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左派から右派まで、すべての主要政党を含む連立内閣。他の国では考えられないような内閣の形がスイスでは数十年前から続いている。この大連立は直接民主制が生んだ結果だ。
五月革命からちょうど５０年目の２０１７年５月、フランスで政界を揺るがす出来事が起きた。エマニュエル・マクロン氏が圧倒的大差でフランス大統領に選任されたのだ。マクロン氏はオランド前大統領の下では大臣を務めたが、大統領の座は新しい政治運動「前進」の党首として獲得した。
第１回投票結果では得票率はたった２４％だったが、第２回投票（決選投票）では極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏が唯一の対立候補だったため、多くの有権者は「マクロン氏の方がまだまし」と考えた。「勝者がすべてを得る」という言い回しがあるフランスは、これを機に「前進」した。
それから４カ月後、スイスでも内閣が新しく組織された。ディディエ・ブルカルテール外相が辞任を発表したため、連邦内閣全７閣僚のうちの１人が新たに選ばれることになったのだ。
西側の隣国に比べ、スイスの閣僚交代はあまり目立たない。一つの閣僚ポストにはたった一つの政党からしか候補を出せないからだ。
スイスの連邦閣僚選挙は他とは違った緊張感を醸し出す。その理由は合議制（Konkordanz）。行政府である連邦内閣で数十年かけて培われた権力の分配システムだ。スイスではフランスのように権力が一つの政党に集中するのではなく、連邦議会の議席数に応じて全ての主要勢力から連邦閣僚が選出される。
疑わしいマジック・フォーミュラ
この配分率には「マジック・フォーミュラ（魔法の公式／法則）」という秘密めいた名前がつけられているが、与党はこれが必ずしも魔法のように素晴らしいものとは思っていない。合議制の内閣では大胆な改革がほとんどできず、安定と妥協が最優先されるからだ。
このルールの下では、政党は喜んで妥協しているのではなく、戦略的な計算に基づいて妥協している。なぜなら合議制は直接民主制の影響をもろに受けるからだ。
行き詰まりからの抜け道
このことは歴史が物語っている。スイス連邦が１８４８年に創設された当時、内閣は１政党だけで構成され、七つある全ての連邦閣僚ポストは急進民主党が占めていた。
連邦閣僚には苦労がつきものだった。なぜならスイスには「強制的レファレンダム」、１８７４年からは「任意的レファレンダム」という国民投票制度があり、野党勢力はこうした制度を使って与党・急進民主党の法案に対抗できたからだ。
急進民主党のライバル政党だったカトリック保守党（現在のキリスト教民主党）は、鉄道国有化案など重要法案をすべて国民投票にかけ、内閣の企てを幾度も阻止してきた。そこで急進民主党は政局の行き詰まりを解消するため、ついに野党のカトリック保守党に閣僚枠を一つ明け渡すことを決めた。
左派は最後に入閣
その後、カトリック保守党は二つ目の閣僚枠を獲得。そして農業者を支持基盤とする農工市民党（現在の国民党）にも閣僚枠が一つ与えられた。
左派の社会民主党は２０世紀前半に議席数で第１党になったが、入閣には長い時間がかかった。同党が急進民主党から閣僚枠を一つ得たのは、１９４３年になってからのことだった。
社会民主党は一時期、野党に転落したが、５９年には閣僚枠を二つ獲得。こうしてマジック・フォーミュラが誕生した。この配分は現在も慣行として残っているが、現在の第１党である国民党は、キリスト教民主同盟が持っていた二つの閣僚枠のうちの一つを獲得している。
野党を巻き込む
政党は連邦内閣に閣僚枠を一つ持っていても、内閣が決定した全ての事項を支持する義務はない。だが閣僚の一員として内閣の政策決定に関わるなかで、政策の内容に納得している場合が多い。
実際に与党が内閣を支持するケースが大半だが、特定の問題に関して内閣と別の立場を取ることもある。
カトリック保守党の場合、入閣により内閣の行き詰まりが解消された。同党は鉄道国有化案に激しく反対していたが、同党から初代連邦閣僚に選ばれたルツェルン出身のヨゼフ・ツェンプが一役買ったことで、現在のスイス連邦鉄道が誕生した。
社会民主党も、入閣を機にある程度「温和」になった。急進民主党系の新聞は５９年、社会民主党から二人目の閣僚を選ぶ閣僚選挙を前に「オオカミがヒツジと一緒に組閣することになれば、オオカミはヒツジの群れの中でおとなしく草を食むことはまずないだろう」と警告した。だが杞憂に終わった。
もろい安定性
全ての懸念をよそに、最終的にはオオカミとヒツジは内閣の中でうまくやることができた。ただ、近頃は合議制による安定感が揺らいでいる。
与党の４政党は７０年代、国民投票の案件の半数以上に関し同じ意見を共有していたが、それが今ではまれになっている。社会民主党のほか、現在では特に国民党が内閣と反対の立場を取ることが多い。
スイスの政治は近年、両極化し、同時に政党間の争いも激しくなった。政党は党の存在感を示す必要に迫られ、妥協が許されない状況に陥っている。
今後のゆくえ
こうして合議制の未来は不透明なものになった。全ての政党は依然として合議制を支持しているが、妥協して解決策を見つけることへの関心を失いつつある。
年金制度や法人税制など様々な分野で改革の必要性が高まっていることを考えると、この傾向は憂慮に値する。合意を形成しにくい今の時代、直接民主制の下で改革を成し遂げることはますます厳しくなっている。
シリーズ「スイスの民主主義」
スイスは間接民主制と直接民主制が組み合わさった国だ。スイスほど直接民主制が発展している国はない。このことはスイスで国民投票が６２０回以上（世界記録）行われてきたことからも明らかだ。
#DearDemocracyシリーズでは、ルーカス・ロイツィンガー氏がスイスの直接民主制に関する最も重要で基本となる制度、メカニズム、プロセスについて解説する。
同氏はチューリヒ大学で政治学を専攻。現在はジャーナリストとして執筆活動を行う傍ら、政治系ブログ「Napoleon's Nightmare（ナポレオンの悪夢）他のサイトへ」を共同運営している。インフォボックス終わり
（独語からの翻訳・鹿島田芙美）