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中国にとって欧州は、一層魅力的な投資の対象になっている。農業バイオ大手シンジェンタ、商品取引マーキュリア、航空機の地上支援スイスポートなど約７０社あまりのスイス企業が、すでに中国企業によって合併・買収（M&A）された。一方で、中国勢の一連のM&Aは一部のスイス人、そして中国人の間でも怒りや懸念を生み出し、さらに文化の違いをいかに克服するかという問題を浮き彫りにしている。
専門家は、M&Aを双方向的なものだと指摘する。１９７０～８０年代に日本が大挙してスイス企業を買収した際、被買収企業の多くは淘汰（とうた）された。生存率は１割に満たず、スイス人はその後、M&Aに警戒心を強めたという。
官僚主義の薄れ
シンジェンタは２月３日、中国の国有企業大手で化学関連を手がける「中国化工集団（ケムチャイナ）」からの、４３０億ドル（約４兆８千億円）に上る買収提案に合意したと発表。中国化工集団はシンジェンタのほかにも、イスラエルを拠点とする世界最大のジェネリック農薬メーカー、マクテシム・アガンを、同社株式の６割を取得して傘下に収めている。マクテシム・アガンは２０１４年、アダマ農業ソリューションズに社名変更した。
中国企業にとって、海外企業の買収は官僚主義の回避にもつながるという。
中国石油・化学工業連合会のグワンリエン・パン会長は、中国企業の中でも特に国有企業は、経営計画を実施に移す段階で戦略を変更せざるを得ないことが多いと指摘する。身内びいきなどの複雑な内部事情などが原因だと言う。
「中国企業が海外に目を向けるのは、国内での複雑な人間関係と、意思決定までに時間がかかりすぎることを避けるためだ。海外企業との合併では、そのような問題が比較的簡単に、そして早く解決される」
だが一方で、国有企業は変革に対して迅速に対応できるという。国有企業では経営陣が頻繁に入れ替わり、新経営者は良い評判を確立するために組織改革もいとわないからだ。
さらにいえば、経営陣の任期は最長１０年だが５年で替わることが多く、長期的に戦略を進めることは困難だ。今回のシンジェンタの買収は、中国化工集団のジアンジン・レン会長の野心と戦略を反映したものだが、それが計画通りに展開するかどうかは分からない。レン会長は２０１８年に引退が予定されており、シンジェンタの今後が注目される。
スイス製か中国製か
企業のブランド化、イメージ形成に関してはまた別の難題が浮かび上がる。
消費者が「スイス製」に抱くイメージは「高コストで高品質」。一方、「中国製」は「低コストで低品質」と正反対だ。
中国企業がスイスブランドを買収すると、ほとんどの場合スイス国内メディアとの接触をあえて避ける。中国メディアの取材も受けない。スイスブランドが持つ信頼性と高品質のイメージを壊したくないからだ。
中国の消費者が「スイス製」に寄せる信頼も一層高まっている。このため、中国の親会社はスイス企業を買収しても、製造拠点を自国に移すことはない。
だが研究開発は別だ。スイスの製薬大手ノバルティスやロシュなどは、研究開発センターを中国に設立している。専門家によれば、安価な労働力のみならず、中国の消費者の好みや動向を探ることができるからだという。
スイス文化への影響
中国勢のM&Aは時に、いわゆる「氷山モデル」を踏襲する。例えば法人の１％をスイスの子会社とし、そのスイスの子会社を外から見える「水面上」にさらす。一般消費者に「スイス色」をイメージづけるためだ。
一方「水面下」では、スイスの慣習にそぐわない中国式の経営手法がとられ、従業員の忠誠心や消費者の信頼を失いかねないこともある。チューリヒ応用科学大学の国際ビジネス研究者ジュエン・ウー氏は、中国企業がスイス国内の有能な人材を発掘したり、企業秘密を探ったりすることで、忠誠心が高く評判の良いスイス文化の構造に変化をもたらしていると言う。
「一部の中国企業がスイスに非常に悪い習慣をもたらしている。スイス人が何世紀もかけて築き上げた、忠誠と信頼を礎にした文化に大きなダメージを与えている」と指摘。だが、こうした問題は互いの文化を理解しあうことで克服できると話す。
中国人の上司
物事がうまく行かないと、中国人もスイス人も「文化の違い」のせいにしがちだ。しかし、原因は中国人のマネジメントにあるとパン氏は指摘する。
ウー氏によれば、米国企業がスイス企業と合併すると、たいてい大規模なリストラでマネジメントを一新するが、中国企業は買収した企業の体制をそのまま取り込むという。
だからといって、スイス人と中国人がうまくやれるとは限らない。ウー氏が２０１２年から行っている調査では、スイス人会社役員のほとんどが中国式のマネジメントに不満を抱いているという。
ウー氏がインタビューしたスイス人によれば、中国人の上司は部下にあれこれ指図し、従業員を公然と批判。部下の行動を逐一管理したがり、上下関係や力を誇示しがちだという。自律性や慎重さ、プライバシーに重きを置くスイス人の上司とは対照的だ。
あるスイス人の最高財務責任者（CFO）はウー氏に、「中国人のマネジメントは家父長的で、従業員は中国語ばかり話す。中国人の最高経営責任者（CEO）は２千年前の時代から来たかのようで、まるで皇帝のように振る舞う。それになじめない」と語ったと言う。
他方で、中国国有企業のCEOらが横柄な態度をとるのは、報酬の低さが背景にあるとパン氏は言う。報酬は固定給で、家賃や食費などの生活費が別途支給されるとはいえ、月収１２００フラン（約１３万円）程度のこともあるという。スイスでは職業訓練生並みの金額だ。
パン氏は「スイス人スタッフとの給料格差は非常に大きく、中国人のCEOらはそれをみじめに感じている。その反動で、自分の存在感を示したいがために、部下を厳しくコントロールする傾向にある」と話している。
（英語からの翻訳・宇田薫 編集・スイスインフォ）, swissinfo.ch