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1月3日の雪崩事故では7人の犠牲者が出たが、これによって山中の危険地帯への立ち入り禁止措置や対策がとられることはなさそうだ。
スイスアルプスでは山スキーで毎年平均14人の死者が出る。年明け早々の雪
崩事故により、たった1日で7人もの犠牲者が出たことは一層衝撃的だった。
ハイテク装備
山スキーは、バックカントリー・スキーまたはツアー・スキーとも呼ばれる。山スキーヤーは、誰も足を踏み入れていない山の斜面を目指して登り、粉雪を散らしながら滑り降りるが、その際に直面する危険を承知している。
彼らは家を出る前に、山スキーのルートの詳細が載っている5万分の1の縮尺の地図を見てどの山に登るかを決め、毎日公表される雪崩情報を調べる。そして自分の救助機器が整っているかを点検する。
スキーヤーの典型的なバッグパックには、替えの下着、軽食、熱いコーヒーかお茶の入った水筒に加え、シャベル、トランシーバー、プローブ ( 探り棒 ) など軽量のハイテク機器が多数入っている。シャベルの先は取り外しができ、柄は望遠鏡になる。大き目のスマートフォンのようなトランシーバーは、雪の中で生き埋めになった仲間に信号を送ったり、逆にブザー音を受信したりすることができる。トランシーバーで雪の中に埋没した被災者がどこにいるかおおよその場所を特定したら、折りたたみ式のプローブを2メートルから3メートルの長さに延ばし、雪を突いて被災者を探す。
雪で覆われた斜面の安定度を予測する難しさは、精密科学どころではない。そのため救助機器の携帯は必須だ。知識や道具は進歩したが、スイスアルプスでは雪崩で多い時には25人が死亡している。そのうち半数以上が山スキーの最中に犠牲になっている。「スイス事故防止評議会 ( bfu ) 」によると、雪崩またはその他の事故により、年間約600人相当の山スキーヤーが負傷している。
被災時
山スキーヤーは近づきにくく離れた地域に入り込むため、雪崩の発生時には航空救助隊「レガ ( Rega ) 」に出動要請が入る。
レガのアリアンヌ・ギュンゲリッヒ氏によると、ヘリコプターによる救助活動1回につき、平均3000フランから3500フラン ( 約27万～32万円 ) の経費がかかる。 昨年、レガは雪崩災害の救助に37回出動した。
救助された被災者は、通常レガから送られた請求書を自分の保険会社に転送する。スイスでは、こうした請求書は事故保険基金の「スファ ( Suva ) 」に送られることが多い。スファは、スイスの労働人口の約半分に保険を提供している。
スファは救助費用と医療費を負担しなければならないが、スキーヤー自身の責任が大きいと判断された場合、スキー中の事故のせいで職場へ復帰できなくなった加盟者に対する保険金の支払いを半減する権限を持っている。スファは、事故が起きた時の天候や雪崩の危険性、さらにその地帯の傾斜角度を考慮する。
ピーナッツ
しかしスファのクラウディオ・カスパリス氏 は、事故に遭遇した不運な山スキーヤーが請求に対して支払う金額は「ピーナッツ」のようなものだと言う。またスファは山スキーの事故に関する正確な統計を持っていないが、雪崩事故による保険の支払総額は、毎年職場の外で起きるすべての事故の結果スファが支払う約17億フラン ( 約1527億円 ) の保険金に比べたら、微々たるものでしかないと説明した。
1月3日に2回発生した雪崩の原因はまだ不明だが、山スキーの安全性について疑問が投げかけられている。山スキーはスイスで行われている極めて危険なスポーツの第4位に挙げ
られている。
雪崩情報を過信している山スキーヤーが多く、そして彼らは一旦山に登ってしまったら、自分たちで斜面の安定性を判別することができないと憂慮する声もある。
「避けなければならない危険地帯を特定するのは非常に難しい作業です」
と「スイス・アルパイン・クラブ ( SAC ) 」のクリスチャン・フリッシュネヒト 氏は「 アールガウアー・ツァイトゥング紙 ( Aargauer Zeitung ) 」の取材に答えている。さらに
「発生したすべての雪崩のうち3分の1が、発生リスクが中程度と報告されているときに起きています」
と指摘した。またフリッシュネヒト氏は、バックパックに入れた救助道具の使い方をしっかり理解していない山スキーヤーが多く、それによって余計なリスクを冒していることに触れた。
山へ登る人間の数は増えているにもかかわらず、スファ、レガ、またはどの政府機構も、リスク低減のための対策を導入することは考えていないようだ。スイス・アルパイン・クラブのマルクス・エビシャー氏によると、クラブの会員は年々増加しており、現在12万7000人の会員がいる。直近の統計によると、2003年のスイスの山スキーヤーの数は24万1000人で、そのうち5万人が定期的にスポーツを行っている。
デイル・ベヒテル 、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳、笠原浩美 )
ヨーロッパの雪崩発生危険度基準
レベル1 ( 低 ) ：大きい重力がかかった場合のみ ( 例：間隔を空けずに滑る団体スキーヤー、スノーモービル ) 、極端な急勾配の斜面のいくつかに雪崩が起きる可能性がある。自然発生した雪の流動 ( 小さく緩やかな雪崩 ) や小規模の雪崩の可能性が予測される。
レベル2 ( 中 )：特に、大きい重力がかかった場合、主に雪崩情報で報告された急勾配の斜面に雪崩を引き起こす。大規模な雪崩の自然発生は予測されない。
レベル3 ( やや高い )：付加された重力が小さくとも、主に急勾配で雪崩を引き起こす。状況によっては中規模、時には大規模の雪崩が自然発生する。
レベル4 ( 高 )：付加された重力が小さくとも、急勾配の斜面の多くで雪崩を引き起こす可能性がある。状況によっては中規模の雪崩と複数回の大規模な雪崩が予測される。
レベル5 ( 最高 )：中程度の勾配の地域でも、大規模な雪崩の自然発生の多発が予測される。
( 出所 ) 連邦雪・雪崩研究所 ( SLF )
生存の可能性
連邦雪・雪崩研究所 ( SLF ) によると、雪崩で雪の中に埋没した人間の生存率は、15分以内に救出された場合で80%。
30分後には40%へ、1時間後には25%へ低下する。
SLFの調査によると、道具の向上と対処法の普及によって、雪崩による犠牲者の数は激減した。
1970年代末には雪崩の被災者の60%が死亡したが、現在では40%に低下した。