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11 月30日からジュネーブで始まった世界貿易機関の定例閣僚会議が12月2日閉幕した。しかし中心議題となったドーハ・ラウンドでの先進国と新興国間の対立の溝は深く、2010年中の妥結は危ぶまれている。
153カ国・地域が集まって開催された同会議の冒頭で、世界貿易機関 ( WTO ) のパスカル・レミー事務局長は「ドーハ・ラウンド ( 多角的貿易交渉 ) はその8割がすでに解決している。来年中の妥結をほとんどの政治的リーダーが望んでいるが、その意志を再び明言すべきだ」と語った。
アメリカの責任
レミー事務局長の発言にもかかわらず、多くの途上国と新興国は農業補助金と工業品の関税削減に積極的ではない。
一方、アメリカの通商代表部（ USTR ）代表ロン・カーク氏は、農業、サービス、製造品などの分野で、意味のあるマーケットを提案する準備が整っており「アメリカの交渉団は、ドーハ・ラウンド締結に向けて動く準備ができている」
と語った。
さらにカーク氏は、153カ国・地域のうち特にブラジル、インド、中国のような新興国が「自分たちに都合の良いゾーン」から抜け出しリーダーシップを見せるよう促した。
これに対しブラジルのセルソ・アモリン外相は「ドーハ・ラウンドが締結するために途上国からのさらなる譲歩を促すのは不当だ」と述べた。また多くの国が、ドーハ・ラウンドが先に進まないのはアメリカの責任であり、現在アメリカでは国内の医療保険制度改革やアフガニスタン問題が優先事項になっているからだと批判している。
スイスはベストを尽くした
日本とともにG10のメンバーであるスイスのドリス・ロイタルト経済相は12月1日、
「スイスはベストを尽くした。農業分野でこれ以上譲歩することはあり得ない。スイスはすでに高い代償を払った」
と述べた。現在の草稿のままでいくとスイスの農家の収入は3割から5割削減される見込みだとロイタルト経済相は続けた。
またスイスは、来春に再び会合を持ちドーハ・ラウンドが2010年中に締結するために必要なポイントを提示する必要があると提案した。
スイスのWTO主席交渉官ルツィウス・ワセシャ大使は、各国とも妥結への政治的準備はできているようだが、スタートポイントがまちまちだと指摘し
「アメリカはすでに非農産品市場アクセスにおいてかなりの関税削減を発表したので、自分のやるべきことは終わった。後はほかの国も同じようにやることを期待しているようだ」
と述べた。
来年中に締結する見込みはない
「経済政策研究センター ( Centre for Economic Policy Research ) 」の貿易分野の専門家サイモン・エベネット氏は、「ドーハ・ラウンドが来年中に締結する見込みはない」とイギリスの日刊紙「ガーディアン ( Guardian ) 」で述べた。理由は非常に多くの国が交渉に参加するようになり、考えられないほどの複雑さを呈しているからだという。
また、ワシントンにある「国際食糧政策研究所 ( International Food Policy Research Institute ) 」もドーハ・ラウンドは現在のグローバルな経済問題に対しほとんど効果がないという。
「世界経済と貿易は2001年から大きく変わった。商品市場は消耗し、環境問題が及ぼす経済的影響はドーハ・ラウンドが始まったときには問題に含まれていなかった」
と指摘する。
今回のWTO定例閣僚会議は、10万人のデモ隊が出たシアトルでの定例閣僚会議からちょうど10年目にあたる。
今回ジュネーブでも11月28日に5000人の強固なアンチWTOのデモ隊が、銀行や商店などの窓ガラスを破壊し、車にも放火した。しかし、こうした暴力的な行為があったにもかかわらず、ジュネーブの「国際政治研究所 ( Graduate Institue ) 」のWTOの専門家、ジョスト・ポール氏は
「10年前とは違い反対者はより生産的な方策を打ち立てるようになった。自分たちでもっと勉強を重ね、内部からシステムそのものに影響を与えるようなやり方を選び始めている」
と話す。
サイモン・ブラッドリー 、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、里信邦子 )
第7回世界貿易機関 ( WTO ) 定例閣僚会議
153カ国・地域から閣僚レベルの交渉官が集まり、11 月30日から12月2日までジュネーブ開催された。
「WTO、多角的貿易システムと現在のグローバルな経済環境」を基本テーマに会合は持たれたが、話し合いは締結が先送りされている「多角的貿易交渉 ( ドーハ・ラウンド ) 」に集中した。
一方、ジュネーブでは11月28日に5000人の強固なアンチWTOのデモが繰り広げられた。中でも約200人の顔を覆った過激派が銀行や商店などの窓ガラスを破壊し、車にも放火した。