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スイスでは２００９年１１月の国民投票で、ミナレット（イスラム寺院の尖塔）の建設禁止を憲法に盛り込む案が５７％の賛成で承認された。結果は当時、国内外に大きな波紋を広げた。その後、ムスリムの関係団体は「これは宗教の自由に反し、欧州人権条約に違反する」として欧州人権裁判所に訴えを起こした。
その結果、同裁判所はおよそ１年半たった７月８日、これを「欧州人権条約に違反しない」として却下した。
宗教的信条に具体的影響なし
今回却下された訴状は２件で、いずれも「ミナレット建設禁止をスイス憲法に盛り込んだことは、宗教の自由に反し宗教的差別になる。従って欧州人権条約にも違反する」という内容だった。
これに対し欧州人権裁判所（European Court of Human Rights）の７人の裁判官は「スイスに在住するムスリムの宗教的な信条に対し、スイス憲法のミナレット建設禁止は具体的な影響を及ばさない」と指摘。
さらに、「この禁止によって提訴者の権利が直接侵されることはない。なぜなら、ミナレットを備えたイスラム寺院を近い将来建設するという意図は、彼らにないからだ」と述べた。
欧州人権裁判所の性格
判決に対し、スイスの人権関係の法律家ヴァルティ・ケーリン氏は欧州人権裁判所の性格からして、こうした提訴が却下されるのは当然であり、また提訴しても意味がないと話す。なぜなら、同裁判所は国内法の直接の犠牲者が、第２の手段として訴える所であり、「法律の一般的意味やその有効性などを問う場所ではない」からだ。
具体的には「もしあるグループがミナレットを建設しようとしていて第１審で許可されない場合、スイスの連邦最高裁判所まで控訴し、そこでミナレット建設はスイスの憲法に違反するため許可できないと言われて初めて、欧州人権裁判所に持ち込むことができる」という。
訴えを起こす必要
一方、今回却下された２件の訴状のうちの１件を提出していたムスリムのスイス社会融和促進協会「ラントゥル・コネサンス ( L’entre-connaissance ) 」の会長、ハフィッド・ウアルディリ氏は、穏やかな調子で「結果は予想できたものだった。しかしそれでも訴えを起こす必要があった」と話す。
というのも、欧州人権裁判所は却下した代わりにスイス政府に対し、こうした問題が再び起こらないよう解決策を探るようにという「宿題」を課したからだ。
オウアルディリ氏はこの宿題を、「今回の判決文を詳細に検討すれば、今後スイスの法廷が欧州人権条約との整合を図るため、ミナレット建設禁止の憲法条例を改正する可能性さえ残る」と解釈する。
これに対し、２００９年の国民投票の際にミナレット建設禁止のイニシアチブを提出した保守派の国民党（SVP/UDC）の代表シルヴィア・バー氏は、「欧州人権裁判所の判決は予想通りのものだった。そもそもミナレット禁止のイニシアチブは、宗教の自由も宗教の実践の自由も侵すものではなかった」と述べた。さらに、まだ判決が下されていない、同様の訴えを提起する３件も却下されるだろうとみている。
（英・仏語からの翻訳・編集 里信邦子）, swissinfo.ch