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チューリヒには、路上であからさまに性の売買取引が行われている地域がある。市当局は、取引が静かに行われるようにするために「セックス・ボックス」を路上に設置することを検討中だ。
しかしこれは別種の売春婦、高級エスコート嬢には必要ない。寒い路上で客を待ち、やってきた車に乗り込む売春婦と違って、高級エスコート嬢はクライアントとおしゃれなホテルで会う。
友人のような女性
チューリヒには、高級売春婦を仲介・斡旋するエスコート・エージェンシーが相当数存在する。それらの多くは裕福なビジネスマンをターゲットにしている。
エスコート・サービスの英語で書かれた案内ページには、「リラックスした雰囲気で、魅惑的な夢のエスコート嬢と一緒にチューリヒの魅力を体験」と書かれている。
「エロティック・ツアー」には、オペラ劇場や旧市街の一角であるニーダードルフ ( Niederdorf ) 界隈の観光も含まれている。クライアントの要望によってはリムジンでまわることも可能だ。
とあるエスコート・エージェンシーのマネージャーのエヴァさんは
「どうしてチューリヒが『セックスの都』などと呼ばれる街になってしまったのか、これは異常です」
と語る。
エヴァさんのエージェンシーは、富裕なクライアントを対象に営業している。料金は1時間当たり400フラン( 約3万4000円 ) から始まり、一晩では最高2000フラン ( 約17万円) にもなる。
「わたしたちが手配するのは、単にセックスだけではありません。ディナーのパートナーにふさわしいエレガントな女性です。彼女たちはいくつもの言語を操ることもできます。もしクライアントにビジネスの食事会などの約束があるならば、そうした女性は理想的です」
とエヴァさんは説明した。
エヴァさんは、ドラッグや10代の若い売春婦は扱わないことを強調した。大半のエスコート嬢は30歳以上で、12年前に開業して以来ずっと働いている女性たちだ。
「彼女たちは自分が何をしているか分かっています。わたしたちのクライアントは本当にトップレベルの男性で、ティーンエージャーを求めてはいません。彼らは人生の分かった、友人のように話せる女性を求めているのです」
電話をすればいつでもすぐに来てくれる友人
そうした「友人」の1人、27歳のスイス人女性、マリーさんは旅客機の客室乗務員だ。彼女は約1年前に同僚からこの仕事の話を聞き、興味を持った。
「わたしは好奇心が強く、冒険心のある性格です。独身なので、やってみようと思いました。魅力的でスリリングな仕事です。よく本当のデートをしているような気がします」
マリーさんによると、クライアントの多くはチップやプレゼントをたくさんくれる医者や弁護士だ。客室乗務員として仕事のスケジュールにもよるが、彼女が1週間に会うクライアントの数は2人程度だ。
「本当に美味しい食事と素晴らしいホテルで、プリンセスになったように感じるデートが大好きです。そういう風に甘やかされるのは素敵な気分です」
とカリブ海やギリシャのような場所でクライアントと休暇を共にしたこともあるマリーさんは語った。
「一度、クライアントと一緒に重要な舞踏会に出席しなければならないことがあり、当日わたしたちはまず一緒に社交ダンスの特訓コースに行きました。あれは本当に面白い経験でした」
とマリーさんは思い出を語った。
客室乗務員の給与はそれほど高くはないため、余分な収入があることはうれしいとマリーさんは語る。
「将来勉強をするときのために貯金ができるし、時には贅沢もできます」
お金のために見知らぬ男と一夜を共にすることに対して不快に感じないのか尋ねると、慣れるまでに時間がかかったことを認めた。
「わたしは仕事上たくさん旅行をしますし、いつも新しい人に出会います。従ってわたしにとって見知らぬ人と親しくなることはそんなに難しいことではありません。しかし確かにこれは誰にでもという仕事ではありません」
ブラックリスト入り
エスコート・クラブのマネージャーのエヴァさんは、クライアントからの電話を受け付けた後、彼らが提供した住所と電話番号を調べ、身元を確認する。
また彼女は、「下品」または「女嫌い」と分類された男性のブラックリストを持っている。
「うちには、際立った魅力のある素晴らしい女性がいます。彼女たちがそのような男性を我慢する必要はありません」
とエヴァさんは明言した。
さらに、危険人物と見なされている男性のリストも存在する。マリーさんは、エージェンシーが警戒してくれることに満足している。
「エージェンシーが護ってくれます。ホテルのチェックインとチェックアウトはしなければなりませんし、エージェンシーは私たちがどこにいるか把握しています。これは非常に重要なことです」
とマリーさんは説明する。
一方、高級エスコート嬢のような保護を得られない売春婦には、より大きな危険がつきまとう可能性が高い。2008年8月にタイ人の30歳の売春婦がクライアントに刺殺された。犯人は、トゥールガウ州 にある自分のアパートの近くの森に遺体を遺棄。2010年10月7日に終身刑が宣告されたが、これはスイス初の終身刑となった。
エスコート・サービスの利用者アンドレアス・S氏は、売春は、( それが高級エスコート嬢の場合であろうとなかろうと) 非常に危険な仕事になる可能性があると考える。そして彼女を殺した犯人は死刑に処せられるべきだったと主張した。
セックス・アピール
「結婚する前は、女性との真剣な関係を求めていなかったので、エスコート・サービスを利用していました」
と語るS氏には結婚歴が2回あり、現在は別居中だ。
エスコート・サービスを利用するクライアントには、忙しくて恋人を探す時間のないビジネスマンのほかに、既婚者も相当いるとエヴァさんは指摘する。エヴァさんは「エスコート・サービスを利用することに対してストレスを感じることは全くない」と言うクライアントもいると語った。
現在52歳のS氏は、クライアントの多くが40歳以上で、既婚者であるという見解に同意する。そして彼は、妻がセックスに興味を示さないときにエスコート・サービスを頼んだこともあると認める。
「彼らは家庭でのセックス・ライフが全くないか、単調すぎると感じているのです。あるいは、希望するタイプのセックスを配偶者が嫌がっているのかもしれません」
とS氏は語った。
マリーさんが指摘するように、エスコート・サービスは割り切った関係を提供するだけだ。
「絶対に口論はしません。楽しい時間を過ごすだけです。エスコート嬢が何かを要求することも絶対にありません。そしてクライアントには完全な権限を提供します」
時にはクライアントがエスコート嬢と恋に落ちることもある。しかしこれは厄介な状況だ。
「力のある地位についているにもかかわらず、そうした男性がいかにナイーブか驚くことがよくあります」
とエヴァさんは説明する。
マリーさんはエスコート嬢として働き始めてからまだ9カ月しかたっていないが、すでにこうした出来事を経験している。
「クライアントはわたしが恋愛関係を求めていない事を承知していますが、ときどきこの瞬間を楽しまなくてはならないことを優しく思い出させてあげなければなりません」
セックスの都、チューリヒ？
チューリヒ観光局の広報担当者フランク・ブーマン氏に、「セックスの都」というチューリヒの評判について尋ねた。
Q : チューリヒ観光局はこの評判についてどう考えますか？
A : ヨーロッパのほかの都市よりもチューリヒに多くのセックス産業が存在するとは思いません。しかしチューリヒは確かに非常に魅力的で活気のある国際的な都市です。
Q : チューリヒの評判を憂慮する声があるのでしょうか？
A : まったくありません 。チューリヒには、クラブ、ディスコ、そしてあらゆる種類のエンターテイメントを備えた非常に魅力的なナイトライフがあります。もちろん合法で透明性のあるエスコート・サービスも存在します。従って現在までのところ、観光業に関する評判についての心配はありません。チューリヒは自らを、リベラルでオープンマインド、そして国際的な都市としてとらえています。
スイスの売春
スイスでは売春は合法だが、売春婦は市と保健所に登録し、定期的に健康診断を受けることが義務付けられている。
この夏政府は、売春の合法年齢を16歳から18歳に引き上げるという議会の法案を承認した。
2010年7月15日にこの新法が施行され、スイスの法律は「18 歳未満の子どもの性的搾取、性的虐待からの保護に関する欧州評議会 ( CE ) の条約」に歩調を揃えた。
( 英語からの翻訳 笠原浩美 ), swissinfo.ch