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新型インフルエンザが世界的に流行した場合、治療薬であるタミフルの各国政府の備蓄が不十分であると製造元の大手製薬会社ロシュが語気を強く指摘した。
一方、WHOはタミフルの備蓄の数について明示していないが、加盟国の新型インフルエンザ準備対策については満足しているとの見解だ。
WHOはこれまでも繰り返し、鳥インフルエンザが変異した人への感染力の強い「新型インフルエンザ」の出現は避けられないと警告している。WHOは新型インフルエンザ対策として、対応したワクチンと治療薬タミフルの備蓄を各国政府に訴えている。
生産能力を上げたものの
これに対し、ロシュの医薬品事業部長ウイリアム・バーンズ氏はバーゼルでの記者会見で、ロシュが生産能力を上げたにもかかわらず2007年の1期に各国政府の注文が減少したと語った。
「ここ2年間で多くの政府の方針は変わった。しかし、死亡率を決定的に変えることができる治療薬の備蓄が充分とは決して言えない。現在はタミフル生産の問題ではなく、政府の準備ができているかが問題」と語り、「このまま、注文がないのにストックを増やすわけにはいかない」と結論付けた。
ロシュは国際的な圧力により、昨年末からタミフルの生産能力を年間4億人分に激増させた。加えて、インド、中国、南アフリカの企業に製造ライセンスを供与した。しかし、各国政府の注文がその半分程度に低迷しているため、製造を減少する旨を発表している。
WHOは満足
多くの専門家が、新型インフルエンザは鳥インフルエンザのH5N1ウイルスが人から人へと感染しやすいタイプに異変した場合に起こると警告している。
WHOも新型インフルエンザの到来は間もないと警鐘を鳴らし、300万人分 ( 3000万錠 ) のタミフルをストックしている。WHOは新型インフルエンザが世界的に大流行した場合、10億人が感染し、そのうち200万人から最大で740万人が死亡すると推計している。このためロシュのバーンズ氏は「地球の60億人の人口を考えれば、備蓄は微々たるもの」と言う。
WHOのグレゴリー・ハルト広報官は193の加盟国のうち、170国は既に新型インフルエンザ対策を練っているという。「この数字はいかに、この新たな脅威の可能性を真剣に捉えているかの証拠だ」とみる。
あとは国に
ハルト氏は各国政府がどのような対策を練るかはそれぞれの国の財政、公衆衛生の基準などによるという。タミフルの備蓄はWHOの勧告の1つに過ぎない。
WHOは近日、同型ウイルスを抗原とするワクチンの製造と配分を改良すると発表したばかりだ。スイスでは新型インフルエンザが流行した場合に備えて全人口分のワクチンを準備している。
swissinfo、マシュウ・アレン、 屋山 明乃 ( ややま あけの ) 意訳
キーワード
抗インフルエンザウイルス剤「タミフル」の成分はリン酸オセルタミビルでトウシキミの果実である八角を原料に生産される。
特許はカリフォルニアのギリアド・サイエンス社が持ち、1996年からスイスの大手製薬会社、ホフマン・ラ・ロシュ社が2016年までの製造専売特許を取った。
東南アジアなどで拡大する鳥インフルエンザが人から人への感染力を持つ「新型インフルエンザ」として出現したときに効用があるとして、世界保健機構 ( WHO ) は各国政府に備蓄を勧告している。
ロシュによるタミフルの製造
- 1999〜2002年：550万人分。 ( 1人分は10錠 )
- 2003年：1800万人分。
- 2004年：2400万人分。
- 2005年：5500万人分。
- 2006年：1億9000万人分。( 4億人分の製造体制を整えている )