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スイス連邦政府は、銀行の守秘義務の緩和について、2国間で交わされている二重課税協定の見直しを今後進めていく意向を3月13日に発表したが、交渉相手としてすでにアメリカと日本が挙げられた。
ハンス・ルドルフ・メルツ財務相 兼大統領は3月25日の記者会見で、欧州連合 ( EU ) との源泉課税協定の見直しについては、まず評価する必要があると語り、慎重な姿勢を示した。
アメリカと日本が優先
「スイスは、二重課税協定の見直しを希望する諸国、また、スイスの経済にとって重要な相手国を優先する」
とメルツ財務相は語り、スイス政府が銀行の守秘義務の緩和の意向を発表した5時間後には、ティモシー・ガイトナー米財務長官から交渉要請の連絡があったことを明かした。アメリカとはスイスの大手銀行UBSの脱税事件の問題を抱えていることも背景にある。交渉はなるべく早期に行いたい意向だが、時を急いだ結果は避けたいとも語った。
一方、日本とはスイスの貿易国のアジアの代表として重視しているという。
「すでに二重課税について日本とは交渉中。内容の4分の3については話し合いが済んでいる」
という。2月には両国が経済連携協定 ( EPA ) に調印したばかりだ。
メルツ財務相は、アメリカと日本のほか、ポーランド、オランダ、デンマークなどを優先順位が高い国として挙げた。一方フランスは先週まで優先国と見られていたが、順位が下がった。またスイスを「租税回避地 ( タックスヘイブン )」 と強く非難するドイツからは現在のところ交渉の要請はない。スイスは世界およそ70カ国のそれぞれの国の間で二重課税協定を結んでいる。今後、その見直しがなされていくことになる。
メルツ財務相は、こうした交渉で、スイスがすべてを譲歩するのではなく、例えばスイスの保険会社に対する国外マーケットへの進出の可能性を高めるといった何らかの見返りがない限り交渉には応じないと語った。
ブラックリスト
スイス政府は4月8日、スイスの金融業界に対する政策を話し合う予定になっている。目的は、スイス金融業界の競争力の維持と、失業者を出さないための政策の検討という。また、アメリカのUBS問題についてや、EU との源泉課税協定についても話し合うという。
メルツ財務相は、EUとの銀行顧客の情報を自動的に交換することや、2005年から発効している源泉課税協定を撤回することはありえないと再度強調した。
4月2日からロンドンで開催される金融サミットG20では、世界的な金融危機と世界開発協力機構 ( OECD ) によるタックスヘイブンを載せたいわゆる「ブラックリスト」についても討議がなされる予定だ。
「スイス政府はG20に向けベストを尽くした。ブラックリストにスイスは載らないだろうと確信している」
とメルツ財務相は強調した。
swissinfo、ウルス・ガイザー 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ ) 訳
銀行の守秘義務
3月13日、スイスは銀行の守秘義務について、経済協力開発機構 ( OECD ) の基準に従う意向を表明した。守秘義務を緩和する意向を示したのは、アメリカとドイツからの圧力が強まり、連邦議員からの強い要請もあったためである。右派政党は、銀行守秘義務の緩和については国民投票に掛けるべきであると主張している。スイス政府は二重課税協定( EUとは源泉課税協定 ) の見直しでこれに対応する意向だが、協定を交わしている約70カ国と個別の交渉を行うため、すべてが完結するまで時間がかかると見られている。インフォボックス終わり