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ペーター・プライシックさん（45歳）が働くのはスイス東部・ヘリザウ（アッペンツェル・アウサーローデン準州）にある元火薬工場だ。今は爆破音の代わりに、美しい槌音が人里離れた森の中に鳴り響く。このコンテンツは 2020/10/27 08:30
プライシックさんがカウベル作りに興味を持ったのは1970年代。シンプルな材料から生まれる豊かな鐘の音に感銘を受けた。スイスアルプスに伝わる工芸品であるカウベルが滅びゆこうとしているのを知り、立ち上がった。
自動車製造や機械エンジニアリングなど、さまざまな業界で働きながら、独学で鍛冶を身に着けた。習得に要した歳月は20年近く。4年前に専業のカウベル製造者として独立した。
スイスドイツ語で「Senntumschellen（ゼントゥムシェレン、牧場の鈴の意）」と呼ばれる伝統的カウベルは、数千年の歴史があるにもかかわらず国内には作り手がいなかった。オーストリア・チロル地方から輸入され、その技術は門外不出だった。独自技法を持ったプライシックさんは現在、スイス唯一の作り手だ。
ゼントゥムシェレンは鍛造された巨大な鐘が3口1組になっている。東部のアッペンツェル地方では、夏の終わりに山から谷へ牛たちを下ろす「牧下り」の際、先頭の3頭だけがカウベルを身に着けることができる。
カウベル作りでは、プライシックさんはまず裁断した鉄板を炉の中で熱し、赤く熱くなったら金槌で叩く。これを20回ほど繰り返すと、元の鉄板がだんだんカウベルを半分に切った形になっていく。
カウベルは真ちゅうや青銅を重ねることで独特の音色が生まれる。これらの金属をカウベル本体に焼き付けるため、真ちゅうや銅、亜鉛などでできた弾殻を砕き、これを敷いた粘土でベルを包み込み1500～1600度で焼成する。古来「Feuervermissing」（「火で真ちゅうにする」の意）と呼ばれる作業で、文献もなかった。プライシックさんが編み出した術も詳細は極秘だ。
金属が厚いほど、高い音色が出る。金属を均一に加工するため、鉄の純度も音色に影響する。いずれも偶然の産物で、同じ形や同じ音色になるカウベルは2つと生まれない。
文化の重み
カウベルは元来、迷子になった牛を見つけたり、どの牛がどの農家に属しているかを聞き分けたりするためのものだった。現代技術によりこうした習慣はすたれてしまったのかもしれないが、技術は「背後にあるカウベル文化を置き換えることはできない」とプライシックさんは話す。
スイスで3年ごとに開かれるカウベル祭りは、こうした伝統の大切さを物語る。
プライシックさんはホームページ他のサイトへで、自身の目標は伝統工芸を守り、元来の形で継承することだと強調する。その目標は達成したと考えるが、伝統工芸で生計を立てる人間として、決して金持ちにはなれないと苦笑する。
3人の子供の誰かが工場を継ぐとの望みは抱いていない。ただ、伝統をつないでくれる人物はいつか現れると期待している。