に関する連邦決議 ( FinöV ) 基金」 のどれも、成功しました。どの場合も、わたしはその都度、新しい方向付けを行い、新たに妥協してきました。
swissinfo.ch ： ゴッタルドとレッチュベルク ( Lötschberg ) の2本の基底トンネルを建設して南北通路を二重にすることで、文字通り「交通網」を作り出そうという計画には特に賛否両論がありました。今の時点から見て、どう評価しますか？
ロイエンベルガー ： かなりの大成功です。国民投票が行われる前は、批評家はスイスに新レッチュベルク基底トンネルは必要ないと言っていました。開通から3年たった今、稼働率はすでに7割以上です。貨物輸送の増加により、そのうち100%の稼働率を達成するでしょう。
このトンネルは多くの人たちのライフスタイルを変えました。今ではベルン－ブリーク ( Brig ) 間は通勤圏になりました。新ゴッタルド基底トンネルができれば、ベリンツォーナ ( Bellinzona ) とルツェルンが通勤圏内に入るでしょう。これは、スイスの社会構造を決定的に変え、スイス南部の価値を高めることになるでしょう。
swissinfo.ch ： これまでも、そして今現在も、投資額の元は絶対に取れないと言う声が聞かれます。
ロイエンベルガー ： 有権者の真意は2本の基底トンネルの経済的な収益性ではなく、南北間の距離の短縮、そして、増加しつづける移動性の獲得と維持です。
わたしたちの大きな目標の一つは、道路から鉄道への移行です。人間と貨物のすべてが国道を利用するとしたら、中国のように慢性的な交通渋滞が起きます。そうなると、新しく道路を舗装しなればならなくなりますが、この国にそんな場所はもうどこにもありません。
swissinfo.ch ： 新ゴッタルド基底トンネルは当初の予定よりも費用がかさんでいます。
ロイエンベルガー ： その通りですが、手に負えない状況になったというわけではありません。国民議会が認識を改めて新たな要望を提出したため、追加工事、特に安全措置が可決されました。その結果、これらの追加費用が発生しました。例えば、チェネリ ( Ceneri ) 基底トンネルは安全上の理由から単線トンネルを2本建設することになりました。
swissinfo.ch ： ゴッタルド基底トンネルは世紀の大仕事です。近隣諸国の反応はいかがですか？
ロイエンベルガー ： 称賛の嵐です。ときどき、顔を赤らめそうになります。称賛の的は新アルプス縦断鉄道計画だけでなく、首都圏の電車や道路のプロジェクトを鉱油税の収益でまかなっているというインフラの舞台裏も挙げられます。つまり、外国では常に交通政策が交通省と財務省との間の議論の焦点になっていますが、スイスには自給自足の交通政策があります。そして、これは画期的な成果です。
交通政策のサクセスストーリー
モーリッツ･ロイエンベルガー大臣の交通政策は、環境政策とは異なり大成功を収めた。
大臣が特に大きく寄与したのは公共交通機関の促進だった。
鉄道が大部分を占めるこの分野では、スイスはほかの欧州諸国に大きく水を開けている。
最も重要な計画は、レッチュベルク ( Lötschberg ) トンネル ( 開通済み ) とゴッタルド基底トンネルを含むアルプス縦断鉄道（Neat）。
連邦議会はアルプス縦断鉄道建設のために総計191億フラン ( 約1兆6300億円 ) の予算を認可した。うち、ゴッタルド基底トンネルとチェネリ ( Ceneri ) 基底トンネルに132億フラン ( 約1兆1300億円 ) を充当。
これらの予算は、合計4回の国民投票で確保された。
アルプス縦断鉄道 ( Neat )
スイス国民は1992年、国民投票で63.3%の賛成票を集め、「アルプス縦断鉄道計画( NEAT, Neue Eisenbahn Alpentransversale )」 を承認した。NEATはゴッタルド( Gotthard ) と「レッチュベルク( Lötschberg )」の両トンネル、また、それらをつなぐ線路工事を計画している。
この大プロジェクトの目的は、トラックによる貨物輸送を鉄道輸送に切り替え、南北縦貫する旅客用列車の乗車時間を短縮することである。
「レッチュベルク基底トンネル ( Lötschberg-Basistunnel )」はベルン州 とヴァリス州 を結ぶ。このトンネルは全長34.6キロメートルあり、2007年6月15日に開通された。
「ゴッタルド基底トンネル ( Gotthard-Basistunnel )」は、完成の暁には、全長57キロメートルの世界一長い鉄道トンネルとなる。2017年12月の開通を目指して今もなお工事が進められている。
山の底部を通り、起伏の少ない鉄道ルートをとるこの計画、NEATは、「モンテセネリ基底トンネル ( Monte-Ceneri-Basistunnel ) 」によってさらに完全なものになる。このベリンゾーナ ( Bellinzona ) －ルガーノ ( Lugano ) 間にある全長15.4キロメートルのトンネル工事は、既に着工され、2019年に完成が見込まれている。
NEATのプロジェクトの建築総額は、物価上昇や消費税、借入金による利子なども含めて240億フラン ( 2兆1600億円 ) と見積もられている。
工事の費用は、重量税LSVA ( Leistungsabhängige Schwerverkehrsabgabe / 65% ) 、ガソリン税 ( 25% ) 、消費税 ( 10% ) によってまかなわれる。
( 独語からの翻訳 中村友紀 ), swissinfo.ch