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病院内で働く人が汚い手のままでいると、院内感染を引き起こす。これはスイスでも深刻な問題になっていたが、今年の初めに始まった「手を清潔にしよう」全国キャンペーンによって院内感染は4分の1も激減した。
このキャンペーンで、全国100以上の病院やクリニックのスタッフが今までよりよく手を洗うようになった。この結果節約された経費は6000万フラン ( 約57億円 )。
キャンペーンを主催したフーゴ・サックス氏は「皆で協力してターゲットを絞れば、こんなに成果が出るということが分かりました」と話す。
石鹸と水だけでなく
サックス氏はジュネーブ大学病院の感染予防・管理局に所属する医師だ。「今では誰もが、定期的に手を洗うのが自然なことになっています。キーワードは『継続性』です」
このキャンペーンは、病院内の衛生向上を目指した団体、スイス・ノソ ( Swiss-Noso )と連邦保険局 ( BAG/OFSP ) が、2006年1月に開始したものだ。きっかけは、「患者に接した後には必ず手を洗う」という規則があまり守られていないというショッキングなデータが明らかになったことだ。
キャンペーンは職員の意識向上を目指すと共に、水と石鹸ではなくアルコールをベースにした洗浄液で手を洗うよう奨励した。これはジュネーブ大学病院によって開発され、今では世界保健機関 ( WHO ) でも採用されている。
キャンペーンが始まるまでは、院内感染の患者はスイス国内に約7万人もいると推定されていた。これは政府にとって2億4000万フラン( 約227億円 ) の追加コストとなる。
院内感染で年に1000人以上が死亡
連邦保険局によると、毎年、院内感染で1000人から2000人の患者が死亡している。免疫力が弱い人や、集中治療室の患者が、深刻な事態に陥る場合が多い。例えば、糖尿病や癌、慢性の肺の病気に苦しんでいる高齢者などだ。
「病院のスタッフの手を、いつも衛生的に保つということは、院内感染を防ぐ最初のステップになります」とサックス氏は言う。
「全ての医療従事者が患者に接する、全てのコンタクトを対象にしています。静脈カテーテルや外科手術的なものについては、さらにもっと適した方法が取られるべきでしょう。それによる院内感染の減少はさらに30％と推測されています」
このキャンペーンで最も改善の変化が見えたのは看護士たちだ。医師たちはほんの少し遅れを取っている。
サックス氏は、「これは世界的な現象ですね」と渋い顔だ。「医師たちは、予防策が平凡な積み重ねの場合、どうも過小判断する傾向があります」
しかし、サックス氏によると、スイスの医師は他の諸国よりもまだましな方なのだそうだ。
swissinfo、アダム・ボーモン 遊佐弘美 ( ゆさ ひろみ ) 意訳
キーワード
スイス・ノソ ( Swiss-Noso ) が行った調査によると、全国で入院患者の7.2％が院内感染していた。集中治療室の患者になると、4人に1人が感染している。
国連のWHOによると、途上国の25％の患者は、院内感染に侵されている。
スイスの院内感染対策
-スイスの「手の衛生モデル」はジュネーブ大学病院感染予防・管理局長、ディディエー・ピテ医師によって開発された。他の欧州諸国、アメリカ、中国、日本、カナダ、オーストラリアなどにも輸出されている。
-このモデルプランは、病院のスタッフに水と石鹸よりもっと効果的なアルコールで作られた洗浄液を使うよう奨励している。
-このモデルプランを実施したジュネーブ大学病院では、院内感染の発生率が半分にまで激減した。