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第一次世界大戦が終わる20世紀初頭まで、スイスの貧しい山岳地帯から、子供達がドイツの家庭に季節労働者として働きに出かけることが組織的に行われていた。いまは裕福なスイスで、忘れ去られた歴史の事実である。このコンテンツは 2004/07/29 15:15
歴史学者のロレッタ・セグリアス氏はこのほど、スイスの子供達がスイス北東部にあるボーデン湖を越えたドイツのオーバーシュヴァーベン地方へ出稼ぎに行った歴史を研究し、その結果を「シュヴァーベン行きの子供達」という一冊の本にまとめた。
スイス東部のグラウビュンデン地方の子供達は、ボーデン湖を越えたドイツの、オーバーシュヴァーベン地方の農家に出稼ぎに行かされ、安い労働賃金で働かされた。出稼ぎ自体は特別珍しいことではないが、「子供達による出稼ぎは、あまり例がない」と、歴史学者のロレッタ・セグリアス氏は語る。出稼ぎは1800年代に始まり、第一次世界大戦の開戦まで続いたという。
冬にドイツへ旅することの辛さ
グラウビュンデンからオーバーシュヴァーベンまでの道のりは1週間。お弁当は1日分だけ持たされた。飲まず食わずでしかも寒い。食糧が少なくなってくる2月の初頭に子供達は出稼ぎに行かされた。もちろん徒歩で行く。途中、修道院などに寄れば、ご飯は食べさせてくれるだろうし、物乞いもできると見込んでのことである。
「オーバーシュヴァーベンまでの旅だけでも大変なものだった」と今も残っている手記を元に研究を進めた歴史学者のロレッタ・セグリアス氏は語る。
一人旅でないのは幸い。子供達はグループで出かけた。6歳から7歳の幼い子供もいた。年かさの子供がグループを引率するか、大人が付き添いということもある。秋になれば、同じようにして、彼らは家に帰ってきた。
年間千人以上
不作の年にはグラウビュンデン地方だけで1,000人以上の子供達が出稼ぎに行ったという。グラウビュンデンからはオーバーシュヴァーベンへ、ザンクトガレン、アッペンツェルなどからは、オーストリアのチロル地方やフォーアルベルクへの出稼ぎが多かった。こうした地方には子供の労働力への需要に応える「子供市」が立った。
「子供市」については、米国のメディアも取り上げるほどだった。「子供が売りに出る市場があり、農家の人たちは子どもたちの体格を手で触って確かめ、大声でここは良いとか、ここが悪いとか評価する」と、「子供市」と奴隷市場と比較するかのように米国の新聞は書いている。奴隷と違いスイスの子供達は、労働の代償として、普段着と日曜日に着る洋服2着、ソックスと靴、そしてわずかなお金をもらった。
子供なりの知恵で乗り切る
もらった靴は日曜日に履くために取っておく。働く時はむろん裸足である。フリードリヒスハーフェンの市長は11歳の子供が、足の指が凍傷になっていて、「足のつめが浮いてしまって肉が見えている」と記録に残している。足を暖めるために、まだ暖かい牛の糞に足を突っ込んで暖めるのが子供達の知恵だった。
労働が過酷なのは当時としては大人も子供もあたりまえのことだった。出稼ぎの子供達も、辛い労働に耐えた。「その中の2割くらいは、暴力を振るわれたり、レイプされたりしただろう」と同氏は推測する。一方で、子供達同士「子供市」の情報を交換したり、厳しい農夫にはチョークで背中に印をつけたりしてお互い身を守ったという。
当時は批判も起きなかった
オーバーシュヴァーベンの「子供市」は3月に立つ。これに間に合うため子供達は、学校の学期の途中で勉学を中断して出発した。学校の先生も役人も、これを認めていたばかりではなく、子供達が働きに行くことを評価しさえした。洋服も着せてもらえ、食べ物も与えられた上、お金さえもらえたのだから、子供達は働きに出て親を助けたというわけである。「工場で働くよりましだ」というのがグラウビュンデン地方の一般的な意見だったという。
20世紀初頭に子供の出稼ぎがなくなるのは、貧しい家庭が同地方から都市へ引っ越していったことと、観光業が盛んになり、外国まで働きに出る必要がなくなったことが挙げられるとセグリアス氏は説明する。
スイス国際放送 アントワネット・シュヴァブ （佐藤夕美 （さとうゆうみ）意訳）
補足情報
6歳から14歳の子供達が、スイスからドイツに出稼ぎに行った。
19世紀半ばから20世紀初頭まで、グラウビュンデン地方を中心に年間1,000人以上が出稼ぎに行ったと言われる。
出稼ぎの時期は2月から11月まで。
口減らしの意味が多く、賃金はほとんどなし。
靴と洋服、わずかな駄賃をもらう程度。Verlag.
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