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ティチーノ州にはカジノが3軒ある。住民10万人につき1軒と、賭博場密度はスイス一。熱心なのが隣国イタリアからの訪問客だ。
ルガーノ湖畔にあるイタリアの飛び地カンピオーネの賭博場は、ティチーノから客を奪おうとつい最近、14階建ての真新しい建物へと居を移した。
カンピオーネ ( Campione ) の正式名称はカンピオーネ・ディタリア ( Campione d’Italia ) 。この町にある「ヨーロッパ最大の賭博場」が、スイスのスター建築家マリオ・ボッタの手による賛否両論の新しい建物へと引っ越して、スイス南端のゲームマシンやテーブルゲーム、トランプゲームの数はまた一段と増加した。
ティチーノブーム
年間の賭博総収益が1億8000万フラン ( 約178億円 ) に達するカンピオーネは、これまでティチーノ州のメンドリージオ、ルガーノ、そしてロカルノにあるカジノよりも多額のお金を掻き込んできた。しかし、維持費が高く、従業員の数も多いため、実質ベースの利益はティチーノのカジノよりも低い。
それどころか、2005年と2006年にはそれぞれ1100万ユーロ ( 約18億円 ) の赤字まで出している。厳しい節約対策のおかげで、2007年の第1四半期になってようやく黒字に切り替えることができた。しかし、新しい「ボッタ宮殿」に引っ越して再び維持費は増加している。
一方、ティチーノ州では多額のお金が賭け事に注ぎ込まれているだけでなく、利益もきちんと上がっている。南スイスの「賭博の殿堂」の中でトップを走るのは、メンドリージオ ( Mendrisio ) にある「カジノ・アドミラル」だ。
ここはBライセンス ( 要約参照 ) しか所有していないが、スイス全土でもっとも利潤を上げているカジノだ。2006年の賭博総収益は約1億3500万フラン ( 約133億円 ) に達している。成功のポイントは、高速道路のメンドリージオ出口やイタリアに近いこと ( 国境までわずか10キロメートル ) 。何といっても、ここのカジノ客の9割近くはイタリアからやってくるのだ。
ルガーノからメンドリージオまで
賭博総収益約1億800万フラン ( 約107億円 ) を上げてすでに2位についているのは、2002年11月にオープンしたルガーノ ( Lugano ) のカジノ ( Aライセンス ) 。最後のロカルノ ( Locarno・ Bライセンス ) の成績は3200万フラン ( 約32億円 ) に手が届くか届かないかだ。
この3軒は、合わせて2億7500万フラン ( 約272億円 ) の収益を上げている。これは、スイス全国に19軒ある賭博場の総収益 ( 9億5500万フラン、約983億円 ) の3割弱に相当する。
これにカンピオーネの1億8000万フランを加えると、スイスの南端では何と5億フラン ( 約496億円 ) 近い膨大な金額がギャンブルにつぎ込まれていることになる。
文化とスポーツを援助
羽振りの良いこのビジネスは、地方自治体や州、連邦の雇用および収入にプラスに作用しており、ティチーノの3軒の賭博場で働く人は600人近く、そして給与総額は2005年現在で5500万フラン ( 約54億円 ) に上っている。また、これらのカジノは文化やスポーツの催し物のスポンサー役も務めている。
国内外でのPRにも力を入れており、特にイタリアからの訪問客に焦点を合わせているのがルガーノ、メンドリージオ、カンピオーネの3軒のカジノ。訪問客を満載した観光バスが、ミラノからティチーノの殿堂へとせっせと通ってくる。
複数のライバルの存在は、必ずしもマイナスだとは考えられていない。カジノ・カンピオーネの支配人であるマルコ・バランツェッリ氏はむしろ相乗作用を狙っており、「プレアルプスのラスベガスになれるかもしれません」と語っている。カジノ・ルガーノの社長、エラスモ・ペッリ氏も、賭博場の数が多ければ賭博客の総数が増えるはずだと考える。
メダルの裏側
ルガーノとメンドリージオ、ロカルノの各カジノでは ( まだ ) 喫煙が許されているので、カンピオーネのライバルよりも立場は少し有利だ。スイス・カジノ連盟によると、カジノ客の半分以上は喫煙者だという。
とはいえ、多額の収益を上げているこの賭博にも、やはり影の部分は存在する。1番の問題はギャンブル中毒だ。ティチーノでは毎年、およそ500人がカジノへの立ち入りを禁止されている。ルガーノでは心理学者が1人雇われており、ギャンブル中毒のカジノ客に対応している。
賭博場はまた、1つ間違えば怪しげな組織にもなりかねない。「SOS暴利」というグループが、数年前にルガーノのカジノに高利貸しがいると批判した。しかし、これに関するティチーノ検察の調査は打ち切られている。
swissinfo、ゲルハルト・ロープ ルガーノにて 小山千早 ( こやま ちはや ) 意訳
補足情報
- スイスでは、70年以上に渡って賭け事が禁止されていた。各州は、掛金を最高5フラン ( 約500円 ) に制限したいわゆる「保養所ホール営業権」を認可することしかできなかった。
- 1993年、スイスの有権者は、連邦憲法から賭け事禁止の条項を抹消する国民投票を明白に支持。その後、カジノ ( 賭博場 ) 運営に関する法律的な基礎が出来上がるまでに7年を要した。
- 今日、スイスには19軒のカジノがある。そのうち7軒はAライセンス ( 掛金の制限なし ) を、12軒がBライセンス ( 掛金を最高25フラン・約2480円に制限 ) を所有している。
- イタリア全土にカジノは4軒しかない ( カンピオーネ・ディタリア、ベニス、サンレモ、サンヴァンサン ) 。イタリアの飛び地であるルガーノ湖畔のカンピオーネへは、スイスを通らなければ行くことができない。この町の使用通貨はスイスフラン。
品行方正
賭博税による連邦と州の2006年の収益は、12％増の4億9500万フラン ( 約489億円 ) 。賭博総収益のおよそ52％が公共事業に費やされた。
連邦賭博場委員会 ( ESBK/CFMJ ) は年間報告の中で、国内19カ所にあるカジノのプロフェッショナル性を保証している。
5月22日の発表によると、賭博場は健全なやり方で業務利益を獲得しており、ギャンブル中毒の危険性のある訪問客を食い物にしているわけではない。
また、監視委員会も監査で深刻な欠陥は何も発見していない。社会的な予防に関しては、各カジノは中毒の可能性のある人々への対策を前年に比べて大幅に改善している。
2006年の賭博総収益
9億5500万フラン：スイス全土のカジノ19軒
1位：1億3500万フラン：カジノ・メンドリージオ。スイス一利潤の高い賭博場
2位：1億880万フラン：カジノ・ルガーノ
3位：1億150万フラン：カジノ・バーデン、アールガウ州。ドイツ語圏スイスで最も収益の多い賭博場2006年、スイスのカジノではおよそ2300人が、またカンピオーネでは600人が働いていた。