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スイスで４月に出版された「Die Schweiz unter Tag（地下のスイス）」は、岩壁の中の政府官邸ができるまでの歴史を写真とともに紹介した本だ。著者でスイス人歴史家のヨスト・アウフデアマウアー氏は、本書の執筆にあたり行った地下を巡る旅がスイスについて新たな視点をもたらしたと話す。
ルツェルナー・ツァイトゥング： 地下を巡る旅を行われたということは、狭くて閉じられた場所に不安を感じない、つまり閉所恐怖症ではないようですね。
ヨスト・アウフデアマウアー： その通りです。その代わり、高所恐怖症なんです。４４年前にパラシュート降下の訓練中に起きた事故がトラウマになっています。事故から生還し、今ではその不安障害にも慣れましたが。
ルツェルナー・ツァイトゥング： スイスの地下を巡る旅では、もう外に出られないという不安はありませんでしたか？
アウフデアマウアー： 確かに地下の比較的狭いトンネルで５００kgの火薬が爆発すれば、危険を感じて頭が緊急事態モードに切り替わったりするでしょうね。それに、地下で居心地がよいと感じたことは一度もありませんでした。人間は地下で生きるようにできていないのです。
ルツェルナー・ツァイトゥング： 「地下のスイス」というテーマの魅力は何ですか？
アウフデアマウアー： 私はスイスという国と、この国の歴史に興味を持っています。お金はかかるにしろ、この国が地下のインフラ無しには機能しないことは明白ですし、スイスの地下には広大な世界が広がっています。スイスのことを知りたい人は、地下にも目を向けるべきだと言えます。
ルツェルナー・ツァイトゥング： 「地下のスイス」はどのくらい大きいのですか。
アウフデアマウアー： もし通行可能な空間を全て一列に並べたとしたら、理論的にはチューリヒからテヘランを繋ぐ３７５０kmのトンネルができる長さになります。スイスの地下工事を専門にする企業のおかげで、確かな数がわかり、また立ち入り禁止区域についても、いくつかの推定で補うことができました。
ルツェルナー・ツァイトゥング： 全ての地下に入ることができますか。それとも誰も入れない立ち入り禁止区域がまだあるのでしょうか。
アウフデアマウアー： ぜひともユングフラウ鉄道の山岳駅にある、目立たない閉ざされた扉を開けてみたいものです。そこに設置された地下の電車で、もう少し高く登れるんですよ。何と言ってもこの電車はピカピカの氷河の氷の間を通るんです。天気が良い時は、この氷は魔法がかかったような青色に光ります。でもこの光景を見ることは禁じられています。スイス軍がそこで天候や領空を観察しているのです。
ルツェルナー・ツァイトゥング： 地下のスイスをどのように体験してきたのですか。そこで何が見えますか？そもそも何か見えるのでしょうか。
アウフデアマウアー： 地下の臭いは全く画一的なものではありません。同じトンネルを通る電車もそれぞれ違う臭いがします。たいてい、地下の臭いというのはそう魅力的なものではなく、「気が抜けて湿気た」臭いがします。山が人間に開けられた穴を閉じようとする力は大きく、建築学はそれに対抗しなければならなかったんですね。
またすぐに方向が解らなくなるんです。私のように素人で、何も知らず、そのために何も気づかない人はたくさんいます。誰かが傍にいて説明してくれるなら別ですが。
ルツェルナー・ツァイトゥング： 何が最も印象的でしたか？
アウフデアマウアー： 多様性です。水力発電所にある地下施設には感動しました。前世紀半ばに造られたもので、最高の技術を駆使しており、極めて壮美で発電機の音が鳴り響く姿は大聖堂のようです。
飲料水の貯水タンクもとにかく素晴らしい。水の貴重さはここでははっきりと目に見えます。地下に隠された銀行金庫よりも飲料水タンクの方が大切であることがひと目見て分かります。
ルツェルナー・ツァイトゥング： がっかりしたことは何ですか。
アウフデアマウアー： 権力政治の失策や誤った投資です。トンネル計画に目が眩んだ技術者や政治家は、適切な政策を無視して計画を実行に移し、最後まで罰せられることはなかった。巨大な住民用避難施設として構想された核シェルターの街、ルツェルンのゾンネンベルクや、「ベドレットの窓」がその一例です。「ベドレットの窓」は長さ５km以上のトンネルですが、一度も列車が通ったことはありません。完成した時にはもう無意味なものになっていたのです。
ルツェルナー・ツァイトゥング： 貴著「地下のスイス」はスイス軍との関係は限られたものだと示しています。
アウフデアマウアー： その通りです。スイス軍は連邦国家の設立以来、３世代の要塞を造りました。第３世代は冷戦が終結してから初めて完成しましたたが、使い物にならなかったのですぐに放棄されました。
軍隊は全体でも全地下構造物の約８％しか建造していません。通行できる空洞としては２５０km相当です。交通に１２４０km、水力に８００km、市民防護におよそ１２００kmで、どれも広々としています。
ルツェルナー・ツァイトゥング： スイスは小国ですが地下施設の建設においては世界随一の実力を持っています。そこから何を推察しますか。
アウフデアマウアー： スイスは領土を地球の中心に向かって広げたのです。既定の価値観に捕らわれないことに違いないです。非常に実用的で、この「実用的」ということはスイスで神聖なる言葉なのです。
私は２つの品質があると思います。繋ぐものと密閉されたものという逆方向の品質です。ともに明らかに強い需要を満たしています。私たちはアルプスの下を通って素早く南北へ移動したいのです。
一方で、「有事」に陥った場合は鉄筋コンクリートの天井に身を守ってほしいと望んでいます。スイスは確かに１８４７年以来こうした「有事」を免れていますが、それは我々の語彙の中で最も深刻な意味を持つ言葉なのです。「有事」への備えを口実に、特に冷戦中はほぼすべてのことが計画され実行に移されました。
ルツェルナー・ツァイトゥング： 振り返ってみると、先ほど言及されたゾンネンベルクの市民用避難施設など、そのころ建設されたものの多くは狂乱じみていました。とはいえ、時に目的から脱線したものであっても、全国民を守りたいという思いは本筋を逸れたものではありません。
アウフデアマウアー： ゾンネンベルクの核シェルターは冷戦がもたらした空想の産物です。私が１９８６年にバーゼルのシュバイツァーハレの大火災を経験した時、空軍の地下室に逃げた人は誰もいなかった。それは地下室が鉄道模型や衣装ダンス、ワイン棚でいっぱいだったからというだけではありません。ラジオの電波が受信できなかったからなのです。ああいった緊迫した場面ではみんなラジオを聴きたかったんです。
私は、果たして「Xデー」に備えて何億フランも鉄筋コンクリートに投資するべきなのか、という哲学的な疑問もあります。あるいは、それよりも例えば社会の改善のために出費した方がマシなんじゃないかと。私たちは、おそらく世界で唯一、コンクリートの天井に金を使おうと決断した。それこそスイスという特殊事例ですよ。
ルツェルナー・ツァイトゥング： 今また鉄筋コンクリートの天井が必要かもしれません。アメリカと北朝鮮は核兵器で互いに威嚇しあっています。核シェルター以外のどこで万が一の事態から身を守ればいいのでしょうか。
アウフデアマウアー： 最善の防衛は有事が起きるずっと前に始めるものです。威嚇者を甘やかしてはなりません。それには文化と自己意識が必要です。市民の勇気、啓発、仲介。赤十字を創設したスイス人実業家のアンリ・デュナンは政治における女性参画を求めました。それなしには平和の実現はできないと。デュナンの言葉は今までにも増して有効です。
ルツェルナー・ツァイトゥング： 地下スイスを防護の観点からすると否定的なまでに疑わしくみていますね。肯定的に捉えられる側面はありませんか？地形図をみると穴を掘らざるを得ないのではないでしょうか？
アウフデアマウアー： その通り、地形図をみると一つ一つ穴を掘っていくしかないことが明らかです。私はそれを批判するわけではなく― あるいは批判するだけではなく単純に観察しています。多くの作業に感嘆しているし、尊敬もしています。
しかしもし軍隊が、今のNEO計画（注：軍隊の情報科学プロジェクト、ネットワーク対応作戦のこと）のように１２０億～１５０億フラン（約１兆４千億～１兆７千億円）を使ってスイス中部に位置するウーリ州の岩盤に穴をあける計画を国民の頭越しに強行するなら、不信感を強めることになるでしょう。NEOはある種の電子的な司令塔にする計画で、スイスが戦場となった場合に指揮官はそこからリアルタイムで国土を眺めたいというわけです。そこで空騒ぎが起こって莫大な費用超過が発生するのを恐れています。どのメディアがこうした事態を思い切って調査するのか楽しみですよ。
ルツェルナー・ツァイトゥング： 本書では、スイスはもしかすると場所に対する不安がある広場恐怖症の国で、何もない空間に恐怖を覚える国民だから地下に向かうのではないかと結論づけていますね。テーゼとしては面白いですが、我々が空間に恐怖を覚えるのはなぜでしょうか。
アウフデアマウアー： もしかしたら、ある場所を空っぽにしておくこと、活用しないこと、営利の目的で使用していないことが私たちにとって苦痛なのかもしれません。私たちは農民国家の国民として、封建的な土地で育っていないからかもしれません。というのは、イタリアやロシア、フランスで見るような華やかな建物の張りぼてでできた場所は、確実で真面目な歩みを要求するからです。たいていのスイス人はエレガントな動きだとか美しいフォルムに喜びを感じるということがあまりない。たとえそうだったとしても、表に出さずにひっそりと喜ぶのでしょう。
ルツェルナー・ツァイトゥング： スイスは場所への不安とコンクリートの天井という特殊事例についてこれまでうまくいかなかったわけではありません。地下スイスは成功の秘密のようなものと言えないでしょうか。
アウフデアマウアー： 成功の秘密と言う言葉はまさにぴったりですね。慎重に建設し、精密で、完璧を追求し、実用的なものを求めます。定期的に主権者は地下の工事に賛成しています。地下の設備が信頼できるからです。地下設備は国に安定をもたらします。機能上の意味だけではなく、比喩的な意味でも。
ルツェルナー・ツァイトゥング： ひょっとしたら神も天の上ではなく地下にいて、私たちは死ぬと地下に向かうのかもしれませんね。
アウフデアマウアー： ブルーダー・クラウスのような神秘主義者なら、神は地下に存在するというでしょうね。神は全てのものに宿るのですから。
ルツェルナー・ツァイトゥング： 「私たち」が地下を作る、との言い方は正確ではないですね。私たちは汚れ仕事をたいてい外国人労働者にやらせています。ここに関しても本で批判的なコメントをしていますね。
アウフデアマウアー： 地下スイスを築いた人々は、その収入に頼らざるを得なかったのです。最初のゴッタルド鉄道トンネルの建設ではパン４kg相当の日給でした。
ルツェルナー・ツァイトゥング： 地下スイスを築くために過去１５０年で１万人以上の犠牲者をもたらしたと書いています。どうしてこんなに多くの人が犠牲になったのでしょうか。
アウフデアマウアー： この数は、全ての犠牲者を合算して出したものです。信じられないくらいの悪条件のためにトンネルの工事現場のはずれで死んだ人も加えました。彼らはチフスや結核、寄生虫病、流感で死にました。非人間的に狭い場所だったために病気が蔓延したのです。ですから死者数の中には鉱員に加え、トンネルの村に住む女性や子供、。病気になって、彼らの死がスイスに負担をもたらさないよう僅かな手金で家に帰された労働者も含んでいます。彼ら全員に感謝し、思いを馳せる場所を作るよい機会だと思います。
ルツェルナー・ツァイトゥング： 地下スイスは完成したのでしょうか。
アウフデアマウアー： とんでもない、反対にトンネル工事は滞留しています。地下を利用した物流システム「Cargo Sous Terrain（地下の貨物）」が建設されれば、地上の交通負担が大きく軽減し生態学的な問題がなくなると期待されます。
ルツェルナー・ツァイトゥング： ヨスト・アウフデアマウアー氏は地下にいない時は何をしているんでしょうか。
アウフデアマウアー： 本を読んだり料理をしたり、陽の光に喜びを感じていますよ。
「Die Schweiz unter Tag（地下のスイス）」
ウーリ州の村アムシュテークに暮らす、伝説上の核シェルターを開けたトレッシュさんの物語で始まる。キュンツラーさんは中央スイスのインナートキルヒェン、グリムセル峠の下の水力発電所へといざなう。フウィラーさんはルツェルンのゾンネンベルクの防護施設のカギを所有している。それらはヨスト・アウフデマウアー氏がスイスの地下を発見する旅における３拠点だ。
アウフデアマウアー氏は多くの人が何らかの知識を持ちつつも詳しいことはほぼ誰も知らなかった地下に足を運んだ。その著書は暗闇に光をもたらし、慎重で要点を着いて構成された調査となっている。加えてガイドや視察の情報もまとめている。
参考：ヨスト・アウフデアマウアー著「Die Schweiz unter Tag（地下のスイス）」、図解付き全１４４ページ、発行元Echtzeit-Verlag他のサイトへ）
（聞き手・ハンス・グラーバー／ルツェルナー・ツァイトゥング）
（独語からの翻訳・ムートゥ朋子）