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8月19日、アメリカからの通達を受けスイス政府が公式発表したところによると、スイス大手金融機関のUBS銀行は、脱税の疑いがある4450人の顧客情報をアメリカの国内歳入庁に開示することでアメリカ政府と合意した。このコンテンツは 2009/08/19 16:55
数カ月間にわたる交渉の末、1週間前には大筋で合意に至っていたが、詳細が発表されたのは19日になってから。この合意により、アメリカはスイスに対して口座情報の開示を求める協力を新たに依頼する予定で、UBSを民法上の被告とする裁判は回避されることとなった。
4450件の顧客情報の開示
スイス政府の発表は、ミシュリン・カルミ・レ外務相、エヴェリン・ヴィトマー・シュルンプ法相、ハンス・ルドルフ・メルツ財務相、の3人の大臣が列席して行われた。発表によると情報を開示する顧客口座の数は4450件で、1年以内にアメリカ当局に提示することになる。この作業のために民間経済調査機関から30人の専門家と税制専門家40人のグループが結成され、約4000万フラン ( 約35億円 ) の予算をかけるという。
米国内歳入庁 ( IRS ) は当初、UBSに対して民事訴訟の構えを見せており、総計150億ドル ( 約1兆4000億円 ) に上る脱税の疑いのある口座5万2000件の開示を求めていた。両国政府の話し合いの長期化に痺れを切らしたUBSは2月、金融市場監視局 ( Fimna ) を通し、スイス政府との合意に基づいて255人の顧客の情報をアメリカ側に提示し、7億8000万ドル ( 約740億円 ) の罰金を支払っていた。
今回の合意によって、アメリカ政府はマイアミで保留になっているUBSに対する訴訟を間もなく取り下げ、この先も裁判の強制執行は要求しない。税法上の時効を回避するため、公式には民事訴訟は保留にされるが、それも取り決めへの署名後遅くとも370日以内には段階的に撤回される予定だ。
また、米国内歳入庁は現行の2国間重課税協定をもとに、スイスに対して新たに協力を要請する。この協力要請は脱税者を特定するためのもので、今回のUBSのケースのみを対象にスイスの法律と裁判の方法を考慮した行動モデルの基準にのっとって行われる。
作業量は膨大
記者会見に臨んだヴィトマー・シュルンプフ司法相は、最悪の事態は切り抜けたが、まだ峠を越えたわけではないと厳しい態度を見せた。
「取り決めの内容を実行に移すのは非常にたいへんな作業だ。プロジェクト組織を作っても、1年間という約束の期日内に約束の数だけ処理することは不可能かもしれない」
一方、今年1年間連邦大統領を務めるメルツ財務相は
「今日の合意で重要な事項についてスイスの意思は貫徹された。アメリカへの協力にかかる費用は4000万フランくらいになるだろう」
と述べた。
UBSの株を転換
また、同日発表されたUBSのコミュニケによると、スイス政府は現在所有している60億フラン ( 約5300億円 ) 分の強制転換社債をすべてUBSの株式に転換する意向だ。これによってUBSの株式資本はほぼ3億5600万フラン ( 約315億円 ) に達する。
転換は8月25日に予定されているという。金融市場監視局はUBSの資本の基礎は安定しているという見解で、政府のこの決定を支持している。UBSもまた、この決定を同銀行が実施している健康化を図る対策が認められた結果と受け取り、
「UBSの評議会およびマネジメントは、スイス政府、スイス国立銀行 ( SNB/スイス中銀 ) 、金融市場監視局に対し、2008年10月から今日に至るまでの慎重で決然とした行為に感謝をしている」
と発表した。
swissinfo.ch、外電
これまでの経緯
2008年5月 ロシア不動産業のイゴール・オレニコフ容疑者が脱税の疑いでアメリカ歳入庁 ( IRS ) の捜査網に引っ掛かった。関係していた銀行マンとしてオレニコフ容疑者は、UBS銀行のプライベートバンキング部門の部長 ( 当時 ) 、ブラドレー・バーケンフィルドの名前を明らかにした。バーケンフィルド容疑者は、オレニコフ容疑者と同じような富裕層顧客の資金およそ1億5000万ドル ( 約140億円 ) の脱税のため、アメリカ国外にファンドを組み、会社を設立した疑いで起訴され、有罪判決が下った。
2009年2月、UBSはアメリカ当局の圧力に屈し、およそ250件の顧客情報をアメリカ側に開示し、7億8000万ドル ( 約740億円 ) を支払った。アメリカ当局は、民事訴訟を起こす構えを取り、5万2000件の顧客の情報開示を要求した。
UBSはこれに対し、顧客情報開示はスイスの法律では違法行為であり、訴訟は両国の独立性を尊重して取り下げられるべきであると反論した。この発言には、当事者ではないスイス政府の支持を得る。
7月13日、裁判は8月3日に開廷すると発表される。
7月31日、ミシュリン・カルミ・レ外務相はワシントンでヒラリー・クリントン国務長官と会談し、両国の法的対立について話し合いがもたれた。
8月7日、アメリカのアラン・ゴールド検察官がUBSに対し更なる訴訟の構えを見せる。
8月12日、UBSとアメリカ歳入庁と裁判以外の道でこの問題を解決することで合意するが、詳細発表は8月19日まで待たれた。
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